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1970-03-16 第63回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月十六日(月曜日)    午前十時六分開議  出席分科員    主査 藤田 義光君       上林山榮吉君    小平 久雄君       細田 吉藏君    松野 頼三君       渡辺 栄一君    北山 愛郎君       久保 三郎君    後藤 俊男君       田邊  誠君    伊藤惣助丸君       坂井 弘一君    西田 八郎君    兼務 川崎 寛治君 兼務 岡本 富夫君    兼務 西中  清君 兼務 広沢 直樹君    兼務 松本 忠助君 兼務 麻生 良方君  出席国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君         建 設 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         近畿圏整備本部         次長      播磨 雅雄君         経済企画庁総合         開発局長    宮崎  仁君         林野庁長官   松本 守雄君         運輸大臣官房長 鈴木 珊吉君         運輸大臣官房会         計課長     中村 四郎君         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君         建設政務次官  田村 良平君         建設大臣官房長 志村 清一君         建設大臣官房会         計課長     大塩洋一郎君         建設省計画局長 川島  博君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省河川局長 坂野 重信君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         建設省住宅局長 大津留 温君  分科員外出席者         経済企画庁総合         開発局参事官  角田 正経君         厚生大臣官房国         立公園部長   中村 一成君         厚生大臣官房国         立公園部管理課         長       木代 一男君         厚生省環境衛生         局公害部公害課         長       橋本 道夫君         農林省農地局参         事官      井元 光一君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 山口 真弘君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     長浜 正雄君     ————————————— 分科員の異動 三月十六日  辞任         補欠選任   北山 愛郎君     中谷 鉄也君   久保 三郎君     田邊  誠君   坂井 弘一君     伊藤惣助丸君   今澄  勇君     渡辺 武三君 同日  辞任         補欠選任   田邊  誠君     後藤 俊男君   中谷 鉄也君     北山 愛郎君   伊藤惣助丸君     古寺  宏君   渡辺 武三君     和田 春生君 同日  辞任         補欠選任   後藤 俊男君     久保 三郎君   古寺  宏君     坂井 弘一君   和田 春生君     西田 八郎君 同日  辞任         補欠選任   西田 八郎君     今澄  勇君 同日  第一分科員川崎寛治君、第二分科員広沢直樹  君、麻生良方君、第三分科員西中清君、第四分  科員岡本富夫君及び松本忠助君が本分科兼務と  なった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十五年度一般会計予算運輸省及び建設  省所管  昭和四十五年度特別会計予算運輸省及び建設  省所管  昭和四十五年度政府関係機関予算運輸省所管      ————◇—————
  2. 藤田義光

    藤田主査 これより予算委員会第五分科会を開きます。  昭和四十五年度一般会計予算及び昭和四十五年度特別会計予算運輸省所管並びに昭和四十五年度政府関係機関予算中日本国有鉄道関係を議題といたします。  質疑に先立ち、念のため申し上げます。  質疑者が多数おられますので、質疑の持ち時間は、一応本務員は一時間程度兼務員もしくは交代で分科員となられた方は三十分程度にとどめ、議事進行に御協力願いたいと存じます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に要領よく簡潔に行なわれますようお願いいたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。西中清君。
  3. 西中清

    西中分科員 山陰本線中心として、裏日本輸送について御質問いたします。  現在の国鉄輸送状況については、いわゆる複線電化等の種々の投資が必要であろうと思われますが、私は、いわゆる太平洋ベルト地帯というものについての幹線増強は十分進んでおる、ないしは進めようとしておられる、そういう姿勢はわかるわけでありますが、いわゆる裏日本増強計画がどうもおくれているのじゃないか、このように考えております。このために、いわゆる過疎地帯というものが裏日本には非常に多いわけでございますが、いわゆる人口の減少とともに国鉄の経営が苦しいということで、鉄道網整備が置き去りにしていかれる。今日に至りましては、地域開発ないしは国土開発という面から、いわゆる過疎地帯においても、むしろ過密地帯の解決のためには幹線整備というものをもう一度考え直す必要があるのではないか、このように考えておりますが、その点、国鉄当局ではどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  4. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの御質問でございますが、いま国鉄といたしましては、第三次長期計画並びに再建計画の中で約三兆数千億の投資をいたすことにいたしております。  これの配分の問題でございますが、いま先生のお説のとおり、過密地帯ばかりに配分してもいかぬ、やはり過疎問題も考えなければいけないということで、いろいろ全国にわたりまして検討いたしておりますが、何と申しましても、いま通勤輸送あるいは幹線輸送力増強等、非常に逼迫しているところがございますので、まずそれに手をつけるというふうなことをいたしております。ただいま御質問山陰等につきましても、局部的に詰まっているところもございますので、そういうところから輸送力を拡張していきたい。また、ディーゼル化山陰線は実は非常に早く手をつけまして——トンネルの非常に多い区間でございますので、蒸気機関車全国的に一番早くやめてディーゼル機関車を投入いたしまして、複線化はおくれておりますけれども、そういうことでディーゼル化全国的に一番先に進めているということで、各地各地に合わせました輸送力増強考えていきたいと思います。
  5. 西中清

    西中分科員 主要幹線の中で、特に山陰本線京都園部間の複線電化ということでございますが、この線については、明治二十三年に京都鉄道会社の手でつくられて以来、一度もこの線についての改善というものが大規模になされた形跡がありませんし、いわゆる六大都市ないしは五大都市を起点とする、またその中を通る本線としては最後の単線ではないかと思っております。そこで亀岡、八木、園部の三市町村でこの複線電化促進協議会を四十四年に結成をして、地元のほうでは強い関心の的となっております。この点についてどのような計画で現在進んでおるのか、御説明願いたいと思います。
  6. 長浜正雄

    長浜説明員 京都園部間の複線化につきましては、御承知のように第三次計画の中でも、いま総裁が申しましたような考え方で計画の中に入れております。これを進める準備をしておったのでございますが、先生承知のように、在来線をそのまま複線化するよりも、在来線を放棄して西のほうに回したらどうかというような地元の強い御要望がございまして、いろいろ深く検討いたしておりましたが、結論としては、在来線のまま複線にするという結論になって、それで進める準備をいたしておりましたところ、引き続きまして高架化の問題が起こりました。京都−二条間を高架化してほしいということで、内容は、いろいろ検討しました結果、はなはだもっともでございますので、私たちとしても複線高架という計画で進めておったわけでございます。  先生承知のように、高架化の問題につきましては、運輸省建設省との間で協定ができまして、その協定に基づきまして高架化複線化工事を進めることになったわけでございます。それをいたしますには、まず都市計画決定をいたしまして、そして高架をやる、そうして建設省からの予算の応援をいただくというようなかっこうになっておるわけでございます。今年度も一応そういうつもりで私のほうとしては予算予定をしておったのでございますが、建設省のほうとの調査がまとまりません。で、四十五年度に建設省としても調査費準備されるようでございますが、われわれとしてもそれに協力をいたしまして高架化計画調査をいたしまして、それに基づきまして京都府で都市計画決定をなさいまして、それに基づきましてわれわれは工事を進めたい、こういうふうに考えております。
  7. 西中清

    西中分科員 そうしますと、国鉄の第三次七年計画長期計画では、四十六年までにこれを複線電化する、こういう対象になっておった。ところが、四十四年九月の閣議決定に基づいていわゆる再建計画が作成された。この中にはこの京都園部間の複線電化というものは入っておらない、ないしは明記されておらないように思うのですけれども、その点はどうなんですか。
  8. 長浜正雄

    長浜説明員 こういう個々の線区、わりに短い線区でございますので、その他線区ということで、内容の中でいま検討をしている最中でございます。それよりも、それの前提になります都市計画決定をすることが前提になりますので、それのほうの仕事を進めるように関係のほうと協議を進めておる段階でございます。
  9. 西中清

    西中分科員 ここに四十四年のある新聞の記事がございますが、いわゆる京都−二条間は、建設省側の意向は複線高架に固まっている、国鉄側はその底流に単線高架案を秘めている、こういうように書かれておりました。私らが聞いておるのは複線高架ということでございますが、この点は間違いございませんか。
  10. 長浜正雄

    長浜説明員 これは、さいぜん申しましたように複線高架にすることでございますけれども工事の順序といたしましては、とりあえず単線高架にいたしまして、そうして在来の線をその高架に移しまして、そしてそのあいたところにもう一本線路をつくって複線にする、こういうことでございますので、とりあえずは単線高架にする、こういうことでございます。
  11. 西中清

    西中分科員 そうしますと、この二条までの複線高架は何年ぐらいまでにでき上がる予定でございますか。工事着工の期限と完成の予定は、どれぐらいにお考えになっていますか。
  12. 長浜正雄

    長浜説明員 ただいま精細に計画を進めておる段階でございますので、正確に何年ということを申し上げかねるのでございますが、こういう種類の工事全国あちこちのことから考えますと、約五年くらいはかかるんじゃないか。四、五年はかかるんじゃないかというふうに考えます。
  13. 西中清

    西中分科員 それから二条−園部間の問題でございますが、四十四年十一月に国鉄本社地元市長等が陳情に行ったと思いますが、そのときに石川建設局長らのお話では、国鉄としては山陽新幹線建設工事に経費を現在つぎ込んでおる、だから直ちに着工は不可能だ、これが第一点。第二点は、山陰線複線化はすでに本社内では意見が一致しておる。それから第三点は、同区間複線着工は時間の問題だ。第四点は、京都−二条間の高架工事延長として複線工事を行なう。こういうように御回答があったように聞いております。したがいまして、いま京都−二条間の点については大体お話を伺ったわけでございますが、ただこのあと二条−園部間については、京都から二条までの高架を終わってからやるのか、それとも、ある程度並列して工事を進めるつもりでおられるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  14. 長浜正雄

    長浜説明員 京都から園部までの線増は、やはり列車京都からすべて始発することになると思いますので、根元のほうが細い場合には列車増発ができませんので、そういう意味からいいまして、根元からやるのが普通の仕事やり方でございます。途中でふくらませましても列車増発することができません。かりに途中が、線路容量ということばをわれわれ使っておりますが、線路容量が特に不足しておる区間がございましたら、その区間を優先的に取り上げて、その区間だけ線増する場合もございますけれども、原則としては根元から順次複線化を進めていく、これが資金を有効に使う方法だ、そういうことで現在の線増仕事やり方は進めておるわけでございますので、京都園部間につきましてもそういう方向でやるのが最も好ましく、列車増発に寄与できる、こういうふうに考えております。
  15. 西中清

    西中分科員 先ほど二条−京都間のお話がございましたが、この点については、いわゆる都市計画決定がなければならぬ。その点については、現在知事認可等についてどういう状態にあるか、ちょっと御説明願いたいと思います。
  16. 長浜正雄

    長浜説明員 都市計画決定をしなければならぬということになっておりますので、地元方々がわれわれのところにお話しに来られましても、それを優先しておやりになることが先決でございますので、特に議員方々が来られますので、議員方々でそれをお進めになることがやはり一番早く仕事を進める道であろう、こう思いまして、皆さんにそう申し上げていると同時に、われわれのほうとしても、市、府当局にもそういうふうに御連絡申し上げておる次第でございます。なるべく早く都市計画決定されることを私たちとしても考えております。
  17. 西中清

    西中分科員 そうしますと、そういう点のおくれとともに、四十四年度においてまず高架のほうの調査費が全く計上されない、また四十五年度はその調査費が計上されたように聞いておりますが、その点はどうでしょうか。
  18. 長浜正雄

    長浜説明員 建設省のほうの話を聞きますと、四十五年度には調査費を計上するように要求しておられるようでございます。
  19. 西中清

    西中分科員 そうしますと、一応国鉄当局としてのお話一般人たちも聞いているわけでございますが、間もなく京都−二条間の高架工事が行なわれる、こういうように受け取っているわけでございます。ところが、先ほど申したように、建設省調査費も出ておらない、認可も受けておらない、そういう点で、私はその点の連絡がもう一つ十分ではないんじゃないか、このように思っておりますが……。
  20. 長浜正雄

    長浜説明員 その点につきましては、あるいはそうかもしれないのでございますが、京都府なり市なりが建設省ともう少し連絡を密にして、予算の確保をしてもらうことがいいのではないか、こういうように考えております。
  21. 西中清

    西中分科員 そうしますと、知事のほうはあまり熱心ではないということですか、どうでしょうか。
  22. 長浜正雄

    長浜説明員 その辺はちょっと私にはわかりかねます。
  23. 西中清

    西中分科員 どうもそういうような感じがするわけでございますが、京都市のほうはかなり積極的に動いているようでございますが、さらに私たちも一そう努力をしてまいりたいと思います。  それから私は、この京都のいわゆる大都会の接続する本線において、今日こうして電化という問題また複線という問題が取り上げられなければならぬということは、非常な問題であろうと考えております。それはいまお話がありましたように、府の態度がもう一つ熱心でないというお答えでございましたが、ただ、やはり国鉄として、先ほど申しましたように、太平洋ベルト地帯人口が集中しているおりから、さらにまたいま申し上げている電化複線の問題を言っておりますこの園部京都間というのは、いわゆる車で三十分以内の非常に近い範囲でございまして、この範囲にかなりの土地があいておって、ただ交通網整備が十分でないということが、発展の大きな隘路になっているようでございます。  ここで私は山陰本線そのものについて、もう一度お尋ねしたいのでありますが、福知山−出雲間では四十一年から四十四年度までに約二十二億九百万円、これだけの増設費をかけておられる。ところが、京都はこの点については皆無である。こういう点のバランスは一体どうなっているのか、お答え願いたいと思います。
  24. 長浜正雄

    長浜説明員 山陰線ではそうでございますが、京都府を考えますと京都草津間にようやく数百億の金をかけて複々線の工事をせんだって完了したような状態でございます。したがいまして、必ずしも京都府にどうこうということではございませんで、輸送の詰まっておるところから、そして計画の定まっていたところから着工するというふうに進めてきておるわけでございます。
  25. 西中清

    西中分科員 それでは、いまは草津との話をされましたが、私はむしろいま裏日本の問題を申し上げておるわけでございますので、大体四十四年度でけっこうでございますが、これははっきり区別できるかどうか知りませんが、裏日本と表日本国鉄工事に費やされている金額は大体どれくらいの比率になっているかわかりますか。
  26. 長浜正雄

    長浜説明員 ちょっといまそういう裏と表というふうな分け方をしておりませんので、御答弁いたしかねるのでございます。
  27. 西中清

    西中分科員 私が資料をいただきましたところでは、いわゆる表日本は六百六十六億三千九百万円、裏日本は百三十四億一千三百万円というふうに聞いております。ここで表日本線増費裏日本線増費を比べますと、大体五倍というような形だろうと思います。ここで先ほど趣旨に従いまして、やはり裏日本について、もう少し比重をかけてやっていただいたほうがいいのではないかというように考えますけれども、その点はどうでしょうか。
  28. 長浜正雄

    長浜説明員 線増のみに限定いたしますと、いま線増をやっております主要な区間は、どちらかといいますと、過疎地帯というと語弊がありますけれども、おくれている地方の線増が主になっております。北から申しますと、北海道あるいは奥羽、羽越とか信越線とかいうところ、あるいは鹿児島線の南のほう、こういうことで、どちらかというと、そういう方面に線増の重点がいっていると私たち考えております。もちろん過密地帯線増につきましては、通勤関係として、どうしても増強をはからなければならぬというところから、金額は相当張ってはおりますが、延長としては必ずしもそうではないのではないかというふうに考えますが、できるだけ今後そういう御趣旨を体したい、こう考えます。
  29. 西中清

    西中分科員 そういう点で、国鉄として、概略的に裏日本だ、こういう概念があるのではないかと私は前から考えておるわけです。ということは、先ほど来申しておりますように、大都市の近郊はいまドーナツ現象を起こしてどんどんと人口は増加しておる。それから園部京都間で申しますと、単線で非常に急行待ちが多くて、しかもラッシュ時には、いわゆる大都会並みすし詰めという現状でございます。そういう状態で、ただ、これはどうも乗客が本線として少ないとか、また、こちらのほうは人口はどうだとかいうことで、十分な現状把握がなされていないのではないか。特にこの点について、いま急行が多いし、それからディーゼルが走る、それからまた、煙をはいて京都市内まで入ってくる、こういう点で、何か聞くところによると、非常に少ないところでも一時は線路がどんどん敷かれたということですが、こういう京都状態であるということをよく認識をしていただいて、先ほど来申しております園部−二条間の複線電化を早い機会にしていただけるかどうか、その点お伺いしたいと思います。
  30. 長浜正雄

    長浜説明員 園部−二条間につきましては、さいぜん申し上げましたように、京都−二条間の複線高架と雁行してやっていきたい、そうしませんと効果が発揮できませんので、そういうふうに考えております。  それからなお、過疎地帯といいますか、そういう線区に対しては、必ずしも複線化ですぐ輸送力を補うということでなく、たとえば自動信号だとか、あるいはCTCだとか、そういうことによりまして列車本数をふやすとか、こういうことの処置もやっておりますので、つけ加えて御答弁申し上げます。
  31. 西中清

    西中分科員 この前に各党が集まりましてお話し合いをいたしましたときに、いわゆる十年計画の中でこれはやるというようなお話がございましたが、その点は間違いありませんか。
  32. 長浜正雄

    長浜説明員 京都園部間は三次計画にも乗っておったような状況でありますが、今度の計画の中にも入れたい、こういうふうに考えております。
  33. 西中清

    西中分科員 入れたいというのは、入れるつもりはあるけれどもまだ決定はしてないという意味でありますか。
  34. 長浜正雄

    長浜説明員 そのように御了解いただきたいと思います。
  35. 西中清

    西中分科員 この前に話し合いしましたときは、これは必ず入れるのだ、それから十年計画の中では、早い機会なのか、それともあとなのか、こういう質問をしているわけでございますが、そうすると、この前のお話はあくまでも違っておった、こういうことでございますか。
  36. 長浜正雄

    長浜説明員 さいぜん申し上げましたように、すぐ計画決定いたしましたならば着工できるように金の準備もしたい、こう思っております。これはやはり、皆さんのほうで決定していただきます単年度ごと予算に、私どものほうはなっておりますので、私のような担当しております責任者としてはやりたい、こういうふうに申し上げておるのでございます。そういうふうにできるという御了解をいただいてもけっこうかと思います。
  37. 西中清

    西中分科員 先ほどから申し上げておりますように、朝晩のラッシュ時については、これはすし詰めになっているわけです。それから道路網がもうひとつ十分でございませんので、京都市内から三十分以内の範囲でもいまのところは徐々に家が建っている。こういう現状でありますが、おそらくここ一、二年のうちには相当開発されることは間違いないと思います。そういう点で私どもとしては、地元が長い間の念願を持ってきておりますし、どうしても早い機会にやっていただきたい。できるならば二条−京都間と同じくこの工事を開始していただきたいと思いますが、その点さらにもう一考していただきたい。いかがでございましょうか、その点は。
  38. 長浜正雄

    長浜説明員 できるだけ早い機会に府、市と相談いたしまして、われわれとしては仕事を進めるように努力いたします。
  39. 西中清

    西中分科員 その点については、いままで地元のほうは何回も期待をかけて、色のよい返事も聞いておるわけでございますが、何回もつぶれてしまった。したがいまして、十年計画の中で早い機会ということは、私としてはやはりここ二、三年のうちに少なくとも手をつけていただきたい、このように思いますが、その可能性はどうでしょうか。
  40. 長浜正雄

    長浜説明員 さいぜんから申し上げますように、京都園部間として計画がきまりましたならば一刻も早く着工いたしたい。それには、さいぜんから申し上げておりますように、京都と二条の間の高架仕事が先でございますので、これの計画決定を早くして、われわれと協議をきめて、そうして仕事着工できるよう両方で努力をしたい、こういうふうに思っております。
  41. 西中清

    西中分科員 いろいろと御配慮いただいておりますことはよくわかりましたのですが、これは地元の十年以上も前からの願いでもございますし、国鉄計画の中にも顔を出してきては消えていっている問題でございますので、いよいよどうしようもない状態に今日入っております。どうかそういう点で関係の方ともよく連絡をとっていただきまして、また京都のほうも私たちとしてもしりをたたきたいと思っておりますから、どうかよろしくお願いしたいと思います。  以上で私の質問を終わります。
  42. 藤田義光

  43. 松本忠助

    松本(忠)分科員 大臣にお伺いするわけでございますが、大臣諮問機関でございますところの都市交通審議会、これが三月の二十四日に開催されるということを新聞承知いたしておりますが、聞くところによりますと、東京中心のもの、大阪中心のもの、いろいろお考えを今回まとめようというお考えのようでありますが、東京中心の高速鉄道網につきまして、前回の中間答申におきましては、昭和五十年を目標とした地下鉄建設の基本計画をまとめたわけでございますが、今回は昭和六十年を目標にしたところの構想をおまとめになるようなことを漏れ承っております。大臣は、この都市交通審議会から都市交通のあり方について何を期待されておるか、大臣のお考えをまず第一番に伺っておきたいわけであります。
  44. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 最近の大都市交通圏の交通の流れの変化等もありまして、都市交通審議会が三月下旬に招集されることになりまするが、その都市交通審議会で、この新しい最近の大都市交通圏の状況、これを十分に御審議願って、あるいは都心部に一部修正を加える、かようなことも出てくるかもしれぬと存じておりますが、もちろん、これは国鉄との連絡の問題等もありますので、それらを含めて七号線の全体のあり方についてぜひ御審議を願って、その答申を得て急速にこれが方法を決定したい、かように考えております。
  45. 松本忠助

    松本(忠)分科員 大臣の非常に御熱意のあるおことばを承りまして、私も意を強うするものでございますが、都市交通の解決には何といっても地下鉄が一番であろうというふうに私は思っております。そこで鉄監局長にお伺いするわけでございますが、現在建設中の六号線、これは都営の地下鉄でございますが、建設免許路線が三田で設計が終わっておるように承知しております。これをどの方向に延ばす考えかを伺っておきたいと思うわけであります。私見ではありますけれども、多摩川を隔てて川崎市は、工業都市として東京、横浜の両方面からの通勤者も多く、国電、京浜急行では朝夕のラッシュアワーはたいへんなものでございます。そこで、これを救う道として地下鉄を建設すべきではなかろうか、そのように思うわけでございます。そこで、その六号線を延伸いたしまして、京浜東北線の西側、これを通って横浜の港北ニュータウンと結んではどうか。港北ニュータウンでも、聞くところによりますとたいへんな構想が具体化しておるように聞いておりますので、この解決策として交通動脈をいまから考えておくべきだろうと思うわけでございます。川崎市も非常に地下鉄に対しては乗り気でございますし、この解決には一はだも二はだも脱ぎたいということを地元の市会議員も言っております。  さらに、東京の通勤可能区域が、南は五十キロが一応考えられまして、一時間くらい乗車するとして、藤沢あたりまで考えられるわけでございますが、東京、川崎、横浜、港北ニュータウン、そして藤沢、これらを結ぶところの高速通勤鉄道を建設すべきであろうと思いますが、この点についての当局のお考えを伺っておきたい。
  46. 町田直

    ○町田政府委員 結論を先に申し上げますと、ただいま大臣から御答弁ございましたように、今月末に都市交通審議会の東京部会を予定いたしております。そこにおきまして、先ほど大臣の御答弁のように、現在五十年まで計画されております各路線、さらに六十年ぐらいまでの構想といたしまして、どの線をどこへ延ばしていくかというふうなことも含めまして御審議をいただく、こういう予定にいたしておりますので、その結論を待ちまして考えたい、こういうことでございます。  ただし、ただいま先生の御指摘にございましたように、確かに港北方面はいわば一つのブランク地帯でございます。いま計画されておりますのは、渋谷から新玉川線ができまして、これが田園都市線として現在延びております。これが一つ。それから一号線が京浜急行につながりまして、こっちに延びていくというのが交通機関としてはございます。そのほか、もちろん国鉄がございますが。その間に、ただいま御指摘のあったいわゆる港北ニュータウン関係の地域がブランクになっております。したがいまして、ただいまの六号線の三田でとまっておりますものをそっちの方向に延ばすということは、確かに一つの考え方だろうと考えます。
  47. 松本忠助

    松本(忠)分科員 次に、七号線の問題について伺っておきたいわけでございますが、七号線も、緊急に整備を要するものといたしまして、前回は答申があったように記憶いたしております。この七号線の建設計画は、事業主体もまだきまっておらぬようでありますが、この事業主体をいずれにするか。そしてまた、現在の計画では都心から駒込、王子、岩渕、このようになっておるわけでございますが、この岩渕を終点といたさないで、荒川放水路を越えて埼玉県の鳩ケ谷方面まで延ばすべきではないか。鳩ケ谷は御承知と思いますが、いわゆる陸の孤島といわれております。バスによらなければ輸送ができない。このほうは急速に住宅が開発されておりますので、この足の確保はたいへんな社会問題となっていると思うわけでございます。  そしてまた一方、国鉄の東北京浜線、これは複々線でいまやっているわけでございますが、これもたいへんな込みようでございます。これはひとつ大臣にも見ていただきたいと思うわけでございます。朝の赤羽駅の混雑の模様、これは大臣にぜひとも一ぺん現場を見てもらって、そうしてこの解決に当たっていただきたいと思っているわけでございますが、東北線、高崎線に乗ってくる人が赤羽で乗りかえるわけです。山手池袋線に乗りかえる客、それから階段を上がって京浜線に入る者、東京方面に向かうのはたいへんな混雑でございます。この混雑をさばくには、どうしても七号線を荒川を越えて埼玉方面へ延ばし、それを救っていく以外にない、このように私は現地の人間として考えているわけです。そこで、七号線の早期着工、埼玉県への乗り入れという問題について、どのようにお考えであるかを承っておきたい。
  48. 町田直

    ○町田政府委員 これも前回の答申によりますと、目黒方面より赤羽に至る路線で、さらに将来埼玉県方面への延伸を検討する、こういうことに相なっている次第でございます。その検討が現在まだなされていない、こういうことでございますので、これももちろん含めまして都市交通審議会で検討いたしたいというふうに考えておりますが、問題は、埼玉県に延ばす場合に、埼玉県の考え方も十分聞きまして都市交通審議会で検討していただく、こういうふうに考えております。いずれにしても埼玉県方面に延びざるを得ないのではないかと考えております。
  49. 松本忠助

    松本(忠)分科員 事業主体についてはどのようにお考えでありますか。
  50. 町田直

    ○町田政府委員 御指摘のように、七号線と十一号線の二つが現在のところ——十二号線というのがございますが、ルートがまだはっきりしておりませんで、七号と十一号の二つ、現在事業主体はきまっておりません。事業主体と申しますと、東京でございますから営団か東京都でございますが、いずれにいたしますかは、できるだけ早く大臣の御決定をいただきたいというふうに考えておりますが、現在のところまだきまっておりません。
  51. 松本忠助

    松本(忠)分科員 いま質問の中で大臣に申し上げたのですが、赤羽駅の朝七時二十分から八時、この付近の込みぐあいを一ぺんごらんになるお考えはございませんか。これは、ぜひ見ていただきたいと思います。
  52. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 機会を得て拝見したいと思っております。
  53. 松本忠助

    松本(忠)分科員 大臣国鉄の職員の士気を高揚する意味からも、大臣が直接現場へ乗り込まれて朝のラッシュアワーの状態をごらんいただくことが大いにいいのではなかろうか、このように思うものでございますから、ぜひとも実現をしていただきたいと思います。私も、はばかりながらそのときは、ぜひお供をして、大いに地元状態も見ていただきたい、このように思っておりますので、お願いをしておきます。  それから、七号線が今度は都心のほうへ入ってまいりまして、駒込から本郷の大学通りに行きまして、市谷から永田町方面に抜ける計画になっておる、このように聞いております。そうしますと、当然市谷−永田町間におきまして八号線とダブってくることになりますが、この場合一つ所を上下のダブりで通すのか。あるいはどちらかを振って、従来のような構想でやるのか。その辺のところ、どのようなお考えがあるのか。振るとすれば、七号線を振る気か、あるいは八号線を振る気か、その辺のところについてお伺いしておきたい。
  54. 町田直

    ○町田政府委員 御指摘のように、市谷辺で八号線と七号線がダブれば、ほんとうは両方の線を一つの工事でやることが一番能率的でございますけれども、技術的に現在検討いたしておりますが、ここは非常に道路が狭くて、いまの八号線でもおそらく二階建てぐらいな形にしないといけないのではないか、こういうことでございますので、七号線をいまの計画のように一緒にすることは技術的にちょっと無理じゃないか、こういうふうにいわれております。したがいまして、これも都市交通審議会が開かれましたときに、七号線の一環として検討していただく、こういう予定でございますが、いまの私ども考えでは、七号線を若干振る、こういうことにせざるを得ないのではないかというふうに考えております。
  55. 松本忠助

    松本(忠)分科員 技術的な問題はおまかせするとして、一日も早くこの七号線の完成を待ち望むものでございます。  それから八号線の問題でございますが、これはいつごろ完成する御予定なのか。たとえば池袋を一つの境として考えた場合に、池袋−銀座方面はいつごろ完成するのか、あるいはまた池袋から成増の方面はいつごろ完成するのか、この点を伺っておきたいと思うのであります。ここにも、これは板橋区小茂根二の二六の一〇というところの伊藤英三さんという方でございますが、この方が地下鉄八号線の早期建設のための促進同盟で四千五十名からの署名をとって、一日も早くこの完成を期していただきたい、このように請願を持ってきております。私も預かっておりますので、後刻この手続をとりたいと思っておりますが、このように地元では非常に八号線の完成を待ち望んでおるわけでございます。  なおまた、東京の東から北へかけての東北方面には続々と大団地が生まれてまいります。たとえていいますと、徳丸カ原、ここは大変貌を遂げつつあります。こちらは六号線が高島平まで行っておりますので、まず一安心ではございますけれども、この高島平と東武東上線を結ぶ考えがあるかないか。これも話には聞いておりますが、どこまで真実なのか、この辺のところを伺っておきたいわけでございます。  さらにもう一点は、ここ四、五年でグラントハイツも返還になります。さらにまた大泉学園町、キャンプ朝霞が将来返還になってくるとして、東京のベッドタウンとなることはもうはっきりいたしております。そこで、現在の東武鉄道の東上線と西武鉄道の池袋線の中間に、これらのグラントハイツ、大泉学園町、キャンプ朝霞、こういうものをくし刺しにする形の高速鉄道の建設が必要になってくると思うわけでございますが、この点についてどのような構想をお考えになっているか伺っておきたい。
  56. 町田直

