運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1970-11-11 第63回国会 参議院 公害対策特別委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十一月十一日(水曜日)    午前十時十二分開会     —————————————    委員異動  十月二十六日     辞任         補欠選任      丸茂 重貞君     木島 義夫君      山下 春江君     奥村 悦造君      高橋文五郎君     青木 一男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         占部 秀男君     理 事                久次米健太郎君                 小野  明君                 内田 善利君     委 員                 青木 一男君                 加藤シヅエ君                 杉原 一雄君                 田中寿美子君                 小平 芳平君                 片山 武夫君                 須藤 五郎君    国務大臣        厚 生 大 臣  内田 常雄君        国 務 大 臣  山中 貞則君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局民事局長   矢口 洪一君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        経済企画庁審議        官        西川  喬君        法務省刑事局長  辻 辰三郎君        厚生省環境衛生        局長       浦田 純一君        厚生省環境衛生        局公害部長    曽根田郁夫君        厚生省環境衛生        局公害部公害課        長        山本 宜正君        食糧庁次長    内村 良英君        通商産業省公害        保安局長     莊   清君        通商産業省公害        保安局公害部長  柴崎 芳三君        通商産業省公益        事業局長     長橋  尚君        運輸省港湾局長  栗栖 義明君        運輸省港湾局参        事官       田中 光次君        建設省河川局次        長        角田 正経君        自治大臣官房参        事官       立田 清士君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○公害対策樹立に関する調査  (大気汚染及び水質保全対策等に関する件)     —————————————
  2. 占部秀男

    委員長占部秀男君) ただいまから公害対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十月二十六日、丸茂重貞君、山下春江君及び高橋文五郎君が委員を辞任されまして、その補欠として、木島義夫君、奥村悦造君及び青木一男君が選任されました。     —————————————
  3. 占部秀男

    委員長占部秀男君) 次に、公害対策樹立に関する調査を議題とし、大気汚染及び水質保全対策等に関する件について質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言をお願いいたします。
  4. 小野明

    小野明君 前回に引き続きまして、洞海湾の問題について質疑を申し上げたいと思います。運輸省港湾局、見えておりますね。——現地調査によりますと、昭和四十二年から昨年までの三年間に洞海湾航路ヘドロが百二十三万立米しゅんせつをされた、それから本年度も五カ所で二十万立米以上をしゅんせつする計画で、一部がこの六日の口に入札をされておる、こういうことのようですが、洞海湾は、いま私が申し上げたようなことで、すでに公害問題とは別の観点からしゅんせつがやられ、またこれから実施されようとしておるのか、この辺の計画についてどうなっておるのか、御説明をいただきたいと思います。
  5. 田中光次

    説明員田中光次君) お答え申し上げます。洞海湾航路整備につきましては先生もよく御存じだと思いますが、二つございまして、まず第一は、若戸大橋から下流のほう、つまり洞海湾入り口のところでございます。これは港湾整備計画に基づきまして現在九メートルにここ数年直轄工事によりましてしゅんせつ実施中でございます。  それから洞海湾の若戸大橋から奥のほうの部分につきましては、港湾機能保持のために北九州管理組合がマイナス八メートルの線まで常町しゅんせつをいたしております。これは大体毎年八万ないし九万立米程度土砂しゅんせつしておる、こういうことでございます。
  6. 小野明

    小野明君 そうしますと数字がだいぶ違うようですが、毎年八万ないし九万と言われましたですね。そうすると四十二年から昨年までに百二十三万立米が上げられている、ことしは二十万立米しゅんせつされる計画である、これは誤りなんですか。
  7. 田中光次

    説明員田中光次君) 私が申し上げましたのは、八万ないし九万立米というのは、北九州管理組合が若戸大橋から奥のほうをやっている部分について申し上げたのです。外のほうの国の直轄工事でやっている部分につきましては、先生のおっしゃられましたとおり四十三年、四十四年度におきまして百二十万五千立米でございます。それから四十五年度分につきましては九十三万立米を大体掘る、こういう予定になっております。
  8. 小野明

    小野明君 そういたしますと、その洞海湾ヘドロの量の調査ですね、それと、このヘドロはどこに捨てられているわけですか。この二つお尋ねしたいと思います。
  9. 田中光次

    説明員田中光次君) ヘドロの量につきましてはまことに申しわけございませんですけれども、現在手元に正確な数字を持っておりません。  それから従来維持しゅんせつと、それから港の入り口部分の各区分についてしゅんせつしました土砂は、これは四十二年くらいまでは日明埠頭、現在は響灘の貯木場の付近陸地予定地のところへ一応捨てておる状況でございます。
  10. 小野明

    小野明君 ただお話を聞きますと、航路しゅんせつ、こういう観点からだけこの洞海湾というものを見られている、こういうふうな私も気がしているのですが、この洞海湾というのはこの水質なり——水なりあるいはヘドロ公害防止観点から見ますと非常に大きい問題がある。こういうことが、これは当然運輸省としてもおわかりでなければならぬわけですが、そういう観点からの調査というものは全然配慮されていない、こういうことですか。
  11. 田中光次

    説明員田中光次君) お尋ねの件でございますけれども、従来運輸省港湾局並び北九州管理組合といたしましては、洞海湾機能保持、港としての機能保持つまり船の航行及び停泊が安全であるための対策を主にやってまいりまして、先生のおっしゃるように公害防止見地からの調査等は、まことに申しわけないことでございますけれども、行なっておりません。ただしつけ加えますと、先ほど申し上げました土砂を捨てる際におきましても、付近漁業等に対する影響がないように、捨てる場合にはちゃんと囲いをつくりまして、外へ土砂が漏れないように十分細心の注意を払っております。それからまた、近く調査調整費をもちまして、湾内の汚染状況調査することにしております。土質及び水質について重金属類の有無、一般の汚染状況を早急に調査したい、こういうふうにしております。
  12. 小野明

    小野明君 ヘドロの捨てる場所につきましても、いまの御説明によりますと、十分囲いをして外に流れ出ないようにしておる、こういうことですが、これはたとえば日明埠頭響灘埋め立て予定地、こういうふうにおっしゃったんですが、その海域の調査、こういうものはされておらぬわけでしょう。その流れ出ておるかどうかという調査もされないで、囲いをしておるからいいんだという非科学的な御説明ですと、どうもその論拠も私はきわめて疑わしい、こう言わざるを得ない。
  13. 田中光次

    説明員田中光次君) もう少し付言いたしますと、一応囲いをつくりまして、さらにその外側にナイロンシートを張りまして完全に外に出ないように十分注意を払っております。
  14. 小野明

    小野明君 それでヘドロしゅんせつ作業に従事した労働者が手に炎症を起こしたり、あるいは洞海湾地先に絶えず洞海湾が攪拌された状態にそれによってあるものですから、地先海面から奇形魚が発生しておる。こういうことも現地から報告をされておりますが、こういう点は御存じかどうか、あるいは事実であるのかどうか。
  15. 田中光次

    説明員田中光次君) 現在のところ、まだわれわれのほうは聞いておりません。
  16. 小野明

    小野明君 山中担当大臣お尋ねをいたします。洞海湾がこの汚染が問題になりまして、もう相当の時日が経過しております。これに対する水質審議会答申も出されておる。ヘドロの問題も処理されておる。付帯事項ではありますけれどもうたわれておる。こういうことですが、肝心の運輸省当局にあっては、すでに四十二年から三年間百二十三万立米ものヘドロしゅんせつをされておる。しかも、今年度ももうすでに入札をされておる。しかも、調査は全然なされておらぬ。これでは全く政府の言う公害防止対策洞海湾をきれいにするという観点というものは全く空文である。こういうふうにしか言えないと思いますが、この点について御所見をまずお伺いをしたいと思います。
  17. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 今日までの経過を振り返りますれば、あるいは運輸省港湾局におけるしゅんせつ、その他につきましては、ただいま申されたような生活環境その他の今日言われておるいわゆる洞海湾汚染のあり方についての角度からの調査ないしは工事が行なわれていなかったという御批判もしかたのないことであろうと思います。しかしながら、それはあくまでも港湾機能という立場においてそれらのものの堆積排除、さらに排除の際の集中いたしまする廃棄場所における流出予防等についての注意を払っておるという程度の一応の配慮はしておると思うんですが、そこで今日の公害対策観点から考えますときに、やはり洞海湾地区は確かに明治時代国営製鉄事業から始まった長い歴史を持つ海底堆積ヘドロであろう。これらの問題については、かつては色のきたないことも気にしなかった。しかしながら、今日では色そのものさえもやはり問題にされる時代になってきた、これがまたほんとうに、私たち人間の生きていく環境のために必要な要請であるということを考えまするときに、今後運輸省のやってまいりまする事業前提に、やはり居住環境ないしあるいは工場地帯でありましても、その洞海湾の典型的な入り海と申しますか、そういうような海流が還流しない地域における水質保全、もしくはそれらの浄化という問題をどうするかということが考えられなければなりません。そこで政府としても、公害対策本部の課題としてこの問題を取り上げて、いわゆる水質の汚濁に関する基準その他については、近く排出規制等についての洞海湾が指定されることになっておりますけれども、それと並行しながら、できれば本年度予算の中で、経済企画庁調整費等配分等について、もうすでに年度を大きく半ばを過ぎておりますので、なかなか財源捻出に苦心をいたしておりますが、直ちに着手できたという形のもので出発しながら、来年度以降の予算の中において、洞海湾地区も他地区の指定されてまいりました地区と同様の、非常に緊急な事態地区としての指定をいたしまして、そして私たち対策本部中心となって、主として事業運輸省が執行することになるかと思いますが、地元の県ないし市においても具体的なしゅんせつ計画、経費、あるいはまたヘドロを吸い上げて、新しく洞海湾の中に三カ所くらいの、最終的にはヘドロをそこの囲いの中に入れまして、その上に袋をして、緑地帯もしくは公園、運動場、そういうものにしたいという希望がありますので、たいへんこれはけっこうな事柄であると思いまして、いま、私ども手元で緊急に相談中でございまして、近くその結論年度内における一応の結論としては発表できる態勢になりつつあるわけでございます。
  18. 小野明

    小野明君 大臣にはまたあとでお伺いしますが、経済企画庁、これが経済企画庁としては、工場排水等を調べ、そして洞海湾の若干の調査もやっておられるかと思いますが、いまの運輸省の全く航路保全という観点だけで、水質保全なり公害防止という観点からは全然配慮がない、こういう事実に対しまして、これはどのようにこれをごらんになるか、あるいはこの対策をどうされようとしておるのか、お尋ねしておきたい。
  19. 西川喬

    説明員西川喬君) ヘドロ処理の問題につきましては、これは直接水質審議会のほうの所掌ではございませんのですけれども、一応、やはり洞海湾浄化という観点から、ヘドロ処理環境保全の万全を期すために処理しなければいけないということで、先般答申を得ました排出規制の場合におきましても、しゅんせつを行なうことということが、留意事項としてついておるわけでございます。それにつきまして、しゅんせつの件につきましては、現在運輸省におきましては、航路しゅんせつということで、公害対策としましてのヘドロ処理という観点とは別の観点で、事業をすでに部分的に実施いたしてきております。私どもが承知いたしておりますところによりますと、現在行なっておりますしゅんせつ工法でございますが、これはプリーストマンによってつかむ方法でございます。それによりますと、いわゆる砂質のものはつかめますが、ヘドロのようなものはほとんど逃げていってしまつてっかめないというふうに聞いております。もちろん、そのしゅんせつによりまして浮遊しておりますヘドロ、あるいは底に沈んでおりますヘドロも攪拌するという問題が生じているわけでございます。ところが、実際に取り上げますのは砂質のものしか取り上げられない、こんなふうに聞いております。今後堆積しておりますヘドロ処理するにはどうしたらいいかということにつきましては、この処理方法についてどういうしゅんせつ方法なり、つかまえる方法をとったらいいのか。これは田子の浦等についても同じような問題があるわけでございますが、そのような工法の研究から始めなければいけないわけでございます。それにつきまして、先ほど山中長官のほうから御答弁がございましたのでございますが、早急に調査しなければいけないということで、地元港湾管理局北九州港湾管理局あるいは運輸省のほうからの話もございまして、早急に今年度から、そういうヘドロ処理ということに観点を置いた、二次公害を起こさないような処理方法というようなものの調査をできれば今年度中から始められるようにというようなことで、現在予算の、企画庁で所管しております調整費というものを何とかやりくりしてでもできないかというようなところで、現在至急に検討を進めているというような段階でございます。
  20. 小野明

    小野明君 長官お尋ねいたしますが、そうしますと、洞海湾水質調査、水の調査と同時にヘドロ調査も今年度中に行なうわけですか。それはいつごろになるわけですか。
  21. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) ほんとう地元においても今年度予算でもっと早く、いわゆる調整費の性格上、編成時に予測し得ざる予算について考量するわけですから、早く出していただければよかったという、私には反面のぐちもあります。しかし、持ち込まれたのがもうずいぶん最近のことでありますので、これを経企庁中心にして相談をさせておりますけれども運輸省はいつでも新しい観点からの調査自分たち実施主体としてやることには異議がございません。要するに金をどこから出すかという問題にしぼられるわけでございますから、どうしても調整費配分ということになるわけですけれども、実はこれはもう打ち明けたところ、配分が全部終わっておるという段階でございますし、それ以前のものはすでに御承知の閣議の決定による全面的な緊急調査、あるいは措置分として支出済みでございまして、洗いざらい計画に基づいて仕事がされるという直前に、実は地元地方公共団体からの要請があったわけでございます。でありますので、公的な要請でありますから、来年度からということが、ほんとうはそのまま受け取っても間違いないし、それが常識でございますが、このような事態から考えますときに、やはり本年度からでも水質の、ヘドロに関する調査、実態あるいは処理しかた等について調査を開始すべきであるという私の手元の判断をもとにして、何とかこれまで長いことかかって時間をかけて積み上げてまいりました調整費配分を、一部変更もしくは全面的な変更等によって財源を捻出して、今年度からでも着工できないかという相談をいましておるところでありまして、現在は大蔵省とも具体的な金額等について相談をしておるわけでございますが、最終的にまだきまっておりませんので、当委員会において本日はその数字についてお答えできないかと思います。
  22. 小野明

    小野明君 これは地元のある私的な公害研究所の発表なんですが、このヘドロを分析した結果、奥洞海のヘドロからは四万一千六十PPMという、これだけのカドミウムを検出したというわけです。ですと、百グラム中ほぼ四グラムということで、これはカドミウム鉱山並み汚染である、こういわれているわけです。こういうふうに、これはきわめて緊急を要すると思いますね。ですから、労働者が手に炎症を起こしたりしている。こういう緊急事態が発生しているのですが、こういうことについて、いま大臣もでき得べくんば今年度ということですけれども、こういうことになっているのを大臣御存じであるか。この対策をぜひひとつ急いでもらいたいと思いますが、再度ひとつ答弁をいただきたい。
  23. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 具体的なケースとして、現在地元で持ってこられておりますところの洞海湾内の三カ所を囲って、そこにヘドロを吸い上げて乾燥させつつ、上を袋をして公園化するという方法を最もいい方法と私思いますので、しかも洞海湾の性質から考えて、これを、いわれておりますように海面下二メートルの堆積といわれておりますから、その分が完全に吸い上げられ、工場排水というものが新しいきびしい基準によって守られていくということになりますれば、あるいは洞海湾が美しい海であった昔を取り戻すことが可能ではないかという、非常に有望な、しかもまた工事のやりやすい典型的な仕事の一つであるということで、対策本部中心として、いま緊急に着手すべきであるということの前提のもとに、まず調査をしなければならぬということでやっておるわけでありますから、御趣旨のとおり全力を傾けて、なるべく早くできるようにしたいと考えます。
  24. 小野明

    小野明君 それにいたしましても、やはり最初に大臣私がお尋ねしましたときに、洞海湾水質が問題になり、ヘドロが問題になりながら、全然運輸省公害防止という観点に立たないで、そうしてこれだけ大量のヘドロしゅんせつして、洞海湾を攪拌しておった。これは全く公害対策本部はいままで何をしておったのだということで、これは十分反省をしてもらわなければならぬ問題だと私は思います。これについてひとつ、こういう点がほかにも私はあるのじゃないか。各省ベースで、これはばらばら行政も一番いいところかもしれませんが、これを防ぐためにいま対策本部ができているのですが、こういうことがないように私はしてもらいたいと思うのです。それを、まず大臣の御決意というものを承っておきたいと思います。
  25. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 運輸省は、港湾局として公害防除というようなものをいままで義務づけられておりませんし、このような工事の場合に、公害対策調査というものが先行すべきであるという概念は存在していなかったわけでありますから、今日までなぜ公害の問題として取り上げなかったのかというおしかりは、少し運輸省には酷であろうかと思います。しかしながら、対策本部ができましたのは八月でございますから、それから後は、全国の典型的な事例の中で緊急にやらなければならぬ場所があるならばというので、田子の浦に取り組んで、これは現実においては二転三転をしまして、委員会のたびごとにおしかりを受けるという現状になっておりますけれども田子の浦に次いで洞海湾緊急事態というものに着目したということでありますから、公害対策本部仕事も、あるいはおくれているかもしれませんが、他方において、二十四日召集予定臨時国会に十五本に及ぶ公害法案を出すために、公害対策本部は不眠不体の努力をしておる事実もございますし、精一ぱい努力をしておるわけでございまして、その中で、洞海湾に本格的に公害見地から取り組もうとしておるということでもって御評価をいただく。ほめてもらう必要はありませんが、おくれておったことは認めます。認めますが、対策本部が出発して、そうしていままでの考え方も変えていこうという、運輸省も一緒になって経企庁相談をしていることを御了解賜わりたいと思うわけでございます。
  26. 小野明

    小野明君 公害対策本部ができまして、大臣が意欲的にこの仕事に取り組まれておるという点は、私もそれなりに評価をしています。しかし、この手落ちというのはあまりにも大きいではないか、落差が大き過ぎるではないか。政府全体で取り組んでいっておるのに、片一方はもうおかまいなしにすくい上げておる、洞海湾を攪拌しておるという問題は、これは私も責められてしかるべきではないかと思うんです。現在、これは今年度も二十万立米ということで入札され、事業が始まろうとしておるわけですがね、まあ一部のようですけれども。これと、これの作業に従事します労働者がそういう被害を受け持つと炎症が起こる。何があるかわからぬわけですからね。カドミウムだけではありません。シアンもあればフェノールもある、有機水銀もあると、こういうように言われておるわけですから、どういう事故が生ずるかわからぬ作業なんです。現実に行なわれる作業を一体公害防止観点からどのようにお考えになっておるのか、運輸省大臣にそれぞれお尋ねをしたいと思います。
  27. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 運輸省のほうの工法は、やはり先ほどつかみ上げ方式と申し上げましたが、やはり相当な固体に近いもの、そういうものを、たとえば海であれば砂みたいなものをつかみ上げていくんだと思うんです。その際には、しかしやはりたまっております上のドロドロしたものは流れ出すというのは常識でありまして、ですから運輸省の今度のしゅんせつ工事のやり方については単につかみ上げる方法だけでいっていいか、あるいは吸い上げの方式も加味していったらいいか、これから次年度事業からは考えていかなければならぬと思いますけれども、しかし、われわれがいま対策本部中心になって相談をしておりまするものは、まさに海底のかつて美しい砂であったものの処理ではなくて、自然にたまった砂の上の堆積した人工的に明治から流され続けてきたその堆積物をいまになって私どもがどのような処理を、有効にして、かつ結果、有益に地域に貢献できるような施設に結びつけて処理できるかという観点からまいりますから、この工事が始まれば当然ドロドロした物質の吸い上げということから始まるというふうにいかなければならぬと考えます。私専門家ではありませんので、そういうふうに常識的に考えるわけでございます。
  28. 栗栖義明

    説明員栗栖義明君) ただいまの洞海湾の話、大臣お話しになったので尽きるかと思います。少しこまかく補足いたしますと、洞海湾入り口のほうは現在地あまをとってございます。これは先ほど大臣がおっしゃいましたようなポンプ船を使いまして吸い上げ方式でやっておりますが、奥のほう、先ほど御指摘のございましたかなりよごれておるとおっしゃったところは、先ほどからお話がございますように、グラブ船でつかんでいるわけでございます。これはただ維持しゅんせつと申しまして、航路が埋まったものを掘っておるということでございまして、年間八万から十万程度というふうに、これは管理者が掘ることになっておりますが、そういうふうに承知しております。今後の問題は、先ほどの大臣お話を体しまして、われわれも十分検討したいというふうに存じております。  なお、どろの捨て場でございますが、これは、御承知のように、響灘に持ち込んでございますけれども、土手をつくりまして、その間からそういうものがしみ出さないように、わざわざビニールの板を中に張りまして、固めて、流れ出さないように従来もやってきてございますが、これにつきましても、なおもう少し突っ込んだ検討をしたいと思いますし、それから、先ほどお話し出ましたように、公害という観点からの土質調査はやってございませんので、今後は、ことしも早急に進めたいと思っておりますが、今後、十分気をつけたいというふうに考えております。
  29. 小平芳平

    ○小平芳平君 けさの各紙には、大気汚染防止法の政府案がまとまったという報道が出ておりますが、この大気汚染の問題について、私は、若干の具体的な例をあげて、通産省にお尋ねをいたしますので、この点についての大臣の御見解も、法改正のこの機会における、どんな問題かあるかということを指摘いたしまして、見解をお伺いしたいと、このように思います。  初めに、この日産化学富山工場というのがあります。この日産化学富山工場では、地元民が、非常に農産物被害が大きいというところから、非常に長年にわたって、会社側と交渉をしては補償をしてもらってきている。で、これらの点について、きのう通産省の関係課のほうから説明を聞きましたが、きのうの説明では、全くその事実に違っている。といいますのは、きのうの説明では、結論としては、住民も会社が非常に大気汚染防止に力を入れているので納得しているというような結論なんですが、実際、私は、おとといの夜、地元の人たち、大ぜいの人とお会いして、直接に御意見を聞いてきたわけであって、決して納得しているような結論にはなっておらない、このように思います。特に、この稲の補償だけでも、昭和四十一年の日産化学富山工場の補償が、これは通産省からいただいた資料でも二千六百七十四万円。これは、どうも各地で工場が、そうした稲に対する被害を与える、その結果に対する、減収に対する補償をしている企業は数多くありますが、二千六百七十四万円というような補償、しかも、このきめ方が、非常にほかの地方でやっているのと違って、富山工場のきめ方は、非常に、どちらかというと私は農家に不利なやり方をやってるというふうにしかとれませんが、まあ、簡単にいえば全国第一の農作物被害地じゃないかと、このように感ずるわけです。その後、この補償額は減ってきているという説明ですが、それは、その会社が、そういう激甚被害地のたんぼを買い取っているわけですね。買い取っているためにも減っているんだと、文字どおり幾分の幾つに減ったんじゃなくて、現実は激甚被害地のたんぼの面積が減ってるんだということを言っておりますが、通産省では、こういうような点について、どのように把握しておられるか、御答弁願います。
  30. 莊清

    説明員(莊清君) お答えいたします。日産化学富山工場の亜硫酸ガスの問題でございますが、御指摘のとおり、相当な被害を従来から生じておったものと考えております。で、この地域は、大気汚染防止法の指定地域からちょっとはずれておる。富山の市外でございまして、はずれておるかと存じますが、会社自身も四十二年以降かなりの設備投資も行なって努力はいたしておりますし、また、工場の周辺五地点に、会社みずからも常時観測装置を備えまして、SO2を常時観測し、その結果を、市当局はもちろん、住民の方にも市を経由いたしましてお知らせしているというふうな態度もとってまいったわけでございます。補償額のほうは、四十一年の二千六百万から昨年の約六百万というところまで現実に減っておりまして、面積のほうも四十一年度の百四十ヘクタールから、四十四年は約二十ヘクタール程度というふうに私ども承知いたしておりますが、この百四十ヘクタールと二十ヘクタールの差は、まあ十ヘクタール未満程度工場が最近買い取ったものもあるように聞いておりますが、大部分はやはり設備の改善等によりますSO2の減少が貢献したのではないか、こういうふうに考えております。なお、工場のほうでは今後も引き続き来年の夏ごろまでには鋭意工事を進め、来年度の稲作についてはまあほとんど被害が出ないような線までぜひ持っていきたいという覚悟のほどをわれわれに表明いたしております。われわれもその線に沿いまして、県当局と十分連携の上、厳重に監督もし指導もして、御指摘のような問題を一日も早く解決しなければならぬ、こういうふうに思っております。
  31. 小平芳平

    ○小平芳平君 ここの大気汚染はそういうような亜硫酸ガスによる被害……その前に、いまの御答弁の中で、では会社がどれだけの面積を買い上げたか、そういうことも把握しておりますか。  それからもう一つは、そういうようなガスのほかにもこういうような粉じんが絶え間なく舞ってくる。ちょっと私が行って話している間に、すぐ近くの雨どいからさっと集めてくるわけです、こういう粉じんを。こういうものが二十四時間間断なく舞ってくるということ。ですから実際にはこういう米が取れるんだという米を持ってきておりますが、これは実際米じゃありません。全く政府買い入れの対象になるような米じゃありません、これは。そういうような被害の現状は、とうていいまお話しのような、簡単に会社が努力しているから安心しろというだけでは納得できないものが残っているということをまず申し上げておきたい。  それから実際にはこういうものに何が含まれているかですね、問題は。これは単なる砂ぼこりなのか、それとも有毒物質が入っているのかどうか、そういう疑問。そういうことに対する、有害物質はないんだということが言えるかどうか。なぜこういうものを会社なり県が分析をして、これこれこうなんだから安心なら安心、これこれこうなんだから危険なら危険でどういう予防措置が必要だというふうな具体策を示されないか、そういう点はいかがですか。
  32. 莊清

    説明員(莊清君) 私、実は先生がお示しになりました黒い粉じん状の物質の点については、現物を見たのは初めてでございまして、不勉強で申しわけないんでございますが、まず通産省の考え方といたしまして、現実にそういうものが大量に周囲に出ているといたしますと、それが燃焼に伴うものであれ、まあ伴わないものであれ、今後大気汚染防止法を前向きに改正いたしまして、そういう粉じん類についてはすべて法的な常時規制を加えなければならないというふうに通産省自体も考えておるわけでございます。そういう実態でもございますし、実態につきまして早急に現地につきましてよく調査をし、必要ならば県当局とも協力して、そういうものも分析もしなければならない、かように考えております。その結果に基づきまして、また実情に応じまして十分指導をし、問題の解決に努力いたしたいと考えております。
  33. 小平芳平

    ○小平芳平君 それから十月二十九日に県が立ち入り検査をしたというんですが、その立ち入り検査をする前の日に報道されているんですね。あす立ち入り検査を日産化学富山工場にするということが報道されていた。そういうことは、この工場地元の人たちの心配としては弗素ガスとか塩素ガスとか、そういうものが出ているんじゃないかということで問題になっているときに、立ち入り検査を報道してから立ち入り検査をやっていたんでは意味がないじゃありませんか。これはどうですか長官
  34. 莊清

    説明員(莊清君) 富山県当局の立ち入り検査は、主として同工場の弗素ガスの検査を目的に行なわれたのではないかと考えておりますが、その場合排出口が高いところにあるというふうな関係から検査官が参りまして、直ちに排出口のところヘガスの採取装置等を取りつけることができない状態であったのでないかと私どもとしては見ておるわけでございます。ときどきそういう事態はないわけじゃございませんで、煙突等からたとえばカドミウムの粉じんを取るというふうな場合にも、特定の粉じん収集装置を十数時間から二十四時間程度上に置きまして、連続的な操作をして集めるというようなことがあるようでございます。そのためにどうしても県御当局だけで直ちにできない場合には、もよりの時期に通知をやむを得ずいたしまして、会社側にもそういう測定準備作業のための応分の協力をさせるというふうな事態があろうかと存じます。富山県の場合にはそういうやむを得ざる事情で通知されたものが、外部にテレビ等で報道されたがために、そういう事態になったんでないか。特に検査そのものについて適正あるいは厳正さを欠くというふうなことではなかったもの、こういうふうに考えております。
  35. 小平芳平

