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1970-03-18 第63回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月十八日(水曜日)    午前十時六分開議  出席分科員    主 査 藤田 義光君       小平 久雄君    細田 吉藏君       松野 頼三君    渡辺 栄一君       久保 三郎君    平林  剛君       藤田 高敏君    山口 鶴男君       坂井 弘一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         建設大臣官房長 志村 清一君         建設大臣官房会         計課長     大塩洋一郎君         建設省計画局長 川島  博君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省河川局長 坂野 重信君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         建設省住宅局長 大津留 温君  分科員外出席者         文化庁文化財保         護部記念物課長 中西 貞夫君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部施         設課長     信沢 利也君     ————————————— 分科員の異動 三月十八日  辞任         補欠選任   北山 愛郎君     山口 鶴男君 同日  辞任         補欠選任   山口 鶴男君     藤田 高敏君 同日  辞任         補欠選任   藤田 高敏君     平林  剛君 同日  辞任         補欠選任   平林  剛君     北山 愛郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十五年度一般会計予算運輸省郵政省  及び建設省所管  昭和四十五年度特別会計予算運輸省郵政省  及び建設省所管  昭和四十五年度政府関係機関予算運輸省及び  郵政省所管      ————◇—————
  2. 渡辺栄一

    渡辺(栄)主査代理 これより予算委員会第五分科会を開きます。  藤田主査が都合により出席がおくれますので、その指名により私が主査代理を行ないます。  昭和四十五年度一般会計予算及び昭和四十五年度特別会計予算建設省所管を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。
  3. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 大臣も私も日本人でありますが、日本には昔からいろいろな行事習慣というものがございます。その中でも祖先を祭るお盆というものは、日本人としてこれは重要な行事ではないかと思いますが、大臣いかがお考えですか。
  4. 根本龍太郎

    根本国務大臣 山口さんおっしゃるとおり、これは、民俗的な慣習というものはやはりそれぞれの地区で異なりますけれども、それぞれの意味のあることであると思っております。
  5. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 日本には日本として古来からの民俗的な習慣というものがあり、行事というものがございます。そういうものは大切にしなければならぬというお考え大臣もお述べになりました。実は私の郷土は群馬県でありますが、群馬県は利根上流地域でございまして、利根川治水考えます場合最も重要な地点であることは言うまでもありません。また、工業用水なりあるいは上水道なり、水資源を求めようとする場合に、群馬県が水源地域として重要な役割りを持っていることも、これまた事実だと思います。  そういうわけでありますので、利根川につきましては矢木沢ダムあるいは薗原ダム藤原ダム、あるいは相俣ダム下久保ダム、多数のダム群が現在できております。また、今度昭和四十五年度予算におきまして、従来実地調査の段階でございました八ツ場ダムというのを、今度は四億円程度でありますが、建設費を計上されたことも、予算書で私ども承知をいたしております。ところが、その八ツ場ダム地元ではやんばダムと呼んでおりますが、このダムに対しまして昨年建設省土地収用法に基づく準備のための立ち入り手続をいたしまして、準備のための立ち入り調査を実施しようといたしました。ときあたかもお盆だったわけです。お盆といえば祖先を祭る行事ですね。しかも八ツ場ダム地域では、七割五分の方々が絶対反対ということで結集をしておられるわけであります。当該地域群馬吾妻長野原町というところでありますが、この長野原町の町議会におきまして十三対八で数次にわたって絶対反対を決議しておる、こういう状態であります。そういう状態でありますから、法的な手続もなければいかぬというので、準備のための立ち入りをなさろうとしたのだと思いますが、やはり私は、時というものを考えなければいかぬと思うのですね。お盆というのは祖先を祭る行事だ。で、住民方々は、祖先伝来土地を守ろう、こういうことで反対運動をなされておる。それをわざわざお盆にそういう調査を強行しようということは、これは大臣、常識からお考えになっていただけばわかると思うのですが、やり方としてはあまりいいことではない、むしろ避けるべきことではないか、かように思うわけでありますが、御所見を承りたいと思います。
  6. 根本龍太郎

    根本国務大臣 お盆習慣というものは尊重されるべきだけれども、それと調査とをすぐひっからめて考えるということについては、ちょっと私、その状況がわかりませんからにわかに申し上げられないと思いまするが、いま河川局長から聞くと、地元のそういう意向もあったので中止したということであります。
  7. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 私が坂野河川局長に当時申し入れをいたしまして、お盆中は避けるべきだというお話をいたしました。坂野局長、常識ある方でありますし、良識ある方でありますから、快く私ども申し入れを受け入れまして中止をいたしましたことは、私はたいへんけっこうだと思うのですが、問題は、坂野さん良識があるからいいと思うのですが、実際に仕事を扱っております東京建設局ですね、こちらの諸君はどうも良識が足りぬのじゃないか。大臣お盆調査とストレートに結びつけるのはどうかと申しましたが、やはり祖先伝来土地を守ろうという住民気持ちですね、それをわざわざお盆にそういう計画をするということは、私は、やはりお役人としても十分反省していただかなければならぬのじゃないかと思うのです。今後はひとつ日本古来の民俗的な行事、そういうものは十分尊重して、そして仕事に当たる場合も、役人諸君が十分その辺を配慮して仕事に当たるように、これは大臣として十分下部を督励していただきたいと要請をいたしておきます。  さて、そこで本論に入りたいと思いますが、各地域建設省ダムを建設する計画をお立てになりますと、住民反対運動、きわめて強い反対運動の場合もありましょうし、あるいは条件的な運動が起こりました場合もありましょう、いろんなケースがあると思いますが、いずれも住民方々が何らかの形で抵抗すると申しますか、強く建設当局要請をするといいますか、さまざまの形の運動が起きていることは大臣も御存じだと思います。そこで私申し上げたいのは、少なくとも住民の絶対多数が反対を表明している、八ツ場の場合七割五分の諸君反対をいたしております。それから町議会といえば、当該地域の町民の意思決定機関であることは言うまでもないと思うのです。こういった議会反対決定をしている。こういう住民意思というものは、私は、十分尊重されてしかるべきではないか、かように思うのです。たまたま私、予算委員会一般質問で質問いたしまして、時間がなくて大臣に十分質問できなかったのですが、そのとき取り上げた問題の一つに、自治体地方自治法九十九条の二項によって意見書を採択することができる、それを関係行政庁に提出することができることになっています。建設省にも、都道府県はじめ三千に余る市町村からのもろもろの意見書が集中していると思います。ところが、このような意見書に対して、今日まで行政庁が何らの回答もしていない。国会には請願が出ますと、当然、その請願書類につきましては、請願者に対して報告がなされています。ところが、町議会が正規な会議を開いて決定して、意見書を出したものに対して行政庁がナシのつぶてということでは、私はやはり、地方自治尊重のたてまえ、特に佐藤総理大臣内政の年と言っている内政の任務はこの地方自治体がになうわけですから、そういう意味では問題があるのじゃないかということを提起いたしまして、自治大臣が、今後は各省庁の発行しているPR資料に、各自治体から出ました意見書についてはこういうことになりました、こういう記事を載せるようにしようということになりましたことは、私は非常にけっこうだと思うのです。建設省もぜひともこれを実行していただきたいと思いますが、そういったこともあわせ考えましたときに、自治体の決議、自治体意向というものは、私は行政庁は当然尊重してしかるべきではないかと思うのです。したがって、ダム建設の場合と当該地域議会意思住民意思、こういうものを一体どうお考えでありますか、大臣の御所見を承りたいと思います。
  8. 根本龍太郎

