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1970-09-10 第63回国会 参議院 公害対策特別委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年九月十日(木曜日)    午前十時二十四分開会     —————————————    委員異動  八月十二日     辞任         補欠選任      鈴木  強君     加藤シヅエ君      沢田 政治君     亀田 得治君 八月二十一日     辞任         補欠選任      加藤シヅエ君     森中 守義君  九月九日     辞任         補欠選任      多田 省吾君     小平 芳平君  九月十日     辞任         補欠選任      亀田 得治君     加藤シヅエ君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         占部 秀男君     理 事                久次米健太郎君                 内田 善利君     委 員                 鬼丸 勝之君                 川上 為治君                 渡辺一太郎君                 山本敬三郎君                 加藤シヅエ君                 田中寿美子君                 小平 芳平君                 須藤 五郎君    国務大臣        自 治 大 臣  秋田 大助君        国 務 大 臣  山中 貞則君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        警察庁交通局交        通規制課長    竹岡 勝美君        経済企画庁審議        官        西川  喬君        厚生政務次官   橋本龍太郎君        厚生省環境衛生        局公害部長    曽根田郁夫君        厚生省環境衛生        局公害部公害課        長        山本 宜正君        農林省農政局植        物防疫課長    福田 秀夫君        食糧庁業務部長  中村健次郎君        水産庁次長    藤村 弘毅君        通商産業省鉱山        石炭局長     本田 早苗君        通商産業省公害        保安局長     莊   清君        通商産業省公害        保安局公害部長  柴崎 芳三君        建設省都市局参        事官       石川 邦夫君        自治大臣官房参        事官      佐々木喜久治君    参考人        公害防止事業団        理事長      原 文兵衛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告公害対策樹立に関する調査  (大気汚染及び水質保全対策等に関する件)     —————————————
  2. 占部秀男

    委員長占部秀男君) それでは、ただいまから公害対策特別委員会を開会いたします。  まず委員異動について報告を申し上げます。  去る八月十二日、鈴木強君及び沢田政治君が委員辞任されまして、その補欠として加藤シヅエ君及び亀田得治君が選任をされました。  また、八月二十一日、加藤シヅエ君が委員辞任されまして、その補欠として森中守義君が選任されました。  さらに、昨九月九日、多田省吾君が委員辞任されまして、その補欠として小平芳平君が選任されました。  また、本日亀田得治君が委員辞任され、その後任に加藤シヅエ君が選任をされました。     —————————————
  3. 占部秀男

    委員長占部秀男君) 次に、公害対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、先般当委員会が行ないました委員派遣について、派遣委員から御報告をお願い申し上げます。内田君。
  4. 内田善利

    内田善利君 九月二日より五日まで四日間、占部委員長久次米理事及び私、内田理事は、本委員会の決定に基づきまして、熊本山口の両県下における公害現状とその防止対策実施状況調査してまいりました。なお、森中委員派遣委員外委員として熊本県下調査に参加されました。  以下、調査概要を簡単に御報告いたします。  両県におきましては、まず、県庁におきまして、県下における大気汚染水質汚濁、振動、臭気等公害発生状況とその防止対策既設企業及び進出企業と県及び市等の間の公害防止協定締結状況県下における公害に対して県民の苦情、陳情の実情とその処理状況等につきまして、知事以下関係当局者から説明を聴取いたしました。  次に、熊本県におきましては、現在補償をめぐって社会問題となっている水俣病実情調査するため、水俣市役所チッソ株式会社訪問市長チッソ工場長水俣病患者代表等から水俣病に関して対策療養方法要望事項等について意見を聴取するとともに工場における排水浄化設備を視察いたしました。ついで、自宅において療養中の患者水俣市立附属湯児リハビリテーションにおける療養中の患者を見舞うとともに、院長より療養及びリハビリテーション効果等につきまして説明を聴取いたしました。  次に、大企業企業誘致が行なわれ目下建設中の熊本県北部の長州、荒尾地区を視察いたしました。  山口県におきましては、徳山市役所訪問市長より徳山市における公害実情とその対策等について説明を聴取した後、徳山市の工業地区公害防止事業団による建設中の緩衝地帯を視察いたしました。ついで、岩国市の山陽バルブ株式会社訪問排水処理施設を視察するとともに、岩国海岸地帯製紙工場等による海水の汚濁汚泥沈でん状況等を視察いたしました。  以上が今回の調査の範囲の概要でありますが、詳しくは別に補足資料を提出いたしますから、調査の詳細はそれによって御承知願いたいと思います。  次に、今回の調査において、今日、わが国最初に認定された公害病として、社会的問題となっている水俣病患者現状とその保護並びに補償等に関して、現地の市長工場長患者代表等からいろいろと意見を聴取してまいりましたので、その概要を御紹介いたしたいと思います。  なお、水俣病患者昭和二十八年以降現在まで百二十一名発生し、うち二十三名は胎児性であり、四十六名が死亡しております。生存者は現在七十五名であり、うち二十名は胎児性であります。また、現在水俣病審査会判定が保留となっている者が三十一名となっております。  まず、浮池水俣市長は、水俣病患者の収容、治療は、市立病院を中心として熊本大学、市内病院等において医療を行なうとともに、患者家庭の救援に当たり医療費の免除、世帯更生資金の活用、湯の児リハビリテーションセンター新設等患者保護治療につとめた。また、三十九年から毎年一回定期検診を実施した。昭和四十三年度から公害医療研究費国庫補助事業として水俣病診療基準確立研究を行なっている。  水俣市が水俣病対策費に使用した経費は昭和四十四年度末までに合計額が一億二千三百万円となっている。  市は、裁判の結果会社責任があることが確定した場合には、相当額会社に要求したい。また、現在医療費会社が負担しているが、別にある程度の患者に対する保護費の支出を会社に期待している等の意見が述べられました。  また、重症児者に対しては、コロニー授産施設設置補償について和解契約締結者に対する生活保護法適用の継続に関して市長から強い要請がありました。  次に、チッソ株式会社吉川工場長は、工場製造工程の中で有機水銀は、反応塔で最高〇・三ないし〇・〇xPPM発生する。この有機水銀除去のために、第一段階アルミニウム粉末により処理し、第二段階イオン交換方法により、さらに、第三段階硫黄化合物により完全に除去している。したがって、排水中には有機水銀は全く存在しない。  市のこれまでの水俣病患者に対する財政負担補償会社責任があると決定した場合には、市と十分相談し誠意をもって解決したい。また、水俣湾内汚泥処理については、会社責任により将来完全に排除することを本社において決定し、中央関係官庁にその旨報告している。しかし、現在訴訟中の補償問題に関しては、企業原因があるのでその責任は感じているが、裁判が係属中であること及び本社担当事項であるから本席での答弁はお許し願いたい、等の意見が述べられました。  次に、患者代表からは、  まず、先般の水俣病補償処理委員会案による和解契約締結者七十九名の代表者山本由水俣病互助会長は、水俣病療養中の患者水俣病に直接起因しない病気に対しても水俣病に何らかの遠因がある場合も多いのでその医療費は無料となるようにすること。補償は済んだが将来の生活のため授産施設設置がほしい等の意見が述べられました。  また、現在訴訟中の四十二名二十九世帯代表者渡辺栄蔵氏等からは、訴訟中の二十九世帯生活資金として一世帯当たり年間二十万円を貸し付けること。水俣病患者認定基準を公表し、その基準を再検討すること。国は、チッソ株式会社に対してすみやかに水俣病責任をとるようきびしく追求すること、また、政府水俣病公害病と認定した以上は、生活医療などを補償するコロニーなどの具体的施設設置すること等を要望する意見が述べられました。  以上で今回の調査報告を終わりますが、水俣病患者高度成長を遂げたわが国近代産業の陰にある最も不幸左犠牲者でありますから、その療養補償には被害者要望に十分こたえるため、加害者である企業はもとより、国も地方公共団体も、またわれわれも最善の努力を払うべきことが必要であると思うのであります。  なお、今回の調査中、県及び市より要望事項等もいろいろありましたが、これの実現について各委員の御協力を得たいと思っております。  また、今回の視察に際しまして、県、関係市、町及び視察いたしました病院、各企業等関係者の御協力に心から感謝しております。
  5. 占部秀男

    委員長占部秀男君) ただいまの御発言にありました補足資料等につきましては、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 占部秀男

    委員長占部秀男君) 御異議ないと認め、さよう取りはからいます。  ただいまの報告に関しまして若干質疑の通告がございますので、これを許したいと思います。
  7. 内田善利

    内田善利君 ただいまの報告の中で水俣工場長は、有機水銀は全然出なくなりましたと、こういう報告があったわけでございますが、水俣と同じような工程工場日本のほかの工場にあるかどうか、通産省関係に御質問したいと思います。もしそういう工場があるならば、ここで報告いたしました第一工程アルミニウム粉末、第二工程イオン交換、第三工程硫黄化合物を使ったら有機水銀は全然出なくなったという吉川工場長報告でありますが、ほかの工場ではそういった工程を使って有機水銀が出ないようにしているかどうか。これは問題に在りました無機水銀は使っておるけれども有機水銀は全然使っていないと工場側は言っておったわけですが、最近になりましてこの無機水銀有機水銀に変わっておると、反応塔の中で。この有機水銀になった量が最大〇・三PPMあったという先ほどの報告でございます。ほかにこのような工場があるかどうか、もしそのような工場がある場合に、こういう工程を使っておるかどうか、こういった点についてお伺いしたいと思います。
  8. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) お答え申し上げます。チッソ水俣工場有機水銀の問題が出ましたのはアセトアルデヒド生産工程でございます。このアセトアルデヒド生産工程は、現在におきましては全部石油化学に転換しておりまして、以前のような生産方式をもって現在生産を続けているところは日本全国にございません。で、これと関連いたしまして、塩化ビニールを生産する工程はもちろんあるわけでございますが、現在これは電解方式とともに完全にメチル水銀指定水域になっておりまして、現在の水質保全法体系で完全に規制しておるというのが実態でございます。
  9. 須藤五郎

    須藤五郎君 私もこの間出張を希望したんですが、連れて行っていただけなかったわけです。これは政務次官をここへ置いて非常に言いづらいことですが、この間、橋本政務次官岡山大学小林教授に対して、イタイイタイ病に対する小林さんの意見はどうもおかしいと、何か新聞の伝えるところですから正確にはうかがえないのですが、何か偏向的な性格を持った人ではないかという意見次官が述べられたようですね。そうなりますと、これは私たちがもう少し、小林教授並びにそういうことを言う橋本政務次官のこれは偏向なのかどうかということを私たちはよく調べないとぐあいが悪いと思うのですよ。そこで皆さんが水俣病を見にいらして、そしてどういうふうに、小林教授の言っておるのが当然だというふうに御理解になったのか、橋本さんの言うことがおかしいというふうに御理解になったのか、その点ひとつ行かれた方から私ははっきり伺いたいと思います。
  10. 橋本龍太郎

    説明員橋本龍太郎君) ただいま私の名前が御指摘にあがりましたので、先生の御発言、また委員会で御審議をいただきます材料として、衆議院の公害特別委員会で九月八日に私が発言いたしましたその中、またその発言になります前、御質問そのままを議事録として速記方々がとられましたものを写させていただいてまいりましたそのままに読み上げさせていただきます。それをもって御判断願いたいと思います。質問されました方は公明党岡本富夫委員であります。質問内容は、その前段階食糧庁並び農林省に対し、汚染米の取り扱いについての御質問がございました。そして、その農林省並び食糧庁答弁に対しまして岡本委員から、「そうすると、米が余っておるから、米が余ってなかったら食わしてしまおう、簡単に言うたらそうですね。あとは感情の問題ということですが、そこで厚生省にお聞きいたしますけれども、七月十七日の朝のNHKの「スタジオ一〇二」、ここで橋本公害課長、それから小林岡山大学教授の対談のような形式がありました。そのときに橋本公害課長の話では、厚生省は一日当たりカドミウム摂取量と尿に出てくるカドミウム量との相関を調べて関係をあらわす計算式をつくり、それから逆算して白米中〇・九PPMとした、そして厚生省相関式では、摂取したカドミウムうちわずか三%余りが尿に出てくる、他は大便に出る、こういうようなことを橋本公害課長が言っているわけですけれども、ところが、これを岡山大学教授がよく調べますと、カドミウム基準量は〇・三三PPMにしかならない。これは厚生省のこまかいものを逆算しただけなんです。そうしたら、テレビにおいて発表されたわけですが、これによって国民は非常に不安を感じているわけです。その点について厚生省の御意見を伺いたい。」、これが岡本委員の御質問内容であります。  それに対して私がお答えをいたしましたものをそのままに読み上げさせていただきます。「そのテレビ番組自体私も拝見しておりましたし、それとは別の席上におきましても、岡山大学小林純教授人体影響のない限界として自分は〇・三PPM程度が適当であると思うという御意見を述べておられたことは私も承知しております。しかし私どもとして、これは私はそれこそ科学技術専門家でもありませんし、微量重金属専門家でもありませんから、それこそ専門学者の御意見を信ずる以外にありませんが、カドミウム等研究をしておられる学者方々からなっておるいわゆる微量重金属調査研究会に私どもはこの仕事をお願いし、基準を設定いたしました。だから、こまかい点を申し上げればいろいろ申し上げる点はございますけれども、私どもとして一応この数字というものに対して相当な安全率を見込んだ上で、玄米中川・OPPM以下のもの、すなわち精白して〇・九PPM以下のものは人体には影響はないという学者方々の御意見を信じております。小林教授はどういうことから〇・三PPMというものをお示しになったのか、私は専門家ではないからよくわかりませんけれども、しかし、非常に誤解を生じやすい点でありますので、一つふえんして申し上げますと、先生よく御存じのとおりに、カドミウム微量重金属としてはある意味わが国の国土いずれの土を掘ってもごく微量は存在するものでございます。そして、植物にはそれぞれ好む金属を吸い上げる性質がございます。たとえばパイナップル等は鉄分が不足すると枯れていくというのもその例の一つでありますが、米の場合はたまたまカドミウムというものを非常に好み、吸い上げる性質がある。現在、カドミウムによる人為的な汚染が何ら考えられない地域においても、実は天然自然のカドミウムを吸い上げた米の中には、〇・四七二PPMというような数字示しておるのもございまして、私どもとしてはこういう天然自然の何ら汚染されておらないところにおいてさえ実は〇・四七PPMというような数字が出ておる状況の中で、小林教授が、わが国には多くおられるこうしたカドミウムをはじめ微量重金属についての権威といわれる先生方の中で、特にお一人特異な御見解をお示しになったのか、その根拠はわかりません。しかし私どもは、多くの専門家方々の御意見としてまとめられてまいりました調査会結論を信用する以外にその方法も持たないわけでありまして、私は、わが国科学技術水準の中でその中枢を占める方々の御意見というものを今日は信頼いたしたいと考えております。」。これが私のそのときの答弁速記であります。
  11. 占部秀男

    委員長占部秀男君) 派遣委員報告に関する件は以上をもって終了いたします。     —————————————
  12. 占部秀男

    委員長占部秀男君) 引き続き、大気汚染及び水質保全対策等に関する件につきまして質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言をお願いいたします。
  13. 小平芳平

    小平芳平君 次官が長々と読み上げられましたですけれどもね、要するに、小林教授の言っていることがわからない、わからないと言いますけれども、何がわからないのですか。その尿から排出されるカドミウムの量から厚生省は逆算したわけでしょう、結局。尿から排出される量が厚生省の言う量と、小林教授の言う量と違う、それだけのことじゃないですか。そうしてですよ、排出される量がたとえば、一日にどれだけのものを食べたら、一日どれだけのものを食べたからどれだけのカドミウムが排出されて、どれだけが蓄積されるかということが問題なんでしょう、結局。その場合に、厚生省計算ただ一日の食べた量と、尿の検査しかしていないんですよ、ただ一日の。そういう不完全な資料で、ただ小林教授見解がわからない、わからない、そういうことでは人の生命と健康を守るという厚生省次官としてはなはだ納得できないが、いかがですか。
  14. 橋本龍太郎

    説明員橋本龍太郎君) 小平先生の御指摘でありますが、私ただいま読み上げましたとおりの答弁を申し上げ、その中においても私は小林教授のおっしゃることがわからないと申し上げておりません。私はしろうとでありまして、専門家ではありませんから、学者方々専門家方々意見を信ずる以外にない、その場合、たとえば、複数以上の方々の御主張、御研究になり、統一して示されてまいりました見解、それとお一人違ったお考えの出てきた見解、この二つのいずれをとるかと私どもに迫られれば、私どもとしては専門家の多くの方々がまとめられた結論行政当局として、専門家では互い私どもとしては従っていかなければならない、今日の状況でそのように考えております、ということを申し上げたのであります。
  15. 小平芳平

    小平芳平君 それならば、このイタイイタイ病鉱毒によるものであるということを何年に、どなたが発表しましたか、ほんのわずかなお医者さんなり、学者が、このイタイイタイ病カドミウムという、われわれとうていしろうとでは考えられない、そんな金属がもとでイタイイタイ病になったんだということを何年も前に言ったけれども、それはただ一人が言っているのだとして、厚生省も全く取り合わなかったじゃないですか。けれども、何年かの論争の後にようやく厚生省イタイイタイ病はこの公害病だと認定したわけでしょう。ですから何年に、だれが言い出して、そうして厚生省は何年に認めたんですか。
  16. 橋本龍太郎

    説明員橋本龍太郎君) 私、過去のこまかい点にまでは十分な知識はありません。私どもが国会に出てまいります以前、たぶん昭和三十五、六年ころから、カドミウムによる慢性中毒というものがイタイイタイ病原因ではないかという学説が述べられておったようであります。そして政府がこれを公害病公害原因としてカドミウムというものをとらえ、富山県のイタイイタイ病原因カドミウムであるという見解示しましたのは四十三年であります。
  17. 小平芳平

    小平芳平君 あなたのおっしゃるとおり三十五年からとしても、八年かかっているわけでしょう、八年。ですから、政治に当たる者はただ一人の意見だから——それは理由にならないと思うんだね。ただ一人の意見だからといって、そういうふうに言っていても、結局ただ一人の意見が正しかったということを、このイタイイタイ病鉱毒が認めているじゃないですか。そういう点ですね、この岡山大小林教授という方のところへは、各企業の方も大ぜい相談に行きますし、またわれわれ公明党も行きますし、共産党の人も行きますし、この方は一生涯というか、とにかく昭和十八年から御本人の話では、いま言うような公害と取り組んできたと言っていらっしゃるわけです。こうしたある意味先覚者意見というものはすなおに虚心たんかいに受けて、そして生命を守り健康を守るために行政はいかにあるべきか、それを考えるのが政治ではありませんか。  それにもう一つ。要するに、厚生省が〇・九というものをなぜ発表したかわからないです、全然。何のためにそれを発表しなければならなかったかわからないです。いまだに。けれども、このことについてはあとで詳しく質問いたしますが、もう一つ次官にお尋ねいたしますけれども、尿から排出されるカドミウムというものを基本にしてそして〇・九というものをきめたわけでしょう、厚生省では。それを、たった一日の尿では資料にならないというのです。少なくとも一ヵ月くらい継続して、食べた量と排出された量を追跡分析していかなければ資料にならないということを、小林教授は当委員会説明をしているのです。そうした場合に、これらの方が二百万円ちょっとの予算を四十六年度予算に要求して、そうして、一日に食べた量と排出されるカドミウムの量をこれを調べたいという二百何万円の予算すら削られているのですね。大蔵省へ予算要求として出ておらないです。ですから、それは厚生省担当になるかどうかわかりませんが、九兆円、十兆円という予算を組むにあたって、そうした重大関心を持っておる、それを解決しようとする二百万円くらいの予算日本政府としてどうして組んでやれないか。これはいかがですか。
  18. 橋本龍太郎

    説明員橋本龍太郎君) 私はほんとうにしろうとでありますから、学者方々のデータがいずれが正しい、いずれが正しくないという判定をする基礎を持ちません。先ほど申し上げましたとおり、むしろ私どもとして……。
  19. 小平芳平

    小平芳平君 そんなことを聞いているのじゃない。
  20. 橋本龍太郎

    説明員橋本龍太郎君) いや、順番に申し上げている。たいへん恐縮でありますが、お聞きをいただきたいと思います。  私は「今日は」ということを申し上げて御答弁につけ加えておりますから、その一部だけ、岡本委員と私とのやりとりのその一部だけの中で御判断を願う——。そこまでに至ります岡本委員の御質問、それに対する関係各省答弁等も一度お目通しの上、私はまた御指摘をいただきたいと思います。  ただ、いま尿中カドミウムの量をというお話がございました。私はその点十分つまびらかにはいたしませんが、小林教授がたしか調査対象とせられデータをおとりになった方の人数は六名であったと思います。厚生省のお願いをいたしました研究会で調査をされました対象人員はたしか五十二名と私は記憶をいたしております。はたして、私はデータのとり方として、幅広く多くの方々を対象にし、期間をある程度限定してとっていったデータのほうが正しいものであるか、特定の方を掘り下げて長期間を継続したデータのほうが学問的に正しいものであるか、そうした点は学者ではございませんからわかりません。  ただ、もう一点つけ加えさせていただきたいことは、WHOあるいはFAO等でカドミウムの一日摂取量として示しております基準数字は、限界として示しております基準数字すなわち安全率数字は五PPMであります。
  21. 小平芳平

    小平芳平君 私の尋ねていることは、厚生省は一日の尿でしょうと念を押しているじゃないですか、さっきから……。
  22. 橋本龍太郎

    説明員橋本龍太郎君) ですから、それを否定はいたしません。
  23. 小平芳平

    小平芳平君 それを、継続して、きのうどういうものを食べて、きょうどういうものをどれだけ排出したか。きょうどういうものを食べて、あしたはどういうものが排出されたか。あるいはきょう食べてきょう排出したか。そういうふうに継続してやる必要があるではないかということと、それを継続してやるためには、二百万円ほどの予算を要求したがそれも通らなかったというから、そういうことは政府として大事な点として取り上げるべきではありませんかとこうお尋ねしているのです。
  24. 橋本龍太郎

    説明員橋本龍太郎君) おそらく岡山大学の現職教授として要求されたその研究費というものは文部省所管あるいは科学技術庁所管のものであろうと思います。他省の研究費の配分について私は御答弁を申し上げる資格はございません。しかし一般的に申し上げまして、確かに研究費というものが左お不足をし、小林教授の特定の研究のみにかかわらず、なお多くのものを必要としておることは事実であります。
  25. 小平芳平

    小平芳平君 そこで厚生省は、汚染米というものは五PPMを含んでいる食べものもあるということをあなたおっしゃったけれども汚染米と称するものはどれからが汚染米ですか。
  26. 橋本龍太郎

    説明員橋本龍太郎君) ただいま五PPMを含んでいるのがあるというようなお話を私から申し上げたということをおっしゃいましたが、それは訂正をいたしておきます。私はそういうことを申し上げておりません。WHO並びにFAOがカドミウムの一日摂取量の安全基準として示しておる数字が五PPMであるということを申し上げたのであります。私は、五PPMを含んでおる食品が云々ということを申し上げておりませんから、この点は明らかにいたしたいと思います。  また汚染米そのものについての御議論でありますが、これは先生よく御承知のとおりでありまして、カドミウムによる米の汚染というものが問題になりまして、汚染の問題をチェックするためには、まず一体天然自然にある土中に含まれているカドミウムをどの程度吸い上げておるものがあるのか。何か人為的に汚染の考えられない地域において米が一体どの程度の地中のカドミウムを吸い上げておるのかということがまず最初の問題でありまして、その中には、先ほど申し上げました岡本委員に対する答弁の中で言ったように、〇・四七二PPMという天然自然の量を含んでおったものもございます。一応私どもは、人為的汚染がそれ以上になったら考えられるという要観察地帯のその基準というものを〇・四PPMという線に引いたわけであります。そうしてそれ以上のものを今度はチェックをしてまいりまして、人体にはたしてどういう影響がどの程度の量になればあるものかということをチェックをしてまいったということであります。
  27. 小平芳平

    小平芳平君 そうしますと、〇・四PPM以上含むものは汚染米であると。——それでは農林省から、そのいわゆる汚染米はどれだけの数量があって、地域別にどれだけの数量があるかということを発表してください。
  28. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) 私のほうで現在要観察地域につきまして米の買い入れあるいは現在政府の持っておる数量を調べておりますが、宮城、群馬、富山、長崎、大分の要観察地域につきまして政府が四十四年産米を買い上げましたものが約三千五百八十トンございます。そのうち、一PPM以上の濃度の濃い汚染があるであろうと思われる地域として認定されました地域で買い上げたものが、このうち二百八十トンございます。なお、政府がそれを現在持っております数量は、要観察地域の米全体で約三千五百トン政府の手持ちとして凍結をいたしております。
  29. 小平芳平

    小平芳平君 一PPM以上が二百八十トンで、〇・四PPM以上が三千五百八十トンですか。——それを地域別に言ってください。
  30. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) 必ずしも〇・四PPM以上であるかどうかはわかりません。ただ要観察地域から買い上げました米が三千五百八十トンということでございます。  なお、地域別に申し上げますと、宮城では要観察地域から買い上げました米が二十トンございまして、現在政府が持っておりますのは五トンでございます。それから群馬では三百二十トン買い上げまして、現在それだけのものを全部持っております。富山では二千六百七十トン買い上げておりますが、二千五百トンを持っております。長崎では六十トン買い上げまして四十トン持っております。大分は五百十トン買い上げまして現在三百六十トン持っております。
  31. 小平芳平

    小平芳平君 それで、それはどうするつもりなんですか。いまあげられた五カ所の中で企業との間に補償の話し合いのついたところとつかないところを言ってください。
  32. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) この政府が買い上げまして現在持っております要観察地域の米につきましては、全部主食用には配給しないで凍結してまいっていく方針でございます。  なお、補償の問題につきましては、これは私のほうで直接やっておりませんので、県等からの報告によって承知しておる点を申し上げますと、富山、群馬両県におきましては、農家の方と企業との間で話し合いがついておるというふうに聞いております。
  33. 小平芳平