    ○町田政府委員 八号線につきましては、帝都高速度交通営団が現在着工準備を進めておりまして、本年の三月末から着工いたす予定でございます。ただいま先生の御質問にございました完成期日でございますが、いまの予定では池袋−銀座間が四十八年三月開業予定でございます。全線が四十九年三月、こういう予定で進んでおります。  それからただいま御指摘の団地関係でございますが、グラントハイツあるいは朝霞キャンプ等に大規模な住宅団地ができる、こういうことでございます。実は現在の計画は、グランドハイツあるいは朝霞キャンプ等の大規模計画のある前の計画でございます。したがいまして、一応いまのところは成増まで行くという計画にいたしておりますが、こういう新しい情勢が出てまいりましたので、あるいはいまの八号線のこの辺のところを、おっしゃったような、新しくできる一つの団地をくし刺しにするような形で路線を考えるというふうなことも必要ではないかと考えております。ただし、この線は、池袋線等から相当な人員が入ってくる、こういう予定でございますので、その辺の今後の輸送需要と見合いまして考えていかなければならないというふうに考えております。いずれにいたしましても、この件も非常に重要でございますので、都市交通審議会で十分検討していただくというふうに考えております。
  57. 松本忠助

    松本(忠)分科員 次に、問題を少し変えまして、都市交通の渋滞する主要な原因、これに私鉄の軌道と普通の道路との平面交差の問題がございます。特に東武鉄道の東上線は、池袋から埼玉、東京の県境、この間に約六十数カ所の踏切がございます。特に、補助二十六号線、あるいは補助二百三十九号線、あるいは環状八号線、こういうものが逐次建設されてまいりますと、これらの主要道路と東上線の平面交差は、これは絶対に避けなければ、渋滞するばかりでなく、大事故を起こすことが予想されるわけでございます。昨年の十二月にも東武鉄道の館林駅の付近で大事故がございました。この再発がただいま申し上げましたところで起きなければいいが、このように考えるものでございます。まあ万が一起きましたようなときには、館林の様相とは格段の大きな事故になる、惨状は目をおおうばかりになるのではなかろうか、このように思われます。そこで、東武鉄道の東上線の高架化について当局はどのようにお考えであるか、承っておきたい。
  58. 町田直

    ○町田政府委員 東武東上線のただいまの御指摘の路線につきましては、大体、連続立体交差が必要な区間が成増付近まで延長七キロ若干、こういうふうに考えております。この区間につきましては、御指摘ございましたように、環状八号あるいは補助二百三十九号、それから補助二十六号、放射三十五号等の街路等がございまして、これらの街路事業との連絡をとりながら、都市計画事業者との協力を得て立体交差化を進めていく計画を立てております。大体現在のところ、第一区から第四区まで、ただいまの区間につきまして区間を分けまして、連続立体交差の計画をいたしております。  ただ、先ほど、実は京都の件で国鉄から御答弁いたしましたように、この事業は都市計画事業者との協力が必要でございまして、建設省あるいは東京都都市計画事業者と鉄道との間で緊密な連絡をとりまして、要するに、できるだけ早く予算をつけまして、それによって連続立体交差をやっていく、こういうことが必要でございますので、その点をできるだけ努力いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  59. 松本忠助

    松本(忠)分科員 これは計画でもございましょうけれども予算規模についてはどれくらいでやれるものか、その辺のところはおわかりになりませんか。
  60. 町田直

    ○町田政府委員 きょうは予算内容の資料は持っておりませんので、いずれ調べましてお答えいたします。
  61. 松本忠助

    松本(忠)分科員 次は、国鉄に関する問題でございますので、鉄監局長並びに総裁に伺いたいわけでございますが、東北本線の赤羽駅の西口でございます。ここはもういわゆる団地が目の前まで迫っておりまして、そして非常に駅前が混雑しております。事故がひんぴんとして起こっておりますが、大事故ではございません。いわゆる接触、それから追突が多いわけです。このように渋滞しておるのでございますから、小さな事故ではございますが、ひんぴんとして起きております。これはまことに交通の難所だといわれております。それといいますのも、駅の北側にございます踏切、また貨物駅のそばの踏切、これがいずれも人呼んであかずの踏切、こういうことをいわれております。これらが災いしていることでもございますけれども、西口は非常に交通渋滞でございます。大きな火災などが起きたときには、これはたいへんなことになるのではなかろうか。どうしてもここは駅前広場をとって相当大規模に再開発をしなければならない。この構想もあるようでございますし、駅前広場も六千平米を予定しておるというようなことも出ておりますけれども、これが都市計画決定された際には、国鉄では協力をするかまえがあるかどうか。その際には思い切って駅自体を高架にして、そして現在の東北京浜線、これと同じ高さにして、赤羽の貨物駅は、言うならば廃止するなりあるいはどこかへ移転するなりして、あの一帯を高架にして、そうして東京の北の玄関として活用する、これくらいの大きな構想を持つべきではないかと私は思うわけでございますが、この点について運輸省並びに国鉄当局ではどのようにお考えであるかを伺っておきたいと思います。
  62. 町田直

    ○町田政府委員 赤羽駅の具体的な問題につきまして、私まだ十分検討いたしておりませんので、具体的な問題につきましては国鉄に答弁していただくことにいたします。  ただいま御指摘のございました駅前広場につきましては、現在それぞれ進めておりますけれども、費用負担の問題につきまして、駅前広場は大体いまのところ半分半分、こういうような国鉄の費用負担となっておりますが、このごろは非常に広い駅前広場を必要とする状態になってきております。その点につきまして、なお負担区分をどうするかということをもう少し検討しなければいけないのではないか、こういうふうに考えまして、現在建設省国鉄でいろいろ話し合いをいたしておるという事実がございます。その点をひとつ申し上げておきます。
  63. 長浜正雄

    長浜説明員 ただいま鉄監局長から御答弁いただきましたけれども、赤羽の西口につきましては、先生御指摘のように非常に混雑しておりまして、現在確かに都市計画といたしましては六千平米の駅前広場をつくる計画にはなっておりますけれども、なおかつ、東京都としては都市再開発計画をその付近にいたしまして、もっと大規模なものにしようというふうに検討しておるように私たち承っております。そのときには当然国鉄としても何らかの御協力を申し上げなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでありまして、その一つとして、赤羽線の赤羽駅を高架化するというような問題も起こってくると思います。けれども、これは計画がまだまとまっておりませんが、非常にむずかしい問題であろうと思います。  ここで一つ問題は、駅前広場の造成の問題でございまして、ただいま鉄監局長からも申し上げましたように、いままでの駅前広場は、大体、建設省国鉄とで話し合いをいたしまして、折半で分担をすることにしておりますけれども、最近のように都市が非常に発達いたしますと、駅前広場をそれ以上になお広くほしいというような事態が起こってまいります。これは都市の発展によってそういうことが要求されるわけでありまして、ただ国鉄としては、そういうものはますます広ければ広いほどいいわけでありますが、それの折半分を国鉄が負担するということにいたしますと、国鉄の財政状態からも非常に窮屈でございます。また、旅客をさばくという点からいうとそれほど広い駅前広場は要らない、けれども都市計画の面からいうとなるべく広いほうがいいという場合には、費用の分担方針についてもう少し再検討できないものかということを、いま建設省と相談をしておるわけでございます。現に、私鉄のような場合にはほとんど駅前広場を分担しておらないという例がございますので、いま国鉄としては東京都に費用の分担方式を協議したいということを申し入れております。それが現在駅前広場の問題の解決を非常に困難にならしめておる一つの原因でございまして、なるべく早く国鉄の分担分を鉄道の旅客本来の面積に限定してもらいたいということを申し入れて、これは高架化の場合には、鉄道側が負担をします分と都市計画側が負担をします分とは一対九でございますので、こういう例にならいまして、何とかならないかということをお願い申し上げておる段階でありまして、よろしくお願いいたします。
  64. 松本忠助

    松本(忠)分科員 時間も切迫してまいりました。あと五分そこそこだそうでございますので、まとめましてお伺いいたしますので、簡潔なお答えでお願いしたいわけでございます。  国電の東十条駅の北口の跨線橋の問題でございますが、昨年も、至急改修しないと事故が起きますよということは、私、当分科会で申し上げております。案の定、昨年の秋に、老人がここから墜落事故をいたし、死亡するという痛ましい事件がございました。まことにお気の毒でございます。昨年の提言がいれられていれば、あたらとうとい命を失わないで済んだものをと、返す返すも残念なことをしたと悔やまれてならないわけでございます。お金と人の命とどっちが大事か、こんなことはあらためて聞く必要はないと思いますけれども、とにかくあのような痛ましい事故を再び起こしたくない。そこで重ねてお伺いするわけでございますが、あの事故の直後に、幸いにも両階段の手すりには金網をすぐ張ってくれました。これは非常に迅速にやっていただいてよかったと思っておりますが、これだけでは不十分でございます。どうしても幅員を広げて、そして、朝晩のラッシュに非常な混雑をしておりますが、これを緩和しなければならぬ。なおまた屋根をかけ、雨風の場合にも安心して通れるように、渡れるようにしてもらいたいと思うわけでございます。御承知のように、この跨線橋を通る人の八七%以上は駅へ入る人です。上下の交通をこれにたよっているという人は一三%ぐらいしかない、このようにいわれております。そこで、道路橋という考えではなくて、乗客への安全確保のサービスの点からも、ぜひとも国鉄でこれに対する対策を十分練ってほしいと思うわけでございます。  この間も、十三日の新聞でございますか、渋谷の駅のホームで貧血を起こして倒れた一女性に対して、国鉄の職員が献身的な行動でその人の生命の安全を確保した、危険を守った。この夕刊には「二分半のドラマ」として大きく報道されておりました。最近いやな記事ばかり見ております中で、ほんとうに一服の清涼剤の感がしたわけでございますが、このような観点からも、この精神で人間尊重の点からお考えいただいて、国民の輸送安全確保に当たってもらいたい。そのためにもぜひともこの問題は至急解決を願いたい、このように思うものでございます。それが一点でございます。  それから、南口のほうは幸い大改修がいまでき上がりつつあります。もう近々歩道も、電車区の陰のほうを利用してつくっていただきましたのが完成いたしますので、地域の住民も非常に喜んでおります。女子供も安心してあの坂が歩けるようになるとたいへん喜んでいるわけでございますが、なお一そう北側のほうもこれと同じようにひとつ対策を考えていただきたい、こう思うわけです。  それから、次に第二点として、上中里から田端にかけてのいわゆる田端操車場を利用して東北新幹線あるいは常磐新幹線等の始発駅にしてはどうか。もちろんこれらの線に乗りかえるためには、東北あるいは常磐の始発駅にするということになれば、東京駅が一番理想的であることは十分わかるわけでございますけれども、現在の東京駅に東北新幹線あるいは常磐線を持ち込んでくるというのはちょっと不可能ではないか、このように、しろうと考えではありますが、思うわけでございます。  そこで、この田端の駅でございますが、あのような広大な操車場を持っておりますが、この操車場を東京都内からはずして、あそこをひとつ東北新幹線並びに常磐新幹線の始発駅にしてはいかがかと思うわけであります。御承知のように、田端は山手線の駅でもあり、そしてまた東北京浜もここで合流して非常に交通は便利でございますし、また、足立区あるいは荒川区方面からもここにバスが入っておりますし、非常に交通の要衝になっております。ここを新幹線始発駅にするのはまことに適当な地勢であるというふうに考えております。この点についてどのようにお考えであるか。また、この点については、特に大臣の私見もあわせお伺いしておきたい、このように思うわけであります。
  65. 長浜正雄

    長浜説明員 最初の東十条の人道橋につきましては、先生のお説のようでございます。いま北区役所のほうと話を進めておりますが、これをなるべく早く話を煮詰めまして処置をするように努力したい、こう思います。  それから第二点の田端の新幹線の件でございますが、技術的の面で御答弁申し上げますと、御承知のようにいまいろんなお話が出ておりますので、われわれ技術者といたしましては、東京都内全部につきまして、どこに持ってくるのがいいかということを技術的な検討をしておる段階でございまして、すべての場所をその候補にあげております。ただ、東海道新幹線の場合も、東京駅にきまりましたいきさつを見ましても、やはりこのときも十指に余る予定地をそれぞれ比較検討いたしまして、最終的に東京駅にきまったようないきさつがございます。将来にわたる問題でございますので、十分技術的にも検討したい、こういうふうに考えております。
  66. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 お話のように、東京駅はなかなか混雑するとは思いますけれども、ただ交通の一貫性といいますか、スピードという点から考えれば、やはりできれば東京駅ということにならざるを得ないのでありますが、これは技術的な問題もありますので、審議会において十分検討した上で、東京駅が無理なれば、もちろんこれは池袋なり田端なりということも検討せざるを得ないと思う次第であります。ただ、基本的なものの考え方としては、できれば中心地にまたがるのが一番いいのでありますから、それらの具体的計画はこれからまた整備計画を立てるわけでありますから、その際に、松本さんの御意見等も十分あわせまして慎重に検討して決定したい、かように考えております。
  67. 松本忠助

    松本(忠)分科員 以上で終わります。
  68. 藤田義光

    藤田主査 伊藤惣助丸君。
  69. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 いまの質問に関連するかもしれませんが、私も新幹線網の建設と東京起点についてまず初めに伺いたいと思います。  去る十一日、運輸大臣諮問機関であります鉄道建設審議会において、全国幹線鉄道整備法案要綱を満場一致きめた、このように報じられております。その点について簡単にその概要を伺いたいと思います。
  70. 町田直

    ○町田政府委員 三月十一日に鉄道建設審議会が開かれまして、全国幹線鉄道整備法案に関する決議というのが行なわれました。  その法案要綱を簡単に御説明申し上げますと、第一は目的でございまして、今後高速輸送体系の形成が国土の総合的、普遍的開発に果たす役割りの重要性にかんがみまして、新幹線鉄道による全国的な鉄道網整備をはかって、国民経済の発展と国民生活領域の拡大に資することを目的としておるということでございます。  それから第二は、新幹線鉄道の路線を別表によりまして法律できめるということでございます。  それから三番目は、新幹線鉄道の建設の主体と営業の主体でございまして、建設の主体は国有鉄道と鉄道建設公団、こういうふうにいたしておりまして、営業の主体は当然のことながら国鉄ということでございます。  それから四番目と五番目は、今後どうやってこれを建設していくかという進め方でございまして、運輸大臣が鉄道建設審議会にはかりまして基本計画を定めます。これを国鉄、鉄建公団に調査をしてもらいまして、さらに運輸大臣が鉄建審議会にはかりまして、整備計画をきめ、これを国鉄か鉄道建設公団かに指示をする。国鉄か鉄道建設公団は、それぞれこれに従いまして工事実施計画を定めて、運輸大臣の許可を受けて工事を実施する、こういう段取りでございます。  それから七番、八番は、今後こういう工事を進めていきます場合に、いろいろな行為の制限ということを考えなければいけないのではないか。あるいは他人の土地に立ち入りをいたしまして測量をするというような権限を定めております。これは御承知の道路法あるいは河川法等に定められております行為制限と同じようなものでございます。  九番は、建設資金につきまして、国あるいは地方公共団体が資金あるいは土地のあっせんについて必要な援助あるいは助成をする、こういうことでございます。  十一番は処罰に関すること、十二は関係法令の改正、こういう内容でございます。
  71. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 非常に時間がありませんので、問題をしぼってお伺いします。  その中の、東京を始発とする東北一号線、あるいはまた常磐線、上越線、北陸線、これらの駅及び発着場所、これはそれぞれの地域において非常に関心のある問題でございます。そこで、ただいまのお話のように、すべて審議会において検討し、そしてまた運輸大臣認可をする、こういう経過を伺ったわけでありますが、現在、そのような審議会に諮問するにしても、あるいはまた審議するにしても、運輸省としては検討しているかどうか。そしてまた、このような経過から見まして、現在の上野駅は不可能である、こういう見方を持っておるわけでありますが、その点について大臣及び国鉄関係者から答弁願います。
  72. 町田直

    ○町田政府委員 いまお話のございました具体的な、たとえば東京から出発するには東京の中のどこを起点にするかということにつきましては、今後の問題でございまして、調査費等もございますので、いろいろそういう面でも調査をいたしますし、それから、具体的に基本計画が定まりました場合に、それに従いまして調査をいたす、こういうことでございます。ただいまの段階では、具体的にどこからということはいまだ検討いたしておりません。
  73. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 国鉄に伺いたいのですけれども、上野は当然無理ではないか、こう考えるわけですが、その点どうですか。
  74. 磯崎叡

    磯崎説明員 全国幹線の東京の発着地点は非常に問題でございます。実は、東北の方々はぜひ東京駅に入れてほしい、こういうお話でございます。現在でも、東北あるいは常磐等の特急をぜひ東京駅に入れてほしいという非常に強い御要望がございます。先ほど大臣のおっしゃいましたように、確かにお客さんの側から見れば、東京なら東京に全部集めたほうが便利だ。かといって能力の限界もございます。雑踏のことも考えなければいけないということで、私どものいまの大体の考え方は、なるべくターミナルをつくりませんで、東京都内をスルーで通ってしまいたい。そうしませんと、ターミナルに非常に金がかかるものですから。たとえば常磐と東海道を結ぶとか、あるいは東北と第二東海道を結ぶとか、そういうふうに東京を通り抜けるようなルートにいたしませんと、東京都内の地下でもってあの長大なものが折り返すにはたいへんな設備がかかります。なるべく東京都内を通り抜けるというようなルートにすべきではないかということをいろいろ技術者と考えております。  これは新しい構想でございまして、その際に一体どの辺が中心になるか。たとえばさっきの田端、あるいは池袋、四谷、新宿、方々考えられますが、結局どの線とどの線を結んでスルーしたらいいかということなどについては、もう少し技術的な検討もしなくちゃいけませんし、東京都内を通れる場所は限定されておりますし、地下鉄の関係もございます。いずれ地下へ入らざるを得ない。そういう角度から、これは相当慎重に技術的に検討してまいりたい。幸い田端、池袋、四谷等、相当土地を持っておりますので、私どもはその土地を大事にしながら、将来のことに備えていきたい、こういうふうに考えております。
  75. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 もちろん審議会において審議されないことを発言はできないと思います。ただしかし、いままでは上野から全部出発しておったわけですね。その点について、やはりこれはもうだめなんだ、私の調査ではそう言えるわけであります。したがって、いま総裁からおっしゃいましたように、田端なり池袋なりあるいは四谷、あるいはまたほかに考えられるところは東京駅、新宿。しかし、全国鉄建設網は、非常に多くの新幹線が発着しますので、一カ所、二カ所ということにならない。非常に広範囲な発着所、起点が必要だというふうに私考えております。したがって、こういうことについては、相当長期であっても前々からその起点とする基本的な条件をそちらのほうから示すことによって、計画地元から強力に推進してもらえるとか、あるいは関係者がそのような働きをする、みんなでそういった建設に対して協力をしていく、こういうふうな利点があるかと思われます。先ほどあなたのほうからも答弁がありましたけれども、この起点を設置するには、いろいろな技術的な面があるとおっしゃいました。しかし、そのほかに私はいろいろな条件があると思うのです。こういう条件で起点設置を考えたいのだという一つのことがあると思うのですが、その点について伺っておきたいわけです。
  76. 磯崎叡

    磯崎説明員 先ほど申しましたとおり、起点の駅にするか、中間の駅にするか、いろいろ考え方はあると思うのです。まず、何と申しましても、私のほうは土地を持っておりませんと、土地を買ったんじゃたいへんな金になりますので、なるべく国鉄の持っておる土地を利用したい。これも一つの考え方でございます。しかし、何と申しましても、どうしたら利用者に一番便利になるか。それから乗りかえ客が相当あるわけでございます。その乗りかえ客にも便利にしなければいかぬ。そういうことの例で一つ申しますと、大阪の例で、新大阪を大阪に入れなかったために、よかった点と悪かった点が両方ございます。あるいは横浜についてもしかりでございます。ああいう点について十分に検討いたしました上で、あと五十年、百年使うものでございますので、地元の意向もよく聞いた上で将来の交通政策として大きな立場から考えていきたい、こういうふうに考えております。
  77. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 要するに地理的条件がそろっているかどうか。土地がなければ買収に非常に金がかかりますから、あるかないか。あるいはまた都市計画に矛盾しないかどうか。さらにまた、乗降客を十分に吸収でき得る交通機関の至便な場所であるとか、また地元民が強力に協力するということが、起点決定の一つの条件になるのではないかというふうに私なりに考えているわけです。いまも総裁からそういうお話がございましたが、そうなりますと、当然池袋なり田端なりということが考えられるわけであります。  私は特にこの二つの問題にしぼってさらにお伺いしたいわけでありますが、いまの私の話の中の答弁の一つと、それから池袋について前々から上越線あるいは信越線の誘致ということがあったわけであります。そのことについて一時中断しておったようでありますが、そういったこともあわせてまた伺いたいと思うわけです。そして現在池袋には、国鉄の用地といたしまして三カ所ほど西口に有力な土地がございます。一つは国鉄の官舎です。もう一つは芝浦工業大学付属高等学校のあと地、それから東京電気工事局のあと地、それぞれ約千五百坪ぐらいございます。合わせて約四千五百坪でございますが、このあと地をどのように使用されるのか。一時ここにコンテナ基地をつくるというようなお話がございましたが、その後見合わせているというふうにも聞いております。その点についてもあわせて答弁願いたいわけです。
  78. 長浜正雄

    長浜説明員 まず最初のほうの御質問の、東北、高崎線を池袋に持ってくるというお話でございますが、これは、かつてそういうことを考えた時代はございますけれども、その後いろいろ検討いたしました結果、上野駅を改良いたしまして、全部上野に持ってくるということで、いま計画は進めております。御存じのように、上野駅の工事もやっておりますし、途中の線増その他の工事もいたしまして、そういうことを進めておりますので、現時点では、池袋に持ってくる計画はございません。しかし、新幹線の場合になりますと、これはさいぜんも御答弁申し上げましたように、池袋に限りませず、すべての場所を一応私たちとしては候補地と考えまして、全部についての検討をする必要を認めておりますので、そういう意味において、すべての場所の可能性のある土地を全部検討しております。ただ、その場所はありましても、それに至ります線路の通路がいい場所がとれるかどうかという点で、いろいろ問題があると考えます。そういう通路の問題と、ターミナルといいますか、スルーでずっと抜けるわけでございますが、東京都内における駅の用地の問題、それらも考え合わせ、そして、先生さいぜん言われましたいろいろな諸条件を考えまして、私たちとしては技術的にこういうところでどうだろうかというような案をつくりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  それで、池袋につきましても、先生のおっしゃいますように、三つの土地を国鉄ではまだ確保しております。これは将来の池袋のいろいろな都市計画的な面、改造的な面からいって、池袋の再開発というような点、あるいは将来の池袋にまたどういう線路が入ってこないとも限らない。現に地下鉄八号線が入ってくるということになっております。あるいはまた新幹線ということもこれは考えられると思います。いろいろな面を考えまして、その土地は確保しておきたい、こういうふうに考えております。したがいまして、いまの電気工事局のあとのコンテナ基地というふうに私たち考えておりましたところ、これは実はその付近の生産物のコンテナとしての必要性があるということで考えておったわけでございますが、その後、いろいろ調査をいたしましたり、あるいはまた地元皆さんの御要求を承りましたり、あるいは武蔵野線が近く開業いたします、そういう状況変化をすべて入れまして、いま再検討しておる段階でございます。とりあえずといたしまして、コンテナ基地といたしませず、八号ルートの地下鉄ができますので、これの工事のあき地が全然ございませんので、この土地をそれにとりあえず利用しようかというふうに、いま関係方面とお話を申し上げておる次第でございます。
  79. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 そこで伺いたいのですが、昨年のやはり同じ予算分科会におきまして、前石田総裁、また前原田運輸大臣からも、いろいろ池袋の副都心について、また長期構想について意見を  伺い、また答弁をいただいているわけでありますが、それによりますと、まず石田総裁でございますが、私の質問に答えて、上野とともに池袋駅は将来ステーションビル建設などを考えなければならぬ、こういうふうに答弁されております。また、前原田運輸大臣も、現在の池袋にある東西を結ぶ線路上に駅前広場をつくるということについて、よいアイデアだ、私も個人的には賛成だ、こういうことも答弁されております。いずれにしても、現在の池袋周辺といいますのは、国鉄の用地または国鉄の路線が広くても、駅前は非常に狭いわけであります。私はかねてから、この狭い駅前広場を補うためには、どうしても東西間を結ぶ路線の上に広場をつくり、さらにまた、その広場から新幹線の発着所なりあるいはまた東西交通のかけ橋にもすべきだ、こういうふうに主張してきているわけでありますが、その点について、国鉄総裁と運輸大臣から答弁をいただきたいと思います。
  80. 磯崎叡

    磯崎説明員 池袋につきましても、私は多少土地を知っておるものでありますのであれでございますけれども、いまの御承知の巣鴨の刑務所のあとの問題がございます。池袋の内側は、お説のとおり全く広場がなくて、駅がすぐ道路に面している。これは非常に異例なことでありまして、交通上は非常にあぶないということで、もう一枚あの上にデッキを張って、人造広場と申しますか、そういうようなものをつくる、あるいはそれと巣鴨の刑務所のあと地の利用を一緒に考えるというような、大きな構想がいろいろあるようでございますので、私どもといたしましても、極力そういうところに沿って考えなければいけない。ことにあれだけの乗降客のあるところで、駅前の広場が全くなくて道路がすぐだというのは、非常にあぶないことでございます。西口のほうは少しばかりございますが、東口に全くない。これは非常に異例なことで、将来ともまずいではないかと思います。また、あそこのステーションビルも今度少し高くいたしまして、十五階くらいにつくることにいたしまして、土地の開発にお役に立ちたい、こういうふうに考えております。いずれ、あそこは巣鴨拘置所のあと地の問題と一緒に考えて、非常に面目一新するだろうというふうに私は考えております。
  81. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 ただいま総裁から御答弁いただきましたが、運輸大臣はいかがですか。
  82. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 具体的には国鉄総裁からお話がありましたが、私この機会に、何か現状といいますか、現状交通網あるいは都市再開発のものの考え方に対しては、まことに不満だらけであります。ことに公明党の皆さんは二十一世紀を担当しようというのですからして、私は、この機会に私見を述べたいのですが、おそらく二十一世紀初頭においては、大東京といいますか、東京都関係する人口は三千万人になろうと思います。したがって、いまのように継ぎはぎだらけの交通政策といいますか、いまお話にあったターミナルの問題につきましても、そういった考え方を積み重ねていっていいのだろうか。私は三十五年に建設大臣をやりましたときに、副都心を建設することについて、当時の山田局長に私の意見を言ったのですが、これからの管理センター地域といいますか、オフィス街、官庁街というものは、非常に自動車その他の交通が入ってくる地域である。そういう地域に対して人間と自動車が一緒のところを歩いているということはナンセンスだ。当然人間は二階なり三階を歩く、自動車は地上を走る、これが三十年なり四十年あるいは五十年先の未来都市として考えるべきことだ、私はこういうことを注意したのです。その後、いろいろそれらを取り入れまして、御承知のように、副都心の考え方は、地上は車、二階を人間が歩くというような方法をとっております。私がそういうことを言いましたのは、三千万ないし三千五百万のいわゆる大東京人口というものは、その区域は何県にまたがっておりましても、大東京人口というものはそういう人口である。そういう地域を、東京丸の内一帯をオフィス街あるいは新宿のまわりをオフィス街、こういう考え方でやっていっていいのだろうか。私はあるいは夢想家といわれるかもしらぬけれども、将来の情報化時代あるいは管理センター地域というものは、都市人口の大部分を占める。そういう意味からいって、それらをいかにさばくかということは、現在のような点を中心にした都市政策あるいはオフィス政策というものは間違いである。したがって、現状でいうなれば、新宿副都心から東京駅の間に幅一・五キロ程度のいわゆる大管理センター地域、それから品川から上野にかけてやはり幅一・五キロくらいのいわゆる管理センター地域、この中にいわゆる高速道路から高速軌道、こういうものを含めると同時に、オフィス街をその両わきに並べる。二十一世紀の初頭あるいは中期にかけては、もう点の都会、点の管理センター地域ではなくて、そうした面を持つ管理センター地域を考えなければ間に合わないのではないか。そういうような発想のもとにいわゆる交通政策あるいは道路政策というものは考えるべきである、私はこういう一つのものの考え方を持っております。そういう意味で、いろいろ地域の利害関係もありましょうけれども、やはりターミナルにいたしましても、あるいは新幹線の新規発着にいたしましても、そうしたものの考え方の前提に立って計画を進めていく。途中になってから私が言うようなことに引き直すのじゃ容易じゃないのでありますからして、やはり大都市計画というものは五十年、三十年先を考えてしなければいかぬ、こういう考え方を持っておるのであります。時間がありませんから、私の構想をゆっくり申し述べる機会がありませんが、未来の政党である皆さんにも、その点をひとつ十分に御検討願うし、私も機会があれば、私の考えておる未来都市の考え方、未来都市の開発、こういうものを述べてみたいと考えております。
  83. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 大臣の非常に遠大な構想、また二十一世紀のビジョンを伺ったわけでありますが、ぜひともどうか長期にわたって大臣をつとめられながら、その構想実現のためにがんばっていただきたい、そのことを要望しておきます。  先ほど総裁からお話がございましたが、十五階建てくらいのステーションビルというものをつくり、それを活用しながらいろいろな計画があるようでございます。もちろん、はっきりしたことは言えないことは立場上わかりますが、私もいろいろな意見を持っております。確かに東西池袋というものはあと数年にして面目一新することは、皆さん承知のとおりでございますが、特にあの池袋にステーションビルというものをつくった場合に、現在の赤羽線を二階建てにして、用地買収をすることを全然なくして、現在の川越えにかかっております高速、あるいはまた橋をさらに越えてまっすぐに赤羽に行くならば、距離的に非常に近くなる。また建設にあたっても非常に安いのではないか。地下を掘ったり土地を買収したり、あるいはまたいろいろな立ちのき問題で時間を費やすことは全くない。そういう意味から、いまの橋本運輸大臣お話とともに、またそういった構想に合わせながら、池袋再開発にぜひとも力を注いでいただきたい。そのことを要望申し上げます。  そして、先ほどお話がございましたが、西口にありますあの三カ所の土地の中で、現在地元民の要望しておりますことは、あの駅前周辺にマッチした使い方、公共性のあるものまたは副都心にふさわしい一つの科学的、技術的なセンターというものを要望しております。そのこともつけ加えておきたいと思います。  さらに、時間がございませんので、地下鉄八号線について伺いたいと思います。現在、地下鉄八号線は建設されておりまして、だいぶ進行しておるようでございますが、ただ申し上げたいことは、練馬にございます米軍基地グラントハイツが返還になります。これは今年から四カ年計画で返ってきます。そのあと地については、もうすでに一般に知られておりますように、十万人以上もの団地ができあがるようになっております。そうなりますと、現在の八号線を変更して、その予定されるグラントハイツの団地に引き込むことができるかどうか。もし変更できなければ、先ほど鉄監局長ですか、おっしゃったように、団地をくし刺しにするようなものを別に考えるのか。いままで地下鉄八号線といいますのは、東上線の混雑解消という目的があってあそこにつくられたと、こう聞いておりますが、さらに護国寺から目白、中村橋、そして高松町、大泉学園町、そういう線でなければ、団地をくし刺しにできない線でございます。そういう意味から、その線の計画決定がまだなされていないように思うわけでありますが、そういった点の八号線の建設について伺いたいわけです。
  84. 町田直

