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1970-03-12 第63回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月十二日(木曜日)    午前十時四分開議  出席分科員    主査 笹山茂太郎君       足立 篤郎君    奥野 誠亮君       登坂重次郎君    坪川 信三君       灘尾 弘吉君    大出  俊君       川崎 寛治君    大野  潔君       河村  勝君    兼務 川崎 秀二君 兼務 上林榮吉君    兼務 大原  亨君 兼務 川村 継義君    兼務 小林 信一君 兼務 西宮  弘君    兼務 細谷 治嘉君 兼務 山中 吾郎君    兼務 小川新一郎君 兼務 鬼木 勝利君    兼務 田中 昭二君 兼務 中野  明君    兼務 山田 太郎君 兼務 竹本 孫一君    兼務 山原健二郎君  出席国務大臣         文 部 大 臣 坂田 道太君  出席政府委員         科学技術庁計画         局長      鈴木 春夫君         文部政務次官  西岡 武夫君         文部大臣官房長 安嶋  彌君         文部大臣官房会         計課長     安養寺重夫君         文部省初等中等         教育局長    宮地  茂君         文部省大学学術         局長      村山 松雄君         文部省社会教育         局長      福原 匡彦君         文部省体育局長 木田  宏君         文部省管理局長 岩間英太郎君         文化庁次長   安達 健二君  分科員外出席者         青少年対策本部         参事官     小玉 正任君         大蔵省主計局主         計官      藤井 直樹君         郵政省電波監理         局放送部長   太原 幹夫君         自治省行政局公         務員部公務員第         一課長     石見 隆三君         自治省財政局財         政課長     森岡  敞君         自治省財政局交         付税課長    横手  正君         自治省財政局地         方債課長    山本 成美君     ――――――――――――― 分科員の異動 三月十二日  辞任         補欠選任   野田 卯一君     奥野 誠亮君   川崎 寛治君     川俣健二郎君 同日  辞任         補欠選任   川俣健二郎君     大出  俊君 同日  辞任         補欠選任   奥野 誠亮君     野田 卯一君   大出  俊君     川崎 寛治君 同日  第二分科員川崎秀二君、川村継義君、山中吾郎  君、小川新一郎君、山原健二郎君、第三分科員  大原亨君、小林信一君、細谷治嘉君、鬼木勝利  君、田中昭二君、第四分科員西宮弘君、中野明  君、山田太郎君、第五分科員上林榮吉君及び  竹本孫一君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十五年度一般会計予算文部省所管  昭和四十五年度特別会計予算文部省所管      ――――◇―――――
  2. 笹山茂太郎

    笹山主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  昭和四十五年度一般会計予算及び四十五年度特別会計予算中、文部省所管予算を議題として質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥野誠亮君。
  3. 奥野誠亮

    奥野分科員 大学封鎖騒ぎも大体おさまったようですけれども、大学を訪れますと、たいへんすさんだ感じのするところが多いようでございます。選挙の関係もありますが、京都では特定のイデオロギーにとらわれた政治ポスターや看板の類も目立つのでございます。清潔さが失われているように思います。私は、これらの現象面をとられて大学だけに関心を奪われてはならないと思いますし、また学校教育だけでなく、社会教育家庭教育などについても、深く配慮していく必要があると考えております。とりわけ学校教育についても、幼稚園から小、中、高校にわたって全体について深い掘り下げを行ない、総合的に点検していくことがきわめて大切なことだと考えておるわけでございます。またそのことが、一九七〇年代の最大の課題とまで考えているものでございます。先日、「大学時報」でありましたか、ある雑誌で座談会の記事を読みましたが、受験生に、この大学を建てた人を知っているかと尋ねたら、それは大工さんですと答えた、福沢諭吉なり大隈重信なりの名前が出てくることを期待したら、こういうことであったということでございます。私は、私学がそれぞれの分野で特色を持つ、特に建学精神というものが学校の伝統として長く伝えられていくといった面が、だんだん失われてきていることに一まつのさびしさを感じている者でございます。私学の経営が苦しくなってきたところにも大きな原因があろうかと存じますし、幸い四十五年度から、大学より幼稚園、小、中、高に至るまで、人件費の一割を目途に、経常費助成の道を開かれましたことは画期的なことだと考えるわけでございます。  そこで、最初に文部大臣に、私学役割りをどう評価されているか、またこの助成をどの程度まで引き上げていこうと考えておられるか、簡明にお教えをいただいておきたいと思います。
  4. 坂田道太

    坂田国務大臣 お答えをいたしたいと思います。  今日、幼稚園から大学に至るまで、私学の果たしておりまする役割りというものはきわめて大きいというふうに私は思うのでございます。その数から申しましても、たとえば大学におきましては、三分の二が私立大学学生である。それに対しまする国の助成というものが、いままでは設備費であるとか、研究費であるとかいうようなことだけに限られておったわけでございますが、そういうようなことでは教育質的向上をはかることはできないということを考えまして、全大学生の三分の二を占める私立大学生にも経常費支出をすることにいたした次第でございます。また、高等学校以下の教育におきましても、私立の果たしておりまする役割りはきわめて大きいと思うのでございます。特に幼稚園のごときはそうだと考えておるわけでございます。先ほど量的とは申しましたけれども、単に量的だけじゃなくて、教育内容の面におきましても、たとえば高等学校教育あるいは中学校教育におきましても、私立の伝統ある教育それ自体がきわめて高い水準にあるし、また単に知的教育だけじゃなくて、道徳的あるいは情操教育というような面については、むしろいい教育効果をあげておるというふうに考えられるわけでございまして、私はこの学生あるいは私学高等学校中学校小学校幼稚園という教育がさらに向上いたします、つまり質的な向上を高めるために、そして私立学校における教育というものが、ますます社会にいい影響を与えていくということを念願いたしまして、今日では大体一〇%をめどとしていろいろ配慮をいたしておりますけれども、さらにいま少し努力をいたさなければならぬじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  5. 奥野誠亮

    奥野分科員 幼稚園のことから順次伺っていきたいのでございます。  文部省幼稚園就園率や、厚生省保育所在籍率について見てまいりますと、五歳児の八割見当は幼稚園保育所に通っているようでございます。幼稚園については四十四年度の文部省調べ保育所については四十一年度の厚生省調べで見たのでございますけれども、同時に、いま申し上げましたものは全国平均でございますが、県によりましては、香川県では幼稚園就園率八四・四%、保育所在籍率一三・六%、合わせますと、九八%になります。兵庫県では幼稚園が八二・六、保育所が一二・四、合わせますと、九五%になるわけでございます。全員がいずれかに通っている、こう言えるわけでございます。幼稚園の少ないところでは保育所が逆に普及しておりまして、高知県では幼稚園は一四・二%しかございませんが、保育所は六四・九%でございますので、合わせますと、七九・一%にもなるのでございます。義務教育就学年齢の始期を満六歳から五歳に引き下げてはどうかという意見が盛んになっておるわけでございます。全国平均でも、現に八割について幼児教育が行なわれておるわけでございます。幼稚園だ、保育所だとは言わずに、幼児教育充実を期してまいることがきわめて大事だ。私はこの年齢引き下げの問題より以前に、現にもうみんな通っているのだから、これらの場所における幼児教育充実を期するということが大切ではないか、所管の問題は別にいたしまして、文部省厚生省と力を合わせて努力される必要があると思うのでございます。これについての御方針を承っておきたいと思います。
  6. 坂田道太

    坂田国務大臣 私も全く同感に実は考えておるわけでございまして、私、二、三年前に諸外国の幼児教育の実情を見ました。そういたしますと、たとえばイギリスにおきましては、年齢を一年引き下げて、そして五歳児から義務教育ということにして、インファント・スクールということから始めております。しかし、従来イギリスにおきまして就学教育、つまり幼稚園教育をやった幼児教育団体の総裁にお会いをいたしましたところが、こういう政府のやり方というものはなっとらぬというようなことでございまして、その年齢を一歳引き下げてやって、そうして何か学校教育にすぐ入っていくということは好ましくないんだ、それよりもやはり五歳以前における就学教育、つまり幼稚園教育というものをやらなければいけないのだという批判を聞きました。  それからドイツに参りますと、ドイツでは日本の保育所みたいな考え方でございまして、どちらかと申しますると、教育ということはあまり前面に立てずに、そういう知的教育のようなことは考えないで、むしろ健康管理と申しますか、けがをさせない、あるいは身のまわりを自分でやるというようなことに気を配ったいわば補完的な意味において幼稚園というものを考えておる。少なくとも幼児教育のしつけやその他の問題は、むしろ家庭がやるべき問題であって、幼稚園はその補完的な意味であるという考え方に貫かれておるというふうに見て参りました。  またフランスにおきましては、学校教育就学前の教育とはっきり区別をいたしまして、そうして幼稚園教育就学率が大体四歳児、五歳児合わせまして八〇%ということで、私の見ました限りにおきましては、むしろこういう形を選ぶべきではなかろうか、したがいまして御指摘になりましたように、現在幼稚園が、各県多少の格差はございますけれども、あるところにおいては保育所、あるところにおいては幼稚園という形で全国平均八〇%ということになっておりますので、これは厚生省と、そして私たち文部省と協力し合い、そして幼児教育就学教育というものを全からしめることが非常に子供発展段階に応じた教育をやる上において好ましい姿ではないだろうか、しかもそれが実際的なあり方ではなかろうかというふうに私は考えておるわけでございます。しかし、これにつきましては、ただいま中央教育審議会におきましても、諮問をいたしまして検討いたしておるところでございますので、もちろんこの意見を尊重していかなければならぬことは当然でございます。
  7. 奥野誠亮

    奥野分科員 学校教育法では、幼稚園についても「学校法人のみが、これを設置することができる。」としながら、特例として第百二条に、「幼稚園は、当分の間、学校法人によって設置されることを要しない。」としております。この法律が制定されましてから二十数年たったわけでございますけれども、今日でも幼稚園のうちで、私立が数の面でも六三・六%に及んでおります。この私立幼稚園の中で、学校法人立はわずかに二七・一%にすぎません。七二・九%は学校法人立以外の私立幼稚園でございます。原則よりも例外のほうがはるかに多いわけでございますから、どこかに無理があるのではないかということについて、私は文部省当局として十分留意されるべきだ、こう思います。  幸いにして、今度私立幼稚園施設整備費補助金など、増額にかなり努力していただきました。これらの問題につきましても、学校法人立以外の幼稚園には、憲法八十九条との関係から交付されていないわけでございます。とりわけ幼児教育施設は、幼児の身体的、精神的なもろもろの能力の発達の特殊性から見まして、できる限り小規模の施設を多数分散するように設置されなければなりませんだけに、国の援助学校法人立のものに限定されているところにも非常に多くの支障があるように私は感ずるわけでございます。今回幼稚園につきましても、経常費助成の道が開かれましただけに、この憲法との関係をぜひ打開したいと、私なりに検討を続けてまいりました。昭和二十六年に文部省では、学校教育方適用を受けているのだから、それで憲法で要請している公の支配の条件を十分満たしているんだ、こういう見解を示しておられます。翌、昭和二十七年には、自治省はそれだけでは不十分だという見解を示しまして、食い違ったままになっているわけであります。食い違ったままになっているわけでありますが、やはり学校法人立以外の私立幼稚園に対ましては、国からの援助がなされていないのでございます。いま申し上げましたような趣旨から内閣法制局にもただしてまいりました。私なりの考えも持っているわけでありますけれども、現状では、新憲法後に積み重ねられてまいりました実定法を通じて判断することが最も妥当だ、こう思うわけでございます。  憲法八十九条の公金その他の公の財産は、公の支配に属しない教育の事業に対し、これを支出してはならないという規定、これはノーサポートノーコントロール、またはコントロール・アンド・サポート精神なんだ、助成するについては、監督程度が問題なんだ、こういわれてきているわけでございます。監督程度については、私立学校法五十九条三項で、助成を求めた場合には、所轄庁は、一つには、業務または会計の状況に関し報告を求めることができる。二つには、予算について必要な変更の勧告をすることができる。三つには、役員の解職について勧告することができる。この権限を与えることを定めているわけでございます。このていさい産業教育振興法理科教育振興法私立大学研究設備に対する国の補助に関する法律スポーツ振興法私立学校振興会法その他数多くの法律に取り上げられておるわけであります。なおまた、三十七年に制定されました激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律、この第十七条で、学校法人立以外の幼稚園に対しましても、私立幼稚園に対しましても、国からの援助の道が開かれたのであります。しかし、やはりいま申し上げましたように、この条文の中で、この場合に私立学校法五十九条三項の監督規定が準用されるものとしているわけであります。  こう見てまいりますと、学校教育法規定だけで憲法のいう公の支配の要件を満たしているとして放置していることはいかがなものだろうか。やはり助成を受ける私立幼稚園には、私立学校法五十九条の三項の監督規定適用するものと法律を改めまして、そしてこの問題を解決されることが穏当な道ではなかろうか、こう私なりに考え至ったのであります。内閣法制局も、憲法上の別の問題になります、宗教法人立の問題はこれは別でありますけれども、学校法人立以外の私立幼稚園につきましては、私立学校法五十九条三項の規定適用があることを明らかにすれば違憲の問題は生じないのだ、こう言っているわけであります。でありますだけに、ぜひこの国会政府提案なり、あるいは議員立法によってもよいわけでありますけれども、このような法律改正を行なうことについて、文部大臣に御努力してもらいたい、こう私は考えるのでございます。これについての御所見を伺っておきたいと思います。
  8. 坂田道太

    坂田国務大臣 るる非常に適切なお話を伺いまして、私も同感するところが多いわけでございまして、やはりこの個人幼稚園に対しましても経常費支出ができますように考えていかなきゃならぬ。そしてまたその経常費支出をいたしますからには、やはりちゃんと正々堂々とそれがやれる、いささかも憲法違反とか何とかいうようなことを言われないような形においてやるべきであるということでございますので、いまの先生の御趣旨に従って、前向きにわれわれは検討してまいりたい、かように考える次第でございます。
  9. 奥野誠亮

    奥野分科員 冒頭に、自治省交付税課長に伺っておきたいのでありますが、今回の地方交付税法改正にあたって、道府県分基準財政需要額算定のうち、「経費の種類」の「その他の教育費」の項目の中で、人口測定単位として私立学校に対する経常費助成の金額が盛られていると承知しているわけでございます。私立学校経常費助成に要する額は、人口に比例するわけではなしに、道府県ごと私立学校私立幼稚園園児でありますとか、小、中、高校生徒数に比例をすると思います。だから、そういう数を使って補正をして実態に合わせるのだ、こう理解をしているわけでございます。いま文部大臣から御答弁がございましたが、学校法人立以外の私立幼稚園についても、たとえば私立学校法五十九条の三項の規定適用がある、こういう措置がとられますと、当然これに対する助成違憲ではなくなるわけでございますので、当然これらの園児数も、補正をする場合の園児数に加えられる、こう考えるわけでございます。そうしますと、四十五年度分の地方交付税交付金算定から、学校法人立に限らず、その他の私立幼稚園に対する助成財源府県に交付されることになるのだ、かように考えるわけでございます。この点、明確に伺っておきたいと思います。
  10. 横手正

    横手説明員 お答えいたします。  ただいまお話のございました件でございますが、先生お話になりました法律改正が行なわれましたならば、積極的に補正算定の際にその基礎の中に加えて考えてまいりたい、こう思っております。
  11. 奥野誠亮

    奥野分科員 文部大臣、お聞きいただきましたように、学校法人立以外の幼稚園に対しましても、四十五年度分から府県助成財源を国として与えるというように運べるようでございますので、ぜひこの点、この国会中に解決していただきますようにお願いしておきたいと思います。  その次に、小、中の義務教育についても一言ただしておきたいと思います。  昭和二十二年の学制改革以後、公立中学校が、既存の私立中学校の存在を無視してどんどん設置されてまいりました。その結果、私立中学校は次々に廃校のやむなきに至ってまいったように思うのでございます。公立学校教育は画一的になりやすく、平均的な教育で、特殊性というものは出しにくいように思います。あらゆる方面で若い人の未来を発展させるためにも、私立学校というものが必要だと考えるわけでございます。同時に、学校教育の目標や指導の実際等につきましても、私立学校公立学校の進歩的な教師たちが相互に参考にし合って進んでいけるのではないだろうか、こうも思うわけでございます。それだけに、同時にまた私立学校は、公立学校の果たし得ない役割りを持っておりますので、私立学校をこのような急激な衰退にまかしてきたことについては、私は文部省当局も反省されてしかるべきではないだろうかという考え方を抱き続けておるものでございます。四十五年度から小、中の私立学校につきましても、経常費助成の道が開かれた機会でございますだけに、義務教育分野におきましても、私立学校がさらに活発になるような配慮をしていただけるかどうか、お考え方を伺っておきたいと思います。
  12. 坂田道太

    坂田国務大臣 この点も、実は奥野さんと全く同感でございまして、従来、ともいたしますと、公立の小、中だけが学校であって、私立学校学校じゃないかのごとき風潮も一面に見られたのでございます。そのために、せっかく私立学校へ行こうと思っておる子供、あるいは私立学校に出したいと思っておる父兄を、逆に公立学校先生が説得をして何か入れさせないというような事例も、全国的に見ますと間々あったようなことでございまして、私は、こういうようなことは、むしろこれこそ憲法精神に反するのではないだろうかというふうに思いますし、また、私立学校の小、中校で現在残っております学校というものは、きわめて教育的に高い水準にあるというふうに私は承知をいたしております。そういう高い水準にあるところの私立学校が、経済的な面だけでなくなっていくということはまことにゆゆしい問題であって、そういうようなことのないように、ことに中学校高等学校とが、一貫して私立学校としての特色ある教育をやっておられるところに、だんだん就学率が減ってまいりましたために、中学校に入ってこない、そのために、せっかくいままで中学、高等学校一貫して私学の独自の特色ある教育を行なっておったのに、それが中学校はあきらめざるを得ないというのが実は出てきているわけでございまして、そういう意味からも、今回中学校小学校に対する経常費助成というものの持つ意味というものは非常に大きい、単に経済的なことだけを助成するということではなくて、私学の持っております特徴ある教育というものの価値というものを、社会的に認めるという意味において私は大切だと思うのでありまして、奥野先生おっしゃることは私は全面的に賛成でございまして、今後そういうふうに私は指導をしてまいりたい。また私学助成の、助成の量の拡大をはかりたいと考えております。いままで文部省といたしまして、その点につきまして十分でなかったということは、認めざるを得ないと私は思うのでございます。
  13. 奥野誠亮

    奥野分科員 文部大臣のお考え方が、強く文部行政の上に反映されることを心から期待いたしておきたいと思います。  高校の問題につきまして申し上げたいのでございますが、高等学校への進学率、四十四年度で全日制七四・六%、定時制を含め八〇・七%になると伺っておるわけでございます。また、このことを通じて、高等学校教育というものが義務教育化してきたんだともいわれているようでございます。過去に、中学校について起こったことが、この義務教育化という一般の来ようとあわせ考えてみまして、私にはたいへん気がかりになるのでございます。義務教育化してきたんだということから、高等学校への進学希望者を、全員公立高校に受け入れなければならないんだというような錯覚を、地方教育行政機関が持ち始めるんじゃないだろうかという心配を抱くのでございます。そういう錯覚におちいらないような強い文部当局指導、助言が今日必要ではなかろうか、かように考えております。  中学校の卒業生が減っていく今日におきましても、府県によりましては、公立学校を増設したり、あるいは公立学校学級増設をしたりしているところもございます。それはそれなりに、特殊な事情があるのかもしれませんけれども、私は、やはり府県当局が、私立学校充実、並行して発展していく、そのような配慮を持たなければならないのじゃないだろうかということを、切に感じているものでございます。いまのような、私立学校分野を狭めていくというような方向じゃなくて、むしろ発展充実させていくという方向への配慮が、地方教育行政機関に必要ではなかろうか、かように考えるわけでございます。この点について、文部大臣が、どのようなお考え方、あるいはまた、御指導をおとりいただけるのか、伺っておきたいと思います。
  14. 坂田道太

    坂田国務大臣 その点は、小、中の私立学校に対しまして私が申し上げましたとおりでございまして、やはり高等学校におきましても、質的に高い、あるいは特性ある私立高校教育というものが、やがて逆に今度は、公立学校の姿勢をただす場合もございましょうし、また、公立学校教育に欠けておるものを、反省を与えるというようなこともあるかと思うのでございまして、そのために、その私立高校教育内容質的向上、そしてまた、ある程度の量的な確保ということは、今後、考えていかなければならぬ。また、行政指導といたしましても、当然だと思うのでございます。  ただ、今日、非常に都市集中がいたされておりまして、都会におきましては、かなりこの私立高校の量的なものを確保しておりますけれども、地方に参りますと、必ずしもそうでない。それだけに、いま御心配になりましたような点もあるかと思いますが、ちょうど大学につきまして私学助成をやり、高校以下に、私学助成に踏み切ったこの機会に、やはりこの私学公立、あるいは国立と公立私立というような、一つの、設置者の違いはあっても、少なくとも大学においては、百六十万の大学生というとらえ方で大学教育というものを考えていく、あるいは学問の研究というものを考えていく。また、高等学校以下の教育におきましても、やはり私は、その高等学校に学ぶ――公立私立を問わず、それを一つの対象として文部行政が貫かれなければならない。その非常に画期的な、あるいはターニングポイントの時期に際しておるというふうに私は思うのでございまして、全く先生と同様の気持ちを持っておることを申し上げておきたいと思います。
  15. 奥野誠亮

    奥野分科員 いまのようなお考え、たいへん力強く感ぜられるわけでございます。そうしますと、公立幼稚園を設置するにしろ、あるいは公立高等学校の増設なり、あるいはまた学級増加なりを考えるにつきましても、私立幼稚園保育所がどこにあるか、私立高等学校がどういうものがどこにあるか、こういうこともあわせて考えて、公立のそれらの施設を配置していかなければならぬ、かように考えるわけでございます。こういうような精神が、従来から文部省の方針の中に示されておるのならけっこうでございますけれども、もしありませんければ、こういうものをぜひ私は積極的にお示しをいただきたい、かように考えるわけでございます。ひとつお伺いしておきたいと思います。
  16. 坂田道太

    坂田国務大臣 その点も、実は中教審におきまして、これから、主として大学ではございますけれども、長期的な教育計画というものを検討をお願いをするということになっておるわけでございます。たとえば戦後大学をつくりますにつきましても、何か大学設置基準に条件が整えばそれをすぐさま設置をしていった。そのために、あまりにも東海道メガロポリスに集中をして、六〇%以上の大学生が都市に集中をしたということに相なったわけでございまして、やはり日本列島全体を考えまして、どういうような設置のしかたをすべきか、あるいは将来におきまして、大学に行く人たちはどの程度まで考えたらいいかというようなことも考えなければいけない。いま御指摘の高等学校以下の学校の設置につきましても、あるいはやり方につきましても、その地域、地域におけるそういう指導というものがなされなければならないと思うのでございます。
  17. 奥野誠亮

