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1970-03-12 第63回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月十二日(木曜日)    午前十時九分開議  出席分科員    主査 藤田 義光君       加藤 六月君    上林榮吉君       小平 久雄君    細田 吉藏君       松野 頼三君    渡辺 栄一君       北山 愛郎君    久保 三郎君       田邊  誠君    坂井 弘一君       岡沢 完治君    和田 春生君    兼務 大原  亨君 兼務 小林 信一君    兼務 島本 虎三君 兼務 斎藤  実君    兼務 正木 良明君 兼務 宮井 泰良君    兼務 田代 文久君 兼務 土橋 一吉君  出席国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君         郵 政 大 臣 井出一太郎君  出席政府委員         経済企画政務次         官       山口シヅエ君         運輸大臣官房長 鈴木 珊吉君         運輸大臣官房会         計課長     中村 四郎君         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君         運輸省自動車局         長       黒住 忠行君         運輸省航空局長 手塚 良成君         郵政大臣官房長 野田誠二郎君         郵政大臣官房電         気通信監理官  牧野 康夫君         郵政省郵務局長 竹下 一記君         郵政省貯金局長 山本  博君         郵政省簡易保険         局長      上原 一郎君         郵政省電波監理         局長      藤木  栄君         郵政省人事局長 中田 正一君         郵政省経理局長 溝呂木 繁君  分科員外出席者         自治省行政局選         挙部長     皆川 迪夫君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     長浜 正雄君         日本国有鉄道常         務理事     小林 正知君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社営業局長   武田 輝雄君         日本電信電話公         社計画局長   浦川 親直君         日本電信電話公         社経理局長   中山 公平君     ————————————— 分科員の異動 三月十二日  辞任         補欠選任   松野 頼三君     加藤 六月君   久保 三郎君     田邊  誠君   坂井 弘一君     桑名 義治君   今澄  勇君     岡沢 完治君 同日  辞任         補欠選任   加藤 六月君     松野 頼三君   田邊  誠君     久保 三郎君   桑名 義治君     坂井 弘一君   岡沢 完治君     竹本 孫一君 同日  辞任         補欠選任   竹本 孫一君     和田 春生君 同日  辞任         補欠選任   和田 春生君     吉田 之久君 同日  辞任         補欠選任   吉田 之久君     今澄  勇君 同日  第二分科員島本虎三君、第三分科員大原亨君、  小林信一君、正木良明君、宮井泰良君、田代文  久君、土橋一吉君及び第四分科員斎藤実君が本  分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十五年度一般会計予算運輸省及び郵政  省所管  昭和四十五年度特別会計予算運輸省及び郵政  省所管  昭和四十五年度政府関係機関予算運輸省及び  郵政省所管      ————◇—————
  2. 藤田義光

    藤田主査 これより予算委員会第五分科会を開きます。  昭和四十五年度一般会計予算及び昭和四十五年度特別会計予算運輸省所管並びに昭和四十五年度政府関係機関予算中日本国有鉄道関係を議題といたします。  質疑に先立ち、念のため申し上げます。質疑者が多数おられますので、質疑の持ち時間は、一応本務員は一時間程度兼務員もしくは交代で分科員となられた方は三十分程度にとどめ、議事進行に御協力願いたいと存じます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に、要領よく簡潔に行なわれますようお願い申し上げます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。上林榮吉君。
  3. 上林山榮吉

    上林分科員 けさ新聞を見ますと、新幹線網法案要綱がきまった、こういうふうに報ぜられておりますが、これはかねて国民要望もあり、かつまた、自民党としても積極的にこの問題を取り上げてきたのでございますが、この点について、大臣がせっかく御出席でございますので、一、二要点を伺っておきたいのは、私は、高度成長あと十年たつとたいへんな勢いで伸びてくるし、かつまた、国民所得も非常に増加するという見通しは、常識のある者ならばだれでも想像できる点ではないか、こう思うのであります。だから、それを踏んまえて、この程度新幹線網をつくるということは、あながち実情に即しないものではない。見ようによっては、前向きで苦心をしながらもこれを推進していくべきだ、こういう観点に立つわけでございます。  そこで、その中で、昭和六十五年度までにということになりますと、問題になるのは財源の問題だけだろうと思います。財源の問題について、その見通しというものを、いま私が言った経済成長などを踏んまえての財源、これはどういうふうにして政府並びに国鉄当局は案出していこうとするのであるか、これが第一点。  第二点は、やがてこれは議員立法の形で、しかも各党共同提案の形で国会法案が出されると仄聞するのでありますが、なぜ積極的にこれを政府が取り上げて、妥当なものであるならばその要望を入れて、政府提案として出していいというくらいの腹がまえというか、そういうものはなし得なかったどうか——私はいずれでもいいと思っているのです。議員立法であろうと政府提案であろうと、最終的にはどちらでもけっこうだと思っているが、だが、巷間、やはり政府財源等関係からこういう案が出ても消極的であるのではなかろうか、こういうような一部の批判もやっぱりあるわけです。だから、そういう意味から、この点をひとつ、非常にむずかしいこととは思いますが、御答弁願っておきたいと思います。
  4. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 ただいまの上林委員の御質問でありますが、まず前提としての将来のGNPは、せんだっての総理大臣所信表明におきましても、一九七〇年代の末には大体現在の三倍程度国民所得増大を来たすのじゃなかろうか。また、学者あるいは研究所等の非公式な見解によれば、昭和六十年、いわゆる新全総でいっておるところの、昭和六十年の将来は大体十倍から十二倍程度国民所得増大がやはり考えられるのじゃないか、こういうような一つ見通しといいましょうか、それを持っておるようであります。それほど日本経済は積極的に拡大されていくであろう。今度のいわゆる新幹線網のものの考え方は、政府といたしましても、さような将来の情勢にかんがみて、やはりこの総合交通体系、こういうものを考えていかなければならぬということで、関係省においてこれが検討を始めつつある。それにおいて、運輸省といたしましても、将来の新幹線網あるいは一般鉄道を含めて、この鉄道のあり方の目標を考えなければならぬということで、ただいまこの国会に五億一千万円、国鉄あるいは鉄建公団、それから運輸省等につけられました新幹線網調査費として、五億一千万円を御審議を願っております。したがって、われわれといたしましても、将来この新幹線網が必要であるという前提に立って、このような調査費を要求しておるわけでありますが、政府立場でいうなれば、これらの調査が完了した段階に、財源等も十分に考慮を加えて、そこで法案を出すなり、何かの措置をとってもいいのではないかという見解も一部にはあるわけでございます。しかしまた、見ようによっては、私個人もそうでありますが、大きな政策問題というものは、立法府において法を制定する権限があるのでありますから、非常に政策的な問題においては議員立法であってしかるべきであるという見解、これは私個人見解でありますが、一つ見通しをつくるような政策は議員立法であってもよろしい、こういう見解を持っておるわけであります。ただ、いわゆる議員立法でいくかどうかということにつきましては、現在、運輸大臣諮問機関である鉄道建設審議会において目下これが検討を加えており、内容等についても大綱について検討を加えておる段階でありまして、いまだ私の手元にその答申が出ておりませんので、その経過等審議内容等を私はつまびらかにいたしておりませんが、これに関連して、その審議会委員である国鉄総裁がここに出席いたしておりますから、その間の情勢等はひとつ総裁からお答え申し上げたいと思います。
  5. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま質問の、けさ新聞に出ました全国新幹線網につきましては、私どもはその工事をやったり、できたものを運営するという役目にあるわけでございまして、あまり政策的なことを申し上げる立場ではございませんので、何と申しますか、いきさつだけ申し上げて、あと運輸省政府委員のほうから御答弁をしていただきます。  私のほうといたしましては、やはり先生おっしゃったとおり、今後の日本高度成長を考えますときに、線区別にいえば、東海道と同じように、いまの線路ではどうしてもやっていけないところがたくさんできてくる。その意味で、かねがね数年前から、全国新幹線網的なことを提唱しておったわけであります。いろいろな方面でこの問題が具体化してここまで来たことは、私どもといたしましても、非常に喜びにたえない次第でございますが、お説のとおり、財源その他につきましてはいろいろ問題があると思います。私のほうの現在再建計画に入っておりますのは、福岡までのいわゆる山陽新幹線、これだけは予算に入っております。しかし、それからあとにつきましては、今後の政府財源問題とからむこととなりますので、その点政府のほうから御答弁願えるものと思います。
  6. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 それに関連して。  先ほど答申がまだないと申し上げましたが、実は私、きのうはお互いに朝十時から夜の八時までここにくぎづけされておりましたので、その結果の報告を聞きませんでしたので、さように申し上げましたが、昨日鉄道建設審議会におきまして「全国新幹線鉄道整備法案に関する決議」というものがなされたと、ただいま私は報告を受けたわけでありますが、その決議内容は、「わが国陸上輸送根幹をなす新幹線鉄道網整備を図るため別紙要綱により全国新幹線鉄道整備法案の作成を早急に行ない、これを今国会に提出することを必要と認める。右決議する。」かような決議がきのうの午後行なわれまして、ただいま私のところに到着をいたしましたので、この点を念のため御報告申し上げます。
  7. 上林山榮吉

    上林分科員 何もやかましく言うわけではないけれども、これは国鉄としても運輸省としてもきわめて大きな問題ですね。それを大臣報告するのがおくれるということはいいことではないと思うな。大臣答弁したものをまたわざわざ補充的に訂正しなければならぬというのは、国会としても見苦しいですよね。だから、これは事務当局ミスで、大臣ミスではないわけでありますけれども、それはやっぱり注意しなければならぬと私は思います。  そこで、財源の問題は、政府としてもあるいは国鉄としても、まだ鉄道審議会においても具体的なものが出ていないからなかなか言いにくいということのようでありますが、それもそうだろうと私も思うわけです。しかし、こういう法律国会に出た以上は、多少のずれはあっても、やはりいやおうなしに魂を入れて血を通わしていかなければならぬですね。だから、こういうものについての素案、試案、そういう構想を持っておられますか。持っていなければけっこうです。持っておりませんと言ってください。ことに六十五年までかかるということになれば、一年間に一兆円ぐらいの金が要るわけですね。私はこれを推進したいいう積極論者の一人ですけれども、しかし、財源というものはもっと真剣に考えておかなければならぬのじゃないか、こう思うが、この点もう一ぺんひとつ伺っておきたいと思います。  なお、これも私の思いつきでございますから、思いつきとしてお考えくださればけっこうですが、財源の問題と関連して、建設省が新幹線道路の厳格な独立採算制をとっておりますね。ああいうような独立採算制みたいなものを新幹線だけに適用するということは、何か大きな支障があるかどうか、そのさわりだけでいいから聞かしておいてもらいたい、こう思います。
  8. 町田直

    町田政府委員 お答えいたします。  第一の、財源について何か具体的にはっきりしたものがあるかというお話でございますが、いろいろな考え方はございます。しかし、政府としてこれにしようとはっきりきめたものはまだございません。もし法案が成立いたしますれば、できるだけ早く政府部内で関係方面と御相談をして固めていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから、ただいまの独立採算お話でございますけれども、この決議にもございますように、新幹線の運営は当然国鉄がやることに相なると思います。国鉄でやります場合は、まず国鉄の線といたしまして、国鉄全体として独立採算でいく、こういうのが原則であろうと思います。ただ、非常に開発的な線をつくります場合には、その線が採算的に非常に悪くなるということが考えられますので、これにつきましては、何らかの国家あるいは地方公共団体等の援助、補助というものを考えていかなければならないと考えております。
  9. 上林山榮吉

    上林分科員 さっき申し上げたとおり、私の思いつきだから強調はしませんが、ただ、従来の全体の独立採算ということのみにとらわれると——こういうふうに多額の費用をできるだけ早くやろうとする場合は、何か特別な方法を導入して考えていくことも一つ考え方ではないかという注意を喚起しただけにすぎないのでございます。私は、新幹線を除くその他の国鉄は、おっしゃるような従来のセンスでけっこうだと思っているのですけれども、その点を申し上げたわけです。  そこで、この案によりますと、九州の場合でも一号線、二号線、三号線というふうにナンバーを打ってございますが、運輸省としても国鉄としても、やる場合にはこのナンバーの順でなければなるまいな、こういうようなことを考えているのかどうか。これには私は多少異議があるわけです。
  10. 町田直

    町田政府委員 鉄道建設審議会決議をつくりました事務局として御答弁申し上げますが、この一、二、三、四、五という順番は、決して施行の順ではございません。ただ便宜上番号をつける。したがいまして、全くこういうものと関係のない一つの基準を持ってまいりまして順番をつけただけでございまして、一号、二号、三号の順につくるということではございません。
  11. 上林山榮吉

    上林分科員 私は国会議員でありますから、国全体のことを大前提として考えなければならぬと思っております。しかし同時に、やはり地域のことも考えていかなければならぬという二重人格をわれわれは持っているのです。そういう立場からでもございますが、九州玄関口福岡までせっかく持っていった、これでちょんぎられる、こういうことになりますと、それから南のほうは非常なる不満を持つわけですね。だから、福岡まで来るならば、昭和五十年度までのうちに——多少のずれはあるかもしれぬが、それまでの間に南のほうも継続してやるんだという、はっきりした態度を打ち出してもらわなければならぬのじゃないか。私は鹿児島の出身ですが、御承知のように、今国会あげて問題になっておるのは沖縄の復帰だ。沖縄が復帰した場合、言うまでもなく、鹿児島はその接点になるところです。また東南アジア方面に対してもこれからいんしんをきわめつつあるわけです。臨海工業地帯の発展も相当なものがあります。御承知だと思います。そういうことを勘案しますと、五十年度までは博多までだ、こういってちょんぎることがはたして正しいかどうか。私は、そういうような意味で、五十年度までに鹿児島まで延ばすんだ、調査をするんだ、こういう態度ぐらいは打ち出してもらいたい、こういうふうに思うわけですが、いかがですか。
  12. 町田直

    町田政府委員 昨日の鉄道建設審議会決議によりましても、現在実施しております山陽新幹線は、国鉄が自分で線増としてつくっておりますけれども、これから新しいものにつきましては、この新しい法律によって、別表によってつくっていく、こういうことであります。そのつくり方につきましても一応要綱として出ておりまして、運輸大臣鉄道建設審議会にはかりまして、基本計画を立ててつくっていこう、こういうことでございます。その前提といたしまして、当然のことながら運輸省経済効果あるいは需要の測定というようなものをいろいろ調査いたしまして、その結果に基づいて基本計画を立てて、建設審議会にはかって基本計画をつくる、こういう段取りになるわけでございます。ただいま先生のおっしゃいましたようなことが、おそらく当然のことながらあろうかと思いますので、十分調査をいたしまして、その上で建設審議会にはかってつくるという段取りに相なると思います。
  13. 上林山榮吉

    上林分科員 いまの答弁は満点だといって、ほかの委員の諸君もあなたの答弁に非常に共鳴をしているようです。大臣、あるいは国鉄総裁、その点を深く銘記しておいてもらいたい、私はこういうふうに申し上げておきます。  時間がないそうでございますから、最後に一点だけ。これも半ば陳情であるが、国会議員としてまた当然なすべき仕事だと思っているのは、鹿児島本線の電化複線化ですね。鹿児島は四十七年に国体があるわけです。われわれはそれまでにはできるであろうと思っているわけだけれども、いまの工事速度を見ていると、たとえば伊集院から鹿児島までの区間がどうもスピードがおそい。そういう点は間に合うかどうか。国体に間に合わなければ、私は、もう新幹線のほうを早く鹿児島まできめるというほうに手を上げたいのですがね、どうですか。
  14. 磯崎叡

    磯崎説明員 電化につきましては、ことしの十月一日に絶対開業いたします。複線化につきましては、ちょっと区間が多いものですから、担当理事から。
  15. 長浜正雄

    長浜説明員 現在工事中のもので、四十五年中に使用開始を予定しておりますのは、東市来−伊集院間、鹿児島付近ではそういうふうに考えております。なお、西鹿児島鹿児島間も四十六年にはできる予定ではございますけれどもあと伊集院上伊集院区間がちょっとおくれるかと思います。
  16. 上林山榮吉

    上林分科員 ちょっとおくれるかもしれぬという意味がわからないのですが、四十七年の国体に間に合うのかどうか。少しおくれるのはいいけれども、間に合わせるようにしてもらわなければ、電化だけじゃだめなんだ。複線化でなければたくさんの人が往復できぬわけです。だから、その点を考えてもらわなければならぬが、それはどうなんだ。
  17. 長浜正雄

    長浜説明員 この区間だけ残りますので、それ以外の区間が全部できますと、列車回数としては相当増発できる計画でございまして、いまその列車増発計画と、複線に全部仕上げないと間に合わないかどうかということをいろいろ調べておりますが、調べてもし間に合わないとすれば、それから工事を着工しても間に合いますので、そういう段取りにしております。
  18. 上林山榮吉

    上林分科員 いまの答弁では引き下がれないのだよ。何が支障なんですか。お金ですか、工事能力ですか。わずかの問題じゃないですか。総裁、そういうものをほうっておいちゃだめですよ。名分が立たない。大臣、またひとつこれは考えて国鉄総裁に言うてもらわなければ、こんな小さな問題にいまのようなあいまいな答弁で、ここを切り抜けようとしたって、それでは、いまは時間を守りますけれども、またあとで出てきて、もう一ぺんやらなければならぬ。
  19. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 国体というものは、その県及び地方の大きな祭典国民的祭典でありますから、全力を尽くして間に合わせるように努力いたします。
  20. 上林山榮吉

    上林分科員 いまの大臣のことばを信頼して、私は時間を守ります。どうもありがとうございました。
  21. 藤田義光

    藤田主査 上林榮吉君の質疑は終了いたしました。  次に、斎藤実君の質疑をお願いします。
  22. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 ただいま大臣から国鉄についていろいろ御答弁がございました。やはり日本国内輸送問題についてはいろいろ問題があります。中にも、国鉄にとっては赤字再建計画もあるようですし、あるいは赤字路線の廃止ということもいわれております。何といっても国民の物資あるいは交通というものを確保するということは、やはり国鉄公共性を持っておるということで、先ほど運輸大臣新幹線という話もありました。政府として、国鉄に対して、将来何を重点にどういう方向でこの国鉄というものを運営されていくのか、将来国鉄をどういう方向に持っていくかということについて、基本的なお考えをまず大臣から承りたい。
  23. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 これは国鉄再建計画の中にもありますように、国鉄の持っておる使命、いわゆる貨物並びに旅客の輸送については、国鉄がその根幹である。したがって、国鉄再建は、将来の日本貨物及び人間の流通、総合交通体系の中の大きな柱として、何としてもりっぱな成績をあげるように再建の実をあげなければならぬ、そういう目的で再建計画が立てられております。
  24. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 大臣から、国鉄日本交通の中の柱であるという御答弁がございました。たまたまずっと見ておりますと、計画はできて、十数年たって着工してから七、八年たった。路盤もトンネルもできて、線路をつければすぐ営業開始ができるというようなところを、途中で中断してしまったという例も、全国に相当あるのではないかと思う。これはおそらく財政的な理由であろうと思いますけれども、こういった計画途中で挫折をして、何年もブランクにしておくということは、いろいろ問題があると思うのですが、こういった例が全国的にどれくらいあるのか、事務当局でけっこうですからお答え願いたい。
  25. 町田直

    町田政府委員 いま具体的に幾つという数をここに覚えておりませんけれども、おそらく先生のおっしゃっておられるのは、たとえば追分線のような例であろうと思います。最近そのような例も若干ございましたけれども、それぞれ国鉄鉄建公団の協議が整いまして、部分開業というような運びにいっておりますので、現在そうたくさんはございません。
  26. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 いま鉄監局長から追分線の話が出ましたけれども、この地域にしてみれば、千歳追分間というものは、御承知のように空の玄関千歳をかかえておるわけですね。年間やはり百八十万から二百万という搭乗客があるわけです。この中で、昭和四十四年に鉄道公団が空港駅を含めて七億五千万円の予算を配分しておるのです。ところが、昭和四十三年でそのままになってしまった。これはあの追分千歳間あるいは各線にまたがる住民が非常に問題にしておるわけです。それで、これだけの投資、二十数億の投資をして中断してしまった。国鉄のほうとしては、全部開通してから営業するのか、それともやはり経済効果というものを考えれば、その間だけでも早急に運行して、地域住民立場に立って営業を開始すべきではないか、こういうふうに私は思うのですが、これはどうですか。
  27. 町田直

    町田政府委員 全線開通してから開業すべきであるか、部分開業すべきであるかということは、ただいま先生のおっしゃいましたように、地域住民の便益の問題、それからやはり国鉄がその開業した部分営業します場合の採算の問題というようなものをそれぞれ勘案しながらやらなければならないことではないかと思っております。この点につきましては、そういう意味で、追分線につきましては、国鉄のほうの採算の問題が部分開業した場合には非常に悪い、こういう判断から、国鉄鉄建公団で協議中でございまして、現在まだその時点についての話し合いと申しますか、協議がととのっていない、こういう意味でおくれているということでございます。
  28. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 そうしますと、鉄建公団国鉄との話し合いだ、この結果、もしまとまらない場合はどうなんですか。これは昭和四十三年で終わって、これから話し合いをして何年もかかるようでは、これはまた問題なんです。運輸当局として、これを早急にやる意思があるのかないのか。話し合いはわかりましたけれども、その辺の運輸省の基本的な考え方をもう一ぺんお尋ねしたい。
  29. 町田直

    町田政府委員 地元の便益という意見では、部分開業であっても開業したほうがいい、こういうような判断でございましょうから、運輸省としては、できるだけ早く円満に国鉄鉄建公団の間の話し合いが妥結するように努力いたしたい、こういうふうに考えております。
  30. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 それから国鉄の中で、大都市が中心ですけれども、大都市の交通緩和、交通安全対策という意味で、これは全国的な例だと思いますけれども国鉄が町のどまん中を走っておりまして、交通渋滞の非常な大きな理由になっている。やはり各都市も同じだと思いますけれども、何とかこれは立体交差とかあるいは高架化ということで、非常に要望が強いわけです。大都市の交通緩和あるいは交通安全対策の面から、運輸省国鉄の高架化についてどう考えておられるのか、まずお尋ねしたい。
  31. 町田直

    町田政府委員 御指摘のとおり、大都市の国鉄の高架化、連続立体交差化ということにつきましては、できるだけ推進いたしたいというふうに考えております。  御承知のように、昨年九月に、運輸省と建設省の間で、都市における道路と鉄道の連続立体交差に関する協定というものができまして、道路側と鉄道側との分担が非常にはっきりいたしました。連続立体交差につきましての分担がはっきりいたしましたので、これは都市計画事業として行なう、こういうたてまえになっておりますので、大都市計画事業者が都市計画事業として国鉄側に協議するという形をとるわけでございます。そういうことで推進いたしたいというふうに考えております。  ただ、いずれにいたしましても、連続立体交差というのはたいへん多額の金がかかりまして、これはいまの協定ができましても、道路側、国と都道府県であると思いますけれども、それと国鉄とが両方で分担し合うわけでございます。その分担の金額が非常に多額になりますものにつきましては、予算との関係もありまして、できるだけ推進いたしたいと思っておりますけれども、必ずしも順調にいかない部分もございます。その点につきましては、今後とも予算の獲得等に努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
  32. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 各都市には都市計画というのがございまして、それぞれ計画しているようですけれども全国的にそういう要望が都市計画の中でどれくらいあるかということは、大ざっぱでけっこうですからお聞かせ願いたい。
  33. 長浜正雄

    長浜説明員 いま私たちがお話を聞いておりますのは、全国で大体十数件ございます。
  34. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 高架化については、長い間いろいろ要望がありましたし、政府のほうとしても十数件いまある、こういう話でしたけれども、やはりこれからそういったことが当然起きてくるし、計画の中に、長期計画といいますか、予算関係もあるでしょうけれども、全体計画の中で、こことここを取り上げていくのだ、ことしはここだという、そういう考えはないのですか。
  35. 長浜正雄

    長浜説明員 高架化につきましては、さいぜん鉄監局長から御答弁申し上げましたように、建設省側、道路側との費用分担になりますので、道路側との協議をして、どことどこを取り上げていくということを事前に相談をしながら計画をつくってまいっております。今後ともそういうふうにしていきたいと思っております。
  36. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 これは札幌の例ですけれども、札幌の南北を縦断しておる函館本線がございます。これが七・六キロの間に、ひどいところは一日の三分の二くらい遮断しているということで、オリンピックも控え、これは非常に交通混雑の大きな要因になっているわけです。この点については市としてもぜひともやりたい。ところが、国鉄さんのほうはなかなか財政的なこともありまして、いろいろあまり乗り気でないようにも伺っておるのですけれども、この町を分断し、町の発展を阻害している地方中心都市の、たとえば札幌の例ですけれども、これについてどうお考えでしょうか。
  37. 長浜正雄

    長浜説明員 札幌につきましては、私たちも地元からのそういう話を承っております。ただ、何ぶんにも札幌につきましては、先生おっしゃいますように、七・何キロという遠距離になります。しかもその間にいろいろな構造物がございます。と同時に、御承知のように、あそこには専用線が相当ぶらさがっております。五十数カ所と私は記憶しておりますが、そのほかにまた、貨物駅だとかそういうものがついておりますので、それらをどういうふうにするかということ、それからまた、道路が現在鉄道の上を立体交差しております。それらをあわせて考えまして、どういう方法でどうすれば金が幾らぐらいかかるかというようなことの話し合いの前提になる、そういうどういう高架の方法をとろうかということを、いま地元と御相談しておるような状況でございまして、札幌につきましては、非常に金額はふえるのじゃないか、こういうふうに考えております。これは十分調査をしてみませんとわかりませんが、私たちの目の子では、やはり三百億前後の金がかかるのじゃなかろうか、こういう見当をしております。
  38. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 計画をつくるのはどれくらい予算がかかるのか。調査をするのは国鉄のほうだと思うのですけれども、地元としてみれば、やはり都市計画関係もあるし、建設省との関係もあるので、早く国鉄でどれくらい予算がかかるのか調査をしてもらいたい。聞くところによりますと、昭和三十八年に一ぺんつくったというようなことを聞いておるのですけれども、だいぶたっておりますので、やはり高架化については、専門家の国鉄調査をしなければわからぬわけですね。地元としても、どれくらいかかるのかわからないようじゃ計画予算も立てられない、こう言っているのですね。これは北海道全体の中心都市ですから、知事もその点は協議会の会長になっているわけです。全道をあげてこの札幌の高架化について非常に関心を持っている。ですから、昭和三十八年に一ぺん調査をした、もうだいぶたっておりますし、経済ベースも変わっていますから、この点、もう一ぺん国鉄当局調査をするお考えはありませんか。
  39. 長浜正雄

    長浜説明員 高架化の調査につきましては、これはさいぜん申し上げましたように、建設省と打ち合わせをして、どの部分調査をするということをきめておりますので、建設省ともよく相談をする。それには地元の市と御相談をして、調査費を建設省のほうでも計上していただく。といいますのは、都市計画事業としてこの高架化の工事を行なうことになりますので、そういうふうな措置をしなければならぬので、できるだけ折衝をしたい、こういうように思っております。
  40. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 この高架化については了解をいたしました。  それから青函トンネルにつきましては、これは本州と北海道を結ぶ大事な輸送の基幹である。だいぶ水も出ておるようですし、計画よりも相当調査期間が長引くのではないかというふうに考えられるのですが、この調査坑の完成の見通しはどうですか。
  41. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 津軽海峡の青函トンネルの調査ですが、現在御承知のように、日本鉄道建設公団でやっておるわけでございます。調査坑は北海道側と本州側ともに海底部に達しまして、かなり調査は進んでおりまして、四十五年度も引き続きこれが調査工事として水平坑等の調査を行ないまして、ことしの予算で、三十五億円が予算案として出されております。大体われわれのほうの見当としては、報告がもちろん今年中にはまとまってあるのじゃないか、その報告があり次第鉄道審議会にかけまして、工事線としてこれを早急に着工できるように進めていきたい、かように考えております。
  42. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 大体わかりましたけれども調査坑が完了するという時期は、大体見通しはどうでしょうか。本工事のほうは別として……。
  43. 町田直

    町田政府委員 ただいま大臣から御説明申し上げましたように、現在は水平坑の掘さくを行なっているところでございます。水平坑を全部完全に掘り進まなくても、大体ある程度まで参りますと、技術的に可能かどうかということがわかるということだそうでございまして、鉄道建設公団の中にございます技術委員会におきまして、昨年の暮れでございましたが、すでにある程度の結論を出しております。したがいまして、なお今年度は調査として水平坑を掘っておりますけれども、その段階におきまして、適当な時期に建設公団としての結論が出るのじゃないか、技術的に可能かどうかという結論が出るのじゃないか、この報告がくるというふうに予定しております。
  44. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 現在水平坑を掘っておって、結論はそれから出るだろうというお話でございましたけれども、大まかな、大体どれくらいということはわかりませんか。
  45. 町田直

    町田政府委員 時期でございますか。——大まかと申しますか、大体本年度の、四十五年度のそうおそくない時期に、鉄建公団としての調査結果は出てくるというふうに予想いたしております。
  46. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 何といいましても、北海道と東北を結ぶ——将来新幹線計画されるようでございますので、これはひとつ北海道総合開発という立場からと、本州を結ぶという経済交流の立場からいっても、十分な配慮をしていただいて、早急にやっていただきたい。  それから、四十七年の二月には冬季オリンピックが北海道で行なわれるわけですが、これに伴ってやはり飛行場の整備ということが問題になっているわけです。大臣にお伺いしますけれども千歳の飛行場を国際空港にするという、これは中曽根前運輸大臣の発言もあったのですが、この点についてどうでしょうか。
  47. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 いま担当の航空局長がおりませんので、はっきりしたお答えができませんが、国際空港にするということにつきましては、検討中でございまして、まだきまっていないと思うのでございます。
  48. 斎藤実

    斎藤(実)分科員 わかりました。  私の質問はこれで終わります。
  49. 藤田義光

    藤田主査 斎藤実君の質疑は終了いたしました。  小林信一君。
  50. 小林信一

    小林(信)分科員 つい先日、東京西管理局というところの総務部長という肩書きの人が私のところに見えまして、「中央線業務運営体制の再編について」というものを渡されて、これに協力しろということが要請されたのです。うわさは聞いておったのですが、こういうものを正規に聞く機会はなかったのですが、一管理局の総務部長なる者が来て、こんなものは当然あなた方は了解すべきだ、したがって、これを地元に実施することについて異議ないように協力しろという命令を受けるということは、多少抵抗を感じたわけです。まして、中を見ますと、これは問題を非常に多く感ずるような内容であります。  私は、この機会にこの点についてお聞きしたいのですが、これは御承知だと思うのですが、駅を廃止するのもあります。あるいは無人駅にする。あるいは委託の業務にする駅もある。あるいは一般貨物の取り扱いを停止し、あるいは手小荷物は大体の駅は一切受け付けないというような内容であったわけですが、こういう地域住民にとっては重大な問題を運輸省なりがわれわれに話をする場合には、もっと真剣に、あるいはその理由を明確にして話をされるべきだと思うのです。何か、なさっておられることに非常に独善的なものが感じられる。あるいは国鉄がそこまで急に落ちておる事情もあるかもしれませんが、もう少し筋を通してやらなければ、私は実際政治不信を招くのではないかと思うのです。そこで、素朴な住民の気持ちを率直に申し上げて御答弁願いたいのです。  繁栄だとか経済成長だとか、日本の国力は非常に充実しているという中で、こういうものが強要されるということは、国鉄の運営というものは、そういう時代に逆行しておるのじゃないか、逆行せざるを得ないのじゃないか。してみれば、将来さらに経済成長が、総生産額が二倍、三倍になるということ、しかも短期間になされるということを考えれば、いままでの経過から考えれば、それに応じて、ますます国鉄のサービスは特殊なところには厚くなるかもしれないけれども、その反面、不便なところにはますますしわ寄せをされるような形になる感がするわけです。まず、その点を明確にしていただきたいと思います。
  51. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 私は、国鉄再建計画の従来のPRのしかたといいますか、あるいは考え方が、少し見当違いの方面に、われわれのほうからも説明がいったり、また受け取られておる形があるのではないだろうか、こう解釈しております。国鉄再建計画の目的は何かといえば、赤字対策ということが強調され過ぎておりますけれども、もちろんこれがないとは言いません。しかし、そうではなくして、時代の進運に伴って、貨物輸送にしても人の輸送にしてもスピード化を考えなければならぬ。いわゆるほろ馬車時代といいますか、鉄道が敷設せられたいまから何十年前は、逆に鉄道が道路のかわりをしておった。したがって、鉄道が長距離間駅がなければ、地域住民に大きな影響を与える。ところが、最近は御承知のように道路が発達し、あるいはものによっては高速道路もだんだんと延びてまいった。こういう時期において、当初道路のかわりまでしておった鉄道の運営のしかた、あり方、そういうあり方でやっておれば、現在のような国鉄というものは、いわゆるほろ馬車時代を一歩も脱出しないということで、結局、貨物、人間の流通体系にみずから大きなハンディキャップをつくっていくことになる。そういう意味で、国鉄再建の最大の政治的使命というものは、近代化に伴ったあらゆる条件を総合的に利用して、そこで国鉄自身の近代化に伴うスピードを中心にした流通体系の円滑化をはかる、そこに主眼がなければならぬ。それが、ややともすれば何か赤字を退治するために十カ年計画を立てたんだというふうに受け取られがちであるということは、国鉄当局なりわれわれのPRがたりなかった。そういう意味で、私はこの機会にその点を御理解を願いたいのでありますが、そういうことによって、従来一週間もかかった貨物が三日間で到着する、あるいは三日間もかかったものか一日で到着するという状態をつくるという、これからの近代輸送という国鉄に与えられた任に対して主たる責任を負うという前提に立っても、そのような体制を整えることが国鉄の使命である。  でありますからして、道路もない、鉄道のみにたよる、そういう地域においては、私は一律に駅を廃止をしたり、あるいは駅を廃止することはありませんが、貨物の取り扱いをやめてしまうという考え方ではないのでありまして、いま申しましたように、大前提となるものは、近代輸送機関としての国鉄のあり方はどうあるべきか、昔のようなほろ馬車時代、百年前に考えられたようなちょこちょことまっていくような状態では、いつまでたってもスピード化は行なわれない、また貨物、人間の円滑なる流通体制はできない、そういう前提国鉄再建計画が行なわれなければならぬと思います。  したがって、地域住民の道路体系が不備なところは、当分の間、道路ができるまでは、国鉄があるところで貨物の集中をいま考えておるところは、手直しをする必要が出てくると思います。そういう観点からこの問題をひとつお考えおきを願いたい。ただ赤字退治のためにのみ国鉄がやるということは、これは公共機関でありますからして十分考えなければならぬのでありまして、かつまた、お話がありましたように、地域住民に対しては十分の理解を遂げる。そうして、このような事態であるからして、全体の産業発展のために役立つんだということを十分に理解されて、その上でこれらの問題を善処していくという方向で進めてまいりたい、かように考えております。
  52. 小林信一

