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1970-03-11 第63回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和四十五年三月七日(土曜日)委員会 において、設置することに決した。 三月十日  本分科員委員長指名で、次の通り選任され  た。       上林榮吉君    小平 久雄君       藤田 義光君    細田 吉藏君       松野 頼三君    渡辺 栄一君       北山 愛郎君    久保 三郎君       坂井 弘一君    今澄  勇君 三月十日  藤田義光君が委員長指名で、主査に選任され  た。 ————————————————————— 昭和四十五年三月十一日(水曜日)    午前十一時三十四分開議  出席分科員    主査 藤田 義光君       上林榮吉君    小平 久雄君       細田 吉藏君    松野 頼三君       渡辺 栄一君    久保 三郎君       芳賀  貢君    美濃 政市君       坂井 弘一君    兼務 川崎 秀二君 兼務 古内 広雄君    兼務 赤松  勇君 兼務 井上 普方君    兼務 大原  亨君 兼務 川崎 寛治君    兼務 広瀬 秀吉君 兼務 岡本 富夫君    兼務 沖本 泰幸君 兼務 古寺  宏君    兼務 田畑 金光君  出席国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君  出席政府委員         運輸政務次官  山村新治郎君         運輸大臣官房長 鈴木 珊吉君         運輸大臣官房会         計課長     中村 四郎君         運輸省海運局長 澤  雄次君         運輸省船舶局長 佐藤美津雄君         運輸省船員局長 高林 康一君         運輸省港湾局長 栗栖 義明君         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君         運輸省自動車局         長       黒住 忠行君         運輸省航空局長 手塚 良成君         海上保安庁長官 河毛 一郎君         気象庁長官   吉武 素二君  分科員外出席者         経済企画庁国民         生活局参事官 小川としやす君         大蔵省主計局主         計官      井辻 憲一君         通商産業省企業         局立地公害部長 柴崎 芳三君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 佐原  亨君         建設省都市局参         事官      石川 邦夫君         建設省道路局国         道第一課長   高橋国一郎君         自治省財政局財         政課長     森岡  敞君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道副         総裁      山田 明吉君         日本国有鉄道常         務理事     長浜 正雄君     ————————————— 分科員の異動 三月十一日  辞任         補欠選任   北山 愛郎君     華山 親義君   久保 三郎君     美濃 政市君   今澄  勇君     竹本 孫一君 同日  辞任         補欠選任   華山 親義君     北山 愛郎君   美濃 政市君     後藤 俊男君   竹本 孫一君     今澄  勇君 同日  辞任         補欠選任   後藤 俊男君     芳賀  貢君 同日  辞任         補欠選任   芳賀  貢君     久保 三郎君 同日  第一分科員川崎寛治君、田畑金光君、第二分科  員川崎秀二君、赤松勇君、広瀬秀吉君、第三分  科員古内広雄君、井上普方君、大原亨君、岡  本富夫君、沖本泰幸君及び古寺宏君が本分科兼  務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十五年度一般会計予算運輸省所管  昭和四十五年度特別会計予算運輸省所管  昭和四十五年度政府関係機関予算運輸省所管      ————◇—————
  2. 藤田義光

    藤田主査 これより予算委員会第五分科会を開きます。  私が本分科会主査をつとめることになりましたので、よろしく御協力お願い申し上げます。  本分科会は、運輸省郵政省及び建設省所管につきまして審査を行なうことになっております。  審査の順序は、お手元に配付いたしました日程により進めたいと存じますので、あらかじめ御了承をお願い申し上げます。  なお、各省所管事項説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。  昭和四十五年度一般会計予算及び昭和四十五年度特別会計予算運輸省所管並びに昭和四十五年度政府関係機関予算中日本国有鉄道関係を議題といたします。  まず、説明を聴取いたします。橋本運輸大臣
  3. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 昭和四十五年度の運輸省関係予算について御説明申し上げます。  初めに、予算の規模について申し上げます。  まず、一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は四億四千八百六十二万二千円、歳出予算総額は、他省所管計上分二百二十二億一千百四十九万五千円を含み二千六十二億五千四百三十九万八千円でありまして、この歳出予算総額を前年度予算額と比較いたしますと二百六十億二千七百万一千円の増加となっており、一四・四%の増加率を示しております。  この増加額の内訳を見ますと、行政費では百十億八千七百九十六万一千円、公共事業費では百四十九億三千九百四万円の増加となっております。  次に、特別会計について申し上げます。  まず、木船再保険特別会計歳入歳出予算額は四億四千七百九十三万九千円であり、前年度に比較して二千五百五十四万円の増加となっております。  自動車損害賠償責任保険特別会計歳入歳出予算額は三千二百十五億六千七百一万五千円であり、保険金支払い限度額引き上げ等により、前年度に比較して一千二百三十億四千三百四十八万円の増加となっております。  港湾整備特別会計歳入歳出予算額は一千七十七億一千二百五十万三千円であり、港湾整備五カ年計画の第三年度として港湾整備推進するため、前年度に比較して百八十九億三千五百六十万七千円の増加となっております。  自動車検査登録特別会計歳入歳出予算額は五十九億五千五百万円であり、業務電子機械化推進等のため、前年度に比較して二十億八千三百九十八万二千円の増加となっております。  また、空港整備五カ年計画の第四年度として空港整備推進するため、昭和四十五年度から新たに設置する空港整備特別会計歳入歳出予算額は百八十四億七千百五十三万四千円となっております。  このほか、昭和四十五年度財政投融資計画中には当省関係分として八千五百三十二億二千万円が予定されております。  昭和四十五年度予算におきましては、当省は、次の諸施策重点を置いて運輸行政推進いたしたいと考えております。  第一に、わが国交通関係社会資本は、今日までの長期計画実施の努力にもかかわらず、なお年年増大する輸送需要に対して著しく不足の状態にありますが、国土総合開発の根幹となる全国的な幹線交通網整備をはじめ、将来のわが国経済社会発展の基盤となる交通関係社会資本整備充実をはかることは、現下最大緊要事であります。このため、全国新幹線鉄道網及び大都市交通施設整備促進港湾整備事業及び空港整備事業推進等により、鉄道港湾空港等輸送基礎施設の抜本的な整備充実を強力に実施するとともに、その推進にあたっては、各種交通機関の特性を生かしつつ、国民経済的に見た最適交通体系の形成をはかるようにつとめる所存であります。また、その際、過疎地域における輸送力確保についても十分意を用いることとしたい考えであります。  第二に、最近における経済成長に伴う交通量の激増に対処して、交通事故の多発を防止し、かつ、排気ガス騒音等による交通公害の増大を防止するとともに、台風、豪雨等自然災害による被害を最小限にとどめるため、交通安全公害研究所設置巡視船艇整備等による海上保安業務充実強化気象観測網整備等による気象業務充実強化をはじめとする諸般措置を講ずることにより、海、陸、空にわたる交通安全対策交通公害対策及び防災対策の強力な推進をはかり、もって国民生活の安全の確保につとめる所存であります。  第三に、最近のわが国経済をめぐる国際経済情勢の動向にかんがみ、海運航空等国際競争力強化し、対外シェアの拡大をはかるため、外航商船隊整備増強国際航空路線網拡充等の諸施策推進する所存であります。また、国際観光につきましては、海外広報宣伝活動強化外客受け入れ体制整備をさらに強化したい考えであります。  以上のほか、海洋開発推進航空機乗員養成体制強化船員教育充実等施策につきましても、大型測量船の建造、航空大学校の拡充海員学校整備等措置を講じ、これを推進する所存であります。  次に、日本国有鉄道について申し上げます。  近年における国鉄財政の悪化の状況にかんがみ、日本国有鉄道財政再建促進特別措置法により、昭和四十四年度以降十カ年の再建期間において、国鉄収入及び支出の均衡を回復することを目標として国鉄財政再建をはかることとなり、国鉄自体経営合理化近代化推進するとともに、国の財政措置強化実施すること等を再建基本方針と定めたところであります。  昭和四十五年度の予算の編成にあたりましても、この基本方針にのっとり、損益勘定におきましては、日本国有鉄道財政再建補助金八十三億余円、日本国有鉄道財政再建債利子補給金三十八億余円等を含め、収入支出予算一兆一千六百四十二億円を計上し、また資本勘定におきまして、財政投融資三千四百億円を含め、収入支出予算六千百六十四億円を計上し、工事勘定におきまして、収入支出予算三千九百五十億円を計上いたしまして、山陽新幹線の建設大都市通勤輸送の改善、主要幹線輸送力増強保安及び公害対策強化、諸設備の合理化近代化等推進してまいりたいと考えております。  なお、運輸省関係予算部門別重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります昭和四十五年度運輸省予算説明及び昭和四十五年度日本国有鉄道予算説明によりまして、御承知を願いたいと存じます。  以上をもちまして昭和四十五年度の運輸省関係予算についての御説明を終わりますが、何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますよう心からお願い申し上げます。
  4. 藤田義光

    藤田主査 以上をもちまして説明は終わりました。     —————————————
  5. 藤田義光

    藤田主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑者が多数おられますので、質疑の持ち時間は、一応本務員は一時間程度兼務員もしくは交代で分科員となられた方は三十分程度にとどめ、議事進行に御協力願いたいと存じます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に要領よく簡潔に行なわれますようお願い申し上げます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。古内広雄君。
  6. 古内広雄

    古内分科員 時間も非常に経過いたしましたし、質問は簡単にいたしまして、なるべく短く終わりたいと思います。  私の質問は、空港整備空港建設拡充に関するシステムに主として集中して御質問いたしたいと思いますが、大部分事務当局の御説明で十分でありまして、大臣をわずらわす必要はないのでありますが、最後にあるいは大臣のお考えを一言伺うことになるかもしれません。  まず、いま全国空港建設している個所の、名前はよろしゅうございますが、数と、成田空港に関しては公団を設けられていることは承知しておりますが、その他の空港整備の際に、どういうシステムを使っているか。たとえば、港湾事務所建設をやっているとか、あるいはほかの場所はどうかということを、簡単にまず伺いたいと思います。
  7. 手塚良成

    手塚政府委員 空港の改修あるいは建設、こういった大工事につきましては、運輸省設置法のたてまえによりまして、地方に五つございます港湾建設局というのがこれを担当いたすことになっております。その建設局からさらに工事事務所というのが、工事の大小により設けられているところがあります。そういうところでは工事事務所が行なっております。
  8. 古内広雄

    古内分科員 そうすると、空港整備は必ず港湾局担当なさるということでございますか。
  9. 手塚良成

    手塚政府委員 そのとおりでございます。
  10. 古内広雄

    古内分科員 それでは、ほかの場所についてはあまりつまびらかにいろんなことを承知しておりませんが、問題を仙台空港整備にフォーカスを置いて御質問申し上げたい。  仙台は、やはり仙台港湾局関係でやっているとして、仙台に関してはどういう上からの組織になっているか、ちょっと体系を教えていただきたい。
  11. 手塚良成

    手塚政府委員 中央のプラン的なものは本局でもちろんやりますが、いまお話しの工事そのものにつきましては、第二港湾建設局担当でございます。なお、港湾建設局では塩釜工事事務所というのを実際の面ではある程度使って工事をやっておるということでございます。
  12. 古内広雄

    古内分科員 私が承知しておるところと一致するわけでございますが、いま御説明がありましたように、仙台空港整備については、まず本省の本局がプランニングをやっている、それの実施横浜の第二港湾局が引き受けて、さらにその下で塩釜工事事務所担当してやっておられる。こういうことでございますが、あの辺の地図を御存じの方はおわかりになっていただけると思うのだが、塩釜というのは仙台からさらに北のほうへ行っているところでございまして、仙台から塩釜までというのはいまは非常に交通が激しくなっておりますから、場合によっては一時間以上もかかるところに塩釜があるわけです。その工事事務所も、実は塩釜のさらにまた町を通って海辺のほうに行くわけでございますから、非常に時間がかかる。ところが、仙台空港というのは、御承知のように仙台からさらに四、五十分かかる南にあるわけでございます。その仙台空港についての建設を指図するのは、仙台空港から四、五十分たって仙台に着いて、仙台を通ってさらに今度は塩釜に行く。塩釜まで一時間くらいかかるかもしれない。そこでいろいろ仕事をしなければならないというような地理的な実情になっておるのでございます。  その不便があるのと、もう一つは、地元のいろんな関係各方面で聞きますことは、このシステムに対するある程度の不安というようなものがあるわけです。第一は、仙台空港担当する塩釜工事事務所というものは、仙台港の建設手一ぱいである。要するに、あそこでは大きなプロジェクトとして仙台港を一生懸命いま建設しておりますが、それを担当して手いっぱいであると思われる塩釜港湾事務所で、同時にそこから遠く離れた仙台空港建設監督しているというのでありまして、地理的にも相当かけ離れているが、一体空港建設について、工事事務所担当するというのは適当かどうか、そういう不安を地元民としては持つわけであります。こまかく言うといろんな不安を持つような事情もあったようでございまして、そういう不安を持っているのです。  そういうようなシステム自体、それから空港建設となれば、空港関係に最も関心を持っている当局監督して、率直に言えば航空局というものが担当していく。そしてその下に、建設省関係もあろうし、あるいは電信電話関係では郵政省関係してくるだろう。土地収用関係では県庁、関係市町村というものが関係してくるだろう。そういう関係の各官庁の代表を集めて、空港建設に最も関心を持っておるだろうと思われる航空局出先が、そういうことをやるようなシステムになれないものかどうか。いまのは、どうも仙台の場合を見ても、仙台港の建設で大部分仕事をとられているのに、片手間仕事にやっているような傾向がありはしないか。  ところが、仙台空港建設は、何といっても事業費で三十億近くかかるわけですし、やはり相当大きな仕事であるわけで、せっかくやるならば、計画した期間中にきっちりやってほしいし、やることに周囲の連中はみな関心を持っているし、その際に、でき上がったけれども電話がちぐはぐであったとか、滑走路はちゃんとでき上がったけれども、上下水道の水の関係はだめであったとかいうような、ちぐはぐが起こってはたいへんだというような心配を持っておるわけでございます。そのような一連の不安というものがあるのですが、当局としてはどう考えておられるか。
  13. 手塚良成

    手塚政府委員 地方空港整備につきましては、どこでこれをやるかということについて、実は昭和四十年、このごろから非常に地方空港整備量がふえてまいりました。その際にいろいろ部内で検討いたしたわけで、もちろんいまおっしゃいましたように、空港諸般のことを一本で航空局あるいは地方空港事務所でやっておりますので、そこでやったほうがよろしいという案も実は出たわけではございますが、土木建築等技術屋さんが航空局系統、あるいは新規に取り集めますにいたしましても、なかなか充足が十分ではないという見通しがあり、一方で港湾建設局のほうでは、仕事の量、繁閑等によりましてそれらの者の充足が十分可能であるというようなことがございまして、運輸省全体として考えましたときに、港湾建設局でやるのが適当ではないかという結論を得まして、四十年の五月十日に設置法を改正いたしまして、従来は空港事務所が主体でやっておったのでございますけれども、そのとき以来港湾建設局でやるということにたてまえを変えたわけでございます。したがいまして、空港のことに関しましては、それ以来中央は私どものほうでいろいろコントロールいたしておりまして、そういう技術的な現場的な面を、従来の土木の知識を生かしてやってもらうというふうなことでやってもらっておるわけです。  ただ、たとえば補償問題等になりますと、なかなかそういったところ一本では思うようにまいりません。そこで、航空局出先空港事務所あるいはその上にございます、仙台でございますと東京航空局というのが地方を管轄しておりますが、こういったところからやはり協力体制をしいております。  なおまた、いま御説のとおり、空港には必ず関連公共事業というものが伴うことになります。そういうものにつきまして、空港整備そのものの中で予算的にも人的にもなかなかやれないものがあるわけでございます。こういうのはどうしても地元県当局あるいは市町村等お願いを申さなければならぬということがございまして、この仙台空港整備につきましても、そういう意味で県あるいは地元市町村というところに、中央からも参りますし、港湾建設局からも出向きまして、いろいろなお願いをして協力体制をしいてもらっておる、こういうのが実情でございます。  そういうことで、一見ごらんになりますと、現在の土地買収にいたしましても若干残りがあって、それが、わずかなものがなかなか進捗しないようにお見受けになるかと思うのでございますが、いまのようなことでまいりまして、大体私どもは、予定の昭和四十六年完成目標完成ができるというふうに考えております。
  14. 古内広雄

    古内分科員 いろんな各省関係している、建設関係郵政関係また運輸省関係がいろいろそれぞれ関係しておる総合的な仕事であるということはよくわかるのですが、その総元締めというか監督会議を主宰し仕事の段取りをつけていく人というものは、やはり空港建設なら空港のことを一番わかっている人、その人が担当するというのがほんとうじゃないかというように、しろうと考えですが非常にするわけですし、地元もそういう考えが非常に強いわけですね。しかし、いまのお話では、かつて空港建設では空港事務所が主宰しておったということでございますか。それを改正して、港湾建設局に持ってきたというわけなんですか。
  15. 手塚良成

    手塚政府委員 空港そのものにつきましてのいわば基本計画といいますか、それに伴います一連計画そのものは、中央航空局の中に飛行場部というのがあり、その中に計画課あるいは建設課というのがございまして、そういうところでいまの計画内容は策定をいたします。そして策定されましたものを、先ほど来申し上げましたような系統地方に流しまして、その実施をやらせておるということでございます。
  16. 古内広雄

    古内分科員 一般論としてはそれでよくわかりましたが、ただいま申しましたように、私の特に関心を持っておるのは仙台空港建設なんですけれども、あすこの塩釜にある工事事務所というものは、現在仙台港という非常に大がかりな仕事をかかえておるわけですね。そこで同時に仙台空港建設するというようなことはちょっとどうですか、荷が重過ぎるというか、仙台空港建設が少し片手落ちになるという心配ございませんですか。
  17. 手塚良成

    手塚政府委員 私、港湾工事のほうにつきましては所管ではございませんのでお答えできかねますが、仙台空港につきましては、塩釜工事事務所から、さらに現場工事事務所の分場所といいますか、そういった現場監督事務所的なものが別途にできております。それに専門の監督要員が配員をされておりまして、それがこの現場監督しておるということでございますので、港湾工事とは一応そういう実質面において分離した体制で、専門的にやっておるというふうに聞いております。
  18. 古内広雄

    古内分科員 そうしますと、仙台空港建設に関しましては、塩釜工事事務所の中でも一つの分離された組織があると了解するわけですね。そうすると、仙台空港建設に関しては、一々塩釜工事事務所所長さんですか、そういう人の決裁を得なければ、横浜の第二港湾建設局にはこないのか。空港建設に関しては、地元現場事務所からさらに塩釜事務所空港関係担当のところへ行って所長の判を得なくとも、すぐ航空局なり運輸省ヘッドクォーター、そこに通ずるようになっておるのですか、どうなんですか。その辺を少しはっきりしていただくとわかると思うのですが……。
  19. 手塚良成

    手塚政府委員 おっしゃいますように、工事事務所を通しまして、そして港湾建設局というところへ実施についての指示命令は通ってくるということになります。ただ、これはもう現場仕事そのものでございますので、そういった内容でひんぱんなそういう往復があるというようなことはまず少なかろう。私どもの経験によりますと、やはりその一番最初の段階に当たります土地取得、あるいはそれに伴います補償、あるいはそれに関連しました先ほどの空港周辺関連公共事業、こういったものの際に、非常に中央出先往復が激しいわけであります。そういう際には、先ほど申しましたように港湾建設局から直接出向く、あるいはそれが計画そのものとの関連になりますときには航空局自体から出向く、しかも県御当局にもいろいろお願いして中に入ってもらう。こういう体制でやりますので、現実にいまやっておりますような段階における作業といたしましては、さほど煩瑣な体制とはいえないと考えております。
  20. 古内広雄

    古内分科員 私どもの非常に心配しているのは、要するにそういう各部門総合してやる仕事で、その総合の過程において、空港に非常に関心を持った人がそれを主宰していったらどうかということは非常に強いわけです。そしてその人が、仙台港というような非常に大きな仕事を持っている人が同時にそれを主宰しているのじゃ、ちょっと無理なんじゃないか。やはりジェット機が飛ぶようになるような空港仕事ですから、その点を非常に心配するわけです。  それから、いまおっしゃったように、土地取得とかそういうものと関連し、そういうものを一括していろいろ総合的に円滑に調整をとりながらやるという仕事体系としては、いま言ったように港湾建設というものを、しかも仙台の場合非常に大きい比重を占める、そういうような仕事を持つ事務所で、そういうものを片手間にやっているというような状況は、ちょっと無理なんじゃないか。絶対にもう計画どおり四十六年の何月までに完全に、何らの背馳なくやりますとお引き受けになればそれでいいと思いますけれども、われわれそばで見ていて非常にそれを心配するわけです。だから一つの案としては、たとえば——これは県庁の知事に頼まれたから言っているわけでなく、私の考えだけですから、それは誤解のないようにしてもらいたいが、たとえばわれわれから見ていて、そういう仙台空港建設というものを一定の計画でやるという場合に、土地の収用も建設も何もあるわけだから、知事に一切まかせて、何月までにやってくれというようなことで知事にさいはいを振らせて、そこに各省がいろいろ、知事がこうしてくれと言ったことを実施していくという体系のほうが非常にスムーズにいくのじゃないか、こう思うこともあるわけなんですよ。その辺のところは……。
  21. 手塚良成

    手塚政府委員 おっしゃるような点は十分考えられることでございまして、現在九州地方でやっております空港の中には、そういう体系をとって現にやっておるのがございます。仙台空港につきましては、いまもう一息というところに入りましたし、先ほど申し上げました現場工事事務所には航空局はえ抜きの職員も入っておりますので、県御当局のほうにもいろいろ御依頼もしながら、とにかく現状の体制で予定の完成期日までに間に合わしたい、かように考えております。
  22. 古内広雄

    古内分科員 大体わかりましたが、大臣、最後に一言。どうです、いまのやりとりからどういう……。
  23. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 いま航空局長から大体の具体的な答弁があったようでありますから、御理解を願ったと存じます。しかし、古内委員からのお話ももっともな点があり、今後仙台空港の事業の進捗状況等を見て、いま航空局長が四十六年度には間に合わせると言っておりますから、そういう事態に支障のない限りは現状のままやっていきたい。しかし、何らかの事情で、そういうことについていまおっしゃったような方式をとる必要があれば、これはちゅうちょなくとってよろしいと考えます。  ただ、御承知のように飛行場というものはいろいろの仕事がありますので、できるだけ県庁を中心にして、一カ月一回でもいいから連絡協議会のようなものを持って、いわゆる円滑なる運営を期する、こういうことを進めて、そして予定どおりの完成を見たい、かように考えております。
  24. 古内広雄

    古内分科員 いま大臣のお話もありましたし、私としてはこれで一応納得して質問を終わりますが、また進捗状況次第で適当の委員会で御質問することにいたしまして、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  25. 藤田義光

    藤田主査 以上で古内分科員質疑は終了いたしました。  次に、久保三郎君。
  26. 久保三郎

    久保分科員 まず最初に、大臣に御所見を承りたいのは、来年度予算案について総体的に——御案内のとおり一般予算全体は、対前年の伸びが一七・九%ということになっているわけでありますが、それでは運輸省のほうはどの程度かというと、御承知のように一四・四%の伸びである。もちろん、予算各省平均に伸びるというようなことは画一的な話でありまして、決してそれがいいということではないと思うのであります。しかしながら、いま一番大きな問題は何であろうかということになると、その中でも社会資本の充実、特に交通問題は、この事故の問題を中心にして大きな問題になっているということでありますので、一般の伸びからいってかなり低い伸び率であるということは、これは考えざるを得ないのではないか。  と申し上げますのは、いま御質問もありましたように、空港整備一つとりましても、なるほど新国際空港のほうにはそれぞれの予算がついておる。しかし、四十二年から始まっている空港整備五カ年計画では、四十五年はすでにもう四年目に相なります。四十四年まででは三七%の進捗率です。半ばを過ぎて三七%でありますから、これはかなりテンポがおそい。ところが、最近の航空界は、御案内のとおり新しいジャンボの問題もさりながら、エアバスの問題も日程に上ってきている。さらに新しい交通機関として、何かさらに前進をするような性格を持っているわけであります。ところが、この空港整備の事業は一・七%の伸び。前年と大体同じあるいは物価、賃金の上昇から考えますれば、これは実質的な事業はダウンしているということになりますね。こういうことではたしていいのかどうかという問題です。  先般というか、きのうも本委員会のほうでお尋ねを申し上げましたが、総合交通政策というものはないままで、実は場当たり的と言っては語弊がありますが、必要に迫られた範囲で実は空港整備などは今日やってきているのではなかろうかと思うのですね。ところが、あとから御質問申し上げますが、きょうも鉄道建設審議会が開かれまして、新幹線網九千キロをひとつ敷設しようというたいへん大きな問題になっておる。何かどうも日本の国のネットワークというか、新全総では文字としては大体そういうものは書いてあるが、ねらいはどこにあるかわからぬということであろうかと思うのです。  いずれにしても、一つの例をいまとりましたが、空港整備のごときは、残念ながら、他省所管まで入れますれば昨年より事業費としても下回っております。はたしてそういうことでいいのかどうか。  それから、財投についてもそうです。全体の財投は、御承知のように対前年一六・三%の伸びであります。ところが運輸省所管はどうかというと、全体で一三・四%の伸びにとまっている。しかも、その中で国鉄は一七・二%程度の伸びでありますから、そうしますと、国鉄を除いたところの財投は、御承知のように伸び率としてはたいへん低いということですね。問題がなければそのとおりでいいのでありますが、かなり問題がある。財投は国鉄港湾というもので大半占められておるのではなかろうかというふうに思うわけであります。そういうことを考えると、来年度予算というのはあまり均衡のとれた意欲的なものではなかろうというふうに思うのでありますが、どうでしょうか。
  27. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 この財政といいますか、予算の前年度比等の具体的な数字は一応会計課長から説明させまして、政策についてまた私から答えたいと思います。
  28. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 四十五年度の運輸省の自省所管の伸びは一三・四%でございまして、他省所管と合計いたしますと、先ほど大臣から御説明いたしましたように一四・四%ということに相なっておりますが、今回の一般会計予算にあたりましては、空港整備特別会計の新設がございまして、従来一般会計でまかなっておりました空港の維持運営費、それから空港整備事業の一部につきまして特定財源でまかなうということで特別会計に計上されておりますので、その点を実質的に修正いたしまして前年度との伸びを比較してみますと、自省所管が一一八%、自省、他省を合計いたしまして一一九・一%という伸びに相なります。
  29. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 ただいま久保委員からの基本的な御質問でありますが、はたして航空政策、港湾政策はこれで十分か、ある意味においては跛行的ではないかということでありますけれども、原則として私もそうだと申し上げてよろしいと思います。残念ながら四十五年度の予算だけではなく、最近の計画等を見ても、国の調和のとれた発展計画の上から見ると、従来の五カ年計画というものは、はたして諸般の経済拡大に伴う十分な措置であったかといえば十分な措置ではない。特にお話しの空港整備五カ年計画及び港湾整備五カ年計画というものは、どうしてももう一度洗い直して、新五カ年計画をなるべく早い機会に立てる必要がある。これには、御承知のように、飛行機でいえばジャンボのような大型機が相当数多く入ってくることが最近だんだん明らかになってきた。また、外国人の日本に来る者、日本から外国に行く者も、従来の計算以上に増加をしておる。こういう点から見て、空港整備というものには相当思い切ったものを考えなければならないのであります。その意味で、本年は特別会計という特殊な制度を用いたわけでありますが、内容は、おっしゃるようなことには十分沿っておりません。これはできれば少なくとも来年度からでも新計画考えることの必要な段階に来ているし、港湾関係も同様であります。これも最近におけるところの経済拡大といいますか、GNPの伸びから考えても、はたして従来の五カ年計画で将来の経済発展に備え得るかといえば、これも不十分である。そういう意味において、産業の基盤をなす交通流通体系をひとつ考えていかなければならぬということで、せんだって来関係各省とも非公式に協議を進めて、新社会発展計画の中にこれを織り込んでいきたい、かように考えておるものでありまして、原則としては、久保委員のおっしゃることを私は十分理解するわけであります。
  30. 久保三郎

    久保分科員 空港のほうは、特別会計があるから伸びたというお話であります。これは航空局長にお尋ねしたほうがいいのでありますが、現在の五カ年計画では、来年度予算がそのまま通って実施をしたとしたならば、どの程度の進捗率になりますか。
  31. 手塚良成

    手塚政府委員 このパーセンテージのとり方がいろいろございますが、四十二年から始めまして四十六年までの五カ年計画の金額は千百五十億であります。この千百五十億をもとにいたしまして、来年度の特別会計内容予算を含めまして四十五年までの進捗率を考えますと、五五%という実績になると思います。これははなはだ低いわけでございますが、ただ、この千百五十億の中には、御承知のとおり、調整項目あるいは地方の単独事業等の予算というものが入っておりますので、これらのものを除きまして、実質空港そのものの裏づけのあります金額でまいりますと、これは計画額が九百二十億になっております。それに対して四十五年度までの合計は五百六十八億に相なります。その際には実績が六二%、それまでの計画だけでまいりますとこれは七〇%になるのですが、七〇に対して六二ということで、やはり計画よりは落ちておるわけでありまして、これからの努力は必要だと思いますが、こういった数字でございます。
  32. 久保三郎

    久保分科員 お話しのとおりとするならば、これは残念ながらたいへん小さい千百五十億の五カ年計画でありまして、大臣からお述べになったように、遠からず改定すると思うのであります。改定する前の小さいものです。大きく見ても、六二%ならばあまりいい成績ではないように考えております。こういうものに対しては、この間も大臣から御答弁をいただきましたが、はたして総合交通体系というのは、どこが中心になって政府はおつくりになるんですか。運輸省ですか、運輸大臣手元でおやりになりますか。陸海空全体でありますから、そうなりますと、特に輸送の形態というか、輸送の機関としては、運輸省が全体を扱うようになると思いますが、ただ施設になりますと、道路は建設省ということになります。これはもう十年くらい前から、所得倍増計画というか、ああいうものを立てたときから総合交通体系は確立すべきであるということで、いろいろな政府の諮問機関から答申が何回もあったと思いますが、いまだにこれをやらないで、何というか、めちゃめちゃといっては語弊があるが、一定の方針というか、そういうめども目標もなくて、かってな方向でやっておる。道路は道路で、大体七十万キロを六十二年までにやろうという。きょうやっておる新幹線は六十年までに九千キロとなっておりますが、そうかと思うと、五十三年までに三兆七千億で国鉄再建をやろうということです。港湾整備も、御案内のとおり国費で大体八千億、それ以上いけば一兆三百億ということで五カ年計画でやる。航空政策は、いまのお話しのとおり四十六年で終わりますが、千百五十億円です。びっこということばがありますが、びっこのはなはだしいこと、これくらいはなはだしいものはないではないかと私は思う。これはどこでお立てになりますか。これは早急にというお話ですが、これがなくては、まずにっちもさっちも動かぬのではないかと思うのです。景気のいい話ばかりしても困るじゃないか、うまくいかないじゃないかと思う。  それからもう一つ次に申し上げたいのは、財源をどうするかという問題です。きのうの委員会でも質問したのでありますが、大蔵大臣からも的確なお話はあまりありませんでした。ところが、新聞等で報ずるところによれば、建設省の道路整備については自動車から税金を取ろうとかいうようなことを言っておるし、片方で田中幹事長の構想というのは消えたのか生きているのか知りませんが、車から銭を取って国鉄やその他にも分けてやろうと、かって気ままなことを言っているのだが、大体計画がかって気ままなところへ、財源は取れるところからは取っていこう、取れないところはそのままでもって、千百五十億くらいの特別会計で、着陸料を幾らか上げて、それでまかなっていくというのでは、りっぱなバランスのとれたネットワークというものも私はとれないだろうと思うのです。総合交通体系というものは、運輸省でおきめになりますか。いつおきめになりますか。それから、私の考えからいえば、そういうものができて、いわゆる国全体の交通資本の財源はどこから取っていくのか、これから始まるのがほんとうだろうと思います。九千億の新幹線を敷くなんていうのはナンセンスですよ。財源の見通しもなくてそんなものをやるというのは人気取りだ。はなはだしく政治家としての見識を欠くのじゃないかと私は思うのですね。いかがですか。
  33. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 従来も総合計画はなかったわけではないと私は考えます。それぞれ五カ年計画を立てる場合には、ある意味においては、他の計画ともにらみ合わせてやってきたことも事実でありますけれども、これは久保分科員も御承知のとおりに、役所の仕組みというものが、ややともすれば実績本位になってきておる。私は、この実績本位というものには反対なのです。そうではなくして、やっぱり総合体系交通でいえば交通総合体系というものにおいて、そこで鉄道なら鉄道というものが、どれくらいの規模が今後の経済発展の上で必要か、それに伴って、当然これは港湾関係整備も必要になってきます。あるいはまた、飛行機、航空関係で、どれだけの人間を航空輸送がしょわなければならぬか、こういう全体的なマクロ的な検討がなされて、そこで、その中において、鉄道が貨物及び人間に対してはどれだけを分担する、あるいは外航はちょっと別にして、内航海運はどれだけの人と物を分担するのだ、あるいは国内航空はどれだけの人と物を考えるか、物はあんまり国内航空にはないかと思いますが、同時にまた、飛行機はどういう距離の人間を運ぶことが目的になるか、あるいは一般鉄道と新幹線とはどういう割合で、人と物との関係あるいは距離の関係はどうするか、こういうマクロ的な、総合的な分析がやっぱり行なわれて、そしてそのもとにおいて鉄道はこれだけのものが必要である、港湾はこれだけのものが必要である、そして飛行機はこれだけのものが必要であるという観点に立って、過去の実績は一応御破算にして、そこからやっぱり総合的な計画を立てる、こういう考え方が私は基本的だろうと思います。しかしながら、そういう基本的なことが必要であったにかかわらず、従来は必ずしもそのとおりにはいっておらなかったということは事実であります。私は、その意味において、私から大蔵大臣及び経済企画庁長官及び建設大臣に申し入れましたことは、何といっても最近の経済拡大の傾向から見て、早急に総合交通体系をまとめなくちゃいかぬ。したがって、できるだけ早い機会に、関係閣僚のもとにおいてこれら総合体系を立てましょうということで申し入れをして、大蔵及び経済企画庁、建設省等もこれを了承されましたので、近い機会にこれらの問題を中心にして関係閣僚と協議を行なう予定にしております。したがって、実際上に持っておるものは、仕事の場面からいえば運輸省が大部分でありますから、私個人の考え、私が主導権をとってこれを行なっていくという考え方で臨んでおります。  第二の財源問題ですが、もちろんこれは財源がなければ、せっかくこしらえたものも絵にかいたもちということになりがちでございます。ただしかし、財源問題ということになりますと、いろいろの制約がある。社会的な諸条件あるいは経済的な諸条件等がありますので、いまからこの財源はこうするという考え方は、必ずしも私は絶対要件ではないと思います。ことにまた、御承知のように、あるいは一部によっては目的税的なものも考えられましょう。しかし、他の部面においては、社会資本の投下でありますからして、いわゆる将来の人にそれを肩がわりするということで公債政策も考えられましょう。しかし、これらはそのときの経済諸条件によってその割合に変化が起きてくるわけでございますからして、直ちに財源がなければ総合体系が立てられないということでなくして、まず総合体系があって、そこでこれを実現するためにはいかなる財源を求むべきか、こういう順序でいいのではなかろうか。もちろん、財源問題についてはわれわれも一応非公式には意見を申し述べますけれども、原則的には大蔵省なり経済企画庁なりが社会諸情勢を見て具体的な財源を考える、こういうことであっていいのではなかろうか、かように私は考えております。
  34. 久保三郎

