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1970-08-18 第63回国会 参議院 建設委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年八月十八日(火曜日)    午前十一時開会     ―――――――――――――    委員の異動  七月十五日     辞任         補欠選任      鈴木  強君     沢田 政治君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         田中  一君     理 事                 上田  稔君                 大森 久司君                 奥村 悦造君                 大和 与一君     委 員                 小山邦太郎君                 斎藤  昇君                 高橋文五郎君                 米田 正文君                 松永 忠二君                 松本 英一君                 二宮 文造君                 宮崎 正義君                 高山 恒雄君                 春日 正一君    国務大臣        建 設 大 臣  根本龍太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        内閣審議官    植松 守雄君        公正取引委員会        事務局取引部長  坂本 史郎君        北海道開発庁総        務監理官     新保 實生君        北海道開発庁港        政課長      吉村 芳男君        経済企画庁国民        生活局長     宮崎  仁君        科学技術庁原子        力局次長     大坂 保男君        国税庁長官官房        参事官      森本 達也君        水産庁長官    大和田啓気君        通商産業省公害        保安局公害部長  柴崎 芳三君        通商産業省鉱山        石炭局鉱業課長  佐藤淳一郎君        運輸省港湾局技        術参事官     竹内 良夫君        運輸省航空局建        設課長      武田  昭君        建設大臣官房長  大津留 温君        建設省計画局長  小林 忠雄君        建設省都市局長  吉兼 三郎君        建設省河川局長  川崎 精一君        自治省税務局長  降矢 敬義君    参考人        日本道路公団理        事        小野  裕君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (台風第九号による建設省所管被害報告)  (公共工事指名参加願等に関する件)  (下水処理に伴う田子の浦のヘドロ問題等に関  する件)  (河川整備等に関する件)  (マンションの経営問題に関する件)     ―――――――――――――
  2. 田中一

    委員長田中一君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査のため、本日の委員会日本道路公団役職員参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  4. 田中一

    委員長田中一君) 次に、河川局長から、このたびの台風第九号による建設省所管被害について発言を求められておりますので、これを許します。川崎河川局長
  5. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 台風九号による被害の概況を御報告申し上げます。  お手元に謄写刷り被害状況をお配りいたしておりますので、御参考にしていただければ幸いでございます。  被害状況でございますが、大型台風の九号はゆっくり北上をいたしまして、八月十三日に奄美大島に接近し、名瀬市におきましては風速七十八・九メートルの大きな猛威を振いました。その後勢力を保ちながら十四日の二十三時ごろに長崎市に上陸いたしまして、九州北部を経まして、山陰から日本海沿岸沿い北海道渡島半島南端を通過いたしまして、西海岸沖温帯性低気圧となりました。この台風は主として風台風でございましたが、場所によりましては、鹿児島付近では四百ミリ、その他でも二百ミリ程度の雨を降らしました。そのために北海道をはじめ二十一府県災害を起こしております。  現在までに判明をいたしましたところでは、建設省所管公共土木施設被害といたしまして、総額六十八億円余りに達しております。  その内訳は、公共土木施設といたしまして、直轄関係で約八十カ所十二億円余り補助災害といたしまして四千百三十一カ所、五十五億円余り合計で六十七億九千万円に達しております。なお都市施設は約七カ所で八百五十万円でございました。  そのほか警察庁の調べによりますと、住宅被害につきましては全壊が八百十六棟、半壊が千五百六十七棟、床上浸水が六百四十五棟、床下浸水が一万七百五十五棟になっております。  以上の災害に対しましての対策並びに処置でございますが、直轄関係災害につきましては、緊急復旧の必要のある個所につきましては、すでに既定経費を立てかえまして現在鋭意復旧工事を実施いたしております。なお交通不能になりました個所につきましては、同様の方法によりましてすでに一車線以上の交通を確保いたしております。また本式の復旧につきましては、現在現地調査を行なっておりますので、終わり次第予備費を要求いたしたいと存じます。  補助関係災害でございますが、緊急を要する復旧につきましては、すでに工法等の協議をいたしまして応急工事を進めておりますが、なお現地の準備の完了次第、本復旧に関する査定を行ないまして、復旧の促進をはかりたいと存じております。  都市施設でございますが、同様に緊急を要する個所につきましては、それぞれ応急的な対策を進めております。  次に住宅関係でございますが、低所得者のためには災害公営住宅建設を、その他一般につきましては住宅金融公庫の災害復興住宅資金貸し付け等の措置を講じたいと考えております。  以上で報告を終わります。
  6. 田中一

    委員長田中一君) 速記をとめて。   〔午前十一時六分速記中止〕   〔午前十一時二十四分速記開始
  7. 田中一

    委員長田中一君) それじゃ始めて。  次に、建設事業並びに建設計画に関する調査を議題とし、これより質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 松本英一

    松本英一君 建設業法の一部改正案が本院委員会において継続審議となっている今日的時点に立って、私は建設業の当面する問題特に建設業界が多年にわたり陳情、要望事項一つであります指名願い、詳しくは建設工事入札参加資格審査申請書様式統一及び提出方法について質問をいたします。  建設業者にとって重要な関門は三つあります。まず、指名業者名簿加入を許されなければなりません。次に工事入札指名参加をもらわなければなりません。最後に予定価格以内で見積もり競争に勝たなければなりません。すなわち、この三つの関門を通過しなければ、建設業の営業も経営事業も成り立たないのは周知のとおりであります。  そこで、まず第一に指名業者名簿加入を許されるためには、指名願い提出によって始まるものであります。建設省関係発注機関においてその指名願い用紙代がどのようになっておるのか、それをまず質問をいたします。
  9. 大津留温

    説明員大津留温君) 地方建設局指名願い等用紙は、建設弘済会販売さしておりますが、その価格はおおむね二百円前後でございまして、これは各地建によって多少の差がございます。九州地建二百円、四国地建が二百十円、中国地建が二百円、近畿地建が百五十円、中部地建が百八十円、北陸地建が二百五十円、関東地建が二百円、東北地建が二百十円、こうなっております。
  10. 松本英一

    松本英一君 関係機関と申しましたので、官房長のほうから住宅公団道路公団水資源開発公団、それについて御存じならば御答弁願います。
  11. 大津留温

    説明員大津留温君) 全部調べが間に合っておりませんが、水資源開発公団は百二十円、それからほかの省でございますが、農林省は百五十円、運輸省第四港湾建設局は百十円、総理府は百円、こういうふうになっています。
  12. 松本英一

    松本英一君 いま地方建設局用紙代の御説明がありましたが、それすらもまちまちであります。特に地方建設局のほうでは二百円というのが多うございますが、昨年はこれは百七十円であります。それが二百円に値上げをされ、一方、住宅公団は、昨年は百二十円であったのが本年度は六十五円になっております。もちろんこれは新規提出者のみの受付であり、統一様式にされたがためにこんなに安くなっております。一方では上がり一方では下がるというような、そのような行政指導を、どのように建設省としてお考えなのか、御答弁を願います。
  13. 大津留温

    説明員大津留温君) この指名願い用紙原価はもちろんもっと安いわけでございますが、少数の部数を売ります関係手間がかかりまして、また用紙在庫期間も長いというような関係がございまして、いわゆる実際の販売価格は若干それよりは高くなっております。
  14. 松本英一

    松本英一君 ぼくは、上がったことと下がったことが同じ建設省関係機関でどうしてなされておるのか、それをお聞きしておるのです。いま原価はもっと安いとおっしゃいました。よく承知しております。これは弘済会あるいは互助会、厚生会あるいは共済会という名においてそれぞれ各省庁発注機関においてはそこで販売をされております。その販売のことにつきましては私も納得はいたしております。しかし、関東地方建設局契約課の一職員の方に私が、どうして三十円の値上がりになったのかということをお尋ねしましたら、全然そういうことは知りません、弘済会でやっておるというお話がありました。契約をする地方建設局担当官がそのようなことを知らないということはふしぎなことであります。だからどういう理由で上がったのか下がったのか、それをお尋ねし  ておるわけです。
  15. 大津留温

    説明員大津留温君) おそらく弘済会のほうで人件費等が上がりましたような関係経費がかかるというようなことで、まあ十数%の値上がりがしたということだと思います。
  16. 松本英一

    松本英一君 行政管理庁がこのたび六月一日から二十日までの短期間で精力的にこの指名願い統一様式の改定、あるいは独自様式簡素化について改善所見を出されております。これは二十四発注機関調査対象とされております。で、私が調査をいたしましたのは二十の発注機関でありますが、その二十の発注機関用紙代は、それぞれにばらばらであります。二十発注機関のうちで統一様式を用いておるのは、運輸省関係陸運局通産省、郵政省、道路公団住宅公団、市、そのくらいのものであります。昭和三十五年に中央建設業審議会指名願い統一様式についての勧告がなされ、四十年に至ってやっとこさ建設事務次官から各省庁事務次官に対してこれの通達がなされたわけであります。それなのに建設省関係発注機関がそれぞれに用紙代が違い、また一方では値段が上がり値段が下がるというのは、一体どういうことなんですか。
  17. 大津留温

    説明員大津留温君) この発注願いといいますか、いや指名願いの書式の統一、これは指名願いをお出しになる業者の方の立場からいいますと、非常に強く要望されておったところでございます。そこで、建設省といたしましても、どういう形にこれが統一したならば各発注機関が必要にして十分な要件を満たすであろうかということで研究しておったわけでございますが、四十年に成案を得まして関係各省意見も十分取り入れまして統一様式というものを定めて、建設省みずからはもちろん、政府機関並びに政府関係機関にこれを採用していただくように要請したわけでございます。今日まで建設省あるいは北海道開発庁運輸省その他、主要な発注機関はこれを用いておるわけでございますが、まだ必ずしも全部がこれを採用しておるというところまで至っておりません。その理由は、この統一様式になお欠けるところがあるのではないかということもございますので、さらに十分検討を加えましてこの統一様式を改善するとともに、各発注機関にこれの採用方をさらに重ねて強く要請したいと、こういうふうに考えております。  それからもう一つ、この用紙値段が不統一だという点でございますが、まあこれは各機関がそれぞれいろいろな形でこれを販売しておるわけでございますが、建設省におきましては、御承知のように各地建にございます、退職者等が構成しております弘済会という団体をしてこの用紙を売らしておるわけでございます。で、この弘済会人手が、相当手間を食う仕事でございますから、そういう人件費関係用紙値段が多少違う。まあ、おおむね二百円前後、もちろんこれは安いことにこしたことはございませんけれども、年におおむね一回の時期に販売されるということ、したがって在庫期間が相当長い。また人手を食うというようなことのために原価に比べては、ある程度高くなっておる、こういう事情でございます。
  18. 松本英一

    松本英一君 昭和四十年の十二月三日、建設事務次官から各省庁事務次官あてに「工事請負指名願い関係書類様式統一について」という通達が出ております。先ほど申したとおりであります。これは昭和三十五年一月六日の中央建設業審議会勧告に基づいているんです。全部がそれを実行されていないという御答弁なんでありますが、少なくとも建設省内関係機関においてはなぜ、勧告が出て六年、この通達が出て五年になろうとする今日まで統一ができなかったのか。
  19. 大津留温

    説明員大津留温君) 建設省関係は、地方建設局それから北海道開発局それから住宅公団道路公団、首都高速道路公団水資源開発公団、これらは統一様式を用いております。さらに必要があればそれに付加して多少の資料は取っておりますが、統一様式は用いております。阪神高速道路公団だけがこれによっていないようでありますので、これは直ちにその事情調べまして、これを用いるように指導いたします。
  20. 松本英一

    松本英一君 具体的に質問をいたします。私が調査いたしました二十の発注機関、これは、地方建設局――用紙代のみ取り上げてまいります。これは二百円であります。それから農林省関係農政局は五十円、運輸省関係陸運局が七十五円、同じ運輸省関係港湾建設局では百十円、ここでも運輸省関係内においてすらまちまちであります。大蔵省関係の財務局は五十円、通産省は七十五円、文部省は百五十円、営林局は最高の三百円、法務省百円、厚生省五十円、防衛庁百円、郵政局二百五十円、専売公社七十五円、電気通信局百円、住宅公団六十五円、道路公団百円、水資源開発公団百二十円、鉱害復旧事業団は百五十円、県は五十円で市が七十五円というように、二百円前後ではなくて、五十円から三百円の幅を持った用紙代の不統一であります。これを合計をいたしますと二千二百四十五円になります。二十の発注機関に出すような業者はざらであります。百件をこえる指名願い提出しなければならない大手業者はもちろん、中小業者にしても数多いのであります。しかもこれに添付する証明書がまたたくさんございます。これは運輸省関係になりますが、運輸省関係陸運局港湾建設局では納税証明書地方税に関しては陸運局は必要とし、海湾建設局は必要としておりません。これはわずか五十円でありますけれども、法人税においても百円の証明書費用が要ります。この二十の発注官庁の中でまともであるのは一つもありません。やっておるところとやってないところ、必要とするものと必要としないもの、この二つの矛盾が全部出ておるわけであります。これらの各種証明書は、法人税百円、地方税五十円、代表者印鑑証明書が二百六十円、登記簿謄本四百三十円、代表者身元証明書五十円、建設業登録証明書百円、経営事項審査結果証明書百円、建設業退職金共済組合加入証明書が百円、これだけの添付資料を添えなければなりません。これを合計しますと一万九千十円になります。指名願いはそれぞれに各府県において県庁の所在地に持っていくのが通例であります。しかし、所在地に遠隔の地から来るにはやはり交通費というものが必要であります。五百円を往復して、十回来れば二万円であります。したがって一業者指名参加願い提出するに要する費用は、用紙代の二千二百四十五円と、添付手証明手数料の一万九千十円、各種証明書をとるためにあるいは指名願い用紙を購入するために、そして指名願い提出するときと少なくとも二度は往復しなければなりません。二発注機関を一回で済ませるとしても、その費用は軽く一万円と見ても、一業者提出に要する費用は三万一千二百五十五円となるのであります。これを全国的に見た場合、全国登録業者が今日約十六万人でありますから、これは驚くなかれ五十億八十万円という膨大な金額になるのであります。不統一のゆえに、しかも不合理な面を持ったこのような指名参加願申請書類のために全国業者が五十億という膨大な金額を費しておることを、建設省としてはお考えになったことがあるのですか、計算をなさったことがあるのですか、御答弁願います。
  21. 大津留温

    説明員大津留温君) ただいま先生がお示しのような計算をしたことは実はございませんが、公共工事発注いたします相手方、これはよほど慎重に審査いたしまして、確実な信用と技術を持ったものに発注をするということで、その事前の審査に慎重を期するということは、発注者としては当然のことであろうかと思います。しかしながら、その間におきまして業者の方にできるだけ負担がかからないように様式統一をはかるとか、あるいはむだな足を運んでいただかないように配慮するということは、これは発注者として当然のことであろうと思います。従来そういう点につきまして、御指摘の点について必ずしも十分でなかったということがいろいろあることは、私どもも強く反省をいたしております。したがいまして、様式統一、さらにその内容検討、またこれを確実に各発注者が実行するということ、並びにそれの提出にあたりましても、むだな足を運ばせないように十分配慮していく、こういう点については今後十分指導いたしたいと思います。
  22. 松本英一

    松本英一君 いま私が申し上げました――大臣よくこれは聞いておいてください。五十億円というのは、これは表面に出た金額のみであって、人件費等は、一切含んでいないということであります。したがって、これから言えることは、統一様式改正が実行される、あるいは簡素化をはかるために復写でもいいということになるとすれば、これによって削減される費用は、様式統一された場合、一業者の二千二百四十五円から、統一様式用紙代をかりに七十五円として、二十発注官庁提出した場合、これから引きますと七百四十五円の差額が出てまいります。全国的に十六万人の業者にこれを充てると一億一千九百二十万円の差額が出てくるわけであります。したがって、正式な本書類は各府県府県庁一つだけ出させていただき、添付書類中の各種証明書等も、今日優秀なゼロックスの機械も開発されておることでありますから、これによる復写にしていただくならば、その削減される費用は一業者一万九千十円から十九機関提出するとして、ゼロックス料金及び用紙代電気料を含む総額二千五百六十円を引けば、一万六千四百四十二円となり、一業者負担が軽くなるのであります。全国的十六万人の業者はこれにより二十六億三千七十二万円の費用負担が浮くわけであります。このようにして経費の削減は統一にしていただく一億一千九百二十万円と、明瞭な写しでよいということにしていただく二十六億三千七十二万円を合計すると二十七億四千九百九十二万円となります。約二十七億五千万円という、半額以上の五五%が経費削減できることになるわけであります。そうすると労働省職業訓練工を養成するためにいろいろな施設をなさっておるようなことが――今日建設業界にあっては労務者不足は著しいものであります。技能労務者、及び若年労務者不足はもちろん、全般にわたっております。労働省のような施設を――二十発注機関に出して二十七億五千万円、四十一機関に出せば五十億円をこすわけでありますから、そのうちの十億円または二十億円を登録業者が振出し、それを国が強く補助していただくならば、各県とは申しません、各地方ブロックごとにでも、建設技能労務者訓練促成施設をすることもできると思うのであります。このような具体的な事実を取り上げてみて、統一様式次官通達を出された建設省として、どのようにお考えであるのか、御答弁を願いたいと思います。
  23. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) この入札資格審査申請様式統一については、すでに次官通達も出しておるようであります。ただそれが今日まで必ずしも十分に徹底していないという御指摘でありまするので、さらにあらためてこの問題を徹底すると同時に、現在もしこの統一規格が若干欠陥があるためにあるいは全官庁において採用されていない向きもあるかもしれませんので、その点さらに様式実態について研究をし、各発注機関の合意を得て統一をしていきたい。さらにまた写しでこれが行政官庁が各事業実態を知る上において何ら差しつかえないということでございますれば、そうした簡素化も進めるべきだと思います。その結果業界においてそれだけの経費節減ができたために各ブロックごと技能工の養成、研修等自発的にやろうということになりますれば、まことにこれはけっこうなことであります。たいへん建設的な御意見でありまするので御趣旨に沿うように努力をさしたいと思う次第でございます。
  24. 松本英一

