運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1970-10-09 第63回国会 参議院 公害対策特別委員会 閉会後第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十月九日(金曜日)    午前十時十一分開会     —————————————    委員の異動  十月九日     辞任         補欠選任      奥村 悦造君     山下 春江君      木島 義夫君     丸茂 重貞君      青木 一男君     高橋文五郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         占部 秀男君     理 事                 内田 善利君     委 員                 川上 為治君                 高橋文五郎君                 山下 春江君                 渡辺一太郎君                 杉原 一雄君                 小平 芳平君                 片山 武夫君                 須藤 五郎君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        経済企画庁審議        官        西川  喬君        厚生省公衆衛生        局長       滝沢  正君        厚生省環境衛生        局公害部長    曽根田郁夫君        農林大臣官房技        術審議官     加賀山国雄君        食糧庁業務部需        給課長      増田 甚平君        通商産業省鉱山        石炭局長     本田 早苗君        通商産業省公害        保安局長     莊   清君        通商産業省公害        保安局公害部長  柴崎 芳三君        通商産業省公益        事業局長     馬場 一也君        工業技術院総務        部長       成田 寿治君        運輸省港湾局長  栗栖 義明君        自治大臣官房参        事官       立田 清士君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○公害対策樹立に関する調査  (大気汚染及び水質保全対策等に関する件)     —————————————
  2. 占部秀男

    委員長占部秀男君) ただいまから公害対策特別委員会を開会いたします。  公害対策樹立に関する調査を議題とし、昨日に引き続き大気汚染及び水質保全対策等に関する件について質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 杉原一雄

    杉原一雄君 きのうの午前の私の質問、午後の小野委員質問等の中で、通産大臣住民運動に対する批判が明らかにされたわけですが、その中で特に情緒に流れる公害反対ということを問題に提起したわけですが、また逆に住民はきわめて情緒に弱いわけです。火力発電があるいは原子力発電各地計画がされ、進められようとする過程で、かなり熱列拒否闘争反対闘争が盛り上がっていることは御承知のとおりですが、その中で逆に地方自治団体責任者なりあるいは計画を進めようとする側から、こういうことば最後きめ手で出てまいります。それは、君たちは火力発電開発などにそのように反対するけれども、電気が要らないのか、こういう逆のことばが浴びせられた場合に、地域住民は辞易してしまうのであります。それは住民の諸君がやはり電気に対しての今日の家庭の需要は申すに及ばず、電気というものに対する大まかな認識から来ることだと思いますが、しかし、私はそのような情緒でなくって、きょう冒頭電力開発計画がこのように住民反対があるにもかかわらず、是が非でも進めなければならない開発計画そのものの持っている社会的な、あるいは国家経済の発展の一つの構想の中から進められなきゃならない理由等についてお伺いをしていきたいと思います。  その次には、しかし反対が起こると、それはなぜだろうか。しかし反対があったからやめられないのが今日の政府の考え方だろうと推定されますから、それはどうしてそのことについて住民を説得し、問題を解決していくのか、その方法等についてぎりぎり最後段階で明らかにしていきたい、このように思います。  そこで第一点として、電力の今日の需要供給関係、それは一体どういう状態になっているのか、その内容を分けて考えるならば、第一点として、水力火力原子力が今日の現状ではどれくらいの供給能力を持っているのか、それに対応して需要の側から見て、大企業、小企業、つまり大口需要小口需要、あわせて先ほど対象になる住民の皆さんが電灯なりテレビを見るという意味に使う電力、それで最後にその需要の中で若干の変更とか、いろいろな条件に備えての予備、そうしたものがどの程度確保されているか、大まかな数字でようございますから、ここで明らかにしていただきたいと思います。
  4. 莊清

    説明員莊清君) 電力全国的な需給の問題につきましては、実は公益事業局長が直接参りまして当委員会で詳細御説明する手はずをつけておりました。いま呼んでおりますので、まことに恐縮でございますが、資料私手元にございませんので、さよう至急取りはからいますので、御了承を得たいと存じます。
  5. 杉原一雄

    杉原一雄君 そうしますと、第二段の長期電力需要供給見通しの問題につきましても、これは回答はいただけないわけでしょうね。同様でございますか、質疑のままで留保するわけでございますか。
  6. 莊清

    説明員莊清君) 同様でございます。
  7. 杉原一雄

    杉原一雄君 それでは第三点の問題につきましても、見通し基礎になるもの、それはばく然たるものでなくって、通産大臣が言っているように、合理的な計画、ビジョンがあるはずでありますから、この問題につきましても、その方がおいでになるまで答弁を保留すると、こういうことですね。ちょっと私は次の論理を展開する場合に非常に都合が悪いのでありますがね、すみやかに手配をとっていただきたいし、これは私きょう突然質問しているはずじゃないはずですから、誠意を持って連絡関係に明らかにしておいたはずでありますので、冒頭この手配がおくれたことを非常に残念に思います。  それからこのようにして、いま申し上げたような電力開発計画が、あるいは新全総なり新経済社会発展計画なり、それに従って行なわれているものだと、前提としてそれを承認いたしまして、内容は後ほど答弁を求める。  で、そのような前提があって、国家として、あるいは企業として、地域団体として必要な電力の問題であって、国は電力開発計画を進めているわけでありますが、しかしそれを阻害するもの、きのう申しましたように、富士川右岸戦いがあった。そうしてそれが富士川左岸に移った。まさに源平の戦いが冨士川をはさんで左岸右岸とで戦われ、いま中止の状態になっている。私は北陸でありますが、かつて基地闘争で激しい戦い計画に対して地域住民が激しい戦いをいたしております。村長はかつては了解を与え、村長改選期にあたっては断固反対するという公約をして村長に当選しております。このようにして内灘基地闘争はいまやまた火力基地闘争という形で戦いが進んでいるわけであります。これはたった二カ所だけしかぼくは示しませんが、きのう申しましたように、二十九日のわが党の全国活動家会議各地の報告を点検いたしましても、それに非常な反対運動各地に展開している事実を明らかにしました。そこで、ここでお聞きしたいのは、なぜそのような国が進めようとする大切な計画反対という形で阻害されているのか、その要因をまず明らかにしていただきたい、こう思います。
  8. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 各地火力発電所建設に対しまして住民反対運動が起こっております、か、先生指摘のとおりでございます。その主たる要因でございますが、公害発生源という観点から見ますと、大体コンビナートを形成しております工業地帯SO2の総排出量の中において占めます火力発電所のウエートというものが大体六〇%ないし七〇%ということで寄与率が非常に大きいところに基本的な原因があろうかと存じます。それからさらにそういう要因に加えまして、従来古い火力発電所が町の非常に近くにございまして、かつ設備的なあるいは敷地的な制約からその設備改善が思うように進まず、住民の非常な御苦労にもかかわらず効果のあがる対策が欠けておるといった例が一、二ございまして、そういうことがかみ合いまして新しい立地についてもいろいろの問題点指摘され、その面からの住民反対が出ておるケースが非常に多いかと思います。ただ、新しい発電所につきましては、会社側としては新しい敷地の中に完全な形でSO2の防除設備もつくり、低硫黄燃料も使用いたしまして、現在の環境基準はもとより、地元の要求に応ずる体制でいろいろ設備計画を立てておるケースが多いわけでございますが、そういった具体的な数字を示して、その数字に基づいて議論が行なわれる場合と、その数字は全然相手にされないで一般的に火力発電所というものは非常にSO2の放出が多いから、それだからその地域には来てもらっては困るというような形の議論が行なわれる場合と、種々あるわけでございます。
  9. 杉原一雄

    杉原一雄君 いま、古い火力発電があって、つまりSO2その他できわめて住民から不信を買っている例がある、それはどこですか。
  10. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 一例をあげますれば、尼崎の第一発電所、関西電力でございます——尼崎の第一発電所並びに第二発電所はそういった例に該当するのではないかと思います。
  11. 杉原一雄

    杉原一雄君 それではそれを抜きにして、相当火力発電各地にあるわけですね。私の住まっておるところにも、千メートル離れたところに現在あるわけです。いま、はからずも、部長も完全な形における発電計画、だが、しかしと、住民がこれに対して相手にしない、信用しない、こういう話でありますが、完全ということばが当たるのですか。
  12. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) ことばの本来の意味におきまして、完全と申しますと、全然0を排出しないということになろうかと思いますが、私が申し上げました趣旨は、現在の環境基準あるいは地元の基本的な計画に対して、完全にそれを守るような設備という意味でございまして、もちろん地上最高濃度〇・〇二あるいは〇・〇一五というような範囲におきます完備された設備という意味でございます。
  13. 杉原一雄

    杉原一雄君 そういう意味だと言われるけれども、全国に現在行なわれておる火力発電が、いまおっしゃったように完全であると、こう判断されるのか。ことばの問題じゃありません。現在どうなんですか、こういうことです。
  14. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 具体的な排出基準基礎に申し上げますと、排出基準は先年の十二月の末に強化されました。その強化された排出基準に対して 全国で約十五ないし二十程度発電所基準に不合格で、その改善のための工事に入りまして、そのうち半数程度は現在完成しておるわけでございますが、残りの半数についてはまだ工事中であろうかと思います。その発電所を除きましては、全国のすべての発電所は現行の基準に合格しておる、そういう形になっておるわけでございます。
  15. 杉原一雄

    杉原一雄君 それで、通産省のほうからこういうふうにやってほしい、SO2は基準をこうだということでなしに、だから設備はこうすべきだという指摘をなされていますね。それは、たとえば煙突を高くせい、あるいは原油のなまだきをやれとか、あるいは液化のガスを使うとか、低硫黄重油を使うとか、いろいろ言っておられると思うのですが、その点は私がいま言ったことの確認と、なおそれ以上のすぐれた規制がありますならば、この際、住民に呼びかけるような形で回答いただきたいと思います。
  16. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 火力発電所の低硫黄化のための指導につきましては、先生指摘のように、大きく分けまして、高煙突対象燃料対策、両面あろうかと思います。現在の法体系が、そのどちらをとってSO2の低減に立ち向かうかということは、一応事業者選択にまかせておることになっておりますので、まず会社から出てまいりました計画通産省で見まして、それがその地域の全体の汚染度との関係において十分であるならば、その会社計画をそのまま取り上げることはあります。それからまたこれの改善指導をすることもございます。それはケース・バイ・ケースでやっております。それから現在の火力発電所SO2の対策きめ手でございますが、特にいままで議論されておりました方法以外に特段の新しいきめ手というものは現在存在しないのではないかと思います。要するに、低硫黄重油なりあるいは原油なりをたくかあるいは硫黄分は若干高い燃料をたきましても、排煙脱硫という方法で十分回収できますので、排煙脱硫設備を大いに強化させるかあるいは高煙突にするか、その三つ選択かと思いますが、現在一番立ちおくれておりますのは排煙脱硫技術開発でございまして、この技術をさらに実用化し大規模にしていくことによりまして電力SO対策というものは完成するというぐあいに考えておる次第でございます。
  17. 杉原一雄

    杉原一雄君 高煙突の問題ですが、いま全国を見て、あれは百十メートル以上とか、何かそういった基準を出しておられるのでしょうか、どうでしょうか。
  18. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 煙突の高さは、その地域におきます工場群を総体としてとらえまして、いろいろ風洞実験その他を行ないまして、個々の工場煙突の高さというものを、まあ各工場で出してきております煙突の高さというものを、風洞実験その他で検証いたしまして、それでけっこうだというふうな形で通産省指導しておるわけでございまして、したがいまして、全国的に何メートル以上という基準は存在いたしません。ただ、その地域においては何メートル以上が望ましいという基準はおのずから出ておるわけでございまして、電力新鋭火力につきましては大体百三十メートルないし百五十メートル以上の高煙突がつけられるのが普通の状態になっております。
  19. 杉原一雄

    杉原一雄君 最近、この基礎観測をやっている専門の方から、煙突高きをもってとうとからず、というような結論めいた調査が出てまいりましたので、そうした指導の面でも通産省はかなり弾力性のある言い方をしておるようですが、私たちが住民を説得する場合に、あの赤と白と、白と赤と、これが百十メートルだ、百二十だということを言うと、かなりいままで納得してくれたわけですね。ところが最近はそうじゃないのだ、必ずしも煙突高きをもってとうとからずというようなことを言う専門家発言が出てまいりました。こういうふうなことはすでに情報としてキャッチしておられると思いますが、今後そうした指導の場合に当然御配慮いただけると思います。  時間の制約もございますのではしょりますが、きのうも山中長官おいでになる間に、電源立地調整法の問題を質問し、通産のほうから答弁をいただいたわけです。この中で非常に私気がかりになることは、地方にも審議会をつくるのだという話なんであります。その審議会のメンバーですね、——聞けばいいんですが、時間がありませんから——私の入手した情報では、あるいはそのブロック通産局長関係する国の機関の長——これはどういう意味かわかりませんが、——都道府県知事あるいは地域市町村長代表、それから学識経験者電力会社社長電気需要者代表その他とあるわけですね。これは全部で八名ほどの構成ですか、それともそれぞれが複数であるか、私わかりませんが、そうした構想はかなり固まっているのですか、お聞きしたいと思います。
  20. 馬場一也

    説明員馬場一也君) 昨日も先生にお答え申し上げましたように、電源立地難を解消いたしますために、いろいろ具体的に地元におきまして、電力のほうからもいろいろ電力のほうの需給事情を御説明申し上げる、それから地域の側から、−主としていまの立地難の問題は、いわゆる公害対策が十分行なわれ得るかどうか、発電所ができたときにそこの地域に非常な大気汚染が起きるのではないかどうかという御心配が主でございますから、そういう地域側からの御事情も十分承る。こうして両者価し合いの場をつくりまして、ひとつ電気需給をスムーズにし、かつお互い納得の上に十分公害対策の講ぜられるようにして立地を円滑にしていきたい、こういうのが趣旨でございます。したがいまして、そのための話し合いの場というので、一応ただいま仰せになりましたような構成協議会を各地域ごとに必要に応じましてつくったらばどうか、こういう構想を現在われわれのほうで考えておるわけでございます。この協議会をいわゆる事実上、たとえば各通産局がそれらの方々をお呼びいたしまして実際上行なうということであれば、これは必ずしも法律をつくらなくてもできるわけでございますし、あるいはそういうものを少し構成その他あるいはどういうことを議論するということをもう少し統一してやりますために、各地域ごとにばらばらのやり方でやらないで、たとえば何か中央でこういうやり方でこういうことを議論するのだということをきめるかっこうでやることもできますし、あるいはもっと強い形にしようと思えば、たとえば立地調整法というような法律をつくりまして、その法律に基づく各ブロックごと協議会というようなかっこうでこれを構成することもできるわけでありまして、そのどのやり方でやれば一番いいであろうかということについて、きのうもお答え申し上げましたように、われわれのほうで目下詰めておる、法律をつくることも含めまして詰めておる。ただ繰り返して申しますように、必ず法律でもってそれをつくるのだということにきめたわけでもございません。そういう状況でございます。
  21. 杉原一雄

    杉原一雄君 それでいま検討中ということですけれども、どれほどの権限をこの審議会に与えるかによって構成は違わなければならぬと思うのです。でありますから、労働関係調整法のように、中労委なり地労委なり三者構成になるという形の中にやはり調整というものの厳正を期することが可能だと思いますが、いま申し上げましたデータでは、これがほんとうのものかわかりませんけれども、いま馬場局長答弁の中でもその点はあいまいであるようですから、私詰めの段階ほんとう調整するような権限を付与するということになれば、この構成についてはもっと厳正な形で、——県知事も出ました、会社社長も出ました、それまであちら側でね、そういう形では調整にならない。これは押しつけだというふうに思いますから、この審議会構成については十分の御検討をいただく。これは結局国会に出ますから本番でまた論争することを保留いたしますが、作業過程において十分の留意をしていただきたい、こう注文をつけておきたいと思います。  委員長からいま注意がございましたが、公益事業局長出席もありまして、先ほど申し上げましたことを繰り返しませんから、御連絡があったかと思いますから、おのおのあげていま三つまで私申しましたが、三つまで御答弁いただきます。
  22. 馬場一也

    説明員馬場一也君) 先ほど私おくれて出てまいります前に先生のほうから電力需給について御質問のございました事項、いま伺いますと、現在における水力火力原子力別の現在の供給能力と申しますか、現在の出力がどうなっておるかという問題。それから二番目に、現在のいわゆる供給予備力と申しますかそれがどうであるか、今後どういう見通しになるであろうかというのが第二の御質問。それから第三番目には、もう少し長期需給長期見通しといいますか、そういうものについて三点御質問があったように伺っておりますので順次お答え申し上げます。  これは、現在の出力でございますが、ことしの四十五年、現在四十五年でございますけれども、現在正式に手元に持っておりますのは四十四年、つまり四十五年の四月にわたる時点、四十五年当初と申しますか、あるいは四十四年度末と申しますか、本年度当初の能力で申し上げます。これで申し上げますと、全国を合わせまして水力が千八百十九万キロワット、これは出力でございます。それから火力が三千三百十五万キロワット、それから原子力が五十万キロワットということに相なっております。パーセントは全体を一〇〇といたしますと水力が三五%、火力が六四%、原子力が一%というのが四十四年度末における公式の出力でございます。むろんそれから半年たちましたので、今日におきましてはそれぞれ出力がふえておるわけでございますが、まだ現在時点におけるいまの出力が幾らであるのかということは現在手元に持っておりません。本年度当初における出力はそういう現状になっております。それから現在の予備力でございます。これは大体この予備力を計算いたしますときには、ことしの八月に一番全国的に需要ピークが出ますので、その八月のピークにおいて予備力が幾らあったかというのを見る通例になっておりますので、八月の状況で申し上げますが、ことしの八月におきましては供給力が、これは供給力需要に対しまして、予備力全国的に三・四%という状況でございます。  それから今後の見通しということでございますが、資金年度について見ますと、これは今後どのぐらい、要するに発電所ができるかということによって左右されるわけでございますが、いずれにいたしましても、来年、再来年度出力は、現在建設中のもので来年、再来年できるものはきまっておりまして、動かすことはできませんが、来年、再来年について申しますと、来年の夏は現在の需要見通しから申しますと一全国を平均いたしまして〇・一%のマイナスということになるわけでございます。八月時点におきまして、ただし、来年の春に若干の発電所が仕上がりまして、すなわち、発電所が仕上がりますと、検査をいたしまして正式に出力として運開いたしますまでに試運転の期間がございます。この試運転中の電気もこの際計算に入れて考えるというふうに考えますと、〇・九%、ごくわずかの予備力はある。こういう見通しでございます。もし、試運転電力というものを勘定に入れなければ、来年の八月においては全国的にマイナス〇.一という、つまり若干ピークの場合には不足をする、こういう数字見通しになっております。  それから、四十七年の夏を同じような手法で想定してみますと、現在の見通しにおきましては二・二%の予備力を保有をするという状況になりまして、以下四十八年度におきましては一・七%、それから四十九年には今度はまた現在のままでまいりますと六・九%のマイナス、こういう見通しがあるわけでございます。そこで、四十六年、七年は、これはある程度いたしかたがございませんが、四十八年の予備力がただいま申しましたように一・七というような非常に窮屈な状態でございますと想定しますと、たとえば水力につきまして非常な渇水に遭遇するということになりますと、これはたちまち一・七が狂うわけでございますので、われわれは四十八年に間に合うようにもっと出力を増加させたいということで、ことしの秋に電源開発調整審議会におきまして、新たな発電所の新増設を計画に組みたいというふうに考えておりまして、この組みたいと思っておりますのが現在約二百万キロワットばかりあるわけでございます。それで、それを、もしやったといたしますと、四十八年度には一・七%の予備力が四・七ぐらいまでは回復をいたします。そういうのが現在の需給見通しでございます。  それから次に長期需給見通しでございますが、これはことしの春の電源開発調整審議会におきまして、一応これからの電源開発長期計画を練りますために、昭和五十年、それから昭和五十五年という向こう五年先、十年先の需給見通しというのがございます。その需要推定は、いわゆる国で組みました経済計画等も参考にし、それからそれに対応して経済がこれだけ伸びれば電気需要がどれだけ伸びるであろうかという想定で積み上げました需要見通しがあるわけでございますが、この需要見通しに対して見ますと、現在の、これは同じく八月の最大電力で申しますと、昭和五十年におきましては大体八月に八千三百九十四万キロワットの電気が必要であるという推定になっております。それから五十五年におきましてはそれが一億三千万キロワット必要である。こういう需要見通しがございます。で、この需要見通しをつくりますときの電気の年の平均の伸び率をどういうぐあいに見るかというベースの数字を申し上げますと、大体四十五年から五十年までは電気需要が年平均一〇・七%伸びる。それから五十年から五十五年までの五年間におきましては九・二%伸びる。こういう推定のもとにただいまの需要見通しがあるわけでございます。ちなみにこの一〇・七%の五年間の伸びと申しますのは、経済社会発展計画が五十年までできておりますけれども、この経済社会発展計画で、いわゆる国民総生産の伸びを一〇・六に見積もっておるわけでございます。電気の場合には、GNPが一〇.六伸びましたときに、弾性値と申しますか、電気がそれに相応してどのくらい伸びるであろうかというのをひとつ、より若干多目に見まして、一〇.七という推定をいたしておるわけでございます。そのような伸びで電気需要の伸びを推定をし、それに必要な電気出力というものをピーク時について申し上げますと、ただいま申し上げましたような数字になるわけでございます。
  23. 杉原一雄

