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1970-02-27 第63回国会 参議院 公害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年二月二十七日(金曜日)    午前十時十四分開会     —————————————    委員異動  一月二十二日     辞任         補欠選任      菅野 儀作君     鬼丸 勝之君  一月二十三日     辞任         補欠選任      阿具根 登君     田中寿美子君      大矢  正君     加藤シヅエ君  二月十三日     辞任         補欠選任      小柳  勇君     亀田 得治君  二月十四日     辞任         補欠選任      佐藤 一郎君     奥村 悦造君      土屋 義彦君     川上 為治君  二月十七日     辞任         補欠選任      山内 一郎君     中津井 真君  二月十八日     辞任         補欠選任      黒木 利克君     玉置 和郎君      大谷 贇雄君     鹿島 俊雄君  二月十九日     辞任         補欠選任      鹿島 俊雄君     大谷 贇雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         松井  誠君     理 事                久次米健太郎君                 小野  明君                 内田 善利君     委 員                 鬼丸 勝之君                 川上 為治君                 加藤シヅエ君                 田中寿美子君                 小平 芳平君                 片山 武夫君                 須藤 五郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○派遣委員報告     —————————————
  2. 松井誠

    委員長松井誠君) ただいまから公害対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  去る一月二十二日、菅野儀作君が辞任され、その補欠として鬼丸勝之君が選任されました。  同月二十三日、阿具根登君及び大矢正君が辞任され、その補欠として田中寿美子君及び加藤シヅエ君が選任されました。  二月十三日、小柳勇君が辞任され、その補欠として亀田得治君が選任されました。  同月十四日、佐藤一郎君及び土屋義彦君が辞任され、その補欠として奥村悦造君及び川上為治君が選任されました。  同月十七日、山内一郎君が辞任され、その補欠として中津井真君が選任されました。  また、同月十八日、黒木利克君が辞任され、その補欠として玉置和郎君が選任されました。     —————————————
  3. 松井誠

    委員長松井誠君) 次に、理事補欠選任を行ないます。  現在、本委員会理事が二名欠員になっております。この際、その補欠選任を行ないたいと存じます。選任につきましては、先例により委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松井誠

