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1970-03-20 第63回国会 参議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月二十日(金曜日)    午前十時二十分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     理 事                 和田 鶴一君                 若林 正武君                 渡辺一太郎君                 和田 静夫君                 黒柳  明君                 高山 恒雄君     委 員                 長田 裕二君                 亀井 善彰君                 菅野 儀作君                 田口長治郎君                 高橋雄之助君                 長屋  茂君                 矢野  登君                 大橋 和孝君                 北村  暢君                 安永 英雄君                 沢田  実君                 二宮 文造君                 峯山 昭範君    政府委員        建設政務次官   田村 良平君        建設大臣官房長  志村 清一君        建設大臣官房会        計課長      大塩洋一郎君        建設省都市局長  竹内 藤男君        建設省河川局長  坂野 重信君        建設省道路局長  蓑輪健二郎君        建設省住宅局長  大津留 温君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        法務省民事局第        三課長      枇杷田泰助君        会計検査院事務        総局第三局長   藤田  勇君        会計検査院事務        総局第五局長   石川 達郎君    参考人        住宅金融公庫総        裁        浅村  廉君        住宅金融公庫理        事        江ケ崎太郎君        日本住宅公団総        裁        林  敬三君        日本住宅公団理        事        半田  剛君        日本住宅公団理        事        尚   明君        日本道路公団総        裁        富樫 凱一君        日本道路公団理        事        鈴木 喜治君        首都高速道路公        団理事長     林  修三君        首都高速道路公        団理事      瀬戸山孝一君        首都高速道路公        団理事      有江 義晴君        阪神高速道路公        団理事      小西 是夫君        阪神高速道路公        団理事      南  俊次君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十二年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十二年度特別会計歳入歳出決算昭和四十二年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十二 年度政府関係機関決算書(第六十一回国会提出) ○昭和四十二年度国有財産増減及び現在額総計算 書(第六十一回国会提出) ○昭和四十二年度国有財産無償貸付状況計算書  (第六十一回国会提出)     —————————————    〔理事和田静夫委員長席に着く〕
  2. 和田静夫

    理事和田静夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  昭和四十二年度決算外二件を議題といたします。  本日は、建設省とこれに関係する住宅金融公庫日本住宅公団日本道路公団首都高速道路公団及び阪神高速道路公団決算につきまして審査を行ないます。  御質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 北村暢

    北村暢君 まず第一番目に、建設省当局にお伺いいたしますが、昨日の衆議院予算委員会おい  て倉石農林大臣が、米の調整に伴います五十万トン分の水田十一万八千ヘクタール転用について、その用途別目標を明らかにされたわけでありますが、その中で工場用地住宅用地道路その他の交通用地というふうなぐあいで、建設省関係のある農地転用の問題があるわけですが、倉石農林大臣説明では、関係各省協力を得てこの用途別目標数字がきまったと、こういうふうに言われておりますが、当然建設省もこの協議に加わっているものと思われますが、工場用地の二万ヘクタール、住宅用地の五万九千ヘクタール等の用途別目標数字を明らかにした根拠について、どのような調査をされ、どのような手続でこのような数字が出てきたのか、まずこの点お伺いいたしたいと思います。
  4. 志村清一

    政府委員志村清一君) 昨日の予算委員会倉石農林大臣からお話がございましたように、最近の社会経済情勢から見まして土地に対する需要がきわめて強い。それから農地転用基準を暫定的に大幅に緩和する。それから地方公共団体等による用地先行取得を促進する。民間による水田取得指導というふうなことによりまして十一万八千  ヘクタールの水田転用目標を考えまして、住宅地域用地として五万九千ヘクタールという一応の目標数字を出したような次第でございます。
  5. 北村暢

    北村暢君 いまの説明ですと、建設省事務当局事務段階おいて、農地転用基準緩和等によってやれば——国または地方公共団体先行取  得あるいは民間取得に対する指導促進というようなことを勘案すれば、目標としてこのくらいになるという試算をされたのか。それと各県あるいは調査の方法についてお伺いしたのですが、非常にばく然とした答えでわからないわけです。従来の年間工場用地造成宅地造成取得というものでは、一体年間どのような程度農地転用されているのか。しかもこれは、従来の平均的な取得数量から言えば、たいへんな数量になるわけですけれども、一体工場用地二万ヘクタール、宅地五万九千ヘクタールというものは急速に取得可能であるという自信であって、この目途を立てられたのかどうか。あいまいな答弁でなしに、一応の目標なのか。それとも実現の可能性ありと踏んで、あなた方がこういうものを出したのか、そこら辺のところ、もう少し明らかにしていただきたい。
  6. 志村清一

    政府委員志村清一君) 私どもに、この間補正予算土地需要緊急調査費として約千四百万円ほどの予算をいただいたわけでございますが、この予算によりまして、建設省所管の各事業についての農地転用基礎資料をただいま調査をいたしておる段階でございまして、この調査は三月中に終わりたいと思っておりますが、先ほど申し上げました目標数字は、この調査の結果によるものではございません。先ほど申し上げましたような各般の情勢を配慮しての一応の目標数字でございます。
  7. 北村暢

    北村暢君 そうすると、補正予算の一千四百万円の調査費をもって現在調査中で、三月中に調査を完了する。それまでははっきりした数字は出ないが、目標としては、こういうものをやりたいという建設省事務当局努力目標といいますか、こういう程度のものである。こういうふうに理解いたしますが、これは五十万トンの米の調整の問題が関連しておりますから、時期的には四月中ごろまでにこの結論が出ないと、早いところはもう植えつけしてしまうわけですね。植えつけしてしまえば調整ということにはならなくなってしまう。ことしのものにならなくなってしまう。そういうように非常に期間的に制約されておりますが、従来の農地転用の、これは十倍以上にも当たるのじゃないかと思いますがね。そういうものが非常な短期間で調査を完了して、そうしてその転用手続その他ができるというふうに判断されておるのかどうなのか。努力目標であって、米の調整の点から言うと、これを出さないというと計算が合わないから、これを出しているので、とてもこれは責任を持ってできるような数字ではないと、初めからそういうふうに思っているのではないかというふうにすら思われるのですが、この可能性について——工場用地の二万なり、住宅用地の五万九千というのは、一体可能性の問題について、どう考えておられるか。しかもこれらの問題を解決するためには、これは資金の裏づけがないというと工場用地取得にしても、企業側が、いま金融引き締めですから、先行投資をして現在の工場用地の倍くらいのものを確保するなんということは、簡単にいくのかどうなのか。建設省はそういう融資というものを考えているのかどうか。それから住宅用地にしても国、地方公共団体先行取得ということがうたわれているのだが、国が先行取得をするのは、一体このうちでどのくらいの面積予定しているのか。これはあなた自身のことなんだからわかっていなければならない。国が先行取得するというが、住宅用地で一体どのくらい取得する予定なのか。それから道路その他の公共用地が一万五千ヘクタールあるわけですが、そのうち国は一体どのくらい確保する予定になっているのか。これは国がやることですから、このくらいは明らかになっていないとだめですね。明らかになっていますか。
  8. 志村清一

    政府委員志村清一君) この目標数字各省が寄りまして、一番初めに申し上げたような観点から目標数字をきめたわけでございまして、内訳等についてはきめておりません。詳細の問題につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、補正予算でつきました土地需要緊急調査の結果によりまして進めてまいりたいと存じておりますが、しかしそんなことをしたら間に合わぬじゃないかという御指摘等がございます。したがいまして私どもといたしましては、関係の向きを集めまして、そういう大きな方向につきまして、水田転用という問題が大きな課題になっておるので、用地取得に当たっては、その面に重点を置いて考えるようにという具体指導もいたしております。それらと相まちまして十一万八千ヘクタールの水田転用目標を到達できるように今後も努力を重ねてまいりたい。かように考えている次第でございます。
  9. 北村暢

    北村暢君 これは答弁できないから、そこら辺のところ、あまりはっきりしないのだろうと思うのですが、これは期間的にいっても自信がどの程度あるのか、そこら辺のところを聞いておきたい、自信がね。これは相当多数なものでしょう。しかも期間を区切られて、一カ月か半月の間にきめなければならないものですね。そういうことが作付前に解決できるのか、できないのか。建設省としても、そんなものを割り当てられても、そのくらいにしなければ十一万八千ヘクタールが消化できないから、こういうふうにするだけで、とても御迷惑千万だ、こんなことをやられても——というふうに思われるのですがね。建設省は、何も農政の失敗まで負う必要はないというふうに思われると思うのです。御迷惑な話なんだが、しかし建設省協力がないというと、工場用地だとか住宅用地だなんというのはできないわけですね。ですから、率直にあなた方は、この作付前にこれだけの目標をこなせる自信があるのかないのか、それを聞いているのですよ。
  10. 志村清一

    政府委員志村清一君) 北村先生指摘のように、今回の目標数字によりますと、実績の四倍から六倍くらいになっていようと思います。そういう意味で、なかなかむずかしい問題であろうかと考えますが、それらの目標をさらに具体調査によって固めまして、達成できるように今後も努力をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  11. 北村暢

    北村暢君 まあ努力は大いにやってもらたいが、先ほど申しました国の先行取得というのは、一体幾らくらいかということ、これは調査しなくてもあなた方自身わかっているわけでしょう。それもわからないのですか。国の先行取得するものはゼロなんですか。
  12. 志村清一

    政府委員志村清一君) 先行取得につきましては、地方公共団体土地開発基金とか、そういったもの等によりまして、できるだけ先行的に公共用地取得をしていただくように取り計らいたい、かように考えております。
  13. 北村暢

    北村暢君 地方公共団体じゃなしに、国が——これはきのうの答弁で出ているのですよ。国及び地方公共団体先行取得民間による先行取得等を促進すると言っているのですから、国の先行取得というものがあるのでしょう。ないのですか。道路用地住宅用地、そういうものはないのですか。
  14. 志村清一

    政府委員志村清一君) 公営住宅用地先行、あるいは公団住宅用地先行、あるいは道路についての用地先行、それぞれございます。それらを四十五年度におきましてもなるべく水田転用に役立つように活用してまいりたいというふうに考えております。
  15. 北村暢

    北村暢君 どうも官房長答弁は率直でなくていかぬ。わからないならわからないとはっきり言ったほうがいい。いま検討中ですでもいいですよ。わかっているようなわかっていないような努力しますだけでは——そういう答弁では私いかぬと思う。何ぼでもやりますよ、そういうことなら。やるんですけれども、率直にやはり、国で先行取得を促進するといっておるのだから、道路用地で国は幾ら取得するとか何とかということは、この段階であなた方が地方公共団体やそういうところを通じて、いま調査しているわけでしょう。しかも国でやるぐらいのことは一番先にわかっていなければならないはずなんでしょう。それすらもはっきりしないというのは、予算むだ使いか何か知らぬけれども、一千四百万円も補正予算をとって調査しているわけだ。だから少なくとも国の分くらいはわかっていなければならないはずだ。何ぼ聞いても言わないんだからわからないんでしょう。わからないなら、わからないと言ったほうがいい。あまりこの問題だけやっていてもあれですから、私の判断では、答弁からすると、なかなか簡単にはいかないしろものであるということだけは理解をして、この点についての質問は終わっておきます。  そこで、きょうはお忙しいところ公庫公団総裁理事長おいで願いましてまことに恐縮でございますが、これら公庫公団の全般に関する問題について若干質問をいたしますが、その一つは、各機関役職員定員関係でございますが、これは住宅公団業務年報でわかっておりますが、各公庫公団の、四十年度からでいいですが、四十年度の定員、それから四十四年度の定員、この定員増加の傾向について御説明をいただきたい。
  16. 林敬三

    参考人林敬三君) まず、日本住宅公団から申し上げます。  四十年度の日本住宅公団定員は三千四百五十九人でございます。そうして四十四年度は四千三百一人ということに至っております。役員の数は十七名でございまして、総裁が一人、副総裁が二人、それから理事が十一名、監事が三名、こういう構成になっております。
  17. 北村暢

    北村暢君 その際、どのくらいふえておるかも言ってください。こちらで計算をすればわかるのですけれども
  18. 林敬三

    参考人林敬三君) その間、八百四十二名の増加になっております。
  19. 和田静夫

    理事和田静夫君) 出たところから答えてくだ  さい。
  20. 小西是夫

    参考人小西是夫君) 阪神高速道路公団関係定員を申し上げます。四十年度の阪神高速道路公団定員は六百十五名でございます。うち八名が役員でございます。四十一年が七百十九名、四十二年が八百三名、四十三年が八百四十九名、四十四年が八百九十六名でございまして、その間四十年度から四十一年度にかけまして百四名ふえております。それから四十一年度から四十二年度にかけまして八十四名ふえております。四十二年度から四十三年度にかけまして四十六名ふえておりまして、四十三年度から四十四年度にかけまして四十七名ふえております。以上でございます。
  21. 富樫凱一

    参考人富樫凱一君) 日本道路公団定員について申し上げます。四十年が五千二百人、四十一年が五千七百人、四十二年が六千人、四十三年が六千三百人、四十四年が六千四百人でございます。役員のほうは総裁、副総裁監事を含めまして十二名でございますが、この間におい増員はございません。
  22. 林修三

    参考人林修三君) 首都高速道路公団関係定員を御説明申し上げます。  昭和四十年度におきましては、役員を含めまして役職員千三百五十三人、四十一年度は千四百二人、四十二年度は千四百三十三人、四十三年度は千四百五十七人、四十四年度は千四百七十五人でございます。四十年度から四十四年度の間の増加を見ますと百二十二人でございます。この中に役員は含んでおりますが、役員理事長一人、副理事長一人、理事六人、監事二人、計十人でございます。これはその間に増減はございません。
  23. 浅村廉

    参考人浅村廉君) 住宅金融公庫は、申しわけございませんが四十三年度から申し上げます。四十三年度は役員十一名、職員千百十四名でございます。四十四年度は役員は同じく十一名、職員は一名ふえておりまして千百十五名でございます。四十五年度は役員は変わりございません。職員は千百十七名となっております。
  24. 北村暢

    北村暢君 いま御答弁がありましたように、金融公庫年間増加が非常に少ないだけで、あと公団はほとんど全部相当の人員増加が毎年毎年行なわれておるわけですが、大体住宅公団の場合、人員は定期的にもふえております。大体二百名内外ずっとこうふえているわけですが、三十九年からの住宅公団資本金の推移からいうと、まあ三十九年、四十年からは資本金は大体横ばいになっておりますね。三十九年が資本金七百六十七億、四十三年度が七百八十二億、四十四年度はこの表には出ておりませんが、そういうことで、大体資本金はそれまでは非常に伸びてきているわけですけれども、三十九年からは資本金はあまり伸びておらないのでありますが、そういう点からすると、特に人員伸びというものは、先ほど申したように着実に伸びておる。こういう点からして、これはひとつ公団事業量が拡大していくという点について全然人員をふやさないというわけにはいかないのでしょうけれども、いま国家公務員総定員法によって、定員の総ワクは——総数は絶対ふくらまさないということがはっきりしておるわけです。建設省のごときは、三年間五%削減で、しかも建設省は五%以上減るということで、ふえるどころか、いまどんどん定員を減らしていっているわけですね。減らしていっておるのにかかわらず、建設省事業量はそれじゃどんどん減っていっているかというと、そうでもないわけですね。そういう点で、国の定員についてはきびしく総定員法で押えておりますが、公団政府関係機関として、何かこう、私は政府がきびしく定員を規制しているのに比較しては、このどんどん伸びていっているという形は決して好ましい状態ではないのではないかというふうに思われるのです。それで、建設省としてはこれらの公庫公団について監督をしているわけですが、その監督の立場にあって、この定員というものについて非常にルーズに取り扱っているのではないかという感じがする。そういう点についてどのように考えておられるか。そして、各公団からは、今後ともこういうふうに定員がどんどんふえていくのかどうかということについて、方針なりをお伺いいたしたいと思います。
  25. 志村清一

    政府委員志村清一君) 先生の御指摘ございましたように、官庁におきましては定員の五%削減、その範囲内における増員というふうなことで処置いたしておりまして、建設省といたしましてもその全体の方向に従いまして、五%をこえる大幅な削減をいたしておることは事実でございます。片や、ただいま各公団総裁理事長からお話がございましたように、公団職員増加状況も事実でございます。そういう意味におきまして、いささか公団人員増加についてルーズではないかという御指摘であろうかと存じますが、私どもの仕事も確かに伸びております。たとえば、四十五年度におきましては、公共事業関係を考えますと、事業費として一七%以上伸びているわけでございますが、片や公団公庫財政投融資関係では、さらに伸び率が多うございまして、住宅関係などは三〇%程度伸びでございまして、大幅な伸びを示しているわけでございます。われわれといたしましては、公団につきましてもできるだけ増員につきましてはこれを抑制いたしまして、必要最小限度に限るように今後とも指導してまいりたい、かように考えております。
  26. 林敬三

    参考人林敬三君) 御指摘がございまして住宅公団の話を例にお出しになりましたので、現場事業を担当しておりまするほうの側からのお答えを申し上げたいと存じます。  資金は確かに三十九年、四十年を境にいたしまして少しずつ伸び横ばいになってまいりました。あれはあのときから制度が変わりまして、いわゆる利子補給制度に切りかえて、政府資金融資で金利の安いのを入れて、そして住宅利息の支払いを安く押えていこうというのをやめまして、そのかわりに、利息はやはり安く一般よりは押えるけれども、しかしその補給は国庫から利息を下げる分だけの利子補給をすると、こういうことに切りかわりましたために、やはり資本金というものを増加する力は薄くなってまいりました。事実、そこで十年たちましたものですから、一応の基礎ができましたので、あと資本金を基本にいたしながら財政投融資やそのほうの融資によりまして事業を進めているわけでございまして、資本金伸びなかった点は、伸びておりませんが、しかし事業はたいへんなふえ方になっておるわけでございます。四十年に私就任したのでございますが、そのとき、たとえば住宅建設というと公団のやるノルマは四万戸でございまして、それが住宅重点主義になりましてふえてまいりまして、現在は八万一千戸つくるという状態になっておる。約倍以上になっておるのでございます。そこで御指摘のように、この事業がいかにふえましても、人はできるだけ詰めて、そして有効適切にこれを使い、かつ働いて効果をあげていかなければならないように、合理化なり能率化というものに絶えずつとめて、また反省もいたしてまいっておるのでございますが、そういたしましても、やはりどうしてもこの住宅建設にも、ことに宅地開発にも、また管理戸数増加ということがまあ異常にふえてまいりましたので、五年前といまとでは隔世の感のあるような状態になっております。したがって、一人当たりのいろいろな指数というものを出してみますと、ずっと高くなり、一人当たり能率というものは、当然のことでありますけれども、年とともに数字的には上がっていると存ずるのでございます。なお、政府で五%減とか、そういうのは、そういう計算をしました上でやはり同じように公団もかぶって減少を現実にいたしながら、なおかつこういう増加をお願いしなければならないというような状態でやっておるわけでございまして、実際分担いたしてみまして、絶えず能率協会——第三者の目も入れまして検査もしてもらって、反省もしながらより以上の効率化につとめておりますのですが、やはり事業がふえますので、最小限度建設戸数開発宅地面積がふえます限り人間がふえていく。しかもそれは一つ一つが御承知のようにいろいろと対外関係がございまして、土地一つ入手するにいたしましても、それを利用できるまでに、いろいろ自治体との交渉にいたしましても手数がかかる。そういう点いろいろございまして、必要最小限度のものをふやしていただいているのが実情でございます。
  27. 北村暢

    北村暢君 ほかは大体似たり寄ったりだろうと思いますから——大体わかります。事業量のふえていることも承知いたしております。したがって、私は、職員労働強化になっていくということを好んでいるわけじゃないのですから、そういう意味おいては必要最小限のものはふやさなければならぬ、これは当然のことだと思います。ただ、私の考え方としては、たとえば阪神高速道路公団のように、公団というものの性格からいって、一定の事業量というものが達成した際に解散をしなければならないという問題が出てくるわけです。したがって、解散をするときには必ずこれは大問題になるわけです。そういうことまで考えますというと、あまり膨大なものをかかえて解散ということになると、これはたいへんなことになりまするので、そういう点を考慮して、なるべく定員というものは制約していったほうがいいのではないかという感じがいたしまするので、まあ人は多いにこしたことはないわけですけれども、やはり最小限の人員でやっていくということでないと——ルーズにするというと、これは定員がどんどんふえていってしまう。こういうことですから、老婆心ながら——定員は片一方では、公務員としてはきびしく押えておるわけですから、その押えたことが政府関係機関公庫公団等でもってどんどんふえていけば、これは公務員の定員を押えたということの意味がなくなってしまうわけです。結局各省は、自分のところの定員というものが押えられるので、公庫公団に逃げてしまって、公庫公団のほうでどんどんふやしてしまうと、こういう結果にならないとは限らない。そういうルーズな形でいくというと、これは大へんなことになるということを私は心配するから、老婆心ながら意見を申し上げているわけでございます。その点はそのくらいにいたしまして、次に、住宅公団関係についてお尋ねいたしますが、決算説明によりまするというと、四十二年度の住宅建設状況について説明がございますが、その際計画量を発注、さらに完成という問題について非常な差がある。この御説明によるというと、賃貸、分譲合わせて六万一千戸の計画であります。それに対して発注が六万三千六百三十八戸、完成したものが四万三千三百、この四万三千三百には前年度——四十一年度からの繰り越したものを含んでおるわけでございます。この含んでおる前年度から発注を繰り越した分——前年度事業の繰り越し分は、この四万三千三百のうち幾らか。そうして建設省にお伺いしたいのは、この計画の六万一千戸というのは、四十二年度中に完成することを目途として予算も取られておるものだろうと思うのですが、この間の御説明をしていただきたいのですが、一般の受け取り方は、六万一千戸が公団住宅として完成するというふうに受け取られることは間違いない。また公団の出しておる年報、あるいは調査室で調べていただきました資料等によっても、四十二年度の実績が六万一千戸である、こういうふうに出ておりまして、いかにも六万一千戸が実績として四十二年度にできたように出ておる資料があるわけなんですが、実際には完成したものは四万三千三百戸であるというのでありますから、どうも公団住宅の完成しているものは、計画とだいぶ食い違っているのではないか。こういうふうに受け取れるのですが、この間の説明をひとつお願いいたしたい。
  28. 林敬三

