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1970-10-08 第63回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十月八日(木曜日)    午後一時十八分開会     —————————————    委員の異動  九月十日     辞任         補欠選任      達田 龍彦君     松本 英一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         北村  暢君     理 事                 佐田 一郎君                 武内 五郎君                 塩出 啓典君     委 員                 上田  稔君                 小林 国司君                 佐藤  隆君                 初村滝一郎君                 中村 波男君                 村尾 重雄君                 河田 賢治君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        総理府総務副長        官        湊  徹郎君        農林大臣官房参        事官      大河原太一郎君        林野庁指導部長  海法 正昌君        水産庁漁政部長  平松甲子夫君        中小企業庁計画        部長       斎藤 太一君        運輸省港湾局技        術参事官     竹内 良夫君        建設省河川局長  川崎 精一君        建設省住宅局建        築指導課長    前川 喜寛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (台風第九号及び第十号等による被害に対する  激甚災害指定に関する件)     —————————————
  2. 北村暢

    委員長北村暢君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  災害対策樹立に関する調査を議題といたしま丸  まず、台風第九号及び第十号による被害に対する激甚災害指定について、政府から説明を聴取いたします。湊総理府総務副長官。
  3. 湊徹郎

    説明員湊徹郎君) ただいまお話のございました本年の台風第九号及び台風第十号等による災害について、その後とりました政府措置特に激甚指定の問題について御報告申し上げたいと思います。  御承知のように、激甚災害災害そのもの激甚災害という形で指定をすることと、それと同時にそれによっていかなる措置をとるべきか適用すべき措置指定する、こういう二段の仕組みになっておるわけでございます。で、九号、十号の災害、これを当然激甚災害として一刻も早く指定をし、同時に被災された方々に対する救済措置を広範にひとつ講じてほしい、こういうふうな趣旨で当委員会においても数次にわたって議論がございました。私どもといたしましてもただいま申し上げました政令制定について鋭意努力をしてきたわけでございまして、各関係の省庁、これは非常に多いわけでございますが、担当官の皆さんの協議をこれまた数次にわたっていたしたわけでございます。で、その結果、腹づもりとしては十八日の閣議に何とか間に合わせたいということであったのでありますが、後ほどいろいろお話もございますように、また私のほうからも若干申し上げたいと思いますが、諸般の事情で十八日に政府部内の決裁だけは終わったのでありますが、閣議措置は一週繰り延べになって九月二十六日に政令二百七十四号、こういう形で公布、施行をいたした次第でございます。  と申しますのは、第一番目に、当委員会においても議論があったところでありますが、率直に申しますと、たとえば公共土木等災害激甚指定につきましても、九号だけじゃどうもならぬ、十号だけでもちょっと足らぬ。そこでつなぎというと奇妙でありますが、その間に台風の刺激を受けて発生した全国相当な府県にわたり被害状況を全部実は洗いまして、それをセットにして一本の激甚災害、こういうかっこうに実はしたわけでございます。  そういう事情等もございましたし、またできるだけ指定をする場合は、御承知のように、激甚法にはいろいろな適用すべき措置の条項がございますが、これをできるだけ広範囲に拾い上げていきたいというようなことで、最後までボーダーラインといいますか、なかなか容易でない点等もございまして、そこで若干おくれた次第でございます。御了承を賜わりたいと思います。  そういうことで、台風九号及び台風号並びに八月十七、十八の両日、これらの台風の影響によって起こった広島県東城町等における豪雨、これを一括して激甚災害ということに指定をいたしました。  適用すべき措置といたしましては、第一に、公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助、これは激甚法第二章。それから次には、農地等災害復旧事業等にかかわる補助特別措置、これは第五条の関係。次に、農林水産業共同利用施設災害復旧事業費補助特例、これは第六条の関係。次に、天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置特例、いわゆる天災融資法関係第八条。次に、共同利用小型漁船建造費補助、これが十一条。次に、中小企業信用保険法による災害関係保証特例、これが第十二条。次に、中小企業近代化資金等助成法による貸付金等償還期間等特例、これが第十三条。中小企業者に対する資金融通に関する特例、これが第十五条。公立社会教育施設災害復旧事業に対する補助、これは第十六条。私立学校施設災害復旧事業に対する補助、第十七条。次に、日本私学振興財団の業務の特例、第十八条。次に、市町村が施行する伝染病予防事業に関する負担の特例、これが第十九条。次に、母子福祉法による国の貸し付け特例、第二十条。次に公共土木施設農地及び農業用施設等災害にかかる地方債元利補給等、第二十四条。以上のように最近の災害についてはとっていない措置等も含めて、できるだけ現地の御要請にこたえるというふうな措置をとった次第でございます。  以上で終わります。
  4. 北村暢

    委員長北村暢君) 次にただいまの説明のありました激甚災害指定の問題を含め、質疑のある方は、順次御発言を願います。
  5. 塩出啓典

    塩出啓典君 私はまず最初天災融資法の問題についてお聞きをしたいと思いますが、特に台風九号、十号によりまして水産被害が非常に甚大に出ております。特に広島県等におきましては、非常にカキいかだがやられておるようでございますが、天災融資法によるいわゆる六分五厘の資金被災漁民借り入れできるわけでございますが、三分資金、いわゆる特別被害漁業者が三分資金を借りることができるのでございますが、この三分資金借り入れのできる県は一体どのようになっておりますか。
  6. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  特別被害地区天災融資法指定いたします特別被害地域は、先生おっしゃるとおり三分資金適用になる条件でございますが、これは県別に申し上げますと、漁業だけでございますが岡山県、広島県、山口県、愛媛県及び熊本県でございます。
  7. 塩出啓典

    塩出啓典君 そうすると激甚災適用の県でいわゆる三分資金借り入れることのできないそういう県が多いわけでございますが、そういう県でもかなり被害の出ておるところもあると思うんですけれども、そういう点については、同じ漁民個人個人にとっては被害は同じように受けているところがあるわけですね。そういうところは三分資金借り入れができないわけでございますが、そういう点についてはどのように考えておられますか。
  8. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 先生案内のように、制度といたしましては天災融資法特別被害地域指定激甚災指定地域指定県とがまさに重複しております。したがって、われわれといたしましては特に今回の台風等被害を受けた県、地域につきましては、激甚災指定と重ねまして、特別被害地域の設定をいたすというようなことで、ほぼ被害漁業者要請に対応できるものだというふうに考えておるわけでございます。
  9. 塩出啓典

    塩出啓典君 カキいかだ等がやられた場合、非常に現地要望としては、漁具の場合は限度が一件六十万円になっておるわけですね。たとえば、カキいかだは一台だけでも四、五十万円かかるといわれておるわけでございます。そういう点で資金ワクをもっと広げてもらいたい。これは六十万円という金額がきまってからだいぶ年も久しい、年々物価も高騰しておるわけですけれども、そういう点で資金ワクについても時代とともに検討すべきではないか。現地のそういう要望から考えてもそれが私は妥当ではないかと思うんですけれども、そういう点農林省としては資金ワクの一件当たり限度額ですね、これを増大してもらいたいという、そういう要望なんですが、それに対してはどう考えておられますか。
  10. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お答え申し上げます。天災融資法は、先生すでに御案内のように、経営資金が主体でございまして、資材的な漁具だけを対象にしておるという制度に相なっております。したがっていかだ等については、これは施設資金として別個の取り扱いをしておるわけでございますが、先生お話し養殖に対する天災融資法限度につきましては、われわれの調査によりますと、カキ養殖についての中庸的な経営規模現金支出分が四十万円程度でございまして、それから見まして、お話のありましたように、激甚災害のほうに適用されますと、六十万円というようなことで、制度といたしましてはほぼ需要にこたえられるのじゃないか、というふうに考えております。
  11. 塩出啓典

    塩出啓典君 そこでカキ養殖いかだ、あれが漁具として認められていない、これを漁具として認めてもらえば漁業近代化資金等を借りるにしても非常にいいわけですけれども、これはまあいろいろいかだというのは場所を移動したり、そういう点なかなかつかみにくいという、そういう理由があって漁具として認めてもらえないと、そういうことで今回も非常にみな困っているわけですけれどもね。当然私は常識から考えてもいかだというのは、いかだによってカキをつくるわけですから、当然常識から考えても漁具として、それに対してしかるべき融資をすべきではないかと思うんですけれども、その点はどうなっているんですか、だいぶ要望が出ていると思うんですが、県からも。
  12. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  先生お話がございましたように、天災融資法につきましては、漁具経営資金でございますから、漁具という範囲で線を引いております。いかだはやはりその実態を見ましても、施設というふうに観念すべきものとわれわれ考えております。これにつきましては、農林漁業金融公庫法主務大臣指定資金とか、あるいは一昨年発足いたしました漁業近代化資金、これの施設資金というふうに、流失いたしましたいかだ等につきましても、これを新たにつくるという資金需要に対しましてはこたえ得るというふうに考えております。今回におきましても、漁業近代化資金融資ワク運用等によりまして、現地いかだ漁業者の皆さまの需要にこたえたいというふうに考えております。
  13. 北村暢