    松本英一君 官房長はずっとこの問題についてはよく御承知でありましょうが、添付書類の中で印鑑証明書提出するようになっております。これは不動産登記法施行細則第四十四条ノ四によれば、印鑑証明書等有効期限はその作成後三カ月以内とされております。指名願いを出す時点においては、それは必要であろうと一歩譲るにいたしましても、私の調査対象の二十発注機関の中においては、それが必要でないというところもあるのであります。それが一つ。――時間の関係上一緒に聞きます。資格審査申請書経営事項経営規模という欄のに職員数というのがあります。職員数でありますので、これは取締役も入っております。ところが様式八の使用人数のところでは、これは取締役は入りません。そうするとこれは必ず合計が違うわけであります。建設省課長さんが顔見知りでない発注機関建設省課長としてお行きになれば、必ずこの合計の違うことを指摘されます。これは建設省のほうではどのようにお考えになっておりますか。これは書類全部にわたり、どこでもその計算は違うのであります。
  25. 大津留温

    説明員大津留温君) 印鑑証明書添付するようになっておりますが、御指摘のようにこれがはたしてこの時点で必要かどうか、これ十分検討してみたいと思います。それから同じ様式の中で職員数といい、一方は使用人数というような表現のために食い違いがあるというようなことで無用のトラブルといいますか、審査手間をかくるというようなことが起こりがちかと思いますので、この辺につきましても、よく検討いたしまして、統をはかりたいと思います。
  26. 松本英一

    松本英一君 提出方法につきまして道路公団のほうにお尋ねをいたします。  「昭和四十五年度入札参加資格審査申請書受付け要領」として昭和四十五年度、本年度から赤字で書かれたものに、「公団本社及び入札参加を希望する公団機関のそれぞれに記載内容について説明出来る者が直接持参のうえ提出すること。」と、書かれてあります。昨年は「公団本社」は書かれていなかったのでありますが、本年度からは時代逆行するような、屋下屋を架するような、それぞれに各地方機関がありながら、本社に説明できる者が直接持参するというようなことになったのはどのようないきさつ、経過を踏まえてのことでありましょうか、御答弁を願います。
  27. 小野裕

    参考人(小野裕君) お話しのように、本年度は申請書を各支社局、出先並びに本社に出してもらう、本社のほうへ説明できる方においでを願いたいということでお願いしたのでございますが、その理由といたしましては、本年度から審査にあたりまして、方式といいますか、内容も多少変えました。たとえばいままで全国一本で格付けをしておりましたものを各ブロックごとに、地区ごとに格付けをするというような改正、それから業種の分け方につきまして、いままでは広く区分しておりましたものをこまかく区分するように、専門的にこまかく分けるようにいたしました。そんなようなことがございましたので、実際の業界の実情をよく把握し、また各支社局におきまして新しい制度による格付けと審査につきましてバランスがとれるように、本社において統一的に処理することが適当であると考えましたので、そのように取り計らったわけであります。ただ、その結果といたしまして、かねてから先生から御注意も伺っております。特に地方業者の方にはたいへんな負担をかけておると、めんどうをかけておるじゃないかという御注意、御指摘もございました。私どももその点十分検討いたしております。まあ、今年のことは一応そうした目的から中央で統一審査をいたしましたが、大体の状況はわかりましたので、今後は出先のほうに処理させる等、できるだけ業者の方に負担のかからないような方法考えていきたい、このように考えております。
  28. 松本英一

    松本英一君 小町理事の御答弁は、私もよく承知をいたしております。ただ、本年度は小野理事の名においてこれの訂正通達が出されました。  「提出方法中、「記載内容について説明出来る者が直接持参のうえ提出すること。」とは、代表者みずから持参しなければならないという趣旨のみではなく、各都道府県の団体が一括提出、疑義の伝達等仲介の労をとられ、提出されても差しつかえないという意味を含むものである」という通達であります。ところが、都道府県建設業団体は、これを一括東京に持ってきて、そうして疑義があった場合に、その建設業協会の職員が東京まで、本社まで来て、他の会社の経理内容、あるいは営業内容承知しておるでありましょうか。しかも、一人の職員を派遣するのにそれぞれの旅費、日当、交通費、そういうものを出さなければならないのです。この事柄等を踏まえて、来年度はどのような方法でおやりになるのか、明確な御答弁をお願いします。
  29. 小野裕

    参考人(小野裕君) ただいま検討中でございまして、はっきりこうするということは申し上げられないのでありますけれども、まず考えられますことは、何と申しましても支社局、私のほうでは出先は支社と建設局、あと管理局でございますが、それぞれにおいて受け付け、審査、格付けをするような方向で持っていきたいと、さらに場合によっては広い地域におきましては支社局といいましても、ある広い地域の一カ所でございますので、できますならばその支社局所在地以外にもそのブロックの中でしかるべきところまで方々へ出向きまして、そこで近所の方の申請を受け付けるということもできないだろうかというようなことも検討しておる次第でございます。
  30. 松本英一

    松本英一君 大臣より最後に御答弁を求めたいと思います。指名願い様式統一あるいは簡素化並びに提出方法等不十分かつ不合理、このようなことに関しまして大臣は与党の三役の経験もあるし、二度の建設大臣であります。豊富な経験と果敢な実行力に期待しておる私たちが、根本建設大臣に期するところ大であります。大臣在任中において、この問題の二点について早急かつ果敢に結論を出していただくよう特にお願いをし、御答弁を求め、私の質問を終わります。
  31. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 先ほど御答弁申し上げましたように、事務当局に十分に建設省検討の上、政府の各発注機関とも連絡をとりまして、統一的なしかも簡素化できることはできるだけ簡素化し、しかも一方においてはそのことによって業者の便宜をはかるのみならず、国家目的にもそれが適応できるというような方策を見出しまして、すみやかにこれを実行するように指導申し上げたいと思っておる次第でございます。
  32. 松本英一

    松本英一君 次官通達が出てからもはやもう五年になろうとしておるのです。今度行政管理庁からの改善所見は大阪建設業協会、東京建設業協会がそれぞれの商工会議所に働きかけて行政管理庁に調査の要望、建議をした成果であります。それゆえに表示されたのであって、それがなされていなければ、まだこれは表面化してないわけです。それは私が昨年十一月十一日に業界新聞の談話で出しておりますけれども、去年の私の調査よりもまだ今年の方式によれば全国業者経費負担経費ではないです、これは。冗費なんです。それの削減にもなることでありますので、なかんずく建設省は主務官庁でありますから、特に根本大臣にお願いをしておるわけであります。
  33. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御趣旨に沿うように極力努力しまして実現をはかりたいと思います。
  34. 松永忠二

    ○松永忠二君 大臣に先にお伺いをしておきたいと思いますが、私は田子の浦のヘドロ問題についてお伺いをいたします。  いま百三十億でつくりました田子の浦の港が、しかも重要港湾に指定されておる港が閉鎖寸前にある。行政というものは正しく行なわれていれば、こんなばかなことはあり得ないという感じを私たちは率直に持つわけでありますが、こういう点について大臣はどんなお考えをお持ちでしょうか。
  35. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御質問のあれにはっきりとお答えになるかどうかわかりませんけれども、われわれ建設省といたしましては、河川の治水、利水のほか、やはり水質を保全してよい環境にしておくということが任務であると思っています。ところが、そういう立場にあるにかかわりませず、従来は河川法ができましても二十九条の政令が関係機関の合意を見ないまま、実はなかなかこういう問題に取り組むには十分でなかったと思います。しかし、私は先般の国会において国会の委員会におけるそうした質問あるいは追及ともいうべき取り上げ方をいただきまして、さっそく閣議において、これは法律上当然政令をきめるべきものが合意を見ないということでじんぜん日を過ごすことは、はなはだ政治不信につながることである。ぜひこれは各省の合意を得て、すみやかにこれが政令を実施しなければならないということで、ようやく実は八月の七日に政令が制定を見たというわけでございます。そういう状況でありますから、いま御指摘のありましたように、本来各行政機関が、いろいろ批判されたように、所管の業界を保護することが非常に優先して、それに基づくところの公害に対する配慮が全般的に若干おくれておったということが累積して、こういう結果になったのではないかと思われるのであります。これに対しましては、総理も非常に重大な関心と決意を持ちまして、これは政府全体として、しかも国民の合意を得て、産業の発展と公害と比較して云々というようななまぬるいことではいかない。とにかく公害は人間の生命と自然の保護ということを優先して勇敢にこれはやるべきだということで、御承知のように政府に公害対策本部を設けまして、総理みずからその最高の責任者となり、総務長官を副本部長とし、関係閣僚がそれぞれ協力いたしまして、いま着々公害の防止、さらに未然の予防、あるいは改善というようなことに取り組んでいる次第でございます。これから本格的な対策をやるということになります。  田子の浦のヘドロの問題について臨時応急の策といたしまして、静岡県知事との間で緊急措置も講じておるというような次第でございます。
  36. 松永忠二

    ○松永忠二君 いま企業が優先されていて行政がそれについていくことができなかったというようなことを申されました。私は行政が正しく行なわれていれば、百二十億もかけた重要港湾が閉鎖しなきゃならないなどというようなことはできる筋合いのものではない。行政というものを信頼をしている者から言うならば、こんなばかなことがあるわけはない。だから、どこかに行政に欠陥があったんだという、こういう責任を感じなきゃいかぬし、そういう感じは、この問題については非常にあるのではないかということを大臣もお考えになっておられるのかどうか、その点を聞いたわけであります。その点について集中的に御質問をしたいと思うのです。  時間もありませんので、実はこまかく聞きたいわけでありますが、私のほうでむしろ内容を申し上げて質問をしたいと思うのであります。大体、こういうふうに閉鎖寸前になった原因はどこにあるのかといえば、これは年間百万トンのしゅんせつをしなければ港が使えない、それが四月の十日に田子の浦港のしゅんせつが沿岸漁民の反対でできなくなった。そこでヘドロがたまったということになる、それを処理しなければいけないということであります。しかし、その根本の原因は、汚水をたれ流していた企業に問題があったわけであります。すでに、御承知のとおり、市民はこのたれ流しをしていた企業に対して告訴をしている、企業の責任を追及しているわけであります。現に沼川に大昭和製紙の鈴川工場が汚水を出している。沼川の支流の滝川の上流に大昭和製紙の吉永工場が排水を出している。岳南の排水路に大昭和製紙の富士工場が水を出しておる。本州製紙の富士工場がこれを岳南排水路に出しておる。その岳南排水路の用水が潤井川に排水されているわけです。しかも、大昭和の三工場をはじめ大手の七つの工場の排水量が全体の排水量の四〇%である、今度の汚水浮遊物のSSの量に対する負荷量というのは、大手七社が五三・四%の量を持っている。しかも、一方で県が工場または事業場の排水の水質の指導基準をきめておる。これは浮遊物SSが四〇以下であるけれども、特例の基準として沼川、潤川の水域はB水域にきめて、ここはSS二〇〇にきめてあるわけです。ところが大昭和の鈴川工場の排水はSS二七〇、県の指導基準より上回った汚水をいま言う沼川に流し込んでいたわけであります。そこで大昭和の鈴川工場へ視察に行ってみると、紙の汚水を処理する浄化装置はできているわけです。この浄化装置には薬品等加えて、SS三〇から四〇くらいのきれいな水にしてある。それでその水は一トン一円五十銭という安い金をかけて浄化して、それを今度は工業用水に自分たちが使っているわけです。ところが、パルプのほうの汚水は非常に浄化が困難だということで、こっちのほうには何も金をかけないで、そのまま水をたれ流しているわけだ。今度問題になったので、大昭和は鈴川、吉永、富士の工場合わせて三十四億の金を投資して、明年の六月から九月にかけてクラリファイアーというアメリカの手法を取り入れてSSを一〇〇以下にするということ。そうすると、一体いままで企業は何をしていたんだ、自分の工場で安い水を使うのには、製紙のほうの浄化の施設をしておいて、それを使っておいて、そうしてパルプのほうは困難だからといって、何らの措置もしないで川にたれ流しをしている。こういうような企業責任というのは一体どうなるのですか。こういうようなことについて、一体これらの企業者の責任というのはどういうふうに考えるのですか。この点について、ひとつこの点は総理府のほうの公害対策の本部のほうから来ているわけでありますから、それと通産省のほうからこの企業責任、市民が告訴をしている企業責任をいままで果たしていたのかどうか、そういうことの見解について、両方の責任者からひとつ見解を聞かしていただきたいと思います。
  37. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) 対策本部といたしましては、現在のところ田子の浦の緊急措置についての……
  38. 松永忠二

    ○松永忠二君 いや、そういうことはあとで聞くから。企業は責任を果たしていたのかどうか、そういう点について、私は聞いている。
  39. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) 対策本部としては、緊急措置のほうにいままで重点を置いておりまして、率直に申しまして、まだ、いま先生がおっしゃいましたような企業責任の問題等についての法律論は詰めてございません。ただ、これまでの経緯についていろいろ各省の連絡会議を通じて聞きましたところによりますと、これまで岳南排水路を建設する場合のこのねらいといたしまして、いろいろこれまで情勢の変化によって見込み違いがあったということは、事実のようでございます。この場合企業としては岳南排水路ができれば、現在のような、いわゆるたれ流しでもよろしいという了解であったというようなことも一方において聞いているわけでございます。しかし、他面におきまして、現実に八十万トンものヘドロが湾に堆積いたしまして、そしてこの港の機能を維持することがむずかしいというような現実の事態が生じておる、このことは企業自体十分認識しておるところだろうと思います。したがいまして、これまでの経過からいろいろ情勢の変化はあったにせよ、現実の企業の操業が現にそのような、現在のような事態を招いたことの認識がなかったとは言えないと思います。しかし、その辺を法律的にどう評価するかにつきましては、私のところはまだ正式の見解をお伝えするだけの詰めはいたしておりません。一方において、いまおっしゃいましたような告発等も出ておることでございますから、正式の国の機関におきまして港則法違反ということで告発されておるわけでございますから、その辺につきましての法律の詰めが今後行なわれることと思うわけでございます。
  40. 柴崎芳三

    説明員(柴崎芳三君) 先生御指摘の田子の浦の件につきまして、確かに企業が現在排出しておりますSSで港湾の機能が麻痺しかかっておるという現実は、否定すべからざる事実であろうかと思います。ただ、この問題を取り上げてよく分析してみますと、非常に長い間の歴史的な経過というものがございまして、その歴史的経過をいかに評価するかによりまして、企業に対する責任の見方についてもいろいろの見解が生じてくるのではないかと思います。で、その歴史的な経過と申しますのは、昭和二十六年に岳南排水路の工事が始められまして、この段階で特に農業用水との関連で農業用水に対するパルプ排水の害をカットするということで工事が始められた関係上、当時といたしましては、農業用水の関係さえ何とか解決できれば、パルプ排水の問題はこれでまず一〇〇%近く解決したものと考えるというような考え方で、企業に対しましては、岳南排水路をつくるから、それに全部排水を出しなさい。で、その排水は海に直接流せば、農業用水との関係はなくなるから、それで十分でしょうというような考え方で、企業に四分の一の負担金を持たせましてこの工事が始められたそもそもそこに現在の問題の淵源があるかというぐあいに考えております。ただ、この地区の生産量がそれ以来飛躍的に増大いたしまして、SSの排出量その他ももちろん飛躍的に増大し、このままの形ではただ単に港の機能に障害を及ぼすだけでなく、田子の浦全体の海水の汚濁という問題にも発展する可能性が出てきておりましたので、われわれとしてもこの問題を以前から取り上げて、企画庁を通じましてできるだけ早く指定水域にして、具体的に国の排出基準というものも設けまして、企業の排水そのものを規制する必要があるというような考え方で、企画庁を通じまして、県に対して基本的な調査その他をやろうという呼びかけをしたわけでございますが、その当時はやはり県のほうは従来の岳南排水路の考え方をそのまま踏襲しておりまして、岳南排水路さえあれば問題は基本的に解決するからと、その指定水域にする国の行為はしばらく待ってほしいというような形の返事がございまして、現在に至るまで実は指定水域にもならなかったという経過がございます。で、ただ物理的に確かに企業から出ておるヘドロで現在のような状態になっておるわけでございますので、その責任をあくまで追及するという立場は、通産省としても強くとっておる次第でありまして、ただそのとらせ方が、いままでのように岳南排水路一本にたよっておったんでは、時間的にもまたヘドロ・カットという大目標に対してもなかなか間に合わない。もういまの段階では指定水域にならないでも、ある程度行政的な基準を設けまして、企業の前処理施設に重点を置いて、企業から出てくる水をその段階においてきれいにする以外に方法はないであろうというぐあいに考えまして、先般来公害防止事業団あるいは中小企業関係のいろいろの金融機関を動員いたしまして、所要の資金を企業サイドに融資いたしまして、それによってできるだけ前処理の段階でSSをカットするという方向に踏み出しまして、現在その施策を進めておる最中でございます。もちろん、この融資は国の機関を通じて行なわれますが、借りる主体は全部企業でございまして、返済する義務が当然伴います。そういう意味ではその段階では企業に一〇〇%責任を持たせて、ある程度の基準までは必ず水をきれいにいたしなさいという行政指導を現在進めておるわけでございまして、全体といたしましてはその排水をさらに集めて将来岳南排水路の末端におきまして終末処理施設を設けることでこの対策は完成することになろうかと思います。まずその前段階の前処理につきましては一〇〇%企業にやらせるということで現在施策を進めておるところでございます。
  41. 松永忠二

