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1970-05-12 第63回国会 参議院 建設委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年五月十二日(火曜日)    午前十時二十一分開会     ―――――――――――――    委員長の異動 五月十二日大和与一委員長辞任につき、その補 欠として田中一君を議院において委員長に選任し た。     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         大和 与一君     委員長         田中  一君     理 事                 上田  稔君                 大森 久司君                 奥村 悦造君                 松本 英一君                 大和 与一君     委 員                 斎藤  昇君                 高橋文五郎君                 塚田十一郎君                 中津井 真君                 中村喜四郎君                 林田悠紀夫君                 柳田桃太郎君                 米田 正文君                 松永 忠二君                 二宮 文造君                 宮崎 正義君                 高山 恒雄君                 春日 正一君    衆議院議員        建設委員長    金丸  信君        建設委員長代理        理事       大村 襄治君    国務大臣        建 設 大 臣  根本龍太郎君    政府委員        首都圏整備委員        会事務局長    井上 義光君        工業技術院長   朝永 良夫君        建設大臣官房長  志村 清一君        建設省計画局長  川島  博君        建設省都市局長  竹内 藤男君        建設省道路局長  蓑輪健二郎君        自治省行政局長  宮澤  弘君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        大蔵省理財局国        有財産総括課長  中西  清君        農林大臣官房調        査官       川合 英一君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部施        設課長      信沢 利世君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部日        本鉄道建設公団        監理官      畑  耕平君        建設大臣官房技        術参事官     長尾  満君        建設省計画局宅        地部長      朝日 邦夫君        自治大臣官房参        事官       立田 清士君    参考人        東京国公筑波移        転反対連絡会議        事務局長     天谷 和夫君        日本住宅公団総        裁        林  敬三君        日本住宅公団理        事        山下  武君        日本道路公団理        事        斎藤 義治君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設業法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○筑波研究学園都市建設法案衆議院提出) ○本州四国連絡橋公団法案内閣提出衆議院送  付) ○理事辞任及び補欠選任の件     ―――――――――――――
  2. 大和与一

    委員長大和与一君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  本州四国連絡橋公団法案審査のため、必要な場合日本道路公団役職員参考人として随時出席を求めることとし、その取り扱いは委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大和与一

    委員長大和与一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  4. 大和与一

    委員長大和与一君) 建設業法の一部を改正する法律案衆議院送付議題といたします。まず、政府から提案理由説明を聴取いたします。根本建設大臣
  5. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) ただいま議題となりました建設業法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  近年におけるわが国経済発展国民生活向上に伴い、建設投資国民生産の約二割に達し、これを担当する建設業界も、登録者数約十六万、従業者数約三百七十万人を数えるに至り、今や建設業は、わが国における重要産業一つに成長しました。さらに今後も、建設投資に対する需要はますます増大することが予想され、建設業重要性はいよいよ高まる趨勢にあります。しかるに建設業界の現状を見ると、施工能力資力信用に問題のある建設業者が輩出して、粗悪工事、各種の労働災害公衆災害等を発生させるとともに、公正な競争が阻害され、業者の倒産の著しい増加を招いているほか、建設技能労働者の不足は年を追って深刻化する実情にあります。加えて近く予想される全面的な資本の自由化に対処して国際競争力を強化するためにも、いかにして経営近代化し、施工合理化を達成するか等、今日の建設業界は緊急に解決しなければならない幾多の問題をかかえております。  このような問題に対処するため、建設業に関する重要事項についての諮問機関である中央建設業審議会において、建設業法改正に関する検討が二年有余にわたって行なわれ、公益代表発注者代表及び建設業界各層代表委員によって論議が尽くされた結果、昭和四十三年一月二十六日全会一致をもって建設大臣答申がなされたのでありますが、この答申に基づき、建設業者の資質の向上建設工事請負契約適正化等をはかることによって建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに建設業の健全な発展を促進するため、本法律案提案するに至ったものであります。  次に、この法律案要旨を御説明申し上げます。  第一に、施工能力資力信用のない業者の輩出をもたらした原因の一つは、現行建設業法の軽易かつ画一的な登録制度にあることにかんがみ、これらを防止するとともに、職別業者専門化を促進する等、建設業近代化をはかるため、現行登録制度業種別許可制度に改めることといたしました。また、下請業者保護育成及び建設工事施工の改善をはかるため、特に一定金額以上の工事下請施工させる建設業者に対しては、特定建設業許可制度を敷くことといたしております。また、建設業許可に際しましては、建設業者が、建設業に関する経営経験技術者の有無、誠実性財産的基礎等の要件に該当しているかどうかを審査することといたしております。  第二に、建設工事注文者請負人との間において今なお見られる不合理な取引関係を改善するため、注文者取引上の地位を利用して不当に低い請負代金を定めることを禁止する等、請負契約関係適正化をはかることといたしております。  第三に、建設工事下請施工実情にかんがみ、下請業者経済的地位を強化するよう、元請業者に対して、工事目的物の受領や下請代金の支払を遅延することを禁止する等の措置を講ずるとともに、特定建設業者に対しては、下請負人を保護するための特に重い義務を負わせることといたしております。  以上の改正に関連して監督処分規定等について所要の改正を行なうことといたしておりますが、この法律が円滑に施工されるとともに既存登録業者に混乱がおこらないよう改正法施行は公布の日から一年後とし、施行の日現在において現行法による登録を受けている建設業者は、改正法施工後二年間は、現行法登録制度により営業ができることとするとともに、このような既存登録業者に対して新法の許可をする場合には、その者の建設業についての実績を配慮することといたしております。  なお、衆議院において一部の修正がありましたが、以上がこの法律案提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。
  6. 大和与一

    委員長大和与一君) なお、本案衆議院において修正議決されておりますので、衆議院修正点について衆議院建設委員長金丸信君より説明を聴取いたします。
  7. 金丸信

    衆議院議員金丸信君) たただいま議題となりました建設業法の一部を改正する法律案に対する修正につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  ご承知のとおり、本改正案登録制度業種別許可制度に改める等重要な事項について改正を行なおうとするものでありますが、衆議院建設委法会におきまして、委員会理事会及び理事懇談会において慎重に審査を進めた結果、特定建設業者の下請負人建設工事施工に関し、建設資材購入代金等を支払わず取引先に被害を与える事例も少なくありませんので、これらに対しても、特定建設業者に立てかえ払い勧告制度を設けるべきではないか、という点が指摘され、ここにその修正を行なったのであります。  以上が修正理由でありますが、次に修正要旨につきまして申し上げます。すなわち、特定建設業者の下請負人が、当該建設工事施工に関し他人損害を加えた場合において、建設大臣または都道府県知事当該特定建設業者に対して、当該他人が受けた損害につき、適正と認められる金額を立てかえ払いする等の勧告ができるものとし、勧告に従わない当該特定建設業者に対しては営業停止等を命ずることができるものとしたことであります。また下請負人労働者に対する遅滞賃金について立てかえ払い等勧告に従わない特定建設業者に対しても、同様の規定を適用するものとしたことであります。  委員各位の御賛同をお願いいたしまして、本改正案に対する修正趣旨説明を終わります。
  8. 大和与一

    委員長大和与一君) 本案は、一応この程度にいたしておきます。     ―――――――――――――
  9. 大和与一

    委員長大和与一君) 次に前回に引き続き、道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。  御質疑の方は、順次御発言をお願いいたします。
  10. 田中一

    田中一君 建設大臣、きょうはひとつこの問題について伺いたいのですがね、初年度の、並びに五ヵ年間の財源の問題であります。それとせんだってちょっと触れておきましたけれども、一応構想があるものと考えますから、ひとつ現在大蔵省のほうと打ち合わせしつつ、あるいは自民党政調といろんな問題で話し合っていると思いますから、大体の固まり方向というものをお示しいただきたいと思います。道路整備五ヵ年計画財源であります。
  11. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 財源の問題については、実はこの五ヵ年計画をきめるときまでは若干の意見の交換はありましたが、国会開催になりまして、連日のように衆参両院委員会等関係閣僚並びに党の首脳部が忙がしく動いておりまするために、実はその後はほとんど詰めておりません。ただ、御指摘のように、従前党においていろいろ考えられた中には、トラック税、それから自動車新税、それから地方財源としては軽油引取税の増徴、それからいまの自動車新税、こういうようなものが一応出ておりまするが、これについて具体的に詰めて私どものまとまった意見とか、あるいは関係閣僚意思統一ができたというものではございませんで、そのときにあたって、あらためてそれらのものを含めて総合的な検討をしようということになっている次第でございます。先般も申し上げましたように、四十六年度予算決定までには意見一致をみたい、そう思っておる次第でございます。
  12. 田中一

    田中一君 では、この構想の中に入っておりますところ民間資金の導入というものを、どういう形のものをどうお考えになっておりますか。
  13. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 民間資金の問題は、たとえば今度地方道路公社法が成立いたしましたので、ここにおける財源問題等もかなり大きなウエートを将来は持つに至るだろう、こう思っております。それからあとは、いまの道路公団それから首都高速阪神高速等借り入れ金の問題、こういうものを一応考えております。
  14. 田中一

    田中一君 この新五ヵ年計画構想が非常に大きく、おそらく国民の、地域社会並びに新しい全国総合開発計画その他に大きく寄与するものと期待しておりますが、先般もしばしば申し上げてありますように、国全体の道路計画というものは樹立されなければならぬと思う。それは、決してその計画ができたからといって、あれもやれこれもやれということは申しません。常にそれがないために、道路も、御承知のように本四の架橋の問題も、これは政治的に左右されるという点があるわけです。本四の場合は、これは政治的に左右されておらぬと私は信じております。しかしながら、どうしても優先順位というものは、おのずから定まってまいりますから、この作成こそ先じゃないかと思う。全国総合開発の問題も開発法ができてから七、八年たってからようやく全国計画というものが一応閣議決定したという経緯もありますが、何といっても、これからの平和な国家を築くには、どうしてもあらゆる生産の母体である国土というものが中心にならなくてはならない、生産活動というのはもうわれわれの領土であります。したがって、先行して必要なものは何といっても道路であります。道路の全国的な計画というものは、これは当然市町村道はじめ各地方地域社会の要請もございましょうが、一応新しい構想のもとに国が作成しなければならないと思うのでありますが、その点はどうお考えになり、かつまたそれを具体的にいつごろまでに完成するか、もしやるならば――やらないならやらない、やるならばどうかということに対する時限をお示し願いたいと思います。
  15. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 田中さんのいわゆる高い見識、そういうことは私もよく承知しておりまするが、御承知のように、事務当局は、大体昭和六十年度を一つめどとする全体の一つマクロ計画は持っております。ただこれを国道地方道市町村道合わせて線を引いてしまいますと、その線がいかにも固定されたごとくに認識されまして、今度はそれからはずれたものとの間の、非常なかえって紛争を来たすじゃないか、また、経済社会情勢相当変化をしてきて、今度はこういう案があったのを変えるのはけしからぬというふうな、もう非常に実は微妙な問題がありまするので、この点はもう少し慎重に考えなければならぬじゃないか。しかしながら、道路長期計画ということ、現時点においてはこういうことが考えられるという案を持っていることもお示しのとおり必要だと思うのでございます。その点をいま少しく事務当局にも検討せしめまして、この長短と申しますか、一応の素案を持ちまして、これを示したほうが国民皆さんに安心させるということになるのか、あるいはそれにひとつこういうふうに案をつくったのを今度は若干でも変更するとき、これは政治的にどういうことで変更されたという、いろいろの揣憶測を発生させて、そのためにトラブルが起こるということの難点と、どうこれを判断していくべきかということについて、いま少しく検討してみたいと考えておる次第でございます。
  16. 田中一

    田中一君 これは、いま少しくということになると、しないことになるのです。これは事務当局がつくるべきものじゃないですよ、問題は、各行政部門における総意――何も道路計画というものは、これは道路局でつくるものだというきめ方をするのがおかしいのである。日本平和国家としての将来の展望というものが、当然今度の新しい総合開発計画の中に織り込んである、ことにこの構想一つとしては、新全総ばかりではなくて、経済社会発展計画というものも作成してあるわけです。また新産都市にしても、あらゆる面において夢のような希望が与えられるというような計画が作成してあります。これを結ぶのは道路しかない。そうして一面、土地の値上がり等々、そういうものを計画を出すと、また土地が値上がりするのじゃなかろうかというようなことの心配も若干あるかと思う。しかし、信頼される行政じゃなくては困るのであります、明るいものじゃなくては困るのであります。せんだって、建設大臣用地取得の問題については、全面的にひとつ土地収用委員会を使って、公正な、安定した地価を求めたいという御発言がありました。非常にこれはけっこうです。しかし、土地ですら、用地ですらいま言うとおり要求は隠しておく。そうして安いうちにだまして取るというような考え方をもっていままで用地難というものに対してそういう対応策を立ててまいっております。これはもうその時期じゃありません。私は、こういう国土計画というものは政党政派の問題でなくて民族総意のもとに、民族のすべてが幸福になるという前提に立たなければならぬと思うのです。だからそれを食いものにする一部の企業家等は、これは論ずるに足りません。あらゆる道をもってそれをつぶす、そこまでの決意が必要なんであります。いままでにも新しい港湾整備問題等も、なるほど港湾そのものに対する――輸入、輸出等が重要な本旨でありますからこれの整備を怠っちゃなりません。しかし、これは多くはこれを利用する大きな企業にのみ従属するかのごとき印象をわれわれに与えておるのです。むろん、これは物価等にもはね返ってまいりますから、そうした国土部分的整備というものは、どうしてもすみやかにしなければなりませんけれども、これを打ち出すことが必要なんであります。そうして安定した地価を求めるにもその計画がなくちゃならない。かりに、事業認定が一年、二年、三年、五年あとでも一向差しつかえないのです。前もって指定しておいて、それまでの間は十分に利用することができるのであります。したがって、今度の昭和六十年をめどにするところ相当大きな金でこれを計画立てておりますから――六十兆とか言っておりました。せめてこの六十兆の計画だけでもひとつお示しを願いたいと思うのです。昭和六十年までのこれはやろうという意欲的な動きをしなければ、とうていできるものじゃないのであります。ただ、事務的に建設省道路局でこれをつくるというものじゃなくて、別の大きな機関でつくったっていいのであります。これはぜひとも根本さんはあなたが大臣中にせめてその芽ばえだけでも、種おろしだけでもしておくつもりがあるかどうか。これは何も道路局長なんかに聞く必要はありません。あなた自身がそれに対して納得する形で訴えれば、反対する者はないはずであります。したがって、この六十兆という大きな構想に対するところの種まきは、いまあなたがなさらなければならない。その意味で、ひとつ局長あたりに聞かないで、あなた自身がその方向にどう持っていくかの問題を明らかにしていただきたいと思うのです。
  17. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 道路局道路局長自身道路計画を全部やるのじゃございません。これは百も承知田中先生でございまして、これは道路局がいろいろのマクロの六十年度の展望をしてやるというのは、これは経済企画庁、それから農林省、自治庁、全部関係の方面と連携の上一つ構想を出したものでございます。ただそのときに、田中さんが言われるように、線引き国道はどことどこということでずっとやってまいりまするから、これはすでにそういうふうにきまったということに認識されまして、これが社会情勢変化によって変更したとき、あれだけはっきり言ったものをなぜ変更したかという、そのほうのトラブルがむしろ非常に過去においても起きておるし、どうもその傾向がむしろ心配である。ましてこれが市町村道に至るまで線引きをしてまいりますというと、これが、今度は地方自治体が自身でやるものを、国がなぜそれまで押しつけるかという印象も出てくるのでございます。そこでわれわれは事業の量、それから一つ方向づけをいたしまして、そのために、われわれは生活圏構想も出しまして、主幹的な高速道あるいは国道、それに地方主要道路と、それから市町村道とどう連係づけてこれをやっていくか、このほうがどうも現実的だということで進めておるのでございます。そういう意味で、その財源が確保され、そうして国会における皆さん方のいろいろの御意見を拝聴しまして、六十年度には今後の日本経済発展地域社会一つの、一応の変貌の方向性、これに合ったところの態勢でいくということのほうが、現実的ではなかろうかというような感じがしているのでございます。そういう意味におきまして田中さんのその発想、あるいはそういうふうにすべきだということについては、私も非常に傾聴する御意見だと思いますけれども、どうも従来鉄道予定線等が時勢に合わなくなっても依然としてあの表が生きておって、そのためにいろいろの政治的な問題もあるという点からするならば、私は財源を確保する方向と、それから道路網のあるべき基本的な理念、この確立をして、あと社会情勢変化に伴いまして、まあ五年計画はずっと続いておりますから、その時点においてはっきりと線を明定し、そうして予算を裏づけるというほうが、どうも現実的ではなかろうかというような感じもしているのでございます。その点につきましては、もう少しひとつ私も研究いたしまするが、田中さんからもひとつさらに御検討の上、いろいろと御教示を賜わりたいと思っている次第でございます。
  18. 田中一

    田中一君 今度の計画がいままでの第五次までのものと異なっている点は、実際に追っかけ計画でなくして、先行しようという意欲を持っているから、私はこれを伺っているわけなんです。いままでは改良とか、部分的整備でもっていこう。まあいままでの縦貫五道並びに横断幹線の、肋骨幹線ですね、これはほぼ主要なるところ、でき上がっております。しかし、過密過疎という問題を解決するにも、労働人口の移動というもの、あるいは地域的な開発発展というもの、これらのものにやはり全部道路が先行する。したがって、いまこそそうした具体的なものを立てなければ困るんであります。過密過疎地域的格差というのはこれからふえるばかりなんであります。そうして御承知のように、わが国自由経済社会でありますし、もうかりそうな問題はどんどん先行して民間が手をつけてしまう。そこにまた国民所得の不均衡も生まれてくるわけです。だから、国土計画というものは、絵にかいたものでもかまわない、一応のビジョンを打ち立てることが必要なんです。あとからついていくだけでは困るのであります。国民にそういう地域、あるいはその時期において変動があるものは変動があるということを表明すればいいのであります。また、意欲的に政府自身がそれらの国土格差の解消とか、過密過疎の問題を解決する意欲的なものが打ち出されて初めてそれに従ってくる。いまのように金があり、あるいは投機的に日本国土というものが売買されている時期はないのです。かって非常に強い執着を持った農地に対する農民の考え方も大きく変わってきているのです。米作に対するところ保護政策ももうこれでおしまいでありますし、したがって、いまこそ日本国土全般にわたって資本主義的な自由政策によって毒されないようにやるには、まず道路計画が先行するということを私は感じ取っておるわけです。制限してもかまわぬじゃありませんか、そのためには。そういう意味でそういう希望を申し上げてあるんですが、これはもうひとつ真剣に根本さんひとつ取っ組んでいただきたいと思うんです。
  19. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) はい。
  20. 田中一

    田中一君 何を計画するにも、道路の問題がはっきりしなかったら何にもできないわけです。市町村の問題は市町村から積み上げさしていく。しかし全国的な計画というものは、国が立てなければならない。そのうちの市町村道であり、都道府県道であるということにならなきゃならない。しかし、だからといってその地方の問題を考慮しないというわけじゃございません。どこまでもそれをもとにしながら全国的な計画を立てるということであります。港湾の整備にしてもあらゆる地域的な問題にしても、結局日本経済的な発展というものはここに尽きるんだ、というように私は考えておるわけなんであります。そこで、これはおそらくそういう方向にいかなければ、今度の六次の計画構想として示しているものが、非常に大きいかなた将来への展望をうたっておりますから、どうかその点はひとつそういう意味合いで推進することを希望しておきます。  それから土地の問題でありますが、いよいよことしは大きく調査を始め、ポイントとしての価格というものが出てくるはずでありますから、これはまあ大体よかろうと思うんですが、これも大体大都市中心になっておりますけれども、これは地方もやはりそういうものをまず全部手を打ってしまう。むろん公示制度ですよ、公示制度の手を打ってしまう、主要なるところには。という方法をとると、これはもう必ず公共事業を行なうために必要だと思うんですよ。まあ道路にしても何にしても、とにかく鉄道にしても、公共事業を行なう場合には、大まかな線でいいから調査をした不動産価格の公示というものを全面的に行なってほしいと思うんです。それについて、いま単に東京、大阪、名古屋ということになっておりますけれども、その点はひとつどういう形で持っていこうとするのか、また今年は三都市だそうでありますけれども、その他の主要地点に対してどういう形でしていますかを伺っておきたいと思います。
  21. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 田中さん御指摘のように、公共用地を取得するという場合に、公示価格を基準としてやることにそこに重点を置いていきますれば、御指摘のように全国至るところの、これは農山村といえども公示制度を適用するという意味で調査しなきゃなりませんが、ただなかなかたいへんそこまでいくには時間的な経緯がかかると思います。そこで現在の地価公示制度は、御承知のように、市街化区域に指定されたところをまず重点にやっていくということでございます。これは地価問題が特に深刻に国民生活との関係で問題になっているので、どうしても市街化区域だということでまず市街化区域をこれできめていきたい。それから地方のほうでも地価公示との関係とは若干すぐには結びつかないかもしれませんけれども、お示しのように収用委員会に公共用地はかけるということになりますれば、収用委員会のほうで特別に地価公示をしなくても一客観的な評価ができる。その両々相まっていかないと、理想的には全国農山村といえども公示価格をきめるということは理想ですけれども、行政的な、事務的なやり方としてはなかなかそこまでにこの数年間に一挙にということはむずかしいので、両々相まってこれはいかなきゃならぬと考えておる次第でございます。
  22. 田中一

