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1970-03-18 第63回国会 衆議院 予算委員会第二分科会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月十八日(水曜日)    午前十時七分開議  出席分科員    主査 大野 市郎君       小澤 太郎君    賀屋 興宣君       川崎 秀二君    田中 正巳君       中野 四郎君    大出  俊君       楢崎弥之助君    伊藤惣助丸君       東中 光雄君    兼務 中谷 鉄也君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 中曽根康弘君  出席政府委員         総理府特別地域         連絡局参事官  加藤 泰守君         防衛庁長官官房         長       島田  豊君         防衛庁防衛局長 宍戸 基男君         防衛庁人事教育         局長      内海  倫君         防衛庁経理局長 田代 一正君         防衛庁装備局長 蒲谷 友芳君         防衛庁参事官  江藤 淳雄君         防衛施設庁長官 山上 信重君         防衛施設庁総務         部長      鐘江 士郎君         防衛施設庁総務         部会計課長   高橋 定夫君         防衛施設庁施設         部長      鶴崎  敏君         防衛施設庁労務         部長      長坂  強君         外務省アメリカ         局長      東郷 文彦君  分科員外出席者         大蔵省理財局国         有財産第一課長 市川廣太郎君         労働省職業安定         局業務指導課長 保科 真一君     ————————————— 分科員の異動 三月十八日  辞任         補欠選任   赤松  勇君     大出  俊君   矢野 絢也君     伊藤惣助丸君   麻生 良方君     川端 文夫君   不破 哲三君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   大出  俊君     赤松  勇君   川端 文夫君     麻生 良方君   東中 光雄君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   寺前  巖君     不破 哲三君 同日  第一分科員中谷鉄也君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十五年度一般会計予算会計検査院、防  衛庁外務省及び大蔵省所管  昭和四十五年度特別会計予算大蔵省所管  昭和四十五年度政府関係機関予算大蔵省所管      ————◇—————
  2. 大野市郎

    大野主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。  昭和四十五年度一般会計予算昭和四十五年度特別会計予算及び昭和四十五年度政府関係機関予算中、会計検査院防衛庁外務省及び大蔵省所管を議題といたします。  昨日に引き続き防衛庁所管について質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出分科員 外務省の方にまずもってお伺いしたいのですが、時間がありませんから基地問題にしぼりますけれども、三月三日にリーサー陸軍長官がこれは上院に提出した声明の形になっているようでありますが、補給中継の機能を持った在日米軍基地、これを補給作戦基地という形で沖縄に一元化というような中身を含む上院に対する声明が出ております。その後またレアード国防長官が三百七十数カ所の在外基地についての撤収あるいは整理という問題が発表されておりますけれども、外務省アメリカ局長さん、この件について、その他何か連絡を受けておられますか。
  4. 東郷文彦

    東郷政府委員 ただいまお話し国防長官議会における証言及び陸軍長官のいわゆるポスチュアステートメント、これはいま先生お話しのごとく、われわれも向こうで行なわれたものとして承知しております。これらの米側の動きは、現在のところ、予算削減ということから能率化その他いわゆるストリームライニングと申しますか、そういうことで説明せられているものと承知しておりますが、これはただいまの国防長官基地整理にいたしましても、もっぱら国内基地整理が多くて、対外の基地は前の発表で二十八、あとの発表で三十というようなことでございまして、こういう計画がどのように具体化されて、日本施設に具体化していくか、この辺についてはわれわれもまだ具体的な話の段階には至っておりません。今後二、三年のうちにそういうことに持っていきたい。趣旨は、いま先生お話しになったとおりであります。
  5. 大出俊

    大出分科員 私も気になって、日本国内紙でも、必ずしも正確な報道だけでなく、誤報もございますから、二、三外電を当たってみたのでありますが、新聞紙上に載っておりますもの、私自身も信じられないものがありますけれども、いま私が取り上げましたのは、幾つかの外電がそう伝えておりますから、局長もいま半ばお認めのようですが、間違いないところだろうと思うわけです。時間がございませんから、読み上げその他はいたしませんが、その二つの、これは議会に対する証言議会に対してものを言っているかっこうになっておりますから、したがって、これをひとつ前提にして承りたいのでありますが、在日米軍の府中におります司令官グラーム氏その他から公式、非公式あるいは非公式以前の問題もあると思いますけれども、接触もございましょうけれども、そういうふうな形でも何もない、あるいはまた本来ならば、国内紙に載っておるのですから、どういうことなのかということを聞かれるのが筋合いだろうと思うのであります。関係基地周辺の方、その他の方々には非常に大きな反響を呼んでおりますから、そこらはいわば向こうから接触があった、あるいは皆さんのほうから聞いた、こういう事実はないですか。
  6. 東郷文彦

    東郷政府委員 この在日施設に関しましては、陸軍補給系統のものは逐次整理していく、一部海軍、空軍に渡す、あるいは沖縄に持っていく、大体そういう考え方の話はわれわれのほうもワシントンの話以上に聞いておりますけれども、これが具体的にどの基地にどうというところまでは、われわれとしてはまだ聞いておりません。
  7. 大出俊

    大出分科員 中曽根長官に承りたいのですが、いま東郷さんがおっしゃっている程度のことは、これはこの間打ち合わせもやっておられるわけですからお耳に入っておるんだろうと思いますが、この辺はいかがですか。
  8. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 断片的な情報としては入っておりますけれども、これは向こう責任者がこちらの責任者に話したということではありません。
  9. 大出俊

    大出分科員 公式にも非公式にもという表現を使われて、きのう平林委員に対して——新聞によるわけでございますからわかりませんが、全くないというお話だったそうであります。どこまでが非公式かということもなかなかむずかしいわけですから、深追いはいたしませんけれども、断片的には聞いておられる、つまりどういう接触にせよ情報程度に聞いておられる、この点はお認めのようでございます。  そこで、十六日でございますか、長官就任以来、外交・防衛連絡会議というようなものをおつくりになったようでございますし、二回目をお開きになっておるのでございます。ここで、日米安保協議委員会などについてはきのうお話が出たようでありますから承りませんが、これは長官推測展望だろうと思うのでありますが、この二つアメリカ議会における責任者発表その他からいたしまして、また幾つかの情報を合わせまして、在日米陸軍が近い将来、いつかわかりませんが、ほとんど日本から去っていくであろうということについての情報説明をされたように新聞に書いてあります。ここらのところはいかがですか。
  10. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 在日米空軍日本から去っていくであろうというようなことは言ったことはございません。情報としては主として陸軍補給関係兵たん関係沖縄に集中する傾向にある、おそらくそういうことは実現する可能性がわりあいに早期に出てくるかもしれない、そういうことは申しました。それは防衛庁の下部の者が、向こうの出先の者と会ったりして、どうもそのような傾向らしいということを集めてきて、われわれのところへ情報として持ってきた、そういうことでございます。
  11. 大出俊

    大出分科員 そこまで承っておけばよろしゅうございます。補給兵たんというお話がありましたが、在日米陸軍には補給兵たんしかないわけでですから、そうなればこれは全部だということだ。ですから、そうなるとこの新聞記事は全くの推測で書いたものでもない。情報が入っているということを長官が明らかにされたというのを新聞が書いたのだろう、こう思うわけであります。これはその場になりませんとなかなか公式にものが言える立場にないだろうと思いますが、そこまでお認めになれば、それでよろしいと思うわけであります。  さて、そこで、この中身から申しますと、御就任以来何べんかの予算委員会その他の場所で、地位協定の改定については、外務省日米共同声明以来、方針がおありのようであります。変更することなく適用されるということになっておるわけですが、七二年という時限がございます。その前に変更するとなると、これは騒ぎになるから、できがたいことだろうと思いますから、これはやむを得ません。しかし、気持ちの上で長官がおっしゃっているのは、しきりに自衛隊管理あるいは共同使用ということばをお使いになっておられるわけであります。このお気持ちに変わりはございませんか。
  12. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 変わりはありません。
  13. 大出俊

    大出分科員 となりますと、ばくとした自衛隊管理あるいは共同使用と申しましても、なかなかそう簡単なものじゃないと私は思うのであります。  そこで、おっしゃるところの自衛隊管理とは一体何であり、共同使用とは一体何であるかということを、法的にと申し上げると少し言い過ぎでございますが、長官考えておられる範囲でけっこうでございますから、簡単に御説明いただきたいのです。
  14. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 地位協定によって先方に施設または区域として提供しているものを、日本国政府のものに返還してもらって、そして今度は自衛隊管理下に移す、そうしてそれを今度は地位協定に基づいて一時使用あるいはそのほかの態様に改めて貸し直す、そういう意味のことを法的にはいえると思います。しかし、現実にこれを適用するとなると、かなり弾力性と含みのあるやり方が、現実問題としては時間的にもあるいは地域的にも必要ではないかということが考えられます。つまり、過渡的、経過的な措置というものは必要ではないかとも考えております。しかし、最終的な筋を言えばそういうことだろうと思っております。
  15. 大出俊

    大出分科員 もう一ぺん承りたいのです、これは非常に重要なところでございますから。問題は、安保条約の六条が基礎になりますね。日本並びに極東の安全と平和の維持に寄与するためにという前置きで、アメリカ合衆国の陸海空三軍日本区域施設使用することが許されると書いてあるわけです。これに基づいて地位協定その他が成り立っているわけですから、したがってまず安保条約六条に基づく取りきめでございますから、ここで使用目的というものが、いろいろな意味で、ドル防衛であるとか戦略変更であるとかございましょうが、その必要が当面なくなった、あるいは将来に向かってない、だから日本返還をするという前提一つ必要ではないかと思うのですが、その上で、さて自衛隊が使うなら使うということに持っていかなければならない筋合いだと思います。そうしないと、管理権の所在というものもはっきりしないわけです。そこで、そこのところが、アメリカ返還しないうちに自衛隊が使うということになりますと、これは地位協定上いろいろ問題がありますけれども、その辺、共同使用といい、管理とおっしゃっているのですが、どこをさすわけでありますか。ちょっと質問がくどいようですけれども……。
  16. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 アメリカが現在使っていて、便宜的に一時的に自衛隊使用させているという例も、すでに先例としてはあります。それから、正式に返還してもらって、そしてこれをまたアメリカに一時使用させているという例もあります。それらはすべて地位協定に基づく行為あるいは法規というものを基礎にしてできている。これはやはり安保条約の上に成立している行為であって、安保条約ワク外ではないと私は思います。
  17. 大出俊

    大出分科員 さて、そうなりますと、これは結論めいた質問でございますけれども、安保条約六条に基づいて返すのではない、こういうことになりますと、つまり地位協定の二条の四項の(a)なりあるいは(b)なりという問題とからむわけでございますから、これもまたそう言った言わないという問題が出てくるとは思いますけれども、継続使用あるいは反復使用というものを一時使用ワク内で拡大解釈できるという御見解のような記事が載っておるわけであります。一時使用ということになりますと二条四項(a)になると思うのであります。その辺のところはどういうふうにお考えになっておりますか。
  18. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 一時使用ということば地位協定に正式にあったかどうか記憶さだかではありませんが、その一時使用という解釈を、断続的に使う、あるいは反復して使う、あるいは一定期間を予告したり話し合って使う、そういうあらゆる場合が一時使用。それで、常にそこへ定着して、居続けてずっと続けるという場合は継続ということでしょうけれども、そう居続けないで行ったり来たりするという場合は、それが断絶であろうが反復であろうが、一時使用になり得る、そう解釈するわけです。
  19. 大出俊

    大出分科員 これは長官そこが少し違うのですがね。これは大ざっぱにそうお考えだという点を否定するわけじゃありません。ありませんが、二条四項(a)というのは「合衆国軍隊が」という頭がまずあるわけです。そして「施設及び区域を一時的に使用していないときは、」という前書きがついておるわけですね。これは二条四項(a)でございます。地位協定はあまり国会では論議しておりませんから、したがって先例云々は申しませんけれども、「合衆国軍隊施設及び区域を一時的に使用していないときは、」という前書きがつきまして、「日本国政府は、臨時にそのような施設及び区域をみずから使用し、」こうなっておるわけですね。いまの想定からいきますと、長官もいま口にされましたが、陸軍関係補給あるいは輸送等日本からなくなってしまう。となりますと、これはアメリカが主語になっておるのですからね。したがってこれは一時的にアメリカが使わないのではない、引き揚げてしまうのですから。アメリカ側が一時的に使わないという場合、その場合に日本政府がそこを使わしてもらうということ、これは二条四項(a)で間違いがない。しかし、アメリカ補給基地は置かないといって引き揚げるというものを——一時的にアメリカが使わないのじゃない。長期にわたりあるいは半永久的に使わない、補給輸送ですから。それを皆さんのほうが使うというならば、決して一時的にあいているから使うのじゃない。だからこれは予算委員会外務省防衛庁との間で答弁が食い違ったときの新聞解釈もそうですし、法制局等解釈もそうでざいますけれども、地位協定に手を触れずに、反復にしろ断続にしろ、こちら側が使うということは無理があるということを載せておったわけであります。これは山上長官中曽根長官よりだいぶお古いわけですから、この辺のところは長官からひとつ答えてください。
  20. 山上信重