    ○松永忠二君 聞いたことを答弁してください。しかし、私はいま町者の答弁したことが問題をやはり含んでいるということを、問題をはっきり言っていると私は思うんです。しかし、これは時間をもう少しかりてやらなければならぬ問題でありますけれども、再考とも企業の責任はないとは言っていない。しかしいままでの経過というものがあるので、企業の責任をどういうふうに果たさせるかということに問題があると、こう言っているんだと私は思う。で、この点はあとで問題にいたしますが、しかし三十四億の金を使っていまやれるものであるならば、なぜ前にやらなかったかということがある。また、なぜそれを行政庁がやらせなかったのかということも、そこに一つ問題が出てくるでしょう。それで県が指導している水質基準をオーバーしたSSを流していても、それを見逃していた県や地元の市は一体その責任を果たしていたのかどうか、こういうところにも問題があるが、問題はやはり企業そのものが――岳南排水路とあなたは盛んにおっしゃるが、岳市排水路だけに流していたんじゃないでしょう。沼川という川や滝川という川にも流していたんでしょう。岳南排水路ができるからいい、いいと言っておられるけれども、それ以外の川にも流していた、こういうことも問題がある。だから、いずれも両者とも企業に責任がないとは言っておらないが、いろいろなことを言って経過を説明をされたと思うんですが、問題は、やはりいままで岳南排水路なりあるいは川なり――岳南排水路自身が処理をしないで川に流していた。そういうものを出していた企業の責任が当然追及をされなきゃいけない。それだから今度の問題でも、企業責任のために金を負わせているわけだと私は思う。そこで、まず建設省側に質問をするが、いま両者から答弁があったように、岳南排水路が完成するまでは水域の指定もいいんです、これへ流しておけばいいんですということで企業者は流した。この岳南排水路は特別都市下水路事業として行なわれたものであって、当初の計画では終末の処理があったわけです。当初手をつけたときには、お話しのように終末処理をやろうとしたわけです。これは当初計画、二十六年から二十八年にかけてこれをやろうとしたときには終末の処理をやろうとしたのを、その後、第一期から第二期計画へ移るときに、この終末処理をやめて海中へこの岳南排水路の汚水を流すことに計画をきめたわけです。そこに結局問題がある。だから、いま話のあったとおり、恒久対策としては、どうしても岳南排水路そのものの終末処理をつくっていかなきゃできないということにいまなった。しかし、これについては建設省関係の技術指導をやっているわけです。あるいはまた、県もこれに関与をして、そうして潤井川、沼川の汚水状況を調査をした。経済的、効果的に直接放流が最適だということで、これはまだ航行とか漁業被害に幾多の問題は残っているけれども、終末処理はやらないようにして海中へ放流したということにいまなっている。どういうわけで一体この岳南排水路の終末処理をしなくてもよいという結論が出たのか、その根拠はどこにあるのか、これをひとつ建設省のほうから聞かしてください。
  42. 吉兼三郎

    説明員(吉兼三郎君) 御指摘の終末処理の問題につきましては、岳南排水路に着手いたしました二十六年当初から、全体計画としては処理場を設けるという構想は持っておりました。それで事業着手に入ってまいったのでございます。先生御指摘の、一期から二期に移りますときに処理場をやらなくてもよいというふうな、そういう決定をしたという御指摘でございますが、私どもは実はそういうふうには伺っておりません。おそらく全体の投資額が百六十億近い投資を要します。したがいまして、過去のいろんな沿革的ないきさつもございますけれども、早期に早く岳南排水路の事業効果をあげるという判断が当時あったかと思います。そういう意味から、とりあえず管渠を早く完成をいたしまして、その管渠に工場排水を流すということに重点が置かれてまいったのではないかというふうに私どもは理解をいたしているわけでございます。いずれにいたしましても、現在の時点におきましては、早急に処理場の建設にかかるということが、一番岳南排水路関係の、私どもの関係の大なる仕事であるというふうに実は認識をいたしておるところでございます。
  43. 松永忠二

    ○松永忠二君 それは一つ新しいことで、なお一つお聞かせいただきたい。いまの計画の中には、海中に放流する管を施設をするということで、すでに第二期の後半の時期に入って、第二期に仕事を移しておる。第二期に八十六億の金を使って、四十六年、来年完成をすることになっている。この完成する特別都市下水路は、海中に管を出して放水をするということで、その工事をやろうとしたところができないということになってしまって、そこで、結局港にこれを入れることになった。あなたのお話によると、下水道の工事は、海中放流ということを決定してやっていたんじゃないというお話だけれども、それじゃ全然話が違うと思いますが、どうですか。そうじゃなくて、海中に放流するということで、特別下水道の工事の予算をきめて、いまその海中放流のところをやろうとしたところが、その海中に放流をされてはたまらぬというところで、建設ができない、岳南幹線というのはできないために港にいま入れているわけです。いまの都市下水事業の中にこの終末処理をつくるというようなこともまだ入っているんだ、早期に岳南排水路をつくるために、そのことをしばらくおいているんだというようなお話のようだけれども、そうではないでしょう。すでに第二期に入ったときに、建設省のほうからは、総合計画課、下水道課、土木研究所下水道研究室の技術者指導によって、工場廃液の処理法の研究、潤井川、沼川水系の水質汚濁防止調査をする一方、企画調整部において、経済企画庁の委託により、田子の浦沿岸の潤井川、沼川水系の汚染状況を調査し、これら各資料に基づき検討の結果、経済的、効果的に直接海中放流が最適であるとの結論が出された。しかし、この方法でも、航行、漁業被害には幾多の問題が残されていた、こういう結論が出て、それで海中放流にしてその予算を計上して、来年、四十六年にこれを完成することになっていたわけです。そこでいままた、今度は、さっきの話じゃないが、恒久対策として、やっぱり岳南排水路に、そのまま排水路を海中に出すなりいろいろなことをしてはまずいので、問題は、ここに終末処理さえできていれば、これから出る汚水には規制が出てくるのでそういうことにはならないということで、今度は金がかかっても終末処理をしようということになったのでしょう、政府としては。いまの計画の中には入っていないのでしょう。一体なぜ落としたのか。落とした理由を言ってほしいということなんです。そこには今度の問題の根本というか、大きな原因があったわけです。終末処理をやっていきさえすれば、海中放流をしたりさえしなければ、いまのような汚水が港に流れ込んだり、あるいは処理したものを海水へ出すということになれば、そういうことの可能性は出てきた。問題は、岳南排水路に終末処理を削ったというところに今度の問題の根本的な原因があった。そこで今度政府としては、緊急としてヘドロを取ろう。暫定的には水質基準をきめよう。それで工場元の処理をしてもらおう。恒久的には終末処理をつくろうということになったわけでしょう。いまの計画の中に終末処理があるなどというようなそんな答弁があるはずがない。これはやらないことにきめたんだから、なぜきめたのかということを質問を私はしている。再度答弁をしてください。そういうことをさっき言っているでしょう、両者は。私はただそのことを再度繰り返して書面で言っただけの話で。
  44. 吉兼三郎

    説明員(吉兼三郎君) 先刻私お答え申し上げましたのは、当初の二十六年一この岳南排水路の事業の着手当時からそういう終末処理場を持った構想でもってスタートしたということを申し上げたわけでございます。しかしながら百六十億近いという膨大な下水道投資を必要といたします、しかも沿革的にいろいろ農業利水等との関係等もございまして、早くまず管渠を完成する、管渠を完成してとりあえず工場排水を海に流すということに重点が置かれて今日に至ったわけでございます。したがいまして岳南排水路の全体計画としましてはやはり終末処理場の計画というものがあるわけでございまして、これは今日の事態におきまして、緊急に引き続いてこの事業に着手しなければならないというふうに私ども認識をいたしておりますし、そういう方向でこの事業を四十六年度以降早急に着工してまいりたい、かように考えておるわけであります。
  45. 松永忠二

    ○松永忠二君 それじゃあ、早期に早くこれを完成するというか、岳南排水路を使いたい、それだから海水に放流してもいいということでやったんだと、それじゃあその海水にこういう汚染が出てくるということについては研究が至らなかったのですか。結局この前流してみて、早くとにかく岳南排水路の水を海に流しさえすればいいんだという考えでそうやったのだ、早期に岳南排水路を完成するというか、使うというところに目的があったのだということならば、それなら岳南排水路自身が一体こういうヘドロをもたらして海中を汚染をする、海域汚染をする、これを港に流せばこういうふうな堆積ができるというようなことについては研究も不十分であって、そういうことはないと思ったからこういうふうなことにしたのか。これはどうしても終末の処理をつくらない限りはこれは被害も出てくるからそれはやらなきゃいかぬ、ただ海中に放流することはできないという、こういう判断をとらずに、なぜ海中放流してもいいという判断をとったのか、その根拠はどこにあるのか、そういうことを聞かしてください。
  46. 吉兼三郎

    説明員(吉兼三郎君) 当時そういうふうな判断をいたすにつきましては、建設省並びに県、それから関係機関の中におきましていろいろ検討されました結果、そういうふうな措置がなされて事業が進められてまいったのかと私は存じます。しかしながら御指摘のように、今日の事態というものについても、当時におきますところの状況判断の甘さといいますか、見込み違いと申しますか、先ほど通産省からもお話しございました、そういう点も批判は私はあろうかと思います。したがいまして、今日の時点におきましては、私どもは過去は過去としまして、やはり早急に私どもの行政の範囲内におきまして終末処理場の事業に早く着手して、早くこれを完成させるということが非常に緊急の仕事であるというふうに申し上げたいと存ずるわけでございます。
  47. 松永忠二

    ○松永忠二君 まあ、見込み違いだったというのだからこれはもう行政的の欠陥がそこに見られる。明らかにこれは、これに県も関係したというならば県も問題がやはりある。そこで、一体終末処理の費用は、いま百六十億だという話だが、これはいつできて、できた場合には一体水質はどうなるのか、この点をひとつ聞かせてください。
  48. 吉兼三郎

    説明員(吉兼三郎君) 現在の計画では、来年から着工いたしまして四十八年までに、その間可能ならば一部通水可能というふうなところで事業を進めてまいりたいと思います。SSの関係は大体一〇〇以下ということで処理場の計画を立てております。
  49. 松永忠二

    ○松永忠二君 費用は百六十億ですか。
  50. 吉兼三郎

    説明員(吉兼三郎君) 費用は、百二十五億現在残事業がございまして、うち、処理場関係は百億というふうに見込まれております。
  51. 松永忠二

    ○松永忠二君 そこで、その点はあとでまた伺うのですが、そうだとすると、終末処理をしないままに丘山南排水路の水を海中放流をするということを認めてきた。そうなってくると、今度は都市下水路というのは公共用水の水域から除かれているわけです。したがって終末処理のない岳南排水路の工場は工場排水法の規制を受けないわけです。したがって田子の浦港を含んでいる海域とか潤井川、沼川を公共の水域に指定しない限りは野放しであることは事実です。岳南排水路というものは水質保全法の中では公共下水と都市下水路はこれに含まれないということになっているわけだから、岳南排水路、水路そのものの指定をすることはできない。だから終末処理を持たない岳南排水路の工場の排水は工場排水法の規制を、規定を受けることはできない。そこで、岳南排水路が注がれている。たとえばいま話の出ている沼川、潤井川を公共水域に指定するか田子の浦の海域を指定しない限りは野放しにやってもよいということをいままで認めた。ところがいま話が出てきているように、これについては経済企画庁もこの指定水域のための調査の予算を取って水域の調査をした結果を持っているわけです。ところが、県が、岳南排水路ができるから指定水域にする必要はないと言って断わった、さっきお話のあったとおり、そういうことをすることはないというふうなことを言われた。しかしそれをそのまま受け取る経済企画庁も問題があると思うのです。水域指定をしなければ岳南排水路の水は海中にそのままたれ流しということはもう明らかになる。規制をする方法は何もないのだから、どうしても田子の浦の海域があるいは潤井川と沼川の水域を指定しなければならないのに、県は岳南排水路ができるからいいですと、こう言って断わったというが、断わったのをそのまま受け取るほうも受け取るほうだし、指定水域が必要ないと言ったほうも言ったほうだ。またもう一つは、いま岳南排水路が市の管理になっている、ところがそれは岳南排水路の管理規則というものを条例できめなければいけない。ところがまたこの条例は、水質を除くと書いてある。水質を除いて、つまりそのほかのことを規制をしてあるので、そこでこれも底抜けになっているわけです。一体こういうふうなことを考えてみたときに、この水域を指定しなかった経済企画庁というのは、なぜ一体水域を指定しなくてもこれで害がないと考えたのか。県が言ったからそうしましたというのか、その辺はどうなんですか。この辺はひとつ経済企画庁のほうから聞かしてください。どういうわけで一体この指定をしないでそのまま岳南排水路をたれ流しをすることを認めていたのか。岳南排水路は工場排水の規制をすることができないことになっているのだが、それでもよいとなぜいままで判断をしてきたのか、それをいまあわてて今度は暫定水質を規定しようとしているわけ、だが、なぜいままでそういうこと認めてきたのか、一体その責任はどこにあるのか、そういうことをひとつ企画庁のほうから説明をしてください。
  52. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) いま御指摘の公共用水域の指定の問題でございますが、御質問にもございましたように、昭和三十六年にこの地域の指定が必要であるかどうかということで調査が行なわれております。その結果が当然出たわけでございますが、当時の問題意識は、農業被害がある、これをどうするかということが一番の問題だったようでございます。そこでただいま通産省のほうからも御説明がありましたが、岳南排水路の第二期工事ができることによって農業被害が解消するという見通しであるということが、県のほうからも言われました。その点については当時私どものほうの担当者、あるいはこの問題について昭和四十一年に水質審議会において議論いたしておりますが、そのときの判断としては、そういうことであろうということで、この指定を一応保留するということにしたようでございます。ただ、いまいろいろ御指摘がございましたように、この地域が工場の立地がどんどん進んでおり、また既設の工場が生産が上がっておる。そういう若干先の見通しということに立って考えてみれば、今日あるような事態というものが、相当程度予測できたであろうということはどうしても考えられるわけでございまして、そういう点について考えてみますと、これを保留の形にして今日までこれを見送ってきたということについては、私は私どもの責任ということは免れがたいと、こういうふうに考えております。いずれにいたしましても、現在の水質の保全に関するこの法律の体系というものが、個々の水域につきましてそれぞれの実情ということを織り込みながら基準をきめていく、あるいは排出の規制をすると、こういうたてまえでございますが、このたてまえそのものも今日になってみますと、かなり議論のあるところでございます。そういったことを含めまして、いま水質関係の法律の全面的な改正をしていこうということも検討いたしております。そういう形において今後の問題としては、こういった事態が生じないように私どもとしては制度を直していきたいと考えております。  それからもう一点御指摘のございました特別都市下水路としての岳南排水路そのものが公共用水域としての指定ができないという問題でございますが、現行法上はそのとおりでございます。これは下水道法による施設というものを公共用水域の施設から除外をいたしているわけでございますが、まあものの考え方としましては、これが原則的には終末処理場がつくられるということで、当然一定の処理が行なわれて出るというたてまえで、こういう形をとったものであろうと思いますが、終末処理場がないものもございます。そういったものにつきましては当然問題になるわけでございまして、これも今後の制度改正の際には考えていきたいと考えております。ただいまの問題について見ますると、結局この特別都市下水路は公共用水域であるところの沼川、潤井川の中、あるいは田子の浦の海域に出るわけでございます。そういう出口において規制されるというかっこうにおいて、まあこの下水路そのものに排出する工場の排出量あるいはその程度というものも間接的には規制できると、こういうことになろうかと思いますが、いずれにしても制度的に見ますと、はなはだ手ぬるいやり方でございまして、ぜひこれは改めたいと思っております。
  53. 松永忠二

    ○松永忠二君 わりあい私は的確にあなたも答弁されていると思うんですね。それで、終末処理のない公共下水路を公共水域の水質保全法から除外しているというところにも一つ問題がある、いまおっしゃったとおり。したがってもしかりに終末処理してないところならば、今度潤井川、沼川あるいは田子の浦の海域の水域を指定すればいいわけだけれども、それが一々その指定水域をきめるといういまの水質保全法の法律ではこれが非常にむずかしい。そこで今度は法律を改めて、この二つを改めて、今度は一級河川、二級河川、準用河川にまで大体全部のものをきめていこうというふうに法律改正をしようというふうにいま政府も考えている。そうすればこの点も除外できていくし、大体都市下水とか公共下水は終末処理をしてきれいなものが流れるというように考えているから、水質の地域の指定をはずしてある。それを何にも処理をしないでもいいのだということで流せというのにきめたのは、まことに見通しが甘い。見通しが甘いというより、逆に企業を擁護しているんじゃないかということすら言える。それなら企画庁が考え昭和三十六年だって、当時調べてみればヘドロがどうなって出てくるかぐらいのことはわかるんだから、これは終末処理がやれないんだから、ちゃんとこれは水域に指定しなければいかぬと、経済企画庁は調査をしたら、その資料に基づいてそのときに何で指定をしなかったのか。これは当時の情勢分析としては、甘く責任はないとは言えないというんだから、全くあなたのおっしゃることはそのとおり。そういうふうにはっきり言えば、私たち質問していてもよくわかる。  そこで、今度は暫定の措置をするために暫定的な水質をきめようと経済企画庁も言っているわけです。ところが話を聞いてみると、県は一万トン以上排水しているものはSS二〇〇、一万トン以下の排水をしているものはSS二五〇。二五〇というと、現在沼川というのはその基準でB水域で二〇〇になっているのに、一万トン以下の場合には二五〇にして、それから一万トン以上の大きな排水をしているものは二〇〇というと、現在のものをそのまま認めていこうという、こういうことを何か考えているのではないかというふうに伝えられているわけです。そこで国はどうするのか。国はさっき話が出てくると、岳南排水路の終末処理をしたときには、出てくるものはSS一〇〇以下のものと考えていると、こういう話だけれども、暫定的にどのくらいの一体水質にきめようとしているのか、これはいつまでにきめるつもりなのか、これをひとつ企画庁のほうからお聞きをしたい。
  54. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) 今後の問題といたしましては、すでにもうお答えがあったのかもしれませんが、経済企画庁としては緊急に、このSSといういわゆる懸濁物質でございますが、これにつきまして暫定的水質基準を決定したいと考えております。これは九月中にきめたいということで、水質審議会のほうに部会の設置をお願いいたしまして、この二十一、二十二両日現地においてこの部会を開く予定にいたしております。この基準をどの程度にきめるかということは、まだ方針が出ておりませんが、ただいま県のほうの一つの案ということでお示しになったような数字では、私どもはとうていこの問題はきめられない、もっとシビアにする必要があると判断をいたしております。なお、このSS以外の問題もあるわけでございまして、本年度至急調査をいまいたすことにいたしておりますが、そういった調査を待ちまして、来年早早にはこのCODでありますとかその他のものも含めて、またこのSSにつきましても暫定的なものではない本格的な基準をきめるようにしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  55. 松永忠二