    杉原一雄君 およそのことはわかりましたが、ただここで、住民反対することは現状では私は無理はないと判断する資料がかなりあるわけですが、いま馬場局長が申したように、これからの電力開発のめどというのは、あくまでもGNPの伸び率を基礎にした、それにこたえた電力ということになっているわけですね。そうしますと、それはそれで理解はできますけれども、そのことで電力開発を進める。しかし、現状では反対がある、反対の理由はかくかくだ。対策は先ほどおっしゃったようだけれども、まだ不十分だ、私こう思いますが、極端にいって、公害先進国であるアメリカ等では、もう命あってのものだねだ、GNPくたばれではなくて、GNPの伸びはゼロでよろしいではないか、人口の伸びもゼロでよろしいではないかという、学者間の議論さえ出ているということを私聞いているわけですが、これを他山の石として学ぶべきだと思います。だからこれは、電力事業法によって電力開発の問題は万全を期していくということではなしに、大気汚染防止法とのからみ合いにおいて、もっと規制を強化して、住民に被害を与えない、住民の不信感をぬぐい去っていくという努力がこの際必要ではないか。その意味で、大気汚染防止法の改正案がもうすでに総理府を中心として検討していただいていると思いますが、私はいま申したような希望を若干申し述べて、それに対しての、何といいますか、作業の現段階における答えをいただければと思います。  あくまでもSO2の問題が主でありますので、結局大気がよごれるということでございますから、その点で大気汚染防止法の改正点として、ばい煙の排出の規制等については、きのうの水の問題と同様に、地域指定主義をやめていく。排出基準は、各ばい煙発生設備について全国的に基準を設けるとともに、環境基準を上回る場合には、おのおの発生設備排出基準をさらに強化し、その規制権限は自治体に与えるというたてまえをとるべきではないか。二番目には、ばい煙の発生設備の設置については、許可制をとる。三番目には、人体に影響があることが明らかにされた有害物質については、特定有害物質指定を即時行なうとともに、排出基準及び環境基準を早期に定めていく。その他、まだ一つありますが、省略いたしますが、最後に、電気事業法、ガス事業法、鉱山保安法にかかる大気汚染物質排出設備の許可については、大気汚染防止法に基づく許可も必要とするよう改正する。いうなれば、電気事業法と大気汚染防止法との二重チェックをすることによって、そうした危険を排除していくというのが最後の私の要請でありますが、お答えをいただければ、ここで、直ちにお答えをいただきたいと思いますが、問題を臨時国会の本番に移すなら、本番の場でこれはやるべきだと思います。
  24. 馬場一也

    説明員馬場一也君) ただいまの問題にお答えをいたします前に、先ほど申しました電力のこれからの需要の伸びの推定でございますが、これはいわゆるGNPの伸びとの相関ということで数字を申し上げたわけでございますが、やはり電気需要が将来どういうぐあいに伸びていくかということを考えます場合には、まあ最後にGNPの相関も考えますが、同時にそういうこの非常にマクロの経済が何ぼだから電気が何ぼだという、マクロの見方の前に、ミクロと申しますか、各電力会社ごと、各地域ごとに電灯いわゆる家庭の電灯需要、それから中小企業その他で使います小口あるいは業務用の電力、それから大きな産業で使います大口の電力、それぞれの伸びがどういうぐあいに推移するだろうかという、具体的な積み上げを行ないまして、それじゃ最後にGNPとの相関で計算をする、こういう手法でございますので、いわゆるマクロでやっておるわけではございません。そして電気の中の伸び、平均いたしますと、先ほど一〇・七と申し上げましたが、たとえば四十四年度、ことし、昨年、これが対前年比でどのくらい伸びておるかという最近の傾向を見てみますと、特に先ほど八月に非常にピークが出るというぐあいに申し上げましたが、八月にピークが出るようになりました。また最近の需要の伸びを見ますと、伸び率からいって一番大きいのは工場で使います非常に大口の電力の伸びというよりも、むしろ家庭で使います電灯需要、特に夏季におきましては、いわゆるクーラー、冷房等のいわゆる民生需要の伸びが非常に全体の中で大きいわけでございまして、むしろ趨勢で見ますと、大口の産業で使います大口の電気の伸びは、絶対量では多うございますが、伸び率は家庭の電灯なり中小企業で使います、小口の電力で使います電灯に比べますと、伸び率はむしろ低いということを申し上げておきたいと思います。  それからただいまの大気汚染防止法の関係の御質問でございますが、昨日も山中長官からも御答弁ございましたように、大気汚染防止法の全体の改正問題、その場合における電気、ガスが、昨日申し上げましたような事情で、基準はこの法律基準によりますけれども、その実施は電気事業法、ガス事業法の体系で監督しておるという関係をどう考えるかということの検討をわれわれも現在いたしておりまして、総理府等と御相談をいたしながら、政府としての改正案の結論を出していきたい。かような状況でございまして、現在どういうかっこうになるであろうかというのは、いまここで個別に申し上げますのは適当でなかろうと思いますので、ひとつ御勘弁をお願いしたいと思います。
  25. 杉原一雄

    杉原一雄君 火力発電なり電力開発の問題につきましては、一応これで終わりますが、次に第二点としてヘドロの問題、この問題できのう若干山中担当大臣とのやり取りで明らかになったわけですが、これはずいぶん古い十月一日の東京タイムスという、めったに手にしたことのない新聞でありますが、「政府、県へハッパ」という大見出しがありましたので、飛びついて読んでみたのであります。それは行き詰まったヘドロ処理について、静岡県に対するきびしい行政指導のことが内容的に付加されておるわけです。えらい、きつい元気かいいなと思っておりましたら、きのうのやりとりの中で明確になったように、水質関係の二法を一つにして、水質汚濁防止法というのをつくって、操業停止権限をも中に盛り込むと、きわめて高姿勢な立法のかまえがあるということがこの中でもわかり、きのうの長官の答弁でも明らかにされたわけで、その点はきょうあらためてここで確認するまでもないと思いますが、ただこれは、単に富士市の問題だけでございませんので、私の県におきましても、先般水質審議会で指定をいただいた小谷部川の問題があるわけですから、しかも小谷部川の問題等につきましても、ある業者のごときは、私のところはどうにもなりません、技術的な面でも四年半、五年たたないと、世界の学者等の知恵、そのことによって解決されるところまで持ち込むことはむずかしいと音を上げている会社もあるわけです。焦点を一応田子の浦に求めるとすれば、技術的にいま問題を陸上処理ということに焦点が合わせられているようでありますが、その点についていま少し明確にこの場を通じて県民なり国民に対して、これからこうするのだ、そこの技術の研究なり施設の方向等について全力を傾けて通産がやっているのだということをここでお示しできれば時宜に適した指導じゃなかろうか。もしそれでもなおかつだめなんだ。朝日が九月十八日の社説に「田子の浦港は閉鎖覚悟で根本策を」と書いてありますように、どうにもならぬから港の機能を停止してしまえ、それで困るのは大昭和製紙だけだ。端的に言うならば、そういう露骨な表現をとっておりますが、これは私ども国民として同調しがたいところでありますが、これに同調しないとすれば、これに対する対策が必要でありますから、これは私などの出る幕ではない。通産当局その他各省で衆知をしぼって財政と人的構成を持っているわけでありますから、技術の粋を尽くして、いまここで出す方向はこの方向なんだ、安心したまえとはっきり言っていただきたいと思いますが、どうですか。
  26. 莊清

    説明員莊清君) 田子の浦のヘドロの問題でございますが、これから新しく次々と出てまいります水質汚濁物質の処理につきましては、建材その他の利用技術開発ということで通産省、県が一体となりまして、現在各企業に呼びかけまして、それぞれ技術開発に取り組んでおります。通産省工業技術院におきましても今回公害防止技術委託費制度というようなものを設けるほか、現在の補助金制度をフルに活用いたしまして、そうして前向きに技術開発を懸命に進める所存でございます。御指摘のすでに堆積してしまって、そうして硫化水素などの吹き出している腐敗したヘドロの処理の問題でございますが、これにつきましてはなかなか当面抜本的な処理技術ができません。ただこれを陸上処理いたしますためには、運搬をいたしますのにもそのままではいかないというふうなことでいろいろな技術的な問題が山積しておりますので、関係機関におきまして専門の研究者も入れまして、最近研究会を発足させて前向きに取り組むということになっております。その点の詳細につきましては工業技術院のほうから担当部長出席してもらっておりますので補充して御説明さしていただきたい思います。
  27. 成田寿治

    説明員(成田寿治君) 港湾に堆積しているこのヘドロの処理技術につきましては、御承知のように、まだ技術が安全に確立されていないという段階でございますが、非常にこれは緊急を要する問題でありますので、いろいろなヘドロの解決につきまして、たとえば生産技術とか、あるいは排水処理技術、あるいはしゅんせつ等の土木技術等非常に各分野にわたっておりまして、この専門分野の専門家の協力によって、現在すでに開発されておりますところの技術を有効に活用し、総合的な解決をはかるべく試みているのであります。そうして田子の浦のヘドロ処理につきましては静岡県が主宰しておりますところの岳南排水路汚水問題研究会という研究会がございまして、この研究会におきまして、ここではいろいろな汚水問題全般をやっておりますが、その一環として田子の浦港のヘドロ処理の検討が今年からなされているのであります。そうしてこの研究会におきましては、たとえば建設省は建設省の土木研究所あるいは東京大学の都市工学科あるいは東海大学の海洋学部等の専門家がメンバーとなってやっております。通産省の工業技術院のほうから、公害資源研究所というのがございますが、ここからメンバーの一人として専門家を参加させて廃水処理技術の、従来研究しておりますところの成果を活用していろいろ技術面の助言を行なっております。それで今後もこういう研究会において積極的に工技院の試験研究の専門家の助言を——一緒になって協力してまいることになっておりますが、現在この田子の浦のヘドロにつきましては、燃焼性の研究、分析、これは東京大学等がやっておりますが、この場合どれだけの水を含んで、そしてその含水量と燃焼性の関連等の研究を行なっております。  それから湿式酸化処理の問題、これはどろのままで高温、高圧で処理する方法、これも東京大学で研究されております。  それからリーフテストといいますか、すなわち脱水試験の研究、これらの問題について現在試験分析中でございまして、いまのところこれをどういう形で技術的に処理したらいいかという結論をまだ出すところに至っておりませんが、現在早急に結論を出すように基本的な試験研究をやっておりまして、通産省の工業試験所等もこの中でいろいろ強力なお手伝いをしておるところでございます。
  28. 杉原一雄

    杉原一雄君 いま研究をやっておられる。けっこうですが、これはかなり急いで、あるいは静岡の県知事等の要望もあるだろうし、また地元の切なる要望もある。期限をいつごろどうこうというめどをきめながら1研究ですから不可能でしょうが、何かそういうめどをつけておるんですか、どうなんですか、そのままずるずると研究なんだということなんですか。内容はわかりました。
  29. 成田寿治

    説明員(成田寿治君) 決してゆっくりした試験研究ではなくて、非常に早急に解決を要する問題でありますので、できるだけ早く結論を出したいという方向でやっておると聞いておりますが、ただ、じゃあ何月いつまでにこの結論を出すかというところは、これは非常に学問的なあるいは技術的な問題でありますので、最初からそういうめどはつけてないというふうに聞いておりますが、なるだけ早く、早急に結論を出すべく、各関係所におきまして全力を尽くしているというのが現状でございます。
  30. 杉原一雄

    杉原一雄君 運輸省がおいでになっていると思いますが、きのう省内でいろいろ議論されまして、省内の取りまとめとして海洋汚染防止法の大綱がまとまったと報道されているわけですが、それは事実ですか。
  31. 栗栖義明

    説明員(栗栖義明君) ただいま先生の御質問に関する件は、実は官房が担当してまとめてございますので、私直接所管してございませんけれども、けさニュースあるいは新聞等で出たような方向で進みたいというふうに私承知いたします。
  32. 杉原一雄

    杉原一雄君 立法の問題は、それは途中でそういう答弁しかできない。そうすると、私もこの持っている程度にしか理解できない。おたくの場合は技術担当でありますから、その面で通産省の工業技術院のほうの答弁と一致しているんですか。それ以上何かすぐれた一つの解決のめどがおありならお示しいただきたいと思います。
  33. 栗栖義明

    説明員(栗栖義明君) 私のほうはいわゆる港湾土木と申しますか、そういう分野でございますので、私どものできる範囲の分野でお手伝いをするという範囲でございまして、ただいま通産省から御発言ございましたような、広範囲な研究を実は私のほうも待っておるというのが現状でございます。
  34. 杉原一雄

    杉原一雄君 それでこの問題を打ち切りますが、アメリカでも日本同様、いや日本以上に苦労しているわけですから、七日の日にそうした廃棄物海洋投棄の問題についてきびしい規制案をつくろうという動き——ラッセル委員会がこの問題について報告を送り、議会でそのことが討議されるということを聞いております。問題はきのう山中長官が申したように、世界の海をおおう問題であり、地球全土に広がる大きな問題でございますから、田子の浦の問題を解決するということがそういう問題にも通ずる大きな展望を開く一つの要請でもあると思いますので、格段の、ピッチをあげての御努力をお願いしたいと思います。  次の、第三点として横浜方式の問題を質問する予定でございましたが、かなり時間が切迫してまいりましたので簡単にひとつお願いしたいと思います。  世に横浜方式といわれております。また今度は扇島の日本鋼管移転の問題についても、これもSO2の問題でかなりきつい規制を加えた横浜、川崎、神奈川との取りきめがあります。こうした取りきめが住民企業との間に、地方自治体と企業との間に、これからどんどん広まっていく傾向に私はあると思います。背に腹はかえられないというような自治意識、自己防衛の立場から起こるのは私は当然だろうと思いますが、この際特に横浜方式というものについての自治省等の評価あるいは法的な見解、そうしたものがありましたらお聞きしたいと思います。
  35. 立田清士

    説明員(立田清士君) ただいまの御質問の点は、いわゆる公害防止協定でございますが、御承知のとおり、公害防止協定は特に最近各地方団体で締結される傾向が増加してきております。この点につきましては私たちといたしましては、地方団体で条例等によります規制等について、その内容をさらに充実していくということはもちろん必要でございますが、それとともに具体的な企業との関係におきまして、その場所における各種の諸条件がございますので、そういう点できめこまかい内容を盛った公害防止協定が締結されるということが、やはりその地域の一つの公害対策としまます。そうしていま具体的にお話しの横浜の場合でございますが、先般九月の十七日に基本的な事項がきまっておりますが、現在それにつきまして横浜市あるいは川崎市、神奈川県、この三者が、地方団体側が協議会をつくっておりますが、それで九月の十七日にきまりました基本的な方針に基づきまして、いま相手企業の傾のほうとの協定を結ぶような段取りをしておられまして、大体私たち聞いておりますのは早ければ今月中にそういう具体的なきめこまかい内容をさらに盛りまして結ばれる。そういうふうに聞いております。したがいまして、そういうような具体的ないろいろな分析等を通じ、そうしてそういうものに基づいたいろいろな事項が盛られていくという点では、その地域によりましていろいろ防止協定の結び方の方法は各種ございますけれども、そういう意味では一つの方式であるというふうに評価をいたしておりまして、今後こういうような地域の実態に応じて公害防止協定が結ばれていくということは、やはり必要であるというふうに考えております。
  36. 杉原一雄

    杉原一雄君 そこで私はもしやるとすれば、三条件ほど欠くことのできないものがあるんじゃないかと思う。それをちょっと提起しますから、もし御意見があったらここでお聞きしたいと思います。  第一点は、設備の設置について許可するとか認可するとか、そうした権限をその協定の中できつく取り結ぶということ。  第二点としては、工場の中の立ち入り権を地方自治団体なり協定の側が握るということ。  それから第三点としては、まかり間違えば操業を規制することができるというようなことなどが、いわゆるこの横浜方式と言われ、かつまた今後行なわれるであろう公害に関する協定等の中で欠くことのできないものだと思いますが、立田さん言いにくいことでしょうけれども、もし個人的な見解でもありましたら——でもけっこうです。
  37. 立田清士

    説明員(立田清士君) 非常にむずかしい事項でございますけれども、基本的にはまあいまお話の中で第一点の問題につきましては法令との関係あるいは条例との関係そういうことが協定上の問題として、協定事項としてそういうことが許認可というかっこうで適当であろうかどうかという、こういう問題は一つあろうかと思います。おっしゃっております御趣旨が、おそらく今後の新増設の場合において、その協定の内容が新増設の分についても実施されるという意味で、何らかの担保は必要ではないかというお話でありますれば、その方式については協定内容に応じてどういうような方式をとるかは、ただいま申しましたように、いろいろ方式を考えなければなりませんが、協定そのものとしては新規立地の場合、それ以後の増設等の場合についても一応多くの場合触れられていくという傾向にあろうかと思います。  そのほかの点につきましても、第二点としての立ち入りの問題等、それ等につきましては、協定によりましては、現にそういうような、もちろん、これも法律、条例との関係に基づくそれとの調整問題はございますけれども、そういう内容が盛られているものも現にございますので、そういう点。  それから、いまお話しの第三点そのものの御趣旨が、全体的に協定の実施を何らかの意味で担保するというような一つの方法が要るではないかということでございますれば、やはり協定自身の内容において、何らかの方法によって協定自身の実施が確保されるというような条項というものがやはり今後考えらるべき事項になってくるのではないかというふうに私たちは考えております。
  38. 杉原一雄

    杉原一雄君 もう時間がまいりましたので、第四点目に移りたいと思います。私のことば質問すればいいわけですが、それよりもじかに地元の問題、代表者のことばでそのまま通産省に向けて質問いたします。また、農林省に対しても見解を伺いたいと思います。  問題は、日本鉱業三日市製錬、いわゆる黒部のカドミウム公害の問題でありますが、去る六日、この地域の被害者対策協議会が、市当局に対して申し入れを行なっているわけです。それが第一点としてこれは通産当局に対すると思いますが、日鉱三日市製錬所に鉱山保安法が適用されたが、名古屋鉱山保安監督部の調べたデータはどうだったのか。それに対して同監督部が施設改善を指示したのか。また、三日市製錬所自体の施設改善計画——長期計画も含む——なども市のほうで調べて住民に明らかにしてほしい、こういう要望が実は出ているわけであります。それで、そのことについて、可能な限りの回答をいただきたい。  第二点は、農林に向けることばになると思いますが、被災地農業の今後の対策をどのように進めるのか。そして、非農家の場合も、畑作不能補償について、非農家であっても、家の周辺に宅地使用の畑作その他がありますが、その補償について市はどういうように考えるかということであるのだけれども、同時にこれは農林当局に向けての私、質問になると思いますから、この二点にしぼって簡単に御回答いただきたいと思います。回答によっては質問しますが、私はこれで質問終わりたいと思います。
  39. 莊清

