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1970-03-26 第63回国会 参議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月二十六日(木曜日)    午後零時四十五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         温水 三郎君     理 事                 金丸 冨夫君                 藤田  進君     委 員                 木村 睦男君                 佐田 一郎君                 重政 庸徳君                 平島 敏夫君                 前田佳都男君                 渡辺一太郎君                 岡  三郎君                 瀬谷 英行君                 森中 守義君                 三木 忠雄君                 中村 正雄君                 山田  勇君    国務大臣       運 輸 大 臣  橋本登美三郎君    政府委員       運輸大臣官房長   鈴木 珊吉君       運輸省鉄道監督       局長        町田  直君    事務局側       常任委員会専門       員         吉田善次郎君    説明員       運輸省航空局監       理部長       川上 親人君       運輸省航空局飛       行場部長      丸居 幹一君       日本国有鉄道総       裁         磯崎  叡君       日本国有鉄道常       務理事       小林 正知君    参考人       新東京国際空港       公団理事      岩田 勝雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————   〔理事金丸冨夫委員長席に着く〕
  2. 金丸冨夫

    理事金丸冨夫君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案の審査のため、必要あるときは新東京国際空港公団役職員参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金丸冨夫

    理事金丸冨夫君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 金丸冨夫

    理事金丸冨夫君) では、新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 新空港は四十七年の三月までにできるという計画だそうでありますけれども、現在のところ予定どおり四十七年に開業できるというスケジュールになっているのかどうか、その点を最初にお伺いしたいと思います。
  6. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 具体的なことはまた航空局長から、あるいは公団総裁がおいでになってからお答え申し上げることにして、大体、本年度予算を御承認願えれば来年の七月には供用開始ができるということで、順調に進んでおります。
  7. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 まだいろいろな問題があると思うのです、買収その他のですね。で、問題があるので相当困難はあると思います。しかし一応四十七年に空港ができ上がると仮定をして、空港と都心とを結ぶ交通の問題でありますけれども、先ごろ来、成田新幹線といったような話が出ております。新幹線成田までつくるというようなことはなかなか簡単なことじゃないと思いますね、在来線を使うわけじゃないですから。そうなると、どう計算してみても、かりに成田新幹線を通すとしても、新幹線空港の開業までに間に合うということはあり得ないんじゃないか、こう思うのでありますが、その点はどうですか。
  8. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) お話しのように、新幹線はもちろんこれは間に合いません。で、新幹線のことはこれは近い将来の問題として新幹線網の場合に御決定を願うわけでありますが、当分の処置として運輸省で考えておりますのは、御承知のように複々線の工事千葉までできます。同時に、京成電車がかねてから新空港乗り入れの申請をいたしておりますので、京成電車としてはもちろんこの供用開始までに間に合わせる、また、具体的に間に合うように工事は進んでおるようであります。道路の問題があるわけでありますが、道路の問題は京葉道路の先をもちろんこれはやっております。これは間に合うわけでありますが、しかしながら、現在の京葉道路は非常にふくそうしておりますからして、はたして十分なる道路輸送ができるかどうかはなかなかむずかしい問題でありますけれども、同時に、この問題は、湾岸道路がすでに工事に着手しておりますので、これをできるだけ早く完成させまして、それといわゆる空港との間の道路をつなぐ、こういう考え方でおるわけでありまするが、とりあえずは、いわゆるこの京成電車空港乗り入れ、これと一応京葉道路は込むと思いますけれども京葉道路の延長としての道路完成等によって、当座の間はしのいでいけるという方針工事を進めておるわけであります。
  9. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 京成の新東京国際空港乗り入れについての計画によれば、京成上野と新東京国際空港間を空港特急で六十分で結ぶようになっていますね。で、その運転回数は一日三十五往復、三十分間隔の運転、こういうことになっております。この京成乗り入れのほうは、これは予定どおりできるようでありますけれども国鉄在来線を使った場合の輸送というのは、新空港開始に間に合うようになるかどうか、新空港使用開始と同時に国鉄在来線を使って東京まで乗り入れをするというプランは具体的にどうなっておるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  10. 町田直

    政府委員町田直君) お答え申し上げます。  国鉄在来線を使って成田乗り入れるかどうかという問題につきましては、実はまだ最終決定を見ておりません。検討中でございますので、これからの問題としてでございます。したがいまして、新空港開設の来年の四月までに開に合いません。したがいまして、いまのところは、先ほど大臣から御答弁がございましたように、京成電鉄でとりあえずまかなうと、結論としてはこう考えております。在来線を使って成田へ入れるかどうするかという問題につきましては、先ほど先生からお話のございました新幹線という問題が一方ございますので、それとの関連も検討いたしたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  11. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 国鉄総裁も見えたので、国鉄総裁にもお伺いしたいのですけれども、いま国鉄千葉のほうから隅田川の底をもぐって東京駅へ入れる工事をしております。これは完成はいつになっておりますか。
  12. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 東京駅までは一応四十七年十月の予定でございます。
  13. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そっちのほうはやはり空港とは合わないわけですね。まあ四十七年十月に東京駅まで入るとすると、そのルートを使って新空港東京間はどういう方法でもって連絡をするようになるのか。所要時間がどのくらい、あるいはまた京成電鉄のような特別な特急電車運転するような構想があるのかどうか、それらの点についてお伺いしたいと思います。
  14. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 問題は、私のほうの成田の駅から空港まで相当距離がございます。これを一応別にいたしまして、成田から東京駅まで、いまいろいろ検討いたしておりますが、とにかく一時間を切りたいと、五十七、八分で入れるんじゃないかと。ただ、朝晩の通勤時間帯はちょっと無理だと思いますけれども、ラッシュ時間をはずすならば、一時間に二本ぐらいは五十分台で成田東京間を走れるだろう。これはいまあります現在線の急行型の電車で十分だと思います。しかし、問題は成田国鉄の駅までお客さんが一体行ってくれるかどうか、それが一番問題だと思います。成田までバスで来て乗りかえるということもちょっと無理だと思いますし、結局私のほうの成田の駅と空港との間の輸送が一番問題だろうと思います。成田からこちらはとにかく五十分台で東京駅まで結べるという計画を持っておりますけれども、はたして利用されるかということが一番問題だというふうに考えております。
  15. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 京成電鉄が新空港線路を延長する計画があるんですけれども京成電鉄国鉄じゃゲージが違うから同じ線路を使うというわけにいかないと思うんですけれども、しかし、せっかくこういう工事をする場合に、京成電鉄国鉄と相互で共同出資をして、両方とも成田空港へはいれるというような工事をするというほうが合理的ではないかという気がするわけです。それをやらずに京成電鉄京成電鉄だけでやる、国鉄新幹線成田にまたつくることを考えると、まちまちのことをやっておるとむだが多いような気がするんですね。そういう点は一貫した計画は立てられないものでしょうか。その点をお伺いしたいと思います。
  16. 町田直

    政府委員町田直君) まあ御指摘のようなことがあると思います。ただ、現在やっておりますのは、京成電鉄上野まで来ておりますのを空港に延長しようと、こういう計画でございまして、その同じ線を、たまたま成田から空港までを国鉄に使うということがはたしてうまくできるかどうか、その辺のところは今後の検討の問題だと思います。  それから、新幹線共用するということになりますと、これまた全然話が変わってまいりますので、新幹線との共用というのはむずかしいのじゃないか。問題はやはり空港の中の駅なりアプローチでございますか、そういうものについては今後当然新幹線が入るということも考えられます。あるいは国鉄在来線が入るということも考えられますので、その点については十分両方のことをよく何と申しますか、調整をしながら、空港公団のほうとも話し合いをしていく、空港公団において計画を立てる、こういうことで進んでおります。
  17. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 大臣の都合もございますから、ここで大臣にもう一度お伺いしたいのですが、京成電鉄は一時間、国鉄も一時間、ざっとですね、ともかくどちらも一時間で結ばれるようなことはいまの段階でも可能なわけです。そうすると、京成電鉄を利用しても、国鉄を利用しても、在来線を利用しても、まあ一時間足らずでもって連絡をするということが可能になってくる。そこにさらに新幹線を新たに成田まで考えるということは、ちょっとむだが多いような気がするのでありますけれども、これはあえて時間短縮のために新幹線をここに考えなければならないのか、あるいは常磐新幹線のついでに——ついでにというとおかしいけれども、いわば常磐新幹線ということを将来考えて、成田を通り、あるいは鹿島を通って、その途中に成田新幹線を考えるということになるのか、その点はどういう構想なのか、大臣見解をお聞きしたいと思います。
  18. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) お話しのように、二重になるのじゃないかというお話でありますが、ただ御承知のように、将来超音速機が着くようになりますというと、太平洋を渡ってくる時間が非常に短縮されるわけであります。日本に着いてから長い時間かかるというのは好ましくないので、できれば五十分台から三十分台になるというのが望ましい状態でありますからして、より早い電車を必要とすると思います。しかしながら、これはまあなかなかきょうあしたの問題ではありませんので、十分の調査と、その他建設に時間も要しますからして、何年先になるかは別問題でありまするが、ただ、将来考えますというと、いまの京成乗り入れ電車があり、あるいは国鉄が無理をして成田までできましても、やはり新幹線というものが将来必要になってくるのじゃないか、その場合にはいま瀬谷さんがおっしゃったように、単独に成田新幹線を引くというのじゃなくて常磐新幹線につなぐという考え方で、したがって何キロぐらいになりますか、おそらく十キロか十二、三キロでいいと思いますが、そういう支線を常磐新幹線からとりまして、そうしてあとは全部共用線に使うという形になるのじゃないかと思います。その場合に、常磐新幹線がどこを通るかという問題はいろいろ地質等調査もありましょうから、鹿島工業地帯を通るのか、あるいはやっぱり現在の常磐線に大体似通ったところを通るのか、これは技術その他の調査等によってきめなければなりませんが、いずれにせよ常磐新幹線を大部分利用する、こういう形で成田新幹線を考えたらいいのじゃないか、これはまだ私個人の見解でありますが、これからいわゆる新幹線網法案が出て、その場合において具体的に審議せられることで、単なる私見でありますので……。将来はやはり三十分台で走る電車空港から東京までする必要がある、それにはやはり新幹線というものを考える必要がある、だろう、かように考えるわけであります。
  19. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 国鉄総裁にお伺いしたいと思いますが、いま期末手当の問題で組合順法闘争を行なっているということなんでありますが、これは労使双方の間で解決努力をしておられると思いますけれども早期解決の目安をつけておるのかどうか、一番ぶつかっている点は、難点はどういうところなのか、ちょっとお伺いしたい。
  20. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 期末手当の問題は毎年の問題でございますが、ただ御承知のとおり、ことしは人事院勧告で多少内容か変わってきておりますので、国鉄の現下の財政状態で直ちに公務員並みにできるかどうかということが論争の争点でございます。しかし、私はなんとかこの際はなるべく早く話をきめたいと、このように思っておりますので、もうしばらく団体交渉におまかせ願いたいというふうに思っております。
  21. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そんな問題は、公務員並みにすることができるならば、問題の解決は早いんじゃないかと、端的に言うと。その点はどうですか。
  22. 小林正知

    説明員小林正知君) 国鉄財政事情先生すでに御承知のとおりな状況でございまして、四十四年度予算実行過程におきましても、当初の予定からかなりきつい状況になってきております。私どもといたしましては、予算に盛り込まれております〇・二カ月分というものにつきましては、これはすでに当初から織り込まれておるのでありますが、その他公務員との格差は、先般人事院勧告において公務員の場合に本年度増加いたしました〇・一分加えますと、公務員国鉄予算計上分との差〇・三が交渉の対象となるというかっこうになるわけでございますが、収入の面におきましては、この点は、予算収入に対してある程度の減収を免れないという事態でありますので、努力によりましてどの程度の節約ができるかという問題について、また、可能な見通しになるかということについて目下経理的な精査をいたしておりますが、その辺の事情を明らかにした上でその問題に対処したいと、かように考えております。
  23. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 公務員並みということが、かりに国鉄財政事情がどうであっても、結果的には公務員並みの措置ができないということになれば、これは組合として当然反発をするというのは考えられることなんです。ところが、財政事情がこうだからしかたがないでは済まない問題だろうと思うんです。そこで、国鉄財政的に赤字である限りは、人事院勧告がどうであろうと裁定がどうであろうと、公務員並みのことはできないというたてまえをとるならば、これからは年度手当だけじゃなくて、年がら年じゅう同じ問題でもって労使が激突をしなきゃならぬということになると思うんです。この根本問題については相当考える必要があるんじゃないかと思うんですが、問題の解決はやはり財政上の問題である、こう思うんですが、その点はどうですか。
  24. 小林正知