    ○松永忠二君 そこで運輸省にお聞きをいたしますが、一体港湾管理の立場から、港に工業汚水をたれ流しをさせておいたということについて、これは港湾法の三十七条というものには、港湾区域内の工事等の許可という問題が、施行令の十四条に出ておる、三十四条では、県に管理の責任を負わせるということになって、県は港湾管理規則というものをつくっている。静岡県は公害防止条例というものをこしらえていて、これは勧告もできるし、改善命令もできるし、あるいは仕事を停止させることもできるようになっている。県の港湾管理規則には汚水、排水など廃物を港湾に投棄することを許可制度にしている。しかも港湾調査規則というのがあって甲種の港湾になっている。港湾管理関係者である運輸省及び県はヘドロがたまってどのくらいになっているということは、すでにわかっている話でしょう。また、管理の責任を果たしておりさえすれば、こんなものをこのままいままでためておくことはなかったと言ってもこれは間違いではないと思う。年間百万トンしゅんせつすればいいんだということで取って流せばいいんだというような考え方で安易に考えていたのか。こういうふうな港湾管理の立場にあるものがここまでぎりぎりになるまで何らの措置をしなかったという一体責任はどこにあるのか。それともそういうことをやったのか、管理の責任ある者がこれはこうだ、いかんというふうな管理の権限を発揮したのかどうか。この点をまずひとつお聞かせをいただきたい。  そうしてもう一つは、いまそのままになっているわけだが、一体このままになっていると港を閉鎖するぎりぎりの時期はいつになるのか。すでに日本郵船とか川崎汽船は入港を差し控えたい、これは冷却水の吸水のパイプがヘドロで詰まってしまって安全航行ができないというようなことを言っている。これだけ法律がちゃんとそろっていて、港を管理する者がちゃんといて、ここまでになるまでに一体なぜこれの管理の責任を果たさなかったのか、なぜ一体運輸省はこういうことについて積極的な措置をしなかったのか、やったのかやらなかったのか、注意をしたのかしなかったのかどうなのか。このままともかく放棄をしないで、海中放棄もやらなければ一体いつになれば港が使えなくなってしまうのか、ぎりぎりのところはいつなのか。この二つの点について運輸省のほうからひとつ見解を聞かしてください。
  56. 竹内良夫

    説明員(竹内良夫君) 御承知のように、この港湾の管理は港湾管理者の県がやっているわけでございますが、そもそもつくりましたのが昭和三十三年ごろでございまして、ちょうどこの沼川と潤井川の河口につくりました。その間に順次沼川、潤井川から入ってくるヘドロが多くなってきまして、港湾の供用が開始されましたころからヘドロとしてたまってきた。で、当然この岳南排水路によりまして、沼川と潤井川からのヘドロを別の部分のほうにバイパースするという計画を承っておりまして、港湾のほうの計画といたしましては、昭和四十六年までにその下水路を港湾の中から外へ出してもらうという計画で今日に至っているわけでございます。その間、これは何とかしてやはり港を維持しなくてはいけない責任がございますので、港湾の管理者といたしましては毎年一億円ないし一億数千万円のお金でそのしゅんせつ作業をいたしまして、一年間約百万ないし百二十万立方メートルの土砂を毎年掘りまして現在に至ったわけでございます。まあその間の過去の経緯もございまして、工場の責任云々というよりも、四十六年になりますとすかっとした港になるという、その間を県のほう、港湾管理者が維持してきたという形でございます。  それから第二の御質問でございますが、いつになったら閉鎖するか、こういう御質問でございますが、現在、大体におきまして推測いたしますところによりますと、一日に三千立方メートルずつヘドロがたまっております。一月にいたしまして十万立方メートルでございます。大体七月一ぱいで一万トンの船が入れなくなりまして、八月の末から九月にかけますと順次もう少し小さな船も入れなくなる可能性が出てくるのではないかと思います。しかしその間港湾のほうの対策といたしましては、特殊のしゅんせつ船をこれに回しまして、また土砂を運搬する、土運船と申しますけれども、この土運船も特殊なものに改造いたしまして、直ちに工事にかかりたい。これは海洋投棄――相当遠くのほうに捨てなくてはいけないわけでございますが、そのような形で九月の半ばころから工事にかかれるのではないかというふうに考えております。なおその間にも、船が入るときに入れなくならないように、ある程度の、たとえば港湾の一部にヘドロをためるというようなことも緊急的に仕事をしていかなくちゃいかぬというふうに考えておりまして、この港が閉鎖するということがないようにしたいと考えております。
  57. 松永忠二

    ○松永忠二君 あなたのお話だと、管理責任を果たしてきましたというようなお話ですが、一体岳南排水路が終末の海水放流ができない、障害に乗り上がったというのはわかっているでしょう。一期工事ができないから向こうに流れないで海にばかり流れる。田子の浦の港に入ってくるということがなかなか解決できないということはわかっているでしょう。しかるに百万トンのいわゆるヘドロを取っちゃ外に流せば漁業者が反対しているということも知っているでしょう。これじゃ困るから、港を建設した立場から言うならば、早く岳南排水路の終末処理をしてもらわにゃ困るとか、ここへ流されちゃ困るとかということをきちっと積極的に言っていくべきじゃないですか。ただ百万トン取っていればそれでいいですと、そうなっているのでということじゃいかぬじゃないですか。そういうことについて、管理者としては見通しをつけて、きちっと事前に早くやったら、ここまでに至らぬ先にとにかく問題は解決するでしょう。これは、さっきから話をしてきた各省のどこか一つが真剣にその問題を取り上げて協議をしていけば、それだけだって問題の解決はできたと思う。責任がないなんというどころか、われわれから言うと、港を管理している者が港を閉鎖しなきゃならないまでほっぽらかしておくなんという、そんな無責任なことをやられちゃ困る。むしろ港を管理している立場から、積極的に早くよそへ持っていってもらわにゃ困るじゃないか、これじゃしょうがないじゃないかというような筋合いのものだと私は思う。  そこで今度は話を少し変えてちょっと水産庁のほうからひとつお聞かせください。一体岳南排水路の終末処理をたれ流しをして海中に放流する。百万トン外に捨てて流している。それで沼川と潤井川の田子の浦の水域の指定もしてない。で、いまお話に出ている百万トン取って駿河湾に流している。しかも現在いまお話があったとおり、一日七千トンもヘドロが排出をされる。その排出されるヘドロの中で、三千トンがお話のように港にたまって沈でんするけど、四千トンは港の外に流れている。われわれが船で行けば、これが由比のほうにまでずっと流れている。風次第によっては戸田とか静浦のほうまで流れる。だから汚染する範囲は九十平方キロだ。汚染度は二年前に比べれば数十倍だ。現に三十六年に県はこういう調査をやっている。いま駿河湾の関係の漁民は二千百六人なんだ。イワシの漁場、ハマチの養殖、サクラエビ、これはいずれも日本でも有数のものだ。ところが、今度そこで調べてみたところが、いろいろな魚の頭やひれや尾などが溶けてしまっているというのは新聞にも出ておる。あるいは、このごろとった魚はチップやパルプの悪臭で食べられない。一体水産資源を保護する立場である水産庁が、一体具体的にこの問題にどういった努力をしたんですか。どういう具体的に一体努力しておるのか。ここまで放置をした責任はどうなるのか。いつ、どういう時期にこの問題について正式に水産庁は、意思を決定して、それで地元の港湾管理者なり、あるいは岳南排水路の工事をやっているものなり、建設省なり、関係者のほうに善処を要望したのか。その水産資源保護という立場、漁民保護という立場を何を一体水産庁はいままでやってきたのか。この点をひとつ聞かせてください。
  58. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 私ども、最近漁業が公害によって相当痛めつけられておりますので、できるだけ早くそれを予知するため、あるいは防止するための観測の施設と、それから特に四十三年度からは、いろいろな漁場を、内水面も沿岸地帯も含めまして、おおむね年三十前後の水域につきまして相当基本的な調査を県に委託してやっておるわけでございますが、この田子の浦につきましては、県がいろいろな問題をかかえていて、なかなか私がいま申し上げましたような委託調査が実行しないで――県自体でいろいろな調査をやっておったようでございます。私ども、大体駿河湾、特にこの田子の浦の間接、直接に影響を受けます漁業者の数は、いまお話にもございましたが、大体内浦から由比にかけてというふうにいたしますと、五つの組合で約三千五百人ほどでございまして、ときどき以前におきましても漁業者の陳情を受けており、いろいろお話も聞いておりますので、水産庁あるいは農林省が直接ということではなかなかございませんけれども、県の水産課あるいは経済部等を通じまして善処方を絶えず要望してきたわけでございます。なかなか事態が思うようにまかせず、こういうふうになりましたことにつきましては、私どもきわめて残念だと思っております。それで、私ども田子の浦ばかりではございません。いろいろまあ各地に問題がございますので、この際、問題のありそうな漁場につきまして総点検といいますか、事態がここまで追い込まれない前にできるだけ手を打つ意味で、県を指導いたしまして、漁場について、そう突っ込んだ、こまかい調査ということはまた別の措置といたしまして、とりあえず大体の概況、問題の深刻さかげん、そういうものにつきまして、問題のありそうな漁場につきましていま総点検をやりたいというふうに研究をいたしておるところでございます。
  59. 松永忠二

    ○松永忠二君 なおもう少しあれですが、次に進みますが、一体いま緊急の対策としてヘドロを放棄しよう。これについては、県の漁連は外洋投棄には反対だ。漁業に関係のない外洋がどこにあるのか。この黒潮外へ投棄をするということは、漁民不在のままで政治がかってにきめたんだというような反対が起こっておる。そうして、一方また外洋投棄のためには、お話が出ているようにいろいろ言われているが、五千トンのしゅんせつ船四隻をチャーターしてやっていくという、しかし、船の改造は九月中ごろまでかかる。あるいは県は二千五百トンで八月中旬に開始をして、房総沖で、田子の浦から百八十キロの沖に捨てることにしているのだ、政府は来年は三、四隻の特殊な運送船を建設するのだ。しかし黒潮外へのピストン航行というのは、現行法では船体の程度からいわゆる近海航海に適さず、船舶安全法に触れるのではないかということも言われている。それで、黒潮外投棄をした場合には、東京とか、千葉などへ影響もあるあるいは小笠原の漁場、周辺の漁場に悪影響がくるだろうという問題もある。漁業者の中には、こう意見が出ている。一体漁獲の激減で漁民に大きな被害を与えたわけだから、企業が、しかも、二十四時間たれ流しやっているのだから、当然操業を短縮すべきだ。そうして、また、港湾管理者としての県も一度港の機能を停止をして、三者が同じような被害を受けた上で、ヘドロをどうするかということをきめるべきだ、おれたちだけに犠牲を払わせる手はないじゃないか、おれたちだけに犠牲を払わして、企業はそのまま操業を続ける、港もそのまま自由に使えるというような、そんなばかなことが許されるか、こういうことを主張をしているわけです。これはどう一体解決するつもりなんですか。船の問題、漁場の問題、漁民の問題。そうして、これをどう一体具体的に解決するのか、見込みを持っているのか、具体的にひとつ水産庁、通産、それから、総理府、この関係でひとつそれぞれ解決を、具体的に言ってみてください。投棄の場所はどこだか、船はいいのか、いつから始めていつ終わるのか、こういうような問題がある。これをひとつ具体的に答弁をしてください。
  60. 大和田啓気

    説明員大和田啓気君) 私ども漁民の人たちの言う気持ちは非常によくわかるわけでございまして、まあ海をごみ捨て場として何でも海に捨てればいいということは、原則としては非常に困った考え方だというふうに思います。ただ、いろいろお話がございましたように、田子の浦の現状から見ますと、だまっていてもヘドロが湾の外に出て、相当漁業者が影響を受ける現状でございますから、この問題につきましては、やはり海洋投棄ということもやむを得ないことだというふうに考えております。ただ、その場合も、できるだけ漁業に影響のないような時期、場所等を十分検討をしなければならないので、最近ほとんど連日のように私ども技術者の会議を持ちまして、水産庁の研究所の技術者等々を集めまして、問題を詰めておるところで、まだ具体的な結論は出ておらないわけでございますが、まあおしなべての議論といたしましては、伊豆七島の東側で暖流の軸流の外であれば、大事をとっても、まずはいいのではないかという意見が相当多いわけでございます。そういたしましても、相当これは距離が長いわけでございますから、現在海流あるいは漁業の状態等々を考えまして、一体いつどこでどういう形でということを、もう少し詰めようということでなお検討をいたしておるわけでございます。そう長い時間を置かないで私ども結論を出したいというふうに考えております。
  61. 柴崎芳三

    説明員(柴崎芳三君) 通産省といたしましては、とにかく緊急に企業から排出されるSSをカットする必要があるということで、先般も大手十五社を招致いたしまして、まだ水質基準はきまっていないわけでございますが、さしあたり全国を見回して、できるだけきびしい線をまず指導目標にいたそうということで、大手十五社に対してはSSを一〇〇に落としなさい、その一〇〇に落とすための工事を至急やってくださいというぐあいに指導いたしまして、これは前者が受け入れるところとなりまして、現在具体的な計画通産省提出中でございます。ただ中小企業が非常に多いところでございますので、中小企業に対しまして直ちに一〇〇という指導目標を与えることも非常に大きな問題がございますので、中小企業に対しましては二〇〇以下で、できるだけ一〇〇に近い線で大いに努力してほしいというぐあいに現在指導しておるわけでございますが、さしあたりこの対策が確実に実行されますと、四十六年の九月末現在におきましては、大手については現在のSSの半分以上がカットされる見込みでございます。中小企業につきましては、カットの量は大手よりもだいぶ落ちるかと思いますが、平均いたしまして、三〇%ないし四〇%のSSのカットは可能であるというぐあいに考えております。さらに四十七年の九月には、全体といたしまして五〇%以上のカットということが実現可能であろうかと思います。そういたしますと、田子の浦に流入いたしますヘドロも、企業の前処理の段階で現在の半分以下になる。それと運輸省あるいは県で考えておられます現在堆積いたしましたヘドロのしゅんせつということをかみ合わせていきますと、港の機能が現在よりも落ちることがなくこの問題は一応乗り切れるのであります。もちろんこれで終わるわけではございませんで、企画庁できめられました水質基準がはっきり出てきて、それよりもきびしい線になれば、またそのきびしい線を目標にいたしまして、さらに前処理の設備の増強につとめる、かような考え方で進めておるわけでございます。
  62. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) 公害対策本部といたしましては、御承知のように八月十一日に、山中公害担当大臣を中心といたしまして、地元の竹山知事を招きまして緊急の対策について協議をいたしたわけでございます。そのときに、いま水産庁長官からもお話がありましたように、現状においてはやはり現在緊急の事態としてそれを処理するための黒潮外の海洋投棄はやむを得ないのではないかということになったのでございます。そして、その地点等につきましては、いま水産庁からお話がありましたように、水産庁のほうで今後十分に技術的に責任を持って詰めるということになったわけでございます。同時に、この船舶の問題につきまして、確かにいまおっしゃいましたような安全法の関係のいろいろの問題があるというのも論議になったわけでございますが、この点につきましても九月の中旬までにしゅんせつが始められるように、運輸省でいろいろの技術的な問題について検討するということで、その会議は別れたわけでございます。そしてその会議におきましては、先ほどこれも通産省から話がありましたように、ともかくしゅんせつをするかたわらにおいて、企業の前処理を促進しなければならない。そのためにおおむね事業量十八億、それに要する費用として公害防止事業団から十億の融資をするという問題、並びにしゅんせつに年度内八億くらいの経費が必要であるわけでございますが、それにつきまして県のほうで一億二千万くらいの金は予算計上してあるけれども、それだけじゃ足りないので、何とかその費用を捻出する方法検討してもらいたいという要請がございまして、いろいろそのとき緊急協議いたしました結果、とりあえず資金運用部のほうから年度内償還を前提にした緊急融資を考慮するというようなことでございます。この点につきましては、その後さらに起債でつなぐ必要があるというので、現在大蔵及び自治両省において検討中であるということでございます。いずれにいたしましても、われわれとしましては、第一段の緊急措置をともかくいまのような形できめまして、さらに問題はいつからこのしゅんせつの事業にかかれるかということでございますので、運輸省検討が終わり次第、さらに二回目の会合を持ってその後の状況を検討しながら第二段目の措置をまとめていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  63. 竹内良夫

    説明員(竹内良夫君) 現在船につきましては検討を進めているわけでございますが、黒潮の向こう側という地点は、いわゆる近海という形でございまして、普通の土運船では行かない所でございます。波の強さとか、あるいはゆれ方、この二つに対して安全なような形に改造しなくちゃならぬ。緊急的に現在二はいの船に対しましてこれを実施しております。これができるだけ早く完成させたい。九月の半ばごろには何とかなるような見通しでございます。なお、その次の船につきましては、もう少し様子を見ながらどういうふうに進めていきたいかということを現在考えております。なおこの場合、波であるとか、あるいはゆれという、そういう構造上だけの問題ではございませんで、そのほかに硫化水素が現在非常に海底のほうで発生しておりまして、この硫化水素に対する措置も考えていかなくてはいけない。その作業員が害にならないような形と、そのしゅんせつの方法でございますが、そのしゅんせつの方法の研究を現在進めております。なお、運搬途中においても害のないような硫化水素に対する措置も一緒に考えていく、ということをいま進めている次第でございます。
  64. 松永忠二

    ○松永忠二君 そうすると、いま船の問題は九月中旬まで、それから水産庁のお話ではできるだけ早くということだが、やはり十分慎重に検討する、港は一体どんなふうだというと、八月の末から九月になればもう船はちょっと入れぬだろうという話。で、施設施設というお話だが施設ができるのは、そんなに早くできるわけじゃない。大手の一番早いところで来年の六月か五月、事実施設について調査してみて、一年以内に設置する工場が二十三だ、二年から三年間が四十八、場所や何かの関係でとてもできないというのが七十五だ、こういうような調査も出ているわけですね。それで一体船の話は漁場の話がきまるまではそのままにしておくのか。  それからもう一つは、企画庁が暫定的な水質をきめる。それに基づいて岳南排水路に排水したり、川に排水している工場がそれぞれ自分たちの工場の施設をしていく。建設省は岳南排水路の終末処理を五カ年計画というか、何か緊急にそれをやっている。じゃ、その間はどうするのですか、その間は。その間はどういうふうにしていけばいいのですか。ここをひとつその前とうしろのところ、施設といったって、そんなにできるわけじゃないし、基準をきめてみたところが、施設ができるまでは基準は守れぬでしょう。だから、その間はどうするのか。一体、それまではどうするのか、その辺もひとつ総理府のほうからまとめてお答え願いたい。
  65. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) 率直に申しまして、八月十一日の会合の際には、ともかく先立つ資金の調達の問題について論議が集中されたわけでございます。しかし確かにいま先生おっしゃいますように、事態はだんだん急迫化しておるということでございます。われわれといたしましてはともかく運輸省のほうでまずそのしゅんせつ船の改装、さらにそのしゅんせつ能力、それらを詰めまして、それでとにかくしゅんせつを始める方向に持っていきたい。そして全体として排出量とさらに現在湾に堆積されている状況等を勘案しながら、具体的なしゅんせつの見込みを立てていきたいというふうに考えておるわけでございます。そのしゅんせつの方途等につきましては、運輸省説明では確かに港のほうはだんだん堆積が激しくなるわけでございますが、しゅんせつ船を二隻急造、改造いたしまして、とりあえずそれを操業させる。そのためには一時ヘドロをどこかへ片づけて、たとえば貯木場というような話が出たわけでございますが、そういう方面に片づけまして、それでしゅんせつに取りかかるというようなことでございまして、しかしそういう方向で現状がうまく処理できるのかどうかということにつきましては、緊急にわれわれなお各省と連絡をとって協議をしなければならないというふうに考えておる段階でございます。
  66. 松永忠二