    小林(信)分科員 大臣のようなものが多少でも入っていれば、それほど激高はしないと思うのです。いまのところその地域住民は、自分たちが不便を感ずるということよりも、この措置に対する反感というものが強いと思うのです。せめて大臣くらいの内容をもって話をすれば、それほどでもないと思うのです。もっと穏当な話し合いでもすれば問題解決に進むと思うのですが、この趣意書を見ましても、たとえば、これは相模湖から甲府間の問題でありますが、その間大月、塩山、山梨、甲府、その四つの駅が六割を占めておる、おのずから他の駅はどういう状態であるかがわかるんだ。したがって、その駅が無人化されたり、あるいは委託の取り扱いをしたり、あるいは廃止をするのは当然である、こういうふうに営業状態から押しておる。さらに世間一般も、御用聞きからスーパーマーケットまでいろいろな販売方式がくふうされておりますように、国鉄も商売であります、もうからなきゃどうですというような、そういう独善的な考え方が堂々と打ち立てられておるわけです。これから地域住民が何を感ずるか、私は当然これは国鉄当局としても予想しておると思うんですね。しかし、おれたちには力がある、何を言うんだという態度が見られるわけです。いたずらに混乱を招くような感がするわけであります。  それは大臣がいまおっしゃったように、とにかく経済成長が、たとえ中央線沿線でありましても、同じように私はあると思うんです。したがって、貨物輸送は多くなっておりますよ。人間の歩き方も多くなっておるはずなんです。にもかかわらず、こういう措置をしなければならぬというのは——もちろんそれは自動車を使ったり道路がよくなっておりますから、一々駅まで荷物を運んで、生産物を運んで積みおろしを何回もやって、そうして消費地へ送るということは、これは当然避けますよ。国鉄がいまの体制を変えない以上、そして国鉄国鉄という上にあぐらをかいている以上、当然これは自動車輸送をするし、また一般の人たちも、往来をするのに道路がよくなる、自動車も出てくれば、そのほうに行くわけです。しかし、そういうものに国鉄当局が応じようとせずに、全然そういうことを放置しておって、そしてきょうの段階でもって、もうからぬからどうだということは、これは私は国鉄自体のもっと反省を要する問題じゃないか、こう思います。  そこで、先ほど大臣も、赤字赤字と言うことはあまりいい印象じゃない、こうおっしゃったのですが、しかし、いま与えられているものは、国鉄は赤字である、その赤字を解消するためにというふうに受け取っておるし、もっぱらそういう宣伝をしておるのですが、国鉄当局のほうはどういうふうにこれをお考えになっておられますか。私は、この趣意書から見れば、開発のために事業が拡大されるんだ、そのために労働力が必要になる、だから労働力を引き伸ばすためにある駅の人員は減らす、ある駅は無人化するというようなことも言ったり、あるいはまた赤字ということが強く印象づけられて、何でもかんでも労働力を減らすということがいま国鉄方向である、目的であるというような印象もあるのですが、そこら辺もまず第一番に明確にしていただきたいし、そしてこういうような措置は、おそらく中央線だけではない、全国的なものだと思うのですが、全国でどれくらいの人間をいま減らそうとしておるのか。あるいは、こういう被害駅があらゆるものを含めてどれくらいの駅に及ぶのか。中央線だけ考えてもこれは膨大なものだと思うんですね。この際概略でもいいですから、ひとつお聞きしたいのです。
  53. 磯崎叡

    磯崎説明員 先生のお尋ねでございますが、私ども自身が国鉄という昔の王座にあぐらをかいているというもし御印象があれば、非常に私は残念なことだと思います。少なくとも私自身、これほど経営の難局に追い込まれまして、何とかどろ沼からはい上がろうとしておるときでありまして、決して戦前のように独占の上にあぐらをかいておるという気持ちは、私以下職員には毛頭ございませんということを、まずはっきり申し上げておきます。  次に、全国でどの程度のことを考えておるかという御質問でございますが、全体的なことをお答え申し上げますと、過般運輸省に提出いたしました再建計画の中では、駅の約四割を停留所化ないしは貨物の集約をしたい。これをもう少し旅客と貨物に分けて申し上げますと、大体現在旅客駅が約五千、それに貨物駅が約二千八百ございます。旅客駅の五千のうちきわめて乗降の少ない駅、たとえば一日五百人以内の駅が全体の実に半分ございます。一日五百人に満たない乗降の駅が半分ございます。これにはほとんどまだ駅員が張りついております。いままでなぜ駅員がおったかと申しますと、これはポイントを扱ったり、信号を扱ったりすることが実は一番大きな問題であったのですが、これがほとんど自動化してしまうということで、その面の人間は要らなくなった。当然近代化によって人が浮いてきたわけであります。それから、貨物についてもいまの二千八百、これは昔四千ほどありましたが、非常に集約いたしましていま二千八百ございますが、これを大体半分にしたい。この貨物につきましても、一日五十トンと申しますと、一日貨車三車です。五十トン以内の取り扱い駅が全体の約四割ございます。こういうふうに非常に国鉄としては駅数が多い。そして非常にたくさんの駅で、少しばかりの貨物あるいは人を扱っている。先ほど大臣がほろ馬車というおことばをお使いになりましたけれども、ちょうど明治の初年に鉄道を開業いたしましたと同じような営業体制をとっているわけです。これはどうしても直さなければならない、私自身そういうふうに思っております。  しかしその際に、ある程度の御協力は願わなければならないけれども、極力利用者の不便を少なくする、あるいは貨物については、スピードアップその他によって流通経費などを下げるというふうな角度から積極的に合理化していきたい、また旅客につきましても、無人化ということばをお使いになっておられますが、バスというものはどんな大型バスでも停留所でやっております。ハイウエーでも相当の乗降がありましても全部無人と申しますか、停留所でやっております。これが鉄道でできないわけはないと私は思います。そういうわけで、今後乗降の少ないところにつきましては新しい営業体制にしていきたい。十九世紀的な百年前の営業体制をいつまでも続けなければならないということでは、国鉄は破滅いたします。どうしても新しい体制に持っていきたいということでございます。  いま先生のお手元にございます西局のつくりました資料の内容、表現等につきまして、御指摘のように地元住民に対する理解が相当足りない、不遜なような言辞があったといたしますれば、それは私、直させます。しかしながら、気持ちといたしましては、この際どうしても新しい営業体制にしない限り、残念ながら国鉄は破滅に近い道を歩かざるを得なくなる、こういうふうに私は思うわけです。その点、根本的なことだけお答え申し上げます。
  54. 小林信一

    小林(信)分科員 国鉄の悲壮な決意を承って感激する一方、その難局に立つということは、きょう偶然にきたものではないと思うのですよ。いままでの国鉄営業方針というものが何らかの誤りをおかしたり、あるいはそのほかのいろいろな事情が積み重なってきょうの難局に立たされたと思うのです。何かそれを人ごとのように言って、おれたちは難局に立っているのだと言うところに、われわれは一つの抵抗を感ずるわけなんです。だから、私がさっきあぐらをかいたと言うのは、あぐらをかいた事実があったからこういうことになったんじゃないか。人員だって当然そうですよ。そこで十六万人減らすというようなことは、国鉄の労働行政として大きな反省をしなければいけないと思う。それを赤字だから、解消しなければならぬから、国鉄は危機に立っているから、これをやるのもやむを得ぬだろうということは、私は行政上の大きな責任問題だと思うのです。そのほうを改めずに、難局に立っておる、この難局を打開せずしておれたちの使命が達成できるかという、そういう言い方がいま国鉄全体にみなぎっている。駅を廃止されるよりももっと住民全体から——それがひいては政治全体に対する不信感として出てくるわけなんです。変な言いがかりのようですが、経済成長といって一体何だ、もっと国鉄のサービスがよくなるのが当然じゃないか、それが国鉄のサービスが悪くなって何が経済成長だ、佐藤総理が繁栄だ繁栄だ言うが、何が繁栄だ、そういう抵抗というもの、反撃というものが出てくるのは当然であります。そこに国鉄自体の反省というものが必要だと思うのです。そういうものが今後もあってはならない。これは、大臣がここにおられるが、大臣に責任があります。とにかくこれから総生産額が三倍になる、しかも短時間の間にそうなるのだということを国会では堂々としゃべっているでしょう。そうして、こんな状態をまた続けて、国鉄は難局に立っておる、ひとつみなさんこれは当然のことでやむを得ないのだというような押しつけになったら、それは単に不平不満ということではなくて、大きな混乱状態になるのじゃないか、私はこうも考えるわけです。  先ほどスピードアップということを大臣が言われましたが、中央線の状態なんかは、スピードアップをされるために、小さい駅を歩く鈍行は、急行の通過を待つために十五分あるいは二十分待つというふうになって、地域のこまかい駅を歩く人たちについては非常な不便を感じさせているのです。急行券の百円、二百円を買うことすら財政上許さない人たちは、そういう不便の中にいま置かれているわけなんですよ。そういうものを考えるならば、今回の措置というものももっと合理的に考えるべきじゃないかと私は思うのです。  時間がありませんから具体的な問題で申し上げますが、これをそういう理由でするにしましても、私は国鉄当局に言いたい。その駅には歴史がありますよ。そういう歴史なんかは全然考えておらない。あるいは地域の特殊事情というものも全然無視しておる。勘定になるかならぬかでもって押しつけている。あるいは複線化への協力をさせておって今度は無人駅になるという、ペテンにかけたような仕打ちもある。あるいは将来というものを考えない。たとえば、山梨駅は一般貨物の取り扱いが停止になりまして塩山に集中することになるのですが、ところが塩山と山梨を比べると、私は塩山の出身ですが、かえって山梨地域のほうが工場誘致は盛んにやっておる。NEC、日本電気の会社が今度新しく入りまして、三千人くらいの従業員が出ます。そういうものも全然先の見通しなく、貨物を一切塩山に輸送するとなると、塩山地域は道路が非常に狭隘です。そういう周囲の駅が取り扱っておったものを塩山駅に集中するとするならば、まず道路から考えていかなければいけない。塩山駅の構内の体制というものを考えていかなければならない。そんなことまではたして考慮されているかどうか、非常に心配なんです。歴史的なものをいえば、地域の人たちが金を出して、そして土地なりあるいは駅の建物なりを提供してやった駅が戦災でもって焼けた。それでまた地域の人たちが金を出し合ってこれに協力してつくった駅があります。その駅なんかも今度廃止になってしまう。そういう歴史的なものを考えると、ただ赤字だから解消するんだ、お客さまが乗らないから廃止するんだというような説明ではたいへんだと思うのです。それから勝沼駅、これは御承知のように観光地として非常に有名ですね。しかし、これが無人駅になるというようなことになったら、やはりその地域の特殊事情は無視されておるんじゃないか。それから手小荷物の取り扱いが全部廃止になるところがたくさんある。そういうところは二つか三つ駅を乗って扱う駅に行かなければ荷物が出せない。それから、こういう事情がありますよ。無人駅になる中で、二百人しか乗らない、三百人しか乗らないという数字を書いてあります。ところが、そういうところは通勤、通学のために設けた駅なんです。だから一時的には非常に混雑するのですから、そういうところは跨線橋をつくるとか何か処置をしなければ危険だと思う。  そういういろいろな問題がたくさんありますが、そういう点はもう一ぺん再検討すべきだ。そして、せめてそういうものに対しても十分な理由が述べられるような形でもって地元と折衝をする必要があるんじゃないか。私どものところに来て、一総務部長が大言壮語して、国鉄はどうするのですというような形でもって、あなたは国会議員だから当然協力しなさい。そうだったら、もっとしかるべき人から話をされて、そしてどうですかという案を一応出してわれわれに納得させる、それからわれわれに協力を頼むなら、これはまた別ですが、こんな仕打ちをされて何か国鉄の横暴を感ずる、独善性を感ずる以外にない。ひとつその点についての御回答を願います。
  55. 磯崎叡

    磯崎説明員 私のほうの係の者があらかじめ伺ったことにつきましては、実は先生方からはむしろ事前に、とにかく一応どんな話があるかを知らせろということをいろいろお話があった点がありましたものですから、一応事前に申し上げに行った。詳しく御説明する時間もなかったと思いますし、お聞きくださる時間もなかったと思いますので、私どもといたしましては、あらかじめお耳にだけ入れておくという意味で御連絡に行ったんだと思いますが、それが、ぜひそのとおり協力してほしい、ぜひこのとおりやるんだというような申し上げ方だとすれば、それは行き過ぎがあったと思います。その点、もし無礼があったらおわび申し上げます。  それから、具体的な駅のことは、時間の関係もございますので省略いたしますが、たとえば山梨これは現在一日ワム車二車しか扱っておりません。しかし、それがほんとうにいまのNECなんかが来て、実際にその貨物がコンテナなり何かに乗るとしても、貨車じゃなくてコンテナ輸送全国の三分の一をコンテナ化するつもりでございますが、そういう場合には、何も山梨市に貨物駅がなくても、コンテナ輸送で十分できるわけです。工場ができましても、それが貨車を使うのかコンテナを使うのかということまできめませんと、実際はその輸送体系がきまらないわけでございます。したがって、もしNECができる、そしてそれが鉄道に荷物を確かに出す、それがどうしても貨車じゃなきゃいけないということになれば、これは当然その時点で、十分話を聞いた上で再検討します。それから旅客につきましても、いわゆる無人駅と申しましても駅舎は残るわけです。もし駅舎が廃屋になっては困るという地元の御希望等に対しましては、具体的にいろいろ案を考えております。それから勝沼あたりにつきましては、ブドウのシーズンなどにつきましては季節的に荷物を扱う。ここはシーズン以外はほとんど荷物のないところでございます。そういうところではシーズンの間だけ荷物を扱うというような、流動的な扱い方もしなければならない。そういう各駅、各駅で具体的なやり方が違っております。それはやはり地元といろいろと御連絡もし、また地元の御希望も承った上で、具体的な処置をしていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  56. 小林信一

    小林(信)分科員 いまのあなたの答弁でもう一つ残念なところは、国鉄はその地域の事情によって即応するのでなくて、地域開発を政治の一環としてやっているわけなんです。国鉄だけで生きているのじゃないのです。地域の開発というのは政治使命ですよ。政治使命、政治責任というものを感じて、その地域にもし国鉄がこういうふうな配慮をするならば、この地域はこういうふうに開発されるという、開発いかんということで国鉄がそれに即応する、私はそういう意味で将来性も考えなさいと言ったわけです。国鉄にはそういう責任もあると思うのですよ。そういう点はどうですか。
  57. 磯崎叡

    磯崎説明員 私のほうといたしましても、中央線を甲府まで複線にした、あるいは甲府から先も電化を完成したということは、まさに先生のおっしゃったことを考えてやったことでございます。もちろん、今後中央東線が非常に発展するだろう、観光的にも産業的にも発展するだろうということを前提にした上で複線をした、電化もしたわけでございます。現実に数百億の金をかけております。それによって、しからばそれをもとにしてどういう営業のしかたをするかということは、これまたおのずからその場その場の具体的な状況に照らし合わせて、最も適当な営業体制をとるべきだというふうに私は思っております。決して中央線に金をかけなかったわけじゃなしに、ごらんのとおり甲府までは複線化がほとんどできております。
  58. 小林信一

    小林(信)分科員 複線化をしたからと、そういうことも独善的だと思うのですよ。それにさらにこまかい配慮をして、この地域はこういうふうに発展できるのじゃないか、それは国鉄国鉄なりの考えをすべきだと私は思うのです。  最後に、その人間からの説明を聞けば、中央線は高尾、相模湖以西、甲府以東、これは赤字だ、プール計算で赤字だと言っておりますが、一体それは事実ですか。
  59. 磯崎叡

    磯崎説明員 ごらんのとおり複線化いたします。この複線化の金利と償却はどうしてもかさんでまいりますので、しばらくは赤字でございます。
  60. 小林信一

    小林(信)分科員 そういう意味で宣伝しないのですよ。お客さんが乗らないから、貨物がないから赤字だ、こう言うのです、あなたのような説明をすればまだ納得できるかもしれぬけれども。しかし、それにしてもそれを理由にして、あるいはお客さんの少ないことを理由にしていまのような措置をすることは、私は非常に残念だと思う。複線化したその金利あるいは償還金、こういうもののことならば、私はもっと大臣のほうのお立場で考えていただきたいような気がいたします。  以上、私は中央線にあらわれました今度の合理化問題について、地域住民というものは非常な反感、それは政治的なものに対するものに及んでおるという点を申し上げて、私の質問を終わらしていただきます。
  61. 渡辺栄一

    ○渡辺(栄)主査代理 小林君の質疑は終了しました。  岡沢完治君。
  62. 岡沢完治

    岡沢分科員 私は、主として大阪近郊で、福知山線と並んで最も長い間単線で放置された片町線の問題、昨年の分科会でも長浜務理事から御答弁がありましたが、お尋ねしたいと思う。  片町線につきましては、大臣新しゅうございますので、ぜひ耳に入れていただきたいという意味から、簡単に申し上げますと、明治二十七年に開通しているわけでございます。七十五年の歴史を持っております。大阪では通勤、通学あるいは地域開発、特に住宅対策として取り残された唯一と言ってもよい、先ほど申し上げました福知山線とともに、最も忘れられた路線ではないかと思います。この路線は明治二十七年に開通したということで知っていただけますように、地理的条件、特に地域環境といたしましては、平安朝時代からすでに太平記に、「交野の春の桜がり紅葉の錦きて帰る」とうたわれたほど、人間の住宅には適した地域でありました。また大阪、奈良、京都の三都市の大体中間に位する地域を走っているわけでございます。  ところが、先ほど申しましたように、現在四条畷という駅以北は単線でありまして、昼間は約一時間に一本しか電車が走っておりません。実は私は昭和十一年から十六年まで、この電車を通って四条畷中に通学いたしましたが、三十年前といまと全く同じ運転間隔でございます。乗客がないのかと思いますと、最近急激な地域開発がされまして、沿線の大東市あるいは四条畷町、交野町、枚方市は、全国でもベストテンに入るくらいの人口増加率を示しておる地域であります。工場用地としても、住宅用地としても急速な発展を遂げ、ドーナツ現象の典型的な地域であります。ただ、乗車効率を見ますと、ラッシュ時は三〇〇をこえますけれども昼間は非常に少ない。それが複線化をおくらせた理由でありますけれども、その理由は、乗車人員がないのではなしに、あまりにも間隔が長くて通勤利用に不便であるために、乗客がわざわざバスを利用して京阪電車のほうに移りまして、京阪を利用して大阪、京都に行っておるという理由でございました。いわゆる乗り手がないのではなしに、あり余るけれども不便なために利用しないというのが実態であります。  この問題につきましては、総裁のほうは非常に詳しいので、総裁からお答えいただいたらけっこうかと思いますが、昨年も質問いたしましたときに、当時の石田総裁からも、「私は片町線のことについてはよく存じません。しかし、私鉄から払い下げてもらいたいというようなことを言われるということは、一体、国鉄は何をしているんだということを言われてもしかたがないと私は思います。この問題につきましては、さっそくひとつ徹底的に調べまして、国鉄として恥ずかしからないようなことにしたいと思います。」という御答弁がございました。これが昨年二月二十四日の御答弁でございます。約一年以上経過したわけでございますから、その後この片町線につきまして、どういう計画を具体的にお持ちかお尋ねいたします。
  63. 長浜正雄

    長浜説明員 先生おっしゃいますように昨年御質問がございまして、私たちそういうふうに答弁を申し上げました。その後片町線の四条畷−長尾間につきまして、現地にも人をやりましていろいろ調査もいたしました。おっしゃいますようにいまどんどん工場が建っておりますので、やらなければならぬ時期が来つつあると考えております。できましたら四十五年度あたりから調査、着工したい、こういうふうには考えておるのですが、何分にもいま先生のおっしゃいますように、まだ十分開発されておりませんので、いわゆる私たちのことばでいいますと先行投資的な投資になりますので、それが非常に大きな赤字になりますので、できましたら私たちとしては、地域の開発利益というようなものが何らかの形で還元できる方法はないであろうか、そうすることによってこの工事を早くすることができるのじゃないかということで、地元の市とも相談をしておるわけでございます。総額で約五十数億かかりますので、そういうくふうをすることによって、先行投資ではありますけれども、早く着工していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  64. 岡沢完治

    岡沢分科員 いまの長浜務理事さんのお答えでございますが、地元の御出身ですからお詳しいはずですが、先行投資は逆なんで、先行投資じゃなくて、もうその時期は過ぎておりまして、おそらく複線にされても、あるいは路線を延長されても、そのときから、赤字どころか営業収益をあげられる路線だと、私は誇張ではなしに実際に申し上げられると思います。いまも京阪が飽和状態で困り過ぎておる。普通ですと、並行線ですから京阪のほうは国鉄複線化をきらうはずですけれども、むしろ複線化をやってくれ、そうでないと、京阪が沿線で開発した住宅地の居住者まで輸送に困るというのが実態でございます。現地を見ていただいたそうでございますけれども、大企業だけでも、久保田鉄工とか、あるいは小松製作所、あるいは中小企業の大阪府の団地、それから公団、公社の住宅用地、民間デベロッパーの開発、これはほんとうにおそらく全国でも有数の発展地帯でございますし、人口の稠密地帯でありますから、営業は十分に成り立つ。先行投資じゃなしにおくれ過ぎておる。昨年も申し上げましたけれども国鉄には政治路線というものがありますが、この路線は政治的に開発がおくらされた、むしろ政治的に開発がじゃまされた地域だと申し上げても過言でない地帯でございます。  いまお答の五十億円云々ということがございました。これはどういう計画の場合に必要とされる経費でございますか。
  65. 長浜正雄

    長浜説明員 四条畷から長尾までの十一・四キロの複線工事と、それに伴います電気関係の設備でございます。それで五十数億、こういうことでございます。
  66. 岡沢完治

    岡沢分科員 いまの五十数億というのは、複線化だけのお話だということでございましたが、昨年も指摘いたしましたが、昨年三月二十五日に四条畷までの複線が実現いたしましたけれども、九・六キロの複線化に十二年間を要した。ちょっと考えられない数字でございます。私は、この路線の開発のためには長尾までの複線化と、いまの常務理事の御指摘の問題も大きな課題ではございますけれども、あわせまして、長浜務理事が昨年もお答えになりましたが、この路線は鉄道としても非常に使いにくい、行き詰まりの、終点の片町というところが非常に大きなガンになっておるということを指摘させていただきました。大阪の私鉄との相互乗り入れ、あるいは地下鉄との乗り入れ、あるいは福知山線との連絡等についても論議をさせていただきましたが、この片町線と福知山線とを結ぶ路線の計画について、その後の進展状況がございましたらお答えいただきたいと思います。
  67. 長浜正雄

    長浜説明員 片町線を増強いたしましても、先生御指摘のように、いま片町は行きどまりになっており、ほとんど全部が京橋で乗りかえなければならないようになっておりますので、御指摘のように、大阪市内を通りまして、大阪市でやっていただく予定の地下鉄に乗り入れをいたしまして、それがまた西のほうに抜けまして尼崎から福知山線に延びる、そして福知山線と大阪地下鉄と、それからこの片町線とがフル運転できるというかっこうになりますと、お客さんも非常に便利になりますし、輸送力もつくということで、そういう前提で、いま大阪府、市と国鉄を中心としました会合を、私、現地に参りまして数回開きまして、それの推進方を進めておりますが、何ぶんにも大阪市内を通る地下鉄の経費が非常に膨大な数字になるということで、ちょっといまその辺で問題が出ておりますが、それらにつきまして、資金的にどうするかというような点を、府、市が中心になって勉強してもらっております。  また、技術的に、それでは片町線のどこと結ぶか、片町で結ぶのか、あるいは京橋−片町間で結ぶのか、あるいはもっと鴫野寄りで結ぶのかという点について、技術的な検討国鉄と大阪市交通局と共同で勉強しておるわけでございます。
  68. 岡沢完治

    岡沢分科員 御熱意のほどはわかるのですけれども、ちょうど万博が十五日から開催される。万博関連事業との関係交通路線、特に地下鉄の整備等がほぼいま一段落した時期でございます。御承知のとおり、大阪の中馬市長は地下鉄には非常に熱心な方でございますし、私が非公式に打診したところでも、大阪の府も市も最大限の協力を惜しまないという内意をいただいております。冒頭指摘いたしましたように、長浜務理事さんが昨年も、大阪周辺の国鉄の中でおくれているのは片町線と福知山線だと言う。この二つを結ぶということは、私は非常に大きな効果もございますし、また、これは赤字で悩まれる国鉄にとっては必ずしも不利な路線でもなければ計画でもない。万博工事が一段落し、特に大阪の場合、地下鉄の路線はキロ数にしてはだいぶ延びましたけれども、東西線がまだ少ないわけでございまして、この片町線と福知山線を結んでいただく、それが東西の地下鉄になるわけで、市民の立場からしましても、大阪市の立場からしましても非常に効果が大きい。特に住宅地に悩む大阪府としては最大の、私はのどから手が出るほど待望の路線になろうと思う。福知山線、片町線ともに非常に開発利益の多い地区でございますので、ぜひこのほうの実現に積極的な姿勢を示してもらいたいと思うわけでございます。  あわせまして、片町線の北のほうの長尾、大住から、前回も御質問いたしましたけれども国鉄の奈良線と結ぶ、宇治あるいは新田と結ぶ路線、これは最近永野ミッションが具体化してまいりましたシベリアの日ソ共同新港の建設等と結びつきまして、将来の沿岸貿易等を考えました場合、あるいはまた湖西線等の完成を考えました場合、非常に効果的な、必要な路線ではないかと思うわけでございます。敦賀、山科そして長尾、場合によったら鳥飼と、東海道線のバイパスにしましても、貨物の路線としても非常に有望で必要な路線である。しかも、幸か不幸か現在は、その路線地帯は住宅地も工場もまだほとんどございません。大阪と京都の中間でございますから、早急に開発されることは予想されますが、土地の買収等については、現在の時点ではそれほど困難のない地区でございます。この場合は、先行投資としては最適の地区だという感じがいたしますが、この路線について、昨年お答えいただいた以後の新しい計画あるいは見通し等がございましたら、お答えいただきたいと思います。
  69. 長浜正雄

    長浜説明員 先生御指摘のように、確かに湖西線がもう完成間近になっております。それから、東海道線の輸送力が詰んでおりますので、それのバイパスというような意味からも、湖西線の山科から奈良線の宇治あたりに、場所ははっきりしませんが、あの付近に出まして、それから長尾に結ぶ、それから片町線を通って大阪市内に入る。あるいは貨物のルートとしては、それから吹田のヤードに入るというようなことが考えられますので、昨年も申し上げましたが、私たちとしてはこのルートについて、いま技術的にもいろいろ勉強しておるところでございます。このルートにつきましては、これは新しい線になりますので、工事をやるといたしますとどういう姿でやることになりますか、あるいは新線建設というかっこうになるのか、線増でいたしますのか、いろいろ問題があろうかと思いますが、この必要性につきましては高いルートであろう、こういうように考えております。
  70. 岡沢完治

    岡沢分科員 関西地区は、私鉄の開発が進んだせいもありますけれども、東京周辺に比べまして国鉄投資が非常に少ないといわれております。その実態を数字をもってここで明らかにしていただきたいと思います。大体大まかなことでけっこうです。東京周辺と大阪周辺の国鉄投資の額を、大体私も聞いておりますが、この際記録上明らかにしたいと思いますので、比較的にお答えいただきたいと思います。
  71. 長浜正雄

    長浜説明員 記録に残りますから、数字が正確でないと申しわけありませんので、後ほどにさせていただきたいと思いますが、私のいま感じで申しますと、東京付近が約五千億くらいで、大阪付近が七百億くらいであったかと記憶しております。間違っておりましたら、あとで記録のほうを訂正させていただきたいと思います。
  72. 岡沢完治

    岡沢分科員 私が突然質問いたしましたので、かえって恐縮かと思いますが、一般には東京の約十分の一の投資だというようにいわれております。これは大阪出身の代議士、われわれの努力の不足といわれてもしかたがないと思いますけれども、ほかの計数は、大阪は東京の大体二分の一というのが通常でございますが、国鉄投資に関する限りは大きな格差があるわけでございます。また、これにはほかのいろんな事情もございますので、その数字だけで比較にならないことは重々承知いたしておりますけれども、それにしましてもあまりに格差があり過ぎるんではないか。万博を契機にいたしまして、関西の経済的な地盤にいたしましても、あるいは社会的、あるいは文化的な立場からも新しく脚光を浴びようとしておるときに、国鉄としてもぜひ関西にも目を向けていただきたい。  あわせまして、この際実力大臣といわれる運輸大臣にちょっとお尋ねいたしたいのですが、昨年も国鉄総裁にお聞きいたしましたが、この片町線につきましては、先ほど指摘いたしました九・六キロの複線化に十二年かかるという、ちょっと現在のおとぎ話のような遅々たる開発速度のおそさに地元では業を煮やしまして、むしろ国鉄を私鉄に払い下げてもらいたい。現に京阪電鉄あるいは近鉄等、まあ役所のほうにはそういうことをおっしゃる勇気はないかもしれませんが、われわれには、むしろそれが可能ならぜひもらい受けたい。また地元の関係市町村等につきましても、そのほうがむしろ地元に役立つという動きがあるわけでございます。なくなられました関西電力の元社長の太田垣さんは、赤字路線なんか思い切って私鉄に払い下げればいいじゃないか、何も無理をして国鉄が経営に携わる必要はない、むしろ私鉄のバイタリティーあるいは創造性等を活用し、しかも私鉄ならば十分に開発利益の吸収その他でもうけ得るという路線は、思い切ってそういう新しい方向での態度も必要ではないかという御意見を発表されたことがございます。私は、国鉄でなければならない路線は、場合によったら赤字をも覚悟で開いていただくことも可能かと思いますが、この路線のごときは、国鉄の場合大きな利益をあげておられない、私鉄は相当な大金をもって買収してもいい、地元もそれを望むということであれば、国鉄のメンツ等を離れました場合、私はむしろ私鉄に経営をまかすというのも一つの大きなアイデアではないかと思うわけでございますが、そういうこともお考えになる意思はないかどうか、お尋ねいたします。
  73. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 実は私、四十一年のときに建設大臣をやっておりまして、立体交差の問題で大阪に二日ほど調査に行ったことがあります。なおかつ四十二年には、私は万博の特別委員長として輸送問題の調査に二回ほど参りました。その間、役所関係及び民間関係の人と数回の懇談をしたのでありますが、私が考えましても、どうも大阪地区は鉄道を含めていわゆる公共投資が非常に少ないといいますか、悪いことばで言えば虐待されておったということを私は非常に感じたわけです。この片町の問題も当時出ました。そこで国鉄の当局に対して、一刻も早く電化計画を進めろということを強く指示して、当時それが進められたわけでございます。  これには、やはり歴史的な事情があると思います。どちらかといえば、大阪の私鉄の力が非常に以前は強かったということ、したがって、全体の輸送の建設及び運営を持っておる国鉄としては、民間の力のあるところにややもすれば力を貸してもらうといいますか、そのほうにおんぶをしておった。東京のように私鉄が比較的弱いところは、国みずからが、国鉄みずからがやらざるを得なかったというような歴史的な事情が一つは今日においては災いしておるのじゃないか。しかしながら、今日では私鉄といえども、かつての関西、大阪を中心にした私鉄の力にも限度が出てきてまいっております。したがって、根幹輸送国鉄がやらなければならぬ。いま御指摘の路線につきましては、当然これは国鉄根幹的な輸送をも——根幹といいますか、さような使命を持っておるのでありますから、十二年というのはどういう意味か知りませんけれども、さようなことを言っておらないで、二年なり三年なりの計画を立ててびしびしやる必要があれば、当然これは年次計画を立てて、びしびしやるという形で進めていく。しかし、それが財政上できない、しかも緊急を要するということであれば、いまのような民間に譲るとか譲らぬとかの問題が出てまいりましょうが、私は具体的な数字の判断をいたしておりませんけれども、いま関係当局の説明を聞きましても、そうたいした問題ではない。大きなものをやればたいへんな問題になりますけれども、その部分的な解消をするのには、そう長い年月を要する必要はないだろう。その意味において国鉄当局を鞭撻して、急速にそれらの改善を行なわしめるという方針で当分の間進めたい、かように考えております。
  74. 岡沢完治

    岡沢分科員 非常に前向きな御答弁でございますが、一点だけ、これは国鉄総裁も含めてお聞きしたいのですけれども国鉄の路線を廃止してバスにするというようなこととは別に、思い切って私鉄に払い下げるということが、法律上不可能な点があるでしょうか。あるいはまた、何かそれについて制約があるとか、基本的な方針というのがあるのかどうか。いまの運輸大臣の御答弁では、早急にわれわれの希望を満たすから、その必要はないという御答弁でございますから、必ずしも法律的にはそれは不可能ではないという趣旨にとれるように思えるのでございますが、その点をお願いいたします。
  75. 町田直

    町田政府委員 日本国有鉄道法によりまして、法律で定めるもののほかは譲渡あるいは担保に供してはならない、こういう規定がございますので、営業しているものを譲渡いたします場合には法律で定める、こういうふうな法律上の規定になっております。
  76. 岡沢完治

    岡沢分科員 ただいまの御答弁では、法律でさえ定めれば私鉄への払い下げも可能だというように解してよろしゅうございますね。間違いございませんか。
  77. 町田直

    町田政府委員 それでよろしいと思います。
  78. 岡沢完治

    岡沢分科員 もう一点、こまかい点を常務理事にお尋ねいたしたいと思いますが、昨年も尋ねましたが、四条畷から以北の昼間一時間に一本という運転間隔は、どう考えても実情に合わないわけでございます。先ほど、昼間は乗り手が少ないとおっしゃいますけれども、逆に京阪に流れているわけで、これはニワトリが先か卵が先かという問題になりますけれども、せめて複線が実現するまでの間、運転間隔等について沿線住民の利便をはかってもらえないかということが一点。  それから、昨年この分科会で指摘しました津田−長尾の間に新しい駅を設けていただく構想はないか。これは距離も長うございますし、付近の開発が急速度に進んでおりますので価値があるのじゃないか。並行して走っておる京阪線の場合なら、駅を設けることが十分考えられる地点でございます。  それからもう一点、住道駅と野崎駅との間に昔ありました東住道駅を、無人駅でもけっこうですから電車をとめていただくという方法はないものだろうか。これは昨年もその必要性については具体的に指摘いたしましたので、それ以上触れませんが、阪奈国道と交差いたしますし、かつてそこに駅があったわけでございますし、しかもまだ敷地は残っております。複線化されましたときの状況等を見ましても、無人駅をつくる用地上の余地はあるようでございますから、その辺についてお答えをいただきたい。もしいただけなければ、これについての見通し等について、今後の御方針でけっこうでございますから、お答えいただきたいと思います。
  79. 長浜正雄