    説明員小林正知君) ただいまのお尋ねでございますが、現在の制度におきましては、先生すでに御承知かと思いますが、予算総則におきまして、その第十七条におきまして、特別給与の支出という条項がございます。その場合に、国鉄の場合は一般公務員の場合と違いまして、職員能率向上による企業経営の改善によって収入予定より増加した場合、と申しますのは予算で見込んだ収入よりも増加いたしました場合、あるいは経費予定より節約することができた場合、この場合には運輸大臣の御認可をいただきまして、その増加額または経費節減額の一部に相当する金額職員に対して特別の給与ということで支給することができる、かような弾力的な体制を制度としてとっているわけでございます。したがいまして、一般公務員のように期末手当勤勉手当を含めて申し上げておりますが、何割ということできまっておるものでたしに、当初から二%低い金額で定めておきまして、その年度間の業績収入、あるいは経費節減職員によるそういった努力の成果によりまして、特別な給与ということで、その分を支給する。過去の実績といたしましても、公務員の場合よりも多かった事例もあるわけでございまして、制度といたしまして、ただいま申し上げましたような制度になっているということを御了承いただきたいと思います。
  25. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 その制度黒字にならなければ、あるいは赤字がある限りは公務員並みのことはできないということになっておれば、財政状態か悪ければ、それは職員努力のいかんにかかわらず財政状態が悪ければもらえるものも人並みにもらえないということになってしまうんですね。そうなれば労使紛争というものは、最初からどうしても、話をせざるを得ない、団体交渉でもって解決をするのがたてまえだと言ってみても、根本的な原因が制度上の問題にある、財政上の理由にあるとすれば、最初から解決していかないことには根本の解決は不可能じゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  26. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) いま読み上げました予算総則は、現在国会提案中のものでございますが、結局予算よりも収入が実際に多ければこれは問題ないわけでございます。しかし、現実に予算より多いどころか運賃値上げのおくれ等もございまして、だいぶ減っておる、そうすると、あと節約以外には余地はないわけでございます。期末手当をやるから財投を貸してくれというわけにこれはまいらないと思います。したがいまして、どうしてもやはりみんなで増収ができなければ節約をして、働き出すということ以外には私は方法はないと思います。これは仲裁委員会仲裁等にも常にその点がはっきりされておりまして、やはり支払能力の問題を考えながらこの問題は処理していかなければならない。もちろん、公務員の場合は人事院の関係がございまして、私ども制度のたてまえが違っておりますので、さっき申しましたとおり、公務員よりよかった場合があるわけでございまして、給与の盛衰に従ってある程度の弾力性がなければ企業内におけるベースアップというものはできない、こういうふうに考えます。
  27. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 弾力性なんというのは、しかし持てないような状況になってきているんじゃないかと思うのですよ。そこで、現在の労使間の紛争というものは、組合との団体交渉でなるべく早く解決されることを希望したいと思うのですけれども、しかし、国鉄仕組みそのもの弾力性がだんだんなくなってくる。財政の重荷というものは、借金には利息がつくわけです。利息はどんどんどんどんかさんでくるということになると、国鉄財政がこれから好転をするという可能性がきわめて少ないということ、そうなるとますます財政上動きがとれないという事態が出てくるのじゃないかと思うのです。  そこで、この問題にちょっと触れてみたいと思うのですが、「交通技術」の三月号に角本良平という人が「七〇年代の鉄道に期待するもの」ということでいろいろと書いております。それはまあ新聞にも出ておるのでありますけれども自力ではとても独立採算方針をとっていく限りは黒字経営にするということはむずかしいという意味のことが書いてあるのですね。それに対して磯崎国鉄総裁談話としては、同じような言い力を、将来私自身がしなければならない時期があるいはくるかもしれない、しかし、現在は国鉄再建十カ年計画であくまでも独立採算制のワク内で考えているんだから、職員が一致して努力をしてもらいたいし、こういう発言をすることは職員意欲をそぐのだという意味談話を発表しておるのです。それに対して、国労の中川委員長のほうは、あたりまえのことを言ったものだという談話を発表しておるし、千葉大学の教授の清水馨八郎氏は、建設的な発言でけっこうである、こういうことを言っております。で、この問題は、国鉄再建計画を考える場合に、メンツの問題じゃなくて、事実の問題として相当真剣に考えるべき問題点をたくさん内蔵していると思うのでありますけれども、いま、国鉄か考えている方針に多少どうも水をさすというだけの理由で、総裁がこんなことをしゃべられちゃ困るということを言うのはかえってまずいのじゃないか。この種の正直な率直な意見というものは遠慮なく問題の提起をさせるのがほんとうじゃないかと思うのですが、なぜ総裁はこの角本発言について職員意欲をそぐという遺憾の意を表明しているのか、その点をお伺いしたいと思います。
  28. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) この原文を先生たぶんお読みくだすったと思います。実は角本君の言っておることの前に二つ前提がございます。一つは、いまの日本経済成長発展を遂げている過程鉄道に対する依存度が低いのじゃないか。思ったほど伸びない。それが第一点であります。もう一つは、鉄道のような人件費の負担が非常に重い産業では、なかなか、給与ベースがいまの調子で上がっていった場合は採算はむずかしくなる。この二点が前提になって、自力ではとてもだめだ、こういうことを言っております。これは論文の中に書いてございますが、私は、ですからその二点にまず問題があるわけです。こういうふうにただ結論だけを取り上げてしまって、一番角本自身前提として言っておることの前提をねぐってしまって結論だけを議論するのは、非常にミス・リーディングになるというふうに私は思っております。  したがいまして、もし彼の言うごとく、まず第一に、日本のこれだけ経済発展がある中で、鉄道に対する依存度がどんどん減ってくるのだ、貨物においても旅客においても鉄道のウェートがどんどん減っていくのだ、逆に言えば、われわれが幾ら努力しても鉄道に対するシェアはふえないのだ、いかに企業努力してもだめなんだということが考え得るかどうか。これが第一点だと思います。  第二点は、いわゆるべースアップの問題。御承知のとおり、現在の人件費でまいりますと、千円上げますと百億でございます。ですから、もしいま組合要求のごとく一万六千円のベースアップをいたしますと、実に千六百億の経費が要るわけでございます。それはともかくといたしましても、千円で百億、一%上げますと七十億でございます。そういう非常に大きな人件費をかかえているときに、人件費問題が今後どうなるかということについての多少のロングランの見通しを立てなければ、しかもここでは全体の七〇%以上を占める人件費の将来性というものを何かの基準で判断をした上で議論をすべきじゃないかというふうに考えます。  したがって、私は、今後の国鉄の将来の問題といたしましては、一体いま以上ほんとう収入がふえないかどうか。収入と申しますのは、鉄道に対する依存度をふやすことができないのかどうかということが一点。  それからよく仲裁委員会で言われますが、給与ベース仲裁できめるけれども、もし払えなければ頭数を減らすべきだということが仲裁委員会のときによく話が出ます。そういう際に、いまのような急激な給与ベースの上昇の過程において、頭数が一体どの程度減らし得るのか、それをもって人件費全体をどう持っていくかで、収入問題と人件費問題、この二つ前提として問題を考えていかなくちゃいけない、私はそういうふうに思っております。  そのほかに、さらに、過般の九月十二日の政府国鉄再建に関する基本方針の中にもございますとおり、なるべくほかの交通機関と立場を同じくするように努力しよう、いわゆるイコールフッティングということばで言われておりますが、まあ私どもから申しますれば過保護に近い飛行機、自動車、船、無保護の国鉄鉄道、これが一体競争できるのかどうか、この基礎を直してやると政府がおっしゃっているので、これを直していただけば、ある程度の収入の増加も期待できるのじゃないか。もう一点は、過去独占事業であったがゆえに、非常にたくさんの公共負担その他についてうちが負担をしておることは御承知のとおりでございますが、それについてもひとつ考えてやろう。こういうことが政府基本方針にうたわれておる点もございます。したがって、そういう政府としての国鉄に対する方針も相当私は期待できると実は思っております。  そういう企業内の私ども努力と、それから企業外における主として政府の側でやっていただくいろいろな施策と、この二つを考えて鉄道輸送が伸びるか伸びないかということが将来のポイントだと思います。しかし、どうしてもそれでもだめだと、たとえば英独仏のごとく、約三分の一の鉄道を撤去して十万以上の人を減らす、それでもやっていけなくなったときには、いわゆる自力ではとてもだめだということで、政府から相当大きな援助をもらっています。ですから、私はまだ現時点でそこまで言うのは早い。やはり企業内、企業外のあらゆる努力をした上で、それでもほんとうにどうしても鉄道というものはだめなのかどうかということを見きわめた上で言うべきであるということで、私はあえてここで申しましたように、私自身そういうことを言わざるを得なくなるような時期が来るかもしらぬということを申しましたのはそういう意味でございます。ことばとして絶対あり得ないとは私は申しません。しかし、必ずしもこういう奈落の底に落ち込んでいくばかりだとも私は考えておりませんので、その辺、努力過程にあるということをこの際はっきり四十数万の職員に知らしたいというのが私の気持ちでございまして、したがって、端的に前提を全部抜きにして結論だけを言われることはきわめて迷惑であるというふうな表現をしたつもりでございます。
  29. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 しかし、だれが考えてみても今日の国鉄というのは赤字を生まざるを得ないようになっているという理解はしていると思うのですよ。投資をして、その投資で赤字線をどんどんいま建設をしている。でき上がった赤字線をまた国鉄がしょいこむ。これを過去繰り返してきたのですからね。  そこで、これも三月十六日の新聞に出ておったことなんですが、ローカルの赤字線は国鉄が別会社の構想を立てて経営の立て直しをはかる、地元と共同出資をすると、こういうことが出ております。じゃ、人件費節約するために人間を減らさなきゃならぬ、人間を減らすということになると、ローカルの赤字線を撤去する、廃止するという以外になくなってくるわけです。そういう方法でもってじゃ、ローカルの赤字線を解消するということが今日どのように考えられておるのか。これを具体的なプランとしていま検討をされつつあるならば、その構想についてこの機会にお聞かせ願いたいと思います。
  30. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 現在の四十数万の職員の数を減らす方法といたしましては、必ずしも赤字線だけの問題ではございませんし、全般的な合理化投質その他による頭数の削減、これは当然あるわけでございます。しかし、御質問の赤字線の問題にしぼってその問題に焦点を当ててみますと、私ども赤字線のうち全く将来性のないもの、これはあくまでも私は合理化すべきものと、こういうふうに確信いたしております。しかし、よく地元の方ともいろいろお話しするんですが、この線路は非常に将来観光開発ができるのだ、あるいは住宅地になるのだ、あるいは工業団地になるのだ、こういう構想をよくお述べになります。それは反対せんがための反対ではなくて、現実問題としてそういう場合があることもありますし、しかし、あるいは単に反対のための反対の場合もありますが、もしそういう将来性のあるものであるならば、むしろ、よくいわれます開発利益の還元というふうなこととからみ合わせて考えるべきじゃないか。  これから先はまだ政府にも申し上げておりませんので、私の私見としてお聞き取りくださればしあわせでございますが、私はそういうふうにローカルの輸送をやっていながら、しかも将来性があるということを地方で考えておられる路線があるのならば、その線路を中心にして、たとえば県有地であるとか、あるいは県の持っておられる土地だとか、あるいは市の持っている土地とか町村有地、そういうものを極力使って、その鉄道線路を中心にして開発をやっていく。しかも、私どもにはそういう能力がございませんので、地元の県なり市町村のしかるべき方と一緒になって開発を考える。そうすれば、開発利益は一部の鉄道会社の利益に独占されることなく、やはり地元に還元されるというふうに考えられますので、私は構想としては、去る三月幾日に出ました構想を私個人としては持っております。しかし、これはいろいろ法律改正の問題も要しますので、すぐにはできませんが、ごく個人的に私は、知事なんかにお目にかかったときに、そういう構想を申し上げております。こういうことは考えられます。その中にはぜひやってみろとおっしゃる方もおられますし、だめだという方もあります。いまいろいろ具体的にそういう方法を考えている最中でございます。これはあくまでも政府にまだ正式に申し上げておりません。私の個人的な見解でありますので、念のために申し上げておきます。
