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国務大臣(山中
貞則君) まず最初の制度について、なるほど本年度中に発足するようだが、それは実際上
返還までに完全に
本土並みになり得るかどうかという問題でございますが、これはたいへん悲観的でございます。制度としては
沖繩も同じようになる。しかしながら、その実施については非常にむずかしい町村が多いだろうと思います。現在内地においても二カ町村まだ実施できない離島がございます。したがって、現在の日本の
国民皆保険は、二カ町村だけ
国民健康保険を離島のために実施できない町村があるのだということを私たちは知っておるわけでありますが、そのことから考えましても、やはり
相当な手当てをしなければ、
沖繩においては
復帰のあとも独力で健康保険をやれるような市町村がやはり依然として数が少ないのじゃないか、その点をたいへん心配をいたしておるわけでございます。
先ほど何か落としたと思いましたのは、ヘリコプターとそれから巡回診療船でございましたが、これもやはりそういう
意味では機動力を発揮してくれることによって救急医療、もしくは正常な
国民健康保険の診療給付等に大きく役立ってくれるものと期待しておるわけでございまして、これらはできれば来年度予算等でももう少し考えられれば考えてみたいと思っておりますが、さしあたりはどのように活用ができるか、
琉球政府の医師の乗り組みその他の活用計画その他をよく拝見をしてみなければならぬと考えております。
生活保護の問題も、当然
復帰いたしますと、生活保護というものの結果として、
沖繩における比重が
相当高いことになるかもしれません。これはたいへん好ましくないことであり、残念なことでありますけれ
ども、
現実には主食が本土の半分くらいで買えるのだ、生活のかてとしての何とか生きていく道はわりといい条件が一方にあるとしましても、全体の生活の状態から考えて、場合によってはやはり生活保護の医療給付というようなことが
相当国のほうでめんどうを見てあげなければいけないのじゃないかと思われる島々がございます。結果論で、
基地論争をするつもりはございませんが、結果論で、本島の一部には非常に繁栄をしておる、所得も高いところもございますから、そこのところは特別な本土と比べて特色のあるほど生活保護階層がふえるという心配もないかと思いますけれ
ども、やはりそれらの点も
復帰後しばらくは主食も据え置いて、本土の食管は売買差損を持ちながら、
沖繩には現在の国際価格並みの配給を内地米でしようというようなつもりでおりますし、来年度予算にはそれを量をさらに三万トンからふやしていきたいと考えておるわけでございます。
医師の確保の問題で
政府のほう自体も何かしろということでございまして、医科大学の将来の問題は別にいたしましても、もうこれはすでに何べんも続けておることですけれ
ども、財源に例をとりますと、専門医は二十五人だけ派遣する予算の
ワクはございますけれ
ども、実際に行ってもらった人は十人しか行ってもらっておりませんし、無医地区に駐在してもらう人の予算は十五人取っておりますが、これも現在実際に行ってくれて苦労していらっしゃる方——先般、私、離島に参りまして、非常な御苦労をねぎらってもきましたし、私に対してしかふんまんのやり場のないつらい思いをたたきつけられもいたしました。しかし、たいへん苦労をしていただいておりますが、しかし、予算
ワク一ぱいどうしても確保することができない。歯科医等につきましても、巡回歯科医を三人確保しておりますが、予算定員上はそうでありましても、行ってくれた人は二人であるというようなこともございます。さらにまた、中部病院等において現在アメリカが月俸二千ドルというようなたいへんな金額の医者を連れてきて治療、診療もしくは
沖繩医療のレベルの向上にたいへん貢献をしておりますけれ
ども、来年はそういうものはやめるということをはっきり申しておりますので、そうすると、
沖繩にいる現在のアメリカ人の医者を日本
政府が給料をまかなおうとしても、一人月二千ドルというようなべらぼうな金を出せるかというと、とっても出せないと思います。そうするとおこって帰ってしまうかもしれません。おってくれても、せいぜい日本
政府が出すとすれば千ドル出せば日本
政府としては大奮発であるというような感じもいたしますので、やがて中部病院等は県立病院みたいな形で公立病院として医師の確保をはかっていかなきゃならぬ。そういうような
問題等も踏まえておりますが、要するに、こちらのほうがお願いをしてみてもなかなかまた行ってもらう人もそうたくさんはございませんし、国費留学で内地のほうに来て、医者になる資格を持って診療行為ができるようになっても、皆さんが全部さっさと使命どおりに
沖繩に帰ってみんなのために医療行為をしておられるかというと、国費留学の問題もそう簡単には全面的に成功しておるとも言えない節もございまして、ここらは、たいへん医者という職業の
方々のあるべき平均水準の生活のレベル環境というものから考えて、ことばで言うはやさしく確保はたいへんむずかしい問題だと考えます。
なお、将来の問題としての町村の財政力の問題でございますが、どうしても
沖繩においては町村合併をいま少しく促進をしてもらう、あるいは
本土政府のほうがそれらに援助をすることによりまして、無用な町村——無用と申しますか、むやみと細分化された町村が本土に比べて目につき過ぎますので、ぜひ町村合併を進めてほしい。そして合併したために単一町村としてのむだな出費も少なる半面、力も二倍になるわけでありますから、町村合併等も推進しながら、市町村財政の充実に努力をしてまいりたいと思いますが、四十六年度予算においては、もし本土であったならばどういう交付税というものが行くか、あるいはどういう金額の起債というものが認められるか、これを十分念頭に置いていく。現在は
沖繩の県内の市場では、起債といってもそれは名目のみの起債である。民間の銀行から五年償還の高い金利の金を借りておるのが起債といわれるものであるというようなことを考えますときに、町村役場を銀行の金を借りてりっぱな鉄筋の建物を建てておる。これは台風その他の
影響を受けてどうしてもつくらなければならない必要に迫られてつくった鉄筋の庁舎でも、五
年間に金を返さなければならぬ。そうすると、鉄筋の庁舎をつくって、その庁舎がその銀行への償還財源を生むような利潤は何もあげてくれないわけですから、村長さんにたいへんですねと言ったんですけれ
ども、それらのもの等を考えますと、象徴的なものでございますので、当然本土の町村であったならば借り得る
政府債、市町村債というものがなるべく
本土並みになるように
復帰前にも
措置をして、市町村の財政力を充実せしめて、少なくとも人間が生存するための必要な医療保障の底辺をつくるために、市町村財政の支障をなるべく少なくするように努力をしていきたいと考えます。