    ○町田政府委員 先ほどちょっと申し上げましたが、現在の八号線は、ただいまお話しのグラントハイツあるいは朝霞キャンプのあとの大団地ができる計画の前のものでございます。したがいまして、こういうことがはっきりいたしますと、八号線をもう少し考え直さなければいかぬだろうということになっております。御指摘のように、これをそのまま先ほどのくし刺しに使いますことは、八号線そのものの輸送量を非常に多くするということになりますので、一つの考え方としては、いまお話のございました中村橋、護国寺という八号線の分岐、これを独立させまして、別途新しい一つの線をつくる、こういうことを考えなければいけないのではないかというふうにも考えております。いずれにいたしましても、もう一つ六号線の輸送分野との関係もありますので、そういうこと全体を考えまして、この地域全体の交通体系を検討の上で、都市交通審議会にはかりまして決定いたしたいと考えております。
  85. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)分科員 先ほどの答弁をちょっと補足していただきたいと思います。  それから、ただいまお話伺いましたが、中村橋ではどうにもならないので、実はその先の線を、もうすでに昨年十一月に二十二万人の地元の署名が関係省庁に提出してございます。むしろその後の経過状況について伺いたいわけですが、いつごろ計画決定なされるのか。また、そういった請願運動が行なわれたわけでありますけれども、現在どういう状況で、どういう扱いをなさっているのか、その点について伺いたいのです。  さらにつけ加えてお伺いしたいことは、グラントハイツの西武線の延長、もう一つは、東上線とともに立体交差化——道路が一緒になっておるわけです。平面といいますか、そういうふうになっておりますので、これに対する立体交差化を望む声があるわけであります。それも具体的には池袋、桜台までは一つは計画ができておると聞いております。さらにまた、延長をして立体交差化を推進してもらいたいと思いますが、その点についても伺いたいわけです。
  86. 町田直

    ○町田政府委員 経過は大体先ほど申し上げましたようなことでありまして、地元の御陳情等も承っておりますし、八号線はもうできるだけ早く建設するということで、実は今年度も末でございますけれども、手をつけたいということを考えております。ただ、いまのような状況でありますので、それぞれの新しい団地に対する対策といたしましては、今月末に開かれます都市交通審議会で慎重に検討していただく、こういうことでございます。もちろん、八号線との関係がございますので、慎重に検討していただきますが、できるだけ早く結論を出していただいて、その線に沿って進めたい、かように考えております。  それから東武東上線の問題、先ほどの問題と同じと思いますが、成増までの間のたくさん踏切がございますものを、連続立体交差化をいたしたい、こういうことで、これは東京都並びに建設省連絡しながら検討いたしております。先ほどどのくらい金がかかるかという御質問で、私ちょっとお答えできなかったのですが、大体百四十億くらいかかる予定でございます。松本先生の御答弁にかえさせていただきますけれども、そういう非常にたくさん金がかかりますものですから、なかなか立体が進まないということで、予算の問題もありますので、まだ具体的に——計画はできておりますが、できるだけ早く進めたいと思います。
  87. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 地下鉄の建設並びに運営の基本方針についての私の考え方をちょっと申し述べておいて、皆さんのほうでもひとつ御検討願いたいのですが、私は就任以来、いろいろ大都市交通圏のことを研究してまいりまして、従来の地下鉄建設の主体、運営方式がきまっていないといえばいない。ただ申請したものを許可しておる。こういうことでいいだろうか。たとえば大阪市営地下鉄の場合、これが府下に延びる場合には非常な問題があります。今度の万博の場合も、やむを得ずして北大阪線という別個の会社をつくって延長する、こういう不手ぎわなことをせざるを得ない。要するに、大都市というところは、やはり通勤区域として相当広範囲に、これから地下鉄の広域流通地帯というものは延びていくわけでありますから——地下鉄にかわったのは、市内の路面電車を地下鉄にかえるのだという従来の近視眼的なものの考え方から出てきておるのであります。また何十年前は、市内の人がみんな勤務に行ったかもしれぬけれども、今日ではそれから二十キロ、三十キロ離れたところから通勤するのが原則なんです。そういう状態であるにかかわらず、地下鉄を市内の路面電車のかわりにするのだという発想法が間違っておった。当時はやむを得なかったと思う。今日ではそれは間違いである。先ほど質問がありました荒川を越えて浦和に入る場合はどうなるか、事業の主体がきまらぬじゃないか。もしこの場合に都営都下鉄を延ばすというならば、これはやはり問題点があると思います。やはり営団組織でないと——私はいまの営団がいいとは言いません。要するに複合形式で地下鉄というものができなければ、今後の大都市の通勤交通機関としての地下鉄の使命は全うできない。市内は、ある意味においては、ある程度はタクシーで利用すればいいのです。したがって、私が四十五年度予算から、公共団体が大部分の建設費の二分の一を負担しようというものの考え方は、広地域の大都市交通圏というものを地下鉄が負うべきであるという責任から、あのような制度を、初めて私は強硬に大蔵省と談判して、これを認めさせたのです。その理由は、いま言ったように、市営地下鉄とか都営地下鉄という限定でいくべきじゃない。であるから、今後新しい地下鉄をもし市営でもって申請があった場合には、私は、非公式でありますが、私見しては許可しない方針であります。原則的に許可しない。特別の事情があれば別でございますが、原則として許可しない。そしてやはり大都市交通圏としての地下鉄の役割りを果たすという前提に立って、そういう建設であり、運営でなければ将来非常な禍根を残す。こういう意味からいっても、いわゆる複合形式、ある意味においては営団形式といってもいいでしょうが、複合形式でなければ、地下鉄というものの経営及び建設の任に当たるべきじゃないというのが私の考え方であります。この点、皆さん方においても十分御検討の上、私は、将来そういう措置をとったということはけしからぬとおっしゃらぬように、まずもって御検討願っておいて、そして私の考え方が誤りであるならば、もちろんこれは訂正いたします。しかし、私としてはさような考え方を持っておる。将来ともに都市交通審議会でそのような方針で私は考え方を述べてまいる、かようなことをこの機会に申し述べておきたいと思います。
  88. 藤田義光

    藤田主査 午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午前十一時四十三分休憩      ————◇—————    午後一時五分開議
  89. 藤田義光

    藤田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十五年度一般会計予算及び昭和四十五年度特別会計予算建設省所管を議題といたします。  まず、説明を聴取いたします。根本建設大臣
  90. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 建設省関係昭和四十五年度歳入歳出予算につきまして、その概要を御説明いたします。  まず、総額について申し上げますと、建設省所管一般会計歳入歳出予算といたしましては、歳入は四十一億四千百余万円、歳出は八千八百九十一億二千六百余万円であります。  歳出におきましては、このほか総理府の所管予算として計上されておりますが、実質上建設省所管の事業として実施される予定の経費がありますので、これらを合わせますと、昭和四十五年度の建設省関係予算は一兆百五十億七千百余万円となり、前年度の予算に比べ一千四百八十二億九千六百余万円の増加となっております。  なお、国庫債務負担行為として官庁営繕に七十九億八千七百万円、公営住宅建設事業費補助に百五十七億九千四百余万円、住宅地区改良事業費補助に五十八億五千五百余万円、下水道事業費補助に六億五千万円、河川等災害復旧事業費補助に七十六億五千万円を予定いたしております。  次に、特別会計の概略を申し上げます。  まず、道路整備特別会計の予算総額は、歳入歳出とも六千五百九十七億五千百余万円で、前年度の予算に比べ一千六十二億五千余万円の増でありまして、おもなる財源といたしましては、一般会計からの受け入れ五千八百億一千百万円、地方公共団体工事費負担金収入五百六十七億三千六百万円、前年度剰余金の受け入れ十三億円を予定いたしております。  なお、国庫債務負担行為として二百九十九億四千万円を予定いたしております。  次に、治水特別会計でありますが、本特別会計の予算総額は、歳入歳出とも二千二百八十五億七千百余万円で、前年度の予算に比べ三百三十八億三百余万円の増加となっております。  これを勘定別に分けますと、治水勘定につきましては、総額二千四十五億五千百余万円で、前年度の予算に比べ三百二十九億六千七百余万円の増でありまして、おもなる財源といたしましては、一般会計からの受け入れ一千六百九十一億二千百余万円、地方公共団体工事費負担金収入二百五十三億二千六百余万円を予定いたしております。  また、特定多目的ダム建設工事勘定につきましては、総額二百四十億二千余万円で、前年度の予算に比べ八億三千六百余万円の増でありまして、おもなる財源といたしましては、一般会計からの受け入れ百五十四億二千八百余万円、地方公共団体工事費負担金収入二十五億九千九百余万円、電気事業者等工事費負担金収入四十六億三千八百余万円、前年度剰余金の受け入れ一億六千七百万円を予定いたしております。  なお、国庫債務負担行為として百五十二億八百万円を予定いたしております。  次に、都市開発資金融通特別会計でありますが、本特別会計の予算総額は、歳入歳出とも九十三億九千八百余万円で、前年度の予算に比べ十六億三千三百余万円の増でありまして、おもなる財源といたしましては一般会計からの受け入れ六億円、資金運用部資金からの借入金五十九億円を予定いたしております。  次に、大蔵省との共管による特定国有財産整備特別会計でありますが、このうち、建設省関係分の歳出は十七億三千八百余万円で、前年度の予算に比べ十一億五千五百余万円の増加であります。  なお、国庫債務負担行為として三十二億七千余万円を予定いたしております。  建設省といたしましては、この予算により、都市、住宅、国土保全、道路等に関する各般の施策を推進し、立ちおくれておる社会資本を充実強化するとともに、適切な土地対策を実施して、国民経済の発展と国民生活の安定向上をはかり、住みよい国土の建設努力する所存であります。  建設省関係予算の事業別の重点施策の概要につきましては、お手元に配付してありまする昭和四十五年度建設省関係予算概要説明によりまして御承知を願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  91. 藤田義光

    藤田主査 以上をもちまして説明は終了いたしました。     —————————————
  92. 藤田義光

    藤田主査 質疑に先立ち、念のため申し上げます。  質疑者が多数おられますので、質疑の持ち時間は一応本務員は一時間程度兼務員もしくは交代で分科員となられた方は三十分程度にとどめ、議事進行に御協力願いたいと存じます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に要領よく簡潔に行なわれますようお願い申し上げます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  93. 久保三郎

    久保分科員 まず最初にお伺いしたいのは、河川法あるいは海岸法に関係する問題で、いわゆる建設資材の骨材確保の問題とこれらの法律との関係であります。先ほど隣の第四分科会でも自然法について若干通産省関係質問をしてまいったのでありますが、具体的な例を一、二申し上げて、御方針というか考え方を聞きたいと思うのであります。  一つは、砂利あるいはそういう骨材の確保でありますが、最近川砂利は枯渇の状態にあって、そのために海岸またはおかや山にのぼってきたということが一つあるのであります。特に河川の問題でありますが、乱掘というものがかなり激しいのはすでに御案内のとおりであります。その河川の保全について、ルーズといってはたいへん語弊がありますが、少しルーズではなかろうか。私の住んでいる県の一つの事例には、乱掘がたたって橋が折れてしまったという事態が発生したのであります。これはまさに建設省独自の責任ではないかというふうにも考えるわけです。言うなれば、砂利採掘については建設省所管でございます。橋についても同様であります。こういうのがそのままやられていくところに、何かわれわれ割り切れない問題がある。と申し上げますのは、言うなれば、骨材そのものの確保と、河川、海岸を含めた自然の保護とか国土の保全とかいうものが、かみ合っていないのじゃなかろうかと思うわけです。これは久慈郡だろうと思うのですが、橋の問題も一つあります。  それから、私の選挙区内であるものが二つほどあります。一つは、霞ケ浦の砂砂利の採取であります。御承知のように、霞ケ浦は国定公園に指定されているわけでありまして、その中でも美浦村という村の地先にある浮島というところは、いわゆる公園法でいうところの特定地域というか指定地域というか、そういうものになっているのであります。ところが奇妙なことには、建設省、出先だろうと思うのでありますが、砂利採取を許して、現在でもそうだろうと思うのでありますが、サンドポンプを入れて船でおかに砂砂利を運んできて、おかでは仮設物というか集積場を置いたりして、これをやっているわけです。私は、たまたま選挙区の問題でありましたから、出先の機関に参りまして、そのことを一応お話ししました。そうしましたら、調べた結果わかったのは、いわゆる公園法に基づく指定解除というか、そういうものの合議は全然なされていなかったということであります。最近はどうなっているのか、やむを得ず承諾したのかどうかわかりませんが……。  大体、自然公園法というものはあるんだけれども、その番人がどこにいるのかわからぬ。また、そういう法律が当然自分の管轄区域には適用されていることを知らぬ建設省の役人はおそらくないんじゃなかろうかと思うのでありますが、善意に解釈して知らなかったんだろうと思うのです。そして話をしてまいりまして、そういうことで、これは地元でもダンプカーは通るわ、いなかの道は全部だめになってしまうわ、地先は淡水浴場がありますが、夏が来ても湖水が濁って淡水浴場はものにならぬということでありますから、一応やめたらどうかという話をしましたところが、これは言い方がおもしろいのです。関東地建でもそういう話があったと思うのですが、地建の河川部長というのに私も一ぺん会いましたが、きっと彼からも言っているのです。かなり多額の投資を中小企業の業者がしておるものでありますから、これをやめさせるといっても、そう簡単にはいきませんというのです。たいへんな役人がおりましてね、建設大臣。こういう態度でやられたのでは、河川法を守るあるいは海岸法を守る役人がそういう態度では、自然とか国土が保存されないのはあたりまえだと私は思うのです。御所見はいかがでしょう。
  94. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 全般論としましては、最近の建設ブームに刺激されまして、骨材を乱掘するものがたいへん多いのでありますが、これにつきましては実は厳重なる規制をしておるのでございます。一級河川特に直轄河川については相当厳重にやり、それから県知事あるいは地元市町村に河川管理をゆだねておるところにつきましても、相当厳重にいたしているのでございます。ただ、御指摘のような事例がございますれば、それは監督官庁の非常な失態でございまして、具体的な事例に接しますれば厳重に監督して是正させるつもりでございます。  ただいまの御指摘について、河川局長がもし何か知っておるなら答弁してもらいます。
  95. 坂野重信

    ○坂野政府委員 いま大臣がおっしゃいましたように、河川法が四十年から施行されましてから、一級河川特に大臣管理区間につきましては、私どもは厳重過ぎるぐらいの規制をやっているつもりでございます。規制の年度計画をつくって、それに基づいてやっておりますし、また県のほうの管理区間につきましてもやっておりますので、いま先生のおっしゃいました具体例について私どもはすぐに浮かびませんので、また詳細につきましては、よく調べて御報告申し上げたいと思います。  落橋の問題等あったようでございますが、橋の問題につきましては、川底が下がる原因につきましても、砂利採取の問題あるいは自然的な現象、ダム、砂防等の進捗、いろいろ総合的な原因がございますので、そういう川底がだんだん下がっていくものに対しましては、原因の追及とそれに対する対策というものを実は十分考えておりまして、その川底の下がったものを下がったなりにどういうふうに維持したらいいか、あるいは砂利採取の面からいってどの程度まで川底を保持すべきかという問題も、ここ数年間にわたって、川一本一本について検討いたしておりますので、そういう御指摘がございましたら、今後ともどしどし言っていただきまして、私どもも、大臣おっしゃいましたように、是正すべきものは是正していきたいというふうに思います。  霞ケ浦の問題、御指摘がございましたが、私が聞きましたところでは、やはり関東地建の現地の事務所で、最初にこの申請が出てきましたときに、採取願いが出てきたときに、地元の村長によく相談したそうでございます。村長もうっかりしておったかどうか知りませんが、村長のほうでは採取してもらってもよかろうというようなことで、いろいろ御相談にあずかったようでございます。やはり先生おっしゃいましたように、採取した結果、いろいろ地元にじんあいが非常に立ち込めて、道路がその砂利の運搬のために非常にいたんだりしたことがございますので、そういう面については、一部すでに是正措置をとっておりまして、陸路を船運搬に変えたり、それから、先ほど御指摘の国定公園の特別地域につきましては、それをはずすような措置をとっておりまして、大体この三月一ぱいでもってすべてのそういった是正措置は終了いたすことになっております。場所の揚げ場の問題も、すでに是正が済んでおります。  そういうことで、確かにこの自然公園の問題は、現地のほうでは、その辺のところはもう少しあらかじめ十分調査してやるべきだったというふうに考えまして、その点ははなはだ遺憾でございます。今後こういったいろいろな地元に対して迷惑をかけないように、是正措置を着々講じつつありますので、その点はひとつ御了承願いたいと思います。
  96. 久保三郎

    久保分科員 局長の答弁は、あなたのほうには何も責任なくて、当然のことをやったのだという話で、役人としてはたいへんりっぱな答弁ですね。なるほど、国定公園法の指定を解除するということでありますが、これは厚生省から来ておりますね。なぜ解除するのか聞きたいと思います。
  97. 木代一男

    ○木代説明員 ただいまの霞ケ浦における砂利の採取の問題は、私ども茨城県を通じて最近承知しておりますが、その内容は、ただいま建設省のほうから御説明ありましたとおり、自然公園法上は霞ケ浦の水面は普通地域でございますので、これは都道府県知事に対する届け出で足りるわけであります。本件の場合に、取った砂利を堆積する工作物であるとか、あるいは砂利を堆積させるということにつきましては、今回のケースが特別地域に該当しておりまするので、この点は自然公園法上違反になっておるわけでございます。  そこで、県の連絡に対して、業者が早急に許可を受けてやるようにという指導を私どもいたしまして、本年の一月の四日以降は、その工作物なりあるいは堆積する場所は、特別地域外になっているように聞いております。したがいまして、当初は堆積する場所なりあるいは工作物の設置に自然公園法上の違反がございましたけれども、一月四日以降は、自然公園法上の問題はないというふうに考えております。
  98. 久保三郎

    久保分科員 役人としてはまことにりっぱな答弁でありまして、解除したから適用除外で関係はない。河川局もそう言っている。そんなことでぼくが質問しているのじゃないのです。やってしまったから、もうしようがないから、公園法に基づく指定は解除してもらおうということに結論はなったのです。話は逆じゃないですかね。法律を守るというのじゃなくて、法律を曲げてしまおうというんですね。現実はそうだ。こういう方法でいいのかどうかということ。  それからもう一つは、砂利採取法はたしか通産省と建設省で共管だと思うのです。共管というか、関係ありますね。河川局長、これはあなたのほうは関係ありますね。そういうときには、こういう砂利の集積場というか堆積場というか知らぬが、そういうものに対しても、あるいは道路の問題についても、当然検討されて許可されるのがほんとうだと思うのです。河川法に基づく許可とそれから砂利採取法に基づく許可と、あなたのところは二つ一緒にやるのでしょう。そうでしょう。そういうものがいまのような御答弁だけでは、どうもわれわれとしては納得しかねる。自然法というか河川法をどうやって守るのか。たとえば海岸にしても、鹿島などは一帯砂丘地帯であります。鹿島港の開発は、その砂丘地帯を掘り込んで港をつくったのであります。これから北上した地帯も大体において砂丘地帯ですね。海岸保全区域に一部は指定されていますが、それ以外のところにきては乱掘もはなはだしいところがたくさんあります。しかも保全区域内だって、やみで、許可を受けない者がどんどん入り込んできて掘っていく。こういうものに対して建設省はどういう考えでいるのか。  それから、さっき答弁があった橋が折れたのは、その他の原因もあるから調べなければわからない。なるほどそれ以外の原因もあったでしょう、雨が降って水が多かったとか少なかったとか。だけれども、やはり砂利の乱獲というか、そういうものの原因があるということを地元ではみんな言っているのです。だから聞きたいが、河川局としては、いわゆる骨材である砂利、砂の確保と、海岸法や河川法によるところの国土保全関係をどういうふうに考えてこれからやっていこうとするのか、聞きたいです。
  99. 坂野重信

    ○坂野政府委員 私どもがこの骨材の採取を許可する場合には、まず第一には、やはりその河川の保全上あるいは海岸の保全上採取して差しつかえないかどうかということを第一義的に見るわけでございまして、その限りにおきましては、私どもは国土保全というものを優先的に考えまして、それに支障のない範囲内において骨材の採取というものを許可しているわけでございまして、霞ケ浦の問題ございましたが、橋梁の落橋の問題につきましては、私どもは御指摘の橋梁につきまして、原因をよく直ちに調査するようにいたしたいと思っております。  それから海岸の問題でございますが、実は海岸保全は、御承知のように建設省が監督をしておりますけれども、直接の海岸の管理は都道府県知事がやっておりますので、いま都道府県知事に至急照会中でございます。実は私どもはこういう事態のことを聞きましたのは初めてでございまして、こういう事態を知りませんので、よく県のほうに確かめてみたいと思っておりますが、県のほうの電話連絡では、県のほうも厳重に取り締まっておる、禁止の方向でいって警告等も出しておるということを聞いておりますが、そういった地元に迷惑等、あるいは保全上に支障がないように、ひとつ直ちにそういった規制の強化ということにつきまして指示するようにいたしたいと思っております。
  100. 久保三郎

    久保分科員 そこに新聞記事がありますからね、鹿島灘の砂については。それをごらんください。  あなたは先ほどの答弁でも、何かそういう問題があったら言ってきてくださいと言う。言ってきてくださいなんて何ですか。言ってくる前にあなたのほうでわからなければ、実際困りますよ。これは注意しておきますよ。そんな態度では困る。  いずれにしても、河川法というか、海岸法にしても、これはやはり法律自体をもう一ぺん見直す必要がありはしないか、こういうふうに思うのです。というのは、保全区域にしても、だんだんこうなってくると、少しばかりの範囲で保全区域にしておくことは、ぎりぎりのところまで砂を掘ってこられる。海岸法によると、保全区域の砂を取るときには許可が要るが、保全区域でないときには許可が要らぬようですね、解釈のしようでは。河川法によるところの許可は要らないのでしょう。砂利か砂の採取法なら別だが、どうですか。
  101. 坂野重信

    ○坂野政府委員 砂利採取法とこの河川法、海岸法とは、それぞれ間隙ができないように実は調整してございます。海岸の場合も、おそらく先生おっしゃいましたのは、海岸の保全区域の範囲が狭くて、それを一歩出ると取り締まりができないのじゃないかということだと思いますが、私どもはそれについて、砂利を採取した結果が海岸の保全上その影響によって支障があるということが明らかな場合には、いわゆる保全区域というものを拡大的に解釈いたしまして、そうしてその面について海岸の保全法というものを適用拡大して、ひとつ規制していこうというぐあいにやっておりまして、県によってはすでに条例を設けておるところもございますが、その辺の問題につきまして、実は海岸の管理の適性化というような問題につきましても、府県にそれぞれ通達を何回か出して、実は適正を期しておるわけでございます。
  102. 久保三郎

    久保分科員 来年度から新しい計画で海岸保全の五カ年計画というか、こういうものが三省一致のもとに、共同のもとにやるということになっておるのだが、片方ではこういう砂を取るために災害ができてくる、こういうのでは何か政策に一致したところがないのじゃないかというふうにも考える。だから、そういう意味で海岸法なり河川法というものはもう一ぺんあらためて見直してみたらどうか。  それからもう一つ、言うならば開発とそういう自然保護というか、そういうものを考えてみる必要がありはしないか。いま言った浮島の問題は、結論的にはそのままずっとやらせることですか。これはおわかりになっているのでしょう。
  103. 坂野重信

    ○坂野政府委員 先ほど申し上げましたように、浮島の自然公園法の問題は、現地のほうでそういう認識がなかったこと、まことに遺憾でございます。私どもも監督の本省として、まことに残念でございます。  そこで、自然公園法の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、特別の指定地域については影響がないようにすでに措置を終わっておりますので、今後は別に法律上はどこも支障がないわけでございます。ただ、運搬の関係でいろいろな道路の交通の問題等がございますので、その辺につきましては、今後も行政指導で地元に迷惑がかからないように指導を十分にやっていきたい、かように考えております。
  104. 久保三郎

    久保分科員 くどいようですが、自然公園法には抵触しないようにできたというのは、施設や何かを撤去したのですか、それともさっき申し上げた特別指定地域からここだけ除くということで済ませたのですか、どっちなんですか。
  105. 坂野重信

    ○坂野政府委員 除いたのではございませんで、特別地域に関係ないように、その砂を揚げる場所を地域外へ持っていった。それから、今度は船で別の場所に揚げるようにしたということでございます。
  106. 久保三郎

    久保分科員 これは公園のほうに聞かなければいけませんが、砂をとっていけばこれは水が濁ってきますね。それから、そういう工作物が依然として湖面の近いところに出ているわけですね、地域に関係なく。移動するといったって、遠いところへ移動したわけじゃないでしょう、おそらく。その地域の、言うならすれすれのところまで持っていったというわけでしょう。おそらくそうだろうと思うのですね。そういうことで、はたしてそういう自然公園法という法律の精神が守られるのだろうかという疑問があるのですね。水が濁ったとかきれいだとかいうのは、公園には関係ないのですか。
  107. 木代一男

    ○木代説明員 ただいまの御質問にお答えしますが、霞ケ浦の採取した砂利の堆積する地域を、特別地域から普通地域に持っていったということで一体自然公園の精神というものが生かされるかどうか、それはただいま久保先生のおっしゃるとおりであろうと思います。ただ、霞ケ浦につきましては、湖面は見たところ広大なものでございますので、普通地域ということで、砂利採取というものは、自然公園法ではその届け出をすれば足りるということになっております。ただ工作物の設置とか、そういうものが許可制になっておるために、多少そういう矛盾のような感じもいたしますが、霞ケ浦については、特別地域は全体について湖岸に約五、六カ所程度でございます。  ところで、そういう場所をちょっと移動したくらいでもって自然の景観なり保全ができるかどうか。これは最近のように急激な経済発展といいますか、産業開発、自然がどんどんと破壊される、そういう現実の事態に対しましては、法律の運用を一段とわれわれとしては、事の重要性にかんがみまして検討を加えなければならぬと思っております。ここ数年来、全国の二十三の国立公園の公園計画、保護計画、利用計画、両面にわたる公園計画を現実の事態にマッチするように、特別保護地区として保存すべきものはさらにこれを現実の事態に即応してふやすなり、あるいは箱根とか六甲地域のように、現に宅地化したようなところは公園からはずすというような、現実の事態に即応した保護なり利用なりを目下検討しておりまして、また、先ほども話がありましたように、広大な公園に管理人などが非常に少ない。御指摘のとおりでございまして、これから組織、人員両面から年々予算を要求しておるところでありますが、何といたしましても、現行の自然公園法はいわゆる地域指定制と申しまして、土地所有者のいかんにかかわらず地域を指定して、景観によっては国立公園にするという制度でございます。開発と自然保護の調整は一番悩み抜いておるところであります。四十二年度以来、民有地につきましては、都道府県が購入をいたします場合には二分の一の補助金を国が出すという民有地買い上げ制度ができております。また、土地の固定資産税でありますとか、あるいは租税特別措置というような点について、いろいろと措置を講じておるところであります。
  108. 久保三郎

    久保分科員 時間もありませんから、お答えは簡単にしてください。  さらに建設大臣に、ここでこの問題でもう一点お伺いしたいのですが、先ほど申し上げたように、自然保護というのは、先般の施政方針演説の中にも強調されていた一項目であります。ところが、新全総ができましたが、これは開発が中心でございまして、自然保護というか、そういうレクリエーションに対しての多少のところには言及していますが、全体的な自然保護については、あまり政策としては述べておられないし、これからの発展もあまり言及していません。そこで、私は開発も大事だと思うのでありまして、万博じゃありませんが調和、この調和を、ただ単にことばの上だけの調和では、残念ながらおもむくところに従って、さっきの浮島の問題のように、手をつけてしまえば、それを既成事実としてだんだん推し進めていくということになっていくわけでありますから、やはり事前に、たとえば骨材ばかりじゃありませんが、開発を含めて国土の利用計画というか、そういうものをきちんとして、その中で骨材を確保するなり、あるいは河川法、海岸法を含めて全体の国土保全をはかる。積極的には自然を守るというか、そういうことにすべきだ。  ついては、これは閣議においてというか、内閣において関係するところもたくさんおありのようでありますから、ひとついま私が申し上げたような点で、総合的な計画というか、政策を早急に樹立すべきだと考えているのですが、いかがですか。
  109. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘のとおりと思います。そういう意味から、実は首都圏それから中部圏、近畿圏についても、ややもすれば開発に重点を置いて、しかもその開発というのは産業的な方面だけに重点を入れて、人間の生活環境をよりよくするという開発か少しおくれがちなのであります。その点を考慮してやらなければ、後にたいへんな多くの金がかかりますし、いわば国が開発公害を出すようなことでは、これはマイナスだということを実は私も指摘いたしまして、首都圏、中部圏、近畿圏の事務当局にはそれを指示して、もう一回、今度事業計画をやる場合にはこれをひとつ考えてほしいということを申し上げていると同時に、やはりこれは国だけではなかなかできません。そこで、関係府県も、産業開発と自然の保護、人間生活の環境づくり、これをもバランスをとってやっていただきたいということを申し上げている次第でございます。御指摘の点は、私も今後一生懸命やるつもりでございます。
  110. 久保三郎