    参考人林敬三君) この決算の報告書でございますが、非常にこれが在来からのずっと長さの慣習みたいなものがございまして、結論だけを書いてございまして、いまのお尋ねのような疑問を持たれますことを恐縮に存じますし、またそういう御質問があることはごもっともだと思うのでありますが、この建設計画戸数六万一千戸と申しますのは、その四十二年度に発注する戸数の計画戸数で、予定戸数を申しておるのでございます。そして、具体的には工事を発注したのが六万三千六百三十八戸となっておるのでございますが、これは御承知のように発注をいたしますと、その年度にできるのはごく一部でございます。そして、大部分は翌年度あるいは翌翌年度にできるわけでございます。そこで、四十二年度に発注しました六万数千戸のうち、四十二年度内には約一割弱しか完成はいたしません。そして、あとは四十三年度と四十四年度に分けてずっとでき上がってくるわけでございます。これは御承知のように、早いものでも一年かかります。それから一年半くらいが普通であります。最近は高層のものが多くなりますこと、あるいは地盤のむずかしいところが多くなってまいりますこと、それから関係官庁のいろいろな規制というものとの調整に手間どりますので、そういうようなことで二年かかるものも出てくるわけでございます。そこで、決算説明の中に、昭和四十二年度には四万三千三百戸できたと申しますのは、これは大体そのもとをたどりますと、三十九年度の事業のものと、それから四十年度の事業のものと、四十一年度の事業のものと、それに四十二年度の事業のものとが加わりまして、こういう数になっておるものでございます。そこで、発注したとき六万三千もある、でき上がったものは四万三千ではないかという御疑問もごもっともだと思いますが、これは年々その発注戸数というものがふえてまいります。その関係で三十九年度、四十年度はもとが少ないものでございますから、でき上がってまいりますものが少なくなるので、こういう形が出てくるわけでございます。ただ、御質問がありまして、私深く反省しておるのでございますが、この発注戸数に対して、こういうような文書を書きますと、先生の御疑問のようなことが出てくるのでございまして、このことばの使い方が、これは片や発注はこのようでございますが、でき上がりますものはと、こういうふうなつもりで書いたのでございますけれども、不十分でございますので、自後ここを明確化してまいりたいと思います。
  29. 北村暢

    北村暢君 そこで建設省にお伺いしますが、住宅建設五カ年計画によりますというと、これは四十二年度六万一千戸、こう書いてある、それから四十二年度六万九千戸、そういうふうになっているが、この住宅建設計画を見ますというと、表も同じです、改良住宅も公営の住宅にしても、これは全部。そうすると、住宅の建設計画は発注の戸数であって、四十二年度にこれだけできるという計画ではないというふうなことになるわけですがね。一般に公表されているものは、この年度にこれだけできるというふうに見るのが普通でしょう。これはそういうふうに見えるのですね。したがって、住宅建設五カ年計画は、これはおっしゃるように、建設するために二年なり三年かかるということになれば、ここに出てきている数字は二年後か三年後でなければ実現しないということが十分にわかる、こういうことになるわけですね。住宅建設五カ年計画というのは、そういうものなのか。どうもそういうふうには一般には受け取れないわけです。選挙の公約等において発表するためにも、この最後の数字公営住宅公庫住宅、こういうものを全部合わせたものが年度にこれだけだ、こういうふうに出るわけです。こういうふうに建設します、こういうふうに出てきてしまう。そうすると、これだけできるだろうというふうに、国民は一般にそう思うのは当然のことなんです。ところが実際には、それだけできていない。これは二〇%、三〇%引いたものでなければならないということになるでしょう。したがって、この住宅建設五カ年計画で、五カ年でこれだけ着手しますということであって、できたものがこれだけですということにはならないのですね、これはそうすると。住宅建設五カ年計画は四十五年までですか——これは六百七十一万八千五百戸を四十五年の末までに建設するのだ、これだけできるのですというふうに、だれしもこれはとります。これは、ただし書きをつけてもらわないというと——この数字が全部できるのは二年後ですとか、三年後ですとか、三年後にはこのくらいになります、四十五年度の末では総計一体どのくらいになります、こういうふうに言わなければ、一般の国民大衆はわかりませんね、これでは。そういう説明を加えないとわからないと思うのですよ。これははなはだしいのですよ、発注したものが六万三千六百三十八戸で、完成したのが四万三千ですから。これは二百戸や三百戸違うなら別ですが、六万三千のうち四万三千——二万戸の差があるわけですね。この計画は完成するということではございませんということになると、六百七十一万八千五百戸は、一体、完成するものはそれじゃこの五カ年計画の帳じりでは幾らなんですか。
  30. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 御指摘のように、この建設計画は、その年度におきまして建設を計画するといいますか、発注して着工するというベースでとらまえております。公営住宅などは御承知のように、府県、市町村というふうに事業主体が非常に多数にわたりますので、これは完成が比較的早くできます、団地の規模もわりあい小さいのが多うございますから。しかし、公団は御承知のように、非常に大きな団地をやりますので、これが一番おくれがちでございます。したがって、公営住宅とかあるいは公庫融資住宅にしましても、この計画戸数がその年度中に全部できるというものではもちろんございませんけれども、そのずれのしかたは公団が一番おくれるという傾向でございます。民間住宅につきましても、着工統計というもので、着工した時期をもって整理するというやり方を従来やってきておりますので、民間住宅でございますと、御承知のように木造の住宅ですと、着工して四カ月程度で完成しますから、それほど時期的なずれはございませんけれども、だんだん高層化、大規模化しますと、翌年度中に完成せずに翌々年度にまたがるというのも出てくる、こういうことがございます。
  31. 北村暢

    北村暢君 ですから、五カ年計画の帳じりの六百七十一万八千五百というのは、完成するのは一体幾らなんですかと聞いている。
  32. 大津留温

    政府委員(大津留温君) このうち四十五年度に着工した分は、一部翌年度あるいはごく一部は翌々年度にずれるものがございます。
  33. 北村暢

    北村暢君 そうすると、的確な数字はわからないわけですね。大体事情はわかりましたが、これは特に公団の場合は、二月十日の朝日新聞でも、この間の事情について、四十四年度八万戸入居計画がしり抜けである、三割以上がぬか喜びだったと、こういうようなことで大きく報道されておるわけですね。こういうことが出てくるわけですよ、実際においても。ですから、こういう点はやはり国民にわかりやすいように説明しておかないというと、こういう新聞記事を見るというと、いかにも住宅公団はでたらめをやっているように受けとれるのです、これは。この新聞記事から見ると、見出しだけ見たら、何でこういうでたらめをやっているのだろうと、せっかく努力しながら、国民に与える影響は非常に大きいですね。  そこでお伺いしておきたいのですが、公団に対して申し込み者数、これはどういうふうな表現になるのかわかりませんが、あなた方の専門語でいくと。申し込み者数ですね。入居計画に対する申し込み者数は一体どうなっているか。平均的なものはどうなっているか。それから入居計画に対して申し込み者が満たないものがどのくらいあるか、この点はどうなっているでしょう。
  34. 林敬三

    参考人林敬三君) 入居の希望者の数は、これは場所によりまして非常に違うわけですし、首都圏と、それから大阪付近と名古屋付近と福岡付近でもまたたいへん違うわけであります。それから大きな団地をつくりましたときと、それから小さいところで便利なものをつくった場合との間の開きもたいへんなものでございます。それから、続いて大きいのがずっとできましたときと、ぽつんとできたときの違いもございます。それで入居する方も自分の家ですから、一生懸命考えますので、いろいろな条件によって左右されますので、一がいに何とも申せませんですが、大きく大量的に統計数字で見ますと、やはり最近五カ年周に住宅公団に対する入居率というのはだんだん緩和されてきて、むずかしさは減ってきております。しかしそれは、いろいろな原因があって、ほかに類似のものができるとか、それから国民の生活の水準が上がるとか、いろいろ理由はあると思いますし、また逆に公団のつくるのが遠過ぎるところが多くなってくるとか、一がいに住宅難が緩和されたとはとうてい言い得ないわけでありますが、公団に対する入居率は逐次緩和されてきております。それで現在平均いたしますと、しかしそれでも十倍ぐらいですね、普通。それからあき家の入居率、ずっと五年前、十年前に建ったところで、わりに町に近いところに建った、こういうものになりますと、やはり数十倍でございます。それからやはりごくいいところがぽつんとあくというようなときに百倍をこすというような場合も出てまいります。それで、東京でありますと、東京の都心に近いところは二十倍くらいになります。それから大阪になりますと、よほど緩和されて十倍くらい、それから名古屋になりますと、ぐっと減ってまいりまして五倍くらい、福岡になりますと二倍くらいというのが、大きな率でございまして、年々減ってきている、そういう状況となってきております。そして満たないものもときどき出るわけでございますが、しかしこれも大体三月あるいは半年の間には全部一ぱいになってしまいます。で、現在満たなくてあいているというところはございません。ただ数が非常に多くて、それから少し遠かったり、あるいは近いところでも回りに工場地帯なんかがあって、足場なんかが取れていないときに初めの人が入居の申し込みをするわけですが、そういうときでございますと、どうしてもちゅうちょなさるので、満ぱいにならないところが出てくる。そうして第二次募集をあとでやるということになりますと人も入ってくる、足場もよくなってくるというと、やはり数倍の志願者がそこに出てくるというようなことで、まずまず埋まっております。しかし、ときに出だしの条件が悪い、あるいは出だしのときに非常に数が多いというようなときにおいて満たないところが数カ所——東京にも大阪付近にも名古屋付近にも出てまいったことがございます。
  35. 北村暢

    北村暢君 いまの説明で、公団の団地そのものが地理的に若干不便であったりなんかするようなところで満たないものが若干出るが、それでも環境が改善されれば直ちに一ぱいになる、こういうことですから、その点はあまり心配ないようです。ただ、いま一般的に言われた点からいくというと、やはり公営住宅に続いて公団住宅に対する入居希望者というのは相当なものである。これはいまはっきりしましたね。にもかかわらず、計画と完成するものとの差があまりあり過ぎるので、こういう批判が出てくる。公団住宅の団地等の特性からいって——建築の規模等からいって、他の場合と比較してそういう年度を越えての工事が多い、これはわかるわけです。年度を越えてくるものもやはり含んでいるわけですから、確かに年度ごとの建設計画戸数は飛躍的にふえております。前年度分が少ないから減るのはあたりまえですけれども、それにしても六万のうち四万ということになると、二万の差があって、これはちょっと説明しないというと国民は理解しないのじゃないかというふうに思いますね。ですから、この点は希望者が非常に多いのではいれない、はいれないと思っているのに、何で六万戸も計画して四万戸しかいれないのだと、こういうふうな批判が直ちに出てきますよ。住宅はもう深刻ですからね。したがって、こういう面の公団の配慮というものは、私はPRの点が足りないのかどうか知りませんけれども、これはやはり批判を受けないように、親切に説明されるべきだと思いますね。  それから、次にお伺いしたいのは、宅地造成関係ですが、この宅地造成関係についても、計画と——取得予定面積と、契約を締結した面積との差が非常に多いですね。契約予定が一千二百七へクタールに対して、契約を締結したものが六百六十一ヘクタール、その差五百四十六ヘクタール、半分くらいしか契約できていないというのは一体どういう原因であるか。これは工場用地についても、それから研究学園都市についても全部同様のことがいえるのです。これはこの計画に基づいて——予定に基づいて予算はついているわけでしょう。そして、実際に契約するのはもうほとんど半分以下というような状態、これは何に原因するのですか。計画が大き過ぎるのですか。それとも人員が足りなくてこういう契約が完全にできないのか、あまりにも計画と契約締結の面積の差があり過ぎるので御説明いただきたい。
  36. 林敬三

    参考人林敬三君) 初めにお話がありました住宅建設のほらの当年度の計画戸数と、それから当年度でき上がってくる戸数との違いという点は、御指摘のようにもっと親切にPRをして、なぜ違うのか——これはもう違うわけなんでございまして、どうしても私のほうの家は早くても一年かからなければできませんし、それから長いのは二年半かかるのもございますから、どうしても二年半前のと、それからいまとは違ってくるということは、もうそういう結果になるのでございますが、その点いかにも世間の方々に誤解を招くような表現になりますことは、今後いろいろなものを発表いたしますときに気をつけまして、間違いのないように一そう親切にいたしてまいりたいと存じます。  それから、土地のことについてお話がございましたが、四十二年度の計画とそれから契約を締結した面積との間には御指摘のようにたいへん開きがございます。半分ちょっとしか買えなかったというのでございます。これは四十二年度は私ども顧みましてもまことにつらい年でありまして、四十一年、四十二年、四十三年とこの三年度は土地を買うのに一番苦心をした年でございます。四十四年になりましてからの、ことに半ば過ぎてから非常に好転をしてきて、いまはずっと数字がよくなっておるのでございます。ただ、土地の値が上がりましたので、予算はいまもう一ぱい一ぱいになってしまったというような状態で、次の年のくるのを待っておるという形になっております。  それで、御質問の、なぜそんなことになったのだろうかということでございますが、決してこれはあたりまえというふうには申せないことで遺憾なことでございますけれども、しかし四十二年というものは、景気が回復するに伴いまして地価の上昇率が再びぐっと上がってきたということでございます。そして、その趨勢を見ましての地主の売り惜しみという、たいへん著しい年にぶつかったのでございます。それから、公共団体のほうは、これはだんだん公団一つの団地の規模が大きくなるせいもございますが、関係行政費の負担、公共事業の負担というものについて、向こうとしてはこんなに負担しては困る、こっちでもっと負担しろ負担しろと要求がきつくなってまいりました。こちらとしてはそれがとりもなおさず地価に影響し、家賃に影響いたしますものですから。それから全体の行政の分担の仕組みがあって、そして各省との協定のございます点もありまして、先方にやすやす応ずるわけにいかないということで、折衝を非常に重ねる新しい時代にぶつかったわけです。地主のほうは売り惜しみといいますか、強気になってまいります。公共団体からも相当きつい要求が出てまいるようになってまいったのでございます。そういう時期にぶつかりまして、そして何ぶんにも計画がこうでありましても、相手方がありますことであります。土地を買うことについては、御承知と思いますけれども、やはり綱引きみたいなところがありまして、こっちが押すと向こうが押す、またこっちが引くと向こうが引く、何回も繰り返して、両方ともここらで手を打ってあきらめるといいますか、話をつけるのが妥当だというところで話がきまるというような事例が多いのでありまして、やはり前後三年くらいかかって買うという場合が多いわけでございます。そうすると、その谷間に入っている年というのが年度の成績が悪いということになるわけでございます。決していいことではございません。で、私どもは、このときに用地担当の職員の体制も整えるべく努力をした年でございます。それからまた、関連公共施設というようなものを、こちらが立てかえて施行するというワクを思い切ってふやすような努力その他をはかりましたが、四十三年にはそんなにいい数字になって出てまいりませんでした。四十四年になってぐっと実を結んできたというようなことでございます。土地を買いますのに、ほんとうに苦心をし、また地方自治体の側も——もっともだと思いますが、地方自治体の側とこちらとが最後に負担のことで調整をつけるということにたいへん手間どりますために、こういうふうに計画と実績というものの違いが出てまいった次第でございまして、今後一そう努力をして、この数字の違いというものの差を少なくしてまいるようにつとめたいと存じます。
  37. 北村暢

    北村暢君 次に、四十二年度の管理部門における損益はどういうふうになっているか。ここでこの報告説明によりますと、会計検査院の報告書の一とおりでございますので、省略させていただきますとなっておりますが、どらも会計検査院の報告を見ましても損益のことがちょっとわかりにくいのですが、損益は一体どうなっておるか。
  38. 半田剛

    参考人(半田剛君) こちらの住宅公団のほうの報告書には、いま先生がおっしゃいましたとおり検査院の報告書のとおりとなってございます。それで検査院の検査報告を見ますと、書いてございますが、先生お読みのとおり「収益費用同額となっている」とございます。住宅公団におきましても、原則として原価主義でやっておりますので、収益は出てこない、収益、費用が同額になるという結論は検査院のとおりでございます。もちろん原価主義を採っておりましても、いろいろ積み上げますと、全く初めからとんとんというわけではございませんけれども、いろいろな引き当て金にこれを計上する。それから主たるとんとんになる原因は減価償却費でございますね、これは七十年間の定額償却の方法でもって減価償却をいたしている。四十二年度を例にとりますと四十四億円になるわけでありますが、一方家賃の中に元金の回収部分といろのが、ちょっと事務的になりますが、元利金等償却をやっておりますものですから、住宅が建設になりまして家賃としてこれを回収いたしましても、定額の減価償却、それに見合うだけが入ってこない。元利金等でございますから、初めのらちは利子が多い。したがいまして、四十二年度を例にとりますと、家賃収入の中の元金償却費の相当額はわずか九億五千万円になっている。これはそういう計算になっておりますのでいたし方ないわけでございますが、結局規定の減価償却費までいかないということはやむを得ないわけであります。しかし、これは会計規定で財政の健全化と申しましょうか、規定はそうだけれども、なるべくこの規定の償却費に近づくように減価償却費を多くするというふうな規定がございます。したがいまして、いろいろ申し上げましたけれども、規定の償却費に近づくべく当年度の実際の償却費は多くしてございまして、そして実際の償却繰り延べを少なくするということにいたしまして、結局広い意味の収支の現実の計算でも初めからとんとんになるわけじゃないのですが、その差額は引き当て金に充てることと、それからこの減価償却費の家賃収入の中に含まれる九億円では少ないわけでございますから、それを余分に償却して、それでも償却繰り延べが出るのですが、なるべく規定の減価償却費に近づけるようにということで、それで処理いたしますので、結論としては検査院の報告のとおり収支同額になっているというのは、そういう趣旨でございます。
  39. 北村暢

    北村暢君 いまの説明で、会計の専門家でないから私説明を聞きましても、ちょっと理解できないわけですけれどもね。この会計検査院の報告のとおりでございますというのですが、その会計検査院の報告がないわけですよね。そういうのですから、この決算説明のやり方ですね、これは事業をこういうふうにやりました、事業をやりましたという事業説明だけであって、決算説明は何もしてないですよ。金額、何も入ってないですよ、この決算説明書には。これはほかの公団とだいぶ違う。これは決算説明書にはなっておらないですよ、公団のやつは。ことしこれを出し直せといってもあれだから、来年からくふうをして、わかるような説明書にしてもらいたい。これは、事業はこういう事業をやりましたということだけ書いてあるのですよ。だから、私は先ほど来質問しているのは、事業をやったことだけ質問したのだが、決算がどうなっているか、予算に対して決算がこうなりましたという説明は何も載っておらぬ。従来からこれできたというふうに総裁はおっしゃいましたけれども、これは従来が間違っておったと思うのです。こういうもので普通に通っておったことがおかしいので、これは決算説明書になっておらないということをはっきり指摘しておきますので、来年からこれはくふうをして出してもらいたい。これで住宅公団はまず終わります。  次に、住宅金融公庫からせっかくいらっしゃっておりますので、一つだけお伺いいたしますが、先ほど住宅公団のほうで計画と発注、それから完成というものについて、非常な大きな開きがあるというのですが、住宅金融公庫公庫住宅というのは、数において非常に多いわけですね。公団と問題にならない——多いわけなんですが、これはおそらく貸し付けの契約が成立すれば、これは建設戸数の中に入ってくるのだろうと思います。したがって、この計画と実行との間に、公団のよううな差というものは出てこないだろうと思う。したがって御説明願いたいのは、住宅建設計画——五カ年計画に対して、四十一年度から四十五年度までの計画に対しての貸し付け実績、これは一体どのようになっているか、この点だけひとつお伺いしておきます。
  40. 浅村廉

    参考人浅村廉君) 住宅金融公庫は、ただいま先生からお話がございましたとおり融資機関でございまして、私どもから融資をいたします先は、個人で住宅をお建てになりたい方に対して貸し付けるもの以外に、民間の会社等でおやりになるものもございますが、非常に多くの部分が住宅供給公社——各都道府県で一つずつ持ってやっておられます。また大きな市にもございますが——住宅供給公社に対する貸し付けも含まれておるわけでございます。貸し付け契約が成立いたしますと、私どもはこれを一戸と計上いたすわけでございまして、先ほどお話が出ました住宅建設五カ年計画、まるく言えば六百七十万戸のうちの政府政策二百七十万戸の中で私どもは受け持ちの部分をやっておるわけでございます。実は五カ年間の全体の数字というのは、ただいまここに間に合いませんので、ちょっと申し上げかねるのでございます。失礼でございますが、四十二年度から申し上げさしていただきます。  四十二年度は、戸数が十九万九千戸割り当てを受けましたものでございます。四十三年度は二十二万二千戸、四十四年度は二十四万六千戸、四十五年度は二十五万六千戸となっております。  実施でございますが、たいへん大ざっぱなことを申し上げて失礼でございますが、ほとんどこの計画を達成いたしております。たとえば四十二年度十九万九千戸というものに対しましては、実際に貸し付け契約を成立させましたものが十九万九千百二十九といった端数がつきます。その程度の端数が出入りをいたしますが、おおむねこの数字を達成いたしております。
  41. 北村暢

    北村暢君 次に、阪神高速道路公団——おたくのこの決算説明書概要は、建設省関係の中では一番わかりやすく説明がなされておる。今後これにならってほかの公団もひとつやってもらいたい。どうも要らざる質問をしなければならないような説明書がだいぶあるんです。ところが、阪神のはわりあいよくできておる。  それでお伺いしますが、当初の阪神高速道路公団事業の総額は一体どのくらいで、それを何カ年程度を目途に完成しようということであったのかどうかということを、ひとつお伺いしておきたい。
  42. 小西是夫