    山上政府委員 いまお話しの点は二条四項(b)というのに該当するわけで、「合衆国軍隊一定期間を限って使用すべき施設及び区域に関しては、合同委員会は、当該施設及び区域に関する協定中に、適用があるこの協定の規定の範囲を明記しなければならない。」つまり、合衆国軍隊一定期間を限って使用すべき施設及び区域」、こっちのほうに該当するのだろうと思います。
  21. 大出俊

    大出分科員 いやそうじゃなくて、いいですか、二条四項(a)の文章をお読みいただきますと、「一時的に使用していない」——「一時的」ということばは二条四項(a)しかない。ところで二条四項(b)のほうは「一定期間」になっておる。この新聞記事もそうでございますが、「一時的に」という解釈です。いまも長官、そう速記に載っておりますから間違いないのですが、「一時的に」となっておるかどうかわからぬとおっしゃるから、なっておると私は申し上げた。いいですか。「一時的に」ということになるとすれば、これは二条四項(a)をさす。その「一時的」の中に反復継続が入ってくるとなると、これは全くもって違うのではないかと私は申し上げているのです。いま長官そこでひとり言で、一時的ではない、一定期間だ、こうおっしゃったが、それが四項(b)になるわけであります。そうなりますと、四項(b)というのはいま五カ所ぐらい適用基地がございますね、遠くのほうを含めまして。(発言する者あり)いやいや正式には、国のはずれのほうがございまして。あなたはいま二つ手をあげたけれども、時間がないからやじに応酬しているのですけれどもね。そこで、私もこの基地は百二十六カ所全部調べてあるんですよ。前からそんなことは御存じなんです。米軍専用はおおむね九十近い施設がございます。協定二条四項(a)の一時的のほうは二十三施設ある。一定期間のほうは二条四項(b)でこれは五施設ある。いまのあなたの二つというのは、公式に二つといっているけれども、はるかかなたのほうに小さい基地がありますから。そうでしょう。まず間違いない。そこで三条一項というのは八施設ある。これしかない。合計百二十六。どうです。間違いないですな。専門家がそこにいて間違っては困る。  そこで問題は、そうなりますと、いま適用している一定期間という二条四項(b)のほうで、一体そういう意味で肩がわりできますか。明確にその法的根拠を教えてもらいたい。いまのなくなってしまうケースのものについて。
  22. 山上信重

    山上政府委員 米軍が恒久的に使っておらないというようなものについては、米軍施設そのままとして自衛隊が使うというのではなくて、日本政府のものとして自衛隊管理に移して、そしてそれを二条四項(b)によって米軍に必要に応じ提供する、こういう形態をお考えになっているのであろうと私は思っております。
  23. 大出俊

    大出分科員 日本政府のものに移してとあなたはおっしゃっている。じゃ日本政府のものに移すにはどうするのですか。それでやめますから、はっきり答えてください。
  24. 山上信重

    山上政府委員 実を申しますと、現在でも日本政府の所有ではございまするが、これを自衛隊管理に移すという意味でございます。
  25. 大出俊

    大出分科員 輸送補給基地が引き揚げてなくなる。それは日本政府に返すのですか。いまおっしゃっている意味は、米軍が返すのですか。
  26. 山上信重

    山上政府委員 米軍がいないということになりますれば、これは本来国有財産でございますから、当然日本政府のものでございますから、その所管自衛隊行政財産所管がえする。こういうことを意味しておるものでございます。
  27. 大出俊

    大出分科員 だからそれは返還ということでしょう。違いますか。
  28. 山上信重

    山上政府委員 それは一度返還して自衛隊が使う、こういう形になると思います。
  29. 大出俊

    大出分科員 だから返還しないで二条四項(b)を使うわけにいかない。  そこで、長官にこれだけはとくと頭にお入れをいただきたいのでございますが、つまり長官のおっしゃっている共同使用であったり、あるいは自衛隊管理ワク拡大をして一時的というのを拡大をする、一定期間拡大をする、それは無理なんです。しかし長い将来を見通せば、返還という方法があるんだからそれはやれる。そうなるとここで問題になるのは、基地周辺住民皆さん返還してもらいたいと思って、一生懸命いろいろなことで今日まで苦労してきているわけです。相当広大な地域を使っておりますから、そういう意味では、これは地域住民にすれば一日も早く返してもらいたい、こう思っているわけです。  さて、そこで三つばかり申し上げておきたいのですが、これは簡単に御見解を承われればいいのですが、住民の諸君は戦後四分の一世紀にわたって被害を耐え忍んできたわけですね。基地公害という名前まで出るくらいですから。ところがさてこれが返還をされる。補給部隊その他要らなくなって返還されたら、積極的にこれを自衛隊基地にしようというお考えをお持ちであるとするならば、これはずいぶん地域住民感情とそぐわないものが出てくる。長官はいろんな書物の中でコンセンサスを訴えておられる。そういう意味でも、特に首都圏といわれる交通煩瑣な、都市化現象の非常に激しいところの基地はどれだけこれで苦労しているかわからない。だからそういうところは返すものは返させる。そして自衛隊自主防衛なりあるいは自前防衛なりという筋道に立って必要なものはつくる。そういうふうにしていかなければ、国民感情としては割り切れませんよ。ですから、そこらのところはひとつそれをお考えに入れていただいて——非常にあいまいな表現でございましたからちょっと詰めてみたというだけでございますが、時間がありませんからそこから先は申し上げません。  それからもう一つ、四次防という問題がございます。これは賛否両論、どっちが多いとか少ないとか、あるいは非常に少数だとかいうことがございましても、つまり、コンセンサスを求める意味からいえば、大事なことですから、いろいろ意見がある。こういう時期にやはり将来の展望というものをはっきりさせる。自主防衛とは何であり、自前防衛とは何であるかなどもはっきりさせる。こういうふうなことをまずやって、コンセンサスを求めて、無原則に返ってくるんだというので、自衛隊管理、一時使用拡大しても、一定期間というのを拡大しても、この点はそうあってはいかぬと思うのです。そういう意味で、無原則に、あなたはいろいろおっしゃるけれども、言うのでなしに、お考えいただけないかという点が二番目。  それからもう一つは、これまた非常に大きな問題ですが、専守防衛の堅持を昨日もおっしゃっておられる。現在はそうなければならぬと思うのであります。そうすると、この専守防衛自衛隊——返ってくる基地の中に戦略基地考えられるものだってある、将来にわたって。そうすると、戦略基地というものを自衛隊管理をするとなると、専守防衛との関係が出てくる。海上あるいは空の、制海権、制空権の問題が出てまいりましたが、それも限度があるはず。そうなると、そういう点との関連もこれは慎重に考えなければならぬと思うわけであります。だから、少し不備なる点が多過ぎる中で、自衛隊自主管理という形のことをおっしゃると、そこにやはり地域住民皆さん周辺方々、私、横浜におりますから、神奈川県下は半分から基地があるのですから、いろんな問題が飛び込んでくる。これはやはりコンセンサス上よろしくないわけでありますから、そこらの御配慮をいただけないかという気がするのでありますけれども、いかがですか。
  30. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 前段は、大出さんと私の考えは非常に近いと思うのであります。いままで御意見を拝聴して、私の考えとよく似ているなと思っております。私が議会で言明したことも、そういうことを含めて言明しております。と申しますのは、施設区域を解除して、日本のものに一たん返して、自衛隊管理にして、それでそれを今度は共同使用にするかあるいは一時使用にするか、あるいは民間返還するか、そういうことはその基地態様、そのときの情勢によって相手と相談をしつつきめていく。民間返還ということも実は考えておるわけです。  それから、後段の自衛隊管理にした場合に戦略的な基地云々というお話がございましたが、これは安保条約における適用として行なわれている行為なのであって、それは自衛隊法違反とかあるいは憲法違反ということはないだろうと私は思っております。むしろ日本側立場からすれば、アメリカが専管的に日本を排除してアメリカだけでやるよりも、日本の力が及んで入っていったほうが住民も安心感もあるし、国民感情にも合う、一歩前進である、そういうように私は思います。それから、やはり安保条約に基づいて日本の平和を維持し、極東の平和を維持していくという面から見れば、これはアメリカだけの行為じゃなくて、日本もやはり関心を持っておる重大なポイントでもあるので、そういう点について協力し合うということは、安保条約の精神からもまた出てくるだろうと私は思います。
  31. 大出俊

    大出分科員 少し長官の答弁が長くて時間がかかりましたが、ですから私は、この三番目の問題は非常に重大な問題だと申し上げたので、これはものの考え方が違うと当然意見が分かれるところですから、そこでそういうように前置きを置いて申し上げたのです。いまそれを議論する時間がございませんから、長官のお考えということで受け取っておきますけれども、これは明確に違うと思いますから、先々の論争にしたいと思います。  そこで、そのほかの問題についてはそう変わらぬという実は御答弁がありましたが、それはそれなりでおさめておきたいと思います。  時間がございませんので、具体的な点を二、三点承りたいのでございますが、いままで長官に比較的前向きな御答弁をいただいたのでございますが、その結果として、山上さんに承りたいのでございますけれども、たとえば新聞によりますと座間なんというのは、レアードさんなりあるいはリーサー氏が言っているものに該当する基地だと思うのでありますけれども、そこらの見当は幾つか、たとえば、いま申し上げたようなところ、近い将来においてなくなっていく、こういうふうにお見通しでございますか。
  32. 山上信重

    山上政府委員 陸軍長官の発言によりますと、補給基地補給施設補給処と申しておりますが、これを沖縄に集中するということが出ております。それ以外については、先ほど大臣あるいは局長の御答弁のように、具体的なことについては私どものほうへまだ何ら連絡も何もいただいておりませんのでわかりませんが、そういう意味から、補給という観点からしますと、座間のような施設が近い将来にすぐ返るというような感じは、私、感じでございますけれども、いたさないのでございます。
  33. 大出俊

    大出分科員 弾薬庫なども例にあがっておりますから、そうなると池子なんというのも出ておりますが、それもひとつお答えいただきたいのですが、そこでもう一つ上瀬谷の通信施設がございますね。これは極東一といわれる施設ですから、一地域の問題ではございますけれども、承っておきたいのであります。この通信施設なぞはリーサー証言なりあるいはレアード氏の言うことなり接触情報なりというところを当たってみますと、最後に残すということになっておるようであります。あるいはまた航空関係基地ございます。三沢、横田から始まりまして、立川もございますし、木更津もありますが、残すところはいろいろあるようでありますから、さてそこで通信施設、将来ともに残っていくものの一つだろうと思うのでありますけれども、例のゾーンの問題ですね。たとえば建物制限その他の問題、これは私の耳にしているところでは、近くゾーンの変更、統合、四ゾーンありますのは二つにするとか、いろいろこれは私も地域ですから逆なお手伝いをして、だいぶ山上さんの御宸襟を悩ました時代もございますが、結果的に横浜市の施設局長なども肩の荷がおりて、アメリカ側も理解をしてくれてたいへん助かったと私に言っておりますから、いまになれば逆に感謝されているところだと思います。さて、そのゾーンの統合がきわめて近い期間にきまると私は見ておるのですけれども、そこらはいかがですか。
  34. 山上信重

    山上政府委員 いまの上瀬谷の施設につきましては、昨年ゾーンの相当大幅な制限の緩和をいたしたのでございますが、さらに地元の方々の御要望もございますので、目下さらに一段と緩和する措置について詰めております。そう遠からざるうちに結論に達するのではないかというふうに期待いたしております。
  35. 大出俊

    大出分科員 ちょっと立ち入って恐縮なんですけれども、このゾーンの中身はいまやっておられるところだろうと思うので私申し上げるのですけれども、これは御存じのとおりに、具体的に申し上げて戸数制限その他がございますね。ここに全部書いておりますけれども。ところで、もう少し、せっかく口にされたんだから、やれ二十戸だとか、やれ何十戸だとありますけれども、そこらのところもうちょっと色けのある答弁をしていただけぬですかな、ここまで来ているのですから。私が言うと長くなるから、鶴崎さんひとつ言ってください。
  36. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 ただいま長官からお答えしましたように、現在鋭意検討中でございまして、かなり成約に近いところに行っております。しかしながらそれはまだ最終的に決定したという段階ではございませんので、その点は一応御了承の上、お聞きいただきたいと思います。  そこでまずゾーンの問題でございますが、それは従来一ゾーンから四ゾーンあったわけでございますが、これを一、二、三とこの三つのゾーンに集約をするという方針になっております。そこで従来のゾーンの面積と今度の面積を比較しますと、従来の一ゾーン、これが今度の場合には〇・七六、七割六分に減少する。それから従来の二ゾーンは〇・九一、九割一分に減る。そして残りの面積はすべて三ゾーンになる、こういう形でございまして、この三ゾーンは従来に比して一・一三という形になる。  そこでこの制限の内容でございますが、これはいろいろございまして、ちょっとたいへんややこしいのでございますが、一番端的な例で申し上げますと、千坪当たりの建築が許される戸数、これが従来は一ゾーンにつきましては千坪当たり三世帯ということになっておったのが、今度は七世帯、それから二ゾーンのほうは千坪当たり十世帯が倍の二十世帯ということで、新しい三ゾーンにつきましてはもう制限がない、こういう状況でございます。それから交通量の問題、これはもうこの前制限が解けておりますが、同様です。それから土地の使用率、これも制限が解けております。高さの問題ですが、これは木造と鉄筋とでそれぞれ違いますけれども、それぞれの実際の状況に応じてやるというようなことで、これは数字的には表現されておりませんが、これも実質的にはかなり緩和される、こういうふうに理解しております。おおむねそういうようなところで現在米側の内部で検討しておりまして、近く成案を得るという見通しになっております。
  37. 大出俊