    久保分科員 どうぞお願いしたいと思うのですが、自然と歴史というのは、一ぺん破壊したら二度と再びどんなにやってもできないものでありますから、やはりいまこそこれの保護を考えるべきだと思いますので、お願いしたい。  それから、これは河川局長に聞いたほうがいいと思うのでありますが、たとえば海岸法を一つとっても、保全区域なり、それに対する認許可というか、そういうものは県知事に委任しているわけです。県知事の事業というのは、これはたいへんな数があるわけじゃありませんから、目の配りようがないんじゃないかと私は思うのです。ついては、市町村にある程度そういうものの規制というか、許可権は別として、許可権は大きいところでやらないとまた間違いを起こすかもしれませんけれども、地域社会のやはり中心である市町村の段階にそういうものをおろしていったらどうか、県段階じゃなくて。そのほうが、最も自然保護というか、河川法なり海岸法を守る上において一番適切じゃないかというふうにも考える。これはどうですか。
  111. 坂野重信

    ○坂野政府委員 海岸の管理の問題は、実はだんだん海浜地域の発展とともに問題になってきております。私どもとしても、海岸の管理のあり方が現行のままでいいかどうかということについて実は検討しておりまして、そういうことで、一方においてはまた国が部分的にやはり管理する必要のあるところもあるんじゃないか。たとえば先生おっしゃいますような市町村の問題もあると思いますので、この辺は、今後十分検討事項としていろいろ検討してみたいと考えております。
  112. 久保三郎

    久保分科員 次に、いまの骨材の輸送に関連して道路の問題があります。これは道路局長にお尋ねしたほうがいいと思うのでありますが、一番困っているのは道路じゃないかと思うのです。たとえば狭い県道を十トン積みのトラックが一日に千台も通ることがあるのです。どうしようもないのですね、たんぼの中の道なんですから。そういうものがトラックによって、採石輸送によって定期的に来るとするならば、何かの方法でこの道路を完全に維持することを考えていかなければ、いまの道路財源や道路の維持管理の方法だけではむずかしいんじゃないかと思う。これはいわゆる公害の問題としていかがでしょうか。
  113. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 確かにいま先生のおっしゃったとおりだと思います。私たち、やはり大規模に砂利を採取する場合には、道路管理は、その業者と話しまして、一体どこを通るか、その経路を指定するのがまず第一だと思います。その経路が、十分大型のダンプが通れないような経路を使うというときには、ある程度その道路管理者と企業者等が話し合って、損傷負担金といいますか、道路の修繕費とか、またすれ違いのできないようなところには待避所というようなものを、やはり企業者の負担として出してもらうというようなことも必要じゃないかと思います。実際にはなかなか、そういう指導もしておりますが、そうもいかない。ただ、かってに通ってしまうというところがございまして、公害を起こしているところもあると思います。私たち、やはり大規模なものについては、そういうようなことでこれから道路管理者のほうにも指導したいと考えております。
  114. 久保三郎

    久保分科員 そこで、これは砂利採取法に関係しますが、いま道路局長が答えられたように、ある程度定量的に、大規模に輸送するような採石砂利運搬業というものがありますれば、これは事前にチェックして輸送の方法を考えていく、そして初めてそこで許可していくというようなことにしなければ——たとえば私のほうは北関東地区でありますが、成田の空港が始まるというので、北関東一帯からそういう骨材が出てくることは必然であります。これを野放しにしておいたら、建設省の道路局が中心になって何ぼやったところで、これは道路が間に合うもんじゃありません。しかもこれは必要があれば、ある程度長期になれば、道路の一本くらいはやはり採石業者、道路を使う者が当然やるべきだと思う。こういうのがいわゆる民間資金の活用だろうと思うのです。そういうものこそ専用道路にする。まあそこまでいかぬでもこの道路ではもはや受け付けられないというものは鉄道輸送に切りかえるとか、あるいは輸送の時間をきめる、そういうようなことを条件として持っていくことがやはり必要だと思うのです。既設の、いまあるところの砂利採取法を改正して、この際はそういうものを織り込んだ形でやらないとたいへんだろうと思うのでありますが、そういう考えはいかがでしょうか。
  115. 坂野重信

    ○坂野政府委員 実は砂利採取法の改正の際にも、先生がおっしゃるような議論も出たわけでございますけれども、砂利採取の許可は砂利採取法に基づいていろいろな工事計画を出すことになっておりまして、どこの場所で、どれだけの量を、どういう期間にわたって、どういう方法でやるか、その場合に大体近くの幹線道路までどういうルートで持ち出すか、その辺までが限度で、実は現在の採取法の扱いをやっているわけでございます。先年おっしゃいましたように、一般的なルートの指定の問題になってくると、今度は輸送法の問題として別途の問題になってまいりますので、ちょっとそこまでいきにくいのじゃないかというのが現状でございます。その辺は、できるだけ行政指導でやるしかないんじゃないかと思います。この法律では、なかなかそこまで現行のままでは規制できないということでございます。
  116. 久保三郎

    久保分科員 道路では、河川局のほうではあまり関係ないからね。だからあなた、のんびりした話をしている。ここには、ある新聞記事に「群馬県のじゃり成田へごっそり」と書いてある。これはたいへんな騒ぎなんです。中身を読んでみますと、大臣もお読みになっていらっしゃるかどうかわかりませんが、群馬県の砂利がなくなってしまうということです。私は群馬県じゃありませんけれども、これは大半が鉄道輸送だそうです。はたしてそういう輸送専用線を敷くそうであります。これは当然そうだろうと思う。それでは、鉄道で輸送ができるのかどうかということがまた問題になってくると思うのです。そうなると道路にかかってくる。だから河川局長の答弁のようなことでは、大規模プロジェクトというものをやる場合には、骨材なり何なりの資材輸送というものは、やはり事前に輸送の経路、それから手段、方法についてチェックしていかなければもはやだめだと思う。ただ行政指導では残念ながらいかないと思うのです。ところが、小さいものは別として、大きいものはやはり計画的にいくのでありますから、しかも一年や半年でやめるわけじゃありませんからね。大臣、どうでしょうか。
  117. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 いまにわかに立法措置でこれを規制することは、ちょっと技術的にむずかしいと思うし、これは前向きで検討したいと思いますが、少なくとも、成田空港のほうに非常に大きな骨材を要し、しかも、かなりの長期のものについては、関係省庁、通産省、それからわれわれ建設省のほうは非常に関係が多いのでございます。それから地方自治体も、これによって非常に被害を受けたり、あると思いまするから、公団の責任者協議させまして、これに対する具体的な措置をきめて、対応する措置を講じたい、こう思っております。
  118. 久保三郎

    久保分科員 大臣おっしゃるとおりにさしあたりはお願いしたいと思うのでありますが、できますればやっぱり法律的な中で——それには先ほど申し上げた計画前提になるかもしれません。どうかそういうものを一ぺんあらためて取り上げていってもらいたいということを申し上げておきます。  道路に関係して橋梁の問題であります。橋の安全装置というのは、いなかのほうの橋は特別そうでありますが、私が主張したいのは、橋に歩道をつけなさいということ。歩道部分というのはあるにはあるが、中途はんぱなものもある。これについての方針はどういうふうになっておりますか。
  119. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいま先生のおっしゃるように、ここ数年間前を見ますと、橋梁にほとんど歩道がついてない。これが五メートル五十くらいの橋梁では歩道がついてないので、車がすれ違う場合に人のおるところがなくなるというようなこともございます。四十一年から始まりました交通安全施設の三カ年計画でも、歩道というものの中で、橋梁の歩道も含めまして整備をしてまいったわけでございます。また、これからも四十二年からの新しい三カ年計画で、かなり橋梁の歩道をつけていくつもりでございます。  現況を言いますと、いまのところ、県道以上の橋長十五メートル以上の歩道につきましては約二千橋、延長にして百七十五キロが歩道がついております。さらに私たちは、三カ年計画の中で約七百五十カ所くらいの橋梁の歩道をつけてまいりたいというふうに考えております。そのほかにも、かなり長大橋の歩道につきましては、橋梁の歩道につきましては、交通安全施設以外の改築事業で歩道を設置していく。また、これからつくります橋につきましては、できるだけこういう歩道をつけるような構造にしていきたいということを考えております。
  120. 久保三郎

    久保分科員 長大橋の一つで銚子の大橋というのがあります。これは歩道がないのです。これはしょっ中——しょっ中といっては語弊がありますが、かなり事故があるのです。こういうものとしては当然早くつけなければいかぬでしょう。  それから、たとえば私の住んでいる水戸の近所には、鉄道との立体橋があります。これはこういうふうな傾斜になっているわけですね。その傾斜になっている部分に歩道の部分がないのです。一番肝心な、なくちゃならぬところになくて、上の一部には、平面のところにはあるのです。傾斜のところにないのでありますから、これは危険でたまらぬというのです。こういうものはやはり積極的に歩道を設置していくべきだろうと思う。いまお話のとおり、おやりになるというからなんですが、かなりおくれると思うのです。古い橋などはもう全然ありませんし、それで幅も狭いのでありますから、これは新たに歩道橋というか、そういうものをつけなければならぬものがかなりあると思うのです。これがいままでに一番目こぼしを食っている施設でありますから十分やってほしい、こういうふうに思います。  大体、銚子大橋なんというのは、大臣、もうかってきているのですよ。三十年なんかかからない。実際はもう償却が終わりそうなんです。だからこういうものはもう少し前向きでつくったらどうかという気がします。かなり全国的にもあると思うのですよ。
  121. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいまおっしゃいましたように、やはりいまの水戸の場合を見ますと、私たちは正規の歩道というと、街路にあります、ここら辺にありますような、一段上がったところ、そういう歩道ができるところはもちろんいいのですが、一番簡易なものとしては、コンクリートのブロックを路側に置きまして、車がそこに入れないような、そういう簡易な歩道でも、これから場所によってできるところをこの三カ年計画で大いに進めてまいりたいと思っております。
  122. 久保三郎

    久保分科員 それで、時間もありませんから最後に住宅の問題でありますが、これは大臣にお尋ねしたほうがいいと思うのでありますが、住宅五カ年計画というのは、御承知のように閣議決定されまして、四十五年度で一応の第一期は終わるわけであります。ところが、来年度予算では、特に公営住宅というか、公的住宅であるべきものの二百七十万戸というのが計画どおりのせなかった。復活要求でもそのままいかなかったということでありますが、これは大臣は、かねがね民間資金の活用というようなことを新聞等では発表されておりますが、民間資金の活用も当世必要だと私は思います。否定はいたしませんけれども、民間資金の活用は、何といっても公的住宅の建設があって初めてこれがその上に成り立つものだと、てまえども考えているわけなんです。ところが、どうも五カ年計画も、計画どおり、しかも閣議決定できちっとしたものが達成されないというのは、いかなる理由なんでしょう。
  123. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘のとおり、住宅政策については民間資金は活用するけれども、基本的な政府政策の根幹をなすものは、やはり低所得者に対する公的資金による住宅だ、それは感じています。ところで、本年度で完成すべかりし公的住宅が若干下回ったという原因にはいろいろあるようですが、私のほうで調べた結果によりますと、一つは、公団とか住宅供給公社でつくらせる予定のところが、地元からの反対があって実施できなかった。これは特に首都圏、特に東京都下が多いようです。というのは、公団住宅なり供給公社のいわゆる貸家住宅ができると、学校とかいろいろの公共施設が必要になってくるのです。ところが、それをやるだけの地元の財政状況がよくないものだから、ぜひそれを公団なり供給公社で負担しろ、こう出てくるわけです。ところが、それを負担しますと、予定したところの家賃では入れられなくなる。そのためにこれがデットロックに乗っちゃって、予算をつけても実質上だめだ、こういうことで実は予算要求を放棄したというのが事実のようであります。  そこで今後は、やはり地方自治体がそうした公的施設ができるような財源措置を講じてやらないと、建設省予算をつくっても結局どうにもならない。これはまずいというところで、御承知のように、自治省とも話し合いの上、固定資産税あるいは都市計画税というものを弾力的に考えて、地方自治体にこれを与えてやらないと、建設省だけでやろうとしてもできなくなっちゃったということで、現在関係省庁で連絡を進めておる、こういう状況です。
  124. 久保三郎

    久保分科員 おっしゃるとおりの原因が大きな原因だったと思うのです。そればかりじゃないとは思いますが。  そこで、建設大臣は前に政調会長であられたのでありますから、建設省もそうだろうと思うのでありますが、閣議決定という住宅政策でありますから、これは当然政府与党の責任で遂行すべきなんでありまして、単に建設省だけの予算のワクとか、あるいは住宅公団の予算のワクでだけ達成させようということではないと思うのです。そういう意味からいきますれば、いま初めてわかったわけではない学校とか公的施設について、当然国はその政策の中で総合的なものとして取り上げていくべき筋合いのものである。必要の戸数はそういうものを合わせて確保しながら達成するというのが筋だと私どもは思うのです。ところが、この間じゅうから新聞などにちらほら出てまいります大臣の住宅政策は何かこういうふうにとられるのでありますが、いわゆる民間資金の活用を重点にいって、国及び住宅公団といいますか、そういうものは土地の取得というか、そういうものを中心にやっていくのがいいんじゃないか、こういうようなことでありますが、はたしてそういう御政策でありますか。  あわせてお伺いしたいのは、再来年度ですか、四十六年度から新しい第二次五カ年計画を進めるわけなんでありますが、これはこれからおつくりになると思うのでありますが、第二次住宅建設五カ年計画というのはいかなる方針でおやりになるのか、あわせてお答えいただきたい。
  125. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 私が申し上げたことが必ずしも正確に伝わっていないようであります。私が民間資金を特に主張したゆえんのものは、御承知のように、現在日本の相当の大きい企業がかなりの増収増益を続けております。そこで、かなりの増収増益をやっておる大きい企業では、会社自体による持ち家政策も少し推進すべきである。そのことは、一面においては企業が非常に安定的成長をするのみならず、住宅不足がこれだけ深刻になっておるときに、住宅政策は全部政府がやれということは実施上不可能であるから、企業は自分で持ち家政策をやったらいいじゃないか。そういうふうな持ち家政策をする企業については、これは税制上いろいろの方法がございますから、そうしてやることが、政府が税金で国民からいただいた金でつくるよりもずっと効率的であるということが、まず第一点でございます。  それから、最近サラリーマンもかなり国際並みの所得を持っておられるときに、それにもかかわらず、現在サラリーマンが自分の持ち家について絶望的状況になっているのは何が原因かというと、家よりもむしろ土地でございます。この土地が、いま持ち家政策のためではなくして、むしろ持っておったほうが得だということで、財産の増加、ある意味においては貯蓄の面から有利だということで、仮需要が非常に殺到しておる。ところが、都会地周辺で土地造成を単なる民間のデベロッパーにまかしておくということはいいようですが、これは実はかなりの土地の値上がりをもたらす。そこで、そういう事業は、むしろ公団あたりが相当大幅に大量の土地造成をして、それを民間企業なりあるいは民間の人々に分けてやることによって住宅政策が緩和されるというふうな意味において、地方自治体で持っておる供給公社なり住宅公団が土地造成を思い切ってやるほうが現実に合うじゃないかという意味です。いわば従来やっていないところに重点を少し指示しただけであります。それによっていまの公的資金による低所得者に対する住宅政策をダウンさせるということではないのです。これをやらなければ、そっちに重点がいまのところはいかないのです。なぜならば、みんなが住宅をつくっているものだから、公的住宅をつくれば、今度は、ちょっとくふうすれば民間で持ち家を持てる人まで全部殺到してきて、非常な競争率になって、これは宝くじよりも高い競争率、これはよくないことだ、こういう意味でございます。  それからもう一つは、前の原労働大臣時代から、労働省も最近はだいぶ、勤労者に対する持ち家政策、これは一つの魅力ある政策であるから、建設省と労働省が相提携してこれをやっていこう。これが企業のほうでも非常に共鳴をいたしまして、最近では御承知のように総評自体も、これは大いに乗るべきだというような形になってきたので、住宅政策というものは、一つの手法だけではなかなか解決できない問題でありますので、そこで多面的な作戦を展開したのが——いままで強調されてないのを私が出したために、そっちがクローズアップしていろいろ誤解と批判を受けているけれども、私の本意はそこにあるのでございます。
  126. 久保三郎

    久保分科員 時間もありませんから簡単にしますが、公営住宅の家賃の問題と所得の問題です。これは住宅局長にお伺いしたほうがいいと思うのでありますが、この関係現状でいいのかどうか。というのは、いま大臣から持ち家の問題が出ましたが、持ち家はだれも希望していると思うのですよ。しかし、土地ばかりじゃなくて、これは金のほうがなかなか問題であります。特に若い人たちはそういう持ち家の財的な裏づけを持っておりませんから、安いと言っては語弊があるが、どうしても公的な住宅を借りて住むという以外に方法はないのであります。いま労働組合などでも、労働者住宅協会というか、労住協と一口に言っておりますが、そういう供給の組織をつくって、団地の造成などもそれぞれの向きと共同してやっております。しかし、若い労働者は結婚できない騒ぎがいまだに解消していないのですね。そういうことを一つ見ても問題があると同時に、この間の総理府の調査では、住宅五カ年計画で最初きめた戸数と住宅の広さ、こういう基準にはるか遠いものがまだかなりあるということです。この要求に応ずることがやはり政府の責任でなければならないものだと思うのですね。この家賃と住宅の関係はどういうふうに考えておりますか。
  127. 大津留温

    ○大津留政府委員 先生御指摘のように、自分の力で持ち家を持ち得ない階層、低所得階層と言ってもいいと思いますが、これらの方々に対しましては、公的資金による賃貸住宅を供給することが最も適当であろうと思います。その場合の家賃の負担限度でございますが、家賃は通常収入の一五%程度が適当な負担かと思います。限度としては二〇%程度まで負担し得るかと思いますが。そういうことで、現在私どもは、五カ年計画考えました場合に、所得の低いほうから四〇%程度の方方を対象に考えまして公営住宅を供給する、この家賃はそれらの方々が負担できる限度にとどめるということでやってまいっております。
  128. 久保三郎

    久保分科員 それぞれお話がありましたが、一世帯一住宅というのはいつになったら達成されるのでしょうね。大臣、いかがでしょう。
  129. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 事務当局の報告を聞きますと、住宅自身は、算術計算的には一家族一住宅できておるのだそうですが、しかし実質上は、御承知のように非常に狭隘な、劣悪なところに入っているのも入れてのことですから、これは満足すべきことではないと思います。特に最近の国民の意識がやはりかなりの質的向上を望んでおる今日でございますから、やはりこれは相当部分の住宅を規模的にも質的にも改良してやらなければ、とうてい住宅政策ができたとは私は言えないと思います。どうも私、数字はあまり詳しくないのですが、内閣で調べたあれによると、三百五十万戸程度は実質的に住宅に対する需要が供給より落ちている、こういわれています。してみますれば、少なくともその倍くらいはつくってやらなければ、いまのように木賃のアパートに住んでいる人たち状況等から見れば、それにさらにいまの核家族化している今日から見ますれば、少なくともその倍以上の住宅供給をしなければ、住宅政策をやっておると言えないだろう。もう少し数字を具体的に、各方面の意見を聞いて目標を立てたいと思いまするが、久保さんがたいへん熱心に言われているように、次の五カ年計画では、建設省所管だからというようなことではなく、これは政府全体としてこの問題に取り組まなければならない。その意味においては、われわれのほうも、さらには地方自治体も相当これは、例の超過負担の問題とかいろいろ問題がございます。それから、いまの厚生省関係なんかの人口の見通しとしても、いま核家族化して人口が少し停滞しているようでありますが、必ずしもそうじゃなく、もう少しこれはふえていくというように見なければなりませんが、そうしたものの意見も聞いて、一たん政府できめたことは、ほんとうに国民から信頼される政策として打ち立てたいと考えておる次第でございます。
  130. 久保三郎

    久保分科員 もう時間ですから、最後に一言だけ申し上げておきます。  たいへん前向きのお話でありましたが、私は、できるならば一人一部屋政策というか、そういうものも住宅政策の後半には織り込んでいけば、いま大臣お話しになったように、狭隘ところに何人もいるというふうなことは、そういう目標を立てて初めて解決できるのじゃなかろうかと思うのであります。  それからもう一つは、民間デベロッパーも、別荘とかあるいはマンションとか、そういうところにはたくさんいきますが、たいてい別荘というのは、自分の住む家は別に持っている人ですね。そういう者にはもちろん公的な資金は回ってはいかないと思うのでありますが、やはり一人一部屋を達成するまでは、政府の重点的な施策というものは、資金というか住宅政策というものに力点を置いていくということをぜひお願いしたいと思います。くどいようでありますが、第二次五カ年計画の中では、一人一部屋のほうまでひとつ手が伸びるようにがんばってもらいたいというように思います。  以上で終わります。
  131. 藤田義光

    藤田主査 久保三郎君の質疑は終了いたしました。  広沢直樹君。
  132. 広沢直樹

    広沢分科員 非常に短い時間でありますので、私は、本日は本四連絡架橋の問題、時間がありますれば、それに連なっていく主要道路の問題についてお伺いしてみたいと思います。  まず、本州と四国を結ぶいわゆる本四連絡架橋の問題については、去る三月六日に公団法が閣議決定されておりまして、すでに国会に提出になっております。まだ委員会に付託され審議の段階ではございませんけれども、具体的に公団法ができたということは、この架橋に対して一歩前進であると私はとっているわけでありますけれども、大体、すでに昨年の予算委員会におきましても、着工優先順位というものも七月ごろに決定されるのではないかといわれておりながら、次第にそれが延びておるわけでありまして、このたび公団法ができて実施調査を行なうということが、すでに新聞でも大きく取り上げられております。そういうことにかんがみて、大体いつごろをめどにして実施調査を終わる予定でおられるかということを、まずお伺いしておきたいと思います。
  133. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘のように、本四連絡架橋が話題になってから、もうかれこれ十年になるというようなことでございます。ところで、端的に私、申し上げますが、従来政治的にものを解決せい解決せいということで、関係者も一生懸命に政府に陳情する、政府もまた何とかしなければならぬという態度でこの問題に取り組んできたような気がするのでございます。  ところが、現実にこの架橋をするという問題になりますと、技術的に非常に問題があるようでございます。理論的にはこれが可能であるということはいわれておりまするけれども、何しろ三線のうち少なくとも二線は、世界的な規模において全然未経験のことをやらなければならないという難問題がございます。  まず、このつり橋については、いままで世界でつくった経験のないものであり、しかも、それが今度鉄道も一緒に乗せる。しかも今度は四十メートル、五十メートルという海の中で、さらに海底から三十メートル、場合によれば四十メートル以上の岩盤まで工事をしなければならない。しからば、そうしたことをやる設備ができておるかというと、全然できていない。日本ではいまだかつて二十メートル、三十メートルの水中で工事をした経験がない。その上に、あそこはかなり潮流の速いところでございます。さらに、あそこはいわゆる台風常襲地帯といわれる地帯で、風速十七メートルないし十八メートル以上になると、工事が全然当分の間やれないというようなところで、そういう自然的な非常に困難な問題に取り組んでいかなければ、これは幾ら決定したところでできないことです。それを、関係者としてあまりにも熱心な陳情合戦をやられて、それは何とかしよう何とかしようと言ってきたのが、端的にいっていままでの姿ではないかと私は思ったんですよ。  それで、私は建設大臣になると、これは非常に重大な懸案だというので関係者を呼んでみると、ちょうど日本でこれからアポロ計画をやるようなものなんです。日本では、例の宇宙衛星を上げるまでに五年もかかって、あれだけ勉強してもできない。まして、これは一たんやって途中でえんこしたら、とてもできないのです。人命に関することです。  そこで、これは単にやるべきだ、運動があるからやるというのではなく、まず具体的に技術的に開発しなければいかぬ、そして今度は膨大な資金を入れなければならぬ大事業でございます。一方において、建設省所管ではいわゆる新幹線網なるものが考えられております。五道から七道になっておりますが、それとたまたま一緒になるということがございますが、国会の諸先生方の関心も、非常に多方面にわたる問題が出てくるわけでございます。  そういう観点から、現実に取り組むためには、専門に技術開発と実施設計のためにやれる機構をつくらなければ、ただ陳情を受けて、何とかする、一本にしぼれというようなことでは進まない。そこで私は、この本四橋の公団をつくって、技術開発と同時に実施設計をやらせる。しかもこれに対しては、国民が納得がいくようにやらなければなりませんし、受け入れ体制がしっかりできたところからこれをやらなければならない。こういうことで、近く御審議願う公団法をまずつくる。私、技術者じゃないからよくわかりませんけれども、いろいろ聞いてみると、技術開発と実施設計に少なくとも二年はかかる。二年くらいたちますれば相当確実な技術開発、実施設計ができるから、そのときになりますれば民間でもあれを——公的資金だけでやると、三本やるにはたいへんな金ですから、少なくとも八千億もかかるようなことをあそこだけにやるわけにはいかない。そうすると、相当長期かかるから、それより民間資金を活用してやったほうが、開発利益がどんどん使われるということで、民間資金活用による早期着工ということで進んでいく空気が、わずかこの二、三カ月の間にだいぶ出てきておるというように感ずる次第でございまして、その時点において着工時期がおのずからきまってくる。それを中心として、政府も決断するというところにくるのがほんとうではなかろうかと考えておる次第でございます。
  134. 広沢直樹

    広沢分科員 お説のとおり、これは非常にむずかしい問題であるということはよくわかります。しかしながら、それを前提として今日まで十数年にわたって、日本土木学会においても技術調査を行なってきて、一応四十二年ですか、技術的な答えを出しているわけですね。その間、その他経済効果の問題あるいは航行の安全の問題についても、専門家がそれぞれこれに携わって、一応の結論をつけてきたわけです。ですから一応基礎的な、可能か不可能かという調査は終わっていると私は理解しているわけです。いよいよそれを実施するということになれば、いまのお説のように数々の問題があることは当然であって、それが終わったからすぐにかかれる問題ではないと思う。また、ルートごとにおきましてもそれぞれの特色がありますし、それについてはまた難易度も、それぞれのルートについてあると考えられるわけであります。  しかしながら、一応そういう基礎調査前提として公団が実施調査ということになりますると、すべての事業体でもそうですけれども、一応のめどというものを置いて、そのめどがそのとおりになるかどうかということはやってみなければわからぬ問題ですけれども、一応何年かというめどを置いて、その上に目標をきめてやるべきである。そういう見地から、いよいよ公団が技術調査を踏まえて実施調査という段階に入るということになれば、公団発足にあたって、目標、めどを大体どの時点においておやりになる計画であるのか。それが全然やってみなければわからないということになると、いままでの調査というのはどういうことになっておるのかということになってまいりますので、その大体のめどをお伺いしたいわけです。
  135. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 広沢さん御指摘のように、土木学会で回答を出したのは、理論的に可能だということは、ちょうど東大のいまの宇宙開発が理論的に可能だということは、もうすでに十年前にあれは出ております。しかし、現実にやってみて、もう四年もあれだけ何回もできない。それは、やはり理論的な可能と技術開発の間の問題点だと思います。  そこで、しかしそれにしてもどういう見通しかということでございますが、これは私は技術者じゃありませんから確信をもって言えないのですけれども、いままで関係技術者の諸君の意見を聞いてみますと、まあ二年間ぐらいたったら技術開発の相当の見通しができる、またそれをやらなきゃならぬ、こういうことでございます。その間に、今度はルートの経済的な効率とか、それから民間の協力体制等も一面において進めてまいって、まあ満二年後には大体の見通しが立てられるというところにはいけると思うし、また、そういうふうにしなきゃならないと考えておる次第でございます。
  136. 広沢直樹

    広沢分科員 大体めどとしておるところはわかりましたけれども、それでいままで建設省自身は、この調査にどれほどの経費をかけてきているのか、今日までの調査ですよ。それについて事務当局でけっこうですから……。
  137. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 建設省として約二十九億、三十億近い調査費をいままで使っております。
  138. 広沢直樹

    広沢分科員 確かに私の調べたところによりましても、あと道路公団で四億五千万円、それから鉄道建設公団のほうで二十二億、地元県、市合計しますと十一億九千三百万円、表向きだけでも大体七十一億というものが、この十年間に調査やいろいろな面で費やされてきているわけです。その間において各責任ある担当大臣のほうでは、それぞれ優先順位の問題を口にしたこともございますし、また昨年の予算委員会においては前坪川建設大臣は、四十四年七月を目途に決定をしていくんだということをはっきり答えていらっしゃるわけです。また総理大臣も、優先順位を含めて昨年の秋までには一応決定するというような発言をはっきりなさっております。このように、各歴代の大臣が言っていることがそのつど食い違ったり変わったりする、こういうことでは関係府県はもとより、国民のほうとしても政治に対する不信感というものを持っていくだろうと思うんです。  昨今の新聞の伝えるところによりましても、正式決定関係閣僚協議会において行なわれるけれども、すでに建設省事務当局あるいは運輸、大蔵、それぞれの当局においては、技術的または経済的、船舶航行などの問題について、もう昨年の初めには一応調査が完了している、具体的な方針は政府と自民党で意思統一がなされているというような報道がなされているわけですね。この点については、正式に公表されているわけではございませんけれども、事実そういう面で、はやすでにその方向は大体基礎づけられているように受け取れるような昨今の報道であるわけですが、その点についていかがでしょうか。
  139. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 日本の報道機関は非常に先見の明というか、未来の見通しが非常に著しいところがございまして、所管大臣の私が知らないことをどんどん発表されているような状況でございます。本年の予算編成のときにあたりまして、この公団をつくるときに、私も実は大蔵大臣その他の閣僚にも意見を聞いてみているのでありますが、党でもどうしたいという意見はいろいろあったようでございますが、究極のところ、これは新しい公団で、先ほど公団設置の意見を申し上げたことが政府並びに与党の統一した意見でございます。したがいまして、着工順位がきまっておるのをカムフラージュしておるというふうなこともございませんし、それから、いろいろの思惑を持っておるけれども、それを隠してやっておるというわけではないのでございます。私は正直なところを申し上げておるのでございまして、それで、この公団ができることによって現実の日程に、着工に進むんだというふうに解釈していただいていいではなかろうかと思っておるし、いままで三ルートを熱心にやっておられました関係地元の方面においても、だいぶ御理解いただきまして、これからは、われわれが陳情する番ではなく、われわれが条件をつくる番だ、だからなるべく早く公団を設立して、技術開発それから実施設計の面、これを国でやってほしい、こういうふうな空気に変わったものと私は理解しておるのでございます。
  140. 広沢直樹