    参考人小西是夫君) 当公団につきましては、三十七年に設立させていただきまして、当初私ども事業計画につきまして事業計画の基本計画の指示がございまして、それによって事業をやってまいったわけでございます。当初、現在では実施計画——事業計画の基本計画の数字が百十四キロでございます。百十四キロの事業を四十八年までにやるということになっておりますが、現在までに七十五キロが完成しておりまして、約四十キロを今後やるというか、現在われわれに与えられております事業の実施計画でございます。事業費の総額につきましては、現在四十二年度を第一年度といたします五カ年計画の線に沿いまして、これは総額二千三百億でございます。それによって四十四年度までには約五〇%達成しておる、そういう情勢でございます。
  43. 北村暢

    北村暢君 いまの四十八年度までの計画で一応発足している、その事業量は百十四キロである。こういう御説明なんですが、そうすると四十八年度に来て、当初の目的が達成すれば、これは解散しなければならないということになるわけでありますか。新全国総合開発計画によりますというと、大阪圏の人口というものは東京圏の約半分程度で、都市化傾向は今後一そう進むであろうということが想定されているわけですが、これは昭和六十年目標でありますので、その際に、その計画からいくというと、私は、阪神高速道路の百十四キロ、四十八年というのは一応この目標として発足したが、いずれこれは改定せざるを得ない段階に来るのではないかというふうに思われるのでありますけれども建設省の今後の方針をお伺いしておきたい。
  44. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) 阪神高速道路につきましては、現在の計画はそういう計画でございますが、実は四十五年度におきましてさらに三路線を追加いたしまして、三路線の供用延長二十六キロでございます。これを追加いたしまして四十五年度には三路線について新規着工したい、こういうように考えております。したがいまして先生おっしゃいますように、阪神地区の都市化の状況あるいは交通量の状況からいたしまして、とても平面の道路だけで解決するというわけにはまいりませんので、阪神地区につきましての高速道路を将来も延伸をし、あるいは追加をし、そして計画をふやしていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。これは具体的にはどういうふうにやるかと申しますと、御承知のように五カ年計画ごとに阪神公団の受け持つキロ数をきめまして、そしてやるわけでございます。ただいま第六次五カ年計画というものが四十五年度から始まるわけでございます。その中で幾らにするかということを決定するわけでございます。
  45. 北村暢

    北村暢君 そうすると、計画は五カ年ずつの計画でいくので、当初予定をした百十四キロ、四十八年終了というのは大幅に改定せられると、こう見ていいわけですね。
  46. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) そのとおりでございます。
  47. 北村暢

    北村暢君 それから次に、料金関係のことについてちょっとお伺いします。  この高速道路の料金収入は、阪神の場合予算額よりも約四億円ほど上回って収入があったようですが、これは四十二年度ですから、その後の傾向はどうなっておるか。
  48. 小西是夫

    参考人小西是夫君) 四十三年度につきましては、当初、予算といたしましては三十八億程度を収入として考えておったわけでございますが、実績は六十五億、パーセントでいいまして一七〇%というような状況でございます。それから四十四年度はまだ決算をいたしておりませんけれども、見込みとしましては予算収入を約八十億と見ておりますが、その約十三億増九十三億程度になるんじゃないかと思っております。
  49. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、この料金収入というのは、四十二年が予算額で十三億、決算で十八億。四億九千万、約五億増収になったわけですが、年々歳々この料金収入というのは飛躍的に上がっていると、こういうことですね。
  50. 小西是夫

    参考人小西是夫君) 料金収入は、予定を組みます場合には、当初は計画交通量といたしましてどのくらい通るかということを経済的に計算するわけでございます。実際事業を開始いたしますと、それ以上に乗るというケースが非常に多いわけでございます。それは次年度の予算をつくります場合に、それをもとにいたしまして修正をいたすわけでございます。そういうことで現在やっております。たとえば四十四年度は八十億みたわけでございますが、実質的に十三億円程度よけい入るというような程度のものにつきましては、従来よりはだいぶ実績が近づきつつあるというふうに考えております。
  51. 北村暢

    北村暢君 次に、首都高速道路公団についてお伺いいたしますが、ここの四十二年度の損益のところでは、収益は料金収入が七十五億、それから費用は管理業務費十七億、支払い利息六十三億、計八十億で、差し引き当期損失は五億円ということのようですが、この年の料金収入の予定額は一体どのくらいだったのですか。
  52. 林修三

    参考人林修三君) 当年度におきまして、四十二年度でございますが、大体そこでごらんのとおりに、道路関係が約七十億、当年度の決算の収入が約七十億、それから駐車場関係が約五億だったと思います。それで、その年度の計画から申しますと、道路おいては大体見込みとあまり違っておりません。当初予算に計上いたしましたのとあまり違っておらなかったわけでございます。しかし、駐車場収入におきましては約三億程度の実は減になっております。駐車場は実は四十年度あるいは四十一年度あたりから、当時の景気の状況もございまして、むしろほとんど事業伸びを来たさない、むしろ減少する傾向でございました。昨今また若干その傾向が違ってきておりますけれども、四十二年度あたりは実は底をついたような状況でございます。そういうわけで、当初の見込みよりだいぶ減ったわけでございます。それで、決算といたしましては、当年度の道路、駐車場とも若干ずつ決算の面においては損を出したわけでございます。道路収入につきまして見込みとあまり違わないのに損が出たのは、結局支払い金利あるいは管理業務費等の予定以上の増加、それがあったので若干の損が出た、そのような状況になっております。
  53. 北村暢

    北村暢君 道路の供用のものについては、この新しい供用路線もどんどんできてきておるわけですが、それで四十二年度はこうだったが、最近の四十三年、四年等のこの収支の関係はどうなっておりましょうか。
  54. 林修三

    参考人林修三君) 四十二年度末におい——私のほうは実は三十四年度に発足したわけでありますが、四十二年度末における実はこの業務収入、駐車場あるいは道路関係の繰り越し損が約二十四億ございます。それが四十三年度におきましては、この駐車場は依然若干の損を見ましたけれども道路関係では収入支出を——損益を見ますと、一応約十七億の収入超過でございまして、それは繰り越し欠損の償却に充てたわけでございます。四十四年度におきましては、まだ実は決算を締めておりませんが、予定収入は道路が百六十七億でありまして、大体実績はその程度の実績に相なるかと思っております。駐車場は依然として——この駐車場は大体予定を従来少し過大に見積もっておりました関係もございましたので、若干四十四年度はかたく見ましたので、収入の伸びはあまり違いは実はないと思っておりますが、駐車場につきましては、依然として若干——二、三億の赤が出るかと思っております。これは諸経費——償却費とか金利とか、そういう関係の諸経費が実はかさんでくるので、まだちょっと収支勘定は当分の間赤を続けざるを得ない状況でございます。道路のほうは、いま申しましたように、収入超過の状況になっておりまして、本年度も若干の収入超過になっております。しかし、これは法律の規定によりまして、全額実は財投から借り入れました借り入れ金の返済の積み立てに充てることになっておるわけでありまして、名目上の利益は出ないわけであります。
  55. 北村暢

    北村暢君 いまお伺いしますと、料金収入は相当上がってきているわけです。ところが、首都高速道路は四月一日から料金の値上げをやるということが決定され、すでに告示がなされておるということが伝えられておりますが、ここの「決算概要説明」によりますと、新しく供用路線の延長により利用車両も増加し、収支の均衡までいま一歩となりましたが、駐車場においては若干の赤字がある、こういうような説明がなされておる。いま、四十三年、四十四年についても、お伺いしますと、料金収入は相当上がってきているというのに、どうしてその料金値上げをしなければならないのか。しかも、これは設計のミスか何か知りませんけれども、最近の首都高速道路の利用状況、混雑の状況からいって、高速度道路ではなくして低速度道路だという批判が非常に強く出てきておる。で、サービスは悪くなり、料金は値上げするというのでは、これは国民は納得しないだろうと思います。何でこういう料金の値上げということをやらなければならぬのか、その理由をお伺いいたします。
  56. 林修三

    参考人林修三君) これは、実は私どもの首都高速道路の料金あるいは料金の法律上のたてまえは、先生もよく御存じのことだと思いますが、一部政府及び地方団体の出資によるほかは、大部分を財政投融資計画に基づく借り入れ金をもって建設をまかなっております。この建設費を大体三十年の計画をもって償還するという計画になっております。その償還財源として料金をとるというのが大体たてまえでございます。したがいまして、その三十年償還ということを目標にいたしまして従来からも料金がきまっておる。実は現在の百五十円、この百五十円というのは普通乗用車とトラックでありまして、大型のトラックは別でありますが、この料金は三十九年に設定したものでありまして、当時の供用路線は約三十二キロでございまして、それを根拠にいたしまして、それの償還計画として大体これでまかなえるであろう、いまの三十年程度の償還期間でまかなえるであろうという計画で実はやってきたわけでございます。その後、供用延長は現在七十一キロに達しておりまして、四十五年度中にはこれが約十八キロ延びまして約九十キロになる予定でございます。そういうことで、ただいまのこの状況におきまして、このいままでの建設費それから財投計画による借り入れ金の状況、それから今後の供用による収入支出の見込み、こういうものを立てまして、はたして三十年以内に償還ができるかどうかということを再計算をいたしましたところ、現在の料金では約五十年に相なるわけでございます。したがいまして、この際やはり三十年ということの計算をいたしますためには、どうしてもやむを得ず料金の引き上げをやらざるを得ない、そういうような状況に相なったわけでございます。これは、先生おっしゃいますとおり、年々実は通行台数は非常に飛躍的に増加いたしております。これはもちろん供用延長を増加したことによる増加が相当多いわけでございます。したがいまして、その当該年度における料金収入と、それに対する当該年度の金利あるいは業務費あるいは一般管理費等を単純に比較いたしますと、ここに利益が出てまいるわけでございますが、その利益は、実は三十年償還の全額償還に充てなくてはならない。その償還に充てる計画から申しますと、実は、三十年償還のためには、どうしてもこの際料金を引き上げざるを得ない、かようなことになるわけでございます。そういたしませんと、金利負担が三十年と五十年の差で二十年間償還が長くなりますと、金利負担もばく大な金利負担になります。千数百億の金利負担が増加するということになります。そういうことで、この際再検討いたしまして、実は、料金引き上げということにいたすことになったわけでございます。これは、私どものほうの道路は、御承知のように実は全路線プール計算をいたしておりまして、しかも均一制の料金体系をとっております。この個別的に過去に供用した路線ごとに計算いたしますれば、実は一番初めに供用したもの、次々に供用したものについてそれぞれ個別的な必要な償還額が出てまいりますが、年々実は新しく路線を延長いたしますと、これを全部合わせてプール計算をする。そういうプール計算をいたしますと、これだけの通行台数がふえましても三十年償還という計画から申しますと、どうしても料金額が足りない、かような状況になってくるわけでございます。これは均一料金制のもとにおいてはどうしてもやむを得ないことではないかと考えております。それで実は、また別の面から見ますと、三十九年——現在の料金をきめましたのは三十九年でございまして、そのときが大体供用延長が三十二キロでございまして、現在が約七十二キロでございます。倍以上になっておりまして、その間の、何と申しますか、通行自動車に対するサービスの供給と申しますか、サービスの提供と申しますか、こういうのが相当実はふえてきておるわけでございます。そういうものから計算いたしますと、この私どもの料金は、もちろん償還年数のみでなくて、実際にそこを通行いたしました自動車の走行便益あるいは時間便益というものを計算いたしまして、その範囲内で料金をきめるということに相なっておりますが、そういうことから申しましても、この供用路線が約倍以上にふえたということから申しますと、今回この程度の料金引き上げはどうも全くやむを得ないことであったのだと考えます。私どもといたしましては、なるべくそういう料金引き上げはやりたくはないわけでございますが、公団資金計画、あるいは資金の法律上のたてまえから申しまして、どうもそういうことにならざるを得ないと、こういうことに相なったわけでございます。  それで、また御指摘の、昨今自動車の通行台数が非常にふえまして、しかもそれがある区間に集中いたしまして、時間的にいろいろ利用者に御迷惑をかけておる点もございます。これはまことに恐縮いたしております。そういう方面の配慮、あるいは業務改善、これはもう非常に力を入れてやっていきたいと思います。まあそういう面から申しましても、実はこの際若干の料金改定ということに踏み切らざるを得なかったということでございます。
  57. 北村暢

    北村暢君 いろいろ理由はあるでしょうけれども、これは建設省として、借り入れ金が多いために利子がかさむということですが、これはそのとおりのようです。したがって、この借り入れ金を、政府出資をもう少し増額して料金を引き上げないというような方法はとれなかったのかどうか。四十二年度の政府出資の関係からいくというと、阪神高速道路が四十二億、首都高速道路公団が四十八億なわけですがね。これはまあ阪神のほうは万博等の関係もあったかとも思うのですが、どうもこの首都高速道路公団に対する政府出資が阪神に比較して少な過ぎるのではないかというふうに思われるのですがね。この料金値上げについて政府としては一体値上げより方法がなかったのかどうなのか。阪神も日本道路公団のほうも値上げはやらないのに、首都高速道路公団だけが値上げをするというのは、どうもいままでの説明で内容をわれわれははっきりわかりませんから、その値上げは値上げの理由はあるでしょうけれどもね、どらも納得いかないものがある。で、政府としてこれを認めたといういきさつは一体どういうことなのか、ひとつ建設省のほうの考え方を聞いておきたい。
  58. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) ただいま御質問のように、首都高速道路公団については財投からの借り入れ金の金利を薄めるために、政府と地元の東京都、これが出資をしておるわけであります。その出資を入れまして、大体資金コストを六分程度に押えておるわけでございます。これはいまの道路公団も大体、いまの国の出資と財投を考えますと、資金コストは六分ちょっと上回っておりますが、大体六分程度で押えられております。確かに先生のおっしゃったように、資金コストを低くすれば当然利子が少なくなるわけですから非常に償還の計画は楽になってくるわけでございますが、ただいまの国のいろいろその他の公共の投資なんかを見ますと、いまのところ、やはり六分より安くするということはちょっといまの道路のほうの財源からいっても、いまのところ非常に無理のような状況でございます。それでいまの六分の金利をなるべく押えながら償還計画を立てておるわけでございます。もう一つの御質問の、道路公団は上げないのにということでございますが、実はやはり有料道路というものは料金で借り入れ金を償還するのがたてまえになっておりますが、道路公団のやっております有料道路は、延長が延びればその分がやはり料金として入ってくるわけです。同じ交通台数でも、この間の有料道路をさらに延伸すれば、やはり全体を通る車についてはこの料金が上がっている。そういうようなことができますので、最初きめた料金を——ある期間きめた料金を上げずに済むわけでございます。首都高速道路公団、阪神もそうでございますが、これは料金の徴収の手数から言いますと、距離制の料金をなかなか取れない。少し走っても、長く走っても同じ料金、いわゆる均一料金を取らざるを得ない。そういうことでございまして、そうなりますと、やはりだんだん延長が延びてきますと、全体の利用の延長は延びてくると思いますが、延長が延びただけの、それだけの自動車の台数が上がってこないということになりますと、やはりそこに均一料金としての単価を上げなけれげならないようになってきたわけでございます。
  59. 北村暢

    北村暢君 そうすると、そういう建設計画というのは、首都高速道路公団でも、もともと計画はあったわけでしょうけれども、これはその当時から改定しなければならないという予測がついておったのかどうなのかですね。つくればつくるほど、長い距離走って料金は固定しているので、それで経理内容が悪くなる。大ざっぱにいえばそういうふうに聞こえてくるわけですが、しかしそういうことを見込んで料金というものはきめられておったんだろうと思うんです。で、あらかじめこの程度の、いままでは普通車百五十円なら百五十円でペイする、これ以上になれば上げなければならないという——そこまではというふうにあらかじめ考えられたことなのか、やってみたところが三十年で償還すべきものが五十年になったから、三十年にするために上げるんだと、こういうんですが、それは五十年でもいいんじゃないですか、上げないで。それを無理やり三十年にしなけりゃならないということはないだろうと思うんですね。どうも上げるということは、いま物価の値上がりの問題に関連をして、これは値上げムードに便乗したような感じがして非常にまずいですね、これは。しかもどうも高速度道路が低速度道路だなんていわれる事態が起こっているわけでしょう。こっちのほうが解消しないで、料金だけ上がるということになると、どらも納得がいかない、こういうことなんですよ。これは国民一般がそういうふうに思うんですがね。それでもなおかつ上げなきゃならない。もう告示したんだから上がるんでしょう。上がるんでしょうから、いまから言っても間に合わないのかもしれない。間に合わないでしょうけれども、どらも阪神高速道路公団あとでお伺いしますが、道路公団のほうからいっても納得がいかないですよ。この点あまり長くやっていても水かけ論ですからいたしませんが、三十年が五十年かかるというのを、無理やり三十年にしなけりゃならないという理由は何なんですか。
  60. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 実は道路公団その他、県でやっている有料道路もそうですが、大体いま有料道路については償還を三十年くらいに見ております。といいますのは、これはやはり三十年はかなり先のことでございます。御承知のように有料道路をやります場合に、まずどのくらいの交通量がそこを通るか、そういうことによって便益の範囲内で料金をきめて、どのくらいの料金収入があるか、その料金収入でいろいろ管理費用を計算いたしまして借り入れ金をどういうふうに償還していくか、これを大体三十年にとっておるわけでございます。実は非常に有料道路としてはだんだん車が伸びるということはどの有料道路でも言えると思いますが、やはり当初つくりまして数年間、ことに五年、六年、七年、この辺が一番通行台数も少ないし、金利が一番かさむときでございます。この期間を長くいたしますと、非常に金利がばく大になってまいります。交通量の想定にいたしましても、これはやはり想定でございまして、こちらの考えておった想定が、その周辺のいろいろ土地状況が変わりますとふえることもあるし、また減ることもあるというようなこともございまして、三十年以上の償還対象にして有料道路を計画することは、もしそれだけの交通量が乗らない場合に非常に大きな赤字になってしまうというようなこともございまして、なるべくまあ五十年という長い期間をとらずに三十年で——そのうち先ほど言いました六、七年ぐらいの金利の非常にかさむところが無事それで乗り切れるかどうか、料金で乗り切れるかどうか、この辺が有料道路が成り立つか立たないかの非常に大きなめどにしておるわけでございます。そういうこともありまして、いまの有料道路は大体三十年ぐらいを限度としておるほうが、採算上は非常に安全じゃないかということでやっておるわけでございます。もう一つは、やはり五十年となりますと、非常に  償還のために金利を非常に払わなきゃいかぬ、利  子を払わなきゃいかぬ。三十年の場合に比べて、五十年になると約倍近い金利を払う。それが首都高でいいますと二千億くらいの差になってくる。やはりこれも一つ資金の効率的な使用という問題もあろうかと思いますが、どらもあまり金利ばかり払っておるというようなことも問題がございますので、いまのところやはり三十年くらいの償還として、その有料の場合は料金をきめておくのが、いまの時点では妥当ではないかという考えでままでいやってまいった次第でございます。
  61. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、現在の料金収入は相当上がってきているわけですがね。これからまあ建設していかなけりゃならない。借り入れ金はまただんだんふえてくる。それで料金収入を新しい建設のほうに振り向けていくということになると、こういうようなふうに考えていいですか、いままではまあ料金収入を建設のほうに回す余裕はほとんどなくて、建設はもう借り入れ金、政府出資と地方公共団体の出資でやってきているわけですね、ほとんどはね。そうすると、これからは料金収入をもって建設費のほうに回していくというようなことが考えられているのかどうか、この点だけひとつ。
  62. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 実は、財投の借り入れ金でもこれは七年で償還をするようになっております。結局これまでは借り入れ金はほんとうに償還できませんで、償還するための金をさらに財投から借りて、その借りた金で先に借りたものを返しているような状況でございます。そういう状況で、だんだん道路公団でも首都高速道路公団でも、いままでの借りた金を借りかえるという財投の金が非常にふえてまいります。そういう状態でございますので、料金収入というものがふえますと、やはり自己財源として、できるだけそういう借りかえの財源を少なくし、また自己財源そのものが建設費のほうに十分回る。やはり結果的には料金収入が多くなれば十分に建設のほうにその金を回していけるというふうに考えております。
  63. 北村暢

    北村暢君 それじゃ次に、道路公団のほうにお伺いしますが、先ほども話がありましたように、道路公団も、この決算説明によりますというと、名神、それから中央高速道路、それに東名が開通したわけですが、この決算ではまだ東名は完成しておりませんが、その当時でもやはり四億七千九百万円の損失である。ところが供用開始後数年間、こういう損失が生ずることが予想せられるけれども、将来、これらの損失を生じている大型の路線についても償還できる見込みであるということで、道路公団のほうは償還できるんだ。こういうふうに言っておりますが、東名ができましたから、おそらくこの名神高速も長距離の貨物輸送等の効率というものは非常によくなってきているんじゃないかと思うのですね。それで四十二年度はこうありますけれども、四十三、四十四年度の料金収入と、それから経費との損益関係はどうなっているのか。それから道路公団は、非常に大きな事業でありました名神、東名が開通しましたから、今後は東北なり、あるいは上越なり、九州なり、こういうふうな方向事業量伸びていくと思う。その際、名神、東名の利用率と地方の有料道路、高速道路とは、これは比較にならないと思うのです。したがって、いままでは非常に利用率の高い東名、名神であったんだが、今後はこれは利用度が落ちる高速道路建設、こういうことになっていくだろうと思うのです。そうしますと、四十二年から現在までの収支の状況と、将来におけるこの道路公団の収支関係からいって、収入のあがる名神、東名と、地方の高速道路料金のプール制というようなことも起こり得るのではないかというふうに思うのですが、そういう点についての考え方なり、方針なり、ありましたらお伺いしたい。
  64. 富樫凱一

    参考人富樫凱一君) 昨年、東名が開通いたしましてからいままでに、名神もだいぶ通行量がふえて、収入もあがってまいっております。大都市圏を通ります東名、名神——これは償還するだけの料金を早くあげるということは予想できるわけです。ただこれから伸びてまいります東北、九州等の道路ですね、ただいま全体で二千キロに及ぶ施行命令をいただいておりますが、その分につきましては三十年ぐらいの償還期限で採算のとれる計算になっております。これがさらに伸びてまいりますが、お話のような採算の悪い線も相当出てくると思われます。こういう採算の悪い線には採算のいい名神、東名からプールいたしまして、建設することを考えなければならぬと思っております。四十二年度の決算は欠損を生ずるように報告してございますが、その後の数字につきまして鈴木理事から御報告いたします。
  65. 鈴木喜治

