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1970-10-09 第63回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十月九日(金曜日)    午前十時二十六分開会     —————————————    委員異動  九月九日     辞任         補欠選任      鈴木  強君     沢田 政治君  九月十日     辞任         補欠選任      沢田 政治君     鈴木  強君  九月二十八日     辞任         補欠選任      前田佳都男君     岩動 道行君  十月五日     辞任         補欠選任      岩動 道行君     前田佳都男君  十月八日     辞任         補欠選任      三木 忠雄君     峯山 昭範君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         温水 三郎君     理 事                 岡本  悟君                 金丸 冨夫君                 藤田  進君     委 員                 木村 睦男君                 佐田 一郎君                 重政 庸徳君                 平島 敏夫君                 渡辺一太郎君                 瀬谷 英行君                 峯山 昭範君    国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  秋富 公正君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部業        務課長      服部 経治君        日本国有鉄道総        裁        磯崎  叡君        日本国有鉄道理        事        一条 幸夫君        日本国有鉄道監        査委員会委員   深草 克己君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (国鉄財政再建計画に関する件)  (車両火災安全対策等に関する件)  (大都市交通対策等に関する件)  (昭和四十四年度日本国有鉄道監査報告書に関  する件)  (タクシー料金等の値上げに関する件)  (国鉄における危険物輸送に関する件)     —————————————
  2. 温水三郎

    委員長温水三郎君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨八日、三木忠雄君が委員辞任され、その補欠として峯山昭範君が選任されました。     —————————————
  3. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 平島敏夫

    平島敏夫君 国鉄総裁にまずお尋ねしたいんでありますが、時間が非常にないようですから、きわめて簡単に質問し、また、簡単な御答弁をお願いしたいと思います。  国鉄財政立て直しに対する国鉄幹部並びに運輸省当局方々の非常な御努力に対しては満腔の敬意を表している次第であります。私も微力ながらこれには御協力申し上げてまいっておるつもりでございます。日本国有鉄道法を見ますると、独立採算という条項は出ていない。「能率的な運営により、これを発展せしめ、もって公共の福祉を増進することを目的として、ここに日本国有鉄道を設立する。」ということが設立の目的として第一条に掲げられて、第二条には、「商事会社ではない。」ということがはっきりされておる。いつごろから独立採算ということが強く取り上げられるようになったのか。もっとも、能率的な運営、また、特別会計というたてまえから当然その結論は出ましょうけれども、私たちがずっと十年以来運輸関係に携わっておって、独立採算ということが非常に強く取り上げられてきておるようでありますが、いつごろからこういうことになったのか、それをまずお聞きしたいんであります。
  5. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 国鉄独立採算ということばは、法律上使われているところはございません。しかし、昭和二十三年の運賃法の制定の際に、第一条に、運賃というものは国鉄の総原価を償うべきであるということがきめられております。運賃原価を償うということは、逆に申せば、運賃でもって全体の経費をまかなえというふうに解釈されております。それが一つの根拠でございます。  もう一つは、こまかいことになりますが、国鉄法の四十一条でございますが、これは昭和二十八年に改正されまして、それまでは、国鉄経営赤字が出ればそれは国がめんどう見る、そのかわり黒字が出ればそれは国へ納めろ、こういうことになっておりました。ところが、それでは企業としての経営がおもしろくないということで、利益が出たならばそれは社内保留として保留して、そして自己資金でもって工事財源なり何なりに充てなさいというふうに変えられました。したがって、赤字が出てもそれは国がめんどう見ないというふうに改正されました。四十一条でございます。昭和二十八年でございます。これが裏返していえば独立採算というふうにいわれておるというふうに思います。しかし、精神は、先生がおっしゃいましたように、第一条、第二条から出てきておる精神だというふうに思います。
  6. 平島敏夫

    平島敏夫君 日本鉄道建設公団法を見ますると、三十九年、四十二年に改正されておりますが、公団は、「鉄道新線建設を推進することにより、鉄道交通網整備を図り、もって経済基盤強化地域格差是正に寄与することを目的とする。」、かようになっております。私たちは、この地域格差是正、また、経済基盤強化ということは、これは国策として非常に大事なことだと考えておるのであります。最近、過密過疎の問題は一そう深刻になってきており、また、公害問題によって今度は集中された工場を分散せねばならないというような事態にきておると考えておるのであります。そこで、これは私たち鉄道に関する二本の大きな柱として立てられた国鉄法鉄道建設公団法だと考えております。国鉄立て直しについて国鉄には監査委員会があって、きわめて熱心に検討された結論が出されております。これは国鉄法にもその国鉄監査委員会というものははっきりその使命等についても記録されておる。私たちはこの監査委員会報告というものを非常に敬意を表して見ておるものでございます。もう一つ国鉄国鉄諮問委員会というものがあるようでございまするが、この諮問委員会というのはいつごろから、どういう趣旨でつくられたものであるか、それを御答弁願いたいと思います。
  7. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 諮問委員会の存在いたしますようになりましたのは、昭和三十年か三十一年かはっきりいたしませんが、国鉄法の改正をいたしました。これは国鉄法にとりましては抜本的な、たとえば当時ございました監理委員会——いま電電にございますが、監理委員会、これを廃止いたしまして理事会をつくる、理事会には部外の方をお入れするというふうな企業体としてのあるべき姿に直したのは三十一年だったと思いますが、そのときの衆議院運輸委員会附帯決議におきまして、いままでの監理委員会がなくなって理事会になる、そうするとつい国鉄内部機関だけでもってものを処理するようになる、これではいけない、広く部外産業経済あるいは労働その他一般の有識者の意見を聞くような総裁諮問機関としてのそういう機関を設置しろという附帯決議衆議院運輸委員会でなされました。その附帯決議がついたまま衆議院の本会議で可決されております。その附帯決議によりまして国鉄諮問委員会というものを設置したわけでございます。その顔ぶれは、いま申しましたとおり、産業、金融、経済あるいは評論家あるいは労働界というふうに各般の方々を約三十人網羅した委員会でございます。
  8. 平島敏夫

    平島敏夫君 その設立されましたのは、これは国鉄内部の措置としておやりになったのか、それとも何か法的なものがあるんですか。
  9. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) これはいまの衆議院の議決によりまして、国鉄内部総裁諮問機関でございますので、国鉄内部機関として内部の規則によってつくったものでございます。
  10. 平島敏夫

    平島敏夫君 そうすると、諮問委員会性格というものはどこまでも国鉄総裁諮問に応ずる、また、その報告等総裁あてに出されるものだと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  11. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 二つございますが、一つは、国鉄総裁からの諮問を受けてそれに答える場合、一つは、積極的に国鉄総裁に対して勧告と申しますか、建議と申しますか、そういうものを出す場合と二つございます。それはもちろん相手方としては国鉄総裁国鉄内部機関でございますから国鉄総裁あてにいまの諮問に対する答えも、あるいは建議総裁あてに出されるというふうに解釈いたしております。
  12. 平島敏夫

    平島敏夫君 この委員会顔ぶれ、実にりっぱな方々ばかりおそろえになっておるようでありまして、私はこれに文句を言うわけではありませんが、しかし、これらの方々を見ますると、学者もおいでになるようであり、あるいは実業家その他そろっておるけれども鉄道に関してほんとうの深い識見なりあるいは経験をお持ちになった方はあまりおいでにならぬように思うのでありまするが、そこで私は、最近出されました中間報告、小委員会をつくられて出された報告書内容を見ますると、国鉄総裁に対する報告という以外に、政府なり国民に対して呼びかけられて、しかもこれを新聞に大きく発表されておるという、これは少し諮問委員会性格性質を逸脱したように私は感じたのでありまするが、これはその内容を見てさらに私は奇異に感じておるものであります。それに対する総裁の御所見をお聞きしたい。
  13. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ことに今回の諮問委員会のまた中間的な勧告でございますが、これは私あてに出されたものではございますけれども国鉄問題が非常にいろいろ財政問題として論議されておるおりから、世間が注目し、また報道機関が注目する、これもまたやむを得ないことだというふうに存じます。しかも顔ぶれが、先生のおっしゃったとおり、一応日本各界の、政治家をなすった方もいらっしゃいますし、また実業家もいらっしゃる、いわゆる民間の総意というような顔ぶれで集まっておられますので、それをマスコミが取り上げるということは、いまの国鉄問題の性格からいたしまして、私どものほうとしては直接関与いたしませんが、そういう発表なり説明を行なうということはいままでもやったことでございますし、今回だけ特に取り上げたということではございません。いままで過去数回、必ず諮問委員会答申なり勧告というものは、その当時新聞発表あるいはテレビ等発表されております。
  14. 平島敏夫

    平島敏夫君 その中で私たちが非常に不審に思っておりまするのは、鉄道建設は、これは鉄道建設審議会なるものが運輸大臣諮問機関としてあって、この審議会なるものは非常に権威を持ったものであって、これこそ各界の代表的なものを網羅しておって、しかも非常に慎重にこれは検討審議をされて、そうして総理大臣に対する進言もできるように法律上の権限も与えられておるわけです。そこで、鉄道建設に対してはもちろんでありまするが、鉄道建設中の路線中止するとか、あるいはせっかくつくった鉄道廃止するとか、こういうことにつきましては、当然、建設審議会にかけられると思っておりまするが、これに対しましてはむしろ鉄監局長からお聞きしたほうがいいのじゃないかと思いますけれども、御答弁をお願いします。
  15. 秋富公正

    説明員秋富公正君) 国有鉄道部長でございます。  ただいま先生の御指摘の、鉄道建設審議会性質でございますが、先生説明のとおりのものでございまして、新しく新線をつくる場合、それから調査線から工事線に格上げする場合、個々に御指示をいただいておるわけでございますが、現在のところ、私のほうといたしましては、この国鉄諮問委員会中間報告につきまして、これも直接総裁あて中間報告であるという性格もございますし、現在のところこれを鉄道建設審議会におはかりするという状態にはただいま立ち至っておりません。
  16. 平島敏夫

    平島敏夫君 国鉄のほうでは、これは運輸省と御相談の上と思いますが、八十何線かを赤字線として、これはもちろん地元了解を得た上でということになっておりまするが、これを取りはずすべきだ、こういう方針を打ち出しておるわけでございます。この八十三ヵ線というものについて、これを今日ここで短い時間の間に論議することは、これは差し控えまするが、この問題についてもこの諮問委員会のほうでは触れておられて、この赤字路線廃止が緊急の課題となりながら、一方で新線建設を進めておる、これはきわめて不合理なことである、この赤字路線対策の実施をはばんできた最大の原因、要因となっておると、こういう大胆な御意見も出ておりますが、これに対してどういうふうにお考えになっておるか、御所見をお伺いしたいと思います。
  17. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 八十三線区の問題が出ましたのは一昨年でございます。国会においてもずいぶん御答弁申し上げましたが、私どもといたしましては、やはりあの程度のものはもうすでに鉄道としての使命を終わったものとして、地元といろいろ折衝し、まあわずか一線でございますがすでに廃止し、また第二線目をごく最近廃止することになりましたわけでございます。その際に、そういう地元といろいろと話をする際に、地元としてはわからないではないと、初めは絶対反対というふうな空気でございましたが、わからないことはない。しかし、同じ県なら県の中で、片方でいま生きている線をやめるといいながら、片方で全然新しいところへ同じような性格の線を引くのはおかしいじゃないか、この地元のいわゆる現在線の問題を超越した問題に対しましては、全く私のほうの現地の係員といたしましても説明に窮するわけでございます。したがって、地元の中では、新しく線をつくっている以上、いまある線をやめるのはおかしい、こういう素朴な議論が出るのは私は当然だと考えます。したがって、諮問委員会でそういう点をいわれたことにつきましては、事実としてそういう問題があったと、また現にあるという点を指摘されたものと考えます。
  18. 平島敏夫

    平島敏夫君 鉄監局長に……。
  19. 秋富公正

    説明員秋富公正君) 私のほうといたしましても、国鉄財政再建ということはきわめて重大な問題でございまして、この財政再建ということはいろんな面からの問題があるわけでございますが、いわゆるローカル線と申しますか、八十三線と申しますか、こういったものにつきましては、その地域におきます自動車道整備、あるいはその地域におきますモータリゼーション、あるいはそこにおける過疎現象というような権衡からいたしまして、非常にそこの利用客利用貨物というものが減じてきているということは事実でございます。一方、しかし地元住民の利便、あるいはその地域における経済維持ということからも、これはまた非常に別の立場から検討すべき問題だと考えておりまして、個々一線一線につきましてその地元住民と十分に話し合いをして、なお存続していくべきものにつきましては、国、地方公共団体がその経営について補助をしていくべきである、あるいは代替交通機関にかえることが地元において了解のできたものについて、代替機関というものについて検討を進めていくといったような、広く各方面からこの問題については検討を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  20. 平島敏夫

    平島敏夫君 私どもも、輸送構造の急激な変貌によって再検討を要することについて決して目をつぶっているものじゃございません。ただしかし、八十三線の中にも、おのずからもうすでに効用のないものも薄いものもあり、あるいはしかし将来また必要になるようなものもあって、これは一律にいかないと思う。この諮問委員会あたりでは各路線について一々御検討になったわけでもないと思う。そういうひまもないし、またそういうおひまのある方々でもないと思いますが、それについて私はかれこれを申すものじゃございませんが、しかし、いやしくも建設を望むときに建設審議会にはかるならば、工事中止するとかあるいは廃止するという場合には当然、審議会にかけられるべきものと考えておりますが、その点いかがでございますか。運輸省のほうから御答弁願います。
  21. 秋富公正