    奥野分科員 先ほどちょっと触れたことでもございますが、学校法人立幼稚園についてもたてまえとしておられるけれども、むしろ学校法人立になっているのは例外だ、それはそれなりに特別の事情があるんだろうから、ここは掘り下げてひとつ御検討いただきたいということを申し上げました。同時に、宗教法人立幼稚園でありますと、憲法助成ができません。宗教法人立学校法人立に切りかえるところにもいろいろ難点があろうかと思います。あるいは人格なき社団の団体経営に持っていくのも一つの方法だということが、今日論議されているようでございます。こういうことにつきましても、文部当局でも御検討いただきまして、必要な経常費助成がすべての私立幼稚園適用されることのできるような御配慮を賜わっておきたい、かように思います。
  18. 坂田道太

    坂田国務大臣 十分誠意をもって検討いたしたいと考えております。
  19. 奥野誠亮

    奥野分科員 最後に、明日香のことについて一言さしていただきたいと思います。  もう一カ月にもなりましょうか、先日、総理大臣や文部大臣から、民族の心のふるさとともいうべき明日香を守ることについて熱意のこもったお話をいただきました。また、私からもお願いさせていただいたのでございますが、この機会に、重ねてこのことについて御配慮をお願いしておきたいのでございます。  申し上げるまでもなく、明日香は、飛鳥時代の政治文化の中心であった飛鳥諸京の置かれたところでありますし、また、飛鳥時代は、仏教文化を逆輸出したほど文化の栄えた時代でもございます。数多くの天皇陵や古墳をはじめ、飛鳥寺、川原寺、橘寺、大官大寺など、多くの寺院、史跡、埋蔵文化財が残されていますし、万葉の飛鳥川、雷の丘なども、昔のままの姿を伝えているのでございます。飛鳥の中心甘樫の丘の上に立ちますと、もろもろの遺跡を含めたいわゆる歴史的風土を一望のうちにおさめることができるのでございます。しかし、ここにも宅地開発を中心とする開発の波が押し寄せてきておりますことは例外ではございません。  そこでお願いしておきたいまず第一のことは、明日香地方板葺の宮跡などの調査をしていただいているわけでございますけれども、これらの調査をあとう限り促進していただきたいのでございます。できる限り早く結論を出すように御努力をわずらわしたいのでございます。  その二つは、史跡として重要な部分については、昭和四十六年度から国費買い上げの道を講じていただきたいのでございます。幸い文部当局のたいへんなお骨折りで、平城宮跡の国費買い上げも完了したわけでございます。でございますだけに、今度はひとつ、明日香について積極的な手を差し伸べていただきたいのでございます。  その三は、建設省予算に、明日香地方土地利用計画調査費が計上されたことでもございますので、奈良県あるいは明日香村、これらの地元や、建設省ともお話し合いいただきまして、飛ぶ鳥の明日香として親しまれ、あこがれてまいりました貴重な古代遺跡や歴史的風土を、土地開発のあらしから守っていく具体の計画立案につきましても、文部省指導的な立場をとってほしいのでございます。  そして、ここを訪れた人たちに、歴史の理解を深めさせるための施設やら環境を整えるための施策なども講じまして、いわゆる保存と開発との調和をはかっていきたいのでございます。この際、重ねて文部大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  20. 坂田道太

    坂田国務大臣 日本民族のふるさとでございます明日香村、このいろいろの伝統、文化、遺跡、これを保存することはわれわれに課されました重要な仕事だと私は考えるわけでございます。ことしもかなり予算もつけましたし、また、これに要しまする人も、たしか二人つけたと思っておりますが、さらに来年度におきましては、ただいま御指摘になりましたように、相当思い切った予算措置を考えていきたい。そうして、われわれのふるさと、この万葉のふるさとというものを守り、かつ、これを後世の民族のかてといたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  21. 笹山茂太郎

    笹山主査 それでは、上林榮吉君。
  22. 上林山榮吉

    上林分科員 御承知のように、日本が戦争に負けて、そして進駐軍が日本に来て、日本の教育というものに深くタッチをした。そのことから得たものもあるが、あるいは失ったものもあるんじゃないか、こういうことで、中央教育審議会で今後の日本の教育のあるべき姿を再検討しておられるのだろう、こういうように思うわけですが、これはきわめて大事なことで、私は積極的に賛成をしておる一人でございます。  そこで、その一環として、今回文部省で新構想大学の費用を一千二百万、それから郵政省のほうで放送大学の調査費を三百万組んでおるのでございますが、私は、これもまた考え方としては一つの前進だと思うのです。ただ、これを推進していく熱意ないしは具体性というものがどこまであるだろうか、現時点においては、私は多少の疑いをまた持たざるを得ないのでございます。  そこで、新構想大学、この中に放送大学が含まれているのかどうか、それとは別個のものであるか。新構想大学は別に考える、放送大学は郵政省所管でお考えなさい、文部省もできるだけ協力しましょう、こういう態度をとっていくのかどうか。まず、そのスタートラインを伺っておきたいと思います。
  23. 坂田道太

    坂田国務大臣 私は、新構想大学というものは、現在から未来社会へ向かって人類の発展のために必要な新しい大学、既設の大学にとらわれない新しい大学ということを一つの考え方の基礎に置いておるわけでございまして、放送大学もこの新構想大学の中の一つに考えております。
  24. 上林山榮吉

    上林分科員 おそらく調査費を組んだだけですから、いまのような答弁もあるいはやむを得ないかとも思いますけれども、調査費を組む前提として、少なくとも多少の具体性を含んだ青写真というものがなければならない。雲をつかむような調査費では、それこそ国費の乱費じゃないか、こういうように私は思うわけなんですが、大臣の答弁は非常に苦しいようでありますので、従来のよしみをもってこの程度でおきます。  しかし、もう少し私が伺っておきたいのは、それなら新構想大学並びに放送大学は、一年間くらいの調査で結論が出る、こういうお見通しですかどうですか。
  25. 坂田道太

    坂田国務大臣 この具体性は、まあないというならないとも受け取られると思いますけれども、実を申しますとこういうことなんでございます。  放送大学のほうは、もうすでに昨年度、御承知のとおりに、郵政省と文部省が協議をいたしまして、そして放送大学問題懇談会というものをまず――郵政省と文部省の両方から推薦をされました委員で構成されました懇談会、その会長は石坂泰三さんだったわけでございます。それで、数回基本的な問題につきまして御検討いただいて、その次には、今度は文部省の審議機関といたしまして準備調査会というものをつくりまして、松方三郎さんを会長にして、今日までもう十一回実は具体的な検討、調査をいたしておるわけでございます。  申し上げますと、たとえば放送大学の性格、設立主体、対象、教育方法、設置学科、大学組織、放送の実施期間等についてやっておるわけでございまして、確かに波のほう、たとえばUHFを使う、あるいは中波を確保するというようなこと、あるいはどの放送局を使うのか、新たにつくるのかどうなのかということは、もっぱらこれは主として郵政省にお願いをする。しかし、放送大学のいまの性格、組織というような問題は、むしろ文部省がやるということも実ははっきりいたしておるわけでございます。  それからまた、新しい構想大学の中に入れていいのか、あるいはどうなのかという疑問もあろうかと思いますけれども、ちょうど東京教育大学が筑波山ろくに移転をするということが従来続けられておったわけでございます。これも最初は、単に教育大学をあの筑波山ろくに移転をするということだけにとどまっておったのでございますけれども、しかし私は、新構想大学はやはりそのはしりとして、その一環としてこれを考えていくべきではなかろうかというふうに考えまして、このほうはかなり具体的に、教育大学とわれわれ文部省との間における協議も数回重ねて、その実現の方向に向かって進んでおる。  たとえば内容につきましても、一応既設の大学ではたとえば学部制、講座制というような形がございましたけれども、こういうようなことを一ぺん洗い直してみる必要があるのじゃないか。たとえばイギリスにおきましてエセックスとかサセックスとかいう新たな大学ができておる、あるいはまたドイツにおいても新たなボツフムの大学とかいう試みがございますが、そういうようなことも十分参考にいたしまして、そして新しい大学をつくろうということにいま進んでおるわけでございまして、そういうようなこと全体を含めまして今度の調査費で基本的な調査をいたしたい、あるいは海外に人を出しまして調査をしたいというのが、いま御審議をわずらわしておる調査費の内容でございます。
  26. 上林山榮吉

    上林分科員 一年くらいたったらいま言ったような御答弁の趣旨で調査が終わる、具体案ができる、こういうような見通しであるのかどうか。またつけ加えて、一体新構想大学では何を教えるのか、それから放送大学では何を教えるのか、こういう問題も、時間がないようですから簡単にひとつ、これは答弁がないようですから……。
  27. 坂田道太

    坂田国務大臣 放送大学のほうは一応前の郵政大臣と話しまして、一応四十六年度をめどにいたしたのでございますけれども、なかなかそれはちょっと、率直に申し上げてむずかしいというふうに思います。いまお話に、何を教え、どういう学制を考えておるのだというお尋ねでございますけれども、まさにそのことを実は検討いたしておるわけでございまして、既設の大学でやっておるものすべてがこの放送大学でやれるとは考えておりません。やはりマスメディアを通じてやれるコースというものがあるはずだというふうに私たちは了解をいたしておるわけでございます。  それからもう一つは、新構想大学というものは、一面におきまして中央教育審議会大学のあり方というものを検討いたしておりますし、最終的には来年の四月ごろこの答申が行なわれるということでございますから、政府といたしましては、それからそのことを踏まえた上で新構想大学も考えていかなければならぬというわけでございまして、多少時間はずれるということを御了承賜わりたいと思います。
  28. 上林山榮吉

    上林分科員 大事な構想ですから、大事な時期ですから、粗製乱造はいかぬと思います。これは多少の日時はとっても、ほんとうにまじめな将来性のあるものを確立しなければならぬという気持ちは、私はあなた以上に考えておるつもりです。そこで、昭和四十七年度にはできるものならばやりたいというくらいの心がまえだけは持って準備していただきたい。これは要望ですからお答えは要りません。  ただ放送大学の問題で、文部大臣に波の問題を質問しても御無理かと思いますので、郵政省から来てもらうようにしておきましたが、放送大学は一体どの波を使えるのか、使う波がほんとうにあるのか、この問題です。よほど無理をしなければ放送大学専用のいわゆる波はないのではないかという説をなす人もおるわけですが、一体FMを使うのか、あるいは標準放送を使うのか、あるいはUを使うのか、大電力による中波を使うのか、そうしたような問題の見通しはいつごろになればできるか。あと一年後にできるか、あるいは昭和四十七年度にもしスタートさせようとすれば、それに間に合うように波が使えるのかどうか。これはひとつこの場限りじゃなくて、むずかしいならむずかしい、相当時間がかかるようですということをやはりおっしゃったほうがいいと思うんですよ。これは私は放送大学がうまくやれるかやれないかというキーポイントだと思うんだ。だから、これは文部省に聞くのは無理だと思うので、郵政省に、適当な機会であると思うからお尋ねしておきたいと思います。
  29. 太原幹夫

    ○太原説明員 お答えいたします。  まずテレビの問題で申し上げますが、テレビは現在UHFの波は四百七十メガから七百七十メガまで五十チャンネル分とってございます。そのうち四百七十メガから五百九十メガまでの百二十メガ分、すなわち二十チャンネル分は、現在までいまだ全然使わずに未使用のまま留保してございます。この大半はVHF帯からUHF帯へ移行する問題並びに放送大学用に使うということを頭に入れて留保しているものでございます。ただしかし、放送大学というのは全国あまねく放送局をつくらなければなりませんので、主要な都市におきましては留保されている二十チャンネルを使いますけれども、それ以外の中継局につきましては現在使っております三十チャンネル分を使うことがあろうかと思いますけれども、テレビにつきましては、いま御質問のございました心配があるかどうかという点につきましては、心配がないとここで明言できると思っております。  次に、ラジオの一系列でございますが、これは一時中波で、あるいは大電力でやるというふうにいわれておりますけれども、御質問の中にございましたように、外国混信の問題等ありまして、中波の使用はきわめて困難でございます。また大電力にいたしましても、これを全国あまねくやるということもきわめて困難な状態でございます。したがいまして、現在私どもが考えておりますのは、中波のみによってこれを解決するということではなしに、現在七十六メガから九十メガまでのいわゆるFM放送といっている超短波放送の波をこれに充当するということも一方法だと考えておりますし、あるいは中波と超短波放送の両方の波を使うということも一つの方法かと思っておりますが、御質問のように、現在までのところその確答を得ておりませんが、ことしの秋に再免許もございますので、早急にこの計画を策定しなければならないものと思っておりますし、御質問の中にございましたいつごろできるかという点は、いつということは申すことができませんけれども、私ども作業をやる者といたしましては早急につくり上げたい、こういうふうに考えておりますし、音声放送におきましても全国一系列の波は捻出すべく努力いたしたいと考えております。
  30. 上林山榮吉

    上林分科員 私は一歩下がって質問をしているつもりですけれども、ただいまの答弁で半ばわかったけれども半ばわからない。だから、いま答弁になった線に沿った資料を、この予算委員会が済まないうちに、いまの答弁の程度のものでいいから出してもらいたい。  それから、私は昭和四十七年度に放送大学がスタートするとすれば、それに問に合うように確実な波がラジオもテレビも使えるかという質問なんだから、四十七年度には間に合います、こういうようなことを答弁なさらなければいかぬですよ。これはあとでいいですから、時間が残ったら答弁してもらいたい。  次に、私は文部大臣にお伺いしておきたいことは、今回私立学校に対する政府の積極的な助成諸費、これは私は、私立学校大学等においては三分の二を占めている状態から見て、むしろおそきに失したと思う。われわれが再三主張してきたことであったが、やっとここに政府が踏み切った。しかし、おくればせながら、これは私は前向きな姿勢であると思っておるわけであります。ただ全部の経費じゃなくて一部の人件費経常費補助してやって、これもしちゃならぬ、あるいはこれもせよと、こういうふうにこれが一つのスタートになって、私立学校の特色を払拭した、いわゆる統制というものに移行するのであれば、これはそれこそ角をためて牛を殺すようなものである。だからその辺の将来の考えはどこにあるのか。  そこで、もう時間があとわずかでございますので続けて申し上げますが、これに対しては、私学側においても相当心配をしておるようであります。だから、私学振興財団法が制定されるのに便乗して、私立学校法をいま私が言ったようなセンスで改められちゃかなわない。ことに改められようとしておる六つか七つの項目があるようでございますが、そのうちの五、六という数字を打ってある、項ですね。そういうところは、かえっていま言ったような心配を、意図しないけれども、結果的にそういうものが出てくるんじゃないか、こういうことが考えられるのでございます。たとえば基準ですね。基準というものを四角四面にやられたら、私立学校はみんな壊滅ですよ、壊滅です。しかしながら、一般世間は基準を守らなければけしからぬじゃないか、その学校はモラルがないじゃないか、ひどいじゃないか、こういうことを言うのですね。そうすると、これくらいの補助ではやっていけない、授業料をうんと上げなければならぬ、あるいは政府がこういう人件費だけじゃなくて、むしろ人件費よりも私はやはり物件費、建物、そういうものにもつと積極的に補助をすることが、彼らの心配をなくすることになりはしないか、こういうように考えるわけです。  一例を言うと、定員をきめてあるけれども、定員以上に実際入学しているのですね。これはいいことか悪いことか。道学者流に言えば悪いかもしれぬ。しかし、実際の教育をしているという面から言えば、いいことです。だから、その辺の対内的の理解と対外的な無理解との関係もあるしいたしますので、あまりこれに便乗されて、そういうようなことをやられては困るのではないか、この点をまず申し上げておきたいと思います。  たとえば定員の増の問題、設備あるいは授業その他の事項について規制する考えはあるのかどうか、こういう点は非常に誤解を受ける点でありますので、お聞きしておきたいと思います。
  31. 坂田道太

    坂田国務大臣 今回私学助成に踏み切って、日本私学振興財団法というものを間もなく提出いたしたいと考え、御審議をわずらわすつもりでございますが、いま上林先生仰せになりましたとおり、私、全く同感に考えておるわけでございまして、実は私立学校の特性を生かし、なおかつ学生教育と研究の質的向上ということをはかるために助成をするわけでございます。しかし、いやしくも国民の税金を使うわけでございますから、その経理の面につきましては、会計基準等を設けまして、これを適正に執行していただくということは申すまでもないことでございますけれども、いやしくも人事であるとか、あるいはその大学本来の個性ある教育をゆがめるとかいうようなことは、いささかもやってはならないことである。むしろ個性ある大学をつくっていただくことを念願としておるということをお考えいただきたいと思います。  それから定員等の問題もございますけれども、これはやはり実情に即して、あまりにも極端な場合においては、これはひとつ私学側の自粛自戒というものをお願いしなければなりませんけれども、しかしながら、常識的に考えまして、やはり時間をかけながら、われわれの目標に向かって漸時改革改善をしていただくということが大事であって、このことによって私学がつぶれてしまうというようなことがあってはならないというふうに考える次第でございます。
  32. 上林山榮吉

    上林分科員 いま御答弁のあった、国民の税金を使うのであるから、出した金に対して有効適切に使ったかという追及、追跡といいますか、それはそれでけっこうだと思うのです。それはそうでなくてはならぬと思っているのですが、私が言うのは、いま経常費補助することに関連して、大学とか高等学校なんかの、たとえば研究科の増設とか、あるいは収容定員の増であるとか、設備とか、あるいは授業とか、そうしたようなものを、こうしなければならぬというふうに、あまり規制をされることは、かえって私学の特徴を殺すことになりはしないか、だからそういう経常費の、いま言ったような補助ならばけっこうであるけれども、むしろそれならば、もっと建物、建築といった方面に積極的な助成をするほうが無難ではないか、こういう考えを私は持つわけであります。大臣の答弁を聞いて安心をいたしましたが、そういう心配を持ってわれわれのところにも、こういうような要望書が来ておるわけです。ですから、その点をひとつ頭に入れておいてもらいたいのであります。  さらに私学振興財団とか、あるいは私立学校振興会理事長の諮問機関であるとかいうものには――やはり私学が三分の二を占めておるのですから、全大学の。短期大学のごときは九〇%ではありませんか、高等学校は三〇%のようですね。そういうように占めているのですから、役員には私学関係者というものをせめて半数くらいは入れるくらいの雅量があっていいのではないか、われわれは監督するんだ、指導するんだけれども、中に入れて彼等の意見を聞こうという態度がやはり必要だと思うのですが、いかがでしょう。
  33. 坂田道太

    坂田国務大臣 やはり私学振興のためにこの財団ができるわけでございますから、私学の方々の意見が十分に反映されるような構成を考えてまいりたいというふうに思っております。
  34. 上林山榮吉

    上林分科員 大臣が非常に理解ある明快な答弁をされたので、この問題はこれでやめたいと思いますが、角度を少し変えまして、文部省は最近新構想大学とか、あるいはいま言ったように放送大学とかいうような新しい問題を非常に取り上げておられるので、私は非常に意を強うしておるわけでございますが、いまアメリカでは、大臣も御承知のように、大学でも、あるいは高等学校でも、コンピューターの研究あるいは授業が非常に盛んであります。だから、どうも日本の状態は立ちおくれまして、やっと情報センターをつくろうかというような気がまえが文部省に見えてきたようですが、私は、大学はもちろんのことですが、高等学校のうちの商業高等学校あるいは工業高等学校、こういうところでは、正課としてコンピューターあるいは情報科学の研究をやらせる、こういう考えはないか。一歩前進してこれぐらいの考えを持つ時代になってきたのじゃないか。あるいは企業方面においても、自分の力でこれを養成しているのですね。高等学校を出た程度のもの、あるいはそれ以上のもっと高いいわゆるコンピューターの知識を持つ教育、これは企業内でやっている。だから、これをもう少し、ひとつ学校の正課として、あるいはせめて随意選択科目としてこれを取り扱うだけの考えはまだできておらぬかという点であります。
  35. 坂田道太

    坂田国務大臣 この点も上林先生のおっしゃるとおりでございまして、私どもも、昨年十二月三日の理科教育及び産業教育審議会の建議の趣旨を尊重いたしまして、その促進をはかっているところでございます。御指摘になりましたように、都道府県に生徒の実習及び教員の研修の中心となる情報処理教育センターというものを、来年度予算におきまして六カ所分一億二千六百七十六万円というものを計上しておるわけでございますが、さらに、いまお話がございましたように高等学校の学習指導要領の改訂をいたしまして、御趣旨の線を貫きたいと考えて、ただいま新科目、新学科を明確に位置づけることについて検討をいたしております。なお、この学習指導要領の改訂を待たず、その以前においても同様の趣旨で履修できるようなところがあると考えられますので、そのことについても促進をいたしておるというわけでございます。
  36. 上林山榮吉

    上林分科員 残念ながら時間がありませんので、最後に一問だけ伺ってやめたいと思いますが、大臣が心を痛めてこられた大学紛争、その結果で、たとえば東大の安田講堂とかあるいは京都大学とかあるいは国立広島大学とか、非常に被害をこうむったわけですね。いま安田講堂あたりも、あれは国民の税金で修理をやっているのかと思いますが、まことに遺憾なことだと思うわけです。だが、これに対して国民の税金だけによらないで、あるいは文部省なり大学当局が、そういう無謀な被害を与えた学生等に対して何か公の賠償の方法を講じたのかどうか、この点を伺っておきたいと思います。  第二に、大事な東大の宇宙研究所で、これまた強力なる火炎びんを二百本製造した。これを頼まれて製造したのは、あそこに勤務しておる技官などであった。これなどは、私は時間があれば約一時間ぐらいかけても注意を喚起したい点ですが、分科会でもありますので時間がありません。だから、こういうことに対してひとつ善後処置といいますか、これを伺いたいと思います。
  37. 坂田道太

    坂田国務大臣 一昨年来の大学紛争によります国立大学の建物等の被害額は約十三億円に達しておりますが、この復旧につきましては、授業の再開、入試の実施、建物維持などに必要なものにつきまして、各関係大学におきまして、当該大学予算の範囲内で措置することとしており、今年度末までに約七億五千万円相当の復旧を行なうことと見込まれます。東大の安田講堂につきましては、建物維持のための応急修理をはかっておりますが、本格的な復旧につきましては、今後の使用計画などにらみ合わせて検討したいと考えております。  また、財産的損害を与えました学生等に対しまして、その刑事責任を追及するための告訴を、現在までに東京大学など二十三大学が行なっております。不法行為による損害賠償責任を追及するため民事訴訟を提起するよう、各大学に私のほうから指示をいたしておりますが、実はこの点が行なわれた大学はまだないという報告でございます。ただ東京大学におきましては、教職員がただいままでのところ、拠出金二千万円をこの復旧に拠出をしておるということで、これもさらにもう少しお金が集まるということを聞いておるわけでございます。  それから、もう一つの火炎びんの問題につきましては、大学局長からお答えを申し上げたいと思います。
  38. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 東京大学の宇宙航空研究所におきまして、その職員が、街頭において過激行動に使いました火炎びんなどを製造保管しておったということは、きわめて遺憾なことでございまして、これに対しましては、東大のみならず各大学に対しまして、この種事件が起こらないように厳重注意を発するとともに、東大におきましては、その責任者について相応の処分を行なっております。
  39. 上林山榮吉