    説明員莊清君) 三日市製錬所に対します検査と施設改善の問題についてお答え申し上げます。  三日市製錬所は、御案内のとおり、去る八月二十七日付の通産省令をもちまして、鉱山保安法の対象製錬所として正式に指定をいたしました。その約三週間前から名古屋鉱山保安監督部が厳重な立ち入り検査を行ないまして、同製錬所は現在、設備能力の六割だけの施設を運転いたしておるのでございます。その六割の系列の施設の検査を行なったわけでございます。その結果、排出されております煙の中のSO2及びカドミウム、排出されておる水の中のカドミウムの濃度、これを厳重に検査いたしましたが、いずれも基準値を相当大幅に下回っておるという結果が確認せられました。この結果に基づきまして、鉱山保安法に基づきまして施設の設置及び稼働の認可を——現在、設備がすでにあることはあるのでございますが、同法の規定に乗せまして認可をし、正式の保安法の適用下での合法的な運転をこの六〇%の設備について認めた、こういうことになっております。残りの四〇%の現有の施設は、私どもとしましては、次に申し上げます現在進行中の一連の公害防止施設工事がございます。これが、来年の二、三月ごろ完了する予定になっておりますので、その時点にそういう公害防除施設と残りの四割の系列の施設、これを再び鉱山保安法に基づいて検査をする、こういう方針でおります。それの検査が終了しなければ、現在とめております四〇%の系列の施設というものは、鉱山保安法のもとでもし動かせば、これは法律違反になる。自主操短で始めたのでございます.が、かってな解除はできないという法の規制の上に立つことになっております。  それで、同法の適用を受けるようになりまして、名古屋鉱山保安監督部から、保安法に基づきまして施設の正式の改善命令を出しております。これは主として電気炉の集じん装置の増設、それから焼結機の改良工事及び焼結機につけます除じん装置の拡充及び排水関係では排水の処理シックナーの増設というような点が中心でございます。すでに同工場では八月、九月にかけましてそれぞれ従来から自主的に実施しておりました改善工事が着々完成しておりますが、これに加えまして、先ほど申し上げました施設の設置を法律に基づいて命令しておるわけでございます。いずれ来年の一月末及び二、三月にかけまして逐次完了する予定でございます。これらの工事は、予定の投資額を申しますと、大体七億二千万円の工事資金を必要とする、こういうことになっております。  とりあえず、検査と施設の関係について現状を御説明申し上げました。
  40. 加賀山国雄

    説明員加賀山国雄君) 三日市としてのカドミウムによります農作物汚染に対する対策でございますが、あそこの地帯で引き続いて営農を続けたいと農家の方々は考えておられると思いますが、問題は土壌中に蓄積されましたカドミウムが作物に吸収されるということでございますから、それが吸収されないようにするということが最も重要なわけでございます。土壌中のカドミウムが作物に吸われないようにするには、土壌中のカドミウムを取ってしまうということが一番いいわけでございますが、これは要するに排土とともに、排土いたしましたあとに客土する、そういう考え方が一つでございます。  それから二番目は、カドミウムが作物に吸収される場合は、吸収されやすい形と申しますか、水に溶けた状態になっているほうがよろしいわけでございまして、その場合に、土壌の場合、酸度と申しておりますが、PHと申しておりますが、酸度の度合いによってカドミウムが溶解する度合いが違うということでございますので、逆にカドミウムが溶けないような状態に酸度を持っていくような対策を立てる、要するにたとえば石灰をまきまして、どちらかというとアルカリ性のほうにその土壌の酸土を持っていくというような方法もそうでございます。  第三番目には、作物それ自体が影響を受けるということよりも、それによってできた農作物の収穫物を人間が食べることによって害が出る、そういうことでございますから、できるだけ口に入れないようなものにする、作物を変えるという考え方もあるわけでございます。作物によってカドミウムの吸収する力というのがだいぶ違うようでございますから、これはなお十分な研究をさらに続けなきゃなりませんけれども、口に入らない非食用の作物に変えるという、そういうやり方があるのではないか。  以上申し上げました三つぐらいの対策を打ちまして、引き続き営農を続けたいというふうに考えておられますあの近辺の農業者の方々にはわれわれは対応していかなければならないと、そう考えております。ただ、排土、客土にいたしましても、土壌改良にいたしましても、いろいろ費用がたいへんかかるわけでございまして、この問題につきましては当委員会におきましても、いろいろと過去議論されてきたわけでございますが、どこがそれを負担するか、その費用負担の問題が次に出てまいります。この問題につきましては、現在公害対策本部等を中心にいたしまして、このようなものの費用負担をどう分担するかという問題等新しい立法等も考えていま議論中でございますか、その場合に費用をどこで負担するかという問題がはっきりするならば、たとえば土壌改良なり、排土、客土なり、そのような対策を打って来年は安心して営農が再開できるように持ってまいりたいと農林省としては考えているわけでございます。  それから第二の御質問にございました非農家におけるというお話、ちょっと私は御質問趣旨が理解しにくかったわけでございますけれども、われわれ農林省といたしましては、農業をやっておられる方に対する対策ということを第一義的に考えておりますので、非農家における、たとえば家庭菜園みたいなもんだと思いますけれども、それに対してやはり技術指導としてはいろいろ必要な技術指導いたさなきゃならぬと思いますが、それに対するいろいろな補償問題その他につきましては、まだそこまで考えておりませんし、われわれといたしましても検討する必要があるのかどうかという問題もさらに考えなきゃならない。やはり第一義的には農業者の方々をどうするかという問題に集中いたしたいと、かように考えておるわけでございます。
  41. 占部秀男

    委員長占部秀男君) 質疑の途中でありますが、委員の異動について御報告をいたします。  本日、奥村悦造君及び木島義夫君が委員を辞任されまして、その補欠として山下春江君及び丸茂重貞君が選任をされました。
  42. 占部秀男

    委員長占部秀男君) 質疑を続行いたします。
  43. 小平芳平

    ○小平芳平君 私は、きょうの委員会では産業公害以外のものもありますが、健康被害の対策について質問したい、このように思っております。  初めに、種痘など十二種類の予防接種の後遺症に対して国が補償するということで七月三十一日閣議了解があったというふうに報道されておりますが、その内容について御説明願いたい。
  44. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) 予防接種事故の救済措置につきましては七月三十一日の閣議でその内容をきめられたわけでございますが、主として今回の措置は現時点ということを中心に考えまして、現に予防接種に関係する疾病によって医療を受けている方、それから不幸にして死亡という状態に現に認めておる状態の方、それから後遺症を持っておる方と、こういう三つのとらえ方をいたしまして、そうして死亡の方には弔慰金という形、それから後遺症を持った方には一時金という形をとりまして、医療を受けている方には医療費を負担する、このような三本立てになっております。  以上が閣議の了解の骨子でございます。
  45. 小平芳平

    ○小平芳平君 年齢別の金額を述べてください。
  46. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) 最高限度という意味におきまして十八歳以上の場合三百三十万、死亡並びに後遺症の一級者がこれに該当するわけでございますが、限度額を三百三十万、それから十八歳以下の場合においては二百七十万というところできめてございます。
  47. 小平芳平

    ○小平芳平君 なかなか全部答えられないからこちらから言いますが、その一時金の場合、十八歳以上一級三百三十万、二級二百四十万、三級百六十万。十八歳未満一級二百七十万、二級二百万、三級百三十万、これでよろしいですか。
  48. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) はい。
  49. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは、この金額については私は全面的に再検討していただきたい。そのことをあとでまた具体的に申し上げますが、その前にこの七月三十一日に閣議了解してそうしてそのいつを目標にして事務が進められているか、実際に厚生大臣が委員会で、国会でこうした後遺症の方に補償するということを発表された。したがって、これらの具体的な家庭の状況等をあとで申し述べますが、これを家庭ではいまかいまかと待っている、そういう実情ですが、どういうような手続かとられておるのですか。
  50. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) 七月三十一日に閣議の了解ができまして実施がきめられたわけでございますけれども、その後の処置につきまして具体的な内容、支給の手続等、細部の事項につきまして取りまとめまして、このたび都道府県にその運営要領を通知した次第でございます。また、予防接種の副反応に基因するかどうか等について専門的医学的な審査を行なう予防接種事故審査会につきましてもただいま十四名の委員に今日の段階で全部了解を得まして、近く第一回の審査を今月の末には少なくとも開きたいということで準備を進めておる次第でございます。  なお、支給事務が具体的に申請が出てきた場合につきましても、できるだけ迅速に処理してまいるようにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  51. 小平芳平

    ○小平芳平君 いまは県に通知が行ってそれが市町村まで流れておりますか、おりませんか。それからまた、具体的に後遺症の御本人にどういう形で通知するか。いつどこへ申し込むか。それが審査会へかかるわけでしよう。それはいつですか。
  52. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) 市町村の段階まで都道府県からの通知がまいっておることは確かであろうと思っておりますが、具体的には申請主義でございますので、予防接種による事故と思われる家庭の保護者等がこれに基づきまして市町村にまず事務手続を相談する。市町村には事務手続に必要な書類、条件等が窓口で御指導いただくようになっております。
  53. 小平芳平

    ○小平芳平君 たとえば神奈川県では何も知りません、市町村が。そういう国会でさもスムーズにいっているみたいに言いますけれども、まだ県の段階で市町村の関係者を集めて説明するのはまだしておりません。ですから、そういうように市町村に徹底する期限とそれから実際に関係者にそのことを知らしてあげなければ、申請がないから払わない、それだけじゃ意味がない。どういう形で知らせますか。
  54. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) この場合には、私は二つの場合があり得ると思うのでございますが、市町村がこれを予防接種による事故であるということを記録その他によってその当時調査したというようなケースにつきましては、積極的に市町村が指導することもあり得ると思いますが、それ以外に市町村がそのような調査を特段していない場合であっても、保護者が予防接種による事故ではなかろうかと前々思っておった、そういう疑念を持っておったが、この際救済制度ができたので申請したい、こういうようなケースもあり得ると思うのでございまして、この点につきましては、市町村が特段自分の市町村の中の明らかな接種事故該当者と思われる者には積極的な御指導いただきたいと思いますし、なお保護者がみずからこれを問題提起いたしたいというふうに考えるものにつきましては、積極的に市町村当局がその証明書類その他が十分であるかどうか、この点も御指導いただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  55. 小平芳平

    ○小平芳平君 まず市町村がそういう調査をしたことは皆無。市町村がいままでそうした予防接種の調査をしたという実例がありますかね。した.かって、やはりその保護者なら保護者が申し出る以外にない。その場合に何ぶん十年、十数年前のことが多い。したがって、病院へ行ってもカルテがなければ診断書ももらえない。非常に困難なことです。ですからこの診断書がもらえなくても十分なそういう判断する材料があるとか、あるいはそういう疑いがある、少なくとも予防接種が原因じゃなかろうかという疑いのある者も含めて補償するという考えでよろしいですね。
  56. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) 先ほど市町村で調査してないと、これはいわゆる実態調査的なさかのぼった全面的な調査をするようなことはほとんどなかろうと思いますけれども、事故が起こったことによって、市町村長が実施責任者でございますので、その当時何らかの意味で市町村が吏員を派遣して実情を調べた書類もそういう意味調査ということで先ほど申し上げたわけでございます。したがって、そういうような衛生係のところに帳簿上予防接種の事故で調査に行った記録等によって市町村内における予防接種事故者として記録されておる者については市町村からの指導があるのであろうという、こういうような趣旨で申し上げたわけでございます。  それから後段のカルテ等か十数年経過したような場合残っておらないのでこの点をどういうふうにし、なお多少でも疑いがあれば救済するのか、こういうお尋ねでございますか、今回の措置の実施にあたりましては予防接種の副反応に基因するものであるかどうかということ、予防接種との関係ということがきわめて重要な問題になるわけでございまして、この点を客観的にやはり実証するところの証明書、書面というものをぜひともほしいというふうな考え方に立つわけでございます。予防接種の副反応と認められる疾病、これらの発病の年月日、その症状等をやはり医師、が記載するところがカルテの保存の義務は五ヵ年でございますので、五ヵ年の義務保存期間を過ぎたカルテはなくなっているんではないか。したがって、これはカルテにこだわるということはおかしいという議論があろうと思いますけれども、この点につきましては、カルテそのものだけを固執いたしておりませんで、これを立証するに足る当時の場合によっては研究会等で発表されたものが残っておるというようなこと、そのほか保存期間は五年であってもそれ以上研究のために保存してあったものはその写しをもってかえられる、これは当然有力な証拠書類でございます。そのように公金を支給する点でございますので、気持ちとしてはできるだけ救済の方向で努力いたしたいと思いますけれども、これが立証並びに専門審査委員会における審査にたえ得るものでございませんとやはり支給該当者として決定することが困難の場合もあり得るというふうに危惧いたしておるわけでございますが、あくまで公金の使用でございますので、立証する書面をぜひとも何らかの形で添えていただきたい、こういうふうに指導いたしておるわけでございます。     —————————————
  57. 占部秀男

    委員長占部秀男君) ちょっと質疑の途中でございますが、委員の異動について御報告いたします。  本日、青木一男君が委員を辞任され、その補欠として高橋文五郎君が選任をされました。     —————————————
  58. 占部秀男

    委員長占部秀男君) 続行いたします。
  59. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういう公の書類のある人はまだいいわけですが、実際そういう公の書類がなくて非常に困る人ができるということは十分予想される。それでいま私が例に申し上げますのは、神奈川県湯河原町に住んでいる山田幸江さんという十四歳になる子供さんです。この方は昭和三十一年三月十九日に生まれて、三十一年十二月十日に種痘を行なった。ところが、三十二年二月二十七日から東京大学医学部付属病院へ通院をして、そして三十六年九月まで通院をしていたと、そういうことがカルテの上で残されていた。種痘を行なったのは十日ですが、十三日からけいれんを起こした。そういうようなわけでこの方の場合は、この東京大学の付属病院の小児科の鈴木医師という方が診断書で、最初のけいれんは——三日目からけいれんを起こしましたが、最初のけいれんは種痘後脳炎と断定はできないが、少なくとも発病に際し種痘が誘因になっておることは十分疑われる——このような程度のものはいかがですか。
  60. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) 今回の措置が閣議了解事項の中でも、副反応の疑いのある疾病も含まれるという解釈をとっておりますので、関連が明らかないしは疑いの濃いものにつきましては、当然救済の方向で考えるということは原則的にはいえると思うのでございますけれども、ただいま御指摘の三日目にけいれんを起こし、脳症とは断定しがたいが、かなり種痘と関連が深いというふうな診断書を提出された場合、先ほど申しました審査会、十四名の専門各位をわずらわして審査会を設けますので、この際参考人等もお呼びできることになっております。必要によりましては当時の主治医ないしはその記録の信憑性、内容等について確認いたしまして、先ほど申しましたように疑いのあるものも含まれる、しかし、それは明らかな立証的なものを背景にぜひほしいと、こういう背景でございますので、ただいまの御質問の実例につきましてはここで可能であろうというお答えはできませんけれども、十分、審査会において検討がされるというふうに私は考えております。
  61. 小平芳平

    ○小平芳平君 参考人を呼ぶまでもなく、この資料の信憑性を疑うまでもなく、東大付属病院のこの鈴木医師が十分疑われるという診断書を書いてくれれば、それ以上何か疑いが残りますか。
  62. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) ただいま実例とそれから一般論とを混同して申し上げたような結果で、十分御理解いただけなかった面があって誤解があろうと思いますけれども、審査会のやり方の中に参考人も呼び得ると、こういうふうにしておきたいという意味でございまして、そのケースに参考人を呼ぶようになるということは、もう十分な証拠書類と認められればそれはあり得ないことであろうというふうに考えておりまして、その点を申し上げております。
  63. 小平芳平

    ○小平芳平君 それからまた金額へ戻りますが、十八歳以上と十八歳未満と分けるのはどういう趣ですか。死亡した場合でも、あるいは一時金の場合でも、どうして分けますか。
  64. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) この点につきましては、十八歳の高校卒の年齢で、しかも社会的に一般的な就職をする年齢をとらえ、それが平均的な労働省の賃金等を参考にして検討しました関係上、あるいは水俣病等においても三十七年以前と三十八年以後とに分割しておる事例もございまして、予防接種が主として幼少年齢に事故が多いことはわかっておりますけれども、十八歳以後が絶無とも限りませんし、また、今後緊急的な伝染病等の国内への侵入によって臨時予防接種が強制的に実施されるような場合には当然成人がかなり入ってまいりますので、当然成人も加えるということで、十八歳以上、十八歳以下というふうに、今回の措置があくまで根本的な確立された法律に基づくものでなくて、行政的に措置した救済制度でございますので、当面十八歳と十八歳以上という二段階に分けた次第でございます。
  65. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがって、この十八歳というのは、死亡したときですか、それとも後遺症にかかったときですか。十八歳未満と十八歳以上に区別するのは、死亡したのが十八歳以上のことなのか、それとも発病したのが十八歳以上ということなのか、これはいかがですか。
  66. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) 先ほども申しましたように、今回は三つの範囲に分けておりまして、医療費、一時金、それから弔慰金と、こういう形をとっておりますので、その起こりました時点によって年齢を考えるということで、現にそういう状態ということで三つの分類に該当すると、こういうふうに考えております。
  67. 小平芳平

    ○小平芳平君 ちゃんと先ほども答えてないから私は聞いているのですよ。私が聞いていることは、それでは種痘その他の予防接種は、大体生後一年ぐらいでやりますから、そうして後遺症の起きるのはその生後一年ぐらいから間もなく起きるのが大部分じゃないかと思いますが、その数を述べてください、現在該当する該当者数のうちで十八歳以上が何人、十八歳以下が何人ということを。
  68. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) ただいま関係の職員が数字を持っておりますので、後ほどお答えいたしたいと思いますので御了承いただきます。
  69. 小平芳平

    ○小平芳平君 要するに十八歳未満の低いほうへほとんど入れちゃうという結果になっている。十八歳以上で結局発病したときなのか、それとも死んだときなのか、それは一体どっちなんですか、はっきり答えてください。
  70. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) 発病したとき、それからそれが死亡に至ったときは死亡という弔慰金を支給する対象になりますので、死亡の時点でとらえるということになろうと思います。それから発病で後遺症をもっておるということになりますと、後遺症として確認できる、医療が済んで後遺症として確認できた時点ということになろうと思います。それから医療費というのは、現在具体的には閣議了解後の八月一日以降の医療について支給する、こういうふうに考えておるわけでございます。
  71. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがって、ほとんど十八歳未満の低いほうへ入るということです。まあ数があったらあとで述べてください。ほとんど十八歳未満の低いほうへ入れるために十八歳で切ったと。それから三百三十万円というのは、これは高校卒の云々ということを言われましたが、三百三十万円という金額は、たとえば自動車賠償の強制保険、責任保険、あるいは交通事故による最近の裁判の結果、判例、あるいは水俣病の死亡者補償、あるいは大阪ガスで爆発したときの死亡者の補償、こういうようなものは一体どのくらいになっておると思いますか。それをまたどのように参考にしましたか。
  72. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) 基本的には今回の救済措置は完全な補償という形をとる性格のものでないということで、やむを得ずその行政的な面として応急的な救済措置を講じたわけでございます。で、これの算定の考え方でございますけれども、これにつきましては、十八歳という年齢とは、この労働の、先ほど申し上げましたように、社会的な労働の年齢期間が大体十八歳から六十三歳ぐらいの四十五年間を考えましてホフマン方式を使いまして、それで高校卒の初任給ベースを考え計算いたしまして二百七十万ないしは三百三十万という算定をいたしたわけでございまして、もちろんこの間、財政当局との折衝、その他厚生行政の中におけるいままでに行なわれました各種の救済措置との均衡という問題につきましても全然考慮しないというわけにはまいりませんので、具体的には他の援護その他の措置費がかえって低いではないかというような意見も出まして、今回の措置は議論のある点は多々あろうと思いますが、そういう意味で当面救済措置として金額を定めたわけでございます。
  73. 小平芳平