  31. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 赤字線の問題を解決をしないで、そして国鉄赤字を云々してみても、これは世論は納得しないと思うんですよ。したがって、この赤字線の問題は何とかしなきゃならぬことだろうと思うんですね。  で、いま総裁発言の中に、人員の節約赤字線の問題だけじゃないというふうに言われたけれども、人間を減らすことによってサービスが低下するということじゃ何にもならぬと思うんですね、これは。なるほど、それは駅をやめてしまえばその駅の人間はそれだけ浮くわけです。たとえば上野東京の間に幾つかの駅があるけれども、そいつを全部やめちまうということになれば、人間は減らすことができる。そのかわり、その中間駅を使っていた人はもよりの駅までいままでの倍も三倍も歩かなきゃならぬということになる。貨物輸送の集約輸送でも同じことが言えると思うんです。だから、その点はやはり利用者のことを考えなきゃいかぬと私は思うんですよ。利用考のことを考え、職員のことを考えていくというたてまえがまず先行しなきゃならないと思うんです。そろばん勘定だけでもってともかく人間を減らせばいいということではいけないと思う。合理化ということばは今日どのように理解されているかというと、下級幹部には人間を節約することが合理化であるという思想が行き届いちゃっているんじゃないかという気がするんです。だから、利用者のことを考えないという運営が反動としてあらわれている。そういうことでは国鉄の本来の使命とは逆行することになる。国鉄の本来の使命に徹するならば、人間を節約することじゃなくて、利用者の便宜をはかることであり、そうして働く人間の生活を守るということも並行して考えていくということでないと円満な運営はできないと思うんですね。そういう考え方は、はたして総裁としてはどういう考え方でもってこのいろんなことを、合理化の問題について現場を回って言ってきておられるのか、その点をお伺いしたいと思うんです。
  32. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私、就任いたしましたときに、まず第一に申し上げましたことは、利用者あっての国鉄なんだ、これは旅客についても貨物についても当然同じことでございますが、利用者がなくなれば鉄道が滅びてしまう、これははっきりしております。したがって、あくまでも利用者中心の合理化であり、利用者中心の再建でなければならない。これは言うをまちません。  しかしながら、一方ひるがえって見て、現在の鉄道事業はちょうど再来年で百年でございます。昔から百年目ということばがよくございますが、実際現在の国鉄状況を見ますと、いわゆる利用者に接する面におきましてはほとんど、百年前に鉄道が開通したときと同じような仕事のしかたをしております。これでは日本のあらゆる企業、世界のあらゆる企業が近代化しているのに、鉄道のサービスだけはいつまでも百年前と同じでなければいけないということは私はないと思います。したがいまして、ある程度利用者に御協力願わなくちゃいけないし、ある程度人がいたのが機械にかわる、ちょうどスーパーマーケットの、人がいなくなって、自分で物を運ぶと同じことになるかもしれませんが、しかしある程度の企業化、合理化というのは、多少他企業のテンポにおくれてもどうしてもやらなければいけないということを考えております。そうしないで、いたずらに三兆数千億の資産が立ちぐされになってしまったら、これこそ国民に対して一番申しわけないことだというふうに考えておりますので、私はあくまでも利用者の便益を考える、しかしながらある程度いまの時代に即した便益を考えるということを前提にいたしまして、鉄道の近代化、合理化を進めてまいりたい、それが私の使命である、そういうふうに存じております。
  33. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 利用者のことをあまり考えているとは思われないような具体例を私は国鉄の利用者としてしばしば痛感するわけです。先般も大臣に話したんですけどね、今度の大臣は茨城県の出身、上野駅をよく利用されるわけです。現在の上野駅と東京駅と比較をして、新大阪の駅と比較をしてみた。すると、新大阪なり東京駅なんていうのは新築の応接間だとすると、上野駅なんかはこわれたごみ箱みたいなものですよ。それは話になりませんね、その混乱ぶりは。こういう状態がもう放任されているんですね。今日、いろんな工事やっているけれども、十年ないし十五年ぐらいおくれております。よくあんな状態を放任しておいて良心が痛まないものだと私思いますよ、実際。設備がきたないだけじゃなくて、サービスも悪い。ゆうべも私は福井行きの急行に乗って帰ったんですけれど、乗る場所がなくて洗面所へ入っていったんです。そうしたら洗面所に先客がおりまして、私は会社の用で、急にこの汽車で富山まで行くと言われた。しかしあしたの朝までこんなところに、洗面所につぐんでいるんじゃやりきれない、こう言っておりました。おたくはどこまで行くと言うから、私は近いところでおりるからいいけれども、全く気の毒だというふうに私も同情したんです。土曜日でもないのに何でこんなに込むんでしょうか。万博に行くにしてはおかしいんだ。万博に行くのにこの汽車に乗るはずはない。どう考えてもわからない。こういうお客さんのぐちを私は聞かされていたわけです。私もすわっていったわけじゃない、洗面所に、洗面所ですから何人も入りません。通路まで一ぱいだ。ああいう状態は東海道線じゃあんまりありません。ところが上信越線、東北線じゃざらですよ。これは利用者のことを考えているということにならぬと思う、結果的にこういうダイヤを組んでいるということは。それから、さらに具体的な例を申し上げますと、去年の十月のダイヤなんでありますけれども、ダイヤ改正で私がちょっとふしぎに思ったのは、特急列車、これは不定期の特急列車、その不定期の特急列車のために普通の急行列車が待たされるというケースがありました。それで、このダイヤをもらって調べてみると、上りの八〇二八という特別急行が大宮を通過をする、これはどこから出てくるのかわかりませんが、そのために、その前に着いた急行列車が五、六分大宮で待避するようになっております。ところが、この特急列車が実際に走ったということは聞いていないのです。つまり、ダイヤはできたけれども、一回も走っていないのですね。まぼろしの特急列車なんです。そのまぼろしの臨時特急列車のために定期の急行列車は毎日のように五、六分待たされる。こういうような例はほかにもあると思うのです。普通列車が待避するという例もたぶん一ぱいあると思う。こんなのはずいぶん利用者をばかにした話ですよ。こういう戯れのダイヤのようなものを組んで、いたずらに毎日毎日むだな時間を浪費させているというようなことは、どう考えてみても利用者のことを考えているというダイヤの組み方じゃないと思うのですね。そういう点はすみやかに反省をして、そして改めていかなければならぬと思うのですが、その点どうですか。
  34. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 具体的なダイヤの事例については、いま御答弁するだけの知識を持ち合わせておりませんが、まあ、ダイヤをつくる際にも相当専門家が一生懸命つくったものだと私は思っておりますが、そういうむだがございますれば改める機会をなるべく早くつかまえて改めるべきものと、こういうふうに考えます。
  35. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 じゃ、それらの点については事実を私のほうで指摘をした場合には関係者のほうで善処させるようにしてもらいたい、こう思います。  先般も、私は写真にとっておいたのですけれども、座席指定の車があった。うしろのほうの一般の車はみんな満員で立っている。座席指定のグリーン車を見たらお客が一人しかいない。それで私は写真にとっておいたのです、これは何かの参考になると思って。あとでこれ、お見せしてもいいですけれども、これなんかもずいぶんむだだと思うのです。いくら指定料金を取ったとしても、一人のお客から何万円も取るわけにいかないでしょう、これはきまっているんだから。ところが片方はぎゅうぎゅう詰めに込んでおる。ああいうつり合いのとれないような列車を走らしている。これは指定席の料金に欠陥があるのか、急行料金その他、そういうところで問題があるのか。いずれにしてもそういう点は改める必要があると思うのですね。そういうむだを排除していく必要があろうと思うのでありますが、まあ、それらの点についてはまたあらためて私のほうで注文したいと思いますが、先ほどの赤字線の問題でありますけれども、この三月十六日の新聞記事によりますと、国鉄のある幹部は、私案であるけれども、長野県の小海線は観光線になる立地条件を備えている、また埼玉県の川越線は宅地造成でふくれ上がる首都圏の人口を受けとめることができるし、営業が好転して線路や車両が整備されれば幹線のバイパスとしての役割りを果たすこともできるのではないか、こういう記事が載っておりました。そこで、私もこの際ちょっと川越線の問題について申し上げたいんですけれども、いま県議会あるいは各地の市議会が一斉に開かれております。そういう地方議会では交通問題が一番話題になるわけです。ところが、国鉄のほうは、川越線というのは赤字線だから、あれは合理化してしまえと、こう言っている。しかし、首都圏の中にあって、投資をすれば、整備をすれば、輸送力を強化すれば十分にこれはもう沿線の開発に役立つと思われるところが、従来の実績か赤字だからといって、これをまま子扱いにしたんでは、いつまでたっても赤字は解消できないのです。だから、ああいう地理的な条件にあるところは、国鉄もあるいは私鉄の相互利用ということをやって、線路というものを国鉄だけが使うのじゃなくて、私鉄も乗り入れをさせて、そして西武鉄道であるとか、東武鉄道であるとか、こういう鉄道両方で使えるようにして、そして電化をする、複線化をする、自動化をする、こういうことをやっていけば、合理化によって消極的に要員の節約をはかるということ以上に開発利益というものを期待することが十分にできるのじゃないかと思うのでありますが、それらの問題について関係の地方自治団体、県であるとかあるいは市の注文を聞いて、国鉄として前向きに対処するということはできないものかどうか。その点をお伺いしたい。
  36. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 現在私のほうでは、たとえば通勤輸送と申しますとどうしても東京周辺の大幹線に金が集中いたします。また地方におきましても、やはり幹線の複線電化というふうな大きなアイテムがあがりまして、どうしてもその小さいと申しますか、ローカルローカルの問題に手が届かない、やはりわずかながらの、三千数百億の投資では幹線筋が精一ぱいである、支線にはどうしても手が回りかねておる、これが率直な現状だと思います。したがって私は、いまの川越線の例が適切かどうかは別としても、たとえばそれが民営であるとか、あるいはそこだけの鉄道であったならば、必ずや無理してでもそこへ金が入ると思います。それが国鉄なるがゆえに末端のところまで手が届かない、どうしても幹線に金が入ってしまう、それが現行制度一つの大きな矛盾だと思います。私はですから先ほど申しましたように、もし川越線なら川越線を国鉄と埼玉県とで共同経営する、しかも国鉄は現物出資をする形で共同経営する。そうすると、埼玉地方のローカルの金融力によりまして電化もできるでしょうし、複線化もできる。また、沿線の開発利益の還元は、当然その県なら県が中心になって鉄道会社を中心とした一つの開発会社に還元できる。開発利益の還元といいましても、これはなかなかできませんので、やはり私鉄が現在やっておりますように、自分で持っておる土地に建物をつくる、造成するということがやはり一番早い開発利益の還元だと思います。一たん不動産業者の手に渡ってしまったものを鉄道会社に引き上げるということはほとんど不可能に近いと思います。したがいまして、私はもし川越線が未開発ならば、そこでもって川越線を中心とした宅地開発のできるような企業体をつくるのが一番手っとり早いのじゃないかというふうに思っておるのでございます。  これは先ほど申しましたとおり私の私見でございますので正式には申し上げられませんが、それ以外に四千億弱の国鉄工事費でもって、新幹線もあるのだ、複線電化もあるということではなかなか地方のローカル線に手が届かない。いま先生のおっしゃったように、多少手を入れればよくなるということはわかっていてもそこまで金が回らない。それが企業体が小さくなればやはりそれを中心として考えますので、無理してでもその地方の金でもって金が回るようになる、私はこういうふうに思うのでございますけれども、これは多少現実問題と離れますけれども、地方のローカルローカルの問題はそういうふうな解決のしかたがいいのじゃないか。その新聞にも出ておりました、たとえば相模線の例が出ておったと思いますが、昔砂利を運んでおりました相模鉄道というものがいますっかり立ち直っております。これは鉄道部門だけで完全に黒を出しております。これはうちの相模線とほとんど同じころできた。しかしながら一方では猛烈な複線電化もしてしまっておる。ところが、うちの相模線は、やはり東海道線とか第二東海道線とかあるいは東北線とか、ほかの幹線の犠牲になっておると申しますか、他に金が入ってしまいまして相模線へはさっぱり金が入らぬということで全然開発がおくれておる。これなんかもやはり考え方を根本的に変えませんと、私はいまの手が届かないというところの組織上の欠陥、考え方の欠陥を根本的に直すことはむずかしいのじゃないかということでそういうような新しいアイデアを考えてみたということでございます。