    根本国務大臣 建設省ダムあるいは道路その他の公的施設する場合において、でき得るだけ地元住民納得を得て実施するということは、従来ともやっておるところでございます。ところで、八ツ場の問題については、よく関係者意見を聞いてみますと、山口さん御指摘のとおり地元議会反対、ところが県会条件つき賛成をしておる。また住民の中に反対者もあれば、賛成者もある。いまのところは反対者が多いということに聞いています。私も実は十二年前にもいろいろこういう問題を取り扱って見ておりまするが、こういうダム築造にあたりましては、最初まっこうから反対しておったものが、だんだん交渉の過程において理解を得るとともに、条件が充足されれば納得していった例が非常に多いのでございます。したがいまして、一時地元住民反対であったとか、あるいは地元の町村の議会反対であっても、それが即工事あるいは調査の停止ということになりますれば、もっと広い立場から見た国家と申しますか、広域社会の総合的な利益のためには、もう少し理解を深めてもらうということも必要だと思う次第でございます。したがいまして、何よりもまず対立的な関係で、一方は反対だ、それには物理的抵抗をする、一方は国家権力でどこまでもやるということでは、これは好ましくないことでございます。よく話し合いの上、そういうものを理解を得て、調査並びに工事を進めていくのが建設省方針でございます。
  9. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 各地ダム、私もいろいろ各地状況を調べておりますが、確かに大臣のおっしゃるとおり、初めは一〇〇%あるいは九〇%の方が反対だ、次第に反対の割合が減っていくというケースが多いことは事実ですね。ただ、この八ツ場の場合は、昭和四十一年に問題になりまして、昭和四十二年、四十三年、四十四年と実地調査予算が三カ年間つきました。昭和四十五年度、今度建設費が四億ほどついたわけでありますが、この間五年間の月日がたちました。この間、町議会反対という意思決定は変わりがありません。また住民方々も、初めは全部一致してダム対策協議会というのをつくっておりましたが、その後分裂をいたしまして、絶対反対条件つき賛成中立というものに、いま三つに分かれております。しかし、その比率も、絶対反対が約七割五分、条件つき賛成が一割五分、中立と称する諸君が約一割と、こういった比率変更がありません。そういう意味では、他のダムケースよりも、議会反対をずっと堅持している、住民も大多数が絶対反対であるということについては変わりないわけでございまして、こういう意味では、初めは反対が多いがだんだんしりすぼみだというケースとは、この場合だいぶ違っているということを御認識いただきたいと思うのであります。その理由は何かと申しますと、いまの場合におきましても、私どもは社会党としまして何もダム絶対反対、すべてに反対だといっているわけじゃない。やはり日本心臓部ともいうべきこの関東平野首都を含むこの関東平野が一たびキャスリン台風アイオン台風ぐらいの台風に見舞われて、そして洪水でもってたいへんな事態が起こるということは、これは国家的利益考えましても絶対に避けるべきである。したがって、治水のためのダムというものは、これは私どもとしては必要であるということから、今日まで各地ダムができておりますが、私ども反対運動をいたしませんでした。ところが、その後、建設省の努力によりまして利根治水計画が達成をいたしまして、八斗島において三千五百トンの調整をするということも、これが完成をいたしております。したがって、一応建設省計画では、治水のためのダムは今後群馬には必要ないという事態になりました。となれば、今後は利水のためのダムである。利水のためのダムということになれば、これは上水道ということはやむを得ぬわけでありますが、しかし、これからはむしろ新たに発展する京葉、京浜地帯工業用水だ、あるいは東京湾を埋め立てた場合に必要な工業用水だということであれば、おのずからこれは国家的利益治水ダムとは性格が異なっている。そういうものであれば、私どもは、何も水源地のみが大企業の工業用水犠牲になる必要はないではないか、こういう考えなんです。したがって、反対諸君が終始一貫その態度を堅持しているという状況と、それから治水のためのダムであるならば、これは一面やむを得ぬ点はあるけれども、すでにその計画は達成されているという中で、利水のために水源地域諸君が一方的に犠牲をしいられるということについては納得しがたい。そういう事情からいま申し上げた町議会も、あるいは七割五分の諸君反対を堅持しているという事情は十分考えていただきたいと思うのです。だからこそ反対がずっと、終始根強く続いているという状況をどう御判断になりますか、御所見を承りたいと思います。
  10. 根本龍太郎

    根本国務大臣 八ツ場ダム目的は、山口さんは、利根川治水関係は全部終わってしまっている、こう判断しておられるようでございますが、建設省はそうは見ておらない。利水もありますが、やはり治水の点についてもこれが必要であるという判定に立っているのでありまして、その点に若干認識相違があるようでございます。いずれにいたしましても、地元だけが犠牲を払うという考えはないのでございまして、ただ、ややもしますればそういう水源地帯においては相当の埋没地帯も出てくるでしょうし、そういう関係から被害感が相当深刻であるということは、いずれの地帯においてもそれは共通したことだと思います。けれども、全体の関東地区首都圏全体がよりよき社会経済発展のためには、やはり広い心で協力していただくということも必要であろう。したがいまして、この点はよく地元の人々の御了解を得てやりたいというのが、現在のわれわれの心境でございます。
  11. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 治水は完了していないのだ、その点認識が違う、こういうお話ですが、実は群馬県の土本部長、その後土本部長はかわりまして、技官になりまして退職いたしましたが、その方が、私が県会議員をやっておりますころ建設省から参りまして、建設省課長をしておった方ですが、その方が三万五千トン八斗島で調整しなければいけないのだ、これができたら利根洪水調節は完了するのだということを最初強調されたものですから、群馬県民はすなおにそのことを了承して、関東平野のためであるならば群馬としては忍べるものは忍ぼうというつもりできたのですよ。それは建設省から来た人が言ったのでなければ別にいいのですけれども、その人がはっきりそういうことを県民にも約束し、議会にも約束してきているのですから、これは建設省は二枚舌を使ったのです。その点は認識相違で、水かけ論になりますから、しばらくおくといたしましょう。  大臣が最後に言われました、地元納得を得てやります、こういうお話ですが、この点は私も、昭和四十二年の国会以来、歴代の建設大臣にこのことをいつもお尋ねいたしました。保利建設大臣も、地元了解が得られない限りこれはできるものではないということを言明せられておるわけですが、今回はちょっと事情変更があります。ということは、いままでは実施調査予算でありましたものが、今年度四億でありますが、建設費予算に今度は変わりました。予算の性質が変わったわけであります。そこで私は坂野局長さんに、その予算がつきましたときに、今度は建設費だけれども、強引に強行するつもりはないだろうなと言いましたら、予算実施調査費であろうと建設費であろうと、地元の御了解を得てやるという建設省方針は変わりがありません、こういうふうに私に言われたわけであります。大臣、その点は確認をしてよろしゅうございますね。
  12. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先ほどから申し上げているように、現実に地元の全然の了解なくして強行することは、かえって工事そのものができないのにトラブルが発生してまいりますので、われわれとしては、地元納得を得ることにいま重点を入れておるのでございます。そういう意味で、どうかひとつ山口さんのような有力な方も、利水の面もやはりこれは首都圏でたいへん大事な問題でございまするので、ぜひ御協力いただきまして調査だけはまず円満にやらしていただいて、それから工事に入るわけですから、工事までに御了解を得るように努力したい、こういう意味でこの予算をつけておるのでありまして、地元が断じて反対だということを、強制力を発動してやるということは現在考えていないのでございます。
  13. 坂野重信

    坂野政府委員 ちょっと補足説明さしていただきますが、若干先生の受け取っていらっしゃる感じと私が申し上げたこととニュアンスが違っておるわけであります。いま大臣が申されたように、着工については、地元了解なしにやろうと思っても実際にできないことでございます。しかし、私何べんも先生に申し上げているように、調査はぜひともやりたい。調査をやらなければ、地元了解もできなければ生活再建も何もできないのだということで、調査の問題につきましても私は強調したつもりであります。その点ひとつ御了承願いたいと思います。
  14. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 調査をぜひやらしていただきたいと建設省がしばしば言っていることは、私もよく承知しています。それならば私はお尋ねしたいと思うのですが、地元が出しております要望、あるいは群馬県議会がこういうことをやっていただきたいという要請をいろいろしているわけでありますが、その一番の中心は、早急に水源地域開発法を制定してもらいたいというのが柱であります。大臣も御案内のように、現在の制度では金銭補償がたてまえであります。いわば水没された方、土地収用法土地を取り上げられた方々生活再建対策という面では、非常に不備であることは大臣も御案内のとおりです。したがって、水源地域とすれば、確かに国家的利益ということはわかるけれども、一方的に水源地域のみに犠牲がしわ寄せされることは反対だ。したがって、そういう意味では現在の制度を改めて、生活再建対策金銭補償ではなくて現物補償、そして、その後の生活再建でどうめんどうを見ていくかということを中心とした制度を打ち立てるべきではないか。全国知事会としてもこれを決議して各省に要求しておりますことは、御案内のとおりであります。したがって、この水源地域開発法は一体どうなるのか。国会でお尋ねいたしますと、どうもこれは各省間のなわ張りがあってむずかしいというようなお話であります。特に、あえて言えば、建設省のなわ張りが少し自治省あるいはその他の省に持っていかれるということで、建設省がむしろ非常に否定的な考え方だという状況なんです。そういうことでは地元諸君は、私は納得しないと思う。少なくとも水源地域開発法は、建設省としても断固これに賛成して進めるということであるならば、地元も、調査をして、生活再建ということについても、これは建設省、国は本腰を入れるなという気持ちになるだろうと思うのです。そちらのほうが先じゃないかと思うのですが、この点は局長に聞いてもしようがないから、大臣にお尋ねしたいと思うのですが、大臣どうですか、これは。
  15. 根本龍太郎