    ○小平芳平君 まあ完全な補償をやるつもりがないと厚生省も言い、政府も完全な補償をやる気がないと言うなら、その旨ちゃんと全国民に発表してください、どうせこういう金額は補償じゃないというならですね。  それから次に三百三十万というような金額は、先ほど私が申し上げたような金額にははるかに遠いです。はるかに遠いけれども、厚生省はそうした後遺症に対する完全な補償をやるつもりがないというなら話にならない。ですから、私はこの閣議了解を再検討してほしいということで、私は大臣の御都合のいいとき、きのうもきょうも二日あるのですから、どんな時間でもいいからといって再三要求しておいたのに、委員会が始まってからちょこちょこここに来て、出られない、出られない。局長も出られない、次官も出られない、そういう姿勢は大いに不満です。  それから次に、この金額全体にそういうことがあるのと、もう一つは一時金といいますけれども、後遺症といいますけれども、先ほど言いました湯河原町の山田幸江さんの場合などは完全なる重症心身障害児です。この診断書に付記されて、昭和三十六年九月まで通院した、発病以後はおすわりも不能、現在歩行不能、それから身辺の用だても全く不能で、重症心身障害児である、こういう方が結局一時金の十八歳未満の低いほうへ入るわけです。とにかく発病したのも、後遺症になったのも、現在もまだ十八歳未満ですから。ところが、こうした重症心身障害児を抱えた家庭、親、その親にとってみれば、自分が死んだあと、どうなるかということがあるわけです。それは重症心身障害児はほかにもたくさんおられますけれども、少なくともこの山田幸江さんの場合は先天的なものでもなければ、親の不注意でもなければ、種痘をして二日目からけいれんを起こして、そして現在のような重症児になっている。しかも十八歳未満は労働がない、十八歳以上が労働と言われますが、労働どころじゃないです、本人の。家庭の者がどれほどこの人に手がかかるかしれないです。そういう実情を厚生省が知らないわけないと思いますが、いかがですか。  重症心身障害児を持った家庭がどれほどその子供に親が手を取られ、あるいは場合によっては人を頼み一この方の場合なんか、人を頼むわけにもいかないです。父親が全盲、母親もほとんど視力がないという、そういうような家庭で、しかもこうした子供を抱えて将来どうなるか、こういう不安におちいっているということも、もとはといえば、あのときの種痘が原因だとなったら、あきらめるにあきらめ切れません。生きていることが逆にどれほど不幸か、この子が生きているために、どれほど親が悩んできたか、将来も心配でならないか、そういうような重症児すらあるということ、そういうことを頭に置いてこの金額を出したのですか。
  74. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) おっしゃるような実例等が将来の生活全体を考えましたときに、この金額が妥当かという御質問につきましては、必ずしも十分だとはお答えできないわけでございますけれども、一面、この障害を起こしました特に重症の障害児につきましては、施設を優先的に提供し、したがってそこにおける介護と、それから医療の可能性というものは、重症心身障害児が家庭にあって、ただ保護だけを受けていた場合と、施設に入りましてある程度訓練的な機能の治療を受けた場合、改善される実例も承知いたしておりますが、父兄のお気持ち等もございまして、施設に入れることだけがもちろん十分な保障ということにはなりませんけれども、児童福祉法その他障害の関係の措置によりまして、厚生省としては大臣も、施設にごあっせんするということも加えて、今回の三つの措置のほかに、具体的な協力事項としてうたっておりまして、個々の実例、それから父兄の御要望、また病状の改善の可能の範囲、こういうことによりまして、ケースケースによりましては施設をあっせん申し上げることも加えて措置いたしてまいりたいというふうに考えております。
  75. 小平芳平

    ○小平芳平君 施設へ入ってリハビリテーションに乗っていかれる程度の重症児ならまだしも、全く歩行不能、用だても不能、こうした重症者を抱えている家庭、したがって一時金では結局不安が残る。年金とか、そういう制度ができればともかく、結局、十八歳未満の一級だと二百七十万。二百七十万がそれで安心できる金額でないのはもとよりですが、たとえ金額がふえても、この子がいる限り、親が生きているうちはまだしも、親が死んだあとも心配になるわけでしょう。そういう制度自体を考慮しないで、ただ施設に紹介するよというだけではいかにも厚生省のやり方があたたかいやり方でない。したがって、金額とともにいま言うような制度についても検討していただきたい。閣議了解——閣議でかってに了解したんじゃないですか。
  76. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) ただいまの御要望のように、この制度は今回の救済措置では不十分であるということでございまして、われわれといたしましては、やはり正式に法律に基づく救済制度というものの確立を念願いたしまして、ただいま伝染病予防調査会の中に制度改正特別部会を発足いたしまして審議に入っていただいておりまして、来たる通常国会には予防接種法の改正によりまして新しい章を設けて救済制度の確立をはかりたい。その中で十分御審議いただき、また検討してまいりたいというふうに考えております。
  77. 小平芳平

    ○小平芳平君 それだからこそなお私は問題だと思うのです。これは暫定的なものであって、予防接種法改正までの暫定措置だというわけでしょう、結局。そうなりますと、現在までの何年間かの、あるいは何十年間かのこうした後遺症のものをこの際これで区切りをつけて新しく法改正するのですか。それとも、これは暫定措置であって、法改正のときに、このいま私の言うような金額とか制度を再検討して、そしてこれらの方々も事を終わったとしないで、法改正のときにそっちに取り入れていくわけですか、いかがですか。
  78. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) ただいまの具体的な審議の方向、盛る内容等につきましては、現在の段階では私から申し上げることができませんので、制度部会におきまして諸外国の事例等も参考にいたしまして十分討議されるものと期待いたしております。
  79. 小平芳平

    ○小平芳平君 その内容を聞いているのではなくて、暫定措置として行なわれようとしているこの三百三十万円、この十八歳で区切ったこの補償、この方々に対しては新しい法律ではもう補償は考慮しないのかどうか。当然これらの方々には暫定措置として、いま閣議了解のとおり、三百三十万円と、百三十万円以上が支給されたとしても、それはあくまで暫定的なものであって、本格的な法改正のときにいま言うような金額や制度もくるめて再検討すると、そういうことですかと伺っているのです。
  80. 滝沢正

    説明員(滝沢正君) ことばが足りませんで申しわけございませんが、そういうことも含めて討議されるわけでございまして、これで打ち切りにするというような方向できまっているわけでもございませんし、また、これを続けて何か他の方法で救済するということも方針としてきめているわけでもございませんので、両方の意味を含めて法改正が確立されることに制度部会として御審議いただく、こういうことでございます。
  81. 小平芳平

    ○小平芳平君 私は、そうした法改正に至るまでもなく、この閣議了解は大いに問題があるから検討していただきたい。これが一つ。  それからもう一つは、金額と制度については今回の支出される補償でこれ全く終わったのでなくて、そういうものも含めて制度改正のときにはさらに検討していただきたい。  これだけ御要望して終わります。  それから、次に私が質問しますのは、弗素の人一体に及ぼす影響、これについてですが、当委員会で私はしばしば昭和電工の喜多方工場、それから日軽の蒲原工場等の弗素による植物被害について質問したわけですが、その当時会社で聞いても、大体人体には影響ない、これ一点張りでしたが、ところが最近の研究の結果では、どうも弗素が人体に影響あるという意見も出てきております。この弗素が人体に有害だとなりますと、周辺の住民はもとより、中で働いている労働者にとっても重大な関心事です。また、これが健康被害の原因になるということならば、もう大問題です。そういう点については厚生省はどうお考えですか。
  82. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 弗化水素の人体に対する影響につきまして、ただいま先生から御指摘がございました喜多方のアルミ精錬工場につきまして非常に問題がございましたが、厚生省としましては、昭和四十四年ですが、福島医大の角田教授でございますか、この方を主任研究者といたしました人体影響の調査班を設けまして、住民検診等含めまして綿密な影響調査をお願いしたわけでございますけれども、その結果一応まとめとしましては、植物被害については非常に著名な影響があらわれておりますけれども、明らかに弗化物の過剰摂取による悪影響と見られるデータは、集団的にもあるいは個人別的にも一応認められないという報告をいただきました。ただ、その報告でも述べられておりますように、やはり尿中の弗素の濃度が汚染地域では一般と比べて高いということが報告されておりますので、引き続き追跡調査を行なうことにいたしておりますけれども、現段階といたしましては、植物被害はきわめて顕著であるけれども、人体に対する影響としては、いま蚕でのデータでは決定的なきめ手になるものがないというふうに考えております。
  83. 小平芳平

    ○小平芳平君 一体弗素は毒物ですが、全く影響がないというなら、弗素は食べても飲んでもいいんですか、いかがですか。
  84. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 全然そういう毒性がないというものでございませんで、現に現行の大気汚染防止法におきましてもいわゆる特定有害物質という制度がございまして、それで現在規制を行なっておるわけでございますが、その中にも弗化水素は一応指定されておるわけでございます。ただ、この点につきまして、実は現在の大気汚染防止法では、この特定有害物質に対します規制は、事故が起こった際にその事故時の措置についてだけ定めておりますけれども、先生指摘のように、弗化水素等は事故時に限らず、そういうアルミの精錬工場等においては、工程の中でやはりたえず少量でありますけれども発生するという性質のものでありますので、今回法律改正の機会にはそういう事故時の規制ではなくて、やはり常時規制をするように法律改正をしたいというふうに考えております。
  85. 小平芳平

    ○小平芳平君 1この東京歯科大学上田教授のこうした弗素の人体に及ぼす影響、慢性中毒症状、骨硬化症、こういう点についてはどう考えますか。
  86. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) いままで学会その他で明らかにされております弗化水素の人体影響としましては、急性影響と慢性影響とあるわけでございますけれども、急性影響としましては、主として目や呼吸器、そういう粘膜に対する刺激が一応報告されております。それからまた非常に濃度が濃いような場合ですと、あるいは肺水腫とか気管支炎を起こすこともあり得る。それから慢性影響としましては、一般的には骨に変化を起こしまして、骨の硬化あるいは貧血等を起こしたりしまして、食欲不振等を招く、そういうようなことは従来から報告されております。
  87. 小平芳平

    ○小平芳平君 これはごらんになっていないのですか。この「水道弗素化の問題点」、これによれば、飲料水が二PPM以下で班状歯が出るというのですね。それから飲料水が八PPMで一〇%に骨硬化症があらわれるのですね。骨硬化症になると、全く下を見ることもすわることもできない。ただ突っ立っただけで自分の足も何も見えない。すわるときにはひもにつかまって、どさんと寝るよりしかない。そういうようなことが報告されておる。あるいはこういう人はないようなものだからいいのですが、二・五ないし五グラム、一回の飲む量によってこれが中毒死するというような、こうした研究発表はどう考えますか。
  88. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) おそらくそのデータは私どものほうにあると思いますけれども、私自身ちょっと不勉強で、そのデータそのものは読んでおりませんけれども、先ほど申し上げました福島大学の先生方の喜多方における人体影響でも、やはりその人体影響のおもな類型としまして、班状歯とかそういうことは全部書いてございます。
  89. 小平芳平

    ○小平芳平君 班状歯も骨硬化症も中毒死もあり得るわけですね。ですから、人体に影響ないなんてのんきなことを言っておれないわけですよ。しかもいまお話しのように、これがただ煙突から出ておるだけならともかく、アルミニウム工場の全体から吹き出しておる。電解の工場自体がずっと煙で煙っている。これは通産省のほうでも対策は考えていらっしゃると思うのですが、この中で年がら年じゅう働いている労働者が一体どのくらいの弗素を吸うなりあるいは口に入るなり、あるいは今度は周辺の住民にこれまた大損害、ほとんどもう稲が枯れる、野菜が枯れる、あるいはくだものが全くならない。しかし、うまく野菜ができたとしましてもその野菜の中には弗素が大量に含まれている。で、普通の野菜が〇.一から〇・五PPMのところを、喜多方の野菜は四PPMも含まれておるというようなことも報告されておりますが、どうですか。
  90. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 具体的な数字はちょっとあれでございますけれども、この際の調査は、健康調査のほかに大気汚染調査その他の環境調査もいたしておりまして、当然そういった農作物等についての調査も行なわれておると思いますけれども、ちょっといま私手元に持っておりますものとしては、具体的な数字としては先生のおっしゃるような数字がちょっとあれなんです。
  91. 小平芳平

    ○小平芳平君 これは弗素がどのくらい体内に蓄積した場合に、こうした班状歯なり骨硬化症なり、またどのくらいが危険かというそういうことは、人体に及ぼす影響については厚生省は公害部長しかないのですか、そういうことを研究するところは。
  92. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 現在までのところ、弗素についての具体的な基準といいますか、そういう指針としましては、労働衛生の関係で、一応許容限度としまして三PPMという数字があるのでございます。しかし、これが直ちに一般の住民のいわゆる基準としてどうかという点については問題があろうかと思いますけれども、先生指摘のように、いずれにしましても、この製造工程で絶えず排出される弗素によって、常時やはり人体が影響を受けるということはもう間違いない事実でございますし、たまたまいままで明確な直ちに疾病に結びつく影響があらわれておりませんけれども、早急に何らかの基準をつくる必要がございますので、先ほど言いましたように、環境基準ということも考えられるわけでございますけれども、環境基準ということになりますと、やはり多少時間もかかりますので、来年の法律改正では、先ほど言いましたように、常時規制の対象にして、そうして具体的な排出基準という形で規制を行なう、それを一日も急ぎたいというふうに考えております。
  93. 小平芳平

    ○小平芳平君 法律改正の姿勢はわかります。それはわかりますが、その環境基準にしましても、法律改正の排出基準にしましても、一体限度どのくらいか。それは働いている者は職場で吸い込む、それも決して無害じゃないですと部長さんもおっしゃった。その上なお周辺の住民は口から、食べものから入る、水から入る。そういう場合に、さっきの労働衛生だけでなくて、こうした健康に及ぼす被害については、厚生省が最も熱心にやるべきでしょう。それが公害部長だけがそれを担当しているのですか。それとも、そういうことを積極的に弗素を取り上げて福島大に委託したことはわかりますし、また私もお会いして十分お話は聞きましたが、それだけで厚生省は終わりなのかどうかということを尋ねているのです。
  94. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 私どものほうにも専門のたとえば公衆衛生院とを国立衛生試験所等もございますし、それからまた、私どものほうでいろいろの研究費も持っておりまして、そういったところで委託研究を行なう、そういういろいろな方法によりまして、絶えず有毒物質の健康被害調査については努力をいたしているところでございます。
  95. 内田善利

    ○内田善利君 関連質問しますが、喜多方のアルミ工場の弗素については、昨年斉藤厚生大臣のときに質問しまして、また現地からも御婦人が六名参りまして厚生大臣に、直接いろいろ農作物を持ってきて、こういうふうに被害を受けておりますと陳情をして、そのときに厚生大臣も九月には厚生省は健康調査をやりますといって調査もなさったわけです。そのなさった調査結果はおわかりなんですか。
  96. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) その調査というのが、先ほど私申し上げました厚生省が委託をしました福島医大の先生を主任研究者とする研究班の調査、それがいわゆる厚生省がやった調査ということでございます。
  97. 内田善利

    ○内田善利君 そのあとはやっていないわけですか。
  98. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 本年度も引き続き継続して調査を行なうことにいたしております。
  99. 小平芳平

    ○小平芳平君 カドミウムにしましても、そのほかのほうでどんどん研究発表されて、厚生省はそれは違う、それは違うと言っていますけれども、とうとう公害病となったわけでしょう。どうして厚生省は——なぜ首をひねるのですか。イタイイタイ病はカドミウムが原因だということをもう何年も前から言っている学者がいるわけでしょうが、厚生省はそれじゃ初めからイタイイタイ病はカドミウムが原因だ、神岡鉱山だと言いましたか。初めからどうして厚生省はそういうふうに積極的にやらないのですか。それは委託するのはけっこうですよ、委託するのは。しかし、弗素が健康に及ぼす影響について私が質問しますといって、具体的に言ったのはもうおとといですよ。何も準備して出てきていないじゃないですか。第一これは厚生省でそういう弗素の人体に及ぼす影響をやるのは、公害部だけかどうかとさっきから尋ねておるけれども、その返事もない。あるいは福島大へ委託したのは公害部がそれを委託したのか、ほかの局なのか、あるいはこれから先、弗素の人体に及ぼす影響、いま言うように班状歯とか骨硬化症になったらおそいから言っているんです。水俣病にしてもイタイイタイ病にしても何百人という被害者が出てからじゃおそいじゃないですか。被害者が出てもなおかつ厚生省は認めようとしないでいる。したがって、いまこうして弗素というものがあちらこちらまき散らされておる。しかも、アルミニウムはさらに増産増産、これは通産省にもあとでお尋ねしたいんですが、昭和電工の長野県の大町工場もそうです。去年の増設以来めっきり被害が激増という形です。あるいは冨山県にも新しく出ている、そういう点をなぜ厚生省は国民の健康を守ると言いながら積極的にやろうとしないか。そういう意味で厚生大臣がきのうもきょうも出ないなんというのは、委員長姿勢がよくないと思うんですよ。どうですか。
  100. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 私の先ほどの答弁が多少十分でなかったのであるいは誤解があったと思いますけれども、公害部だけでというようなことではもちろんございませんで、私どもの公害部のほうにそういういろいろ委託研究の予算が計上いたしておりますので、これをフルに活用しまして専門の学者等にお願いする。もちろん、国立の直轄の機関でやれる部分は私どもが受け持ちますけれども、大学教授、そういった民間の専門の方々を広く活用、お願いをしまして、研究を進めておるということでございます。
  101. 小平芳平

    ○小平芳平君 その研究費は幾らですか。
  102. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 委託研究費といたしまして、これはいろいろな研究費全部含めてございますけれども、総額で一億二千万程度でございます。
  103. 小平芳平

    ○小平芳平君 そこで弗素の分はわからないというんでしょう。そういうように、いよいよ病人が出たら公害部じゃなくてどっかが動くけれども、病人が出るまでは動こうとしない、それは非常に私はよくないと思う。  それからこれは厚生省あるいは通産省どちらでもけっこうですが、こうした弗素がアルミ工場からふき出していることは十分みんなもわかっているんですが、そのほかにもそういう弗素の被害の危険のあるところはどんなところですか。
  104. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 最近弗素で問題になりましたケースでアルミ以外は千葉県の旭硝子の、これはソーダを主としてつくっておる工場でございますが、そこで使っておりますたしか燐鉱石の中に弗素が含まれておりまして、それが工場から流れ出まして、付近の稲作に被害を与えておるということで、県もこれを重要視いたしまして、約二十日間の操業停止を会社のほうに勧告いたしまして、会社もその勧告に従ったケースがございますが、ただいままではっきりしておりますのは、アルミとそういった燐鉱石の関係であろうかと思います。
  105. 小平芳平

    ○小平芳平君 厚生省いかがですか。
  106. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) いま通産省のほかにちょっと思い当たる発生源といいますか、は承知しておりません。
  107. 小平芳平

    ○小平芳平君 それじゃ一体何の調査研究をやるんですか。これは私の言うことが正しいかどうか、私もこれは人から聞いた話ですので、全部そうかどうか、これは権威者がこうおっしゃっていたわけですが、いまのアルミ工場、ガラス工場のほかにも、弗素をつくって売っている工場があるじゃないですか、第一。そうでしょう。これは弗素はごくわずかなら、一PPMくらいなら、アメリカではわざわざ飲料水に入れたほうがいいといって入れているというんですが、そういう弗素をつくっている工場もあれば、弗化プラスチックというものもあれば、弗素が出る過燐酸石灰の工場もあれば、あるいは、一番花形産業といいますか、原子炉、あるいはアメリカではロケット燃料、こういうものが弗素のおそれがある、要するに弗素を使っているんだと。そういうことをよく厚生省は、そういうことが仕事じゃないかもしれないけれども、少なくとも弗素に対する、人体に及ぼす影響は間違いなく研究するというなら、そういうことを的確に把握しないことには研究のしようがないじゃないですか。そうでしょう。どうですか。
  108. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 確かに先生指摘のように、従来厚生省は、特に本年度においては、特定有害物質のうちでもカドミウムあるいは水銀等について総点検ということで、この発生源と考えられる鉱山、製錬所等、一斉点検をやることになっておりますけれども、これはもうこれで済む問題ではございませんで、やはりいまあげられました弗化水素、これもいわば発生源は特定しておるものでございますので、逐次、できるだけ早くそういった発生源についてやはり同じような措置を講じまして、御期待に沿うように努力したいと考えております。
  109. 小平芳平

