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1970-09-11 第63回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年九月十一日(金曜日)    午前十時四十四分開会     —————————————    委員異動  九月十日     辞任          向井 長年君     補欠選任        田渕 哲也君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         宮崎 正義君     理 事                 平泉  渉君                 平島 敏夫君                 久保  等君                 矢追 秀彦君     委 員                 木内 四郎君                 永野 鎮雄君                 鍋島 直紹君                 船田  譲君                 矢野  登君                 森 元治郎君                 田渕 哲也君    国務大臣        国 務 大 臣  西田 信一君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        経済企画庁審議        官        西川  喬君        科学技術政務次        官        藤本 孝雄君        科学技術庁長官        官房長      矢島 嗣郎君        科学技術庁計画        局長       鈴木 春夫君        科学技術庁研究        調整局長     石川 晃夫君        科学技術庁原子        力局長      梅澤 邦臣君        厚生省環境衛生        局乳肉衛生課長  神林 三男君        厚生省環境衛生        局公害部公害課        長        山本 宜正君        水産庁次長    藤村 弘毅君        通商産業省公害        保安局公害部公        害第二課長    根岸 正男君        運輸省港湾局機        材課長      大野 正夫君        運輸省航空局飛        行場部計画課長  鮫島 泰佑君        海上保安庁警備        救難監      粟野 次郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○科学技術振興対策樹立に関する調査  (原子力開発に関する件)  (宇宙開発に関する件)  (海洋開発に関する件)  (環境科学技術等に関する件)     —————————————
  2. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る九月十日、向井長年君が委員を辞任され、その補欠として田渕哲也君が選任されました。     —————————————
  3. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。  質疑のおありの方は順々御発言を願います。  矢追君。
  4. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 最初に、海洋開発の来年度予算概算要求の件について質問いたしますが、科学技術庁では、海洋科学技術センターの新設ということで一億五千万円の概算要求を出しておられますが、この海洋科学技術センターというものはどういうものであるか、その構想並びにその必要性、それについてお伺いしたい。
  5. 藤本孝雄

    説明員藤本孝雄君) 海洋科学技術センター業務内容といたしましては、次の五つを考えております。  一つは、海洋科学技術試験研究及び調査でございます。御承知のように、海洋観測調査海中作業基地による実験海洋工学等研究を行ないます海洋科学技術試験研究及び調査であります。  二番目の業務内容といたしまして考えております点は、大型共用実験施設管理及び運営でございます。これは、政府民間大学試験研究機関海洋科学技術研究を行なう上で必要な海中作業基地潜水シミュレーター各種実験水槽海洋調査船などの大型共用施設運用いたしまして海洋科学技術研究を容易にするためであります。  三番目に考えております業務内容は、共用実験海域設定及び管理でございます。  四番目に考えております業務内容は、人材養成海洋科学技術に関する人材養成をするということであります。  五番目には、海洋科学技術に関します各種情報を収集し提供する、情報の収集及び提供という問題であります。  横須賀追浜に接収を解除されました地域の活用に関しまして、科学技術庁といたしましては、この場所海洋科学技術センターを設置いたしまして、将来のわが国の海洋開発を推進していくための基地といたしまして、これを運用することを考えているわけでございます。来年度におきましては、ただいま矢追先生指摘のように、海洋科学技術センターの設置を考えまして、初年度といたしまして一億五千万の要求をいたしているところでございます。
  6. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 この開設予定はいつごろか、いま言われた追浜にその用地を予定しておられますが、そこははたして適当なのかどうか、どういうところから適当というように判断されたのか、それから一億五千万で、はたして、開設年度がわかりませんが、それに対して基地として十分であるかどうか、その点をひとつ。
  7. 矢島嗣郎

    説明員矢島嗣郎君) 開設の時期につきましては、来年の十月一日を予定しております。  それから横須賀追浜地区は、現在米国海軍基地として使用しているわけでございますが、それがすぐ近く解除になるので、それを使うわけでありますが、現在米軍海軍基地であるばかりではなく、旧海軍時代追浜海軍関係で使っておりまして、船の離着陸等には非常に都合がいいような岸壁、あるいは土地のレイアウトになっている次第でございまして、この海洋関係基地——結局は基地になるわけであります、海洋開発基地になるわけでありまして、そういう関係で、非常に適当だと思います。たとえば、潜水調査船の「しんかい」が出たり入ったりいたしましたり、あるいは海中作業基地を出したり入れたりするに都合がいいというようなことになっておりますし、かねて東京の都心からも近いもので、研究者学者等に行っていただくのにも都合がいいと思っております。  最後の御質問予算の点ですが、一億五千万、これで十分かどうかということでございますが、初年度でございますので一億五千万ということになっておりますけれども、なおこれ以外に、実際の金額といたしましては、政府から現物出資相当あるわけでございます。たとえば、土地のごときも、これは国有地になるわけですから、それを出資する。それが十億円余りの金額になるし、それから海中作業基地のごときも、これはすでにもう今年度完成するわけでございます。これがまた現物出資として、たとえば五億円程度のものになる。それから潜水シミュレーターも来年度完成いたしますが、これまた、額にすれば五、六億のものになる。そういう政府現物出資を加えれば、政府出資分というものは初年度においても相当な巨額にのぼるものと思うわけでございまして、そういうものを勘案いたしますれば、この海洋科学技術センター予算としては適当な額ではないかと思われます。
  8. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 この技術者とか、これに関する人員の募集、これはどういうふうにされますか。
  9. 藤本孝雄

    説明員藤本孝雄君) 海洋科学技術センター研究者技術者の確保、養成につきましては、当センターが、国立試験研究機関、学界、民間産業界共同研究の場でございますので、研究者技術者は、これらの各界から優秀な人材を集めますとともに、当センターにおきましても必要な人材養成、訓練を行なっていく予定でございます。
  10. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 先ほど、四番目ですか、人材養成という項目がありましたけれども、ここでは、人材養成というのは、ある程度大学の付属の研究所のように、たとえばそこで若い人を養成して、また将来どこかへ送り出すという、そういうようなシステムを考えておられるのかどうか、その点はいかがですか。
  11. 矢島嗣郎

    説明員矢島嗣郎君) 大学等研究所のような研究者養成も、やらないことはないわけでございますが、当面、このセンターでもってやる人材養成というのは、ダイバー養成ですね、これが中心となるわけでございまして、来年度においても、二十四名のダイバー、これは高級なダイバーであろうと思いますが、それのダイバー養成をする予定にしておりますが、そういうものを三年くらいかけて逐次養成するということが当面の主たる目的となっているわけでございます。
  12. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 時間があまりありませんので、次の質問に移りますが、次の、同じ予算要求の二番目の大型共用施設建造運用、これに対しての具体的な内容をお願いしたいと思います。
  13. 藤本孝雄

    説明員藤本孝雄君) 大型共用施設につきましては、主といたしまして海中作業基地潜水シミュレーター高圧実験水槽海洋調査船等でございます。海中作業基地につきましては、四十四年度から建造を開始いたしておりまして、四十五年度中に完成をいたす予定でございます。四十六年度から三カ年計画海中居住実験を実施することといたしております。潜水技術者養成、を行ないます潜水シミュレーターにつきましては、四十五年度から三カ年計画建造する予定でございます。また、四十四年に完成いたしました潜水調査船しんかい」につきましては、科学技術庁中心となりまして、各省庁の利用計画を調整しております。四十六年度には、相模湾四国東岸のほか、新たに若狭湾におきまして本格的な沿岸調査を実施する予定でございます。さらに、将来計画といたしまして、高圧実験水槽海洋調査船等建造につきましても、現在検討をいたしておるところでございます。
  14. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 一番下のところに、潜水調査船母船設計が出ておりますけれども、いま母船がないというのは非常に調査に不便を来たしておるわけでありますけれども、りっぱな母船をつくる必要があると思いますけれども調査船が一つありますし、また、今度できる母船のほうは設計段階——非常に私はおくれているんじゃないかと思いますが、この母船はいつごろ完成をされるか、この点をお伺いしたいと思います。
  15. 藤本孝雄

    説明員藤本孝雄君) 先生指摘のように、現在の潜水調査船は、貨客船を改造いたしました曳航型の母船を使用しております。これは船齢十九年の老朽船でございまして、潜水調査船支援能力がきわめて劣っております上に、調査可能範囲が狭いということで、効率的な運用がはかれません。その現状にかんがみまして、塔載式母船につきまして昭和四十六年度設計調査を行ない、それに引き続いて建造に着手いたします。二、三年後には完成させたいと考えているところでございまして、昭和四十六年度予算要求につきましては設計費要求しているわけでございます。
  16. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 次の問題に入りますけれども、現在、海洋開発というのは、どちらかというと、民間のほうが非常に進んでいるわけです。したがいまして、国のほうがおくれている、これが現状ではないかと思いますが、今後、民間と国とのあり方、国はどういうふうに民間に対して援助をしていくのか、ともすれば、結局民間のほうが一生懸命やっておられるのは非常にけっこうですけれども政府のほうがしっかりやらないと、かえって民間に対していろんな規制とか、そういうことだけが目について、企業としてもやりにくくなる、そういうような面もあるわけです。たとえば、海中公園がいま各所にできておりますが、海中公園一つつくるにしても、これは各省にいろんな書類を出したり、そこらじゅうがからんでおるので、業者の方々が非常にたいへんだと言っているわけです。また、しかし、それができたのが、はたして国として考えた上でのりっぱな海中公園なのかどうかも問題ですけれども、特に公園ではなくて、たとえば水中展望台のような場合、要するに企業のもうけだけが頭にあって、全体の海洋開発の上から、はたしてそれが効果のあるものかどうか、その辺のチェックがどこでされるのか、その点、非常に問題だと思いますので、要するに、民間海洋開発あり方、それに対して政府はどうあるべきか、その辺の方針というのをこの際伺っておきたいと思います。
  17. 矢島嗣郎

    説明員矢島嗣郎君) 先生指摘の、個別の海洋海中公園問題等に関しましては、それぞれ所管の官庁のほうで検討していると思いますが、全般の問題といたしまして、御指摘海洋開発について、民間政府との関係はどうあるべきかということにつきましては、非常にむずかしい問題でございまして、いままででも、ある程度の方向はございまして、それに基づいていろいろの予算措置その他を講じているわけでございますが、さらにもう少し突っ込んで検討いたす必要があるわけでございまして、そのためにも、それを審議する十分な場がない状況でございますので、現在、海洋科学技術審議会というのがありますが、これは海洋科学技術のみに関係するものでございまして、広く海洋開発全般にわたって審議する機関がないので、これを発展的に解消いたしまして、来年度から「海洋開発審議会」を発足させたいと考えております。この海洋開発審議会においては、民間学識経験者その他を網羅しまして、先生指摘のような問題について十分審議いたしまして、同時に、民間政府とのあり方を踏んまえたところの海洋開発長期計画というようなものもつくって、これを推進する、こういうふうに持っていきたいと思っております。
  18. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 次に、こまかい問題かと思いますが、水の問題です。海水淡水化ということを前々から言われまして、いろいろ研究はされておりますが、この海水淡水化計画が現在どこまで進展をしておるのか、実用の段階はいつごろになるのか、コストの問題、それから副産物がどういうものが出るか、それの利用計画、そういった点について、ひとつ答弁を願いたいと思います。これは通産省のほうから、おられましたら……。いなければ、またあとでいいです。
  19. 矢島嗣郎

    説明員矢島嗣郎君) この問題は、通産省のほうが大型プロジェクトで実施しておりまして、来年度は第二年目になるわけでございまして、たしか五年くらいの計画の第二年目に入りまして、着々やっておるところでございますが、詳細は、通産省のほうがやっておるわけでございますので、そちらに聞いていただきたいと思います。
  20. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 運輸省の人、来ておりますか。1運輸省は、あと、油の問題が出てきますけれども、その前に一言だけお伺いしておきたいのです。  現在、大阪海上空港をつくるという、そういう案も出ておりますが、この海上空港という問題を運輸省としてはどの程度具体的に検討されておるか、あるいは、この空港海上に浮上している形式のものなのか、あるいは海上に固定したものがいいのか、あるいは埋め立てなのか、そういった実現可能性、そういった点についてお願いしたいと思います。
  21. 鮫島泰佑

    説明員鮫島泰佑君) ただいまお話のございました関西の新しい空港につきましては、現在、一般的な調査を行なっておる段階でございます。これが陸上になりますか、あるいは海上場所を求めるか、まだ結論に達していない段階でございます。ただ、もちろん、海上建設されるという可能性は現在でもあるわけでございます。その際に、いまおっしゃいましたいろいろな形式飛行場建設が考えられるわけでございますが、私どもといたしましては、海上につくりました場合には、埋め立ての方式がやはり経費的に非常に安いということで、浮き桟橋あるいは桟橋的な構想のものはおそらく実現可能性はないだろうというふうに考えております。
  22. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いま埋め立てと言われましたが、海上ということになれば、霧の発生の要素もありますし、また、台風で海が荒れた場合、それに対する対策、やはり場所の問題が非常に関係しているとは思いますが、そういった点についてどのように考えておられるか。特に大阪関西方面であれば、もし海上埋め立てをやる場合、土地の上でやるのであれば、どの辺が一番いいか。土地の上でやる場合には、成田空港のように反対が出てきますし、場所設定がむずかしいと思います。その辺、今後ジャンボの問題がありますし、SSTの問題がありますし、相当土地が要ると思いますが、これらについて伺いたいと思います。
  23. 鮫島泰佑