    田中一君 最後に伺っておきます。特定財源を求める方法、比率ですね、が、重くなるのかどうか。一般財源としてはあまり出てきませんから、特定財源として持ってくる方法、ことにガソリン税の値上げなんか考えておるんですか。大蔵当局は国会が忙しいからといって別になっておるというけれども、ひとつ財源問題を率直にお話し願いたいと思うんです。ちょっと、まだ、わかっていながら言わないところがあるような気がするんです。その点、それ、ひとつその点を、二つ、三つ、四つぐらいあるかもしれない。ぜひちょっと説明しておいていただきたいと思うんです。
  23. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 私は隠してもおらないし、ないのは知恵だけでございまして、隠すほどの知恵はございません。ただ、御承知のように国の一般財源でいくということになりますと、非常にこれは不安定でございます。そのときの経済情勢に従いまして、いつでもこれが著しい増減が出てきて、そうしてこれがどうしても大蔵省の力が大きく響いてくるのでございます。特定財源として法律規定されておりますれば、これが自動的に入ってくる。そういう意味から、御承知のように道路特別会計上、この特定財源が裏づけられて初めてこれが道路政策が伸びる。こういう事情からいたしまして、やはり私は特定財源というものは、一般会計から毎年毎年どれだけの予算の何ぼを補てんするということは、とても特別会計法に入れることが困難でございまするので、してみればやはり特定な税金を充てるということにならざるを得ないと思うんでございます。そこでいまのところ、御指摘のようにトラック税とかいろいろのものがありまするが、むしろこれは田中さんあたりからひとつ、こういういいものがあるから、これをひとつやれというふうに激励を受けまして、知恵をかしていただきますと非常にありがたいと思うんでございます。その意味で、いまのところいろいろ御鞭撻を受けておりまするが、これは税ということになりますれば、御承知のように税制調査会の関問がございますし、それに税の中には地方税もありまして、これがまた地方自治体にとっては非常にプラスの面とマイナスの面があるということでなかなか複雑でございます。そこで、これは私のほうで思いついたからというて、なかなかこれはゆかないのであります。それで、やはり少し時間をかけまして、幾たびか関係省と協議をした上やらなければならないと思います。まだいまのところはおしかりを受けておる段階でございまするが、これならゆけるというところまで私は申し上げる段階でないことを、はなはだ遺憾とするところでございます。
  24. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 先日、私はいまの予算源のことで、いろいろこまかく質問をいたしまして、少し残っている問題かありますので、しかも時間が、大臣が二十五分に出発される、たいへんいつも時間の制限を受けるので残念でならないのでありますが、箇条的にお伺いしていきたいと思うんですが、一般国道の実延長に対する全国の歩道の設置状況、これは約二一%と私は記憶いたしているわけですが、全国的にこれは非常に一様に低い。道路といえば、昔は人が歩く道だというくらいにしか考えていなかった。道といえば人が歩く道。その人が歩く道がいつの間にか車道が占有してしまって、人が道を歩くのには、危険をおかして歩かなければならないという実情に追い込まれてきている今日の状態であります。そこで、全国のこの一般国道の実際の延長と歩道にどれだけの計画がどの程度に今日進んできて、どういう計画に基づいているかということを伺い、そういう人が歩く道が失われていっていいか。これは当然そういうことがあってはならない。人命をたっとぶというその基本的路線から、どのような計画大臣として考えておられるか、その点を伺っておきたいと思います。
  25. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) お示しのように、日本道路は、これは本来人間が主体で、たまに車馬が通るというのが、いまやモータリゼーションと同時に、しかも日本のドライバーマナーが非常に悪いために、道路は自動車のためにあるんだというふうな、非常に本末転倒を来たしたのでございます。そういう状況にかんがみまして、近く道路構造令を変えまして、道路には原則として歩道を設置する。歩道と車道との区分を何らかの形において明確にして、そうして歩道に踏み入れる車というものはこれは間違っているのだ、という認識を起こさせるまでのことにいかなければ私はならないと思います。特に地方道においてこれが著しいのでございます。国道においては市街地に入りますれば、原則として、みなこれは歩道をつけておりまするが、地方道になりますと、これがまたほとんどやられていない。そこで、やはりどうしてもこれは構造令において――いままで構造令は舗装のあれとか、路盤をどうするとか、カーブとか、いろいろあったようでありまするが、やはり私は人命保護というたてまえから、道路構造令を見直すべきである、こういうふうな感じを持っておるのでございます。具体的な道路における歩道をどういうふうにやるかについては、事務当局から一応御説明させていただきます。
  26. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) ただいまの御質問でございますが、いま四十五年度から国道に昇格いたしました路線延長が約三万三千キロぐらいになります。この中で私たち、やはり歩道設置という問題は積極的に取り組んで、今後も実施したいと思っております。  いままでの内容を言いますと、現在交通安全施設整備計画の中で、交通安全施設を要する道路として、全国約七万キロ指定しております。この中で一般国道を約二万二千六百キロぐらい指定しております。その中でさらに市街部の延長といたしまして、これは人家連権五〇%以上になっておるところを市街部としておりますが、これが五千二百六十キロございます。この中で歩道が設置されておりますのは、正規な歩道また簡易歩道も入れまして四十三年度末で四八%、これを四十六年度末には――といいますのは、交通安全施設の第二次三カ年計画の終わる四十六年度末でこれを七六%にしたいという考えでございます。そのほかに主要地方道、一般市町村道、全部そういうものを合わせまして四十三年度末の市街地の中の歩道設置延長が二九%ございます。これを四十六年度末では五四%まで引き上げたいというように計画しておる次第でございます。
  27. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いま御説明がありましたけれども、一般国道に対しては四八%、主要道路等主要の地方道は二八%、一般地方道が二八%、市町村道が二〇%、平均いたしますと二九%ということになっておりますが、いずれにいたしましても四十六年度末までの考え方は五四%にしようとおっしゃっているわけですが、今日までの計画が予定道路計画どおりになっていない。その点から考えまして、私は非常にむずかしいのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。この点について一段と四十六年度末に四十五年から――四十五年のやつを伺っておいて、そして四十六年の先ほどの五四%という裏づけを得たい、それが一つ。  それからもう一つが、先ほど大臣からお話がありましたように、歩道を明確にするという道路構造令を改定して、そして人命を尊重する上において明確に何かの標示をするというようなお話がありました。そこで第九条に、「第四種の道路には、その各側に道路を設けるものとする。ただし、地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない箇所については、この限りでない。」それからこれは二、三と項目がありますが、二項目は別として、三項目の最後のところに、「次の表の歩道の幅員の欄の下欄に掲げる値まで縮小することができる。」という、「縮小することができる。」――一番先に申し上げました、「特別の理由によりやむを得ない箇所についてはこの限りでない。」地形状況等によってやむを得ないということが、計画を立てられた当初において当然これは「やむを得ない箇所」というものは考えられない。そしてさらには、また工事の中途で地形状況その他の特別の理由によりやむを得ない個所として歩道を設置しない個所をずいぶん見受けることができると思うのです。そういうこの法律的な解釈、これを私は間違ったかってな解釈のしかたをすると、何でも歩道がつくられなくてもいいのじゃないかというようにもとれるわけです。この道路構造令の改定にあたって、どんなふうにこの点について考えておられるのか、伺っておきたいと思います。
  28. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 最初の歩道の設置が順調にいくか、いかないかの問題でございます。先ほど言いましたように、一般国道から市町村道までの市街部の延長に対しまして、四十三年度末二九%で、そのうち約七千二百四十五キロが歩道設置延長になっております。それを五四%にするには約六千五百キロぐらいの歩道をふやすということになるかと思います。いまの新しい三カ年計画で、四十四年から四十六年の三カ年計画では、国が補助する事業といたしまして四千九百七十二キロの歩道を考えております。また地方の単独事業、これも計画でございますが、約二千六百三十六キロ計画しております。両方合わせますと約七千六百キロくらいになるということで、この三カ年計画をこのとおりいま実施しておるわけでございます。これと、やはり橋梁その他によりまして交通安全施設以外に歩道をつくるものも入れますと、この五四というのはさらに上回るというように計画しております。ただ、これは市街地の問題でございまして、市街地以外のところであっても通学路、通園路、そういうところについても歩道を設ける計画でございますので、できるだけそういうような交通安全施設によって歩道を積極的に推進することと同時に、構造令の改正をいたしまして、今後新しくつくる道路についてはできるだけ、こういうあとから歩道をつくるのじゃなくて、初めからつくっていくという姿勢でいきたいというように考えております。  次に構造令の問題でございますが、現在の構造令につきましては、これは改定のいま用意、準備をしておるわけでございますが、歩道の問題はいままで市街地だけ――この四種の道路といいますと、これは市街地の中の道路でございます。市街地だけに歩道をつくるというのが現行の構造令の考え方でございまして、私たち、やはりこれからいま改定しようという構造令の中では、市街地はもちろんでございますが、市街地外でも幹線のものについては歩道をつくるというように考えております。さらに、地形その他で非常に規定の歩道ができないような――こういうものの実例を言いますと、トンネルとか長大の橋梁ということになりますと非常に金額がかかるということもございます。ただ、そういう場合でも、この歩道の幅員は多少減じはすることはあると思いますが、トンネルであっても歩道をつくれということでいきたいというように考えておりまして、あまり地形その他によって制限されるところについても、最小限の歩道はつくっていきたいというふうに改定したいと考えております。
  29. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 先ほど進捗率のことで、四十五年度をめどにして、ということを伺ったのですが、まあそれは時間の関係でけっこうでございますが、いまの構造令の問題であります。第五条の関係から第六条、第八条、第九条の点については、大きくこれは改正されなければならないだろうと思います。現時点の状況から判断して、相当これに手を加えなければならないというふうにも思うわけです。そこで、いまお話がありましたように、実際は歩道のついていないところが多いわけです。そこで事故が起きているわけです。したがって、私は皮肉るわけではありませんけれども、「地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない」――それをやむを得ない、やむを得ないと言ってつけられないことでは、これは問題が残っていくということを申し上げているわけですから、この点を十分に了承の上、善処を願いたい。  そしてまた、さらには幅員の点でありますけれども、幅員もこの法できめられたとおりのものができていない。これが事実の面がどっさりあります。それから一般国道にいたしましても、国道をつくる場合でも橋の上になりますと、旧態の、昔のままの橋の実態で、道を橋のところにいっては狭めている。二車線、三車線あるようなものが橋のところへいくと二車線になり一車線になっているという実態が今日、国道としてずいぶん残されている。それからさらには、四車線の計画をし、実際は、急ぐために二車線しかやらなかったというために、またふくそうしてから二車線なり一車線を増設工事を行なって補っていこうという考え方、ここにも私は問題があると思うんです。四車線を計画したならば、四車線を立てて計画していくべきだと、私はこう思うのです。こういう観点、あるいは道路構造令。前回も私は、この構造令の中で第二条の緩速車道のことについても、自転車道というのが今度法制化してきた。そうすると残ってくるのは荷車等ということになっている。荷車が実際問題どのように緩速車両の中で能力を、今日の時点において行なわれているかというようなことが、ここにも問題点が残されておりますし、相当道路構造令については早急に私は手を加えていかなければならぬ、それもまた示していかなければならぬ、一般国民のためにこういうふうにやるのだということは示すべきだと思うのです。この点についてはどうなんでしょうか。
  30. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 確かにいま、現状、先生御指摘のように、橋梁の部分を前後の道路に比べまして狭くしておるというのはいままでよく見受けられた、われわれがやってきた道路の中にはございます。この当時は、やはり道路投資が十分でないために、橋梁みたいに金がかかるようなところには、できるだけ幅員を狭めて道路を延ばすということをしたのも事実でございます。いまの交通の状況になってみますと、そういうところは非常に交通のネックになってまいります。四車線を橋梁のところで二車線にするということは、これは今後あり得ないことだと思いますが、やはりそういうような車線を大きく縮小するということは交通の非常にネックになるということで、できるだけ前後の道路に合わせた幅員を取るということで、橋梁あたりも指導をしております。ただ、非常に何百メートル、二百メートル、三百メートルの長い橋になりますと、これはまだまた金がかさむということでございます。やはりそういうところには多少、最小限の歩道にするというようなことは、あるいはやむを得ず実施するようなことになるかもしれませんが、少なくとも車線を減らさないということを心がけてまいりたいと考えております。  いまの構造令の問題についても、先生御指摘のように、やはり早くきめまして、これからの道路工事をする際には、できるだけ新しい構造令によることにしたい、というふうに考えております。  構造令の改正のおもな要旨でございますが、現行の構造令で一番私たち問題にいたしますのは、相当混合交通を許しておった。たとえば九メートルというような幅員構成がございます。九メートルという幅員でございますと、これは当然四車線にはなりません。幅の広い二車線、そういう幅の広い二車線の中で、車両と緩速車とが混合で走るというような考え方だったわけであります。今後の改定にあたりましては、車線主義でいく。何車線を確保するというような車線主義でいきたい。また、その車線の外に、自転車の多いところであれば自転車道をつくる、また、自転車も少なく歩行者もそう多くないところでは自転車、歩行者の通行帯をつくるというような形をとっていきたいと思います。ただ、道路につきましては、非常に国道から市町村道の末端になりますと、これは一つの幹線の、市街地で言いますと幹線の街路と、それから住宅地の中へ入る一線の区画街路というように分かれてまいります。私たち、そういう区画街路については通過交通はできるだけ入れないような形をとるべきじゃないか。そういうところの裏通りにみんな車が集まるというようなことがないような幹線街路をつくっていく。そういうような区画街路については、相当車の台数の少ないところにつきましては、ある程度はいまの歩行者と自動車との混合交通ということも、いまの段階ではやむを得ないように思いますが、できるだけそういうような通過交通はもう幹線の街路に回すのだというような形で、必要な幅員をとり、交通需要を満たすような道路の構造をつくっていきたい、というように考えております。
  31. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 大臣の御時間がないようですから、問題をこれでとめますけれども、一般国道の改良及びその舗装の状況について、四十五年一月現在全国平均で見ますと、改良率が七八・七%、このようになっておりますが、この平均よりはるかに下回っている、たとえてみれば高知の改良率だとか、徳島の舗装率だとか、あるいは北海道の舗装率、これらは全国的な平均よりかなり下回っております。これらの地域に対する特段の処置を今後は講じていくべきではないか、この点が一つ。  それから、最後に大臣に伺っておきたいのは、今回の計画が現状打開のための道路投資、それが主眼になっていこうとするのか、それらも含めた地域開発、これを推進していこうとする、そのほうを先行にするのか。この地域開発を推進する先行投資あるいは道路投資、現状を打開するための道路投資を主眼にするのか、それらをどのように考えていかれるか。またどの比率をもって考えていかれようとしているか。この点を最後に伺って私の質問を終わりたいと思います。
  32. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 宮崎さんから御指摘された点は、これは地域によって若干違うのでございます。国道地方道みんな現状打開だけだといって、地域社会のことをあとにするということもできませんし、また場所によりましては、その地域にとりましては、まず何よりも現状打開をしていかなければもう役に立たない。御指摘になりました四国なんかのごときは、延長を延ばすよりも現状を整備してやらなければ、これは地域社会が非常に困るというようなところもあると思います。それから北海道なんかにおきましても、新たに道路を延長するよりも舗装したほうがいいという地区もあるようでございまして、その点は画一的ではなくて、その地域社会にとって、現状の非常に立ちおくれているところは、現状打開に中心を置く、それからそうでないところ地域については、御承知のような措置を講ずるというふうに、できるだけこれはその地方地方経済社会諸条件等にらみ合わせて、地方地方の住民のできるだけ生活経済情勢に応じたやり方をやっていきたい、こう考えておる次第でございます。
  33. 大和与一

    委員長大和与一君) 他に御発言もなければ、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 大和与一

    委員長大和与一君) 御異議ないと認め、これにて質疑は終局いたしました。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 大和与一

    委員長大和与一君) 御異議ないと認め、討論は終局いたしました。  それではこれより採決に入ります。道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  36. 大和与一

    委員長大和与一君) 多数と認めます。よって本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 大和与一

    委員長大和与一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。     ―――――――――――――
  38. 大和与一

    委員長大和与一君) 先ほどに引き続き、建設業法の一部を改正する法律案議題とし、補足説明を聴取いたします。川島計画局長。
  39. 川島博

    政府委員(川島博君) ただいま議題となりました建設業法の一部を改正する法律案について、条文の御説明を簡単に申し上げます。詳しくはお手元にお配り申し上げました資料をごらんいただきます。  第一条の改正は、今回建設業法の全般にわたって抜本的な改正を行なうこととしたので、改正後の建設業法趣旨を明確にするため目的を全面的に改めることとしたものであります。  第三条から第十七条までの改正は、建設業者登録制度建設業許可制度に改めたものであります。  第三条は、建設業許可について定めたものであります。すなわち、建設業を営もうとする者は、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者を除き、建設大臣、または都道府県知事許可を受けなければならないことといたしました。この建設業許可は、一般建設業許可特定建設業許可に分けて与えることといたしておりますが、このうち特定建設業許可は、発注者から直接請け負う建設工事下請代金の総額が政令で定める金額以上となる下請契約を締結して施工しようとする者が受けなければならないこととし、また、建設業許可は、一般建設業特定建設業いずれの許可についても、別表に掲げる二十八種の建設業に分けて与えることとし、その有効期間については、三年といたしました。  第七条は、一般建設業許可の基準について定めたものであり、本条の各号に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ許可をしてはならないことといたしました。  第一号は、許可申請者が法人である場合はその常勤の役員の一人が、個人である場合は本人または支配人のいずれかが、許可を受けようとする建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者であることとしております。  第二号は、営業所ごとに許可を受けようとする建設業にかかる建設工事に関し、一定期間以上の実務の経験を有する者を専任の者として置く者であることとしております。  第三号は、申請者またはその役員等が請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこととしております。  第四号は、請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこととしております。  第八条は許可の欠格事由を定めたものでありますが、従前の第十一条で定められていた登録の欠格事由のほか、一年以上の懲役もしくは禁錮の刑に処せられ、またはこの法律規定により、もしくは建設工事施工に関する法令もしくは労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるものにより罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または刑の執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者等も、許可を受けることができないこととして、建設業者の品性等を高めることといたしました。  第十五条は、特定建設業許可の基準を定めたものでありますが、その基準は、一般建設業許可の基準に比し、営業所ごとに配置すべき技術者及び財産的基礎について要件を加重することといたしております。  第十六条は、特定建設業許可を設けたことに関連して、特定建設業許可を受けた者でなければ、発注者から直接請け負った建設工事につき、下請代金の総額が政令で定める金額以上となる下請契約を締結してはならないことといたしたものであります。  第十九条から第二十三条までの改正は、請負契約適正化をはかることとしたものであります。  第十九条の改正は、建設工事請負契約書に記載すべき事項を充実するとともに、当事者は、契約書に署名または記名押印して相互に交付しなければならないこととして、請負契約関係合理化と明確化をはかることとしたものであります。  第十九条の二は、請負人工事現場に現場代理人を置く場合または注文者工事現場に監督員を置く場合は、それぞれ現場代理人または監督員の権限に関する事項及び現場代理人または監督員の行為についての意見の申し出の方法を書面により相手方の注文者または請負人に通知しなければならないこととし、工事現場において起こりがちな現場代理人または監督員の行為にかかる紛争の具体的な解決策が講ぜられるよう措置することといたしました。  第十九条の三は、取引の公正をはかり、また、建設工事の適正な施工を確保するため、注文者は自己の取引上の地位を不当に利用して、原価に満たない金額請負代金の額とする請負契約を締結してはならないことといたしました。  第十九条の四は、発注者や元請負人請負契約の締結後、自己の取引上の地位を不当に利用して、工事に使用する資材等を指定して建設業者や下請負人に購入させ、その利益を害することを禁止することとしたものであります。  第二十条の改正は、注文者は、契約を締結する以前または入札を行なう以前に一定の期間をおいて、契約の内容となる重要な事項について、できる限り具体的な内容を提示しなければならないこととし、建設業者が適正な見積もりをすることができるよう措置したものであります。  第二十四条の二から第二十四条の六までは、下請負人保護育成するために、元請負人の負うべき義務について規定したものであります。  第二十四条の二は、元請負人は、建設工事施工するために必要な工程の細目、作業方法等を定めようとするときは、あらかじめ下請負人意見を聞かなければならないこととし、下請負人の便宜をも考慮し、工事の円滑適正な施工をはかることとしたものであります。  第二十四条の三は、元請負人は、その注文者から出来高払い、または竣工払いを受けたときは、当該支払いの対象となった建設工事施工した下負人に対して、その支払いに相応する下請代金を一月以内に支払わなければならないことといたしたものであります。元請負人がその注文者から前払い金の支払いを受けたときは、下請負人に対して資材の購入等建設工事の着手に必要な費用を前払い金として支払うよう適切な配慮をしなければならないことといたしております。  第二十四条の四は、元請負人は下請負人から工事の完成通知を受けたときは、二十日以内にその完成を確認するための検査を完了し、完成を確認したときは、下請負人の申し出により、直ちに工事目的物の引き渡しを受けなければならないこととして、下請代金の支払いを円滑化するとともに、工事目的物の保管により下請負人が不測の損害を受けることを防止することといたしたものであります。  第二十四条の五は、特定建設業者に対して、一般の元請負人よりも下請負人を保護するための重い義務を課したものであります。まず、特定建設業者下請代金の支払い期日は、工事目的物の引き渡しの申し出の日から起算して五十日を経過する日以前において定められなければならないことといたしました。特定建設業者は、下請代金の支払いにつき、本条で定められた支払い期日までに一般の金融機関による割引を受けることが困難な手形を交付してはならないことといたしたものであります。  第二十四条の六は、特定建設業者に、下請負人建設業法等に違反しないよう指導する責任を負わせ、建設工事の適正な施工を確保しようとしたものであります。  第二十五条の九の改正は、許可を受けないで建設業を営む者にかかる請負契約に関する紛争の処理も、都道府県建設工事紛争審査会において取り扱うこととし、零細業者や零細発注者の保護の徹底をはかったものであります。  第二十八条から第三十二条までの改正は、監督処分適正化をはかったものであります。公衆災害の防止及び一般発注者の保護をはかるため、許可を受けないで建設業を営む者が建設工事を適切に施工しなかったため公衆に危害を及ぼしたとき、請負契約に関して著しく不誠実な行為をしたとき等には、都道府県知事が必要な指示等の監督処分を行なうことができることといたしました。さらに、許可制の採用に伴い、監督処分の強化をはかるため、営業停止処分の期間を最大一年に延長することといたしております。  第二十九条の四は、建設業者等が営業の停止または許可の取り消しの処分を受けた場合、その役員等が独立して建設業を営んだり、あるいは他の建設業者の役員等となって営業活動を行なったのでは、これらの処分の実効を期することができないので、これらの処分を行なう場合には、その役員等について営業の禁止を行なうこととしたものであります。  第四十一条の改正は、特定建設業者発注者から直接請け負った建設工事の下請負人が、その工事のために使用している労働者に対する賃金の支払いを遅滞した場合において必要があると認めるときは、建設大臣または都道府県知事は、当該特定建設業者に対して、賃金相当額を立てかえ払いすること等適切な措置を講ずることを勧告することができることとして、労働者の救済に資することといたしたものであります。  第四十二条は建設業者が第十九条の三等、下請保護に関する規定に違反する場合には、同時に私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第十九条、すなわち不公正取引の禁止に関する規定にも違反することとなりますので、そのような場合には、建設大臣または都道府県知事は、公正取引委員会に対して同法の規定に従い適当な措置をとるべきことを求めることができることといたしたものであります。  第四十二条の二は、中小企業庁長官は、中小企業者である下請負人の利益を保護するため、必要な報告を徴し、あるいは検査をすることができることとするとともに、報告や検査の結果、中小企業者である下請負人と下請契約を締結した元請負人が、第十九条の三等下請保護に関する規定に違反している事実があり、その事実が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第十九条の規定に違反していると認めるときは、公正取引委員会に対して同法の規定に従い適当な措置をとるべきことを求めることができることといたしております。  第四十五条から第四十九条までの改正は、登録制を許可制に改めたことに関連して、罰則に関する規定整備したものであります。  次に別表の改正でありますが、今回、建設業業種別許可制を採用したことに伴い、上欄に建設業法の適用の対象となる建設工事の種類を、下欄には建設工事の種類に対応させてそれぞれの建設工事を請け負う営業としての建設業の区分を掲げることといたしました。  最後に付則でありますが、第一項は、この法律施行の日を定めたものでありますが、関係者への周知徹底をはかるため、この法律は、公布の日から一年後に施行することといたしております。  第四項から第十項までは、本法施行の際、従前の建設業法規定により登録を受けて建設業を営んでいる者についての経過措置を定めたものであります。  許可制への移行が円滑に行なわれ、既存登録業者の間に混乱が起こらないよう、これらの者は、本法施行後二年間は、許可を受けないでも、引き続き登録を受けている限り、建設業を営むことができることとするとともに、改正後の請負契約に関する規定等は、これらの者についても適用することといたしております。また既存登録業者に対して新法の許可をする場合には、その者の建設業についての実績を配慮すべきことといたしております。  なお、本法律案は、衆議院において次のように修正されております。  第二十八条第一項に後段を、また第四十一条に一項を加えて、特定建設業者の下請負人が、当該建設工事施工に関し他人損害を加えた場合において建設大臣または都道府県知事当該特定建設業者に対して、当該他人が受けた損害につき、適正と認められる金額を立てかえ払いする等の勧告ができるものとし、勧告に従わない当該特定建設業者に対しては、必要があると認めるときは、営業停止等を命ずることができるものといたしております。また、下請負人労働者に対する遅滞賃金について立てかえ払い等勧告に従わない特定建設業者に対しても、同様の措置をとることができるものといたしております。  以上、本法案につきまして逐条御説明申し上げた次第であります。
  40. 大和与一

    委員長大和与一君) 午前の審査はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時三十八分休憩      ―――――・―――――    午後一時十五分開会
  41. 大和与一

    委員長大和与一君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  前回に引き続き筑波研究学園都市建設法案議題といたします。  本日は、本法案審査のため、天谷和夫君に参考人として御出席をいただいております。  それでは、参考人の方に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙のところ、本委員会のために御出席いただきましてまことにありがとうございました。本日は忌憚のない御意見をお伺いして、そうして審査の参考にいたしたいと存じます。よろしくお願いします。  これより御意見をお伺いいたしますが、議事の都合上、御発言をいただく時間は大体十五分程度にお願いをいたしたいと存じます。なお、参考人の御意見の開陳のあと委員の方からの御質問がありまするので、お答えを願います。  それでは、天谷参考人、お願いをいたします。
  42. 天谷和夫

    参考人(天谷和夫君) ただいま紹介にあずかりました天谷です。私は各省庁にまたがる移転予定期間に働く職員約六千名で組織されている東京国公移転反対連絡会議事務局長をしております。で、この会議を代表しまして、筑波研究学園都市建設法案に反対するという立場から意見を申し上げます。  私たち国立試験研究機関に働く職員は、日本の科学技術の発展の基礎をつくる基礎研究の分野でも、またその蓄積を基礎に経済発展させ、国民生活向上国民のための行政上必要な目的研究、応用研究の分野でも、それぞれの持つ能力を十分に発揮し、価値のある貢献をしたいと望んでいます。そして、そのためには、第一に、各研究者が科学者として自分の正しいと思う意見が述べられる、そういう自主性が保障されること、そしてまた、このような環境の中で多くの人々が互いに他の人の言うことを十分に聞き、討論し、納得ずくでものごとをきめて、お互いに協力してやっていくという民主的な運営が保障されなければなりません。このことは科学の発展の歴史からも明らかなことでありますし、また理論的にも結論づけられることであります。  そして第二に、皆で相談してきめた研究計画、あるいは施設設備の要求に対して必要な財政的、人員的な保障を与えることが必要です。  第三に、もちろん職員が心おきなく仕事に専念できるだけの待遇を保障する必要があることは言うまでもありません。  しかし、現実にはどうでしょうか。このような科学技術をほんとうに発展させる条件というものは満たされておりません。国立試験研究機関では下からの意見はなかなか上には伝わらず、自由な発言は圧迫されたり、握りつぶされたりします。そういうことが非常に多く行なわれております。一方、上からの通達や指令は末端まですぐに伝えられます。機関組織としてのこのような状態は、人間にたとえれば手が熱い熱いと感じているのに、それが脳には伝わらず、手をのけることができず、そうして大やけどをしてしまうというふうなこっけいな状態に相当するのであります。  第二番目に、予算がどのような状態にあるかと言いますと、比較的自由に使える経常費というのは比較的少ない。そしてまた、かなり予算が、金がつくというそういう部門はありますけれども、それは政府が望んでいる特定のテーマだけに限られております。したがって、研究が全体として見れば跛行的にならざるを得ません。また、研究者の中には、金がほしいという場合に、心ならずも研究の本来の発展方向を曲げざるを得なくなっている、そういう人もあります。また最近、金にならない研究には金を出さないという傾向も強まっています。また早くレポートを出せというふうなことで追いまくられ、レポートがないと昇格もできない、昇給もしないというふうな状態で、レポートの出やすいテーマだけに走る傾向も出てきております。  このような状態の中で、長い間置かれておりますと、利潤を追求を第一の目的とする企業の研究所とは違い、基礎部分を充実し、その蓄積の上に立って国民的立場から解決を迫られている課題にこたえていくという、国民の立場に立った国立研究機関としての望ましい姿から逸脱してくるということは想像にかたくありません。そして、実際にそのような状態が起こっていることはいなめない事実であります。私たちはこのような状態に決して満足しているわけではありません。また、私たちの職場では職員の協力関係を悪化させる諸制度や、あるいは競争心をあおるいろいろのことが行なわれて、各研究者はタコつぼに入っているというふうな状態が生じております。また、研究に必要な人員も、総定員法というものができてから、一そう不足を来たしております。これは人員の不足ばかりでなく、人をとるために一そう争いが大きくなるという事態も生じております。さらに加えて、生活条件からいいますと、低賃金のためにアルバイトをしたりして時間が取られる、あるいは賃金が安いためにほしい専門の本も買えない、そういう状態もあります。また劣悪な住宅事情のために、勉学が思うようにいかないという事情もあります。  こういうような事情の中で、多くの研究者は自分の能力を十分に開発し、発揮できる状態にありません。そして、そのことは現在国立試験研究機関発展をはばんでいる最も大きな原因だというふうに考えます。私たちは、このような障害を一歩一歩、一つ一つ取り除いていくことが、日本の科学を着実に発展させていくという、そういう道であるというふうに思っております。そして私たちはこのような現状を少しでもよくしようということで経常費、研究費の増額、それから大幅賃上げ、住宅手当の要求、その他多くの職員の要求を繰り返し繰り返し政府要求しております。しかし、政府は誠意ある態度を示しておりません。このような現状を放置したまま科学技術振興のためだといって筑波研究学園都市に行けと言われても、多くの人々は納得しないわけです。  では、筑波研究学園都市というのが科学技術振興になるかということになりますと、これはみなそうとは考えておりません。それはどうしてかといいますと、一昨年の国会でも明らかにされたように、建設の主体が明らかでない、それから具体的な計画がない、そういうふうなこと、あるいはわれわれが向こうに行ってからの生活の保障がない、あるいは向こうに行けば必ず施設などにも金がつくというふうなそういう財政的な保障もないということであります。第二に、これは一番その大きな理由ですが、この計画を進めるやり方であります。これは皆さん意見を聞かないで一方的に進めよう、そういうやり方であります。このことはこれからこの計画を進めていこうとされる政府の方々も、よく聞いていただきたいということであります。昔から、三人寄れば文殊の知恵ということわざがあります。これは何かものごとやろうとするときには、それぞれの人の持つ知恵を出し合えば名案が出てくるということを言ったものです。で、このことはこの計画についても言えます。特にこの計画は研究機関の内部の計画ばかりでなく、新しい都市環境において起こると予想される多くの問題があります。この問題は膨大かつ複雑であって、多くの人々の知恵を借りなければならないし、またそうでなければできない性質のものであります。しかし政府は、移転予定機関の職員の意見を聞かないことはもちろん、関係機関の長の意見政府当局が都市計画を依頼した都市計画学会の意見すら聞かず、また、全国の科学者の代表機関である学術会議の申し入れに対しても、誠意ある態度を示しておりません。このような事実は、各省庁の機関で具体的にあげればきりがないほどであります。このようなやり方では、決して理想的な研究学園都市ができるということは言えません。さらに、この計画があるというために、現地における建物、施設の要求が押えられ、このため数年間おくれたという例もあります。また個人的には、将来の生活設計が立たず困っている人もいます。ですから、この計画は科学技術の振興になるということはとうてい考えられないわけです。で、以上のような事実が明らかになって、これにつれて移転予定機関当局側も、この計画に対する意欲がなくなってくるのは当然です。  一方、地元の要求から今回突然この法案が出されてきました。この法案の内容を見ると、私たちが強く主張してきた移転機関職員の待遇、たとえば都市手当などについても何ら触れておらず、また、最も重要な職員の意見を聞いて移転の可否を決定するという保障がありません。私たちは、このような法案を成立させて、この計画をさらに一そう強引に進めようというやり方は、事態を正しく解決の方向に進めることにはならず、混乱が起きる危険性を感じております。現に、先日の衆議院建設委員会では、今国会終了後、関係各省庁に働きかけるというようなことを、政府は答弁しております。  現在のこのような事態になった根本原因は、少数の人たちの誤った発想法で、計画がまず最初にきめられ、権力的に一方的に進められてきたことによると考えられます。また、官庁のなわ張り根性もそれを助長した一つの大きな原因と考えられます。私たちの研究機関の長も、四十二年九月の閣議了解のときには、バスに乗りおくれるといって計画に賛成いたしました。しかし工技院傘下の各所長は、四十四年四月工技院当局が意見を聞いたところ、全員そろって現在の計画は研究の発展にならないというふうに言っております。また厚生省関係の研究機関でも、所の意見として計画をおろしてくれということを、上部の機関に上申しております。で、どうしてこのようなふうになったかといいますと、これは一昨年の国会計画のないこと、責任母体のないこと、その他もろもろの事実が明らかになったからであります。  では、これからより正しい解決を得るにはどうしたらいいかということでありますが、国会においてはこれまでの事実を国民の前に明らかにして、できるだけ多くの人々の意見を聞き、きめていくことだというふうに思います。そして国会では、この法案を日本の科学技術教育の将来に関連する重要な問題であるので、建設委員会のみでなく関連のある科学技術振興特別委員会、文教委員会等々で十分審議し、きめるべきと考えています。そして、継続審議をしていただきたいというふうに考えております。また、政府も四、五千億の巨費を投じて、また移転前後に数年にわたって研究のブランクを生ずると考えられる既存機関の移転、これによる損失は、現在一人当たり年間四百万円程度の研究投資を政府は行なっておりますが、約五千人の研究者が数年間ブランクになると考えますと、一千億以上の損失になるというふうに考えられます。このような大きな損失をあえてして、既存機関の単なる集中移転をするという、そういう利益がどこにあるかということを政府は明らかにしていただきたいというふうに思います。おそらくこのことはできないのではないかというふうに思います。私たちは、ですから日本の全体の科学の発展というものを総合的に検討して、この計画を現在の移転予定機関のみを対象にせず、たとえば学術会議が従来勧告してきた基礎科学の幾つかの研究所の設立の勧告等も含めて、この計画を全面的に再検討することが必要というふうに考えます。またわれわれも、日本の科学技術が国民とどのような関係にあるべきかという立場から、各研究機関の今後の方向国民的な立場から考えていかねばならないというふうに考えております。また議員も、現在の国立試験研究機関の現状について事情を詳しく調査し、日本の科学技術の真の発展のために具体的な努力をしていただきたいというふうにお願いする次第です。  以上で私の陳述を終わります。
  43. 大和与一