  37. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 私は、国鉄の問題を考える場合は、いままでのしきたりなり、いままでの制度の中でだけ考えようとすればどうしても限界が出てくるのじゃないかと思いますね。これはできないことをやれと言ったって無理な話なんですね。ざるで水をすくうようなことをやったって、これは水はすくえないわけですよ。ところが現在の国鉄は、それはたとえて言うならば高利貸しから金を借りて慈善事業をやっているようなかっこうになっておるのですから、財政がよくなるはずがないのですよ、これは。それを職員のしりをはたいて、一生懸命やれば何とかなるというのは、これは戦争中の軍隊みたいなもので、負けることを承知の上で必勝の信念を持てば何とかなるといって兵隊を鼓舞激励したのと同じだと思う。だから、やはり国鉄の問題を考える場合は、現在の制度なりあるいは法律なり慣行なりのからの中に入らないで、新しいアイデアというものをここに出していかなければならないと思う。その意味では角本良平氏という人の書いていることは、なかなか私は参考になると思うんですよ。だから、こういうものをいたずらにいまの国鉄の再建にとって水をさすからけしからぬというふうな、そういう取り上げ方はすべきではないと思うんですよ。むしろ、こういう考え方は一般の職員の中からも積極的にくみ上げるべきだと思うんですよ。そうしないと、職員は張り合いをもって仕事ができなくなる。幾ら働いても働いても現行の制度の中ではらちがあかないんだということになれば勤労意欲なんというものはわいてこない。しかも、その中でもうからなければ年度手当も人並みにくれないというのでは、ますますやる気をなくしてしまう。その意味でローカル線の赤字線の問題にしても、手を加えれば黒字になるという個所は積極的な方策でもって手を加えていくという努力をすべきだと思うんですね。  いま埼玉県の例をあげましたけれども、私ども社会党でも赤字線の視察を去年やりました。その中で、たとえば行きどまりの線を延長してほかの幹線につなぐとか、あるいは私鉄と連係をするとかいう、方法によってはかなりこれは開発の効果をあげることができるのじゃないかと思われるものがたくさんあります。だから地方の自治団体、県であるとかあるいは市であるとか、そういうところから国鉄の問題について要望があった場合に、いま総裁が言われたような構想だけでなく、たとえば川越線の場合にしても、県と国鉄と、あるいは関係の私鉄とが協力して、たとえば川越なんというところは国鉄の駅もあるし、東武鉄道の駅もあるし、西武鉄道の駅もあるが、みんな別のところに駅があり、市民は非常に不便を感じているんです。ああいうところは一つにまとめて、乗りかえができるようにする。相互乗り入れをすれば乗りかえなしに利用ができるようになる。しかも、電車が新宿まで走るようにするとか、あるいは所沢から大宮まで走るようなことができれば、これは必ずいまの川越線は私はスタイルを変えると思う。そのことは国鉄の幹部だった人も現に言っているわけですからね。みすみすこういう条件に合うものを、いままでの考え方の中で、単なる赤字ローカル線として手を抜いていくということでは、これはもったいないと思うんですね。だから、そういう地元の県等の要請があった場合に、たとえば関係の局長とか支社長と話し合いをして、そうして前向きに問題を解決するということはできないものかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  38. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 確かに百年たちました現在の国鉄にとりまして一番大事なことは従来の常識を破ることだと思います。いままでの考え方では、まさにじり貧状態を続けざるを得ないと思いますので、どうしたら古い考え方、古いものの進め方を破り得るかということが、われわれは国鉄を再建できるかできないかというキーポイントになるかと思います。したがいまして、いまどうしても現状で手の届かないようなローカル線については別な行き方を考えるべきではないか。しかも、これだけ開発利益の還元ということが叫ばれながら全然実行されない、また、実行しようとしても非常にむずかしい租税という形で実行する以外にない。こういう方法ではいけないので、現に私鉄はどんどん開発利益の還元をしておる、それと同じような方法国鉄が実施した場合、地方自治体と一緒になってやればそれで目的を果たすのではないか。しかし、いままでの考え方でいけば、国鉄か一部を現物出資をして地方自治体と会社をつくるということはとんでもないことだというおしかりを受けると思いますが、そういう常識の破り方ができないと、いまのままではあくまで全線国有でなければいけないのだ、全線国有、国営だという考え方ではやはりむずかしいので、いまの鉄道の組織というものは、主として幹線にかかって、地方はやはり私鉄と同じようにやる、手の届く地方地方の企業体に戻していく、ちょうど鉄道敷設法の第二条に、地方の交通を目的とするならば国有にしなくともよいということをはっきり書いておりますが、その思想をもう一ぺん考え直すことも、先生のおっしゃった常識を破るという一つ考え方だと、私はそういうふうに思っております。
  39. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 角本発言についてですけれども、その意味では、この角本良平氏が、現状ではどうにもならぬ、財政の再建とかなんとか言っておるけれども独立採算制、現状で何とかしょうとしてもだめなんだという考え方は、私は認めてもいいじゃないか。いま総裁が言っておるように、思い切って在来の常識を破って、そして新たな方針を再建のために考えるという意味では、私は角本発言というものは認めていいんじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  40. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) だから、新聞に出ておりますように、私自身がこういうことを言わざるを得ないということをはっきり申し上げております。その前に、角本君の論文にありますとおり、はたしていま以上、いまの輸送分野の中で国鉄輸送分野を伸ばせないかどうか、それが第一点。それから、ベースアップをどうやって吸収するか。ベースアップはどうにもしようがないのだと、シェアは減る一方だと、これを前提としての角本構想は、これは私は間違いだと思います。これは明らかに角本君は第一ページで強調しておりますが、この前提二つ書いてございます。したがって、私どもはその前提を極力実行する。先ほど申し上げましたとおり、政府にもこれをいろいろやっていただき、そのあげくに、国鉄鉄道ではどうしてもだめだ、百年たった以上国鉄は捨てる以外はないということです。自力ではそれは何とかできない。いまのヨーロッパと同じような姿になる。しかし、そこまで行く前に、十年、十五年努力する期間がなければならない、そうしなければ国民の納得が得られないというふうに私自身確信しておる次第でございます。
  41. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 この問題について、たいへんにいろんな分野にわたっておりますから、こまごまとやると時間がかかりますので、こまかくは追及する気はありませんけれどもね。しかし、当面の問題としては、いまたとえば自民党のほうで議員提案で全国に新幹線を稚内に至るまで通すといったような構想を出しております。一体十一兆三千億の財源をどこに求めるのか、これは議員提案で出された際に自民党にもお伺いしなければならないと、こう思っておりますがね。こういうふうに選挙を意識してかどうか知らぬけれども、とほうもないふろしきを広げられる。それを国鉄は一体どういうふうに吸い取っていくのか、こういう問題もある。ところが、国鉄新幹線を将来建設をするという場合には、どういう順序で、この財源をどこに求めて、どういう方法でということがある程度用意がないと、議員提案で出された問題に対して、これは適当に考えてくださいでは済まない。国鉄自身考え方は一体どうなのか。それもこの機会に明らかにしてほしいと思います。
  42. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) まだ正式に御提案になっていないようでございますが、多少お話をあらかじめ聞いておるのでございますから、私自身考え方を申し上げますと、もちろん九千キロ、十一兆というものがいまの日本の現状ですぐできるということは私も考えられません。それから、いまおっしゃいましたたとえば着工の順序その他につきましても、私どもなりの意見は一応持っております。しかし私は、いま提案されようとしている全国新幹線の問題というものは、単に鉄道だけの問題でなく、日本の将来の産業開発なり日本国土全体の再開発をどうするかという非常に次元の高い問題であって、単に鉄道輸送だけの問題ではないというふうに考えます。したがいまして、私どもの考えている順序あるいは財源の調達方法等につきましては、もっと違った高い次元から、国会とか政府とかという高い次元から、私ども意見も参考になさった上で、要素の一つとしてお取り上げくださるということには思っておりますけれども、私どもの考えが全体を左右するほどの力を持っているとは私思っておりません。やはりあくまでも日本全体の再開発という立場から、道路の問題、あるいは港湾の問題、飛行場の問題等も総合的にお考えになってしかるべきものというふうに思っております。
  43. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 将来採算ということを考えてみた場合には、新幹線のような考え方、幹線は新幹線方式にするというふうにならざるを得ないと思うんです。その場合にローカルをどうするかという問題か残るわけですね。だから、幹線を国鉄が経営をしていく、ローカルの場合は地方自治体が国鉄と協力をするとかいう形でもって経営をしていくとかいうふうに、幹線とローカルというものを分ける必要が出てくるんじゃないかという気もするわけです。それがローカルの赤字線の問題を解決するためにはある程度必要なような気がする。しかし、ローカルの赤字線といえども国鉄が経営をしているために赤字線になっているという場合もあり得るでしょう。だから、それらの問題を解決するためには、やはり現行の法律を改めるとか、制度を改めるとかいうことをやることも私は必要だろうと思う。それをやらなければ問題は解決しないと、こう思うのでありますけれども、まず具体的にこうするああするということを別といたしまして、考え方として、このローカルの問題を解決をするために、一応地方自治体なりあるいは私鉄との問題等も含めて検討をする、現行制度検討するということは総裁としては考えられておるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  44. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 現在の国鉄をつくりましたときには、もうすでに二十五年前になりますが、ほとんどそういう事態を予見しておらなかったわけでございます。鉄道しかほとんど交通機関がない時代にいまの国鉄法ができましたので、非常に営業線の譲渡その他についてきびしい制限がついております。しかし、もういまやこの時点になってこれほどほかの交通機関が便利になった以上、もっともっと融通性のある、弾力性のある考え方をすべきである。地方自治体の財政も昔とすっかり変わっておりますので、もっといい知恵といいお金を拝借して、一緒になって地方開発というものをやっていくべき性格のものではないか。いまの国鉄の二万キロのうち、いわゆるいま先生のおっしゃったローカル並びにローカルに準ずるものが約一万キロございます。残りの一万キロは幹線筋でございますが、幹線筋の一万キロのうち、もちろん黒字を出しているのは千キロぐらいしかございませんが、その一万キロぐらいは千キロの黒でもって、十分赤字をカバーできると思っております。しかしながら、残りの一万キロ、さっきおっしゃったローカル線、あるいはそれに準ずる線につきましては、いまの状態では、なかなか黒字線の黒字でカバーすることは困難であります。そうしてそれを合理化する方法一つとして、いま先生おっしゃったように、地方と一緒になって、地方の自治体なり、あるいは地方のいろいろの機関と一緒になって、あるいは私鉄を含めて一緒になって、必要なものは残していく、そうして総合的な開発を考える、これが私は百年たった鉄道のあるべき姿じゃないかと思います。実はことしはいろいろな事情で間に合いませんでしたが、来年の国会には、私の個人の考え方といたしましては、そういった意味の二十五年目で、どうしても国鉄法自体を見直していただきたい。あの古い鉄道だけしがなかった時代の日本国有鉄道法ではどうにも現在に合わない問題がたくさんございます。それをぜひ来年、次の時期におきましては私は政府にお願いいたしまして、いろいろな角度から改めさしていただきたいということを率直に申し上げさしていただきます。
  45. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それだけの必要性を総裁も感じておられるわけですね。つまり現在の国鉄ではどうにもならないということなんです、財政的には。で、そこでまたさっきの話、労使の問題になって、期末手当の問題に戻りますけれども、こういうような問題は、国鉄職員努力が不足しているために赤字になったのだというふうな言い方は、これは通用しないと思うのですね。これは制度の問題であって、制度赤字にならざるを得なくなっている場合に、その赤字の責任を職員に転嫁をするような形でもって、公務員並み手当をくれないということをいったのでは、労使間の紛争というものは絶え間ないと思うのです。だからその意味では、職員努力いかんにかかわらず生じた赤字ということを理由にして、払うべきものを払わないというふうな姿勢はとっちゃならないと思うのです。だから、その意味で私は労使間の紛争というものは、なるべくすみやかに総裁のほうでくふうをして、円満に解決ができるように努力をされることを総裁に特に期待をしたいと思いますが、どうですか。
  46. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私結果的には、まさに先生のおっしゃったことと同じことだと考えております。ただ、私ども実際現実にいま四十数万の職員を持っておりまして、やはり一人一人がどういう考え方を持つか、どういうかまえを持つかということが、やはり一つの大事なポイントじゃないかと思います。何と申しましても四十何万でございますので、国民に対する接触面が多い国鉄職員、だれがやったってもうどうしようもないのだ、輸送革命の前に国鉄はどうにもならないのだ、おれたちのせいじゃないのだといってしまえば、私は国民から共感なり、共鳴を得られないと思います。やはり絶えず努力をして、しかもだめだと、そうして初めて私は国民全体が何とかしなければいかぬという気持ちになってくださる、こういうふうに思います。したがいまして、私は責任者といたしまして、あくまでも四十数万の職員がやっぱり自分で何とかするのだという意欲をわき立たせることを前提として、できるだけ問題に対して善処してまいりたい、こういうふうに考えます。
  47. 金丸冨夫