    長浜説明員 列車回数につきましては、線路容量の許す限り、通勤その他でお客さんが非常に多いときには、事情の許す限り列車をふやすように努力いたしたいと思います。  それから新駅につきましては、さいぜんからもお話が出ておりますように、要員の問題その他の問題がございますのと、それから、新駅をつくりますと、それだけ運転間隔が延びます関係で、線路容量が押えられるという問題が単線の場合はございます。複線の場合には、その点はその分だけ列車が数分おくれることになるわけでございますが、そういうこともありますので、それらとにらみ合わせながらいま現地、地元からのお話を受けまして、現地の管理局で勉強させております。ちょっときょう右左の御返事はできかねるのでございますが、至急勉強させて、また別途お答え申し上げたいと思います。
  80. 岡沢完治

    岡沢分科員 もうこれで質問終わりたいと思いますけれども、この間大鉄の局長がお見えになりまして、たとえば片町線の中で、必要性の少ない部分貨物の取り扱いをやめるとか、合理化についての御説明がございました。私は喜んで積極的に賛成をしたわけでございます。合理化をすべきところは大いに合理化もしていただく、そのかわり、ちょっと駅をつくっていただくことによって住民も非常に利便を感じ、営業上もプラスになるという駅の新設等につきましては、必ずしも大儀がっていただかぬで、私が先ほど申しました私鉄なら設けるだろうと推測されるところに、国鉄なるがゆえにいわゆるお役所仕事で駅ができないということはおかしいと思うので、やはりもう少し融通性、能率性を考えていただきたい。地元の便利も考えていただき、ぜひ前向きで検討いただきたい。  最後に、橋本運輸大臣にもう一点だけお願いいたしますが、先ほど、建設大臣当時もこの片町線のことについて御留意をいただいたということで非常に心強く思うわけでありますけれども、片町線という名前のある片町という駅は、御存じかどうか知りませんけれども、東京でいえば九の内のすぐのど元に突きささっているわけです。一キロ以内に大阪府庁、堀一つ隔てまして大阪城に接するわけでございますが、おそらく大臣も御存じないくらいさびれているわけでございまして、ほんとうは大阪の都心に入っておりながら、終点が行き詰まりで全く活用されておらない。利用方法いかんによっては、通勤的にも、通学的にも、あるいは住宅開発としましても、よくいわれますように、大都市周辺土地がないのではなしに、鉄道がないから、道路がないから、開発されるべき土地が置き去りにされているわけでございますけれども、この片町線の場合は、もし鉄道がなければ、新しく敷設してもいいくらい価値ある路線なんでございますが、せっかくありながら宝が持ちぐされされているわけでございますから、ぜひ再度御検討いただきまして、私がいま申し上げましたのは小さい問題ではありますけれども、やはりこれは国鉄の赤字対策あるいは能率経営とも結びつきまして、こういう点にも行き届いた御配慮をいただくことによって、国民国鉄への信頼、そしてまた単に国鉄採算だけではなしに、住宅対策、あるいは地域開発、あるいは通勤、通学対策、いろいろな意味に非常に効率の多い路線でございますので、前向きな、しかも具体的な、通り一ぺんの御答弁でないお取り組みをお願いいたしまして質問を終わります。
  81. 渡辺栄一

    ○渡辺(栄)主査代理 岡沢完治君の質疑は終了いたしました。  田代文久君。
  82. 田代文久

    田代分科員 運輸大臣質問いたしますが、この再建計画について、先ほど、赤字だからという点を非常に宣伝されているけれども、必ずしもそうではない、これは内容として、近代化とそれからスピード化ということが非常に重要なウエートを占めているのだということを理解してもらわなければ困る、こういうお話でございました。それは一般的にそうでなくちゃならないでしょうが、大体過去の、昨年の運賃値上げのときも、国鉄当局は赤字だ、赤字だ、どうにもこうにも赤字で国鉄は全く破産するのだというようなことで、値上げ理由を全国民に宣伝いたしました。そしてこれを押し切ったわけですが、今度のいわゆる再建十カ年計画の中には、その間二回値上げするということが、この物価高の中であらかじめこれは予約的に入れられておるのですね。その点に国民も、私たちも非常に大きな疑問を持っているわけです。ですから、その疑問の点についてまず質問いたします。  国鉄が出している一番新しい最近の資料で、昭和四十三年度の国鉄の監査報告がございますね。これによりますと、貨物列車は四十二年に比べ、四十三年には地域間の急行便を約五倍にふやし、全体としては約三倍にふえておる。ところが貨物運賃の収入は、全体でわずか一%しかふえてはおらない。しかも、一般の住民の小荷物とかあるいは中小企業が利用する小口貨物運賃というのは、とにかく二七%もふえている。大口の車扱いの運賃は、その間前年度よりも二十億円も減っている。こういう明確な矛盾が報告されておるわけですね。しかも国鉄は、大手業者のために専用線を三千百六十三線も敷いてその費用も負担しておる。あるいは臨海工業地帯鉄道には、三分の一から半分近い出資もやっておる。さらに、これは米軍用の貨物輸送なんですが、これは優先的に、しかも非常に低料金で輸送されておるし、川崎港から八王子までアメリカは軍用の、戦争用のガソリンを非常に運んでおることは明白なわけなんですけれども、今後これをパイプラインで送るというような計画も進められておるということを聞いておる。これはおそらく今度の計画の中に入っておるんじゃないかと思うのですが、こうして新しい計画も含めて大企業、私たちの言っています独占企業とかあるいは米軍のためには、採算上実際に引き合わないというような、そういうばく大な投資をやる一方、中小企業とかあるいは国民貨物輸送、そういうものについては、集約化の名のもとにこれを廃止するというような方向がここに出ている。  国鉄当局は、以上のような独占企業、大企業と米軍のために多額な資金を投入する一方、それとの関係で巨額な内部蓄積を行なっているんじゃないか。四十三年度末、総資産に対して三七%以上の償却がもうすでにできている。前国鉄総裁の、あなたが副総裁をやられておったときの石田さんは、四十三年の六月十九日か二十日ごろに、この件について財界人を集めた会合で、次のように発言をしておること、これはあなたも御承知と思います。こういう発言をしています。普通は工事費とその利息は建設仮勘定に入れるのが定石だ、だが国鉄は利息は損金に落としておる、四十年度に六百四十六億円、四十一年八百三十五億円、四十二年一千四十七億円、四十三年には千三百億円、これはみんな損金にしておる、また償却は十二分にやっておる、四十一年度は固定資産は三兆七千億円だが償却は一兆三千億円やっておる、これを引けば二兆四千億円だ、四十一年には一千四百五十億円、四十二年千五百三十億円とやってきておる。いかに国鉄が償却をやっておるかという証拠としては、新幹線は、普通十六、七年であるのに七年でこれを済ましておる。工事中の利息の損はきっちり計算し償却も十二分に見ている。こういうふうな発言をやっているわけですね。これは国民に対してやっているわけではないのですよ。こういうことがやられておって赤字だ赤字だという、そういう宣伝はごまかしじゃないか。これでは国民はとても納得しないと思うのです。しかもアメリカ軍や大企業、そういうふうな独占資本の貨物を優先して安く扱う。この費用を乗客の運賃の値上げでつじつまを合わせるというようなことを国民が納得するかどうか、これは許されるかどうかという問題なんです。国鉄がいわゆる赤字といっておる赤字なるものは、こうした内容を持ったものだと指摘せざるを得ない。     〔渡辺(栄)主査代理退席、主査着席〕 したがいまして、昨年に引き続いて二度にわたる大幅な運賃の値上げを今度の計画で見込んでおるが、国鉄の労働者に対しては実質的に——労働組合が言っておることは御承知のとおりだけれども、十六万五千人に及ぶ大量の人員削減と低賃金、労働強化を強制する再建十カ年計画を出しておるわけです。これは非常に矛盾に満ちた、この計画そのものが不合理、不当なものと考えざるを得ませんが、この問題について運輸大臣考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  83. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 経営関係の問題が中心のようでありますからして、総裁から答弁させます。
  84. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの御質問たくさんございまして、その中にこまかい点がございますので、私からまず御答弁申し上げます。  一番初めに、償却費が内部保留になっているんじゃないかという御質問でございますけれども、御承知のとおり、国鉄は、内部保留、償却費で計上したものは全部工事資金の原資になります。その点、一般会社とは全然経理のやり方が違うことは先生承知のとおりでありまして、いわゆる内部保留として残っておるものはその年の工事費の一部になるわけでございます。ですから、それは線路なり車両なりになって、物にかわっているというふうに御了解願いたいと思います。何か内部保留でもって金を持っていると誤解なすっているように承りますが、そうじゃございません。それは全部資産にかわっておるわけでございます。これは貸借対照表をごらんになるとよくわかると思いますが、減価償却引き当て金は全部資産にかわっておるわけでございます。それが線路であり、車両であり、停車場であり、ひっきょうするところ、それが輸送力に戻っていることは御承知のとおりであります。  それから、ただいまパイプラインによる米軍のガソリン輸送をいろいろ計画しているというお話でございますが、私ども、米軍のガソリン輸送をパイプラインでやるつもりはございません。一般民需でございます。むしろ一般民需が山手線なんかを通るのを防ぐ意味でパイプラインにしたいというような意味でもって、米軍のためにパイプラインをつくるわけではございません。その点も私ども計画ははっきりいたしております。  それから、米軍輸送が安いのじゃないかというお話がございました。これは前国会でもそういう御質問があったのでございますが、賃率その他は全部一般貨物と同じものを使っております。たとえば一番多いのはガソリン、火薬、これは日本の一般の石油会社あるいは火薬会社の輸送する運賃と全く同じでございます。少し前まではその賃率を変えて、トン数の計算のしかたを変えておりましたので、何かそういう誤解があったようでございますので、それをすっかり改めて、結果的には同じでございますが、計算の過程は全く一般と同じ賃率表を使っております。それは誤解のないようにお願いいたしたいと思います。  それから一般雑貨につきましては、五百品目ぐらいございますので、これは一品一品内容を見るわけにとてもいきませんので、全国のレベルによって一級ないし二級の運賃を使っております。したがって、アメリカに対して、私どものほうでは運賃上のサービスあるいは輸送路線のサービスは一切いたしておらないということをはっきり申し上げておきます。  それから利子の問題でございます。これはたとえばことしの予算書をごらんくださいましても、山陽新幹線の利子百五十六億、これははっきり工事経費の項に計上いたしております。しかし、なぜ一般の大きなプロジェクト以外の経費を落とすかと申しますと、これは毎年毎年四千億近い工事をいたしております。その工事が、同じくらいずつ竣工いたしてまいります。したがって、その工事ができればその利子は当然経費で落とすわけでございますので、一件一件それを経費で落とすよりも、毎年毎年、たとえば去年、おととし投資したもののうちのことし落とすものが四千億あるとすれば、大体ことしの工事費を四千億見込むわけでございます。したがって、経費で落とすことしの分は、ほんとうはことしの工事費で落とすべきものですが、前の経費で落とすものがことしの経費で落としているということで、順繰りになっておるわけでございます。したがって、非常に工事費の波動のあるときには、石田前総裁のおっしゃったように、私どもそういう考え方でございますが、工事費に波動のない、大体コンスタントに四千億なら四千億で工事する場合には、そのときの損金で落とすことは差しつかえないわけでございます。したがって、いまの山陽新幹線のように、非常に波動のあるものは予算書のとおりきちっと工事費で落としております。したがって、石田さんのお話の、全文ごらんになったかどうか知りませんが、私どもそこにおりましてそういう御説明をいたしております。
  85. 田代文久

    田代分科員 米軍のガソリンなんかは、これは米軍用としては別に特にパイプラインによって輸送するつもりはない、扱わないということなんですか。
  86. 磯崎叡

    磯崎説明員 いま大体私のほうで考えておりますのは、東京の奥か埼玉県ぐらいのところに基地をつくりたい、そういたしますと必然的に米軍は使えないわけでございます。一般の、主として関東の北辺の民需用というつもりで、私どもパイプラインの計画をいたしております。
  87. 田代文久

    田代分科員 いまの御答弁についてまだ納得いかない点がたくさんありますけれども、時間がありませんから先の質問に入りますが、国鉄の労働者に対する合理化、賃金問題について、これは大臣並びに総裁に伺いたいのですが、いわゆる再建十カ年計画というのは、すでに発表されていますように、第一に全事業量を一六〇%にするということになっておるわけですね。六割事業量をとにかくふやすということになっておるわけです。ところが、これに従事する労働者は逆に、表づらの発表では六万とか八万とかいっていますけれども、実際上においては十六万五千も削減するということになっておる。この再建案の合理化計画というのは、機械の導入によって人員の削減をするという趣旨で宣伝されておりますけれども、これは機械に対する過信、機械さえ持っていけば人がいなくても全部片づくのだというような印象を国民に与えるような形になっているのじゃないか。先ほど運輸大臣が近代化ということと、それから近代化の内容としてはスピードアップということがなければならぬと言われましたが、私どもは、大臣が言われる近代化ということは、ただ機械を入れるとか人を減らすということじゃなく、逆に、ほんとうの近代化、これは当然やらなければなりませんけれども、その基本的な近代化ということは何か、これは労働者が安心して生活もからだもとにかく十分危険にさらされることはないという基本的な条件が満たされること、実際の国鉄を背負っているのは労働者なんですから、労働者のそういう生活条件の近代化が無視されるというような形で近代化をうたってもらっては実際に困ると思うのです。現に機械化機械化と盛んに言われていますけれども、昨年十月には上野駅で御自慢の電子式のリモートコントロールが故障したり、あるいは十二月には東海道線で故障を起こしたけれども信号は赤にならないということで、四時間半にもわたって列車の発着ができないというような例がありました。私たちは非常に不安を感ずるわけですね。これに類するような事故というのは、その後も非常に頻発いたしております。こうして不当な合理化、人減らしがやられるということは、労働者に、先ほどの近代化とは違って犠牲を負わせるだけでなく、国民に対して非常に大きな不安を感じさせる。私、汽車に乗っておっても、飛行機よりはだいじょうぶだと思っていたが、ところがいまは、飛行機と列車とどっちが安全かということがいえないくらい不安を感じるような事故が頻発していることは、御承知のとおりなんです。大臣所信表明で、交通安全対策、交通公害対策、防災対策の強力な推進をはかって、国民生活の安全の確保につとめるということを申されましたけれども、この国鉄の合理化、人員削減計画というのは、所信表明で言われましたことに反するものではないかというような気がするわけです。ただことばでうたうのではなくて、実際においてそういうことがなされるのか、なされようとしておるのかどうかということが問題になると思います。  これも御承知でありますけれども国鉄の労働者の賃金につきましては、先ほど申しましたように、この計画では大体六〇%以上仕事の量をふやしながら、賃金はそれに伴っておらない。実質的に引き下げられるというような形をとっておる。この計画によりますと、人件費の伸びというのは年に大体九%程度に押えられておるわけですね。ところが、このうちの四%近くというのは、これはもう賃金協定で当然自然に増額するようになっておるわけで、これもそっちに振り向けた中でいわれておる。そうしますと、各種の統計でも明らかでありますように、物価の値上がりというのは大体七%をこえておるというのに、物価の値上がり分をさえ下回るというような見込みの計画になっておる。御承知の昨年度の賃金のアップ率というのは一三・四%であったわけですね。非常に過酷な労働に耐えて国鉄をしょっておる労働者の賃金は、他産業に比べて実際非常に安いんですね。日本の全体の賃金が、諸外国に比べて、進んだ資本主義国では最低であると言っても過言ではないでしょう。その中でも国鉄の労働者は非常に長い間勤務しながら安いという、そういう現状である。本年は当然、昨年の一三・四%をはるかに上回る賃金要求が出されておるわけでありますが、この物価高の中に非常に密度の高い労働を余儀なくされておる労働者にとって、この賃金アップを認めることは当然といわなければならないと考えます。したがって、実質五%前後の賃金のアップ率というのを見込んだこのような計画は、全く現実を無視した一方的なものであって、これは常識をはずれておる、非常識きわまるものじゃないかというふうに私たちはとらざるを得ないのです。このことは、この十カ年計画そのものが、実行に移されるしょっぱなからすでに破産しておるということを言わざるを得ない。賃金の計画計算によりましても、実際においてこれはしょっぱなから破算している計画になっている。政府並びに国鉄当局が、これはもうそういうものだということを承知の上で計画を強行されるということは、——もしこれを強行されるならば、再建の名のもとに有無を言わせず不当な低賃金を労働者に押しつけて、しかもそれを固定化する、君たちの賃金はもう上げないのだというふうに固定化しようとするものであって、これは国民の意思を代表する私たちとしては、容認することはできない。このように考えざるを得ない。したがいまして、政府並びに国鉄当局は、このような合理化と低賃金計画をもって、国鉄業務のにない手の労働者を納得させることができると確信しておられるのかどうか。この計画を実際において実現し、またこれを完成するためには、国民並びに直接的な国鉄の数十万の労働者が納得しなければ、この再建計画はできないと思うのです。しかし、いま申しますようなこういう内容では、とても四十数万の国鉄の労働者を納得させることは不可能であるということはあらかじめはっきりわかっておるわけでありますが、そういう点について御答弁を願いたいと思います。
  88. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 田代さんのお話前提には、あなた自身できめられた前提があるのですね。一つは近代化反対、合理化反対、一つは現状をもって低賃金化反対、こういう前提のレールの上に乗っけて、そこで御議論が進められるので、私たちと意見がなかなか食い合わない。あるいは最後に田代さんが、したがって、国鉄再建計画は撤回したらどうかと言われるかと思ったら言われなかったんですが、前提があるように承知するのですね。  そこで、御承知のように国鉄再建が、もちろんこれは赤字問題もありますけれども、私が先ほど申しましたように、現代の近代化に即応する対策をとらなければ、国鉄は全く百年前のほろ馬車時代を歩いていくんだ、その結果として、いわゆる増収の面が出てくる、経済再建の面が出てくる、こういう考え方を述べたんですが、私は機械に全面的にたよると言っておるのではありません。皆さんが御承知のとおりに、郵政省においては区分機という機械を開発しまして、それをおもだった郵便局につけたところが、これに対しても反対をなされた。もっと極端なのは、電話の自動化を進めるにあたって、自動化を行なおうとしたところが、これに対しても力ずくででも相当な反対をした。私たちは、機械によって人間が使われるのではなく、人間が機械を使っていくのであるから、したがって、いわゆる人間が機械を使うので、機械によって人間が使われるのじゃない。でありますから、実際上電話の自動化を進めてまいったところが、地域住民から非常に歓迎せられて、いま電電公社は自動化をやってくれという要望にこたえられないほどの自動化が進められておる。また、郵便局関係におきましても、自動区分機がつけられましたところは、結果的には、いわゆる人間がやらなくていい仕事を機械がやってくれるのでありますから、関係労務者といいましょうか、従事員には非常に歓迎されておる。私たちが言っておる近代化というものは、そういうぐあいに人間が無理にやらなくてもいいことを人間がやる必要はない。機械でもってやれるものは機械でよろしい。同時に、それが現代社会の上にマッチして、いわゆる省力化が進められていく。そういうことが行なわれなければ、いつまでたっても国鉄の近代化というものは進んでいかないから、いわゆる交通体系といいますか、交通上の主役の座をおりざるを得ない。けれども、現実の問題としては、国鉄というものは何といっても主役であることは間違いないのでありますから、その能力を発揮させるためには、やはり当然機械化、ある意味における機械化も進められ、近代化も進められて、能率のある経済社会を実現していく、こういうことがあって初めてそれに働く従業員の待遇改善も進められるわけであります。  それで九%、これは国鉄の希望であります。しかし、この十カ年間に二回の値上げをやりたいという希望は持っておるようでありますが、政府はこれをどの時点においてどうするかの問題は、具体的にはきめておりませんけれども、そういう含みのもとに十カ年計画もできておることは御意見のとおりであります。その間において九%に押えていきたい。だがこの九%というのは、十カ年間を平均いたしまして九%、こういうことであります。したがって、去年の例からいいますなれば、去年は一三%をこえるようなベースアップでありますからして、それと直ちに九%を合わせるならば、これは合いません。けれども国鉄のいっているのは、十カ年間を平均して九%のいわゆる人件費が上がるであろう、またその程度におさめなければならない。しかし実際は、あるいは田代さんおっしゃるように、もっと高くなる場合もあり得ると思うのです。その場合に、国鉄としては、それに見合うだけの収入の増加に努力しなくちゃならぬ。これはある意味においては営業でありますから、したがって、企業の努力の上において増収ができないともこれは仮定できない。そういう意味からいって、労働賃金の上昇を平均して九%というところで押えて、いわゆる再建計画は立てられておる。必ずしも低賃金をしいるというわけじゃない。ことに国鉄の場合は、公企業体のいわゆる仲裁裁定というものがありますからして、原則としてはそれに従っていくことが当然でありますから、これが困難な場合においては何らかの道によって打開していく。要するに、国鉄がこのような措置を講じたゆえんのものは、やはりひいてはそれに従事する労務者の、あるいは労働組合員の、職員の待遇改善にも資する、こういうような考え方を持ってやっておるのでありますからして、私は、田代さんの言われるように従業員の待遇を低めることによって国鉄再建計画を考えておるんだ、こういうようにはとりませんし、かつまた逆に、国鉄従業員の将来の生活保障、豊かなる生活、こういうことを考えるためには、このようないわゆる企業の能率化をはかっていかなければならぬというところにも一つの目的がある、かように理解しておるものであります。
  89. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま大臣がおっしゃいましたとおりでございまして、私どもといたしまして試算いたしますと、先ほど先生が非常に運賃値上げを考えておるのはけしからぬとおっしゃいましたけれども、もしかりに運賃値上げをいたすといたしますと、昭和五十三年までに、先ほどおっしゃった輸送の伸びを入れまして、運賃値上げ分の絶対額は約二兆五千六百億です。それに対応いたしまして、いま九%といたしますと、先生が協定にあるとおっしゃったのは一応定期昇給のことだと思いますが、定期昇給を落としまして、いわゆるべースアップの分だけ計算いたしますと、それが実に二兆六千億であります。ですから、逆に申しますれば、十年間で行なえるであろうベースアップによって必要とする金額が二兆六千億、運賃値上げを二回することによって得る運賃収入は二兆五千億、逆に申しますと、運賃値上げを全部ベースアップに使う、こういうことでございます。その点は数字上はっきりいたしております。ですから、私どもといたしましては、これだけ競争かあればほんとうは運賃は上げたくないのであります。運賃を上げれば、それだけ競争力が減るわけであります。しかし、どうしても輸送の伸びがなければ、ある程度運賃を上げなければベースアップができないということでございまして、その点は、まさに先生おっしゃっていることの逆になっている、これは実際の姿でございます。
  90. 田代文久

    田代分科員 時間がありませんから最後に一言だけ。これは大臣にも、総裁にも、いまの話では相当切り返さなければならぬことはたくさんありますが、時間がありませんからその点は省きますが、まだ質問しなければならない点としては、国鉄の業者との契約問題、あるいは都市近郊の通勤路線の大幅な利潤をあげているというような問題、あるいは政府の補助措置など重要な問題がありますけれども、これは他日に譲るといたしまして、この際昭和四十二年、四十三年度の路線別、客貨車別の原価計算について、また米軍の運賃単価、それから米軍と取りかわしている契約書内容を資料として提出してもらいたい。これは委員長にひとつお願いしたい。  私は、国鉄の経理や経営の内容を明らかにするために、国鉄当局に対して以上の資料の提出を求めましたが、四十一年度までしかその資料ができておらないということで、どうしても資料を提出されないわけですね。現在四十五年になって、少なくとも四十三年度くらいまでの資料は、当然できるはずなのにこれができておらないということは、非常に国鉄が怠慢なのか、あるいは意識的に、そういう資料を出すことに対してはばかっておられるのかというようなことを疑問に思わざるを得ないし、そういう点は遠慮なくどんどん出していただきたいということをお願いして、国鉄の経理や経営の全内容国民の前に明らかにされた上で、国鉄労働者の生活と安全が保障され、国民のための国鉄として発展させる方向を見きわめるべきだと思いますが、この点を伺って、質問を終わります。
  91. 小林正知

    小林説明員 ただいま先生、原価計算の問題についてお話しございましたので、私からちょっと実情だけお話し申し上げます。  先生から国鉄の客貨別の原価計算、原価の内容について、新しいものまで提出をしろというお話がありましたことは承っておりますが、線別に原価計算をいたします場合に、全国で約二百四十六線ございまして、その線別の原価計算と客貨別の原価計算と、二つあるわけでございます。その場合に、客貨別の原価計算と申しますのは、同じ線路なり施設というものを、客貨の両方で使っておるような面が非常に多くなっておりまして、その辺の経費の配分というものは簡単にまいりません。この数年、四十一年から実は専門の学者の先生方も入れまして、原価計算研究会というものをずっと続けてやっております。私どもとしましては、できるだけ実情に沿いました原価を把握したいということで、目下研究中でございます。したがいまして、線別につきましては、先生ただいまおっしゃいましたように、四十三年度まで一応出ておりますが、客貨別につきましては、なおまだ浮動的な要素がございますので担当のほうからそう申し上げた、かように存じております。ただし、昨年の委員会で運賃の合同審査がございましたときに、当時の磯崎総裁から、国会におきましても四十二年度の大体客貨別の概数は申し上げておりますので、その辺の数字につきましては、御提出をすることは差しつかえございません。
  92. 田代文久

    田代分科員 これはコンピューターがある時代ですから、とにかくいまおっしゃったけれども、これはひとつどんどんやってもらいたいと思うのです。
  93. 藤田義光

  94. 宮井泰良

    宮井分科員 まず、大臣にお聞きしたいと思います。  先ほどから話が出まして重複するところもあると思いますが、まず全国新幹線鉄道整備法案要綱によりますと、「高速輸送体系の形成が国土の総合的かつ普遍的開発に果たす役割の重要性にかんがみ、新幹線鉄道による全国的な鉄道網の整備を図り、もって国民経済の発展と国民生活領域の拡大に資することを目的とすること。」とございます。これらのことにつきましては異存はないわけでございます。  そこで、昨日の鉄建審のお話けさ新聞で見ますと、九千キロで十一兆三千億あるいは十五兆円ともいわれておりますが、六十年完成でいたしますと、一年間に一兆円も要る。これでは資金面が問題であると思います。まあ私の考えでございますが、膨大な長期計画もよろしいですが、現在の東海道新幹線をつくるときにも、最初は一千九百億でスタートし、第一次補正で九百億、第二次補正で全額の三千八百億円になった。それは、最初から当時の十河総裁も、これを出しても閣議決定にならないということでそのようにしたのだと聞いております。このように次から次へと予算は膨張することはないか。また、財源につきましてもどのようにするか。自動車新税からというような話もあるようですが、自動車からの税金を自動車部門に使用するのではなくして、鉄道部門に入れるということは筋が違うのではないか。納税者の側に立ちまして慎重に検討するほうがいいのではないでしょうか。また、経済成長見通してやられておると思いますが、その点、大臣の御所見をまずお聞きしたいと思います。
  95. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 重要性はもう御承知でありますから、説明は省略いたします。端的に御質問の六十年あるいは十数兆円という金額及びその財源、こういうお話であります。ただ、昨日の鉄道建設審議会で決定されました要綱の中には、これを昭和六十年度までに完成するという一つの具体的な指示は受けておりません。かつまた財源につきましても、この決議によりますれば、「新幹線鉄道に関し、国は、その建設資金についての助成その他必要な措置を講ずるよう配慮し、地方公共団体は、その建設資金についての援助、用地の取得のあつ旋その他必要な措置を講ずるよう努めること。」こういうことでありまして、何か昭和六十年までに九千キロやってしまうということが決定されたかのごとくにおっしゃられておりますし、一部にもそう考えられておるようであります。私個人見解ですが、昭和六十年までに九千キロの新幹線を全部完成するということは、たいへんむずかしいことだろうと思います。したがって、おそらく審議会におきましても、運輸大臣が、実行する場合においては認可を求めて、そうして財源等を配慮してやれ、こういうふうな非常に理解ある決議をちょうだいしておるわけであります。  財源問題ですが、もちろんここにありますように、これから大いに検討して必要な措置を講じろ、こういうことでありますから、われわれはこれは検討しなければなりませんが、ただ、この機会にちょっと私の私見として申し上げたいことは、せんだって行政監理委員会で、鉄建公団というものは考え直してはどうかというような意見がいわれております。まだ私のほうに行管庁から正式の申し入れはありません、あれは佐藤総理のほうに出るのですか。ただ私はひとつ、これは行監の委員の諸君も、そのような意味の理解ではないようであります。鉄建公団というものができたのは、いわゆる国鉄というものが、御承知のように原則として独立採算制のものである。しかしながら、国鉄のになう責任というものは、もうかるところだけやればいいという責任じゃない。もうからぬところでも、それが国土総合開発に役立つ場合においてはやらなければならぬ。しかしながら、原則として国鉄というものは独立採算制というたてまえをとっておりますから、したがって、一つには、国鉄の負担をある程度軽減させるためには、鉄道建設公団に対して国はもっといわゆる財政資金なりあるいは政治資金なりを投入して、国鉄がそれを引き受けて運営する場合にその負担を軽からしめることを考える必要が一方においてあり、もう一つは、鉄道建設公団というものは、もちろん国鉄が仕事の膨大な量を持っておるからして、その一部の建設の仕事をやるべきである、この二つの性格があると思います。そのうち最も大事なことは、いわゆる国鉄全国開発の使命を持っておるのであるから、したがって、それが先行投資になるような場合であっても、これは必要によってはやらなければならぬ。その場合においては、そのままそれを国鉄独立採算に加えるならば非常に収支がマイナスになってくる、収支が悪くなってくる。それを防ぐためには、鉄建公団に対してもっと国は助成といいますか、積極的な措置を考えろ、考えないならば国鉄と同じようなことをやる必要はないのじゃないかという意味と私は理解しております。また、行監委員から私にそのような個人的な説明があったのであります。でありますからして、われわれが考えなければならぬことは、鉄建公団の使命というものと国鉄の使命の区分、その性格を明らかにしていく、こういう使命があろうと思います。そういうことからして、昭和四十四年度は、御承知のように鉄建公団に対するいわゆる国の事業費の割り当てといいましょうか、財投が中心でありますけれども、大体において四十四年度は約六百五十億くらいでありましたか、昭和四十五年度はそれに対して千五十億でありますから、六割以上、七割近く増額をさして、鉄建公団をもって新線建設をやらせるように積極的に進めていきたい。ただ、内容的に見れば、もっといわゆる国の一般資金を入れなければいけない。私は徐々に改善していきたい。その性格が、鉄建公団考え方国鉄考え方が、従来ややもすれば明確でなかったのではないか。もちろんこれは運輸大臣の努力も足りなかったかもしれないけれども、国、政府全体としてもその性格を考えてもらわなければいけない。そうしなければ、いわゆる商売にならぬ線はつくらないのだ。それならば過疎地帯におる国民はどうするのだ。これは政府の、国の責任なんです。そういう意味鉄建公団というものはつくられた。その使命を十分に果たしておらないことは私も認めます。しかしながら、今後はそういう観点に立って鉄建公団を指導し、あるいは助成し、また国鉄に対してもそういう考え方でやっていく。そういう意味において、今度の全国新幹線網の場合においても、国鉄鉄建公団にやらせるゆえんのものは、ある程度独立採算制の可能なところ、あるいはそれに近いところ、これは国鉄がやってしかるべきであろう。しかしながら、どうしても当分の間採算が合わないものがある。それは鉄建公団が国の助成を受けて積極的にこれを行なえ、私はこうこれを理解いたしております。  しかしながら、膨大なる金額でありますからして、国が一般会計あるいは財政投融資だけではやっていけないかもしれません。しかしながら、財源となりますと、いま具体的にしからばどういう税金を取るかということになると、いろいろな問題があると思います。ただ一つ基本的にお考えおき願いたいのは、いわゆる自動車あるいは飛行機の場合——飛行機の場合におきましては、飛行場は国がほとんどこれを整備しておる。ただのところに飛行機がおりるのですね。あるいは自動車の場合は、国がつくってやった道路の上に乗っかっていく。鉄道の場合にはそれができない。自分で基盤をつくり上げて、その上を走らせる。こういうハンディキャップがあります。そうすると、この財源というものは、直接税の目的税的なものを考えることはなかなかむずかしい。通行税を思い切って取るということもありましょうが、これは国民の一部の人に負担をかける。そういう意味鉄建公団を十分に活用して、不特定多数、国民のだれでも必ず新幹線なり何なりに乗るのでありますから、そういう国民全体の利益の上から、いわゆる一般会計の中から鉄建公団にある程度の出資がなされないと、この新幹線問題も将来はむずかしい問題が出てくる。もちろんそれだけでもできませんから、長期低利の大きな融資も仰がなければならぬでしょうし、それを国のほうがどういうぐあいに考えるか。田中構想のような考え方一つであります。それをこっちへ分けるという方法もありましょう。そういうことは大蔵省なり政府全体として考える。運輸省としては、将来の総合的な国土開発のためにこういうものをやっていく。財源の問題は、したがって政府全体の責任において考えるべきものと私は考えております。
  96. 宮井泰良

    宮井分科員 公団のことにつきましてもいろいろこまかい点もございますが、きょうは限られた時間でございますので、また運輸委員会等でお聞きしたいと思います。  次に、国鉄総裁にお尋ねをいたします。  山陽新幹線は、新大阪−博多間、総延長約五百六十五キロ、総工費六千五百億円をもって五十年完成予定で目下工事中でございますが、その最も難関は用地買収であると思います。この建設費六千五百億円には土地値上がりの分を見込んであるのか、また施設費との関係はどうなっているか、お聞きしたいと思います。さらに、土地値上がりを考慮するとしたら完成期がおくれることはないか、その対策はどのようになっているか、お尋ねしたいと思います。
  97. 長浜正雄

    長浜説明員 具体的の数字でございますので、私かわりまして御答弁させていただきます。  用地費につきましては、大体総工事費の一割余を見ております。それで大体いける見通しでございますけれども、その用地の価格の出し方につきましては、近傍類地の価格を見まして、大体妥当なる数字ではじいております。そこで、値上がりの分でございますが、これは用地でございますので、毎年何がしかの値上がりは考えられると思います。それらはある程度は見てございますが、特別に、故意に用地を高くするというような場合の値上がり——故意のものはないと思いますけれども、そういうものは見てございません。またそういう故意の値上がりのないように、地元の地方公共団体あるいは地元の皆様方の御協力を得てスムーズに、また値上がりを来たさないうちになるべく早く用地を買収して、一刻も早く工事の完成をしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  98. 宮井泰良