    大出分科員 このあと三点聞きますから、ぽんぽんとお答えいただきたい。  一点は、単価改定の問題がありますね。覚え書きのこの六年というのがありますから。坪当たり単価の改定です。それにお触れをいただきたいのが一つ。  それからもう一つ、これは私のお願いにもなるのですが、小柴の燃料貯油施設。今度レアード氏なりアメリカ側発表によりますと、つまり給油施設というものは残すのだという言い方ですね。そうなると、あの小柴の昔、海軍に——中曽根さんも海軍にいたそうだけれども、海軍に接収されて、それこそ長い間ずいぶん泣かされている小柴ですから、しかも一ぺん返した土地の下に十八号タンクがつくられている。排気孔が二つあって、しかも千二百メートル、バリケードを張りたいというところにあるのですから。私も見ていてあぶなくてしょうがない。せっかく共同調査等の御配慮をいただきましたが、ようやくあの前の埋め立てについても、横浜市が努力をして、補償金その他玉の問題について話がついた。そうなると何とか手をつけませんと、ますますあぶなくなるという感じなんですね。そこで、そうなるとやはりあのトンネルのこっち側のところに遊んでいる接収地内の地域、これは非公式の段階で私が久保前局長と話をして、六万平米返還の申し入れをした点について鶴崎さんからお答えがあって、半ば非公式ということにしてあるのだがということを申し上げましたが、そこらのところをお考えになって、何とかこれを解決の方向にいっていただきませんと、私は非常に近い将来問題がむずかしくなる、こう思っておりますので、そこらについてどうお考えかということを、はっきりおっしゃりにくい点もあろうと思いますけれども、話せる範囲が、腹の底まで言えとは申しませんから、ひとつ話してもらいたいというのが二つ。  三点目は、大蔵省の方がおいでになっておりますから、防衛庁とからんで聞きたいと思うのですが、いまの上瀬谷に海軍道路という道路がありまして、そこに門がございますが、その周辺——これは前もって質問通告のときに申し上げてありますけれども、防衛庁行政財産があの地域にたくさんあるのです、上瀬谷の通信基地周辺に。いま横浜の施設局がレジャー用の農園等に使いたい人には使わせますからということで、三十六人ばかり希望者が出ている。新聞はこれは罪滅ぼしだと書いている。その罪滅ぼしをもう一つしていただきたいのです。三千坪ばかりがあそこに、かぎの手の土地がありまして、三人の旧地主から国が買った土地、買収した土地があいている。あの周辺も一ぱい人がふえてしまった。だからあのそばの地主さんと話をしてみたら、地主さんは喜んでかぎの手ですからこれを矩形にするという意味の土地の交換分合に応ずるということです。そうしたら、そこに子供さんの総合スポーツランドみたいなものができる、いまでも三千坪あるのですから。これについて県の渉外部長さんも賛成だという。横浜市の渉外部長さんも賛成だという。神奈川県の担当の県会議員の皆さんも賛成だというので、久保さんがかわって今度元山局長ですが、みんなで元山さんにお目にかかって詰めたら、元山さんもいいでしょうと言う。ただ問題は大蔵省との関係があってということなんです。大蔵省の皆さんに私申し上げておきましたが、これについてできれば結論めいたところまで持っていっていただいて、せっかくそこまでお互いの相互努力で上瀬谷周辺というのは何とかトラブルを避けながらここまで来たわけですから、せめてそのくらいの、もう一つの罪滅ぼしくらいはお骨折りをいただきたいと私は思うのですが、この三点、ひとつ簡単でけっこうでございますから、お答えいただきたい。
  38. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 上瀬谷の電波障害の制限のための土地の契約の問題でございますが、これにつきましては四十四年度の契約の際にも、前年度に比しかなりの単価のアップをしたわけでございます。しかしながら、いまのような客観情勢のもとでさらに継続して契約をお願いしたいというようなことで、四十五年度につきましてもできるだけの単価のアップを実情に沿う範囲において考えたい、こういうふうにこれはいま検討中の段階でございます。  それから、小柴の一部土地の返還の問題でございますが、これは前の内閣委員会でお話が出まして、われわれ局のほうとも連絡をとりまして、米側に内々の交渉をいたしているわけでございますが、これまでのところ、かなり返還の見通しについては困難性が認められるということでございまして、これにつきましてはなお今後とも引き続き努力をしたいと思っております。ただ、これができない場合に、何かかわるべき解決策がないかということでいろいろ検討しておりまして、一つの案としましては、農地の一部が使用できないということであるから、それによって失われたものを農地の改良その他で改良する方法もあるではないか。あるいはちょっと方向を変えまして、地元から補助事業についてのいろいろ具体的な要望もあります。ただし、これは現在いろいろ埋め立ての関係その他がありまして、まだ具体的にできておりませんけれども、そういった問題でも、地元の実情が許すようになれば、ひとつ積極的に取り上げていきたい、こういうふうに考えて、何とかこれは円満に解決をしたいと考えております。  それから、上瀬谷の通信施設の買収した土地の問題でございますが、これにつきましては年々雑草の刈り取りその他の管理費もかかることですから、行政目的を阻害しない範囲において地元に利用していただくということにつきましては、根本的にはわれわれとしては賛成でございます。問題の土地の一部交換をして、もう少し面積をふやして児童公園的なものに使いたいというお話につきましては、趣旨としてはけっこうでございますが、交換というのは、何といいましても国有財産一つの処分行為でございますから、この点、具体的な内容につきまして、大蔵省のほうともいろいろ御協議をした上で検討したい、このように考えております。
  39. 大出俊

    大出分科員 もう終わりなんですけれども、大蔵省からせっかくお見えいただいておりますから。  実は一つ一つ前置きがあるのですが、国有地あるいは行政財産が、戦後のいろいろないきさつもございますが、都市化現象の激しくなった地域にぽつんぽつんと一ぱいあるのですね。私も横浜でありますが、横浜にもある。たとえば横浜橋通りという一つの大きな繁華街がありまして、そのすぐ裏に大蔵省傘下の横浜の南税務署という税務署があります。神奈川の税務署、横浜の南の税務署に対して、大蔵省側から移転先を見つけてくれということで見つけた。移った。そのあと地が国有地であいている。ほかにあき地は全くない。だからそこを遊び場所に貸せ。ところが市がこれを交換したり買ったりして貸すということになりますと、至るところに都市化の現象が激しいですから、買ってくれの交換して公園をつくってくれのということになっちゃってできない。だからそういうところはやっぱり——私は横浜橋の曙町一丁目一番地のあと地を例にあげましたが、周辺等は非常に喜ぶわけです。私は五年ぐらいやっている。そのほかにも皆さん御存じの横浜の「港の見える丘公園」の下にがけがありまして、戦後の現象でそこに不法占拠の住宅が建っておって、そのがけがくずれたらたいへんな人命がなくなってしまう。その隣のほうに稲荷山というものがあって、がけくずれで人が死んでしまった。私の時代には御協力をいただいて片づきました。いまくずれないで、公務員住宅ができておるのですけれども、それもやらなければならぬけれども、やはり国だけではできないのです、現実の問題として横浜市と一緒にならなければ。そういう多角的な面からお考えいただいて、使わない国有財産なり行政財産なり一般財産というものは、どうしても国が受け身になるものなんですね、地域住民のほしがるものなんですから。そこらのところはやはり少し考えてあげて処理をしていただく御配慮が必要だと思うのです。そういう意味でぜひひとついまの点などは大蔵省側に御協力いただいて、せっかく防衛庁がそこまでおっしゃっているのですから、御賛成いただきたい。こういう趣旨で御足労いただいたわけでありますので、御答弁いただきたい。
  40. 大野市郎

    大野主査 答弁は簡潔に願います。
  41. 市川廣太郎

    ○市川説明員 第一の交換の点でございますが、これは国有財産法二十七条によりましていたすわけでございますが、可能だと思います。  第二の問題でございますが、スポーツ施設等にお使いになるという構想でございますが、問題は、運営の責任、それから使用料、こういうものをどうするかということになろうかと思います。それで、地方公共団体がそのようなことを担当なさるという構想がもし可能でありますれば、無償にすることも可能であります。そうでない場合には、無償にすることは不可能です。ただ、有償であるならば、行政目的を阻害しない範囲内において可能であるというのが結論でございます。
  42. 大出俊

    大出分科員 これで終わります。  白百合農園なんというのがありまして、市が金を予算でことし組みまして、大蔵省財産ですけれども、草を刈ったりして何かやろうということになっております。横浜市で幾らでもそのぐらいできますので、管理責任は負えますので、市の渉外部長、県の渉外部長、賛成ですから、話は幾らでもできます。  最後に……
  43. 大野市郎

    大野主査 大出君、時間もだいぶたっておりますから、御協力願います。
  44. 大出俊

    大出分科員 まあ御答弁は要りません。この地位協定なんかも改定するとおっしゃって、一部あとで変わられた。おっしゃっておるのは、就任早々で、長官イコール防衛庁かもしれないですからいいですけれども、あとで一体何をおっしゃったのかということで、あるいは間違いじゃないかどうか、そういう疑問が一ぱいわくんじゃちょっと困るので、そこらはきちっと整理をしていただいておきます。お気持ちでおっしゃるのは、かまいませんが、私どものほうも的確にものを言って、議論になりますから、先ほどの自衛隊管理共同使用問題などもできるだけ御再考いただいて整理をされて、ものを言うような形にしていただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。言っぱなしで恐縮ですが、時間がありませんから……。
  45. 大野市郎

    大野主査 東中君。
  46. 東中光雄

    東中分科員 一九六八年の十二月二十三日の日米安保協議委員会で、在日米軍基地返還についてのいわゆる合意ができた。そのとき以後の返還の事実についてお聞きしたいのですが、返還された基地の件数と、それから返還された基地のうちで自衛隊に移管されたものと、そうでないものとのそれぞれの面積及び面積の割合、これをお聞きしたい。
  47. 山上信重

    山上政府委員 一昨年の安保協議委員会で協議されました約五十の施設につきまして、現在までに返還あるいは使用転換、移転等の合意のできましたのは——日米合同委員会の合意です。二十七施設でございます。そのうち二十五施設については、すでに返還その他の措置が終了いたしております。その内訳は全部返還が二十一、一部返還が三、使用転換が一でございます。現在その内訳で、自衛隊に戻ったもの及びその他の内訳については、後ほど調査した上で御返事したいと思います。
  48. 東中光雄

    東中分科員 面積の関係ですね。自衛隊移管の分の面積と、それ以外の面積の対比、これはいま明らかにしてもらえませんか。
  49. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 いま調べております。
  50. 東中光雄

    東中分科員 まだはっきりしていないのですか。——それでは、時間がございませんので、返還された基地施設名と、それから面積と、それから返還前の使用状況、それから返還年月日、それから返還時の、もし何かつけられておったら条件、それから返還後の使用状況ですね、自衛隊あるいはその内容、こういったものをひとつ資料要求をしておきたいと思います。  次に、立川基地米軍飛行場の活動が去年の十月三日に発表されて、一応停止になって、今後飛行場の管制権は自衛隊が持つようになるとか、あるいは基地使用権も自衛隊が優先使用するようになる、こういうことがいわれておるわけですが、立川基地の今後の使用状況について、どういうふうになるのか。いま話し合いはどうなっておるのか。ひとつその点を明らかにしていただきたい。
  51. 山上信重

    山上政府委員 立川基地につきましては、御承知のように、昨年末に、米側はこの飛行関係の機能を停止いたしましたので、それに伴いまして、この飛行場の使用について、これは自衛隊及び民間航空においてこの滑走路を活用する、そして使用いたしたいという計画を持っております。これについては、まだ米側と具体的なお話し合いには入っておりませんが、そういった共同使用の含みを持って話し合いをいたしたいというふうに考えておる次第であります。
  52. 東中光雄

    東中分科員 米軍補給支援業務なんというのは、そのまま継続されるのですか。アメリカの太平洋空軍資材司令部とその使用しておる施設、それから飛行医療大隊とその使用しておる施設は、立川基地ではそのまま残って、飛行場だけが返る。しかもそれは自衛隊あるいは運輸省で使う。地元へ返還してくれという要求が相当強く出されておるようですが、そういう方向にはならない、こういうことでございますか。
  53. 山上信重

    山上政府委員 大まかに申しますと、さようなことでございます。主要な補給機能及びあそこには住宅もございます。それから病院等もございます。並びに補給関係、これは米軍がそのまま継続して使うことになる。飛行場部門につきましては、ただいま私が申し上げたようなことになっております。ただ基地の面積が広うございますから、あるいはその一部等について、場合によっては不要部分の返還ということも将来期待できないこともないかと思いますが、大きく申しますれば、全体として返還ということは直ちにいたしかねるというふうに考えられる次第でございます。
  54. 東中光雄