    理事金丸冨夫君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  48. 金丸冨夫

    理事金丸冨夫君) 速記をつけて。  休憩いたします。    午後二時休憩      —————・—————    午後二時二十五分開会   〔理事金丸冨夫委員長席に着く〕
  49. 金丸冨夫

    理事金丸冨夫君) 休憩前に引き続き質疑を続行いたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  50. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 いま国鉄総裁にいろいろ質問したわけですが、国鉄の再建問題は、国鉄の当局側からも、現在の制度のもとで、独立採算制というワクの中で財政の再建をはかる点については疑問が出ている、こういう問題であります。これは日経の二十二日の新聞にも出ておりましたし、「交通技術」、こういう本に「七〇年代の鉄道に期待するもの」ということで、角本良平という人が、この人は国鉄の監査委員会の委員ですが、書いているわけです。われわれが考えてみても、現在の制度の中で国鉄財政の再建をはかるということで職員のしりをはたいてみたところで、なかなかむずかしいのじゃないか。つまりローカルの赤字線というものを一ぱいかかえて、また現に建設をしている赤字線もかなりある、こういう状態です。だから、こういう状態をそのままにして、しかも借金のほうは利子に利子がつく、こういう状態でどうやって財政の再建ができるか。その中でやろうと思えば、いま問題になっておるような年度手当公務員並みに支払えないという問題も出てくる。でありますから、問題を円満に解決するためには、いままでのこの法律、制度というものを再検討してみる必要があるのではないかということで、いろいろ総裁に質問をしたわけです。特に新幹線お話は、どういう形でもって提案されるかまだこちらにはきておりませんけれども新幹線日本国中に張りめぐらすという、しかも、この財源は十一兆三千億を必要とする。国鉄にいまのままで背負わせるということになれば、在来線というものを犠牲にしても追いつかないということになる。そういうことは実際問題としては考えられないわけです。だから、国鉄のあり方というものを根本的に再検討をする時期にきているのではないかということを大臣にもこの際お伺いをしたいと思うわけであります。ローカル線の問題の解決については、先ほどの総裁発言によれば、たとえばいまの状態ではどうにもならない赤字であるけれども、投資をすることによって開発利益をあげられるという場合には、県であるとか、あるいは地方の市であるとか、そういう地方自治体と協力をして問題を解決をするということもあり得るという話ですが、大臣としては、日本国中にある赤字線の問題を解決する一つの方策としてどういうふうにしたらいいのか、この点もあわせてお伺いをしたいと思います。
  51. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 国鉄の再建十カ年計画、まあ四十五年度で二カ年目に入るわけでありますが、いまの状態で十カ年の将来まではちょっと予測がつきかねるわけでありますが、一応国鉄当局としては、せんだって十カ年計画によって再建可能である。それには幾つかの条件があるわけです。一つは、赤字ローカル線をある程度整理するとか、有人駅を無人駅にするとか、あるいはベースアップを平均九%に押えるとか、そういうような幾つかの条件はついておりますけれども、いずれにしても、国鉄としてはこの十カ年再建計画でひとつやれば再建は可能であるという現実に立って運輸大臣のところまでその承認を求めてまいったわけでありまして、これに対して検討の結果これを了承したわけであります。しかし、実はそう申しましても、これから十年先のことまで予測するわけでありますから、一年、二年の問題ではありませんので、その計画がはたしてそのとおりいくかどうかという問題はもちろんあると思います。現時点で言うならば、なかなか容易ではないと私も考えますけれども国鉄としては将来の旅客及び貨物の増加等にもある程度期待をして、そうして再建計画では可能であり、また、その意気込みをもってやってみようということでせんだってのような計画案を出してまいりましたので、これを了承したわけであります。日本経済拡大といいますか、産業拡大がどこまで実際上伸びていくか、あるいはまた社会上のいろいろな変化に伴って、いわゆる人間の移動あるいはレジャー等における動きというものがどうなるか、いろいろのことがこれから未知数の要因が幾つかありますので、必ずしも不可能だともいえないし、また楽観もできないというところがほんとうのところだろうと思います。しかし、一応そういう再建計画ができて、このもとにやろうというのでありますからして、できるだけ国鉄方針にわれわれが協力しながら、たとえば赤字ローカル線については、それが地方においてはどうしても必要である、開発等の計画から見て、どうしても必要であるという見地に立っておるならば、それが地方団体とあるいは協力して、最小限度の赤字にとどめるというやり方もありましょうし、ある線は全くこれは自動車にかえてもよろしいんだ、こういう線も検討の上では出てくるだろうと思う。そういうものはお互いの話し合いでありますからして、もちろんこれはバスに運行をかえることもよろしい。そういういろいろな点は、もちろんこれから国鉄当局なりわれわれが協力して解決をしなければならぬ問題はありますけれども、一応国鉄としては十カ年計画を立てて邁進しょうというのですから、いまから水をぶっかけるようなことはわれわれとしてはしたくない、かように考えております。  そこで、そういうようなむずかしい困難なものを持っておりながら、なおかつ新幹線網というものをやるということはなかなか無謀じゃないかという、あるいは困難にひとしいのではなかろうかという瀬谷さんのお話だろうと思うのですが、実はもう新幹線網は議員立法で提出せられるわけでございまして、政府といたしましては運輸省並びに鉄建等がこれから調査費を御承認願って、それによって全国的な調査を進めるわけであります。したがって、着手年度もまだいまのところは決定しておりません。しかし、将来の長い計画でいえば、何年間で完成するかは別にいたしまして、大体のところ、いま皆さんの間で検討せられておるようないわゆる新幹線網というものは、将来の日本のいわゆる総合的な国土開発、調和のとれた国土建設という意味から、これは原則としては必要であろう。どこからどう着手するかという問題はいろいろ残っておると思います。そこで、しかしながら、それにいたしましても、現在の国鉄再建計画というのがありますからして、これを国鉄なり鉄建なりの従来の予算計画の中で組み入れてやるか、あるいは別途の方法をとるか、これはまたこれからもう少し研究をしたいと思っております。また、こういうような全国的な開発的な役割りを主として持つのでありますからして、したがって、国がこれに対して単なる金融上の措置をしてやるというだけじゃなく、もっと根本的な力の入れ方がないかどうか。いずれにせよ、そういうような根本的な問題を考えて、そこでやっぱり新幹線に手をつけるたたきなり将来の目当てもなくしてやみくもに仕事を始めるというわけにもいくまいと思います。ことに国鉄の現状から見て、国鉄に必要以上の赤字をしょわせるということは、もちろんこれは再建計画が成り立たないことになりますからして、それやこれやで、どういう形で財政的に持っていくか、この点も十分に検討を加えて、そこで具体的な工事に着手せしめる、かような方針でいきたいと考えております。
  52. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 成田空港の問題にしても、この空港と都心を結ぶ道路とかあるいは鉄道というものが在来のままの形であって、乗りかえに不便であるとか、長時間を要するとかいうことであっては何にもならぬと思うのです。道路も整備されなければならないし、鉄道も整備をされなければならぬだろう。しかし成田だけでいいというものじゃない、こう思います。当然全国の幹線網にしても考えてみなければならぬと思う。それには前提となることは、高速でしかも高架立体交差、しかも大量輸送、こういうことが当然これから先求められる。そうなりますと、現在の国鉄のように、地面の上を踏切をたくさんこしらえて平面交差でカーブも勾配も多いというような状態はもう過去のものになるだろう。将来を考えればもう全国至るところの幹線網というのは立体交差で高架にして、しかも時速二百キロといったようなスピードを要求される、こういうことになるだろうと思うのです、必然的に。そうなりますと、やはりいままでのような財政再建計画といった消極的な考え方は部内からの指摘を待つまでもなく改めなければならないときがくると思う。そういうことを大臣としては考えていかなければならぬじゃないか、こう思いますね。そういう方針というものを打ち出していく場合には、むしろ積極的に、部内の考え方であろうと、第三者の考え方であろうと、将来の交通機関のあり方というものをあらためて考え直すということも必要だろうと思う。  それから赤字線の問題にしても、いまの形態ではこれはとてもにっちもさっちもいかなくなる。だから、先ほども私はちょっと総裁に言ったのでありますけれども、ローカルの赤字線については国鉄か別会社の構想を持っておるというのは、これは新聞に出ました。これは現在のところは一つの私案という形になっているようでありますけれども、地方自治体が国鉄と協議をして、ローカル線の問題を解決をするために、これは前向きに解決をするためにいろいろな努力をするということが必要になってくるのじゃないかと思うのです。例をあげると、いまの状態では、単線で気動車しか走っていない川越線というのがある。しかし首都圏の中にあって、宅地造成でふくれ上がる首都圏の人口を受けとめるということが可能になっておるわけでありますから、これを電化をする、複線にして、国鉄だけではなくて私鉄との相互使用を行なう、新幹線との交差も行なうということになると、おのずから利用価値は異なったものになる。そういう異なった、たとえば外環状線的な線に生まれ変わらせる、こういう投資をすれば必ず赤字線から脱却をすることができるだろう、そういう地理的条件を備えておる。こういう問題は地方自治体と積極的に協議をして問題を解決することをやるべきじゃないかと私は思うのです。ローカルの赤字解決一つの方策として、私は先ほど総裁に聞いてみたのでありますけれども、これは全国的にこの種の問題はたくさんあると思うのでありますが、大臣としてはどのようにお考えになるか、見解を承りたいと思います。
  53. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 新幹線赤字線とは一緒になりませんけれども、その他の私鉄あるいは国鉄なり、そういう赤字線ですね、お話しのようにそういうぐあいに持っていくのが交通総合体系の一つである、重要なかなめであるというふうに考えております。これはそういう赤字ローカル線だけじゃなく、全体的にいわゆる大都市交通圏のようなものを考える場合には、国鉄と民営とを問わず、総合的なやはり施策が必要であります。また、むだを省くためにも、そういうことは単線を引っぱって入れてもしようがないから、単線を別々に引くなら複線で引いたほうが利益でありますから、そういう点も、これも積極的に瀬谷さんと同じように、こういうことは進めていくべきものである、かように考えております。
  54. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そこで今度は地下鉄の問題ですけれども、衆議院の予算委員会の第五分科会で、公明党の伊藤惣助丸議員が質問をして橋本運輸大臣から答弁されておりますが、従来の地下鉄建設の主体や運営方針がきまっていないといえばきまっていないんだ、どうもはっきりしていないのだが、たとえば大阪市営地下鉄のような場合には、これが府下に延びるという場合には問題があるということを言われておる。地下鉄を市内の路面電車のかわりにするのだという発想法は間違っておる、だから、荒川を越えて東京都内から埼玉県の浦和に地下鉄が入るという場合にどうなるかということを考えて、その場合に都営地下鉄を延ばすということは問題があるということを言っておられます。要するに、複合形式で地下鉄というものができなければ大都市の通勤交通機関としての使命を全うできない、こういう意味のことを発言されておるのでありますが、大臣が言っている複合形式というのは、具体的にはどのような形態をさすものか、もう一度お聞かせいただきたいと思います。
  55. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) せんだっての伊藤さんの御質問に対して十分意を尽くさなかったところがあると思いますが、根本はそういう考え方なんです。もっと少し広い意味で申し上げますれば、大体私自身考え方は、おそらく昭和六十年といいますか、いまから十五年先に日本の都市化された人口というものは大体八〇%近い、あとの二〇%がいわゆる山間地帯ということになる。これは全国的に見ましてもそういう傾向になっておる。都市化される人口は三万以上の市を含むと、こういうことです。現在の都市形成の姿から見ても、たとえば東海道ベルト地帯、これは東海道だけではなく、山口、下関まで通じて、この沿線は全く同じような都市状態をいまでは現出しておる。と同様に、これは将来は常磐線といいますか、これを流れていったこの地帯は大きなベルト地帯に将来なるでありましょうから、ここに人口が集中していく。こういう意味で過密、過疎の問題は全国的に、言うなればこれは新幹線網なりあるいは高速自動車網なりあるいは飛行場等の整備、こういうことによって全国的な調整というものはある程度とれるわけであります。それは非常に広い意味の調整であります。しかし、ローカルの地域、ある一定の地域から考えると、たとえば東京においても過密と過疎がある。東京あたりは過疎は非常に少ないんですが、相当大きなところでもいわゆる過密と過疎地帯がある。ですから、ある地域をとるならば、たとえば県とかあるいは府とかいうような点をとりますというと、明らかに過密地帯と過疎地帯というものが将来ともにこれはあらわれてくる。これはどういうことかといえば、今後の産業構造の変化がいわゆる管理センターとして都市が重要視されてくる。それで工業地帯必ずしも人口がふえるわけではない。たとえば工業地帯の最近の統計を見ましても、四日市工業地帯はいわゆる全体の人口はふえておりますけれども、しかしながら鹿島工業地帯と比べますと、鹿島の一人当たりの従業員の生産能力は、四日市の三倍強である。すなわち三人の人の分を一人でやれる。最近新しくできました水島工業地帯、これに比べても、いわゆる水島の二人当たりの従業員の仕事を一人で鹿島ではやれる。並びにモータリゼーションが進みつつある。こういう状態から見て、いろいろの問題で管理センター的な役割り、大都市における管理センター的な役割りが非常に増大してくる。プログラマーあるいはそうしたようなコンピューター・システムの状況からして、そういう人間がどんどんふえてくる。こういう状態から見て、都市における人口を抑制するということは非常に困難である。産業構造の変化からどうしてもこれに集中せざるを得ない。その中で動かせるものは、学校関係の教育機関を相当の距離に引き離すということはできますけれども、政治、産業面ではどうしても一カ所に集まる傾向ができてくるわけであります。しかし、実際そういっても、小さな地域にたくさんの人間が寄ることはできませんから、たとえば東京でいうならば、東京圏というところ、あるいはそれに準ずる地域まで含めてこれを東京経済及び政治、産業の地域である、こう規定してよろしいのであります。そうなりますと、いわゆる地下鉄というものは、その地下鉄が最初生まれました事情は、陸上交通が非常に困難になってきて、そこで路面電車を撤去して、それを広い道路として使おうというところにもちろんこれは発生原因があります。でありますから、当初地下鉄というものは、路面電車のかわりとして地下にもぐったという動機は十分に察せられるのでありますけれども、その後十年間における産業構造の変化からして、それだけでは済まなくなってきた。そうして相当広地域に大都市交通圏というものは広げなければならぬ。東京でいえば五十キロ以内は通勤距離、大阪でいえば三十キロ以内は通勤距離である。こういう情勢になってまいりますと、単に路面電車が地下にもぐったというだけで使命が終わるわけではなくして、同様に管理センターとしての大都市の機能を十分に果たすためには、相当の距離までこれは延ばさなければ意味がなくなってまいったのが現状であります。  で、そういう意味からいって、居住地域にとらわれるようないわゆる形式で地下鉄が生まれると、いろいろな障害が出てくる。その一つの例は、大阪でもそうでありますが、御承知のように万博が大阪府の中にある。したがって、市営地下鉄がそこまで入っていくことは好まないし、またいろいろの事情からして、もちろんほかの事情もありましたけれども、結局、あれを延ばすことができずして、北大阪急行電鉄というものを新しくつくって、それが責任を負うという形になって、この北大阪急行電鉄は府及び市それに阪急が資本形成をしております。しかしながら、これは非常に無理な形であって、将来ともに、なかなかあんな短い線で経営をやっていこうということになれば、私は非常に無理があるだろうと思うのです。そういう意味で、これからいわゆる許可するような地下鉄については、できるだけいま言ったように大都市、いわゆる通勤距離が大都市に延びてまいるのでありますからして、そういう形の可能ないわゆる経営形態が必要であろう。そのために私は複合形式と申しておりますが、複合形式とは場所によっていろいろ違います。ところによっては県と市が出資をして行なうという形もありましょうし、あるいはその付近に私鉄を持っておって、それらが一緒に入って、そして私鉄を乗り入れるという必要性もあって私鉄が入るという三者の複合形式もありましょうが、いずれにせよ、小地域にとどまらないということ、少なくとも普通の都市であっても三十キロまでは将来延びる、半径から考えて、大東京のごときは五十キロ以上延びる、こういう点から考えて、いわゆる資本形成をする。同時に、運営形態もそれに伴うという形式がいわゆる将来の地下鉄経営の形式であろう。こういう前提に立って、そこで四十五年度予算において、従来は地下鉄に対する単なる助成という消極的な方針でありましたが、四十五年度予算は必要経費の二分の一を国が負担する、こういう制度をとる。二分の一は地方公共団体が持つ。こういう形式をとったゆえんのものも、そうした将来への展望を私は考えながら、そういう制度を新たに決定をしたのであります。この点についていろいろ皆さんからの御意見もあろうと思いまするが、私はこのような意味で、いわゆる複合形式というものが必要ではないだろうか、こういうことをお話をしたわけであります。
  56. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 では、複合形式というのは、行政区域にとらわれない、つまり、都なら都だけ、あるいは市なら市だけを走るということでなくて、行政区域にまたがっておるようなところを、幾つかの市あるいは県、こういうところをまたがっておるところを、要するに、まあ利用者の輸送需要に応じ得るように運営ができる形式を複合形式と、こういうふうに言われた、こう理解をしてよろしいのですか。
  57. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) それだけでも少し足らぬような気がするのですがね。これはほかの県にまたがることも、申請があって認可をすれば、いいんですが、それは必ずしも直接それには結ばらないと思います。ただ、たとえば長距離に延ばしますというと——市内電車的な役割りをしますと、その地下鉄の平均の乗車率というものがわりあいに高いわけですね、市内の場合は。ところが、遠距離に持っていった場合は、いわゆる平均乗車率というものは下がるわけです。通勤が主になりますから、市内電車的な役割りをしませんからね。そういう状態になりますから、市営といいますか、町営といいますか、そういう地域でできた地下鉄は延ばすことをいやがるわけです、税金は取れないわけですから。たとえば大阪なら、府下の人は、住民税を納めるけれども、市のどこかに勤めていても、それを大阪市へ納めないのです。そうして、大阪市なら大阪市、あるいは札幌市なら札幌市でもいいんですが、そのほうから見ると、税金ももらわない人を運んでやるということになるわけですね。そういう意味で、いわゆる自分の経営を悪化させたくないということになると、初めからある程度赤字を覚悟せざるを得ない通勤地下鉄というものに対しては魅力を感じない。また、市のほうからいえば、市の議会でも問題になりましょう。ですからして、初めからいわゆる複合形態、府と市が共同形態で——これだと赤字も共同でもって負担することになりますから、これは文句はないでしょう、長く引っぱりましても。そういう意味で複合形式、営団形式というものが妥当であろう、長距離通勤というものを考える場合にはそのような方式が妥当であろう、こういう意味であります。
  58. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それならば、行政区域にとらわれないということであれば問題は解決をするのじゃないかという気がするのでありますけれども、従来の地下鉄建設の主体や運営方式というのは、きまっていないといえばいないということなんでありますけれども、所管は運輸省ということになっているのですか、どうなんですか。
  59. 町田直

    政府委員町田直君) 建設と申しますか、鉄道として路線を認可し、建設を所管するという意味運輸省でございます。
  60. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 建設省のほうはこれはどういうかっこうになっておりますか。
  61. 町田直

    政府委員町田直君) 建設省との関係は実はちょっと複雑でございますが、軌道法というものがございまして、一部、主として大阪でございますが、地下鉄は軌道法にのって建設されておりまして、軌道法は建設省と運輸省の共管でございまして、そういう意味では建設省、運輸省の共管になっております。そのほかの地方の地下鉄はすべて地方鉄道法で建設されております。これは運輸大臣の専管でございますので、その意味では建設省との関係はございません。ただ、地下鉄をつくりますとき道路を使います。道路を使う場合に、地方鉄道法四条で道路の使用許可というものをもらう。それが道路管理者ないしは建設省と関連するということでございます。
  62. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そこで、建設省との意見の食い違いがあると軌道法の適用の場合にはうまいこと建設できないという問題か出てくるわけですね。
  63. 町田直

    政府委員町田直君) 形式的にはおっしゃるとおりでございます。許可をいたします場合でも、運輸大臣と建設大臣が共管で、両方で許可をするという形でございますから、意見が合わないとうまくいかないということもあり得るわけでございます。
  64. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そのような事例がございましたか。
  65. 町田直