    説明員秋富公正君) 私のほうといたしましては、現在、五十七線の工事線があるわけでございますが、これにつきましては、いま先生から御指摘がございましたように、それぞれ一線一線についてやはり検討していくべきだということでございますが、交通体系の変化という点からも考えまして、いわゆる新線建設というものにつきましてもこれを従来に増して重点化して考えていくべきだというふうに考えておりますが、一律にこれを中止するというような考えはない、ただいまのところ持っておりません。したがいまして、ただいまのところ鉄道建設審議会にこの問題について御議論いただくという考えも持っておりません。
  22. 平島敏夫

    平島敏夫君 しかし、一たん建設を決定して進めているものに対してこの工事中止するという場合は、当然これは審議会のほうにはかられておるように思うのですが、その点はどうですか、その点もう一ぺん重ねてお聞きしたいと思います。
  23. 秋富公正

    説明員秋富公正君) 鉄道敷設法によりますと、鉄道建設審議会に対しましては、いわゆる新線建設の許可に関し必要な場合においてはあらかじめ審議会諮問すべしということになっておりまして、法律そのものからまいりますと、中止あるいは廃止の場合にこれを鉄道建設審議会におはかりする、諮問して御答申いただくという規定はないわけでございます。しかしながら問題が問題でございますので、大きく政策を変更するというような場合には、あらかじめ、正式な答申という意味ではなくてもこの問題について御議論をいただくということは考えられるわけでございますが、先ほど申し上げましたように現段階においてはまだそういった考えはございません。
  24. 平島敏夫

    平島敏夫君 それは私も法律を読んで、建設の際にあるけれども立法趣旨から言いますならば、そこで決定した路線中止ということになるならば、これは単に法文のたてまえだけでなしに、立法精神から見て当然これははかられるべきであると私は考えております。  それから赤字線の問題、これについて、いま非常な努力国鉄のほうでもお払いになっていることに対して、私はまだ手ぬるいと、こう思っておりますくらいで、もっと思いきって地方との交渉を進められることが必要と思いまするが、この答申によりますると、いわゆる幹線路線地方線と合わせて一万キロは必要だが、あとの一万三千キロは必要ないんだと、こういうきわめて大ざっぱな結論を出しておられる。そうして地方鉄道に対して、地方が必要だと言うんならば、地方公共団体その他に受益者負担意味において相当の負担をさせるべきだ、こういう結論が出ておりますが、しかし私は、今日の税制の方針から見ましても、また地方財政力から見ましても、これは非常にむずかしい問題じゃないか、非常に無理じゃないか。むしろ赤字の一部は都市の通勤なり通学のために出ている赤字が非常に多いのです。むしろ東京都であるとか、大阪であるとか、名古屋とか、そういうところに負担させるというならば話はわかるけれども、貧弱な地方公共団体にこれを負担させようというのは話が逆じゃないか、そういうふうに思っておりまするが、参考のためにお聞きしたいと思うのは、赤字内容で、そういう大都市通勤その他によって出ておる赤字地方赤字とどの程度になっておりますか、参考のためにお聞きしたいと思います。
  25. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) この答申の文章が非常に簡単でございますので、先生がいまおっしゃったような、何と申しますか、少し真意が正確に伝わってない点があると思います。また、新聞などでもそういうふうに伝わっておりますので、この際簡単にちょっと申し上げさしていただきますと、私どもが申し上げていることは、何も地方線系をやめてしまえということを決して言っているのではないのでございまして、とにかく一応経営企業としてやっていく以上は、どっかで利益を出して、その利益でどっかの欠損を埋める、これは当然でございます。したがって、現在のわずか九線二千五百キロから出ている黒字では大体日本全体の幹線系赤字しかまかなえない。これが約千億です。利益が約千億で、東海道新幹線以下の九区で千億の利益を出しまして、逆に幹線系の千億の赤字をカバーしております。そのほかに地方線系赤字が千億ございます。その地方線系を全部やめてしまうというのではなしに——その地方線系赤字というのは九線の黒字ではまかなえない。いわゆる企業として成り立たない部門である。ソシアルミニマムといいますか、公共輸送として必要な面がたくさん残っている。したがって、それの経営についての赤字が出れば、その赤字は国全体の問題として、いま先生のおっしゃった過疎対策の問題いろいろございます、そういう国全体の問題として国なり地方財政からめんどう見ていただきたい。とても黒字線の東海道の利用者あるいは東京付近利用者にその二番目の一千億もかぶせるわけにもいかないというふうな経理上の分け方を言っているわけでございまして、それを何か、あとの一万キロはやめてしまうんだ——きのうの新聞にはそういうように出ておりましたが、一万キロはやめてしまうんだということを私どもは言ったことはないのでございまして、その一万キロの中には八十三線区が入っております。それを全部やめるという、そういう非常識なことを申したわけではございませんので、その地方線系の一万キロについては廃止すべきものは廃止する、それからどうしても公共輸送として必要なものは、この赤字黒字線の人にしょわせるわけにもいかない、したがって、国家財政並びに地方財政からめんどう見ていただきたい。地方公共団体とおっしゃいましたが、私どもは、地方公共団体ということばは、いま先生のおっしゃったように、確かに地方の非常に財政状態の悪い公共団体ということになりますので、そうでなしに、地方財政全般としてめんどう見ていただきたい、国家財政地方財政全体としてめんどう見てほしい、こういう言い方をいたしております。
  26. 平島敏夫

    平島敏夫君 いろいろ御苦心になっている点はよくわかります。ただ、非常に誤解を招くような発表がかなり多いと思います。特に最近のレポートが出まして以来、地方ではいまにも建設中止されるように心配しております。それに対して裏づけをするような当局の御発言が、どなたからということは申し上げませんけれども、あるように私たちは聞いております。運輸省のだれかれがこう言ったとか、あるいは国鉄関係の方がこう言った、これらは非常に地方に対して大きな影響を与えるのです。いまの鉄道を二つに分けて、一方には力を入れるが、もうからぬ線は全部やらないのだというようなことになりますと、国鉄使命そのものを忘れて、もう普通の会社と同様に成り下がっていくのだと、私はそう考えております。国鉄の本来の使命というものは、黒字線のところから、やはり将来の基盤となるべき大事な線はこれを負担していくところに大きな意味があると思うのです。私はこの報告がこのまま受け入れられるとは思っておりませんけれども、いま建設中のものは一時二、三年ストップしろと、こういうようなことになりますと、ただ一線一線を予算の都合であと回わしにするとか、そういう問題と違って、やはりこれは鉄道建設審議会にはかるべき問題じゃないか、そういうふうに考えております。それほど事務的でなくて、この問題は政治的な大きな問題として考えておりまするので、今後こういうことに対しましては、十分慎重にお取り扱いになられるように申し上げまして、時間のあれもありますので、私の質問はこれで終わります。
  27. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 答弁はいいですか。
  28. 平島敏夫

    平島敏夫君 運輸省国鉄のほうからそれぞれ御答弁願います。
  29. 秋富公正

    説明員秋富公正君) ただいまの平島先生の最後のお話、たいへん重要な問題でございますので、十分私たちといたしましても、その取り扱いにつきまして慎重を期していきたいと、こう思っております。
  30. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私どものほうといたしましても、私のほうの説明その他を十分にいたしまして、誤解のないように、私どもの真意がはっきり伝わるように、決して国鉄がもうかるところだけやっているのじゃないということは、最小限そこだけはわかってもらうように、全力をあげていきたいと思っております。
  31. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 最初に総裁のほうにお伺いしたいのですが、きょうは公害対策特別委員会も開かれておりますけれども、公害が非常にいま問題になっている。国鉄は蒸気機関車のほうがなくなって、ばい煙による公害というものはだんだん問題は影をひそめておりますが、例の列車便所のたれ流し黄害、このたれ流し黄害の対策というものは、いかに財政的に困るといっても、ほったらかしにしておくわけにいかないだろうと思うのです。だから、この問題を新しい予算面で、はたして国鉄としては考えているのかどうか、その点をお伺いしたいのです。
  32. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 細部につきましては担当の常務から申し上げますけれども、全体といたしまして、私どものほうの黄害問題が起きましたのは、最近の公害問題よりだいぶ前でありまして、私どものほうといたしましても、当時国会でいろいろ申し上げたいきさつもございます。全体で約八百億の金がかかるということで、その他一番問題は車の問題、車の設備の問題と、車の設備よりももっと重大な問題は、ターミナルにおける処理の問題があるという、この二つがあるということもはっきり申し上げております。現在東京、大阪等につきまして、そのターミナルの処理施設、それをつくっておりますし、また、車につきましても、新しい車は全部いつでも——ちょうど新幹線のような循環式と申しまして、飛行機、新幹線に使っております、ああいうようなものにいつでも切りかわるような設計でもって新車は全部つくっております。したがって、今後は基地の、いわゆるターミナルの処理施設の問題、これが地元との折衝をいま非常にやっておりますが、なかなか難航しております。たとえば東京都に言わせますと、何も列車の便所から出てくるものは東京都民のものじゃない、よそから持つできているんじゃないかというようなこともございまして、なかなか簡単に一般の屎尿処理の問題と同列に扱ってくれないような問題もございます。まあ私どもは、そのために固定資産税を納めているのじゃないかと言っておりますが、そういうことでなかなか役所同士の話がつかない点もございます。しかし、何とかそういう面を説得いたしまして、屎尿の処理の末端は私どもやるわけにいきませんので、反尿処理の設備まで私どもで、それから先は都なり市でやってもらうというふうな形でもって問題を解決するように現在進めている最中でございます。
  33. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 私ら汽車に乗っていて車内放送をするわけです。たとえば上野行の汽車に乗ると赤羽から先は便所を使わない、その前に使ってくれ、こういう意味のことを車によってはかなり念入りに、時間をかけて耳ざわりなほど放送することがあるんです。だけれども考えようによると、そうすると東京都内に入ったら便所を使わないでくれ、埼玉県の中を走っているうちにやってくれと、こういうようなものですね。これはまことに埼玉県側としても迷惑な話だ。あそこだって畑の中を走っているわけじゃない。そういうことを放送されると、正直な人は本気になって赤羽に着かないうちにトイレにかけ込む、そういうことになるわけです。こんな問題はなるほどカドミウムとかヘドロとかというのとは性格が違うかもしれないけれども、なるべく早く解決をしなきゃならぬことだと思うのです。われわれとしてもいままで不愉快な思いをしている。一体何年ぐらいのうちに車両の改善というものを全部行ない得るか、そういう問題をこれからも国鉄の予算措置の中に組み入れていけるのかどうか、この点をもう一度お伺いしたい。
  34. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) もちろん私どもといたしましても、あるいは通勤輸送あるいは新幹線、いろいろ金のかかることもございますけれども、やはりいまの黄害問題もその優先的なものの一つとして、わずかな全体の工事費の額ではございますけれども、その中で毎年毎年さいてやっていくつもりでございますし、また、現在すでに、先ほど申しましたとおり、新しい車は全部そういう車でつくっておりますので、いずれ全体としてさらに便所の数を減らして、新しいものにするとか、いろいろ具体的な案をつくっております。いますぐ黄害が全線で一切なくなるという最終リミットまで申し上げるわけにはまいりませんが、少なくとも幹線筋までは優先的にまずやっていく、一度に全部やるわけにはとてもこれはまいりませんので、幹線筋の人口稠密地帯を通るところを先にやっていくというふうな方針で現在進めている最中でございまして、本年度は予算のうちから二億そちらにさいております。今後基地の——まあその二億は、車両のほうは別でございます。これは車両費の中に入っております。そうでなく、基地の費用といたしまして二億入れている。これは基地でもって処理施設をつくって、それを一般下水に流すわけでございます。その基地の中の処理施設については二億、これはとりあえず品川と、大阪の宮原の二カ所に現在基地をつくっております。それが二億でございます、本年度分が。今後そういうふうにして基地をまず整備いたしませんと、幾ら車の便所を直しましてもあけるところがないといけませんので、その基地を整備することにいま全力をあげております。車は、新しい車について新しい便所をつくるという方針で、これはもうずっと三年ほど前からやっております。
  35. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 今度は安全問題についてですが、国電の車両のどこからか火をふいて、大阪近辺ですね、事故を起こしたということでありますけれども、これはかなり古い車両を使っているので、そういう問題も起きているのじゃないかと思うのですが、東京でもまだ昔の六三型の遺物みたいな電車が、三段窓の電車が京浜東北線なんかで使われているわけです。ああいう車両に火をふくというような危険はないものかどうか、大阪の事故にかんがみてそういう点検が行なわれているのかどうか、その点、事故の概況とそれから現在使われている車両の安全度についてお伺いしたいと思います。
  36. 一条幸夫