    ○小平芳平君 以上、厚生省に対する質問は終わります。  それで通産省に、もう時間がありませんので一間で終わりますが、いま申しました昭和電工大町工場、この工場は去年増設をしたために、それ以来非常に被害が多いというんですが、そういう場合、前から弗素による被害が出ておりながら、しかも増設をして、とたんに被害が急に多くなるような、そういう増設のしかたはあまりにも考えがなさ過ぎる。それからまた、稲作に対する補償も、同じ昭和電工でも喜多方のほうではちゃんと制度をつくって、要するに、地元民と坪刈りをしたり、ちゃんとそういう制度をつくって補償してるんだけれども、長野県の大町の場合はそれはやっておらない。ことしになって被害が急に多くなったから、住民が騒いだから、そこでもって補償の問題が持ち上がって1何だか前からこっそり補償していたらしいなんということも出ているのですね。したがって、増設の場合、増設して公害を激増させ、急増させる、そういう増設のしかたの問題が一つと、それからもう一つは、補償に対する会社の姿勢が一つと、それからもう一つ、防除措置としては水で洗うわけでしょう。けれども大町には水がないんですね。いうところの三分の一くらいしか水はないという。したがって、また、もう一つはそれを排水されちゃ困ると県が許可しないというようなことで、結局あれやこれや言っている間に弗素をかぶってるのは住民だけ。健康被害のおそれがあるのは労働者、住民というようなことが毎日続いてるんですが、どのようにつかんでおられますか。
  110. 本田早苗

    説明員(本田早苗君) 先生指摘のように、大町工場におきましては、水を洗いましてそのまま流しておったわけでございます。増設に伴いまして水洗用水の増量ということで北陸地方建設局のほうに対しまして利水量の増加を申請しておったわけでございますが、これがむずかしいということで、九月二十六日から洗浄水の完全循環装置というものに切りかえまして、排水をせずに洗場等で洗った水をそのまま繰り返し使うという形に切りかえたわけでございまして、これまでの間に弗化物の回収が不十分であったという点がございます点は、まことに遺憾であると存じます。九月二十六日以降は、完全循環方式で水の量は増加しなくとも弗化物の回収を当初の予定どおりやるということになったわけでございます。  それから補償方式については、金額といたしましては、御指摘のような点があります。この点につきましては、アルミの精錬工場全体につきまして、いま総点検をいたしておる事態でございますので、そういう状況をつかんだ上でそれぞれ必要な措置を、あるいは必要な考え方を整理するようにいたしたいというふうに考える次第であります。
  111. 占部秀男

    委員長占部秀男君) これで午前の会議を終わります。午後一時十分まで休憩いたします。   午後零時二十六分休憩      —————・—————   午後一時十六分開会
  112. 占部秀男

    委員長占部秀男君) ただいまから公害対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言をお願いします。
  113. 内田善利

    ○内田善利君 昨日洞海湾について小野委員から質問があったわけですが、私も少し質問しまして、それから有明海域について質問してまいりたいと思いますが、きのうの質疑の中で、洞海湾の水域指定のことですけれども、響灘も加えるということになっているわけですが、調査がなされないで指定になる予定のようにきのうはお伺いしたわけですが、しかしながら、その中で工場排水の水質調査はしているというお話もあったわけです。また海水はきれいであるというお話もあったわけですが、この内容から経企庁としては工場排水の水質調査内容が非常にひどいので、海水はきれいであるけれども、きびしい基準をつくっていきたい、こういう一連のおことばから、決してことばのあげ足をとるわけじゃありませんけれども、やはり響灘は相当汚染されるおそれがあるという観点に立ってきびしい基準を考えておるということだと思いますが、工場排水の水質調査内容を発表していただきたいとこの場で思いますが、この点はどうでしょうか。また、いま私がきのうの答弁からよほど工場排水がひどいのではないかと、このように感じますが、その点についてはどうなのか。私たちも、福岡県は最近は県衛生部は非常によく内容をすみやかに発表されるわけですけれども、どうも通産省、経企庁関係は発表をされないわけですけれども、これに対して私たちはどうもしょうがなくて、党自体で相当な金を使いましてみずから採水をし、みずから海の中にもぐってヘドロを取り上げて、そして委員長以下全員で分析を依頼し、その調査がされておりますし、また近々出る予定でありますが、相当私たちがやった分ではひどいわけです。したがいまして、この工場排水の水質調査はしておるという答弁をきのうはなさっておりますが、その内容が発表できるならば、この席で発表していただきたい、このように思いますが、いかがでしょう。
  114. 西川喬

    説明員(西川喬君) 昨日響灘の調査の問題に関しましてお答え申し上げましたのは、響灘を調査してないかという御質問でございましたので、響灘の海域の中の水質調査は洞海湾の出口の洞海湾からの影響があるところ分についてだけしか調査しておりませんので、さらに先のほうは調査しておりませんということでございました。  それから工場の分にについて調査していますとお答え申し上げましたのは、現在響灘に面しまして工場立地しておりますのは、今回指定水域にしようと考えておりますところでは、戸畑の地先の一部分だけでございます。戸畑の地先の立地しております新日鉄の戸畑、それから洞海化学並びに触媒化学、この三者につきましては、洞海湾内に排水をしている工場と同じように工場排水の調査をいたしておるわけでございます。それ以外に現在直接響灘に汚水を出しております汚水源もございませんので、その三者のデータ並びに洞海湾内に出しておりますデータ、それが響灘のほうにも間接的に影響するわけでございますけれども、その洞海湾のほうから出ました分の影響は湾口で押えているわけでございますから、洞海湾内の現在出しております汚濁源がカットされればそれに伴いまして洞海湾口の分も現状よりもきれいになる、カットされていく。それによりまして、現在の響灘を現状よりよごすことはない、このような観点で響灘そのものにつきまして海水の調査なくても基準設定には支障はない、このようにお答えしたようなわけでございます。洞海湾内に現在戸畑のところで一部響灘に直接出しております各工場のデータにつきましては、これは前々から委員会においてもお答え申し上げておりますように、現在水質基準が設定されます前の事前の調査でございまして、工場側の協力を得た調査でございますので、データの公表はいままでの経緯から見まして、差し控えたいとお答えしているようなわけでございます。今後この水質基準が設定されまして、現在の排水量等をもとにしまして、どれだけカットしたらよいかということで指定水域になりますと、基準がきまるわけでございますが、基準がきまりますと、それに法律的な義務が生じますので、今後は監督のため排水口の立ち入り調査も当然できるわけでございまして、その立ち入り調査の結果、その他については、今後はこういう基準に対してこのような状況であるというようなことにつきましてのデータの公表というのは、これは法律に基づいてでも調査できるわけですから、支障ないと、このように考えております。
  115. 内田善利

    ○内田善利君 響灘も水域に入るなら響灘に面した工場がたくさんあるわけですから、これらのやはり工場排水も調査の上、水域指定にされたほうがいいんじゃないかと、このように思うわけです。データなしで水域指定をして、しかもきのうの話ではきびしい規制をしていきたいということですが、やはり響灘のほうも調査に基づいた科学的な水域指定をしていただきたいと、いまのお話と有明海における八地点の資料不足のために、厚生省としては要観察地域にまだできないというのと矛盾するような思いがするわけですが、そのような調査をしていただきたい、こう思います。と同時に、洞海湾の中の状況ですが、奥洞海はPHが一だったんです。私たちも手をつけていますと、指の爪のこのうしろのところがすぐ痛くなるわけですね。そういうPHが一といったら試験管の中ではもう強酸なわけです。非常に強い酸で洋服なんかかけたらぼろぼろになるほどの強い酸なわけですが、それが海なんです。ビーカーと海と同じである、そのように私たちは感じたわけですが、そして非常に熱い、温度が高いわけです。そういう洞海湾自体が実験室の中のビーカーと、試験管と同じような状態になっているということを思い、それからもう名前言いますけれども、三菱化成の排水口から一メーター出たところの海水の調査をし、ヘドロの調査をしたわけですが、その実験データが久留米大学の分析でございます。県衛生部にお願いしたら、人員不足のためにできないということで、やむを得ずと申しますか、久留米大学に依頼したわけですけれども、これがいままで海水からは検出されなかった水銀が〇・〇三四二PPM出ているわけです。あるいは同じ排水口の一メーターのところでシアンが〇・二二・五PPM、あるいはカドミウムが〇・〇三四PPM、みな環境基準をオーバーしているわけですね。だから先ほどPHが一であった。ものすごい強い酸であるということなどから、よほど工場はひどい排水をしているのじゃないか。なるほど経企庁や通産省でこの排水の状況を発表できない理由がその辺にあるのかなあと疑いたくもなるようなデータが出るわけです。したがいまして、また海の状況見ましても御存じのとおりでございます。まあ悪い憶測を発表がないためにするわけですけれども、この点はどのように考えられているのかお伺いしたいと思います。
  116. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 洞海湾の工場排水につきましては、当委員会におきましてもしばしば強い御指示がございまして、通産省としても非常に慎重にかつ厳格にその後の推移を見守り、かつ指導しているところでございますが、前々回の当委員会であったかと思いますが、無警告の調査をやらなければ実態はつかめないのではないかという御指示がございまして、実はそれに基づいて七月二十一日に特にシアンにつきまして無警告の調査を実施してみたわけでございますが、これは新日鉄化学をはじめとしてシアンの関係で問題になっております六社につきましてそれぞれ排水口を調査いたしました。その結果は大きい値、一番大きい値で〇・六PPM、一番小さい値では〇・一PPMということで、排出口におきます指導基準の一PPMに比較いたしますと、これはいずれもそれを下回っている、こういう実績値が出てまいりました。それから特に三菱化成について問題があるということが各方面で指摘されましたので、三菱化成につきましては特別にカドミウム、砒素、総水銀、シアン等について九月十四日に会社通産局共同で排出口の点検もやってみたわけでございますが、岸壁から百メートルのところ、十メートルのところ、さらにコークス岸壁から百メートルの沖というような各種の地点でいろいろ調査をやってみた。その結果、カドミウムにつきましては〇.〇九PPMという数値を得ております。それから砒素につきましては〇・〇七四PPMということでございまして、現在の環境基準がカドミウムにつきましては〇・〇一、したがって排出口におきましては〇・一PPMというような基準になっておりますし、それから砒素につきましては環境基準が〇・〇五、したがって排出口におきましては〇・五というのが一応の基準になっていると思いますが、いずれもその基準は下回っている状況でございます。さらに総水銀につきましては〇・〇七というような値でございまして、これも現在の基準から、現在の検出限界から見まして一応合格ではないかということを確認するわけでございます。それからシアンにつきましては三菱化成については全然検出いたしておりません。  以上のような調査の結果に基づきまして、先般来われわれが指示いたしました検討項目に対する会社側の応急対策というものはほぼ完了しておるのではないかという印象を得たわけでございますが、なお恒久対策につきましては、若干の時間をかげながら目下大急ぎで設備建設を急いでおるという状況でございます。
  117. 内田善利

    ○内田善利君 きょうは本論は有明海でございますので、質問はこれで打ち切りたいと思いますか、洞海湾についてはいろいろ対策も考えられておりますし、前向きの姿勢で対策がなされていると思いますが、何といっても発生源対策が一番重要な公害防止の対策ではないかと思います。その発生源対策がいままでどこの場合も非常に手おくれになっているわけですから、その発生源対策については特に通産省にお願いしたいと思いますか、よく指導していただきたい、このように思うわけです。  次に、有明海の大牟田地域について質問いたしますが、御承知のとおり、大牟田川水域は四十三年の七月に指定水域になりまして工排法が適用されて規制されておると思うのですが、また、今年の九月に環境基準が設定されたわけですが、河川はEランクで五年以内に達成するということになっておりますが、今回の福岡県衛生部で調査したデータによりますと、ほとんどが環境基準は上回らないにしても、工場排水規制法の基準をどこも上回っている会社が多いように思います。この点について通産省はどのように指導されるのか。たとえば三井東圧化学の大牟田化学工業所の排水で、これは排水量は二万一千トン毎日ですね、シアンが一・八から三二PPM検出されている。三二となりますと、この間もどこかの工場の計算がされておりましたが、一日にシアンが六十三キロ排水されておるということになるわけですね。したがって、青酸で死ぬ人数で割りますと何億という人が死ぬ。これだけのシアンが出ていることになるわけですが、それと三井金属三池製煉所の横須工場で排水が二万トンパー・デー、これが二・四九PPM、それから三井鉱山の三池炭鉱でPHが二・八の坑内排水として出しておった。このような工場排水規制以上のデータが検査結果として出ておりますが、これについてどう考えておられるか。
  118. 莊清

    説明員莊清君) 三井の化学工場のほうはあとで数字を御報告申し上げることにいたしまして、まず、三井金属三池製煉所の排水の関係について申し上げます。  御指摘のございました三池製煉所の横須工場の排水でございますが、最近設備改善に鋭意つとめてまいっておるわけでございますが、現在本格的な完全循環方式の工事をやっておる最中でございます。これは去る七月に着工いたしまして明年三月末で約三億円の工費で工事を完了する計画になっておるわけでございますが、この完全循環方式の工事が終わりますと、排水が外へ出ないということになりますので、すべての問題が解決するものと考えて鋭意進めておるわけでございます。なお、あの水域でノリ等に関しまして問題になっておるカドミウムでございますけれども、この海水中のカドミウムにつきましては、去る七月の鉱山保安監督局及び地元県市の共同調査の結果でも工場排水口基準〇・一に対しまして約その半分という数字が出ておりますので、現時点においてもカドミウムについては問題がないかと存じております。
  119. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 三井東圧化学の実態でございますが、昭和四十四年四月から水域指定になりまして県のほうで具体的な監督も行ない、かつデータも入手しておりまして、ただいま手元に詳細なデータがないのはまことに恐縮でございますが、四十四年の十一月に調べました結果では第二排水口でフェノール、シアンとも基準をオーバーしておるという事実がはっきりしておりまして、先生指摘の点が確かに存在しておったのでございますが、県のほうで活性汚泥法その他の処理施設の運転管理を十分にやりなさいということでさっそく強い勧告をしたわけでございます。本年一月さらにその結果をいろいろ調べました結果、第二排水口においてもほぼ基準に近い値を得ておるという報告をもらっておるわけでございますが、なお最近の状況につきましては現在データを取り寄せておりますので、また後刻御報告申し上げたいと思います。
  120. 内田善利

    ○内田善利君 古いデータでいま答弁がありましたが、これは福岡県の衛生部でサンプリングをしたのは五月十九日です。そして十月六日に県衛生部で発表しておるわけですが、これによります一と、大牟田川三地点で環境基準以上カドミウムが〇・一PPMです。以上です。十倍以上です。それから大牟田川あるいは諏訪川でシアンが〇・三PPM、これも環境基準としてありますが、排出基準から比べれば三倍、それから溶存酸素なんかは大牟田川の河口ではゼロです。酸素はほとんどありません。それからいまも申し上げましたとおり、三井東圧化学では排水口付近で三・一、ヘドロにいたしますと、一つの例ですけれども、大牟田港の泊地で三七九PPM、これを県が〇・三七九ミリグラムで発表したのですが、そこで問題になったように、きのうお伺いしましたが、PPMであらわせば三七九PPMというものすごい状況です。そういった調査の上に、私たちもここは検査しておりますが、まだ五分の一くらいしかデータ出ておりませんけれども、私たちのやったこれは久留米大学の分析ですけれども、やはり大牟田川の河口あるいは三井東圧化学の排水口でフェノールあるいはシアン等が、シアンは〇・二五七PPM、フェノールで四二・〇七、これは三井東圧化学の排水口付近ですけれども、一四〇・一PPMというような、これは排出基準は一日平均フェノールは一五PPMないし最大は二OPPM、そういう基準でありますが、一四〇・一PPMというような非常に大きな量で、ヘドロのにおいも石炭酸のにおいが一ぱいしております。非常にもう汚染された地域になっておるわけですけれども、この点について一体——三井金属三池製煉所では全部循環式にして水を取り扱って排水はゼロになるということで、来年三月そうなるということですか、非常に前向きの姿勢で三億円という金を使って、やっておられるということで、銀水工場はすでに全部そういう循環式になっております。横須工場もそうなるということで、企業の前向きな姿勢として私は非常に高く評価しております。そういうことでありますけれども、現在このような高いカドミウムあるいはシアンあるいはフェノールが出ておるということは、有明海のために、地域住民のために、非常に危険であると、このように思うわけですけれども、この点はいかがでしょうか。
  121. 莊清

    説明員莊清君) ただいま先生指摘の数値を拝聴いたしておりまして、私まことに恐縮し、また申しわけないと存じた次第でありますが、古い工業地帯でございまして、近年水域に指定されたわけでございますが、数ある工場の中で進んでおるところもあれば、また旧態依然としてどぶだと心得てなかなか改善が進まないというところが実態として残っておるということは、まことに遺憾なことと存じております。御指摘のありましたとおり、企業努力ということがまず最も大切なことでございますので、監督権は、十一月からすべての工場につきまして排水関係は県のほうにお願いすることに方針は決定いたしておるわけでございますが、今後とも地元県にもよく協力いたしまして、これら大企業における排水は、全国一律にきめられておりますカドミウムその他危険物質の基準というものがあるわけでありますから、これをいささかも違反しないというふうに早急に改善措置をとらせる所存でございます。そういう方針でまいりますのであとしばらく御猶予をいただきたいと思います。
  122. 内田善利

    ○内田善利君 まあ、安中製錬所で大気のカドミウムによる汚染ということがいわれまして、私も工場に行ってそのようなことは参考意見として申し上げたことがありますが、その後、安中のカドミウムによる大気汚染以後こういった全国の亜鉛製錬所に対してどのような手を打ってこられたのか、大気汚染のおそれがあるという亜鉛の製錬所か全国に幾つあるのか、そうしてどのような手を打ってこられたのか、まずこの点からお聞きしたいと思います。
  123. 莊清

    説明員莊清君) 亜鉛製錬所の中に、鉱山保安法の対象になっております製錬所と、それからいわゆる独立製錬所と申しておりまして、鉱業権者が経営しておらないために鉱山保安法の対象になっていないという独立製錬所がございます。これら全部含めまして、全国でたしか十五程度でございますが、これらに対しましては、ことしの春以降全面的な厳重な大気関係及び排水関係調査を実施いたしております。独立製錬所関係につきましても、全部検査を一応行ないまして、工場煙突及び排水口の出口関係調査は全部完了いたしております。その結果に基づきまして、それぞれ対策を講ずべきところに対しましては、保安法の対象の鉱山につきましては、法に基づいてすでにすべて指示を行なっておりますし、保安法の対象にたまたまなっていない独立製錬所につきましても、鉱山業を所管する通産省の一般的な指導すべき立場に基づきまして、それぞれ地元の県と御相談の上で、企業に対しましてそれぞれ改善の強力な指導を行なって、目下工事を行なわせておる状況でございます。
  124. 内田善利

    ○内田善利君 それでは鉱山保安法の適用を受けない独立の製錬所に対しても、鉱山保安法を適用されて法の網にかけておられるというわけですね。
  125. 莊清

    説明員莊清君) 鉱山保安法の適用対象にならない製錬所につきましては、一般的な行政指導の形で現に実施しておるということでございます。なお、法の対象にならない独立製錬所、全国に七つあるわけでございますが、これを今後どういうふうに法律の上にのせて規制を厳重に行なっていくかという点については目下検討をしておる段階でございます。
  126. 西川喬