    根本国務大臣 実は私も昨年まで党の政調を担当しておりまして、こういう意見も聞きまして検討してみました。ところが、ダム開発にあたってはそれぞれの地区において、それから目的によっていろいろ違いまして、そういう立法をすることがはたして妥当かどうか、なかなか判断を下されないような状況であります。ただ、しかしながら、山口さんがいま御指摘のように、ダム開発はある程度まで一巡したあとでございまして、いま残っているのは、非常に条件がむずかしいかあるいはまた……(山口(鶴)分科員平たん部ですね」と呼ぶ)相当そういうことになってくるのですが、御指摘されたようなことが地元から要求されるのは、これまた理屈のあることでございます。そういう意味では、金銭賠償だけであとは知らぬというようなことはとうていできません。そこで、これをやる場合には、生活再建なりあるいはまたいろいろの条件をくっつけてやらなければならないということは感じておる次第でございます。そういう観点から、建設省は決して自分のほうのなわ張りが損だからというようなことはいたさせません。ただ、現在、こういう立法をしなければできないということになると、かえってそのために今度いろいろのトラブルが起こってくるようでございまして、この点は、十分にダム築造にあたりましては、金銭賠償以上の地元民の生活再建ということを重視して措置いたしたいと思っておる次第でございます。
  16. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 行政措置で同じような趣旨のことをやろうというようなことは建設省も言われるんですが、やはり行政措置ではおのずから限界がある。現に群馬県でも草木ダムというのが問題になっていますが、鉄道の駅については公認するというような約束をしているんですね。ところが、いざ着工というときになると、どうもうまくいかない、国鉄のほうがなかなかうんと言わぬというようなことを言って、結局判こを押させる前の話しと押したあとの話では行って帰るほど違ってくるということで、地元不信感を非常に高めている面があるわけです。ですからひとつ大臣、これは行政措置でもってできる限りやるということではなしに、ここにも小平さんがおられますが、群馬県、栃木県と、同じほうで迷惑をしているのでありまして、そういう意味では与野党一致しているんじゃないかと思います。そういう意味で、ひとつ水源地域開発法は前向きで検討する、そうでなければこれから平地につくろうとするダムというものは全く不可能なんだ、こういうことでひとつ取り組んでいただきたいことを強く要請したいと思います。  それから、文部省の記念物課長がお見えでありますからお尋ねしたいと思いますが、ここに名勝天然記念物がありますね。吾妻峡、それから天然記念物岩脈名勝吾妻渓谷、二つあります。したがって、これにつきましては、文化庁といたしましてもきわめて珍しい岩脈であり、名勝であるから、名勝が水没する場合、文化財保護審議会の同意が必要なのでそう簡単には水没させない、こう県のほうでは言っております。文化庁としても同じような御見解だと思うのですが、一たん水没した場合はどうしようもないものでありまして、この名勝並びに天然記念物が水没するということに対して、文化庁としてはどのようなお考えを持っておるのか、承りたいと思います。
  17. 中西貞夫

    中西説明員 いまお話しのように、吾妻渓谷昭和十年に指定になっております。それから、岩脈につきましては昭和九年に指定になっております。私ども基本方針といたしましては、名勝のみならず史跡、埋蔵文化財天然記念物等につきまして、できるだけこれの保存をはかっていきたいというような方針でまいっておるわけでございます。したがいまして、この吾妻渓谷等につきましても、なるべく保存をはかりたいという方針でまいっておるわけであります。一方、建設省のほうでは、いろいろ洪水調節目的といたしましてどうしてもダムが必要だというお話でございまして、その間の調整をとっておるわけであります。したがいまして、単に対立しておるだけでもありませんで、必要な調査建設省の予定地点以外の地点につきましても調査していただきまして、それ以外のところはダムの建設ができないかどうかというようなこと等について、いろいろと検討なり調査結果を求めたりしておるわけでございます。この問題は大事な問題でございますので、文化財保護審議会あるいはその組織となっております第三専門調査会の名勝部会等にもはかりまして、専門の先生方の御意見等も十分伺いまして対処してまいりたい、こういうように考えておるわけであります。
  18. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 そうしますと、文化庁とすれば、このような名勝天然記念物が水没することは望ましくない、したがってダムサイトを移動することはできないかということで建設省に要望しているということですね。——時間がありませんからまとめてこれで終わりたいと思うのでありますが、一つは、そういう意味で、文化庁では文化財保護という観点から断固たる対策を講じていただくように強く要請したいと思うのですが、課長さんとしての明確な考え方を再度お述べいただきたいと思います。  それから建設省のほうにお尋ねしたいのですが、どうもそういったダム計画ができますと、大手の建設会社が非常に暗躍をするケースがあるわけであります。特に群馬県では、まぼろしのダムといわれている沼田ダム、あの辺は間組の子会社であります昭和実栄というのが、すでにダムサイトの重要地点を買収いたしております。それから八ツ場ダムにつきましても、同じようにダムサイト地点を、間組の子会社である昭和実栄がこれまた買収いたしております。そのほか、大成建設、前田建設、鹿島建設、こういう建設会社がこれまたダムサイト周辺の地域を買収いたしておるわけであります。こういうことは非常に不明朗なことを感じさせるのであります。かつて早明浦ダムを間組が請け負って、大林組が下請をするような非常におかしなこともあったと聞いております。このようなダムサイト周辺を大手建設会社が買収をして、入札の際に何か一つの有利な足がかりをつくっていこうというような、非常に不明朗なものを地元に感じさせる。この入札にあたりまして、ダムサイト地点を買収しておるものが優先的なんだ、こういうようなことではおかしいと私は思います。入札の際に対する建設省としての態度というものについてお聞きをいたします。  この二つをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  19. 根本龍太郎

    根本国務大臣 建設省は、請負業者が関連地帯土地を持っておるとか、そういうことによってそれが一つの既成事実となって、それに基づいて指名するということは絶対にありません。建設省は、指名に関し厳格なる客観的な審査をするための機関を設けておりまして、その機関でその工事の技術的な、あるいはまた経済的な諸条件をずっと調べた上、相当数の候補を選びまして、そうして私のところまで参ります。そこで判定いたすということで、少数の人間とかあるいは特定の人間が指名する権限をなくしております。したがって、いろいろのうわさがあったということを聞いておりまするので、そういうふうな方法をとっておりますから、土地をある会社が持っているから、それが一つの因縁で指名するというようなことは全然考えておりません。
  20. 中西貞夫

    中西説明員 文化庁といたしましては、できるだけ名勝保存したいという考え方のもとに、さっき申しましたように、別の地点の調査を依頼しておるわけでございますが、地質調査とか非常に科学的な調査でございますが、そういう調査の結果と、それからダムの必要性、名勝の大事さというような点をよく資料を整えまして、専門委員等におはかりしたいと思っております。
  21. 渡辺栄一