    上林分科員 時間がありませんから。ピリオドだけ。  いま承りました。しかし、国民の税金で建てた大学がこわされて、その賠償が求められない、大学当局も無関心だということは、まことに遺憾であると思いますので、ひとつ今後の御努力を強く要望しておきます。
  40. 笹山茂太郎

    笹山主査 次は西宮弘君。
  41. 西宮弘

    西宮分科員 私は、憲法二十条に関連をいたしますいわゆる宗教と政党の問題というような問題についてお尋ねをしたいと思うのでありますが、実は私どもはこの問題はきわめて重要だと考えておりますので、この分科会の最初に、私はこの問題について御質問をするわけでございますから、どうか明確な御答弁をいただきたいと思います。  まず、宗教団体の行なう政治活動というようなものに対してはどういう限界等をお考えなのか、伺いたいと思います。
  42. 坂田道太

    坂田国務大臣 この前も申し上げましたように、宗教団体でございましても、一般の個人または団体と同様に、憲法によりまして集会、結社その他一切の表現の自由が保障され、その一環としての政治活動を行なうということも保障されておるわけでございますが、しかしまた、宗教法人である宗教団体は、宗教法人法により、宗教活動を行なうことを主たる目的とすることを要件として法人格を取得しておるということでございまして、宗教法人として政治活動を行なう場合には、あくまでも宗教団体の本来の目的というものを著しく逸脱したり、あるいは法令に違反して著しく公共の福祉を害するということが明らかに認められるような事態を招いてはならないということが基本でございまして、結局、宗教団体の目的を著しく逸脱しておるかどうか、あるいは法令に違反して著しく公共の福祉を害することが明らかに認められておるかどうかということが問題であって、やはり宗教団体は宗教団体の目的と性格に応じてその主たる活動に専念をしていただきたいし、そして、いやしくも法令違反なりあるいは宗教団体の目的に著しく違反をするような政治活動というものはあってはならないというふうに、私は考えておるわけであります。
  43. 西宮弘

    西宮分科員 私は、いま大臣の言われました、本来の宗教団体の目的を逸脱する行為があってはならぬ、こういうことにつきましてお尋ねをしたいのでありますが、その前に具体的な例として一つ申し上げたいと思うのであります。  時間を節約いたしますので、印刷物でごらんを願いたいと思います。  先般私どものほうの赤松議員が、この問題に関連して質問をいたしましたところが、直ちに公明党の矢野書記長から、これに対して反論が新聞に出されたわけでございます。それを見ますると、要するにこの問題は、ある高校の教師が創価学会は邪教であるという発言をしたので、その事実の有無について調査依頼をしたのだ、こういうふうに申しておるのでございますが、私の調べました範囲では、それとははなはだしく違うと考えるのでございます。したがって、私はまずその点を明らかにしたいと思うのであります。  たいへん長くこの印刷物には書いてありますが、要点は一枚目の終わりのほうの四番目に書いてありますように、東京都の教育庁にこの該当者――鷲見美雄というのでありますが――当時、赤松委員は匿名で質問をいたしましたけれども、本名は鷲見美雄と申します。この鷲見美雄なる人が呼び出しを受けて、そこで、いきなり入ってまいりました公明党の藤井富雄、小泉隆、この両議員から――いきなり入ってきたと申しましたけれども、この二人が教育庁の総務部長、指導部長、指導課長指導主事、この四人と一緒に入ってきたわけでありますが、入ってまいりまして、その教師の教えております教え方は創価学会を誹謗した、したがって、これは憲法違反であるというふうにおしかりを受けた、こういうことであります。それに対して本人が釈明しようとしましたところ、その態度が非礼であるというので、小泉議員からさらに叱責をされた。私は、何らの釈明も聞かず、具体的な調査もせずに、都会議員が授業内容に干渉するのは不当であると指摘をいたしましたところが、よろしい、それならば当方にも考えがある、と述べて退席をした。そこで次の日は、校長から、公明党の議員は非常に強硬だから陳謝をしてほしい、陳謝をしたらどうだ、こういう相談を受けたけれども拒否をした。それから二十四日には、校長と教頭からある料亭に招かれて、そこで、公明党議員に陳謝をして円満解決をしろということを言われたけれども、これを拒否した。それから、その後陳謝をすすめられたが、応じないので、それでは教育庁の幹部にあいさつだけでもしろというので参りまして、話し合いをして、私に何か悪い点があるならばその点を明示してもらいたいということを迫ったけれども、その点については何らの指摘がなかった。そしてただ、態度を変えてくれ、こういうことを言われるだけであった。そこで、要するに教育の問題を政治の問題にしたところに問題があるのだから、公明党議員は権力をもって教育を圧迫するのではないかということを自分では強く主張した、こういうことであります。そういたしておりますと、二月の十九日には突然授業停止を命ぜられ、さらにクラブ活動のごとき生徒に接近する行為も一切遠慮するようにということを命ぜられた。三月三日には校長から、公明党議員に陳謝をすれば円満におさまるんだが、もしそれをやらなければ憂慮すべき事態が発生する、こういうことを聞かされた。三月二十七日には生徒七名が訪問をしてきて、創価学会の信者の女生徒の某が、鷲見先生は三月末には首になる、こういう話をしていたので、驚いて注進に来た、知らせに来た、こういうことでございます。  まあ大体要点はそういう点でございますが、最後のページの冒頭に小尾教育長の見解がございますけれども、小尾教育長に初めて会いましたところが、当局の処置が適当ではなかったというようなことで、たいへん苦労をかけてすまなかった、こういうお話があったので、それではそれを書面にしてほしいと頼んだけれども、一ぺんは承諾されたんだが、ついに書面にはされなかった、こういうことが事実でございます。  そこで私が指摘をいたしたいのは、これなどは宗教団体の宗教的な見解の相違、そういったものを政治の権力をもって強要しようというところにこの問題の本質があるんだ、そういう意味で、私はこの問題は決して軽く見のがすことのできる問題ではないと思うのでございます。私はこの人をたずねましたけれども、きわめて質素な生活をしながら、傷つけられた痛手をいやしまするために、細々と法廷の戦いを続けておるのでございます。私の見る限りにおいては、まことに強い信念に燃えながら困難な戦いを戦い続けておるというふうに見まして、私はこの人にそういう感じを受けてまいったのでございます。したがって、私が申し上げたいことは、大臣として、こういう問題――これはもちろん、事実がどうであるかについては、大臣も全く御存じないと思います。私もこの当人から聞いただけでございます。しかし、もしこういうことが事実だといたしまするならば、これは私はいわゆる逸脱をした行為ではないかというふうに考えるわけですが、そういう点は大臣どうお考えか、一向にこういうことは差しつかえがないのか、あるいはこれはまことに遺憾なできごとである、こういうことはやるべき問題ではない、こういうふうにお考えであるか、お答えいただきたいと思います。
  44. 坂田道太

    坂田国務大臣 いま突然資料をお見せいただいたのでございますから、事実関係が実は明らかになっておりません。ただし、そういう事件があったということは私たちのほうでも――そういうという意味は、いまお示しになったそのままがあったという意味じゃございませんけれども、そのようなトラブルがあったということは承知をいたしておるわけでございます。それなりに事務当局でも承知をいたしておると思います。が、私はこういう問題は一般的に申さなければ、やはり具体的事実を突然見せられてそれについていろいろ申し上げるということは、宗教上の問題でもあるし、あるいは政党の政治的問題でもあるし、なかなかお答え方が実はむずかしいと思うのです。それこそが私は、信教の自由を一面において憲法が保障しておることであるし、同時に今度は、教育の中にそういうようなものを持ち込まないために、教育基本法で教育の中立性ということを申しておると私は了解するわけでございます。ですから、この教育基本法の教育の中立性にいたしましても、一党一派に偏するところの教育をやってはならないという意味はまさにそういうようなところでございまして、先生方が、あまりにも現実的な問題について、党派的なことをむき出しにして批判をするということは、教育上一体好ましいことであるかどうか。言論の自由ということは一面にありますけれども、そのところも、常識の線というものがやはり教師に求められるのではなかろうか。同様に、宗教上の問題につきましても、確かに宗教団体というものは政治活動が認められてはおるけれども、しかし、その宗教団体の目的を逸脱して、あるいはこの常識を欠くようなことがもしあったとするならば、一般的にいってそういうものは望ましくないのである、こういうことしか私はお答えができない。私は、それでお答えになるのじゃなかろうかというふうに思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  45. 西宮弘

    西宮分科員 私は、たとえば教育の中立性はもちろん当然でありまするし、その点はこの当人もわきまえておるようであります。詳しく書いてありますけれども、その説明を省略をいたしましたけれども、ここに書きましたような、文部省の「期待される人間像」であるとか、あるいはまたソクラテスとか、親鸞とか、あるいは宮沢俊義の書物とか、あるいは内村鑑三の書物とか、いろいろそういうものを取り上げまして教育の材料に使っておったということは、ここに書いてあるとおりであります。それが、たまたま創価学会の立場から申しますると、自分たち考え方と相いれないものが、たとえば教科書の中――教科書と申しますか、ここにすすめております書物の中にもあるのだろうと思います。しかし、そうであるにしても、これはあくまでも教育の問題だと思うのですよ。ですから、たとえばその本人を呼び出して、それは教育上適当ではない、こういうことで、その道の、つまり東京都の教育庁がそれを説明する、こういうことであれば、私は少しも問題がないと思うのであります。ところが、ここにも書いてありまするように、教育庁の関係者は、その悪い点を指摘をしてくれと言っても指摘をしない。あるいはまた、最後に小尾教育長などは、たいへんすまなかったということを言っておる。そういうことで、教育庁の当局はその点について何らの指摘をしていない。私は、いま大臣が前段に言われたようなことを、もし教育庁の当局がその教師に向かって言うならば問題はないと思う。ところが、要するに公明党の方が、これがたまたま議員である、創価学会の信者がたまたま議員である、こういうことのために、あるいは授業の停止を求めたり、あるいは、これは最後に転任をさせられるわけでありますが、転任をさせるとか、あるいは首にするとか、こういうようなことで臨んでくるという事態は、少なくとも――そこだけに限って御答弁願いたいと思うのですが、それはもちろん前の前提がありましょうから、そこだけ答弁するのは無理だと言われるかもしれませんけれども、私は、あとでよく見ていただきたいと思います。私の言いたいのは、教育庁の責任者は、このことを一切非難しておらないわけですよ。少なくとも私が聞いた限りにおいては、非難しておらない。それをいきなり公明党の議員がそういうことを非難をするというのは、それは筋違いではないか、こう考えるのです。そこだけ簡単にひとつお願いいたします。
  46. 坂田道太

    坂田国務大臣 教育長がすまなかったという気持ちにそれが表現されているのじゃなかろうか、というふうに私は思います。
  47. 西宮弘

    西宮分科員 それでは、私は一般論としてお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、私は、公明党の方がおられましたらほんとうはお願いしたいと思うのですが、いままでずいぶんこういう問題が、この国会が始まって以来問題になっているわけであります。私は、もし私の申し上げているところに間違いがありましたら、ぜひ御指摘を願いたいと思うのであります。  さて、あとは原則論で申し上げたいと思うのでありますが、今日の憲法がもちろん宗教と政治の分離を厳重にしておる、こういうことは当然でありまするけれども、今日の公明党と創価学会の関係でありますが、こういうふうに宗教団体と政党があまりにもこん然一体となっておる、こういう状態は、私はかなり疑問にすべき点があるのではないかと考えるわけであります。戦争前には、御承知のように祭政一致というようなことがいわれ、あるいは国家神道というようなことで、ほとんど神道が国の国教の観を呈しておったわけです。そういうことが間違いであるというので、終戦直後、直ちに勅令でこれが排除をされ、あるいはさらに憲法の二十条でこのことが明定をされたわけでございます。したがって、いまの創価学会と公明党のあり方、これに対しましては、私はやはりどうしても疑問が残るわけでございます。もちろん公明党でも、あるいは創価学会でございますか、会長の池田さんなどは、特に衆議院選挙の行なわれまする直前には、われわれ一党独裁を考えているのではない、あるいはまた創価学会だけの宗教を考えているわけではない、他の宗教の存在も認めるのだ、こういうようなことで否定をされまして、従来の態度と違った点を表明をされたわけでありますが、しかし私は、少なくともこの団体が、その二つ、宗教団体と政党が密接不離な関係にある、あるいは一心同体な、全く文字どおり表裏一体の関係にある、それほどこん然一体をなしておる、こういう事実は、これはだれも認める事実だと思うのでありますが、そういうようなあり方に対して、大臣としては何の疑問もお感じになりませんか。
  48. 坂田道太

    坂田国務大臣 私は宗教法人の所轄の担当大臣としまして、宗教法人の目的、性格、そしてそれをはなはだしく逸脱しておるかどうか、あるいは法令に違反しておるかどうかという事柄について申し上げるべきだと私は思うわけでございまして、ただその場合におきましても、宗教法人が政治活動は一面において許されておるわけでございますから――ただ、許されておるといっても、それがはなはだしく常軌を逸脱したような状況がもしあるというような場合は、やはり問題があるというふうに思うわけでございます。
  49. 西宮弘

    西宮分科員 創価学会とかあるいは公明党とか、そういう固有名詞を出しますといろいろ問題があるかもしれません。しかし、全く抽象的に考えてみて、政党と宗教団体がそういうこん然一体の形をなしてしまう。しかも政党は、これは申すまでもなく、あらゆる政党がそうでありますが、これは権力闘争の機関でありますね。政治権力を掌握したいというのが、これはあらゆる政党の願いであるわけであります。  そこで、宗教は、特に創価学会の場合、ただいま申しましたように衆議院選挙の直前に、他の宗教の存在を認める、こういうことを申されましたけれども、少なくとも創価学会以外の宗教をことごとく邪宗、邪教として一切排除をする、そういうきわめて排他的な姿勢で布教に当たってこられたということだけは、厳たる事実であるわけですね。私はそういう点を考えると、権力の座を目ざす政党と、それからいま申し上げたような宗教とが一つになってしまう、全く区別がつかないまでにこん然一体になってしまう、こういうことになりますると……(発言する者あり)これは私は抽象的なものとして御質問をしておるわけですから、どうぞお答えをいただきたい。  なお申し上げますが、もし何か御意見がありましたら、公明党の方の出る幕もたくさんあるわけでありますから、どうかこういうところを利用してぜひ明らかにしていただきたいと思うのであります。私は時間が短いので残念ですが、もう少し時間があるならば、ここで関連質問の形でお述べいただいてもけっこうだと思うのでありますが、とにかく公明党の方が出る幕がたくさんあるわけであります。公明党の御主張は、いまは大事な国民生活の問題を論議をする場だから、それ以外の問題は論議しない、こういうふうにおっしゃっておられますけれども、この問題について国民のずいぶん多くが心配をしておるわけですよ。私は、そういう際にやはり公明党の方も、こういう場を通してその所信を明らかにするということは必要ではないかと思うのでありまして、大臣には、抽象論としていまお尋ねをした点について、簡単に一言だけお答えいただきます。
  50. 坂田道太

    坂田国務大臣 抽象論としての御質問でございますから私のほうもお答えをいたしますが、この間も総理がお答えになりましたように、政教分離の原則というものは国権行使の場面について規律したものである、ある宗教団体がどのような宗教教育を行なうか、どのような政治活動を営むかというような事柄は、これらの規定に定める政教分離の原則とはかかわりのない事柄である、こういうふうに答弁をしておりますが、やはり私もそのとおりだと考えておるわけでございます。
  51. 西宮弘

    西宮分科員 私はただいま公明党の方に、ぜひ公明党の御所信を明らかにしていただきたいということを申し上げたのでありますが、私はさらに、できますならば会長池田大作さんに御足労願って、ぜひそういう問題を解明してほしいと思うのであります。これはとにかく国民の多くが心配をしておる、あるいはまた言論機関等が、国会でこの問題を明らかにしろ、こういうことを主張しておる。これは要するに、明らかに世論の一部だと思うわけです。あるいは世論の大勢かと思うわけであります。したがって、ぜひ池田会長に御足労願って、そういう点を明らかにしていただきたいということを私は希望するのであります。公明新聞にこういうふうに書いてあるのであります。「これらの諸氏が得意満面振りかざした新事実なるものが、ことごとく虚偽であり、全く根拠のないものであることが、次々と明るみに出て、質問者の面目丸つぶれになってしまったことは、気の毒ともこっけいともいいようがない。」私が先ほど申しましたように、先般、高等学校の教員の問題について、矢野書記長が談話として述べられたのは、単に事実の調査を依頼しただけだということでありますが、実態は少なくともそれとは大きく違っておるようであります。あるいはまた、例の書物を廃棄したという問題について否定をされた。それに対しては、先般われわれの同志のだれでしたか、新しい事実をあげて申したのでありますけれども、そういう事実を十分に調査しないでそういうことを述べられるということは、たいへん残念なことでございますから、私はぜひ最高責任者であります池田会長においでをいただいて、国民の疑問にこたえてこれを解明していただく、こういうことをお願いしたいと思うのでありますが、これは大臣にお願いをしてもしかたがないので、私の希望をこの機会に表明をいたしておきます。  そこで大臣にお願いしたいことは、私の意見として申し上げたいことは、こういう問題についてもう少し専門的に調査をするような機関等をつくってはどうかというふうに私は考えるわけですが、その点いかがですか。
  52. 坂田道太

    坂田国務大臣 その辺がなかなかかね合いがむずかしいところでございまして、やはり一面において信教の自由というものは憲法で保障されておりますから、その宗教法人が宗教の布教をやられることにつきまして、われわれがあまり立ち入るということはいかがかというふうに思うわけでございます。これは何も創価学会のみならず、すべての宗教についていえることだと思うわけでございまして、われわれのところでは布教活動については調査権はないということは、御案内のとおりだと思うわけでございますが、しかし、たとえば人権委員会とかあるいは非常な刑事事件を起こしたとかいうようなことで、宗教法人としての目的を著しく逸脱しておったり、あるいはまた法令に違反をしておる事実が非常に明らかになっておるというような場合については、私は調査をすべきであるというふうに思うのでございます。
  53. 西宮弘

    西宮分科員 大臣の御答弁のとおり、布教活動をチェックしたりブレーキをかけたり、こういうことが国家権力で許されるはずはないので、それはまさにそのとおりだと思う。私がこういう問題をもう少し専門的に調査をしてはどうかということを申し上げましたのは、私はこういう状態はいままで予想しなかったのではないかと思うのですよ。たまたま創価学会と公明党ということになりますのでいかがかと思いますけれども、抽象的に考えてみても、宗教団体がそれがそっくりそのまま政党であるというようなことですね。たとえば公明党の場合には、私どもの知る範囲では、固有の党員というのはないと思うのです。登録には何か二十万ぐらいの党員が、数字だけ登録をしてあるようでありますけれども、固有の党員はない。あるいは非学会員の党員というのもないと私は伺っておるわけです。そういうふうに文字どおり宗教団体と政党が一つになってしまう状態、あるいはかりに政党内部の執行機関を選ぶにしても、これは今日行なわれております政党などとははなはだしく違うわけですね。その執行機関の選任等も、少なくとも実質的には宗教団体の最高権威者が選ぶ、こういうことが実態のようでございます。こういうことになりますと、どんなにその点を粉飾してみても、実質的には文字どおり宗教団体と政党とがこん然一体の形をなしてしまっておるということは、争えない現実だと思う。私は、そういうことはいままでの文部省所管の宗教行政なりそういう点では実は予想しておらなかったのではないかと思う。そういうことになりますと、私は決してその結論を断定をしているわけではないのでありますから、やはりそういうあり方がいいのか悪いのか、正しいのかどうかというようなことを根本的に調査してみる必要があるのではないか、だから、そういう調査機関等を設けるお考えはないかどうか、お聞きしたいと思います。
  54. 坂田道太

    坂田国務大臣 なかなかここのところのかね合いがむずかしいので、たとえば布教活動に対しては調査してはいけないということはわかる、先生もおっしゃるわけですが、しかし、そこのところがどこをもって限界とするか。ことばの上では、それ以外のことなら調査してもいいじゃないかというようなことになるとも思いますけれども、しかし、そこのところが、私から言わせると、やはり個々の宗教団体にとっては非常に重大なことでございまして、信教の自由というものが許されておるというのはまさにそこにあるわけなので、そういうようなことを十分配慮すべきであって、文部省において調査職員をかまえて、そして何百とございまするあらゆる宗教団体に、何かちょっとした事実やいろいろございました場合において、一々調査をするというようなことはいかがか、ただいまのところは私は考えておりません。
  55. 笹山茂太郎

    笹山主査 大原亨君より関連質問の申し出がありますので、これを許します。  なお、西宮君の持ち時間が参っておりますので、簡単にお願い申し上げます。
  56. 大原亨

    大原分科員 こういうことです。大切な問題は、教育の場において宗教教育をどういうふうに考えるかということですね。内村鑑三さんの書物がずっとここに例示されておりますね。私も読みまして、内村鑑三はキリスト教の一宗派の信徒の立場でなしに、キリスト教徒では無宗派の宗教論、平和論を展開された人ですね、簡単に言えば。そこで、創価学会と公明党との関係が議論になっておるのですが、宗教の中では神とか仏ですから絶対性を問題にするわけですが、政治の世界では相対性が問題ですね。そこでこの問題が、議論がずっと発展しておるわけです。  そこで、教育の場において、たとえば末尾に、内村鑑三とかその他のレポートなんかについてはこれを拒否するというふうなことが、鷲見さんの報告、談話の中にありますね。つまり教育の場に得定の宗教を持ち込まないということは、基本法の精神であり、憲法精神ですが、キリスト教とか仏教とか、そういう宗教自体の問題を取り上げてはならぬということではないわけです。つまり被教育者の生徒とか児童とかそういう立場、そういう人格を尊重して、そして特定の宗教でなしに、客観的に取り上げていく。つまり被教育者の生徒、児童の人格を尊重するという立場でやらなければ、宗教教育というものは全然ノータッチになるし、教育精神でもないわけです。歴史も教えることはできないわけです。そこでこの例のように、子供が、あの先生はかわるのだとか、レポートを出すのを拒否するのだというふうな、そういうアレルギー的な、絶対的な立場というものが教育の場に持ち込まれておるとするならば、これは教育基本法や憲法精神からいって、教育の本質からいっておかしいのではないか。宗教の本質論になってきますが、しかし、少なくともそういうことではないか。政治的な中立性ということもそういうことだと思うのです。そういう宗教教育と特定の宗派の問題とを混同させるから、ここに問題が起きておるわけですから、そういう混乱やアレルギーに対しましては、やはり文部省としては宗教教育についての正しい方針を現場に徹底させないと、こういう問題が起きるのではないか。こういうところに、私はあなたの所管の中で、もう少し高次元の指導性のある答弁を期待するのは当然じゃないかと思う。
  57. 坂田道太