    政府委員町田直君) 遠い昔は存じませんけれども、最近においては、そういうことで問題があったということはないと思います。
  66. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それなら、共管ということの必要性はどこまであるのかちょっとわからぬのですけれどもね。鉄道——地下鉄であろうと地上の鉄道であろうと鉄道鉄道だから、これは運輸省が所管すべきものではないかという気がするのですが、その辺のところはどうでしょうか。
  67. 町田直

    政府委員町田直君) 原則的にはおっしゃるとおりだと思います。軌道法というのは、御承知のように道路の一部、要するに、道路の上に鉄道軌道を敷きまして行なう事業を対象にいたしておるのでございます。たまたま、昔からいろいろいきさつがございまして、大阪の地下鉄が地下にございますけれども道路の一部を使っているのだという解釈からそういう形になっている。たとえば、私どものほうでございますと、一つの例外的な取り扱いというふうになっているわけでございます。原則的には、軌道法というのは軌道——道路の上を走る電車に適用するという法律というふうに考えておる次第でございます。
  68. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 しかし地下鉄は、道路の上を走っていることはないでしょう、みんな下をもぐっているわけですからね。それが軌道法の適用を受けるというのはどういうわけですか。大阪だけに限られたことなんですか。
  69. 町田直

    政府委員町田直君) 大体大阪——大体というか、大阪に限られたことでございます。これは議論をいたしますといろいろむずかしいので、たとえば道路と申しましても、地べただけではなくて、上も下も道路である、こういう解釈であろうと思うわけであります。そういう意味で、下のほうに入っていく地下鉄ではやはり道路を使っているのだ、したがって軌道法でいくべきだという議論もあり得るわけであります。それはしかし現実に即さない議論なんですね。非常に昔のことでございますけれども、運輸、建設両省で話し合いをいたしまして、地下鉄については、原則として地方鉄道法でいこう、こういう方針を出したわけでございますけれども、そのときの取り扱いで大阪の一部が軌道法で扱われたということがございます。それが、いまだにそういう形になって残っているということでございます。
  70. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 どういうわけで、いまだにそうなっているのか、それを改める必要がないのかどうか。よくわかりませんけれどもね、しかし、いろいろななわ張りによって建設が阻害されるということがあってはならないという気がいたします。  この地下鉄の問題ですけれども、いま都内で建設が進んでおりますけれども、これから先を考えるならば、新幹線をつくるにしても、どこからどういうふうに東京から外へ出ていったらいいのか、考えてみると、上か下を利用する以外にないと思います、これは路面を走るわけにいかないですから、ああいうものは。そうすると地下を相当利用する必要が出てくるという気がいたします。新幹線もそうでありますが、地下鉄も都内あるいは大阪なら大阪、名古屋なら名古屋の市内だけではなくてその近郊に延ばしていくということがこれから先相当求められるんじゃないかという気がいたします。埼玉県なんかの場合でも、千葉県の場合でも、あるいは神奈川県の場合でも、東京へ通勤する人が三十万とか四十万とかいうふうにたくさんになっておるわけでありますから、それを行政区域の中だけでとめておくということは実情に合わない。だから、地下鉄をどんどん延ばす、そして、埼玉県の畑の下を何ももぐることはないのですから、こういうところへ出たら地面にあらわれて上のほうを走る、こういうふうにして近県と都心とを地下鉄でもって有効に結ぶということがこれからの交通問題解決のために相当必要になってくると思うし、そのような地方自治体の要請も強いと思うのでありますけれども政府としてはどのように対処されるつもりなのか、お伺いしたいと思います。
  71. 町田直

    政府委員町田直君) 御指摘のとおりでございまして、やはりいまのところは、東京にしても大阪にいたしましても、大体、行政区画の範囲内——東京都内あるいは大阪の市内ということで建設が進められておりますけれども、もう今後は東京都内だけではなくて近県に延びていく、大阪でも大阪市だけではなくて大阪府あるいはその他の地方に延びていくということが当然必要であろうと存じております。そのために実は、地下鉄の建設につきましては、運輸省の都市交通審議会というのがございまして、これでそれぞれの主要な都市における地下鉄の網と申しますか、整備増強の方針、基本的な計画というものを運輸大臣が諮問をいたして、それに対して御答申を得ているわけでございますが、東京につきましては、一番最近が四十三年の四月十日に答申をいただきました。ところが、そのときの諮問は、大体、昭和六十年度ぐらいにおける東京の地下鉄網をどういうふうにしたらいいか、こういう諮問でございましたが、ただいまの四十三年四月の中間答申には、一応、中間として五十年ぐらいを目標にした答申をいただいておったわけでございます。それに従いまして現在建設を進めておりますが、さらに今後、いま御指摘のような問題等を含めましてさらに答申をいただく必要があるということで、去る三月二十四日に、前に諮問いたしましたのをさらに検討していただきたいということで、都市交通審議会を開催いたしまして、現在、大体六十年ぐらいを目標にした地下鉄網の御答申をいただくという準備をいたしております。その中には、御指摘のような近県に延びていくということを当然含んで御答申をいただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  72. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 地下鉄の経営なんですけれども、この大臣考え方によれば、市営とかあるいは都営というものは許可をしない方針である、こういうことを言われておるようでありますが、それは行政区域が限定をされるということを考えて許可をしないというお考えなのか。一体、なぜ市営なりあるいは都営の地下鉄というものを認めないという考え方を強くとられるのか、その点をお伺いしたいと思うのです。
  73. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 都営の場合は、もうそれ自体を許可しておりますから、私は都のことには触れておりませんけれども、これから、いわゆる市営としてやりたいというものに対しては、私は原則として賛成できかねる、これは先ほど来申し上げたような理由からであります。それについてはいろいろだぶん異論が出てくると思いますけれども、どうしても、先ほどから詳しく申しましたように、やっぱり市営になるというと市の範囲内のまず仕事をしなければならぬ。それは延ばす以上はいろいろ問題か市自体としても出てくるわけですからして、したがって、いままで認可になったものを取り消すわけにはいきませんけれども、これから申請するものに対しては私は原則として市営は認めない、複合形態でひとつやってほしいということは、先ほど言ったような都市の状態が変化してきたのであるからして、したがって、自分のところだけの人間を運べばそれでこと足りるということじゃないというところから一つは出てきております。同時にまた、そういうことを今度は民営でできるかといいますと、なかなか地下鉄のようなものを民営でやるということは非常にむずかしいと思います。よほど料金を高くしてまいらなければ、なかなか地下鉄が民営で自分でやるということはむずかしい。大体市内の場合においては一キロ当たり五十億ないし六十億要します。まあ郊外の場合で三十五億前後ということで、非常な割り高になる仕事でありますから、したがって、これは民営として、ただ自分の距離かいままでできている一部を都心に乗り入れるという程度のものは別でありますけれども、全般的に大都市交通圏として新しく民営として地下鉄を含んだものをやるということは、そのような設備の膨大さからいってなかなかこれはできない。できませんからして、先ほど申し上げたように、四十五年度においては国もその必要経費の二分の一を持とう、こういうことを打ち出した。これは民営に及ぼしますというといろいろ影響が、問題が出てきますので、一応営団もしくは公営のものに限ってこういうような補助をとるという政策をとったわけであります。のみならず、またいろいろな経営上の状況から考えましても、やはり営団と公営の場合、市営の場合、やはり人件費の場合でも、これはいろいろな事情がありますから、一がいにはいえませんけれども、たとえば営団の人件費を一〇〇といたしますというと、名古屋市の場合は一二七、大阪市の場合は二一三、こういう割り高になっておる。これは物件費が逆に多少、営団のほうから考えますというと、営団が一〇〇に対して物件費のほうは東京都が七三、名古屋市が五九、大阪市が六九ということになっておりますから、この物件費の中にはいわゆる臨時雇いの人間が入っているのじゃないかという推測ができます。また資本費の点から見ましても、資本費の場合でも営団を一〇〇といたしますというと東京都は二〇三、大阪市の場合は一一六というぐあいにやはり割り高になっておる。こういう面は第二の問題としましても、先ほど来から申しましたように、大都市交通圏という総合的な立場から見ますというとやはり複合体、すなわち相当の距離まで延ばし得ることができる状態の形態のほうがよろしい、こう考えて衆議院の運輸委員会でもって、いわゆる市営という狭義のものに対してはこれを許可することに対して私は消極的である、賛成はできかねる、こういう点を明らかにしたのであります。
  74. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 経営の主体の問題でありますが、しかし将来それならば、まあ相当これは資金も要ることでもあるし、国鉄が近郊輸送でもって地下をもぐらせる必要が出てきたという場合に、国鉄に地下鉄をやらせるというか、国鉄が地下にもぐるということになれば、これは地下鉄ということになるのかどうなのか、その点は運輸省としては、国鉄が下にもぐるというような問題を地下鉄の経営とどういうふうに関連して考えておられるか。
  75. 町田直

    政府委員町田直君) 地下にもぐるという意味では地下鉄ということにもなるかもしれませんけれども、これは先生承知のとおり、国鉄は公共企業体でございますし、そして全国の鉄道を仕事の範囲としている、その一部としてやる、こういうことでございます。私どもがいまいわゆる通勤輸送に使われる地下鉄として観念いたしておりますのは、その地域、大体行政区画並びにその近くを含んだ地下鉄、いわゆる地下を走るものを建設し、運営するというものを対象として考えているわけでございます。したがいまして、先ほど大臣からございました、今度のいわゆる地下鉄に対すす補助、新しい補助方式、全体の二分の一を補助するというこの補助方式につきましても、対象はいわゆる営団というものを対象にいたしております。国鉄はいわば別格と申しますか、国鉄国鉄全体として見ていくという考え方をとっております。
  76. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それでは公団法に関する若干の質問をいたしたいと思います。  いろいろ論議をされてまいったこの問題でありますけれども、四十六年の四月に一応開港の準備が整う、こういうような話は常々伺っておるわけでありますけれども、新空港計画から、来年の四月に大体第一期工事が完了して開港できる、これに至るまで約八年間かかるという経過、このあらましを、今後の空港計画についての次の問題もからんでくると思いますので、大体計画から四十六年の四月の実施に至るまでどういう経過をとったのか、そして四十六年の四月の開港のときにはは、付帯施設等を含めてどういうものが第一期工事としてでき上がるのか、これを具体的に御説明を願いたいと思います。
  77. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 新空港を当時計画いたしましてから公団発足までにしばらく時間がかかったわけでありますが、それは、公団を発足いたします時期は、新空港の用地の決定あとで公団が発足するということに、当時公団法か制定されたときにきまりました。そこで新空港の用地の決定につきまして、当時候補地を二カ所内定をいたしました。御存じのとおり、一つは霞ケ浦の西南にある稲敷台地、それからもう一つは富里でありまして、この二つの候補地についてその後いろいろの点を内定されたことについて精査をしたわけでございます。たとえば霞ケ浦の西側につきましても精査いたしました。それからまた霞ケ浦につきましては湖面の埋め立てという問題もございましたので、その埋め立てについても実際にボーリング等をやって精査をいたしました。そういうことでかなり時間をとった次第でございます。それから、その後富里問題から三里塚へ移ったというふうなこともありまして、用地の決定等にかなり手間どった点もありまして、ようやく三里塚に決定した、現在の三里塚の位置に決定した次第であります。その決定した後におきまして公団が発足いたしましたけれども、公団の前に、実は航空局の中に、新国際空港計画課、新国際空港調査課という二課と、それからその上に参事官が一人おりまして、それがただいま申し上げたような調査をしたわけでございます。これを母体にして公団がスタートしたわけでありますけれども、やはり公団の機構の拡充、それから引き続き、きまりましたところについての調査等も含めまして、その辺でかなり時間をとったことは確かでございます。  それから以後、公団ができ上がりまして、土地も確定をいたしましたあとは、用地の買収の交渉にかかったわけでありまして、先生御存じのとおりいろいろ用地買収については地元の反対もありまして、最初いろいろむずかしい問題かあったわけでありますが、ただいまでは第一期計画予定地のAランウエーに関する部分につきましては九四%の土地の買収の進捗率を示し、周辺には十メートルの資材輸送道路が十三キロにわたって完成をいたしました。それからまた資材輸送につきましては、鉄道の引き込み線も近いうちに供用を開始するところまでこぎつけてまいっております。したがって、四十六年供用開始を目ざしまして、公団といたしましてはただいまのような状況を踏まえて促進をしておるという段階でございます。
  78. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この空港の付帯施設ですね、たとえば検疫とか税関、こういう問題等については四十六年開港の準備の段取りになっているとは思うんですけれども、これは厚生省とか大蔵省とか運輸省との話し合いはついているんでしょうか。
  79. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) これは早くからいろいろ調整を行なっておりまして、この問題でCIQ——税関、入管、検疫、そういったところと関係がありますのは、主としてターミナルビルの建設の内客について一番大きな関係がございますですが、そういうことにつきましてはかなり早くからその調整をとっておりまして、調整はできております。したがいまして、その調整をもとにして、いま公団の担当の理事が見えておりますから、そちらから答えていただきたいと思いますけれども、ターミナルビルの設計が行なわれているはずでございます。
  80. 岩田勝雄

    参考人(岩田勝雄君) 空港のターミナルビルにつきましては、昨年の春以来大蔵省の税関、法務省の入国管理局、厚生省の検疫、こういうところと協議をいたしまして、昨年の暮れに大体の線ができまして現在調整はついております。ただいまそれに基づきまして実施設計を実施中でございます。そうして現地の工事につきましては、とりあえず基礎工事から早急に、この年度末から新年度にかけて工事を実施する予定になっております。
  81. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 税関の問題一つ考えましても、調整はついているという話を私いつも聞くんです。しかし、羽田空港なんかでも非常にある時期は混雑して、外国から来る人たちに対して非常に不愉快な思いを与えているわけです。第一印象が一番よくないわけです。たとえば、今回厚木のほうにもやろうという万博の受け入れ態勢があったようでありますけれども、やはり税関で非常に難点があると思うんです。そうすると、具体的に新空港には税関職員を何名入れる予定にしておりますか。
  82. 岩田勝雄