    東中分科員 この立川基地の飛行停止ですね。これは、この基地にいた第二十二空輸中隊あるいは第八百十五戦術空輸中隊などが、アメリカの、日本基地とした戦略的な野戦部隊を緊急に移動させていく、こういう能力を確立していこう、こういう観点から、要するに戦略的なアメリカの観点からの整理統合であって、結局は一部は本国に帰りますけれども、横田基地のほうへ移管が行なわれているというふうに思うのですが、その点はどうでしょうか。長官、ひとつこの基地の飛行停止の背景といいますか……。
  55. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 現状は施設庁をして答弁させます。
  56. 山上信重

    山上政府委員 立川基地におきますところの飛行組織等が最近一部変更が行なわれたということを伺いました。私のほうでいろいろ確かめたところによりますと、従来、立川、横田の両基地において別個に行なわれていました後方支援活動のうち、人事、輸送、建設等の部門がむしろ立川基地のほうに統合され、それから広報とかあるいは憲兵隊、補給部門が横田基地にそれぞれ統合されることになったということの由に伺っております。これは米軍予算削減計画に基づいて能率的に業務をやっていこうということで、双方それぞれ二つのヘッドクォーターを一つにまとめるというような意味合いの統合であるというふうに伺っております。
  57. 東中光雄

    東中分科員 ドル防衛の観点から基地を統合、縮小するというふうな面とあわせて、大きな戦略的な観点から立川の基地から横田の基地へ一部部隊を整理統合して、横田の基地を拡張して、ここへC5Aギャラクシーが配備されるのではないか、こういうふうに報道されておりますが、その点はどういうふうにお聞きになっておるか。
  58. 山上信重

    山上政府委員 戦術的な兵器のことについては私のほうは特には存じませんが、横田の飛行場を拡張するということは、現在私ども全然伺っておりません。
  59. 東中光雄

    東中分科員 いま横田の基地は滑走路のコンクリートの張りかえ工事あるいは専用燃料補給ターミナルあるいは貨物積みおろしのエプロン、貨物ターミナルなどの拡充工事が急ピッチでやられておるようにいわれておるのですが、その点はそういうことはないとおっしゃるのですか。
  60. 山上信重

    山上政府委員 内部における一部滑走路等あるいはその他誘導路等の修理等を行なっておる由には聞いておりますが、具体的な詳細なことはただいま存じておりません。
  61. 東中光雄

    東中分科員 滑走路を非常に厚くする、長くする、そういう中でC5Aギャラクシーが入ってくるということ、これは超大型輸送機です。アメリカの極東における戦略野戦部隊を緊急導入していく、大きな戦略からそういう方向に切りかえていくということがいわれておるわけですが、そういうことについてアメリカ側から何かの連絡、通告、そういったものは全然ない、こうおっしゃるわけですか。
  62. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういう話はとんとございません。
  63. 東中光雄

    東中分科員 横田基地のブラウン広報部長というのが昨年の十二月十三日、記者会見で、C5Aギャラクシーは四十五年末までに横田基地に飛来するのではないか、こういう趣旨のことを語ったというふうにいわれておりますが、そういうことについて全然お聞きになっていない、連絡がない、こういうことですか。
  64. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 聞いておりません。
  65. 東中光雄

    東中分科員 沖縄の第三百十三米空軍師団当局がC5Aが嘉手納の基地に今年五月から年末まで毎月約二十五機、来年六月までには毎月五十機くらいが展開することになるだろう、また嘉手納基地の第六百三軍事輸送支援飛行大隊の報道部長ラッセル・レ・ドーマン大尉が、近日中にC5Aが訓練飛行することになるであろう、こういうふうに言っておると報道されておりますけれども、こういう沖縄の嘉手納でのC5Aの展開というのはどうなんでしょう。
  66. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そのことも承知しておりません。
  67. 東中光雄

    東中分科員 アメリカの計画、基地の配備、そういうものと自衛隊との関係とよく話し合いをして、相互理解のもとに完全に計画を調整しながら、基地返還なんかについてもやっていくのだというふうに、防衛庁長官は二月二十三日の予算委員会でお答えになっておりますけれども、いま申し上げたようなC5Aなんかの配備については、これは一つの戦略的な大きな動きですが、全然お聞きになっていない、あるいは非公式にも何もわからない、こういう状態でございますか。
  68. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 聞いておりません。
  69. 東中光雄

    東中分科員 次に、神戸第六突堤の返還について、返還時の条件をお聞きしたいのですが、特別の条件がつけられたのかどうか。
  70. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 神戸港湾の第六突堤の返還にあたりましては、この突堤それ自体は地位協定の五条で米軍が必要な際には使わせるということで返還を受けたわけです。ただし、この突堤にあります倉庫につきましては、場合によっては使うこともあり得るということで、その約三分の一の面積について、これは地位協定の二条四項(b)で随時必要なときには米軍が使えるということで提供するということにしまして、これは神戸市に神戸港湾ビルという米軍に提供している建物があるわけですが、それの追加の形で提供をしたという形でございます。
  71. 東中光雄

    東中分科員 そうしますと、たとえばこの神戸第六突堤の場合なんかですと、返還といわれておりますけれども、結局、地位協定五条によっていつでも使用することになるだろうし、あるいは二条四項(a)であればそれは基地として残っているわけですね。そういうことになるので、返還というてもアメリカ軍の使用という点では実態的にほとんど変わらないことになるんじゃないですか。
  72. 山上信重

    山上政府委員 提供施設として提供いたしておりますときには、米軍がこの突堤を専用的に使うということがまずもって承認されるわけでございますが、今回の場合は、これを返還していただいて、そしてこれは五条によるところの海港でございますから、これは当然認めなければならないということで入るわけでございますので、この点では相当の差があると思っております。  それから、もう一つの二条四項(b)で提供した倉庫につきましては、これは返還を受けました倉庫のうちのごく一部を二条四項(b)によって使用させるということでございますので、その点については、提供ではございますが、これはまたごく一部になっておるということで、われわれといたしましては意味があるというふうに考えております。
  73. 東中光雄

    東中分科員 アメリカが今後どのような基地を残して、どのような基地返還するのか、そういった面についての一つの基準を、これはもちろん固定的な基準というものではないと思いますけれども、持っていると思うのです。防衛庁としてはどういう基準を持っているというふうに判断をしておられるか、長官にお聞きしたいと思います。
  74. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点はまだ先方と正式に話し合っているわけではございませんので、先方の意見はわかりませんが、両方が相互安全保障しておるわけでございますから、その機能をそこなわないように、しかもまた、日本自衛隊日本側管理権をできるだけ拡大していく、そういう方面で調節していきたいと思っております。
  75. 東中光雄

    東中分科員 たとえば通信基地ですね。これは戦略的に非常に重要な役割りを持っているわけですが、こういうものについては、返還ということではほとんど手を触れない。あるいは横田、三沢、岩国基地のような日本本土における固定的な使用基地として保持しておくものというのは、アメリカ側である程度きめているんじゃないか。たとえば昨年の十月十五日に発表された昨年七月の米下院歳出委員会の軍事建設予算小委員会の秘密聴聞会の議事録でもそういう趣旨のことが出ておるようですが、さらに佐世保、横須賀などの基地、これは第七艦隊にとっては不可欠の基地だ。こういうふうな固定的な基地、あるいは不可欠の中心基地、これはむしろ一方では拡充されておる。そしてその他の基地については、必要なときにはいつでもアメリカ使用できるような状態にしておくということで、自衛隊管理に移していくというか、そういう点での返還、こういうふうな方向が基地再編強化の基本的な方針のように、私たちいままでやられてきておるいわゆる基地返還の実績から見て判断しておるのですが、そういうふうな点について、日本防衛庁としてどういうふうに見ておられるか、アメリカ側返還の方向、こういう点を重ねてお聞きしたいのですが……
  76. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほども申し上げましたように、相互安全保障の機能を失わない範囲内において日本側管理権を拡充していく、そういう方針でやるつもりで、具体的にどこをどうするということはまだきまっておりません。
  77. 東中光雄

    東中分科員 米軍基地自衛隊に移管されて、しかもそうなったからといって、アメリカ軍がその基地使用しないというのではなくて、使用していく。先ほど来出ております一時使用あるいは反復使用継続使用、要するに必要に応じて使用させるというのが中曽根長官の御構想のようにお聞きしておるのです。自衛隊基地管理権を持って、しかも米軍が、あるいは米軍自衛隊と一緒にこれを使用する場合には、自衛隊の目的というのは、日本本土の防衛ということになるわけですが、在日米軍は極東の安全と平和を目的にして日本基地を使う。だから目的が違うわけですが、在日米軍が極東の安全、平和の目的で基地を使う。その基地管理自衛隊が常時やるということになると、これは在日米軍の目的と違う自衛隊の目的を持っておって、その在日米軍の目的遂行のための常時管理ということになると、自衛隊の仕事が、性格が、任務が、その点では変質していくというふうな内容を持ってくるように思うのですけれども、中曽根長官の御構想でいくと、その点はどういうふうにお考えになっておるのですか。
  78. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 安保条約によりますと、在日米軍日本の防衛にも寄与する、そういうことになっておるので、極東の安全保障だけではございません。
  79. 東中光雄

    東中分科員 日本の防衛にも寄与するということになっておりますが、それは自衛隊のいっておることと、目的と一致しますけれども、自衛隊の目的外の目的をも持っているわけですね。その自衛隊の目的外の目的でも動く在日米軍基地を常時管理するということになれば、極東の安全、平和のためにも活動する在日米軍の活動を常時管理し、協力するということに結局なっていくんじゃないか。これは長官が言われたように、在日米軍の持っておる任務が、安保条約上いっておる目的というのは二つになっておるわけですから、自衛隊の目的外になるという点について自衛隊管理アメリカ基地使用という場合には、その面については性格が変わってくる。これはもう論理的にそうなると思うのですが、その点はどうでしょう。
  80. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 共同使用という場合には、いろんな機能が内在して含まれると私は思います。
  81. 東中光雄

    東中分科員 いやいや、共同使用という点について私は言っているのじゃなくて、共同使用アメリカ軍が持っておる目的、いままでの地位協定でいきますと、これはやっぱり截然と分けているわけですね。地位協定の三条でアメリカ軍が自衛隊使用を許しておる場合でも、これはアメリカ軍が安保条約でいっておる日本防衛という目的も含んでいるから、その範囲内に入っているわけですけれども、二条四項の(a)、(b)にしても、これははっきり分けている。これは自衛隊管理をしてアメリカ軍がその基地を使うということになれば、これは体系的に変わってくる問題なんです。だから、いままでの地位協定考え方からいけば、性質、性格が変わってくる。この点はどうなんでしょう。
  82. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 共同使用というような場合には複合的な形態になってくるので、機能はいろいろなものが重複して行なわれていくだろう、そういうように思います。
  83. 東中光雄

    東中分科員 そうすると、結局日米共同複合体としての行動といいますか、そういうふうな方向を目ざしていくことになるということと理解していいわけですか。
  84. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その場合には、おのおの日本防衛あるいは極東の平和維持、米軍には両方の意味があるわけですから、日本防衛という面について自衛隊と一致する面もあり、あるいは極東の平和維持に寄与するという面についてはそっちの機能もあり、そういうふうに重複して複合して存在し得る、こう考えます。
  85. 東中光雄

    東中分科員 どうも言われていることが堂々めぐりしておるように思うのですけれども、自衛隊の目的からいえば、範囲が明らかに越える。その越える在日米軍の目的で行動する米軍基地管理をやる、こういうことになると、自衛隊の本来の任務からは越えるけれども、しかし、そういうものが入りまじって日米軍事複合体としての方向へ向かっていく。ミリタリー・コンプレックスの方向をとっていく。そういう方針で共同使用ということが出されておるというふうに理解していいかどうか、もう一回念のためにお聞きしておきたいと思うのです。
  86. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 共同使用の場合には、つまりいろいろな機能が混在して存在し得る、そういう意味であります。
  87. 東中光雄

    東中分科員 機能は混在するというのはわかるのですが、その混在する内容が質的に違うもの、要するに自衛隊の任務と在日米軍の任務と質的に違うものが常時管理という形で一緒になるということは、複合する、あるいは吻合というようなことば長官どこかの講演でお使いになっているようですが、自衛隊在日米軍の極東における活動と吻合していく、そういう方向をお考えになっているのか、なっていないのか、その点を聞いているわけです。
  88. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ただいま申し上げたとおりでございますが、ともかく日本管理権が拡充していくという方向に持っていくということは、日本の国益により合致する方向に進むだろうと思います。
  89. 東中光雄