    坂田国務大臣 いまのお話でよくわかるわけでございまして、教育基本法の第九条に「宗教教育」というものがあり、これは御案内のとおりと思いますけれども、「宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会生活における地位は、教育上これを尊重しなければならない。」「国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。」こういうふうに書いてあるわけでございまして、仰せのとおりというふうに私は思います。同様に、政治的教育というようなことについても、一党一派に偏する教育をしてはならない。したがいまして、自民党だけが唯一絶対の政党であるということを言ってならないと同様に、社会党だけがすぐれた、あるいは絶対の政党であるというようなことを先生子供たちに教え込むというようなことも許さるべきことではないということは、もとよりでございます
  58. 笹山茂太郎

    笹山主査 時間が過ぎておりますから、簡単に……。
  59. 西宮弘

    西宮分科員 これで終わりますが、おそらく大臣も、こういう現象は予想していなかったと思うのですよ。先ほど申し上げたように――こういうような宗教団体が政治活動をすることは、当然許されますよ。しかし、こういう宗教団体と政党とが全く一つになってしまう、少なくとも実質的にはこん然一体の形をなしておる、こういうことは、おそらく文部省もないしは憲法も予想しておらなかったと思うのですよ。したがって、私は、それがいい悪いの結論はあと回しにして、ぜひそういう点について文部省としても根本的な検討をしてもらう、こういうことをお願いしたいと思うのですが、いかがですか。これで終わりにしますから……。
  60. 坂田道太

    坂田国務大臣 先ほど申しましたように、政治教育であれ、あるいは宗教教育であれ、やはり客観的な基本法の精神によってやらなければならないというふうに考えますし、そういうような指導、行政を進めてまいりたいというふうに考えております。
  61. 登坂重次郎

    ○登坂主査代理 川村継義君。
  62. 川村継義

    川村分科員 文教政策の問題は、私が申し上げるまでもなく、いろいろ大きな問題が累積をしております。しかし私は、きょうこの短い時間で、大学の問題であるとか、あるいは教育改革の問題であるとか、そういう大きな問題についてお聞きをしようとは思いません。文教政策の中で、特に今日ややともすると忘れられがちと言おうか、どこかに置き去られている問題に、教育財政の問題があるわけであります。この教育財政の問題も、これは間口を広げて論議すると、たいへんなことになりますから、きょうは私はぐっと縮めまして、義務制に関係のある問題について、二、三お尋ねをしておきたいと思います。  文部省がことしの予算でいろいろと努力をしておる、その中で、父兄負担の軽減というような項目で、教材費の問題、教科書無償の問題、就学援助の問題あるいは遠距離通学費補助の問題等々、例年によって努力をしておることは認めます。ただ今日のこの市町村、義務制側の教育財政のあり方を見ると、一体ほんとうに教育をりっぱに高めていくための十分なる措置がなされておるか、こういうことを考えてみると、問題がたくさんある。  そこで、いまわれわれがこれらの財政問題を考えるときに、皆さん方ある程度努力はしたけれども、どうもそれがうまくいっていないものに父母負担の増高、もっとこまかに言うならば、父兄が子供教育するについて、税外の負担が非常に大きいということであります。これをそのまま見過ごしておいていいかどうかという問題、それから教育を進めるについての市町村に与える超過負担の問題がある。これは教育に限ったことではないけれども、超過負担の問題がある。こういうように財政の措置が不十分なために、あるいは財政の秩序が乱れておるために、大きな教育的な影響、特によくない影響をかもし出しておるということをわれわれは考えねばならぬと思います。  そういう観点から二、三お尋ねをしておきます。なお、きょうは時間がないから、いろいろと問題提起に終わるかもしれませんが、各般の問題についてはまた委員会でお聞きすることにいたします  文部省は、昨年の十一月だったと思うけれども、この父兄の教育費負担の実態を調べて発表をしております。それをひとつ局長からでいいですが、ここで明らかにしてください。
  63. 宮地茂

    ○宮地政府委員 お答えいたします。  この四十三年五日一日現在で市町村費負担及び私費負担、こういう関係で教職員の調査をいたしておりますが、またほかの観点から四十三年度の小中学校の経費負担、いろんな調査をいたしております。その中で、いま川村先生の御質問の趣旨によります調査で、いわゆる公費で負担すべきものを父兄が負担をしておるというものにつきましては、昭和四十三年度は百六十八億、これは中身といたしましていろいろございますが、教職員の給与関係補助職員の給与関係あるいは教材関係、あるいは学校の維持管理関係施設設備関係、いろんな費目にわたっておりますが、本来公費で負担すべきであろうと思われるものを父兄が負担しておりますのは、百六十八億でございます。これは全部の教育費の負担の割合といたしましては、一・四%に当たる数字でございます。
  64. 川村継義

    川村分科員 その点、もうちょっとあとでお聞きしますけれども、私の手元にある資料によりますと、文部省調査によると、小学校で年間一万七千五百二十円、中学校で二万三千四百四十六円、全日制高校で五万一千二百七十円。つまり小学校で前年に比べて一〇・三%、中学校で九%、このように父兄の教育費負担が増高をしておる。これは年々上がってきておるのであって、これはよほど考えなければならぬ問題があると思うのですね。しかも、文部省が調べておるこの父兄負担の教育費負担の増高の中には、実は非常にカットされているものがある。たとえば子供が塾へ行く場合の月謝であるとか、あるいはピアノの練習代であるとか、あるいは舞踊等のレッスン代であるとか、机とかいすとか。これは実は含めていない調査でも、いま私が申し上げたような結果が出ておる。これはよほど文部行政を進める者としては注意をしなければならぬ、大きな関心を持たなければならぬ問題だと思います。  ところが一方、いま局長からお話しになったように、この父兄負担の中で特に問題として考えなければならぬのはPTAの負担である。このPTAの負担は、いまも局長も言いましたように、校費に組み入れられて使われているもの、あるいは校費に組み入れられないで使われているもの、まあこれが四十三年度は百六十八億あるとこう言ったのでありますが、なるほど私の手元にあるところの、これは文部省から出ておるのですが、昭和四十二年度のものでありますが、小学校で、校費に組み入れられたものが十三億八千九百万、校費に組み入れられないものが九十一億五千九百万、中学校は、校費に組み入れられたものが七億七千二百万、校費に組み入れられないものが六十七億九千八百万、これを全部トータルしてみると、ものすごいPTAの負担になっておるのですね。こういうものが、おそらく今度四十三年度が出てくると、いまお話しのように百六十八億と言われたけれども、そういう高いところの父兄負担というものが出てくると思います。これについて大臣、いま局長もちょっと説明しておりましたように、このPTAの負担が校費に組み入れたり、入れられなかったりして使われておるところのその使途というものを、大臣、御存じでございますか。
  65. 坂田道太

    坂田国務大臣 これはいろいろあるかと思いますが、たとえば旅費にわたるようなもの、あるいは施設にわたるもの、いろいろあると思います。詳しいことは、局長が知っておるかと思いますけれども……。
  66. 川村継義

    川村分科員 さっき局長がちょっと申したのですが、これはあなたのほうのこれにも明らかになっておるのですが、実際PTAが出した金の使い方は、義務教員の給与、事務職員の給与、補助職員の給与、旅費、消耗品費、修学旅行費等々の経費が出ておるばかりでなく、維持費、日直宿直手当、それから電気水道ガス代、修繕費あるいは補助活動費、こういう各般の、一々申し上げたら時間がありませんが、各般の支出がなされておる。これは大臣、これでよろしいとお考えですか。
  67. 坂田道太

    坂田国務大臣 好ましい姿ではないと思います。やはりこれは公費負担に漸次持っていかなければならない、努力をしなければならぬ課題だと思っております。
  68. 川村継義

    川村分科員 自治省課長さん、おいでになっておりましょうか。――これは地方財政法から見て、このようにPTAが――私がいま二、三申し上げたような使い方をするのは、これは一体適法なのかどうなのか、見解をひとつお示しいただきたい。
  69. 森岡敞

    ○森岡説明員 御指摘のように、本来公費で負担すべきものにつきまして父兄の税外負担の形で負担を求めていくということは、これは地方財政法のたてまえから申しまして、不法な措置だとこういうふうに考えております。
  70. 川村継義

    川村分科員 財政課長は、これは違法だと言っておる。文部大臣、あなたの直接まるまる背負い込む責任じゃないかもしれませんね。しかし、これは文部大臣としてはよほど考えてもらわなければならぬ問題だと思います。大臣、どうしたらいいとお考えですか。
  71. 宮地茂

    ○宮地政府委員 多少弁解がましくなりますが、先ほど申しました百六十八億でございますが、その中身は従来から調査のとり方ではっきりいたさないのですが、中には非常に金を持っておられる方が、教育のために使ってほしいということでお出しになられたものも、百六十八億と私が先ほど申しました中にもございますし、また、たとえば学校の建物を建てます場合に、私どものほうとしては一応学校施設基準、補助対象といたします基準を持っておりますが、父兄といたしましては、その補助対象の基準以上に学校の建物を建てたい、たとえば百平米でよいと思われるものを、百二十平米のほうが子供のためによりよいのだといったようなことで、二十平米分は基準以上のものを建てたい、こういったようなことで金を出されるとか、あるいは学校先生方に対しましても、旅費というものを一応実績負担で、義務教育費国庫負担で見ておるわけでございますが、それ以上にPTA会費の中から、先生の旅行される場合には経費を差し上げたいとか、いろいろそういうものもございまして、純粋に本来国と都道府県が負担すべき形になっておるそのものまでもといったようなものは、この百六十八億から相当少ない数字になろうかと思います。  しかし、いずれにしましてもそういう状況でございますので、私どもといたしましては、公費で負担すべきものを父兄が負担するということは、これは絶対に解消していきたい。その方策といたしましては、一例を申しますれば、たとえば教材費等の充実、これは十年計画で私ども、大蔵省の完全な了解を得ておりませんが、三年前から、今後十年計画で八百億の教材費の充実をしたいといったような計画を立てまして、年々教材費の充実の増額も見ておるところでございます。そういうふうに、今日文部省でいたしておりますもの、市町村、府県で考えておりますもの、それを国費によります負担金、補助金、あるいは交付税、そういうものの増額をはかって、いまの、何としても好ましくない状態を解消していきたい、こういう考えで努力いたしております。
  72. 川村継義

    川村分科員 局長のいまの御答弁は、どうも答弁になりませんね。いまこういう問題の負担をなくさなければならぬということは、これは実は去年、ことし、いわれた問題ではないのです。しかし、あなたがおっしゃったように、たとえば局長が、おれの子供がどこどこの小学校中学校を出ておる。困っておるから、ひとつおれの金を百万なり寄付してやろう、助けてやろう、こういうことまで、特殊の人たちの寄付までまかりならぬとか、それは困るとか、われわれは言っているわけじゃないのですよね。そういう特殊の方々の寄付というものはあるでしょう。しかし、そういうものばかりではない。大部分はやはりPTAという一種の割当的な形で取られておるところが実態なんですよ。しかも、それが使われておるのが、先ほど財政課長が言われたように、教員の給与であるとか旅行費であるとか、事務職員の給与であるとか、あるいは維持修繕費であるとか、こういうものに流用されておる。ということは、これは財政法から見ても違反なんです。地方財政法から見ても違反なんです。地方財政法にはちゃんとそういうことを、間接であろうと直接であろうと父兄に負担をかけてはならぬと書いてある。これをどうするかということです。ということになると、これは文教行政の一つの姿勢として大きくここにわれわれは考えていかなければいかぬ。教材費に幾らこう増額していきます、それはなるほど父兄の負担が軽くなって、あるいは市町村の負担が軽くなって、勉強の効果はあがるでしょう。しかし、そういうような教材費に出していくもののほかに、私がさっき言ったように、おそらくことしも明らかに、皆さん方は資料を出してくれると思うのだけれども、そういうものがたくさん使われておる。これを考えなければならない。こんなものをどうするかということでこまかにやりとりをしておっても、時間がありませんから、これは宿題にしておきますよ。  そこで、これはいまの問題についてたいへん残念なことですが、大臣御存じだと思いますが、あなたと私の出身の熊本県のPTA予算は、平均七割を校費にぶち込んでいるのです。特に一番ひどいのは、熊本市のごときは九一・二%を、PTAの金を校費にぶち込んでいる。大臣の御出身の八代市のごときは、五八・七%も校費にぶち込んでいる。これを各郡市別に見てみると、ほとんどが五〇%以上、平均をして七〇・四%というPTAからとった金を校費にぶち込んで使っておる。こういう教育財政の秩序を乱しておるような姿というものは、早く是正しなければいかぬということですね。そこで皆さん方が本気になれば、これからやりますなどというお題目でなくて――あなたのほうから出ている「文部時報」を見ると、「学校教育における私費の問題」として、足立さんが、非常に苦労してこのPTA負担を解消された、その経験と努力が明らかにしてある。こういうものを皆さん方がちゃんとつかんでおって、文部省が一定の方針を持って指導すると、これはりっぱにいくのですよ。足立さんという人は尼崎の教育長さんですか、実になみなみならぬ、涙の出るような、そのPTA負担、税外負担解消のための努力をしておられる。こういうりっぱな体験があるのだから、皆さん方もこんなのを参考にして、文部省としてはこうした手を打つとかいうことを方針として示すべきではないか。  なお、杉本さんという人が「標準教育費考え方」として、やはり税外負担、PTA負担を解消するために――これは東京でしょうね。どうしたらばそれを解消できるかという標準教育費についての考え方、これまた実に丁寧に研究し、苦労してここに示しておられます。こういうものでも皆さん方のほうからひとつやってもらえば――各市町村では、市町村長に言わせると、学校はPTAを持っているから、まあたいてい予算を組んでおけ、おれのところも台所が潤沢じゃないから、学校経常費は少し押えておけ、学校はPTAを持っているから、こういって、市町村が学校教育経常費を押えて予算化する。だから、こういう事態が出てくるのですね。こういうことが一体教育そのものにどういう影響を与えるか。これは私がここでいろいろ申し上げる必要はない、実は大きな問題だと思います。大臣、いろいろお考えがございましょうけれども、一言いまの点について……。
  73. 坂田道太

    坂田国務大臣 川村さん御指摘の点は、非常にもっともなことが多いと思いますので、十分誠意をもって検討して、前向きに努力をいたしたいと考えております。
  74. 川村継義

    川村分科員 自治省の財政課長、ちょっと御意見をお聞きしておきますが、いまのような問題は地方財政法に幾つかの規定があるわけですけれども、いまここに問題になっていることは、地方財政法の第二十七条の四、この二十七条の四を受けた政令第十六条の三、これによって実は規定がしてある。それで、この第二十七条の三の、県が住民に、直接であると間接であるとを問わず、負担をかけてはならぬということの中に、高等学校の建築費だけが記されておる。政令第十六条の三は、給与、営繕費だけが実は規制の事項になっておる。これをわれわれが前から実は要望し、手をつけなければいかぬと言っているんだが、この二十七条の三においても、建設費だけでなく、給与その他必要な事項を法律的に規定をする。政令第十六条の三は、給与、営繕費だけでなくて、あるいは小学校中学校の義務制の場合も、建設費を父兄に出させてはならぬということを規定をするということになると、私がいま問題にしておる、心配しておるそういうことが大きく前進をするのではないかと私は思います。自治省としてはそのようなお考えはないでしょうか。ぜひ早急にやってもらいたい、こういう考え方を私は持っておるのですが、お答えいただきます。
  75. 森岡敞

    ○森岡説明員 お答えいたします。  先ほど御答弁申し上げましたのは、いま先生御指摘の条文といいますよりは、むしろ地方財政法第四条の五で、地方公共団体は「住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、寄附金を割り当てて強制的に徴収するようなことをしてはならない。」むしろこの規定趣旨に反するおそれがあると、こう申し上げたわけでございます。  御指摘の、都道府県と市町村との間の財政負担区分につきましての二十七条の三に関する規定の範囲につきましては、この規定を設けます際に、御承知のようにいろいろ経緯がございまして、現段階では一応この範囲内で処理をするということに相なっております。将来の問題といたしましては、御指摘のように種々問題がございますけれども、やはりその地域全体の教育施設充実という問題をあわせ考えてまいらなければなりませんので、それらの点も含めて引き続き検討してまいりたい。ただいまここで、御指摘のような方策を直ちに講ずるというふうな考え方は持っておりません。引き続き検討を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  76. 川村継義

    川村分科員 大臣、先ほどあなたの率直な、すなおな、誠意あるおことばからすると、私がいま指摘いたしましたような地方財政法の条項などは、これは実は、言うならば文部省のほうから、父兄負担の軽減、税外負担の解消、こういう点からして、これは全部じゃないですけれども、その一部分なんですけれども、いまのそういう法律は、地方財政法の規定等は自治省に相談なさって、これはこうひとつ規定改正してやるようにということをおっしゃるべきが至当ではないかと思うのです。今日、日本の経済が大きく伸びたというけれども、ほんとうに大臣、教育財政の面を考えると、公害じゃ、何だというような大きなひずみはよく指摘されますけれども、教育財政についてのこういう秩序の乱れなどというものが非常にないがしろになっておる、こういうことも考えなければならない。一般の住民にしますと、地方税はたいへん重い。市町村民税はどうしてこんなに高いかと文句が出ておる。その上に、こういうように実に巧妙に、PTAという立場から学校に必要な経費が徴収される、出さなければならぬということになりますと、これは国民生活の上から考えても問題だ。まあ国民生活と私は言ったんですけれども、かわいい子供教育をするのですから、親というものは大体歯ぎしりをかんで、目をつぶるわけです。それに甘えてこういう財政秩序を乱すようなことがあっては、これは教育そのものにたいへん大きな問題を残すであろう、私はこう心配をしているわけです。  私に与えられた時間が少のうございましてあれですけれども、先ほど申し上げましたように、残った問題につきましてはまた委員会等でお尋ねいたしますが、私がもう一つお尋ねしておきたかったことは、今度は市町村に対する超過負担の問題であります。そこで、時間がありませんから、きょうは文部省の皆さん方に、お尋ねをしたい問題を申し上げておきたいと思う。  その一つは、去年の十月十三日に、行政管理庁から過密、過疎地域の教育対策という勧告が出ております。その勧告を文部省はどう受けとめて、どのように処置をしておるか。その勧告の中には、今日最も大きな問題となっておる過密地域の教育施設の問題等があります。それを今度の四十五年度の文部省予算と対比しながら、皆さん方が十分な処置をなさったかどうか、これを実は私はお聞きしたかったのであります。しかし時間がありませんから、いずれまた文教委員会でお聞きすることにいたします。  それから、それにつきまして昨年の三月、佐藤総理大臣は衆議院議長の石井光次郎殿あてで――地方財政法第二十条の二第一項の規定によって、地方団体から超過負担の問題について意見書が出てきた。その意見書について、総理大臣は意見を付して、第二十条の二の第二項の規定によって、衆議院議長にその意見書を提出してある。これを見ると、非常に大きな超過負担がある。これは国民健康保険であるとかいろいろたくさんあります。その中で、義務教育施設の超過負担というものが相当多きにのぼっておる。その超過負担は一体どこに原因があるのか。私に言わせると、文部省学校建築単価のとり方にも一つ大きな問題があるのではないかと考えている。そこで、この総理から衆議院議長に出されましたこういう趣旨によって、超過負担の問題をどう考えていかねばならないのか。特に義務教育関係施設においてそれが大きいが、文部省は一体どう取り組んできたのか、いこうとしているのか。こういうことは、この後の文教政策を考える上において非常に重要な問題だと私は思うのです。他の委員の方々が、いろいろ文教政策上高い次元の問題を論議をしておられますが、なるほど大学の問題等々、それはいろいろ大きな問題がありますけれども、実はうっかりするとこういう大事なものが見忘れられて、そういうものによって教育がゆがんでいくということを私は心配をするわけです。この点は、きょう時間がありませんからいずれお聞きすることにいたしまして、ひとつぜひお考えおきいただきたい。それだけ申し上げて、私の質問を終わります。
  77. 登坂重次郎

    ○登坂主査代理 小川新一郎君。
  78. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 先ほどから公明党・創価学会の教育問題で、いろいろと大臣には御心配をおかけしておりますが、私はその立場とは逆に、何もそのつら当てにこの質問をするわけではございませんが、教育の問題にはいろいろと配慮をしていかなければならぬ国民の一人として、お尋ねしたいのであります。  最近、二月の二十日に京都に起きた事件でございます。御存じのとおり、京都はいま知事六選問題をめぐりまして、蜷川現知事の選挙問題で相半ゆれ動いております。事前運動等もお互いに相当激しいものがあって、忠告を受けておりますが、まことに遺憾な事件が一つあります。それは京都のある学校で、小学校二年生の生徒を使って蜷川さんの選挙運動をさせた先生がいるということでありますが、大臣はこの点についてはお聞きになっておりますか。
  79. 坂田道太

    坂田国務大臣 この問題につきましては、事務当局から報告を受けております。京都市立花園小学校におきまして、去る二月二十日遠足を実施し、二年生担任の教員三人が児童百四人を引率して仁和寺に行った際、これら教員が「にな川とうせんたのむ」等の記載したたんざくを折りヅルにつけたものを、境内の御堂につるして回り、数人の児童もこれを一部手伝ったという旨の報告を、京都市教育委員会から受けております。文部省としましては、従来から衆議院議員選挙、参議院議員選挙等全国的な選挙に際しましては、教職員の選挙運動等について通達を出しているところでございますが、このような行為は、教育の政治的中立性の原則等から見ましてきわめて不適切であると考え、さらに事実を調査した上、関係法規の規定に照らしましてすみやかに適切な措置をとるよう、京都市教育委員会に対し指導を行なっているところでございます。
  80. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 この問題につきましては、私どもの調査におきましては、ただいま大臣から御答弁をいただいたと同じものでありますが、もう一ぺんはっきりさせておきますが、二月の二十日に京都市立花園小学校の持明院昌夫さん、丸山明さん、大野光さんの三人の先生が、花園小学校のまだ二年生であります、小学校二年生の三学級の児童約百人を引率いたしまして、右京区御室の八十八カ所めぐりへ耐寒遠足を行なった際に起きた事件であります。この先生は、かねて学校で計画し、「にな川とうせんたのむ 民主教育を守るために」というたんざくをわざわざつくって、折りヅルまでつくらして、こういうことをやったのですね。それで八十八カ所のお寺とか名所、古跡の杉の木へつけた。また「にな川とうせんたのむ」と書いた紙も折りヅルの紙も、全部学校の紙だ、教材費から出ている。ただ単に遺憾であるとかなんとかという問題ではない。先ほども私どもが非常に攻撃されておりましたけれども、それはそれ、これはこれとしまして、はっきりさせていただきたいことは、教育に携わる先生、これは地方公務員法、また公職選挙法を見るまでもなく、はっきり定義づけられております。いま大臣からお答えをいただいたんでございますが、重ねてこれらのような問題が起きないようにも、もう一ぺん私は御所見を承りたい、お考えを承りたい。
  81. 坂田道太