    説明員鮫島泰佑君) 場所の問題につきましては、特に飛行場の場合、周囲の地形ということに非常に支配されます。したがいまして、湾内建設をする場合でも、相当陸地から隔たった地点に選ばざるを得ないかと思います。その場合、湾内のどの辺が適当かということは、いろいろな可能性がございまして、はっきりした地点というふうにはまだ出ていないわけでございます。いまおっしゃいました霧の問題が、海上の場合、当然考えられるわけでございますが、この辺も実はデータが非常に不足しておりまして、本年度気象協会依頼をいたしまして、その辺の海象のデータを収集している段階でございます。
  24. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 次に、海洋汚染の問題に入りますけれども、現在、私たちは、海洋汚染をずっと党としてもやっておりますけれども、先日大阪湾調査もやりましたし、その前に東京湾、昨日も伊勢湾と、現在三つ、党としては調査を行ないましたが、分析結果は東京湾しか出ておりませんけれども、現在、汚染状態、さらに被害状態相当深刻な問題がありますが、海洋汚染を防止することは現在いろいろ政府においても検討はされておりますけれども、まだ、はっきりした線というのは出ておりません。この海洋汚染の防止に対して政府としてはどのようにされるつもりなのか、特に各省にいろいろ分かれております法律、それをどう一本化されてやっていかれるのか、その方針をまずお伺いしたい。
  25. 藤本孝雄

    説明員藤本孝雄君) 海洋汚染につきまして、どういう総合調査を行なっておるかという御質問でございますが、東京港、大阪港、瀬戸内海海洋汚染調査につきましては、海上保安庁運輸本省水産庁におきまして、それぞれ水路業務港湾業務水産業務一環として行なっております。すなわち、海上保安庁では瀬戸内海潮流調査を行なっております。運輸省は、東京湾東京港、横浜港、千葉港におきます溶存酸素塩素イオンアンモニア性窒素等調査大阪湾大阪港、堺港、泉北港、尼崎港、神戸港における水温、透明度、PH、油分等調査瀬戸内海におきましても同様の調査を行なっております。また、水産庁におきましては、瀬戸内海におきまして漁業環境保全基礎調査を行なっております。科学技術庁におきましては、海洋開発のための基礎資料の整備と海洋汚染解明のために、沿岸海域精密観測総合調査計画いたしております。昭和四十六年度から、関係省庁の協力を得まして、瀬戸内海豊後水道海域から着手することといたしております。また、通産省では、瀬戸内海汚染機構解明のために、四十六年度大型水理模型建造する予定でございます。
  26. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 個々の問題に入りますけれども、私たち調査一環であります伊豆諸島八丈島の問題でありますが、この伊豆七島には黒い油のかたまりが流れてきて、魚介類に非常に大きな影響を及ぼし、それがまた人体に付着をして、海水を非常に汚染をしておる。この原因は、タンカーなどが捨てた廃油等が言われておりますが、大きいものでは、御承知のように、サッカーボールのような大きなボールになっておるわけです。この被害状況は、水産庁あるいは厚生省として、きちっと把握しておられるかどうか。しておられたならば、データをお示し願いたいと思います。
  27. 藤村弘毅

    説明員藤村弘毅君) 最近、ただいま御指摘のような油の玉が海岸に流れついて、岩についております水産生物被害を与えたり漁具に被害を及ぼしておるという報告は、東京都、千葉県、県等からもございますが、これをまだ的確に集計している状態ではございません。県の水産試験場で、被害の実態とその原因について究明いたしておる段階でございます。
  28. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 水産庁としては、それはいつごろまでに被害状況をまとめて、それに対する対策はとるのですか。それとも、政府としては手を打たないで、地方自治体にまかせる方針ですか。その点、いかがですか。
  29. 藤村弘毅

    説明員藤村弘毅君) この原因は、ほぼ、ただいま先生指摘のような、沖合いで投棄された油が沿岸に流れつくものだと思われておりますので、被害状況をまとめましたら、運輸省等とも相談いたしまして、投棄源のほうに厳重注意をするような方法なり手段を講じたいと思います。
  30. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 運輸省としては、現在どの辺まで調査をされておるのですか。油ではないかと言われておるわけですが、その原因についてはどのように考えておりますか。
  31. 粟野次郎

    説明員粟野次郎君) お答えします。  海上保安庁といたしましては、巡視船及び航空機によりまして付近海域調査しました結果、今年八月三十一日に、大島北東約十四マイルに薄い油膜が認められました。なお、九月二日に、大島南南東約二・六マイルに薄い油膜及び大島西南西約三・六マイルにスラッジが点在している、漂流物があるということを認めておりますが、排出源については不明であります。また、伊豆七島の各局に上陸または着陸しまして調査しました結果、昭和四十二年ごろから伊豆七島一帯海岸に、こぶし大タール状の油のかたまりが多数漂着し、海水浴客や岩のテングサ等相当被害がございました。今年に入ってからは、潮流関係から、漂着量は南部の八丈島方向に多くなりまして、新島付近には比較的少なかった由であります。  原因としましては、伊豆諸島方面海域で投棄されたものが波にもまれたりしまして、まるく固まって海流に乗って流れついたものと思われますので、確認のため分析依頼中でございます。  なお、対策につきましては、可能な限り、巡視船及び航空機をもちまして、監視、取り締まりに当たっておる次第でございます。しかしながら、広大な海域でございまして、油の排出がまた夜間ひそかに行なわれるという場合が多々ございますので、取り締まりは困難をきわめてございます。スラッジ分析結果により、また海流との関係、すなわち、どの海域での周辺から排出されたものか等につきましては、私ども水路部海流調査などいたしまして、当該海域取り締まりを詳細に実施するつもりでございます。
  32. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いまの答弁で、少しは調査しておられるようですけれども、四十二年ころからこういうものが出てきておるということは、三年間というものは、あまり注目されてなかったと考えていいと思うのですよね。おそらく、その間に被害は出ていたのじゃないか、このように考えますので、私は政府としても怠慢であると言いたいのですが、結局、油の廃油原因だと、このように言われておりますけれども、実際これからその分析をやるというような、政府の言われておる対策あるいは主体になる公害対策というものは、いつも後手後手で、被害が起こって、騒ぎが起こって、それから始める。これなども、いま言われたように、三年間歳月がたっているわけですから、非常にこの点については怠慢であったと私は言わざるを得ないと思うのです。  次に、厚生省のほうに、お見えになっておりますからお伺いしますが、この辺は、観光客というのがだいぶ行っているわけですが、この観光客相手業者の人から聞いた話によりましても、八丈局の回りに廃油のかたまりがいっぱいある、海水浴に来るお客の身体にどんどん付着する、もしこういうのがふえてくれば今後海水浴にも来なくなる、こういうことで、業者の人も非常に心配しております。厚生省としては、この人体に対する影響ですね、これをどの程度考えておられるのか、この点をお伺いしたいと思います。また、海水浴業者に対する対策はどうなっておりますか。
  33. 山本宜正

    説明員山本宜正君) 私のほうで詳細な被害における数等の調査をまだしておらないようであります。この水浴等の所管につきましては環境衛生局の環境衛生課でございますので、若干所管違いでございまして、私、詳細な御回答ができないことを御了察いただきたいと思います。油等が皮膚につきまして、人によりましては皮膚炎等を起こすというような可能性もあろうと思います。そういう意味で、被害の実態を調べてみたい、かように思っております。  観光の営業関係に対しまして、それをどのように指導しているかというお尋ねでございますが、これは、観光業者への指導というよりも、むしろその地域の環境衛生ということでございますので、それらの沿岸関係の町村につきまして必要な指導を考えてまいるという筋合いではないかと、かように存じております。
  34. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 水産庁にお伺いしますけれども、漁業に対する影響ですね、被害状況はどれくらいと把握されておりますか。それから、それに対する補償、この問題はどのようにこれからされるのか。特に八丈島でノリが名産になっておりますけれども、これも油臭くて売り物にならないと、こういうことで、業者の方は非常に困っているわけですが、この点はいかがですか。
  35. 藤村弘毅

    説明員藤村弘毅君) この被害実態につきましては、都の試験場で現在調査中でございます。被害金額等については詳細まだわかっておりません。
  36. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いつまでに調査が終わって、いつごろ対策がきちっと講じられるのか。
  37. 藤村弘毅

    説明員藤村弘毅君) 都の報告によりますと、現在調査中で、できるだけ早くまとめたいという報告を受けておりまして、私のほうで、いま、いつまでという御返事は申し上げかねます。
  38. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 そういうふうな姿勢でいいかどうか、私は問題だと思うのですけれどもね。とにかく、さっき言ったように、四十二年からあるわけですからね。しかも、最近非常に地元の人からは陳情も再三行なわれているわけです。しかも、もう新聞にも、朝日新聞なんか大きくキャンペーンされておりますけれども、こういうような状況になっております。なおかつ、現在調査中である、いつまでに結論が出るかどうかわからない。それじゃ、現在被害を受けている人たちが非常に不安に思うわけです。その辺が、現在の政府公害対策、公害が起こった場合のあとの処置が非常になまぬるい、またおそい、かえって不安が起こって、ますます公害に対するいろんな問題がいま出てきていると私は思うのですけれども、これはぜひ早急に、これから秋になりますから、向こうに行く人は少なくなるから来年までやればいいという考えがあると私は思うのですが、その点、もう一回、きちっとした方針をお伺いしたいと思います。
  39. 藤村弘毅

    説明員藤村弘毅君) 東京都のほうと直ちに打ち合わせいたしまして、できるだけ早く取りまとめて、対策を考えたいと思います。
  40. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 このほか、非常にたくさん海洋汚染とかが起こっておりますが、これは参議院でも、少しどっかの委員会で、公害のほうで取り上げられたようですが、広島県の大竹、岩国地区ですね。この工場からの排水ですね、この水質検査が、通産省では七月の二十七日から三十一日、八月の二十六、二十七と二回にわたって行なわれたと聞いておりますが、その調査結果をお知らせ願いたい。
  41. 根岸正男

    説明員(根岸正男君) お答え申し上げます。  大竹、岩国地区につきましては、八月一日から水質保全法に基づきまして水質基準が適用されることになっておりますので、同地区の八工場につきまして、七月、八月と、二回に分けまして、広島通産局及び広島、山口両県と協力いたしまして、工場排水の調査を実施いたしました。七月の調査につきましては、これはいま申し上げましたように、八月一日から適用されるということで事前の調査をいたしたわけでございますが、そのとき、製紙関係の二社、これは大竹紙業と日本紙業でございますが、これが八月一日から適用される基準等に適応しておりません状態でございましたので、処理施設の整備等を指示いたしました。それから、八月に適用されましたのは、工場排水規制法に基づく調査をいたしました結果、先ほど申し上げました二社のうち大竹紙業がまだ基準をこえておるという状況でございますので、十月三十一日までに、その基準をこえているところを改善するように命令を出しまして、その十月三十一日までは特定施設の操業短縮によりまして基準に合致するように指示しております。  以上でございます。
  42. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 その改善命令を出されたあと、現在はどうなっておりますか。それを掌握されておりますか。
  43. 根岸正男

    説明員(根岸正男君) 改善命令を出しましたあと、まだ確認はしておりませんが、間違いなく特定施設の操業を短縮していると思っております。
  44. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 山陽パルプの岩国工場では一日平均一、三五OPPMという非常に高い基準を定めておりますが、こういう高い基準にきめられた理由はどこにあるのか。他の工場だと低い、もっと低いわけです。たとえば、大竹紙業であれば三〇〇PPM、こういうふうになっておりますが、その点はいかがですか。経企庁のほうからも……。
  45. 西川喬