    ○松永忠二君 そこは前のところだが、そのあとはどうなんですか。工場が施設したり暫定基準をこしらえたり、五カ年計画をやる、そういう途上のところでどうするのか。
  67. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) そこのところはいまのような処置をとりながら、一方において通産省のほうの指導に基づきまして、中間処理の前処理の整備を迅速にはかっていくというところまででございます、現在までわれわれの段階で協議をいたしておりますのは。今後その点についていま申しましたような緊急対策できめたようなところで、はたして片づくものなのかどうなのかということにつきましては、なおわれわれのところが中心になりまして各省と連絡会を開いて考えなければならないと、こういうふうに考えておる段階でございます。
  68. 松永忠二

    ○松永忠二君 大臣も聞いておられるわけですが、そのあとのことも、一体暫定的な水質基準をきめる、それに従って工場が施設をする、それから岳南排水路の終末処理をやると言ってみたところが、その間ヘドロはどんどん出ているわけですね。そんな施設ができるといったって、大手だけでやっとこさ来年できる、ヘドロはどんどんたまっていく。そうするとそれを一体どうして外へやるのか、ためるのか、上げるのか、こういう問題が残っているわけです。こういうことについてもはっきりした見通しはまだきちっとできてないわけです。事前の一体、いま言うとおり船の問題、投棄の問題について話が出たが、そういう点について漁民が一体反対をしてきた場合に、漁民との折衝というのはどういうふうな形でやるのか。それから現に漁業のこういうときの漁業補償というのは一体どうなるのか。現に何かこれについては一部の漁民の方へ補償を出していることは事実だけれども、いまお話しのようにこれはもうほとんど漁場はあっちのほうまで被害が出ちゃっているわけですから、だからそんなのはいままでの漁業の補償の対象にもなりていないわけです、地域的に。すると漁業補償というのは一体どういうふうになるのか。いまどの考えを聞いてみても、その間、できるまでは百万トンとにかく年に捨てない限りは、ヘドロはたまっちゃって使えなくなることはわかっているのだから、それに対しては一体そういうことは、それができないからたまっちまったわけだから、それをあえてやるだけのいわゆるあれがあるのかないのか、ということにもなるわけです。だから幾多の問題で解決をしなければいけないので、こまくか一々こういう問題も議論したいわけです。あと少しお聞きをするわけですが、これについてもいろいろやはり地元としては問題があるわけです。たとえば処理施設の話が出て、いまの話で十八億、その中で十億の融資を考えているという話だけれども、中小企業というものが、はたしてこういうようなことについてやりおおせていくのかどうなのか。それからまたしゅんせつのための金を市に一時融資をして、市がその仕事の金を出す、起債ということも、実は公害の対象というような問題から起債にも少し問題があるけれども、とにかくその金をこの議会あたりではそういう点についてももうはっきり言っているわけなんです。県は県営だ、しゅんせつをするのは県が責任を持ってやるべきであって、市は企業の汚水処理施設建設に力を入れるべきだ、いまの岳南排水路のいきさつから見て県も行政の責任をとるべきで、その意味で市が融資の肩がわりをするのはおかしい、そういう市議会の決定を市長に申し入れているわけですよね。管理責任は県にあるじゃないか、しゅんせつをみな融資をするからといって、県が責任を免れるわけはないだろう、市は企業の汚水処理の施設に力を入れるべきだ、こういうことを言っているし、それからまた施設についても、私たちのところでは狭くてとてもできない、土地は得られないと言って答えられているのが七十五もある。これを一体どう、やって片づけていくつもりなのか。またしゅんせつのための金額についてどういうふうな負担を企業にさせるのか、これもはっきりしていない。こういうような問題が山積をしているわけだけれども、この問題についてそれぞれいま的確な回答ができるものがあるならひとつ関係のほうから、これはこうします、こうしますという話をひとつしていただきたい。
  69. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) ただいまの御質問のうち、起債を市がやるのがいいか悪いか。まあ正確に申しますと起債という形になるのか、とりあえずこの前きまりましたことは緊急融資ということでございますけれども、それを市が主体になってやるのがいいのか、県が主体になってやるのがいいのかということは、われわれの会議においても論議のあったことであります。その場合には地元の知事さんがお見えになっておりまして、地元の意見というのが尊重されたわけでございます。確かに港の管理責任という点から言えば、県が主体になるべきだという議論があったわけでございますが、とにかくしゅんせつに要する費用につきましては、本県の実情から申しまして企業の負担において解決すべき問題であるという、企業負担という原則がまず確認された。そうなりますというと、本来ならば企業が金を出して、かつしゅんせつの工事をすべきではないかというたてまえ論もあるのでございますが、現在の急迫した情勢のもとではそれもできない。企業が最終的には元利とも負担するにしても、それに伴う金をいま直ちに企業としてそろえて出すわけにはまいらないというような状況がございます。そこで、いまの緊急事態に対処するために一種の代執行というような観念、いわば代執行というような観念で、そういたしますと、企業を誘致し、かつ当該地方における住民福祉についての責任のある地元として、市がいわば企業と協議をしてそのしゅんせつに当たるという形でもいいのではないか。つまり県のこの港に対する責任という問題があるけれども、それ以前にこの本件の問題について責任のあった企業ぐるみの市がこの問題に当たるという形でもいいのではないかということで、この市が主体になるという話が出てきたわけでございます。ただし、現実のしゅんせつの作業そのものにつきましては、しゅんせつを委託する船会社、この運送会社との関係その他につきましては、県のほうでその辺の作業は市の委託を受けて実行するといったような先例でございます。そして今度はその起債の問題でございますけれども、その点につきましては、十一日の会議ではこれが起債になるかならないかという問題につきましては、時間的に十分詰めることができませんので、とにかくその七億の金はどうかして何らかの形で捻出するように検討するということがきまりまして、起債はその後地元の県、市町村と自治省、大蔵省の間で先ほどお話しましたように検討が進められておるわけでございまして、現在県のほうで起債をしまして、その七億の金を市に貸し付けるといったような案が有力だと言われておるようにわれわれ聞いております。
  70. 松永忠二

    ○松永忠二君 大臣はどうですか。この点についてなお結論は最終的に出たという段階ではないと思います。通産省からも答弁をしていただくわけでありますけれども、中小企業の処理施設をどうしてつくらせていくのかという問題、それからいまのように一体管理者が管理すべき場所にたまっている、そのたまったものを持っていくそこの船のことまで全部一切の費用を、これは市にある工場が出したのだから、そっちに責任があるのだという言い方で、金は一時起債は県がしてやって貸せるけれども、おれたちのところじゃないという考え方は、はたしてどこまで通用できるのか。いままで企業自身にたれ流しをさせておいて、それを認めてきて、こういうことについてしゅんせつの費用等については、もちろん企業の責任があるけれども、そういう負担をそれの責任を果たさせる場合における中小企業のやれる方法というものをどういうふうに考えるか、というような問題がある。これらの問題はいずれも解決をしていないわけです。だから、こういうことについて、それともう一つは、さっき話が出ているところの暫定の措置にしても、それからまたしばらくの措置にしても、とにかく海に捨てるというような問題を考えているので、こういうふうなことについての漁業者の反対の意見あるいは補償の問題等をどう考えていくか、解決していく問題は非常に多いと思うのです。十分にひとつ関係者との間で協議をして納得のいくところで処理をしてもらいたい。  そこで大臣、いま質問してきましたけれども、ここまでに至ったことについて、たとえば企業自身がたれ流しをしていた、それまでしていたということに責任がある。しかし、その責任を追及する方法については、要するに建設省自身も終末処理の問題をいままで的確にやらなかった、あるいはまた港を管理する運輸省あるいは管理の責任者もこの責任を明確にしていない、あるいは経済企画庁が水質の指定をしていくということについても、これがおくれてきているというようなことで、市は市で条例の中で水質を除いちゃって条例をつくっている。いろいろな言い方があるけれども、大きな産業とその地元の市政とそれから県政と国政がみんなくっついて、企業に都合のいいように、企業優先に何でも考えてきたところに問題があるのじゃないか。どこか一つの企業、行政庁がきちっとしてこの行政責任を果たしていけば、ここまでに至らぬ段階において処理ができたはずである。大企業と癒着をしている市政、国政、県政というものの中にこの問題の問題点があるのじゃないかということを、やはりわれわれは調査をしてみて感じざるを得ない。それと同時に、だからそういう意味の行政責任というものはこの際明確にしていかなければいけない。そういう企業の責任を十分に追及をしてこないで見のがしてきた行政責任は一体どうするのか、それを十分果たしていないところに問題があった。それから全体の政治の上で大臣が当初言われたように、企業優先のやり方、こういう考え方があった。そういうところに今度の問題の根本の原因が出てきておるのじゃないか。だから行政を信頼しておる者から言うと、こんなばかなことがあるはずがない。法律もたくさんあるし、役所もたくさんあるし、どこかがきちっとしていれば、ここまでに至らぬ段階でこの問題の処理はどこかでされていかなければならない。ここまでに至った責任というものは企業の責任と同時に、それに癒着をしておる市政、県政、国政、政府の責任、そういうところに問題がある、そういう反省がなければならない。企業の責任の中に隠れて、行政の責任を免れるような筋合いのものではないと私は思う。これについて大臣はどういうふうに考えておられるのか。このことについて明確に、やはり今後こういうことが再び起こらぬような措置をしていくだけの行政の責任を負っていく必要があると私は思うのですが、こういうことについての見解をお聞きをしておきたい。その他いろいろ一般公害の問題についてもお聞きをしたいわけでありますが、時間がありませんので、大臣にその点についての、当初に返って、一体こんなばかばかしいことが起こり得ることについて変だと思わなければならない、どこかに筋の違ったところが出てきておるのだろう、そう思わなければいけないような今度の措置について、一体行政の責任をどうされるか、行政と企業の癒着ということに対してどう一体反省をしておるのか、この点について建設大臣として、また国務大臣として根本の原因は岳南排水路の終末処理にあるわけでありますから、相当この問題について建設省として責任を感じなければいけない、こういうことについて最後にひとつ明快な御答弁をいただいて質問を終わります。
  71. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) いろいろ御指摘がありましたけれども、これはもちろん政府、県、企業それぞれの責任があると思います。ただ基本的に言えば、こういうふうな産業公害に対する認識が的確に各方面ともつかんでいなかったということは言えると思います。先ほどの質疑応答の中に出ましたように、当初この水質の問題は、ヘドロが港湾に蓄積されて、その結果こういうふうになるということをほとんど予測していないで、むしろ農業用水とどういう関係にあるかというところが主たる問題として、当時関係者が全部それを集中して検討したその当時、あまり大きな差しつかえがないということで海に放流さしておった。そうしてまたそれがおそらく海は非常に大きいからそこで自然浄化されるだろうというふうな認識がどうもあったような気がするのでございます。しかも一つ一つの工場から出るのがその時点において、まあこの程度はと思っておったのが、どんどんどんどんと排水量が多くなり工場が集中してあそこに立地した、こういうふうなことが結果的に出てそこでみんなが騒いだ、こういうことだと思います。そういう意味で、過去の責任を追及することももちろんこれは怠ってはなりませんけれども、問題は、いかにしてお互いがお互いの責任を転嫁することではなくして、現在の時点においてどうしてこの問題を解決していくかというところに、いまようやく取り組んだのでございます。しかもこれが多年にわたり累積の結果が爆発的にここに現象としてあらわれたということのために、また的確なるそれぞれの分野における具体的な対策がまだ確定しないというところに、非常に問題があると思います。そういう点を踏まえて、現在政府が全体の公害対策についての措置を講じておるのみならず、特に田子の浦の問題についてはそこに焦点をしぼって現在関係各省が意欲的にやっているところでございまして、今後時間もかかるし、途中でいろいろの意見の相違等も出てくるでしょうが、これを総合的な措置としてまとめてまいりたいというのが、現在政府の考え方でございます。なお、こういう問題についてはいろいろの利害関係者からそれぞれの立場における主張がございました。そういう点も十分に配慮いたして、しかもできるだけ時間的にすみやかに結論を出すということに、政府全体としてこれから努力をしてまいるべきだと考える次第でございます。
  72. 松永忠二

    ○松永忠二君 私はいまの建設大臣発言にははなはだ不満なんです。私はそうは思わないのです。情勢判断が甘かったという点について、たとえば終末処理問題について手を抜いたということなんか、そういう点はあるでしょう。しかし工場排水、たまたまいまSSの問題だけだからいいんですよ。もしほかの化学物のようなものがそれじゃ流れてきた場合にはどうするんですか。そういう問題だって起こり得るじゃないですか。それだから、たとえば私の言うのは経済企画庁が公共用水の地域指定をして、そうしてこれを水質の基準をきめればきめる方法はいまの法律にあるんですよ。それをきめれば、また各工場はいま暫定措置をやろうとしている処理の施設をしなければできなくなるんですよ。何もいまあわてて急に思いがけずこういうことになりましたということじゃないんです。やろうと思ったら、いやそれは必要はないと言ったじゃないですか。予算をつけてやったでしょう。なぜそのときにきちっとしたことをしないのか。あるいはこの岳南排水路の条例の中に水質を入れておけば、それだけでも措置がなされたと思う。私は今後のいろいろな対策をするのには、まずいままでの政治のどこに欠陥があったのか、どこに責任があったのかということを明確にしておいて、その上に立って問題の方法考えていく。さっきの話じゃないですが、法律のここを直さなければできない、ここがどうだということになれば、前の過去の責任をいたずらに追及するばかりが能じゃないというお話だけれども、過去の責任を明確にして、そうして新しい措置を完全にやっていくという筋合いのものだ。私は過去の行政の責任を明確にしておく必要がある、この点が一つ。もう一つは、いまの私の質問を通じて、何か企業にやりやすいやり方をそれぞれがしていたんだというような考え方が出るのではないか。企業と癒着をした行政というものは十分に慎んでいかなきゃならないし、あり得てはならない。それが今度の公害基本法を改めるという一つの方針じゃないんですか。だからこの問題はそういうところに問題があるのだから、したがっていま言うとおり、過去の行政の責任を明らかにし、そうして特に産業と癒着をする行政などということに疑念を持たれないように、明確に規制すべきものは規制して行政の折り目を正していく必要があるというように私は思うので、何か予想したことより違ったものになってしまった、予想より甘かったという程度のことだけで問題をすりかえていくことはできないというふうに私は思うんです。そういう点について再度ひとつ大臣意見を聞かしていただきたい。
  73. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 私が御答弁申し上げたことは、何も過去の責任を問うてはならないということは言ってないのです。過去の責任については責任として追及すべきである。しかし、そのように現実になったのは情勢判断が誤りであり、的確な措置ができていなかったということを私は言っておるのでございます。私は現在の問題は、これをお互いに責任を転嫁して、市は市の責任ではない、県は県の責任ではない、県はこういうことでいままでやっておったということではいけない、そこで総合的に具体的にどうしてこの問題を処置するかということを、これからやらなければならないという旨を私は申し上げたつもりです。  それから冒頭に私が申し上げたことは、現在まで企業の経済的な生産性あるいはまた企業のあり方と公害とのバランスということをいままでやり合ったが、それはいまやそういうことではない、自然を保護するということと人間尊重、こういうことからいま総理も決意を新たにして公害対策に取り組んでおります、こういうふうに申し上げたのであります。そういう意味で現在は意欲的に関係各省がお互いに協力してこの問題について取り組んでおる、こういうふうに申し上げたのでございまして、その意味においてはあなたの期待するとおりのことばは出なかったかもしれないが、本質においては私はあなたが御指摘した点にお答えしたつもりでございます。
  74. 宮崎正義

    宮崎正義君 七月三十一日から八月一日にかけて発生いたしました集中豪雨によりまして上川、北空知地方に二百十四ミリから二百二十ミリにわたる最大降雨量がありました。   〔委員長退席、理事大和与一君着席〕 これで旭川または上川における水害が、道では災害救助法を適用するまでになりました。そこで、旭川市においては公共下水道の整備が非常におくれている、そういうことで被害が大きくなったということでありますが、それはさておいて、私のきょう申し上げたいことは一級河川、二級河川、普通河川の問題点について、集中豪雨があるたびに全国至るところではんらんが起き、国民の多くの人たちが悲嘆の生活をしなければならないという点において、前回の本委員会におきましても私はこういう問題を取り上げましたのですが、上川町における一級河川として昭和四十一年に指定されている一級河川がございます。エチャランケップ川あるいは安足間川、ルベシベ川、また石狩川の支流河川、この石狩川の支流河川の菊地橋というところではニジマスを六十万尾養殖をしておりましたが、これが一挙に無堤であるために押し流されて、一瞬にして全部壊滅してしまいました。このいま申し上げましたエチャランケップ川、安足間川、ルベシベ川、石狩川の支流等の一級河川、これが無堤である、原始河川のままであるというところに問題点があるんですが、これに対する考え方を伺っておきたいと思いますが、どういうふうに今日計画を進めようとしているのか。現況と今後における対策を伺っておきたいと思います。
  75. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 川上町に入っております先生お話しの各河川につきましては、現在昭和四十四年と五年にわたりましてルベシベ川の上川町寄りのところで道単独で若干の築堤を行なっております以外には、現在五カ年計画でも私どものほうで特に改修予定をいたしておりません。ただ長期的にはいろいろ大規模なやはり河川改修事業も次第に必要になってこようかと思いますので、長期的な計画としては検討しておりますし、北海道におきましても、現在、北海道開発の第三次の計画をいろいろ検討しておるようでございます。その中には各支川をそれぞれ改修する計画検討の作業中でございます。
  76. 宮崎正義

