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1970-03-12 第63回国会 参議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月十二日(木曜日)    午前十時十分開会     —————————————    委員の異動  三月十二日     辞任         補欠選任      二宮 文造君     阿部 憲一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大和 与一君     理 事                 上田  稔君                 大森 久司君                 松本 英一君     委 員                 小山邦太郎君                 斉藤  昇君                 高橋文五郎君                 中津井 真君                 林田悠紀夫君                 米田 正文君                 田中  一君                 宮崎 正義君    国務大臣        建 設 大 臣  根本龍太郎君        国 務 大 臣  佐藤 一郎君    政府委員        経済企画庁総合        開発局長     宮崎  仁君        通商産業省化学        工業局長     山下 英明君        通商産業省鉱山        保安局長     橋本 徳男君        建設大臣官房長  志村 清一君        建設省計画局長  川島  博君        建設省都市局長  竹内 藤男君        建設省河川局長  坂野 重信君        建設省道路局長  蓑輪健二郎君        建設省住宅局長  大津留 温君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        農林省農政局参        事官       岡安  誠君        農林省農政局参        事官       遠藤 寛二君        農林省農地局計        画部長      松平  孝君        通商産業省企業        局立地公害部公        害第二課長    根岸 正男君        通商産業省鉱山        保安局鉱山課長  下河辺 孝君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国土調査促進特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出) ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (昭和四十五年度の建設省関係北海道開発庁、  首都圏整備委員会近畿圏整備本部及び中部圏  開発整備本部施策並びに予算に関する件)     —————————————
  2. 大和与一

    委員長大和与一君) それでは、ただいまから建設委員会を開会いたします。  国土調査促進特別措置法の一部を改正する法律案、本院先議議題といたします。  まず政府から提案理由説明を聴取いたします。佐藤経済企画庁長官
  3. 佐藤一郎

    国務大臣佐藤一郎君) 私、このたび経済企画庁長官を拝命いたしました。どうぞ今後もよろしく御指導願いたいと思います。  国土総合開発に関する問題につきましては、今後とも建設委員会皆さま方の御指導をいただくことになります。いろいろな点でさらに御指導いただきたいと思います。特に企画庁といたしましては、今国会国土調査促進特別措置法の一部を改正する法律案提出いたしまして、参議院先議で御審議願うことになりました。よろしく御協力のほどをお願いいたしたいと存じます。  この法律案につきまして、提案理由要旨を御説明申し上げたいと思います。  国土調査は、国土開発利用等に資するため、国土の実態を科学的かつ総合的に調査することを目的として行なわれるものであり、具体的に開発を進め、あるいは土地利用計画を策定するにあたって、必要不可欠の基礎となるものであります。  昨年、政府は、国土総合開発法に基づいて、新全国総合開発計画を策定し、今後、新たな視点のもとに国土開発を進めることといたしたのでありますが、この計画にのっとり今後の国土開発を進めるためには、その基礎となる国土調査をより一そう充実強化することがぜひとも必要であります。  今回、この法律案によりまして、現行昭和三十八年度を初年度とする国土調査事業十カ年計画を、昭和四十五年度を初年度とする新たな十カ年計画に切りかえ、国土調査事業の量を払大するとともに、新たに、都道府県の行なう基本調査を加え、広域的な土地分類全国主要地域にわたって行なうこととし、もって時代の要請にこたえることとした次第であります。  以上がこの法律案提出理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。
  4. 大和与一

    委員長大和与一君) 引き続き補足説明をいただきます。宮崎総合開発局長
  5. 宮崎仁

    政府委員宮崎仁君) ただいま議題となりました国土調査促進特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、法文に沿って逐条的に御説明申し上げます。  まず、第二条の改正であります。現行法第二条は、国土調査事業十カ年計画対象となる調査を掲げている規定でありますが、今回の改正案によりまして新十カ年計画を策定いたします場合、現行対象調査のほかに、都道府県が行なう基本調査として、新たに広域的に、地形、地質、土壌その他各種の自然的人文的状況を五万分の一地図上に記載し、もって全国主要部分をおおって国土開発基礎資料整備をはかる調査、これを開発地域土地分類基本調査と呼んでおりますが、これを行なうことといたしたいと考えております。このため、法文上第二条第一号に「又は都道府県」を加えているわけであります。  また、新十カ年計画におきましては、従来に比べて、国土調査事業の量を払大し、もって国土調査充実強化をはかることといたしたいと考えておりますが、この、事業量の拡大に対処して、従来の、国の機関、地方公共団体土地改良区に限定されておりました調査事業主体に、新たに政令で定める一定の者を加え、これらの協力を求めたいと考えております。このため、第二条第二号に「その他の政令で定める者」を加えることといたしております。  次に、第三条の改正であります。まず、現行規定は、昭和三十七年の法制定当時の開発課題に対応して、十カ年計画対象事業の要件として、例示的に「低開発地域における工業開発又は農地有効利用若しくは開発……に資するため」という文言を置いておりますが、今後の開発は、特定の一部地域にとらわれず、国土全体を一体として開発するという新たな視点のもとに行なわれる必要があることにかんがみまして、この文言を削ることといたしております。  次に、「昭和三十八年度」を「昭和四十五年度」に改めましたのは、昭和三十八年度を初年度とする現行国土調査事業十カ年計画昭和四十五年度を初年度とする新十カ年計画に切りかえる趣旨でありまして、これが、今回の改正法案の眼目となるものであります。  さらに、現行第三条の第二項は、十カ年計画に掲げるべき土地分類調査は、同じく十カ年計画に基づいて行なわれる基本調査または地籍調査と相まって特に緊急に実施することを必要とするものに限ることとしておりますが、現行十カ年計画の実績からみて、今後新十カ年計画に基づいて行なう土地分類調査については、この限定を取りはずし、広く過去に行なわれた調査と相まって行なうことといたしました。  最後に、附則において、この法律施行日を公布の日とすることといたしております。  以上、国土調査促進特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、逐条的に御説明申し上げた次第であります。
  6. 大和与一

    委員長大和与一君) 本案の審査は、本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  7. 大和与一

    委員長大和与一君) 次に、建設事業並びに建設計画に関する調査議題とし、前回に引き続き昭和四十五年度建設省関係北海道開発庁首都圏整備委員会近畿圏整備本部及び中部圏開発整備本部施策並びに予算に関する件について調査を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  8. 田中一

    田中一君 農林省の人、来ていますか。ちょっと出てください。  農林大臣が他の委員会で出られないそうでありますので、根本さんはかつて農林大臣やった経験があるから、当時と今日の状況は非常に格段の差が出ておりますけれども、むろんこれに対するところのお考えもお持ちだと思いますから、これもひとつあわせて、農林大臣に対する答弁は、閣議でいろいろ話があったと思いますから、根本さんから答弁いただいてもけっこうであります。  米作の問題が食糧という需給体制のもとに大きな変革をもたらしたのはこの数年前からの傾向でありますが、今国会に至っていよいよ四十五年度予算の編成にあたり、米作対策というものに対する、あるいは麦作にいたしましても、麦はあまりつくっておりませんけれども、変貌を来たしておる。私はこの問題を土地という観点から取り上げて質疑をしたいと思うのであります。  幸いかあるいは不幸か存じませんが、今日、昨年通過した都市計画法、これによるところ調整区域都市化区域市街地区域のこの線引きをしなければならぬ段階に追い込まれている建設省としましては、休耕農地というものに対する考え方というものは、農林省自体がこの土地というものに焦点を合わせて、これをどうするかという問題がきまっておらないように聞いております。衆議院における予算委員会等質疑を見られてもわかるとおり、実際の問題は、この問題は地方長官にまかしてある。地方長官がそれぞれその地域状況によって一応大ワクをきめた減反部分というものに対する府県別調整をやればよいというような、われわれが考えてみましても、はなはだ無責任な、あれほど戦後熱意を入れた農政というものに対しますところの今日の時点における対処のしかたというものは、非常に冷淡なものであろうというふうに私は考えております。これは農林関係委員会等にお回しいたしますが、残された休耕農地というものが、はたして農民のこの土地というものに対する認識がどう変わってきているか。たとえば私の郷里は青森でありますが、青森等では六倍もの休耕を申し出るというような現状が起きておる。こうした事態から見ると、ただ単に減反するという問題ではなくて、土地という対象物農民の間でどのようにその認識が変貌しているか。同時にまた、将来、生産されない土地、利用されない土地というものに対する農民の受け取り方、将来への見通し、これらの問題は非常に憂うべき事態が発生する危険を多分にはらんでおるのであります。あれほどまで土地に執着し、この土地によって、主として米作によって一切の自分生活をかけておったところ農民が、今度の事態によって将来への道をどの方向に求めるかということは非常に危険であります。この問題について、ひとつ、農林省のどなたか存じませんが、岡安さんか遠藤さんから、基本的に持っている現時点における方針、それから答弁できなければ根本さんからひとつ伺いたいと思います。
  9. 遠藤寛二

    説明員遠藤寛二君) お尋ねの点につきまして御説明申し上げます。  今回行ないます米の生産調整は、御承知のように、米が非常に生産過剰の状態におちいってしまいまして、今年の秋になりますとおそらく八百万トン前後の米を政府が保有してしまうというような状況になってまいると思います。いままでやったことのない措置でございますが、緊急の措置といたしまして生産調整ということをやることになったわけでございます。  そのやり方の問題でございますが、主眼といたしますところは、米の栽培面積に換算いたしますと約三十万町歩以上のものが余ってくるという状態になっておるわけでございます。それをただ休耕せよということではないのでございまして、主眼といたしますところは、できるところではまず転作につとめるということに主眼を置いてやっております。そして湿田等でなかなか転作のできないようなところにつきましては、土地改良通年施工をやってもらう。それでもなおかつ事情が悪くてそういうこともできないという、やむを得ないものについては休耕をお願いする。これは一つの緊急措置でございます。  元来でございますと、米の生産が余るということになりましても、農家の側といたしますれば何かほかにかわるべき農業収入をあげていきたいというのは当然でございまして、それに対しまして将来の生産の、何といいますか、ガイドポストと申しますか、地域別にこういうものをつくってみてはどうかというようなことを農林省としてはお示しをしてやるのが筋であろうかと思いますけれども、何ぶんにも緊急のことでございまして、またそういった生産目標、あるいは地域分担というようなものをただいま農林省では検討をいたしております。検討をいたしておりますけれども、それがまたいままでのような状態からいきますと、米につきましては農民の技術のレベルも高く、安心してつくるという状態でございますし、なれております。これをにわかに切りかえると申しましても、どこをどうということを農林省が、たとえ原案をこしらえたといたしましても、それは強制するわけにはいきませんし、各農家の御納得をいただいた上でなければそれはできない。そういうことになりますと、緊急の措置としてのことはなかなか困難であるということでございまして、今回のような休耕をもまじえましたこの生産調整対策をとらざるを得なかったわけでございます。したがいまして、将来の問題につきましては、大臣も他の委員会でお答え申し上げておりますように、生産目標といいますか、地域分担ガイドポストのようなものを立てまして、それに基づきましてその方向へいま御指導をしていきたい。  ただし、いまの段階では緊急の措置としてそういうことをいたしておりますのでございますから、何もことし休耕いたしますというものは、永久に休耕せよとか、そういうようなことではございませんし、また今回の措置全体が、何と申しますか、食管制度というものが守れなくなりました場合は農民の、特に米作農家の被害の大きさというものを考えまして、農業者側からも非常に御協力のお申し出がありまして、ともに考えましてやっている措置でございますので、当然強制というようなことはいたしておりませんが、その点が各方面からある程度誤解を招いておる点もございますので、この際つけ加えて御説明申し上げておきます。そういうような状態になっております。
  10. 田中一

    田中一君 そうしてそれに対するところ対策として、国が補助を出そうじゃないかというようなことになっているように聞いておりますが、それは具体的な方法はどういう限度のどういう方法補助するつもりか、伺いたい。
  11. 遠藤寛二

    説明員遠藤寛二君) 米の大体農業共済基準反収というのがございます。その基準反収につきまして、米一キロにつきまして八十一円という算定基礎になりますが、もう少しわかりやすく申し上げますと、四百三十三キロという基準反収平均値がございますが、その場合十アール当たり、古いので言いますと一反でございます、一反歩当たり三万五千七十三円という全国平均値になるわけでございます。その金を休耕転作の別を問いませんで、四十四年に稲作をやっておった方が今回稲作をやらないでほかのものをつくる、あるいは通年施工する、あるいは休耕する、そのいずれをも問いませんで、そういうものに補助をしていきたい。
  12. 田中一

    田中一君 調整は三カ年続けて行なうというように聞いておりますが、その補助は一年だけですか。
  13. 遠藤寛二

    説明員遠藤寛二君) 三カ年続けてやるということはまだ申しておりませんのでございますが、このやり方でうまくいくものかどうかというような点もございますし、また。私ども立場といたしましては、予算が単年度会計であるという立場もございまして、先のことは申しかねるわけでございますが、今回の成果等を見まして、また、周囲の情勢の変わり方によりまして来年度以降、はたしてこのままの形で続けるかどうかという点につきましては、私どもまだはっきりした考えを持っておりません。とりあえずいま申し上げられる段階でお答え申し上げれば、今年の稲を休耕ないしは転作することになりまして、今年度補助金を出すという形になっております。
  14. 田中一