    説明員(西川喬君) 大竹、岩国地先にはパルプ工場が三社あるわけでございます。先ほど先生のおっしゃいました大竹紙業、日本紙業、これはKPでございます。山陽パルプはSP——SPと申しますのは、パルプ廃液処理の最も困難なパルプの業種でございます。ほかの水域におきましても、SPパルプを持っておりますのは、非常に困難でございますから、線を越したような基準がかかっているのが通常でございます。大竹、岩国水域におきましては、水産側の要請によりまして、どの程度に排水を規制したらいいかということを種々検討したわけでございますが、TLMという新しい方式によりまして、水産側の被害を押えるということから計算いたしますと、山陽パルプの廃液につきましては、CODにおきまして八五OPPMというところまで下げなければならないというような結果が出てきたわけでございます。ところが、現在のSPの処理技術におきましては、これは非常に困難でございます。  で、大体普通三、〇〇OPPM程度の廃液が出てくるわけでございますが、これを、一番有効な方法といたしまして濃縮燃焼を行なうわけでございますが、この濃縮燃焼によりましても約五〇%カットできる程度にしかならないわけでございます。その結果、いろいろ検討いたしまして、当面はこの濃縮燃焼を行なわせる、さらに将来におきましては、SPの薬品のベースを変えまして、その薬品を中から回収をいたしまして、それをKPパルプのほうに使うということにいたしまして、そのためには、このKPパルプの生産工場を新たにそこの場所に加えなければいかぬわけでございます。そのために、その期間というものがかかるものですから、第一段階として一、三五OPPM、それから第二段階といたしまして、最終の本基準といたしまして八〇〇PPMI水産側の要請から計算されましたのが八五OPPMでございますから、濃縮燃焼を行ないまして、さらに薬品回収を行なって、これをKPパルプのほうに転用するということによりまして八〇OPPMまで下げて、水産側の要請は満足できるということで現在かかっております。一、三五〇はその第一段階のものでございます。将来、三年後におきまして八〇OPPMまで持っていく、このような基準を設定しておるわけでございます。
  46. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 PPMの問題も大事かと思いますが、排水量というのが非常にここでからんでくると思いますけれども、各工場の排水量というものは一日どのくらいになっているか。たとえば、濃度が低くても量が大きければ、もし魚とかあるいはその他のものに影響があるとすれば、付着するような場合があれば、量というものは非常に関係してきますから、その点との関係はどのように考えておりますか。
  47. 西川喬

    説明員(西川喬君) 排水先が海でございますから、希釈拡散という緩衝能力がございまして、海域の場合につきましては濃度というものを問題にいたしてございます。その観点から、川の場合ほど量がふえるということにつきましては、希釈拡散の考え方からいきますと、影響が大きくないわけでございまして、それで、現在大量に出しておるわけでございますけれども、さらに、増設によります増量という分につきましては、これは新増設という考え方になっておりますから、基準といたしましては、新増設といたしましては既設のものと違いまして非常にきつい基準がかかっております。その点によって、カバーされるものと考えております。
  48. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 水産庁にお伺いしますけれども、八月十五日の台風が去ったあとに、この地区で被害相当あったわけでありますけれども、その点について掌握をされているかどうか、また、その原因は赤潮の異常発生にあるのか、特にハマチが二十万匹死んだということになっておりますが、それとも工場廃液なのか、その点はどう考えておられるか、伺います。
  49. 藤村弘毅

    説明員藤村弘毅君) 台風通過後にハマチが約十万匹死んでおりますが、これの原因につきまして、現地漁業者の方は工場排水によるものが大部分であるというふうに考えておりますが、私どもの考えによりますと、一応、台風通過後に生じたものでございますから、それによる赤潮によって酸素欠乏が生じて、それによってハマチの大量斃死があらわれたということも考えられますので、現在、研究機関を動員いたしまして、それの実態を究明いたしております。
  50. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いま、工場排水であるかどうか疑問だというふうなことを言われておりますけれども、この写真を見ていただいたらわかるんですけれどもあとで回しますけれども、台風の直前写真をとったわけですが、非常にたくさん排水を出しているわけです。それによってよごれた海の写真もあります。それから、死んだハマチの写真、これもお見せしますけれども、どう考えても、やはり漁民が言っているように、工場の廃液というのが一番原因になっているんじゃないか。もちろん、漁民としては科学的な研究機関も持たないし、そういう頭もないかもしれませんが、そこにいるわけですから、いろんな点で、やはりしろうとの人たちの考えが案外正しい場合があるわけです。私もいろいろ全国公害の調査をして回りまして一番感ずることは、たとえしろうとであったとしても、長年そこに住んで、長年被害を経験してきた人の体験といいますか、そういうものが案外当たっているような点が多いような気がするのですが、そういう点で、工場廃液ではないというふうな頭ではなくて、おそらく工場側はこういうものを流したのを隠すと思いますので、その点をきちっと考えた上で、ぜひ調査をして結論を出していただきたい。これは要望になりますけれども、その点をひとつお願いしたいと思います。  それから、ついでに水産庁にお尋ねするんですが、こういう海洋汚染で魚がいろいろ変形をしたり、あるいは内臓が腐ったり、ガンのようなものが出てきたり、あるいはすぐ死んでしまう。先日、大阪湾におきまして私たち実験したのは、活魚センターの魚を持ってきまして舟の上にいけすをつくりまして、一番きれいな、要するに大阪湾の弁天埠頭から出まして少し行ったところの海水——運河のきたないどろどろの水ではなくて、普通の水を汲んで入れても、タイで一時間二十分、ハマチで三十分たつと死んでしまったわけです。昨日の伊勢湾においても、公明党が調査に行きまして、そのときも洋上で生体実験をやったわけですけれども、このときはもっとひどくて、十秒間で——これはサバでしたか、十秒間で死んでしまっているわけです。これは場所にもよるとは思いますけれども、そういうふうに魚が完全に死滅する。これははっきりわれわれが目の前で見てきて、しかも大学先生なんかにもちゃんと立ち会ってもらいまして、そのあと解剖なんかして調べてもらった結果によりましても、海水汚染というものがこういう魚に大きな影響を与えている。また、漁業組合の人が持ってきました魚なんかも、強アルカリか重金属かなにかわかりませんけれども、完全に身が溶けているんですよ。内臓はもちろん腐っている。そういうようなのが非常にたくさん出てきているわけです。非常に漁民の方はこれに対して不安を持っております。一つは、騒がれると魚が売れなくなって困る、こういうこともありますし、魚がどんどん減っていくのも困る、そういうことで、ああいう大阪湾とか伊勢湾、東京湾、その付近の魚業組合の方は現在非常に深刻になっています。お米の汚染公害、お米の汚染も非常に問題があるのでありますけれども、お米の場合は買い上げてもらえるわけです、食管制度がありまして。ところが、海業の場合はさっぱりそういうものがない。この点について、はたして水産庁としては、こういう公害にやられた魚に対する補償を、ただ会社から取ることも必要でしょうけれども、たくさん会社があった場合、また、どれが原因かわからない場合、ほんとうに魚が売れなくて困っている漁民の人たちに対する補償は何とかできないものか、それに対する見解はどうであって、どういう努力をなされておるか、それをまずお伺いしたい。  それからもう一つは、そういう公害におかされた魚の研究ですね。それは現在やられておるのか。その点をお伺いいたします。
  51. 藤村弘毅

    説明員藤村弘毅君) 現在、ごく最近でございますが、全国のおもな漁場につきまして、漁場の水質並びに底質の再点検をするように各県に委託いたしまして、再点検をすることにしております。これをできるだけ早く結論をまとめまして、それの原因を究明いたしまして、その原因がどこにあるかわかりましたら、そのおのおのの関係省庁とも相談いたしまして、そういう企業にそういうものを出さないような措置をとってもらうようにしたいというふうに考えております。  それから、それではそういう魚が出た場合に補償をするかというお話でございますが、現在のところでは、そういう魚についての補償措置という問題は、そこまで煮詰めて、どれだけの被害が出て幾らの補償をするというところまで、おのおのの現状について調査をいたしておりません。また、漁業者のほうも、公害の排出源がはっきりしておるところは言ってまいりますが、その他の点はまだ言っておりませんので、できるだけその公害源の会社と、企業と話し合うような指導をいたしております。
  52. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 厚生省にお伺いしたいのですが、こういう重金属類によって汚染された海からとれる生物資源、これは、われわれ人間が食べた場合、その影響はどうなるのか、その点の研究は現在どの点まで進んでおるか。
  53. 神林三男

    説明員(神林三男君) お答え申し上げます。  現在、国といたしましても、汚染の激しいと思われるような五つの海域について調査をしようという、いま段階でございます。特に魚介類中心といたしまして調査をしようという段階でございますが、魚には、もともと、金属によりましては、たとえば砒素などが天然に含まれている、いわゆるバックグラウンドで相当あるものもございまして、その結果をもちろん待つということもございますが、一応その辺、汚染によるものか、あるいは天然にあるものかというようなことを、もう少し私たち調査をいたしまして、なお重金属によりましてはすでに慢性毒性というようなものがはっきりしておるものがありますから、こういうものにつきましては、大体どの程度まであるかというような線を至急つくります。たとえば、いま問題になっておる水銀などは、慢性毒というものが世界各国で研究が進められている最中でございますが、そういうものに対しても、総摂取量でどうであるかというようなことでいろいろ基準をつくっていきたいということで、なお、重金属による慢性毒性の問題につきましては、ある程度専門家の意見も私たち聞きまして、いま検討を進めつつある段階でございます。  それからさらに、これをどういうふうに行政上するかというような問題に関しましては、十分水産庁とも協議いたしまして、場所によっては、将来、漁獲の禁止というようなこと、あるいは市販されるような場合は、それに対する監視体制の強化というようなことをやってまいりたいと思っております。
  54. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 こういった港湾の海洋汚染で非常に問題になるのは、工場排水というのもありますけれども、先ほど八丈島のときにも問題にいたしましたが、油というのが非常に大きな影響を及ぼしておりますが、船舶の廃油処理施設、これが現在どのように整備されておるのか、現在の日本全体の廃油処理施設がどうなっておるか、その点をお伺いしたいと思います。
  55. 大野正夫

    説明員(大野正夫君) 船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律というものがございまして、この法律は四十二年から施行になってございますが、これに基づきまして、全国にただいま先生指摘廃油処理施設をつくるということで進めてまいっております。現在までに十四港に十九の施設が完成してございます。一応四十七年までに、三十三港、五十三カ所という施設をつくる計画で進めておるわけでございます。
  56. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 それぐらいのスピードの建設で——これから貿易もどんどん盛んになるでしょうし、船舶の出入りは非常に多いし、特に現在滞船時間というものが非常にふえております、港の整備ができておりませんので。そういった点で、船舶も非常に混雑しておりますので、こういうふうなピッチで、はたして海水の油濁というのが防げるような態勢になるのかどうか、その点の見通しはいかがですか。
  57. 大野正夫

    説明員(大野正夫君) その点に関しましては、確かに廃油処理施設というものは新しい施設でございますので、非常に開発を要する問題ということもございまして、昭和四十二年当初から現在までは半分以下ということでございますが、これからは一応軌道に乗る、また、各港湾管理者ないしは各製油所等の意識も高揚されてまいっておりますので、できるだけ早く整備を進めていきたいというふうに考えております。
  58. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) ちょっとストップして。   〔速記中止〕
  59. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 速記を起こして。
  60. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 東京湾大阪湾に出入りする船舶で、政令で定められた廃油処理を行なわなければならない船舶は一日どれぐらいか、あるいは一カ月でどれぐらいになるのか、もしデータがわかりますれば、お伺いしておきたい。
  61. 大野正夫

    説明員(大野正夫君) 実は、資料を一年間でまとめてございますので、それで申し上げたいと思いますが、まず、東京湾でございますと、昭和四十四年度におきまして、総数で三十八万四千隻でございまして、総トン数で三億四千五百万トンでございます。これが東京湾の全体でございまして、そのうち適用船舶は十八万六千隻、二億九千五百万総トンでございます。一方、大阪でございますが、大阪湾につきましては、やはり同じく四十四年度でございまして、総数四十一万五千隻、二億三千七百万総トン、そのうち法適用船舶は七万七千隻、一億八千万総トンでございます。
  62. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 まあ、これは大きさが小さいから、数がふえるのは当然だと思いますが、政令で定められていない船舶のほうが多いわけですが、この定められた船舶が廃油処理施設を使う使用状況、これはどうなっておりますか。これは非常に悪いと聞いておるわけですけれども、もし悪い場合、きめられておるのに使わない、それに対する取り締まりはどうされておるのか、この点をお伺いしたい。
  63. 大野正夫

    説明員(大野正夫君) 先ほど申し上げましたとおり、現代、十四港十九カ所の施設があるわけでございますが、そのうち施設整備港に指定されておりますのは、川崎と横浜でございます。そういう状況でございまして、したがいまして、まだフル稼動に入っていないという施設がほとんどでございます。それで、稼動状況についてはまだ調査ができておりませんが、やはり先生が御指摘のとおり、現状では非常に稼動率が少ないということでございまして、多いときで二〇%程度の稼動であるということでございます。
  64. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 それでは、施設がだめだから使わないのであって、船舶が勝手に使わないというのではないと、こう考えてよいのですか。いまのお話だと、良心的にやらないから使わないのじゃなくて、施設が全然できていないから、使いたくても使えない、そういう状況なんでありますか。
  65. 大野正夫