    渡辺(栄)主査代理 山口君の質疑は終了いたしました。  藤田高敏君。
  22. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 私は、本州四国連絡架橋の問題について、以下質問をしたいと思います。  一昨日もこの問題につきまして、徳島の広沢議員のほうから質問がありましたが、これは国の重要施策としてもたいへん大事な問題ですし、かたがた、関係する地元にとりましてもきわめて重大な関心を持っておる問題でありますので、極力一昨日の質問とは角度を変えてお尋ねをしてみたいと思うわけですけれども、問題の性質上ダブることもあろうかと思いますが、一応御了承をいただきたいと思います。  そこでまず、時間の関係でそのものずばりでお尋ねをしたいわけですけれども、後ほど私が調査いたしました経過を、必要があれば発表したいと思うわけですが、この前にも額がありますが、かつて河野建設大臣当時から、この橋の問題については三本のルートがありますが、本州四国架橋問題といえば、どこそこの橋だとか、どこの橋から早く着工するんだとか、全くヤマタノオロチではありませんけれども大臣がかわるごとに政府の見解というものは二転、三転どころか、七転、八転という形で変わってきておる。そういう点で、地元関係者にとりましては、政府の方針というものは、優先順位というものを明確にきめてやる方針なのか、それとも新全国総合開発計画との関連等から判断をして三ルート同時着工でいくのか、そこらについてもまだ非常に不明確なわけなんですね。これは一昨日の答弁を聞きましても、私は明確でないと思う。非常にあいまいな形で政府の態度というものを表明しておると思うわけです。  お尋ねしましたように、優先順位というものをきめてやる方針なのかどうか、この点をまずお尋ねしたいと思います。
  23. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは、すでに再三私から申し上げましたように、この本四連絡橋のいままでの取り扱い方は、ざっくばらんに端的に申し上げますと、地元のほうからいろいろの陳情があるたびごとに、何とかしなければならぬ。ところが、これを一本にしぼらなければ、財政上とても負担能力がないというような観点から、いろいろの発言がなされたようです。ところが、現実にこれをやるという場合において、非常に重要な問題が実はたな上げされたまま、政治的な点だけが多かったと私は判断いたしたのであります。  そこで、重複しまするからごく簡単に申し上げまするが、これを現実にやる場合には、日本にはその技術的な裏づけがないのです。理論的には可能であるという学会の回答はありまするけれども、あれだけの長い橋を、しかも鉄道も併用し、かつ潮流のはげしい、しかも物理的条件の悪いところに、しかも台風常襲地帯にこれをやるということは、世界的にもほとんどいままで経験がないのです。この裏づけなくしてどっちが早いとかなんとかいうことは、これは政治論としては成り立つけれども、現実にやる場合にはたいへんなことです。そういうことで、どうしてもまず責任ある技術開発と実施設計をしなければならない、この結果に基づいて技術的な可能性、経済効果ということと、それから地元民がどの程度までこれに協力し得るかという、これらのざっと三つの条件が提示されて、それから後に具体的に順位をきめるべきである、こういう考え方であります。  その意見を、四十五年度予算編成にあたって、私が大蔵大臣並びに関係閣僚とも話した結果、これは政府・与党一致で、まさにそうあるべきだということで、今度法案として、本四連絡橋の公団を設置するということにいたした次第でございまするから、順位をまずきめてそれからどうということではなくて、まず公団をつくりまして、そうして公団で技術開発と実施設計と、それから地元がそれぞれの主張しておるルートついて、どういうふうな受け入れ体制というか協力体制というか、またさらにそれをどう広域的に利用するかというプロジェクトを出していただいて、それに基づいて客観的な判断をくだす、これが現在の政府の統一意見でございます。
  24. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 私は、根本大臣のいまの御答弁を、実は率直にそのように理解をしたいわけでありますけれども、いままでの経緯が経緯だけに、たいへん失礼かもわかりませんけれども、そのままの姿で理解することができないわけなんです。なぜかといえば、建設大臣がかわるたびに、それぞれ政治的な意味において発言をしたという程度であれば、私もそれはそれなりに理解をしたいわけでありますけれども、いやしくも一国の総理大臣がこの問題について、着工の時期あるいは着工の順位、そういうものについての態度決定意思表明をいままでしてきておるわけなんですね。少なくとも総理が、最高の責任者が着工の順位についてその見解を表明してきたものを、各省の一建設大臣が、これとは逆なことを言っても、私は関係者としても、国民としても納得しがたいのではないか。その点では、大臣も御承知でしょうけれども、たとえばなくなった河野建設大臣の問題はともかくとして、四十年に瀬戸山建設大臣が、万国博までに間に合うように四十一年度から着工したいと言っておるのですね。保利建設大臣のときには、四十三年の秋までには着工ルートを決定すると談話を発表している。それから四十四年、去年総理大臣が、優先順位を含めて秋には決定する。その後訪米の前後とかいうことは、新聞にも再三載りましたけれども、続いて四十四年に、田中幹事長が衆議院の選挙前に、この三ルートについては同時着工する、着工の時期については、前段はどこか特定な優先順位をきめるという発言ですが、ここでは三ルート同時着工。四十四年のこの間の選挙中には、これまた佐藤総理は遊説先において、優先着工ルートについては予算編成前に結論を出す、倉敷における談話ではそういうことをはっきりと言明しておるわけですね。  こういう経過をたどってきておることを一つ一つとらえてみますと、私は、よほどの政治的な理由があって、一昨日の大臣答弁になりあるいはきょうのただいまの答弁になっておるんじゃないかと思うのです。少なくとも一国の総理の発言がこういう形で、いま言われたことがそのままほんとであるとすれば、これは総理大臣から一ぺん政府の統一見解を発表してもらわなければ、国民は信頼しないんじゃないか、関係者としては信頼を置くことはできないんじゃないかと思うのですが、その点についてのお尋ねが一つと、このようにこうずっと考え方が変わってきたことに対して、政府がどういう責任を感じておるのか。今日、この橋の問題だけでなくて、これは与野党通して、わが国の政治に対する不信といいますか、この間の選挙の結果でも、二割に及ぶ人が棄権をしていますね。この内容の分析にはいろいろありましょうけれども、今日政治不信というものがやかましくいわれておる。この橋の問題一つを取り上げてみても、今日の佐藤内閣の政治姿勢の中には、政治不信を助長するようなことがあまりにも多過ぎるんじゃないか。これに対する政治責任というものを、大臣から所見を聞かしてもらいたい。  時間の関係がありますから、これまたそのものずばりでお尋ねをしたいわけですけれども、少なくとも客観的に新聞その他の報道によっただけでも、事務レベルにおける調査というものは一応完了して、政治的には着工順位をきめるだけの判断材料ができておるんじゃないかと私は思うのです。     〔坂井主査代理退席、主査着席〕 しかしながら、いま建設大臣が言われたような形で着工順位を遷延するような態度に変わってきておるのは、佐藤四選との関係があるんじゃないか。これは、いわゆる関係県には総裁の対立候補に出るような人もおりますからね。これはそういうところまでうがちたくないわけですが、そういう見方をしておる向きは、私は率直にいって非常に多いと思うのです。そういう佐藤四選との関連等があって、この着工順位というようなものを遷延し、その時期をぼやかし、不明確にすることは、きわめて大きな政治責任というものが生まれてくるのではないかと思うのですが、そのあたりの見解についてお尋ねをいたしたいと思います。
  25. 根本龍太郎

    根本国務大臣 いろいろと御想像たくましゅうしているように思われますが、私が先ほど申し上げたのが内閣の一致した方針でございます。従来は調査費だけでありましたけれども、今度正確に技術開発と実施設計に入る、そうして現実に今度はこれに着工する準備に入るということでございまして、その意味において、これは総理も御存じであるから、閣議決定して予算も正式に組んで出していただいておるわけでございます。佐藤四選とかどうとかということは、それはいろいろ世の中の人はかってなことを考える自由はありますから、それに対しては、私からお答えする筋のものではございません。  もう一つはっきり申し上げておきたいことは、この構想と、現実の予算の裏づけと、公団設置に対して、三ルートを陳情しておったいずれの人々も賛意を表しているのです。これで初めて具体的になって、今度は具体的にわれわれの陳情をしたことを政府がまともに取り上げられて、これからは、今度は政府に対する陳情ではなくして、われわれがいかにして自分たちの主張するルートを早く着工できるように努力するかというところに変わってきた。責任をもってわれわれもやりましょう、こう言っているのでありまして、政府がこのたびこういう予算措置並びに公団をつくったことについて、従来以上に不信感が出たということは、全然ないと私は信じております。数回にわたって関係者が来まして、どのルートからも私は感謝を受けております。政府がよくやってくれた、これでわれわれも安心した、こう言っておるのでございますから、いろいろの激励並びに過去についてのいろいろの御批判は承りますけれども、私たちはそういうふうに理解して、実は勇気をもってこれを進めてまいりたいと思っておる次第でございます。
  26. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 いまの答弁を聞きましても、私は率直にいって納得ができがたいのです。それは、なるほど調査は三ルート全部同時にやるということですが、現実に建設を始めるということについては、着工順位というものをきめて工事にかかるのじゃないか。三ルート同時着工、同時施工ということはあり得ないんじゃないか。これは技術陣容の問題なり、八千五百億といわれ、あるいは諸物価高騰の将来の見通しからいって、一兆円余になるんじゃないかというような大きな事業からいけば、資金的にも三ルート同時着工ということは、私はむずかしいんじゃないかと思う。  そういう点は、私、冒頭お尋ねしたように、一年先になるか、時期は少しずれるかもしれませんけれども、それは優先順位をきめて工事にかかるのかどうかという点を、ひとつ明確にしてもらいたいと思うのです。そうしないと、優先順位をどうするかということで陳情合戦が続くと私は思うのですよ。これは、私の出身の県だけでも、この陳情費だけに数億の金を使っておるということで、いま県民から非常なひんしゅくを買っていますが、私は、こういう陳情合戦、どろ試合みたいなものを助長さすような今日の政府の態度というものは、これは、国民なりあるいは関係県民に対して非常に不親切だと思う。むしろ、この段階が来れば、着工順位というものをきめてやります、その着工順位は、たとえばAルートだ、Bルートだということでそれぞれの腹ぎめをさすことが、私は最も民主的なあり方ではないかと思うのですが、その点についての見解はどうでしょう。
  27. 根本龍太郎