    参考人(鈴木喜治君) ただいまの総裁お話の中にございました名神関係でございますが、この決算説明にもございますとおり、四十二年度では名神は二十六億の欠損になってございますが、四十三年度、東名がある部分開通しました段階になりますと、四十三年度の決算では一億ちょっとの赤字に減少しております。それから四十四年度はまだ今後若干の日にちがございますが、四十四年度におきましては当然黒字に、単年度としては転換いたす予定になっております。
  66. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) ただいま公団総裁が言われたとおり、将来七千六百キロの建設費、それを償還する方法、これをいま検討しております。やはり東名、名神と同じ料金の体制でいきますと、これを償還するにはやはり全線をプールしなければならないのではないかというふうに考えております。もう一つは、やはりあとからできるもので、もしか全線プールをしないということになりますと、あとからできるもの——これは大体地方の非常に交通量の少ない高速道路になると思いますが、その辺が料金を取られておって、東名、名神だけが無料になるというのも、これも非常に不都合じゃないかというので、そういう意味からいってもやはり全線プールをするというような考えで償還計画を立てておりますが、やはり七千六百キロ、いまのある一部の交通量のきわめて少ないところについては二車線建設というようなものを入れますと、十分七千六百キロも三十年以内で、いまの料金体制で償還可能だという計算になっております。
  67. 北村暢

    北村暢君 最後に、阪神高速道路公団のこの決算概要の説明は非常に模範的でいいんですけれども、どうも最後に汚点が一つ職員の不正行為があるわけなんです、五千万の。これはもうすでにこの委員会でやられただろうと思うのですが、資金の回収が——従来横領された金の補てんが五千万のうち一千二百六十六万何がし補てんされておるわけなんですが、これの取り扱いは一体今後どうなるのか、決算説明書においても、こういう問題を会計検査院から指摘されておるが、どうも申しわけないという説明一つも書いてない。やはりこれは、こういうことがあったならば、決算報告の説明書の中に、申しわけないくらいは書いたほうがいいんじゃないかと思うのですが、処置は一体どうなるのか、この点だけお伺いいたして、私の質問を終わります。
  68. 小西是夫

    参考人小西是夫君) お答え申し上げます。たいへん申しわけないことだと私ども回収に努力しておるわけでございます。いまの五千万円の横領は四十二年の事件でございまして、現在までに回収された金額が、ごく新しい報告でございますが、二月二十七日現在で千三百五十二万二千八百六十四円入っております。したがって、その差額につきまして現在なお回収に努力中でございますが、本人につきましては来年の十一月が刑期でございます。現在和解契約を結びまして、刑務所を出まして二週間以内に全額を払う、刑務所にいる間は収入がないものですから、毎月五百円払うという実情でございます。それから当時の責任者——いわゆる出納責任者でございます神戸建設部長の住野といいますが、それがその責任をとりまして諭旨退職したわけでありますが、これも和解契約を結びまして、現在まで毎月一万円ずつ払っております。これは、四十八年までの和解契約でございまして、四十八年になりますと、あと残額を一ぺんに払うという和解契約になっております。ただ、犯人並びに当時の出納職である住野は、それぞれ収入が非常に少のうございまして、私どもといたしましても今後あらゆる方法をとりまして回収に努力いたしたいと、かように考えております。
  69. 和田静夫

    理事和田静夫君) それでは午後一時四十分に再開いたします。  暫時休憩いたします。    午後零時四十二分休憩      —————・—————    午後一時四十九分開会   〔理事和田静夫委員長席に着く〕
  70. 和田静夫