    説明員(大野正夫君) 一応、ただいま申しましたとおり、十四港十九カ所で、想定される法適用船舶がその施設を全部使ったといたしますと、大体四十七年度完成時の能力の約五〇%弱でございます。したがいまして、これが十分に使ってくれれば、一応稼動率は非常によくなるのではないかというふうに考えております。しかし、十分に使うというにあたりましても、やはりいろいろな問題がございまして、うまくいかないという点は確かにございます。
  66. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 その廃油処理施設は、どこがつくるわけですか。要するに、お金を出すところです。
  67. 大野正夫

    説明員(大野正夫君) この廃油処理施設でございますが、やはり、公害の基本的な費用負担といいますか、発生者が負担するということが基本だと思いますが、その観点から考えまして、この廃油を発生いたします第一次の海運業者、ないしは第二次的に考えられます石油精製業というのが当然施設を整備すべきであるということでございますが、やはり諸般の事情がございまして、どうしても港湾管理者が、ある一定の場所に、ある能力を持った施設をつくったほうがいいという場合には、国が補助をいたしまして施設をつくる。したがいまして、現在、十四港十九カ所という中には、港湾管理者が整備いたしましたのが五つの施設でございまして、ほかには、石油業ないしは民間廃油処理業者が持っている施設でございます。
  68. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いまの石油業者あるいは民間にやらせたペースで、いま言われたような状態になってきたのか。国の補助ということは、理屈から言えば、いま言われたように、あまり国が出すべきじゃないと思いますけれども海洋汚染を防止するという意味から考えれば、やはりある程度国の補助というのも筋が通らないでもないと私は思うのですけれども、その場合、今後の問題として——いままでのはやむを得ませんから、今後の問題として、早急にこの処理施設をつくらせる、あるいは国が積極的に援助してつくるという方法、これはどのように検討しておられるのか、これをお伺いしておきたいと思います。
  69. 大野正夫

    説明員(大野正夫君) 先ほど申し上げましたとおり、四十七年度中に三十三港になりまして、五一三カ所の施設ができるということが目標でございますが、これができ上がりますと、現在推定しております四十七年度時点における船舶から発生する廃油量の約九〇%が処理できるという見込みでございます。したがいまして、やはり、この施設を、四十七年度と言わず、早急につくるということが、第一にやらなければいけないことであるというふうに考えておりますので、油濁防止法にも書いてございますとおり、必要な場合は運輸大臣が港湾管理者に勧告をするということもございますので、その点もあわせて進めていきたい、なお、やはり使用するにあたりましては、原因者負担という原則的な考えから、かりに港湾管理者が施設をつくりましても、一応処理料金を取るという、いわゆる負担させるということでやってございますが、やはり料金が船舶の運賃に、はね返るというようなこともございますので、この辺の問題も海運業一般の問題として検討していただく、なお、一方、やはり意識の高揚をはかるためには、海運業界との説明、話し合いを進めるということ、海上保安庁にお願いをして取り締まりを十分・にしていただく、また、船員等に対しましては公害防止についての意識を高揚せしめるというようなことを考えて、もろもろの手段をあわせて積極的に進めていきたいというふうに考えております。
  70. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 先ほどからずっとやってきましたように、港湾の汚染、特に海の汚染というのは非常にこれから深刻な問題になってくると思います。特に最近非常に問題になっておるヘドロの問題でありますけれども、これの浄化対策、外洋投棄ということが非常に問題となっておりますけれども、これのヘドロ浄化のための研究ですね、これは現在行なわれておるのかどうか、また、これをやっていくのかどうか、それから、汚染原因となっているものに対して、ヘドロができるための、汚染になる原因ですね、それに対する究明、その点がどうなっているか、ヘドロの問題についての研究面についてお伺いしたいと思います。
  71. 根岸正男

    説明員(根岸正男君) いまヘドロの浄化対策について研究がどのように行なわれているかという御質問だと思います。ヘドロの浄化対策につきましては、まず、基本としましては、ヘドロの原因となりますSS等の物質を出さないようなことにするということと、次には、第二番目としまして、しゅんせつの問題があると思います。しゅんせつしました場合、それをどこへ投棄するかという問題になると思います。  それで、第一番目の問題につきましては、工業技術院の傘下のいろいろの研究所におきまして、SSが非常に多く出ますパルプの廃液、パルプの製造工程その他のいろいろの研究を実施させております。それから、出ましたスラッジその他の処理につきましても、どうやって乾燥させるか、あるいはどうやって焼却させるかというようなことにつきましても研究が行なわれている状況でございます。  それから、先ほど申し上げました二番目のしゅんせつ後のヘドロの処理でございますが、これは、先ほど申し上げました、やはりスラッジと同じようなものになりますので、やはり焼却等の研究も一応実施しておる状況でございます。
  72. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 次は、東京湾の問題、ちょっとまた戻って恐縮ですけれども通産省にお伺いしますけれども、これは大阪湾も含めてもいいと思いますが、各港湾の工場排水による公害の事前防止の観点、それからどのような対策をやられておるか。現在出ているのは、はっきりしていることについては、いろいろやられておりますけれども、これからの問題について、その観点からどのような対策を講じておられますか。それをお伺いしたい。
  73. 根岸正男

    説明員(根岸正男君) いま東京湾大阪湾のような湾内海水汚濁の未然防止についてどのような手を打っておるかという御質問でございますが、まず、東京湾につきましては、これは大体五十メートルばかりになりますが、大型の東京湾の水理模型をつくりまして、将来の企業計画等を勘案しまして、それによってどういう汚濁になるかという予測を実施しております。そのほかに、産業公害総合事前調査というものを実施しておりまして、たとえば、東京湾におきましては、千葉県の五井、姉崎の地先海域あるいは君津の地先海域につきまして実施いたしておりまして、これの予測のデータに基づきまして企業の指導をするという形をとっております。  それから大阪湾につきましては、これは、先ほど科学技術庁のほうから御説明がありました瀬戸内海の大型模型というものを本年度予算要求をしておりまして、大阪湾につきましては紀伊水道まで含むものを考えておりますので、それによりまして、将来の汚濁の予測ということから、大阪湾に設置されます工場の企業指導を実施してまいりたいというふうに考えております。
  74. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 厚生省にお伺いしますけれども東京湾で屎尿の海上投棄がひんぱんに行なわれてきておりますが、その実態及び対策、それから、これに関連して、大阪でも、大阪湾の外側のところに、かなり、ごみとか、そういうものをみんなまとめてほかしているわけです。それは埋め立てるという理由でやっているわけですけれども、実際は、その外側にもいろいろ捨てておる実態を私は聞いておるわけですけれども、その点に対する対策、実態、含めてお伺いしたいと思います。
  75. 山本宜正

    説明員山本宜正君) 所管が環境整備課でございますので、私詳細にお答えできません。
  76. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  77. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 速記を起こして。
  78. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 大臣が来られましたので、大臣に簡単に、もう大体聞きましたので、総括的な問題をお伺いして終わりたいと思いますけれども、まあ、海洋開発を非常にやかましく言われておるわけでありますが、日本としては、特に海洋国でありますし、十分力を入れるべく政府としてもいろいろ計画を立てて来年度予算にもいろいろ要求をされておりますけれども海洋開発をするにあたって、やはり一番問題となっておるのが、現在、海洋汚染の防止だと思うんです。それについて、私たちは、現在、大阪湾あるいは東京湾、伊勢湾、それから瀬戸内海あるいは洞海湾——洞海湾も一部二回ぐらいもうやりましたけれども、いろいろ調査をやってまいりました。また、八丈島沖も調査をいたしました。いろいろやりまして、いろいろな問題点が出てまいりまして、先ほどからお伺いしたんでありますけれども、はたしてこの海洋汚染の防止をどこが責任を持ってやるか、この問題になると思うんです。海洋開発というものを科学技術庁中心になって進めるのであれば、それの前段階である海洋汚染の防止も科学技術庁がかなり責任を持たなければならないし、もちろん、政府全体としても、公害対策本部というのがありますから、そこが中心になるかと思いますが、海洋開発という、上からのやはり海洋汚染の防止でなければならない、このように思いますので、この点、科学技術庁としては、この海洋汚染防止にはどれくらいの権限があるのか、またどういう姿勢で臨もうとされておるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  79. 西田信一

    ○国務大臣(西田信一君) 最近非常に問題になっておりますところの水質汚濁の問題、ことに、ただいま御質問になりましたところの海洋の水質汚濁の問題が非常に大きく取り上げられておるわけでございます。どちらかと申しますと、河川、湖沼等の水、質汚濁も十分ではございませんけれども海洋におきまして、やや私どもは、率直に申して、対策の立ちおくれということが言えるかと存じます。そういう意味で、これから政府は真剣な・取り組み方をしていかなければならぬと考えるわけでございまして、すでに、御指摘になりましたように、政府におきましては公害対策本部を設置いたしまして、政府各省庁全力を集中いたしましてこの問題と取り組んでおるわけでございます。たとえば、いま御指摘海洋汚染の問題につきましても、それぞれ各省庁にまたがっておりまして、これを総合的に実施しなければならないということから公害対策本部というものが活動を開始しておるわけでございますが、科学技術庁といたしましてもこの問題に真剣に取り組んでまいりたい、かように存じておりまして、明年度は、日本の全域とはまいりませんけれども、その中で最も重要であると考えられますところの地域に対しまして、瀬戸内海周辺の海域等にまず重点をしぼりまして、これが海流その他の調査等に当たりたい、かように考えて、それぞれ準備をいたしておるような次第でございます。
  80. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 私、聞きたいのは、この海洋汚染の防止というのは、要するに、政府公害対策本部として責任を持ってやられるのか、あるいは海洋という面で、海洋開発ということはやはり科学技術庁がやられておるので、科学技術庁が海のほうは責任を持ってやるのか、今後やはりある程度の特別立法が私は必要だと思います。地域別に、たとえば瀬戸内海の汚濁防止法案というのをつくっていくか、あるいは広く海洋汚染防止法というものをつくるか。もしそういう法律がつくられるとすれば、それはどの省が担当するのか、海洋ということでいけば科学技術庁になるのか、あるいは現在公害対策本部のある総理府ということになるのか、その点の責任体制ですね、それを伺っておるわけですが、いかがですか。
  81. 西田信一

    ○国務大臣(西田信一君) これは、先生承知のとおり、現在もそれぞれ各省庁がそれぞれの立場におきまして担当しておるわけでございますし、将来も、公害対策本部が中心となって総合的な対策の推進をはかっていくことになるわけでございまするけれども、その中にございまして、科学技術庁科学技術庁といたしまして、基礎資料の整備とか、あるいはまた沿岸海域各種の精密な観測、総合調査といったことを担当していくことになると存じまするし、また、通産省通産省としての解明のための模型の建造等によるところの調査といったことを担当していくことになりましょうし、また、運輸省運輸省といたしまして、それぞれの担当がございまするから、これらが総合されて公害対策本部が取りまとめをして総合的に海洋汚染の問題の解明に当たっていくということになろうかと思います。
  82. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いま私が言いました海洋汚染防止法とか、局庁別であっても、そういう海洋汚濁の防止の法律というものを立法化されようという気持ちはありますか。それとも、検討にも値しない、各省庁で現在あるところの法律で十分だ、そのようなお考えですか。その点の見解を伺って質問を終わりたいと思います。
  83. 西田信一

    ○国務大臣(西田信一君) いま具体的に、どういう法律をということを申し上げる段階ではございませんけれども、少なくとも、早期に必要な立法あるいは法律の改正等の必要なものはどんどんやっていこうという姿勢でございますから、ただいま御指摘になりましたような海洋汚染対策のための立法につきましても、当然検討さるべきものであると考えております。
  84. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 久保君。
  85. 久保等

    ○久保等君 科学技術庁として、すでに昭和四十六年度予算につきましての概算要求を大蔵省に提出をせられた段階だと思います。科学技術庁が取り組まなければならない問題はきわめて多岐にわたりますし、同時に、最近におけるような、先ほど来質問がございましたような公害問題等中心にいたしまして技術開発を強力に推進をしてまいらなければならない情勢がますます強く要請されておると思います。ところで、そういう情勢の中で明年度予算についての概算要求を出されたと思うんですが、その中でどういった問題を明年度は重点的な問題として取り上げられておるのか、そういう大綱について最初にお伺いしたいと思います。もちろん、政府全体としての方針が決定を見ておるわけではありませんし、予算案が政府としてまとまった段階ではもちろんありませんが、科学技術庁という立場で一応まとめられた方針について承りたいと思うのです。
  86. 西田信一