    宮井分科員 次に、同じく山陽新幹線におきましては、直線を期するためにトンネル部分が多いようでございます。市街地部分と、中でも住民とのトラブルが起こっている部分、そういったところが何%くらいに当たるか、その数字をお聞きしたいと思います。
  99. 長浜正雄

    長浜説明員 トンネルが多いのは山陽地方地域の特殊性でございまして、海岸に山が迫っております関係上、住宅が古くから開けておりますので、家が非常に建て込んでおるということで地形が複雑でございますので、新幹線の場合には半径が非常に大きなものを使わなければならぬということで山岳部分が非常に多くなっている、こういうことでございます。  それから第二問の、現在トラブルがどのくらい起こっておるかというお話でございますが、幸いにして岡山以西につきましては、地元の皆さま方、特に地方公共団体はじめ皆さま方の熱望もあったせいでございましょうか、非常に御協力をいただいております。しかし、その間なおぽつぽつとトラブルといいますか、ルートの問題あるいは補償費の問題等でいろいろ問題が出ておりますが、これは極力、現地の工事局長が責任者でございますので、工事局長と現地の人と話をさせまして、円満に解決して早期に工事が終わることを私たち期待しておる次第でございます。
  100. 宮井泰良

    宮井分科員 次に、言うまでもございませんが、新幹線が敷かれるということはその地域の産業、文化の発展に大きく寄与することであり、喜ばしいことであると思います。その反面、地域住民に用地買収等で障害が起きることは、先ほど申し上げたとおりでございます。将来の発展のためには、少しはトラブルがあるのはしかたがないという考えもございますけれども、何とか納得のいく解決に努力をしていただきたいと思います。  そこで、御承知のとおり、山陽新幹線の徳山駅周辺におきましては、都市計画による建ったばかりの住宅のところを路線が通るということで、地元住民の強い反対が起きております。今後国鉄としてどのように解決をされるか。専門的には私もよくわかりませんが、アールといいますか、それを千八百から二千四百に大きく振りまして、その付近を通らないようにするのには技術的にどうか、その点を御説明願いたいと思います。
  101. 長浜正雄

    長浜説明員 徳山付近の問題点は、私も承知をしております。で、その徳山を出まして西のほうに、都市計画が最近完了した区間があるということも承知しております。ですけれども山陽新幹線のルートは、私たち非常に技術的に十分検討いたしまして、最も地元にといいますか、ルート的に一番いい、こういうルートを選定したつもりでございます。ですけれども、都市計画が完了した直後というような事態も承知しております。それらにつきましては、できるだけ工事局長と地元の皆さん方と話をして円満な解決をはかりたい、その際もできるだけ地方公共団体の御協力も得たい、こういうふうに考えております。
  102. 宮井泰良

    宮井分科員 次に、大臣にお聞きしたいと思います。  もう一つここで問題になりますのは、重要なことは新幹線の公害のことについてでございます。地元の方々が心配している点は、新幹線による騒音、振動等、住宅に与える影響のことでございます。聞くところによりますと、防石網の完備等配慮されているといわれていますが、東海道新幹線の各駅周辺の屋根がわらが落ちているとか、また網の目をくぐって石が落ちるとか、騒音が激しいということを地元の人々が知っているだけに信用できない、こういうわけでございます。その点どのような対策が講じられているのでありますか、また、そのような公害に対して大臣はどのようにお考えになっておるか、お聞きしたいと思います。
  103. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 さようなことはわれわれも聞いておるわけでありまして、これはまことに、せっかくの近代的な施設が付近の住民に公害を与えるということは好ましくありませんので、今後新幹線を引く場合においてはいわゆる防音壁、これをもっといろいろ開発してもらえば、だいぶあれでも違うようでございますけれども、その角度等を考えてもらえば、もっと騒音を少なくすることができるのではないか。大阪大学の近くを通るということでそういう問題がありまして、私のほうで注意したことがあります。これは高速道路のことですが、それ以上にもっと新幹線のほうが強いと思います。かつまた技術的に振動を防ぐ、これも技術的の開発を十分にやってもらいまして、こういうような近代的な装置をする場合には、ぜひ私は公害対策、安全対策というものをまず十分に頭に置いて考えてほしいと思っております。ジャンボがあれだけのスピードが出て、きょうの新聞で皆さんごらんのように、従来のジェット機より騒音が少ないということは可能なんですから、もっと技術を十分にやれば可能である。かく信じて、そのように十分に研究した上で、かつまた関係住民にも理解してもらって進めたい、こう考えております。
  104. 宮井泰良

    宮井分科員 次に、国鉄総裁にお伺いいたします。  山陽新幹線の駅と現在の山陽本線の離れている駅との輸送の件でございますが、現在の駅を通るところは問題はございません。また、自動車輸送は道路が新設されることもあり、心配ないと思います。列車輸送で、たとえば岩国駅と新幹線御庄駅とを結ぶ岩日線は現在単線でございますが、複線化など考慮する必要はないかどうか、また、その他の駅におきましても同様のケースがあると思いますが、どのように旅客を都心に輸送する計画であるか、お聞きしたいと思います。
  105. 磯崎叡

    磯崎説明員 新幹線ができまして、私どもといたしましてもなるべく現在線のお客を新幹線に移したい、乗っていただきたいというふうに考えますので、いま御指摘の両方が、乗りかえしやすくするということが一番大事だと思います。その意味で、東海道でもいろいろ経験いたしておりますので、新幹線と現在線の連絡につきましては、ダイヤの作成その他輸送力の面からできるだけのことをしてまいりたい。  それから岩日線につきましては、あそこは非常に古くから単線自動と申しまして、単線でございますけれども自動信号でございまして、非常に列車がよく入るようにできておりますので、当分の問いまのままでやっていけると思います。もし万が一輸送が詰まったようなときには、そのときに考えるということでやっていきたいと思います。
  106. 宮井泰良

    宮井分科員 もっとお聞きしたいのですが、時間の関係もございますので、大臣にお聞きいたします。  これは自治省にも関係あると思いますけれども、バスの公営企業に対する援助強化対策でございます。私の聞くところによりますと、全国で五十四市がバス事業を行なっておると聞いております。そのうち黒字は一市しかないということでございます。ひどいところですと、たとえば山口県の山口市の場合をとりますと一億二千万円の赤字で、一般会計から二千万円程度繰り入れているが追いつかない。さらに、各社乗り入れ料金に対して車両購入費等が上回り、民間企業に身売りしなくてはならないというところまで来ておるそうでございます。また、再建団体となっているため、合理化として五十五名を整理、路線廃止の方向へ進みまして、地域住民が反対をしておる。もっとこういった面に対しまして公共性を認めて、また、特殊事情を考えていただきまして援助を強化していただきたいと思いますが、その点いかがなものでございましょう。
  107. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 私は個人見解で、かつて、よく公営企業でやりたいというので、あまり賛成しなかったことがあります。どうしても民営ができない、民間会社がやれない、したがって初めから公営企業として赤字を覚悟してやるという前提で、地域住民のためにやらざるを得ない場合もあります。ところが当時は、金もうけになると思ってやった例も相当あるわけですね。  そこで、結果的な問題ですが、公営企業として、しかもほかには運ぶ手段がないというものに対しては、今後も何か特別な措置を考えていかなければならないと思いますし過疎地帯に対する助成策もその一つだと思うのですが、ただ、民営があって公営企業がある、それが競合するために赤字が出てくるという場合であるならば、両者が協力してそういう地帯を取り除くということも一つの方法だろうと思います。いずれにせよ、自治省と十分に連絡をとりながら、最もよき方法で調整をしていきたい、かように考えております。
  108. 宮井泰良

    宮井分科員 次に、話はかわりまして、地方空港整備計画につきまして大臣に若干御質問したいと思います。  この計画を見ますと、滑走路の延長、エプロン等の拡張に重点が置かれておりますが、旅客の安全をはかるために、ローカル空港にもレーダー誘導装置が必要であると私は思います。現在はほとんど有視界飛行でございまして、勘にたよっている向きがございます。それについて危険はないかどうか、また全天候で発着可能にするために、レーダー装置の完備を考えたらどうかと思いますが、いかがなものでございましょう。
  109. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 原則として宮井さんのおっしゃるとおり、機械化の時代でありますから、機械化を十分に整備する必要があります。予算関係上なかなかそこまでまいりませんけれども、人間の勘にたよることくらいあやまちが起きる場合はありません、やはり機械を人間が使っていくというたてまえでないと。そういう意味ではおっしゃるとおりでありますから、地方空港の整備に関してもその方針でまいりたい。ただ、予算がそれに伴わないので、急速に実現はできませんが、できるだけ早くそのような措置を講じていきたい、かように考えております。
  110. 宮井泰良

    宮井分科員 次に、簡単にお願いしたいと思いますが、地方空港整備五カ年計画は、経済成長の伸びあるいは旅客輸送増大で再検討段階に来ているのではないか、かように聞いております。その際、どうしても必要とする空港は、これからの長期整備計画の中に入れる考えはないかどうか、お尋ねいたします。
  111. 手塚良成

    ○手塚政府委員 御指摘のように、最近の航空輸送需要は非常に著しい伸びを示しております。四十二年から始めました五カ年計画も四十六年で終了いたすことになりますが、いまの輸送需要の増大前提にいたしまして新しい長期計画を策定したい、かように考えて目下検討中でございます。したがいまして、具体的な空港につきましてもその際に十分検討いたしたいと考えております。
  112. 宮井泰良

    宮井分科員 次に、具体的に、たとえば山口県宇部市に第三種空港として宇部空港がございます。この地元住民で構成いたしております空港対策委員会の要望によりますと、次のようになっております。近年極度に高度発展をしてまいりました航空界は、わが国におきましても、いまや大型機を主体とする航空輸送の時代に突入せんといたしております。したがって当空港も、もはや現状の施設ではかかる時代の趨勢にたえられない事態が起きるものと考えられ、この点憂慮にたえない次第でございます。国におかれましては、航空界の大いなる発展に対処して、昭和四十五年度を初年度として空港整備長期計画を樹立され、これにローカル空港の重要なものは包含されるやに承っております。したがって当空港も、さきに述べましたとおり、周防灘総合開発と相まって、その重要性ははかり知れないところがあります。私どもは、県、市当局と一丸となって、国の長期計画に当空港の整備計画を取り上げていただき、一日も早く私どもの念願いたしております空陸とも安全にしてかつ航空界の発展にマッチする新滑走路を有する大型空港の実現を促進いただきたいところであります。このようにございますが、この点につきましてお考えをお聞きしたいと思います。
  113. 手塚良成

    ○手塚政府委員 宇部空港は、現在滑走路千二百メートルの第三種空港ということになっております。最近の輸送需要を見ますと、逐年これが増加をしてきております。また、周辺の経済の発展状況も著しいものがあるように見られます。先ほど申し上げましたように、日本全体の新しい航空政策といいますか、新しい事態に対処する長期計画をただいま検討中でございますので、その中で十分検討いたしたいと思います。
  114. 宮井泰良

    宮井分科員 それでは最後に聞きますが、ことし二月に宇部空港を運輸省から調査したと聞いておりますが、拡張計画があればプランを示してもらいたいと思います。また、山口県から滑走路延長その他整備計画につきまして話があったと思うのですが、その線に沿って努力をしていただけるかどうか、最後にお聞きいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  115. 手塚良成

    ○手塚政府委員 宇部空港の拡張問題は、まだ私どものほうからは、正式な調査ということで現地に参って調査をしたことはございません。県御当局におかれて、千五百メートルを目標ということでいろいろ調査をしておられるということは、一応聞いてはおります。これを今後どうするかということは、再三申し上げたとおりでござまして、将来の問題として十分検討いたしたい、かように考えております。
  116. 藤田義光

    藤田主査 以上で、運輸省所管並びに日本国有鉄道関係は一応中断いたし、十六日午前十時より続開いたします。      ————◇—————
  117. 藤田義光

    藤田主査 次に、昭和四十五年度一般会計予算及び昭和四十五年度特別会計予算郵政省所管並びに昭和四十五年度政府関係機関予算日本電信電話公関係を議題といたします。  まず説明を聴取いたします。井出郵政大臣
  118. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 郵政省所管各会計の昭和四十五年度予算案につきまして、その概略を御説明申し上げます。  まず、一般会計の予算でありますが、歳出予定額は六十三億一千百万円で、前年度予算額に比較しまして、七億七千六百万円の増加と相なっております。  この予算には、衛星管制施設の整備、実験用通信衛星の基礎研究の推進、電波監視体制の整備強化、データ通信制度の確立及び放送大学に関する調査に必要な経費が含まれております。  次に、郵政事業特別会計でありますが、この会計の歳入予定額は六千九百九十五億七千六百万円で、前年度予算額に比較しますと、七百二十八億二千七百万円の増加となっております。  この予算には、収入印紙収入等で一般会計へ繰り入れる、いわゆる通り抜けとなる業務外収入が一千八百五十五億一千二百万円ありますので、これを差し引いた実体予算、すなわち郵政事業運営に必要な経費の財源となる歳入は五千百四十億六千四百万円でありまして、これは前年度予算額に比較しまして五百六十三億七千百万円の増加であります。  一方、歳出予定額は七千百二十八億六千万円で、前年度予算額に比較いたしまして、八百六十一億一千百万円の増加でありまして、これから業務外支出を除きますと、実体予算としましては五千二百七十三億四千八百万円の増加となっております。  したがいまして、昭和四十五年度歳入歳出予定額におきましては、百三十二億八千四百万円の歳出超過となっておりますが、これにつきましては、前年度からの持ち越し現金を充当することといたしております。  この予算の中には、昭和四十五年度の重要施策としておりますところの事業の合理化、近代化のための諸施策、すなわち各種作業の機械化、郵便局舎等の改善、郵便番号制度の推進等に要する経費及び郵便貯金、簡易保険の増強に伴う経費などが含まれております。  次に、郵便貯金特別会計でありますが、この会計の歳入予定額は五千二百七十八億三千七百万円で、前年度予算額に比較しますと一千七十九億四千二百万円の増加となっております。  歳出予定額は四千二百十九億六千八百万円で、前年度予算額に比較しまして八百八十七億八千万円の増加となっております。  次に、簡易生命保険及び郵便年金特別会計でありますが、保険勘定におきましては、歳入予定額は六千九百二十一億六百万円で、前年度予算額に比較しまして一千百九十億八千四百万円の増加となっております。  歳出予定額は三千四百五十八億九千百万円で、前年度予算額に比較しまして四百四十四億八千万円の増加となっております。  また、年金勘定におきましては、歳入予定額、歳出予定額ともに三十億四千万円で、前年度予算額に比較しまして一億四千三百万円の増加となっております。  最後に、日本電信電話公社の予算案につきまして、その概略を御説明申し上げます。  損益勘定におきましては、収入予定額は一兆四百四十四億円で、前年度予算額と比較いたしまして一千五百七十八億円の増加となっております。  他方、支出予定額は収入予定額と同額の一兆四百四十四億円でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、給与その他諸費、営業費等で九百八十六億円、資本勘定への繰り入れ額で五百九十二億円の増加となっております。  資本勘定におきましては、収入予定額は内部資金で四千二百七億円、外部資金で四千九億円、総額八千二百十六億円を計上いたしております。  このうち公募債によるものは二百億円、縁故債によるものは五百五十億円となっております。  他方、支出予定額は建設勘定へ繰り入れ額で六千九百億円、債務償還等で一千三百十六億円となっております。  建設計画につきましては、最近における大都市周辺の電話需要の急増に対処するため、前年度予算に比べ三〇%増の一般加入電話二百十万個、地域集団電話三十万個及び公衆電話四万二千個の増設を予定するほか、情報革新の社会的要請に応じるためのデータ通信の飛躍的拡充、同一行政区域を考慮した加入区域の合併、さらに非常災害対策等の実施をはかることにより、一そう電信電話設備の拡充とサービスの向上を推進することといたしております。  以上をもちまして、私の説明を終わりますが、なお詳細の点につきましては、御質問をいただきましてお答えいたします。
  119. 藤田義光

    藤田主査 以上をもちまして説明は終わりました。     —————————————
  120. 藤田義光

    藤田主査 質疑に先立ち、念のため申し上げます。  質疑者が多数おられますので、質疑の持ち時間は、一応、本務員は一時間程度兼務員もしくは交代で分科員となられた方は三十分程度にとどめ、議事進行に御協力願いたいと存じます。  なお、政府当局に申し上げます。質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に要領よく簡潔に行なわれますようお願い申し上げます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。加藤六月君。
  121. 加藤六月

    加藤(六)委員 先ほど大臣から予算分科会における説明等をしていただいたわけでございますが、われわれが、いま郵政事業全体について非常に関心を持っておりますのは、二、三年来たびたびいわれておりました郵政公社化の問題でございます。     〔主査退席、渡辺(栄)主査代理着席〕 郵政公社化の問題は、いま作業はどの段階まで進んでおるか、そして今後どのように進むか、また郵政公社化する場合のメリット、デメリットをどのように判断されておるか、ごく大ざっぱなことでけっこうでありますから御答弁願いたい、こう思う次第であります。
  122. 野田誠二郎

    ○野田政府委員 お答え申し上げます。  昨年の十月十七日に郵政審議会から大臣にあてまして、「郵政事業の経営形態を公社化することは、これを機として経営の合理化、国民に対するサービスの向上を推進するという真剣な決意を一もって、あらゆる努力が傾注されるならば、その効果をあげるに役立つ方策として採用に価するものと認める。」、こういうことを趣旨といたします答申が出されたのでございます。省といたしましては、この答申を受けまして、答申の趣旨を尊重するということは当然でございますが、本来経営形態に関します事項は、非常に重大な事項でございます。また、事項が非常に多岐にわたっておるような関係から、これを慎重に審議をいたす必要がある、こういうことでございますので、現在、昨年の十一月末に省内に公社化に関します対策の委員会を事務次官を長として設けまして、総合的な部門、人事、財政の部門、それから郵便、貯金、保険の各部門六つの部会に分けまして、各部局長が長になりまして、これは課長、課長補佐、係員の一員に至るまで構成員といたしまして真剣に取り組んでおります。めどといたしましては、先ほど申し上げましたとおり、非常に内容が重大であり、かつ多岐にわたっております関係上、相当の慎重な審議期間、検討の期間を要するものと判断されるのでありますが、一応各部会でのあらましの検討というものを三月末ぐらいにつけまして、予算要求の時期、これは当然に七月、八月の時期にかかるわけでございますが、それまでの間におきまして、実務的なと申しますか、事務的な面からの検討を了したい、こういうことで現在検討を進めておる段階でございます。  なお、御指摘のございました公社化によりますメリット、デメリットの点につきましては、これはいろいろな観点から、またいろいろな、これは私のほうの関係の各事業部門別にも、各担当の部門別にも、あるいは相対するような見解も出てこようかと思うのでありますが、このメリット、デメリットの問題につきまして、審議会あるいは起草委員会の中でも詳細に論ぜられておりますが、こういう点はメリットである、こういう点はデメリットであるという段階までに実は固まっておりませんので、その点さよう御了承願います。
  123. 加藤六月

    加藤(六)分科員 その中で、郵政公社化とは関係があるような、ないような問題としていままで議論されておりました、たとえば東京郵政局を二つに分けるという問題、あるいは地方郵政局、監察局の統廃合、あるいは地方貯金局の統廃合という問題は、郵政公社化と関連して検討しておりますか。それとも別個に省内の合理化阻題として取り扱っておりますか。どうなんでしょうか。
  124. 野田誠二郎

    ○野田政府委員 ただいまの御質問でございますが、機構の問題につきましては、この答申が、直接には国民に対するサービス、それから事業の合理的、効率的な運営ということを目途として出されております。したがいまして、いま仰せられました、たとえて申しますと、東京郵政局の二分割の問題、あるいは郵政局をいろいろ分割し、監察局との関係から統合する問題、あるいは地方貯金局の統廃合等の問題につきましては、後段の合理化にかかります分で検討を今後の課題として進めてまいります。合理化と申します中には、機械化とかそういうことも含まれるわけでございまして、これの検討はなお先に延びるのではないかと思います。
  125. 加藤六月

    加藤(六)分科員 そうすると、念のために伺っておきますが、公社化案のあとに、いま言ったような問題を検討するということですか。それとも、公社化案が相当慎重にやらなければならない、そのかね合いを見て進めていくということなんですか。どうなんですか。
  126. 野田誠二郎

    ○野田政府委員 お答え申し上げます。  いま加藤先生の御指摘の、公社化の検討の中で論議するのがあるいは筋かと思うのでございますが、実は先ほど申し上げました、公社化の具体的な事務的な、実務的な問題は、各六つの部会に分散いたしまして、各部局の固有の問題をまず取り上げるというかっこうに作業を進めておりますので、いまおっしゃいましたような総合的なものについての段取りと申しますか、見通しというものにつきましては、いまの段階では、実は非常に迂遠な話でございますけれども、まだ確定いたしておりません。こういうことでございます。
  127. 加藤六月

    加藤(六)分科員 この問題は、またいずれ逓信委員会でお伺いしますが、時間がないので、とんとん飛んでいきたいと思います。  二月二十七日に佐藤総理から、北京政府との話し合いの門戸は常に開放しておかなくちゃならぬということから、郵便、電信電話などの問題について、業務当局の取りきめには、先方が応ずる場合には前向きにこちらもこたえていく用意があるというような内容答弁があったわけでございますが、郵政省当局は、過去十数年間、この問題については、技術的な問題としていろいろ検討されておったと私仄聞しておるわけであります。  そこで、この席でちょっと確認しておきたいと思うことがあるわけでございますが、現在KDDが、大阪−上海間の電信線、東京−北京間の電話、写真電送回線というものを北京政府との合意の上でやっておるようでございますが、これは事実であるかどうかということからまず承っておきたい、こう思うわけでございます。
  128. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 お尋ねの件は、いま時節柄、松村訪中等にも関連をして注目の問題だと思います。そこで詳細は、電電公社の総裁もおられますし、そちらからお答えを願うことといたしますが、先般、古井代議士が行かれるにあたりまして、若干資料というような意味では私からも説明はしてございます。冒頭、それだけ私から申し上げておきます。
  129. 加藤六月

    加藤(六)分科員 これは、私も前もって連絡してなかったので、たいへん恐縮なんですが、私たちが聞いておる内容といたしましては、電話は月百数十回使用されておる、電報は月一万数千通という電報が利用されておるということのようでございます。これは今後、大阪−上海、東京−北京以外に、たとえばさらに、北京政府の国内の通信網がどうなっておるかわかりませんが、それ以外の大都市との間にも、KDDその他がこれを広めていくのかどうかという問題が出てくると思います。  それから、これは郵便関係でございますが、年間約三百十万通、小包は約八千個くらい北京政府日本国内との間に往復がある。この数字は若干ズレがあるかわかりませんが、これは大体そういう数字でしょうか、どうでしょうか。
  130. 竹下一記

    ○竹下政府委員 そのとおりでございます。間違いございません。
  131. 加藤六月

    加藤(六)分科員 現在は、この郵便物、小包というのは、第三国経由で来ておるようでございます。そのルートはどういうルートを通ってきておるのかということと、期間は大体どの程度かかっておるかということがおわかりであったらお教え願いたい、こう思います。
  132. 竹下一記

    ○竹下政府委員 通常郵便物につきましては香港経由でございますが、小包はビルマ経由とソ連のナホトカ経由でございます。到達日数は、船便の時間帯にもよりますが、一月から二月の間かかっているのが実情でございます。
  133. 加藤六月

    加藤(六)分科員 これは新聞で見たばかりでありますが、もしパンナムが日本経由で中国との間の航空路を開設するとすれば、もちろん航空郵便物になると思いますが、これは除外しておいて、いわゆる普通の方法で直接日本と北京政府との間に郵便関係の業務協定というものがうまく話し合いがついて成立してやった場合は、期間あるいはルートというものはどうなるでしょうか。
  134. 竹下一記

    ○竹下政府委員 航空利用の郵便につきましては、お話のような直通の便ができません限りは、現在やられておる香港経由の方法と変わりないと思います。  小包につきましては、中共との間に月四回ないし五回の不定期便がありまして、これを利用すれば、いまやっておりますビルマ経由、ナホトカ経由の送達日数に比べれば相当時間的には短縮ができる。おそらく十日から二十日の間に、あるいは便によりましては一週間ぐらいで向こうへ着くということになろうかと思います。
  135. 加藤六月

    加藤(六)分科員 たいへん小さい話で恐縮なんですが、その場合の料金というのは、いまの第三国経由の場合と直接ルートの場合と差異は生じますか、生じませんか。
  136. 竹下一記

    ○竹下政府委員 第三国経由の場合に比べて、直接小包を送りました場合には、大体四割方料金が安くなるという見込みでございます。
  137. 加藤六月

    加藤(六)分科員 電信電話、郵便という、こういうマスコミが発達した今日におけるごくささやかな国と国との交通手段、文通、情報伝達手段でございます。郵政省当局の皆さま方の御努力によりまして、こういった問題がより広範に、より早く、しかも直接的に進展していくようにお願いいたしておきまして、この問題についての質問は終わらせていただきたいと思います。  そこで、自治省の皆川選挙部長もおいでになっているようでありますが、先般の衆議院総選挙におけるところのテレビ放送の問題でございます。回数というのは地区によって変わってきたわけでございますけれども、まずお伺いしておきたいのは、郵政省といたしましては、この地区については何回放送さすということ、あるいはこの地区の放送会社はVの会社だけでなくしてUの会社も入れる、こういった相談を自治省並びに郵政省当局でされたかされなかったか、この問題について承りたいと思います。
  138. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  郵政省といたしましては、そういった話は自治省から受けましたけれども、こまかい問題につきましては、自治省といわゆる実施する放送業者との話し合いというものにまかしてございます。
  139. 加藤六月

    加藤(六)分科員 その場合、それならこれは皆川部長にお伺いしますが、われわれの仲間のことばではいわゆる先発U会社ということばがございます。見ますと、北海道テレビ放送株式会社というUの会社が北海道第一区ではこれを放送しておる。あるいはまた新潟県へ行きますと、株式会社新潟総合テレビという先発U会社がこれをやっておる。あるいはまた長野県へ行きますと株式会社長野放送、岐阜県へ行きますと株式会社岐阜放送、こういうのがやっております。その先発のUのテレビ会社のいわゆる聴取台数、カバレージというものを具体的に自治省で研究されたんでしょうか、それとも郵政省の電波監理局でされたんですか、その点を両方から承りたいと思います。
  140. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 私のほうでは直接にはいたしておりません。主として放送会社のほう、特に民間放送連盟でいろいろ調査をしたようでありますが、そちらのほうと協議をしてやったわけであります。
  141. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  郵政省といたしましても、個々の問題につきましてはタッチしておりませんので、放送業者にまかしてあるということでございます。
  142. 加藤六月

    加藤(六)委員 皆川部長、私はこの問題を主として御質問いたしたいと思ったんですが、その場合なぜ私がカバレージという問題を出したかというのです。たとえばNHKであるとか先発のVの放送会社の場合、その当該選挙区におけるカバレージが九八%あるいは九四%になっておる、後発のUの会社が五〇%ないし六〇%しかカバーできない、そういう場合におけるところの候補者における出身地の強弱、こういった問題等について、放送会社を御指定になるときに検討されたかどうかということを承りたいと思います。
  143. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 この点は実は若干問題がございまして、どの辺までカバレージが進んでいるところまで取り上げるかということでいろいろ問題がございまして、多少あの資料には精粗があるようでありますが、おおむね六割程度以上いっておればこれは取り上げて放送させたほうがいいじゃないかということに一つのめどを置いたわけでございます。
  144. 加藤六月

    加藤(六)分科員 部長、その場合、全部六割以上のカバレージであるという確認はどういう方法でされましたか。
  145. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 これは民間放送連盟の資料によって私のほうは判断をいたしたわけでございます。ただ、きめましたのは九月ごろでございますが、その当時に中継施設等ができてよくなるであろうという期待を若干持っておったのもございますけれども、中にはその期待が間に合わないということになりまして、鹿児島であったかと思いますが、途中で三区を除外するというような措置をいたしたところもございます。
  146. 加藤六月

    加藤(六)分科員 この問題について私は逓信委員会でもずいぶん議論いたしておったわけでございます。  そこで、こういうことはお考えにならなかったでしょうか。たとえば新聞広告の場合は、候補者に選択権がある新聞社が数社以上ある。国から渡してもらえる新聞広告のなにというものは、候補者がどの新聞を選ぶか選択権がある。テレビの場合も、すでに先発のU会社があるところは三局以上あるわけでございます。そういう場合に、どのテレビに四分三十秒の自分の政見を出すかという候補者の選択権ということは、考慮されたでしょうか、されなかったでしょうか。
  147. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 これは全国各選挙区の状況が非常に区々でございます。通常のところはそういうことでも処理できたのじゃないかという気がいたしました。ただ、私のほうとしては、個々の民間放送と協議をするということが実際上できないものですから、日本民間放送連盟を通じまして協議を進めたわけでございますが、その場合に、やはり特定の放送施設に候補者の希望が殺到する、あるいはその人数がはっきりしない、こういう状況でございますとテレビの番組をつくる上において非常に無理がある、やはりある程度予測できたほうがいいということになりました。  それからもう一つは、選挙法の中に同一選挙区では同一の放送施設を使う、こういうことが書いてあるわけでございます。もちろんこれは私のほうとしても、選択を候補者にまかせるならば、その範囲内で同じ選挙区の人が甲乙別な放送局を選択してもかまわないと思いますけれども、それが本人の希望にそぐわない結果になるということになりますと法律上の問題も出てまいりますので、今回はそういったふうに選挙区ごとに指定をしたほうがいいのではないか。だいぶこれは議論がございまして、最終的にそういうところに落ちついたわけでございます。
  148. 加藤六月

    加藤(六)分科員 部長、そのときに、同日同じテレビ会社に同じ選挙区の候補者が申し込みをした。ところが、ある候補者は公示の前にビデオをとってもらったが、ある候補者は、スタジオの設備が年末のいろいろな問題等これあるにつきできませんといって、選挙の最中に、しかも街頭で選挙運動ができる期間に、たとえば三時間ビデオとりに束縛された。こういうケースがあった場合に、あなたのほうとしてはそのケースはどういうように御判断されるでしょう。
  149. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 これは事前に打ち合わせをしまして、なるべく事前の録画に協力をしていただきたい、こういう方針をきめたわけでございます。したがって、同じ選挙区の中でも、もちろん事前に大ぜい集中されますとできないということはございますが、時間の許す限りは、同じ施設においては同等の取り扱いをいたした。ただその施設が違う場合に、スタジオの能力等からして、今回特にそういった規定を設けて間もない選挙でございましたので、若干の食い違いはあったかと思いますが、一般的には、同じ選挙区内で不平等な取り扱いが起こらないように十分な注意をしたつもりでございます。
  150. 加藤六月

    加藤(六)分科員 いまのは答弁になりませんよ。同じ選挙区の候補者が同日申し込みをして、片一方の候補者は公示前にビデオをとってもらって、片一方の候補者はスタジオの理由を言われて、選挙の最中に、しかも選挙運動の許されておる時間内に来なければビデオをとってやれない、こういう線が出た場合に、あなたのほうはそれに対してどういうお考えがあるかということなんです。
  151. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 これは同じ放送局でございましょうか。
  152. 加藤六月

    加藤(六)分科員 そうです。
  153. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 そういうことは原則としてないつもりでございますけれども、ただ、事前録画の時間が、大体候補者の数を見まして、何時間というようにきめてあったかと思います。したがって、先着で、わずかの違いでその日にもう予定ができなかったということは、あるいはあり得るかもしれませんが、一般的にそういう差別は起こらないように注意をしたはずでございます。
  154. 加藤六月

    加藤(六)分科員 私は、この問題掘り下げて言えばいろいろ議論のあるところ、まだほかにも問題があるんですが、先ほど部長からのお話に出ましたように、放送連盟、放送連盟ということばが四回くらい出ました。私は、部長の立場からしたら、放送連盟と相談されるのが正しいのか。それとも、こういうU局を免許し、その放送区域の施設、いろいろな問題等についてやっておる電波監理局と、詳細なる打ち合わせというものがどうして行なわれなかったのだろうか。また逆に、電波監理局としても、積極的に自治省に向かってそういう問題を——私は電波監理局のほうはこういう問題について詳しいと思うのです。それについて十分なる打ち合わせが行なわれなかったというのは非常に遺憾に思うのですけれども、部長、放送連盟を中心にこの作業を進められた。その間において、郵政省電波監理局というものと、この問題についての先ほどお聞きした以外の打ち合わせというものは、具体的な問題についてはおやりにならなかったのでしょうか、設備とかいろいろな問題等について。
  155. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 もちろんこれは役所同士のことでございますから、法律外の問題として電波監理局とは十分に連絡をいたしたつもりでございます。また、いまお話のございましたU局の取り扱い等の基本的な考え方についても、よく御意見を伺ったつもりでございます。ただ法律上は、放送をする放送局と自治省で協議をしてきめなさい、こうなっているものでございますから、先ほど民間放送連盟と言いましたけれども、最終的には全国の放送局に全部お集まりいただいて、これでやりましょう、お互いに了解をととのえた、こういう法律上の手続でございまして、実質上は十分に連絡をとったつもりでございます。
  156. 加藤六月

    加藤(六)分科員 いまのお話で、私、実は、政見放送をやったおもなところの先発のV局と後発のU局との聴視台数、サービスエリア、範囲ですね。こういう問題等も調べてみまして、それから、全員ではないですが、個々の議員さんにその回答を聞いて歩いた。人によって違いますけれども、出身の、自分の本拠とする地域がその中に入っておるか入ってないかということについて、今回の政見放送については疑問といいますか、ことばはやわらかいんですが、はっきり言えばぐち以上の不満というもの等も持っておられたので、この席でこういう質問をするのはおかしいと思ったのですが、先ほどおっしゃいましたように、今後選挙のたびごとに、放送会社、そういうものは変えたり検討したりしていくという最初のお話がありましたので、これ以上追及いたしませんけれども、どうぞ事前によく相談していただいて、おそらく、次の全国的な、今回の選挙法の中に盛られておる放送がある場合には、後発のU会社というものがまた当然議論になってきます。先ほど私が申し上げました候補者の選択の問題、条件が同じところなら同じような扱いをするという問題、あるいはサービスエリア、受信台数、こういったもの等、相当正確に、厳重に、スポンサーをとるその数字にだまされないように、ひとつやっていただきたいということを、これは郵政省、自治省、両省にお願いいたしておく次第でございます。  最後にもう一つだけお伺いしておきますが、いま大臣の説明の中で、簡易生命保険及び郵便年金特別会計ということでございまして、昭和四十四年度の簡易保険の募集というのは非常に順調に進んでおりまして、予定額も、まだ期末が来ないのに大体達したという、国民が非常に喜んでおられる——これは昨年の予算で問題になりました傷害保険という新しい保険等も加わり、交通戦争の時代でございまして、国民が非常に喜んでおる。そのとき私どもも、育英資金、奨学資金という問題は——奨学保険といいますか、この問題等を議論したことがあるのでございますが、ことしはこれについて全然触れておられないようでございますが、その経過を簡単に承って、私の質問を終わりたいと思います。
  157. 上原一郎