    説明員(西川喬君) 鉱山保安法の対象になっていない独立製錬所につきまして、カドミウムを出すおそれのあるものにつきまして、排水関係だけにつきましては、先般の十月五日の審議会におきまして、全部指定水域にいたしまして基準をかけるということにいたしまして、それによりまして排水関係につきましては、水質保全法の体系に乗りまして、鉱山保安法がかかりません独立製錬所は工場排水規制法のほうで排水に関しては取り締まれるような体制に持っていったわけでございます。
  127. 内田善利

    ○内田善利君 私はいまから大気汚染について質問していこうと、こういう段取りをしておるわけです。水質のほうについては、いまお聞きしたとおりですが、大気の場合、特にカドミウムを含む重金属について、大気の排出規制などをなさったかどうか、あるいは排出規制ができないとすれば、着地の状況調査なさったかどうか、そういう面をお聞きしたいと思います。
  128. 莊清

    説明員莊清君) 鉱山保安法の対象になっておるおらないにかかわらず、先ほど申し上げましたとおり、煙突の排出口での状況については、すべて検査をし、改善工事を行なわせておるところでございます。環境関係につきましては、これは都道府県の御協力を得なければなりませんので、その点についても実施しております。一部の県を除きまして、すべての製錬所につきまして、環境汚染関係の検査の結果が出ております。
  129. 内田善利

    ○内田善利君 あそこの工場工場とも行ってみたのですが、鉱石が野積みになって、それが乾燥して飛んでいくおそれはないかどうか。それからバックフィルターが過去に不完全であった、いまはいいということですが、過去バックフィルターが不完全であった、そういうことから大気を通して土壌が汚染されているのではないかという懸念があるわけですが、この点についてはどうなんでしょうか。
  130. 莊清

    説明員莊清君) 三池製煉所の鉱石の問題でございますけれども、実は鉱石は全部貯鉱舎がございまして、そこに入れておりますので問題はございません。御指摘の原料は、神岡鉱業所から三池製煉所に製錬原料として回ってきているいわゆる赤かすであろうと存じますが、これにつきましては、監督上の手落ちがあったということを、私ここではっきりおわびいたしたいと思いますが、シートをかけることになっておったにもかかわらず、半分ほどはシートがかかっていなかったというふうな事態がございまして、これはさっそく全部シートを十分にかける、約五万トンほどの貯鉱をしておるわけでございます。さっそくシートを全部によくかけるという指示をいたしまして、これは現地においてすでに行なわれておると存じております。  それからあと煙突の排煙の関係でございますが、同製煉所では四十年以降約九億円くらい排煙の関係公害防除施設に投資を行ないまして、着々改善を行なわせてまいったのでございますが、粉じんを吸着いたしますバックフィルターというのがございますが、これの管理かとかく不十分でございまして、従来運転が必ずしも円滑でないことがあったようでございます。この点につきましても最近問題点として指摘いたしまして、十分運転管理及び運転の調整に留意するように指示をいたしたところでございます。  なお、煙の中のSO2でございますが、これは先生御承知のとおり、全部硫酸工場に持っていって硫酸にしておりますので、問題はないかと思います。
  131. 内田善利

    ○内田善利君 通産省には大体その程度で終わりたいと思います。  農林省にお伺いしたいのですけれども、大牟田市は五日に、汚染の疑いのある手鎌地区の四十四年産米、政府売り渡し米は、問題になる前から食味などの問題で農協倉庫に全部保管されたまま全く流通していない、そのように発表しておりますが、そのとおりであるのかどうか。汚染米の疑いのある手鎌地区のお米は全部倉庫の中に凍結されておるというように考えていいのかどうか、それからこの米はどうする予定であったのか、また今後どうされる予定であるか、お聞きしたいと思います。  それから時間の関係でひっくるめてお伺いいたしますが、昭和四十三年、四十二年、四十一年と過去のこういった地区の米はどのようなルートを通っていたかどうか、この辺をお聞きしたいと思います。
  132. 増田甚平

    説明員(増田甚平君) すでに御案内と思いますけれども、食糧庁におきましてはカドミウム含有米の取り扱いにつきまして、七月の末に、まず配給につきましては、カドミウム環境汚染要観察地域の産米の中で、農家保有玄米のカドミウム濃度、これが一・〇PPM以上の地域の産米は配給しないことにいたしております。なお、さらに要観察地域のそれ以外の産米、つまり一・〇PPM以下の産米につきましても、これらの食品衛生上は安全ということになっておりますけれども、消費者の間に不安がございますので、これも配給しないということになっております。  で、御質問の大牟田地区のカドミウム含有米についてでございますけれども、これは実は本日福岡県の農政部の関係者が私どものところに参りまして打ち合わせをすることになっております。したがいまして、県当局とも十分打ち合わせた上で、かりに要観察地域の指定になるということになりますれば、ただいま申しましたような、すでにきめました方針にのっとって必要な措置をとってまいりたいというふうに考えております。
  133. 内田善利

    ○内田善利君 その要観察地域になかなかならないような状況なので、それまでの間にどうするのか、それをお聞きしたいのです。手鎌の一・〇九PPMの保有農家は非常に不安に思っていると思うのです。そういった方々に対する補償、政府米を臨時に配給するとか、そういった手は打たれておるのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
  134. 増田甚平

    説明員(増田甚平君) ただいま申しましたのは、要観察地域のお米についてでございますが、要観察地域以外のお米につきましても、県当局とか、厚生省の調査に基づきまして、たとえば検体数は少ないけれども、そういった基準をこえる保有米があるというような場合には、要観察地域に準じまして、たとえば農家の希望によりますけれども、農家が配給してほしいという場合には配給の道を開いております。したがいまして、これも先ほど申しましたように、これから具体的には県と打ち合わせをしてまいりたいと思いますけれども、そういう農家の希望がございますれば、配給の道は開いてまいりたいというふうに考えております。
  135. 内田善利

    ○内田善利君 配給するのですか。交換するのですか。その辺どうなのですか。
  136. 増田甚平

    説明員(増田甚平君) 配給いたすことにいたしたいと思っております。
  137. 内田善利

    ○内田善利君 汚染された米はどうされるのか。
  138. 増田甚平

    説明員(増田甚平君) 汚染の程度によるわけでございますけれども、農家保有玄米のカドミウム含有量が一・〇PPM以上、これは配給もいたしませんし、したがって食用に供さないように、私どもの食糧事務所なり、あるいは県当局等も十分に管理いたしまして、食用以外の用途に振り向けるようにいたしたい。  それから要観察地域の中の一・〇PPM未満のお米につきましては、これは実は食品衛生上は安全でございますけれども、消費者の間に不安があるという観点から配給に回さない。これも同じように、それは主食用にいわゆる横流れをしませんように十分管理いたしまして、これも主食用以外の用途に振り向けるようにいたしております。
  139. 内田善利

    ○内田善利君 いまから逐次この土壌については調査がされていくと思います。また米についても、調査がされてデータがはっきりしてくると思いますが、いままで五十年のキャリアがあります。いま大気のカドミウムの量は、バックフィルターやその他の施設をされて確かに少なくなってきているというように思いますが、五十年の間、やはりカドミウムその他亜鉛を出し続けた以上は、やはり土壌が汚染されていると見なければならないのじゃないかと思います。有明海全体がもうカドミウムで汚染されている。こういった点から、また製錬所から距離を見ましても、わずか八地点の調査でありますけれども、近いところから遠いところに行くに従って土壌の汚染状態もだんだんだんだん変わっていく。それから亜鉛の含有量も、たった八つの資料ですけれども、亜鉛の含有量とカドミウムの汚染されている含有量とが比例している。亜鉛が多い地点はやはりカドミウムも多い。土壌が汚染されている地域はやはり米も同じように比例して汚染されている。わずか八地点でありますけれども、そういった統計をとってみると、そういう状況が見られます。五十年のキャリアを持った汚染状況でありますから、今後解明されてくるとは思いますけれども、そうなった場合、今後農林省としては、あと作はどういうふうに指導されるのか。また有明干拓に行ってみましたが、あそこの米は私の目から見た場合、非常にできが悪いように思います。非常によく指導されているとは思いますけれども、米粒にしても少ない。また味を聞いてみましたら味もあまりよくない、まずいというようなお話だったのですが、こういった有明干拓がデータから見ても相当に土壌が汚染されておるように思われますが、こういった地点についてどのように考えておるのか。私は端的に言って、その辺こそ工場地帯にしたらいいのじゃないかと思ったのですけれども、ああいう地帯をそのまま法に基づいて八年間あのような米をつくっていくのか。その辺のことを農林省にお伺いをして、次に移りたいと思います。
  140. 増田甚平

    説明員(増田甚平君) 先ほどの私の説明にも関連するわけでございますけれども、要観察地域に指定されまして、そして・玄米のカドミウム汚染度、これが一・〇PPM以上になるというようなところにつきましては、これは今後ともお米をつくっていくのは妥当ではないというふうに考えられますので、そういう地区につきましては、たとえばほかの県の例でございますけれども、安中でございますとか、冨山でございますとか、これらにつきましてはそういう調査結果等はっきりいたしておりますので、お米以外あるいは食用以外の農産物に切りかえるなり、あるいはいま先生がおっしゃいましたように、そういう工場敷地等、適当なところがあれば、そういうところにいわゆる転作といいますか、転用するように指導はいたしておりますし、もし、いま御質問の地点地域につきましても、そういう事実が合致いたしますれば、そのような転作なりあるいは転用、そういうことも検討してまいりたいというふうに思っております。
  141. 占部秀男

    委員長占部秀男君) ここで、先ほどの三井東圧の調査内容について、柴崎公実部長のほうから報告を願います。
  142. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 報告がおくれましてまことに申しわけございませんが、先生指摘のとおり、四十五年九月十九日に調査したデータがございまして、三井東圧大牟田につきまして、シアンで——これは排水口が二つございますが、ナンバーワンの排水口で一・八、ナンバーツーの排水口で三.一PPMという数値が出ております。で、これは県が調査し、かつ県が分析した結果でございますが、現在の分析方法によりますと、たとえば塩素とかあるいは硫化物が若干でも入っておりますと、だいぶ値が大きく出る性癖がございますので、その点、県の分析方法について県自身が検討中という報告を実は現在もらっておるわけでございまして、この当時、会社が同じ地点で、同じ排水口で、同じ分析をやりました結果、会社側の数値は第一排水口で〇・〇五、それから第二排水口で〇.三九PPMという数値が出ておりまして、これは分析方法として、県のほうはチオシアン酸法という方法を使いまして、会社のほうはピリジンピラゾン法という方法を使いまして、方法の違いによっての誤差というものもあるわけでございますが、その辺の実態を究明するために、いま県で検討しておるということの報告がまいっております。  ただ、いずれにいたしましても、こういった数値が出るということ自身、非常に問題でございますので、通産省としては強くこの点の改善指導しておるわけでございますが、御承知のように、本年二月に福岡通産局と福岡の鉱山保安監督局、並びに福岡県、大牟田市と、四者で委員会をつくらせまして、総合的な検討を行なわせておりますが、八月にはさらにしゅんせつ問題とあわせまして、この四者で大牟田川浄化対策打ち合わせ会というものを結成させて、いろいろしゅんせつについても検討を行っております。  で、基本的にはこの地区の六社をまとめまして、五社に若干の会社を追加いたしまして、特別都市下水路を建設いたしまして、それによって総合的な浄化装置をつくるということがきめ手になるような状況でございますので、その施行者である大牟田市ともよく打ち合わせておるわけでございますが、予算の関係その他でまだこの都市下水路の建設計画は具体化しておりません。  それと並行いたしまして、もし特別都市下水路ができなければ、この六社が協同いたしまして、六社自身で三井東圧大牟田工場の敷地内に総合的な浄化装置をつくりまして、六社の水を全部そこで浄化するというような計画もございまして、その両者を現在比較検討いたしまして、できるだけ早い時期にそういった形の総合的な対策で対処したい、かように考えておる次第でございます。
  143. 内田善利

    ○内田善利君 次は厚生省にお聞きしたいと思いますが、六日、福岡県衛生部で住民の疫学調査を発表しております。これは漁民の三十一人について調査しているわけですが、尿の排出量で女性で一名一九.六マイクログラム、一日ですね。それから一三・四マイクログラム。この二人が要観察地判定の目安としての一三マイクログラムを上回っているわけですが、三十一人で結論を出される予定なのか。私は漁民は当然ですけれども、やはり農家のほうも疫学調査をすべきではないか。この人たちの食生活ということを考慮に入れた上で調査すべきではないかと、このように思うわけです。したがいまして、水の点も——飲み水ですね、井戸水にしても、水道にしても、やはりこの汚染地域から流れてくると、——諏訪川上流のダム等、そういったところから流れてくることを考えれば、やはり水道水も調査すべきじゃないか。そして、どこの米を食べているかというようなことからやはり疫学調査をすべきではないか。その結果結論が出るのではないかと、このように思うのですが、まずこの点についてお伺いしたい。
  144. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) いま御指摘の三十一名の尿中カドミウムの分析結果につきましては、私どもとりあえず電話でその数字を承知したのでありますけれども、いまお話しのように、一三マイクログラムをこえる数値もございますが、平均いたしまして一リットルに直してあれいたしますと、九マイクログラムをやや下回るというふうに聞いております。それで、実は要観察地域の指定のいわば一つの基準になっておりますのは、従来一日成人の平均カドミウム摂取量〇・三ミリグラムということになっておりますけれども、今度そのほかに、最近尿中の一リットル中のマイクログラムとして九マイクログラムというものの、このいずれかの基準に該当すれば要観察地域の指定ということになるというふうになっておりますけれども、三十一名の平均値が九マイクログラムをやや下回るということになりますと、形の上ではちょっとこれに該当しないわけでございますが、平均摂取量の〇・三ミリグラムか、いずれかの要件を満たせばいいわけでございますから、先般も申し上げましたように、この米等の検体が非常に少なくて、二、三十ばかり早急によこしてもらいたいということを県に申し出、県はできるだけ急いでということでございますので、その結果を見まして所要の措置を講じてまいりたいと思います。
  145. 内田善利

    ○内田善利君 有明海についてお聞きしたいと思いますが、有明海については福岡県の衛生部、あるいは久留米大学などで赤貝のかん詰めの中に相当量のカドミウムが検出されたわけですが、さらに佐賀におきましても、赤貝に検出しておるし、また長崎でもいま調査中ということでございます。  なお、ノリにつきましても、福岡県の衛生部でやっておりますし、また佐賀でもノリについては発表しておりますが、また長崎でも諫早湾その他のノリについて発表しておりますが、いずれも大体同じような状態でありますが、特に福岡県の衛生部でやったのよりも佐賀、佐賀の検出量よりも長崎というように、このカドミウムの汚染が多くなってきているわけですが、最近佐賀大学の農学部の食品製造学教室の榎本則行博士からお伺いしたデータですけれども、赤貝が有明海では四・三四から八・一五PPMで、多いのになりますと八・一五PPM。それから、これは非汚染地区として豊前海のが〇・四一から〇・五二PPM。中共産ということですけれども、これが〇・九二から九・一二PPM、これは非常に多いわけですが、どういうわけか私にもよくわかりませんが、いずれにしても有明海の赤貝と非汚染地区の豊前海の赤貝とを比べた場合に、はるかに有明海のほうが同じ榎本博士が分析した結果、このようにカドミウムで汚染されておるということがわかっております。このデータは最高と最低だけしか教えてくれなかったわけですが、今月中旬にはシンポジウムで発表するということを言っておられましたが、私はこのデータから佐賀の大学の発表が福岡よりも多いとかどうとかいうことじゃなしに、非汚染地区と有明海の赤貝と比較した場合に、有明海のほうは最低が四・三四で、最高が八・一五、豊前のほうは〇・四一から〇・五二、こういうことを思いまして、やはり有明海の赤貝は確かに汚染されておると、こういうふうに思うわけです。こうなってまいりますと、一体どこからこのカドミウムが出てきておるのだろうかとこう思いまして、有明海の潮流、それから海流、そういったものをあちこち聞いて調査してみたのですけれども、気象庁も海上保安庁も通産省もこういったことについてはあまり調査されていないようでございます。非常に古いデータでありますが、干満の差が非常に激しい有明海でありますので、五メーターか六メーターの干満の差で東支那海を出たり入ったりしているわけですが、潮流の流れは北のほうに多く有明海に入ってまた出てくる、同時に海流は左へ一時計の針の回りと反対方向に海流が流れておる。特にこれは古いと言いましても一九六五年あたりの調査ですけれども、大牟田川から非常に螢光物質がたくさん出る。普通何でもないところでは五から六%ぐらいが通常の河川あるいは海水の螢光値だそうですが、工場排水あるいは都市排水で汚染されてまいりますと螢光値が五〇以上になってくる。大体螢光値が二〇以上あれば汚染水の混入が十分と考えられる、こういうことからいきますと、六角川が、これは佐賀県の武雄市の都市排水の影響を受けていると思いますが、五〇ないし七〇%、牛津川の上流にパルプ工場がありますが、五八から一〇九、本庄江川と言うのですか、ここに食品工場がありますか、大体四五%、沖ノ端川、これがやはり都市排水四〇鬼、大牟田川になりますと工場群の影響を受けて何と六五四〇%、このように非常に螢光物質が多量になってくるわけですが、この螢光物質が大牟田川のものがこのようにずっと各川に上がってくるのかどうか、この辺はよくわかりませんが、はるかに六五四〇%と螢光物質が多い。その螢光物質がもう有明湾全体に広がっておる。こういうデータを教えていただいたわけですが、このことから通産省にお聞きしますと、カドミウムを取り扱っている工場は三井の三池製煉所以外に小さなメッキ工場があるという程度だとお聞きしているわけですが、また土地の土壌のカドミウム含有量、検出量を見ましても、距離によってだんだん少なくなっていっている。こういったことから大体もうこの発生源の予想がつくわけですが、この発生源に対して私はもう少し指導、助言をしていっていただきたい。このように思うわけです。この有明海の汚染につきましては非常に心配するわけですが、昨日質問しましたときには有明海は指定水域にするのでなくて、ことしの次の国会で公害関係法案の改正案が出るので、汚染は全国一律の基準がかかるようになる、この新方式に基づいて解決に努力したいという昨日の御答弁をいただいたわけですが、次の国会でこの全国一律に設定される基準発生源対策として実施されるのはいつごろになるのか。これをまずお聞きしたいと思うわけです。そしてそれまでに毎日の排水量から計算してみて、一体どのくらいのカドミウムがこの海に流れ込んでいるのか。私はきのうの答弁を聞きましてそんなのんきなことは言えないのではないかと、このように思ったわけですが、もっと有明海の汚染ということについては早く発生源に対して防止対策を講じなければならないのではないか。このように思うわけですが、この点についてお伺いしたいと思います。
  146. 西川喬

    説明員(西川喬君) 次期国会に提出いたします法案の成立の日のめどでございますけれども、私といたしましては法律施行と同時に、いまのところ全国一律基準と申しますのは政令で定める予定に考えておりますが、法律施行の日も、これは法律が成立いたしましてから何カ月以内で政令で定めると、一般に法律施行の日を定める政令で予定して、その何カ月をいまのところではどんなにいたしましても六カ月以内というようなことを一応念頭に置いてございますが、その施行の日と同時に一律基準の政令は定めたい。このように考えております。  それからただいま先生のおっしゃいました微量重金属関係でございますが、これにつきましては現在全国一律的な基準をすでに定めまして、指定水域につきましてはこれを全部適用しているわけでございますが、指定水域外のところにつきましては県条例でもちましてこの一律基準というものを指定水域に定めたと同じものを県条例の中に盛り込んでいただきまして、実質的な全国一律に適用するような形でやってほしいというようなことをすでに通達としては各県に流してございます。
  147. 内田善利

