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1970-09-09 第63回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年九月九日(水曜日)    午前十時十七分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         温水 三郎君     理 事                 岡本  悟君                 金丸 冨夫君                 藤田  進君     委 員                 佐田 一郎君                 重政 庸徳君                 平島 敏夫君                 渡辺一太郎君                 鈴木  強君                 瀬谷 英行君                 森中 守義君                 三木 忠雄君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        内閣官房審議官  植松 守雄君        警察庁刑事局長  高松 敬治君        経済企画庁国民        生活局物価政策        課長       米山 武政君        経済企画庁国民        生活局水質調査        課長       山中 正美君        法務省刑事局刑        事課長      前田  宏君        水産庁次長    藤村 弘毅君        運輸省港湾局長  栗栖 義明君        運輸省鉄道監督        局長       山口 真弘君        運輸省航空局長  内村 信行君        海上保安庁長官  手塚 良成君        日本国有鉄道総        裁        磯崎  叡君        日本国有鉄道理        事        長浜 正雄君    参考人        新東京国際空港        公団総裁     今井 栄文君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○運輸事情等に関する調査  (航空機強取等の防止対策に関する件)  (広島駅構内における貨客車の火災に関する件)  (航空業界編成に関する件)  (山陽新幹線の施工に伴う諸問題に関する件)  (私鉄運賃値上げに関する件)  (新東京国際空港の建設に関する件)  (田子の浦港における航行安全対策に関する件)     —————————————
  2. 温水三郎

    委員長温水三郎君) ただいまから運輸委員会開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  運輸事情等に関する調査のため、本日の委員会参考人として新東京国際空港公団の役職員出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 委員長温水三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  3. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 次に、運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 藤田進

    藤田進君 本委員会は、先月開会をいたしたいところ、諸般の都合できょうに延びておりますために、運輸大臣ほか関係当局にただしたい点も多々ございます。と同時に質問者も非常に多いわけでございますから、私といたしましては、若干の点について問題提起をし、お答えをいただいて、善処をわずらわしたいと思いますので、そのつもりで、明快な御答弁をお願いいたしたいと思います。  その第一は、現在御承知のように、中近東等いわゆるハイジャック、かなり大がかりであり、かつ内容においても相当問題でございますが、同時にわが国にも先般「よど号事件が起こって、さらに二度と再びかようなことのないようにという総理大臣をはじめ運輸大臣等々の御言明もあり、自後の警戒態勢その他予防措置には万全を期しておられるだろうと期待いたしておりましたが、最近全日空の、やはり乗っ取り事件があって、背景なり思想その他質はいろいろあろうとも、結果的に見てこれは大きな脅威であるし、また欧州あるいは中近東に起きているような連鎖反応を考えますと、実に利用者国民としても、この問題は重大な問題だと思います。ひとりハイジャックのみならず、シージャックといいますか、先般船舶乗っ取り事件もあり、ついに射殺というところまでまいりました。したがいまして、過去の経過等は私どももあらまし承知をいたしておりますので、これが予防措置対策等についてまずお伺いをいたします。運輸大臣から御答弁をいただき、さらに警備当局の御答弁をわずらわしたいと思います。
  5. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) ハイジャックの問題につきましては、委員各位からたいへんな御心配にあずかっておりまして、その後小康を得たといいますか、間違いもなかったわけでありましたが、せんだって名古屋港で一発やられたわけであります。たいへんに私も心配しまして、その背後関係等どういうような形か、夜おそくまでこれが陣頭指揮に当たったわけでありましたが、まあ幸いにして一応短時間で解決を見ましたが、どうも最近のヨーロッパ各地におけるハイジャック状態、これは一つは別な動機があるようでありますけれども、世界的にハイジャック問題がなかなか解決がつかないということで皆さんに御心配をわずらわしておることはまことに恐縮の至りであります。その後——この問題についていずれ事務当局から具体的な方法等については御説明申し上げますが、いろいろ安全対策をやり、あるいは機械化等整備を急がしておりますが、まだ十分に各飛行場にそれだけのものが備わっておるという状態でないことは遺憾と思います。これは一つ機械整備が間に合わないということが主たる原因と思いますけれども、こちらから示しました対策がまだ完全に終わっておらないという点がありますが、ただもう一つは、これはまあ非常に航空会社にとってはあるいはつらいことかもしれませんけれども、従来航空会社が考えておりますのは、国内航空というものはもう乗り合いパスと同じなんだ、したがって、五分前までは受け付けざるを得ない、こういうような考え方があるようであります。だがしかし、最近のハイジャック状況等を見ますというと、一部の者によって何十名あるいは百数十名が身の安全に危険を感ずる状態は、これはまことに好ましくない。そういう意味において、ことに最近航空利用者が激増しております、こういう状態から見て、必ずしもお客さんを少なくするということにはならないのでありますから、もちろんこれは航空会社と十分に打ち合わせをしなければなりませんけれども、やはり航空会社お客さんをとる場合に、五分前までは受け付けるという考え方を改める必要がありはしないか。たとえば一時間前で原則としてはもう受け付けない。もちろんこれは身分の明確な人は別問題であります。皆さんのような方は一見してすぐおわかりになりますからしてこれは別問題でありまするが、全く不明の人をその三分前、五分間前まで受け付ける——せんだっての名古屋港におけるハイジャック犯人も全く出発する直前に来てそれに乗っておる。こういう状況から見ますというと、身元の調べようがもちろんないわけであります。まあおもちゃのピストルでありましてもこれをリサーチの機械にかければかかるわけでありますけれども、もちろんその機械もまだでき上がっておらなかったということもありますけれども、また二、三分前じゃもちろんそんな余裕はないわけでありますから、したがって、これは多少航空会社も影響がありましょうけれども、少なくとも一時間前なら一時間前に原則としては発売を中止する、こういうような考え方もどうであろうか。まだこれはきまったわけでもありません、関係者と相談の上でやる必要があろう。また、ある人から私に非常に熱心に言ってこられたのは——これは中村芝鶴さんですが、俳優さんですけれども、この人からして、外国の例では身分証明書を呈示して一もちろんこれは飛行機だけじゃありませんけれども、あらゆる方面にヨーロッパでは身分証明書が幅をきかしておるわけであります。したがって、身分証明書を携帯さして、それによって発売をさしてはどうであろうか、こういうような提案をなされております。しかし、これにはやっぱり法律の問題があります。法律的に身分証明書を正式に、強制的に持たせるという前提がないというとこれはできないわけでありますから、直ちには実行いたしかねる問題でありますが、それにいたしましても身分証明書をちょっと借りてやられたらこれはもう話にはならない。こういう意味で必ずしもこれが万全の対策ではない。まあ消極的といいますか、あるいは企業側あるいは運輸省側としてやるべきことは、事前にどうチェックができるか、こういうことが主になります。それには、一つ機械化を十分に進めていくということ。そうして、なるほどバス同様に使用せられておるけれども、とにかく数十名もしくは百数十名の人命の問題でありますから、その間にやはり積極的な慎重ないわゆる乗客の扱い方をするということもあわせて考えていくべきではなかろうか。かように考えておりまするが、十分安全が——われわれは万全の措置を講じてきたつもりでありましたが、せんだっての事件が起きましたので、皆さんに御心配をかけて心から相すまない次第と思っておりますが、今後ともにこれはもう重要な問題でありますからして、積極的に、かつ、ほんとうに一つの問題が起きないように全力を注いで万全の措置を講じていきたい、かように考えております。
  6. 内村信行

    説明員内村信行君) それでは現在までにとってまいりました処置について御説明申し上げます。  「よど号事件が発生いたしましてから航空局及び航空会社といたしましては、大体次に申し上げるような措置を講じてまいりました。  まず、昭和四十五年の四月六日付で航空局長から各定期航空会社あてに通達を出しまして、旅客とか手荷物の点検の具体的取り扱い方をきめました。航空会社ではこれによりましてこれまでに旅客氏名連絡先等を確認すること、それから手荷物をチェックすること、武器類持ち込み禁止等警告文を掲示すること、必要な場合の開梱措置を講ずること、それから凶器発見器空港に設置すること、それから操縦室ドア施錠等措置を講ずるというふうなことをやってまいったわけでございます。  また、四十五年の五月二十三日には航空法の一部を改正いたしまして、機長に対して、航空機内における安全阻害行為秩序違反行為等を抑止するための拘束あるいは降機等の権限を新たに付与いたしました。  それから四十五年の六月に航空法施行規則を改正いたしまして、一定の包装方法積載方法によるほかには銃砲刀剣類等の輸送を禁止するということをいたしました。さらに航空会社運送約款を改訂いたしまして、航空券または航空引きかえ証発行の際に旅客氏名及び連絡先を申し出なければならない、また、手荷物制限品目といたしましては新たに刀剣類を加えるということをいたしたわけでございます。  なお、航空局といたしましては、航空機不法奪取対策委員会をつくりますとか、あるいは学識経験者警察関係その他の方々にお入りいただきまして航空機不法奪取対策懇談会というふうなものをつくりましていろいろと方法というものを検討いたしまして、それについて成案を得ましたところから逐次実施してまいるというふうな方法をとっております。  そこでこのようにして事前措置を講ずるわけでございますけれども、やはりその一番重要なのは、まず関門でこれを食いとめるということが一番重要かと存じます。そういった意味におきまして空港保安委員会というふうなものをつくりまして、そこでもって空港当局あるいは警察関係航空会社、そういったようなものを集めまして、その防止なり、あるいは万一そういうふうな事態が発生した場合にとるべき措置というものを絶えず研究しあるいは訓練し、そういうものに備えておるというふうなことをやっております。これにつきましては、東京大阪、千歳におきましてはすでにできまして、こういうことを逐次研究いたしておるわけでございます。先般、名古屋におけるハイジャック事件が起きましたおりも、ちょうど羽田におきましてはその保安委員会が集まりましていろいろと研究しておった最中にああいう事態が発生したということで、まあ比較的連絡も早く、立ち上がりも早かったというふうな状況でございます。  さらに、今後の問題といたしましては、旅客送迎人、これが一緒に入りますというところに一つの問題がございますので、こういったものを分離いたしまして、さくをつくりまして分離してまいるというふうな方法をいまとりつつございます。さらに、今後の問題といたしましては、これは技術開発の問題も入りますけれども、操縦室ドア監視用の窓をつけるとか、あるいは客室甲テレビをつけますとか、それに隠しマイクをつけますとか、客室乗務員から運航担当乗務員への警報連絡装置を開発するとか、あるいは機長地上との間に特殊な通信施設をつくりまして、そこで犯人から隠れて秘密裏に交信できるというふうな方法コードまたは信号を開発したいというようなことを考えております。  なお、ハイジャックが起こりました際には、航空機にトランスポンダーというものをつけておりまして、これによってそのボタンを押しますと、特殊なコードナンバーが出まして、そこで地上のほうに、これはハイジャックであるということがすぐにわかるようになっております。こういったことはいま全部の航空機につけております。さらに、これにつきましては、これは国内限りの措置でございますので、世界共通のものにこういうものをしたらどうかというふうなことで、国際会議場等においてもそういうことを審議してもらいたいというふうに考えておるのが現状でございます。
  7. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 空港保安委員会その他空港当局あるいは航空会社等との間でいろいろ問題を検討し、その間におけるとるべき措置につきましては、ただいま航空局長のほうから御説明がございました。警察としても、それについてできるだけ協力をし、われわれの意見も申し述べるということでやってまいっております。  警察独自の問題といたしましては、国内空港五十九カ所につきまして、「よど号事件以来大体一日二百九十名、それから凶器捜検器九十四台というのが平均数でございますが、それくらいの警察官を常時配置いたしまして、そうして警戒を実施いたしている状況でございます。三月三十一日から八月十九日までに東京大阪、福岡の三つの空港において銃砲刀剣などこの警戒持ち込み物件発見いたしました数は六百九十一件という数字が出ております。先般の小牧空港の場合にも六名の勤務員が二交代で警戒に従事しておりましたが、残念ながらああいう最後の飛び込みみたいな状態もございまして、これは発見することができなかった、まことに遺憾に存じております。
  8. 藤田進