    田中一君 これは建設大臣、あなた自身米どころ秋田に生まれ、秋田を選挙区として立っておられるあなたとしては、こうした事態というものが、ことにあなたは昨年は自民党の政調会長をしておられ、全体的な農政に明るいあなたは、こうした事態というものに対して非常に大きなショックを受けたと思うのです。それだけに、所管は違っても相当発言しなければならぬと思うのです。で、その結果、建設大臣にのしかかってくるものも予想される現状から見ると、十何年前に農林大臣をやった、このときにはもう一生懸命米づくりにはあらゆるものをさておいてやったという経験から見ても、いまのような措置だけで、農民自分生産の母体であるところ農地というものに対する考え方相当大きく変貌する危険があるのではないかというふうに私は予想しておりますけれども、その点は、農民の心を心とする建設大臣はどういうような予想と考え方を持っておるか、ひとつ伺っておきたいと思います。
  15. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 現在の政府のあれとしましては、本来この問題について私がこういう国会委員会において農林行政について私が言うことは必ずしも適当じゃないと思います。適当でないと思いますけれども、一応せっかくの田中先生の御発言でありまするから、これはほんとうにどういうふうに表現していいかわかりませんけれども農民がどういうふうにこの情勢に対して土地に関する観念が変わっていくだろうかという観点についてだけ申し述べましょう。  私も田中先生御指摘のとおり、日本で最も単作の典型的な秋田県の仙北平野でございます。終戦以来私が推進いたしまして、第一次第二次田沢疎水国営開墾というものを進めてまいりました。いわゆる農業基盤整備については、二十年の長きにわたって取り組んでまいりました。そのために相当経営面積も広がりまして、やや農民がこれで将来安定していけるだろうという事態になって、こういう事態になりましてかなり迷ったようです。迷っていろいろと青年諸君が、一体これで米作を続けていけるかどうかという迷いがあったようでありまするが、年寄りの諸君については、かなりの悲観的な空気があったのでありますが、このごろでは若い連中は非常に積極的に取り組もうということで、稲作一本だけではこれはとうていいけない、幾ら経営面積を伸ばそうとしても五ヘクタール以上のものを求めるということは現実に不可能である。ところが、昭和六十年ごろになりますれば、一般国民所得がずっと伸びていきますと、どうしても五ヘクタールから十ヘクタールを持たなければ、他の産業所得水準についていけない。が、しかしながらそこまでいくには、とてもあの地区では望めないということから、専業農家を全面的に広げるよりも、むしろ工業地方に持ってきてほしい。そうして、農業をやりながら工業生産に安定して雇用されることによって、農業所得以外の所得によって安定するということを求めるべきだ、こういう空気が非常に強くなりました。そういう観点からいたしまして、相当程度農地政府並びに自治体があっせんしてくれるならば、工業団地を提供して、そこで安定した雇用をつくりつつ、あとは機械化を増進せしめてそこで共同耕作、そういうものを進めていこうという考えが強いのであります。したがいまして、工業を誘致するためには農地を転用し、これを販売するということもあえてこれは拒否しない。また、場合によっては、長期契約土地を提供してもよろしい。これはやっぱり土地に対する所有感がやはりまだ非常に強いんです。だから、場合によっては三十町、四十町程度のものを二十年なら二十年間契約して、それで現在の農業収入に見合う地代を取れるならばそれでやってもいい、という空気が強くなっておるようです。したがいまして、いまのところやはり農地を捨てて、どんどんもうやめて他に転業するというものよりも、できるだけ自分地域内に有利な工業を誘致したいというほうが強いようでございます。  それからほんとう都市に非常に近いところは、まあこの機会に土地を高く売っての他に転業しようというものもあるようでありますけれども一般農家は、何らかの形で土地は持っておって、そしてそれを手放さないで他の産業を導入したいと、こういう空気がまだ強いと見ておる次第でございます。
  16. 田中一

    田中一君 おっしゃるとおりに、所有権、こういうものは持ちたいという傾向にあるけれども、現在の稲作の問題については、農民生活考えないで、ただ米が多いから、余るから、古米古々米があって、食管赤字がふえるから、もう減反するようにするんだという目的がそこにある、そこに集中しておるわけです。でありますから、い底建設大臣が言っておるのは、農民立場から今後そういう傾向があると言っておるのですが、その前提としての米が将来ともに余るんだという見通しのもとにこれをやっておるのかわからぬけれども、ともかく外国から米を買っておる現状から見ても、これが来なければ減るんだと、あるいはいまの農薬その他の肥料の開発からも、これからますます増産の傾向があるんだからということなのか。私はかつて、これは旧憲法時代のことを想定しますと、常に相当数、二十万や三十万の兵隊が有事にいつ召集されてもその食糧関係なく食っていけるというような量を保有しておったことを思い起こすわけなんです。一体いまの傾向でいってあと五年後にはどのくらい余るようになるのですか。そしてまた古米とか古々米とかいうものに対する処分が、私ども戦時中、終戦を迎えて、大ぜいの家族を養うために米をしょって歩いたというこの自分体験からすると、何か古米古々米が社会的な非常に低い評価を受けながら、その処分に狂奔するというような姿は、私の体験から見て、おそらくわれわれの同僚諸君はその体験は深かったと思うのです。そういう考え方から見ると、何か割り切れないものをたくさん感ずるのです。ことに輸入しておる、主食の輸入なぞも行なっておるというこの政治的な背景は、むろん地球上の距離が、各国間の距離が短かくなった、そして平和というものが共存しておるんだという考え方から、かつての農本主義的な政策高度工業国家に変貌する——根本さんもちょっと触れられておりますような高度工業国家に変貌するんだというこの政策的な、国の産業政策の転換というものがどこかにひずみを与えて農家にスポイルされる階層を生む。これは必然だろうと思うのであります。思うのでありますが、事農政というものから見た場合には、より早くまた単に減反だということの方法じゃなく、政府自身の大きな政策として救われる道があるというように考えられるわけです。ことに、いま、建設大臣は、若者たちがただ単にこの事態稲作だけに執着しないで他に転換しようというような気持ちを持っている、工場誘致考えているというようなお話で、そうだろうと思います。思いますが、日本の各産業構造というもの、日本産業世界に置かれている地位というもの、これは、むろん、働く労働者たちがっくり出すところのこの商品というものは、はたして世界国民の利益に、幸福に通ずるものだけが生産されておるか、あるいはまたそれらの生産品日本の国内において過剰生産ということもあり得るのではないか。したがって、どのような製品がどのような規模で、どこでこれだけの量が日本労働力に見合いながら生産されなければならないのだということの基本的な産業構造というもの、産業計画というもの、これに付随するところ都市というものの配分がきまらなければ、ただ地方々々、圧迫されるその地域に対する衝動的な、反射的な工場誘致とかいうことばだけでは、新しい混乱を日本国土に生み出す。そうして工場誘致という形の政策は、無条件で唯々諾々として産業界を迎え入れるということによるところの大きな公害というものが随所に起きているという現状から見ても、その農村における若者たちがそうした意欲的な方向転換を考えるのは是としても、政府としては、日本全体の産業計画というものが策定されなければならぬ時代が来ているのじゃないか。同時に、この母体とするところ土地が同じように、日本国民、同時にまた世界の人類にどれだけの貢献をする産業日本民族として持たれるかということが、この農本主義的な、農業中心の日本ということから、高度成長、高度工業国家に変貌するならば、その基本的なものが策定されなければならぬ、また策定さるべきである。同時に、その芽ばえは、ただ単に資本主義という、もうければいいんだというものでなくして、国がそうした方向を示すべきであろうと思いますけれども、この点は、いま単に農業を、工場誘致によってその地域工業化するということだけでは絵にかいたもちであって、その成否は保証されないのであります。そういう意味において、もう少し農政並びに高度工業国家として各地域的に数々の施設がかりに行なわれた場合、成功、不成功は保証されない。資本主義は売れなくなれば工場は閉鎖するのです。余れば、競争して会社はつぶれる場合がある。これは資本主義の原則です。同一製品を持っている場合は相手の会社をぶっつぶすことによって自分の企業を繁栄させるのは、これは常道であります。そういう立場から見ると、今度の、農民農地に対するところの感覚的な愛着というもの、これは本能的なものもあったと思います。相当大きく工場誘致という、この面から大きな土地の買収とかいろいろな計画が利潤追求の形で随所に行なわれる危険が多分にあるということを、私は感じ取れるわけなんであります。建設大臣、もう少しそういう点について政府としての考え方をお示し願いたいと思います。まあ農林省は当面、現在あるところの問題にもう狂奔して、いま遠藤事官が言っているように的確な方針はまだ求められない時期だと思うのです。ことにいま私ははなはだおもしろくないのは、単年度予算でありますから本年度限りのものでございます、来年、再来年はわかりませんというような無責任な答弁じゃなくして、農民ほんとう生活できるように、来年も再来年も、その後も長期の政府農業政策を確立する、そうしてその転換等をも考えながら不幸にさせないのだというような、これは遠藤君は大臣じゃないからそこまで言えぬだろうけれども、その不満を踏んまえて建設大臣、ひとつどういう方向に行くか、これは閣議でいろいろお話になったと思いますけれども、あなた自身の所管の問題じゃないけれども、かぶさってくる波が来るわけですから、それもひとつ含めて御答弁願いたい。
  17. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) どうも高道な国策全般にわたるあれでありまする。私、総理大臣でも農林大臣兼務でもありませんので、はなはだこれお答えにくいのですが、まあせっかくでございますから、責任がないとは言わないけれども、所管のこととまたはそういう意味でありますから、今日までなった経緯についてひとつ私の考えを申し述べます。  御承知のように、米が非常に過剰になったということは、一つは営農技術、農薬、こういうものの非常な進歩もさることながら、価格政策の大きな作用をしておるわけでございます。他の農産物についてはほとんど価格保障がないにもかかわらず、お米についてはもう価格の保障がはっきりできている。その上に今度は生産されたものが全量無条件で買い取られておる、こういう結果、現在日本にある農産物のうちでは一番安定かつ有利な農産物になったわけでございます。一労働時間当たりの所得からすれば、現在ミカンの次にお米なはずでございます。しかもその上に共済制度が、これが裏づけされています。そういうふうになりますというと、だれ人も一番楽をして所得が多くなりたいというのが、これは農民の念願でございまするから、急速に造田が行なわれてまいりました。しかもそれが一番造田が大きく伸びたところは北海道でございます。あるいはまた従来限界生産地で、水田をつくることが必ずしも容易でなかったところのものが、あるいはビニールをもって砂地あるいは特殊土壌でもやれるようになった。機械化が非常に進んでまいりましたのでごく簡単に、土木機械で簡単に造田ができる。それから水利関係が有利になったということで、この四、五年間に政府施策以上に急激にふえてしまった。一方において生活の水準が向上するとともに、日本国民の食生活の構造が変わってまいりまして、米をなるべく食わずに他の畜産物並びに野菜、くだもの等に集中した、このために需給のバランスがもう政府考えておったこととは大きな差が、しかも急速に出てきた。これが現在米における一つの矛盾だと思います。これがもし自由経済であるならば、それだけの過剰がありまするならば、必然的にこれは農民みずからが採算上合わなくなるから減反していくが、食管制度ではそれをやらないことになっております。そこで、本来ならば米価買い上げ値段を下げるか、あるいは買い付け制限をすれば、おのずからこれは調整がとれるけれども、その政策は現在の農民に対して非常なショックを与えるからそれはやらない。そこで四十四年度は値段を押えておる、そうして買い上げは無制限にやる。ここで相当減反もしくは減収するであろうと思ったところが、やっぱり何としてもいま一番お米が有利でありまするから、全然減反はありませんで、北海道のごときはもう一年にたしか五千五百ヘクタールか、それよりもまだふえておる、こういうような現状でございます。そこで今回はやむを得ずに——これは非常にいい政策とは申されません、農民にとりましても政府にとっても。そこで非常手段として、減反いわゆる作付転換並びに休耕にした、こういうことだと思います。これに対して農民認識も、昨年までは御承知のように米価闘争運動であり、もうたいへんな反対であったが、事態認識してくると同時に、これは何らかの形で農民協力して米の生産調整をしなければ、幾ら政治的闘争をやるとかいっても、これは物理的にも食管そのものがつぶれてしまう。こういうような認識から、政府がいまの減産奨励について何らかの積極的な保証をしてくれるならば、われわれも協力しようということで今日に来たっております。  ところでそういう段階にまいりまして、先ほど田中先生から御指摘のように、論理的に正確を期するならば、将来を見通し日本地域を主産地形成をするという観点、適地適作の観点からして、地域的な任務分担を明確にして、そうしてそれがどのように未来につながっていくかということを明示すべきだ。これは確かにそのとおりに考えられてしかるべきだ。しかしこれをいますぐに来年度に実行するということは、これは時間的にもなかなか無理である。そこで知事さん並びに農業団体の諸君といろいろ折衝協議の上、やはり地域の特殊性あるいは農民の意識、転換の難易等を一番よくわかっておるのは地方自治体であり、同時に地方農業団体である。これらの諸君に自発的に自分の構想を持って、そうして計画を立てて、これに政府協力するということがより現実的であり、農民もより安心してついていける。そういうことでこういう政策をとったということでございます。  そうして、これに関連して、いま田中先生が御心配になっておる、こういうような過程においてせっかく造成された農地が、あるいは工場誘致とかなんかという名のもとに民間のデベロッパーあるいは産業経営者によって土地が無計画に取得されて、スプロール化あるいはまた工場公害が地方にまでいくということが非常に心配じゃないか、そのとおりでございます。そこで、御承知のように、農地転換の緩和をはかりましたものの、これについては厳密なる規制をすることになっているのであります。すなわち、農業振興地帯あるいは基盤整備等、政府によって施策として相当強力に実施した土地改良地区は、これは原則として農地転換をせず、どこまでも農業の基盤としてこれは起こしていく、その他のところにおいて工場誘致あるいは宅地等に転換するけれども、そのときには農林省、通産省あるいは建設省と綿密なる連携のもとにこれは団地構成をしていく、こういう打ち合わせをしているのであります。そういうような構想のもとに立地された場所については、建設省としては従来の道路あるいは下水、そうしたものの計画を弾力的に活用しまして、総合農政上あるいは中小企業振興のために団地等が地方にいった場合に、そこには道路を弾力的に予算づけをしまして、たとえそれが県道あるいは国道でなくとも公共事業として相当大幅にこれを援助してつくってやり、そうして街路等も整備してやる。こういうふうにして、田中先生御心配の点は、もうできるだけ関係各省が協力して未然に大きな障害が出ないように協力していこうという方策をとっておるのでございます。ただ、その方策をとったものの、現実にはまだなかなかスピードはそこまで上がっていっていません。それから最近において、私も都市周辺における水田の転用緩和等を見て、かなりこれは民間デベロッパーによる土地の買いあさりが相当出るんじゃないかと心配していろいろ調べてみました。ところがそれほどないようです。ということは、現在御承知のように金融引き締めのほうが相当響いていっています。そうして一番大きく響いているのが大企業についてこれがいっているのであります。したがいまして、大手の諸君が、転用を緩和したことによって急速に水田その他を買いあさっている向きがむしろ少なくて、逆に、われわれのほうに何とか金融をめんどう見てくれ、あるいは開発銀行の金を使わしてくれとか、あるいは住宅金融公庫の資金を何とか優先的にめんどう見てくれということを陳情に来るほどでございまして、現在の段階では私は大きく企業の土地買い占めということはないんじゃないか、こう思っています。それから、特に大きな土地需要と見られておるような大きな企業ほど資金繰りが悪くて、むしろ設備投資の計画をスローダウンしている。こういうような見地から見ても、この一年は少なくともそうしたことがそう大きく障害となって出てこないのではないかという、実は見通しを持っている次第でございます。
  18. 田中一