    広沢分科員 いまも御答弁がありましたし、せんだっても地元の協力がなければ架橋は実現しない、確かにそれはそのとおりであります。新公団が実施している間に、地元の受け入れ体制が整うだろうといまも御発言がありました。その体制ができ次第工事に取りかかるということに伺っておるわけでありますが、地元の受け入れ体制というのは、確かにそれはそのとおりですけれども、何となくばく然としていて、どの点までの受け入れ体制をさしていらっしゃるのか、この点ひとつ明確にしていただきたいと思います。
  141. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 これは相当詳しく言わなければならぬかもしれませんが、その構想をまだはっきり申し上げる段階ではないと思いますが、要点を申し上げるならば、これについては相当の資金が要るのでございまするが、これを政府の公的資金でやるということでは、とうていこれはなかなかできません。先ほどお話ししたように、道路、橋梁等のいろいろの関係があります。  そこでまず第一に、関係地元自治体並びに財界で資金的な面でどの程度協力していただけるか、それからもう一つは、このために必要な用地取得、これが相当重大な問題でございます。     〔主査退席、坂井主査代理着席〕 それから海中で工事をするために、漁業補償という問題が非常に大きな問題になります。それからもう一つは、開発利益をどう利用するかということでございます。でき得れば、これをつくることによりまして、これを利用する人の利益もさることながら、地元がなるべく広域的な利益をもって、近畿なりあるいは中国と四国がどういうふうにこの施設を広域的に活用して多くの国民に利益を与えるか、そうしたプロジェクトを持ってほしいと思います。そういうものを総合判断していくことが必要ではなかろうかと考えておる次第でございます。
  142. 広沢直樹

    広沢分科員 そこで、四十五年度の予算の中で、新公団については、建設省分の十三億五千方円の財源の内訳を見ますと、国の出資が二億、それから財投が七億、地方公共団体の出資金が二億、民間借り入れが二億五千万円ですか、合計十三億五千万円。そしてまた大蔵省当局では、国と地方公共団体が各一で、財投が四で、民間四、こういう割合を示されているように伺っているわけです。  こうなりますと、ほとんど大半が民間資金、こういうふうな資金のワクといいましても、いまの条件が整えばということにしましても、ある程度限度というものがあるわけです。全部民間資金というわけにもいきません。公団がやる以上は当然公団が主体性をもってやっていかなければならないはずです。その点の割合はどういうことでしょうか。
  143. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 実は、この問題はいろいろ案がございまして、いま先生がおっしゃいました国の出資が一、地方の出資が一、国の財投四、民間資金四というのも一つの案かと思います。ただ、いまの実施調査をしておる段階と、いざ建設に入る段階ではずいぶん金額が違うと思います。いつごろ建設の多額の金がほんとうに必要になるか、これの時期によりましては、あるいは民間資金はもっと入る、また国の財投の資金はもっと入る、地方の財政状況いかんで地方が出資金をもっと出せるか出せないか、その辺はいろいろ、これからの地方公共団体の財政の問題、地方、民間、国を合わせました財政の問題、こういう問題がございますので、やはりこういう問題については、橋ができます十五年とかそういう先のことまで考えて、いまここではっきりきめることはどうかということもございます。まず私たち、実施調査段階ではどのくらい金額が必要で、どういう調達方法をするか、こういうことを国及び関係の地方公共団体と協議してきめていきたいと思います。実は四十五年度についてはそういうことも十分まだ出されておりませんが、四十六年以降で出資の問題その他は、地方公共団体と話しまして考えていくつもりでおるわけであります。
  144. 広沢直樹

    広沢分科員 非常に時間がございませんので、こういう重要な問題を深く論議している時間がないと思いますので、あと簡潔にお答えいただきたいと思うわけであります。  ともかくも工費とか工期あるいは経済効果、航行の安全、各調査というのは一応終わって、あとは政府決定を待つばかりだといわれている段階で公団の発足ということになったわけでありますけれども、いま建設大臣のおっしゃる、三ルートを同時に実施調査していく、技術調査をやっていく、そしてその体制が整い次第に着工していくということは、考えようによれば一定の期間——いわゆる新全国総合開発計画の中では、六十年までに三本の橋は必要であり建設をはかるというふうにうたってありますね。そういう観点から考えまして、その一定の期間の前に、体制のでき次第のところから公団で三本とも順次行なっていくことを意味しておるのですか。その点について簡単に……。
  145. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 三本とも公団でやるか、あるいは近く御審議を願うところの地方道路公社の形をつくったほうが地元としてより早くできるし、そのほうが現実的であるという場合には、それによってもいいのでございます。それを全然やらないというならば、公団が全部やらなければならぬということになる。その点は、いまのところ何ら確定しておりません。
  146. 広沢直樹

    広沢分科員 一応これは総合計画の中では、三本が必要である、また建設は六十年までにはかる、こうなっておる。しかし、具体的にやるときには、それぞれのルートにおいては難易度というものは違ってくると思います。たとえば明石−鳴門の関係におきましても、先ほどお話がありましたように、水深の問題とかいろいろなことになりますと、そういう時点では、そこは長年の調査がまだ必要であるとかいう問題も出てまいりましょうが、その他の一つ一つのルートを部分的、段階的にとらえていきますと、これは容易にできるという結論が出てくると思うのです。そうしますと、六十年までに三本の橋は、四国の総合開発のみならず西日本の経済の上から考えても必要であるという結論は一応出ていることになります。そうすると、同時に調査をしていくということは、調査のでき次第において、そのつどそのつどの調査の完了したところからやっていくということを意味しているか、そのように解釈してもいいのかということですが、その点どうでしょう。
  147. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 これは、先ほど申し上げましたように、技術開発と実施設計と同時に受け入れ体制——受け入れ体制の内容先ほどお話ししたとおりです。そうしたものがはっきりとまとまってきますれば、その段階において順次決定していくべきだ、こう考えております。
  148. 広沢直樹

    広沢分科員 いま申し上げましたように、六十年までというワクの中で三本かけるということは、経済企画庁の全国総合開発計画ですか、その中にうたわれているわけですが、やはり六十年までに三本はかけるという一つの考え方に立っているかどうか。まず一本からしなければならない、一本が済んで、それから状況を見てまた一本というのではなくて、総合開発計画の中でうたわれているように、六十年までに三本のルートについて、方法はいろいろあろうと思いますが、具体的に推進をはかっていくお考えなのかどうか。
  149. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 そのとおりでございまして、でき得るだけ六十年までに三本とも完成することを目途として、公団は今後作業を続けるというつもりでございます。
  150. 広沢直樹

    広沢分科員 それでは時間のようでありますが、もう一点だけ伺っておきたいことは、今度の四国縦貫道路と横断道路の問題ですが、これは申すまでもなく四国の一体化という上から考えてみましても、当然国土開発幹線自動車道路の建設ができまして、七千六百キロメートルですか、その高速道路の建設にかかっておるわけでありますが、四国の高速道路というのは非常におくれているわけです。やっと四十四年の一月に一部基本線に入ったわけでありますが、今後の見通しについてお伺いしたいということと、それから、今度の第六次の道路整備計画の中に具体的に盛り込まれているかどうか、その点のこれからの見通しをひとつ御説明いただきたい。
  151. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 四国縦貫、横断については、御承知のように一部基本計画が策定されております。残余については、現在いろいろ調査しております。地形、地質等の問題がございまして、まだ調査をやらしておる次第でございます。これが五カ年でどのくらい建設されるかという問題になりますと、実は五カ年の問題は、特に有料道路の中の高速道路については財源をどう調達するか、こういう問題がございまして、現在のところどの路線を四十九年までの五カ年で着手するか、まだそこまで具体的にきめておりません。現在すでに着手しているものを含めまして、約千九百キロくらいは四十九年に供用開始したい。あと工事期間の延長は相当あるはずでございます。これはいまの財源の問題とからめまして、これから閣議決定までに大体の成案を得てまいりたいというふうに考えております。
  152. 広沢直樹

    広沢分科員 終わります。
  153. 坂井弘一

    坂井主査代理 広沢直樹君の質疑は終了しました。  次いで川崎寛治君。
  154. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 限られた時間でありますから、私は特殊土壌地帯のうち、特にシラス対策の問題についてお尋ねをしたいと思うのであります。  毎年雨期になりますと問題が起きて、そのときには気がつくのでありますが、のどもと過ぎれば熱さを忘れるで、いつの間にかその問題は遠い忘却のかなたに置き去られる、こういうことになりがちであります。きょうは幸い、昨年の鹿児島県の長雨でたいへんな被害と死者が出ましたときに、政府の団長で現地調査に行かれました、当時の渡辺政務次官が委員長席におられます。生き証人でありますけれども、政府のそれ以後のいろいろな検討についてもお尋ねしたい、こういうふうに思います。  最初に、この問題に入ります前に、いまちょっと触れた点でありますが、昨年の第一分科会でも、政府の機構の問題がいろいろと議論になったわけであります。大臣は、過去大臣あるいは与党の役員を数多くしておられますので、常々そういう点をお感じになっておられると思いますが、たとえば、昨年の長雨の被害調査の問題にしましても現地調査に行く。これはたいへんだ、問題を感じて帰ってくる。われわれもその意見を聞く、これは相当進みそうだなと思っている、そのうちにその人はいなくなるのですね。どこかへ転勤している。ですから、せっかく問題を把握をしたな、進むなと思っているときには、もう担当者というものがいなくなっていくというのが、いまの政府というか、役所の機構の実態です。ですからなかなか問題は進んでいかない。結局、どれだけ多く音を出すか、圧力をかけるかというところにかかってまいりますから、いろいろな経済的なメリットだなんだということを考えると、ほんとうに命を守る、あるいは生活の環境を保障していくという問題については、なかなかそういうことが実行に移されない、こういう懸念があるわけであります。  そういう点を前提にいたしましてお尋ねをしていきたいと思いますが、企画庁が特殊土じょう地帯対策審議会の担当官庁をいたしておりますが、企画庁においても、つい最近いろいろ審議会があったはずでありますが、この審議会においては、シラスの問題ばかりがおそらく議題になったというふうに私は聞いております。企画庁に対しましても、シラス地帯であります鹿児島、宮崎からは相当の要望等が出てまいっておると思いますけれども、国土審議会における審議の中で、シラスの問題をどういうふうに検討されたのか、そしていまどういうふうに問題になったのか、そしていまどういうふうに検討しておるのか、まず企画庁から伺いたいと思います。
  155. 角田正経

    ○角田説明員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、ことしの一月でございましたか、審議会を開きました際に、特殊土壌の全体のお話あとに、お話のシラス地帯のお話が出まして、特に県から、鹿児島県それから宮崎県から話が出ております。シラス地帯の特別立法をつくってほしいというふうな問題につきまして、どうなっているか、また今後どうするつもりかというふうな御意見がございました。いろいろ御討議はいただいたわけでございますが、この審議会におきましては、今後この問題を早急に煮詰めてほしいということで審議が終わっておる状態でございます。
  156. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 その審議会は、煮詰めてほしいという点について、経済企画庁はそれをどうしたのですか。
  157. 角田正経

    ○角田説明員 この法案につきましては、県のほうの御希望意見がございまして、この中にいろいろな事項が全部入っております。現在の法律体系で考えること、それから災害防除的な意味で、いままでと違った意味で、もう少し面的ないろいろな、宅地造成とかあるいは圃場整備等が行なわれました際に、それの規制を行ないながら、この助成もかね合わせて、事業を何とか危険のないような形でやっていくというふうないろいろな御希望もございまして、それらを少しえり分けまして、もし立法するとしたらどういう形でそれを立法したらいいかというような整理をいましている段階でございます。
  158. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 もし立法するとしたらというふうなことで検討しておる、こういうことでえり分けて、現行の制度と、それからどういうふうにピックアップしてつくりあげればいいかということを検討しておる、こういうことでございますね。  それでは次に中央防災会議の関係で、総理府は来ていますか。——それでは総理府はとりやめます。  農林省にお尋ねしたいのでありますが、土地基盤の整備をやる、その規模が小さい間は、排水の問題にしましても何カ所かずっと排水しておる。ところが、基盤整備をして非常に大きな広範囲なものにしていくというと、一カ所排水設備ができる。そうすると集中豪雨というようなときには、いままでは自然にさからはないような形で幾つかあった。だからまあ何とか耐えられたわけですね。ところが、それが開発をされてくると、今度はそれがくずれてしまう。たいへんな災害を起こす。そういうことになりますね。そういう点、いま農林省として、このシラス地帯における災害防除の問題についてどういうふうに考えておられるか、農林省の考え方を伺いたいと思います。
  159. 井元光一

    ○井元説明員 ちょっと先生の御趣旨がはっきりしないのですが、非常にどうも申しわけありません。それは、地区が大きなところは収拾できるけれども、何かそれに乗らないような地区が方々にできてくるが、そういうのはどういうふうにするかという御趣旨でございますか。
  160. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 そうじゃなくて、小規模のときには、幾つかの傾斜等がそうまだくずされていない段階ですから、小さなものがこうあって、それで流しているわけですね。それが全部丘をくずしちゃう、基盤整備をやるというふうなことになってくると、相当大きな面積になりますでしょう。そうして排水設備をしていく。その場合には、むしろ段々であるときのほうが災害は小さいわけですよ。広範囲にして開発をしたときには、むしろ長雨等における災害が出ますと、今度は非常にどうっときてやられちゃうというので大きな災害が出てくる、こういう問題が農地の面でも出てきますね。そこらの点をどういうふうに……。
  161. 井元光一

    ○井元説明員 おそらく私のほうの工事全体に及ぶ仕事の御批判ではないかと思うのでございますが、たまたま土地基盤の整備をすると、その受益地に限って、周辺の地区に対しては頭がいかない、そういうようなところに災害が来るのはどうするんだ、こういうふうに承りますが、そういう御意味でお答え申しますと、確かに私のほうは、受益者について申請があった場合に土地基盤の整備という事業に着工するわけでございます。そういう意味で、たまたま不幸にして出てこない周辺地区に対しては、そういう事業が及ばないことがあり得ることを心配しているわけでございますが、土地基盤の整備をやる受益面の中で、その計画の中でこういう仕事をやると、どういうふうにほかに影響するだろうかというようなことも、十分検討の上やっているわけでございますけれども、たまたま先生の想定されまする地区には、そういうものが及ばなかったのかもしれないと存ずるわけでございます。そういうことがございましたら、今後御指摘のようなことに十分意を用いてやってまいりたいと思っております。
  162. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 では、次に建設省にお尋ねしますが、河川局長には昨年来いろいろと御相談もしておるわけでありますけれども、昨年の災害対策特別委員会でも、私は現行の特土法が、つまり実体規定がないということで大規模な開発事業が行なわれてきておる。そういう今日の事態の中で、特土法ではだめだという点、その点は大体お認めになっておると思うのですよ。そのときに、当時の政務次官はここにおられますが、政務次官は、特殊土じょう地帯災害防除及び振興臨時措置法あるいは砂防法、宅地造成等規制法、こういうものを重複さしてきめこまかにやればというふうなことで締めくくろうとしたわけです。しかし問題は、予算の点にも触れておられますけれども、ああいうたいへんな死者が出た時期でもありましたし、さらに検討いたしたいと思います、こういうふうなことになっておるわけです。  そこで、たとえば宅地造成防災事業であるとか、あるいは造成地防災事業であるとか、排水設備の施設事業であるとか、こういうふうなものが現行の特土法には対象事業になっていないわけですね。そこらで今日の開発工事がどんどんできる中で、シラス地帯に対する対策をどうするかという点について、私は昨年も局長にだいぶお尋ねしたわけです。そういう点をひとつ前提にして具体的にお尋ねしたいのですが、たとえば大きな宅地造成が行なわれる。そうしますと、排水設備、それから河川に至りますまでの下水道、それから河川、こうなりますね。これは大臣に後ほどお尋ねしたいのですが、現行の縦割り行政の上でいきますと、都市計画の面あるいは下水道、それからさらに河川というふうになりますと、それぞれ行政の担当が違うわけですね。そこででっかい宅地造成をやらざるを得ないシラス地帯、特に都市周辺部においてはそういうのがどんどん進んでおるわけですけれども、その場合に、それらを総合的に判断できる技術者というのは、中央にもいないのじゃないかと私は思う。まして県にはこういうのはいないですよ。そこらの技術者というのは、ただ単にシラス地帯だけではなくて、全国的に都市開発の中では相当大きな問題になってきているのではないか、しろうとでよくわかりませんが、私はそう思うのです。それらの点をまずひとつ大臣建設担当の大臣としてどうお考えになられておるか、お尋ねしたいと思います。
  163. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 私も実は十九年前に農林大臣をしたときに、シラス地帯については非常に深刻な陳情を受けてよく存じています。これは非常に特殊土壌中の特殊なものでございまして、この研究は世界的にもあんまり進んでないような感じがするのです。それにもかかわらず、案外こういう問題は、事件が起こるときには出るけれども、またすぐに消えていくということはまことに御指摘のとおりだと思う。  結局、シラス土壌の本質と、これを治めるためにはどうすべきか、どういう面に利用すべきか、この二つの面で検討しなければならないと思います。これは一つの機関だけではなかなかできないと思いますが、建設省としましては九州地建にこの問題の特別研究室を設けて、これは本格的にやらなければさいの川原の石積みみたいになっちゃって、やってはつぶれやってはつぶれということで遺憾であるから、ひとつこれは本格的に研究するように指導しております。特にいま川崎さん御指摘のように、一番あぶないのが宅地造成の場合の被害でございまするので、これの宅造との関係における研究を進めておる次第でございまするが、今度は関係省庁と協議の上で、何かもう少し念を入れた研究をしないと、とてもなかなかこれは治まらないじゃないかという気がしておるのでございます。  それからもう一つ、あの地帯は農業のあれとしては、水田は全部不可能なところですから、やはりいわゆる畜産とかそういうふうなものに活用し、都市周辺については、宅造についての念入りな措置をするというようなことを考えるべきだと思っておる次第でございます。
  164. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 特殊中の特殊だ、こういうふうに農林大臣の御経験から十分御認識いただいておるようでありますが、それじゃ九州地建の対策室はどの程度のものなんですか。私、あまりよく知らぬのですが、われわれは、特殊中の特殊なものだから本省に、中央にぴしっとしたものをつくってほしい、こういうふうに思っておりましたが、これは九州地建なら九州地建の中でぴしっとしたものが確立して、本格的な、つまりいままでは工法の問題等については、大学にお願いしておりますということで全部過ごしてきておるのですよ。県は、鹿児島大学にしましても宮崎大学にしましても、それぞれ県が当該大学に対して県独自の費用負担をして、調査を大学の研究室にお願いするということはしておりますが、いま大臣がお認めになったように、特殊中の特殊なものだという点でいきますならば、これは本格的なシラス対策室を確立すべきだ。ですから、九州地建のものはどの程度のものですか。
  165. 坂野重信

    ○坂野政府委員 九州地建は、四十一年の七月に南九州シラス処理研究会というのを、先生承知かと思いますが設けた……(川崎(寛)分科員「それは各大学でやっているものだ。」と呼ぶ)いや、そうじゃございません。九州地建の南九州シラス処理研究会というのが四十一年七月にできております。シラス地帯を重点にしましての工学的な問題点を解明しようということで、道路、河川等の合理的な工法をどうすればいいかというようなことで、これは主として九州地建の現場の事務所のスタッフをまじえてやっております。予算的には三十万程度でございます。  それ以外に、先生承知かと思いますが、土質工学会で、これも大々的に研究いたしております。それから宅造の関係は、研究補助金で建築学会等にも委嘱してやっておるわけでございます。九州地建は、また大学のほうとも横の連絡をとりまして、やはりローカルの問題ですから、九州が一番関係が深いということでございます。そういうことで、九州地建を中心にして、この問題を検討しておるわけでございます。
  166. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 これは大臣の御答弁よりもだいぶ話が小さくなったですね。研究会ですね。特殊中の特殊なんですから、これは。いま局長のおっしゃっておられるのは、これは工法のほうなんですよ。つまり、災害防除という本格的なものになってないのですよ。工法自体がまだ未解決ですね。これも問題がありますよ。しかし、未解決の工法を追っている間に災害のほうはどんどん出てきて、また夏死者が出るということになりかねないのですよ。特にまた、最近も大規模な開発があちこちで行なわれておりますから、ひとつどうですか大臣、本省でもいいし、本省というか中央でもいいし、九州でもいいですけれども、本格的な工法と災害防除両方含めましたシラス対策室をつくるということを明確にしていただきたいのですけれども……。
  167. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御承知のように、行政機構を一つふやすということはたいへんなことでございまして……(川崎(寛)分科員「命の問題ですよ。」と呼ぶ)命の問題ですから、非常に重視しておりますが、室がいいのか、あるいは予算措置をして現在のスタッフを強化し、あるいはこれは委託研究でもできないわけではありません。そういうことで、この問題については前向きにひとつ検討すべきだと思いますので、善処するように指導いたしまするが、ただ、いま私がここで研究室をつくるということまではちょっと責任を持てません。というのは、なるべく機構はつくらない、別の機構をつくるときには一つのあるものをつぶせということなものですから、いまちょっと建設省のどの機構をつぶしてこれをつくるということは、なかなかむずかしい問題ですから、機構そのものよりも、実質をどう解決するかについて、前向きの積極的な検討を進めたいと存じます。
  168. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 ぜひお願いしたいと思います。先ほど局長の御答弁の三十万——昨年は六十人近くの人が死んでいるのですから、三十万では、政府の責任としてはいささか軽過ぎると私は思います。これはぜひひとつお願いしたいと思います。  そこで、先ほど来企画庁等からも伺っておるわけでありますけれども、現在の特土法というのは二十七年に議員立法でできた法律であって、しかも、各省にばらばらっと割って規制力のない法律なんですね。今日、特殊中の特殊だと大臣がお認めになったシラス地帯でありますので、私は、シラス地帯における災害の防除に関する特別措置法というものをぜひひとつ御制定願いたいと思う。そうして、この開発行為というものと、一方における規制というもの、災害防除というもの、この二つを柱にして法制定に持っていっていただきたい、こういうふうに思うわけです。これは、いまは担当のあれからいけば企画庁ということになっておるようでありますけれども、実際の現業部門というのは建設省でありますから、建設省、農林省、こういうところにかかってまいりますので、この法律を早急に——企画庁も宮崎なり鹿児島なり等の要望に応じて、どう拾い上げるか、どう組み立てるかというふうなことの御検討中だということでありましたから、この問題については、ひとつ国務大臣として特別の立法の方向に進めていただきたいということを思うわけでありますが、いかがでありますか。
  169. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 経済企画庁、農林省、建設省、それに総理府が入りますから、よく関係閣僚と協議して——この問題については、いまのやり方では私も一応説明はできるけれども、なかなかしんは入らないような気もするのです。しかも、シラス地帯のところがたまたままた台風常襲地帯だというところに、これはダブルパンチを受ける可能性があるので、私もあそこの人々の苦難のことを、私の選挙区からずっと離れておりますけれども、よく知っておるつもりでございますから、よく関係閣僚と相談の上善処するように努力したいと思います。
  170. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 私はこれでやめますが、たいへんよく実態を御存じのようでありますし、まさに特殊中の特殊だし、台風常襲地帯という宿命的な地域でございますので、この点については、いま申されておられる農林省、企画庁、総理府、そして現業部門である建設省、こういう関係閣僚において、ひとつぜひ一日も早く制定をしていただきますよう要望いたしまして、終わりたいと思います。
  171. 渡辺栄一

    渡辺(栄)主査代理 川崎寛治君の質疑は終了いたしました。  麻生良方君。
  172. 麻生良方

    麻生分科員 大臣、二つの点で質問します。一つは、東京の道路を拡張しているのですが、それの拡張計画の概要について質問します。それから、もう一つは住宅問題、この二つの点に限りまして御質問いたしますので、お答え願いたい。  まず、現在の東京都で進行状況にある、計画の上にある道路の拡張計画の概要を簡単に説明してもらいたい。
  173. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 具体的にこちらから説明させます。
  174. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 東京都区部の中で、現在道路計画として都市計画決定している路線が千五百六十七キロメートルございます。四十四年五月現在で、このうち完成いたしております延長が四百九十七キロメートルでございます。     〔渡辺(栄)主査代理退席、主査着席〕 完成率は三二%でございます。
  175. 麻生良方

    麻生分科員 その道路の拡張計画の完成率三二%というのは、計画全体に対して予定どおり、計画どおりにいかないという意味でいったものが三二%と、こういう意味ですか。
  176. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 御承知のように、東京の区部の街路計画は、昭和五十五年ないし六十年を目標にいたしまして、自動車交通量をさばくために、幅員、それから具体的な場所というものがきまっております。そのきまっている都市計画全体に対しまして現在完成しておりますのが三二%だ、こういうことでございます。
  177. 麻生良方

    麻生分科員 その中で放射五号線というのがありますね。これはどうなっていますか。
  178. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 放射五号線は、現在工事をいたしておりますのが半蔵門から新宿の南口に近い環状五号線までの区間と、それからもう一つは、首都高速道路が延伸いたします初台から中央高速道路まで、これは首都高速道路の関連街路事業としてやっております。二つございますが、半蔵門から環状五号線までの放射五号線につきましては、全体事業費が二百四十九億でございます。それに対しまして四十四年度までの執行額が百五億円という状況でございます。
  179. 麻生良方

    麻生分科員 いまあなたのあとで説明したやつ、これはいつごろからの計画になっていますか。
  180. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 都市計画として決定いたしましたのは、実は戦災直後の昭和二十一年の三月でございます。その後、二十五年に幅員の変更をいたしました。実際に事業にかかりましたのは昭和三十九年からであります。ただいま申し上げましたように、執行率は四二%でございます。
  181. 麻生良方

    麻生分科員 そうしますと、この道路の拡張計画建設省が立てられて、この計画に事実上乗りますと、この道路の両わきにある商店街が何らかの規制を受けるでしょう。その規制の内容をちょっと説明してください。
  182. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 御承知のように、都市計画法では、計画決定をいたしますと、簡単に申しますと、木造二階建て程度の家屋は別でございますが、それ以外の建物は建築が押えられるわけです。さらに事業決定になりますと——これは昭和三十九年から事業決定いたしておりますが、事業に着手いたしますと、すべての建物が知事の許可がなくては建てられないということになるわけです。知事は、原則としまして事業に支障がある建築は認めない、こういう形になっています。
  183. 麻生良方

    麻生分科員 そうしますと、計画自体立てられたときから一種の規制を受けるわけですね。事業決定になると全然だめだ。そうすると、計画を立てられたのは、いまあなたの説明だと終戦直後でしょう。つまり終戦後、全部規制を受けっぱなしということになるんだね。そういうことですか。
  184. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 生活あるいは生業に支障のない範囲内で行なわれると思われますいわゆる簡易な建物はよろしいわけでございます。永久建築物は規制を受けるわけであります。
  185. 麻生良方

    麻生分科員 御承知のように、これは東京でも主要な道路ですよ。そしてもちろん商店街があるわけですよ、大臣。そうすると、商店街の繁栄というのは、いわばだんだん高層化、ビル化がいま進んでいるわけでしょう。ところが、この規制を受けているために、この地区はいままで、いま説明を受けたような規制を受けっぱなしでずっときているわけですよ。だから、これは商店街としては商売にならぬわけです。近代化もできないし、高層化もできない。まあこの地元人たちは別としまして——これはやむを得ない、これは道路を拡張するんですからね。しかし、いまお話しのように終戦直後に計画して、きょうまであなた何年たっている、きょうまで。
  186. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 昭和二十一年でございますから、四十五年から二十一年を引きますと二十四年でございます。
  187. 麻生良方

    麻生分科員 二十四年でしょう。そうするとあなた、二十四年間規制を受けっぱなしなんだ。これは人生の半分ですよ。そして見通しがあるのですか。いつこれが抜ける見通しがありますか。
  188. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 具体的なこの半蔵門から新宿駅近くまでの放射五号線は、昭和四十八年度までに完了するという予定でございます。
  189. 麻生良方

    麻生分科員 そうすると、四十八年度にどこまで完成するのです。
  190. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 現在南口から、まあ逆の方向になりますが、環状五号線までは広がっておりますので、環状五号線まで。
  191. 麻生良方

    麻生分科員 そうすると抜けるという意味ですね。
  192. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 そうです。
  193. 麻生良方

    麻生分科員 それではお尋ねするけれども、これば新宿御苑の一部を抜けますね。ここに厚生省から来ているでしょう。——局長、あなたのほうは、この建設省の道路計画で新宿御苑を抜けて道路を拡張することに、厚生省として同意を与えているか。与えていればその書類を出してください。
  194. 中村四郎

    中村説明員 厚生省といたしましては、ただいまのお話の放射五号線の計画がそのまま実施されますと、新宿御苑の北側幅二十七メートル、延長約七百二十メートルでございますかの部分が削減を受けることになるわけでありますけれども、実はこの削減の部分に非常に古い樹林帯がございまして、これが庭園の美観を形成する上に非常に重要な役割りを果たしておるわけでございます。その他煙害も騒音も排気ガスも遮断するという役目を負っておりますので、この削減のことにつきましては、厚生省としては非常に困りまして、東京都との間で何とか新宿御苑に影響を与えない方法で研究してもらいたい、こういうふうに御相談申しております。
  195. 麻生良方

    麻生分科員 そうすると、要するに新宿御苑の敷地内を削減される。この建設省の道路計画によると、五十六万平方メートルかのうち削られるのですよね。どのくらい削られるのか、二万平方メートル削られるのだ。これには同意を与えていないということですか、はっきり言っておいてください。
  196. 中村四郎

    中村説明員 厚生省としては、これにつきましてはそれは困るということで、別にこれは同意を与えるとかなんとかいう法律的な問題はいかがと思いますけれども、私どもとしましては、実際問題として、私どものほうも道路という問題も非常に重要な問題である、しかし、また御苑の現在の状態から見まして、そこのところを通られるということは非常に困るので、何とかしてそういう害を与えない方法でやってもらいたいということで御相談をしておるところでございまして、決してけっこうでございますということは、もちろん申し上げておりません。
  197. 麻生良方

    麻生分科員 その御相談申し上げているのは、どこへ申し上げているのですか。
  198. 中村四郎

    中村説明員 私のほうへは、東京都の首都整備局が御担当でございまして、そちらのほうから御相談ございまして、いろいろお話し申し上げております。
  199. 麻生良方