    藤田進君 それぞれの御答弁を承りますが、しかし今後の予防のきめ手にはなかなかなりそうにないように思うのですね。大臣指摘された一時間前あるいは三時間前締め切り——最近の実情は御承知のように、航空機利用者が非常にふえていて、常に満席で、万博がかりにこれ済みましても、おそらく九〇%をこえる利用率で、しかも一カ月ないし十五日ぐらいの事前に確保しなければ座席の確保ができない。そういうことも影響して、逆に当日いわゆる空席待ちというのは非常に多いのですね。私ども非常に忙しいですから最近利用しますが、飛び込んで行って、もう直前です。みんな乗り始める時期に行けば、空席待ちが多いときは羽田でも、大阪でも一つのダイヤで平均十五ぐらいはあります、私、ずっと調べてみてね。そういうことになりますと、空席のまま立つことが航空利用者に対するサービスかどうかという問題もありましょう、あるいは会社の経理もありましょうしね、問題だと思うのです。しかし、一々効果だけを論じますと何もできないことになりましょうから、広範にやっていただきたいと思いますが、この問題だけにかかっておられませんから……。  私の感じますのには、警察当局航空会社もすべてそうだと私は言いたいのですが、中にはまじめなのもありましょうが、空港に行って、あの「よど」号以来私は注意して見ますと、皆さん指導部が言われるあるいは考えておられるようなことが末端に何の浸透もしていない。私はここに問題があるなあと思うのです。それはかりに出口で、羽田では警官も両方に立って、「よど」号のときは羽田だけを固めていて、大阪空港に来ると727が出るところでも何の警戒もないし、それから羽田も漸次一週間、十日もするうちに、出入口の方向よりほかのほうへ向いて雑談をしているといったようなことで、これは毎日のことで慢性化して疲れるし、事故もないし、気分もゆるむ、それは人的心情というのはわかりますが、それはさっぱり徹底しておりません。いま言われた荷物を  一々チェックして札をつける、確かにこの間から全日空は実行しております。しかし、私もしょっちゅう乗っていますが、あれ一回つけたら、もう二度、三度乗るものはあれで通用するのです。何通りか色があって、乗るたびにそれが変わるということになっていないのです。一回つけておけば、悪いことしようと思えば、ほかのかばんにつけかえればいいのですから。そうなっているのですから、現に。何のとがめもないというのですから。私ども何よりも第一線、現場人たちのこれに対するかまえというものが、それは何といっても大切じゃないかと思うのですね。それがどうも欠けている。忘れたころにまたそういった事件があるのですね。これはもう私見まして、私がもし持っているとすれば、悪いことしようと思えばできるなということをしょっちゅう感じております。  それから飛行機自身構造等についても、外見上のハイジャックのマークはつける。これはもうすでにおそいので、つけたところでどうしようもないわけですね。行きかう飛行機が撃ち落とすわけにもいくまいし。ですから、構造的なものもある程度——自席からおどすということも将来出るかもしれませんが、大体機長のところへ乗ったあと行くんでしょう、普通。その辺のところあたりの構造は、私は十分できるように思うのですね、等々あります。われわれしろうとでも気のつくことが多いのですが、私はどうも、わが国においても再びありましたから、三たび四たびありそうでどうもならぬのであります。ですから、特段の警戒態勢等についてもはかっていただきたい。  警察関係ですが、私の見たところ、先ほども触れたように、この際やはりそういう許しがたい犯罪に対する抜本的な警察主導的な機構なり運営の面ですね、そういった警察管理上の点あるいはこれが予算上にどう響きますか、そういうものをやはり考える必要があるのじゃないだろうか。根本的にはやはり国民全体の精神的あるいは生活的安定とか、そういった事故が起きないことが政治の真髄でありますが、しかし当面する対症療法としてはそうばかりいきませんので、警察関係について今後やりたいという点について、特にあればひとつお聞かせをいただきたい。
  9. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 御指摘のように、われわれとしてはいろいろ方策を考え、いろいろその施策を関係機関ともよく連絡いたしまして、できるだけ実行に持ち込んでいくというつもりでございますけれども、ただ御承知のように、これの未然の完全なる防止というものは非常に困難でございます。これは日本だけではなしにほかの国でもおそらく同じことだと思いますけれども、そういう点ではわれわれとしてはもうできるだけのことをやっていくというふうに考えてやっているところでございます。先ほど御指摘がありましたような、たとえば現地の勤務員の問題にいたしましても、これもこういうふうな新しい形の勤務でございますが、早くそういう勤務形態になれるように、仕事になれるように持っていくということも一つございます。ただ、何と申しましても、たとえば品物の提示にしてもあるいは職務質問にしても、それ自身あまり過度になりますと、また別の問題が起こってくる可能性がございます。その辺のところは非常に苦心をいたしているところでございます。  それからまた、空港所在地における警察官の派出所なり駐在所なりの整備、それからそこに勤務する人員の割り振り、それから必要な機材その他の整備というふうなものも、「よど号事件以来いろいろ計画をつくりまして、目下着々と整備をし、通信系統整備もやっているところでございます。将来ともあるいはテレビ用機材ITVを入れるとか、いろんな方法を考えまして、そして不審者発見につとめていく、こういうふうにやってまいるつもりでございます。
  10. 藤田進

    藤田進君 列車についてもこの間、御承知のように——これも経過その他のことは時間的に必要といたしませんが、客貨車が一両全焼いたしました。アルコールによる列車放火事件として特捜本部設置といったことでいま捜査されていると思うんですが、これとてもこれはなかなか今後あり得るように思うんですね。これは犯人がまだ逮捕されておりませんから、背景その他よくわかりませんが、しかし、当時の模様からいたしますと、やはりかなり高度なイデオロギー的なものがあるのではないだろうかといったことが現在伝えられております。これについて国鉄当局も、ハイジャックも同様ですが、やっぱり現場のふだんの注意力というものが——客貨車焼き打ちにいたしましても、大体若い者がいてそれが直後にいなくなったというくらいのことまではわかっているわけですね。その後の捜査なり状況について御説明をいただきたい。
  11. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 八月二十九日の広島駅構内における事件だと思いますが、ちょうど二時五分に入ってまいりました四両編成列車、これが三時八分に広島を出る予定で一時間ばかりホームに停車しておりました。それが二時三十五分ごろに、たまたま非番で帰宅する機関士がその列車に乗って座席にすわった直後、頭に熱いものを感じた、振り返ったところが一番最後の右側の座席が燃えていた。そこに何かびんがありまして、それを取り除こうとしたところがいきなり発火した。それからそれの消火につとめたのですが、結局一両が全焼し、そのうちの一両の一部が焼けた、こういう事件でございます。これの油が何であるかということは、実はまだ非常にはっきりいたしません。ガソリンあるいはベンジンというふうなことのようでございますけれども、それの油質の鑑定が現在特定できないという状態でございます。  それから犯人捜査につきましても、その前の客、その他いろいろ調べておりますが、現在はっきりそこに乗っておりましたという人を特定するまでに至っておりません。また、いろいろな説があるようでございますが、いずれも根拠としてはまだまだ薄弱でございます。広島県警といたしましては、さらに引き続き発見者、その車における目撃者その他をさがし、できるだけ事実の確定につとめているところでございます。
  12. 藤田進

    藤田進君 国鉄総裁にお伺いしますが、いまのようなことが多かれ少かれかなり諸所に起こっておりますが、鉄道公安員なり、労使間の紛争ではよくはでな動きをきれるのを見受けるわけですが、こういうやはり駅構内乗客保護のためにこそこういう人たちは十分な注意とその任務につくというふうに私は理解しておりましたが、現状各主要駅について鉄道公安員等の体制、配置任務、そうして当該広島における貨車焼き打ちに対する当時の公安員等模様をひとつ御説明いただきたい。
  13. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 鉄道公安職員は、鉄道旅客の安全あるいは荷物の安全並びに諸設備の保護ということを目的としているわけでございます。当時の勤務者広島鉄道公安室の室長以下十九名でございます。そのうち十四時三十五分から班長並びに公安職員がその問題のホームの警備を二人で担当しておりました。そしてそのほかに駅の人間が二人おりまして、ちょうど発火地点と逆のほうにおりましたために、発見いたした者は中に乗っていた人間でございますが、その後、発火するやすぐ緊急招集いたしまして、警察との連絡あるいはほかの鉄道職員との連絡に当たりましたが、不幸にして犯人を取り逃がしたということでございまして、当時ちょうど昼間でございまして、全公安職員がすぐに緊急配備についたのでございますが、消火のほうにも——お客さんも乗っておりましたし、隣の線路にも列車がございましたので、そちらの消火等に当たりましたために不幸にして犯人を取り逃がしたわけでございます。指揮には二名当たっておりまして、消火作業が五名、その他の現場保存、旅客人警備ということに十一人ほど当たっております。やはり私どもといたしましては、犯人の逮捕と同時に旅客の人命の安全、あるいは類焼の防止ということにも力を尽くさせるというふうな指導をいたしております。
  14. 藤田進

    藤田進君 幸いに乗客が非常に少なかったために大事に至りませんでしたが、これは通常のラッシュにでもこの事件が起きていたならば相当人的被害が起こされたということは容易に予想されております。そこで警察庁のほうで、いま説明のありました事件の内容はわかったのですが、しかし全然手がかりないのですか、これは結局迷宮入りでしょうか。どうも現地の模様等を見ると、それほど活発な動きもないように思われる……。
  15. 高松敬治

    説明員高松敬治君) 事件が発生いたしまして直ちに駅前の派出所に捜査本部を置きまして、本部長以下八十二名、それに鉄道公安職員の協力も得まして捜査を実施いたしております。先ほど御説明申し上げましたように、現在これという有力な手がかりはつかんでおりません。まだそういう点でこれが近く解決できるというふうな段階にはございません。
  16. 藤田進

    藤田進君 積極的に捜査を継続するのですか。
  17. 高松敬治

    説明員高松敬治君) はい、もちろん捜査は積極的に継続してまいります。
  18. 藤田進

    藤田進君 論点が変わりますが現在御承知のように、飛行場に二機おりて百八十名ばかりの者が機内で閉じ込められているといった報道がありますが、これは国内ではありません。御承知のとおり、欧州から乗っ取って、この中に日本人がいるともいわれておりますが、日本政府としてそういう連絡を受けているか、その実相についてお伺いしたい。
  19. 内村信行

    説明員内村信行君) その点につきましては、まだつまびらかになっておりません。
  20. 藤田進

    藤田進君 これは国際的にも、やはり航空関係についてはそれぞれの国も日本にあるようにセクションを持っているわけです。こういう場合はどこが専任しますか、外務省ですか。
  21. 内村信行

    説明員内村信行君) おそらく外務省であろうと存じます。
  22. 藤田進

    藤田進君 しかし、航空局長としては、所管のことだからやはり関心を持って、わが国における場合にどうするかということの検討の資料にもなるし、やはり航空業務のことですから、十分実相を早く確かめていくということが必要ではないでしょうか。全然これ知らず存ぜずでいいのでしょうか。
  23. 内村信行