    東中分科員 国益に合致するということでございますが、その内容を私はお聞きしているわけなので、その点は……。  時間がございませんので結論的に申し上げますと、結局いまアメリカがアジアの基本的な戦略として出しておる方向ですね。グァムドクトリン以来、日米共同声明あるいは最近の外交教書や国防報告等に示されたいわゆる部分的、選択的介入戦略といわれるものと不可分に結びついて、この基地返還なり自衛隊への移管あるいは自衛隊基地管理という問題が出されておるように私たちは考えるわけです。一つはABMミサイル迎撃ミサイル等の使用の展開とMIRV配備などいわゆる核破壊力の一そうの高度化、こういう面が一面で出されている。もう一つの面では、海外の通常兵力の大幅削減とあわせてC5Aギャラクシーの配備、あるいはFDLの開発によって戦略野戦軍を緊急導入できるような能力を強めていこうという方向と、いわゆるグァムドクトリンでいわれておる同盟国の自衛戦力の肩がわり、あるいは多角的な地域統合の促進、ドル防衛、こういう観点から自衛隊米軍基地管理することと、必要に応じて在日米軍がこれを使うのを認めていく、こういう方向が打ち出されておるように考えられるのですが、その点についての長官の構想、意見、所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  90. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は、閣僚になる前から自民党員としてずっと考えてきた構想をいま実行しようとしておるのでありまして、アメリカ考え方や構想はどうであるかは私は知りません。しかし、日本側日本側の自主な考えに立って方針をつくり、アメリカの政策と調整して実行していくのが筋であろう、そういう考えに立ってやってやっておるのでありまして、何もアメリカのためにやっているのじゃありません。
  91. 東中光雄

    東中分科員 先ほども申しました二月二十三日の長官の委員会での発言の中で、アメリカともよく話し合って、そして完全に計画を調整しながらやっていくのだ、アメリカの計画というものを考え、それと調整しながらやっていくという立場を明らかにされておると思うのです。いま言われた長官立場というのはあちこちで言われておりますけれども、同時に私が申し上げたようなアメリカのアジアでの新しい戦略体制との関係、そのアメリカの計画との調整ということを抜きにしてはやられていないと思うのですが、その点だけもう一ぺんちょっとお聞きしておきます。
  92. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 安全保障条約というのは相互信頼の上に成り立ってきて、そして日米の協力ということがうたわれているのであります。このために、随時協議ということもあるのでありまして、そういうことは当然のことだと思っております。
  93. 東中光雄

    東中分科員 時間がありませんので、これで終わります。
  94. 大野市郎

    大野主査 伊藤惣助丸君。
  95. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 防衛庁長官に、時間がありませんので三点について簡単にお伺いします。  一つは、米軍基地自衛隊管理について、さらに在日米軍に働く基地従業員について、またグラントハイツの返還の現況について伺いたいと思います。  いままで長官から、自衛隊管理についてるるお話がございました。この問題について、政治論ではなくして、法律的に説明願いたいと思うですが、防衛庁はこの基地自衛隊管理というのは共同使用なのかあるいはまた共同管理なのか、その区分がはっきりしないわけであります。その点まず長官から伺いたいと思います。
  96. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 日本におるアメリカ軍の基地もできるだけ先方と計画を調整しながら日本の自主的管理の方向に漸進的に移行さしていこうというのが私の考えでありまして、それがまた日本の国益に合致するゆえんでもあると思います。  そこで、法的には地位協定の二条四項の中の(a)または(b)というのが該当すると思いますが、(a)のほうは向こうが不在の場合の一時使用、不用の場合の一時使用、それから(b)のほうは期間使用とでもいいますか、一定期間を区切って向こう使用する。そういうような態様はありますが、その条項をできるだけ弾力的に適用して、日本側として処していきたい、そう考えておるわけです。
  97. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 外務省に伺いたいのですが、ただいまの防衛庁長官お話で、地位協定の二条四項の(a)と(b)を使う、こういうように言われたわけでありますが、外務省としてはそのように考えておるわけですか。
  98. 東郷文彦

    東郷政府委員 基地の提供方式は、御承知のとおり地位協定二条に規定してございますが、せっかく、いま長官お話しになったような四項(a)、(b)の規定もございますので、これをできるだけ活用して基地使用施設区域使用形態を合理化していきたいということは、われわれも防衛庁と全く同意見でございます。
  99. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 その共同使用の場合でありますが、第三条の管理権というのがあります。この場合、共同使用というのはいわゆるいまおっしゃいました(a)、(b)ですか、そしてまた共同管理の場合はこれは第何条になるのですか。私は、厳密に言えばこのままでは該当しないのじゃないかというふうに思うわけです。そして、たとえば共同使用した場合でもこの基地管理権はこのままで日本が持てるのかどうか、あるいはまた米国にあるのか、あるいは管理権というようなものを日米で二分するのか、その点がまた問題になると思います。その点について……。
  100. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたように、筋としては、提供している施設区域日本管理に一回返還して、移して、そして自衛隊管理財産にして、それを今度は向こうに対して期間使用というような形で使わせる、そして日本も使う。それが普通に考えられる正常なる共同使用というあり方だと思います。
  101. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 そうなりますと、共同使用または共同管理になった場合、これは地位協定第二条に基づく提供された基地という見方でいいのかどうか。その点について……。
  102. 山上信重

    山上政府委員 事務的でございますから私からお答えいたしますが、二条四項(b)の場合でありましてもあるいは(a)の場合でありましても、これは提供施設であることに間違いございません。
  103. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 外務省、そういうふうな話し合いがなされているわけですか。たとえば、この地位協定の運用というのは、非常に問題を多く含んでおります。時間がありますとずっとやっていきたいわけでありますけれども、あまりありませんので、基本的に伺っておきたいわけですが、外務省では、今度の日米共同声明あるいはまた沖縄返還をめぐって、すべて日米安保条約範囲内で弾力的に運用する、そのような考え方で来ていると思うわけでありますが、そういう中では、現在の地位協定の中で扱いにくいことが非常にたくさんあるわけであります。特に自衛隊管理については、そのようなことで向こうが承知するかどうかということがありますが、その点についてはいかがですか。
  104. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私が言いましょう。  それは先方と話し合ってみなければ、結果はまだわかりません。しかし、われわれのほうとしてはそういう政策を持って、今後実行していきたいと思っておるところです。
  105. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 その場合、こちらの政策ですから、そういう解釈ができない、そういう扱いはできないといった場合に、改定するような考え長官は持っておりますか。
  106. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 大体解釈でいけるだろうと私は考えております。それでもしどうしてもいけないというような場合が将来起こった場合には、まあ将来検討も考える。しかし、大体いけると考えております。
  107. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 外務省に伺いたいのですが、弾力的ということばなんですがね。これは非常に誤解を受けるように思う。非常に変質した、それは運用という面で、また従来から違った面でいろいろとられるわけでありますけれども、その点についていま防衛庁長官が言いましたようにいけるのじゃないか、あるいはまたこの問題についておそらく日米合同委員会などにおいても話題になったのじゃないかと思うわけですが、その点について外務省見解はどうですか。
  108. 東郷文彦

    東郷政府委員 この問題についてまだ合同委員会で具体的に話しておるということではございません。いまの二条四項(a)にしましても(b)にしましても、先ほど山上長官がお答えになりましたように、特に(a)のほうは提供されたままの状態でございまして、その提供されたままであるけれども、一時的に向こうが使っていない場合に日本政府がみずから使い、または日本政府が他のものに使わしめる、こういうことで米軍管理権というものは観念上は引き続き残っておるわけでございますが、二条四項(a)によってわがほうが使用しておる場合には、これはその範囲で当然わがほうが管理権を持つわけでございますが、なおその使用が提供目的を害さないというような条件もついておりますので、この場合、共同管理ということではございません。それから四項(b)のほうのこれは、向こうが使っておるときには提供されるということで、その場合、管理権はどうなるかということは、そのつどきめる、こういう形になっておるわけでございまして、いずれにしましても、共同使用は現行協定上は二条四項でございますので、その弾力的という字はわれわれ事務的に使うことばではないわけでございますけれども、その規定の予想される最大限までこれを活用していきたい、こういうことでございます。
  109. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 この問題はまだ日米合同委員会で話が出てないそうですが、いまの防衛庁長官外務省見解は多少違うようでございます。その点について長官はどのように……。
  110. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これから話をしようというのです。私が長官就任しまして、そして米軍と話をしよう、そういうことであります。
  111. 東郷文彦

    東郷政府委員 ちょっと訂正させていただきたいのでございますが、個々の施設についての二条四項(a)なり二条四項(b)の適用、個々に問題が起こった場合にはもとより合同委員会で過去にも話をいたしましたし、今後も随時行なってまいります。ただこれを全体としてどうという意味の話はしておらないということでございます。
  112. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 時間がありませんので次へ移りますが、要するに今後の問題として検討する。おそらくこのことはすべてに影響する問題でございますので、大いに検討してもらうべき問題だと思うわけです。その点は、われわれの立場からいいますと、基地は撤去させる方向で、さらにまた現在の地位協定を改定して引き続き長く米軍使用させるというようなことについては反対でありますが、いずれにしてもできるだけ早い機会にむしろ米軍基地の撤去という点について、ひとつ前向きでこういった基地の問題について扱っていただきたい、長官にそう要望いたします。  次に、グラントハイツの問題について伺いたいのですが、もうすでにこのグラントハイツは四年以内に返還されることになっておりまして、現在防衛庁、大蔵省が中心となって、そのあと地を東京都かあるいはまた住宅公団などに使用させるあるいは利用させる、そういう計画が練られている、こう聞いております。まず現在の段階においてどんな状況なのか、現況について簡単に伺いたいのであります。
  113. 山上信重

    山上政府委員 グラントハイツの移転につきましては、御案内のように、来年度予算において五十億円の予算を特別会計に計上してお認めをいただきたいと思っておるわけでございますが、これはいまおっしゃいましたように、四十五年度から四カ年計画ということで、その一部として明年度予算に五十億円を計上いたしておるわけでございます。これの進行状況につきましては、ただいまさらに具体的の施設の移転先についての米側の検討を求めておる段階でございます。その段階によりまして、具体的にそれではどこまでいくかと申しますと、明年度においては約三百戸の移転といいますか、建設をする予定をいたしております。これらのものがだんだんできてまいりますと、まとまった段階においてだんだんに返還されていくというような考え方を持っております。  しかしながら、一応いまのわれわれの考えとしては、特別会計でございますので、財源措置といたしましては、住宅公団からの資金が予定されておるのでございますが、土地の配分そのものをどこの程度までやるかどうかということは、全体の土地の価額その他と見合いでございまして、これは大蔵省におきまして全体の地元の御希望等も勘案しつつ御検討いただく、こういうことになると思いますが、いままだどこをどこまでということは決定いたしておらないというふうに考えております。
  114. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 今年度ついた五十億では三百戸建設なんですか。——それで、このあと地利用ですが、現在東京都あるいは住宅公団のどちらにしようかということでいま検討中である、こう聞いておりますが、防衛庁側としては、どのような基本線を守れば、東京都あるいはまた住宅公団のどちらかにするんだというような基本的な考え方があると思うのです。その点について伺いたい。
  115. 山上信重

    山上政府委員 住宅公団からの財源を予定いたしておりまするのは、これによりまして建設資金を得るということが目的でございます。しかしながら、これを住宅公団のみに売り渡すかどうかということについては、ただいま申し上げたように地元の要望等もございましょう。いろいろな点で打ち合わせをするということで住宅公団、大蔵省等でいまいろいろ打ち合わせをしておるという段階でございます。したがいまして、これらの調和につきましては、われわれといたしましてはどこまでどこにどういうふうにやるんだということはいま申せないという段階でございます。
  116. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 あと地利用については住宅とか公園とかいわれておりますが、大体の青写真、これはもう非公式には出ておるわけでありますけれども、この間の鶴崎部長ですかの答弁では、約八万人住むような団地をつくるとか、あるいはまた、日比谷公園の三倍から五倍の広さの公園をつくるはまだ煮詰まらないと思いますけれども、現在予定されているそういう計画、それについてちょっと伺います。
  117. 山上信重

    山上政府委員 施設部長からお答えいたします。
  118. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 グラントハイツのあと地の利用計画でございますが、これは長官からもお答えしましたように、まだ確定的なものはできておりません。ただ、私どものほうで知った一つの素案といいますか、これは東京都が作成した素案でございまして、いま関係機関と協議中の段階のものでございますが、したがって、これは大幅に変わることもあるべしという前提でお聞きいただきたいと思います。  これによりますと、このグラントハイツ地区に約二万三千戸の住宅を建て、人口にすれば約八万人になろう、こういうことでございます。
  119. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 その他についてはどうですか。それはわかっておるわけですね。
  120. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 その他につきましては、公園が面積にしまして約五十万平方メートル、学校が二十万平方メートル、街路が二十万平方メートル、店舗等が十二万平方メートル、こういうことのようでございます。
  121. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 この間も大蔵省に伺ったわけでありますが、大蔵省は、地主という立場からいろいろお話ししておりましたけれども、四年間といっても早まる傾向だ、その返還のしかたについては逐次分割して返還する、こういうふうに大蔵省では答弁しておりました。そのグラントハイツの逐次返還ということになりますと、ただいま施設長官からも五十億の予算で約三百戸ですか、建設をしていくということでありますが、これはグラントハイツのどちら側から入るのか。たとえばあの周辺には高松町、旭町、あるいは板橋区田柄町、白子町というふうにございますが、そのどの辺から始めるのか。これは地下鉄誘致の問題と関連がありますので、その点について伺っておきたいと思います。
  122. 山上信重