    ○国務大臣(西田信一君) 明年度予算の重要な項目についてのお尋ねでございますが、詳細は、また事務当局からお答え申し上げることにいたしまして、私から大綱的なことをお答え申し上げます。  まず、第一に取り上げてまいりたいと考えておりますることは、海洋開発の問題でございます。海洋開発は、海洋国としてきわめて重要でございますが、諸外国に比べまして若干の立ちおくれがございますが、この立ちおくれをすみやかに取り戻しまして、そうして積極的な海洋開発と取り組んでまいりたい、かように考えておりまして、明年度は、各省庁にまたがりますところの予算におきましても、昨年度の約二倍近いところの予算要求をいたしておるわけでございます。  そこで、この推進をはかってまいりまするために、何と申しましても中心になるところの海洋科学技術センターというものをつくりたい、かように考えております。これは民間の協力も得まして、官学民一体のものといたしたい、かように考えております。それから、現在海洋科学技術審議会というのがございまするが、海洋の科学技術だけでは不十分でございまするから、もっと応範囲な、幅の広い海洋開発の審議をいたしますために、海洋開発審議会というものを設置いたしたいと考えておりまして、これが設置を見まする間におきましても、予備的にひとつ懇談会のようなものを、すぐさっそくに発足させて取り組んでまいりたい、かように考えております。で海洋科学技術センターは、これは、海洋科学技術調査研究、あるいはまた大型共用施設の開発、またその運用をはかる、あるいは人材養成訓練、こういったことをねらいといたすものでございまして、認可法人としてつくってまいりたい、かように思っております。それから後段の、海洋開発全般にわたる審議会の設置は、現在ございますところの科学技術審議会を発展的に解消いたしまして、これを発展させていきたいと、かように考えております。  それから第二に申し上げたいのは、何と申しましても、公害、ことに環境の維持改善の施策でございます。環境科学技術の開発のために、私どもの役所といたしましても、専門家を配しまして検討会などを設けまして、これと取り組んでおるわけでございますが、さらに強力にいたしますために、学識経験者を含めましたところの環境科学技術推進会議、こういったものを設置いたしたいと考えておりますし、いま一つは、国立防災科学技術センターにおきまして、大型大気環境実験施設、こういうものを建設したい、明年度はひとつ建設に着手したい、かように考えて予算を求めておるわけでございます。  それからそのほかに、従来からやっておりますところの原子力の開発利用、これにつきましては、動力炉の開発に必要な大型の蒸気発生装置の建設等を進めたい、かように考えておりまするし、また、核兵器不拡散条約下におきますところの保障措置の簡素化の問題につきましても、かなりわがほうの主張が入れられるような方向にございますが、さらにこれを強力に推進をして、所期の方向に結論をまとめたいと、かように考えております。  それから、宇宙開発につきましては、最近の一これは後ほどまた詳しく御説明申し上げることが適当と存じますが、最近の情勢の変化が相当ございます。これに対処するために、宅宙開発委員会は、御承知のとおり、見直しをやっておりますが、Qロケットの次に開発を予定をしていたNロケットを、これを液体ロケットを主力としたものに変更いたしまして、その開発の方向検討を進めてまいりたい、かように考えておりまして、現在精力的にこの検討を進めておる段階でございます。  それから、公害問題その他、現代社会のいろいろな問題を解決いたしますためには、どうしても高度な科学技術手法が必要でございますので、こういうことを目的といたしました「特殊法人・ソフトサイエンス総合研究所」、これをひとつ設立いたしたい、かように存じております。  それから、これらのことを推進いたしまするための機構でございますが、これにつきましては、現在の機構を少し改めまして、宇宙開発海洋開発の強力な推進をはかるために宇宙海洋局の新設をはかりたい。また、環境科学技術の総合的な推進をはかるために環境科学技術課、また、保障措置に関しまする万全の事務処理体制を確立いたしますために保障措置課、こういうものを要求いたしておるわけでございます。  きわめて概要でございますが、お答え申し上げました。
  87. 久保等

    ○久保等君 それでは、予算金額のほうは、もちろん政府として決定を見ておるわけではありませんけれども、ただ、予算が大まかに見て、本年度あたりと比較して概略どういったようなことになるか。まあ、もちろん不確定な金額ではありますけれども科学技術庁としての考え方をひとつ、ある程度金額の面でもお伺いしたいと思うのです。資料といいますか、一応プリントのようなものを私は手元にちょうだいをしておるのですけれども、こういったことによってでもけっこうですけれども、概略を大ざっぱにひとつ御説明を願いたい。
  88. 矢島嗣郎

    説明員矢島嗣郎君) それでは概略御説明申し上げます。  科学技術庁の来年度予算概算要求額は七百七億九千四百万、国庫債務負担行為が三百六十六億五千百万でございまして、これを前年度の四十五年度の歳出予算額六百一億三千六百万円に比較いたしますと、百六億五千八百万円の増加と相なっているわけでございまして、比率におきまして一七・七%増ということに相なっております。  なお、この概算要求額の約七百七億円の中には、宇宙開発事業団の予算が含まれておりませんのですが、これは目下宇宙開発計画の見直しを行なっておりますので、いまのところ、正式の概算要求額が決定しておらないわけでございますが、この計画改定が確定次第、概算要求額を正式に固めまして、これを大蔵省に提出することに相なっているわけでございます。先ほどの一七・七%増というのは、宇宙開発事業団のやつを含まない場合の増加比率でございます。  そこで、詳細は先生のお手元にもあると思いますが、大きな柱だけを申し上げますと、  第一の柱が、科学技術振興基盤の強化でございまして、科学技術振興基本計画の策定、科学技術の普及啓発、研究学園都市の建設などでございまして、金額といたしまして、前年度予算八億五百万円に対しまして、十億七千六百万円を要求いたしているわけでございます。  第二番目の柱は、原子力開発利用の推進でございまして、動力炉の開発、ウラン濃縮等の核燃料の研究開発、使用済み燃料再処理施設の建設、さらに核融合、食品照射等の原子力特定総合研究などでございまして、金額は、前年度三百八十七億二千六百万円に対しまして、五百六十九億六百万円を要求いたしております。  第三番目が、海洋開発の推進でございまして、先ほど大臣からもお話のございました海洋科学技術センターの新設、潜水シミュレーター大型共用施設の整備などでございまして、前年度予算四億七千五百万円に対し、八億二千二百万円を要求いたしております。  第四番目は、情報関連施策の拡充強化でございまして、ソフトサイエンス総合研究所の設立、日本科学技術情報センターの充実などでございまして、金額は、前年度予算の八億六千九百万円に対しまして、十億八千五百万円を要求いたしております。  第五番目は、重要総合研究の推進でございまして、環境問題に関する施策の強化、特別研究促進調整費の活用などでございまして、金額は、前年度六億八千万円に対し、八億八千七百万円を要求いたしております。  最後に、新技術開発の推進、国際交流の推進、試験研究機関の整備など、前年度予算六十二億九千四百万円に対し、七十七億一千九百万円を要求いたしております。  概略以上のとおりでございます。
  89. 久保等

    ○久保等君 一昨日でしたか、総理が議長をやっておられる科学技術会議ですか、そちらのほうで、いろいろこれからの重点施策等について諮問をしたというようなことが新聞等で伝えられておるのですが、この中でやはりわれわれ一番大きな関心を持ちます問題は、先ほどもちょっとお話がありましたが、国民生活の環境改善の問題だと思いますが、このことに関して政府のほうで諮問をされ、近くこれに対する答申を求めて、さらに昭和四十六年度の施策の中に生かしていこうということなんですが、この問題について大臣のほうから——大臣も重要な構成メンバーでありますが、ちょっと御報告かたがた御説明を願いたいと思います。
  90. 西田信一

    ○国務大臣(西田信一君) 私も科学技術会議のメンバーでございます。科学技術会議の議長は、御承知のように、総理がなっておられるわけでありますが、内閣総理大臣から科学技術会議の議長に対しまして諮問がございましたのは、「一九七〇年代における科学技術政策の基本について」、こういうことでございます。一九六〇年代について、十年前にもやはり同様な諮問がございました。その諮問にこたえ、それが科学技術政策推進の基本となって今日までやってまいったわけでございます。ただいま久保先生が御指摘になりますように、日本の科学技術水準のおくれを取り戻し、産業開発その他の速度を早めるというような方向におきまして科学技術政策の重点が置かれてきたということがあるいは言えるかと思いますが、今回は、ただいま御指摘のございましたように、環境問題、公害問題等が非常に大きな社会問題となっておることにかんがみまして、そういう点も十分検討をするというようなことを諮問の中にも含めまして諮問があったわけでございます。これから部会におきまして十分な検討を遂げまして、そうして、いずれ十二月ごろには答申が出ると思います。その答申を基礎にいたしまして、明年度はもとより、十年間の日本の科学技術政策の方向が打ち出されることになると存じますが、経済中心主義というわけではございませんけれども、そういった従来の科学技術政策の方向は、もっともっと環境問題あるいは公害問題等にウエートが置かれる、そういった答申が期待されておりますし、われわれもそういう方向で推進をしてまいりたいと考えております。
  91. 久保等

    ○久保等君 この科学技術会議に、いまお話があったように、総理大臣が諮問をして、これから部会のほうで検討した答申が一月ぐらいまでに出ることを期待するというような方向で運んでいるのですが、これと、昭和四十六年度予算の中で科学技術庁の考えている考え方というものは、一体どういう関連性が出てくるのですか。私は、科学技術会議にこれから答申を求めること自体が、何かこう、時期的にピントがはずれている、しかも、四十六年度の施策の中に生かしていこうという考え方を持ちながら、これからの一九七〇年代という一つのテーマでもって答申を求めるというのも、何かこう、ちぐはぐなような気がするのですが、予算を、すでに概算要求も出してしまったというふうな現状の中で、明年度予算の中で施策を生かしていこうといっても、予算面ではどうも関連がなかなかつけにくいんじゃないかという感じがするのですが、そこいらは一体どういう判断を政府はしておるのでしょうか。
  92. 西田信一

    ○国務大臣(西田信一君) 確かに、七〇年代という長期見通しに立った科学技術政策の樹立は必要であると存じます。それが、ただいま申し上げましたような、従来とやや方向を変えたということが適当かどうかわかりませんが、そういう要素を加えた政策の樹立ということになるであろうということを申したわけでございますが、しかしながら、もうすでにいま社会問題になっておりますところの環境、公害の問題、これはまさしく最大の問題でございます。そこで、諮問を受けてこの審議をすることにはなりまするけれども、この会議の部会等におきましては、こういう問題につきまして予備的にすでにいろいろな検討を加えております。その中間報告もこの間の会議であったわけでございますが、私どもも、最近非常に問題になっておりますところの公害防止の問題、これにはかなり積極的な姿勢で取り組んでいくという態度で明年度予算要求いたして、おるわけでございまして、この会議におきますところの審議の方向あるいは結論というものと、われわれの明年度予算に施策として要求しつつあるものとは、全く矛盾のないものである、かように考えております。
  93. 久保等

    ○久保等君 大臣のいまの説明を聞いておってもなかなか理解しがたいのですが、科学技術会議で取り上げている問題は、これは非常に広範な、見ればけっこうなことばかり一ぱい書いてあるわけですよ。だけれど、私が先ほどもちょっと申し上げたように、公害問題、きわめて端的に言って公害問題ですが、こういった問題に対してひとつこの際思い切って、技術面から公害原因の追及、それからさらにまた公害の原因がわかれば、それに対して改善するための技術、そういったことについては、これは政府が最も当面の問題として何をおいてもやらなければならぬたいへんな問題だろうと思うのです。一面、経済の成長は予想以上に伸びてまいっている。こういうことが、逆にまた、それだけ公害問題に非常に大きく影響しているということにもなると思うのですが、そういう点からいって、七〇年代の問題は、私は、そういったことにできるだけむしろ焦点をしぼって……。何もかもやるのだと言っているが、少しずつさわって、一向にどうもあまり効果があがらないというふうなことになる可能性があるのじゃないかという気がするのです。同時に、いませっかく、総理が議長をやっている科学技術のこの会議で答申をされるにしても、どうも時期的に、予算要求がもうすでになされる時期に、はじめて諮問をしているというようなことでは、内々部会と連絡をとりながら、すでに四十六年度に盛り込むものは盛り込んでつくったのだという、いまの大臣の御説明ですけれども、諮問する前に事務当局が連絡をとりながらやっているのだという程度では、これは準備としても十分でないと思うのです。  そういうことを感ずるのですが、これはここで今後の政府に対する要望なりとして申し上げることにしたいのですが、大臣から先ほどの四十六年度予算概算要求の中での重点施策についてちょっと簡単に御説明があったのですが、その中で、いま言った公害問題に対しても重点施策の中に取り上げておられるように御説明がありましたし、推進会議なり、あるいは防災研究所、そういったようなものの建設というようなことも言っておられましたからして、公害問題に関する施策について、もう少し詳しく御説明を願いたいと思うのですがね。それから、それに要するおよその予算、こういったものをお伺いしたい。
  94. 西田信一

