○国務大臣(西田信一君) 去年の十月につくったものを、一年たたずして改定することは問題があるということでございますが、それは確かに、一年前につくったものを、しかも
相当内容の違う改定をしようということは、見方によりましては問題があると存じます。しかし、未知の世界と取り組んでおる
宇宙開発でございまして、
計画にも十分でなかったものがあるといわれれば、私はその点は、すなおにおしかりを受けなければならぬと思うのでございますが、ただ、
計画ができて、それから事業団ができまして、実際の実施は事業団がやるわけでございますから、その実施の主体であるところの事業団が、いよいよその
計画に従ってやるという立場に立って、具体的なその開発、さらにその
検討を進めました結果、とうてい従来の
計画どおりには開発はむずかしいということが一つございます。
それからまた、これも見通しが甘かったと言われればそのとおりだと思いますが、衛星のニーズが非常に変わって、しかも本年に入って非常に大きな
要求が出ている。しかも、これもかなり具体的に出てまいったわけでございます。そういう情勢の変化。それから、最初、昨年
計画策定当時考えなかったような大型のものを打ち上げる、さらに将来、もっと少し遠い将来になりますけれ
ども——遠い将来と申しましても、そう遠からず、放送衛星などはもう一トン近いものを打ち上げなきゃならぬというような情勢にも進むと、こういうようなことでございます。そこで、現在持っております
計画どおりにまいりましても、これはとうていそのいまの要請にはこたえられない限度がございまして、ということが結果として明らかになってまいった。そこで、従来考えておりました、Qロケットを開発して、その成果をいろいろなことに移していく、そして固体燃料で−上のほうは液体を使いましたけれ
ども、でいこうということでございましたが、そういうようなことで進んでまいりましても、とうてい将来の衛星の要請にこたえられないということ。それからまた、Qロケットの開発等も、いろいろ技術導入等、アメリカとの協定等もございますけれ
ども、何しろ、固体燃料のロケットでは、いろいろ技術導入にも重要な部分についてはなかなかむずかしい面があるというようなこと、そしてこの際そういう
段階を踏んでまいりますと、非常におくれが出る、四十七年どころじゃなくて、ずうっとおくれる、かえって、このまま切りかえられるよりも、もっとおくれるだろうというような、いろいろ真剣な
検討をさせましたが、そういうようなことでございます。
そして、そういうことになりますし、また一方、東大のほうは、御
承知のとおり、まだ固体ロケットで、これは全く自主的な開発をやっておるわけでございますけれ
ども、「おおすみ」が上がり、次の衛星も期待しておるわけでございますが、そこで同じ道を行っているわけでございます、やり方は違いますけれ
ども。
そこで、将来のNロケットについても、あくまでも固体でいくことが適当かどうかということの
検討の結果、これはやっぱり、各国の
状況を見ましても、液体であることが大きな推力を持ち、かつまた制御技術の上におきましてもそのほうが確率が高くて、そして将来の大きな衛星の要請にもこたえられるというようなことが総合的な判断として出てまいりましたので、そこで、これをずるずるとやっておりましても、かえって国益という立場から見ましても損失であるというような結論が
検討の結果出てまいりましたので、そこで、先ほどから御
答弁申し上げておりますような
方向に一挙に切りかえて、そして進めるということによりまして、むしろかえって、打ち上げの時期も、いままでの
計画そのままずっと続けていくよりは、むしろおくれるのではなくて、四十七年という
計画そのものはおくれますけれ
ども、実質的におくれないで済むのじゃないか、そして将来にもずっと続けていけるんじゃないか、しかし、固体のこれは、将来やっぱり大型も打ち上げますためには、また上のほうも使いますし、それから補助ブースターということで、どうしてもこれは必要でございますから、これも放棄するわけではございませんけれ
ども、主体は液体ロケットに切りかえることが、経済的にも、財政的にも、あるいはまた時期的にも、その他技術的にも、このほうが最も適当であろうと、こういう考え方に立ったわけでございます。ただ、残念なことは、
計画策定後一年をたたずしてこういう改定をするということが、非常におしかりを受ける点であると思いますけれ
ども、しかし、ここで逡巡しておりましても、かえって将来の長期的な立場から見るならば、この際思い切るべきであるというふうな判断に立ったわけでございます。