    委員長大和与一君) ありがとうございました。  質疑のある方は、順次御発言願います。
  44. 田中一

    田中一君 天谷さん、端的に言うと、この法律案を再検討して、とりあえず文教委員会あるいは科学技術振興特別委員会等で合同審査をしてくれという御希望のようですが、もしかりにこの法律案が通り、そうして、あなたの御希望するところ、ことにこれにゆさぶられるあなた方六千人ですかの方々の希望する方向にいくんだという前提ならば、この法律案に対する反対はないわけですね。
  45. 天谷和夫

    参考人(天谷和夫君) 現在、衆議院の段階を通過してしまった段階で、非常に無理な事情というのはわかっております。したがって、参議院を通過するのはやむを得ないということであれば、この前お渡ししました附帯決議ですね、これをぜひしていただきたいというふうに考えております。
  46. 田中一

    田中一君 私が伺っているのは、いままで筑波研究学園都市というもの、この建設に対しては何にも主体性がないわけなんですね。ただ単に閣議了解で一応の移転する対象物がきまった。しかし、この了解事項を見ると、それぞれの機関がいろんな議論があれば変更してもよろしい、こういうような付帯条件がついている。そうして四十四年――昨年にはっきりと推進するような閣議決定を見たわけなんです。これはしかしどこまでも大きな、膨大な地域に対するところのいわゆる経営ですね、経営というものの主体性がない。聞くところによると、われわれもこれは国会の問題――今度初めてこの問題は国会法律が出たから、この問題を審査するわけなんですけれども、たとえば用地の取得、造成等は住宅公団が行なっている、道路公団はこれに来る常磐高速道路の建設というものを予定している。それから当然ここに人が大ぜいくるのですから、大蔵省は公務員住宅のほうの建設を年間三万戸程度やっているのでしょうけれども、これを担当しなきゃならない。建設省はこれに関連するところの諸公共事業ですね、これを行なう。生活環境をよくする。そうして首都圏整備委員会がこれらの調整機関として存在するにとどまっておって、全体の計画を統一した一つの意思でもって行なうという部局がないというところに、問題があろうと思います。いまこれから審議をしようとするこの法律案が、それらの計画の主体性と申しますか、一元的なものをつくろうということ、したがって、いままであなた方は常に自分の勤務している研究所、研究機関の長からそれぞれの計画の意思の伝達を受けているにとどまっているわけです。だから、いまあなたが陳述なすったように、何でもかんでも上から持ってくるということになろうかと思うんですが、実際の各機関、膨大な機関ですから、この機関のいろいろな条件というものはおのおの違うと思う。この条件を統一した一つの意思として形成するような形の計画をつくり上げるんだというのがこの法律案の精神ならば、あなたは決してこれに反対はしないでしょうね、と伺っていたのです。
  47. 天谷和夫

    参考人(天谷和夫君) 建設の主体がはっきりするという点については異存はありません。しかし、私たちの問題にしているのは、そこにありますところの移転か適当と認められるかどうかというふうな判定はだれがするかということ、それから首都圏整備委員会が関係機関の長と協議してきめるというふうにありますけれども、長の意見はわれわれの職員の意見を十分反映されているというふうな条件が、いままでの経過から言うと、そういう点が保障されておらないわけです。ですから、そういう点の内容についても、はっきり職員の意見が反映される形、そういうものを内容として盛り込んでいただければいいというふうに思います。
  48. 田中一

    田中一君 むろん、いまあなたのお話の中には、いろいろの条件が入っています。たとえばまず第一に、あなた方研究員は当然一公務員にすぎません、国家公務員にすぎません。だから国家公務員には国家公務員の給与の基準があるから、それによって行なっているということです。これはもう国家公務員をやめなければ、これはどうもできません。しかし今度は研究費、自分の意欲的な研究をなさる場合の研究費が制約を受ける。そうしてあくなき研究を続けるという段階において、あるいはカットされる――もうこの辺でいいよ、それいいからこっちをやれ、こういうような研究者としてほんとうの良心を曲げざるを得ないような形の運営が各機関によって行なわれているところに不満があると、このように述べられております。それから生活の問題、これは非常に大きな問題だと思うんです。給料の安い、高いという問題は、前段に申し上げましたように、あなたが国家公務員である限り、これはやむを得ない。国家公務員の賃金というものは、特別に研究員には何かのものがあるかどうかしりませんけれども、少なくともこれによって律せられていることは当然です。しかし生活の問題は、これはたいへんです。何といっても既存の研究機関がそれぞれの地域にそれぞれの伝統的な、あるいは歴史的の習慣を持ちながら持たれているというところから、茨城県のああいう、いわば遠い僻地へ飛ばされるということになると、あなた方の生活というものは非常に脅かされる、これは当然です。その場合に、あなた方のいま以上によい環境の生活が持たれるという条件があるならば、これはまたその点については反対はございませんね。
  49. 天谷和夫

    参考人(天谷和夫君) そのような条件が満たされるという保障があれば、そういう生活条件がよくなるということで向こうに行っていいという人たちはいいと思いますけれども、そのほかの条件、たとえばいなかにというか、そういうところに行けばいろんな情報を得るとか、あるいは連絡するとか、そういう点で不便を感ずるというふうな人たちは、たとえそういうふうな条件が満足されても、移るという気にはなれないというふうに思います。しかし、生活の面ではっきりとその保障があるということであれば、その点については異存はございません。
  50. 田中一

    田中一君 お子さん方の教育の面はどうですか、現在あなた方が聞き及んでいる範囲の。あなたのほうの工業技術院として見てもいい。その方々の、相当大幅に向こうに移転するようになるから、その場合にあなた方が聞き及んでいる範囲の学校教育の問題等はどういうように理解していらっしゃるんですか。
  51. 天谷和夫

    参考人(天谷和夫君) もし、たとえば筑波に移転いたしますと、そこにはまあ一応学校がつくられるということを言われておりますけれども、まあ非常に限られた数だというふうに思います。しかし、その子弟の中にはそういうところの学校ではない、ほかの学校に行きたいという人たちも数多いというふうに思います。したがって、そういう場合にはあそこから東京まで通うというふうなことは時間ばかりでなく、たとえば下宿をするとかというふうなことになれば、二重生活になるという点で、生活面での負担というのが非常に極度に悪くなるというふうに考えられます。しかし、それに対する政府の施策というのは全く明らかにされてないのであります。
  52. 田中一

    田中一君 だいぶあなたの心配されていることもたくさんございます。それらの問題は、この提案者は衆議院建設委員会委員長提案になっておりますから、後ほど委員長に来ていただきましてその真意を聞くことが一つと、それからきょうは、その施設がどういうぐあいに動いているかということを聞くために、関係機関の人方に来てもらっております。それから工業技術院からも一番大幅に、大幅というか、相当な数が行きますから、これにも来てもらっているんです。よくあなた方の意思のあるところをただしまして、何とかして私としても、きょうあなたに来ていただいたのも、日本ぐらい、わが国ぐらいそうした技術開発なり研究に金を使わない国家は少ないと思うんです。世界の後進国であろうとも、それはそれなりの技術開発なり技術の研究に努力していると思うんでありますが、なかなかわが国はそういう現状でないことは、これはあなたが長い間勤務なさって痛感されておると思います。私もそれは感じ取っております。したがってそれらの問題を、これからちょっと、いま委員長から、この次に一つ法案が入るそうでありますから、その後によくただしまして、何とかして日本の技術が高度に開発される、そしてそれが全部平和を目的としたわれわれ民族のしあわせになるような方向にいくように審議を進めていきたいと思います。私はあなたに対して、真意はよくわかりましたから、質問をこれでやめます。
  53. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 天谷参考人、あなたにお伺いいたしますが、いま研究機関の研究費、調査費等が非常に立ちおくれているということは、私も、政府機関を見ましても十分承知しているわけです。そこで、この学園都市の建設の話がありましてから、実際問題として建物及び研究施設等について、予算予算どおり処置されたものがそのまま実行できて、十分建物も老朽化したものもあるでありましょう。それらの補修に対する考え方、研究に支障の起こるような事態が生じているという点がありながら、予算措置ができていなかった。そんなようなことがあれば、参考にお聞かせ願いたいと思います。
  54. 天谷和夫

    参考人(天谷和夫君) 具体的な例を申しますと、東京工業試験所の六部というのが目黒にございます。ここの分室になっているわけですけれども、ここで筑波の研究学園都市、われわれのほうでは団地化というふうに呼んでおりますけれども、この計画が出る前に建物の改善の計画があったわけです。ところがこの計画が出たために、移転待ちということで数年間おくれたという例を聞いております。またほかの機関では、この筑波の計画があるから要求しても通らないんだということで、最初から要求を出さないというふうなところが多々ある、というふうに聞いております。
  55. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 最初から出さないという事例が何かありますか。
  56. 大和与一

    委員長大和与一君) 参考人、議員の質問はずいぶん立体的ですからね、あなた、自分で差しつかえない分だけ言えばいいですよ。
  57. 天谷和夫

    参考人(天谷和夫君) はい。それは、証拠としては文書の形では載りませんけれども、組合の関係でいろいろなところに行って話をしたときに、そういう話をたくさん聞いておるわけです。
  58. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私、一つだけ聞きたいのですが、天谷さん、基本的には反対でないんじゃないかというのが、あなたの御意見を聞いて察知できるわけです。ただし、運営についてはいろいろな問題を取り上げられましたが、それはそのとおりだと思うのです。したがって、いまの段階では、今後の問題としての要望が多数出ておると思うんですか、それを満たすために、今後の運営に待つところが多いと思うのです。たとえて言えば、研究室を集約する場合に、一体研究室が先に建設されるのか、公務員の施設が先に建設されるのか、こういうことによって変わってくると思うのです。しかもいま分散しておる都市よりもかえっていいのだ。しかし生活の問題については、さっき田中議員が言われたように、これは重要な問題ですから、これも優先しますが、そういう問題はこの法案が通ってもできることではないかという感じを私はするわけですが、そういうことが満たされるならば基本的に反対ではないのだと、こういうふうにとってもいいですか。そこだけ一つ
  59. 天谷和夫

    参考人(天谷和夫君) そういうことが確実に保障されるというふうなことが、職員の意見が必ず反映されてきめられるというふうなことが確実に保障されるならば、私どもは別に異存はございません。しかし現実のいままでの経過を見ますと、非常にそういう点が不十分である。で、いままで法律はなかったけれども、これは上できまったのだということだけで、おまえたちは上司の命令に従うのだというふうな理由だけで、正当な理由があるにもかかわらず、聞かないというふうなことがいままで行なわれてきた。今度の法律が通りますと、勧告だとか、あるいはそういう権限が首都圏に与えられますと、上から、この法律ができたのだからやれというふうなことですね。そして、たとえば通産大臣が去年の国会で、組合の意見を聞いてからでなければできませんというふうに約束しておりますけれども、そういう約束も、こういう法律によってほごにされやしないかというふうな危険性を、私は感じておるわけです。ですから、そういう点、はっきりと、口での保障じゃなくして、条文の中にそういう民主的なきめ方というものをはっきり明示して、そしてそれをたてに、われわれが、そういうことに反したことをやった場合には、それをとめることができるというふうなはっきりしたものでないと非常に困るというふうに私たちは考えております。
  60. 春日正一

    ○春日正一君 さっきの話の中で、いわゆる上から――俗なことばで言えば、天下りにきめられてくるから困るという話があったんですけれども、この移転の問題について、各省の研究者や職員に対してどんな相談があったのか。そこのところ、どういう仕組みになっているのか、実際を聞かしてほしいのです。
  61. 天谷和夫

    参考人(天谷和夫君) まず、通産省の関係から申し上げます。  通産省はこの筑波研究学園都市の構想が出る前の三十七年の春ごろだと思いますけれども、通産独自で団地化計画というのが出されました。この団地化計画が出されたという経過は、官側の議事録を見ますと、ともかくごく少数の特定の人がこういう団地化計画というふうな大きな計画を出さないと、予算が取れないのだ。だから予算を取るために団地化をするのだという、そういう発想で、その理由としては、ある特定の試験所の置かれている状況を、たとえばかかれているとかあるいは追い立てを食っているとかいうふうな、そういうことを理由に出したわけです。その出したこともごく一握りの、一人といっていいわけですけれども、それがもうきめて、そして一応工業技術院というのは院議というもので物事がきまるわけですけれども、それにもかかわらず、もうきまったのだというようなかっこうで審議をなしに始められたという経過があります。それから、この団地化計画というのが、やはり無理があるために一とんざした時期があります。その中で首都圏のほうから筑波研究学園都市計画というのが出されました。そのときに通産省はどうかというふうな働きかけがありました。そのときに五条件つきで通産省は参加するというふうに態度をきめましたけれども、そのときの五条件の内容あるいは五条件で参加するかどうかということについては、全く職員に知らされなかったという事情がございます。  それから四十二年の九月の閣議了解のときでございますけれども、このときは組合側の調査あるいは一票投票ですか、それから官側から通して聞いた職員の意見も、それも八〇%以上九〇%近くこの計画には反対だという、そういう結果が出たわけです。しかしその当時各試験所の所長は、バスに乗りおくれるというふうな理由でもってこの計画に参加するということをきめたわけです。それから昨年自民党の議員が、工業技術院のほうに来まして、おたくのほうの事情はどうかというふうなことを聞いたことがございます。そのときに、工技院としては、各試験所の所長の意見を聞いたわけです。そのときに、各試験所の所長は、全部現在移ったらば研究にプラスにならない、かえって支障になるということを言いましたけれども、それにそういう全員がそろってそういうふうに言っておるにもかかわらず、その計画からおりるというふうなことは一向に言わないということです。  それから農林省の機関で参加をきめたときの事情がございます。それは三十八年の四月十八日に、農林水産技術会議というのが主催して場所長会議というのが開かれました。そりときに各場所長は、四つの条件をあげて、難点があるということで賛成はしなかったわけです。その理由は、その土地が火山灰地であるということで、農地としては非常にやせておるということ、それから夏に雨が少ないというふうな、その他の理由で農地としては適当でないということから難点があるというふうに言ったにもかかわらず、三十九年の十月十六日にその農林水産技術会議はこの筑波の学園都市に参加するということをきめたということが言われております。  それから厚生省の関係でございますけれども、予防衛生研究所、これは去年の四月だったと思いますけれども、研究所の職員、官側の管理職もあわせて全部で民主的に討議したところが、この計画は研究の発展にならないという結論が出て、この計画からおろしてくれというふうなことを上に上申した、書面でですね。しかし全然それについて返答がない、ナシのつぶてであるということです。それから同じことは栄養研究所についても同じことがあります。そういうことで、そのほか各試験所、小さいところではそういうことがたくさんまだあります。
  62. 春日正一

    ○春日正一君 もう一つお聞きしますけれども、もうこの移転話が出てからかなり日数がたつわけですね。どうせ越していくだろうということで、いわゆる研究機関の設備なんかがおくれている。いわゆる移転待ちでもって研究が渋滞する、おくれるというようなことがないのかどうか。あればそういう事例を出していただきたい。
  63. 天谷和夫

    参考人(天谷和夫君) それは先ほど宮崎委員から質問がありましたときに答えましたけれども、具体的な例を一つあげましたけれども、官庁の通例として、こういうものがあるからどうせ通らないだろうということで、初めから要求を出さない。そういうふうになってしまうということが非常に問題があるものだ。実際には、それが設備の改善や何かを妨げている非常な要因になっているというふうに思います。具体的に強い要求を出して、それがこういう理由でけられたというのは、予算のほうに私関与しておりませんからあまり知りませんけれども、とにかく、もともと出さなくなっちゃうということは多く聞いております。
  64. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 参考人にお伺いしたいのですけれども、六千人の反対同盟の事務局長として、この筑波学園都市の団地をごらんになっておりますか、まずお伺いしたい。
  65. 天谷和夫

    参考人(天谷和夫君) 最近は私、職場のほうに帰っておりまして、二、三年前は現地に行きましたけれども、最近は行っておりません。
  66. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 そうすると、工業技術院が移るであろうことを予想される佐倉村関係の百八十ヘクタールの団地計画は、あなたはごらんになっておりますか。
  67. 天谷和夫

    参考人(天谷和夫君) まだ見ておりません。
  68. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 この法案の趣旨が、用地買収ができて各官庁等のいろいろのもろもろの条件を満たすために主務官庁をどこにするのか、建設主体の主務官庁をどこにするのか、あるいは財政的な助成、裏づけ法はどうするのかというような、こういう問題、あるいはまた国会が、これに対する各省の意見等を、あるいは各機関の、組合等の意見を聞くために国会に対する報告義務を課したというか、こういうふうな重大関心を持って、この事態――地元の用地買収、それからもう一つは、移転するであろう各省機関のもろもろの意見、たとえば生活条件はどうなっているのか、あるいは住宅の問題について、東京における三DKじゃなくて四DKのような住宅を当然やっていくべきじゃないか。あるいは常磐高速道路をすみやかにやっていこうとか、あるいは常磐線の学園都市までの複々線化の問題を急速に具体化しようかとか、こういうような問題が、各移転機関のそれぞれの意見がこのように首都圏整備委員会に浸透して、これがこのように国会の議決になっていることは、あなたも御存じですか。
  69. 天谷和夫

    参考人(天谷和夫君) 具体的にどのようなことか、存じておりません。
  70. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 たとえば工業技術院の場合には、試験研究機関相互の連絡をどうするか、試験研究のレベルをダウンさせてはいけないから、それに対するどういう処置をするかという、こういう問題等々が、あなたの機関を通じて、工業技術院等を通じて国会にも報告されている。あるいは予算委員会にもそういう質問の実態があらわれていることは御存じですか。
  71. 天谷和夫

    参考人(天谷和夫君) そのようなことは、官のほうから聞いておりません。
  72. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 じゃ、終わります。
  73. 大和与一

    委員長大和与一君) 本案は一応この程度にいたしておきます。  参考人の方に申し上げます。きょうはお忙しいところ、いろいろ貴重な御意見を拝聴させていただきまして、ありがとうございました。     ―――――――――――――
  74. 大和与一

    委員長大和与一君) 次に、前回に引き続き、本州四国連絡橋公団法案議題とし、質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言願います。
  75. 田中一

    田中一君 私は大臣にお伺いしたいのですが、いままで相当計画の煮詰まるまでの期間が長かった。そこで、一本一本の線についてちょっと御意見を聞いてみたいのですけれども、尾道――今治、あの間は島と本土との連絡橋はでき上がったはずですね。あれがどういう機関で、どういう形で、どこの予算でなされたか、大臣には結論を聞きますから、ひとつ局長から……。
  76. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 尾道-今治のいわゆるEルートの線につきましては、現実にいま尾道から対岸の向島まで橋がかかっております。これは日本道路公団で、この計画ができる前から計画いたしまして、道路公団は有料道路を建設した次第でございます。
  77. 田中一

    田中一君 現在、この利用度はどの程度ですか。
  78. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 資料を見ますと、大体一日平均四千二、三百台の利用数でございます、自動車でございますが。
  79. 田中一

    田中一君 計画はどの程度ですか。
  80. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) いま、はっきりした計画の数字を持っておりませんが、採算のベースから考えますと、大体計画どおり、またはちょっと上回っている程度だと聞いております。
  81. 田中一

    田中一君 私、地図を持っていないから何とも言えないのですが、その向島の次の島は何という島で、それでどのくらいの距離がありますか。
  82. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 尾道の対岸の島が向島でございます。その先の島が因島になっております。
  83. 田中一

    田中一君 その距離は。
  84. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 向島と因島の間の海峡の距離といたしまして大体千三百メートルの距離でございます。
  85. 田中一

    田中一君 それは向島と尾道との間はつり橋ですか、それとも……。
  86. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) いまできております尾道と向島の橋は斜張橋というものでつくっている。斜張橋といいますと、両方からケーブルの、つり橋ではございませんが、大体そういうような理論を利用した橋であります。
  87. 田中一

    田中一君 いまの因島と向島の間の千三百メートルというのは、それは行なおうとするとつり橋ですか、それともいまのような工法ですか。
  88. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 因島と向島の間は大体千三百メートルありまして、それについては、いま計画しておりますのがつり橋でございまして、三径間のつり橋で、一番長い径間が約九百メートルでございます。
  89. 田中一

    田中一君 因島からその先の島は何というんですか。その距離は。いまと同じ質問をするんですが、説明してください。
  90. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 因島から先の島は生口島、これの海峡の距離が約八百メートルぐらいでございます。
  91. 田中一

    田中一君 それから、その先ずっと今治まで話してください。どの辺に可動橋を持つのか、あるいはある一カ所持つのか、それとも可動橋は要らないで、たけの高いものにすればそのままいくのかどうか。
  92. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 生口島から先が大三島、この間が約千五百メートルぐらいでございまして、これも最大径間八百八十七メートルのつり橋になります。この先の大三島-伯方島、これは三百メートルぐらいの毎峡でございまして、これはアーチ型を考えております。伯方島からその先の鵜島、これも約三百メートルぐらいのアーチ型を考えております。その先、鵜島から、これは小さな野島という島が中に入っておりまして、鵜島からそれを越えまして大島まで八百メートルございます。その中では一部つり橋がかかる。そのほかはトラストその他を併用することになります。その先の大島から中渡島、この間が約千三百メートルぐらいでございまして、これも八百六十七メートルの最大径間を持ったつり橋になります。中渡島から馬島を通って今治に行くわけでございますが、中渡島から馬島間は七百メートルぐらい。これも最大スパンが五百四十五メートルのつり橋。馬島から今治まで、これが千五百メートルぐらいでございまして、これが一番大きな最大径間千八メートルのつり橋を計画しておるわけでございます。
  93. 田中一

    田中一君 この調査は、道路公団が全部行ないましたか。道路公団のほうでは建設計画は持っておるんですね。
  94. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) この計画自身は、道路公団に移す前に直轄で実施した調査でございます。ただ、いまの計画では、これはその当時高速道路としてのかなりの曲率半径の大きな曲がり方をする道路として計画したわけでございます。その後いろいろいまの一般国道規格でさらに計画をやり直しまして、もう少し島と島の間の毎峡の短いところを通れるようなところもございまして、それをいろいろいま検討をしておる次第でございます。
  95. 田中一

    田中一君 これは技術的にもう可能だという結論は出ておるわけですか。
  96. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) これはいまの三本の橋の一本でございますが、その中で比べますと、一番技術的には問題が少ないということでございます。ただ、そう言いましても、いまの千メートルぐらいの最大スパンのつり橋といいますと、現在関門でつり橋を実施しておりますが、七百十二メートルですから、あれよりかなり長いものになります。これについては耐震の設計とか、台風の安定性の確認、こういうものをやはり今後相当実験その他で裏づけをしていかなければならないというふうに考えております。
  97. 田中一

    田中一君 この各島の人口はどのくらいありますか。
  98. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) ちょっと各島の人口についてはいま手持ちございません。
  99. 田中一

    田中一君 一つ一つ片づけていったほうが早いと思って詳しく聞いているのです。一番長いのは千メートルちょっと。そうすると、これは明石よりも非常に短いですね、明石は長いですね。
  100. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 明石海峡にいま考えておりますのは最大スパンが千五百メートルですから、それよりはかなり短いものになると考えております。
  101. 田中一

    田中一君 これは建設大臣に伺いますが、道路公団は非常によく研究していて一生懸命意欲的にやっているから道路公団がいいですね。道路公団が施工すればいいわけですね。そうして、これは相当の先行投資をやるのだから、次へ次へと行って今治まで行かなければほんとうの経済効果は出ないわけですね。これはもう大体解決済みと理解してよろしゅうございますか。道路公団がいままでの計画を進めていけばいいんだというふうに理解してよろしゅうございますか。
  102. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 先般来御説明いたしておりまするように、本四連絡橋は三本とも必要であるが、一応その調査は道路公団でやっていますが、道路公団は、御承知のように、現在の関門橋をやっているだけでございます。それに比べれば、よりむずかしい設計になると思います。特に海上運航があのとおりのところであり、さらに三本とも総合的にこれは技術開発をしなければならぬという条件がございまするので、そこで本法案を出しまして、国会の御議決を得て、この三本について、技術開発から設計調査、やがて諸般の状況を総合判断して着工順位が出てくると思いますが、いずれにいたしましても、公団をもってあらゆる技術開発から調査、架設までやらせよう、こう思っておるわけでございまして、現在道路公団にこのルートだけをやらせるという考えは、現在持っておらないのであります。
  103. 田中一

    田中一君 この本四公団ができ上がると、そうした研究費にはどのくらいかかる見込みでございますか。まあ現在やっているところの関門大橋が一応完成すれば、あれによって一つめどがつくと思うのですが、研究の期間をどのくらいに見ているか。むろん、この尾道線は途中の島を、一番短い島から島に持っていくことは困難でしょうから、どっちみちどちらかから出発しなければならない。したがって、同じ長大橋でも、場所によっては風速も違えば何も違うし、いろいろ条件が違うと思うのですが、それぞれそういうような研究は三本ともにどのくらいの期間と費用でまかなうということになるのですか。
  104. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 現在この三本とも実施のめどをつけるための調査といたしまして、その中に技術開発その他を含んでおりますが、大体、金額としては五十億ぐらいのものをいまのところ見込んでおります。各ルートについてどのくらいの期間がかるかということになりますと、やはり耐風性また耐震性の設計を確立するために、逐次短いスパンの橋から長いスパンの橋に移るわけでございまして、そういう過程を通りますと、やはりいまのEルート、尾道-今治のほうが早くそういうものの調査が終わるというように考えております。どのくらいかかるかということになりますと、やはり尾道-今治が調査が終わるのは約二年から三年程度、明石については大体四年から五年ぐらいかかるのではないかというような、これは一つめどでございますが。
  105. 田中一

    田中一君 児島は……
  106. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) その中のDルート、児島-坂出につきましては、これはちょうどいまのAとEの間ぐらいで、これはほぼ三年か四年ぐらいあれば、実施のめどがつくのではないかと考えております。
  107. 田中一

    田中一君 そこで、この研究費はやはり三橋の原価計算に入るのですか。それとも別途の、国としてこうした技術的な開発という面から見てこれは別途になるのですか。それともこれはそれぞれ三つなり四つなりのに橋かけられて原価計算を行なうのですか。
  108. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) いま考えております、これから必要になります調査、これは実施調査ということで採算の計算の中に入れる予定でございます。ただ、これを各A、D、Eのどういうルートに振り分けるか。これはおのおののルートの独自の地質調査、そういう独自の調査については、もちろん独自に橋の採算によるわけでございますが、共通的なものはやはり工事費の比率で振り分けるということになろうかと思います。
  109. 田中一

    田中一君 きのう、われわれは千葉の土木研究所の支所に行ってきましたのです。あすこで道路部が非常に大がかりな新しい実験を行なっているのを見てきまして、非常に感激しました。しかしあすこにある費用というのは、たかだか本年全部で十億程度で、そのうちの半分ぐらいが千葉支所のほうにくるのじゃないかというふうに聞いてきました。千葉支所でやっておる費用というのは四億。あすこでやっている研究は、本四公団から調査の委託費でも、研究の委託費でも来て行なっているのですか、別途にあるのですか、それとも向こうの費用でやるのすか、どっちですか。
  110. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) いままでかなり土木研究所で長大つり橋の研究をされておりまして、これはいままでやったものは全部公共事業として、いわゆる道路整備費の中から調査費という形で出したものでございます。今後は公団の調査費を土研のほうに委託して実施していくということになります。
  111. 田中一