    久保分科員 私もそう思っておるのです。総合交通体系が確立されて、それに応じて財源の問題をやっていく、それで当然配分の問題もそこできまってくる、こういうことでなくちゃいかぬと思うのですね。運輸省運輸省建設省建設省、こういうようなことをやったのでは、とうていうまくいくはずがないと思うのですね。これはそうだと思う、そういう方法でやることが当然だと思う。いずれこの問題はまた後刻お尋ねすることにしまして、先に参りたいと思うのであります。  運輸省の要員の問題、いわゆる業務量というか、こういうものと運輸省の要員の問題について、これは元締めは官房長ですかな。この要員は来年度の予算で差し引きどうなりますか。というのは、いろいろな五カ年計画というか、そういう現場仕事運輸省は持っているわけですね。五カ年計画は、航空もそうだろうし、港湾もそうだろうし、それから近く——もう提案になりましたが、船員法の改正では、いままで守備範囲でなかった大量の漁船船員を対象にしていくというような問題が出てくる。それからもう一つ、自動車の関係は、これは毎回でありますが、御承知のように自動車がふえてくる、あるいは業務内容も変わってまいります。そういうことからいって、この要員問題というのは、現業官庁である運輸省としてはかなり酷だろうと思うのですね。ところが、この三年間五%減ということで総定員法は通りましたが、残念ながらこれは各省で思い思いにやらざるを得ないということですね。羊頭を掲げて狗肉を売るというのはこのことだと思うのでありますが、これはおそらく、いまの官僚組織がある限りは、残念ながら各省間の交流なんていうのは、まあ偉い幹部はどうか知りませんが、大体定員の要因配置というものは不可能だろうと思うのです。いい、悪いは別として、これは不可能だろうと思う。そこで結局運輸省の中でやりくりをするわけですね。そうしますと、どこかないだろうか、気象庁などどうだろうかということで、大体あまりお天気は、当たっても当たらぬでもお天気はそのとおり、日が出るときには出てくるのだからなんていう考えで、削減の一番目当てになってくるのはそういうところがなってくる。もちろん、仕事がなければこれはいいのでございますよ。しかし、最近における気象の問題にしても、  みんな人間に直接関係があるのですね。航空の問題もそのとおり、自動車の問題もそのとおりですね。そういう中でやっていて、はたしていいのかどうか。だから官房長にお聞きしたいのは、来年度の予算で差し引き運輸省の要員というのはふえるのか少なくなるのか、どっちだということです。
  35. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 お答え申し上げます。  来年度の省全体につきまして申し上げますると、例の五%削減につきましては、昨年度と同様に運輸省は四百五十八名ということになっております。四百五十八名のノルマを課せられておるわけでございます。それに対しまして予算要求を、ただいま先生がおっしゃいましたような、特に気象とか海上保安とか航空とか自動車とか、そういう現場官庁を持っておりますので、     〔主査退席、渡辺(栄)主査代理着席〕 非常に大幅な要求を出しました。その結果、一応現在査定の内示をされておりまするのは四百十八名でございます。したがいまして、昨年のノルマの四百五十八名と、内示をいただきました純増四百十八名の差の四十名というのが純マイナスということに相なっておる次第でございます。
  36. 久保三郎

    久保分科員 大臣いまお聞きのとおり、この四十名というのは大体五%くらいになるのですか、よくわかりませんけれども
  37. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 四十名というのは五%ではございません。全部の定員が約三万五千ございますので、非常に微々たるものでございますが、マイナスではございます。
  38. 久保三郎

    久保分科員 そうしますと、五%減というのは去年から始まったですか、おととしでしたかな。
  39. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 四十四年度からでございます。
  40. 久保三郎

    久保分科員 去年は幾らでしたか。
  41. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 要するに五%削減は四百五十八名でございまして、それに対しまして純増が三百三十七名でございますから、差し引き百二十一名減ということになるわけでございます。
  42. 久保三郎

    久保分科員 まことに算術計算でやっているのですね。これは来年も四百五十八名減ですね。それで新たに必要なのは出してこい。差し引きしてどうなるかというのは別にして、何かまことに役人がやるような仕組みですね。運輸省は減のほうは五%ずつ確実にやりました。ほかの省もおそらくやっておるでしょう。しかし、これだけ必要だというと、それはあらためて出してこい、こんなことでは仕事はあまりできないんじゃないですかね、はっきり言って。大臣、どうなんです。もう少し考えたらいいと思う。私は別に人間をふやせとか減らせなんということは積極的に言いたくない。しかし、仕事のあるところは、やはりめんどうを見なくてはいかぬ。どうでしょう。
  43. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 しかし、総定員法というのは、一面においてなかなかおもしろみがあるのですね。いま言ったぐあいに、これは今度のいわゆる減反の問題でもそうですが、一律に一応一割をどうのこうのということでもってやっておるわけでありますが、各省に五%の減を命ずる、しかし、一面において、今度は現場を持っておる、また必要度、成長率の高い省においては別な定員で認めていく、純増を認めるということで、運輸省の場合は、四十四年度及び四十五年度も実際上五%減はしないで済む。これはなかなかある意味においてはおもしろみがあって、そういう成長する省でないところは純増が認められませんから、文字どおり五%もしくは六%減が行なわれるわけですね。まあ官僚の仕組みというといいところもあるし、悪いところもあるということですが、これは運輸省一つ見るとかなり現場を持っておりますから、それだけにその程度で十分かといえば、いわゆる新しい業務量の増大に対して与えられた増員というものが十分かといえば、必ずしも十分ではありませんけれども、ただ、御承知のように、最近いろいろな意味において機械化が進められておる。そういう意味でやはりだんだん人間が不足になってきますから、官庁においても省力化というものを考えなければならぬ。その意味で運輸省でも機械化の予算を多少もらっておりますが、それによって人力の足らぬところは補っていくということで、与えられた予算は十分に生かして使えるように、かようにいたしたいと考えております。
  44. 久保三郎

    久保分科員 おもしろみがあるというお話でありますが、見ようの相違でありますからなんですが、現業を持っておるところは、やはり仕事の量というのははかり知れるわけですね。現業のないところはわからぬ、実際いうと。はんこを幾つ押すかくらいですからね。仕事の量というのはわからないのですね。ところが、現業の場合はちゃんとはっきりわかるのですから、これはもう少し科学的に——科学的というのはおかしいが、もう少しきちんと、必要なところには職員配置は十分にするというのでないといけない、サービス官庁なんだから。監督官庁だと思っていたらこれは間違いですよ。監督官庁ならあまり職員が多くないほうがいい、むしろ少ないほうがいい。一々判こを十も二十も押されてしまうから、これはやめたほうがいいんです。しかし、現業官庁というのはサービス官庁ですから、多いほどサービスがよくなるというのは、平面的な考えかもしれませんが、そういうふうになると思うのです。しかし、これはまたあとでお話を申し上げることにしまして、いずれにしましても、もう少し充実した要員の配置を考えていくべきだろう、こういうふうに思うわけでございます。この問題はあとにしまして、先にいきます。  それから次は、海運の問題でありますが、いわゆる計画造船の問題で一言だけお伺いしたい。来年度は二千五十万総トンの計画造船を計画しているようでありますが、大体において経済社会発展計画、こういうもので二千五十万総トンでありますか、そういうものの達成を目標にしてきてあるわけであります。これには、その裏側として積み取り比率の改善、言うならば国際収支の改善、こういうことでありますが、最近の国際収支は、海運収支は別として、全体的に黒字基調で定着化しそうである。それからもう一つは、物資の輸送というのが、かなり計画より上回ってまいりました。かなり旺盛であります。そういうことになりますと、この計画造船についても一ぺん見直す必要がありはしないかということです。はたして二千五十万総トンというものを計画していいのかどうか。それから計画造船というやり方もそのままでいいのか。計画造船をやるにしても、いまのように荷物が旺盛なんでありますから、全体的には海運市況は上向きだと見ていいと思うのであります。そういうさ中に、積み荷保証の保証をつけたものを、いわゆる計画造船に乗せるという方式はやはり一ぺん考えてみる必要がありはしないか。というのは、従来も長年——長年といっては語弊があるが、十年近く私は運輸委員会などで、運輸産業というのは他産業に従属している形、その端的なあらわれがやはり海運であろうというようなことを言ってきておりますので、もはや鉄道も航空もそうであるが、航空はあまり厚くはありませんが、鉄道とか海運なんというのは、この辺で従属産業の形を断ち切るチャンスであろうし、またそうでなければ、いわゆる戦略的な産業としての伸展は望めないのではなかろうかというふうにも思うのですね。そういうことからいって、いまの海運政策というのはどうなんだろうか、こういうふうに思うので、海運局長から先にお尋ねしましょう。
  45. 澤雄次

    ○澤政府委員 第一点の、現在の経済社会発展計画に基づいております新海運政策の二千五十万トンでは足らないのではないかという御質問につきましては、先生のおっしゃいますとおり、経済社会発展計画で予定しておりますよりも日本の経済の発展が非常に強いものでございますので、経済界からも、この二千五十万総トン計画を修正してほしいという要望が非常に強く出ております。経済企画庁で経済社会発展計画の改定作業を現在やっておりますので、その結果が出ましてから、この二千五十万トンの新海運政策の改定が必要かどうかということを検討いたしたいと思っております。しかし、もちろん船会社の体力を阻害してはなりませんし、また、この二千五十万トン計画をふやす場合には、やはり所要資金がございます。財政資金を含めてこの所要資金の調達がどの程度可能か、また、船員の確保がどの程度可能かというような諸点を慎重に検討してから運輸省としての案を決定いたしたい、このように考えております。  それから第二点の、計画造船で積み荷保証を要求しているのは、荷主に対する隷属産業にするのではないか、こういう御質問でございます。現在の計画造船におきましては、必ずしも十年間なら十年間の積み荷保証というものを要求はいたしておりません。われわれが船会社に要求いたしておりますことは、十年で船価を回収するような運賃を荷主からもらってきたものに対しては計画造船の対象にいたしましょう、こういうことを申しているわけでございます。これは先生のおっしゃいますように、とかく海運業は荷主に隷属しがちでございますので、荷主から適正な運賃、船会社の体力を阻害しないような運賃を取らせるために、運輸省及び開発銀行で、十年で船価を回収できるような運賃をもらってきなさい、こういう指導をいたしているわけでございます。このために船会社の経営は、大量建造をやっているにもかかわらず、だんだんとよくなってきておるように思います。
  46. 久保三郎

    久保分科員 計画造船という、そういう政策ですね。これは一ぺん洗い直す——というのは語弊があるが、検討し直す時期ではないか、こういうふうに考えます。たとえば積み荷保証の制度も、あなたがおっしゃるようなことも、それからこの運賃の問題も、全体をひっくるめて考え直してみたらどうか。というのは、この計画造船というものの歴史をずっとたどってくると、だいぶ中身は変わってきていると思うのですね。だから、新しい時代には新しい政策というか計画というか、そういうものがやはり必要だろうと思うのです。そういう意味で私は申し上げているわけなんでありまして、あとで機会がありましょうからまた申し上げますが、たとえば在来船というかコンテナ船、いわゆる一般船ですね——在来船というより一般船、コンテナ船、そういうものと、タンカーあるいは専用船というものを同列の中で、計画造船の中で処理していくことが正しいかどうかという問題も私はあろうと思うのです。それから、外航ばかりでなくて、内航も、カーフェリーの問題も出てきている。これは自動車の問題に関連しますので、自動車局長にも、時間がありませんので簡単にお伺いしたいんだが、カーフェリーといわゆる道路運送との問題ですね。道路運送は、御承知のように、かなり混乱しているわけであります。そこで私は、この内航、特に内航というよりはカーフェリーの問題も含めて、トラック輸送の秩序の維持ということをこの際考えてもらわなければいかぬだろう。これは交通安全の立場からもそうだし、国鉄再建の立場からもそのとおりだし、それぞれおのおののシェアをやはりこの辺で政策的に確立するように誘導していくという政策が必要だと思う。しかしこれは、トラックの輸送秩序維持というのは、言うべくして非常に困難だろうと思う。千差万別、これは内航にひとしいような、過去における内航と大体私は同じかっこうだと思う。そこで、内航のシステムを一ぺん導入することを考えてみたらどうか。内航海運における組合法、業法によって、いま最大船腹量、そういうものもやり、あるいは業界での協調もある、こういうことでありますから、そういうものを一ぺん導入してみたらどうかというふうに考えるのであります。これはどなたに聞いたほうがいいのか。時間もたくさんありませんから、自動車局長にやはり先に聞くほかないでしょうね。簡単に答えてください。
  47. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 先生のお説は、内航海運で現在やっております最高限度の船腹あるいは組合におきましていろいろ仕事をやっておりますが、われわれのほうにおきまして内航の場合と違うところは、内航の場合におきましては、いわゆる自家船といいますか、自動車でいう自家用車に相当するようなものはきわめて少数であります。われわれのほうは九〇%以上が自家用車であるという関係がございまして、業者のほうの船腹量に相当する車両数をいろいろ調整的にやっていくという点については問題があるのではないか。われわれは、このトラック事業が健全に発達いたしますために、近代化促進法の対象にいたしまして、その線で現在近代化ということを指導いたしておる次第でございます。しかし、トラック事業は何ぶんにも零細でございますので、今後におきましては、これらの施策推進すると同時に、また、これを規模の点におきましても、調整と申しますか規模を大きくしていくというふうなことにつきましては、具体的に近代化を進めていく場合に、計画にもありますけれども、今後強力に推進していく必要があるのではないかと考えております。
  48. 久保三郎

    久保分科員 これは大臣に要望しておきますが、今度の国会にもかかっている設置法の改正で、政策審議会ですか、そういうものができますね。できればそういうところで、一ぺん運輸省全体として検討を始めてもらいたい。まあ自動車局長だけの話でやろうといったって、これは無理な面もたくさんあると思う。私は、やはりそういうものから手をつけていかぬと前進しないだろうと思います。もちろん、全部のトラックを網にかけるというのは非常にむずかしい。だから、できるものからやっていくということでいけば、必ずこれは成功できると思うのですよ。だからこれは要望しておきます、時間がありませんから。ぜひお願いします。
  49. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 はい、けっこうです。
  50. 久保三郎

    久保分科員 それから次には、これは大臣に聞きますが、私鉄の運賃が、値上げが申請されて運審にかかっているということでありますが、これは行く末はどういうことになりますか。
  51. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 行く末は、いまのところ運輸審議会にかかっておりますからして、その運輸審議会に——ただ運輸省としては、四カ年以上たっておりますので、いわゆる事業体自身も相当弱体化しつつある。したがって、ある程度の問題、私鉄から申請してきたことについて、十分検討した上で一応審議会の意見を聞いておるという段階でありますが、これは一応事務的な問題として扱っておるわけでありまして、ただ、政府全体としては、この上に物価問題あるいは公共料金の抑制問題等がかぶさっておりますので、運輸審議会のいわゆる答申がどう出てまいりますか、その答申によってまた政府全体として考えなければいけない、こういうことで、目下行く末のことは最終決定を見ておりません。
  52. 久保三郎

    久保分科員 運輸審議会、これは鉄監局長に聞いたほうがいいのですかね。運輸審議会はいつごろ結論を出すのですか。そういう予定はあるのかないのか。
  53. 町田直

    ○町田政府委員 いつごろ結論を出すという予定は伺っておりません。
  54. 久保三郎

    久保分科員 大臣の話は、やるような話でもあるし、やらぬような話でもある。もちろんそれは、公式論としては、運審から答申がなければ、返事がなければ態度はきまらぬというのは筋でありますが、大体のいままでの常識から見ると、原局でというよりは運輸省自体でおおよそ腹がきまったときに運審にかけるのが例になっております。運審にかかるということは、世間では値上げ必至だと見ております。これは否定されますか、そういうことはありませんと。いかがですか。
  55. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 法規の命ずるところに従って、運輸省事務当局としては、申請があった場合にこれをなるべく早い機会に出して、運輸審議会の答申をとる。これは事務的問題で、またやらざるを得ない。しかし、それが直ちに値上げに決定をしたということでもないわけであります。ただ、現在国鉄等他の運賃その他と比べてみて、事務当局としては、相当の開きもある、かつまた将来の私鉄が大都市交通圏に持つ役割り、そういうものからして、いろいろの点を勘案して事務的な措置をいま講じつつある、こういうことで、政治的にこれをどう扱うかは答申を見た上でないと何ともいえない、かように御了承願います。
  56. 久保三郎

    久保分科員 大臣の答弁はそのとおりだと思うのですが、常識的には、世間では、運審にかかるということは、遠からず値上げが許可されるということになる、これが常識なんです。これは大体常識どおりにいっているように見るのでありますが、どうも政府の所信表明演説その他からいって、物価制御のために公共料金は極力押えます、その極力というのがどの限度か、国会が終わるまでが極力なのか、この辺はどうなんですか。企画庁に聞きますが、運賃値上げをしたらば、物価にどういうふうに——四・八%は確保できるのか。来年度は四・八%に押えるというが、巷間伝えるところによると、大体二割五分くらい上がるだろうというのです。世間では早いものです。二割五分上がったら物価はどうなりますか。四・八%で押えられますかどうですか。
  57. 小川としやす

    ○小川説明員 私鉄運賃の物価指数に占めます割合、ウエートは一万分の四十六でございます。その数字のみで判断するわけにいきませんけれども、やはり関連その他入れますとかなりの影響があるだろうと思います。私どもとしては、従来の方針どおり公共料金の抑制の方針ということで、そういう申請がありましたときには、その立場から審査いたしたいというふうに考えております。
  58. 久保三郎

    久保分科員 国民生活局だから、それは当然そうあるべきなんです。ところが最後は、相撲を取っていつでも負けてしまうのです。そういうことじゃなくて、もう少し筋を通して——大臣じゃないからなんですが、よく大臣にも伝えておいてください。約束は約束ですから、四・八%で押えますよというんだから、押えてもらわなければ困ります。それから、去年の予算委員会のときにも、国鉄の運賃値上げにからんで、たとえば私鉄の運賃はこういうふうになります、それでは輸送用役を十分に使う立場から効率的でありません、これはどうしますかという場合には、私鉄は上げません、国鉄だけ上げますが、こういうふうになっちゃうがいいんですか、いいです。そういうことをやってきて、このごろは、どうもだんだん私鉄がかぶり過ぎるからという理由を言っていますが、どうも一年たつと忘れてしまうのは困ると思うのです。これは鉄道監督局長は両方やっているのでありますから、その辺のところはおわかりだと思う。  そこで、時間がありませんから提言だけしておきますが、運賃制度は根本から洗い直す時期ですよ。上げるばかりが能じゃないのです。輸送用役をどうやって有効に、国民経済的に提供できるかという問題を考えるべきだと私は思うので、これまた、政策審議会ができたら検討を始めてもらいたいと思うのです。これは経済企画庁も入ったらいいですよ。そこで、そうでなくて、申請がありましたら四年も上げないから上げますというが、四年上げなくたって、やっているところはあるじゃないですか。そういう理屈だけでは国民大衆は納得しませんから、どうか基本的に立ち返って、最近はやりのことばで原点というが、やはり運賃、料金というものを検討し直してもらいたいと思うのです。われわれも検討いたします。  それから、最後になりますが国鉄の問題であります。国鉄再建というのは、この間再建計画が出てまいりました。本委員会でもいろいろお尋ねをしたのでありますが、大臣、これは大体逆じゃないかと思うのです。政府が法律を出したまではまあいいとして、言うなら政府が再建基本計画というのをきめて国鉄にやるのですね。国鉄はそのワク内で、今度はオウム返しに政府に、再建というのはこの方針で、こういうことでこのワクでやりますと言うのです。というと、経営者というか管理者というか知りませんが、経営陣営ですね、こんなものの才能なんかあまり見ないで結局やっているのじゃないかと思うのですね。大体ワクをはめられてしまっていますから、実際上自主性はないですよ。本来ならば、国鉄総裁が自分の経営責任において再建計画というものを策定して、政府に要求するものはかくかくである、こういうようなことでやってきて、初めてこれを検討して閣議決定ということが順序だと私は思うのですね。てまえどもの提案はそういうかっこうになっておりました。ところが、いま出てくる再建の法律というのは、そういうことじゃないですね。これはどうなんですか。もっともこれは、これから直せと言っても直らぬことでありますが、国鉄総裁どうですか。あなたは一つのワクをはめられたかっこうで、その中でものを言って再建計画を出しておいでになったと思うのでありますが、これではどうも何か経営の能力を発揮されないように思うのですが、ものの考え方としていかがでしょう。
  59. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 先生のおっしゃったような考え方も、確かに成り立ち得ると思います。ただ、私どもといたしましては、昨年御審議願いました法律によって政府の御方針がきまり、それによって私ども再建計画を出したわけでありますが、政府の方針の中に、御承知のとおり、国でこういうことをやってやるぞということが相当たくさん盛り込まれております。過般の本委員会でも私が御答弁申し上げましたように、私どもといたしましては、政府がやってやるということをぜひやっていただきたい。政府の方針についてはそちらのほうにウエートを置きまして、あとの国鉄がこれをやれということは、必ずしも政府のワクにとらわれないで考えていきたい、あるいは政府がおっしゃっておられないことも、経営者としてやらなければならないことはやりたい、こういう考え方でございます。
  60. 久保三郎

    久保分科員 総裁、気がねしいしい、なかなかうまいことをおっしゃいますがね。政府がやってくれることはたくさん法律にありますと言ったが、われわれから見ると幾らもありませんよ。大体金が足りなくて困っているのです。体質改善の問題もありますが、一つはそうでしょう。ところが、ことしこの予算で、もらうというのはおかしいが、幾ら援助してくれるかというと、これは国鉄財政からいけばたいへんなものじゃないですね。現ナマは百二十二億くらいですか、そうですね。あとは借金ですから、いつの日か返さなければいかぬ。総合交通政策もないままにこれをやっていこうというのでしょう。これはもう少し、要求は要求として、この法律にとらわれずにやることが当然じゃないかと私は思うのですよ。財投などばかりにたよっていていいのだろうかという問題もありますね。なるほどこれは、長期の財投だからいいといえばそれまでですけれども、私はどうも納得しかねる。まあ時間もないから、大臣に聞くまでもないでしょう。大臣、これはもう少し考える時期であって、できるなら法律改正をしたらどうですか。できたばかりの法律でメンツの問題もあるが、いかがでしょう。これは国鉄総裁から再建計画を出す、こういうわけでこれとこれをこういうふうにやります、政府にはこれを要求したいということで、国民と政府に国鉄総裁から要求が出てくれば一番いいのじゃないかと私は思うのですよ。いかがですか、法律改正の意思はございませんか。
  61. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 この前の臨時措置法は、どっちかといえば国鉄があるいは沈没するのを助けてやるという法律なんですからして、決して国のほうがおせっかいをしたわけではないのであります。ただ、それだけで十分かといえばなかなか十分ではありませんから、そこを国鉄のほうではこういうような再建方針でやりますよというものを、最近政府のほうに報告がありまして、これを政府は内閣で了承した、こういうことであります。十カ年計画ができましたから、その範囲内で国鉄は一生懸命やるというのでありますから、ひとつ皆さんも御協力を願って、この国鉄の目的を達成してもらうようにしてくだされば、これにこしたことはないと存じます。
  62. 久保三郎

    久保分科員 御協力は申し上げなければいけないと、国民の一人としても思っておるのでありますが、たとえば、この間も本委員会でお話し申し上げたように、新線建設一つとっても、既設線区のローカル線は何とかしよう、何とか撤去する、あるいは駅も廃止しよう。駅の廃止じゃなくて、総裁の言によれば、駅はある、しかし職員は置かぬというようなことです。いずれにしてもサービスが低下することは必然ですね。そういうことをやって、片方では、赤字線といっては語弊がありますが、どんどんやっていく。それで足りなくて、今度は新幹線九千キロをやろうというのですね。国鉄総裁、あなたの考えで、その九千キロというのは六十年までにやったら一番いい——ないよりはあったほうがいいと私も思うのですが、ただし、経営として、国民経済的に見て、九千キロというのは六十年までにやれる可能性があるか、それとも九千キロというものが必要であるかどうか、これはどうでしょう。言いにくいことかもしれませんが。
  63. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 その点は、日本の将来の経済の伸びの問題が一番問題であります。九千キロの中でも、たとえばいま非常に困っております山陽線、これは着手いたしました。あるいは東北線あるいは上越線等につきましては、これは着手時期が早くとも非常に有効だと思います。しかし、現在、なおうちで複線、電化などをやっているような地域につきましても、やはり今後の日本の経済の発展のテンポ、ことに一番問題は、太平洋ベルト地帯に集まっている産業がいつの時点で日本海側あるいは山陰側に移っていくか、あるいは北海道、九州に移るか、その時期が一つの問題点だと思います。ですから、六十年になるやいなやということは、結局これを判断するのは新全総しかないと思いますけれども、新全総の想定されるようなテンポで日本の経済が発展し、しかも、それが一つの地域に固定しないで全国に相当ばらまかれるということになれば、あの九千キロのうちの相当部分は必要になってくるというふうに考えますが、経済全体の伸びとやはり地域的な分散の問題の二つの点からあの問題を考えなければいけない、こういうふうに思っております。
  64. 久保三郎

    久保分科員 もう時間がありませんからなんですが、六十年までに九千キロというのは、これは五十年かかっていまの敷設法の別表の線路が引けない。そして時代が変わってきて、要らないということになっている。しかも新しい交通機関、特に航空機の問題は各所に出てくるわけですね。これは否定できません。それから国土開発幹線道路の問題も高速道路の問題もあるわけですから、そういうものを考えれば、九千キロというのは、私はどうかと思っているのです。むしろ、あなたがおっしゃるように、いわゆる太平洋ベルト地帯に集中している産業をいつの日か分散するだろうというのは、いまあなたの立場からおやりいただくとするならば、既設線区の増強ですね。再建計画にもありますが、百三十キロを走れる複線、電化でやっていくようなことを先にやることが、私は必要だと思うのです。ところが、ことしの四十五年度の国鉄予算の中でも、工事経費の中で幹線輸送は千六百八十二億ですね。そのうち安全のほうが百四十五億でありますから、かなりこれは減っています、千五百億ぐらいですね。そのうちで、山陽新幹線に九百億はとられる。既設線区では七百八十二億、安全をとりますれば、大体六百五十億ぐらいにしかならない。既設線区の増強というのは六百五十億ぐらいですか。これは将来の展望としては何か少しバランスがとれない。なるほど太平洋ベルト地帯、けっこうですよ。山陽新幹線もけっこうですよ。けっこうだが、既設線区の改良が新幹線よりうんと下回っているのですよ。こういうやり方は少し——これは総裁に言ったってしようがないですね。大臣に言うほかはない。反省してほしいですね。こういうことでは、国鉄の特殊性を発揮した自分の分野というか、そういうものの確立は、再建計画には書いてあってもなかなかむずかしいんじゃないかと私は思うのです。これはどういうふうにするのか。  それから、大蔵省から主計官おいでですね。九千キロの話が出ているんだが、この財源はあなたのほうでは見通しがあるかどうか、こういうことについて財源。それから、いま来年度の国鉄工事経費の中でバランスがとれないということを私は主張したが、あなたたちはどういうふうに思っているか、一言だけお聞きしたい。
  65. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 来年度の予算の問題について申し上げますと、現在線でやはり一番詰まっているのは山陽線でございます。したがって、山陽新幹線をつくるのは、在来線の山陽線の増強という意味で考えておりますので、なるほどプロジェクトとしては別になりますけれども、実際いま一番全国的に困っているところから手をつける。山陽線あるいはその次に裏縦貫というような考え方でありますし、もう一つは、金額が非常に大きいものでございますから、寝かしてしまうと困る。部分的に使えないものですから、つくり始めた以上なるべく早くつくりたい。この二つの点で予算重点的に入れた、こういう考え方でございます。
  66. 井辻憲一

    井辻説明員 お答え申し上げます。  いまお話しになりました新幹線の構想の財源につきましては、現在具体的な計画がまだ固まっておりませんけれども、これに要します膨大な財源措置につきましては、われわれといたしまして、あるいは財投、あるいは政府資金、あるいは地方団体ないしは民間の資金、その他租税の問題というふうな非常に大きな全般にわたる問題がございます。構想が固まり、具体的な着工順位なり時期なり等を十分勘案いたしまして、今後関係当局ともよく協議をいたしまして検討いたしたい、かように思っております。
  67. 久保三郎

    久保分科員 最後に一問。  九千キロやるのには、大体キロ十一億にしても九兆九千億。だけれども、そのほかにかかるし、これから十五年間のうちにはもっと額が上がると思う。言うならば大ざっぱに十五兆円かかる。十五年間だから、これを算術で割っていけば一年間に一兆円です。一兆円という金は、もちろん及びもつかぬだろうと私は思うのですよ。それから国鉄総裁が言うところの東北新幹線、上越新幹線をやるにしても、これは毎年、たとえば目一ぱいでもことし九百億ですよ。この金は何年かかるのですか。こういうことを考えると、へたなことを言いだして、たいへんりっぱな構想のようだけれども、実現が可能であるかどうか。それから国民経済的に見てこれは妥当なのかどうか。こういうものを考えないで大綱を流し、立法をするがごときはどうかと私は思う。これはほんとうに必要があれば、なぜ政府が出さないのか。ほんとうからいえば、これは政府の提案ですよ。こういうことこそ、議員立法なんというのは私はおかしいと思う。財源の裏づけと全体的な十五年間もかかるようなことをなぜ議員が出す。私はあらためてこの問題はやりますけれども、そういうふうに考える。運輸大臣もひとつお聞き取りをいただきたい、こういうふうに思うのです。  それから東北新幹線の問題。東北線も詰まってまいりました。いわゆる軌道強化も線増もやって、電化もした。それが詰まってきていろんな問題があり、線路の容量の問題も一つの大きな比重だと思うけれども、問題は、新幹線を構想する前に、たとえば常磐線はどうしたのだろう。常磐線の軌道強化は、まだ水戸までいきません。あなたが再建計画の中で言った百三十キロいかない。百十キロまでいかないのですよ。毎年二億程度ですよ。何年かかったら常磐線の軌道強化ができるか。これは橋本運輸大臣関係筋でありますから聞いてもらいたい。しかも以北の線増はいつになったらやるのですか。単線のままでおくのじゃないですか。当然常磐線も東京と東北との間のつなぎです。こういうものをほったらかしておいて、あたら既設線区をほったらかしておいてそういうことを構想することについて、私は国民の一人として実際は不満なんです。やることをやって、いま目の前のことをやったらどうですかというのです。来年度は、常磐線はどのくらいの予算をつける予定ですか。総裁、まだおわかりにならないでしょうね。以北の線増と軌道の強化はどうなさるおつもりか。いかがでしょう。
  68. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 いま線別にちょっと持っておりませんけれども、やはり確かにいま先生のおっしゃったとおり、私どもとしては焦眉の急の問題から手をつけなければならない、これは確かであります。ただ、何といってもいま一番困っている山陽線に手をつけたい。しかし、山陽線は軌道強化をやっても、いまの線路増強をやってもどうにもならないということでああいう新しいことをやったわけでありますけれども、いずれいま手をつけている常磐線あるいは裏縦貫等につきましても、いまのままでやるだけのことはやる。あのいま議員立法されようという法律案が実際実現するのは、そう一年、二年とは私は考えられません。したがって、その間のつなぎにはどうしてもいまの線路を強くしなければならぬ、こういうふうに思っております。ただ、いかにも全体としての工事経費のワクが小さいものですから、つい新幹線のほうによけいいったように数字的になってしまう、こういうことでございます。
  69. 久保三郎

    久保分科員 常磐線はどうですか。計画はないですか。
  70. 長浜正雄

    ○長浜説明員 常磐線の線増につきましては、来年度も何キロか線増の区間を入れたいということで、予算内容をいま検討しております。それで軌道強化につきましては、これは昨年も先生からそういうお話がございました。極力東京付近の主要幹線につきましては軌道強化をしたい、こういうことでやっておるのですが、何ぶんにも実は軌道強化をやるための人手がたくさんかかりますので、(久保分科員「人手はある」と呼ぶ)一ぺんにはできませんので、ステディな投資をして、なるべく早くやっていきたい。人手の問題と(久保分科員「金がない」と呼ぶ)両方からめてなるべく早くやっていきたい、こういうふうに考えます。
  71. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 久保分科員からいろいろ傾聴すべき御意見がありましたので、ただ予算額の上だけで山陽新幹線、七百億とかということではなく、一方では土台ができておりますから、金額は六百億前後でありましても、キロ数からいうと相当仕事が進んでいくだろうと思うのです。しかし、必ずしも十分ではありませんので、その他を将来とも十分勘案して既設線の増強は進めていきたい、かように考えております。
  72. 藤田義光

    藤田主査 以上で久保分科員質疑は終了いたしました。  午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時十二分休憩      ————◇—————    午後一時四十七分開議
  73. 藤田義光

    藤田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、分科員各位に申し上げます。質疑者が多数おられますので、質疑の持ち時間は、一応本務員は一時間程度兼務員もしくは交代で分科員となられた方は三十分程度にとどめ、議事進行に御協力願いたいと存じます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に要領よく簡潔に行なわれますようお願いいたします。  運輸省所管について質疑を続けます。岡本富夫君。
  74. 岡本富夫

    ○岡本分科員 私は、きょうは航空機の騒音問題についてお聞きしたいわけでありますが、特に最初にお聞きしたいことは、万博を控えまして外国からも非常に多量な飛行機が来る、こういうことになりますが、現在、大阪伊丹の国際空港はたいへんな状態になっております。一つ例をとりますと、すでに御承知と思いますけれども、人体に非常に大きな被害が出ておりまして、たとえば高血圧で次々と倒れていく老人、あるいはまた絶えず目まいに見舞われているところの奥さん方、こういう人たちが、もうこれ以上はたいへんだというわけで、私のほうにたくさんな手紙が来たり、何とかしてもらいたい、こういう訴えがあるわけであります。特に現地のほうで問題になっておりますのは、一時間に離着陸三十六回に押えるという大阪空港空港長からのお話を伺いますと、一分三十秒に一台ずつ発着陸がある、こういうことでほうとうに困っておる。したがって、これにまた外国から来るということになると、これはたいへんなことになります。非常に心配しております。だからまず一つは、万博の関連としてジャンボジェット機はどういうふうに処理するのか、これをお聞きしたいと思います。
  75. 手塚良成

    手塚政府委員 ジャンボジェット機は、本日パンアメリカンの第一便が五時に羽田に到着することになっておりますが、このジャンボが大阪空港に乗り入れをするかどうかということについては、まだ私どもは明白に聞いておりません。おりませんが、御心配のジャンボについての騒音問題は、私ども手元におきます資料によりますと、現状のDC8クラスの飛行機よりはむしろ音が小さい、かようなことになっております。しかし、その実情につきましては、本日着きますので、よく調査をしまして、その上で乗り入れその他についてはいろいろ検討したい、かように考えております。
  76. 岡本富夫

    ○岡本分科員 たとえば一分三十秒に一台ずつの発着陸がある。こういうところに相当大きな飛行機を入れてだいじょうぶなのかどうか。これはおそらく、検討をあなたはこれからすると言われますけれども、すでにある程度の検討は終わっておるのじゃないか。要すれば、たとえば羽田に入れて、それから大阪空港にはそういう大きなのは入れないというような考えを持っておるのかどうか、これをひとつお聞きしたいと思います。
  77. 手塚良成

    手塚政府委員 離発着回数の問題につきましては、これはもう滑走路の容量、管制上の処理能力というものがございますので、その限度を越えては物理的に安全性が確保できませんのでできないわけでございます。問題は、ジャンボという大きなものをそういった間の中にはさめて入れるかどうかという問題だと思うのでございますが、私どもの現在手元にございます資料によりますと、離陸滑走開始点より六キロ三百の地点での騒音が、現在の国際線の707あるいはDC8などによります騒音が百十七PNデシベルということになっておりますのに対して、このジャンボは百十二デシベルということで、五デシベルばかり低いということになっております。着陸の場合におきましても、滑走路の末端から一キロ八百のところで、707が百十七PNデシベルであるのに対しまして、ジャンボは百六というようなデータになっておるわけでございます。これはもちろん風向きとか空港の容量とかによりまして違うかと思いますけれども、一応現状並みの騒音である、かようにわれわれは了知しております。
  78. 岡本富夫

    ○岡本分科員 次に、現在の大阪空港の状態を見ますと、周辺に伊丹あるいはまた川西、尼崎、こういうところがありますけれども、二月二十五日の現地の新聞を見ますと、これは私行ってきたわけですけれども、現在のような状態で川西の久代のほうに行きますと、非常にやかましいので、やかましいと言うと、今度はコースを変える。変えると、今度は伊丹のほうが非常にやかましい。こういうことで、苦情次第でコースを変更しておる、こういうような現在状態であります。そして、空港のほうに言っていきますと、それではあなた方でコースをきめてくださいというような投げやりになっておるのです。一日も早く現地の皆さん方を納得させられるようなしっかりしたコースをきめていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  79. 手塚良成

    手塚政府委員 大阪伊丹の国際空港におきます航空路、コースは、それによって騒音の被害範囲、被害地域というのが非常に変わってくるのは御承知のとおりでございます。今度、昨年の十二月の末からBランウエーがもう一本できました。それがことし二月から飛び始めたわけですが、飛び始めの当初、これを使用しました航空機がいろいろなコースをとったような実績があるようでございます。それによりまして、地元にいろいろ御不満が起こったのではなかろうかと思うのでございます。私どものほうでは、これを先般、昨年四十四年十一月七日の閣議了解によります騒音規制というのを厳重にやることによりまして、コースにつきましても、現在Bランウエーを使っておりますのと同様なコースを飛ばせる、こういうことで航空会社を指導していきたい。したがって、騒音範囲につきまして、あるいは騒音の強弱の内容につきましては、従前のとおりのようないき方でコースをきめてまいりたい、かように考えております。
  80. 岡本富夫