    ○上原政府委員 ただいま加藤委員のおっしゃったのは、学資保険のことだと思いますが、関係方面といろいろと折衝いたしましたけれども、きわめて端的に申し上げますと、協議がととのわなかったということと、一方、先ほど御指摘ございました傷害特約がございまして、非常に成績がよく、そちらのほうに重点を置こうということで今回提出することを断念いたしました。
  158. 加藤六月

    加藤(六)分科員 私の質問はこれで終わります。ありがとうございました。
  159. 渡辺栄一

    ○渡辺(栄)主査代理 加藤君の質疑は終了いたししまた。  本会議散会後直ちに再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時三十五分休憩      ————◇—————    午後三時五分開議
  160. 藤田義光

    藤田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  郵政省所管について疑質を続けます。上林榮吉君。
  161. 上林山榮吉

    上林分科員 大臣も御承知のように、従来郵便貯金の利子の引き上げは、われわれ国会法律によって審議しておったわけですが、郵政省の幅のある取り扱いがよかろうということで、政令にこれをゆだねた。こういう関係上、われわれは郵政当局の意見を聞く機会が公式にはなかなかないわけであります。だからこの機会にお尋ねしておきたいのですが、御承知のとおりに、配当の利子とかその他に課税の率が大きくなるということで、預金の吸収という意味から、これを考慮の上で銀行その他の面の金利が引き上げられた。そうなりますと、国民大衆の預金、いわゆる郵便貯金は、利子の点からいきますと不利な立場に置かれてしまう、こういうことではやはり貯金の吸収が思ったほどできなくなるから、そういうことによっての国の財政資金というものにも大きな支障を来たす、こういうことになるのでありますから、四月一日あるいは五月一日くらいから郵便貯金の利子は引き上げる、あるいは是正する、こういう御意図があるのかどうか。この辺でもう明確にされるべきではない、だろうか、こういうふうに思うのでありますが、いかがでありますか。
  162. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 国際金利もたいへん高くなっておりますし、国内の長期金利を引き上げるという方向が出ておることは、ただいま御指摘のとおりであります。  そこで、零細とはいいながら、国民大衆のとらの子を預けてあるのですから、この貯蓄に対しまして、当然郵便貯金もそれと符節を合わせなければならぬ、こう考えておるのでございまして、その点は寄り寄り大蔵省とも話し合いをしておる段階でございまして、大体はいま上林山さん御指摘の方向で、こちらも定額貯金その他引き上げをする予定でおりますが、詳細は貯金局長から答弁をさせます。
  163. 山本博

    ○山本(博)政府委員 ただいま基本的には大臣答弁されたとおりでございますが、民間の定期預金の金利が、今月の末ないしは五月の初めから二厘五毛上がる、大体こういうことが検討されておる段階でございます。郵便貯金といたしましても、非常にたくさんの国民の方の貯金を預かっておる、その方々の利益を守るということは当然のことでございまして、民間の定期預金の金利に見合った形で、こちらが不利にならないように措置をするというつもりでおります。
  164. 上林山榮吉

    上林分科員 民間の預金金利に比較して不利にならないように、必ず符節を合わして近く具体化すると、こういうことでありますから、利率その他各般の問題については省略をいたしますが、どうぞひとつそういう意味合いで郵政当局の態度を明らかにせらるべきだと思います。現段階ではあまりそういうことに対して慎重過ぎるために——どうですか、貯金の伸びは去年のいまごろに比較していい方向に進んでおるか、それとも横ばいであるか、いかがですか、このシーズンは。
  165. 山本博

    ○山本(博)政府委員 昨年の同期に比べまして約二九%の増でございます。これは民間の伸びに比べましても、郵便貯金は一番高いという状況でございます。
  166. 上林山榮吉

    上林分科員 それでひとつ危惧がなくなりましたが、この利率の問題ほか、もう少し神経をこまかく使って、表面の利率では、いま言ったような民間の金融金利との符節を合わせなければならぬけれども、しかし、取り扱いについては、こまかい神経を使えばいろんな方法があると思うんですね。だからそういう点も考えてもらわなければならぬ。たとえば三月一日に引き出す、あるいは三月三十一日に引き出しても、その一カ月に対しては利子がかかっておらぬ。銀行のやつは日歩計算でしょう。ところが、こっちのは月計算でやるから、三月一日にそれを引き出した、これも利子はかからない、あるいは三月三十一日満一カ月たって引き出しても、これは利子計算に入らぬというのは、庶民金融機関としてのこまかい神経が足らぬのじゃないだろうか、こう思うのですが、この点はどうですか。
  167. 山本博

    ○山本(博)政府委員 おっしゃいますように、国民の皆さんの貯金を預かっておって、利子の点におきまして、確かに日割りの計算をいたしておりません。これは月割りになっております。  これが行き届いたサービスであるかどうかという点の御指摘でございますが、理論的には、おっしゃるとおり行き届いておるサービスとは申し上げかねます。しかし、現状といたしまして、これを直ちに実施するということについては、相当いろんな難点がございますので、近く地方貯金局のEDPS、これは緒についておりますが、これをだんだん進めていくことによりまして機械的処理が可能になってまいります。そのテンポと合わせまして日割り計算のほうに進むべきだということで、その方向でいろんな作業を進めておる段階でございます。
  168. 上林山榮吉

    上林分科員 この問題はいずれかの機会にまたお尋ねいたしますが、続いて、いまもちょっと話が出たように、郵便局の近代化あるいは機械化、これはほかの企業体と違って、機械化をやるについては組織上、性質上なかなか思うようにいかない点があるということは私も承知をしております。しかも、機械化しましても人間を減員していくということははなはだむずかしい。機械化をやりましても、人間は、取り扱い量がふえるたびにある程度やっぱりふやしていかなければならない業態だというように考えるわけですが、それにしても、機械化を始めた以上、もう少し内容のある、そしてもう少しスピードをはかってこれを実現の方向に進めなければならぬと思うのだが、たとえば区分機一つだけを取り上げてみても、いかがですか、いまこれを取りつけたのは全国何カ所になっておるか。私は、少なくとも県庁所在地の中央局、あるいは大都市の中央局はもちろんですが、中央局に準ずるような、地方局ではないけれども、大都市のいわゆる普通局ですね、そういうところまでは年度計画を立ててこれを消化しなければならぬのじゃないか、こう思うのですが、それはどう考えておるか。もし賛成だとすれば、県庁所在地の中央局を全部やるにはあと何年かかる予定か、これをひとつスケジュールを示してもらいたい。
  169. 竹下一記

    ○竹下政府委員 いまお話がございましたように、少なくとも県庁の所在地の局、それから東京あたりの取り扱い量の大きい大局等へ配備することにしまして、少なくとも百六十台くらいは自動区分機がほしいと考えております。それは時期的には早いほうがよろしいのでございまして、四十五年度には四十台分を予算要求してございますが、なるたけ早くそういうふうな状態に持っていきたいと思います。
  170. 上林山榮吉

    上林分科員 現在まで何局取りつけたかということと、それから、なるべく早くということはわかるのですよ。しかし、それはまあ五年後にはでき上がるとか、もう少し数字をおっしゃって、無理のないところを——多少は無理せねばいかぬが、そういうところを明示して、やっぱりそれに符節を合わして大臣はひとつ予算その他を推進していく、こういう考え方を持たないといかぬと思う。なるほど最初は全逓などの諸君も誤解をしたのでしょう。区分機を入れるのに非常にひどい反対闘争をやっておりましたが、おそらく近代化ないしは前向きの合理化というものに反対しちゃいけないという空気も一部出てきたんではないか、また出てくるのがほんとうなんだ。だから、そういう意味から、その方面の障害というものは私は理解を深められなければならぬし、また深められたものだ、こういう考えを持っているのです。たとえば、そういう計画国会で言えば、また反対闘争でいじめられるのじゃないかなどという、そういう考えを持っては私はだめだと思うので、いいことはやっぱりできるだけ周囲の理解を深めつつやっていく努力をひとつしていかなければならぬのじゃないか、こう思うのですが、どうですか。
  171. 竹下一記

    ○竹下政府委員 今日までに十七局に二十一台を配備してございます。その大部分は昨年の十一月から十二月にかけて各局に備えつけました。その実情を見ますると、お話しのような組合の抵抗ということはございませんでしたから、もうその搬入に伴う反対、抵抗というのは今後はなかろうと思います。  それから配備完了の時期ですが、これはなるたけ早くやりたいということで努力いたしますが、何ぶんにも区分機は非常にデリケートな機械でありまして、製造単価も高いし、一台完成しますのに相当時間がかかるというのと、目下の段階では、ソフトウエアの段階でもう少し改善をし、性能をもう少し高める余地も残されておるということで、あわてて大量生産するということはどうかと思われる節もございますので、そういうことも兼ね合わせて考究いたしまして、全体のベースとしては、できるだけ早く先ほど申しましたような状態に持っていきたい、そういうところでございます。
  172. 上林山榮吉

    上林分科員 役人はりこうでして、できるだけ具体的なこと、数字的なことは避けて通ろうとするのですね。われわれ野人は、そういうものをある程度ははっきりと言うくせがあるのですがね。だから、それは慎重に考えられることはけっこうだけれどもあと五年計画でやれそうですとか、あるいは、残念ながら七年計画を立てなければ消化できないかもわかりませんというぐらいのことは——なるほど一升ますではかったようなことは言えないと思うけれども、それぐらいのことを言わないと、私はほんとうは納得しないのです、やればできるんだから。五カ年計画だったらそれぐらいの予算は組めるのです。だから言いたいんだけれども、押し問答になりそうですから、この辺でカーブを切ります。  正月のたしか七日を過ぎたころではなかったかと思うのですが、よく覚えておりませんが、年賀状がそのころまだ相当たくさん残っておったというふうに、報ぜられておったが、そういう事実があったのかどうか、まずそれを聞きたい。
  173. 竹下一記

    ○竹下政府委員 まことに申しわけないことでございますが、そういう事例がぼつぼつとございました。
  174. 上林山榮吉

    上林分科員 いかなる理由があろうとも、これは管理者側に責任があるのか、あるいは、必要以上に闘争をやっておる諸君に責任があるのか、私はその責任論はきょうは言いません。言いませんが、昔の日本の郵便局というものは遅配、欠配がなくて、日本鉄道と同じように非常に国民から信用されておった。それが近ごろはだんだん遅配、欠配があるということでございますけれども、せめて年賀状とか暑中見舞いとかという国民の感情に最も触れた問題、こうしたような問題はもう少し親切に取り扱ってやるということが、これはだれが聞いても当然なことなんだけれども、当然なことがいまのようにおくれるということは、そのおもなる原因はどこにあると思いますか。時間が制約されているから、あまり長ったらしく言わんでいいです。
  175. 竹下一記

    ○竹下政府委員 簡単に申し上げますが、一つは、選挙がございまして、選挙のほうに気をとられた方々がおられて年賀状の差し出しを忘れた方、あるいは年賀状をお出しになるのがとてもおそくなった方がありまして、従来ですと二十八日までにおそくとも出していただく方が、大みそかごろになってお出しになる、あるいは年が明けてからお出しになるという方がおられまして、それが一つの原因になっておるように思われます。もう一つは、年末に郵便物が例年になく増加したので郵便局の扱いの負担を来たしたということ、もう一つは、全国の郵便局の一部でございますけれども、職場があいたところがございまして、これはこく一部ですけれども、その局におきまして取り扱いが順調にまいりませんで、年賀状の配達がおくれたという原因になっております。
  176. 上林山榮吉

    上林分科員 その当時のことを思い起こすというと、労使が対立しておるとかというところが多かった。いまあなたの言われるように、選挙とかその他の関係もあったということですけれども、そのうちで多いといわれておったのは、杉並局などもその一つだったと思うのです。  私は最近の杉並局とか豊島郵便局、あの二つの事件を考えますと、豊島の場合は、郵便車であのときのゲリラに使う火炎びんを運搬したという問題、杉並は、けさですか夕ベですかのNHKのテレビ放送によれば、これまた管理者と局員とがトラブルを起こした。原因は、郵便を扱いながらたばこをくわえておった。これはかねてから吸ってはならぬことになっていたので、注意したが聞かなかった。そこで、何か手でそれをとろうとして、もみ合いになって、やけどをしたとかしないとかというようなことで告訴ざたになった。こういうことを聞くのですが、こういう問題が起こるところは、やはりいま言ったような年賀状などの遅配も多くたまっている。これは国民の側から考えてまことに遺憾に考えるわけですが、こういうところは、どうも組合運動と正常なる事業の運営というものを必要以上にこんがらがって考えてやっているのじゃないか。私はそれぞれ道があると思うのですが、そういう点はひとつ内輪において話し合いできるものは話し合いするし、あるいは信賞必罰をもって臨む点は、管理者であろうと局員であろうと、どしどしとやっていかなければいかぬ。いつまでもこういう状態を続けることはいかぬのじゃないかと考えるのですが、これはひとつ大臣から答弁願います。
  177. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 郵便遅配の問題でたいへん御心配をかけております。新聞紙上等に伝えられる事例は、実はお恥ずかしい話でございます。  そこで、こういう悪循環がもしありとすればこれを断ち切らなければならぬ、こういう気持ちで、私も就任以来この問題で一番胸を痛めております。そこで、もし職場環境に何か原因があるとすれば、これは改善もしなければなりますまい。話し合いが足りなければ、これはもっと対話という場を復活しなければなりますまい。御指摘のようなもろもろの問題を十分に胸に置きまして、一そう改善の実をあげたい、かように考えております。
  178. 上林山榮吉

    上林分科員 時間があれば、私はこれに類似した問題について、もっと材料を持っておりますので、披露して御意見を伺いたかったのですが、時間の関係で、次の逓信委員会などでまたお尋ねすることにいたしまして、せっかく電電公社総裁出席しておりますので、この際、公社の方針、あるいはまた郵政大臣の御意見も伺うかもわかりませんが、それをお尋ねしておきたい。  というのは、これは私どもも主張した一人でございますが、公社あるいは郵政当局もまた非常に考えてくれまして、農村の電話事情というものをできるだけよい方向に持っていこうということで農村集団電話という制度をつくってもらいました。これは現在、各地区とも非常に喜ばれておる電電公社の善政の一つだと私は思っております。ところが、これよりも早く出発した有線放送電話がありまして、そうして、所によって有線放送電話が古くなって機械を新たに取りかえるときに、これでは不便だから、ひとつ便利な電話である農村集団電話に切りかえようというようなときにトラブルを起こすところもある、こういうような状態ですが、私がここで聞かんとするところは、私はやはり第二の電電公社みたいなものができちゃいかぬと思っているのです。やはり電電公社は一元的に行政というもの、仕事というものをやっていくことが最善だ、こう思うのであります。そういう観点から、やはり農村集団電話というものはもっと伸ばしていかなければならぬ。だが、これを七年計画くらいでどこまで伸ばすつもりかという、いわゆる七年計画の最終年度の青写真を示してもらいたいということと、ことに、そこに至るまでの間に改良を加える時期になったのじゃないか。いままでは一つのブランチに八つくらい電話機がついている、これを——もうテレビ電話も七年後には実用化されると電電公社ではいっておるのだが、こういう日進月歩の時代だから、農村も恵まれないのであるから、八つついておるものを四つか五つくらいにして、もっと便宜をはかっていくというふうにすべきじゃないだろうか、こういうように私は考えるのですが、その点いかがでございますか。
  179. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  ただいま御質問ございましたが、農村集団自動電話、正式には地域集団電話と最近言っておりますが、地域集団電話の長期計画につきましては、現在第四次五カ年計画を進めておる中で百三十万個つけるということになっております。第四次五カ年計画を最初考えるときには百万個と思っていたのでありますけれども地域集団電話の要望が非常に高いこと等もあり、まして、三十万個を追加いたしまして百三十万個といたしました。現在の状態を見ておりますと、非常に地域の方に喜ばれておるようでありまして、一時非常に多かった積滞も山を越したというような状態であります。  なお、七カ年計画の関連でございますが、公社といたしましては、四十六年から五十二年までの七カ年計画を大体ことしの七月ごろまでにまとめて、四十六年度の概算要求を郵政大臣に出す前には七カ年計画を公社としてきめたいと思っております。その際にこの地域集団電話をどの程度やるかということをいまいろいろ考えておるところでございまして、私は大体四次五カ年計画の百三十万個をやれば、この地域集団電話の需要はなくなるのかと考えておりましたけれども、そうでもないのでありまして、なお七カ年計画の中で必要なものを進めていきたいと思います。  それから、いまの改良の御質問でございますが、一つの線に八つもついておりますと、どうしてもお話し中が多いということもありますので、これを四つくらいに減らすということにつきましても、同時に七カ年計画の中で検討いたしたいと思っております。どの程度にしたらいいか、あるいは四共同がいいのか二共同がいいのか、その辺は結論が出ておりませんが、いずれにいたしましても改良を加えていきたいと思います。
  180. 上林山榮吉

    上林分科員 ただいま電電公社の米澤総裁から、七年計画の最終年度は打ち切るのではない、改善をして、そしてさらに需要を伸ばす予定である、七カ年計画の中においても改良すべきは改良してやっていきたいという前向きの答弁を聞いて、私はその点満足であります。  ただ、ここで郵政大臣にも公社の総裁にも要望したいことは、いま言ったように、地域集団電話、いわゆる農村集団電話、これをつくるところも、それから有線放送電話の機械をつくるところも同じメーカーですね。そういうところが多い。そこで、私は数年前にも注意を喚起したことがありますが、つくらんかな、売らんかなで、あれも売る、これも売ろうというふうにメーカーがこれをやるということは不見識だ、私はこう思ったわけです。だから、公社は、われわれの方針は農村集団電話に対しては、あるいはその他の電話に対してはこういう方針を持っているのだ、だからぜひ公社の方針に合ったような製作、研究をしてもらいたい、こういうようなふうに、やはり企業側とも事前に連絡をとることが必要ではないか。有線放送電話などをメーカーがたくさんつくって、農村を歩いて、そうして農村の人は、中にはこういう機械のことはわからぬ人も多いのだから、そういうところにつけ込んでとまでは言わぬけれども、販売を広げていくところにトラブルが起こるのです。われわれは農村集団電話がいいと思って——また、これは比較していいのですから、そういうふうに考えているけれども地域によってはトラブルの原因になるので、やはり企業側にも善意の協力を求める、かってにやってもらわぬ、やりづらいところも所によってはあるかもしれないけれども、これくらいのやり方をしていかなければならぬのじゃないかと思うけれども、どうでしょうか。時間がないというから、御両所からはっきりと……。
  181. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  確かに有線放送をつくっているメーカーと自動関係をつくっているメーカーと、同じメーカーがやっている場合がありますし、また、メーカーによりましては、あまり公社に関係ないメーカーがつくっているという例もございます。ただいまお話がありましたように、善意の協力を求めることは私も必要だと思いまして、今後ともそういう考えを進めていきたいと思っております。
  182. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 いま公社の総裁がお答えしましたような線に沿って、郵政省としても十分連絡の上、監督責任を果たしたい、かように考えます。
  183. 上林山榮吉

    上林分科員 有線放送電話と農村集団電話に限らず、ほかの問題もやはり開放して方針を示すことは、大臣、何もこれは誤解を受けることじゃないと思うのですよ。これくらいやって、お互いが善処していくことが望ましいと思いますので、さらに注意を喚起いたしておきます。
  184. 藤田義光

    藤田主査 上林山君の質疑は終了いたしました。  島本虎三君。
  185. 島本虎三

    島本分科員 時間の関係で具体的に質問申し上げていきたいと思います。題名は放送大学構想でございます。  今回の場合は、特に郵政省のほうで調査費として予算を三百九万円組んだようであります。また、文部省のほうではその関係費として千百八十万円も組んである。文部省のほうでは新構想大学として三千三百八万円も組んであるようであります。こういうような予算からして、この放送大学という一つの構想、こういうものに対していま世間でもだいぶ問題にするようになりつつあると思います。まだ具体化しておりませんから、固まらないうちに私が若干危惧する点なんかをここで聞いておきたいと思いますので、以下質問を申し上げたいと思います。  まず、この背景と申しますか、いままでどういうことになっておるのか、この構想と同時に、その背景なんかについても、わかっている限りお知らせ願いたいと思いますが、これはどっちでしょうか。文部省でしょうか、郵政省でしょうか、電電公社でしょうか。
  186. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 御指摘の放送大学の問題がたいへん注目を浴びておりますことは、ただいまるるお述べになったとおりでございます。これは言うならば開かれた大学とでも申しましょうか、日本はなるほど大学の数もたいへんなものであり、そこに学ぶ学生数も百五十万人とかいうようなことになっております。しかし、なおかつ働きながら学びたいという意欲を持った青年もたくさんあるのでありますから、それにひとつ放送という手段を通じて大学教育を行ない得るならば、ということが今日までの大かたの願望であり、また世論も高まっておるところでございます。これはイギリスが一番先進的で、来年にももうオープンしようというような段階にあるようでございますが、さて、日本の場合といたしましてはどうするか。これについては、御案内のように、文部省はカリキュラムの内容を主として受け持つわけでありましょうし、私ども郵政省の側においては、放送の手段、電波をどうするかという部門を受け持つことに相なろうかと思うのであります。そこで、これはただいま文部、郵政大臣諮問機関というような形でもってそのための調査会ができて、それにひとつ踏み切るべきだという答申も出ておるわけであります。だから、それをさらに具体的に準備をする意味において放送大学準備調査会というものがございまして、これは郵政省側から推薦をした委員も入っておりまして、そのもとで鋭意検討中であります。したがって、私どもとしてはそれを受けて立ちまして、電波を用意するというような準備は寄り寄り怠らずにいたしておるというのがただいまの段階でございます。
  187. 島本虎三

    島本分科員 そういうような段階に来ておるこの放送大学の構想についても、これは世論の評価というものもまだ具体化いたしませんから、それに対しての非難はありませんし、声も聞きません。しかし、この問題はどうなるのかという考え方だけはどなたも持っておるようであります。そして特定の人のための大学ではなしに、機会均等にできる唯一の大学ではなかろうかという皆さんの期待があるようであります。  そういうふうになりますと、これはもう現行の国立大学の方式とは別の組織で、当然、この管理形態は特殊法人というものになるのかどうかわかりませんけれども、やはりこれは新基軸を出すものでなければならないと考えられます。放送が一方交通になってしまう場合には、えてして思想の自由、教育の自由というものがどれほど保持できるのかというような懸念はどなたも持つのじゃないか、期待されながらも懸念がある、こういうような点がまだ批判も出ないゆえんじゃなかろうかと思うわけですが、コンクリートになってしまった場合にはまことに困るのでありますから、その前に、そういうような懸念もあるのであるということを私も考えられますが、大臣の所見もこの際伺っておきたいと思うのでありますが、いかがですか。
  188. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 そういう御懸念もわれわれ耳にいたしつつあります。しからば、一体この放送大学の運営主体というものは何がこれに当たるべきであるか、あるいは国という考え方もあるかもしれないし、いま御指摘の特殊な大学法人のようなものをつくるということもあり得ると思うのでございます。それらはまだ準備調査会のほうで結論を出しておらない段階でございますが、ただ、この新しい大学というものは不偏不党でなければならない、あるいは、自主自立をもって貫かれなければならない、こういうふうな御希望をお持ちだろうと思うのでございます。これは放送法の規定するところにも全く合致するのでございますが、放送というメディアを用います以上は、やはり放送法の精神は生かされなければならぬものである、かように心得ておる次第であります。
  189. 島本虎三

    島本分科員 同時に懸念される第二の点は、そういうふうになりますと、えてして政府に有利な側面だけが表面に出てくるようなおそれはないだろうかということです。そうなりますと、活発な批判精神は青年の特徴でありますから、そういうようなものに対して、型にはまった教育というようなものを押しつけるということがもしあった場合には、創造的な精神というものを押しつぶしてしまうおそれが逆に出てきやせぬか、これへの対処も十分考えておかないといけないのではないか、期待されながらも懸念があるというのは、その辺にあるのではないかと思います。そうなると、当然大学の管理、カリキュラムというものの決定を国または準国家機関というのですか、そういうようなものだけにゆだねるのではなくて、逆に、現在のような大学紛争の原因を考えたりして、学生側からも何らかのかっこうによって参加を認めるような方法もとらなければならないのではないかとも思われるわけですが、今後の、こういうような側面からして、やはり期待されながらも懸念される点が第二番目としてあるわけであります。これらも十分考えて対処しておかなければならないのではないかと思いますが、大臣、安心でしょうか。
  190. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 おそらくいま御指摘のような問題が準備調査会の議論の中にもいままでもあったでございましょうし、これからもまだそういう点を煮詰めるための努力は行なわれるのではなかろうかと思うのでございます。したがいまして、大学というここ一両年の現象に徴して考えてみましても、何か体制と反体制、あるいは国家観についての立場の相違というようなものも現実にあるのでございます。しかし、いまおっしゃるような御懸念を踏まえて、十分注意をしながら準備調査会の結論の出ますのを待ち設けている、こういう状態であります。
  191. 島本虎三

    島本分科員 なお調査会の結論が出るのを待ち設けておられるというような態度はわかりますけれども、いま言ったような懸念される点なんかも、何かの機会に何らかの方法によって、あらかじめ大臣の意思を表明しておかれるようなことも必要ではないかと思いますので、これはただ座して待つのではなく、進んで待つようにしてもらいたいと思います。  それから次に、この意見書ですか、内申書ですか、決定書ですか、何かによりますと、テレビは一系列、ラジオは一系列の周波数でというようなことのようであります。私は、大学のレベル、専門的な教育を行なうのに、この程度の周波数だけで間に合うだろうかというような懸念が当然あるわけであります。放送時間帯も最低三系列ぐらいは準備しないといけないのではないか、こういうように考えられるのですけれども、二系列ぐらい一系列ずつで万全でしょうか。この点も心配の第三点でありますが、これはいかがでありますか。
  192. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 それは多々ますます弁ずということでありましょうが、しかしながら、電波の波の数というものは非常に窮屈であり、制限されているということも島本さん御承知でございましょう。当面はまずテレビジョンにおいて一系列、ラジオにおいても同様、これで全国ネットワークが組めるという形のものを用意しておるわけであります。これは考えてみれば画期的な新しい方式でございますから、何もここでえらく欲ばって取り込んでしまうということでなく、これはよほど慎重を期して、このオープンユニバーシティーというものをいかに日本の土壌に適合したものをつくるか、こういう努力が先決ではないかというふうに考えておるわけであります。
  193. 島本虎三

    島本分科員 まあ時間がないのが惜しいのですが、これはこういうように一方的にただ進むべき問題でもないのですけれども、残念ですけれども進みます。  そうすると、今度は教育の媒体としての再放送なりもまた考えないとだめでしょう。間に合うでしょうか。それと同時に、ビデオレコーダーと申しますか、テープレコーダーと申しますか、そういうようなものを学生が備えておくことも不可欠の条件になってくるのではございませんでしょうか。そうなると、これは当然安くして、何かこれを配給してやるようなことも考えてやらなければならないのじゃないだろうか。恵まれない学生のためにも低廉貸与、無料貸与、こういうようなことを考えても差しつかえないと思います。そのためにもまたいろいろな機関をつくっていくこともいいと思うのですけれども、それも合わせて、四つ目の問題として私の懸念されるところです。これをやらないと、ほんとうに恵まれない学生、ほんとうに自分で一生懸命学びたいという学生のために、機会を与えない、武器を与えないで、そしてただ素手で、一方通行を聞いておれということでは、これはいわば残酷であります。こういうようなことのないように、これはひとつ大臣のほうで十分御配慮できますか。これはやる必要があると思いますが、これくらいはやりますということを言っておいてくださいよ。
  194. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 たいへん具体的な面にまでお入りになっておられますが、ちょうど専門家の電波監理局長も来ておられますから、そちらへひとつ答弁を回します。
  195. 藤木栄

    ○藤木政府委員 御答弁申し上げます。  いまおっしゃるテープレコーダー、あるいはビデオレコーダーというものについてでございますけれども、テープレコーダーは御存じのように相当普及しておりまして、学生にも自分で買うということもそうむずかしいことじゃないと思いますが、ビデオのテレビのほうになりますと、実はごく最近にそういったものができてきておるわけでございまして、まだ相当価格も高いということでございまして、まあこれが学生まで配給ということは、いまの段階では非常にむずかしいのじゃないか、こういうふうに考えております。
  196. 島本虎三

    島本分科員 大臣、むずかしいところだけほかの人に答弁させておいて、そしてこれを拒否させるということは、いい傾向じゃありません。しかし、やはりこれはせっかくいま諮問しているということですから、こういうような点についても、拒否だけじゃなしに、やればできるということで、十分その期待に沿うように考慮するという態度が必要であります。悪いことを言っているのを拒否するのはいいですけれども、できないからといってただ拒否するのは、これは官僚の悪いくせですから、これはもう大臣、そこを十分是正して、それは困難だろうけれども、これは審議会答申等を待って善処する、これがいい答弁でありますよ。大臣、どうですか。
  197. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 すっかり私の内心まで読み取っての御質問でございます。まあ、局長は現段階における事情を述べたと思います。しかしながら、おっしゃるような御趣旨を体して、審議会等にもそういう問題が取り上げられるように配慮をしたいと私は考えます。
  198. 島本虎三

    島本分科員 この問題に対しては最後になりますが、やはりそういうようにしながらも、今度はやはりいろいろなトラブルが起きておるというようなこの実態を通してみて、人的接触なしに、人格形成をどのように考えられるかというような点も当然問題になってきます。案外これが基本かもしれません。いわば一方交通でやらしておる。そうして大学と同じ卒業の資格も与える。そうなったら、国が求めることに一番沿うような答案を書いたら、これは免状がもらえるということになってしまう。しかし、もらった人の人格そのものを見るならば、これはまさに百点をあげるわけにいかないという場合も想像できるわけでございます。こういうような点も十分に考えて——せっかく文部大臣を呼んで、来れなければ関係審議官なりに来るように言ってあるのですが、来ておりますか。
  199. 藤田義光

    藤田主査 まだ入っていません。
  200. 島本虎三

    島本分科員 まだだめですか。——まあ、そういうふうにして、いわゆるどう考えるかというのが一番大事になってまいります。この一つの筋をぐっとやるのでなければ、せっかくつくっても、これは画竜点睛を欠くようなことになってしまいはしないかという懸念が、第五番目にあるわけであります。これはやはり大臣、大事な問題でありまして、あなたも同じ閣僚として閣議なりでこういうような問題に対して十分に発言をし、意思の疎通をはかっていく、こういうようなことがいま必要ではないかと思います。私の杞憂は単なる懸念にすぎないものであるかどうかはわかりませんけれども、ひとつ大臣の御高見を拝聴しておきたいと思うのです。
  201. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 先ほどから一方通行というようなおことばが出ますが、私は決してそういうものであらしめてはいけないと思うのです。放送大学——何か安上がりの大学をつくるというようなものであってはならぬのでありまして、したがって、そこにはスクーリングというようなシステムも必要になってまいりましょう。イギリスは御承知のようにマン・ツー・マンのチューター制度などを非常に活用しました仕組み、これはイギリス教育の伝統だと聞いておりますが、今回日本で考えられる放送大学も、やはりある程度は、電波を通して講義をしましたものをどこかで集約をしなければならぬ、それにはどうしてもやはり人間形成のための人という問題が出てまいります。そういう要素も当然取り入れられてしかるべきものだ、かように考えております。
  202. 島本虎三

    島本分科員 これはやはり一つの大きい期待を持って発足を待っておるような人たち、青年もたいへん多うございますので、以上、若干の期待と懸念を申し上げましたが、あとは十分その趣旨に沿ってこれから大いにがんばってもらいたい、この点、御激励を申し上げます。なおあわせて、郵政大臣としてできる範囲のこの補助的な機関、これはもういわば予算で済むような点についてはどしどしと遠慮なしにやってもらうことをお願いいたしまして、放送大学の点だけは終わります。  次に、予算のどの部分に載っているのか、私、不明でまだわかりませんけれども、あのTOWというのですかJGCPというのですか、「在日米軍関係公衆電気通信役務の料金の支払いについての紛争」ということになっておりますけれども、その金額が百十八億であるとかあるいはまた八十億であるとか、まあいろいろ取りざたされております。その具体的な金額さえも私どもはわかりませんけれども、これはいま予算の中のどの部分にあるのか、入っていないのか、これをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  203. 中山公平

    ○中山説明員 お答え申し上げます。  御指摘のTOW、JGCP——米軍との間にはいろいろな種類のサービスを電電公社としては提供しておるようでありますが、いま御指摘のようなものにつきましては、お話のように両当事者間に見解の相違がありまして、意見の一致を見ない、そういうことでございますので、契約もできておりませんので、電電公社としてはこれを債権として認めることがいまだできておらない、そういった観点から、予算の収入にも計上をいたしておらない次第でございます。
  204. 島本虎三

    島本分科員 予算に計上しておらない——その金額は幾らですか。
  205. 武田輝雄

    ○武田説明員 米軍との関係におきましては、講和条約発効後は米軍から料金をもらうということになっておりまして、米軍から料金として、二十七年以降四十三年までで約五百八十億の料金を収納しております。  それで、いまお話のありましたTOW並びにJGCP、終戦処理費並びに安全保障諸費でもって支弁して、すなわち政府の資金で建設されたものでございます。これにつきましては、平和条約発効に伴い、料金を払う払わないということで、地位協定の解釈をめぐりまして公社と米軍の間で紛争になりまして、その後日米合同委員会にあがりましても解決ができず、現在、両国政府間の問題になっております。ただ、三十年に暫定協定を結びまして、基地内の設備につきましてはTOW、JGCP両方とも米軍が保守費を公社に支払う、またTOWにつきましては、基地外の施設についても保守費を払うという協定ができております。ただし、市外専用料的なものについては話し合いがついておりませんで、この協定では、公社はもしこれが専用線であった場合に適用される料金率をもとにして計算した額を毎月計算書として向こうに出す、米軍はそれを受け取るけれども、いつでも削除する権利を保有するという協定が結ばれております。それによりまして計算をいたしまして向こうに出しております額は、二十七年度以降四十三年度までで八十億九千万円でございます。
  206. 島本虎三