    小平芳平君 もう少し手間どらないようにお願いしますよ。  補償されることが一つと、それから汚染米は将来どうするかということと、それから農家の保有米があるわけです。この保有米で政府が交換配給をして、保有米に汚染されてない米を取りかえて配給しているところもあるし、それからたとえば一PPM以上は企業がお金を出すとか、あるいは〇・四以上のものは農家の希望によって有料で配給するとか、とにかくやり方がきまってないわけでしょう。どういうふうにやるんですか、これは。
  34. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) カドミウム汚染米の取り扱いにつきましては、配給上の取り扱い、あるいは政府の買い上げ上の取り扱いを県等に通達をいたしましてきまっております。一PPM以上のものにつきましては、これは配給上は主食用以外のものに充当する、主食用には配給しない。それから一PPM以下のものにつきましても、要観察地域で買いましたものにつきましては、これは食品衛生上は有害ではないというふうに厚生省から安全基準が出ておりますけれども、すでに国民の中にこういったものに対する不安というものが現存しております現在、なおいまの需給事情等も考慮いたしまして、政府としては配給に回さない、こういう方針でやっております。それから農家の保有米につきましては、これは一PPM以上の地域の方につきましては、政府は配給をいたしまして、農家の保有米については県等で管理をいたしまして、主食以外の用途に向けさすように指導をいたしております。それから一PPM以下の地帯につきましては、食品衛生上あるいは公害対策上摂取してもさしつかえないというものでございますので、私のほうでは特にこれについての規制はいたしておりませんが、農家の中でやはり気持ちが悪いから保有米を食べたくないという方につきましては、県とも相談して農家に配給をする。その際保有米が残りますので、その保有米については、これは政府は買わないけれども、県等におきまして指導をいたしまして、主食用以外に処理することを指導する、こういうふうにいたしております。
  35. 小平芳平

    小平芳平君 橋本次官ですね、厚生省のほうでは一PPM以下のものは有害ではないというから、農林省ではじゃあ配給するかというと、配給もしなければ、また農家の保有米も有料で取りかえるとか、この混乱はどういたしますか、この混乱は。第一混乱があると思われるかどうか。もっと地元へ行きますと、たとえば新しい今度地域が出てきているわけです。福島県の磐梯町あるいはいわき市、こういうところでは市と町が立てかえ配給をしているわけです。ですから、そういう点を、厚生省基準によって農林省は動くみたいであって、厚生省の言うとおり汚染されてないからといって配給しようとはしないという、以上二点について。
  36. 橋本龍太郎

    説明員橋本龍太郎君) 私どもは配給をするしないについて、何ら了解をいたしておりません。私どもがお示しいたしておりますのは、一つは人為的に汚染をされているかいないか、その限界を一応〇・四PPMというものに設定をし、それ以上のものが、どこまでそれでは一体人為的に汚染されているか。カドミウムが含まれているか、人体に安全であるかというその基準を示すその点であります。私どもは安全基準として玄米中カドミウムの含有量一・〇PPMというものを設定いたしまして安全基準を設定をしたのであります。食糧配給の中枢におられる農林省として、それについての御方針、またおきめになることは農林省としてのお仕事でありまして、私どもはそれが配給をしていい、悪いという了解をする権限を持ちません。
  37. 小平芳平

    小平芳平君 それはもちろんそうだけれども厚生省が配給するかしないかきめるのじゃないけれども厚生省の〇・四あるいは〇・九ということが、何のためのそういう発表か、全然意味がないじゃないですか。安全基準だ、安全基準だ。それじゃそのいわゆる汚染米で一PPMをこえないものは厚生省でも、農林省でも、大蔵省でも、みんな持ってきて食堂で使えますか、食堂で。これは安全だと、多くの学者が安全だときめた、それならば一PPM以下の米は各省の食堂で何年でも、十年でも三十年でも食べるというならなるほど安全だということがわかりますよ。何をもって安全というのですか。
  38. 橋本龍太郎

    説明員橋本龍太郎君) この質問の出る最初に申し上げましたとおり、私ども初めから学者でありませんから、学者の出してきたデータというものを信じたと申し上げたとおりであります。
  39. 小平芳平

    小平芳平君 食堂……。
  40. 橋本龍太郎

    説明員橋本龍太郎君) 食堂については、食糧庁が配給しておるかどうかということでおのずからきまることでありましょう。
  41. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) 私どものほうは、安全基準が一PPM未満は安全だと、こういうふうに厚生省でおきめになっておりますので、食品として一PPM未満は安全だと思っております。ただし、そういうものが現在の需給事情なり国民感情の中で配給し得るかということを考えますと、それは非常に問題があるということで配給をしないという方針をきめたわけでございます。
  42. 小平芳平

    小平芳平君 結局、企業が負担するのと国が負担するのとができたわけですよ、結果は。そうでしょう。買い入れて企業が金を出して補償するものと、買い入れてそのままためておくものとできたわけでしょう。国が負担するものと。そうでしょう。どうですか。
  43. 橋本龍太郎

    説明員橋本龍太郎君) 御質問の趣旨がよくわかりませんが、実際にその補償が行なわれている状況からいえばそのとおりだと思います。
  44. 内田善利

    内田善利君 私も一言政務次官質問したいと思いますが、先ほどから聞いておりまして、いままで重金属汚染について権威であると私どもは思っていた岡山大学小林教授の学説のどこが特異であり、どこが間違っているのか、この点だけもう一度お聞きしたいと思います。
  45. 橋本龍太郎

    説明員橋本龍太郎君) 微量重金属研究会というものが微量重金属に関しての専門家方々の中でつくられております。そうしてその方々が、この議論の最初の発端は汚染米カドミウムの含有についてでありまして、私は他の問題については存じません。しかし、この問題につきまして微量重金属研究会というものが原米中一・〇PPMまでは安全であるという御意見厚生省にお出しをいただきました。小林教授の御見解はそれとは相異なっているわけであります。その点が違う、一人違うというふうに申し上げたのであります。
  46. 内田善利

    内田善利君 それではどこが間違っているかということはわからないわけですね。
  47. 橋本龍太郎

    説明員橋本龍太郎君) 私は最初から何度も申し上げておりますように、誤解を招くといけませんから岡本委員に御答弁を申し上げたとおりのものを読み上げましたとおり、間違っている、正しいということを一度も申し上げた覚えはございません。しかもその中にも最後に、「今日は」ということを申し上げております。
  48. 内田善利

    内田善利君 私はせんだって山口県の視察に参ったわけですが、そこで徳山市における公害防止事業団による事業現場を見てまいりましたが、非常にりっぱな陸上競技場あるいはプールあるいはゴルフ場、非常にグリーンベルトといいますか、緩衝地帯ができているわけですが、非常にりっぱなのに驚いたわけですけれども、反面、非常に日本では公害問題があっちこっち起こっている。私は、まず発生源が人間の健康に有害なものを出さないというふうにするべきではないかと、そのように思うわけです。そういった発生源の公害防止事業にもっと公害防止事業団の融資等を振り向けるべきじゃないかと、このように感じたわけですけれども、その点について監督官庁である厚生省あるいは通産省から御答弁をお願いしたいと思います。
  49. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 発生源をまず完全に退治しろという先生の御指摘はそのとおりでございまして、通産省も厚生省と十分連絡をとりながら公害防止事業団の融資先をその発生源の退治のために振り向けようということで、四十五年度は融資金額は九十億円でございますが、四十六年度におきましてはそれを大幅に増額いたしまして、現在の要求額は四百二十億円になっておりまして、公害防止事業団がやっております直接事業以上の比率を持ちまして発生源対策としての融資事業を大幅に拡大したい、かように考えまして来年度の施策を現在いろいろ考えておる最中でございます。
  50. 内田善利

    内田善利君 公害防止事業団理事長お見えになっていると思いますが、この公害防止事業の施策について、いままで申し込みがあったのが全部これが事業が行なわれておるかどうか、また、来年度は非常に多額の融資が行なわれるようになるわけですけれども、申し込みが全部消化できるかどうか、どういう見通しであるか、この点についてお伺いしたいと思うのですが。
  51. 原文兵衛

    参考人(原文兵衛君) 公害防止事業団の事業には、建設事業と融資事業がございますが、建設事業のほうは申し込みのありましたものにつきましてはほとんど事業が行なわれております。融資のほうにつきましては、事業団の発足当時は融資申し込みも非常に少なかったのでございますが、昨年度あたりから企業公害防止施設をつくるという意欲が非常に高まってまいりましたためか、融資の申し込みが急速にふえまして、本年度先ほど通産省からお答えがございましたように融資に九十億を予定しておりますが、本年度が申し込み額が九十億よりはるかにオーバーするという見通しでございます。そこで明年度は融資ワクを四百二十億要求することにしております。公害防止施設の急速な整備、ことに大型の公害防止施設、一つの施設をつくるにつきましてあるいは十億以上もかかるというような施設も、要求が非常にふえてまいりますと場合によっては四百二十億のワクでも足りなくなることもあり得るかと思いますが、一応いままでの融資の趨勢を見きわめまして四百二十億というのは妥当という線で要求しておるわけであります。
  52. 内田善利

    内田善利君 いままでの実績を見ますと、大企業のほうが中小企業よりも多いように思うわけですが、その点につきましてもう少し金利を下げたらどうか、もう少し金利を下げて中小企業に対するこういった融資事業をどんどん行なうべきじゃないか。田子の浦の中小企業が倒産したというようなことを聞きますと、あるいは倒産寸前だというようなことを聞きますと、やはり中小企業に対してもう少し手軽に融資できるようなふうにできないものか、このように思うわけですが、その点についてはどのように考えておられるか。
  53. 原文兵衛

    参考人(原文兵衛君) 全く同感でございまして、現在までの融資の状況を見ますと、残念ながら申し込みが中小企業よりも大企業のほうがはるかに多いのでございます。そこで私どもとしては、数年前から中小企業に対する金利をできるだけ引き下げたいと思いまして関係向きと折衝してまいりまして、現在共同公害防止施設につきましては中小企業が五分、大企業が六分七厘五毛という差で融資をしております。また、それ以外の共同の利用建物、工場移転用地あるいは共同福利施設、また各企業が個別に公害防止施設をつくる場合に融資をする、そういう場合には、中小企業に対しては六分、大企業に対しては七分という一分の差の金利でもって融資をしております。しかし、それでもなおかつ中小企業のほうの融資の申し込みがなかなかふえてまいりません。中小企業につきましても、公害防止施設は完全にしてもらわなければ公害対策として十分にはいかないと思いますので、私どもとしても中小企業に対する融資がさらにふえるということが公害防止対策上非常に重要だろうと思いまして、明年度は大企業に対する金利は据え置きまして、中小企業に対する融資を、共同公害防止施設につきましては現在五分というのを三分五厘まで引き下げたい。その他の個別の公害防止施設並びに工場アパートあるいは工場移転団地等につきましては現在の六分を四分五厘まで引き下げたいと思いまして、予算要求とともにお願いをしておるわけでございます。この考え方につきましては、ただいま先生おっしゃったことと全く同じ考え方でそのような方針をとっているわけでございます。
  54. 内田善利

    内田善利君 それから機構問題ですけれども、この公害防止事業団厚生省並びに通産両省の監督下にあるわけですけれども、この点については、中小企業としては一体どこに相談したらいいのか、相談する窓口が二つあるというようなふうに感ずるわけですが、行政一本化が叫ばれているときに、公害防止事業団は通産厚生両省の監督下にある、その点について理事長はどのように考えておられるか。
  55. 原文兵衛

    参考人(原文兵衛君) よく厚生、通産両省の共管にあるので、事業団は非常にやりにくいのではないかとかいろいろな御質問をいままでも受けたことございますが、現在まで特別に両省が共管であることによって支障を来たしたことはございません。もちろん、たとえば認可を受ける場合に二つの省から受けなければならないので、そういう意味において事務上時間的によけいかかるというようなことはございますけれども、両省の事業団に対する方針が一致しないために非常に支障を来たしたというような事例は現在までのところございません。ただただいまの御質問の中小企業がたとえば公害防止施設をつくる場合にどこに相談したらいいかということでございますが、私どもは事業費ワクは非常に大きくなっておりますけれども、まだ機構としてはたいへん小そうございまして、いわゆる支所というようなものが全国各地にあるわけではございません。そこで主として各府県の公害担当の課あるいは各地にある商工会議所等に私どものほうの事業のことを十分PRをしてもらうようにお話をしてございまして、そこでいろいろ御相談を受けて私どものほうに申し込んでくる、こういう形になっているのでございます。なおこの関係につきましては、私どもとしてはただいま申し上げたよう女御答弁でございますが、両省とも中小企業に対しての特別な配慮につきましては非常に考慮をされておりますので、両省のほうからお答えいただいたらいかがかと思います。
  56. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 中小企業公害防除に関しましては、通産省と厚生省の間にいままで意見の不一致を見たことは毛頭ございません。また一般的な問題といたしまして、現在課長段階あるいは部長段階におきまして連絡には非常に常日ごろ意を使っておるところでございまして、共管であるがために事務が渋滞を来たしたということはわれわれとしては全くないというぐあいに考えております。中小企業の問題、特に中小企業公害を技術的にどういう形で取り上げて、どういう形でこれを展開していくかという問題につきましては、通産省は従来からも非常にいろいろの経験も積んでおりますし、その指導も中小企業庁が総合的な立場に立ってやっておる面もございますので、そういった技術的な面につきましては、われわれは積極的に指導したいという線を厚生省に持ち込みまして、大体厚生省もそういったわれわれの検討の結果を尊重していただいておるというのが実態でございます。
  57. 内田善利

    内田善利君 こまごまとした質問は省きますが、私が最近あちこちの工場に参りまして感ずることは、工場の設備について、特に排水設備、生産を伴わない利益にならない公害防止施設について、非常に中小企業は困っている、どっかで融資をお願いしたいと、そういう声が非常に多いわけですが、中小企業設備近代化資金とか、無利子の中小企業振興事業団融資とかありますけれども公害防止事業団のお金を借りたらどうですかとこちらからすすめるわけですけれども、なかなか一つ工場一つの設備については公害事業団では融資がなかなかむずかしいというように聞いておるわけですけれども、そういった工場自体の公害防止施設に対しても、公害防止事業団で、来年度は特に事業を拡大されるわけですが、そういう方向へ指向していただきたい、グリーンベルトも大事でありますけれども、どうしてもまず発生源の公害原因である物質を出さないようにすることが一番手っ取り早いいまの方法じゃないかと、そのように思うわけですが、この点については理事長はどのように考えておられるか、そういう見通しができるかどうか、お伺いしたいと思います。
  58. 原文兵衛

    参考人(原文兵衛君) お説のとおりでありまして、私が先ほど申し上げました中小企業に対して特に金利を大幅に引き下げるように関係向きにもお願いしておるわけでございますが、全く御承知のとおり、私どももその方向で努力をしたいと考えております。
  59. 内田善利

    内田善利君 最後にひとつこまかいことを質問したいと思いますが、福岡市の水産加工工場の共同利用建物の建設計画の申請があったと思うんですけれども、この点はいまどのようになっておるのか、現況をお教え願いたいと思います。
  60. 原文兵衛

    参考人(原文兵衛君) 御質問は福岡市内にありまする水産物の残滓処理業者三社から出ました悪臭、汚水というような公害を防止するために、これらの工場を福岡市の郊外に集めまして、そこで共同利用建物、いわゆる工場アパートを建設し、その工場から排水される汚水を完全に処理するように共同の公害防止施設を設けようというものでございまして、福岡市のほうから私どものほうに申し込みがございまして、昭和四十五年度の事業として、総事業費約五億二千余万円で、昭和四十七年三月までに完成を目途として目下話し合い中でございます。現在福岡市と企業の間で設置する機械の選定並びに設置場所等について話し合いが行なわれつつあるという段階でございます。
  61. 内田善利

    内田善利君 終わります。
  62. 山本敬三郎

    山本敬三郎君 原理事長に二点だけお伺いしたいのですが、第一点は、中小企業の申し込みが比較的少ない、これをふやすのには府県の公害担当者や商工会議所を通じてPRをする、及び金利を引き下げる、二つの点がお考えがあったわけですが、実情を伺いますと、公害防止事業団に融資申し込みをするのには、百八の委託された金融機関を通さなければならない、そうすると、ビッグビジネスについては五割、中小企業については二割が金融機関が融資し得る金になる。したがって、非常に金詰まりのようなときには、金融機関で洗われてしまう、金融機関で金融ベースに乗らないものは事業団まで上がってこない、こういう点が非常に大きなネックとしてあるのではないかということに非常に疑問を抱いておるのですが、そういう実情についてお伺いしたい、これが一点。  それから第二点は、本年度事業費九十億でありますが、実情を伺いますと、昭和四十四年度に融資を申し込みしたものを半分だけ、したがって、中小企業の場合に一〇〇%の事業費、そのうちの八割を融資する。その八割のうちの半分、四〇%しかまだ充足していない。四十四年度の残りは四十五年度にいく、こういう実情であります。実は田子の浦の問題をいろいろ検討いたしまして、田子の浦の製紙業者に対して、そのモデルともなっている東海パルプの融資の状況を調べてみました。四十四年度に申し込みをしている。四十五年度に申し込みをしている。四十六年度も事業をやろうとしている。にもかかわらず、今日現在八月に、四十四年度の申し込みをした事業に対して融資が半分決定しただけだ。こういうふうに二年度にわたらなければ資金が出ない。その出ない翌年の分はメーカーやその他の延べ払いでやっている。これは事業費の水増しに実はなっているのではないか。出すべきものはその年に出してしまうというようなことが必要じゃないかというような点を非常に考えるのですが、教えていただきたいと思います。
  63. 原文兵衛

    参考人(原文兵衛君) ごもっともな御疑問だと存じます。公害防止事業団は融資事業をやっておりますが、先ほど申し上げましたように、きわめて機関としては小規模な機関でございますので、直接貸しができません。したがいまして、市中銀行、地方銀行あるいは相互銀行あるいは最近は信用金庫までふやしましたけれども、いわゆる金融機関の代理貸しをやっているわけでございます。その場合に代理貸しをする金融機関が二〇%、二割を保証するということでございますので、あるいはいま御質問のようなことでもって代理機関でもって洗われるということがあろうかと思います。これらの点につきまして私どもももっと実情も調べまして、その対策関係向きといろいろと検討してまいりたいと思います。  それから事業団の事業費予算の立て方でございますが、いわゆる事業ワクと資金ワクというふうに二つのワクになっております。と申しますのは、一年間のうちにいろいろ事業をやるわけでございますけれども、たとえば建設事業でございますと、年度の終わりごろになって契約が成立して事業を始めるという場合もかなりあるわけでございます。そうしますと、たとえば一億の建設事業でございましても、その年度には、年度もかなり終わりになって事業が始まるとすると資金は五千万しか必要がない。あとの五千万は翌年度の予算でもってできるというような関係がございますので、数年前から事業費ワクと資金ワクというものを分けまして、事業費ワクは資金ワクの三、四〇%多くワクをつくっておるわけであります。これは融資のワクについても同様な関係になっておりますので、したがいまして、融資の申し込みがあり、決定されましても、たとえばいま御質問の四十四年度に決定されたものが四十四年度できまった融資額の半分を渡し、そして四十五年度の資金ワクから半分を渡すということがあるわけでございます。まあなかなかむずかしい問題でございまして、融資の場合でも、たとえば個別の企業公害防止施設をつくる場合にも、たとえば四十四年度につくりましても、四十四年度から四十五年度にまたがってできる場合がございまして、したがって、資金の発注先に対する払い込みを二度に払うという場合もあるわけでございます。そういうことで、私どものほうといたしましては、実は非常に申し込みが多いものですから、できるだけその申し込みにこたえたいというので、事業費ワクのほうはだんだんふえていくわけですけれども、資金ワクのほうが財投の割り当ての制限がございまして必ずしも十分でないわけでございます。しかし、資金ワクと事業ワクが全く一致しておりますと、これまた、契約はしましても、その年度に資金ワクは使えないで来年度に繰り越しをするということもあるわけでございます。その辺のかね合いをいろいろ考えながらいままでやってきているわけでございます。したがいまして、個個のケースにおきましては、四十四年度で融資が決定したのに半分しか四十四年度では渡されないであとの半分がだいぶ先になって渡されるという不都合もあろうと思いますが、なるべくそういう不都合のないように、私どものほうとしても資金量でもって調整していきたいというふうに考えます。
  64. 山本敬三郎

    山本敬三郎君 理事長の言われますように、四十四年度の年末になって決定して四十五年度にまたがる、これなら確かに理由は立つのです。ところが、事業団のほうから見ますと四十五年度分だと言いますが、相手方から言うと四十四年度にやっちゃっているわけです。そして申請も四十四年度に出した。ところが、ワクがないために四十五年度に決定した。その決定も四十五年度に出すべきものの半分しか決定しない。四十六年度であとの半分を出す。業者のほうは四十四年にやり、四十五年にやり、四十六年もやる。押せ押せになっておる。こういうやり方では、ビッグビジネスはともかくとして、中小企業では乗ってこないという点がおそれられるわけです。来年度四百二十億要求しておられても、要求は必ずしも通るかどうかも問題点があります。中小企業に対してはやはり文字どおり出すべきものは出すという形でないと、事業団のベースでこれは四十五年度分だといっても、実際の民間のほうは四十四年度にとっくに申請をして、事業団のほうの受理という行為がおくれているだけです。民間としては四十四年度にやっている。そのやっているものが四十五年度と四十六年度にしか出ない。こういう矛盾があります限り、中小企業公害防止事業団についてくるということはあり得なくなってくる。そしてそれらは役所ベース的な感覚でなしに、民間ベース的な感覚で考え直してもらいたいということをお願いしたいわけです。
  65. 原文兵衛

    参考人(原文兵衛君) おっしゃることはごもっともでございまして、そういうことがあろうと思います。これはケースにもよりますけれども、そういうケースは確かにあろうと思います。そこで私どもといたしましても、実は同じ融資事業、貸し付け事業にいたしましても、中小企業に対しては、これは内部規定でございますけれども、特に配慮をいたしたいと思いまして、申し込みがありました場合に、いわゆる申し込み順でなく、中小企業に対してはケースによって優先するというような措置もとっておりますが、いまお話しのようなこと、できるだけ配慮をしていきたいというふうに考えます。
  66. 莊清

    説明員(莊清君) ただいまの理事長の御答弁に若干補足をさせていただきます。  中小企業公害防止事業に対する政府関係金融機関の融資の原資につきましては、今後公害の規制の強化、あるいは中小企業自身の公害防止に対しまする自覚の高まりというふうなことに伴いましてますます資金需要が強くなると思いますので、通産省といたしましては、事業団のみならず、中小企業金融公庫、国民金融公庫等につきましても、明年度資金ワクを画期的に拡充いたしたいと努力いたしておりますが、ただいま御指摘のございました公害防止事業団関係につきましても、たとえば今年度、田子の浦の問題というような緊急な事態も実は発生してきております。こういう事態もございますので、今後の課題でございますけれども、中小企業関係公害防止事業団の財投原資につきましては、今後の課題といたしまして、要すれば年度内補正というふうな前向きの措置につきましても通産省として今後前向きに検討さしていただきたい、かように存じております。  なお、ちょっと御指摘があったかと思いますが、事業団融資の場合につきましても若干の部分につきましては市中の協調金融という問題が当然伴うわけでございますが、明年度市中金融機関からの中小企業に対する公害関係融資の円滑化をはかるという見地から、中小企業信用保証制度、これを手直しいたしまして、市中からの金融の円滑化にも努力したい、こういうことで目下中小企業庁におきまして検討いたしております。ちょっと補足さしていただきます。
  67. 小平芳平

    小平芳平君 先ほどの私の質問の中で答弁が漏れている点がありますので、厚生省あるいは農林省から御答弁願いたいと思います。  結局、結論として、いわゆる汚染地域の米は三千五百八十トンある。そのうちの一割足らず、二百八十トンは企業補償するたてまえになるが、九割以上の三千三百トンは国が買い上げてそのまま凍結、こういう御答弁があったわけですね。ですから、こういう、結局まあ政府が金を立てかえ払いみたいに在るわけです。企業負担を軽くしてやっただけなんです、結局は。そこで、福島県のいわき市、それから福島県の磐梯町、ここでもカドミウム汚染が問題となって、保有米が汚染されているというところから、いわき市と磐梯町が立てかえて配給をしているのです。いまその点について、いまのままでは町の財政も市の財政ももう持たないわけです。これについてどういう手を打たれるか。群馬、富山と同じような方式でいかれる予定かどうか。また、その切りかえはいつできるか、そういう点についてお尋ねしたい。
  68. 中村健次郎

    説明員中村健次郎君) 福島県の磐梯町といわき市の問題につきましては、両地域とも現在精密調査を実施しておられると聞きますので、その結果を厚生省におかれまして検討をされました上、要観察地域に指定されるということになりますれば、食糧庁のほうの米の取り扱いにつきましては他の要観察地域と同様石取り扱いをしてまいりたい、このように考えております。
  69. 小平芳平

  70. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) いまお話しのように、精密環境調査等を現在両地域に行なっておりますが、ただいまのところの見通しは、結果を見なければもちろんわからないわけでありますけれども、いわき市につきましては、濃度の点から見まして、要観察地域ということにはむずかしい。磐梯町につきましては第一次の県の調査数字がそのまま第二次の精密調査にもあらわれるといたしますと、要観察地域にあるいはなるのではないかとも考えられますけれども、いずれにしましても近々その結果が出ますので、それを見て対処いたしたいと思います。
  71. 須藤五郎

    須藤五郎君 きょう私は、天の橋立の内海の水質の問題で少し質問をしたいのですが、その質問に入る前に、通産省に対して一つだけ私は尋ねておきたいことがあるのですが、最近チョウという博士さんが日本に来られて、世界じゅうの地球の表面の鉛汚染ですね、その問題で非常にセンセーショナル左見解を発表していらっしゃいます。私もあの新聞を読みまして、実はどきんとしたわけでございます。そこで、今日日本におけるガソリンの鉛の含有量、それを厚生省のほうで最近の鉛の含有量を調べてあるならば、どこどこの会社がどうだということをこの際明らかにしてもらいたい。かつて、前の委員会ではABCで通産省が発表した。しかもそれは通産省で調べたのではなしに、ABCと称する会社の調べた結果の報告をもとにして通産省として発表されたということを聞きました。そういう無責任なやり方ではなしに、通産省自身が調べて発表するときは、どこどこの会社という会社名を明らかにして発表すべきだと思うのですが、もしできているならば、ここで発表してもらいたい。というのは、鉛公害が起こってからハイオクタンという問題が非常にやかましくなってまいりました。ハイオクタンじゃなしにするということを言っているわけですが、最近の広告なんか見ますと、やはりハイオクタン、ハイオクタンでガソリンを売っているような傾向が出ているのです。これは非常に矛盾していると思う、世間の考え方と。そこで私はこういう質問をするのですが、最近調べたのを発表していただきたい、会社名で。
  72. 莊清