    ○岡本分科員 従前どおりですと、川西方面の人たちがいよいよ訴訟も起こそうと——今度訴訟を起こしておるわけですけれども、若ければもっとすわり込みにいくんだという、非常にきびしい態度になっておるわけです。  そこで、一つの提案でございますけれども、航空機に消音器を早く設置する考えはないか。もう一つは、そのコースの下の被害になるところを全部買い取るとか、あるいは何らかの助成措置はないか、これが二点です。それからもう一つは、これは産業公害委員会でたびたびぼくは意見を申し上げておいたのですけれども、いろいろ助成措置の基準と申しますか、そういうものを早くきめてもらいたい、こういうように申し上げておいたのですけれども、この三点についてお答え願いたいと思います。
  81. 手塚良成

    手塚政府委員 現状の飛行機におきまして、新しく消音器などをつけて、その騒音を減少させるということは、これは技術上不可能なようでございます。ただ、国際的にやはり騒音問題が非常に大きな問題になってまいっておりますので、新しくできてくるもの、あるいはエンジンの新しく開発されるもの、これらにつきましては、その騒音をできるだけ少なくするというような方向のものを考案しておるようでございます。現に、先ほど問題になりましたジャンボジェットにおきますエンジンは、バイパス装置がついております。すなわち、燃焼室を通ってくる噴流と、燃焼室を通らないでうしろへ吐き出す空気、この比率をバイパス比と言いますが、これが大きければ大きいほど音は小さいということになっております。ジャンボジェットではこれは五・〇、いままでの飛行機は一・四ということになっておりますが、バイパス比の大きい、そういう装置のついたようなエンジンをつくって装置をしていく、こういうふうなことによりまして、できるだけいまおっしゃるような騒音を飛行機自体から少なくしていくように努力をしておるようでございます。  なおまた、最近の国際会議におきましても、そういった問題は非常に大きく取り上げられまして、国際的に騒音の証明制度というものをつくって、ある一定の範囲以上の騒音の出る飛行機は使わせないということを国際的にきめようじゃないかという動きが出てまいりまして、ことしの二月に国際会議がカナダで開かれまして、そういうことが議論をされ、さらにもうしばらく検討をしてその結論を得たいというふうになっておるように聞いておりますので、おいおい先生がおっしゃるような方向に向かいつつあると思います。  それから、騒音の真下におきます土地の買い取りの問題でございますが、これは御承知の現行の騒音防止法におきましても、一定範囲のものについてはそういう土地について、御希望のものについて買い取りができるという制度ができております。  これは先生もすでに御承知のとおりだと思いますが、伊丹の周辺につきまして最近訴訟も起こされておる事実もございまして、四十五年度の騒音の予算におきましては、具体的にそういう買収の予算を中に組む、こういうことを確定をいたしております。もちろん、これによって全部が全部御不満の方を一挙に買収するということはできないと思いますが、予算の範囲内において逐次そういうものを拡大して御要望に応じていきたい、かように考えておる次第であります。
  82. 岡本富夫

    ○岡本分科員 現地へ参りますと、兵庫県が住居の移転資金を融資する、こういうようなことを言うておりまして、そういう方針を出しておりますけれども、ところが、加害者はあとから来たんだ、私たちはここにもとからいたんだ、それをなぜ融資してもらって移転しなければならぬか、こういうわけで非常におこっているわけですけれども、いま、買い取りの予算もつけた、こういうことですから、これはひとつ十分にやってもらいたいと思います。  次に、航空機騒音に対する法律案におきましては、公共施設、こういうものは優先になっておりますけれども、人体被害に対するところの助成、そういうものはないわけです。私のほうでアンケートをとりましたが、「あなたが受けている航空公害の人体への影響は」、これを見ますと、その付近の七二・五%まで家族に影響がある、こういう大きな答えが出ておるわけであります。全部読んでいるとあれですが、また「現在なんらかのかたちで航空公害の補償がなされていると思いますか」、なされていないというのが六七・九%、なされているというのも、ほんとうにテレビの月百五十円の申しわけ程度だと、こういうことでございますが、このことを、私はこの前の騒音防止法の法案の審議のときにも強力に総理にも要望しておきましたけれども、これについてどういうような手を打っていくのか、これを大臣からお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  83. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 被害を受けておる町村に対して特別の措置の方法はないかという御質問のようでありますが、現在やっておりますのは、いまお話がありましたように、テレビの割引制度というのはNHKの責任においてやっておるわけですが、国のほうは公共建物に対して防音装置等の何をやっておるわけであります。  それから、いまおっしゃったような人体に対する影響、これは発見といいましょうか、抽出するのになかなかむずかしい点があるかもしれませんが、ただ、実際上騒音によるところの被害を具体的に抽出することができますれば、やはり何らかの方法で、たとえば特別交付金等をその市に還元して、その中で個々にうまく渡るようにできるかどうか、あるいは、市自身が、いままで政府がやっておった以上の騒音対策といいますか、こまかい点で国がやれない、しかしながら市町村ならやれるというものがあった場合に、それを一つの特別交付税の交付金の対象物として考えることができるか、こういう点をひとつ十分に自治省とも協議をして、前向きの形で検討してみたいと存じます。
  84. 岡本富夫

    ○岡本分科員 そのとおりですね。  いま宝塚市には進入路の監視塔みたいなものがあるわけですね。あるいはまたその周辺では、電話のアンケートをとりますと、市外電話料が非常にかかるとか、いろいろこまかいことがありますけれども、こういう調査を早急にしていただきたい。  それから自治省の森岡財政課長に、課長さんだからちょっと答えにくいかもわかりませんが、聞くところによると、自治省に調整特別交付税というのが三億くらい置いてあるらしいのですが、こういうものをこの周辺の市に渡してあげて、そのかわり非常に被害を受けている人たちに市から助成をしてあげる、あるいはまた被害を救ってあげる、こういうような考えはどうですか。
  85. 森岡敞

    ○森岡説明員 いまお話しの三億円という件につきましては、おそらく今年度予算に新たに計上いたしました施設等調整交付金をさしてのお話じゃないかと思います。これは実は基地の所在しております市町村に対しまして、特にアメリカのドルで建設いたしました基地施設があるものですから、それらにつきましては、従来の基地交付金というものの対象にならない、こういう問題がございます。そういう点を考慮いたしまして、基地所在市町村の財源措置考える、こういうことで措置したものでございます。  国際空港の周辺の市町村に対する財政措置といたしましては、これは御案内のように、公共建物に関しましては、国庫補助金を出しまして防音装置をする、その場合、改築などが関連いたしますと、これは地方の負担が出てまいりますから、それについては地方債で措置をする。別途、関係住民との間の苦情処理その他、いろいろ関係事務費が市町村では必要でございますので、それらにつきましては特別交付税で所要の措置を講ずる、こういうのが実態でございます。
  86. 岡本富夫

    ○岡本分科員 では、そのほうを十分にしてあげていただきたい。  なお、なぜこれをやかましく言うかというと、中にはこういう報道があるのです。これは松谷化学という会社ですが、今度Bコースができてからもう会社はやめたい、寮長も組合ぐるみで訴えて、会社も主張を起こしておる。これを移転するということになりますと、何か百億近い金が要るということで、操業ができないというところもあるわけですから、その点はひとつお考えいただきまして、これは運輸大臣お願いしておきたいと思うのです。  それから次に、空港の中の消防体制についてお聞きしたいわけでございますが、現在、羽田も同じですが、大阪空港においても消防体制は十分であるのか、これは航空局長から……。
  87. 手塚良成

    手塚政府委員 空港内の自衛消防につきましてはICAOの国際的な一つの基準がございます。大阪及び東京両国際空港におきましては、日本におきますただ二つの国際空港でございまして、外国機が非常に飛来をするのが多いわけでございますので、ここには国際基準並みの消防体制をとるということにいたしまして、先般、東京につきましてはジャンボジェットが新たに大きなものとして入ってくる、大阪には従来以上にDC8クラスが入ってくるということを考慮いたしまして、四十五年度予算におきましてはそれぞれ化学消防車等をこれに増強いたしまして、現状のところ国際基準並みになっておる、こういうことでございます。
  88. 岡本富夫

    ○岡本分科員 私のほうの調べによりますと、一番簡単な話からしますと、この前羽田でカナダの飛行機が事故があって落ちた、そのときに八百トンの水を使った。しかし、大阪にはそんな水を補給するような大きな水量もない。それからもう一つは化学車、一種空港、要するに羽田やあるいは伊丹の空港では二台、それから二種空港になると一台、あんな大きな飛行機が火災になったときに、それではたして万全であるか、こういうことを考えますと、非常にお寒いわけでありますが、いかがでしょうか。
  89. 手塚良成

    手塚政府委員 ただいま私が申し上げましたICAOの基準という中には、いま先生の御指摘の単純な水という問題は中に含まれておらないわけでございまして、いわゆる科学的な消火という面についての基準の点を申し上げたわけでございます。で、いま御指摘になりましたようないわゆる一般的な消火のための水、こういうのは相当量要る、東京の事故の際の実績に徴しましてもそういうことになっておるわけでございます。これもある種の基準がございまして、搭載燃料と同量の水によって旅客、乗り組み員の救助は一応可能であるといわれておりますが、さらにその上に残り火の整理用といいますか、整理水といいますか、そういったものがいま申し上げた救助用の水の三倍ほど必要である、こういうことになりまして、DC8の飛行機で申し上げますと、燃料の面からいうと八万リットル、それにいま申し上げた三倍の水というものが一緒になったようなものが、水量としては別に必要なようでございます。したがいまして、こういった水利施設、貯水槽、こういったものがやはりぜひ必要なわけでございまして、それは、実は消防庁のほうからもそういう施設をするように勧奨を受けております。大阪空港におきましては、そういう意味から四十五年度でこういった面の施設の整備をしたいというふうに計画いたしております。
  90. 岡本富夫

    ○岡本分科員 大臣、いまお聞きのように、万博を控えまして外国からもそうした飛行機もたくさん来る、あるいはまた、いま聞きましても非常にお寒い状態でございます。したがいまして、これは十分な処置をしておきませんと、事故というものはいつ起こるかわからないものであります。ひとつよろしくお願いしたいと思います。  それと同時に、この前金沢では自衛隊の飛行機が落ちましたように、いつその周辺に飛行機が落ちるかわからない。ところが、きょうはこまかく申し上げませんけれども、各市の消防体制の状態を見ますと、これも非常にお寒いわけでございます。財政の問題もございますが、こういう面にもひとつ政府のほうで十分な配慮をお願いしたい、こう思うわけですが、いかがでしょう。
  91. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 御指摘のとおり、万全の措置を今後ともに講じていきたいと考えております。
  92. 岡本富夫

    ○岡本分科員 あと二点ですが、新聞報道によりますと、ニューヨークにおきましては、航空機の排気ガス、これが非常に多いというわけで告訴するというような記事も出ております。御承知のように、航空機の燃料には四エチル鉛という非常な猛毒が入っておるわけであります。したがって、この排気ガスの除去につきましてもいよいよ対策を立てなければならぬ時代が来たのではないか、こう思うわけでありますが、これに対する御意見がありましたら、航空局長……。
  93. 手塚良成

    手塚政府委員 ニューヨークで告訴をされたという内容は、実はそういう猛毒の意味からではございませんで、いわゆる排煙、黒い煙で空がおおわれるということから問題になったわけでございます。この黒い排煙の防止につきましては、 スモークレスコンバーターという特別な、エンジンへの装着装置をつければ、皆無ではございませんが、まずほとんどないに近いものになるというふうにいわれております。現在B727、国内の幹線を飛んでおりますジェット機、これと、それからコンベア880という飛行機のエンジン、この二つにつきましてはそういった装置がすでに開発をされております。その面では、日航におきましても、現在オーバーホールごとに一機ずつそういうものを装着をしていくように計画をして進めております。全日空においては若干おくれておりますが、同様な計画で進めていくようになっております。問題はDC8クラスの、現在国際線の現用機でございます。これも、もちろん大阪にも入るわけでございますが、これについては現在まだこれというものは開発をされておらない、現在メーカーにおいて研究開発中である、こういう状態になっております。それから、きょう飛んでまいりますジャンボジェットのB747につきましては、これは最初からそういうスモークレスタイプのエンジンになっておりますので、これについてはいまのような排煙問題というものはありません。  なお、排気ガスの中でいまの毒性というような問題でございますが、一酸化炭素につきましては、御承知のとおり航空機の燃料はケロシンでございますので、自動車などに比較いたしますとこれはきわめて少量である、これはほとんど問題にするに足りない、こういう調査の結果になっております。
  94. 岡本富夫

    ○岡本分科員 最後に一点だけ、関西新空港計画について、これ一点だけ最後にお聞きして終わりたいと思います。これは大臣からお願いします。
  95. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 関西国際新空港の問題は、御承知のように、昭和五十年になると、わが国の国際空港は、現在の事業が完成いたしましても超満員の形になりまして、いわゆる狭隘を告げるわけでございます。したがって、少なくとも昭和五十年代の初めには、関西にもう一つ新国際空港ができないと間に合わないということになりますので、四十五年度の予算で、関西地区における国際空港の調査費として一億五千万円を計上いたしてあります。これによって、地形あるいは管制、あるいは建築技術等とかあるいは気象等、都市からの連絡の関係、こういうものをひとつ本年度中に数カ所を調べた上で、実施設計をなるべく早い機会に確立したい、かように考えておる次第でございます。
  96. 岡本富夫

    ○岡本分科員 終わります。
  97. 藤田義光

    藤田主査 岡本富夫君の質疑は終了いたしました。  田畑金光
  98. 田畑金光

    田畑分科員 私は、一月三十日の夜から一月三十一日の夜半にかけての台風により、福島県の小名浜港で、三光汽船空光丸を中心とする大きな災害が起きておりますが、この災害について、原因は何なのか、また、この災害を通じてどのような教訓をくみ取って今後の行政の上に反映されようとしておるのか、これをまず端的に承ります。
  99. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 ただいまお話のありました空光丸の関係でございますが、まず原因の関係でございますが、空光丸は、一月三十一日未明小名浜港防波堤突端の南々東約六百五十メートルの地点に錨泊中に、低気圧による荒天のため、錨鎖が切断したか、あるいはまた切断しないにいたしましても走錨したかによりまして、防波堤に圧流され、船体が折損、沈没したものと考えられるわけでございますが、この辺の、直接船が流されました原因の、いかりが切断したか、あるいは走錨したかという点は、目下調査中でございます。  それからその次に、この海難救助の関係でございますが、これにつきましては、午前二時五十九分ごろ、発達いたしました低気圧のために、このような事態が起こったわけでございます。午前六時十分に船体が破損沈没いたしております。海難情報を入手いたしました海上保安庁といたしましては、直ちにこの船の代理店を行なっておりますところに、お天気に関する情報を伝えますとともに、事件発生後巡視船艇を出動させ、あるいは民間船の協力を得まして、乗り組み員九名を救助いたしておりますが、その後、三月十日までに十二遺体を揚収いたしましたが、現在まで残り三名は発見できないというところでございます。  この海難救助関係につきましての私どもの今後の関係でございますが、やはり低気圧による気象警報というものを、従来も小名浜港におきましては、保安部を中心にいたしまして伝達体制をつくっておりまして、当時も五時五分強風波浪注意報が出ますと同時に、錨泊中の関係十社にこれを伝達いたしておりますが、さらに今後このような伝達体制強化いたしたい、このように考えております。
  100. 田畑金光

    田畑分科員 いまのあなたの答弁をお聞きしますと、五時五分に波浪注意報を出したと言うておるが、しかし、これは接岸中の船には各代理店から伝達されておるけれども、空光丸のような錨泊中の船には伝達されていない。これはあなたもお認めのとおり、また現地の保安部でも認めておるとおり。さらにまた、一月三十一日の未明のできごとを見ても、暴風警報が発せられたのは三十一日の午前五時四十分ごろ、もうすでに、いまお話がありましたように、二時間近く前、午前三時ごろ、空光丸は防波堤に激突をして沈没を始めておると、こういう状況です。したがって、私は、今回の事故を通じまず指摘したいのは、こういう面における港の管理や運営体制が非常に不十分であった、欠陥があった、このことは率直に認めてもらいたいと思いますが、どうですか。
  101. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 この気象注意報は、気象台のほうから私ども保安部のほうに連絡が参りまして、これが先ほど申し上げましたように三十日の午後五時五分でございます。それから直ちに、私どものほうは、空光丸の代理店をいたしております会社にこの旨を伝達いたしておりますが、ただいま先生御指摘のとおり、その代理店から空光丸にこの警報が伝わってなかったということは事実でございます。したがいまして、そのような点につきましては、今後さらに私ども保安部がきめこまかに、末端まで伝達してあるかどうかということについては措置をする必要がある、このように考えます。
  102. 田畑金光

    田畑分科員 小名浜港は、元来安全性の面では非常に不完全だといわれておるわけです。四十一年には、ノルウェーの貨物船の一万二千トンのアラリス号という船が、着岸中波浪で船腹に七千万円程度の損傷を受けて、荷役を打ち切り、不安全港の宣言を残して出ていってしまった、こういう事実があったということを御存じかどうか。
  103. 河毛一郎

    ○河毛政府委員 いまの点、ちょっと詳しいことを聞いておりませんですが……。
  104. 田畑金光

    田畑分科員 海上保安庁長官でなくて、港湾局長かだれかいるでしょう。知らぬはずはないじゃないか。
  105. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 四十一年のただいまのお話、つまびらかにいたしませんで申しわけございません。
  106. 田畑金光

    田畑分科員 局長がそれを知らぬなどということは、不勉強というよりも、何ですね、故意にあなたは知らぬということを言っているのじゃないですか。そんなことはないはずですよ、昭和四十一年のできごとなんだから。これは文書その他でもって周知のことなのだ。ほんとうに知らないのですか、つまびらかにしないのですか、どうなんですか。
  107. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 まことに不勉強で申しわけございませんが、私存じてございませんです。
  108. 田畑金光

    田畑分科員 すみやかに調査の上、調査の結果をひとつ委員長を通じ資料を出していただきたい。
  109. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 さっそく調査いたしまして、御報告申し上げたいと思います。
  110. 田畑金光

    田畑分科員 小名浜港は、御存じのように太平洋に向かって開放された港で、特に南あるいは南東から来る風浪に対して非常に危険性がある港です。しかも岩盤のほうはいかりかきが非常に悪く、錨地であるのに遮蔽がなく、風が吹くと船は太平洋に出ていかなければならぬ、こういう状況です。港というのは、船にとって唯一の安心できる場所であるはずだが、それができない。今回の場合は、空光丸はじめ二十隻の船が遭難しておる。その中にはソ連の船もあるわけです。小名浜港の港の構造についてどのようにお考えになっておられるか。
  111. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 ただいま御指摘ございましたように、小名浜港は太平洋に面してございまして、特に台風期に波の荒いところでございます。したがいまして、南南東あるいは東南東という方向の波が非常に強うございますので、これを遮蔽するために、第一西防波堤と申しておりますが、これを極力延ばすということを努力してございます。現在、第一西防波堤につきましては、約二千四百メートルというものができ上がってございまして、今後もさらに引き続き延長する計画でございます。なお、先ほど御指摘ございましたように、南から来る方向に対しましては、確かに弱点がございまして、この点をできるだけカバーしたいということで、第二西防波堤という計画を立てまして、これは計画は千四百メートルでございますが、一部着工してございます。それからなお、普通多いのは南南東あるいは東南東でございますが、南の風というものに対しまして、いま第二西防波堤がまだ不完全でございますので、現在突堤を第一、第二、第三というふうにつくってございまして、第四突堤が工事中でございますが、ある意味におきましては、そういう突堤が南に対する遮蔽なんかも期待するという意味で考えております。ただ、防波堤が外海に延びてから突堤をつくっていくというふうに実際進めてございまして、極力防波堤を延ばして波を遮蔽してから、岸壁をつくりたいということで進めてございます。
  112. 田畑金光

    田畑分科員 いま局長の御答弁にありましたように、今回の事故でも、第二西防波堤ができ上がっておればもっと被害も少なかったであろう、こう思うのです。第二西防波堤は四十四年から着工して四十七年完成、こういうことを聞いておりますが、四十五年度は二十一億の直轄工事として推進するように聞いておるわけです。ところで、局長承知のように、小名浜港はもうすでに一号、二号、三号のバースができ上がっておりますが、いまできておる第一西防波堤というものは湾曲になっておるわけです。どうして湾曲になったのかと、いろいろ事情を調べてみると、昭和二十八年ごろから防波堤が曲がり始めた。それは、二号の埠頭をつくるために港内が狭い、航路の確保上曲げざるを得なくなった、こういういきさつなんです。今回の事故の、この第一西防波堤の湾曲であるということ、その沖合いに遭難した空光丸が停泊したということ、そしてこれがその湾曲のちょうど曲がっておる中間部、すなわち波が一番強いところ、そこで事故にあっておるということを考えてみますと、そういう面から見ても、その湾曲した防波堤について、このままでいいのかどうか。曲折の多い防波堤であるから耐波性が弱い。したがって、この第一西防波堤の欠陥という問題も、私は指摘せざるを得ぬと考えておるわけなんですが、当然防波堤などは直線でなければならぬ、こう思うわけでございます。この問題についてどのように考えておられるか。  さらに、あなたも御承知のように、第四バースがもう四十三年、四十四年の建設工事として進捗して、本年の三月三十一日には第四バースもでき上がっておるわけです。この第四突堤を使うについては、先ほど問題になった第二西防波堤ができなければ使用をしないのか、その点は運輸省としてはどのようにお考えになっておるのか。この点もあわせて伺っておきたいと思うのです。
  113. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 第一西防波堤の湾曲につきましては、先生が御指摘のとおり、従来は、御承知のとおり奥のほうは小型漁船、それから昔でございますから、せいぜい五千トン程度の船を入れるということで計画ができておったわけでございますが、その後、船も大型化してまいりまして、大きい船が出入りするということで、現在は水深十メートル、約一万五千トン程度の船を入れるということで、埠頭の建設を行なっておるわけでございます。したがいまして、御指摘のように、従来の防波堤の港口では狭いということで曲げざるを得ないわけでございますが、この曲がり方につきまして、結果的には、形は外に向いてだんだん曲がっていくということで、いいかっこうではないということは御指摘のとおりでございますが、普通、防波堤がございまして、その外側というのは、御承知のようにかたいものがございまして、波を食いとめるわけでありまして、はね返って波が必ず大きくなるということが普通でございますので、外側には台風時なんかにはあまり船はいないだろうというふうに考えておる次第でございます。ただ、これを直線で結べという御指摘でございますけれども、せっかくできたものを直線に直すということは、非常に経費もかかるわけでございまして、なるべく防波堤を先に限られた経費の中で延ばしたいということで、一生懸命努力してございます。  それからなお、第四突堤でございますが、先ほど申し上げましたように、二千四百メートルの第一西防波堤ができてございますが、二千四百メートルができ上がっている第一西防波堤から、現在の第四埠頭までの間に、約千メートルの防波堤が余分に延びてございます。なるべく防波堤をかぶしてから使いたいというふうに考えるのでございますが、御指摘のように、台風時につきましては、残念ながら、最初に先生がおっしゃいましたように、どういう台風が来ても完全に港の中で船が安全に停泊できるということがわれわれの願望でございますが、経費その他の関係もございますし、やはり大きな台風が来れば港外退避というのがいま普通常識になってございますので、これは、小型船はもちろん港内で二重、三重に防波堤で囲って保護いたしますが、大型船につきましてはある程度までやむを得ないというふうに考えてございます。ただ、今後できればそういうことがないように一そう努力いたしたいというふうに存じます。
  114. 田畑金光

    田畑分科員 私がお尋ねした一つの点は、第四突堤がもうでき上がったのです。ところが、これはいまの小名浜の港の一番欠陥である南の風、南東の風が直線にストレートに入ってくるところです。したがって、港の安全という点から見たら、いま非常に不完全な姿であるわけですが、でき上がった第四突堤というものは、いまお話しの第二西防波堤ができ上がらぬうちにもこの利用、使用を認めるのかどうか、この点です。
  115. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 第四突堤の、港にあります内側のほうは陰になっておりますので、これは十分使えると思います。それから外側に向かっております岸壁でございますが、これは利用頻度の問題も出てまいろうと思いますけれども、そういう台風が来るときは、確かに船がつけないと思います。利用頻度は落ちると思いますが、お天気の静かなときは、これは十分使えるというふうに考えております。常時供用を開始するということではございませんが、支障のない限りは使っていただきたいというふうに考えております。
  116. 田畑金光

    田畑分科員 小名浜港は、岸壁に着いても、波高が五十ないし六十センチの上下の動揺があって、岸壁との接触事故が非常に多い。波の静穏度が四十センチ以下が常識とされておるようです。現地の県の出先機関である小名浜建設事務所等で港の静穏度の実験をしてみると、波高と現在の防波堤の高さでは、一メートルの波高が残る。したがって、現在の港は、安全という面からみると非常に問題がある、こういうことを指摘しております。そこで、沖防波堤をつくって港口の静穏度を保つということが非常に喫緊の問題だ、このようなことが指摘されておるわけです。こういう点について運輸省としてはどうお考えであるか。  だんだん聞いてみますと、あの小名浜の港のいろいろな設計というのは、運輸省の御出身である比田正氏の指導のもとに防波堤ができ上がってきたという話でありますが、やはり先ほど言った湾曲した防波堤等については、将来これを岸壁とするような考え方のもとに沖防波堤をつくるべきだ、こういう御所見もあるやに聞いておるのですが、こういう点についてどのようにお考えなのか。
  117. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 ただいまの模型実験等の話は聞いてございまして、そういう実験の結果、現在の第一西防波堤に着工してございまして、極力これを延ばしたいという考えでございます。  それから、ただ防波堤は波を防ぐわけでございますが、波を完全に防ぐためには、口を全部つぶしてしまわなければ防ぎ切れるものではございません。ただ、口を全部ふさぎますと、船の出入りがむずかしいということで、船の出入りはなるべくじゃましないで極力波を防ぐということが非常にむずかしいことでございまして、いろいろと研究してございます。  それからなお、第一西防波堤の湾曲部の将来の話でございますが、これはいろいろと構想が将来出てまいると思いますが、この港がさらに発展した時期におきまして、東へ延びるか、あるいはお説のとおり沖へ延びていくかというような時期につきましては、いつかというわけにはまいりませんが、そういう時代には、先ほど御指摘の点も検討しなくちゃならぬのじゃないかというふうに考えてございます。
  118. 田畑金光

    田畑分科員 私は大臣にひとつ承りたいのですが、これは小名浜港に限らず、ほかにもこのような例はしばしばあると思うのですが、陸上の施設を急ぐあまり、港の安全というものがおろそかにされてきておるわけです。ことに今回の小名浜の港における海難事故は、空光丸はアメリカから木材を積んできた。その木材が、あの荒天で船が沈没して、そして波しぶきで防波堤を乗り越えて港の中に流れたわけです。これがために漁港にこの木材がずっと集まってしまって、漁船は一週間も動きがとれなかった。また、そのために相当船にも被害が出ておるわけですね。こういうことを考えてみますと、今後の港というものは、何と申しましても、やはり陸上施設の前提として、港湾の安全施設というものが先行すべきだ、この点が第一点ですね。  第二点として、この際、私が承っておきたいのは、もし木材でなくして、石油を積んだタンカーがあのような災害にあったとすれば、港内だけの災害に終わらないということです。しかも小名浜の港は、御承知のように、昨年秋に石油審議会で、三年後には富士興産が石油精製工場の建設を終わるわけです。もし石油のタンカーがあのような事故にあったとすれば、単に港内だけの災害に終わらぬで、たいへんな災害に波及したと思うのです。こういうことを考えてみまするならば、港の安全性ということは喫緊の課題として取り組まねばならぬ、こう思うのです。これが第二点。  第三点として、私は特にお尋ねをしておきたいことは、これは時間の関係で全部申し上げますが、もしあの事故の際に、羽田から出たヘリコプターが二時間くらい早く着けばもっと人命の救助ができたわけです。ヘリコプターが着いたときはもうすべてが終わってしまったときなんです。ところが、こういう海難救助についての設備施設というものがほとんどないということですね。海上保安庁のことしの新規予算を見ても、海難救助の効率化に関する調査が百六万円計上されておるだけです。だんだんこれを聞いてみると、大型の救難用の飛行艇を大蔵当局予算折衝したけれども、それがだめで、調査費が計上された、こういうことですね。最近の海難事故の頻発を見るならば、何といっても佐藤派の大幹部、大臣としても大物大臣、ぜひこれくらいは実現してもらわなければならぬ、こう思うのです。ことに最近私非常に関心を持ったことは、先般、三月九日の新聞によれば、哨戒飛行艇を対米輸出される、救難用としての哨戒艇の商談が進んでおる、こういう話です。これが武器輸出三原則に触れるか触れないか、そういう問題は別にしまして、これは一体政府としても、このような哨戒飛行艇をアメリカに輸出するという話でありますが、輸出するという計画があるのかないのか。私は、こういうものこそ、これは相当高い値段がつくでしょう。高い値段がつくにしても、最近の海難事故の頻発を見るならば、人命の尊重、人命を大事にするという点から見て、この程度はひとつすみやかに設備すべきであると考えるわけでありますが、大臣としてこのようなことについてどうお考えになっておるのか、この際、所信のほどを明らかにしていただきたい、こう思うのです。
  119. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 港湾の安全性はおっしゃるとおりでございまして、港湾の安全性が優先すべきである、私もさように考えて主張をいたしてまいっておるわけであります。ただ、御承知のように、最近の日本経済が急速に拡大してまいったために、たとえば小名浜港の場合におきましても、当初の計画が五千トン級の港として発足をした。それが経済拡大及び地元等の要求もありまして、そこで一万五千トン級の港に拡大しなければならぬ、こういうために、あるいは設計上のいまおっしゃったようなことが起きてまいったのだろうと思います。しかしながら、さような中途における改定を必要といたしましても、もちろん、これは安全性というものがまず第一でありますからして、そのような設計上の変更があった場合におきましても、まず第一には、港の安全はどうあるべきかということを優先的に考えて設計変更等が行なわれるべきことは、御意見のとおりでありまして、その点今後も強く関係局に対して指示をいたしたいと思います。  第二の海難の問題ですが、海難救難体制につきましては、われわれも非常に心をくだいておるわけであります。ただ問題は、強風、暴風中の海難であり、救難体制でありますので、したがって、どういう形が最良であるかということになりますと、いろいろ海員組合等でも飛行艇を設置したらどうかという御意見もありますけれども、まだわれわれ当局の間での検討では、はたして二十メートル、二十五メートルという強風の中で飛行艇が救難の仕事ができるかどうだろうか、ただいまお話のありましたアメリカの注文、これは哨戒用としての飛行艇を考えておる。そういう意味で、はたして飛行艇なるものがそういうような暴風下において救難の仕事に役立つかどうかということは、いろいろの点でまだなおかつ結論に達しておりませんので、それらを含めまして、そうしてその他救助の諸設備、そういうものを含めて本年度調査をして、来年度これらの大体のものがわかり次第といいましょうか、体制がきまり次第、積極的にこれを要求してまいりたい。ただ、本年度におきましても、私は、せんだってのかりふおるにあ丸の遭難あるいは空光丸の遭難等にかんがみて、やはり一刻も早く現地に飛行機なりヘリコプターなりが行く必要があるのじゃないか。ことしは大型ヘリプコターを一機予算上とりましたので、だんだんこれらの整備を進めていくことができると思いますが、中型といいますか、ヘリコプターを用意いたしておりますが、全体の数は相当数にのぼっておりますけれども、ただ、いま急に私たちがほしいと思っているのは、YS型のいわゆる大型飛行機であります。いま一機あるわけであります。こまかいのは幾つもありますけれども、こまかいのでは間に合わない。これが今回の四十五年度の予算では実は間に合わなかったのであります。しかし、間に合わないといっても、人命は何としても考えなければなりませんからして、予算の問題は別にいたしましても、何らかの方法で四十五年度中にいわゆるこれを考慮することができないだろうかということについて、目下検討を加えております。注文したからあしたにできるものでもありませんので、これらも考慮に入れて、御意見のように救難体制強化していく、それまでの間は、現在の飛行機を大小それぞれ組み合わせまして二十四時間体制といいますか、そういう形でひとつ急場をしのいでまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  120. 田畑金光

    田畑分科員 時間も参りましたので、最後の点だけお尋ねいたしますが、私ひとつ大臣に特にお願いしたいのは、非常にいい答弁をなさるけれども、しかし、現実なかなかそれが具体化されてこないということ、いま橋本運輸大臣は、例外中の例外だろうとは思いますけれども、YS11の大型の飛行機についてすみやかに整備をして、海難救助については万全の施策を講じられること、これをぜひやっていただきたい。  それからまた同時に、港湾審議会というのが中央地方にございまするが、私の聞くところ、ほとんど動いていない。あるいは動いていないというよりも、運営が適切を欠いておる。この際、私は、海上労働者の代表等も中央地方のこういう審議会に参加を願って、相ともに海難事故防止のために努力することが必要であると思いますが、この点大臣の所見いかん。  最後に、私は、昨日の夕刊を見ますと、どの新聞にも大臣の記者会見の内容が出ておりましたが、船員法十二条の改正の問題、これはいま船員法一部改正法の内容を見てみますと、五トン以上の漁船についても船員法の適用をする、こういう簡単な内容でございまするが、この法律の改正にのせて、船員法十二条はぜひこの国会で改正するように政府としても努力をしていきたい、このようにお見受けするわけでありますが、この点等についても大臣の所見をひとつ承って、私の質問を終わりたいと思います。
  121. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 遭難捜索用の大型飛行機をひとつ何とかして四十六年度中に考えるということは、ぜひ実現いたしたいと考えております。  なお、十二条の船長の義務規定の改正は、実は運輸委員会でも申し上げましたが、船員法の一部改正法案がすでに提出されておりますので、同じ法律案の改正を出すことができませんので、運輸委員会においてひとつ船長の義務規定の緩和方を委員会修正の形でぜひこの国会で修正してもらいたい。それらにつきましては、政府は万全の御協力を申し上げますと、かようなことでこの方針をきめておるわけでありますからして、ひとつ野党、与党各位においてもこれを受けられて、満場一致すみやかにお通しあらんことをお願いいたします。
  122. 藤田義光

    藤田主査 田畑君の質疑は終了いたしました。  次は大原亨君。
  123. 大原亨

    大原分科員 私は、簡単に三点にわたって質問いたします。  順序は不同ですが、一つはバス料金のきめ方の問題、それからもう一つの問題は駅弁当の質と値段について、これが第二、それから第三は国鉄の赤字線の問題についてであります。  第一のバス料金のきめ方については、具体的な問題を私はきょうは議論いたしませんが、バス料金のきめ方の原則上の問題についてお尋ねをしたいと思うわけです。総選挙が済みましてから、総選挙前に政府・与党が宣伝をしておりましたこととは打って変わりまして、どんどん上がっておるわけですが、このバス料金のきめ方の原則的な問題について、まずお答えをいただきたい。
  124. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 バスは、乗り合いバスと貸し切りバスとございますが、乗り合いバスについて申し上げますと、全国交通圏、経済圏で三十五ブロックに区分をいたしております。三十五ブロックごとに標準原価計算の方式で計算をいたしまして、その地区ごとに収支の状況を見まして、改定の必要があるかどうかということをまず判断をいたします。その地区の改定の必要があるということになりますと、原価計算を標準的に計算をいたしまして、それから収入側につきましては、これは各事業者で路線の状況等が違いますから、各路線ごとに計算をするわけでございます。それで過去三年間の経費あるいは収入の伸びを見まして、それから将来のものを推定するわけでございますが、将来のものにつきましては、平年度計算といいまして、四十四年度に改定をいたします場合には、四十五年度を平年度といたしまして計算をいたしまして、所要の賃率をきめるわけでございます。所要の賃率をきめました場合におきましては、今度は運賃の制度といたしまして、対キロ運賃制度あるいは区間運賃制度あるいは均一運賃制度というような制度を採用いたしまして、具体的には業者ごとに認可をいたすということにいたしております。
  125. 大原亨