    説明員内村信行君) お説のとおりであると思いますけれども、ただいまのところ、まだ判明いたしておりません。申しわけございません。
  24. 藤田進

    藤田進君 じゃ、外務省に連絡して、後ほどどうであったかをここで発表してもらいたいと思います。どの報道等を見ても非常に不確かです。これは日本人がいる、いないでどうということはありませんが、しかし何といっても日本国籍——日本人がいる以上これに早く対処するということは大切なことだと思うのです。  それから航空関係に入りますが、航空業界の再編成ということが伝えられておりましたが、前国会の終了直後、運輸大臣等の談話を見ますと、従来の二社再編成という指導方針が変更になったとも伝えられておりますし、あるいは新しい合併航空会社の役員も内々話がついたといったようなことも伝えられております。はたしてそうなのかどうなのか、運輸大臣、内閣としての航空業界編成についてどういう変更をされたのか、あるいはその理由、現状等を御説明いただきたい。
  25. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 結論から申しますというと、まだ最終的な状態には至っておりません。ただ、国会終了後において運輸政策審議会が開かれました際に、将来のこの国際旅客及び国内旅客の趨勢等について答申が出されております。皆さん大体御承知でありますけれども、たとえば国際線においては、昭和四十四年度の二百八十万人に対して、昭和六十年にはおそらく六千万人になるであろう、それから国内旅客につきましては、昭和四十四年度においては一千百八十万人であるが、昭和六十年においては一億二千万人に増大するであろう。まあこれは従来の伸び率並びに将来の混合交通等も勘案をして、それらをお互いに調整しながら計算した数がそのような結果になる。それで、こまかい空港は別にいたしまして、たとえば東京空港といいますと、これは成田等を含めましてですが、東京に要するに入ってくるといいますか、乗降するお客さんは、昭和四十四年度には六百万人であるけれども、昭和六十年には六千万人になるであろう。大阪も大体昭和四十四年には六百万人であるが、昭和六十年には四千万人になるであろう。こういう一つ基礎的な数字が示されておるわけであります。同時にまた、こういうような増大する——このとおり増大するかどうかは別問題として、さらに専門家の答申でありますから、一応これはわれわれは尊重しなければなりません。そういう前提に立って考えますというと、当然これに対する空港整備計画を進めていかなければならぬ。と同時に、いわゆる大型機種にある程度変わらざるを得ない。なかなか空港整備といいましても、東京周辺に十も二十も飛行場をつくることは実際上つくれません。そういたしますと、六十名前後のいわゆる中型機に対して、少なくとも国内空港の場合、三百名前後のいわゆるエアバスに将来は切りかえていかなければならない、こういうことは当然想定されるわけであります。そうなりますというと、従来のYS型でありますと、千五百メートルの滑走路があれば足りる、しかし、エアバスになりますと、比較的滑走距離は短くともよろしいとはいいましても、二千五百メートルの滑走路を備えなければならない。こういうようなことが当然の前提として整備されなければならない。で、こういう面になりますというと、従来の航空行政というものは、そういう点の前提に立っての、本格的の方針ではなかった、あるいはそういうような条件が十分当時はそろっておらなかった。その後において、そのような条件がますます必要となってまいった。こういう前提を考えますというと、いま考えました空港整備の問題にしましても、従来のようなテンポで空港整備をしておったのでは間に合わぬ。こういうことからして、今回の五カ年計画においては、従来の約倍近い予算措置をしても、もちろんこれは十分ではない、できれば三倍くらいの必要があるわけですが、いろいろな予算の財源等の問題から見て、さようには一挙には拡大できない。しかし、私は思い切って空港会計を増大、強化する必要があるということで、大体の方針は、新五カ年計画では約倍の規模で空港整備を進めていく、そうしてできるだけ新しい情勢に備えるようにしていきたい。これは政府のやるべき直接の手段であります。  第二は、航空会社に今度はひとつ考えてもらわなければならないことは、いま申しましたように、当然この国内線においては、昭和四十四年に対して、昭和六十年は十倍の旅客増大を来たす、こういう状態でありますからして、いまの飛行機の型で、いわゆる中型といいますか、そういう飛行機では、十倍の飛行機を運航することは、いわゆる幹線拠点空港、たとえば大阪とか東京とか、こういうところでは、とうていこれは収容し切れない、現在すらも過密状態である。したがって、これは業界自身も大型機に変わらざるを得ない。すなわちエアバスに変わらざるを得ない。これは一挙にはできる問題ではない。操縦士の訓練、あるいは機械、計器等の設備等から考えまして、そう簡単には、あしたにこれを大型化に変えることはできません。と同時に、企業自身から考えれば、従来は六億円程度で買えたYSとは違いまして、いやしくもエアバスを買うとすれば、最近の新聞でもごらのように、DC10がもうすでに売り込みが始まってきておる、ロッキードも同様である、DC10を買うとなれば、一機少なくとも六十億円の費用が要るわけであります。しかし、一機だけで運航できるか、これはできません。一トラックで大体において三機を一つの組にしなければならぬ。ある線から、たとえば東京空港からある地点にまいる。たとえば北海道の千歳でもけっこうですが、その他の場合におきましても、仙台空港におきましても、その間においてはエアバスが三機を一組にしなければ運航が円滑にはいかない。そうなりますと、一トラックで三機の飛行機整備する。つまりエアバスを整備するとなれば、それだけで約百八十億円の金が要るわけであります。したがって、こういうような問題は、あしたにこれを整備しろと命令したところで、これはできる問題ではありません。しかしながら、運輸政策審議会で示したように、まあ昭和六十年に十倍になるか八倍になるかは別といたしまして、少なくとも七倍になり、八倍になり、あるいはそれ以上になることは間違いない。それに対処するためには当面、国内空港の場合においてエア・バスに、ある重要なるローカル線は切りかえざるを得ないことは、これは航空会社も十分に承知をいたしておるわけであります。そうなりますというと、従来のいわゆる航空政策といいますか、航空行政でこと足りるかということになりますというと不十分ではなかろうか。こういうことから考えまして、いま私はこうこうこういうようにするという独断的な考えは持っておりません。しかし、これらの問題を踏まえて運輸政策審議会に対して一こういう状態が前提として考えられる。それに対して、たとえば幹線空港路線といいますか、幹線路線といいますか、たとえば札幌から福岡とか、あるいは将来鹿児島まで延びるかもわかりませんが、そういうような地点に対しては、この増大量から見てどういうようないわゆる路線を考えたらよろしいか。従来だけでいいのかどうか。あるいはまた主要ローカル線、こういうようなものに対しては、従来のようなものの考え方で十分であるかどうか、こういう設問をいたしております。同時に、またそれがためには、いわゆる企業の充実といいますか、企業の充実は一つには操縦士の訓練、あるいは機関士の訓練等を含めて、その乗員の再教育、訓練及びそれたけのものを——今度は、いま申しましたように一路線につきましても三機のエアバスが要るのでありますから、それらから考えるというと、従来のような資本状態、操縦状態ではたして間に合うかどうか、そのためにはどうしたらいいであろうか、あるいは訓練等についてはどういうような助力と協力関係を結べばいいか、こういう幾つかの設問を運輸政策審議会に提案をいたして、目下審議中であります。この審議会によっていろいろの御意見が述べられるでありましょうし、また皆さまからもこういう委員会を通じて御意見が出ると思います。それらの意見を十分に尊重し、勘案し、そうして最終的には今後あるべき航空行政といいますか、航空政策、こういうことをひとつ考えていきたい。長期展望に立つものでありますから、いまきめたからあしたから実行できるというようななまやさしいものではありませんので、できれば、なるべく早くこういうような基本的な政策は決定をして、そうして航空安全、こういうことをひとつのバックボーンとして、そうして三年なり五年かかっても、あるいは十年かかるかもしれませんけれども、その間において、いま申した昭和六十年度の長期展望に立っての大体充足し得る政策、これをひとつなるべく早くきめていきたい、かように考えて、いま運輸政策審議会のほうに幾つかの設問ですね、結論はまだ出しておりません、幾つかの設問を出しております。それに対しましていろいろな意見が出されましょうから、その意見を十分に尊重し、また皆さんの間の論議のほうも十分に勘案して、そして新しい航空行政のあり方、その基本政策をできれば年内のうちに決定をいたしたい、かように考えておるわけであります。
  26. 藤田進

    藤田進君 伝えられるところでは、従来、前運輸大臣までは、日本航空と、主として国内線を持つ一社、つまり日本航空業界二社説で来られたように思います。その後、橋本運輸大臣になって、日本航空あるいは全日空それに自余の会社を合併して三社形態、こういうふうに伝えられておりますし、それを軸としてかなり活発な動きがあるようにも思うわけでありますが、いま承りますと、まだ審議会過程であって、最終結論は出していないということのようですが、そうなのか、もう一度確かめたいのが第一点。  それから、その企業はかなり高度な——今日、お説のように利用率も高くなるし、その量においても相当年々ふえているという状態であるだけに、そして一方ハイジャックとかという危険性を伴うということになりますと、必然にこれは非常に公益性の高いもの、わが国におけるあらゆる産業の中でも公益性の高いもので、単なる採算方式ではものが考えられないことになると思うのです。ですから、国によってはかなり公共的企業形態という形がとられておりますが、いま考えられている審議会の報告待ちではありましょうが、運輸大臣としての御所見は、やはり民有民営といった企業形態のもとに三社といったようなことが考えられているのかどうか、お伺いしたい。
  27. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) お話のように、これは御承知のように、日本航空という国際線を主としてやっておる会社は、まあ形式は民有民営でありますが、国が約五〇%のいわゆる資本参加をしておるわけでありますが、その他の会社、いわゆる国内航空をやっておる会社は文字どおり民有民営でありますので、この原則は将来ともに私は変える必要はないと思う。ただ、技術協力という面でどういうような組み合わせをするかという問題はあると思います。やはり私の一つの基本的な思想は、これは国内航空であろうとも、国際航空会社であろうとも、いまや時代の趨勢は大型化にならざるを得ない。そうなりますというと、従来の考え方というのは、企業自体のあり方自身もこれは考えていかなければならぬ状態でありますからして、したがって、かつてのような、遊覧飛行がちょっと大きくなった程度の航空会社では航空の安全もなかなか保しがたい。もちろん従来の経験を私は十分に尊重いたします。従来の航空会社としてのいわゆる経験その他企業努力は十分に尊重する。その十分に尊重した上に立って、そこで企業の内容の充実をはかる。一つは、もちろん資本充実も必要でありまするが、いわゆる運航技術あるいはそうした航空会社としての能力の万全性、完全性といいますか、充実というものは考えていかなければならぬ。しかし、それがためにそういうような民有飛行会社に対して国が特別な資本参加をする必要はもちろん原則としてはありません。ことに日本経済は、御承知のようにいわゆる企業経済というものは相当に伸びつつある、こういう状態でありますから、したがって、国が資本的参加を考えるということは原則としては考えないでもよろしい。ただ、航空機会社諸君にも考えてもらいたいことは、先ほど申しましたように、一組の線のいわゆるエアバスをするにいたしましても、もちろんこれは全額を一度に支払うわけではありませんにしても、百八十億円という金がかかる、こういうことは考えなくちゃならぬ。もしこれを三つとか四つとかという主要ローカル線に入れるとすれば、十台なり十何台というものを入れていかなければならぬ。そうなりますと、膨大なる資本、企業力というものを必要とする。こういうことになりますというと、もちろんこれは既設会社が主導権をとっていくべきものではありますけれども、やはりこの企業内容については積極的にみずからが指導をすると同時に、やはり一般民間資本というものを注入していく必要があるのではないだろうか。で、幸いなことに航空事業というものが将来の成長産業である、そういう意味において単純なる資本参加、こういうことは、私はその企業会社の政策いかんによっては十分に門戸が開放せられるのではないだろうか。みずからがそこの企業の経営に任ずるということではなくして、その成長産業として将来企業としてのものの考え方、投下する資本を持つ人がそういう意味において魅力ある産業である。であるからして、従来のいわゆるワクにとらわれる必要はなく、しかし企業形態、企業の中心はあくまでも経験のある者が中心にならなければならぬ。こういう点を国としては十分に尊重して、そして従来やってまいりました各企業会社が十分にイニシアチブをとれる、そして従来の航空界に尽くした経験と功績とを十分に生かせるような態勢に持っていきたい。かように考えて、しかもそれらはもちろんこれはお互いの話し合い等もありましょうけれども、いわゆる平等といいますか、十分なる権利を保有しつつ自分の企業会社をよりよく大きな企業体として進めていくことができる。もちろんこれは中心は航空の安全が中心です。したがって、もちろんこれは一年、二年で私は達成するとは思いません。少なくとも五年なり、それらのものがある程度整備せられるためには数年間あるいは十年間かかるかもしれぬけれども、しかし、先ほど申しましたように、この国際線のお客さんにいたしましても、十年後には大体において十二倍のいわゆる国際線は十二倍の増加を来たす、国内線においては十倍にお客さんがふえていく、こういう状態を踏まえながら航空会社がそれに対応する態勢をつくっていくということがこれは何としても必要である。こういう意味においていま運輸政策審議会においてこれらの私の設問に対してせっかくの意見を徴しつつあります。また、こういう機会に皆さんからも意見を聞かしていただけるならば、それらを十分に尊重して最終的な結論を得たい、かように考えておるわけであります。
  28. 藤田進