    坂田国務大臣 ただいま申しますように、選挙法に抵触をしたり、あるいは教員としてあるまじき行動があった場合におきましては、やはり当該教育委員会等におきまして適切な措置がとられなければならぬと思いますし、また、そのような指導、助言を行なっていきたい、かように考えておる次第であります。
  82. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 さらに、これは伝え聞くところによると、先生が蜷川さんの応援方を生徒に口で言っているということであります。そうして父兄のところへ子供たちが帰ったときに、おとうさん、知事には蜷川知事を頼むよというようなことを父兄に言うようなことは、一体これはどういうことなんですか。
  83. 坂田道太

    坂田国務大臣 先生が、いやしくもまだ白紙の状況にございまする子供たちに対しまして、そのようなことをなすことはよくないということは、歴然といたしておると思うのでございます。ただ、それが実際上、事実としてどうやってつかむかということはなかなかむずかしいんじゃなかろうかと思うわけでございますけれども、もしそういうようなことがあったといたしますと、それは教員として不適切でありますし、場合によっては違法であるということにつながっていくというふうに思います。
  84. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 この行為については、ただいま違法であるということをお認めになっておりますから、これは地方公務員法の三十六条の「職員は、政党その他の政治的団体の結成に関与し、若しくはこれらの団体の役員となってはならず、又はこれらの団体の構成員となるように、若しくはならないように勧誘運動をしてはならない。」ということには、どういうように抵触いたしますか。
  85. 宮地茂

    ○宮地政府委員 先ほど来大臣が申されましたように、私ども、京都市の教育委員会から、本件についての大要については報告を受けました。しかしながら、事柄が、先生のお尋ねのように、法律の何条に違反するかどうかということは、私どもとしても不適切だ、不適当だと思うという答弁を大臣がいたしました以上に、具体的な問題につきまして、いま報告されておるものをもとに違法であるとこの場できめつけることにつきましては、もう少し慎重に報告を聞き、調査した後に申し上げさしていただきたいと思います。一応報告を受けた限りにおきましては、適切ではなかろう、しかし、それでは法律の何条に違反するかどうかということにつきましての明言は、多少検討と申しますか、実情を調査した後に答弁さしていただきたいと思います。
  86. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 公職選挙法の第百二十六条の二「次の各号の一に該当する者は、その地位を利用して選挙運動をすることができない。一 国又は地方公共団体の公務員」その他ずっと述べております。また百三十七条においては、「教育者」――学校教育法規定する学校の問題ですが「は、学校の児童、生徒及び学生に対する教育上の地位を利用して選挙運動をすることができない。」これに対しては、大臣、どういうお考えでございましょうか。
  87. 宮地茂

    ○宮地政府委員 抽象的に、いま先生がお読みになられました条文のように、教育者がその地位を利用して選挙運動をやったということであれば、それはそういうことをしてはいけないと書いてありますので、これは当然選挙法違反でもございますし、罰則の適用があろうかと思います。ただ、先ほど来お尋ねのその教師がやりました行為がそのまま、法律でいっております教育者として地位を利用して選挙運動をやったというふうに断定できるかどうか、その点につきましては、もう少し市の教育委員会の報告等を待ちまして、具体的の問題としてはお答えさしていただきたい。抽象的にお尋ねのことでございますれば、教育者が事前運動をすればいけないということでございますから、いけないのは申すまでもないことと思います。
  88. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 大臣、この問題は二月の二十日に起きた事件で、公明党の府会議員が府議会で取り上げております。そして京都の教育委員会の委員長が調査をなさっておる。きょうはもう三月の十二日でございまして、こういう実例がはっきりしている。私ども写真までとってありますよ。「にな川とうせんたのむ 民主教育を守るために」というたんざくを八十八カ所、小学校二年生の子供先生が持っていった。これははっきりした事実じゃありませんか。それに対してまだ明快な答えが出ないということに対して、私どもは遺憾に思うわけです。いかがですか。
  89. 坂田道太

    坂田国務大臣 この事実関係というのは、やはり当該教育委員会が直接当たっておるわけでございますから、それを基礎にしないとはっきりしたことは言えないという答弁を局長がいたしたわけでございまして、抽象的に、先生がおっしゃいましたことがそのままであるならば、これはそのものずばりでいけないということが明らかであると思います。しかも、そのことについては、冒頭に申し上げましたように、調査を依頼し、そしてその報告を求めておるわけでございます。しばらく御猶予を願いたいと思います。
  90. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 この問題は、一小学校先生の問題だけとして私たちは見たくない。日本教職員組合すなわち日教組に対してはこういうことをさせている。私どもはいつも同じような議論になるので、創価学会・公明党が何かやったなら、創価学会・公明党がやらしたんじゃないかということに、いつも議論づけられる。これは理論が同じなんだ。教職員の方が失敗したことは日教組が責任をとるかとらないか。私どもはそんなことは結びつけたくないけれども、こういう問題に対しては、日教組に対して何らかの勧告、注意を行なわなければならぬ。こういう問題が事実起きている。まして、これから選挙の始まろうとしている京都府知事選の問題なのです。それで、これに関連したのは小学校二年生の、まだいたいけな子供を使っておる。すなわち教育の中立性の侵害の問題にもなる。これに対して大臣は、これが事実とするならば何らかの処置を講ずるといまおっしゃっていますが、日教組に対してはどういうことをお考えになっていますか。
  91. 坂田道太

    坂田国務大臣 そこになりますと、日教組が指令をして、あるいは日教組の責任においてそういうことをやらせたのかどうなのか、それともその三人が独自の行動としてやったのかどうなのか、その辺がもう少し明確にならないことには、何とも申し上げようがございません。
  92. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 でありますから、いろいろな議論が出ることは、こういう一部の末端がやったことが即、上であることは、私どもは、いろいろな面で今国会では聞いております。私どもの立場に立って聞いております。でありますから、日教組がそうしたということは、私は断定しているわけではない。けれども、これは明らかに教員なんですから、こういう事態が発生していることに対しては注意とか何とかをしなければ、これはしようがないじゃないですか。この点どうですかと聞いているのです。
  93. 坂田道太

    坂田国務大臣 そういうようなことについての事実関係を洗い、またそれを主管といいますか、監督の立場にございまする教育委員会が、これに対してどのような措置をとったか、あるいはとろうとしておるのか、そういうことを踏まえて、われわれといたしましても考えてまいりたいというふうにお答えを申し上げたいと思います。
  94. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 これは局長さんでけっこうですが、同じく京都の教育委員会に対しては、どういうような指導をなさいますか。
  95. 宮地茂

    ○宮地政府委員 先ほども申しましたように、本件につきましては、先生がおっしゃいますように、何法の何条に違反するか、選挙法の何条に違反してどうであるかといったようなことは、先ほど来お答えしたとおりでございますが、いままで報告を受けましたところでは、何条違反ということは別としても、好ましいことでない、適切なことと思われない。要するにその点をもう少し詳細に調べて報告すると同時に、こうしたことは好ましくないので、京都市教育委員会としても適切な措置をとられるようにということは指導いたしております。  なお、この選挙につきましては、これは実は前回の衆議院選挙にあたりまして、昨年十二月三日に、初中局長名で都道府県教育委員会に通達を出しております。これでございますが、詳細に、教育関係職員の選挙運動については絶対に違反のないように、という注意はいたしているところでございます。
  96. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 同じくこれは京都府議会で私どもが追及したのですが、京都の教職員組合通達、京発一〇九号で「知事選挙の必勝をめざしてたたかいのすすめ方」と、全分教会長への通達、京発一一〇号「知事選闘争の分会でのとりくみについて」と指令を出している事実があります。こういうことの教職員の行動は生徒に重大な影響を及ぼし、またひいては、まじめな教師への絶えざる圧迫であると私どもは理解しているのでございますが、このようなものが教職員組合に出されたことについては、大臣御存じでございましょうか。また、それに対する御所見はいかがでございましょうか。
  97. 坂田道太

    坂田国務大臣 ただいまお読みになりました事柄については、私承知をいたしておりません。
  98. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 もしこれが事実であるならばいかがでございますか。私どもは事実として、ただいま具体的な例を申し上げた。
  99. 宮地茂

    ○宮地政府委員 いま御指摘の資料は、私のほうはまだ承知いたしておりません。ただ、先生がお読みになられましたようなことであるといたしますと、一般論でございますが、好ましいものとは思いません。
  100. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 好ましくないというと、何らかの処置なり、もしくはそういうことが事実であるならば、好ましくないという考え方がどのように具体的にあらわれるのですか。
  101. 宮地茂

    ○宮地政府委員 いま御指摘のものを見ておりませんので、一応それを十分見せていただきまして、好ましくないと言う限りで済むか、あるいは局長名なり、あるいは適当な方法で指示をするか、あるいは関係者に適切な措置をとるか、これは十分その内容を見ました上で措置すべきものと思います。
  102. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 私、大臣を責めているのではございませんが、遺憾に思うことが一つあるのは、この問題はもう府議会で議論になっているのですけれども、たいした問題として取り上げられなかった。でありますので、これは重大なことであるとして私が国会で取り上げているのでございますが、いやしくもここに教職員がからみ、生徒の選挙運動というような重大な、これは法律違反にもかかわるかかかわらないかというような問題が、京都府議会で論議され、また質問されているにもかかわらず、こういった問題が文部大臣の耳に入らなかった、こういう点について私遺憾に思っているのです。この点についてはひとつ十分御配慮方お願いしたいと思うのです。  次に、自治省の方、来ておられますか。
  103. 登坂重次郎

    ○登坂主査代理 自治省は、石見公務員第一課長と森岡財政課長が見えております。
  104. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 本来ならば大臣にお尋ねするところですが、これに関連いたしまして、三月二日の午後二時二十分ごろ、市職員が下京区役所で一カ所三十分間にわたって、これは区役所の中でございますが、蜷川支援並びに他党の批判を行なっております。これに対してはどのようなお考えがございますでしょうか。
  105. 石見隆三

    ○石見説明員 お答え申し上げます。  御指摘のございましたようなことにつきまして、事実関係を詳細まだ承知いたしておらないのでございますけれども、一般的に申し上げまして、先ほどから先生御指摘のように、地方公務員法三十六条によりまして、地方公務員は政治的行為の制限があるわけであります。したがいまして、いま御指摘のありました点につきましては、内容によりまして、あるいは地公法三十六条違反ということが起こり得る可能性があるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  106. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 あなた、まだ事実を確認しておらないということでございますが、これも問題になっております。  それともう一点は、これは下京区役所庁舎内に蜷川知事の推薦のポスターが、これは選挙ポスターではございませんが、市庁舎内に随所に張られてあるのは、これは違反になるのですか、ならないのですか。
  107. 石見隆三

    ○石見説明員 お答え申し上げます。  その点につきましても全く同様なわけでございまして、その張られておりますポスターにつきまして、内容をまだ十分承知いたしておらないのでございますけれども、一般的に申し上げまして、地方公務員法三十六条におきましては、特定の地方公共団体の執行機関を支持する目的をもちまして、庁舎内に文書あるいは図画等を張りました場合には、地公法三十六条違反になるわけであります。したがいまして、この点につきましても、先ほどの問題と同じであろうかと思うのでございますけれども、その目的なりあるいは張り出されましたものの内容、あるいは場所等によりまして、当然地公法三十六条違反ということになるおそれはあろうかというふうに考えております。
  108. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 これは市役所を訪れた市民が批判している声なんですがね。私は何も特定な色めがねで見るわけではございませんが、こういった点について、何だか知りませんが、疑惑がいつも解けない。こういう事実については明らかにはっきりしていただかなければならぬし、また、こういう問題についてはその処分というものをはっきりしていただきたいと、こうまずお願いしておく次第でございます。きょうはまだよく御存じないようでございますから、ひとつお願いいたします。  次に、時間がございませんから一つ飛びますが、入学試験の前に、私立大学において寄付金を取っている事例がたくさんあります。特に日大芸術学部においては、段階までつくってこの入試の問題についてやっておりますが、父兄の間から、寄付金をやらなければ合格させてもらえないのではないか、こういう声がいまあがっております。A、B、C、Dのランクによって、一番成績の悪い者が一番金を払う。こういった入試の事前の寄付金については、大臣御承知でございましょうか。
  109. 坂田道太

    坂田国務大臣 事務当局から一応は聞いております。このような、事前に何か入学試験の当落というものと結びつくようなやり方は好ましくないと私は思っております。
  110. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 好ましくないということでございますから、教育の公平、また入学試験の公平、こういう面につきまして、大臣は――これはもう前からかなり各大学で――これは私立大学ですから、経営問題等に関連しておりまして、そうむやみにきびしいことも言えないのでありますが、こういうことがもう行なわれておりますが、今回は申し込み書の郵送予約を日大芸術学部ではとっているということが、新聞でも報道されておりますが、これに対しては何らかの御処置をとりますか。
  111. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 実はこの件につきましては、直接学部長にお目にかかりまして、この問題について具体的に話をいたしました。寄付の募集の内容を見ますと、学部長の意図としましては、これは従来行なわれておりましたような入学後の寄付金というのを改めまして、むしろガラス張りにするようなつもりで、その寄付金を受け取った場合にはどういうことに使うのか、そういう使途も明らかにしてガラス張りにしてやるつもりだった、自分の本心と非常に違ったような結果になってまことに申しわけないというふうな話でございました。私のほうといたしましては、今後このようなことは、やはり入学を希望する者にとりましては精神的にも非常に圧迫を加えるわけでございますし、また、その強制というふうに考えられてもいたし方がないというふうなことでございますから、単に日大の芸術学部ばかりではございませんで、ほかの場合におきましても、こういうものは今後絶対にやらないようにということを強く指導したいと考えております。
  112. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 大臣、お疲れのところまことに申しわけないのですけれども、こういう寄付というものは、学校の付帯施設または学校施設の目標を立てて、たとえば日大の場合には二億何千万円、その目標額に達するために、寄付というものを一口十万円が最低三口――ところが、この三口より四口、五口とやったほうがよくなるのではないかというようなことにもなるし、また、その寄付行為というものを届け出なければならぬ、目標を明らかにしなければならぬ。この入学申し込みの人たちの計算をいたしますと、その二億何千万円の目標額を上回るような計算になってしまうのですね。そういうような寄付の事前のチェックというものは、これは私立大学補助にも関係してまいりますが、こういった問題を今後なくすためには、大臣のお考えをここで明らかにしていただいて、また私も次の文教委員会において、この寄付問題と先ほどの蜷川選挙問題についてはじっくりと御議論させていただきますが、いかがでございましょう。
  113. 坂田道太

    坂田国務大臣 私立大学に入ります子供たちに対しまして、所定の入学料あるいは授業料のほかに、納付金を相当の額要求をしておるという実態があることは承知をいたしております。しかも、それがある程度常識的な線でございましたならば、一応これを認めざるを得ない状況かと思うわけでございますけれども、それが法外に金額が大きいというような場合におきましては、やはりこれは好ましいことではございませんし、またでき得べくんばそういうことがなくて、そして国立に行く者も私立に行く者もそう――多少の差はあっても、法外にその格差が大きいというようなことがあったならば、教育の機会均等というものは得られないのではないかというふうに考えるわけでございまして、その意味におきましても、私は今度の私学助成というものに踏み切りましたのは、一面においては私立大学に学ぶ学生教育、研究の質を充実をするということを目標といたしておりますが、同時にまた、このようなことが漸次解消されるという一つの目的のもとに、経常費助成を行なっておるというつもりであるわけでございます。
  114. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 時間がございませんので、最後に予算関係で一点お尋ねいたします。私立大学の問題はまた後ほどお尋ねいたします。  私、過密地帯の埼玉県におりますが、福岡町とか富士見町または大和町、新座町、こういう埼玉県の人口急増地帯の財政というものは、いまものすごくひどいものなんです。一例を申し上げますと、これは福岡町でございますが、本年度の一般会計予算のあれが、予定が九億三千万円見込んでおる。そして四十四年度はありませんでしたが、大体これが町税が四億、交付税で三億六千万円、起債累計が、この町においては十億を上回っておる。一年間に元利の負債だけで一億もある。十分の一も借金をお返ししなければならぬ。こういう問題で、学校が建たないでたいへんに困っております。これは大臣も何回もわかっておると思うのでございます。そしてこの問題は、行政管理庁から勧告が出ておりますね、「過密地域における教育施設の整備と学校用地の取得について」。これについてはどうするかということがきびしく出ております。ところが予算を見ますと、小学校校舎の本年度の要求、これは文部省で、幾らですか、百九十九億九千六百万要求している。そしてこれが実際には九十億八千四百万、こういうように半分にも成り立たない。こういうふうに予算というものが、たとえば小学校校舎、中学校の場合には四十億一千万円に対して二十三億一千四百万、半分しかできてない。こういうことでは、行政管理庁からのこの勧告に対して、一体学校教育の本来のあり方というものが人口過密地帯でできるのかどうか。こういう問題については、予算面にはその配慮がなされていないように私思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  115. 登坂重次郎

    ○登坂主査代理 時間がありませんから、御協力を願います。
  116. 坂田道太

    坂田国務大臣 過密地帯におきますところの人口急増関係小学校中学校の建築の需要が非常に大きい、また、その地域の市町村の負担がきわめて高いということについては、心を痛めておる一人でございまして、本年度の予算要求の場合におきましても、この公立文教施設の整備ということにつきましては特に力を入れたわけでございます。総額四百三十三億――前年度三百六十四億でございますが、しかし、これをしさいに御検討いただくとおわかりいただくと思いますけれども、たとえば小学校校舎につきましては、その一四一・六%、四一・六%の増ということでございまして、私といたしましてはかなり考えたつもりでございます。しかし、これで十分だとは私は考えておりません。  あるいは負担率の問題もございますが、まずは事業量ということで大蔵省と折衝をいたしたわけであります。  その他、御承知のようにこのほか八十億の起債の道も開きましたし、昨年度に比べますと約三十億、五十億から三十億ふえて八十億でございます。それからまた、昨年度初めてできました三億円の整地費の問題につきましても、四億五千万円というふうに計上いたしておるわけでございます。これは十分だとは思っておりませんけれども、私といたしましては精一ぱいの努力をいたしたということは、ひとつ御了承を賜わりたいと思います。
  117. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 時間がございませんから、この問題もまた詳しく、後日委員会で御審議させていただきます。どうかひとつそういう苦境に立っております市町村財政、これをひとつお考えくださいまして、補助率のアップ、またいろいろな手をこれからも講じていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  118. 登坂重次郎

    ○登坂主査代理 山中吾郎君。
  119. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 二点にしぼってお聞きいたしたいと思います。一つは少年自然の家、一つは小規模学校の統合、二点にしぼってお聞きいたしたいと思うのです。  今度の四十五年度の文教予算を見せていただきますと、大半は義務施設に尽きるのでありますけれども、その中で敬意を表したいのは、一つの新しい発想として私学助成と少年自然の家、内容については非常に批判を持っておりますが海外視察、この三点については敬意を表したいと思うのでありますが、その他はほとんど義務支出、大した発想がないように思うのでありまして、この辺はさらにこの国会中にお互いに論議をして、教育政策が推進するように私も努力しますから、文部大臣も新しい発想を発見するために、ひとつ率直な意見交換をしていきたいと思うのであります。  それで、まず少年自然の家についてお聞きいたしたいと思いますが、これはいただきました文部省関係予算案重点事項の三十九ページに「青少年の健全育成と社会教育の振興」という中で、一つの事業として少年自然の家、これは新規として出ておるのです。私は、昨年あるいは一昨年、ここで文部大臣とこの問題を論議をして、大いに共鳴をしたはずであります。これは敬意を表したいと思うのです。  前にも申し上げましたように、元来、人間形成という立場で施設を考える着意は非常に少ない。おとなのレクリエーションを中心とするような施設になるのはどうもいかぬのだ。この人間形成の立場で考えるときに、少年にそういう立場の施設が必要ではないかということで意見を述べたことがありますが、そういう方向にぜひ発展をしていただきたい。これが私の質問の動機なのであります。まず、これについて、簡明でいいですから、局長、この予算の計上の内容を説明してください。時間がないものですから、簡単にしてください。
  120. 福原匡彦

    ○福原政府委員 お答え申し上げます。  山中先生からかねがね御指摘いただいておりまして、ことしようやく少年自然の家というのが芽を出したわけでございます。本年度予算といたしましては、施設費千五百万、一館千五百万の三カ所分ということで定額補助でございます。あと設備費が百万ございます。
  121. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 大体県立を前提としてお考えのようでありますが、私は、これはこの性格からいって、将来国立に移行すべきではないかという考えを持っておるのであります。それはどういうわけかといいますと、現在大都市に住んでおる少年は、義務教育を終わるまでに、ほとんど自然を忘れて、自然に触れないで成長していく。どこかに人間性に欠陥が出るのではないか。そういうことを考えると、東京都とか大阪とか大都市の者に、少なくとも義務教育を終了するまでに自然の中の生活を体験さすということは、もう教育課題としては絶対的なものである。そういうことを考えるときに、やはりこれは全国的な義務教育児童生徒というものにそこの施設を活用さすということになるから、やはり国立が正しい性格ではないか。たとえば東京都の子供を熊本のあの大自然の中に施設をつくって、臨時列車を出して運んで、そこで三日あるいは四日を体験させて帰ってくる。この構想は、言いかえれば交通事故その他、ごみためのような大都市に向かった修学旅行制度をひとつ再検討して、逆に大都市から自然に対する修学旅行、そういう構想に発展をすべきではないかと思うのです。それは大臣いかがでしょう。
  122. 坂田道太