    委員長北村暢君) 私からもちょっとこの問題、私も質問しようと思っておったので、ちょうど塩出君から質問が出ましたから、関連してこの問題のけりをつけておきたいと思うんですが、先ほど養殖漁業漁網綱等は、これは漁具ではなしに施設だと、いまカキいかだなんかも漁具ではなしに施設であると、したがって天災融資法のいう漁具の中には入らない、こういうことのようですが、養殖漁業用漁網綱というのは漁具の中に入れてもらいたいという、そのためには——これは入っていれば別ですけれども、入ってないような解釈をされているようです。また漁業協同組合からそういうものを漁具の中に入れてくれという要望が来ているわけです。したがってこれについてはどういう見解を持っておられ、先ほど施設については漁業近代化資金融資をする、こういうことを言われておるんですが、農業用の、あるいは漁業用共同施設ならば、これは災害復旧についての補助金等その他出るわけですけれども、これは個人経営施設については制度がないわけですわね。したがって近代化資金その他の融資によって処理をしよう、こういうことのようですが、近代化資金では災害用ワクを拡大するということはできますけれども、これは激甚地のような三分というわけにはいかないわけですね。したがって要望されている点は、個人施設であっても近代化資金貸し付け条件ではなかなかやっていけないんじゃないか。したがって激甚地指定によるこの三分資金を何とかして借りたいというのが要望だと思うんですがね。しかし天災融資法に該当していないんですから、漁具等に入らないわけですから、これは借りる方法がない。それを天災融資法融資対象にしてもらいたい。漁具解釈が、施設漁具かということなんですが、実際に養殖漁業をやっておる者は、これは漁具であって、施設とは考えない、こういうのが実感なんですよね。ですから、漁業協同組合共同施設ならいいけれども個人養殖漁業施設天災融資法適用にならぬし、共同施設災害助成対象にもならない。したがって漁業近代化資金を借りるより方法がない。それでは実は実際に災害を受けた者としては、何としても三分資金を借りたいんだというところに問題があるわけなんです。したがって、これはこの前質問いたしました施設農業の場合と同じなんで、個人経営のものについてはこれは助成しないんだというのと同じだと思うんですが、それでは解決できないので、要望が出ているわけです。したがってこれはもう厳格にいま答弁のあったような形で、全然これは三分資金対象になるような形で要望はあっても、それは要望として受けるわけにはいかないということなのか、どうなのか。もう少しここは親切な検討がなされてしかるべきじゃないかと、塩出さんの質問趣旨もこれはそこにあるのじゃないかという気がいたしますので、関連して御質問するわけなんです。
  14. 平松甲子夫

    説明員平松甲子夫君) ただいま漁具について漁網綱が入るかどうかということなんでございますが、漁具というのは、私ども解釈では、一応漁類を採捕するという道具ということで考えておりまして、漁網綱漁具の中に入っておるわけでございますが、養殖に使います漁網綱というのは養殖施設というふうに観念をいたしておりますので、天災融資法対象にはしない、こういう取り扱いをいたしておるわけであります。この点につきましては、天災融資法というのが、大体災害を受けたために収穫がなくなる。そのために現金収入がなくなって、そのために経営も苦しく在り、生活も苦しいという形の場合に再生産をできるような、とりあえずの資金融資するというような形で組み立てられておるというふうに観念いたすわけでございますから、確かに先生がおっしゃいますように、私どもといたしましては、漁具としての漁網綱以外のものについては、養殖農林漁業金融公庫法養殖施設なり、あるいは漁業近代化資金でめんどう見るんだと。その点について、先生指摘のように三分資金適用がないということでございますけれども、先ほど申し上げましたような天災融資法制定趣旨からいたしまして、現在そこのところについては、確かにその問題がございましょうけれども、その施設につきましては、ある程度耐久性のあるものだということから、天災融資法対象としてすることが適当であるかどうかという点についての疑問もあろうというふうに考えまして、現在のところ農業といたしましては、漁具といたしましては、法律上の解釈といたしましても、その他いろんな法律の場合でも、養殖施設とは一応区別した形で考えておりますので、対象にはしないというふうに考えておるわけでございます。
  15. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは次に、この漁業共済の問題でございますが、このカキのいわゆる漁業共済加入率が、大体広島県の場合で、大体一〇・六%にすぎないわけでございます。そのために、今回の被害総額が三十億円をこえているわけでございますけれども、八月末における共済資金支払い予定額は、推定で一億一千六百万円程度だと。そういうわけで、非常に共済加入率が低いというように思うわけですけどね。これは、やはり非常に低いというのはどういう理由なのか。いわゆる今後そういう問題については、農林省としても加入を促進するとか、そういうようなことをやっていくべきではないかと、このように私たち思うわけでございますが、そのあたりについて、農林省としてはどういう考えを持っておられるのか、それをお聞きしておきたいと思う。
  16. 平松甲子夫

    説明員平松甲子夫君) 確かに先生指摘のように、広島カキ養殖について、漁業共済加入率というのは、御指摘のような一〇・六%という数字を四十三年度に示しておるわけでございますが、これは、いままで台風等による異常災害等が比較的少なかったということで、漁業災害補償制度が発足いたしまして、加入推進がはかられたわけでございますけれども、そういうふうなことから災害補償制度についての認識がわりあいに乏しいということもあって、現在の四十四年の一〇%程度というような形の加入率を示したというふうに私ども考えておるわけです。  それから、広島県につきましては、四十四年度に広島湾にカサネカンザシと申しまして、カキに寄生する虫と申しますか、そういうものによって、非常に災害が出たということで、やはり、これは漁業共済加入して、共済金をもらうということでなきゃだめだというふうな認識が非常に徹底してまいったようでございまして、四十五年度の、いままでの成績を見ておりますと、前年比で大体七〇%程度の増加、加入率で大体一七、八%というところまで上がってきておるんじゃないかというふうに考えておるわけでございまして、今後とも私どもといたしましては、組織を通じまして、あるいは広島県を通じまして加入推進につとめたいというふうに考えておるわけでございます。
  17. 塩出啓典

    塩出啓典君 これは漁業共済ですね。大体、全国的には加入率はどのようになっているわけですか。いろいろカキ以外の業種もあると思うんですけどね、その状況、ちょっとわかりましたら。
  18. 平松甲子夫

    説明員平松甲子夫君) ものによって、いま手元にちょっと詳細な資料がございませんが、加入率のわりあい高いノリ等でございますと、五〇%近い数字を示しております。カキにつきましては、加入率の比較的低いほうでございまして、一〇%前後ということであったと思います。
  19. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは次に自作農維持資金の問題につきまして、災害の場合の一戸当たり融資限度額が五十万円を引き上げてもらいたい、そういう要望があるわけでございますが、それに対する見解。それと二番目には台風九号、十号向けの今回の災害に対する資金ワクはどの程度見込んでおるのか。それは十分であるのかどうか、その点。二点についてお聞きいたします。
  20. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  災害農家資金需要にこたえるためには、天災融資法等経営資金の手当てを、いまお話が出ましたような次第でございますが、自作農維持資金につきましても、被害の態様なりあるいは被害各県の地域資金需要等を勘案いたしまして、今回ワクといたしましては三十二億円を設定いたしました。これによって資金需要にはこたえられるというふうに判断しております。  なお融資限度の問題でございますが、お話も出ましたが、ただいま自作農資金融資限度は五十万円でございますが、この引き上げという問題についていろいろ検討してきておるわけでございますが、御案内のように自作農資金は、災害等を受けまして資金需要があり、農地等を手放さなければその資金需要にこたえられないという方々に、低利長期の金を貸すというたてまえをとっておりますので、融資限度は大体従来のところでは五十万円程度でまかなえるのじゃないかというふうに判断しておったわけでございますが、今回の被害地域におきます農家方々には、連年災害を受けまして、累積融資額は相当になっておるという実情も、われわれ当委員会等で御質疑を受けたあといろいろ調査した結果明らかになってまいりましたので、その限度引き上げ等につきまして、ただいま財政当局と鋭意折衝中でございまして、われわれといたしましては最大限の努力をいたしまして、前向きに解決いたしたいというふうに考えております。
  21. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは次に、公庫主務大臣指定災害復旧資金の問題でございますが、これの融資限度額は一施設当たり二十万、特に必要と認めた場合は二百万となっておるようであります。今回の災害におきまして、二百万円を八百万円にしてほしい、そういう要望が出されておるわけです。それについてはどのようにお考えですか。
  22. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お話が出ましたように、公庫主務大臣指定施設貸し付け限度額は二十万円でございますが、災害の種類とかあるいは被災度合い等によりまして十分でない場合には、特例といたしまして二百万円程度貸し付けるようなことにしておるわけでございます。そういう点で、われわれは実情といたしましてはほぼ特例の二百万円で施設災害資金は対処できるものというふうに考えております。  なお、畜舎等の大きな施設被災した場合において、これが不足するという実情があるようでございまして、先生の御指摘もそれらの要望を踏まえてのお話かと思いますが、これにつきましては、御案内のように農業近代化資金がございまして、施設の新設、改良という形で被災農家方々にもこの資金を貸し得るということでございまして、その限度は一千万円というふうになっておりますので、これら資金を活用していただきまして、需要を充足していただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  23. 塩出啓典