    田中一君 建設大臣、こういう技術開発の費用というものは、どうですか、国が直接に土研なり、今度は建築ではありませんけれども、土木研究所のほうに直接に研究費を出すと、こういう方向はとれないものですか。長大橋は日本でも経験のない仕事であるだけに、三百メートルから五百メートル、千メートル、千五百、二千、こういうぐあいに延びていくことが望ましいわけです。ですから、そうした技術開発なり基礎研究というものは公団の原価計算に入れないで、まあ公共一般財源から出して進めるということにすべきだと思うのですが、どうですか。
  112. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 原則的には今後日本の公共事業に必要なる基礎的な研究は、これは当然そのためにある土木研究所ですからやらすべきだと思います。ところが今回の問題は、特にそうした技術開発をも含めて実施するための統一的な機関としてつくられましたので、予算はやはりこの公団につけて、そうしてその一部を土研に委嘱したほうが研究効果があがるというものについては予算をそっちに、これは委託研究ということにはなりましても、これは何ら差しつかえないのじゃないかというぐあいに考えておる次第でございます。
  113. 田中一

    田中一君 ただ問題は、それが通行料金の原価に算入されない方法をとっていただきたいと言っているのです、今後ともそういう基礎研究費は。その点どうですか。
  114. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) この問題はさらにこの技術開発の状況を見て検討しなければならぬと思います。現在のところ構想では、そうした技術開発をも全部含めてそのために一本の公団で、そうしてこれが償還計画も、あるところは車の通る数がかかったわりあいには少ないというところもあるかもしれません。けれども一方その各ルート別の採算でいくと、そのために料金が非常な違いが出ますというと、かえって三本をつくったことが意味をなさなくなってきて運用上困るのです。そういう点からすれば全部プール計算にする、プール計算的なやり方をしなければならないというようなこともありまするので、その点はまだはっきりときめていませんが、現在のところはそうした開発資金と申しますか、それも、やっぱり償還の中に入れるいまのところは方針でございます。ただ、しかし御趣旨の点は十分に尊重して研究はいたしてみたいと存じますけれども、いまのところは全部これは三本の橋において償還計画の中に入れるというたてまえでございます。
  115. 田中一

    田中一君 その長大橋の部分的な研究をしている場所、それからどういう研究機関で、金はどのくらいいままで配分されてきたか、どういうものが、一応中間的なものであってもいいから、成果が出てきたかという点をひとつ説明してください。
  116. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 土木研究所には橋梁研究室というものを設けてありまして、その中でいろいろこの基礎的な研究をやっておったわけでございます。実はその調査が始まりまして土研に委託いたしましたのが三十六年ごろからやっておりまして、三十六年から四十二年までに試験調査という名目で土研が行なっておりますおもなるものは、やはり耐風設計の問題また耐震設計の問題、それからこれに使う材料構造の問題、こういうもので四十二年までに約六億四千万くらいの公共事業の調査ということで土研が実施しておったわけでございます。その後四十三年、四十四年で土研でいままで実施いたしましたのは合わせました四億三千万くらいの調査費を使っております。
  117. 田中一

    田中一君 これは公共事業でやったのですか。
  118. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) これは全部公共事業で実施したものでございます。
  119. 田中一

    田中一君 このほかにも委託研究をしているところがあるでしょう、土研以外に。
  120. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) このほかには、いまそういう委託研究をさせているところは、いまのところございません。
  121. 田中一

    田中一君 これはぼくの聞き違いかしらぬが、東大あたりでもやっているというふうに聞いておりますがね。
  122. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) それは、前に土木学会が鉄建公団と一緒になりまして、土木学会で基礎的な研究をいたしたことはございます。その中で土木学会の専門部会として東大に委託したものと思います。
  123. 田中一

    田中一君 それは公共事業ですか。
  124. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) うちのほうは全部公共事業でございます。
  125. 田中一

    田中一君 どのくらいになります。
  126. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) ちょっといまの資料がございませんが、たぶん毎年五百万から七百万というような話でございますが、正確な資料は、また調べましてから御報告申し上げます。
  127. 田中一

    田中一君 それらを含めて五十億というのですね。
  128. 蓑輪健二郎

    ○政政委員蓑輪健二郎君) 五十億といいますのは、四十五年以降五十億というようなことでございます。
  129. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 いまの五百万円とか六百万円というのは間違いじゃないですかね。これは土木学会委託は二千四百万で委託調査をやっておるのじゃないですか、それはどういうことです。
  130. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) その中から東大に出したものでございまして、いまの土木学会自身は、いろいろ各専門部会をつくりまして、その中でいろいろ報告をつくったり、委員会の手当を出したり、そういうことも含めて全部で二千数百万円、そういうことでございまして、その中からいまの委託に出したものが七百万から五百万というょうなことでございます。
  131. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そうすると、東大以外にも委託調査をやったということかね。これは委託費ということで二千四百万円計上しているんじゃないかな。
  132. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) その中からさらに非常に小さいものはほかに委託を出しているものもございますが、東大のように大きく出しているのは、これだけでございます。いま先生のおっしゃいましたその金額というのは、やはり土木学会自身の先ほど言いました委員会その他委託の金ももちろん含んでおります。委員会、その他いろんな印刷をしたり、そういうような経費も含まれておるわけでございます。
  133. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 国鉄はどういう方法でやっているか、それを聞かしてください。
  134. 畑耕平

    説明員(畑耕平君) 鉄道建設公団がもらっております調査につきましては、鉄道建設公団予算として計上いたしまして、その中から、児島のほうで直轄でやっておりますものと、それから、建設省と打ち合わせをして同じような形で土木学会等に委託をして、その中から東大等に委託しておるものもございます。
  135. 田中一

    田中一君 過去に使った研究費は幾らで、これから完成するまでに幾ら予算を組んでおるか、見通しでけっこうです。
  136. 畑耕平

    説明員(畑耕平君) 鉄道関係の調査といたしましては、昭和三十年国鉄によって開始されまして、国鉄が使いましたのが約二億八千万でございます。それから、三十九年に鉄道建設公団が設立されまして、この事業を引き継ぎまして鉄建公団になりましてから四十四年度末までに約二十三億四千万円、計二十六億二千万円調査費として支出いたしました。
  137. 田中一

    田中一君 将来の見通しは。
  138. 畑耕平

    説明員(畑耕平君) 本州四国公団の中で一緒に、今度は鉄建公団とか何とかじゃなくて、本州四国関係の中でやられますので、将来の予算の中で鉄道関係がどうなるか、目下検討中でございまして、ちょっと現在のところ詳細に判明しておりません。
  139. 田中一

    田中一君 そうすると鉄建のほうじゃまず児島ということで集中してやっておるわけですね。まず児島というように。
  140. 畑耕平

    説明員(畑耕平君) 別に児島ということじゃございませんで、おそらく、私いきさつを聞いておりますのは、建設省のほうで、たとえば鉄建公団と建設省が同じ調査、施工方法をやりましてもダブらないように打ち合わせをやりまして、工事施工方法その他の研究のテーマをきめまして、一応場所は、鉄建公団が児島、建設省のほうが明石というようなことで、一般的な調査をやったというふうに聞いております。
  141. 田中一

    田中一君 そうすると、きのう私は土研に行ってみたんですが、土研のようなああいう風洞実験とかいろいろ、われわれしろうとでもなかなか興味があるような基礎研究をやっていましたけれども、ああいうのはどうなんですか。なるほど鉄道を引く場合もやっておりましたけれども、その点はどうなんですか。風洞試験とかああいう試験は全部同じものをやっているわけですか、一緒にやっているわけですか。
  142. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 現在、土木研究所でいままで実施しておりましたのは、これは全部建設省自身としてやっているのでございまして、国鉄の費用は入っていないのでございます。
  143. 田中一

    田中一君 明石-岩屋の橋梁は、いま鉄建本部のほうに聞くと、道路専用という以外に鉄道も引くんだという前提で基礎研究やっておられるんですか。
  144. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) これは実は明石につきましては、鉄道が乗るか乗らないかということは、まだ正式に最終的に決定されていないわけでございまして、やはり鉄道が乗る併用橋、また鉄道が乗るにしても、在来線の貨物線が乗るか、新幹線が乗るかでだいぶ加重の状況は変わってくると思います。そういうことについてまだ正式な決定がございませんので、いわゆる併用橋として両方をいま基礎的な研究をしておる次第でございます。
  145. 田中一

    田中一君 どうも同僚の各議員からは、三本一緒にやれ一緒にやれというので、それをきめるのも本四公団がきめるんですということに答弁していますから、それでいいんだと思います。いいんだと思いますが、ただ集中して一つの目的に向かって進めなければならぬと思うのです。どうも二頭ヘビはかみ合うことが多いのです、自分同士で。どうもそこのところは――とにかく建設大臣が今度の場合は全面的に権限を持とうとしているのですから建設委員会にかかったと思います、この法案が。これはけっこうです。とにかく鉄道を乗せる乗せないかは別として、道路をつくることは間違いない。二頭のヘビがいつもけんかして道路まで飛ばしては困るわけです。これは監理官、ほんとうならば――あなた運輸省の人か。
  146. 畑耕平

    説明員(畑耕平君) はい、運輸省でございます。
  147. 田中一

    田中一君 運輸省の意向としては、どれを先にしたいのだ。
  148. 畑耕平

    説明員(畑耕平君) 非常にむずかしい御質問でございますが、一応現在のところ運輸省で考えておりますのは、鉄道敷設法別表に、Aルートと、それから宇野-高松と二つございます。いままでのところは、この敷設法の予定路線の調査ということで、鉄建公団に命じて二ルートの調査をやらしておりまして、今度この公団ができまして、まあどのルートが併用橋になるかは今後の問題でございますが、一応本四公団の実施調査、それから経済調査、いろんな総合検討の上でやられることになると思いますが、いままで大臣その他が答えましたような方針で今後検討したい、こう考えております。
  149. 田中一

    田中一君 私、こういう調べをしてみたのです。一九六五年、まあいまから五年前ですね、四国地方が、徳島、香川、愛媛、高知、これを含めると人口が三百九十七万五千人なんです。これが推計で一九六八年、おととしですね、おととしには、これは推計ですよ、国勢調査がありませんから、三百九十三万という人口なんです。これに加えて、兵庫県あるいは大阪関連としていいかと思うのですが、とにかくこの四国だけの人口は三百九十万、現在でも四百万足らずというところなんです。私の郷里は青森県なんです。建設大臣も秋田県であります。東北を見ますと、青森から福島まで見ますと九百万、これに北海道を合わせると、北海道が五百十万ですから、千四百万というのが東北、北海道の人口なんです。私は、四国に三つの橋をつくることは悪いとは言いません、大いにやれと言いたいのです。何といってもあたたかいところは早く開発されます。われわれ東北地方考えると、ここに三つの橋をつくることになりますと、東北はもうどうにもならなくなるのです。北海道もどうにもならないのです。試みに山陰のほうも調べてみました。中国地方は瀬戸内海側と日本海側があります。両方合わせて六百八十万。鳥取県が五十七万、島根県が八十二万、これは日本海側、これに兵庫県の一部が入っております。ただ百四十万しかならない。何でこうなっているかと考えると、やはりもう少し社会投資をしなければならぬということです。鉄道を乗せるルートが二つあるんです。三つの橋を一緒にするんだったら、東北人はいつも日雇いとしてあったかいところに、四国に来て日雇いかせぎをしろということにならざるを得ない。そんな金は出してくれません。私は、ここに本四のこの三つの架橋を中心にして、あまりにもひどい格差日本国民に押っつけるのではなかろうかという心配を持つのです。私と同じ気持ちを根本建設大臣は持っていると思う。東北に一体新幹線がいつくるか、むろん新幹線でも雪がちょっと降ればとまっちゃいますから困難はあるでしょう。しかしながら、太平洋ベルトにすべての文化なり産業なりが移っていくというこの姿は、正しい政治ではないです。反対はしません、反対はしませんが、一体この後進地域、非常に悪い条件で営々と農業を営みあるいは商業を営み、これらの非常に格差の激しいこの地域国民をどうしてくれるのか、こう私、秋田県出身の根本建設大臣に伺いたくなるのです。これは四国に三本の橋ができるのはけっこうでしょう。ようやく青函の燧道の試掘をやっております。せんだって失敗しましたけれども、またこれがどうやら無事に直りまして継続しているようです。政治は、四国と中国のものだけじゃございません。私はどういうわけで、根本さん、あなたは少し選挙区の者をかわいがってやらなければいけませんよ、あなたのかわりにぼくは申し上げているのです。三本の橋をつくればいいんだということに対しては反対はしませんが、こうした格差をますます助長させるような施策は、私は求めません。こういう不公平な、力によって行なうならば、もう日本は革命が起こりますよ。こうした人口の密度から見ても、この三つの橋ができたならば四国はどうなるか、いままでいろいろ同僚議員の質問がございましたが、どうなったって東北の農民、東北の国民には何も影響がないのです。日雇いになってかせぎに行くのです。こういうことを考えますと、この本四公団というものの経済効果なり、国民全部に与える利益というものをまず先に一つをとらえて、そこによりよい効果をあげられるものを一本にしぼって進むべきであるということを強調したいのです。しかし三本――反対しませんから、同僚議員がよく言われました三本一緒にやれ、一緒にやってもかまいません、一緒にやっても、先ほど道路局長が言っているように、長大橋はやはり研究の成果が生まれなければ、だんだんにやさしいものから進む以外にないのだ、たとえば関門大橋ができ上がったならば次に尾道のルート、それから児島のルート、明石のルート、これは技術的なその話をきのう土建の千葉の支所へ行って聞いてきたのです。一番の最高の学者といわれている、技術者といわれている、松井博士でしたか、聞かれればそうお答えする以外に方法がございません、私は自分が技術家としてどれを先にするかと言われたら、そうお答えをする以外に道はございませんという、これは非常に良心のある答弁、だったそうであります。そこで、三つの橋を一緒にやるんだというこの政治の貧困というか、いくじなしというか、総理はじめこれに対しては口をつぐんでいる。総選挙も済んだばかりだから自民党は三百の大台を割ることはありませんから、この辺で、この法律案が成立するまぎわに、もう少し具体的な発言建設大臣はすべきであると思うのです。あるいは閣議でこの問題は絶対に言っちゃいかぬぞといって箝口令をしかれているかもしれませんが、しかし、このような激しい格差をわれわれ国民に、国民の各層の中に、各地域の中に押し込むというこのやり方に対しては、どうしても承服できないのです。三本のルートを一緒にやれ一緒にやれとわれわれの同僚が責めているのも、どれか一本にきめろということなんです。本会議が四時に始まるそうでありますから、もうほつぼつ集約しなければならぬのですが、私はこの法律案衆議院において社会党、共産党もこれに賛成したと聞いてぶ然としました。国民に激しい格差をつけようというようなこの法律案が、黙ってすらすら通ったということに対して私、非常に残念に思ったのです。こういう意味でひとつ良心的な建設大臣の心境をお漏らし願いたいのです。そうして自民党政府のこのような公共事業のあり方、と同時に新全総の方向づけというものがあの三つのルートの完成によってどのくらいの効果をあげるのかどうか、これらを含んで御答弁を願いたいと思います。
  150. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 田中さんから選挙区のことまで御心配いただきまして、まことに御配慮のほどを肝に銘じておりまするが、御承知のようにこの三本のルートはわれわれの見方といたしましては、四百万の四国の住民のためとだけには限定できないと考えております。御承知のようにこの四国とそれから近畿、中国、これは山陰も含む、これを総括して国土の総合的な開発に役立つ、こういうふうに解釈いたしているのでございます。現在瀬戸内海が日本におけるいわば近畿以西の主要なる海運のルートでございまするが、非常に海上運送が錯綜しておりまして、このままでは今日持っておるところの瀬戸内海の機能が、ほとんど麻痺状態になる、こう考えられます。そういたしますれば、どうしてもこの四国と本州とが、ある意味におきましては、一体的な、陸上でつながったという情勢が必然的にこれは要請されてくるのでございまして、その役割りをつとめるのが三本のルートである、こう考えておるのでございます。これは新全総においてすでにそれを想定し、その意味においてこの三本のルートそのものを是認しておるという状況でございます。北海道、東北の開発は、これは非常に重要な国策でございまするので、これまた新全総において、それぞれの一つ構想を持っておるのでございますが、東北には御指摘のように鉄道、新幹線網を、すでにもうほとんど着工しなければならないう段階まで事態が煮詰まっておりますし、道路につきましては、これはすでに一部着工しておる。さらにこれと関連しまして関越線がさらに伸びまして、裏日本をやはり高速自動車道路で結ばなければならない。さらには肋骨国道、これを整備して、こういうふうに順次やっているのでございまして、昭和六十年度の当時においては、相当程度私はバランスのとれた施策がなされると思うのでございます。ただいま御指摘になりましたように、この公団ができて直ちに実施設計、技術開発というものがすぐに、少なくとも四、五年の後には着工されるということになりまするので、印象的には確かに南のほうに重点を入れて、北のほうがどうもないがしろにされるという印象があると思いまするが、今後社会資本の充実にあたりましては、特別な、こうした地域格差のないように十分配慮して国全体として均衡ある経済社会発展を導くように、社会資本の充実をはかっていくべきだと思います。その意味において、御激励の点感謝いたします。今後一生懸命そのほうに邁進したいと思います。
  151. 田中一

    田中一君 まあ閣僚の一人として新全総を持っているあなたとしては、それはしようがない。しょうがないでしょうが、これは非常に危険なんです。片寄り過ぎている。だから三本はいいけれども、一本とにかくおきめなさいという。三本、三本といって、三本やってもいいですよ。とにかく一本おきめなさい。一番困難であり、かつまたいままで手をつけている児島なら児島をおきめなさい、あるいは併用橋なら併用橋としての実験をなさい。きのうも千葉へ行ったら相当真剣に取っ組んでいました。しかし研究費が少ないといっても、四億円じゃどうにもなりません。先ほども研究学園都市で、ああした若い青年が、研究者が訴えていることはほんとうなんですよ。よくわかるのです。しかしこれが野方図もなく三本やるのだ、三本やるのだと言って、うたい文句は困るのです。これもひとつ閣議の席上でも、何とかこの辺できめなさいということをわれわれは強く言いたい。閣議で発言してください。たなざらしになってだれもかれも、せんだって宮崎委員が質問したように、二百三十億ももうくだらん金を使っているじゃありませんか。こんな金は大部分くだらん金ですよ。各地方団体でもそれは政府が決断しないからなんです。あれもこれもいいようなことは言わないで、鉄道は二つのルートでやるのだったが、だめなものはだめだということをはっきり言ったほうがいいでしょう。党がきめてしまっておるから私はこれ以上は言えなくなってくるんですね。この辺ひとつどうかもう採決に入るでしょうが、私は討論はしません。討論しないというのは、賛成しているから討論しないというのではないんです。討論はしませんが、討論にかえて、どうしても人心をおさめるにはこの三本の架橋の問題をまず優先順序をきめることです、意思表示をすることです。鉄道との併用橋はこれにするのだ、これとこれはしない。しないから鉄建でやるならかってにおやりなさい。何も新線のルートは決定されているからいいのだということではございません、やめてもいいんです。十年、二十年後の交通というものはどう変わるかわかりません。しかし、人間というものは足があるから、人間は歩くだけに心配です。橋も要ります、鉄道に依存しないことになるかもしれません。どうかひとつ建設大臣は次の閣議でこれを賛成するにあたって真剣にわれわれは考えておるのだ、早くルートをまず発表すべきである。これをお願いいたします。
  152. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 先ほど田中委員からの質問でちょっと数字的に修正させていただきたいと思います。  現在土木研究所でいままで調査を委託しておりました金が四十二年までで八億六千四百万、四十三年、四十四年で一億三千九百万、合わせまして十億三百万でございます。これは公共事業道路調査費としてあげております。そのほかに気象庁に対して一億二百万、海上保安庁に対して二千三百四十万、こういう委託をしております。さらに東大に対してどれだけ委託をしておるかでございますが、これは土木研究所から委託しておるものと現地の調査事務所から直接委託しておるものがございまして、ちょっといま集計がつかないような状況でございますので、後日報告させていただきます。
  153. 田中一

    田中一君 それは資料でひとつ。
  154. 大和与一

    委員長大和与一君) 資料で出すようにしてください。
  155. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 資料として提出いたします。
  156. 大和与一

    委員長大和与一君) 他に御発言がなければ、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 大和与一

    委員長大和与一君) 御異議ないと認め、これにて質疑は終局いたしました。  それではこれより討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  158. 春日正一

    ○春日正一君 私は日本共産党を代表して、本州四国連絡橋公団法案に対する賛成の討論を行ないます。  瀬戸内海に橋をかけ、本州と四国を陸続きにし、交通の発展をはかることには、わが党も基本的に賛成であります。  しかし、この架橋を真に四国四百万住民の生活を豊かにし、営業発展させることに役立てるためには、次のような条件が必要であります。架橋と同時に四国の鉄道をもっと延長し、電化、複線化を進めるとともに、県道の改修、農林漁業や地元商工業の振興に必要な財政資金の増額、進出する大企業の地元住民に対する被害の規制に必要な措置等を並行して行なうことが必要であります。これは架橋によって東京や大阪の大資本が進出し、地元商工業が圧迫されて、農地や水資源が奪われ、公害や交通事故を激しくする危険も、きわめて大きいからであります。  第二に、この連絡橋の建設費は大部分を国が負担し、地元公共団体に過重な負担を課すことのないようにしなければなりません。利率の高い民間資金の導入についてもこれを抑制し、住民の真の繁栄に役立てるために低い料金を保障する必要があります。また淡路島など関係住民の一般的な通行については無料とし、通勤、通学のための利用についても、低額料金を保障すべきであります。  第三は、橋自身の安全性、工事の安全性、工事中における航行の安全性に万全を期さなくてはならないことはもちろんでありますが、特に漁業や農地、架設地域住民等に対する被害は最小限にとどめ、地元輸送業者関係労働者を含む関係住民への完全な補償を行なうこと、また工事は大企業に独占させず、可能な限り地元企業に参加を認める必要、かあります。  最後に、ルートの決定、架橋計画の内容、事業の進め方、工事のやり方などについて、住民の意見希望が十分反映されるように民主的に行なうことが必要であります。これについてはこの法案は大臣の決定、認可、管理委員会の設置、関係県議会の同意等の規定を設けていますが、はなはだ不十分であることを指摘せざるを得ません。今後架橋事業の進展に伴い、必要な段階でこれを改善されることを要望し、賛成の討論といたします。
  159. 大和与一

    委員長大和与一君) 他に御意見もないようでございますから、討論は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 大和与一

    委員長大和与一君) 御異議ないと認め、討論は終局いたしました。  それではこれより採決に入ります。本州四国連絡橋公団法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  161. 大和与一

    委員長大和与一君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  162. 松本英一

    ○松本英一君 私はただいま可決になりました本州四国連絡橋公団法案に対し、自由民主党、社会党、公明党、民社党の四党共同による附帯決議案を便宜私から提出いたします。まず案文を朗読いたします。     本州四国連絡橋公団法案に対する附帯決     議(案)   政府は、この法律の実施にあたり、左の事項  について措置すべきである。  一、各ルートの基本計画は、瀬戸内海沿岸の地   域開発と調和を図り、すみやかに決定するこ   と。  一、国費の大幅な投入を図り、地方財政の圧迫   を防ぐとともに、資金コストの低下に努める   こと。  一、用地、漁業、運航営業等の補償は、生活再   建の方途に配慮するとともに、地元民の理解   と協力を得るよう指導すること。  以上でございます。何とぞ御賛成くださいますようお願いいたします。
  163. 大和与一

    委員長大和与一君) ただいま述べられました松本英一君提出の附帯決議案を議題といたします。  別に質疑もないようでありますのでこれより本案の採決をいたします。松本英一君提出の附帯決議案に対し、賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  164. 大和与一

    委員長大和与一君) 全会一致と認めます。よって、松本英一君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の議決とすることに決定いたしました。
  165. 大和与一

    委員長大和与一君) ただいまの決議に対し、根本建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
  166. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) ただいま採決されました附帯決議につきましては、その趣旨を体しまして努力いたしたいと存じます。ありがとうございました。
  167. 大和与一

    委員長大和与一君) なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 大和与一

    委員長大和与一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。速記をとめて。   〔速記中止〕
  169. 大和与一

    委員長大和与一君) 速記をつけて。  暫時休憩いたします。    午後三時十五分休憩      ―――――・―――――    午後五時三十分開会
  170. 田中一

    委員長田中一君) ただいまから建設委員会を再会いたします。  この際、皆さまに一言ごあいさつを申し上げます。  このたび、私が、はからずも当委員会委員長に選任されました。たいへん微力でございますが、皆さま方の御支援や御協力をいただきまして、誠意をもって委員会運営の重責を果たしてまいりたい所存でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
  171. 大和与一

    大和与一君 過去約一年間、委員長としてたいへんお世話になりました。非常に不行き届きでございましたけれども、皆さんの御協力をいただいて、大体大過なく終わることができました。まことにありがとうございました。(拍手)     ―――――――――――――
  172. 田中一

    委員長田中一君) 理事辞任についておはかりいたします。  松本英一君から、都合により理事辞任したい旨の申し出がありました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、理事補欠選任を行ないたいと存じます。理事の欠員は、ただいまの辞任に伴う一名でございます。つきましては、先例により、委員長にその指名を御一任願いたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないと認めます。  それでは理事大和与一君を指名いたします。     ―――――――――――――
  175. 田中一

    委員長田中一君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  176. 田中一

    委員長田中一君) 速記を起こして。  休憩前に引き続き、筑波研究学園都市建設法案議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。   〔委員長退席、理事大和与一君着席〕
  177. 田中一

    田中一君 この法案の事業の内容について昭和四十二年九月以降主務大臣としては建設大臣が当たるということになっておりますので、首都圏整備委員会の委員長でもあるので、そのほうから大体のいままでの経緯を御説明願いたいと思います。そうして、初めて国会にこの問題が取り上げられたのでありますから、私並びに各委員ともに内容をよく知っておりません。その意味について御説明願いたいと思います。
  178. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) まず、新委員長就任おめでとうございます。しかも、直ちに委員長みずからが御質問なされる熱心さにまず敬意を表します。  今日までの経緯ということでございまするので、正確を期するために準備した草稿を読み上げましてお答えいたします。  研究学園都市は、わが国の研究教育体制の改善向上を図り、あわせて首都の過密の解消に資するため、昭和三十八年九月の閣議了解に基づき、筑波地区に研究教育機関を中心として環境の良好な新都市を建設せんとするものであります。  研究学園都市建設の計画は、昭和四十二年九月の閣議了解により、移転予定の三十六機関を定め、昭和四十四年六月の閣議決定により、1昭和四十三年度からおおむね十か年で建設を実施するとともに、昭和四十七年度までの前期期間には、十一機関の建設を開始することを目途とすること、2新設機関についても設置を決定次第建設に着手すること。後期移転予定機関についても調査を進め、早期建設の方策を講ずるようつとめること。3新都市建設に必要な道路、河川、上下水道その他都市環境の整備に必要な施設の建設を進めること、常磐自動車道の早期着工をはかること等が定められました。  用地については、日本住宅公団が、昭和四十一年十二月よりその買収に着手し、現在までに予定の千九百ヘクタール中九二%の約千七百六十ヘクタールの取得をしております。  研究機関としては、科学技術庁の国立防災科学技術センター、無機材質研究所の施設の建設が進められており、本年度から建築研究所、素粒子研究所、宇宙開発事業団、宇宙開発センターの施設に着工するとともに、その他の機関についても調査を進めることとしております。  研究学園都市の建設にあたり、先行的に整備する必要がある地区内及び周辺の道路については、鋭意工事を進めており、河川、上下水道の事業についても、それぞれ調査を進めております。  また、移転機関職員の住宅については、既に十四戸の建設を行ない、本年度は地区内に百十四戸の建設を予定しております。  こういう次第でございます。
  179. 田中一