    根本国務大臣 公団を設立いたしまして、技術開発と実施設計をやりますその過程において、今度は地元関係においてどう受け入れ体制をつくるかということは、先ほど申したとおりでございます。  現在、御指摘のように、三ルートとも全部政府資金でやるということは非常に困難でございます。その意味で、今度建設委員会へ上程して御審議を願っているわけでありますが、地方道路公社法案を出しております。これによりますれば、関係府県で相当出資をして、そこに民間の資金を十分に活用できる道も与えているわけでございます。  そこで、端的に申し上げますと、それぞれの地区で、全部政府の資金に依存しておると、資金量からこれは相当長くかかって経済効果がない、むしろ地方道路公社法案を活用して、関係自治体並びに財界で、早くきめてわれわれにやらしてくれという意向すら出てきているわけであります。そういうふうに、いまや問題は新たなる展開をしていると私は感じている次第でございます。むしろ、どっちを早くしてくれというよりも、自分たちで条件をつくったほうが早いという気にすらなっておりまして、以前はたいへん熱心に順位をきめてくれというふうな陳情が、いまではほとんどそれがなくなりまして、最近は、いかにしてわれわれが条件をつくろうかというような動きになっているようでございまして、藤田さんの御心配とは——いままではそういう御心配があったと思いますけれども、いまはむしろ現実的な、自分たちの手で、自分たちで早く着工する条件をつくるということに変わってきているような気持ちでおる次第でございます。
  28. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 私は、いま大臣が言われたような一部情勢の変化の生まれておることは、これは認めたいと思うのです。しかし、そのことが国の全体的な国土開発、四国の総合開発、今度の本四架橋の本質的な立場、こういうものから見て、はたして正しいものかどうかということについては、私はいささか疑問を持たざるを得ない。やはりいまの大臣の答弁を聞いておると、地元の受け入れ体制、地元条件が整備したところからやっていくんだということになると、何か下から条件ができてきたものを優先的にきめるというふうにもとれるのですね。しかし、やはり本四連絡架橋というのは、国の責任において、国の指導的な立場においてその着工の時期、優先順位あるいは事業予算、こういったものを指導的、主導的に国の責任においてきめるという性格のものじゃないのですか。いまの答弁を聞いておると、もうそれぞれのところは地方道路公社方式あたりでやりなさい、あるルートは公団方式でやる場合もありますぞ、こういうふうにもとれるのですが、そのあたりの見解はどうですか。
  29. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先ほど申し上げましたように、これをやる場合において一番大事なのは技術開発であり、実施設計でございます。そうしてこれを実施するということについて、実は陳情する向きを聞いていますと、みんな自分のほうだけ先にやってくれ、あとはどうでもいいということなんです、端的にいえば。それはとうていできないです。だからそういう——しかも地方自治体が自分の関連する自治体でこれをぜひともやりたいということは、それほどの一つのプロジェクトを持っています。だからやはりこれは、国と地方自治体あるいは地方の住民との一体化においてやるべきであって、それを政府だけが一方的にきめてやれということは、この問題については私は必ずしも適当じゃない。だからして、地方自治体でやれないことの条件は全部政府がやっていきましょう、そうして地方自治体並びに関係住民、これは産業界を含めての受け入れ体制が、それほど熱心であればそれでできるはずですから、それに対して政府が協力していくという形においてこの三本のルートができる、こう思っておる次第でございます。  そういう意味において、いまのところは、はなはだ自画自賛になりまするけれども、公団をつくって、そうしていま申し上げた構想でいくということにおいて、かえって地元が鎮静して着実になってきたと私は考えておりまするので、あなたも地元の有力なる推進者、指導者の一人として、ぜひそういうふうな方面に御協力願いたいと思う次第でございます。
  30. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 時間の関係で、次に質問を発展させたいと思いますが、いままでの質問に関連して強く要請をし、できればこの見解も承りたいわけですが、私はやはりいままでの答弁を聞きましても、関係府県の陳情合戦というものはまだ継続するだろうと思うのです、着工順位というものが明確にならない限り。したがって、私はこのような陳情政治に終止符を打つ具体的な政府の方針というか、そういう態度表明というか、何らかの形における統一見解を出して、そういういまの大臣の答弁であれば、もう陳情はやめなさいという点の方針を出してもらいたい。これが一つです。  それと、私のさっき申し上げたことは、私も関係県の一人ですけれども、私は、よそはどうでもいいからうちの関係だけの橋を一番最初やってくれなんということは、少なくとも社会党の議員としては言いません。私はやはり技術的、経済的効果、あるいは資金的、総合的な見地から見て、合理的な筋のあるところから順次やるべきだと思うのですよ。そういう点では、さっき申し上げたのは、政府の責任において、政府の指導的な立場においてやれということと、政府の一方的、独断的にやれということとは違うわけですね。ですから、私はこの種のものは、やはり四国は非常におくれていますから、そういう点では北海道の開発にも準ずべき性格のものとして、四国開発の一環としてやるべきではないか、こういうふうに思うわけですね。ですから、そういう点をお含みの上、ひとついままでの問題についての御答弁をいただきたい。  時間の関係で次に進みますが、財政負担の問題については、これまたいま非常に大きな関心の的であります。この四十五年度の建設省の新公団の予算として出されている十三億五千万の内訳を見ますと、国の出資金が二億、財政投融資が七億、地方公共団体の出資金が二億、民間借り入れ金が二億五千万。こういうことでいきますと、詳しい関係は省きますが、大きく分けて地元負担と見られるものが三三%になりますね。これは私は、このままの比率では政府は考えてないのであろうと考えますけれども、将来事業をするにあたって、大きく分けて国と地元の財政負担の割合はどの程度に考えているのか。これは一説によりますと、五割、五割の比率でやりたいという説も有力な意見としてあるやに聞いておりますけれども、それではとてもじゃないが、地元としてはようこなし切れないのではないかと思うのですが、そのあたりの地元負担と国の負担の割合についての方針あるいは構想というものを、ひとつ聞かしてもらいたいと思います。
  31. 根本龍太郎

    根本国務大臣 まず陳情運動をやめるようにさせたい、そのとおりです。それで、実は私はこの公団方式を説明するにあたって、いままでの関係の府県あるいは民間代表の方が来たときに、従来のあなた方の運動は、はなはだ例は悪いけれども、実力のない子供をかかえた親が裏口入学を頼みに来ると同じじゃないか、それはやめなさい。そういうことで政治運動で順位をきめることは絶対にいたしません。公団で技術開発実施調査、それにあなた方の受け入れ体制が客観的に資料としてできたら、それで判断いたします。だから運動しても、早くわしのほうにやってくれと言っても、これはむだだとはっきり言っております。これは明確にしておるつもりです。  それから、いまの資金の問題でございますが、これは本年はこれでいきますが、先ほど申したように、公団ができて技術開発その他のいろいろな資料が出た段階で、これは慎重に検討するつもりです。したがって、いまのところ確定的に資金の割り当てをどうするかということは、いま申し上げることはかえって混乱することだ、こう思っています。
  32. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 私は、その点についても大臣とはちょっと見解が違います。というのは、やはりこういった大事業をやる場合には、国は国としての資金計画もあるでしょう。それで地元地元としての地元負担と称するものの資金計画もあるでしょう。しかも、これは巨大なものになれば、それだけ一般的な民生福祉の、あるいは身近な生活に直結した地方財政を圧迫することにもなるわけですから、私は、少なくとも基本的なこの地元の負担割合はどの程度になるという方針をまずきめる。そうして、この程度の財政負担が伴うのだけれども関係県としてはこういった大事業をやる用意があるのかどうか、それを前提として受け入れ体制を整備するかまえがあるのかどうか、こういうふうにいくのが、ものの運び方としては順当じゃないかと思うわけですね。  そういう点からいきますと、時間がありませんから要望を申し上げておきますが、ぜひひとつそういう国と地元の負担割合の構想というものを早く出してもらいたいというのが一つ、それと、どうも大臣の答弁のニュアンスを聞いておりますと、相当多くのものを地元負担に期待するようなニュアンスが出てくるわけでありますが、私は少なくとも、この橋といえどもこれは国道だと思うんですよ。いわゆる本四連絡橋というのは国道だと思う。そういうような意味からいけば、現行の国道の新設といいますかの国の負担割合というものは四分の三ですからね。四分の三を下回るようなことは、これはちょっと筋が通らぬのじゃないか。名神なりあるいは東名の高速道路といったような、あるいは北海道の国道開発に伴うような負担割合というのは全額であるわけですね、公団方式でやる場合。同じ公団方式でやるのに、あるところは地元負担が三割以上になるというようなことは、私は、国の施策としては一貫性がない、したがって、少なくとも従来の国道事業としてやる、あるいは、先ほど申し上げた公団方式として事業をやる基準より下回るようなことがあってはならぬと思うわけですが、そういう点についての見解を聞かせてもらいたい。ちょうど持ち時間が来たようでありますから、質問点だけ集約して申し上げます。  最後になりますが、三ルートのうち、これは最終的には決定していないようですけれども、二つのルートについては鉄道併用橋、こういう構想のようでありますね。その中でも特に鉄道併用橋について有力なルートもあるようでありますが、これとの関連において、この鉄道併用橋には新幹線を通す構想を入れて計画を組まれるのか、あるいは四国新幹線ですね、私は当然そういう構想を入れて鉄道併用橋にするルートについては計画を立てて実施すべきだと思うわけですけれども、そのことについての見解をひとつ聞かしてもらいたい。これは、鉄道建設審議会の全国新幹線鉄道整備法案要綱というようなものを見ますと、やはり四国の新幹線というものも載っておるわけですから、そういう国の一つの計画がある以上、それとの関連というものは当然ぴしゃっと本四連絡架橋構想の中にも組み入れられるべきじゃないか、こう思いますので、その新幹線と橋との関連をお尋ねをいたしたい。  そして、その新幹線をやる場合に、若干技術的になりますが、在来線も一緒にやるのかどうか。これは事務当局に聞いてみますと、ちょっと新幹線の幅が違うようですね。しかし、技術的にはまん中にちょっと狭いほうの線を入れれば、二本線を引けばいけますし、ちょっと片一方だけなにすれば、両方——ここには専門家がおられますけれども、そういうことは可能なようですけれども、そういう点も含めて、新幹線との関係というものは、十分具体的に本四連絡橋との関連においては考えるべき性質のものだと思いますが、その点について見解を承りたいと思います。
  33. 根本龍太郎