    塩出啓典君 次に、これは治山事業の問題てございますが、治山事業採択基準は一般が百二十万円以上、緊急治山が八十万円以上、予防治山が八十万円以上、この採択基準をもっと引き下げてほしい。そういう点につきましては、それに対する政府見解をお聞きしたいと思います。  それからもう一点は、林地荒廃防止事業採択基準、これは二十万円以上でありますが、激甚災害法適用を受けるのは五百万円以上となっております。この趣旨はどこにあるのか。この二点お聞きいたしたいと思います。
  24. 海法正昌

    説明員海法正昌君) ただいまの治山事業採択基準緩和についてでございますが、この治山事業採択基準緩和につきましては、災害が特に激甚な場合には、林地荒廃防止事業という、ただいまお話がございましたものがございまして、これによりまして、小規模災害復旧に対処できると思います。これを積極的に活用をはかってまいりたいと存じております。  それから、林地災害防止事業採択基準でございますが、これにつきましては激甚災指定された場合、あるいは一カ所の金額、あるいは市町村合計金額五百万円というようないろいろ条件がございますので、これにつきましては、県単事業というのが別に実施をいたしておりまして、その県単事業というのは各県によりまして、おのおの採択基準と申しますか、そういうものが多少異なっております。そういうものも緩和をいたしまして、実態に沿うように検討してまいりたいと考えております。
  25. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは次に風倒木の問題でございますが、今回、愛媛県、高知県等においてはかなりそういう風倒木——風で倒れたのが非常に多いわけでございますが、そういう風倒木造林については、これをすみやかに再造林をする。これは、非常に国家的な立場から見て大事な問題だと思うんですね。ところが、そこでまず最初に、このような風害にあった場合に、国営森林保険、あるいは森林組合森林共済、そういうのに加入しておれば非常にいいわけでございますが、これの加入状況、これは大体どのようになっておりますか。
  26. 海法正昌

    説明員海法正昌君) 保険につきましては、国営保険と、それから森林組合共済事業がございます。それで加入率でございますが、両方合わせまして、大体二八%、民有林人工林面積によって加入率は二八%でありますが、ただ内容を見ますと、一年生から五年生木でございます、この加入率は相当高うございまして、八〇%以上、八三%ぐらい加入しておりますけれども、五年以上の造林地に在りますと非常にこれが下がっております。大体一年から五年生まではまずまずと存じておりますけれども、それ以上の加入率が問題でございます。それで風倒木その他の、特に風害のようなときには壮齢木の問題になりますので、この点は加入を促進しなければならないのではないかと考えております。
  27. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは、この風倒木の再造林をする場合の補助率の問題でありますが、これは拡大造林する場合と非常に差があるわけですね。もちろんこれはそういう木もりっぱに完成をして、それから切って再造林する場合と比べて、やはり風倒木——風で倒れたのを処理をすると、そういうことは非常に経済的にも、木の数も少ないわけですし、まあ木としても非常に十分価値を生ずるところまでいっていないわけですから、そういう点で現地要望としては、風倒木についてもこれは再造林ではなくして拡大造林並みの補助をしてほしいと、そういう要望があるわけですね。もちろん風倒木といっても、いろいろ非常に木が大きくなって倒れたのと、また小さいのに倒れたのと違いがあると思うのですけれどもね。そういう点いずれにしても拡大造林並みにしてやはり造林事業というものを推進していかなければいけない、そのように思うわけでありますが、これに対する政府考え方をお聞きしたいと思います。
  28. 海法正昌

    説明員海法正昌君) この風倒木のあと地の問題でございますけれども、これはあと地の荒廃それから病害虫の発生というような二次的な災害につながりますので、これを早く造林をしていくということが必要でございます。そこで、この災害がありました場合に、一般造林でございますと査定係数が〇・六というものをかけます。しかしこの災害の場合におきましては、関係方面と打ち合わせまして、今回の台風九号、十号によります被災造林地の復旧につきましては、その〇・六を一まで上げまして、一まで上げますと大体先生いまおっしゃいました再造林が一二〇でございますから大体一〇〇ということになります。そこまで打ち上げることにいたしまして、この早期復旧につとめてまいりたいというふうに考えております。
  29. 塩出啓典

    塩出啓典君 そうするとこれはあれですか、一に上げるというのは、たとえば風倒木、倒れた森林でも従来やっぱり程度があると思うのですね。そういうのは全部、まあ実際植林をしてあまり時間がたっていないのに倒れた場合には、実際は拡大造林と同じことになるわけですね、ほとんど。そういうものは全部考えないで一律に一と、そういうふうに考えているわけですか。
  30. 海法正昌

    説明員海法正昌君) あと地の再造林につきましては、先ほども申し上げましたように、〇・六でございますけれども災害を受けましたこれは被害にもよりますけれども、今回の九号、十号の被害を拝見いたしまして、これにつきましては一〇〇まで上げるということになるわけであります。
  31. 塩出啓典

    塩出啓典君 それじゃあ拡大造林まではいっていないわけですね。
  32. 海法正昌

    説明員海法正昌君) はい。
  33. 塩出啓典

    塩出啓典君 それから次に農林水産施設災害復旧の問題でございますけれども、ひとつ災害のつど査定を早くして復旧事業を促進してほしいという、そういう要望がいつも出るわけですが、今回はそういう査定事業はどのように進んでいますか。
  34. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 今回の災害につきましては、早急な査定を行なうべきであるという点につきまして、現地要望なり、あるいは当委員会でもいろいろ御指摘がございまして、われわれといたしましては緊急査定——緊急復旧を要するものにつきましては早急にこれを行ないまして、九月中にはこれを完了いたしまして、さらに一般的な災害復旧事業の査定につきましては、農地関係、林野関係、漁港関係それぞれすべて十一月中下旬には査定を完了するという予定でございますし、現に進めておるわけでございます。
  35. 塩出啓典

    塩出啓典君 それから、ちょっと前に返りますが、天災融資法融資を早くやってもらいたいというそういうような要望が出ているわけですが、これは同時にもうすでに天災融資法が発動になっているわけでございますが、それの融資がおくれるというのは、一体どういう点に原因があるのか、ちょっとその点よくわからないのですけれども
  36. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 天災融資法の発動そのものなり、あるいはその全体としての融資ワクを幾らにいたして、末端の被災農家需要にこたえるかということにつきましては、御案内のとおりにこれらの発動の基準、あるいは府県別資金需要なり、あるいは被害程度等につきましては、われわれおおむね県の報告から農作物被害等を承知いたしますが、やはり国としての発動なり、あるいはその県別被害程度なりにつきましては農林省統計調査部の国としての調査、それを早急に行なった上でこれを確定する。それによりまして被害程度在り発動の要否を確認した上、さらに県からそれぞれの資金需要を実際とりまして、それにこたえるようにいたすと、そういうふうなことをやっておりますので、必ずしも災害発生即天災融資法ワクの配分ということにならない実態がございますが、なお今回の災害につきましては、八十億円の融資ワクを決定いたしまして、地方農政局を通じまして、各県別にすでに融資ワクをおろしまして、それぞれの融資需要にこたえておるのが実情でございます。
  37. 塩出啓典

    塩出啓典君 これは各県からいろいろ天災融資法資金についての需要要望が出ていると思うのですけれども、大体その各県の要望に対しては、十分な資金ワクがあるわけですか。
  38. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お答え申し上げますが、各地方農政局と県とで被害実態に即しました資金需要を突き合わせまして、県の要望を全部見まして、今回も県別の配分をいたしたわけでございます。その限りにおきましては、各県の資金需要は、当制度資金につきましては十分充足しておる、というふうに判断しております。
  39. 塩出啓典

    塩出啓典君 それから先ほどの問題に返りますが、農林水産施設災害復旧暫定措置法の問題でございますが、共同利用施設の助成について、いわゆる中小企業協同組合の貯木施設等が補助対象外になっておる。農協とか、あるいは森林組合等の共同利用施設を助成をして、こちらのほうを助成しないというのは、どういう理由であるのか。
  40. 斎藤太一

    説明員(斎藤太一君) お答えいたします。  この激甚災害援助法の第十四条によりますと、中小企業協同組合等の生産施設、あるいは加工施設等が激甚災害によりまして被害を受けました場合には、県が四分の三を下らない率で補助をいたします場合に、国がまたその三分の二を補助するという規定がございます。ただ、過去の災害の場合には、中小企業等の共同施設につきましてはほとんど被害が現実に起こっておりませんで、今度の十号の場合にも若干高知県下で被害が出ましたけれども現地の県、それから通産局の担当官現地に派遣いたしまして詳細調査いたしましたところ、その被害復旧費の額が非常にわずかでございましたために、今度の十四条の発動はまあいたさないということに、県の御了解をいただきましていたした次第でございます。
  41. 塩出啓典