    田中一君 それでは、用地の、宅地造成を担当している住宅公団からもう少し詳しい進捗状態、それから地元の地主から寄付行為もあったということを聞いておりますが、そういうことがあったかどうか。この用地費並びに造成費というものは、その原資は、どこがどういう形で担当しておるのか、あるいは住宅公団が自身用地を求め、造成して、それぞれの入ってくる機関に売り渡すのかどうか。これは当然国有財産としてこれを持っているはずでありますが、その点は住宅公団が使った場合にはどういうふうになっていくのか、その点ひとつ明確に、詳細に御説明願いたいと思います。なお、これに要するところの資料があれば、資料をお出し願います。
  180. 林敬三

    参考人(林敬三君) ただいま根本建設大臣から御答弁申し上げましたように、この地区、昭和四十一年度に買収を開始いたしました。それで本年の三月までに当初の計画面積千九百十七ヘクタール、約五百八十万坪でありますが、その九二%弱に当たります千七百五十九ヘクタール、約五百三十二万坪を取得いたしました。あとところ、収用にも若干やむを得ないものはかけておりますが、もうほとんどぎりぎりのところまで、まず各方面の御協力を得て買収については最終の段階に入っているという状態でございます。  この用地費の単価につきましては、いろいろと、初めに御承知のように付近の売買実例を調べましたり、不動産鑑定に依頼いたしましたり、最終的には地元の茨城県並びに関係市町村の各代表の意見を聞きまして価格決定したのでございます。結局、平均いたしますと、坪千二百円くらいでございます。それで買収をずっと始めてまいりまして、大体の御賛同を得て、いま申しましたように、ほぼ目的を達してきているのが現況でございます。用地買収の資金は全体で八十九億でございます。そこで資金のもとは何かと申しますと、いわゆる政府資金あるいはそのほか民間からの資金、そういうものを借り入れて、それを運用いたします。そのほかに国費として入ってきている部分も若干ございます。したがって公団といたしましては、これを造成したことでもって政府機関にまた売り渡しするのでございます。そして回収をいたしまして借入金を返却する、こういう形をとるわけでございます。なお、買収につきまして、県並びに市町村には非常に協力していただき、また地元の方々の御協力を得ておるのでございますが、やはりこういう時勢であって、昔山林、あるいは単なるイモをつくった畑作であったものが研究学園都市ができますために、急にずっと値が上がってまいりました。それで公団が平均千二百円で買うのは高いのではないか、こういうような一応批評もあったのでございますが、やはり買収には数年かかりますので、そこらも見まして、一番妥当な、公団としては高からず低からずというところできめて買収をいたしたわけでございます。  しかしながら、その後いろいろと、さらに土地の値上がりが激甚になってまいりました。また、近隣の各地方で大きな施設がつくられますと、また急激に上がるというような現象もございまして、公団としては、この売却に協力していただく方々のために、買収とは別に、今後五年間にわたりまして約二十億にのぼる環境整備事業というものを実施することにいたしまして、生活の再建、あるいは新規の営農をやりますための指導、あるいは共同でいろいろ事業をいたします施設の助成、そのほか代替地のあっせん、そういうようなことを県並びに地元市町村と協力の上実施をいたしておるような状況でございます。
  181. 田中一

    田中一君 これはそうすると、この八十九億の中にあと二十億というのですか。八十九億の中に含まれているのですか。二十億ですか、生活環境の整備の……。
  182. 林敬三

    参考人(林敬三君) 八十九億は用地費でございまして、そのほかに二十億の環境整備費があります。
  183. 田中一

    田中一君 たしか住宅公団法の規則か何かで、いわゆる住宅公団の取得、造成をした土地は時価主義でいくのだという法律改正をしたことがあるのです。これはちょうどなくなった河野さんが第一次の建設大臣に就任したときに、あの方が住んでおった平塚に工業団地が初めてできた。そのときに当初の住宅公団の方針どおり原価主義でやっておった。これはいけないというので、あすこには大企業が入るのだから時価主義でいけと言って、たしか当時記憶にあるところでは一坪五千円というやつを倍の一万円にしたということがあった。これは平塚の分だけはひっくり返して時価主義で行なったことを記憶しておるのです。その際に住宅公団はどこまでも取得、造成したものに対しては時価主義で売却しろと、そうして、その剰余金があれば、剰余金はまた新しい造成のほうの資金として入れろということが、公団法の政令だか規則だかできまっているはずなんです。それは御記憶になっていますね。したがって、その場合幾らの値段で売ったか、伺っておきたいのです。
  184. 林敬三

    参考人(林敬三君) ただいまのお話は工業用団地についてはお話しのとおりでございます。河野建設大臣のときに平塚の工業用団地をつくりましたときから、この原価主義を改めて時価主義にしたということで、今日まで公団が御承知のようにいろいろな団地をつくりますが、この中で工業用団地につきましては時価で売ると、そしてそれだけの益金と申しますか、それは積みまして全体の公団の仕事に有効にこれを使っていくという方向にいたしております。しかし、それ以外の一般の住宅用地、あるいはたとえば今度つくります研究学園都市の用地とかこういうものは全部原価主義をとっておりますので、原価でもってこれを処分するということにいたしておるわけでございます。ここいらはしかし、いまお話しのようなどちらがいいかということになりますとこれはなかなか議論の分かれるところだと思います。しかしながら、工業用団地は工場ですぐそこで利益を上げるものでございますし、それからあとは住宅であるとか学校であるとか、あるいは研究施設であるとかいうものはそういうものと性格が違うものでございますから、現在、一般については原価主義、それから工業用団地については時価主義、かような方針でまいっております。
  185. 田中一

    田中一君 この二十億の生活環境でしたかね、これありましたね。この金はやはりいま財投または民間あるいは交付金等ミックスしたものの中から出てくるのですか。
  186. 林敬三

    参考人(林敬三君) これは公団資金から毎年五億ずつ出して二十億というめどでいたしておるわけでございます。
  187. 田中一

    田中一君 そうすると、これは売却する場合には、これらのものが全部国費で出ているものは返ってくるんですか。それともどういう形になるのです、国から出してもらったものは、国に今度は売る場合には、それはもう全然関係しないで価格がきまるわけですか、原価主義となりますと。
  188. 林敬三

    参考人(林敬三君) 国の中の計算になるわけでございますけれども、国費にそれぞれ各研究機関が移転費、土地買収費を計上してもらいまして、そしてそれによって公団が支払いを受ける。そしてその支払いを受けた額でもって借りたところへ返していく、こういう形をとりますわけで、いまの環境整備費のようなものは渡し切りでございます。生活環境整備のために地元周辺都市あたりに共同利用施設をつくりますとか、それから村道をつくりますとか、営農の改善のための施設をつくりますとか、そういうようないろいろなものは渡し切りでございます。しかしながらあの広い地面をかりに五百数十万坪買いまして、そしてそれを造成をして道路をつける、それから水道管を埋める、いろいろな下水管を埋めると、そういうようなことで造成してきますその費用は、国、地方公共団体及び公団から支払い、そして公団は、借りた先、すなわち政府資金ならば、郵便貯金なり郵便年金なり、そういうところや簡易生命保険のところ、あるいは一般の生命保険、あるいはいろいろ借り先ございますが、それぞれへ利息をつけて返すことになっております。
  189. 田中一

    田中一君 これは民間企業ですと、そうした四カ年間五億出るという金は、結局、地価に算入されるわけですね、評価されるわけです。今度の場合にはもらいっぱなしでもってこれやったのだということになると、買収補償という問題を考えると非常に危険な点があるのじゃないかと思うのです。その点はどういう形になっているんですか。
  190. 山下武

    参考人(山下武君) ちょっとただいまの総裁の御説明に補足させていただきますが、全体でいろいろ環境施設整備事業を実施いたしますが、総裁の先ほど申し上げました点は、国庫補助の関係につきまして国が支払うということで、公団の支払う金につきましては、当然その経費の中に算入されまして地価の形成の一部になると、こういうふうに考えていただきたいと思います。それから茨城県のほうからもそれ相応の負担をしていただき、県と公団と国庫からの補助とを合わせまして具体的な環境施設の整備を進めていくと、こういうことになっておるわけでございます。
  191. 田中一

    田中一君 政府の補償、買収等の中にもある閣議決定した三十八年でしたか、二十八年でしたか、閣議決定した基準がありますがね。結局、精神的な補償はしないんだというたてまえを貫かれてきておるはずなんですよ。まあ物に対する補償、環境整備の問題、これは収用法になりますからね。こういう項目がありますね。そういう土地の買収価格にプラスアルファーの交付金ということになるわけです。これは公団が一ぺん収受をして、そして支出するんですか。それとも公団はただ国並びに県が行なうまあ一つの潤滑油的な資金を預かってから補助的に交付するのかどうかですね、その点がちょっと明確じゃないけれども、性格はどうなんですか。
  192. 山下武

    参考人(山下武君) もう一度具体的に申し上げさしていただきますが、全体の事業費のうちで毎年毎年これだけの環境施設整備というワクがございまして、そのワクの構成は国による補助金とそれから公団による負担金と茨城県による負担金とを合わせまして、相協力して環境の整備を進めていくということになっておるわけでございます。したがいまして、公団のほうは毎年五億円ずつの整備費がついておりまして、これは公団の経費として出します。それは当然用地費の中に算定される、こういうことになるわけであります。
  193. 田中一

    田中一君 そうすると、いまの二十億というのは用地費の中に算定されるということになるんですか。
  194. 山下武

    参考人(山下武君) 最終的にそういうことになります。
  195. 田中一

    田中一君 そうすると、これ地価もその分だけ高くなるということですね。
  196. 山下武

    参考人(山下武君) そのとおりでございます。ごくわずかでございますが、そのとおりでございます。
  197. 田中一

    田中一君 国から補助金もらって国にまたそれを買ってもらうことになるんですね。
  198. 山下武

    参考人(山下武君) そのとおりでございます。
  199. 田中一

    田中一君 ちょっとその点が、いまの政府が閣議決定している補償基準と何か合わないところがあるような気がするんですがね、そういうことは。たとえば、公共用地の取得のために土地の買収を行なうという場合には、これは環境整備ということに項目が別になると、これは精神的な補償じゃなくして、形の補償だということに……。収用法ではどうなっていますかね。収用法でこれらの規定があるんです。環境整備規定もあります。しかし、国が補助金で県へ交付されたものを、それをやってしまった。その分は地価に算入されるんだということ、それを含めたものが原価となる。それじゃその含めたものがたとえば建設省なら建設省、土木研究所なら研究所に国が用地費として支払う、こうなるんですね。それでいいのかな。
  200. 山下武

    参考人(山下武君) ちょっと直接的なお答えにならないかと思いますけれども、環境整備事業の中にワクがございまして、その中の補助金と公団分と県分と、こうありますですが、公団分につきましては、用地費の算定の基礎になりますが、補助金は国からもらいっぱなしということになりますから、当然計算の中には入らないということになるわけでございます。したがって公団の毎年五億ずつ支出いたします金額全部合わせて二十億になるわけでございますが、それは毎年の環境整備事業として支出されるわけでございまして、その金は当然公団に回収される、それは用地費の中に算入されるという形で回収されることになります。
  201. 田中一

    田中一君 そうすると、その補助額というものは原価の中に算入されるんですね、いま伺ったのは。おれ、頭悪くてちょっとわからないんですけれども、算入されるんでしたね。
  202. 山下武

    参考人(山下武君) ただいまの補助金のほうは算定されないわけです。要するに公団としてワクが与えられて、環境施設整備事業としての五億円ずつを毎年出してまいりますと、その分が用地費の中に算定されまして、それが後に国に買い上げてもらうというときに、土地の中に算入される、こういう計算になるわけでございます。
  203. 田中一

    田中一君 委員長、ちょっと速記をとめて。
  204. 大和与一

    理事大和与一君) 速記をやめて。   〔速記中止〕
  205. 大和与一

    理事大和与一君) 速記をつけて。
  206. 田中一

    田中一君 あとの残っている分の収用というのは、地区でどういう抵抗があるのですか。どういう地点でどういう抵抗があって、それはどのくらいの面積で……。
  207. 山下武

    参考人(山下武君) 個所についてはちょっといま手元に資料がございませんですが、最初四十四年の十二月二十三日までに収用裁決申請をいたしました件数は百四十九件ございました。それが四十五年の四月三十日には、大体その三分の一ぐらいになりまして、五十二件ございます。約三分の二の件数が具体的な話し合いによりましてまとまったということで、現在五十二件ございます。その面積が大体六万坪ばかりでございまして、筆数にして九十五筆くらいになっております。ただ、収用裁決申請という形のものでございますので、やはりこれは話し合いを並行して続けていくということにいたしております。それに、特に代替地のほうの施策等もあわせて行なっておる関係もございまして、逐次この件数も減っていくものと期待しております。個所別の点につきましては、いまちょっと手元に資料がございませんので、一般的にお答えした次第でございます。
  208. 田中一

    田中一君 これは都市計画を決定したのはいつですか。
  209. 山下武

    参考人(山下武君) これは四十三年の十二月の二十四日に事業決定いたしまして、先ほど申し上げました四十四年十二月二十三日というのは都市計画事業決定からちょうど満一年の期間の範囲内において裁決申請をするということになったわけでございます。
  210. 田中一

    田中一君 そうすると、四十三年じゃあ、これは千二百円よりも上がるね、収用委員会の決定は。
  211. 山下武

    参考人(山下武君) こちらでは何ともまだ推定できませんが、私どものほうの裁決申請した線で裁決になることを期待しておるわけでございます。
  212. 田中一

    田中一君 それはそうだ。そうだろうけれども、一坪千二百円で買ったという時点――最近は、御承知のように、事業決定したら事業決定の時点がその時価だということになっていますよ。たぶん、買収に当たったのは相当、四十一年ごろからどんどんやっていたわけでしょう。それが、これは平均して千二百円かもしれませんけれども、おそらく収用委員会にかかってこれが地価が決定があがってきたら、これは払うことになるというので、並行しながら、おどかし、すかし売買契約に、買収に励んでいるということなのね、いまは。そして、この収用委員会で一ぺんでも決定したことがありますか、裁決があったのはありますか。
  213. 山下武

    参考人(山下武君) 裁決の申請をしておる段階でございまして、現在茨城県の土地収用委員会で数次にわたって審議を進めてもらっておりまして、第一回の裁決申請したものがまだ裁決にならないで、近く出るのではなかろうかという段階でございます。
  214. 田中一

    田中一君 おそらく良心的な収用委員の判断ならば、これは確かに上がるはずです。上がらなければおかしいです。また、上がっちゃ困るのでしょう。こういう点は非常にむずかしいのでね。だから、せんだっても建設大臣に言ったのは、全部一網かけないと、こういう問題が起きてくる。これは判定がどうなるか知らぬけれども、判定が起きないように高い値段で買うつもりなの……。
  215. 山下武

    参考人(山下武君) 私ども、収用裁決の申請をいたしましたことにつきまして、当然これは御承知のとおりでございますが、価格の固定をするという効果がございますので、特に昭和四十三年の十二月の二十四日に都市計画事業決定をいたしました際の、すなわち、事業認定相当する時期に価格というものが固定されるということで、できるだけその線で話をまとめていきたい、というふうに考えておるわけであります。
  216. 田中一

    田中一君 それでは、四十三年十二月の時点の価格になるわけですね。その裁定が千二百円になれば、とてもしあわせなの、あなたのほうは。これが高くなる可能性のほうが強いですよ。
  217. 山下武

    参考人(山下武君) いまのところ、何ともその辺想像もできませんですが、大体当初の裁決申請した額に近いもので裁決があることを期待しておるわけでございます。
  218. 田中一

    田中一君 事業の主体が、期待をしていいけれども、何か、こせこせ運動しているのじゃないのかい、圧力をかけているのじゃないの。
  219. 山下武

    参考人(山下武君) 決してそういうことはございません。
  220. 田中一

    田中一君 したがって、これはせんだって建設大臣にお願いしたのもこれなんですよ。こういうことになると、不公平が行なわれる。かりに、これが坪百円でも上がると、そのためにたいへんな騒ぎが起きるのです。人間というものは妙なもので、人のしあわせにやきもちがやけてしょうがない。ぼくなんかはわりあいそうでもないのですが、人のしあわせにやきもちがやけてしょうがない。だから、そういうことがあるから、事業認定時に一網をかけて全部を収用委員会にゆだねるというのがいいと思うのです。この千二百円というのは、結局一年余り前でしょう、千二百円で買ったのは。どうです。
  221. 山下武

    参考人(山下武君) 大体買収を始めました当時から申しますと、その千二百円という価格は、都市計画事業決定をしてもらいました四十三年十二月二十三日というときには、大体この辺の線が一応妥当な線として考えられておったわけであります。
  222. 田中一

    田中一君 どうも林総裁、さっきから、これだな、布石として、なかなか安いものを高く買ったのじゃないかということをいわれておったのだが、その布石のためにそういうことを言ったのだな、総裁は。しかしまあ、お手並みを見ましょう、この収用委員会がどういう価格を出すか。私とすれば、こういう何百万坪を買う場合には相当腹をきめていないと不公平になるのです。これは非常に大きな間違いをおかすことになります。住宅公団は用地買収は相変わらず若い職員を使ってやっているようでありますけれども、事業計画ができたならば、すべて収用法による取得を行なうことが望ましいと思うのですが、住宅公団にも若い諸君が買収交渉のために夜を明かしたりなんかすることが多いわけです。こういう危険からなるべく若い人たちを遠ざけて、法律をもって行なう、こういういき方をしたほうがいいということを、せんだって建設大臣とここで話し合ったわけなんでありますが、そういう点は、ひとつこういう長期の大型のものはそういう形でやっていただきたいと思うのです。  そこで、次のことを伺います。いま、住宅公団として売る価格はどのくらいになりますか。
  223. 林敬三

    参考人(林敬三君) いま造成中でございますし、また、造成に要するいろいろ資材とか、労務とかいろいろだんだんと値も上がってまいりますので、幾らということを、どうも明確に申し上げかねるのでございます。しかし、一つめどといいますか、想像でこれは責任を持って申せませんけれども、二万円くらいと、こう見ておるのでございますが、どうなってきますか、もう少し詰めさせていただきませんと、何とも申し上げかねるのでございます。  それから立ちました機会に、私のいろいろお話がございましたが、私就任いたしまして半年か一年たったころに値段をきめる問題があって、それまでは、あすこは坪でいいますと五、六百円から七百円ということを三十年代はいわれておったのでありますが、しかし、それはいわゆるイモ畑とか、クリ林に使うときの値段です。そこで、公団がこれを買い上げて研究学園都市用地にするということになると、性格が変わってまいりまして、需要と供給の関係もございましょうが、上がってきたわけです。しかし、茨城県は知事以下、鹿島開発もありますし、それから竜ケ崎とか、取手とか、あの辺のところもありますので、極端なことにならないように非常な配慮をしてくれました。そしてあの千二百円という値段が出たわけでございます。しかし、当時はさっき申しましたように、高いと言われまして、ある場合記者会見をやったことを覚えておりますが、そのとき県の方は、地元の方々に対して、あなた方のいままで要求された値段のどれよりも高い価格できまったと、こういうふうに言われた。私のほうも困りまして、そんな高いものにきめたというのでは立場がございませんし、そういうつもりもありませんで、理事が立ちまして、そうではありません、もっと高いいろいろな出方もありますが、それらを彼此勘案して一番妥当なところをもってきめましたと、こういうことであれはきめたのでございます。しかし、そのときに、やはり買収終了までには三年はかかるだろう、そしてその間のいわゆる平均といいますか、そういうところを見越したら、これぐらいが妥当じゃないかということであの価格にきめて、地元も満足をし、私のほうもこれで妥当と、こう見てあれをきめていったわけでございます。で、大型の多摩ニュータウンにしても、こういうところにしても、大型のものを買いますとき、先ほどお話しのような非常な苦心と配慮をわれわれのほうの担当者は要するわけでございますし、用地の職員が非常に苦労をいたします。また若いので、若い力を出します面もありますが、また若くて経験不足という面もあり、非常に苦労をいたしますわけですが、幸いここのところは、県の職員が非常な協力をしてくれた。それから町村がまたたいへんこぞって当局は協力体制に入ってもらいました。これはまた頭から収用と言うと、あとあとそこで定着いたします関係もありまして、味が何といってもよくない、しこりが残りますので、極力収用をせずにやっていく。もう最後のやむを得ない県外地主とか、よくよくの方がいま少し残ったということでありまして、それだけに時間がかかったのでございますが、やはり御心配のような点は今後もよく注意して、大型のものをまとめて買うとき、長期に買うときにどうしたらいいかということについては、まあできるだけ話し合いと説得でもって解決をつけながら、しかしやむを得ないものは、ごね得にならないような形で、いたしかたないものは収用をするということでまいるほかないと存じております。幸いいままで公団というのは収用したことはなかったんですが、ここに至りまして、さっき山下理事から申し上げましたように、若干収用いたしかたないというところが出てきておること、これは残念でございますが、お話しのような点をいろいろ含めまして、最も適切な措置を今後講じてまいりたいと存じます。
  224. 田中一

    田中一君 これは収用委員会の裁決がどういう形で出てくるか、私は千二百円なんということじゃないと思うんです。ちょうど二年たっていますね。四十一年に土地買収の交渉に入り、四十三年に事業決定した。二年の差というものは決して七百円が千二百円になったというぐらいの違い方じゃないです。これは傾向としてそう安いものじゃない。したがって、収用委員会がどういう裁決をするか、これらも非常に心配なわけなんです。その裁決が高いものに出れば、全体に非常に大きな影響が出てくるわけです。買収してもう金も払ってしまったのだから何も文句はないでしょうが、将来住宅公団がこの種の土地の取得、用地の取得のためにする方法というものを、これからひとつ考えなければならぬと思うのです。それはうまくいくか、悪くいくかはわかりませんが、とにかく近々収用法の裁決が出ることになりますが、それを私はおそれております。  いまの売り渡しの価格の問題は、これは二万円が妥当か、妥当でないか。それはおそらく全部に同じ価格でやるのでしょうね。こうして大体きめてありますところの文部省その他各関係機関がいつごろまでにどう入ってくるか。またあの当時決定された四十二年九月五日の閣議了解にも、附記として、「上記機関については、諸条件について検討の結果やむを得ない事情があるとき、その他移転を適当としない事情があるときは、変更することがある。」となっていますね。したがって、何がどう入ってくるか、いままで決定したものがどのくらいあるか、未知数なわけでしょう。そうすると、この価格というものは、三年たっても二万円、二年たっても二万円、当初に契約したものも二万円、こういうことだと、これまたいまに公団は損をしますよ。それでは、この四十二年閣議決定というものが、これが不動なものですか。これはもう不動なものだ、必ずこれだという前提で二万円と算定したのか、その点はどうなんですか。
  225. 山下武

    参考人(山下武君) これは大体の試算をしたという程度のものでございまして、国のほうに渡す時期がいつごろになるかということにも関連があるわけでございます。したがいまして、これは国にいつ、どのような形でお渡しするか、買ってもらうか、あるいは国のほうがそれについてどのような使い方をするかというようなことを、全部国のほうで決定していただく必要があるわけでございます。こういう点について、公団のほうといたしましては、国の指示を待って具体的な使用方法等を考えていくということになるわけでございます。したがいまして、その時期にどのくらいになるかということを、あらためて算定し直すということになるわけでございます。
  226. 田中一

    田中一君 大村さん、あなたは直接提案者じゃないからしょうがないですけれども、私は一つだけあなたに伺って質問をやめます。ほかの同僚議員はどうかわかりませんよ。  この法律案が突如として会期末に提案された。これを提案された理由は、決して衆議院建設委員会の純粋な発意でこれがなされたとは私は見ておらないのです。もしも純粋な発意でこれを促進しなければならぬというなら、どこからこうした形の提案がなされ、こちらに御送付になったのか。あるいは、あなたの背後にある政府関係機関のどこから、あるいはこれを担当している根本建設大臣のほうからとか、どこからこういう促進法的な計画法が出てきたのか、それを伺っておきたいと思うのです。
  227. 大村襄治

    衆議院議員(大村襄治君) この法案の提案趣旨説明は、たしか金丸委員長がこの委員会出席して申し上げたとおりでございます。いろいろこの法案を制定する必要が高まってきているということで、各党、社会党も含めてでありますが、各党委員賛成の上、共同で提案したものでございます。
  228. 田中一

    田中一君 それはそういう形になっておりますよ。裏にある意思がどこから出てきたかと伺っているのですよ。お互いに、社会党も賛成したということであるのだから、もう何もどうこうございません――そうじゃなくて、一つ法律提案のからくりというものを聞かしてほしいのですよ。どこにそういう発意があったかということ、これはひとつこれを主管大臣であるところ根本さんからその経緯、あなた御承知なんですから、ひとつお話を伺いたいと思います。
  229. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは建設省、私から出してくれということは言っておりません。純粋にこれは国会がその権威において、みずからの自主性において出されたものでございまして、われわれはその国益に沿って、その趣旨に沿ってこれから運営する、こういうことを意思表明しておる次第でございます。
  230. 田中一

    田中一君 それじゃ大村さんには伺いません。そこで、この事業が、今度法律提案によって、法律によってどうやら建設法という一つの姿になった。そこでなぜ主務大臣であるところ建設大臣が発議なさらなかったのですか。当然、こういうことはどこかにひっかかるものがあるので議員提案、これはもう通例行なわれるわけです。本来ならば堂々と主務大臣であるところ根本さんが、主務大臣になっているんですからやっていいと思うんです。しかし、何といっても閣議決定やら閣議了解やらでもって、よたよた歩きをしながら、仕事はどんどん進んできたというのが現状であって、ことにこれに関連する、入りたいという各機関相当各省にまたがっておるために、それがめんどうだから避けたのかもしれませんけれども、なぜこれは担任閣僚の根本さんがお出しにならなかったのか、これをあわせて伺いたい。
  231. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 政府といたしましては、内閣として意見一致を見て、そうして現実にそれぞれの主管大臣がこれを実施することでございます。ただ、首都圏整備委員長としての私が、各省がいろいろ作業をするときに共通の施設、それから新らしい学園都市をつくるその任務は、首都圏の任務である。それからまた、関連事業もおおむね建設省が担当することがあるので、私が全体のいわば推進役を仰せつかった、こういうことでございます。私のほうといたしましては、特にこうした促進法なるものをつくる立法の必要性を、私は感じていなかったのであります。したがいまして、私のほうから必要であるからということであるならば、私自身政府にはかってやるのでありますが、そういう必要がなかったのでありまするが、国会のほうで、どうもいまのような状況ではなかなか促進しないから、国会の権威と見識においてこれは促進したほうがいいという御趣旨のもとに議員立法されたのでございまして、これには何らのからくりも裏工作もいたしておりません。この点明確にしておきます。
  232. 田中一

    田中一君 この予定されている別表の機関が、どこがいつごろ入って、どこがどうだめになってという、ひとつわかっておれば……。
  233. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 現在までのところ、各省庁から、これはだめだとか、これはいけそうもないという申し出は全然ございません。御承知のように、前期十年間に移転を開始するということでございまして、そういう状況でありまするので、いままだ仮定中にありますので、そういう問題は出ておりません。私はこの問題を推進するために、衆議院並びに参議院の予算委員会で促進方の質問がございましたときに、これの推進のために努力するということを発言した。その次の閣議におきまして、これから国会終了後関係担当大臣の集合を求めまして、それぞれの機関がいままでどういうふうな準備をして、どういうふうなめどでこれからやるかということを閣僚会議を開くことを、官房長官に要請して了承を得ておりまするので、いま各省はその閣僚会議に臨むための準備をしているはずでございます。大体の見通しがつきますれば、これを招集していただいて、そうして各省の見通しを立ててもらう、そういうような措置をいたしておるのであります。
  234. 田中一

    田中一君 大蔵省のほうからこれに要する住宅の手当て、4DKか5DKかいろいろあるでしょうが、これはどういう計画でいくか、それもお伺いしたい。
  235. 中西清