    説明員(一条幸夫君) お答えをいたします。  ただいま御質問にございました事故は、十月七日の十八時二十四分に片町線の鴻池新田の駅で起きました事故のことだと思いますので、概況をまず御説明をいたしますと、第三六六電車でございますが、鴻池新田の駅を定着の予定で時速五〇キロの惰行運転で入ってまいりまして、駅にとまりますためにブレーキを使用いたしましたところが、事故表示灯が点灯いたしました。それから座席が停電をいたしました。直ちに取り調べたわけでございますが、同時に、申しおくれましたが、車掌も車掌弁を取り扱いまして非常ブレーキをかけております。したがいまして、所定の停止位置より十メートルぐらい手前で停止をいたしまして、運転士がほぼ確認いたしましたところが、四両目の電車でございますが、これはモーター・カーでございます。電動モーターのついている車でございますが、その床下から煙が出ておりまして、直ちにパンタグラフを降下をしたわけでございます。パンタグラフを降下して調査をいたしましたところが、床下についております、電流を切ります遮断器がございますが、遮断器付近が焼損をいたしておりました。そこから煙が出ていたわけでございます。電車が停止をいたしましてすぐにパンタグラフを降下してしまいましたので、ドアが開閉しませんでしたために、乗客は窓からおりられた方と、それから——非常用のDコックというのが床下についております。これは非常の場合に取り扱っていただけるように表示をしてございますが、Dコックを使用してドアをあけましてホームに退避をしていただきました。この際に、お客さん四名が、窓ガラスの破損、それから電車から飛びおりますときにころばれましたことによりまして四名が負傷しておられますというような事故でございまして、この車のこのような状況になりましたことにつきまして、現在調査中でございまして、原因の詳細がまだわかっておりませんのですが、警察側の強い要望もございまして、警察側と共同で、きのう、きょう、取り調べておる最中でございます。  それからこのような事故に対します対策でございますが、まず第一に、こういう何といいますか、電流を切ったりいたしますような部分では火花のようなものが発生する可能性が非常に強いわけですが、火花がなるべく発生しませんような材質を使うような努力をしてきております。しかし、それと同時に、そういう場合にその火花がまわりの機器に影響いたしまして火災になるようなことのないように被覆をする、あるいは燃えにくい材料を使うということはやっております。それからもう一つ、火花の原因になりますものにブレーキ——制輪子といっておりますが、ブレーキをかけるブロックがございます。これは従来は鉄の鋳物を使っておりまして、空気の圧力で車輪の踏面を押しましてブレーキをかけております。これは鋳物が摩擦で摩耗いたしますときに火花になって出ますので、最近は制輪子の材料も火花の発生しない合成樹脂の材料に取りかえつつございます。新しい性能の電車は全部合成樹脂になっております。この型式はおそらくまだであったろうと思います。それから車内等につきましても最近はすべて木製部分をなくいたしまして、全部金属材料を使う。従来木を使っておりましたところは金属材料を使う。それから座席のモケット等につきましてもできるだけ燃えにくい材料を使うというような苦心をいたしております。それから塗料類につきましても、従来の塗料は非常に燃えやすいものがございましたので、最近は難燃性の塗料を使うようにいたしております。というようなことで、あらゆる部分につきまして火災の原因になりますようなものを除去すること、それから何らかの原因によりまして火が出ました場合には、なるべくその火が燃え広がらないような材料を使う、防護をするというようなことで対処いたしております。
  37. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 車両の火災というのはちょっとまかり間違うとたいへんなことになる。古い車両を使っている線では、新しいのでも十分点検してもらわなければならぬけれども、特に古い車両の場合は桜木町の事故のようなああいったようなことになったらたいへんなことになる。  それから、これからは地下鉄線に乗り入れをするという車も出てくる、こう思うんですけれども、地下鉄の軌道の中で火災が発生をして煙が大量に発生をするということになると、これまた相当危険なことだと思うのです。そういう点の点検というものは十分にやってほしいということを要望しておきたいと思います。  それから、先を急ぎますが、総裁にお伺いしたいのは、東京都知事に立候補を予定されている秦野前警視総監がいろんなことを発表しております。で、その中に、国鉄関係で言うならば、国鉄の操車場を利用して高層住宅ビルを建設するといったようなことを発表しておるわけです。そういうことが操車場としてできるのかどうかということですね。大体操車場によっては万博の会場ぐらいを必要とするものが多いと思うんですよ。それを全部ふたをしてしまって上に住宅を建てるというようなことなのか、あるいは操車場の上に高層ビルを点々と建てていくつもりなのか、その辺のことはよくわかりませんけれども、こういう問題について検討国鉄としてしたことがあるのかどうか、技術的にそれができるのかどうか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  38. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私は秦野構想を詳しく読んでおりませんけれども、いまのお話、御質問について申し上げますと、たとえば、国鉄が持っている土地を利用しろという話は一日に一回か二回私は必ず人から言われます。おまえのところ困っているのに土地を遊ばしているじゃないかということを言われます。また、線路の上を使わせろという話をずいぶん聞きます。しかし、私どもは、たとえば、鉄道とか道路というものは単に輸送上の必要性だけでなしに、やはり都市の一種の防火地帯になったりあるいは避難地帯になったり、いろいろな別な作用を持っていることは、これは関東大震災あるいは過般の空襲の際における都民の避難状況を見ましてもよくわかる点でございます。私は、線路の上とか道路の上は、これは当然輸送機関として使うべきであって、その上にものをつくるべきじゃないというふうに思っております。たとえば、操車場はちょっと別でありまして、東京都内には大きな操車場はあまりございませんが、貨物駅の上だとか、あるいはこのごろよく問題になります東京駅の上だとかいうことにつきましては、いろいろ外のほうから話がございますが、私はいま技術的にいろいろ関係者と話しているのでございますが、何といっても、たとえば極端な例は汐留をとにかく神奈川県に持っていってしまえ、あんなものが東京のまん中にあるのはおかしいという話はよくございます。しかし私は、汐留というのは年間三百万トンの貨物を扱っている、これが東京都民の食生活等に非常に大きな関係があるので、これをもし東京の都心からはずしてしまったら——これはよその国では困っている状況で、何百億も金のかかることはとにかくといたしまして、そこから東京都内へ持ってくる運送費が高くなるだけでもたいへんな物価問題じゃないかということを申しまして、汐留撤収説には私は絶対反対しております。しかしながら、浜松町のビルから見ますと、あそこがまだ遊んでおります。しかし、私どもとしましては、将来、いまの状況から見ますと、大井町の電車の車庫を、御承知かと思いますが、いまの貨物駅などを二重のデッキ、上下二段で使うと申しますか、ダブルデッキで使うことは、これは当然考えられると思います。もう一面二階にホームをつくってそこで貨物を扱う、しかし三階までそれが使えるかどうか、相当疑問だと思います。したがって、最小限二階にダブルデッキで貨物駅をつくり、その上に倉庫を置くということをいたしますれば、その上はあくわけでございます。したがって、それをあるいはオフィスに使うか、あるいは住宅に使うか、これはまた全体の都市計画の問題として考えられない問題ではないと思います。ただ一番大きな問題は、いわゆる汐留を撤収しない限り、あそこで大きな貨物作業をやっている、そうすると、車の入れかえがある、そういたしますと、どうしても柱を立てる際に太い柱では絶対に作業ができないわけでございます。したがって、軽量の細い柱でもって高層住宅ができる、いわゆる軽量高層住宅ができるようになった際には考えられない問題ではないというふうに考えられますが、現在、たとえば霞が関ビルとか、あるいは浜松町のビルのああいうふうな太い直径一メートル半もあるような柱を立てなければ高層建築ができないとなれば、いまの貨物駅の上などに、あるいは東京駅の上に大きなビルをつくることは、これは下の輸送作業自体に非常に大きな障害になります。したがいまして、私どもといたしましては、繰り返して申し上げますと、やはりいわゆる軽量高層建築ができて非常に細い柱でもって非常に高層化できるようになれば、これは当然都市の空地利用あるいは都市の再開発という見地から考えなければならない問題の一つだというふうに考えます。
  39. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 さらに、某週刊誌等によれば、国鉄大井工場や芝浦の操車場を郊外に移転をする、あるいはまた南千住、小名木、両国、田端、汐留等を郊外に移転してそのあとを住宅にするといったようなことが出ている。念入りにそういう問題について、すでに秦野さんは国鉄総裁と相談をして内諾を得たようなことが書いてある。一体そういう事実があるのかどうか。また、これらの貨物駅、操車場等を全部郊外へ移転するといったって、そんなに近所に適当な場所があるわけじゃないですけれども、そういうことが交通政策上可能なのかどうか、その点をお伺いしたい。
  40. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 実は貨物駅につきましては、非常に部外の方は、あんなものは、市内に要らないじゃないかということを端的におっしゃいます。これは大阪の梅田でも同じことでございますが、相当な有識者でも貨物駅は外へ出ていけということを率直に言われますが、私ども輸送担当者として、いまの貨物駅がもし外に出ていってしまったならば、先ほど申し上げましたとおり、市内へ持ってくる小運送と申しますか、その自動車輸送だけでたいへんなことになるというふうなことを申しまして——貨物駅はもちろん統廃合はいたします。廃合したり統合したりいたします。もちろん各駅にばらばらにあるようなことはやめますけれども、あるところに集約するそうして都内のまん中へ持ってくる。これはもう外国でもって、ある時期にやはり市外へ貨物駅を移して、その後非常に困っている例がたくさんございます。私はやはり相当な貨物駅、東京都民で申し上げれば、合計一千万トンくらい扱う貨物駅が都内になければ物価問題その他にすぐ影響を来たすと思います。したがって、いまおっしゃったような貨物駅を全面的に撤収するということは、私は絶対反対でございます。しかし、いま申しました統廃合で、たとえば、いま総武線の複々線化をやっておりますが、あれでもって相当貨物駅がなくなります。その貨物駅のあと地が相当あいてまいります。そういうところへ、さっき申しましたような都市再開発も協力できるものは協力ということは考えております。そういうことで私と秦野氏と具体的な話をしたということは私の関知しない点でございます。  ただ、どなたがごらんになっても鉄道の持っている土地が大きくて、しかも大きい土地を遊ばせている、貨物駅は非常に遊んでいるというふうに世の中の方はお考えのようでございますが、私はそう思っておりません。そういう有閑地を利用したいという気持ちは、私はわからないわけではない。先ほど申しましたとおり、将来技術的に可能な問題が出てくれば、これは再開発の問題の一環として取り上げてしかるべき問題だというふうに考えております。
  41. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 私もこの秦野構想なるものを見てちょっと首をひねったわけですね。大ぶろしきの後藤新平をまねしたのかもしれませんけれども、大ぶろしきでも穴だらけのふろしきでは何にもならないわけで、一体国鉄と相談して技術的にもあるいは政策的にも可能であると見当をつけたのかどうかということを聞きたかったわけです。いま総裁の話では関知していないということでありますから、それではたとえば、週刊誌等に出ておった、すでに国鉄総裁と話し合った結果、見当をつけたことはうそだったということはこれではっきりしたわけですけれども、しかし、さらにそのほかにも新中央線であるとか、あるいは西環状線であるとか、南環状線であるとか、こういったような要するに環状鉄道、地下なり高架なりで走らせる、こういったようなことも書いてあるわけです。そうすると、これは国鉄の山手線の外郭的な作用をするものか、あるいは中央線に対する輸送力増強という意味を持つものか、その点よくわからないのでありますけれども国鉄の輸送と無関係ではあり得ないわけですね。これらの問題が東京都知事の権限でできるものとは私は思えない。そうすると、この点も、都内の鉄道が地下鉄であれ高架であれ、これは国鉄と相談なしに建設できるはずのものではないと思う。そういう点についての相談なりあるいは照会なりということがあったのかどうか。ばく然と西環状線、南環状線、あるいは中央線と、こういうふうにいわれておるのです。やはり何ら根拠なしにそういうことはないんじゃないかなという気がする。その点も一体どういう構想が国鉄の中にあるのか、それとタイアップしたような計画になっているのかどうか、その点お伺いしたい。
  42. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 先ほどのお話でございますけれども、うそとかほんととかいうことではなしに、秦野氏が一市民としてそういう構想を発表されるということは、これは私のほうとしてはいい悪いを申すべきじゃない。これはたくさんいろいろな方がそういう構想を発表しておられます。したがって、私と正式に相談したとかしないとか、これは別でございますけれども、そういう構想を発表することがうそとかほんととかいうことは、これはもう別な問題でございます。何かちょっと先生の御質問の中で、私がお答えするのが適当でない点があると思います。うそとかほんととかいう点でなくて、市民の構想としてそういうことがあり得るということは、これは事実だと思います。  それからいまの二番目の問題でございますけれども、いわゆる環状線その他につきましては、これはむしろ旅客輸送ですか貨物輸送ですかよくわかりませんけれども、主として首都圏の交通問題としていろいろ都市交通審議会その他で論議がかわされております。そういう中で出た論議を使われたものだと思いまして、やはりこれも交通難にあえぐ市民としていろいろな角度からそういう問題を取り上げて論議されることは、これは国鉄としてそれをおとめする筋合いでもございませんし、また、現時点においてイエス、ノーを申し上げる筋合いでもないというふうに思っておりますが、やはり全体として、運輸省なり政府なりでなさる交通政策の一環として具体的には取り上げられる問題だというふうに思います。
  43. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 都内における国鉄の現在の計画というものがあると思う。輸送もかなり逼迫していると思う。これらの打開策として、新たな構想を国鉄として持っておることがあるのかどうか。つまり、そういう構想と全然無関係にこういう秦野ビジョンというものを発表したところで意味がないと思うのです。国鉄というのは都民だけの環状線じゃないわけですな。ところが、国鉄の山手線と池袋、五反田で交差をして中原街道、環状八号線、川越街道を結ぶ西環状鉄道建設するというようなことが載っているわけです。そうなると、これは現在の国鉄の輸送計画と何らかのかかわり合いがあるのかどうかなあということを私のほうでは考えるわけです。だから、そういう計画がなければないでけっこうなんです。そのうそとかほんととかいうのは、これはどっちみち第三者が判断をすることなんですが、そういう具体的なつながりがあるかないかということを聞けば、うそかほんとかという判断はわれわれのほうでできるわけですから、国鉄として現在どういう問題を——たとえば、総裁として新しい環状線を考えているのか、新しい中央線を考えているのか、その必要性を考えているのか、計画を練っているのか、そういう事実があるのかどうか、その点を私のほうでお伺いしたい。
  44. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 現在私のほうで具体的に実施いたしておりますのは、外環状として武蔵野線をつくっている、これは御承知のとおりでございます。これはどちらかと申しますれば、東京都内を通っている貨物のバイパスという意味でつくっているわけでございますが、いま先生の御指摘になったラインは、主として東京の都心に対する放射線状の旅客輸送の問題だというふうに私は考えます。ことに最近は地下鉄の乗り入れがずいぶんふえておりますけれども、やはり東京都心に対する市外圏からの放射線状の輸送力が足りないということは、これは事実でございまして、都市交通審議会等でもしばしば論議されている問題でございます。いまおっしゃった中原街道云々の問題がずばり当たるかどうかは別といたしましても、あの付近、すなわち目黒区あるいは大田区あるいは港区というふうなところと都心との交通はわりあいに、率直に申して不便でございます。山手線を回らなければ来られないというふうな不便さがございます。最近やっと京浜電鉄が乗り入れいたしましたけれども、あのもう少し北側になりますと、やはり山手線をぐるっと回るか、恵比寿に出るかということになりますので、その点の盲点に一本放射線を入れるべきだということは、これは当然利用者の一人として考えられる問題だというふうに考えられますが、それらは主として、どちらかと申しますれば国鉄がやる問題だというよりもむしろ営団地下鉄なり私鉄なりの東京都の中だけの問題としてやるべき問題であって、国鉄がそういう東京の地下鉄をじかにやるという案は現在は持っておりませんが、もしそういう案がございますれば、私どもとしてはできるだけ乗りかえその他について協力はいたしたいというふうに思います。
  45. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 今度は大臣にお伺いしたいと思うのですけれども、いま国鉄総裁にも聞きましたけれども、操車場を利用して高層住宅ビルを建てる、これは二十階建ての住宅というのが秦野構想にあるわけです。ところが、実際問題として国鉄総裁は操車場の上にふたをしてそういうものをつくるということには反対だと先ほど言われましたし、相談も受けてない、こういうことなんです。ただ、秦野ビジョンというのは四兆円の予算を伴うものであるということ、だから、鉄道だけじゃなくて道路、いろいろな問題にまたがっておりますから、鉄道だけ何兆ということになるか、その点はよくわかりませんけれども総理大臣がそれを了承したということになると、具体的な問題はかなり秦野ビジョンも現実性を持ってこなければならぬと思うんです。いままでわれわれがいろんな週刊誌なり何なり、新聞なりで読んで、見て、それを総裁に聞いてみた結果は、相談を受けたこともないということだし、いままでの国鉄の計画とのつながりもないということがはっきりしたわけです。大臣として、秦野構想を具体的にどういうふうに取り入れるということに総理との話し合いができておるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  46. 橋本登美三郎