    塩出啓典君 この十四条の問題でございますが、これはまあいろいろお聞きしますと、いまだかつて適用したことはない。したがってまた、それに対する指定基準も定まってない。指定基準も定まってなければ適用する方法もないわけですけれども、こういうのは、法律としていまだかつて適用したこともないし、またそういう基準もないというのはどういうことなんですかね、これは。
  42. 斎藤太一

    説明員(斎藤太一君) 確かに御指摘のように、現在の激甚災害指定基準では、第十二条、十三条、十五条の関係激甚災指定基準だけがきまっておりまし、十四条については規定がございません。これは過去に、こういった中小企業の共同施設関係復旧費の、非常に巨額を要するような災害が起こらなかったために、指定基準を共通的なものをつくっておらないのでございますけれども、ただ、この災害指定基準の一番最後の項に、もし具体的にそういった事例が起こりました場合には、こういった共通的な指定基準のないものにつきましては、災害の発生のつど、被害実情に応じまして個別に考慮して災害指定をする、こういうふうになっておりまして、実際には、その実情に応じまして指定をすることは可能でございます。ただ今回の場合も、ただいま申しましたように復旧費の額が大きくなるような被害がございませんでしたために、この十四条を発動するに至らなかったという実情でございます。ただ、私どもとしましては、今後の災害におきまして、こういった共同施設につきましても、被害が頻発するようでございますれば、この指定基準そのものを、共通的なものを検討いたしたいというふうには考えております。
  43. 塩出啓典

    塩出啓典君 それから中小企業者に対する融資の問題でありますが、災害救助法の適用地の中小企業の罹災者に対しては、金融公庫融資条件が相当緩和されているわけでありますが、災害救助法を適用してないそういう地域、これは災害救助法が適用にならなくても、部分的には相当な被害を受けているところもあるわけですね。そういう点に対する融資条件緩和というものは、やはり災害救助法を受けないという場合でも、相当にひどいところもあると思うのです。そういう点に対しては、融資条件緩和とかそういうことはできないのかどうか。それは、そういう者に対する救済というのは何か方法があるのかどうか。その点お聞きしたいと思います。
  44. 斎藤太一

    説明員(斎藤太一君) 災害救助法の適用と申しますか、激甚災害指定を受けました地域におきます災害融資につきましては、百万円までではございますけれども、六分五厘の低利の融資が行なわれます。それ以外の地域につきましては、六分五厘という低利が適用になりません。ただ、それ以外の融資条件、たとえば返済期間を延長いたしますとか、あるいは過去のすでに貸し付けております分の償還期限をさらに延長するとかといったような、金利以外のいろいろな担保その他の融資条件につきましては、指定を受けました地域も受けておりません地域も同じように扱いまして、災害特別貸し付けということで、特別の配慮をいたしました融資を、実際には実行いたしております。したがいまして、激甚災害指定がありました場合とない地域とでの、こういった災害を受けました場合の融資の違いは、百万円までの六分五厘の低利の融資があるかどうかという、金利の面だけの違いでございます。
  45. 塩出啓典

    塩出啓典君 そうすると、返済期間の延長とか、そういう問題については、これは災害救助法を適用しなくても、災害を受けた場合にはそういう点は融資している、そのように判断していいわけですね。
  46. 斎藤太一

    説明員(斎藤太一君) お話しのとおりでございます。
  47. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは次に建設関係にお聞きしたいと思うのでありますが、今回高知市等におきまして家が風のために非常にやられて、見かけは非常にいいけれども、風に弱いあるいはまた立て看板あたりがどんどん風に飛んじゃってそれが電柱に当たって電線を切ったり、そういうようなことのために電信電話の不通、そういうようなことが発生しているわけでありますが、そういう看板のいわゆる建設あるいは木造の建物のそういう建築についての基準とかそういうものについては、やはり日本は台風の常襲地帯ですから、ある程度の基準等は設ける必要はあるんじゃないか。そのように私は思うのですが、そういう点は建設省としてはどう考えておりますか。その点についてひとつ。
  48. 前川喜寛

    説明員(前川喜寛君) お答えいたします。  建築物の安全性に関しましては、建築基準法で風とか地震とかに対して安全でなくてはならないという規定を設けまして、具体的な措置につきましては政令以下に規定がずっと入っているわけでございます。それでいまの建物がこわれたり、そういったことにつきましては、それ相応の規定がありまして、その規定にのっとってできておれば、われわれは一応安全というふうに考えているわけでございます。古い建物あるいは粗悪工事これはなきにしもあらずでございまして、そういったものにつきまして、やはりいまのような事故が起こる。これはまあ法の運用をもっと適切にやるということが一つの方法と思います。ただいまの御指摘のように、さらに問題なのは、現在でもたとえば屋根のいろいろな瓦とかそういったもの、一定の方法でのし板のほうにつけろというふうな規定もあるわけでございます。多少抽象的に書いてあったりそういうようなこともございます。したがいまして、ちょうど今回建築基準法の法律そのものの大幅に改正が行なわれております。現在それに基づく政令の改正作業をやっておるわけでございます。それにおきましても、そういった点をさらに詳細に手当てをしていったらどうかというふうなことで、現在検討中でございますが、おもな事項はいまの屋根ふき材、いろいろな問題がひとつございます。さらに建物全体がこわれないようにというふうなことで筋かいといったそういう諸材をもっと正確に入れる方法とか、そういったよう左こと、さらに言いますと、外部のいろんな材料その他がいまより落ちないようにというふうな取りつけ方法というふうなこと、こういったことがおもにいま検討の中心になっておるわけでございます。そういった手当てをしまして、さらに十分に的確に設計するか、あるいは施工する側の人たちに伝わるようにしていきたいというふうな考えを持っております。それからなお看板その他の工作物につきましては、これは原則的には建築基準法は対象外というふうなかっこうでおりますが、一定規模以上のものにつきましてはやはり建築基準法の手続等を要することも含めまして、実体規定も適用しているわけでございます。その範疇のものはいまも申し上げました一般の建物と同じような形で検討しております。なおこまかいもの一つ一つになりますと、これはなかなかたいへんなものでございます。これは実質的にその適切な指導その他でやっていったらどうかというふうに考えております。以上のようなことを大体いま考えておるわけでございます。
  49. 塩出啓典

    塩出啓典君 いま建築基準法を検討しているということでございますが、これは当委員会でも私質問したことがあるのでありますが、十勝沖地震のときに非常に木造の建物よりも鉄筋の建物のほうがやられた。一〇%以上も倒れた。特に公共の建物が非常にひどかった。そういう点で手抜き工事ではないか。そのようなことをいろいろお伺いしたわけでありますが、最近建築基準法あるいは建築学会の設計基準に盲点がある。十勝沖地震の原因を究明する過程において、そういう現在の建築基準法というのは盲点があるんじゃないか。そういうことを東大の梅村教授とか武藤教授、そういうような人が指摘をしている。そういうことを私、新聞で拝見をしたわけでありますが、地震がまた六九年周期説で、やがてまたあるのではないか、そういうことも言われておるわけでありますが、そういうときに建設省としてこういう建築基準、特に鉄筋の建物の建築基準というものについては、どう考えておるのか、この点、見解をお聞きしておきます。
  50. 前川喜寛

    説明員(前川喜寛君) お答えいたします。  十勝沖地震のときにこわれたいろいろな原因がございますが、これはこの前御報告申し上げたとおりでございます。地盤のことあるいは施工の途上、十分でなかった点あるいは地震度そのものの問題、いろいろな原因があった、設計者の配慮が足りなかった、いろいろな問題が重なっているようなことでございますが、あのときにこわれました建物が、わりあいに公共建築物というよりも技術的に見ますと、ああいう学校の、一方向に壁が多くて細長いような建物、こういったものが非常に多かったわけでございます。その点で当時も建築学会を中心にしまして、建築研究所あるいは国鉄の研究所、文部省、こういった方々にいろいろお集まりいただいて検討していただきまして、原則的には現在の建築法規なりあるいは建築学会でつくっております計算基準、こういったものでいいんじゃないかというふうな考えを、当時としては結論が出ております。これも先ほどちょうど風のときにも御説明したと同じような意味で、さらに十分なことをどういうふうにはかったらいいかというふうに考えていきまして、現在の法改正に伴います政令改正の作業におきましても、特に柱の線から、どういいますか、柱に横にぐっとした力が加わるとこれが切れるような、こういったことで十分補強するというようになったこと、もう少し具体的に的確に入れたらどうか、こういうふうな御意見、いろいろございまして、それを中心にしまして、現行法のさらに整備をはかっていきたいというふうなことを考えております。それからなおいろいろ細目につきまして、必ずしも法規で取り上げなくてもいいだろうというふうなことにつきましても、建築学会等といま連携しまして、これが建築学会の硬度計算標準というのがございますけれども、こういったものをできるだけ法規改正の方針とあわせまして、さらに整備してこまかいところをいろいろ詰めていただく、これによってまた設計者自身に具体的ないろいろ十分な計算を徹底させるというふうなかっこうでおりまして、これは実は本年度中ぐらいにその設計基準をまとめてしまいたいというふうに考えております。そういった私どもの十勝沖の経験に基づきまして、いろいろ細部のことを具体的にいろいろ基準をきめていきたい、こういうふうに考えております。
  51. 塩出啓典