    大原分科員 バスの運賃で、十円刻みの場合と二十円刻みの場合、たとえば三十円であったものが五十円に上がるということになりますと、全体では何%上がったといいましても、これはべらぼうな値上がりになるわけですね。三分の二上がるわけですから、べらぼうな値上がりになるわけです。乗り合いバスの運賃の値上げの刻みは、全国的には一つのプリンシプルがあってきめておるのですか。
  126. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 先ほど申し上げましたように、対キロ制の場合と均一制の場合がございます。おのおのにつきまして基準的なものをきめております。たとえば対キロ運賃の場合におきましては、初乗りを現在二十円ということにしておりまして、以後十円ずつ刻んでいく。それから均一制の場合におきましては、従前におきましては二十円均一制を採用いたしておりましたが、今回の改定におきましては三十円均一制を基準にいたしております、それからアップ率でございますけれども、五割以上上がります場合においては、一年間は五割の線で押える。ただし、三十円から五十円に上がります場合と五十円から八十円に上がります場合には、六割六分あるいは六割でございますけれども、金額的に見ましてこのものは小額でございますので、この場合におきましては六割六分あるいは六割を許すことにいたしておりますが、そのほかの場合におきましては五割を一年間の基準にいたしております。
  127. 大原亨

    大原分科員 運賃で五割以上も上がるということは、どんな計算のしかたをしましても、これはやはり関係地域の住民にとりましては少し配慮が足りないと思うのです。五割も上がるということは、五割以上、たとえば六割、七割近く上がるというようなことは、結果といたしまして、公共料金の性格といたしましてはこれは非常に問題があると思うわけです。私の関知するところでは、一定の基礎料金の上に積む場合に、一キロについて六円五十銭というふうな計算のしかたもあるやに聞いておるわけですけれども、そういう場合には二十円ぽんと飛ぶのでなしに、十円刻みでやるという——私は原則上の問題だけを言っているわけですが、三十円が十円上がるというふうなのは、これはまだいろいろな事情を考えて理解できる場合があるでしょう。しかし、三十円がぽんと五十円に上がるというふうなやり方というものは、そういう原則のきめ方自体私はおかしいのではないかと思います。こういう素朴な疑問に対してどういうふうにお考えですか。
  128. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 運賃の場合におきましては、刻み方が一つの問題でございますが、現在では五円ラウンド、今回は対キロの場合には従来十五円の初乗りを二十円にいたしまして、自後十円刻みということで、いわゆる十円ラウンドを採用いたしまして、運賃制度を単一化しているわけでございます。それで計算いたしました場合に、相当上がるような場合ができてきますので、ただいま申し上げました三十円から五十円になる場合、それから五十円から八十円になる場合には例外といたしまして、たとえば百円が百七十円になるとか百八十円になるというような場合におきましては、一年間は五割増し、すなわち、百円の場合ですと百五十円で押えるというふうな統一的なやり方をいたしております。運賃を単一化するという場合にはこういう現象もございますけれども、その他の場合におきまして、たとえば均一料金制を実施いたします場合においては、なるべく利用者の御迷惑を少なくするような措置等を考えまして、制度を実施しているというような実情でございます。
  129. 大原亨

    大原分科員 私が言うのは、五十円を八十円にするとか、あるいは三十円を五十円にするというふうなきめ方は、いろいろへ理屈をつけてやるわけですが、普通の公共料金の性格から、あるいは住民のそういう公共料金に対する、あるいはそういう公共性を持った運賃に対する考え方からいって、これはいけないのではないか。そういう点は、もう少しきめこまかな配慮をして値上げの問題も議論するようにすべきじゃないか、こういうことを私は言うわけです。もちろん市内単一料金ということで、差はあまり設けることができないというふうな技術上の問題もあるかもしれませんが、しかし、その場合でも、やむを得ない場合等においては、そういう百円以下のような場合には、十円あるいは二十円とか、金額によって違いますが、八十円が百円になったという場合にはそれほど実感はないけれども、三十円が五十円になるというふうなことは、住民感情からいいましてもおかしいのではないか。そういう点について、私は、きめのこまかな配慮をしてやるべきではないか、こう思うわけです。率からいいましても、実際上の負担からいいましても、いままで往復で六十円で済んだものが、往復で百円かかる。そういうことは、私は一つの政策といたしましてもまずいのではないかと思うわけですね。もちろん、そのことの制度によって、三十円にとどまって便益を受ける人もあるでしょう。その境はある。ボーダーラインはあるのですが、そういう点について、刻み方があまりにも大ざっぱであり、あるいは業者本位であるというか、そういう点を住民感情を考慮して、公共料金の立場から考えるべきではないか、私はこう思うわけです。いかがですか。
  130. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 先ほど申し上げましたように、一つの所要増収額を得るということと、制度の単一化ということで、ラウンド制その他を採用いたしておるわけでございます。その場合におきまして、公平であるかどうかという一つのものさしとしましては、たとえば均一制を実施いたしました場合には、対キロ制との比較等で計算をいたしております。それからなお、従来行なっておりましたものが、輸送状態等の変化によりまして是正をしたほうが適当であろうというふうな地区もできてくるわけでございまして、そういう地区につきましては、改定のときに是正をするというような処置をしております。その結果として相当の上がり率になります場合におきましては、一年間は五割で押える。しかし、先ほども申しますように、三十円からたとえば五十円になる場合におきましては、二十円の金額でございますから、その場合においては、全国的に三十円から五十円という額で実施しておるわけでございます。われわれといたしましては、バス運賃のように公共の交通機関としての運賃でございますから、御指摘の点等につきましては、今後も当然慎重を期していくべきであると考えます。
  131. 大原亨

    大原分科員 運輸大臣、いま質疑応答したわけですけれども、やはり計算のしかたというのは、数字の操作で幾らでもできるわけです。だから、人口の稠密な地帯とかもうかるところでは、業者ができるだけたくさんとれるように計算するわけです。それをコントロールするのが監督官庁だと思うのです。ですから、三十円から五十円に一ぺんに上がる、五十円が一ぺんに八十円に上がるということになりますと、実際上の日常生活に大きな心理的な打撃を与えるわけですから、そういう点は、改定とか将来の問題も含めて、これは計算のしかたについては、時間がかかるから私は一々言わないけれども、十分配慮してやるべきである、こういう点については運輸大臣一つの方針を示してもらいたいと私は思うわけです。いかがです。
  132. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 具体的な問題等がいろいろありましょうから、具体的なケースについて考えませんとお話し申し上げるのもなかなかむずかしいと思いますが、ただ、こういうことは言えると思うのです。  いまお話があった点を聞いておりましても、人口、輸送量等の同一条件の場所においては、原則として、いわゆる平均値上げをあまり大幅に変えない措置のほうがよろしい。ただ、その延長線が過疎地帯に伸びておった場合、その過疎地帯におけるある程度の計算ができるならば、その計算内において、それはお互いの関係地方団体なりあるいは住民の理解も得て、当初これを設定する場合に、この程度の乗客があり、この程度の輸送量があると思っておったが、やってみたところが案外少なかった、これじゃ営業線を廃止する以外にとても道がないというようなことがある一部に起きた場合には、次の機会の運賃改定の場合に、ただ平均率をかけるということじゃなく、これは話し合いで、多少は高くなってもその措置を行なう、こういうことはまた一面において必要かと思うのであります。しかし、いま御質問のあったような、同じような人口隆替の中において、多少区間距離が違いますから、その間において一律に二〇何%という平均率では困難がありましょうけれども、多少の差がありましても、それが六割だ、七割だという値上げになることは理論的にもちょっとおかしいという点については、おっしゃるように、そういうような料金のきめ方については、よりきめこまかく諸条件を十分に勘案した上で合理的な決定をすべきである、今後そのようにも指導していきたい、かように考えております。
  133. 大原亨

    大原分科員 バスの問題についてはまだもう一つあるのですが、今度は第二の問題ですが、駅弁の値段はどこが監督してきめるのですか。最近駅弁を上げるという話がありますが、それはほんとうですか。
  134. 山田明吉

    ○山田説明員 駅弁の値段は、地方鉄道管理局長がそれぞれ承認をいたしております。
  135. 大原亨

    大原分科員 最近上げるという話があるのですが、ほんとうですか。
  136. 山田明吉

    ○山田説明員 常に業者のほうからは、人件費の高騰、原料費の高騰で上げてもらいたいという陳情がございますが、いま具体的に本社として一斉にどうしようということは考えておりません。
  137. 大原亨

    大原分科員 私は、二百円の幕の内弁当に非常に興味を持っているし、非常に好きなわけであります。なぜかというと、幕の内の中でいい弁当は、非常にいろんな栄養を配慮して、きめのこまかい配慮をしてやっておるわけですよ。だから、これは私のような体質の者には非常にいいと医者が言っている。ビフテキを食べるよりも、そういう駅弁のほうがいい、駅弁型の食事をしなさい、こう言っているから、私は駅弁について非常に関心を持っているわけです。  運輸大臣にちょっと聞いてみますが、あなたは駅弁の中でどこの駅弁が一番いいと思いますか。
  138. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 駅弁もいろいろ食べてみますが、私がここでどこの駅弁がいいと言うとPRになるからして、はなはだ恐縮でありますが、PRのほうに使われるような結果になっては皆さんに対して申しわけありませんから……。
  139. 大原亨

    大原分科員 副総裁はどこが一番いいと思いますか。
  140. 山田明吉

    ○山田説明員 私も商売柄ほとんど全国の駅弁は食べておりますが、それぞれローカルカラーがあってけっこうだと思います。
  141. 大原亨

    大原分科員 まあ副総裁が駅弁会社からそでの下をもらっているとかもらってないということは私も考えないけれども、あなたはあまり駅弁を食べたことがないね。駅弁の標準は二百円の幕の内ですよ。この中身はピンからきりまである。中身についてあなたはちょっとは監督したり、何かそういうことをしたことがあるの。私はちょっと手帳にメモしている。あとで言うけれども、私が点数をつけた。もうピンからキリまである。
  142. 山田明吉

    ○山田説明員 私自身監督するということはございませんが、駅弁につきましては、個人的な嗜好もございますし、それからいま先生がおっしゃいました値段と中身との問題もございますので、先ほど価格については各鉄道管理局長が承認をしておると申しましたが、大体毎年一回その駅に係員が出向きまして、そこで実際に売っているものを一つずつ持ってきまして、試食会をやったり品評会をやったりいたしまして、一つ監督的な行為をいたしております。
  143. 大原亨

    大原分科員 ぼくは、試食会をやったり品評会をやったりする、そういう発想はいいと思うのですよ。品評会でどこが一番よかったですか。
  144. 山田明吉

    ○山田説明員 ちょっと私、いま材料を持っておりませんが、たとえば最近デパートで全国の駅弁を取り寄せて、これはデパートの商売としてやっておられるようでございますが、その際にも、やはりいろいろ評判がいいとか悪いとかいううわさは聞いております。私自身は、自分自身でその監査はいたしておりません。
  145. 大原亨

    大原分科員 私、これは私が中心で、いろんな人の意見を聞いて、一番いいのからちょっと点をつけてみた。東海道線から山陽線まで、私がいつも乗るところだからね。これは駅弁を食べるために乗るということもある。私はそのくらい趣味があるわけです。一番いいのは姫路の駅弁です。これは大体九十点ぐらいだ。それから岡山の駅弁もいいですよ。それから少し下がって静岡の駅弁もいいですよ、幕の内。よくないのは名古屋。名古屋は全然なっとらぬ。たとえば姫路の駅弁だったら、十種類ぐらい、非常に心のこもったもので、きわめて清潔なものだ。名古屋の駅弁を食べたら、ゴボウから何からフライに至るまで、全部食べられないことがあった。こんなものが二百円かというぐらい。東京もよくない。最近ちょっとよくなった。この間初めてよくなったけれども、名古屋を六十点とすると、東京が七十点ぐらい。大阪もよくない。万博で特に最近になってよくない。これは六十点以下だ。(「広島はどうだ」と呼ぶ者あり)広島はというけれども、私は広島は点をつけなかったが、あまりよくない。六十五点から六十点ぐらいだ。博多の弁当は七十点ぐらい。東海道線から山陽線に至るまで、これはピンからキリですよ。  だから、国鉄総裁、いませっかくお見えになったのですが、私は、コンクールか何か部内でやって、やはり競争さしたらいいと思うのですよ。業者を指定して、業者が個人的に運動したら存続するというのじゃなしに、やはり駅弁等のコンクールをやったらいい、これを提案いたしますが、国鉄総裁いかがですか。
  146. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 先ほど副総裁が申しましたとおり、ときどき、一年に何回か忘れましたが、全国的なコンクールのようなことをやっておるのでございます。
  147. 大原亨

    大原分科員 それを公表したらどうだ。
  148. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 まだ公表してないかもしれませんが、先生のおっしゃるとおり、やはりできるだけそういうチャンスを使って競争させるのが一番いいと思います。それから、いまちょっとおっしゃった駅を頭に浮かべてみますと、需要の多いところは非常にいいことは確かだと思います。ことに姫路の弁当は確かに私もそう思います。だから、そういう意味で、やはりコンクールをさしてみんなで検討し合うというようなことで向上さしていきたい、そういうふうに思っております。
  149. 大原亨

    大原分科員 だから、国鉄の総裁かだれかが提唱して、若干の奨励をしてもいいし、公表して——駅弁がいいということは、汽車に乗ることが非常に楽しみになるわけです。たとえばみやげに買って帰るような駅弁があるわけなんです。何も姫路がいいといったって、姫路を通るときにいつも昼めしを食べるときだとは限らぬわけだ、汽車はいつもまんべんなく通っているわけだから。あそこに客が多いというわけじゃなくて、あそこで積み込むのがいいということがみんなの頭にある。いいところはいいとして、競争して中身をよくすれば、鉄道だってもうかるんじゃないですか。駅弁当屋も適正な利潤を得ながら競争をしていく、国鉄も気持ちのいい旅行ができるということになれば、小さなことのようだけれども、非常に大きな問題だ。私は、そういうことで、コンクールをやって発表することを提案いたします。それはいかがですか。もう一回運輸大臣から言ってもらいたい、非常に大きな問題だから。
  150. 山田明吉

    ○山田説明員 いま申しましたように、各鉄道局ではそれぞれ地域をしぼって、品評会のようなものあるいは審査会のようなものをやっておることを申し上げましたが、いまの先生のお話によりまして、さらに切磋琢磨させるように検討いたしたいと思います。  なお、駅弁の値段の問題でございますが、つけ加えて説明さしていただきますと、昭和二十九年に初めて普通弁当百円、それから上等弁当二百円ということで一応ワクをつくりまして、それから大体十年間据え置いております。現在では普通弁当が二百円、上等弁当といいますか、特殊弁当が三百円以内できめなさい。しかし、そのほかに、私どものところにも、ときどきもっと高い値段でいいからもっとうまい弁当を食わせろという声がございまして、例外的に三百円以上でも値段につり合った内容があれば、鉄道管理局長限りで認可をしてよろしい、そういう指導をいたしております。
  151. 大原亨

    大原分科員 弁当値上げの話になった。副総裁、それは弁当値上げの前宣伝ですか。私の質問に答えなさいよ。二百円均一の幕の内弁当にピンからキリまである。まるで百円以下のまるもうけのようなものもあるし、非常に良心的にやっていて、これでもうかっているだろうかと思うような、非常にきめのこまかな配慮をしたいい弁当がある。あなたに三百円にするとか値上げについて答弁してもらおうとは思わぬ。私は、そういうことで競争しながらコンクールをやって公表をしたらどうか、そうしたらいい弁当ができるんじゃないか、こういうことを言っているわけです。そのことをもう一回答えてください。
  152. 山田明吉

    ○山田説明員 よけいなことをつけ加えまして申しわけありません。  中身の優劣があるという御指摘、これは私どもも耳にいたしております。その点につきましては、優劣がないように、どこでもおいしく食べられる弁当が提供できるように、さらに指導いたしてまいりたいと思います。
  153. 大原亨

    大原分科員 必ずしも値段によらぬですよ。二百円を三百円にしたからといって、それはそのときだけはちょっとよくなるけれども、そんなに値段によらぬですよ。だからたとえば、このごろはウナギもとても高くなっているから、二百円ではできぬから、ウナギがほしいというものは三百円でもいいだろうけれども、それは高くしたらよくなるとは限らない。だから、ほんとうにそれぞれの立場の人が心をこめてやればいいわけで、そういう意味において私は申し上げております。  もう一つ国鉄の赤字線の問題を質問しようと思いましたが、時間がありませんからもとに返って、私鉄のバスで過疎地帯に対する助成措置を国が一億数千万円やっていますね。地方公共団体もやっておるようですが、そのことを簡単に話をしてもらって、これからの方針、これをお答えいただきたい。
  154. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 過疎地域のバスに対します補助といたしまして三つございまして、離島、辺地等のバスの車両購入費の補助金、それから離島、辺地等のバス路線の維持のための補助金、これらは従来もございましたが、四十五年度からさらに廃止路線の代替バス車両購入費補助金というのが新たに加わりました。まん中のバス路線維持のための補助金につきましては、地方公共団体も国と同額を支出するようになっております。来年度は総額といたしまして約一億五百万円余でございまして、われわれといたしましては、公共交通機関としてバスは最終のものであると考えておりまして、過疎地域におきますバス路線を極力充実——しかし、地方公共団体等でそれを引き受けてくれるというふうな場合におきましては、それの免許資格につきましては弾力的にやる、そうして、いま申し上げました廃止の場合に代替をやる場合におきましては、補助金を出しまして確保するようにいたしたい。さらに、地方陸上交通審議会というものが近く発足することになっておりますので、過疎地域におきますバス路線の維持の基本的な方針につきまして、各界の御意見を承って、これには地方公共団体の人も加わっていただくわけでございますけれども、それで総合的な対策を出していただきたいというような方針で、われわれとしては、この路線を極力維持するような万般の施策を進めていきたいと思っておるわけでございます。
  155. 大原亨

    大原分科員 それで、これからの方針について、過疎地帯で、たとえ国鉄でなくても、民営でもバスがなくなるということは非常にたいへんなことです。過疎を促進いたしますね。そういうことで、採算ベースだけではこれはいけないということははっきりわかっておるわけですね。しかし、地方公共団体で、最近この問題を過疎対策として非常に取り上げ出しておるわけですね。しかし、私は、今日なお国の予算措置が少ないのではないか。この点は、こまかな議論は時間もきましたから私はいたしませんが、運輸大臣、その点については、民営の問題と補助金の問題との関係があるでしょう。限界があるでしょうけれども、しかし、この問題は、過疎地帯の交通対策としては非常に重要ですから、その点については今後も十分配慮をし、地方自治体や住民の動向等を考え措置をしてもらいたいということを要望いたしておきます。最後に運輸大臣の御意見を承りたい。
  156. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 御意見のように、最終の唯一の交通機関がストップすることは好ましくありませんので、この点に関しては、本年一億余の補助金を計上しておりますけれども、これでは十分ではないとも考えます。将来ともにどういうやり方がいいか、地方公共団体、国及び会社等が三方負担の形も一つの方法として考えられるでしょうし、そういうあらゆる点を考慮した上で、過疎地帯における文化の向上といいますか、少なくともダウンさせない、こういうことに努力したいと思います。
  157. 藤田義光

    藤田主査 大原君の質疑は終了いたしました。  沖本泰幸君。
  158. 沖本泰幸

    沖本分科員 私は、国鉄の大阪城東貨物線の電化問題と阪和線の高架問題、それから私鉄の南海電車の高架問題あるいは私鉄の立体交差等の問題について御質問をしていきたいと思います。  まず、国鉄の外環状線なんですが、地元のほうは、この城東貨物線の電化、客車化について、過去昭和二十七年から、何とかこれを早急にやっていただきたい、こういうことで陳情を重ね、いろいろとお願いしてきておるわけでございますが、いまだに実現に至らない。一部永和と蛇草の間を立体交差のために上げていただいたわけですけれども、これもいつになったらこれが同じ程度のものになってくるのか、将来についての見通しが全然立たないわけです。こういうことのために、地元のこの沿線にあるところの各都市は、これからの都市計画あるいは市街地の再開発、こういう点についても、どういうふうにしていったらいいか、こういうふうな点で行き詰まってしまっておる。この点がいつごろ完成できるというようなめどが立ってきますと、それによって都市の再開発なり計画なりができてくるわけでございます。しかし、今度の万博を目当てで、大阪は中央環状線のほうをこの間開通いたしました。大阪府会あたりでは、とうてい国鉄もなかなかやってくれそうにもないので、この中央環状線に沿って、これは高架になっていますから、その下を鉄軌道を走らせたらどうか、こういう話も回答してきております。こういうことから、それと軌を同じくするわけではありませんが、大阪の過密状態というものは非常に激しいものであって、ドーナッツ現象を起こして、急激に外に向かって人口流動を起こしておるわけです。ですから、大阪市の周辺都市部がすごい勢いで人口増加を来たしておる。こういうことになりますし、また、予定されておるこの沿線に駅が十六できるということになりますと、約十二の駅はほとんどこれが私鉄と交差してつながっていく、こういう点で、初めは万博に間に合ったらというところから非常に期待をかけてきたわけですが、第三次長期計画がとうとうだめになってしまって赤字、こういうことで、お先に対するめどが全然立たない。こういうことから、いつになったらできるんだろう、こういうことでもございますし、また、新大阪駅の周辺の土地を買っていただいて問題化、具体化していただくために、わざわざ利用債も六億買わしていただいている。そういうことで、前向きでこれと取っ組んでおる。地元の方が皆言うのには、東京も外環状線をやっておりますけれども、東京外環状線や東京の国鉄電化あるいは高架化問題に関しては全然利用債を買っていらっしゃらないのに、われわれは利用債も買う努力をしておるのに、なぜやってくれないのか、ますます人口の過密は現在も飽和状態が来ておる、こういうことになっておるわけでございますが、この点についてどういうふうな具体的な計画がおありかどうか、総裁にお答え願いたい。
  159. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 大阪の城東貨物線の複線電化、高架化の問題につきましては、もうすでに当分科会におきましても数回にわたって先生から御質問をいただいております。私どもも極力促進したいという考えでおりますが、何と申しましても、総額二百五十億という相当な金のかかることでございます。計画が遅々として進まないというおしかりを非常に受けております。一応現時点でいつということははっきり申し上げられませんが、問題点をちょっと具体的に申し上げまして、私どもとしてもできることだけは協力いたしてまいりたいというふうに思いますので、担当の常務から現状をもう一ぺん御説明させていただきます。
  160. 長浜正雄

    ○長浜説明員 いま総裁から申し上げましたように、この外環状の城東貨物線の問題は、もうだいぶ前からの問題でございます。おっしゃるとおり、われわれとしても何とかしなければならぬという気は持っておったわけでございますが、実はこれが計画されましたころ、大阪の市、府あたりとわれわれのほうと、どういうやり方でやろうということでいろいろと相談いたしておったのです。その相談といいますのは、金の持ち方、そういう点について相談をしておったのですが、なかなか相談がまとまらないままにだんだん来ておるわけでございます。といいますのは、さいぜん先生もおっしゃいましたように、東京付近の工事は利用債を持たないでやっておりながら、大阪に対しては何だ、こういうお話でございますが、実は国鉄の補修をしなければならぬ仕事全国非常にたくさんございまして、その中でも前総裁もよく言っておりました火の粉を払う工事が非常にたくさんございます。そういうものはもうやむを得ずやらざるを得ないということでやっておりますが、若干でも先行投資的なものについては、やはりそれによりまして地元の利益もあることでございますので、そういう開発利益の還元というような意味から、何がしかの地元での御負担を願う、あるいは一部資金の調達のために利用債を持っていただくというような方法でやれば少し進むのじゃないかということでやっておったわけでございます。それが最終の結論を得ないままに、昭和四十年以降に入りまして、とりあえず御承知の吹田の付近で区画整理事業があるということで、それではこの機会に用地を買収しておかないととうていできなくなるということで、用地買収に利用債を持っていただいてこれをやったことは、先生御承知のとおりでございます。その後も、そういう用地に関しまして、たとえば将来城東貨物線に電車を通しましたときに電車を置く電車区の用地だとか、あるいは昨年もまた一部用地の買収をいたしました。あるいはまたせんだって先生おっしゃいました万博用のいまの枚方−築港線、これの高架も緊急に追加をいたしまして、これの工事を進行させるというようなことで、現在までに合計約二十数億の金を城東貨物線としては使っておるような状況でございます。  ただ、いまの状況では、このような状態ではなかなか長年月がかかるのではないかと思うのでございますが、これはどういたしましても、いまどうにもならないすし詰めで、三〇〇%のお客でもうしり押しをしても乗り切れないという状態のところがあちこちあるものですから、それのほうに若干資金が回っておるわけでございます。こういう先行投資的なものに対しては、よく最近いわれておりますたとえばサンフランシスコでやっておりますような方式、いわゆる地元の受益者による負担、利益を還元するというような方式を何かとらないと、なかなか進まないのじゃないかというふうに私たち考えておる次第でございます。  それからまた、この線には一つ問題がございまして、昭和四十年ごろいろいろ議論しておりましたときは、地平のまま、現在のまま複線電化にするというようなことでやっておりました。そのころは金額にしましても百数十億であったわけですが、その後地元のいろいろな御要求がございまして、全部高架にするということになりますと二百五十億という膨大な金になってしまう。その辺でもまた計画に若干のそごを来たすというようなことと、それからもう一つは、高架化するということになりますと、先生御承知のように、都市計画事業としてこれを決定しなければ、高架化の予算が、道路側の予算といいますか、府、市関係の大蔵省からの予算確保が非常にむずかしいということで、せんだって建設省運輸省との運建協定をつくりまして、都市計画決定をするということになりまして、それをやらないとこれの予算措置ができないというようなことになっておりますので、それらにつきましては、いまそういうことだということで、大阪市はじめ関係の市とお話を進めておる段階でございます。そういうことで地元との協議を進めなければならぬ、あるいはまた開発利益をどの程度に持っていただくかというようなことをやらなければいかぬということで御相談をしておるわけですが、基本的に、それでは先生のおっしゃいました都市再開発とかあるいは都市計画事業がおくれるじゃないかというようなお話に対しましては、これは私たちとしては将来の計画を、計画だけは少なくともつくってしまうというつもりでおりますので、それらにつきまして、それぞれの所要の市あたりで都市計画をやるについて、国鉄計画は最終的にどうなるんだということがございましたならば、これは至急相談さしていただく、こういうふうに考えておる次第であります。あるいはわれわれとしては、できるだけそういうふうに東京のみならず大阪、各地に交渉したいと思うのでございますが、そういう状況でございますので、現状を御説明申し上げた次第でございます。
  161. 沖本泰幸

    沖本分科員 昨年来一歩も進んでいない、こういうことになるわけですけれども、ちょうど城東貨物線が都市を横切って、そしてむしろ都市の開発をおくらしているということは事実なんです。これはもうすでに国鉄のほうであの地帯の高架の工事をおやりになったときにおわかりになっていらっしゃると思うわけなんですが、こういうことで交通の停滞とか、こういうものに対する利益というものは非常に違うわけなんです。と同時に、福知山線を国鉄のほうは非常に力を入れていらっしゃるわけですけれども、現在の大阪の内環状線は福知山線と当然かち合うわけなんですね。そういう点と見合っていくと、どうしてこれだけ取り残されるのだろうか、こうことがやっぱり疑問になって出てくると思います。大阪は大阪として全体的な計画に立って、毎月のように協議はやっております。そういう点もありますし、それから東京の外環状線がどんどんめどを立ててくる、こういう点をにらみ合っていただくと、問題がどこまで来ているかということは、国鉄のほうにもよくわかっていただけるんじゃないか。  それから、採算が合うか合わないかという点、国鉄のほうで非常に御心配だろうと思うのですが、すでに資料はお取りになって、関西支社のほうでもこまかい資料はおつくりになったと思いますし、大阪府のほうからも参考資料はお出しして協議もしてきておるはずでございますから、その点に関して城東貨物線自体が採算に合わないというようなことはおそらくもうない、こういうことがいえるわけなんですよ。どうしても都市交通として横につないでいくという線が今後要るということになってまいりますし、また同時に、いままでの計画は、第三次長期計画の中に入っておりました外環状線は加美と新大阪と結ぶと、こういうことになっておりますけれども、現在の段階になりますと、杉本町までを一本化して計画を変えて考えていただかなければ、第一期工事、第二期工事を合わせたものとして考えていただかなければ、これは採算の面から何から考えてもマイナスだ、こういうふうに考えられるわけですが、この点について何とか地元の要望に見合うだけの時期的なものでも明らかにはならないのでしょうか。大体いつごろならこれにかかれるか。東京なら東京の外環状線が終わるなら終わるでめどがつきますから、だから大阪のほうはいつごろになるとか——いまの段階になったら、もう火の粉を払うといってもいまここに火がついていると思うのですが、そういう点についてもう一度お願いします。
  162. 長浜正雄

    ○長浜説明員 いまお話しの城東貨物線の必要性は、私たちも必要ないと思っているわけでございませんで、ほんとうに確かに必要だと思っておる次第であります。これは大阪市、府のいろんなそういう都市交通関係の懇談会その他に私たちも呼ばれまして、いろいろ意見の交換をいたしまして、相談をしておるわけでございます。  また、再三お話しの、城東貨物線の新大阪−加美までというのは杉本町まで延伸すべきじゃないかという御意見も、そのとおりでございます。これは大阪市、府あたりで私たちいろいろ御相談申し上げたときも、確かに将来阪和線あるいは紀西線、これは大阪へどう入ってくるかというような問題、あるいはさいぜん先生お話しのように、福知山線が大阪にどう入ってくるか、これをどこにつなぐかというような問題をいろいろ考えて、大阪全体としての総合交通体系の中の城東貨物線というふうに考えていかなければならぬ、こういうふうに思っている次第であります。  それで、その必要性についてはそういうことで考えておるのでございますが、いま言いますように、まだほかに、先行投資でなく、非常に緊急なものがメジロ押しできておりますので、それらの目安がつき次第、こちらのほうに至急に手をつけたい。これは実は申しましたように二百五十億もかかりますので、あまりぼつぼつやりますと、非常に資金コストが高くなりますので、やるとすればやはり急いでやるべきじゃないか、私はこういうふうに考えております。二百五十億もの工事を長年かけるというのは非常に不経済だというふうに思いますので、そういう一つ工事のやり方をすべきじゃなかろうか。それにつきましては、将来の阪和線との結びつきをどうするか、あるいは関西線とどうするか、福知山線との結びつき、あるいは片町線との関連、それらを総合しながら考えていきたいというふうに考えております。
  163. 沖本泰幸

    沖本分科員 おっしゃることはわかるのですが、この計画をお立てになった段階と現段階とは、相当事情も変わってきております。そういうところから、在来のお考えを変えていただいて、もう少し具体的ないろんな問題を加味して考えていただいて、この問題と取っ組んでいただければ、またほかの道も出てくると思いますし、また地元としても、これから将来に対する損失ということを考えていくと、もっと早くやっていただけるのならほかのことも考えると地元が言っておりますのは、これから将来も利用債を持たないことはありません、お話によれば持ちます、持つけれども、めどを立てていただかなければ、やっぱり市民の皆さんのお金を使うことですからと、こういうふうなのが地元の皆さんのお考えでございますから、この点については、もう少しいままでの在来の考えを変えていただいて取っ組んでいただいて、将来図を早く発表してやっていただきたい、このようにお願いしたいわけでございます。  それから、話はこまかくなりますが、大阪の阪和線の高架化につきましては、もう計画はお立てになって、予算も組まれておる。ただ、国鉄のほうが赤字でまだ踏み切られない、こういうことで、ますます交通は停滞しますし、たいへんな都心の中を横切っておるわけでございますから、何とかこれも側線をつくらなければならない、こういうふうな問題が横たわっております。こういうことで、いろいろと地元の不満、思惑もあるわけでございますから、この点について、早目にいつごろ工事を始めるかというふうな点も発表していただきたいわけなんです。それで、踏切の問題がたくさん起きておりますから、この点については国鉄のほうはどういうふうにお考えなんでしょうか。
  164. 長浜正雄

    ○長浜説明員 阪和線の連続立体化の問題につきましては、確かに踏切の数が非常に多うございまして、交通停滞しております。国鉄といたしましても、踏切が多うございますと、事故の原因にもなりますし、運転上も非常に危険でございますので、なるべく早く立体交差にしたいということで、地元に相談を持ちかけておって、ある程度計画は大体まとまってきておるのでございます。それで、おっしゃるように、国鉄の側も予算をもう準備してございます。実はわれわれのほうとしては、地元と同じく逆に早くやりたい、こう思っておる次第であります。  つきましては、せんだって来運建協定で高架化の協定ができましたので、至急これに乗せたいということで、いま地元をせっついておるような状況でございまして、もう計画もできておりますので、それに従いまして設計決定をしてもらいさえすれば、これが仕事も進んでいくのじゃないかと思いますが、われわれのほうとしてもそういうふうに急いでやっていきたい、こういうふうに考えております。
  165. 沖本泰幸

    沖本分科員 この阪和線につきまして、南海も同じことは言えるのですが、和歌山と大阪をつなぐのは、私鉄の南海と阪和線だけなんです。ところが、普通の私鉄、国鉄もスピードアップということを盛んにおやりになるのですが、南海と阪和はむしろスピードがおくれ出した。都心部がだんだんふえてきてとまる駅がふえているということも原因の一つになるわけですけれども、どっちかいうと和歌山と大阪を結ぶほとんど都市の中を走っているにひとしい電車になるわけですが、どうもその両方とも、客車の改造についても、いろんなサービスの点についても、この二つがおくれているというのが全体の意見なんです。もう少しスピードアップしていただかないと、この辺の通勤の方が非常に困る。こういう事態も起きておりますし、また、大阪では泉北ニュータウンができておりますから、阪和線に乗る人もだんだんふえてきますし、南海本線のほうは土地造成というものがもう行き詰まりました。そういうところから高野線に力を入れて、高野線の沿線の土地造成を非常に考えておるというところから、高野線のほうがむしろ発達するのじゃないかということになりますと、阪和線ともつながる、こういうことになって乗客もまたうんとふえてくる、こういうことになるわけでございますが、こういう点についてスピードアップをもう少ししていただきたいのですが、この点どうでしょうか。
  166. 長浜正雄

    ○長浜説明員 阪和線につきましては、先生御承知のように、これは戦争中に私鉄から買収した線でございまして、その当時私もその線区を担当しておりまして、この線は非常に悪い状態でございました。それから極力これの線路を改良いたしましていまにきておりますが、先生おっしゃいますように、まだスピードがほかの東海道線とかそういう線に比べれば劣っているわけでございます。これにつきましては、私たちも前からスピードアップをしようということで、それにはやはり軌道強化といいましてレールを太くする、あるいはまくら木の条数をふやす、あるいは道床砂利を砕石にかえてふやす、こういうことをいたしませんと、これは安全との見合いでスピードアップできませんので、それをいま鋭意進めておるわけでございます。  ただ、何ぶんにもそういう軌道関係を改良するということは、現在運行しながら改良していかなければなりませんので、一ぺんに全線とかあるいは数キロにわたってというわけになかなかまいりません。夜間の列車の運転しない時点で少しずつやっていかなければならないということでございまして、非常に日時を要しますので、思うようなスピードでは改良が進みませんけれども、先年来これの改良を進めておりまして、なるべく早く全線の軌道強化を達成いたしまして、安全の確保をしながらのスピードアップができるようにしたい、こういうふうに考えております。
  167. 沖本泰幸

    沖本分科員 国鉄はその程度になりますが、あと鉄監局長建設省の都市局の石川参事官にお伺いしたいわけです。  これに関連しまして南海電車の問題になってくるわけですが、南海電車も非常にスピードがおくれているわけなんです。この南海電車はサービスが悪くて非常に評判が悪いということですし、過去にもいろいろ事故も起こし、やはり利用者に非常な不満を与え、あるいは地元の人たちにも心配をかけておる一つの私鉄ということになるわけですけれども、この私鉄の立体交差について、現在はどの程度進んでおるんでしょうか、鉄監局長と石川参事官の両方からお答え願いたいと思います。
  168. 佐原亨

    ○佐原説明員 南海の場合、国鉄と違いましてやや間接的になるんでございますけれども、事情は全くただいま国鉄からお話があったのと同じでございまして、南海といたしましては、都市計画の決定を早くしていただくように大阪市に働きかけている最中でございます。ただ、大阪市側でいろいろ事情もございましょうし、なかなかはかどらないというのが実情のようでございます。  ただ、会社側からの説明によりますと、南海本線の場合、天下茶屋から大和川までの間の約五・二キロでございますが、これを連続立体交差化するという意味で計画を立てておるようでございます。そのうち粉浜二号の踏切から大和町間のほうが時期的には若干早く竣工できる見込みでございます。これは会社側の説明でございますので、若干希望的観測になるかもしれませんが、一応計画といたしましては、四十六年度あたりから着工いたしまして、粉浜−大和町間は四十九年度、天下茶屋−大和川間は五十二年度までに竣工させたいという希望を持っておるように承っております。
  169. 石川邦夫