    島本分科員 この問題については、去年の二月十八日に決算委員長あてに外務省並びに郵政省のほうから「在日米軍電気通信料金問題」という表題のもとに意見を具申してあります。それによりますと、「政府としては、本件施設が占領下に終戦処理費をもつて建設されたものおよび米軍専用のため安全保障諸費をもつて建設されたものであることを考慮しつつ、関係省間で更に十分協議のうえ、本件解決のため一段と努力いたしたい所存であります。」ということになっております。いまやってみますと、昭和二十七年から四十三、四十四年までずっと続いておって、八十億もの金がそのままどっちつかずに眠っておることに相なろうかと思います。決算委員長あてには、早く解決するように努力しているということになっておるわけですが、努力してもまだ解決しないということの実態もいままでの報告でわかりました。なぜ長引いておるのか、これは問題だと思います。そうすると、紛争妥結したならば、この会計処理はどうなるものなんでしょうか、この点ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  207. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 公社のほうから御説明申し上げましたように、ただいま先生からも御指摘がありましたように、長年にわたって紛争になっております。去年の決算委員会の政府の統一見解によりまして、解決に努力するという状態のまま努力を続けております。しかしながら、現在までいまだ解決のめどに至っておりませんけれども、なお鋭意この解決については努力を重ねていく所存でございます。
  208. 島本虎三

    島本分科員 お聞きのとおりでございますが、そうなりますと、政府は怠慢である。政府といっても、外務省並びに郵政省は、この件については早く解決するといっていながらも、さっぱり解決していないということになります。大臣、これは早急にその解決をはかるようにすべきだ、こういうように思います。これはこの機会にはっきり言明しておいてほしいと思います。これはこのまま長引かしておく必要はありません。八十億もある金がどうなるのですか。
  209. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 これは実際長い間の懸案でございますし、地位協定をめぐっての解釈の相違というようなやっかいな事例ではありますが、しかし、御指摘のように、これはほっぽり出しておくというわけにはまいらぬと思うのであります。したがって、御趣旨を体しまして、これは外交ルートを通ずるというのが正式な交渉のしかただろうと思うのでありますが、その面で鋭意努力するということを申し上げて、お答えといたします。
  210. 島本虎三

    島本分科員 この点についても、外務省からも関係者に来てもらうように要求しておきましたが、文部省と同様に、この分科会は軽視されているんでしょうかね。大委員長のもとにそんなことはないと思いますがね。——やはり来ておらないようでございますね。じゃ、これはやむを得ません。  それで、最後は向こうの言うとおりになったということになれば、これはとんでもないことになりますので、最後まで自主的な態度をくずさないように、堂々と交渉に臨んでもらいたい、そして早急に解決してもらいたい、このことを心から要請しておきます。  ほんとうは労使問題をもう少しやりたかったんですが、他日の機会に譲りまして、これで私の質問を終わります。ありがとうございました。
  211. 藤田義光

    藤田主査 島本虎三君の質疑は終わりました。  正木良明君。
  212. 正木良明

    正木分科員 私は電話の問題について少し御質問を申し上げてみたいと思います。先ほど上林委員からも御質問がございましたので、いささか重複する点があるかもわかりませんが、それはお許しをいただきたいと思います。  御存じのように、最近非常に企業や官庁が大都市へ集中をいたしまして、その結果、大都市に隣接するいわゆる衛星都市の急激な発展の結果、大都市を核とした一つの大きな産業経済圏というような形態が各所にあらわれております。そのために大都市とこれら衛星都市との関係は、産業、経済はもとより、社会的にもまた文化的にもきわめて緊密な関係となっておるのは御承知のとおりであります。こういう相互依存的な状態、これはまた同時に、よくいわれておりますように、大都市のドーナツ現象といいますか、周辺の衛星都市に住居が非常に集中してまいりまして、夜間人口と昼間人口が著しく違うというような大都市の特異な現象も起こってまいりました。したがいまして、こういう意味では、生活圏という関係も非常に大きく広がってきたということが言えると思うのであります。したがいまして、衛星都市のほうから見るときには、大都市に対しての電話の使用というものがきわめてひんぱんになってきておる。同時にまた、電話の普及が非常に進んでまいりまして、私たちの子供の時分は、電話を持つなんということはたいへんなことであったわけですが、これはもう生活の最も必要な一つの条件になってきているというような状態であります。そのために電話の新設の申し込みというものが非常に多くなっておる、このようにいわれておるわけでありますが、こういう点、どのような状態になっておるか、電話の申し込みの停滞の状態、大きな地域別でけっこうですからお知らせいただきたいと思います。
  213. 浦川親直

    ○浦川説明員 お答えいたします。  ちょっと手元に東京周辺の状況がございますので御説明申し上げますと、大体東京の二十三区以外の地区におきまして、四十三年度新規の申し込みは七万三千でございます。それまで積み残しました四十二年末の積滞数が十万五千、したがいまして、四十三年度の架設と申しますか、対象需要数とわれわれ申しておりますが、その数が十七万八千でございます。四十四年度は一応新規の申し込みが七万三千で、前の年に大体六万九千を充足していましたので、四十四年度には十八万二千、この数は四十五年度にはさらに申し込みが七万三千よりふえると存じます。埼玉あるいは千葉というような、東京のみでなく東京周辺の急増する地域、これにつきましてはちょっと手元に資料がございませんが、それと大阪を中心といたします大阪周辺の申し込みの状況というものは年々数が急増してまいっております。私どもといたしまして、これに対しましてはできるだけ重点的に即応していきたい、かように存ずる次第でございます。
  214. 正木良明

    正木分科員 私の資料と公社側の資料との数字が合うかどうかということでお尋ねしたのですが、お持ちがないようでありますので合っているかどうかわかりませんが、私のほうの資料では、全国で約二百六十万あるというのですがね。その中で東京二十三区を除く関東で七十五万八千、近畿で四十三万四千、東海で三十万五千、九州で二十五万、おもなものが大体こういうふうになっている、私はこういうふうに承知いたしておりますが、少しは数字の違いがあるかもわかりません。しかし、きわめてたくさんの電話架設の需要があって、電電公社のほうでは、その需要に対して、それを満たすのに非常に御苦労になっているというふうに考えておりますけれども、これはどういうふうに解決していこうとなさっておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  215. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  昨年の十二月末で全国的な積滞は約二百六十万でございます。そのうちの一番大きなのは東京周辺、その次が大阪の周辺で、東京も二十三区あたりは最近非常に積滞が減っておりまして、むしろ二、三万くらいしかないという状態であります。ところで、これに対しまして公社は五カ年計画を進めておるわけでございまして、第四次五カ年計画の中で、これは四十七年度末がこの最終期になっておりますが、九百三十万の加入電話をつけるということにいたして進めております。ところが、このような積滞の増加というものがありますので、特に現在予算が出ております昭和四十五年度、あるいは四十六年度、四十七年度で九百三十万になお百万個追加いたしまして、一千三十万の加入電話を第四次五カ年計画の中でつけるということで現在進めておるわけであります。  そのうちで、たとえば、現在政府から出していただいております電電公社関係の四十五年度予算におきましては、もともと百八十五万の加入電話、それに三十万の地域集団電話をつけることにしておりましたが、それを今度の中では計画が二十五万プラスされておりまして、その積滞の解消に向かって一歩前進しているというふうに考えておりますが、なお四十六年以降におきまして七カ年計画をつくりまして、この五十二年末には全国的な規模におきまして積滞をなくなすようにしたいと思います。
  216. 正木良明

    正木分科員 第四次五カ年計画というのは四十六年までですか。
  217. 米澤滋

    ○米澤説明員 四十七年です。
  218. 正木良明

    正木分科員 四十七年ということになると、七カ年計画と重なるところが出てくるわけですね。それはどういうことですか。
  219. 浦川親直

    ○浦川説明員 現在走っております私どもの第四次五カ年計画は、四十三年度から四十七年度まででございます。私どもがこれからつくろうとしております長期計画は、四十六年度から五十二年度までの七カ年を対象として計画を立てよう、かように考えておるわけでございます。したがいまして、第四次計画の四十六年度、四十七年度がこれから新しい七カ年計画に入る、そこが重なるわけであります。
  220. 正木良明

    正木分科員 もう少し詳しく確かめておきたいのですが、そうすると、第四次計画の四十六年度、四十七年度は、次の七カ年計画に組み込まれてしまうということですか。
  221. 浦川親直

    ○浦川説明員 結局、現在の第四次五カ年計画の後半を拡大修正いたしまして、そして第五次五カ年計画とくっつけまして七カ年計画、こういうふうに言っておるわけでありますので、第四次計画の後半を拡大修正する、こういうことを含めておるわけであります。
  222. 正木良明

    正木分科員 いままでの状態では、計画されたものが非常に消化されているということは認められるわけでありますので、おそらくこの新しい計画によって積滞というものが順次解消されていくであろうというふうに思います。  そこで、これは御信頼申し上げるということにして、その計画内容というものを私はつまびらかにいたしておりませんが、四十五年度の計画は資料をいただけますか。
  223. 浦川親直

    ○浦川説明員 四十五年度は予算案として国会に提出してございますが、七カ年計画のほうはいま作成作業中でございますので、できました暁におきまして、また御提出いたします。
  224. 正木良明

    正木分科員 総裁が四十六年に計画すると言ったのだから、できてないのはわかっておるのですが、四十五年度、ことしの予算案に付随する計画というのは、大きくはわかるけれども地域別に出ていますか。
  225. 武田輝雄

    ○武田説明員 いま衆議院で公社の四十五年度予算を御審議していただいている途中でありますので、公社といたしましては四十五年度予算が成立いたしましたならば細部の計画を立てる、こういうことで進めておるわけでございます。
  226. 正木良明

    正木分科員 それがちょっとわからないのですがね。それでは四十五年度でどれだけの新しい架設をして積滞を解消しようとしているのか。全国では幾らですか。
  227. 武田輝雄

    ○武田説明員 四十五年度では加入電話の充足を二百十万、そのほかに地域集団電話三十万という予算を出しておりますが、予算が成立いたしますれば、その数を充足していくようにいたしたいと思います。
  228. 正木良明

    正木分科員 的確に聞いてほしいのですが、二百十万と三十万、合わせて二百四十万の計画というのは、二百四十万の新しい架設をするということで予算をとって、そしてこれの地域別な解消割り当てなんというものは、予算が通ってからでないと計画が立てられない、こういう意味ですか。
  229. 武田輝雄

    ○武田説明員 そのとおりでございます。
  230. 正木良明

    正木分科員 そうすると、いまも計画局長お話しになったように、こういう積滞の中で東京二十三区は比較的架設がすみやかに進んでおるが、そのほかの地域においてはそれに比べておくれておるということでありますが、そうすると、その予算審議をするのに、どこの地域にどうだとかこうだとかいうことがわからないで審議をするのであって、電電公社としては、その全体の数字というものだけで予算審議の対象にし、それの議決を求めようとする、こういうことなんですか。
  231. 中山公平

    ○中山説明員 御質問の点でございますけれども予算におきまして計上されておりますのは、新しい架設電話を二百四十万つくる、そういう場合に、設備を、たとえば局をどこにつくって架設するかとか、あるいは機械の端子の増設をどういうところに幾つぐらい行なうかとか、こういったことについては建設予算ではっきりと出ておるわけでございますけれども、御承知のように、私ども長い間における事業をやっておるわけでございますので、いつも幾つかは予備的な設備を持って、それを年度当初からおつけしてまいる、こういうふうにやっておりますから、そういったものにつきましては、予算の御審議あとで各地域の需給状況をいろいろと勘案して具体的に決定し、各通信局に配分をする、こういう仕組みで対処してまいっております。
  232. 正木良明

    正木分科員 私あまり納得できませんけれども、たとえば昭和四十四年度で新設された局の中に架設の余裕のある分があるわけでしょう。それを四十五年度で引くということはあり得るわけでしょう。四十四年度で建設された電話局の中に、これは一ぱい一ぱいじゃないから余裕ができてくるでしょう。その余裕のある分を四十五年度で引くという場合があるでしょう。違いますか。そういう意味でしょう。
  233. 中山公平

    ○中山説明員 そういうことでございます。その年度以前においてつくりました設備に余裕のあるものがいつも若干はあるわけでございます。そのものにつきましては、全国における需給の状況というものを勘案いたしましてそれを配分してまいる、こういうことでございます。
  234. 正木良明

    正木分科員 したがって、あなたがおっしゃるように、昭和四十五年度で要求しておる予算というもので解消できるものだけが積滞の解消の数字ではないでしょう。去年つくられた施設の中でことし新しく架設するというものも、積滞の解消の数字の中に入るでしょう。そういうことが毎年繰り返されるでしょう。そういうことになると、その計画というものは、たとえば、いま第四次五カ年計画計画が遂行されているわけでありますが、結局その計画の中で解消されていくのと、予算へ出てくる数字とは違うということですか。
  235. 中山公平

    ○中山説明員 大筋といたしましては御指摘のとおりでございますけれども、個々につきましては、具体的な配分というものが伴いますので、それは予算の成立後に計画を決定させていただいております。こういう次第でございます。
  236. 正木良明

    正木分科員 ちょっと議論がかみ合わないので、もっと時間をかけて逓信委員会でやりましょう。きょうは時間ありませんから、この問題は、予算審議の形としては、そういう資料が出てこないこと自体がほんとうはよくないのじゃないかというふうに考えますが、この点は納得しないままで次に移ります。もう少し研究してください、今度私が質問するまでに。その問題はおかしいですよ。  もう一つの問題は加入区域の問題です。一番典型的な例は北九州であったということを私は聞いておりますが、いずれにいたしましても、行政区域というものと、私が先ほど指摘した産業経済圏または生活圏とはうまく重なり合いません。おそらくはみ出ておるのが普通でございます。電話加入区域というものは、従来そういう行政区域できめられておるということは決していいことだとは思っていないわけです。したがって、産業経済圏もしくは生活圏というようなものに果たしていく電話の役割りから考えて、こういう形の電話の加入区域の設定というものが私は必要だろうと思います。たとえば東京都におきましても、二十三区以外の地域においては、市外扱いになって料金も高いという事実があらわれているようであります。また、私の住んでおりますところもそういう一つの大きな問題があるわけでありますが、こういう加入区域の問題について、やはり来たるべき七カ年計画においては、一つの基準となるべき考え方というものをお持ちになってないとこの計画は立てられないだろう。ただむやみに電話さえつければそれで計画が終わりだということではない。全国的にこの加入区域、これは料金という問題に関連してまいりますから非常に大きな問題になっていくだろうと思いますが、こういう点について、基準となるべき考え方というものをお聞かせ願えたらと思います。
  237. 武田輝雄

    ○武田説明員 加入区域の問題は非常に大きな問題でございます。公衆法の中にも規定がございまして、加入区域を設定する場合には、その地理的な条件並びに経済的な条件、あるいは公社の提供する技術上の条件を考えて決定するということになっております。現実の問題といたしまして、現在の加入区域は距離密度と申しますか、需要の距離密度でやっておりますが、非常に狭いということは事実でございまして、これだけ生活圏が広域化し、また連檐化した時代にはそぐわないということは事実でございます。公社といたしましては、従来町村合併ができましたときには局間距離六キロのものは合併をするということでやってまいりましたが、しかし、これでも追いつかないことは事実でございます。そこで、加入区域をかりにどんどん広げましても、また違った新たな格差が生ずることも事実でございます。  昨年法律を改正いたしまして、近郊通話という制度を設け、そして近距離の市外通話料を値下げいたしましたのは、いま御指摘のございました生活圏の広域化、経済圏の広域化に対処して、なるべく地域による通話料格差を是正していこうという考えでやったわけでございます。しかしながら、それだけでもなお不十分でございますので、今後つくります七カ年計画の中におきましては、こういう超広域化の実情並びに連檐化の状態の社会的情勢にマッチするような料金体系を考えていきたい、こういうふうに考える次第であります。  この問題は諸外国も一番悩んでおる問題でございまして、たとえばアメリカ等におきましては、ニューヨークを十五くらいのレートゾーンに分けて、その中は同一だけれども、それを出れば狭いエリアでございますが、時分制をとっておるというふうにしております。  いずれにいたしましても、こういう広域化の事態に即するような新しい料金体系を七カ年計画の中で考えてまいって皆さん方の御要望の実態に即するようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  238. 正木良明

    正木分科員 ただ、そういう問題は私はわかるのです。わかるのですが、しかし、現在やはり国民感情というか、市民感情からすると非常に不公平な扱いを受けておるという考え方を持つ人たちがやっぱりいるわけですね。そのためにはある程度そういうものも考えの中に入れてもらわなければならない。少なくとも過渡的にはそういうことをしてもらわなければならないのではないかと思います。特に例としてこういうのを持ち出して恐縮でありますけれども、大阪の堺なんかは、経済圏としては大阪の経済圏とも密接な関係がある。そういうところで、やはり私の調査によりますと、大阪との通話料というものは非常に大きい。堺の電話局で市外通話の中の六割が大阪市内との通話である。ところが、大阪市内局というのは、それじゃ純然たる大阪市内だけかというと、周辺の衛星都市もある程度は入っておる。しかも行政区域でいうならば、兵庫県にある尼崎市まで大阪市内局の扱いを受けておる。にもかかわらず、全く地理的にも隣接し、同時にまた、経済交流からいってもきわめて濃度の高い堺市が市外局であるということは非常に問題だというので、十四、五年前からこの問題がずっと続いておりまして、今度もこの問題が非常にやかましくいわれておるわけであります。たまたま料金の値下げが、五十秒七円から六十秒七円にしてもらいまして——してもらったなんて言わないほうがいいかもしれないけれども、なった。それで、ある程度は短い通話につきましては解消されたように思いますが、堺の電話局で調べてみると、平均二分ということになると、やっぱり市内通話と市外通話では倍、一回ならば七円くらいのものですが、中小企業なんか、大阪との通話なんというのは何十万という電話料を払っておるわけですから、その中での倍ということになると非常に大きなものになる。きわめて不当な電話料金の負担をしておるという考え方が、理屈を越えて素朴な市民感情としてある。こういう問題も、ある程度は今度の計画の中でこなしてもらわなければならないように私は思うのです。そういう点、新しい七カ年計画の中でこういう問題もあわせて考え方として入れていくのかどうか、そういう点について御答弁をいただきたいと思います。
  239. 米澤滋

    ○米澤説明員 ただいま御質問ございましたが、七カ年計画の中では、料金体系問題といまのような加入区域の合併問題をあわせて考えていきたいと思っています。
  240. 正木良明

    正木分科員 非常に時間がございませんので、まだ御質問申し上げたいことがございますが、最後に一言だけお聞きしておきたいのでありますが、電話架設にあたって電話債券というのを加入者が負担することになっております。この電話債券の負担について、基本的な考え方と、同時にまた、この電話債券の負担を軽減する、もしくはなくするというような考え方が今度の新しい計画の中に入ってくるのかどうか、その点お聞かせいただきたいと思います。
  241. 武田輝雄

    ○武田説明員 電話債券は拡充法によりまして、電話をおつけする際に引き受けていただくことになっております。一方、公衆法には設備料というものがございまして、現金でいただいておるのでございます。設備料のほうは料金としていただいておりますが、債券のほうは、電話を一本つけますのに三十五万円ほどの資金が要りますので、一時加入者の方々から資金をお借りするという意味合いのものでございまして、利息も七分二厘の利息をつけてお払いしておるということになっております。そして、将来の問題でございますが、現在の積滞が、先ほどお話が出ましたように二百六十万もございますし、電話の新規需要が非常に旺盛でございます。これを架設するために一加入三十五万円の資金が要るということでございますので、七カ年計画を達成して、七カ年計画の最後には申し込めばすぐおつけするような状態にするためには、どうしても資金の問題が必要だと思いますので、電話債券はやはり続けていかなければむずかしいのではないだろうかというふうに考えておる次第でございます。
  242. 正木良明

    正木分科員 決算を見てみないとまだよくわかりませんが、最近電話事業については、一時いわれておった非常に財政的な危機というものが少なくなってきているようでありまして、新しい決算ではおそらく黒字が出るのではないかというふうな考え方もあるわけです。その反面、いまおっしゃったように、確かに新しい需要がどんどんありますので、設備の拡充をしていかなければならる、そのために膨大な資金が必要だということもわかります。しかし、債券だからあとでお返しするのだから、しかも利子をつけてお返しするのだからということでありますけれども、実態は、あの電話債券はすぐさま売っているのですよ。そのときに額面どおり債券屋が買ってくれるかというと、決してそうではない。あれもときどきの相場がありまして、ひどいときは三割減、三割五分減ぐらいで、いわゆる六掛け半、七掛けぐらいでその債券を売らなければならぬということになれば、結局その需要者、架設申し込み者、その電話債券を引き受けた者は、事実上それだけの負担をしておると考えなければなりません。したがいまして、願わくは、やはり電話債券の制度というものも、一時戦災を受けた日本が復興するために資金の需要が非常に高かったために、それは電話債券の必要があったかもわかりませんけれども、ぼつぼつそれは考え直していい時期ではないか。事実上、表面には債券として利子をつけて返す金で、決して大きな負担にはなっていないという考え方ができるかもわかりませんが、実態は決してそうではない。その電話債券を引き受けた額の三割ないし三割五分は、事実上電話架設申し込み者の負担になっておる、こういう実態をつとに御承知の上であろうと思いますが、そういう実態に即しての考え方もしていただいて、できるだけ善処していただく、これをお願いしたいと思うわけであります。  以上で終わります。
  243. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  ただいま電話債券の問題が出ましたけれども、電話債券につきましては、確かに、これはもうだいぶ前でございますが、実際三割とか、そういう時代がございましたけれども、最近はせいぜい五%程度になっているんじゃないかと思います。したがいまして、公社といたしまして七カ年計画を進めていく上に、資金問題の一つとして、やはり現在の建設投資額の約三〇%は加入者債券でやっておるわけでございますので、われわれといたしまして、債券がそんなに安く買いたたかれないというような方法を別途講じておるわけでございますので、その点は十分御了解願いたいと思いまして、御答弁申し上げます。
  244. 藤田義光

    藤田主査 正木君の質疑は終わりました。  次は大原亨君。
  245. 大原亨

    大原分科員 これから大体二点にわたって質問いたします。最初は重要な問題ですが、これはいままで議論した問題ですから、簡単に質問いたします。  第一の質問は、去年並びに一昨年の予算委員会分科会でずっと議論をいたしまして、河本前郵政大臣その他各大臣が前向きで善処するというふうに約束をされたわけですが、そういう問題が一つあるわけであります。これはあらかじめ御承知だと思うのですが、広島あるいは長崎の原子爆弾で、特にこれは広島の場合ですが、原爆が落ちました中心地域に電報電話局が広島においてはあったものですから、あるいは逓信局もございまして、山口という逓信局長は赤い自転車に乗って通勤の途上で殉職をされたということがあるわけですから、そういうことでたくさんの犠牲者が出たわけです。その犠牲者に対する戦時特例を援用いたしましての共済年金による援護の措置というものが非常に手落ちがあり、不公平があるのではないか、こういう点を私は指摘いたしてまいりました。これはどういう点で不公平があるかといいますと、たとえば同一の職場におりました同じような動員学徒は、これは総動員法による命令でしたから、いわゆる戦傷病者戦没者遺族等援護法の中で準軍属として扱われておりまして、最初は一時金でございましたが、経過は申しませんが、後には給与金という年金になって、たしか一年間十一万ぐらい給付されておるのであります。しかし、同じように日の丸のはち巻きで戦争と同じ状況の、総動員法業務として指定されておった職場において働いた、電報電話局に圧倒的に多かった雇用員、その雇用員の殉職者は、非常にきつい制限のもとに一時金だけで何らの殉職年金の措置がなされていない。不公平だということになりますと、判任官、奏任官、勅任官、そういう判任官以上は、遺族に対しましては殉職年金、けがをした人に対しましては傷害年金が全部出ておるわけであります。しかし、雇用員ということになりますと、当時は非常に身分上の差別があったわけでありますが、非常にシビアな条件がありまして、家計の担当者であるならば、これは御承知のように年金が出たわけであります。しかし、ふしぎなことには、私は閣議決定で省令を出しておると思うのですが、同じように国鉄とか専売公社で働いておる人は、家計の担当者であろうが何であろうが、遺族に対しましては全部殉職年金が雇用員にも出ておりますし、その他にも出ておるわけであります。他の職場との不均衡があるではないか。あるいは同じように働いた挺身隊その他動員学徒との関係において差別があるではないか。それから、戦時の特例で措置をいたしたといいながら、その後他の方面は改善措置がなされておるのに、戦争犠牲者としての何ら改善措置がなされていないではないか。特に戦争直後の新円封鎖やインフレのきびしい中においてこれが陥没をしていないか。こういう問題で私は、これは理屈の当然で、昨年も海堀主計局次長にも出席をいただきまして議論をしたわけでありますが、これは前向きで善処するということになっているわけであります。該当者はそうたくさんないと思いますが、郵政関係で殉職年金、傷害年金の対象となっていないそういう雇用員の実態、人数をひとつお答えいただきたいのと、それから、その後これに対してどういうふうなお考えのもとに措置をされておるか、こういうことについて簡潔にお答えいただきたい。
  246. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 従来から大原さん、この問題をたいへん熱心にお取り上げになっていることは私は聞いておりまして、ただ、きょうすぐさま御満足のいくお答えができますかどうか、その辺は調査させましたから、関係事務当局からお答え申し上げます。
  247. 中田正一

    ○中田政府委員 原爆被爆者の数でございますが、問題の雇用人につきましては二百九十七名の方が死亡したわけでありますが、そのうち当時一時金の支給を受けまして、年金の受給を受けていないという者の数は二百三十五人でございます。  それから、前回河本大臣が今後検討を進めるということで、事務当局検討を進めたわけでございますが、当時もむずかしい事情にありましたと同様に、なかなか理論的にむずかしい問題が残っておるわけでございます。  第一点といたしましては、なるほど不均衡という事実、いまになって考えますればありますけれども、当時としては一応法令上解決済みと申しますか支給済み。片方は、鉄道省なりほかの省の場合には年金、しかし片方は一時金、なるほど年金と一時金の差はございますが、当時としては年金、一時金というバランスを考えながら、条件に応じて処理されておったというようなことが第一点のむずかしい事情の一つでございます。  それから第二点といたしましては、現在の共済組合法のたてまえが、遺族などを認定する場合の条件として、問題の人との関係で生計の維持ということが条件になっております。現在の共済組合法のみならず、一般の社会保険の制度一般がそういうことになっておりまして、当時の方向と逆であれば格別、現在の方向と同じ方向で措置してあったというようなことのために、これをどういうように措置するか、なかなか理屈の上でむずかしい点があるわけでございます。  第三点は、なるほど鉄道その他の面と比較しますればマイナスのアンバランスがあるわけでありますが、逓信省の共済組合と同じような措置をとっておった共済組合も他に若干あるわけでございます。そういうわけでございますので、逓信関係についてだけ措置することがまた均衡を破らないかというような問題もございまして、いろいろ考え抜いておるところでございます。
  248. 大原亨

    大原分科員 一時金を受けた者が二百三十五名で、他は年金を受けている。つまり年金を受けていない者が二百三十五名と言われたのですが、これは一時金といいましてもインフレや新円封鎖等で二束三文になった。それは当時の動員学徒その他におきましても最初は一時金でございましたが、今度は年金に切りかえたわけです。ですから、戦争犠牲者の救援ということからいいますと、これは戦時特例なんですから、国鉄や専売等でやっておる主たる家計の担当者という制約を除くのが当然のことであると私は思うわけであります。他のほうでもそういうことをやっているわけです。ですから、それは理由にならぬと思うのですが、たとえば一時金をもらっていない者がたくさんあるというわけです。混乱期にもらっておる者がわかっていますか。その中で何人もらっていますか。
  249. 中田正一

    ○中田政府委員 年金の受給者は、広島の場合六十二人でございます。
  250. 大原亨

    大原分科員 当時、一時金をもらっている二百三十五名について……。
  251. 中田正一

    ○中田政府委員 二百三十五人が年金受給でないということは、一時金をもらって処理されておったというように理解しております。
  252. 大原亨

    大原分科員 そうでなしに、年金をもらっていない人は一時金をもらっておるというのじゃなしに、当時は混乱期で、新円の切りかえその他で一時金をもらっていない人がたくさんあるというわけです。そこで私は、そのことについてはそうぎゅうぎゅう詰める必要はないと思うのです。そういう事情ですから、いろいろ議論いたしまして、去年の議事録がありますが、海堀主計局次長はいま大蔵省にいないようですが、なかなか石頭だったけれども、ものわかりのいい答弁をしておるのですよ。つまりいろいろの議論の中から、不公正な事実があるということを認めておるのです。  そこで、それらのことを受けて郵政大臣、私はあまりこれは議論いたしません、問題の所在がわかっているので。どういう点から考えてみても、私は、たとえ少人数といえども現在の段階で放棄することはおかしいということですね。これは私も引き続いて議論いたしますが、郵政大臣は人道主義者としては模範的な人ですから、ひとつ政治力を発揮して、事務的なベースでなしに問題を解決してもらいたい。そういうことについて、はっきりと決意を表明してください。
  253. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 よく承りました。御趣旨に沿って善処いたします。
  254. 大原亨

    大原分科員 毎年毎年善処すると言って、郵政大臣が一年ごとにかわったのじゃつまりませんよ。人事局長もそのうちかわって、前の局長がどう言っておりましたかというようなことではつまりませんよ。いいですか。あなたもがんばって存続されるとか、局長は解決するまでかわらさぬようにしてください。いいかげんやったらすぐかわっちゃうのだから。こんな無責任なのはだめですよ。三カ年も同じことを繰り返してきたのだから。これは答弁は求めませんけれども……。  それからもう一つは、郵便貯金と簡易保険の問題ですが、財政投融資の問題で、きょうは経済企画庁からも、社会開発に関係して重要な問題ですから、御出席いただいておるわけです。大臣代理の山口シヅエ次官に来ていただいているわけですね。これもぜひ質問いたしますから、御用意しておいてください。  そこで、郵便貯金の利子は五分五厘というのですか、郵政大臣、あなた政治家といたしまして、物価がそれ以上上がっているのですが、政府がやっている貯金の制度、定期預金が五分五厘であるというようなことで、それ以上物価が政府の責任で上がっているということならおかしいでしょう。これは貯金に対する熱意を減退させるんじゃないか。利子率はあなただけのところでやるわけにはいきませんけれども、私は、物価上昇率より低い利子というようなことは、不道義、不道徳の標本のようなものですよ。しかも政府自体がやっていることからいってもおかしいと思うのですが、それについてはどういう感じを持っておられますか。
  255. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 物価問題と金利の問題は、この予算委員会でも大きなテーマでございまして、私も総括質問等でよく伺ってまいりました。ただ、問題は、これが必ずしもスライドをするというわけにもまいりがたい事情にあることは、大原さん御承知のとおりであります。そこで、先ほど上林委員が提起されましたが、金利体系の変更等が近くある。ごくわずかではありますけれども、郵貯の利子も上がるということは御答弁申し上げておきました。  以上。
  256. 大原亨

    大原分科員 それから、簡易保険の積み立て部分の利子は幾らになっているのですか。だれか知っている人、いないですか。
  257. 上原一郎

    ○上原政府委員 お答え申し上げます。  簡易保険の積み立て金の運用利回りのことと存じますが、現在六分五厘九毛に回っております。
  258. 大原亨

    大原分科員 いや、一定の年数保険料をかけましたら返ってくる場合の計算。それは同じですか、私はしろうとだからわからぬが。
  259. 上原一郎

    ○上原政府委員 それは保険料のことだと存じますけれども……。
  260. 大原亨

    大原分科員 保険料に対して保険金が返ってくるでしょう。その利子計算。
  261. 上原一郎

    ○上原政府委員 これは予定利率四分でございますけれども、しかし、御承知のとおり簡易保険は民間保険と違いまして、支払うときに最終の配当を出すという方式でございます。それで、四分にプラス二分で六分でございます。しかし、先ほど申し上げましたように、六分五厘九毛に回っておりますので、さらに上乗せ配当といたしまして、その分を原則として返すというやり方で現在保険料を積算しております。
  262. 大原亨

    大原分科員 物価が六%上がったにいたしまして、いまの簡易保険の説明ですともう少し吟味しなければなりませんが、危うくセーフというところです。  そこで私は思うのですが、財政投融資の原資をいろいろ求めていくわけですが、政府経済社会発展計画をいま策定しておるわけです。そういう長期政策を策定しておるわけですが、その中でやはり国民生活優先とか人間尊重ということを言っているわけであります。そこで、やはり経済成長よりも社会開発ということをいうわけですが、そういうことからいいますと、いまの経済成長率が、民間設備投資を中心といたしましてべらぼうに高いわけであります。これは経済企画庁が立てました見通しの倍ぐらい、民間設備投資ども膨張するわけであります。全く計画とかなんとかいうふうなものではないわけであります。したがって、これを中心に経済企画庁が立ててきました計画が、次から次へ、ふんどしではないが、前のほうからはずれてきて、一年ごとに計画のやり直しということであります。佐藤内閣になりましてから、昭和四十年に初めてひずみの是正、格差の是正とかいうようなことをいって、社会開発というようなことをいいまして中期経済計画をやりまして、これは一年もたたぬうちにパアになったわけであります。経済社会発展計画は、また一生懸命電子計算機に経済企画庁の官庁エコノミストが群がってやりまして、またパアになって、またやるわけであります。経済企画庁というところは、そういうふうに電子計算機の前に集まって数字をもてあそんで、それで一生過ごすようなことになっておるわけですね。つまりそういうことである。経済成長は、経済中心に金が流れていっているわけでありますから、これは社会開発に重点を置くような、そういった資金の流れというものをつくっていくのが、私はやはり、郵便貯金や簡易保険の一つの制度というものの大きな問題ではないかというふうに思うわけであります。  それで、私はそういう点で、財投の原資の中心になっておるそういう問題等について、その流れを変えていく場合には、たとえば民間の都市銀行に対しましては七割の貯金が集まるような、こういう仕組みになっておるわけであります。国民年金その他厚生年金の積み立て金までそのほうへ回していったりするわけですね。ですから、そういう社会開発、公共投資のほうへ回す原資をどういうふうにとっていくかということと、あと輸出入銀行や開発銀行をどういうふうに使うか。時間がないから簡単に申し上げるのですが、そういう資金の流れを変えていくことをやはり具体的にコントロールしないと、経済企画庁が社会開発を中心に新経済社会発展計画を立てるといいましても、これは口頭禅にすぎぬと思うわけであります。こは佐藤総理に答弁してもらうようなことでもありますけれども、そういう点からいうと、私はこれからのそういう大きな方針からいいまして、この財政投融資の原資の大きな部分を占めておる郵便貯金や簡易保険その他の積み立て金の問題等について、特に二つの問題を中心にいたしまして、やはり相当の考え方が必要ではないかという概括的な意見を持つわけであります。私が申し上げたようなことについて、経済企画庁はそういういままでのことを繰り返すのでなしに、私が申し上げたことについて、賛成してもらうということでなしに、何らかの考え方を持っておられるかどうか、こういうことにつきましてひとつお答えいただきたいと思う。初答弁ですから、ひとつしっかりやってください。
  263. 山口シヅエ