    山上政府委員 これは未決定でございます。
  123. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 川越街道筋すなわち板橋区側に、現在米国の軍事顧問団が入った睦台アパートがあります。四十棟建っております。これはほとんどあき家でございますが、私としてはこういったところから手をつけてやるべきではないかと思うのですが、その点について……
  124. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 例の軍事援助顧問団の使用しておる区域でございますが、これについては軍事援助顧問団が機構的に大幅に縮小されたということから、現在の使用状況はかなり少なくなっておるという実態でございます。しかしながら、これについては、この土地、建物は住宅公団の所有になっておりますので、軍事援助顧問団が使用する面については借料を国が払っておるということで、その土地、建物そのものの費用を国のほうでどうこうするわけにはいかない性格になっているわけであります。
  125. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 あそこは地元ですから私はよくわかっておるわけですが、軍事顧問団はいまいないのです。四十棟鉄筋アパートが全部あき家になっております。あそこに四世帯くらい米軍が入っておる。それが現況です。それでいまグラントハイツとはガードといいますか、あれで区切られておりまして、ほとんどグラントハイツといってもいいわけであります。  そこで、もし帝都高速度交通営団が、地下鉄の計画であの辺に乗り入れを考えた場合にはまた考えられるわけでありますが、返還についてもやはりあの辺あたりからやったほうが地下鉄を敷く上においても非常に便利でありますし、さらにまた、西武線の延長等も考えられます。その田柄町付近、あの辺の返還から始めたほうが都市計画を促進する意味において非常にいいと思われますが、その点について長官意見を伺いたい。
  126. 山上信重

    山上政府委員 ただいま施設部長からお答えいたしましたように、睦台地区は住宅公団の土地、建物になっておりますので、これの返還を受けると申しましても、われわれが処分できない場所でございます。ただ、いまおっしゃった意味は、そういうのを利用していったほうがいいから、その地区から逐次やったらどうだというような、その付近の地区からという意味でございましたら、これらの点につきましては、今後の実施の計画等に見合いまして、いろいろ公団側とも意見の交換をして、なるべく地元の要望に沿えるような方向に持っていくようにいたしたいというふうに考えております。
  127. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 たとえば、地下鉄誘致の場合に、都市計画において、もしグラントハイツ乗り入れが計画としてあった場合には、その面については積極的に防衛庁としては取り扱いますか。
  128. 山上信重

    山上政府委員 先ほど申しましたように、これにつきましては、大蔵省及び配分を受ける土地の問題、これは関連しておりますので、私のほうがどうするということはできませんが、それらの御要望の点につきましては十分大蔵側にもお伝えしてまいりたい、かように考えます。
  129. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 この基地返還について問題になりますのは、米軍基地に従事する基地従業員の離職対策であります。何もグラントハイツにつとめる従業員だけでなくて、全国百二十六カ所で働く基地労務者の方々が、最近ではどこかで解雇の通告があるたびに、きょうは人の身であるが、あすはわが身である、このように非常に心配しておるわけであります。  そこで伺いたいことは、現況、現在在日米軍基地に働く基地従業員は、正確なところどのくらいいるのか。その中には、直接、間接また私的雇用、こういう三つの種類がしいていえばあると思うのです。その点について伺いたいと思います。
  130. 長坂強

    ○長坂政府委員 現在駐留軍に働いております日本人従業員の数は、駐留軍そのものに働く者、いわゆるMLC従業員でございますが、これが一月三十一日現在で三万六千七百十八人、それから軍に付属しておりますと申しますか、歳出外の諸機関、いわゆるIHA従業員でございますが、これが九千三百四十一人でございます。先生お問い合わせの間接のと申しますか、私的な契約に基づくいわゆるメイドさん方、それは私どもの直接把握するところではございませんけれども、大体の推定といたしまして約四千五百人というふうにつかんでおります。
  131. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 この基地返還については、アメリカのニクソン大統領の海外基地の削減の方針からいっても、近い将来相当の基地従業員の解雇が予想されるわけでありますが、その離職対策について、これは従来どおりなのか、あるいはまた新たにこういう点をこうしたいというような対策、あるいはまた方針があるのか、考えているのか、その点について伺いたいわけです。
  132. 山上信重

    山上政府委員 基地従業員の整理の問題につきましては、従来から対策協議会がございまして、これによりましていろいろな方策を編み出しておるわけです。昨年十一月の中央離退職協議会におきましても、今後中央官庁、政府機関その他関係機関等の採用等も含め、あるいは各種給付金の支給、あるいは労働者の就職あっせん等、各般にわたる施策を決定いたしたのでございます。本年に入りまして、さらに新たな整理の通告が参っておるのでございまして、これらに対しましても、われわれといたしましては、でき得る限りこれらの方々が再就職し得るようにという意味合いにおきまして、調整期間というような問題についても米側と話し合っておるのでございます。ただ、今回の措置の中には、どうしてもやめていかなければならない方もございまするので、防衛庁の関連産業に対しましても特に就職あっせんを呼びかけまして、そしてこれらの再就職の可能なような努力をいたしておるのでございます。その他につきましても、特に労働省関係の各職業安定所等も動員いたしまして、再就職については最大の努力を払っておるところでございます。
  133. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 あまり時間がないので簡潔に答弁願いたいのですが、現在解雇について従業員はひとしくいま申し上げることを非常に希望し、また望んでいるわけでありますが、それについて何回か申し入れや、私も長官に会ってそのことを要求しているわけでありますが、その点について米側はどのような態度を示しておるのか。その点について簡潔に伺いたいと思います。  一つは、解雇する場合に現在は三カ月でありますが、六カ月以上前にその通知をしてほしいということ。二番目、本人を無視した不当な配置転換はやめてもらいたいというようなこと。さらに退職金、一時金、これはそれぞれの条件に合わない方方がおりますけれども、そういった方々に対する増額、また、一時見舞い金の支給、こういうことについて。さらに四番目には、完全優先雇用について。五番目に、現在一番待遇のいいのはMLC、基地従業員でございますけれども、しかしそれに満たない、あるいはまたそれのボーダーライン層にいるような直接雇用者がおります。そういった方々に対しての扱い、これは基地従業員に準じて扱ってほしい、こういうことがいわれておるわけでありますけれども、その点について。あるいはまたメイドに対する一時見舞い金またはその扱いについて。こういったことであります。
  134. 山上信重

    山上政府委員 解雇の場合の事前調整期間を六カ月以上にしてほしいということは、要望として承っております。これらにつきましては、昨年来この調整期間を長くするようにということ、現在の契約では四十五日ということになっておりますので、これらについて米側と話し合いを進めておりますが、米側においてはこれを直ちに契約改定にすることは困難だということで、実際措置としてでき得る限り九十日以上の措置を置くようにということを米側と話し合って了解を得ておるのでございますが、この中にはまだ九十日に満たない者も現実にはあるのでございます。これははなはだ遺憾でございますが、米側といたしましても最大の努力をした結果こういうふうになっておるのであるからということで、われわれとしても、今後これらの問題につきましては、今後の措置としてはなるべく契約改定に持っていくようにさらに努力を続けたい。ただし、この場合解雇前六カ月というのはなかなか無理なので、われわれとしては三カ月ということを目途にして努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。  それから、不当な配置転換のないようにということでございますが、これは配置転換の場合はやはり本人の不利益にならないようにということで、配置転換になりました場合にはいろいろな手当等が減額にならないような措置を講じておるのでございますが、特にさような配置が本人がきわめて不満足であるような場合には、個々に相談をして、不当にならないようにしてまいりたいと思っております。  それから第三に米軍の従業員の退職金の問題でございますが、これは一昨年来交渉をいたしました結果、退職金の特に整理の場合の退職金を従来に比して相当大きく率を上げたような経緯になっておりまして、現在において退職金は国家公務員等に比べても相当上っておるような事実でございますので、これを直ちにさらに増額するということはむずかしいのではないかというふうに考えておる次第でございます。  なお、この退職金とは別でございますが、日本政府から支給するところの特別給付金、これにつきましては、御承知のように昨年従来の特別給付金に対しましてほぼ平均して三倍近い増額に引き上げたのでございます。これは近い将来におけるところの大量整理あるいは基地日本側が要求しておるところの整理縮小というようなものと関連して大量の整理があるであろうということを予想してかような措置をとったのでございますが、これを直ちに増額するということは困難かと存ずるのでございます。  それから完全な優先雇用という問題でございますが、離職者に対しまするところの再就職のあっせんにつきましては、政府はあらゆる努力を払ってこれの再就職ができるように努力いたしたいというふうに考えております。  それから、ちょっと最後のところがはっきりいたしませんでしたが、MLC以外の普通の従業員、特にメイドさんの問題にお触れになったと思います。この問題につきましては 御承知のように、地位協定では米軍の直接の労務及び地位協定にありますところの諸機関の従業員については政府がこの労務の提供について協力するということで、これを現在間接雇用という形式で政府が雇用主となって各種の措置を講じておるのでございますが、まあ個人の従業員といいますか、家庭労働者といいますか、そういう方については、さような措置がなされておらないので、当庁といたしまして、従来これは手を出しておらない範囲に属するわけでございます。この地位協定の関連からいきますと、いろいろな措置を講ずることは困難ではないかと思っておりますが、今後これらの方の労働条件その他についての保護というような問題につきましては、労働省とも十分に相談してなるべく悪くならないようにということについて努力してまいりたいというふうに考えております。
  135. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 ちょっと時間がありませんから続けて質問申し上げますので、どうかよくお聞きいただいて、そして簡潔に御答弁願いたいと思います。  第一点はメードさんのことでございます。これは労働省の方に来てもらっておると思いますが、従来から防衛庁ではわれわれの管轄ではない、言うならば労働省だ、労働省としてもこれはとうてい掌握できない、どちらのことになるのか、まずこの場ではっきりしてもらいたいこと。そしてまたこのメードさんについては地位協定その他の法律には全く関係ない。要するに法的には非常にむずかしい存在でございますが、これは政治的判断あるいはまた道義的な面からいっても、このメードさんについては全国において四千五百名もおるわけですから、まずそういった実態を正確につかんでそして前向きで善処していただきたい。これは政治的の問題になりますので、防衛庁長官から答弁願いたいわけです。  このメードさんはイエローガーリーといわれまして、日本人の黄色奴隷だ、アメリカの兵隊さんはそう言っております。といいますのは、二十何年かにわたりましてこれらの方々はいまだに二万円あるいは三万円くらいの日給月給で、しかも何の社会保障もない。さらにまたグラントハイツの場合を例に申し上げますと、働くことを五日間やめますと、寮の規定によっておっぽり出される。そういう中で病気になっても働きに行っている。こういう非常にたいへんな中で働いている方々であります。私はこういった人が一番戦争の犠牲者としてたいへんな方々だと思っております。そういう意味において防衛庁長官の前向きな——またその扱いについては基地労務者に準じて、しかももしその基地をやめるならば一時見舞い金なりあるいはまた政府の特別支給ですか、そういった方策を講じてほしい、こう思うのですが、その点について長官から伺いたいのです。  さらにこの基地の問題については、沖縄にあります全軍労とも関係がありまして、現在総理府が窓口になって防衛庁連絡しながらこの問題を扱っていると思います。そこで現在の沖縄の全軍労の問題については、直接雇用から在日米軍基地において扱う間接雇用というような方向で検討しているということを伺っております。その点に対する現況、経過そしてまた返還をめどにということでありますが、七二年ということがはっきりしたわけでありますけれども、それまでにそういったことが可能なのか、そういった点について総理府のほうからも伺っておきたいわけです。  以上について御答弁願いたいと思います。
  136. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 メードさんの問題につきましては、これは私的雇用契約のものでありますから、政府が直接介入するわけにはまいりませんが、いろいろお聞きしたような状態もあると思いますので、労働省当局とも連絡をとって、できるだけあたたかい措置をとってもらうようにわれわれとしても十分気をつけてやっていきたいと思います。
  137. 加藤泰守

    ○加藤政府委員 お答えいたします。  七二年に復帰することになりますと、当然間接雇用にいかなければならない、ということになりますので、総理府といたしましては、各省担当官会議地位協定関係部会の労務分科会というのをつくりまして、労働省、施設庁、総理府、外務省、この四省で構成しておりますが、そこで目下復帰対策の一環といたしまして検討中でございます。ただ実態的にも法律的にも復帰前に切りかえるということにつきましてはむずかしい問題がございますので、どういうふうに雇用制度の改善ができるか、それをも含めまして、十分検討してまいりたいと思います。
  138. 保科真一

    ○保科説明員 長官から御答弁のあったとおりでございますが、労働省といたしましても、長官の御趣旨に沿いましてやってまいりたいと思います。
  139. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 終ります。
  140. 大野市郎