    坂田国務大臣 この自然の家につきましては、全く山中さんと同感で、この芽が出ましたことは非常によかったと思っております。同様に、これを国立にしたらどうかということでございますが、将来はあるいはそういうようなことも考えてみてもいいと思いますが、ただいまの段階ではむしろ各県にこれを充実をしていく、と申しますのも、中学校から高等学校というようなことになると、全国回り歩くというようなこともけっこうだと思いますけれども、まず小学校に重点を置いて考えた場合は、あるいは中学校までも含めて考えた場合は、まず第一に、その県内においてある程度そういう自然の地域があるのではないだろうか、そういうところにまず連れていくというようなことがいいんじゃないかと思います。  それから、いまの修学旅行に対してもう少し考え方を改めたらどうだ。都会の人たちは自然というものを全然知らな過ぎる。そのことがむしろ人間形成というものをだめにしてしまっておるのだというような御説は、全くこれまた同感でございまして、そのことについてはひとつ意欲的に取り組んでみたいというふうに思います。
  123. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 ぴったりと共鳴をしたわけですが、そこで社会教育局長には気の毒――気の毒という考えを持つ必要はないと思いますが、教育課程として、社会教育施設としてでなくて教育課程として、九カ年の義務教育を終わる前に――いますでに修学旅行は何か教育課程みたいになっているから、先生の旅費はどうだということまで問題になっているのですが、自然に返してやるということは、九カ年の義務教育教育課程として考えると、学校教育の行事になる。そういうところから、また国が少年自然の家に対する補助を、大蔵省に対して三分の二とかもっと多く支出するという要請にもなり、やがてそれは国立という構想になるという筋道を私は考えるのですが、そうすると、所管はあるいは初中局に行くかもしれない。そういう小さな考えをお持ちにならないで、文明がここまで進んで、過密過疎の地帯が極限に達してくれば、社会教育で自由にというのではなくて、必ずこれを教育課程の中で消化していくような施設発展すべきである。そういうことについては虚心たんかいにひとつ文部省で検討していただきたい。現在とりあえず公立に進むということについては、私は発足はそれでいいと思うのですが、そのときにでも、東京の子供をその少年の家に送り、農村の子供と一緒に三日生活をするという意味において一応公立――しかし、そのかわりに補助はもっとたくさん出しなさい。都市の子供と農山村の子供が一つの中にあって、子供が人間的交流をはかるということに意味があるのであるから、県立の場合だから県内の子供だけじゃなくて、県内の子供と大都市の子供を入れて一緒に共同生活をさせるのだ。だから半分公立、半分国立のような構想で、もっと十分の補助を出して、教育課程としてこれを完成する方向でこの新規事業に努力をしてもらいたい。大臣のこれらの発想についての決意をお聞きして、次に移りたいと思います。
  124. 坂田道太

    坂田国務大臣 自然に親しませるという考え方を進めていかなければならぬことは、もうおっしゃるとおりだと私は思うのです。ただ、あらゆる学校教育の中においても、あるいは社会教育の中においても、あるいは学校行事の中においても、これを取り上げていくべき課題ではなかろうか。ですから私どもは、単に社会教育だけじゃなくて、体育局の中におきましても、たとえばボーイスカウトの助成については相当思い切ってやる。あるいはジャンボリーの世界大会を日本でやるというようなことはその一環だと考えますし、また野外活動のお金を今度はとりまして、これもやはり素朴な、飯ごうをたいて生活をするというような機会を青少年に与えたいというような気持ちでございまして、やはりそれは総合して進めてまいらなければならぬことは、おっしゃるとおりだと私は考えております。
  125. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 大蔵省の主計官、来ておられますか。少年自然の家について、あなたの御理解もちょっと聞いておきたいんですがね。
  126. 藤井直樹

    ○藤井説明員 お答えいたします。  今年度新しい施策として、少年自然の家というのを予算に計上したわけでございますけれども、少年に自然に親しむ機会を与えるということで、かりに教育課程の中にいろいろな形で入りましても、たまたま少年自然の家を使う、活用するという形で実行されていいのではないかと思うのでございます。したがいまして、いまの定額補助という形、それは県に対して補助するということで、十分その目的を達するのではないかと考えております。
  127. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 大蔵省が理解が不十分では、やはりこれはうまく活用できないので、主計官の御意見を聞いておいたわけです。  次に移ります。小規模学校の統合についてお聞きいたしたいと思うのですが、これも本年度の予算において、僻地教育振興の中で、学校統合も含んで、スクールバス、ボートその他の購入について増額をされておることについては敬意を表したいと思うのでありますが、現在過疎現象が非常にひどくなっておる関係から、廃校か統合かそれしかないような事例が非常に多くなってきておる。そういう意味において、非常に重要な課題としては意味が倍加してきておると私は考えておるのであります。ことに中学校に至れば、一人の先生が三教科を持つ、一人の先生が自分の専門でない教科を三つも持つという状態が小規模学校、しかも複式になってしまっておる。これはどこから見ても中等教育ではない。戦前の高等科小学校である。したがって、教育の機会均等を理念としてできた六・三制の理念からいえば、実質的に三年制の短い小刻みの中学制度をとり、過疎地帯に小規模学校を置いておることは、中等教育は、僻地にとっては機会はもうなくなってしまった。小学校教育である。したがって、上の高等学校そのものに対しては、実質的に教育の機会均等の部面において、最も六・三制のひずみを生じておるのは僻地の中学校である。私はそういうふうに痛切に感じておる。そこに六・三制の再検討という動機の一番大きいものも含んでおると私は思っております。  そこでお聞きしたいのですが、統合するか、あるいは文部省予算に計上されておるように、寄宿舎制度でそこに集めるか、二つしかないわけです。しかし、寄宿舎制度をとる場合については、その食費その他について、貧村の子供でありますから、十分な手当てをしてやらないと困難な状況にあるのでありますが、宿舎を建ててやるけれども、食費その他については非常に渋い予算に絶えずなる。大蔵省のほうでチェックするのか、文部省で認識不足か、そこはわからないが、施設ができても、子供の父兄に負担をかけないで寄宿舎制度をとるということは、予算の慣行からいって至難なような感じがいたします。そこで、統合できる範囲内は統合するということが現実の文教政策ではないか。そこにスクールバスというものが出てくるわけでありますけれども、スクールバスを買っても、バスを通す道路にはなっていない。路幅が狭い、排水もしなければどろんこになるというので、スクールバスを購入してもその道路を整備しなければ、いわゆる通学道路というビジョンで、これに対して国が助成をするということをしないとできないのである。私はそのために、道路であるからこれは建設省の予算という考えを持たないで、文教政策として学校統合の事業の中に、スクールバス購入補助とそれに必要なる通学道路の補助というものは、文教政策として取り上げていくべきではないかと思うのですが、これは大臣いかがですか。
  128. 坂田道太

    坂田国務大臣 山中さんの理想主義は非常に見識高いものであるとは思いますけれども、一応その考え方を持って、やはり建設省と相談しながら、あるいは地元の教育委員会がその市町村と相談し、あるいはその予算等を獲得して道路を拡張していくということをもってすれば、ある程度できるのじゃなかろうかというふうに思います。やはりスクールバスを考える場合は当然道路というものを考えなければ、それはもう意味がない。購入したってそれは動かないわけでございますから……。その点は、われわれのほうはそういう意欲をもって、建設省とよく相談をしながらいきたいと思っております。
  129. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 文部省ではみずから、文教政策を狭く狭く解釈していく傾向があると私は見ておるのです。だから私は、東海道のあの自然道路などというのは、文教政策で文部省が提案して一向差しつかえない、あれはすぐ厚生省というが、あれは人間形成の立場で、文部省予算で提案してもいいのじゃないかと思っておるのですよ。したがって、こういうこともあまり狭く考える必要はないじゃないか。たとえば、これを調べてみますと、林道というのは農林省が助成をしておる道路ですね。百分の六十五補助を出しておる。それから峰越し林道、これは農林省である。農免道路、これは農林省のかんがい排水課である。それから漁港関連道路、これは水産庁の漁港部の建設課が主管になっている。奥産道路、奥地の産業道路、これが建設省の地方道課の道路になっております。その他山村振興法に基づく道路事業、企業合理化促進法に基づく道路整備事業、三分の二の補助で、これは建設省に限っておりません。各事業と結びついたものであると考えれば、この過疎地帯における文教政策として、統合せざるを得ないんだ、教育の機会均等からいって。しかも、総括すると学級数は少なくなり、教育は上がり、現在の定員法に基づいたならば、定数というものが減るのである。国税の有効な使い方からいって、私は統合というものは当然にそういう立場からどんどんと進めていくべきであるが、同時に、それにバスを購入しても通れない道路、この道路を通るために、通学道路というイメージで文部省助成政策として出すことは、私はもちろん建設省その他と合議をされることはいいと思いますけれども、出す筋というものは十分あるのではないか。いま大臣は非常に消極的に考えられたけれども、各省これを見ても、私は出せるのではないかと思うのです。いかがでしょう。大蔵省に先に聞きましょうか。大蔵省主計官どうですか。考え方です。
  130. 藤井直樹

    ○藤井説明員 スクールバスを通すという以上は、道路がなくてはいけないということはもちろんでございますけれども、やはり一般公衆の利用という面もありますし、民生安定という見地から、やはり当該道路の管理者、市町村がそれを準備するということが最も適当な方法ではないかと思います。
  131. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 民生安定と言う。そのとおり。だから、たとえば建設省の主管の道路で、農林省は林業の発展を含んで、林道というものを農林省の予算として出している慣行があるでしょう。したがって、学校統合のために、六キロ、七キロという距離を子供たちを運ぶときに――しかも、あるのが市町村道路なんですが、それに対して文教政策として予算を要求するということは、農林省の林道と同じだと思うのです。その点については、農林省の出している林道と同じだ。文教政策として通学道路というものを出すことには、別に質的差異はない。よく考えてください。あと時間がもう五分ですから、文教委員会へ来てください、やりますから。  そこで、岩手県において調査をしたのを見ますと、一つの例を見ますと――参考に今後努力していただきたいのですが、岩泉という町で、現在は小学校が十六校あり、分校が二十五校もある。その町においては、何とかして分校をなくしてこれを五校にしたい。中学校は十一校あり、分校は七校もある。これは中等教育じゃない。これを分校をなくして五校にしたいという統合計画があります。それに対して、岩泉という町自身においてそのバスを買うについて、通学できるように道路を改修するためにはたいへんな金がかかるのです。一億程度の整備をしなければ、バスは買っても通すわけにいかない。そういうことで、現実に文部省では統合を奨励しているけれども――林道ならすぐ開く。しかし、文教政策としての道路、やがてそれはあらゆるものに使えるわけでありますから、いろいろな多角的な利用はできるのでありますけれども、そういう道路整備ということが絶対条件になっておるということ。さらに山形村という、これも大きい村でありますが、現在小学校が八校、中学校が八校ある。中学校だけは、中等教育で複式をなくして、一人の先生が知識のない教科を三つも持つという矛盾をなくしたいというので一校にしたい、そういう計画。昭和五十年までに一校にしたいという計画を村で立てておる。そうすると、現在ある二十四学級を十四学級にすることができる。そこに経常費の問題も、私は有効な一つの結果が出ると思うのでありますが、そのために市町村道路というものを村が独自でやるということは、やはりたいへんなことなんです。結局できない。しかし、教育の機会均等という点からいいますと、統合というのは文部省において基本方針でもあるし、また教育水準向上という天からいっても、何としてもしてやらなければならないという現実にあるのですから、私は少なくともスクールバス購入の政策をとっておる限りにおいては、通れる道路を文部省が最大の責任をもって国が助成して実現をする態度、方針というのはおとりになるべきではないか。あとは、各省の所管関係のことについては技術的なものでありますから、それについてはなお検討する余地はたくさんありますけれども、基本的な考え方を持つべきではないかと思います。いかがでしょう。
  132. 坂田道太

    坂田国務大臣 いまの非常に僻地みたいなところの市町村、むしろ村におきまして財政負担が非常にかかる、だから道路も実はできないのだというところには、やはりちょっと問題はあると思いますけれども、しかし、これから先は、どんな村にも自動車は行くという世の中になさなければならない。また、それが道路政策でもあろうと私は思うので、そういう意味から、たとえば道幅にしましても、単に大型のバスだけじゃなくて、小型のバスもあるわけですから、何かそこにはくふうがあるような気がしてなりません。しかしながら、非常に熱心な御意見を開陳していただいたわけでございますから、私もすなおにそれを受け取りまして、ひとつ検討はいたしてみたいと思っております。
  133. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 大臣の前向きの御答弁をいただいて、大いに今後の文教政策の発展を期待いたしまして、私の質問を終わります。
  134. 登坂重次郎

    ○登坂主査代理 竹本君。
  135. 竹本孫一

    竹本分科員 私はボクシングの問題について、特にボクサーの健康管理の問題、プロボクシング自身の一般的な規制の問題について御質問いたし  たいと思います。  御承知のように、日本におけるボクシング熱も非常に高まってまいりまして、いまでは世界チャンピオンが二名おるとか、東洋チャンピオンが三名おるとかといったようなことで、たいへん盛んになってまいりました。ジムも、聞くところでは百二十あるということであります。この間まではファイティング・原田とか海老原とか、いろいろ世界的な有名な人もおりました。いまではテレビでも、日本テレビ、フジテレビ、TBS等を見ると、週に一回は放送しておるし、しかも、世界タイトルマッチがあるときには非常な高い、四〇%をこえるような視聴率も示しておるといったように、国民の間に非常にこれは普及をいたしてまいりました。さらにまた、国際的スポーツとしての面も非常に強くなりまして、昨年あたりは六十名内外の人が外国に行ったり、また、ほとんど同じ数の外国の選手も日本に来た。それなりに国際親善その他に貢献をしておるといったようなことでございまして、そのこと自体は一応非常な進歩であり、前進であると思うのでありますけれども、これはすでに御承知のように、ボクシングの問題については二つの問題があるわけであります。一つは、その残酷なところ、残忍なところがヒューマニズムの立場から問題になる。もう一つは、これに賭博、ギャンブリングの面が非常に強くなってくる。こうした二つの面から、各国ともに、このボクシングの普及ということを一方においては奨励するが、一方においてはその取り締まりに非常な腐心をいたしておるというように承っておるのであります。特に日本で困りますのは、これは日本の国民のレベルの問題にも関係いたしますけれども、ボクシングの技能といいますか、その術のほうに関心を持たないで、むしろ残忍なほうに興味を持つ、そういう一般の視聴者も多いというようなことでございまして、ますます問題が深刻になるわけであります。  そこで、私はここに速記録を持ってまいりましたけれども、昭和四十一年二月二十八日の予算委員会のやはり分科会におきまして、時の文部大臣中村さんに、いろいろとその二つの問題について質問をいたしましたし、特に結論的には、文部省を中心に主務官庁も、そのときいろいろ聞いてみましたけれども、わけわからぬような状態でございまして、そういう問題も含めて、はっきりした責任ある主務官庁をきめなさい、同時にその主務官庁が中心になって、いま申しました残忍性の問題とか、賭博性の問題とか、あるいは一般健康管理の問題といったようなものにひとつしっかり取り組んでもらいたいということを言ったのであります。しかし、その後文部省がそのために努力したという話は、あまり聞いてないのです。ところが、たまたまごく最近におきまして、私の静岡県の裾野の出身の大山何がし、十七歳の少年が、御承知かと思いますけれども、新人の技能テストの場合に一発やられて、それが全部の原因であるかどうか、私お医者でないからわかりませんが、ともかく死んでしまったという非常に気の毒な事件が起こりました。  そこで、私はまず大臣の最後の答弁を読み上げますが、こういうふうに言っておる。中村文部大臣が私の質問に答えて、「確かに伺いますと、ボクシングにつきましても近代化の足りないといいますか、不足しておる面があるようにも考えられますので、これらは文部省がイニシアをとるのがいいのか、またそれができるかどうかもわかりませんが、せっかくの御指摘であり、また考えてみれば非常に大事な点でございますから、ひとつ体育局長に命じまして、体育局中心に研究し、またほかの省とも連絡をさせまして検討いたしたいと思います。」これが当時の大臣の答弁でありました。  そこで、私がここでまず伺いたいことは、この大臣の答弁を受けて、一体文部省においては健康管理の面に、あるいは主務官庁をきめる面に、あるいはプロボクシングの業界の取り締まりの面に、具体的にいかなる努力をされたかを承りたいと思います。
  136. 坂田道太

    坂田国務大臣 これはやはり私たち文部省の体育局で主管すべきものだというふうに考えるわけでございます。  昭和四十一年二月二十八日、予算分科会におきまして御指摘がございました、人命尊重の立場からプロボクシングを指導すべきではないかということにつきまして、文部省といたしましては、担当者をコミッショナー事務局及び後楽園ジムに派遣をいたしまして、特に健康管理を中心に実情を調査させ、試合前の健康診断や試合後の事後診断を正確に行なわせること、年一回健康診断を必ず受けさせる必要等、選手の健康管理に一そうの徹底をはかるよう助言をいたしました。  このたびの練習生の事故は、テスト受験前の健康診断がなされていなかった点に問題があると思われますので、日本ボクシングコミッショナーに対して、テスト生には申し込みの際に必ず健康診断書を提出させるとともに、テスト直前に健康診断を行なうなど、必要な処置をとるよう助言したいと考えております。
  137. 竹本孫一

    竹本分科員 文部省大いに努力された御報告でございますけれども、先ほども申しましたように、ジムの数はいま百二十あると聞いておる。一体どこに行かれましたか、その行かれたところを教えてもらいたい。
  138. 木田宏

    ○木田政府委員 ただいま大臣が申し上げましたように、コミッショナーの事務局を通じて、そしてまたその際後楽園ジムに参りまして、プロボクシング全体の問題として善処するように申し入れた次第でございます。
  139. 竹本孫一

    竹本分科員 ちょっといま答弁を聞き漏らしましたけれども、どこどこに行かれたかということを私はいま聞いたのであります。  なお、私は実は、今回起こりました少年ボクサーの死というものをきっかけに、人命尊重を特にいわれておる佐藤内閣としても、本格的に前向きに取り組んでもらいたいという立場で質問をいたしておりますので、すなわちローマ時代からある古い何とかだといわれるこのボクシングの世界に、その体質の近代化とほんとうに取り組んでもらいたいという意味で質問をいたしておりまして、特に意地悪な質問をしようとは思いませんが、もっと具体的に……。いま百二十あるというのはほんとうですか。それから、そのうちの幾つに行かれましたか、どういう問題を持って行かれましたか、それだけ聞きたい。
  140. 木田宏

    ○木田政府委員 ジムの数が全国にいま八十ないし百二十あるというふうな概況を承知をいたしておるわけでございます。しかし、いまお尋ねの点は、前回昭和四十一年に当省予算分科会で御指摘のありましたことにつきまして、その当時さっそく担当者をボクシング連盟のコミッショナー事務局に派遣をし、そして後楽園ジムで現実にボクシングの試合の状況を見ました上で、担当者にその事前、事後の健康診断、あるいは年一回の確実な健康診断の実施等について申し入れをいたした次第でございます。
  141. 竹本孫一

    竹本分科員 ボクサーのプロの登録選手の問題も、一体何人おるのか、いろいろわれわれ見てわかりませんが、文部省がつかんでおられるところでは大体どのぐらいおりますか。それから練習生がどのぐらいおりますか。それからさらにもう一つ、今度なくなった少年の場合には、試合をやりたくないと言ったというのだけれども、いろいろの事情でむりやりにやらせられたのだという説もある。そういうことも調べておられるか。またこの少年については、練習生は一般にそういう健康管理を受けていないというふうに聞いておりますが、その辺の事情はどうなっておりますか。
  142. 木田宏

    ○木田政府委員 ボクサーとしてライセンスを得まして登録されております者は、昭和四十四年度につきましては一千百三十一名になっております。御承知のように毎年この登録を更新するわけでございまして、昭和四十五年三月十日現在をもちまして、ライセンスを受けております者が六百四十七名になっております。なお、このジムに練習生としているであろうと推定されます者の数は約四千名というふうに聞いております。  それから、今回の大山君のことにつきましては、新聞で承知をいたしましたほか、連盟の関係者から事務担当者が聞いたところでございますけれども、ライセンスをもらうためのテストを受けに来た練習生でございまして、このライセンスを与えますためのテストの際に、事前の健康診断が行なわれていない。むしろ技術的なテストのほうが先に行なわれて、ライセンスを出す前に、事後に診断が行なわれる。こういうことになっておるようでございまして、この点は健康管理上、むしろテストにつきましても、事前に健康診断を行なうようにすべきものだというふうに考えておるところでございます。
  143. 竹本孫一

    竹本分科員 ひとつ大臣のお考えを承りたいと思いますが、いまお聞きのように、お気の毒な事件が一つ発生しているわけですけれども、こういう健康管理が非常に不徹底だといまも御答弁になりましたようにわれわれ受け取るわけですけれども、そういうあり方全体について、大臣のお考えはどうでございますか。
  144. 坂田道太

    坂田国務大臣 私は、スポーツが青少年に普及をしていくということは非常に望ましいことであると思いますけれども、一面におきまして、スポーツと一がいに申しましてもいろいろ種類がございますし、たとえばボクシングのようなスポーツというのはかなり激しいスポーツでございますし、健康管理というようなこと、あるいは負傷というようなことも間々あることでございますから、その他のスポーツよりも一そう健康管理には注意を払うべき性質のものであるというふうに私は思うわけでございまして、今度大山君が不幸な事態を招きましたことに対しましては、これはまことに遺憾なことであると思います。しかしこれを契機に、やはりプロボクシングのあり方につきまして、このようなことが二度と繰り返されないように私は注意をすべきものであるというふうに考えておる次第でございます。また、その運営等につきましては、これから体育局を通じまして十分指導、助言を行なってまいりたいというふうに思っております。
  145. 竹本孫一

    竹本分科員 大臣の非常にヒューマニズムの上に立った前向きの御答弁に満足をいたしますが、しかし、それを善意だけではなくて、具体的に実現していただかなければならぬという見地から、二つの問題をお尋ねしたいと思います。  その第一は、特にこのプロボクシングのほうですね。そのほうについては、主務官庁がはっきりしていない。ボクサーに関する契約については、これは労働省の所管ではなかろうか。あるいは暴力の問題、風紀の問題になれば、警察庁の問題ではなかろうか。ジムで火事が出るというような問題は、消防庁の関係ではなかろうか。いろいろな官庁がそれぞれの立場でやっておって、一体、いま申しましたボクサーの健康を守るとか生命を守るとか、あるいはコミッツショナーのあり方の問題とか、全体としてのこのプロボクシング界にだれが主務官庁として臨んで、指導助成指導監督をやるのであるか。前回私が質問いたしましたときにも非常にあいまいもことしておりましたので、それはぜひ調整をしてもらわなければならぬし、先ほど坂田大臣の答弁にもありましたように、この問題は文部省がイニシアチブをとるべきかどうかさえもよくわかりませんけれども、体育局長に命じてやってみましょう、こういうことを言っておられる。  そこでお伺いしたい第一は、これは何としても主務官庁として、はっきりした明文の基礎の上に立った行政が行なわれなければならぬと思うのだが、文部省は主務官庁として、その後の各省との連絡協議の中ではっきり存在をきめられたのかどうか、またその存在、主務官庁をきめるためにいかなる努力をされたのであるか、その点を承りたい。
  146. 木田宏

    ○木田政府委員 いまお尋ねの主務官庁ということでございますが、事柄によりましてそれぞれ所掌があるわけでございまして、いま御指摘のプロボクシングにつきましても、プロボクシングがスポーツとしての意味合いというものを強く持っておる限りにおきまして、そのスポーツを健全なものにするという点につきましては、文部省が主管の責めに当たるべきものというふうに考える次第でございます。ただ、そのスポーツ界のことにつきましても、いま御指摘がございましたように労働問題もございまするし、また治安問題もございまするが、そういうことはスポーツ界に関連いたしましても、それぞれ担当の省が当たるべきものというふうに理解をいたします。そういう点につきましては、文部省がスポーツを所管しておりますこと、これは明らかなことでございますから、スポーツという面からいろいろと御指摘があり問題になります点につきましては、私どもも十分努力をいたしたいというふうに考えております。
  147. 竹本孫一