    理事和田静夫君) 委員会を再会いたします。  休憩前に引き続いて、昭和四十二年度決算外二件を議題とし、建設省及び関係機関決算につきましての質疑を続行いたします。  御質疑のある方は、順次御発言願います。
  71. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 私は、道路事情について一、二点お伺いしたいと思います。特に国道でございますが、この大都市の周辺の道路事情というものは、まあどこも非常に問題が多くて、比較的自動車の激増のために、道路というものがこれを受け入れるだけの十分さがない。非常に困難を来たしておるというのが現状だろうと思うんでありますが、これについて、いろいろ建設省としましては、国道の問題を都市周辺でどう考えておられるか、まあ抜本的に先の自動車の混雑を見通して、この国道というものを配慮しておかなければ、その都市の交通の麻痺なり、あるいはまた交通災害を及ぼすような弊害というか、非常に大きな障害を来たしておるのではないかというふうに思うのであります。ですからして、むしろ都市周辺の状況を十分把握をし、それから自動車の運行の状況を把握しながら、その大都市の道路の建設の環境を十分見きわめて、これにマッチしたような国道の都市に対する乗り入れというものを考えなきゃならぬ、こう思うのであります。ですからして、いまのおもだった、たとえば六大市なら六大市の中でこういう国道と、それからその都市周辺の道路事情とどういうふうな問題があり、あるいはまた、どういうことを配慮して、どういうふうに施策を進めておられるのか。そういうことのあらましについて、ひとつ道路局長のほうから御説明願いたいと思います。
  72. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 大都市の中の道路はどうあるべきか、これは非常に重大なむずかしい問題だと思います。やはり一言で言えば都市の中の都市計画をどうするか、その中でその道路のあり方をどうしていくか、そういうことをきめるべきだと思います。都市計画の問題になりますと、これは道路だけじゃなくて、そのほかの通勤のための都市の鉄道とか、地下鉄等を入れまして、そういうものをどうするか、都市の中のビジネスセンターをどこに置き、流通センターをどこに置き、文教センターをどこに置くというような全体の都市利用計画の中で——その中で交通の需要はどういう発生をするかという形で道路を計画していくというのが必要かと思います。これを具体的にいまの都市で言ってみますと、個々の各都市みんな多少状況は違うと思いますが、一般的に言われるのは、大都市になりますと、やはり都市の中でそれを幹線の道路として中心部から放射的に外へ出る幹線の道路、これが必要になってくると思います。また外から入るためには、幹線の放射線の道路に乗るために必要な環状線というのが必要になってくるかと思います。環状線につきましても、これも大きな都市になれば二重三重の環状線が必要になって、それが放射線と結びついて都市の中の交通の流れをスムーズにするというものだと思います。これは東京で言いますと、われわれの計画は外郭環状というものを考えております。そういう都心から十五キロ半径の外に外郭環状がある、その中で環状八号線、七号線、六号線、五号線というような環状線、それから東京で言いますと、これはたくさん——横浜へ行く国道一号線から、千葉に行く十四号線、その中に埼玉へ行くもの、栃木へ行くもの、たくさんございます。そういうような国道を将来どう扱うかの問題になりますと、これまた非常にむずかしい問題でございまして、幹線の道路としては当然そういうような都心と結ぶ放射線の道路が必要になる。これを将来国道ということにするかどうか、これからのいろんな意見があると思いますが、やはり都市の中の国道というのは、ある環状線を想定いたしまして、この環状線から外へ出るものを国道とするというような意見もございます。やはりそういう形で将来進むのではないかと思います。いまの道路——昔はたとえば日本橋を起点として大阪へ行くとか、仙台へ行くというようなものでございますが、これからの都市としては、やはり都市の中のある環状線を一つの国道の起点として、それから放射線に出るというようなことになるのではないかというふうに考えております。
  73. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 そのばく然たる説明はそうだろうと思うのですが、あなたのほうで出しておられる四十四年の「国道建設の現況」というのを繰ってみましても、そういうような事柄はもう比較的に数字が非常にきついものが出ているのですね。私これを見て実に驚いているし、私の感覚と非常にマッチしているのですが、たとえて言うならば、外国と比べてみて、てんで問題にならぬ状態ですね。そういうことを追及すれば、予算あるいは決算の面で金がないものはできないのだということになるわけですが、金がなかったらないだけに措置の方法を考えなければ、いまの日本の経済成長のワクで考えたら、こんなことをほうっておいたらなってないと思うわけです。できなければ何するかと言えば、またほかの方法があるだろうと思うのですよ。道路公団がするなり、あるいは自動車を利用する人からもう少し負担を受けてこれをするなり、何か抜本的な方法をいろいろしなければならないわけなんで、この表を見ても、四十四年のこういうような道路の延長やあるいは舗装の延長と比較してみましても、各国と比べたらえらい違いですね。こんなものは、これは日本の経済の成長から言ったらもっと抜本的なものを考えなければいかぬ状態にあるわけです。これをやられてないということは怠慢だと思う、実際から言えば。それから自動車の保有台数なんか見ましても、最近ふえていることは、この表に出ているとおりですね。もう三十六年にわずか三百二万台ですか、それが四十三年には千三百万九千台というような形でしょう。けたはずれにふえているのですね。こんなことは三十六年時代に、日本の自動車の利用状況からいってどういうふうになるのかということは、ここでも議論されておったわけですね。こんなことも、これは表に示してこんなことを公にする前に抜本改正をさるべきだと思うわけですよ。それから全部見ましても、あとみんなそうなっている。特にこの中で奇怪に思うのは、人を運んだり物を運んだりするのに、鉄道が持っている範囲で自動車によって満たされるものが非常に大きくなってきた。これは前から言われておりましたね、この状態は。こういうことなんかも当然入れなければならない問題だし、わかりきっている問題だ。それから最近では、私は京都の問題についてこれからあと詳しく触れてみたいと思うのですけれども、たとえば東名と名神の問題についておたくのほうでも出しておられる。私ども京都で見ていまして京都の南インターの利用状況は、休日平日を問わずほとんど利用状況は同じですね。だから京都は、必ずしも東京よりは楽だということにならないわけですよ、これを見てみますと。だからこういうようなものを、ずっといろいろなところで表を繰って見たのでありますけれども、非常に問題がもう明確になっておりながら、それに対する対応策がおくれているということは明確に言えると思うのです。あるいはまた混雑状況を見たって、一級国道であなたのほうでやっていらっしゃるのは、四十年に四・六であったのが四十三年は一五・五ということになっているわけですね、混雑状況が。こんなものから見ても、これは表になって初めてわかったのじゃなしに、こんなことは前から想像できるわけですよ。そういう点から考えてみて私は道路行政というものは非常に怠慢過ぎると思うわけです。私は、ここで一番問題にしてあなたのほうにお尋ねしたいのは、京都に二十四号線というのが奈良の方面から入っていますね。今度はそこに外環状線として京都市が環状線をつくりまして、これは十五日に開通式をやったわけです。開通式が済んだところで、きょうで五日しかたっていないのに、いまのあすこをごらんになりましたか、あの状態を。平面交差のために五町から七町、ずらっと並んで、あすこの青信号を待つまでの距離というものはなかなかたいへんですよ。そういうことは、あのときにもうわかっていて、何かの機会に私は申し上げたと思います、そうなりますよと、平面交差では。なぜ立体交差にしないのかということを言ったわけです。それからもう一つは、あの二十四号線というのは竹田街道というのに結びつけられて、いま工事されていますね。京都市は、あすこの伏見線を取っ払って、市電を取っ払って、あすこを二十四号線に結びつけるのだというので、いままあどこか多少あれはできていないから、ちょっと停頓しているけれども、近いうちにできるだろう。あすこに京町通というのがある。これは南を向いて走る線路としては唯一の線路であったわけであります。これとまた平面交差しているのですよ。あれを見てみますと、すぐ東側には京阪電車が立体交差しているわけですから必ずしもあそこで急カーブをして、急に下へ下りて平面交差をするというのは、ぼくは常識はずれだと思うのです。あのままでやっていたら——あのままスピードを出していたら、事故を起こすと思う。一番南になると二十四号線だから、車線は広いからある程度のスピードは出るでしょう、スピードを出して急カーブを下がったところで平面交差をするのですから、あそこで停滞するのも当然だろうと思います。まだ開けていないから停滞していません。そういうことを、国道をつくりながらあのくらいのことは建設省としては当然考えるべきことではないか。だから、二十四号線の観月橋のところを一体どうされるのか。話を聞けば別にバイパスをつくるという話がありますけれども、それも夢みたいな話であって、まだ用地買収にかかったくらいだ。しかし十五日に開通式をやっていま停滞しているじゃないですか。こういう状態をやって、建設省は税金のむだ使いというか、見通しもつかない状態でやって、知らぬ顔しているという状態じゃないかと私は思うのです。これは決算の面からももう少し明確にしておいてもらわないと、市民の感覚では一体建設省は何しているのだ、こういうことになるのじゃないかと私は思うのです。ですから、市民の側に立って、住民の側に立ってこういうものを見たときに、納得のできるようなものをここで明確にしておいてもらわなければ、建設省のやっている道路行政はどういうものだということが非常に問題になる。最近では事故が瀕発している。横から来た人もただ待っておったんじゃ横切れないから、ぐんぐん頭を出してくる。ダンプカーに至っては少しのすき間があったらそこへ頭をむき出してくる。こういうことが行なわれて、まともに待っておったらいつまでも渡れぬ。そのためにはもう少々危険でも、ドライバーにしてみればやらなければ——いつまでも待っておれぬということで、最近の事故の問題になっております。最近の事故をあげろとおっしゃればたいしたものがありますよ、十五日からわずか五日間の間に。こういうような状態で、建設省のやっている国道の行政なんというものは、一般の住民としては納得ができない。こういう点でありますので、一体あの辺のことについてはどう考えていらっしゃるのか。
  74. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) ただいま先生の御指摘のように、いまの都市と道路との問題を考えますと、確かに御指摘のように、いま道路の混雑がますますふえる一方で、交通需要道路の整備が追いついていかないというのが現状でございます。そのために昭和二十九年から第一次の五カ年計画をつくりまして逐次財源の強化、規模の拡大というものをはかってまいったのですが、まだまだ自動車のふえ方のほうが多くて、いつも五カ年計画が三年くらいで拡大改定ということにならざるを得なかったのです。その点につきましては、私たちも今後できるだけ財源の強化をはかって都市といわず、また過疎地帯といわず、道路の整備をはかっていきたいというふうに考えております。いまの見通しでは、私たちは昭和六十年時点で車の保有台数が三千五百万台になるだろうという想定をしております。この三千五百万台の想定というのは、いろいろな見方があると思いますが、非常に最小——もっとふえるという見方があります。私たち、いろんな観点から三千五百万台、それに必要な道路の全体計画をつくりまして、それを毎年毎年の道路整備五カ年計画の中に織り込んでいきたいと思っております。やはりいまの状況では昭和六十年くらいに全国的にいって道路の容量と交通の需要と一致させることができる見通しを持っております。ただそう思いましてもやはり大都市においては、いまみたいな自動車が非常にふえてまいりますと、大都市の交通というのは相当いまの都市鉄道をたよらなければ、全部の通勤が自動車でできるということはなかなか不可能だと思います。その辺が先ほど言いました一つの都市計画の中で、道路のあり方と都市鉄道のあり方と、双方、総合的に考えていく必要があると思っております。  もう一つ質問でございますが、二十四号線をわれわれ伏見バイパスといっております。実は、これも先生の御指摘になりましたように、京町通の平面交差、これはその当時の考え方としては、この計画が昭和三十一年に着手されまして、私たちいろいろな全国的なこういうバイパスの計画の中で一番手こずっておるような計画だと思います。普通の場合、幾ら長くかかっても、昭和三十一年に始めて十数年かかるというようなケースはないのでございます。そのために、その当時の都市計画で計画をして工事を始めました伏見バイパスも全幅が十八メートル、車道十一メートルで、歩道が三メートル五十を両側につけるというような計画は、いまから考えますと、車道の十一メートルというのは非常に中途はんぱだった。やはり当然十四メートルくらいほしかったと思いますが、その当時の計画でいろいろ計画されております。その当時やはり四車線の道路と、いまの京町通の道路は二車線でございますので、そういうことも考えて平面交差というようなことになったと思います。  なお、私たち将来の交通を考えますと、この伏見バイパスはまだ実は竹田街道までついていない。これは用地の問題もございまして、まだついていないわけでございます。やはり将来は竹田街道を、京都の市内から出てきましてそれをさらに南に延ばすという都市計画をやるべきだと思います。もう一つは、現在大久保のバイパスというものをやっております。これは枚方バイパスを途中から入って一部使えるようにしておりますが、それを将来、京都の油小路線につけるという、これは非常に膨大な計画でございます。その一部として大久保バイパスを考えておる。やはり二十四号線は京都から奈良までいまの国道ではとても容量が足りませんので、いずれこの大久保バイパスを京都市内と南に延ばしまして、新しい二十四号とつけてまいりたいというふうに考えております。ただそうなりましても、現在二十四号の交通というものは相当あるということで、実は観月橋の混雑というものを——これも数年前に私も現地を見まして何とかしなければいかぬということで計画を練っておりました。あそこは御承知のように道路と京阪電鉄が、これは平面交差をしております。京阪電鉄を上げるとかいうような計画もいろいろ練ったのでございますが、どうしてもうまくいきませんので、現在は観月橋にバイパスをつくり、あの橋の上にもう一本鉄道を立体交差する橋をつくるということで、実は用地の交渉を四十四年度に始めまして、なかなかこれも難航しております。四十五年度もこの用地が終わるような事業費をつけたいというように考えております。いま先生のおっしゃいましたように、非常に道路の事情はいまの交通の実態と比べますと、おまえ何しているのだというようなおしかりはあろうかと思います。財源の強化と、やはり一つのバイパスをつくるにも用地の問題、これはもうすぐ収用をかけてばたばた買収していくということばかりではなかなか解決いたしませんので、やはり地元との話し合いを十分つけて、それからやっていきたいという考えも持っておりますので、もうしばらくこの観月橋のバイパスもお待ちを願いたいと思います。できるだけ地元との話し合いをつけまして早急に工事に着手したいというふうに考えております。
  75. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 だいぶん話がわかってきたのですが、いまの私は観月橋のあの状態を見まして、いま建設省の考えておられるのはもちろんいろいろな障害もあり、またいろいろな手続もあって、時間もかかることもわからぬではありませんが、しかしあの実情を見て、私は早急にやらなければならぬと思うのですが、あなたのほうのいま見通しでは、そこに最大の努力を払ってやって、どれくらいであそこに立体の橋がかけられるか、こういうようなことは地元の人としては非常に要望がきついわけですよ。もう毎日毎日、私の知っておる分でもあそこへ自動車で通っている人があるが、朝の通勤時間に三十分も四十分もよけい見なければならぬわけです。しかも自動車のあっちをぶつけられた、こっちをぶつけられたという状態です。あなたは地形を見ておられるからわかるように、上は高いわけです。それから低くなって電車と平面交差するわけですから、あそこをまっすぐもっていけばすぐ橋になりますわね。ですからぼくは、あそこをやるのにはそこへおりたりなんかするためのよけいな用地買収ももちろん要るでありましょうけれども、やる気になってやれば、案外早くできるのじゃないかという見通しを持っているわけですね。そうして、あそこをやられるためには、あなたのほうで大体の見通しはいつごろになるんだということを一点お伺いしておきたい。  第二点は、いまあなたがおっしゃいました大久保バイパス、これはたいへんけっこうな案であります。これは一体いつごろになったら——私は全部奈良までバイパスにしないで途中から何といいますか、城陽町あたりから出ておりますね。そうして、あそこにつながるようですから、それでいいです。あの辺のところから大久保のところの交差点ではまだ一ぱい詰まって詰まってしようがないわけですから、もうそれは緩和できるわけでありますから、バイパスは私、非常に必要だと思います。だから、これに対しては大体見通しはどのくらいなのか。また、あなたのほうが、いままでのテンポを早めてやろうとしたらどれぐらい早くできるか、これを一ぺん考えてもらわないと。何カ年計画で——二十四号線は、いまおっしゃいましたように三十一年からやって、いままだそれができてない。あるいは竹田街道に結びつけましても、まだあの勧進橋ですか、あの辺に行きますと、またたいへんに回って狭いネックができますね。それは少なくとも斜めに鴨川を横切って河原町通に結びつけなけりゃだめなんですね。これはまだその緒についていないようですね。もうこれが完成してほんとうに二十四号線のバイパスとして五条通までうまくいけるということになるためには、まだまだいろんな条件があるわけですね。まして三十一年当時出してきたテンポでやられたんじゃ、車のほうが先にいってしまいますから、できたときは無用の長物だということになる。現在ほかに二十四号線ができたら、もう少しよくなるかもしれませんけれども、竹田街道のところはまだ詰まっていますね、交差点に全部来たら大問題です。その次には名神高速道路のところでまた信号があります。あそこでまたずらっと並ぶわけであります。信号があるたびごとにもう交通麻痺を起こしておるというような現状ですね。これが開通せぬ前にそういう状態なんだから、あなたの言っておられるような国道を市内に乗り入れる場合に、もう放射線状にやられるのもけっこうですけれども、いまのうちに先を見ておかないと、二十四号線ができあがったころには、もうそんなものをつくってもらっても何にもならない。それだけ投資したものがむだになるということになりますよ。あの費用が何ぼになっていますか、あれに対する費用の見積もりを聞かしてください。責任からいったら、ぼくは決算委員会で問題にしなきゃならぬ。それが何にもしないでおったら、もう決算の上からいって無用な間違った投資になるわけですから、これは大問題になるだろうと思うんです。ですからそういう関係からも、この問題は十分に規制をしなきゃならぬと思いますが、一体あれだけにどれだけの費用を見積もって、年々どれだけやっておるかということを聞かしていただきたい。三点であります。
  76. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 伏見バイパスについては、三十一年から工事を始めまして四十四年度まで十五億一千万円の金が入っております。ただいま先生のおっしゃいましたように、これをやってもむだじゃないかというような御意見でございますが、私やはりこういう大久保バイパスから油小路へのバイパスをつくるにしても、一体京都市ら奈良に行く、また市内を通る車がどのくらいあるかを想定いたしまして、それを現在のバイパスができた場合にそこにどれくらいの配分、新しいバイパスに幾らというような計算をしておりまして、これができても決して私は伏見バイパスはむだな道路ではないと思います。やはりあそこの近くの住民の方も、あそこを通っていく人が非常に多いと思いますので、いままでかけた金が全部むだだとは思いません。ただ、先生の御指摘のように、どうせやるものなら三十一年からやってなぜ早くできなかったかということだと思いますが、私たち、やはりこれについては、いろいろ用地の問題もございましたが、これからはやはり事業に着手する前に、もっとその用地の交渉をよく始めまして、これはできそうだというところで工事を始めていくということが必要かと思います。ただ、やたらにここは必要な道路だからすぐ始めるんだということだけでは、いま言いました工事費をつけましてもなかなかできない。話し合いがつかなくて用地買収ができないということにもなりかねませんので、やはり新しいバイパスをやるためには事前によく地元の了解を得て、これならできるという見通しを持って、やり出したら早急にやるというように心がけたいと思います。  なお、観月橋のところの工事でございますが、これはやはり用地が一番問題かと思います。用地さえ終われば、工事としては大体まる二年あれば立体交差の橋ができるのではないかというふうに考えております。
  77. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 大久保のほうのバイパスをつなぐところは。
  78. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 大久保につきましては、これは非常に大規模でございます。いま五カ年計画の中で国道の全国にありますバイパスの中で、どこにどのくらいの金を配分するか、現在これをいろいろ検討しておる次第でございます。私たちやはり、いまの大久保からなるべく——将来時間をおきますと用地取得がなかなか困難でありますので、京都側のほうにまず手をつけていきたい。なるべく四十九年までの五カ年の中で大久保から京都の油小路、あるいはその途中は一部都市計画でやっていくと思いますが、そういう点も含めまして四十九年度までの間には京都との間をつなぎたいというふうに考えて、いま検討している次第でございます。
  79. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 そうすると、やはりこの大久保のほうのバイパスですかが油小路につながるというのは、大体五カ年をメドにできるというふうに了解していいわけですね。それからまた、用地買収ができたら二年ぐらいで終わる。用地買収も含めて二年ぐらいと解釈してよろしゅうございますか。
  80. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 観月橋のところは、これは非常にいまの見通しは、どうも用地買収は四十五年いっぱいと見ればいいのではないかというような見通しでございます。やはり用地買収に時間がかかりますので、用地がおおむね片づけば、あと工事として早くやれば一年半、これはああいうところでございますので昼夜兼行でやると、現在の交通が非常に阻害されるおそれもございまして、そういう点を考えて、やはりどうしても二年ぐらいかかるのではないかという計画でございます。
  81. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 そういう話は聞いておりますが、やはり交通障害ですね、あの障害になっている所は早く見て三年かかるということですね。三年間をどうするかということになると、たいへんな問題になる、私はそう思うのですよ。それからそういうことになれば、私は三十一年から二十四号線のバイパスを考えながら現在まだそういうふうな段階でいるとなれば——ああいうふうな問題はまだほかにもあるでしょうが、いま一番問題になっているのは二十四号線の問題です。あの実情を実際見て、もう少し何かの方法を考えなければ、私はたいへんな問題になってくるのではないかと思います。第一番にあすこで万国博覧会が行なわれております。あの万博の問題で、京都の道路事情をどうするかということを決算委員会の席上で二回取り上げたと思います。そのときには、だいじょうぶ対処いたしております、外のほうで車をとめて、あとはバスで運ぶようになっておる。——バスで運んだって、狭い所ですからなかなか運べないと——ここでだいぶけんかをしたことがあります。いま現在それがぼつぼつ始まりつつあるわけです。まだ寒いときでありますから本番に入っていないと思いますが、私もあれができてきたりしまして、京都見物、奈良見物の車が入ってきたら、あすこは一体どうなるのだろうかと心配しているわけです。そういうことを考えてみますと、ひとつ建設省としてはいま即効的に何かするということを考えなければ、私はいかぬのではないかと思うのですね。  私が先ほど、基本的な話を聞いたときに、局長からもお話がありましたように環状線でやるのだ、それから放射線状に都市の中に乗り入れる国道で持ってくるのだということでありますが、いま京都あたりを見ましても——ほかもそうであると思いますが、通過車が大部分を占めているわけです。もう少し通過車を市内に持ってこないで、いまおっしゃっております十五キロなら十五キロ離れた所、三十キロなら三十キロ離れた所で誘導できるような環状線というものが先にできてこなければならぬじゃないですか。いま京都周辺で一体それが何かされておりますか。ないんですね、何にも。ですから、いま私がちょっと表で名神道路、東名道路の利用度を見ましたけれども、京都の南と東京の周辺の利用度は、表にも出ておるように、台数、これはほとんど同じですね。そうすると、京都はどちらかといえば、過密の度合いからいえば東京だとか、あるいは大阪あたりよりは非常に楽なように考えられておりますけれども、この利用度を見れば同じことなんです。そういうことになってみると、かなり自動車というものが京都に入ってくることが考えられるわけでありますし、二十四号線で奈良と結ぶと、この台数は、いま御指摘のように非常にふくそうしているからバイパスが必要になってくるということはだいぶ前から言われておるわけです。こんなことを考えてみたら、実際私は実情に即さない状態で、まだこれから三年ないし五年かかるわけですね、これをやるのに。三年——五年の間、それで一体いいのかということを私は心配するわけですが、その間に何かする手はないんですか。私はここで詰めて、私のほうから質問いたしておきますけれども道路公団なり何なりの有料道路でもいいじゃないですか、都市の中へ入れるんだったらげたばきにして——東京都内でも有料道路が走っております。大阪でも環状線の有料道路が走っております。あれは交差点がなくて非常にスピードアップされ、車はよくはけているわけです。私はもし何だったら、大久保の向こうから混雑になるところはみな二階建てにして、それを有料道路にして、ある程度はけるようなものにすれば非常に緩和されるんじゃありませんか。だからそういうようなことまで、抜本的なものを考えていかなければ——いまの京都の問題は五年先ではかなわぬということで実際あるわけですけれども、いまにしてそれに手をつけなければ、各都市とも同じことが起こってきて、あとあとへ、後手後手と回って、いつまでたっても交通禍というもの、交通の停滞というものは解消されないし、それに引き続いて必ず交通災害が生まれてくるわけです。人命に及ぶんです。ですから、これをうまく適切にやられるか、やられないかということによって、われわれ国民がそのために死ぬことになるわけですから、この道路行政をうまくやるかやらぬかということは、国民の命に関係してくるんです。そんな簡単に、金の問題だあるいは計画の問題だといって、机上であなた方にもあそんでもらっていたら——そんな極端なことを言っては失礼ですけれども、極端に言えばそういうことになるわけですね。だからまあ、私が先ほど申し上げた二十四号線、ああいうところ、新しくつけてもらうことは、確かにそれをやってもらったら有効でありましょう。私もそう思います。そう思うけれども、むしろ後手後手に回るために、もうそれの効果があらわれないということをぼくは申し上げたい。だから私はここで、もっとあなた方のほうで抜本的にこれはこうしたいという何らかのプランを立ててもらわなければ、私ども住民側、そこに住んでおる者から言ってみれば安心なことにならぬわけです。あれは立体交差にしてもらっておいたら、それは金がかかったかもしれないけれども道路の停滞がいまのうちだけでも下がったんじゃないか、私はそういうふうに思うんですよ。たとえばもし国道ができないとするならば、バイパスをつくるときに国のほうから何か手をつけて、外環状線をつけるときにあれを立体交差にするのはぼくはもっと簡単だと思う、ちょっと西へ行けば近鉄は高架で上がっておるわけですから——あれは二十四号線で平面交差するために、急カーブで下がって平面交差しておる。もうちょっとまっすぐ持っていって向こうへおろせば、いまの用地買収で多少思うようにならぬかもしれないけれども、バイパスを高架にするだけで簡単に済むじゃありませんか。その金がどれだけ余計にかかって、そうしてそれがあとで影響することはどうだということを考えてみたら、私はやっぱりそこで、いわゆる国費というものの使い方を考えてもらわなければならぬという結論が出てくると思う。だからそれを高架にした場合と、あそこでストップして平面にした場合と、何ぼ安くなり何ぼ高くなったか。そのためにあそこで停滞はどういうことになるかということを考えてみましてたら、そこをやるときに、特にあなたのほうの国道ですか——外環状線は市でやったわけでしょう、市に対してあなたのほうがそれだけアドバイスする、国道を管理する上においてアドバイスをすれば先へでき上がったと思う。そのために補助金なら補助金を国からつけてもいいんじゃないか、そういうことに対しては、あなた方一体どう考えておられるか、聞かしてください。
  82. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) いまの京町通との立体交差の問題ですが、これはやはり一つの例を言いますと、東京には環状七号線というのがありまして、あれはかなり大きな道路とはみんな立体交差をしております。それでも小さな交差点は平面になっております。やはりああいうように立体交差をするということになりますと、道路の幅を相当広げてまん中はまっすぐ通る車、それから両側に側道を置きまして、京町通から出てきた車が側道から本線に上がるというような構造にしなければいけないと思います。実は、その当時の考えは、やはりこれは伏見バイパス、その当時からこれだけでいいというような、京都−奈良の交通はこれだけでいいという考え方じゃなかったと思いますが、その当時からやはり用地の買収その他道路投資の規模もございまして、やむを得ずこういう計画になったんではないかと思います。あの当時はやはり、いまの伏見バイパスの用地の買収に私も関係しておりましたけれども、非常に難航いたしまして、地元から言えば、できるだけいままで安楽に——安楽にと言ってはおかしいですが、平穏に生活しておったものが、なぜこんなところに道路を持ってくるんだということで非常に反対されまして、そういうことも考え、幅員をそう広げられなかった点もあるんじゃないかと思います。ただ、これからの道路の計画には、やはりそういう周辺の沿道に便利のような道路、そこを通過するために便益あるような道路というものが必要になってこやせぬかと思います。まあこういうことで、将来の都市の中の大きな幹線道路について言いますと、やはり都市計画街路的なもの、沿道からそれにすぐ乗り入れできる道路と、それから将来の交通を考え、その中で首都高速みたいな高架の道路が入るような幅員、これだとやはり四十メートルぐらいの幅員がないと——高架の道路が入って、周辺に騒音なり排気ガスなりの影響を及ぼすというようなことを考えますと、やっぱり四十メートルぐらいの道路がなければいかぬということで、やはりこれからの都市の幹線街路について、私たちはやっぱり思い切って四十メートルぐらいにすべきではないかというようなことを考えております。十数年前の当時でございますと、自動車の台数の伸びというものは、実際のところ、私たちも道路にタッチしておりまして、これだけ急速に自動車が伸びるということは、恥ずかしい話なんですが想像もしなかったような状態でございまして、まずこのくらいの道路で当分は使えるんじゃないかというような、見方が非常に甘かったと思います、現実になってみますと。こういうことを教訓にいたしまして、これからの道路の計画はできるだけ将来の問題を考え、立体交差できるような余地をつくっておくということは必要かと思います。まあ、ただいま先生のおっしゃいましたような観月橋の例一つとりましても、あと二年かかるんじゃその間どうするんだということでございますが、これはできるだけ私も早くやらなければいかぬと思いますが、これ以外にいろいろ計画、検討をいたしましても、例の竹田街道を南のほうにまっすぐに延ばすにしても、これは相当いまの用地の問題から言えば容易じゃない。かえって竹田街道を南に延ばすのはそう簡単にできないだろうというような見方もございまして、この計画よりは観月橋のところをまず立体交差にしようというようなことにしたわけでございます。ただいまもう一つ道路公団の有料道路でもいいんじゃないかということでございますが、さっきも言いましたように、大久保バイパスから京都の油小路に入るということになりますと、それはやはりその周辺は将来都市化するようなところじゃないかと思います。で、やはり相当の、四十メートルぐらいの幅員をとりまして、将来高架の道路ができるような余地をつくって、その高架の道路——まず下の道路をつくりますと、高架の道路を有料道路にするには、下の道路が相当混雑して、金を払っても上の高架道路を通ったほうがいいという情勢にならないと、有料道路はなかなか成り立ちませんので、やはり将来を考えた幅員をとっておく、将来は都市の高速道路というものは広がってくる、そういうものができるような余地をつくっておく必要があるんじゃないかと思いますが、まあ京都市につきましても、またほかの都市につきましても、ただいま先生のおっしゃるように、非常に私たちいまの交通の混雑に比べますと、非常に道路がおくれておると思います。そのために、道路財源の強化ということを毎年毎年やっておるのですが、なかなか国の財政の状況もあって、こういう状況でございます。ただいま先生の非常に心強い激励もございます。今後できるだけ道路整備に、財源の強化をあわせまして、つとめてまいりたいと思っております。
  83. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 先ほど局長からもおっしゃいましたが、私ももっともだと思っておりますが、やはりこの都市へ国道でもって入ってくる車は、それが都市に用のあるものは別でありますけれども、非常に通過車が多いですね。そういうものは環状線に運ぶのだというお考えですが、だとすれば京都に関してはまだ環状線ができておりませんね。いまのうちに計画をして、何キロメートルか離れたところにどういう環状線をつくるのだということを計画してもらわないと——そして、それを着々と進めてもらわないと、抜本的に車をさばくことができないわけですね。まあ話によりますと、南口とそれから何か枚方バイパス、あれは相当距離は離れておりますけれども、やはり一号線を結ぶバイパスが国道に何か編入されたという話を聞いております。あれもなかなか、拡幅してどんどん車が走れるようにしようというと、山の間を通ることになってたいへんな問題があろうと思いますけれども、私はああいうところなら用地買収なんかも非常に楽だと思うのですね。ところが、あればかりでなしに、私がもう一つ考えたいのは、たとえば国道二十七号線ですか、京都と舞鶴を結ぶ線。それから、あの線とか九号線——福知山、鳥取のほうにいく。ああいうのがやってくるわけですね、通過車が通ってくるわけです。ああいうのも南のほうに回っての環状線があって、どこかに誘導できるような高速道路というか、非常にスピードアップされる道路があったら——先ほどおっしゃっていたように、ある程度混雑しなかったらそれは有料道路として確保できないということもある程度あると思いますけれども、何か抜本的なものを現在のうちに考えておかないと、この二年先、三年先にはたいへんな問題が起こってくるだろう。そのころになって議論してもおそいだろう。私は少なくとも、あの二十七号線とあるいはまた一号線、一号線のバイパス、二十四号線、それからもとの一号線という形に、京都の周辺には入らないで外側で車がはけるというのが必要じゃないかと思うのですが、そういうことについての計画はあるのかどうか、一体それはどうされるのかということをひとつ伺っておきたいのです。
  84. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) やはりいま先生のおっしゃいました一号線とそれから九号線、これを結ぶような南の内環状、これはさらに北を回って一周する、これは必要だと思います。で、現在都市計画の街路で内環状として山科から一号線の伏見ですか、いまついておりますけれども、さらにこれを延ばしていきまして九号線につけるということは必要だと思います。やはり都市計画の街路事業道路事業をあわせて、こういうものを早急にやるべきだと思います。もう一つは、やはり現在、四十五年から事業の着手に入ります京滋バイパスというのがございまして、これは滋賀県の草津から伏見にくる——山の中を通りまして、これはかなり一般道路事業道路公団の有料道路の中に入れました計画でございます。こういうものを早くやりますと、いまの京都、大津——一番込んでおるところを避けまして、草津あたりからすぐ大阪に抜けるという通過交通も処理できると思います。それからさらに、先ほどの一号線から早く九号に、これも現在のところ京都の市内に入らないで山陰のほうに抜けるのが必要だと思います。いまのところ、やはり京都全体を見ますと、南側の環状線を早くやるべきじゃないか。東からと、南、西側。北側のほうは将来必要になると思いますが、北側のほうより南側のほうを早くいくように、こういうことで進みたいと思っております。
  85. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 大体、私もそういうつもりでおるわけですが、これは計画はそう聞けば非常にありがたいと思うのですけれども、これもやはり時期を早めてもらわないと全然だめじゃないかと思います。いまあなたがおっしゃっている説明を聞きますと、この十五日に開通式をやったのが環状線の一つなわけですね。それがいまのような問題が幾つも出ておるわけですね。あっちでもこっちでも殺人的な場所ができているということでありますからして、これはたいへんな問題なんです。私は、むしろ京滋の国道なんかがもう一つ中間に、道の上に入ってきてつながれるというような説明を聞いているわけですが、こういうもの全体をもう少しテンポを早めてやらないと、いまのような問題は計画倒れになって、現実は二年、三年の間は大混乱を起こすということが明らかであるわけですから、私は、これをひとつ十分に考えていただきたいと思います。早めることを考えていただきたい。どうしたらいいかということを考えていただきたい。私がこんなことを言うと、党からおしかりをこうむるぐらいだと思うのですが、もう少し実体的にできる方法を、具体的にできる方法を考えてもらいたい。どうしてもいまの経済の中でそれができないとなれば、できる方法はどうだということまで具体的におろして私は考えてもらいたいと思うのです。これは国のほうで考えるべきだと思います。私は党の立場でもそうだと思いますが、しかしそういうことばかり、たてまえばかり言っておってもできないものならば、どうしたら打開できるかということをもっと根本的に考えてもらう必要がある。私は、それほどいまの道路事情というものは重大だと思うのです。特にそれについては御配慮願いたい。近いうちにそういうことについての具体的計画をしていただきたい。こういうことについては強く要望しておきます。それからできるということをやってもらわなければ、あの状態ではどうしてもがまんできないということを強く訴えておきたいと思います。  もう一つ育めてお尋ねしておきたいと思うのですが、私は前に湖西線といって琵琶湖の、西側に鉄道ができるわけですが、これは山科までつながるということを聞いているわけです。そのときに万博の問題を控えてこれを南のほうに、現在の片町線と結んで伏見の南のほう、あるいは大久保あるいはまたあの辺に住宅街がたくさんできていますから、これを南の大阪に結ぶ鉄道路線をつくるべきではないかということを国鉄に私は要望しておいたことがございます。それはおもしろい提案だから国鉄としても考えてみたい、ああいう過密都市をずっと結んでいく鉄道ならば、これは黒字線になりますよという話をしましたが、それがなかなか計画が進まない。けれども私は、いま言っているような形で放射線状に、あなたのおっしゃっているような舞鶴の方面から山陰の二十七号線、九号線あるいは一号線のバイパス、あるいは二十四号線と、こういうふうにして京都市の中に入れられてきているのでありますけれども、そういうのがみんな同じような状態を呈しておりますね。それから特に舞鶴の二十七号線もほんとうにあそこは、いつも車で走っておりますけれども、ほんとうにあぶなくて、車が停滞をしてなかなか困難な状態を見せつけられております。あれなんかも私は、最近ではバイパスができるという話で、もう一つ路線をつくるという話を聞いておりますけれども、私はああいう状態で路線をつくるのが簡単にできればよろしいが、なかなかむずかしいとすれば、私はもう少しこの取り扱い方を考えて、少なくとも外環状線ができて、それに結びつけるまでの間は、ある一定の距離は二重構造にして、立体にして、そこに直接いくものは上のほうを走る。これは有料にでもされるか、あるいはまたその資金をどうされようが、つくるべきではないか。そしてまた同時に今度はそのげたばきというか、二階道路にして、そして非常にたくさん停滞なくはけるような道路をつくらぬ限り、いまのような信号で分断しておることではなかなか処理ができない。中へ入る必要な車は下を走って徐行しながらでもその都会に入るということであってかまわぬですが、そういうことによって二重さばきしなければ、いまの道路行政では車がどんどんふえる場合には処理できないということを個人的に思っているのですが、あなたのほうの専門的な見解として、もう少し都市周辺に対しては高速道路をつくるということに対しての見解はどうなのか、お聞かせいただきたい。
  86. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 確かに先生のおっしゃいますように、都市周辺というのは非常に交通の需要が多くなると思います。まあ一言で言いますと、東京あたりでもそうですが、大都市というのは道路をよくし、交通のキャパシティーをふやせばふやすほど、車が集まってくるというような結果になろうかと思います。といいますのは、やはりどうもこれは地下鉄その他もあろうと思いますが、やはり地下鉄に乗るよりは自分が車を持って自分で通勤できれば、そのほうがやっぱり便利だということでやっぱり出てくると思います。やはりこの辺はそういうような、非常に一人が通勤するために広いペースを使う自動車がみんな来られたんではこれじゃとても容易じゃないと思います。それからもう一つは、いまの大都市の交通混雑の一つの要因として、非常に種々雑多な車がある。たとえば、これは東京都内でも流通団地をもっと周辺に集めて、あれから都内のいろいろな物資の輸送については小型の車を利用するとか、工場あたりを外へ持っていって大型の自動車が都内に入らないようにするとか、やはりそういうものを総合的に考えていかないと、都市の交通というものはなかなかさばき切れないんじゃないか。やはりそのためには、先ほど言いましたような環状線というものをつくりまして、その周辺でいろいろな都市に必要な施設を持っていくというような大きな都市の改造というものを伴ってこないと、なかなか住みよい都市にはならないんじゃないかというような感じかいたします。ただ、そういう理想的なことを言っても、なかなかこれはむずかしいことでございますので、やはりいま言いました交通の需要に見合うような二階の道路というようなものも——ただこれもどんなところでも二階にできるかといいますと、先ほど言いましたように道路の幅員の非常に狭いところですぐ二階の道路をつくりますと、これは日照の問題もございますし、公害の問題も出てまいります。その辺がこれから住みよい都市と、その中の道路ということになりますと、なかなかむずかしい問題が多いかと思います。やはり一言で言えるのは、いまの日本の都市というのは、やはり外国に比べまして都市の中の道路面積が非常に小さいということがまず第一だと思います。やはりもっとその都市の中の道路面積等を広めるというようなこと、これには道路を広めて、新しい道路をつくるということが必要になってまいります。そういうものをつくる際に、先ほど言いました広い道路の中で、将来計画的にできるような都市高速道路というものを、自動車の専用道路をつくっていく、そういうことも当然必要になってくると思います。そのために相当財源も必要になってまいりますし、私たちのこれからの考えも、道路のための財源を強化するということも必要ですが、やはり有料道路事業というものは、いまの情勢では相当伸ばさざるを得ないんじゃないかというような考えを持っておりまして、そのために有料道路といいますと、いままでは大部分が国の財政投融資に依存しておりましたが、なかなか財政投融資だけで有料道路をつくることも非常に制限がございますので、やはり民間資金を借りましてつくるというようなことで、今度地方道路公社というようなものも考えまして、それで相当民間資金を借りて有料道路をつくるというようなことも考えまして、できるだけそういう道路のための財源を集めていくということで道路整備をはかってまいりたいという考え方でございます。
  87. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 具体的にお話を聞きましたので——次官が来ておりますから、一ぺん大臣に対して私の申し上げておることを十分に取り次いでもらって、この問題を処理してもらいたいという観点から、ちょっと次官にもお話をしておきたいと思いますが、いま申したように都市の問題を解決するためには環状線が必要であるというお話で、環状線が十五日にできて、できたらすぐ交通麻痺が起きた、その状態を見てみますと、二つも三つも悪い条件が出てきており、一方で先ほどもお話のありましたように、環状線が市電と交差するところでは市電を乗り越えて急激にのぼりおりしているやり方も間違っていると、こういうようなことであって、やはり環状線が将来交通の緩和のために重要なあれを持つものならば、それらしくやはり交差点なり、あるいはまた立体交差をするということなんかにも相当先の見通しをつけてやってもらわなければならぬ。あるいはまた、いまおっしゃいましたような金の問題、いろいろな問題、買収の問題でなかなかできないことはわかりますけれども、二十四号線あるいは二十七号線、あるいは国道の問題、こういう問題については、私がいまここで申し上げたように、ここで抜本的なものを考えてもらわぬ限り、これはたいへんなことがすぐ出てくると思うのです。いま困ったことを処理してもらうのに五年ないし三年かかる、こういう状態ではほんとうにこれはゆゆしい問題なんですよ。それはもう三年後になったら車の状態がどうなるかということを想像すると、おそろしくなるわけです。この問題は建設大臣に——京都の問題が非常にクローズアップされておりますから例に引きましたけれども、全国的に当てはまることだと思います。ですから、こういう問題については積極的に考えてもらいたいし、特に京都の二十四号線の問題に対しては、あるいはまた大久保あたりにつくられるハイパスの問題についても、道路局長が言われたように、道路幅もまだいなかでとれるところなんですから、こういうところに対しては、いまのうちに十分な幅員をとっておく。そうしてそれが必要に応じて立体交差も、二重構造の道路も計画できるというようなものを、いまのうちに確保しておかなかったら、それはできない。京都というところは焼けなかったために、なかなか計画がしにくかったのも一つの原因だろうと思うのですけれども、いまじゃ一番取り残されたスラム街というふうに——道路の上からいったらスラム状態といって私は差しつかえないと思います。こういうものをひとつ抜本的に考えるということは非常に重要なことだと思いますから、ひとつ建設大臣に対してもこの問題を十分とりなしてもらって、抜本的な方法を話してもらい、いついつこういうふうにしますということを、この次に私が聞けるように期待しておりますので、大臣ともよく話をして、この問題をひとつ取り入れてもらう。同時に、道路行政というものを抜本的に考えてもらいたいということを強く要望しておきたいと思います。これで終わります。
  88. 田村良平