    ○山口政府委員 お答えを申し上げます。  新しい経済社会発展計画の作成にあたりましては、その基本的な目標の二つの柱の一つといたしまして、充実した経済力にふさわしい国民生活の実現のための社会的基盤を整備いたしたいと考えております。そして、真に豊かな社会の建設を本格的に目ざすことといたしておる次第でございます。そして同計画の重点政策におきましても、社会開発の推進、発展基盤の培養のために公共投資を積極的に拡充していくことといたし、これの資金の確保には鋭意努力中でございます。  ところで、公共投資の充実のための資金源といたしましては、租税、財投資金、公債など各種の調達手段が考えられておりますけれども、郵便貯金、簡易保険などの資金が重要な資金源であることは、先生の御説のとおりでございます。新しい経済社会発展計画においては、金利の弾力化を強調することといたしておりますけれども、個々の金利についてまで触れることは、同計画の性格上考えておりません。また、郵便貯金、簡易保険、厚生年金、国民年金などの資金は、従来とも国民生活基盤の充実のために、公共投資に充当すべく努力いたしてまいっております。今後ともこれらの努力を続けてまいる考えでおります。  以上でございます。
  264. 大原亨

    大原分科員 郵政大臣、たとえば農協の貯金だって都市銀行に大部分が集まるわけでしょう。それを農業基盤の整備とか構造改善に回していないわけです。それは利子補給その他保証制度で、金融制度からいえば操作できるわけです。そこで、たとえば都市銀行に集中するやつを、小口預金になりますけれども、郵便局に集めるために、郵便局で貯金を預ける片道通行だけでなしに、貸し出しをするとか、あるいはたとえば利子の問題も一つありますけれども、利子はこれから自由競争になるかもしれないのですから、それに対応するとか、あるいは郵便局の窓口のそれに対応する整備をするというふうな、そういうこと等で国民に非常に身近なところがあるわけですから、そういう考え方でやはり資金の流れを変えていくようなことはできないか。そういうことについて何らかの意見はないか。
  265. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 おっしゃいますように、資金が都市集中、しかも企業の関係からいいますると、大産業優先といったようなことに流れていくという御指摘は、確かにそういう現象になっておると思うのでございます。そこで、この郵便貯金で集まったお金あるいは簡易保険で集まったお金、これをもう少し還元する方途はないか。あるいは都市と農村とのバランスということも裏に含んでいらっしゃると思うのです。保険につきましては、これは御承知のように還元の方途はございます。それから郵便貯金について、少なくとも定額貯金証書を担保にして、それをお入り用の方には還元をして融資するという方向で、いま部内でも検討をし、ときにそれをひとつ具現しようというアクションに出たこともございます。いまのところまだそれが達せられてはおりませんけれども方向としては、私どもも何がしかさようなことを考えなければいけない、かように存じております。
  266. 大原亨

    大原分科員 時間もないわけですが、たとえば財政投融資全体を輸出入銀行にあれほど使う必要があるかどうか。開発銀行にいたしましても開発基金にいたしましても、これは大きな企業に回るわけです。国際収支は黒字になっているわけですから、そういう点については調整しながら、そういうふうに庶民のふところから集まった金は社会開発に回していくというふうな、そういう発言を経済企画庁もコントロールできる——何とかと何とかで金と力はなかりけりという経済企画庁だからなかなかできぬけれども、そういうことをコントロールできるような経済企画庁でなければならぬし、あるいは政府全体が社会開発を中心にやっていくというのであるならば、そうしたら農協の資金から国民年金の積み立て金、厚生年金の積み立て金に至るまで、運用利回りばかりを考えて都市銀行のほうへ回していくという、そういう資金の流れを変えることと、入ってくるのと出ていく場合を規制するというふうなことをしなければ、私はそういう政策というものはいけないと思う。この点については、あなたはセンスのいい大臣ということで通っているわけですから、ひとつ大いに国務大臣としても発言をしていただきたい。もう少し掘り下げて議論をしようと思ったが大まかな議論になりましたが、それと、大体経済企画庁なんかが物価なんかをコントロールする責任官庁であるのに、コントロールできないということが一番大きな問題でもありますが、それはともかくとして、そういう申し上げたこととは別に、公社案が前の大臣の当時議論になったことがあります。郵政の公社化について、これはいままでの議論とは別ですが、内容的にはそれと関係づけて考えられてよろしいと思うけれども、この点についてはどういうようにお考えになっておるか、最後にお聞きしたい。
  267. 野田誠二郎

    ○野田政府委員 お答え申し上げます。  郵政事業の公社化につきましては、昨年十月末郵政審議会から答申が出されております。経営形態を公社化することは、これを契機として経営の合理化、国民に対するサービスの向上を推進するという意味におきまして採用に値するものである、こういう答申が出ております。これを受けました省としましては、昨年十一月下旬に省内に公社化対策委員会を設けまして、各事業別、財務、人事、それから組織の部門と、部門を設けまして、各部局長以下課長、課長補佐、それから地方機関の職員に至るまで、総力をあげて事務的に、実務的な観点からこの答申を尊重するという趣旨のもとに検討を開始いたしております。いろいろな事情がございまして、その検討がいささか延びておるのでございますが、少なくとも来年の予算要求の時期くらいまでには完全なる検討を了しまして、事務的な成案を得たい、かように考えておるのであります。いずれにいたしましても、経営形態の問題は非常に問題が重要であり、膨大である、かつ多岐にわたっておる、こういうふうな観点から、また、たとえば経営の最高責任者の安定性の問題あるいは料金設定の原則の問題等々、単に事務的あるいは実務的だけでは解決できない問題等々が非常にたくさんあるわけでございまして、政治的な要素というものも当然考えなければいけません。いま申し上げましたように、事務的、実務的にはどんどん作業を進めておる、こういう状況でございます。
  268. 藤田義光

    藤田主査 大原亨君の質疑は終わりました。  和田春生君。
  269. 和田春生

    和田(春)分科員 現在の日本が急速な経済成長を遂げつつある中で、いわゆる都市化現象というのが非常な勢いで進んでいるわけでございまして、ある未来学者の予測によれば、あと十年もすると全人口の八〇%近い人々が、国土の数%にすぎない大都市並びにその周辺に集まるであろう、こういうふうにいわれているわけであります。そういうような高度経済成長と急速な都市化現象の中で、従来の行政区画のあり方等につきましても、たとえば道州制という問題が出てくる。あるいは交通網では、全国新幹線網という新しい考え方が浮かび上がっている。そういう状況の中で、国民の耳と耳とをつなぐ電気通信に関しまして焦点をしぼって、政府当局考え方をただしたいと思います。  なお、この問題については、特に急速な都市化が進み、都心部はむしろ人口が減少してどんどん周辺に移っている。三多摩地方等におきましては、地域住民の間から、現在の電話の利用その他につきまして、非常に多くの不満や問題点が指摘されているわけでありまして、そういう地域住民の声を代表してお伺いいたしますので、ここで御答弁として伺ったことを、そのままのことばで地域に住んでいる人々に説明しても、賛否は別としてわかってもらえる、そういうふうにわかりやすく簡明にお答えを願いたいと思うわけであります。  そこで第一番目に、現在の国内における電話におきましては、申すまでもなく市内通話と市外通話という形があるわけですが、この市内と市外というものを区別する概念はどういうものであるかということをお伺いしたいと思います。
  270. 武田輝雄

    ○武田説明員 市内通話、市外通話の分け方でございますが、これは公衆電気通信法に規定がございまして、「市内通話 同一の普通加入区域内の電話取扱局に収容される電話相互間の通話」というふうになっております。それ以外の通話が市外通話でございます。
  271. 和田春生

    和田(春)分科員 その同一加入区域というのは、どういう基準で定めておるんですか。
  272. 武田輝雄

    ○武田説明員 これも公衆法に規定がございまして、公衆法二十九条でございますが、普通加入区域とそれ以外の特別加入区域がございます。そういうものを公社が指定するわけでございますが、「指定をするに当っては、一の区域ごとにその地域の社会的経済的の諸条件、行政区画、加入電話の需要及び供給の見込並びに公衆電気通信役務を提供するに要する原価を考慮しなければならない。」という規定がございまして、それに基づきまして、現在においては、加入数の多寡によりまして、距離、密度を基準といたしまして加入区域の設定基準を定めておる次第であります。
  273. 和田春生

    和田(春)分科員 公衆電気通信法のその規定を私もよく承知しておるわけですが、現実に行なわれておるところを見ますと、一体どういう基準でそれが区別されておるのか、私たちにはよくわからない。多分に便宜主義的に行なわれておるのではないかと思われる面がありますから、具体的に、それは東京管内の近くにおきまして、こういうふうだという具体例でわかりやすく説明していただきたいと思います。その答弁を通じて、どういう基準をお持ちになっているか、判断をしたいと思います。
  274. 武田輝雄

    ○武田説明員 公衆法にそういう規定があって、地理的条件、社会的条件のほかに、「公衆電気通信役務を提供するに要する原価を考慮しなければならない。」というものでございますので、加入数の多寡によりまして、局を中心といたしました半径の長さをきめまして、したがって、加入数が多くなればなるほど加入区域が広くなるような形で設定をいたしておりますが、多分に沿革的なものもございまして、この基準が現在の加入区域にそのまま当てはまるというわけではございませんが、いま申し上げました基準を適用してきめていくということでございます。ただ、沿革的なものもございますので、その点は若干の例外はございます。
  275. 和田春生

    和田(春)分科員 若干の例外というお話でございましたけれども、冒頭に申し上げましたように、いま特に都市化現象が急速に進んでいるわけです。先ほども言いましたけれども、都心部の人口はどんどん都下に移っているわけです。杉並とか渋谷あるいは三鷹、武蔵野、保谷、田無、こういうところにおきまして、現在の状況は十分御承知と思いますが、市外と市内の通話に対する基準に照らして適当であるとお考えになっているか、不適当な状態になっているというふうにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
  276. 武田輝雄

    ○武田説明員 生活圏、経済圏の広域化の趨勢並びに都市の連檐化の趨勢に対処して、加入区域が必ずしも実情に合っているというふうには考えておらない、実情に合わなくなってきているというふうに考えております。  公社としては、町村合併促進法ができたときに、同一市町村でありますれば、局間距離六キロのものにつきましては合併をして市内通話にし、それ以外のものは即時通話にするということでやってまいったのでありますが、最近における首都圏、近畿圏、中部圏、太平洋ベルト地帯ではなかなかそれに合わない。また、どこまで加入区域を広げていきましても、かえって大きな矛盾が出てくるというようなことがございますので、そういう矛盾を幾らかでも解消して地域住民の利便に供するという意味で、昨年公衆法の改正をいたしまして、近郊通話制度を設け、近距離通話料を値下げしたのも、幾らかそういったような社会情勢にマッチした通話料体系に持っていきたいという考えであります。
  277. 和田春生

    和田(春)分科員 それは非常に抽象的ではっきりしないのですが、具体的にお伺いいたしたいと思うのですけれども、江戸川と世田谷の間が市内通話でできるのに、世田谷と近接をしております調布とは市外通話でやらなければならない。しかも、それがたとえそうなっておっても、行政区画の関係でその間に都市部の連絡がない、かなり離れてぽつんぽつんと中心地域がありまして、飛行機で飛んで上から見ても明らかにばらばらである、どこかではつながっているのでしょうけれども、都心部の中心部が異なった形で区画的に大体識別できる。生活圏も異なっているということであるならば納得すると思うのでありますが、御承知のように、二十三区の西のほうの周辺と、武蔵野、三鷹、調布、狛江あるいは保谷から小金井に至り国分寺、国立というふうに、切れ目がないようにべったり続いている。しかも生活圏というものも特別に区別がつかない。そういう状況の中で、調布と世田谷とは市外通話であり、世田谷と遠く離れた江戸川は市内通話で処理されておる。現在そうなっておるわけですけれども、それは矛盾だと考えておるか、矛盾してないとお考えですか、そこを確かめたい。
  278. 武田輝雄

    ○武田説明員 おっしゃいますように、都市といいますか、町が孤立していましてばらばらであった時代においては、加入区域で市内通話、市外通話を区別してもおかしくないと思いますが、今日のように、行政区域が一つの生活圏でなくて、もっと広い生活圏が出てきた時点におきましては、いま御指摘のような点は実情に合わないようになっているというように考えます。この問題は、世界各国共通した問題でありまして、どういうふうな対策をとるか、世界各国いろいろ苦労しているところでありますが、たとえばアメリカなどにおきましては、大都市につきましては二十くらいのゾーンに分けて、離れたゾーンには高い料金を課するというようなことをやっておりますが、いずれにしても何らか近代化をはからなければならぬ問題であろうと思います。
  279. 和田春生

    和田(春)分科員 当局側も不合理をお認めになっているということでありますから、その点に関する限り一般の国民の感覚と一致しているわけでありますが、法律のたてまえといたしましては、御承知のように、「公衆電気通信事業の合理的且つ能率的な経営の体制を確立し、公衆電気通信設備の整備及び拡充を促進し、並びに電気通信による国民の利便を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的として、」ということが電電公社設立の目的の第一条に書かれておるわけであります。これは郵政大臣にお伺いしたいのですけれども、いまも政府委員から御説明がありましたように、たいへんな不合理や矛盾が出ていることは否定できないと思うのです。政府は一方で経済社会発展計画で急速な経済成長——やはり実質一〇%以上といいますと、世界では驚異とされる成長率でありますが、そのもとに当然都市化現象が進んでくる。東京の周辺でも、多摩ニュータウンをはじめ、郊外で続々住宅開発が行なわれている。そういう状況の中で、そういう矛盾を解消するために、電気通信行政に対する基本的な考え方をどのように持っておられるか、お伺いをしたいと思います。
  280. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 御指摘の都市化現象というようなものは日増した顕著になってまいっておりまして、そのためのいろいろな矛盾であるとか、公害であるとかいうものも生じておりますことは御指摘のとおりでございます。一方、この驚異的な経済高度成長、これに追いつかないという矛盾があちらこちらに出ておるわけでございまして、電気通信事業についても、やはりその例から漏れ得ないという現象があらわれておるかと思うのであります。したがいまして、これを抜本的にどうするかというような問題でありますが、いま公社当局と御問答をおやりになりましたようなもろもろの問題を含めまして、これはよほど従来の惰性になれた感覚だけではいけないのではないか。ともかく電話というふうなもの、ことにデータ通信の時代はまさに来ようとしておる、その情報化社会のにない手として、電気通信事業の持っておる重要性というものも非常に大きいものがあるわけであります。したがって、それやこれやをひとつもう一ぺん洗い直して、この辺で抜本的な対策を講ずべき時期が到来しておる、かように思うのでございます。  まあ、非常に抽象的な表現でありまして、しからば何をどうするかという具体的な提案をお示し申し上げるのには、私もまだ日が浅いほうでありますから、もう少し情勢検討し、十分これをにらまえて当たりたい、かように考えます。
  281. 和田春生

    和田(春)分科員 まあ郵政大臣、新しく就任されまして、まだ十分検討する余裕がないということは、私どももお互い理解し合いたいと思うのですけれども政府の行政組織というものは継続したものであります。しかも急激な経済発展と社会的な発展というものが起きてきているわけです。特に情報化社会ということがいわれておりますけれども、これは運輸通信というものが近代的な社会においては根幹をなすものだと思うのです。経済成長だけ考えておっても、肝心かなめの耳であり、神経系統である通信においてはっきりした計画がないということについては、これはまことにお粗末であると私たちは考えざるを得ない。どんどん広がっていけ、やればどうにかなるだろう、電電公社、追っかけ追っかけやって苦労をしておるけれども、だんだん矛盾が増大をしていくということでは、データ通信サービスまでするといいましても、いろいろな通信網のサービスが、とかくこれを利用する大企業にとりましては便利なものになりましても、一般大衆、国民の利便という面では、いろいろ不都合な面が重なってきて、何とかしようとするときにはつじつまの合わない面が出てくるのではないか、そういう危険を感ずるのであります。  そこで、大臣からお答えが無理であるとするならば、電電公社の責任者のほうから、そういう計画の素案といいますか、こういうふうにしたいという、実際に実務を担当している立場においてお考えがあるならば、この機会にお聞かせを願いたいと思います。こんなことを言ったからけしからぬと言って責任を問うとか、あげ足をとるというつもりはございませんから、率直に説明していただきたいと思います。
  282. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  電話関係におきまして、大きく分けますと、二つ問題があると思うのです。一つは積滞が非常に多い。申し込んでもなかなかつかないから、これを早くつけるようにしてほしい。それからもう一つは、最近、特にいま御指摘がありました都市化といいますか、同一市町村内の市内通話区域の統合拡大をはかる、それを同一市町村ばかりでなしに、もう少し幅を広げてほしいという、こういう加入区域の統合問題。  この第一の積滞問題につきましては、現在、昨年の十二月で二百六十万ございまして、その大部分は東京周辺で、その次は大阪周辺で、あとは県庁所在地等にありますが、これにつきましては、先ほども答弁いたしたのでございますが、第四次五カ年計画を現在進めておりまして、ことし、四十五年度がその第三年目になっております。これは基礎の工程といたしまして九百三十万の加入電話をつけることにしておりますが、これでは足りないので、一つは、この四十五年度から四十六年、四十七年までの間に特に百万これにプラスいたしまして、一千三十万という電話をつけるということで計画しておるし、さらにまた、第五次五カ年計画の末期におきます昭和五十二年度末におきましては、全国的な規模におきまして積滞をなくなしたいということで、大体八月末ごろまでには七カ年計画を公社できめていきたいというふうに考えております。  それから加入区域の問題でありますが、第四次五カ年計画の中では、特に同一市町村内の市内通話区域の統合拡大をやる。これは初めは四キロの範囲をやっておったものをさらに六キロの地点まで広げて、この第四次五カ年計画で、自動改式を伴っていますけれども、大体二つの局が十二キロの範囲は同一市内にしようということで進めてまいりました。このためには、第四次五カ年計画の中で、経過期間中に約二千億円の建設投資が必要になってくる。しかも約千局について統合拡大をしたいということでありますが、どうしてもこれは自動改式をしなければならないということと、もう一つは、電電公社の場合には、設備投資をいたしますと必ず収益が上がってくるわけでありますが、この同一市町村内の市内通話区域の統合拡大の場合には、設備投資をいたしますと、かえって減収になるという仕組みになっております。  市内、市外の定義につきましては、先ほど営業局長お話しになりましたが、このごろはダイヤル通話になっておりますから、接続の早さという点においてはほとんど問題がない、結局料金関係が問題になってくるということになるわけであります。したがって、この七カ年計画の中で、料金体系の合理化の問題と加入区域の問題を同時にあわせ考えていきたいというふうに思っておるわけでありまして、予算が通って、六月以降におきまして、この七カ年計画をつくる過程におきまして、特に集中的にこの問題に取り組んでいきたいというふうに思っております。
  283. 和田春生

    和田(春)分科員 いま二つの問題点を指摘してお答えになったのですが、第一の点につきましては、これは資本を投下し、合理化を進め、数をふやしていくということで解決をはかっていく以外に方法がないと思うのです。申し込みがたくさんあるんだから、けしからぬというならやめろというわけにもいかぬと思うのです。  しかし、第二の点におきまして、おっしゃるように、市内通話の区域を広げれば、設備投資をしてそういうことをやれば、かえって収益が減る、そういう点にジレンマがあるのだということはわかりますけれども、これは完全な営利会社であり、私的企業で利潤を追求するという場合には、採算に乗らないものは切って捨てていく、こういうこともあり得ると思うのですが、それを特に電電公社というものでやっているのは、そういう企業採算という観点を離れて、今日の社会の進展に応じて電気通信サービスというものを提供して、公共の福祉を増進しよう、こういうところに目的があるのだと思うのです。そうなりますと、単に部分的なそういうことにとらわれてちゅうちょしておるよりも、もっと全般的に、特に急速に都市化している地域におきましては、大胆なる改造計画といいますか、改革、合理化というものについてのビジョンを持たれることが非常に必要ではなかろうか。そういうビションがあって初めて——いまはそこまでいかないのでこういったびほう策をやっておるけれども、やがてはこうなるのだからがまんをしてもらいたい、そういう説明なら、地域住民も納得をすると思うのですが、そういったビジョは何も示されていないわけです、そうして不便な面がいろいろ残っておるわけです。現実に私も調布市に住んでおるわけですが、住んでいるところは調布の町でありますけれども、べったり続いてしまって端のほうにおるものですから、生活圏は完全に三鷹にあります。電話をかけるということになると、私は調布市内に直接電話をかけることはほとんどない。三鷹にかけるか、あるいは二十三区内にかけることが非常に多いわけであります。しかも御承知のように、三鷹の中におきましては、武蔵野三鷹局だけではない、都内の二十三区に属するところもある、あるいは小金井とか保谷の一部もかかえ込んでいる。電話を一つかけるについても、確かにダイヤル通話になっておりますから、数字を二つか三つ多く回すか回さぬかということで、時間には差がないかもしれませんけれども、うっかりしておると幾ら電話番号をかけてもかからない、気がついてみると局が違っておるわけですから、それを調べ直さなければいけないというようなこともあるわけですね。しょっちゅう電話をかけている者にとっては、自分の必要なところは常識的にわかってきておりますけれども、そういう点に関して非常に不満があるということと、しかも電話料金が、二十三区内から東京でいえば三多摩のほうに引っ越したことによって、仕事の関係では個人的な負担もべらぼうにかかる、いままでよりもうんと大きな負担をこうむらなければいけないという場合も出てきているわけです。そういう点に対する不満は非常に強く、だんだん高まってきております。  お聞き及びと思いますが、三多摩の場合は、三多摩の電話格差をなくそうじゃないかという市民運動が起きてきている。そういうものについては、どちらかといえばとかく消極的で、政府側に立つ市町村の当局まで、そういう市民運動と一緒になってこれを突き上げようという機運が出てきている。これは、いまのままだとどんどん広がっていくと思う。そういう点でビジョンというものが非常に大切でございまして、ビジョンと、それから当面のびほう的なものであろうとも、とりあえずの手直しという段階がなくちゃいけないわけです。そのビジョンについてどういうふうにお考えになっておるか、重ねてお聞きをしたいと思います。
  284. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答え申し上げます。  七カ年計画の中でどんなことを考えておるかということが、結局現在におきますビジョンになるわけです。その中で、五十二年度末において全国的な規模における申し込みの積滞をなくす、これが第一です。第二が、市内の加入区域の拡大をはかる。第三が、情報化社会に対しましてそれに応じるようなことやる。それからその次が、公社の新しい技術開発がたくさんございますから、その技術開発をやる。それから最後に、公社の経営基盤を充実する、こういうことであります。電電公社といたしましては、独立採算ということをたてまえにしておりますので、先ほどいろいろ御指摘の、ことに東京周辺の問題等につきましては、いろいろ問題があることは私たちも承知しておりますので、これに対しましてどういうふうに解決するか。やはり積極的に地元に住む国民の方の要望に沿うように、逐次進めていくということを原則にしていきたい。公社といたしまして、国の利益と国民要望に沿うということを一つの大きな基本方針にしておりますから、ただいま御指摘の地域の状況につきましては、今後七カ年計画をつくる過程におきまして、料金体系の合理化と加入区域の問題をあわせて同時に考えてまいりたいと思っております。
  285. 和田春生

    和田(春)分科員 非常に抽象的なお答えなんですが、御承知のように、東京都下には現在十九の電報電話局がございます。市町村は三十二市町村あるわけであります。特に北多摩地方においては、二十三区内の状況ともうほとんど変わらないような形になっていっているわけです。そういう中で、極力住民要望に沿うようにする、あるいは市内の区域拡大をはかるというだけでは、どうなるかというビジョンがわれわれにも浮かび上がってこない。いいか悪いかということを批判するにしても、その話はわかるということでないと、今日の大衆社会の中ではむずかしいと思うのです。  これは、私はそうしたほうがいいという前提に立っているわけじゃないのですが、それを確かめるために一つの例をあげて聞きたいのですが、二十三区には東京都の四分の三の人口が住んでいる。これは全部市内の範囲に入っているわけです。同様な形で、北多摩一帯というものは急速に市街化している。それを大きく包んで一つの市内区域にしてしまう。そういう形にするのは、全般的に調整する第一ステップとして一つ考え方だと思うのです。いいか悪いかは別ですが、そういう考えはないですか。
  286. 浦川親直

    ○浦川説明員 お答えいたします。  東京二十三区は御指摘のように市内通話区域になっております。三多摩全部を東京と同じように市内通話区域にするかどうか、現行の制度における同一加入区域にするか……
  287. 和田春生

    和田(春)分科員 聞いたことは違います。たとえば北多摩の市町村というものは、市街化しているところを全部一括して市内扱いとするというような考え方はあるのかないのかということ。
  288. 浦川親直

    ○浦川説明員 三多摩の全部を同一加入区域じゃなくて、北多摩郡だけを……。
  289. 和田春生

    和田(春)分科員 これは一つの例です。
  290. 浦川親直

    ○浦川説明員 七カ年計画をいま作業中でございますけれども、その中で、ただいま総裁がおっしゃいましたように、料金体系と、ただいま先生の御指摘のような加入区域の拡大というものを含めて検討しておるわけでございます。ただいま御指摘の北多摩郡全体を一つの加入区域にするかどうかということは、必ずしもそれが否定されるとか否定されないとかいうことじゃなしに、日本全体をながめまして、地域的な大きさとか経済的な関係とか、それと市内の料金と市外の料金、これらを勘案して研究していきたい、こういうふうに考えております。
  291. 和田春生

    和田(春)分科員 それではもう一つ例をあげてお伺いしたいと思うのですが、先ほど来申しておりますように、練馬、杉並あるいは渋谷、世田谷というものと、狛江、調布あるいは武蔵野、三鷹、保谷というものはべったりくっついている。北多摩郡の保谷町だけは二十三区内並みの扱いを受けている。これら二十三区に隣接しているところを、市内の拡大という範囲の中に含めてお考えになっているかどうかをお伺いしたい。
  292. 武田輝雄

    ○武田説明員 この問題は、先ほど総裁からも申し上げましたように、非常に大きな問題でございますので、七カ年計画の中で慎重に考えたい。要は、市内通話と市外通話の料金格差の問題になるわけでありますが、反面、外国でもそうでありますように、市内区域が広がってきますと、それだけでも矛盾が出てまいりまして、市内帯域制をとるというようなことにならざるを得ない。したがいまして、加入区域をうんと広げた場合に、それで問題が解決するかといいますと、必ずしも解決しない。かえって大きな料金格差が出ることもあろうかと思いますので、いずれにいたしましても、通話料の距離による格差をできるだけ縮小していくという方向で、七カ年計画の中で根本的に検討すべき問題だろうと考えております。
  293. 和田春生

    和田(春)分科員 時間が参りましたので、たいへん残念ですが、協力いたしまして、もう一問だけ簡潔にお伺いをしたいと思います。  何とかやりたいという御説明はありましたけれども、具体的にそういう矛盾を解決するための計画というものは、残念ながらいまお示しがなかったわけです。郵政大臣に最後にお伺いしたいのですが、先ほど何とかしなければいけないと言われておりましたけれどもあと十年もするともっと変わってくるわけです。早急にそういう面について抜本的な対策を立てて国民大衆の要望にこたえる、そういう作業を電電公社と協力して積極的に進める決意がおありならば、そのことを明確にお答え願いたいと思います。
  294. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 先ほど申し上げました私の意図は、まさにただいまおっしゃることと全く同じでございます。この辺、公社のほうとも十分連絡をとりまして、単にビジョン、バラ色の夢というんじゃなくて、もっと実質的な配慮をいたしたい、かように考えております。
  295. 坂井弘一

    坂井主査代理 和田春生君の質疑は終了いたしました。  次いで田邊誠君。
  296. 田邊誠

    田邊分科員 大臣、四十五年度の郵政事業特別会計は、その実体予算におきまして約百三十二億八千四百万ほどの歳出超過、すなわち歳入欠陥を来たしております。これを持ち越し現金によって補てんをする、こういう変則的な状態であるわけであります。これに対して大臣、どういうふうにお考えでございますか。
  297. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 郵政事業は総合的に事業を運営しておる事情から見まして、郵政会計あるいは郵便貯金会計、簡保会計、こういうおおよそ三つに区分されるわけでございますが、これらを総合調整をいたしまして彼此流通ができるというようなことならば、これはぐあいがいいのでありますけれども、どうもこれはいろんな伝統もあり、また事業の性質上からも、どうも縦割りというふうなことにならざるを得ないようでございます。したがって、ことしの会計の状態というものはなかなか窮屈でありまして、もしこれを郵便料金などに簡単に手をつけて値上げが可能な状態であるならば、さようなことをせずとも済んだと思うのでございますが、今回の場合は、こういう措置によらざるを得なかった、かように考えるのであります。
  298. 田邊誠

    田邊分科員 この特別会計の中で、実際に業務上入ってまいりまするところの主要なものは、いわゆる郵便業務収入であります。それと委託収入、委託事業に対する電電公社等からの収入等でございます。そこで問題になりますのは、この事業収入の中で郵便業務収入というものが一体どういうふうな割合を占めてきているのか、最近の傾向は一体どういうふうになってきているのかということを、私ども正しく見詰めなければならぬと思うのであります。四十四年度に比べて、四十五年度の予算上から見て、この事業収入の中に占める郵便業務収入は、一体どのくらいの割合を示しておりますか。比較をしてどのくらいですか。
  299. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 郵政事業特別会計の収入の中に占める郵便業務収入は、大体半分ということでもって経過をしてきております。
  300. 田邊誠

    田邊分科員 それは昭和四十三年、四十四年、四十五と、大体あまり変わりませんか。
  301. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 大体その傾向は同じでございます。
  302. 田邊誠

    田邊分科員 そこで、それではいわゆる歳入上の郵便業務収入に比して、それに対応する郵便業務の業務費、歳出上ですね、これの割合は、一体この二、三年どういう推移をたどっているのですか。
  303. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 郵政事業特別会計における歳出の中に占める郵便関係の経費は、やはり同じように大体半分、正確には四八%程度でございますが、その構成比は、おおむねここ数年同じ構成比を示しております。
  304. 田邊誠

    田邊分科員 私の言うのは、郵便業務収入に比して、歳出上の郵便業務費との割合は、一体近来どういうふうな上昇カーブを示しているのか、あるいは横ばいであるのかということであります。
  305. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 結局、郵便業務収入に対する業務支出、すなわち、その収支差額はどうなっているかということになろうかと思いますが、四十一年度に料金値上げをいたした以降、非常に郵便関係についてはいわゆる利益が多く出ておりますが、四十三年度決算あたりまでは相当黒字が出ております。四十四年度はまだ決算いたしておりませんが、これも大体収支とんとん近くにいくんじゃないかと思いますが、ついに四十五年度予算では、御承知のごとく予算の上で赤字を出さざるを得ないということでございまして、その面につきましては、郵便業務収入の伸びよりも業務支出の伸びのほうが、パーセンテージとしては多かったという結果だろうかと思います。
  306. 田邊誠

    田邊分科員 そこで大臣、いまおわかりのように、年々実は郵便業務収入が、もちろん額としてはふえておるけれども、全体の歳出の中に占める割合なりあるいは支出の見合から見ますると、かなり逆調になるようであります。したがって、そういう意味合いでもって百三十三億の歳出超過という状態を来たしたわけでありますが、これはきわめて不健全な状態なのでありまして、この現状に照らしてみて、今後この郵政事業特別会計、郵政事業の将来から見て、この赤字を克服する道は、一体どういうふうなぐあいにこれを選んでいかれるつもりでございますか。
  307. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 通常、こういった赤字会計をどういうふうに帯を結ぶかということになりますと、あるいは借り入れ金という手段もありましょう、ないしは一般会計からこれを補てんするという道もあるにはあるでしょうが、これはなかなか容易ではございません。そうすると、料金に手をつけなければならぬのかという問題にもなりますが、これも安易な道である、こういう御批判が出るだろうと思うのであります。それじゃ企業努力をして、ほんとうに合理化をして、その中から赤字克服の財源が生み出せるか。この努力もしなければなりません。しかし、これもなかなか容易でない。郵政の仕事自身が労務に負うておる部分の非常に多い、八〇%までは労務費だといったような現状に照らしまして、どうもなかなか八方ふさがりだというふうに思うのでございます。あるいは公社化というふうな方向も、いかにかしてそれを打開する方途がなかろうかという一環として出ておる向きもあろうかと思うのでありますが、そういう現状にかんがみまして、これは一つの手段をもって解決するというわけにいきません。いろんな総合的な勘案をいたしまして現状を克服しなければならぬと、ただいま鋭意それに取り組んで探求をしておる、こういうところでございます。
  308. 田邊誠

    田邊分科員 そこで、郵便事業なりそれ以外の郵政事業全般に対する合理化の問題は、私はまた機会を改めてお伺いしたいのですが、しかし合理化といいましても、特に郵便の機械化に対象をとってみましても、実はかなりの経費を必要としているのであります。これは十年、二十年、三十年先の状態は、われわれもまた一つ見通しはつくわけでありますけれども、当面は、この機械化等による経費も、これはかなりばかにならぬのでありまして、郵便機械化に要する費用は、四十五年度は一体どのくらいお組みですか。
  309. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 郵便機械化のおもなものは、自動読み取り区分機、それから自動選別機、自動取りそろえ押印機でございますが、それらの経費として三、四十億を予定しております。
  310. 田邊誠

    田邊分科員 したがって、いわば合理化を進められるということ、あるいはまた事業の形態自身もいろいろ変えていく、こういったことも必要でございましょうけれども、私は、基本的には、やはり郵政事業の持つ独占的、公共的な意味合いからいって、国がこれに対してかなりの負担をしなければならない、こういうように思います。     〔坂井主査代理退席、主査着席〕 一般会計からの補てんも、私は将来のあり方としては当然考えていかなければいけない、こういうように思うのであります。ただ、これはもちろん税負担との関係もございまするから、一がいに言えない点がございまするけれども、私はまずそれを基本として盛らなければならないと思うのであります。しかし、なおかつ、いま大臣の言われたように総合的にこれを判断する場合に、その中において郵便料金の問題も当然考慮しなければならぬ、こういう状態であることをいまお話がありました。  そういたしますると、郵便料金が四十一年に改定になりまして以来約四年有余たっているのでありますけれども、この状態の中では、このまま推移しますならば、料金改定に手をつけざるを得ないということをお考えでございますか。
  311. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 いまおっしゃるように、四十一年以来四年の歳月をけみしておりますから、一般の賃金、物価等を勘案して、かりにこれらとスライドするとすれば、いまの料金というものでいいとは言えないと思うのです。  ただ、御承知のように、物価政策の上からいうと、何としても公共料金が先発するというわけにはいかないというたいへん苦しい事情下に置かれております。したがって、まだ私そういう点決して腹ぎめしておるというわけではございませんが、さっき申し上げました総合的な諸対策の一環として、そういう問題にもひとつ研究の歩を進めなければならぬのではないかという感じを持っております。
  312. 田邊誠