    参考人(岩田勝雄君) 新空港のターミナルビル計画につきましては、ただいま先生の御質問にありましたように、出入国の手続というものが空港計画上一番重要な問題でございまして、いろいろ打ち合わせております。私ども、昭和五十一年度には年間国際旅客が五百四十万人の出入りがあると、こういうふうに予定しておりまして、その時点におきましてピークの一時間には千八百人くらいの入国客があるだろう、こう考えております。こういう点につきまして、税関、入管、検疫の方方といろいろお打ち合わせをしまして、現在の羽田、大阪等におきます国際空港における例も参考にしまして、それぞれ必要なチャンネル数を十分用意しまして、少なくとも三十分以内でそういうピーク時の航空旅客をさばくような計画で現在実施設計を進めておるわけでございます。  それで、御質問がありました税関、入管、検疫その他の要員の点につきましては、それぞれの各省で現在関係方面と折衝中であると思います。
  83. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これ以上深く私はやりたくありませんけれども、いつも税関とか検疫とか、これは船の問題も同じなんです。いつも弱いのは運輸省なんです、大臣。厚生省あるいは大蔵省というのは、港へ行ってもいつも力を持っている。結局は船主が滞船待ちで損失が大きいとか、あるいは空港の場合は外来客に対する印象が非常によくない。私たち空港へ実際に現実に行ってみまして、こんなずぶぬれになって税関の人たちも一生懸命やっていますよ。しかし、いかにも要員が足りない。しかし、来年開港するにあたりまして、実際一年間ぐらい訓練しなければ税関職員の養成はできないと思うのです。結局は大阪あるいは羽田から持ってくるというような、そこで何とかつじつまを合わせる。結局現場で働く人たちがオーバーワークになるというような、こういう過酷な労働をしいられてしまうのではないか。計画はいつもうまくいくのです。ところが実際に具体的な手当ては一つもできていない。計画と実施の段階があまりにも食い違っている。こういう点はやはり厚生省なり大蔵省なり運輸省とよく話し合ってきめていただきたいと思うのです。特にもう四十六年から開港になれば、たちまち四十五年度に必要なわけです。訓練していなければならないわけですから、こういう問題に対しては運輸大臣いかがですか。
  84. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 三木さんのお話もごもっともでありまして、十分大蔵省及び厚生省に対して——万が一にも外人のお客さんに対して迷惑かかからぬように、とにかく四時間ぐらいで来てあそこで一時間もとられたのでは意味ないわけですから、そういう点もスピードアップするように強く要請して御意見に従いたいと思います。
  85. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そのほうはひとつよろしくお願いします。  成田空港で四千メートル滑走路は一本ですね。これは一本事故が起こった場合、あとは、将来SSTとかあるいはコンコルドとか、こういう大型輸送機になってきた場合に、そういう問題についてはどう検討されておりますか。
  86. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 先生御指摘のように、新東京国際空港が開港いたしますときは、四千メートル滑走路は一本しかできない次第でございますが、この四千メートル滑走路には、最も新しいILSその他の計器発着援助装置を施設する予定でおりますので、そういう点については羽田等よりは能力におきましてもかなりすぐれたものと思います。また、四千メートル滑走路というものの威力というものは、わずか千メートルでございますけれども、非常に大きな威力を持っているものとわれわれは考えております。ただ、先生御指摘のように、一本の滑走路だと、横風に弱いという点も確かにございますので、急ぎ横風用の三千二百メートルの滑走路を工事しなければならぬと思いますけれども、それまでの時点において、万が一横風が強いために新空港で着陸できないということにつきましては、さしあたって入ってまいります飛行機はSST——アメリカでつくります例のUSSSTというものではございませんので、大体三千メートル滑走路であれば離着陸可能な飛行機ばかりでございます。それ以下でございます。したがいまして、羽田空港よりも着陸でき、あるいは離陸できるような飛行機でございますので、オールタネーティングとして羽田空港を使用することによりまして、万全を期し得られるのではないかというように考えております。
  87. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 四千メートル一本の問題でありますけれども、最近これに関連して、羽田空港がジャンボになってから相当到着時間がおくれたり、あるいは出発時間がおくれたり、ずいぶん混乱がされているという話を聞くわけです。このジャンボの、九日ですか入ってきたのは……。
  88. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 十一日。
  89. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 十一日ですか。それから今日までジャンボの発着ですね、あるいは故障した問題等について具体的なものがありましたら説明願いたいと思います。
  90. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) ジャンボが羽田にこの十一日に入ってまいりましてから今日まで、早く入って、比較的順調に入ってきたので二時間程度のおくれ、大体三時間、おそいのでは非常におそいのもありまして、午前様といって一ぺん新聞に出ておりましたが、確かに翌日の零時八分に入ってきたという、とってもおくれたものもございます。確かにそのとおりにおくれて入ってきております。時間どおりに入ってきたのは一つもございません。  その理由でございますけれども、一番たくさんの理由は、やはりジャンボ機に対する熟練が足りないということが一番多いのです。特に、お客は自分で乗るわけでございますから、貨物をコンテナに積み込んで、コンテナシステムに直しております。ところが、コンテナがなかなかレールがうまく合わない、レールが合ったところで、コンテナを動かす動かし方になれてないから、ちょっと横向くというようなことで、荷役に時間をとっておるようでございます。これが一番たくさんの理由のようでございます。そのほかに、エンジンの故障、空席のお客をしばらく待っておくれたとか、いろいろ理由がございますが、一番たくさんある理由は、さっき申しましたようなコンテナの積みおろしに非常に時間がかかっておる。それで特にロサンゼルスと、それから一番時間がかかっておるのはホノルルのようでございますが、のんびりムードでもってコンテナを使うものですから、それが非常に大きなおくれになっているようです。幸いにして羽田は非常にコンテナの扱いは、日本人は器用なせいか、早いようでございまして、羽田でそんなにおくれて出るということはございません。いままで羽田に着きますまでの間非常に時間を食っておくれておるために、羽田で出発かそれに比例しておくれておるというふうな状況でございます。
  91. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 いまのコンテナの問題もありますけれども、パイロットの熟練が足りないという問題です。それからエンジンの故障の問題、こういう点がだいぶ私はあるのではないかと思うのです。一つのジャンボのパイロットの問題ですけれども、これの訓練器が借りられなくなったとか、あるいは日航のパイロット訓練計画が大幅に手直しになると、こういうふうな話を聞いているわけですけれども、実際に日航がジャンボを購入し、ジャンボを飛ばすようになってきてから、実際にパイロットの熟練度がそこまでいかれるかどうか、非常に私は心配だと思うのですけれども、この点はどうですか。
  92. 川上親人

    説明員(川上親人君) パイロットの訓練について日本航空についてみますと、現在きわめて順調に進んでいる状況でございます。なお関連いたしまして、ジャンボ就航に対する日本航空の受け入れ体制についてでございますが、ただいま御質問のございました航空機の乗員につきましては、今後日本航空といたしましては十九組のパイロットと航空士が必要になるわけでございます。これらにつきまして、昨年来営々として日本航空としては努力してきているわけでございます。その十九組のパイロットの選任のしかたにつきましては、従前DC8の機長資格を持っている者で、なおDC8で三千時間飛行している者の中から選びまして、それをさらに747用のパイロットとして十分な教育訓練を現在もまた実施しておるわけでございます。これらにつきましは、きわめて現在順調にいっているものと判断しております。
  93. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そういうふうに言われるのですけれども、これはある雑誌のあれですが、私はもう確実かどうかということは、真偽のほどはわかりませんけれども、特に日航のDC8162型がサンフランシスコ空港を目の前にして着陸に失敗した。この問題にからみまして、DC8とDC8の62型とはだいぶパイロットの訓練のしかたが違うらしいんですね。パイロット自身も告白しているわけですよ。パイロット自身も従来のDC8とは全然違うといってもいいような改良型だと。日航ではわずかにこれに乗る乗員の訓練を地上訓練三日間、フライトという飛しょう訓練についてはわずか二日間しか行なっていない。これをパイロットとして運輸省は認可している。こういう問題は、私は技術的な詳しいことはわかりませんけれども、こういうことが実際にジャンボのときに行なわれた場合、はたして安全性が保たれるかどうかということが非常に不安じゃないかと思うんです。こういう点についての詳細な綿密な計画を立てているかどうか。今後私は整備の問題ともからんでいろいろお話を承っておきたいと思うんですけれども、この点はいかがですか。
  94. 川上親人

    説明員(川上親人君) 先生御指摘のサンフランシスコに起こりましたあの事故におきまして、あの当時までは確かにそういった点についてやや遺憾とする点がございました。あの事故を契機といたしまして、新しい機種に移行するにつきましては、外国におきまして一般のエアラインがそのパイロットに要求しております訓練時間の倍の時間数を日航においてはかけるということにいたしております。現在の747につきましても、そのような基準に基づいて実施をいたしておるわけでございます。
  95. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この問題で私ももう少し具体的に聞いたりあるいは勉強したいと思っておりますけれども、このパイロットの問題だけでなしに、今度ジャンボの整備問題、あるいは実際にいま飛んでいる飛行機の整備の問題について、具体的に新空港ではそういう整備の準備体制はとれるのかどうか、この点についてはどうですか。
  96. 丸居幹一

    説明員丸居幹一君) 新空港で体制がとれるかという御質問でございますが、これはおそらく新空港に格納庫なり、日航の現在羽田にある整備基地等が十分移転できるのかという御質問かと思いますけれども、新空港につきましてはAランウエーの南の端のほうに日本航空の整備エリアを広くとっておりまして、それに順次格納庫を建て、整備工場を建てて移転していく予定でございます。これは日本航空には新空港準備室という部長程度のヘッドを持ちまする室を置きまして、そして新空港への移転体制をそこでやっておりますので、私詳しくは存じませんが、そういうことも含めて準備をしておるものと考えております。
  97. 川上親人

    説明員(川上親人君) いま飛行場部長から新空港における整備問題についての御説明があったわけでございますけれども日本航空はことしの七月から東京−ホノルル、及びロサンゼルスについての路線の運航を開始いたします。それらに関する整備につきましては、すでに現在の東京国際空港に整備用の格納庫を現在検討中でございます。これは来月完成予定でございます。そこの格納庫におきまして、このボーイング747の整備を行なうわけでございます。すでに設備あるいは機材の購入というようなことも順調に行なっております。整備要員の教育訓練もあわせてやっております。これは日本航空においては計画的に、アメリカのボーイング社にもそれぞれ派遣いたしまして訓練をいたしておるわけでございます。並びに747に対する整備用の指導書あるいは整備規定というような特別なものを現在用意しているという段階でございます。羽田におきます受け入れとしては、これも着々と進められている状況でございます。
  98. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 いずれもいま船が大型船になって、非常に問題化されているときです。特に飛行機を飛ばすほうは非常に熱心なんですけれども、やはり整備とかそういう面にかかると、どうしても手を抜きがちじゃないかと思うのです。私はこれも運輸大臣によく聞いておいていただきたいのですが、これはほんとうに、今後私もいろいろ滞空時間の問題等は具体的に資料をお願いしたいと思っております。特に安全性と経済性の問題ですね。特に飛行機の問題では、安全性よりも経済性を優先させる結果、飛行機の酷使が目立つ。何よりもまずエンジン・オーバーホール・タイムが軒並みに、しかも大幅に延長されている。たとえばボーイング747のエンジンは、三年前の千二百時間から七千時間に延びている。DC8のエンジンは、七年前の一千時間から一万時間へとそらおそろしいほどこの整備の手抜きが行なわれている。私は、皆さん方一生懸命やられているわけですからそういうことはないと思いますけれども、こういう点でやはり経済性を優先する。日本国内線も相当満ぱいです。おそらくこういうために飛行機の余力がない。こういう点で相当滞空時間が延びているのじゃないか、整備の手が抜かれているのじゃないか、こういうことを私は懸念されるわけです。先ほども、落ちてからそれ以後は直していると言われますけれども、今度落ちてから直したのでは間に合わないと思うのです。こういう点について、私は運輸大臣から、この整備の問題等については日本航空あるいは全日空等についてのやはりよく特別な監査等をやっていただかなければならぬのではないか。飛行機というものは、一ぺん落ちてしまえばどうにもならぬわけですから、こういう問題については、運輸大臣どうお考えになりますか。
  99. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ごもっともな御意見でありますからして、日航並びに全日空のほうに強く注意していきたいと思っております。
  100. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 次に、私は航空法の問題で一点だけちょっと伺っておきたいのですよ。いま船員法第十二条ですか、船長の問題が話題になっているわけでありますけれども、航空法の第七十五条ですね、これも私は同じように考えられるのではないか、こう思うのですよ。この点について、これ読んで見ますと、御存じのとおりに、「機長は、航空機の航行中、その航空機に急迫した危難が生じた場合には、旅客の救助及び地上又は水上の人又は物件に対する危難の防止に必要な手段を尽し、且つ、旅客其の他の航空機内にある者を去らせた後でなければ、自己の指揮する航空機を去ってはならない。」、これとやはり百五十二条に罰則規定が、「機長が第七十五条の規定に違反して、自己の指揮する航空機を去ったときは、五年以下の懲役に処する。」、こういうふうな義務規定があるわけでありまするけれども、この問題については、航空局としてはどのように具体的にとられているわけですか。
  101. 川上親人

    説明員(川上親人君) ただいま先生お示しの、航空法七十五条の規定といいますのは、船員法における船長の危難の場合における責任に関する規定と内容的に全く同一内容でございます。しかし、船員法の改正の気運があるやに私どもはいま伺っておるわけでございますが、航空におきますいわゆる航空機事故というものの態様と海難事故の態様とでは相当に違うのではなかろうかということが考えられるわけでございます。瞬時に航空機の場合には機体もろとも全員が生命が失われるというケースがいままででも非常に多いのでございまして、ゆっくり一般の旅客並びに乗員を機外に脱出させるというような余裕のある事態というものは、航空については私はきわめてまれではないかと思います。そういう意味で、船員法の改正ということと直ちに同一にこの問題は扱っていいかということについては、現在私どもなりに検討しているわけでございますが、実際、内容的には同一条文ではございますけれども、態様が非常に違うのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  102. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この「地上」「又は物件に対する危難の防止に必要な手段を尽し、」、これは具体的にはどういうことをうたっているわけですか。
  103. 川上親人