    ○国務大臣(橋本登美三郎君) まあ磯崎総裁からの答弁があったようでありますし、重ねて申し上げる余地もないようでありますけれども、ただ、秦野君の構想は——一市民といいますか、第三者、市民として学識経験者等もいろんな問題を提起して、国鉄総裁なり私のもとにも持ってくる人があります。ただ、秦野構想なるものは、具体的には私のところに持ってきておりませんので、内容を詳しくは承知いたしませんが、原則論的にいえば、できるだけ不用地と思われるものがあれば、そういうものは思い切ってやっぱり都市再開発に供したらいいじゃないかと、こういう一つの発想法だろうと思うんです。まあその限りにおいては、私も総理大臣も反対する余地はもちろんないわけであります。問題は、どれがどう不用地であるかどうかという問題かと思います。先ほど磯崎総裁からも、たとえば汐留の貨物駅、あの敷地は相当の大きな土地でありますからして、各方面からその活用法については名論卓説が寄せられております。ただ、私これはちょっとあるいは磯崎総裁と多少意見の違いがあるかと思いますが、原則は違っておらないと思いますけれども、従来汐留の貨物駅というもの、及びこれは直接関係ありませんけれども東京中央市場、こういうものの発達の原因を考えますと、大体東京三百万都市のいわゆる一中央卸売市場だけで間に合う範囲内においてつくられたものである。その後、御承知のように、物資流通センターが数カ所都の環状線に沿うて目下整備を急いでおるわけでありますね。問題は、その汐留の貨物駅に入ってくる物が一日三百万トンといわれておりますけれども、それは全部あそこで処理しなければならぬものであるかどうか、これはやっぱり研究する必要があると思います。しかし、やっぱり中央部において処理すべきものも相当これは多量になってくると思う。そういう意味において、これからの東京のような非常に広い範囲の大都市、しかも戦前三百万であったものが今日一千百万と約四倍に近い大地域になっておる。たとえば東京市場のごときものは、そういう昔からの習慣性がありまして、あそこへ一たん入れて、それから遠く新宿のほうからとんでもないところまで運んでいるという傾向もあるようです。こういう点、もう少し事態を分析をして、そこで、東京中央市場なら東京中央市場で処理する範囲内はどれくらいのものか、あるいはまた、新宿とかその他板橋とか流通センターができますが、そういうところにはどれくらいのものがいくかという基本的な調査がまだ私は不十分じゃないかと思う。したがって、市場の構成がいまなおかつ中央市場中心主義になっておるように感じます。こういうことがやっぱり貨物の場合にもある程度言えるのじゃないか、こういう点は研究すべき一つの題目だろうと思います。もちろん、この汐留駅が絶対に不必要だという議論にはならない。ただあくまで、ある程度これを、いま一部を他に回すことができるかどうかという問題はあり得ると思いますけれども、中央の貨物集中センターとしての汐留の役割りは今後とも重要であろう。ただ、それをいかにして近代的に再組織するか、こういう問題はあり得ると思うんですね。したがって、秦野構想それ自身がいい悪いの問題でなくて、やはり政府としても、また国鉄としても、東京の再開発と、同時にまた近代都市のいわゆる一元的といいましょうか、全体的な調和のとれたシステム、こういうことから、もっとやはり交通審議会等で研究すべき問題であろう。こういう点は目下交通審議会においても、積極的に調べつつあるような状態でありますので、その結論答申を待って具体化をしていきたい、かように考えます。
  47. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 運輸大臣としては、何らこの秦野構想については聞いていないと、こういうことでありますから、それはそれでけっこうです。私も秦野構想の内容全部にけちをつける気はないのですよ。これは中には、モノレールを舗道の上にやれとか、電気バスを開発しろとか、交通の面でいうとけっこうだと思うことがある。ただ、この構想を見ると、たとえば夜間貨物輸送なんて、貨物輸送は昼間しかやっていないのじゃないかという認識に立っているわけです。それから、さっき総裁答弁したけれども、汐留あるいは田端、両国、赤羽、南千住とか、あるいは芝浦、秋葉原とか、いろいろ貨物駅が都内にあります。集約をするということはあっても、それを全部取っ払って郊外へ移転するなどということは考えられないわけです。こんなふうなのは全くのしろうと考えであって、取るに足らないと思うのですよ。だから、同じふろしきを広げるならもう少し勉強してから出せばよかったのじゃないかと思うのですけれども、われわれにしてみれば、そんなことどうでもいいですけれども、こういうとほうもない構想をあたかも運輸省なりあるいは国鉄なりと相談ができているかのようにいわれては、これは都民を惑わすものになるということを考えたから、私は国鉄の計画なりあるいは運輸省の構想なりと関連があるのかどうかをお伺いしたわけなんです。  それで秦野ビジョンについて、どの程度に事前に勉強しておるのか、あるいは連絡しておるのかという点はわかりましたけれども、今後の問題として、地下鉄の計画でありますけれども大都市交通は、私は立体交差にするという考え方は、秦野さんが言おうと、美濃部さんが言おうと、だれが言おうと賛成なんです。ただ金がかかるだけでね。地下鉄は一体今後どうしたらいいかという問題、現在は都内だけでありますけれども、都内だけであっていいのかどうか、これは埼玉県あるいは神奈川県といったような東京の近接地域には、国鉄の輸送力の足りない点を補うという意味東京から延長させるべきだ、こういう気がするのです。そうしないともう間に合わないと思う。ただ、地下鉄が埼玉県に行った場合は、何も畑の下をもぐる必要はないのだから、そういうところは高架で走ってもいいと思うのですけれども、要するに東京の地下鉄と、近隣の県、千葉県なり、埼玉県なり、神奈川県とを結んで延長するという考え方をとらなければ間に合わなくなってくると思うのですけれども、この点の大臣のお考え方はどうですか。
  48. 橋本登美三郎

    ○国務大臣(橋本登美三郎君) 御意見は原則として賛成です。私は日ごろ言っておるのですが、どう各都市における——東京だけじゃありませんけれども、各都市においても地下鉄というものは、市電を置きかえたものだという何かとらわれた観念が多少あるわけでありますね。そうじゃなくて、大都市高速軌道と言ってもいいんです。地下鉄というからみな下ばかりもぐらなければならぬと思っているのですね。そうじゃなくて、大都市高速軌道ですね、こう言ったらもう少し考え方が変わってくるだろうと思うんです。そういう意味において、ことにまあ東京の場合におきましても、おそらく東京都内に入ってくるいわゆる東京都以外の通勤者は三百万前後になるのではないだろうか。これは大ざっぱでありますから、二百万か三百万かはっきりいたしませんけれども、おそらく東京都以外の住民である人も相当大量に入ってきている、三分の一ぐらいはそうだろうと思うんですね。そういう点から見ますというと、いわゆる地下鉄が唯一の都内に入る——まあもう一つはバスがありますけれども、長距離バスも一つの責任を分担しておりますが、とにかく、今日地下鉄といわれるもの、それと長距離バス及び国鉄、こういうのが大都市通勤圏の大きな使命をになっておるわけです。そういう意味において、地下鉄が都電のかわりではないんだ、大都市交通圏のかなり主要なる任務を負っておる、こういう意味から考えますというと、おっしゃるとおりに東京都内でとどまるべきものではなくして、相当遠距離まで交通圏として考えるべきである。まあ東京で言うなれば、私は少なくとも半径四十キロぐらいまでは、これぐらいまでは高速軌道というものが走るべきだ。まあこれは大阪では、私は二十五キロぐらいは当然考えなければならぬ。ところが、まあ機構の問題でなかなかそうはいかない場面があるようであります。大阪の場合などはことにそうです。大阪市営ということになっておるものだから、大阪府下に延びることについてややもすれば市民感情を考慮において渋るという傾向がある。そういう意味においては、現在のような、地下鉄は市電のかわりだからして市営でやっていくべきものだという考え方はもう変えなきゃならぬ時期に入ってきているんじゃないか。できれば、一元の大都市交通網という意味からいって——国鉄はこれは別であります。別の目的を持っておりますから別でありまするが、いわゆる地下鉄すなわち高速軌道あるいはバス、こういうものはやはり一元化された機能のもとに運営されることが将来は望ましい、こういう抜本的なものの考え方をとらないと、なかなかわれわれが考えておるような大都市圏の交通整備というものはむずかしい状態である。まあ原則として、いまおっしゃったように、当然郊外にも延びるべきだ、こう私たち考えております。
  49. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 今度は監査報告書の問題についていろいろお伺いしたいと思うんですけれども、この監査委員会性格について、一体国鉄内部機関になっているのか、あるいは第三者機関になっているのか。それから、これは委員は大臣の任命ということだと思うんですけれども、人選はどういう基準によってやっておられるのか、そういう点についてお伺いしたいと思うんです。
  50. 秋富公正

    説明員秋富公正君) 御承知のように、監査委員会委員三名以上五人以内ということで組織するわけでございまして、現在五人の方がおられますが、これは監査会計方面の学識のある方、あるいは実務にごたんのうな方、あるいは運輸交通にごたんのうな方、こういった各界から広く運輸大臣が任命しております。
  51. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 何か、監査委員長の出席を求めたんですけれども出席をされない。監査委員長というのはいままでこの監査委員会報告書を作成するにあたってずっと出席をされているのかどうか。それから、国会に出てきて答弁をすることをためらわれるというのは一体どういう事情によるものか、その点もお伺いしたいと思うんです。
  52. 深草克己