    塩出啓典君 そうすると、建設省としてもいまの建築基準というものを大体はいいにしても、詳細な点においては、いろいろ政令等で補助をすべき点もある、そういう点で現在検討中である、そう判断してよろしいわけですね。
  52. 前川喜寛

    説明員(前川喜寛君) 大体以上のとおりでございます。それから申し落しましたが、実はちょっと新聞報道のお話が出ましたのでございますが、あれはわれわれもいろいろ学会その他で、また武藤先生とか梅村先生、直接聞いておりましたこととだいぶ違いましたものでございますから、これは新聞自身の取り上げ方、記事の大綱自身はそう大きなミスはございませんけれども、表現のしかたに非常に極端な表現が出ているというふうなことで、いろいろ誤解があったようでございます。これも確めておりまして、基本的にはまあどういいますか、将来建物をちょうどわれわれがいま計算をしておりますのは、スタチックな体型で静的な体型を中心にやっておりますが、技術的な用語ではなはだ恐縮でございますが、いわゆる動的な体型を将来取り入れるべきじゃないか、そのほうがもっと合理的なものになるのではないか。まあこういう御意向が中心でございまして、それが非常に現行法がすぐおかしい、盲点だというような表現になってしまったようでございますが、これも実はわれわれも動的のそういった解析をやるということにつきましても、原則的に賛成でございます。そういったいいものはどんどん認めていくというような考えでおります。まあそういった意味で現在の法規もそれでいい、しかしそういった細部についてさらに安全をはかるための合理的な内容をどんどん法規に追加していこうというような考えでおります。
  53. 塩出啓典

    塩出啓典君 十勝沖のときは、まああの程度の地震で木造よりも鉄筋がやられたわけですね。そういう点で、新聞では建設省の方は、これは材料や施工のしかたが悪かったので設計や基準法の弱点のせいではない、そのように書いているわけですね。だから、まあ十勝沖程度の地震はまた起こる可能性はあるわけですし、そういうときにあのように木造よりもやられるようなことでは、これはやっぱり建築基準法が悪いか施工法が悪いか、どちらかがやっぱり悪いと思うのですね。少なくともやっぱり鉄筋の建物は、あの程度の地震では木造よりは強い、そうならなければ当然じゃないかと思うのですね。そういう点で、われわれとしても学会の意見、学者の意見もあるわけですから、そういう点、ひとつよく検討して、そうして実際にコンクリートが非常に短いとかあるいはコンクリートの打つ時期が非常に悪かったとか、そういうようなことであるならば、今後の建築においてはそういう点もひとつ厳重にして、そういう短いコンクリートを使うようなそういう業者はもうボイコットをするとか、もう少しやはり建設省としてもこの十勝沖地震の一つの経験をもとに、さらに検討して、今後の建造物についてはもっとやはり建築基準を改正するなり、あるいは小さい政令をもっとこまかく定めるなり、あるいはそういう業者に対する監督を厳重にするなりして、もう少しやはり確固たる態度を示すべきである。そのように私は要望したいわけですけれども、その点を一つ要望したいわけですけれども、その点はどうなんですか。
  54. 前川喜寛

    説明員(前川喜寛君) 仰せのとおりでございます。その趣旨に沿って努力したいと、こういうように考えております。
  55. 北村暢

    委員長北村暢君) それじゃあ私から二、三点だけ質問いたしますが、まず最初に、今度の激甚地指定についての政令を公布するにあたりまして、第九号、十号を含めて非常な取り計らいをされまして激甚地指定をされたことについて、まずその御苦労に対して敬意を表したいと存じます。  そこで二、三の質問をさしていただきますが、一つは、先般の質疑でも建設大臣から答弁のありました土佐湾の今後の災害復旧の問題でございますが、これについて特定港湾として今後の対策を講じていきたい、高潮対策として今後の対策を講じていきたい、こういう御答弁があったのでありますが、その後のこの問題についての取り扱いについて、各省間の協議並びに今後の方針についてどのようになっているか、経過をお伺いいたしたいと思います。
  56. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 土佐湾特に浦戸湾の高潮に伴ういろいろなかなりの激甚被害が出ておりますので、これの対策でございますが、私ども建設省と運輸省いろいろ相談をいたしまして、やはり非常に異常な天然現象による問題でございますので、これをまず解析することが第一であろうというようなことで、当面県が中心になりまして土佐湾の高潮問題につきましての委員会をつくっております。これに、学識経験者に含めまして運輸省並びに私ども建設省も参加いたしまして、できるだけ早急に災害の原因の調査、それから対策の樹立、こういったものを委員会で結論を出したいということで現在すでに第一回の委員会を開催いたしまして、なおこれに伴う幹事会等も開きまして、現在鋭意検討をしておるところでございます。建設省といたしましては、現在高潮対策事業は東京湾周辺それから大阪湾それから播磨、広島と、この程度でございますが、特に高潮の土佐湾にも実施したいということで、現在大蔵省と折衝をいたしております。
  57. 北村暢

    委員長北村暢君) そうしますと、県に対策の委員会をつくって、原因、今後の復旧対策等について検討中であり、その結論が出てから高潮対策の特定港湾というような指定をするかしないかについて、この委員会で検討をした結論でなければどうなるかわからないということなんですが、いま御説明によると、高潮対策事業として大蔵省財務当局と折衝をしておるというのですが、どうもそこら辺の関係がちょっとのみ込めないのですが高潮対策事業として実施するように努力するということであったのですが一この委員会というのは、高潮対策事業をやるということを前提にしてその裏づけとなる資料を整備する、そういう意味でこの委員会を設けたというふうに受け取っていいのかどうなのか、検討した結果高潮対策事業とはならない、こういうことではちょっと地元の要望にこたえられないんじゃないかというふうに思うんですが、そこら辺の見通しを私はお伺いしているんで、しかもこの前の伊勢湾台風のときのあとに若干かさ上げしたわけですね。その際には技術的な検討をした結果、県会でも質問があって一知事は、相当のものでこれは絶対だいじょうぶなんですという答弁をしておったものが今回のような結果になったわけですね。ですから、委員会のメンバーにもよりけりなんですが、聞くところによると、その当時ある学者はこれでは不十分であるという主張をした学者もあったようですが一そういう人は委員会にはメンバーからはずされて、結局だいじょうぶだという理論構成をして、それが結果的にはだめだった、こういういきさつがあるようです。したがって、私は今度県につくられた委員会なるものが、構成いかんにもよるんでしょうが、若干この結論についてどういうものが出るかということについて心配があるわけです。したがってお伺いしているのは、今回の経験にかんがみて、高潮対策事業としてやるべきだ、そういう方向で原因なり今後の対策なりというものが検討されるのか、この辺にちょっと疑問な点があるものですからお伺いしているわけです。そして政府の方針としては、その理論構成が、委員会における検討の結果が出れば、高潮対策事業として一体いつごろからやれる見通しなのか、財政当局と協議しなければならないということのようですけれども、来年になるのか、再来年になるのか、そこら辺の見通しについてどの程度の可能性があるのか、そういう点について各省間の協議がどのようになっておるのか、これを具体的に経過をお伺いしたい、こういうことです。
  58. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 先ほどの高知県の委員会につきまして私の説明が不十分でございました。この委員会はどこまでも高知県の自主的な委員会でございます。ただ御承知のように、建設省、運輸省、いろいろ天然現象でございまして、相互からみ合っているものですから、やはり一つの現象に対する原因の究明とそれからこれに対する当面の復旧の規模をどういうふうにするか、さらに恒久的にどういう対策が必要かというようなことについてできるだけ思想統一をはかりたい、そういう意味ではこの委員会とせいぜい私どもも協力をいたしまして早く結論を出していただくように努力をしたい。特に当面の暫定的な復旧の問題と、それにやはり単なる復旧だけでは意味がございませんので、今回の被災の推移を踏まえた改良復旧も追加していく必要がございますので、そういったものについてはできるだけ早急に結論を出していただきたい、おそくともひとつ年内くらいには出してもらえないだろうかということで、私ども委員会に出席をいたしまして要望をしておるわけでございます。で、なお建設省所管あるいは運輸省所管といろいろまたがってはおりますけれども、全体の土佐湾としての復旧事業につきましては、それぞれ各省ごとに特別の柱を立てて、先ほど申し上げました委員会の出ました統一的な結論の規模に従ってそれぞれが復旧努力するようにしようじゃないか、私どものほうにつきましては特にこれは補助事業でございまして、在来から土佐湾の高潮という事業で行なっておりませんので、これは新しいそういう事業を起こして、その計画に従った復旧努力したいということで、大蔵省と現在折衝いたしておりまして、大蔵省も非常に好意的に現在折衝を進めておるところであります。
  59. 北村暢