    説明員(中西清君) 四十二年の五月の住宅委員会計画を決定をいたしまして、そのときには四十三年を初年度といたしまして、約八千七百六十戸の宿舎の建設を計画いたしました。しかしながら、まだ当都市に移転いたします機関とか、それからいつ進出するかという時期、そういった全体の計画がまだ立っておりませんので、宿舎計画の全体の計画はまだ確定されておりません。しかしながら、各研究機関の進出に応じまして、各研究機関の研究に支障のないように、法令にのっとりまして予算を獲得して宿舎を建てていきたいと思っております。すでに四十四年度の予算で十二戸建設中でございます。それから四十五年度の予算で、現在百四十五戸を建設する予定にしております。以上でございます。
  236. 田中一

    田中一君 道路公団のほうで、この常磐高速道路の計画はどういう段階になっておりますか。
  237. 斎藤義治

    参考人斎藤義治君) ただいまの常磐自動車道につきましては、まだ日本道路公団に建設の施行命令を建設大臣からいただいておりませんので、建設命令を受けましてから、具体的な建設に対しての準備を開始したいと思います。
  238. 田中一

    田中一君 建設大臣にお聞きします。いつごろになっておりますか。
  239. 長尾満

    説明員(長尾満君) 常磐道につきましては、昭和四十一年度から調査を進めておりまして、このうち埼玉県美里町から石岡の間の五十五キロにつきましては、四十四年一月に基本計画を作成いたしております。現在関連公共事業との調整を中心にいたしまして、整備計画を立てるための調査を進めておりまして、できるだけ早く国土開発幹線自動車道建設審議会にはかりまして、筑波研究学園都市建設に即応して工事に着手していきたいと考えております。
  240. 田中一

    田中一君 これは根本さん、早くやったほうがいいんじゃないですか、ほんとうに。やるならば道路公団だと言っていたんでは何も手をつけられない。早くできれば工事費も非常に安くなるんですよ。これは一番おくれているのは地域の公共事業は、それぞれ道路なり下水なり何なりやっているでしょう。けれども高速道路ができないと困るのでしょう。どうなんですか、その点は。
  241. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御指摘のとおり、こういう大きなプロジェクトをやり、しかもこれには多数の関係者が住居まで移転するということでありまするから、その研究環境を良好ならしめるためにも、御指摘のとおりだと思います。そこで私は、これは従前のスピードでは、これはだいぶおくれておるので、積極的にこれをすみやかに調査して着工するように、事務当局に命じておいたのでございます。したがいまして、本年中に相当促進する予定でございます。したがいまして、道路公団にも事務的な手続ができ次第下命をいたしまして、買収並びに工事の準備体制をつくらせるように、道路局長にすでに命じておる次第でございます。
  242. 大和与一

    理事大和与一君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  243. 大和与一

    理事大和与一君) 速記つけて。
  244. 田中一

    田中一君 工業技術院の方来ていますか。――あなたのほうの機関は大部分こっちにいくことになっておりますが、これはなんですか、現在あるのは、これは分散しているのですか、一カ所にあるのですか。
  245. 朝永良夫

    政府委員(朝永良夫君) 分散しております。
  246. 田中一

    田中一君 分散してあるのですか。
  247. 朝永良夫

    政府委員(朝永良夫君) はい。
  248. 田中一

    田中一君 これは幾らか向こうでいま建設やっているのですか。
  249. 朝永良夫

    政府委員(朝永良夫君) 現在、後期の予定計画になっております。したがいましてまだ着手しておりません。
  250. 田中一

    田中一君 これは、これだけの設備をするには相当な金ですね。どのくらいの規模の計画なのですか。
  251. 朝永良夫

    政府委員(朝永良夫君) 移転の予算につきましては、まだはっきりとした結論は現在得ておりません。
  252. 田中一

    田中一君 それじゃけっこうです。もう伺いません。まあごゆっくりなすってください。(笑声)じゃ私の質問は一応このくらいにしておきます。   〔理事大和与一君退席、委員長着席〕
  253. 田中一

    委員長田中一君) 速記とめて。   〔午後七時六分速記中止〕   〔午後七時二十分速記開始〕
  254. 田中一

    委員長田中一君) 速記をつけて。  暫時休憩いたします。    午後七時二十一分休憩      ―――――・―――――    午後八時十四分開会
  255. 田中一

    委員長田中一君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、筑波研究学園都市建設法案議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  256. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 先ほど建設大臣の御答弁がありましたんですが、四月十六日の予算委員会においての大臣の御答弁がありまして、その御答弁の中に、筑波研究学園都市の建設は、計画どおり五十二年に達成するのは非常に困難である、こういう旨の御答弁があったように思うのですが、その目標というのは、それではどのくらいにお立てになっておるのか、この点をまず伺っておきたいと思います。
  257. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 当時私が申し上げましたことは、今日までの経緯から見まして非常に進捗度がおくれておる、このままでは非常に私は困難であるということを率直に申し上げた次第でございます。それを受けまして、その次の週の閣議におきまして、従来のように、先ほどのいろいろの質疑応答にもありましたように、移転することを決意しても、省のほうでは、道路ができない、あれができないからなかなか踏み切れないと言うし、また住宅も、まだ移転機関がはっきりしないから、お互いに順繰りになっている、これじゃいかぬ。そこで私から提案いたしまして、国会終了後、各移転する機関を持っておる関係大臣が、どういう具体的なスケジュールを持っておるか、それをやるためにはいかなる条件が必要であるか、あるいは予算措置でどういうことが必要であるか、具体的にみな各省が検討の結果持ち寄って、それによって促進しなければ、いまのままではこれは非常に私は目標の十年間にこれを実施することは困難ではないかということを発言いたしまして、これを受けて関係閣僚も私の提言を了として、国会終了後すみやかに問題の検討をして具体案を提示する、こういうことにいたしたのであります。
  258. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 四十二年の九月五日に閣議で了承されて、移転予定を三十六機関されるということを伺っておるわけですが、それにしましては、いま大臣の答弁からいきますと、これとの関係はどういうふうなズレがあるのか、四十二年九月五日の閣議で了解されたその点が、どのように移転の促進方が今日までできてきているのか、というようなことも伺っておきたいと思います。
  259. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは従来、ただ前期五年間に十一機関発足するというような、ばくたる閣議了解になっております。そのために、まだ相当期間かあるからということで、具体的な各省とも、それまでに何とかというような感じがあるような気がするので、そこで私は、具体的な各省のスケジュールと、それを実施するために必要なる条件を具備して出しなさい、ということを要請したのであります。そうしませんと、先ほどの大蔵省の担当官の説明のごとくに、いつ移転するかということがきまりますれば住宅の手当てをする、こう言うし、一方においては住宅の施設が先行しなければ踏み切れない、こういうようなことではいかない。こういう一般的なことを言っているので、どの計画がどうおくれているということは、いままで具体的なそうしたスケジュールができてないで、一応の概括的に前期に十一機関の移転の発足をする、おおむね十年間でやるという、非常に幅広い目標でやっておるから、もう少し具体的なスケジュールを組むべきだということ私が提案したというわけでございます。
  260. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 研究学園都市の建設についていま大臣のお話がありまして、各省まちまちの考え、各省ばらばらの行き方というので、先ほども御答弁がありましたように、建設省が推進役となっていくのだと言われるということは、事業主体がはっきりしていないのじゃないか。この事業主体がはっきりしておって、そしてその事業を分担していかなければならない、こういうふうな点が明確じゃないのじゃないか、こう思うわけなんですが、この点について御説明願いたいと思います。
  261. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 事業主体は、はっきりしておるわけです。教育機関については文部省が措置する、あるいは通産省、農林省、それがみんな事業主体が明らかでございます。ただその全体の計画を、ある意味においては非常にゆるやかなる合意をしておりまして、具体的なスケジュールを各省で持っていないというところに私は今日若干――このままでいけばあるいは計画がいかないじゃないかという私が不安を持ったわけでございます。その意味で私から提案した。私がその推進役を仰せつかって、それを現実に見た場合に、このままではたしていいかということで提案したというわけでございます。
  262. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 総括という、全部総括して一本にしぼって一元化する一つ元締めといいますか、その形でこの各省の事業体をかためていかなければならぬ。その主体はどこになりますか。
  263. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 私が推進役でございまするが、私が決して監督権を持っておるわけではございません。それは閣議できめたことを、各省がそれぞれの主管事項について推進していくということでございます。
  264. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私はそれを一貫した中から運行していかれたほうがより適切にいくのじゃないかと思うのですがね。閣議等で、たとえば自治省は自治省で、総理府なら総理府が主体でやっていくのか、あるいはどこが主体性を持って事業を各事業体の面を統括し、監督し、指導し、引っぱっていくかと、そういうふうなことには考えられないのでしょうか。
  265. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) こういう広範な事業をやる場合に、これは論理的にはそうしたことも考えられますけれども、政府行政機構が非常に明確に規定されておる今日、それを一括してやるということは、なかなかこれはかえって困難なように感じられます。たとえば、これははなはだ例が直接これに当てはまらないけれども、たとえば土地対策をやるといっても、土地対策を建設大臣が主として握っておりますけれども、これが税制からあらゆる方面まで全部建設大臣の主管でやるということができないと同じように、教育機関の問題を建設大臣が、教育大学をいつ、どういうふうな計画でやれというようなことは、これは必ずしも適当じゃない。あるいは通産省の研究機関をわれわれのほうとしては移転する、基礎条件をつくる、その方面はできますけれども、そのもの自体をいつの計画でこうやれということを指示することは、どうも適当じゃない。そこでやはり内閣の一体性のもとに閣議で十分に協議の上、それぞれの権限に基づいて責任をもって実行してまいる、これが私は適当であろうと考えておる次第であります。
  266. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 要するに研究学園が計画を立てられる以上は、よりすみやかに実行に移って、そして描いておったことが実施されることが望ましいわけです。各省それぞれの立場のことをいま大臣も言われておりますけれども、何かその点私は、どこかでまとめていくような形でなければならないと思います。首都圏整備委員会の事務局で、「研究・学園都市建設経過及び現状」というものを出しておりますけれども、これはまた立場が違う。ですから、こういう関係の資料を出すにしても、主体性のあるところから一括したものが出てくるということが非常に好ましいのじゃないか。その意味で私が申し上げているわけです。これは御参考になればお考えいただきたいと思います。  それから次に、提案者の方にもちょっとお伺いするわけですが、十三条を見ますと、「必要な資金の確保を図り、かつ、国の財政の許す範囲内において、その実施を促進することに努めなければならない。」、このように努力規定というものがありますが、これは確固たる財源の裏づけがなければ、本法も当然これは無意味に終わってしまうだろうと思います。この点についてどんなふうにお考えになっておりますか、御承知の点だけでもけっこうでございます。
  267. 大村襄治

    衆議院議員(大村襄治君) この法律の制定に伴いまして、研究学園都市の建設につきましては、本法の目的に沿って建設計画が立てられました上、本法に従い計画的に事業が推進されるように政府が財政上の最善の努力を傾注することは、当然のこととして期待いたしたのであります。また、研究学園都市地区における関連公共事業につきましては、去る五月六日の衆議院建設委員会におきまして政府から、首都圏等の財政上の特別措置に関する法律による適用により地元市町村に対し補助率のかさ上げ措置がなされるのは当然でありますが、さらに国は起債の増額等別途の財政措置についてつとめることとし、また、日本住宅公団の施行する事業と関連の深いものについては、同公団において立てかえ施行措置を講ずる等、地元負担を緩和するよう全力を尽くしてまいるという趣旨の答弁が行なわれております。  そこで、本法の第十三条は、その旨の政府の努力義務を明文化したものであり、これによって研究学園都市の建設整備の推進が確保されるものと、私どもは考えておるのでございます。以上お答え申し上げます。
  268. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 大蔵省の人がいないので、財政上の問題、金融上の問題をお伺いするつもりでいたのですけれども、大臣に「国の財政の許す範囲内において、その実施を促進することに努めなければならない。」、このような資金確保の努力規定というものがあるのですが、この考え方、どのようにお考えになっていますか。
  269. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 国会において制定せられました法律には、政府もこれまたそれに従って行政運用するのが当然だと思います。したがいまして、この条章に基づきまして、政府は先ほど申しましたように、それぞれの機関において具体的な計画を立て、これが実行をするためには、必要な予算もまたおのずからそこから算定されてくると思います。これに対して大蔵財政当局は予算措置あるいは財政資金の措置等を考えることになる、こう思うのでございます。
  270. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 先ほどもその移転を予定するというけれども、その実施する運びの具体的な措置のあれが出てこないから、大蔵省としては予算を計上しないというお話もありますし、事を始めるのには財政措置というものが考えられなければならないわけですが、先ほどの田中委員の質問のやりとりを聞いておりまして、住宅公団の買収費用の用地問題等でやりとりがありましたけれども、その財政がどんなふうに組まれていくか、そこに裏づけがなければすべてが動いていかないと思うんですがね。この点についての具体的な考え方といいますか、案というものがありましたら、示してもらいたいと思います。
  271. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 現在のところ、私が承知しておる限りにおいては、十カ年なら十カ年でどの程度の資金が必要であり、それをどういうふうに年次的に支出していくかということの計画は、大蔵省まだ提示していないようであります。あるいは大蔵省自体として年々予算措置をするということでやっておると思います状況でございまして、十年間における全体の財政資金がどう要るか、それをどういうふうに出すかということについては、私はまだ承知いたしておりません。
  272. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 財政計画をやはり一応私どもとしては聞かなければなりませんし、またそれは承知をしなければならないじゃないかと思います。事提案をされる場合には、それらの裏づけというものは、おおよそのものは、これだけのこういうふうな計画をして、これだけのものを投資していくんだというようなことがなければならないと思う。御答弁は大蔵省関係の人もおりませんから、この程度でこれはとどめておきます。  用地の買収について先ほど九二%の買収ができたというお話がありましたけれども、これは都市決定が、四十三年の十二月二十四日で事業決定がされ、四十四年の十二月二十二日に土地収用の裁決がされたという先ほどのお話がございましたけれども、こういう用地の買収について日本住宅公団がこれを担当しているというところに、私は少し疑義があるように思うのですがね。と申しますのは日本住宅公団法第一条ですか、「日本住宅公団は、住宅の不足の著しい地域において、住宅に困窮する勤労者のために耐火性能を有する構造の集団住宅及び宅地の大規模な供給を行うとともに、健全な市街地に造成し、又は再開発するために土地区画整理事業等を行うことにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする。」、あくまでも住宅難の解消という観点から宅地の供給が認められるのじゃないかと、このように思うわけなんですがね。こういう点についての法解釈はどんなふうになるのでしょうか、この点を伺っておきたいと思います。
  273. 朝日邦夫

    説明員(朝日邦夫君) お答え申し上げます。  日本住宅公団が研究学園都市の建設に関しまして、その用地の取得造成を担当いたすこととなりましたのは、三十八年の九月十日の閣議了解に基づくものでございまして、その内容はおもに三点ございますけれども、その第三項といたしまして、研究学園都市の用地の取得造成は日本住宅公団に行なわせる、こういう内容に相なっておるわけでございます。この閣議了解の背景になりましたいまのお尋ねの点につきましては、日本住宅公団法のただいま御指摘の第一条の趣旨からいたしまして、もちろん住宅公団は本来は住宅困窮者に対します住宅供給を目的とするわけでございますけれども、これと関連をいたしまして、ただいまでもあるいは工業団地であるとか流通業務団地等の取得造成もいたしております。その他関連いたしまして、いわば新しい町づくりという点から必要な事業もあわせて行なうということも、住宅公団の重大な任務の一つでございまして、そういったことから、かような事業を住宅公団がその土地の取得造成をいたしますことも、決して住宅公団法の趣旨に反するものではない、こういうことからただいま申し上げましたような閣議了解がなされたというふうに伺っております。
  274. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 先ほど九二%の買収の残りの点の金額の面、価格の面、それの初めからしまいまでの間に、まだ買収されないものの金額の差というような話がだいぶ出ておるようですけれども、あと残っているもの、いつごろ全部終了するのですか、買収し終わるのですか。
  275. 山下武

    参考人(山下武君) ただいまの段階で、九二%ということを先ほどお答えいたしましたのですが、大体残っておる収用対象の面積は、六万坪ばかり残っております。で、こういった関係の方々に対しましても、逐次話し合いで解決をしていきたいということで話を進めておりますので、そう遠くない機会に話し合いをまとめていきたい。さらに収用の裁決というものがやがて出されることになるだろうと思いますので、その辺の時期、そう長くない時期において買収を全部完了するよう鋭意努力を進めておるのでございます。
  276. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 まあおそくない時期というのですから、およそわかるような気がいたしますけれども、残ったものは相当長くかかるというふうな点も伺っておるので、問題の多いところもあるということを聞いておりますけれども、この問題については、やはり積極的に進めていかれることを希望しておきます。  で次に農林省に伺いますが、研究学園の都市に農地を提供した農家の方々に対しては、今後の営農対策としてはどのような配慮をなさっておられますか。
  277. 川合英一

    説明員(川合英一君) お答えいたします。  研究学園都市建設に伴う土地提供農家の方々は、国の施策に積極的に御協力をいただいたわけでございますので、農林省としても、県市町村と十分連絡をとって適切な再建措置を進めることといたしておるわけでございます。  そこで、すなわち、引き続き営農希望をする者に対しましては、県市町村が協力して代替地をあっせんするということは、御承知のとおりでございますが、まあ地域が都市化してくるわけでございますので、こういう地域の一体的な開発を契機として営農を近代化していくということで、施設園芸、畜産等の集約的な農業の振興をはかってまいるということで、これに必要な資金の確保と各種の措置を講じてまいりたいという考えでございます。したがいまして、まあ対策の方向としては、土地の秩序立った利用をはかるということを基本方針といたしまして、その上に立って集約的な経営、それから近代的な経営というものを発展させていく。そして、都市近郊農業へといまの農業を脱皮させていくということで農家の生活安定をはかってまいりたいと思います。そのほか、道路整備等生活環境の整備にも十分配慮をいたしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  278. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 農家戸数どのくらいございますか。
  279. 川合英一

    説明員(川合英一君) 地区内の農家数は、これは六五年センサスのときの数字でございますが、一万一千六百八十五戸で、このうち約六割程度が兼業農家、四割が専業農家、大まかに分けてそういうことになっております。
  280. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 専業農家の人はどういうことになるのでしょうか。それだけの代替地があって農業に専業ができるような形になるのでしょうか。
  281. 川合英一

    説明員(川合英一君) 県が各農家の意向調査をいろいろやっておるわけでございますが、それによりますと、やはり近代化施設を導入して露地蔬菜とか、ビニールハウス、温室、養豚、養鶏、酪農、あるいはたばこといった形での近代的な集約営農を行ないたいという農家が非常に多いわけであります。したがいまして、こういう農家の希望が十分にかなえられるように、農林省としても十分つとめてまいりたいと思います。
  282. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 兼業農家の人はおもに何を主体としてやるのですか。
  283. 川合英一

    説明員(川合英一君) 兼業農家のこまかい内訳をただいま持っておりませんが、この地帯のおおむねの傾向からいたしまして、やはり通勤兼業――まあ道路等の不安定兼業も一部あると思いますが、通勤兼業が主体になっていくのじゃないかと思います。
  284. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そこで、首都圏整備委員会事務局の資料に省庁別「移転を予定する機関」というのがございますが、この中の農林省の中に、農林省全体のことで伺うわけですが、水産庁がここに入っておるわけです。これは海域ならばいいんですが、山の中でどうなんでしょうかね。内容がよくわかりませんか、やはり水産庁の方でなければ。
  285. 川合英一

    説明員(川合英一君) まあ水産の問題も、一応水産関係の研究所として海面の研究所と内水面の研究所とあるわけでございますが、具体的に農林省としてどの機関を移転対象とするかということについては、まだ何も正式にきまっておりませんので、この場で私からちょっとお答えすることはむずかしいということでございます。
  286. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 移転を予定する機関ということなんですから、予定する機関ということになれば、当然内容が明確にされなければいけないんじゃないんですか。これは各省一々聞いてみましょうか。そういう答弁ではちょっと納得しがたいのですね。三十六というのはきまってるんでしょう。先ほど大臣十一機関と言いましたが……。
  287. 川合英一

    説明員(川合英一君) 農林関係の移転機関については、いろいろ移転公告期間というのがあるわけでございますが、そのうちどの機関を具体的にいつ移転するというような具体的な計画については、まだ固まっておらない、こういうことを申し上げたわけでございます。
  288. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 これは計画が決定されないということは、一番何より先に考えなきゃならない道路建設、道路行政、区画の行政だとか、そういうものもはっきりこれはしてないのでしょう、この点どうなんでしょうか。
  289. 長尾満

    説明員(長尾満君) 地区内の道路並びに関連道路につきましては、一応の案はできております。
  290. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そうすると、あれは三十六機関だと思いましたが、大臣先ほどのお話ですと十一機関とおっしゃいましたが……。
  291. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 私が申しましたのは前期十一機関、それで総計で三十六機関、それで十一機関は四十七年までに十一機関の移転を開始するということだから、非常にその点が幅の広いきめ方なので、どうしてもこういうふうな結果になるのではないか。それで私は、この状況で私が推進するにも、ちょっとこれはなかなかいたしかねますので、それで具体的に各省で、それでは前期四十七年までにどこそこの省のどの機関はどういうスケジュールで移転する計画を持っているか、それをやるためにはいかなる前提条件が必要であるか、これを出してください、それに対するどの程度の資金が要るか、これに対して大蔵省予算措置ができるか、ここまで詰めないと、私は推進するといいましても、どうも土俵がきまらないところで試合するようなもので、これはまことにいかぬ、それで私は関係閣僚会議を近く開いていただいて、その点を詰めなければ、私が推進役としての任命を受けてもやりようがないということで、この点を閣議で申し上げたということでございます。
  292. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 ですから、一番最初に申し上げたとおりなんです。建設大臣お一人で苦労なさっているんですが、それを総括して元締めといいまするか、そこでがっちりやるような機関というものを考えられていくようになってくるのが、あたりまえじゃないかと思うのですが、それは先ほど申し上げましたので省きますけれども、この道路関係のことで、また先ほどのお話がありましたけれども、予定がなされているということなんですが、これは各省の機関が全部了解しているんですか。
  293. 長尾満

    説明員(長尾満君) 地区内の道路につきましては、道路整備長期計画にのっとりまして、この地区に学園都市が建設されるまでに十分できるようなスケジュールにいたしております。
  294. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 それは答弁にならないと思うのですがね。少なくとも道路をつくり上げていく、それが開いていく道なんですから、すべて。それがはっきりしていませんとどうにもなりませんし、上下水道の問題もこれは当然含まれてこなければなりません。関係の六町村が財政負担をすることにもなってくるでありましょうし、この点についてはっきりした計画性というものがなければ進まないのじゃないでしょうかね。
  295. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) 研究学園都市の地区内の道路計画につきましては、すでに八路線都市計画決定をいたしております。この計画に基づきまして現在鋭意事業を進めておるわけでございます。
  296. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 それはまたあとにしまして、これはまたいろいろな研究機関が入ってきますと、公害問題が起きてくるのですよ。これはたいへんなことになると思うのです。試験等によって研究機関が出す化学的な排水、汚水、そういうものがどんなふうにして処理されていくのか、これは河川にどのような影響を与えていくのか、それから海域は非常によごれているということだし、そこまでどういうふうに持っていこうとされるのか、そういったような計画なんかはどんなふうになっているか、伺っておきたいと思います。
  297. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) 研究学園都市から出てまいりますいろいろな研究汚水と申しますか、そういうものが、相当いろいろなものが出てくるということは想定されますけれども、それにつきまして詳細にどういうものが出てくるかということをきめて排水計画というところまでは、現在立てておりません。ただ私どもといたしましては、下水道計画並びに河川の計画を立てまして、これらの問題を処理していきたい。将来水質汚染等の公害が発生することのないように研究機関の排水の水質基準あるいは下水処理場の整備、下水放流先の決定、そういうことをやってまいりたい、そういうふうに考えております。
  298. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 下水の問題も私はしばしば申し上げるのですが、河川の左右に排水口を設けて、その以前にその関係機関の施設の中に汚水の処理場を設ける、さらにそれを下水の配管へ通してそして河口に落とす、こういうふうな計画も、当然こんなりっぱな研究学園都市の計画をなさるのでしたらば、将来のためにそれらもお考えになっていいんじゃないかと思うのですが、どういうふうにお考えでしょうか。
  299. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) 大体先生のおっしゃるような考え方で処理していきたい。したがいまして、放流先をいまどこにするかということを、茨城県を中心にいたしましていま計画を進めておる段階でございます。それがきまりましたらばそれの計画を進めてまいりたい、こういうように考えております。まあ三つばかり候補地をあげまして、そしてどこに放流するかという問題を検討いたしております。
  300. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 きょう放流のことまでこまかくこちらで調べているのですが、こちらに流すか、こちらに落としていくかということまで調べておりますけれども、これは計画だけを伺っておいて、施設の計画をどのようにやっていくかという計画だけを承っておいて、この程度にとどめておきますけれども、まず今日の公害問題が起きているのは、最初に計画が無計画であるということから今日の公害問題が起きているわけですから、この点を十分に考え合わしていただきたい。  もう一つは騒音の問題です。これらも考えなければならないと思うのです。宇宙開発なんかやりますと、風洞なんかでは相当大きな音もいたしますし、それらのことについても考えていかなければならないという点も、私は伺っておきたいと思うのです。
  301. 井上義光

    政府委員(井上義光君) ただいまの問題につきましては、先ほど来お話しのありました全体の調整の問題としまして総理府に推進本部がございまして、関係省庁の担当官、課長クラスがしばしば会合して、そういった公害問題につきましても話し合いをしておりまして、下水の問題、騒音の問題につきましても、いろいろな直接の公害対策施設及び各施設、実験施設のレイアウト、そういった問題で、そういった環境の改善なり公害の防止というものに、ついて今後とも話し合いを進めるということで、寄り寄り各研究機関におきましても個々に研究を進め、また全体としても打ち合わせはしている段階であります。
  302. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 もう個条書きにあと伺って終わりにしたいと思います。先ほど私関係六町村のことをちょっと言いましたのですが、これは合併するようなお考え大臣お持ちになっているんでしょうか。
  303. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 合併されることは、今後の運営上望ましいことと思います。しかしながら、これを強制するわけにもいきませんので、これは主として関係自治体の自発的発意に基づいて県と十分相談の上、それがもし望ましいというならば、これは大いに助言なり、あるいはそれを促進することはいたしますれども、いま直ちにわれわれとして合併せよということを言うことは、必ずしもいまの段階では望ましいかどうか、これは検討しなきゃならぬと思っている次第でございます。
  304. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 先ほど答弁の中にもありましたけれども、上下水道、道路、学校等の建設がどんどん進められていく当然計画を立ててくると、関係六町村は相当な財政負担をしいられてまいります。成田と同じように補助金の引き上げが必要になってくるのじゃないかと、こういうようにも心配するわけですが、この点について自治省当局はどんなふうに考えておられますか。
  305. 立田清士

    説明員(立田清士君) 関係六町村があるわけでございますけれども、この研究学園都市の建設に関します事業に要します経費については、御承知のとおり、直接国がおやりになる事業、あるいは公団がおやりになる事業、あるいは地方団体が実施する事業、あるいは地方団体の負担を伴う事業、こういうような幾つか事業があろうかと思います。その中で、いまお尋ねの点は、地方団体が実際に負担を伴う事業に関してのお尋ねだと思いますが、先ほど提案者の御答弁がございましたとおり、まあ現在も財政措置はあるわけでございますけれども、いまお話しのようないわゆる成田空港と同じような方式をとるかどうかという点につきましては、やはり地方財政の負担の状況、あるいは関連公共事業の範囲、あるいはその量というものを十分検討いたしまして対処していきたいというふうに考えております。
  306. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 大臣からちょっとお話がありましたけれども、将来の行政区域については、各町村の主体性を考えてやっていかれるということなんでしょうが、これは総合的な運営をしていくためには、やはり何か合併をして、そして総合的な行き方をはかっていくほうがいいのじゃないか、こういうふうに思いますが、この点は何か、公社とか、あるいは公団とかをつくって、そういうものを統括して事業をやっていくというような考え方は、何かございましょうか。
  307. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 現在この学園都市を推進するために公団をつくるという考えは持っておりません。ただ、いま御指摘になりましたように、これはある意味における広域行政でございまして、その意味におきましては事業の共通性もありまするので、そうした方面については、大いに関係官庁と連絡の上進めたいと思います。その過程において、これはむしろ合併したほうがよろしいというような機運が出てきますれば、これを大いに勧奨するということでございますが、地方自治体のあり方を中央政府から合併しろと言うことは、かえって反発があり、いろいろの問題が出てくる可能性がありまするので、その点は特に自治省の御指導のもとに地方の自治体と十分合意ができればそれが御指摘のように望ましいとは思う次第でございます。
  308. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 ちょっと関連してお伺いしたいのですが、千里のニュータウン地域、これはどんなふうになっておりますでしょうか。
  309. 朝日邦夫