    田中一君 農民がいままでの蓄積した金がだんだんなくなってくるんだということになりますと、いますぐに金をもらわぬでも約束する面がたくさんあるんです。これはむろん、土地造成業者あるいは土地会社等では、先行投資というものは手付金一つもって買えるわけなんです。たとえ農林省、通産省、建設省がどういう話し合いをしてそれをはばもうとしても、そのままで売る傾向もある。私は、農民生活、将来、これを考えた場合に、農民自身がやはりその法の盲点をついて合法的な譲渡を行なうことがあり得ると見ているんです。そして、まあ現在では金融引き締めでその影響は確かに起こっております。ただ単に大手ばかりでない、末端の下請企業まできております。しかし、農協が先般の会議で、宅地造成を自分の手でやるんだ。これは農協にやらせるということを建設大臣もすすめておるのです。これは農林大臣がすすめたか、建設大臣がすすめたか、住宅供給事業にも入るのです。また、宅地造成はその前提として行なわれるんだと。いわば五兆円か六兆円か、相当な資金を持っている農協としては、もはや今日では金融機関です。増産ができなければだんだんじり貧になる。金利でかせぐ以外に方法がなくなってまいりますから、そういう方向にくる。農協自身の性格が非常に変わってくる。したがって大手の資本家が来るということの前提として、農協自身がそういう事業に出てくることはこれは御承知のとおりであります。そうなると、これは根本さん、あなたと一緒に一致している考えで、あなた自身が、住宅の供給はさておいて、民間住宅は自立建設を促進するんだ、土地だけは政府が安い土地を供給するからやりなさいという方向を、あなたは就任以来ずっとそういう方針を新聞等にも談話を与えておりますが、そういう形でだんだん蚕食される、これはもう明かです。これも一つの農地が転換するという、大きくゆらぐというところの事例です。自分たちのものでありますから、農協は。農民と一緒でありますから、農民そのものでありますから、だからあらゆる法的な困難を乗り越えてもその方向に進むことは必至です。その辺にあるところ土地会社なんかと比べものにならぬほど資金を抱いておりますからできるのです。そこで、さてその現象がぼつぼつ出てくるということを前提として、いよいよ今月一ぱいあたりには十何都道府県でしたか、いわゆる市街化区域と調整区域との一応の建設大臣がそれに対する承認というか認可ですか、与えなければならぬ段階がきておる。突如として農協を中心とする農民の心というものは、これはどうしてもこの方向へいくんだから、市街地化してくれという要求はおそらくぼつぼつ出てまいります。出てこないでも、素朴でありますから、かってに家を建てます。これはただ農家の住居の改造とか、農家を建てるんじゃなくして、大きな住宅供給という、いわゆる持ち家の供給ということになろうかと思うのであります。そうすると、それは必然的に市街化されるわけです。いまここでその区域を明確にきめようと、これは法律で定めるものでありますからしなければならぬ。突如としてそういう休耕農地というものが相当数決定される。そして、これに農民が農耕をやめて、先ほどあなたのお話のように、兼業にして自分生産労働に従事しようという、工場等に就職して兼業でやろうというような傾向が出ると、これは拍車をかけるわけです。現実の問題として。いまきめようとする両区域に対する考え方は、どのような形できめようとするか、私は、望むらくは、一応農政として見るところ農地のこの問題が、将来農民が持っていて農耕に明るい希望を持てる方向が出るか、あるいはどうにもならないのだといって、土地を捨てようという傾向に出るか、これらの方向をおそらく若者たちはじっと見ていると思う。それによって気持ちをきめる。同時にまた老齢の農民は、あれは非常にとまどっている。私は、おそらく強硬なものが出ると自殺者が出るのではないか、農民の中に。こういう切実な問題が一つ起きるとたいへんだと、マスコミもこれに対して騒ぐ、たいへんだといって真剣に取り組むかもしれない。私はそういう傾向があると見ている。私の郷里の青森県あたりも相当大きな職業を転換したいというものは、何といっても一年のうちの八カ月くらいは土地というものには手の触れられないような悪い環境の中にありますから、そうして寒冷地域でありますから、いつでも、場合によれば冷害によって作物はできないということが往々ある。この際こいつはひとつだれかに買ってもらって、工場がこようと何がこようと農民関係はございません。そういう傾向に拍車をかけられるのではないかということを心配しているわけです。この三月末あたりに、十数都道府県でしたか、これはいよいよきめなければならぬ、これはもう一ぺん農林大臣とも相談してお延ばしになったらどうかという気もするのです。都市周辺はこれは自然に全部市街地化します。いやおうなしに。素朴に農民は、許可もくそもなしにやるという傾向がこれから出てくると思う。たんぼの中に土を埋めて自分のうちを建てて売った。また建てたから売った。これは別にどうこうありません。農民自分のうちをつくるのですから。いろんな形の脱法行為が行なわれる。これに農協が拍車をかける。そして企業的にこれを盛り上げていくということになると、いままで考えておるところのこの都市計画法の精神が、はたしてわれわれがこれに対する意思表示をした方向を、国会でもってこれはきめているわけですから、するとうらはらのものが現象として生れるのではないか、これは思い過ごしかもわかりません。しかしどういう方向でこの線引きを認可しようとするか、具体的にひとつ示していただきたいと思うのです。現在出ているところの、十幾つでしたか、この三月末には、これは何とかしょうという十幾つかの地区、その環境、将来への傾向等も含めて——土地の宅地造成というもの、この面はあとで論議しますけれども、今日は都市計画法に基づくところの線引きがおくれてはおりますけれども、これをしなければならぬ段階、私はもっと延ばしていいのではないか、ある程度見通しがつくまでは。その辺の見解を伺います。
  19. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 都市計画法に基づくところの線引きは、田中先生御指摘のとおり、農民の思惑が非常にこれがありまして、かなり延びていることは事実です。しかし、これは初めての措置でございまするので、都道府県も十分に地域住民が納得して、しかる後これはやるということの態度をとっておるし、われわれもそういうふうに指導しております。しかしながら、それあるがゆえにこれは延ばすということは、必ずしも私は適当であるとは現在思っておりません。ところで、田中先生が非常に御心配になっておる、農民がいわばいろいろの方策を講じて、そうして財産保全、あるいはできるだけ土地を高く売ることによって農業をやるよりも、それによって生活を得ようとする、これが都市計画あるいはまた地域開発に非常に大きな災いを起こす可能性がある、その点については十分警戒をしなければならない、そのとおりだと思います。そこで、御承知のように市街化区域に入れた土地については、もうこれは積極的に計画的に都市化、あるいはまた広義にいえば宅地化でありますが、その中には住宅専用地区とかあるいは工場専用地区とか、あるいは隣接商業地区とか、そういうふうにしていって、どんどんとこれは積極的に宅地化を進めていくつもりでございます。そのかわり、農業集団的にこれは農地として保全しなければならぬというのは、御承知のように農林省農業振興地域という指定もございます。それから、従来基盤整備土地改良を本格的にやったところは、これは原則としてそのまま保全して農業振興地域と同じようにするという意味でこれは調整区域に入れておくわけでございます。調整区域になりますれば、農協等がもしそういう地帯においていわゆる農住を計画的につくろうとする場合には、相当の規模の、しかも相当住宅政策としてしかるべき条件を備えたものについて、これは区画整理事業なりその他の共同で責任ある体制をとれるものについてのみこれは許可しよう、その際には十分農林省と打ち合わせた上でなければこれは転用許可もできませんし、あるいはまたいわゆる開発計画、こっちが許さないということでこれは押えるつもりでございます。それから田中先生が御心配になっている純農村地帯においてそういうことが虫食いのようにばらばら出てくるのではないかという御心配もあるようでございますが、これは農林省のほうで答弁あると思いますが、そういう土地に純農村地帯においては農地法上これは一々制限を加えている。そういうことでありますから、自分土地なるがゆえにかってに宅地造成して転売することは、行政的にもこれは押えていることでありまするから、可能性全然ないとはいえないけれども、脱法行為をやる者はあるかもしれないけれども、それによって農業地帯が非常に無計画にスプロール化がぐんぐん伸びるということはないのではないか、こういうぐあいに考えておる次第でございます。
  20. 松平孝

    説明員(松平孝君) ただいま建設大臣から概略御説明ございましたけれども農地の転用それ自体については、先般この米の生産調整との関連もございまして、農地転用の許可に関する暫定基準の制定をいたしておりますが、基本的には第一種農地、これは原則として転用を許可しない農地、それから第二種、第三種の農地に分類をいたしまして、第三種農地にも原則として転用を許可する農地を分類いたしたい、ただし若干緩和したというゆえんのものは、第一種農地でございましても水田の転用を許可する場合につきましては、次のようなことを考えているわけでございます。一般国道または都道府県道等の両側おおむね百メートルの範囲内で、その交通に必要な施設、たとえばガソリンスタンド、ドライブイン、自動車修理工場等沿道サービス施設を設置する場合、それから同じ範囲内におきまして重要産業の施設また倉庫、荷さばき場の流通業務の施設をつくる場合、それから農村集落において宅地の集団に近接して住宅等を建設する場合ということでございまして、若干転用の緩和はいたしておりますけれども、いずれも優良農地は保全をしたいという前提のもとに考えてまいりたい、このようになっております。
  21. 田中一

    田中一君 そうするとこれは都市局長、いま説明されたような地区は、これは市街化区域として線を引こうというつもりですか。都市局長に伺いたい。
  22. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) 市街化区域を設定します場合には、いまお話ございましたように、集団的な優良農地というようなものを避けまして、そして市街化の発展動向を見定めて、その区域における将来の動向、産業見通し等からどれくらいの市街地面積が必要かということを算定いたしまして市街化区域をきめるわけでございますが、その際に先ほど大臣からお話ございましたように、区画整理その他集団的な宅地開発を行なう、団地開発を行なうというような見通しがはっきりしているところは、その面積を実際に土地に接してきめてまいります場合に、優先的に考慮していく、優先的に入れていく、こういうような方針でまいるわけでございます。したがいまして、市街地の発展動向というような観点から、たとえばいま出ましたような沿道の周辺が、発展動向があるということであれば、それにつきまして市街化区域を設定するという場合もありましょうし、またそういうような地域で道路がありましても、将来の市街地の動向から見て、市街化区域にまだ当分ならないではないかというところもある程度出てくると思います。その場合に、市街化調整区域に入りました場合に、沿道のサービス施設について、都市計画法上の宅地開発許可をどうするかという問題もございますけれども、これにつきましては、かなり限定的ではございますけれども、ガソリンスタンドとかドライブインとかいうものにつきましては、特別に調整区域においても許可し得るというような道が開かれておるわけでございまして、その点において市街化区域、調整区域を設定する場合の農地転用許可基準の緩和とは平灰が合っているというふうに考えております。
  23. 田中一

    田中一君 これ、非常に危険があるのですよ。たとえば流通機構なりあるいは交通に必要な施設ということになると、どうしてもそれは伸びていくのです。近くに部落があれば部落の住宅というものはやはり無計画に伸びていく。それで地方行政庁はその場合にはそれを黙認という形で今日きている。農地の転用にしてもそんなにきびしく——いままでは非常にきびしかった。しかしいまはもう農林省でも農地に対するところの、第一種農地を緩和したと同じように、おそらく今後とも農民の要請、地域住民の要請があると、一緒になって地方自治体に向かって要求している形がもう随所にあるのです。これはもう法律があってもその法律がことに土地に関しては所有権がないために利用という面から、利用という面のほうの価値が高いものだから、そうなる傾向がある。そういういままでの実例というものを私はたくさん知っております。そうなると、一体今度の線引きという、線引きというか、区域をはっきりきめようというこの問題は、相当の勇気をもって、延ばすことも一つの方法、早くきめることも一つの方法です。とにかく一応結論を出すということです。しかし、これに対してはいま農地の点だけを申し上げておりますけれども、山林においてもそれは激しいものがある。つい二、三カ月前ですが、もちろんことしになってからでありますけれども、逗子、葉山地区の両地区から、何とかして来てくれないかと言われた。行ってみますと、そうすると公聴会を開く、公聴会で公述人に指定されておるが、一体どういうことを話したらいいのかといって相談をされたんです。詳しく話してもらってから、四つの問題を示して、この問題だけ確めなさい。そうして、逗子、葉山の背面のほうは丘陵があります。これはだいぶ変わったかと聞いてみると、大部分はある政治家と一緒になって、それのあっせんで永大ハウスという何か住宅供給の会社がありますね。あれが大体全部の山を買いましたという話をしておるんです。私は今度の両地域の決定という問題は、これから相当大きく建設省にいろいろと問題が出てくると思うんです、これが今度こっちにあがってくれば。このような現象というものは、これからずっと続いてまいります。したがってこれに対するところ相当強い態度を建設省は持たなければならぬと思うわけです。しかし、現地における調査は、建設省はしないはずでありますが、やはり地域住民の要望というものを中心にして検討をするはずでありますから、法律の修正をして、市町村にまで公聴会を持てということになっておりますから、きめこまかくやっているから、これ以上建設大臣がどうこうということは言えなくなっております。その中に介在するいろいろな要素というものは、地域住民の利益を守るよりも地域住民に非常に大きな災害を将来もたらすようなものになっていくのではないかという気持ちもするわけであります、逗子、葉山の例を見ましても。したがって、こういう点についての態度、建設大臣の態度としてどういうふうにそれに対処するか、時期としては三月末までに幾つやるんでしたか、竹内君、それもひとつ知らせてほしいと思う。
  24. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) いまちょっと私の説明が足りなかったので、その点を最初に補足させていただきますが、ガソリンスタンド、ドライブインというようなものにつきましても、市街化区域、調整区域を決定したところにつきましても、このたび水田の農地転用許可の暫定基準を緩和されたわけでありますが、先ほど農林省のほうから説明がありました流通関係の施設あるいはその既存の集落の宅地に近接した住宅地、住宅等につきましては、一般的な基準のほうでは緩和しておりますけれども、市街化調整区域の中は農地転用許可基準の中には入っておりません。したがってきびしくなっております。もう一つは、開発許可区域、農地転用のほかに市街化調整区域があるわけでございますが、それはあくまでも市街地を秩序立って建設するという観点から開発許可をおろすわけであります。農地転用許可がたとえできるところもあって、市街地開発という観点から許可をやらないという場合も当然あるわけであります。  それから対象都市でございますが、これは法律のときに申し上げましたとおり、首都圏の既成市街地近郊整備地帯、近幾圏既成都市区域、近郊整備区域、大体五十キロ圏といわれております。それから中部圏都市整備区域、それから首都圏、近幾圏、中部圏にそれぞれ都市開発区域というところがございます。積極的に都市開発をやろうというところ、それから新産都市工業整備特別地域で人口十万以上の市の区域というものの中で、もっぱらスプロール等のおそれが強いということで建設大臣の指定するもの、こういうことになっておりまして、全国対象都市は八百八市町村がございます。これをまあ三月末までに、目標といたしましては市街化区域の決定を終わろうということでございましたけれども、先ほど大臣の御説明申し上げましたような事情によって若干おくれておりまして、現在十五府県におきまして公聴会を終わったわけでございます。三月中にすでに公聴会の日を確定しております県が五県、合わせて二十府県が公聴会がきまっております。その他の府県も三月または四月におおむね公聴会をやると、こういうような進捗状況でございます。公聴会が済みますと、それによって原案を手直しをして、そして正式の案として公告、縦覧、地方審議会の意見聴取というような手続を経て決定になるわけでございます。
  25. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) ある地区に限って相当の民間のデベロッパーと申しますか、あるいは土地の思惑買いをすることによって利益を得ようとする者が策動しておる。そのために、このいわば緑地として保存すべき、あるいは景観地区として保存すべきものまでもやられるおそれがある、大いに警戒せよと、そのとおりだと思います。具体的な事例は私は存じませんけれども、そういうものと、私はこれは農地でなくて山林になっておるところでありますが、これについては、将来、いま局長が御説明申し上げましたように、市街化しておるところ、あるいは将来十年中に市街化をしなければならないと思われる地区だけをこれは市街化区域として線引きするので、それ以外のところ調整区域として市街化しない方針でございます。いろいろの策動があってもそれは厳に守るということが、この法律立法の趣旨でございますから、この趣旨は十分に都道府県にも徹底して、またもしそれが著しく法にそむくようなことがありますれば、これはわれわれとして十分に修正いたしまして、国民全体の利益になるように指導したいと存じます。
  26. 田中一