    政府委員(田村良平君) お答えします。大臣があいにくきょうは欠席でございますので、御趣旨につきましては、私から十分申し伝えます。  なお、御意見の点で私からも御答弁をかねて申し上げたいことは、高度経済成長とはいいながら、行政は全然高度じゃございません。したがって、御意見のとおりなんだということで、たいへんな御不満があります。私自身もその一人でございます。しかしながら、一番大きな問題は財政という、大蔵省という場所がありましてなかなか金を出しません。したがいまして、これから国民生活が新しい年代に、との大きな人口、産業の集中する大都市で住みやすい、あるいは暮らしやすい生活環境に改善するということが、これからの政治の最も大きな課題だと考えます。その点まことに御意見に賛成でございますので、私も初めて参りました建設省でございますし、役人も実は初めてでございます。非常にまだ役人に染まっておりませんので、これから少し新しい方向を見出すべくこれから国民の税金でこのような急激なラッシュを解決するのは困難だと思います。有料道路というものをもっと勇敢に打ち出したらどうか。要するに、国土をお互いに守ろうじゃないかというような新しい行政精神といいますか、そういった方針も必要だと思います。十年一日のごとく、答弁さえ済んだらそれでいいというのではなく、無事の人が交通事故で死んでおるということは見るにたえない。したがいまして、御意見を身に体しますと同時に、根本建設大臣にも、こういう質疑の要点について私からも積極的に意見を開陳いたしまして、これから始まる新年度への新しい予算構成等につきましても、御期待に沿い得るような前進をすべく努力をしなければならぬと思います。たいへん恐縮でございますが、私の私見も加えまして答弁にかえます。
  89. 沢田実

    ○沢田実君 まず最初に、道路建設に伴う買収土地の所有権移転等についてお尋ねをいたしたいと思います。  会計検査院が検査報告におい指摘をいたしました日本道路公団道路建設に伴う買収土地の所有権移転登記について、たくさんの登記未済があることについては、衆議院におきまして質問がございました。この分については答弁はけっこうでございます。  国道、県道の分についてはお尋ねをいたしたいと思います。先日の本会議におきまして、私は、会計検査院の指摘事項を同じような傾向の事項について、各省の措置について質問をいたしました。総理大臣から、この問題については各省庁において内部監査を実施して、適正化に努力しているという旨の答弁がございました。建設省おいても十分適当な措置をしておられると思いますが、国道の登記未済分は一体全国にどのくらいあるか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
  90. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) まず直轄の地方建設局でやっております直轄国道事業でございますが、四十一年度末の累計では、未登記の件数が二千百十八件ございます。これは全体の件数につきましてはほとんど一%弱だと思います。非常に直轄についてはこういう未処理の件数が少ないわけでございますが、その未処理になっております原因は、やはり相続人の不明とか共有地の共有者の一部が不明だというものかと思います。  次に、補助事業でございますが、これは私たち昨年いろいろ内部監査で各県を回りまして、四十二年度、四十三年度の合計をいたしますと、約六万一千五百七筆ばかりの未登記のものがございます。これは両年で取得した全件数に比べますと約二三%ぐらいになっております。これは非常にまあ成績が悪いわけでございます。内容をいろいろ調べてみますと、補助事業が非常にふえましたことと、各県とも組織人員が十分でないということと、やはり登記の事務が、先ほど言いましたように、相続ができていないとかいう問題もございますが、登記所の人間、それから県のそういうものに携ります人、これが非常に不足しているということが原因ではないかと思います。こういうことでは、私は将来道路のさらに拡大を考えますと、非常に困りますので、各県、非常におくれている県を督励いたしまして、おくれている県の各県とも何カ年かの計画をつくりまして、登記のための専門員を置くとか、登記所に応援を出すとかいうことで、いまの未処理の件数を処理してまいりたいと思っております。
  91. 沢田実

    ○沢田実君 局長、いまおっしゃった国道の二千百十八というのは、北海道を含まない概略の数だろうと思いますが、国道は大体その登記を終わってからお金を支払うというようなことを原則としているらしいのですが、なぜそういうようなものが起こっているのか。あるいは今後それをどういうふうに処理しようとしていらっしゃるのか、お尋ねをしたいと思います。
  92. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 確かに登記をしてから金を払う、これは原則だと思います。先ほど申し上げました直轄につきましては、厳重にそういうことをやっておりますが、これだけの二千百十数件の未登記のものが出ましたのは、やはり相続人が不明であるとかないとか、そういうようなことで、一部登記できないということでございまして、これについては各地建ごとに相当強力にできるだけ早く登記をするように督励をしております。実はその相続人が不明な場合は、私たち現地におきましても経験ございますが、ブラジルにいるとか、まあそういう遠くでなくても、九州に行っているとかなんとかといいますと、そこまでやはり地方建設局の人が行きまして、いろいろ処理をしてくるわけでございまして、やはりそういうような手間を惜しまずやらないと、なかなか処理できませんので、地建を督励いたしまして、こういうことがないように、全部未処理がないようにしていきたいと考えております。
  93. 沢田実

    ○沢田実君 そうしますと、いまお話のあった分については、まだ代金は支払っていない、こういうわけでございましょうか。
  94. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) これについてはまだ支払っておりません。
  95. 沢田実

    ○沢田実君 道路をつくるのですので、いろいろな事情があって、いろいろな問題はあろうと思いますが、相当の件数、金額にいたしましても、あるいはこれはまだ契約していないわけですからわかりませんが、おそらく一億以上の金額になるのだろうと思いますけれども、そういう分について何か法的な措置をしなくてもこれでよろしいのかどうか、そういう点はどんなふうにお考えでしょうか。
  96. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 実はこの点、法的な措置といいますと、直轄の場合のいまのこれを見ますと、なかなか法的措置というのもむずかしいのではないか。道路用地を優先的に登記するというようなことも考えられぬことはございませんが、これはこれでまた別に弊害がございまして、簡単にいかないと思います。ただ、直轄のほうは、先ほど言いましたように、小まめにできるだけシラミつぶしにこれをやっていく以外にないと思います。府県になりますと、非常に件数が多いということで、府県についてはやはり相当これからそういう人員の強化ということと、それから登記をいたします登記所の強化をはかっていかないと、これも私達現場で経験がございますが、一つ道路用地を買収いたしまして相当筆数の多いものを登記所へ持って行きましても、ほとんど一人しかいなくてどうにもならないというような例もございました。やはり登記所の強化ということをはかっていかないと、府県の場合はなかなかこの未登記の件数を減らすということはできないのではないかというように考えております。
  97. 沢田実

    ○沢田実君 ちょっと私の質問の趣旨が局長に通じないようですが、国道のほうでお聞きをしているわけですけれども、代金も払わないで、契約もしないで相当の土地がいわゆる国道になってしまっている。これはやむを得ないことだろうと思います、道路をつくらなければいけませんから。そういう問題については御心配はないのですかというお尋ねをしておるのです。
  98. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 実は、これだけの件数をこれを登記しないで道路用地にしてしまうということは、非常に問題はあるかと思いますが、やはりそれは地建でもだれに金を払うかということははっきりしなくても、その関係者には十分話をつけまして、その了解を得てやっておると思いますが、しかし、そのままで登記もしないで現場が道路になっているということを長く続けることは、非常に好ましくないことだと思います。できるだけ早くこれを解決したいと思います。
  99. 沢田実

    ○沢田実君 次に、県道のほうについてお尋ねしたいのですが、先ほど局長は六万何ぼとおっしゃったのですが、その数がちょっとはっきりいたしませんので、もう一ぺん御説明をお願いいたします。
  100. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 四十二、四十三の補助事業につきましては、買収の筆数が二十六万三千百二十六筆でございまして、そのうち夫登記の筆数が六万一千五百七件ございます。
  101. 沢田実

    ○沢田実君 四十二年、四十三年でこれだけのあれがあるわけでございますけれども、四十二年、四十三年以降というようなものは各県でも相当にございまして、買収した用地については一日も早く登記しよう、あるいは陶器をしてなるべく払うようにしようと、それから登記事務のほうもいまおっしゃったようなことを努力しながら、これだけ残っております。それと三十年ぐらいまでさかのぼりますと、これはまたさらに多くなります。それからもっとさかのぼりまして、要するに町村道を県道に格上げをしたというようなことになりますると、町村道の場合は寄付をして道路にしてしまったというようなことがございまして、無数にございます。それで、いまお話があった四十二年、四十三年の辺を見ましても、登記率がわずか三二%というような県もありますし、四十三年には、はなはだしいのは一八%の登記率だというようなものもございます。前へさかのぼれば、もうどうしようもないような状態です。私も実際に調べてみましたが、一つの県で約十九万筆未登記の分があります。それも、いまお話したように、いわゆる町村道を格上げしたというようなのはどうしようもない。そんな現況でおそらく全国を集計いたしますと一千万筆に近いような未登記があるんじゃなかろうかと推定されます。そういうような現況なんで、それについて、四十二年や三年でさえこれだけ未登記が残ってくるんですから、前の分なんかどうしようもない現況なんですが、局長は一体どういうふうにお考えになってらっしゃるか、お尋ねをしたいと思います。
  102. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) ただいまの、市町村道から県道に格上げした場合、そういう場合に非常に問題があろうかと思います。やはり道路法によっても道路の台帳をつくらなきゃならぬようになっておりますが、市町村道は——県道の一部もそうだと思いますが、なかなかその台帳が十分できてないというのも、もとをただせば、やはりそういう登記を適確にいたしまして道路敷にしてないというようなことも原因しておるんじゃないかと思います。で、まあこういうものにつきましては、やはり相当な件数でございまして、いますぐこの数カ月の間にこれを全部正規な姿にするといっても非常に困難かと思いますが、先ほど言いましたように、まあ数年の計画で、人もふやし、いまの未処理のものを早く片づけるということで、県もそれに専念するような要員を置いてもらうように指導していきたいと思っております。
  103. 沢田実

    ○沢田実君 局長、よく御存じなんだと思うんですけれども建設省では県の未登記の総計さえわかってないんですよ。で、県に指示すれば、二、三年で何とかなるとおっしゃってますけれども、県ではお手あげの状態なんです。どうしようもないんです。そういう実態なんで、どうするかとお尋ねしているんで、あなたのおっしゃるように、若干県で委託をやって、予算をちょっと取って、それでできるような問題なら、ここでお尋ねしなくたっていいんです。ですから、もう少しその実態を把握なさって、処置についてお考えをいただきたいと思います。  それで、いまおっしゃった四十二年、四十三年のでも六万何ぼ筆という未登記の分があると。それを原因別にいろいろ見てみますと、これは法務省の方にお尋ねしたいんですが、登記の事務のおくれのためにできないという理由の分が非常に多いわけです。ですから、県といたしましていま局長からお話があったように予算を取って人をふやして一生懸命手続いたしますと、今度は法務省のほうがつかえてしまうわけです。この問題について法務省はどんなふうに掌握し、お考えになっていらっしゃるか、お尋ねをしたいと思います。
  104. 枇杷田泰助

    説明員枇杷田泰助君) 道路関係の登記事件が登記所に提出をされまして、そのまま処理ができないで長期間眠っておるという事件は、私はそれほど多くはないように承知いたしております。もちろん一件当たりの量は非常に多量にのぼりますので、一週間、十日といったような日数はかかろうかと思いますけれども、登記所の事務が停滞をしておるために多量の事件がたまっておるというふうには承知いたしておりません。しかし、先ほど話が出ましたように、法務局の出張所では職員が二人とか三人とか、あるいは極端な場合には一人とかいったような小規模な出張所が多うございますために、そこへ多量の事件が出てまいりますと、処理ができないという実情にございます。したがいまして、私どものほうで増員措置を考えておりますけれども、なかなかそれも思うようにまいりませんで、隣接の登記所からの応援人員を派遣いたしましたり、あるいは臨時職員を雇用などいたしまして、そういったような事件をなるべく早くさばくような体制をとることに努力いたしておりますし、また、明年度もそういうふうな関係予算も従来よりは相当多額に計上されるように予定されておりますので、だんだんと御不便をかけないで処理できるようになろうかと思っております。
  105. 沢田実

    ○沢田実君 課長さんね、そんなにつかえていないなんていうことは、実情をよく御存じないんであって、四十二年、四十三年で先ほどお話があった未処理の分がたくさんある、その原因別に調べてみてもらいました。ある県では、法務局における登記事務のおくれというために、これだけおくれておりますというのが三二・七%あるのです、一つの県で。何千筆かおくれておりますけれども、その三割二分七厘は法務省の責任ですという調査が出ているんですよ。それで、あらゆる事務はコンピューターの時代になりましたけれども、法務省でおやりになっていらっしゃるのは昔の大福帳式でおやりになっていますし、事務の能率等何か考えていただかないと、いまのままではとても二年や三年で処理できるような数ではない、私はこう思います。これは建設省のほうもよく調べていただきたいのですが、おそらく一千万筆近い未登記がございますから、よく御調査をいただきたいと思います。法務省のほうでももう一度検討していただいて、大臣とも御相談いただいて、法務省としてこんなふうにしたいということを御検討いただきたいと思うのです。これは問題として提起をしておきたいと思います。  次は、会計検査院の検査報告の中で、国庫補助金等の経理で当を得ないものとして具体的に二十六件について指摘されておりますが、省内監査の結果、措置をいたしました同様な施工不良の件数、金額等は一体どんなふうになっているか、お尋ねをしたいと思います。会計検査院の検査報告と、各省から出ております国会に対する説明書、これでは指摘事項しかわかりませんので、それ以外に各省内で監査をしていると——先ほど申し上げましたように、総理大臣も答弁をしているわけですから、建設省としてはそういう問題についてはこういうふうに省内の監査をやった、その結果こういうふうに措置をして、これこれと掌握しているというようなことをお尋ねをしたいと思います。
  106. 志村清一

    政府委員志村清一君) 私どものほうには、本省に監察官室がございます。また地建ごとに監察官を若干置いてやっておりまして、内部の監査をやらしておるわけでございますが、直轄事業あるいは補助事業につきまして、地域をきめまして毎年実施をいたしておるわけでございます。私どもの監査の結果といたしまして、用地補償業務のあり方あるいは工事の計画とか工事現場の安全対策といったような問題につきまして、こういうふうに改善したらよりよいのではないかという改善意見を省内において提起いたしまして、これに基づく改善策につきまして、関係各部局を通じまして逐次改善を実施いたすようにいたしております。なお、こういった監察関係以外におきましても、補助金にかかる額につきましては、補助金の額の確定について別途主管部局において竣工検査を実施して、その適正を期しておるような次第でございます。
  107. 沢田実

    ○沢田実君 会計検査院の報告の中の——二十六もありますので一々はなんですから、その中で特に不当工事費の大きい愛知県の国道一五三号線の改良工事の実態について、少しお尋ねをしたいと思います。
  108. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) この監査の報告に指摘されております愛知県の一五三号の足助町の道路の改良工事でございます。これについては、道路改良工事の中で、将来舗装をやりますため下層路盤、これに切り込み砕石を厚さ三十センチで敷くようになっております。それが三十センチ敷きますと、切り込み砕石が、総量三千百六十四立方メートルになる。そういう契約の内容でございます。それにもかかわらず、実際には厚さ二十センチ程度しか敷かれておらぬ。総量が二千百七十四立方メートルしか施工されてないということで、いわゆる出来高不足というような工事がございます。この点につきましては、われわれも常に補助工事の適正化ということで県を指導しておるのでございます。愛知県においても十分それにのっとって直接の施工の監督をしております。何分非常に工事が多くなりますこともございまして、こういうような事件ができましたことは非常に遺憾だと思います。今後十分注意をしてやっていきたいと思います。
  109. 沢田実

    ○沢田実君 どういうような請負業者で、それからどんなふうな処分をしたというようなことは御存じですか。
  110. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 請負業者は矢頭組というか建設というか、ちょっとわかりませんが、矢頭という人の代表いたします業者でございます。これは地方の業者でございまして、これに対しては、四十三年の七月二十四日から十二月八日までの百三十八日間、指名停止の処分をしておると報告を受けております。また、この出来高不足に対しては、業者の負担で全部設計どおり手直し工事をさしてございます。
  111. 沢田実

    ○沢田実君 その御答弁で間違いはないんですけれども、その業者は、落札をいたしましても、自分では全然工事をしない。全部下請にさしておる。人夫は一人も使っていない、こういう業者なんです。しかも、その後再びまた指名を受ける中に入っている。まあ、いままでの実績があるからということで、愛知県も指名に入れたようですが、そういう請負業者に対する、建設省としての指導の面等も十分おやりかと思いますけれども、実態がそういうことですので、単に会計検査院で見つけて、そこを手直しさしたからいいんだというようなことじゃなしに、私は、やっぱりもっと請負業者を吟味するという点で意を用いていかなくちゃならぬのじゃないか。一つの例で申し上げた次第です。その点、御存じでしょうか。
  112. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 実は、矢頭というものの、そういう内容を私よく聞いておりませんが、やはり地元の業者でございますので、地元の工事をぜひやりたいということでございます。ただ、いろいろ地元の業者の中にも優良な業者と——非常に良心的な業者と、そうでないというものと、やはりあると思います。こういうような、いま先生の御指摘のように自分が一つもやらないで、下請に全部回すというようなことは、これは契約に違反していると思います。ただ現地で全部下請にしているか、元請は相当やっているかということ、これはなかなかつかめない状況でございます。その辺、現地で働いておる人夫が、だれから金をもらっているということだけでは、やはり請負工事の下請をさせておるかどうかということは、なかなかつかめません。ただこれから県も指導いたしまして、こういうような悪い工事をやるものについては、指名停止の処分なり、そういうことを励行させまして、ただ一回悪い工事をしたから、今後二度と使わないということも、これも非常に問題がございますので、やはり今後改めて、優秀な工事ができるようなものについては、それだけの機会を与えてやりたいということもございます。ただ再三にわたってそういうような不良工事をするものについては、将来ともとにかく指名をしないという断固たる措置が必要かと思います。そういう点で、今後愛知県についても業者の指名その他については十分指導してまいりたいと思っております。
  113. 沢田実

    ○沢田実君 二十六件で手直し工事費二千三百八十六万円になっておりますが、この金額については、当然工事請負人の負担で手直しをやったのだろうとは思いますけれども、何らかの事情で事業主体が負担しなければならないようになったということは、この中にはございませんか。
  114. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 当初の数量どおりの施工に対しては、これは当然請負業者の全部負担にしております。
  115. 沢田実

    ○沢田実君 会計検査院の方、いらっしゃっておりますか。——この報告書にですが、こういうような不当工事をした工事人の氏名を報告なさるというようにおやりになると、非常に工事人に対するチェックになると思いますが、お考えはいかがでしょうか。
  116. 藤田勇