    説明員(深草克己君) 監査委員長代理の深草です。金子委員長は現在、監査報告書地方への説明会で函館に参っております。で、これの審査に出席をされたかどうかということでございますが、報告書の九十四、五ページに書いてございますが、監査委員会は昨年二十五回開いております。それから私ども、つまりほかに仕事を持っておらない三名の委員で常勤監査会というものを開いておりますが、昨年度は九十五回でございました。それから監査委員会の日程は九十五、六ページに書いてございますが、二十五回すべて会長は出席されております。
  53. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 監査報告書について、これをこまごまとやっていると時間がかかりますから、私自身の感じたところを申し上げると、何か非常に内部的な国鉄財政の面だけでもって報告書を書いておる、こういう感じがするわけです。それで、利用者の立場に立った意見というものは反映していないような気がする。はたして監査委員の人選が適切であったかどうかという点を実は心配するわけであります。監査委員長も出てこられないというのは、ちゃんとした事情があって出てこられないならしかたがありませんけれども、出てこられないということになると、飾りものでめくら判だけ押すという監査委員長だからこういうところに出てこられないんではないかという疑問を持つわけです、そうでなければけっこうですよ。そうでなかったら、今度は、国会でもって出席を要求した場合には出てもらいたい、そういうことを私のほうでは希望しておきたいと思います。  それから利用者あるいは通勤者といったような、利用者の立場に立った意見というものがこの監査報告書に反映されているかどうか。この点どうもそういう点はないような気がするんですが、どうですか、監査委員から。
  54. 深草克己

    説明員(深草克己君) 運輸省のほうから監査委員会性格について御答弁がございましたが、これができましたのは、日本国有鉄道経営調査会というものの答申に基づいてできたわけで、法律には明確な文言はございませんけれども、広く国民的立場に立って国鉄の業務を監査するということになっております。  ただ、御承知おきいただきたいのは、広く国民的立場と申しますのは二通りございます。一つは税金を納める納税者としての国民の立場、一つ国鉄を利用する利用者としての国民の立場ということでございまして、私どもはただ国鉄財政という角度からのみやっておるわけではございません。財政の角度から申しますと、これはまさに納税者としての国民の立場から申しますと、国庫から国鉄財政に補給するということはあまり好ましくないということでございますが、ここにも詳しく書いてございますように、結局国鉄財政が悪くなりますと、勢い、たとえば減価償却ができなくなる、施設の復旧ができなくなるということになりますと、最終的には利用者に対しで不便をおかけするということで、一応表面的には納税者の立場あるいは利用者の立場は相矛盾いたしますけれども、究極においてはこれは調和するというふうに私ども考えております。それから利用者の立場につきましても、昨年度は、たとえば時刻改正で非常に地方で不便をかけたという実情もございます。そういうものはきめこまかく地方意見を聞いて時刻改正をしなさいということも申し上げました。また、今回貨物輸送の近代化につきましても、近代化をやりましても近代化の恩典に浴せない荷主が将来とも五割は残ります。こういう点についても適切な配慮をすべきだという点も言っております。それから、サービス面その他については、今回に限らず、いままでもたびたび言っております。また、安全についても、これは究極においては利用者の人命を尊重するということが大前提でございます。決して国鉄財政ということだけに目を向けているつもりは毛頭ございません。
  55. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 時刻改正についての話がありましたけれども、たとえば、ダイヤ改正等については、これは利用者が利用する場合には非常に大きな影響を持つわけです。端的に言うと、この国鉄のダイヤについていろんな不平、不満を私は聞きました。国鉄職員自身からも聞きました。たとえば、川越線と八高線の乗りかえの場合に一時間も待たされる、あれじゃ、だれも利用者がいない。バスに乗っちまうか、マイカーを使うことになるという苦情は国鉄の現地の職員から聞きました。なるほど、調べてみるとそのおとり。たとえば、高麗川でもって飯能まで乗るのに十分かからないで行けるわけなんですけれども、そこでもって接続が悪いために一時間以上待つ、そういうダイヤがたくさんある。ところが、そういう問題について、改正をしてくれという地元の陳情があっても、国鉄の機構が今度は複雑でわからない、窓口がどこだかわからない。また、行ってみても何ともならないわけです。一年たって、ことしのダイヤ改正でやっと多少の手直しができたけれども、まだまだ三十分以上待たされるというようなダイヤがたくさんあるわけです。  それで、この監査報告書は職員の使命感の高揚ということをしきりに言っているわけですね。使命感の高揚ということは一体何か。財政的に危機に瀕しているんだから、一生懸命やれということなんでしょうけれども、それじゃ現場で切符を売る人が、一生懸命やれといって増収に励めと言われても、じゃあ百円の切符をまけておくから二枚買えというわけにいかないでしょう。あるいは、機関士が途中でどこかにとめて、乗っけてやるから乗れというわけにいかない。接続の悪いところで、そこの駅の駅員が、じゃあ時刻表はこうなっているけれども、少し待っていて接続してやろう、こういうこともできないわけです。そうすると、現場の職員というのは、きめられたダイヤ、きめられた運賃、その範囲内でしか行動できない。それを使命感の高揚といって、あたかも現場の職員にも責任があるかのように書いておるというのは、少し私は間違いじゃないかという気がするのですね。職員の使命感が足りないということを指摘しておりますけれども、その職員というのは一体何をさすのか、だれをさすのか、総裁、副総裁、局長といったような責任者をさしておるのか、現場で働いておる、きめられたワクのとおりにただ働かざるを得ない人のこともあえてさしておるのか、一体どっちをさしておるのか、その点を伺いたい。
  56. 深草克己

    説明員(深草克己君) 職員とは何かというお尋ねでございますが、職員は、いま先生のおっしゃった現場職員を含んだ職員でございます。経営者につきましては、別に経営管理体制の刷新ということで御忠告を申し上げているわけでございます。  使命感の問題でございますが、これは「監査の結果」というところに書いてございますように、私ども、職員が非常に一生懸命やっていることは重々承知をいたしております。また、自主的に国鉄を再建しようという団体もたくさんできておりますが、ここで私どもが、私ども内部におります者はわかりますけれども、国民の立場から、それじゃ国鉄職員がどのように働いているかということを判断するには、たとえば、きめられた列車が正確に動いているかどうか、あるいは窓口のサービスがどうかと、こういうことしか判断のしようがないわけです。したがって、いわゆる国民的立場という原点に立ち戻ってみますと、遺憾ながらまだ国鉄職員の再建意欲がないというふうに判断せざるを得ない。で、今後どうするか、それとうらはらの使命感の高揚でございます。
  57. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 要するに、事故、災害、争議行為等によって輸送障害が多く発生し、国民に迷惑を及ぼした、「これらの積み重なりが国鉄へのイメージの悪化を招き、旅客、荷主をして国鉄から他輸送機関へ移らせる大きな原因の一つであることを、全職員に徹底させることが必要」だ、こういうふうに書いてありますけれども国鉄から私鉄へ利用者が移ったというのは、国鉄運賃が上がったけれども私鉄の運賃が上がらない、私鉄のほうが比較をすると安いから、安いほうへ流れる。私鉄のほうにはストライキがない——ストライキによって輸送障害が起こったというのは年に何回もないわけです。それよりもダイヤが、おかしなダイヤをつくって一時間も待たされるということになると、それが一年も二年も続けば、どんなに人がよくてもこういう不便なところにわざわざ乗ろうとしないのはあたりまえでしょう。そういう場合に、おかしなダイヤをつくっておいて、利用者が利用できないような状態にしておいて、使命感が足りないというようなことを言うのは、たいへんこれは見当はずれじゃないか、そういう気がするんですね。  それからこの中にもあるのですが、たとえば五十五ページにも、貨物輸送の点について、運賃あるいはスピードなどがその基本的要素であるけれども、輸送障害による輸送の不安定と第一線職員のサービス精神の欠如などが荷主が国鉄から離れていった大きなものだということが書いてある。ところが、同じ監査委員の角本良平氏の論文によれば、今日、鉄道貨物が伸びない原因の一つは、主要な大きい幹線において輸送力が不足しているからである、こう書いてある。この報告書によれば、貨物から荷主が離れていったのは組合のストライキが原因だ、こういうふうに言いたげなことが書いてある、角本さんのはそうじゃない、輸送力が足りないからだと。われわれ公平に見て、輸送力が足りないという、やはりそれが一番大きな原因じゃないかと思う。ストライキがあったってなくったって、年に一回か二回ストライキがあって、それで乗らないという人はないと思う。運賃が安くて、接続がよくて便利であれば、国鉄で土ろうと私鉄であろうと、利用者がそこへ集中するのは当然だろうと思う。こういう書き方をするというのは、国鉄の責任者の、あるいはこれは政府の責任にもなるんですけれども国鉄財政再建十カ年計画というのが一年そこそこで破綻を来たした、こういうような最高幹部の責任というものをぼかしているんじゃないか。幾ら一生懸命やれといっても、この国鉄財政再建十カ年計画、その計画がすぐにぼろが出るような計画を出されて、それに盲従をするという気になれないのはあたりまえじゃないですか。そういう点を無視して、職員の使命感が云々ということを言うのは、将軍や参謀の無能と無責任によって戦争に負けたときに、兵隊に一切の責任をおっかぶせて、おまえらがよく鉄砲撃たなかったからというのと同じことです。そういう点、どうもこの監査報告書というのは見当違いな点があるような気がしてしようがない。そういう点、特に現場の職員であるとか、利用者の立場というものが報告書の中に反映されてないという感じがするんです。こういう点についてはどうお考えになりますか。
  58. 深草克己

    説明員(深草克己君) 先ほどもお答え申しましたように、私ども職員にだけこういう現在の国鉄財政の不振の原因をきめつけているわけじゃございませんで、むしろ経営者のほうに強い反省を要請しているわけでございます。それはいろんなところで、お読みいただければ総説のところにも出ております。いろんな業務執行体制の問題あるいは最高意思決定の問題、あるいは貨物輸送についての近代化、施設の立ちおくれ、こういった問題、あるいはふるわないのは設備が伴っておらない、こういった点も指摘しております。むしろ、そちらのほうにウエートを置いているわけでございます。  それから、いま輸送障害で貨物輸送、旅客輸送ともほかへ逃げるということでございますが、これは運賃が私鉄と違うということで逃げる、これも確かにございます。しかし、私どもはこれを数字でこれだけこのために逃げたというふうに言いたくないんで、むしろこういうことの積み重なりが、たとえば、旅客にしましてもたびたびそういった輸送障害にあいますと、もう国鉄に乗ってやるかというような気持ちになり、貨物にしても同様でございます。貨物は、いま国鉄輸送技術革新といいまして、ともかく輸送の確実性というのを非常に要望しております。輸送がとまりますと中産自体がとまらざるを得ないということになります。したがって、そういうことで自衛上自動車に移っていくということをたびたび私ども荷主から話を聞いております。  それからストライキの件数というのが一回、二回というふうに、私はあえてストライキというふうに言いたくないんですが、いろんな順法闘争その他、過日、関東支社で発表されました数字では、事故それから災害、天候障害、その他、それからストライキということで、全体で六十五億円で四百五十八万人の人の足が奪われております。事故が三十一件、天候障害が十四件、ストライキが二十件。で、私どもは、輸送障害というのはただ労働組合の争議行為ということだけを言っているわけではございませんで、事故も防いでもらわなきゃいかぬ、それから災害も、やむを得ないものもございますが、前もって防除をしっかりしておれば防げる災害もございます、こういった点もろもろのものを総括いたしまして、とにかく正常な運行を確保してもらうということが、旅客、荷主の信用をかち得て将来とも国鉄が存続し得るんだということを言っているわけでございます。
  59. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 この一番初めのところに、輸送構造の変化に対応する適切な近代化措置がとられなかったということを書いてありますけれども、これは具体的にはどういうことを意味しているんですか。
  60. 深草克己

    説明員(深草克己君) とられなかったまたはとられ方がおそかったという表現でございます。これは特にさっき申しました貨物輸送で一番よその輸送機関国鉄が劣っている点は、やはり確実性それから速達性——ヤードに何回もかかりまして貨物が非常におそくなるということと、きまった時間に使えないというこの二点でございます。これを克服するためにフレートライナーとか地域間急行なんかがようやく二、三年前から始められた。もうちょっと早くこういった手を打てばここまで不振にならなかったんではないかという点を指摘しているわけでございます。
  61. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それらの指摘というものが非常に具体的でなくてはく然としております。  それからいま話がありましたけれども、災害とか事故とか争議行為というものを一緒くたにして、そして件数でもって争議行為がこれだけあったと言っておりますけれども、日数にすれば、争議行為によって乱れるというのは年間たかが知れておるわけです。それよりも、不親切なダイヤを組んで、そのために迷惑をかけるというのは一年三百六十五日続くわけですね。そういう点に対する監査というものは全く抜けているということが私は指摘できると思うんです。これはダイヤの点で具体的に例をあげると幾らでも指摘できるけれども、時間がかかりますから、それはあえて私は申し上げる気がございません。  そこで今度は大臣にお伺いしたいんですけれども、この監査報告書指摘しているこの中で、合理化でもってその人間をもっと減らせということを言っているんです。それから、その要員の問題と金利の問題とがあるわけですね、財政的な問題としては。金利の点についてもこれは政府として考えなきゃならぬことじゃないかと思うんです。赤字ローカル線の処理とそれから金利の問題は、これは政府で考えるべきことじゃないかと思うんでありますけれども、その点こういう報告書を出されても、いままで諮問委員会なりあるいは監査委員会なりでいろいろな報告書が出されているけれども、こういう肝心の点について必ずしも十分な手が打たれてないという気がする。特に今回の場合は、従来のようないいかげんなやり方でまいりますと、これはとんでもないことになると思う。これは運輸大臣として、特にことしあたりは国鉄の問題については腹を据えてかかる必要があると思うのですが、大臣としてはどのようにお考えになりますか。
  62. 橋本登美三郎