    委員長松井誠君) 御異議ないと認めます。  それでは理事久次米健太郎君及び中津井真君を指名いたします。     —————————————
  5. 松井誠

    委員長松井誠君) 派遣委員報告に関する件を議題といたします。  先般、当委員会が行ないました二個班の委員派遣について、派遣委員から報告をお願いいたします。まず、大分班からお願いいたします。加藤君。
  6. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 先般行なわれました大分班委員派遣に関する報告を申し上げます。  去る二月八日から十一日にかけて、松井委員長村上委員、私加藤の三人で班を編成し、大分県の新産業都市における公害実情とその防止対策及び鉱業廃水による汚染実情視察してまいりました。  一行はまず、県当局から、大分地区産業都市建設計画及び公害行政概要について説明を聞いた後、大分鶴崎地区臨海工業地席におもむきました。そこで九州石油大分製油所及び昭和電工グループ石油化学コンビナートを訪れ、前者については、特に脱硫装置を、後者については、排煙施設及び中央排水処理場中心にして視察いたしました。  次いで、大分市から約六十キロ隔たった県境の山間地奥岳川流域に入って、カドミウム汚染発生源と見られる蔵内金属豊栄鉱山及び三菱金属尾平鉱山の、鉱業廃水処理施設視察しました。  各施設に関する個別的な報告は省略させていただきまして、視察全般を通じて得た印象問題点の概略だけを申し上げたいと存じます。  まず、海水水質関係について見ますと、すでに水質汚濁が著しい地区として、佐伯湾及び大野川河口右岸が、パルプ廃液による汚濁問題を起こしております。今後の強力な対策が望まれるところであります。  他方、大分地区臨海工業地帯は、その造成計画完成目標昭和五十年に置いておりまして、現在、計画の約六〇%の埋め立てを完了しております。立地する主要企業は、鉄鋼、電力石油精製石油化学等の十五社であり、目標年次工業出荷額の総額は五千億円をこえる見込みであります。  これは、コンビナート規模としては比較的小さく、また企業数も少ないほうであります。その中で、今回視察いたしました昭和電工グループが第一期工事を終え稼働しておりますが、ここではスタートから共同排水処理を実施しております。また、他の各企業も、用排水分離を完全に行なう設計のもとに、用水の合理化はむろんのこと、排水処理についても、可能な限り、最新の手法を採用することにしております。その結果、化学的酸素要求量浮遊物、油分は、当、地先海域の特性である東方への海流によって、かなり早く流れ去り、一号埋め立て地付近で十分に、希釈されるため、ほとんど問題はないものと考えられます。  しかしながら、工場排出口付近では拡散が十分でないため、沖合い約五百メートルまでの海域には汚濁が及ぶものと考えられますので、健全なるコンビナート発展を期するには、さらに次の点について留意する必要があります。  すなわち、第一に、工業開発に伴う人口増都市化による下水汚濁及び船舶による汚濁等に対する迅速な対策を確立すること。第二に、県、市を中心とする各企業に対するアフターケア対策を確立すること。第三に、活性汚泥法の採用により発生する大量の汚泥について、その処理方法を検討すること等であります。  次に、大気汚染について見ますと、現時点においては、企業立地計画中ないし進行中であるため、ばい煙発生施設による汚染負荷も問題となる程度ではありません。しかし、発生源に近い一部の地区において、硫黄酸化物及び浮遊粉じん増加する傾向を示しつつあり、今後、企業操業が進むに比例して、これらの汚染物質増加が予想されます。特に、発生施設が同一風向下に直線的に並んでいるため、北からの風向条件では、河川にはさまれた地区汚染内陸部に侵入するおそれがあります。これに対処するためには、常時監視体制の整備をはかり、気象条件と関連した汚染の解析を進めるほか、今後の新増設に際しては、徹底した既設備の改善と大規模発生源に対する重点的な排出量低減対策条件とする必要があると考えられます。また、大野川及び乙津川沿い低地帯については、逆転層及び局地気象汚染物質拡散現象に関する実態の把握が特に肝要であります。さらに、高煙突化対策をとっても、発生源から数キロメートル以内に硫黄酸化物の高濃度域が出現しやすい他の臨海工業地帯の例から見て、異常な気象条件下での高濃度を避けるための特段の配慮が必要と考えられます。  以上、新産業都市建設に当たる本県の印象等について申し上げましたが、最近におけるわが国産業発展の推移にかんがみますと、本工業地帯も今後また急速飛躍的に発展するものと予想されなければなりません。  その場合、現時点において計算される以外の、たとえば、交通量の増大、人家の増設等に伴う大気及び水の汚染増加をも考慮に入れた余裕ある建設設計に立脚した、あとに悔いを残さない計画が要望されます。  最後に、鉱山関係につきましては、すでに厚生省と県当局共同調査によって奥岳水系カドミウム含有量は、人の健康に直ちに有害というほどのものではなく、健康診断の結果、カドミウム中毒患者と見られる者は一名も発見されておらず、他面、昨年三月末までに前述両鉱山排水処理施設完成を見ていますので、現状では特に問題はありません。しかし、昨年五月、当水系一帯が要観察地域に指定されておりますので、今後の問題として、両鉱山排水処理施設維持管理を、特に渇水期において十分徹底して行なら必要があることはもちろんでありますが、なお環境汚染対策として、川水、川どろ等に含まれる重金属の定期的分析調査を特に渇水期において精密に行なうこと、並びに住民カドミウム摂取を漸減させるための水田土壌調査研究が必要であります。さらにまた、保健対策として、栄養、食生活調査飲料水定期的分析人体影響の有無を解明するための健康診断等を、それぞれ実施することが望まれますが、幸い県当局におきまして、これらの諸対策予算を計上して事業を進め、近くその結果を発表できる段階であると聞きました。  以上、調査の大要について御報告申し上げました。なお、詳細につきましては、別途委員長文書報告提出してありますので、会議録への掲載方をお取り計らい願いたいと存じます。  終りに臨みまして、今回の視察にあたり、終始、御協力を得ました木下知事をはじめとする県当局並びに関係の皆さまに対しまして、深甚なる感謝の念を表明いたします。
  7. 松井誠