    田中一君 建設大臣は、日本国土の中で約一億一千万程度の人口で宅地が足りないから、宅地造成をして住宅供給を行なうんだという考えに立っておりますか。あるいは宅地は余っておるのだ、しかしどうも低層住宅は田園都市的な環境に逃げていくんだから、それに供給するんだという考え方に立っておるのか。あるいは職住近接というような問題、これは非常に十何年前から私は言っておるのでありますが、その傾向が非常に最近は強くなっておる。職住近接、こういうことで新しい考え方から宅地の造成を進める、建設大臣が宅地を造成しようという意図、これはあなたが今度大臣になってから新聞等に大きく発表されております。宅地が足りないから宅地を造成しようという考え方に立っておるのか。どこにその真意があるのか、伺いたいと思います。
  27. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは少し御説明をしないと非常にわかりにくいと思います。現実に現象としてあらわれておるのは、宅地が現実に欲する人間の手に入りにくい。それが非常に高いということが、宅地問題の基本的な問題だと思います。  その一つは、なぜ起こるかというと、宅地を需要する人の経済力に対応して、それに応ずることができるような価格において供給される部面がないから、宅地あるいは宅地可能のものはたくさんあったにしても、現実には宅地需要者にとってはこれはないと同じような結果になるというところが一つの問題だと思います。それからもう一つは、利用のしかたによっては宅地として十分にその効力を発揮し得べきものが、田中先生御指摘のように、この職住近接の問題からすれば、工場用地のようなものは、首都圏の中心部においては必ずしもそこにおることが経済的にもメリットがなくなっているにもかかわらず、依然としてそこにあるじゃないか。しからば、これらのものを周辺都市に誘導することによって、そのところに高層住宅をやれば、相当部面この解決ができるじゃないか。それをやらないでおればこれは非常に宅地が少ないということになるけれども、それをやればこの住宅問題が非常に大きく緩和されるということで、これは絶対的に足るとか足らないとかいうような単純数学的な表現は、これはむずかしいと思います。ただ、現実から申しますれば、先ほど冒頭に申し上げましたように、宅地を欲する人人の手に容易に入らないから、そしてまた一面においては、宅地に投資することが預金その他するよりも有利であるから、仮需要が非常にふえておるということ等が交錯しておるのが、現在の宅地に対する国民の一つの関心事だと思う次第でございます。  そこで、私は何としても、その都市周辺においては、相当大量のしかも良質な経済的合理性に合った宅地を供給するということがこれは当面の問題である。地方においては、もう過疎現象で、どんどん、どんどん減っていることも事実でございまするが、そういうこと等を考えまして、一面においてはこの宅地の値段というものから、土地が私は経済的な合理性を越えた一つの投機の対象になり、あるいは心理的に宅地を持ってさえおれば非常に得なんだ、売ったほうが損だ、こういうような一つの考え方が、宅地の絶対的量が相当あるにもかかわらず、これが需要者に入ってこないという原因にもなると思いますので、そういう意味からして、相当多量の宅地を供給する施策と同時に、宅地を売り惜しみすることによって得がないのだ、むしろこれは早く合理的に計画的に宅地化し、これを提供することが経済的にもいいことだというような環境をつくることが、これは一つの政治として問題だと思います。やるべきだと思います。そういう観点からすれば、都市計画税とかあるいは固定資産税等は、市街化区域あるいはまた市街化しなければならぬところについては、弾力的にこれを適用することによってそうした思惑が、それから当然供給さるべきものがそうした思惑によって阻害されていくのが防げる。こういう総合的なことをこれはやるべきだと、こう思うのでございます。したがいまして、田中先生からいま指摘されたように、絶対的に多いと思うか、少ないかということについては、端的にお答えすることが困難でございまして、いま申し上げたような形においてこれは解決しなければならぬと考えておる次第でございます。
  28. 田中一

    田中一君 宅地は余っておりますね、私の計数から見ると。ただ利用の方法——安易なものから出発してむずかしいものを避けている。宅地、私が言い、あなたが答弁している宅地というものはむろん住宅宅地を考えていると思いますが、大体住宅を建てようという政策、いわゆる住宅政策というものは、一番大きな欠点としてあなたが言っているように、庶民が手に入れることのできないように宅地が高いのだ。だから安い宅地を供給すれば庶民の手に入るのだ、こういう見方をしておりますが、要求する側に対する行政指導というものは多元的なんです。私があげてみましょう。国家公務員の年間三万程度つくるのは大蔵省が建てているのです。百億近い年金の還元融資事業団がやっているのは、これは厚生省がやっている。労働省は労働者住宅に対する仕事をやっております。農林省はいま言っているような、まあ農家の改良住宅は別として、今度は農協を指導して農協住宅を始める。それから通産省は民間の住宅産業促進のために非常に熱を入れて研究をし、努力をしております。これだけ五つの住宅行政が、主管が建設大臣にあるということを忘れた形でもって、そういう形の住宅事業、住宅産業、住宅建設というものがなされている。そこにその原因というか、もとがある。そして、むろん機構からくるところの、原資からくるところのそれぞれの自分のパートをそれぞれ死守しております。建設省は何をやっているか。建設省は、国が出すあるいは財政投融資その他の問題の住宅行政をあずかっている。いわゆる公営住宅、住宅金融公庫、住宅公団。あるいは産業融資何とかというものがありましたね、六十億か七十億の金。これも、厚生省が始めたものだから、さっそくそれに追随して法律を出してこれをやっている。そうして、これまた受付は全部多元的なんです。厚生年金の金は県に委任している。これは半額の融資でしたね、たしか。それぞれの立場でそれぞれの窓口がたくさんある。ここに、あなたがさっきいみじくも言っておった土地の仮需要、住宅をほしいというものの仮需要というものが相当数にのぼっておる。かつては住宅金融公庫あたりが募集すると、五百倍か千倍の申し込みがあったといって喜んで、これだけ国民はわが金融公庫の融資に対しては求めているのだと言っている。これは全部仮需要なんです。きまるのは一つきりなんです。五百人応募しようが、きまるのはたった一人きりなんです。一人の人にきまるというこの融資、これに対して五百人が土地を買いあさるわけなんです。買うんじゃありません。買いあさりなんです。完全なる仮需要なんです。土地の値段が上がるのはあたりまえなんです。これは政府が住宅行政の根幹としてどこかに一元的になるならば、すべての方針が一つになります。仮需要が相当減るのであります。必ず融資は受けられるということになれば、すべての者は手を引きますから、土地の仮需要によるところの暴騰はなくなるのです。これによって完全になくなるとは言いませんよ。しかし、政府が多元的な住宅政策を持っている限りこの傾向はますます強くなる。これは政府自身が行なっている問題です。住宅金融公庫を原資として住宅供給公社とか、地方都道府県地方的公社というものをもって窓口にして、市中銀行——大手の銀行は全部お断わりしましたけれども、小さいところでは住宅金融公庫の受付をやっております。手数料をもらえるので業務の一つとして一生懸命やっております。信用金庫がやっております。農協がやっております。あらゆるところに窓口があって、これは国民の住宅を求める方々の便宜のためにやっているのだからいいでしょうけれども、そのために仮需要がたいへんな数で比率が上ってくる。そこに宅地に対するところの価格の暴騰の一因が存在しないとお考えになるか。そういう事態もあるのだとお考えになっているか。それもひとつ伺っておきたいのです。  そうして、もう建設省建設大臣もひとつ住宅を放しなさい。あなたは相当力ある政治家と思って期待しております。しかし、このように多元的な住宅行政が行なわれているということになるとどうにもならない。国民は迷惑するのです。だから、さもなければあなたの手元に一手におさめなさい。そうして、そういう数々の異った方針、計画で、融資条件もみんな違うのです。それは違った形でもってその原資を流しているという官僚のなわ張り主義は絶対にこれは避けなければならない。いまこそ日本の宅地政策、住宅政策の面から言って一元化することは絶対に必要であります。したがって、庶民の手に入らない宅地の高騰というものは、住宅供給という面において政府が多元的な住宅政策を持っているというところにも一因があるということを反省しなければならない。もしもそれがどうしてもできなければ総理府に住宅庁でもおつくりなさい。日本の官僚のなわ張り主義というやつは、非常に強固であります。これから提案されるという本・四の架橋の問題にしてもなかなかどうもわれわれ国民の目から見ると話にならぬようなセクトを持っております。あんなものは建設大臣が一人でスポッとやればいい。架橋に対しては鉄道に敷設権をやって通せばいいのであります。そのように庶民を対象にする、国民対象にする住宅政策そのものが多岐多様にわたり何千何万という窓口を持って、おのおの異った原資と異った条件によって国民にそれを提示しているところに大きな原因があるということをお考えになりませんか。これに対するところの、おれは考えてないよ、これはいいじゃないかというお考えなのか。なるほどこれはそうなっていればそのためにもいろいろな悪循環があるのだから何とか考えようという考え方に立つか、その点明確にしてください。  宅地の問題についてはまだこれからたくさん質問ございますが、住宅行政の一元化というものに対しまして、ひとつ信念を御披瀝していいただきい。
  29. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) たいへん鞭撻と激励を受けましたけれども田中先生御指摘のような観点から見れば、そういういろいろのマイナスの面があることも、私も事実と思います。しかし、現実には一つの論理をもって一貫するということだけでなかなかいかないのが、私は政治の問題だと思っております。それぞれの任務、機能、これを持っておるのを一つに全部まとめたならばそれでいいかというと、またそこに一つの問題が出てくるというふうに感ずるのでございます。実は、建設行政に関して、建築のみならず、いま、むしろ国土省を設けて、そうして全体の国土の総合的な高度利用、これをやるべきだという議論は、もうほとんど二十年来続いておるけれども、現実にはこれはなかなかできないのと同じように、住宅政策についても、先生御指摘のような欠陥もありまするけれども、またそれをせざるを得ない実情もこれは無視できないと思います。そういう意味で、それぞれの機能をいかに総合的に一元化するかということが問題であって、官庁を一つにすることでそれが満足させるということは、必ずその問題が残るんじゃないかと思うのでございます。実は、これに直接関係することじゃないことを申し上げてはなはだ恐縮でございまするが、実は鳩山内閣の当時、経済安定本部の機能を、あれではいけない、経済企画庁で総合的な国の経済政策一体化しよう。しかもこれには官僚行政の弊を避けるためにということで、わざわざ民間人として、当時は国会議員にあらざる高碕達之助さんを起用して、そうして大いにやってほしい。高碕先生も、よしひとつやってやろうということでやっていただきましたが、やってみたところが、結局各省からみんなそれぞれの選手が派遣されてどうにもならなかった。そこで高碕さんはとても民間のようなわけにいかぬ、そこでその後経済企画庁長官に、これは鳩山内閣ではなくて岸内閣のときに、当時実力者と自他ともに許された河野一郎さんを持っていっているんです。ところがこれも手をあげちゃった。やっぱりこれは一つの機構だけではできないという経験を、われわれはしておるのでございます。したがいまして、官庁を一つにしたということだけでいくということは、なかなかむずかしい問題でございますが、しかし、田中先生御指摘のように、住宅政策について窓口並びにその実施官庁が非常に多元的で、その間若干の連絡はしているだろうけれども、いまの状況では満足すべきでない状況であることは事実でございますので、十分にその点を配慮いたしまして、関係省庁と協力して住宅政策の一貫的実施に当たりたいと思う次第であります。
  30. 田中一

    田中一君 多元的であるから仮需要が多い、だから地価が上がるのだということに対しては、どういう認識を持っておりますか。
  31. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) そういう傾向は多分にあると思われます。
  32. 田中一