    説明員(川上親人君) 七十五条の中にうたわれております「地上又は水上の人又は物件に対する危難の防止」といいますのは、いわば都心の上を飛行しております場合、都心の中にそのまま突入してまいりますと、地上の第三者に対する非常に大きな影響を与えることになりますので、事故が発生している場合におきましても、人家の密集しているところ、その他地上あるいは水上の人、物件に対して与える危難、被害というものを十分に考慮して、それをできるだけ避けるようにという趣旨での規定であると了解いたしております。
  104. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、これは飛行機の離着陸でいろいろ問題になるときがあるわけですね。飛んでいるときに落ちてしまえば、これはみんな飛行機もろともだと思いますけれども、実際に離着陸でいろいろ滑走状態で問題が起こった、こういう場合のやはり機長の責務、当然それは機全長でありますから責任を持たなければならない。しかし、そういうときの問題に対してはどうなんですか。
  105. 川上親人

    説明員(川上親人君) この例は、単にその離着陸の問題だけでなくて、飛行中、空中滑走その他の手段によって、人家の密集するところを避ける、可能な限り避ける、あるいは先生がおっしゃられるような離着陸の場合においても、避けられる限り避けるという規定であるというふうに了解いたしておるわけでございます。
  106. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、「旅客其の他の航空機内にある者を去らせた後でなければ、」機長は去っちゃいけない、こういうふうに義務づけられているわけですね。そうしますと、それは当然機長である以上は全責任を持たなければならない。そうしますと、飛行機に乗っておる人を全部出さない限り、うしろで、滑走路でいろいろな——どんな事故があるか、具体的には私もその場面に差しかかったことがないのでわかりませんが、実際にうしろのほうから飛行機が燃え出した、こうなった場合、離着陸のときにそういう状態になった場合も、やはり機長として最後まで、去らせた後でなければ自分の席を去ることはできない、そして罰則五年以下の懲役、こういうふうなパイロットに対する義務づけといいますかね、これはちょっと人道上どうかと思ったりすることがあるんですけれどもね。
  107. 川上親人

    説明員(川上親人君) 先生のおっしゃられるような点も確かにあるとは存じますけれども、私どもは、機長はその機内の状況に最もよく精通している者でございますし、一般に事故が発生しました場合に、機長として沈着冷静な措置をとって旅客の誘導をし、そして安全に一人でも多くの人を救い出すというのが、これは機長としての責務であるというふうに私どもは考えておるわけでございます。そういった意味で、最もよく知っているはずの機長が、しかも機内の動揺を防止するために、機長がき然として、沈着冷静な措置をとるということも、また、その機内における空気を、何といいますか、一つの秩序のもとに流れよく旅客を救出するのに非常に大きく影響するのではなかろうかと思います。したがって、まず私どもとしては、やはり機長として旅客に先立ってみずからあたふたと逃げるべき性質のものではないというふうに実は感じるわけでございます。そういう意味での機長の義務というものがここにうたわれているのでございます。そこで、「去らせた後でなければ、」というところに力点を置く必要は私は必ずしもないのではなかろうか、また、一般に機長としては、それだけの責任は、十分社会的な機長としての責務におきます常識判断に基づいて、それだけの措置をとるものというふうに私は期待いたしております。
  108. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 いろいろ航空の規定がありますから、何も私は航空パイロットが一番に逃げ出す、こんなことはパイロットだれも望んでいないと思うのです、そうなった場合にしても。しかし、ここまできびしく規定されますと、やはり事故の問題で、山名教授の問題なんかいろいろ今後の問題、私はお聞きしたいと思っておりますけれども、やはりパイロットが具体的にそういう事故に際した場合でも、やはりそこまで一々考えて、この規定があるからおれは残っていなければならないとか、そんな問題じゃないと思うのです、瞬間の問題ですから。そこまで何か圧力をかけたみたいな規定で、縛りつけたみたいな規定のしかたが私ははたしていいかどうか、常識的な判断として、だれも機長である以上、船長である以上、まっ先に逃げ出すという人は私は一人もいないと思うのです。やはりみんなりっぱなパイロットばかりでありますから。しかもこういう義務規定があるから、いつまでも——いま船でこういう話題になっているときに、航空法としてもやはりこういう問題は検討さるべき時期じゃないかと、こういうふうに私は思っているのですが、運輸大臣いかがでしょうか。
  109. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 実は船長の義務規定の改正問題も、御承知のように、時間的に政府が改正案を出すことが間に合いませんので、そこで議員修正の形で船長の義務規定を変えてもらいたいということで、そのように御承知のようなぐあいで与野党間でもって話し合いが進められておるわけであります。この機長の義務規定もなかなか、これはよりどころはどうも文章を読みますと、船長さんの義務規定と同じような性質があるようであります。いろいろ説明のしようによっては態様関係が違うとかなんとかいいましても、まあまあおそらく船員法をある程度手本にしてつくったと思われるような文章、表現のしかたになっております。また、船長なり機長なりの義務規定というものは、ある意味においては船長なり機長なりの精神的倫理規定といいますか、そういうものが主たるものだろうと思います。ことに飛行機の場合は、自分だけ助かろうといったってなかなかそういうわけにいかない。船の場合には、あるいは自分だけ助かろうという機会があるかもしれない。飛行機の場合は、たとえ地上滑走であろうとあるいは離着陸の場合であろうと、空中であろうと、大体これは飛行機と運命をともにせざるを得ないような場合が、これは大部分でありましょう。したがって、ある意味においては、もちろん罰則がついておりますからして精神規定だけではありませんけれども、まあ機長の心がまえというところに主眼があると思いますからして、おっしゃるようにくどくどしくいう必要はないのじゃないかと私も感じます。ただ、最初に申し上げましたように、船長の義務規定の改定は議員修正の形で出てまいりますので、したがって、将来航空法に手を触れる場合においても、この点等については、これは再検討して、やはりもっとすっきりしたものにするというような考え方でやっていきたいと思いますが、この場合合、政府が修正案を出す時間もありませんので——いずれそういう機会がありましたら、まっ先にこの問題は解決をしたい、かように考えます。
  110. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 私、運輸審議会の問題で二、三お伺いしたいと思います。  これは運輸審議会の運営のしかたの問題なんですけれども、仙台市の電車賃の問題については朝日新聞に掲載されているわけでありますが、私はこの一点だけをとらえて云々するわけではありませんけれども、運輸審議会の答申のしかたですね、毎年相当な件数を運輸審議会は取り扱っているのではないか、こう思うわけでありますけれども、この問題については、毎年大体どのくらいの件数を取り扱っているのでしょうか。
  111. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) お答え申し上げます。  運輸審議会が取り扱っております件数でございますが、これは二種類ございまして、まず第一種類は、運輸省から審議会のほうへ認定をいただくというものでございます。これは設置法第六条にございますが、軽微な案件につきましては審議を要しない、運輸省当局の判断にまかすという認定を下す。こういう認定を下した案件が、たとえば昭和四十四年に例をとりますると、千四百二十四件であります。その次の種類のものが、これは諮問がございまして、審議をいたしまして答申をするという件数でございます。それが、四十四年を例にとりますると、二百十件に相なっております。
  112. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは毎週火曜日と金曜日ですか、開いているのは。
  113. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) これは事実上火曜日と金曜日に審議会という会合を開いておりますけれども、実際には、先生承知のように毎日仕事をしておるわけであります。
  114. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 二十五年からこの運輸審議会が開かれて、今日までわずかの一件も修正案が出されたことがないというのですね。こういう事実はありますか。
  115. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) そういうことをいわれておりますけれども、それは事実ではございません。運輸省当局が、大臣が諮問をいたしました原案につきまして修正いたしました案件はございます。
  116. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 具体的に、修正した案件の一例を一言っていただけますか。
  117. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) これは昭和四十年の十一月でございますけれども国鉄運賃の改定の諮問がございまして、その際、運輸大臣が諮問をいたしました原案のうち、たとえば普通旅客運賃につきまして、諮問の原案が四百キロまで二等一キロ当たり三円八十銭というのが諮問の中に入っておりますけれども、これに対しまして、運輸審議会の答申はそれを三円六十五銭というふうに修正しておる事実がございます。これが一つの例でございます。
  118. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 こういう国鉄の運賃のように、大きな、だれが考えても常識的判断がつくような問題は案外審査しやすいのじゃないかと思うのです。ところが、今回の仙台市の電車賃とか、山口の私バス運賃の値上げの問題であるとか、こういう地方機関の一部の値上げの問題等については、検討する問題が非常に複雑になってくるのじゃないか、こういうふうに思うわけですね。ところが、一年間に何百件も処理していかなければならない、こういうことになると、審議のしかたが非常に粗雑というか、あるいはかなり事務的というか、こういうような傾向におちいりやすいのじゃないか。これは朝日新聞に出ている問題は真偽のほどはどうかと思いますけれども、いずれにしても、そういう事務的に処理される傾向がある。私は、運輸審議会として、こういう運賃の認可のやり方に対して非常に問題があるんじゃないか、こういうふうに思うのですけれどもね。もっと具体的に厳密に——小さな私鉄あるいは私バスあるいは小さな交通機関に至るまで、具体的な資料に基づいた審査をする、事務的な処理で終わらせることのないように、私はなりたいと思いますね。こういう点についてはいかがでございますか。
  119. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) ただいまの御質問でございますけれども、御承知のように、審議会の委員が七名おられまして、その下にそれぞれの事項を専管いたします審理官というのが現在五名おります。これは本省でいえば課長と同じくらいの、同格のものでございますけれども、その下に、さらにそれを補佐する者がございまして、そういった事務的なスタッフ、私どものほかの行政当局のスタッフと比べまして、遜色がないのじゃないか。こういったスタッフでやっております。したがいまして、そういった粗雑というようなことは現実的にないのじゃないかという私どもの見方でございます。  また、さらに大きな問題になりますれば、たとえば公聴会とか、あるいは聴聞会というのを開きまして、利害関係人の公述を聞くということもやっておりますので、そういう粗雑な仕事を運んでおるというふうには考えておりません。
  120. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 私は、何も開き直る必要はありませんけれどもね。運輸省の方々はお粗末といわれてもしかたがないと見られているわけです、あっちこっちで。こういう点が、やはり私は運輸審議会の運営問題についても、世間から非難を浴びるような行き方はまずいのじゃないかと思います。あるいは地方の私鉄あるいは私バス、タクシーの料金、こういう値上げの問題のときにも、運輸審議会から答申を受け、大臣が認可を、一週間の公示期間で実際は運賃の値上げになるわけです。これはもう少し幅を持たせられないものかどうか。一週間とか二週間とか、もう少し公示期間を長くしてもいいのじゃないかと、こう思うのです。地方の小さな範囲だから、それでいいと言われれば、そうなるかもしれませんけれども、やはり運賃を答申され、公示されてから一週間たって、私は山口県の人に意見を聞きましたら、実際はこれは一週間公示されていない。乗ってみて初めて運賃値上げがわかったと、こういう点があるのです。こういう点については、私は、運輸審議会の答申やあるいは大臣の認可、運賃の値上げ、こういう一連の慣例をもう少し改革してもいいのじゃないか、こういうふうに思うわけですけれども、この点について運輸大臣に伺います。
  121. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) この種の審議会というものは、そういういろいろな批判といいますか、批判を受ける場合が多いのでありまして、これは必ずしも審議会が粗雑な審議をしているというわけではなくて——政府の隠れみのとしてやっているのじゃないかという意味意見もあろうかと思います。審議会は独自の行政委員会的な性格を持っているのですから、その意味においては独立の団体といいますか、委員会で、権能があるわけですから、政府は、その答申を尊重して処置しなければいかぬわけであります。ただ、まあ、この審議会に限りませんけれども、いろいろの審議会があるわけですが、そのおのおのの審議会が、抜本的に思い切った答申を出したらいいのじゃないかと思います。あるときは高くてもいいんですよ。あるいは下げたっていいんです。もっとやっぱり実態を調査して、そうして、こういうところの、こういうものをやってやらなければ、結局バスがとまったり、廃止したりするということもあり得る、何かしら、八方美人的な傾向があります。大体審議会というのはもっと勇気を持って、必要あればやむを得ない、必要でないと思ったら、思い切って出して、運輸省試案が出るかもしれませんけれども、そういうものに対して思い切って下げたらよろしいと、だめならだめといってよろしい。実は審議会の性格はそういうような地方行政委員会式な性格を持っておるわけなんですが、いろんなことからして、そこまではいまの時代においてはそういう変わったこともできないでありましょうけれども、しかしもっと思い切った措置を私はやってもよろしいというように考えるわけであります。しかし、ただ、政府はまた違う。全体の経済政策とか物価政策というのを見てやりますからして、審議会の答申は尊重するけれども、それに従わなきゃならぬというわけではない。われわれのほうはわれわれのほうの独自の考え方があるわけですから、したがって、違った答申が出た場合にはどうするかは政府の権能であります。そういうふうにお互いの持っておるいわゆる権能なり職責をもっと思い切ってやればいいと思う。実際はなかなかそうもいかぬようでありますし、後段の三木さんの言われる告示期間を長くしてやったらいいじゃないか、これもごもっともであります。山間僻地では一週間に一ぺんも出てこない人があるから、できるだけ、もし一週間程度でやるならば、できるだけ早目に、しかも全般がよく知るような告示方法を考える。あるいはそれでも不足ならば、何も一週間おくれたらどうということはないから、一週間を十日にするなり二週間にするなり、こういう措置を講じたらいいと思う。少なくとも利害関係の人には十分周知徹底させた後に実行される、さような方法をとっていきたいと考えます。
  122. 温水三郎

    委員長(温水三郎君) 他に御質問はございませんか。——ないようでありますから、本日はこれをもって散会いたします。    午後四時二分散会      —————・—————