    宮崎正義君 一級河川にしておきながら、まだその計画が国としてはない、国費をもってその河川の保安を維持していこうということがなされてない、そういうふうなお話でありますが、河川法の第一条には明らかに「目的」でうたわれていると私は言いたい。もう私がこの第一条を読み上げるまでのことはございませんが、念のために申し上げてみたいと思います。「この法律は、河川について、洪水、高潮等による災害の発生が防止され、河川が適正に利用され、及び流水の正常な機能が維持されるようにこれを総合的に管理することにより、国土の保全と開発に寄与し、もって公共の安全を保持し、かつ、公共の福祉を増進することを目的とする。」と明らかに法は目的を明確にしてあります。にもかかわらず、いまのような御答弁では私はまことに納得のいかない次第でありますし、私はいま北海道河川の一覧表というものを持ってきておりますから、これをあとでまた私の質問が終わりましてから、時間の関係できょうはこまかくは話ができませんので申し上げることはできませんけれども、現在の北海道と本州との第三次治水事業五カ年計画の内訳表を見ましてもわずかに一七・九%本州との比較がこうなっている。計画されているものでさえこれであり、いま答弁のありました無計画のものはどういうことになるのか、こういうことを私はあらためて大臣に御答弁を願いたいと思います。
  77. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 河川については、各所において完全な治水利水の計画が策定されて、これが予算化されることが一番望ましいことでございまするが、現在まだそこまでいきませんので、現実に従来からやっておった一つの何と申しますか、計画を具体的に進めているところと、御指摘のように北海道のようなところのものが、計画それ自身がまだ完全に策定されていないというところの差があるのでございます。で、これは第一次的には北海道開発庁等において調査並びに計画がこれから出されてくると思いますので、それと全体の予算との振り当てを見ましてこれは進めていかなければならぬと思います。本州内においても、一級河川においても相当の部分が、流域指定にはなっておるけれども、相当部分がまだ一級河川工事対象になっていないものも相当あるというような現状でございまして、この点はわれわれ河川を担当する者としては非常に憂慮しております。全体の治水五カ年計画の予算のワクも、われわれの希望しておるところよりもはるかに少ないのであります。そういった観点から、鋭意まず予算の総体の確保をはかる。そうしてそれが配分についてはやはり人口、産業あるいは被害の状況等こういうものを勘案して、やはりおのずから若干の差があることは免れないと思いまするけれども、御指摘のような点は十分に配慮して今後計画を進めてまいりたいと思う次第でございます。
  78. 宮崎正義

    宮崎正義君 きょうは時間がありませんので、河川の使用及び河川に関する規制について、こまかくいろんな水利用の問題等に触れていきたかったのですが、きょうは割愛して次回に回すといたしまして、都道府県の管理をしているその河川について、やはり原始河川のままになっているのがほとんどと言って差しつかえないと思います。さらにもう一つは普通河川、大体自治体では事業河川と言っておるようでございますが、普通河川についての考え方、これを局長のほうから、どういうふうな普通河川に対する将来方向づけをしていくか、この点について伺っておきたいと思います。
  79. 川崎精一

    説明員川崎精一君) 大臣からのお話もございましたように、全体的にはやはり治水投資の規模にかかるかと存じます。やはり地域の開発の状況、それから河川の利用のされ方、そういったものを考えまして、いわゆる水系につながる普通河川につきましても、逐次重要性に応じて河川に追加指定をいたしまして改修を進めていく、こういうのが基本的な考え方でございます。  なお、特に最近普通河川で問題になりますのは、都市部で非常に地域開発のために災害が起こっておるわけでございます。そういったものにつきましては、本年度から都市小河川というふうな制度を設けまして、できるだけ補助制度を拡大しまして、その改修の促進に努力をいたしておるところでございます。
  80. 宮崎正義

    宮崎正義君 水系につながるところが北海道なんかほとんどでありますし、山間部なんかに行きますと、これは日本全土でもそうだと思いますが、普通河川というものが相当あるわけです。ちなみに北海道でどれくらいその普通河川事業費の実績を持ち、苦心しているかということを申し上げますと、四十四年度で五十八市町村六十八カ所、四億六百万、補助額が一億六千万、このように大体普通河川について金を計上して実績を主張しているわけなんです。ですから私の申し上げたいことは、三十九年七月十日に河川法が制定されて、これは一級河川、二級河川とありますけれども、この際私は、普通河川につきましても、先ほど局長の答弁の中にありました都市の中小河川に対する補助を設けていきたいというところまで話が進められているとすれば、私は普通河川に対するこの河川法のワクが広げられてもいいんじゃないか、この点について大臣に伺っておきたいと思うのですが、御答弁を願いたいと思います。
  81. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 最近非常に中小河川の、しかも特に端末と申し上げていいかと思いまするが、市町村に非常に小さな河川がたくさんありまして、これはまあ数は十数万とかなんとか称せられるのでございます。ところが、最近の人口の移動集中等からして、そういうところに非常に人家とかそういうものが定着してきておる。ところがこれに対しまして、市町村自体でこれを措置するところの財政的なかつ技術的な能力もない。県のほうはいわゆる法定河川なら処置するけれども、その他のものはそのままにしておる。こういうところで非常にここに問題が出てきているようでございます。そこで、これは河川法上どういうふうに取り扱うか、これは検討を要するんじゃないかと私も実は事務当局に検討をいま指示しているところでございます。そういう場合に、管理権を市町村に与えるべきか、それとも法定河川として知事に与えて措置さすべきか、これはかなりの問題があるようでございます。  それと同時に、これを治水の面から見て予算措置をすると、これは非常に膨大なものになるそうでございます。この点も、こういうものはどうしていくか、実は頭を悩ましているところでございます。現在の状況においてすら、ただいま御指摘になりましたように、一級河川においてすら十分に予算措置ができないときに、今度そういうふうな端末の小河川を措置するということになると、非常に膨大な予算が必要になってくるのでございます。私は新しい経済社会発展計画の五十五兆の全体投資のワクでこれを措置することがほとんど不可能だ。そこで下水と特に治水の問題についてはこれは配慮を促したい。いますぐにこれをきめたことを私一人でひっくり返すわけにいかないけれども、この点は十分に配慮してほしいということを、実は閣議で申し上げている状況でございまして、今後これは非常に大きな問題でありますので、引き続き法律上の問題、さらには予算措置の問題等について、国会の諸先生の御協力を得てもっと前進的な方向でこれは取り組んでいかなければならないと考えている次第でございます。
  82. 宮崎正義

    宮崎正義君 河川の問題につきましては、私はもっときょうはこまかく河川局長のほうにいろいろな面から、水利の面からあるいは河川に関する規制それらも相当用意をしてきていたわけでありますが、この点につきましては次回に譲っておきたいと思います。  次に申し上げたいことは、離島対策の問題についてでありますが、難局の中でおくれているのは、何といっても道路の関係でございます。特に離島の中でも本州に接近しているところは、非常に同じ離島でも対策は徐々に進められておりますが、東北、北海道方面の離島については、かなりおくれているということは否めない事実であります。離島生活をしている人たちは、この高物価の中でもさらに二重、三重の値上がりの物価に悩まされているわけであります。こういう点から考えましても、この消費者の生活をどういうように処理していくか、物資を安く本州並みな値段にして生活を安易にさしてあげることができるか、というような点からも考えあわせていかなければならないと思います。  で、きょうお伺いしたいことは、北海道の奥尻島の例を一つあげてお伺いをしたいと思いますが、奥尻は御存じのように、観光地としてのことは有名ではございますが、産業の開発も特に奥尻は資源が豊富であるということがいわれております。一例をあげますと、パーライトの問題、ウランの採掘の問題等ございますが、パーライトの資源開発について現在どのように進められておるか、また将来についての通産省考え方、またもう一つは、時間がありませんから全部並べて申し上げますが、パーライトの所有権をめぐっての訴訟事件等もこれがどういうふうになっているのか、その点御答弁を願いたいと思います。
  83. 大和与一

    ○理事(大和与一君) どなたですか。
  84. 宮崎正義

    宮崎正義君 鉱山関係の……。いないそうだから、それではほかにいきます。  いまやはり奥尻のウランの採掘の動力炉・核燃料開発事業団の資源部の東部探鉱室というのですか、そこで主査の方がウランの開発をしておりますけれども、ウラン全体については科学等の委員会で伺うようにいたしますけれども、奥尻に関するウランの含有垣は非常にいいんじゃないかということも聞いているわけですが、この点どのように掌握なさっているか、原子力局長ですか……。
  85. 大坂保男

    説明員(大坂保男君) 御答弁いたします。  四十三年から四十四年度にかけまして通産省の地質調査所が奥尻島を調査いたしましたところ、かなりの放射能の異常値が発見されまして、ただいま先生のお話しのように四十五年度におきまして動燃事業団の担当者二名が現在、六月から調査中でございます。ただいまのところ、まだはっきりした数値はつかんでおりませんけれども、希望があるようでございますので、来年度におきましてはさらに調査を進めまして、簡易ボーリングその他のことで放射能といいますか、ウランの鉱量その他を確かめたいという計画になっております。
  86. 宮崎正義

    宮崎正義君 科学技術庁としてはどういうふうな考え方なんですか。それに対する積極的な態勢というか、積極的な施策というか、そういうことをどういうふうに考えておられるのか。
  87. 大坂保男

    説明員(大坂保男君) ただいま申し上げましたように、現在、動燃事業団の担当者が調査中でございますので、その結果を見まして、非常に有望であるということでありますると、さらに新たな探鉱計画をつくりたいというふうに考えておりますけれども、何ぶんにも現在、調査を始めた段階でございますので、何とも申し上げかねる段階であります。
  88. 宮崎正義

    宮崎正義君 この離島関係で一番悩まされるのは、その就航問題に尽きると思うのです。それと天候です。それで島に行きたくても行けないし、島からまた本島のほうに行きたくても行かれないというような自然界に大きく左右されていくわけでありますから、これについて、行きたくとも島の漁港関係が非常に不完全であり、小さな漁港のために、少しの風が吹けばもう就航できないというようなことが今日まで繰り返されてきているわけでありますが、奥尻の港湾施設をどんなように開発庁は進めていこうとしているのか。またそれにあわせて、焼尻、天売島の港湾施設等もどんなふうに進められていっているのか、そんな点について伺っておきたいと思います。
  89. 新保實生

    説明員(新保實生君) 北海道の離島振興法の適用を受けております島は六つございますが、ただいま宮崎先生がおっしゃいました道路の整備、特に港湾、漁港等の交通基盤の整備につきましては、第二期計画におきましても重点としてまいったわけでございますが、来年度から始まります第三期計画におきましても、離島振興の基礎条件の整備という意味におきまして大きく取り上げて考えて整備を進めてまいりたいと存じます。  個々の島の整備の計画につきましては、港政課長からお答え申し上げます。
  90. 吉村芳男

    説明員(吉村芳男君) 開発庁の港政課長でございますが、監理官から説明をいたしましたように、奥尻島、それから焼尻、天売にはそれぞれ奥尻港、焼尻港、天売港が各一港ございまして、本島との連絡と、それから小型漁船の基地として利用されております。いずれも荒天時におきまして防波堤からの打ち込みの波とか、それから港口からの侵入波によりまして港内の静穏が乱されまして、連絡船の発着とか、それから小型漁船の定係に支障のある場合がございましたので、防波堤のかさ上げ、それから延長・それから消波ブロックによる波消、それから船着場の建設等を実施してまいったのでございますが、さらに貨客がふえましたために物揚げ場の建設とか、それから土地の造成、宅地の拡張というものをやってきております。今後連絡船が大型化することも考えられますし、それから貨客の交流がふえることも予想されますので、三期の計画におきましては、これに対処して一そう整備をはかっていきたいと考えております。
  91. 宮崎正義

    宮崎正義君 通産省の人が見えたようですけれども、先ほどおいでになるのだと思って、私は一人で力んじゃって、一人でしゃべっていたのですけれども、おいでにならなくてまことに残念でございました。佐藤課長さんですか、奥尻のパーライトの件なんですが、年間どれだけの産出量があるのか、就航しているものが、どれだけのトン数の船がどれだけ就航しているのか、それからパーライトの所有権をめぐっての訴訟事件、そういうことがどういうようになっているのか、この点について伺っていたわけです。一人でしゃべっていたわけです。どうかこの点について御回答を願いたいと思います。
  92. 佐藤淳一郎

    説明員佐藤淳一郎君) おくれて申しわけありません。お答え申し上げます。  前段の奥尻島でのパーライトの産出の状況を御説明申し上げます。北海道の奥尻島におきますパーライトの生産は、現在月産で三百ないし四百トンでございまして、これは日本セメント株式会社によって開発されておりまして、主として軽量骨材等の建築用に使用されておるわけでございます。埋蔵量等につきましては、現在のところ役所それ自体で詳しく調査した資料はございませんので、鉱業権者から出されました図面等で一応推定いたしますと、相当量の埋蔵がこの島にあることは期待されておるわけでございます。先生すでに御承知のように、パーライトは比較的近年開発、利用された資源でございますが、その用途は建築用のほかに保温済、あるいは冷凍用保冷剤、あるいは洗剤、ろ過剤等非常に多岐にわたっておりまして、需要は今後とも逐次増加するものと考えられますが、一方ガラス繊維等、各種断熱剤も逐次開発されつつございますので、これらとの競合関係もございまして、今後は新用途の開発とともに品質、コストの面で一そう企業努力が必要であろうかと考えております。  それからこの島のパーライトの採掘をめぐりまして、権利につきまして若干係争関係がございますので、第二の質問についてお答え申し上げたいと思います。  昭和二十六年十二月に佐藤彰朔という方が北海道の奥尻島におきまして、珪石を目的といたしますところの試掘権設定の出願をいたしまして、これに対しまして、同二十九年十月二十日に札幌通産局が許可いたしました。ところがこの鉱業権者の目的といたしますものは、法定鉱物である珪石ではなくて、採石法で考えますところの岩石であったことが、現地調査の結果判明いたしたわけでございます。一般に鉱業権の出願、あるいは設定と申しますのは、鉱業法でその法定の鉱物というものが規定されておりまして、その法定鉱物に限りまして鉱業権の用途という権利の付与がされるわけでございまして、そのほか鉱業法の法定鉱物以外のいわゆる一般的な石につきましては、大部分採石法ということで、これは大体土地の所有者の御了解を受けたものにつきまして、合意に達したものにつきまして採石を認めるという採石法がございますが、この場合、いわゆる珪石というものは法定鉱物の範疇に入っておりますので、この佐藤さんという方は珪石ということで出願されたわけでございます。したがって、その範囲においては鉱業権者の行為は正しかったわけでございますけれども、また受け取った通産局といたしましても、まあ出願の件数が非常に累積いたしておりまして、大体図面で付近の地質、鉱床の実態を見て、まあ珪石だろうということで、出願の許可をやったわけでございますけれども、その後現地調査をいたしました結果、珪石ではなくていわゆるパーライト、まあはりしつの流紋岩であるということが判明いたしたために、同人から提出されました試掘権の存続期間延長申請を、法定鉱物を誠実に探鉱しないという理由で不許可になったわけでございます。ですから、これは事前にパーライトであるということが判明しておれば、当然鉱業権の付与がなかったわけでございますが、若干そういうような当該鉱物をめぐっての認定上、そういう手違いが起きたわけでございます。で、これに対しまして、まあ佐藤という方は、これを当然不服といたしまして不許可処分取り消しの訴訟及びこれに関連して損害賠償の訴訟を札幌地裁及び函館地裁に提起いたしましたが、まあ結論はパーライトは珪石に該当しないということで、まあ本人の申し出は却下されたわけでございますが、同人はさらにこれを不服といたしまして札幌高裁に控訴いたしましたが、同様の判決によりまして現在またさらに最高裁に上告審理中ということでございます。本件につきましては、過去数回にわたりまして本人の訴訟代理人からの申し出によりまして、採石としてパーライトを採掘することについて通産局において土地の所有側、これはまあ大部分が国のいわゆる営林署の土地、一部は日本セメントの土地でございますので、種々その間に立ちまして、何とか採石でひとつおやりになったらどうかということのあっせんをやったわけでございますけれども、採掘の範囲等につきまして本人との合意に達することができませんで、不幸にして訴訟に入りまして、ただいま申し上げたような状況に立ち至っているという実情でございます。
  93. 宮崎正義

    宮崎正義君 きょうは時間がございませんので、これは私も調査しておりますので、この点についてもう少し深く掘り下げてみたいと思っておりましたが、所定の私のきめられた時間が来てしまったので、次回にこの問題は譲っておきたいと思います。ともかくも難局では産業開発をするにしても、就航以外に考えられない。そこで空路を活用して空港をつくって、空からの産業開発、輸送経済の安定性を確立していく、そういう面からも空輸を考え現地ではおるわけです。奥尻の空港の整備についてはどんなふうにお考えになっているか、運輸省の方に、武田課長さんですか、伺っておきたいと思います。
  94. 武田昭

    説明員(武田昭君) お答えいたします。  現在のところ奥尻島に空港の整備を行なうという計画にはなっておりませんが、地元からの空港整備につきましての要望もございますので、将来における航空輸送需要の予測等につきまして、今後十分に検討してまいりたい、かように考えております。
  95. 二宮文造

    ○二宮文造君 申し合わせの時間がございまして、あらかじめ通告をいたしておりました質疑内容に及ばない場合がございますが、お許しをいただきたいと、このように思います。私お伺いしたいのは、先般来新聞等をにぎわしました日本住宅総合センターあるいは日本建設協会など数多くのマンションにからみます事件が発生をしております。その売買取引やあるいは投資経営をめぐりまして多くの問題を引き起こしております。で、ここ数年来東京や大阪では、いわゆるそういう大都市におきましてはマンションブームというのを起こしておりますだけに、この問題は世間で大きな注目を集めております。そこで概略でけっこうでございますから、建設当局から、この種の事件の内容について、その問題点を提起しながら御報告をまずお願いをしたいと思うわけです。簡単にお願いいたします。
  96. 小林忠雄