    ○国務大臣(西田信一君) 公害は、何といっても未然に防止するということが一番要諦であるというふうに思います。そういう意味では、公害発生のメカニズムを科学的に究明して、そうして防止技術を開発していくということが、これがきめ手であると思います。公害のあと始末も大事でありますが、公害を発生しないということが、これが要諦である。そういう意味におきまして、科学技術庁といたしましては、公害防止の研究開発を、各省庁において進めておりますものを総合的に取りまとめ、そうして予算の見積もり調整あるいは特別研究促進調整費というものを活用してやっているわけでございます。ごく最近におきましても、公害対策本部で当面のこういう予算措置を講じましたが、その中におきましても、私どもは、研究の推進ということにおきまして、大気汚染その他最も当面重要な問題につきまして、この促進調整費の中の特別研究費の大部分をそれに出しまして、そうしてこれが研究推進にあたっているわけでございます。  そこで、明年度のことにつきまして少し申し上げますと、第一には、環境科学技術の開発のための基本的な方針というものを定めなければならぬ、そういう意味におきまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、学識経験者を含めました環境科学技術推進会議を設けて、強力に推進をはかりたい。第二に申し上げたいことは、国立防災科学技術センターにおきまして、大型大気環境実験施設をつくって、そこで大気の環境実験をやるための施設の建設を始めたい。第三には、特別研究促進調整費の環境科学技術の分、この予算をうんとふやしたいと考えて要求しております。第四には、例の資源調査所でございますが、これは実際は、こういう意味におきますところのシンクタンク的な役割りを相当果たしている、従来も相当いい研究をいたしましてやっておりますが、さらに環境問題解決に資するために、「環境保全からみた資源の循環過程に関する調査」、こういったことをひとつ資源調査ということで強力に取り上げてやってみたいと考えております。それから次には、航空宇宙技術研究所でやっております中で、ジェットエンジンの騒音ですね、これを何とか音を消すといいますか、低騒音化をはかると申しますか、これをひとつ強力に研究を始めたいと考えております。それから理化学研究所でございますが、ここではいま農薬が非常に大きな問題になっております。農薬がいろんな不利益を及ぼしておるのでございますから、毒のない新農薬の創製の開発、ことにテーマを具体的に取り上げまして幾つかの問題に取り組むというようなことも明年度実施したい、かように考えております。  それから環境問題は、これはただ一国だけで解決できない問題でございます。国際的にどうしても処理していかなければならぬ面が非常に多いわけでございますから、こういうような国際会議の積極的な参加の姿勢をとるとか、それからまた、内外のいろいろな公害に関するところの資料、文献、こういうものを十分収集し、把握いたしまして、そして公害対策本部に全部それが流れて、そこからそれぞれ各省なり、あるいは地方なり、あるいは企業なりに対しまして有効な資料を提供するというような、そういう組み立てが必要であるということからいたしまして、この間そういうような機構をつくることに公害対策本部で決定したわけでございますが、それに、日本科学技術情報センターですね、これはいままでも公害の問題を扱っておらないわけじゃございませんけれども、一つ抜き出して、公害の問題に特別の予算をつけまして、そしてこれを十分活用する、そういう提供をするということが必要でございますから、そういうことをやりたい、かように考えております。  その他、先ほど申し上げたのでございますけれども、特別研究促進調整費なんかも、先ほどそのうち公害の分を一つ抜き出して大幅にふやすと申しましたが、全体もふやしまして、そうして即時促進の体制をとっていきたい、かように考えております。それから先ほど申し上げましたような役所の体制も少しつくらなければならぬということから、できるならば環境科学技術課というものをつくって、それで真剣な取り組み方をそういう機構の上でも実現をしたい、かように考えております。  そこで、いま申し上げましたようなことをやりまするために、約三億七千万円ぐらいの予算を、科学技術庁として、特調費を除きまして、そういう要求をいたしております。
  95. 久保等

    ○久保等君 金額で、科学技術庁自体として三億七千万円の要求ですか、中身をもう少しよく具体的に検討してみないと何とも言えないんですが、きわめて微々たる、ささやかな予算要求ですね。これは中身を詳細に知りませんから何とも言えませんけれども、まあ思い切って、今日こういう社会情勢に置かれておるわけですから……。技術問題にやっぱり帰結する面が非常に多いんですね。それで、関係各省庁にわたる問題で、ひとり科学技術庁だけがそう力んでみたって全面的な解決にならないことはもちろんわかっていますけれども、しかし、最近とかく、技術の問題にしろ、特に公害問題の場合にはなおさらですが、一省庁に終わるといったような問題ではなくて、各省庁にわたる問題が最近とみにふえてきておると思うんですね。ところが、そういう問題に対する政府の姿勢というものは、なかなかどうも一本にまとめて強力に問題の解決をはかっていくというようなことがむずかしいわけです。役所の機構からくる、それぞれのなわ張り争いという意味ではございませんけれども、組織がそれぞれ違うものですから、なかなかうまくいかないと思うのです。だから、私は、技術関係に関する限りは科学技術庁中心になって、単に総合調整という立場だけではなくて、もう少し指導的な立場をとっていくべきではないかと思うのです。まあ、役所の機構からいっても、総合調整局というようなふうに名前がなっておるのですけれども、調整だけではこれは済まされない問題だと思いますし、当面する公害問題なんかに対しては総合対策本部みたいなものをつくっておられるけれども各省庁の出先機関みたいなものだけでは問題は解決しないと思うのですね。だから、できるだけひとつ思い切って、指導的な立場を果たす意味から言えば、公害問題に対して、先ほど来言われるようないろいろな施策も、何かきわめてささやかな構想でしか、ないような感じがいたしますね。そのあたり、たとえば各省庁にわたる面は、ある程度統合する必要があるならば統合してもいいと思うのですね。各省庁で従来どおりやることは従来どおりやっていって、その連絡調整をやるという程度の機能ではなくて、むしろ統合できるものは一つにできるだけ統合していくというような方向に——組織問題、これはひとり科学技術だけの問題じゃありませんし、するから、なかなかこれはむずかしい問題だと思いますが、そういう問題を、私は、それこそ科学技術会議あたりで大いに相談もしてもらったり、結論も出すべきだと思うんですね。幸い、その議長は総理がやっておるのですから、単に総理が、何かこう、大きな組織の上に乗って、しかるべくやれよというようなことで諮問をするということではなくて、こういう場で、いま私が申し上げたようなことの組織問題、役所の組織の問題等についても検討せられて、やっぱり実力を持った組織をつくっていかないと、なかなか問題の解決にはならぬのじゃないかという感じがするのです。したがって、結論を言えば、公害問題については、ひとつこの際、できるだけ各省庁にわたる問題についても組織的に統合できるものは統合していく、そして具体的な問題を手がけていくというようにして、予算面でも、したがって必要なものについてはもう少し仕事のできるに値する予算要求していったらどうか。金額をちょっと聞いて私もびっくりしているのですが、これに対する大臣の所見をひとつお伺いしたいと思います。
  96. 西田信一

    ○国務大臣(西田信一君) いかにも微々たる予算のようでございますが、実はまあ、この中には、たとえば大型大気環境実験施設などは、これだけでも十億もかかるのですよ。十億も一年にとてもできないのです。そういうものをここ二、三年でつくろう、スタートをしようということでございます。それは公害が、どんぴしゃりと、一年でもうぴたっと解決すればいいのですけれども、なかなかこれは、やっぱり人類永遠にわたる対策でございますから、そういう面で少しまだるいような感じもいたしますけれども、これはまた金のかからないものもあるのですね。情報を集めるなんというのは、そんなに何千万円もかかるものではないのでございまして、しかしながら、それはもう有効に活用すれば相当の効果を発揮するというわけなんです。それからまた、資源調査所などは、従来もシンクタンク的な役割りを相当果たしてきて、そうして各省庁に相当の勧告なり報告なりを出して、それも、私調べてみましたが、もうかなり活用されておるのですが、こういうものも、りっぱなシンクタンク的な機関があるのですから、これをひとつもっともっと活用していくということで、公害対策本部でも、国立の公害研究所のようなものを一まとめにしたらどうか、こういう議論も実はあったわけでございますけれども、しかし、いまここでそういうものを一本に全部まとめるということも一つの考えでございましょうが、現在あるものを十分に活用して、ただこれを、ばらばら行政ではいけませんから、機能的に一本に統合していくという、そういうことが適当であろうということで、まあ現在のような体制をとることにしておるわけでございます。  したがいまして、ここに出しておるものは非常に少ないようでございますけれども相当これは根っこになるものでございまして、一面また、これは、率直に申しますと、予算要求の制約も一つございまして、一ぺんにするということはできないものでございます。そういったことでございまして、しかしながら、私はなお要求しておりますが、どうしてもこれは不足である。たとえば、この間情報センターの活用の問題が出ましたが、そういうところで中枢的な機能を果たすとすれば、そういう不足なものはさらに考え直していこう、こういう考えを持っておりまして、決して固定した考えは持っておりませんけれども、実際に政府の施策に対応する、そういった予算要求の姿勢もとっていこうと考えておるわけでございます。おしかりを受けましたけれども、そういう気持ちでございます。
  97. 久保等

    ○久保等君 時間がありませんから、またいずれ機会を見て、いろいろお尋ねしたいと思うのですが、次に、先ほどちょっと大臣のお話にもありましたが、例のロケットの打ち上げ問題で、方針が、大きくというか、当初の計画より大幅に延びていくというようなことの方針に変更せざるを得ないことになったようですが、この問題について特に宇宙開発委員会のほうで見直しをやった結果、どうしても方針を変更せざるを得ないということになったんだろうと思うのですけれども、その理由等についても、時間がありませんから、ひとつ簡単にお尋ねをいたしますので、お答えを願いたいと思います。
  98. 西田信一

    ○国務大臣(西田信一君) 宇宙開発のうちのロケットの開発につきまして一応きめられた計画がございましたが、これを改定することによって非常に大幅におくれるという前提でお尋ねでございました。表面はそうでございますけれども、実際には、事業団自身、去年発足したばかりですが、いろいろ真剣な検討を国の内外にわたっていたさせております。そして、それを基礎にして見直しをいまやりつつあるわけでございます。宇宙開発委員会でまだ最終結論を得たわけではございませんけれども、大体の方向としてはかえって、従来のようなことをそのまま続けておることは、これが早く打ち上げを可能にするものであるかどうかという問題、あるいはまた将来、衛星なんかの要求も、ニーズも変わってまいりまして、非常に大きなものを要求するように国際的にもなってまいりました。したがって、従来のような順序で開発し、QをNとしてやるというようなことが将来のために備えることであるかどうかというような問題、さらに、これをやることによって、それじゃたいへんにおくれるかどうか、いまの計画の実際の見通しと比べて。四十七年に打ち上げるといったそのこと自体じゃありませんが、実際はそうすると必ずしもそうじゃないというようなこと、それからまた、将来Qを開発いたしてまいりましても、固体のQがどれだけ将来の宇宙開発に効果的に使われるかということを考えますと、そこら辺は非常に私も疑問でございまして、むしろ、この際、そういうような内外の諸情勢に対応いたしまして、将来考えておるNというものに、もうすぐここで切りかえて、取り組む、しかも、世界的にも、宇宙の平和利用では液体燃料を使うところが多くなっておりまするし、そういう意味で、将来ずっと続いていく可能性のある、しかも能力のあるNロケットに取りかえることがよくないか、その切りかえをもし将来考えるとすれば、むしろ、その時期がおくれればおくれるほど、経済的にも時期的にも損失である、こういう考えから、大体の方向といたしましては、そこで非常な大転換のようでございますが、思い切ってやることが、時期的にも、着実にやるということにおきましても、それからまた経済的にも、この方法がよかろう、こういうふうな、いま、ものの考え方に立っておるわけでございます。
  99. 久保等

    ○久保等君 五十年度あたりに電離層観測衛星の打ち上げというような計画で進むようですが、そうすると、来年度からそれに至るまでの間についてのいろいろな年度別のそういった計画、目下検討されておると思うのですが、そういう一連の今後における衛星打ち上げに関する長期計画というか、何ヵ年計画になりますか、とにかく五十年ないし五十二年あたりにかけて、気象衛星なり、あるいは通信衛星等を打ち上げようということでありますから、そういったスケジュールの細目についての一応の結論はいつごろくらいまでに出る見通しなんですか。
  100. 西田信一

    ○国務大臣(西田信一君) いま鋭意部会で検討をしております。部会が二つございまして、計画部会と技術部会とございますが、それを経まして、そうして委員会として結論を出すのは、おそらく十月初句くらいになるのじゃないかと存じます。それに、私どもの考え方といたしましては、ただいわゆるペーパープラン的なものでなくて、今度狂いのないものにしたいという気持ちがございますので、財政当局なんかとも十分に意思の疎通をはかりながら計画の策定をはかりたい、こういう考え方であります。
  101. 久保等

    ○久保等君 それから、先般の特別国会で、例の宇宙開発委員会設置法の一部改正で、委員の常勤制をとることになったのですが、あの委員の任命はどういうことになっておりますか。任命状況は、ちょっとこれは事務的な問題ですが、御報告願えませんか。委員はどういうメンバーになって正式に発足したのか。
  102. 石川晃夫