    説明員(莊清君) 今年七月一日から無鉛化の第一歩を踏み出しまして、現在ハイオクタン関係では一ガロン当たり〇・九六CC、それからレギュラー・ガソリンにつきましては同じく〇・七三CCの含有量でございまして、七月以前に比べましてガソリン総合で四〇%の含有量の引き下げになっているわけでございます。御指摘のございました各製油会社からの現品の抜き取り検査につきましては、通産省では鉱山石炭局が中核になりまして、各地方通産局を使いましてガソリンスタンドから定期的にガソリンを抜きまして、それの検査を七月以降実施をいたしております。その状況につきましては、私、ちょっと詳細存じておりませんので、後ほど鉱山石炭局長のほうから御説明をさせていただきたいと思います。
  73. 須藤五郎

    須藤五郎君 いまここではお答えになれないわけですか。
  74. 莊清

    説明員(莊清君) 私、そういう資料等現在所有いたしておりませんので、後ほど通産省の担当の鉱山石炭局長のほうから御説明をさせていただきたいと存じます。
  75. 須藤五郎

    須藤五郎君 いま本田鉱山石炭局長は見えていないのですか、ここに。
  76. 莊清

    説明員(莊清君) 鉱山石炭局長ただいま衆議院のたしか決算委員会のほうに出席していると承知いたしております。
  77. 須藤五郎

    須藤五郎君 それでは昼からの出席を、ここで各社のその含有量を社名を明らかにしてここで答弁をする、こういうことを約束しますね。
  78. 莊清

    説明員(莊清君) はなはだ煮え切らない答弁で申しわけないのでございますが、私の立場といたしましては、そこまで直ちにこの場で確定的なお約束はちょっといたしかねますので、鉱山石炭局長によく御質問の御趣旨のところを伝えまして、鉱山石炭局長から後ほど当委員会で御説明するようにいたしたいと存じます。
  79. 須藤五郎

    須藤五郎君 この前、ABCという名前でずっとやられた。このときは三点になってたのですね。そういう発表では信用できないというので、私たちが自分たちの手で調べました、研究いたしましてそれによると、通産省の発表よりずっと高いのですね。そうすると、ある会社は私のところへあの数字は間違っていると、私たちのほうはこうだと、あれが発表されてガソリンが地方で売れなくなったといって地方から本社に向けて抗議が来たといって私に面会を求めてきましたよ。私会いました。そして、われわれは確信を持って発表しているんだ、通産省が発表しないからわれわれが金をかけて調べて発表せざるを得ないということになったんじゃないかと、こう言ったんです。だから私はそのときに局長に言ってもらって、そういう点を明らかにしなきゃならぬ、ABCではわからぬじゃないか、選択権が無視されるではないか、今後通産省もやっぱり各社のガソリンを抜き取り調査して、そうして明らかに会社名を明らかにしてそうして発表しなさい、こういうことを私は局長に申し入れた。局長は、そのとき通産省でも積極的にやりますといって約束をしておりますから、この際そういう点は明らかにしてもらいたい。それでないとまた再びああいう問題が起こるとも限らない。あなたのほうで発表しなければまた私たちが今度は検査する、それで発表したとき、あなた方はそれで文句言わぬかというのです。自分でやらないで人のやったことをとやかく言う資格はない、あなたたちがはっきり調べてここで発表する、それを約束してもらいたい、いいですね、約束しましたね。
  80. 占部秀男

    委員長占部秀男君) 須藤君どうでしょう。いま莊公害保安局長のほうから当該の鉱山石炭局長に連絡をすると言っているんですから、午後須藤さんの時間をたっぷりとりますから、そのときひとつお願いしたい。
  81. 須藤五郎

    須藤五郎君 それじゃそうします。午後はっきりと回答していただくことにしましょう。  そこで、私の予定の質問に入りますが、琵琶湖がたいへんこのごろよごれてきているということはこれは皆さん御存じのとおりです。ことしの夏は南湖、いわゆる琵琶湖の南のほうでは水浴びもできない、泳ぎができない、それほどよごれてきておる。この琵琶湖の水のよごれは、すなわち淀川水系をよごして京都、奈良、大阪、兵庫に至るまでこの水道が非常に汚染をして、みなたいへん困るということが起こってくるわけですが、きょうは琵琶湖の汚染の問題には触れないで、私はこの間、天の橋立へ行ってまいりました。天の橋立の水もよごれておるということを聞きましたんで、調査に行ってまいりましたが、確かによごれておるということを私は見て帰りました。あの天の橋立の内海と言われている阿蘇海というところですね。ここは非常によごれてきまして、透明度は橋立の外では七・二五メートルあるわけです、透明度は。ところが、阿蘇海では最高が二・一五メートル、最低は、いわゆる最低というのは日本冶金工業の近くでございますが、その辺では一・一五メートル、こういうふうなひどいよごれになっている、それからもう一つはまっ黒で悪臭のあるヘドロが阿蘇海全域に一メートルから二メートル、それほど厚くたまっておる、こういうことを私は見また聞いて帰ってまいったわけでありますが、この大きな一つ原因に、日本冶金工業が海面埋め立てに投棄しておるスラグ、これが月に二万四千トン、それからまっ黒な、スラグを洗った水といいますか、鉱石を洗った水といいますか、まっ黒な水が一日に四万三千トン、こういう程度阿蘇海に流れ込むわけです。そこで私は琵琶湖や橋立の水質を調査したことがあるのかどうかということをまず伺いたい。私は水質調査の必要があると考えましたが、厚生省のほうでそういう調査をしましたか。
  82. 西川喬

    説明員(西川喬君) 阿蘇海につきましては、実は京都府のほうからかつて調査の要請もございませんでして、私どもといたしましては現在調査水域に入っておりませんのが実情でございます。調査もいたしてございません。いま先生のような御指摘がございましたので、早急に京都府のほうと協議いたしまして、京都府はいままで舞鶴湾について調査要望は出ておったわけでございますが、阿蘇海につきましては、いままでかつて府のほうから一回もかかってきたことはございません。早急に対策を検討いたしたいと思います。ただいま、私どもが直ちに調査して承知したところによりますと、この大江山工場で公有水面埋め立て権をとりましてスラグを埋め立て予定地に捨てているということでございますが、その埋め立ての処置が不十分なのではないかということが考えられるわけでございます。その点につきましても府のほうと十分相談いたしまして、それから排出の水質につきましては有毒物質関係は鉛、カドミウム等は含まれていない。ただニッケル製錬所でございますので、 ニッケルがわずか含まれているというような、その点までは判明いたしたのでございますが、さらによく調査いたしまして京都府のほうとも打ち合わせいたしまして対策を講じたい、このように考えております。
  83. 須藤五郎

    須藤五郎君 阿蘇海のヘドロが日本冶金工業から出るスラグだけでヘドロが出ておるかどうかということは、これは調査をしてみなければはっきりとしないので、いま京都府も調査をしております。私もそのヘドロを持って帰ろうと思ったのですが、しかし、何といっても海の底ですから手も届かなければ、持って帰る方法がなかったので、見て帰ったわけですが、しかし、その埋め立てに使っておるスラグというものは、これは政府のほうから、皆さんのほうからきのう私のほうへ届けられたわけですが、これを見ると、いわゆる青色——灰色と申しますか、青味のかかった灰色の砂になっておるんですが、私はこれは茶わんの中に入れて水を注いでみました、どれだけ水が濁るか。ところが、少しはやはり濁りますが、これが水深が何メートルとなれば非常な濁りが出ると思うのですが、しかし、この政府から届けられたのは洗ってありますね、このスラグは。きれいに洗ってほこりを取り払ったあとのものを乾燥して持ってこられたので、私はこれはそうじゃないと思う。というのは埋め立てに使っていらっしゃるのはトラックで持って行って工場内でだーっと海にほうり込んでいるわけですね。それは私が見たところは、これよりももっと色の黒味のかかったものでありまして、こんなさらっとした美しいものではないということがはっきりするわけで、これは私は政府当局から私に届けられましたが、これは私は払い下げしたいと思います。これは信用することはできません。何といっても黒いヘドロがたまっておるということはやはり日本冶金のスラグが大きな原因をしておるということをはっきり私は言えると思うのです。これはなお調査をしなければそれ以上のことは私は言えませんが、しかし、あの阿蘇海の水の濁りですね、透明度が非常に少ない、先ほど申しました一・一五メートルぐらいしか透明度がないということ、それで外の海は七・二五メートルあるんですから、それほどひどいよごれがあるということはこれはもう事実なんです。そのよごれは一体何かといえば、このスラグから出るよごれですね。これが水をよごしているということはこれははっきり言えると思うんです。それに対して、もしも経企庁のほうで何か意見があるんなら聞きたいが、あの天下の三景といわれる天の橋立の海がこのようによごされているということはこれは厚生省としても私は考えていかなきゃならぬ点だと思うのですが、厚生次官どういうふうにこれを処理しようとお考えになりますか。
  84. 橋本龍太郎

    説明員橋本龍太郎君) 直接のいまの現在の起きているいわゆる公害問題という観点だけからむしろ役所としての話を申し上げますと、率直に申し上げてこの問題は私どもの所管外になります。しかし、私どもとして実は琵琶湖ばかりではありませんで、各地の湖沼、湖や沼に同じような問題を実は感じておる最中であります。いままでも何回か計画をいたしましたが、その下調査もできずにまいりました。明年これは一つの湖沼の透明度、汚染度の調査というものをむしろ自然保護の観点から行ないたいということで、構想を改めまして概算要求を提出いたしたばかりであります。先生の御質問の趣旨、私どもも同様の心配を持っております。
  85. 須藤五郎

    須藤五郎君 この琵琶湖、それから橋立の海などというのは水質保全法の中に規定されていない点だと思うのですが、やはりこれはそういうふうに考えて積極的にやっていかなければきれいにならないと思うんですが、いま京都府がヘドロを持ち帰りまして京都府のほうで科学的に分析をいたしております。やがてその結果が出るだろうと思うのですが、そうしたらその京都府の分析の結果、意見を聞いて緊急に対策を私は立てるべきだと思うのですね。私たちちょっと考えただけでもコンクリートの堰堤をつくるなりして、そのよごれが外にできるだけ流れ出ないように考えるとか、それから工場排水処理などで企業側の責任によってこれを処置するように私は政府として指導していかなければならぬと思うのですが、どうでございましょうか。
  86. 莊清

    説明員(莊清君) 大江山精錬所は鉱山保安法の対象精錬所でございまして、通産省が同法に基づきまして監督の責任を負っております。御指摘の問題は通産省としても遺憾な問題であると存じております。現在検査の結果に基づきまして同精錬所に対しまして法律に基づきまして指示をいたしまして、お話のございましたコンクリートの堰堤を目下建設させております。中の海の底の地盤がヘドロの関係もございまして非常に軟弱であった関係もございまして、コンクリート堰堤の基礎づくりに相当手間取ったようでございますが、鋭意工事を進めまして、来年の春には埋め立て地にずっと堰堤をコンクリートで、約四百メーターの長さでございますが、これを完成させることにいたしております。なお、工場から排水が出てまいります。これにつきましても現在指示をいたしまして工事を進めさせております。同工場では排煙——煙の関係も含めまして約七億円の規模で来年の夏までにいろいろな改良工事をすることにしておりますが、その中で工場排水処理施設関係につきましても現在やっておりますし、またスラッジのほうを埋め立て地に水で流し込んでおりますが、その水の処理施設、沈でん槽等についても目下工事を行なわせておるところでございます。
  87. 須藤五郎

    須藤五郎君 まだ質問ありますけれども、いま紙が回ってまいりまして、十二時五分でぼくの質問時間は終わりだということですから、最初の委員長のことばを守って、ここで一応質問を中止します。
  88. 占部秀男

    委員長占部秀男君) これで午前の会議を終わります。午後一時まで休憩いたします。    午後零時六分休憩      —————・—————    午後一時十二分開会   〔理事久次米健太郎委員長席に着く〕
  89. 久次米健太郎

    ○理事(久次米健太郎君) ただいまから公害対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  90. 占部秀男

    占部秀男君 政府側も御存じのように、今度東京都で公害対策を万全を期するために都条例の改正をしようと、こういうことできのう都議会の首都整備公害委員会で東京都の条例案の初めての発表があって、この内容といいますか審議に入ったわけでありますが、いずれにしても月末の都議会ではこの改正条例を決定しようと、こういうことで審議されることにきまっているそうであります。ところが、新聞等にも書かれておりますように、今度の都条例の改正で国の現在の制度的な考え方と都の条例改正の点で開きが出てくると、こういうことで問題になるんじゃないかということがいわれておりますし、去年の都条例、公害防止条例の改正のときにも、通産省その他から、あるいは自治省の一部から違法じゃないかというような声も新聞等で見受け、当時国会の中でも二、三問題になったところでありますが、したがって、今度の条例の内容については相当問題点も出てくるんじゃないかとわれわれも考えておりますけれども、いずれにしても地方団体がその地域の特殊の事情から地域の住民の健康を守るための必要に迫られての改正でありますので、政府側としても基本法はじめ公害諸法の改正をしようというおりからでありますから、私は公害対策の進むあり方については相当政府としても、むしろ好意的に見守るべきではないかと思うんであります。  そこで二、三お伺いをしたいんでありますが、きのう首都整備公害委員会で発表されました改正条例の内容を見ますると、五つの点が私ども問題になるんじゃないかと思っておりますが、一つは知事の権限を強化しておる点、二つは現行法よりは企業責任が強化されておる点、三つは規制の対象といいますか、範囲が拡大といいますか、強化されておる点、また現行規制の強化というような点、そうしたいろいろな点があるわけでありますが、そこで具体的に二、三お尋ねをしたいと思うんでありますが、これは山中国務大臣にお伺いをしたいんでありますが、地方権限の強化の問題で、私は一番今度の条例の改正で問題になるところは、今回の改正では環境基準あるいは規制基準、こうした基準点を都知事が自主的に設定することを義務づけておると、こういう点であります。これは私言うまでもなく、現在は地域指定をして国のほうで基準をきめる方針をとっておる。ところがこの前の委員会でも大臣は、権限の地方委譲、できるだけひとつ委譲したいというふうな答弁ですが、こういうような今回の改正について、やはりこれはあまり機械的に押えるべきではないという考えでおるんですが、そういう点について大臣の考え方をお伺いしたい。  以上です。
  91. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 初めに、本日は午前十時からまっすぐ当委員会に参りまして一日御質問にお答えする予定を立てていたのでありますが、突然けさ総理から別途緊急な用事で午前中総理大臣室において仕事を命ぜられまして、したがって予定が、午前中私の出席できない結果になりましたことをおわびいたしますが、そのかわりあとの仕事を押しやりまして、午後のおつき合いといいますか、午後の時間で埋め合わせをさしていただきたいと考えます。  ただいまの占部委員の御質問でありますが、原則的にはただいま作業中の姿勢は逐次関係閣僚協議会で新聞等を通じてお目にとまっておると思いますが、まさにお説のとおりの地方へ全面的な権限の委譲を行なうという方向で進んでおります。すでに決定を見たものといたしましては、基本的な方針はこれを是認した上に立って、工場排水規制に関する六十四業種中残された十一業種、これを、たとえば現実には問題はややなしとしない大蔵省の紙幣の印刷工場、これも含めまして全部地方に委譲をするということはすでに決定をいたしました。これはあと政令改正をいたすのみでありまして、これも近く閣議決定をするつもりでございますが、あと大気汚染の適用除外対象となっております電気事業法、ガス事業法等に、許可事業として通産省が広域供給等において責任を負わなければならない業種、これをどのような条件であるならば地方委譲が公害に関してはできるかどうか、その問題をいま通産大臣の責任において、まず通産省の中の議論として詰めてもらっておりすすが、これもなるべく近く地方委譲の方向をもって処理したいと考えております。これは今日までの国の公害に対する姿勢を国民が受け取ります場合の一つの問題点、すなわち、一体それはどこの責任であって、したがって相談や苦情や心配ごとについてだれに相談に行けばいいのだということにこたえる一つの道でもありましょうし、また、国民が素朴に申しましても屎尿処理、くみ取り事業まで国家の自動車でやれと要求しているのではないという、良識あるやはり要求であるわけでありますから、そこらの区分を明確にすることが国民に今後の公害行政の進展の上で親切な方法ではなかろうか。ことに河川の水域指定等におきまして、直轄河川ですらもいまだ百幾つある中でごく二十数本しか指定がされておりませんし、このままの状態で作業を続けていきますと、経企庁の努力にもかかわらず、国が持っておるそのことによっていつまでも水系指定ができない。先般四十九水系をきめましたけれども、国から見れば全国四十九はたいへん数が多うございますが、各県の知事さんから考えれば、自分の県では一河川もしくは二河川というごく身近な、自分の知事の、広域自治体の責任者としてのいわは掌中——手のひらの中におさめられている問題として把握できる事柄だと私は思ったんです。そこで、今後はそのようなものも、人命に関する基準については、人の健康に関するものは、全国一律のきびしい基準を定めて、今後の水系指定等はその基準で指定があろうとなかろうと、都道府県知事さんがローカルの事情に合わせてやっていただきたい。さらに、環境基準等につきましても、これは地域によって基準が異なりますので、これをその一定の国のナショナル・ミニマムみたいなものを設定をいたしますと、たとえば一番、最もそういう大気汚染の度の強いところをやはりきめなければならぬと思うのです。その線を全国に示しますと、同じような公害を起こす現象の大気汚染がなされていても、それは国の示し基準以下であるという安易な受け取り方をされてはこれはいかぬということが一方ではあると思いますので、これらのところはやはり国において一つのケースを定めまして、こういう地域、こういうケースはこれぐらいのきびしい規制、それ以下のところでもこれくらいの規制はという、やはり仕分けは国のほうでしなくちゃならぬだろうと考えます。このような基本的な姿勢に立っておりますので、おおよそこれから各県が前向きに積極的にやられる姿勢は歓迎するところでありまして、東京都のいま素案となっております新しい公害対策のあり方については、原則的にはその方向を私たちは賛成するものであります。ただ、現行法がまだ改善されておりませんので、この改正はすみやかに基本法をはじめ諸法規を次の国会に全部提出する決意で、いま文字どおり不眠不休の努力をしておるわけでございますが、それが提出をされますまでの間は、厳密に四角張って申し上げれば、やはり法に定めている基準以上のものを、地方自治体のほうで条例できびしくするということは法違反であるというふうに言わざるを得ないと思います。しかし、この法律が国会で論議されて制定をされましたという結果、そのあとになってその法律が制定されたあとは、これはもうそのまま自動的に知事さんの権限のしんしゃくができる範囲内におさまるものが多いわけでございますから、極端な非常識でない限りはその中におさまっていくということになるでありましょう。したがって、現在の東京都の試案につきましては、中を詳しく私もまだ調べておりませんけれども、大別して、現在の法律ではやはり違法と言わざるを得ないケースのものが一つですね。さらに、今後私どもがいま準備しております、作業中の法律ができれば、それでおのずから解決されるであろうというものが一つ。さらに、その法律ができましても環境基準等の基準設定、もしくは規制等について、やはりこれは国で定めたものを守っていただきたい。それに従ってもらいたい。それと、その意味で少しそごを来たすおそれがあるという点は、若干もう少し詳しく調べなければわかりませんが、あるような感じがするわけであります。  第三は、国が今後法律をきれいに整備いたしましても、なおかつ広域自治体の責任者としての知事の手に自主規制というようなものをゆだねるべき範囲は残るわけでありますから、これらの点に触れておる点があれば、これはむしろそのローカルの事情に即した地方自治行政として公害の立場からたいへんけっこうなことであろう。あえて私たちが、法律がどこにもないことをやっちゃいかぬというふうに目くじらを立てるべき問題ではなかろう、こういうふうに大別三つに分類していま分析を急いでおるところでございます。
  92. 占部秀男

    占部秀男君 いま大臣が言われた最後の点でありますが、この三つに分類してという点については、またあとでひとつ最後にお伺いしたいと思いますが、その前に通産省にお伺いしたいのですが、今度のこの条例案で企業責任を強化しておるという点が数点あるのですが、その中でも一番問題となるのは、おそらく現行法ではまだはっきり規定していない、企業者が自分の営業活動からうんと廃棄物を自分の手でみずからの責任処理しよう、同時に処理すべき廃棄物が特に有害な場合には、無害に処理をした後に廃棄すべきである、こういう義務づけを与えようとしている点だと思うのですが、こういう点は現行法にはあまりはっきりしてないので、これは法律違反というわけにいかぬのじゃないかと、非常に進んだやり方じゃないかと思うのですが、その点、通産省はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  93. 莊清

    説明員(莊清君) いわゆる産業廃棄物の問題でございますが、公害が広域化しかつ深刻化しておるという認識のもとで、政府といたしましても、産業廃棄物問題を今後本格的に取り上げていかなければならない、かように存じまして、現在公害対策本部中心に関係各省集まりまして、今後の公害関係法令の整備の中で、産業廃棄物の処理をどういうふうに取り上げていくべきかということをいま事務的にいろいろ検討を進めておる段階でございます。東京都のほうで、条例の案でこの問題をお取り上げになっておるというのも、私どもこれは時代の当然の要請ではないか、かように、基本的にはさように存じております。
  94. 占部秀男

    占部秀男君 続いて通産省にお伺いしたいのですが、今度の規制の中でいまの問題というよりも大きな問題となるのは、現行の規制を強化した点、特にいろいろ強化しておりますが、二つの点が私は問題になるのじゃないかと思うのですが、一つは、大気汚染関係でありますけれども、現行法では、それは言うまでもなく、煙突を高くして排出量を規制して拡散させると、こういう方向でこれを規制しているわけですが、今度の都条例ではそれだけでは足りないので、というのは、何か千本とか二千本とかだいぶ煙突があるというので、それだけではとても押え切れないので、低硫黄の——硫黄量の少々い、何と申しますか重油に切りかえる勧告権を知事が持つとか、あるいは今度新しくできる大きな事業所、工場等については熱源を電気その他に切りかえるとか、こういうようなことを義務づけることによって、この大気汚染を押えようというような条例の内容になっておるわけなんですが、これがまあ都議会を通ると、これは現在の法律の規制と都条例の規制と二重規制のような形になると思うのです。しかし、これは現在の東京都の情勢から見て特殊な、すでに都内全体が汚染されてしまっておるというような状態から見て、ある程度やむを得ないのじゃないかと私は思うのですけれども、通産省としてはどういうようなお考えをとられますか、お伺いしたい。
  95. 莊清

    説明員(莊清君) 燃料の問題につきましては、現在の大気汚染防止法のもとにおきましても、いわゆる緊急事態が発生しました場合——スモック警報が出る場合でございます、こういう場合には、各都道府県知事が企業に対して、燃料の使い方の問題まで立ち入りまして具体的な指示をすることができるという制度は現にございます。今回の都条例の内容につきましては、これがどういう条例の規制のあり方としてどういう具体的なものであるのか、また運用がどうなのかということにつきましては私まだ詳細は存じておりませんですが、実は通産省におきましても、これはまだ事務的な検討の段階でございますが、たとえば都心過密地帯にありますビルの暖房等に使われる硫黄を含んだ燃料につきまして、はたして現在の規制のままでうまく規制が行なわれるであろうか。場合によっては燃料規制と申しますか、燃料の使い方そのものの規制にまで進まなければならないのではないかという問題意識が実は内々にございまして、現在事務的な検討をいろいろやっておる段階でございます。今回の東京都のほうの立案になっておられるものは、大体新設のものを中心にどうやらいわゆる特別排出基準と申しますか、新設のものについては強い燃料面の規制が要るのではないかというふうな基本的なお考えから発しておるのではないかとどうも見受けられるのでございますけれども、この点については、現在政府でやっております環境基準の設定につきましても、特別排出基準というふうな制度もございます。目的とするところは相似たところにあるかと存じます。ただ、一言通産省の立場として申し上げさしていただきますと、使用する重油の硫黄分の規制何%の硫黄分の重油を使用すべしと、こういう規制のしかたは非常に効果的ではございますけれども、同時に各都道府県で一斉にこういう御要請が起こってまいりました際に、やはり国のほうでいま進めております低硫黄重油の輸入とかあるいは重油の脱硫による低硫黄化というような燃料政策全体がございますので、それとの調整と申しますか、見合いにつきましては、十分今後とも政府と地方自治体のほうで緊密左連絡をとりながら全体としてうまく運営していく。こういうことが今後とも一般原則として大切ではなかろうかと、こういうように考えております。
  96. 占部秀男

    占部秀男君 通産省のほうでいま言われたとおり、低硫黄重油を使わせる使わせ方の問題、あるいは新しい事業所、工場に対する熱源転換のあり方、運営の問題、これが相当どういう形でやるかということが問題になると思うのですが、その点はまああとで、おそらく国との間の話し合い等も行なわれると思うのですけれども、いずれにしても、そういう方向ですね、進んだ方向、これについては別にこれを押えるという理由はないと思うのですが、そういう点はまあないと思うのですが、そういう点はいかがでしょうか。
  97. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) たとえば例を京葉工業地帯あるいは横浜、川崎地帯にとってみますと、現在のいわゆるK値規制によりまして対策が進められておるわけでございますが、われわれが対策を進めれば進めるほどその地区から排出されるSO2の総量が問題になってまいりまして、その総量をある程度の限度以下に押えませんと、煙突をいかに高くしてもドーナツ現象その他が起きまして、相当広域汚染が生ずるという点をわれわれ十分承知しております。したがいまして、現実の行政指導は町の総量をひとつ頭に描きまして、その範囲内でK値規制をやっていくというようなことに具体的に進んでおるわけでございます。そういう点から見まして、今回の東京都の考え方それ自身は、私事態の正確な把握の上に基づいた対策であろうかと思います。ただ長官が先ほど御説明申し上げましたように、現実の法律と条例の関係はまた別な関連がございますものですから、その点われわれこれから東京都と十分打ち合わせながら対策を進めていきたい、かように考えております。
  98. 占部秀男

    占部秀男君 その点はまたあとで長官にお伺いしますが、もう一つ、現行の規制を強化した中で、私は今度の改正案で大事だと思えるのは、自動車の排出ガスを規制するやり方の問題なんです。今度の改正案では、ある程度の警報なら警報を出さなくちゃならぬ。そういうようなときには公安委員会に頼んでこれを通じて警視庁に自動車を台数なり場合によったら立ち入り禁止のような形になる相当きつい措置をしてもらおうと、こういうような条例の内容になっているわけですが、この点についてはこれは非常にむずかしいいろいろな問題が起こると思うのですけれども、警察庁のほうとしては、こういう点についてはどうお考えになっておりますか、お伺いしたい。
  99. 竹岡勝美