    藤田進君 まあ将来の展望を見ますと、私はここでこそくな事業再編成ということでなくて、いまほど触れられたような、資本的にも、また形態、内容についても相当膨大化していくわけでありまして、したがって、これが半身不随になるといったような事業形態なり機構は許されないといたしましても、何としても安全性というものは交通機関には第一でありますが、なかんずく航空産業には人命の安全ということが何よりも優先されなければなりませんが、漸次老朽化していく機材といったようなことに対する対応がかなり困難になる可能性もあるように思うのです。現在、操縦士にしても外国人の導入ということが行なわれる、かつこれが養成がなかなか間に合わない。しかも会社間の彼此融通という点においてもなかなか困難性を持っているということになりますと、この際、当然触れられるでしょうが、審議会においてもまた運輸大臣とされても、将来を見通したところの企業形態というものを十分ひとつ考えていただきたいと思います。  それから、いま一点ですがね、どうも航空会社現状において利用者がつくづく感ずるのは、サービスの低下ですね。これはまあ、大臣とか航空局長とかいう監督官庁の人が空港に行かれますとたいへんな案内もつくし、そういうことを感じないでしょうけれども、一般の者は、たとえば日本のような天候急変の列島においては欠航ということが突如起こってみたり、あるいは台風ということは特別にこれまた作用いたします。そういう際に、みんな一応飛行場に行って確かめなければ欠航かどうかわからないというのが現状なんです。電話をかけても電話が通じないのです。電話くらいつければいいだろうと、私は窓口等へいろいろ意見を——今度、先般の国会終了後、ハイジャックその他の経験から直接ぶっつかってみますと、両方足りないのですね。ですから、電話がないから話し中でどうしようもない。しかし、電話をつけてもらっても人がいないからそれまたどうしようもありませんと、こう言っております、現場ではね。しかし、ただ営利本位ということになれば、これも合理化でありましょうけれども、飛行場が町の中で、自動車で五分や十分、この自動車のはんらんしている現在の交通事情において、そういう至近な飛行場というものはほとんどありませんね。かなり時間——ここから羽田へ行っても高速道路へ乗ればかえって最近は、しまった、下を通ればよかったというのがしばしばですね。一時間以上むしろ見なければならない。それをわざわざ行って、きょうは飛び立つのかどうか確かめるというようなことは、これはもうたいへん多くの者としては迷惑をするわけですが、これは一例ですけれども、あるいは切符の購入、予約等についてもそうです。その面のいわばサービスというものはもう皆無ですね。いまこれは増便を各社とも要求されておりましょうし、積み残し、そうして相当事前に予約しなければどうにもならないという、いわば会社経営にとって有利な大勢ですから、極力経費を押えていくということで、幾ら文句を言っても、文句があれば乗るな、かってにしろという態度でいいかもしれません。しかし、私は航空事業、公益事業としてのあり方としてこれは許されないことだというふうにつくづく感じ系ので、今後の再編成にも関連し、行政指導として、こういったいわば国民直接の接触の面についてのサービスの強化ということをぜひやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
  29. 内村信行

    説明員内村信行君) ただいま先生おっしゃいました点はまことにごもっともでございます。で、私ども旅客に対する最大のサービスはやはり安全であるというふうに考えております。したがいまして、まず第一点は、いかにして安全を確保するか、これを最重点的に考えております。ただ安全を確保いたしましても、なおその上において、いま先生の御指摘のような点が多々あるかと思います。これにつきましては、なお航空会社のほうもよく指導監督するつもりではございますけれども、基本的には、私は体質の問題だと思います。  そこで、やはりサービスの悪くなるということは、需要が多くて供給が寡少であるという場合にはサービスが悪いということが起こってまいるというのでございますので、先ほど大臣からもお話がございましたように、極力機材を大型化するとか、そういう方法によって供給力を増してまいる。それからさらに、非常に需要の多い点については、場合によりましては競争というふうなことも、過当にならない適正な競争というふうなことも考えまして、それによってサービス向上の地盤をつくるのもいいのじゃないかというふうに考えております。
  30. 藤田進

    藤田進君 私の持ち時間もあと二、三分になりましたのでこれ以上触れませんが、ひとつ十分御配慮をいただきたいと思います。  次に、国鉄総裁並びに運輸大臣から御答弁いただきたいのですが、山陽新幹線について、まあ全体としてはスムーズに工事の進捗を見ているようにも思いますが、これは前から問題になって、現在、厚生省あるいは地元並びに全国的に支援態勢ということで問題になってきておりますものの一つに、広島県賀茂郡の賀茂国立病院、この国立病院のすぐ足元を新幹線が通るために、その振動の予想騒音から、長期療養の患者あるいは病院側等あげて路線変更を早くから要求をしていたのでありますが、にもかかわらず着工され、トンネルの立て坑にも着工になるといったようなことで、漸次むずかしくなっているように思うのです。これはしかし病院の廃止あるいは移転するかどうかにもかかわる問題になっているわけです。新幹線をつける国鉄としては新幹線のみ考えるので、こういういわば療養中の患者に対する配慮、病院の運営に対する配慮が全く欠けていたように思うのです。しかも、これはかなり測量の時点から問題提起されていたのですが、これに対する対策あるいは今後の措置について確たる所信を伺いたい。
  31. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) ただいまお話しの点でございますが、山陽新幹線につきましては、地元各位の非常な御協力を得まして、先生いまおっしゃいましたように、非常に測量、立ち入りその他順調に進んでおります。この点非常に深く感謝しておるのでありますが、ただ全部が全部でございませんで、ただいま先生お話しのような地点が何がしかございます。  本件に関しましても、ただいま先生おっしゃいましたようなことで、病院側のほうと国鉄側といろいろ話をしておるわけでございますが、御承知のように山陽新幹線のルートをきめますロケーションをやります場合には、私たちといたしましても、こういう病院等につきまして十分配慮をいたしましてロケーションをするようにしておるわけでございますけれども、何ぶんにも新幹線の曲線半径が在来線に比べまして非常に大きゅうございます。在来線の場合は半径が三百メートルあるいは四百メートルくらいで済むわけでございますが、新幹線の場合には四キロくらいの曲線半径を使わなければならぬということでございます。少しの、一部分の移動が前後数キロあるいは十数キロ、あるいは場合によってはもっと大きく影響するということがございまして、非常にこのロケーションに苦労するわけでございます。われわれとしては、できるだけこの病院から離すように苦労したわけでございますが、いま先生おっしゃいますように、やはり全体からいいまして二百メートル、あるいは一番近いところで八十数メートルというような距離をとらざるを得ないということになりましたこと、私ども非常に、その上でそれじゃどう対策するかということで、いまいろいろ検討しております。  で、国鉄側といたしまして、病院の理事者の方々と御相談をいたしまして、その場合にできるだけ騒音、振動の影響のないような処置をしたいということで、たまたまいま申しますような距離がございますので、その間に、できますならば防音になりますような遮蔽物をつくりたい。これを構造物でつくるか、あるいは盛り土でもってそれをつくるというようなことをして、音が病院のほうにいかない——まあ完全にいかないというわけにはまいりませんけれども、空中に発散してしまうというような処置をすると同時に、その区間に相当高い木を植えるというようなことも処置をしていきたい。こういうことでいま鋭意病院側と詰めまして、できるだけそういう点の配慮をしていきたい、こういうふうに考えておる次第であります。今後とも、いま先生おっしゃいましたような点を十分考慮いたしまして、できるだけ病院側に影響の少ないような処置を進める、こういうふうに考えております。
  32. 藤田進

    藤田進君 これは私も平面図を前後かなり長距離にわたって入手して検討してみましたが、岡山から福山、さらに三原へと下っていって、そしていまの問題の地点を通る、この全体計画の中では何ら障害なしに、そして安芸トンネルに入るのですから、そのトンネルのいわば坑口にもなるような位置になるのですね。ですから、当初から配慮されていれば、いまのような制限半径云々という問題は起きないです。絶対起きません。いきなりあそこにぶつけたということが、当初の設計にずさん性というものがあると思うのです。いますでにくい打ちをして着工を一部しているという段階だから、これを変更するということは非常に困難があるし、他への波及効果を非常に心配してどうにもならないということしか言えないのです。私は、そういった設計路線選定に重大なミスがあれば、これはやはり変えていくという——いま私現地を見ますと、あれは斜坑ですか、立て坑になるのか着工しております。私は現地全部見てきました。今度山を越えた熊野のほうに向かっていますね。しかし、まだこの斜坑あるいは立て坑になるのか、この地点がそのまま通過しても、なおその前後トンネル以外に着工してないですから、容易に五百や三百の移転はできるというふうに私は思っております。私はその方面ではしろうとではないですから、そういう設計測量も自分でやってきておりますから、私その立場から見て、ただあまり意地を張らないで、少しでも木だの遮蔽物といったようなもので済まさないというのが厚生省側、国立病院側も助かるし、さらにまた入院される患者諸君も安心して療養できるように思うのです。賀茂国立病院は戦時中急場につくった木造です。おおむね木造、さらに二階建てで老朽化して、振動で相当かわらもずれるだろうし、狂いもくるだろうし、そういった危険性が顕著にあるように私は思いまして、その点は抜本的にひとつ検討してもらいたいと思うがいかがですか。国鉄総裁運輸大臣
  33. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 賀茂病院の問題につきまして、いま担当理事から申し上げた事情でございまして、非常に古い病院であることは私もよく知っておりますが、いますぐ建てかえとかいう問題にはならないと思いますけれども、とりあえず、ちょうど空閑地が国有地でございます、したがって、そこに植樹するなり、あるいは大きな遮蔽物をつくるということで過ごしていきたいというふうに思っております。しかし、なお現地の療養所の責任者と十分話し合いの上で、県当局にもいろいろ話し合いに入っていただきまして話を進めていきたい、こういうふうに思っております。
  34. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 私、藤田さんと違って専門家ではありませんので、その点の設計上のことはよくわかりませんが、いろいろ問題があるようでありますから、関係者また藤田さんの意見も十分尊重しながら御懇談を願いたいと思います。
  35. 鈴木強

    ○鈴木強君 時間があまりないようですから、簡単な質問になると思います。  最初に、私鉄運賃の値上げについて大臣の御答弁を承りたいと思います。御承知のように大手私鉄十四社の運賃改定については、昭和四十三年の十二月から四十四年一月の間に、それぞれ普通運賃の改定率は平均一八・四%、それから運賃の割引き率を引き下げる、通勤の場合が六九・八%を六一%、通学の場合が八五・六%を八二・四%、増収率は大体三二・二%で、増収額が五百二億円、こういうふうに決定申請の内容を拝見しますとなっております。実は七月二十一日の前回の委員会の際に、大臣がちょうど日韓閣僚会議に御出席でございましたので、その際に一応事務当局には伺っておきました。しかし、非常に事が政治的でもありますし、私の期待するような御答弁はいただけませんでした。それで、きょうあらためてもう一度お伺いするわけですが、当時、この経営を十分に検討した結果、ある程度の値上げはやむを得ないのではないだろうかというようなニュアンスを受けました。そして最終的には審議会にはかって結論が出れば告示をしていく、そして実施をする、こういうことで、およそ八月中くらいにそういう作業をするかのように私たちは推測をしておったのですが、その後、総理大臣から、一般物価との関係もありまして慎重にやるようにというようなお話もあったようです。そういうことからして、いま立ち消えになっておるように思うのですけれども、一体これはいま運輸大臣としてどういうふうに今後処理をしていこうと思われるのか、それを聞きたいわけです。  で、来年度の予算編成の問題と関連をして、郵便料金とかあるいは電信電話料金、さらに公団住宅の家賃の値上げとか、こういった一連の公共料金が上がっていくように思います。したがって、いずれあとで伺う国鉄の再建問題ともからんで、国鉄は一体どうしていくのか、こういうことも大いに関係があるわけでして、われわれは、公共料金の値上げが物価に非常に影響を与えますから値上げには反対をするという立場をとっております。ただ、その場合に、実際に私鉄十四社の経営が、もうどうにもならないのかどうなのか、この点を深くわれわれは知らなければいけないと思います、国民とともに。そういうわけで、いま経営の内容が一体どうなっているかということをつまびらかにすると同時に、これに対する態度はどうあるべきか、運輸大臣としても御検討されていると思いますけれども、いま現在、われわれのほうは取りやめるように願っておりますが、そうなれば一番しあわせだと思いますけれども、一体これはどう処理されるか、それを伺いたいのです。
  36. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 私鉄運賃の問題は、四十三年の末から四十四年にかけて各社から運賃改定の申請があるわけであります。まあ大体において一年もしくは一年半の歳月をけみしておるわけでありますが、これがことしの一月に運輸審議会に、前大臣によってこれの検討を諮問されたのでありますが、目下これが検討中ということであります。  物価問題との関係はもちろんこれはあるわけでありますけれども、ただ私鉄の場合に、内容についてはまた鉄監局長その他から御説明があると思いますけれども、大体東京近辺で、大都市交通といいますか、そういう点から見ますというと、大体において東京を中心にした通勤関係を見ますというと、その四割は私鉄が担当いたしております。その他が国鉄及びバスである。それから大阪になりますというと私鉄関係が七割を負担しておる。そうして国鉄その他が三割である。こういうことで、世界の交通関係から見ますというと、日本の場合は特異の現象になってきておる。外国じゃほとんど国営もしくは公営がその責任を果たしておるわけなんですが、日本においては全体をひっくるめまして都市交通の大体五〇%は民営企業がこれを担当しておる。そういう意味において企業体それ自身が一種の公共的性格を帯びてきておる、こういうことも事実であります。  で、最近の——こまかい点は他の政府委員から御説明申し上げますが、現在のところ経営状況はかなり悪化しておる、このままに放置すれば私企業として成り立たない、こういうことが言えると思います。しかし一方、政府側から見れば、物価対策の上からしてどの程度に押えるべきかという問題もこれはあるわけでありますから、まっこうから全部押えてしまうということがはたしていいかどうかという問題もあります。そういう意味において、私としては、やはり私企業なら私企業として最小限度成り立つ状態に置くべきである。ことに昭和四十四年から始まりました大都市交通圏のいわゆる輸送力増強、これは運輸省からも指示をして五カ年計画が進められておる。その五カ年計画のいわゆる事業進捗にも影響を与えておる。こういうことであるならば、将来のいわゆる都市交通あるいは通勤交通に対して大きな問題を残すわけであります。そういう点から考えまして、もちろん、いわゆる私企業の経営をわれわれは特にバックアップするというたてまえからではなくして、大都市交通圏がどうあるべきか、またその役割りを私鉄がどう負わなければならないか、こういうような観点から、目下申請されておりまする運賃の内容及び経理内容等を十分審査した上で、国民皆さんが納得できる、そういう状態においてこれを処理していきたい。いつごろ処理できるかという問題は、まだ目下検討中でありまして、言明の限りではありませんが、これはやはり国鉄との関係を考えましても解決すべき問題であると考えております。
  37. 内村信行