    竹本分科員 スポーツが文部省の主管であることは昭和四十一年にもはっきりしておりました。しかし、全体のいまのスポーツの面もあれば、いろいろな面がありますから、そういう問題も含めて、一体どこにこの問題を持ち込めばよろしいか。実はここでぼくが質問すること自体も、本委員会がいいのか悪いのか、私自身若干疑問を持っておる。そういう意味で主務官庁をはっきりきめなさいということを私は要求したわけです。そのための努力がなされましたかどうかということを聞いておるわけです。
  148. 木田宏

    ○木田政府委員 前回竹本委員から御指摘のありました点については、私ども部内で検討いたしまして、スポーツという観点から取り組むべき課題は文部省が担当すべきものというふうに考えておる次第でございます。
  149. 竹本孫一

    竹本分科員 不満足でございますけれども、一応スポーツという性格は強いんだということにして、スポーツであるから文部省が主務官庁だということに大体納得をしてよろしゅうございますね。  それで第二の問題は、先ほど来大臣もお話がありましたように、このボクシングというのはスポーツの中でも特別特殊性のあるもので、とにかく普通は人命尊重のこの世の中において、相手に一撃を加えて殺人ちょっと手前までいって、向こうの一番急所をねらわなければならぬという宿命を持ったスポーツなんですね。しかも相手の脳をねらう。その脳は普通の機械と違って修理もできない、一ぺんやられたらそれで終わりだ。したがって、選手が早く死んでしまう場合も多い。こういうような殺人一歩手前のところをねらわなければスポーツにならないという非常にむずかしいスポーツである。しかも、日本人はまた、わざ、技術よりも、そういうところに興味を持つという悪い習癖を持っておる。こういう意味で、このプロボクシングを一体このままに野放しにしておいていいかどうかということが実は問題であります。特にプロの場合には、みんなお金もうけといいますか、そのためにやるわけなんですから、結局いわゆる営利主義というか、資本主義の一番悪いところが一〇〇%に出てくるわけです。しかも、生命の尊重という一番基本的な課題と対になって争わなければならぬということで、まことに宿命的にこれはむずかしい問題があると思うのです。ダメージを与えなければならぬが、そのダメージのいかんによっては相手の生命を奪うんだ、しかもそれをやらなければならぬというところになっておる。しかもまた、やるほうもこれは金のためにやるわけですから、審判官がもうここで試合をやめさせようというような場合でも、なかなかやめないのだそうですね。というのは、そこで途中で試合を中止してしまうと、次のファイトマネーが落ちてしまう。いまファイトマネーというのは、聞くところによれば、あるいは一千万円も千五百万円もするという場合もあるそうですが、そうですが。
  150. 木田宏

    ○木田政府委員 いまお尋ねの金額につきましては、恐縮でございますが、まだ明らかにしておりません。
  151. 竹本孫一

    竹本分科員 とにかく百万円するものもある。千五百万円もするものもある。そして、きょう勝たなければ相場が下がってしまう。そこで、選手がここでやりたくないという場合も側でやらさなければならぬ場合もあるし、あるいは選手自身も、自分の生命の危険を冒してでもやらなければならぬ、こういう宿命の中に立っておる。したがいまして、人命尊重ということから考えれば、これを一体このままに野放しにしておいてよろしいかどうかということが重大な問題になるわけですね。聞くところによれば、スウェーデンだったと思いますが、こういう賭博の関係と人命尊重の面から見てあまりにもひどいということで、これを禁止しておるという話も聞いておるが、そうでありますか。
  152. 木田宏

    ○木田政府委員 いまの端的にお尋ねのスウェーデンの件につきまして、まことに恐縮でございますが、勉強いたしておりません。
  153. 竹本孫一

    竹本分科員 どうも文部省は恐縮することが多いので困りますが、もう少し勉強してもらいたいと思います。主務官庁という以上は、やはり責任をもって人命尊重のためにやってもらいたい。ここで恐縮したって何にもなりません。  そこで、アメリカのほうではこれが法制化している。州法で規制をいたしておるということを、御存じかもしれぬが、また恐縮されても困りますので私のほうから申し上げますが、ここに私は持っておる。これはステート・ローズ・ガバリング・ボクシング・アンド・レスリング・イン・カリフォルニアと書いてある。要するにカリフォルニアにおいてはこういうステート・ローズができて規制しております。そしてさらにアメリカでは、ここだけではない。いろいろのところでそういう州の法律ができておるようですけれども、いずれにしましても法制的な根拠の上に立って、運動のあらゆる面を規制いたしております。私は、これは人命尊重の見地からいえば当然なことじゃないかと思うのです。東洋ボクシング連盟というのがあるそうですが、これには日本やフィリピン、韓国あるいはタイ、グアムといったようなところが参加しておるそうですが、その中でフィリピンのごときは、ゲームズ・アンド・アミューズメント・ボードというのがありまして、そこでこういうものは全部一括して、まとめて国が大統領直轄で管理、監督しておるということも聞いておりますし、タイにおきましても国が直接管理をしておるということを聞いておる。要するにこうしたアジアの諸国でも――でもと言っては失礼かもしらぬが、みんな、こういう問題の重要性にかんがみて、それぞれ規制の法律をつくり、さらにアメリカのごときは、これだけではまだ足らぬということで、ここには一つのアクト――フェデラル・ボクシング・コントロール・アクトという案を準備しておる。これは州においてボクシングをコントロールしようということで、あらゆる面について――時間がありませんから申しませんけれども、そのコントロール内容を具体的に規定しようという努力を積んでおる。  私が申し上げたい点は、そういうわけで、東洋の諸国でも、禁止するものなら禁止するといういまのスウェーデンのような例があるし、やらせる以上はやらせるだけのルールをきめてちゃんとやっておる。これがほんとうのスポーツのあり方じゃないかと思うのでありまして、特にいま申しましましたように、一方においては人命に関する大きな問題がある。しかもそこをねらっていき、それを犠牲にし、それの危険を冒しながらスポーツとして展開をされる、まことに宿命的なこのボクシングに対して、政府は規制する、あるいは禁止するという腹をお持ちなのか、あるいは今後やらせるつもりであるのか。やらせる場合についてはどういうルールをつくってやらせるのか。ルールをつくらないでやらせるのか、まずその辺のお考えを承りたいと思います。
  154. 木田宏

    ○木田政府委員 日本におけるボクシング試合につきましても、ボクシング試合を規定する法則と規則がボクシング協会によって定められておりまして、その中にはかなり――これは十分御承知のことと思いますけれども、相当詳細な規定が行なわれております。私どもアマチュアのスポーツにつきましても、またプロフェッショナルなスポーツにつきましても、スポーツという以上はルールが必要でございますが、そのルールはスポーツマンみずからによってつくられ、みずからによって規律ある順守ができるということがスポーツの基本精神だと思います。ただ、いま御指摘のようにプロフェッショナルなスポーツが、一面ではそのスポーツの純粋性ということから逐次といいますか、アミューズメントというおことばがいま出ましたが、そういうこととのつながりがございますから、見せものとの関連でいろいろとむずかしい問題を含んでくるということは承知をいたしておりますけれども、ボクシングはプロフェッショナルなボクシングだけでなくて、アマチュアのボクシングのチームもあるわけでございますから、ボクシングのルールあるいはそれを実施いたしますときの規律というものは、スポーツとしてこれを純粋なものに、プロであれアマであれ、みずから規制し、自律していくということは、第一義的に考えるべきことと思います。そういうスポーツ関係者の自律ということが十分に行なわれないという状態が続きますならば、やはりその時点において何らかのことは考えなければならぬかと思いますけれども、現在の段階では、いま定められておりますかなり詳細な規定が適確に実施されるようにまず注意を喚起したいという考え方でおります。
  155. 竹本孫一

    竹本分科員 まことにそう言っては恐縮だけれども、文部省が試験勉強だけで答弁されているものだから、本質的なところを一つもついてない。すぐ私にはわかりますが、たとえばこの書物には「ルールズ・アンド・レギュレーションズをくっつけて」と書いてある。スポーツのルールを文部省がきめろなんてばかげた話をするばかはいません。それはそれぞれのスポーツ界がきめることであって、そんなことを文部省やれと私は言ってないんだ。そうではなくて、プロボクシングはいろいろ危険もある。あるいは賭博性、ギャンブリングな性格も持っておる。いろいろ弊害もあるようだから、これを、大臣にお伺いしたいが、日本は禁止する意思であるかどうかということが一つ。  時間がありませんから、まとめて言います。  第二は、やらせるつもりならば、やはりこれは一定のワクをはめて、営利主義、金もうけだけで人命は犠牲にしてもよろしいというやり方は困りますから、そこに一つの、ここに書いてあるコントロールを加えなければならぬじゃないか。そのパブリックコントロールをやらなければいかぬ。その点については、やらせる以上は当然考えなければならぬ。ここにはルールズ・アンド・レギュレーションズとなっている。レギュレーションが要るのです。そのことをやる御意思があるかどうかを伺いたい。
  156. 坂田道太

    坂田国務大臣 ただいまも体育局長からお答えいたしたとおりでございまして、ただいまのところこれを法制化する考え方は持っておりません。  それから、非常なばくちとかあるいは暴力とかというようなことがからむことは好ましいことではございませんので、その意味におけるコントロールということは考えなければならないと私は思います。しかし、それを国でやるかどうかということにつきましては、私は、ある国においては国でやるというようなところがございましても、この日本の国におきましては、現在のところこのままでよかろうかと考えております。また、ただいま局長からも申しましたように、あちこちに何か非常に問題が起こってくるというようなことがございましたらば、その時点で考えたいというふうに思っております。
  157. 竹本孫一

    竹本分科員 大臣のほうではこのプロボクシングを禁止する御意思はないのですね。――ありません。そうすると続ける。続けるけれども、それの規制は国がいますぐやる意思はない。ある段階が来て必要があればそのとき考えようということだと思います。そう了解してよろしいですね。  そこで、私が最後に申し上げておかなければならぬことは、いまいろいろ規制が行なわれている。規定もある。そしてボクシング協会といいますか、そこでいろいろやっているようだから、これを十分指導監督していけばいいのじゃないかという御説明でございます。そこで、大臣に最後に御注意を喚起しておきたい問題がある。それはだめなんです。なぜだめかということを私は言いたい。それは、今日のコミッショナーにしても何にしても、業界から推薦されてその地位についているのです。だから、そのコミッショナーの存在そのものが業界に握られているわけです。業界に反対をして、パブリックコントロールの立場で問題を処理しようと思えば、その人の存在があぶなくなる。地位があぶなくなる。そういう制約を受けているのです。でありまするから、よその国では――ほんとうにパブリックコントロールを加えようと思えば、やはりそういう法的な基礎のある別個な構想を持ってくるのでなければ、ただ業界の連中にしっかりやりなさい、文部省もときどき伺ってやりましょうというぐらいでは間に合わないのです。その点について大臣は一体どうお考えであるか。韓国においても、やはりこれと同じような社団法人ができているのだそうですね。しかし、少しコントロールを強くしなければならぬ、しようと思えば、業者との間に非常なトラブルを起こしてしまって収拾がつかなくなったという話を私は聞いておる。韓国の例が唯一絶対ではありませんけれども、大体業界において推薦された人は、業界からにらみがきいておるために、十分なパブリックコントロールはできないのではないか。やはり国家、国民のために、あるいは人命尊重の立場でほんとうの意味コントロールを加えようと思えば、それ以上の立場が必要であると思う。大臣には、そこに前向きに取り組むことを私はぜひ希望したいと思いますけれども、大臣のお考えを伺いたい。
  158. 坂田道太

    坂田国務大臣 規制のしかたというものは、法律によって規制をする方法と、やはり国民の世論あるいはスポーツを愛好する人たちの、何といいますか、善意あるいは期待というようなことに対して、スポーツ団体が自律的にそういうような規制を行なっていくということは、私は望ましい姿だというふうに原則的には考えるわけでございます。しかし、いまおっしゃいまするような状況が非常にあちこちに起こるというようなことで、どうにもこうにもしようがないというような場合は、やはり国のコントロールということにいかざるを得ないんじゃないかというふうに思うわけでございまして、いましばらく事態を静観をいたしたい、そして指導を続けてまいりたいというふうに思っております。
  159. 竹本孫一

    竹本分科員 最後に、いろいろお話、御答弁を伺いまして感じますことは、実態把握が文部省に十分なされていないと思います。ぜひひとつ実態を十分調査されまして、大臣のお考えもわれわれの考えも違うわけじゃありませんから、ぜひ健全なるスポーツとしてこれを育てるように、パブリックコントロールを加えることが必要かどうかということを事実に即して御検討をいただくように強く希望いたしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  160. 河村勝

    ○河村主査代理 この際、暫時休憩いたします。    午後二時二分休憩      ――――◇―――――    午後二時五十九分開議
  161. 笹山茂太郎

    笹山主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中野明君。
  162. 中野明

    中野(明)分科員 二点ほど質問したいと思いますが、まず本年度国立青年の家について、予算を幾らとってありますか。
  163. 福原匡彦

    ○福原政府委員 お答え申し上げます。  ただいま国立青年の家の予算について、来年度の計上額について御質問ございました。来年度総計といたしまして約十一億円ほどの予算を計上いたしております。
  164. 中野明

    中野(明)分科員 これは新しく建設をされると思うんですが、どこへどういう規模のものか、簡単に説明していただきたいんですが……。
  165. 福原匡彦

    ○福原政府委員 御承知のように、本年度までに八つの――現在まで六つ国立青年の家が建設されておりまして、四十四年度におきまして、第七、第八青年の家の着工の予算がついております。来年度の予算といたしまして、第九青年の家を建設するということで、その基礎工事の一部になります二千万円の予算を来年度計上いたしております。  その規模につきましては、中央青年の家を除きまして、大体同じ規模でこれまで建設を進めております。第九につきましても、同じく四百人程度収容のものを計画しているわけでございます。
  166. 中野明

    中野(明)分科員 それで、いままで設置されている場所を一応お聞きしたいんですが、たしか、四国にはなかったと思いますが、今後、設置されて、全国で大体どの程度設置される計画になっていますか、その辺をお聞きしたいんです。
  167. 福原匡彦

    ○福原政府委員 ただいままで設置されておりますもの、並びに設置計画ができておりますもの、設置の予算がついておりますもの、八つと申し上げましたけれども、北のほうからまいりまして、北海道で大雪にできております。それから東北地方、ただいま第九は岩手というふうに申し上げましたけれども、南東北に、磐梯山に磐梯青年の家ができております。それから、第七青年の家については、関東の群馬の赤城山の山ろくにつくるという予定でございます。それから中央青年の家というのが、富士山ろくの御殿場にございます。それから、第八青年の家として予定しておりますのが、北陸の能登半島、石川県でございます。それから、近畿地方は淡路島に淡路青年の家ができております。それから、中国地方山陽道におきまして、江田島の青年の家というのができております。それから九州に阿蘇青年の家という、以上、岩手を入れて九つということになるわけでございます。  今後の設置の見通しでございますけれども、これにつきましては、実は昨年の四月から十月にかけまして、国立青年の家に関する調査研究会というものを設けまして、それは学識経験者、青少年団体関係者あるいは言論界の関係者、民間の有識者など十名ばかりの方にお集まりいただきまして、国立青年の家のあり方、今後の方針といったようなものにつきまして、実際、国立青年の家を実地視察していただきましたり、財政関係のほうからの御意見を承ったりいたしまして、現在までの配置状況から見まして、あと二ないし四カ所程度つくったらいいのではないか。これは第八までできていたときの時点のことでございますから、全体として全国的に十ないし十二の国立青年の家――青年の家は大体ブロックに一つというような計画でございましたので、そのブロックをどの程度に押えるかということについての具体的な御意見をここで初めてちょうだいしたわけでございます。  その二ないし四カ所というのを、いままでの配置の状況から見まして、いまの岩手が一つ入っておるわけでありますけれども、東北地方が広いのに南の方に偏しているので、北東北に一カ所必要だろう。それから、中部地方が北陸のほうにございまして、やはり名古屋を控えた東海地方に一つほしいということと、それからもう一つは、中国地方が山陽のほうにございますので、山陰地域というものも考えられるのじゃないかということと、もう一つ、御指摘のような、四国に全然ございません。四国につくったらどうか。この四つの中から、いまの二ないし四というものを選ん、だらどうか。それに基づきまして、来年度の第九につきましては岩手というふうに定めたわけでございます。
  168. 中野明

    中野(明)分科員 これで見ますと、大体ブロック的に、地域的に網羅されているようなんですが、四国だけがありません。調査研究会の結果もやはり四国にも必要だ、こういうことのようですが、やはりどこから先にするかというのは非常にそれぞれ議論もあることでしょうけれども、全国的な見地から見ますと、やはり四国にないということはおくれているように私思いますし、ぜひ――この順序というのはどういうふうにお考えになっているのでしょうか。この調査研究会のほうできめられるのか、それとも文部省のほうできめられるのか。
  169. 福原匡彦

    ○福原政府委員 調査研究会のほうは、実は本年度一年限りで調査研究としての使命を終わりましたので、解散いたすわけでございます。いまの、今後どういう順序でつくっていくかということは、文部省が責任をもってきめなければならないわけでございます。その場合、各地域の御希望等がいままでにも出ておりますけれども、そうした中から具体的にどこに配置するかというようなことを検討いたしたいというふうに考えておるわけであります。
  170. 中野明

    中野(明)分科員 私、全国的な見地から見ますと、四国の島に一つもないということは――やはり青年がおらぬというわけじゃないのですから、ぜひ急がなければならぬのじゃないかと思います。  それとともに、この際お聞きしておきたいのですが、この青年の家の条件というのですか、面積はどれくらい必要なのか、そうしてまた立地条件がどうなければならぬのか、何か選定の基本的な条件というのですか、基準になるようなものをおきめになっておれば、この機会に説明してもらいたいのです。
  171. 坂田道太

    坂田国務大臣 国立青年の家をずっと各ブロックに大体建ててまいったわけでございますが、その国立青年の家の利用というものも非常に多いようでございますし、その果たしております役割というものは非常に大きいというふうに思います。また、それゆえにこそ、各地方から非常な御要望も強いと思うわけでございますが、やはり国立青年の家の研修の場としてふさわしい一つの大きい条件としましては、自然環境に恵まれておるということをまず第一に考えるべきじゃないか。けさほども山中先生から御指摘ございましたように、都市集中によりまして、ともいたしますと自然というものを忘れがちである。そういうようなことからいっても、大自然の美しさにじかに触れさせるということがまず第一だというふうに考えております。そうは申しましても、あまり山奥で不便であるというところではいけませんので、やはり時間的、経済的にも利用が非常にしやすいようなところということも一面において考えなければならない。それから一応ブロック別に考えますと、各県の人たちがこぞってそこに建てたほうが一番利用しやすいというようなこともその一つの条件、あるいはまた何か歴史的な、教育的なものが付近にあるとすると、それもまた条件の一つになるかと思うのでございます。たとえば会津の磐梯山のふもとにできましたときにおいては、あそこで野口英世が生まれて、そして勉強されたところも残っておるわけでございまして、そういうようなこともできますならば、その条件の一つに考えておるわけでございます。
  172. 中野明

    中野(明)分科員 それで、調査研究会の結論としてはあと四カ所。一カ所は予算が大体きまっていくということになりますと、あと三カ所ほどが研究会の結論になっておりますが、四十六年度ですか、来年は何カ所くらいつくられるようなお考えを持っておられるか。結局私の申し上げたいのは、いま大臣のほうからも話がありましたように、青少年の教育問題ということにつきましては、去年来非常に大きな問題になりまして、特に環境というものが、いまのお話にもありましたが、青少年の教育に果たす役割りというものは、お互いにわれわれも感じておることですし、最近の機械の発達、物質文明の発達と大都会の人為的な公害、そういうような環境の中で育っているから、いろいろと偶発的な事故も起こってきている。そういうことから考えまして、やはりいまちょっとお話が出ておりましたように、一番の理想は各県ごとにつくるのが理想でしょうけれども、そうもまいらないと思います。あまり近くではこれまた気分転換もできないでしょうし、そうかといって現在ある場所にあまり接近してつくられるのもどうかというような気もします。そういう点で、来年度何カ所つくるようなお考えがあるか、もし差しつかえなければ聞かしておいていただきたい、そう思うのです。
  173. 福原匡彦

    ○福原政府委員 来年度は第九を一カ所でございますけれども、その次の四十六年度幾つかということでございます。これはまた折衝の上で予算計上ということになりますけれども、調査研究会の結論からも、第十につきましては、一応十ないし十二ということでございますから、再来年度は一カ所は何とか予算化したい、こういうふうに考えておる次第であります。
  174. 中野明

    中野(明)分科員 計画としては大体毎年一カ所ずつ追加していって、そして調査研究会の結論が出た場所を設置して終わりたい、そういうお考えですか。
  175. 福原匡彦

    ○福原政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  176. 中野明

    中野(明)分科員 いま私申し述べましたように、大体ブロック的にもほぼ全国各地を網羅しております。ただ、いまお話にありましたように、東海地方が北陸にあって名古屋周辺にないとか、中国地方では山陽道にあって山陰にないとかということでございますが、四国方面は全然ございませんので、地元の要望も強いことですし、関西圏からも近いようですし、自然的な環境とか、いま大臣がおっしゃった条件というのはかなり満たしているのではないかというような気がいたします。全国的な視野に立って早急にきめていただいて、教育問題のやかましいときですし、一カ所といわないで、なることならば二カ所でも三カ所でも早く指定をし、青年の家をつくって、次の代の青少年の心身の育成に大いに役立ててもらいたい、こういうふうに私は思います。その点、最後に大臣から……。
  177. 坂田道太

    坂田国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、私どもも、できるだけ早い機会に、この調査会が出しました地域におきましては国立青年の家を建てたいと念願をいたしておる次第でございます。
  178. 中野明

    中野(明)分科員 国立青年の家は、以上でいいと思います。  次に、過疎地域の義務教育の問題について、実情は私から申し上げるまでもなくよく御承知であろうかと思いますが、人口の過密とうらはらに、過疎地域に当たる地方公共団体はたいへんな悩みようでありまして、人がおらなくなると、すべての面にマイナスが出てまいりまして、非常に困っております。特に憲法できめられた義務教育、このことについては御承知のとおり、校舎の統合ということから通学に非常に大きな支障がきております。統合されたその学校に通うためにスクールバスを使っているようでありますが、ことしこの予算はどの程度出しておられるものか。そして当局として、義務教育という基本精神に立ってはたして満足できるようなものであるかどうか。私どもは、地元の市町村が非常に弱体なものですから、この点、たいへん頭をいためておるわけです。その予算面をまずちょっとお聞きして……。
  179. 宮地茂