    田中一君 建設大臣は、いま道路行政は一手に握っております。そうして高速道路、あるいは地方道、市町村道も全部一元的に握っておるんです、これは間違いございません。河川行政もそれぞれの一切の問題を握っております。住宅行政だけなぜ握れないのか、一番求めているものは、国民がじかに自分が住むんですから一番求めている。道路や河川は、これは公共施設と見ていいから、それを平等に利用することによって満足いたします。しかし、住宅は自分の生命線のわけです。これがどうして多岐にわかるような行政になったかと申しますと、これはここにおる大ぜいの官僚諸君です。官僚諸君がもっと国民に向かってやろうという気持ちになれば、非常に鳩山内閣以来、安保の当時から非常に苦しんだということもまた解消されるわけなんです。住宅行政に携わっている者がたいしているんじゃないのです。各省にわたってもそれぞれ原資を持っておる。しかし、これは、世界の住宅行政、世界の国々の住宅行政はそんなものではないんです。日本だけの特異な存在なんです。もっとも、昨年アメリカへ行ってみると、アメリカでは役人になるなんて、これは能がなくて力がないから役人になるんだと言っておりました。われわれはもうアメリカじゃ自分の力があって、給料たくさんもらえる者はどんどん産業界に出て自分の腕一本で働けるんだ。賃金が高い。役人というのは仲間でも一番劣等生がなるんだそうであります。そうした日本の官僚というエリートの中で、やっぱりこれは明治初年いわゆる維新革命以来培われた官僚組織というものが、あなたの力をしても抜けなかったというのは、これはもう当然だと思うんです。この諸君が非常に住宅行政というものに対する関心を持つならば、自分自身がやっぱり住宅をほしいという需要者なんです。まあ、今度は三十年つとめてやめたって、一千万程度の金をもらって、宅地と住宅、自分の老後の家は持てないというのがここにおられる将来次官になるような方々のなげきでありますから、その心に触れれば、住宅行政ぐらいは一つになってやるというようなかまえ方が出るんではないかと思うんです。この点はひとつ、大津留君は住宅局長だから、大津留君あたりから主唱して、そういう呼びかけをしたらどうですか。大津留君にひとつこの問題だけ答弁願いたい。
  33. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 私もいわゆる官僚の一人でございまして、非常に先ほどから先生の御指摘を身を小さくして拝聴しておったわけでございます。おっしゃるように、住宅を求める国民立場からいたしますと、役所がいたずらになわ張りを争いまして、そのためにいろいろ手続がめんどうだ。窓口があちこちになるというようなことは、ほんとうにこれは避けなければならないことだと自戒しておるようなわけでございます。先生御承知のように、やはり住宅に投ぜられる資金の資金ソースはいろいろございますから、そういう関係、また先生も御指摘になりましたように、道路とか河川と住宅はいささかやはり性格が異なりますので、そういう関係でなかなかこの一元化ということはむずかしい問題がございます。しかしながら、国の行ないます政策でございますから、大臣が申しましたように統一ある計画のもとに、それぞれ調整をはかりながら進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  34. 田中一

    田中一君 それ以上大津留君には期待しません。ただこの際、もうだんだん時間がなくなってくるんで伺っておきますが、農民自分農地に対する考え方がこれから変貌すると思うんです。先ほど遠藤君が言っているように、ますますあらゆる農業、これはもら建設大臣も言っておりました、あらゆる技術の開発その他でもってだんだんこれは増産される傾向だと。そうなると、その傾向が顕著になればなるほど農民は他に転職をしようと、転換しようという考えを持つわけです。したがって、かつての父祖伝来の土地というような感覚が、ことにいまの若い層にはなくなってくるんじゃないか。土地とはなんだ。土地とは、なるほど私有財産には違いございません。しかし一面、土地はわが国民族共有の領土であることは間違いないのです。したがって、わが国の領土、民族の領土、これに対して最高なる国土計画というものを政府は持つべき義務がある。むろん憲法二十九条にあるように、土地が私有財産だという定義はなくとも、利用の面のみ限定したという考え方を私は持つとするならば、もうこの際、土地が投機的に扱われない——土地が正常な形で民族の最高機関である国家、そうしてこれを行政的に主管しているところ政府が、土地に対する利用の分配等はっきりきめる。したがって、もはや日本土地は領土として国有に移すべきであるという考えを、過去二十年来ずっと私は持ち続けておりまして、そのことをおりに触れて訴えております。党内でも私は訴えております。こういう日本土地は民族の共有の領土であるという考え方を持っている国々はどこにあろうかといって、四十数カ国の憲法を調べてみました。これはもう共産国等は当然であって憲法には何もきめていない。当然であるから何もきめてないです。現在は国有です。この土地が私有財産として、最近の例を見ましても、公共用地として憲法二十九条によるところ国民の基地のためには使うんだといって収用する場合には、常に問題になっているのは第三国人が所有している土地であります。世界日本ぐらい領土を切り売りをしている国はないのであります。むろんこれは日本国内から持ち去ることはできません。日本の領土の中にある土地でありますから、日本の憲法に服するのは当然であります。フィリピンですら戦後、もう土地は外国人に持たせないということを宣言しておりました。私は二十六年にフィリピンを訪問したときに、はっきりと大統領はいろんな話の末に言っておりました。日本はもう開放地区だそうであります。土地がやたらに第三国人の手に移る。そうすると、ことばがわかろうがわかるまいが、自分に不利なことは全部拒否して公共事業をおくらしているというこの事実というものを、あなたも御存じのはずです。全日本的なものです。どの地区でもそうです。したがって、もうこの段階農民農地に執着する、父祖伝来の土地だといってこれに対しては最後まで抵抗する。抵抗するのは何かといえば、抵抗すれば金が第三国人並みにふえるからであります。第一の問題として、土地の国有について、もう真剣に国土保全の利用の一番強い関係を持つところ建設大臣は、その方向検討する意思はないかどうか。かつて予算委員会だか何だかでもって総理に一ぺん聞いたことがあります。まだその段階じゃないと言われた。しかしあなたは違う。あなたは若くして満州国に渡り、満州革命に参加し、新しい国家をつくっているんだ。ここであなたの一つのいろんなものを具現しようとして、事成らずしてお帰りになった方です。非常にあなた自身の持っているものは別の感覚を持っていると思います。だから、この際ひとつ建設大臣として、それをいまここでどうする、こうすると言えぬでしょうが、その方向検討は当然すべきである。直接ある問題は、国土を、あらゆる面をあなたが主管している立場から、国土保全の義務がある。三国人に対するところ所有権等だけは何らかの立法措置をとるというような考え方方向づけられないかどうか。むろんアメリカは安保条約によって所有はしておりませんけれども日本国土全般はアメリカの軍事活動ができるのだということになっておりますから、これはむろん私はいちはやく撤退してほしいのでありますが、これはあなたには答弁を求めません。しかし、アメリカを含める三国人がこれからどしどしと資本の自由化等によって日本に攻め寄せてまいります。その場合にそういうことが野方図に行なわれるということになりますと、われわれ民族は非常な迷惑をする。そうして公共事業等の執行に障害を与えられますから、この点についての所見を伺っておきます。
  35. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 土地国有制度を実現すべきである、これに対する私の所見を問われたのでありますが、これは現行の憲法上も、それはいままでの国民の長い土地に対する所有欲、こういうものからして、にわかに法律をもって国有に全部取り上げるということは、これは非常にむずかしいことだと思います。ただしかし、土地というものをなるべく公的所有に移すということは、私は賛成なんです。たとえば欧米の自治体、たとえばパリでも、あるいは西ベルリンにしても、あるいはワシントンにしても、ロンドンにしても、相当広範囲の公有地を持っているわけでございます。それによって都市改造なりいろいろの自治体の措置ができるようにしたものがある。これはやはり向こうのほうはシティから発達して、そうしてそちらのほうが優先的に土地を持つことが民族的な一つの慣習として持たれておったために、あると思います。日本でも、古くはいまの部落有地なりあるいは公有地が相当ありましたが、明治以後、だんだんこれが分割されて、少なくなってきた。それから御承知のように、日本においても明治維新のときに旧藩あるいは徳川が持っておったものは国有地にしたことがあります。むしろ、これをだんだん開放しておるというところにかなりの土地問題に対する歴史的な私は回顧をして、反省すべきだと思うくらいでございます。したがいまして、今後、地方自治体なり国が、できるだけ機会を得て、国有並びに公有地をふやすべきだということについては、私は全く賛成です。私もその意味において土地基金制度を活用して、今度の農地転用等においても、できるだけ公有地をふやすべきだ。それから国の持っておる国有地は原則として民間に払い下げるべきではないという私は考えを持っておるのでございます。その点では田中先生と全く同じでありますが、これを今度現在の土地全部を国有にするということは、これはちょっと現在の段階では私は行なうことが不可能であり、それをやることによって起こるところの摩擦のほうがむしろ大きいのではないかと考える次第でございます。  その次に、第三国人による土地の取得の問題についてでございまするが、これは外国人土地法あるいは外国人の財産取得に関する政令によって法律上あるいは行政的にもこれが制限できることにはなっておりまするが、実質にはこうした立法並びに行政措置といえども相互主義をとっているために、たとえばアメリカなりイギリスなりフランスなりにおいて日本人の土地取得ができることを条約上許されておるところはやはりこれは認める。こういう観点になっておりまするために、実質上はほとんど制約ができないというのが現状だと思います。その点で田中先生御指摘のような事態がありまして、特に第三国人の中にも特定の方方が特に土地日本においてはあらゆる投資よりも有利であると、これが非常に経済的な合理性をこえた利益があがるということで、これに非常に集中的に土地取得に狂奔しておるという事実も確かにあるように聞いております。これに対して何らかの立法措置を講ずべきであるというお考えもありまするが、これは外国人についてすでに一応の法律があるけれども、それが相互主義でこうなっているときに、さらに特例法を設けて、ある特定の国の国民に対して制限するということは、これは非常に外交上も大きな問題が出てくるようにも考えます。そこで、これはできるだけそうした立法措置によらずして、そういう弊害をなくするということが望ましいことだと思うのです。そこでこの中には先ほど宅地問題でいろいろ御論議があった中にありましたように、これは税制上相当部分——税制上の私は運営並びに税制上の欠陥がこういうふうになっておるようにも思われまするので、その面における税制をすることがまず第一着ではなかろうか、と考えて曲る次第でございます。
  36. 田中一

    田中一君 土地の国有の問題については、新しく所有権というものに置きかえて利用権というものを与えればいいのです。土地日本の領土であるから領土としてこれは文句ないのであります。国民みんな納得します。地上権という価値に、所有権という価値に見合う利用権を与えればいいのであります。これは教育の問題であります、観念の問題であります。そこまでの民族的な意識を持たなければ、いまのような現象が起こるのです。したがって第三国人が、あなた言っているように外国との協定があるとか、外国と相互取引ですね、結局、があるとか言うけれども日本がそういう制度をきめても一向差しつかえない、住むこともできれば、土地を利用して生産活動もできるのでありますから。ことに国有はできない、公有ならいいと、これはヨーロッパの国々が全部都市国家なんです、都市が中心になって発達した国々なんであります。都市国家以外の農地農民というものは奴隷なんです。エリートは市民なんです。これはもう西洋史を読んでもそういうことは随所に出ております。だからいわゆる公有というのは行なわれておるのでありますけれども、これはやはり国有に違いないのです。フランス革命史を読んでも、その点は如実にどこにも出てきます。私の言っておるのは、国が買えというのじゃなくして、利用権というものを新しく所有権というものに変わって置くならば、現在と同じような土地に対する対価、土地に対する評価、土地に対する価値というものを置きかえれば決して国民は反対しない。そこまでいかなければ、口には民主主義を唱えながら非常に大きな間違いをおかしておるのだ、日本土地の国有を宣言する、諸外国がこれに対して反対するか。同じように利用権というものをそれぞれの所有者に与えるならば何も反対するものじゃございません。問題はわれわれが伝統的に持っておるところの維新革命以来の郷愁です、ノスタルジアですよ。これはいまのような農地に対する、農民所有権に対するところの郷愁がなくなる時期、なくなろうとする時期、この時期こそ一番正しい機会ではなかろうかと思うのです。これはむろん、われわれの党内でもいろいろ論議をいたしましたけれども、どうも私の意見が通らなかったのです。これは保守も革新もございません。国民のしあわせのためにはしなければならない問題なんです。こういう点について、ここで結論というか、御答弁は得られませんけれども、十分に考えられんことを希望します。  それから、あと住宅産業についての建築材料の問題についてちょっと伺いたいんですよ。これは山下化学工業局長、どこかの委員会に出るそうでありますから伺っておきますが、規格材料としてJISをお持ちです。農林省はJASを持っております。そこで、そういう材料が、国が法律によってこれを規格品としてきめておりながら、この製造を各メーカーがしておらないで、規格外の品物をつくって自由販売できるという、この盲点を何とかならないものであろうかということなんです。規格検定はございます。しかしそのメーカーがそれをつくらない。つくらないで規格外の品物をつくってそれが流通している。あるいは格づけがはずれたものが自由に横行しているのです。これは農林省関係の合板にもありますし、また通産省関係の各部品も数々あります。このJIS、JASに対する一つの考え方説明しておいていただきたい。記録に残しておきたいのです、これは。
  37. 山下英明

    政府委員(山下英明君) 工業製品の規格につきましては、できるだけ合理的な規格のものをつくってもらおうという法律の趣旨でございまして、規格をきめてそれを公示しまして、それからもう一つ、その規格を使う人にはJISマークをつけてよろしいという法律の構成になっております。工業製品の規格一般法律的な強制力はございませんので、いま御指摘の一端にありました隔靴掻痒の感はございます。住宅産業関係の規格につきましては、現在建設省とも協議して、五年計画で完備していきたいという過程にございます。
  38. 田中一

    田中一君 農林省だれか答弁する者いないか。
  39. 岡安誠

    説明員岡安誠君) 直接の担当ではございませんけれども申し上げますが、JASにつきましてもJISと同じような形でもって指導いたしておりますが、特に木材、合板等につきましては、従来の慣行等がございまして、なかなかJAS規格というものが守られないといいますか、規格外品が出回るという事態がたくさんございます。私ども需要に見合ったといいますか、需要がだんだん規格化されていく方向に沿いまして、JASの順守といいますか、そのほうは指導してやっていきたい、かように思っております。
  40. 田中一

    田中一君 まだあるのですが、次の機会に譲りますが、住宅産業に関する通産省の現在まで行なっている行政ですね、これはひとつ詳しく何か刷りもので委員会に出していただきたいと思うのです。それからJISの問題についても、事実、格づけをしても、それをメーカーがつくらないという品物もあるのです。そういうものがどういうものなのか、一般のわれわれ国民が——住宅関係についてだけ言います、国民が常に触れておるものであって、規格外品だけが使用されておるというものがあります。そういうものを間違いないように国民に知らしめるために、ひとつ資料を次の委員会に出していただきたい。  それから農林省関係もひとつ伝えていただきたいのですが、合板等が相当よくなっておりますが、まだまだ毒ガスを出すような製品が見受けられますが、この品物の防毒に対する傾向としてどういう方向にいくかという点も、何か書類でひとつ委員会にもお出し願いたいと思います。そうして、かまいませんからどの品物がどうだと書いても差しつかえありません。悪用も善用もいたしませんから、国民に知らせなければならない、そういう意味でひとつお出し願いたいと思います。  あとの質問は次回に譲ります。
  41. 大和与一