    説明員(竹岡勝美君) 警察といたしまして、自動車の公害が非常に著しくなった場合におきまして、これを防止し、あるいは少なくするために強制的に自動車の通行を禁止また制限するということは、われわれも当然そうあるべきだと考えております。このため、たとえて申しますと、今度の東京都の条例のように、もし、十分な自動車公害の検知制度がとられまして、そうして検知せられた汚染度と、これを防止するためにどのような範囲で、あるいはどのような区域内において、また、どのような時間帯に自動車の通行を禁止すべきかという汚染度合いと、それからわれわれの考えております交通の規制範囲ですね、こういうものの相関関係がまだちょっと詰まっていないと思うのですが、こういう合理的な基準が設定されました場合には、公安委員会に自動車の通行を禁止しまたは制限されるよう要請されることはけっこうだと思っております。ただ問題が二つあると思います。その第一点の問題は、現在の御承知のとおり、道交法その他の法令のもとにおきましては、公安委員会が自動車の通行を禁止または制限するという強制権が発動できますのは、交通の安全と円滑をはかるためだけにしぼられておるわけでございます。それで排気ガスを防止するために車をとめようという権限は、いまのところ、残念ながらできません。それで先般も牛込柳町の例のときには、大型トラックだけはとめました、あるいは一方通行にしました、あるいは駐車禁止にしました、いわゆる交通の円滑化を表向きの理由にしまして、公害防止に貢献したわけでございます。それで警察庁におきましても、急にこういう問題が出てきましたので、できれば次の国会に道交法を改正しまして、公安委員会公害防止のために交通の規制権を付与してもらうということで、法の改正の準備中でございます。これが第一点の問題でございます。それから第二の問題は、先ほど先生から少しお話しございましたが、いわゆる汚染度とこれに見合った自動車の通行禁止なり制限の範囲をどの程度まで考えるか、これが一番むずかしい問題であります。御承知だと思いますけれども、たとえばロスアンゼルスの警報基準を見ていただきましても、車をとめるという強制的左措置をする第二警報ですね、第二警報は非常にCOですと二百PPM、O3では一・0PPMと非常に高い基準である。東京都のお考えになっておるより非常に高い、そういうことでロスアンゼルスでもいままでは自動車を強制的にとめるという第二警報はまだ発令されていないわけなんです。ほとんど第一警報の自粛を求めるというところでとどまっております。かりに非常に牛込柳町のような特定の地域におきまして、一酸化炭素COが非常に多量に検出されたから、これが減ずるまでの間、その地域だけに車の通行を制限する、これは私は道交法を改正すれば、技術的に十分可能だと思います。しかし、この場合でもじゃ車が迂回しました、迂回した範囲でCOが多くなったということもあり得ますので、できるだけ範囲外で検知ポストを備えてもらうということも当然願わなければならぬと思います。しかし、CO以外の光化学スモッグというような非常に広域にわたるものであって、しかもわれわれ聞いておりますときには必ずしも自動車の排気ガスだけでない、ああいう光化学スモッグのような場合に汚染の検知されました地域とそれから汚染物質の排出された地域、それとの相互関係、それから風向きその他を考え便して、その場合、どの程度でやはり車をとめるかというちょっと科学的な解明が十分されておりません。そういう点でわれわれも非常に多くの車に多大の影響を与えます強制権の発動でございますので、具体的な規制基準を至急考えなければなりませんけれども、現段階においてはちょっと警察もまだ自信がございませんので、勉強しておる段階でございます。聞くところによりますと、厚生省のほうでも警報基準を近く設定するということを聞いておりましたので、われわれのほうも、運輸省と厚生省とこの間から数回協議をやっておりまして、今後も協議を続けまして、厚生省のほうで警報基準がもし設定されるならば、それとの関連で警察のほうの規制基準も考えていきたい、このように考えておりますが、いずれにしましても自動車の場合は、人権まで及ぶ広範囲に及ぶこともありますので、できますならば全国的な基準としまして、法律を改正して公安委員会に権限を与えていただきたい。さらには国としてそうした全国共通のわれわれの規制基準が定められるのが一番望ましい。できるだけ東京都の要望にマッチするように、急いでそういう措置をとらなければならぬ、このように考えております。
  100. 占部秀男

    占部秀男君 最後に、いま政府側の各省の御答弁をいただきましたが、都の今度の条例改正が必ずしもいまの公害対策としては後向きのものでなく、前向きのものであると、こういう点についてはある程度政府側も理解をされておると思うんですが、問題は、長官が先ほど言われました今度の改正案の内容を分析すると三つあって、一つは法が改正されれば解決のつく問題、これはいいにしても、あとの問題、法が改正されても残る問題点があるかもしれませんが、その前にやはり違法は違法であるという言い方をされたわけでありますが、違法ということばの扱いの問題なんですが、形式的にはあるいは法律とたがうかもしれませんが、しかし、問題は都民の健康を守るというためのせっぱ詰まった条例の改正というわけで、今度の条例の改正にはおそらく東京都民は反対する者は一人もないと思うんですよ。そこで違法という形で機械的にこれを押えるというのじゃなく、やはり問題はいま条例案の内容を私も持ってきておりますが、相当運営その他で、この問題が、具体的問題の所在が違法であるか違法でないか、あるいはこれは広過ぎるかどうかという点なんですが、運営の内容によって相当変わってくる問題が事実上の問題として多いと思うんです。そこでこういう東京都の条例改正の問題点を単に違法であるといってきめつけて、これを押えるというようなことはないと思うんですけれども、そういうような違法でなく、やはり前向きに都の条例改正の何といいますか、内容を生かすように政府側としてもひとつ私は努力をしてもらうのが公害対策としていま喫緊に必要ではないかと、こういうふうに思いますので、この点、山中長官にお伺いをしたいことと、それからもう一つは、自治大臣に、これは同じような形ですが、自治体の行政の指導の責任に当たっておられるので、特にそういう点についての御見解を承りたい。これと同時に、都庁が、前回も私ここでやったのですが、公害局を設けようという考え方で自治省のほうに出しておるそうですが、地方自治法の中で一応都道府県の持つ各局部は規定をされておりますが、ワク外の扱いの問題もあるわけでありますから、したがって、ひとつ公害局のような問題点についてはやはり自治省としても前向きでひとつ賛成をする形で私はこれは扱ってもらって、早く都の、首都の公害問題の対策の基礎をつくるようにしてもらうのが政府としての責任ではないかと思うんで、その点もあわせてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  101. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 私はあえて固苦しく申し上げるならという前置きをしたつもりですが、しかし、東京都だって法律と条例の関係はよく御承知でありましょうから、役人諸君が原案をつくられるわけでしょう。でありますから、どうしても法が制定される前に急ぎたいのだという事情はわかりますけれども、解決策としてはやはり法制定も間近に迫っていることでもありますから、施行期日を延ばしておくなんという手もあるかもしれませんし、あるいはかりにそれを強行されても、これまた固苦しく言えばですが、強制権とはならない。それを守らなかった場合に、条例を、法律を越えた規制をもって強制した場合に、それが強制権として及ばない。ですから法律上はその人は極端にいうと聞かなくてもいいというしり抜けになるおそれがある、この点はあるだろうと考えます。
  102. 秋田大助

    ○国務大臣(秋田大助君) 第一点でございますが、法律と条例の関係は、これは法律的に表面的形式的に論ずるとなれば、条例は法律に違反できないわけであります。この点は明確でございます。事案は人の健康に関する問題で、具体的に言いますと、良好な自然環境の保持に関する具体的な問題でありますから、ことに法改正をして法律と条例との乖離及び矛盾を解決しようというこの過程におけるいろいろの問題点につきまして多少問題が生ずると思いますけれども、これらの問題はただいま総務長官からもお話のありましたとおりでございまして、ひとつ連絡を密にいたしまして、両者十分理解協調の上に実際の問題の解決をはかっていただきたい、自治省はこう考えております。  なお、東京都などで公害局をさらに一局創設したいという御意向のあることは伺っております。まだ正式の御提案は参っておらないように聞いておりますが、この点は公害問題の重要性、今日の現状等にかんがみまして十分検討しなければならないと考えておりますが、一方御承知のとおり、国、地方を通じまして行政の合理化、簡素化の要望もございますので、これらの点をよく勘案いたしまして、ただいま申し上げましたとおり人の健康保持に関する重要な問題でございまするから、よく検討をして誤りのないようにいたしたいと、概して前向きに十分理解をして検討いたしたい。同時に行政簡素化、合理化の要望にも沿うひとつ妥当な処置をいたしてまいりたい、もし御要望があればそうしたいと考えております。   〔理事久次米健太郎君退席、委員長着席〕
  103. 田中寿美子

    田中寿美子君 ただいま占部委員から東京都の公害防止条例の改正案に関連して、東京都と国の権限を中心にした御質問がございましたけれども、私きょうはたいへん時間をカットされましたので、長官に相当ゆっくり御質問するつもりでしたけれども、非常にはしょらなければならないので残念ですけれども、私はまず公害防止のための企業責任という観点で少し御質問したいと思います。ことに経済的責任のことについて、昨日衆議院の産業公害特別委員会で田子の浦港のヘドロの問題について参考人が出席いたしましたですね、そうして知事さんも富士の市長さんも大昭和製紙の社長さんもいらっしゃったわけです。そのときに渡辺富士市長さんが、あそこの排水処理には大手も中小もみんな合わせて八十八億はかかるだろうというふうに述べていらっしゃいます。また製紙企業のほうは、大昭和製紙の社長さんは製紙企業全体で七十億ぐらいかかる、そこで緊急措置として十五社で三億数千万円は出すつもりであると述べられたと新聞に出ております。なおまた、そのあと七億は受け持ってもいいという報道がされておりますが、こういうことについても田子の浦のヘドロの問題は、山中長官はこれはモデルケースとして処理する、解決するとおっしゃっているわけですが、この場合に八十八億円要るとしたら、この費用の負担はだれがすべきだというふうにお考えになっていらっしゃいますか、まずそれをお聞かせいただきたい。
  104. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 私はモデルケースとするという気持ちではなくて、典型的な、企業側が同一業種がほとんどの加害者になっておりますし、しかも長年のそれらの行為の蓄積が港湾機能麻痺というところの最悪の事態まで追い込んでいったという国、地方公共団体、業界あげての公害問題に対する今日までの考え方がどうだったのかという問題を含んでいると思いますので、その意味でこの解決策が一つの試金石になるというふうにいっておるわけです。しかし、今日のそれらのヘドロのすでに堆積してしまったものの排除から始まる一連の公害を防除する施設に至るまで、大体一義的に起因者である企業者の負担にするというのが原則でございます。したがって、先般とりました公害防止事業団の緊急融資十億、あるいは転貸債で企業側からあとから払ってもらう起債七億、これも含めまして全部企業がこれを返していただくと、返済の義務は企業にあるということを明確にいたしました。なお、今後に残された問題は、基本法によって別に法律で定めることを要求いたしております企業の費用負担区分の問題これがあるわけでございますが、これもただいまのような思想を前提にいたしまして最高一〇〇%というもの、すなわち、明確に企業自身の責任がはっきりしているものについては一〇〇%、以下それぞれの事業の対象、種類、態様、あるいはそれに対する事業者の感覚の度合い、こういうものを関連しながら、法律で求めている費用の範囲あるいは対象事業者、その算出方法等、いずれも産業構造審議会あるいは厚生大臣の私的諮問機関の委員会、それらの出されました案を前提といたしましてこれから私の手元で作業をいたしていきますけれども、方向としては、企業が一義的な責任を負うということについては変わりはないつもりでございます。
  105. 田中寿美子

    田中寿美子君 いま基本法二十二条に基づいて、企業が第一義的に公害防除の費用の負担をすべきだ、その原則をおっしゃいました。それは私は賛成ですけれども、通産省の産業構造審議会の公害部会の答申では、厚生省のほうの大臣の諮問機関の考え方と多少食い違っておりますね。産業構造審議会のほうでは、企業の負担に関しては諮問機関を置いてやるんだ。それから厚生省のほうの審議会のほうでは、事業者の負担を二分の一ないし三分の一でしたか、あと自治体、国の負担とすべきであると。そういうものについてはどういう点を負担すべきだというふうにお考えでございますか。たとえばいまの田子の浦の場合は、排水口はこれは公の費用でございますね。それなんかについて、これも企業の負担とすべきだというふうにお考えでございますか、どうですか。それからしゅんせつ、ヘドロを出していく作業、そういったものに対してはどこが負担をすべきだというふうにお考えでございますか。
  106. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 全般論と田子の浦の個別のケースとの二つに分けてお答えいたします。  全般論としては、通産省の産業構造審議会の公害部会の中間報告、これも掬すべき点がございます。また、厚生大臣の私的諮問機関の答申にいたしましても、具体的な根拠を示した点で傾聴に値する意見でございます。そのいずれの長所も取り入れていくという考え方と、両方とも法律が要求している費用の算出方式というものについて触れていない、その点がやはり私どもがこれから本部において作業をして最終的に法律化していくという国の大きな問題の一つになろうかと思います。さらにそれらの事業中、公害防除のための事業として国、地方公共団体が関与して行なうものについては、まずその答申に双方、感触並びに具体的な比率が示されております根拠として、企業の費用負担の範囲を定め、そしてその残りを国がどれだけ負担するかについては、少なくとも今日の公害対策について国の責任のあり方を示すためにも、通常の同種の事業に行なわれる補助率ではあり得ないことだ、補助率ではやってはいけないことだと思いますので、俗にいう補助率のかさ上げ、いわゆる補助率引き上げ等の国の誠意を示さなくちゃならないでありましょうし、また、その残りの部門と言えば関係する地方公共団体でございますが、それぞれまた国の誠意に対応して一応の負担は国のかさ上げした分だけ少なくなるわけですけれども、その残りはやはり財政上の起債その他の措置を講じながら、全面的に中央も地方も、さらに企業も一貫した姿勢を持って積極的に臨んでいくことになると思います。  田子の浦のケースについて申し上げますならば、すでに蓄積されたヘドロ、あるいは排出を続けるいわゆる通常ヘドロは、どこの海にでもたまっているものを言うとすれば、その上にパルブ廃液による堆積ヘドロという部門の除去する作業については、これはあくまでも融資は事業団その他から見るといたしましても、これは企業の負担であります。さらに岳南排水路という形で建設省の立場から県が行なっております事業については、これは国も県も負担をしますが、それに対する企業側の負担は今日まで話し合いで行なわれておりますけれども、費用負担の法律が出ますと、これがきちんとした法律の根拠によって費用負担を義務づけられることになるわけであります。これにつきましては法の二十四条で、基本法でいっておりまする国がそれらの業者に対して配慮しなければならない、いわゆる金融あるいは税等の措置等について応分の配慮をしなければならぬと同時に、特にその第二項で、中小企業に対して十分の配慮をせいと書いてございますから、中小企業者についてはさらに防除施設そのものによって直ちに倒産というようなことにならない配慮は、国のほうに基本法の命によってそれをささえる義務が課せられておるものと考えまして、それらの点をこれから具体的に詰めていくつもりでございます。
  107. 田中寿美子

    田中寿美子君 中小企業に対しては十分いろいろな手だてを講じて援助していくべきだと私も思います。  先ほど厚生省公害防止費用研究会ですか、これは厚生大臣の私的な諮問機関だそうですけれども一についてはちょっと訂正いたします。その考え方は全額負担から三分の一負担まであるというようなことを答申しているようでございます。そこで、たとえば私はここの田子の浦、富士の製紙工場じゃありませんけれども、そのほか幾つかパルプの工場なんかを見まして、活性汚泥法というので排水をきれいにして流しますね。その場合にスラッジというのが出ますね、やっぱりヘドロみたいなもの、それをすくって構内に積み上げておるところがありますけれども、一体あれを始末するのがだれの責任かということを工場に聞きましたら、これは愛知県の工場ですが、企業の側の責任というふうに考えていないようなところがある。つまりこれはごみ処理と同じように地方自治体が責任を持つべきではないかという考え方の人があったのですが、その辺はどうお考えになりますか、通産省のお考えも聞きたい。
  108. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 要するに公害というのは、人類が生活向上のために前進する過程において、その英知のゆえに進むこともしますが、その過程で無用のものを排出することが起こってくる。その無用のものを排出されたものについて、人類の英知でこれを解決できるかできないかという問題だと思うのです。それらのことを考えますと、それらの無用のものを排出したのは地方公共団体ではないわけでありますから、やはりどのような誠意を持って、どの過程まで努力をしてうまくやっておる企業であるといっても、最終的そういう残津に至る処理までこれはやはり産業廃棄物という形でとらえていって、企業自体の責任を私は一義的に求めるべきものと考えます。今後この公害基本法を改正するにあたりまして、後ほど御質問等も出るでありましょうが、土壌汚染等は典型公害の中に入れていくつもりであります。しかし、産業廃棄物という概念は新しい公害の形態としてつかまえていこうと思いますが、法の第二条にいう典型公害の中に入るには少し問題がありまして、それは、いわゆる公害を起こす原因となった場合の産業廃棄物は全部土壌まで入れますとくまなくつかまえることができるわけです。そうすると、それ以前の産業廃棄物は何かというと、心はり空間の不法占拠というようなことになるでありましょうし、ただいまあなたのおっしゃいました、まさに処理はしてしまった、あとは清掃法か何かでやってくださいというその空間の占拠等は法律のどこかに、典型公害に盛り込まなくても、第三条の事業者の責務か、もしくは第十二条の中に、産業廃棄物あるいは生活環境廃棄物というものを明確に基本法でも打ち出していきたいと思っておりますから、余分なことまで申し上げるかむしれませんが、御質問の点では、その点も企業側の責任処理さるべきものであるというふうに考えております。
  109. 田中寿美子

    田中寿美子君 私がちょうど思っていたことを言ってくださったので、長官それを実施していただきたいですね。この前のときも私は公害対策基本法の定義をもっと拡大して産業廃棄物、それから土壌の汚染というものを入れてほしいということも申し上げました。いま企業生産の途中で出すスラッジを、それを産業廃棄物としてあくまで処理するつもりだという立場に非常に賛成でございますから、それを推し進めていっていただきたいのです。たとえばカドミウム汚染された神岡鉱山の神通川の上流地域なんかでも、あれは長い間カドミウムが山のように積み上げてあります。あれに雨が降りそそいで、そして神通川に流れ込むという点も確かにあるし、土壌の中に入り込んでいるということも言われると思います。そういうことから企業責任はぜひ非常に明確にさせて、その責任をとらせるという立場をとっていただきたい。たくさんの質問をしにくいのですが、時間がありませんから進みたいと思いますが、企業に対して公害防止のいろいろの施設をするのについて優遇措置を考えていらっしゃるのですね。これまでも特別償却だとか減税とかいうことがあったわけですが、さらに今度産業廃棄物を無害化するための装置をつくると、それに対しては減価償却をするというようなこと、特別減価償却のような制度を、優遇措置をいままで与えているわけですが、さらに今度……。これは企業の人に会いますと、たとえばいまのパルプの水をきれいにした、その水を鉄鋼産業なんかの場合、特にその水をまた使っておるわけですね、工業用水として。その施設を公害防除施設というふうに考えて優遇してもらいたいという気持ちがあるのですが、このようなことはまさかお認めにならないと思いますが、いかがですか。それから租税特別措置の対象にするというようなことが企業公害防止施設に対してあるようですけれども、考え方、その辺はどうですか。
  110. 莊清

    説明員(莊清君) 廃水の回収利用設備等につきましては、従来租税特別措置の上では、これは生産設備の一種類である、公害防止施設かもしれぬが、同時に生産施設の一種類であるというふうな財政当局の判断等もございまして、御指摘のとおり特別の優遇措置が講ぜられておりませんですから、実は廃水を再循環させて使うという場合には、むしろ工業用水等を直接引いてきて使うというときよりも企業としてはコストがかかるというふう表面も実はございます。したがいまして、今後はこれも公害防除施設ということにぜひ含めまして特別償却の対象にもするし、あるいは地方税である固定資産税の減免につきましても他の施設同様な扱いをぜひすべきであると通産省としてはかように考えて明年度ぜひ実現をさせたい、努力をする所存でございます。
  111. 田中寿美子

    田中寿美子君 そうしますと、大きな鉄鋼メーカーなんかがいま大量に水を再利用している、ああいうのがみんなそういうカテゴリーに入るわけですか。
  112. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 御指摘の鉄鋼業は再利用の中の一番大きな工場でございますが、再利用の場合でもたとえば二種類ございまして、一種類は冷却用水の再利用、これはただ熱が上がった水を一ぺん下げまして、再び冷却用水に使うということでございまして、これに関しては、ただいま局長が説明申し上げましたようなコスト的主要素はあまり大きくはないかと思います。それ以外に今度は薬品その他を使いまして、非常に汚濁した水を新しい設備にかけまして、それをきれいな水にして再び生産工程で使うという場合には非常に多額の設備投資が要りまして、非常に多額につくという二種類あるわけでございますが、ただいまの特別償却、あるいは固定資産税の減免の対象になるのは後者の設備を中心に考えてしかるべきではないかというぐあいに考えます。
  113. 田中寿美子

    田中寿美子君 それはたいへんに重大な問題で、もっと検討して議論したいのですけれども時間がありませんが、たいへん大きなメーカーがそれを期待しているようなんですが、その辺私問題があると思いますので、長官、よく研究してみてください。
  114. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 私のほうでいま各省の公害関係予算、機構の新設等については、私のほうで全面的にスクリーンする作業をやっております。政府全体の姿勢が、予算でもバランスがとれたような形が出るようにというつもりでやっておりますが、税の問題につきましても税制、金融をひっくるめまして、対策本部のほうでさらに各省の要望を聞いて、大蔵省と話を進めていく責任の私は窓口にしたいと考えておりますので、ただいまのは通産省の考え方としてお聞き取りを願って、これから先、いろいろのことを検討していく過程では、田中議員の御質問も参考にして進めてまいります。
  115. 田中寿美子

    田中寿美子君 それでいまコストの話が出たのですけれども、先ほど占部委員からも低硫黄化の問題が出て、たとえば東京都条例の改正案の中に、低硫黄化を強化するのだということが出ているのですけれども公害というのは発生するところで押えるのが一番いいわけでありますから、排煙脱硫をしたり重油脱硫をするよりは低硫黄の石油を使うほうがいいんですけれども、その需給の見通しが非常に危くなってきた。一体どうするかということなんですが、あるいは低硫黄の、いまでしたらミナス石油以外に入ってこない状況ですが、それを使うことによってコストが上がっていく、そのために石油精製品が上がっていく。先ほど鉄鋼業で公害防除施設をするために非常に費用がかかったから、それで製品のコストに入れていくということになりますと、物価全体を引き上げる大きな作用を持ちますので、その辺をどういうように押えるおつもりか。
  116. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 関係閣僚会議には必ず経企庁長官からも、その方面の発言もありましょうから、入れて会議をしておるわけであります。その場合において配慮していかなければならないことは、世界全般の傾向としても、アメリカ側で言ったとか言わないとか言っておりますように、日本企業が低コストのダンピング、なぐり込みをかけてくる理由の一つ公害対策なんかに金を使わないで、そうして安いもので持ってくるのだという意見があったやに聞いておりますが、国内的にも、やはり今日の選択権は消費者にあるということから考えますと、企業公害防止をやらなければならない。これはいわゆる反社会的な企業の存在は、地域的にも国家社会的にも許されない事態を迎えつつある。これは産業人の自覚を促さなければならぬし、そういう事態に来ておると思うのです。現に公害を出しておる企業だと言われただけで、企業が求人をいたしましてわずか三名しか応募者がなかったという事態は、これは一企業のみならず相当公害関連企業の経営者にはショックを与えただろうと思うんです。これはやっぱり企業の存立を危うくする現象であると言わなければ在りません、事態はそこまで進んでおるわけでありますから。でありますので、企業側において自分たちがそれをコストの中に消化していく努力というものが当然行なわれなければならぬと思うんです。ある企業の製品は、その企業界の努力によってそれが公害防除施設を当然のなすべき施設として、収益に貢献しない部門であってもそれをのみ込んで、コストの中で可能な限りの消化をなし得た商品価格と、一方においては安易に収益に貢献しない防除施設に金を投じたから、その点は製品に添加だといった商品のどちらかを選択するかは自明の理である。そうすると、その立場においても企業側はまず自己努力によってその価格面へのはね返りを吸収していくという努力がまさに課せられた急務であろうと私は見ておるわけでございます。
  117. 田中寿美子

    田中寿美子君 公害対策本部というのはほんとうに公害をなくすために環境をよくしたり、人間の健康を守ったり、自然を守ったりするのが一番の使命だと思いますから、そのお立場からすべてを考えていただきたいと思います。いまおっしゃったようなことをぜひ実行していただきたい。  先ほど土壌汚染のことを長官御自身からおっしゃいました。前回、私そのことに触れましたけれども、長官はもう退席なさいましたので、あまりはっきり覚えていらっしゃらないかと思いますけれども、BHC、DDT、ドリン剤、その他有機塩素系の農薬が土壌を汚染する、水も汚染いたします。ときには空中散布で空気も汚染する。だから環境汚染するものとして公害の中でぜひ大きな地位を与えて、そして本格的に取り組んでいただきたいと考えておりますが、先ほど土壌汚染を入れるという御決心のようでしたから、公害対策基本法をぜひそういうふうに改正してもらいたいと思います。  で、この農薬、ことにBHCを中心にして私ずっと質問を続けておりますので、まだほんとうに納得し解決がつくまでは毎回続けようと思っております。  ところで、衆議院の物価対策特別委員会のほうで農薬取締法を改正する意思があるというふうなお答えを農林省の方がしていられたと思いますが、その内容はどんなふうな、要点ですね、どういうところをどういうふうに取りかえようと思っているかというところを伺いたい。
  118. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) こまかな改正の、いま検討の内容については農林省参っておりますれば説明すると思いますが、農薬の角度から公害をとらえた場合には二つに分けられると思うんです。  一つは農薬そのものが直ちに公害を起こす、あるいはくだものその他に付着したことによってそれが公害になっていくという問題と、土壌を媒体としてそこで蓄積されたものが土壌から実った収穫物を通じて累積した蓄積が繰り返されていく、いわゆる媒体としての土壌という立場とがあろうと思いますが、その意味ではこれは一方だけではできませんので、土壌汚染というものを典型公害の中に入れましたならば、必ずその典型公害の取り締まり法というものをつくらなければなりませんが、その際にこれらは現在の見通しでありまして、はっきりはしないかもしれませんが、農薬取締法の改正というものも公害の角度に合わせて一方にはやってもらう、そして土壌汚染に対して公害基本法に掲示したことの取り締まりについては、別途の違った法律でもって取り締まることになるのでは左かろうかというふうにいまの段階では考えておりますが、これから農林省と詰めてまいります。
  119. 田中寿美子