    ○小平芳平君 何かまあ苦しい言いわけをおっしゃっておるけれども、煙突の上に登る装置ならば、何もあした行くからきょうつけろと言わなくても、そんな煙突の上に登るには突発的につけられるものでもないし、常時登れるようにしておけばいいわけですね。それから実際にはガスが出ているか出ていないかは、そのやっているときに行かなくちゃ意味がないわけですよ。そのとめているときに行ったって何の意味もないわけですね、まあそういうような点。それから要するに、これからも大気汚染防止法の改正も、立ち入り検査を地方に委譲する。こういうふうに出ておりますが、立ち入り検査自体はまあ調査ということで都道府県知事がやるように大気汚染防止法二十六条でなっております。ですからそういう点、いまの経過を山中大臣は聞かれてどのように感じられるかですね、将来の法改正と関係してのお考えをお答え願いたい。
  36. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 初めにお断わりしておきますが、いまここ二、三日、新聞に基本法とかあるいは費用負担法、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、いろいろと出ておりますが、まだ最終的にきまっておるものは一本もございません。と申しますのは、私の手元でまだ断を下しかねておる分野もございますし、さらに法制局との作業等で、最終的にこれで法律としてよろしいという判断に達するに至っておりませんので、大車輪で連日やっておる過程であります。しかし、対策本部だけでやっております段階では、不必要な報道ということで世間を騒がし、あるいは言うことはりっぱだったができたものはつまらぬじゃないかということになってもいけませんので、なるべく正確な報道がなされるように努力はしておりますが、しかし、いまは各省あるいは法制局等にそれぞれみんな写しを持ち帰りまして、部内の検討等に入っておりますので、公害対策本部以外のところでも、有能な記者の諸君でございますから取材をされて報道がちらほら出るようになりました。その大部分は正確でございます。したがって、決定しておるというのは手続その他もございますし、言えないわけですけれども、ほとんどは正確でございますが、最終的に法案にするには、体系そのものにおいても少し、基本的な問題でも残っておる点等もございますが、おおよそは当たっておるというつもりで御論議をお願いしたいと考えるわけでございます。あらためてもちろん国会にきちっとしたものを提案し間に合わせるために、先ほどできれば十五本と申し上げたわけでございますが——その十五本で最終的に決定しておるというものはまだ一本もないわけでございます。その十五本をそろえて御審議を願うために、いま目下日夜努力中であるということであります。  ただいまの富山県内の工場の問題につきまして、私もちろんつまびらかにしないのは当然でございますが、そのあり方についてのお話でありますから、前の日に新聞で知らせておいてあくる日に調査に行くということは、これはまあ技術的にいろいろと説明がありましたけれども、ちょっとおかしな話であるわけでございまして、そういうことはあってはならないし、知事さんに権限を委譲しますと、そういうことが場合によっては、特定の地方、特定の地域、特定の企業等において、あした行くがというようなことが知らされるようなことにならぬとも限らないという心配も反面するわけです。しかし、まあ何といっても地域住民の選んだ知事でありますから、知事がそのような反県民的な行動をとっておるということがわかってくれば、その次には選ばれざる知事ということに結果なるでしょうから、知事さんは信頼しておこうということを前提にして法律全体を立てていくつもりでありますけれども、ただいまの件はいろいろ事情ありましたろうけれども、前の日に新聞で報道されたのがもし事実であるとすれば、あしたお前のところを立ち入り検査するということを教えて行くということは、麻薬取り締まり等その他で事前に漏れていて、行ってみたらもぬけのからであるということをよく新聞で見るのですけれども工場でそういうものを隠しおおせる部分と隠しおおせない部分がありましょう。要するに自己の営業状態というものが地域住民にどのような環境汚染なり悪化を与えているかという問題を企業自身も正確にはかってほしいという気持ちになってもらわなければいけないと思います。検査の日には何とかのがれる、あくる日からはまた堂堂と出せるということはもう続かないのだ。長続きしないのだ。やはり自分たちも正確にはかってほしいという気持ちになるべきだと思うのです。最初に警視庁が一カ月半ほど前に一酸化炭素の検査を自動車についてやりましたときに、大多数の人たちが自分から積極的に車をとめて、私の車はどれくらい出ていますか調べてくださいと言われましたそうです。庶民の意識はもうそこまできておる、国民の意識は。やはり企業者も私の工場はだいじょうぶなのかどうか、基準に適合しているのかどうか。じゃあどの程度直さなければいけないか調べてほしい、たいへん恐縮ですがお願いしますという事態がすでにきているのじゃないかと思います。富山県のその工場の例は私の知らないことでありますけれども、今後の姿勢としてはそのようなことであってほしいと私は考えますし、そういうことを念頭に置いて知事さんを信頼して地方に権限を主として委譲していくという姿勢をとっていくつもりであるということを申し上げておきたいと思います。
  37. 小平芳平

    ○小平芳平君 いまの山中担当大臣の御答弁をひとつ通産省よく覚えていただきたいと、このように思います。  それから、したがいまして通産省の企業に対する姿勢としては、たとえば企業の秘密あるいは作業のじゃまになるということがない限度においてはやはり調査したいという人、あるいは地元民の代表ですね、それもあまり大ぜい行って作業にじゃまになるとか、あるいは報道関係の方、そういう方をことさらに締め出して、一切うちの工場は見てもらっては困る、企業の秘密もあるし、作業のじゃまにもなるということ一点ばりでなくて、やはり通産省が企業に対する行政指導の姿勢としては、可能な限りいまの大臣の御答弁のように報道関係の人もあるいは地元の代表の人も何人かは、限定してならば見てもらうこともけっこうだ産省の姿勢であるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  38. 莊清

    説明員(莊清君) 御指摘のとおりであると存じます。
  39. 小平芳平

    ○小平芳平君 それからもう一つ、富山工場では火力発電所、自家発電を建設中で、来年三月から一万二千キロワットの発電が始まるという予定なんだそうですが、これに対して地元の人が亜硫酸ガスがさらにふえるのじゃないか心配だといって会社に当たるのですが、会社はあまり相手にしない。県に行ってどうなんだと言っても、県の公害部では設計書すら見ていないというような返事をしているというのですが、こういう点については把握しておられますか。
  40. 莊清

    説明員(莊清君) 火力発電の建設でございますけれども、承知いたしております。地元の方も自家発電ということで亜硫酸ガスがまたふえるのじゃないかという御心配があるであろうことは、これはごもっともな点であろうと思います。私ども御指摘ございましたので会社にもよく指示をいたしまして、地元当局及び住民の方にさらに一段とよく趣旨の説明を徹底するようにさせたいと存じますが、私どもの承知しております自家発は、従来この工場で各所にボイラーがございまして、旧式のボイラーで重油を使いまして燃しておりますものを一カ所にまとめまして新鋭のボイラーに切りかえて、そこで蒸気も発生させるし、自家用の電気もあわせて起こしたいということでございます。その際に新鋭のボイラーに切りかえて燃焼効率を上げることのほかに、現在煙突が非常に低うございまして、これも倍以上の高さくらいに高くいたしまして、全体として、この工事によりまして亜硫酸ガスの濃度、その地域全体の濃度が現在よりも半分程度低まるようにしたい、こういう計画だと承知しております。その点につきましてはおそらく御説明はしておると思いますけれども、なお不十分な点があれば、最初に申し上げますとおり、よく趣旨の説明徹底ということにさらに一段と努力をさせるように指導いたしたいと考えております。
  41. 小平芳平

    ○小平芳平君 ちょっと私が先走って質問したものですから趣旨がちょっと通じなくてたいへん恐縮でしたが、私のお尋ねしたい点は、普通、火力発電所の建設は地元との了解がつかなければ着工しないということで、各地で地元との了解がつかないままに火力発電所の着工が無期延期のような形のところがたくさん起きているわけですが、こういうような自家発電の場合は地元の了解が必要なのかどうか、現在着工しているということは、富山県がそれを了解した上で着工しているものかどうか、そういう点はいかがですか。
  42. 長橋尚

    説明員(長橋尚君) お答え申し上げます。  自家発電の関係の電気工作物の設置につきましては、電気事業法の七十条に基づきまして通産大臣の認可を要することになっております。これはもとよりその認可を受けました電気工作物の設置に関連いたしまして、たとえば公用水面の埋め立てが必要である、あるいは森林の伐採が必要である、保安林の伐採が必要である、そういうふうなことを伴います場合に都道府県知事の処分が必要になってまいるわけでありますが、そういう面から地元との関連というふうな点につきましては、あとまた、いま申しおくれましたが、大気汚染防止法の排出基準に適合するように設備を認可しなければならないというふうな面で、地方公共団体はじめ地元との関係というものについては十分配意をしてまいっておりますし、今後ともそういった面の配意を強めますと同時に、事業者自体に対しましても、公害防除に万全を期するように指導してまいりたい、かような考え方で従来から対処し、今後さらにその態度を強くしてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。  御指摘の地元との関係で了解がつかなければ建設できないというふうな面の問題、これはまあ事実問題としてそういうふうな問題が土地買収、その他をめぐりまして起こり得ることは間々あろうかと思いますけれども、法律の考え方といたしましては、電気の確実な供給をはかっていく、非常に国民経済の基礎的な物質でございます電気の確実な供給をはかるということと、大気汚染あるいはまた、その他、他産業ないし地域住民との関係の中で利害の調整をはかりつつ、電気の供給に万全を期していく、かような考え方で法律が組み立てられているわけでございます。
  43. 小平芳平

    ○小平芳平君 そんな回りくどいことを聞いているんじゃないですよ。この日産化学富山工場の自家発電の建設は、それじゃ、地元の意見は何ら聞くことなしに通産大臣がきめたということですか。したがって、地元の人が不満があれば通産省に直接にぶっからなくちゃならない。幾ら県へ行ったって、県はわしのほうじゃないと言っている、県が言うのも無理ないということですか。
  44. 長橋尚

    説明員(長橋尚君) 御指摘の日産化学の富山工場の自家発建設計画につきましては、通産省といたしまして、地元との関係にも十分配慮をいたし、その上で公害面の問題につきましては、事業者にも公害防止に遺憾なきを期さしめるという観点から審査をいたしまして、これを認可いたしたということでございます。  大気汚染との関係につきましては、現在当該地区大気汚染防止法の指定地域外になっておりますけれども、富山県がつくっておられます排出基準、定められております排出基準を十分念頭におきまして、亜硫酸ガスにつきましては、その排出基準の範囲内でこれをおさめるような設計を確認いたしまして、これを認めることといたした次第でございます。
  45. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがって、先ほどから述べるような農産物被害については現在までの被害もとまり、と同時に火力発電所が建設されることによっての新しい亜硫酸被害は起きないと、このほか大気汚染は起きないと、こういう計算を十分したと、こういうことですね、通産省で。
  46. 長橋尚

    説明員(長橋尚君) さようでございます。そして県との関係につきましても名古屋通産局の出先でございます富山支局長のほうから県のほうにも連絡をとりまして、その上で手続を進めた、かように報告を受けておる次第でございます。
  47. 小平芳平

    ○小平芳平君 もっと問題があります。これはあとにしまして、もう一つ今度は通産省にお尋ねしますが、昭和電工塩尻工場、この昭和電工塩尻工場が、またこれ何百メーターから一キロくらいにわたって、猛烈な粉じんをはき出す。これは昭和八年以来地元の人がどれだけ生活に被害を受けているかもわからない。それで一晩車をとめておいても、屋根からはき集めるほどの粉じんが出る。あるいは窓を締めて、戸を締めておいても部屋の中ははき集めるほどの粉じんが出る。こういうようなちりを飛ばしておきながら、一体内容が何が出てくるのか、これもやはり会社は単なる砂ぼこりだという一点ばり、そこでもって私たちが単なる砂ならばお金かけて分析するのももったいないことなんだが、あまりにも長い間にわたって地元民が迷惑しているということで分析を依頼した。そうしたら日本分析化学研究所の分析の結果は砒素が一八・九PPM、カドミウムが一一・五PPM、鉛が五三〇PPM、亜鉛が一一、四〇〇PPM、クロームが五五〇PPM、そのほかのものは、われわれが項目として依頼しなかったからわからないわけです。そういう結果が出たときに会社はどう説明したかといいますと、鉄、マグネシウム、クロームは少々出た、しかし、亜鉛、砒素、カドミウムは全く出るはずはない。特に砒素とカドミウムは出るはずはない、こういうふうに新聞に発表しました。そこで私たちもまたそうなると地元の人としては、一体会社の言うことがほんとうなのか、あるいは分析化学研究所で分析したものがほんとうなのかということで、当然これは問題になる。昭和八年以来初めて昭和電工塩尻工場から出てくる粉じんの内容がとにかく問題にされたのはこれが初めてなんですから、いままで数十年にわたってそれはただ知らぬ存ぜぬ、県へ何回行っても、県も知らぬ顔というような結果だったわけです。ところが、今度は「松塩よみうり」こういうローカル紙があるわけですね。このローカル紙に昭和電工塩尻労働組合の白木という人の名前で公明党が発表したそれには、疑問が多いということを五項目にわたって述べて、あるいは会社が否定しているところの砒素やカドミウムがどこから入ったかということについても三項目をあげまして、そうして特にここでは他の要因によって二次的に混入したのではないかという疑いを持たせます。さも取ったものをわざわざ砒素なりカドミウムをぶち込んで分析をしたのじゃなかろうかと言わぬばかりのことを発表していらっしゃる。あるいは組合としても第三者機関に分析を依頼したい、昭和電工中央研究所の分析機能は世界的レベルにあるというようなことを述べて、暗にわれわれの分析はあてにならないということを発表して書いておられる。こういう点について実際に私たちはまた同じ粉じん、それからその辺の土地の畑の土、それから特にこの辺はくだものの産地でもありますので、リンゴ、ナシ、ブドウ、そういうものを分析を依頼しましたその結果は、やはり粉じんは同じこと、カドミウムも砒素も、また亜鉛は特に多い。それからリンゴ、ナシ、ブドウ、こういうくだものにも、これは完全に水洗いをしてやったのですが、若干のそういう毒物が含まれて検出された、こういう結果が出ているわけです。こういう点について通産省は何か報告を受けておりますかどうかお尋ねします。
  48. 長橋尚

    説明員(長橋尚君) 昭和電工塩尻工場の粉じんにつきましては、先般先生現地で御視察いただきましたあとでございますけれども、通産省からも指示いたしまして、とりあえずの措置といたしまして、会社に周辺の屋根の上の粉じんを採取させました。一応分析をさせたわけでございます。御指摘のように、亜鉛につきましては、トタン屋根の関係で腐食した亜鉛が出ておったのかもしれませんが、万台の数字が出たわけでございます。なお、そのほか砒素、御指摘の砒素等の重金属につきましても、これはトタン屋根の場合とビニールハウスのビニールの上に積もっておった場合とではほぼ似た地点でございますが、数値がかなり違っておってちょっと判断に苦しんでおるのでございますけれども、そういう重金属についても検出されておることは事実でございます。その点は会社から最近報告ございまして、私どもも承知をいたしております。なおこの工場は、カーボランダムという、といしをつくっておるわけでございますが、原料が、ボーキサイト、硅石、それからアルミナ、あとはコークスというようなものが製造工程で使われておるおもな原料でございまして、これらの原料につきましてもいま精密な分析をとりあえず会社自身の手でしてみろというふうに話をいたしましてやらせておるところでございます。事実関係だけ私どもが現時点で承知しているものは以上の点でございます。
  49. 小平芳平

    ○小平芳平君 もう少しその会社から受けられた報告を詳しく述べていただければなおいいのですが、結論としては、会社は亜鉛、砒素、カドミは出ていないというのですが、しかし、私たちのほうでは亜鉛は最も多い、まあトタン屋根のせいもあります。トタン屋根のせいもありますが、日本全国至るところのトタン屋根にこういうようなたくさんの粉じんが、先ほど言いましたような一晩で掃き集めるほどの粉じんが全国至るところのトタン屋根に落ちているわけじゃないですよ。ですから全国どこのトタン屋根でも砒素、カドミ、亜鉛が、このように大量の砒素、カドミ、亜鉛あるいは鉛が落ちてきているとしたら、これは全国問題としてそれこそもう新しい問題の提起として受けとめて研究しなければならないと思うのですね。どこの家庭でもトタン屋根の家はいま多いわけですが、そういうトタン屋根の家では、亜鉛、鉛、カドミ、砒素をかぶって生活しているんだと、その粉じんを吸って生活しているのだということになれば全国的な問題になるわけです。しかし、私たちは、それはトタン屋根にそういうものが出る可能性は十分に承知して発表もいたしました。しかし、会社の報告によってもやはりこうした重金属、私のいま指摘する重金属は十分会社からも出ている、こういう結果ですか、結果としては。
  50. 莊清

    説明員(莊清君) 会社から報告のありました数字を御報告申し上げます。  屋根の上の粉じんでございますが、場所は辰野町というところでございまして、トタン屋根の上から取ったものでございますが、亜鉛が、これは先生の御指摘の数字より高いと思いますが二一、五〇〇PPM、それから砒素が二五・六PPM、鉛が七五〇PPM、カドミウムが九PPM、クロームが八五〇PPM、こういう報告を受けております。  少し答弁が先走って恐緒でございますけれども、先ほど申しましたとおり、大気中の重金属類につきましては、現在、大気汚染防止法は不備でございまして、規制がほとんどない状態でございます。これを制度改正いたしまして、いま御指摘のございましたような一般的な工場等から排出される重金属につきましても、やはり環境基準を定め、排出基準を早急にきめまして、厳密な規制を各県知事の権限でやっていただくということが、やはり非常に大切になっているということを通産省といたしましても痛感しておるものでございます。この工場につきましては、引き続き原料の中に含まれている重金属関係のものが、どういうものがどれくらいあるかというような精密な調査をやらせますし、環境等につきましても、さらに突っ込んだ調査が必要かと存じますけれども、こういう調査よりも、まず粉じんが出ないように早急に企業にやらせるということが、やはりこの場合持に必要なことだろうと私ども判断いたしております。その方策といたしましては、この工場の実情を考えますと、バックフィルターを大量に思い切って整備させるということが最も効果的じゃないかという判断でございまして、ことしの暮れまでにバックフィルターを少なくとも七基備えさせる。来年の暮れまでには合計二十四、五基つける。お金が七億くらいかかるようでございますが、こういうふうにいたしますと、現在野放し状態で、ほぼ出ておるかと思いますが、それが来年の夏時分で、大体集じん率が九〇%以上になるだろうと思いますし、来年の暮れにはほとんど粉じんが外に飛ばなくなるというようになろうかと存じます。こういう前向きの防止工事を思い切って早急にやらせるということをぜひ通産省が責任を持ちまして進めてまいりたい、かように考えております。
  51. 小平芳平

    ○小平芳平君 もう一点。いまのそれは調査よりも防止が第一だと、それは私たちも全く同感で、私たち調査するのも調査のためにやっているのでなくして、防止するためにやつているわけですが、いまのお述べの辰野町というところは、どこだか場所は実際上わからないわけです。要するに辰野町という町はありますが、十数キロ離れた、山を越えた向こうの町なんです。ですからどう考えても、そこの辰野町に昭和電工の粉じんがいくとは、われわれしろうとでも考えられないわけですが、桔梗ヶ原というのはありませんか。桔梗ヶ原という地名は、この周辺の地名ですが……。
  52. 莊清

    説明員(莊清君) 現地の地理をよく勉強してございませんので、まことに恐縮でございますけれども、辰野町のトタン屋根のあった住宅というのは、工場から約六キロくらい離れた地点というように報告を受けておるわけでございます。桔梗ヶ原につきましても調査をいたしておるようでございます。必要な数字をここでそれでは申し上げます。  桔梗ヶ原の調査でございますが、これは工場の北西約三百メートルの地点でございますが、亜鉛が一四、七〇〇PPM、以下数字だけを申し上げます。砒素が二六、鉛が六〇〇、カドミウムが一五、八、クロームが八八〇、いずれもPPMでございます。
  53. 占部秀男

    委員長占部秀男君) これにて午前の会議を終わります。午後は零時三十分まで休憩いたします。    午前十一時三十四分休憩      —————・—————    午後零時四十二分開会
  54. 占部秀男

    委員長占部秀男君) ただいまから公害対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  55. 内田善利

    内田善利君 最初に、いま問題になっておりますプラスチック製品の燃焼によって生じます塩素ガス及び塩化水素の被害問題について大臣にお伺いしたいと思いますが、具体的には、八月の一日高知県の須崎市で、農家から持ち込まれたビニールあるいはポリエチレンの焼却によって塩素ガスが発生して、子供たちをはじめ四十二名の被害者が出ております。その中で現在通院中の人あるいは病床に伏している人がおるということでございますが、さらにさかのぼりまして七月の二十二日、七月の二十四日には、宝塚市でこの塩化水素によると思われる被害が発生しております。宝塚小学校並びに付近の住民で、のどが痛いと訴えた人が五十九名、呼吸するときに胸が痛いと訴えた人が四十一名、せきが出たという人が三十三人、総計二百二十一名おりますが、発生源と思われる市の清掃センターから大体五百メーターぐらい下のほうにある宝塚中学校並びに付近の住民はさらにひどくて、のどが痛いと訴えた人が百九十二名、せきが出たという人が百七十八名、目がちかちかすると訴えた人が百六十二名など、総計六百二名の被害者が出ておりまして、小学生は八十八名、中学生が二百六名と、こういういたいけな子供たちも含まれておるわけですが、これに対して、大臣御存じのとおりに、塩素ガスというのは非常に刺激性が強くて、大量に吸えば心臓麻痺で死ぬというようなこともあるそうですが、第一次大戦では毒ガスとして使用されておりますし、ベトナム戦争でも使用されたという悲惨な結果を呈出しておりますが、このプラスチック製品の非常に激増が予想され、これからも、いろいろ言われておりますように、このプラスチック製品の被害が大きく発生してくるんじゃないかと予想されておるわけですが、公害担当大臣として、この塩素ガスあるいは塩化水素、あるいは工場等でもソーダ会社等は塩素を多量に出しておりますが、こういったものの排出規制について、あるいはこの公害についてどのように考えておられるか、お聞きしたいと思います。
  56. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 技術的な問題については通産省から答えてもらいますが、私はまず基本的な問題についてお答えをしておきたいと思います。  それは、私たちが生活上便利なものを求め続ける、あるいはまた、今日の中小企業、零細企業、商店街等にまで至るやはり待遇改善というようなことから、人件費の高騰によるあらゆる産業のコストプッシュ、そういう問題を打開するために、物価政策的な観点、あるいは、たとえば牛乳をとるならば酪農政策的な観点等から見ますと、中間経費というものをなるべく省略するワンウエー方式、あるいは使い捨ての生活というようなものを、今日までわれわれは非常に文化的な、あるいは便利な生活のように考えて推進をしてきたわけであります。そのようなことの率直な反省の上に立って考えますと、一体、それらのものがだんだん、だんだんふえていって、そしてそれを焼却もしくはその他の処理をするといった場合でも、焼却の場合には、ただいま言われたようなおそれが出てまいりますし、埋没もしくは海底投棄等いたしましても、たびたび申しておるようにくさらない、あるいは水底でへばりついて漁師の網にひっかかって漁量が少なくなる、あるいは腐乱するために魚の数が少なくなってしまう、海底の砂浜をおおってしまうという、そういうようないろんなことを私たち聞かされてまいりました。これから考えなければならないのは、そのような便利さを求めてきた、あるいはワンウエー方式というものがへなるほど反面においてはたいへん便利であり、あるいはまた中間の流通経費、人件費等の物価へのはね返りを防ぐために必要なる方式であることも認めるのになおやぶさかではないわけですけれども、その処理ということをどのようにするかということをはっきりと前提にしなければ——しないうちに、ただワンウエー方式というようなことだけでもって便利さだけを追求してはならないし、あるいは流通革命であると考えてはならないと私は思うわけです。アメリカのコカコーラが日本に上陸いたしましたときに、普通の卸、小売りという常識段階をぶち破って、直接原液の、びん詰め工場からトラックが続々と小売り店に乗り込んでまいります方式をとったときに、日本側としては流通革命みたいなふうに受けとってびっくりしたわけですけれども、当然、こういうようなものがガラスびんからプラスチックびんにかえることが可能であるわけですから、アメリカにおいてプラスチックでコカコーラを詰めるということがもう当然やられておっておかしくないですけれどもやっていない。そこらのところに、やはりそうした場合にどうなんだろうかという議論をしておるようであります。現に市町村の清掃組合関係の方々も、わが国において、すでに牛乳を全部プラスチックびんにかえられたらたまらない。おそらく生活環境廃棄物に占めるであろう比率等を考えるときに、現在の焼却炉そのもの自体の高熱に耐え得る限度を越えるし、あるいはただいま御指摘の有毒物質が燃えるときに排出される。それらのことから切りかえは反対だというような意見があります。私たちとしては、厚生大臣はすでに牛乳びんをプラスチックびんにかえるということについては、その回収ということを業界が責任を持つということでない限り認めないという方針を明らかにしておるようでありますが、一方、農林省あるいはまた昨年の物価対策閣僚協等においては、ワンウエー方式によってプラスチックびんにすることを、酪農関係についてもすすめるかのごとき印象を与えるような一方の方向もありますので、混乱をするといけませんから、対策本部のほうでこれに対して一応中に入りまして、農林省そして企業の製造業者、びんにしてもプラスチックにしても関係のあります通産省も相談に入ってもらいまして、よく関係省で相談をする機会を持ちたいという考えを持っておりますが、これはいつやるかについては、私のところの対策本部の事務の首脳部との打ち合わせをやったのがきのうでありますので、いつやるかについていま明言ができませんが、少なくとも、ただいまの御指摘のような事態について、今後長期的な展望をとってやるならやる。そしてやることについては、どういう措置がとられるのだからやっていいんだということを明らかにしたいと思うわけでございます。
  57. 内田善利

    内田善利君 この問題につきましては、いま長官からるるお伺いしまして、その姿勢がわかったわけですが、現在シャンプーの容器とか、化粧品の容器、こういうものにも使われておりますし、また合成木材、あるいは合成ゴム、あるいは合成紙、そういったものも現在使われておるわけですが、こういったものの使用について、あるいはまた、いま長官説明のとおり、ワン・ウエー方式のポリエチレンの容器等が、この容器等の申請が出ているわけですけれども、これについてはいま長官の姿勢でわかりましたが、こういった一連のプラスチック製品、こういったものについて、やはり将来ははっきりと規制すべきであると、このように思うわけですが、関係省庁と相談してきめるということでございますが、将来まあこういった方面のプラスチック製品は続々と開発されてくるんじゃないかと。まあ生活上の合理化、便利にするという点で、こういったものが、特に石油化学の開発とともにできてくると思いますが、やはりこういった新製品に対する姿勢も考えなければならないんじゃないかと、このように思いますが、もう一度この点についてお伺いしたいと思います。
  58. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これから先の問題も当然頭に置いて考えて対策を立てていかなければなりませんし、牛乳ビンを禁止したから、それで済んだんだというものではないと思います。ただいまはシャンプーその他の例がございましたが、これは毎日使い捨てるものでもありませんが、毎日戸ごとに配られて使い捨てられるように現状ではなっているヤクルト等はもうすでにプラスチックの小ビンになっているわけですから、牛乳だけは禁止してヤクルトはいいんだという、これはもうすでに許可してしまったのはしかたがないでは、これはやはり済まされない問題でありましょうし、一方においては、農林省等においてそれらの施設を援助し、あるいはこれは通産省も関係ありますね。その企業の機械その他については通産省等も関係を持ちながら連携を持って、今日までの行政の中では農林、通産ともにワン・ウエー方式を好ましきものとし、そしてそれらの企業の機械なり、これは輸入等のものもあるようでありますけれども、設備なりというようなものに対してむしろ援助してまいったという実績があることは否定できないわけです。そこで、これらのものをただいまストップさせること、そのことも関係業界にとっては重大な影響があることになりましょうが、しかし、やはり今日の時点においては、特定の産業に重大な影響があるからといって、この検討をなおざりにするわけにいかない。やはり自分たちのやってきたことが、ひょっとしたら間違っていたんじゃないかというならば、間違っていない方向に直すことに国家の意思をもって努力しなければならぬと思いますので、ただいま仰せられたように、これから先の問題も十分考えますし、すでに出回っておるもの、あるいは企業としてもう設備を終わって、直ちにそういうプラスチック化が進もうとしておるもの、これらの問題の現実処理も考えてまいりたいと思います。他方においては、新しく今国会に提出を予定しております廃棄物等を含めた広い意味の広域清掃法的な法律の中において科学技術の革新等による新しい焼却炉等も、もちろん先行するわけでありますが、広域清掃的なものでもって、一市町村段階ではもう処理し切れない、このようなものについて、新しい生活環境廃棄物についての概念を盛り込んで具体策を立ててまいるつもりであります。
  59. 内田善利

    内田善利君 よくわかりました。そこで、通産省にお聞きしたいと思いますけれども、こういうプラスチック製品を焼却して、塩素あるいは塩化水素が発生したわけですが、工場等からこのような塩素、あるいは塩化水素を発生するような工場があるかどうか、この辺をお聞きしたいと思います。もしあればその辺の規制は考えられておるかどうか。
  60. 柴崎芳三

    説明員(柴崎芳三君) 工場等から塩化物関係のガスを排出するものは相当多数ございます。で、ただいまどういう業種でどういう形かはちょっとリストを持ち合わしておりませんので、直ちに取り寄せたいと思いますが、現在の法体系では、これは有害特定物質に指定されておりまして、事故時の措置は法的に規制対象になっておるわけでございますが、常時規制になっておりません。したがいまして、今回の大気汚染防止法の改正の段階におきましては、塩化物だけではなくて、硫化物、弗化物等も含めまして、常時規制の対象としてはっきり、たとえばSO2とか、あるいは一酸化炭素で常時規制をやっておりますと同じような体系で今後は取り上げていこうということで、現在大気汚染防止法の改正を検討中でございます。
  61. 内田善利

    内田善利君 次に洞海湾のことについて、先ほど小野委員からお話がありましたが、十月の二十九日でしたか三十日でしたか、経企庁からいままで伏せられておりましたデータが発表になったわけですけれども、この中に砒素が入っておりませんが、これはどういうわけなのか。
  62. 西川喬