    委員長大和与一君) 承知いたしました。  午前中の質疑は、以上で終わります。再開は十二時五十分。  暫時休憩いたします。   午後零時十六分休憩      —————・—————    午後一時一分開会
  42. 大和与一

    委員長大和与一君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  午前に引き続き、調査議題として質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  43. 宮崎正義

    宮崎正義君 今六十三国会における建設行政の基本施策に関する大臣の所信表明を拝見いたしまして、大臣のおっしゃる、「急速な経済成長と対比して社会資本の立ちおくれは、諸種の問題を惹起しており、社会資本の大幅な整備拡充は、いまや最重要かつ緊迫した国民的課題となっております。」云々といきまして、「新しい時代の要請を的確に把握し、周到な準備のもとに、従来の観念を脱却した新たな方策を打ち出すことも必要であると考えます。」、大臣はこうおっしゃっておられますけれども、「従来の観念を脱却した」ということについて、この大臣の期せられた施策方針というものが相当この中に含まれているのじゃないかという面と、「新たな方策を打ち出すことも必要である」ということの二つのことについて、大臣の所信を伺っておきたいと思います。
  44. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御指摘のように、現在経済社会の急速な発展に伴いまして、国土の利用の状況が非常に従来と著しく変わってまいりました。地方においては非常なスピードの過疎現象とか、都市におきましては非常な産業人口の集中があり、これに伴いまして御承知のような公害がたいへん著しくなり、都会に住んでおることが、従来は文化的なかつ豊かな生活を保障されておったのが、逆に人間生活そのものがだいぶ阻害されてきている、こういう状況に対処して、われわれ建設行政をやらなければならない、こう思う次第でございます。そういう観点からするときに、これは非常に多くの資金が要るのでございます。これを全部公的資金、端的に申し上げまするならば、国民からいただいた税金でこれを全部解決するということは、とうてい不可能であるのみならず、時間的にも非常にこれはおくれると思われるのでございます。  そこで私は、国民の経済がこれほど伸びて、特に民間の企業が創造力あるいは資金的な面においても相当充実してまいりましたので、社会資本の充実を従来は税金だけでやろうという考えが強かったのを、むしろ民間の資金を活用あるいは民間の創造力をこの社会資本の立ちおくれに参加していただくということが、まず第一点でございます。  これは具体的に申し上げますれば、道路、道路につきましては近くまた御審議願うことになっておる地方道路公社法等をつくりまして、地方自治体が民間資金を活用することによって相当大幅な道路改造をやっていただいて、その資金を有料道路とすることによって調達できる道を開くということも一つでございます。  それからまた、住宅政策等において、これは公的資金のほか農民の方々によるみずからの手で土地の区画整理等をしていただいて、農林資金をもって賃貸あるいは分譲住宅をつくることに参加していただく、これに対して政府がいろいろの助成、誘導するということも一つでございます。  それからもう一つは、従来、都市計画税並びに固定資産税の制度がありましたけれども、これの弾力的な運営が必ずしも適切に行なわれていない。そのために山林や農地を財産造成のために売り惜しみするということがむしろ普通の状況になって、そのために、少数のそうした人は利益を受けるけれども、多数の人々が恩恵にあげからない。むしろそうした社会資本の立ちおくれを助長しておるから、これらの弾力的な運営を関係各省で大いに協力してやるべきだ。あるいはまた、従来は公共用地取得にあたりまして、ほとんど原則として土地収用権は発動していない、話し合いでやっていく。これもけっこうなことでございまするが、そのためにごね得というものがかなり出てきておる。そうして政府予算をつけて公共事業を進めれば進めるほど土地の付加価値を高めて、そうして国家が投資したことが国家に戻ってこない。そうして次には公共事業の中で占める補償並びに用地費が非常に高くなっている。こういうことではいけませんので、国民全体の御理解のもとに土地収用法等をもっと積極的に活用していくというような諸般の方法を、従来あまりとられてないことも大いにやるべきじゃないか、こういうことを一応内容とするものでございます。
  45. 宮崎正義

    宮崎正義君 いま大臣のお話のありましたことは、就任をされたときのお話、それから新年の初頭にあたりましての談話、また最近におきます大学教授等の対談等で、大臣のいまおっしゃったことは私どもは知っております。したがいまして、これからそれをどういうふうに具現をしていくか、実施をしていくか、これが何よりも肝心なことであります。  そこで、いま回答をしていただきました、国民経済が伸びているというお話もございましたけれども、総生産の面では世界第二位とも言われます。また個人の所得からいけば世界の二十一位と言われています。こういう面から高度経済成長の陰にこうした状態が出ておるわけです。決して、私はその国民経済ひとりがこうだというふうな伸びはない、こういうふうに思うんですが、こういう点から考えまして、民間依存というような点もこれはいささか考えるべきじゃないか。こういうふうに思うわけですが、この点について御所見を伺っておきたいと思います。
  46. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 国民生産と個人当たりの所得との問題でありますが、これは議論すればいろいろの見方がございます。御承知のようは、人口が非常に少なく、非常な資源の恵まれているところでは、非常に算術計算すれば多いことになりまするが、たいていそういうところは土侯とか特殊の人間が絶対的な富を持って、大部分の者は貧困である、こういう国もございます。それから、人口一千万以上の国民について見た場合、あるいは五千万以上をとってみた場合において、いろいろ順位が違うわけでございますが、これはさておきまして、いま御指摘になりましたことは民間の力に依存するということであっても、現在は国民所得一人当たりから見れば必ずしも上昇していない。生活においてかなりきびしい状況下にある。それなのにもかかわらず、民間資金を活用するということは少し考慮すべきじゃないか、こういう御議論でございますけれども、私は民間資金活用ということは、平均的にサラリーマンからもそういうお金を出して協力していただきたいということではないわけです。たとえば、具体的に地方道路公社等をつくるという構想が、現在非常に経過地点における都市において道路事業が非常に多くなっております。たとえば具体的豊言えば埼玉県、群馬、あるいは神奈川県とか静岡県、こういうところの道路は、その県内のドライバーや輸送機関によってやられるよりも、遠くからくる人がどっと来て、そのために非常に道路が梗塞状況になっておる。それを従来の道路政策でいきますというと、なかなかそこまで配分ができない。地方自体の財源がない。そういうときにあたりまして地方道路公社法を成立さしていただきまして、それで地方自治体が中心になってそういう道路をつくる場合、たとえば国道バイパスのようなものでも、その機構を持ってやらせるということになりますれば十分ペイするのみならず、地元においてはそれに関連した仕事もやりつつ道路ができまするので、従来のように政府施策だけでやるよりはずっとずっと道路の改造が大幅にこれができて、しかも一般国民にはそれほどの負担がなくていける、こういうようなことは私は可能だと思うのでございます。  それからもう一つ住宅問題で申し上げますれば、現在相当の企業が増収、増配をいたしておる状況でございます。これはまあ相当続くそうでございます。ところが、従来の企業が主として賃金を上げる。また、労働組合も賃金を獲得することに集中しておったのでありまするが、むしろそういう企業にかなりの力がございますので、会社自身が持ち家政策をやる、あるいは社宅をもっと増強する。こういうようなことをしていただきますれば、これに対する税制上の優遇、必要とありますれば財投をこれにつぎ込むということによりまして、相当程度の私は住宅が供給されることができる。幸いにして、企業自体もこのごろの労働状況から見て、できるだけ安定した労働力を確保したいということで、その意欲も出てきておるし、最近では総評自身においても住宅問題を取り上げておる。こういうことになりますれば、この面からもこの方法がとられる。それからもう一つは、サラリーマンの中級以上になりますというと、非常に持ち家を要望してきておる。ところが現在の状況ではなかなかむずかしいんですけれども、住宅ローンに対して住宅金融保険制度が、これが相当強化されてまいりますれば、一般市中銀行も相当程度安心して相当の金融ができる。こういうことになりますれば、その方面における余裕が、今度は政府公的資金によるところの住宅は低所得者あるいは非常に都市で困っている人たちに重点的にゆける、こういうようなことが、まあくふうすればいろいろあるだろうと思うんでございます。そういう意味において、私は宮崎さんが御心配になっていることは一般的に言えることでありますけれども、その間においてもまだまだ活用すべき面があるのではないか、こう考えておる次第でございます。
  47. 宮崎正義

    宮崎正義君 時間の関係等で、いま大臣の御答弁にありました中から数点あげて話し合いを進めていかなければならない点もありますけれども、まず第一に都市問題を大臣も取り上げておられます。この点から伺ってまいりたいと思います。  申し上げるまでもなく、六〇年代は大体論議と計画に明け暮れたような感じを私は持つわけです。そこで、有効的な政策のほとんど実行されてきてなかったようにも考えられる。その結果は、建設白書においても政府みずからが認めているように、大都市周辺では市街地が無秩序に広がっていく。工場、事業所、住居等が混雑した密集市街地が形成される。また既成市街地では、不良住宅が密集したスラム街が至るところにできてきている。さらにそれに加えて、それらの問題等で日照権問題やプライバシーの侵害といったような社会問題を引き起こしている面もある。都市における生活環境はますます私は悪化してきている、このようにも思うわけであります。  先ほど大臣からお話がありましたように、公害問題も、大気の汚染とかあるいは水質の汚濁だとか、騒音、地盤沈下、交通の渋滞とか、あるいはまた交通戦争とも言われております通勤難、あるいは住宅難等の都市公害が市民生活を非常にむしばんでいっている。この状態をずっと考えますと、何となく破壊へと導かれていくようなきらいがある。特に都市の過密は公園、緑地の総体的な減少を非常に招いてきている。さらには子供の遊び場を奪っていっている。「こんにちは奥さん」というテレビの番組がありますが、きょうもその遊び場のこと等で問題が出ておったようであります。昔は表に出ていっても、まりつきもまたまりほうりもできた。いまは自分のうちの中にいなければならぬ。こういうようなことを考えてみますと、あすの日本をになっていく青少年の体力や運動能力、これがスポーツがあるから低下しないだろうという面もあると思いますけれども、全体的には「もやしっ子」と言われるようないやなことばでありますけれども、肥満児が生じてきたり、あるいはまた痛ましい児童の交通事故がどんどん激増している。また、悪い面では、シンナー遊びに見られるように、不良化の結果、青少年犯罪がこれはもうますますふえていっている。こうして考えてみますと、日本民族の将来というもの、これは容易なことじゃない。これらの発生を見ていって、都市問題の解決が私は七〇年に入るこれからの日本を形成する緊迫の問題だと言わなければならないと思うのであります。大臣の所信表明にも、昨年の六月実施された新都市計画法に基づき、全国都市で市街化区域の設定と都市計画の策定が進んでおると、こう言われておるわけでありますが、じゃどのようなことが今日において実施されてきているのか、こういう現況下の中にあってどういう実施面を今日までやってきたか、それからそれに対する将来の考え方見通し、その具体的な計画、そういうものを知らしていただきたいと思います。
  48. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) いま宮崎さん御指摘のとおり、都市生活関係あるいは経済の生産関係など非常にデメリットになってきているという状況でございます。これに対してどういうふうな措置を講ずべきであり、また講じてきたかということを言われておるわけでありますが、これは総体的に申し上げまして、単に過密になっておる都市そのものを再開発するだけでは、これは実際上非常に経済的に見ても非能率であり、かつこれを阻止することはほとんど不可能なような状況になってきている、こう判断せざるを得ないと思うわけであります。したがいまして、この問題を基本的に解決するためには、まず第一に全国国土並びに資源をどう活用するかということに前提条件を置かなければならないと思うわけでございます。その意味において、いわゆる新全総、これを改定をしたということでございます。従来、わが国におきましては、いわゆる近代経済学者というか、数量経済学者の諸君見通し、あるいはまた都市工学を専門にしておる諸君の意見は、現在は都市化の時代である。好むと好まざるとにかかわらず、これは都市に人口が集中的に集まってきている、地方はだんだんと過疎化していくということは、日本のみならず世界の趨勢である、その観点に立って諸般の政策をやるべきだというのが、従来わが国で非常に支配的であったわけであります。そのところから出てきたのがいわゆる太平洋メガロポリスとか、あるいは瀬戸内海、東海道ベルト構想とかということが、いかにもこれが日本国土開発の一つのきめ手のごとく言われてきたのでありますが、それは経済の自然のままに放置した場合ということの未来に対する展望だけでありまして、そこに政策的な意欲あるいは人間幸福感という面から見て必ずしも妥当でない。そこで、全国総合開発計画を再検討して、むしろ日本のように四面海に囲まれて、立地条件もそれほど多く変わっていないところは、むしろ社会資本を合理的に投資することによって過密過疎が相当緩和されるのみならず、国土並びに資源全体を総合的に活用でき、それによって人間の幸福もさらによりよく確保されるであろうというところで新全総をつくったわけでございます。この新全総をつくると同時に、いま御指摘のように、新都市計画法あるいは都市開発法というような立法的措置をも講じまして、これによっていま先生御指摘のような問題を総合的にこれは取り組もうというのが、今日の姿勢でございます。したがいまして、ほんの現実においては端緒についたということが実際でございましょう。したがって、今後こそこの問題に意欲的にこれは取り組まなければならないし、また国民の合意を得て、国民もまたそうしたものに未来の日本に希望を持つように協力してもらわなければならないと思う次第でございます。具体的な点は一つ一つ御質問があるようでございますから、それに対応して御説明申し上げたいと存じます。
  49. 宮崎正義

    宮崎正義君 いま大臣が言われましたように、新全総の計画では、大体昭和六十年には日本列島の全体が都市社会に変わっていく、そして全人口の八割が都市に住んでいるようになる。そして市街地面積は現在の二倍の九十四万ヘクタールとなるような予想をされているということも伺っております。そこでいま新たに成立した都市開発法に基づいて積極的な高度利用地区を設定するというふうに、指定するとか言われておりますけれども、その高度利用地区の指定地をどういうふうにあげているか、この点を少し詳細に聞きたいと思います。
  50. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) 高度利用地区は、次のような地区を対象にしてできる限り積極的に指定する方針でございます。その一つは、枢要な商業地、業務地または高密度の住宅地として高度に土地利用をはかるべき地区で、現在土地利用度が著しく低い地区。二番目といたしましては、市街地再開発事業や街路の整備等に関連して市街地の改造を行なう事業が計画されている地区。三番目といたしましては、土地の細分化や公共施設の不備等のために土地利用状況が著しく不健全な地区で、都市環境の改善上または災害の防止上土地の高度利用をはかるべき地区。こういうような地区を指定する方針でございまして、一切の指定にあたりましては、この規制内容が最低限を押えるというきびしい規制でございまして、住民の権利に重大な影響を与えるという点も考えまして、再開発実施の可能性が相当あるところ、あるいは建築の不燃化ということが相当進んでいるような地区につきまして、全体計画を立てた上で、そういう実施の見通しに基づいて段階的な指定も行なっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  51. 宮崎正義