    ○石川説明員 ただいま民鉄部長のほうからお話し申し上げたのと大体同様でございますが、私のほうでは、明年度におきまして連続立体についての調査費を計上しておるわけでございます。全国で十一カ所ございますが、南海本線につきましてもその調査の対象になるわけでございます。その調査の結果を待ちまして、高架化についての結論を出していきたい。まず明年度は、調査ということになるわけでございます。
  170. 沖本泰幸

    沖本分科員 これは建設省のほうに対するお話なんですが、立体交差についてむしろ地元のほうが先行して仕事をしていくので、国からの補助というもののほうがだいぶおくれてきておる、あるいはおくれておるので仕事がしにくい、こういうふうな話も聞いておるのですが、その点いかがでしょうか。
  171. 石川邦夫

    ○石川説明員 必ずしもそういうことはございません。なかなか地元のほうの協議がととのわぬで、むしろ事業が流れるというようなケースもございますので、その辺は、よく地元と調整をとりまして進めたいというふうに思っております。
  172. 沖本泰幸

    沖本分科員 時間がないので話をはしょってしまったわけでございますが、もう一つは、私が運輸委員会におりましたとき、踏切事故に関して踏切を早く改良してほしいという御質問をしたわけですが、そういうところから南海に一例をとってお話しするので、ほかの私鉄でも考えられるのじゃないかと思うわけですが、南海がほとんど自動遮断機をつけたわけです。ところが、たとえば天下茶屋の踏切が、事故のあった踏切なんですが、複々々線であるために、電車の間隔が短くひっきりなしに来るわけです。いままでは遮断機が上がって間隔があったが、自動遮断機にしたためにべったりおりてしまっている。そのためにむしろ交通停滞を起こしてしまっておる。また、ほかのあまり車の通らないような踏切も遮断機がおりっぱなし。こういうことになるために、そういうところを見越して、踏切を通る人たちが通勤のためにくぐってしまっておる。むしろ危険度がもっと増しているわけです。また、ある踏切では、目の前に学校がありながら遮断機がおりているために、通学の生徒が時間どおりに学校に行けない。こういうようなことで、むしろ自動遮断機反対運動が現在起きているわけです。  こういう点について、もう少しよく考えたものをやっていただかなければならないのじゃないだろうか。費用を削減するためにおやりになったのか、危険をなくするためにおやりになったのか、その点もう一つつまびらかではないのですけれども、この点に対して、運輸省のほうではどういうふうにお考えでしょう。
  173. 佐原亨

    ○佐原説明員 御存じのように、南海は過去において大事故を起こしまして、それ以来社内一致して保安問題に真剣に取り組んでおるようにわれわれのほうから見れば映るのでございますが、と同時に、私鉄経営の悪化に伴って合理化、省力化というような問題にも真剣に取り組んでおる、その一つのあらわれであろうかと思われるのでございますけれども、先生御指摘のような問題がございますならば、これまた別途慎重に考慮いたしまして、会社のほうと相談してやっていきたい、このように考えます。
  174. 沖本泰幸

    沖本分科員 では、以上の点をもう一度よく検討していただきまして、実情をお調べいただきたいと思います。  時間がまいりましたので、またあらためて御質問したいと思います。ありがとうございました。
  175. 渡辺栄一

    渡辺(栄)主査代理 川崎秀二君。
  176. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 きょうは、午後六時にはジャンボが日本に飛来するという歴史的な日になったわけであります。太平洋はまさに航空時代に一新紀元を画したときでありますが、つらつら考えて、月とスッポンということばがあるわけですが、アメリカは月旅行をする、中国へ行くにはスッポンである、うまいことこれはごろが合ってきたものだと思うわけです。われわれの同志である古井君は、いま日中覚書貿易協定の延長のために交渉に行っておる最中でありますが、佐藤内閣は選挙の際にも、日中改善は一九七〇年代の大きな課題であり、外交上の最重要案件であるということを言いまして、改善の方向を打ち出したわけであります。しかしながら、その後残念ながらいままで実績としては一つも改善のプログラムが出ておらないというような状態にありまして、明日外務大臣にも質問をいたしたいと思いますが、旅券の問題について、やや前向きの姿勢がとられつつあるということは御同慶の至りであります。  そういう意味で、運輸大臣に本日は、日中関係が改善されるとすれば、それは何から改善されなければならないか。貿易と人文の交流であろうと私は考えておりますが、運輸大臣はいかがお考えでありますか。
  177. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 運輸大臣の立場でお答えしたほうがいいのかどうか問題でありますが、個人的私見といいますか、これは個人的私見も許されないわけでありますけれども、私も大陸には数年、戦前でありますが、職務上滞在をいたしたことがあります。したがって大陸の事情、戦前の事情でありまするが、中国人に変わりはありませんから、したがって、大体のことは私自身理解をいたしておるつもりでありますが、その後大東亜戦争といいますか、第二次世界大戦で不幸なる事態に現在おちいっていることは、川崎さんも十分御承知のとおりであります。私は、佐藤総理が言われるように、その政体と主義のいかんを問わず、日本の国法のたてまえからいっても、いかなる国とも和平的な関係、親善関係を持つべきものである。これは原則としてそうでなければならぬと思っております。  ただ、さような一つの抽象的原則論は別にして、国際情勢にはいろいろな協定、条約等によって縛られている面もある、これは御承知のとおりであります。したがって、現実の外交なり現実の国交からいうなれば、ひとつそれらの面をも考慮しつつ、いかにしていわゆる近隣と親善関係を進めていくかという一つの制約のもとの方向があるわけであります。私は、その意味におきまして、いま国際条約なり国際慣習の上でわれわれが制約を受けておる中でも、少なくとも七億五千万あるいは八億といわれる隣国との間に、できるだけの親善関係を徐々に築き上げていくというのは、総理が言うように、一九七〇年代の日本の課題である、かようにも考えております。  それについての方法論としては、いろいろあろうと思いますけれども、まず、お互いがイデオロギーを一応抜いて、近代化社会、いわゆる情報化社会といわれておりますが、情報化社会の将来の一つの展望の中には、脱イデオロギーということばすらあります。したがって今日、未来学者が言うところによれば、いわゆる外交それ自体にも秘密はあり得ない。完全なる情報処理あるいは情報収集の方法が展開されるに従って、外交上の秘密ということも困難である。かつまた、世界は情報化によりまして一つにつながり得る性格を当然に、必然的に持っておるということが未来学者の一つの見方であります。そういう点から考えまして、われわれがイデオロギーを前提としてものを考えるというところに、私は現代人のある意味における不幸がありはしないか。少なくとも、ことに日本の場合は、御承知のような平和憲法といいますか、国際的な紛争は戦力によってこれを解決しないという大方針がある。そのもとにおいてのわれわれの行動というものは、当然いま申したような前提に立っておらなければなりませんので、人と人との交流あるいはお互いの感情をいたわりつつ、そうして世界平和に貢献する、これが私は日本人の使命であり、かつまた日本人が理想とするゆえんのものはそこにある、かように考えておる次第でございます。
  178. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 基本方針といいまするか、運輸相の考えておられる日中関係の個人的見解ではあるけれども、きわめて明快に伺いました。いまのようなお考えであればたいへんけっこうでありますので、具体的に御質問を申し上げたいと思います。  この日中の国交回復ということが実現をしないままでは、日本航空は、国際航空協定あるいは将来結ばれる日本・中国航空協定などの適用を受けないから、乗り入れは困難であるというふうに聞いておりますが、今日、日本航空が北京あるいは上海に乗り入れられないところの根拠というものは何でありましょうか。
  179. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 技術的な問題でありますから、あとで航空局長から答えてもらいたいと思いますが、一応大ざっぱに申せば、航空管制上の問題が一つございます。それから、飛行に要するところの気象の通報関係一つはあります。かつまた、大きくと言いますか、根本的には国交上の問題がある。したがって、いま日本政府、その運輸行政を承っておる運輸省として、現在中共との間に航空協定を結ぶことが可能かといえば、航空協定を結ぶことは、国交ができない今日においては困難である。それは外交上の原則で、最初に申し上げましたのは、技術上の困難があるということです。  こまかい点は、航空局長が説明をいたします。
  180. 手塚良成

    手塚政府委員 いま大臣のおっしゃったことで大体尽きておりますが、いわゆる定期航空路の開設というのは航空協定が必要でございます。その航空協定を結ぼうと思います場合には、やはりその背景になりますところのいまの政治的な問題が当然問題になってまいります。臨時便ということでの乗り入れの問題がございますが、その場合には、そういう協定の問題は必ずしもなくてもできます。しかし、いま大臣が言われました技術上の問題があります。  技術上の問題は、総じて言いますと、中共はICAO、いわゆる国際民間航空機構というのに加盟しておりませんので、いろいろな技術的な内容が、国際的に一般に通用するような内容のものではないように思われますので、そういった面の調査等が行なわれませんと、臨時便といえども直ちには飛べないのではないか、かように思います。
  181. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 非常によくわかりました。わかりましたが、あなたの言われることに若干疑問を持っておりまするのは、今日パキスタン航空あるいはエールフランスというものは、上海、広東に乗り入れをしているわけですね。中共の持っておる協定、一つの方針というものと国際間のならわしというのが合わないというならば、彼らも制約されるわけですが、彼らはどうして入っておるのでしょう。
  182. 手塚良成

    手塚政府委員 先生御指摘のとおり、現在中共に乗り入れをしておりますのは、エールフランス、アエロフロート、エアカンボジア、エアモンゴル、パキスタン、こういうものが入っておると思います。それ以外に航空協定を締結しておるかと思われますのは、インドネシア、ビルマ、セイロン、アフガニスタンでございます。したがって私どもは、先ほど原則論的なことを申し上げましたけれども、要は、そういったものが具体的によくわかっていないという意味でございまして、ある程度ICAOに準拠したものを持っておるのであろうというような感覚は持っております。そういう点で、それを現実にはっきりさせませんと、こういった安全性を旨とします航空ができにくい、こういう意味でございます。
  183. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 あなたの言うことをあげ足とろうというわけではないが、国際間の協定に中共は不備なものがあるということであるが、そういうふうに四つくらいの国がすでに入っておるということでありますから、話し合いを進めれば成り立ち得る可能性もあるわけです。日本の場合は政治的背景、国交未回復という問題があるということは、私は十分承知しております。  そこで問題になってくるのは、人文の交流は大いにやりたい、佐藤総理大臣も、ことに橋本運輸大臣は近ごろ情報化時代ということについて非常な深い関心を持ち、情報産業を育てようということばを党内で主唱しておられたことですから、そういう見地に立つと、この人文の交流を大いにやりたい。ところが日本との間には壁がある。それならば人文の交流というものは非常にウエートが大きいわけですから、その大方針に沿うていろいろ問題の解決の方法もあろうと思うのです。そこで私は、材料も持っておられると思いますが、パキスタン航空とエールフランスは、日本に対してすでに両三年前から東京乗り入れ、すなわち上海−東京間乗り入れを両社とも申請してきておる、それをどうして妨げるのですか。これは日本航空が先にやりたいだけの理由ですか。
  184. 手塚良成

    手塚政府委員 そういうような一応のお話があるやに聞きますけれども、正式な申請というかっこうではまだ出ていないというふうに聞いております。
  185. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 それはほんとうですか。正式に申請は出てないのですか。
  186. 手塚良成

    手塚政府委員 はい、出ておりません。
  187. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 申請が出れば、これは考慮しますか、運輸大臣
  188. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 もちろん、申請があれば検討をする必要があると存じます。
  189. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 私もそう深く資料を具備しておるわけではございません。しかし、質問するに先立ってはいろいろ状態を調べまして、支店長はあまりよく知らぬ、さらにパリへ電報を打って聞いてみるということもあり、パキスタンのほうはよくわかりました。パキスタン航空というのは、いま上海から広東、ダッカ、カラチ、パリ、ロンドン、こう飛んでおるわけです。木曜日と土曜日に飛んで、木曜日はストレートで上海からラッカに出る、土曜日の便は広東を経て出る。私は中共のパッセンジャーが非常に少ないと思っておったのですが、きょう調べてみると、半分はやはり中共人だそうです。ヨーロッパへ出ておるということでありますから、これはやはり日本との覚書貿易協定で友好貿易が向きを変えて盛んにみれば、相当産業人の往来はあるだろうし、各社も出てくる可能性はあるわけです。これはまことに残念なことですが、日本航空がやらなければ——やはり占領時代にわれわれはパンアメリカンあるいはノースウエストというものを使った。これは占領されておったんですからしかたがないけれども、それらが出ておったことと同じように、中共と国交のある有力な国々、フランスは堂々たるヨーロッパの一流国だし、パキスタンもすでにアジアにおける一つの大きな国ですから、ぜひこれを認めて、日本と中国との交流が盛んになる一助にするという考えを出してもらいたいと私は思うのでありますが、フランス航空に聞いてみると、六六年九月十九日にパリ−上海間ができた。その際の申請は日本側に出しておるけれども、その出した日にちを調べろと申したら、実情をいうと、それはパリに問い合わせしなければわからぬということであったのです。しかし、いまそういうお話が出たならば、ぜひともこの面からでも開拓をしなければならぬと私は思うのですが、運輸大臣のお話では、正式の申し入れがあれば検討するということですが、航空局もそういう点では十分好意をもって善処する気持ちはありますか。
  190. 手塚良成

    手塚政府委員 大臣の申されたとおりでございますが、申請以外に、いわゆる航空協定に基づきますところのコンサルテーションをやる必要がご、ざいます。その際に、やはり大臣の言われました趣旨で検討いたしたいと思いますが、関係官庁もいろいろございますので、そういった意向も取りまとめた上でのことということにいたしたいと考えております。
  191. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 これと関連して、これは一日だけ情報が伝わっただけでそのままあとは聞かれておりませんが、パンアメリカンは、一九七〇年代には会社の方針として北京乗り入れを考慮しておるという話がありましたけれども、先日朝日新聞に出ておりましたが、御承知ですか。これはどういうことであるか、お調べになったのですか。
  192. 手塚良成

    手塚政府委員 おっしゃいますように十九日の朝日の夕刊に出ました。その後、関係方面からそれにつきましての情報も得たわけでございますので、私どもはその内容を了知いたしております。
  193. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 知っているということですね。
  194. 手塚良成

    手塚政府委員 はい。
  195. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 それをもう少ししさいに伺えば、七〇年のどの時期にやるということの計画でありましたか。あなたのほうで調べたほうが確かでしょう。
  196. 手塚良成

    手塚政府委員 私どもの知り得ました情報によりますと、七〇年代に必ずやるというような趣旨での発言ではなかったように聞いております。あのパンアメリカンのハラビー社長がああいったことを発言されましたのは、シカゴの米中西部世界貿易協議会といいますか、そこでの演説でお話しになったのであります。その演説をなさった趣旨について同席された方からの話によりますと、中共へ乗り入れるということ自体を真正面からお話しになったのではなくて、ああいった国々も航空問題を取り上げるべきだというような趣旨で、まず航空あたりが国交の先端を行くべきであるというような趣旨の一例としてあげられたというようなふうでございまして、アメリカ政府当局におきましても、これは確かな情報でもございませんし、まだまともにそういうお話が政府内で取り上げられているということはないように聞いております。
  197. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 中国はきびしい文化大革命の試練を経まして、近来外交路線に多少変化の状況が見える。それは米中会談の再開と、続いて友好的な雰囲気の中に今日それが進行している。こういうことを考えあわせてみますと、別に急ぐわけではありませんけれども、米中間の問題は、これ以上悪くはならぬということが大体予測をされるわけであります。先週も、情報によれば、アメリカ大使館は、米中会談のアメリカ側の考え方について、日本の外務省首脳部を大使館に招いていろいろ懇談したということであり、それらが反映して旅券問題等にも相当に微妙な変化を来たしておるわけですから、航空局におかれても、そういうことをよく織り込み済みの上で御善処をいただきたい、私は心からこれを念願するわけであります。  そこで、先ほど臨時便の場合は、国際間の航空協定あるいは二国間の航空協定にいろいろな制約はあるけれども、わずらわされないでも済むと言われました。  運輸大臣に伺いますが、運輸大臣も何か、臨時便は万博とかいろんな機会に出してみたらどうか、向こうさえ承知をすれば、というようなことを言われたように思うのですが、どういうお考えでございましょう。
  198. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 臨時便の問題についてもいろいろ私的に検討をしてみましたけれども一つは、御承知のようにソ連との間に航空協定みたいなものができましたが、これはだいぶ距離も違いますけれども、陸上等の気象観測とかいうようないろいろな問題がありまして、これが実施に至るまでまる二年ぐらいかかったわけであります。たとえ臨時便であろうとも、あるいは定期便であろうとも、飛ぶことには間違いないわけでありますから、いろいろ調べますと、人命等の問題から、なかなかそう簡単によろしいと、汽車が発車するようなわけにはまいらぬわけであります。それ以外に航空管制権の問題がからんでおるようです。そうしますと、人の上を飛んでいくことになるものですから第三国との間に了解を求めなければならぬし、そういうような関係からして、考え方としては、臨時便程度のものはそういう問題が解消されるならばやりたいという気持ちはありましても、いろいろ検討してみますと、臨時便といえども、そういう問題でなかなか支障があることが最近よくわかりました。     〔渡辺(栄)主査代理退席、主査着席〕 そういう意味で、なかなか臨時便といえども、特殊の場合、たとえば縁起でもないかもしれぬけれども、日本人のある要人が向こうへ行っておった、それがどうしてもこっちへ運んできて病院に入れなければならぬという事態が出た場合には、これはあるいは第三国の了解も得られるかもしれませんけれども、そういうのでない場合、団体を運ぶという前提での臨時便ということになりますと、なかなかそう簡単にいかぬのじゃないかというような問題が幾多あるようであります。そういうふうな意味において、万博の問題とこの問題となかなか一緒にならない。航空局長の意見も徴してみましたが、むずかしい問題があるというような結論に一応なっております。
  199. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 いまお話の中に、団体などは非常に困難である、縁起でもない話だが、要人のからだがいかぬということでお話がありましたので、差し迫っておる松村訪中の問題についてお願いもあり、意見もただしたいと思っておるのでございます。  松村先生がこのたび、十八日を目途にして訪中を急がれておる。これは昨年来の悲願でありまして、国会の議席をやめても日中問題に信念をかけると言われておるわけですが、近来健康状態は非常に良好でございますが、足が非常に弱っておられて、これで香港回り、そしてまた広東で一泊して行くというと、側近の一人といたしまして非常な御苦労のようにも思われるわけでございます。いろいろ聞いてみますると、それには中共の飛行士もこっちへ一ぺん呼んできて、二人ぐらい乗せて安着し得るような形にしなければいけないのだというような岡崎さんの話も聞いておりまするから、もう差し迫ったものは非常に困難なようでありますが、場合によったら、帰りの便でもそういうようなケースに当てはめられて——先生は今日では日中国交の回復、貿易の突破口を築かれた国士ともいうべき大先輩、われわれには早稲田の同門で大々先輩であり、橋本さんは私の先輩でありますが、どうかそういう意味で、人道的な問題もございますので、ひとつ御考慮が願えないものだろうかということを私は真剣に考えておるわけでございます。何か御答弁ができましたら御答弁をいただきたいと思っております。
  200. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 この際は、川崎委員からのそういうような要請という意味合いで承っておくことにいたしたいと思います。
  201. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 もう三、四分で私の質問を終わりますが、中国の古文には「遠くと交わらんとすれば近くを修むるにしかず」ということばがございます。これは遠交近攻の武力策とは違った意味での政治の哲学であります。そういう意味で、いまのお話をひとつぜひ実現さしていただきたい。これは全く後輩としても議員としても熱願であるわけでございまして、毎日古井君などと電話をしましても、電話は朝の十時から午後一時までしか通じない、四時半からまた六時までしか通じないという、中国はいまあれだけの大国で、日本の隣にあって一番不自由な国です。北京へ行くのに五十二時間ぐらいかかるのですね、香港を通って広東に泊まれば。そこでヨハネスブルグへ日本から行くよりも時間がかかるというばかばかしい話でありまして、そういう問題を解決することが今後の日中間の問題を解決する第一歩である、これは御答弁要りませんが、私は、佐藤内閣がこれを打開するために、外務大臣、通産大臣、運輸大臣、総理はもとよりですが、だれか一人の現職大臣が行くなら、政治情勢からいって一番差しさわりのないのは、交通関係をよくするというので、運輸大臣が北京の地を直接訪問することが一番効果的であり、台湾が文句を言ったってたいしたことはないと思っているわけであります。どうかそれらも御勘案をいただきたい。  最後に、私が関係しておりまする世界青少年交流協会、これは安い費用で青少年を海外に送っております。最近非常に評価を高めておりますのは、個人としても国家のためにもたいへんいいと思うのですが、この青年、学生の日本の政府がバックアップをしておる団体が旅行する場合には、特別のチャーター料金を出してもらったらどうか。最近は中曾根運輸大臣、原田運輸大臣が非常にお骨折りいただいたのですが、ことしはドイツ政府の命令でルフトハンザが六万二千ドルという額で引き受けてくれたものですから、日本航空は高過ぎてとてもだめだということになったので、将来日本航空も、オリンピックとか、あるいは国を代表しての青少年、学生の代表団にはやはり特別の措置を講じていただきたいと思うのでありますが、これは基本的な見解だけでけっこうでございますから承っておきたいと思います。
  202. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 ただいま川崎さんのおっしゃるような意味での資格の者に対して、特に勤労青少年とか学生とかいうような特殊な者に対して特別の措置ができるかどうか、それは国際協定があると思いますが、それらの範囲において最善の措置をとるのは当然のことでありますから、その方針で善処したいと思います。
  203. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 国際航空協定にこの値段は背反するのです。けれども、政府のダイレクトの命令とか、あるいはオリンピックとか万博とか、いまのような代表団というものについては、国際航空協定のきめた線以外でもやれる除外例というものはあるように聞いているのですが、どうですか。
  204. 手塚良成

    手塚政府委員 チャーターにつきましては、世界的にきまった、これだという運賃はございません。ただ、やはり慣例的に、あまり定期運賃あるいは一般の団体運賃にインパクトを与えるような大きなダンピングはやらないというようなことを各国の慣例としておりまして、許認可の場合にもそういう観点からやっておるわけでございます。ただ、これは一般的な場合でございまして、いま先生のおっしゃったような特殊な場合に、そのままを当てはめるのはこれはいかがかと思いますが、そういう観点で具体的な例につきましては慎重な検討をいたしたいと思います。
  205. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 どうもありがとうございました。
  206. 藤田義光

    藤田主査 川崎秀二君の質疑は終了いたしました。  川崎寛治君。
  207. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 ただいまは、アポロや航空機や情報化社会や情報産業など、たいへん大きな話があったのでありますが、私は、そういうあれから取り残されておる過疎地域交通問題について、限られた時間でお尋ねをしたいと思います。  最初に、少し事務的といいますか、こまかいことを詰めてみたいと思います。  先ほどの大原分科員から御質問があった点に関連をしますけれども、政府の過疎バスの補助でありますけれども、現在申請がどのくらいあるかお答えいただきたいと思います。
  208. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 過疎バスにつきましては、四十四年度につきましては、すでに申請その他が出ておりまして、現在大体予定をいたしておりますが、各県ごとに、ちょっといまこの合計の数はとっておりませんが、ただいまここに全部出ておりまして、すでに交付予定の金額もきまっております。それから四十五年度については、もちろん予算成立後の申請でございますが……。
  209. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 合計して全部で幾らですか。
  210. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 ちょっと合計の数字は持ち合わせておりません。  四十五年度につきましては、これは予算がきまりまして、その後に交付要領を発表いたしまして、申請を受けるわけでございますので、これは未定でございます。もちろん予算要求の場合の積算としましては、いろいろ描いております。それで、四十四年度につきましては、大体、乗り合い路線バス維持費としましては約二十業者、それから車両購入費といたしまして十五業者でございます。それに対しまして、来年度の四十五年度は、維持費といたしまして二十二業者、それから車両購入費補助金の分といたしまして二十一事業者、それから廃止路線代がえの場合におきます車両購入費補助の対象といたしまして二十公共団体を、一応積算基礎として予定いたしております。
  211. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 補助対象の基準の問題でありますけれども、四十五年度はこれから予算がきまってからいくということでありますけれども、平均乗車密度が五人以下の路線というのは対象にならぬわけですね。それは全国で幾つあるのですか。
  212. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 お説のように、この補助金の対象は、平均乗車密度が五人から十人のものでございます。それが対象になっておりますが、五人以下のものはいま何ぼありますかということは、資料を持ち合わせておりません。一応この五人から十人の対象になるものを全国で調べまして計算をしたわけでございますが、それ以下のものは現在存じておらないわけであります。
  213. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 五人以下は、ひとつ調べて、後ほどでけっこうですからお知らせいただきたいわけです。  そうすると、五人以下はどうしようというのでありますか。
  214. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 五人以下の場合におきましては、一つは廃止申請がある場合がございます。廃止申請がありました場合におきましても、できるだけそれに代がえするようなものを求めたいということで、廃止申請に対して、地方公共団体等が代がえ的にやりたい、あるいは協同組合、それからその他の地元の人たちが、廃止するような場合におきまして、自分がかわってやりたいというふうな場合には、法律の適用等につきまして弾力的にこれを運用していくようにしたいというふうに考えております。
  215. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 これは予算の上でいきますと、先ほど大原委員の質問に答弁しておられましたが、二十地方公共団体で、これは一団体が一両ずつですね。そうしますと一千八百万ですか、ということになりますが、この地方公共団体はどの地域ですか。つまりそれはどういうことかというと、過疎法との関係も出てまいるわけでありますけれども、地域別の実態、つまり過疎地域との関連でその点をお尋ねしておるわけです。
  216. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 この地方公共団体は、北海道、それから中部地区、四国、九州地区でございまして、これは具体的に何村、何町というふうに、自治省でもって調査をしていただいております。
  217. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 御答弁のように過疎地域になるわけですけれども、そうしますと、こういう地域で地方公共団体にという場合、事故の問題、安全の問題というのがいま相当問題になっておるわけですけれども、そういうことについてはどういうふうに考えておられますか。
  218. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 旅客を運送する事業でございますから、その安全ということは最も重要なことでございます。これらの村等が初めて事業をいたす場合におきましては、われわれの出先の陸運局あるいは陸運事務所がございますから、専門的に御指導を申し上げていく。ただ免許等をいたします場合に、いろいろな調査その他はなるべく簡便にいたしまして、実態的に早く事務処理をするというふうにいたしたいと思っております。
  219. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そうすると、大体先ほど大ざっぱな地域の御答弁があったわけですけれども、こういう五人以下のそういう地域、そういうところの路線については、これはもう廃止という方向に大体持っていかざるを得ないという考え方に立っておりますね。しかし、それでは私の県なんかも、鹿児島県はまさに過疎化でもうたいへん四苦八苦している路線ばかりなのです。一昨年は鹿児島鉄道の南薩線の休廃止の問題がたいへんいろいろと問題になったのでありますけれども、それだけでなくて、当時どうやらといわれておったバス路線も、どうにもならぬという状況にいま追い込まれてきております。だから、五人以下のそういう地域については、切り捨てざるを得ないという考え方なのか。その辺は、ただそうじゃなくして、もう少し何とかささえるという考え方があるのか。つまり五人以上十人未満という地域が補助対象になっているわけですけれども、これからはずれている地域というものが、特にまた当面問題にもなるわけであります。お尋ねをしたいと思います。
  220. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 補助の対象といたしましては、五人以上ということになっております。しかし、路線の廃止をするか、廃止してしかるべきかどうかにつきましては、かりに五人以下でも、地元の事情からいいまして、どうしても維持しなければならぬというところもあるかと思うわけでございます。したがいまして、具体的には、関係の県であるとか市町村であるとかいうところと十分打ち合わせをいたしまして、処理をいたしたいと思っております。しかし、全国的に一つの方針といたしましては、五人から十人のところを補助の対象とする。そして五人以下のところは一応補助の対象としないけれども地元の事情等によりまして、地方公共団体等がぜひ残したいというふうな点がございます場合は、これらにつきましては、相談をして処理をしたいと考えております。
  221. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 それはケース・バイ・ケースで相談をしていくということですか。具体的にどうしようというわけですか。
  222. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 このバス路線の休止ないし廃止というものは、法律上許可制になっておりますので、許可の申請がありました場合においては、一応基本的には五人以下のところは許可するというふうに考えたのでございます。しかしながら、ケース・バイ・ケースによって、ぜひ地元で残したい、あるいはかわって市町村がやりたいというふうな場合もございまして、そういう場合におきましては市町村に許可するというような方法等を考える。それからまた、地域的には一つのブロックとしまして、たとえば九州ブロックなら九州ブロックといたしましては、地方陸上交通に関する審議会というものを、国会で設置法をお認め願えればつくりたいということになっております。そこにおきましては、市町村の代表の方も入っていただきまして、ブロック的な問題、特に過疎対策につきましては、ブロック的に具体的な方針、方策について十分御相談をして処理いたしたいと考えております。
  223. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 補助算定から施設費及び人件費を除いておりますね。その理由は何ですか。
  224. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 元来この種の補助金でございますので、人件費まで入れるというような方法は講じてないわけです。元来バス事業というものは、ある路線が赤字でも黒字の路線等ありまして、全体として事業が成り立つというふうなことで全体の運賃をやっておるわけでございます。しかしながら、例外的な措置としまして、どうしても赤字である、しかも過疎地域であるというふうな路線がございますと、それに補助して維持していこうということでございまして、行政の考え方としましては、その会社全体を運賃制度その他でもって何とか維持するというふうなことにプラスいたしまして、具体的には、その過疎の赤字路線について補助しようとするものであります。したがいまして、いまのような措置をしているわけでございます。  なお、これらの点につきまして、どの部分を補助するかということにつきましては、ほかにもいろいろ補助の制度がございまして、それらとの均衡等もあるかと思います。したがいまして、人件費部分等を除きましたものを補助する。なお最近におきましては、昨年度からでございますが、地方も国と同額のものを補助するということでございますので、人件費以外のものにつきましては、路線維持費補助の場合は全額を補助するという結果になるわけでございます。
  225. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 昨晩でしたか、テレビで高知県交通の問題、これは大臣ごらんになったかどうか。賃金が払えずに組合が労働金庫から借りて七割を支給というのが出ておるわけですね。あるいは岩手の中央バスにしましても、まさにこうした危機的な状況にいま逢着をしておるわけです。銀行にしましても、あるいは大手の資本にしても、これにはかかわり合おうとしないわけですね。そうしますと、まさに安楽死というか、そういうような方向にされていきそうな状況に、倒産の危機にさらされているわけです。しかし、先ほど局長も御答弁のように、公益事業としてかってに倒産できぬわけですね。そういう差し迫っておる地方交通の危機というもの——運輸大臣は二月の二十五日に新全総について改定の申し入れをされております。これは輸送量の問題等の算定の見方が過小である。これは過密地帯を中心に、大体中央部を中心に考えておられるわけですけれども、しかし、過疎地域はそういうものからはずれて、まさに差し迫った交通の危機にあえいでおるわけです。その点、新しい交通体系という中で運輸大臣はどういう方針でいくのか、それを御答弁いただきたいと思います。
  226. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 新しい交通体系というものは長期計画のもので、いわゆる概要的な問題をマクロ的に見るわけでありますから、この問題をもちろん考えなくてはなりませんが、現在これは現実の問題として取り上げておるわけであります。政府としては、予算の許す限り、地域住民の生活を保護し、かつ文化を保護するためには、そうした過疎地域に対しても助成措置等を考え予算にも計上しておるわけであります。  ただ私は、それだけではなく、こういう委員会はテーブルディスカッションの場である、政府が考えておまえはどうだということではなく、お互いに知恵を出し合う一つの会だ、こういう前提に立って考えて、いま私が言うたことが、直ちに法律になったり、あるいは規則になったり実行するということじゃなく、お互いにテーブルディスカッションとして、よりよき知恵をひねり出すという観点からの話としてお聞き願えれば幸いだと思うのですが、ちょっと図に書いてみたのです。いまおっしゃるのは民営のバスの場合ですが、たとえばA、B、こっちがCならCとして、Bまで終点があったけれども、いま言ったような、A村から乗ってくるのは五人以下であるとか五人ないし十人であるという場合があって、これは民営としてはとうていやっていけない。それがために全体のバス自身が死んでしまうということがある。だから、ここからここまで切るか、あるいはもっと手厚い補助をしてくれ、こういうことが出てくると思います。しかし、実際問題として、いろいろ経営上の問題もあったり、あるいは金額の問題もあったりして、その会社を更生せしめるだけの助成ができない場合もある。これはいろいろ規則の問題、法律改正の問題がありますけれども、たとえば、Bの終点からここまで、この間はバス路線がなくなる、どうしてもできない、こういうときには、AなりBなりにあるところのハイヤーに、ある意味での乗り合いバス的なことをさせる。料金は少し高くなるかもしれませんが、そういう制度があってもいいのではないか。これは個人的意見ですよ。しかし、いまのハイヤーもしくは——ハイヤーはそうじゃありませんが、タクシー等の規則でありますと、これは一人キロ幾らできまっておって、乗り合いを原則としては認めていないですね。私は運輸大臣をやっていても、聞かなくちゃわからぬくらい暗いのですが、それを過疎地帯においては、もう少し特殊な状態を認めてもいいのではなかろうか。そうすることによって、いまバスといえば一定規格の車が必要なんだろうと思いますが、それを一定規格によるところの車がなくとも——もちろん人命の安全性等は考えなければなりません。もちろんこれは安全性を無視してじゃないのですが、一定規格のものでなければバスとして考えないというような考え方も無理があると思います。ですから、ある程度大型のハイヤー的なものであっても、それを臨時バスとして認定できるとか、あるいは定期バスであるから必ず一日何回か通さなければならぬとかいう点はもう少し緩和してやれば多少——ここからここまで来るにはちゃんと定期が出ている。そこまでは、たとえばいままで三十分ごとに動いておったけれども、今度は一時間、あるいはお客がなければ一時間半でもしかたがないから、ここまでは送り届ける。こういうしゃくし定木によらざる行政——われわれの家庭内ではそうなんです。きょうはおなかが一ぱいだから昼めしやめようじゃないかと話し合えば、それで済んでしまう。きょうは昼もめしだった、今夜はそばにしようじゃないか、こういうお互いの対話というものが家庭にはある。あるいは小さな地域にはそういうことはあり得る。それが全体の社会機構となると、ややもすれば規矩準縄によらざるような行動ができない。私は、これは生きた人間の生活じゃないと思う。  そういう意味で、私はいま全く個人的意見として出したわけでありますが、そういうディスカッションが委員会というところで行なわれてもいいのではないか。国会は政府のやっていることをいろいろ聞くのももちろん大きな目的ですけれども、こういう一つ考え方はどうだということを皆さんから出してもらって、しかもそれが法律改正が必要であれば改正せざるを得ませんけれども、改正しなくてもやれるものはやっていく。行政当局からいうと、いいことをやっても、法律からはみ出したことをやるとしかられることを非常におそれているわけです。だから、皆さんのほうから、これは規則からいうとどうかわからぬが、もう少し思い切ってやったらどうかというサゼスチョンなりを受けるといいんじゃないか。そういうものの考え方を取り入れないで、いま言ったような規矩準縄では解決しない。しかも地域住民は、たとえば三人、五人であっても、非常に徹底的な、ゼロ的な不便さを感ずる、こういうことがあり得るので、まあそういうことでいま申し上げたわけであります。
  227. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 そこで、四十三年度の臨時国会だったと思うのですが、当時の中曾根運輸大臣地方交通振興法を出したいということを運輸委員会で言明したはずですね。それが結局どこかふっとんじゃって、赤字バス路線に対する補助として先ほど局長から答弁のあったものに変わっちゃったと思うのですよ。いま大臣が答弁をされましたけれども、そういうものも含めてこの地方交通振興法というものを、抜本策をこの際検討し、お出しになるという考えがないかどうか。昨年の六十一国会には、社会党としては地方交通整備促進法——これはまだなりたてで御存じないかもしれませんが、いずれそのうち一ぺん目を通しておいていただきたいと思うのですよ。あるいは地方鉄道利用者臨時措置法案というものも社会党としては具体的に提案もいたしてまいっております。そこで大臣としては、あるいは中曾根元運輸大臣の国会での言明御存じないということで終わるかもしれませんけれども、そうじゃなくて、いま御答弁になられたことも含めまして、地方交通振興法案というものを御検討になり、お出しになるお考えはないかどうか、お尋ねしたいと思います。
  228. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 中曾根君はさように申し上げたようでありますが、私個人としてはいままだいろいろ問題があると思います。たとえば国鉄の問題にいたしましても、赤字ローカル線は廃止すべしという問題も起きておる。あるいは鉄建公団において新線計画をたくさん持っておるけれども収入が伴わないものをむやみにつくってどうするんだというような議論があるのと同じようなことが、もしその中に出てくるとすれば、国の財政にも一つの限度がありますから、せいぜい一割か二割補助してやればやっていけるんだということなら別ですけれども、やった以上は結局国が全部めんどうを見なければいかぬような性質のものでありますと、鉄道におけるローカル線の赤字問題と同じような結果が、始めから法律によって招来するという危険がある。そういう意味で、振興法というものは、そういう性格じゃなく、やはり文化その他の面からいかにそれを助成するかというたてまえに立つということであれば、これは別問題であります。そういう助成措置としての振興法というものであるべきか、それとも一切の責任を政府が背負わなければならぬか、こうなりますと、いろいろ問題点がありますので、そのような点を十分に検討いたしませんと、この問題を最終的に決定することがむずかしいのじゃないか。ただ、考え方といいますか、地方のそうした過疎地帯の文化あるいは生活の向上のために何らかの措置考えるという意味での問題は、十分に考えていかなければならない、かように考えております。
  229. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 重ねてくどいようですけれども、私学もこれまで憲法上の問題でいろいろあったわけですけれども、しかし、結局、私学に対しても私学振興法あるいは私学振興財団法ということで、私学も、企業としては私企業だといいながらも、やはり公益法人ですね。だから、私鉄の場合も、まさに今日における私企業という単なるワクを越えておることは、大臣もいま御答弁のとおりなんです。だから、そういう私学に対してもあるように、この私鉄の問題についても、まさに地域の経済振興開発というものと不即不離の問題である。経営が成り立たないからといってやめてしまえでは、その地域がさらに過疎化するのに拍車をかけるわけです。最近は、過疎の問題その他を通じ、あるいは経済社会発展計画等の反省の中においても、高度成長必ずしも国民の幸せならずということが、いま反省をされておる。そういう立場からいっても、地方の中小私鉄の振興という問題については、ぜひひとつ抜本策を早急に立てる。先ほど局長のほうはケース・バイ・ケースだと御答弁になっておるけれども、そういうケース・バイ・ケースではどうにもならぬところにきておると思います。抜本策を早急に立てるという意味で、もう一度ひとつ伺いたいと思います。
  230. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 十分御意見を尊重しながら検討を加えたいと思います。
  231. 川崎寛治