    根本国務大臣 資金構成については、先ほど申したように、現在その負担区分をどうきめるかということは、これは現在のところはそこまでいっておりません。先ほど申し上げましたように公団ができて、その間において十分検討して結論を出したいと思います。  それから、二つの線が鉄道併用、あと鉄道を併用しないという構想が相当有力であることは事実であります。これらの点も、公団ができてから現実的に検討を進める。それから、その際に新幹線網の一つをその中に通すべきだ、それも有力な意見としてあります。これには、御承知のように鉄建審議会で新幹線網がきまれば、それを受け入れてやるということになると思います。  それからもう一つ、それと関連して、新幹線と普通鉄道と一緒にやれという意向ですけれども、それはなかなかむずかしいと思います。新幹線は新幹線、それに普通の鉄道、それに自動車道路なんといったら、たいへんな負担になってくるし、あそこは一本ができれば、新幹線二つをつくるということも、これはなかなかむずかしい問題だと思いますが、これも十分に今後の検討事項として考えたいと思っております。
  34. 藤田高敏

    藤田(高)分科員 この点は、新幹線の関係建設大臣からお尋ねしたわけですが、きょう運輸省関係来ていますから、そのほうの答弁をいただきたいのと、いま言った私自身は私の立場から特に要望しておきたいのは、財政負担の割合は、これはひとつできるだけ早く政府としての方針を具体的に明示できるようにやってもらいたい、この点を強く要望しておきたいと思います。
  35. 信沢利也

    ○信沢説明員 技術的な点についてお答えいたします。  スパンが千メートル以上のつり橋になりますと、げたの高さというのは、強度的に、風の加重でございますとか自重でございますとか、そういうものによって決定いたしますので、新幹線を入れるためにはたの高さをとるという必要はございませんで、設計上きまってまいります値というのは、新幹線が走っても支障のない高さになると思います。  それからまたゲージが違うことにつきましては、四線を入れるかあるいは三線レールにするかということは、今後検討していきたいと思っております。
  36. 藤田義光

    藤田主査 藤田君の質疑は終わりました。  平林剛君。
  37. 平林剛

    平林分科員 きょうの分科会で私が一番最後の質問者であります。あまり時間に拘泥しないでやりたいと思うのでありますが、委員長もひとつお許しをいただきたいと思います。もっとも私、十二時に用がありますからそう長くやりません。  きょうは新都市計画法による土地の買い占めの問題に関連をいたしまして、大臣に御見解を承ってまいりたいと思うのでありますが、この問題に入る前に少しお尋ねしてまいりたいと思いますのは、新都市計画法による市街化地域と市街化調整地域のいわゆる線引きがいま進められまして、計画地域におきましては公聴会が開催をされておることは御承知のとおりであります。この最終的な地域指定はいつごろになる見込みであるかという点を、自治省関係かもしれませんけれども、今後の見通しにつきまして、初め伺わしていただきたいと思うのであります。
  38. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 市街化区域、調整区域の設定をいたさなければならない市町村は、全国で八百八市町村ございまして、各都道府県にわたっております。現在のところ約二十の府県におきまして公聴会を終わり、あるいは公聴会の日取りを告示いたしております。残りの府県につきましても、三月ないし四月には公聴会を開くようになるものと私どものほうでは見通しを立てております。したがいまして、公聴会のあと都市計画法の手続がございますので、おおむね六月ぐらいまでに全国的に市街化区域、調整区域の線引きが行なわれるであろう、若干六月に間に合わない県も出てくるかと思いますが、大体そういう見通しになっております。福井県はすでに三月十日付で設定を終わって建設大臣の認可を終わっておりまして、続いて山形県というように、現在各県が認可申請を出しておるという状況でございます。
  39. 平林剛

    平林分科員 この市街化地域と市街化調整地域の区域指定の前夜におきまして、各地域に巻き起こっている地価の変動、それからこの区域指定前夜におきまして、大手の不動産業、私鉄関係企業あるいは観光企業資本、これらを中心にして、将来調整地域と予想される山林だとか田畑の買い占めが行なわれておるという実情を建設大臣は御存じでしょうか。——これは建設大臣に聞いておるのです。一応聞いてから、あなたが説明してください。
  40. 根本龍太郎

    根本国務大臣 事実をわかっておりますから、まず話してもらいます。
  41. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 市街化区域、調整区域の設定前におきまして、いま先生が申されましたような企業ないしは観光企業が、すでに土地を持っている、あるいは自分の事業のために土地を買っているというものがございますが、われわれとして具体的に感じておりますのは、すでに手持ちのものを何とか市街化区域に入れてもらいたいというのが一番大きな要望として出てきておるわけです。それからもう一つは、実はこれから手当てをしたいのだけれども、一体市街化区域になるのか調整区域になるのかはっきりしないので、調整区域の予定地で土地の買収をしようかしまいか迷っている、つまり、交渉中というケースが相当多いということも聞いておりますけれども、そのために特に調整区域になりそうなところについて土地をどんどん買収するというケースについては、若干はあると思いますけれども、そう多くないのじゃないかという感触でいるわけでございます。
  42. 根本龍太郎

    根本国務大臣 私はほんとうを申しますと、詳細はよくわかっておりません。私のところにはあまりそういうことで陳情やその他来ておりません。ただ、私が建設大臣になる前に党におったときに、選挙前に、これが出ておるために、市街地に隣接したところの農民諸君が、現状のままでいって市街化区域に入れてもらえれば土地が値上がりするという思惑で、かなり動揺しておるから、これは慎重にやるべきだということで、関係の国会議諸君からいろいろ要請があったことは事実です。しかし、不動産業者がどうこうということは私のところにあまり来ておりません。今日もほとんど来ておりません。
  43. 平林剛