    委員長北村暢君) そうしますと、この高潮対策の特定港湾として指定するのは運輸省が指定をしてやる、こういうことになるのですか。特別の対策を各省ごとに立てていると、こういうことですが、どういう行政的な手続になるのですか。
  60. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 先ほど申し上げましたような委員会のところで一つの当面の復旧計画なり恒久的な計画の規模がわかりました段階で、早急に復旧事業を完成するために、建設省は建設省、運輸省は運輸省でそれぞれ事業を実施する。運輸省のほうは現在直轄港湾をお持ちでそれぞれ事業を進めておられますが、私どものほうは補助の高潮事業というのはございませんので、委員会の結論に従って私どものほうは新しく高潮事業を起こしていくということでございます。
  61. 北村暢

    委員長北村暢君) それでは港湾局の参事官見えたようですから、重ねて御質問いたしますが、土佐湾の高潮対策について運輸省としては、一応川崎河川局長からいままでの経過はお伺いしましたが、高潮対策として特別な工事を行なうということになれば、行政的に特定港湾等の指定をしてやるということになるのじゃないかと思うのですが、そこら辺の事務的な手続というのは、どういうふうなことになるのか。主管が港湾局のようですからお伺いいたします。
  62. 竹内良夫

    説明員(竹内良夫君) 運輸省の立場といたしましては、一応緊急査定を終わりまして、直ちに緊急的な事業に取りかかりたいという形で進んでおります。本年度中に、来年度の台風が来るまでにどうしてもやらなくてはいけないというところに対しては着工していきたいという考え方を持っております。それの一部といたしましては、今年災害を受けましたものに対して査定をいたしまして、その本年度の事業を実施するというのが一つ。それからもう一つは、すでにここの高知港につきましては、海岸事業といたしまして事業を進めてございます。その中からやはり相当緊急の部分に回していきたいというように考えております。そのほか、まだ足りない部分がございますので、これは何とかして本年度中にできるだけ間に合わせていきたいという形で、本年の分は事業を進めていきたいというように考えております。また全体の事業、すなわち河川局長のおっしゃられましたような全体の事業に対しましては、現在技術委員会、県が中心となりまして高潮技術会議を開いてございますので、その結果を待ちまして全体的な対策事業をつくっていきたいというふうに考えております。
  63. 北村暢

    委員長北村暢君) そうしますと、そういう事業を総合的に各関係省が関係するわけなんですが、たとえばこの高潮対策事業ということで特別にこの指定をしてやらなければ各省でそういう予算要求しても左かなかうまくいかないのじゃないかと思うのですが、この伊勢湾なりその他の過去にありました例からいって、特別左特別港湾の指定をするというのは運輸省がやるのですか、どこがやるのですか。
  64. 竹内良夫

    説明員(竹内良夫君) 現在運輸省で行なっておりますこの高知の海岸の事業でございますが、これはすでに特定海岸という一つの事業になっておりまして、一般の海岸に比べまして高率の補助適用してございます。したがいまして、その補助関係とか何かということになりますと、この特定海岸を適用していくということになると思います。
  65. 北村暢

    委員長北村暢君) そうしますと、特定港湾海岸という形でやっているというのですが、それだけでは、いままでのやっているのでは、この委員会で検討している結果が、従来の形ではだめだというので伊勢湾のような徹底した高潮対策をやると、こういうことになれば、そういう特殊な取り扱いをするには各省協議をして、各省ごとに行なう、そういうことのようですが、そうしますと、大蔵省にこの高潮対策を要求しているというのは建設省、運輸省、農林省、それぞれが高潮対策になるように財政当局に協議をしていると、こういうことになるのですか。
  66. 竹内良夫

    説明員(竹内良夫君) 現在の段階といたしましては、先ほども申し上げましたが、土佐湾高潮対策技術会議をいま県のほうで会議中でございますけれども、この結果は、おそらく相当大き大規模なものになるのではないかというような感じがいたします。その一つのマスタープランと申しますか、運輸省、建設省、農林省全部を合わせました一つのプランができますと、それに対応いたしまして、各省、大蔵省とも相談しながら一つの対策をつくっていくという形になると思います。
  67. 北村暢

    委員長北村暢君) それでは大体様子はわかりましたが、先ほど河川局長の御答弁のように、少なくとも今年ぐらいにこの委員会の結論が出るように促進をし、なるべく早い機会に根本的な高潮対策に取り組んでいきたい、それが来年度予算に間に合うのかどうか、まだちょっとわかりませんが、来年度の予算に間に合わせるような形で努力をしている、というふうに受け取って差しつかえございませんか。
  68. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 私の申し上げましたのは、当面復旧が急がれるわけでございます。それに対するやはり規模の一つの指針がございませんと、暫定とはいいながら復旧も困るわけでございます。そういったものについては早急にきめてもらいたい。年内と申し上げましたが、もっと早くきめてもらいたい。ただ恒久的な土佐湾全体のプランというようなことになりますと、やはり多少時間をかけなくちゃならないかと思いますけれども、そういった点については、さらに慎重に委員会で検討願いたい、こういうふうに思っております。そういったきまりましたものにつきまして早急に、私どももなるべく短い期間で暫定的なものを完成する必要があるのじゃないか、私の考えといたしましたら、少なくとも今回の高潮自身も相当異常な高潮ではございましたけれども、少なくともその程度のものがきても差しつかえがないというような暫定計画で私どものほうは対処したい、こういうように考えております。それにつきましては、やはり予算の流用の問題だとか、あるいは予備費の要求の問題、いろいろございますけれども、そういう点については積極的にひとつ検討をして処置していきたい、こういうように考えております。
  69. 北村暢

    委員長北村暢君) 総務副長官にお伺いしたいのですがね。いま聞いておりましても、運輸省と建設省で、運輸省のほうも応急対策は早くやりたいということ、建設省のほうも早くやるんだが、めくらめっぽうにというわけにはいかないので、ある程度の結論が、暫定的なものが技術委員会に出てからやりたい、こういう御答弁で、私は若干ニュアンスが違うような感じがするのです。したがって各省協議をして、港湾行政についてまちまちにならないように協議をやるということで意思統一がされているということなんですけれども、応急対策と恒久対策について、やはり若干この意見の調整をやるということについて必要があるんではないかという感じがいたします、いまの答弁を聞いておりますと。したがって、これは防災の集約的な措置をとるということについては、防災会議があるわけでありますから、これらの点について、高潮対策について努力すると、努力するというのか、何かそれ以上に出ないので、まあ委員会の結論を待っているとか何とかいうのであろうが、そこら辺のところをぜひひとつ、過去の幾つかの例にあるような特定の高潮対策が土佐湾において今後実施ができるような方向で各省協議を願う、財政当局も説得してもらう、こういうことでやっていただきたいと思うし、またこれが地元の切なる要望で、しかも建設大臣はそれに対して、やや安心できるような答弁がなされているわけでありますから、実際に事務当局の事情を聞くというと、必ずしもそこまで意思統一がなされて、この協議が進んでいるようには受け取れないわけです。したがってこの点について、ひとつ副長官のほうから、いままでの各要望のある点おわかりなはずでありますから、今後の進め方について、副長官からひとつ御答弁を願いたい。
  70. 湊徹郎

    説明員湊徹郎君) ただいまお話がございましたが、実は最近の行政全般について、何らかの調整をする、各省間において行なわなければならない仕事が非常に最近ふえてまいっております。今度の場合もまさにその一つであろうと思います。たとえば交通対策あるいは公害処理、公害の中でも田子の浦のように、あるいは洞海湾のように特定された場所の処置を具体的にどうするか、こういうことで各省御協議を願いながら、私ども実は実施官庁ではございませんから、直接手勢、あるいは金を持っているわけではございませんが、そういう調整の役を承ることがしばしばでございます。で、今回のこともいままでの経緯をよく承知をいたしておりますし、過般当委員会においても問題になった大阪のガスの爆発事故、あの場合も同じよう左数省間の調整をしながら、一つの応急措置並びに恒久的な対策というものをきめた経緯もございます。で、ちょうど防災会議のほうで、関東地方にもし大震災のごとき地震ありせばという前提で、それに対する対策を一応考えていこうじゃないかということで、過般来関係各省等にお集まりを願ってやっておりますが、関東地方を例にとった場合でも、いまお話しの高潮対策というのは、非常に大きな眼目の一つになっております。そういう意味で、これからも関係各省の連絡会議、これはもうひんぱんに実は最近やっておりますので、ただいまお話いただきました点等についても、各省庁の意思統一といいますか、そういうやつを側面的に防災会議という立場からひとつプッシュさしていただきたい、こういうふうに私は考えております。
  71. 北村暢