    説明員(小林忠雄君) いわゆるマンションの問題については、二つあろうかと思います。一つの形態は、真に住宅を欲するいわゆる住宅に困っている人がマンションを買って入居をする、それについて通常青田売りと申しますか図面売りと申しますか、建物完成前に前金を相当渡すという形態が一つあるわけでございます。ところが、そのほかにマンション投資商法と申しまして、自分は入居する意思はないけれども、マンションの一部の区分所有権を取得をして、これによって利殖をはかろう、二つの形態がございます。この二つの形態がさらに混合した形態もございます。現在問題になっておりますいわゆるマンション商法は、主としてこの利殖を目的として一般大衆から金を集めるというのと、それと入居とからんだもの、いずれにいたしましても、いわゆる投資としてのマンションが若干関係しているものがすべてあるようでございます。問題点はいろいろ形態がございますけれども、年一四%というような高い金利の金で経営をするということが、もともとかなり無理があるのだ、そのために金融情勢が悪くなりますと、当初予定したとおりの建物が金詰まりのためにできない。そのために前金を払った人、あるいは投資をした人に元本すら返らないというような点が問題であろうかと思います。
  97. 二宮文造

    ○二宮文造君 具体的な事件、またあるいは建設当局のほうで勧告なりそういうことをやったその件別に御報告願いたいのですが。
  98. 小林忠雄

    説明員(小林忠雄君) 現在いわゆるマンション投資商法を行なっておると慰められます業者は、名前を申し上げますと日本住宅総合センター、日本建設協会、日本コーポ、東京住宅センター、中央高層レジデンス、中央高層住宅、国際不動産、日本高層住宅センター、米矢の九社でございます。日本住宅総合センターは、千数百人の会社員、主婦、商店主等から、おおむね二十億円前後の資金を集め、五月二十八日出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律違反の疑いで大阪警察本部の捜索を受け、同社社長ら役員四人が逮捕され、六月十八日同法違反で起訴されております。関係資料が捜査当局に押収されておりますために、詳細についての調査は困難でございます。なお同社は七月八日、東京地方裁判所におきまして破産の宣告を受けておりますので、宅地建物取引業法第二十条に該当するものと考えられますので、免許の取り消しについて検討中でございます。  日本建設協会及びその関連会社、日本コーポ、東京住宅センター等は、やはり約一千名程度の消費者に対しましてマンション投資商法を行なっておりまして、経営内容について東京都で調査したところによりますと、消費者の権利保護に欠ける点がありましたので、改善について指示をいたしましたが、これとは別に宅地建物取引業法違反の疑いがございましたので、去る七月三日、日本建設協会について聴聞を行なう旨を通知いたしましたところ、聴聞期日に先立ちまして、六月三十日に廃業の届けをいたしております。また日本コーポについても同法の違反の疑いがございますので、八月二十一日に聴聞を行なうことにいたしております。なお日本建設協会につきましては、東京都知事が八月五日にこれを告発しております。次に中央高層レジデンスは、約三十名の者に対してマンション投資商法を行なっておりましたが、同社につきましても宅地地物取引業法違反の行為があると認められますので、東京都知事は七月四日に聴聞を行ない、七月十三日に免許を取り消しております。また米矢は、約七十名の者に対しましてマンション投資商法を行なっておりましたが、同社についても宅地建物取引業法違反の行為があると認められましたので、大阪府知事が七月十日に聴聞を行ない、七月十五日、同社の免許を取り消しております。中央高層住宅、国際不動産、日本高層住宅センターの三社につきましては、すでに東京都知事から投資マンション契約条項の適正化についての指示を行ないまして、これに対しまして現在改善措置を講じております。以上でございます。
  99. 二宮文造

    ○二宮文造君 大体いま一連の問題になっておりますマンションにつきましては、いまの説明によりますと、いわゆる投資商法というものがこの問題を引き起こしてきたと、捜査当局のほうに一件書類が回っているので被害総額等については責任のある答弁はできないというふうなお話でございますけれども、私はこの際いわゆる宅建業法の問題もあります、あるいはまたあらゆる角度での法の不備を是正していくと、こういう問題もありますけれども、焦点を消費者の保護という面に当てて、あと若干の質問を続けていきたいと思うわけであります。  なるほど投資商法に引っかかって、いま伺いますと、数千名の人が被害をこうむっている。その総額は数十億円に達すると私は想像いたします。さて、その被害者がいまどういうふうにして自分の被害金額を回収するかというと、何の目安もない、登記もされていない。まあ、かりにたまたま仮登記がされていても、それは法的には何ら効果を発揮しない、こういうふうに全くその被害者は救済されない状態のまま今日を迎えているわけです。またしかし、それがこれでとどまらない、そういう心配もあるわけです。なぜかといいますと、一般大衆というのは土地の購入だとか、あるいは建物の購入については全く無知です。そこにセールスマンの口にかかっていくということは、もう当然予想されるわけです。したがってその面での、まあいわば当局の指導、育成というものが望まれるわけでありますけれども、そこで具体的な名前は私は避けます。これは現在営業中でございますので差しさわりもあると思いますので避けますけれども、いま私非常に心配になりますので、それがはたしてそういう経営方法が是か非かという問題についてお伺いしたいわけであります。  さて、その前に非常に初歩的な質問でまことに恐縮なんですけれども、大臣、いまマンションなどは不動産じゃない、動産扱いに考えていこうじゃないか。不動産とすると、きわめて取り扱いが不便だ。動産ならば、動産扱いにすれば移転も自由ですし、名儀貸しも自由ですし、わずらわしくないと、マンションあたりは動産扱いにしようじゃないかという考え方がございますが、大臣はこの説に御賛成でしょうか、どうでしょうか。
  100. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 一部でそういうようなマンションは動産的に扱うべきだという議論もあるということは聞いておりますけれども、私はいまそれが二宮さんが御指摘になりましたように、非常にこれはあぶないような気がしますので、そういうような取り扱いをするという考えは、いま全然持っておりません。
  101. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで最近ですね、テレビあるいは雑誌等を媒体にしまして、こういう宣伝が行なわれております。原文のまま申しません。差しさわりがありますので、多少要約して申し上げますけれども、「分譲マンションの充実感と賃貸しマンションの手軽さを取り入れた新しい保証システム」こういう宣伝文句を行なっている宅建業者がおります。その宅建業者は、「七〇年代の住まいは動産だ」、こういうように一般大衆に呼びかけておりまして、なぜそういうように七〇年代の住まいは動産だと定義するかといいますと、「昔の人は家は不動産、命の次に大切な不動の財産と考えていましたが、現代人の感覚からすると家、特にマンションは、さながらカラーテレビや自動車と同じ、単なる耐久消費財にしかすぎません。なぜなら家とは住みたい期間だけ住むことのできる場所とスペースであればよいわけで、一たんきめた家に死ぬまで縛ばられるなんて、全くナンセンスと言わなければなりません。となればこれは全くの動産、そして動産ならば買いたいときに買い、売りたいときに売る。しかもそれがいとも簡単にできる」――いわゆる消費者を保護するということは宣伝文句に全然ない。このように都合のよいですよ、だから家、特にマンションというものは動産のように考えて今後処置すべきじゃないか。こういう問題提起を一般大衆に投げかけているわけですが、この宣伝文を大臣はどう御判断されますか。
  102. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これはなかなか微妙な問題でございましてね、そういうふうな宣伝をするということがですね、多くの消費者に対して非常な幻惑とそれから誤解を招くおそれなしとしない、こう患うのでございます。いまお読みになりました文句などは、いわゆるインテリ向きの住宅の概念を変更すべきだという、一部建築評論家の中にも出ておるようでありまするが、これは私はそうした発想も全然成立しないとは言いません。都市生活のこの変化から見れば。しかしながらそれはいま二宮さんが言われたように、一般に土地建物に対する法律上の保護の問題についてよく理解していない。一般消費者にとっては非常にあぶない実はそこに落とし穴がひそむ傾向があるわけであります。で先ほど来御指摘になりました、マンションなるものも、    〔理事大和与一君退席、委員長着席〕 本来の宅建法と違ったところで、この金融上の商法と、いかにもマンションを不動産の絶対に心配のないものを担保として投資させるのだというこの幻惑のもとに、詐欺行為をどうも意識的にやっているような気がする。どうもそれにつながる心配もありまするので、私はこういう宣伝文については、しからばこれは規制するかというと、法的に規制する根拠があるかどうか、ちょっといま私はわかりません。事務当局に調べさせてみますけれども、かなりそこには消費者に対して非常な幻惑をもたらす危険性がありやしないかという危惧を持っているものであります。
  103. 二宮文造

    ○二宮文造君 では、さらにその宣伝文の内容にわたりまして、もう少し詳しく説明をしてみたいと思うのですが、いわゆるその保証システムというものをこの宣伝文はこのように言っております。  まず、分譲マンションのメリットをそろえた、こういうふうに以下ずっとそのメリットを並べるわけです。まず、「保証金だけで住めます。」と、こういう標題がありまして、「まず分譲価格相当の保証金(敷金)をお預けください。それだけでマンションの居住権(利用権)はあなたのものになります。お預かりした保証金(敷金)には、これと引きかえに退居の際に全額返還をお約束する保証金預かり証をお渡しいたします。」これがまず保証金だけで住めるというところの説明です。それから、その次に、「家賃は要りません。……お預けいただいた保証金は、分譲価格に当たるのですから、当然、家賃はいただきません。必要なのは毎月の利用料(共益費)だけ。」です。三番目に、「保証金の支払いにもローンが利用できます。」ですから相当いわゆる所得のレベルが下がっても保証金の支払いにローンが利用できる。「保証金は、全額現金でお預けいただくのが原則ですが、御希望によっては何々銀行のローンの御融資もあっせんいたします。それも最長十五年、最高一、〇〇〇万円という条件ですから、家賃程度(百万円で毎月一万円強)の割賦額で済みます。」――手軽でございますという説明です。次に、「保証金全額返還を保証します。……お引っ越しの際は、お手元の保証金預かり証と引きかえにお預かりした保証金を全額お返しいたします。このお約束には」――ここにちょっと私も疑問があるのですが――「マンション所有会社とこの保証システムを採用している業者とが連帯して責任を負います。つまり、最悪の場合でも、元金は全額必ず保証されるという値下がりのないシステムですが、物件に値上がりが生じたときには、第三者への名義書きかえによって値上がり差益を取得することもできます。」さらにまた、「転居はいつでも手軽にできます」とか、「管理は徹底しております」とか、「建築内容がすぐれております」とか、そういうメリットを並べた上で、最後に「忘れてはならないもう一つのメリット」と題しまして、「不動産に関する税金は、売るにつけ、買うにつけ、たいへん多種多様にわたります。その点、この保証システムによるマンション御入居の方は利用権は確保されながらも所有権を持たないのですから、取得税はもとより、登記費用なども一切無関係です。」まあこのようなあらあら内容の、いかにも利用者にとっては至れり尽くせりの宣伝文が行なわれているわけであります。  で、ここで、私、いままでの法体系というものは、土地建物というのは不動産だ、こういう考え方で来ておりますけれども、この保証システムが是とされるならば、これは、いままでの不動産に関する法体系が全面的に否定されるような、そういう結果になるんじゃないかと私は思うわけです。  そこで、大臣の御意見は先ほど伺いました。ここで誇大広告取り締まりという、また、それを通して消費者を保護していくという重大な立場にあられる公正取引委員会の方に、こういう宣伝文句によるマンションの保証あるいは利用者の勧誘ということがはたして是か非か、この見解でも感想でもけっこうですから公取の方にお伺いしたい。
  104. 坂本史郎

    説明員(坂本史郎君) 不動産の広告文に関しましては、現在公正競争規約というのができております。不当な表示というのはこれによって取り締まっておるわけでございますが、ただいまお話のありました案件につきましては、規約の中の表示事項との関連もございますので、いま直ちにこの規約に違反して景表法の問題になるというふうには直ちには申し上げかねるように思われます。ただし、この種の広告につきましては、先生からお話がございましたように、従来も非常に欺瞞性を持った広告が非常に少なくございませんので、公正取引委員会としましては、今後十分に事態の推移を監視してまいりたいというふうに存じております。
  105. 二宮文造

    ○二宮文造君 明確な御判断はおそらくこの場では無理だろうと思います。しかしいまおっしゃいました規約といいますのは、自主規制であります。この業者は、この宅建業者は、いわゆる公正取引協議会の会員、メンバーではございません。したがって、いきなりこれは公取の場に持ち込まれてくる問題だろうと思います。したがって、いま私が申し上げたような内容について、これは通告してあるわけですから、お手元にあるはずです。問題になれば、検討さるべき問題とすれば、こういう問題が、こういう点が検討に値する個所になりますと、こういう御判断もあわせて伺っておきたいのです。
  106. 坂本史郎

    説明員(坂本史郎君) ただいま先生がおっしゃいましたように、公正競争規約というのは、自主的な業者の申し合わせで、公取がこれを認定するという性格のものでございますので、アウトサイダーは直接にはこの規約には縛られないというたてまえでございますが、不当な表示に関しましては景表法の第四条にこれを禁止する規定がございまして、この規定を逆用するにあたりましては、公正取引委員会としましては、規約ができておりますような場合に、この規約、これは大体認定する場合に妥当なものということで認定するわけでございますので、この規約の内容を基準にいたしまして判断していくわけでございます。したがって、もし業者の広告がそれによって実際のものよりも非常に優良であるというふうに一般消費者に誤認されるおそれがあるようなものにつきましては、この第四条の規定に基づいて規制していくわけでございますので、アウトサイダーであるからといって取り締まれないというわけではございません。この点をちょっとお答え申し上げます。
  107. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうじゃありませんで――それはよくわかりました。アウトサイダーでも取り締まれる、また、規制ができると、こういう立場はよくわかります。ただいま申し上げましたメリットと、この宣伝文であげられているこういう個所検討の余地があると、いまそれがいいとか悪いとかということではなくて、公取としてこういう点は検討し、実態に基づいて判断をしていかなきゃなりませんという、そういう幅を少し狭めてもらいたい、具体的にこういうことが検討に値しますと、こういうふうに説明を願いたいのですが。
  108. 坂本史郎

    説明員(坂本史郎君) ただいまお話のケースは、全く新しい案件でございまして、昭和四十年十一月に従来の公正競争規約を改正しましてマンションに関する規制のための規定を入れたわけでございますが、その場合にはこういう形態のものは出てきておりませんでしたので、その辺についての配慮はされておらなかったわけでございます。こういう新しい形ができまして、それをオーナーと保証会社が保証するという新しい形態のものができてまいりましたので、今後公正取引委員会としましては、十分この事態を監視してまいりたいと存じます。場合によっては、従来の公正競争規約でいいかどうか、その辺もあわせて検討してまいりたいというふうに存じております。
  109. 二宮文造

    ○二宮文造君 私は具体的にお伺いしたいのですが、何か差しさわりがあるようで、抽象的な答弁だけしかいただけない。これ以上私追い込みませんが、ひとつ公取として十分に――これは問題をはらんでおります。したがって、こういう広告の規制という面についても目を光らしていただきたいと思うのです。  私内容について若干の点をお伺いしたいと思うのですが、マンション所有会社がマンションを第三者に転売をし、またこの保証システムを採用している宅建業者が倒産をした場合、保証金をお返しいたしますという宣伝文句にはなっておりますけれども、利用者はどこへそのしりを持っていっていいのか、行き先がないと思います。完全に保証金が返るというふうな宣伝文句にはなっておりますけれども、それが返るはっきりしたその根拠はない。この点ですね。またこの会社はどうも昨年の下半期くらいに設立をされたそうです。その当時に宣伝をしましたときには、ある銀行も連帯をして保証書を出します、こういう広告をしておりました。ところが、最近の広告ではその銀行の保証が消えております。マンション所有会社と保証システムを採用しておる会社だけが連帯責任を持つ。これは何の保証にもならない。これはひとつ大臣どうでしょうか。こういうふうな利用者に錯覚を起こさせるような――しかも完全に経営がうまくいっている会社だと私は思いますよ、いまは。ところが、これから先どういう経済情勢になるかわからない。また絶対に心配ないといわれている会社が資金繰りで倒産をする当今でございますから、こういう完ぺきな保証体制にはなっていないにもかかわらず、利用者にそういう錯覚を起こさせるような宅建業者の営業方法、これはどうでしょうか。監督官庁としての総責任者としての大臣の御感想を伺いたい。
  110. 小林忠雄

    説明員(小林忠雄君) 大臣のお答えの前にただいま保証金の返還についての担保問題がございましたので、われわれが入手いたしました契約約款で知る限りにおきましては、そのマンションの区分所有権につきまして、担保権を利用者が設定することを希望するときには、所有者は抵当権の設定登記について応ずる。さらに、投下による代物弁済予約に基づく所有権移転請求権保全の仮登記または賃借権設定保全の仮登記について、利用者の希望する登記の一つまたは全部の申請ができる。また以上の担保権設定のかわりに、金融機関による保証を希望する場合には、保証会社が、いまの当該会社が返還を保証するために指定銀行の保証を得る措置をするということになっておりますので、利用者がこのような条項をよく沈んで何らかの担保措置をとっていれば、少なくとも元本についてはその限りにおいては安全である。というようにその金融機関が信用できるものであれは、元本の保証金の返還については現在のところはまずだいじょうぶであるというふうに考えております。
  111. 二宮文造

    ○二宮文造君 せっかくの答弁でございますけれども、私具体的に名前を出したくなってくるのです。その約款とおっしゃいましたけれども、私がいま提起した宣伝文句の中には、いま計画局長が答弁されたような約款は全然出ていないわけです。おそらく保険の約款みたいに裏側をひっくり返したら、虫めがねで見なければならないようなそういう約款の中に、いわゆる脱法行為の一つの逃げ道としてそういう約款があるのではないかと私は思います。私、約款を見ておりません。ですけれども、具体的に一般のそういう利用者がそこまで気がつくでしょうか。気がつくのだったら、いわゆる投資マンションなんかでひっかかる人がないわけです。法律というもの、あるいは監督官庁というものは、そういうある程度以上の階層に向けての答弁ではなくて、常に答弁の対象は、一般大衆を答弁の対象にしていただかなければ私ども困る。また具体的にそういうふうに、こういうシステムがありますから、たとえば本人の利用権のあるところの登記もできます、あるいは銀行の保証もとります、こういうふうにおっしゃいますけれども、具体的に五反田の物件について何人かもうすでに入っております。何か入っておりますが、そういう措置をとった人はわずかに一人ですよ、登記謄本によれば。あとの人はそういう制度があることを知らないわけです。高輪のは別ですよ。五反田については一件しか出ておりませんよ。したがって、特にそういう問題に暗い人が、将来起こるかもしれないような問題を見抜いていわゆる自分でいわば自分を守るといいますか、自衛措置をとっていることを取り上げて、この保証システムが正しいやり方でありますという答弁は、ちょっと私はそのまま受け取れぬのですが、この点どうでしょう。
  112. 小林忠雄