    麻生分科員 そうすると、東京都とあなたのほうと御相談して、建設省は何をしているのですか。全然あなたまかせですか。
  200. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 それは、御承知のように都市計画街路でございまして、施行主体は東京都でございます。したがいまして、私どものほうは東京都のほうを督励いたしまして、できるだけ早く厚生省のほうの了解が得られるように、ひとつ協議を促進してくれということを指導しておるわけであります。
  201. 麻生良方

    麻生分科員 しかし、その敷地は東京都の敷地ですか。
  202. 中村四郎

    中村説明員 昭和二十五年以来厚生省の所管の土地になっております。
  203. 麻生良方

    麻生分科員 厚生省の所管敷地というのは国のでしょう。東京都のじゃないです。国の敷地についてなぜ東京都に責任を負わせるのですか。国同士話をしたらいいじゃないですか。
  204. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 これは東京都の道路になるわけです。
  205. 麻生良方

    麻生分科員 道路になるといっても国の敷地じゃないですか。
  206. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 国の敷地が東京都の道路になるわけです。国の敷地を所管しておりますのは厚生省、事業をやりますのは東京都でございますので、第一義の責任は東京都にあるという考え方であります。
  207. 麻生良方

    麻生分科員 計画責任者はどこですか。
  208. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 計画決定は従来建設大臣がいたしたわけでございますか、現在は都市計画法が変わりまして、そのまま東京都知事決定都市計画ということになっているわけでございます。
  209. 麻生良方

    麻生分科員 そうすると、いまあなたが答弁された四十八年度までに完成の予定でございます、これは何でありますか。あなたの頭の中だけで描いている予定ですか。あまり無責任な答弁をすると許さないよ。
  210. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 これは東京都の事業決定で、四十八年度までに事業決定をするということがちゃんと告示されているわけでございます。
  211. 麻生良方

    麻生分科員 告示されれば道路はできるのですか。
  212. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 それは実際問題といたしましては、予算措置その他が東京都の事業費、それから国の予算ということが関係いたしますので、実際問題はできなくて延長するということもございます。この半蔵門から南口の放射五号線につきましては、四十八年度までに完成しようということで現在仕事をしているわけでございます。
  213. 麻生良方

    麻生分科員 私が聞いているのはこういうことなんですよ。地元は、いま言ったように終戦直後から二十四年規制を受けっぱなしなんだ。そしてこの道路は事実上突き抜けなければ意味がないわけでしょう、途中で袋小路になってしまったんでは。これがいままでなぜ二十四年間もかかっているのかと調べてみると、一番肝心の突き抜けるところが、国の管轄でありながら話し合いがついていないでしょう。いまのように、この拡張について厚生省は了解していないというんだ。しかし、建設省は、計画はして折衝は東京都にまかしたというんだ。それからすでに十年ですよ。こういうずさんな計画を立てておいて、地元の住民には立ちのきをさしているんですよ。立ちのきを要請される、しようがない、道路の拡張だ、国の計画だ、協力しよう。しかし、どいてみたら肝心の政府の敷地の中において話し合いがついていないというのでは、あなたが地元民だったらおこりますかおこりませんか。あなた自身住民の立場に立ってごらんなさいよ。立ちのきを要請されている住民と政府との間の立ちのき交渉は行なわれている、しかし政府間同士の話し合いがついていない。そのためにこの道路の拡張はいつできるかわからない、突き抜けるかわからないという立場に立ったら、住民としてどうです。役人の立場を離れて、そのバッジをはずして、住民の立場に立って答えなさい。
  214. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 住民としては、やはり早く話がついたほうがいいと思います。
  215. 麻生良方

    麻生分科員 大臣、ちょっと地図を見てくださいよ。
  216. 藤田義光

    藤田主査 速記をとめて。
  217. 藤田義光

    藤田主査 速記を始めて。
  218. 麻生良方

    麻生分科員 いまその地図で大臣に御説明したように、結論を申し上げますと、この道路計画昭和二十一年に立てられ、昭和三十九年に事業計画決定され、その後建設省としては東京都に厚生省との折衝を一任しておるが、いまだに厚生省としてはこの立ちのきについて諾を与えていない。したがって、これがどんなに事業者のペーパープランであっても、いまのところ現実には完成する見通しが立たないということなんです。そのために地元の住民は非常に迷惑しているわけです。交通は渋滞する——渋滞するのもあたりまえで、こっちがどんどん拡張されて、あるところに行くと突然袋小路になってしまうわけですから、たいへん渋滞するわけです。大臣、私はいまあなたに言ったけれども、別に責めて言うのじゃないのです。  それからもう一つは、樹木が大事か、緑地が大事か、あるいは道路が大事か、これはいろいろ観点はありましょう。しかし、少なくとも国が計画を立てた以上、国の敷地の問題についての話し合いが先に解決された上で、住民に立ちのきを要求するのがあたりまえじゃないですかね。大臣の御所見を伺いたい。
  219. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 従来ややもしますれば、この方面ばかりでなく、所管官庁の立場を非常に主張することによって国策が阻害されている向きが相当多いと思います。関係住民から見れば、それに対して政府というものが非常に理解し得ないことをやっているという感じを持つと私は思います。いまよくわかりましたから、事務当局それぞれ努力しているでしょうが、私も厚生大臣と話をして、この問題を早急に解決するように申し入れて促進いたします。
  220. 麻生良方

    麻生分科員 大臣、実は選挙前ですが、私は、坪川さんが建設大臣のときに、この問題でお目にかかったのですよ。そして、もう事実上東京都と厚生省の事務レベルの折衝では、私の見るところではらちがあかないのです。厚生省としては、何とか地下を掘れないかとか、空中につくれないかとかいろいろ言っているが、いま言ったように、地下を掘るといったら五年計画だそうですよ。また、これを空中にやるといったらたいへんな費用がかかる。それからもう一つ、かりにいま樹木を移すということで合意を得ても、建設省の役人さんに聞いてみたら、それを達成するまでにここだけで一年半から二年かかるというのです、かりにこのとおりのプランをやるにしても。だからとてもいまの段階では、あなたが言ったように、四十八年度までなんということはできっこないのです。それをできる、できると言うでしょう。だから地元の住民はそのつもりでやっておるわけですよ。いままで何べんもそのつもりできた。ところが、いつまでたってもらちがあかない。これでは地元の住民がおこるのは当然のことですよ。しかもこの問題は、地元の住民が立ちのくのがいやだといってごねているのじゃない。みんな協力しているのです。協力しているだけによけいふんまんが強い。そこで前の建設大臣の坪川さんにお願いして、そのときも大臣は、ひとつ早急に大臣折衝すると言った。ところが間もなく大臣をやめてしまった。やめたものを幾ら追っかけ回しても、いま坪川さんに聞いても、いやおれはやめたよということで、大臣の首がかわるたびにこれができないということになる。だから大臣、いまお約束をしていただきたいのは、いつまでに大臣折衝をやっていただけるかということです。  それからもう一つは、あなたは秋田県ですが、東京をよく御存じでしょうけれども、やはり現場を見ていただきたい、これでいいかと。この現場を見ていただくお約束と、それから現場を見ていただいたら早急に大臣折衝で解決をする、その期限を、私は、あなたが大臣をやめないうちにきめてもらいたいのです。またやめられたら、これはナマズと同じだ。
  221. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 厚生大臣には、でき得るだけ早い機会に申し入れします。しかし、いつ合意を得るか、これは相手のあることですから、確答を得るということは——おそらく厚生大臣もその事実についてあまり知ってないと思うのです。そこで、いろいろ今度は事務当局の意見も聞き、その上に判断することでしょうから、若干の時間がかかると思いますが、申し入れはできるだけ早く、まあ次の週までには何とか、お互いに忙しいからだではありまするけれども機会を得て、十日以内には申し入れしたい、こう思っております。
  222. 麻生良方

    麻生分科員 それからもう一つ、一度大臣に現場をちょっと見ていただきたい。これもひとつ約束していただきたい。現場を見ないで折衝できないですよ。
  223. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御承知のように、毎日のように朝から晩まで国会のほうからお呼び出しを受けておりまするので、夜でもいいかもしれませんけれども、(麻生分科員「夜でもわかります、明るいところですから」と呼ぶ)なるべく近い機会に見るように努力いたします。
  224. 麻生良方

    麻生分科員 これはほんとうに大臣、こういうことをやっていると政治不信がつのるばかりです。もう政府のやっていること、何だということになりますから、私は、ぜひひとつ大臣が御就任されている間に、これはもうはっきり解決をしていただきたいということをくれぐれも要望申し上げておきます。  ぐるぐる回されて、三十分に減らされたそうですから、きょうは、私はこれだけで質問を終わります。
  225. 藤田義光

    藤田主査 田邊誠君。
  226. 田邊誠

    田邊分科員 近来、都市に対して人口が集中をしてまいりました。特に首都圏をはじめとする中京圏、近畿圏、三大都市圏に対してはきわめて人口の集中度が多いのであります。総理府の統計によりますると、昭和四十年に五千四百六十万人であったのが六十年には大体五〇%増の七千三百万に達するだろう、こういわれておるのであります。特にそのうち市街地は、三千二百八十万から約二倍の五千七百四十万になるだろう。二十年後においては、実はたいへんな都市集中が予想されるのだ。このように住宅地ができ、工場ができて都市に人口が集中してまいりますると、当然そのために必要な水は、実はたいへん大きな需要になってまいるのです。  そこで大臣にお聞きしたい。二十年後の水の需要について、一体どのようなぐあいにしてこれを解決しようとしているか、その基本的な問題だけ、大臣もしお答えできましたらお答えいただきたい。
  227. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 田邊さん御指摘のとおり、今後の日本経済並びに人間の生活の面から見て、一番むずかしい問題が実は水だと私は思っているのです。これにはいろいろ複雑な原因がございますけれども、特に三大都市圏と申しますか、ここにおける将来の水対策はいまからやっていなければ、これはたいへんな隘路になってくるだろう、こう考えております。そのためには、まずでき得るだけ日本の国土に降ってくる雨を計画的にキャッチし、これを利用するということが第一点だと思います。水資源の開発がそれでございます。それには、御承知のように、水源地帯とそれから利用する地帯における地域利己主義と申しますか、これがかなりございまして、これの解消につとめることによってできるだけダム地点を活用する、あるいは治水と利水を合わせた中流のダム、それから河口ぜきと、三段階ぐらいにこれは使わなければいけない。それでも需要が充足できないような場合には、河川同士の水系網をつくってできるだけこれを緩和していく。それでもなおかつできないものについては、水の再利用、これを考えなければいけない。あるいは海水の利用ということの段階になると思いますけれども、現在まずなし得ることでなさなければならぬことというのは、わりあいに降雨量の世界的に見て多い日本が、利用されないままに流されたり、あるいは地域利己主義のために活用されない部分を利用するということが、当面やらなければならぬ問題だと考えている次第でございます。
  228. 田邊誠

    田邊分科員 そこで、水の利用というのは非常に大切でありますけれども、特にその中で重要な要素を占めるのは河川の利用であります。そこで河川局長、いま大臣の言われた水利用の面において、河川の依存度をどのくらいに見込んでおられますか。
  229. 坂野重信

    ○坂野政府委員 技術的にわたりますが、昭和六十年の時点で、私どもの試算では年間で三百八十億トンくらい見込んでおります。
  230. 田邊誠

    田邊分科員 したがって、河川の依存度は、いろいろ見方がありますけれども、三大都市圏について見れば、新規の需要のうち八〇%ぐらいを河川に依存しているということに、実はあなたのほうの計画ではなっているわけですね。この河川の依存度は非常に高い。したがって、そのうち何を中心にするかというと、いま大臣が言われたように、上流、中流、河口によっていろいろな利用のしかたがあるわけであります。ところが、つい最近までは、そのうち特に上流のダム建設によってこれをしのぐといいましょうか、これを解決するということが非常に強くいわれておったのでありますが、私は必ずしもそればかりではないと思うのであります。河口ぜき、たとえば首都圏について見れば、霞ケ浦の開発等が叫ばれなければならぬと思っておるわけであります。そこで、来年度建設省は広域的な利水の全国計画を立てるという、こういうことを聞いてまいったのでありますが、具体的にそういった計画を立てられる用意がございますか。いまの河川の依存度の中で一体何を中心に据えて、これから先水利用に対応していくかということに対してお考えがございましたら、お示しいただきたい。
  231. 坂野重信

    ○坂野政府委員 それはやはりさっき大臣がお答えになりましたように、上流、中流、下流と、すべての利用し得るものは、あらゆるものを施設をやって利用していくということでございます。
  232. 田邊誠

    田邊分科員 抽象的なお答えで、あとでまた委員会でお聞きしましょう。  その中で、一体これは首都圏をとってみれば、いままでいろいろなダムをつくって、これは多目的ダムが主でありますけれども、いろいろと水の需要に対応してきた、あるいは洪水調節やその他の面に対応してきたのでありますが、今後のあなた方の計画の中で、一体この首都圏の水不足に対して、解決策としてのダムをつくられる御予定はどのくらいございますか。
  233. 坂野重信

    ○坂野政府委員 ダムで幾らというこまかい資料は現在持ち合わせておりませんが、大多数は霞ケ浦でいま開発を、先生おっしゃいましたように考えております。それから河口ぜきは、これは現在執行中でございます。それから構想としては、あるいは渡良瀬の遊水地を利用できないか、そういうことでございまして、あとはやはり上流にできるだけダムをつくる、そうしてダムの組み合わせによって有効利用をはかっていく。利根川の場合は、さっきおっしゃいましたように、大体七〇%か八〇%の年間の流量を利用しようと考えております。
  234. 田邊誠

    田邊分科員 その利水の問題とあわせて、水の問題では、治水の問題が非常に大きな問題ですが、利根川について見れば、特に治水については、従前、これは坂野さんと毎年やっておるわけですけれども、八斗島における洪水調節量を最大毎秒一万七千トンと見ておったのですね。ところが、昨年私がここでもって質問いたしましたところが、これをだいぶ変えなければならぬ、大体五割増しくらいにしなければならぬ、その計画は大体夏ごろまでに見通しがつくという答弁をあなたはしておるのですけれども、これは一体どういうようになりましたか。
  235. 坂野重信

    ○坂野政府委員 だいぶ作業も進んでまいりまして、あらかたの第一次的な作業は大半終わっておりますが、ただ非常に大きな問題でございます。技術的にも解明すべき問題が多いものですから、まだ最終的な案というものはでき上がっておりませんが、ぼつぼつ河川審議会の諸先生に個人的な意見を聞いたり、その他先輩あるいは学識経験者の方々にいろいろな意見を実は聞いておりまして、これは非常に大きな問題でございますので、慎重に検討中でございます。できるだけ早く成案を得たいと思います。
  236. 田邊誠

    田邊分科員 中身は、昨年あなたが答弁されたように、大体最大洪水流量は五割増しくらいだ、その割り増しになった分は、大体上流のダム等の建設によるカットによってまかなわざるを得ない、大体こういう考え方はそのままですね。変わりありませんね。
  237. 坂野重信

    ○坂野政府委員 大体そのとおりでございます。
  238. 田邊誠

    田邊分科員 そこで大臣、いまお聞きのように、特に三大都市圏の中の首都圏は、たいへん水の問題は大きな問題である。そういういわば二十年後等を見込んだ場合に、二十万トン以上の新規需要があるというようにいわれておる。あわせて、治水についても、いままでの基準でやった洪水調節の流量等を変えなければならぬという新しい段階にきておる。治水、利水あわせてこれらの問題に対処しなければならぬ、こういうところにきておると思います。そこで、長期計画は治水についてはいままであったのですが、利水についてはなかなかなかったのですけれども、私は、大臣のいまの冒頭のお答えはその点ではきわめて適切だと思うのでありますが、やはりこれからは利水の長期計画を立てなければ日本におけるところの水の需要に対応できないのじゃないか、こういうふうに私は思っておるのでありますけれども、その点に対してあなたはやはりしっかりした長期計画を立てる、こういうようなことについてはお考えがおありでございますか。
  239. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘のとおり、治水五カ年計画とか治水長期計画はかなり持っておりましたけれども、利水については一応計算だけしておりまして、これを実際上どうしてやるかについて、なかなか策定しかねておるのです。というのは、先ほど申したように、上流地帯のほうでどの程度まで協力してくれるかということが一つの問題。それから中流地帯において、特に首都圏の将来の水需要に一番貢献すると思われるいわゆる岩本ダムなる問題がたいへん大きな利害関係者がございまして、建設省だけでなかなかいけないというようなことで、計算上はどれだけの水がほしいということがわかるけれども、これを具体的に解決するための手段がなかなかきめ手がないということで苦労しているわけでございます。そこで、今後関係各省と協力しながら、どうしてもそういうことが水の関係で不可能とするならば、やむを得ず、これから長期計画で産業なり人口なりを首都圏に置かずに、よそに持っていくという計画をやらなければこれはできない。そのためには、首都圏整備計画計画それ自身も再検討しなければならない。それから新全総の今後の計画にも影響してくると思っておりまして、今後その点をまず事務段階から関係省で検討さしてみまして、この程度ならいきそうだというものならば、そこで初めて利水の長期計画を立てませんと、道路なんかのほうはわりあいにいきますけれども、水の権利調整と、それからこのために移転する住宅や都市住民の受ける影響はあまりにも広範かつ複雑でありますので、その点の見通しをもう少し持ってから長期計画に着手したいと思っている次第でございます。
  240. 田邊誠

    田邊分科員 いま大臣いみじくも言われました、特に首都圏の人口配分の問題それと水の需要供給の問題、これは非常に密接不可分の問題でありますけれども、その中で特に問題になるのは、いま言った岩本ダム、通称沼田ダムといわれている問題であります。私は、実は毎年予算委員会なり建設委員会でこれに対して質問を行なってきたのでありますが、そのつど、大臣がかわるたびに、さっきも質問がありましたけれども、一年ごとに大臣の言い回しも違う、政治的な判断も違う、そういうことで、実は地元はここ十五年くらいの間、右にせんか左にせんか、工場誘致をせんか、あるいは都市を分散せんか、非常に大きな悩みを持っております。私は、そろそろいま言った長期の利水計画とあわせて、この岩本地点にダムをつくるのかつくらぬのかという判断をすべき時期にきているのではないか、こういうように思うのですよ。あとでお聞きしますが、予備調査昭和三十五年からもう十年間くらいやっているのです。二億円以上の金を使って予備調査をやっているわけですね。いつまで一体予備調査をやるのか。こういうことに対する地元の不安——私は地元の不安ばかりではないと思います。これが首都圏全体に及ぼす影響、こういう観点からいいますならば、根本さん、あなたは党の三役もやられて、与党の中における中枢におられたわけですから、そういった点で、この問題に対しては一つの結論を出すべき時期にきている、こういうようにあなたは御判断でございませんでしょうか。
  241. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 非常にむずかしい問題だけれども、私もそういうふうに方向づけをしなければならぬと思います。そのためには、国や建設省側だけではこれはできないのです。何しろ膨大な面積で、しかもそこにおられる方々は非常にあそこに定着して、一つの市全体と言ってもいいくらいの問題ですから。そこで、私は国会が終わってから時間がありましたら——地元の人と合意しなければ、幾らこっちが一方的にやるといってもだめですから、地元の人がどういう条件ならばこれに協力してもいい、どういう条件ならどういう協力ができるということを少しみっちり話してみたいと思うのです。そうじゃないと、幾らこっちのほうで首都圏開発のために必要な施策なりとしても、地元の人々の理解と協力が得られなければこれは片思いで、かえってトラブルを起こすだけでございますから、まず第一に、私は、いままでの手法を少し変えて、地元はどういうふうにしたならばわれわれはこれに協力できる、そこから発想してみたらどうかと思うのです。それについて、政府関係機関が、これを受益者側から見て、どの程度までこれがこたえることができるかということのほうがむしろ早いじゃないかと思うのです。そうでありませんと、いたずらに国家権力であれをやっつけるんだというふうな印象を与えるということは、二重の意味においてこれはよくないというので、まず地元の県や市町村がどういう条件ならばやっていけるかということをまず調べてみる、御相談になっていただきたい、こう思うのです。それから、それならば今度は政府並びに受益者がこれに対してどう決断するかというところに進んだほうがより現実的じゃなかろうかと考えている次第でございます。
  242. 田邊誠

    田邊分科員 私は、大臣の所見はやはり一番正しいと思うのです。何といっても地元の意向を確かめて、その上に立って対処されるということでなければ、やはり最終的なものを計画するにしてもしないにしても、私は終結をおさめることはできないであろう、こう思いまして、ぜひそのことについてだけはお願いをしたいと思うのであります。  そこで、やはり来年度は予備調査をそのまま続けられて、どのくらいの予算調査に組まれますか。
  243. 坂野重信

    ○坂野政府委員 やはり従来どおりの予備的な調査でございますので、一応五千万程度考えております。
  244. 田邊誠

    田邊分科員 それは建設をするという考え方あるいは建設をするという方向あるいはそういう心組み、そういう上に立って予備調査をされると思うのであります。したがって、いわば建設しないとなれば、これは計画は大半意味はなくなるわけですね。もちろん経済調査や開発調査等いろいろやっています。それから基本的な利根川のいろいろな調査もされております。水源調査もされておりまするけれども、しかし、だんだん四十一年度から予備調査になりましたから、建設するという方向でその場合における調査を引き続きやっている、こういうふうに理解していいわけですね。
  245. 坂野重信

    ○坂野政府委員 やはり建設を想定いたしまして、それに必要な予備的な調査でございますが、もちろん内容としては、ダムができてもできなくても、当然必要と思われるような基礎的な水文的な調査が主体でございます。それに経済調査も加えてやります。
  246. 田邊誠

    田邊分科員 一体どのくらい予備調査というのは必要でございますか、年数的に見ても、あるいは金額的に見ても、予算の面でこの種のダムをつくるということになれば。
  247. 坂野重信

    ○坂野政府委員 まあダムの規模、そのダムサイトごとのいろいろな社会的、技術的、いろいろな地方の問題がございますが、最近のダムでは、やはり私ども従来十年ということでございまして、大体予備調査を始めてからダム完成するまで十五年というぐあいに考えております。少なくとも五年以上は予備調査というものにとりまして、そのあと二、三年の実地調査、それから工事に着手してから六年くらいで仕上げるということでございます。
  248. 田邊誠

    田邊分科員 そこで大臣、大体さっきの考え方で、私もう一度今度委員会でもってお伺いいたしますから覚えておいていただきます。  ところが、田中幹事長が、最近、六十年ころまでに沼田ダムをつくるというようなことを発表されることをあなたお聞きですか。これは与党の幹事長がそういうふうなことを発表されるということになりますると、これは所管大臣として、私はそのままにいかぬと思うのです。ですから、こういった重大な政治的な発言ということになれば、私はよほど所管大臣と打ち合わせをされてやっておるのじゃないか。まずあなたは前の政調会長、そういったことに対してあなたはお聞きでございますか。
  249. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 田中幹事長からそういうことをやるということの連絡は受けておりません。ただ、御承知のように、田中幹事長は前からわが党の都市対策調査会の会長をしておりまして、大都市対策、特に首都圏の問題と非常に熱心に取り組みまして、これをやる場合に最大のネックは水資源だ、そこでこの水資源をやるためには、結局いまの沼田ダムに手をつけなければ解決できないじゃないかという論者であることは事実です。そこで、おそらくそういう発想から、何かの機会でそういう意見を述べられたことと存じます。しかし、私に対して、これをいつまでにやるからひとつ建設省でこのつもりでどうこうということは、申し受けておりません。
  250. 田邊誠

    田邊分科員 ひとつ沼田ダムの問題については、私は、これは日本の将来の政治課題としてもたいへん重大な問題である、こういうように考えますので、ぜひ、さっきのスケジュールに基づいて、地元に十分な打ち合わせの機会をつくっていただく、その上に立ってあなたの政治的決断をお願いしたいということを強くお願いをしておきたいと思うのであります。  あと、時間がございませんから簡単に。草木ダムについて、いよいよ補償の段階に入っておるんですけれども、きょうは公団にお聞きする機会がございませんから、これはひとつ河川局長、あなた御存じのとおり、約束をされた公共施設については、たとえば草木の橋あるいは国道のつけかえなど——などというところが重大なんだよ、あとは言わぬから。言うといかぬと思って、私はあえて言わぬから、などについては、公団に対して、約束を必ず履行するようにあなたのほうから指導監督される、こういうことをぜひお願いしたいと思うのですが、よろしゅうございますね。
  251. 坂野重信

    ○坂野政府委員 先生の御指摘の方向に沿って、最大の努力をいたしたいと思います。
  252. 田邊誠

    田邊分科員 そこで、草木ダムに直接関係はございませんけれども、最近、あの地元にあります——東京農工大学から、演習林が、どういう事情か知らぬけれども、手狭になったのかするので、ひとつ国有林の払い下げをしてもらいたいというのが、ここ一、二年来ていると思うのであります。これに対して、かなり建設省やその他も協力している。林野庁も協力する、こういう立場をとられておるようでありますけれども、これに対しては間近く解決をされるようになるわけでございましょうか。
  253. 松本守雄

    松本(守)政府委員 いま営林局段階で、農工大学、それから県を間に入れまして、その話し合いを前向きで詰めております。
  254. 田邊誠

    田邊分科員 やるようになるのかならないのか。あなたの心づもり……。
  255. 松本守雄

    松本(守)政府委員 ただ、折衝過程において食い違っておりますのが面積でございます。林野庁としては、農工大学の林学科の教育上必要であるという土地につきましては、民有林で適当な場所がない場合は協力するつもりでございます。ただ、面積に相当な食い違いが出ておることだけをこの際申し上げておきます。
  256. 田邊誠

    田邊分科員 ぜひひとつ早急な解決をはかっていただくように、あなたのほうで協力をしていただきたい、こういうふうに思いますが、よろしゅうございますね。
  257. 松本守雄

    松本(守)政府委員 前向きで検討いたします。
  258. 田邊誠

    田邊分科員 それから河川局長、個々の補償の段階に入っていると思うのですけれども、さっき言った公共の問題が一つのネックになっているんですね。これを早く解決してもらいたい。その上に立って補償基準を早急に示すべきだと思うのです。去年お伺いしたら、大体八月ごろくらいには補償基準を示せると言ったけれども、こういう問題がネックになったために、いまだ示しておらないのですけれども、これらの問題を解決すれば、大体立ち入り調査をしたわけですから、早急に補償基準は示していいんじゃないかというぐあいに思いますけれども、この問題に対しては間近くそういうふうになりますか。
  259. 坂野重信

    ○坂野政府委員 私もそのように考えておりまして、早くこういった公共的なものを片づけて、それで早急に補償基準からひとつその解決に向かって努力するように公団のほうにもまた連絡をするつもりであります。
  260. 田邊誠

    田邊分科員 あと二つだけ質問します。  河川局長でいいですが、尾瀬の水について伺います。これはもう大正十一年から分水問題が起こってきているのですが、昭和四十一年の四月一日から只見川が一級河川として国に移管をされたために、これが裁定は建設大臣にまかされているのです。その後、この問題は政治的に解決をはかるべきであるという強い声があるわけでありますけれども、いまだに解決をしていない。これはただ単に関係をする三県の問題ではないのです。さっきも大臣も言われたように、全関東首都圏をめぐる水の問題は、水は非常に足らぬといっても、ここに豊富な水があるわけですから、この流域変更については、私は、これまたやはり政治的な解決をしなければならぬところに来ているのじゃないかと思うのです。これは私は、ただ単に関東の全部の代議士がぜひしてもらいたいというだけの話ではないと思うのですよ。これに対して一体どういうように対処しておるのですか。
  261. 坂野重信

    ○坂野政府委員 確かに先生の御指摘のように、尾瀬分水の問題は、利根川というよりも、関東全域にわたる広域利水の一環であると私どもも思っております。そういう観点から、現在やっております広域利水調査の一環として実は調査しておりまして、尾瀬を分水した場合の下流の阿賀野川に対するいろいろな物理的なあるいは行政的な影響はどうであるか、また、その影響に対してどういう措置を講じたらいいか、また、そのタイミングの問題あるいはそういった経費的な問題等いろいろな問題がございますので、その辺をいま詰めております。また、ある程度進んでまいりましたら、ひとつ事務的に担当者の会議でも開きまして、その上で、ひとつ調整に持ち込むように努力をいたしたい、このように考えております。
  262. 田邊誠

    田邊分科員 大臣、この尾瀬の分水はあなたもあるいは御存じだと思いますが、これはもう長年の政治的な問題です。私は、たとえば福島県なり新潟県なりの事情はわからないでもないが、しかし、利根川に流域変更を大正十一年から昭和四十一年まではしておった。そういういきさつがあるわけでありますから、今後の首都圏の水の問題ということを考えたときに、根本さん、ぜひひとつ政治的な解決をはかってもらいたいと思うのです。そういった点で、関係の県なりあるいは関係の方面と御連絡されて、あなたの手でぜひひとつ長年の懸案を解決していただきたい、こういう意気込みで対処していただきたいと思いますが、いかがですか。
  263. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 先ほど来お示しがありましたように、この水の問題は、将来の日本を方向づける非常に重要な問題でございます。そのかわり、また地域的な関連が非常に強うございまして、これも先ほどの沼田ダムと同じように、権力で大臣が調整することができるという問題ではない深刻な問題でありまするので、できるだけ関係知事さんや関係者の意見も聞いて、大乗的に協力してもらうような機会を設けたいと思っております。
  264. 田邊誠

    田邊分科員 時間が過ぎましたから、農林省に伺います。  いま群馬用水が末端水系のほうにいっているんですが、この計画の中には開田をするという計画があるのです。事実そういうふうに進んでいるところもあるのですが、いまや米が余るから減反措置をするというわけです。そういった時代になってきて、この開田はきわめて不合理であり、矛盾をしているということを地元でもって痛切に感じているわけであります。したがって、開田をするということに対しては、計画を変更される必要があるのではないかと思うのですが、いかがですか。  もう一つは、開田をするという場所は、当然減反措置の対象から除外すべきであるというふうに思いますけれども、この二つについて、簡単でよろしいですから答えてください。
  265. 井元光一