    説明員西川喬君) いままでの調査結果、正式にといいますか、今回企画庁といたしましてあらためて公表したということはございませんが、審議会におきまして排水基準を決定いたしたことに伴いまして、いままでのデータが出たんではないかと、もし先生がおっしゃいますようならばそういうことはないかと存じますが、砒素につきましては、前々からもこの委員会でもお答え申し上げておりますように、今回の水質基準設定になりますための四十四年度調査におきましては調査いたしておりませんで、そのために、今年度補足調査として砒素を調査するように県のほうに委託しておるわけでございます。まだその結果については私ども手元に、今年度調査の結果につきまして手元に参っておりません。しかし、今年度調査いたしました分につきましては、すでに調査の公表ルールを定めて通達で出してございますから、県のほうが調査しました結果を解析いたしまして、企画庁に報告をいたしましたときには同時に公表してよろしいということになっておりますので、企画庁に報告を提出いたしましたときには、地元のほうで、県のほうで発表することになろうか、このように存じております。
  63. 内田善利

    内田善利君 十月二十九日だったか三十日だったか、昨年の六月二十四日から七月の十五日まで、これは第一回ですね。第二回が九月二日から九月十二日まで取られた分ですが、これを十月三十日の新聞発表で知ったわけですけれども、この中にはクロームとかカドミウムとか、小さい部分についてやってありますが、二十二工場、七十一排水口でやられた分ですがね、これが調査対象として砒素は入っておりません。しかし、前から砒素は排出該当工場はないということで、砒素は発表にならなかったと思っているんですけれども、この砒素について、調査をしないで排水基準がきまるのだろうかと、そう思ったんですが、新聞には、今月の上旬には洞海湾地域指定をして水質基準をきめるというふうになっておりますけれども洞海湾地域指定、水質基準の設定はいつの予定か、お聞きしたい。
  64. 西川喬

    説明員西川喬君) まず最初の砒素の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、昨年度調査におきましては砒素を調査いたしておりませんでしたので、今年度あらためて砒素について調査をしているわけでございます。砒素につきましては、御承知のように、健康項目でございますので、もう指定水域になりましたところは一応全国一律の基準をかけてございます。それでございますから、洞海湾につきましても、八月一日の告示によりまして、奥洞海につきましてはすでに砒素がかかっております。それで、今回近く指定になります響灘も含めました洞海湾全水域につきましても、当然砒素も全部一律の基準排水が規制されることになります。もし今年度調査によりまして、全国一律の基準値をもってしてもなおかつ環境基準が守り得ないというような結果が出てまいりましたならば、この砒素の分につきましてはさらに排水規制値をきびしくするという措置をとりたい。現実洞海湾につきましては、シアンにつきまして全国一律の規制値によりましては環境基準を守り得ないということが昨年度調査ではっきりしておりましたものですから、シアンだけは、すでに今度近く告示する規制値におきましては全国一律基準値よりもきびしくいたしております。砒素につきましても、今年度調査結果によりまして必要があればそのような措置をとりたい。一応当面の段階といたしましては、全国一律の規制値をかけることにいたしております。洞海湾につきましては、すでに水質審議会答申も得まして、近く告示の予定で現在すでに告示の手続をとっているところでございます。
  65. 内田善利

    内田善利君 八月の十四、五日に福岡県議会の要請によりまして四工場が自発的に報告をしたわけですね。その報告内容とこの経企庁の発表と非常にズレがあるわけですね。たとえば三菱化成の黒崎工事の東側のシアンにいたしまして〇・七四から八八〇PPM、〇・二二から二・三OPPM、ところが工場の発表では〇・二から〇・七、カドミウムにしましてもこれは西側ですが、この発表は一・八四ないし〇・二三、ところが工場の自発的な発表は、県会で発表されたわけですが、〇・〇七から〇・一と非常に大差があるように思うわけです。私は、この分析結果についてどうこう言うわけではありませんが、あるいはもう一つ例をあげますと、大牟田ですけれども、大牟田の場合は、十一月一日に水質保全法によって水質基準が設定されて、排出基準が適用になったのが五社六工場なんですが、これももうすでに一年になったわけですけれども、第一回の合同調査では全部基準が守られていない。その結果は全部基準を上回って、たとえば東圧化学の大牟田化学工業所でM、あるいは鉛にいたしましても、三井金属の三池製煉所では二・四九PPM、そういう非常に全部をPHにしましても五・八から八・六までが基準ですが、PHが八・九、あるいは現行基準のほうにしましても、トータル水銀にしましてもみんな上回っておる。こういうことでは、せっかく近いうちに洞海湾水質基準の設定がされるわけですけれども、そのあとの常時監視体制、あるいはそのあとどうしてこの基準を守っていくか。そういった点がいままでの基準設定後の状況を見てもどうしても企業のモラルが疑わしい。まだありますけれども例をあげれば。そういうふうに、どこが監視すべきか、いままで罰則もありませんのでこういうふうになったのかと思いますが、公害罪も今度法案として出るようですけれども、こういった点についてどのように考え、どのように規制し、どのように監視していく予定なのか。その辺、長官並びに通産省のほうにお伺いしたいと思います。   〔委員長退席・理事小野明君着席〕
  66. 柴崎芳三

    説明員(柴崎芳三君) ただいま先生御指摘いただきました基準設定後のアフタケアにつきまして、従来、非常に不備な点があり、われわれとしてもその点を深刻に反省しておるわけでございますが、現在の監視体制は、御承知のように、十一月一日からは全部都道府県知事にすべての業種について、監視、監督の権限が移っておるわけでございまして、県とこの点では十分打ち合わせの上、その監視体制の強化につきまして、現在いろいろ対策を講じておる段階でございますが、もちろん通産省といたしましても、そういった権限の問題で免責されるということは全然考えておりませんで、所管業種の範囲内におきまして、県と協力してさらに監視体制を強化してまいりたいという考え方でございます。で、現在、企画庁で御検討になっております新しい水質汚濁防止法の中には、いわゆる直罰主義というような考え方も導入されるやに聞いておるわけでございますが、この直罰主義で施設が基準に合わない場合には、直ちに罰則がかかるというような、非常にきつい体制にまで持っていくということは、通産省といたしましても、全く同意見でございまして、そういう形で監視体制を固めていくことによりまして、御指摘のような現象は今後は急速に改善できるというぐあいに確信しておる次第でございます。
  67. 内田善利

    内田善利君 この公害防止につきましては、やはりどうしても発生源対策というのが、一番重要じゃないか。出しさえしなければ公害は起こらないわけであります。発生源対策については、やはり出さないような技術開発ですね、これが一番大事じゃないかと思います。いままで高度経済成長ということで、利潤追求ということで、技術もその方面に全力をあげてこられたのじゃないかと思いますが、やはり公害防止についても、日本の優秀な技術をもってすれば、ゼロとまではいかなくても、国民の健康を害しない程度には日本の技術陣ができるのじゃないか、そのように思うわけです。しかしながら、基準が設定されてもあとはやはり同じことだ、洞海湾のメチル水銀にいたしましても、私たち調査では海水の中から発見されております。メチル水銀の基準が設定されたのは、もう以前のことであります。それでもやはり出てくる。砒素にしても、シァンにしても有毒物質です。凝集すれば何百人、何億人というような人が死ぬようなシアンあるいは砒素というものが洞海湾に排出されておる。拡散されて薄くなっているようなものだからいいようなものの、これではやはり公害が起こるのは当然だと、このように考えるわけです。砒素も該当工場がないから調査しないということがありましたし、その後砒素については調査もされてない。昨年一回やった調査にも砒素が入っていない、こういうことで、はなはだ私は遺憾に思うわけですが、洞海湾基準設定がなされるにあたって、今後の監視体制についてもひとつ十分やっていただきたいと、いま県に十一月一日から委譲されたということですけれども、いま県にはそういった力がないと思うんです。技術陣にしてもあるいは分析検討する技術者にしてもあるいは人数にしても、そういう力がないし、財政的にも力がない、そういうことで、財政的な援助はもちろんのこと、技術陣の援助等やらなければ、県に委譲しても、またあるいは大会社、大企業になりますと、県以上の力を持っておるようなところもあるように思いますし、この点十分監視していかなければならない、このように思いますが、この点いかがでしょうか。
  68. 柴崎芳三

    説明員(柴崎芳三君) まず第一に技術開発の問題でございますが、特に化学工業関係におきましては、技術が日進月歩という状態でございまして、その過程におきまして最も生産の効率性が高く最も有利な製品ができるような技術にいままで努力が集中されておりまして、その結果排出される水なり、あるいは大気にどういう影響があるかという点についての考慮が足りなかった点は、われわれもこれは率直に認めざるを得ないと思うわけでございますが、現在公害の規制面におきまして非常に厳重な体制がとられるに従いまして、技術開発そのものの目的の中に、公害に関係のない技術の開発というような意識が生まれておることも事実でございます。そういった観点からの技術開発を通産省は工業技術院を中心にいたしまして大々的に行ない、かつ業界を指導してまいりたいという考え方でございます。  それから監視体制につきまして、特に御指摘の洞海湾あるいは大牟田川につきましては、通産局、あるいは県、それから市、これは北九州市と大牟田市にそれぞれ分かれますが、そういった三者、あるいは四者の協議会というものを以前からつくりまして、この協議会を中心にいたしまして常時現象の推移に従って柔軟な対応体制をとって監視を続けていこうということを考えておるわけでございます。この組織も、最近におきましてはいろいろの動き方についても非常に機動性を持ってまいるようになっておりますので、今後もこの協議会を中心にした監視体制ということを強力に推し進めながら、先生御指摘のような現象をできるだけ早い時期に防除したいかように考えております。
  69. 西川喬

    説明員西川喬君) 企画庁のほうでも、水質法濁防止法の草案の関係でちょっと補足させていただきますが、先生のおっしゃいました監視体制という問題でございますが、監視体制につきましては二つあろうかと存じます。その一つは、流水中の監視体制、環境基準が守られているかどうか、この分の監視体制。もう一つは、直接排水口のいわゆる監督に類するところの監視、こういう二点の問題があろうかと存じます。従来の行き方といたしますと、流水中の環境基準が守られているかどうかということに対します監視体制というものが非常に組織的に不備であったわけでございます。現在検討いたしております草案におきましては、環境基準の監視体制といたしましては、地方の審議会におきまして、そこの公共用水域につきましての監視の調整計画、これを調整計画と名づけましたのは、いろいろなところが全部総力をあげて、それぞれの所管、たとえば河川管理者、あるいは港湾管理者、それから水産庁関係、あるいは上水道の関係、そのような関係者が一致してこの環境基準の達成状況を常に把握しておこう、そのためには地点がダブってもおかしゅうございますし、それから測定方法が食い違ってもいけないわけでございますので、そのようなものを全部まとめまして一つの計画につくりまして、それに基づいてそれぞれが分担いたしまして環境基準の監視体制をつくる。その環境基準がもし守られていないというような状況があれば、直ちにその結果に基づきまして対策を講じなければいけないわけでございます。これがまあ地域別におきましては、いま通産省のほうから話がありましたように、協議会等設けてすでに発足しているところもございますが、これを法的な根拠を与えまして、はっきりした体制にいたしたい、このように考えているわけでございます。排出口の監視につきましては、これは十一月一日からすでに工排法の権限が全面的に県に委譲になったわけでございますが、新しい法律におきましては、完全に都道府県知事の権限といたしまして排出口の監視を行なうということになっております。それにつきまして能力不足という問題があろうかと存じますが、確かに県によりまして非常に力の備わっている県、不十分な県等ございます。それにつきましては各関係機関、あるいはその環境基準の監視体制の中に入っていきますような国の機関等におきましても、勧告権、都道府県知事に対します勧告その他の行政権がございます。そういうものを活用いたしまして、行政指導と申しますか、国のほうも協力いたしまして、この監督のほうも十分に県が行なえるようにバックアップしてまいりたい。このように考えている次第でございます。
  70. 内田善利

    内田善利君 最後にお聞きしたいと思いますが、たとえばシアンですね。シアンは経企庁調査では、新日鉄の八幡製造所で二五PPM、三原金属工業では一一・四PPM、新日鉄化学では一〇・三PPM、三菱化成黒崎工場では八・八〇PPMと、排出基準は〇・五PPMにされたわけですが、非常に開きがあるわけですね。そうして即日発効。ほかの項目は六カ月とか一年半とかなっておりますが、シアンはやはり有毒なために〇・五PPMで、しかも即日発効ということですが、これを可能と考えられるのかどうか、いままでのいろいろな事実から、はたして企業はこれを順守できるのかどうか、守れるのかどうかと疑うわけです。そうしてAランクとBランク、Cランクとありますが、ほんとうにきたない洞海湾で快的にボートがこげるようになる見込みを持っておられるのかどうか。ここの点、最後にお聞きして終わりたいと思います。
  71. 西川喬

    説明員西川喬君) その公表と申しますか、いま先生がおっしゃいました数字でございますが、先ほどのカドミウムも同じでございますが、これらはすべて四十四年の調査でございます。それで、この調査結果によりまして、いわゆる微量重金属関係、そういう当時まだわれわれがこの微量重金属につきましての基準を確定しておらなかったわけでございますが、念頭に置いておりました数字から見ますと、相当に高しということで、四十四年の調査結果がわかりました以降におきまして、通産省において相当強力な行政指導をいたしております。その結果、すでに先ほどもカドミウムの最近の工場の報告の数字があったわけでございますけれども、昨年のような、このような数字の濃度のものは各工場とも出しておりません。すでに基準の設定以前において改善が行なわれております。それらの改善の結果も踏まえまして、私どもといたしましては、微量重金属につきましては、これは健康にかかわるものとしては常にどこの水域におきましても猶予期間を置かずに即日実施。全般的にはすでに指定水域におきましても県条例をもってやってほしいという通達を全国的に流しているわけでございますから、この健康項目に関しまする限りは、指定水域になったらとたんに基準がかかったという観念ではおかしいわけでございまして、当然洞海湾のシアンの場合につきましては、従来の一律基準一PPMを〇・五PPMと半減しているわけでございますが、通産省のほうにおきましても、だいじょうぶ、確保し得るように努力する、このような話でございますので、〇・五PPMと。正直なところを申し上げますと、やはり一PPMを〇・五に下げるということにおきまして、即日可能かどうかということには問題があるわけでございますが、これは姿勢といたしまして、健康項目でございますのであくまで即日適用、そういうことになりまして、やはり現行法によります改善命令というものを活用することによって、改善命令を出してもらいまして、その期間中に改善していただくというような行政上の運用はあろうかと思いますが、できる限り早い機会にこの基準を守っていただきまして、環境基準を確保できるようにいたしたい、このような方向に行政は動いていこうかと、このように考えております。
  72. 柴崎芳三

    説明員(柴崎芳三君) 非常にきつい基準が定められたことは事実でございますが、結論から申しますと、通産省といたしましては、この基準を守らせる万全の対策をすでに講じておりまして、企業はこの数値以下の排出しか出していないということははっきりここで御報告いたしたいと思います。当委員会で八月、小野先生から御指摘されまして、われわれとしては、直ちに工場に立ち入り検査その他やりまして、その九月の段階におきましてすでにこの数値はほぼ守られておったという調査結果が出ておるわけでございますが、   〔理事小野明君退席、委員長着席〕 もちろん対策といたしましては応急対策と恒久対策とございまして、告示の日から直ちに適用されるこの基準は、さしあたり応急対策でやる以外にないわけでございまして、その応急対策について万全の措置を講じておりますのと同時に、恒久対策といたしましては、特に三菱化成、新日鉄化学、新日鉄、三島興産、三原金属というシアンを大量に出しておりました工場に対しましては、活性汚泥法を中心にいたしまして、その他凝集沈でんとかあるいはオイルセパレーターとかいろいろ、シアンの対策として最も効果のある技術をそれぞれの会社に十分検討させまして、そういった設備の建設も現在相当進捗しておるというのが実情でございます。
  73. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 内田さん、これまだきめてないんですけれどもね、都道府県の職員の監視、測定の権限委譲に伴ってその能力の問題があるわけなんです。これ各省それぞれ現実には短時間もしくは短期間、厚生省がやや一定期間の研修等をしておるようでありますけれども、ばらばらではいきませんので、ただいまは公害対策本部長である総理の意向もございますので、現在の私たち対策本部の機構あるいは内定しておりますデータバンク、これだけにとどまらず、もっと前進したものを国として機構として持つべきではないだろうか。これは単に行政機構ばかりでございませんで、その前の研究機関という問題でございますが、そのようなことと関連をして地方の職員の研修というものもやはり国が権威ある中央の機関でもって、一カ所で相当な期間をかけて行政執行者としては相当な権能を発揮できる能力を付与できるような制度をつくってみたい、これは研究中でございまして、立法措置が要るかどうかも疑問でありますが、まだ結論を得ておりませんけれども、問題はいまおっしゃいましたような個々のこまかい問題をどう運営するか、ことに権限を地方に委譲していく段階において十分配慮していかたければならない問題でございますので、直接の御質問にはないわけでございますけれども、そのようなことを現在研究中でございますので、なるべくそういう方向に結論が出るように努力して、地方自治体の職員の皆さまに権限のみ付与された、能力これが補うに値しないというようなことのないように努力していくつもりでございます。
  74. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 やがて公害基本法の討議などは臨時国会でいろいろ討議されると思いますから、私たちもそれに対してはいろいろ考えをまとめておりますが、きょうはそういう問題には触れないで、大気汚染の問題にしぼって質問をいたしたいと思います。  まず第一に質問いたしたいのは、亜硫酸ガスの総排出量の中に占める火力発電所の比重、言いかえれば汚染寄与率が一体どのくらいになっているか教えていただきたい。
  75. 柴崎芳三

    説明員(柴崎芳三君) いわゆる汚染寄与率は地域によってだいぶ違うわけでございますが、重油の消費量という点から見ますと、昭和四十三年度の国内の重油の消費量はトータルとして約七千七百万キロリッターでございますが、そのうち電気事業で使っておりますのが約二千百七十八万キロリッターということで、したがって約八分の二、すなわち四分の一程度が電力で使われておる重油でございます。ただ電力で使われております重油の中のS分は一般の重油の平均的なS分よりも低いという傾向がございますので、亜硫酸ガスの汚染の寄与率としてはこの比率よりも若干低くなるというのが全国的な平均値であろうかと思います。さらに代表的な地区で申し上げますと、横浜、川崎地区の四十二年度の実績をとってみますと、全体のSO2の量が一万四千立米・パー・アワー、それに対しまして電力を中心にいたしました排出量は約五千三百立方メートル・パー・アワーということになっております。大阪で見ますとこれが約全体が二万立方メートル・パー・アワーに対しまして一万二千四百立方メートル・パー・アワー、それから新しいコンビナートの鹿島地区で見ますと、一万九千八百の中で一万一千三百というようなことになっておりまして、それぞれ地区によって相当開きがあるというのが実情でございます。
  76. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、何ですか、あなたはことしの十月九日参議院の公害委員会で、大体コンビナートを形成する工業地帯のSO2の総排出量の中に占める火力発電所のウエートは大体六〇ないし七〇で寄与率が非常に大きいという答弁をしていらっしゃるが、それ、そうでございますね。
  77. 柴崎芳三

    説明員(柴崎芳三君) そのときの答弁は、私思い返してみますと、主たるコンビナート地区というようなことでたとえば頭に描きましたのが川崎、横浜地区あるいは尼崎、堺地区、あるいは千葉地区というようなところでございまして、この辺になりますと、大体ただいま先生御指摘のような比率になっておるわけでございます。
  78. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃちょっと個々に尋ねますが、一体東京ではどういうふうになっていますか。大阪の堺地区ではどうなっておるか。堺地区はいまあなたがおっしゃったように六三%くらいになりますね、大体。私計算したらそうなりますが、それから三重県の尾鷲などではどういうふうになっておりますか。
  79. 柴崎芳三

    説明員(柴崎芳三君) 尾鷲はおそらく存在しておる工場が電力以外はほとんどないわけでございますので、SO2の総量の中に占める比率は非常に高くなっておると思います。ただそれと地上の着地濃度との関係はおのずから別でございまして、着地の濃度は非常に低いというような関連であろうかと思いますが、詳細のデータただいま持ち合わせておりませんので、先生から御要望がございますればすぐ取り寄せたいと思います。
  80. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 さっきあなたがお答えになりました大阪・堺地区のいわゆる汚染寄与率はこれは着地の率でございましょう。
  81. 柴崎芳三

    説明員(柴崎芳三君) これはSO2の排出ガス量でございまして、着地ではございません。
  82. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この総排出量と着地の比率はどのぐらいになるんですか。
  83. 柴崎芳三

    説明員(柴崎芳三君) 排出量と着地の関係でございますが、これもその地域の地形の条件、気象の条件あるいは煙突の高さその他いろいろのファクターがかみ合わさりまして現実の着地濃度ということになって出てまいりますので、一がいに排出量と着地濃度との関係は決定できないかと思います。
  84. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いや、そういう答えでなく、私は個々に具体的に質問しているんですから。東京はそれじゃ排出量がどれだけで着地濃度がどれだけだと、それから大阪・堺地区はどうだと、それから三重県の尾鷲はどうだというふうに答えていただきたいと思うんですね。
  85. 柴崎芳三

    説明員(柴崎芳三君) ただいまの関連もその地域によりましては詳細なデータがございますので、直ちに取り寄せまして御報告申し上げたいと思います。
  86. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 現在大気汚染における基盤となっている物質は亜硫酸ガスとされておりますね。この亜硫酸ガスの汚染源の最も大きなものが火力発電所だということは、あんたも先ほど答えて過半数がそうだというような御答弁だったと思うんですが、現在発電能力の統計によりますと、すでに火力が二千五百万キロワット、水力が一千百万キロワット、こういうふうに火力の比重が非常に大きくなってきておりますね。それからこれがもっと年がたちますと、今日非常に電力の利用率が多くなってまいりますが、都市におきますエネルギー消費の約七割が火力発電で供給されておると、こういうことが言えると思うんですよ。四十三年の統計では六六・五%と、こういうふうになっておりますね。それから五十年では七三%見込まれておる。すなわちその一地方の亜硫酸ガスの発生源の過半数が火力発電所によるものだと、こういうように私は考えてよいと思うんですがね、どうでしょうか。
  87. 柴崎芳三

    説明員(柴崎芳三君) 全体的な傾向といたしましては、先生御指摘のとおりだと思います。
  88. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、今後もますます火力発電による大気汚染というのはふえてくると、こういう傾向にあると私は思うのですね、いまの数字から見ましても。そういうことにならざるを得ないのです。電力の使用量がどんどんふえてくる。そうして電力の中で火力発電の占める率が多くなってくるのですから。したがって、火力発電から出る亜硫酸ガスの量というものは多くなる、こう言わなければならぬと思うのですね。それは確かなことだと思います。そこでこのように火力発電の占める率が多くなる。またそこから出てくる亜硫酸ガスの量が多くなってきて、火力発電から出る亜硫酸ガスのいわゆる汚染寄与率というものがどんどん高まっていく傾向にあると言わなければならぬと思うのですね。三重県の尾鷲などは、あなた、さっきおっしゃいましたが、ほかに何もない、あそこは火力発電所だけでしょう、亜硫酸ガスを出すのは。一〇〇%です、あそこの汚染寄与率というものは。それほどいま火力発電というものが大気汚染の元凶だということはこれで私ははっきりすると思うのですが、それでもうひとつ質問をしますが、関西電力尼崎ですね、県、市との約束を破って操業を行なっている。このことは私前の委員会におきましても述べているわけですが、地方自治体は火力発電所に対して、何ら規制権限がないためにどうしようもない、こういうふうに兵庫県でも、尼崎市でも言っているわけです。このような場合に、地方自治体に火力発電所のばい煙発生施設の改善命令、停止命令等の規制権限があれば、私は効果的な措置をとることができると思います。一般工場と同様、火力発電所についても規制権限を地方自治体に委譲することは必要だと私は考えますが、政府の考えはどうなんですか。
  89. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 公害問題で対策本部をつくりまして、担当大臣として一貫してとってまいりました姿勢は、それらの環境汚染という問題を中心にして考える場合に、一番身近な責任者である都道府県知事に全幅の信頼を置いて、日常の監視、測定、規制等の権限まで含めて、全部委譲すべき姿勢が原則である旨を繰り返して述べてまいりました。ただ一つだけ大気汚染防止法に関連いたします、ことに電気事業でございますが、これについて都道府県知事に全面的に委譲をするということについては、若干の事柄の本質が違うということで、初めから仕分けして話を申し上げてまいったところであります。あらためてまた申し上げますと、電力というのは広域供給という形で成り立っておりますし、電気ガスというものがついてない宅地造成でつくられた家にはだれも入り手がないということでわかりますように、逆に言うと、電気ガスというのは日常生活で生きている状態の場合における血液に近い状態を一般家庭に供給するという役目を負っている、すなわち公的な責任も非常に高いというふうに考えるわけであります。それだけに環境汚染に、それらの公共機関が、発生源者である事態をすみやかに改善し、なくなることに努力する義務も負うわけでありますが、そのような立場から考えますと、知事さんが常時監視、あるいは測定等をしていただく、立ち入り検査もしていただくことは当然のことでございますが、さていよいよそれを、じゃあ一定期間操業停止をやるとかというようなことを決定をいたします際は、どうしてもそれらの発電所等によって供給される地域の人々の当然受ける、今日では権利に近い生活の中の電気というものが、知事さんの判断によって、それがストップされるということは非常に問題があろうというふうに考えまして、やはりこれは広域供給の責任者は国であって、所轄大臣の通産大臣でございますが、そのためには初めの申請があったときも、届け出があったときも、まず知事さんにその旨を知らせて、相談をするようにしてもらう。そうして、さらに知事さんが常時立ち入り、あるいは監視等をされて、知事の立場において環境汚染によって重大な状態にあるということで改善命令、もしくは操業停止等の命令が必要であると判断された場合は、その要請を国に対してされる、その要請を受けたら直ちに通産大臣はその要請を受けて、どういうふうにしたか、あるいは知事さんのおっしゃることがもっともであった場合には、その工場を一ヵ月間操業停止させる、操業停止する間は、あるいはむしろ操業停止に入った瞬間と言っていいでありましょうが、よその電力会社、もしくはよその発電所からの電力を回りの地域住民に遅滞なくつないで供給していくという、また供給面の責任も果たすということを、やはり通産大臣が持っている必要があるだろうというふうに考えたわけであります。一部今日までの議論の過程で、関係閣僚の中で通産省という立場で、通産大臣と私との間に意見の食い違いがあったように伝えられた点もないではないわけでありますが、これは意見の食い違いではございませんで、私もそういうふうに考えておりましたので、担当大臣としてその点がやはり間違いであったという御批判があるならば、私が受けるべきものであると考えておるわけであります。
  90. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 山中大臣公害防止上あるいは権限を地方自治体に譲り渡すことは、譲渡することは問題があるのだ。だから大臣、国が握っていなければならぬという御意見ですがね。私は逆に公害防止は地方自治体に権限があるのはよいことだというふうに考えておるのですね。一例を申しますならば、最近の例いわゆる日本鋼管京浜製鉄所の扇島移転の問題ですね。それから川崎製鉄千葉製鉄所の移転問題など地方自治体に用地などの問題である権限があるわけですね。そのために大企業と交渉して一定の汚染防止の対策をとらしておる。川崎なんかでも鋼管の扇島移転に最高〇・〇一二PPMと、こういうふうに交渉して下げさしておるわけですね。国がきめておる基準よりもずっと低い基準に下げさす。これは地方自治体に権限があるからこういうことが私はできると思うのですね。規制権限がなければこういうこともあなたのおっしゃるようなこと、私はできないと思うのですね。だからこういう工場にはこういうふうに地方自治体に一つの規制権限があるからこういうふうに国民に立って有利なように規制をしていくことが私はできると思うのですね、交渉の中で。だから火力発電所についても私は同様のことが言えると思う。何も火力発電所だけ政府が心配をなさる必要は毛頭ない、火力発電所も同じように地方自治体に権限を委譲すべきだ、こういうふうに私は考えるのですが、どうですか。
  91. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) その前段は私も賛成なんです。前段は賛成で、そういうふうにあることが望ましい。そして地域住民の合意というものが了解し得る範囲で責任ある公益自治体の長である知事がそれをまとめていかれるということが最も望ましいことだと思っております。ただ、電気事業法というものによって国が広域供給の責任を持つ、たとえば九電力に分割してあるとしても、一つの電力が夏季の渇水期の異常な電力需用の危機におちいった場合に、その供給面については他の電力会社が総合的な協力供給をやるわけですね。そういう意味においてやはり事業所をつくる場合、そういうものは知事さんが反対されたら当然現実においてできなくなることはもう銚子の東京電力の例をもっても明らかでありますから、そのことの現実問題は別として、たてまえ上はやはり操業停止を命ずるというような場合等については通産大臣が停止をした場合においてかわりに電力はどのような供給計画を立てられ得るかというような問題を十分国の立場において判断をして、知事の要請にこたえる努力をするということのほうがあまりぎくしゃくしないでいけるのじゃないか。知事の判断だけで局地でとめられるということだけでは、通産大臣はあとでその通知でもするということになりますか、通知せぬでも、とめたということはすぐわかるわけですけれども、あわてて隣の電力会社に供給をかわって頼むということにしましても、やはりそこに今日の住民の生活と電力の関係というものの密接な関係から考えますと、円滑な操作が行なわれなければならないというだけのことでございまして、全然まさか通産省だってこの新しい大気汚染防止法の中で今日まで完全に十項目にわたる適用除外の対象となっておりました電気ガス事業法というものが今回は常時観測も立ち入り検査も知事さんのほうに渡っていきますし、届け出があったら知事さんに知らせなければなりませんし、あるいは知事さんが要請されたら、それに対し、どういうことを自分がしたかを国の責任において大臣が答えなければならない。このことをもって、電力会社のために通産省が防止し得たなんてばかなことを私は考えていないと思います。そういう意味で、今回のこの電気ガス事業法に関するものだけについて、ただ企業操業を停止するとかという場合についてのみ、通産大臣要請を受けるという形をとったというまさに例外として、基本姿勢をまげるものではないのだというふうに受け取ってほしいのでございますけれども、あるいはだめかもしれません、それは……。
  92. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 時間が非常に少なくて——。それでは政府は規制権限は委譲しない、こういうふうにおっしゃっていますがね、では政府は火力発電所について、さきの例で地方自治体がやっているような、企業に対してきびしい要求を出す姿勢でいかれるのかどうかということ。もう一つは、排出基準にかなえばどんな問題があろうと認めていくのだというようなことですが、結局それでは現状のままということになっていくような感じがするのですね。今度の法改正におきましても、新たにどのような規制を政府はやるのか。ほとんど何もやろうということにはならないと私は思うのですが、今後も政府は企業に対するきびしい要求を出す姿勢でいくのかどうかという点をひとつはっきり伺っておきたいと思いますね。
  93. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 姿勢並びに方向はそのとおりでございます。かといって、現実には現在の法律のもとでも先ほど例をあげましたけれども、電力会社の立地ができない、発電所の立地ができないというのは現実の問題であります。国全体で見ましても、来年はここ七、八年考えられなかった電力の供給面における危機がやってきそうな状態にあるわけです。需用が、非常なウナギ登りの傾向が一貫して続いております中で、供給が停滞をしていくわけでありますから、それらの停滞のほとんどの要因が、問題はこの低硫黄重油を確保した公害の少ない企業としての発電のあり方、さらに新しい需用に応ずるための新規の発電所の立地をきめる際の地元住民との公害論争というような問題によって大幅に見通しをおくらせつつある、そのことはすでにまた今度供給を受ける国民の側が、来年はひょっとしたらクーラー等を自粛するとかというようなことにまず官庁等が率先してやらなければならないかもしれない。そういうようなことをやはりこれは考えていかなければならない時代がきておるわけでありますので、姿勢としては公害の立場からあくまでも優先すべきはわれわれの環境であり生命でありますから、その姿勢も方向も一貫しておりますが、ただ電力についてそのような慎重な配慮を払ってまいらなければならないということを申し上げておるわけでございます。しかし、ローカルの場所において、それぞれの知事さんなり市長さんなりとの間において、法的な権限規制あるいは法的な権力というものを背景にしないでも、そこに工場をつくらせるか、つくらせないかという話し合いの場において、十分きびしい条件ならばのむ、きびしくない条件ならば自分たちはそこにつくらせないという意味の相互に納得し合ったところの話し合いができれば、これはもう国の基準を上回った話し合いの結果じゃない限りにおいて、これはあり得ないことでありますけれども、私たちとしては、話し合いによってできる基準というものはたいへんけっこうである。できれば私たちは無公害の、電力会社を含めた世の中というものを胸に、理想としては描いておるわけでありますから、その意味において、地域において円満な話し合いのもとにおいて締結することについては今後とも大いに歓迎するものでございます。
  94. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 山中さんの話を聞いておりますと、やはり従来どおりもちろん私たちも電力の需用が多くなるということも承知しておりますし、電力は重要だということは知っておるのですよ。しかし、人民の健康か第一かということになると、私たちやはり電力の需用が幾ら高まっても人民の健康を害してまでやっていくべきでないというのがわれわれの考え方だと思います。国民はすべてそういうふうに考えておると思うのですね。ところが、あなたの話を聞いておると、やはり電力が需用にどうしても応じていかなければならぬ、だから国民の健康というのはやはり第二義的に考えられているような印象を受けるのですよ、いまのあなたの話を聞いていても。だからこういうふうに火力発電だけは今度のあれからはずして地方自治体に権限を譲渡しないんだ、そこまでは。やはり国が握っていくんだという御意見が、そういう考えから私は出てきているようにしか理解できないですね。それで十月二十三日の閣議決定によりますと、知事に火力発電等について「報告聴取または立ち入り検査」の権限を認めることにしておる。こうなっていますが、「報告聴取または立ち入り検査」とある。「または」ということはどちらか片一方ということなんですか。「または」ではなく「及び」というふうに理解していいのか、私は辞書を引いて見ましたよ、「または」ということばはどういう内容を持っているのかということを辞書を調べましたら、または——これかあれかと二つ並んで言うときに用いることばだ。こういうふうにちゃんと解釈が辞書に出ておりますね。だからこの文書をその辞書を引いて読みますとどちらか一つだ、報告聴取をやるか、あるいは立ち入り検査をやるんだ、こういうふうにしか理解できないんですが、だからあなたがもしも報告聴取も立ち入り検査もできるというふうな解釈ならば、「または」ということばを「及び」というふうに書きかえられるほうが適当と私は思うのですが、どうですか。
  95. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 最初の姿勢の問題ですが、私は決してそんなこと考えておりません。電力会社だけを喜ばしてみて何のたしになります。そんなこと考えておりませんので、電力の広域供給の義務という面から考えての国の責任というものでこういうことにしたということを申し上げておるわけでございます。その意味では誤解をいただかないようにお願いしたいのですが、ただいまの「報告または立ち入り検査」、なるほど私も相当「てにをは」はうるさいほうでありましたけれども、これは私の手落ちでございます。「及び」に書きかえます。
  96. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 「または」を「及び」と書きかえられますね。
  97. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) はい。
  98. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 新聞紙上でも私はいま言ったように、この程度の権限委譲では発電所の公害対策の大幅改善は期待できない。こういうふうに疑問を表明していらっしゃる、私のみじゃないですね。そういう疑問を持つことは新聞紙関係もみなそういうふうな疑問を持っていらっしゃる、この閣議決定程度の権限委譲で大気汚染防止上大きな効果があげられるとあなたはほんとうに考えていらっしゃるんですか、どうですか。
  99. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これからは排出の基準もまたさらにきびしく進めてまいりますし、さらにそれらに対する国民の監視の目もきびしくなるわけでありますから、そういうことがかりにできないことを承知の上で、国民の健康上に害を及ぼす状態が続くことを承知の上でこういうことをやっているんだとすれば、これはとんでもないことでありまして、自分の墓穴を掘っておるものといわざるを得ないわけでありますから、そういうようなつもりは毛頭ありません。もちろん新聞等においても委員会等においてもさようでございましょうが、公害対策がここまでおくれてきておるわけでありますから、どのように完ぺきを期してやりましても、それはりっぱにやったとほめられるとは、私は期待しておりません。したがって、いろいろの御批判には謙虚に耳を傾けてまいりたいと思います。
  100. 田中寿美子