    田中寿美子君 それで、その農薬取締法の改正のときにしり抜けにならないようにしていただきたいわけなんです。たとえばいま牛乳の抗生物質のことが問題になりましたときにも、薬品に関して抗生物質というのは要指示薬である。農薬も実は非常にあぶないものがたくさんありますから、買い入れた農家がどこからどれだけの分量を買い入れたかということがわかるような方法をとるべきじゃないかと思うんですがね。そういうことは考えていらっしゃるかどうか。いままでの登録制ですが、登録の取り消しもできるようにしなければいけない、農協を通じて買い入れる農家だけではございませんので。それで農薬がどういうふうなルートを通ってどういう農薬が農民の手に入っておるかということをわかるようにできないか。
  120. 福田秀夫

    説明員(福田秀夫君) 農薬取締法の改正につきましては、ただいま事務的にいろいろ検討いたしておりますが、どういう内容かという御質問もございましたと思いますが、この内容としますというと、直接的な農薬を使う場合の被害の問題あるいはくだもの、食品等に残って残留毒性としての被害の問題、あるいは土壌汚染、水質汚染等々の環境汚染の問題等があるかと思いますが、これらに関しましては現在それぞれ急性の直接的左毒性に関しましては、毒物劇物取締法というものもございますし、残留毒性に関しましては食品衛生法というようなものもございますし、また、水質のほうでは水質基準というものもできておりますので、これらの関係法規との関係につきましていま鋭意詰めておるところでございます。  なお、御指摘のございました流通段階のチェックというようなことでございますが、この点につきましてもただいま申しましたいろいろな意味におきまして、人体の保健衛生あるいは生活環境等に悪い影響があると思われる農薬というものをチェックいたしまして、特にそういった農薬につきましては流通過程等々のチェックができるようなことも考えてまいりたいと考えております。
  121. 田中寿美子

    田中寿美子君 いまのはっきりしませんけれども、ぜひこれは督促してちゃんとしり抜けにならないような取締法にしていただきたいと思います。  そこで農薬の現在農民の手持ち量でございますが、この前のこの委員会で、近いうち農林省のほうがこれは把握し調査しているから、その結果は知らせるとおっしゃいましたけれども、まだその結果が出ていないようなんですね。それで農政局の方にお尋ねをいたしますと、現在今年度出回っている農薬、BHC農薬の量ですが、BHCを中心とする農薬の量、三万トンというふうに言われるのですけれども、その数字は事実でございますか。
  122. 福田秀夫

    説明員(福田秀夫君) 農薬取締法によりまして製造メーカー、原体メーカー等々が毎月報告をすることになっておりますので、それらの報告をもとにいたしまして、毎年農薬の生産出荷統計をつくっておるわけでございますが、本年度に関しまして各方面から調べました数字は毎度御答弁申し上げておりますように、三万トンということに現在なっております。
  123. 田中寿美子

    田中寿美子君 ことしの四月、五月でしたかの委員会のときに、私は四十三年度のBHC農薬の使用量の全国の表をいただいたんですが、ぜひ昭和四十四年度の表をいただきたいと思います。で、私たいへん三万トンという数字に疑問を持っているわけです。いま農薬取締法によってメーカーから出たものについて、というふうにおっしゃったんですけれども、実はNHKが農薬についての調査をしているのを御存じだと思います。何回か報道されておりますが、五月の段階で各県の農協連を通じてNHKが調べたときに、東北地方で一万七千トンの農薬が出回っておった。それでこれは東北地方だけでなく、全国をやったわけですね。たとえば愛知県なんか六百九十トンというBHC農薬が出ている。岐阜県が二百何トン。そういうことでずっと推定してみると、まだいま七月の段階で、現在の段階でもNHKは調査しているわけなんです、その集計をすると大体推定して九万トンぐらいの農薬が出回っているように思われる。農林省の方は、前回も三万トンぐらい出回っているので、例年の三分の一とおっしゃいましたから、例年は大体九万トンぐらい出ているだろうと思うのですね。それでどうも例年どおり出回っているんじゃないかということを非常に疑うわけなんですけれども、この辺はいやそうじゃない言われれば、もう水かけ論になります。ただ農薬要覧で四十三年度BHC四万五千六百九十五トン、BHC原体の生産量ですね。私はどうしてもこれはふに落ちないで困っているのですが、よくわかるように説明してほしいのですが、ガンマBHCの原体の量とそれから農薬に製剤した分量との関係、それからBHC原体というものの関係、その辺をこの四万五千六百九十五トンの四十三年度のこの数字というものは、これはBHC原体と書いてあるのですね。で、さっき三万トンとおっしゃったのは全農薬の製剤の量ですか。
  124. 福田秀夫

    説明員(福田秀夫君) 三万トンと申し上げてありますのはBHCを含む製剤の量でございます、
  125. 田中寿美子

    田中寿美子君 ですから、この四万五千六百九十五トンの原体生産量というのは、これはどういうことですか。
  126. 福田秀夫

    説明員(福田秀夫君) 原体はガンマBHCを三%含んでおりますので、それは……。
  127. 田中寿美子

    田中寿美子君 だから、BHCもみな入っているわけですね。まああまりこんなことで時間をとってしまってもあれですから、あとでまた……。私、何べん聞いてもどうもよくわからない。どうもすみません。  それで、農林省がやっていらっしゃる調査のしかたというものは聞き取りでございますね。これは、農協から出てきたものは農協で聞いていらっしゃるのだと思うのですが、特に個々の農家の中で持っている手持ち量というものがやっぱりあるわけですね。ですから、その辺までを知ることができないのでしょうか。たとえば愛知県は全般使っていないというのに、牛乳のBHCがずいぶん出ているのですね。あれは七月でしたかね、〇・六四何ぼか出ている。これは持っていないというはずですけれども。そうして、共同防除のときには使っていないけれども、個々の農家が持っているものがあったり、それから製造していないとおっしゃっているけれども、はたしてBHC工業界が輸出用以外には国内向けの製造をしていないかどうか。あるいはメーカーに流れてメーカーが製剤していないかどうか、この辺ははっきりおわかりになりますか。
  128. 福田秀夫

    説明員(福田秀夫君) 昨年の十二月十日以後、原体の製造はされていないと確信いたしております。で、昨年の末におきます原体在庫が九千八百五十トンでございまして、製剤メーカーにおけるそのときの在庫量が粉剤及び粒剤とで二万六千六百トンあったわけでございます。その後、ただいま申し上げましたBHCの原体が国内向けに製剤として加工された分が原体といたしまして千三百九十一トン、製剤に直しますと約四千トンになります。そこで、製剤としましては、本年度出回るべき量が三万六百トンということになろうかと思います。なおまた、原体は九千八百五十トンの中から千三百九十一トンが製剤化されましたので、原体といたしましてはその差額が六千幾らになるかと思いますが——が残るわけでございますが、そのうち一月から三月差でに輸出されました分が二千百七十トンございますので、本年三月末で二千二百八十六トンの原体が残っているということになろうかと思います。
  129. 田中寿美子

    田中寿美子君 数字の上でそういうふうになっているのですけれども、実際にそれでは牛乳に出てくるし、お茶にも出てくるし、いろいろなものに出てくるわけですね。つまり、これはいつまでも残留しているのだからということであれば、それもまた問題だと思います。  で、きょうは、私はいろいろなたくさんの方に来ていただいて、畜産局の方、厚生省の方に来ていただいておりますのですが、時間がなくなりました。で、一つ疑問を投げかけたいと思いますが、BHCというものははたして効果があるのかどうかというところの問題なんです。たとえば高知県、鳥取県、その他幾つかの県で、もうBHCは米の農薬としてもあまり有効ではないということも言って、そしてカーバメイト系の農薬に切りかえたり、有機燐剤に切りかえたりしております。ところが、長崎県でことし牛乳から非常に大きな数値のBHCが出まして、そのときの理由として農林省の御説明では、ウンカが発生したので大量のBHCを使ったと言うわけです。ところが、BHCというのは、私も少し調べてみたんですけれども、ニ化メイ虫に一番よくきくわけですね。それで、ある人によると、もうウンカにはきかなくなっている、もうきかない、最初はきいたけれどもきかないのだ。そこで長崎県ではあまりたくさんニ化メイ虫に対してBHCを入れ過ぎたために、これはBHCというのはツチグモを殺す、だから、それはウンカを発生させる、ウンカの天敵であるところのツチグモを殺してしまう、だから非常にたくさんのウンカがあそこは発生したのだ、その発生したときになってBHCをかけてもあまり役には立たないというような話を研究者から聞いたんでございますが、そういうことになりますと、非常に無意味にむだなBHCを大量にかけているということになるんじゃないか。農林省はそういうことを非常によく研究していただきたいのです。おたくは農林水産技術会議を持っている、農業技術研究所でもこういう問題は研究していらっしゃって、私も何回か前の委員会の前に調べたところが、お答えを出してくださらなかった、研究は外に出せませんとおっしゃった、そういうことでは困りますので、農林省の中に圧力があったのでは困りますから、実際をよく出していただいて、不必要なBHCを使わしていて、しかもそれが人体や動物やその他いろんなものに残留して有害な作用を起こすというようなことになるのでは困るということを申し上げて、私はこれを申し上げて、きょうは牛乳の問題に入れませんでしたので、この次に譲りたいと思いますので、おいでいただいた方にはどうもすみませんでした。
  130. 福田秀夫

    説明員(福田秀夫君) BHCは二十五年ぐらい前からわが国の農業に使われておりましたけれども、これは非常に多くの害虫に有効でございまして、当時はほかの農薬もございませんでしたので、もっぱらBHCしかないということで、二化メイ虫、ウンカ、その他いろいろな害虫にBHCが使われてまいりました。御指摘のように、二化メイ虫に対して非常に有効であったという御指摘でございますが、実はそれほど有効でもございません。それで、その後有機燐剤というものが発明されまして、パラチオンでございますが、それでようやく二化メイ虫の防除というものが可能になったといわれております。稲作栽培体系に革命的な非常に大きな影響を与えたわけでございます。ウンカのほうにはもっぱらBHCが長い年月使われてまいったわけでございますが、その後パラチオンがたいへん毒性が強いということで規制をいたしまして、在るべくそういうものは使わないようにという指導をいたしましたものですから、また、二化メイ虫に対しましてはパラチオンと並んでBHCも両横綱のように使われてまいりました。ウンカには、依然として長い間BHCの独断場であったわけでございますが、その後カーバメイト系殺虫剤等が開発されまして、これがまたウンカにきくということで、カーバメイト剤とBHCと両方使われてまいりました。その後有機燐剤はメイ虫にはさくけれども、また、カーバメイトはウンカにきくということもございますが、BHCが何ぶん非常に安いということと、両方にそれぞれきくということで、たいへん便利な薬であるBHCをやめますというと、農家は、対象の害虫によりまして、この場合はどの薬、この場合はどの薬というふうに薬を選ばなければならないというわずらわしさがあるということと、かつ、価格が高いという点でBHCのほうが一般農家には人気があったようでございます。しかし、農林省としましてはほかにこういう薬も使えるという指導をしておったわけでございます。その後農家としてはそういう選択のわずらわしさ等々あるいは防除、消毒ということからBHCとカーバメイトあるいはドリン剤という混合したような薬というものがたいへん人気が出まして、そのような薬が何年かにわたって長く使われてまいりました。これらの結果から、先生指摘のように、ウンカ類というのは一年のうちに五代も六代も世代を繰り返す虫でございますので、いわゆる抵抗性がつきやすいという傾向がございまして、一部の地方のウンカにはBHCがきかなくなったというような話が出てまいりました。一部の地方と申しますのは、御指摘のように、高知県等がウンカの発生が多くて、比較的BHCをよけい使ったところが、ウンカの中にこれに耐性を持つものができてきたというような傾向もあらわれてまいりまして、それらの地方では必然的にほかの薬を使わざるを得ないというようなことになってまいりましたが、その抵抗性というものは非常に局部的に点々と出ておりますので、たとえば高知県と申しましても、高知県の中にもきかない地方もあり、きく地方もあるということで、県全体としてはBHCも使われる、カーバメイト剤も使われるということで今日までまいった次第でございます。それで、牛乳の中から検出されたというようなことから一それからもう一つは、クモのお話がございましたが、なるほど近年の研究でもって、最初に申しましたBHCはどの虫にもきくというものでございますから、御質問にございましたクモも殺しているわけでございます。これらのクモがウンカ類に対して天敵的役割りをしておったということもわかってまいりまして、最近クモを殺さないでかつ害虫を殺すよう主薬がないかというような研究もいま行なわれているわけでございます。一部の県あるいはそのようなことをだんだんわかってまいりました試験場の方々等からわれわれもそういう話をたくさん聞いております。また、印刷されたもので出ておりますので、特にそれを、そういう話を封じているというようなことは毛頭ございません。学会の報告その他、そこら辺の雑誌に幾らでも出ておりまして、そういった方向でこれからは検討を進め、研究を進めてまいりたいと思っておりますが、何ぶんBHCとはたいへん便利で安い薬であったものでございますから、農家における人気というものがございまして、かなりの量が使われてきたという次第でございます。
  131. 小平芳平

    小平芳平君 私は、最初にお尋ねしたいことは、工場排水の規制はどこがするかという点です。で、一例を申し上げますと、日本水素小名浜工場というのがあります。福島県です。この日本水素小名浜工場から出ている工場排水が、会社説明によりますと毎時四千トンが出ております。で、会社説明によりますと、この四千トンの工場排水の中には二PPMのシアンが含まれている、このように会社説明しております。したがって、この四千トンの工場排水が二PPMのシアンを含んでいるとなりますと、それを百万分の一で計算しますと八キログラムというものが毎時シアンが流れ出しているという計算になります。で、その工場排水が二PPMで間違いなく出ているかということになりますと、今度は県の衛生研究所が五月から調査した結果によりますと、海水で三・五一PPMというものが検出されている。そうなると、海水で三・五一PPMだと、工場排水の二PPMというものがもう疑わしいわけです。あるいはそれ以上に大量のシアンが流れ出しているんではないかということが十分想像がつくわけです。そうして、このシアンは毒性の強いものであって、新聞の報道によりますと致死量はっ〇・〇六ミリグラムと、こうなっております。したがって、〇・〇六ミリグラムで先ほど申し上げました八キログラムを割りますと、一億三千万人——一時間に排水されているこのシアンからちょうど適量にみんなが致死量のシアンを飲んだとすれば一億三千万人の人が死ぬだけのシアンが毎時間流れ出しているという計算になっているわけです。それすらもこの県衛研の調査によると、海の段階で三・五一というんですから、二PPMをこしているということが十分考えられる。こういうような大量の毒物を間断なく排出しているということは、あとで申し上げますが、漁業者にはもう大被害を、大恐慌を与えているのです。こういう点は一体どこが規制すべきですか。
  132. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 先生御承知のように、工排法の責任者は、各その業種の主務大臣ということになっておるわけでございますが、ただ指定地域制をとっておる関係上、指定地域外につきましては原則として県が条例に基づきまして規制をするという現行法の体制になっております。ただいま御指摘日本水素の存在いたします小名浜地区は、まだ指定水域外でございますので、現在県条例で県がこれを規制しておるというのが実態でございます。で、御指摘の二PPM、毎時水量にいたしまして約四千トンというものが出ておりまして、確かにシアンの絶対量は非常に大きいわけでございまして、この点通産省も県当局と十分連絡を取りながら監督は続けておるわけでございます。三・五一PPMが海水調査で検出されたということは、おそらくある時点におきまして二PPMの規制値以上のものが出たおそれが多分にあるわけでございますが、そのいかなる形でそれが排出されたかという点につきましては県当局といろいろ共同して調査してみたのですが、いまだ実態がわかっておりません。ただそのままの形では非常に大きな影響があることは当然でございますので、現在この工場に対しまして緊急対策として、次亜塩素酸ソーダによりまして化学的にシアンを分解させる、これはもう全くその結果無害になりますので緊急対策としてはそういうことをとらせるとともに、恒久対策も考えまして、一ぺん大気中に曝気いたしまして、その曝気したあとのスラッジを燃焼させる、これが一番確実な方法でございますので、その工事の施行方を県と共同いたしまして現在進めておるわけでございますが、ただいまの見通しでは、本年の十月中にはこの設備が完成するであろうということになっております。この設備が完成いたしますと、いわゆる指定水域で定められております水質基準、これは一PPMでございまして、この一PPM以下の水質の確保は十分可能である、かように考えている次第であります。
  133. 小平芳平

    小平芳平君 すぐその指定水域外、内といいますけれども、実際被害を受けている漁民あるいは地域住民にとっては、指定水域であるから、指定水域でないから被害を受けてもがまんしろという理由が成り立たないわけですよね。それでその県条例の二PPMというものも問題があると思うのですね。健康にかかる環境基準では、公共水域から検出されてはならないわけでしょう、健康にかかる環境基準では。それを、政府は健康にかかる環境基準で、シアンは検出されてはならないといいながら、一方ではこのような大量のシアンが放出されているというこの矛盾、これはどのように考えますか。
  134. 西川喬

    説明員(西川喬君) 国民の健康にかかわります水の環境基準といたしましては「検出されてはならないこと」とこういうふうに決定いたしてございますが、この基礎となりました数字は、「検出されてはならない」と申しますのが、現在のJISに基づきます検出方法というのに基づいて「検出されてはならない」ということにいたしてございまして、現在の検出限界を〇・一PPMと考えております。JISにきまっております検出限界が〇・一PPMでございます。〇・一PPM、いわゆる「検出されてはならないこと」といいますのは、定量的に見ました場合〇・一PPMをこしてはならない、このように考えておるわけでございます。  排水基準のほうにおきましては、通常大体、排水口から排水されました場合に直ちにこれが約十倍に希釈されるということを考えておりまして、その〇.一PPM、検出されてはならない検出限界〇・一PPM、それの十倍希釈ということで排出限界を一PPMというふうにきめておるわけでございます。  ちなみに毒物劇物取締法のほうできまっております二PPMという数字につきましては、これは人の急性毒性の限界というものに安全度を考えまして、安全度約百倍程度考えておりますが、一回に五百ミリリットルという水を一ぺんに飲んだ場合に百倍の安全度で致死率になるという数字から二PPMという数字が出ているわけでございます。ですから二〇〇PPMのシアンを含みました水を五〇CC飲むとこれは死ぬという数字から厚生省のほうのこの毒物劇物取締法につきまして二PPMという数字がきめられておるわけでございますが、さらに指定水域におきましてはこれを厳密にいたしまして、十倍希釈、水質環境基準におきまして検出されないということと考えあわせまして一PPMというものを現在排水法の基準として考えているわけでございます。
  135. 小平芳平

    小平芳平君 そういうことを聞いてないでしょう。県条例が二PPMときまっていることは、環境基準では検出されてはならないということと矛盾するではありませんかと、こう聞いているわけです。あなた一PPMばかり何回も同じことばかり言うけれども
  136. 西川喬

    説明員(西川喬君) たとえば、申し上げましたように排出口において一PPMでございますと、十倍希釈によりまして、水の流水中の基準におきましては検出されてはならないということを満足し得るということでございます。
  137. 小平芳平

    小平芳平君 だから二なら倍なんだよね。それじゃ二PPMということは県条例が倍だからいけないということでしょう。
  138. 西川喬

    説明員(西川喬君) 従来指定水域になっておりませんところは、毒劇のほうとの関連もございまして、県のほうでは二PPMという数字をきめておったのだろうかと思いますが、企画庁におきましては水質のこの健康項目がきまりまして、指定水域につきましては現在全部新しい基準の指数をかけたわけでございますが、それ以外の、指定水域外の数字につきましては県条例を至急に改正して、新しい健康にかかわります環境基準を達成し得るように排出基準も変えなさいということを通達によって流しておるようなわけでございます。
  139. 小平芳平

    小平芳平君 初めからそう言ってくださればいいわけですよ。県条例が二PPMだからといって、会社は一生懸命二PPMだから安全ですということをパンフレットをつくって従業員に配っている。ですから、それならば健康にかかる環境基準というものをなぜきめたのかということになるわけですね。ですから、健康にかかわる環境基準がきまった段階においては、一PPMならば十倍に希釈されるというんですが、今度はそういう希釈されるような海かどうかが問題なんです。これは川なら川、海なら海がだあっと流れておりまして、それはおっしゃるとおり工場廃水を排水したとたんに十倍に希釈されるならいいけれども、こういうような港ではずっと防波堤で限られておるわけでしょう。そうすると、そんなにうまくぱっと十倍になるかどうかわからないじゃないですか。そういうところから、この三・五一PPMが海の中で検出をされたり、あるいはまた魚が死んでいるんですね、そういうわけで長官にお尋ねしますことは、いま経済企画庁の御説明は、あるいは通産省の御説明は、水質を、PPMを一にするか、〇・一にするかということを一生懸命問題になさっている。これも大事ですけれども、もう絶対量の規制がないことには、それはたとえ一PPMであったとしても、いま私が申し上げたように、絶対量が八キログラム出ているとなれば、一時間に一億三千万人が死ぬわけです。それだけの量が出ているわけですね。それがうまく海へ流れていくかというと港へたまっちゃうわけですよ、結局。ですから、それが今度は一PPMに下がっても一億三千万人の半分ですね、六千五百万人ですか、そういう人が死ぬだけのそういう量が出ている。そういう意味から水質の規制とともに絶対量の規制が必要じゃないかと、このように考えますが、いかがですか。
  140. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 先ほども答弁しましたとおり、ただいま作業中の法並びに政令、省令等の改正には、一貫して人の健康に関するものについては全国一律のきびしい基準を定めまして、それらの地域が指定されていようとかいまいとかいうことによって差のないようにするつもりでございますから、いずれそれらの問題は国の法あるいは考え方として明らかに出てくる日がすぐ近いわけでございます。
  141. 小平芳平

    小平芳平君 はっきり量も規制しますか、いかがですか。
  142. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) これは原則は全国一律のきびしい基準ということできめますが、まだ詰まっておりませんが、極端にその地域の事情によって知事の判断を優先せしめなければならないという場合があり得るかと思いますから、そこらのところは、全国一律の基準であっても、知事がそういう判断をしてきびしい基準を設定できるかどうかという点は、できる方向に向かっていま作業中でございます。
  143. 小平芳平

    小平芳平君 それでは次に、小名浜地区の漁業組合から出ている陳情を二、三項目を申し上げますとですね、これについての山中大臣の御見解をお伺いしたいんですが、このような大量の劇毒物が出るのは非常に困る。そこで漁業組合としては、小名浜工場の東排水口は即時閉鎖すること、いわゆるシアンが八キログラムという大量に流れ出し、その排水口は場所も悪いし、即時閉鎖すること。それから、それほどのシアンを排出しているもとのコークス工場があるわけです。そのコークス工場会社は拡張する計画を持っているんです。したがって、漁業組合のほうは、その拡張は中止させること。それから水質検査の結果、有害な毒物やあるいはその漁業に支障のあるよごれた水が出た場合は、該当する工場廃水の排水は即時閉鎖すること。こういうように、実際被害を受けた漁民としては、そうした大量の毒物を出されちゃ困る。要するに即時そういうものはとめてほしいということを陳情しておりますが、これについていかがですか。
  144. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) ただいまの漁民側の要求も、基本は、この絶対量が非常に多くて、何とかこれを改善するというところに集約されるのではないかと思うんでございますが、絶対量の問題は、先ほど御説明申し上げました設備の改善が十月に完成いたしますと、現在の平均二PPMが〇・七PPM程度下がってくるわけでございまして、したがって、絶対量につきましても、その関係を絶対量に換算いたしますと、現在の絶対量八キログラムの約六割方がカットされる見込みでございます。この程度カットいたしますと、現地の特性を十分に考えた上でもまずあまり大きな被害を与えることにはならないのではないかというような考え方で、実は会社の設備計画を指導しておる最中でございまして、そういったことを基本的に講じながら、なおそういった基盤に立って漁民との話し合いに積極的に応ずるようにというのが通産省の現在指導しております基本的な考え方でございます。
  145. 小平芳平

    小平芳平君 この会社資料によりますと、大気汚染の防止のためには、四十六年八月完了予定とか、四十六年六月完了予定というのが出ておりますが、排水対策は可及的すみやかにというだけで、いまおっしゃるように十月とはなっておりませんが、それはだいじょうぶですね。
  146. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) われわれは強力に指導いたしました結果、会社から正式にそういう回答をとっておりますので、これはだいじょうぶであろうと考えております。
  147. 小平芳平

    小平芳平君 こうしたもの、中小企業はですね、シアンが出た、カドミウムが出た、しかも大量に出たとなれば操業停止になるんですよね。操業中止を勧告されて、現に操業を中止したということは再三新聞報道で聞いているわけですが、ところが大企業になると、いまの日本水素にしても操業中止ということは、漁民がこのように訴えても取り上げてくれないわけでしょう。これはなぜでしょうか。これはあの田子の浦の問題でもそうです。六月に私が当委員会質問したことがあったのですが、その段階で操業中止くらいの強い姿勢で政府も臨み、また企業側もそのつもりで対策を立てれば、いまよりも少しは進んでいたはずだと思うのですが、中小企業は勧告を受け操業を中止したという話はちまたにあるのに、大企業に限ってなぜこういうように大量の、八キログラムもシアンを毎時放流しながら、それを、ちょっと待ってください、十月になれば何かができますということしかやらないのですね。どういうわけですか、これは。
  148. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 小名浜の例だけをとって申し上げますと、県条例におきましては、一応改善命令を出しまして、改善命令に従わない場合には一時操業停止ができるような形になっておるように記憶しておるわけでございますが、県はわれわれの通産省のほうにも何回も一相談に参りまして、改善命令という正式な形ではなくて、改善指導ということでやるという方法をもちまして、ただいま申し上げましたような設備の改善が実行されておるわけでございます。  それから他地域の例で申し上げますと、中小企業だけに対して操業停止とかなんかという考え方は通産省としては全然持っておりませんで、一例をあげますと、東邦亜鉛の安中工場は、これは大企業に属すると思いますが、現に操業を停止さしております。それから問題になりました黒部の三日市の日本鉱業の工場でございますが、これは通産省の命令による操業の短縮ではございませんが、強力に指導いたしました結果、自主操短ということで、いまもって四〇%の操業の短縮もやっておるような状態でございます。  で、ただいまの例は鉱山保安法に基づく監督の例でございますが、大気汚染防止法、水質二法につきましては、現在の法体系が、改善命令を出しまして、それに従わない場合には一時操業停止というような組み合わせになっておりますので、大半の場合は改善命令を確実に実行させるということで事態の改善がはかられておりまして、これは大手企業であろうと中小企業であろうと同じような形で指導しておるわけでございます。
  149. 小平芳平