    平林分科員 いまお話がありましたけれども、神奈川県の実情をちょっと御紹介します。  神奈川県は、御承知のように首都圏に最も近い、人口の集中度が異常に高い県であります。人口の増加率を調べてみますと、昭和三十五年度を一〇〇とした場合に、昭和四十二年度、七年間に人口の増加は、全国平均で一〇六という指数を示しております。東京都の場合は、依然として人口の増加は見られますが、やや鈍化しまして、昭和四十二年度で一一四の指数であります。これに対し神奈川県は一四一。このほか首都圏で多いのは、埼玉県の一三六、千葉県の一二四、これが比較的人口の増加率の高い県でありますが、いま申し上げたように、神奈川県の人口集中度は非常に高い。全国で一番である。こういうことがおわかりになると思うのであります。人口の増加によって住宅の需要が大きくなるのは当然のことであります。  このためだと私は思うのでありますけれども、大手不動産業をはじめとする企業の暗躍が当然予想されるし、現実に動きが始まっておるということなんであります。私の得た資料によりますと、昭和四十四年現在、神奈川県内の土地買収面積は、交渉中のものを含めて千二百十一万二千三百二十坪、これは全部私が集めてきたのであります。これだけの土地の買い占め——ということばが適当かどうか、企業は都合があるでしょうけれども、しかし、私はあえてこれを買い占めと言うのです。これだけの膨大な地域がほとんど市街化調整区域で、しかも地目でいえば山林あるいは田畑、使用目的などを調べてみますと、宅地造成が多い。次にゴルフ場。そういう名目で将来の宅地化をねらうものと私は考えております。  いま十万規模の都市を中心に市街化地域と調整地域と区分していくのは何のためか。これは秩序ある町づくりである、こういうことが法律の目的であります。ところが、その周辺の山林なり田畑が、私の県だけでも大体一千二百万坪をこえて買収折衝が行なわれる、あるいはもうすでに契約がされておる。こういうことは一体何を意味するか。新都市計画法は秩序ある町づくりといわれているけれども、実際は、その周辺の山林、田畑、地目を問わず買収折衝がかけ込むようにして行なわれておるということです。神奈川県は人口の集中が多いから、当然住宅需要が多い。これは商売をしている人はすぐぴんとくる。それから新都市計画法によりまして市街化地域指定されたところは、これから農地転用のめんどうな手続が要らない。どんどん宅地化できる。本来は土地がたくさん供給されるのだから安くなるはずであるけれども、実際は、ここは宅地にして家を建てられますよというので、値上がりをする。市街化調整地域のほうは、個人が幾ら退職金で土地を買ったって家を建てられませんよということになりますから、逆に土地が値下がりする。個人は将来の夢として家を建てたいと思っても建てることができない。そこをねらって、大手の不動産業は資本力にものをいわせて、土地の買収折衝に動いていくという姿は、社会的に見ても一体いかがなものであろうか。私はそういう観点に立ってお尋ねしたい。同時に、新都市計画法というのは、秩序ある町づくりと名を打っているけれども、秩序ある町づくりじゃないじゃないか。将来の宅地造成をねらった買い占めを放任しておくことは、特に都市近郊の農村に虫食い状態方々に起こすだけじゃないか、こう思うのでありますけれども、一体秩序ある土地づくりといえるのか。これについて建設省は一体どうしているか、こういうことになるわけでありまして、大臣の御見解を承りたいと思います。
  44. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御承知のように、市街化区域は、現実に市街化しておるところと、将来十年間に市街化することを一つの目標として、そこに秩序ある都市開発をするということです。したがいまして、そこで自然発生的に虫食い状況にさせないために、あるいは住宅専用地区、あるいは隣接商業地区、あるいは工業地区というふうに指定して、そこには必ず道路あるいは上下水道あるいは公共施設等それぞれの地方自治体あるいは民間でございますれば土地区画整理組合等を活用して、秩序的にこれをやるということでございます。それから調整区域は、原則としてそこは市街化しないというところでございます。ただし、そういう場所におきましても、地方自治体があるいは供給公社をつくってやるとか、あるいは農業団体で自分の持っておる農地を相当秩序ある住宅団地をつくるということが計画されて、そのプロジェクトが地方のスプロール化を防ぎつつ、かつ住宅対策に役立つという場合、あるいは民間企業といえどもその地方自治体とはっきり相協定して、市街化することが適当であると認定された場合に、これを認めるのでございます。したがいまして、一般観念的に心配されることをなくするために、これを法律で規定したわけでございます。なおまた、農林省も、調整区域については、従来農業集約地域として農業振興地域というふうに指定したところ、あるいは土地基盤整備等をやったところは認めない。これは一々チェックしておるわけであります。その場合には、農林省と建設省が厳密に連絡の上やっておりまするので、それは防げると思っています。いま、いろいろの不動産業その他の者がいろいろ見込みでやっているのを法的に規制するわけにはいきません。いま、所有権の移転を法的にこういう地区については売り買いしてならぬというわけにはいきませんけれども、彼らの利益を得るためにやったことを、そういう事実があるからそれに政府が追従していくことは、これは断じてございません。なおまた、地方自治体についても、特にその点は注意しているわけでございます。  特に神奈川県については、これは公的ではございませんでしたけれども、ある道路問題で神奈川県知事が私のところに陳情に参ったときに、私は、どうも神奈川県は、あそこの鎌倉、逗子からあの付近が、首都圏内においても非常に大事な景観かついこいの場になっているから、よほど注意していかないと、あれがスプロール化するとたいへんなことになる、今度の市街化区域と調整区域の線引きにあたって、よくその点を考慮してやってほしいということで、これはむしろ私のほうからお願いをしたことでございますが、その点は神奈川県当局も非常に配慮しているように私は聞いておる次第でございます。
  45. 平林剛

    平林分科員 確かに、こういう土地の買収行為というものを法律的に規制することはできないかもしれぬ。しかし、やるならばこれに対応する手は幾つもあるのですよ。神奈川県の例をいえば、千二百万坪になろうとする土地の買い占めの資金はどこから出るか。都市銀行その他の市中金融機関から出る。価格も大体わかっておるわけです。かりに坪二万円とすれば、県内だけで二千億円の金が流れる。これは神奈川県だけではない。千葉県、埼玉県あるいは大阪、名古屋周辺においても同様に起こっておる現象と私は判断します。全国的に見れば、おそらく一兆円や一兆五千億円をこえる資金が、土地を買い占めるための資金としてとうとうとして流れる。景気調整を必要とするときに、先買いのためにこういう資金が流れる。しかもゴルフ場建設にいくことはどうかということで、銀行行政を通じてフォローできる仕事なんです。こういう形によって農村のスプロール化を防いでいくという政策は、やろうと思えばできるのです。私は建設大臣に希望することは、新都市計画法の御説明ではなくて、たとえば人口が集中する県に対して、公共的な用地、公共的な住宅施策をもっと積極的にやるという気がまえを持たれることが、逆にいえばこうしたことを押えていくという効果を果たすものじゃないでしょうか、私はそれが聞きたいのです。いかがでしょうか。人工集中度の高い県に対しては、少なくとも公共的な住宅建設計画というものを積極的に進めてみたいというお考えをひとつ漏らしていただきたいと思うのです。
  46. 根本龍太郎

    根本国務大臣 いま平林さん御指摘のことも、一つの大きな役割りを演ずると思います。その意味で、実は首都圏整備委員会の事務局に対し、人口集中するところで、しかもいままで民間でやれないようなところが相当あるはずだ。それは道路が整備されていないとか、あるいは水が十分でないために残っておるところがあるはずだ。そこを少し調べて、それを国が助成もしくは融資等することによって、地方自治体でこれを開発させなさい。そういう場合には道路も優先的につけようじゃないか。従来は道路政策というと、もう国道何号線あるいは主要地方道何々線、これについてはたいてい五年計画くらいで予算張りつけてあるのです。機動的じゃないのです。そういうことと関係なく、新農村の建設、それから新しい住宅政策のためには、たとえ市町村道でもかまわないから、これに機動的に予算をつけるように、それを保留しておけということまで私は指示しているわけであります。それはいま進めつつあります。  それからもう一つ、私は、土地を入手してこれを投機に充てるということの大きな原因は、やはり税制に問題があろうと思うのです。農地とかあるいは山林で持っておると、現実に宅地化することが目に見えておっても、非常に安い税金であるから、他の物価の値上がりするよりもそのほうが有利だから、持っておる。そこで私は、自治省、経済企画庁、大蔵省といま協議をして、四十五年から固定資産税の変更期でありますから、これはほんとうの農民には影響せずして、土地を保有しているだけで膨大な利益を得るものは、これは社会に還元しなければいけない、地価対策上も必要であるから、固定資産税と都市計画税を弾力的に適用して、そして土地の値上がりで政府の施策を逆用してもうけることは押えるという政策をとらなければならない、こういうことを指示している次第でございます。その意味におきましては、お説のとおりでございまして、これは建設省のみならず、関係省とも連絡しつつ善処しつつあるという状況でございます。
  47. 平林剛

    平林分科員 私は、いまのお話をよく承りまして、あと具体的にどんなふうな形であらわれるか確かめてまいりたいと思いますから、よろしくお願いしたいと思います。  結局、大手不動産業などの土地の買い占めの目的は、最終的には自分のもうけだけで、このために風致の破壊や旧跡の損傷などは眼中にない。たとえば鎌倉市なんというところはひどいものです。名所旧跡の多いところでありますが、そこにおける土地の買い占めの状況などを御紹介すれば、これは文部省関係でありますけれども、こういうことはほっておけないという気が私はするわけであります。これをほっておくほうが悪い。打つべき手は、やはり法的にはできないかもしれないけれども、政策、行政の面でできることはやりなさいというのが私の主張なんです。  そこで、都市近郊の農村が都市化していく現実は、私はもうやむを得ないと思います。やむを得ないにしても、自然の景観が容赦なく破壊されて、地域の社会が荒廃をするということは、経済発展だけを万能として、人間の生活とか地域社会の建設には全く無感覚な思想がいまこれらの人たちの中にある。自由経済のもとで、資本の無恥厚顔なこういうやり方を許しておるという政府の側にも責任があると思う。  そこで、土地というものは商品じゃないんだ、土地を商品にするなという考え方について、もう少し何らかの措置を通じて徹底していくような方策をお考えにならないかどうか、これについて大臣にひとつ、これは御感想でけっこうですけれども承ります。
  48. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは非常にむずかしい問題でございまして、私も、実は日本ほど土地所有権絶対主義的な制度はないと思うのです。大体において、欧米では土地を投機の材料としてもうけるのを恥に思っている。そして、本来欧米の都市あるいはある意味では国家が、いわゆる都市国家的な考えからいっているために、原則として自治体が相当広範囲な土地を持っているということがあたりまえでございまして、これでいろいろの都市改造なりあるいはいろいろの施策をやっておる。ところが、日本では、もとは相当の土地が、あるいは入り会い権の名においてあるいはまた村有地の名において持っておったのが、逆に戦後は、これを開放することが一つの進歩的な考え方だということで、入り会い権の開放、国有林の開放、あるいは都道府県の持っておる土地、国の持っておる土地まで開放しろということが、ある意味においては資本主義の先覚者のみならず、これが革新の名においてやられてきたということも一つの事実だと思う。そうしておいて、今度は国家が公共のためにやろうとすると、すりかえ論理が出てきまして、国家権力と戦うということで、たとえばダムの建設に反対してこれを非常に高くする。あるいはまた飛行場の建設に一坪地主みたいなものが出て、これに抵抗するということが錯綜してきたと思う。幸いにして、この一年間だいぶ意識の変更が出てきました。ジャーナリズムも、むしろやはり土地というものの所有権絶対主義を排除すべきだ、これは公共のために利用することを第一優先に考えて、ただ、いままでの所有権者についてはしかるべく補償をして、これを保護することは必要であるけれども、やはり公益優先であるべきだという風潮が急に高まってきた。これは非常に正しい流れだと私は思います。そういう意味になりますれば、これは私有財産を許している今日、土地というものが全然商品でないということは言えないけれども、いわゆる普通の商品とは違った物件だと思います。これの所有者が絶対権を持つものでもなく、しかもそれは偶然の機会で持っておるものが相当多いのです。特に最近の農地のごときは、これはいわば農地改革の結果得られたものがほとんど大部分です。しかもあのときには、一片の法律で非常に安い値段で国家が取り上げて、国家がこれを与えた。しかるに、これも、その使用目的は全然違っておっても、この上にあぐらをかいて、そして私権の尊重を唱えておる。これは私は変わるべきだと思うのです。そこに問題がある。  それからもう一つは、税制の問題についても、これまたわれわれの責任もありますけれども、やはり政治的のムードとして、固定資産税をかけるということは農民圧迫だとすぐにすりかえ論理にいってしまう。それから、山林所有者の権利を政府が買い上げるのはけしからぬ、こういうところにいかれるところに問題がありまして、これはやはり国民合意の上に変えなければならないということで、私は少し勇敢に国民にいま訴えておるところでございます。そういう意味において、これは時代とともに土地に対する観念を変えていかなければならぬと思うのです。いまやその好機にある、転換期に来ておると思いますので、これは与野党を通じて、いまや合意の段階に来ているんじゃないか、こう思っておる次第でございます。
  49. 平林剛