    委員長北村暢君) 次にもう一点だけお伺いしておきますが、これは先ほどの天災融資法関係で、塩出さんからも若干質問があったのですが、今度の政令でも、従来もそうですが、漁船の場合、政令指定が五トン未満ということで指定しておるわけですね。それで今度の漁業関係被害各県にあるわけですが、高知県を例にとって、一体漁船の被害は、規模別にいくというと、どういう漁船が一番被害があったのか、その状況を御説明願いたいと思う。
  72. 平松甲子夫

    説明員平松甲子夫君) お答えいたします。  今回の天災法の漁船の指定といたしましては、五トン以下の漁船ということにいたしたわけでございますが、全国の漁船の総数が四十三年度末で三十七万五千隻ほどあるわけでございますが、そのうちで無動力船が十二万六千隻、約三分の一でございます。それから動力船で五トン未満というのが二十二万二千九百五十六隻、五トン以上で二万五千三百八十五隻ということになっております。今回の九号、十号の被災状況を申し上げますと、九号による被災漁船につきましては、無動力船で四百八隻、それから五トン未満で千三百六十一隻、それから五トン以上で百九十六隻という数字でございます。台風十号によります小型漁船の被害でございますが、無動力船で六百三十九隻、それから五トン未満で二千五百七十九隻、五トン以上で六十六隻という姿になっております。
  73. 北村暢

    委員長北村暢君) その中で漁船保険に入っているものと、入っていないものとの割合はどうなっているのでしょう。
  74. 平松甲子夫

    説明員平松甲子夫君) 漁船保険に入っておるものと入っていないものと、詳細は資料は手元に持ち合わせませんが、漁船保険加入状況を見てまいりますと、一トン前後のところで四〇%程度それから五トン前後のところで六〇%程度ということでございますから、大体被災県においても同じような分布を占めておるのではないかというふうに考えております。
  75. 北村暢

    委員長北村暢君) そうしますと、トン数の少ないものが保険に入っている率が低い。そういうことからこの政令の五トンというのが出ているんだろうと思うのですが、要望としては五トン未満を二十トンくらいまで天災融資法対象にしてもらいたいというような要望が、私どものところにきているわけなんですけれども、これは二十トンくらいになるというと保険にほとんど入っているというような状況になっているのか、政令で五トン未満というふうに指定したのはどういう理由左のか、そこら辺の事情をお伺いしたい。
  76. 平松甲子夫

    説明員平松甲子夫君) 先ほど御説明いたしましたように、天災融資法趣旨といたしましては、漁業で申しますと、漁業経営に支出されてそのまま姿を消してしまうというような、経営資金というものに主眼を置いて融資をする。その年に収入がないわけでございますから、そういうものに融資をするというのに主眼があるだろうと思うのでございます。この漁船につきましては、五トン未満の漁船という程度のものであれば、そういうていのものと観念していいんじゃないか。それ以上の漁船になりますと、やはり耐久性のある施設というようなことで農林漁業金融公庫の金であるとか、あるいは漁業近代化資金であるとか、そういうふうな金の対象にするということで対処していいんではないかというような考え方に立っているものでございます。
  77. 北村暢

    委員長北村暢君) そこで天災融資法は、この五トン未満の保険に入っていないものについて、建造または取得資金というのはどのくらい融資をされ、それは実際の建造費、取得額に対してどのくらいになっているのか、この点はどうでしょうか。
  78. 平松甲子夫

    説明員平松甲子夫君) 五トン未満の漁船につきましては、先ほど官房副長官のほうからもお話しになりましたように、激甚災法によります小型の共同漁船の建造に対して補助金を出すということを考えておりまして、その関係激甚法の十一条の発動をお願いをするということにいたしておるわけでございますが、そのほか、いま申し上げましたように、農林漁業金融公庫資金であるとか、あるいは漁業近代化資金融資考えていくというふうに考えておるわけでございます。そういうものについて、種類別にどの程度資金需要があるかということについては、その県別、まとめた形で出てまいっておりますので、五トン未満の漁船についてどのくらいだという形の数字の用意はないのですが、私どもとしては、その両方の資金を使いまして要請にこたえてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  79. 北村暢

    委員長北村暢君) それでは、政令では漁船の場合は百分の八十を貸すということを政令の第五条でそういうふうになっておるようですね。ところがこの五トンの場合を見ますというと、天災融資法融資になるのは、額的には幾らぐらいになるんですか。何か要望を見ますというと、取得価額が約三百万というふうにいわれているんですが、それに対して天災融資法融資額が六十万、こういうことだと、こういうふうに言われてるんですが、それ以外は近代化資金とか何かを借りるということになるんですか。そうしますと、政令でいう第五条のカッコ書きの中にある、漁船の購入資金として貸し付ける場合は百分の八十ということとどうなるんですか。どうもこの基準が合わないような感じがするんです。三百万かかるところへ六十万しか貸さないで、百分の八十貸したということになっていると、どうも合わないような感じがするんですがね。それとも、激甚災害の場合の六十万というのはどういう根拠で六十万程度しか貸さないのか。そこのところが、どうも漁業協同組合要望してきている点と、私が調べた政令の内容とが理解ができないんですよ。したがって、その間の事情が一体どういうふうになっているのか、御説明をいただきたい。
  80. 平松甲子夫

    説明員平松甲子夫君) いま委員長指摘の百分の八十というのは、金額の算定の場合に、激甚災指定特別地域であれば六十万というふうな形のものか、あるいは百分の八十をかけたもののいずれか低い額になっているのが算定の基礎でございますが、私どもで一応試算をいたしまして、公庫融資実績の中から拾いまして、五トン未満の動力船について建造費を見てまいりますと、大体八十万から、安いところは六十万ちょつとこしたところからございますけれども、八十万前後ということでございまして、それに融資率をかけていくということであれば六十万で、満足な数字であるとは思いませんけれども、何とかしのげるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  81. 北村暢

    委員長北村暢君) そうしますと、漁業協同組合が言っている五トンの漁船の建造価格が三百万というのは、これは高過ぎるんであって、八十万くらいで五トンの船ができると、こういうことなんですか。だいぶこれ差があり過ぎるんでね、私も理解できないんですがね、これ。
  82. 平松甲子夫

    説明員平松甲子夫君) もちろん、いま申し上げました数字は、五トン未満の平均で申し上げておりますので、委員長指摘のように、五トンという数字でございますと、現在の船価からいたしますと、六十万という数字では不足であるということもあろうかと思います。そういうものにつきましては、やはり近代化資金で補うというような形のことも考えられざるを得ないんじゃなかろうか、というふうに考えるわけでございます。
  83. 北村暢

    委員長北村暢君) 大体事情わかりましたが、五トン未満の平均で、一トンのもあるし、二トンのもあるわけだから、平均で八十万ということであって、五トンということになれば三百万ということもあり得るわけですね。それに対して、貸し付け限度額は、五トンの場合でも、一トンの場合でも限度が六十万、これが天災融資法限度額になっているわけですね。したがって、要望は、五トン未満から貸してくれるのだから、五トンの場合は三百万であるならば、その八〇%というようになれば——これは六十万では八〇%にもちろんならないわけなんです。この政令にいう「百分の八十」というのは、平均のことを言っているというふうに受け取られるわけなんですが、これはちょっと実態に沿わないんじゃないかというふうに思いますがね。したがって、一トンの場合でも五トンの場合でも六十万が限度。そうすれば、これは五トンということで政令では指定しておりながら、五トンの場合は三百万かかるところへ六十万しか融資が受けられない。そうすれば、あとは近代化資金なり公庫資金なりを借りろと、こういうことになるようですね。これは再検討の余地はないのですか。そういうふうな実態にもう少し即したように貸し付け限度額引き上げるようなことは考えられないのでしょうか。
  84. 平松甲子夫

    説明員平松甲子夫君) まあ委員長指摘のような面も確かにあるわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、天災資金趣旨というのが、現金収入が減った場合にその年の運転資金にこと欠くという者について金を融資するということでございますので、漁船については例外的に認められておるというようなこともあろうかと思いますし、そういうようなことでございますので、横並びのほかの経営資金ワク関係その他とにらみ合わせまして、現在のところ五十万ないし六十万ということにきまっておるということに承知いたしておるわけでございます。そういう意味におきまして、私どもといたしましても、そういう諸般の事情を考慮いたしまして、あと不足分について近代化資金等で補うという道もあるわけでございますから、現在の段階ではこの状況で処置することもやむを得ないというふうに考えておるわけであります。
  85. 北村暢