    説明員内村信行君) 先ほど藤田先生からお尋ねのございました、外国におけるハイジャック機に日本人が乗っているかどうかという問題でございますが、ただいま外務省のほうに電話で確かめましたところ、現在、航空機はヨルダン国のアンマン空港近郊のザルカというところにおりておるようであります。未確認の外電によりますと、米、英、西独人は、イスラエル人を除いて、釈放されているということでございますが、現在、外務省におきまして現地に公電で調査中でございます。  なお、スイス航空及びトランスワールド航空の東京事務所に問い合わせてみましたが、スイス航空の東京事務所では、日本人は乗っていない模様であると言っております。トランスワールドにおきましても、東京駐在所におきましては、日本人はいないと思われると言っておりますが、なお本社に問い合わせているということで、これは最終的なはっきりした情報ではございません。  以上でございます。
  38. 山口真弘

    説明員(山口真弘君) ただいま御質問のございました大手私鉄十四社の経営内容でございますが、大臣が申しましたように、鉄道業におきましてはかなりの赤字を出しております。昭和四十三年度におきまして鉄道業で八十七億円の赤字、四十四年度は、百九十七億円の赤字でございます。この赤字があります一方、兼業といたしましては鉄道業は黒字を出しておりまして、これによりまして配当をいたしておるわけでありますが、兼業の様子を見ますと、鉄道業以外の自動車業その他投融資業等におきまして若干の赤字を出しております。しかしながら、兼営いたしております不動産業におきまして非非に大きな黒字を出しております。四十三年度におきまして十四社合計で百六十億の黒字、それから四十四年度が二百五十一億の黒字という不動産業の黒字を出しております。なお、自動車業その他の赤字、鉄道業の赤字等もございますので、その不動産業の黒字でまだ不十分でございまして、不用土地の売却その他の特別損益を計上いたしまして、これが四十三年度は二十七億円の利益、四十四年度は六十四億円の利益というように、不動産、不用土地の売却その他によりまして、これの特別損益によりましてこのつじつまを合わせまして黒字を計上いたしまして、そして配当をいたしておるというのが経理の実態でございます。
  39. 鈴木強

    ○鈴木強君 現在の私鉄の経営現状はいま鉄監局長のおっしゃったとおりだと思いますけれども、特に子会社の経営をしておる、やっております投融資業ですね、こういうものの赤字まで、言うならば鉄軌道の営業収入においてまかなうということ、そういうことも問題があるように思うのです。ですから、六十四億を四十四年度特別損益として出しておるようですけれども、それにしても増収が五百二億円との関連において、いま申請のある平均一八・四%の私鉄運賃の改定ということは問題があるように私は思うのです。それはここで時間がありませんからやりとりをしてもしようがないのですけれども、問題は、大臣がこれはいつまでかわからない、検討しているのだということですけれども、もう大体事務レベルにおける検討は十分済んでおるし、もう七月の二十一日ころでも、できるだけ早く委員会を開いてやるような状況にあったわけですね。大臣も総理にお会いになって、私鉄運賃の値上げについてはある程度やむを得ないんじゃないだろうかというお話もしたんじゃないですか、新聞にちょっと出ておりましたね。ですから八月のかりに一日なら一日、十日なら十日にやらなければならないという当時の判断からして、これが九月になり十月になり十一月に延びて、いつまでいくかわかりませんけれども、そうなると、国民からしてみると、いろいろと何かかなり幅があるように感ずるわけです。それならもっとおそくしたっていいじゃないかという論理にもなる。私は、やり方としては非常に国民が疑惑を深めていると思うのです、利用者が。だから、全国に反対運動が盛り上がってきているように思うのです。検討中だからということですが、検討は全部できているのです、と私は判断しておるわけです。ですから、一体これをどうするかということは政治的な大臣の御判断でしょう。これはおそらく一般物価との関係で、当然物価安定ということは佐藤内閣の一番大きな政治課題であると思いますから、そういう点との関連でいま総理は慎重な態度をとられているのじゃないでしょうか。まきか総裁選挙との関連でやっていると思いませんけれども、とにかくいつ決断するのか、そういうおおよその見通しというのはいまの段階でも大臣としてわからないとおっしゃるわけですか。国民のほうから見ると、八月ごろやると言ったのが九月になり十月に延びていくならば、どうも申請内容自体もおかしいのじゃないかというように思うのは当然です。また、どうしても八月から上げなければならぬということであるならば、十一月になった場合に、その間の一体収入減というものはどうしてカバーしていくのか。そういうところまでやはり問題になると思いますから、もう少しく確信のある、国民がこれはどうなるかということについて政府の答えというのは出てこないですか。
  40. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 私の個人的な見解だけを申し上げるわけにもいかないのでありまして、政府の全体の姿勢の問題、ことに物価問題等がありますからして、慎重に国民の納得のいく線でこれをひとつ解決をしたいというような方針で目下これに対処しておるわけであります。しかし、じんぜんとこれを引き延ばすわけにはもちろんまいりません。将来ともに値上げをしなくても済むという審査の結果が出てくれば別でありますけれども、目下作業中のことから言うなればそうはいかない。  ただ一つ基本的なものの考え方として、これはもう皆さんに釈迦に説法でありますから申し上げる必要はないくらいですが、最近の軌道会計というもの、これはアメリカの有力な鉄道会社も破産の状態になった。これは御承知のとおりであります。ことに日本の場合、道路のキャパシティーが狭い。また地下鉄も十分でない。そういうことからして国鉄なり私鉄の持つ、いわゆる通勤、通学の責任は非常に重要であります。で、日本の大手私鉄というものが不動産収入によって軌道会計の赤字を埋めておる。これはまあ総合会社でありますから、考え方としては当然ではあります。だが、その不動産収入によって赤字を埋める状態も、これは皆さんが御推察のとおりに、もうすでに限度に来ておる。これも事実であります。こういう状態から見ますというと、もちろん、これは軌道会計の赤字だけを原則にして料金をきめる必要はない。当然不動産収入というものを十分に食い入れてその上に立ってものを考える。これはまあ現在の会社がそうなっているんですから、当然のことであります。もし、軌道会計の会社と、不動産会社が別個になるならば、これは別個の問題であります。で、そういう意味から言うなれば、まあ特に私は私鉄を弁護するわけではありませんけれども、ただ、日本の私鉄というものは、そういう総合経営によってある程度生き延びてきたということも事実であります。だから、国鉄が鉄道会計専門でありますために、あとから鈴木委員から御質問がありましょうけれども、全くにっちもさっちもいかない。私は皆さんに名案があればお聞きしたいぐらいに、非常に国鉄問題については苦慮惨たんをしておる。従来、国鉄だけにまかしておりましたが、私は就任以来、これは国鉄だけにまかせる問題ではない、政府のレベルで取り上げなければ、とうてい抜本策はでき上がらない。こういうように、非常に私は国鉄の再建問題には重大なる覚悟を持って当たらなければならぬ、こういうように強く考えております。そういう意味においては、私鉄は、とにかく国鉄の運賃と比べましても、たとえば東海道線その他の線におきましても、国鉄が値上げした機会にお客さんが私鉄に移ってきておることも事実であります。数字をもって証明することができる。こういうような著しい不均衡な料金制度があることは、はたして交通政策上妥当であるかどうか、これはもう専門家の皆さんに申し上げるまでもない。しかしながら、先ほどからお話がありましたように、いわゆる国民の全体的な経済、ことに物価問題等からは、もちろん政治的な配慮が行なわれなければならぬ。こういう意味において厳重な審査を進めておる。また、私鉄に対しても注文すべき点も幾つか注文してからこれを進めておる。しかし、じんぜんと長くこの解決を待つわけにはいきませんから、適当な時期に結論を得るならば解決をしていきたい、かように考えております。
  41. 鈴木強

    ○鈴木強君 これと関連があるかどうかわかりませんが、地方なんかにまいりますと、私鉄が経営しているバス、あるいはそうでない場合もそうですが、赤字路線というのがやはりあるわけです。そういうバス会社なんか、運行時間を間引きしたり、あるいは時間を繰り上げたりするような傾向が出てきている。これはいろいろ聞いてみると、赤字経営だからというようなことが問題になっておるようです。ですから、私たちはぜひここで運賃値上げしなくてもいけるような方法を政府として考えてほしいと思うのですけれどもね。これはもちろん、われわれもそう無責任なことを言うつもりはないのですけれども、お互いに考えなきゃならぬと思いますが、そういう方法をつくっていただいて、波及的に出てきておりますようなそういう問題についても、やはり根本が解決しないからだと私は思うのですよ。ですからして、そういつまでも慎重だ、慎重だと言って遷延することもできないと思います。ですから、われわれも経営の実態をよく見せていただいて、なるほど、こういうようにしなければ鉄道経営は成り立っていかないのだというものがあるならば、これは国民とともに理解しなきゃならぬと思うわけです。そういうふうなやはり国民の理解の中に上げる場合には上げていくという、そういう態度がほしいと私は思うのですがね。ですから、そんなこと、派生的に起きている問題なんかについても厳にひとつこれは注意してもらいたいと思うのですよ。それだけひとつ行政指導の面でやってください。
  42. 山口真弘

    説明員(山口真弘君) ただいまのお話は、おそらく私鉄事業者、あるいはその他のバス事業者が経営いたしまするバスの間引き運転の問題であろうかと思います。これにつきましては、運輸省といたしましては、そういったことのないように十分に監督をしてまいるつもりでおりますが、鉄道事業につきましては鉄道の運転速度、運転度数の変更につきまして、これは陸運局長の認可事項となっておりまして、そしてその運転度数なり、運転速度をきめてまいります場合には、輸送の状況だとか、あるいは列車の性能、その他車両の運行、それから乗務員の運行、予備員の問題、そういったようなものを全部チェックをいたしまして、その上で運転度数、運転速度の設定ということをいたしております。したがいまして、認可に反しました運転時間の繰り上げだとか、あるいは間引き運転というような違法行為は、現在のところ、起こっていないと私ども確信をいたしております。しかし、先生御指摘のように、経営が苦しくなって、そういったようなことがないように、私どもといたしましては、これは厳に監督をいたしまして処してまいりたい、このように考えております。
  43. 鈴木強