    ○内田善利君 時間がなくなりましたので、まとめて質問したいと思いますが、有明海についてはヘドロがまだ調査されてないようですけれども、このヘドロについても調査したほうがいいのじゃないか。このように思いますが、この点についてお伺いしたいと思います。  それから先ほど申しました螢光物質によってそういった海水の流れを断定といいますか、していいのかどうか。私も初めて聞いたことなのでよくわからないのですが、そういう螢光物質のことについて通産省にお伺いしたいと思います。大体大牟田のすぐ下の荒尾方面のノリはそんなに汚染されていないのですね。それが西のほうにいきますと非常に汚染がひどくなってくる。こういうことで、どこに発生源があるのか。佐賀、長崎方面にそういった発生源があるのかどうか。この辺お伺いしたいと思います。まあ予想されるものがあるのかどうか。それから最後に、有明海の水産業、特に赤貝の採取をなさっている漁業、こういった漁業者に対する補償はどういうふうにされるのか。また、農林省のほうには有明海沿岸のそういった水産物の被害についてはどういう対策を講ぜられるのか。この点をお伺いしたいと思います。
  148. 西川喬

    説明員(西川喬君) 最初に御質問のヘドロの問題でございますが、私どもといたしましては、企画庁といたしましては、水質調査をいたしますときには関連する事項といたしまして海底なりあるいは川底の底質の土砂調査もいたしてございます。間接的に水質基準によりましてSSその他を規制することによりましてヘドロの堆積しております分の中からどういうものが残っているか。そういうものは当然排水の中から出されているんではないかというような間接的影響で調べております。現在有明海全般としての調査はいたしておりませんのですが、現在の現行方式によります調査といたしましては現在矢部川それから六角川、荒尾地先等を調査をいたしております。それで、そのときの調査にあわせまして底質の土砂も調査するように県のほうには委託いたしておるわけでございますが、有明海全体としてのヘドロの底質の状況ということになりますと、現在の調査のような程度ではとうてい及びもつかないことでございまして、今後そういうものに対します調査計画というものについて何らか検討しなければならないものと存じております。
  149. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 厚生省といたしましては、この秋から年内に行なう予定でございますカドミウム等の総点検、これの際に有明海を一体としてとらえまして関係四県共同作業の形で汚染調査、魚介類の調査を行ないますが、その際にヘドロ等についても所要の調査を行なう予定にしております。
  150. 莊清

    説明員莊清君) 有明海の螢光物質の問題でございますが、私ども勉強不足でただいま先生の問題指摘をいただきましてこういう地域の問題が発生していることをお教えいただいたような次第でございます。さっそくに関係の水産庁その他関係の官庁の御意見も伺いながら螢光物質発生の原因をすみやかに追求いたしまして、それの発生経路を逆にたどりまして、どういう工場のどういう廃液が関係あるのか——工場廃液が関係するといたしましてですが、そういう究明を行なってはっきりいたしましたならば、直ちに所要の据置を講じていくということで早急に研究に入らしていただきたいと存じます。なお、ちょっとお尋ねのございました同地区の重金属汚染によります水産物等の補償問題のお尋ねがございましたが、例のノリの問題に関しましては主たるカドミウムの発生源が三池製煉所であることは数字の上ではっきりいたしておりますので、関係の五つのノリの漁業協同組合と同製煉所の間で、本年八月だったと記憶しておりますが、補償の約束をさせました。来年の春とれますノリがカドミウムでかりに汚染されていてそのために損害が生じたという場合には、製煉所の責任において必要な補償を行なうということで両者間の協議が成立し、地元の県でも確認をしていただいておるということでございます。なお、陸上の関係でございますけれども、同地区で一PPMを若干こえる米が最近の、県の四十四年度産米調査で出まして要観察地域の指定問題が起こっておるわけでございますが、正式にそういうことになり、その地域がはっきりと線引きされました場合には他の製錬所においてすでに実施済みでありますように、企業が県の御指導のもとに必要な補償を行なうという方針で指導してまいる所存でございます。
  151. 増田甚平

    説明員(増田甚平君) 農作物の対策につきましては、先ほども申し上げましたとおり、現地の実態に即しまして必要な措置を考えてまいりたいというふうに思っております。
  152. 内田善利

    ○内田善利君 この間委員会で問題になったわけですが、厚生省から県に通達が行っているわけですね。九月二十二日の通達ですが、これは「赤貝かん詰中のカドミウム検出量をみると、その摂食量、摂食の頻度から勘案して、人体へ影響があるとは考えられない。」「なお、食品特に魚介類中には、各種の重金属を天然成分として含有している場合があるので、汚染の調査にあたっては、汚染地区と非汚染地区について多数の検体について調査することが必要であり、今後とも」云々と、最後に「今後とも計画的な調査を続行することが望ましい、」こういう通達のようでありますが、先ほども申しましたように、佐賀の赤貝、有明海の赤貝、豊前の赤貝は非常に違うことが明確なわけですが、からだに何らかの私は影響があると見るべきではないか。このように思うわけです。というのは、やはり複合汚染という点から見ますと、水も米もまた魚介類もということになれば、豊前の非汚染地区よりも、相当量のカドミウムを食べることになるわけですから、これが全然影響がないとは考えられないと思いますし、最後に「計画的な調査」ということですが、一体この「計画調査」というのは、具体的にはどういうことなのか最後にお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  153. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) この通達は、一応は福岡県の照会に対する回答として、県のほうに課長通達として流したものでございますけれども、一県のみの問題ではございませんので、一応全国関係府県に通達を参考までに流してございます。  それからお尋ねの計画調査でございますけれども、いずれにいたしましても、かなり濃度としては高い数字が出ておりますので、継続的にずっと調査をやってもらいたいということで、現にこの秋も、県等が中心になりまして魚介類等の調査を行なうことにいたしております。
  154. 内田善利

    ○内田善利君 要観察地域はそのあとになりますか。
  155. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 要観察地域はそれとは関係なく、県のほうから所要のデータ、主として米等についてもう少し検体を多くしてもらうように頼んでございますので、それが出てまいりますと、大体必要な措置ができるのではないかというふうに考えております。
  156. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 厚生省で最近大気汚染防止法の改正要点が大体きまったというふうに聞いておるのですが、おもな改正点をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  157. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) できるだけ早く国会に出したいということで、事務的な検討を進めておりますが、まだ厚生省としての一応の案というところまで実は固まっておりませんので、むしろ公害部の部内の一応のたたき台程度検討を行なっているわけでございますけれども、お尋ねのそのおもな内容といたしましては、幾つかございますけれども、おもな点を申し上げますと、一つは現在この大気汚染の規制につきましては、地域指定というものを設けまして、それに排出基準を適用するというやり方になっておりますけれども、まずこの地域指定を一応きめまして、全国的に規制の網をかぶせてはどうであろうか。それから、きょうもいろいろ御議論のございましたたとえばカドミウムあるいは弗化水素、いろいろそういう有害物質がございます。カドミウム等については、ばい煙の中に含まれて、大気汚染するような場合もございますが、現在ばい煙として法律が規定しておりますのは、硫黄酸化物とすすその他の粉じんということで、そういう種類に特定されております。それを場合によれば、政令で、そういうものは今後いろいろ問題が出てきた場合に政令でそういった対象を追加できるようにする必要があるんではないか。それから、弗化水素の例で申し上げたのでございますけれども、現在こういうものは特定有害物質という規定がございまして、これは政令で二十八種ほど定めておりますけれども、その特定有害物質の規制を行なっておりますが、その規制は実は事故が起こりました際に規制をするという事後的な規制でございまして、ところが弗化水素等製造工程の中で発生するようなものもございますので、やはり特定有害物質のうち、ある種のものについては事故のみにとどまらず、常時規制の対象にする必要があるんではないか、そういうようなことでひとつ改正を考えたい。それから、現在大気汚染程度が非常に著しい場合に、都道府県知事に所要の勧告等の措置の権限を認めておりますけれども、これをもっと強化する必要があるんではないか、総じてそういう規制権限の強化が必要ではないか。それから、これはたしか先生から以前お尋ねがあったと思うんですが、野積みの材料置き場とかそういうものの粉じん、そういうものは現在の粉じんは燃焼過程に伴う場合しかとらえておりませんけれども、そういうものを規制する必要があるんじゃないか、場合によればそういう規制は何といいますか、保管基準といいますか、そういうような形で規制することはどうであろうか、大体以上のような点がおもな事項でございますけれども、そのほか申し上げるまでもなく、公害対策基本法のほうで、いわゆる経済発展との調和条項ということが問題になっておりまして、これは大気汚染防止法についても共通の問題でございますので、当然それに見合った改正が必要であるというふうに考えております。
  158. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は聞くと、第二の、地域指定制を廃止すると、全国的に網をかけると、ただし網をかけて規制していく場合に、数段階に分けて、必要に応じて条例で上乗せしていくんだと、こういうことが考えられているように聞いておるんですがね、そういうことを事実考えていらっしゃるのかどうかですね。
  159. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 一応これはある基準法律なり政令である幅といいますか、そういうものは必要かと思いますけれども、そのワク内での上積みについては、必要な場合には考えていってもいいんではないかというふうに考えております。
  160. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ここでぼくはきちんとしておきたいのは、その汚染地域を数段階に分けてやっていくということですね。それはどういうことを意味するんかということですよ。
  161. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 御承知のように、現在この法律に基づく特定地域が三十五あるわけでございますけれども、この地域はそれぞれ汚染の度合いに応じまして、八段階に分けておりまして、それぞれの汚染の度合いに応じて非常にきびしい排出基準から、ゆるいといいますか、そういう八段階ごとの基準を実は設けているわけです。今度いわゆる指定地域を廃止いたしまして、全国一律の基準ということになるわけでございますけれども、しかし、たとえば全国一律に共通の最小限度の基準を設けて、その上に上積みするということは、やはり現状からいっていかがであろうか、むしろやはりその全国一律の基準そのものを、そういう段階的な基準にする必要があるんではないかというふうに考えているわけですけれども、しかし、その場の場合でも段階的に汚染の程度に応じていわゆる一律の基準をつくる場合、その場合でもまたそれぞれ一定の限度内において、その上にプラスアルファで知事さんが規制を強化するとかいう余地は残してもいいんじゃないか、そういう考えでございます。
  162. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 東京都は三年という期限を切って、三年以内に規制をちゃんとこちらのやったところまで下げるということですね。三年間という期限をつけていると思うのですね、東京都は。ところが国のほうは五年間ということなんでしょう、現在。それで今後規制をつけると、三年でやるところもある、五年でやるところもあるというような、そういうふうな段階をつけていくのか、それとも含有量、排出量のほうで排出基準段階をつけていくのか、それとも地域的に段階をつけていくのか、その点どうかと思うのですがね、私たちとしてはこんなに——一律にして一日も早くやるようにしたほうが合理的じゃないかと思うんですがね。いろいろなことをやって、ここは何年ここは何年というようなことをやるよりも、そういうふうにしたほうがぼくらはいいと思うのですがね。そこらの考えはどうなんですか、政府の考えは。
  163. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) いまの三年あるいは五年というのは、法律の規制というよりは環境基準の達成期間として一定の期間を置いておりまして、それに見合うように法律に基づく排出基準を具体的に定める際には、その達成が当初期間よりできるだけ早く達成できるように基準をつくりまして、所要に応じてときどきその見直しをやりまして、実態に応じて基準そのものを強化していくわけですけれども、ですから今度の法律改正になりましても、環境基準は従来のように国が一本で環境基準として全国一律に適用されるわけですが、それを個々に具体的に規制する規制基準はやはり全国一律の基準とはいいながら、その一律とは地域差を考慮した一律の規制というのが必要であり、また実際的であるというふうに考えるわけです。
  164. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 数段階に分けていくというのですが、どうもぼくら不明朗な感じがするのですがね。できるだけ早くしていくということが必要なんで、段階を設けていくというよりもできるだけ早くやるという方向、そういくべきだと思うのですがね。段階をつけてしまうというのはどうも納得のできない点がある。
  165. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) あの段階をつけるというのは、ちょっとあるいは私の説明不足だったと思うのですが、現行が地域ごとにきびしいものからゆるいものという、要するに八通りの規制基準をつくっていると、そういう実態はやはりそのままになりますか、多少八段階というものをどういう整理をするかの問題でございますけれども、やはりそういう地域に応じた規制は必要ではないか。ですから段階というより地域に応じた規制、これは排出基準でございますから、これは直ちに適用になるわけで、その基準に合わない場合は、知事の改善命令とかあるいはいわゆる操短命令なんかも課するわけですから。そういう考えでございます。
  166. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 まだちょっとわからぬから尋ねますが、地域について排出基準に格差をつけていくということなんですか。そうじゃないと、そういう意味ですか、あなたのいまおっしゃったのは。
  167. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 結局地域をあるいは法律の別表かあるいは政令で定める地域ということで特定しまして、その地域に応じた排出基準でございます。
  168. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それがぼくは納得いかないんだな。排出基準地域に応じてきめていくというより、排出基準もやはり厳密にうんときびしくして、地域に応じて段階をつくっていくというような、こんなやり方じゃ了承できないですね。やはり排出基準全国一律にして、そしてそれをきびしくするということ、もちろん環境基準全国一律ですよ。それを地域に応じてというのは、あなたの言うのは四日市とか川崎とか、そういうところは排出基準をゆるやかにしていく、そういうことと違うかな。そしていま現在何ら公害が起こっていないようなところは排出基準をきびしくする、そういうふうな段階をつけるということと違うのかね。地域に応じてつけるということはどういうことかね。
  169. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 現行が先ほど申しましたように、八段階に分けて、一番きびしいのが、やはり東京、大阪等のように汚染度のひどいところは非常にきびしいことをやっております。それから八段階に相当する地域としては仙台等がございますけれども、これは東京ほどでもありませんが、だから先生のおっしゃったのとちょうど逆になるわけでございます、いま現行やっておりますのは。
  170. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 逆なら逆で、そうしたら今度せっかく現在きれいであるところが、そういうことの結果またよごれるという結果が起こってくる可能性がある。それじゃあそこへ行ったら段階がぬるいから、基準がぬるいからそこへ行こうというので、そっちのほうへ行っちまうでしょう。そうしたら現在せっかくきれいなところがそういうことで、また再び汚されてしまうという結果が起こりやしないかと思うんですよ。だからぼくは両方に言えると。基準はそういうふうに地域によって区分すべきものじゃないというんです、ぼくは。
  171. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 先生のおっしゃいましたのはまことにごもっともな意見でございまして、今度、実態といたしましては、いままで規制のかかってない地域に規制をかけることになるというのが改正の実態なんでございますけれども、その場合に、初めて適用されるその他の全国津々浦々の地帯に対する排出基準程度をどの程度にするかというのは、確かに非常に問題だと思います。たとえば、いまのいわゆる八段階に相当するようなものにするか、あるいはもっとゆるいものにするかというのが一つのあれとして考えられるのですけれども、しかし、いま汚染されてないんだから多少それよりきびしいものでもいいじゃないかと、こういう意見も当然起こり得るわけでして、たとえば、厚生大臣が非常に強く指示されておるんですけれども、国立公園等の場合はこれは逆に一番きびしい基準をやってもいいじゃないかというような問題もございまして、先生おっしゃったような点は十分慎重に考えてまいりたいと思います。  それからそれに関連しましてもう一つ、これはややこまかいので恐縮でございますけれども、現在、汚染地域の中でさらに政令で定める限度以上の汚染の場合は特別の排出基準とするという制度がございまして、これは工場の新設等にかぶせる特別の制度がございます。こういったものを場合によると活用しまして今回の改正の意義を十分ならしめていくというふうに考えております。
  172. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 まあ、ぼくの言うことにごもっともだとあなたが発言したからこれ以上言う必要はないが、やっぱしぼくらは、環境基準全国一律である、それから排出基準全国一律にして、それできびしいものにしていかないと、もう日本全土がよごれてしまうという結果を来たすから、いまのうちに早くそういう手を打っていかなきゃいかぬというのがわれわれの意見なんですよ。だから大いに慎重に考えてやっていくべきだと、こういうことを述べておきます、意見として。  それからこれまでも企業秘密ということで汚染数値の発表がなされないようなことがあったわけですね。企業秘密ということで発表しなかった、これまでも。今回法改正につきまして、企業にも常時排煙濃度等、記録義務を課すると、こういう必要があると私は思います。また、国、地方公共団体、企業の記録測定値は公表することを法改正で明記すべきだと思いますが、どういうふうに考えていらっしゃいますか。
  173. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) その点も一応検討の材料として考えておりますが、まだ特に結論は得ておりませんけれども、現在はばい煙排出者に対する測定記録の保存義務があるわけでございますけれども、先生の御指摘は、指定地域の撤廃に伴って全国に及ぼし、かつ公表ということだろうと思いますけれども、そこまで一気にやるという必要があるのかどうかですね。いずれにしても一つの検討項目として考えてみたいと思います。
  174. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これをやらなかったら、ぼくはいままでのようなことで、手ぬるいことじゃとてもあんたたちの目的も達しないし、またわれわれの希望も達することができないと思うんですね。この点大いにやはり検討して、われわれの意見も実行に移していってもらいたいと、こういうふうに思います。  それから企業に対する公害防止施設の設置義務ですね、それを今度の法改正のときに明記するかどうかということ。
  175. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 具体的な表現はともかくといたしまして、方向としてはそういうような方向でやはり検討をいたしたいというふうに考えております。
  176. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これも私はぜひ明らかにして、企業にこれだけの責任はとらしていく必要があると思います。それでないと、やはり今日のような状態がずっと続いていくというふうにわれわれは思います。  それからその次です。公害要因企業の新設、増設、生産工程変更などは許可制にするのか。現行は届け出制ですね。それを許可制にするのかどうかということです。
  177. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) この点も前からいろいろ問題があるところでございまして、現在の届け出制も実際には六十日の猶予期間を置いて、その間所要の規制といいますか、点検を行なったあとでなければ設置できないというふうな規定になっておりますので、この点は実態としてはあんまり変わらないというような意見も実はありますけれども、この点は、やはり私どもは、方向としてはもう少し強化するような方向で、関係省とも御相談申し上げたいというふうに考えております。
  178. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 現在よりは強化していくということですね、許可制の方向に向いていくということですか、今日と同じように届け出制でやはり終わるんですか。どうなんですか。そこを明らかにして言ってほしいと思うんですね。私たちはもう日本全国に、どこどこの工場にはこんな公害があるぞ、どこどこの工場はと、もう全国至るところそういうことは一ぱいあるんです。そういう問題を一々取り上げてここでやっても、もうこれは切りがないですね、一年かかったってやり切れないくらい公害発生源はあるわけですよね。そうじゃないの。今後、公害をなくすために、どうしたらいいかということで、われわれもう考えていかなきゃならぬ時期じゃないかと思うんですよ。だから、この際、こういう点を明らかにしていかなきゃいかぬと思う。政府としてもそうだと思うんですよ。どこどこの工場がこうだ、いやそれはどうだと言ってあんたは答弁しておっても、この公害問題は片づかないんです。だから、どうしたら公害がなくなるかということを、そういう立場に立ってやっていかなきゃいかぬから、ぼくはこういう意見を述べてるんです。どうなの。
  179. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 最終的なこの辺の取り扱いは、関係省庁、本部等で調整することになるわけでございますけれども、私どもは前々からこの問題につきましては、やはり方向としては許可制のほうが望ましいという考えでおりますので、私ども事務的考えとしては、その方向で努力いたしたいというふうに考えております。
  180. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ぼくはこの問題で一つ例をあげますが、出光の姫路の製油所ですよね。これが通産省へ設立願いを出して、そのとき条件をつけてるんですよ。というのは、昭和四十五年の十月、脱硫装置を完成して、その暁、操業に入ると、こういうあれを出してるんですね。おそらくそれを見て通産省は了承したのだろうと思うんですね。それで、通産省が了承したということを取り上げて、今度は兵庫県と姫路市当局に設立を願い出したわけです。それで通産省が認めるならばよかろうというので、姫路市も兵庫県も了承したわけですね。そうして、さあことしの、もう十月が近づいてきた六月段階ですね、どうも脱硫装置がつけられる気配がないというので、それで姫路市と兵庫県当局が立ち入り検査したのです、その場にいって。何らついていないわけです、脱硫装置は何らできていない。さあそこで問題になって、それは約束と違うじゃないかということになった。そうしたら出光興産のほうから、実はことしの十月までに完成する予定でしたが、なかなか技術的にもむずかしいので再来年ですね、四十七年の三月まで待っていただきたい、こういうことなんです。それで四十七年の三月、脱硫装置ができ上がるまでの間は、低硫黄重油を輸入して、そうしてその地域には供給することにいたします、こういうことを言ってきたのです。ところが、その立ち入り検査するまでに、そう言えばいいのだけれども、立ち入り検査されて初めてわかって、出光はそういうことを言い出した。これは明らかにぼくは詐欺行為、というとえらいことばがきついけれども、出光はごまかして県当局や市民をだまくらかしていたことだと思います。だから県当局はおこっているのです。市もおこっている。だから県も市もいま操業停止をこれにかけておるわけです。そういうことが現在起こっておるのですから、そういうことのないようにぼくはやはり監督官庁として考えていかなければならぬと思うのです。それから関西電力尼崎発電所にも同じことがあるのです。尼崎発電所が第三発電所をつくるときに、第一、第二は、第三ができたらもうやめますという条件を通産局に出しておる。それは通産省のぼくは書類を見ました。通産省にそういう条件を出している。ところが第三ができても第一、第二から煙が出ている。そこで尼崎の市民はおこって、約束と違うじゃないかと言ったら、最初は第三ができたら第一、第二はやめるつもりでおりました、しかし、電力事情が変わったためにやはり第一、第二もたかなければならぬ、こういうことになりました、こういうことなんです。これも通産省に届けたときの条件と全く違うのです。それで会社を追及すると、電力事情が変わりました、この高度成長のときに電力事情が一年で変わるというようなことの見通しがつかないなんという、そんなばかなことはないとぼくは火力部長に言ったのですが、全部ごまかしですよ。通産省に持ってくるときは、ていさいのいい文書を持ってくる。それで通産省の承認さえ得たらあとは知らぬ顔です。市民や県民をだまくらかしてやっている、これが大企業やり方じゃないですか。今度はこの新設をする場合は、そういうことをよほど厳重にチェックしていかなければだめだと思います。それでなければとってもやっていけません。もしも違約の場合、こういう条件でといって通産省の許可を得てやる。それに合わない場合、違約した場合には、直ちに操業停止をする、こういうことを強くしていかないとぼくはとてもやっていけないと思うのですがね、そういう点はどうなんですか。まだあとに問題が出てきますけれども、いま例をあげたのですよ、ぼくは。
  181. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 具体的な問題は何でございますが、方向としては、今度の改正の機会に私どもの事務的な案としては、やはり全般として非常にきびしい規制、したがって知事等の規制権限も非常に強いものにしたいというふうに考えております。
  182. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この点は私はいま意見として述べておきますから、その点もよく検討していってほしいと思います。  それから、これからビルの暖房用重油使用がだんだんふえてくると思います。亜硫酸ガスが多くなる、またビルもふえていく、こういう状態のときに、厚生省は今後使用燃料を規制して低硫黄重油の使用を義務づけるということ。それから二は、本年はとりあえず硫黄分一から一・五%の重池を使用するよう、ビル管理者に対して行政指導をするように各府県知事に通知をしておる、これに加えて排煙、脱硫装置をつけさせる必要があるのではないかと、私はそういうふうに考えます。いま小さい、有効な排煙、脱硫装置が一部に開発されておるということを私は聞いておるんですが、燃料の規制強化とともに併用して実施するようにするのがよいのではないかと思いますが、通産省当局はどういうふうに考えられるか、ひとつ通産当局の意見を聞いておきたいと思います。
  183. 莊清

