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亀長政府委員 行政監理委員会の意見というのが、民間六人の行政改革に関する意見という形で発表されたということは承知をいたしておりますが、行政監理委員会の公式意見というふうに必ずしもまだ熟していないということも聞いております。行政管理庁からもその取り扱いについて正式の連絡もまだ受けていない
段階であります。連絡のあり次第、いろいろ
指摘されておりますような点については
農林省として十分検討いたしまして正式の態度を決定し、また、行政管理庁とも十分打ち合わせをする段取りにいたしております。私がいま申し上げたような
段階でございますので、本来、正式の連絡があって向こうの意向も十分聞いてから、具体的な問題について私
どもの意見を発表すべきが筋だろうと思いますが、一応、いまいろいろ出ておる
段階でのわれわれの
考え方を暫定的に御報告申し上げたいと思います。各
局長というお話でございましたが、便宜、一括して私から御説明申し上げます。
食糧事務所につきましては整理縮小すべし、支所、出張所についても削減をすべし、こういうふうに承っております。御承知のように、食糧事務所につきましては、過去十年間に検査
数量も二倍になっておりますし、御承知のような大きな在庫もかかえております。その是非は別といたしまして、現実にそれだけのものを正確に管理をし、輸送し、売っていかなければならぬ、こういう実務上の問題がございます。またすでに、
政府の
一般的な
方針に従いまして、
昭和三十八年以降、定員の増加はいたすどころか、逐次削減あるいは他局への振りかえ等を実施いたしております。四十五年度末までには、三十八年に比較いたしますと二千百人の定員を削減する段取りにいたしております。このような事情からいたしまして、行監の委員会の御意見については、現在の食管
制度のもとにおいてはわれわれとしても能率的な業務遂行をはかるように最善の
措置をとっているということを説明して、十分了解を得たいというふうに
考えております。
それから、統計事務所につきましても、御承知のように定員につきまして、四十三年度には約一万二千五百人おりましたけれ
ども、これは最小必要限度の一万人に圧縮するという
方針をすでにつくっております。さらに、その二千五百人は他に振り向けろという御
指摘もございましたが、すでに農産物の
流通改善等に二千五百人は振り向けるということで逐次進んでおります。
また、支所、出張所等につきましては、これは食糧事務所も同じでございますが、最末端につきましてはやはり
産地と密着をした行政というものがどうしても必要であるというふうに
考えております。
なお、統計
調査事務所の県本所につきましては、地域農政と密着をさせるという趣旨の設置法
改正案を今国会に提出していることは御承知のとおりであります。
生糸検査所につきましては廃止という御意見のようでございますが、民間の自主検査に移行させたらどうかということでございます。御承知のように、生糸検査は非常に長い歴史を持っておりますし、また、その検査いかんが当事者の取引に大きな影響を及ぼすという
関係でございまして、長年の検査を実施した経緯もございますので、これを性急に廃止するということは取引上も非常に大きな問題があるのではないかというふうに
考えております。ただ現在、行政管理庁で行政監察の結果、生糸検査のあり方につきましては
農林省といろいろ協議中でございますので、その進行状況も見合わして検討を進めてまいりたい、かような態度でおります。
次に、蚕糸事業団につきましては廃止をせよという御意見のようでございますが、これは基本的に私
どもが承知をしておる
段階では、生糸に対する政策に対する批判が多分に含まれておるように思うのであります。この問題につきましては、生糸の非常に特殊な性格、特に
生産機構、
流通構造が他のものと変わっておりまして、製糸の過程あるいは乾繭の過程、いろいろな過程がございます。その結果、過去にありましたような大きな
価格変動を防止するということが、生糸の
価格安定のためにはどうしても必要なわけでございます。
さらに、御承知のように、生糸につきましてはすでに自由化をいたしておりまして、
海外からの生糸による
価格変動ということも十分
考えなければならぬという情勢でございますので、現時点におきまして、たまたま蚕糸事業団が、生糸の保有がないということから、これの廃止をいわれるのはきわめて早計じゃないかというふうに
考えております。現に、四十三年の七月から九月まであるいは四十三年の十二月から翌年八月までの間には、事業団の買い入れ、売り渡しによりまして、生糸の
価格安定が行なわれたということもございますし、また、
海外からの
価格変動につきましては、先般の糸価安定法の改正におきまして、
海外の生糸に対しては、必要があるときは適切な
措置をとるような修正もしていただいたような経緯もございます。そのような経緯から、私
どもとしては、早急な廃止は困難であるという
考えであります。
糖価安定事業団につきましても、多分に政策的な御批判のようでございまして、国内産糖のほうは
生産者に対する助成のほうに振りかえろ、沖縄産糖につきましては、別個独自の
措置をとれというような御意見のように承知をいたしておりますが、御承知のように、糖価安定事業団の廃止をいたしまして、現在の
輸入糖価から差益を徴収するという
制度を廃止いたしまして、国内産糖の保護を
生産農家に対する直接補助に切りかえるといたしますれば、もちろん、財政負担としては現在よりはるかに大きなものを負担しなければ十分な安定が守られない。しかも砂糖は、御承知のように、国際商品でございますので、国際
価格の
変動というものが、
生産者に対する
変動あるいは財政負担に対する影響、いずれにしても大きな
変動を与える要素として作用する。さらにこれは、砂糖に関連をいたしますブドウ糖、水あめ原料であるでん紛というような問題にも波及をいたすというふうに
考えております。なお、沖縄産糖につきましても、それぞれ内地の産糖と
価格に程度の差はあるが、本質的には同じ問題であると
考えておる次第でございます。
いずれ、詳細につきましては、行監委の正式な意図表明並びに説明を待って
農林省の態度を決定いたしたいと思っておりますが、いまのところはそのような
考えでおります。