    ○井元説明員 おっしゃるとおりの現状にございまして、水資源公団によりまして昭和三十八年……(田邊分科員「その経過はわかっているから時間がないから簡単でよろしい」と呼ぶ)こうした継続事業につきましては、御存じのとおり、水資源公団で四十四年に終わっているわけでございまして、その付帯事業だけが現在継続として残っております。こうした継続事業は、行政指導によってできるならばそういうふうに扱え、そういうふうな通牒を出しておるのでございますけれども、各事業別に同意をとって事業を始めておりますから、なかなかそう簡単に開田を全部やめるというわけにはいかないわけであります。全体の田畑……(田邊分科員「どうするのかということです」と呼ぶ)なかなか開田をやめろというわけにはいかないので、これはそういうふうな指導をするだけでおそらく不可能ではないかと考えておるわけでございます。できるだけそういうことに沿ってやっておるわけでございますが、おそらくむずかしいのではないかと考えます。(田邊分科員「減反措置から除きますか」と呼ぶ)減反措置については、去年でき上がった地区であれば、一割減反の中に入れるわけであります。これからの地区については、今後完成する時期によりまして、一割地区に入れる地区と入れない地区とできてくるわけであります。
  266. 田邊誠

    田邊分科員 納得しないけれどもあとでまたあらためて伺います。これで終わります。
  267. 渡辺栄一

    渡辺(栄)主査代理 田邊君の質疑は終了いたしました。  岡本富夫君。
  268. 岡本富夫

    岡本分科員 私は、最初に、時間があまりありませんから、おととい開幕されました万博の状態から申し上げますが、大臣もああしてお行きになったからおわかりと思いますけれども、万博を控えまして、第二阪神国道と第一国道というのが終夜にわたって非常に交通が多くなってまいりまして、したがって、事故も非常に多くなってくるのではないか、こういうことで、現地のほうからも、この第一国道あるいは第二阪神国道の終夜の点灯をひとつやってもらいたい、そうでないと付近の人が安心して生活ができない、こういう陳情を受けておりまして、現地に行ってまいりますと、物資を運んだりするために、最近は非常に車の回数が多くなりました。したがって、この点についてまず提案申し上げ、また終夜これをつけていただきたい、こういうことでございますが、まず大臣の答弁からお願いします。
  269. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 万博が開催されることによって、高速自動車道路並びに国道の利用が非常に多くなるということば御指摘のとおりに考えています。そのために、自動車の交通事故をできるだけ減らすということのためにもいろいろの措置を講じています。いろいろの措置を講じておりまするが、これは道路の設備だけではなかなかできない部面がむしろ多いようでございます。むしろオーナードライバーのドライブマナーとか、あるいはまたいろいろの国民の方々の協力体制も関係がありますが、そういうことはさておきまして、建設省でやり得ることについては最大の配慮を払っておるつもりです。  ただ、いま御指摘になりました道路の点灯の問題ですが、これについては事務的に研究した結果もございますので、全部が全部点灯して終夜全部やるということが、はたして効果的かどうかということも問題点があるようでございますので、その点は事務的なことも相当あるようですから、道路局長からまず答弁いたさせます。
  270. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 道路の照明の点につきましては、一般的に、やはり道路の照明があったほうが、ないよりは交通事故は減るということは言えると思います。ただもう一つは、昼間の交通事故と夜の交通事故を見ますと、やはり昼間のほうは交通事故の件数は非常に多い。これは交通量が多いからということもありますが、一億台キロ当たりの事故率について見ますと、やはり夜が多くなっております。ただ、これを原因的に見ますと、これはまだ私たちもいまいろいろ研究いたしておりますが、もちろん、交差点とか横断歩道、こういうところの照明があるないでは、いままでの実績を見ますと、非常に交通事故に関係しております。こういうものについては、できるだけ交差点の照明、横断歩道橋の照明は進めていっておるつもりでございます。  もう一つは、一般の連続照明については、夜間の問題というよりは、照明があるないという以外のいろいろな疲労等から来る問題もあろうかと思います。そういうことも十分考慮に入れまして、また私たちのほうの所轄、管理をしております場合のいろいろ経費の問題もございまして、まず交差点横断歩道橋の照明を優先してまいりたいというように考えております。
  271. 岡本富夫

    岡本分科員 大事な各国から来るおめでたい万博にあたりまして、少しでも交通事故を防ぐ、また人命を守っていく、こういう面から私は提案しておるわけでありますが、四十四年の一月から四月で、消灯前、電気がついているときには、事故が八十八件、死者一名で、あとは負傷者であります。今度、消灯してから、これを兵庫県の県警本部で調べたところが——もっとたくさんのあれがあるのですけれども、要約しまして四十四年の六月から九月が百七件、死者が五名、それから負傷者が九十三名、こういうふうに出ております。これは何といっても、万博の間だけでも交通事故のないように明るくしてあげることが大事ではないか、こういうように私は思うのです。それですから、電気代、そういうこともございましょうけれども——時間がありませんからやめますが、建設省全国的に見て支払う電気料が多くなってきております。しかし、公共的な電気料は電気会社に言って少しはまけてもらうとか、こういうような交渉もして、そうしてやはり万博の間だけでも終夜灯にしてやってもらいたい。なお、日没からになっておりますから、これからちょうど万博の間は夏にかかります。ですから非常にわずかな量で済むのではないか。こういうような考えから、あまり国の費用を使ってもいけないけれども、何とかこの間だけでもやってもらいたい、こういうわけでございますが、いかがでございましょう。
  272. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 私も、実は過去四週間、毎日曜ごとに万博関連の道路の開通式のはさみ入れや、それから現場も見てまいりました。御指摘のように万博中に、一般観覧者、外人も含めて、交通事故があってはたいへん遺憾なことだと思いまして、二つの公団並びに都道府県、あるいは大阪市長とか神戸市長とか、みんな一緒に見て歩きまして、万全を期してほしい。それから点灯のことについても、状況に応じて機動的に安全を期するように指示しておきましたから、できるだけ御指摘の点については積極的に措置するように指導いたしたいと思っております。
  273. 岡本富夫

    岡本分科員 そうすると大臣、日没から十三時まで現在は電気がついておる。まだ終夜はついてないわけですけれども、日没は夏になりますと非常におそくなりますから、それから夜明けまでですからこれも時間が早くなってくる。ですから非常にわずかなもので済むんじゃないか、こういうように思いますので、その点はひとつお約束いただけますね。
  274. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 全部の道路について一晩じゅうやったほうがいいかどうかについても、これはまだ検討の余地があるようでございます。先ほど御指摘のように、一番事故が多いのは、むしろ日没から数時間が一番多い。そういうところに点灯したらだいぶ事故が少なくなる。真夜中とかなんとかに起こるところの事故は、暗いから起こるんじゃなくて、疲労とか酔っぱらいとかスピードの出し過ぎによるところのものが多いというふうなことも聞いておるのでございます。万博中に終夜ずっとドライバーが動くような状況になりますれば、それに対応する措置を講じなければならぬと思いますが、施設の面からしても終夜全線にわたってやるわけにはいかない。少し事務的な問題ですから、道路局長から御説明いたさせます。
  275. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 実はいろいろ交通事故等考えまして、照明を有効的に使うというような趣旨から、昨年節約ととれるような通達を出したわけであります。これはもちろん節約をしなければならぬが、事故がふえたのでは何もなりません。やはり事故を減らすということがまず第一の目的でございますので、ただいま先生のおっしゃいましたことにつきましても、いわゆる今後の交通状況考えまして、十二時以後の万博のための交通量が非常に多いところは、これはやはりやったほうがいいと思います。先ほど大臣も言いましたように、私たち理想的に言いますと、日没、これはだんだん暗くなってくるわけです。日没からしばらくの間はかなり明るい照明をつけて、逐次それを深夜に減光していくということがもし照明のほうでできれば、これが一番能率的じゃないかと思います。いま第二阪神の照明は、減光するような装置もございませんので、いま先生のおっしゃいましたことは、よく公安委員会とも連絡とりまして、そういうことのほうが事故が減る可能性があるということがはっきりすれば、私たち、万博及びそれに限らず、照明をやっていきたいというように考えます。もうしばらく検討させていただきたいと思います。
  276. 岡本富夫

    岡本分科員 私、ちょうど第一国道のそばに住んでおりますから、一番よくわかっております。これはあと前向きに検討していただく、こういうことになりましたから、また御報告をいただきたいと思います。  時間がありませんから、次に建設省としての姿勢につきまして……。  災害あるいは水害、こういうものが河川においてよくあるわけでございますけれども、一級河川、こうした大きな河川においては、建設省が全部握って、それをまた修理もし、堤防をつけたりやっておりますけれども、往々にして地方へ参りますと、小さな川、一般河川と申しますか、こういうことでありまして、あるいはそうしたところにおきまして、一部地方自体では、町なんかでは、予算がないために、非常に貧弱なことで長年そういうものがほうってある。それで私、水害や災害なんかがあったときに、国土全体のそういうものを建設省のほうでは握っていらっしゃるのかどうか、状況報告を受けているのかどうか、これをひとつお聞きしたいのです。
  277. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 岡本さん御指摘のように、従来の河川の災害とか改良の問題は、戦後は、大河川、少なくとも中までが重点的に施工されておりました。ところが、最近になりますと、小河川のうち特に市街地の中小河川が非常に災害を受ける率が多くなった。ということは、それだけ人口並びに産業が分布したということと、それから、工場等の汚水とか廃水とかいろいろなものが出てきたということで、これが顕著になりました。そこで、本年から都市河川に対する補助制度を設けまして、積極的にそうしたものの解決をはかるという体制をつくったのでございます。それと同時に、中小河川は、特に都市においては下水と非常に関連があるのです。それで、そういう地帯においては、広域下水道の事業も推進して、今後一そう重点的にこの問題を解決していきたい、こう考えておる次第でございます。
  278. 岡本富夫

    岡本分科員 そこで具体的に申し上げますと、兵庫県の三原郡西淡町あるいは三原町を流れておりますところの三原川あるいは倭文川、これはこうした中小河川でありますが、きょう私、こうして四十年の災害当時の状況の写真を持ってきたわけでありますけれども、これが長年、ちょっと雨が降るとこういうことになる。どうしようもないというのが現在の姿なんです。こんなことは全国的にあるのじゃないかと思いますけれども、まず一つの例を取り上げまして、これに対する姿勢を聞いたわけでありますけれども大臣は、昨年からそうした中小河川も補助金の対象にしておる、こういうふうにお答えになりましたが、この三原川あるいは倭文川の対策について、建設省のほうからちょっとお聞きしたいと思うのです。
  279. 坂野重信

    ○坂野政府委員 三原川は二級河川でございますが、いわゆる中小河川の範疇に入るものでございます。全体事業費が十二億でございますが、昭和三十八年から中小河川の改修事業に着手いたしておりまして、その支川の倭文川につきましても、この一環の河川計画の中に入れておりまして、その中に現在ポンプの計画がございます。四十四年度から着手いたしまして、これをひとつ重点的にやっていこうということで、四十六年の出水期までには、まずさしあたってこのポンプを竣工するように持っていきたい。それと同時に、堤防の拡築等につきましても、鋭意重点的にこの事業を進めるように持っていきたいと計画しております。
  280. 岡本富夫

    岡本分科員 このポンプは四十六年に設置されるわけですね。  それから、やはりそのすぐそばに松田掃守地区というのがあるのですが、これも同じように護岸工事が非常におくれておる。これについてもどういう計画をなさっておるか、ひとつお聞きしたいのです。
  281. 坂野重信

    ○坂野政府委員 これは現在まだはっきり計画区間には入れておりませんが、現在兵庫県で調査中のようでございますので、兵庫県の調査結果を待ちまして、具体的にどういう治水対策を講ずるか、この辺を検討してまいりたいと思います。
  282. 岡本富夫

    岡本分科員 御承知のように、川というのは一本で済まないのですね。何本かに分かれておりまして、一本のところだけをよくしてもほかの川からはんらんすれば結局同じことになってしまうというわけで、一つだけポンプをつけて、そこだけやれば解決するというものではないと思うのです。したがいまして、この地域の川のはんらんはもう非常によくおわかりだと思うのです。なぜかと申しますと、国道二十八号線を建設省建設いたしましたときに、この排水に非常に困っておるわけです。少し雨が降りますと、その国道二十八号線の上に水がどんどん流れてきておる。その排水が非常に不備である。ということは、下流のこうした川の問題を解決せずに上で側溝をつくっているわけですから、結局そこにみなたまってしまっているわけです。抜本的な解決をしないで、ただ道路をつくっているので、雨が降ったら通れないというような状態になっているのです。したがって、この地域の抜本的な改革をしなければならぬのじゃないか、こういうふうに私は思うのですが……。
  283. 坂野重信

    ○坂野政府委員 先生のおっしゃるのは、三原川の支流の天野川というのが国道二十八号線と交差して、その付近がどうも水が出るじゃないかということで御指摘のようでございますが、この区間は現在まだ普通河川でございまして、二級河線にもなってないわけでございますが、道路との関係もあるようでございますので、詳細にひとつ調査いたしまして、道路のほうの関係とよく打ち合わせいたしまして対策を講ずるように、ひとつ具体的に検討したいと考えております。
  284. 岡本富夫

    岡本分科員 大臣、実は私、なぜこんな小さな問題を取り上げているかと申しますと、建設省も、道路局あるいは河川局というようにその所管が違うから、道路局は河川のほうまでさわる必要はない。さわってはいけないというのか知りませんけれども、この道路ができましてから、いままでは下に水がどんどん流れておったわけですが、道路が高くなったためにそこに水がたまっちゃうのです。そうすると、その付近にある家にどんどん水が入ってくるわけですね。それで側溝をつくってくれたのはいいのですけれども、その末端処理ができてない。ですから道路ができたために、雨が降るたびに困っておる者がこの付近に相当な数出ておるわけですけれども、これは仏つくって魂入れずといいますか、確かにきれいな道はつくっていただいた。しかしそのために雨のたびに困る。わずかの雨でも水が出て困っているわけです。で、やかましく言うと、側溝をつくった、その末端処理ができてない。それは河川の問題ですから私のほうは関係ないのです。こういうようなことで、非常に不備な点がそのままずっとほってあるわけですね。ですから私、きょうは特に申し上げておるわけでありますが、どうかひとつその点をお考えくださいまして、住民のために道路をつくられたわけですから、そうならば、住民がちゃんと生活できるようにしていただきたいと思うのでございますが、いかがでございましょう。
  285. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘のとおりでございまして、これが地建なりその他のほうで二つやる場合はすぐに調整できますけれども、いま御指摘のような点は、河川は一般河川で地方自治体がやっておる、道路は国がやっているという場合は、ややもすればそういうことが手ぬかりになりがちでございます。私も実は自分の選挙区でもそういうことがよくあるのです。それは県庁内において調整して持ってくればいいのを、県庁内でも全部縦割りのためにそれができてしまって、そうして一つのそういう矛盾が出てきて初めて騒ぎが起こるということで、御指摘の点は十分に気をつけて建設省もやりますと同時に、特にこれは自治体の土木部あたりが十分そういう点を綿密に配慮して計画もつくるように指導いたさせたいと存じます。
  286. 岡本富夫

    岡本分科員 最後にもう数点ですが、自治省来ておりますか。——それでは、次は運輸省のほうで、一酸化炭素の排気ガス、これについて環境基準もつくろうというわけで、公害問題についてはいまやっているわけでありますけれども、それについて建設省として、車が停滞いたしまして、アイドリングと申しまして、車がとまっているときに排気ガスを出すということは、非常に一酸化炭素が多くなる。あるいはまたその他の排気ガスが非常に多くなるわけであります。したがって、できるだけ車が停滞しないように建設省のほうでは道路計画を立てよう、こういうようなお話でございましたが、相違はございませんか。どうですか。これは道路局長
  287. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 自動車の排気ガスによる公害でありますが、いま先生のおっしゃいましたように、自動車がなるべくとまらないようにするということ、こういう意味では、やはり東京都内の主要な交差点を立体化する、これがまず必要かと思います。しかし、全部の道路の交差点を立体化するというのはなかなか無理な話でございますので、道路側でできることもありますが、車自身がCOを減らすというようなことを、私どものほうは強くお願いしておる次第でございます。
  288. 岡本富夫

    岡本分科員 そこで大臣に、実はこれも非常に身近な問題を取り上げて恐縮なのですけれども、大阪から神戸に流れております阪神電車というのがあるのです。これが高架のところが非常に少ない。そのために、ちょうど第一阪神国道と第二国道、この南北の交通がその踏切によって非常に停滞しておるわけです。それで、車がどんどん排気ガスを出しておる。その付近はほんとに住めないくらいきびしいのです。それが無数にあるのです。だから、一ところや二ところぐらい高架にするとかいたしましても——道路を高架にすることよりも、私、申し上げたいことは、検討していただきたいことは、第一阪神国道、第二国道は南北を通っておるのですが、そこには阪神電車の国道電車というのが通っておるわけです。国道電車というのは路面電車ですが、これは最近交通問題について特に、建設省運輸省も同じでしょうが、軌道電車をなくしていこう、こういうような現在の方向であると思うのです。  そこで、その第一阪神国道には軌道が国道の上を通っているわけですが、ほとんど人が乗っていない、まあラッシュのときは少しは乗るのですが……。これは阪神電車の持ち物になっております。これをひとつ国で何とか買い上げていただきまして、そのお金でそのかわり阪神電車の本線がまん中を通っておりますから、その本線高架にさせる。そしてその高架の下を普通の車が通れるということにしますと、南北の道路が非常にスムーズにいくようになって、排気ガスの問題も解決するのじゃないか、こういうように思うのですが、その点について、提案でございますけれども、一ペん検討していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  289. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御承知のように、国道に軌道を乗せておるのは、こちらが許可しておるわけなのですよ。それを撤去するのに補償を出すということは、いままで政府ではやっておりません。ただ、撤去したあと、本来ならば私鉄で道路を整備しなければならぬけれども、それはちょっと気の毒だから、撤去したあとの舗装その他は国でやろうというのがいまのたてまえでございます。これが本来、私鉄そのものが国道の上でなく、自分でちゃんとした路線を持っておって、たまたまそれを今度は街路に買い上げてやったほうが都市計画上いいという場合には、いまあなたの御提案されたことも緊急のあれと思いますけれども、国道の上を共用させておったものを撤去するにあたって買い上げるということは、これはちょっとむずかしいと思います。
  290. 岡本富夫

    岡本分科員 もう時間がありませんからあれですが、これは逆なんです。もともと阪神電車がつくった道路なんです。それの横を国道にしたわけですから、まん中のところは阪神電車に権利があるわけです。ですからこれは、おまえのけと言うわけにはいかぬ。だから、これは建設省のほうでひとつ検討をしていただきたい。  なぜ私がこれを言いますかというと、去年の予算委員会で前の坪川建設大臣にもお願いしたわけでございます。そうしたら、運輸省とよく連絡をとってやりましょう、よく検討しますと、こうおっしゃったのですが、その検討の結果があまりないと思うのです。私、ここでこれ以上やいやい言う必要はないと思いますが、もう一度あらためて提案をし、お願いしようと思うのですが、いかがですか。
  291. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 実はいろいろその当時のできたときのいきさつはあろうかと思いますが、いまの軌道法で言いますと、やはり軌道を免許した場合に、その軌道敷地を道路敷地に充用する場合は無償ということになっておりますので、いまのところは、いまの軌道法のままでは、補償するという根拠は乏しいように思っております。  ただいま先生のおっしゃいました、これに補償して、あと阪神電車のほうを高架にしたらいいじゃないかという問題でございますが、実はそれは地方鉄道——これは国鉄もそうでございますが、都心の中の鉄道の高架につきましては、これは、現在線を上げるものについては、大体道路側が九割を持ってあげるというようなことで国鉄建設省との協定もできましたので、民鉄についてもそれと同じような趣旨でやることにしておりますので、できれば、いまの地方鉄道の阪神電車、これを高架にするのには、相当道路のほうから金を出せるというように考えております。
  292. 岡本富夫

    岡本分科員 時間が参りましたから、この問題はあとでまたもう一ぺん——いわく因縁づきのものでありますから、古い時代からの話もありますので、もう一度よく検討していただきたい。それだけを要求いたしまして、終わることにいたします。
  293. 藤田義光

  294. 後藤俊男

    後藤分科員 私、琵琶湖総合開発について問題点をしぼってお尋ねしたいと思うのです。  経済企画庁の宮崎局長も来ておいでになるわけですね。——まず第一番には、建設省としましては、琵琶湖総合開発のための予備調査やら、さらに実施計画調査を十数年来行なってきておられると思います。ところが、総合開発に関係する各省庁、たとえば厚生省、農林省、通産省あるいは林野庁、これらの関係省庁の琵琶湖総合開発を前提とした調査の実施につきましては、いままでわれわれ耳にしておりませんけれども、この調査が完了しておるのかどうか。たとえば水産庁のごときは水位の変動によって漁業に及ぼす影響とか、あるいはその他各省ともいろいろ関連があると思うのです。これら琵琶湖総合開発を前提とした調査の実施ということが行なわれておるのかどうか、完了しておるのかどうか、この点を第一番にお尋ねいたしたいと思うのです。
  295. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 御指摘の琵琶湖に関する調査の問題でございますが、本体のほうの水資源開発にかかわる調査は、建設省が多年にわたってやっておられます。これに関連する各省の関係の事業につきましては、昭和三十六年度以降農林省、通産省等順次調査を進めてまいっておるようでございます。この問題は、昨年から非常に具体的な問題として、淀川水系の水資源開発基本計画の問題として政府全体で取り組まなければならない、こういう事態になってまいりましたので、なお関係各省の調査で足らざる部分を四十四年度の国土総合開発事業調整費をもちまして、約四千万ちょっとでございますが、関係各省に調査をいまお願いしてやってもらっておるところでございます。これは四十四年度の予算でございますから、年度末までに調査が終わるということでございまして、これで琵琶湖の総合開発計画といわれております問題についての調査はほぼ出そろうと考えております。  ただ、いま御指摘の水産庁の関係につきましては、むしろ事業を実施するにあたりまして補償をどうするかということも含めての問題であろうと思います。これは今後事業が実際に進んでいく段階で、さらに調査が行なわれることになるだろうと思います。そういったことで、おもなところは、本年度末で大筋が完了するというふうに私は考えております
  296. 後藤俊男

    後藤分科員 そうしますと、大体三月三十一日、年度内にはほぼ調査は完了しますという説明だったと思うのです。この琵琶湖の総合開発を四十五年ないし四十六年度には着工したいという話をわれわれは聞くわけなんですが、いま申し上げました調査が基礎になりまして国の計画案というのができると思います。そうしなければ、琵琶湖総合開発に、四十五ないし四十六年には着工という運びにならないと思うわけですけれども、それならば国としての琵琶湖総合開発の計画案ができるのは一体いつごろなのか、この点をお尋ねします。
  297. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 この問題は、われわれ事務的なお話よりも、むしろ建設大臣に御答弁を願ったほうが適当ではないかと思いますが、経済企画庁が現在進めております事務的な考え方をちょっと申し上げておきますと、先ほど御説明をいたしましたように、今年度末で各省の調査が終わりますが、これを取りまとめて六、七月ごろにはその結果を御報告いただくというつもりにいたしております。  この調査は、当然水資源開発にかかわる問題でございますから、水資源開発審議会の幹事会という形で関係各省相寄りまして御発表願い、また検討をするということになりますが、この結果をもちまして琵琶湖にかかわる総合開発の一応の原案というものをまとめていったらどうであろうかというふうに考えておる次第でございます。もちろん、この計画をまとめるにあたりましては、関係の地方公共団体等でいろいろ御意見もあるわけでございますので、その辺も十分伺いまして、ひとつできるだけ早く国としての計画をまとめるべきである、その結果、水資源開発基本計画の改定ということに持ってまいりたいと思っておる次第でございます。
  298. 後藤俊男

    後藤分科員 いまの問題、もう一ぺん建設大臣に繰り返してお尋ねするようなかっこうになるわけですが、先ほども説明がありましたように、大体ことしの三月三十一日までには大筋調査も完了する、六月、七月ごろにはその報告も集まってくるだろう、その上で相談をして国としての琵琶湖総合開発の計画案をつくるんだ、こういうような説明だったと私は思うわけでございます。あくまでも国の計画案ができなければ着工はできないように私は思うわけでございますが、四十五年、四十六年に国としての琵琶湖総合開発の計画案ができなかった場合には、延期というかっこうになるのもやむを得ないというふうに考えていいものかどうか、その辺のところを大臣から承りたいと思います。
  299. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 ただいま事務当局からお話のありましたように、本年の六月ごろには大体の調査の資料がまとまるでしょう。その際にあたっても、やはり地元関係がどう協力してくれるかによって非常に大きく変わるわけです。その段階で十分地元関係方面と御協議の上、まあまあこれならいけそうだということになりますれば、政府案として決定したいと思います。その見通しは、地元との折衝が最後のかぎになると思いますから、いまからはっきりと申し上げることは困難ですが、少なくとも四十六年度予算編成には確たる方向づけをしなければいかないと思う次第です。したがいまして、でき得れば八月からおそくとも十月ごろには政府案をまとめるように努力をいたしたいと思います。関係省庁十分に協力して、そういうように持っていきたい。それでもなおかつ地元並びに関係各省の意見がまとまらないとなれば、やむを得ずに若干延びるということもいたし方ないと思いますけれども、できるだけそれは避けるべきだ。もうここまできたのですから、お互いに話し合いの上、できるだけ来年度予算編成までには、政府、地元の合意の上における方針をきめたいと思う次第でございます。
  300. 後藤俊男

    後藤分科員 いま大臣が言われましたように、先ほど局長のほうからも報告がございましが、それらを基礎にして昭和四十六年度の予算には間に合うような方向で全力を尽くしたい、ただし、これにつきましては地元の空気というのも大きく影響いたしますので、地元皆さんとも十分話し合った上で、いま言った方向で来年の予算編成には間に合わしたい、こういう説明だったと思うわけです。  そこで、ちょっと中身に入らしていただくわけでありますけれども、利根川水系における水資源開発基本方針では、水の用途別の需要の見通しというので、上水道は毎秒どれだけ、工業用水については毎秒どれだけ、あるいは農業用水については毎秒どれだけというふうに、具体的に必要な水の量が明記してあるわけです。ところが、淀川水系における水資源開発の基本計画においては、必要な水量という表現がしてあって、利根川のように明記されておらぬわけです。一体その辺はどういうことになっておるのでしょうか。利根川水系につきましてははっきりしておるが、琵琶湖の淀川水系については、それぞれ必要な水量という書き方をしてあるわけなんです。これに対するお答えを願います。
  301. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 御指摘のとおり、水資源開発基本計画を策定するにあたりましては、水の需要量とこれを供給する具体的な計画を示すのが原則でございます。ただ、琵琶湖や淀川水系につきましては、水資源開発促進法がつくられまして公団が設立されましたときに着工中のものもございましたので、そういったものを含めて緊急に計画をつくらなければならないという事情もございました。ところが、淀川水系につきまして、当時見込み得る供給計画では、見通し得る需要に見合ったような形につくり得ないということもございました。いわば緊急暫定的な計画として現在の計画がつくられたということでございます。したがって、需要量の表示が行なわれていないという異例の形になっておりますが、先ほど申しましたように、できるだけ早い機会にこの計画を全面改定いたしまして、基本的な形に直したいと思っておるわけでございます。
  302. 後藤俊男

    後藤分科員 そうしますと、利根川水系のように何にどれだけ、何にどれだけということは、淀川水系についてはいまのところわからない。しかしながら、われわれが今日聞いておりますところでは、建設省としては琵琶湖の水位を二メートルぐらい下げて、毎秒四十トンですか、水を供給するというような建設省の構想というのができておるように聞いておるわけなんです。そうなりますと、いま説明がありましたように、具体的な計画がはっきりしないのに二メートル水位を下げてどうこうというような構想は、はたしてどこから出てきたものであろうか、この点ひとつお尋ねいたしたいと思います。
  303. 坂野重信

    ○坂野政府委員 いま開発局長が述べられたのは、正式の基本計画としてのことを申されたのですが、その段階で資料的にはいろいろ数字が出ております。おおむね昭和五十年に七十トン毎秒というような数字にというようなこともございますので、一応この辺の資料に基づきまして、建設省建設省なりに需要の想定というものをやっております。想定につきましては、実質的にはそれぞれの関係府県とも実は連絡をとって——もちろん経済企画庁を中心とした最終的な策定ではございません。その資料に基づきまして、琶琵湖から、毎秒にしまして三十五トンから四十トンぐらい出せば、大体昭和五十年度まで需要水量をどうにかまかない得るのではないかという見通しを立てております。それに基づきまして、先生承知のように、約二メートルぐらい——これはしょっちゅう下がるのではございませんで、最渇水時の非常に条件の悪いときに二メートルぐらい下がるであろうという、いわば最大の利用水深でございます。そういうものを想定いたしまして、建設省としての計画、これは基幹事業計画でございます。そういうものにつきましては、一応成案は得ておるわけでございます。なお、さっき企画庁から言われましたように、いわば周辺の関連地域開発計画、そういう総合開発的な問題、これは企画庁を中心にして煮詰めているという段階でございます。
  304. 後藤俊男

    後藤分科員 話がちょっとすっきりいたしませんけれども、時間がございませんので、次に進みます。  その次は、昭和十八年だったと思いますが、淀川の第一期河水統制事業の際にきめられました下流の水利権量は、平均毎秒百十六トンだと思います。これは御承知だと思います。百十六トンで、その中で琵琶湖からは九十二トン、木津川、桂川からは二十四トン、こういうことになっておるわけですが、これは昭和十八年の話でございますから、その後阪神地区ではどんどんと水の利用がふえておると思うわけであります。ふえておるところの需要水量に対しては、今日どういうような措置になっておるのだろうか。たとえば昭和十八年に百十六トンときめた。ところが、琵琶湖のほうからは九十二トンである、木津川、桂川は二十四トンだ、これは十八年の話です。それ以来今日まで、阪神地区におきましては、水の利用度はどんどんふえておると思うのです。そのまま今日に至っておるわけなんです。これらの地区というものは一体どういうふうな扱いになっておるのか、これをひとつお尋ねいたしたいと思います。
  305. 坂野重信

    ○坂野政府委員 先生のおっしゃるのと若干数字が食い違うかもしれませんが、第一期河水統制事業の際に、淀川の下流につきましては、維持用水を含んでの話ですが、毎秒百三十六・六七立方メートルという数字がございますが、おっしゃいますように非常に水の需要が急速にふえておりますので、これに対処するのに、水資源の開発事業として長柄の可動ぜきの改築事業で毎秒十トン、高山ダムが毎秒五トン、これを完成しておりまして、なお、それ以外に青蓮寺ダム二・三トン、これはいま工事中でございます。それから正蓮寺ダム八・五トン、これも近く完了する予定でございます。そういった水資源の開発というものを鋭意やっておりますけれども、やはりそれでもなお渇水時には足らないという状態でございますので、渇水の際にはかなりきびしい取水の制限というものを行なっておりまして、事態をどうにか切り抜けておるということでございまして、もちろんそういう際には、やむを得ず維持用水も一部食っているというような状態でどうにか切り抜けておりますけれども、いよいよせっぱ詰まってまいりまして、琵琶湖の開発を早くやらなければどうにも追っつかないという非常に緊急事態になりつつあることは、おっしゃるとおりでございます。
  306. 後藤俊男