    田中寿美子君 厚生大臣まだおいでになりませんですね。きょう、私はカドミウム汚染米のことにしぼってお伺いしたいと思っているんですけれども、これは農林、通産、食糧庁、厚生みんな関係していますので、ほんとはこういうふうにこま切れで、ずっと間をおいてまた別に質問しなければならないということはたいへん困るんですけれども、それで最初に、このごろ通産省も全国の工場排水調査をやった、そして二百五十二の工場の中で排水カドミウムが一PPM以上出たところが百四十二だ、だから過半数だというようなことの発表がありました。それから厚生省も要観察地域というのを、最近もう一つふやしまして六カ所になったんですね。それからきのうからきょうにかけて、東京都のカドミウム汚染の米と水とどろの調査の結果の発表を、二回目ですが、八月以来やっていて、一回目十月の末に発表して、今度二回目の発表ですが、さらに調査を続けているようです。全国的にこれはほんとうに調べて見たら、カドミウムというものは各地にたいへん出てくるのじゃないか、まだ本格的な点検がされていないと思います。中でも水から土を汚染していくということで、汚染米が出ている。これもほんとうに調べたら汚染米はずいぶん出るんじゃないかと思うのですが、黒部のカドミウム米は、四十四年産米を買い入れたあとで一PPM以上のカドミウムが、玄米の中にあるということが発見されたのですね。それで政府は、それを破棄するということを決定したというふうに聞いていますが、これは農林省あるいは食糧庁にお伺いしますけれども、これは破棄するのですか、どういうふうにするのですか、黒部の場合。
  101. 内村良英

    説明員(内村良英君) お答えいたします。御承知のとおり、富山の一PPM以上の汚染米につきましては政府がこれを買わない、それから農家もそれを食べてはいけないということで、農家に保管をさせまして、その米が動かないようにしていたわけでございます。でその結果、その米をどうするかということが問題になりまして、結局人間の口には入れることはできないということで、人間の口に入らないような用途——たとえばライススターチ用としてこれを使おうということで、百九十五の農家の保有汚染米約六十三トンが、新潟県の島田化学工業というところに、ライススターチ用として売り渡されております。これは写真の原料にするようでございまして、人間の口には入らない、こういうことになっております。
  102. 田中寿美子

    田中寿美子君 そうすると、一PPM以上のものは政府は買わないわけですね。そうして別途それを使用するという形で売らせたわけですね。そうすると、一PPM以上のカドミウムを含んでいる米は、米とみなさないわけですね、そうですか。汚染米というのは米じゃないわけですか。
  103. 内村良英

    説明員(内村良英君) 食糧管理法では、要するに国民の配給に回す米を買っているわけであります。したがいまして、厚生省のほうで、食品衛生の基準といたしまして、一PPM未満でなければならないということになっておりますので、配給に適さないような米は、食糧庁としては買わないということで、ただいま申し上げましたような措置をとったわけでございます。
  104. 田中寿美子

    田中寿美子君 食管法では、米は全量買い上げということだけれども、買わなかった分というのは、米とみなしていないことになると思うのですが、それでいまおっしゃった二百六十三トンですか、黒部の米の場合はそれで全部始末がつくわけでございますか。
  105. 内村良英

    説明員(内村良英君) ただいま申し上げましたのは全量でございます。六十三トンでございます。
  106. 田中寿美子

    田中寿美子君 六十三トン……。そうすると黒部の場合を伺うのですけれども、それは四十四年産米でございましたね。四十五年産米についてはどういうふうになさるのですか。
  107. 内村良英

    説明員(内村良英君) 四十五年産米につきましても同様の方針で臨みたいと思っております。しかしながら、四十四年産米につきまして、これは一PPM以上の米がとれるというふうに線引きと申しますが、線引きをした中で農家からもう一ぺん調べてくれという要望がございますので調査はしております。しかし、一PPM以上の米が出れば四十四年産米と同様な方向で処理したいと、こういうふうに考えております。
  108. 田中寿美子

    田中寿美子君 それで、黒部だけではないわけですね、厚生省が指定した要観察地域だけでも六地域、それから通産省が工場排水を調べた場合、非常に全国的にたくさんカドミウムの出た地域がある。その付近の米でも調べてみたら私はみんなカドミウムが出てくるだろう。それで東京都がいい実例だと思うんですけれども、府中、昭島を中心にしてあの辺を調べてみたら次々と工場排水の流れている付近の、いわゆる多摩川の水系ほとんどよごされていて、そして土も水もよごれ、そして米にも汚染米がずいぶん出てきている。で、もし本気で調べたらずいぶん出ると思うんですが、四十五年産米は黒部の米だけでは済まないと思うんですが、こういうふうにたくさん出てきた場合に、やっぱりこれを配給に適さないから米とはみなさないで、政府は買い上げない。全部これは処理できますか。全部のりにするわけにはいかないでしょう。
  109. 内村良英

    説明員(内村良英君) ただいままでのところは大体工業用と申しますか、要するに人間の口に入らない用途で処理できる数量でございます。今後カドミウムのいわゆる汚染米がどういうふうになってくるんだろうか、どの程度の数量になってくるのかということは、私ども、まだ見当はつきませんが、いずれにいたしましても米につきましてはいわゆる人間の口に入る、あるいは家畜の口に入る用途以外の用途がございますので、極力そういった方面で処理するようにいたしたい、こう考えているわけでございます。
  110. 田中寿美子

    田中寿美子君 のりとか工業用アルコールに使うというふうな話を聞いていますけれども、私はそんなことで処理できないくらいたくさん全国にカドミウム汚染米が出てくると思いますね。まさかそれを動物の、家畜のえさにはなさいませんでしょうね。そういうことはなさらないと思いますが、そうすると、のりや工業用アルコールとして処理できなくなってしまった分というのは、これは一体どういうふうにされるという計画がおありになるでしょうか。
  111. 内村良英

    説明員(内村良英君) 実は現在食糧庁はいわゆる過剰米を持っておりまして、その過剰米を、配給に充当する以上の米を持っております。したがいまして、これをどう処理するかということにつきましては、本年の五月から専門家から成る過剰米処理対策委員会というものを設けまして、十月まで検討を続けたわけでございます。その際過剰米の処理につきまして、いわゆる工業用の用途をもっとふやすことができないかどうかということについて検討したわけでございますが、その場合、各用途につきまして大体これぐらいの数量はこなせるだろうというような見当はつけたわけでございます。今後カドミウム、いわゆる汚染米がどの程度ふえるかということは、実は全く私ども知り得ない状況でございまして、現在の段階でこういうふうになったときにこうというところまで実は私ども考えておりません。しかしながら、過剰米処理の問題として工業用にいろいろ使いたいということは検討しております。
  112. 田中寿美子

    田中寿美子君 そういうことではとてもたいへんなことになると思うんです。過剰米だけでもいまいっぱいあって、その上汚染米が出てくると、そうするとそれをだれがどこえ保存しておくのか、工業用にはそんなに簡単には私はとても処理できないようになると思います。東京都だけでも数字をあげてみるとずいぶんありますから。それから通産省の調べで見ても東京、愛知、大阪付近がみんなたくさん出ておりますね。そういうことからほんとうに本格的にお米の調査をしていないと思うのです。そういうことになるとたいへんなので本気に調査しないのじゃないかという気すらするわけなんです。これはたいへんなことだと思います。いまからその対策を立てておかなければならない。  そこで東京都のカドミウム汚染米のことなんですけれども、きのうきょうの発表によって見ますと、最初八月からやられたときに、府中の日本電気を中心にして流れてきたカドミウムで米がひどく汚染されたし、その付近の水がひどく染汚をされた。それからさらに続けて日野、八王子、清瀬、このあたりも上流にメッキ工場がたくさんある地域で、そこからたくさん出てきた。それからそういう工場の影響のないようなところもやっているようですが、それでいまから調べていくということですけれども、その発表によりますと、玄米からカドミウムが〇・四PPM以上出た場合、その地域汚染地区と東京では独自に指定する。そうしてその地域の米を全部買い上げる。つまり買い上げるということばに相当するかどうかわかりません。配給米を補償として与えるというふうに知事さんは言っているわけですが、そうして来年以後はその同じ場所に稲をつくらせないように指導する。それから基準以上のカドミウムを流した工場に操業停止命令を出す。こういうふうなことを発表しているわけです。そこでまず東京都の四十五年産米の総収量ですか、それから政府の買い上げの予定量、どのくらいございますか。
  113. 内村良英

    説明員(内村良英君) 東京都全体の四十五年産の収量につきましては、まだ四十五年産について確定的な数字を持っておりませんので、関係の昭島、立川、府中、国立の各市につきまして現在見通される生産量を申し上げますと、次のとおりになっております。まず、昭島市でございますが、生産見込み量が百四十八トンになっております。これは水稲でございます。それに陸稲が三十八トンございますから合計百八十六トン。立川市は水稲が三十三トン、陸稲が六十四トンで合計九十七トン。府中市は水稲が三百七十九トン、陸稲が二十トンで三百九十九トン。それから国立市は水稲が百四十九トン、それに陸稲が十三トンで大体百六十二トンというような数字に生産の見通しはなっております。
  114. 田中寿美子

    田中寿美子君 合計幾らですか。
  115. 内村良英

    説明員(内村良英君) 合計……、ちょっといますぐ計算いたします。
  116. 田中寿美子

    田中寿美子君 私が手に入れた数字によりますと、東京都の総収量予定七千六百二十トン、そのうち、自家保有米が六千五百七十四トン、推定してですよ。そうしていまおっしゃった付近ですね、三多摩の合計約一千三百トン。そのうち、〇・四PPM以上を汚染米というふうに東京で考えた場合に、約七百十四トンぐらいがそれに相当するだろう。こういう計算を出しております。その七百十四トンを買い上げる、あるいは補償するということになりますと、まあ相当の予算も要るわけだけれども、そういうことをすることについてどう考えられるかということ、都が買い上げることについてどう考えられるかということなんですが、いま厚生大臣が見えましたので、私はちょっといまの問題はあとに延ばしまして……。  厚生大臣、おいでになってさっそくですけれども、いま各地でカドミウム汚染調査、発表されております。で、主としてカドミウムを使う工場排水のところから非常にたくさん出ている。東京、愛知、大阪などを中心にして、たくさんの工場から出ているという発表が通産省からはありました。それから厚生省も主として製錬所付近地域六カ所を要観察地域として指定されていますね。それから東京都で、きのう、きょう、非常に三多摩地域中心にたくさんのカドミウム汚染状況が発表されております。そこで、お米が自然水とどろから汚染されていくわけです。ほんとうに検査をしたら、非常にたくさんの汚染米が出るだろうと私は想像するのですけれども、黒部の場合は、去年の米を買ってあとで一PPM以上のカドミウムがあるということを発見して、そうしてそれは政府は買い入れなかった。いまこちらの食糧庁の御説明では、のりやら工業用アルコールにするんだということですが、しかし、もう東京だけでもいま推定で〇・四PPM以上のものは七百トン以上ある。もし全国を調べたらずいぶん出てくるはずですね。そういうカドミウム米をのりやアルコール用の原料になんてとても私はやれないと思う。過剰米だけでも七百万トンもあるわけでしょう。で、どうするのかということなんで、そうして、それをずっと置いておいていいものか。厚生大臣として、もしこれを焼き捨てるかもしれないというようなことがたまに新聞か何かにも出ているわけなんですが、そういう処理のしかたを考えていらっしゃるのか。どういう処理のしかたを考えていらっしゃるのか、そういう有害な米について。
  117. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) まず、カドミウムについては、申すまでもなく水銀等と並んでいわゆる有害な微量重金属の一種でございまして、厚生省も今日に始まったことでなしに、昨年あたりから実は非常に神経質になってまいりまして、まず全国に対しまして、このカドミウム環境汚染暫定対策要領というものを各都道府県に通達をいたしております。で、これはいろいろな角度からカドミウム汚染状況を調べたり、あるいはまた人間の健康状況を調べたりして、そうしてその結果を集めて、それが一定の状況以上の組み合わせであります場合には、いまもおことばにもありましたように、カドミウム要観察地域としての指定をいたしまして、厚生省が直接乗り出すと申しますか、まあ直接乗り出すと申しましても、御承知のとおり、厚生省の地方部局というものはございませんので、厚生省は特に濃密に地元の都道府県あるいは保健所、衛生研究所等を指導いたしまして、それらの対策を講ずる、こういうことを一年やってきておるわけであります。その場合に、要観察地域として積極的な前向きの対策を講ずる基準をいろいろのところに求めているようでございますが、その一つとして、これは私の理解が誤りでなければ、たとえば米について言うと、〇・四PPM以上のカドミウムを含んでいるものが産出されるような場合、あるいはそのほか水とか他の野菜、その他のものも合わせまして、その地域の住民が一定の濃度以上のカドミウムを摂取しているような状況にあります場合には、そのカドミウムを要観察地域として指定をすると、こういうことをいたして、より積極的、前向きの具体的措置をとったりとらしたりするわけであります。いまの府中とか立川とか昭島につきましては、私などもごく最近まではそういう危険な状態にある、要観察地域に準ずるような状況にあることは、私自身は知りませんでしたが、昨年来からの通達による先ほど申し上げましたカドミウム環境汚染暫定対策要領というようなものに基いて、東京都でもいろいろな機関を動員して私はお調べになった結果、今日伝えられているような状況が出てきていると思います。  で、私の判断では、私個人の判断では、現在は、あれが要観察地域としての正式の指定は受けておりませんで、それに至るまでの必要な資料をせっかく東京都等にお願いをして集めていただいておりますが、ああいう状況ですと、私は他の数カ所のカドミウムの観察地域と変わりのない状態として取り上げざるを得ないことになることもやむを得ないと私は考えます。そこでこれは要観察地域であるとなしとにかかわらず、玄米で一PPM以上のカドミウムを含有している米、あるいは精白したもので〇・九PPM以上のカドミウムを含有している米につきましては、これは別の衛生上の許容基準として、先般、厚生省が一定の法規上の手続を経まして許容限度を強化するものとしての告示ですか、通達ですか、そういうものを出しましたので、これは米にして米にあらずと、こういうようなことに相なりますが、いま先生お尋ねの焦点であります一PPMあるいは〇・九PPM以下であるが〇・四PPM以上のもの、要観察地研指定の基準、警戒信号としての〇・四PPM以上のものについては、厚生省は一体それは家畜のえさにするのか、あるいは工業用の材料にするのか、あるいは一以下だから人間が、特にその区域からかなり離れた一般の国民が食べても差しつかえのないものだとしていいのか、その辺のことについては、私はまだ大臣になりましてそこまで突き詰めておりませんが、幸いこの辺に関係局長が来ておりますので、細部の点については、一番またそれがきわどいお尋ねだったと思いますのでお答えをさせたいと思います。ひとつ局長から……。
  118. 浦田純一

    説明員(浦田純一君) 〇・四PpM以上〇・九PPM以下、これは白米についてでございますが、一PPM以下、玄米についてでございますが、これについての食品衛生法上の見解といたしましては、私ども関係の食品衛生調査会の御意見を尊重いたしまして、衛生上安全であるというふうに考えております。
  119. 田中寿美子

    田中寿美子君 私は一PPM以上、つまり汚染米と考えているものがことしは非常にたくさん出るに違いない、それの処分をどうするかという問題だったのですが、ちょっとそれはもう抜きまして、厚生大臣にぜひお伺いしたいことが何点かあります。時間がないので先へ進みますけれども、いまさっき、厚生省の環境汚染暫定対策要領の中に、その〇.四PPM以上の濃度を持っている米について、たいへんあいまいな文句なんですね、あれは。〇.四PPMという濃度はさらに精密な調査実施する必要性の有無を判断する尺度であって、安全度とか危険とかというような影響と直接結びつくものではないというような言い方をしておりますね。それじゃあ何で〇・四PPMという尺度をつくられたのかということが一点疑問なんです。  それからもう一点は、東京都で美濃部知事さんが、〇・四PPM以上の汚染の米の地域汚染地域と指定するというふうに言っております。これをどうお考えになるかということ。  それから要観察地域を指定する際の条件ですね、それは何と何と何であるか。
  120. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 私の答弁が十分でない点は関係局長もここにおりますので補充をさせますが、そもそも米につきまして〇・四PPM以上の米が産出されている場合を要観察地域として指定する幾つかの基準のうちの一つとして取り上げましたのはこういうことであると私は理解しております。それは米の中には、たとえばそこに製錬所その他カドミウムメッキ工場等の直接の原因と考えられるような施設、工場等がない場合でも、土壌中にいろいろの原因からカドミウムは存在をしておりまして、そして何らの原因がないと考えられるにもかかわらず、しばしば〇・三とか〇・四に近いカドミウム含有米というものが随所に出てきておる。しかし、それがそれ以上〇・五とか〇・六とか〇・七とかあるいは一以上とかいうことになると一応自然の状態ではない、何らかの人為的の配慮すべき原因があり得るということを一応警戒すべき状態にもなる、こういうことで、厚生省は農林省に対しましては非常に御迷惑な結果になったと実のところ恐縮もいたしておるわけですが、そういう自然の状態とは考えられない場合の一つの尺度として、〇・四以上のものについてはこれは有毒だという見解ではないが、一応要観察地域としていろいろな施設調査あるいは物的調査あるいは人体調査等もすべきである。しかりしこうして、その後厚生省は衛生的見地から関係の専門家調査会等ばかりでなしに、その中で特にこの問題については御関係の専門の方々にお集まりを願いまして、一体米についてはどの程度が慢性毒性の許容限度と考えてしかるべきか、科学的に、ということを押し詰めましたところが、先ほど触れましたように、玄米については一以上、精白米については〇・九PPM以上のカドミウムを含有するものについて、しかもそれがそれだけでなしに、その地域が一般的にカドミウム汚染されておって、他の野菜その他もカドミウムを含んでおる、あるいは水も含んでおるかもしれないというようなものをあわせて摂取する環境におる場合についての米についてのいま申す一PPMとか〇・九PPM以上の米はひとつそれをもって許容量にしたいということで、これについては一部の学者の方からそれはたいへんゆるい基準だというような御批判があることも承知はいたしておりますが、私どもは私どもとして十分な科学的基礎のもとにいま言うような一なり〇・九というものをつくりました。したがって、環境衛生局長が先ほど答弁をいたしましたように、一以下、〇・九以下であって、ある米については〇・四以上のものについても食品衛生上からはそれは問題がない、そういまの時点における学術的の、一般的の根拠からは考えております、こういう答弁が出ておるわけでございます。  漏れましたことについては公害部長から……。
  121. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 要観察地域の指定基準は、具体的に申し上げますと三つございます。一つは成人一日当たりのカドミウム摂取量〇・三ミリグラムをこえる。それからもう一つは、成人の尿中のカドミウム、これが一リットル当たり九マイクログラム。ただしこの数字は三十人以上の平均値ということにいたします。一リットル当たり九マイクログラム。それから三番目の基準は大気中のカドミウムの濃度がこれは立方メートル当たり〇・一マイクログラム。この三つの基準の数値のいずれかに該当すれば要観察地域の指定要件を満たすということになるわけでございます。  それからただいま大臣が〇・四PPMの数字、趣旨についてはそのとおりでございました。これは要観察地域の指定の一つ前の段階である環境精密調査に移行する一つの基準ということでございます。
  122. 田中寿美子

    田中寿美子君 それでその〇・四PPMカドミウムの濃度の米の出ているところを東京ではそれを汚染地域と指定するということを知事が言われているけれども、それは大臣はどう思われるかということと、それから、大臣は、先ほどのお話ですと、その三多摩地域、非常にカドミウムがたくさん出つつあるあの東京の地域を要観察地域に指定する気持ちがおありになるのかどうかということ、最後にもう一点、これは通産省のほうの基準の、排水口で、いまの厚生省では〇・一PPMですね、排水のところ、排水口のところのカドミウム基準、それで通産省の鉱山保安法では第一利水地点で〇・〇一PPMということを規定をしていたわけですね。だから第一利水地点というのは流れていって最初にその水を使う地点ですね、たんぼならたんぼ、そこでは〇・〇一と、ずっと低いわけなんです。そうしたら最近それを厚生省の基準のほうに近づけてしまって、排水口では〇・一というふうに変えられた、六月一日ですかね。これはどういうことなんでしょう。つまり、さっきは農林省は、厚生省よりもっとゆるやかな基準を考えている、厚生省はそれだからどうも相済まないとおっしゃった。通産省の中でも私は鉱山保安局というのはたいへんいろいろな問題のあったところだと思うけれども、少なくとも第一利水地点で〇・〇一PPMというわりに高い数字を持っているのを、排水口で〇・一PPMというふうに直したのはどういうわけなのかということ、この三つです。
  123. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 第一点の東京都におきましての措置でございますが、これは私正直に申しまして、公害というものは国が全体的な立場に立って広く国民の健康を共通に守っていく立場と同時に、各地域がそれぞれの社会的地理的事情に応じた特別の措置をとるということも必要であって、決して排除すべきことではないと私は考えるものの一人でございますので、東京都で〇−四以上のカドミウム含有の米の産出地域汚染地域といいますか、あるいは準要観察地域というような意味合いにおきまして指定をせられることにつきましては、私はそれはそれで一つの行き方であって非難さるべきことではない、たいへんけっこうなことかもしれませんと私は考えます。ただし、いろいろな意味において、言たるやまことによろしいが、いろいろの面におきまして支障やまた必要以上の不安を地域の方々に与えるような結果がより大きくあらわれるようなことについては、これは十分考えていただかなければならないことであると考えます。  それから要観察地域として厚生省はこれを、あの地域を指定する方向であるかどうかというお尋ねでございますが、この点については、私が先ほどちょっと触れておきましたが、私は国が全体的立場に立った場合にも、まだ資料そろっておりませんけれども、そういう資料をそろえることを東京都その他の機関にお願いをいたしておりますが、それらの資料がそろいます場合には要観察地域としての七番目ですか八番目ですかの候補地として考えていく方向でよいのではないかと私は考えます。  三番目の議論については、これは通産省のほうから。
  124. 莊清