    説明員莊清君) 御指摘のビル暖房の燃料の熱分の指導の問題でございますけれども、排煙、脱硫装置は現在火力発電所とか、あるいは製鉄工場の焙焼工程であるとか、そういうところのものを中心に開発途上にございますが、ビルの暖房の場合には、先生よく御案内のとおり、そういう大型の火力とか鉄工場と違いまして、非常にボイラーなども小型でございます。そうしてビルの地下室にすでに入ってしまっておるわけでございます、そういうところに。大体の場合になかなか敷地の面積等に余裕もございませんし、また量は少なくとも、脱硫装置からの硫酸でありますとか、あるいは硫安の併産とかいうものもビルごとにどんどん起こってくるというような、実際の運営上私たちには律しがたい問題があろうかと存じます。私ども通産省といたしましては、今回の行政指導措置だけで、大都市中心のビルからもくもくと出てくる暖房用のSO2が十分解決できるというふうには実は思っておりません。何しろビルの上にちょっと煙突が出ていて、そこから無数に出ますと逆転層の下で冬季にはこもってしまう。そうして非常な近距離でそういうものが重複汚染してくるという状態立地的にどうしても解除できないものですから、将来の方向といたしましては、実は集中暖房ということが非常に大切ではないかと思っております。これは北海道では札幌市、東京都でも新宿区のほうで計画がございまして、札幌市のほうは実施の段階に入っておるようでございます。そういう集中的のボイラーの大型のものをつけまして、そこに高い煙突を立て、そこに能率のいい煙、脱硫装置を最初からつけていく、そうして排そこからできた蒸気をビル等へ供給していく。外国ではある程度あるようでございますが、今後は都市の再開発というような見地から、むしろ前向きにそちらのほうに持っていくということが大事なんじゃないか、あるいは過渡期におきまして、できますればさらに低硫黄重油から出すとか、ガス、あるいは場合によったら電気とかいうような別のまた熱源への切りかえが可能な場合はそういう御尽力もいただく、そういうことが大切ではないかと思っております。なお、小型の集じんなり排煙、脱硫装置につきましても、まだまだ技術上の問題もあるようでございますので、通産省といたしましてはこれらのものについても大いに改善指導もし、研究の助成も行なっていくという姿勢はもちろん変わりございません。
  184. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ビルの地下室で、小さい面積で脱硫装置をつけることは、それは困難かわかりませんけれども、そこは何じゃないですか、通産省当局として大いに研究を要する点じゃないかと思うんですがね。ビル一つ一つを見ると非常に困難な場合があるけれども、丸ノ内なら丸ノ内で一つの暖房専門の建物を一つつけるならつけて、そこからパイプで持っていってたくさんのビルに暖房のあれを送るという集団暖房ですね、そういうことからやはり考えていくべきだと思うのですよ。そうでなかったらぐあい悪いね。それから小さいところは小型の脱硫装置もできておるんですから、そこでつけるという義務けづをして、そうして亜硫酸ガスの出ないようにやっていくという、こういう態度も必要でないかと思うのですがね。その点やはり通産省としてぼくは検討を要する点だと思うんで、今後検討をするということを約束してもらいたいんですがね。どうですか。
  185. 莊清

    説明員莊清君) 初め御指摘になりました大型のボイラーというお話は、御答弁申し上げました集中暖房と申し上げましたが、これは北海道等では実現の段階にも来ておるようでございますから、通産省では、実は日本開発銀行からそういう施設への融資ができるようにということで予算要求措置なども実はすでに講じております。こういうことは、前向きに大いに促進いたしたいと思います。既存のビルにありますものについての義務づけという問題も御指摘でございますけれども、くどいようでございますが、先ほど申し上げましたとおり、大体なかなかつけにくいとか、つけてもあまり効果が出そうにないというふうなケースがむしろ多いようでもございますけれども、大気汚染の問題というのは、いろんな努力を積み重ねて、技術開発も今後前向きに対処していくということは当然のことであります。御指摘趣旨はよくわかりますので、もちろん前向きに検討いたします。
  186. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これは、われわれ、恥ずかしい思いをするわけですがね。衆参両院の議事堂ですね。ここでもやっぱりB重油というんですか、これをたいておるんですね。それでSO2が一日に〇・一九トン出ているんですね。これは、やっぱり私は国会当局にこの点を指摘してまず国会から範を示せということを申し入れようと思っていますがね。こういう状態です。だから、こういう点はやはりできるだけ早く改めていかないと、この大気汚染というものは解決していかない。こういうふうに思いますよ。そこで厚生省にひとつお尋ねしますが、厚生省は、窒素酸化物、浮遊粉じん等の環境基準作成のための調査予算を計上していらっしゃるようでございますが、いつごろをめどとして基準をおつくりになるか。
  187. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) この春の光化学スモッグ事件等を契機といたしまして、この問題が非常に緊急の問題であるということになりましたので、急遽環境基準設定の作業を進めることになりまして、先般私どものほうの諮問機関であります生活環境審議会に窒素酸化物、炭化水素あるいはオキシダント等を含めました環境基準設定の専門委員会を、先生方を委嘱しまして、来週十三日に第一回の打ち合わせを行なう運びになっております。できるだけ早く結論を得たいと思っておりますけれども、環境基準ということで非常にもし時間がかかるようでございましたならば、場合によれば、あるいは暫定基準みたいなことでできるだけ急いでもらうというふうに考えております。
  188. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いまあなたがおっしゃったとおり、光化学スモッグの発生ですね。大気汚染の進行、複合化ということも起こってきますので、できるだけ早くそれを決定してもらいたいと思います。それから硫黄酸化物、一酸化炭素の環境基準があり、警報体制も自治体の努力でされておるが、常時記録を義務づけることを基本に、万一環境基準をこえた場合には高排出量、それから高濃度の企業等に対しては操業短縮、一時停止等の措置ができるようにその権限を知事に委譲する考えはあるかないかという点。東京都ではすでにやっている問題ですが、どうですか。
  189. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 現行法では緊急時の措置としまして知事が協力要請あるいは勧告措置等という権限はございますけれども、やはりこの権限は私どもとしては方向として強化する必要があるのではないかというふうに考えております。
  190. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 知事に対して権限を強化するように、知事の権限を強化することが必要だ、その方向にいくということですね。私たちもその点は国民の健康を守るという立場からいったら、やはり必要なことだと思うのです。ですからいまもあなたが申しましたが、知事の権限を強化するという方向で検討していってもらいたいということです。  それから通産省にもお尋ねしますが、九月四日石油審議会は、石油十二社の増新設を許可したが、川崎、千葉、四日市など汚染の激しい地域に新増設する会社もあります。この新増設は現在日本の原油処理量の二三%となるということが新聞の記事にあり、またあなたのほうから出してもらった資料にもあるわけですが、通産省からいいまして各社の公害防止対策は十分やられておるかどうか、こういうことなんです。
  191. 本田早苗

    説明員(本田早苗君) 石油精製設備の許可につきましては、一応許可の基準としていま御指摘のような点を考えておるわけでございまして、保安上、公害防止上十分の配慮が払われていることが必要だということで判断をいたしております。御指摘の川崎あるいは千葉の今回の許可につきましては、地元地方公共団体の考え方もお聞きとりいたしまして、その限度において認めたわけでございますが、事前調査等の見通し等から見ましてこの程度設備の増強については認め得るということでやったわけでございます。ただし御承知のように、石油精製会社設備を増設するにあたりましては、地方公共団体の長との間で協定あるいは了解がございます。この了解の範囲内の設備として認めるという基本的な態度でございまして、先般の石油審議会の答申によりまして、四十七、八年度の増設分として今回認めたわけでございますが、これらの設備内容については許可数量との関係で、公害防止上協定の盛られた内容を実現し得るかどうかを十分チェックして正式の許可証を渡す考えております。
  192. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ十分な確認がされなければ許可はしない、こういうことですか。
  193. 本田早苗

    説明員(本田早苗君) さようでございまして、協定の内容、実現する施設であるということを確認して許可するわけでございます。
  194. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 協定の内容はどういうことですか、協定の内容をちょっと言ってください。
  195. 本田早苗

    説明員(本田早苗君) それぞれの地方公共団体との間で排出の基準等について打ち合わせております。その内容を実現し得る施設かどうかということを確認して許可する、こういうことでございます。
  196. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、各社が、公害防止対策が十分であるかどうかということですね。それはどこが認定するのですか、これならだいじょうぶだということは。
  197. 本田早苗

    説明員(本田早苗君) 通産省として協定内容も承知の上で、その協定内容を実現し得る装置であるということを確認して許可するということになるわけであります。
  198. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 すると、通産省がこの公害防止対策が十分でないというふうに認めた場合は許可は絶対しないということですね。
  199. 本田早苗

    説明員(本田早苗君) その場合には、施設の増強その他を指示して条件にかなうように改善させまして、その実現を待って許可するということになります。
  200. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私はここでひとつ問題にしたいのは、この大気汚染の場合に排出基準というものが非常にやかましく言われて、そして排出基準は、SO2はどれだけとか、COはどれだけだというような、そういう基準があるわけです。それに従って環境基準というものがあります。しかし、ある地域ですよ、四日市、今度できる。現在でも非常に四日市は困っているわけです。堺地区でもそうですが、川崎でもそうですね。こういうところにこういうものができるでしょう。そうなると、ぼくは排出基準はあっても、同じ一つの基準がある、工場がある、それに見合った環境基準が現在ある。そういうものがたくさんできてきたら、そこから排出するものは非常に量がふえてくるわけです。したがって、環境基準は悪くなってきますね。だから、私は、こういう現在問題になっているところへことさらそういう増設をするということを私は認めていくべきではないと思うんですよ。もしも認めていくとするならば、現在以上環境基準が悪くならないという、こういう条件のもとにやっていかなきゃいかぬと思うのです。現在の環境基準も私はあまりゆる過ぎると思うのですね。もっと環境基準は強くしていかないと、もう四日市ぜんそくも問題になっているときですから、いまからもっときつくしなければいけない。そうなると、この間に矛盾が起こってきやしませんか、環境基準排出基準。われわれ国民の立場に立つならば、排出基準よりもむしろ環境基準が重要なんですね、われわれは。個々の工場から出る排出基準はわれわれは問題じゃないのです、ほんとうは、環境基準さえしっかりと保たれるならば。そうじゃないですか。たくさん工場ができるというのは、環境基準が悪くなるからわれわれは問題にする。そこの点は、皆さんは環境基準はどうでもいいので、排出基準できめたらそれでいけるというふうに考えていらっしゃるのかどうか。そこを、環境基準排出基準、この関連ですね、そこをはっきりしておきたいと思います。
  201. 本田早苗

    説明員(本田早苗君) 須藤先生からしばしばその点御指摘を受けているわけでありますが、昨年の十二月に総合エネルギー調査会の低硫黄化対策部会で、さしあたり四十八年の要対策地域向けの重油について硫黄分をどうするべきかということを検討したわけでございます。その際、九千三百六十万キロリットルが要対策地域で消費される。これを前提としますと、平均硫黄含有量は一・二五でなければならぬ。こういうふうに答申をしたわけでございます。その後の石油の需要状況を見ますと、当初の見込み以上に消費されるという見込みでございます。先般あらためて検討し直したわけでございますが、九千三百六十万キロリットルという使用見込みは九千九百四十万キロリットルに改めるべきであるということに相なったわけであります。そこで、これだけの増加がありますと、一.二五では環境基準の維持が困難である。したがって、一・二〇%にまで引き下げた低硫黄燃料を供給することを実現しなければならない。それができるかどうかという検計をいたしたわけでございまして、一・二%の平均硫黄含有量の燃料を供給できるという見通しがございますので、一.二〇を実現するということで現在考えておるわけでございまして、先生指摘のように、使用燃料の増加があれば、硫黄含有量は低下させねばならぬということで考えておるわけでございます。
  202. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、やはり環境基準というものを、これをまず尊重していくというたてまえで排出基準は動かしていく。環境基準が悪くなれば、最初の一ぺんきめた排出基準ももっときびしくしていく。そういうことですね。  それで、もっと環境基準がひどく悪くなれば、操業停止も、一時操短ということも含めて、あくまでも環境基準は守っていくという、そういうことなんですか、どうですか、そこは。
  203. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 環境基準排出基準関係でございますが、日本全国を分けました場合、三つのグループがあるかと思います。現在環境基準以下のところ、現在環境基準とすれすれのところ、現在環境基準をオーバーしているところ、その三つがあるわけでございますが、いずれの地域に関しましても環境基準というものは、行政上の目標といたしましてわれわれはその環境基準を保つことに最大の努力を払わなければならない。したがいまして、まず環境基準をオーバーしているところを中心にいたしまして、これは去年の十二月にも基準を強化いたしましたが、今年度あるいは今年度中にさらに排出基準を強化するというような形で、できるだけ早く環境基準の達成をはかりたい。それから環境基準すれすれのところでございます。この環境基準すれすれのところは、現在オーバーしているところとは若干ニュアンスは違いますけれども、やはり工場がふえ増設、新設が行なわれるという状況があれば、そういう状況を十分にらみ合わせた上で、基準の強化というものを考える。それから環境基準以下のところは、先ほど厚生省からも説明のありましたように、法律改正その他の方法によりましてナショナル・ミニマム的な基準を新しく設けまして、現在の状況をできるだけ保つと同時に、少なくとも環境基準以内には必ずおさめていきたい。そういうような形で規制基準の強化というものを実施しているわけでございます。
  204. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 現在の環境基準そのものが、ぼくはもっときびしくなければいかぬと思うのです、実際は。あなたたちのそろばんは、計画というの一は、現在の環境基準をもとにしてきめていると思うのです。そうすると、こんなに工場がふえてくれば、一現在の環境基準をオーバーしていくのはわかりきったことなんですね。そうでしょう。四日市。現在で四日市は現在の環境基準をオーバーしているのじゃないですか。そこへまたこういう工場ができれば、そうするともう環境基準はすぐくずれて、もっともっとひどくなるということは明らかだと思うのです。だから、現在でも環境基準をオーバーしているところへ持っていくのはやめなさい、それと同時に、現在の環境基準そのものではぬるいから、もっときびしいものにしていきなさい、こういうことを私は言っておるわけです。それでないと国民の健康は保たれませんよ、実際のところ。  それで、もう私は最後にしますが、今日やっているようなやり方では、大気汚染防止はとても私は十分にやっていけない、こういうふうに思いますよ。現在の大気汚染はドーナツ型ですね。広域化しているわけでしょう。しかも自動車の排気ガスがうんとこさとふえている。こういうふうに、いろいろなものの排気ガスが複合化しているということは、皆さんもお認めになる点だと思うのですが、だからその周辺地域だけの問題では私はないと思うのです。周辺だけの問題ではない。やはりもっと広域的なことを考えていかなければいけない。したがって、今度新増設の場合は、もっともっときびしい基準を適用すべきである。私は、それが結論ですがね。ところが、そういうことを通産省のほうは考えていらっしゃらないように受け取るわけです。だから、今日以上新増設する場合は、もっともっときびしくしていくということが一つ。それから今日の環境基準ももっときびしくしていく必要がある。どうですか、それに対して。
  205. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 先生御摘指の点を通産省は最大限に考えて現在いろいろ施策をやっております。と申しますのは二点ございまして、一つはドーナツ現象が目立つような過密地域につきましては、特別排出基準というものを設けまして、現在の最もきびしい一般排出基準の二分の一以下の非常にきびしい数値を適用しております。それによりまして、新設する工場についてはそれがフルに適用されますので、先生の御懸念のあるような形をそこでカットしたい。で、これは現実に行なっております。それから第二の方法といたしましては、産業公害総合事前調査という五年先、十年先を見込みまして、会社計画を克明に取り寄せまして、その結果SO2がどの程度ふえるかという点を十分勘案いたしまして、SO2の総量をふやさないで環境基準にできるだけ早く近づけたいということで、生産活動並びにエネルギーの消費の量は増加するにもかかわらずSO2の排出総量はできるだけ減らすというような形の指導をしております。これは法的な規制力を持った数値ではございませんが、それぞれの工場に数値を割り当てましてそれを通産省との間で確認書という形で公開いたしまして、その線に沿って会社は五年先、十年先の新増設計画を実施するということを行なっておるわけでございまして、先生指摘の点は十分われわれとしても自覚した上で努力をしておるわけでございます。
  206. 占部秀男

    委員長占部秀男君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時二十二分散会