    田邊分科員 大臣は少しのんびりしているようなお話でございますが、私は、今年度の状態を見ますと、これはかなりたいへんな、せっぱ詰まったところへ来ているんじゃないかと思うのであります。私は、公共料金の値上げの一環として料金改定をすべきでないという考え方に立つわけでありますけれども、そのことのよしあしは別として、いまのような政府郵政事業特別会計に臨む態度でいきますならば、料金改定に追い込まれざるを得ないのではないか、こういう気がするのであります。これはたいへん実は早急な問題に立ち至っているんじゃないかと思うのです。したがって、二者択一の立場に立って、この際政府郵政事業の特別会計、郵政事業の全体に対して、根本的な対応策を講じていかなければならない、こういうふうに私どもは思いますけれども、その熱意が政府にもしなしとするならば、料金改定という、こういういわば便法を選ばざるを得ないんじゃないか、私はこういうふうに心配をいたしております。  四十五年から四十六年にかけての事業の状態をあなたが勘案されるときに、一体この問題に対して、どういうふうに具体的に対処をされるつもりでありますか、もう一度ひとつお聞かせをいただきたい。
  313. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 私も決してのんびりしておるわけではございません。ましてやこの担当、最高責任者としていろいろと思いをめぐらしておるわけであります。ただ、私があまりあわてたような顔をしてしまうと、これはまた動揺もいたしますから、そういう意味でじっくりかまえておる、かように申し上げておきます。
  314. 田邊誠

    田邊分科員 具体的にどうです。この状態で赤字をどうするか。
  315. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 これは、決して企業努力を放棄しておるわけではございませんし、ともかくこれだけの大きな数字をかかえた大会計でありますから、まだどこかに節約の余地はないものかということも十分に検討しなければなりませんから、それらをも含めてただいま考究をしておる、そういうことでございます。
  316. 田邊誠

    田邊分科員 そこで、郵政事業特別会計あるいは郵便貯金、簡易保険等の特別会計、このあり方自身が私は問題でないかと思うのです。郵政事業特別会計はその中でもって郵便業務の収入をかなり見込んで、半分ぐらい見込みながら運営をしておるわけでございますし、その郵政事業特別会計に郵便貯金なり簡易保険の特別会計から原資を入れて、それでもって全体的な運営をする、こういうたてまえをとっておるわけであります。したがって、大臣の言われたように、それぞれ縦割りの独立採算の状態をとりつつある。  しかし、郵便貯金なり簡易保険というのは、ただ単に集金をしたりあるいは利子を生み出したりというだけではなくて、いわば巨大な定額貯金なりその他の郵便貯金の募集をする、簡易保険の新規の募集をする。これらがいまの状態ではストレートに資金部に運営をまかされる、こういう状態であるということから、実はこの郵政事業全体がきわめて弾力性の乏しい運営をせざるを得ない、こういう状態が来ておることは先刻お話しのとおりであります。したがって、ただ単に赤字の問題を考え、今後の経営の収支のバランスをとるというこういうたてまえだけに立たないで、やはりこの三会計なり一般会計を含めた郵政事業の経営のあり方、会計のあり方自身についてメスを入れるべきときに来ているのではないか、こういうように私は思うのであります。郵政の職員は営々としてそれらの募集に携わっているけれども、実際にはその恩典にあずかるのは、簡易保険の運用益が若干戻ってきたにすぎない、こういう状態でありますから、このような状態の中でこの収支の問題を論ずること自身が実は大きな矛盾があるのではないか、こういうように私は考えておるわけでありまして、この特別会計のあり方に対して大臣ひとつ思いをいたしていただきまして、これが抜本的解決に向かってあなたは勇断をふるって意欲的な検討をされる御用意がございますかどうか、お伺いしたいと思います。
  317. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 確かに考究に値する御議論だと思います。従来は、さっきちょっと縦割りと申しましたが、そういうことでずっと伝統的に来ておるようでありますが、おっしゃるように、第一線においては営々と苦心をして、ともかく大衆の零細な資金を集めておる。この努力に対してはたして十分に報いられておるかという問題はあるかと思うのであります。それは資金運用部のほうからいえば、これはまことにありがたい、手ぬらさずで巨大な資金が集まるのですから、こんなうまい話はないわけですね。     〔主査退席、渡辺(栄)主査代理着席〕 したがって、そういうサービスをしておる反対給付を今度いかにして主張するか、こういうことも当然考えなければならぬ問題だ、かように存じております。
  318. 田邊誠

    田邊分科員 そこで、会計のあり方と同時に、資金運用部資金の中に占める郵便貯金の割合というのは、大体四〇%前後を占めてきておるわけであります。したがって、もしこの特別会計の縦割り制度あるいはまたそれぞれの独立採算制、これらを急速に変えることはできないにしても、この資金運用部資金の中に占める郵便貯金の割合を考えた場合に、その運用権について、私は郵政省がこれの権利を持つことについては当然のことではないかと思うのであります。総合的な観点で運営をするところの利を私どもは否定するものではありません。しかし、実際窓口の中でもってこの運用について発言権ができ、具体的な仕事ができるとするならば、やはり郵政事業だけでなくて、地域の非常にきめこまかな開発の上からいっても大きな役目を果たすのではないか、こういう考え方を私は持つわけでありますけれども、この運用の問題に対して、あなた、郵政大臣という立場でもってどういうふうにお考えでございますか。
  319. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 これは、従来も郵政省内においていろいろと検討をされてきた問題だと思います。残念ながらそれが御趣旨のような方向においてはまだ実現をされておりません。しかし、郵政の会計自体も非常に困難になっておりまする今日、そういった角度から問題をとらえることが必要になってきておる時期であろうかと、かように考えております。
  320. 田邊誠

    田邊分科員 そこで、先ほど郵政公社化の問題が出ましたが、いま審議会答申を得て検討中であります。これは何といっても郵政事業の百年の長い歴史の上からいってたいへん大きな機構改革といいましょうか、変革でございまするが、もし実施の方向であるといたしますならば、その具体的なあり方、郵政公社の具体的なあり方として、いま現実に行なわれている郵便と貯金と保険のこの三つの事業がからみ合って総合的に運用されている状態であります。一部に、一時伝えられた、郵便は郵便公社、郵便貯金は郵便貯金公社、保険は保険公社というようなぐあいに、そういうふうに分けたらどうかという意見もありましたが、現実には、西欧等では、郵便、電信電話は一つの事業形態として国営なりあるいは公社、民営等をやっておるのでありますけれども日本の場合は、電信電話は公社に移管をしたのでありまして、あと残った郵便、貯金、保険という、この三つの部門は、やはり相互に関連をしながら、地域社会に大きな役割りを果たしてきているのでありまして、この郵政の公社化の際にも、これは一体の中で公社化をせざるを得ない、こういうふうに私は考えるのですが、その点は基本的に私の主張と同じでございますか。
  321. 野田誠二郎

    ○野田政府委員 お答えを申し上げます。  御指摘のように、郵便、貯金、保険の郵政事業は、国営事業ということを信用の基本にいたしまして、全国の二万有余の郵便局を営業網としまして、郵便、貯金、保険を実際運営いたしておるわけでございます。幸いにしまして、先般いただきました郵政審議会答申におきましても、三事業は不可分一体に運用すべしという答申をいただいております。答申を尊重してわれわれ検討いたしておるのでありますけれども、この線に沿って、もし公社化ということになりましたら、そういう線になるだろう。これは予想でございますが、そういう線で検討を進めておるわけでございます。
  322. 田邊誠

    田邊分科員 そこで、いままでの作業の状態からいいますならば、大体いまあなたはおくれてきておると言っておりましたけれども、これは非常に重大な問題ですからおくれるでしょうが、しかし、いろいろな影響のあることです。そこで、一体どこの時期に実施をするというめどで作業を進めておられますか。
  323. 野田誠二郎

    ○野田政府委員 私どもが御返事を申し上げ、あるいは御答弁を申し上げておりますことは、事務的あるいは実務的ということで申し上げておるのでございますが、いずれにしましても経営形態、特に郵政事業のような大きな企業体におきます経営形態は根本的な問題であります。事業も非常に多岐にわたる、こういうことであります。したがいまして、経営形態を基本的に、公社に変える前に、現行法制の制度の中で審議会答申がわれわれに要請し、期待をしております国民に対するサービスの向上なり、あるいは経営内容の合理化、能率化というようなことがなおはかられるのではないか、そういう点から実はスタートをしているわけでありまして、最終的な経営形態の行きつくあり方というものについては、事務的にだけでも解決できない点が多々あろうかと思います。そういう点におきまして、期間はいつだ、こういうことにつきましては、時期がいつだということをちょっと明示いたしかねる状態でございます。
  324. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 いま官房長からお聞き及びのとおり、まずこれを事務的にこなしてみるということが先決でございますから、省に委員会をつくりまして、せっかくいま検討しておるわけでございます。これは、最終的にはやはり私が判断をしなければならぬ問題であります。これは一つ郵政省限りでなく、もう少し高度の政治問題にも相なるということでございますから、その点は、郵政百年と俗に言いますように、先人がともかく積み上げてここまで来られたというこの努力を考えてみますときに、公社化ということになれば、これは一つの大きな転換でございますから、そう軽々しく言ってもいいわけのものでもなかろう、こういうわけで、私、まだ日が浅いのでありますけれども、自分の目でこれをよく洗い直して観察をしよう、こういうためにも少し時間がほしいように考えております。
  325. 田邊誠

    田邊分科員 前々大臣でしたかの時代には、一時大臣がたいへん急ぎまして、四十五年度あたりから公社化するのではないかというようなことを盛んに言っておったのですけれども、井出さんは何といっても慎重な政治家ですから、ぜひひとつ慎重に対処していただくようにお願いしたいと思います。  最後に、電電公社にお伺いしたいのでありますが、昨年の国会でもって、料金合理化と称して料金改定をいたしたのでありますが、その後の状態を私、事務的にお聞きをいたしましたところが、いわゆる使用料をかなり上げたのでありますけれども、その使用料の増加率よりも、四十四年度は、実際には通話料の増加のほうがかなり多いのですね。使用料の増加というものは大体〇・二%くらいでありますが、通話料の増加は五%、昨年の十月まで四・二%ですから、かなりこれは改定前の状態でも多かったのであります。これは経済の発展等と即応して、いわば電話量の増加というものもあったと思いますけれども、いずれにしても、通話料の増加率がかなり多かったのであります。したがって、当時私どもが指摘いたしましたとおり、この基本料金の改定というものは、事実上は料金の値上げになるんじゃないか、私がこういうように思っておりました危惧は、現実的にはそのとおりになってきていると私は思うのであります。  そういう状態の中で、加入者一人当たりの電話収入というものも、四十三年に比べて四十四年は伸びているんじゃないかというふうに私は思うのでありますけれども、大体の傾向はおわかりですか。
  326. 武田輝雄

    ○武田説明員 一加入者当たりの収入ということでございますが、四十二年度が大体四千九百四十四円、四十三年度が四千九百三十六円でございまして、四十四年度の分はまだ集計ができておりませんが、大体横ばいないしは若干減っているんじゃないかと思いますが、そういったような状態でございます。
  327. 田邊誠

    田邊分科員 住宅電話がだいぶふえてきたから、加入者一人当たりの収入は減るんではないかというように公社は盛んに宣伝しておったのでありまして、今後も住宅電話はふえるが、実際には現在の生活水準の向上等によって、一加入者当たりの収入も、そんなに危惧されたほどは減っておらない、こういうように実はいまの答弁からも私は考えられるのであります。  そういう状態で、昨年の料金改定によって、四十五年度は改定前に比べて一体どのくらいの収入増をあなた方は見込まれておりますか。
  328. 中山公平

    ○中山説明員 四十五年度におきましても、先般の料金改定の影響というものはプラスマイナス・ゼロ、四十四年十月から四十五年三月までと同じ、こういうことで予算を組んでおります。
  329. 田邊誠

    田邊分科員 あとでこれは論議をいたしますけれども、時間が参りましから……。  それならば、公社は料金合理化として法改正をいたしたのでありますけれども、この七ヵ年計画なり今後の長期計画の上に立って見た場合に、当分は料金に手をつけることはない、大体こういうふうに判断してよろしゅうございますか。総裁、どうですか。
  330. 米澤滋

    ○米澤説明員 先ほど中山経理局長がお答えいたしましたが、結局、昨年やりました料金改定の合理化におきましてはプラスマイナス・ゼロというようになっております。先ほどお話がありましたけれども、たとえば加入区域の拡大等によりまして、料金体系合理化というものはやはりどうしても必要になってまいりますので、料金に対して、公社としては、七カ年計画の中でこの問題に手をつけたいというふうに思っております。
  331. 田邊誠

    田邊分科員 そうすると、やはり当分は据え置くというか、そのまま改定をしなくても済むというわけじゃなくて、その中でも検討しなければならぬ、こういうことですか。
  332. 米澤滋

    ○米澤説明員 七カ年計画の中において料金体系の合理化をはかり、あわせて加入区域の拡大等を検討するということでありまして、今後とも料金体系問題は、四十六年度におきまして取り上げることを検討いたしたいと思っております。
  333. 田邊誠

    田邊分科員 たいへん重要な発言がございまして、われわれは、公共料金の問題からいって、郵便料金の問題、電話料金の問題、それぞれ慎重な配慮をしなければならぬと思っておるのでございますが、あらためて論議をいたすことにして、以上をもって終わります。
  334. 渡辺栄一

    ○渡辺(栄)主査代理 田邊君の質疑は終わりました。  土橋一吉君。
  335. 土橋一吉

    土橋分科員 私は郵政大臣に、郵便事業あるいは電話業務、電信業務その他郵政業務などについて、郵政労働者並びに全電通労働者のたゆみない今日までの奮闘によりまして御承知のような大きな発展をして、そして郵政業務についても非常な成果を一応あげておると存じております。また、分離をしました電電公社の業務にいたしましても、私はさように理解をしておるのでありますが、郵政大臣は、いま申し上げまするような郵政労働者、電電労働者のたゆみない奮闘と努力によって今日のこのような成果をあげたかどうか、そういう点についてどう考えておられるのか、簡単にお答えを願いたいと思います。
  336. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 かつての全逓労組の大先輩であります土橋さんからの御質問であります。  郵便という仕事、電信電話も同様でありますが、人手にたよる分が非常に多い仕事でございまして、その間を通して従業員の諸君が営々と努力を積み重ねてまいったことについては、私も敬意を表しておるものでございます。ただ、これはまた後ほどきっと追加御質問があると思いますが、最近の情勢というものは、先輩であるあなたが期待されておるような方向であるかどうか、どうも現場第一線等にあってはときにトラブルもございまして、私もひそかに心を痛めている向きがあるわけでございます。もう少しお互いに信頼感を回復して、何かいまのような平行線でなく、もし悪循環があるとするならばこれをひとつ断ち切るような方途を講じなければならぬ、こういうこともあわせ感じておるような次第でございます。
  337. 土橋一吉

    土橋分科員 それではひとつお尋ねしたいのですが、郵便関係予算定員は、現在、四十四年度においてどの程度の人員を見込んでおられるか、ちょっとお聞きしたいと思います。  それと、パートタイマーをはずして、実際に郵便業務に携わっておる雇いあるいは臨時、そういう諸君を入れて実際の稼働の人員は何ぼであるか、こういう点について簡単にお答え願いたいと思います。
  338. 竹下一記

    ○竹下政府委員 四十四年度の郵便事業の予算定員は十二万八百三十五名でございます。  それから賃金でございますが、これは四十四年度の予算ですと延べざっと四百万人弱、年間でございますが、そのための賃金を予算として確保いたしております。
  339. 土橋一吉

    土橋分科員 四十四年度予算定員は十二万八百有余名、そして別に四百万人を見込んでおる。この四百万人を見込んでおるというのは、一体どういう費目の中に見込んでおられるのですか。つまり労働者の賃金として認めておるのか、あるいは他の費目でこういう支出を認めながら、実際は労働者の賃金に充当しておるのか、こういう点をお伺いしたいと思います。
  340. 竹下一記

    ○竹下政府委員 十二万何がしはいわゆる定員でございまして、本務者であります。四百万人に相当する賃金は物件費でございまして、実際はアルバイトに支払う賃金でございます。非常勤者に支払う賃金でございます。
  341. 土橋一吉

    土橋分科員 六〇年から今日までの郵便に関して、物数のふえ方の状況はどういう状況であるか、簡単にお答え願いたいと思います。
  342. 竹下一記

    ○竹下政府委員 ちょっとお尋ねいたしますが、昭和何年からでございますか。
  343. 土橋一吉

    土橋分科員 いま四十五年ですから、昭和三十五年から四十四年の年度の割り、大体でいいです。
  344. 竹下一記

    ○竹下政府委員 昭和三十五年の郵便物数は六十九億でございます。四十四年度が百八億でございまして、三十五年度を一〇〇といたしますると四十四年度が一五六に相なっております。
  345. 土橋一吉

    土橋分科員 いまお話しになりましたように、百八億通にわたる郵便業務を——郵便業務だけではありませんが、いまの郵便の定員が、いまお話しになったようなごくわずかの定員で仕事をさばいておるわけです。これは昭和二十六年当時の郵便の物数と当時の逓信で働いておるいわゆる郵便労働者との比率を考えてまいりますと、人員の増と物量の増加の割合は、私の記憶によるならば、おそらく倍にしてもそう大きな非難を受けるようなものではないというふうに理解しておりますが、郵政大臣はどう考えておられますか。
  346. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 表面にあらわれました数字は、なるほどおっしゃるような片一方は定員、片一方は郵便物の数量、こういうものを単純に比較いたしますとさようなことに相なるかもしれません。だが同時に、一方近代化、機械化というようなファクターも入っておりますから、そういうものを勘案したときにはまた別の見解が生まれるかとも、かようにも思っております。
  347. 土橋一吉

    土橋分科員 いま郵政大臣も認められましたように、若干の逓送関係とか、あるいは局内におけるある程度の自動化とか、あるいは先ほどお話のありましたような読み取り区分機などのごくわずかの限度においては進歩しております。しかし、他の同僚議員の質問に対しましても郵政大臣がお答えになりましたように、郵便業務は基本として人手を要する業務だということは、郵政大臣もよく知っておられます。ところが、いま申し上げますように、百八億の郵便物数をかかえておる郵政労働者の数は、依然としてそうふえていない。ここで私は、やはりパートタイマーあるいは臨時職員、あるいは臨時その他の名目で使っておられる人をすみやかに郵政労働者として、郵政省の職員として採用願えるような体制をとることが必要だ。これは電電公社についても同様だと考えておるわけです。それは最近の物価高あるいは生活の困難あるいは住宅の困難、交通等のいろいろな問題から考えましても、当然しかるべき処置ではないかというふうに考えておりますが、郵政大臣はそういう点についてどういうビジョンなりあるいは計画を持っておられるか、簡単にお答え願いたいと思います。
  348. 竹下一記

    ○竹下政府委員 定員の問題ですけれども、物数の増加に比較いたしまして定員が伸びていないではないかというお尋ねのようでございますけれども、私どもは実はそう思っておりません。かなりの定員を毎年予算で取ってきております。たとえば、先ほどのお話に出ました三十五年の定員八万三千人に対しまして、四十四年度におきましては十二万何がしでございますから、一四六という指数を持っておるわけでございまして、これはかなりの定員です。また、定員で十分でないところは非常勤職員でもって補完するという仕組みにしておりますので、労働力は、予算定員として見た場合には相当用意してあるといえると思います。ただ、現実の問題といたしましては、せっかく郵便局に定員を配分いたしましたのに、最近東京あたりでは採用難にあいまして欠員の補充ができない。せっかく定員をもらっていても欠員のままでしのがなければならないという実態がございまして、その点は問題で、何らかの対策を講じなければならないということで、そのほうの努力はいたしております。
  349. 土橋一吉

    土橋分科員 いまお話しになりまして皆さんも聞いておられるように、欠員不補充の状態のままで業務を進めれば、どんな暗礁に乗り上げたり、どんな困難が出てくるかはきわめて明瞭であります。ところが、欠員が補充できないということは、とりもなおさず郵便労働者あるいは電電労働者に対する賃金の問題やあるいは待遇の問題や、さらには労働条件をさらに発展をさせるという面において、非常に欠くるところがあるといわざるを得ないと思うのであります。したがって、こういう点について、郵政大臣はどういうふうにこの問題を解決しながら先人の努力を一そう発展させようとしておるか、簡単にあなたの決意を承りたいと思います。
  350. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 一体何ゆえにそういう不補充の状態でなければならぬのか、これにはいろんな困難な条件があるだろうと思うのでございます。たとえば、もし職場環境において満足し得るような施設その他が欠けておるとするならば、これはやはり管理の立場にある者がそういうところへはもっと目を注がなければならない、こういう問題もございましょうし、あるいは魅力ある職業というような意味において、いまの郵便部門の仕事、端的にいうと配達のような仕事にいまの若い諸君等がなかなか集まってこないというような事情もありはせぬか。とするならば、まずそういう面から解決への努力もしなければなるまい。同時に、郵便事業というものが長い伝統にささえられてきたということは、これは国民に対するサービスを本旨とする仕事でございまして、これに徹する使命感という精神的な要素も、もっともっと涵養をしなければならぬ。これは決してお説教でできることだとは思いませんが、そういうことは労務の関係の諸君もわきまえていただかなければならぬことではないか、かように考えておるわけであります。
  351. 土橋一吉

    土橋分科員 その問題はその程度で打ち切りをしたいと思います。  時間がないので簡潔に答えていただきたいと思いますが、第二番目の問題は、あなたも、憲法第十八条の「奴隷的拘束及び苦役からの自由」という題目で「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。」、これは御承知だと存じます。また、労働基準法の第五条に「強制労働の禁止」という題目で「使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。」、こういうことが書いてあります。さらに、強制労働の廃止に関する条約、ILO第百五号の規定は、御承知のように一九五七年六月に第四十回定期総会を開きまして、そしていろいろな過去の実績を集約し、特に「奴隷制度、奴隷取引並びに奴隷制度に類似する制度及び慣行の廃止」、こういうような問題についてかたくILOで決定をしておるわけです。そしてまた、この問題は国連憲章の中に明確に、また世界人権宣言でも規定をいたしておるところであります。この第一条は、御承知かと存じますが、「この条約を批准する国際労働機関の各加盟国は、次に掲げる手段、制裁又は方法としてのすべての種類の強制労働を禁止し、かつ、これを利用しないことを約束する。」、こういう題目で(a)から(e)まで規定しております。これはあるいは御承知ないかと思いますので読み上げますが、(a)は「政治的な圧制若しくは教育の手段又は、政治的な見解若しくは既存の政治的、社会的若しくは経済的制度に思想的に反対する見解をいだき、若しくは発表することに対する制裁」、これはおわかりになると思います。(b)として「経済的発展の目的のために、労働力を動員し、及び利用する方法」、(c)として「労働規律の手段」、(d)として「同盟罷業に参加したことに対する制裁」、いわゆるストライキに参加したことに対する制裁、(e)として「人種的、社会的、国民的又は宗教的差別待遇の手段」、こういう手段をもって労働者に対して制裁あるいは強制労働させてはならないということが、この第一条に規定されておる。したがって、私はこういう点から見まして、最近郵便労働者の中にそういう傾向が全国的にあるのじゃないか。また、部分的にもそういうものがあるのでありますが、それに対して郵政大臣は御承知になっておるかどうか、この点をお聞きしたいのです。簡単にイエスかノーかでよろしいのです。
  352. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 憲法、労働基準法あるいは国際条約、それらをお引きになりまして原則をお示しになったのですが、この原則は何人も異論がないところだろうと思います。ただし、土橋委員の言わんとする何か具体的な問題がきっとおありになると思いますが、そういう点に対しましては、やはり事実関係が明らかでないと、これは議論はなかなかかみ合わないと私は思うのでございます。
  353. 土橋一吉

    土橋分科員 それでは、郵政大臣の御希望によりましてかみ合わせましょう。  私は二月の中旬であったと存じますが、国会に、杉並郵便局長の川名輝司さんという方からこういう出版物が来ている。ちょっと題目だけ読み上げましょう。「杉並郵便局からのごあいさつ」、その一のところに「わざわざ郵便物をためる戦術が行なわれている」という題で一つあるわけです。「まじめな職員もいます」という題の一つのパラグラフで説明をしております。「人手は不足していません」という題でいろいろ説明をしております。「施設を改善いたします」、最後に「サービスの改善に努力します」、こういうことで、私の第一議員会館四百十一号の部屋にこれが投入されたわけです。私は、これをすぐ見まして異様に感じましたので、現地の杉並郵便局におじゃまして、川名さんとここの労働組合の幹部にいろいろお話を承りました。ところが、聞きしにまさるようないわゆる監視労働、あるいは強制労働、いま申し上げましたようなILOの決定や労働基準法やその他に反する明らかな事実があるのであります。これは新聞にも発表しておりますので、あなた方もおそらくごらんになっていらっしゃると存じますが、二月十三日の朝日新聞には、東京郵政局の職員が東京郵政局という白腕章をかけて、二十数名の者が、新聞によれば、これはトラック部隊と称しておりますが、こういう諸君が杉並の郵便局へ入って、そうして一月十四日であったと思いますが、処分をした一名の解雇、それと十六名の処分者に対して、特にこの二十数名の郵政局員が、局内におけるたとえば課長あるいは課長代理あるいは主事、主任等も含めて、おそらく三十数名にわたる者が、少数の労働者に対して、ここにも書いてありますし、私も見たのですが、タイムウォッチを持ってみたり、あるいはまた映写機などで写してみたり、あるいはいやがらせを言ってみたり、あるいはおどかしたり、こういうだれが考えても最も進歩的な体制をとらなければならない郵政、特に郵便労働者に対して、こういうことがはっきりと行なわれておる。この事実を一体認めるか認めないか、この点をはっきり、イエスかノーかをお答え願いたい。知っておるか、知らないのかということを……。
  354. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 私が受けておりまする報告は、必ずしもいま土橋委員のおっしゃるとおりではないようでございまして、そういう点は、担当局長も来ておりまするから、一ぺんその説明をもお聞きいただきたいと思います。
  355. 中田正一

    ○中田政府委員 強制労働等のことにつきまして土橋委員が述べられたことは、仰せのとおりでございますが、一方、国家公務員につきましては、申し上げるまでもなく、国家公務員法の規定によりまして、全体の奉仕者としてその職務に専念しなければならぬというようなことが一方にありますし、また当然のこととして、勤務時間中はその力を十分に尽くすということ、これが一方にあるわけでございます。  そこで、その杉並郵便局の状態でございますが、土橋委員は、杉並局の状況について強制的な労働というふうに仰せがあったのでありますけれども、その前段、いろいろ事情があったわけでございます。職員が平常、能率あるいは仕事に一生懸命専念しておるという状態におきまして、郵便局の当局者がことさらに監督を厳重にするというようなことはないわけでございます。ただ、仕事が非常に能率が落ちておる、あるいは勤務規律が乱れておるというような場合には、これは監督者として、管理者として、職員に規律を守らせる、能率をあげさせるという努力をいたしますことは、当然の責務でございます。そのための監督者、管理者であります。従業員としては、やはり一定の基準、一定の規律に従って仕事をしてもらわなければ困るわけでありまして、自由奔放に思いのまま仕事をするというのでありましては、これは従業員たる資格がないわけであります。そういう観点から、郵便局といたしましては、能率が極端に低下しておる、あるいは規律が乱れておるというものを平常の姿に復させるために、実態を把握する。また、どうしたらばそういう平常の状態に戻し得るかというような観点から、いろいろな資料を把握するというようなことのために、東京郵政局から二十数名の職員が派遣されたことは事実でございますが、これはもう二十数名でありまして、職場で働いております者は何百人でございます。それに対して二十数名で、まあただ部分的に極端に能率の低い者に対して二人、三人が見ておるという事情はあったかわかりませんけれども、全体の中からいえば二十五人。何らこれはそれほどの多数の派遣者というわけではなかったというふうに考えているわけでございます。
  356. 土橋一吉

    土橋分科員 いま中田さんからお話があって、しかも、もう一つの写真をちょっとなくしましたが、これは郵政大臣もごらんなさい。つまり、二人の労働者に対して、こちら側に一人、向こう側へ一人ちゃんと立っておる。これはまだ簡単なほうであって、一人の労働者に何人か寄って、新聞にも書いておりますけれども、寄ってたかって、お前は能率が悪いとか、もっと早くやれとか、なっていないとか、たるんでいるとか、こういうようなことを言うことは、これは明らかにここに書いてあるILOの決議にも反するばかりでなくて、労働基準法にも反するし、また、わが国の憲法が規定している十八条の規定に違反をする公務員諸君の行動でありますので、特に川名局長さんの行動についてもいろいろ疑問の点があります。これはここで詳しくは申しませんが、もっと真剣にこういう幹部を正しく訓練をすることが、やはり郵便法の規定の中にもちゃんと条文で書いてあります。そういうことを百も承知の上でこういう職員をそのままにしておるというようなことについても、重大な問題であると私は考えておるのです。これもあなたもごらんになったとおりです。これが何百人もいる労働者を監視したというのではないのです。その前に争議があって、処分を出しておいて、私が行ったときはその処分の発表があって、一人の組合の幹部が首を切られ、十六名の者が処分をされたわけです。そのあとで、いまお話のあるような部隊がどんどん乗り込んでいって、しかも郵政局からきておるのですから、昔流にいえば上級官庁であって、しかもその局長、幹部に対するいわば指導権も持っておる。そういう一応の肩書きの諸君がやってくるということになれば、二重三重に強制労働、監視労働を強要するものにほかならないのです。こんなことをやってまともに郵便業務がはけると考えておるのですか、皆さん。こういうことをやった郵政大臣は重大な責任を負わなければいかぬ。奴隷労働とか強制労働とか、あるいはわが国の憲法、労働基準法、また国際機構であるところのILOなどの諸規定を無視するようなそういう幹部、こういう者に対しては、私はやはり厳重な処置をとるべきである。そして労働組合に対して偏見を持たないで、やはり端的に労働組合との間にそういう諸問題を解決されるよう——特に最近は郵政におきましても、電電公社にしても、大量な処分を行なっておる。何の目的でこういうことをやっておるか、きわめて明瞭であると思うのです。組合財政を破壊する、組合員に対して威圧を加える、それ自体がこのILOの規定の違反ではありませんか。まして一定の思想を持ち、一定の進歩的な者に対するそういう攻撃を重ねるにおいては、もはや言語道断といわなければなりません。この点について、私は回答を求めませんから、今後そういうことがあったらば、本委員会において徹底的に今度は名前をあげて、そういう幹部あるいはそういう責任者を追及しなければならぬと考えておる。これは単に郵政労働者の問題ではないのです。いま官公庁なりあるいはすべての労働者に対する問題でありますので、人権を守る観点から、きわめて重要だと考えております。  時間も参りましたので、第三番目のパートタイマーについて、いまパートタイマーを現時点において大体どれくらい特に郵便関係では雇っておられるのか。私の見たところで、多くの郵便局におられるわけです。奥さん方、あるいは女子学生、あるいは男子学生、ひいては団地などで何かそういう委託をしておるというマダムの方々の要するに郵便の配達、こういうパートタイマーの方々が非常に多いのです。これに対して、大体どの程度の人数をいま郵便に関する限りにおいては擁しておるのか、簡単に数だけをお答え願いたい。
  357. 竹下一記

    ○竹下政府委員 パートタイマーは、年末、夏季の繁忙時等において集中的に使役することが多いのでありまして、ただいまの時点におきましては、一年じゅうで一番パートタイマーを使う度合いが薄いときでございます。正確な数字は持ち合わせがございません。
  358. 土橋一吉

    土橋分科員 このパートタイマーの方々についてどういう教育なり事前の約束をしておられるか、私はよく存じませんけれども、御承知のように、わが国の憲法でも二十一条においては、その信書の秘密を完全に保障しておるわけです。したがって、郵便業務の諸規定の中にも、通信の秘密ということについてはそれぞれの分野において規定しておると存じます。パートタイマーの方々が、たとえば奥さん方がお茶飲み話にいろいろと話も出ることは保障できないと思います。あるいはまた、学生諸君にいたしましても、その点が決して完全だとは保障されません。だから冒頭申し上げましたように、やはり郵政労働者として、あるいは電電公社の職員として、これをやりませんことには——つまり、一定の時間働いて賃金をもらって、それでもうあとは全部パーなわけです。こういう方々を雇わざるを得ないという現在の郵政業務全体のことに対しても、冒頭申し上げたようにまことに残念です。そういうことに対してどういう保障があるのか、どういう手だてを講じて、そういう信書の秘密なり、あるいは郵便業務全体についてのいわゆる働く者の団結、そういうことについて考慮しておるのか、簡単に答えてもらいたいと思います。
  359. 竹下一記

    ○竹下政府委員 パートタイマーといえども国家公務員でありまして、公務員としての義務を守らなければなりません。したがいまして、パートタイマーといえども、日常特に通信の秘密といったような大事なことにつきましてはよく言って聞かしてございますし、今日までの仕事ぶりを見ましても、通信の秘密を侵したといったようなケースはございませんでしたし、今後もそういうことのないようにいろいろとやってまいらなければならぬと考えております。
  360. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 先ほど土橋さんるるお述べになりましたが、決してあなたの御発言を一方的な見解というわけではございませんが、しかし、こういうトラブルにはそれぞれ両方に言い分はあるだろうと思います。あなたも言われましたが、いずれにせよ、これは残念な話でございます。これはあなたも長いキャリアをお持ちのお立場で、御同様な感じを持たれると思うのです。何とかこれをもし話し合いが足りなければひとつ対話しなければならぬとか、これに対するいろいろな配慮をこれからもしなければならない、こう考えておりますので、最後にこのことだけ申し上げておきます。
  361. 土橋一吉

    土橋分科員 一言。要は、中心的な問題はやはり待遇にあると思うのです。賃金なりその他の社会保障的な待遇、あるいは住宅を与えるとか、そういう点が最も根幹であって、幾ら対話しても、いままでの郵政当局や電電公社の幹部諸君の態度ではこの問題は解決しないのです。あくまでもやはり待遇と労働条件の改善を中心にして、それに加うるに対話も必要でしょう。またいろいろな話し合いも必要でしょう。そういう基本的な問題を抜きにしてはいけないということを井出郵政大臣もよくお考えを願いたいと思うのです。ただ対話すれば、肩をたたけばそれでうまくいくだろうというのは、それはアメリカ式労務管理というものであって、それではうまくいかないのです。やはり基本的な出すべきものは出す、そして社会的な待遇にふさわしいものを与える、そしてなおかつ対話もすれば話し合いもするし、また基本的な郵便業務の本質をお互いに理解して生かしていく、これでなければならないと思うのであります。この点はよろしいですか、郵政大臣
  362. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 承っておきます。
  363. 渡辺栄一

    ○渡辺(栄)主査代理 土橋君の質疑は終了いたしました。  次回は、明十三日午前十時より開会し、引き続き郵政省所管について審査を行ないます。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十五分散会