    委員長北村暢君) あまり満足いたしませんが、御答弁は御答弁として承っておきます。  そこで、先ほど出ました養殖漁業の場合の漁網ですね、これは施設という形で、天災融資法対象にならないわけなんですが、どうも私どもいまお伺いしていると、漁船そのものも、これは金額からいって相当高いわけですから、ややいわば施設的な感じのものですね。それを特別に漁船には認めたと、こういうわけですね。ところが、ハマチの養殖の場合の漁網というのは、ハマチの場合は一つのセット的なものでしょうけれども、これも約三百万程度のもののようです。そうすると、一般の漁具として漁網が対象になっているのに、このハマチの養殖業の網は対象にならないということは、どうもちょっと理解ができないのですがね。定置網であれば、これは天災融資法対象になるわけでしょう。ところが、ちょっと離れたところでやっている養殖業は、これは対象にならない。しかも価格の面からいってもそう変わらない。そうすれば、施設なのか、漁具的なものかという区別のしかたについては、どうもはっきりしない。船は若干施設的左ものであるけれども、特別に漁具の種類のものに入れて経営資金という形でやっていく。したがって、解釈のしかたで、政令のきめ方で、私は天災融資法対象にしてもあまり無理な形でないのではないかというふうに思われる。したがって先ほど来一応答弁がありましたので私黙っておりましたけれども、実は納得しておらないのですよ、あの答弁で。したがってこの問題は、今後養殖漁業というのは非常に盛んになるわけですから、したがって一般の漁網綱養殖漁網綱、ハマチの養殖などというのは、これはもう経営資金の中に入れて天災融資法対象にするということは解釈的にもあまり無理ではないのじゃないかというふうに考えるのです。したがって、この問題いま直ちに、先ほど答弁があったのですから、それをどうこう申し上げませんけれども、今後の政令を出す場合に、この問題はひとつぜひ検討課題として取り上げていただきたい、このように思うのですが、全然検討する余地がないのかどうなのか。どうも五トン未満の漁船を対象にしているという点からいけば、同じハマチの養殖は三百万程度ですから対象にしていいのではないかというふうに思うのですがね。そういう点でひとつ検討の対象にされることができるのかどうなのか、全然だめだというのか、そこら辺のところをひとつお伺いしておきたい。
  86. 平松甲子夫

    説明員平松甲子夫君) 先ほど漁船について私のことばが足りませんために、漁船も私ども解釈でそういうふうにいたしておるというふうにおとりになったようでございますが、実はそうでございませんで、漁船は法律に漁船というのがはっきり書いてございまして、「(政令で定めるものに限る。)」ということにしてございまして、その漁船が入った趣旨は、施設に類する程度のものまではいいのでは左いかというようなことがここの漁船で「(政令で定めるものに限る。)」ということで何トン以下ということに左っているのであろうということを申し上げたわけでございまして、漁船を見るというのは、法律ではっきり漁船が対象になっておるということでございますので、私ども解釈で漁船を入れたということではないわけでございますので、その点一言明らかにしておきたいと思います。  それから養殖施設の問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように、天災融資法対象とすることのほかに、農林漁業金融公庫養殖施設を見る、あるいは漁業近代化資金養殖施設を見るということになっておりますので、私どもとしては一応復旧のための資金としては不自由ないと、多少不満足の面もあるかもしれません、三分適用とかいう形のものについては問題もあろうかと思いますけれども、一応のところは用が足りているということではなかろうか、というふうに考えておるわけでございます。
  87. 北村暢

    委員長北村暢君) どうもはっきりしないのですがね。漁具の中に、漁具というのは漁網綱漁具と言っている、ところがハマチの養殖漁網綱漁具の中に入ってないのでしょう。したがって定置網は漁具の中に入るがハマチの養殖の網は漁具の中に入らないというのはどうも納得いかない。それもとにかくハマチの漁網はとんでもない恒久的な施設的なものであって、定置網は施設的左ものでない、そういう区別が一体同じ漁網でつかないのではないか。したがって養殖業の漁網を漁具として政令指定することになっていますがね、漁具はどういうものを言うか、漁具全部じゃないわけですが……。したがってハマチの養殖の漁網は漁具としていいのではないか、これは無理な解釈でないのではないかと私は解釈しているわけなんです。そこの問題になるのですよね。ですからそういう点は検討をしていただけるのかいただけないのかと、こう聞いておるわけです。
  88. 平松甲子夫

    説明員平松甲子夫君) 確かに先生指摘のように同一物で定置網に使われあるいは養殖業に使われているという面から見ますと、そういうふうなお考えもあろうかと思いますけれども、通常法律で用語として観念いたします場合には、漁具というのは魚類を採捕するためのものというふうな形で観念をいたしまして、養殖施設とは一応別個の観念をいたしておるわけでございますし、まあ漁具養殖施設とは両者を区別した形で観念いたしておりますので、養殖施設の中に一体として入っている漁網綱というのは養殖施設として観念をするという形で現在まで対処しておるわけでございまして、その点につきましては、公庫資金なりあるいは近代化資金でめんどうを見てまいるということになっておるものですから、その面で対処してまいりたいと考えておりますが、先生指摘のような問題もございますので、今後の問題としては、全体的な問題として検討を要することもあろうかと思いますが、いままでのところは、そういうふうなことで対処しているわけでございます。
  89. 北村暢

    委員長北村暢君) それでは佐藤君。
  90. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 きょうの委員会の冒頭、理事会で雪害対策、豪雪関係の対策につきましては小委員会をつくらずに、この委員会で小委員会をつくった以上の効果をあげるべく努力しよう、こういうことで委員長、理事がおとりきめくださいました。まことにけっこうなことだと思います。そこで実はさっそく小委員会をつくった以上のひとつ実績をあげ、検討を進めるために、資料をひとつ要求いたしておきたいと思うわけであります。  実は豪雪対策につきましては政府関係では豪雪地帯対策審議会もありますし、私も委員をやっておりますので、その間の事情は私自身はわかっておりますが、この委員会の場において検討するということになれば、あらためての資料の要求もしてしかるべきではないか、こういうことで要求をいたすわけであります。  そこで、特にいま問題になっておりますのは豪雪地帯対策特別措置法、あるいはそれに基づく豪雪地帯対策基本計画、あるいは積寒道路法、そうした法律自身が一体十分であるかどうか。いま一番大きな問題として爼上にのぼっておるのは、冬期道路交通の確保の問題でありますから、これ一つ考えてみても、これらの法律で十分であるかどうかということについて、いろいろな段階で実は議論をされているわけであります。そうしたことについて豪雪地帯対策審議会等の意見もありましょう、いろいろな意見があると思いますが、政府考えている豪雪対策について大体現況こういうことなんだ、そして足らざる点はこういうことでやろうと思っているとか、そうしたことについて判断の素材をひとついただきたい。その結果によってはあるいは議員立法ということも出てくるかもしれませんし、あるいは政府自身がまたあらためての立法措置を講ずるという結果にも在るでしょうし、そのための判断の素材を提供するという意味で、ひとつ豪雪対策の資料を要求いたしておきたいが、いかがでありますか。  それで、きょうは企画庁来ておりませんので、もちろん総理府だけではなくて企画庁が従来とも雪の窓口となっておりますから、企画庁と相談されてやっていただきたい。早急にその資料をおとりまとめの上配布をしていただきたい。こう思いますが。
  91. 湊徹郎

    説明員湊徹郎君) ただいま御指摘がございました豪雪の関係は、防災基本法でも明らかに災害の一種ということで書いてあるのでありますが、従来はともすれば融雪災害だけを主としてとらえて、豪雪そのものに対してなかなかいまおっしゃるように十分な対策がとられていない。こういう点は、私も全く同感でございます。そこで実は衆議院のほうは小委員会をおつくりになって、向こうのほうも同じように審議の都合上、いろいろ資料等の御要請もございます。そこでいま話がありましたように、主として恒久対策という面から経済企画庁がいまの豪雪地帯対策特別措置法、それに関連する諸計画等中心にいままでやっておりますので、企画庁のほうと相談をして資料を取り寄せてこちらのほうにお届けしたいというふうに思います。
  92. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 私は、九号台風によって特に長崎県のビワが非常に災害をこうむった。そういうことで、果樹共済の品種の中にビワという項目が入っておらないわけです。これを法律を変えるわけではなし、政令できめればいいと、こういうふうに私陳情を受けておるわけでございますが、これについて政令農業共済の品種の中にビワを入れる考えはないか、これをお聞きしたいと思います。
  93. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 先生案内のように、現在本格的制度樹立のために試験実施といたしまして果樹保険を行なっておるわけでございますが、その対象は非常に栽培面積の広い、全国的にございます六樹種に限っておるわけでございます。したがいまして、ビワはこれに入っておらないわけでございますが、われわれの方向といたしましては、果樹農業振興法の指定樹種、これは樹種の数え方もございますが、九樹種になっております。それにはビワが入っております。したがいまして、われわれといたしましては、これにつきましては調査の上で対象にしていきたいというようなことで、四十五年から四十七年まで調査をいたしまして、この対象にいたしたいというふうに考えております。
  94. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 そうすると、調査の結果がわからなければ入れないということなんですか。
  95. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 試験実施でございますけれども、これは保険でございますので、損害の評価なり、あるいは事故率と、そういうものについて一応設計をいたしまして、これを保険対象にいたしたいということの調査でございまして、載せることは間違いないのでございますけれども、その準備をいたすということでございます。
  96. 北村暢

    委員長北村暢君) 他に発言もなければ、本日の調査は、この程度とし、これにて散会いたします。    午後三時二十三分散会