    小平芳平君 どうもそのことがそのまま受け取れるかどうか私は疑問に思います。それは大企業の場合、たとえば黒部の場合でも、これはもう地域住民からも強力な要求があって、そうして地域住民としては即時操業中止を要求しているのに対して、ようやく会社が何割操短という案を出してきたわけでしょう。まあ、それはそれとしまして、今度はもう一つ企業の例として昭和電工川崎工場、この昭和電工川崎工場で——ほんとうはこうした東京湾の汚染調査などは政府がやってくれればいいのですけれども、なかなかやらないものですから、われわれのやったこの東京湾の調査の一部によりましても、この川崎工場排水口の下、それからその排水口の付近のヘドロから有機水銀あるいは全クロムが検出された、あるいはシアン、砒素、水銀、カドミウム、鉛、まあヘドロの基準はないというのですけれども、とにかく東京湾自体がこうした重金属汚染されているということ、しかもこうした一工場排水口とその付近で大量のこうした重金属が検出されたということ、これに対してはどう考えられますか。
  150. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) ただいま御指摘の、昭和電工のヘドロ中に種々の重金属が検出されたわけでございますが、昭和電工の川崎工場生産物、たとえばアンモニア、硫安、尿素、硫酸、苛性ソーダ、プロピレンオキサイド等々の生産をやっておるわけでありますが、その生産の過程において、どういう微量重金属が排出される可能性があるかという点をわれわれとしても克明に調べたわけでございますが、水銀につきましては、苛性ソーダを製造する過程において、電極として使われますので、それが排出する可能性がある。カドミウムにつきましては、苛性ソーダを製造するときに、原料の食塩中にカドミウムが含まれておりますので、その排水の中に含まれる可能性がある。それから砒素につきましては、硫酸を製造するときに、原料の硫化鉱に砒素が若干入っている。したがって、そこから出る可能性があると同時に、ナフサ法によりますアンモニアを製造する過程にも炭酸ガスを除去する際の吸収剤として、若干のカドミウムを使っております。したがって、ここからも出てくる可能性があります。それから六価のクロムについでありますが、これはコンプレッサーの中のさびどめ用として六価のクロムを使いますので、これも可能性としては存在するわけであります。  それから通産省といたしましても、八月十八日に、通産局並びに本省の化学工業局両者の直接の立ち入り検査というものを実行してきたわけでございますが、現在の排水中にどういうものが含まれておるかという点に重点を置いて検査をいたしました結果では、総水銀及びメチル水銀は全然検出されておりません。それから砒素、鉛につきましては、若干含まれておりましたけれども、これは規制値の範囲内であるというような結果を持っておりますので、現実にヘドロの中にたまっておりますいろいろの微量重金属は、たぶん昭和電工の排水口から流れ出たものに間違いないものと思いますけれども、現実の規制が時を追って漸次強化されてきておる過程でございますので、そういった規制に違反して排出されたものであるかどうか、その辺はより厳密な調査を必要とするところでございまして、目下、そういった点も克明に詰めておるわけでございますが、少なくともこれからの排水の中に、こういった微量重金属を排出しないような体制につきましては厳重に監督いたしまして、そういうことがないような形で指導しております。
  151. 小平芳平

    小平芳平君 要するに、過去には未処理のまま海へ流した、それがいま検出されるのではなかろうか、しかし、その検出される原因としては、昭和電工の作業過程において考えられることだ、しかし、現在はどういう処理をしているか、どこでどうなっているか、それは見てきませんからわかりませんが、いまの御説明だと、現在は処理をしてやっている、こういうお話なんですね。ですからあのときに、一部新聞には会社側の談話として、昭和電工から総水銀は可能性があるけれども、そのほかのものは可能性がないという発表をしているのですが、うそですね、それは。
  152. 莊清

    説明員(莊清君) ただいま柴崎公害部長から詳細御説明申し上げましたとおり、水銀以外のものも排水中にそれぞれ出ておることはこれは事実でございます。たとえば砒素について申し上げますと、八月に通産省で行ないました検査で、基準の〇・五PPMに対しまして、〇・一六PPM程度基準は下回っておりますが、排水中に砒素は実はあるということは、はっきり確認いたしております。したがいまして、全然ないというふうな意味工場が申したかどうか、私ちょっと確認いたしておりませんが、事実関係はそういうことでございます。
  153. 小平芳平

    小平芳平君 要するに、会社がそういううその発表をしたことさえわかればそれでけっこうです。それで厚生省山本公害課長さんいらっしゃいますか。山本公害課長さんは、今度はこの新聞に、「この程度の調査汚染源を昭電工場とは断定できない」というふうにあなた発表されているけれども、これは「この程度の調査」って、どういう調査ですか。
  154. 山本宜正

    説明員山本宜正君) この件に関しましては、一昨夜十一時ごろ新聞から電話で問い合わせがございまして、その電話の内容で聞きましたことでは、判断が私としてはできませんので、「判断ができません」こういうお答えをしたわけでございます。と申しますのは、工場のフロー・シート、それから排水中の検出量等を私存じませんでしたので、判断ができない、こういう答えをしたわけでございます。
  155. 小平芳平

    小平芳平君 それではあなた全然話が違うじゃないですか。この程度の調査では断定できない、そういうまあわれわれがどの程度の調査をやったかを知らないで「この程度の調査」ってなんですか。そういうことは最初に私が申し上げたように、政党がやるまでもない、政府がそれだけの機関を持っているわけですから、やるべきでしょう。  それからそこで山中長官に、大企業に対しても、要するに中小企業は非常にすぐ操業中止、排水処理装置ができるまで一時中止という例があるわけですけれども、こうした大企業排水処理装置が何ヵ月後にできる、何年後にできる、それまでやってくださいという話はよくあるのですが もっと中小企業も、大企業も含めて 大企業に対しても操業中止勧告ということ、あるいは施設のできるまで自粛をするということ、こういうもっと強い姿勢が必要だと思いますが、いかがですか。
  156. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 私の姿勢は、初めから、公害対策本部の出発のとき以来変わっておりませんし、むしろ中小企業に対して配慮をして進めるということを、先ほど田中委員に御答弁申し上げたとおりでありまして、原則は企業負担のきびしい態度を打ち出しておるわけでありますから、少なくとも公害対策本部の姿勢としては変わっておりませんが、通産の実地の行政指導の場があろうと思います。そういう場合に、そういう誤解を受ける個所があるいはあったのかというふうに、私も想像はしてみるのでありますが、そのような偏在した、弱き者をくじき、強き者にはこびるということはあり得ないことであるというふうに考えております。
  157. 小平芳平

    小平芳平君 そのことをひとつ実績の上で示していっていただきたいと、このように思います。  それから次にカドミウム汚染についてですが、汚染米のことは午前中いたしましたのでもう省きますが、これはこの汚染地区に共通の問題だと思うのですが、農林省はおられますか……。水産庁は、それでは先ほどの小名浜の漁場についてどう考えられますか。要するに、漁民からは先ほど言ったような陳情が出ているのを御存じですか。
  158. 藤村弘毅

    説明員(藤村弘毅君) 漁民から陳情が出ておりまして、それにつきましてただいまのところ、県からこの結果について報告を受けておりますのは、六月に東排水口をつけたときから軌を一にしてこの港内のイワシ、えさ用のイワシが少しずつ斃死しておるという現象があらわれているので、会社側とも折衝して東側の排水路を閉鎖してもとの位置に戻すということを会社側も了解しておる。それでいままで起きました被害について会社側と折衝に入っておるというふうに聞いております。
  159. 小平芳平

    小平芳平君 それではまた通産省に。  日曹金属という会社があります。そこでこの日曹金属の周辺では、いままでは亜硫酸の被害、つまり農作物や植物被害が年々あるというふうに思っていたわけですが、非常に最近になってそれはカドミウムによる汚染がはなはだしいぞということが発表されました。そしてこの工場はもう五十年からの操業を続けていらっしゃるということで、それからこの付近の汚染がはなはだしいということは午前中の厚生省答弁でもあったわけですが、この会社は古い会社だけに排水も何十年という間ずっと流していたわけですね。それからまた煙による汚染も、何十年にわたるカドミウム汚染ということが付近一帯に検出されておるということ、こういう点について報告を受けておられますか。また、これに対する会社に対しての改善すべき点、まあ排水処理は最近できましたね。これはたった一カ月か二カ月前ですが、できましたが、それまでは五十年近くただ流していたことになるわけですが、それでこの工場は、老朽工場といいますか、古いせいか、廃棄物が多いのですね。貯水槽にたまる廃棄物も非常に多いということ、こういうよう主点から、付近の汚染とにらみ合わせてどういう対策が必要だとお考えですか。
  160. 莊清

    説明員(莊清君) 日本曹達株式会社の会津製錬所は、いわゆる独立製錬所でございますが、まことに遺憾なことでございますが、御指摘のとおり、このあたりでは、外部の専門家の方でございますが、農家の保有米等にかなりカドミウム含有量の高いものがあるというふうな調査もなされておることを承知いたしております。現在この出来秋の米につきまして、福島県当局がこの製錬所の近辺の一斉調査を現在実施をしておられます。この結果は九月の下旬ごろ判明すると県のほうからわれわれのほうは承知いたしております。  それからこれは独立製錬所でございますので、いまは保安法の対象となっておりませんですが、この八月の二十日前後に通産省でこの工場の排煙排水について詳細な調査を行ないました。この結果は九月の中旬から下旬にかけまして判明すると思います。先ほどの県の環境調査と排出口の調査とこの両方合わせまして、今後強力な行政指導で改善すべき点は早急に改善をさせたいと思っております。なお工場自身現在二億円程度の工事計画で、それぞれカドミウムにその重点をおきまして、自主的な工事は進めております。検査の結果を目安にいたしまして、行政指導によりまして、所要の措置を講ずる必要があれば早急にとりたい、かように考えております。
  161. 小平芳平

    小平芳平君 特に御指摘したいことは、この工場では貯水槽をつくってそれから排水しておりますが、現在ですね。それが三日ないし四日に一つの貯水槽は要するに廃物で一ぱいたまるので、それで上までたまるわけじゃないのですけれども、次の別のほうへ切りかえて、そうしてさらうわけです。そのさらうものが百二十トンほどのものがさらい出される。百二十トンほどのものがさらい出されるのですが、その三〇%が鉛、一%がカドミウムというのです。しかもそうなるとまあ大まかに言って三日か四日に一トンのカドミウムがとれるわけですね。それがかつては全部川から流れ出しているわけです。そういう三日か四日で一トンにもなるカドミウムを回収できるということ、しかも、この工場カドミウム生産は実際は一日〇・五トンくらいの生産なんです。一日〇・五トンくらいのカドミウム生産をしている工場排水の中から三日か四日に一トンの原料を回収できるというのです。いかにロスが多いかということをわれわれは感じたわけですが、そういう点もあわせてこの付近の住民の、また付近の住民がこれは指曲がり病が多いのですね。指の曲がった人はもう長い人は十年も前に指が曲がったと、指の曲がるときには手が痛かったけれども、最近ではもうそれも感じてないというような人がおります。これは厚生省のほうですけれども、そしてその方々はらい病だと、ああいう指が曲がって変になるのはらい病だと、したがって、お茶を出すのにもまともにお茶をお客さんに出せないというような生活を十年来続けてきた人がいるわけです。それから、そういう点ですね、会社公害防止とともにこの健康保持ということを重点的にやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
  162. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 磐梯町の住民健康審査につきましては、近く体制が整いまして、第二次検診に入ることになっておりまして、先般私どものほうでも係官を派遣しまして、いろいろ検討、打ち合わせをしたところでありますけれども、その際、たとえばいま指曲がりという御指摘がございましたけれども、この指曲がりにつきましては、既存の要観察地域におきましてもそのような症例が報告されておりまして、これは私どものほうの鑑別診断班で、実は単なる所見だけでなくてレントゲン所見も一緒にこちらのほうに送ってまいるものですから、いままで既存の要観察地域で報告された指曲がり症についてだけ申し上げますと、これは特にカドミウムによる特有の疾病とは考えられないというのが今日までの状況でございますけれども、まあ、これからどういうことになりますか。一部ではこれはやはり一種の職業病ではないかというような御意見もあるようでありますけれども、そういう問題もいずれにしましても含めまして、磐梯町における住民の健康診断等については万全の体制をしいてまいりたいと考えております。
  163. 占部秀男

    委員長占部秀男君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  164. 占部秀男

    委員長占部秀男君) 速記を始めて。
  165. 小平芳平

    小平芳平君 これで終わりますが、先月の当委員会で鉱業法百十七条の損害賠償の担保のため毎年一定額の供託というこの実施、これは東北地方の各県の県知事さんも熱心に要望しておられましたが、担保を供託をしたからあと何をやってもいいという意味じゃないですけれども、そこで現行法にある供託制度などはすみやかに実施してほしい、こういう要望がありましたが、前回はだいぶ話し合いを始めるような御答弁しかなかったのですが、その後進みましたか、いかがですか。
  166. 莊清

    説明員(莊清君) 非鉄金属鉱山製錬所のカドミウム汚染につきましては、米の関係で通産省も内面指導をいたしまして、実際上補償を行なわせておるところでございます。たとえば御指摘のございました福島県のいわき市等におきましても、こういう態度を企業が現に表明いたしております。これとはまた別に、当面のカドミウム米の補償につきましては万遺憾なきを期しつつあるわけでありますが、ご承知のとおり、一般的に申しますと金へん工業の関係で工業法百十七条の積み立て金の問題が懸案として残っておりました。これは先月ここで通産省としての考え方を申し上げましたのですが、その後業界のほうにも具体的に呼びかけいたしまして、委員会をつくりまして、どういう範囲について具体的にどういうふうな積み立てなり金の利用ということをやるか、すでに具体的な検討に入っております。通産省といたしましては、石炭の場合と違いまして、非鉄金属はなかなか種類も多うございますし、大手中小いろいろございまして、そう簡単にいかないかもしれませんが、年度内には必ず結論を出す、結論の出次第直ちに実施という方針で今後進める方針でございます。
  167. 鬼丸勝之

    ○鬼丸勝之君 小平委員カドミウム汚染問題の質問に関連いたしまして、今度は九州の有明海のカドミウム汚染問題についてお尋ねします。御承知のように、有明海は日本の貝類の一大宝庫であり、またノリについては全国一の生産地であります。しかし、最近有明海のカドミウム汚染による魚介類、ノリ等の中毒問題が論議を起こしておりまして、特に最近赤貝を中心としてカドミウム中毒の問題がテレビ、ラジオ、新聞等で非常に論議されております。事の起こりは、久留米大学でアカ貝からカドミウムの四・〇二PPMを、最高ですが、検出したということを八月二十七日に発表している、これから非常に漁民の生活をおびやかすことになっておりまして、一般消費者ももう赤貝は食べない、したがって、かん詰め業者等も製造を中止してきておる、こういう状態で貝類を採取することを主たる業とする漁民は深刻な生活不安に追い込まれておるのであります。そこで久留米大学の最高四・〇二PPM、これは公衆衛生学教室での検出の結果の発表でありますが、福岡県当局はさっそくこれに対して検討するとともに、県独自で検査、研究いたしまして、今月の七日に福岡県の検討の結果を発表いたしておりますが、これは御承知でしょう。  県の衛生部の調査、検討の結果は、最高は一・九八、最低一・三六、平均一・六六PPMという結果が出ておるのであります。  そこで、大体赤貝というようなものは毎日食べるというものじゃない。また、そう米の御飯のように、あるいはほかの食物のように多量に食べるものでもありませんし、これは私、しろうとでよくわかりませんが、厚生省の動物実験ではカドミウムの吸収率が二%というふうに非常に低い。こういう点から考えまして、この赤貝は食品衛生上人体に対する悪影響はほとんどないと、こういう結論を今月の七日に知事の記者会見といたしまして発表いたしております。  そこで、お尋ねしたいのは、久留米大学の衛生学教室で発表したことと県の発表とは、すでに申しましたように半分以下——非常に違っております。この点についてのまず厚生省ですかな、御所見を承りたいと思います。
  168. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 有明海の赤貝につきまして先般福岡県の調査結果の数字は私ども承知しております。そのほかに久留米大学の数字がございますけれども、私どもが承知しておりますのは、久留米大学の結果の数字は二・二〇から二・五六PPMというふうに聞いております。これは検体その他多少の差はばらつきがあることと思いますけれども、いずれにしてもこのような数字を一応前提として、私どもは県の報告にもございましたように、赤貝等は米その他に比べますと、いわゆる常食——多量の常食というあれじゃございませんし、午前中も議論がございました米の安全基準が一応一PPMということになっております。この一・〇PPMの根拠はいろいろどの程度米を食べるかというような想定をしてこれをきめたのでありますけれども、その際一日三百グラムないし最高五百グラム、五百グラムと申しますと大体七合くらいでございますからまあ相当の大食漢を想定して、そういう上で一・〇PPMという安全基準が出たこととのバランスから考えましても二・何がしというかりに数字であったとしても、この数字で直ちにいま食品衛生上の問題とはならぬのではないか。なお、これはいずれにしましても食品の安全の問題でございますので、念のため食品担当部課を通じまして専門家意見も聞いて、この数字程度であれば問題とは考えないというふうに考えております。そう申しましてもカドミウム汚染というのは、いずれにしてもやはり決して無視できない問題でございますので、私どもとしましては、発生源と考えられるような工場等に対する規制の強化を通産省のほうにも申し入れてございますけれども、今後一そう万全の監視なり、そういう体制をとっていかなければならないというふうに思います。
  169. 鬼丸勝之

    ○鬼丸勝之君 ただいま公害部長の答弁では、米に比べてそう大量に食べるものでもないし、まあその程度のものでは心配がないと、こういう御答弁でございました。久留米大学のは確かに四・〇二ということが新聞に大きく出て、これが非常な不安を巻き起こしたことは事実でございます。そこで私がさらにお尋ねしたいのは、まあ大学の研究室で検討して、その結果、発表されるのはしかたありませんけれども、公的な検討、研究をなるべく迅速にやって、そうして公式の見解を早く出していただきたい。さらに地方庁に対する通達等、公式の通達を迅速にやっていただくことが、一般消費者を含めて生産者の心配を解消する道であると信じます。まあ今後、ただいまの御見解で、これは国会で述べられたんですから当然わかりますけれども、さらに行政措置としてただいまの見解をとりあえず通達をしていただくという御意向があるかどうか、これはぜひお願いしたいんですが、さらに米に比べると毎日食べるものじゃないですけれども、やはり食品の安全基準を早くきめていただきたいと思います。これは赤貝だけではなく、ノリその他の魚介類を含めて安全基準を、ひとつ食品衛生上差しつかえないというものを早くきめていただきたい、この点お尋ねいたします。
  170. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) 第一の通達の件につきましては、そのような地元の要請でございますならば、やはりそのような手続をいたしたいと考えております。  それから監視、測定体制の整備と申しますか、その点につきましては、一昨日の閣議決定にもなりました特定有害物質についての総点検なり、測定機器の整備等の予算も決定したわけでございますけれども、早急に万全の体制をしいてまいりたいというふうに考えております。  次に、食品の安全基準の問題につきまして、先般の米の一・〇というのは当面の安全基準ということで、やはり科学的なデータ等をきちっとそろえた上での基準ということは多少時間がかかるということで、今後本格的に取り組むことになっておりますけれども、御指摘の他の食品等につきます問題につきましても、同じように食品衛生調査会なり、そういうところで検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
  171. 鬼丸勝之

    ○鬼丸勝之君 もう一ぺん念を押しますが、地元の要請ならば通達をするというようなお答えですけれども、要請であることは間違いないのです。それで私は質問しているのですが、すぐひとつ通達を出していただきたい。  そこで、こういう公式な安全基準等の確定がおくれますと、漁民はほんとうに困るんです。もう貝類をとれない、とっても買い手がないですから。で、これに対する生活難の、困窮者に対する対策、漁民に対する生活援護対策について何か考えられますか。
  172. 藤村弘毅

    説明員(藤村弘毅君) ただいまのところ、直ちに有明海の漁民の転換策等を具体的に考えておりませんが、万一、有明海において魚介類の操業ができないというようなことになりました場合には、何らか漁民の転換策——沖合いに転換するというような対策も考えなければいけないと考えますが、現在のところ、考えておりません。
  173. 鬼丸勝之

    ○鬼丸勝之君 カドミウム汚染問題は、まあおそらくたいした心配ないということで、はっきり厚生省からも通達を出される、こういうことでございますから、まあきょうあすという問題でございませんけれども、将来の問題として、いまの有明沿岸漁民の仕事の転換対策等をひとついまのうちから十分検討しておいていただきたい、これは要望でございます。
  174. 内田善利

    内田善利君 ただいまの質問に関連して一言質問してから本題に入りたいと思いますが、カドミウム汚染については有明海は心配ないということを通達されるようなことをいまお聞きしたわけですが、赤貝だけについていえば心配ないかもしれません。しかし、先ほど小平委員が長官にお願いしておりましたように、絶対量ということになりますと、人間については危険になるわけです。あの大牟田付近の住民の方々は水銀ないしカドミウム汚染されております。また、稲等も黄変をしている事実を私は見ております。そういったこと等を考えあわせますと、一日のあるいは一年の、あるいは積み上げによるカドミウム摂取量ということが人間の健康を阻害するわけであって、赤貝だけを例にとればたいしたことはないかもしれませんけれども、そういった点を御考慮の上通達を出されるならば出していただきたい、そのように感ずるわけですけれども、この点はどうでしょう。
  175. 曽根田郁夫

    説明員曽根田郁夫君) もちろん特定の食品云云という場合には、全体としての摂取量を考えて、それから当該地域における河川なりあるいは大気なり、そういったものを総合した上で判断を下すべきものでございますから、どういう形になりますか、いずれにしても県の照会に対する回答という形で通達を出したいと思っておりますけれども、十分その点は配慮してまいりたいと思います。
  176. 内田善利

    内田善利君 有明海は非常に深くて出口のほうが少し浅くなっておりまして、この海流の流れということについて私は詳しくは知りませんけれども、非常に干満の差は激しいけれども、また有明海の中へ入っていく、そういうことを聞いております。そうしますとまた佐賀県沖の赤貝までこのようにカドミウム汚染されておったということが私は非常に危険じゃないか、このように思うわけです。大牟田川河口付近はこれは当然のことでありますけれども、そういったことをよく考えあわせて、もう日本列島の海湾という海湾はほとんど魚が住めなくなっている、このような状況を感ずるわけです。せんだって委員会山口県の徳山湾を視察したわけですが、ここにおきましても魚という魚の影は見えません。そしてパルプ工場工場か見ましたが、非常に排水液が濃い、おかしいなと思って排水基準を見たら何と最大一五五〇PPM、これはCODです。水中の汚物を酸化するに必要な酸素の量ですけれども、これがマキシマムで一五五OPPM、年間平均で一三五〇以下と、こういう驚くべき基準がつくられている。これは工場側に聞きますと、サルファイトパルプ製造だからこういう基準になっております、またKPですか、クラフトパルプのほうは二五〇PPM以下と、これにしても非常に大きなCODの基準になっておりますが、こういった基準はどこでどういう理由で決定されたのか、この辺をお伺いしたいと思います。
  177. 西川喬

    説明員(西川喬君) 先生のいまおっしゃいましたのは大竹、岩国地先海面の水質基準かと思いますが、先生がおっしゃいましたように、ここにおります山陽パルプ、これはSPのパルプをつくっております。この基準につきましては現在一段階としてかかっておりますのが一三五〇PPMでございます。第二段階といたしまして八〇〇PPM、最終的には八〇〇というのがかかってございます。このパルプの製造法にはいろんな方法があるわけでございますが、SPパルプと申しますのがこれが排水処理が一番困難なものでございます。原液といたしましては約三〇〇〇PPM程度のあれが排水されるわけでございますが、どうしてもその程度のものになる。これをさらに濃縮燃焼いたしまして、約半分程度に落ちてくるというようなところでございます。従来もSPだけの製造工程を持っておりますところの排水基準はどうしても技術的な困難性から一一〇〇、一二〇〇、一三五〇というような数字基準としてかかっているわけでございます。大竹、岩国地先の場合におきましては、これは基準を設定いたしますときに、水産側の要請によりましてTLM方式という、これはその廃液の中に魚を入れましてだんだん薄めてまいります、薄めてまいりました場合に、どのくらいの濃度で薄めた場合に魚が四十八時間に半分死ぬ濃度、これがTLM四八という数字でございますが、そういうTLM方式というのをとりまして濃度を幾らにしたらいいかというのをやったわけでございます。これはいいまでの基準設定の方式としてはこの大竹、岩国地先が初めてのケースでございますが、水産の要望によりましてそういう実験も行ないまして決定を行ないました。そのときによりますと山陽パルプのSPの廃液につきましては、その溶液から見まして八五〇というような数字が出てきたわけでございます。そうしますと一三五〇——第一段の濃縮現象だけではこの基準の目的に合致することができないということで一三五〇を八五〇まで下げるにはどうしたらいいかということで通産のほうともいろいろと相談をしたわけでございますが、SPではどうしてもそれ以上には落ちないということでございまして、このSPのパルプ廃液をさらに別に回収をいたしまして、KPパルプの生産のほうに転用するということで、あらためてこのKPパルプの生産の設備をそこに設けるというようなことをいたしますと、SPのむろん製造法につきましても薬品のベースを変えることになっておりますが、そういうことをいたしますと八〇〇PPMまで下がり得るということがわかりまして、それならば八〇〇PPMになりますと、水産側の要請いたします八五〇PPMを下回るということで、当面現在の設備のままでこれに濃縮燃焼の設備を早急につけまして一三五〇、さらにKPパルプの生産設備をつけ加えまして八〇〇PPMまで下げるということで第一段、第二段の規制値を決定したような次第でございます。
  178. 内田善利

    内田善利君 水産庁の要請によってきめられたということですが、これもある県の水産試験場のCOD値に関する見解ですが、ちょっと読んでみますと、「パルプ廃液の魚類に対する最低影響濃度はCOD値で五〜一〇PPMでありこの濃度以下では生物は生理的に影響を受けると考えられ発現する形は慢性的症状といえる。二五〜五〇PPMでは組織的に影響を受ける濃度であり急性的な症状の発現としては廃水中の神経毒によってショック死を惹起することもあり得る。さらに五〇〜二〇〇PPMでは魚類はこの濃度に対し嫌忌行動を示す様になり一〇〇〜二〇〇PPM以上では致死量となる。なお、水産庁による昭和三十一年水質委託調査結果によればパルプ廃水の四八HRTLMは一〇〇〜四〇〇PPMCODとなっている。」このように一〇〇ないし二〇〇PPM以上では致死量となる、こういう水産試験場での発表なんですが、この山陽パルプについては排水口が一三五〇PPM以下ならばよろしいということは、こういうことはほんとうにいままでの高度経済成長がいかに人間性を無視したか、魚類の生息ということを無視したかという大きな一つの実例だと思うのです。技術上どうしてもそういうことができなければ魚類の致死量以上のそういった排水は出さない、そういうふうな規制はできなかったものか、高度経済成長によるこういったひずみが大きな公害問題を引き越こしておるわけですが、実際私は沈でん池と排水口と海のほうだけを見せていただいたのですけれども、それを見ただけでいかに魚類の生息、水産資源ということを無視した工場立地がなされたかということを痛切に感じたわけです。この点についてどのように考えるかお聞きしたいと思います。
  179. 西川喬