    ○鈴木強君 私の言っておるのはバスのほうなんですよ。要するに、総合経営をしているでしょう、私鉄が。ですから、軌道のほうとバスのほうがやはり赤字になっておる、あなたが言っておるように。だから、そういう点の関連が出ているということを言ったんです。  それから経済企画庁、きょうは長官においでいただくようにお願いしたんですけれども、都合で見えておりませんが、私鉄運賃に対する経済企画庁側のひとつ意見をこの際聞いて、それで私はこの私鉄の運賃問題は終わります。
  44. 米山武政

    説明員(米山武政君) 運輸省のほうでもお答えいただいておりますように、私鉄運賃の問題につきましては、これは重要な公共料金といたしまして物価政策の見地からもできるだけこれを回避できるものは回避していきたい、抑制していけるものは抑制していきたいというのが私どもの従来からの態度でございます。特に公共料金の場合には、どうしても公共料金が上がりますと、これにつきまして一般の物価の便乗値上げというものが起こりがちである。それから、とかく公営企業あるいはこうした独占的な企業の場合には経営努力を怠りがちであるというふうな点から、できるだけ経営内容をきびしく審査するというふうな態度で従来からやっておりますし、今回の私鉄の問題につきましても早くからそうした問題で取り組んできているわけです。  しかしながら、先ほど運輸省のほうからもお答えしましたように、ぎりぎりな経営努力を行なっても、なお赤字が生ずるというふうな場合には、やはり事業本来の責務の遂行が妨げられるというふうなことになりますとやはり問題でありますので、私どもはできるだけ合理化努力をしいるというふうなきびしい態度でやってみまして、どうしても最小限度の値上げが必要というふうな場合には、これは認めていかざるを得ないというのが私どもの態度でございます。
  45. 鈴木強

    ○鈴木強君 経済企画庁は、大体従来何回かわれわれも経済企画庁の意見を聞いておりますが、私鉄運賃等を上げる場合でも前段の意見を主張しているのですね。そこはわれわれも共鳴するし、ぜひそうしてほしいと思うんだが、いつの間にかずるずるとあなた方が言ったことと違う方向に行く傾向が強いですね。だから、その点はひとつ長官にもよく伝えていただいて、あなたが前段に言われたような他の物価にも影響するという観点からして、できるだけこれを押えていくという、そういう思想でやってほしいと思うのです。これは要望しておきます。  それから次に、新東京国際空港建設の問題で伺いますが、きょうは忙しいところ総裁にもおいでいただきました。で、いろいろ具体的な経過を伺いたいと思いましたが、時間がありませんので、特にここでお伺いしたいのは、来年四月一日からサービス開始をするという、開港という前提で工事を進められておるわけですけれども、いま現在その既定計画の四月開港という計画目標はそのとおりいけるかどうか、それをちょっと最初に伺いたいのです。
  46. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 第一期工事の四千メーター滑走路並びにそれに付帯するターミナルその他の施設の供用開始に必要な完成の時期でございますが、これは私ども政府からはおおむね四十五年度末という御指示をいただいて、鋭意現在全力をあげてやっておるわけでございますが、現在の状況では二、三カ月のおくれはやむを得ないんじゃないか、しかし、われわれは、現在の羽田現状から見ましてもこれは全力をあげて一日も早くつくらなければならない、かように考えております。
  47. 鈴木強

    ○鈴木強君 いま現在、未買収地は幾らありますか、面積は。
  48. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 全体で御承知のように一千余ヘクタールでございますが、その中で私どもが一期工事を進めております区域は約五百ヘクタール、半分でございます。その中で工事に必要な区域につきましては全部私どもは用地の取得を完了いたしまして、現在千葉県の土地収用委員会に裁決の申請をいたしております。約三・六ヘクタール二十三カ所、この区域の取得を私どもとしてはお願いいたしたいと、かように考えております。
  49. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうすると、具体的にいま買収のできない面積というのは何ぼあるのですか。
  50. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 全体で第一期工事区域につきましては五百ヘクタールの中で約十五ヘクタール程度というふうにお考えいただいてけっこうだと思います。ただ、その中には南のかど地であるとか、特に工事に、建設に支障のない個所も、さしあたって必要のない個所もございますので、先ほど申し上げましたような三・六ヘクタールという個所について取得できますれば、先ほど申し上げましたような政府の御指示の第一期の施設供用開始に必要な施設は完成できる、かように考えております。  なお、第二期工事でございますが、第二期工事は、御承知のように二千五百メーター滑走路並びに三千二百メーターの横風用の滑走路の二基でございますが、これに対してもちろん必要なエプロンあるいはまた誘導路というものもつくるわけでございますが、この第二期工事の約五百ヘクタールの中で現在私どもが買収を終わりました民有地は全体で八〇%程度でございます。で、その中には約百ヘクタールに及ぶ県有地が含まれておりますので、全体としてのパーセンテージは上がるわけでございますが、現在六、七十町歩というものはまだ買収を終わっておらない。しかし、第二期工事は昭和四十九年のおおむね三月末ということになっておりますので、まだ期間もございますので、私どもは今後用地の買収につきましては全力をあげて地元の方々の説得に当たりたい、かように考えております。
  51. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうすると、第一期工事のこの中で、まだ未買収のものは十五ヘクタールあるというふうに理解していいですか。
  52. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 約十五ヘクタールというふうに申しました。あるいは十五ヘクタールをちょっと出るか十五ヘクタールをちょっと下がるか、大体において十五ヘクタール程度というふうにお考えいただいてけっこうだと思います。
  53. 鈴木強

    ○鈴木強君 この十五ヘクタールの中で、どうしても——予定どおり来年の四月から始める、サービスを開始するということになった場合に、十五ヘクタールのうち幾ら絶対必要なんですか。
  54. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 先ほどもちょっと触れたのでございますが、三・六ヘクタールというものが私どもとしては工事上必要というふうに考えております。
  55. 鈴木強

    ○鈴木強君 この三・六ヘクタールはいま千葉県の土地収用委員会に裁決を申請している分と理解していいですか。
  56. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) そのとおりでございます。
  57. 鈴木強

    ○鈴木強君 そこで、この土地収用委員会に裁決を申請しておりますから、まあ委員会は何回も開かれておるようです。新聞報道等によりますと、かなり険悪化しているように受け取れるわけですね。そこで、きのうきょうの新聞を見ますと、あなたがいま、工事が三、四カ月おくれるかもしれぬというふうにおっしゃったわけですけれども、そういう工事のおくれを来たすおそれを感じてかどうかわかりませんが、非常に強権発動的な、例の公共用地の取得に関する特別措置法をこの際成田空港の土地収用にも適用したいということで何かその手続をとられるように報道されているのだが、一体こういう特別措置法というものを適用する必要性というものがあるかどうかということに対する問題がひとつここに出てくると思うのです。これは三十九年のオリンピックのとき、環状七号線の用地強制収用に適用しただけで、そのほかに適用されたことはありませんが、あえてこれをこの際適用しようとするあなたの考え方、これを聞かしてほしい。
  58. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) これは私どもがイニシアチブをとって特別措置法を適用するというふうな問題ではございませんので、実は土地収用法の主務官庁は建設省でございます。実際に土地収用の業務を行なっておりますのは千葉の土地収用委員会、こういうことになっておりまして、私どもは所管官庁である建設省に対しても、極力私どもがスケジュールどおりに進行できるように、先ほど申し上げましたような地域の取得について、早期に裁決を得られるような道を講じていただきたいということを実はお願いいたしておるわけでございます。で、その間に、現在収用委員会で審理をしておって、はたしてそれだけで十分工期に間に合うかどうかという問題が出てまいりまして、これは政府部内において特別措置法の適用等についての御検討をいただいておるという状況でございまして、空港公団の立場といたしましては、具体的な法律の適用等についてお願い申し上げるということではなく、何とか早くやれる方法で審理をお進め願いたいと、こういうふうに実はお願いする立場にあるわけでございます。
  59. 鈴木強

    ○鈴木強君 これは新聞の記事ですから、しかも一流新聞ですから間違いないと思っているわけですが、おたくの石原さんという理事がおりますね、その方が言われているのが談話に載っておりますが、「県収用委員会の態度も、特別措置法に切り替える一つの条件になるだろうが、事態はもっと切迫している。公団としては、これ以上工事を遅らせるわけにはいかない。いつでも特別措置法を申請できる準備を進めている」、こういうふうに言われているわけです。こういうふうに準備を進められていることは間違いないと思うのですよ。昨年十二月の事業認定の場合に土地収用法を適用するということが認可されている。だからして、今度それではどうもうまくいかないから、こういう特別措置法によって強行しようという腹だと思うのですよ。それはあなたのおっしゃるように、建設省なりあるいは法務省なり、当然これは所管の役所とも連絡をとらなければならないし、またあなた方も、そういう必要性があるかないかについての判断はあなた方がされるのでしょうから、この際にこういう特別措置法を適用してほしいという考え方を公団が持っていると理解して質問したわけです。そうでないのですか。あなたのほうでは四月からどうしてもやりたい。しかし、現にもういまの三・六ヘクタールですか、これのいかんにかかわらず、もう工事そのものが、ことしは非常に雨季も長かったし、おくれているということでしょう。ですからして、三、四カ月おくれるということは現在明らかであるし、これから土地収用がもっとおくれれば、もっと空港はおくれるという、そういう判断に立っているわけでしょう。そうであるなら、そういう意見をはっきり聞きたいと思うのですよ。だから、私はあとで大臣からもお答え願いたいのですが、そういう強行手段をとらなければならないような事態になっているこの現状をどういうふうに理解するのか、反対側の方々にも裁決の場において、収用委員会の場において、意見を述べていただくべきことは述べていただく、法律的な手続によって各個人は意見を開陳することが許されているわけですから、それまで押え込んで強行しようというのは行き過ぎですよ。それで土地収用がおくれるならやむを得ないのじゃないですか。だから、もう少し弾力ある態度で、何といっても反対をする農民の方々の理解と納得を得るようにやっていくべきではないでしょうか。土地収用委員会のほうへ移っているから、私のほうは関係ない、こうおっしゃるならいいですが、そうでもないと思いますから、その辺のはっきりした公団の考え方を伺いたい。だからきょう総裁に来てもらっているのです。
  60. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 先ほど私が、法律的な具体的な適用については所管省並びにそれを実施する収用委員会関係においておきめになる問題であって、公団の立場は、土地収用委員会の審理の促進をお願いするという立場にすぎないという意見を申し上げましたが、これは実はそう申し上げましたのは、手続的に見まして、現在の収用委員会の審理のやり方等について十分検討をいたしまして、できるだけ早く収用委員会が結論を得るような方法があるかどうか、それからまた、特別措置法を適用した場合に、はたして私どもが期待するようなスケジュールで審理が促進されるかどうかという問題が実は事務的にあるわけでございます。したがいまして、各方面の意向をいろいろお伺いいたしまして、私どもとしてもとにかく早く審議を進めて、裁決を得るという段階に持ってきてもらいたいということをお願いせざるを得ないというのが現在の立場でございます。
  61. 鈴木強

    ○鈴木強君 大臣、これどうですか、いまのような希望でございますけれども、土地収用法を適用するというお考えですか。
  62. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 空港公団のほうも反対派の説得には長いことかかって努力してきたようでありますが、理解を得るに至っておらないわけでありまして、これは反対する人の気持ちもわからぬわけでもありません。やはり自分の土地でありますから、土地を離れたくないという気持ちもわからぬわけではありませんけれども、先ほど来お話をしましたように、もう昭和五十年、これから五年先には国内空港だけでも従来の六倍以上の人を引き受けなくちゃならぬ、国際空港においても同様であります。せんだって、やむを得ず羽田空港の減便を、旅客に対しては申しわけないんですけれども、減便をせざるを得なかった。こういう状況ですからして、何としても一日も早くやはり飛行場ができなければ利用者にも不便をかけるということでありますので、何とかして反対派の人々の理解と納得を求めるように努力をしてまいりましたが、なかなかこれは先ほど申し上げましたような土地に対する愛着なり、将来の生活不安なり、こういうことからして十分な理解を得られない。もちろん、公団及び政府側としては、その土地を離れる人に生活の不安を来たさないようなあらゆる手段を講じて、これも関係者には十分提示をいたしております。しかしながら、それについてもなかなか納得を得られない状態でありますので、やむを得ず、とにかく先のきまっておる問題ですから、二年、三年待てばよろしいという問題でもありませんので、そこで空港公団としてはできるだけ早くひとつこれが工事の完成を見ることができるようにしてほしい、こういう考え方で建設省の方面にお願いを出しておるような次第であります。ただこれが、先ほど総裁が言われましたように、特別措置法でやるかやらぬかは、問題は早く解決することでありますから、それについてはもちろん建設省なりあるいは収用委員会なりの御判断に待つ以外はありませんけれども、どうも工事の関係、いま言ったような土地取得の関係から見て、来年四月に発足するという予定で進めてまいったものが多少はおくれるかもしらぬが、多少おくれることはやむを得ないにいたしましても、大幅におくれることは、いま言ったような航空行政の上に大きなつまずきといいますか、困難が生じますので、ひとつ皆さんにも御理解を願って、一日も早くこの問題が解決するようにお骨折りを願いたいと思います。
  63. 鈴木強