    説明員(莊清君) 三番目に御指摘ございました鉱山のカドミウム排水の問題でございますけれども、利水地点で〇・〇一PPMを鉱山の排出口のところで〇・一PPMにしたのはどういうわけかというお尋ねかと思いますが、これは国全体のカドミウムにつきまして、ことしのたしか八月だったと思いますが、環境基準が閣議決定され、排出基準も同時に定められたわけでございます。その場合に環境基準のほうが〇・〇一PPM、排出口のほうが〇・一PPMと、こういうふうに定められたわけでございまして、鉱山保安法のほうにおきましてもそれを受けまして、それと同じ数字をきめておるわけでございます。  なお、鉱山保安法では御案内のとおり、実際に監督をいたさせております地区の鉱山保安局長あるいは鉱山保安部長にその地区地区の事情に応じまして排出基準につきましてはさらに上乗せができるという制度がございます。これは、鉱山と農業との関係等で利水点が非常に近いという場合がございます。そういうときは、〇・一の排出ではとうてい〇・〇一の環境が維持されないという場合には、もっときびしい排出の基準を保安法に基づいて勧告することができるということでやっておりますので、鉱山が全部〇・一ではございません。これよりきついものも中にはあるというのが実情でございます。
  125. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 厚生大臣が御答弁になりました東京都の〇・四PPM以上の地域汚染地域と指定するという、そのことについては異存はございませんし、また、都道府県の地域の住民に対する配慮というもので、それぞれ濃淡の差があってけっこうだと思うのですが、問題を米の問題としてとらえる場合には、食管法上の問題がございます。したがって、食管法として東京都知事が〇・四PPM以上のカドミウムを含有した米は、国のほうにおいては買い入れはしますが、配給をしないというたてまえをとっておりますので、したがって、それと違った行動をとる、すなわち都の費用でそれを買うことになるのかどうかつまびらかにいたしませんが、かりにそういった場合においても、これは食管法において農林大臣の事前の許可を得なければなりませんし、その許可の前提としては、買った米をどのように処理するかについて、食管外の運用ということにおいては相当問題がございますので、それらの点がきちんと整備されて、そして、国の食糧管理法のたてまえから考えてもそれほど背馳せざる買い入れ措置並びに保管もしくは廃棄の処理であるとするならば、あるいは農林大臣の了承を得るということにおいて、食管法の中で行なわれる都道府県知事の限界の中にあると思いますけれども、食管法のあることを無視をして行なう行動ということになりますと、そのままでは食管法違反ということになると思います。
  126. 田中寿美子

    田中寿美子君 実は、いまその問題があるので、最初に食糧庁長官のほうに質問をしながら、そこへお答えをいただきたいと思っていたところを指摘していただいてたいへんありがとうございました。  食管法の問題はあとでやります。
  127. 小野明

    小野明君 厚生省の公害部長に、前回の委員会におきましても、大牟田地区の要観察地域の指定はいつなんだと、こういう御質問を申し上げておきました。これは、御承知のように、県の調査で大牟田の手鎌地区で一・〇九、それから三井金属三池製煉の横須工場から三キロ離れた地区でも〇・七五、これだけの汚染米が出ておる。さらにこれは、御承知のとおり、ノリ、赤貝、すべてカドミウム汚染ということが続いて発表されておるわけですね。こういうことから御質問申し上げたわけですが、公害部長は、少なくとも来週ということでございまして、いま検体の提出を求めているということでしたが、それから磐梯のほうが早くなりまして、大牟田地区の要観察地域の指定というのが置き忘れられておるようですが、この問題は一体どうなっておるか。
  128. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 先生御指摘のように、前回の当委員会におきまして、先生から、早くやればどのくらいの期間にやれるかということで、県のほうが非常に急いでやってもらえれば来週程度はあるいは資料が出てくるかもしれないということをお答えしていることは事実でございますが、その後県のほうから特別の連絡もなく時日が経過しておりまして、私どものほうもときどき連絡はいたしておったのでありますけれども、こちらが一方的に押しつけるような制度でもございませんので、しかし、ようやく先月末になりまして、知事の名前で正式に要観察地域指定についての申請が書類として出てまいりました。そして、それにはその際指摘したような資料も若干添付されてまいりました。ただ、若干内容を検討しますと、やはり先般も申しましたように、米等の検体で不足しておるものがございます。ただいま早急にその補充調査を県のほうに指示いたしております。書類がもう正式にまいりましたので、添付書類等で十分のデータが得られるならば、先生のおっしゃる方向で手続を取り進めることになろうかと思います。
  129. 小野明

    小野明君 県のほうで提出検体がきておるという検体は一体どういうものですか。
  130. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) ただいま私どもが補充資料として県の部長あてに提出をお願いいたしておりますのは、四十五年産米中のカドミウム含有量について約五十検体、それから野菜類中のカドミウム含有量、これが不十分でございますので、これを少なくとも二十ないし三十検体、それからやはり要観察地域の指定は具体的ないわゆる線引きの作業——地域特定の作業がございますので、その際第一次的には、県のほうが具体的にどの地域を希望するか、そういう非常にこまかい指定を行ないますので、その線引きについての範囲をひとつ出してもらいたいと、そういうことを言ってございます。
  131. 小野明

    小野明君 これは線引きの際も、厚生省としてはもちろん調査をなさると思いますが、私も現地に行きまして、三池製煉の横須工場というのは操業の日が浅いわけですね、わりあい。以前の旧工場中心にしました延命地区というのがそのことですが、非常に高いわけですね。ですから線引きといいましても、相当その辺も三井金属の工場については配慮をしなければならぬ点があるかと思います。そういった点も配慮をいただくと思いますが、この検体の調査はいつになるのですか。そして、それまでの間は一体どうなるのか。それはあとで大臣に尋ねますが、検体の提出はいつごろになるのか、指定はいつごろになるのか、それをひとつ尋ねます。
  132. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 大体の大ざっぱな見込みとしましてはやはり、一月程度かかろうかと思います。
  133. 小野明

    小野明君 大臣お尋ねをしておきたいと思いますが、先ほども東京の問題についてもお話がありましたが、大牟田地区汚染というのはノリから始まりまして赤貝、それから今度は米と——米についても七カ所ないし八カ所の調査で、一つは一・〇九という数値が出ていますし、あとは〇.七五をはじめ、〇・四と〇.九の間が全部出ているわけです。そういう実態から見まして、現に横須工場も操業をしておるということから、大気中のカドミウム濃度というものも十分考えられる。それから長く操業をやっていますから、土壌の問題も十分考えられる、海中の汚染もある。こういうことから一日も早い要観察地域の指定ということが望ましいわけですが、それと同様の、要観察地域に指定をしたと同様の取り扱いというものがこの大牟田地区においても考えられるかどうか、お尋ねいたします。
  134. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) まことに小野先生の御質問ごもっともで、ことに御関係の地域でもございましょうが、私がいろいろ検体の種類について現在提示されているものの範囲その他こまかいことについてはお答えできませんが、いずれにいたしましても、カドミウムの問題というものは厚生省は神経質に十分なるべきであるし、またその対策については十分の措置がとれるような仕組みを組み上げるべきであると私は常に考えております。したがって、福岡県のその大牟田の事態につきましても、知事のほうともさらに打ち合わせ督励もいたしいたしまして、早急に必要なデータをそろえるように努力をいたしまして、それがそろい得次第、そうしてしかもそのデータによって要観察地域とすべき客観的判断が成り立つ限りにおきましては、私どもはこの地域をいつまでもあと回しにするというようなことは全く考えておりません。今後私も督励をいたしてまいりたいと思います。  なおまた、要観察地域に指定をするかせないかがきまるまでの間、いわば準観察地帯といいますか要警戒地帯といいますか、そういうような措置につきましては、これは別に検討をさせるようにいたしたいと思います。  たいへん不満足なお答えしかできませんが、私の気持ちや向きを御理解をいただきまして、御趣旨に沿ってまいりたいと思います。
  135. 小野明

    小野明君 どうもいいような悪いような御答弁で、要観察地帯として別に検討させると、こういうことですが、公害部長、その大牟田地区汚染について、いままで得たデータや過去の実績等から見ると、当然にこれは要観察地域に指定さるべきものと、こう推定されますが、その辺の見通しはいかがですか。それまでの取り扱いについても、いま大臣が言われるような取り扱いをすべきではないかと思いますが、いかがですか。
  136. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) データの中には御指摘のような数字も多数ございますので、一応そういう考え方も成り立つのでございますけれども、先ほど申し上げましたように、要観察地域の具体的指定の場合に地域をどうするか、その地域のとり方によって、たとえば平均の数字が変わるとかそういう問題もございますので、基本的にはそうなるであろうという場合でも、具体的な指定ということには多少若干の時間的ズレが生ずる、そういうふうに御了解いただきたいと思います。
  137. 小野明

    小野明君 基本的にはそうなるだろうということですが、その見通しを私は尋ねておるわけですよ。指定には一カ月かかるでしょうけれども、いままでの実績、見通しいかんと、こう言っておるのです。
  138. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) まあ見通しを軽々に述べるのもいかがかと思いますけれども常識的な数字からいえば、大体該当するのではないかと一応考えられます。
  139. 小野明

    小野明君 それから食糧庁にお尋ねをいたしますが、いま田中委員の質問にありましたように、四十五年産米のこれは〇・四、一・〇未満についてはこれは買い上げないということですが、買い上げない米についてどういうふうになさるのですか。これは農家はおまえたちはかってにどうにでもやれ、どっかの団体とまた相談をして適当に処置せい、こういうことなんですか。
  140. 内村良英

    説明員(内村良英君) まず食糧庁の措置でございますが、要観察地域につきましては、知事に一PPM以上の汚染米が出る区域を線引きしてもらいまして、その線引きのできた、玄米でございますが、一PPM以上の米は政府は買わない。そうすると、他の要観察地域の米は政府は買い入れております。そこで問題になるのは、保有米が問題になるわけでございます。そこで保有米につきましては、農家が希望する場合にはこれは配給いたしましょうということで配給措置をとっております。したがいまして、一・〇以上の汚染米が出ると、線引きされた地域以外の要観察地域の米は、保有米を除いて政府は全部買い入れております。ただし、現在の米の需給事情その他にかんがみまして、そういった要観察地域の一・〇PPM以下の地域の米であって、政府が買い上げた米につきましても配給はこの際一応やめております。そういうことになっております。
  141. 小野明

    小野明君 大牟田の場合、具体的に大牟田の場合には、いま大臣の御答弁にもありましたように、要観察地域に準ずる扱いでよろしいのではないかと、こういうことですが、具体的にどういうふうに措置をなさっておるわけですか。
  142. 内村良英

    説明員(内村良英君) 大牟田につきましては、先生からお話もございましたように、四十四年産米の八検体について調査した結果、汚染の事実が一つございました。そこで食糧庁は大牟田地区の農家のうちで希望する農家には、保有米を一応凍結すると申しますか、横においてもらいまして、配給措置をとっております。  それから四十五年産米については、まだ一PPMの線引きができておりませんから、今後状況を見て買い入れをするようにしたい、こう思っております。
  143. 小野明

    小野明君 そうしますとですね、この〇・四——これ、数値から言ってもらわぬと困りますがね、一PPM以上の米についてはどう、一PPM未満、〇・五以上のものについてはどうと、こういう具体的な措置はされておると思いますが、その辺はどういうふうですか。
  144. 内村良英

    説明員(内村良英君) ただいま最初に申し上げました措置は、いわゆる要観察地域として指定になったところについて、食糧庁はそういう措置をとっておるわけでございます。したがいまして、大牟田の場合はまだ指定になっておりません。しかしながら、当該地域の住民のいろいろな感情その他を考慮いたしまして、農家が配給してほしいと、どうも汚染しているらしい米を食べるのはいやだ、配給してほしいという場合には、本来ならば保有米を持っておりますから、そういう農家には配給しないことに食管法上なっておりますけれども、食糧庁はそういう希望を有する農家には配給をしておる。こういうことでございます。  それから次に、政府の買い入れがどうなるかということにつきましては、要観察地域のうち知事が線引きした地域について、一PPM以上と認定して、それを買ってないわけでございます。ところが大牟田の場合はまだそういった線引きも行なわれておりませんので、今後線引きに非常に手間がとるということになれば、政府は大牟田地域の米を保有米以外は買い入れたいと、こう思っておるわけでございます。
  145. 小野明

    小野明君 そうしますと、具体的な措置というものは、どうもよく私には理解ができないですけれどもね、四十四年産米について〇・四から〇・九PPMのものについては買い集めておるというわけですか。そうして希望する者には配給をすると、こういう希望者には配給をすると、こういうことですか。
  146. 内村良英

    説明員(内村良英君) 四十四年産米につきましてはすでに政府買い入れは終わっております。したがいまして、今後問題になるのは四十五年産米でございます。四十五年産米については大牟田地区は現在収穫が始まっておりまして、これからどんどん政府に売ってくるわけでございます。その場合には一PPM以上の汚染米は政府はこれは買わない。しかし、それ以外の米は政府は買うということになっておりますので、食管法の上では〇・四という数字は、配給の面でそういうものを、一・〇PPM以上の要観察地域の米については配給しないというたてまえになっておりますので、そこでちょっと意味を持ってくるだけでございまして、〇・四という数字は食管法の上ではあまり関係がないわけでございます。あくまで一・〇ということが政府が買うか買わないかということの境目になるわけでございます。
  147. 小野明

    小野明君 どうも私は要観察地域に準ずる扱いということでこの地区はよろしいのではないか、こういう考え方で質問をしておるわけですよ。厚生大臣もいまそういうふうな答弁をされておるのですから、それに準ずるこの地区は、大牟田地区については扱いをされるべきではないか、こう思います。これはいかがですか。
  148. 内村良英

    説明員(内村良英君) 要観察地域に準ずる扱いをしているわけでございます、現在。ですから本来ならば保有米を持っている農家には配給はしないわけでございますが、準ずる扱いをしておりますから、要観察地域における保有米と同じ扱いをしておるわけでございます。買い入れにつきましても同じように扱いたいというふうに考えておりまして、完全に準じた扱いをしておるわけでございます。
  149. 小野明

    小野明君 そうすると、四十四年産米の保有米がありますね。それは希望する者には交換をする、配給をする。希望しない向きにはそのまま食べさしておるということになりますね。それはどういうことですか。
  150. 内村良英

    説明員(内村良英君) 要観察地域の農家であっても配給を希望しない、自分は自分の保有米を食べるのだという農家は保有米を食べております。したがいまして、食糧庁としては、もう気持ち悪いから食べたくないという——PPM以上でなくても気持ち悪いから食べたくないんだという農家には農家の希望に応じて配給をしておるわけでございます。
  151. 小野明

    小野明君 それは非常に——だから自然界にあるカドミウムは御承知のように〇・〇八PPMでしたね。それの五倍以上、〇・四と言えば五倍ですから。それから一・〇九の間の米を保有してそのまま食べさしておる。こわごわ食べておる、あるいは手鎌地区になると一・〇九の数値が出ているわけです。ですからそれをやっぱり食べておるということになるわけですね。そういうことがよろしいものかどうか。早くこれを措置をしまして、交換をするなり、あるいは食べないように指示をするなり、こういう措置をなぜとらないのかということをお尋ねしたいのですがね。
  152. 内村良英

    説明員(内村良英君) 厚生省の見解では、玄米一・〇PPM未満の米は食品として適さないということは言っておられないわけでございます。したがいまして、食糧庁といたしましては、しかしながら〇・四という数字が要観察地域を調べる場合に基準として出まして、それが非常に社会的な影響を持っておりますので、食糧庁といたしましては一・〇から〇・四の米は一応現在は米も余っていることであるし配給しない、こういうたてまえになっておるわけでございます。したがいまして、そうした地域の農家に対しましても食糧庁といたしましては、これを自家消費することを強制してはおりません。あくまで食べたくないんだ、だから配給してくれといわれた場合には、本来保有米を持っている農家には配給しないという制度のたてまえになっておりますが、農家の希望に応じて配給しているわけでございます。したがいまして、それを食べろということを農家に強制していることはございません。
  153. 小野明

    小野明君 どうもその措置が厚生大臣ですね、現にまあ〇・四以上汚染された米があってですね、希望する向きにはと、こういうふうな措置しかとられてないですね。希望する向きには交換をする、こういうことですか。これは要注意基準として〇・四がある以上もっと強い措置がとられないものかどうか、その点はいかがですか。
  154. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) たびたび申し上げておりますように、厚生省が食品として適さない、許容限度以上のものであるとしてきめておりますのは一・〇PPM以上のカドミウム含有米、〇・四PPM含有米というのは要観察地域としての検討をする際に通常の状態のもとにおいてはたいがいは〇・四PPM以下のカドミウムというものはどこにでもあるのだから別に注意をする必要はないが、それ以上のものについてはその米が食べられないということではなしに、いろいろな原因からきてそのカドミウムが排出されている場合もあるだろうからということで、その一つの何といいますか、要観察地域へ入るための目安として取り上げているだけでございます。したがって、この前も当委員会で御質問がございましたが、そんなこと厚生大臣言うならおまえ〇・四PPM以上の米を食うかと言うから私は、それは自分がきめたことだから食わざるを得ない、食いますと、こういうことまでも申し上げているわけでありますが、しかし、幸か不幸かいま米は政府の供出米が何といいますか、カドミウムなどほとんど含んでいない米をたくさん政府が買い上げているもんでございますから、したがって〇・四以上のものは厚生省はそれは食品不適性のものだという判こは押さなくてもいろいろ御心配なさる向きにはそれは配給をしないのみならず、本来農家が保有米として持っているものについても、その農家が自分も保有米としては持っているけれどもこれは食いたくないから別の米を配給してくれという場合には、これは要観察地域に準じて農林省が配給の措置をとられておる、この保有農家についても配給の措置をとられていると、こういうことで、私といたしましては、農林省のその措置についてはたいへん理解のある措置だと考えておるものでございます。
  155. 小野明

    小野明君 まあ一以上の汚染米かできた、これは農民の責任ではないわけですね。しかも農家にはそれだけの損失になって生じてきておる。しかもその汚染源というのはこれは大方の推定するところ三池製煉であるということは明確なんですね。この場合の農家の損失をどう見てやるか。あるいは配給米を購入する費用というものは即まあ農家の損失になる、こういった場合の企業責任というものについて、農民が損にならないように一体どういうふうに政府としては考えるのか。これはどなたがいいのですかね、これは通産省……。
  156. 莊清

    説明員(莊清君) 鉱山関係のカドミウム汚染米につきましては、先ほどお話しございました三日市の製錬所あるいは安中の製錬所というふうなカドミウム汚染米を多量に出したところがすでにございますが、こういうところにつきましては、四十五年度産米につきましては県のほうで一PPM以上の米が出ておるのはここだということを新米について調査をされまして線引きをされておりますが、そこにつきましては、企業のほうで実際に金を出しまして実質的な意味での補償をするという措置をすでにとっております。  お尋ねの三池の場合でございますけれども、ここは大きな古い工業地帯でございますから、ほかにもこまかく調べればカドミウムを出しておったようなところがあるいはあるかもしれません。御指摘のとおり、何といいましても主力になっておりますのは三池製煉所であるということは常識的に明らかであろうと思います。したがいまして、今後ほかの地区でほかの会社がとってきたと同様の状態に企業が置かれました場合には通産省といたしましては、企業の良識ある判断として、当然に同様の誠意をもって地元に対処していくということが行なわれるものと期待いたしておりますし、またその方向で指導しなければいけないだろう、かように考えております。
  157. 小野明

    小野明君 当然これは通産省としては三池製煉の企業責任だと、だから損失補償をするように企業を指導する、こういうことですね。
  158. 小平芳平

    ○小平芳平君 初めに法務省にお尋ねをいたしますが、検察庁のほうでは伊勢湾の汚染については起訴するという方針をきめたように新聞に報道されておりますが、そういう伊勢湾の汚染に対して、そういう方針をどのようなきめ方をなさっていらっしゃるかどうかということと、同じように、伊勢湾汚染を起訴するということならば、われわれ非常にしろうとな、素朴な考えからすれば、港則法違反で伊勢湾が起訴になるならば、田子の浦の場合などは最も典型的な起訴の対象になるのじゃないかと、このように感ずるのでありますが、この点はいかがでしょう。
  159. 辻辰三郎

    説明員(辻辰三郎君) 現在検察庁におきまして、公害関係事件の捜査をいたしております事件が、四日市の石原産業株式会社にかかる案件と、日本アエロジル株式会社にかかる案件が、これが津の地方検察庁の四日市支部で現在捜査をいたしております。それから例の田子の浦にかかわります案件につきましては、本年の八月から九月、十月にかけまして、三つの告発が静岡地検になされまして、現在静岡地検において捜査中でございます。それからそれとは別に、名古屋地方検察庁におきまして、一件、ある財団法人が廃油を伊良湖港外にみだりに廃棄したという案件を受理いたしまして、この案件につきましては、先般港則法違反で起訴いたしました。しかしながら、この四日市の案件及び田子の浦の案件は現在検察庁において捜査中でございます。
  160. 小平芳平

    ○小平芳平君 捜査中ですから、結論的なことはもちろん出ないと思いますけれども、やはり田子の浦港の場合はすでに港が使用不能の現状にあるわけですから、まあ、名古屋地検の起訴された案件に比べましても、非常にしろうと目にもわかりやすい当然の結果が出そうなような気かいたしますが、それらについての基本的な考え方としまして、全く港が航行不能になるような、そういうものが港則法違反の対象になるかならないか、もう少しその点詳しく御説明ができましたら、御説明願いたい。
  161. 辻辰三郎

    説明員(辻辰三郎君) 田子の浦にかかります案件につきましては、先ほど申し上げましたように三つの告発がありまして、それを一括して現在捜査中でございます。これは事実上及び法律上それぞれ相当のなお検討すべき問題点があるものと考えておりまして、現在検察庁におきましては事実関係の整理並びに法律関係の解釈の問題と二つに分けましていろいろと現在鋭意検討中でございます。やはり事実関係が非常に複雑でございまして、事実的にも法律的にも十分検討しなければいけない相当の問題があるように考えておるわけでございます。
  162. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは法務省からこれは公害罪、いわゆる公害罪として法案が法制審議会に諮問されておるということが報道されておりますが、こうした公害罪が成立した段階では、国民は相当公害に対する大きな規制の働きをするのではなかろうかという期待を持っているのですが、そうした国民の期待に対する法務省の御見解を伺いたい。
  163. 辻辰三郎

    説明員(辻辰三郎君) いわゆる公害罪法案でございますが、現在私どもは、人の健康にかかわる公害犯罪の処罰に関する法律案要綱というものを法務省当局において作成をいたしまして、この法律案要綱を去る十月十七日に法制審議会に法務大臣から諮問をいたしたわけでございます。法制審議会におきましては総会を一回開きまして、さらにその刑事法部会において慎重に調査すべしということで、刑事法部会で刑事法の専門家が集まって調査審議をするということに相なったわけでございまして、刑事法部会におきましては、今月の四日と七日にこの調査審議をいたしまして、あす法制審議会の総会におきまして最終的な法制審議会の答申が出るものと私は期待しているわけでございます。この法律案要綱はすでに一部新聞紙等にも出ているわけでございますが、私どものこの法案の考え方といたしましては、まず公害の中の人の健康にかかわる公害というものをまず対象にしているわけでございます。生活環境にかかわる公害というものはこの法案のまだ対象にはいたしていないわけでございます。それから次に、人の健康にかかわる公害を対象にいたしておりますか、そのとらえ方といたしまして、有害物質を排出して公衆の生命または身体に危険を及ぼすおそれのある状態をつくったというのを一つの行為類型に、基本的な行為類型にいたしているわけでございます。なお、もう少し正確に申し上げますと、工場または事業場における事業活動に伴って有害物質を排出して、そうして公衆の生命または人体に危険を及ぼすおそれのある状態をつくり出した、これの故意犯それから過失犯という形で犯罪類型をとらえておるわけでございます。しかも刑事法の一つの基本的な問題点といたしまして、これは一つの事業場と申しますか、工場と申しますか、一つの行為といいますか、一つの事業場の行為としてこういう危険な状態をつくったということを基本類型にいたしておるわけでございます。原則として一人でやったというのが基本類型で、それの変形的な場合もいろいろ考えられると思うのでございますが、そういう形で法案をつくっておるわけでございます。これによりましても、相当公害の防止に対しては法案ができました暁には寄与できるものと私どもは確信いたしておる次第でございます。
  164. 小平芳平

    ○小平芳平君 それで人の健康にかかわるもの、有害物質という点ではいま公害裁判中のカドミウムによるイタイイタイ病あるいはメチル水銀による水俣病、現在裁判中のものは別としまして、こういうことが起きた場合は故意になるか過失になるか、いずれにしても、それは公害罪で罰する対象になるわけですか。
  165. 辻辰三郎

    説明員(辻辰三郎君) これは法律になりました場合に、ただいまお示しのような案件がこの犯罪になるかどうかという問題でございますが、これは具体的な案件のことでございますから、それを抜きにしてお答えすることはきわめて困難であろうと思うのでございます。ただ犯罪の構成要件としては、有害な人の健康を害する物質を排出して、公衆の生命または身体に危険を及ぼすおそれのある状態をつくったということが犯罪の基本類型になるということで、具体的な案件との関係でいま直ちに積極、消極ということを申し上げることは差し控えたいと存ずる次第でございます。
  166. 小平芳平

    ○小平芳平君 裁判所のほうから、現在公害裁判が数多く提起されているようですが、いま申しましたイタイイタイ病、水俣病、四日市、ぜんそく、この三点につきまして経過あるいは現在の段階等について御説明できる範囲で御説明をお願いしたいと思います。
  167. 矢口洪一

    最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) ただいまお尋ねの事件の経過でございますが、客観的にどの程度まで事件が進んでおるかという観点にしぼりまして御説明を申し上げたいと思います。  まず、いわゆる水俣病の事件でございますが、これは俗に水俣病と申しておりますが、二つあるわけでございまして、阿賀野川の水銀中毒事件、それからいわゆる熊本の水俣病の事件ということでございます。阿賀野川の水銀中毒事件というのは、四十二年の六月に第一次の訴訟が昭和電工を相手にして起こったわけでございます。その後本年の六月まで六回にわたって訴えがいわば追加的に起こされておるわけでございます。そして六回の訴えの原告の総計は七十一名に達しております。またその六回の訴えの請求金額を合計いたしますと、四億一百万余りという請求金額に相なっております。  で、この事件でございますが、今日までに三十三回の口頭弁論を重ねておるわけでございますが、原告側の、いわゆる被害者側の証拠調べを一応終わりまして、現在被告側すなわち昭和電工側の申請に基づきます証人の尋問を続行中でございます。これまでに取り調べを終わりました証人の数は三十四名、そのほかに原告となっております本人を三名取り調べておるわけでございます。で、現に被告側の証人の尋問を続行中でございますが、そのほかにも被告側から鑑定の申請等があるようでございます。このような状況で進行いたしております。  同じくいわゆる水俣病、熊本地裁で審理されております水俣病事件でございますが、これは原告の数が百十一名でございます。訴えを提起されましたのが比較的新しゅうございまして、昨年の六月ということでございます。新聞紙等でも御承知かと思いますが、証拠保全のために工場の付属病院長の臨床尋問を行なうというようなことがございましたけれども、これはいわば証拠保全でございまして、訴訟の進行段階といたしましてはこれまで第六回の口頭弁論を終了してまだ双方の主張を整理しておるという段階に属しておるわけでございます。  そのほかにイタイイタイ病でございますが、これは神通川富山地区の流域の問題でございまして、富山地裁で審理をしておるわけでございますが、この訴訟も昭和四十三年三月に第一回の訴訟か起こされまして、その後五回にわたりまして追加的に訴えが提起され、一番最近の訴えは本年の三月でございます。で、結局その五回にわたる訴えの提起の原告の総計は四百九十三名でございまして、訴訟物の価額、請求しております金額をトータルいたしますと七億六百万円余りということに相なっております。  で、訴訟の進行状況でございますが、今日まで三十二回口頭弁論を行ないまして、原告側の立証はほぼ一応終了したというふうに承知いたしております。もっともこの第五次までの訴訟の中で進行いたしておりますのは第一次の訴訟に関する問題でございますので、厳密に申しますと二次から四次までの訴訟は一応審理を停止しておるというようなことがございますけれども、まあ争点等が大体共通する問題でございますので、全体としてそのような進行状況になっておるというふうにまあ常識的には御了解願って差しつかえないのではなかろうかと存ずるわけでございます。で、証人を取り調べました数は三十一名、原告本人を調べました数が十五名ということに相なっております。この事件につきましても被告側からやはり鑑定等の申請があるようでございます。  最後に、四日市のいわゆるぜんそくの問題でございますが、これは原告が九名でございまして四十二年九月から審理をいたしております。請求金額は八千三百万円余りということに相なっております。三十回の口頭弁論を経まして、これまでに取り調べを終わりましたものは、証人九名ということになっております。大体原告側の本人尋問を了して一応原告側の証人の取り調べを終わりつつあるという段階にあるのではなかろうかと、このように承知いたしておるわけでございます。
  168. 小平芳平

    ○小平芳平君 厚生大臣、ただいまお聞きのような公害病患者が、被害者の方々が訴えた事件が、まあいまお聞きのような経過で進められておりますが、厚生省はこの公害病と認定をされるにはどういうことがそろえば公害病と認定をされるのですか。
  169. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 公害病は御承知のように、いわゆる行政上の救済措置として行なっておりますので、裁判におけるように厳密な意味での因果関係等ではなくて、やはりある程度の因果関係が認められれば、一応行政的にこれを認定して必要な救済措置を行なうということでございます。したがいまして、公害病に認定したからといって、直ちにこれが法律上のいわゆる因果関係ということには当然には結びつかないというふうに考えております。
  170. 小平芳平