    川崎(寛)分科員 終わります。
  232. 藤田義光

    藤田主査 川崎寛治君の質疑は終了いたしました。  次は赤松勇君。
  233. 赤松勇

    赤松分科員 運輸大臣、きょうはひとつディスカッションでいきましょう。  一番初めにお尋ねしたいのですが、本来予算委員会でこの点は私もやりたかったんですけれども、時間がなかったので触れなかったんです。御承知のように、総理も大蔵大臣も、高度成長経済の中で社会資本の立ちおくれというものをはっきり認めておりますね。そこで、社会資本の充実ということが盛んに叫ばれておりますけれども、このひずみが四十五年度予算の中にあらわれてきておる。そのひずみの一つのあらわれがいわゆるNCB、外貿埠頭株式会社という、民間参加によるきわめて不明確な性格のものができておる。私ども社会党の立場からいえば、港湾事業なり港湾行政というものは基本産業の一つでありますから、これはもちろん国有化もしくは国家管理をすべきである、こういう考え方を持っております。しかし、持っておりますけれども、必ずしも私どもの主張するような形のものができ上がってはおりません。名古屋におきましては、伊勢湾の管理につきましては、御承知のように、名古屋港のほうの側では、県市の共同出資による管理組合という形式でもって管理経営しておるわけです。私は今度のコンテナの埠頭ができ上がりまする際に、なぜこれを公団方式にしなかったのであるか、地元の新聞はこのことをずいぶん問題にしておるわけです。というのは、京浜、阪神が公団方式をとりながらなぜ伊勢湾においてはそれができないのであるかということから、公団方式ができない理由をこの際政府が明らかにすべきである。すべて便宜主義で、港湾の重要性にかんがみ、その公共性にかんがみて本来公団方式をとらなければならぬものを、こういう商法上の私企業を参加さして、そうして港湾事業の一端を経営させるということは不合理ではないか、こういうことを盛んに新聞が主張しております。これは朝日も毎日も、あるいは中日も、各社がそれを強調しておるわけですね。この際、なぜ公団形式がとられなかったのであるかという、その間の事情をひとつ明らかにしてもらいたいと思うのです。
  234. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 従来のいきさつがありましょうから、最初に港湾局長から御答弁させていただきます。
  235. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 ただいまの御質問の趣旨でございますが、現在、京浜あるいは阪神に外貿埠頭公団がございまして、コンテナ埠頭の建設をやっております。中京地区につきましても、コンテナ埠頭の必要性が出てまいりまして、これをどういう形でやるか、いろいろと検討したわけでございます。公団の方式と今回の会社方式との形を比べてみますと、でき上がった施設は、コンテナでございますから、船会社が専用使用しなければいけない。あるいは民間資金を公団でも一部借りております。そういう点ではよく似ておりますけれども、特にコンテナのような特殊形態の施設に対しましては、民間資金をなるべくなら多く導入したい。そういう意味で考えますと、民間が資本参加できるような会社の形態にいたしまして、資金導入をしやすくするということを考えますと、会社形態のほうが有利でございますので、特に中京地区につきましては、コンテナも現在のところ昭和五十年までに六バース程度必要であろうというふうな話も出ておりますので、事業規模も小さいことでございますので、むしろこういう会社方式になじむであろうというふうに考えておる次第でございます。
  236. 赤松勇

    赤松分科員 規模が大きいから、小さいからということで、本来港湾法三十七条に規定するところのこういう公共事業に、簡単に民間企業というものを参加させることは非常に問題があると思います。言うまでもなく公団の目的というものは、国の利益を守っていくということ、同時に利用者の利益を守っていくということであります。利益追求じゃありません、目的は。ところが、私企業になりますと、利益追求が目的でありますから、最初にこの三十七条を見ても、許可条件というものがかなり厳格に縛られておるわけです。しかも今度できるコンテナの埠頭というものは、これは名古屋港における中央でしょう。中央に位しますね。私は、規模が小さくとも、こういう重要な港の中央に位するところに民間私企業を参加さして、次第にそれが力を持っていくということになれば、この港湾法に規定する精神というものが、だんだん独占資本によって侵害をされていくという危険があると思うのです。  そこでお尋ねしたいのですが、そういう私企業の利益追求、独占化を規制するためには、どういう方法を考えていらっしゃいますか。
  237. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 今度の新しい会社に対します規制のやり方でございますが、まず、会社をつくる場合は、運輸大臣の承認が入ります。承認をいたしてやらしたいというふうに考えておりますし、当然、そういう会社をつくる場合には、三十七条にもございますけれども港湾管理者を通じて運輸大臣のほうに承認を求めるという手続きになろうかと思います。したがいまして、管理者もその会社をまずつくる段階でチェックする、国もつくる段階でチェックするという点がございます。  それから次に、この思想が港湾法の——いま提案してございますけれども港湾法の体系の中でやりたいということは、管理者が行ないます仕事を一部特定な会社に肩がわりさせるのだというふうな思想もございまして、港湾管理者が行なうと同じような公益性と申しますか、そういうものを担保できるということで、そういう性格の会社に対しましてこういう法律を適用するというふうに考えるのでございます。
  238. 赤松勇

    赤松分科員 私がこの問題を重要視するのは、単に名古屋港における規模の小さいコンテナ埠頭ができるできないという問題じゃなくて、少なくともこれが突破口になりまして、本来社会資本を投下すべきものを、あるいは国が財政投融資をしなければならぬものを、民間資本を導入するという安易な方法でやると、本来の公共性を持っておるところの国の事業というものが崩壊していくおそれがある。崩壊というより、むしろ私企業にだんだん侵食されていくおそれがある。そういう観点から私はこれを非常に重要視しておるのです。それでこの傾向が、来年度予算、さらに再来年度予算、一九七〇年代を通じてずっと出てまいりますと、私は日本の産業形態なり態様というものはかなり大きく変容してくるのではないだろうかということを考えまして、実は心配しておるわけです。  そこで重ねて聞きますが、これは主観的判断や気持ちのことはどうでもよろしい。現実に、そういう企業が独占化をねらうとか、利潤追求のために公共性を侵害するとかいうような場合には、具体的に運輸省はどのようにしてこれを規制されるかということを私は聞いている。
  239. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたが、港湾管理者はもちろんでございますが、運輸大臣も、その会社の経営組織なり、あるいは資本構成なり、あるいは資力、信用、それから会社の事業計画と管理者が持っております港湾の開発計画と申しますか、港湾計画との斉合性等につきまして、事前に十分な審査をするつもりでございます。  なお、国が一割の無利子融資を管理者を通じてやるというふうにいま考えてございますが、このような埠頭の建設あるいは運営につきましても、公共的な見地から条件をつけたい。これは、国は管理者につけますし、管理者は会社につけるというふうなことで、相当きびしい監督なり歯どめをいたしたいというふうに考えております。  なお、名古屋につきましては、いま管理者のほうでも、この会社に相当な出資を考えておるようでございますし、そういう意味で国なり管理者なりが十分監督できる。逆に、監督しなければならないというふうに考えております。
  240. 赤松勇

    赤松分科員 これは港湾法のどの条項で規制していきますか。何条の何項で。
  241. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 ただいま、運輸委員会でこれから御審議いただくことになっておりますが、港湾法の一部改正の中で無利子融資の貸し付けの条件等につきまして担保したいと思っております。
  242. 赤松勇

    赤松分科員 そこで、この会社の資本の構成を大体どのように考えておりますか。
  243. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 いままだ正確に——これは予算が通りまして、港湾法の一部改正ができまして、それから具体的に会社の構成ということに相なろうと思いますが、名古屋につきましては、いまのところ出資は、港湾管理者、民間資金が一対一の割合で出していただく。これが管理者一割、会社一割になりますか、あるいはもうちょっとふえますか、未定でございますが、大体一対一の割合というふうに私ども考えてございます。それから、それに無利子融資が入ってくるということでございます。
  244. 赤松勇

    赤松分科員 これを、たとえば補助金等の交付の条件の中で貸し付け条件を規制していくというようなことを考えていらっしゃいますか。
  245. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 無利子融資の貸し付け金を国が管理者に出しまして、管理者がそれを貸し出すという形で、その場合の条件はお説のとおりでございます。
  246. 赤松勇

    赤松分科員 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の第七条に、「各省各庁の長は、補助金等の交付の決定をする場合において、法令及び予算で定める補助金等の交付の目的を達成するため必要があるときは、次に掲げる事項につき条件を附するものとする。」とあって、三項のところに、「前二項の規定は、これらの規定に定める条件のほか、各省各庁の長が法令及び予算で定める補助金等の交付の目的を達成するため必要な条件を附することを妨げるものではない。」と、ここでは非常にきびしく規制しておりますね。その次に四項では、「補助金等の交付の決定に附する条件は、公正なものでなければならず、いやしくも補助金等の交付の目的を達成するため必要な限度をこえて不当に補助事業者等に対し干渉をするようなものであってはならない。」と、ここで公正を強調しておりますね。この辺の調和というものを考えてみますると、この補助貸し付け条件、つまり補助金等の交付の条件の中で具体的に規制するのはどういう方法なんですか。
  247. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 貸し付け条件で考えてございますのは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、事業計画内容、それから建設計画あるいは業務方法等でございます。
  248. 赤松勇

    赤松分科員 さっきの御答弁の中に、資本の構成については管理者側が一、民間の参加する企業が一、一対一という関係でやりたい、こうおっしゃいました。現地で非常に心配しているのは、企業の出資が多くなりますと、どうしても発言権が強まってくる。そうすると公共性が侵されるということを非常に心配しております。現在参加を予定されている企業は六社といわれておりますが、その六社の名前を明らかにしてもらいたいということが一つです。  それからいま一つは、そういう場合はないと思いますけれども、京浜もしくは阪神——阪神は非常に近いですね。阪神よりも著しく料金が高くなったという場合、これは阪神のほうにそれが逃げていくおそれもございますね。非常に安くなったという場合は私はそう問題はないと思いますが、非常に高くなった場合、そういう場合のコントロールはどんなふうにしてやるのですか。民間資金ですから商法上の権利を持っておりますから、もし、私はいやだ、もう参加しない、出資金返してくれといって逃げるような場合は、どうしてこれを規制されますか。
  249. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 会社の設立のはっきりした目論見書がもちろんまだできておりませんのではっきりいたしませんが、六社とおっしゃいましたのは、現在フルコンテナ船を就航している会社のことと存じますが、日本郵船、商船三井、川崎汽船、山下新日本、ジャパンライン、昭和海運ということでございます。ただ、船会社に限定するかどうかということは、今後、管理者と、民間資金が入る場合の出資者のネゴの問題だと存じますが、それ以外に地元財界の金が入っても支障はないというふうに私考えております。
  250. 赤松勇

    赤松分科員 大蔵省に聞きますと、資本構成の案としてこういうことを考えているということを言っておりました。もちろんこれは、あなたたちと十分相談をして最終的にきめると思うので、これはおそらく大蔵省の案だと思うのですけれども、無利子の融資が一〇%、それから特別転貸債が三〇%、港湾管理者と海運会社が六〇%。先ほど局長の答弁ですと、これはフィフティー・フィフティーにするというお話でありますから、大体半半の出資ということになってまいりますね。このように了解しておいてよろしゅうございますか。
  251. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 最後はその六〇%のうちの何割かが資本金になりまして、残りが借り入れ金なり社債なりということに相なろうと思います。
  252. 赤松勇

    赤松分科員 残念ながら時間の点がありますし、ほかの問題がまだありますので、最後にお尋ねします。もっとお聞きしたいけれども委員会でやりましょう。  それで、名港管理組合から職員の出向というような事態も起きてくると思う。これは名港管理組合の職員諸君が港の実情を一番よく知っております。その面では技術家ばかりそろっておりますから、そこで当然出向という事態が起きてくる。そういう場合に、私企業のほうに移るのでありますから、労働条件の上で、たとえば既得権を侵される場合がある。名港管理組合で持っておった既得権よりも著しく低い労働条件、つまり既得権を侵害されるおそれも出てくるわけです。この前も局長お願いしたように、これは自治省の公務員課あたりとも、出向するのに必要な既得権を尊重する、こういう点について十分話し合っていただいたらどうか。既得権を私企業の中で守っていくことは非常に困難です。本来これは労働組合と経営者が契約するものですから、団体交渉で労働協約を結ぶべきものでありますけれども、こういう形で出向するのですから、その場合はやはり、管理者側も、あるいは監督官庁も、そういう点は十分配慮してやらなければならぬと思いますが、その辺はどうですか。
  253. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたように、確かに当事者同士の問題かもしれませんけれども、管理組合なり、あるいは私どもなりも、できるだけお力添えして御趣旨に沿うようにしてまいりたいと思っております。
  254. 赤松勇

    赤松分科員 できるだけ既得権を守るようにするとおっしゃいますけれども、非常にむずかしい問題があるということは、私も百も承知なんですよ。何も局長をいじめようとか、運輸省に対して何か議論しようとか、そんな気持ちは毛頭ありません。やはり出向する職員の立場に立って考えてやらなければならぬと私は思う。したがいまして、その辺が現地の労働組合でも相当問題になっておりますので、ひとつもっとはっきり既得権を尊重する具体的な方策についてお伺いしたいと思います。
  255. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 私どものほうは監督する立場にございますけれども、どうも労働問題まではちょっと監督いたしかねると思いますけれども、実体論として、先生のおっしゃった御趣旨を管理組合のほうに伝えまして、御心配のないようにいたしたいと考えております。
  256. 赤松勇

    赤松分科員 たとえばこういうことはできますね。おたくのほうが直接労働問題に介入しなくとも、管理組合というのは県市が共同出資しております。その管理者は二年ごとに知事と市長とで交代するわけです。その管理組合の長に、国会でこういう意向もあり、現地の労働組合でも相当心配しておるから、この種の会社が設立されていよいよ出向という具体的な事態が起きたときには、できる限り既得権を守るようにしてやれというところの指導はできますね。それはどうですか。
  257. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 ただいまお説のような指導というものは、ちょっと語弊がございますけれども、話はできると思います。
  258. 赤松勇

    赤松分科員 まだ聞きたいけれども、時間がないから次に移ります。もう港湾局はけっこうです。どうも御苦労さまでした。  次は国鉄のほうにお尋ねしますが、名古屋市長からあなたのほうに、御承知のように、中央卸売り市場が非常に狭くなった、これについて市場の用地を必要とするというので、国鉄に対しまして、白鳥駅の付近にあります貯木場を含めた空閑地などをぜひ払い下げてもらうよう要求しております。これに対しまして、白鳥駅整備計画関連するので検討する旨の回答があった。こういうように私、市長のほうから伺っております。この点はどうなっておりますか。
  259. 長浜正雄

    ○長浜説明員 ただいまの白鳥駅の構内の払い下げについての先生のお話、確かに四十三年、いまから言いますとおととしの春、市長から名古屋の管理局長あてにそういう趣旨の手紙をいただいております。それに対しまして国鉄としては、先生に申し上げましたように、計画を検討しておりますからお待ち願いたい、こういうことをお答えいたしました。と申しますのは、先生御承知のように、名古屋付近は非常に最近工業が発達しておりまして、それによりまして発生いたします輸送貨物が相当ふえております。これは全国的に見ましても、鉄道に乗ります貨物の趨勢から考えましても、非常に大きなパーセンテージになっておるようでございます。これは、それだけ名古屋地帯の勢いが非常に強いのであろう、こういうふうに私たち想定しておりまして、それに合いますように、名古屋付近の全体の貨物駅の計画、あるいは途中の線路の計画、これらをいま総合的に検討して、一部は御承知のように実施しております。と申しますのは、笹島の改良だとか、あるいは八田の貨物駅をつくりますために、地元の先生方はじめ皆さんにいろいろお世話になっておりますけれども、用地買収を進めまして、ここに約六百万トンぐらいの貨物駅をつくるというような計画、あるいは関西線の線路の計画、いろいろなことをいま計画に進めておるわけでございます。  特にまた、最近の国鉄の貨物の状況を見ますと、昔のようないわゆる荷馬車的な貨物の輸送をしておった時代から、いわゆるフレートライナーとかあるいはコンテナというようなものに代表されます物資別、あるいは地域を固めまして、その地域相互を直通する貨物輸送、こういうことに重点が移りつつありますし、またそうしなければ一般の需要に追いつかない、需要をまかなうことができない……
  260. 赤松勇

    赤松分科員 お話し中失礼ですが、私の時間が五時二十五分までしかないのですよ。あなたの前段の説明を聞いておると、国鉄当局の長期計画をずっと述べられている。私の質問に答えてください。白鳥駅の整備計画はどうなっていますか。
  261. 長浜正雄

    ○長浜説明員 それで、その中の一環としまして、白鳥駅は全体の中の一環として、将来とも約百万トンぐらいの貨物駅に整備をしなければもっていけないだろう、こういう計画を持っております。その計画をつくりました上で、なおかつ用地が余るかどうかということを検討しておる、こういうことでございます。非常に失礼いたしました。
  262. 赤松勇

    赤松分科員 時間がありませんので、たいへんどうも失礼しました。その点を至急ひとつ名古屋市や現地の国鉄の皆さんに指令してよく話し合ってみてください。  それからもう一つは、あの引き込み線のそばに日比野の踏切がありますね。あそこは幹線道路は一本だけなんです。あの踏切ですごく市民は困っておるわけです。あれについてはどうなんですか。
  263. 長浜正雄

    ○長浜説明員 おっしゃいますのは、白鳥の引き込み線のところに市電と平面交差しております踏切かと思いますが、おっしゃるように非常に混雑をしております。われわれとしても、普通の遮断機のような方式ではいけませんので、道路優先の交通標識、こういうことでやっておりますけれども、なおかつ非常に混雑が激しいので、国鉄としてもこれは立体交差にしたほうがいいのじゃないか、こういうふうに私たちも思っておりますが、何ぶんにもこの発動のほうは市当局のほうになりますので、私たちのほうも、市当局からそういう発動がございましたら受けて立つ、こういうつもりでございます。
  264. 赤松勇

    赤松分科員 それでは市のほうからさっそく話をさせますから、それを受けて立って、至急あそこを高架にするとかなんとか、白鳥駅の整備計画とあわせて考えてください。  建設省来ていますか。一昨日、名四国道の件で中部地建が、いま竜宮町から北頭まで着工してない分を昭和四十七年の八月までにとりあえず平面にして貫通をさせる、そのあと高架橋をつくるということを言っておりますが、それはどうですか。
  265. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 ただいまの北頭と竜宮町との間の二・四キロにつきましては、四十五年度から高架橋の下部工事に着手いたしまして、四十七年度までに完了することになっております。新聞の記事を私、存じませんが、おそらく、現在の道路二・四キロの間がまだできておりませんので、直角に曲がって街路を使っておるような形でございますが、そこの交差点の立体交差のことじゃないかと思いますけれども、交差点を除きまして、私の申し上げるのは二・四キロの区間は全部高架橋でつくるということでございます。
  266. 赤松勇

    赤松分科員 計画によると、コンクリートの高架橋は全体六車線でとりあえず二車線を確保する、こういっております。この高架橋というのは大体いつごろまでにやるつもりですか。
  267. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 先ほど申し上げましたように、昭和四十五、四十六年度二年間で下部工事を終わらせまして、四十六年度、七年度の二年間で上部の二車線をつくるということになっております。したがいまして、四十七年度には完了するということになっております。
  268. 赤松勇

    赤松分科員 六車線は。
  269. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 とりあえず二車線でございます。六車線はその後の交通の事情を見ましてやることになっております。
  270. 赤松勇

    赤松分科員 計画はあるけれども実施期日はきめてない……。
  271. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 とりあえず二車線で実施しようと思っています。
  272. 赤松勇

    赤松分科員 あなた一ぺん行ってみなさいよ。いま四日市まで全部通っているのですよ。河野一郎さんがずいぶん骨折って全部通したのですね。ところが、あそこだけぽつんと切れている。買収に手間どって、ここ三年ぐらいかかって全然あそこでストップしている。二車線通すというが、六車線にするという計画なんだ。ところが、計画はあるけれどもいつのことかわからぬというような無責任な答弁じゃ困ります。全然計画はないのですか。計画はあるのでしょう。計画があるなら、大体いつごろまでにやるかということを言ったらどうです。
  273. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 とりあえず二車線と申し上げましたが、引き続きすぐ四車線の予定はしておりますけれども、新五カ年、今度四十五年度から発足するその中で検討することになっております。現行五カ年では実は二車線しか見ていないということは事実でございます。
  274. 赤松勇

    赤松分科員 それでは時間がないようでありますから……。  そこで通産省公害部長、これが一昨日愛知県会で問題になったものなんだ。これは朝日新聞ですけれども、こんなにでかく取り上げている。一面のトップです。これほど関心がある問題なんです。いいですか。これは毎日新聞。それで何が問題になったかというと、高潮防波堤がありますね、伊勢湾一帯に。これは災害を防止するためにつくったわけだ。高波を防ぐために。ところが、最近市内の工場から出す廃液が流れ込んで、それで防波堤のために外へ流れていかないわけです。非常に汚染度が強くて、現地では非常に問題になっている。  もう一つは大気汚染ですね。ことに富士製鉄が知多に工場をつくりまして、そして公害が激しいので、それにこたえて煙突を高くしましたね。高くしたところが、それがまた逆効果で市の中心部にまでばい煙その他大気汚染が激しいということで、たいへん県会では問題になったのです。それで知事は国と協力して、何とかこれを防ぐように、たとえば燃料を改良するとか、あるいは鉄鉱石を変えてみるとか、そういうことでもっていろいろ努力したい。それから伊勢湾の汚染についても、あなたのほうと協力してひとつ汚染を防ぐようにやってみたい、こう言っておるわけです。  それで運輸大臣、この運輸省港湾部の話は、それはもう企業側の責任で、企業のほうで防止をしてもらわないことには、つまり通産省でやってもらわないことには、運輸省は何ともならないのだということを言っておるのです。これについて、もちろん計画があると思うし、これから現地の県市と協力して公害防止のために努力してもらえると思うが、この点はいかがですか。
  275. 柴崎芳三

    ○柴崎説明員 お答え申し上げます。  まず防潮堤の関係でございますが、通産省で、大気並びに水質の汚濁に関しまして、産業公害総合事前調査という制度を持っております。これは、名古屋のような大工業地帯を中心にいたしまして、将来の四、五年先まで見込んだ会社の計画をとりまして、現地の気象条件あるいは海流条件その他をあわせまして、企業の計画を指導していくという計画でございます。名古屋地区につきましては、現に最近海水の汚濁につきましての一応の中間報告が出ております。その中間報告によりますと、確かに堤内の汚濁は非常に高いということで問題を指摘しておるわけでございますが、その調査であらわれた結果によりますと、海岸部に存在する工場からくる汚染と、それから庄内川とか日光川、そういった名古屋の市内河川からくる汚染、これが重合して、堤防による海流の阻害という問題とかみ合いまして非常に問題になっているというような結論でございます。したがって、われわれの対策といたしましては、まず第一に堤内の海域がまだ指定されておりません。したがいまして、水質基準もきめられておりません。企画庁と連絡をとりまして、できるだけ早い時期にこれを指定して水質基準をきめよう。その結果、少なくともその沿岸に存在いたします工場につきましては、排水を厳重に規制しようという考え方をとっております。  第二点は、市内河川の汚濁が非常に激しい。これは一部は都市下水による汚濁であり、一部はその市内河川の流域にあります工場による汚濁であるという点ははっきりしております。これはすでに地域指定されておりまして水質基準はありますが、その監督を厳重にし、かつ下水道の整備されていない地域につきましてはこれから大いに促進したいということで、建設省にもお願いし、市当局にもお願いし、その対策を進めておる。  それから第三の問題といたしましては、以上を総合いたしまして、できるだけ堤外に汚水を排水する方法はないものだろうかということで、現在主要の各工場と連絡をとりながらその技術的な問題を検討しております。  それからその中間報告で、この堤防につきまして、これは可能性の検討ということで一つ指摘いたしました点は、できればその中央部に門扉をつくりまして、それによって高潮対策に影響を与えるようなことは全然考えておりませんが、堤内の水の流れを順調に行なわせるような方法が考えられないものだろうかというような指摘をしておるわけでございます、これは人命にかかわる非常に重大問題でございますので、十分今後運輸省当局あるいはその他関係当局と相談の上、もし実現できるならば大いに検討してもらいたいということでございます。  それから大気汚染の関係でございますが……。
  276. 赤松勇

    赤松分科員 富士製鉄。
  277. 柴崎芳三

    ○柴崎説明員 富士製鉄の問題でありますが、現在富士製鉄に対しましては、やはり大気汚染の総合対策ということで、その一環としていろいろと指導をしておるところでございます。富士製鉄の現状は、大気汚染の寄与率から申しますと、焼結工場からの汚染が五〇%、それから自家発電から出てくる汚染が二〇%、したがって、この二つを押えれば大半の公害発生源が退治できるというような考え方で、焼結鉱につきましては、これはやはり硫黄分の少ない焼結鉱を輸入させるということで、現在マルコナというところから輸入しておるのでありますが、その輸入先を変えることによって硫黄分を落とさせる。それから自家発電につきましては、重油の硫黄分を落とさせるということをこの際相当厳重に進めておりますので、御心配のような汚染状況は早晩解決するであろうというぐあいに私は考えております。
  278. 赤松勇