    ○鈴木強君 大体意向はわかりました。確かに、大臣も触れていただいたように、農民の立場から見ると、先祖伝来の土地だというので愛着もあるでしょうし、反対する気持ちもよくわかるわけでして、そういう気持ちを理解していただければ、政府としても、もうこれは新空港公団に全部まかしたんだから、そっちでやってもらうんだということではなく、もう一歩政府として乗り出して、その土地の農民の方々とも心からなる話し合いをするというような、そういう考えはもう持てないものでしょうか。私はそうしてほしいと思うんですが、いかがですか。
  64. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) それも考えたわけではありましたけれども、どうも関係者方面の意見を徴しますというと、なかなか問題は条件闘争ではないようでありますから、どうも説得といいましても、私ども工事をやめるというなら問題ないのですが、工事を進めるという前提での説得はむずかしいのじゃないか、かえって問題をこんがらかせるということからして、私は全然考えないわけではなかったのでありますが、加瀬君等にもいろいろ打ち合わせをしてみましたけれども、なかなかむずかしいと、かえってよけいなものが出しゃばって問題をこんがらかせることもこれも問題がありますので、より事情をよく知っておる地元の県庁あるいは公団当局者、これによってひとつ十分に理解してもらう。決してあなた方の生活を見捨てるものじゃないという点からして、向こうさんの完成を前提としての要求はできるだけこれをのむようにという指示をいたしてまいっておりまするが、私がいまこの際に出て説得に当るという考えは持っておりません。
  65. 鈴木強

    ○鈴木強君 まあ民主主義というのは時間もかかるでしょうし、手数もかかるでしょう。しかしこの大目的を達成するという政府の信念を変えないで済むということになると思いますね、いまの状況では。そうであればあるほど、もう少し、一方、政府としても乗り出して地元民と話し合いをするということが私は必要ではないかと思います。ですから、これは私の希望ですから、ぜひひとつもう一回お考えをいただいて、できるならそういうような方法をとって、理解と納得を得るような手段をとっていただきたい、これをお願いしておきます。  時間が非常にないものですから、次に、はしょったような形であれですが、田子の浦港の問題で、最近の港の運営状況についてちょっとお尋ねをしたいと思いますが、これは大臣承知のとおり七月二十一日のこの運輸委員会の当時でも、おそらく八月一ぱいが機能麻痺のタィムミリットではないかといわれておりました。その後まあヘドロの港内におけるしゅんせつは中止されておりますから、一日三千トン流入してきたとしてもこの五十日間には十五万トンがふえていると思います。ですから、百万トンといういまの堆積しておりますヘドロ、これでもう国際貿易港としての田子の浦港、あるいは重要港湾としての田子の浦港というものの機能はほとんど停止をしているんじゃないか、麻痺しているんじゃないかというように私は思うんです。そういうことを裏づけるように海員組合も、同港への入港は好ましくないということでもって、同組合に加入している外航・内航船舶の入港を拒否するという態度をきめておるようです。それから一方、地元の公害対策市民協議会も、ヘドロの公害は企業と行政の責任だということで、大昭和製紙の社長等四社と竹山静岡県知事を刑法二十五条とそれから港則法二十四条、港湾法三十七条、これの違反で告発していますね。  私がきょうここでぜひ伺いたいのは、まず第一番に、八月十一日に富士市の公害対策市民協議会から告発をされたこの事件について、検察側から来ていただいておりますが、検察側としてはこれに対して一体どういう態度をとられ、今後どういう捜査をきれるのか、ひとつ最初にそれを伺います。
  66. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) 具体的なこまかな問題といいますか経過等関係局長から御説明申し上げます。  ただ、この種の問題はいまや政治問題になってしまっておる、また政治問題として処理をしなければならぬ問題である。いまお話がありましたように、港則法の第二十四条もしくは港湾法三十七条、こういう観点からの問題の見方もありましょうが、もうそれだけでは済まないという問題なんですね、公害問題というものは。お互いにこれはこの法律に違反をしていないとかしておるとかいうような枝葉末節の議論をしておったのでは、政治の段階で公害問題は片づかない。そういう意味においてわれわれ閣僚関係としては、もちろんこれは法律があるのでありますからして、法律に従って処理すべきものは処理しなければなりませんけれども、法律以外で考えなければならぬ点も多々あります。あるいはどちらかといえば、この公害問題というものは政治のワク外で十分にまず考えなければならぬ。ということは、公害というものは新しい事態の問題でありますだけに、現行の法律の中で全部が整備されておらない、したがって、近い将来にはもちろんこの公害に関する法律を整備する必要があります。できれば臨時国会においてこれらの全面的な改正を行なう必要があります。けれども、法律ができるまで待っておれる問題でもない。そういう意味において、一方においてはもちろんこれは法律の問題として考えなければなりませんが、あるいはそれ以上に高度の見地からいかにしてこの種の問題を取り扱うか、田子の浦の問題においても同様であります。そういう意味において政府としては、御承知のように公害対策本部を設置をして、担当大臣総理大臣から指名せられて、山中総務長官が鋭意これに当たっておる。もちろん、われわれ関係閣僚もこれに対しては積極的な協力をし、あるいは予算的に、財政的に、あるいは企業者に対するところの警告なり、指導なりという面を通じて積極的にこれは解決の道をはからなければならぬ。こういう問題のために、ある意味において生産がある程度押えられることもあり得ると思います。だがしかし、長期の展望に立って長い点から考えるなれば、やはりこの公害問題を除去して初めて企業の成長も考えられるのでありますからして、それが当座において企業意欲がそがれたり、あるいは生産が停滞することがあってもやむを得ない。人類全体、国民全体が生きるという前提に立って考えるなれば、われわれはそれくらいの犠牲を忍んでも、国及び企業の各位が十分な考えをいたして、そしてこの問題に対処すべきだ。そういう意味において田子の浦問題も、将来の恒久対策と並んで緊急には何をすべきかということで、目下これが具体的に計画案を練り、あるいは一部は実行に移しておる、かような状態でありますことを御了承願いたいのであります。
  67. 前田宏

    説明員(前田宏君) ただいまお尋ねのございました告発事件は、現在静岡地方検察庁におきまして捜査中でございます。  ただいまお尋ねのこの件に関する基本的な態度と申しますか、その点でございますが、一般的に申しまして、特に申し上げるまでもないかと思いますけれども、検察庁といたしましては、いかなる事件に対しましても厳正公平な態度をもちましてこれに臨んで、事案の実態に即した処理をするということを心がけておるわけでございまして、このような基本的態度は当然本件につきましても堅持されるものというふうに考えておる次第でございます。  なお、具体的な事件捜査状況でございますが、当初、先ほどおっしゃいましたように、静岡地検の富士支部のほうに告発がなされたわけでございまして、富士支部のほうにおきましては、まず告発人の代表者の方々から事情を伺いまして、さらにこの事案の重要性あるいは複雑性にかんがみまして、静岡地検の本庁のほうに事件を移しまして、さらに本庁のほうですでに一部の関係者の方々から事情を伺っておるというふうに聞いておるわけでございます。まだ何ぶんにも捜査に着手した段階でございまして、今後どのようになるかということは現段階では申し上げかねるわけでございますけれども、この問題の重要性等につきましては、十分配慮いたしまして、現地の検察庁におきまして適切な捜査が行なわれるものと、かように考えております。
  68. 鈴木強

    ○鈴木強君 竹内検事総長も七日に現地のほうを視察されたようです。静岡地検の検事正室で記者会見されておることも報道されておるとおりでありまして、早急にこの事件捜査をやっていただくということで、人が足りなければ東京地検からも応援を出すと積極的に検察側は乗り出していただいているようです。問題が、公害の本質というものが一体どうなのか、非常に現行法から見てむずかしい点もあると思いますけれども、ぜひひとつ勇断をもってこの捜査に当たっていただきたい、こういうことをお願いしておきます。  それから、時間がもうないですから、現在、田子の浦港というのは、まあこれは国際貿易港でもあるんですが、最初に私が伺った機能の麻痺はもう限度にきているんじゃないですが。これはどうですか。
  69. 栗栖義明

    説明員(栗栖義明君) 田子の浦港は、現在大小合わせまして二十一バースございます。このうち機能がとまっておりますのは、ここ二カ月ばかりの状態を見ますと、五バースは機能が停止してございます。残りの十六バースは動いているわけでございますが、当初、先生から御指摘ございましたように、残った生きておる十六バースにつきましても、これは地形、場所その他によりましてかなりの差はございますけれども、規定水深よりもある程度まで浅くなっておりますが、これは船型を小さくする、あるいは船足を軽くするということで現在利用されておるという状況でございます。
  70. 鈴木強

    ○鈴木強君 港則法二十四条なり、港湾法三十七条で告発を受けたわけですね。現に国際貿易港としての機能が一部停止をしている。そういう事態があるわけですが、この責任は大臣一体どうなるわけですか。地元民から告発をきれて刑事事件になっている。これは捜査になりますけれども、行政訴訟の面もあると思うんですけれども、そういう点からして、政府自体はもっと早く——港則法第二十四条なり、港湾法三十七条なり、刑法百二十五条なりに違反をしているという事実は、それはわかっておったわけですからね。なぜ企業者に対してもっと積極的に法律に違反にならないようにという注意をしなかったんでしょうか。この点はどういうふうにやられましたんでしょうか。
  71. 手塚良成

    説明員(手塚良成君) 港則法によりますところの港湾機能の停止による違反という問題につきましては、私どものほうでそういう監視あるいは刑事責任の捜査ということをやるべき任務がございます。しかしながら、この田子の浦港につきましては、実は港則法適用以前——三十七年に適用されましたが、それ以前から現状のような姿が続けられており、これに対して船舶の航行安全、水路の保全という見地におきましては、地元の公共団体、県等において毎年しゅんせつ工事が相当な予算額を費やして行なわれてきておる。古いデータは手元にございませんが、昭和四十二年以降におきまして、毎年二ないし三回ぐらいずつ必要なところのしゅんせつ工事が行なわれてきておるというような事実もございますし、また一部の製紙会社におきましては、公共用排水路といいますか、岳南排水路等の公共下水道を使用いたしまして、工場廃液の排出をしておる、こういった一部の企業の運営状態もあるわけでございます。そういった点で、常時、船舶の運航確保という点についての観点からは注視をしてきたところでございます。最近におきまして、御承知の七月の初めにこのヘドロ投棄のための硫化水素によって急に騒ぎが大きくなりまして、このしゅんせつ工事が停止をきれるという状態から、先ほどお話の出ましたような船舶自体の運航の支障というものが一部出てまいっておる。まあこれに対しましては、公共団体その他関係のところで、ただいま外洋投棄その他が検討されておるような状態でございまして、私どもとしましては、そういった港則法以前の問題が事実行為として続けられてきた、また、それによって目に見えた格段の支障というものが当時としてはなく、言うなればずるずると今日のような状態に来ておったという事実で、港則法違反という問題は今日まで取り上げる時期ではなかったと考えております。
  72. 鈴木強

    ○鈴木強君 港則法に違反をして、港口から一万メートル以内にヘドロを投棄した場合には、いけないということになっておりますね。これは法律違反になっておる。ところが、田子の浦港では、昭和三十六年から四十五年のせんだって問題になるまでの間に相当多数のヘドロを港口の東防波堤とその海辺にばらまいたんですね。捨てておった。こういうことはあれですか、三十六年に二十一万五千立米、それから三十七年に六十三万立米、一番多いのは四十二年の百三十二万立米、その後四十三年が百十六万九千立米、四十四年が百十六万立米、こういうように多数のヘドロを二十四条に違反して投げておったわけです。あそこには海上保安庁は組織を持っているわけですからね、そういうヘドロを捨てておることがわからなかったことはないと思うんですがね。この三十六年から十年近くも全然わからなかったということは、これは言わせないですね。一体これはどういうわけですか。港則法二十四条というものの運営について私は非常に疑義を持ったんです。そうしてその地元民から告発をきれて、それで運輸省のほうの態度はというとどうもはっきりしない。こういうことじゃ責任を全うできないんじゃないですか。
  73. 手塚良成