    ○小平芳平君 それは当然そうですから裁判がいま行なわれているのであって、ですから少なくとも厚生省、厚生大臣としては公害病と認定するということは、公害を発生する原因者があってその被害者だから公害病と認定するわけでしょう。したがって、こうした長い裁判が一方では行なわれておりますけれども、中には裁判も行なわれていない被害者もたくさんおられるわけです。ですから厚生省としては、できる限りのそうした被害者の救済と、それから同時に企業の責任の追及、これは四日市のように会社がたくさんある場合と、それからいまのほかの二つの例のように、それほど会社がたくさん……一社のような場合と両方あるわけですが、これはもう全面的に被害者救済と企業責任の追及、これは当然結果として出るではありませんか。
  171. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 公害の責任、なかんづく民事上の責任を、公害の発生者と私どもが一応考えるものに負わせるためには、言うまでもなく、御承知のように、これは因果関係の立証とともに故意または過失による原因の発生、こういうことが今日の一般的の民事上の法理では要求せられております。したがって、私ども厚生省がいまお述べになりましたような水俣病あるいはイタイイタイ病等の原因につきまして、一応その原因となるべき事態の認定をいたしましても、私どもが行政上たとえば昨年の暮れから効力を発生いたしました公害による健康被害者の損失補償特別措置法というようなものによりまして、医療費とか医療手当、介護手当というようなものを行政上の措置として支出いたしますことまではできますけれども、両当事者を納得せしめるような意味において、厚生省がその原因たる事態を起こしている企業に対して損害賠償を強制するということはできません。しかし、これも御承知のように、別の意味で、訴訟はやらないが和解といいますか、厚生省あるいは第三者に民事上の裁判にかわる和解上の措置を求められる場合もございまして、これは水俣病事件の被害者の半分につきましてはそういうような事柄もございまして、これにつきましては厚生省自体が金額の査定あるいは病状の査定等はいたしませんけれども、きわめて両当事者が納得される適切なる方々を和解の委員としてお願いをいたしまして、そしてそれらの問題の解決をつけておるようなこともありますことは御承知のとおりでございます。したがいまして、いまのを繰り返しますと、公害による健康被害者に対する一応の行政上の医療費、医療手当等の支出の措置はとりますけれども、最終的な解決というものはやはり当事者間の訴訟によるほかはないというのが現在の状況でございます。しかしそれにいたしましても、これも御承知のとおり、行政上のたてまえであります健康損失等に対する医療費の給付財源につきましては、やはり企業者の集団からそれらに要する財源の二分の一は公害防止事業団というようなものに財源の拠出をしていただきまして、国あるいは地方公共団体がそういう行政上のつなぎの支出につきましても全部をかぶるということはいたしておりませんことも御承知のとおりでございます。
  172. 小平芳平

    ○小平芳平君 それは御承知のとおりですが、厚生省が行政上公害病と認定するという、これは一つの根拠があって認定するのであって、ですから行政上認定したことに対しては被害者に対する行政上の救済とそれから原因者に対する行政上の責任を追及すべきが当然だと、このように思います。  それからもう一つ具体的な先ほどのカドミウムの要観察地域ですね、この健康診断を、県がたとえば黒部あるいは磐梯町の健康診断を実施しているのですが、発表されてないのですね。特にこの黒部の場合などは第一次が五千人くらいですか、第二次が千余人ですか、これだけの人の第二次健康診断をしながら、中にはあなたは異常なしという通知をもらったという人もいるのですが、大多数の人は何の通知もきてないので県へ問い合わせれば、それは厚生省へ相談をしているのだというようなことを言っているそうですが、これはいかがでしょうか。
  173. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 黒部の件についてお尋ねがございましたが、私どものほうは、この地方で行ないます健康診断等につきましては、結果が判明次第個人に通知するように指導いたしておりますけれどもお尋ねの黒部について私どもが県から報告を受けているところでは、第一次診断、先生いまお話しのありましたように、異常なしの判定を受けた者が四千八百五十五人ございます。この者につきましてはすでに通知済みというふうに報告を受けております。ただ第二次診断に回った者が千百七十一人というふうに私ども聞いておりますが、これは近く地元の研究班会議で最終判定を行なうということになっておりますので、おそらくその結果を待って通知が行なわれるのではないかというふうに考えております。ただ、いまお尋ねのように、なおその点でいろいろ第一線に迷惑をかけることがないようにまた県にも話してみたいと思います。
  174. 小平芳平

    ○小平芳平君 その健康診断の結果を厚生省に出してあるから発表できないのだ、そういうことはありませんか。それから第二次診断を受けた人でも異常なしの通知を受けた人もあるというのですけれども……。
  175. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 従来の要観察地域における健康診断は、第二次検診を終わってさらにいわゆる精密検診を要するというような者につきましては、これは中央のほうに最終判断を仰ぐ意味で資料は送ってまいりますけれども、いままでは、第二次までは一応県のほうで処理いたしておりますので、お尋ねの件は——たいへん失礼しました。福島の件は初めてでもございまして、特に第二次分につきまして、先ほどの千何名、これは福島でございますが、黒部の千百何名でございますね、これは特に中央に一応上がってまいっておるということでございます。ですから、そういう意味で本人への通知があるいはおくれているかとも思いますけれども、早急にあれするように指導いたしたいと思います。
  176. 小平芳平

    ○小平芳平君 もう少しはっきり答弁し直してください。
  177. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) ですから、その前に私が答弁したのは間違いでございまして、黒部の第二次検診の千百十七名でございますね、これはまだ本人には通知いたしておりません。
  178. 小平芳平

    ○小平芳平君 そこで、千百七十一名は厚生省がこれを持っているわけですか。それでそれをいつ発表されるのですか。
  179. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 十八日に鑑別診断班の会議がございますので、その結果を待って早急に県に連絡の上、各個人に通知するようにいたしたいと思います。
  180. 内田善利

    内田善利君 私は本論に入る前に、関連して質問したいと思いますが、まず大牟田の小野委員の質問ですけれども、この間私が質問したときには、もう要観察地域にすぐなるような感じの答弁をいただいたわけですけれども、福岡県での検体調査が一カ月かかるということでありますが、厚生省としては、この要観察地域にするための、一応要観察地域にすべきであると考えるという先ほどの答弁がありましたが、厚生省自体は調査をされておるのかどうか、この点についてまずお聞きしたいと思います。
  181. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 従来とも要観察地域指定の前提条件となる調査等につきましては、県の照会に対しいろいろと指導なりお手伝いはいたしますが、調査自体は原則として地元におまかせしてある、そういうことでございます。
  182. 内田善利

    内田善利君 先ほど、要観察地域にするための条件を三つほどあげられたわけですが、そのうちの一つの、摂取量が〇・三ミリグラムあれば、こういう項がありましたが、これは当然、一・〇九PPMの御飯を一日食べれば三・〇二、ミリグラムになるのじゃないでしょうか。私の計算が間違っているかもしれませんが、白米が一・〇九PPMで三百グラム——間違いないですか、水が〇・〇一PPMで一・五リットル、あと赤貝もノリも入れないでいま計算したのですが、〇・三四二ミリグラムになるのですが、そうすると当然一日の摂取量は〇・三ミリグラムである。まあこれはたった一検体だからだめなのかどうか。この辺に疑問があると思いますけれども、これはやはり前向きの姿勢でやらなければならないのじゃないか。あそこは赤貝もノリも水も米も、さらに最近の新聞によりますと貯水池のヘドロですが、貯水池のどろまでもカドミュウムで汚染されておる、そういう新聞報道を見たわけですけれども、これは早く要観察地域にしなければならない、このように思っておるわけですけれども、もう少し、一応地域にすべきであると考えるというのじゃなくて、前向きの姿勢でいくべきじゃないか。開くところによりますと、福岡県では要観察地域指定を待たずに疫学調査ももうすでにやっているということを承っておりますけれども、やはり厚生省としては前向きの姿勢でやるべきじゃないかと、このように思うのですが、どうでしょうか。
  183. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 先生お尋ね数字につきましてはそのとおりでございます。ただ、先生お話しのように、要観察地域というのは一定の地域的広がりを持ったところにおける、いわば集団の食生活その他そういうことで平均した数字としてそういうものが得られるかどうかということでございますので、一検体あるいは特定の個人についての食生活からそのような数字が出たから、当然には基準に該当するものではないということでいま裏づけの調査をお願いしているわけでございますけれどもお話もございますので、さらに一そう県のほうともよく連絡をとって、できるだけ早く所定の手続が行なわれるようにいたしたいと思います。
  184. 内田善利

    内田善利君 私は、先ほどから田中委員あるいは小野委員の質問を聞いておりまして、PPMで線を引くということははたして妥当な行政であるかどうかと、このようにも思うわけですが、ある程度幅を持って〇・三から〇・五くらいとか、〇・四から〇・九くらいまでの範囲の米はどうこうとか、そういうある程度幅を持った行政指導がいいのじゃないか。ぴしっと一・〇PPM以下とか、そういう線は引かないほうがいいのじゃないか、幅を持たして規制すべきじゃないかと思うのですが、この点はどうでしょうか。
  185. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) お話しのような点も十分考えられるのでありますけれども、私どものほうはそういう点を十分考慮いたしまして、むしろそういう十分、何といいますか、予防的な意味で安全といいますか、ぎりぎりの数字をもとにやったほうが行政上むしろ望ましいのじゃないかということでやっております。
  186. 内田善利

    内田善利君 そうすると線を引いたほうがいいということですね。
  187. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 何といいますか、下限といいますか、十分な非常にゆるい線といいますか、そういう線を設けてやったほうがいいのじゃないかということであります。
  188. 内田善利

    内田善利君 その次に、小平委員の質問に関連して一言伺いたいと思いますが、水俣病、イタイイタイ病、四日市病等の裁判がいま行なわれているわけでありますが、先ほども質問があって重複するかと思いますが、これは明らかに厚生大臣公害病として認定された、そうしてこの裁判はいつまで続くのか私たちには見当がつかないような長引いている様子で、すでにせんだっても四日市では学童が死んだという痛ましいニュースが伝わっておりますし、水俣でも次々に裁判の結果を待たずに死んでいっている、こういう事実を見て、厚生大臣は一体どのように、公害病として認定されておりながら考えておられるのだろうと、このように思うわけですが、ついせんだっても手紙が参りまして、これは非常にたどたどしい字で書いてありまして読みにくいのですか、これは四日市のほうです。「今訴訟係争中の公害問題は、速急には裁判がかたづかないと思う。それにひきかえ裁判費用、それに弁護代も高くこまっているし、企業側は高層煙突構築費一本一億何百万円との由、一方、公害患者はどんどん死んでゆき、ここらで一日も早く解決していただいたら幸甚に存じます。」という意味の手紙が書いてあります。「中風にて手が震え判読に困難不悪」という添え書きで来ておりますが、このような患者が裁判の結果を待たずしてなくなっていっているのじゃないかと言っているわけですが、この点について、長引く公害裁判に対してどのように考えられておるのか、この点お伺いしたいと思います。
  189. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 私、正直に申しまして、内田先生、また先ほどの小平先生の気持ちと同じ気持ちを持つものでございます。しかし、先ほども申しましたように、私どもが行政上その病気が公害にかかるものと認定をいたしましてもそのような事態を生ずることについて、企業側の公害原因発生者側の故意または過失があるかどうかということが今日ではその損失補償のきめ手になっているという、そういうその民事上の法律原則に立たされております。しかし、私はそれは、従来日本の民法はおそらく明治四十年にできた民法ですが、そういう民法のその過失原理は、今日一九七〇年代、しかも高密度社会の公害などに基づく損失補てんについて、いつまでも同じような形で適用していいだろうかということについては、私は政治家としての立場を離れましても考えさせられる面もございます。そこで私は、ここにおられる公害担当大臣山中大臣も同じ考え方だと思いますが、やはり今日のような高密度社会における公害については、無過失原理というものを検討すべき時代に入っていると、こういう考えを持つものでございまして、いろいろの機会にそういうことを検討をすべき時代に来ていると思うというようなことを私は述べております。その一つの入口として、先ほど来も触れておりますような、公害による健康被害の損失補てんについての法律というようなものができまして、そして財界からこれは全額ではございませんが、二分の一の補てん金を入れさせながら、この医療手当、介護手当等も出すようなこともいたしております。また、厚生省自身がいろいろな批判を受けながらも水俣病の被害者の方々の一部については和解契約というようなもののごあっせんをして、そして長引く裁判によらないで、そこに故意があるか、過失があるかということを超越をした損失補てん、あるいは見舞い金と言いますか、そういうことのごあっせんもいたしておりますし、また、これも昨年の国会で成立をいたしました中央公害審査委員会というものができまして、その中央公害審査委員会におきましては、民事訴訟によらずして当事者から損失補てん等につきましても申し入れを受けて、そして民事裁判のワク外で適正な、適当な処置を講じていくというような制度も生まれて、今回まあその中央公害審査委員会委員の方々が御就任になったというような事態でもございます。  私はこういうような事態を積み重ねてまいりながら、公害被害等につきましては、必ずしてもいままでの、過失なければ責任なしという民事上の法理原則から離れた行き方を積み重ねながら、新しい時代の新しいその原理というものを打ち立てる機会を、ある意味ではねらっておると、こういうことも申し上げておきたいと思います。
  190. 内田善利

    内田善利君 どなたにお尋ねすればいいのかわかりませんが、今度の公害罪の法案には無過失責任が最初は乗っかると、このように聞いておりましたが、また入れないということになったように思いますが、いまのお話を聞きまして、今度の公害罪法案の中には無過失責任が政府案には出るか出ないか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  191. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 人の健康にかかる公害犯罪の処罰に関する法律案という一応の仮称をもっていま作業をいたしております俗にいう公害罪、これは刑法の特例でございますので、刑法の特別法として制定を予定し、次の臨時国会に提案をすべく準備が進んでおることは先ほどの法務省の答弁によって明らかなところであります。  無過失責任に関する問題は、挙証責任の転換の問題と関連をいたしますけれども、これは民法の特別法として議論しなければならない別の分野でございますので、民法の中から公害に関する分野のみをどのように抽出して、しかもこれを無過失責任という立場において賠償を決定づけようとするか、これは法理論上、法体系上、あるいは裁判の維持上、たいへんむずかしい問題があるようでございます。私しろうとでございますが、十分そのむずかしさは私もわかります。次の臨時国会に間に合わせるべく夏以来努力いたしてまいったのでありますが、それらの法務省の中の議論並びにいろいろ学者の議論等、現実の問題としてもなかなか臨時国会までには間に合わないという見通しが立ちましたので、たいへん遺憾でありますけれども、これを臨時国会において提案することは見送る、しかしながら、その過程において要請されましたと申しますか、裁判、司法関係側の意向として、一般行政法等の中においてもそのような思想を、たとえば原子力基本法等のごとく明確なる範疇のものはいろいろ検討されておる法律の中で取り入れられるだけ取り入れてほしいと、それを受けて民事法の裁判をやりたい。自分たちも引き続き純粋の特別民法としての無過失責任というものを打ち立てるための研究努力をいたしますと、できれば次の通常国会までに間に合わせたいということで双方努力をいたしておるところでございます。先ほど内田厚生大臣からお話がございましたように、前の国会で御審議、通過決定いたしました公害紛争処理法による中央公害審査委員会が十一月一日発足をいたしました。たいへん優秀なメンバーを幸いにして——こんないやがる仕事でございますから心配いたしておりましたが、それにもかかわらず集めることができました。集めるというのは失礼でございますが、お集まりいただくことができまして、私としては、この中央公害審査委員会の御活動は——先般、法の権力を背景にしないで、厚生省がほんとうに苦心惨たん、あっせんの労をとられて、水俣病の一部、部分的な解決をした、これらのものがすべて今後は厚生省にわずらわして苦労をかけることなく、政府全体において行政の中における可能な限りの分野として、和解のあっせん、調停、仲裁等につき当事者間の合意を得らるべき努力を続ける機関ができた。このことは一歩前進であり、この運用いかんによって私は非常にこれは貢献をし得るものと考えるわけでございます。某通信社と申しますか、報道機関の調査によりますと、日本の大企業大手百社の社長もしくは副社長等会社の責任ある地位の人々に対するアンケートの集計の結果を見まして、私は非常に興味を持ったのでありますが、いま一見、いかにも企業というものはがんこで、裁判にとことん持ち込んで争おうではないかという姿勢をとっているやに見受けるのでありますけれども、事実はそうでないということがうかがわれるのでありまして、このアンケートのたとえば裁判に持ち込んでもいわゆる黒白をつける、いたしかたがないという考え方の人はわずか百人のうち二名しかおりません。大多数、ほとんど九〇%の方々が地域のお互い同士の話し合いにおいて解決したいというアンケートになっている。さらに第三者のあっせん、すなわち今回出発いたしました中央公害審査委員会みたいなものによって調停その他の労をとってもらって片づけたいということに圧倒的な希望を示しておられます。このことは私も静かに考えてみますと、やはり企業というものは、反社会的な企業のイメージを植えつけられることはやはり避けなければならないし、避けなければ企業そのものが反社会的企業、場合によっては殺人企業のイメージを与えた結果、新規の社員募集さえ困難になってくる、あるいは当然必要とする企業の進出さえもあちこちで断わられていくというような事態に遭遇しておる事実等から勘案をいたしまして、ある意味ではもっともな結果であるようにも受け取られるわけであります。このことは結局は中央公害審査委員会がどの程度お役に立てるであろうかと思っておりました私の危惧を、逆に中央公害審査委員会はたいへん忙しい役所に、機能になるのではないか、これはたいへんうれしい、と申しては語弊がありますから、その表現は採用しないことにいたしましても、予期せざる信頼なりあるいは委託を受けて活動することになるのではないかということを、いま思っておるわけでございます。  さらに、現在の行政の限界の一ばいにおいて、裁定というところまでいけませんので、そこらの点は憲法上の制約もこれあり、やはり無過失責任というものをどうしても民法の特別法によってさらに補完をしていただくということが必要になってくることは、内田厚生大臣の言われたとおりでございまして、政府の姿勢として、意見の違う、意思の疎通を欠く点はございませんので、なるべく早くそのような体系が行政法規の中においても、あるいは特別法の、民法の中においても打ち立てられるように努力をしてまいりたい所存でございます。
  192. 内田善利

    内田善利君 いま中央公害審査委員会お話が出ましたが、全国の都道府県ではどのような実態になっておるか、おわかりになればお聞かせ願いたいと思いますが、審査委員会ができた県数ですね。それから苦情相談員の実態等、わかれば聞きたいと思います。  そこで、ことし行政管理庁が一年間の調査結果、現行法の三分の二はいろいろな苦情がワク外にはみ出しておると。三分の一しか処理できなかった、そういう行政管理庁の報告でありますが、十一月一日から発足した公害紛争処理法に基づいて、こういった三分の二が消えるかどうか、その点お聞かせ願います。
  193. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 地方公害対策本部だけは大体ほぼ、二県を残して設置が完成、出そろったということは一応把握しておりますが、地方審査委員会が現時点において何県まで設置されて発足をしたか、これはいまのところつまびらかにいたしておりませんので、ただいま自治省のほうにもここで聞いたのですけれども、いまのところ確定的にわかっていないということでございますから、これはいずれお話を申し上げたいと思うわけでありますが、これは地方のそれぞれの特色によって、審査委員会をつくるかつくらないかということも前提として、知事さんなり議会等含めたその地方の判断によるところもございますので、必ず全部必置しなければならぬというものでもありませんし、それらの点で、いずれなるべくつくってほしいと思っておりますし、それらの方向に進むようにしたいと思っております。  さらに、中央公害審査委員会はすでに発足をし、行管の指示するような、そのような落ちこぼれをどこまで拾っていけるかという問題は、これは私先ほどは非常に希望的な、観測的な言い方をしたわけでございますけれども、進行状況を見ませんとはっきり言えない。発足いたしましてから約五日目ぐらいに二件ほどはすでに持ち込まれてまいったのでありますが、どうも持ち込んできた人の問題も含めて中央公害審査委員会で取り上げるに至らざるケースのものが参りまして、もう少し本格的な筋に乗ったものが相談が受けられるようにしたいと思っておりますが、どの程度カバーできるかは、これはやはりある程度時間をかしていただきまして、私の思っている、想像しているように、たいへん好ましくないことですけれども、忙しい機構になるかどうか、そうしてそれがなるべく現時点においてカバーできるようなことになり得るかどうか。その運営についても、相談にこられる人々の心理的な問題まで立ち入った役所の機構、机の並び方なんかも全部懇切丁寧にするようにということを言っておりますので、相願わくはそういうような落ちこぼれをできるだけ数多く拾っていきたいというふうに考えております。ただ中央公害審査委員会ができた、動き出したということでもって、それが全部カバーし得るものでないであろうことは、先ほど申し上げました背景に無過失責任ということを、はっきりと民法上の新しいジャンルとして打ち立てておかなければ不可能であろうというふうには考えておるわけでございます。
  194. 内田善利