    委員長松井誠君) 次に、福岡班お願いいたします。小野君。
  8. 小野明

    小野明君 第二班は、内田理事鬼丸委員木島委員田中委員及び私で、二月九日、十日の両日、福岡県下公害実情調査を行ないました。その概要を簡単に報告いたします。  まず、二月九日は、福岡県庁訪問知事以下関係者から県下公害説明を聴取いたしました。  次いで、大牟田市役所訪問市長より大牟田市の公害実情等について説明を聴取した後、三井金属鉱業三池製煉所三井東圧化学大牟田化学工業所大牟田流域視察いたしました。  翌二月十日は、北九州市役所訪問市長外関係者から北九州地区公害実情等について説明を聴取いたしました。  次いで、国設大気汚染観測所八幡製鉄所戸畑工場、洞海湾の海水汚濁状況等視察するとともに、若松区の高塔山に登り、北九州全般煤煙等による大気汚染状況を高所より観測いたしました。  以上が今回の調査の範囲の概要であります。  大牟田市、北九州市両地区視察概要は別に報告書報告いたしますので、詳しくはそれによって御承知願いたいと思います。  ここでは、今回の調査で問題と思われる数点を報告して、これに対する政府の善処を要望したいと思います。  まず、福岡板付飛行場ジェット機等航空機による騒音問題であります。政府においても、移転飛行場選定等に関してその促進に積極的であると伝えられておりますが、移転問題が起きてから相当の期間を経過しております。板付飛行場福岡市の市街地に近接し、飛行機の離着陸には市街地の上空を低空で通過する場合も多いので、学童、市民は、日夜その騒音に悩まされております。政府は、飛行場移転促進をはかり、早急に騒音公害の解消につとめるべきであります。  次に、かつて林立する煙突から七色の煙が立ちのぼり、大空一面が煤煙でおおわれ、これを工業地帯の繁栄のシンボルと見た時代と比較すれば、今日では、北九州大牟田両市とも、燃料石炭から重油への移行、高性能の電気集じん機装置、高煙突化等により、煤煙は著しく減少しております。しかし、生産量増加に伴い、重油等燃料使用量は飛躍的に増大し、その結果、亜硫酸ガス等硫黄酸化物による大気汚染がはなはだしく、これが住民都市生活に重大な脅威となっております。大牟田市においては、三井アルミ工業の進出が予定されております。アルミ製造には大量の電力が必要であり、三井アルミ硫黄分含有量の多い三池石炭専焼の十五万六千キロの火力発電所新設計画しております。現在でも、大牟田市の硫黄酸化物による大気汚染は漸増の傾向にあり、警報、注意報発令の頻度も高いので、新設工場に対する大気汚染防止対策は事前に十分の検討が必要であります。  また、監視組織の充実と国の援助による強力な脱硫装置開発大気汚染防止対策には重要であると思います。  次に、大牟田川の水質は、四十三年七月水域指定及び水質基準の設定以後、指定工場市民協力により四十年前後よりは相当改善されております。しかし、河底汚泥は昔のまま放置されております。この汚泥しゅんせつ大牟田市にとっては重要な課題と思われます。汚泥しゅんせつは県の援助のみでなく、国においても、これに協力すべきものと思います。特に、大牟田河口のノリの被害にも微妙な関係のあることも予想されますので、汚泥しゅんせつは早急に実施の必要があります。  次に、鶏の飼料製造化成工場昭和三十六年設立以降、工場から発散する悪臭に工場周辺住民が著しい被害をこうむり、住民の苦情が絶えず、大きな社会問題となっております。幾多の経緯を経て、四十三年十一月、工場飼料製造許可申請は不許可処分に付されましたが、工場は、操業停止の警告を無視して無許可操業を続け、また、昨年十一月には、県は「へい獣処理場等に関する法律」違反で告発しておりますが、依然として、今日でも、操業を続けております。この公害防止協力せず、順法精神のない事業主に対して適切な措置をとる必要があります。  次は、北九州地区測候所を設置することの地元要請であります。この要請はすでに数年前から継続されており、国も設置の方針である旨伝えられております。これの促進政府要請いたしたいと思います。  北九州市は、表は響灘、関門海峡を控え、背後は足立山、貫山、帆柱山等びょうぶ状に囲まれております。この地形に海流影響等が関連して複雑な気象変化が多く、逆転層を発生しやすく、その結果、市民は突然、大気汚染被害をこうむることが多いのであります。  現在、国設大気汚染観測所は設置されておりますが、これは汚染実態を観測するものであります。北九州市のような複雑な気象状況下にある工業地帯では、公害予防のための気象予報等がきわめて重要でありますので、当市に早急に測候所を設置されんことを強く要望したいのであります。  次は、カネミライスオイルによる油症患者救済の問題であります。  本年一月二十六日現在で県下油症患者三百九十五名、世帯数では百四十八世帯、ほかに、疑症者三十七名、世帯数二十七世帯とまだ多数の油症患者が有効な治療方法も発見されないままその疾症に悩まされております。一家の主人が働けないため生活困窮世帯も多数あり、まことに気の毒な状態のもとにあります。県も救済にはいろいろ努力しておりますが、何といっても加害者カネミ倉庫被害を十分補償するだけの財力がないので、患者救済は著しくおくれております。油症患者福岡県下のみでなく、長崎県、佐賀県、ほか九州の各県はじめ、中国、四国地方にも発生しております。油症患者の今日の実態を見るとき、これは、会社、地方公共団体の力のみではとうてい救済を期待することは不可能であると思われます。したがって、企業責任追及とは別に、国においても公害被災者に準じた保護措置を早急に講じなければならないと思います。  以上のほか、県下公害全般に関して、いろいろの問題、福岡県、大牟田北九州の両市、地元市民団体政党等からの御要望等も多々ありましたが、これらの問題点要望事項等につきましては、適当な機会に、委員会において、各委員の御協力を得て、問題解決のため努力いたしたいと思っております。  なお、今回の視察に際しまして、知事、各市長はじめ関係者の各位に対しまして、積極的に調査に御協力いただいたことを厚く御礼申し上げ、報告を終わります。
  9. 松井誠

    委員長松井誠君) 両班の御発言にありました詳細な報告書は、本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 松井誠

    委員長松井誠君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  何か御発言はございませんか。
  11. 小野明

    小野明君 四十五年度の予算も原案ができておりますので、当委員会に、各省予算の中で公害関係予算ですね、それとその内容。額だけでは内容はわかりませんから、その内容提出をしていただきたいということが一件です。  それからもう一件は、それぞれ地方自治体においても公害関係予算が組まれておるのであります。その各地方自治体の議会にいま提出されております公害関係予算、その内容、これを提出をいただきたい、こう考えております。
  12. 松井誠

    委員長松井誠君) ただいまの小野君の資料要求は、さっそく政府当局に対し、できる限りすみやかに提出するよう申し伝えます。  派遣委員報告は、これをもって終了をいたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午前十時三十六分散会      ——————————