    平林分科員 だいぶ大臣のほうもリラックスした御答弁で、私の質問の得たいという目的以外に、よけいなことまでちょっとお話しになっています。同意しかねる点もかなりあるけれども、もう時間もありませんから、きょうの私がテーマにする核心にちょっと触れていきたい。少し時間が過ぎたようですけれども、それはあなたにも責任がありますから。  いま都市近郊の農家の中には、都市と農村の調和によって整然と地域社会の発展をさせる、そういうためには、土地を商品と考える企業に土地を手離すなという運動が自然発生的に起きておるのであります。これを具体化するために、農住都市構想が目下話題の中心になっておる。大臣もおそらく御承知だろうと思うのであります。これは一つには、土地所有者である農家が農協に委託をして共同で宅地を造成する、次いで農協が中心になって住宅を建てる。つまり、農家の土地提供で団地をつくって、安い価格で勤労者に貸して、農家の将来の生活設計と住宅不足の解消をねらう一石二鳥、つまり、大手不動産業に手離せば、二万円で売ったものが分譲のときは四万円、五万円になる。しかし、営利企業でないところの準公共団体がこうした仕事をすれば、二万円で農家から手離してもらって造成し、多少の利益を得たとしても二万五、六千円か七、八千円で売れる。消費者の側から見れば、高い土地を購入するよりは安い土地ができる。一番いいのは、政府が公共的な団地をつくることだが、それにも限界がある。第二の段階としてはそういう措置をやるべし。私は、この構想は一石二鳥でもあるし、また育てたい構想なんであります。実際に自分の県でやってみようと思って農協とも相談をし、農家と勤労者とを結びつけながら自力でやろう。ところが、自力じゃなかなかできません。そこで、農協がこういう事業をやるということは、あるいは教科書的にいえばいかぬという意見もあるかもしれません。しかし、これは新しい時代において、特に都市近郊の農協においては、こうした意味の事業もむしろ許容すべきだという持論を私は持っておるわけです。あまり古くさい考えだけでもいかぬので、そういうことを考えまして、新しい都市近郊のあり方としてこれを実現したいものだなと私は政治家としても考えておるわけであります。こうした構想について、建設大臣の御見解を承りたい。
  50. 根本龍太郎

    根本国務大臣 私も賛成でございます。その意味で、実は全国農協の首脳部の諸君にもおすすめしておるわけでございます。農家が自分の土地を活用することによって生活の安定を得、かつ住宅政策にも役立つ、そういう場合には、政府資金でも公庫資金を貸すこともけっこうだということで、農協団体もぜひそういうふうなことで進めたいと言ってきております。私も賛成でございます。
  51. 平林剛

    平林分科員 これは、きょうお昼から大蔵委員会で、今度は私、大蔵大臣に話をしていこうと思っておるのです。結局は財政的な裏づけ、いろいろな助成ということも必要でありますから、これはまた大蔵大臣ときょう午後やることにいたしております。  そこで、建設省では住宅局の企画室ですか、そこで民間住宅建設促進班というものを設けて、土地の所有者が国の住宅政策の線に沿うて勤労者住宅を建設する場合に、援助策を盛り込んだ土地所有者による住宅建設促進法、これは仮称ですけれども、そんなものの策定に着手したと伝えられておるのでありますけれども、これについてはどう具体化されますか、法制化の見通し等についてこの際承っておきたいと思います。
  52. 大津留温

    ○大津留政府委員 土地所有者による住宅建設促進ということでございますが、具体的には、先ほど先生おっしゃり、また大臣の答弁いたしました都市近郊の農家という意味でございます。これを促進したいということでございますが、そのために特別の立法は、現在のところ特に考えておりません。現行の制度のもとで、いま大臣が申しましたように、財政資金を貸し付けるとかあるいは税制の面その他で促進ができるんじゃないか、こういうふうに考えております。
  53. 平林剛

    平林分科員 これは、行政措置だけでは無理な面が出てくると考えておりますので、もっとその点をいろいろな方面も検討して、必要があれば法制化するという気持ちで取り組んでもらいたいと思うのです。これは希望いたしておきます。  そこで、最後にちょっと申し上げますが、日本住宅公団、これは建設大臣の所管だと思うのですけれども、ここの用地取得の場合に、最近非常な疑問が生まれてきておるわけであります。日本住宅公団は団地をつくる場合に、自分で用地を取得してやっていないのじゃないか、間に仲介の業者を入れてやっているのじゃないか、そういう方式を採用しているのじゃないかと私には思われるので、もしそういうことをやっていたならば、関係の業者のリストを提出してもらいたい。いずれあらためてこれはやります。きょうは時間がありませんから伏せておきますけれども、ある地域日本住宅公団が用地取得を始めて、間に仲介の不動産業者を入れている。だから、実際の農家に対してはおよそ五万坪、総計にして十一億の金しか渡らない。ところが、日本住宅公団はこの用地取得のために十三億円使っている。そうすると二億円はどこにいったか、こういうことになるわけであります。これはまた後に私は問題を提起しますから、きょうはその問題について資料の提出だけを求めておきます。  同時に、こうしたことは一体適当であるかどうか。中間に入った不動産業者が約二億円のさやを取っている。これは私は疑いを持っている、こういうふうにつけ加えておきましょう。これでは用地取得にあたって好ましからざる現象が起こるのではないか。住宅公団が一から十まで全部やることは困難といたしましても、これには一つのルールをつくる必要があると私は考えるわけであります。  この問題につきまして、ひとつ建設大臣も自分の所管として具体的な調査をなさるとともに、必要な措置を講ぜられたいというのが私の最後の質問であります。それから公団には、これに関する資料の提出を私は要求します。  時間もありませんから、お答えだけ聞いて私の質問を終わります。
  54. 大津留温

    ○大津留政府委員 先生指摘ケースは、神奈川県下の秦野市の場合じゃないかと思いますが、この場合におきます資料を詳細取りそろえまして、先生のお手元に御説明にあがります。
  55. 根本龍太郎

    根本国務大臣 住宅局長から答弁いたしたとおりにいたさせます。
  56. 藤田義光

    藤田主査 平林君の質疑は終局いたしました。     —————————————
  57. 藤田義光

    藤田主査 以上をもちまして、本分科会所属の運輸省所管、郵政省所管及び建設省所管に対する質疑は全部終了いたしました。     —————————————
  58. 藤田義光

    藤田主査 この際、おはかりいたします。昭和四十五年度一般会計予算及び昭和四十五年度特別会計予算運輸省郵政省及び建設省所管並びに昭和四十五年度政府関係機関予算日本国有鉄道及び日本電信電話公社関係に対する討論採決は、先例によりまして予算委員会に譲ることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  59. 藤田義光

    藤田主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これにて本分科会の議事は全部終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の格段の御協力によりまして、本分科会の議事が無事に終了することができましたことを、ここに厚く御礼申し上げます。  これにて第五分科会を散会いたします。     午前十一時五十八分散会