    内田善利君 最後に、北九州大気汚染関係で一言お伺いしたいと思いますが、北九州の粉じんの状況ですけれども、煙突のある工場が約七百で、防除施設をしているのが百九十、そのうち最も優秀なコットレル施設をしたのが五十と、こういう状況で、非常に北九州の浮遊粉じんが多いわけです。たとえば戸畑区の小芝アパートでは、マンガンが四、三六二PPM、クロームが二四八PPM、カドミウムが一四・一PPM、これは大牟田よりもずっと多いわけです。バナジウム五〇七PPM、鉛が三四二PPM、こういう非常に浮遊粉じん、降下粉じんが多いわけですが、その浮遊粉じんの規制はできないものかどうか、これが第一点。次にこの地域の中学生、小学生の健康状態を調査された結果、ぜんそく症状の児童、これは呼吸困難を伴う定型的な症状ですが、東京都が一一九%、四日市が公害病と認定されておりますが、〇・九三%、ところが今度の調査では、北九州市では一・六七%、一番多いわけです。十人のうち三人までは、ぜんそくである、こういう状況で、特に中学生、小学生のぜんそく患者がいま申し上げましたとおり、四日市よりも多いことがわかったわけですが、この点、厚生省ではどのように考えられておるのか。公害病として早く指定していただきたいと、このように思うわけですが、この点どのように厚生省では考えておられるか、この二点質問したいと思います。
  195. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 浮遊粉じんにつきましては、現在の規制が必ずしも十分でないということで、私どもはかねて生活環境審議会の中に専門委員会をつくりまして、現在環境基準の作成の検討をお願いしておるところでございまして、ようやく議論も煮詰まりまして、専門委員会結論が近々得られる見込みでございます。当面作業の順序としましては、浮遊粉じんにつきまして、まず総量を規制する、総量についての基準を定める、しかし、なおこれでは不十分でございますから、引き続き一応の中間結論を出していただきましたあとで、引き続き浮遊粉じん中の、さらに組成有害物質の規制についても検討をお願いするということになっておりまして、こういう点で結論が得られましたならば、またそれに基づいて、排出基準等の強化も考えてまいりたいというふうに考えております。  それから第二点の学童のぜんそく関係、これに関連して救済制度の指定地域になるのかどうかのお尋ねでございますが、先生御承知のように、この救済制度の対象地域につきましては、まず大気汚染状況調査することと同時に、慢性気管支炎等の発生状況、こういうものを勘案して指定を行なうことにいたしておりまして、私どもが持っております数字で申し上げますと、たとえばすでに指定になっております川崎、大阪の西淀川等に比べますと、硫黄酸化物等の汚染状況は、やはり数字としてはかなり下回っております。それからまた有症率状況につきまして、ただいま先生お話がございましたけれども北九州市の医師会が行ないました結果の数字を見ましても、たとえば川崎が有症率八・〇%——指定の際の数字でございます、あるいは大阪の西淀川が一一・六という数字に対しまして、実は三一八八というような数字でございますので、いまのこの数字だけから大気汚染状況あるいは有症率双方ながめたところでは、直ちに公害救済の、被害者救済の指定地域に該当することはむずかしいのではないかというふうに考えております。
  196. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 まず厚生大臣にちょっとお伺いをしたいのですが、大気汚染のうち亜硫酸ガスによる汚染寄与率の六〇%以上は火力発電だということは、これまでの質問で明らかになっておると思うのですが、この汚染の元凶とも言うべき火力発電を今回大気汚染防止法改正の適用外にしておりますが、これで大気汚染が防止できるかどうかという点について、厚生大臣の意見をお伺いしたい。   〔委員長退席、理事久次米健太郎君着席〕
  197. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 必ずしも須藤さんの御理解のような線で大気汚染防止法の改正案をまとめておりません。電気ガス事業につきましては、御承知のように、通産大臣所管のもとにそれぞれ厳重な管理法規がありますので、従来は、大気汚染防止法の体系におきましては、それらのガス電気の施設に関する管理、監督につきましては、全部特別法のほうにおまかせをしておりましたが、今回はこれにつきましてもいろいろ構想を練りまして、そしてそれぞれの地方の実態に沿うような措置ができるような方向でただいま検討をいたしております。もっとも、ガス、電気というのは、公害地域的にも関係の深い健康現象でありますが、全国的の分野ももちろんございます。ガス、電気につきましては、これは一地域のエネルギー供給源であるばかりでなしに、広範囲に対するエネルギーの供給源でありますために、その公害地域性というものと、ガス電気供給範囲の広範囲、広地域に対するエネルギー供給源であるという点についての両方の考慮を払いつつ、いままでの大気汚染防止法における御指摘の点を改正すべく準備をいたしております。
  198. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あなたのような御意見で、はたして国民の健康というものがきちんと守っていけるかどうか。要するに大気汚染を防止できるのかどうかという点ですね。できるとおっしゃるならば、どういうやり方で防止していくかということをはっきり国民が納得いくように説明していただきたい。
  199. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) いずれ、お取り上げの問題は、法律案をまとめまして、これはもう私どもだけの関係でなしに、ここにおられる公害担当大臣あるいはまた通産大臣をも説得いたしまして、政府全体として国民のために納得のいける線の改正案を国会に持ち出すつもりでおります。でありますから、私が申し述べましたように、公害はその地域に対する影響が一番大きいわけでありますから、発電設備あるいはガス発生装置から出る亜硫酸ガス等をかぶるのはその地域が一番多くかぶりましょうし、またある程度の、東京湾全体、東京湾の東西にわたる大気の汚染ももちろん考えるわけでありますけれども、   〔理事久次米健太郎君退席委員長着席〕 しかし、そのエネルギー供給源はそれよりも広い地域を担当をいたしておりますこともこれはもちろん先生御承知のとおりでございますので、その点の苦心はございましたが、私はいまのままの大気汚染防止法における電気ガスに対する規制のたてまえだけでいいと思いませんものですから、いろいろ困難を排除いたしつつ私は適正な改正案を出したい考えでおります。
  200. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 厚生大臣の話を聞いていると、ぐるぐる回りくどくて何をどういうふうにすっきり考えていらっしゃるかということが、あちらこちらに気がねをしながら話をされているような印象を受けるんですがね。あなたの話を聞いておっても、山中総務長官の話を聞いておりましても、やはり国民の生活を第一義に優先させるのか、それとも企業を優先させるのかというそこがすっきりしてこないんですね。この前の公害基本法のときにも私たちは同じことを言ったんですよ。そうしたら、いやこれでやっていけるんだとおっしゃっていらしたが、さあやってみると、二年たって公害がうんとこさと出て国民の健康が破壊されておる。私たち言ったとおりになっておるわけですね。これはまことに不幸な結果ですかそういうふうになってきておる。そこで公害基本法をはじめ手直しして改正しなければならぬということになったんですよ。ところが、依然としてやはり企業の利益ということが頭の中にこびりついておって、生活優先ということにどうもぼくはなってきていないように思うんですよ。だから、あなたはあっちこっちに気がねをしたような回りくどい、わけのわかったようなわからぬような答弁をしていらっしゃいますが、国民はそういう答弁を要求していないんですよ。やはり生活優先ということをはっきりこの際してもらいたい、そういうことを国民は希望しておるんです。ところが、今度見ますと、今度も公害基本法の中に生活優先ということばが明らかに出てきていないんですね。それは国民の健康を保持するためとか、そういうことばは使われるかわからぬけれども、それでは従来もそういうことで今日のような結果が起こっているんですから、今回法改正をするならばもっと徹底した、はっきりとしたものをつくってもらいたい、これが国民の要望なんです。ところが、朝からの山中長官答弁にもいまのあなたの答弁にもそういうきっぱりとした、国民の健康はあくまでも第一義にするんだという、こういう決意がどうも出てこないんですね。これでは国民はどうもあなたたちのやり方に納得できないんじゃないかと思うんですが、この際猛勇を発揮して、もっとはっきりとそういう点を明らかになすったらどうですか。
  201. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 私は、実は公害につきましては、何しろ厚生省というのは産業官庁でもございませんし、また運送官庁でもございません。もっぱら国民の健康を守り、また医療を担当し、環境整備するのが厚生省の役目でございますから、厚生大臣の私といたしましては、その角度からは須藤先生からも高く評価されるようなことを実はいたす考えでございまして、一口にわかりやすく——ここに山中担当大臣がおられますから、おまえはおれの分までよけいなことをしゃべるといってしかられないことを前提としまして、厚生大臣の考えで申しますと、私は、今度の公害の立法の新しい制定、改正につきましては、ごくわかりやすく言うと五原則でいきたいということを言っています。五原則の第一原則というのは、いままでの産業とか経済とかいうものとの健全なる調和原則というものを、ドイツ語で言いますとアウフヘーベンということで、そういうものを消し上げてしまいます。たとえば、基本法における公害の目的でも経済の健全なる発展との調和ということで縛っておりまするし、同じ基本法の中の環境基準の設定にいたしましても、やはり経済の健全なる発展との調和をはかる、これは水質保全法におきましてももっと露骨な表現で、経済どころじゃなしに、産業、企業との調和、こういうような文句を使っておりますが、それをアウフヘーベンするということが第一原則でございます。  第二原則は、これはいままでの政府の悪口を言うわけじゃありませんけれども公害対策というものはきわめて局地的、限定的である。大気汚染にいたしましても、水質保全の問題にいたしましても、特定の水域を指定し、あるいは特定の地域を指定しまして、言いかえますと、よごれてどうにもこうにもならないひどいところを指定区域、指定水域として、それに対しましていろいろな排出基準や規制を設定するというたてまえですから、東京や四日市やあるいは川崎なり千葉なりというところでしばられて困るものは、それは私の郷里の山梨県へ、富士山の根っこへでも行ってよごしなさいと言わぬばかりのそういう法律です。あの地域大気汚染の指定地域にもなっておりませんし、山中湖や精進湖も指定水域になっておりません。ですから、それではいけない。ですから、そういう何といいますか、局地対象主義というものをやめて、全国的な環境保全主義といいますか、環境整備主義に立つべしというのが私の第二原則でございます。それもそのとおりに山中君が了解をしてくれまして、そして規制のかからない地域は一つもない。少なくともどんな地域でも、まあハイカラなことばで言いますと、シビルミニマムというようなものがかかるようなことをいたすのが第二原則でございます。  それから第三原則は、いままで、いまあなたがお触れになりましたように、最も端的なるものはガス、電気などのように、これはもう特定の産業官庁が規制権限を握ったままで、公害等の目的からそれを規制しようと思っても、少なくとも公害立法、公害法規からは手が触れられないというような仕組みになっておるものもございますし、またその他の産業、企業につきましても、それぞれその所管大臣が直属の局長をして管理、規制させているというたてまえになっておりましたのを、私は、公害というものはやっぱりその地域における社会的な条件に対応して、そして規制をしなければならない点があるという認識のもとに、これらの中央で保留しておる権限、あるいは特定官庁のみが保留しておる権限というものを、これを全面的に地方公共団体の長に委譲するということをやるべしということが第三原則でございます。  第四原則は、公害公害と騒ぎますけれども、規制の対象にしておる毒素といいますか、有害物質は特定をいたしております。たとえば亜硫酸ガスでありますとか、一酸化炭素でありますとかいうようなものを中心にいたし、あるいはまた、一部分の自動車排気ガスというものを対象といたしておりますけれども、その他の有害物質については触れていないものがたくさんございます。また、大気とか水とかいいますけれども、先ほどの米の議論じゃございませんけれども、ソイル、土壌につきましてはこれも触れていないということもございますし、あるいはまた、産業廃棄物といわれるような、いままでに考えられなかったような大規模の粗大ごみのようなものも対象としていないように思います。これは硫化水素とかあるいは弗化水素とかいうような特別な有毒ガスあるいは特定の微量重金属等につきましても、事態が必要な場合には特定の定めをすることができるたてまえにはなっておりますけれども、規制外に置いておるのを、私はそういうものを全部規制の対象にすべしというのを第四原則としております。  第五原則は、いま内田先生から議論がございました無過失責任の検討というのを第五原則に掲げて、少なくとも私は、厚生大臣として山中大臣の旗下に入る以上は、その五原則だけはひとつ公害担当大臣には聞き入れてもらいたいということを強く申し入れておるわけでありまして、肝心の厚生大臣がこれは腰抜けになってしまったのでは何にもならないということを十分意識いたしまして、十分これは須藤先生の御期待にもこたえてまいりたいと、かような覚悟で山中大臣とも御相談申し上げております。
  202. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 内田さんの答弁は、なかなか親切丁寧と申しますか、回りくどいといいますか、時間がかかって、私たち時間に縛られておりますので、ありがたいような迷惑をするような気持ちなんですがね。もう少し率直にパチンと答えていただきたいですが。  山中さんに、午前中の質問に補足した質問をいたしたいと思うのですが、地方自治体に規制権限を委譲しないという点ですね。この点について、私はもう少し権限を委譲すべきだという立場をとっているものですから、意見をお聞きしたいのですが、関西電力の尼崎発電所、これは通産省に、第三発電所を設置するときに、第三発電所ができたら第一、第二はとめると、こういう条件をつけて通産省に願い出ているのですね。それで第三ができたのです。市民は第三ができたから第一、第二は煙を吐かないものと思っておった。ところが、依然として第一、第二も煙を吐いている。そうして公害が非常に多くなった。市民は、これはうそじゃないか、話が違うじゃないかといっておこり、尼崎市当局も、兵庫県当局も一ばいひっかかったというような気持ちで釈然としないわけです。ところが、地方自治体がそれを規制する権限はないのです。だから、黙まってうらめしい顔をして煙を見ている以外に道はないのですね。きょう尼崎のいわゆる汚染のこれをいただきますと、尼崎中部で〇・〇八四PPMになっておるのですね、これがね。そうしますると、何じゃないですか、〇・〇五——政府のきめているそれよりもはるかに高いということがこれではっきりするわけです。ところが、それを規制することができない。というのは、地方自治体に権限がないからです。そういうのは政府はやりますか。こういうことが明らかになっておってもなお政府はしないじゃないですか。手をこまねいて見ているじゃかいですか。こういうことでは困るから地方自治体に権限を委譲しなければいかぬ、そしてパチッといくようにしなければいかぬというのが私たちの意見なんです。それでなければ厚生大臣、幾ら人命を、健康を守るといっても、こういうようなことでは守っていけないです。あなたの誠意はわかるとしても、実際に守っていけないというような現状がここにあらわれているじゃないですか。どうなんですか、こういうことによってやるというならば、なぜきちんとやらないのですか。
  203. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 通産省からいまのだれとだれが約束をして、どういうことで第一、第二発電所をやめる前提で第三発電所ができたのか、そこらの経緯をつまびらかにいたしておりませんが、それから法律自体からいくならば、かりにそのような経緯を踏まえて世間周知の約束ごとによって第三発電所が新鋭発電所としてできたのだというようなことが前提でありますならば、その後においてどのような電力需用の供給逼迫等がかりに起こったにせよ、それらについては、また住民の納得するような説明がなされなければなりませんし、その場合において今後法改正がかりに納得の得られないものであったにしても、少なくともいま考えております範囲でも、知事が、それは話が違う、あるいは第一、第二発電所はこれは停止すべきであるという勧告を中央に対して要請することができるわけですから、これに対して通産大臣は、法律によってそれにこたえなければならないという義務を負うわけでありますので、今後はそういうふうないいかげんなことはできないのではないかと私考えております。
  204. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あなたそのいきさつを御存じないようですが、願い出たときに、通産省にそういうことで許可を願い出た。そして私は火力課長を呼んで、第三発電所に視察に行って、ただした。そうしたら、四十一年度には必ず第一、第二をとめるという決意でやりました、こういうふうに一度とまりました、しかし、その後、電力事情が変わって、そうしてそのあくる年からはずっと動かしておる。ところが、動かすことについて県知事に対しても了解を得ていないということも一つですが、それじゃ、この高度成長政策の中で一年後に電力事情が変わるとか変わらぬとかというような、そういう簡単な問題がわからないのか、関電の重役はそんなぼんくらじゃあるまいと言ったのですが、そうしたら、事実は私たちの考えと違った状態になった、それでやむを得ず第三を使っている、こういうことなんですね。それで、この間通産省の人にぼくはただした。そうしたら、一年後に電力事情が変わるという、そういう見通しを立てたのは通産省だというのですよ。これはここでの発言じゃないんです、私が部屋に来てもらって聞いたのです。だからそれは政府の責任ですと、こうまでおっしゃるのです。政府の責任なら責任らしく責任を明らかにしたらいいし、関電の責任なら関電の責任として政府がばしっと私は処置すべきものだと思うのですよ。そういうことができないところに、山中長官、今後もいろいろな問題か起こってくるすきがある。だから、そういうことが再び起こらないように、この際そういう権限を地方自治体に委譲して、そうしてそこで事を処理するようにしたらどうだ、こういうことを私は言っているわけです。何も私は根拠なくそんなことを言っているわけではないのです。だから、山中長官がいま相当はっきりしたことをおっしゃいましたが、よくお調べになって、もしもそういう事情があるならば、山中長官、ひとつこの際関電の発電所、第一、第二の煙をとめてください。そうでないから、こういう〇・〇八三とか〇・〇八四とか、高度の汚染がなされているじゃないですか。これはあなた、数で明らかになっているのですからね。だから、私はこの処置をやっていただきたいと思うのです。どうですか。
  205. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私もこの場で唐突に聞いたわけでございますから、軽率な答弁はできかねると思いますが、それらの経過をよく調べまして、おそらく関西電力そのものの責任にのみ帰すべきものであるのかどうか、通産省の責任があるべきものかどうかについてもよく相談してみたい、事実を調べてみたいと思います。ただ、問題は、そのような事実が、かりに、では大阪府知事にその権限があったという場合において、大阪府知事はそういうことのないようにしたであろうか。かりに第一、第二の発電所の煙がとめられたということで、健康、生命というものを守る第一義の目的に合致し得たとしても、関西地方全体の電力供給という問題を大阪府知事自体でそれに代替する電力を確保し得るのであろうかどうかという問題等については、やはり知事だけでもっていける問題であるかどうか、やはり問題がそれでも残るのではないかと思っておりますので、まあ事実を聞いたばかりでございますから、しさいを調査の上、いずれしかるべき連絡なり報告をしたいと思います。
  206. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それは知事に権限を与えても、知事が企業の側に立つ知事だったらやらないかもしれない。だから、権限を知事に与えることで問題が解決するとは思いませんよ。しかし、少なくともいまよりはよくなると私は思うのですよ。だから、私たちは、むしろ今後は公害委員会というものですね、それは私たちの考えでは公選による公害委員会を、政府にもつくると同時に、地方自治体の中にもそういうものをつくって、そこで明らかにこの公害対策というものを出し、そういう問題についても態度を明らかにして、国民の立場に立って処置をしていくという、この考え方が私は必要じゃないかと、こういうふうに思うのですね。まあこれは私の意見になりますが、私たちはそうしなければ——知事に権限を与えただけでは問題は解決しないのではないかと思いますがね。しかし、現在よりはずっとよくなると私たちは考えております。  それで火力発電所からばい煙量等の測定に四半期法をとっておる、こういうように通産省の方が言っておりますがね。工場からいろいろ報告を受けるわけですね、それの測定はいつやるのか。二十四時間ありますが、その二十四時間ごとに測定をして、そうしてそれを報告するのかどうか、そのところを私ちょっと聞いておきたいのです。
  207. 莊清

    説明員(莊清君) 電力会社の自主測定の御質問だと思いますが、ばい煙規制法に、企業の義務として自主測定をしなければいけないという規定が現にございます。それに基づきまして、厚生省と通産省の共同の省令が出ておりまして、たしか亜硫酸ガスの場合には少なくとも三カ月を越えない機会に一回、つまり年四回以上という趣旨だと存じますが、自主測定をしなくちゃいけない、そしてその結果はいま言いました共同省令で書式もきまっておりますが、一定の書式がございまして、そこにきちんと所定の事項を全部書き込んで、最低三カ年間は保存しろというふうに義務づけをいたしております。で、お尋ねのございました、一体何時間くらい測定をしてそのときの検査の値とするのかというふうな問題につきまして、私ちょっとそこまでよく勉強いたしておりませんが、検査の方法、どういう技術的方法でやりなさいとか、そういう点は省令の中に規定がございます。
  208. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 じゃあ二十四時間測定をしてそれを報告してくるのですか。ということは、私、こういう質問をいたしますのは、この間堺のほうへ調査に行ったのです。そうすると、市民たちはこう言うのですよ。昼間は煙突の煙から出る亜硫酸ガスがあるいは基準以内かもわからぬ。しかし、どうも私たちが推測すると、夜中ですね、われわれ市民が寝静まってからたく量が非常にきつい。ということは、牛乳配達さんや新聞配達さんが朝五時ごろに行くととてもこれはにおいがきつい。だからおそらくあれはわれわれの目のあいている間は遠慮しいしいたいているが、夜中にうんとこさっとこたくのではないか、あるいは硫黄分の多い安い重油を夜中にたくのではないかという質問を受けたのです。私はそれに答えることができなかった。それで、あるいはそういうことはあるかもしれない、そこではよく国会で調査してみましょうと言って帰ってきたわけです。それで、二十四時間調査したのをちゃんと報告するのか、それとも自分たちに都合のいいところだけ書いて報告するのかどうなんだということを私はいま尋ねたのです。そういうことを市民は言っています。
  209. 柴崎芳三

    説明員(柴崎芳三君) ただいまの二十四時間測定の点でございますが、これは法律上どういう形になっておるか、ちょっとこれから調べたいと思いますが、現実問題といたしまして、われわれ各発電所によりましていろいろ施設その他を調べますときに確認した状況では、大体煙道のある部分に自動測定機が備えられております。その自動測定機による記録は、二十四時間確実に記載されておりますという事例を多く確認しております。したがいまして、主要な発電所の大半は、事実上そういう自動測定機による二十四時間の記録を持っておることは間違いない事実であろうかと思います。  それから第二点の、朝新聞あるいは牛乳配達の少年たちが遭遇するそういう問題でございますが、この点もしばしば各方面から指摘されますので、そういう観点でいろいろ調べてみたこともあるわけでございますが、大体現在まではっきりしております状況は、まず第一点として、大規模の新鋭火力はべースロードとして常時大体平均してたいておる状況でございますので、その常時たいておる燃料を特に夜間だけ切りかえまして、夜間だけS分の多いのをたくというようなことは操作上も非常にやっかいな問題がございますし、それからそういうためにS分の高いものを特に備蓄していくというようなことはいろいろ敷地の問題あるいは技術上の問題その他考えましてこれも不可能な場合が多い、そういったことで事実上そういう操作はまずあり得ないであろうという点と、特に朝方は大気の現象から同じ煙でも朝方は非常になびいて地上濃度としてはしばしば高くあらわれるケースがある。これは地域により気象条件によっていろいろあるわけでございますが、ある地域によっては確かにそういう状態があろうかと思いますので、燃料中のS分をかりに多くしない場合でも二十四時間をとってみました場合には朝あるいは夕方にそういう事態があらわれるというケースはこれは実際上しばしば出ておるわけでございまして、むしろそういう状態に対しましてできるだけ地上濃度の平均化という意味で技術上許される範囲内でS分は一定のものをたいておいて、そういう事態だけは緊急時に準じた低いS分の燃料をたくというような対策は必要かと思いますが、その逆の操作ということを電力会社が行なっておる事実は、これは全くないのではないかと考えます。
  210. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃいまあなたがおっしゃったそういうときにはS分の少ないものを逆にたくことが好ましいことだというんですから、そういうように行政指導をなさったらどうでしょうか。行政指導してください。
  211. 柴崎芳三

    説明員(柴崎芳三君) これはもう先ほど申し上げましたように、地域によって相当条件が違うと思いますので、そういう観点から一ぺん状況を確実に把握いたしまして、必要に応じましてそういう方向で指導もいたしたい、かように考えます。
  212. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 先ほど内田委員からの質問で即答できませんでした地方の公害審査委員会、これの設置状況、大体報告がまいりました。公害紛争処理法の第十三条でいう条例で定めることができるという審査委員会を設置いたしました都道府県が二十六でございます。それから委員会を置かない都道府県という第十八条の規定を受けて候補者名簿を作成しておくという対象として名簿をそろえました県が二十県でありますが、合計四十六ですから全部ということですけれども、その二十県のうちの五県は予算その他の関係もこれあり、やがては十三条の条例で定めて委員会を置くほうに移るであろうと思われる県でございまして、一応は全部姿勢をそろえてもらっているということがまいりましたので報告いたしておきます。
  213. 田中寿美子

    田中寿美子君 さっき私質問がちょうどいいところで二つに切られてしまいまして非常に残念でした。  東京都の汚染米の買い入れ問題なんですけれども、それでもう一度ごくかいつまんで言いますと、〇・四PPM以上のカドミウムの出ているところを、つまり府中、昭島、あの付近全体を含めて汚染地域として東京都は指定する、そして〇.四PPM以上の米の全量を買い入れる方針である、それで自家保有米も含める、それからそれの買い入れのおくれている間配給米を保証する、こういうようなことを東京都では言っておりますね。で、これをどう思うかということでさっきお尋ねしたときに山中長官が次のようなことをおっしゃいました。つまり汚染地域指定の趣旨は厚生大臣も言われたけれども、趣旨はよろしい。しかし、食管法上の問題がある。それは買い入れた米をどうするか、買い入れのしかた、配給その他食管外の運用があれば違反だ、食管法違反になる疑いもある、食管法を無視するような問題もあるということをおっしゃいました。私は食管法違反になるのではないかということばを引き出したかったわけです。  そこでお尋ねしたいのですけれども、食管法違反の疑いがあるということは、的確に言ったらどういう点で疑いになるかということです。
  214. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) いずれ法律の文言その他を引用して食糧庁から補足の説明をいたさせますが、国は国民の食糧としての米の買い入れの義務を持っております。これは全量というように一応解釈されて今日までまいりましたが、その中で今回のカドミウム汚染米に関連をいたしまして一・〇PPM以上のものは買い入れない、そのかわり会社との間の補償その他の問題は別途妥結の方策を援助するとしても買い入れないという措置を前提として一PPM以下のものは買い入れる。買い入れるけれども、配給は〇・四PPM以上であれば配給しない、こういうことを明らかにいたしました。これはいわゆる国民の食糧になり得ないものであるという概念の中で買い入れないということを定めることが可能でありますし、また、配給しないということは、配給しても差しつかえはない。つまり厚生省も一PPM以下であれば食用にしてもいいということをいっているわけでありますからかまわないのであるけれども、先ほどの表現でいえば、幸か不幸か米が余っておるという事態を踏まえて、無用の心配を国民に抱かせてはならないから配給しない、こういうことを明らかにして心配解消ということを前提にしたということであります。  なお、この買い入れた米の処理については、食糧庁では目下検討中ということでありますが、私が先ほど〇・四PPM以上の地区汚染地区とし、国でなく、地方の都道府県知事の権限において指定をする。そうしてそれは都道府県が買い入れましょうといった場合にそれを行なう行為すなわち買い入れ、もしくはそれを買い入れた米の操作その他の食管でいう国の行なうべき行為、農民対国という立場の食管法のワク外の行為を行なう場合には食管法を主管する大臣すなわち農林大臣の許可を得なければならない、その農林大臣の了承を得るには条件がいろいろあろうと思いますが、その条件をそろえてやってもらう場合にはそれが食管法違反でないことが可能な道があるわけです。しかし、それを一方的に宣言し、一方的に行なうという場合においては食管法に明白に違反する、疑いではなくて違反をする行為になるということであります。これらの法律の具体的な問題についてもう少し詳しく食糧庁のほうから説明いたさせます。
  215. 内村良英

    説明員(内村良英君) ただいまの山中大臣の御説明で大体政府の考え方はそのとおりでございますが、なお補足的に若干条文につきまして御説明申し上げたいと思います。  食糧管理法は御承知のとおり、国民食糧の配給ということを目的といたしまして、それに伴って米を農家から買っておることになっておるわけでございます.が、第九条で、「政府ハ主要食糧ノ公正且適正ナル配給ヲ確保シ其ノ他本法ノ目的ヲ遂行スル為特に必要アリト認ムルトキハ政令ノ定ムル所ニ依リ主要食糧ノ配給、加工、製造、譲渡其ノ他ノ処分、使用、消費、保管及移動ニ関シ必要ナル命令ヲ為スコトヲ得」こういう規定がございます。それを受けまして食糧管理法施行令の第五条の五「米穀の生産者は、その生産した米穀を政府以外の者に売り渡してはならない。ただし、命令の定めるところにより指定業者に対し次条第二項の自主流通に係る販売のための売渡しの委託をして売り渡す場合その他農林大臣の指定する場合は、この限りでない。」ということで、農民は政府以外に売ってはいけない。しかし、自主流通米に売る場合その他農林大臣の指定する場合はこの限りでない、こういうふうになっているわけです。一方、施行令の第六条では今度は、「政府以外の者は、米穀の生産者からその生産した米穀を買い受けてはならない。」、要するに、農民は売ってはならない、政府以外の者は米穀の生産者からその生産した米穀を買い入れてはならない。こういうことになっているわけです。「ただし、卸売販売業者等が指定法人から前条第二項の自主流通に係る販売により売渡しを受ける場合」、昨年から自主流通米という、制度を通さない米の流通が始まっているわけでございますが、自主流通米はここではずされているわけでございます。「その他農林大臣の指定する場合は、この限りでない。」、こういうことになっているわけでございます。  そこで、それでは農林大臣の指定する場合はどういう場合であるかと申しますと、これは大体、まず第一に、種子用米穀、すなわち種用の米穀を販売する場合、これがはずれております。  それから、「病院、診療所又は助産所に入院し、又は入所する米穀の生産者が、自らの消費にあてるためその生産した米穀を当該病院、診療所又は助産所に売り渡す場合」、すなわちこれは入院する場合の規定でございます。  次は、「米穀の生産者がくず米、砕米又は特定低品位米」、現在こういうものは政府は買っておりませんから、こういうものを食糧事務所長の承認を受けて売り渡す場合には差しつかえない。これは逆に買い入れる場合も差しつかえないことになっております。  等々となっており、最後に「特別の事情により農林大臣の許可を受けて売り渡す場合」、または「特別の事情により農林大臣の許可を受けて買い受ける場合」ということで、生産者から買い受けるごとにとこで許可によってそういうことができる。政府以外に売っちゃいかぬ、買っちゃいかぬという規定からはずれるようになっております。  そこで、この東京都のケースにつきましては、東京都庁のほうから食糧庁に連絡がございまして、実はこういうことを考えている、そこで食管法のこの大臣の許可を受けたいという連絡を受けております。そこで、食糧庁といたしましては、それでは買った米穀をどうするのか、その辺の措置をはっきりしてひとつ持ってきてください、そうすれば私のほうで厚生省とも、地域の問題等もございますので、相談してきめましょうと、こういうことになっているわけでございます。
  216. 田中寿美子

    田中寿美子君 いまの食管法の問題は、私もいま説明されたようなのは条文で調べておりました。それで、結局いま米というのは食管法によって全量政府が買い上げるんだ、そして、だから生産者は政府・農林省の指定する業者でなければ売ってはいけない、また買うほうも生産者からは政府でなければ買ってはいけない、そういう原則があるということ、それはよくわかっております。それで、先ほど山中長官は、この食管法を無視するような行為は違反だというふうにはっきりおっしゃいましたけれども、すでに東京都の経済課ですかと食糧庁の買入課の間で話し合いがされているということを私も聞いております。それで最後に、特別の事情により農林大臣の許可を受けて買い入れる、または売る、こういう道が開かれているというふうに思うのです。それでそれを適用することができるのではないか。個別の農家から都が買うのだけれども、特別の理由があって公害を防止するためのむしろ先取りの政策である。カドミウムなんというものは重金属ですから、農薬のように分解してしまうものではなくて、一たんからだに入ったらいつまでもいつまでも残るし、それから土の中に入ってもたいへんな残るものですから、これはなるだけ基準は低いほうがいい。さっき内田委員も言ってらしたけれども基準を高いところにきめるのではなくて低いほうがいいわけです。自治体が低くするということについて協力するのが政府の責任ではないかと思うのです。ですから特別の折衝をして、この際食管法違反ということにならないで、東京都の考えているようなやり方を支持してもらうことができるのではないか。どうかそれはぜひ山中長官も考えていただきたい。  それから価格のことですけれども、これは政府の買い入れ価格でなければいけないのかどうか。たしか東京都は配給米の価格で買い入れるということを言っておるのではないかと思いますが、その辺はどうなのか。
  217. 内村良英

    説明員(内村良英君) その点につきましては、物価統制令等の問題もございますので、東京都から具体的な話を聞きまして私のほうも検討したい、こう思っております。
  218. 田中寿美子

    田中寿美子君 食糧庁はこの問題のために東京都の産米の買い控えをしているのではないですか。大体概算で千三百トンくらい買う予定になっているということを聞いておりますが、予約はいつ始まって、たしか九月十日くらいが締め切り、予約金というのを払っているのかどうか。そういうものはもしそれをカドミウム汚染のために供出しなかった場合はどうなるのか。
  219. 内村良英

    説明員(内村良英君) まず第一に、食糧庁がこういった地域の産米の買い入れを押えているのではないかというお話がございましたので、参考までに数字をちょっと申し上げますと、さっき申しました昭島、立川、府中、国立の各市につきまして、四十四年産の生産数量は九百八十一トンあった。そのうち昨年は二百九トン買い入れている。ことしはこれらの地域の最終的な収穫高は——十二月にならなければわかりませんが、現在の作況予想で見ますと、大体八百四十四トン……。
  220. 田中寿美子

    田中寿美子君 東京全都ですか、都全体ではなくて……。
  221. 内村良英

    説明員(内村良英君) いまの地域です。いまの地域につきまして生産見込みが八百四十四トン、十月二十日現在買い入れが百七十トンでございます。去年二百九トン買っておりまして生産が九百八十トン。ことしは生産調整がございまして、生産が減っております。減っておりましてすでに百七十トン買っております。こういった状況から見ても食糧庁が買い入れを押えているということはないというふうに御推察いただけるのではないかと思います。  第二点の予約の問題でございますが、すでに予約は終わっております。そこで予約が終わると同時に概算払いで一俵千円のお金を払ってございます。したがいまして、これが出せないと——すでに百七十トン政府に売っておるわけでございますが、出せない分につきましてはそれは返していただく、こういうことに相なるわけです。
  222. 田中寿美子

    田中寿美子君 それは返してもらうときは利息をつけるとかいうことですか。それは普通一般にそういうことですね。いま説明を伺っておりますと、すでに食管法というものはずいぶんくずされたような形で運営されているようですが、そういうことから考えますと、今回のような公害防止のためという立場からこれの運用のしかたがあるのではないか、食管法違反ということでなくて運営されることができるのではないか、あるいは政府は東京都の買い入れするのを黙認するという形をとるのか、どういう方法をとっていこうとしておられるのかを伺いたいのです。長官から。
  223. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 一PPM以下であるならば、主食として、米食民族である日本国民の現在の常識で摂取量は差しつかえないのだということを言っているのに、なぜ東京都知事だけが〇・四PPMから一PPMの間であってもそれは私のほうで買いますよと言わなければならないのか、そこのところ私らとしてはよくわからないのですが、これが〇・四から一PPMまでは人体に害があるのだということで厚生省も言っているならば、これはむしろ農林省・食糧庁というものが、いまのあり方から責められなければならないし、これを解決するためには、まず国が全量を買い入れるといういまの立場を食管法上は持っておるわけでありますから、買い入れざることについての措置をしなければならない、あるいはまた買い入れることについての措置をしなければならないということは国にあるわけです。ですから、厚生省も〇・四PPMというものは、それは一応の別な角度からの数字としてはあるけれども、食糧として食べていけない限度に関するものではないのだということを言っていると、はっきり質問者側も先ほど言われたとおりでありますから、その措置について、私たちも地方自治体がなぜそういうことをしなければならないのかという問題は、主食にしていけないものを政府が何だか食べていいようなことを言っているということではないんだ、そこのところはやはり出発点において意見が違うところがあるのではないかというふうに思います。
  224. 田中寿美子

    田中寿美子君 それは少しおかしくはありませんか、さっき〇・四PPMから一PPMまでの間のものは今度配給にはしないわけでしょう。だから好もしい数値ではないわけですね。厚生省の環境汚染暫定対策要領の中でも〇・四PPMというのはある基準として出してあるわけですね。ですから要観察の一つの目安にもなっている。だからこれはたとえば硫黄酸化物の基準なんかも、環境基準なんかでも地方自治体で国の基準よりはもっときびしくしているところはあるんです。それを実施していくのを助けるのは私はむしろ国の役目だ、だから公害対策副本部長だからこれを非難するのはちょっとおかしいと思うんです。もし自治体がそうしようとしているんだったら、それを食糧庁でも解決方法を見つけようとして両方で話し合っているときなんですから、だからそれを食糧管理法違反であるというふうにきめつけないで、これの対策を講ずるということのほうが私は前向きの姿勢だと思う。これは全国的に今度カドミウム汚染米が出てくるし、一PPMがいいというようなことははっきりはわからないわけですが、〇・九PPMだったらよくて一PPM以上は悪いということではなくて、やはり重金属ですから蓄積していけばいくほど悪いんですから、だからよりきびしい規制を自治体がとるというときにこれを押えるという立場をとるというのは、これは山中長官の姿勢とは違うと思うんです。いかがですか。
  225. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 受け取り方を私が押えるという言い方で受け取られてはまた困るんですが、厚生省が言っているのは一PPM以下ならばかまわないんだということを言っているわけです。しかし、〇・四PPMというのが厚生省から米に関して一ぺん出たと、それは結局は観察地域にするかしないかの前提として一つの目安をそこにつけたのである。しかし、それが表に出ましたために国民の間に日常食べるものですから、心配が、一体どうなっているんだという混乱や心配がありましたことは間違いありませんから、そこらの反省の上に立って一PPM以下は買い入れるし、国民の食糧としても適格であると判断した、食糧庁でも無用の不安、動揺を起こしてはいけないから配給はいたしません、ただ足りない場合という前提があるとたいへんですが、幸か不幸か、幸いにして現在は需給状態がたいへん御承知のような過剰米等に悩んでいるような状態でもこれあり、したがって、配給はいたしませんから御懸念なくということを言っているだけのことでありまして、したがって、それを自治体がおやりになる場合に、ただいまの食管法並びにその政令を受けた条項に照らして、所管大臣たる農林大臣が許可を与えられる計画なり内容なりというもので、提出されましたものが了承を得るような内容であるならば、これは私は別段、それも農林大臣は恣意に、条件が食管法に違反しない内容の条件であっても許可するなとかあるいは許可しない姿勢でいくんだとか言っているのではありませんで、それはもちろん農林省のことでありますから、農林大臣、食糧庁が作業するわけでありましょうが、そういう農林大臣が許可をした条件に、許可し得るという条件に合致するような内容の計画が出てきた場合に、それをしも食管法違反だと私が申しているわけでは決してないわけでございます。
  226. 田中寿美子