    説明員(石川晃夫君) 現在、宇宙開発委員会のメンバーといたしましては、委員長と、それから委員が四名でございます。委員長は、科学技術庁長官委員長をなさっておるわけでございますが、委員といたしましては、具体的に申しますと、山県委員、関委員、大野委員、吉識委員、この四名の方が委員になっておられます。なお、関委員が七月におなくなりになりましたので、現在一名欠員になっております。  なお、本年の七月からこの宇宙開発委員会も常勤制をとりまして、山県委員と関委員が常勤委員として任命されたわけでございますが、ただいま申しましたように、関委員がおなくなりになりましたので、現在、常勤委員は山県委員だけでございます。
  103. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 森君。
  104. 森元治郎

    ○森元治郎君 簡単に伺います。  八日の日に私むつ市へ行ってきました。原子方船も見せてもらったわけですが、だいぶん当初の計画よりおくれておるようです。したがって、ここに書いてありますが、開発事業団法の延長を来国会に提案するわけですね。なぜおくれたのか。先ほどロケットの話でも、大転換——私どもも大転換と思うのですが、少し当初の計画が甘過ぎたという感じと、万事にあせりがある、科学技術には、早くやろう早くやろうとしている、こういうことを大きい結論に感じて帰ってきたんですが、  原子力船に関する限り、どこでおくれているのか。
  105. 梅澤邦臣

    説明員(梅澤邦臣君) 原子力船につきましては、四十二年度から着工したわけでございまして、船のほうにつきましては、この七月でき上りまして、むつ市へ回航したわけでございます。実は、船の建設ということで一月半おくれております。これは、中に、遮蔽その他のところにコンクリート打ち込みがございまして、それと、やはり狭いところでやるということで、工期が少しかかりました。そういうことで一月半ほどおくれました。そこで、実は原子力船事業団の法律は四十六年度までになっております。したがって、今度炉が、いま乗っける形になっておりますが、それが確実にいつできるかということを再度先般再確認いたしましたわけでございます。そうしましたところ、炉のほうにつきましても、狭いところに炉を持ち込むので、なかなか——安全性あるいは炉のタイプそのものについては関係ございませんが、ただ、作業、工作技術といいますか、その点で、いまのところ約三カ月くらいおくれるのではないか。したがいまして、昔の計画でいきますと四十六年の一月に一応引き渡しが受けられるという考え方でございましたのが、引き渡しが四十六年の六月末ごろになるのではないか。したがいまして、五ヵ月半くらいのおくれが生じてまいったわけでございます。これは、要するに、やはり初めの計画に基づいてやったのですが、どうも、途中工作する手段というか、そういうところでいささかおくれたのが原因でございます。
  106. 森元治郎

    ○森元治郎君 どのくらい延ばすのですか、事業団法は。
  107. 梅澤邦臣

    説明員(梅澤邦臣君) つきましては、事業団法は四十六年度末まででございますが、現在科学技術庁の中に検討会を設けております。船ができ上がりましてから、慣熟運転と申しますか、原子力第一船としてデータを全部取るわけでございます。それに約一年かかる。それから試験航海ということをやりますので、いま私たちが事務的に考えておりますところでは、約四年ほど延ばさしていただきたい、その法律改正をぜひお願いしたい、こういうことで、いま期間の検討検討会で進めておるところでございます。
  108. 森元治郎

    ○森元治郎君 どうも、狭いところで作業やるのが非常に予想以上にむずかしい、数カ月のおくれだと思うのだが、この際どうせ延ばすついでに長く延ばしてしまえ、という感じを受けるわけだがね。新聞を見ると——私の記憶が違っていれば直してください。この間晴海に来たときは、どの新聞も、五十何億かかって、四年かかって来年の五月だか六月ごろには処女航海に出るようなことをみんな書いているんですね。いまお話を聞くと、とんでもない、四年、だから昭和五十年か、五十年くらいに初めて、できましたといって帰ってくるんだ。国民は非常にだまされたような感じを受けるのですね。そのあなたの言う、試運転で航海するとかなんとかいうのは、初めからわかっていることだと思うのだが、事業団をつくったときには、そんなことはあとでやればいいんだというふうであったのかどうか。あまりに長いですね、単に工期の問題でなくて、どうですか、少し、四年というのは。
  109. 梅澤邦臣

    説明員(梅澤邦臣君) 一番最初の計画では、四十六年度末に一応船が完成いたしまして、それかう慣熟運転を二年やります、二年やりましてそれが終わりましたところで、一般の特殊貨物船として、営業と申しますか、実際の仕事に入るというので、期間が二年ございます。したがいまして、四十六年から二年あったわけでありますが、もちろん、その間、試験航海と称しまして、仕事もいたします。まあその関係で、それから計算いたしますと、約一年半今度私たちが言っているのは延びているわけでございます。その一年半延びましたことは、一つは、慣熟運転のしかた——原子力船の第二船の問題をわれわれ考えております。第二船の問題を考えて、それに対処しましての実験データというものを全部この際初めにとっておいたらどうか、したがいまして、試験航海二年というのは、実験データを全部とる、百五十テーマくらいございますが、それをやってしまおうということをいま考えに入れておるわけであります。この点が、検討会で、入れるか入れないか、問題にされているわけでございますが、したがいまして、延びました点は、船が動き出しますまでには半年延びましたが、試験運転して試験データをとるというところの期間が延びまして、その間にはこの船は当然各所に運転しながらデータをとる、それで、実験航海をするという形で、法律を延ばさしていただきたい、こう思っておるわけであります。
  110. 森元治郎

    ○森元治郎君 いまのお話ならば、四年延ばさなくても、当初計画から一年六ヵ月の延び、あなたの計画ならね。二年は運転その他でやるが、一年六ヵ月延びたのだと。何もこの際四年もばさっとふっかぶせるのは、何か私はわからぬな、延ばすのは。
  111. 梅澤邦臣

    説明員(梅澤邦臣君) ちょっと申しおくれましてあれですが、どうしても事業団がそのときに解散になるわけでございます。したがいまして、その後船をどうするかということがございますので、実は私たちのほうは、二年間その船の実験航海が全部終わりまして、その船を特殊貨物船としてどういう運航条件に持っていくか、たとえばどこかの会社に引き渡すか、あるいは事業団として進めていくかということの検討の期間と、それから事業団そのものの整理がございます。それを実はいま申し落としたのでございますが、そのことを入れまして、やはり四年間をお願いしたいというのが考えでございます。
  112. 森元治郎

    ○森元治郎君 これで質問をやめますがね。詳しく勉強していないから質問をやめるけれども、私は、あせりだと思うのです。はやり、あせり。見込み違いが相当多いかと思うけれども、いかがですか。
  113. 梅澤邦臣

    説明員(梅澤邦臣君) 実は、この船につきましては、一番最初は貨物船という考え方で行ったわけでございます。その後、やはり少し大きくして特殊貨物船と、その間に二年間ございました。したがいまして、そのときには、特殊貨物船として必ずだいじょうぶ行けるという、その当時の人の話では、行けるという考え方がございました。ただ、何ぶんにも初めてでございますので、何といいますか、工作技術、その点で四カ月半延びたわけでございますが、それからもう一つ私たちがラフだと自分から思うところは、慣熟運転その他のところの期間でデータをとるべき課題というものが、その後だんだんやってきますと、あるいはオットー・ハーン等外国の例を見ますと、そのデータをとったほうがいいという課題がふえてきたわけでございます。したがいまして、二年の慣熟運転の時間というものの中でやる仕事が非常に多くなった、ふえたと、こう存じております。
  114. 森元治郎

    ○森元治郎君 それでは、大臣ね、要するに日本人の頭を信頼するのですよ。なかなか頭はいいと思うのです。だけれども、少し、落ち着いてじっくりという点がないのですね。ものをつくり始まってからいろいろな要求がそこへくっついてきて……。ロケットだって、固体と液体では白と黒くらい違うというのだな。こんなことをあっさりと引っくり返していく。また将来何が出てくるかわからない。今度、勉強していてもわからないから早いところアメリカから知識を借りてきたほうが、姿勢制御でも何でももらってきたほうが早いのじゃないか、こういうことで、私は日本の科学はほんとうの積み重ねの伸びがないと思うのですよ。これ、科学技術庁長官として、特に指導する立場で、じっくりやってもらいたいということを申し上げて、質問を終わります。
  115. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 田渕君。
  116. 田渕哲也

    田渕哲也君 先ほどの御質問にもありましたが、宇宙開発関係で大臣にお伺いしたいと思うのです。  昨年十月の宇宙開発委員会で、Qロケット、Nロケットを中心とする固体燃料中心の開発計画が作成されたわけであります。あれから一年たたないうちに基本的な計画変更をされる。これは、ロケットの計画というのは大体数年に及ぶかなり長期のものになると思うのですね。それが、去年の十月にそういうものを決定しておいて、いかに情勢の変化ありとはいえ、一年間の情勢の変化でそれを変えざるを得ない。それなら、将来また今後一年の間にどういう情勢の変化があるかもしれません。そう、ころころ変えていたのでは、長期にわたる開発計画というものは進まないのじゃないかと思いますが、この点について大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  117. 西田信一

    ○国務大臣(西田信一君) 去年の十月につくったものを、一年たたずして改定することは問題があるということでございますが、それは確かに、一年前につくったものを、しかも相当内容の違う改定をしようということは、見方によりましては問題があると存じます。しかし、未知の世界と取り組んでおる宇宙開発でございまして、計画にも十分でなかったものがあるといわれれば、私はその点は、すなおにおしかりを受けなければならぬと思うのでございますが、ただ、計画ができて、それから事業団ができまして、実際の実施は事業団がやるわけでございますから、その実施の主体であるところの事業団が、いよいよその計画に従ってやるという立場に立って、具体的なその開発、さらにその検討を進めました結果、とうてい従来の計画どおりには開発はむずかしいということが一つございます。  それからまた、これも見通しが甘かったと言われればそのとおりだと思いますが、衛星のニーズが非常に変わって、しかも本年に入って非常に大きな要求が出ている。しかも、これもかなり具体的に出てまいったわけでございます。そういう情勢の変化。それから、最初、昨年計画策定当時考えなかったような大型のものを打ち上げる、さらに将来、もっと少し遠い将来になりますけれども——遠い将来と申しましても、そう遠からず、放送衛星などはもう一トン近いものを打ち上げなきゃならぬというような情勢にも進むと、こういうようなことでございます。そこで、現在持っております計画どおりにまいりましても、これはとうていそのいまの要請にはこたえられない限度がございまして、ということが結果として明らかになってまいった。そこで、従来考えておりました、Qロケットを開発して、その成果をいろいろなことに移していく、そして固体燃料で−上のほうは液体を使いましたけれども、でいこうということでございましたが、そういうようなことで進んでまいりましても、とうてい将来の衛星の要請にこたえられないということ。それからまた、Qロケットの開発等も、いろいろ技術導入等、アメリカとの協定等もございますけれども、何しろ、固体燃料のロケットでは、いろいろ技術導入にも重要な部分についてはなかなかむずかしい面があるというようなこと、そしてこの際そういう段階を踏んでまいりますと、非常におくれが出る、四十七年どころじゃなくて、ずうっとおくれる、かえって、このまま切りかえられるよりも、もっとおくれるだろうというような、いろいろ真剣な検討をさせましたが、そういうようなことでございます。  そして、そういうことになりますし、また一方、東大のほうは、御承知のとおり、まだ固体ロケットで、これは全く自主的な開発をやっておるわけでございますけれども、「おおすみ」が上がり、次の衛星も期待しておるわけでございますが、そこで同じ道を行っているわけでございます、やり方は違いますけれども。  そこで、将来のNロケットについても、あくまでも固体でいくことが適当かどうかということの検討の結果、これはやっぱり、各国の状況を見ましても、液体であることが大きな推力を持ち、かつまた制御技術の上におきましてもそのほうが確率が高くて、そして将来の大きな衛星の要請にもこたえられるというようなことが総合的な判断として出てまいりましたので、そこで、これをずるずるとやっておりましても、かえって国益という立場から見ましても損失であるというような結論が検討の結果出てまいりましたので、そこで、先ほどから御答弁申し上げておりますような方向に一挙に切りかえて、そして進めるということによりまして、むしろかえって、打ち上げの時期も、いままでの計画そのままずっと続けていくよりは、むしろおくれるのではなくて、四十七年という計画そのものはおくれますけれども、実質的におくれないで済むのじゃないか、そして将来にもずっと続けていけるんじゃないか、しかし、固体のこれは、将来やっぱり大型も打ち上げますためには、また上のほうも使いますし、それから補助ブースターということで、どうしてもこれは必要でございますから、これも放棄するわけではございませんけれども、主体は液体ロケットに切りかえることが、経済的にも、財政的にも、あるいはまた時期的にも、その他技術的にも、このほうが最も適当であろうと、こういう考え方に立ったわけでございます。ただ、残念なことは、計画策定後一年をたたずしてこういう改定をするということが、非常におしかりを受ける点であると思いますけれども、しかし、ここで逡巡しておりましても、かえって将来の長期的な立場から見るならば、この際思い切るべきであるというふうな判断に立ったわけでございます。
  118. 田渕哲也