    説明員(藤田勇君) 検査報告に工事を請け負いました工事人の名前を書くということにつきましては、いろいろ問題がございますので、にわかに賛成しかねるわけでございます。従来からそういうことで書かないことになっております。
  117. 沢田実

    ○沢田実君 どういう問題があるのでしょうか、いろいろ問題があるというお話ですが。
  118. 藤田勇

    説明員(藤田勇君) 補助工事につきましては、補助工事全部を御承知のように一括して書いてございまして、先ほど先生の御指摘がありました二十六件につきましても、ずっと一覧で書いてあるわけでございますが、この中には、先ほどお話のありましたように、業者の責任におきまして出来高不足というような事態が発生した場合もございますし、また役所側の責任におきまして、たとえば積算の過大であるとか、設計の過大という事態もございますので、そういった点も考えまして、必ずしも全部が業者の責任ではないので、それにつきまして、なおかつ業者の名前を書くということになりますと、いろいろ問題があると考えます。そういう点も考えまして従来から補助工事につきましては、このような扱いにいたしております。
  119. 沢田実

    ○沢田実君 調査官の方が一生懸命おやりになって五千件くらい持ち帰った中から、これはもう絶対間違いないというものを、せっかくこうしておやりになるわけですから、そういう事情があれば、設計のほうのミスだとか、そういうことも書いていただければ、どこが悪いのかわかるわけですから、私がいま申し上げたような一例もありますので、そういう業者に対しては、これはまことに遺憾と思いますので、そんなところまでおわかりになっていれば、そういうふうにしていただいたらいいんじゃないかという提案でございますので、一度御検討していただきたいと思います。  次に、検査報告の、その次のページになりますが、災害復旧事業費の査定額を減額させたもののうち、新潟県の積算過大が特に多いという、こういうふうになっているわけですが、また検査院のほうの御説明だと、新潟県は、特に毎回多いようなふうに聞いておりますが、どういう原因で新潟県が積算過大が多くなっているのか、御説明をいただきたいと思います。
  120. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 新潟県は、御承知のように非常に災害の多いところでございまして、そのために災害復旧事業というものも非常に膨大になっております。御指摘の内容は、工事の不良が主たるものでございますが、これに対しては手直し工事の完遂等を命じて、いずれも完了して、完了報告を提出せられ、確認しているわけでございますが、災害復旧等の事業の適正な執行につきましては、かねがねいろいろ注意いたし、また行政指導も行なっていろいろな措置をやっておるわけでございますが、災害の復旧工事の実施については、県の職員が一生懸命やっておりますけれども、やはり非常に工事量が膨大であるのと、監督も一生懸命やっておるけれども、どうしても手抜かりがその中に出ておる。検収等についても十分意を尽くしているわけでございますけれども、そういうような事情から、こういう施工の不良というような事態が起きているわけであります。まことに残念でございますけれども、新潟県も一生懸命やっていることは事実でございまして、その点は私どもも新潟県の職員に対しては敬意を払っておりますけれども、たまたまやはり新潟県の連年の災害——御承知のように毎年のごとく出ておりまして、職員一同は、新潟県では査定、設計の設定等にあたっては徹夜でやっておりますし、一方で設計をしながら、一方で工事の監督をやる、両面作戦でやっているようなことがございますので、どうしても仕事の量が多いために見落としが出てくるということじゃないかと思います。
  121. 沢田実

    ○沢田実君 いまの局長お話ですと、災害が多いから積算過大が多額になっているのだというようなお話ですが、この査定の決定は本省でおやりになるのでしょう。本省から派遣して、本省の人がきめるのだから、新潟県だけが多くなる理由はないんじゃないかと、お聞きしているわけです。
  122. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) いま申し上げましたのは出来高のことでございます。査定のほうの関係の御質問でございますので申し上げますが、新潟県における四十四年度の災害は、工事費は百二十八億ばかり決定されておりますが、事前検査におきまして積算過大ということで検討を要するというのが七十六カ所の六千万円ばかりになっております。その内容は運搬距離または方法等の誤り、誤算、単価、歩掛り等の誤り、あるいは人力土工、機械土工の取り違え等でございます。先ほど申しましたように、この査定、設計というのは、やはり災害を受けた直後で、一方において災害の復旧をしながら、一方において設計の準備をするというようなことのために、新潟県も一生懸命やっておりますけれども、新潟県から出てくる申請の設計書も、そういった短期間に作成される。査定のほうも御承知のように非常に限られた日数で、限られた人員でもってやっておりますので、そういう設計に対するミスというものが発見できなかったという次第でございまして、これらにつきましては、設計変更等を行ないまして、問題が適正な措置ができるようにいまやっておるわけでございまして、なお工事の実施に際しては、現地を確認したり、あるいは設計の内容等についても十分再検討いたしまして、間違いのないようにやろうというふうにいたしております。
  123. 沢田実

    ○沢田実君 私の質問局長お話がちょっとかみ合わないのですけれども、いまおっしゃったのは。私がお聞きしたいのは、この検査報告の中で、新潟県は数が多いのですけれども建設省の査定額も出ております。それに対して実地検査をした——検査院が実地検査したのが出ております。それによって工事費で積算過大というのが出ております。ですから最初の査定額というのは、本省でやるのでしょう。ですから本省で査定を多くしたから積算過大ということになるんじゃないかということを聞いている。あなたは、新潟県のほうが一生懸命やったのだけれども、災害が多いからそういうことになったのだとおっしゃるけれども、県のほうでいろいろな手続をしたかもしれないけれども、この災害の額の査定というものは、本省が行って、それでよろしいといって工事をしているわけです。ですから積算過大の責任は、本省から行って査定した人にあるんじゃないかと私は聞いているのです。
  124. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) いま申し上げましたように、設計自体も、非常に県のほうが少数の人員で短期間のうちに設計をつくる、一方に、応急復旧をやらなければいかぬという、申請書自体に問題があるわけです。もちろん査定するのは査定官の責任でございますから、査定官が一生懸命やっておるわけでございますけれども、これも査定の人員も制限されますし、短期間に早急にやはり緊急工事をするために、緊急査定をやっておりますので、そういう関係でいろいろな積算の誤り、見落としというものがあったことは事実でございます。そういう点は、今後とも十分査定官でもって適正を期して、間違いないようにやっていきたいと思っております。
  125. 沢田実

    ○沢田実君 次は、建設白書の中にあります問題ですが、河川の水質保全対策についてお尋ねしたいと思います。  建設省では九十八水系のうち、二百九十三カ所の水質調査を実施しているようでございますけれども、河川の水質保全の、どういう効果があがっているか。建設省の河川局において水質調査をした結果、こういう河川がきれいになったというような効果があがっていれば、その具体的効果についてお尋ねをしたいと思います。
  126. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 建設省の水質保全対策は、もちろん基本的には下水道の整備の問題があるわけでございます。それ以外に、私どもはここ数年にわたって水質の実態を調査いたしておりまして、一つは河川浄化対策といたしまして河底にたまった汚泥をしゅんせつする事業をやっております。四十四年度、四十五年度におきましても事業を推進するつもりでおります。それと、もう一つは、浄化用の新しいきれいな水を導入する事業をやっておりまして、隅田川、それから寝屋川、万博関連ということで寝屋川につきまして、淀川からきれいな水を導入するような事業を行なっております。また四十五年度から、新たに江戸川から中川に浄水を導入するような事業をやりまして、それらにつきましてそれぞれ逐次効果をあげております。たとえば寝屋川につきましては、水を最近導入したばかりで、まだはっきりした実績は出ておりませんけれども昭和四十五年の導入しない場合の京橋におけるBODが三一・八PPMということでございますが、これはほんの試験通水でございますのではっきり出ておりませんが、現況におきまして導入した場合には一四・五BODになるであろうという、一応計算はそういうふうにもくろんでおります。それから詳しい資料はあれでございますが、隅田川等におきましても、新河岸川の、先ほど申し上げました浄化の導水によって、一時非常にくさく汚れた隅田川も、かなりその後実績をあげておるというような次第でございます。
  127. 沢田実

    ○沢田実君 いま寝屋川のお話がございましたけれども局長、非常にきれいになったようなお話ですが、現地の話ですと、せっかく三十億もの巨費を投じてやったけれども、それだけの効果が見られないようなお話もあるのです。それにはまた都市下水が流れ込む等の事情もあると思いますけれども——その都市下水対策等が大事だと思いますが、その点についてはどんなふうにお考えでしょうか。
  128. 竹内藤男

    政府委員(竹内藤男君) 寝屋川関係の下水道につきましては、御承知のように各公共団体、市町村がばらばらに公共下水道をつくったのでは、処理場も幾つかできますので、最も有効なのは、やはり下流部に大型の処理場をつくって、効率のいい高度の処理を行なうということが必要だ。そのためには主要幹線と処理場を結ばなければいけませんので、そういう事業を、流域下水道事業といたしまして、県を事業主体とし、各地で進めているわけでございます。  寝屋川の流域下水道は、その最初に手がけたものでございまして、昭和四十年度その事業に着手いたしまして、四十四年度末までに百二十億の事業を行なっております。総事業費は四百二十億でございますので、事業の進捗率は現在二九%でございます。昭和四十六年末には鴻池処理場で十万人、川俣処理場で三十八万人の処理ができるような能力の処理場をつくりまして、一部実施したいということで現在事業を進めているのでございます。
  129. 沢田実

    ○沢田実君 河川法第二十九条に基づいて、河川の流水の清潔に関する政令を制定したいというふうに書いてありますけれども、その点についての局長のお考えをお尋ねしたいと思います。
  130. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 河川法二十九条の政令につきましては、河川法の目的からいいましても、河川を適正に利用し、また、河川の流域の正常な機能を維持するために総合的に管理する、そういう立場から二十九条の清潔に関する規定が設けられておるわけでございます。早くこの二十九条の政令を制定すべきことは御指摘のとおりでございますが、御承知のようにこの水質の問題は、河川法だけじゃございませんので、いわゆる水質保全法に基づきまして排水の規制を行なっている。その水質保全法の関係の問題、それからもう一つは、御承知のように環境衛生の立場からする各県の条例との調整の問題でございます。そういう問題がございますので、そういう問題についての実は調整をはかっているわけでございまして、その辺で実は各省との調整がおくれております。しかし、非常に最近の水質の保全の緊急性にかんがみまして、できるだけ早い機会にこれらの調整をはかりまして、二十九条の政令というものを制定するように持っていきたい、このように考えております。
  131. 沢田実

    ○沢田実君 道路公団のほうにお尋ねしたいんですが、残地の未処理の問題についてお尋ねしたいんですけれども、これは、行管の勧告がございまして、回答も出ているようでございますけれども、だいぶ前のことでございますので、現況等についてもお尋ねをしたいと思います。工事用道路、どのくらい未処理の分がございまして、あるいは残地の分がどれだけあって、今後どんなふうに利用あるいは処理をなさろうとしていらっしゃるか、その点についてまずお尋ねしたいと思います。
  132. 鈴木喜治

    参考人(鈴木喜治君) 四十一年に行管の勧告を受けたわけでございますが、当時、名神高速道路について残地の処分の促進について勧告を受けたわけでございます。その後四十二年度、四十三年度におきまして、鋭意未利用の残地につきましては処分を急ぎまして、現在までのところ、四十二年度には不用地の処分は四千平米、これは名神でございます。それから四十三年度には一万八千平米、その結果名神の残地は八万七千平米に四十三年度末においてなっております。それからその後、東名高速並びに中央道におきましても逐次工事が完成してまいりまして、その利用計画のないものにつきましてはいわゆる不用地として処分する段階になりましたので、四十三年度末におきまして東名におきましては四千平米売却しまして、五万六千平米、中央道におきまして二万七千平米、名神、東名、中央、合わせますと四十三年度末に残地としましては十七万平米現在まだ未利用のままでございます。それから工事用道路でございますが、工事用道路につきましては四十二年に名神八千平米、東名は二万三千平米、四十三年には名神が八千平米、東名十五万平米というような処分をいたしまして、現在名神が二万二千平米残っている状況でございます。東名、中央につきましては部分開通に従って順次整理しております。現在までのところそういうような状況になっております。
  133. 沢田実

    ○沢田実君 その処分勧告の回答でございますが、名神高速道路関係分であるとして、工事用道路については、四十二年三月十八日、工事用道路の取り扱いについて通達を出し、敷地の処分の場合、従前の投下資本回収方式を改め、実情により減額あるいは無償譲渡できることとし、処分の円滑化をはかることとした。こういう実は回答が出ております。道路ができますとその辺はおそらく地価が私は上がるのではないかと思うわけですが、残地については買ったよりも安く、あるいはただで、そしてその残地を早くなくするようにという回答が出ているわけですが——建設省のほうの回答だと思うのですが、そのお考え方をお教えいただきたい。
  134. 鈴木喜治

    参考人(鈴木喜治君) この回答は、その前に公団のほうから実態を御説明いたしたいと思います。工事用道路あるいは未利用の残地等について鋭意処分しているわけでございますが、工事用道路の場合につきましては、当然のことでございますが、処分する相手が地方公共団体でございまして、この場合にも譲渡時の時価で原則として処分するようにつとめておりますが、地方公共団体おいて敷地を取得する計画のないもの等につきまして道路敷としての特殊事情を考慮いたしまして、減額譲渡する場合もございます。それから残地につきましては原則として一般競争入札によって処分しているわけでございます。と申しますのは随契でやります場合は公用等の場合に限定しているわけでございます。ただ道路公団の残地につきましては道路全般について同様なことかもしれませんが、いわば帯状の狭小な利用価値の少ないものが非常に多いわけでございまして、その処分が非常に困難な場合がございますので、こういう場合には売却時の現況に基づきまして一応適正な時価を基準にするわけではございますが、若干の減額はすることができるような基準をつくって実行しております。いずれにしましても、たとえば協定に基づきます国道の移管等の場合は別でございますが、未利用地について工事用道路にしても、残地にしましても、無償譲渡した例はいままでのところございません。
  135. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) ただいま公団からのお答えがありましたが、実はやはり名神、東名もそうでございますが、道路ができて地価が上がるということが一般に言われますが、高速道路の場合はやはりインターチェンジ以外は、乗れない非常に閉鎖的な構造でございまして、その中で普通の、インターチェンジのないような場所で残地がございましても、これはほとんど利用価値があがらないということもございまして——もちろん取得価格以下でこれを譲渡するということはなるべくしないようにしておりますが、やはりこれを原則にいたしますと、いつまでたってもそういう未利用地開発ができないということもございまして、実際その価値を正当に判断して、取得のときよりどうしても安くなるような場合——高くなるときは当然高く譲渡すべきでありますが、安くなるような、あまり利用価値のない土地の場合は、そういうことで処分する必要が出てくると思いまして、そういうような回答をした次第でございます。
  136. 沢田実

    ○沢田実君 次は、道路公団の余裕金についてお尋ねをしたいわけですが、四十二年度の月末資金平均残高はどのくらいになっているか、お教えをいただきたいと思います。また最近はどのくらいになっているか、お願いします。
  137. 鈴木喜治

    参考人(鈴木喜治君) 四十二年度の月末残高の平均を申し上げますと、月平均七十二億円程度になっております。それから同様にしまして四十三年度の月末残高の月平均——毎月の平均でございますが、六十九億円ということになっております。その程度でよろしゅうございますか。
  138. 沢田実

    ○沢田実君 行管の勧告によりますと、二十三億程度事業ができるんじゃないかという勧告があるわけですが、この年報を見ましても、年度末には百三十八億以上もあるようでございます。平均でも六十九億あるいは七十二億あるわけですが、この行管の勧告のような運用のしかたは困難な事情でしょうか。
  139. 鈴木喜治

    参考人(鈴木喜治君) 公団の場合は——特に余裕金の運用範囲が御承知のように道路公団の場合はほかの公団に比べますと、やや限定されております。当時の勧告にもございますが、そういうこともございまして、なるべく余裕金は少なく持っていかなきゃならぬということは御指摘のとおりでございますが、これも御承知のことと思いますが、道路公団の財源の大部分が道路債券の発行によっているわけでございまして、その発行が市中公募分にいたしましても、政府の引き受け分にいたしましても、おおむね月の二十日以降に集中すると、こういうかっこうになっておりますので、月の初めの分につきましては、どうしてもある程度の支払い準備金を繰り越さなければならないという、こういう事態がございます。先ほど申し上げました七十二億円、六十九億円、あるいは御指摘のありました年度末の百三十億円と相当な額でございますが、現在道路公団の毎月の支払い高は、四十二年度ですでに毎月百六十億円程度、四十三年度では百八十億円程度になっております。したがって、月平均の額はおおむねそれの半分以下、日数にいたしますと十五日以内、こういうことでございますので、年度末の額は若干支払いが多くなりまして、金額も多いので、特に注意はいたしておるんでございますが、毎月の平均額程度でございますと、やむを得ない額ではないか。ただ今後、最初に申し上げましたように、勧告にもございました余裕金の運用範囲がほかの公団に比べて若干狭いと、こういうこともございますので、公団法の改正の機会がありますれば、ぜひ余裕金の運用範囲を他公団並みに改正していただきたいということで建設省にお願いしております。
  140. 沢田実

    ○沢田実君 先ほど、午前中に阪神道路公団職員の不正事件についてはお尋ねがありまして、そのことについての御答弁もあったわけですが、神戸建設部の年間予算が二億五千万だと、こういうふうに聞いております。で、五千万の流用といいますと五分の一流用しているわけですが、庶務課の一主査が五分の一の五千万円も流用できるという、その制度あるいは管理制度に問題があるのじゃないか。こう思うわけですが、先ほどのお話ですと、本人と何か直接の課長が処分になったというようなお話でございますけれども、五分の一も流用できるという、その制度、管理体制、そういうものについてどのようにお考えでしょうか。
  141. 小西是夫

    参考人小西是夫君) お答え申し上げます。  事件が起きました当時におきましては、私のほうで現場で使います一千万円以下の工場につきましては、現場の建設部長が資金出納職となりまして、契約権限も支出権限も同じように持っておったわけです。この結果一千万円程度の工事費ですとほとんど現場で処理できるというようなかっこうになっていたわけでございます。その制度それ自体につきましては、私いまでも反省しておりますが、資金出納職の仕事と申しますのは、契約もいたしますけれども資金も出す。同時に小切手の管理等につきましても、みずから捺印しなければならぬ、小切手の枚数は必ず自分でチェックしなければならぬという制度になっておりまして、そのとおりやっていただければ、あるいはああいう事故がなかったのじゃないかというふうに思っているのでございますけれども、たまたまあの事件につきましては、一係員にそれを全部まかしてしまったというところから、ああいう事故が起こったわけであります。制度的にはその制度でもいいじゃないかということもございますけれども、さらに私ども検討いたしまして、この問題につきましては、建設省あるいは会計検査院等からも御指示あるいは御指導を受けたのでございます。そういうことはできないようにしたらどうかということで、その後制度を変えまして、現場でもってとにかく金は取り扱わないというのを原則といたしまして、ただ現場で庁用的に、たとえば鉛筆を買うとか事務所の電気代を払うとか、こういうような経費はございますけれども、その点だけの金の支払いをまかせるということにいたしまして——たとえば、工事につきましても全然取り上げてしまうと、現場でも非常に困るということで、従来一千万円までの小切手は現場でやらしていましたものを、全部本社へ取り上げまして、現場ではいま三十万円以下ということに限定いたしておりまして、現場で取り扱うキャッシュ、小切手というものは非常に少なくなりまして、そういうことでいまやっております。
  142. 沢田実

    ○沢田実君 いまお話があったように、制度にも若干欠陥があったように思います。それでまあ、それを直されたわけですからけっこうでございますが、そういう点考えますと、やっぱりその問題については、理事長、副理事長も同じように責任の一端をお感じになっていらっしゃることだろうと思いますが、これは建設省のほうにお尋ねをしたいのですが、特に阪神高速道路公団の場合は、退職金の支給の規定が他の公団よりも、私の調べた範囲では、高いように思うのですが、その点についてはいかがでございましょうか。
  143. 志村清一

    政府委員志村清一君) 阪神公団におきましても、他の公団と同様の規定でございます。
  144. 沢田実

    ○沢田実君 その規定を最終的にきめる権限のあるのは建設大臣、こういうふうになっているのでしょうか。
  145. 志村清一

    政府委員志村清一君) 給与等につきましては、理事長が一応きめまして、主務大臣の許可を求めるということに相なっております。
  146. 沢田実

    ○沢田実君 この阪神道路公団——こういう事故のあったところなんですけれども、最高の幹部の方ですが、いま問題になっておりますいわゆる天下りといいますか、そういうような人事があったわけですけれども国家公務員を退職いたしまして五百万ほどの退職金をいただいて、ここの幹部になられて数年おつとめになっていらっしゃいまして、一千九百余万円の退職金をもらって、この間また政府の任命を受けて、こちらの委員になったようでございますけれども、私はそのとき、特にその公団の退職金の制度について、一体どうなんだと尋ねましたら、建設大臣の責任において決定できるのだというような話を聞きました。そういう実情にありますので、この事件を契機に私どもは、公団の皆さまの御反省をお願いしたいと思います。  最後に、お尋ねをしたいのは、増破率のことについてお尋ねをしたいんですが、実は河川局から「最近十カ年間の災害統計」というのが出ております。その災害統計を見ますと、未成個所の増破率というのが出ておるわけでございますけれども、それを見ますと、これは建設省が所管した公共土木施設の災害復旧事業補助金を支出した工事だけの集計でございますが、連続災害のために未完成の工事場所が再度災害を受けた場合に余分に工事費を要した、そういう統計でございますけれども昭和三十三年から四十二年までの十カ年間で、要するに五カ年ないし三カ年の計画で災害復旧をやったために再度災害にあって、それだけよけい国費を費やした、その合計が九百四十九億五千六百五十五万円、こんなふうになっております。それで最近のずっと増破率を見ましても三五〇、十カ年平均しましても三一三・七という、要するに三年がかりで工事をやりますもので、再災害のために三倍の工事費がかかっている、こういう統計が出ております。そこで、お尋ねをしたいのですが、直轄工事の場合にはこの統計には載っておりませんが、一体どんな実情にあるのか、お尋ねをしたいと思います。
  147. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) こまかい数字はもちろん持ち合わせておりませんが、直轄の場合はやはり補助の場合と比較しまして減っております。減っておるといいますか、値が小さくて、大体補助工事の増破率ということで言いますと、増破率という問題になると思いますが、増破した場所の未成個所に対する一カ所当たりの平均増破率ということで言いますと、先生おっしゃいましたように補助のほうは大体二・八倍とか三倍ということになっておりますが、直轄のほうは大体二倍程度でございます。
  148. 沢田実