    ○国務大臣(橋本登美三郎君) おっしゃるとおり、国鉄は大難関に遭遇しておる。これは私たちだけでなくて、国鉄自身の首脳部も考えておるし、皆さんもさようにお感じになっておることは間違いないと思います。御承知のように、来年度におきましては、償却前の赤字で八百五十億円、したがって、いわゆる給料を支払いますというと、あと動かすのには燃料代にも不足、その他にも不足をしてくる。もちろん改良等はできない。これは大問題であります。したがって、従来のようなものの考え方で国鉄の再建ができるかといったら、これはもうできない。これは数字の上から見ても明らかであります。そういう意味におきまして、目下、国鉄総裁以下首脳部も本格的な再建についていかにすべきかということを非常に真剣に努力をいたして計画案なるものを検討中であります。そういう意味において、 いろいろな問題が——この赤字線ということになると、最も大きなものは何かといったら、函館本線が最も大きい赤字です。本線一本だけで百十九億円の赤字。だから、その赤字線というものの考え方でなく、国鉄赤字の全体をどういう形で解消していくか、もちろんこれはローカル線の末端の赤字もありますが、これは全部合わしても百五十億円。その中に一応管理費を載っけてございますから、したがって、実質的な赤字は百三十億円くらいだと思います。したがって、これも重要ではありますけれども、全体の赤字をどういう形で減らしていくかということと、しかしながら国鉄使命というものは皆さんも大体同感だろうと思うが、やはり国の総合的な開発に対する大きな役割りを仰せつかっておる、これは政府からも、国会からも。したがって、ある意味においては赤字であってもやらざるを得ない線もある。しかしながら、国鉄負担をしなくてもいい赤字の線もある。また赤字もある。こういうふうないろいろな問題が含められております。そういう意味において、従来の考え方をこの際考え直して、いかにすれば国鉄が必要なる国家的使命を果たし得るか、輸送上における国家的使命、まずこれを根本の考え方にして、その上に立って、どうしてもこれだけの赤字が出てくるということに対しては、やはりいまおっしゃったような、まあ国が、あるいは地方公共団体がやはりこれに対する協力体制をとるという姿勢は必要だろうと思う。同時にまた、この国鉄内部にしては、いま監査委員から指摘がありましたように、内部の近代化、これは積極的にやっていかなければならぬ。何も人の首を切ることが目的ではありません。これは幾らでも人間は使いようがあるのでありますから、首を切るということが前提ではなくして、業務の近代化、モータリゼーションということを積極的に考えていく、その結果出てきた労働力というものは他に考えたらよろしい。首を切るというだけではない、他に考えたらよろしい。そういうような基本的姿勢に立って再建をしませんと——いま言った利子補給の問題もあります、ありますが、そういうような三本立てといいますか、国及び地方公共団体が助成する、また利子については、やはり国がある程度考えてやる、そうして一方において国鉄自身がいかにしてこの近代的な経営方針、モータリゼーションを取り入れたものを処理していくか、こういう三本立ての考え方がほんとうにしっかりと手を結ばないと、なかなか国鉄再建はむずかしい。まあ政府でやれることもありますが、また国鉄でやれる部面もありますと同時に、国会関係各位の御協力も仰がなければならぬ点が多々あります。そういう意味において、ひとつ今後とも御協力また名案をもお示し願いたいのでありまするが、方針としてはいま申した方針によって、なるべく早い機会に基本的な方針を固めて、そうして来年汽車が動かないような状態になることは好ましくない、まあそんなことは起こしちゃたいへんですからして、さようなことのないことにいたしたいと考えておるわけであります。  なお、監査委員長代理から言われました、いわゆる障害によるところの国鉄に対する多少の不信感という問題、これはものの見方でありますからして、一がいにはそう言われぬ点もありましょうけれども、ただ、心理作用として、いま瀬谷さんからして、二、三回のそういうようなストライキ等が起きたところで、それは結果的に大きな障害ではないんだというお話、形式的にはそのような考え方も十分にわかるわけではありますけれども、ただ、そういうことにぶつかりますと、人間、感情的ですから、どうも自分の商売が損をしたなんというと、それがだんだん宣伝せられ、喧伝せられるということもありましょう。しかし、さような点を私は強く大きく言っておるわけではありません。全体として、いかにして正常な安全、しかもスピードのある輸送状態をつくり得るかということをまず基本的にわれわれは考えなければならぬ、そういう面においては、今後とも御指導を願わなければならぬと考えておる次第であります。
  63. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 金利の問題は、たとえば港湾整備事業なんかの場合、無利子の資金貸し付けを受けて、埠頭の建設や改良工事をやっている。これは前の国会でも審議した中にそういうのがありました。ところが、港湾や埠頭のほうに無利子で金貸をすことができて、国鉄のほうには高い利息の金でなきゃ貸せないというのはどう考えたってつり合いがとれないと思うのです。特に国鉄の借金の利息がこれだけになったということじゃ、それを職員に示して、だから一生懸命働けと言ったってばかばかしくって働けなくなるというのがほんとうじゃないか。これは大臣と総裁にひとつ聞いてもらいたいことがあるんですけれどもね。この間、私が国鉄の若い職員から、どうも最近は合理化だ合理化だと言われるし、それから、赤字だから一生懸命働けということを言われるのだけれども、そこで仕事がつらくて月給がそのわりに安くて、責任が重いのじゃやりきれないから、いまのうちに転職をしたいと言うんです、国鉄をやめたいと言うんです。どういうもんでしょうかと私は相談されたんです。それで返事に困ったんですけれども、年とってからじゃ転職をするといったって容易じゃないから、若いうちから、逃げ出すんならいまのうちだというわけです。先行きどうも見込みがないから転職したいと、こういうことを言われて、昔のように一生懸命御奉公しろとは言えないし、私も正直のところ返事に困って、いやならやめるほかないだろうと、こういうふうに言ったんですけれどもね。こういう若い職員がこういう考え方になってきたら一体どうするか、要員問題がこれはゆゆしいことになるんじゃないかと思うのですね。この人件費だけを目のかたきにして、合理化だ、合理化だ、こういうふうに言っているけれども、そういうことをやっているなら、今度は人が集まらなくなるんじゃないか。最近は若い者でもマイカーを持っておりますから、国鉄へ入ってパスがもらえるなんていうのはたいした魅力じゃなくなっちゃったんです。それよりも、昨今の若い人は、なるべくなら労働条件のいいほうに、月給が高いほうに、あまり責任がなくて、仕事は楽なほうにと、こういうふうに流れます。こういう動きはけしからぬと言ってみたところで、どうにもならぬと思うのです。そういう点を考えたならば、やはり人間を大事にするということ。それから、争議行為を目のかたきにしておりますけれども、組合と当局と両方の話が折り合わないから争議行為になるわけで、その原因というものを究明する必要があるのじゃないかという気がいたします。そこでこれからの国鉄の計画が、国鉄自身あるいは運輸省の計画自体が職員を納得させるものであるということが何よりも職員に使命感を持たせる大事なことになるのじゃないかと私は思う。とてもやってもやっても見込みがないと言われればだれだっていやになる。  そこで今後の問題でありますけれども、いま新幹線——たとえば上越新幹線あるいは東北新幹線、成田新幹線、こういったような新幹線の計画がある。あるいは青函トンネルというものがある。これはもういずれもばく大な資金を要するものであります。しかし、そういう計画を金銭的に割り振ってみたら、青函トンネルなんというのは計算上ペイするかどうかということはかなり疑問になるんじゃないかという気がするのですね。今後の新幹線計画というものは、そういう国鉄財政の面を考えながらやるとすればどういうふうにしていくお考えなのか。これは財政という点だけを考えるならば、全国新幹線なんというものは、そんな北海道の奥のほうだとか、僻地を走る新幹線なんということは考えられない。自民党がお考えになった新幹線計画というものは大幅ななたをふるわなければ、現実の問題となり得ないと思うのでありますが、その点はどうですか。
  64. 橋本登美三郎

    ○国務大臣(橋本登美三郎君) 新幹線網整備法は議員立法によって成立をしたわけですが、その中にもやはり明らかになっておりますように、これを建設するためには財政措置を、政府において助成措置を考えてもらいたいという条件つきみたいなものですね、あの法案は。したがって、運輸省といたしましても、新幹線を今後やるものについては政府が助成策を考えてもらいたい、考えなければ新幹線をやりようがない、実際上は。いまおっしゃったように、国鉄の一切の責任においてやるというなら、とてもそれは経営上困難がありますからして、したがって、これはできない相談でありますから、せっかくいま大蔵当局とも財源問題については折衝を重ねております。もちろん、どの程度助成になるか、大体国鉄なり運輸省のものの考え方でありますが、考え方から言いますというと、建設費に半分ぐらいは国の助成がないと、そうしませんとなかなかペイしないじゃないかという考え方で、大蔵当局とも折衝を進めておる。それが大体の目鼻がつきませんと、なかなか新幹線の話をつけることは困難な状態でありますが、しかし、全体の日本の将来の貨物関係の流通態勢を見ますと、貨物量から見ますというと、何といっても、言うならば新幹線がどの程度からするか、これからの問題ですが、ある程度の新幹線が全国的に建設される必要はこれは十分にあると思います。したがって、一日も早くその助成措置を確保した上で基本計画をきめていきたい。しかし、これは将来の発展の過程もありますから、一ぺんに全国網を基本計画の中に入れる考えはありません。徐々にやっていきたい。  そこで、先ほどちょっと前に話がありましたが、われわれ運輸省にいたしましても国鉄にいたしましても、国鉄職員の給与が同種の企業体よりももっと安い賃金で働け、こういう考え方は、これは毛頭持っておりません。したがって、いわゆる合理化ということは必ずしも首切りを意味しておりませんのみならず、賃金を無理に引き下げるという考えも持っておらない。そんなことはできる問題でもありません。しかし、生産性の上から言うと、私鉄その他の面と比較いたしますというと、必ずしも生産性は高いとは言えない、相当低いのであります。それは一つには、近代化がまだ十分ではないという監査委員会指摘のとおりでありますからして、これらはできるだけ積極的に進めていかなければならぬと同時に、そういう問題を踏まえながら、これからの新幹線にいたしましてもあるいは新線建設にいたしましてもやっていきたい。こういうことで国鉄の国家的使命というものが十分に果たし得る体制、財政的に果たし得る体制をわれわれとしては考えてやりたい、また考えるべきであると、かように考えておる次第であります。
  65. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 大臣の時間等の都合もあると思いますので、大臣に対する質問一問で公明党に一応交代するつもりでおります。  最後に、大臣もう一つお伺いしたいんですが、タクシー料金の値上げということが問題になっておりますけれども、この間値上げをしたけれども、どうも問題は、値上げの際の条件が必ずしも満たされていないという感じがするわけです。そこで、タクシー料金の値上げを一体どういうふうにされるつもりか。この前のときも、私鉄の運賃の値上げの際も、前回は検討中だと言って、次回の委員会になったらその前に上がってしまったと、こういうことがあるんですから、タクシー料金の問題も検討しておる間にまた上げられるというようなことがあると、ちょっとわれわれも心外ということになると思いますんで、大臣は一体どういう考え方を持っておられるか。それから、個人タクシー等の問題について、これをもっとたくさん認可をするという考え方はないものか。これもだいぶ問題になっておりますので、以上の点について一応質問いたしまして、大臣に対する私の質問は終わりたいと思います。
  66. 橋本登美三郎