    説明員(小林忠雄君) このシステムが正しいと私は申し上げたわけじゃないのでございまして、保証金の返還について何らかの担保措置が行なわれているかどうかということを申し上げたわけでございます。われわれの調査しました限りにおきましては、確かに抵当権の設定と銀行保証とが選択になっておりますので、抵当権を設定をした件数はおっしゃるようにあるいは一件、二件かもしれませんけれども、その他につきましては銀行保証をとっているというように、われわれのほうは聞いております。
  113. 二宮文造

    ○二宮文造君 そのいわゆる利用者に渡した保証金の、預かり金の保証書に銀行が連名で判を押しているという意味ですか。
  114. 小林忠雄

    説明員(小林忠雄君) 債務の弁済について銀行が保証をしておるということでございます。
  115. 二宮文造

    ○二宮文造君 どこの債務の弁済ですか。
  116. 小林忠雄

    説明員(小林忠雄君) これは第一次的には、当該宅建業者の債務の弁済でございます。
  117. 二宮文造

    ○二宮文造君 当該宅地業者の債務の弁済ですか、そうしますとこの取引の保証金を受ける主体者は宅建業者なんですか、それともマンション所有者なんですか。
  118. 小林忠雄

    説明員(小林忠雄君) その点につきましては、契約上必ずしもはっきりしておりませんけれども、マンションの賃貸借の当事者は当該宅地業者がなり得るような契約になっております。すなわち人の所有物を第三者に貸すということを、所有者と当該業者と需要家と三者で契約をしておるわけであります。
  119. 二宮文造

    ○二宮文造君 利用者が納めた保証金は一体どこへいくのですか、どこの責任なんですか。それが契約条項にはっきりしておりますか。
  120. 小林忠雄

    説明員(小林忠雄君) 保証金の受け取りはマンションの所有者と宅建業者が連名で出しております。で、債務の弁済の責任者は当該宅建業者でございまして、これに対してマンションの所有者が連帯債務を負っているわけでございます。
  121. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、こまかい問題になりますが、じゃこの保証システムの場合は、利用者には全然損害がかからない――このいわゆる宣伝文に、内容にも変わりはない、こう御判断をされますか。事件が起きたらどうしますか。
  122. 小林忠雄

    説明員(小林忠雄君) 抵当権の設定だけの場合に、あるいは一番抵当、二番抵当が先に入っていまして、残りの担保価値が少なければ抵当権だけでは危険である。それから、銀行の保証が入っております場合には、銀行が支払い不能にならない限りにおいてはだいじょうぶであろう。ただ、このようなシステムがきわめて安全であるかどうかということは、いま具体のケースにつきましては、ただいまのところ危険はないと考えておりますけれども、同種の商法が一般に普及するということについては、非常に疑問があると思います。
  123. 二宮文造

    ○二宮文造君 では、なぜ多数の利用者があるのに一人しかそういうことを抵当権を設定してないというのは、どういうわけでしょう。これは宅建業者の取引の内容を利用者に周知徹底せしむるという宅建業者の義務違反になりませんか。利用者が損をしないように、こういうシステムがありますよ。あなたが心配ならば銀行の保証もとりますよ、抵当権も設定しますよと、こういうふうに教えてこそ、いわゆる宅建業者としての私は立場だろうと思いますが、そういうことを教えていないから、数十人の利用者の中でこの恩典を受け特典を受けているのはたった一人です。これはひとつ、いわゆる指導、監督の建設省としては、これは宅建業者にそういうことを周知徹底しなさい、いわゆる自己防衛の手段を教えてやるという、そういうサゼスチョンを与えていいんではないかと思いますが、どうでしょうか、やりますかやりませんか。
  124. 小林忠雄

    説明員(小林忠雄君) どういう事情で抵当権の設定をした人が一人しかおらないかという事情については、調査をいたさなければ確実なところはわかりませんが、推測いたしますのに、抵当権の設定をいたしましてその実行をするよりも、銀行の保証をとったほうが手軽でありかつ安全であると考えられた方が多いからではないかと、私は想像いたします。なお、宅建業者、当該会社が宅建業の免許を受けているということは事実でございますけれども、ただいまのマンションの分譲ではない、何と申しますか賃貸について保証金を取るというシステムは、いわゆる宅地建物取引業に該当するかどうかという点については、非常に疑問があるわけでございます。すなわち、自分の権限を持っているものを他人に貸すというのは、宅地建物取引業に現在なっておらないわけでございます。したがって、免許は取っておりますが、当該行為がはたして宅地建物取引業に該当するか、したがって宅地建物取引業法に基づいて業者を指導するとかあるいは消費者に注意を与えるということが、法律上はたしてこの物心該当するかどうかという点も、多少疑問があるわけでございます。
  125. 二宮文造

    ○二宮文造君 私、非常に言いにくいんですけれども、このシステムを採用されている会社の代表者というのは、この道のベテランです。これはもう御存じだろうと思う。ですから、そういう面からも私はこれを問題にしなければならぬと思います。  そこで、話題をちょっと変えます。――その前に、一点だけ、銀行の保証は利用者が全部取っているということを確認された上で先ほどの答弁になりましたか、あるいは銀行の保証を取っているだろうという推測で、抵当権を設定していないのは銀行保証をとっているからだと、こういう答弁をされましたか。この事実問題、どうでしょう。
  126. 小林忠雄

    説明員(小林忠雄君) 確認したわけではございません。かつ依頼者一人一人に保証をとっているかどうかということを調べたわけでもございません。昨日、質問の御通告がございましたので、直接の監督官庁でございます東京都及び当該宅建業者を呼びまして聞いたところでございます。
  127. 二宮文造

    ○二宮文造君 そういう事実問題を確認しないのに、いかにも銀行保証を全員が取りつけているような、そういう答弁は私は早計ではないかと思うんですが、この点いかがでしょう。
  128. 小林忠雄

    説明員(小林忠雄君) われわれが知る限りにおいてそうである、と申し上げただけでございます。
  129. 二宮文造

    ○二宮文造君 じゃ、事実関係がなければこの場でまたいつか取り消しをしてもらわなければならない。私は取り消しをするよりもそういうふうな安全な、利用者を守る安全な方向に幸い旧知の間柄だろうと思いますから、指導をしていただきたい、こういうわけであります。これはもう非常に問題をかもします。  それからこの点について自治省あるいは国税庁の関係の方がいらっしゃっておりますのでお伺いしたいと思いますが、こういうふうに動産扱いをしていけば、取得税も関係ありません、登録税も要りません、またそれを転貸ししても――あるいは賃貸し料のいわゆる脱税ですね、これも借家人によれば可能になってきます。こういうふうに明明といまの法体系を無視するような、税務体系を無視するような宣伝がなされて、当面の立場にある自治省、国税庁の感じはいかがですか、それぞれ答弁願いたい。
  130. 降矢敬義

    説明員(降矢敬義君) 現在の不動産取得税の関係は、御案内のとおり不動産を取得したものに課税をするわけでございます。したがいまして、この際の利用者というのは不動産を取得しているという事実がございませんので、したがって不動産所得税はマンションの所有者が、つまりマンションを原始取得したその時点においてマンションの所有者に課税をする、こういうことに相なるわけでございます。
  131. 森本達也

    説明員(森本達也君) 国税庁といたしましては、課税要件の事実が発生した場合というのがたてまえでございまして、こういうふうなマンション商法につきましていいとか悪いとかいうような印象を申し上げる立場にないと思います。
  132. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、もっと具体的に言いますが、いまの説明の中に、値上がりをしたときは名義の書きかえで値上がり差益を取ることができます、こういう宣伝であります。普通、不動産を譲渡しましたときは、いわゆる登記によりましてその事実関係は明確になってまいりますし、国税庁としてはそれがすぐ捕捉できます。ところがマンションで名義を書きかえる、登記はしておりません。それで値上がり差益を受けた、こういう場合はえてして税の捕捉からは免れますが、そういうやり方でもよろしいということでしょうか。直ちに課税の問題が出てまいります。
  133. 森本達也

    説明員(森本達也君) 国税庁といたしましては、課税要件の事実が発生いたしました場合には、これは捕捉することにつとめる次第でございまて、こういった商法がいいか悪いかということを申し上げる立場にないと思います。
  134. 二宮文造

    ○二宮文造君 ですから、課税要件が発生したときは捕捉する、登記をしておりますとすぐ捕捉ができます。しかし、私人間の名義の書きかえだけでは捕捉できますか。これにはやはり国税庁としては対抗要件を持たなければ、善意の国民がばかを見るのじゃありませんか。この点については捕捉の道を考慮しますかしませんか。
  135. 森本達也

    説明員(森本達也君) 捕捉の道を考慮するかどうかにつきましては、私、正確に申し上げられないのでございますけれども、国税庁といたしまして課税要件の事実が発生した場合に捕捉に努力するということは、当然かと思います。
  136. 二宮文造

    ○二宮文造君 登記されていることがより好ましいと思いませんか。そのほうが捕捉が確実ですよ。
  137. 森本達也

    説明員(森本達也君) 登記されたほうが捕捉が容易であることは事実でございますけれども、そのことをもってマンション商法の是非を申し上げる立場にはないと思います。
  138. 二宮文造

    ○二宮文造君 大体答弁がまた苦しくなってきましたので、この辺でまた変えます。いずれにしましても、これは新しい問題でございます。大臣のほうでも鋭意この問題を分析をし、私が申し上げるのは営業妨害しているわけでも何でもないのです。利用者が最終的に泣きを見ないように、ばかを見ないように、だれが見てもこれは安全だな、こういうふうな指導監督をされるのが、現在の住宅事情の上では最大の問題ではないか。それをなおざりにしますと、また投資マンションに類するような大ぜいの気の毒な方が出てくる。新しいケースでございますので、この問題をきょうは提起をしたいわけであります。  また、先ほどちょっと私言い忘れたわけでありますけれども、こういう銀行の保証も間違いないかもしれない。しかしそれは実態を当たってみればおっしゃるような事実ではない。おそらく保証会社とそれからマンションの所有者との連帯責任しか出ておりません。そうでなければ、昨年の夏の広告には何々銀行が連帯しますというはっきりした広告が出ておった。ところが今度の広告ではローンを取り引きずる銀行は前の広告と同じですけれども、連帯責任を負いますという銀行の名前は消えているわけです。そしてマンションの所有者と保証会社とだけで連帯責任を負います、こういうふうに文章が変っているところに私は心配がある。またこういう場合に、やはり分譲価格相当の金額を保証金として差し出すのですから、当然これには第三者にも対抗できるような登記をさせるというふうに指導されることが、これが本来の住宅行政ではないか、消費者保護の行政ではないかと思うのですが、この私の考えは誤りでしょうか、この点計画局長、もう一ぺん答弁願います。
  139. 小林忠雄

    説明員(小林忠雄君) 事実関係が先ほど申しましたようにはっきりいたしておりませんので、どちらが適当であるかということを申し上げる立場には現在ないわけでございますので、事実関係をもう少し調査いたしましてから態度を決定いたしたいと思います。この前、昨年先生おっしゃいました、いま行なわれております商法には二つケースがございまして、自分の所有するマンションを分譲するかわりに賃貸して保証金を取るという場合と、第三者のマンション会社が建てましたものを宅建業者が一般の消費者に貸す。その場合にマンションの所有者と当該宅地業者との間が代理であるのか、仲介であるのか、転貸であるのか、そこら辺が法律的には一番あいまいな点でありまして、この辺が一番問題だと思います。いまの保証問題にしましても、第一回に行なわれましたのは、自社所有のものをそのような商法で利用者に入居させておりますが、現在広告しておりますのは自社所有じゃなくて、第三者の建てたものについてそのようなことが行なわれておる。したがってこの両者の場合に債権担保の方法その他につきまして同一であるのが適当であるのかどうか。はたして担保権を設定したら債権保全について万全なのか、あるいは銀行保証を義務づけたほうが安全なのか、これは現段階で事実関係がはっきりしない段階においては、必ずしもはっきり申し上げる限りではございません。ただ先ほど御指摘ございましたように、不動産を動産にするというのはやや不正確でございまして、いわゆる従来でしたら区分所有権を与えるというところを賃貸と分譲との中間をとっておりまして、いわゆる債権関係ではあるけれども、その債権関係を物権的に扱って、第三者への譲渡その他を認めているという第三の領域を実はねらっているわけです。これは現行民法その他が予想していない新しい形態でございますので、これが違法であるとか脱法であるということを直ちに断定することはできませんが、少なくとも現行法が予想しない新しい形態である。したがって、これらのものについては、法律的にもう少しはっきりしないと将来問題を起こすおそれがございますので、そういうことも含めて検討いたしたいと思います。
  140. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっと時間がこえましたけれども――そうなんです。それで私はことさらに問題としたわけです。ここにその会社の昨年の一月の設立計画書というのがあるわけです。これは(案)となっておりますから、明細ではございませんが、この会社の設立の計画書の最後に載っているような図表ですと私は非常に安心なんです。言ってみますと、保証マンション使用賃貸契約その他の図解、こういうふうにありまして、その保証会社は、やはりマンションを建てたいわゆる所有者は別にいるわけですね、建物の所有者は別にいる。その所有者から土地、建物の販売、賃貸、管理、運営並びにこれに付帯する一切の権限の委任を受ける。さらに土地、建物の担保の提供をし、委任を受ける。土地、建物の担保の提供まで受けるわけです。そして今度入居者は、入居申し込みをし、そしてその申し込み金なりあるいは保証金を納める、さらにマンションの使用賃貸借契約を締結する、建物の管理契約を締結する、これが保証会社に対する入居者がやる手続です。そして今度は、保証会社は銀行に対してまずその保証金に保証のお願いをする、連帯して間違いなく返すという銀行の保証をお願いする。さらに物権の所有者から提供されました土地、建物の権利書をその銀行に差し入れて根抵当権設定の委任状も添付して、間違いなく銀行の配下にその物権を置いて、それを一つの反対給付として銀行は保証をする。そして銀行が入居者に保証書を交付する。保証会社や建物の所有者は関係がない。銀行が保証書を交付し、立ちのくときの保証金の返還の保証をする、こういうシステムでやりますというのが当初の計画なんです。それがいつのまにか銀行のところが消えているわけです。それからまた、したがって今度は、いまの場合ですと、建物の所有者は自由に物権が販売できるわけです。しかも、心配なのは、あなたが銀行が保証をしているでしょうとこう想像されるその銀行以前に、ほかの金融機関に三億円相当の根抵当権、一番抵当の設定があるわけです。これはまず飛んでしまうわけです、問題が起きたときには。こういうふうな現状から判断をしますと、最終的に利用者の立場が不安定になる。これを守っていくためにはいわゆる入居部分の占有部分の登記を奨励するなり、抵当権を奨励するなり、あるいは銀行の保証書をとらせるなり、こういうふうにするのが投資マンション事件を引き起こさないような方法になるのではないか、利用者の保護になるのではないかというのが、私の結論です。計画局長の答弁はけっこうですから最後に大臣の御答弁をいただき、今後の検討をお約束していただいて、私は終わりにしたいと思います。
  141. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) ただいま二宮さんから御指摘のありました点は非常に重大なことでございます。いわば善意の人たちが迷惑をこうむることがあってはこれは断じてなりません。いろいろ問題点はあるようでございまするので、私専門的知識がないから、いま明確にどの点はどうだということはできませんけれども、御指摘の点は十分私も理解できます。その心配のないように事務当局をして万全の対策を講ずるように指示をして善処いたしたいと思います。
  142. 二宮文造

    ○二宮文造君 自治省も先ほど非常に確信のあるような、ないような御答弁でございましたけれども、これは計画局長が言われたように新しいやり方でございます。したがってこの面について御検討願いたい、国税庁も同じく御検討願いたいと思います。  それからまた大蔵省の方にもおいでいただいておりますが、出資金の例の取り締まりの法律に関してお尋ねしたかったわけでありますけれども、この点は触れませんでした。しかしこの場合、いわばこれが出資になるのか、預り金になるのか、法解釈非常にむずかしい問題だろうと思いますけれども、類似の会社が続発するような危険性も感じられますので、あわせてこの問題について御検討いただきたい。  それから厚生省の方においでいただきましたけれども、例の生協が問題を起こしまして、生協がそういう土地建物の業者になる、こういう昨今の状況でございますので、あわせて指導監督を懸命にして、いわば単独の立法でもお願いしたい、そして問題の続発を防いでいただきたい、こういう意味でございます。きょうは質問できませんでしたけれども、おわびをいたします。  それから郵政省の方においでいただきましたのは、いわゆる誇大広告の関係でアメリカではこういうシステムになっておるそうでございますが、郵政省の方にこれは問題点として提起をしたままにしておきます。アメリカにおきましては、郵便を利用する虚偽の広告は、公衆の利益に反する郵便の使用を排する政府の権限によって規制をされております。詐取の意図をもって詐欺的手段の助長に郵便を利用したとの認定がありますと、郵政長官ですか、郵便長官ですかは詐欺禁止命令、フロード・オーダーと称するそうでございますが、を出して郵便物を差し出し人に返戻できる。かつ詐欺的行為への郵便の利用者を処罰し得るものとされている。この犯罪は郵便を詐欺的手段に利用したことにより成立し、何人かが現実に詐取されたということは必要じゃない、こういうふうな法の内容でありますけれども、最近、これは先ほどの広告に関する問題でありますけれども、ダイレクトメールなどで盛んにこういうことが、虚偽にわたるようなものが広告をされております。したがってこういう点を郵政省にも御勘案いただいて消費者保護の立場を貫いていただきたい、こういう意味できょう御出席をいただいたわけであります。  以上非常に時間の関係ではしょりましたけれども、おわびを兼ねまして質問を終わりにしたいと思いますし、今後それぞれ御検討をお願いしておきたいと思います。以上でございます。たいへんありがとうございました。
  143. 田中一

    委員長田中一君) 本日の調査はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後三時三十五分散会