  141. 中谷鉄也

    中谷分科員 第二分科会での防衛庁に対する質問は私で最後のようでございますので、そういうふうな観点からひとつ主として長官に、大きくいえば自衛隊のあり方というふうな問題についてお尋ねをいたしたい、というよりも、ある意味での対話をいたしたい、こういうふうに考えます。  長官就任されたときの初訓辞において、防衛問題を国民の広場に持ち出して謙虚に聞くということが非常に大事なことでもあるし、民主主義の基本的条件であると述べられました。そしてまた国民の中にあるあらゆる疑問に対して積極的に答え、かつもしわれわれの考え方ややり方に間違っていることが少しでもあれば直すというふうにも述べられたのであります。私は率直にいいまして、非常に好感を持ってこの訓辞を新聞で知りました。あらゆる国民の中にある疑問に対し積極的に答えられるということであります。その姿勢は非常に正しいと私は思う。しかし、国民の中にあるあらゆる疑問というのは、国民が自衛隊に対するところの認識をする。そのような自衛隊の認識をする。そして疑問が浮かんでくる、そういう資料が与えられなければならないと私は思う。そういうような点について、国民の広場で謙虚に聞くという姿勢を、この訓辞のとおり今後とも貫かれるかどうか、これは当然そういうことだというお答えだろうと思いますが、質問の順序といたしましてこの点からお尋ねいたしたい。
  142. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 貫いてまいるつもりです。
  143. 中谷鉄也

    中谷分科員 そこで、かつて私の先輩の岡田議員やあるいは本日出席しておられる楢崎議員などが、国会において三矢事件について問題にされた。そのとき防衛庁が国会に提出した「シビリアン・コントロールについて」という文書がございます。この考え方についてはいまなお防衛庁としては何ら変わっていない、こういうふうに承知してよろしいかどうか。
  144. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その当時提出した文書がどのようなものであるか私よく存じませんが、要するに政治理論が軍事理論に優越するという保障をすることであります。それで究極的には国民の代表、国権の最高機関である国会が軍事をコントロールする、そういう保障をすることだ、そういうように考えております。
  145. 中谷鉄也

    中谷分科員 大事な文書でございます。「シビリアン・コントロールについて 防衛庁」  防衛に関する国政は国会の調査を受けることになっている。自衛隊の人員、組織、編成の大綱、予算、人事制度その他の重要な事項は、法律、予算等の形で国会において議決され、また防衛に関する国政は国会の調査を受けることになっている。自衛隊は国会の統制のもとにある、こういう趣旨の文書であります。これはこの点についてとやかく申し上げません。質問前提であります。  そこで、官房長にお尋ねをいたしたいが、秘文書、取り扱い注意文書というのは年間、たとえば昭和四十四年度あるいは四十三年度どのくらい指定されましたか。
  146. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 一年間にどれくらい秘文書の指定をしているかというお尋ねでございますが、これにつきましては実は手元に資料がございませんが、四十三年の十二月末現在におきまして、機密、極秘及び秘、この文書は総体におきまして約七十一万件……。
  147. 中谷鉄也

    中谷分科員 長官にお尋ねをいたしたいと思いますが、秘密指定の範囲というのは厳密にするというふうなことが言われておりまするけれども、指定が乱用されていはしないかということが、私は疑問としてひとつ提起をいたしたい。これは長官決裁で行なわれるのでありまするけれども、先ほど長官の初訓示の中では、国民のあらゆる疑問について謙虚にこたえていく、長官は可能な限り国会、国民に知らせようとするその姿勢が——これはそういう観点からいって、七十一万点とおっしゃいましたが、そういうようなことは、ひとつ秘文書その他について乱用されている危険があるというふうにはお考えになりませんか。
  148. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 七十何万点というような、数が多いように思われますが、いままでの累績してきたものがそういうように重なってたまってきているという意味もあると思います。私がいままで見た範囲内においては、乱用されているというようなことはないと私は思います。
  149. 中谷鉄也

    中谷分科員 機密文書を除いてそれ以下の秘文書、取り扱い注意文書の件数、題目——内容は別としまして、秘区の分別をされて、それを明らかにすることができますか。私も機密文書というのは、機密それ自体が機密であるということ程度は承知いたしておりますけれども、内容はともかくとして、秘文書、取り扱い注意文書の件数と題目については明らかにすることができますか。もしそれが明らかにできないというならば、その法的な根拠は一体何かということについてお答えをいただきたい。長官、御答弁いただけますか。
  150. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私はよくわからないから、官房長から……。
  151. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 ただいま秘密文書を七十一万件と申し上げましたが、実はこの中にいわゆる暗号文書というのが非常にたくさんあるわけでございまして、その他の文書につきましてはこれからかなり低い数字になっておると思います。  そこで、機密文書につきまして一例を申し上げますと、毎年毎年つくりますところの防衛計画の基本に関するもの、あるいは暗号の基本に関するもの、こういうものが機密文書になっておるわけでございまして、その一つ一つにつきましてここで申し上げるということは、必ずしも適当でないというふうに考えます。
  152. 中谷鉄也

    中谷分科員 質問は次のとおりです。  明らかにできないということであるならば、それは一体、その法的な根拠は何かという質問なんです。
  153. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 秘密文書につきましては、秘密保全に関する訓令がございまして、その中でこういうものが機密、こういうものは極秘、こういうものは秘であるというような一応の基準をきめまして、それに従いましてそれぞれの主管局長なりあるいは主管課長が指定をし、あるいはさらに上級者がこれを確認するという行為を行なっておるわけでございまして、その内容につきましては先ほど御指摘のような、非常に乱用されておるということではありませんで、それぞれの関係者が慎重にこれを検討いたしまして、その秘密の区分をしてきておるということでございます。
  154. 中谷鉄也

    中谷分科員 違います、質問は。そういうことを聞いているんじゃないですよ。秘密文書の——私はさっきから言っているでしょう。秘密文書の秘区分の件数、題目——内容はともかくとして、明らかにすることは当然だと思うがと言っている。しかし、内容を言えとは言わない。件数と題目は言えないというのならば、その法的根拠はいかん。きわめて簡単な質問をしておる。明確にお答えいただきたい。
  155. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 法的な根拠といたしましては、自衛隊法の五十九条「隊員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。」という規定がございます。これが法的な根拠であろうと思います。
  156. 中谷鉄也

    中谷分科員 そのことが、題目、件数が自衛隊法のその条文に触れますか触れませんか。触れないというのが通説ですよ。御答弁……。
  157. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 この法律の根拠との関係につきましていろいろと問題があろうかと思いますけれども、機密の文書につきましてどういう件名の機密文書があるかということは、これはやはり防衛の基本に関する問題に関連いたしますので、そういう意味におきましてはやはりこれを外へ出すということは適当でないというふうに判断をするわけでございます。
  158. 中谷鉄也

    中谷分科員 法律的な解釈をお伺いしたけれども、政治的な判断、行政的な判断についてのお答えですね。しかし、これはまたあらためて、じゃやりましょう。私は、あなたのお答えでは、納得しませんし、間違っておると思いますよ。  そこで私は長官にお尋ねをいたしたいのです。お手元にお配りをいたしましたが、防衛月報というのをお手元にお届けしました。これは長官先刻御承知です。この防衛月報というのは取り扱い注意ということになっておりますね。そこでごらんをいただきたいのは、一番最後の防衛月報配布区分表というのをごらんいただきたい。よろしゅうございますか。  そこで少し経過を申し上げます。きょうの私の質問はこういうことだったのです。自衛力の限界というものを人口問題の立場からひとつ論議をしてみようということで、盛んにとにかく計算機を回して私一月ばかりかかって勉強してみた。そうなんです。そこで国会図書館へ行って調べてみた。防衛月報というものがあるらしいということなんです。国会図書館に防衛月報は届いておりません。長官そういうことなんです。国会図書館というものについていまさらくだくだしく私ここで申し上げることはないと思うのですけれども、これは国会議員の国会活動というものを基本的にとにかく資料その他の面においてバックアップするところの、そういう目的をもって設立されたところの図書館、そうでございますね。それから防衛庁の中に防衛図書館というのがある。そこでもって、防衛月報というものがある、拝見したい、こういうことを言ったが、防衛月報を見せるわけにはいきませんと言う。議員に見せるわけにいかない。広報課に丁重な電話をした。防衛月報を見せていただきたい。防衛月報を見せるわけにはいかない。こういうことなんです。  私の率直な感想を申し上げれば、自衛隊というものが国民のみならず国会議員からも非常に遠いところにある。取り扱い注意というのは一体何なんでしょうかということを、まず、これは長官にその御答弁をいただく前に、これは次官通達によって関係職員以外にはこれを取り扱わせないという趣旨で定めたものということでありますけれども、これは秘密を守る義務によって義務づけられているものではございませんね。そういうものじゃないのです。そうでございます。これはもうすでに政府答弁もございます。いまさら政府答弁を云々することはないでしょうが、昭和四十三年三月十三日予算の第二分科会で只松委員の質問に対して、訓令上の秘密でございませんけれども、次官通達によって関係職員以外にはこれを取り扱わせないという趣旨で取り扱い注意、これは文書とか物件とかいうような、こういうものだと言っておる。じゃ一体——長官に私は目次を見ていただきたいと思いますけれども、人口問題の立場から見る自衛力の限界ということになれば、充足率なんということについて当然その文書を見なければ——私一月間いろいろなことを計算機を回して、たいへんな時間の浪費をした。防衛月報を見ておれば全然こんなことは問題にならなかった。取り扱い注意というふうなものを国民の広場に出すという観点からいって、はたして適当なのかどうか。長官、これは一体どのようにお考えになりますか。
  159. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 防衛月報に関しましては、私は取り扱い注意が適当である。それでこの内容を中谷さんもごらんのとおり、戦車や航空機をどこの部隊に何機配属しているか、弾薬はどの程度あるのかとか、そういうかなり重要なものも入っているわけです。したがってこの防衛月報というのは部内のある責任者たちがいろいろ仕事をしていく上について必携みたいな形で利用していこうという形でつくられているのだろうと思うので、したがって配付先が限定されておって、いいかげんにおっぽらかされてはいけない文書であろうと私は思います。しかし、国会のほうで御要求になれば、これはわれわれは判断をいたしまして、防衛月報ならばお出ししてもけっこうだと私は考えます。あいにく私のほうの者が気がつきませんで、私のところへ来て、中谷先生からこういう御要望がありますがどういたしますかと言えば、私はお見せしなさいと言います。気のつかぬ者がいたので、その点はたいへん申しわけないと思います。
  160. 中谷鉄也

    中谷分科員 そこで、国民のための自衛隊、国民の疑問を持たせない自衛隊ということになれば、今後とにかく国会議員に防衛月報は配付をする、こういうことであっていいと私は思うのです。そういう点については長官どういうようにお考えになりますか。
  161. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 防衛月報の取り扱いは現状でいいと思います。ただ、国会議員のような特別の職にある方々には特別の配慮をすべきである、そう考えます。
  162. 中谷鉄也

    中谷分科員 ちょっといまの点、質問整理をもう一度いたしますが、今後は防衛月報については、少なくとも内閣委員会という委員会で防衛問題が論議されているそういうところの内閣委員会の委員には防衛月報は配付をされる、こういうふうにお伺いしてよろしいのでございますね。
  163. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それは継続的に配付先として配付せよということであれば、これは別でございます。御要求があった場合に考えて、私が判断をいたします。できるだけ御要望に応じたい。国会図書館のような場合には、議員もごらんになりますが、一般人もあそこに入ってきているわけでございます。そういう条件から見て、配付しておくのに適当であるとは思いません。
  164. 中谷鉄也

    中谷分科員 国会図書館の中で——長官何べんも国会図書館へお行きになったと思いますが、議員にだけ防衛月報を見せるというやり方は国会図書館規則その他でできると思うのです。国会図書館が配付先の中に入っていないというようなことは、これはこまかい話になりますけれども、問題があると思います。この点についてはひとつ御検討をいただけると思いますが、これは御答弁は要りませんが、御検討いただけますね。
  165. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 議員から御要望がわれわれのほうにあった場合には、これは善処いたしますが、図書館に一般的に置くということは私らはそう適当であるとは思いません。
  166. 中谷鉄也

    中谷分科員 官房長、本年度秘密指定を解除した文書というのはどのくらいありますか。解除した場合、発表したという例はあるのでしょうか。この点についてはいかがですか。
  167. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 本年度において解除しました件数につきましては、ちょっと手元に資料がございません。
  168. 中谷鉄也

    中谷分科員 あるのかどうか。
  169. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 解除したものは当然ございます。
  170. 中谷鉄也

    中谷分科員 そうして、解除したものを資料要求で国会議員にそれを見せたという例はありますか。
  171. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 これは国会議員の方々からそのつど、こういう事項についての資料がほしいという御要求があるわけでございまして、もちろんそれが秘密にわたらないものにつきましては当然御提出を申し上げていると思いますし、それから秘密文書あるいは取り扱い注意文書につきましてはそのつど判断をいたしまして、お出しできるものはお出ししているというのが現状でございます。
  172. 中谷鉄也

    中谷分科員 国会というのは、何といってもやはり正確な資料に基づいて論議されなければならないと私は思うのです。そういう点からいいますと、私は次のような点についてどうしてもお尋ねをしたいと思うのです。従来防衛庁関係の資料で国会に提出された資料というのは何点ぐらい、四十三年度、四十四年度ございますか、この点についてひとつお答えをいただきたい。
  173. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 正確なことは私もよく存じませんが、数十件にわたるものではないかと考えております。
  174. 中谷鉄也