    説明員(西川喬君) TLMを基準設定の根拠として採用したわけでございます。TLMと申しますのは、先ほどもちょっと簡単に申し上げましたが、先生おっしゃいますように、もちろんこの原液の中に入れたら魚は育たない。死ぬわけです。だんだん薄めてまいりまして、どのくらいの濃度まで薄めた場合に——その中に四十八時間つけておいたときに半分死ぬというのがTLM四八という数字になるわけでございます。山陽パルプの廃液の場合につきましては、それが一一%というような数字が出ているわけです。そういたしますと、結局、山陽パルプの原液を一一%入れた溶液の中につけておきますと、四十八時間で半分死ぬというような結果が出てくるわけでございます。それに対しまして、さらに安全度を十倍にとりまして許容濃度というものを考えているわけでございます。許容濃度と申しますか、十倍の安全度をそこに見込んでいるわけでございます。ですから一一%の薄めた溶液、さらにそれの十倍の安全度を見た濃度というものを考えまして、そういう濃度のものが今度のいわゆる漁業のほうの利水地点というものに到達して、そういう濃度になるということを念頭に置きまして、今度は排水口から幾らの水が出てきた場合に希釈、拡散されていきまして、利水地点といいますか、これは漁場の地点を考えるわけでございますが、その地点におきまして、TLMから見ましてその十倍の安全度を持った濃度が満足し得るかどうかというようなことから計算いたしまして、先ほど申し上げましたような八五〇PPMという数字が排出口から出るものであるという数字が出てきたわけでございます。もちろんそういう八五〇PPMの排出口直下のところへ魚を置きましたときには当然これが死ぬというようなことになるわけでございますけれども、これはもちろん、いま先生もおっしゃいましたように、魚を排水口そのものに入れましたら、これは絶対魚は育たないわけでございます。その間に希釈、拡散等の条件があるわけでございますから、そういうものを念頭に入れまして、利水地点というもので環境的な問題から見て満足し得る濃度になる、濃度が確保できるというような点で計算をしているようなわけでございます。
  180. 内田善利

    内田善利君 利水地点と言われますけれども排水口で一三五〇PPMも出るわけですから、いかに希釈度を考えましても、そこには魚は住んでおりません。ひとつ現場をよく見ていただきたいと思います。  それと同時に、もう一つは、あすこはクラフトパルプも同時に製造しているわけです。クラフトパルプのほうは二五〇PPM以下、排水口はどうなっているかと聞いたら一緒になって排水口に出てきているわけです。それぞれ排水しているのじゃなくて一緒に出てきている。だから二五〇PPMであろうと三〇〇PPMであろうと一〇〇〇PPMであろうと、クラフトパルプの排水口から出てきた排水とSPのほうから出てきた排水とが一緒になっている。こういうことではクラフトパルプのほう、KPのほうは排水基準に合っているかどうか全然わからない、こういう状況です。この点についてはどのように指導されておるのか。
  181. 西川喬

    説明員(西川喬君) 現在水質基準を設定いたします場合には、私どものほうといたしましては工場排水口で考えております。まとまった総合排水で考えております。山陽パルプの場合におきましては、SPの製造設備を有するものということで総合排水で一三五〇PPM、第一段階として一三五〇PPM、第二段階として八五〇PPMというのを総合排水として考えております。
  182. 内田善利

    内田善利君 じゃクラフトパルプ、KPのほうは何PPM出てもいいわけですね。
  183. 西川喬

    説明員(西川喬君) 私ども製造の細部までのことをよく存じておりません。担当でございませんので、よく存じておらないわけでございますが、いま通産のほうで伺いましたら、KPも一部持っておるようでございます。KPの製造設備を持っておりますと、KPのほうの排水量が幾ら、SPの排水量が幾らと基準がかかります。SP製造設備のほうが一三五〇、KPのほうが二五〇でかかっているわけでございます。そういう場合には加重平均をいたしまして、最終的にトータルのCODというものの基準をきめるようにいたしております。
  184. 内田善利

    内田善利君 いずれにしてもあすこの海域は非常にCODが多くて、魚が住めない死の海になっておる、そういう状況になっております。有明海も将来は二百万トン級のタンカーがつくようになるということですけれども、いよいよ有明海もカドミウムのみならず水銀さらに油類の汚染が当然考えられます。そういったことを考えますと、日本全国汚染されて、水産国日本の名をはずかしめるような状態になっているわけですが、ニクソン大統領と佐藤総理の書簡の交換もされ、また十月には国連の記念総会で公害協力態勢をつくって、イニシアチブをとっていくということでありますが、こういったもう日本列島のみならず、海洋汚染を考えますと全地球が危機に瀕してきた、そのようにオーバーなことばかもしれませんが感ずるわけです。こういうときに地球全体の運命共同体としてのお互いが、こういう公害について話し合いをしていくということが非常にけっこうなことと思いますが、話がこういうふうになりましたので、長官に一言お聞きしたいと思いますが、地球全体の公害汚染について、どのような具体的なことを考えていらっしゃるのか、あればお聞きしたいと思います。
  185. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) すでに報道も幾たびかされておりますように、ニクソン大統領の議会に勧告いたしました前提をつくりましたトレイン委員会委員長より、担当大臣たる私に対するメッセージがまいりました。それに対して私の返事は、主としてアメリカ側の感触は、大気汚染というものを重点に置いた呼びかけでございました。太平洋をこえて、ともに協力し合おうということを呼びかけておりますが、私のほうとしては単に大気汚染のみならず、ただいまお話しになりましたように、各種公害の態様について、日米はもちろんEEC、OECD等の国際的な既存の論議されている分野、あるいはこれから論議されるであろう国際機関等に日米両国ともに提携し合って、さらに輪を広げていこうという返事をしたわけであります。それに対してそれを受けたニクソン大統領より佐藤総理大臣に対して、さらに一国の責任者として他国の責任者に呼びかけて同意を求めるという書簡がまいりまして、総理の書簡がまたそれに同意をするということになったことも御承知のとおりでありまして、それに従ってニクソン大統領はすでにトレイン委員長に対して十月の第一週に貴国を訪問させるよう命じたということが具体的になっておりました。これらのことを考えますと、私たちは国内体制の整備ということもすみやかに急がなければなりませんし、国際的にどの国もまだ問題の解決を得ていない段階で、私たち自身が日本人のすぐれた頭脳でこれだけの経済発展をなし得たならば、またそのすぐれた頭脳によって発展の陰に生まれてきた役に立たないものを処理する英知も発揮できることを確信しておりますので、世界的な主導権もとらなければならないというふうに考えるわけであります。海洋汚染等につきましては条約の改正等もいま議論されておりますが、ヨーロッパの一部から公海の海洋を油でよごす最大の犯人は日本のタンカーであるというような、たいへん好ましくない犯人扱いを受けておること等も考えますと、私たちは沿岸漁業に直接関係のあるそのような数々のいままで議論されました沿岸の排水、汚水の問題はもちろんのこと、広く海洋国日本が世界に負うべき使命ということも考えて、公海上の海洋汚染等について、さらに船舶による海水油濁防止というようなものについて、積極的な努力を展開していく義務を負っておるものと考えます。いずれにしても、このような競争こそ全地球的左あるいは人類の名において、人類の尊厳を取り戻すための戦いという意味において、このような競争こそ歓迎すべき競争である、その競争に日本うちかてる自信を持たなければならぬということで、いま一生懸命その努力をしておるところでございます。たいへんばく然とした答えであるいはお気に召さなかったかもしれませんが、心がまえとして申し上げた次第でございます。
  186. 内田善利

    内田善利君 話をもとに返しますが、パルプ工場は水銀は使ってないと思ったんですけれども、この山陽パルブも電極に水銀を使っているわけですが、先ほどの小平委員昭和電工の質問においてはっきりしたわけですけれども、水銀が出ることは間違いないんですけれども、ここの工場の水銀の排出状況を通産省ではチェックされたことがあるかどうか、この点お聞きしたいと思います。   〔委員長退席、理事久次米健太郎君着席〕
  187. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 御指摘のパルプ工場は、そのパルプ工業単体といたしましては、水銀を使用することは一切ござにません。したがいまして、パルプ工業そのものから水銀が流出するおそれはないわけでございますが、ただいま問題になっております山陽パルプにつきましては、パルプ以外に現在さらし用の塩素とか、苛性ソーダを併産しております。その併産する工程におきまして、電解法を使っておるものですから、そこから水銀が出るおそれがあるわけでございます。この水域はすでに水質保全法に基づきますメチル水銀の指定地域とされておるわけでございますので、われわれのほうも随時排出口付近での検査はやっておるわけでございますが、いままでメチル水銀あるいは総水銀とも、山陽パルプに関しては検出されたことはないという報告を受け取っております。その他の水銀を排出するおそれのある工場につきましては、大半がすでに水銀関係指定水域として指定されておりますので、それぞれの工場に対しまして厳重なチェックを定期的に行なっておるのが実情でございます。
  188. 内田善利

    内田善利君 それではもう一つ、視察しました徳山市の東洋エチル株式会社のことですけれども、ここのことを県庁でお聞きしましたので、その点について若干お聞きしたいと思うのですが、この東洋エチル株式会社で、私は残念ながらここで四エチル鉛が製造されることになるということを知らなかったわけですけれども、ここで問題になっていることは、できた四エチル鉛の輸送法ですけれども、劇毒物法によってドラムかんで運ぶということになっているそうですけれども工場側としては安全を見てタンク車によろう、こういうふうに考えたわけですけれども、一体どの方法が安全なのか、今後、来年の一月から四エチル鉛が製造されるわけですけれども、どうやってこれを運搬される予定か、通産省にお聞きしたいと思います。   〔理事久次米健太郎君退席、委員長着席〕
  189. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) ただいま御指摘の運搬方法の詳細につきましては、現在通産省の内部ではいろいろ検討中でございまして、主として化学工業局においてやっておるわけでございますが、現在その詳細な検討の結果を手元に持っておりませんので、後ほど書類にいたしまして御提出いたしたいと思います。
  190. 内田善利

    内田善利君 現在自動車公害ということで、自動車を製造していくということと無鉛化対策と逆行するように感じたわけですが、年間大体一万四千トンの四エチル鉛をつくると、そして国内の十二のガソリンメーカーへ渡っていく。そうしますと、一ガソリンメーカーで千百トンぐらいになるわけですが、そんなにたくさん四エチル鉛が需要があるのかどうか、若干は東南アジアに輸出するということですけれども、これは自動車ガソリンの無鉛化と逆行するものではないかと、このように思ったわけですけれども、この点はだいじょうぶなんでしょうか。
  191. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 現在四エチル鉛は一万二、三千トン全部輸入でまかないましてガソリンに混入しておるのが実態でございますが、四エチル鉛の排除につきましては、先般来通産省で検討いたしました結果、四十九年の四月一日からは鉛をゼロにするという無鉛化計画がすでに決定しておりまして、したがって、現在の時点から四十九年の四月一日に対して漸進的にその需要量は減ってくるわけでございます。したがいまして、こういった需給状況会社側には十分連絡いたしまして、これ以上もうその時点以後には国内の需要というものはゼロになるのであるから設備の建設あるいはその運営についてもそういったことを前提にして十分考えなさいと、これは間接的に、何と申しますか、四エチル鉛の生産はもう全然企業的に望みはございませんよということを間接的に指導しておるわけでございますが、会社側はその点は十分わかっておりますと、そういう態勢に応じまして会社としてもいろいろ方法を考えてまいりたいと思いますというぐあいに返事は来ておるわけでございますが、先生指摘のような無鉛化計画と矛盾した形でこの生産を行なわせるという考え方は通産省といたしましては全く持っていないところでございます。
  192. 内田善利

    内田善利君 もう一つその点についてお聞きしたいと思いますが、県知事と町長と東洋エチル会社との協定書ですけれども、あるいは覚え書きですけれども、いろいろできておるわけですが、一番肝心な災害が起こった場合にどうするか、この補償の取りきめがないわけなんですが、この点は何か指導等をなされるものかどうか、その点お聞きしたいと思います。
  193. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 県とそういった災害を起こす可能性のある工場との協定は、これ以外にもいろいろ事例はあるようでございますが、原則といたしまして従来両当事者の協定にまかしておりまして、その細部の内容につきまして通産省が一々タッチして指導するという方法は従来からとっておりません。したがいまして、東洋エチルの件につきましても両当事者でさらに詰める必要があるのではないかと思いますが、もし特に問題があって通産省のほうに連絡があれば、その段階においていろいろ配慮してまいりたいと、かように考えておる次第であります。
  194. 内田善利

    内田善利君 時間がありませんので、次に産業廃棄物について少し質問したいと思いますが、産業廃棄物あるいは一般家庭からあるいは公共施設からの、生活環境の中で産業廃棄物ということが非常に問題になってきたわけですが、推定によりますと、昭和五十年には約一億トンの廃棄物が出る。こういうことですけれども、この産業廃棄物から国民の生活を守るという立場から長官にお聞きしたいのですけれども、長官は先取りをしていくとよく言われるわけですけれども、この産業廃棄物に対してどのような対策を考えておられるかお聞きしたいと思います。
  195. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 先ほど田中委員でございましたか、質問のないところまで答弁してしまって恐縮でございましたが、土壌汚染については典型公害に入れていく。産業廃棄物、生活環境廃棄物、これも典型公害として成り立ち得るか、法体系として、実際上の法運用の面で、それが対象として典型公害と言うべきであるかどうかを議論をいたしております。現在の議論の過程におきましては、産業廃棄物というものが公害を起こし始めるということになりますと、土壌汚染を含めますれば典型七公害という現象になってまいりますから、全部規制の網がかぶっていくことになる。しかし、産業廃棄物そのものがその状態では、公害基本法の第二条には現象として起こってこない段階は何かということで、やはりそれは空間不法占拠等の形になるであろうということで、これだけは典型公害というのにはちょっと取り入れにくいのではなかろうか。したがって、第三条もしくは第二条の中にこれを入れていくか、あるいはまた生活環境廃棄物の、清掃法があるわけでありますが、しかしながら、今日の清掃法が町村単位ということで原則的に考えられておる実情と、産業廃棄物、生活環境廃棄物の質、並びに移動した人口による排せつ、廃棄等を考えますと、いまのようなままでよろしいかどうか。これはやはり清掃法の改正とも考え合わせながら、やはり公害基本法の第十二条あたりに生活環境廃棄物という新しい考え方のものを打ち出していくべきではなかろうかということをいま検討しておるところでございます。  たとえば、レジャー人口が急増するに従っての、レジャー地における、とても単一自治体において処理できかねるような生活環境廃棄物、あるいは普通の生活環境廃棄物の中の質の問題、すなわち、たいへん便利なものであるビニール等の、そういう焼いても有害なガスが出たり、埋めても腐らなかったり、あるいは海洋に投棄したら永久に腐らないで砂浜に沈でんをして卵のふ化を妨げたり、プランクトンの有益なる発生を妨げたりという、漁業上の弊害があるというような事態はあちこちにすでに現象として起こっているわけでありますが、これはやはり公害基本法のどこかでつかまえなければならない。そういたしますと、今日までの、下水道も町村単位で考えていたものを、来年度予算あたりで建設省と相談をいたしまして、公害対策の一環として、どうしても広域下水道的なものを考えていかなくてはならないでしょう。そうすると、この清掃法の中にも、やはりそのような広域的な、あるいは一部事務組合による町村段階の広域運営もしくは都道府県という形でそれが処理でき得るものならば、あるいはその能力が与えられるものならば、都道府県の広域による生活環境廃棄物の処理という現象面をつかまえることができるのではなかろうか。  また、質の面においては、ビニールをさらに興元処理することによって、それを有害でなく、結果として有益に再生できる方法等がいろいろといま研究されているようでありますから、それらの実用化等ができ得るものかどうか。あるいは、その前に、ビニールの物体そのものが日光に直射された場合に、何時間かでばらばらになるというようなことも、いま積水でありましたか、研究過程に達したというようなことも聞いておりますけれども、いま、産業新聞等でことに強く取り上げておりまする公害関係の各会社の分野等について、日本人の頭脳というものはずいぶんしたたかなものだと私は思うんですけれども公害でこのような騒ぎが起これば、公害防止機器というものを、どんどん、どんどん日本会社が発明して、アメリカに特許を輸出するような例も出てきつつありますし、アメリカではまた公害防止機器の関連産業が増産に次ぐ増産をやっても需要に追いつかない。株は上がる一方である。いわゆる株価でありますが、そういうような現象等があるところを見ますと、私たちもそういう意味において生活環境廃棄物、産業廃棄物というものをやはり基本法の憲章的な角度からそれを取り入れていって、個別規制をどのようにするかの問題を一歩前進した形で受けとめていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  196. 内田善利

    内田善利君 最後に、要望質問をしたいと思いますが、山口県でも要望がありまして、ぜひこの産業廃棄物の、特に固形物の処理について県ごとに、山口県で産業廃棄物の処理処分の公社を早期に設立したい、したがって国の助成をお願いしたい、こういう要望がありました。いまの長官の答弁によりますと、そういった構想がおありのよりでございますので、ひとつこの点よろしくお願いしたいと思います。と同時に、産業廃棄物、特に固形物ですけれども、この固形物の処理の技術、この技術の開発をひとつ緊急にする方向に向かって研究をしていただきたい、このように思うわけですが、この点もよろしくお願いしたいと思います。  最後に、産業廃棄物の処理処分に関する特別法と申しますか、そういう法律を制定する考えがおありであるかどうかお聞きしたいと思います。
  197. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) それぞれ規制をいたしました場合には、当然規制法というものが出てこなければなりませんが、たとえばいま典型公害の中に悪臭というのがありますけれども、その悪臭というものを取り締まる法律というものはいまだできていない。いわゆるわれわれは極端にくさいときには鼻が曲がるようだと言いますけれども、鼻がどの程度曲がったらどうとかいう基準も何もできていないわけですから、これはやはりたいへんむずかしい。文字どおり雲をつかむような話ですけれども、やはり法律に典型公害として取り入れたら、その法律はつくっていかなければならない。事務当局はそれこそ私を文字どおり鼻つまみ者のように考えておりますけれども、やはりこれは法律の命ずるところだから規制法の実体もなければいかぬと思っております。ですから産業廃棄物も典型公害として入れるかどうかの根本論はもう一つ残っておりますが、いずれにしても単独法でこれをやるかどうかは別といたしまして、基本法に出てきた以上は、産業廃棄物等についての公害現象として起こる前の段階をどのように処理するかについては、法律のどこかで処理するようにしていくように心がけたいと思います。
  198. 須藤五郎

    須藤五郎君 午前中に、ガソリンの鉛含有量について各業者別に発表してもらいたいということを要求してありますが、それを。
  199. 本田早苗

    説明員(本田早苗君) お答えいたします。  須藤先生から、だいぶさきの公害特別委員会におきまして、党のほうで御調査されました各社別の数字をお示しをいただきました。その際JISの基準はおろか、毒物劇物の限度をこえるような数値をお示しただきました。かようなことがありますと非常に問題でありますので、私のほうでも調べて、さような場合には御報告申し上げますと申し上げたわけでございまして、その後東京におきましては七月の七日、名古屋におきましては六月三十日に、これは時期として非常にまずい時期でございまして、七月一日から加鉛量を減少した生産を行なうという体制に入ったところでございまして、若干早くから加鉛量の減少をやる会社もございましたので、この時期は新計画による低鉛化ガソリンと従来のガソリンとがまじることもあり得る時期でございますので、はなはだ時期がまずいわけでございましたが、調査の結果は、平均の二・二が一・二、あるいはレギュラーで〇・七五、あるいは名古屋におきましても一・一、一・四九というふうに低い数値が平均として出てまいりました。そうしていずれの社の製品につきましても御指摘のような毒物劇物の基準あるいはJIS規格をこえるような高い加鉛量のものはございませんでした。したがいまして、私どもといたしましては、さような場合にはと申し上げましたけれども、かように一応基準の中で加鉛量が低下した実績を示しておりますので、各社別の加鉛量につきましてはここで御説明は御容赦願いたいと存ずるわけでございます。なお、もちろん今後引き続いても試買試験を行ないますが、その際にわれわれが先般指示しましたプレミアムで一・一以下にすること、あるいはレギュラーについて極力下げることということで、一・一をできるだけ下げるようにという指導をいたしておりますが、これに違反するようなものが出ました場合にはもちろんわれわれの通達に違反するということでございますので、明確左措置をとる必要があろうかと存じますが、指示しました基準内での成分のばらつきについては各社の設備その他の関係もございますし、こういう席での発表は御容赦させていただきたい、こういうふうに思うわけであります。
  200. 須藤五郎

    須藤五郎君 やはりぼくは不明瞭な面があると思うのですがね。この前は各社が出していた資料をもとにして通産省がわれわれに出したのです、あの資料はね。それがみな三以下になっている。ところがぼくのほうで調べるとそれ以上のものがあったということで問題になったわけです。なんで各社ABCというような、十九社ABCでずっとなぜ出さなきゃならぬか。いまあなたが言うと、各社とも通産省の言った意見よりも下回っているという意見でしょう、いまの話はね。通産省が示し基準よりも下回っているということならば、何も各社名前を出したって一向差しつかえないことだと思う。それを名前を隠すからいろいろな問題が起こってくる。明らかにここで名前を発表して、そうしてここの会社はこうだこうだ、そのとおりみんな基準以下でございますとなぜ言えないのか。言えないからぼくらのほうで調べなければならぬ。あれが第一信用できなかったから、あなたがきょうここで発表したこと自体もぼくは信用することができない。それじゃあ、最近ガソリンの広告に、うちのはハイオクタンですと、宣伝しているところもあるでしょう。なんでそんな宣伝をしなきゃならぬ。あなたたちの言うように鉛の含有量をうんと下げてハイオクタンというものはなくすのでしょう。そうならばハイオクタンの宣伝する必要ないじゃないですか。なおそういうことが今日されているからぼくは信用できない。明らかにしなさいよ、会社を。
  201. 本田早苗

    説明員(本田早苗君) 先般来御説明申し上げておりますが、ハイオクタンガソリンをなくしようということは考えておりません、ハイオクタンガソリンを必要とする自動車があるということなので、ハイオクタンのガソリンを加鉛量を低くして供給いたしたい。したがいまして、今後ともハイオクタンのガソリンとレギュラーのガソリンが供給されるわけでございます。しかしながら、ハイオクタンガソリンであっても一・一以上の加鉛量のガソリンは供給しない、そういうものの生産はやりませんと、こういうことで指導いたしておるわけでございます。いま申し上げましたように、平均して一・一九ですから一・二オーバーしておるわけです。これは六月の三十日というような非常に端境期で、先生もいろいろ資料をとってお調べ願いましたので、われわれとしてもまあ時点は悪くとも早く一ぺん調べて、五・五幾らというような非常に高い加鉛量のガソリンがあるとすれば問題だということで急遽調べたわけでございますが、その点はございませんでした、平均としても二・二、一・一という従来の基準よりもはるかに低い平均で出ました。JISの規格よりも下のものばかりでございました、こういうようなことでございます。  それから、何かいまのように加鉛量の問題ということになりますと、われわれとしてはそうガソリンの加鉛量を減少して、それに伴う大気の中の鉛を減少しようということでやっているわけでございますが、各社の設備の状態、いろいろからいきますと加鉛量にやはり差は出ると思います。しかし、総体として下げるという線に沿うておればこれはその範囲で供給を続けさしてしかるべきであろう、しかも今後は四十六、七、八と三カ年で無鉛化まで進むことにつきまして各社はその線に沿うてやろうという態勢をいまとっておるわけでございますから、各社の名称をあげて幾らだということはこの際御遠慮さしてもらいたい、こういうことでございます。
  202. 須藤五郎

    須藤五郎君 あなたはハイオクタンでも加鉛量をだんだん減らしていくのだと、いわゆるハイオクタンのガソリンというのは鉛を加えなければだめなんでしょう、ハイオクタンを出すために鉛を入れるのじゃないですか、そうじゃないですか。そうすると、四十八年にはもう無鉛化するというのでしょう、それは鉛を入れぬということでしょう、それでもハイオクタンはできるのですか、どうなんですか。
  203. 本田早苗

    説明員(本田早苗君) ハイオクタン価のガソリンをつくるために改質のガソリンあるいは分解ガソリンというものをつくりまして、それはオクタン価が高いのでございます。それの配合比がある程度上がる、ところがそれがまだ問題である場合には、その芳香族等の少ない高オクタン価の無鉛のガソリンのベースを入れてオクタン価を上げるけれども鉛はない、こういうガソリンをつくろうと思います。
  204. 須藤五郎

    須藤五郎君 わかりました。ぼくはしろうとですからね、こういうふうに理解しましたよ、ガソリンのオクタン価を上げるためには鉛を入れなければならぬ、鉛を抜いたらハイオクタンというものはできないのじゃないかというふうにぼくは理解しておりました。だからそういう質問をしたのですが、鉛を入れなくてもオクタン価の高いガソリンをつくることができる、こういうことですね。
  205. 本田早苗

    説明員(本田早苗君) 無鉛化計画につきましてはおっしゃるように、鉛を入れずに九五のハイオクタン価のガソリンと八八のレギュラーのガソリンを供給しようと、これで、無鉛のガソリンで二種類のガソリンを供給しようと、こういうことでございます。
  206. 須藤五郎

    須藤五郎君 それならさっそく、ここ四年も待たなくても鉛を入れなくてもハイオクタンができるなら何で鉛をさっそく抜かないのですか。入れなくてもできる、何で入れるのですか、入れる必要ないじゃないですか。
  207. 本田早苗

    説明員(本田早苗君) 鉛を入れないでオクタン価を維持するためには改質ガソリン、分解ガソリンというものが必要なんでございますが、いまの設備はそれが足らないわけでございます。増強を必要とするわけでございますので、その増強のテンポとして四十八年までかかりますので、四十八年度までにそういう設備を増強してエチル鉛を入れないことにしよう、こういうことでございます。
  208. 須藤五郎