    後藤分科員 そうしますと、いま説明のありましたように、河川維持用水にも手がついておる、こういう御説明でございます。  それから、その次には、琵琶湖から淀川に年間五十三億トンが流れ込んでおるわけなんですね。その中で、有効に利用されておるのが二十九億トンだと思います。パーセントで言うと約五四%です。木津川、桂川から四十七億トンが淀川に流れ込み、この中の約八億トンは有効に使われておる。パーセントで言うと、利用されておる水は一七%でしかないわけですね。もっとはっきり申しますと、琵琶湖から流れておる五十三億トンのうち五四%しか利用されておらない。木津川、桂川から流れ込む四十七億トンにつきましては一七%しか有効に利用されておらない。これが現実だと思います。そうなってまいりますと、木津川、桂川のほうを、現在一七%でございますけれども、開発工事なりをやることによりまして三〇%まで利用度を上げたといたしますと、琵琶湖の水位を二メートルも下げるような必要はないような気がするわけなんであります。この関係はいかがでございましょうか。
  307. 坂野重信

    ○坂野政府委員 お答えします。  これは、私どものほうでいろいろな水の計算を、特に淀川についてやっておりますのは、淀川の本川の琵琶湖だけを考えておるのではございませんので、淀川全体の淀川水系としての水の開発というものを、川の流れに応じていろいろ考えておるわけでございまして、したがって、木津川の水のある場合とない場合と、いろいろな組み合わせを琶琵湖の本川のほうをも考えまして、その辺の組み合わせでもって、最終的には、淀川水系全体としてたしか六〇%くらいの利用率ということになっておると思います。そういうことで、先ほど申し上げましたように、すでに正蓮寺ダムだとか青蓮寺ダムというのはいま工事中でございます。それらができてまいりますと、利用率が木津川自体についても上がってまいるわけであります。その辺のバランスを失しないように、実は長年のこういった水理計算等やっておるわけでございます。その点はひとつ御了承願いたいと思います。
  308. 後藤俊男

    後藤分科員 それで、いまの話でございますけれども昭和五十年度に琵琶湖から毎秒四十トンですか、こういう計算だと思います。四十トン、年間にいたしますと十二億トンになるわけですね。私の言わんとするのは、その十二億トンを生み出すためには桂川なり木津川を開発すれば、現在年間四十七億トン流れておる水の一七%しか利用されておらぬのが現状でございますから、これを開発して利用度を三〇%まで上げるということにすれば、十二億トンの約半分は浮いてくるわけなんですね。そういう計算をしていくと、琵琶湖の水面を二メートルも下げる必要がないんじゃないか。このことを具体的数字をもってお尋ねしておるわけなんです。いかがですか。
  309. 坂野重信

    ○坂野政府委員 ちょっと具体的に説明しにくいのですけれども、さっき申し上げたように、水系全体としての組み合わせを考えまして、そして木津川については木津川の年間の、あるいは一年間のうちの毎日を、十何年間の記録をずっととっております。それから淀川の本川については、これまた長い間の記録をとっております。両方の組み合わせで、一方の水が足らぬで一方があるときにはこれを組み合わせるというような、組み合わせを無数にやって、その中でバランスがとれるようにやっているのですから、琵琶湖の開発ができ上がるころには、木津川のほうにつきましても全面的なバランスがとれるような開発を考えているということで、決して木津川のほうは開発の利用率を落としているというようなことではございません。たいへん説明しにくいので、もしあれでしたら詳しくデータがございますので、後日御説明申し上げたいと思います。
  310. 後藤俊男

    後藤分科員 いまの説明はまた後日に譲るといたしまして、次は建設大臣にお尋ねいたしたいと思うのですが、先ほども今後の方針について御説明があったわけですけれども、琵琶湖総合開発事業が着手されるということになれば、これは地元滋賀県なりあるいは淀川水系だけの問題ではなしに、国の大事業だと思うわけであります。そうなってまいりますと、まず事業に対する計画の一体化、あるいは総合化のもとに実施しなければいけない。これは大臣としても異議のないところだと思うのです。さらに、現在ありますところの現行法のもとでは、この琵琶湖総合開発というのが非常に困難ではないか。困難な面がたくさんあると思うわけなんです。さらには、県やら市町村の財政負担も当然考えられる。これらの面を全部考えまして特別措置も必要と思うが、こういう問題に対する総合した特別立法について、大臣としてはどうお考えになっておるか。現行法だけではむずかしい大きい事業であるようでありますから、総合的な特別立法が必要であると私は考えます。大臣としてはこれに対してどういうお考えであろうか、お尋ねいたします。
  311. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 いろいろの考え方があると思います。そういう方法も有力な意見としてあるいはございますが、御承知のように、近畿圏等特別の審議会もあるわけでありまして、こういうものを含めて実は計画考えておるわけでございます。そこで、各関係機関は、それぞれの立場からこの総合開発に協力する態度をとっております。実質は治水、利水関係は、ほとんど建設省が主体になっておるわけでございます。その現実の機関としては水資源開発公団がございますので、これでやります。あとの関連事業というのは、おそらくいまの滋賀県に公社みたいなもの——県のほうでそういう受け入れ体制をつくっていただいて、それに関連の資金なりその他のものを出してやったほうが、あるいは実際的ではなかろうか。おそらくいまの後藤さんの考えの中には、あすこに公団みたいなものをつくったらどうかというお考えがあるかと思いまするが、公団も、御承知のように現在原則として新設はしないということで、非常に強く制約を受けておることでもございますし、そういう意味でいま私が考えておるのは、固まったものではございませんが、一応の構想としては、利水関係のことについては水資源公団で大体のことはできる、それから関連事業の推進にあたっては、むしろ滋賀県の機関として企業局とか、あるいはよく各県で開発公社というものができてそれをやっておるようでございますが、そうしたもののほうがむしろ機動的でやりやすいじゃないか、これはよく地元方面の意見も聞いてみたいと思いまするが、国家機関として新たにつくるということは、これは非常にむずかしいじゃないかと考えておる次第でございます。
  312. 後藤俊男

    後藤分科員 私は、琵琶湖の総合開発の問題につきましては、水利用の問題もありますが、これに及ぼす影響なりさらには補償の問題なり、かなり大事業になると思うのです。愛知用水公団が五カ年間ですか、あれだけの大事業を完成したのですが、少なくともそれ以上の大事業ではないかと私考えておるわけです。そうなってまいりますと、大臣が言われるように、水資源公団の手でやっていくということにつきましては、地域開発等を実施させるにいたしましても、かなり限界があると思うのです。でありますから、先ほども言いましたように、はからずも大臣もさっきそのことを言われましたが、琵琶湖総合開発公団というものをつくっていただいて、そこで窓口の一元化なり、さらに都市計画特別立法に基づいてやっていただく、そういうような方向をたどることが琵琶湖総合開発全般の面から考えると必要ではないか。そうしなかったならば、なかなか進まぬのじゃないかというような気がしますので、ぜひひとつ地元の意向も十分聞いていただく必要がございますし、さらに、淀川の水系と一口に申しましても非常に広範囲の地域でございます。さらに、地元の滋賀県といたしましても、この水の問題についてはかなり敏感になっておるようなわけでございます。大事業である以上は、少なくともそれにふさわしいかまえのもとに琵琶湖総合開発をやっていただく、これだけはぜひひとつお願いをいたしたいと考えておるわけです。  終わります。
  313. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 先ほど申したことでございまするが、御承知のように、いま鹿島の大きなプロジェクトがやられておるわけでございます。これはもともと公団をつくっておらない。それから岡山の水島の事業も、たいへん大きな事業でございますけれども、けっこううまくやっているようなのでございます。問題は予算のつけ方、助成のしかたが問題なんでございまして、治水、利水の方面のことは水資源公団でできる。鹿島とか水島あたり、新産都の相当うまくいっておるところは、むしろ地元に主導権を与えたほうが効果があがっているような気がするのですよ。公団をつくったほうがいいという、一つの理論的にはそう言えるけれども、やってみると、今度は地元と機関との間のいろいろな意見の対立はあるし、かえってそれの調整に時間がかかるということもありますので、せっかくの後藤さんの提言ですから、前向きで検討しますけれども、そういうような現在の心境であることを申し上げておきます。
  314. 藤田義光

    藤田主査 後藤君の質疑は終了いたしました。  次は西田八郎君。
  315. 西田八郎

    西田分科員 期せずして後藤さんに引き続き、琵琶湖の水の問題についてお伺いすることになるわけですが、建設大臣も、滋賀県の県民が、それだけ琵琶湖の水については執念深く、かつまた熱心であることをひとつお認めをいただきたいと思うわけであります。いままでの質疑も聞かしていただいております。したがって、重複する部分もあろうかと思いますけれども、その点については御容赦いただきまして、お答えいただきたいと思います。  まず、琵琶湖の水資源開発について、どうも私どもの受けます印象としては、大阪を中心とした下流、京阪神の水利ということが中心になっておるように思うわけでありますけれども、やはり琵琶湖を持っておる滋賀県といたしましては、治水というものがきわめて重要な問題になってくるわけであります。したがって、今度の計画の中で、水利だけではなしに、その水を利用することによって、いままでよりもたくさんの流量で使用されるわけでありますけれども、その場合に起こってくる琵琶湖への影響、それに対する治水上の対策がいろいろあろうかと思いますが、それについてどんなものを御計画なさっておるのか、あるいは調査の結果それが出てきたのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  316. 坂野重信

    ○坂野政府委員 治水上の問題は、私ども調査する段階にあたって、非常に重要なファクターとして考えております。治水の問題、滋賀県を含めた利水の問題、周辺の総合開発の問題、三本の柱というぐあいに考えておるわけであります。  治水につきましては、あらかじめ水位を約三十センチばかり洪水期には下げておきまして、それによって、洪水が来た場合の水位の上昇というものを最小限度に食いとめるというのが主眼でございます。それと同時に、周辺に入っている中小の河川の改修をやるとか、あるいは治山の事業を進めるとか、そういうものを総合的にはかっていくということが治水の基本でございます。
  317. 西田八郎

    西田分科員 それだけではちょっと納得できないのであります。たとえば琵琶湖の水がマイナス一・五メートルになったときに汀線の後退するところ、護岸線がずっと干上がっていく部分の最長のところは七百メートルということが予想されるわけであります。そうしますと、当然農業用水、さらには上水道用水にも大きな影響を及ぼしてくると思うのです。  そこで、まずお伺いしたいことは、建設省でお調べになっている琵琶湖の水位の上下幅について、いままでの記録の中から、一番低く下がったのが何メートル、一番たくさん増水したときが何メートルか、ひとつ聞かしていただきたいと思います。
  318. 藤田義光

    藤田主査 あとで調べて答弁願うことにして、質疑を続行してください。
  319. 西田八郎

    西田分科員 そういうようなことを考えますと、ただ単に下流府県の利水だけを中心にしてこの問題は、先ほど申し上げたとおり考えるべきでない。そうしますと、県の治水上のいろいろな難問題が出てくるわけであります。そういうようなものは、いわゆる農業の用地の改良であるとするならば農林省、あるいは水道用の問題であるなら厚生省、あるいはその付近の漁業に影響を及ぼすということになれば農林省、水産庁ということになってくると思うのですが、そういうふうに非常に多岐にわたってくるわけであります。その多岐にわたってくるものが単に、先ほどお話でございましたが、滋賀県の琵琶湖開発公団というようなところにまかせるだけで、この問題が解決するとお考えになるかどうか、大臣に御答弁をいただきたいと思います。
  320. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 先ほども申し上げましたように、私は機関の問題ではなくして、いま西田さんが御指摘になりましたそうした広範な問題点が、どういうふうに計画されて問題が解決されるかということが問題だと思うのですよ。それについての実施計画が、これならば地元も安心だということが問題点であって、それができなければ、幾ら公団みたいなものができたってたいした役に立たない。むしろそういう機関ができると、機関が一つの独自性を持っちゃって、地元にしょっちゅう抵抗したりするということがなきにしもあらずでございます。その意味で、先ほどから申し上げましたように、いま経済企画庁を中心として、地元が非常に心配しておる点は、利水のためにあまり精力を注がれて、地元の治水並びにそれによって受ける地元の利益が非常に大きく阻害されるじゃないかということのほうがむしろ問題点だと思っておる。その点を、とにかく総合的に政府としてはこれこれのことをやるのだ、これで皆さんに御協力を願いたいということが先決の問題だ、こう思っている次第でございます。
  321. 西田八郎

    西田分科員 お話しのとおり、大体そういう点では利害が対立するわけですから調整がむずかしいと思う。しかし、この淀川水系、特に一番大きい水源地である琵琶湖の水を阪神工業地帯に利用するためには、とにかく何とかしなければならぬということがいわれだしてから数年になるわけでありますね。その数年になる間に、どうしても建設省案あるいは地元案ということで対立いたしまして、そこに合意点が見つけ出せないというのは、いまのようなことがあるからじゃないですか。したがって、それをやろうとするならば、やはり総合的に判断をし、ただ滋賀県だけの立場でやらせるというのじゃなしに、もっと大きな国の立場ということからも考えるべきであろうと思うので、そういう点からいきますと、いまの大臣の御答弁によりますと逆のような気が私はするわけなんです。  結局、滋賀県の開発公団がそれをやるということになりますと、片一方水質の問題については厚生省に行かなければならぬ。また利水の問題、ダム等の問題については建設省と話をしなければならぬ。そして農業用水あるいは漁港の問題については農林省と話をしなければならぬ。結局、何といいましても国の下にある県ですから、下部機構で上部機構に対してものを言う場合に、日本の悪い癖といいますか、長い間の行政慣習としてどうもやはり時間がかかり過ぎる。そうしますと、そんなことでもたもたしておって、五カ年でできるものが六カ年も七カ年にも延びるということになれば、そのことのほうが問題ではなかろうかというふうに思うわけで、そういう点いかがですか。
  322. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 若干西田さんと発想のしかたが違うかもしれませんが、私は基本計画、それから実施計画において、地元もこれならいけるというふうに理解されれば、あとはたいした問題ないと思うのですよ。公団ができればそこで一本で片づくかというと、そうじゃない。そこで今度は、公団という窓口は一本のように見えて、それには上水道には厚生省、農林省、みんなひもがついていると、かえってがたがたしてこれはむしろ動かないのですよ。それよりも、基本的な計画並びにこれなら地元でいけるという総合的な計画がまずできてこれに合意ができれば、あと予算をつければどんどんいけると私は思う。  それで私は、あなたの御質問に対する答えにならないかもしらぬけれども、実は今度万博関係の大阪市でやったことを見て非常に意を強うした。というのは、御承知のように大阪市の一番むずかしい問題は、例の丼池の土地再開発。もう数百年の歴史と、しかも丼池ということが一つの大きなレッテルだったのです。それを全部つぶして、そうしてその上に高速道路をつくるということだから、最初は非常に抵抗しておったのが、いざそろばんおいてみると、結局そのほうが得だということがわかってきてからというものは、あの大事業がさあっと片づいてしまった。それで今度行ってみたら、いやこれでよかったと言って、あそこのだんな衆がむしろみんな喜んでいる姿をみたのです。それと同じじゃないかと思うのです。滋賀県自身も、かつてはあそこは近畿のうちでも一番農業県で、プライマリーインダストリーばかりであった。今度再開発になりますと、あの近畿圏の重要な地点が、いわゆる農業水産の地点として永久に残るということは決してりこうじゃないということを、だんだんみんな考えてきているように思うです。滋賀県は自分の選挙区じゃないけれども、あそこにはずいぶん古い友だちがたくさんおりまして、よく存じております。だから、むしろいまのところでは、いかにせば琵琶湖の水を利用しつつ、これを総合開発することによって新しい滋賀県が生きていくかというところに関心があると思うのです。だから、そういう計画がいままでは利水の点からだけで取り上げられたが、そうじゃなくて、今度は政府の全般の政策としてこれを取り上げるという時代になりましたから、私は、よく話し合いをしていきますれば解決ができると、むしろ前向きの姿勢になってきているのじゃないかと思う次第でございます。  その意味で、先ほどから御説明申し上げておるように、いろいろの調査の集計もできて、これに対する各省の態度も大体固まりつつある。そこで、大体これでいこうというときになって初めて、今度は地元とこれでどうかということで話し合いというか協議に入って、そうしてそれができたら四十六年予算から発足していきたい、こういうことでございますから、状況が数年前よりだいぶ変わってきているような感じがするので、むしろ西田さんのような熱心な人から、地元を説得して協力させていただくことがいま一番の問題じゃないかと、実は端的には考えている次第でございます。
  323. 西田八郎

    西田分科員 いま丼池の話が出ましたけれども、丼池のいわゆる構造改善というのですか、地域改善というのですか、そういうものと、この水政とはだいぶ意味が違うと思うのです。というのは、一センチ下げることによって七百万トンの水量をどう流すかという問題とは違うわけです、七千万トンの水を持っておるわけですから。それを十センチ下げるということになれば七千万トン、この水を流すか流さないかの問題で、それを滞留させれば付近が冠水するというような状況のもとにおける県民の被害というものと、丼池がいままでのような雑然たるシティータウン街、繊維の町から近代化されていくこととはだいぶ違うと思うのです。この点ではいささか見解が違うわけですけれども、そんなことで論議しておると肝心の時間がなくなるわけですが、そこで、いまおっしゃるような点になってまいりますと、いま私どもが聞いておるところでは、利水のための費用といいますか、利水をするための工事として基幹工事、そしてその滋賀県の琵琶湖周辺の治水のために付帯工事というふうに聞かされておるわけなんですけれども、その区分についての考え方は間違いありませんか。
  324. 坂野重信

    ○坂野政府委員 それはとんでもない話でございまして、治水と利水の総合計画でございますから、両方とも治水と利水を合わした計画でございます。
  325. 西田八郎

    西田分科員 確認しておくわけですが、琵琶湖の水資源開発の問題で、たしか本年度の予算の中に水資源開発公団に交付金がおろされておりますね。
  326. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 四十五年度の予算におきまして、治水特別会計において水資源公団交付金一億円計上いたしております。
  327. 藤田義光

    藤田主査 西田君、先ほど質疑に対する答弁の補充を河川局長から行ないます。
  328. 坂野重信

    ○坂野政府委員 最低の渇水でございますが、昭和十四年の十二月、マイナス一メートル三センチが最低としては出ております。最高のほうは、いろいろ変遷がございますので……。
  329. 西田八郎

    西田分科員 最近の例でいいですよ。
  330. 坂野重信

    ○坂野政府委員 最近の例では、明治二十九年が三メートル七十六でございます。昭和二十八年九月が一メートル、三十六年の七月が一メートル八センチ、四十年の九月が一メートル二十三、そういう記録でございます。
  331. 西田八郎

    西田分科員 こういう記録、明治二十九年というのは別として、最近の卑近な例からいって、一メートルの上下というものがいままでの琵琶湖の水の基準だ。そうしますと、それを維持することによっていまの建設省の毎秒四十トンの流水量をふやすということは可能かどうか、お伺いしたいと思います。
  332. 坂野重信

    ○坂野政府委員 従来の記録のままではこれは不可能でございます。
  333. 西田八郎

    西田分科員 それじゃ一体どれくらいという計算がもうすでに出ているのか。
  334. 坂野重信

    ○坂野政府委員 そのために、先ほど申し上げましたように、洪水に対しては、夏場で三十センチの水位を低下させておりまして、そして最高水位をできるだけ押える。それから利水につきましては、マイナス三十センチから約二メートル、したがいまして、約一メートル七十を水資源開発に使いたいということで、両方の総合的な計画を立てております。
  335. 西田八郎

    西田分科員 そうしますと、現在私の手元にあるものでさえ、一・五メートル下がれば汀線がそれだけ後退する、あるいは農業用の水位が逆ポンプでポンプアップしなければならぬ事態になってくるというような形になるわけで、しかもこのポンプアップは、大体いままでの情勢の中で上下百センチというものを基準にして大体設備がなされておると思う。そうしますと、これは二メートルというところになりますと、取水地の変更であるとか、あるいはポンプの揚水能力の変更であるとか、いろいろな問題が出てくるわけであります。そういう点について、今次計画の中には入るのかどうか、お伺いしたい。
  336. 坂野重信

    ○坂野政府委員 そういう水面が変動した場合、また水面が下がった場合、どういう影響が出てくるであろうかということを長年にわたって調査をやったわけでございます。その結果、水位が下がった場合には、いろいろな上下水道あるいはかんがい用水道、水産その他にいろいろな影響が出てくると思います。それらに対してどういうぐあいに対処するかというのが、私ども調査しました調査の概要でございまして、それに基づいていろいろな対策を立てて、それに対する経費の積算等いろいろやっておるわけでございます。
  337. 西田八郎

    西田分科員 そうすると、そういうことを条件として入れて、そして調査というものが完全にでき上がるのは一体いつごろになるのですか。
  338. 坂野重信

    ○坂野政府委員 先ほど経済企画庁のほうから答弁されましたように、大体今年度中に調査を終わって、取りまとめを六月か七月ごろまでにまとめるということでございます。もちろん、非常に技術的なむずかしい問題もございますから、若干の問題点等はおそらく残るかと思いますが、大体そのころを目安にしてまとまると思います。
  339. 西田八郎

    西田分科員 その場合には、地元の滋賀県とは十分調整をしなければならぬと思うし、資料が建設で調べたものと滋賀県で調べたものとが食い違って、大きな格差が出てきたというようなことでは、これは資料にもならない。資料というものはあくまでも客観的なものでありますから、だれが調べても同じものでなければならぬと思いますけれども、そういう点について、県との間のいろいろな調査について誤差はないかどうか、わかりませんか。
  340. 坂野重信

    ○坂野政府委員 企画庁のほうからお答えになるかと思いますが、建設省建設省なりに長年にわたって調査してまいりましたし、その間にいろいろ非公式的ではございましたが、滋賀県当局とも十分連絡をとっております。もちろん解釈論等で多少の問題点、これは技術的な問題でございますが、ございますけれども、与えられた資料に基づく計算等につきましては、私どもも、計算の内容はできるだけ実は滋賀県にも非公式に流しておりますから、滋賀県のほうでも承知しておりますし、全般的な計画の調整は、今後経済企画庁を中心にして最後の取りまとめをひとつお願いしたいということで、私ども建設省は、いわばその基礎資料というものを提供しておるわけでございます。
  341. 西田八郎

    西田分科員 これは、いろいろな点から分析された点を詳しく聞いておる時間がないので遠慮いたしますが、ただ、私はここで一言水質に触れたいと思います。  最近、汚染度、汚濁度というものが非常に高まってきております。五年間に倍以上の汚濁度だといわれておるわけであります。しかも、四十四年八月に滋賀県の水産試験場で調べましたところ、初めての試みであったらしいのですけれども、瀬田川のシジミから総水銀が〇・五PPM、それからカドミウムが〇・三九PPM検出されておるというようなことで、県民はショックを受けておるわけでありますが、もし厚生省の方お見えになっておりましたら、この総水銀あるいはカドミウム、こうした含有量はどの程度までが人体に影響を及ぼすのか、お伺いしたいと思います。
  342. 橋本道夫

    橋本説明員 いま御質問のございましたシジミの中の金属でございますが、一般の、普通の土壌の中に水銀とかカドミウムというものが自然にある程度存在しております。それに若干人為的なものが加わるかどうかということでございまして、シジミの中に〇・五PPMの水銀が入っておったということは、私ども従来全国いろいろなところで百数十カ所調べておりますが、それから見ますと、決して高いような数字ではないということは言えます。それから、シジミの中のカドミウムの濃度〇・三九と申しますのは、全く普通に見て低いほうに属するということでございまして、その数字であぶないというものではございません。  ただ私どもは、従来の水俣病の経験をもちまして、数十PPMオーダーの魚を数カ月毎日浴びるように食べ続けると、水俣病のような形になるというようなことは持っております。また、カドミウムのほうにつきましては、約三十年間ほどおそらく毎日一ミリグラムぐらいずつ食べておったときもあったのじゃないかと思います。〇・五ないし一ミリグラムのカドミウムをずっと三十年ぐらい食べ続けていると、どうも被害が起こるらしい、そういうことでございますので、その二件については全く心配はないと思っております。
  343. 西田八郎

    西田分科員 もう一度公害課長にお伺いするわけですが、いままで琵琶湖の水の中からこういうものが検出されたということは、厚生省としては経験があるのですか。
  344. 橋本道夫

    橋本説明員 厚生省としては、琵琶湖を調査したことはございませんから、厚生省としては、その数字は承知いたしておりません。
  345. 西田八郎

    西田分科員 それでは、建設省は水質検査をやっておられますか。
  346. 坂野重信

    ○坂野政府委員 建設省としては、BOD等の調査は淀川水系全体としてはやっておりますけれども、そうした毒物といいますか、劇物的なものはやっておりません。
  347. 西田八郎

    西田分科員 これはやはり滋賀県の人たちは——いま三十年ぐらい食っておってもだいじょうぶだというお話でございますけれども、人生七十年に延びてきておるわけですから、三十年というと、ちょうど非常に重要な時期に達する。しかし、それは毎日の摂取量にもよろうかと思いますけれども、何にしましても滋賀県はどこにも海を持っておりませんので、海水魚というよりもむしろ淡水魚にそのたん白源を求めることが非常に多いわけであります。そういう点からいって、これは非常に問題になるのじゃないかということは、富山県の堀岡というところで採取されましたシジミの総水銀が〇・五二PPMだというふうにいわれておるわけであります。そういう点からかんがみましても、それにまず近いんじゃないかという点から、いままで全くなかったものが検出されたということになれば、これは重要な問題ではないかと思うわけであります。  その点について、今後厚生省として何か具体的な調査を進めていくとか、あるいは原因を探求するというような意思があるかないかということを伺いたいと思います。
  348. 橋本道夫

    橋本説明員 いま御指摘になりました件につきましては、昭和四十年度以来、厚生省の公害調査研究委託費で全国の河川を系統的に調べておりまして、そのデータに基づいて判断をいたしております。で、対策の打ち立て方という点については、昭和四十三年八月に環境衛生局長名をもちまして都道府県知事に、どのような数字が出た場合にどういうぐあいに対処するかという指示を出しておりますので、それで対応できるものと考えております。
  349. 西田八郎

    西田分科員 それでは、それで十分だとおっしゃるわけですね。  それでは、根本建設大臣にお伺いするわけですが、先ほどいろいろ繰り返しました中で、琵琶湖の水というものは、滋賀県人にすれば滋賀県のものだと思っているだろうし、大阪あるいは京都の人にしてみれば、どうせ高いところにあって流れてくる水じゃないか、そんなものは自然のものだから、おれらが使うのはあたりまえだというようにお考えだろうと私は思うのであります。自分と同じ政党に所属しておりましても、この問題については利害が対立するわけであります。したがって、これは県あたりでやることになれば、きわめて問題がたくさん出てくると思うのです。これはやはり予算規模の大きい、しかも人口の多い大阪、あるいは百万足らずの滋賀県ということになってくると、力関係も及んでまいろうかと思うのであります。したがって、この三工業地帯の中心である大阪の水資源の開発の問題でありますから、これはやはり特別立法として、しかも、それの所管省庁は明らかに一元化して、そしてこの問題にまともに取り組むべきだと私は思うのでありますが、建設大臣のお考え方を聞かしていただきたい。
  350. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 先ほどから申し上げておるように、これで特別立法あるいは特別の公団みたいなものをつくるべきだという御意見もありますが、それでは十分検討します。  現在のところは、これは考え方として、そういう論理的な一つの体系だけできまるんじゃなく、むしろそれ以前のものが一番問題なんです。それが、以前の問題をしないでそれをやると、ますますこれはけんかを激発するということになってくるのでございますから、私は、まず第一に政府の治水、利水対策とあわせた総合開発計画を、政府当局地元が合意するという点に力点を置いてやっていきたいと思います。そういう程度で、ひとつ御協力のほどをお願いいたします。
  351. 西田八郎

    西田分科員 時間が来たのですけれども、最後に一点。  こうした水資源の問題、特に琵琶湖の開発については、政府も真剣に取り組んでいただいておるし、地元の滋賀県でも、開発公団を設置いたしまして努力はしているわけであります。しかし、どうも京阪神というのは琵琶湖の水にたより過ぎはしないか。先ほど局長さんのお話にもありましたけれども、大体年間流量四十七億トンという桂川、木津川の水で、利用されておるのはわずか八億トンにすぎない。あと三十九億トンというものは無効になっておるというようにいわれておるわけであります。この数字がさだかであるかどうか、これは滋賀県の資料によって申し上げておるわけであります。そしてまた、琵琶湖の水の五十三億トンのうち、二十四億トンほどが無効になっておる。有効利用されておるのは二十九億トンだというふうにいわれておるわけでありますが、これらの利用度を、効率を高めるためには、淀川全体のしゅんせつ工事なり、拡張工事なり、護岸工事なりということによって淀川自体の改修も必要ではないかと私は思います。同時に、大阪の堺の水が、これは滋賀県から、琵琶湖から水を送っているわけですけれども、距離的にも、こういうものならかえって和歌山県の紀ノ川の水のほうがとりやすいのではないかというような考え方も持つわけでありますけれども、そうした点について、ひとつ今後の努力のほどを聞かしていただきたい。
  352. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘のとおり、私は琵琶湖だけに安易にたよるということはよくない。そこで、これは近畿圏全体の水を総合的に開発すべきだという考えを持ちまして、その点についてはすでに近畿圏の委員会の事務局にも、それからまた関係の隣接県のほうにも私はお願いしております。そうでないと、どうしても琵琶湖が開発できれば、あとはそれで終わりになるのだという安易なことではいけませんよということで、そういう指示をしておりますし、事務当局もその点を十分やっておるはずですが、先ほどの河川局長の説明では、どうも納得いかないような向きでございますから、いずれ時間を得た場合に、十分にあなたが納得できるように河川局長から説明いたさせますから、よろしくお願いいたします。
  353. 藤田義光

    藤田主査 西田八郎君の質疑は終わりました。  次回は明十七日午前十時より開会し、引き続き建設省所管を審査することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十一分散会