    説明員(朝日邦夫君) 千里のニュータウンにつきましては、あれは大阪府が施行いたします新住宅市街地開発事業でございますけれども、公共団体の出資によります開発公社でございまして、そこが関連の施設等を建設をいたして、一時的にと申しますか、財政負担の調整をいたして事業を執行しておるわけでございます。
  310. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 それがいいかどうか、今後の課題になってくるだろうと思います。これは一つの例だと思います。したがいまして、私は先ほど、町村合併というものを、いい面をとってやっていくことが肝要であるということを言いたかったわけです。  次に、公務員の宿舎について、四十四年度は十二戸それから四十五年度は百四十五戸中心市街地に建設する予定になっているというお話がありましたけれども、ただ住宅だけ建てても、ショッピングセンターなんかはどんなふうに考えておられるのか、交通関係がどんなふうになっていくのか、都会生活をやっている人が家族ぐるみ移転するということになれば、相当抵抗があると思います。なお、先ほど天谷参考人からも種々にわたっての訴えがありました。それらをひっくるめまして、当該機関の職員の身分及び生活の保障等についてはどんなふうに考えていかれようとするのか、伺っておきたいと思います。
  311. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 住宅その他生活環境の整備ということが計画的に進められなければならぬということは、御指摘のとおりでございます。その意味で前期に十一機関、これを移転するという発足だけきめておりますから、それがどの機関がどういう規模のものがいくか、それによってそうしたものが規模並びに態様がきまってくると思います。それをきめないで議論しても、これは意味をなさないから、その意味で先般来私は御説明しているように、各省の具体的な計画を出してもらい、それに伴いまして、住宅あるいはショッピングセンター、あるいは学校等いろいろのものがこれで出てくると思います。そうしたものをつくりまして、これに対する財政上の裏づけをしていく、こういうふうに進めてまいりたいと思っている次第でございます。
  312. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 先ほど申し上げましたように、これは非常な移転ということになる。あるいは配置転換で職員の方々が移動していく、それは家庭の事情で拒否される人もおるだろうと思うのですが、この点についても強制しないというようなことも、話し合いが十分なされなければいけないと思うんですね。タヌキでも出そうなところだなんというようなことで、私は前に行ったことがありますが、最近行っておりませんのでわかりませんけれども、前に見た感覚から言いますと、都会に住みなれたものがいなかのほうに行くということを、非常にいやがる人もおるようにも思えるわけです。これらの拒否された人に対しての閣議の申し合わせ、そういうようなこともしておかなければいけないんじゃないか、こう思うわけですが、この点どうなんでしょうか。
  313. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 各省がそれぞれに、これは自分の権限と自分の方針に基、ついてやることでございまするので、そうした職員等の処遇、これは各省それぞれの大臣が責任を持ってやられることでございます。そのために、今度各省でこういうことを具体的に措置すべきだという具体的な提示がありますれば、これは私がきめるのではなくして、閣議でそうした問題をテーマにして審議するということになると思います。
  314. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 国鉄のほうの関係なんですが、運輸省の方。あの常磐線の複々線計画、これはどういうふうな計画、見通しですか。
  315. 信沢利世

    説明員(信沢利世君) 常磐線の複々線化に関しましては、綾瀬と取手の間を複々線化することの認可を国鉄に対していたしておりまして、現在綾瀬と我孫子の間の工事を鋭意進めております。来年、四十六年の四月に我孫子までの使用開始を予定しておりまして、取手までにつきましては四十七年度に完成することを目途に工事に着手することになると思います。
  316. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 さらにお伺いしたいことは、さっき道路局長も八路線について道路計画は立っていると言われましたけれども、研究学園都市の表玄関になっております土浦の都市改造はどんなふうに考えておられるのか、この点を伺っておきたいと思います。
  317. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) 土浦市の現在市街地は駅の西口側に広がっておりまして、西口側の公共施設の整備は、ある程度行なわれておりますけれども、いま問題になっておりますのは、駅の西口にばかり集中しては困るということで、東口のほうに区画整理事業によりまして駅前広場を整備いたしまして、そして将来国鉄に対しまして東口を開設してもらうということを考えて、現在事前調査をいたしておる状況でございます。これと研究学園都市と土浦を結ぶ道路を結びつければ、両方の東口、西口の広場によりまして相当程度の交通処理ができるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  318. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 これは運輸省と建設省の両方にまたがると思いますが、四十三年の十二月二十七日に建設の基本計画が決定されたように思うのですが、この新都市を通過する常磐自動車道のこれの見通し、並びに水戸街道のいわゆる国道六号線及びその取りつけ道路等の整備計画、これらについて伺っておきたい。
  319. 長尾満

    説明員(長尾満君) 常磐自動車道につきましては、四十一年から調査をいたしておりまして、ただいま先生お説のとおり、四十四年一月に基本計画を策定いたしております。現在関連公共事業等につきまして調査をいたしておりまして、できるだけ早く国土開発幹線自動車道建設審議会にはかりまして、研究学園都市建設に即応して工事に着手いたしたいと考えております。高速自動車道につきましては、この審議会を通過いたしませんと工事にかかれません。そういう手順になっております。国道六号線から学園都市の入り口であります学園東大通り線までの主要地方道土浦-野田線約三・五キロでございますが、そのうち二・七キロは四十四年度までに暫定の二車線で舗装済みでございます。残りの六号との取りつけ部分の〇・八キロ残っておりますが、これは国道六号線のバイパスの計画がございまして、この計画との調整がおくれていたわけでございますが、四十五年度中に用地買収を行ないまして、四十六年度中には旧国道まで築造を終わる予定にいたしております。それから主要地方道の土浦-野田線から北側の土浦-学園線に至ります約四キロの学園東大通り線でございますが、四十五年度から用地買収に着手いたしまして、四十七年度までに完了する予定となっております。それからさらに土浦から学園に至ります土浦-学園線街路でございますが、延長七・六キロにつきましては、土浦からの三.五キロにつきまして四十四年度にすでに改良舗装済みでございます。残り四・一キロにつきましても用地買収は終わっております。したがいまして、四十五年度中には残りの改築を終わりまして四十六年度に舗装を実施するという予定になっております。
  320. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 大臣に。われわれがものの考え方をしてまいりますのに、資源として一番重要なものは、天然資源というよりむしろそれをどうするかという人的資源、人間の、一口で言えば頭脳、特に人類の文明史が第三段階に入るといわれておる二十一世紀において、知識とかあるいは情報判断力という人間の頭脳が、最も重要な資源になるということは、これは言うまでもないことですが、こうしたことから知識産業時代にふさわしい頭脳の開発を目ざす研究学園都市づくりは、未来の都市創造という、これは大きな一つの一世紀のポイントになるんではないかとも思います。そこで、いままでのやりとり等を考えてみまして、道路行政あるいはそれにまつわる各省間の機関の決定、それらがふくそうしていくのを、やはりその頭脳によって一つにまとめていかなければならぬという見地に立たれて、これをより早く実現されんことを、私は祈っております。さらに閣議において十分に今夜のこの委員会の様子を伝えられて、一元化の方法かあるいはその主体性をどこに置いていくかというようなことも、御考慮願いたいと思います。大臣のお考えを聞いて私の質問を終わりたいと思います。
  321. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) ただいま御指摘のとおりと思います。十分にただいまの御趣旨を尊重いたしまして推進してまいりたいと思います。
  322. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 大臣にまずお聞きしたいのですが、先ほど大臣の答弁を聞いておりますと、この法案の全体の運営にあたって主体性が明らかでない。これから閣議できめる、その基本的なものをきめていくことがたくさんあるように御答弁なさっておるのじゃないかと私は思うのですけれども、そういう事態の中で、主としてこの問題を建設委員会審議をしておるわけですが、どこまでを建設省がこの責任を持ってやろうとしておられるのか。法律をきめる限りにおいては、どこかの所管が責任を持ってきめるということにならないといかぬと思うのですよ。この点が明らかにならないと、法案はつくったわ、その主体性がないというようなことでは、これはあまりにも軽視された審議一つじゃないかと、私はこう思うのです。こういう点をどうお考えになっておるかですね、建設省としての今後の見通し。閣議におかけになることも必要でしょうけれども、これからこの範囲内のたとえば都市計画の中で全体は建設省が負うのだ。特に各研究の内設における問題あるいは企画、そういうものは各省にゆだねる以外にないだろう。どれからどれまでは建設省が責任を持ってこの法律にもとづいて完成するのだということが明らかにならないと、少なくとも議員がここで審議してこの問題の法案を決定するということについては、いささか私はいままでの経過を聞いておってこれは不見識じゃないかという感じがするわけです。これは大臣にひとつお答え願いたいと思います。
  323. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは改府が提案した議案でありませんから、どこの委員会に付託すべきか、これは国会の御意思によってきめたことであり、おそらく察するところ、この全体の推進役を首都圏整備委員長である建設大臣がやっておるから、そうしてまた、この学園都市を実現するための物的条件を整備するおおむねの要請が建設省に所属するいわゆる都市計画、あるいは下水、あるいは住宅、あるいは道路と、こういうようなものがありまするがゆえに、建設委員会で取り上げてある、こう思うのでございます。そういう観点からもいたしますと、今後学園都市を円滑に推進するための政府としてやるべきところのいわゆる物的施設、これはやはり建設大臣が、建設省が中心となってやるべきだと思います。ただし、どの研究機関をどういうスケジュールで移転すべきか、そして、そのために必要な条件はどういうことであるか、それからそのために必要な予算措置はどういうふうにつけるべきか。これは各省が主体的にやられるべきことだと思うのでございます。そういう意味におきまして、私は一つの責任者が全部各省大臣を指揮するという形にはならないけれども、それで十分に私は計画的にいく。今日までなぜそこまでいけなかったかと言えば、方針はきまっておるけれども、方針に基づくところの具体的措置のスケジュールが立ってないというところにこうした渋滞があったんではないか。そう考えまして、先ほど来私は、閣議にこれを持ち出しまして関係閣僚の具体的なひとつ提案の提示を求め、それに基づいて関係閣僚間において具体的な総体的な計画をもう一回やり直す必要があると、こういうふうに感じている次第でございます。
  324. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そういう御答弁ですとね、私はここの委員会審議することすらおかしいと思うんですよ。やっぱり建設省が研究室の、つまり内容における構造については各省の研究室がありますから、それはそれにゆだねなくちゃならぬと思うんです。それ以外のものはすべて建設省がやっぱり責任を持つと、こういうたてまえにならなければ、大臣を前に置いてわれわれ審議することはおかしいと思うのです。特に私は提案者にお聞きしたいんですが、そういう意味から提案者の方は一体具体的にどこが責任を持って今後の推進をはかるんだという、こういう点に立ってこの法案を提案されておるのかどうか、この点は非常に私は重要だと思うのです。これが各省の意見も十分でない、その企画もほとんど異なっておる。問題は御承知のように三十六件の研究所があるわけです。これは世帯持ちとしますと三十六件のこの研室究が平均百人としますか、一万四千四百人の人口の人が生活をしておる裏面があることを忘れちゃならないのです。これは一つの村です、町です。そういう問題の解決を一体どこが責任を持ってやるのか、各省にゆだねるのか、将来どうするのか、こういう点が明らかになってこないで、こういう重要な問題を、一つの村を移動するのと一緒なんです、三十六件の研究室があるんですから。私は概算して百人として三千六百人、標準家族四人として一万四千四百人ですか、これだけの人が生活するんですよ。そういう重要な問題を一体どこが主体性を持って、どこが責任を持ってこの問題を処理しようという見解が明らかにならないで、しかも建設委員に持ってきて、建設大臣がまだこれからの予算の問題もあるし、これから構造的に改革して閣議できめてやっていくんだということについては、あまりにもこれは無責任な審議をわれわれはやっているのではないかという見解の上に私は立つわけです。提案者はどうお考えになっているか。
  325. 大村襄治

    衆議院議員(大村襄治君) ただいまのお尋ねでございますが、本法案の第四条をごらん願いますると、建設計画は、「首都圏整備委員会が、関係地方公共団体の意見をきくとともに関係行政機関の長に協議して、決定するものとする。」というふうに、首都圏整備委員会の地位を明確にいたしております。また、第五条では計画の変更、あるいは第八条では整備計画の承認、さらに国会に対する関係におきましては、第十二条で委員会が報告をするということで、委員会中心にできておりますので、首都圏整備委員会の委員長建設大臣をされている、兼ねておられる関係で、やはり先ほど大臣が述べられましたとおり、まあ国会委員会であれば建設委員会衆参両院において中心になって御審議になるのが適当ではないか、提案者はそう考えております。
  326. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そうなるとおっしゃるとおりです。これは首都圏整備委員会というのが調整機関であって、その統轄は大臣が管轄するのは当然のことですが、そういう意味であるならば、大臣、もっと私は大臣の答弁を明らかにしてもらいたいと思うのですね。今後起こってくる問題は多数あると思うのですね。周囲の計画の問題も、先ほど説明がございましたように、あるいはまた実際問題として今後建設していこうという実態についても、いろいろな問題があろうと思うのです。したがって、各省はそういう建設が完了するまで、――内設の構造の青写真なんか、のあれは別ですよ、それはいろいろありましょうから、研究室でも。それは別として、あとはやはり建設省が一切責任を持ってやるつもりで閣議で調整して私のほうでやるのですよと、こういう答弁にならなければおかしいのだと私は思うのですが、どうですか、その点。
  327. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは本来の建設省並びに本来の首都圏整備委員長がやることではないというのを、今度これが立法されればこれに従ってやらなければならぬということなんです。そこでいまこれはまだ法律ができておらないので、建設大臣はどう思うかと言うから私が答弁したことで、私は現状においては正しいと思うのです。これはそういう現状から、何らかの政府における単なるいままでは推進役であったわけです。これは法律のきめられた何らの権限ではございません。便宜上内閣総理大臣から首都圏整備委員長である建設大臣が、この関係の閣僚と協議して推進すべしという意味の権限を与えられているだけでございます。これが成立いたしますれば、今度はこの法律に基づいて、私が、これはこういう法律ができましたために首都圏整備委員長が、本来持っている権限以上に責任を負わされるということにならざるを得ない、そういう意味でございます。
  328. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それは議員提案ですからね、おっしゃるとおりの経過になろうと思うのです。いま審議する上において、ここにその責任の所在というものは明らかにこれが決定すれば大臣に来るわけですよ。私は見越して審議させていただいていると思うのですが、これがきまるまでは、私の発言はこれはやはり正確なことは私が言う権限がないとおっしゃるならば、これは大臣、こんなおそくまで残っていただいて私質問する必要はないのですよ、実際問題として。そうでしょう、提案者どうですか。その点の見解を明らかにしてくださいよ。やはり議員提案であっても、建設省に持ってきた限りにおいては、この法案が通過した場合の責任というものは、建設大臣に付加されるのでしょう。したがって、建設大臣はここで質問する答弁については、責任ある答弁でなければならぬ。それならば決定してから大臣に聞かざるか得ないということに私はなるのですね。それならば今晩の審議は私はこれはやってもだめだという感じがするんですよ。どうですか大臣、それはちょっと誤解じゃないですか。
  329. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは御承知のように、この法案に基づく、これがついた場合にはどうなるかという御質問じゃないんです、あなたのはね。建設大臣はどういう責任持つかと、こういうことでございますから、建設大臣としてはそういう権限でなく、いま私が申し上げたようなことであって、――これは売りことばに買いことばでございませんよ。それで、これは政府提案となりますれば、この法律案ができればこうなりますということを言えるけれども、これはもう議員提案でございまして、これは、これが成立したときにどうなるかということを発案者に聞かれた場合には、建設大臣いや、首都圏整備委員長が従来持っているよりもこれで責任を、権限を与えられます、という答弁になると思うんです。これはその発案者に言ってるんじゃない、私に聞かれてるんです。そういう意味でございまして、少しこれはペダンティックですけれども、これは非常に国会は大事なことを聞かれてるので、いまから言って、まだ成立してないうちにそんなことをなぜ言うと、こう言われるのであって、もしそういうことをお聞きになるのであれば、これは私に対する御質問でなくて、発案者に対するこの法案のできた場合における、と言っていただければ正しかったと思います。
  330. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それは大臣、詭弁とはとりませんけれども、私は大臣の答弁が先ほどから聞いておって、議員提案としてしかも衆議院できまった、そうして政府はどうかというと、この種の問題については、閣議である程度の協議もされておる、そうして建設省として責任を持たなくちゃならぬ範囲も、先ほどの提案者の結論であるならば、やっぱり建設省が将来主体性を握ってやるということになるわけですよ。だから私は建設大臣が――ここ数十分できまるでしょうが、そのきまる間のことは別にして、もっと大臣の明らかな答弁が願いたいから、私ははっきりしてくださいということを最初聞いたんです。それは何を私は聞かんとするかと申しますと、先ほど私が提案者にも申し上げましたように、提案者も先ほど申したように、一万四千四百人の家族を含めたこの大移動を提案者もそこまでは考えてないのだ――将来の問題としてこれは問題が起こると私は信ずるから、大臣の見解もこれから聞こうと思うから、だから大臣にもはっきりしたことを言っていただかなければ、今晩これを聞いてもはっきりした答弁がないと、いわゆるこれをやるについてその姿勢すら、話が十分でないということになれば、何を質問しても大臣に私聞く必要ないと思うのですよ、それなら。やっぱりその点は、きまれば自分に責任があるのだ、その責任においてこういうことはやれるのだということにならなければ、この重要な問題を私は審議するのには、あまりにも軽視された審議ではないかという感に打たれる。その点で大臣にお聞きしますが、経過はわかりましたから、ただ問題は大臣、先ほど申しましたように、それだけの多数の人の移動ということになるのですが、この点は先ほどのこの参考人意見を聞いておっても、非常に現段階では軽視された姿におけるいま発想として法案が出ておるわけです。これは私はやっぱり、それだけの人員をかかえておる立場からもっと、つまり組合との団体交渉ができないというならばですよ、たとえば支局長がおるとか、いろいろな人がおるでしょう、そういう多数の意見を通してこの問題を今後の運営の中に入れていくということでなければ、私はこういうような重要な問題がすぐすぐに法律をつくってもいくと思わないのです。そこで、提案者にお聞きしますが、いままで学職者が意見を述べて、この問題でかなり不可能に近いような意見書も出たという話、私も聞いてるわけです。これに対して、何ら耳をかさなかったという先ほどのこの参考人意見にも出ておりました。一体、そういう問題はどういうふうにお考えになったのか、これをひとつお聞かせ願いたいと思う。運営上の問題ですけれども、全然それを参考に入れなかったのかどうかですね、それをお聞きしたい。
  331. 大村襄治

    衆議院議員(大村襄治君) この関係方面におきまして、ただいまお話しのように、一万数千にのぼるような大移動が数年ないし十年がかりで大がかりに行なわれるということで、各般の方面に影響があるということで、それぞれの立場でいろいろ御意見があるということは、提案者としましても承知いたしておるところでございます。そこで、衆議院建設委員会検討の段階におきましても、特に移転機関職員の受け入れ態勢としての環境整備対策等につきまして、建設省はじめ関係当局にいろいろ問いただしまして、関係当局からは、それらの問題につきましては、できるだけ話し合いの機会も持って、最善の努力を払うと、こういう答弁も得ましたのですが、われわれは、その点をさらに強く要望してこの法案を立案したという経過を、御参考に申し上げておきたいと思うのでございます。
  332. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 提案者にお聞きしたいんですがね。関係当局はどこです。どういうところ意見をお聞きになったのですか。関係当局と称するのはどこです。
  333. 大村襄治

    衆議院議員(大村襄治君) だんだん詳しいお尋ねで恐縮でございますが、先ほど一体どこが中心かというお尋ねに対しまして、私は首都圏が中心であるということを申し上、げたのでございますが、それは中心をなす建設計画でございまして、実施に当たる機関といたしましては、この法案の第九条におきまして、国、地方公共団体、その他の関係業者ということになっております。国といたしましては建設省はじめ、農林省も通産省も文部省いろいろございましょう、三十六も予定があるのですから。それぞれの機関の当局において、いま申し上げました環境整備等について、できるだけ話し合って、しっかりした受け入れ態勢が事前に整うように最善の努力を払う、こういうお話がついているということでございます。
  334. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それ具体的にせんじ詰めますと、一つの例でもいいんですよ、むろんそこに書いてありますから、私は書いてある事実を、今後の問題言っているんじゃないんです、今日までの運営ですね。たとえば建設省の問題であるならば、現地の所長クラスを集めて、建設省でも八つか何かありますね。所長を集めて、こういう企画のもとにこういうことが行なわれんとしているんだが、一体、そういう集約を建設省が局長でもよろしいし、官房でもよろしいし、だれかがそういう意見をまとめた運営が今日までなされたのかどうか、そういうことをお聞きしておる。たとえば法律をつくるから、おまえのところはそれじゃまとめてくれるかといったら、いやまとめるよ、これではちょっと軽視だと私は思うんです。実際の具体的な運営としてそういう扱いをやったことがあるのかないのか。あるいはまた先ほども申したように、学識経験者のこの意見が出たものに対しては、総合的なやはり話し合いをして、その総合的な結果の中から、たとえば地質が悪ければ、それは解決のつく問題だとか、そういう運営をされて、そうしてお考えになったことがあるのかないのか、こういう点をお聞きしておるわけです。
  335. 大村襄治

    衆議院議員(大村襄治君) 具体的なことになりますると、いろいろあろうかと思うわけでございますが、私どもといたしましては、衆議院における審議の過程におきまして、建設省ならばたとえば官房長にいままではどうしておったか、これからどうするつもりであるか、そういった点をお尋ねしまして、先ほど申し上げましたような点を強く要請し、また善処するという答弁を得たのでございます。
  336. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 時間がないから、私はもうしつこく何はいたしませんが、大臣にお聞きしたいのですがね。もうきょう、これはあと三十分かそこらで決定するのですよ。そうすると大臣の所管にある程度なるわけです。そういう意味でひとつ答弁してください。  これは国家公務員の問題の取り扱いですが、団体交渉の問題は、いままで政府としては私はあまりその話し合いもできていないんじゃないかというような気がするのですが、一つの例を申し上げますと、国家公務員というのは、御承知のように賃金の面にしても、これはストライキをやるわけにもいきません。ひたすら人事院勧告の案に基づいて、それをいつから実施するか、何ぼにするか、国会がきめることになっている。ところが、賃金の問題はそういう処理方法があるわけです。それが法律できまっているわけですから、これはやむを得ないといたしましても、その他の問題については、従業者としては住まいに対する、たとえば公務員宿舎にしてもいろいろありましょう。その修繕もございましょう、通勤に対するあらゆる問題もありましょう、あるいは省におけるところの一部改正もございましょう。そういう意見すら十分に聞かないで、そうして政府予算が今日組まれておるのです。私は、ある税務署の労働組合の幹部の連中からそういう条件――ヒヤリングをやりますときにオブザーバーに来ておりましたが、そうしたら、そのオブザーバに来ておるのについて、予算のあらましを話すことすらいかんという態度が、今日現在の運営の一つなんですよ。あらゆる条件の改善には労働者意見一つも聞こうとされない。ところが、先ほどから私が申しますように、一万四千四百人のかりに人数ですと、これは庁なんです。それだけの人員の生活をどうするかという問題が含まれておる大きな問題です。したがって、この運営については、私は政府として十分聞くだけの幅と施策を持って運営に当たらなければいかんのじゃないかと思うのですが、大臣は、たとえて言うならば、生活の保障面については基本的にはこういうことをするのだ、あるいはまた、どうしても移動のできないという問題の人には特別の、本人の意思を聞いた上で、そうして他に転部をさせることができるとか、あらゆる条件の問題があると思うのですよ。そういう問題を各所で聞いてやって、そうしてこの移動の問題について完全な処置をとり、かつまた不安のないような方法でやっていこうとお考えになっておるかどうか。そのことを、大臣の決意で、言えないとするならば、閣議でそのことを提案していただいて、少なくとも私は一つの庁のこれは運命に関する問題だという考え方の上に立って、今後の処理をしてもらいたいと思うが、大臣はこの点についてどうお考えになるかですね、見解をお聞きしたい。
  337. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御承知のように、現在でも各所管官庁におきまして、人事の異動等につきましてはやはり十分にその人の家族状況、あるいは希望どおりにはいかないけれども相当配慮してやっているのが実情だろうと思います。したがいまして、このような大きな施策をやるために相当の人数が、御指摘のように移動するときにあたっては、それぞれの官庁において十分そういう点の配慮のもとに行なわれるものと私は信じております。しかし念のために、こういうこの法案が成立いたしました後にいずれ私のほうで関係閣僚の協議会があったときには、そうした旨を十分お伝えするつもりでございます。いずれにいたしましても相当の多数の家族ぐるみの移転ということになりまするから、これは画一的に単なる権柄ずくだけではできるものではないということは、御指摘のとおりです。と同時に、またこれは団体交渉できめるということにはこれはいかないものでございます。したがいまして、そこは十分実情に即して善意と誠意を持ってこれは当たらなければならない、かように考えておる次第でございます。
  338. 春日正一

    ○春日正一君 だいぶおそくなったし、できるだけダブらぬように聞きたいのですが、前提としてこれだけは提案者の方、はっきりさしておいてほしいと思うのですが、いまあなたも言われた第三条ですか、研究学園地区建設計画をつくるということですね、これには全部入っているわけですね。建設計画の中には「人口の規模及び土地の利用に関する事項」「移転し、又は新設する試験研究機関及び大学並びに第一条の目的に照らして設置することが適当であると認められる機関の施設の建設に関する事項」それからこの「前号の機関の施設と一体として整備することが必要な公共施設、公益的施設及び一団地の住宅施設の整備に関する事項」というふうに、ずっと全部のことをこの計画の中には盛り込むということでしょう。それは首都圏整備委員会、これがそういう計画をつくる、つくった計画を具体的に実施するのは第九条での国、地方公共団体あるいは住宅公団ですか、これがやる。実施するのは国、地方公共団体、住宅公団、こういうことになるわけですがね。この場合、国といいますと一つのまとまったものですけれでも、実際やる責任を持つ役所といいますか、これはどこになりますか、提案者に一応聞きたい。
  339. 大村襄治

    衆議院議員(大村襄治君) 実施のほうの責任は、関係行政機関であると考えます。
  340. 春日正一

    ○春日正一君 そうするといまばらばら、いま話のあった、ばらばらで困るというやつが、ばらばらに実施されるということになるのじゃないですか。ばらばらに実施される――そこで、ばらばらでいいですわ。あなたに責めたってしょうがないから。そこで国及び地方公共団体、住宅公団ということになっていますけれども、最初の田中委員の質問に対して、人口状況とかなんとかの、公団のほうから話がありました。それは私繰り返して聞きませんけれども、大体、大ざっぱに見てどのくらい予算、金のかかるものなんですか。全然当てずっぽうで、金が幾らかかるかわからぬなんということじゃないでしょう。これは、責任もって大臣から予算言えといっても、それは予算きまっていないから言えないでしょうが、大体、大ざっぱにいって何千億くらいかかるだろう、というような見込みというものはあっての話でしょう。そこらを聞かしてほしいです。私、主として提案者に聞きますから、ほかの人、役所のほうの方にあれしてもらっていいですよ。
  341. 井上義光