    宮崎正義君 ですからいま段階的に考えられている内容を少し伺いたいのです。
  52. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) 現在高度利用地区をかけようといたしておりますのは、今年度再開発事業を行ないます小樽、桑名・大阪の阿倍野、宝塚といったようなところにつきまして高度利用地区の指定をいたしませんと、再開発事業はできないという面もございまして、これにつきまして高度利用の地区を指定をいたそうとしております。それから、東京その他の都市につきましては、全体計画の構想をいま練っている段階でございます。
  53. 宮崎正義

    宮崎正義君 この高度利用地区の名前がいま幾つかあがりましたけれども、それぞれの土地相当な問題がかもされているから、この地区を指定されているわけでありますが、そうした中でも、また地域の住民の方々に個々の相当な問題があって、非常に困難なことが予想されてまいります。こういう点も踏んまえてのことだと思うのでありますが、いずれにいたしましても、大臣の言われたとおり、この新しい都市開発法のいき方、これの具現化といいますか、それらを、今年のうちの実績を私は期待しておりますけれども、いずれにしましても、これらに触れていきまするには、地方の公共団体及び市街地再開発組合等による市街地の計画的な再開発の具体的なことが当然出てこなければならぬ。それらについて、もうちょっと、たとえば小樽とかいうようなことについて、どんなふうに進められていこうとしているのか、伺っておきたいと思います。
  54. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) 先ほど申し上げましたように、四十四年度は四地区事業に着手するということでございまして、四十五年度の予算におきましては、公共団体施行といたしまして新たに十地区を取り上げております。それから、それらが公共団体施行でございますが、市街地再開発組合施行によるものを九地区取り上げているわけでございます。  で、今年度の小樽以下の四地区につきましては、都市計画審議会で高度利用地区並びに再開発事業の都市計画の審議を、小樽につきましては済みまして、決定告示を本年の二月に行なったはずでございます。それから桑名につきましても同様、本年の二月下旬に決定告示を行なったはずでございます。宝塚につきましては、二月下旬に都市計画審議会をいたしまして、本年の三月に決定告示をいたすという段階になっております。  これで都市計画がきまりますと、これに基づいて事業決定がなされ、そして本格的な事業に着手する、こういう段階になってくると思います。
  55. 宮崎正義

    宮崎正義君 先ほど大臣の言われた新全総の開発については、大臣も四回も五回も改定要求をされながら今日の形勢をつくっていかれたというふうにも聞いております。そういう面から考えまして、都市過密と都市過大問題、これらについて大臣考え方、これを伺っておきたいと思います。
  56. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 東京は御承知のように世界一の人口を擁しておりまするけれども都市学者その他海外の人から言わせますれば、これは都市じゃないと、巨大なるいなかであると酷評も受けたのです。実は都市機能を充足するための条件が非常におくれている状況でございます。たとえば地下鉄にいたしましても、ようやくこのごろ少し出てきましたけれども、しかしこれを地下鉄で通勤の人々を十分に輸送するようにすると巨大な金がかかります。現在一キロ五十億ちょっと、五十億をこすということになりますと、これは経済的な観点からも非常に非能率でございます。それからまた通勤の路面電車をつくるにしても一キロたしか十六億くらいかかる、これに今度は下水その他のものをやりますというと、いわゆるシビルミニマムとかいって都市最小の機能を満足させるためにもたいへんな金がかかる。しかも依然として公害の除去はできない。こういうことになりますれば、むしろそれらの金を使うつもりで首都圏の適当なる場所に、それに該当するくらいの投資をすれば、よりよき環境がより広範に機能的なものができるというふうに考えられるわけでございます。したがって、もちろん東京都心が当面しているいろいろの矛盾を解決することも必要でありまするが、一方においてはさらにこれに集中することを防いで、そうしてバランスのとれた地域開発をするということになりますれば、やはり首都圏内の適当なところにそれぞれ相当都市機能を充足したところの新たなる拠点をつくるということのほうが、全体としてこれは効率的であり、人間生活の安定もできる、こういうふうに思われまして、宮崎先生も御承知のように、実は首都圏内に大体三つか四つの拠点をつくって、そこに国家資金と地方自治体あるいは産業方面の協力を得て、一つの核的な都市構造をつくっていくということで、いまその検討をいたしておる段階でございます。
  57. 宮崎正義

    宮崎正義君 お話しの過密化の進展に伴って大都市対策課題の方針がいま大臣の話の中にちょっとうかがえましたのですが、多角分散型といいますか、それらの構想等も伺っておりますけれども、結局東京圏という一つの圏の課題、あるいはそれをさらに関東圏とかあるいはブロックをさらに日本全体を八つくらいに分けての関西圏だとかあるいは中国圏だとかいったような、九州とか、そういった一つの大きな多角分散型を将来見込まれるのかどうか、この点伺っておきたいと思います。
  58. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 現在大体三つ——何と申しますか、たとえば首都圏、中部圏あるいは近畿圏というものができておりますが、それだけではこれはとてもできるものじゃないと思います。むしろ現在の過疎、過密の問題を解決しつつ水資源あるいはまた人間生活環境の合理化という点からいたしますれば、もっと細分して核都市を育てていかなければならない。これが建設省で主唱しておるところの広域生活圏の構想がそこから実は出てきておるのでございます。九州等においてもまあ大体その県庁所在地やそれに次ぐ程度の核都市都市機能を持たせつつ、それに連結するところの、近隣するところの農村、漁村をも含めてこれに道路網をつくっていく。さらにその核都市には工業団地なり、そうしたものが立地し、かつまた学校教育機関等といったようなものがここに立地するということになりますれば、これは相当の範囲にわたって産業と文化がバランスのとれた形でそこに立地することになりますれば、他の産業も、それから人口もそこに定着するということになるんです。現在の都市に過密現象が起こるのは、経済的理由のほかに、相当私は文化的な欲求の充足がないために非常な都市集中が行なわれる傾向があると思うのです。特に、生活水準が高くなればなるほど、そういう傾向が強くなる。そういう観点からしますれば、首都圏とか近畿圏とか中部圏だけできて、これで都市問題が解決したとはとうていいえないのであって、もっときめのこまかな都市機能を地方に持たせ、それと農村、漁村と結びつけるということが私は、先生が先ほど指摘された、七〇年代あるいは二十一世紀に対する現代の課題ではなかろうかと考えておる次第でございます。
  59. 宮崎正義

    宮崎正義君 私の申し上げたのは、お話のありましたように、首都圏というか大きな圏をやっていくという構想をさらに縮めていって、中央集権というような形を考えていきますと、下のほうから、いま大臣も言われたように、これはもちろん私賛成ですが、その固めをしながら圏の形が、核大なり、それから中央ということに考えられていいんじゃなかろうかというふうなことであれば、あらかじめ八つくらいに日本全国を圏を分けてみて、そして考え方を細分化していって進めたらどうか、こういうふうに考えていたわけであります。いずれにいたしましても、非常に法律はどっさりあります。午前中の大臣の御答弁の中にも、国土省設定云々という話もあるけれども、ということもありましたけれども、この際、国土省の設定をして、全体を含めた再開発法だとか都市計画法だとか国土開発法だとか、いろいろ新全総の考え方の中にも大きなまとまりの一つの考え方というものをしぼっていく、そういう国土省のあり方なんかは考えていっていいんじゃないか、こう私は思うわけであります。どうでございましょう。
  60. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 私もかつて党におるとき、だいぶこれを推進するために努力してみたのでございます。ところが、午前中にお話申し上げましたように、これは日本の行政機構というものが非常に定着しておって、これを解体してそれをやるということになると、たいへんな実は困難が現実に伴います。理論的には私はそうあるべきだと思う。ところが現実にはこれにはほとんど手をつけられないために、御承知のように、臨時行政調査会においても、この問題だけはそこまで踏み切れなかったようでございます。私は実は昨年、佐藤一郎さん並びに臨調の委員をしておった有力者の方々と財界の諸君が私に会いたいということで、会いました。そのときに、この問題じゃない、実は行政機構を思い切ってやれということを盛んに言われたときに、私はこういうことを言ったものです。あなた方は一般論としてはそういうふうに、行政機構を簡素化ぜい簡素化ぜいと言うけれども、現実にやろうとするとどうも違った動きをしているじゃないか。実は私は鳩山内閣の官房長官をしておったときに、鳩山内閣の手で行政機構の抜本的改革をやるために実は大蔵省の予算編成権を内閣が持つべきであって、大蔵省はその方針に従って事務的処置をすべきだという政治的な決断をするためにその準備をした。ところがそのときにあたって、もう財界や各方面のまっこうからの反対を受けまして、これは実現できなかったのです。それで特に産業界の方面におきましては、一般的には行政機構を簡素化せい、一元化せいということになるけれども、しからば、具体的にここで、はなはだ例がいいか悪いかわからぬが、申し上げるが、たとえば、いま重工業局を、これを廃止して別のものと一緒にするということになるとどうなるか。重工業関係の企業は全部反対する、もうあらゆる工業が立地しているところ都市からも反対が起きるということで、一般に言って一般論、総論に対してはみんな賛成だけれども、各論になるとみんな反対するということが実はもうきっとある、ということを申したのであります。実際に行政機構の改革ということをずいぶんやるために、私自身も試みて二十数年間そのときどきやってみたけれども、なかなかこれはむずかしいので、そこでいまわれわれが考えているのは、それをそれぞれの官庁においてセクショナリズムを越えて総合協力体制をつくることをもう現実的にする以外にないというのが現状だと思います。しかし、これはだんだん国民の合意とたゆまざる努力によって漸次これが解消していかなければならない、こう思う次第でございます。
  61. 宮崎正義

    宮崎正義君 午前中に田中委員のほうから一元化というお話もありましたので、これ以上私は申し上げませんけれども、一つの端的な例をとってみますと、たとえば国定公園になっているところで、魚なら魚を養殖したいという、それでその水を引いて一つの槽をつくってそこでやりたいということとでその槽をつくるのには、どことどことどこに許可を得なければそれができないということがある。国民の側から言わせれば、政府という窓口に行けば通産省も農林省も、あるいは建設省も運輸省も厚生省も通らないで行けるものだと単純な考え方をして入って行くわけであります。訪ねて行くわけであります。そうしますと、行きますと、あっちへ行けこっちへ行け、あっちへ行けと言われて戸惑っているというのが今日の偽らざる国民の気持ちだと思うのです。そういう意味から考えましても、これは一元化をしていきながら、国民大衆の生活に密着しているようなものは、早くそういうものはまとめていって、一つの窓口で済むようないき方を考えていくことが、大きくしたらば国土省というような形に私はなるのじゃないか、こう思うわけであります。  この問題はこのくらいにいたしておきまして、この都市問題につきましてはこれはもう世界各国とも相当悩みの種になっております。ニクソン大統領も年頭教書におきまして暴力がはびこり、荒廃した巨大都市の中心地域は、今日の米国国民生活上最も欠陥の目立つ分野である、ということを述べられておるということです。また、連邦政府は新都市建設と旧都市の改造に最大限の助力を与える、このような決意も明らかにしておるようでございまして、また、清い空気、清い水、広い空間の確保はいま直ちに対策を講ずるならば可能である。国民にこれらを約束して百億ドルにのぼる全国の河川浄化計画提案しておるということも聞いております。一方、また御承知のように、イギリスでは霧の都ロンドンで政府施策よろしきを得て青空が顔を出し、テームズ川で魚が釣れるようになったとこれは報ぜられておりますし、テレビ等でもこの実際の様相を画面に写しております。これらの諸外国の政治担当者の方々は思い切った措置をやっておられるわけでありますが、佐藤内閣がとってきました都市問題の解決に対する姿勢は、私は少し弱いのではないか。少しどころではない、弱いといえば弱い。私はまたアメリカのまねをしろとかイギリスのものをまねろとか言うものではございませんけれども、わが国のこの河川浄化計画ぐらいは、そういう観点の上に立ってつくるべきではなかろうかと、こう思うわけですが、その計画性について伺っておきたいと思います。
  62. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御指摘のとおりでございます。水の問題一つとりましても建設省の権限、通産省は工業用水でこれに関連する、厚生省は上水道といろいろの権限が錯綜しておる、農林省も慣行水利権等、実は私がいまから約十年ばかり前に党内にこの権限調整と任務分担のために水に対する特別委員会を設けられまして、私に農林の経験があり、建設経験があるからやれということでありまして、たいへんに実は各省のセクショナリズム、それから地方における慣行水利権とそれから水源地帯と下流地帯、地域利己主義と申しますか、これが錯綜しておりましてなかなかむずかしかったのでありますが、ザル法といわれますけれども、水の三法をようやくそこでつくり、体制をつくり、またいまの水資源開発公団もつくったのでございますけれども、これは私は官庁側と同時に国民の合意を得なければ、せっかくのやれる立法が実は国民の権利を剥奪するのだとか、いろいろの誤解のもとにトラブルが起こるようなんでございます。最近に至りまして、ようやく水というものがいかに未来の産業並びに国民の未来の生活にとって大事なものであるかということが国民的な認識を新たにしてきておるということが、まずある意味においては幸いであるが、またそれほど関心を持たなければならぬほど水それ自身は汚濁されて、非常にこれは国の天然の資源が害されておるという認識に立っておると思うのであります。したがいまして、実は水の汚濁を防止するほか、水資源の総合開発のためにもつと積極的にやらなければ、幾ら都市の再開発あるいはまた都市の環境整備を唱えても、水の面において一番これはぶつかってしまいます。端的に申しまして、土地の問題もさることながら、土地が宅地化とかあるいは有効に利用されない中の一つの大きな部面が水の足らないことである。水の処置ができないこと、あるいはまた汚濁された水をどう処理するかということでございまするので、そういう認識に立ちまして、実はこの国会が終わりましたならば、いまもその準備はさせておりますが、農林省建設省、厚生省、通産省、これに経済企画庁が入りまして、水の総合的な利用開発について検討しよう。その前提条件として、慣行水利権を含めまして、水に関する諸般の調査を総合的にやろうということで、総理府においてその世話役をしてもらおうということを先般の閣議できめたというような状況でございます。
  63. 宮崎正義