    田渕哲也君 まあ、固体燃料のこれからの開発の見通しがどうかとか、それから液体燃料に切りかえたほうがいいか悪いか、私、しろうとですから、よくわからない面がありますが、まあ技術的にむずかしい面があると思いますが、技術的な面での検討というのは、どの機関でやられたのですか。
  119. 石川晃夫

    説明員(石川晃夫君) ただいま長官からもお答えがございましたように、昨年の十月に宇宙開発計画ができたと同時に、宇宙開発事業団も発足したわけでございます。宇宙開発事業団では従来からQロケット及びNロケットの開発の計画を進めておりまして、そうしてそれのシステムデザイン等についても検討を進めていたわけでございます。その十月の計画ができましてから、事業団においてもさっそくこの検討にかかったわけでございますが、事業団の内部におきましては、その中に担当の部がございまして、専門の理事がございまして、そこで検討を進めてまいったわけでございます。その結果、先ほど長官からのお話のような考え方がまとまったわけでございますが、これは、ただ事業団で考えたというだけでは十分でございませんので、宇宙開発委員会の中に技術部会を設けまして、その技術部会の中には、ロケット関係、衛星関係の専門家が数十人専門委員として名を連らねているわけでございますが、この技術部会で検討していただいているわけでございます。したがいまして、この点につきましても現在まだ技術部会において検討中ではございますが、結論といたしましては、大体先ほど申しましたような結論が出かかっているわけでございます。
  120. 田渕哲也

    田渕哲也君 その技術部会ですが、技術部会で十分な論議が行なわれたかどうか。私らの聞くところによれば、それほど論議が行なわれていない。最近開かれた技術部会は八月二十五日でしたか、そのときにもいろいろ議論が出たけれども、結局、結論は出ずじまいといいますか、部会長が計画の切りかえを再検討するというふうなことで終わったと聞いておりますが……。
  121. 石川晃夫

    説明員(石川晃夫君) その宇宙開発委員会の技術部会におきまして再検討というお話でございましたが、実は、その点は少し異なりまして、この内容につきまして、さらに専門的なものを集めて検討するということで、現在検討を進めております。これにつきまして、まず二回ほど、いままで詳細については検討を進めたわけでございますが、それをさらに詰めまして、また技術部会に報告する、こういう形になって進んでおります。
  122. 田渕哲也

    田渕哲也君 これは、手続としましては、技術部会で一つの結論が出てから宇宙開発委員会にかけることになるわけですか。
  123. 石川晃夫

    説明員(石川晃夫君) もともとこれは宇宙開発計画の問題でございますので、これを正式に扱うところは計画部会でございます。ただ、計画部会が自分の考えをまとめるために、技術部会においてその技術的な内容について検討を進めるということになっておりますので、技術部会で検討された結果は、計画部会に報告されまして、計画部会において計画を策定したあと宇宙開発委員会の正式の会議にかかるわけでございます。
  124. 田渕哲也

    田渕哲也君 この技術部会が技術的なことを論議するとするならば、その中で、いままでやはり固体燃料関係の推進してきた技術者がおるでしょうし、それから液体燃料関係技術者もおると思いますが、やはりそこいらの話し合いを十分やって、技術的には納得のいった上で進めてもらわないと困ると思うのですが……。
  125. 石川晃夫

    説明員(石川晃夫君) その点につきまして、委員会の技術部会長の吉識委員のほうからも、その点は十分詰めるように各委員に話がありまして、現在詰めている段階でございます。
  126. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから、ちょっと費用の面でお伺いしたいのですが、固体燃料の開発計画は六年間で約千五百億円ということを聞いていたのですが、液体燃料に切りかえた場合、これはどのくらいの費用の計画になるのですか。
  127. 石川晃夫

    説明員(石川晃夫君) 現在試算されておりますのは、千五百億よりは多くなると思います。ただ、いままだ最終的な、でき上がるまでの経費は十分固まっておりませんので、やや多くなりますので、約二千億近くになるのではなかろうかというふうに考えております。
  128. 田渕哲也

    田渕哲也君 外国の例を見ましても、コストの面ではやはり液体燃料のほうが大体高くつく、特にソフトウエアとか施設費を含むと約二倍というのがその相場だということを聞いておりますが、そうすると、費用の面では、液体燃料に切りかえる場合では、やはり多額の費用が要るのじゃないかと思いますが、その点、どうなんですか。
  129. 石川晃夫

    説明員(石川晃夫君) 確かに、おっしゃるとおり、固体燃料のロケットと同じ性能までに達する場合には、固体燃料のほうが安く上がるというふうにわれわれも考えているわけでございます。Qロケット、さらにそのあとのNロケットというものを固体ブースターを使っての開発計画は、大体千五百億から千七、八百億という試算がされていたわけでございます。ところが、このQロケットのシステムデザインをやっている過程におきまして、やはりいままでに予期しなかったいろいろな技術的な問題点が出てまいりましたので、その点につきまして一つ一つ解決してまいりますと、時間がかかりますと同時に、やはり経費的にも増加してくると思います。しかし、それを見込みまして、かりに百キログラムの衛星を上げるというところまで考えますと一それは当初QN計画として考えていた計画でございますが、そこまでを考えますと、確かに固体燃料を使ったほうが安く上がるのではないかというふうに考えられますが、そのあとに百キログラム以上の衛星を打ち上げるということまで長期的に考えますと、液体燃料のほうが経費が節約になるというふうに考えております。
  130. 田渕哲也

    田渕哲也君 どちらにしても、これは多額の金が要るわけですし、それから日本の国としても非常に大きな計画ですから、その辺の経費の問題ももう少しはっきりした見通しなり、あるいはわれわれが見ても納得のできるようなものをやはり出していただかないと、やってみて、液体燃料のほうが高くつくからまた途中で変更するという、こんなことがあっては何をやっているかわからないという、その辺、もう少し納得のいくような資料なり、そういうものを出してもらいたいと思います。
  131. 石川晃夫

    説明員(石川晃夫君) その所要経費の件につきましても、宇宙開発委員会におきまして、これは計画部会で検討されることになると思います。したがいまして、現在、技術的な詰めが終わりまして、それが計画部会に出る段階におきましては、当然その問題が検討されるというふうに考えております。
  132. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから、いままでのQ計画を進めてきたというのは、一応打ち切って捨てるということになるわけですが、その間経過的にかかった費用というのは、大体総額どれくらいですか。
  133. 石川晃夫

    説明員(石川晃夫君) わが国の宇宙開発計画東京大学の開発を除くわけでございますが、それを除きまして、現在までに、四十四年度までには、大体百四十億近くかかっております。その中に、特にQロケット、Nロケット——四十四年度に決定された計画でございますが、それまでに要した額は百億近くでございまして、それ以外の大体四十億近くの金でございますが、それは、QN計画ではなくて、いわゆるわが国のロケット開発の基礎的なものとして使った経費でございます。
  134. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから、液体ロケットに切りかえた場合、アメリカの技術を導入するということになると思うのですが、この導入あるいはアメリカのロケットを購入する、その機種についてはどう考えておられますか。
  135. 石川晃夫

    説明員(石川晃夫君) 現在、その機種については事業団のほうで検討中でございますが、性能的に見ますと、これは大体アメリカのソー・デルタに近い形のものになるのではないかと考えております。
  136. 田渕哲也

    田渕哲也君 ソー・デルタについてですが、最近のアメリカの技術雑誌を見ますと、ソー・デルタが非常にトラブルが多いというようなことが載っているわけです。特にこのソー・デルタは、すでに十五年前に設計されたもので、言うならば中古品に似たようなものじゃないか、そういうこともあって最近トラブルが特にふえている、こういうものを高い金を出して導入するということについて若干疑問があると思いますが、その点、いかがですか。
  137. 石川晃夫

    説明員(石川晃夫君) ソー・デルタ・ロケットについて御説明申し上げたいと思います。  ソー・デルタが初めてできましたのが一九六〇年でございます。十年ほど前でございますが、その後、このソー・デルタにつきましては逐次改良が進められてまいりまして、現在までに約八つの改良型ができてきております。今後まだ、三種類、四種類の、年々——大体一年ないし二年間隔でございますが、これを改良していく計画があるようでございます。したがいまして、このソー・デルタといいましても、われわれ、もしかりに技術導入をいたすとしましても、そういう古い型ではなしに、新しい型のものを、実際われわれが使えるものを導入したいというふうに考えております。  次に、故障、事故の件でございますが、確かに事故は絶無ではございませんでして、やはり幾らかの事故を起こしております。しかし、現在の新しい型のソー・デルタの事故件数を見てみますと、新しい型のロケットとしましてはロング・タンク・タイプというのがございますが、それで見ますと、三十五発打ち上げまして、そのうち三発失敗いたしております。これは、中のシステム関係のところでそれぞれ故障を起こして、そのために途中で破壊したというものもございますが、三十五発打ちまして三十二発成功、三発不成功という結果になっております。それ以前の型でございますと、二百二十七発打ちまして十一発失敗という結果が出ております。
  138. 田渕哲也

    田渕哲也君 これはアメリカの「プロダクト・エンジニアリング」という雑誌に出ているのですが、特にソー・デルタのロケットの事故の例を全部あげているわけですが、最近かなり事故がふえているというようなことが書いてある、ことしの二月の発行のあれですがね。この事故がふえている原因は、一つは、かなり古いロケットだから、部品にしても昔つくった部品が組み立てに使われているとか、それからもう一つは、組み立て自体に問題があるとかいうこともあげておりますが、そういう非常に問題のあるロケットだということが雑誌に載っているわけですが、その点、どうなんですか。
  139. 石川晃夫

    説明員(石川晃夫君) 私どもで入手いたしておりますデータは、先ほど申し上げたようなデータでございますが、ただいま御指摘のような点もございますので、われわれのほうで慎重にその点についてさらに調査を進めていきたいというふうに存じております。
  140. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから安全性の面ですが、液体ロケットが事故を起こした場合には、火災とか、そういう面で大事故になる可能性があるということも言われております。特に日本の打ち上げ場の場合は比較的住居に接近しているわけですから、そういう辺の対策はどうなんですか。
  141. 石川晃夫

    説明員(石川晃夫君) その点につきましては、確かに、お話のとおり、種子島周辺、あまり大きな島ではございませんので、そのうしろに民家もあるわけでございますが、この点、安全の問題につきましては、やはり今後非常にこれは重要な問題でございますので、われわれも慎重に検討して、さらに調査を進め、設計にあたってもその点を十分配慮していきたいというふうに存じております。
  142. 田渕哲也

    田渕哲也君 それでは、あまり時間もありませんので、この辺で終わりにしますけれども、一つ要望したいことは、やはりこれは技術的に見てもいろいろな面から論点があろうと思うのです。だから。固体燃料の技術者は、固体燃料のほうが絶対いいんだ、これで開発も可能だと、それから大型ロケット、大型衛星打ち上げも可能だというふうな自信を持っておるようでありますし、また、液体燃料のほうは、それなりの利点なり言い分があるでしょうが、やはり、こういうような大きな計画だけに、十分その点を尽くしてから方法をきめていただきたい。宇宙開発委員会や技術部会の経過を見ましても、何か、あまり身のある論議になっていないのじゃないかという気がするわけです。むしろ、先に政府方針が出て、それからあとで何かそういうことで論議しておったような気がするのですが、その点、やはり国民の納得のいくような論議なり、あるいはその計画というものを示していただいて、それから方向というものを決定していただきたいと思うのですが、以上特に要望したいと思います。
  143. 西田信一

    ○国務大臣(西田信一君) 宇宙開発は新しい分野の開発でございます。また、しかしながら、国民生活にとりましても、将来はかなり重要な役割りを果たすというふうに思われます。したがって、実は関係各省庁からも、時期的なことも含めまして、たいへん強い要請もちょうだいしておるわけであります。これらも十分調整をはかりながら、この要請にもこたえながらやっていかなければならぬということであると思います。  そこで、いま先生のおっしゃいましたように、私ども何も、とらわれた考え方で、こうきめたからこうだということで、ものを考えているのじゃないということは御承知いただきたいと思います。ですから、ずいぶんこれで事業団も、海外に人を出し、ずいぶんいろいろな角度から検討をし、それからまた、海外からも来ていただいて、そうしていろいろな、何と申しますか、意見交換をやったりいたしまして、そういうすべての、それからまた、わが国の宇宙開発自体の、責任のある立場においての責任を感じつつ、いかにすればむだがなくて、そうして確率が高くて、そうして早く目的を達し得るかというような、そういう角度から掘り下げた検討をすべきであるし、また、そういう態度で臨んでおるわけでございます。したがいまして、何といいますか、政府が先にきめて、そうしていいかげんなことで結論を出すというようなことはございませんので、したがって、大蔵省に対しましても、この問題は予算の手続き時期をおくらしてもらって、そうして十分なその検討の結果が出てからあれしょう、こういう態度をとっているわけでございますから、十分その点は心得てまいりたいと思っております。
  144. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) ほかに御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十四分散会