    ○沢田実君 直轄のほうの場合は、私がいただいた資料によりますと、二年間でおやりになるので再災害のために多く必要とするようなことは、ほとんどないというようなふうに承っているわけですが、いま局長は二倍とおっしゃったので、この統計と違うんですけれども、それにしても直轄の場合には二年でやりますので約二倍で済んでいる。ところが補助工事の場合には三年にまたがっておりますので三倍かかっている。一年間平均しますと百億ぐらいはよけい損をしているわけです。そういうわけですので、三年を何とか二年に縮めてこの補助工事をやるというようなお考えはないかどうか、承りたいと思います。
  149. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 御指摘のとおりでございまして、私どもは補助災害につきましても、できるだけ期間を一年ずつ短縮したいということで努力いたしておりまして、年々この進捗率は実は上がっております。本年におきましても昨年に比べてそれぞれ二年目、三年目に一%ずつ上がっておりまして、補助災害のうちで緊急災害——緊要な災害につきましては約七〇%のシェアでございます。それは完全に三年間で完成いたしております。その他のものを含めまして、四十五年度におきましては、国庫債務負担行為を含めて二年目で八二%、三年目で九六%ということで計画しておりますので、実体的にはほとんど三年で補助工事については完成するわけでございますが、なおさらに、この期間の短縮につきましては、今後とも十分ひとつ努力してまいりたいと思っております。
  150. 沢田実

    ○沢田実君 それの具体的な例といたしまして、ちょうど新潟が再災害を受けまして、そのために地元住民から訴えられた。こういうまだ解決されていないような事件もございます。あるいは裁判の上では国が勝つかもしれないということをおっしゃっておるようでありますが、裁判の上で国が勝ちましても、地元の住民が非常な災害を受けていることは間違いございません。そういうわけで極力高い増破率でないようにお考えいただきたいと思います。  それからもう一つ、それに関連したようなことでお願いをしたいのですが、実は岐阜県に川島町という町がございます。これは木曽川の中に島がございまして、それが一つの町になっております。その町に通ずる道路は、河原にコンクリートを打って自動車が走っておりますが、大水が出ますと岐阜県からその町に行く道路はストップしてしまうのです。瀬戸内海に橋をかけるという時代に、県庁からわずか数キロのところに、雨が降ると交通が遮断するような町があります。そこに橋をかけてもらいたいということを地元の住民はひとしく願っているが、きょうはそれは別にいたしまして、その町を囲んで堤防ができております。たいへんりっぱな提防ができたのですが、八割くらいのところまでは完成いたしたのでありますが、二割——それよりもちょっと少ないかもしれませんが、若干部分のところが全然進んでおりません。その原因については地元の地主と建設省との争いがあるようでありますが、それは裁判はどちらになるにいたしましても、一名か二名の、そういう問題のために数年間そこは工事されておりません。万一、大水が出ますと、その町は水びたしになってしまいます。八割も九割も堤防ができておってもその町は水びたしになる。そういうことになると、私は天災じゃなくて人災だと思います。いまの増破率の問題とも関連いたしますが、具体的なこの問題についてどんなふうに建設省はお考えになっていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。
  151. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 御指摘の川島町の堤防工事でございますが、お話がございましたように用地買収との関連で若干問題が起きておったわけでございますが、いつまでもこれは放置できない問題でございますので、私どもといたしましては、ぜひともひとつ四十五年度におきましては買収を促進してまいりたい。そうして改修の工事を実行するように持っていきたい。全体計画としては若干そういう関係でおくれましたが、五カ年計画におきまして大体川島町の主要部分は完成したいということで、四十五年度はひとつ馬力をかけて事業を促進するようにやりたいと思っております。
  152. 沢田実

    ○沢田実君 いまのお話は、四十五年度に用地を買収して工事は着工の予定ですか。
  153. 坂野重信

    政府委員(坂野重信君) 買収をやりまして改修工事に着手いたしまして、五カ年計画の最終年度は四十七年度でございますから、四十七年度までにあらかた完成する方向努力いたしたい、かように思います。
  154. 沢田実

    ○沢田実君 建設省予算は非常に膨大なものでございますし、その予算の執行が直接われわれ国民に与える影響というものはきわめて大きいわけでございますので、きょう取り上げた問題はほんの一部でございますが、どらかひとつ一そう国民のしあわせのために、建設省に御検討をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  155. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私は、日本住宅公団の工事代金の前払いの件について質問いたしたいのですが、業者の着工可能日の的確な見通しを誤まったのでしょうが、代金だけは前払いをして着工が著しくおくれておると、こういう問題です。したがって、政府にもこういう問題があるのかいなと思って、私はびっくりしているわけですが、個人がやっても着工しなきゃ代金は出さぬというのに、先に前払いをして、著しく工事がおくれておるという事例なんかは、一体どういうことなのか。しかもどのくらいの期間おくれたのか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  156. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 住宅公団に限りませんが、住宅建設は、工事を発注いたします場合は、一応宅地造成いたしまして、そこを建築可能な状態になした上で工事の発注をするという順序に相なるわけでございますが、まあいろいろその地元の公共団体との事前の折衝、交渉等が予定よりもおくれまして、おおむね着工可能と予定しておったのが、地元との話がつかずに、宅地造成がそれだけ遅延したというようなケースがございます。ところが、その上ものの請負契約を了しておりますので、契約に基づき前払い金を払うという、こちらは責任が生ずるわけで、それを払ってしまった。ところが、いまの宅地造成の地元公共団体との話が遅延したために、ほんとうの着工よりも相当前に前払い金を渡してしまったというようなケースが過去にございまして、不当に建設業者に利益を与えたんじゃないかということで、私ども反省し、そのやり方を——ほんとうに着工できるような状態になってから——そういうことを確認した上で金を払うということにしておるようなわけです。
  157. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 現在は、そういうふうにやっておるということですね。それではこれはどうですか。いまではないという確認ができるわけですか。いまではそういうことがないということが、あんたのほうでは言えるわけですか、その点はどうですか。
  158. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 過去において、その点について御指摘があり、十分私どもといたしましても反省をし、公団とよく相談しまして、やり方を改善いたしましたので、今日はそういうことはないと思っております。
  159. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それじゃ、検査院に聞きますが、この検査をされたときに——そういう忠告を与えられたときの前払いというものは、何カ月くらいそれがあったのですか、その期間を——一体、前払いをした金利ですね。その金利というものはどういう処理がされておるのか。金利はとってないのか。不当に業界に利益を与えるということになると思いますが、その点はどうなっておるのか、検査院のほうにちょっと……。
  160. 藤田勇

    説明員(藤田勇君) 実は、所管の局長が来ておりませんので……。
  161. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 来てない——局長は御存じないのですか、その点。そういう金利の問題について。
  162. 和田静夫

    理事和田静夫君) いまから手配して呼びますか。
  163. 藤田勇

    説明員(藤田勇君) それじゃ、いま手配いたしましてお呼びすることにいたします。
  164. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それじゃ、それはあとにしましょう。  もう一つ検査院の方にお伺いしたい。四十年度  からですか、この三年間の統計の不当、不正事項を調査いたしますと、その不当な問題が補助金に限って多いわけです。他の一般にはないようですけれども——少ないですね、件数は。補助金に限っては非常にこの不当が多い。減少しておるということを検査院のほうでは言っておられますけれども、検査院が検査された中で、これだけの指摘が出ておるわけですから、これは補助金であるがためにこういう雑な、いわゆる不当な事項が多いのだと、こういうふうにお考えになるのか、その点はどういうふうにお考えになっておるか、検査院のほうにお聞きしたい。
  165. 藤田勇

    説明員(藤田勇君) 検査院としましては、建設関係の直轄の工事につきましても、できるだけの検査はいたしておるわけでございますが、補助工事につきましては、御承知だと思いますけれども事業主体のほうに陣容の十分でない点もございます、直轄に比べましてですね。そういった点から、指摘いたしましたような不当事項が出てきているのじゃないかというふうに考えております。
  166. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 いや、そういう答弁なら要らぬのです、聞きたくないですね、私は。補助金なるがゆえに、軽視した不当使用というものが現にあらわれておるのじゃないかということを私は感ずる。その不当というものが多いのだと思うのですよ。どの省に限らずですよ、検査された場合ほとんど補助金の点において多くの不当が出ておる。むろん不正もありますが、不当のほうが多いですね。そういう問題に対して、もっと突っ込んだ検査でもするという考え方を検査院のほうで持たれたことがあるのかどうか、またやるべきじゃないかと私は感ずるのですが、検査院はどうお考えになりますか。補助金なるがゆえにそういう不当事項が多いのだ、こういう点についてどうお考えになりますか。
  167. 藤田勇

    説明員(藤田勇君) 補助金の指摘が多いことは先生指摘のとおりでございますので、検査院といたしましても、陣容あるいは旅費の使用の面におきまして、補助金の検査につきましては相当重点的に人員を配置する、あるいは旅費を配賦いたしまして検査をしておるわけでございます。その結果が、毎年の検査報告で指摘いたしますような実績となってあらわれておるのじゃないかというふうに考えております。
  168. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そうしますと、多いということを立証されたわけですが、したがって、検査されたパーセンテージも多いと、他の検査よりも多く検査したのだと。どのくらいやられたんですか。補助金に該当する、国の予算の中の何%ぐらいをやられたのか。
  169. 藤田勇

    説明員(藤田勇君) 建設省関係の補助金の四十二年度につきまして申し上げますと、検査の対象としましては、工事数にいたしまして八万六千百五十九工事がございまして、工事費にいたしまして七千三百二十七億八千百万円、それから補助金にいたしまして四千五百二十億五千四百万円ございます。このらち検査院が実際に検査いたしましたものは、工事数にいたしまして七千七百七十九件ございます。それから工事費にいたしまして千五百四十六億八千二百万円、補助金にいたしまして九百一億四千六百万円でございます。
  170. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そうしますと、パーセンテージからいっても補助金のほうには力を入れてやった、こういうことは立証できるわけですね。——大臣が見えないから質問にならないんですよね。次官もいないし、これはひとつ局長でもいいですから、よくこの点はお伝えしておいていただきたいと思うのですが、実際問題として、やっぱり補助金の使用等に対する不当なやり方、いわゆる請負に際してもずざんである。でき上がりの検査ももっとお調べになればたくさんあると私は思うの  です。こういう面に対する問題を政府としてはもっと注意してやるべきだと私は思うんです。補助金に限って各省が多い。これらは検査院のほうももっとこの補助金に対しては突っ込んだ検査をするということで、減少させるという——年間の統計を見ますと、毎年減少しておりますよ。しておりますけれども、補助金という特定のものに対してこれだけの不正が出ているということは、政府がもっと突っ込んだ注意をすると同時に、検査院のほうでも特別な検査をもっとやる必要があると考えるのです。希望意見として申し上げておきます。大臣にお伝え願いたいと思います。  次に、時間がありませんから申し上げたいと思いますが、違法建築の件ですが、実例を申し上げますれば、最近起こりました愛媛県の松下の違法建築ですが、これは実は以前にあの工場を建設したときと同時につくったものなのか、あるいはその後に屋上集会所というものを追加建設したものか、この点はどうなんですか。
  171. 大津留温

    政府委員(大津留温君) いま御指摘になりました愛媛県の松下寿電子工業のあれは、工場ができた後、ごく最近追加工事といいますか、増築として工事をしたものでございます。
  172. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 違法建築であったんですね。そこで、建設省はいま建築基準法の改正を出しておられますが、建設省として——いろんな事故があって、新聞に載るのに違法建築ということが出るわけですね、ところが、それに対する対策がないんじゃないかということも感ずるわけなんですよ。ある手続をとって、そうして確認をしてから建築をする、こういう例が少ないんではないかと思うんですね。むしろ違法建築をするために無届けの建築が多いんじゃないかと思うんです。この実態的な調査を、都市住宅街でもいいですが、やったことがあるのかないのか。これは一ぺんお聞かせ願いたい。
  173. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 御指摘のように違反建築の態様でございますが、確認の手続をとらずにやった未確認工事というのが一番多うございます。これはなぜ確証という手紙をとらなかったかといいますと、その中にはやはり違反の内容の工事をしようというので確認を故意に怠ったというケースも相当ございます。全国の特定行政庁で違反建築として摘発したのが年間に約四万件ございますが、そのうちの半分以上の二万数千件は、いまの無届け建築、未確認工事というものでございます。
  174. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それに対しては何か手を打たれておるのですか、どうですか。
  175. 大津留温

    政府委員(大津留温君) この違反建築の防止というのが建築行政の最も頭を悩ましておる問題点でございまして、今回の建築基準法の改正もその点に対する措置というものを最重点に取り上げております。その第一は、現在原則として県知事が建築行政をやっておりますが、大きい市は市長にまかせようということで、第一歩として人口二十五万以上の市は市長がやるように法律上義務づける。それ以下の市でも市長がやれるところはできるだけ市長にやらせるということで、手近なところで監督するという態勢をまずとります。それから建築監視員という制度を設けまして、常時パトロールすることを任務とし、違反建築を発見しました場合にはその場で是正命令、工事の中止命令を出せるという制度はいたします。なお、そういうことに伴いまして、人員の増強、予算増加ということをはかっていきたい、こういうことで考えております。
  176. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そのことは、特定行政庁に建築の主事を置かなければならぬという義務づけが法的にもありますね。むろんそれは指定された市町村ですが、それ以外は、県知事がやっぱりそれらの責任を負うということになっておりますが、私はそれはそれでいいと思うのですよ。ところが一体、その指定された行政庁のほうにおいても、実際にできておるのかどうかということですね。これができていないと思うのですよ。したがって政府としては、さっき増員の計画もあるとかいうことを発表されておりますが、この点ももっと徹底したやり方をすべきではないかと私は思うのです。なぜかならば、最近の建築を見ますと、そうした未確認の建築をしようとする場合に、地域住民にかける迷惑が日照権とかその他の問題で多数起こっておるわけです。ところが地域住民が、自分のところのお隣に家が建つ。どうもこの家が三階か四階だ。ところが、行政庁に行っていろいろ問い合わせをする。それはこの高い土地の中に二十坪か三十坪の家を建てるとすれば、もう当然のことだろう、そういうことまで近所の皆さんからの承認を得なければ家が建たないということはもってのほかだと、官庁がそれを言っておるという事実を私は知っておるのですよ。これじゃ地域住民はたまったものじゃないですね。ところが、いまの日本の建築法の中には、地域住民がそうした地域に建設をしようという場合に、いわゆる行政庁に対して発言をするという——いわゆる問い合わせ的な発言になりますが、異議の申し立てをするという道が開けていないのです。一体それはどうお考えになっているのか、これは大事なことだと思うのです。私はむしろ、違法をするやつには罰則があるけれども、地域住民が迷惑をこうむる場合、こうむる前に事前策というものに対する一般市民の声を吸い上げて、そこで防止するという方策を考えるべきではないかと、そう考えるのです。局長、どうお考えになっているのか。
  177. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 建築工事と周囲の居住者との利害の調整と申しますか、当面する非常に大事な問題点だと思います。先生指摘のように、今日は非常に地価の高いところで、それを買って何らかの建築をしようという、建築する側からいたしますと、法律に許された範囲内でできるだけ効率的に土地を利用しようと、こう考えるのは当然だと思います。一方、そういう合法的な建築でありましても、付近の居住者からしますと、日照の問題、その他いろいろな被害が出てくる。これをどういうふうに調整すべきか、居住者の方々の了解を得られなければ建築できないというふうにするのも、ちょっと建築する側にとっては酷に過ぎるのではないかと思いますし、そういうことで今度の建築基準法の改正案におきましては、住居専用地域、この地域は住宅が専門だという地域におきましては、いわゆる北側からの斜線制限ということで、北隣の方にある程度日照を確保するような制限を設けることにしております。その制度のワク内におきましては建築する側も自由に建築できるということにして、両者の調整をはかったつもりでございますが、なかなかこれはそういうことにいたしましても、実際問題としてはなお御不満がどちらにも残るのじゃないかということを、実際問題として私はおそれるのでございます。で、特定行政庁はその間にありましてできるだけ調整役といいますか、お話し合いによって円満な解決のあっせんをしますけれども、しかしこれは、いよいよ両方の話がつかないとなれば、やはり法律的な争いということになりますか——一方から言えば訴訟というようなことにならざるを得ないんじゃないかというふうに思います。まあこれからますます、こういう問題が多くなろうと思いますけれども、この解決策の一つといたしまして、基準法に建築協定という制度があります。これは地域の権利者がみんなお寄りになって、お互いにその地域の環境保持のために、建築の境界からの距離とか高さというものを、お互いに協定なさいまして、これを特定行政庁に持って行って、そこで確認されますと、その権利者が変わっても、あとあとの人までそれが拘束するということによって、お互いの話し合いでいい町づくりをしようと、こういう制度がございますので、今後はそういう制度をできるだけ活用していただいて、お互いの町づくりの環境保持につとめていきたい、こういうふうに考えております。
  178. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私も建設委員をやっておりますから、そちらのほうはそっちで今度は質問したいと思いますが、いま私は、決算の立場から申し上げますと、地方行政の行政庁のその主事なるものですね。ここらのもっと充実をはかって、事前に防止するという方策はないかと、実はこう申し上げたい、事後の罰則を適用するということじゃなくて。それから地域住民が納得をするような道を開いてやるべきじゃないか。それにはもっと懇切丁寧であってもいいと思うのです。その行政がどうも不十分ではないかと、こういうふうに思うのですね、そういう点が一番地域住民は心配なんです。御承知のように、日本一の大ビルができて、風圧のためにガラスが割れたというのをテレビで放送しておるでしょう。これはほんとうに地域住民は迷惑ですね。そうじゃなくてもいま違法が——私の知ったのがありますが、二階を建てるという認可をとって実際は四階を建てた。それでは日照も何もなくなってしまうのですね、これは違法ですね。違法だからいま建築を中止しています。しかし、そういう中止をさせるということよりも、むしろ事前の対策として地域住民の了解を求めながら——求めなければ家が建たないというわけじゃございませんよ。もっとそこらを納得させて、建てる人も良心的なものを持って建築をしていく、こういう行き方。私は、地方主事あたりの充実をはかるとか、もっと窓口を一般地域住民の納得のいくようにしていく、こういう施策が政府として必要ではないか。このことはひとつ大臣に、言ってくださいよ。局長さんにお伝えしただけではいかぬと思うのですよ。これはほんとうに実現してもらいたい。人を罰するのじゃなくて、罰する前の防止をどうするかということのほうがまず大前提じゃないかと、こういうふうに考えますので、この点はまた、法案の問題については建設委員会のほうでひとつやります。  先ほどのを——見えたようですから。
  179. 和田静夫

    理事和田静夫君) 準備できましたか——おわかりになりましたか、質問の内容は。
  180. 石川達郎

    説明員(石川達郎君) ここに記述いたしたものは、まず記述の趣旨から申しますと、通例検査報告に記載いたしますものは、不当事項あるいは改善の意見を表示したものでございますが、その他それになじまないものも、できるだけ国会の御審議の参考に供する意味におきまして、記述をいたしているわけでございます。  それで、この前払い金の支払いに関するものでございますが、これは当委員会におきましても過般、これ以前におきまして取り上げられた問題でございますし、報告を兼ねましてこういった事態について記述をいたしたものでございます。  その内容でございますが、ここに書きましたように、「契約後直ちに現場における着工ができないためあらかじめ着工可能日を定めて契約した住宅建築工事」、これは二百七件ございます。そのうちの前払い金を払っておりますものにつきまして、これは着工日のおおむね四十日前に支払われているわけでございます。しかしながら、その工事実施の状況を見ますと、敷地造成工事の遅延等によりまして着工可能日を延期した事例が相当件数あるわけでございますので、その間業者に資金が滞留する。半面、別のことばで申しますれば、住宅公団資金の効率的な使用という観点から検討を要する点があるのではないか、かような趣旨をもちまして記述いたしたわけでございます。この前払い金でございますが、御質問は、前払い金に金利をつけているかどうか。その率はどうか。かように承知をいたしているわけでございますが、この点につきまして、前払い金には金利を付しておりません。
  181. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 これも大臣がいないとわからない。それでですね、いま四十日前とおっしゃいましたが、それも十分でないということでしょうが、それ以上のやつがあるというお話ですが、一体長期にわたるのはどのくらいですか。期間が二カ月も半年もというのがあるんですか。
  182. 石川達郎

    説明員(石川達郎君) 一番短いもので二カ月でございますが、一番長いものになりますと、百十八日という事例がございます。
  183. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 これは、工事によっては三億、四億というようなものがあるでしょうが、その三分の一くらいの前払いをするのでしょう。たいした金利ですよ。もらったほう——いわゆる先請けしたほうにも金利をあげなければ、これはいろいろな金利自体が不正な物にならぬとも限りませんね。こういうずさんなことでは国民の税金の——郵便貯金の五分五厘を二厘上げるのにも反対しているのに、国民の税金の何億という金を四カ月も金利をつけないで、これで仕事が着工してないということは、これは大問題だと私は思うのです。これは検査院の方に言っても仕方がないのですが、これもこういうのは実際理事の方にもひとつお願いしたいのだが、大臣かだれか、せめていなくちゃだめですね。こういう問題を、私はきょうはこれで打ち切りますが、一応この点だけ局長からお伝えおき願いたい。また、いずれかの機会にやります。きょうはこれで終わります。何を言ってもだめです。
  184. 和田静夫

    理事和田静夫君) それでは他に御発言もないようですから、建設省及び関係機関決算審査につきましては、この程度にいたします。  散会いたします。    午後四時三十四分散会      —————・—————