    ○国務大臣(橋本登美三郎君) タクシーの何か再値上げの要求があるやに新聞等では聞いておりますが、もちろん運輸省にはそのような申請は出ておりません。かつまた、いまお話しのように、最近この料金是正が行なわれた、まだ業界にとってはだいぶ不満があるようでありますが、不満のあるなしは別にいたしまして、予期以上の結果があがらないからということでは、これは困るわけでありますから、いま運輸省としては、前回の料金値上げの際に幾つかの体質改善を要望しております。その体質改善もまだ十分にできたとはわれわれは認めるわけにはいかない状態でありますからして、万一そのような申請がありましてもこれはわれわれは考慮する必要はない。もちろん私は、業界も良識がありますからして、近い機会に料金改正の値上げが出てくるとは考えておりません。ただ問題は、前大臣来から検討され、その後も引き続き検討しております無線タクシーの扱い方、これはそれだけの必要な固定資産及び人件費を要しておりますから、そういう問題が残っておるわけであります。これは別個の問題とは考えておりませんし、前回の問題にからんでの問題で、いろんな事情からそれだけは切り離されておくれておる、これは目下検討いたしております。  それから、お話のありました個人タクシーの問題ですが、私の方針としては、もちろん、個人タクシーはできるだけこれを許可していく方針でありますけれども、ただ実際問題としては、かなりまあ、従来申請されましたものの中で約八〇%を認可いたしております。ただ、いろいろ実情を調査いたしますというと、困る問題は、個人タクシーはふえても法人タクシーが逆に減っていく、運転手が減っていくという結果になりますというと、実際に稼働するタクシーというものはふえてこない、こういう問題が一つにはありますからして、そういう問題をどう解決するか。もう一つは、個人タクシーの場合でありますというと、自分の任意な時間だけ働けばよろしいということがありますので、たとえば深夜タクシーになりますと、個人タクシーはほとんど、全然ないというわけじゃありませんが、非常に数が少ない、こういう問題もあります。そういう点もありますので、それらを考えて、ひとつこれから十分な検討をしていきたい。決して審査基準がきびしいわけではありませんで、現在やっておりますのは、三十五歳以上六十五歳までの年齢の人にひとつという非常に大幅に基準を緩和しております。経験年数は、いろいろ自分の責任、企業兼運転手でありますから、そういうような意味において十年以上という経験を必要とするということにいたしておりますが、これはまあ人の命を預かる商売でありますから、ある程度そういう経験年数は厳格にしていきたい、かように考えておりまするが、問題は、そういう個人タクシーと法人タクシーとの人の関係、絶対がふえなければ意味ないですから、そういう意味においてこれから十分に検討して、そうしてタクシーの全体をどうすればふやすことができるか、こういう点に主眼を置いてこれからも積極的な検討を進めていきたい、かように考えております。  なお、私鉄運賃を突然上げたじゃないかというお話でありますが、これは私がこの委員会で申し上げておりますように、私鉄運賃については、いつ上げるかという問題についてはまだ検討中である、しかし、私鉄の現状から見るならば、これは十分に検討しなければならないというように申し上げておったのでありまして、数字等が確定いたしますのがだいぶおくれましたもので、したがって、委員会に申し上げることはできませんでしたが、やはり現在の大都市交通圏のいわゆる通勤の緩和及び私鉄の状況から見て考えざるを得ないのではないか、かような意味の発言は委員会においても行なってまいったのであります。その点はひとつ御了承を願いたい。
  67. 峯山昭範

    峯山昭範君 私はきょうは、国鉄における危険物の輸送について二、三お伺いしたいと思います。  特に危険物の輸送関係につきましては、いつも事故が起きてからそのあと対策をするというような面が非常に多々あるわけです。それで、私はきょうは、具体的ないろんな問題を取り上げますが、初めに大臣並びに総裁の基本的な考え方をお伺いしたいのでありますが、行政管理庁が先月の九月十六日ですか、運輸省に行政監察をやりまして勧告をいたしております。その勧告の中にも、高圧ガスタンク貨車については、特に異常時取り扱いの具体的方法が末端まで明示されておらないとか、また、専用線入れかえ作業のときに不適切にガス漏れの事故を引き起こした事例があるとか、相当具体的に指摘をいたしております。こういうふうないろいろな観点から考えても、私は、事故が起きる前に具体的に対処していかなければいけないんじゃないか、こういうぐあいに思うんですが、初めに大臣並びに総裁の、いわゆる国鉄における危険物輸送並びに取り扱いに対してどういうぐあいに考えていらっしゃるか、見解をお伺いしたいと思います。
  68. 橋本登美三郎

    ○国務大臣(橋本登美三郎君) 御質問の趣旨は、いろいろ爆発物その他の危険物の問題だろうと思います。おっしゃるとおり、十分これは念には念を入れてやるべきものでありますし、かつまた、国鉄としては十分な詳細な内部規定を置きまして万が一の間違いのないように努力をいたしております。御承知のように、運輸省令の中にも、危険物輸送に関する各種の法令があるわけであります。そうして、その危険物の種類、範囲あるいは輸送方法とかあるいは包装等については、国鉄が詳細な規定を設けてやっておるわけでありまするが、御承知のように、今日、人家稠密の中を鉄道が走るのでありますからして、最善な措置、万が一にも間違いのないように気をつけてまいりたい、かように考えております。
  69. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ただいま大臣がおっしゃいましたとおり、国鉄におきましても古くから危険物の輸送は扱っておったわけでございますが、最近非常に新しい種類の重化学工業関係の危険物が相当できてまいりまして、国鉄に対する輸送要請もふえてきておりますが、これらの取り扱いにつきましては、非常に危険でございますので、もちろん、運輸省令その他関係法規につきましては十分それを勉強し、また部内的にもそれをそしゃくいたしまして下部に徹底させるようにつとめておりますけれども、ときたまやはり扱いのふなれその他——ことに危険物は専用線に出入りする危険物が非常に多いわけでございますので、専用線における作業等について一〇〇%でないという面があることを非常に遺憾に思っております。まあ過般の行管の勧告を待つまでもなく、私ども独自の当然の仕事として今後とも十分危険物輸送につきましては遺憾なきを期してまいりたいという覚悟でございます。
  70. 峯山昭範

    峯山昭範君 いまいろいろお話ございましたけれども、確かに法規の上ではそういうぐあいになっているけれども、実際にはその法令そのものが末端まで浸透されてない、そういう点は具体的にあるわけです。私はきょうは具体的に取り上げたいと思うんですが、先に、最近三年間にどういうふうな事故があったのか、これは具体的に名前はけっこうですから、何件で、被害者がどのくらいという件数だけでもけっこうですから述べてもらいたいと思います。
  71. 一条幸夫

    説明員(一条幸夫君) 昭和四十年度以降でございますが、高圧ガス等によります火災発生の列車事故につきましては二件でございます。四十二年の八月に中央線の新宿駅での列車事故が一件、それから四十三年の四月では新潟の管理局管内でございますが、車両火災が一件、二件でございます。
  72. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは私具体的に申し上げますが、最近、要するに客車がとまっておるところへそのそばで硫酸の詰めかえをやっておるんですね、その硫酸のガスが全部漏れて中へ入った。乗客が全部目をやられ、女の人はくつ下をやられた、こういうような事件がありました。御存じですか。
  73. 一条幸夫

    説明員(一条幸夫君) 存じております。
  74. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、あなたは、事故は二件しかないとおっしゃっておりますけれども、そういうふうなこまかい事故がたくさんあるわけです、現実の面には。そういうふうなものを抜いて件数を言うというのはちょっとおかしいと思うんです。いろいろあるにしても、そういうふうな危険物の輸送に関連しての事故というものがあるわけです。  もう一つ私はお伺いしたいんですが、こういうふうな事故が起きた場合、具体的にその現場ではどういうふうに取り扱っているかということ、それからそういうふうな、乗客とは別にして危険物を輸送する場合に、その危険物の取り扱い業者に対してどういうぐあいに指導しているのか、この点はどうですか。
  75. 一条幸夫

    説明員(一条幸夫君) 先ほど私が二件と申しましたのは、私どものほうの運転事故になりましたものが二件ということでございますので、それ以外に、いまお話しになったような事故はあったわけでございます。  いまお話のありました、初めの、東海道線のこれは蒲郡の駅であったんですが、蒲郡の駅の構内で臨時列車でございますが、八四二二列車が下り一番線に停車をいたしております最中に、海側に竹本油脂株式会社という会社がございまして、その会社の硫酸のタンクにタンク車から油を移し終わりましたあとで、この会社の職員が、この会社の側でタンクのふたをするのを忘れたのでございます。この油の量をはかりますための穴のふたでございますが、忘れましたために、その穴から噴出をいたしまして、停車中の列車に乗っておられましたお客さまにたいへん御迷惑をかけたというようなことになったわけでございます。  この問題は、いまお話ございましたように、国鉄を利用されまして硫酸を送られます荷主の側の実は問題だったわけでございます。この国鉄を利用していただきます荷主の方々に対しましてのお願いは、その積み荷の荷物を積みます前、それから荷物を取りおろしましたあとは、これは荷主側で責任を持ってもらわなければいけませんので、その点の取り扱いにつきましては十分に注意をしてもらうように要請をいたしております。で、その荷物を引き受けましてからあとの責任は当然国鉄の責任でございますので、これは間違いのないように万全を期しておる、こういうことでございます。
  76. 峯山昭範

    峯山昭範君 この危険物を輸送する場合、確かに国鉄が受け取ってその中で積みかえをやる、それは国鉄自身がやるのじゃなくて、業者がやるのでしょうけれども、やはりそういう点にも相当気を使ってやらないと、実際にいろいろな面で迷惑を受ける、現実に。たとえば、その危険物の中にアルキル・アルミニウムというのがあるのです。これの輸送については、国鉄はいまどのくらい扱っておりますか。
  77. 一条幸夫

    説明員(一条幸夫君) ただいま国鉄が扱っておりますのは月間約七十五トンでございます。山陽本線の周防富田駅から発送されております。
  78. 峯山昭範

    峯山昭範君 いまのそれはどこに送っておるのですか。
  79. 一条幸夫

    説明員(一条幸夫君) これは車扱い貨物で送られておりまして、着駅は南四日市、前川、村田、百済、鶴崎、それから新居浜等の各駅でございます。
  80. 峯山昭範

    峯山昭範君 そのアルキル・アルミニウムというのはどういう性質のものですか。
  81. 一条幸夫

    説明員(一条幸夫君) 詳細存じませんが、非常に発火性の強い、それから煙は有害なものと聞いております。
  82. 峯山昭範

    峯山昭範君 私は、この点についてはいろいろと先般ちょっとだけ運輸大臣にもお伺いしたことがあるのですけれども、まず総裁、確かに鉄道営業法ではアルキル・アルミニウムというのは非常に危険なものです。この消防庁の危険物のところを読んでみますと、「常温で無色透明の液体で空気に触れると発火し、また、水と接触すると激しく反応する」、爆発するわけですね。そういうふうなものです。こういうふうな危険なものを、いま月間七十五トンとおっしゃいましたが、私がことしの初めに大臣にちょっと聞いたときには十トンでした。現在、私の手元に通産省から報告がきておりますが、これによりますと、月間、国鉄を使って山陽線、東海道線を通って千葉県に送られておる分だけでも百トン近くある。こういうふうなものがどういうふうに安全装置をしておるか、これはどうですか。
  83. 一条幸夫

    説明員(一条幸夫君) 取り扱いの詳細は存じませんのですが、この品物の危険度、性状を勘案いたしまして、その包装にはもちろん十分注意をいたしますが、連結注意等の取り扱いの表示もつけまして、特にアルキル・アルミニウムの積載表示といたしましては危険品表示標によりまして明らかにいたしまして、その取り扱いについては十分の注意を払っております。
  84. 峯山昭範

    峯山昭範君 鉄監局長にお伺いしたいんですが、このことについては前の鉄道部長、並びに鉄監局長に私は言ったことがあるのですが、どういうふうな指示をしましたですか、あなたのほうでは。
  85. 秋富公正

    説明員秋富公正君) ただいま業務課長が来ていますので……。
  86. 服部経治

    説明員(服部経治君) 業務課長でございます。  この前、先生から御指摘のございましたアルキル・アルミニウムの輸送につきましては、その後、消防庁等と十分に接触いたしまして、その御意見を聞いた上で、適切な措置をとるようというふうに指導いたしております。
  87. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、あなた何もやっていないのじゃないですか。十トンの輸送から百トンの輸送になって、十倍になっているわけです。しかも、この内容そのものが非常に危険なものです。これは国鉄のほうどうですか。消火器は積んでいるのですか。
  88. 一条幸夫

    説明員(一条幸夫君) この車自体には消火器は積んでいないと思います。列車に消火器を積んでおりますのは、機関車とそれから車掌が乗ります緩急車、これに消火器を積んでおります。ただし、一般的にいいまして、何といいますか、鉄道の場合にはラインの、線の上を動いておりますので、この線を全部カバーするだけの消火体制も不可能でございますし、それから列車自体がすべての火災を消火するだけの体制を持つことも不可能でございますので、非常の場合にはその地域の消防体制と十分連絡をとってやれるような体制をつくり上げております。
  89. 峯山昭範

    峯山昭範君 私が言っているのはそういうふうなことじゃなくて、要するに、日本国有鉄道の運転規則の中にも、当然、消火器は積むということになっているでしょう、危険物を輸送するときには。四十七条にあるでしょう。列車を組織している車両の——いろいろ書いてありますよ。そのときには必ず消火器を積まなければいけないという項がありますよ、そうでしょう。その消火器は何という消火器を積んでいるのですか。
  90. 一条幸夫

    説明員(一条幸夫君) 国鉄で使っております消火器はいろいろございますが、一般用、油脂用等につきましては酸アルカリ消火器、強化液消化器、泡沫消化器、炭酸ガス消化器、それから油脂・電気用としましては四塩化炭素消化器、粉末消火器等を積んでおります。
  91. 峯山昭範

    峯山昭範君 私はそんなことを聞いているんじゃないのです。このアルキル・アルミニウムを積んで輸送する場合には、何という消火器を積んでいるかということを聞いているのです。
  92. 一条幸夫