    須藤五郎君 それじゃ、この前私は通産大臣に東洋エチルの工場の話をした、そうしたら四十八年には無鉛化するのだと、だからもう四十八年にはエチルは要らなくなるのだと、だから東洋工業というものはもう要らない、生産する必要がなくなるのだと、こういう話でした。そのときぼくは、それならばむだなことをさせないで、いまのうちに東洋エチルの生産をやめさせていまのうちにほかのものに工場を転換させるようにしたらどうかと言ったら、その問題は要するに経済法則の原則によって自然と売れなくなればつくらなくなるのだと、こういう話でした。ところが、韓国、台湾、東南アジア方面に売るという計画があるじゃないかと私は言った。そうしたらそういう計画もあると、じゃ、日本で毒だから使わぬというものを外国へ売るということは道義上おかしいじゃないかと、こうぼくは言った、そうしたらその点については、道義上の責任は感じたよう左答弁はなかったのですね。それも要するに経済法則の原則に従って解決をしていくのであるというようなことを言いましたが、今日あそこでつくるエチルはどのくらい外国へ出す予定をしているのですか。日本でどれだけ使って、そして外国にはどれくらい出す予定をしているのですか。これは通産省としたらぼくはもうそろばんをはじいているはずだと思います。
  209. 本田早苗

    説明員(本田早苗君) 担当が違いますので、その辺までの詳細な事情は私承知いたしておりません、御了承賜わりたいと思います。
  210. 須藤五郎

    須藤五郎君 じゃ、通産省の人はいないのですか、いま、係の人はおるのでしょう。
  211. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) 詳細な数字の詰めはおそらくまだ所管の原局でもやっていないかと思いますが、われわれが現在東洋エチルに対して連絡といいますか指示しておりますのは、少なくとも四十九年の四月一日からは国内の需要量はゼロになると、それを前提にして生産計画を考え、会社の経営を考えなければいかぬだろうということをはっきり言っておるわけでございます。その対案としての会社の計画というものはわれわれとしてはまだ受け取っておりません。
  212. 須藤五郎

    須藤五郎君 全然それは行政指導はしてないということですね。ほんとうにほっちらかしで会社の側が売れ主君やつくらないだろうという、そんなものの考え方に受け取れますが、そんなことで通産省として任務を果たしたといえるのかどうか、これは大きな問題ですね。まあ、それはきょうは追及やめましょう。  それからあなたね、いま各社の名前を絶対言わぬようですが、あなたの口開いて言わすわけにいかぬから、だからぼくはそれだけにしておきますがね、この際は。しかし、それは非常に不明朗ですよ。ぼくはまた調べて逆襲するかもわかりませんよ。そういうことはちゃんと明らかにするものですよ、こういう際は。そのほうがみなが納得するんですよ。どこのものはこうだこうだと、そして少ないところのガソリンをみなが使ったらいいじゃないですか。そうしたら公害がなくなるでしょう。  それからもう一つぼくは尋ねておきたいのは排出基準。鉛の含有量はあなたの言ったように下がったかもわからぬ、しかし、ガソリンの使用量が上がれば環境的には悪くなってくるんですね。排出基準が重要なんじゃないんで、われわれ国民にとりましては環境基準が重要なんですよ。だから自動車がどんどん台数がふえれば、鉛の含有量が少し減っても排出量が多くなっちゃって環境基準が悪くなる。その関係はどうなんですか。今日、鉛の環境基準はどこに押えているんですか。そして台数がふえたらその点はどういうふうにしていこうというんですか。
  213. 本田早苗

    説明員(本田早苗君) いまこまかい数字を持ちませんので、大ざっぱな話になりますけれども、この間の加鉛量の低下で四一%減ることになります。この間の七月一日からの加鉛量の低下で四一%減ることになります。それから今後六、七、八でゼロにしようというわけでございますので、鉛を含んだ排気の排出軍というのは、自動車の増加あるいはガソリンの使用量の増加テンポよりははるかに速いテンポで減ると、こういうふうに御理解賜わりたいと思います。
  214. 須藤五郎

    須藤五郎君 これは、ぼくは鉛だけ言ってるんじゃないんです。一酸化炭素にしてもそれから亜硫酸ガスにしても、排出基準をきめても、環境基準との関係をどういうふうに考えていくのか。ここはどういうふうにやっていきますか。ちゃんとプラン立っていますか。
  215. 柴崎芳三

    説明員柴崎芳三君) ただいま環境基準がございますのは一酸化炭素だけでございまして、ほかのものについてはございません。ただ、環境基準がないから全然考慮しなくてもいいということではございませんで、運輸省が最近つくりました目標が二つございます。四十八年における鉛、一酸化炭素、酸化窒素、炭化水素その他の総合的な規制値が四十八年と五十年と二段階に分かれて設けられておりまして、その目標に従いまして通産省としてはガソリンの組成も考え、エンジンの改造も考え、それから有害ガスを総合的に吸収するコンバーターも考え、その辺の技術を積み上げていく体制を目下盛んに進めているわけです。したがいまして、五十年になりますと運輸省の説明では絶対量にわいて昭和三十八年覇時の状態になるはずであるというぐあいに説明しておりますが、すべての目標がそこに集約されまして、ただいま技術開発その他の問題を急いでおるというのが実態でございます。
  216. 須藤五郎

    須藤五郎君 きょうはぼくは水の問題で質問するのが中心だったので、こればかり追っておるわけにいかないのですが、これはまたあとで話しましょう。  大臣ね、朝、琵琶湖や天の橋立の水質の問題を取り上げたんです。そうして天の橋立は日本冶金工業のために阿蘇海の水が非常によごれて、昔は金時イワシといって、あすこのイワシは非常にまるまるとよく太ってじょうぶなイワシで金時イワシという名前がついておる。ところが、水が濁って金時イワシがさっぱりとれなくなっちゃって、これは漁師さんが非常に問題にしておる点ですが、いまあすこには、阿蘇海にはヘドロが一メーターから二メーターもたまっておるのですよ。そのヘドロの問題でぼくは日本冶金工業がコンクリートの堰堤をつくるとか工場排水処理を十分にやるということを企業責任でやらしたらどうだということを申しましたら、現にやらしておる、堰堤は来年の春までにでき上がる、それから工場排水処理場も金をかけてやることになっておる。聞くところによりますと、昨日通産省のほうに連絡がありまして、これまでの予算よりもうんと予算をたくさんとって、国会で問題になる前に早くやれということか知りませんけれども予算をたくさんつけて会社もやる、こう言っておるという連絡が来たのですが、琵琶湖、阿蘇海ともに水質保全法の指定水域外と私は聞いておるわけですが、ここでは工場排水の水質を規制することができるのかできないのかですね、この阿蘇海の問題ですが、どうなんですか。
  217. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) ただいまあげられました地区については、特別に急いで、たとえば田子の浦を十月一日に水域が指定できるように特別に重点的に作業している。そのために、先般の十五億四千万の中からも田子の浦分だけ必要な金を出したというようなケースとはちょっと違うようでありますが、いま改正準備を急いでおります法律で、これはもう指定水域であろうとなかろうと、基準を、やはりナショナルミニマム的なものを定めて、全国一律にいかなる水域にも水系にも適用するということがそれが最低基準であって、それは全国全部守らなければならない。それに対して知事のほうで、自分のほうのこの水域、水系はもっときびしいものにしなければならぬという判断を地方行政責任者としてされた場合には、それ以上の規制をしてもよろしい。ただ水と空気というものは続いておりますので、県を異にするために著しく規制が異なるという場合だとまた問題が逆に地方に全部委譲したために起こりますから、一定の、非常識でないという上限を定めて、そのワク内の調整をしていただく。それでも調整ができない場合には中央が再びあっせん、調停の労をとるという法律の形にしたい、かように思っておりますから、いずれそれができ上がりますと、それらの地域ももちろん漏れなく日本じゅうが全部知事さんの権限によってそれができるようになるということになるわけであります。
  218. 須藤五郎

    須藤五郎君 現行法では、これは規制水域じゃないですから取り締まることはむずかしいのだろうと思うのです。そうすると、結局汚染の野放しという結果が起こってきてそれが今日のような状態を、ああいう天下の三景ですね、そこにおいてもすでにもうこういうことが起こってきておるということになったのだろうと思いますが、私は公害対策基本法、水質保全法、工場排水規制法を改める必要がある、こういうふうに思うのです。われわれは、まず国民の健康と生活を何よりも大事にすることが必要だし、文化財を守り、美しい自然を取り戻す、こういうことが私は必要だと思うのです。で、公害汚染等は発生源で防止するために企業に防止義務を課す立場を基本に据える必要があると私は思いますが、この点について私は大臣の意見を伺いたい。そうして、その基本に立つならば、まず第一は、今日ある指定水域制というもの、それを廃止することが必要ではないかと思うんですが、全国一律のきびしい基準をつくる。同時に地域の特殊性を認めてそれ以上の規制権限を知事に与える、これが一つ。それから大量排出者、これは自己負担で浄化装置の建設を義務づけること、被害を及ぼした場合は責任をとらす、これが第二。それから中小企業へは共同処理場を設け、助成する。ちょっと考えてもこういう三点がまず必要だと私は思いますが、大臣どういうふうにお考えに在りますか。
  219. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) たいへん喜ばしいことですが、共産党とわが党と全く見解が一致いたしました。そのとおりでございます。
  220. 須藤五郎

    須藤五郎君 大臣とぼくとの見解の一致と違うんですか。
  221. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 私もそのとおりの作業を進めております。
  222. 須藤五郎

    須藤五郎君 それはまたたいへんなけっこうな話を私は伺ったわけですが、そういう考えを持っていらっしゃる山中長官なら、ぜひとも全力をあげて一刻も早くこれをやり遂げていただきたい。われわれは、もう一刻を争う問題だと思っているんですが、ですから、そういう点で十分がんばってやっていただきたい。  それから便法としまして、今日阿蘇の海は他県とは連絡がないところなんですね。それは、日本海に出りゃ日本全国関係がありますけれども、そうじゃないんです。阿蘇は京都府にずっと管轄されている。ですから、京都知事が自治体の責任で、今日政府がやろうと、あなたがやろうとしているようなことを、政府がやるよりも前にやっても、私は、あなたは文句を言わない、差しつかえないことだと思いますが、その点どうですか。
  223. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 党派は別として、竹山知事のように、呼んだら来ていただく——呼ぶというのは失礼かもしれませんが、お会いしたいと言ったら来ていただくということで、蜷川さんも、私みたいな若僧でも喜んで話し合おうとおっしゃれば、合意点はどしどしやっていただいてもいいと思いますし、国のあらゆる援助もしたいと思いますが、しかし、一方的におやりになると連絡なしでは、場合によっては応援できることができなくなるおそれがありますので、やはりよく連絡をとっていただいて、合意の上にやるようにしてほしいと思います。
  224. 須藤五郎

    須藤五郎君 蜷川さんがどういうことを考えているか、私は蜷川さんの意見を承って言っているわけじゃないですから、蜷川さんをこっちに連れてくるということは私はお約束できませんよ。そういうこと、私は言っているんじゃない。竹山さんのように出てきて、あのヘドロ、どうしても海にほうるんだ。あんなたんかを切っていくんだと、これは問題ですよ。あれは大臣が言わしたんですか。大臣言わしたんじゃないでしょう。ぼくは、あの問題、きょうは取り上げるつもりはないんですよ。あんなむちゃくちゃなこと言う県知事なら、大臣、ひとつ行政指導でやめさせなさいよ。海にほうることは、あんなばかな——漁民の利益を何にも考えないでやることはよくないですよ。あれは即刻やめさすべきだと思うんです、竹山さんですか。大臣からそうひとつ注意を与えられたらどうかと思いますよ、大臣。  それじゃ、次にまいりましょう。川の水で写真の現像ができたということが盛んに新聞に出ております。私もここにひとつその見本を持ってきております。これは毎日新聞ですが、きょうの朝の新聞にも出ておりました。これは一体どういうことかというんですね。川の中に写真の現像をするような強力な薬品が入っておるということだと思うんですね。あれは現像液は毒だということは、私は昔から聞いておりましたが、そういうものがこれに含まれているということの証拠だと思うんですね。川というものは、私ら子供のときから川と言えば、魚が泳ぎ、そして、私たちが夏になれば泳ぎにいけるところだと、このように考えていました。ところが、今日の川というものは、もう私たちの概念にはすっかり合わないような状態になっておるのですね。九月一日閣議決定された環境基準の水域類型、こういうものが、私どもは見ておりますが、それによりますると、百八十六水域中魚が住めるのは百三十水域、泳げるのが五十五水域、こういうことになりまして、もう百八十六の水域中われわれが泳ぎにいけるのは三分の一、こういう情けない状態になってきておる。この環境水質基準、これは、ここに出ている環境水質基準、これは最終の目標なのか、どうでございますか、こういうことです。
  225. 西川喬

    説明員(西川喬君) 現在この水域の利用目的に照らしまして、一応その利用目的に合致するということで目標にいたしてございます。ただわれわれといたしましては、特に問題となりますのは、この河川の場合で申しますとE類型のような現在の都市河川等でございますけれども、非常に汚濁し切っている。まあ最大限、悪臭を放たないというところまでまず持っていこうというような類型のところもございますが、このようなところは、これが決して最終ではなしに、現在の行政目標である。これが到達したならば、さらにその上位の類型に持っていけるかどうかということを検討いたしまして、持っていけるのであれば、そのときには、さらに上位の類型へもっと、よくしていくというようなことに努力いたしたいということに考えております。当面現在この利用目的に照らしまして当面の行政目標として、この類型の当てはめを決定したというふうに考えております。
  226. 須藤五郎

    須藤五郎君 私は大阪の住人ですから、しょっちゅう家に帰るときに神崎川を、阪急電車で、神崎川の鉄橋の上を通る。もう神崎川の近くまで行くとプーンとにおいがくる。あの神崎川は、私たち子供のとき、青年時代、あそこで水泳をやったものです。ところがいまはどぶ川ですね。つけたら手が染まるような、そういうひどいどぶ川になっている。これは神崎川のみならず寝屋川もあのとおりです。大阪のまん中を流れておる寝屋川が同じような状態。類型では寝屋川も神崎川もEですね。Eということになっておりますね。そうすると、こういうひどいものを五年間に一〇PPMまで基準で言っているのは、そこまで下げるということが実際できるのかどうか。私は、とうていできない。もしも、できるというならば、そのできる方法を具体的に説明してください。
  227. 西川喬

    説明員(西川喬君) 達成期間の目標といたしましては、原則として五年というふうに考えておりますが、総合的施策を講じても五年に達成困難なものにつきましては、できるだけ最大の努力を払いましても、五年をこすのもやむを得ないけれども、できるだけすみやかに達成するようにいたしなさい。このような基本方針が閣議決定になっております。  それで神崎川等につきましては残念ながら五年では達成できません。で、五年をこすものにつきましては、その中間時点の暫定的な目標をつくって、段階的に達成をはかるようにしなさいということになっておりまして、神崎川につきましては、中間目標といたしまして、五年後にBODにいたしまして、二五PPMを目標にいたしまして、最終的に一〇PPMにもっていきたい。このような目標にいたしてございます。
  228. 須藤五郎

    須藤五郎君 五年後を一〇PPMにすると言ったのが、二十五年とひどく延びてしまったわけですが。
  229. 西川喬

    説明員(西川喬君) 五年後の目標が二五PPMということでございます。それで、その後十年以内、私どもといたしましては九年ということを考えておりますが、九年で一〇PPMにもっていきたい。
  230. 須藤五郎

    須藤五郎君 それが何年になったのか。九年。
  231. 西川喬

    説明員(西川喬君) 九年で一〇PPMということでございます。
  232. 須藤五郎

    須藤五郎君 九年で一〇PPMでしょう。できますか、約束しますか。それならば、今日どういうふうな方法を考えておるか、それに対してどういう予算をつけておるか、一ぺん説明してください。
  233. 西川喬

    説明員(西川喬君) 神崎川等につきましては、現在もうすでに工場等の事業場による排水よりも一般家庭の排水のほうがずっとウエートが高くなってきております。で、これを達成しますためには、どうしても下水道の整備ということを実施せざるを得ないわけでございます。現在神崎川流域につきましての下水道を九年の間にわたって完全に整備いたしたい。一部は下水道につきましても現在の基準できまっております二〇PPMの高級処理でございますが、二〇PPM処理では一〇PPMを達成することが困難でございますので、一部につきましてはさらにこれを第三次処理と申しますか、高度処理を行なうということ、それからそれ以外といたしましては、現在もすでに実施いたしておりますが、神崎川のしゅんせつ、あるいは上流の猪名川のダムによりまして、流量を安定化するというような施策を総合的に講じまして、一〇PPMを確保いたしたい。九年という時限の一番大きな問題は、やはり下水道の整備の期間でございます。
  234. 須藤五郎

    須藤五郎君 その下水道の問題ですが、総予算は地方分担分を含めて試算をしていらっしゃるのか。それともどこが中心になってやるのか。いわゆる厚生省建設省、通産省、自治省、こういう関係があると思うんですが、どこが中心になってこういうことをやっていこうとしていらっしゃるのか。
  235. 石川邦夫

    説明員(石川邦夫君) 下水道は建設省の所管になっておりまして、全体の事業計画、それから長期計画等につきましては、建設省において策定しておるわけでございます。下水道につきましては、いま御指摘ありましたように、国庫支出金とそれから地方債がかなりあるわけでございまして、こういうものを含めまして、私のほうで計画いたしておるという状態でございます。
  236. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうすると、先ほど経企庁の方がお答えになったようなことが、建設省として九年内にちゃんと完成できるという確信をお持ちですか。
  237. 石川邦夫

    説明員(石川邦夫君) 下水道につきましては、現在これまでの状況が非常におくれておりますので、明年度からわれわれといたしましては、新しい下水道整備五カ年計画を、第三期でございますが、これを要求しておるわけでございまして、その中に当然いまお話が出ましたような問題も含めて計画しておるわけでございます。
  238. 須藤五郎

    須藤五郎君 従来やってきたことを見てますと、各省ばらばらの行政をやってこられて、どこが中心かということがはっきりしなかった、そういうことでは私はとうてい実現が不可能だというふうに考えておりましたね。そうすると、今度建設省が全責任をもってやる、この神崎川の汚染を九年間かかったら、経企庁の方針どおりりっぱになし遂げると、こういうことならば、これはもう建設省の責任になってくるわけですが、私たち建設省をこれから責めますよ、そういうことならば。ところが、従来の建設省の実績を見ると、とってもそんなことできそうな感じがしないんですがね。四十二年に下水の普及目標、これが二一・四%、ところが達成率は二〇・五%、これを見ても一%おくれているんですね。それから四十三年が二三・一%、ところが達成率は二一・一%、ここでもおくれている。それから四十四年は目標二五%、それに対して二二・一%、こういうように非常におくれているんです。この第三年目の昭和四十四年普及目標が二五%で実際達成率は二二・一%にすぎない、いま申しましたように。前年実績比はわずか一%にすぎないわけですね。すでに目標の三%もおくれてきているわけです。この調子でいくならば、三年後にさらに三年分おくれるということになってしまうと言わなければなりませんね。これが現在の建設省の実績なんです。その上にたとえましたならば、大阪では尻無川、正蓮寺川、これが下水道建設計画からはずれておるわけなんですが、これは一体どういうふうにするお考えか。これではとにかく先ほど申しましたように、皆さんの御計画はたいへんりっぱな御計画だと言えるかもわかりませんが、それは単に絵にかいたもちにすぎなくて、実現は何らしていないというだけで、実際何もしていない、できていない、こういうことになるわけですが、それはこの点は一体どういうふうになさるおつもりか。国民は何も計画よりも実際がほしいのでございまして、幾ら政府がりっぱな計画を立てて云々言われても、われわれはなに一向にありがたくないので、実際にやってもらいたいというのが、これが国民の声ですが、こういうことやられますか。
  239. 石川邦夫

    説明員(石川邦夫君) 御指摘のように、下水道計画現在の計画は九千億円で、四十二年度から四十六年度まで一応計画していったわけでございますが、御指摘のように、非常におくれておりまして、四十五年度を終わりましても資金ベースで七〇%弱でございます。しかも市街地の、あるいは市街地人口というものがどんどん広がっておりまして、したがいまして、なかなか当初予期したような普及率に達しておらないというのは御指摘のとおりでございますので、われわれといたしましては、飛躍的にこれを拡大するというつもりで、明年度以降新しい第三期下水道整備五カ年計画、こういうものを現在計画し要求しておるという次第でございます。
  240. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 御疑問はごもっともでございますし、現実までの実績はそのようなことでございましたので、政府全体としても公害対策予算の中で公共事業全体のワクの議論の別表ワクとして公害の中の一番の基本の問題として下水道の問題を取り上げるという角度から、私の手元を今度は通すことにいたしました。今週の火曜の閣議の緊急公害対策の支出につきましても、東京湾、大阪湾、先生のいま指摘されましたところの地域を重点的にことしの予算にさらに九億九千一百万を追加いたしまして、さらにその促進をはかることにいたしておりますが、広域下水道の新しい構想等も含めて来年度からやはり全国にばらまく下水道予算ということでない、どこを重点に何を目標に配分するかということについては、建設大臣もやはり公害地区というものを重点にしなければ、単に工場排水とか何とかだけではだめなんだという気持ちを持っておりますので、大体いまのところ足並みそろえて御希望の方向に動き出すものと確信をいたしております。
  241. 須藤五郎

    須藤五郎君 私はこういう質問をなぜするかと申しますと、この間、都市計画中央審議会の下水道部会が七月中旬の中間報告で、環境基準を守るためには昭和五十年までに四兆三千億円の下水道整備資金が必要だ、これがなければ美しい日本は永久にもうやってこないのだというような深刻な答申をしているわけですね。ところが第三次五カ年計画、いまあなたがおっしゃったのでは概算の要求が総事務費二兆六千億円、こういうふうになっているんですね。政府資料でなっているんですね。四兆三千億の要求に対して一兆六千億というのは、これはもう初めから薄められてしまっていると、こういうことになると思うんですね。こういう計画で環境水質基準の実現がはたしてできるかどうか。だから下水道事業予算というものをもっともっとうんと増加する必要があるんじゃないかというのが私の意見なんです。大臣そうじゃないでしょうか。
  242. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 建設省も下水道だけを所有しておりますと、思い切ったそういう要求ができると思うのですけれども、やはり公共事業全体の中の一環として下水道予算の総体年次計画なり来年度予算を、しかも制限された二五%増の範囲内という対前年の比率も要求されておりますし、やはり欲するところ大にして現実にはただいま申し上げましたようなことにとどまる傾向があると思いますが、しかし、それでもやはり私たちが先ほど先生のお話しのように、日本の国土の本来美しい国日本というその姿を、日本三景は日本臭景である、においのする三景であるというふうにしてはいけないのでありますから、そういうわずかな面積に日本の総人口の五〇%ぐらいが密集してしまった現在、これをどのようにするか、やはり水洗便所の普及率一つとってみても、これはどうも文化国家として世界に名のりをあげるにはその比較表を見ることが憂うつになるような数字になっておるわけですから、どうしてもやはり下水道あたりは相当左重点予算項目としなければならないだろう、したがって、公害対策本部もこの問題にはある意味の応援団と申しますか、大蔵省との間に相当な発言力を保持しつつ、場合によっては総理も本部長としてその責任を分担してほしいというぐらいのつもりでおります。
  243. 須藤五郎

    須藤五郎君 最後に一問。自治省もいらしたら伺おうと思っていましたが、自治省はお帰りになったようですから、それに関連しまして下水道建設地方公共団体の補助の問題でございますが、まず国の予算を引き上げることが第一だと思います。それから地方公共団体への補助率を引き上げる必要がある、こういうふうに私は考えますね。大阪市の場合を申しますならば、国の規定では公共下水道四〇%の補助ということになっておりますが、その基準単価が非常に安う見積もられておりますために、実質補助は一六%ぐらいにしかならないですね。全国平均で二七%、こういうふうになっておりますが、補助率が低うて実質的には二〇%程度の補助、こういうふうになっている。そうすると、約七〇%から八〇%以上が地方自治体の持ち出しというかっこうに今日なってきている。したがって、住民の負担が非常に高い。こういうことになっております。政府がほんとうに国民の環境衛生をよくして、川や湖を美しくする気があるならば、下水道予算をふやして、同時に自治体への補助率を引き上げるべきだと、こういうふうに共産党は考えるわけでございますが、またこれは多くの自治体の要望事項にもなっておると思うのです。これに対して山中長官並びにここに自治省の佐々木参事官がいらっしゃるということを伺いましたから、ひとつ両氏からお答えを願っておきたいと思います。
  244. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 下水道は御指摘のとおり、最も基幹的な都市施設でございます。そういう意味におきまして私どもといたしましても下水道の整備ということにつきましては積極的に取り組む考え方でございます。新しい五カ年計画の策定が行なわれつつあるわけでございますが、現在この内容におきまして地方負担等がどういうふうになるかということはまだ未確定でございます。ただどもの考え方といたしましては、現在下水道につきまして公共事業としていわば国庫補助の対象となります範囲というものが必ずしも明確でない。したがいまして、現在ありますところの十分の四の補助率自体が実際の事業に対しまして相当問題が出てきているということは事実でございます。したがいまして、新しい五カ年計画の策定にあたりましてはそうした補助対象事業の範囲をもっとはっきりした姿にして、それに対して国の負担分、地方の負担分というものをもっと明確な姿で新しい計画を策定してまいりたい。それに基づいて私どもとしまして地方財政計画を通じまして、また地方債計画を通じまして下水道の税源措置を十分措置してまいりたい。かように考えておる次第でございます。
  245. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) これは大蔵省がおれば一番よろしいのでしょうが、自治省にしても建設省にしても単に下水道事業のみならず補助率引き上げというのは毎年の予算折衝項目の一つでありますし、来年度はことに公害の観点からも基礎条件整備の一つであるということから当然議論の対象になると思いますが、大蔵省の考え方の中には、でき上がったあと使用料、負担金等がとれる事業というものはやはり大蔵省は大蔵省なりにそろばんをはじきまして、やはりそこらのところは裏負担の起債等について補助残起債等で処理して、あとに償還財源はあるじゃないかというような考え方も一つのやはり財政運用理論としては存在し得ることだと思いますし、そこらの理論攻防戦にもなるかと思いますが、しかし、今日の下水道事業の公害基礎条件整備の大きな柱の一つであるという議論から、ことしの予算においてはもっと突っ込んだ議論を戦わしてみたいと思います。
  246. 須藤五郎

    須藤五郎君 最後に希望です。やはり美しい空、美しい水を確保していくためには、この際やはり思い切った政治が必要だと思うのですね。ただそろばんだけはじいておったのではとうてい出っこないことだと思いますので、この際山中長官の政治力に大いに期待をして、ぜひとも美しい空、美しい水を確保するためにひとつ努力していただきたいと思います。  私、質問終わります。
  247. 占部秀男

    委員長占部秀男君) 本日の調査はこの程度にとどめて、これにて散会いたします。    午後四時五十七分散会      —————・—————