    中谷分科員 そこで国会答弁の関係について私お尋ねをしたいと思うのですけれども、先ほど自衛隊法の第五十九条をお引きになりましたね。そうすると長官の場合は当然自衛隊法第五十九条の適用はお受けになりませんね。これは当然のことでございますね。そうすると長官の御答弁というのは秘密を守る義務というふうなものには拘束されない。これは政治的な御判断で拘束されないことになるのでしょうか。要するにその点について、やはり国民の疑惑があればそれは徹底的に晴らしていくのだというお立場の中での国会論議というのがされなければならぬという点でお答えいただきたい。
  175. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私も内閣の一員で、行政長官でもあります。特別職の公務員でもあります。そういう意味においては、やはり秘密を守ることはわれわれの責任であると考えます。
  176. 中谷鉄也

    中谷分科員 いずれにいたしましても、自衛隊法五十九条の適用は受けないわけでございますね。
  177. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そうです。
  178. 中谷鉄也

    中谷分科員 そうすると、長官が内閣の一員として国会答弁の中で、特にわれわれとの間の対話、そういうような中で、とにかくこれはこうなっているのだということについてのその限界は、一体法的には何によって拘束されるんでしょうか。
  179. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 やはりわれわれは官吏服務規律のもとにある公務員でありますから、その官吏服務規律の教えるところに従ってやらなければならぬ。ただし、また一面においては政治家でございますから、国民代表の皆さん方にはできるだけ知っていただくということがまたわれわれの職務でもあります。その限界をどういうふうに守るかということは長官としての裁量ではないか、こう思います。
  180. 中谷鉄也

    中谷分科員 御答弁はその点では非常に正確だと思うんです。官吏服務規律の第四条だと私理解をいたしております。ただ官吏服務規律第四条というのは、国会における答弁というものまで拘束するのでしょうか。私この点についての疑問があるのです。
  181. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 拘束すると思います。
  182. 中谷鉄也

    中谷分科員 そこで、何べんも何べんも同じことを申し上げますが、とにかく防衛月報というふうなものを見ておれば、準備が一日でできた。そういうものがないためになれない計算機を回して、企画庁を呼んで、中小企業庁を呼んで、そうして労働省まで呼んで一月準備した。防衛月報を見てみたらずいぶん簡単だったんです。そういうことを考えてみますと、官吏服務規律ということであっても、第四条の適用を受けるとしても、国会答弁というのは先ほど長官がおっしゃったように、そこにはその裁量が働く余地が十分にある、こういうふうにやはりお伺いをしておかないと、私たちは自衛隊というものがわれわれ国会から遠いところに行くというようなことは、これはまさに文民統制というものからはずれることになる、こういうように思います。その裁量の幅というものは、長官、政治家として広い幅をお持ちになるというふうなことを、私はこれは考え方だと思いますけれども、御答弁をいただきたいと思います。
  183. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 きのうも楢崎さんの御質問にお答えいたしましたが、自分が政策として基本的に考えていることは、できるだけこの場を通じて国民の皆さんにもお聞き願い、また御批判も願っておるわけであります。そういう態度は今後も持続していきたいと思います。
  184. 中谷鉄也

    中谷分科員 官房長にもう一度お尋ねいたしますけれども、秘密文書の集積がとにかく七十一万点ばかりあるということですけれども、そうすると私たちずいぶん——今度私も自衛隊を訪問したり、防衛大学校へ行ったり、とにかく何といっても二十万人以上の一つの集団、これとわれわれは何らかの形においてやはり対話しなければいかぬ、そういう意味で私はそういう努力をした、そうしてあっちこっちへ行ったら、すごくたくさんパンフレットをくれましたよ。しかし、そういうパンフレットというのは、ほとんどとにかく自衛隊の実態、われわれが知りたい実態に触れたものではなくて、PRの文書、これでございますね。はたしてそういうふうなことでいいのだろうか。逆にいうと、PR文書以外は、自衛隊の場合はほとんど秘密文書というふうな取り扱いになっているのじゃないか、これが私の偽らざる疑問なんです。官房長、もう一度お答えになってください。
  185. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 PR文書は当然防衛庁の広報の目的で作成するわけでございますが、その中にはやはり公表してぐあいの悪いものは掲載してないのは事実でございます。  そこで、国民の広場において防衛問題を論議するというのは長官の御方針でまいっておりますが、私どもとしましても、一つ一つの文書につきまして御要求がありました場合に、個々について慎重に判断いたしました上でできるだけのそういう意味での配慮を申し上げておりますし、また今後ともそうしてまいりたいと思います。  ただ、一般の公表文書につきまして、公表するパンフレット類につきましては、やはりそこにおのずから公表の限界があろうかというふうに思うわけでありまして、そういう点につきましても私どもとしましては十分反省いたしまして、できるだけ材料を提供するという努力はいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  186. 中谷鉄也

    中谷分科員 そこで長官の初訓辞に戻るわけですけれども、長官は二月十三日の新聞報道によれば、自衛隊を診断する会というものをおつくりになりました。私の好きな作家の遠藤周作さんら、十人で発足したというのです。ところが、これは、診断といったってとにかく何を診断するのか、レントゲン写真も見せずに医者に結核かどうか見ろと言ったって無理ですね。きょうはあまり目くじらを立てずにやりますから……。自衛隊を診断する会というのは、おまえ近ごろからだがちょっと肥え過ぎたから運動不足じゃないのかとか、それで顔色が悪いので仕事のし過ぎじゃないのかという程度のものなら、これは私は別に、自衛隊を診断する会というのをつくったとしても意味がないと思うのですよ。だから私はやはり、長官の初訓辞は率直に言って非常にさわやかだった、私はそういうふうに申し上げる。ところがそれと実態とはあまりにも違うのじゃないか。防衛月報で私は全く何というか、おそれ入ってしまった、ということを申し上げるのですが、自衛隊を診断する会というのは、そういうふうに顔色が悪いのじゃないかとか——それもそれでいいでしょう、こういう人たちを集めての話だったら。しかし国会の場合には、重ねて私は要望いたしますが、これは取り扱い注意なんというような文書を私はできるだけ少なくするというふうな方向で努力してもらわなければ困りますが、長官の御見解を承りたい。
  187. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 診断する会は、主として私が希望しているのは、防衛庁の大脳が異常でないかどうか、そういうような急所を見てもらいたい、それをいままでのプロで見てもらったのじゃ大体同じようなことだろうと思うから、アマチュアがいい、アマチュアの庶民の感覚で自衛隊というものをどういうふうに考えていられるか、また中身を見てどういうふうにお考えになるか、そういう点が一番知りたいと思うところでございますので、人選をしたわけでございます。いま一生懸命ごらんいただいております。それでいろいろ御質問をいただきましたことは全部さらけ出して申し上げるように、できるだけ協力するように、そういうことを申し上げてあります。
  188. 中谷鉄也

    中谷分科員 要するに、取り扱い注意文書というのは一体どのくらいあるのかということですね。重ねて私は申し上げていますけれども、取り扱い注意文書なんというのは訓令による秘文書ではない。これは少なくともわれわれ議員の要求があればこれを大体見せるというふうにお伺いしていいと思うのですけれども、率直にいって、私はきょうは第二分科会の最後の質問ですから、国民の広場へ自衛隊を持ってくるということになれば、取り扱い注意文書なんというものの件教が多いのは、私は決して喜ばしいことではないと思うのです。官房長から、一体どのくらいの件数があるか、それをひとつお聞きすると同時に、取り扱い注意文書なんというものは、防衛月報に限らず、私は国会議員、われわれの要求には応ずるという姿勢を示してもらわなければいけないと思う。長官は防衛委員会の設置ということが望ましいのだと言っておられるけれども、防衛委員会の設置というふうなことよりも、われわれ国会議員に自衛隊の実態がわかるような資料を見せる、そうして自衛隊の問題を掘り下げていく、こうでなければ私はならないと思う。これだけはとにかく、いろいろな秘文書——もちろん秘文書があることは私はやむを得ないと思うけれども、取り扱い注意というのは法律的根拠のないものが山のようにある。収集してきたものは全部PRの文書ばかりだというようなことでは、実態に入った自衛隊論議、防衛論議というものはできませんよ。  一言最後に申し上げておけば、何としてでも日本の国の平和と安全を守りたい、これはもうとにかく議員として国民として当然の必死の願いなんです。それがためにはどうしても自衛隊の実態を知りたい。ところがPR文書ばかり。一体取り扱い注意文書はどのくらいありますか。これについては議員に対する関係においては解除すべきだと思う。官房長、いかがですか。
  189. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 取り扱い注意文書の件数はいま把握いたしておりませんが、この種の文書につきまして、私どもとしましてもできるだけその作成の乱用を戒める、あるいは解除の方向につきましては励行はいたしておるつもりであります。  そこで御指摘の防衛月報でございますけれども、これは先ほど長官から御答弁ありましたように、その中にはやはり秘密文書に準ずるような内容のもの、たとえば航空機なり艦艇なりその他の兵器類の具体的の配置状況というようなものがあります。それがさらに細部に分かれますと、これはおそらく秘密の保全の必要性の高いものになろうかと思いますが、この月報に登載しておる程度におきましても、かなりその全貌が把握できるという性質のもので、したがいまして、そういう内容を含んでおりますので、この月報を一応取り扱い注意といたしておるわけでございます。この中には、個々に御要求がありますればお出しできるものもかなり含まれておるわけでございまして、一般のこういう月報類につきましては、その中で解除できるもの、あるいはなおぐあいの悪いもの、いろいろ分かれると思います。その他の文書につきましては、できるだけそういう取り扱い注意という指定を解除する、あるいは乱用を戒める、こういうことに今後努力していきたいというふうに考えております。
  190. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国会議員が御要求になる場合には、特別の考慮を払って、できるだけ御協力申し上げるようにいたします。
  191. 中谷鉄也

    中谷分科員 官房長の答弁が違ったのですが、取り扱い注意文書というのは一体何件ありますかという質問を私はしたのでしたね。ですから取り扱い注意文書というのは何件あるのか。それで、もう時間が来たようですからやめますけれども、秘密に準ずるなんということをいって、それで取り扱い注意文書を長官がなるべく見せるようにするといえば、取り扱い注意を全部秘にしちゃうということであれば、ますます内局の秘密主義というものが自衛隊を暗くしている原因になると私は思いますよ。そういうことになれば、内局の秘密主義というのが——私は自衛隊に行ってきたけれども、大歓迎、自衛隊に行って隊員諸君と話をした、あしたも戦闘機に乗りますけれども、大歓迎。とにかく制服の諸君も、そういうふうな秘密秘密で拘束されることについては非常に心理的な負担を感じている。何もかも取り扱い注意だ何だ、何でもないようなものが、というふうなことでは、私は、国民の広場に自衛隊が出てこないと思う。そういうことで、自衛隊の、何といっても二十万をこえたところの集団との対話をわれわれやらなければいかぬ。そういう中で内局が秘密事義を守っておる。これでは、長官がおっしゃっておる、国民の広場に自衛隊を持ってくるということとは全くうらはらの関係になる。  長官、私自身が、この人口問題の限界ということで、人口問題から見た自衛力の限界というのを質問しようと思って、そして防衛庁の職員を呼んだら、防衛年鑑と自衛年鑑を読んでくださいと、ばかにするのもいいかげんなことを言う。そんなばかなことありますか。それで、やっと苦労してこれを手に入れてきた。取り扱い注意を手に入れてきた。そうせざるを得ませんよ。そんな苦労をなぜ国会議員がしなければならぬのかということなんです。だから、私の言いたいのは、長官、国民の広場に自衛隊を引き出すという意味において、内局に——私は率直にいって、各省に資料を要求したら、通産省から出向なさっている装備局長も来ておられるけれども、通産省なんか、資料を持ってこいと言ったら、いやなくらい持ってきますよ。防衛庁なんか、ほんとの薄っぺらいものしか持ってこない。そういうふうな秘密主義を改めること、これをひとつ長官、私はきょうは人口論の立場から見た自衛力の限界という、はなはだ緻密な質問をしようと思ったけれども、政治姿勢の質問になってしまいました。大事な最後の質問だから、ひとつその点について御答弁をいただきたい。
  192. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御意見はよく承りました。国民の広場に出す前に、やはり国会の広場に先に出す必要がある、そういうようにも思います。それで、国会議員というのは、国民を代表なさる方々でございますから、特に考慮してこれからも処置いたします。  中谷さんみたいに御熱心に防衛問題を御研究くださる方はまことにありがたいと私は思いまして、でき得べくんば、その広場に小広場にあたる防衛委員会を、国会にぜひおつくりいただきたい、お願いいたしたいと思います。一路平安を祈ります。
  193. 中谷鉄也

    中谷分科員 では、終わります。
  194. 大野市郎

    大野主査 これにて防衛庁所管に対する質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、本分科会における質疑は全部終了いたしました。     —————————————
  195. 大野市郎

    大野主査 この際、おはかりいたします。  昭和四十五年度一般会計予算昭和四十五年度特別会計予算及び昭和四十五年度政府関係機関予算中、会計検査院防衛庁外務省及び大蔵省所管に対する討論採決は、先例によりまして予算委員会に譲ることに御異議ありませんか。
  196. 大野市郎

    大野主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これにて第二分科会の議事はすべて終了いたしました。  この際、分科会の各位、特に副主査方々の御協力を心から感謝いたします。  これにて散会いたします。     午後零時四十四分散会