    宮崎正義君 私はまことにおそきに失したということだと思います。くさい水といいまして、利根川でもこれはくさい水をキャッチしたと。水道水の取り口に当たる利根大ぜきや朝霞とか金町の両浄水場ですか、これらの監視体制を強めなければならないとか、大騒ぎをやっております。これ以上くさくなったら、これは利根川からの武蔵水路をストップする方針も、これは決定されなければならないじゃないかということも危惧されておりますし、また全国的に公害問題としてずいぶん今日まで取り上げられてまいりまして、そういう観点からいまの水総合開発に対する一切のものを各省のことを取り除いて、これは総理府がそういうことをまとめてやっていこうという構想になったと思うのであります。御存じのように、例をあげてみますと、大分市の臨海工業地帯の周辺の海水、中小河川の河口付近は、年々製造工業の廃液がひどくなっておって、赤褐色に濁って、沿岸の漁家は生業が成り立たない。乙津川、大分川、裏川、小中島川、大野川、これらもやはり同じように流れ込んでしまっている。この臨海地帯における既存の中小工業に加えて、最近ではやはりその県あるいは市等の工場誘致、それらの産業開発ということからいろいろな工場を誘致しておる、県外から大企業の工場を。名前は特に申し上げませんけれども相当量の工場廃液が放出されてきておる。この工場廃液に対して県の当局、市等では、この数年のうちに進出した一部企業に対して浄化槽や活性汚泥装置などの廃液処理施設を設置しなければならないという要請をしておるわけであります。私はこの化学の検査、分析のやり方は知りませんけれども、COD、化学的酸素要求量といいますか、これが二百以下に押えるように覚書を渡しているというけれども、廃液処理装置を設置しているところはほとんどわずかである。また御承知のようにイタイイタイ病の富山平野の中心を流れている神通川の流域の水も、上流にある三井金属神岡鉱業所が流している廃液に含まれているカドミウム、これらの問題も御存じのとおりであります。大牟田川のカドミウムの問題も言い尽くされておりますが、三井東圧の化学工業のシアンが出ていたというようなこともすでに論じられておりまして、昨日も公害対策特別委員会でこれらの話が出ておるようであります。また北海道の例をとってみますと、有珠郡の壮瞥町の黄渓にある幌別鉱業所の硫黄の廃液が弁景川にずっと流れております。その鉱業所も初めから浄化装置というものをつくっていない。したがいまして、何十年となくその毒性廃液が洞爺湖のあのきれいな湖水の中に入って魚を生存させていかない。そこへ持ってきて今度は観光施設ができ始めてホテルが次から次へと建っている。最初にホテルを建設したときの浄化槽というものと、いま一年間に二百五十万から三百万近い人が、観光客が来る。そういう時代の変化と人員の移動、観光客もふえているにもかかわらず、施設のほうは依然として旧態依然の前のままの姿である。処理できない浄化槽、処理できないまま、そのままの姿で流していくというようなことから考えていきまして、いろいろな公害問題が発生している。こういうふうな現況は全国至るところでこのようになっております。さらにはまた洞爺湖あたりでは農薬が雨水にまじって湖水に入ってくる。もう魚は全くとれなくなってしまった。こういう問題は私も建設委員会のときに取り上げましてただしたことがありますけれども、そのように今日の私どもの飲む水がやはり同じ飲む人間によって濁され毒性化されていくということは、これは大臣のおっしゃったように、これは将来重大な問題と私は言わざるを得ない。そこで私の提案をいたしたいことは、その本流はあくまでも本流として、両側に下水専門の下水溝をつくり上げ、そこに汚濁のものは落とし込んでいく。さらにはそのもとである、公害の元凶である会社、工場等の施設にがっちりした汚濁処理装置というものをつくっておかなければならない、こう思うわけでありますが、ところが先ほど来からお話がありましたように、都市の再開発開発といいますけれども、何らやらなければならない装置をやっていないということについて、大臣のこれからの考え方を伺う前に、私は通産省のほらからこれらの全国に及ぼす——通産省の人、おいでですね。先ほど申し上げましたように、黄渓にある幌別鉱業所の鉱山の廃液、これに対する考え方、どういうふうにお持ちになっていますか。またこれらに対する検査のほう、監督、それはどういうふうにおやりになっているのか伺っておきます。  それから根岸公害課長さんのほうには、全国でこういうどんどん工場はできておるけれども、汚濁処理装置、どれだけの工場があって、どれだけまだつくっていないのか、数がわかれば、装置していない工場がこれだけあるのだ、全国でこれだけあるのだ、自分がわかっただけでもこれだけあるのだという点を、大臣に聞かしておいていただきたいと思うのです。
  64. 下河辺孝

    説明員(下河辺孝君) 北海道にございます幌別硫黄鉱山の廃水の問題でございますが、この鉱山は、硫黄鉱床地帯にございまして、その近辺には温泉も出ているというようなところに位置しております。なおその下流に発電所ができまして、川の水を洞爺湖のほうに落とすというようなことによりまして発電をするというようなことが行なわれているわけでございますが、発電所によりまして水が洞爺湖に入るということから、洞爺湖の美観をそこなう、あるいは漁業の問題に対して影響を与えておるというような被害を出しておるわけでございます。現在まで札幌鉱山保安監督局におきまして、鉱区鉱山の鉱害防止に関しまして、種種監督指導を行なってきたわけでございます。で最近まで改善をいたさせました点について多々ございますが、かいつまんで申し上げますと、坑内から浸透してまいります坑内水をボーリングによりまして、地下の奥深いところに注入いたしまして、それを浸透さして、その水を出てこないようにするというような工事をやっております。また付近の沢に石灰を敷き詰める、あるいは沈澱池の上部に石灰層を設けて、ここで中和を行なう、あるいは坑内から出ております坑内水、これが酸化している悪い水でございますが、こういうものの漏水を抑制するような工事、あるいは坑内の粉じん防止その他のために坑内に水を持ち込んでおりますが、こういうものの水の量を減らす、あるいは坑外に堆積しております昔の鉱津などを坑内の採掘あとの充てんに使いまして、それから出てくる浸透水を少なくするというようなことを段階的に行なっております。しかしながら、全般的に見てみますと、若干弁景橋、弁景温泉付近におきまして水質がよくなっておりますが、まだ必ずしも十分なものではないのではないだろうかというふうに思われるわけでございます。なおこれは硫黄鉱山全般に言える点でございますが、最近の重油からの脱硫その他が進みまして、硫黄鉱業そのものが現在経営的にもかなりむずかしいという点に立ち至っておりまして、現在のような赤字経営というような状態におきましては、このような抜本的な対策を立ててこれを推進するということにつきましては、かなり困難なものがあるというような状況でございまして、必ずしも十分な点までいっていないということについてはまことに申しわけないと、このように思っておる次第でございます。
  65. 根岸正男

    説明員(根岸正男君) お答え申し上げます。水質保全法によりまして水域指定が行なわれておりまして、その水域指定がされました水系は水質基準が設定されておりまして、その水域に廃水を流す工場はすべてその水質基準に合わせなければならぬということになっておりまして、そういう指定水域内にある通産省所管工場数は七百六十六でございます。で、この七百六十六工場すべてがこれは廃水設備を持っておるというわけじゃございません。たとえばパルプとか、そういうどうしても処理しなければならぬものは全部処理施設を持っておるわけでございますが、そのまま流してもその水質基準に合うものは処理施設なしに流しておるところもございます。それで、これは全部そういうことで、いまここに手元に数字がございませんが、たとえば東京でございますれば、そういう指定工場が七十一工場ございまして、そのうち十五工場が廃水処理をせずに流しておる。あるいは広島県であれば、そういう指定工場は十一工場ございますが、十一工場とも全部廃水処理をやっております。そういうような状況でございまして、ただいまちょっと手元に全部の数字がございませんので、もし御必要があればお届けしたいと思います。
  66. 宮崎正義

    宮崎正義君 これはこの委員会にも全体の資料を要求したいと思います。その内容を、詳細にわたっての資料をよろしくお願いします。  広島では十一で十一だと、一番いいところをおっしゃるが、私は一番悪いところを一番よく知っておるわけです。その資料がまいりますとよくわかりますので、あとにいたしますけれども、先ほどの北海道の例をとりましても、初めから鉱業所自体がつくっていなかった。指摘されてからやっとそのボーリングして下に流そうじゃないかということをいまやっと考え始めた段階であります。さらにこの公害問題の被害を受けておるところを全部、私おも立ったところを抜粋してきておるわけですが、時間等がありませんので、一つ一つを取り上げて通産省のほうから詳しく説明を聞きたいところですが、それは今日の議題から離れてきますから、この次に譲りたいと思います。  そこで、先ほど大臣に私は要望でありますがといって申し上げました件につきましての考え方を伺っておきたいと思います。
  67. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 宮崎先生御提案の件は、慎重にこれは検討したいと思います。現在、御承知のように、都市地帯において下水処理で非常に困ってまいりまして、大阪等例の広域水道事業をやっております。これはある意味においては御提案にやや似ているところがありまするが、先生のはもっとあるいは進んでおるかもしれませんが、大きい川の河川改修のときに、川に入らないように、下水道溝と申しますか、それをつくって、川に直接入らないようにしてそこにためて、末端で処理したほうがいいではないか、こういうことでございます。したがいまして、従来の河川計画にはそれが全然ありませんわけですから、これはかなり研究を要すると思います。大きい川のときに、河川法上これをどういう位置づけをしたほうがいいか、下水道事業と一緒にどういうふうに関連させていくべきか、いろいろの関連した事業をしなければならなぬと思いますけれども、一つの新たなるたいへん有益なる構想として前向きで検討したいと思います。
  68. 大和与一

    委員長大和与一君) 先ほど宮崎君から御発言があった資料の提出ですね、よろしゅうございますね、皆さん関係者——。     —————————————
  69. 大和与一

    委員長大和与一君) この際、委員の異動について報告いたします。  本日、二宮文造君が委員を辞任され、その補欠として阿部憲一君が選任されました。     —————————————
  70. 宮崎正義

    宮崎正義君 そこで、最後に、大臣は二時二十分におたちになるそうで、これから私も本論に入ろうとだいぶためてあったわけでありますが、これを後日に譲らなければならないがの残念でありますけれども、いまの結末をつけたいと思うのです。と申し上げますのは、新しく工場、建築物、あるいは施設等ができますときに、まず最初にしっかりと将来を考えた汚濁処理装置あるいは浄化装置、そういうものをはっきりとまず第一番に考えるべきだと思うのであります。それをやりませんと、自分が食べて自分が出したものをまた自分が入れるということになりまして、結局は生命を侵されていくという変な悪循環になっていくことを、私は非常に心配するわけであります。端的に失礼なことを言っておりますけれども、いずれにいたしましても、大臣が先ほどおっしゃったように、水というものの総合開発というものはもう急務であります。御存じのように、私たちの体も約八〇%が水分であります。ローラーをかけると皮と骨だけがぺちゃんこになる、あと全部水が飛ぶ。そういうような私たちの肉体の上から考えていきましても、人間形成の上からいきましても、将来の私たち人類の発展のためにも清らかな水をどう確保するかということは、私どもがつくる最初の施設、それらに万全を期していくならば、これは完全に問題は起きないと思うのであります。したがいまして、私は、この際、全国の各工場、建物、施設、ホテル等の汚濁処理装置あるいは浄化装置、廃液等の処理装置が、いまの時点に相応した分量を浄化しているだけのものであるかどうか調べ、それでなかったならば工事の改築をやらせるとか、改造をさせるとかということの総点検を私はしていかなければいけない。最近は総点検、総点検ということばがはやっておりますけれども、これは私たちのからだを守るためにすぐにでもやっていかなければならぬ重大な課題じゃなかろうかと思いますし、既存のものについてはそうでありますが、新設されるものについては厳重な設計計画がなされなければならぬ、私はこのように思うわけでございます。いかがでございましょうか。
  71. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは私が答弁することではないようで、どうも通産省のほうですが、私からも通産大臣によく言っておきます。宮沢通産大臣も先般の装置を見まして、非常に積極的に産業公害についてはこれは防止していかなきゃならぬという姿勢を持っておりますから、適切なる措置を講ずるとは思いまするが、これは宮崎さんからそういう要請があったから大いに善処してほしいという旨、私からも申し上げまするが、通産省の事務当局もおられますから、そちらのほうから答弁いたさせたいと思います。
  72. 宮崎正義

    宮崎正義君 私の申し上げておるのは、建築許可なら建築許可するときに浄化槽の設計も一緒に出てくるわけです。そうしますと、その設計途上において許可の体制において、また工事の指導系統の中において、これは当然指導監督等ができるわけです。ですから、将来のものに対しては、そういうふうな処置をしなければならぬであろうと、これは建設省でも当然私はやっていける範囲だと思うわけですが、この点どうなんでしょうか。
  73. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 現行の建築基準法ではホテル、旅館はこれについて義務づけているそうですが、工場それ自身についてはないのでございます。したがって、これを私のほうで、いま直ちに建築基準法を改正してそこの中に入れるということになると、かなりのこれは協議事項になるのでありまするので、十分通産省とも打ち合わせの上検討したいと思っております。
  74. 宮崎正義

    宮崎正義君 ホテルで相当問題を起こしておるわけです。旅館も同じですけれども、それらが湖水のまわりにどんどんできるわけです。しかも、国定公園、厚生省の所轄になってまいりますけれども、それらにつきましてまた後日私は申し上げることにいたしまして、いずれにいたしましても、これは何省、何省じゃなくして、先ほど大臣が御答弁になりました総理府がまとめていくという、経済企画庁、農林省建設省、厚生省、通産省、これらの合同で、そして水資源の開発というものを総合的に考えようと、それは総理府に一応当たらしてやろうという構想があるとおっしゃるのを聞いて意を強くしたわけであります。したがいまして、そういう閣議の合議のときにこの問題を十分取り上げていただいて、私は人を守っていく、人の生命を守っていくという観点から水を守っていただきたいということを、最後に申し添えておきたいと思います。
  75. 大和与一

    委員長大和与一君) 本件に関する質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十三分散会      —————・—————