    説明員(手塚良成君) 港則法自体は、先生も御承知の、港内における船舶交通の安全及び港内における整とん、こういうことをはかることを目的にした法律であるわけでございます。もちろん、その中に、先生御指摘の、港内または港の境界外一万メートル以内の水面にそういったバラスト、廃油、石炭から、ごみその他これに類するようなものを捨ててはならない、こういうことになっておるわけでございます。やはり古くからの問題としましては、港則法自体の立場としては船舶交通の安全、こういったことを主に考えて、先ほど申し上げましたような一定時期に一定のしゅんせつが行なわれる、こういうことから、当時は格段の船舶運航に支障がなかったという事実でおそらく今日まで来たと考えられるわけです。  今日まあ公害問題がかようになりましたので、むしろ公害問題という見地から港則法で云々されておるわけですが、この公害問題という観点は、やはり当時としてはまだそういう観念がおそらく非常に薄かったということで、形式的に申せば、先生おっしゃるように、そういった一万メートル以内の範囲——まあいま河川に流れておるのが非常に多うございますが、その河川の全部という範囲まではこれではカバーできないと思いますけれども、確かに一部の河川の範囲は一万メートルという範囲に入ってくると考えられますので、形式的にいけば、そういうことで問題にすべきであったかという、その点については何がしかの反省をいたさなければならぬと思いますが、現実の問題といたしましては、そういったような企業の実態、あるいは船舶交通の安全という見地から今日までまいった、かように考えられます。
  74. 鈴木強

    ○鈴木強君 これは非常に疑問は解けません、率直に申しましてね。そういうお役所が航行の安全のためにやっていただくことになっているんだが、その職責が十分果たされたかどうかということについては大きな疑問が残っているわけでして、多少の反省どころではこれはないんですね。大いに反省は反省としてしていただいて、要員なり装備なり、もし不十分であったならば、これは大いに国民に訴えて機能が十分発揮できるような体制を海上保安庁としてとっていただくということにならないと、問題の解決になりませんよ。これはたいへんな失態だと思います、ほんとうに。  もう時間がなくなってしまうので次回にまた譲りたいと思いますが、それで当面百万トンといわれるヘドロをどうして処理して港の機能の確保をしていくかということが、これは何といったって一番大事なことです。これは高いレベルから考えられているいろんなことはあるけれども、当面この問題に集中されると思いますが、そこで水産庁から来ていただいておりますが、二十日から海洋投棄をするということを政府はきめて連絡をとっているようですけれども、二十日から海洋投棄しようということに対して、漁民が猛烈に反対をしておりますね。それは駿河湾の漁族保全のためにという点にかかっておるわけです。当初、竹山さんと山中さんが御相談になったときに、水産庁はあの相談に参画したのですか。百五十キロの外洋に捨てればいいというような大体方針をきめたでしょう。ところが、それが三百二十キロに変わったわけです。そういう点も、政府として対策を立てる場合に、どうも片手落ちのように思うのです。少し拙速主義になったと思うのです。そういう点で、いま三百ないしは三百二十キロの海洋ということになると、八丈島の先になると思うんですが、こういうようなしゅんせつ船が実際あるわけですか。しゅんせつ船があるのかどうか。それからまた、しゅんせつする場合に硫化水素が、きょうの新聞を見ても三百PPMですか、たいへんな硫化水素が検出されておるということですから、それを廃棄する場合に危険性もあるでしょう。総理府も来ておると思いますけれども、そういうわけで、いま一審問題になるのはやはり漁民の反対です。二十日からやるということになると、船を持ってきてそこで体当たりしても阻止するというような強い意見を持っておる。だから、まず三百二十キロの海洋に投棄した場合に、漁族保全上支障があるのかないのか、これを学術的、科学的に分析した結果、そういう判定を水産庁は持っておられるかどうかということですね。この点はいかがでしょうか。
  75. 藤村弘毅

    説明員(藤村弘毅君) 水産庁といたしましては、海洋に汚物、汚水を投棄するということは原則として反対でございますが、今回のような緊急事態に限ってはやむを得ないんではないかというふうに考えております。ただし、その場合、漁業に影響の非常に少ないところということで考えておりますので、百五十キロということは私ども聞いたことはございません。  それから三百二十キロの点につきましては私どもも検討いたしておりますが、伊豆諸島の東側の黒潮の軸流の外側ということを大体原則的に考えておるのでございまして、まだ決定したわけではございません。現在検討中でございます。
  76. 鈴木強

    ○鈴木強君 大臣、これは二十日の日に強行するというようないま政府の御方針のようですけれども、それに対して地元はかなり強硬な反対をするようですよ。したがって、いまも水産庁から伺ってみますと、検討しているわけですね。三百二十キロではたいして漁族保全にいいかどうかという最終的な結論も出ておらないように聞きますね。そうすると、まず漁民の方々の理解と納得を得なきゃいかぬと思います。漁民にとって生活権にかかわる問題ですから抵抗するのはあたりまえですね。ですからして、漁民に理解をしていただくこと、さらにまた、さっき私が指摘したようなしゅんせつする際の労働条件の問題、硫化水素に対して耐えられるのかどうなのかという、そういった労働安全といったようなことも十分考えなければならぬ問題です。それと、将来、通産省からこれは聞きたいのですけれども、やはり漁民の方々だって中途はんぱなことじゃ納得しませんよ。だから、やっぱり政府の姿勢として、企業をある時間停止するなら停止する、あるいは操短についても二〇%なんということじゃなくて、もっと思い切った操短をして、とにかくヘドロがなくなっていくということが具体的に、現実的に漁民の方々にも理解をされ、それが陸上であるか、あるいは海上であるか、あらゆる科学的な手段を使って大いに政府が検討して、漁民の方々にもなるほど政府が誠意をもってヘドロの放出に全力を尽くしてくれておるというような考え方が出てこないといかぬと思うのです。そのためには、企業に対してももっと積極的に処理施設をやらせるとか、そういう方法を考えてほしいんですよ。岳南排水路なんていうのは、特別都市下水道路で政府が補助金を出しておるのです。当時は、この排水路建設のために企業が金を出してくれればヘドロは排水路にたれ流していいと言って協力を求めていたのに、いまになって何を言うかと企業側は言っているようです。これは行政指導の誤りだった。しかし、そんなことをいま言っても始まらぬことですから、大臣おっしゃるように、高度な政治的な判断というものをこの際大いに生かしていただくためにも、二十日ということにきめたから何でもかんでも二十日にやるんだと、そういうことではないと思うんですけれども、その点、担当は総理が会長になっておりますね、山中さんが副会長ですか、副本部長、こういうことで対策会議を持っておるわけですから、そこにもひとつ行って大いに意見を出していただいて、地元の納得のいくような形でなければやらぬというふうに、ぜひひとつやってほしいと思うんです。  それから、時間がありませんから最後に経企庁のほうからお答え願いたい。田子の浦は水質保全法による指定水域になっておらぬのですけれども、一体いつこれを指定水域にするのか、指定水域にすればもっと立ち入り検査とか、政府の強硬な手段がとれるわけです。操短についても、企業の操業中止もできるわけですが、それがないからもたもたしているわけです。早くやってもらいたいということを私は七月二十一日の本委員会でも申し上げたんですけれども、一体これはいつやるんですか。
  77. 山中正美

    説明員(山中正美君) 私ども九月末までに水質審議会の御答申をいただきまして、十月早々に告示をいたしたいと考えております。
  78. 鈴木強

    ○鈴木強君 大臣どうですか。
  79. 橋本登美三郎

    国務大臣橋本登美三郎君) おっしゃるようにいろいろな問題がからんでおりますので、鈴木さんの意見等十分に尊重しながらこれの処理をいたしたい、かように考えております。
  80. 植松守雄

    説明員(植松守雄君) 私、対策本部の植松でございますが、いまの御質問につきましてそれぞれ御答弁があったようですが、それを補足する意味で若干御説明を申し上げたいと思います。  で、いま先生おっしゃるように、汚水の排出源である企業の規制ということが最も重要な問題でございます。そこで漁民側も確かに、現在の緊急事態を脱するためには水産庁にも御協力を願いまして、相当遠距離になるのでございますけれども、緊急事態を脱する意味において海洋投棄もやむを得ないんじゃないかというように考えております。これは地元の問題でございますけれども、われわれとしても現在の事態においてはやむを得ないんじゃないかというふうに考えておるわけでございますが、それと同時に、やはり地元の漁民が納得するためには、この汚水の排出源である企業が誠意を示さなければならぬ。現在地元で何回となくこの漁民と紙業協会との間でそのことについて話し合いが行なわれているわけでございます。ところが、紙業協会の会長である大昭和製紙の社長が外遊中でございまして、どうしてもそこに紙業協会の代表者が不在のために話し合いが進まなかったという面がございましたのですが、月曜日の早朝に帰国されまして、そこでさっそくこの漁協側と紙業協会との間で話し合いが持たれたわけでございます。その場合に、大企業十五社について、御案内のとおり、二〇%の操短を含め早急に浮遊物質のカットをやるという提案がなされております。しかしこれは大企業だけではございません。まだ中堅企業十八社、あの地方には御承知のように百五十社にのぼる企業があるわけでございまして、この辺につきまして通産省では強力に操短あるいはスクリーン、沈でん池の設置、さらに恒久対策としての汚水処理施設の設置について指導いたしておるわけでございまして、現在の見込みでは、たとえば本州製紙は年内に排水の処理施設が完成する、大昭和も三月——六月に完成する。したがいまして、来年の半ばごろには現在の浮遊物質は半分ぐらいにカットすることができるというようなめどで進んでおるわけでございます。それに、そこまでいかない中小企業につきましても、とりあえずスクリーンの設置をやっていこうというようなことでございまして、そちらの対策はいま着々進められておるということでございまして、さらに漁協側の納得を得べく今後、紙業協会との話し合いが続けられなければならないという段階でございます。  それから、本来この問題は海洋投棄ということよりも陸上処理ができればそれにこしたことはないわけでございまして、これも地元側から現在のピンチを脱するために海洋投棄やむなしということをわれわれのところへ持ってこられても、山中長官も非常に陸上投棄が本筋であるということを強く言われたわけでございまして、自来これは政府及び県と共同してその方面の技術開発に鋭意努力をいたしております。  この技術的な面を申し上げますと、現在のいわゆるヘドロと申しますのは、水が九、それから浮遊物質が一というぐらいで、相当多重の水を含んでおりまして、まずこれを脱水しなければならないわけでございます。その場合に、いまの硫化水素の問題等があるわけでございまして、その辺の技術的な処理の問題、さらにそれを焼却する場合には、また焼却に伴う第二次公害を防ぐための措置が必要でございますし、さらに用地の確保が必要でございます。その辺につきましていま鋭意検討中でございまして、決して海洋投棄というのが本筋であるとは思っておりませんので、できるだけその辺の見込みを早急につけたいというふうに思っておるわけでございます。  また政府といたしましては、当面の海洋投棄等に必要な措置につきまして、御承知のように、資金運用部で当面七億緊急融資をする、さらにそれを年度末には起債でつないで、安定した資金で低利で貸し付けるというような措置をすでにきめているわけでございます。また、企業側に対しましては、公害防止事業団のほうで十億、十億と申しますと、事業量にしますと十八億ぐらいのものに当面なるわけでございますが、そういう措置をいま講じてやっておるような状況でございます。
  81. 鈴木強

    ○鈴木強君 時間がなくて、私ちょっと食い込んでしまったものですから、これ以上できませんので、労働省から労働衛生課長の山本さんにおいでいただきましたが、たいへん硫化水素対策について熱心に研究をされ、いろいろな具体的な対策を立てられておりましたので、きょうはそのことも伺いたかったのですが、時間がありませんので、申しわけありませんけれども、おわびしてこれでやめたいと思います。  また、国鉄総裁もおいでいただきましたが、ちょっと時間がそういうわけですから、瀬谷委員のほうへ国鉄再建のほうは譲ることにいたします。どうもありがとうございました。
  82. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  83. 温水三郎

    委員長温水三郎君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十三分散会