    説明員(一条幸夫君) 申しわけありませんが、現在私それを存じておりません。
  93. 峯山昭範

    峯山昭範君 総裁、これは非常に大事な問題なんですけれども、このアルキル・アルミニウムを消す消火器は現在ないのです。だから消防庁でも非常に真剣に検討を重ねているわけです。それについて、実際問題、国鉄として相当、量がふえております。会社も従来一社しかなかったのが二社にふえて相当、町の中を走っているわけです。私も消防庁のいろんな本を読んでみても、これを消すには消すだけの、普通の消火剤と違う消火剤を使っているわけです。ところが、いろいろ現実に聞いてみると、危険物の表示そのものもなかなかわからない。しかも、そういうようなものが町中をどんどん通っている。その消火器には従来からの消火器を積んであるというのです。そういうような消火器を使うとどうなるかというと、もしも発火してその消火器を使ったとしますね、そうするとどうなるかというと、そのアルキル・アルミニウムというのは普通の消火器をかけたら爆発するのです。こういうふうなことが現実にあるわけですよ。ということは、行政管理庁がいっている、末端までこういうふうなものが明示されておらないということに、まともになると思うのです。私は、もう一つは、こういうことについて今後真剣に取り組んでもらいたいと思うんですが、これはどうですか。
  94. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) たいへん不敏で、私は、実はそういうお話があったことは知っておりますが、それほど危険物だということを知らなかったことはたいへん申しわけないと思いますが、むしろ、末端までの浸透よりも、本社の認識の問題がまず第一だと思います。もう少し具体的に勉強いたしまして、もしどうしても——アメリカでもこれ、輸送しているようでございますけれども、輸送方法は絶対ないのかどうか、あるいは何らかの特殊な車、あるいは特殊な消火器があれば輸送して差しつかえないものかどうかということを、至急本社でもって検討いたします。それでもって、もしほんとうに手のつけようがない危険品ならば、これは輸送を拒絶する以外にないというふうに思いますが、その点、私どもは営業法上、やはり輸送引き受けの義務がございますので、十分両者勘案した上で、至急、通産省、消防庁と連絡いたしまして、公的な見解をもらった上で処置いたします。
  95. 峯山昭範

    峯山昭範君 いまの総裁答弁で、私はそれでけっこうですけれども、もう一つは、国鉄に一体そういうような専門の技術者がどのくらいいるのか。私もいろいろお伺いしたいのですが、非常にそういうふうな科学が発達してきて、危険物が非常にふえてきたのに、そういうような担当者が弱体であるということをこの間もお伺いしたのですが、そういうふうな専門的な技術者をどういうぐあいに今後やっていくかという問題が一つ。  それからもう一つは、こういう危険物を送る場合、途中の駅で全然わからないわけですね。その取り扱いが非常に乱雑に行なわれているわけです。現実に私も、何といいますか、列車の編成をやるところを見に行ったのですけれども、ちゃんとした危険物の表示がないのと同時に、もう一つは、切り離して、ぽんと送るわけです。そうすると、相当にショックで、また爆発することがあるわけです。そういうふうなことについて、国鉄が受け取って爆発したらどうなるのか、どこが責任を持つのか、こういうふうな問題もあるわけです。こういうふうな点については、これはどういうぐあいにお考えですか。
  96. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私のほうの技術者は、いまこういう化学のほうの技術者は非常に日本的に欠乏しておりまして、私どもの技術研究所にはごく若干いるだけでございます。こういうほんとうの近代科学を全部マスターできるような人は、そういう国鉄などのところには十分置けませんので、やはりそういう場合にはもちはもち屋で、通産省なり消防庁なりの意見を聞いて処置したほうが私はいいと思います。国鉄内部でやりますと、とかくそういう点がルーズになるといけませんので、そういう点はよく関係官庁の公的見解の上に立って処置していきたいと思っております。ただし、突放と申しますか、これは禁止されているはずでございますけれども、もしも先生がそういう現場をごらんになったとすれば、そういうことが徹底してないというふうに解釈せざるを得ないと思います。そういう点につきまして、至急、まず本社における姿勢が一番第一だと思いますので、これをきちっといたしまして、下部に徹底するようにいたしたいと思います。
  97. 峯山昭範

    峯山昭範君 いまの問題私よくわかりますが、確かに、先ほどの答弁の中にございましたが、その事故が起きた場合に、一番近いところの消防署に連絡してもらうという態勢も非常に必要であるとは思いますけれども、実際問題、こういうふうになってきますと、特に人口が密集しているところで走るということがずいぶん出てまいります。そういうふうな観点から、いま総裁おっしゃいましたように、たとえば運輸省とか国鉄、それから通産省、消防庁、こういうところは非常に連携をとっていかないと、危険物輸送については非常に問題が多々あると思うのです。確かに、私が消防庁のほうと話したときには、消防庁のほうでは一生懸命やっているけれども云々と、こういう話になるのですけれども、それではやはりまずいと思うのです。ですから、少なくともこういうふうな危険物輸送については、もしも事故が起きたらえらいことになってしまうわけです。ですから、そうなる前に、少なくともだんだんこれからふえてくるわけでありますから、そこからは発火すべきでないところから発火するという事故が、先日から起きているわけですから、そういうふうな観点から当然、一つには連絡委員会みたいなものをつくって、定期的に会合して——いま国鉄ではこういうふうな危険物を運んでいる。こういうふうな危険物を相当輸入しているわけですから、この輸入した危険物、こういうものが現実にいま横浜とか、名古屋とか、神戸港へどんどん陸揚げされています。こういうものを自動車で運んでいるわけです。そうして自動車で運ぶときには、そういう消防署の役人が行きまして、消火器の問題やら、また、繁華街を通るという問題やら、弾薬以上に気を使っているわけです。そういうふうな点もありますので、事故が起きてからではやはりおそいと思いますし、鉄道自体としても私は自衛体制をとっていくべきじゃないかと思うんですが、この点いかがでしょう。
  98. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 全くお説のとおりでございまして、十分至急対策検討いたします。
  99. 峯山昭範

    峯山昭範君 それからもう一点、私は、運輸省はきょうは大臣いなくなりましたけれども、前の鉄監局長、それから前の鉄道部長にもずいぶん私は言ったんです。委員会で、この席上で国鉄のほうにも十分連絡をしてちゃんとやることになってあった、あのとき。それが現実に国鉄のほうにちゃんと連絡がいってない。こういうふうなことは内閣委員会で設置法のときにやったんですがね。あのときにはまだ輸送量が——生産量にしても十トン前後でした。それが現在ではもう百トン以上になっているわけです、現実に。いま国鉄のほうでは七十五トンとおっしゃいましたけれども、あれちょっと違うと思うんです。八月が七十五トンだと思うんですが、それ以外のときには通産省でも百トンオーバーしています。こういうぐあいに非常に危険なものが町中をどんどん走っているという場合に、答弁だけで、うまいこと答弁をしてちゃんとやらないというのはよくないと思うんですよ、私は。ですから、そういうふうな点も十分気をつけてやっていただきたいと思うんです。
  100. 秋富公正

    説明員秋富公正君) ただいま先生の御指摘の点、確かに重大な問題でございまして、運輸省といたしましても、単にこれは国鉄輸送だけじゃなくて、また、私鉄の輸送の問題あるいはトラック輸送の問題とか、あるいは船舶輸送の問題もございますので、私どもの国有鉄道部だけでなくて、やはり官房のほうにこの問題は取り上げまして、積極的に消防庁、通産省、国鉄その他関係機輸送関のほうともこの問題について慎重に至急進めていきたいと、こう思っております。
  101. 峯山昭範

    峯山昭範君 それから総裁に、大臣いらっしゃいませんので申し上げたい。もう一点は、こういうのもある。フェリーボートですね、国鉄のフェリーボートもありますし、一般のも同じなんですが、そのフェリーボートの輸送についても非常に——危険物はそういうふうな旅客が乗るいわゆるフェリーボートには載せないというのが原則だと思うんですが、まだ禁止されてないものがあるわけですね。現実に幾らかあるんです。そういうようなものもやっぱり乗客と一緒に乗っているわけですね。それでそのそばで現実にたばこを吸っているわけです。私も現実に見ました。そうすると、やはりこういうふうな問題は、たとえば、海のまん中で爆発してしまったら一発で全滅なんですよね。こういうふうな面の危険も私はあると思うんです。国鉄のほうも、国鉄に関係のない一般のフェリーボートでもそういうふうな問題があると思うんです。ですから、私はこういうふうな問題は、少なくとも交通機関におけるいわゆる危険物というのは、少なくとも政府自体も総点検をして、こういうような危険物を事前に防ぐ、ハイジャックにしても何にしても起きてからやんやん言うよりも、やはり事故が起きる前にそれをちゃんと処理している、そういう姿勢が大事だと思うんですが、この点いかがでしょう。
  102. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 実は運輸省からも御指示がございましたので、私のほうは昭和四十五年度のいわゆる技術課題として危険物輸送委員会をつくりましてやっておりましたけれども、非常に緊急を要する問題でございますと思いますので、そういう、いま先生のおっしゃった海上輸送等も含めまして至急に対策を立てて、一ぺんその結果を御報告申し上げます。そういうふうにいたしたいと思います。
  103. 秋富公正

    説明員秋富公正君) 私のほうの運輸省といたしまして、これは陸上・海上輸送すべてを含めまして、この問題につきましては早急に検討いたしまして対策を講じてまいりたいと思っております。
  104. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 ちょっと国鉄にお聞きしたいのですが、旬間もないけれどもね。私はグリーン車の問題でちょっとお伺いしたいのですけれども、グリーン車というのが今度座席指定になって、見ておるとやっぱり利用者少ないのです、非常に。それで横須賀線の場合は、この間も設計図を持ってきてもらって見せてもらったのですけれども、六十名ないし六十四名のグリーン車があるのですね。ところが、たとえば東北・高崎線の場合は四十八名です。四十八名でがらがらにして走っておく必要はなかろうという気がするのですよね。ところが、これは車両の構造上の問題だからそう簡単にはいかないと思うのですが、八百円のグリーン券を出してそのリクライニングシートの四十八名の定員の車に乗る人がわずかしかいないということよりも、料金をもっと下げて、そうして六十名ないし六十四名の座席を持ったグリーン車をくっつけたほうが、これは収益の点からはいいんじゃないかなと、こういう気がするわけです。それから、一般の通勤者にも急行用の車を転用をしてついでに輸送しているという傾向がある、そうすると、食堂車なんかついていたと思うのだけれども、それは意味をなさないんですよ。こういうものは要らないと思うのです。だから、通勤者を運ぶのには通勤者を運ぶに効率的な車両を使う、それから定員の少ないリクライニングシートのついた車は、これは遠距離専門にするということにして、近距離は近距離向けの——何もそんなリクライニングシートの座席は要らないと思うんですな。そういう使い分けというものができないものかどうか、非常にその点で私は国鉄の車両運用にはむだが多いような気がするのです。そういう点を改善するという考え方がないものか、お伺いしたいと思います。
  105. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 実は、グリーン車につきましてはこの十月一日から値下げをするつもりだったのでございますけれども運賃制度がちょっと複雑になりますので、もうしばらく検討いたしまして、できれば来年の四月から値下げをしたいというふうに思っております。実はもう大体案もつくってやるつもりでおったわけでございますが、結局、万博のあと旅客収入対策ということでグリーン車値下げということを当然考えたわけでございますけれども、多少複雑になるような案でございまして、ちょっと事前にいろいろ意見を聞きますと、複雑過ぎるというふうな意見もございましたので、一応引っ込めまして、来年の四月からはぜひやりたいというふうに思っております。これはもちろん値下げするつもりでおります。  それからいまの急行編成車両を通勤に使っている、これは実は私どもも使いたくないのでございますけれども、やむを得ず通勤用の車が足りないために使っておるのでございまして、ほんとうに一時的な便法でございます。御承知のとおり、電車ですからなかなか簡単に編成を、食堂車を抜くというぐあいにいきませんので、まあ極力通勤車両をふやして、そうして遠距離用と通勤用とは分けるという使い方をやっていきたいと思っておりますが、いま東北、上越で使っておりますあの急行車両は、実はほんとうに異例中の異例でもって、なるべく早くやめたい、そうして通勤通勤専門のドアの広い乗降の楽な、自由な、早く乗降のできる車に直したいというふうに考えております。
  106. 佐田一郎

    ○佐田一郎君 関連。  総裁ね、お願いしますがね。いまいろいろ瀬谷さんからお話があったグリーン車の件ですがね。十月一日からつまり自由席がなくなって全部指定になったわけです。これはどうして近距離の百キロ、百二十キロくらいの程度の車にまで全部指定にしたのか。あんなむだなことは——あれ非常に評判が悪いのだ。ぼくは長距離はしょうがないと思う。だけれども百キロ、百二十キロ、乗ればすぐじきに東京に着く、首都圏の百キロ圏内のグリーンの指定なんというのはむだですよ。かりにグリーンを買っていてもまん中へ立っておってもいいのですよ。これは総裁考えてもらいたいな、こんなむだなことは。非常にお客のほうでも迷惑しているし、それからおそらく駅員も迷惑していますよ。百キロ、百二十キロのものまでのグリーン車の指定なんということはあんまり感心しないんで、むしろ自由席のほうがいいんだよ。これは新幹線でいい例があるわけです。「こだま」を自由席にしたために非常にあのお客がふえたわけだから。そういうことで、もう少し考えてもらいたいな。来年四月から下げるそうだからいいけれどもね。値段を下げるばかりでなく、そういうこともしてもらいたい。
  107. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) その点、これは方々からそういうお話がございますので、とりあえず車掌の手持ちでもうんとふやしまして、そういう御要請に応じようかと思っておりますけれども、実は新幹線も「こだま」のグリーンカーを全部指定席にしてしまって、やはり同じようなことを伺っておりますので、至急何らかの具体的な手直しをいたします。
  108. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後一時散会