    赤松分科員 ありがとうございました。
  279. 藤田義光

    藤田主査 赤松君の質疑は終了いたしました。広瀬秀吉君。
  280. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 運輸大臣に御質問をいたしますが、四十三年の十一月、国鉄財政再建推進会議が、国鉄の赤字線八十五線区、六千キロに及ぶもののうち、とりあえず八十三線区、二千六百キロはこの十年間に廃止をしなければ国鉄財政再建はならない、したがってそのとおりやれ、こういうような意見書を出したということから、今日全国各地で該当する線区までちゃんとあげて廃止の方向が打ち出されたわけでありますが、しかもその廃止というのは、線路を取りはずしてしまって営業一切やらない、こういう中身であるはずでございます。ことに最近、二月十九日でございますか、「国鉄財政再建に関する経営の基本的な計画」、こういうものの中で、その問題と関連する部面としては、「道路輸送への転換が適切と認められる線区については、政府の基本方針の趣旨にのつとりその転換を推進する。」こういうように変わってきておるわけであります。したがって、いま指定線区名をあげられたところはほとんど大部分と思いますが、それぞれ関係市町村等が反対の期成同盟というようなものをつくって、それ以来、推進会議のそういう意見書が出たあと、おそらく東京に何十人というような陳情団を繰り出しながら、たとえば私のところの栃木県あたりも、烏山線、真岡線、こういうようなところから、おそらく二、三十回きておるのじゃないかと思うわけであります。こういうような点を考えますと、この点は問題があると思うのですね。したがって、この基本計画からすれば、道路輸送への転換が可能だ、そういうような目安の立ったところをやります、こういう程度になっておる。だとするならば、八十三線区、二千六百キロを十年間にやるのだということで住民に不安を与えておかないで、もうこれはたな上げだ、これはやらない、したがってこういうような新しい基本計画でやるのです。いわゆる方針の転換というか、そういうものに変えたらどうなのか、こういう気がするのでありますが、運輸大臣、そこのところは、いわゆる赤字線区八十三線区、二千六百キロ、こういうようなものについて、この十年間にどういうような施策をやるんだということをこの際はっきりさせて、国民の前に、不安におののいている該当の線区沿線の人々に対して安心をさせてやってもらいたいと思うのですが、その点、大臣どうお考えでございますか。
  281. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 国鉄再建推進会議でどのような方針が推進されたかは一応聞いておりますけれども、これは、私のほうとしては正式なものとは考えておりません。したがって、国鉄から再建方針として内閣に出されましたいわゆる赤字線の廃止に関する方針ですね、これは抽象的ですが、これを基本として考えていきたい。したがって、できるだけ従来のせっかく引いた線はいろいろ検討した上で、これは御承知のように、あるいは道路に変えるようなものが出てくるかもしれませんけれども、しかしながら、いわれておるような線全体を考えてはおらない。そういう意味におきまして、国鉄から出されましたものは「最近における地域社会の実態に即応する効率的な輸送体系を確立するため、現在の駅配置を再検討し、最終年度までにその約四割について、業務の委託、取扱いの集約その他の合理化を行なう。」それから、その次の、赤字線といわれるのは第二項目ですが、「道路輸送への転換が適切と認められる線区については、政府の基本方針の趣旨にのっとりその転換を推進する。」こうありますが、いわゆるその現状、その内容等については、これから国鉄が政府と協議しながら進めていくことでありますが、御承知のように、地方に長い間不安を持たせることは好ましくありませんから、早急に具体的な方針を国鉄自身も考えるであろうと思います。しかし原則としては、せっかくできたものを頭から、これは赤字であるから廃止するというような方針は、われわれとしてはとっておりません。
  282. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 大臣のお考えはおおよそわかりました。赤字線だから、反対が非常に強いにもかかわらず廃止するというようなことはしない、国鉄から出してきたこういう方針というものを支持される、こういうことでございますね。  それでは具体的に、総裁もお見えでありますから、総裁のこの問題に対する国鉄側としての——いわゆる二千六百キロの廃止というものは、運輸大臣に正式に言っていないにしても、これはあまりにも公知の事実になっておるわけですね。全国みんな、おれのところが該当するんだ、おれのところが該当するんだという、そういうもので非常に問題になっておるわけであります。今度のこの基本計画では非常に抽象的な言い方に変わっておるわけですね。したがって、やはり本質は同じじゃないのか。先ほどあげたような八十三線区、二千六百キロというのはやりは対象になっているんだ、いつかは取られてしまうんだ、線路がはずされてしまうんだ、ここは線路がなくなってしまうんだということに対して、国鉄側としてのこれからこの問題に対処するしかたというものは、駅の整理、廃止であるとか、あるいは貨物取り扱いの集約であるとか、いろいろなその他の問題も出ておりますが、そういう駅の無人化というようなもので当分とってかわって、大体十年くらいは過ぎるんじゃないか、こういうことでございますか。そういうところを、国鉄側の考えをひとつ明らかにしていただきたい。
  283. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 これは、私ども再建計画を出しましてから、新聞、雑誌等で痛烈な批判を私自身が浴びている問題であります。私自身としては、いま大臣もおっしゃいましたけれども、この問題は初めから、赤字なるがゆえに撤去するということは実は申したことはないのでございまして、輸送量あるいはその他の条件からいって道路輸送でやれるんだ、道路輸送にすればそれだけ赤字が減るんだ、そういう意味で道路輸送への転換のできるものは一体幾らあるか。これは、いろいろ検討しました際には、七千キロくらいは道路でやれるんだ。これは諸外国にいろいろ例がございますので、二万キロのうち七千キロくらいまでは道路でやれる。しかし、いろいろな事情があるから、そのうちの二千六百キロくらいを、最も道路輸送をやりやすいからやろうじゃないかということで、八十三線区、二千六百キロというのが、おととし一線一線検討した結果出てきた数字でございます。私といたしましては、いまの御質問の、赤字だからやめるということよりも、このレールと車輪という大きなずうたいを持った、しかも人間のよけい要る輸送機関よりも、もっと手ごろな自動車と道路という輸送機関があるんだから、それでやったほうがいいんじゃないか。かたがた、それが国鉄の赤字の救済にもなる。こういう角度から、私どもとしては、道路輸送への転換が適切と認められるものについてはできるだけ道路輸送にしたいという強い決心を持っております。その二千六百キロがよりふえるか減るかということは、いま具体的に申し上げられませんけれども、私どもとしては、一つの目安として作業をしたものでございまして、二千六百キロくらいは、これは数的に見た場合、一応道路輸送への転換はできるという見当ができておりますので、一線一線について具体的に地元と御相談してまいりたいというのが私の決心でございます。
  284. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 運輸大臣と総裁の答弁はかなりニュアンスが違うわけであります。磯崎総裁は、これは一つの目安として十年間にできる限りはやりたい、そういう意味で地元とよく相談したい、こういうことなんでありますが、ここで問題になるのは、ここに書いてありますように、「道路輸送への転換」というものがスムーズにいくかということです。たとえば烏山線などにしましても、あの烏山から大金、仁井田という駅を経ながら宇都宮方面に通勤、通学をする人たちが、朝どっと来る時間帯はきまっているわけです。さらに今度は、帰りが五時なり六時なり七時なりというようなところに集中してくる。昼間は比較的閑散であるというようなことになるわけでありますが、約三千名に近い人たちを五十名ずつかりに乗せたとしたって、六十台のバスが必要だということにもなる。何回もやるわけですから、一気にどっと来るわけじゃないにしても、少なくとも三十台や四十台くらいのバスがそこを走らなければ、その輸送はできないということなんです。民間の企業としては、そういうようなことはなかなか採算ベースに合わないだろうというような問題もあって、道路輸送に転換をするということも非常に問題があるわけなんです。それは全国の八十三線区全部とは言いませんけれども、かなりそういうものに国鉄が利用されている。しかも、それが定期の客でありますから、運賃の寄与率も比較的低いというようなこともあるから、特にそういう経営というものを前面に出しますと、さらに輸送の効率体系というようなものからいっても、そう切りかえるんだと、いま総裁は言われたわけだけれども、しかし、詰まるところそういう問題にぶち当たってくる。道路輸送に切りかえるというものをどういう形でやるのか。それならば、国鉄もバス事業をやっているわけですから、国鉄の自動車輸送でそういうものを引き受ける考えがあるのか。そして、いまよりもそのサービスは低下させない、こういうようなことになるのか。あるいは民間の交通運輸機関に折衝してそういうものをやらせるのか。それは、いま申し上げたような事情で非常に困難もあるんじゃないか、こういうようなことになりますと、これは一体どういうように——われわれ絶えず地域の人たちから突き上げられる。そういうことだってあるじゃないか、早くおれたちを安心させてくれと言われている人たちに、こういう抽象的なことでは答えようもないわけです。だから、この辺のところを、いまの総裁の答弁と関連して、運輸大臣のもっとより高い立場から御所見を承りたいと思います。
  285. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 磯崎総裁の考え方も、これは企業者といいますか、立場からああ言わざるを得ないだろうと思うのです。また、ことに国鉄に対して独立採算制をしいている。かつての独占時代の当初、これは独占時代であったから、さようなことをしいられてもやむを得なかったが、その後における並行競争の現状においては、そういう独立採算制をしいるということにまず前提として無理があるんじゃないか。しかしながら、総裁としては、従来の歴史的な経過から見て、十カ年間におけるところの再建計画を立てる以上は、これは一つの重要な柱である。これは十年間に千五百億円のいわゆる赤字を生むということなんですね。問題は、千五百億円の赤字をどうするかという問題です、突き詰めて言えば。それが、たとえば電信電話公社が、電報の料金というものは収入の二割程度にしかすぎません。八割は電話収入でカバーしておる。これは、電信電話公社というものは全体としてのそういうプール計算ができるから、また一方、成長産業ですからいいんです。国鉄の場合は競争がある。そうなれば、そういう地方文化の向上なり生活圏を安定させるという一つの国の目的があるならば、国としては考えてやらなくちゃならぬ。だからして磯崎総裁から、そうなれば自分らは、十年間の再建計画はこれが一つの柱ですよ、もし政府なりあるいは国会なりがこれに対していわゆる待った、もう少し考え直さぬかというならば、この赤字はどうしてくれるんですかと将来開き直られるかもしらぬ。そういう点を考慮していろいろの案がありましょう。国が全部これを持つか、あるいは地方公共団体と一緒になってこれを経営するか、いろいろの問題があります。いずれにしても、せんだっても新線が開通しました。これも赤字だろうと思うんですね。けれども、村人がその鉄道が来たことによって喜び、いわゆる民族的と言ったら大きいかもしらぬけれども、その地方民のいわゆる士気をふるい立たせる上にこれは非常に重要である。金にかえられぬ問題である。そういうことを十分に私は考えてまいりますので、あまりこの点はこまかくおつきにならぬでほしい、かように考えます。
  286. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 最後のところは、ちょっとなおひっかかるのですけれども大臣は国の責任者として非常に理解のあることばが冒頭にあったわけなんですが、フランスの国鉄、これは御承知のように、五〇%国が出資して、あとは民間の資本が入っておるということで、完全な意味での国鉄ではないにもかかわらず、そういう形になったときに協定が国との間に結ばれておって、その十八条、十九条、二十条あたりのところで、いわゆる分担金、補償金というようなものがフランス国鉄予算の二四%、これは一九六七年の資料ですが、二四%なんですね。それだけ出している。それでもなおかつフランス国鉄はまた赤字で、少しいま頭をかかえている状況のようであります。  ところが、いま後段のほうでおっしゃった、総裁からも相当経営者的な立場での突き上げがあって、今度の予算で百二十二億三千九百万円、補助金八十三億、再建債利子補給が三十八億ばかり、こういうことで、これを国鉄予算から見ましても一〇%程度にしかならぬということでありまして、この点まだまだ国は——少なくともそういう輸送まで国だからやらなければならないんですね。民間ならば、もう参ったと言ってお手あげで破産をして引き揚げてしまえばいいのですけれども、それができないというそういう国鉄の宿命に対して、そしてまた、いまおっしゃったように、過疎地帯であっても、そこの人たちが、鉄道が走っていることによってやはり国民的な士気、愛国心というようなものも、そういう中から、国がこれだけ犠牲を払いながらも皆さんに迷惑をかけないようにやっているんだ、損をしながらやっているんだ、こういうようなことを考えたら、やはりもっとこの問題については国自身の責任というものを大きくしていくべきだと考えるのですが、その点について大臣の御所見いかがですか。
  287. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 先ほど申しましたような決意を持って当たりますので、御安心を願いたいと思います。
  288. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 そこで、この問題で重ねてお伺いしたいのですが、予算委員会でお隣におります久保委員の質問に対して、いわゆる閑散線区、赤字線区というようなところで将来特別運賃、特別なキロ当たりの賃率をきめたい、一般の賃率と違う特殊な賃率を用いるというようなことで、赤字を少なくしていくことも考えるというようなことを新聞だけで私見て、まだ議事録が出ておりませんので拝見しないのですが、正確にその辺のところのお考えというのは、大臣はいまお持ちでございますか。
  289. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 そういった一つ考え方もありますが、それでもって全部を補うということは、これは無理です。ほんの一部にすぎないでしょう。先ほど言ったようなあるいは特定な会社をもってこれを維持するかということも一つの案だし、あるいは特定運賃というものを考えることも一つの案だし、同時に、四十五年度の予算で百二十四億円というものを国が出しました。いまだかつてないことです。かつて四十三年度予算に、私が総務会長のときに中に入りまして、三億円の利子補給をした。それ以外にないですよ、いままで国は。それでいろいろな制限を与えております。これは無理なんです。これは国鉄の人でありませんけれども監督官庁から見てもですね。そういう意味で、やはり今後の国鉄再建に対してもっと政府が力を入れてやる。同時に、いやしくも地方線としてできたものは、何もかもはずさぬとは私は言いませんけれども、しかしながら、原則として再建できるもの、あるいは再建しなくとも、実際上赤字が続くにいたしましても、そういうものについては、先ほど申しましたようなその地域の士気を阻喪するようなことはしたくない。     〔主査退席、渡辺(栄)主査代理着席〕 民族の精神作興のためにもしたくないので、したがって、最善の措置を講じて、いわゆる地方住民のそうした要望にはできるだけ沿うような方針でいきたい、かように考えております。
  290. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 総裁にお伺いいたしますが、先ほど道路輸送への転換という場合に、これは国鉄が引き揚げたあと、民間のバス事業あるいはトラック事業も中にはあるかもしれませんけれども、主として問題になるのはバス輸送への転換だと思うのですが、そういうものをスムーズに民間の業者が引き受けていくというようなことは、非常にむずかしい面があるだろうと思うのです。そういう場合に、国鉄自身がバス事業に転換したほうが、あるいは採算の面ではかりに赤字が出ても、鉄道を動かしているよりは赤字が少ないということになるかもわからぬ。大体そういうことは予想されるんですね。そういう場合に国鉄バスを代替するというような考えというものは、具体的に線区を洗っていってそういうことも多くの場合考えるのか、非常にまれな、レアケースなのか、そこら辺のお考えを述べていただきたいと思います。
  291. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 過去すでにやりました線について具体的に申し上げますと、民間のほうでぜひやりたいというところは、やっていただいております。ただし、運賃が非常に違いますので、ある程度ある期間を限りまして、うちのほうから民間のほうへ運賃の差額を補給するというふうなことをやって、民間に移した例が福井県に一つあります。あとは大体福島県の例、それから奈良県あるいは滋賀県、これはいずれも国鉄バスで自分でやっております。  いま私どもで試算いたしますと、もしかりに二千六百キロを全部バスに取りかえたといたしますと、百五十億の赤字が大体一割五分くらいで済むだろう、二十億以内で済むだろう、こういう計算になるわけです。ですから、先ほどいろいろ鹿児島の話も伺っておりましたけれども、まだまだあの大きな汽車をころがすよりもバスのほうがずっと経費が安いということ、これは福島県、奈良県、滋賀県、福井県、いずれもやったところでもってその実績が出ております。私どもといたしましては、もし民間でやりたくないというところがあるならば、私のほうのバスをやってもいい、こういうふうに考えております。しかし、何か私どもがやるといいますと、すぐに民営圧迫だという声も出ますので、なるべく民間の方にやっていただいて、もし引き受け手がないならば私のほうで自分でやらしていただきたい、こういう考えでございます。
  292. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 そうしますと、そういう覚悟も持っておるということなんでありますが、民間との協力を得るというようなことが第一次的には考えられる。しかし、そういう場合は比較的少ないんじゃないかと思うのですね。特に先ほど申し上げたような通勤通学時間帯が、朝と晩の限られた時間帯に集中するというような場合に、そういうようなものを十分考えた場合、たとえば、それでは真岡線なり烏山線というような場合に、あそこでは自動車営業所も烏山にはあるわけだけれども、そういうようなことをかりに烏山線ということに想定をしたら、どういうような台数を備えてやり得るかというような検討などはしたことがありますか。
  293. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 実は烏山線とちょっとケースは違いますが、過般新潟県の中で、飯山線というところでトンネルがつぶれまして、そして相当多数の、千人以上の通勤通学生が通えなくなりました。そのときに、うちのバスを急遽二十台ほど手配いたしましてやりましたけれども、やはりしばらくやっているうちに地元のバス会社がぜひやらせてほしいということで、私ども地元のバス会社にお譲りした例がございます。案外たとえば観光バスその他でもって時間のあいているときが相当あるようでございまして、思ったほどいやだというようなケースよりも、やってみたいということをおっしゃる場合が多いわけであります。しかし、いまの具体的に烏山線で何台ということは、ちょっといま——すぐあとで申し上げますけれども、大体計算は各線ごとにもし、うちでやった場合にはどうなるかということは、全部試算でできております。
  294. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 そういう試算がありましたら、あとで資料として御提示いただきたいと思うわけです。個人的にでもけっこうでございます。  そこで、基本計画によりますと、国鉄合理化というものが非常に促進をされるということで、そのうちこの十年間に六万人の人員を減らしていく、こういうようなことにもなるわけでありますね。これは、その中で赤字線の問題がどれだけ寄与率を占めるかは一応たな上げにいたしまして、そうなった場合に、これからの国鉄の輸送というものを非常に高速化する、しかも大量化する、大型化する、大型輸送、フレートライナーのようなああいうものにどんどんなってくる。あるいは海陸一貫輸送、コンテナ輸送というようなことも考えられてくるだろう。そういうようになりまして、特に高速時代になってくることは、客貨それぞれの列車がそうだと思うのです。そういった立場で保安の問題との関連について、一体心配はないのかどうか、この辺のところについて十分な成算があるのかどうか、具体的にひとつ現在構想されている——そういう心配がわれわれにある。この問題についてどうお考えなのか。
  295. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 保安の問題は、かねがね国会からも十分いろいろ御注意を受けておりまして、私どもも、まず営業の真髄は保安だという精神だけは忘れないつもりでおります。  いまのお話で、貨物も旅客もこれから相当スピードアップしてまいりますけれども、やはり線路の状態あるいは車の状態を十分検討した上でスピードを上げていくということで、たとえばいま旅客列車を百三十キロに上げる上げないでいろいろ議論しておりますけれども、上げるにいたしましても、車の台車自体から変えていくというふうに、根本的な走る部分から変える、あるいは線路も軌条を強化して使うというふうなことで、保安については、線路、車両並びに乗務員につきましても全力をあげてやってまいりたいと思います。大体年間平均、いままで毎年二百億以上の金を保安につぎ込んでまいりました。おかげさまで過日大臣からも、五年間お客さんを一人も事故でもって死に至らしめたことがないということで、御苦労であったというねぎらいのことばもいただきましたけれども、私どもといたしましては、今後とも全力をあげて、保安についてはあらゆることに優先して金をつぎ込んでいきたいという気持ちでおります。
  296. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 運輸大臣、現在国鉄財政再建の十カ年にわたる展望も示されて、閣議でも了承しておるわけでありますが、四十五年度に千二百五十六億の赤字が予想される。しかし、これを四十八年度には千百四十七億くらいに減らしていこう、五十三年には二百三十四億ぐらいの黒を出そう、こういう計画なんでありますが、この中身は、やはりかなり無理をした形での赤字線の廃止というようなことも行なわれる可能性が十分含まれているし、さらに、国鉄職員の給与の引き上げというようなものなんかも九%くらいに、いわゆる支出のほうは低く押えながら、計画の中に九%というのは、おそらくこんなことでちょっと済むまいという感触をわれわれも持っておるわけです。しかもそういうふうにつじつまだけは五十三年に何とか黒が出る、償却も黒にしたいのだ、こういう計画は、言うならば国鉄にとっては非常に悲壮な計画だと思います。おそらく運輸大臣になられて橋本大臣もそういうお気持ちでこれを見られておるのではないかと私は思うのでありますが、そういう中で、やはり先ほど大臣も、できる限り国鉄財政に対する国の責任というものを増大させていくという御決意を述べられたわけでありますが、その中で、現在地方公共団体に、いわゆる国鉄の国定資産税分というか、所在市町村にある国鉄に対しての固定資産税相当分というものが、納付金の形でおそらく百二、三十億になっていると思いますが、そういうものが納付されている。そういうものなどを、国鉄がこういう赤字で、もう四苦八苦でほんとうに再建しなければならぬという形の中で、しかも国民が望まないような無理した、線路をはずしたり赤字線を廃止したりなどということをやらなくても済むようなものにだんだんなっていくために、せめて赤字がある再建期間ぐらいは、その分は一時たな上げをするというような措置は、これは自治省なりあるいは大蔵省などと運輸大臣の立場において、百何十億というものは非常に大きいわけであります。そういうことで、これらの問題についても、これは十分考えられ得ることではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、いかがでございますか。  その問題と、もう一つ通行税が、いまでも戦時中の遺物であるわけなんですが、国鉄関係で約二十八億の通行税がかかっております。これを、こういう再建段階における、しかも国鉄が国民のためにほんとうにサービスする輸送機関として成長するために、そしてその中でいろいろ問題が出てくる、特に保安の問題などについての施設などもどんどんかかってくる。そういう中で、これを目的税的にして保安のために国鉄に使わせるということなどについても、これを主張すべき時期であろうというように私ども考えるのでありますが、それらを含めて、これから国がどういう形で具体的に国鉄財政に対する寄与を、すでにきめられた補助金と再建債の利子補給というだけでいったのでは非常に不十分なものであり、大臣が願っているような、先ほど赤字線問題等について大臣が答弁されたような気持ちをあらわしていくためには、より一そうの政府の具体的な財政援助というものが必要になってくると思うのですが、いまの提言を含みまして大臣の御所見を承って、終わりにいたしたいと思います。
  297. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 百二十億のいわゆる固定資産税相当金の問題は、去年でしたか、一部引き下げることができたんですが、これは何とかだんだんと考えていかなくちゃならぬのでありますが、再建計画の中で一応この問題を出す形でできておるようであります。しかし、この再建計画は、おっしゃったように各方面でいじめられておるから、たとえば賃上げも九%でこの辺で押えたいといっても、実際上なかなかそういくかどうかわかりません。あるいは物価の問題等も将来影響してまいりますので、そういう意味で、おっしゃるように、この再建計画国鉄としては血の出るような、無理に無理を重ねた案だろうと思います。しかしながら、これはやらざるを得ない。政府がどまで力をかすかということが、結局は最終の手段になると思うのです。そういう意味で、いま申したような話も、通行税を目的税的なものに考えるかどうかという問題もありますが、もっと基本的に、それは税の体系からいいまして一たん国の収入になることは当然でしょうから、それよりはやはり国鉄をどう政府が考えるんだ、この全国地域開発あるいは国民生活の向上、こういう大きな仕事国鉄としてしょわせるなれば、国はどこまで協力をしなくちゃならぬ、この基本的姿勢がまず大事なんです。二十億や三十億の問題でないのです。そういう問題をもっと政府自身も考える。国鉄も勇気を持ってそれを主張するんですね。あるいはいま言った納付金の問題につきましても、地方の諸君がすぐ大きな旗じるしを掲げて反対運動に出ます。こういう方々も、これは十分に考えてもらわなければならぬ。国鉄を殺すのも生かすのも、その環境を取り巻く諸君の問題でもある。そういう意味において、私は根本的な問題から突き進んでいきたい。枝葉末節の問題——枝葉末節とは言いませんけれども、しかしながら、重大な問題は、基本的に国鉄に対して国はどういう責任を負わせるんだ、それに対して国はどれだけ積極的なバックアップをするんだ、こういう姿勢で進んでいきたい、かように考えております。
  298. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 以上で終わります。
  299. 渡辺栄一

    渡辺(栄)主査代理 古寺宏君。
  300. 古寺宏

    古寺分科員 ただいまの御質問の中にだいぶ私がお尋ねしたい問題も含まれてございますので、簡単にお尋ねをいたしたいと思います。  まず最初に大臣にお尋ねしたいのは、ローカル線の廃止の中で、特に積雪地帯におきましてはローカル線はただ一つの命の綱でございます。このローカル線を廃止した場合には、地域住民というのは生活の上に非常に支障を来たすわけでございますが、大臣として積雪地帯のローカル線の廃止についてはどのようにお考えになっていらっしゃるか、まず最初に承りたいと思います。
  301. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 おっしゃるように、積雪地帯では車を通す場合、なかなか道路の管理がむずかしいのであります。そういう点もありますからして、ローカル線の廃止の場合には、そういう条件を十分に考慮して検討したいと考えております。
  302. 古寺宏

    古寺分科員 次は、国鉄総裁にお伺い申し上げます。  国鉄再建案で今後十年間の計画がきまりました。その中でローカル赤字路線を道路輸送機関に転換させる、また赤字線を廃止しない場合には、料金については割り増し料金を検討中である、そういうことを聞いておりますけれども、東北、北海道等の積雪地帯におきましては、先ほども申し上げましたように、一本の鉄道が命の綱になっているような実情でございます。その命の綱ともいうべきローカル線の廃止につきまして地域住民が反対の立場をとるのは当然のことと思いますが、そこで国鉄財政再建基本計画のねらいは、五十三年度までに二回の運賃値上げ及び貨客輸送の増加による増収対策と、赤字の原因を少なくするということにあるようでございますが、この値上げの具体的方法、特にローカル赤字路線の運賃については基本的にどのようにお考えになっておられるか。  また、ローカル線の対策につきましては、昭和四十三年秋に、国鉄諮問委員会あるいはまた財政再建推進会議が、全国の八十三線区、二千六百キロの赤字路線をすべてバスに切りかえるべきである、そのように指摘しているのに対しまして、今度の再建計画を見ますと、業務近代化合理化施策の中で、道路輸送への転換が適切と認められる線区については、政府の基本方針の趣旨にのっとってその転換を推進する、そのように書かれてございます。今後この八十三線の中で適切なものはどうか、そういう点についてどのような検討がなされたか。また、先ほど申し上げました積雪地帯の赤字ローカル線についてはどのようにお考えになっておられるかということについて、お尋ねをしたいと思います。
  303. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 積雪地帯の問題につきましては、先ほど大臣もおっしゃいましたように、道路が舗装できればあと除雪はできるわけです。私どもといたしましては、建設省お願いして市町村道の舗装をぜひやってほしい。そうすれば除雪機械だって入るじゃないか。市町村道というのは除雪しないものだときめておることはおかしいと私は思いまして、その点は、ぜひとも積雪地帯でも道路が使えるようにするのが第一だと思います。それは徐々にそういうようになってくると思いますけれども、それまでは、場所によっては鉄道以外に全くないというところもあるかと思います。それは付近の道路状況等とよく見合った上で、廃止するにいたしましても何にいたしましても、その時期を十分考えていきたいと思います。  それから、ローカル線の運賃を高くするかどうかというお話がちょっとございましたけれども、ごく簡単に数字を申し上げますと、たとえばいまの八十三線区の収入は、四十三年度でわずか六十億でございます。経費が二百十億くらいでございます。ですから、もし収入で経費をまかなうとすれば、三倍に上げましてもまだ経費が足りない、こういう実情でございます。したがって、もちろん三倍に上げるというようなことはできるわけでもございませんので、運賃を上げて経費をカバーしょうというのは不可能だと私は思っております。現に昭和三十五年に、全国四千四百カ所につきましてそういう制度をとったことがございます。大体旅客は五割、貨物は倍という運賃をとりました。しかし、やはりその地域の住民の反対が非常に強くて、約一年間でやめた経験も実は持っております。したがって、ローカル線の運賃を上げてローカル線だけでカバーしようということは、非常にむずかしいのじゃないか。全体としての考え方からいかないと、そこの収入で経費をまかなうということは、いまのところでは不可能に近いことだというように私は考えております。  それから八十三線区全体の問題につきましては、先ほど広瀬先生に申し上げましたとおり、私どもといたしましては、とにかく道路でいいところ、道路のような手ごろな交通機関で済むところは、ぜひ道路に切りかえたいという気持ちは変わりございません。
  304. 古寺宏

    古寺分科員 一例を申し上げますけれども、御承知のように青森県の大湊、大畑線もこの廃止の八十三線の対象になっているわけでございますが、この路線が廃止された場合には、今後の下北地方の発展あるいは住民の生活に大きな支障を来たすわけでございます。運輸省では、御承知のように、新全総計画によって大規模工業地区というものを陸奥湾、小川原湖に計画されておるようでございますが、こういう点について、十二分に将来的展望に立ってこの廃止の問題を考えられたのかどうか、その点についてお尋ねしたいと思うのであります。
  305. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 小川原湖のほうの開発につきましては、あの大湊線、大畑線とは直接関係ないと思います、少し南のほうでございますから。むしろ陸奥湾の開発のほうが関係があると思います。ことに原子力船の港の問題がございます。これらにつきましては、実はあの線を十勝沖地震のあと復旧するかしないかという問題が起きましたときに、多少そういう話も出ておったわけでございますが、まだ具体化しておらなかったわけでございます。最近、御承知かと存じますが、一体今後大湊線、大畑線をどうするかということについて、国鉄はやめるという、地元は反対だという、これじゃもう話がつきませんので、一応お互いに一ぺんゆっくりひざを突き合わせて話をしようということで、県並びに地元市町村に入っていただきまして協議会をつくりまして、数日中に地元の方方もきまることになっております。一体ほんとうに今後お客さんが幾らふえるのか、荷物が幾らふえるのか、ほんとうに大湊線なり大畑線というものが、将来とも下北半島の開発にそれだけの効力を発揮するのかどうかということについて、具体的にひとつ数字を出し合おうじゃないかというような話し合いになりまして、知事が中に入られまして、いまそういう協議会をつくったところでございます。それによって、もっと抽象論でなく具体的に——私のほうでも旅客、貨物がどんどんふえるなら何もやめる必要はないのでありますから、ほんとうにふえるのかどうかということについての実証的な数字を検討いたしたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  306. 古寺宏

    古寺分科員 ただいま協議会のお話が出ましたけれども、この協議会につきましては、国鉄本社においては廃止を前提としない協議会である、ところが盛岡の鉄道管理局のほうでは廃止を前提とする協議会である、そういうような意見の食い違いがございまして、非常にこの協議会がおくれておったわけでございますが、総裁は、この協議会についてはどのようにお考えになっているか。  それから現在、十勝沖地震以後、この大湊、大畑線のダイヤあるいは貨車輸送というものが、地震以前に復元をされていないわけでございます。この点につきましては、当然増収対策として以前の状態に一日も早く復元すべきであると考えますけれども、どういうわけで今日なお放置しているのか。このままであればますます赤字が増大していくんじゃないか、そういうふうに思うわけでございますが、この点についてもあわせてお答えを願いたいと思います。
  307. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 協議会につきまして多少意見と申しますか、私どもの言ったことが食い違ったようにとられておりますけれども、廃止を前提とするなら、何も協議会をつくらなくてもいいと私は思っております。したがいまして、それについてほんとうにひざを突き合わせて数字を当たってみて、ほんとうに信憑性があるかないかということをお互いに確認し合った上で、だめならやめよう、あるいは絶対にだいじょうぶだ、あるいは期限を切って一年なら一年の間ひとつ実績を見よう、いろいろな相談のいたしかたがあると思います。したがって、もし現地の管理局長が廃止を前提としてつくると言ったといたしますれば、これは私は言い過ぎだと思います。したがって、この間も地元の方には、そうじゃない、廃止するかしないかということについていろいろ数字的に詰めてお話をしたい、こういうふうにはっきり申し上げた次第でございます。  それから、地震前への復旧の問題につきましては、大湊線はほとんど地震前と同じでございますが、大畑線の問題でございます。これは主として貨物輸送の問題でございますけれども、実際にいまあまり荷物がない。十分コンテナでもって間に合う。もし御要求があればコンテナを持っていって——何も線路の上を走らせないで、大畑線はすぐそばを道路が走っておりますから、コンテナでもって集荷しようということで、これも具体的にひとつ出荷の状況を見合った上で、荷物がほんとうにあるか、お客さんがほんとうにあるかということを前提にして、この協議会で具体的にお話を進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  308. 古寺宏

    古寺分科員 時間がないので次に移りますけれども国鉄は、財政再建を促進するために土地管理委員会を設けまして、国鉄が所有している全用地の有効利用をはかる計画を進めている、そのように承っております。国鉄の全所有地の中で約三%、二千万平方メートルが廃線敷を含む未利用の土地である、そういうようにいわれております。この土地の有効利用についての計画はどのように進められているか、お伺いいたしたいと思います。
  309. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 具体的なことは担当理事から申し上げますが、全体で申し上げますと、国鉄の持っておる土地は全部合わせますと大体琵琶湖くらいの広さになります。そのうちで確かに未利用地もございますが、いま一番問題になっておりますのは、今後いわゆる全国新幹線網などをつくる際に、結局一番問題は土地の買収でございます。私どもの持っておる土地をそのまま新幹線に使わないまでも、いわゆる代替地にするということで土地取得が相当容易になると思うものがございますので、今後いわゆる全国新幹線網などの問題が起こり得る可能性のある土地につきましては、十分そのことを考えませんと、いまうっかり処分してしまいますと、あとになって、何だ、たいへんなことをしたということになりますので、そのことを考え合わせた上で利用計画を具体的に考えてまいりたいというふうに思っておりますし、それから廃線敷につきましてはいろいろ問題もあるようでございます。具体的に担当常務から御説明させます。
  310. 長浜正雄

    ○長浜説明員 国鉄がいま現につかっておらない用地といういわゆる保留地は、先生は約二千万平方メートルと言われましたが、もうちょっと少ないのでございます。大体そう大差はございません。約二%余りが保留地になっております。  この保留地につきまして、これをどう使うかということは、先生おっしゃいましたように、土地管理委員会でもっていろいろ検討しております。それで、ほんとうに将来要るものと要らないものとに分けまして、要るものはそのまま保留してなるべく早く活用する、要らないものはなるべくそれを処分をいたしまして、その財産を処分することによって有効に使うというふうな方法をとりたい。そして保留にしておくものの中には、将来たとえばそこに貨物駅ができるということが予想される、貨物駅を拡張しなければならぬというような問題、あるいは駅舎を改築しなければならぬ、あるいは線路をふやさなければならぬというような事業用の用地、あるいはまた、業者のサービスのためにたとえば貨物の駅に倉庫をつくらなければならぬ、あるいは駐車場をつくる、こういうものをつくるために用地をとっておかなければならぬというようなものを除きまして、あるいはまた、いま総裁が申し上げましたように、将来全国に新幹線ができることが予想されますので、それに充当されるであろうと思われる土地あるいはそれのかえ地に使い得るであろうと思われるような土地は極力のけまして——といいますのは、新たに用地を買収しますのは非常にむずかしゅうございますので、そういうふうにしてまいりたい。それから廃線敷につきましては、なるべく要らないものは地元に売りたい、こういうふうに思っております。
  311. 古寺宏

    古寺分科員 また国鉄におかれましては、現在鉄道弘済会あるいは民衆駅の駅ビル、そういうものに国鉄の用地を賃貸いたしておりますけれども、この評価額が非常に安い、そういうふうにいわれております。で、国鉄においては、貸し付けの基準規程あるいは固定資産管理規程を改めて適正評価額を算定する、そういう作業を進めているということを承っておりますが、その点につきましてはどういうふうになっていましょうか。
  312. 長浜正雄

    ○長浜説明員 仰せのようにいま、毎年といいますか、大体三年に一回くらい、周囲の土地の値上がりに並行いたしまして私たちも土地の評価を上げております。で、今回もまたその評価を上げることに作業をしております。それで、いままで評価をしておりました評価の地点、それを貸した場合の貸し賃を取る取り方についての基準を、いままでと若干変えようということで検討をいたしました。それに従いまして評価額を変える作業をしております。今度だいぶ上がることになろうと思います。
  313. 古寺宏

    古寺分科員 そこで、私は青森市の問題について承りたいと思います。  御承知のように、昭和四十三年の九月三十日に東北本線の複線電化工事が終了いたしまして、十月一日から東北本線の複線電化が実現したわけでございますけれども、そのあと地の処分については、青森市におきましても、一日も早くこのあと地の払い下げを受けて利用したいというわけで、利用計画もつくり、いろいろ設計も進めてまいっているわけでございますが、なかなかこの交渉がうまく進んでおりません。私は、この問題について、いつごろから価格の交渉に入る予定であるか、その点についてまず承りたいと思います。  また、こういう問題につきましては、最初は盛岡の管理局が窓口でございましたが、最近は工事局になって、そしてまた係がかわるたびにこの問題が難航しておる、そういうことを聞いておりますが、一貫した交渉が進められないものかどうか。  それから、先ほど伺いました賃貸料の問題でございますが、このあと地の浦町駅のあとに鉄道弘済会という名目で保育所ができたわけでございますが、この保育所の土地の賃貸料として、坪当たり単価十万円に評価した借地料が請求されております。この点については、どういう根拠によってこのような請求をいたしておるのか、承りたいと思うわけでございます。
  314. 長浜正雄

    ○長浜説明員 廃線敷の処分については、先生御承知のように、これは細長うございますので、一部を売却して一部が残るということになりますと将来非常に私たち管理に困りますので、要らない廃線敷全部を、細長いものを全部まとめてお売りしたい、買っていただきたいということで、県、市それぞれと交渉をいたしまして、大体県のとるところ、あるいは国のとるところということできまりまして、あとは、いま価格をどうきめるかということにかかっておるように私どもは聞いております。これは相手が管理局、工事局の区別なく両方で実は担当して、最初の窓口はあるいは管理局だったかもしれませんが、やはりこれは国鉄の窓口がどうしても管理局になるわけでございます。工事をやりましたあとの財産ということで、工事局が担当したものと思います。しかし、これは工事局長なり管理局長なりがあくまでも窓口でございますので、支障のないように、なるべく早くこれを売却できるように処理を進めたいと思います。  それからもう一つ、具体的な問題で坪当たり十万というようなお話がございましたけれども、ちょっと私、いまその価格は承知しておりませんけれども、価格をきめます一般的の考え方としては、やはり近傍類地の価格あるいはその付近において買収いたしました場合の価格をとることにいたしております。今回の場合には、この廃線敷は相当面積が広うございますので、臨時に土地価格等評価委員会をつくって第三者に評価してもらおう、こういうふうにいま考えております。
  315. 古寺宏

    古寺分科員 今度の再建計画を見ますと、経営全体にわたる体質の改善あるいは経営の近代化合理化等、いろいろと取り上げられておりますが、これはまことにけっこうなことだと思います。その中には、管理局等の管理体制については触れていないように思われるのでございますが、この点についてはどのようにお考えになっているか、総裁に承りたいと思います。
  316. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 それは九ページに「管理機構の近代化」ということでちょっと触れておりますけれども、私どもとしては、いわゆる昔風の官僚的な画一的な機構をやめて、なるべく現場管理のしやすい形にしたい、それから中間の段階をなるべく減らしたい、こういう考え方をとっております。いまいろいろ具体的に検討いたしておりますが、北海道、本州、九州というふうに分けまして、その地域、その地域に適当した管理のしかたを考えております。管理の方法といたしましては、極力管理機構を簡素化する。むしろ新しく近代的に管理する場合にどう管理するかという、いまの形を変えるのでなしに、新しい管理機構をどうつくるべきかという角度からこの問題を取り上げてまいるつもりでおります。
  317. 古寺宏

    古寺分科員 御承知のように、青森地区は交通上の要衝でございます。今後の交通変革に伴いましてますます重要性が加ってまいりますが、現在においても青函船の発着点であり、また東北本線、奥羽本線、国道四号線、七号線の発着点であり、今後東北新幹線の完成や青函トンネルの完成、奥羽本線の複線電化の完成あるいは高速自動車道、東北縦貫道路の完成が予定されております。しかも青森地区は、気象上季節的な影響を強く受ける関係上、適時適切な処置が必要でございます。ところが、管理局がないために、冬季間のダイヤが混乱したり、あるいは貨物の輸送に支障を来たしているような実情でございます。今後国鉄再建計画の一貫として、青森に鉄道管理局を設置することが私は非常に重要である、そのように考えるわけでございますが、国鉄当局におかれましては、この問題について検討なされたことがあるかどうか、総裁の御意向を承りたいと思います。
  318. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 この問題は、実は昭和二十四年から二十年来の問題でございまして、私も当初から関係いたしておりましたが、いま盛岡と秋田の局で現場管理は大体やれる。青森には、御承知のとおり出張所というのをつくっております。これでもって現地との御連絡をするということで、いまのところ青森に管理局をつくるという意思を思っておりません。
  319. 古寺宏

    古寺分科員 時間がございませんので、最後に特に大臣にお尋ねをいたしたいのでございますが、青森市は、御承知のように県庁の所在地でもあり、また青函連絡船あるいは東北本線、奥羽本線の起点でもございます。ここに管理局がないということはまことに困る問題でございますが、大臣としては、この青森の管理局についてはどのようにお考えになっておられるか、承りたいと思います。
  320. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 まだ私事情もよく知りませんが、関係方面等いろいろ調査した上で処理いたしたいと思います。
  321. 古寺宏

    古寺分科員 終わります。
  322. 渡辺栄一

    渡辺(栄)主査代理 芳賀貢君。
  323. 芳賀貢

    芳賀分科員 大臣にお尋ねしますが、昨年の九月に国鉄再建十カ年計画を国が決定して、ことしの二月十六日に、閣議決定に基づいて国鉄の財政再建計画というものが国鉄から出されまして、これは国が承認したわけであります。これに基づいて、二月の十八日に、全国の規模で国鉄のローカル駅等については無人化を急速に進めるということが各支社段階で発表になったことは、御承知のとおりであります。たとえば北海道支社においては十八日に内容の発表をいたしまして、これは新営業体制基本方針ということで発表されたわけでありますが、この内容については、国労の北海道本部並びに動労の道地評に対して即日内容説明が行なわれたわけであります。時間の関係重点的にお尋ねをいたしますが、この一連再建計画に伴って、北海道におきましては、まず旭川鉄道管理局区域においては羽幌線、これは築別−幌延間であります。札幌管理局の管内においては万字線、岩見沢−万字炭山間、釧路管理局においては士幌線、帯広−十勝三股間であります。青函管理局においては江差、松前線、これは五稜郭−松前間、各管理局において一線ずつを取り上げて無人化の計画、それから貨物駅の集約を、これは七月一日までに準備を完了して実行するということになっておるわけでありますが、これらの実行が地域の産業、経済あるいは教育、文化全体等に及ぼす影響というものは甚大なものがあると思うわけであります。もちろん、国鉄の現在の経営状態から見て、独立採算制の上に立てば、こうした合理化もやむを得ないという点があると思うが、一方において公共性の保持ということになれば、そこに政府としても、国鉄に対して財政上、資金上の援助を与えておる経緯もあるわけでありますからして、これに対して運輸大臣としてどういう判断をされておるか、まずお伺いします。
  324. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 二月の十九日に、国有鉄道の財政再建に関する経営の長期的な計画に閣議了承を与えたわけですが、その中で、いまのお話は、最終年度までに約四割について業務の委託、取り扱いの集約その他の合理化を行なう、こういうものに関連するお話だと存じます。これにつきましては、原則として国鉄にまかせてあるわけでありますが、しかし、地域住民の不便にならぬように、かつまた、そのやり方等についても、できるだけいわゆる理解ある措置によって扱うという方針で取り扱いをしてもらいたい、かように考えておるわけであります。ただ、お話しになったように、国鉄再建のために、かつまた、最近における近代化が進むに従って運転等のいわゆる操作等については近代化が行なわれましょうから、したがって、いわゆる必要なものにつきましては、国鉄がこのような方針のもとに行なっていくということを了承したわけであります。
  325. 芳賀貢

    芳賀分科員 おそらく運輸大臣は、私の指摘したこの北海道の各管理局一線ずつの状態が、地域の経済の情勢あるいは交通運輸の状態から見てどういうものであるかということはわからぬと思うのですね。そこで、内容については総裁から必要性は強調されると思いますが、こういう北海道における各局一線ずつを選定したという根拠があると思うのです。これらの四線は一番先に無人化ができるとか、あるいはまた、貨物駅の集約ができるという可能な条件を最も整えたという判断にこれは立っておると思うわけでありますが、われわれとしてはそういうことは判断できないわけですけれども内容について説明願います。
  326. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 いわゆる駅の再配置あるいは営業体制の刷新というのは、事の起こりは、国鉄はいろいろな方面で近代化合理化いたしておりますが、駅の仕事のやり方だけは、百年前の鉄道が敷かれたときと実は同じ仕事のやり方をしております。これじゃとても近代化合理化ができないということで、いま大臣がおっしゃいましたように、たとえば信号とか転轍機とか、それを全部集中してしまう。そうすると、あとはいわゆる営業関係だけの、これならば数量の少ないところは民間に委託したっていいし、あるいは車の中で切符を売っていいというふうなことから営業の体制そのものを思い切って変えていこう、新しい鉄道にふさわしいものにしようということでもって発足したのでございます。これは、たまたまおっしゃいました路線各駅の数量などを見ましても、ひどいのは例外といたしまして、一日の利用者が大体二、三百人、貨物が天塩以外は大体十トン前後というところでございます。そういたしますと、この貨物のために一々貨物列車をとめて、貨車をはずしたりくっつけたりする、これは全体の貨物輸送に対する影響が非常に大きい。また旅客のほうは、何も駅員がいなくても、ちょうどバスの停留場のようにして、そうして車の中で切符を買ってもらう、あるいは定期は現在でも着駅で売っておりますので、着駅で買ってもらうということで、駅を廃止するということは、これは一日の利用者が三人とか五人とかごく閑駅でございます。これは別といたしまして、あとは、いまの人のいる駅をバスの停留場のようにしてしまいたい、これが考え方でありまして、この羽幌線その他について手をつけましたのは、この線があまりいままで合理化ができていない。そうして数量的に見ましても、さっきも申しましたような体制で十分できるという判断に立って地元とお話をしたい、こういうように考えております。
  327. 芳賀貢