    田中寿美子君 現在折衝中だということですから、食管法違反というレッテルを張らないでいただきたいと思います。そしてそれはあくまでもその理想は低いほうがいいわけですから、低いというのは、PPMの数値が低いほうがいいわけですから、そういうことをやろうとしているものに対して、むしろそれを奨励する立場に立っていただきたいということを希望として申し上げておきます。  食糧庁のほうも、いま折衝中だということですから、ぜひその辺を、つまり特別の許可がある場合というような適用ができればなおそれはいいのではないかと思います。  もう時間がありませんので、厚生省の要観察地域の指定のさっきの三つの条件の中の一つ、つまり成人の平均一日摂取量カドミウム〇・三ミリグラムというのが一つのあれになっておりますね。その検査の方法は、ここに出ておりますけれども、はたしてこれはこういうふうにほんとうに人人が食べているものの食品をそれぞれ調べて、それの中に入っているカドミウムの量を算出しているものなのかどうか。ちょっとこの成人平均摂取量〇・三ミリグラムの出し方はどんなふうにどのくらいの事例でやっていらっしゃるのかどうか。
  227. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 私のほうでやっておりますのは、国民栄養調査というのを各地域。ことにサンプリングでやっておりまして、先生お読みでございますので大体おわかりと思いますが、それを一つのその地域における食品摂取のパターンと考えまして、その食品摂取のパータンの中で、米以外のものにつきましては他の資料から得られました含有量のマキシマムの数字をとっております。そういたしまして逆算をいたしまして〇・三ミリグラムの摂取に該当する米の中の含有量をはかりましてそれできめていくという方式をとっておるわけであります。ちょっと表を掲げてお話ししますとよろしいかと思いますが——それで個々の地域ごとに何人ぐらいについての数をやっているか私ちょっと資料を持っておりませんので、もし御必要でしたら各要観察地域と指定したごとの数値等について御連絡させていただきます。考え方といたしましてはそういう形でやったということでございます。
  228. 田中寿美子

    田中寿美子君 尿の中に出てくるたん白検診によって調べる方法が一つと、それから一日摂取量のほうは主要な食物についての平均の数値で計算してあるわけですね。ですから私のお伺いするのは、要観察地域に指定しているところではちゃんとサンプリングをとってそういうことを実際にやっておられるのかどうかということなんです。それはやっていらっしゃるわけですか。
  229. 山本宜正

    説明員(山本宜正君) 実際にやっております。
  230. 田中寿美子

    田中寿美子君 そうですが。それじゃその点はひとつ、どうも疑問に思って、はたしてそれだけのことをやっておられるのかと思ったものですから……。  それじゃ最後に、通産省のカドミウムのほうの調査ですけれども、この分析方法は東京都が発表しているような分析方法と同じですか。
  231. 柴崎芳三

    説明員(柴崎芳三君) 原則として同じでございます。数値が若干違う場合があるわけでございますが、これは御承知のように、カドミウムメッキ工場の操業状態が非常に不安定で、大量にフルに稼働しておる場合とわずかにやっておる場合と全く違った数値が出てまいります。そういう違いが主たる違いになるかと思います。
  232. 田中寿美子

    田中寿美子君 それは原子吸光法という、これを使われておるわけですか。
  233. 柴崎芳三

    説明員(柴崎芳三君) そのとおりでございます。
  234. 田中寿美子

    田中寿美子君 ちぎれちぎれになったものですから、私きょうは特に東京都のカドミウム汚染米の対策について政府の側の姿勢を知りたかったので、ぜひこういう前進しているところに協力していただきたいということを申し上げたいのです。  最後に、今度の臨時国会にたくさん公害関係の法案を出されるわけですが、その中に、私かねて主張しています土壌汚染に関する防止法が出るようですけれども、農用地の土壌汚染防止法案となっておりますね。これは農用地だけに限るんでしょうか。それで、なぜそうしなければならないのか。たとえば、今度でもカドミウムをとってみますと、工場からの排水が流れていってたんぼにいけば、そこのところは農用地になると思いますけれども、たとえば川の中のどろというのはずいぶんあるわけですね。そんなようなものも含まれるのかどうか。
  235. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは農用地に限りますのは、その他の場所についてはいろんな形状になるものですから、したがって、企業の費用負担法案のほうで形状に応じた負担をさせるというつもりでおります。
  236. 田中寿美子

    田中寿美子君 形状というのはどういうことですか。
  237. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 結局、川の底のどろの場合もありましょうし、あるいはまた、海に出て海底にたまったものもありましょうし、あるいはその他の土壌に関連する汚染が、農地でなくて、存在する場合がありましょうし、そういうような問題等は、やはりそれぞれのケースに従って企業の費用負担に関する法律の中で当てはまるケースがあれば受け入れていく。しかし、いまのところは、やはり食料を通じて、媒体となって人の健康その他に問題が起こるということは、やはり農用地としての土壌、田畑でできた食べものが人間に影響するわけですから、土壌ということがやっぱり一番問題だろうと思いますから、さりあたりは土壌汚染防止法というものはやはり農用地というものでなければならない。でありますから、そういう問題については、これは土地改良法の特例とか、あるいは改正とか、いろんな法律をいじらなければならぬと思いますから、そういうそれらの法律の中で、それらの客土をしたり、あるいは天地深掘りをしてひっくり返したりというようないろいろな方法がありましょうから、そういうような問題等はそれらの法律の中で土壌改良の中の一つの仕事ととして取り入れていきたいと思っておるわけでございます。
  238. 田中寿美子

    田中寿美子君 森林なんかも入りますか。それからたとえば今度のように、美濃部さんが、あそこの昭島の付近とか、ああいう府中の付近カドミウムの非常にたくさん出ている汚染米のところは希望すれば買い上げる、買い上げてそこを宅地にしてもいい、家を建てたければそうさせてもいいと、こういうふうになった場合には、それは対象になるんですか、ならないんですか。
  239. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 森林は対象になりません。農用地とは考えられておりませんし……。
  240. 田中寿美子

    田中寿美子君 それは重大ですね。そんなの初めてだ。重大ですね、それは。ずいぶん大きいところを省きましたね。
  241. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 土壌汚染防止法ですから。
  242. 田中寿美子

    田中寿美子君 森林地も土壌でしょう。
  243. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) それは陸地は全部土壌ですわね。ですけど、その森林に育った木というものを食べるわけじゃありませんし、だから、やはりまず人の健康に影響のある土壌汚染の形態というものから入っていく。そして広げられるだけ、つかまえられるだけつかまえていくというのが正常なアプローチの方法じゃないでしょうか。
  244. 田中寿美子

    田中寿美子君 最後ですけれども、森林は人の健康に大いに関係がありますですよ。森林は除草剤をたくさんまくわけです。水は、森林でも田畑でも通って人々の住んでいる飲み水にもみんな入っていくわけなんで、これを省いてもらうと非常に広範な地域が省かれてしまう。
  245. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) それは土壌汚染防止法ではなくて、農薬取締法の改正のほうでいきますから、農薬に関することであれば、これはもう農用地に関係なくいくということでございます。
  246. 田中寿美子

    田中寿美子君 農薬取締法だと土壌までいくかどうかわかりませんけれども——終わります。
  247. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 たいへん長時間でそれぞれお疲れだと思いますから、はしょって質問を申し上げますから、政府側も端的にお答えをいただきたいと思います。二つ質問いたします。  第一点は、公害防止条例について今日までどのような政府は指導をしてきたか。現在公害防止条例についてそれぞれ県なり市町村段階等でいろいろ新しくくふうをめぐらして努力しておられると思いますから、そうした公害防止条例の類型別なものがもしありますならば提示していただきたいということ。もう一つは、田子の浦ヘドロの問題が、はしなくも長官は二転三転とおっしゃったが、もうそろそろ本腰でやる態勢ができたようでありますから、この問題についていろいろまたお伺いしたい、こういうわけであります。  第一点の問題をあえてここで提起したことは、一つは、臨時国会で十五の法案改正等がございますから、法と条例との関係において大きな転換の時期だと思いますし、そのことが一つ質問の動機になっているわけです。第二の動機は、私は富山でございますが、富山の住民の直接請求によって最近二回臨時県会が招集され、いわゆる公害防止条例の改正の運動で臨時県会が行なわれたわけでありますが、二回とも県当局の条例がそのまま居すわったという結果になったわけです。しかし、この間十一月六、七の両日行なわれた臨時県会での知事の意見の中では、いま臨時国会の中で公害基本法その他の法律が大きく改正されるから、その時点で条例の再検討を行ないたい、こういう意思表明等もあったわけでありますので、いま申し上げたような公害防止条例についての政府の過去の指導、行政指導の方向というか、そうしてまた、現在都道府県あるいは市町村段階では公害防止条例が大きく分けてどのような状態になっているか。私の見た目では、東京都の公害防止条例が、私たちの視点から見れば、最もすぐれたものだと一応判断しているわけですけれども公害防止問題を国家的視点から統括しておられる公害対策本部あたりではそのことにこだわることなく、全国的にどうなっているのか、そういうことを実はお伺いしたいわけです。  いまはからずも山中長官田中委員との間でカドミウム論争が始まったわけですね。PPM論争でありますが、カドミウムに関しては〇・四か一・〇か、いやそれはという話になったわけです。SO2問題につきましても、飛鳥田さんの名を出すまでもなく、横浜は〇・〇一二、政府は〇・〇五だということで、至るところ論争は限りなく続きますが、しかし、こうしたような具体的な問題をとらえましても、政府の指導の方針と都道府県あるいは市町村段階公害に取り組む姿勢なり考え方との間にはかなりの私開きがあると思います。ただ、私もまだ十五の改正法案全体に目を通すいとまがございませんから、その法全体を頭に置いてこの公害防止条例はどうあるべきかということについての見解を述べるような確信はいまのところ私自身実はございませんが、ただ今日まで都道府県段階の富山県会における論争を見ておりましても、やはり公害基本法第十八条などがかなりの手かせ足かせとなって、積極的な創意に満ちた公害防止条例を住民の要望にこたえてつくることに踏み切れないという過去のいきさつ等もございますから、いま申し上げたような観点から、担当の政府委員のほうから御答弁があればと思います。答弁のいかんによってはまた再質問いたしますが、できれば取りまとめた回答をいただきたいと思います。
  248. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 何省からというわけにもいきますまいが、これはしいて言えば自治省でありましょうが、国の姿勢全体の問題でありますから、いままで地方の公害防止条例に政府はどのような指導をしておったかという場合に、たいして指導していなかったというのがほんとうかもしれません。ただしかし、いままでの条例のあり方等については、法律を、いままでの公害法をこえた基準その他の設定等、あるいは権限を行使すべき基準等について、法律を無視する行為というものはやはり法違反になるというたてまえは、これははっきりしておったわけでありまして、今度臨時国会に出しまする法律の考え方としては、国の基準を定めるものがありましても、あるいは地域においてそれの上積みあるいは当てはめ等のワクを知事さんに裁量をゆだねる法律の体系になりますから、それはただいまお話しのように、次の臨時国会に出しまする法律によって、あらためて地方がそのそれぞれの地方にふさわしい基準その他を設けることが可能になる。現時点では遺憾ながらやはり問題がある。したがって、東京都の例もとられましたが、東京都も最終的には法律違反というようないわゆるやってみても強制力を持たないことになるわけですから、そういうようなことはやっていらっしゃらないようでございます。まあ、勧告程度ということになっておるようだと拝承しておりますが、要するに、これから先の考え方は、地方自治体に大幅に権限を委譲し、その自治体の住民に最も忠実であるべき知事の行なう環境保全、人の健康保全というものに全幅の信頼をおいていこうという法律のたてまえをとるつもりでございますから、今後はそのようなトラブルというものは県境を越えた場合とか、あるいは加害県、被害県とかというような場合など、中央がやはり調整をしてあげなければいけない場合というようなものが残るだけになるであろうと考えております。
  249. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 大まかな長官答弁でございますけれども、自治省等でかなり手の込んだ指導と申しますか、必ず都道府県等から何か問い合わせが実はあると思うのです。私、江戸のかたきを長崎で討つというような気持ちはいささかもございませんですが、そうした今日までの、まあ長官のように大した指導はしておられないといえばそれまでですから、もう追っかけて質問するわけにもいかないわけですけれども、しかし、まあ自治省あたりでは、かなりきめのこまかい指導をしておられると私判断するわけですが、模範定款といったような意味における、これはどうだといったようなサンプル的な防止条例など提示されたようなことは今日までなかったのかどうか、ということをお答えいただきたい。
  250. 立田清士

    説明員(立田清士君) 地方団体の公害防止条例でございますが、現在都道府県では、昨年はちょうど三十二府県にできておりましたけれども、現在におきましては四十四府県が制定されております。そういう意味で、条例の制定されておりませんところについて、積極的に条例を制定するようなことをお願いをいたしております。なお、残りの二県につきましても、現在制定の準備中でございますので、いずれ今年度一ぱいには全部制定されると思います。そういう意味で、積極的な制定の促進ということについて、われわれとしては呼びかけをいたしております。それからすでに制定されております条例の中にも、先ほどお話がございましたとおり、昭和二十年代から歴史を持って何回か改正されておられる都道府県もございますし、それから最近において制定されたところもございます、御承知のとおり。したがいまして、古く制定されたところにつきましては、現在の事態に対応するようなやはり内容の充実ということを、いろいろ地方団体のほうにもその検討をわずらわしております。それからなお、最近において制定されたところにつきましても、新しい最近のほかの県の条例等を勘案して制定しておられる、まあそういうことでございます。したがいまして、条例自身は私から申し上げるまでもなく、その地方団体の特殊性に応じまして、いろいろおきめいただくということになるわけでございますので、したがいまして、地域差、地域性がありますことは、これは条例の一つのまたいい点でございますけれども、内容において、基準等につきましてなお充実をはかるべき点ははかっていただくようにそういう一般的な指導を現在もいたしております。それから市町村につきましては、比較的騒音防止を中心にした条例が多うございます。中には、若干騒音防止以外の事項につきましても規定しているところがございます。しかし、なお内容的な点では都道府県でもいわゆる典型公害以外の面につきましての規制、そのほかの規制というような、府県によりましていろいろな差がある、こういうことでございます。  なお、私たちは、いずれ法律の改正等もございますれば、一つの条例として、どういうような内容が考えられてくるかといったような、一つのそういうものも、やはり地方団体で御検討いただくためにはこちらのほうでお示しすることも必要ではなかろうかというふうに、現在の段階では考えております。  以上でございます。
  251. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 非常に抽象的でございますので、なかなかそれで——まあ、それ以上追いかける気持ちはいささかもありませんが、ただいま法改正等が、山中長官手元で大作業が始まっているわけですから、法と条例との関係において、法そのものの改正についても十分の配慮をいただきたいと思うわけですから、あえてこの公害防止条例の問題を提起したわけです。  東京都の場合につきましても、それは法違反のようなことはない、だろうとおっしゃるわけですが、まあ、違反と言っていいかどうか、よくわかりませんけれども、かなり私は東京都条例の場合は前向きの進歩的な条例を制定されていると実は判断しているわけです。法そのものが今日までの条例からすれば、どうしても公害基本法十八条とか、関係諸法案とのかかわりありの上において、法が優先して条例は常に下積みになっている。今度は現場第一線の側からいえば、いろいろな公害というものが、一つの型になって公害が起こるのじゃなくて、常に新しい問題が起こってくるわけだから、だから結局対策というものは、国会を開いて、その次は通常国会というような形で法改正をしていくようなことでは、おそらく対応ができないのじゃないかということになってくると、やつぱり条例などにおける出先の——出先ということはわかりませんが、都道府県なり市町村がそれに対応した措置をとるということは、私は住民にとってはきわめて好ましい行政だろうと思います。そういう意味で、東京都あたりは公害行政などにつきましても、最終的には規制の権限を都知事に一元化しているという問題とか、あるいは積極的に、法の場合でいえば、施設などにつきましても届出制であるというのを今度認可制にするという強化の方法、あるいは先ほど煙突から煙が出るとか出ないとかという話がありましたが、そうした煙突ばかりにらめっこしていると、須藤さんじゃないけれども、出たり出なかったりするわけですが、そういうことでなしに、生産工程全体をとらえていくというような条例規制というものがあるわけです。これは東京都の場合でもはっきりしていると伺っているわけです。また防止の総合的な手段をもって臨む、あるいは公害行政の公開の原則とか、これはもうすでに立田さんのほうでは十分御検討いただいておると思いますし、私も、今後の公害行政を進める上において、国と都道府県、地方自治体が一体となって臨まなければならない。山中長官のことばを借りるならば、公害は地球全体をおおっているわけですから、こういう重要なときでございますので、政府もそのことで大胆な法改正と、法改正にあたっては公害防止条例のそうしたことをも、法と条例との関係を十分勘案して、作業を急ピッチに進めていただいて、問題は臨時国会でひとつお互いによりよいものをつくるように努力したいものだと私は期待をしているわけです。その点はそれで一応終わります。  その次は田子の浦の問題でございますが、先般の委員会長官のほうから答弁をいただき、また、その時点では県自体も陸上で処理するか、海上投棄の問題は一応思いとどまったようであったけれども、陸上でこれを処理するという山中長官の勧告がまだ具体的になっていなかった。でありますから、もうすでに知事は県議会等を通じて最終的な処理方針を明らかにしたと思うので、この委員会を通じて、これは県議会で議論する問題かもしれませんが、私そのことがほかのヘドロの問題を処理する場合に一つの大きな指針になるという意味で、ここで静岡県がとろうとしている処置の方法——年次的にはいつごろこの問題が完結して田子の浦が港として生きてくるかという問題とか、あるいは聞くところによる処理方法というのは河川に関係してくるわけですから、建設省あたりでもそうしたものに対してどういうふうに対応しようとしているのか、またそこに作業する者が、先ほどの小野委員ではないけれども、手袋をはめ、いろいろなマスクをかけ、なおかつ危険を感ずるといった問題等もありますから、いろいろなことをいわゆる指導行政をされる立場から、田子の浦のこのヘドロ処理の問題を、かいつまんでいま申し上げた点に答えていただきたいと、こう思うわけです。
  252. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) こまかい技術面の問題は事務当局に譲りますが、基本的には、私たち人間が陸上で生み出したものは陸上で処理するということの原則に、二転、三転と申しましたが、三回目で静岡県側が議会も含めて——議会にたしか対策特別委員会が設けられたようでありますが、最終的に、付近の住民の同意並びに進出するおそれのある川、富士川原でございますから、関係企業者の同意等が得られることを前提にして努力をしておられます処理方式については私も賛成でございます。やはり、私たちは最終的に陸上処理ということに落ちついてほしい、そして港湾機能の回復——現在も麻痺とは言えませんけれども、完全な港湾のあるべき姿になると同時に、それらのすべての原因をつくりました各企業の、主として紙パルプ業界が排出する、人間がっくり出した排出物がそれぞれの計画に従ってきびしい基準を達成するために努力中でございますので、それらの努力に力を貸しながら、排出も正常になり、そして今後のヘドロ堆積も、浮遊物質の堆積も食いとめられ、そして現在堆積を長きにわたって続けた物質の処理も完全に行なわれるということを期待をしておるわけでございます。それについて、資金その他の手当て等については一応事業団の本年度の緊急融資十億並びに起債特例の転貸債として静岡県から富士市、そして最終返済責任は、行政団体は富士市でありますが、実質は業界ということにおいて了解をされた七億円の起債というものと、静岡県側が準備いたしておりました本年度予算の一億二千万円というものの中でこれが処理可能であるということを報告を受けておりますので、建設省の河川管理者としての立場等々からいろいろの過程における議論はあったようでありますが、望ましき方向に順調に進んでいるやに聞いておる次第であります。
  253. 角田正経

    説明員(角田正経君) 具体的な処理方法につきまして、私どもはっきり県から承っているわけではございませんで、まあいま先生から御指摘ございましたように、富士川の河川敷、河口に近いところに現在水が流れておりません砂れき層のところがございます。そこの部分を使いまして、田子の浦ヘドロを持ってまいりまして、そこで脱水をいたしまして処理をしたいというふうな話がございまして、口頭でも先月の半ばごろ、また先月の末には知事からも口頭でそういうふうなお話がございました。これはいま長官からお話がございましたように、河川管理の立場からだけ申しますと、実は河川をきれいにしようということで政令をつくりましたり、いろいろして取り締まっているわけでございますから、好ましいというわけではございませんが、公害対策という大局的見地から、ほかに方法がないというふうなことでごさいますれば、私どもとしても、そう河川管理の立場だけを固執するわけにもまいりますまいということで検討を始めたわけでございます。  検討になりますのは、いま申し上げましたように、この河川に、ここで全部処理をしてここに捨ててしまうかどうかという点が第一点でございますが、これは県のほうにもいろいろと申し上げたわけでございますが、この富士川という川は、いまこの処理をいたします部分は砂れき層になっておりますけれども、一たん洪水になりますと、左岸側のほうに寄って洪水がはんらんしてまいります。したがいまして、ここに永久的に投棄をされますと、一たん河川がはんらんいたしました際には海洋投棄と同じ結果になってまいります。そういうふうなことで、あくまでも私どもとしては来年度の出水期前までの暫定措置といたしまして、ここで脱水をいたしまして、あとはその脱水をいたしますと、相当容量が小さくなるそうでございます、その残りをどこかほかのところで処理をしていただきたいというのが第一点でございます。  それから第二点は、これはまあ私どもだけで考えるわけではございませんが、当然いまのような形で脱水をいたしますと、その水が富士川を流れております表流水あるいは周辺の地下水に影響が出てまいるかと思います。そういうふうな場合に水質等の関係で、地下水や表流水に影響いたしまして、それがどういうふうな形で全体に影響するかということになるかと思いますが、これは公害対策全般からの角度で、田子の浦にいまのような形でほうっておくよりは少なくともこちらで処理したほうがいいというふうなことでございますれば、私どもとしてはそれはそういうふうな御方針に従って判断をいたしたいというふうなことでございます。  大体いま申し上げましたようなことで県のほうに話しまして、いまいろいろと調査等をしていただいておる段階でございまして、最終的には公害対策本部のほうとも御相談いたしまして総合的な見地から判断をいたしたいということにしているわけでございます。
  254. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 ついでですから、その判断の決定は大体いつごろになりますか。
  255. 角田正経

    説明員(角田正経君) 県のほうからの御要望は十一月の半ばごろというふうなことを当初言っておりましたので、時期的にちょっとおくれているようでございますが、私のほうはいま申し上げたように、資料等を早目にお出しいただいて、着々調査は進めているように聞いておりますが、その結果を見まして判断をいたしたいというふうに考えております。いま私ども承っておりますのでは、十一月の二十日前後には何かある程度の資料を出していただけるようには承っております。
  256. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 いまの次長の答弁で心配されるのは地下水の問題ですね。だから、これはだいじょうぶということはいまのところおっしゃっていないわけですね。ただ、海洋投棄その他よりも次善の策だということですから。これ、一体長官の耳に入っておるかどうか知りませんが、住民の皆さん納得しているのでしょうかね、こういう方法については。それを伺いたいと思います。
  257. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは建設省は実は役所の立場からいうと被害者でして、降ってわいた難題を持ちかけられたのがたまたま河川敷であり、しかも先般明治以来の河川法の施行令をやっと閣議決定をして、河川の管理者としての汚染あるいは廃棄物その他の責任を明確にして、それぞれ勧告をしようというような姿勢をとり出したやさきに、それらの河川敷を使わしてくれというような申し出でありますから、建設省としてはたいへんどうも迷惑な立場の役所にいまなっておるわけであります。しかし、ただいま次長の申しますように、公害対策本部というもの、並びに政府全体の公害に対する姿勢というもの、また建設省も、よその役所でありましても、田子の浦の全く行き詰まった状態というものをよそごとながら知っていたわけでありますから、それらの問題に建設省だけの考え方でもって、河川管理者としてノーと直ちに断わることをしないで検討してくれておりますことを対策本部もたいへん感謝しているわけであります。今後は対策本部のほうに相談中心を移しまして、最終的に地域住民の——大体近いところで千メーターぐらい幸い離れているそうでありますし、一方また海のほうにやがては流れていく河川敷でございますから、漁民の方々の御理解もいただかなければならないでありましょうが、それらの御努力はやはり静岡県知事さん並びに議会の方々一体となり努力をしてほしいものである。また、それらの調査その他がすみやかに済んで、できるだけ早く見通しのっけられる出発が開始できるようにしたいと考えておるわけでございます。したがって、まだ完全に地域の住民が皆さん御賛成であるというふうには私も報告を受けておりませんが、万策尽き果ててそれ以外に方法がないという場合において、これは地域住民の方方にそう直接被害があるとは考えられないが、しかし、地下水その他場合によっては汲み上げの井戸等使っておるところに影響が出たらどうしてくれるかというような、幸いにして直接的でない心配の分野になるようでございますので、この際はぜひそういう防止できるような方法をできるだけとられて、そして住民の賛成は得られないにしても、一応の了解をとりつけられる努力をすみやかにしてほしい。そしてこれはすみやかに処理しませんと、政府の責任であそこにためたものでもありませんが、しかしながら、これ以上あのまま放置するということは、たとえ港湾機能が予期した時期に——もうことしの夏ごろの議論であれば一カ月半後ごろには船が出入りできなくなるだろうというのがやっぱり出入りしておるという、そういうような状態が、逆にヘドロがすべて駿河湾全体を汚染しつつあるのではないかという心配を否定できないということにつながるわけでありますから、いずれにしても私たちは、政治というものの名においてこれを処理できなければおかしいんだ、処理しなければならないんだという気持ちで必死になっておるわけでございます。したがって、私もいままで私自身がまずかった点はまずかったということをはっきり申し上げておるわけでございまして、責任をいずれに転嫁する等の議論は省略をして、私自身の責任のもとに静岡県と一体となって、そして国においては降ってわいた災難でありますけれども、建設省の協力も得ながら最大限の努力を傾けてすみやかに見通しをつけたいと思います。
  258. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 先ほどの建設省の報告によりますと、やはり心配されることは脱水後の固型物の処理の問題、それが出水期というのは大体さみだれ期だと思いますが、それまでこれをどう処理するかということについても、河川管理の立場からたいへんでしょうけれども、これはどうあってもやらなければならぬ問題だから、それは当然河川局では馬力をかけておやりになると思いますから、そこら辺のところ、ひとつ抜かりなくやっていただきたいことと、いま長官がおっしゃったように、地下水の問題等も含めて住民の納得できるような努力を県当局にさせるといったような指導があってしかるべきだと実は思います。  そこで最後に、先ほど費用負担の問題が出たのでありますが、基本法の二十二条に即応して、今度は企業負担の問題等についての立法化の作業が進んでいるようでありますが、ただ、いま現在の問題としてこれは七億とか十億とか、一・二億とか、さらさらとおっしゃったんですが、結局最後に企業がどれだけ負担するか、全体の経費は幾らだ、企業の経費は幾らだ、そういうことがもしすっきり出せれば出していただきたいと思うし、もう一つ最後に、発生源に対するところの対策というのが、こういう心配をしておる間にも発生源からどんどん出しておるわけですから、こうした問題についての対策がどうなっておるか、これは簡単でようございますからお聞かせいただければいいと思います。これをもって私の質問を終わりますから、ひとつその辺のところをお答えください。
  259. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 田子の浦ヘドロ問題は、これは全額企業負担ということでございます。たまたま私が要らぬことを申しまして、静岡県が港湾内のしゅんせつとして予算に計上しておりました費用一億二千万を入れましたので、そういうことになったわけでありますが、実際は事業団の十億並びに七億は、これは完全に業者の負担すべきものでありまして、今後費用負担法を出すにつきましても田子の浦のごときものは典型的なものとして依然としてやはり費用負担は一〇〇%負担が原則ということになっております。もちろん第二点としてお話のありました企業内の防除施設の設置についてはこれは工排法、新しく水質汚濁法にかわりますが、それらのきびしい基準をすみやかに一定年次までに達成するための投資、設備の装着等について、これは全額業者の負担において行なうべきことを前提として作業を進めている次第でございます。
  260. 占部秀男

    委員長占部秀男君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時三十五分散会