    政府委員(井上義光君) 筑波研究学園都市の建設に関します事業費につきましては、比較的明確な部分もございますし、非常に流動的と申しますか、今後積算等につきまして明確でない部分もございますが、先ほど質疑のございました用地取得等につきましては、一応単価等もきまっておりますので、用地買収は八十九億円ということになっておりますし、また、事業経費、二千四百ヘクタール余の宅地造成費、これはおおむね三百億円というふうに考えておるわけです。それから、宿舎等につきましては、どの程度の取得、どういう規模の宿舎を必要とするかということも詰める必要がございますが、まあ一万戸ないし一万二千戸は公務員宿舎として必要でございますので、これは、三百億から三百五十億はかかるというふうに考えておるわけでございます。それから、また、地元公共団体の負担とも関連しますけれども、公共事業でありますとか、あるいは義務教育施設、あるいは病院といったような関連公共事業、公益事業というものがございますが、これはおおむね五百億ぐらいというふうに考えております。  一番問題になりますのは、移転機関三十六機関、及びその他新設を予定され、あるいは今後検討される機関の建設でございますが、これはまだ非常に明確にされない段階でございますし、単に現在のものを移転するだけじゃございませんで、中には研究施設の改良という面もございますが、一年半ばかり前に一応各省が希望的に算定しましたのは、その当時の物価ということでやってみますと、それでも相当幅がございますが、二千億から二千三百億くらいのことを考えたわけでございます。ただそれは、その当時の数字でございまして、今後の計画によりましてどのように変わるか、決定いたさない点がございますが、そういったような段階でございます。
  342. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、いまの二千億から二千三百億というのは、いまあなたの言われたような公団関係の費用とか、あるいは関連公共事業というようなものに限ってであって、この研究機関そのものを持ってくるということ、これは計算には入っていないわけですか。
  343. 井上義光

    政府委員(井上義光君) 私の御説明があるいは至らなかったかもしれませんが その研究機関そのものの建設費が、非常に不明確ではございますが、現段階では二千億から二千三百億というふうに考えております。
  344. 春日正一

    ○春日正一君 私が横のほうから聞いたのでは、大ざっぱに言って四千億ぐらいというふうに聞いておったのですけれども、大体そのくらいな見当ですか。
  345. 井上義光

    政府委員(井上義光君) 用地買収費を含めますと、それ近くになるかもしれぬと思います。
  346. 春日正一

    ○春日正一君 そこで、この負担区分はどのくらいに見ているのですか、国及び地方公共団体、公団。
  347. 井上義光

    政府委員(井上義光君) 負担区分でございますが、いま申し上げました全体の事業費で申しますと、数字的に明確にいたしかねますが、研究機関そのものは、それぞれ国費支弁にかかる官公庁施設でございますので、国の予算で支弁される。また、宇宙開発事業団とかそういった公団の場合につきましては、それぞれ公団の原資に充てられる国の予算なり財政投融資にかかってくる。それから、地元公共団体に関連しますのは、いま申し上げましたおおむね五百億ぐらいの公共事業等でございますが、これにつきましてはおおむね国庫補助金が百六十億円ぐらい、それから住宅公団等が土地の大規模な開発をいたします場合に、関連事業分担として負担しておりますのが百六十億円でございますので、残った部分は地元の県なり市町村の負担になるわけであります。
  348. 春日正一

    ○春日正一君 それで、さっきちょっと説明あったんだけれども、まあ首都圏、近畿圏、中部圏の近郊整備地帯の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律によって補助率のかさ上げをするほか別途の財政措置につとめる、こうなっているんです。この別途の財政措置につとめるということの中身ですが、さっき融資ということがあったんですが、そのほかないんですか。
  349. 井上義光

    政府委員(井上義光君) 私がここでお答えするのは適当でないと存じますけれども、先般の衆議院審議におきましては、大蔵政務次官から、起債充当率の引き上げ等特別の財政措置ということがございましたので、そういったものが含まれると思います。
  350. 春日正一

    ○春日正一君 これは学園都市は国の政策であそこへ持っていくんでね。だからこれは当然国が負担してやって、地方自治体に大きな負担をかけないというふうにすべきだろうと思う。そういう意味で、いま言われた別途の財政措置についてつとめるという点を、十分考慮してほしいと思います。  それからこの建設計画を民主的にやるという問題ですけれども、この法律の中でも、第四条の四項ですか、委員会計画を公表すると三項にあって、それを受けて「前項の規定により公表された事項に関し利害関係を有する者は、公表の日から三十日以内に、委員会規則の定めるところにより委員会意見を申し出ることができる。」と、こうなっているんですね。この「事項に関し利害関係を有する者」というのは、一体どういう者を指しておるのですか。これはまあ提案者のほうにお聞きしますが。
  351. 大村襄治

    衆議院議員(大村襄治君) この四項の「利害関係を有する者」は前項ですから、研究学園地区建設計画の内容と密接な利害関係を持つ人で意見がある場合ということになりますので、計画の内容によって利害関係が出てくるのじゃないかと思います。
  352. 春日正一

    ○春日正一君 そこをはっきりさしておいてほしいと思うんですよ。これは「利害関係者」ということになると、ここに申し立ての権利が保障されているわけですから、法律の中にだれとだれとが「利害関係者」になるか。私でも利害関係者といえば、いろいろクッションを置けば利害関係者と言えるけれども、こういう者までは利害関係者とは言わないんでしょうけれども、当然一つ機関が移転されるということになれば、そこで働いておる職員あるいは研究者個々人も当然、利害関係者だろうし、その人たちのつくっておる団体、労働組合というようなものも利害関係者としてこの規定に当てはまるものだろうと、私そう思うのですけれども、そこらはっきりさしておいてほしいと思うんですね。
  353. 大村襄治

    衆議院議員(大村襄治君) 計画の第三条の第一号の土地であれば、これは立ちのきとかいろいろ土地関係が利害関係になる。それからいま例をあげて言われました、今度その二号の研究機関関係ですと、この研究機関そのものは明らかに利害関係者になろうと思いますが、いま言われたようなそこの個々の職員まではどうか、ちょっと提案者としてはそこまで考えておらないわけであります。
  354. 春日正一

    ○春日正一君 そこらが研究機関そのものということと研究機関の長ですか、直接にはそういうものだけとして、直接さっき高山君が質問したときにも出たように一村移っていくんだ。それの中へ入って、しかも残るか残らぬかというような問題が複雑に出てくるというような人たち、あるいは研究者にしてみれば、研究条件というものが一番問題なわけでしょう。科学者というものはそれは賃金の問題もあるだろうけれども、自分の研究がよりよくやれるところ、その条件を求めているわけでしょう。そうすると、そういう人たちがいろいろ意見を出してくるというものまで排除されてしまっては、非常に窓口がこれは狭くなるんじゃないでしょうか。
  355. 大村襄治

    衆議院議員(大村襄治君) ただいま先生が言われましたような場合には、その職員から長なり代表者に意見を申し出る、これは中の関係で済むと思います。
  356. 春日正一

    ○春日正一君 私それ以上議論しませんけれども。そこでその次に、利害関係者の「申出を考慮して必要な措置を講じなければならない。」と、こう言い切っておるんですね。この「必要な措置」、考慮の範囲というものは限界があるんですか。
  357. 大村襄治

    衆議院議員(大村襄治君) この「必要な措置」ですが、もともと計画の決定に対する意見の申し出でありますから、正しい意見であれば、それを尊重して計画を直すとか変更するとか、そういうようなことも考えられますし、一がいには申せないと思いますけれども、別にそういう意味では初めからここまでというふうな限界もないように考えております。
  358. 春日正一

    ○春日正一君 ここが一番問題になるところだと思いますけれども、そこでやはり計画をつくって発表されてから関係者が意見を述べる。それを検討してみて、もっともなものならば取り上げて必要な手直しをするとか、そういう措置をするという規定になっているわけですから、やはりこういうものは立案の過程でもって、事前に各関係機関の研究者や職員の意見というものを反映させる仕組みが必要なんじゃないだろうか、というふうに思うわけですけれども、つくって固まってしまいますと、固まったものを動かすというのは、なかなかやりにくいことです。固めていく間にみんなの意見が入って固まっていくということが、一番望ましい形じゃないかと思いますが、その点がとにかく規定されていないですが、その辺についての提案者のお考えですね。
  359. 大村襄治

    衆議院議員(大村襄治君) ただいまのご意見ごもっともでございます。そこで私もちょっと原案――法律を見直してみたのですが、四条の第一項で計画をきめる際に「関係地方公共団体の意見をきくとともに関係行政機関の長に協議して、決定する」ということになりますので、いずれにいたしましても、できる限り関係機関意見を聞いて計画をきめるということになりますので、よほど見落としがない限り、あとから引っくり返すということは、事実上はあまりないのじゃないかと、そういうふうに考えられます。
  360. 春日正一

    ○春日正一君 そこで具体的にお聞きしますけれども、この計画の、昭和四十三年十一月十五日、日本学術会議会長朝永振一郎、佐藤榮作殿ということで「筑波研究学園都市建設計画について(申入れ)」というのが出ております。写しは関係各省にも渡されていると思うが、それにいろいろ意見が出ておりますが、こういうものはこれは提案者のほうに聞いていいのか、どちらに聞いていいのか、いままで中心がなかったというのだから聞きにくいのですが、こういうものがどのように考慮されたか、そこを聞きたいんですね。いままで学術会議といえば法律でつくられた権威のある学術機関でしょう。こういう問題に意見を述べろと言って、そのために会議ができているわけです。それが意見出した。それがどのように考慮されたかということは、非常に大事な問題だと思うんですが、どなたか御存じの方ないですか。どこに聞いたらいいのか。
  361. 田中一

    委員長田中一君) どうです、建設大臣、答弁できませんか。――春日委員に申し上げますが、どうもその問題を知っている人もいないらしいから、どうしますか。
  362. 春日正一

    ○春日正一君 ちょっと待ってください。それじゃ解決策、提案してみます。  そう言っていきなり聞いたんで、皆さん、答弁に困っておると思うんですけれども、しかし、これは内閣総理大臣あてに出したんですから、そうすると、この場合にどうなりますか大臣、総理大臣あての文書をきちっと処理する係といいましょうか、部局というのは……。
  363. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 問題によっていろいろあると思いますけれども、それはどういう経緯でそういうものを出されたか、ちょっと私、わかりませんが、単なる意見書として出したということになれば、意見として聞きおくというようなこともあり得ると思います。それからまた、諮問した結果できたとすれば、それはまたそれとして、処理すべきことがあると思います。場合によっては、それは文部大臣の所官になっていくか、学術会議の問題ですね、あるいはまた科学技術庁がその意見を消化して、それを学園都市にどうすべきかということは、科学技術庁長官がそれを消化して提案するということもあり得ると思います。私、その具体的な内容存じませんからわかりませんが、いずれにいたしましても、それは過去にやられたことについては、何らかの処置をしておるであろうと、こう思う次第であります。従来までの私が事務当局から聞いておるところによりますと、そうした学園都市の研究体制等については、直接移転を計画されておる所管大臣あるいは所管大臣のもとにあるところの研究機関の長、これが学園都市について意見を出しておる。したがって、それをもって足れりとするということで処置しているというように承知しておるのであります。それで、学術会議のほうは、一般的なひとつの学術会議自身意見として述べたということで、そういうことは内容的には各研究機関において、それを一応各研究機関の長の立場において消化した形において閣議等、あるいは関係閣僚の間で処理しているのじゃないかと考える次第であります。
  364. 春日正一

    ○春日正一君 そういうことでどう処理したかわからぬまんまですけれども、私、なぜこれを聞くかというと、これは学術会議自身意見のようですね。諮問されたんじゃなくて「総会の議に基づき、」というふうになっておりますから、この中で特にこの「政府機関内における総合的計画を進める主体が不明確である。」それを認めて今度はこういうものが出てきたわけですけれども、あるいは「研究条件整備の内容が明確にされていない。」「移転予定機関のあるものについては、予定地の地質、水質、水利などの事情が不適当である。」「移転による研究者、職員の経済的負担の増加、及び生活条件低下のおそれがある。」「若干の国立研究機関においては、現在の位置においても施設の整備・拡充・必要人員の確保、研究費の増額によって一段と研究効率を上げ得る。」というようなことで、七項目かに分けて意見を出しているんですね。   〔委員長退席、理事大和与一君着席〕 私の聞いたところでは、各研究機関の中で筑波に行くか行かぬかということで大議論が起こって問題になっているのは、大体こういったことですよ、内容は。だから、私はこのことをどう考慮されたか。政府においてこれが正しく考慮されておれば、そういうごたごたは起こらぬだろう。また起こしたくもない。だから、そういう意味で私はこれを重視してきているわけですわ。だから、これは大臣のほうでも調べていただきたいと思いますわ。官房のほうですか、総理のほうですか、どっちへ出たか知りませんけれども、こういうものが出て、それをどう処理されておったのか、どうくみ取られたのかということを調べていただきたいと思います。だから、いまからでもおそくないんですけれども、やはり意見とかそういうものをもっとくみ取って、具体的に解決していくということで、ほんとうにすばらしい科学的な研究もできる、研究者も喜んでそこへ行けるというようなものをつくるようにしてほしいと思うんですわ。  そこでもう一つの問題は、移転の問題ですけれども、三十六の機関の移転ということが言われて、前期で十一というように先ほどお話あったのですけれども、この中にはいろいろ条件が出て、行きたくない、行ったらかえってぐあいの悪いことになるとか、いろいろな意見の出ているところ相当あるようです、私聞いたところでは。こういう三十六の機関を移転させるというふうにきめた基準ですね。どういう基準に基づいて、ここにあげられた三十六という機関を移転するというふうにきめられたのか、そこらを聞かしてもらいたいのですが。
  365. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 私は詳細のことはよくわかりませんけれども、学園都市を設定するときにあたっての構想は、東京の現在のような過密現象がありまして、い、ずれにいたしましても、この東京都これ自身をもう少し過密の度を減らすということが一つの目標、それから、現在のこのような状況下においては、必ずしも適当なる研究環境ではない。それからでき得るだけ研究機関、教育機関等を一つのコミュニティーにつくって、相互関係が順調にいける、そうしてここに研究者自身も、現状のままでは拡張するにも拡張もできないという環境のものを、もっと将来に設備その他も改善でき、用地等も十分なところにやるということが、一つの目標であったわけです。この目的に適合し、かつ各省でそういう構想に協力して、これだけは可能性がある。このほうは移転したほうかいいということを各省の長が判定してきめたものと、こう私は信じておる次第でございます。
  366. 春日正一

    ○春日正一君 そういうことだと思うのですけれども、そうして各省の長がきめて、これとこれを移転させるといったとたんに、下からごうごうたる反対が起こってきた。非常な不安をつくり出したということになりますと、やはりまあ各省の長の責任ということになるかもしれませんけれども、やはりやり方が一方的といいますか、   〔理事大和与一君退席、委員長着席〕 つまりその責任者がきめるポストにあるのだけれども、その判断なり少数のまわりの人の判断できめてしまって、あとからいろいろこの点どうだ、この点どうだというような問題が出てくるような、たとえばあの機関の中には研究所によっては行きたくないというのは、自分の研究所はあらゆる多面的なものと接触してやっていかなきゃならぬ研究所だけれども、向こうに行ってしまうと完全に孤立してしまって研究ができないのじゃないか、という理由で反対しているところもありますよ。だからそういうような点が私は基準といったのはあれですわ、あそこへ大臣の言われたように、集めて、それが三十六集まることによって、総合的な研究ができるという基準なのかですね。ただ集める、あるいは東京のまん中に農林省の試験場がある。これは広い木の一ぱいはえているところだから移してしまえば、これはもっと有効に使えるというので移せと、ただそういうことだけで単純に移せということが出たのか、そういう意味で研究を総合的にやる、そのためにこれこれこの機関を集めたら非常に有機的な関連があっていい、というような形でやられたのか、その基準というものですね。これがはっきりしないままできめられたのじゃないかというような気もするのですが、その辺どうですか。詳しい事情というか発足当時の。
  367. 井上義光

    政府委員(井上義光君) 移転研究機関、教育機関等のその点につきましては、基本的には先ほど大臣からお答えがありましたように、研究環境の改善といいますか、研究体制の整備という見地から選びましたのは、昭和三十八年の九月、この筑波に決定した直後に行管の事務次官と首都圏事務局長名で試験研究機関を所管する関係省庁の次官に照会をいたしまして回答を得まして、その後それを母体にして、関係省庁で検討して案をつくったということでございます。
  368. 春日正一

    ○春日正一君 やっぱり各省に聞いたと、だからばらばらに出てきたのを一つにまとめてしまったという印象ですね。そこに無理が一つあると思うのです。やはりそうやって移っていく場合、各機関の判断ですね。研究機関のこれを尊重することが非常に大事じゃないか、そう思います。したがってこの法案でもこれは第四条でしたか、第五条でしたか、一度できた計画でも、実際やってみて不適当であったら変更するというような条項がありますね、ここに。読んでみましょうか。「(研究学園地区建設計画の変更)、第五条、委員会は、」云々、そうして「関係行政機関の長に協議して、これを変更することができる。」、これは非常にいい条文だと私は思うのです。いまのような事情で発足した場合ですね、そういうゆとりを持っておくということは。だからそういう意味でやはり実際に各研究機関から意見が出て実情をよく調べてみて、確かにこれは不適当だということになれば、やはりそういういきさつにこだわらずに変更するということは、当然やってもらえるものと思うのですけれども、その点、この法律が成立したら責任者になるであろう建設大臣はどうですか、お考え
  369. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 法律になりますれば、政府はそれに従って運営することは当然であります。
  370. 春日正一

    ○春日正一君 私も急ぎますからあれですけれども、やはりもう一つの問題は、移転の是非がいま問題になっているけれども、一番中心の問題は、やはり条件が、研究者として、研究機関としての条件、これが満たされるかどうかということにかかっておると思うのです。その点について大臣どのようにお考えですか。
  371. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) そもそもこの発想が、主として東京に条件の悪いまま、ただ歴史的に設置されたためにそのまま残っておるという形態が多いと思います。そもそも、こういうものはできるだけ研究あるいは教育機関をよりよき環境のもとに総合的に運用するというのが、私は発想であろうと思います。そういう条件をできるだけ計画的に具備していくということにこの主たる目的があるとするならば、最初から全部完備する状況にはまいらないけれども、少なくともその方向においてこれは総合的にこれは進めなければならないと思います。そういう方針に基づいてこれは進めなければならないと思うのでございます。そこにやはり何ごともそうした立場を双方とも理解し合っていかないとこれはいけないのでありまして、たとえばアルバイトができなくなるとか、あるいはまたちょっと自分の家庭の事情だということのみに重点を入れますというと、あらゆる国家政策というものはこれはできなくなる。そこでやはりこの研究機関の長たる者、あるいはその所管大臣と研究者の間の人間的感情の交流と申しますか信頼感というものが、そうしたものもやはりこういう事業のときには必要な条件だと思いまするので、われわれといたしましては、単なる法律上の権限とか何とかのほかに、そうしたところの考慮をお互いに持ち合うことが必要だと思います。
  372. 春日正一

    ○春日正一君 私、時間がおそくなりましたから、まだ二つほど残っておりますけれども、まとめてお聞きしますからお答え願いたいと思います。  それで移転が問題になっている機関で、いまも話がありましたけれども、子供の通学とか、夫婦共かせぎとか、そういうような生活上の環境で移っていきにくい、そういう条件の人もある程度おると思うのです。特に若い人たちなら、夫婦二人とか、夫婦に子供一人くらいだから行けるかもしれないけれども、四十、五十に近い人になれば、そこにもう生活の根がはえてしまって、ちょっと行きがたいというような条件の人もあると思います。そういう場合にどうなんだろうかという不安がある。それから行った先での生活条件がどう変わるのか、これがはっきりしていないための不安がある。それから移転の機会に仕事の内容が変わる研究機関もあるわけですね。いままでこういう研究をやってきておったけれども、今度は、向こうへ行った機会に変わるというような、そういうようなことと関連して、首切りとか配置転換というような問題がありはせぬか、というような不安もあるのです。こういうものに対して政府としてどのような配慮をされるかという問題が一点ですね。  それからもう一つは、先ほども参考人にも聞きましたけれども、移転の話が出て、しかも相当先の話ですね、十年くらいな間を置いて行くわけですから、前期と後期に。ところが、話が出たからということで、現実に、どうせ越すのだからということで、古くなったものを直すとか新しくするとかいうようなことが怠られておるというような事実もあるのですね。だからそういう意味では、やはり越していくまではそこで研究しているわけですから、やはり移転ということのために研究が停滞するというようなことはなくなさなきゃならぬと思います。この点についてどう考えておいでになるか。この二つだけお聞きして、私の質問終わりますから。
  373. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 先ほどもお答えいたしましたように、現在でも行政官庁、したがって研究機関もその中に含まれますが、職員の人事異動については、やはりそれぞれの人の個人的な立場をも一応考慮してやる、できるだけそれらの人人の生活環境をよく保持していくという考慮がされているはずでございます。そのことは、この問題についても、当然これは行政官庁としてやられることであると思うのでございます。したがいまして、一応危惧されることでありまするけれども、ただそれだといって、その人の言うとおりにならなきゃならぬということも、これは公務員としては必ずしもそうはいかない。ただ、この移転によりまして配置転換になるということは、原則としてこれはないはずでございます。ただ、本人がどうしてもそこに行かれない、しかもこちらには研究機関がなくなれば、必然的にこれは配置転換にならざるを得ないという結果になるだろうと思う次第でございます。  その次に、最後に御指摘になりました点は、移転の計画に入ったから、いずれは移転するから、その研究も研究設備も停滞させる、そういうことはないはずでございます。ないように私どもいたしていきたいと思います。
  374. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 時間がおそいですし、私は五分間程度で、ただいままでの質問の過程の中で私の感じたことを申し述べながら大臣の決意を聞きたいと思うんです。私は先ほどからの各委員の質問に対する政府の答弁を見て、まことに自信のない答弁であり、私は無責任のような感じを深くするわけです。と申しますのは、いままで移転者のサイドから問題は検討されておったけれども、地元のサイドから私は申し上げながら、大臣の決意を聞きたいと思うんです。  御承知のように、この学園都市五百八十万坪という土地、三千五百戸の地主権利者は一万名です。その人たちが、先ほど住宅公団では坪千二百円、大体満足していると言うけれども、満足はしていないはずです。しかしながら、頭脳センター、人間開発の拠点ができるからというわけで、国の趣旨に賛成して、土地収用もかけられないまま三千五百戸の住民がこれ納得したわけです。納得した際においても、成田空港の場合を考えて、近傍類地の価格で千二百円にきめられたけれども、同時点においてきめられた成田空港が、御承知のように学園都市の地主関係からすれば、約四倍です。四倍の価格、しかも地価の評価価格というのは成田のほうが筑波より安いんです。距離も筑波のほうが近いんです。こういう条件の中から、あえて地元は賛成したわけです。地元が賛成したというのは、先ほどから申し上げましたように頭脳開発、人間開発という拠点に立って協力したわけです。ところが、協力したけれども、土地は買収に応じたけれども、現実に移転機関は、いつまでたっても移転できない、移転されない、どうするんだ。草ぼうぼうのままに、われわれのこの血のにじむような土地を取り上げたままなぜ政府は放置しているのか。そういう際に政府に要請していても、どこにも陳情を受け入れる窓口がなかった。主務官庁がなかった。大蔵省や農林省や建設省に行って、どこでさばいてくれるかわからなかった。こういうところに私は地元の不安があり、本法律案を出された趣旨も横たわっていると思う。これが私は本法律案趣旨だと考えるわけです。主務官庁がひとつの監督、国会に報告の義務、そして財政的な措置をする、そうしてもって地元を安定させる。土地提供者の要望に応じてあげる。成田空港の場合は、御承知のように二百万坪です。片方は五百八十万坪、その地主は三百五十人です。一坪権利者も含めると約千名、こういうことになります。そして、それに対しては地方財政上のあらゆる有利な点を与えている、道路等も同様だと思います。それらの処置がされないために地元は憤慨し、土地返還の要求が県議会や地元町村からも出た。こういう点を私どもは地元の立場の議員としては考えざるを得ないわけです。そこで、なぜこれが行なわれないのか、なぜ移転できないのかとなると、これは計画が完全に立てられていない、予算の裏づけがないということ、もう一つ、先ほどから問題になっている移転機関の労働組合や、あるいは移転者のための生活条件等の完全に満たされるような状況、あるいは学校、病院、文化施設あるいは交通施設、そういったものの施設がなされないところに、また移転機関の移転をしぶる原因もあろうかと思う。それは私も、これらのすべては今日まで計画を立てた政府の責任であると考えますが、それは言っていられません。この事態を解決するために、先ほどから建設大臣は非常な熱意を持ってこれに当たろうとしている、閣議にもはかろうとしている。こういう過程の中で、私は地元の立場からまた本法律案が出された趣旨を踏んまえまして、この法律案が通りましたならば、大臣としてはどう今後処置するかという決意だけをお聞きして、私の質問を終わらしていただきます。
  375. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 先ほど来私の答弁の中で結論が出ていると思いますが、従来、この問題については非常にいい発想でありましたけれども、具体的なスケジュールが組まれないで目的の設定だけがされた。そうして今度は各機関とも、無理のないことでございまするが、これこれの条件が整うならば、わしのほうでも考えると、みんな持ち回ってぐるぐる回りしておったような印象を受けましたので、この問題について私は関係閣僚会議を招集していただいて、はっきりときめなければ、いま中村さんが言われたように、地元の方方の政治不信が起こる、これは重大なことである。それからまた関係の移転すべく予定せられる研究機関の長をはじめ研究機関も非常に不安な感じを持つ。そういう意味で、私はいままで歴代の方々が一生懸命努力したことはわかりますけれども、単なるこれは主観的な努力だけではいけない、客観的なスケジュールを内閣としてきめるべきだということで提案したのでございます。それに関連しまして、今回このような国会の御意思に基づいて法律案が制定いたしますれば、もとよりこれは私個人のみならず、政府全体がこれは法律に対する忠実な実行の義務が負わせられるわけでございますから、これは総理大臣はじめ全閣僚が、したがってまた全関係機関がすべてこれに対して責任を持つということでございますから、一そうこの学園都市建設の趣旨をこの法律に基づいて推進するように努力いたしたいと考えておる次第でございます。
  376. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 終わりました。
  377. 田中一

    委員長田中一君) 他に御発言がなければ、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  378. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないと認め、これにて質疑は終局いたしました。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますから、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  379. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないと認め、討論は終局いたしました。  それではこれより採決に入ります。筑波研究学園都市建設法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  380. 田中一

    委員長田中一君) 全会一致と認めます。よって、本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  381. 大和与一

    大和与一君 私はただいま可決になりました筑波研究学園都市建設法案に対し、自民、社会、公明、民社の四党共同による附帯決議案を、便宜私から提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。    筑波研究学園都市建設法案に対する附帯決   筑波研究学園都市の建設に当つては、政府  は、次の諸点について適切な措置を講ずべきで  ある。  一、移転研究機関については、高度な試験・研   究・教育施設の整備、居住者の住宅の整備等、   教育環境の整備及び居住条件の充実について   特段の配慮を払うこと。  二、建設計画の作成にあたつては、研究者等の意   見に留意するとともに当該研究者等の生活条   件の低下または支障をきたさないよう努める   こと。  三、移転機関計画期間中においても、その試   験研究に支障をきたさないよう十分配慮する   こと。  四、研究学園地区建設計画は、年次計画を作成   し、建設を計画的に推進すること。  五、研究学園都市の建設に要する経費について   は、地元負担を極力軽減するよう特別の措置   を講ずること。  六、研究学園都市に係る用地提供者に対し、代   替地の確保、農業の近代化施設の整備等の生   活再建措置を十分に講ずること。  何とぞ全会一致御賛成くださいますよう、お願いいたします。
  382. 田中一

    委員長田中一君) ただいま述べられました大和与一君提出の附帯決議案を議題といたします。――別に質疑もないようでございますので、これより本案の採決をいたします。  大和与一君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  383. 田中一

    委員長田中一君) 全会一致と認めます。よって、大和与一君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、根本建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
  384. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) ただいま採決されました附帯決議につきましては、その趣旨を体して努力いたしたいと存じます。
  385. 田中一

    委員長田中一君) なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  386. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。   午後十時三十七分散会      ―――――・―――――