    芳賀分科員 ここに国鉄発行の時間表がありますけれども、たとえば旭川管理局管内の羽幌線というのは、これは築別−幌延間で、その間に二十駅あるわけですね。この二十駅を対象にして、いま総裁の言われた二駅は廃止をする、そして有人駅ですね、まず、旅客に対して駅員を配置して扱う駅は三駅だけを残す、あとは全部これは無人駅ということになるわけですね。貨物の取り扱いについては、この全線の駅のうち一駅だけが貨物の小口あるいは車扱いのできる駅ということで、あとは全部貨物扱いをしないという極端な方針になっておるわけであります。もちろん、実行までの間においては当然地元との協議とか調整というものもやらなければ、一方的に強引に押し切ってやるなんということはなかなかできないわけですが、そこで、北海道における、一年を通じての気象条件というようなものは、これは無視できないと思うのです。たとえば、いままで有人駅の場合には、これは必ず待合所においても冬は暖房施設というものを設け、そして旅客に対して暖房を利用してもらう、それからまた、この区間というものは学生の通学等についてもほとんど列車を利用しておるわけですから、早朝の通勤とか通学というような点についても、無人駅でも駅は残るからいいじゃないかといっても、夏時分はそれでもいいとしても、一体、冬季間の猛烈なふぶきがあるとか、あるいはマイナス二十度を下回るような極端な寒冷の日があるとかいうような場合があり、その間また猛烈なふぶき等によって、予測されない列車の数時間に及ぶ遅延というようなこともあるわけですよ。それに対して無人となれば、これは暖房施設なんか設けるわけにいかぬですから、そういう点はやはり十分な配慮をして、もう国鉄はサービスは全然しない、乗りたい者は寒くても何でもかってに来て乗れというふうにするんであればこれは別ですが、そういう配慮が全然全線にわたって講ぜられない。しかもこれは、実験的にやって何とかやれるということになれば、これはもう全国的に全線の小駅は無人化するということになると思うので、この点はあまりにも合理化を急ぐあまり、極端なやり方ではないかというふうに考えるわけですが、その点はどうですか。
  328. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 その点は、まだ先生のお耳に入っていないと思うのでございますけれども、こういう駅をこういうふうにしたいということについて、じゃ、具体的にどうするかということについて、実はいろいろ地元とも御相談したいということでございます。したがいまして、ただいまおっしゃった、たとえば無人駅にいたしますと一番問題は、駅舎が廃屋になってしまう、あばら家になってしまう、実はこれが一番問題だと思います。そういう点について、それじゃある程度委託費を出してもいいから駅前のたばこ屋さんに中に入ってもらうということによって、切符も売るし、いまの暖房もやってもらう、あるいは電話どもある程度は残しておいて、事故の際の連絡などをする、あるいはその際にスピーカーで隣の駅からものを言えるようにする、そういう具体的な方法を考えまして、いま地元にお話をしておる最中であります。何か、もう一方的にやめたといってやめてしまうという御印象を受けておられるかもしれませんが、いろいろそういうこまかい点は配慮さしているつもりでございますけれども、まだそういう具体的なことをお話し合いするまでの段階にならない点もあるかとも存じますけれども、相当具体的にこまかく、あと始末につきましては御相談をいたしたい、また相当具体的に案を持って御相談いたしたい、こういうふうに考えております。
  329. 芳賀貢

    芳賀分科員 それじゃ、必ずしも発表された案は国鉄が一方的に強行するというわけではないのですね。これはあくまで方針として示して、もちろん地元と十分の協議とか了解を求めて、一応合意の上でこれを実行に移したい、そういうふうに理解していいのですか。
  330. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私どもといたしましても、極力地元と話し合いをして円満に撤収してまいりたい。しかしながら、たとえば駅長がいなければいやだとかさびしいとか、そういう話も実は出てまいっております。私どものところにずいぶん見えますけれども、そういうふうな話でありますと、ちょっと話がベースからはずれますけれども、そういう問題以外、極力地元と話し合って、円満のうちに撤収すべきものについては撤収さしていただきたい、こういうふうに考えております。
  331. 芳賀貢

    芳賀分科員 いまから十年くらい前の磯崎さんが常務理事時代に、貨物の集約化の方針を出されて、あのときは、年間を通じての取り扱いが、積みおろし合わせて二万トンを目途として、それ以下の貨物駅は廃止するという実行案を出されたときも、やはり地元と十分相談をして、そうして無理のない方法でやるということで第一次の集約化を進められたという経過を私も知っておる。それから旅客関係の次に、とにかく羽幌線全線を通じて、小口車扱いを含む貨物駅一駅だけを残してあとはもう全部扱わないということになると、これはもうたいへんな地元の不便あるいは犠牲を伴うと思うのですけれども、その通運業者たちとよく相談して利用者に不便を与えぬようにすること、それから犠牲を転嫁しないようにするということになっておるが、これは全く極端だと思うのです。たとえば羽幌線の場合に、残る貨物駅は遠別駅一つなんです。そしてたとえば天塩駅にしても、これは一番歴史の古い町でして、あそこにある天塩港というのは地方港湾になっている。それは日本海側における地方港湾としての重要任務を天塩港で果たしておるわけです。これは単純漁港ではなく地方港湾ですから、運輸大臣所管なのですよ。そういう地方港湾の所在の駅が貨物を全然扱いませんと、遠くの別な駅までそれは持っていきなさいというようなやり方は、全く実情を無視したやり方ではないかというふうに考えるわけです。全部私は存置しろとは言わぬが、こういう問題、あるいはまた初山別駅にしても、これは日本海岸の中枢的なところで、漁港を中心にして漁業の生産が非常に高度な村になっておるわけです。あるいは初山別の駅が、年間で積みおろし三万トンにも達しないかもしれぬが、地域産業の中枢的な役割りを果たしておるというような漁業あるいは港湾施設等があるというような場合には、それにつながる国鉄の貨物扱いの駅の存置というものは、当然常識的に考えても必要でないかというふうに思うわけです。これを絶対やらぬということによってどれだけ一体国鉄合理化が進み、収益が高まるか、むしろ地元の住民の非難、反感を買うだけに終わるのではないかというふうに考えるわけでして、こういう点については、総裁からも所管の管理局長に対して、一応の指導的な注意をされてしかるべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  332. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 具体的な駅の数字等については申し上げませんけれども、大体私もここで見ておりますが、いまのそういった港湾との関連等を抜きにして数字だけから見ますと、集約してもそう差しつかえない駅だと思います。いまおっしゃったような関連ども、もちろん考えなければならないと思います。また、将来性の問題もあると思います。こういうことにつきましては、決して現場実情を無視しない、モデレートなやり方でやっていくということについて私からも十分連絡いたします。
  333. 芳賀貢

    芳賀分科員 いま私の言った、たとえば遠別ですね、国鉄側でも存置するということ、それからいま問題にしました天塩、初山別、これは町村の役場等の機関の所在地になっておるわけです。しかし、幾ら極端に整理するといっても、町村の機関のあるようなところとか、産業上重要な役割りを関連的に果たしているというような個所の場合には、十分な全体的な配慮というものが必ずあってしかるべきであるということで、この点はそうなると私は総裁のいまの言明を信用しておきます。  それから、これは非常に区間延長が長いわけですから、その他のいままでの貨物等の取り扱い駅あるいは手荷物等の扱い駅を全面的に廃止するわけです。それはもよりの扱い駅まで持っていけというような方針になっておるわけですが、これもまたたいへんなことだと思うのです。扱う駅まで持っていくということになれば、東京周辺とかあるいは内地府県の人口稠密な駅、区間の近いとろであればそれはできるとしても、特に冬季の交通事情等を考えた場合にそう簡単にいかぬと思います。しかし、それだからといって、そのもより駅まで持っていく費用についての受益者負担の増加ということは絶対にできないと思うのです。もしそういう運賃と料金負担を利用者に転嫁して合理化を進めるということになれば、これはとんでもない話になる。いままではそういうことはしていなかったわけですからね。単にこれは日通とか丸運とかの通運業者の協力を求めて不便のないようにいたしますといっても、日通等においても、大体採算性の低いところはもう直営をやめてほとんど無人にするか、あるいはささやかな委託ということになってきておるわけですから、そういうことはなかなか実行できないと思うんですよ。それにあの区間というものは、バス路線等も沿岸バスというのが運行されて、運行はしておるが、最近は、御承知のとおり、不採算バス路線というものはだんだん廃止するというような方向に向かっておるわけです。ですから、そういう関連した運輸交通事情、それから代替措置等を綿密に現地において研究してやってもらわぬと、これは非常な悪影響を与えるということになるわけですが、その点はいかがですか。
  334. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 こまかいことになりますのであまり詳しく申し上げませんけれども、いま先生のおっしゃったように、たとえば手荷物につきましては、通運業者に集荷させなければ駅でもって車内発送するというようなこともいろいろ考えております。したがいまして、極力利用者に御迷惑のかからないように合理化の方法を考える。その具体的な方法について、これから実際に皆さん方に御説明をする段取りになったというふうに思いますので、各地からいろいろ御要望が出ると思います。私どもは、できる限りのことはお聞きいたしまして、実施いたしてまいりたいと思います。  それから、先ほどの私の答弁の中で、天塩と初山別は何か集約しないということをお約束したということになると非常に困るのでありまして、これは実情に応じて検討いたしますということでありますので、ひとつ補足させていただいて、御了承願います。
  335. 芳賀貢

    芳賀分科員 次に、運輸大臣にお尋ねしておきますが、国鉄合理化の方向というものはいま社会的な問題になっておる。この過疎化地域に対する国の対策とちょうど矛盾するようなことになるのです。ですから、過疎現象が進めば結局国鉄の利用度も低下するということに当然なるが、それを将来を見越して、ここはもう過疎化する地域だから、この際早目に無人化するとか駅の廃止をするとか、さらにまた、赤字線だからこれを撤去するというようなことになれば、結局はいまの過疎化現象に追い打ちをかけるようなことになるわけですね。その地域発展にとどめを刺す役割りを国鉄がするということにもなりかねぬと思うのですよ。一方においては過疎債の発行をやるとか、過疎地帯に対して産業振興の施策を講ずるとか、あるいは特例法を設けてそうして国の手厚い保護政策を講ずるという、こういう施策が進行中のさなかに、国鉄の無人化とか赤字線の廃止あるいは貨物は取り扱わぬというようなことになると、国鉄自体は経営上の立場からそういうことを考えるとしても、いまの自民党政府としてそういう点を、これは再建計画の中にあるからしょうがない、やらせるということにはならぬと思うのです。こういう点をひとつ、あなたは政府を代表して、いま盛んに社会問題になっておる過疎対策とあわせて、国鉄の強行しようとする合理化計画再建計画との関連、そういう点に対して一体どう調整して処理するか、明確にひとつお伺いしたい。
  336. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 御意見のごとくに、政府は経済発展計画の策定作業を進めておるわけでありますが、あるいは過疎対策、いろいろな問題がある中で国鉄の問題が出てきますと、理屈の上では少しおかしいんじゃないかという議論も成り立つと思います。ただしかし、最初申しましたように、近代化計画というものはある意味においてはスピードアップ——貨物の集約等を考えましてもスピードアップ、その他取り扱いの近代化ということがありますので、必ずしも過疎対策に相反するものばかりでもない。しかし、おっしゃるような影響を相当考えざるを得ませんので、これらの諸問題については政府としては慎重に対策を講じていきたい、かように考えております。
  337. 芳賀貢

    芳賀分科員 それでは、ただいまの問題は大臣並びに総裁の答弁どおり、とにかく歴史的な長いつながりのもとに置かれておるわけですから、十分地元市町村あるいは関係機関と実情を相談し合って、曲がりなりにも合意の成り立った段階において対処するということで進んでもらいたいと思うのです。  それからもう一問、先日、三月七日の予算委員会で、総裁に生乳の遠距離輸送の問題に対する国鉄の受け入れ体制についてお尋ねしたのですが、あのときちょうど時間切れのようなことで不十分でありました。先ほど農林省関係分科会において、農林省側の意向等についても内容を明らかにしたわけです。いまの無人駅の羽幌線沿線、特に天塩町等を中心にして、北海道においては酪農の主要生産地帯ということになっております。天塩町においては、いま乳牛が一万頭をこしておるわけですからね。そういう高度の生産を持っておる地域が、今度は、北海道の優秀な生乳を東京に向けて、国鉄の輸送施設を高度に活用してもらって直送するというようなことになるわけですからね。そうした新しい北海道の農業の近代的発展というものを考えても、期待される地域で貨物も扱わぬ、何も扱わぬということになると、地元に大きな失望を与えることになるので、そうした地域産業の将来性というものを十分判断して、それに十分対応できる国鉄の新しい姿というものを確立してもらいたいと思うのです。  それから、ついでですから遠距離輸送と合わして、生乳の列車内販売というものを、これは強く利用者からも要請があるわけですから、この際早早にひとつ踏み切って取り扱いできるようにしてもらえば、生乳の需要の拡大、あわせて乗客に対するサービスということになると思うのですが、その点はいかがですか。
  338. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 この間の御質問の生乳につきましては、先生からかねがねのお話で、私ども実はやりたくてしようがないのですけれども、あまり乗り気でない荷主の方と申しますか、農林省も乗り気でなかったので今日までほってあったわけでありますが、おかげさまで一千万円の予算がつきましたので、本格的にやってくれると非常に私ども楽しみにしておるわけであります。そういうわけで、もし先ほどの天塩などでこういうものを扱うようになれば、それはぜひ私どもはやらせていただきたい、こういうふうに思っております。  それから生乳の需要増につきましては、御承知のとおり過般来からいろいろお話がございまして、新幹線の車内でテトラで売ることにいたしております。ただ、厚生省の衛生——摂氏零下何度という、ちょっと忘れましたけれども、その基準が非常にやかましくて、なかなかそれが守れないということで、いま厚生省に、もう少しその基準が緩和できないものかということを乳業界のほうからもお願いしておるようでございます。私のほうは、物理的にできる限界で冷凍設備をするけれども、それ以上のものはできないということで、もう話はぎりぎりまで詰まっております。そう遠くない機会に、大体値段もきめていただきましたし、やれることになるというふうに考えております。
  339. 渡辺栄一

    渡辺(栄)主査代理 井上普方君。
  340. 井上普方

    井上分科員 まず、国鉄総裁にお伺いいたしたいのであります。  いま大先輩の芳賀委員から、赤字路線あるいはまた小駅廃止につきまして御質問があったようでございますが、私は各論を一つお伺いいたしたい。  私は、磯崎総裁と生まれを同じゅういたしておりまして、実は国元では、国鉄総裁だというので国の人がひとつ旗行列でもしようかというような動きすらあったのであります。ところが、総裁になったとたんに、小駅廃止とかいって赤字線廃止なんというのが起こりまして、とたんに旗行列がやんでしまった。しかも聞くところによりますと土讃線、中村線——これは高知県にわが党の代議士がおりませんので、私が代表してやるわけですけれども、小駅を土讃線と中村線において二十三も廃止する計画がある、あるいはまた、貨物駅を二十八も廃止するという御計画があると承って、国元ではびっくりぎょうてんいたしておるのです。一体これはほんとうなんですか、どうなんですか。
  341. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私どもといたしましては、過般の再建計画にも書きましたとおり、大体貨物駅については扱い量の少ない駅はなるべく集約化したい、そしてそこでもって集約した駅にいい設備をつくって、そして各駅がたがたとまっていく列車はやめて、なるべく速い列車にしたい。それには、各駅停車でもって一駅ずつ貨車を置いてつないでいくということにしたのでは、時速十何キロという貨物輸送しかできない。それをせめて五十キロ並みにするためには、やはり貨物駅を少なくしなければならない。そのかわり、集約した貨物駅にはいい設備をして、なるべく流通コストがかからないようにする。こういう考え方で貨物駅を、先ほど芳賀先生のおっしゃいましたとおり、数年前から集約してきたわけでございます。この際もう一段集約を進めて、全体の貨物駅を半分にしたいというのが私どものほうの考えでございます。それによりまして、先ほど大臣がおっしゃいましたように、必ずしも御不便ばかりでなしに、全体の流通コストから見れば、いままで三日売りだったものが市場に二日目に着くとか、あるいは野菜の鮮度が上がるとかいうふうなことになると思います。現に徳島県の蔬菜は、現在ほとんど鉄道に乗っておりません。ほとんどトラックであります。これはやはり東名ができましてから、トラックのほうが非常に速いものですから、徳島県のおもな野菜輸送には、いま鉄道輸送はほとんどございません。それを何とかして流通コストを下げるためには鉄道を利用してもらわなければならぬ。それにはもう少し速い輸送をしなければならぬ。それには駅の数を減らして、そして集約して、速い貨物列車を立てなければ、もう四国の貨物輸送はがたがたになってしまうことが目に見えておるわけです。そういう角度から、貨物は極力駅を少なくしていい列車を走らせたい、これが考え方でございます。旅客につきましては、先ほど芳賀先生に申し上げましたとおり、駅をやめるのではなしに駅員を撤収する、そしてバスの停留所のようにするというのが私ども考え方でございます。駅をやめるのではなくて、利用者はもちろん利用できる。しかし、駅員はいない。したがって、切符その他は車内で買っていただく、こういうふうな考え方でございまして、旅客の扱い方と貨物の扱い方とは、多少趣を異にしてやっているわけでございます。いまここにございます数字を見ましても、たとえば土讃線、中村線あたりの貨物の輸送トン数を見ましても、一日わずか十五トンとか一トンという程度のところでございまして、平均一トンでございますと月に三十トン、と申しますことは月に大体二車でございます。こういうところに貨物をとめてダイヤをつくったのでは、どうしても貨物サービスがよくならない。そういう意味で、私どもとしましては駅を集約していい輸送をしたい、それによって貨物輸送の効率をあげたい、こういう考えでございます。
  342. 井上普方

    井上分科員 高知県のことをお話し申し上げますと、高知県の蔬菜園芸というものはほとんど東京市場に来るのですね。それはトラックで来ていないのですよ。あなたのおっしゃることと違って、ほとんどが国鉄輸送にたよっているのです。そこで貨物駅を二十八もこの土讃線、中村線で廃止したら、特に中村線のごとくあの過疎地帯の、しかも現在蔬菜園芸がかなり発達しているところ——東京市場において土佐ものといいますと、これは促成栽培のごときは高知県がほとんど押えているのです。徳島県の場合は阪神に近うございますから、フェリボートでやっておるというのが実情で、船便を使っておる。ここらあたり、明石−鳴戸の橋を早くつくれという論拠の一つでもあるわけです。しかし、この土讃線、中村線のあのところで二十三も小駅を廃止する、あるいはまた貨物駅を二十八もなくしてしまって、高知県のごとき過疎地帯で、はたして一体これでいいのだろうかということを私ども心配せざるを得ないのです。現在でも高知県の南部並びに愛媛県の南部が最も過疎地帯で、人口流出の激しいところです。島根県あるいは鳥取県よりも激しいところです。ところが、これを小駅を廃止する、あるいはまた貨物駅を廃止するということになりますと、地方産業が大きな打撃を受けるのじゃないかと私ども心配せざるを得ないのです。あなたのおっしゃるように、それは少ないかもしれません。しかしながら、あそこは農協組織がかっちりしておりまして、出荷にいたしましても、ある程度まとまれば直ちに持っていくというような態勢が実はしかれておるわけであります。有名な三里農協のごときは、これは高知県に近うございますけれども、ほとんどが国鉄を利用しておるのですが、これを廃止するというのでは、総裁、これはちょうちん行列も旗行列もできませんよ。あなたもう少しこちらのことをお考えになっていただきたい。計画ではそのようにありますが、はたして地元の御了解は得ておるのですか、どうですか。
  343. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私がさっきトラックに移っていると申し上げましたのは徳島県の蔬菜でございます。これはほとんど鉄道を利用しておりません。これは先生おっしゃるとおり、完全に徳島県の蔬菜業者から見放されまして、鉄道輸送は徳島県はほとんどだめでございます。高知県につきましては、逆に鉄道輸送が多いところでございます。これは私先ほど申し上げませんでしたが、いま高知県と宮崎県が蔬菜野菜の大産地でございます。その点は私も存じております。ただ、蔬菜で一番問題は鮮度でございます。結局、高知から阪神まで三日かかったのでは阪神で全然売れない。まして東京まで四日かかったのでは、東京市場では全然だめなんです。そういう鮮度を保つ意味からいっても、一日でも早く市場に入れてくれという要求が強いようでございます。これは蔬菜とくだものにつきまして最も強い業者の要求でございます。したがいまして、集約いたしましても残る駅はもちろんございますものですから、そこへ持っていって、そこから早く貨物輸送で持ってくる。そして一日でも半日でもせりの時間を早くする。それが全体として蔬菜としては高く売れる。そういうことを十分考えた上でのことでございます。もちろん、これは私どもの案でございますから、いま申し上げましたとおり、これで完全に一〇〇%できると思っておるかどうかわかりませんが、これとたとえば農協の集荷地とどういうふうにくっつけていくかということなどについて、具体的に地元のほうと折衝を申し上げるということになってくると思います。
  344. 井上普方

    井上分科員 私は、高知県と徳島県の話は別にしてお話し申し上げたのです。徳島の場合、トラックでフェリボートで輸送しておることは、私も百も承知の上なんです。土讃線、中村線というのは高知県なんですね。そこにおいてこういうように二十八も廃止した場合に、はたして地元の方々の納得が得られるとお考えなのか。これは前の総裁も地元の方々と十分納得の上でやるのだとおっしゃっておりますが、土讃線、中村線の二十三の小駅廃止並びに貨物駅の二十八駅廃止については、地元と十分御相談になっていますかということです。農協の方々はほとんど反対しているはずです。どうでございます。
  345. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 こういう案をつくりまして、これによって具体的に地元と御相談する、こういうことになっているわけでございます。
  346. 井上普方

    井上分科員 それでは、地元の了解が得られなければ現在どおりやると考えて差しつかえございませんか。
  347. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 そう端的に御質問くださると非常にお答えしにくいのでございますけれども地元の方々からの御要請は、先ほど申しましたとおりいい列車をつくってくれ、いい貨物列車をつくってくれ、それでなければ利用できないということで、私は実はじかに何べんも承っております。高知県の蔬菜の方々は、問題は早くせりにかけたいのだ、そこの問題でございますので、それとかみ合った上で、農協系の集荷地と私どもの貨物駅とをうまく合わせればいいんだと私は思います。そういう意味で、具体的にこれによって御相談いたしたい、こういうふうに思っております。
  348. 井上普方

    井上分科員 総裁、それは少しお考え違いなんですよ。といいますのは、高知県の蔬菜はほとんど東京市場へ来るんです。徳島の場合は阪神へ来るんです。徳島県のもので東京へ来るのはレンコンとタケノコぐらいなんです。ほかのものはほとんど阪神へ出るんです。高知県の場合、特に促成栽培のキュウリであるとか、あるいはピーマンであるとか、あるいはまたナスビであるとかいうものは、ほとんど東京へ来ているんです。業者の方方は早くやってくれと言う、それはそのとおりでしょう。しかしながら、この貨物駅を廃止することによって耕作農民が非常に困るのです。あなたは農協の方々のどういうところにお聞きになったのか知りませんけれども、私らのところへ頼みに来るのは、何とかひとつこの貨物駅廃止をやめてくれ、小駅廃止も反対してくれということを高知県におきましては頼みに来るわけなんです。また徳島県におきましても例の佃駅を廃止するとかなんとかいうことが出まして、磯崎さんというのは実に郷土愛のない人だなということになっているんですよ。その上へ持ってまいりまして、予定では、発表したところによると牟岐線といっていま牟岐まで行っておるあの線を、阿南駅までは置くけれども、阿南から向こうは鉄道線路をはずすというのですから、これはまたひどいことを磯崎さんも考えたもんだなということになっているんですな。磯崎さんがお生まれになったところは阿南市と徳島市との中間でございますから御心配はないでしょうけれども、これはまた磯崎さんもひどいことを副総裁のときに発表になられたもんだといって、実はやられているんですね。この牟岐線にいたしましても徳島線にしましても、これは私鉄だったのを強制的に買収した事例なんです。私も、この牟岐線の買収事件につきましては子供心にある程度承知いたしておるのです。こういうようなところを、せっかく駅があったのにこれをなくしてしまう。あなたのおっしゃるように、しかし車内販売するんだと言ったところで、住民感情としましては、これはなかなか納得ができないと思うのです。ましていわんや、磯崎さんのふるさとである羽ノ浦と中島の間の駅なんというのはなくしてしまうということになると、これはまた問題になってくると思うのですよ。こういうようなことを、しかも合理化という面からはたして——国鉄というのは、やはり住民にサービスしなければいかぬ機関だ。単に赤字が出るからということじゃなくて、国民的な立場で国土の総合的な利用という面からすれば、むしろ牟岐線と阿佐線といいますか循環鉄道をつくっていくという昭和十年以来の国の方針というものは、これは変えるわけにいかぬと思うのです。それを途中から鉄道線路をはずしてまうなんということは、ちょっと私どもには納得いたしかねるし、私は社会党の籍におりますけれども、あらゆる町村長の方々が私らのところに陳情に来て、残してくれ、こういうお話があったわけなんです。あなたのほうは赤字だ赤字だと言います。前の総裁でありましたら、国がもっと金を出せばいいだろうけれども、国が出さないからやむを得ずこんなことをするんだというようなことをおっしゃっておられましたが、ほんとうに地元の納得の上でこういうことをやるおつもりなのか。どうも一方的にやられるような気持ちがしてならないのです。これが住民は不安なんです。でございますので、ここらあたりをもう少し明快に、廃止するときには町会なりあるいはまたその町村の了解を得るというところまで踏み切った上でなければやってはならぬと思うのですが、どうでございますか。  そしてまた、運輸大臣、特に過疎対策とし、あるいはまた国土の総合利用という面からしましても、これは昭和十年以来——大正年間から予定しておるのですけれども、まだ遅々として運んでいないのですが、これらを建設しなければ過疎地帯の対策はできないというようなことにつきましては、あなたは政治家といたしましてどういうようにお考えになりますか。ひとつ御意見をお伺いいたしたいのであります。
  349. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 おっしゃるように、過疎地帯の開発というものは、やはり国の調和ある発展という意味で重要な意味合いがあるわけであります。前回もいろいろ答弁いたしましたが、こういうものは、国がある意味においては責任を持ってやらなければならぬ。ただ、それには国鉄のいまの独立採算制というものをどう調和させるかという問題もあるわけでありまして、私としては極力、過疎地帯の開発といいましょうか、均衡ある発展、こういう前提に立ってものを考えていきたいと考えております。
  350. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 いま大臣もおっしゃいましたとおり、たとえば牟岐線にいたしましても、廃止につきましては国鉄限りではできないようになっておるわけです。大臣の認可がなければ廃止はできないのであって、私どもが一方的にやることはできないわけです。ただ駅につきましては、できるだけ地元とお話しした上で、先ほども芳賀先生に申し上げましたとおり、ただ感情的にさびしいとか、駅長がいなければ困るとかいうようなことでは私どもは困りますので、やはり国鉄全般の財政状態、御承知のとおり、二万キロの路線のうち、わずか一割しか黒字線がない。一割の黒字線で九割の赤字線をカバーする現状でございますので、その点も御賢察の上、地元からも納得の得られるよう私どももできるだけの努力をいたしますので、どうか御協力賜わりたいと思います。
  351. 井上普方

    井上分科員 総裁、昔から培養線ということばがあったでしょう。赤字が出るところは培養線の考え方じゃないのですか。黒字だけであれば、それは東海道新幹線でいいでしょう。独立採算制にすれば、新幹線であれば大阪から京都までの値段で東京まで来られるのでしょう。そうでしょう。それをあれだけ高い料金を取るのは、やはり培養線という考え方に基づいてやってきておるはずなんです。培養線ということばは昔から子供心にも聞いておるのですけれども、単に一線の独立採算という考え方では、これは大きいあやまちを来たすのではないか。それは先ほど大臣の言われましたように、私は国土の均衡ある発展という面から、しかも黒字線というのは、これは明らかに赤字線があるから黒字線があるのだという考え方に立ってひとつお考え願いたい。これは強く要求するのですが、大臣どうでございますか。
  352. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 それでけっこうです。
  353. 井上普方

    井上分科員 それでは続いて私は陸運行政につきまして少しお伺いいたしたいのですが、陸運行政は、四、五年ごとに汚職が起こっておるわけです。私の県におきましても、やはり四、五年ぐらいしますというとどうも汚職が出てくる。この一つの原因としましては、地方の陸運事務所というものの職員の身分が、人事権と財政権は運輸省にあるけれども監督権は知事にあるというようなところに私は非常に問題があると思う。ただ、この際に運輸省としたら、きょうも荒木行政管理庁の長官が言っておりましたが、パーキンソンの法則じゃないけれども、なるべく部下を多くしたいというのが役人の通弊でございまして、国家公務員を地方公務員にするのは反対だというような御意見もあるやに承っておるのですが、しかし、道路をつくるのは建設省であり、あるいはまた県であり、市町村である。許可、認可については陸運局であり、陸運事務所であり、運輸省である。それから取り締まるのは警察であるというので、非常にその間に行き違いがあるように思われてならないのです。この点、一本化すべきである。この陸運行政の一本化というようなことは強く叫ばられておるのですが、近ごろはだいぶんよくなって、三者が合議するようにはなっているようではありますけれども、実をいいますと事務が円滑にいかない。むしろこれは知事の権限下に、監督権のみならず人事権まで与えてしまったほうがいいのではないかという私は年来の主張を持っておるのです。この問題はさておきましても、いずれにしましても陸運事務所あるいは陸運局というのは、四年か五年の間に一ぺんぐらいずつ汚職が出てくる。タクシーは、この前はああいう事件がございましたけれども、タクシーの免許につきまして実に不愉快な話をたくさん聞くのです。タクシー免許につきましてどういう基準でやられておるのか、お伺いしたいのです。
  354. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 免許は、道路運送法の第六条に免許いたします基準がございます。その六条の基準に従いまして処理をしておるわけでございます。
  355. 井上普方

    井上分科員 タクシーのナンバープレートが売られておる実情をあなた方御存じでしょうか。たとえばタクシー会社が十台持っておる。免許を持っておる。この半分を人に譲るというようなことを現在やっているのですよ。あるいは全部売る。その場合に、一台のタクシーの売買価格というのは百二十万ないし二百万しているんですよ。こういう事実をあなた方は御存じですか、どうです。
  356. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 従来からそういう問題が指摘されておりますが、株式会社でありますのが通例でございますので、株の売買等によりまして、通常の取引でそれが経営者がかわっていくというふうなことはときどきやるわけでございまして、いま先生が御指摘のように、一部のものにつきまして、他人に名義を使用さすというふうになりますと、これは道路運送法で名義を他人に使わしちゃいけないということでございますので、これは違反でございます。ただ、株の売買あるいは会社全体といたしまして経営者がかわっていくということは、株式会社でございますのでやむを得ないところであると思います。それから事業を譲渡するという場合、甲の会社から乙の会社に事業を譲渡いたします場合におきましては、これは認可を要するわけでございまして、そういう事業の譲渡はできないことになっております。
  357. 井上普方

    井上分科員 実は私は、不愉快な事例を数多く知っておるのです。しかし、ここでそれを一々申し上げても——私も政治家の端くれでございますので申し上げませんが、一例をあげますならば、個人が、会社組織はつくっておる、会社組織はつくっておるけれども、実際には個人が、運転手が自動車の償却費まで引き受けて、独立採算制をとっておるような事例もあります。あるいはまた、最初Aという自動車、タクシー会社の免許をとる。そしてその会社を第三者に株の売買で売ってしまう。続いてまたBという会社を設立して、運輸省からこれまた許可をもらう。そしてまた、そのBという会社を他人に譲る。そしてまた、同じ人間がまた一つのタクシー免許をとったという事実を私は知っておるのです。どうしてこういうことが行なわれるのだといいますと、それは責任者でなかったからと、こうおっしゃるのです。こういうことを平気でやるのですよ。三つの会社を、最初Aという会社を設立して認可を得たら、続いてこの会社の株なり何なりを売ってしまって、続いてBという会社を設立してこいつにやる、そしてまたこれをやる。まるでブローカーのような存在のやつがおるのです。ここらあたりは、えりを正してもらわなければいかぬです。あげればまだまだたくさん事例があります。私はここでこういうことを一々あげるのははばかりますけれども、何なら局長、私のところにおいでなさい。幾らでも教えてあげる。こういうようなことが公々然として行なわれているところに、実は陸運行政の三年に一回ないし五年に一回の汚職の原因があるのです。でございますので、大臣、この陸運行政につきまして、基本的にあなたはどういうお考え方で——これはもう私どもは政治の不信をいま国民から買っておる。これを直すには、どういたしましても行政当局の姿勢を正さなければならないと思うのです。それには、役人にしましても政治家にいたしましても、やはり姿勢を、背骨をまっすぐにしなければいかぬと思いますので、あえてこの点について、陸運行政をいままでのように三年ないし四年に一回ずつ汚職事件が起こるような、こういうような事件を根絶する方法として大臣はどういう御決意を持っておられるか、ひとつお伺いいたしたいのです。
  358. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 いま井上さんのお話のあったような事実等は、まことにけしからぬことだと存じます。もちろん、そのようなことが陸運行政の上においてあってはいけないのでありますからして、厳重にその点は監督をしていきたいと思います。ただ、根本問題として、私は官庁にあまり許認可事項が多過ぎると思うのです。私は民間人の出でありますから、大体許認可というものがきらいです。ところが、ややもすると、日本の制度がいわゆるドイツ式なものから始まってきたことが原因でありましょうが、何もかも役所をたより過ぎる、役所の権威を民間が認め過ぎる。ことにタクシー行政といいましょうか、このようなものにつきましては、私は思い切って許認可事項をやめたらいいと思うのです。登録制度もいま私考えておるのですが、何とかしてこういうものも機械的にやる方法はないか。ことに最近コンピューターの大型化が出てきたものですから、もっと簡素化して、いま言ったプレートナンバーのようなものも思い切った措置ができるのじゃないか。あるいはまた、いま個人のタクシーは地方には認めておりませんけれども、かつてはタクシーなんというものは、個人がやろうが、これは届け出も許可も何にもなかった。そういう時代もあったのですが、ただ最近は、御承知のように自動車がふくそうしまして、それがために交通事故が起きる。それに対するいわゆる損害賠償等の問題で自賠法ができましたけれども、なおかつこれが追いつかない。そういう意味でドライバーに対するいわゆる免許証に伴うところの保険制度等も考えていかなくちゃいかぬのじゃないか。そういうことによって一応ドライバー自身に自粛をしてもらう。同時にまた、タクシー営業の許可の問題も、もっと大幅に抜本的に改正する必要がある。そうして一つは、許認可があるところにそういう温床が出てくるのですね。自由経済の社会であり、かつまた、もっと事務的にも簡素化すべき点があるのみならず、いま政府で考えてやってまいりまする許認可事項についての改廃等も目下検討しておりますけれども、あるこの辺だけを少し緩和したらどうかという程度じゃなく、抜本的なものの考え方を、やはり社会人を信用する、そして役所がほんとうに監督にだけ回るというくらいの思い切った抜本政策をとらぬと、いわゆる管理体制といいますか、あるいは管理行政の上における体制というものが出てこない。こまかい点まで手を入れる、こういう意味で制度の上においても私は抜本的な改正について検討を進めさしておるわけでありますが、御指摘のような問題につきましては、将来ともに十分に思い切った措置を講じていくということを考えていきたいと思っております。
  359. 井上普方

    井上分科員 時間も参りましたので、大臣に、特に大臣は佐藤内閣における御三家ともいわれる実力者とか承っております。中曾根さんのときに、許認可事項をうんと少なくするんだというような御発言もありましたけれども、実際にやられたのはほんのわずかです。この際、大臣、いまのお考え方を推し進めて強力に実現されることを強く要求いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  360. 渡辺栄一

    渡辺(栄)主査代理 次回は明十二日午前十時より開会し、引き続き運輸省所管について審査を行ないます。  本日は、これにて散会いたします。     午後七時三十六分散会