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北村暢君 いまの御答弁を聞いておりますと、私は納得をしかねる問題なんで、とにかく
対外直接
投資という問題についての
あり方の問題なんです。国際収支において
日本は黒字である、経済大国になった。そこで、その国際収支というものが黒字であるということのために、各国から貿易面においても輸入その他でもって圧力がある。その吐け口として資本自由化によって、この
対外投資をすることによって貿易収支の黒字というものの非難というものを逃げようとする。そういうことのために資本を自由化する、手段を選ばずという
考え方で自由化するとするならば、これは明らかにかつての帝国主義的な資本の進出ということになってしまう。そういう
あり方の問題について、私は、外務当局として
一体どういう配慮が必要なのかということを聞いておるのです。経済が大きくなり、貿易収支が黒字だから、どんどん
海外へ資本が出ていったらいいじゃないか、そういうものの
考え方は今日許されないのではないか。そういうことで出て行ったとするならば、受ける側の低
開発国からは歓迎されない、押しつけの資本というものが入ってくる、こういう結果になるのではないでしょうか。だから私は、そういう意味において、直接
投資の大福自由化ということ、これは四月一日からやるということが出ておりますよ。
外務省に全然
協議なしに、大蔵省が
所管だから
対外直接
投資は大蔵省がやるのだ、そういうことで、
一体外務省は
——協議なしに四月一日からやるということ、そういうことを知らないということがおかしいと思うし、いまのものの
考え方は非常に私は問題があると思う。したがって私は、
日本の民間資本で余力があるものが
海外へ出て行くことについて反対しているのではない。ただ
海外における持ち株についても五〇%以上は持つべきでない、少なくともまあ三〇%
程度の資本であるならば、やはり好ましい形として言い得ることです。これは
日本国内においてだって言い得ることであって、
アメリカの資本が、資本自由化したからといったって、どんどん来て
日本の企業に対して五〇%以上の資本を占めるということになれば、これは
日本の企業として非常に問題が出てくることは明らかです。したがって特に、未
開発地域における資本の進出というものは、私はよほど警戒をしないというと結局は、はるかに強い
日本の資本力が未
開発地域における経済というものを牛耳ってしまう結果になるのではないか。したがって
対外直接
投資の
あり方についても、これはまあ
先進国が
国際連合のこの
方向に従って
経済協力をやるということは、その
方向でいいのでございますけれ
ども、その
あり方の問題として私は非常に問題がある。
考え方としては
技術協力の問題と
対外資本
投資との問題が結びついて、未
開発地域がみずからの力で経済発展をしていく、そういう形でなければならない。いわゆる経済援助の
考え方の基本というものは、そうならなければならない。
日本の市場確保のために資本進出をして経済を高度化して、未
開発地域の経済を高度化していく。資本支配によってやるのではなくして、私は、もっと基本的な経済の
あり方というものを考慮していかなければ、せっかくの経済援助の形が、その地域地域における民族感情を非常に大きく刺激する結果になる、資本支配をされるという心配を多く持つのではないか。逆効果になると思うのです。したがって、そういう意味のことを私は心配するがゆえに、
外務省当局の
対外直接
投資の大幅自由化に当たって、
一体外務当局としてどういう
態度でおられるか、こういうことを聞いておるわけですよ。