    ○宮地政府委員 お答えいたします。  お尋ねのスクールバス関係予算でございますが、四十四年度八千万円でございましたが、御審議いただいております四十五年度予算においては一億二百五十万円、前年と比べて二千二百五十万円ばかり増額して要求いたしております。その中身といたしましては、従来単価二百万円で七十台のスクールバス補助ということでございましたのを九十台にする、ジープ関係では二十台を二十五台にする、こういった経費でございます。
  180. 中野明

    中野(明)分科員 どうでしょうか、実情を見ましてこれでどの程度までカバーできているとお考えになっておりますか。
  181. 宮地茂

    ○宮地政府委員 昨年の実績にかんがみますと、四十五年度予算の先ほど申し上げました程度で、ほぼ需要に応じ得る台数ではなかろうかというふうに考えております。
  182. 中野明

    中野(明)分科員 現在、過疎地域が頭打ちになったというふうにいわれている向きもあるようですけれども、それは県全体なら全体で見たときはそうなんですが、細部にわたって町村の一つ一つを見ていきますと、まだまだ同じ県内で過密と過疎のところが出てきているということで、とうていそこまでいかないところが非常に多いわけです。スクールバスを入れればいいのですけれども、そういうところまでいかないで、非常に就学の率が悪くなったり、いろいろしているところがあるわけでして、この点についてはもうこれで十分要望にこたえているのだという見方じゃなしに、まだまだ義務教育を受けるために困っておる人がいる。ついでに申し上げておきますけれども、実際問題として、過疎地域の山間部に行きますと、バスも通らないようなところがたくさんあるわけです。この点、きょうは大臣のお考え方を聞いておきたいと思って質問しているわけです。校舎が統合されて、統合されたのもいいのですが、それがまた減ってきて、いよいよ統合することもできない。そういう地域が非常にたくさん出てまいっております。そこの学校に通うのに、自動車も通らないような山道を山越しをして学校に通っている。単位でいきましたらいろいろありますけれども、大体六年生を中心にして十二、三人が、おとなの私どもでもかなり難渋する五十分くらいの道ですから、子供でやはり一時間はかかっていると思いますが、そういうところを山道を越えて学校に行っているので、学校から子供が帰ってくるまで――六年生ぐらいならいいのですけれども、一年生ぐらいになりますと、体力もありませんし、学校から帰ってくるまでは父兄は心配で仕事も手につかぬというような苦情、私ども山間部の僻地に行きますと一番の要望がそれです。それでそういうところに人間がまあまあ安心して歩けるような道路、これがまず必要じゃないか、私はこのように思うわけです。  ところが地方公共団体は、そういうところに限って非常に財政が逼迫しております。人口も減ったために全然どうすることもできないというような状態で、雨の降った日は、あるいはちょっと天気の悪い日は、子供学校を休ませなければならぬというふうな、義務教育でありながらとんでもない考え方に親もなっているところもあります。そういう点について地元地域から要望はもちろんのことですが、実情をもっともっと把握していただいて、何とかせめてだれが歩いても安心して歩けるような程度に道路ぐらいはつけてやらなければならぬのじゃないか。バスが通るところよりも私はそういうところのほうが実際は困っている、このように思うわけですが、この点御検討なさったことがあるかどうか、また将来どうお考えになっているか、ちょっと聞いておきたいと思います。
  183. 坂田道太

    坂田国務大臣 過疎地域におけるいろいろの施策、一つには統合ということも一つの解決策でございます。また中学校の段階でございますと、統合して、それに寄宿舎を設けて教育をやるということも一つの方法。それから小学校の段階でございますと、なかなか寄宿舎までつけてそして統合というわけにもまいりません。でございますから、これはなかなか解決しにくい。だとすると、やはり次の段階としてはスクールバスということになろうかと思いますが、午前中の山中委員からの御質問にもございましたように、スクールバスが通えるところならまだいいのだけれども、スクールバスも通えないような道、それをむしろ文部省予算で、ちょうど奥地林道の道路は農林省が持っておると同じような意味において、文部省がそういう道に対して予算要求すべきではないかというようなお話までもあったわけでございます。というわけでございますが、われわれのほうも僻地対策あるいは過疎地域対策というものについては、かなりきめこまかいところまで私はやっておると思うのです。やっておりますけれども、それにはやはりおのずと自然的な制約がございまして、それ以上はもうどうしてもやれないというぎりぎりのところにいった場合は、いまお話しのように、せめて山道が非常にけわしい、あるいは小さい子供たちはとても通えない、そういうような山道について、ちょっと通えるような、安全にやれるようなことは考えていくべきじゃないかというようなことは、われわれもひとつ考えていかなければならぬ課題だと思っております。  ただ、私も熊本でございまして、たとえば五箇荘というような非常な僻地を持っております。でございますから、実情も知っております。しかし私たちが、あるいは都会の子供たちがほんとうに考えられないように、小さいときからそういう自然的制約のもとに育っておる。言うならば非常にたくましく育っておる。冬でもほんとうにリンゴのような赤いほっぺたをして通っておる。都会の人たちは非常に便利になって、いろいろ環境はよくなったのだけれども、公害、交通事故、あるいはそれのおそれということで、何かか弱い、ひ弱い人間ができてきている。こういうことを考えますと、私はやはり一面においては教育の力によってそういうたくましい子供を育てていく、その自然的制約の中においてそれを乗り越えさせるということも、やはり教育の一番大事な点じゃなかろうかというようなことも、考えておるわけです。しかし、それをあまりに極端に申しますと、いま仰せになりましたようなところに対する国としてのサービス、あるいは市町村としての意欲をそぐことにもなりますから両面あわせてこれは解決をしていくべき問題だというふうに考えております。
  184. 中野明

    中野(明)分科員 時間もだいぶたったようですが、いま大臣もお答えになっておるわけなんですが、確かにおっしゃるような一面も私は必要だと思います。しかしながら、現在は世の中自体が非常に進んでまいりまして、御承知のとおりにテレビとか、ラジオとか、そういうものもどんどん発達してまいりまして、山奥におりましてもかなり他地域のことについては子供もよく承知しているわけでして、そういうことをいつまでも、ある一面を考えて昔のままでほっておくということは、逆に過疎化にまた拍車をかけて、大きくなったらそんなところにはおらない、どんどん出ていってしまうというような空気でありまして、とにかく町に出ていった友だちが帰ってきて、また友だちを連れて町に行くというのが現状であります。いまおっしゃったように、昔からずっとそういう状態であるのならば、ある程度そういう大臣のお話のようなことも考えられないこともないのですが、人口が過疎になったために校舎が閉鎖されて、そのためにとんでもない山を越していかなければならないということで条件が悪くなったわけです。ですからそういう点で、私は途中で事故でも起こったらたいへんな社会問題になるとまで心配をしているわけです。ですから、いまの御答弁の中でも少し触れておられましたが、ぜひそういうところの面も義務教育という上から考えていただいて――せめてそんなたいへんな道路をつくれ、バスが通るような道路にしろというのではないのです。まずまず危険の伴わない道路にして国民に義務教育を受けさせていこうという、これは文部省の当然の姿勢だと思います。ですから、その辺を十二分に検討もしていただいて、よく実情も見ていただけば、いま大臣は自分もよくわかっているとおっしゃっていますので、私はこれ以上申し上げませんが、とてもとてもたいへんな、私どもがびっくりするような環境の中で義務教育を受けております。こういう点も考えて、将来そういう面にも何とか文部省のほうで極力努力していただいて、予算の一つでもつけて、道路だけでも人間が歩けるようにしていこう、そういうふうな考え方で努力していただきたい、このように思います。  時間のようですから、大臣のそういう点についての最終的なお考えを聞いて終わりたいと思います。
  185. 坂田道太

    坂田国務大臣 おっしゃいましたことは十分留意をいたしまして、努力をいたしたいと考えております。
  186. 笹山茂太郎

    笹山主査 次は小林信一君。
  187. 小林信一

    小林(信)分科員 大臣にまず最初にお伺いいたします。  観測船「ふじの」問題ですが、きょうの新聞にこういうのが出ていました。「ミナタイクツシテイル、イケウチジュンコノゲキデンホシイ」、これは観測船のほうからの電報です。「オーロラトヒルネタノシ、シンパイスルナ」、まあ家族に対して、向こうのほうかう激励しているような電報が来ている。あるいは少し深刻になりまして「キョクチハニンノイチジ、シンパイナイ、ノンキダ」、しかし、ここになりますと、相当「ふじ」に乗っておる人たちも表面はきわめてのんきというのですか、大胆なことを言っているけれども、「ニンノイチジ」というふうなことばを聞くと、国民として何か忍びないようなものがあるのですが、池内淳子はすぐにその意思に基づいて激電を打っておるようです。文部省としてはこれらの一切をどういうふうにながめておられるか、この際その後の経過等を国民に知らせるつもりでひとつお話し願いたいと思います。
  188. 坂田道太

    坂田国務大臣 実はその記事は私のところに公電がまいりまして、私が発表いたしたわけでございます。このように、何だかこちらのほうが心配しているのだけれども、そのことを向こうがぴんときて、そしてむしろ国民の皆さん方に心配をかけてはいかぬのだという気持ちがこれにあらわれているのじゃなかろうかという気持ちで、私はほんとうにこれは何としてでもりっぱに救出をしなければならぬという責任を感じたわけでございます。  その前に皇太子両殿下も、進水のときにテープをお切りになった関係もございまして、非常に憂慮されまして、激励の電報を打たれたわけでございますが、私と中曾根長官と二人の名におきましてこの御激励の電報を現地あて届けましたとろが、またそれに対しまして皇太子両殿下からのあたたかい御激励のおことばを全員に伝達いたしましたところ、「観測隊員「ふじ」乗組員及び同行者一同心から感激しております。両殿下のおことばどおり、私たち南極男は元気に心を合わせ、この試練に打ち勝ちますので御安心ください。」という返電も参っておるわけでございます。  現状を申しますと、ソ連砕氷艦オビ号による救援活動がとりあえず不調に終わったため――とりあえずというのは、多少氷塊がゆるみましたならば、時間の許す限り、つまり引き返す時間の余裕があるならばまた来るという意味においてオビ号が引き返しておるわけでございまして、そのつもりでお聞きをいただきたいと思いますが、三月八日緊急本部連絡会を開催し、米国砕氷艦の「ふじ」救援を米国政府に依頼したのでございますが、米国砕氷艦エディスト号は、緊急部品を携行してウエリントンに急行する防衛庁係官を乗せ、三月十三日、あしたでございます、午前十時ウェリントンを出発し、三月三十日までには、現在ウェッデル海にいる米国砕氷艦グレーシャ号とともに「ふじ」のいる氷縁に到着できるとの米国政府からの連絡がございました。  なお、その後「ふじ」におきます生活は越冬という最悪の事態を考慮し、燃料、水等の節約を始めたため、従来より多少不便になってきているようでございますが、全員きわめて元気で生活しているとの報告が来ております。  そういうわけでございますが、また昨日、実は南極本部が、昭和基地と交信いたしました結果、昭和基地には「ふじ」の磯辺艦長、川口副艦長がヘリコプターで飛び、氷状について詳しく報告をしてまいりました。同報告によりますと、「ふじ」の東北東五百から六百メートルのところに幅五十メートルほどの水路ができてきました。この水路はさきに確認されております「ふじ」の北方十五キロ付近を東西に走る水路とつながっております。外洋と接している氷縁までの距離は「ふじ」から三十六キロと、ちょうど六日の段階での五十三キロよりぐっと狭まっておるということがわかりました。また氷縁の近くの流氷群も、風によって圧縮されることもなく散っておるようで、氷山も動く気配はなく心配はない。ただ、「ふじ」付近の氷厚――氷の厚さでございますけれども、三・八メートル、ところどころハンモック状に氷が重なり合っております。ここのところは最悪の状況であります。そのために「ふじ」が直ちに自力で脱出できる状態にはまだなっていないが、このままの状態が続けば、米国のエディスト号などによる救援活動に十分期待が持たれる。しかし、また一方におきまして、同艦長からは万一氷状が再び悪化し、「ふじ」も越冬する場合に備えまして、救援艦に移乗する乗務員の人選をすでに始めておる。本部は、この氷状を同夜オビ号などに打電したという報告がまいっておるわけでございます。  以上でございます。
  189. 小林信一

    小林(信)分科員 おそらく万全の措置はしておるし、またしなければ、そういう決意をしておる方たち、またその家族の方たちにも申しわけないと思うのです。そこで幸い救援をされればいいのですが、いまのお話の中にも、越冬も決意しなければならぬ場合もある、水だとか食糧、それらはすでに節約し始めたというようなことを聞きますと、国民としては非常な心配も出てくるわけであります。最近難破船の船長は船と運命をともにするというような日本にあります慣習的なものが、やっぱり「ふじ」にも適用されてきたらたいへんだと思うのです。そういうふうな場合には、船を全部放棄しても、南極の観測地に移転をしてしまうというようなことも考えた万全の措置を講じなければならないと思うのですが、電報等の非常な元気なところに文部省が甘んじて、軽率な措置はしてはいけない、こう私は思うわけです。  そこで、時間がありませんから、そういうことに深く突っ込んでいくわけにいきませんけれども、日本の最近タンカー等で非常な大型船が建造されております。しかし、それが洋上で不慮の災難を受けるような悲しい問題も幾つか生んでおる。この「ふじ」もかなりそういう点には精密な研究を加えてつくったはずなのですが、どこに一体欠陥があったのか、そういう点わかっておいでになりますか。
  190. 坂田道太

    坂田国務大臣 この問題につきましては、中曾根長官と私と緊密な連絡のもとに、やはり人命が一番大切だという観点で、最悪の事態に備えまして万全の策をいま講じておるということを御了承いただきたいと思います。  それから、四枚のスクリューが折れたという問題につきましても、製作いたしましたところ等に問い合わせなり調査をいたしております。しかしながら、これはやはりこの船が帰ってまいりまして、その欠損の状況等をしさいに調査しない限りにおいては、それは判明いたしませんので、しばらく真の原因はわからないと思っております。しかし、私たちの聞きましたところにおきましては、この砕氷船は、世界に誇るべき性能を持ったいい船だというふうに聞いております。
  191. 小林信一

    小林(信)分科員 そういうふうに自信を持ったつくり方であっても、現実に砕氷不能になっておるような状態から見れば、必ずしもその見解というものは正しいかどうかわからぬと思うのですが、そういう点で私たちが心配するのは、こういう非常に危険性のあるものについて十分配慮するためには、予算というものを文部省がやっぱりたくさん取らなければいけないということが痛感されるのですよ。あるいは内之浦のロケットだって、ようやっと飛びはしましたけれども、あの何回か失敗を重ねておる中で、やっぱり日本の技術が悪いのか、あるいはそれに妥当する予算というものが確保されないのじゃないかというような両面から私たちは心配しておるわけなんですが、そういう点についての配慮を、これから今度の予算の中でも十分考えていかなければいけない。これは大きな今度の問題で、これからの予算を確保する中で考えていかなければならぬ点だと思います。  それからもう一つ留守を守っておる家族の方たちに対する御配慮は十分でありますか。
  192. 坂田道太

    坂田国務大臣 その点は逐一報告をいたしております。
  193. 小林信一

    小林(信)分科員 次にお聞きしたいのは、これは全然別の問題ですが、国立大学に対しましても昨年のいろいろな経緯の中から多少配慮はされるようになってきたし、あるいは私立大学に対しても国の予算が考えられるようになってきた。あるいは私立高等学校等に対しましても、交付税等の中で人件費まで心配するようになってきた。その中で心配なのは、公立大学ですね。何々市の市立の大学、これも当初は大かたその地域のことを考えての大学設置が多かったと思うんですが、しかし、あらゆる人たちに公開をしなければならぬというふうな点から、だんだんその地元の人のための大学でなくて、全国民の大学というふうな性格が公立大学にも出てきて、そのために小さな市が非常に財政的な負担をしておるんですが、ここにも十分配慮されなければならぬと思いますが、この点についての今度の予算の中で考慮されておる点をお伺いしたいと思います。
  194. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 公立大学につきましては、設備費並びに在外研究員の派遣のための費用の一部を補助をいたしております。昭和四十五年度の予算におきましては、合計一億七千七百二十万円を計上いたしております。
  195. 小林信一

    小林(信)分科員 私立大学に考慮されておるような点と比較して、それで十分だとお考えになっているのですか。
  196. 坂田道太

    坂田国務大臣 十分とは考えておりませんけれども、この公立の中におきまして、県立の場合におきましては質的にもかなり充実をしておる。しかし、小林さんお述べになりましたような非常に小さい市で市立の大学を持っておるというのは、このごとそれ自体が、それはいろいろの沿革といいますかはあったにいたしましても、やはり非常にむずかしいのじゃなかろうかというような気がいたすわけでございます。しかしながら、できました以上は、やはり学生がかわいそうでございますから、また大学としての使命も持っておるわけでございますから、何とかして経営ができるようには考えていかなければならないとは思っております。しかし、具体的には私もよく承知をいたしておりません。
  197. 小林信一

    小林(信)分科員 私もいま大臣と同じ考えです。小さな人口三万足らずくらいの市で大学を運営していくということは、これは考えなければならぬことだと思うのです。しかし、その出発においては、経済成長というふうな要望の中で、自分たちの子弟が東京へ出て勉強をするのではたいへんな経費がかかる、何とかその父兄負担を軽減をして、そこの地域の子弟というものに高い教育を施したいという考えを彼らが持ち、それを文部省も認めて認可をしたんだろうと思うんですね。それがやはり基礎になりまして、一応古い校舎等をこれに適用しておったんですが、負い目というんですか、苦しい財政の中で新しい校舎も建設をするとか、いろいろなことをやりますが、結局大学の運営そのものも十分でなくなるし、市の財政というものも苦しくなってきて、いま私立学校に対してわれわれが考えなければならぬと同じような問題が深刻に襲いかかっておるような気がいたします。今度の予算編成の中で、確かに国立大学あるいは私立大学に対しては、多少考慮されてきたようであるけれども、この小さい――全く身分不相応かもしれませんが、市のいわゆる公立大学が、何かそこで取り残されているような気がいたしますが、地方交付税の中でこの点の配慮はどんなふうになっておりますか。
  198. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 公立大学を通じまして交付税によりまして措置しております金額は約二十六億のようでございます。
  199. 小林信一

    小林(信)分科員 それは従来と比べて特別に考慮されておるものか、従来を踏襲しておるものか、そこが問題のところだと思うのですが、どうですか。
  200. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 従来公立大学に対します自治省の態度は、公立大学の設置が可能であるから設置をしたのであるので、主として自己財源で見るべきであるというような見解をお持ちであったようでございまして、以前は、財政的に特別のめんどうを見るというようなことは少なかったようでありますが、公立大学の運営の困難というようなことからいたしまして、文部省においても、地方財政に対して配慮を要望し、最近だんだんとふえてまいってきておるということが言えようかと思います。そういう結果といたしまして、四十四年度約二十六億の財源措置がとられておるという経過になっております。
  201. 小林信一

    小林(信)分科員 思い切って私立学校大学人件費を心配するというような措置をこの公立学校にも適用できないものかどうかお聞きしたいのです。地方交付税の中で私立大学私立高等学校等に人件費まで国が心配をするような、そういう措置が公立学校にも適用できないかどうか。
  202. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 国が公立大学に対します態度といたしましては、一つは地方財政の問題、それからもう一つは国が文部省所管の行政といたしまして特別に助成をするという問題、二つあろうかと思います。そういう観点から現在設備費につきまして文部省助成措置を講じ、財源措置につきましては地方財政で御配慮を願っておるわけであります。これに対して、さらに進めて人件費まで見るということにつきましては、これは設置者並びにその財源がいずれも広い意味で税金に依存するところの公費でありますので、どちらでどういう分担をするのが適当であるか、なお検討すべき問題があるわけでございまして、現時点で公立大学人件費助成に踏み切るということはまだ考えておりません。
  203. 小林信一

    小林(信)分科員 私はなぜそれを文部省に御考慮願いたいかと申しますと、一つは先ほど申しましたように、すでにもう地域の学生を対象にしているのでなくて、かえって私の県あたりはほんとうに地域から入学するものは一〇%くらいです、学校も数は少ないのですが。あとはもう全国から学生が来ておる。とすれば、もうこれはその地域の問題でなく、公共性というものがもっと高く考えられなければならぬわけですから、そういう点で、その市の苦しい財政にまかしておくというふうなことは何とか考えてもらいたいところであるし、もう一つは、こういう公立学校にも大学問題というのは依然として続いております。その中で、学生がその大学の改革に対して最も要望するところは、やはり教授陣ですよね。そういう苦しい財政の中でやりくりするのですから、名前だけの教授があったり、あるいはもうほんとうに御老齢な方を看板で頼んでおく、そういう中から、おれたちは同じような月謝を取られながらこんな勉強のしかたでは承知できないというようなことが端緒になって、大学改造というふうな問題も出てくるわけなんで、私は公立学校に対して、何か谷間に置かれるような存在でありますが、もうすでにそうきめられてあるのですから、そこにたくさんな学生が勉強しておりますが、そういう人たちのためにも今後何とかその道を切り開いてもらいたい、こう思うわけであります。  文部大臣に何か御意見があったらお伺いをいたしますが、時間がありませんから文化庁にお伺いいたします。  経済成長がこう激しくなれば土木建築というものは非常に多くなるわけで、道路がつくられたり、あるいは団地がつくられたりする中で、埋蔵文化財の破壊されるものが非常に多くなってくると思います。そういうものに文化庁が十分に対策をとるためには、今度の文化庁の総予算を見ますと、昨年とそんなに変わってない。こんなことで文化庁の文化財を守っていく仕事が十分にできるかどうか、そういう自信があるかどうかをお伺いをしたいのです。  そのおもなる点は、まず技術家がますます確保が困難だと私は思うのです。これはどっちかというと養成もして技術家を保持しなければならぬと思うのですが、単に埋蔵文化財を調べる技術家なんという学者のようなものでなく、復元をするとか、あるいはそれと同じものをつくるとかというもっと特別な技術がありますね。そういう技術家というものがだんだんなくなっていくのじゃないか。そういう者が十分確保されておるかどうか。  それから史跡等の買い上げが、今度の予算を見ますと私どもが要望しておるものが全部網羅されておらない、ほんとうにもうしかたがないというものが対象になっておるような気がいたします。そういう点から見れば、この予算の確保という問題が文化庁の仕事としては非常に弱いような気がいたしますが、どうですか。
  204. 安達健二

    ○安達政府委員 明年度の文化財保護のための予算といたしましては五十二億三千六百万円ほどでございます。前年度の予算が四十一億二千三百万円でございまして、前年度に対しまして二一・二%の増になっております。それからただいま御指摘になりました史跡とか埋蔵文化財の保護の関係で申しますると、前年度七億七千五百万円に対しまして、四十五年度は十三億三千二百万円、増加率は七一%ということでございまして、そのうちで特に御指摘にもございましたが、史跡等の土地の買い上げ費につきましては、前年度五億六千万円に対しまして、四十五年度はその約倍額に当たりますところの十億八千万円というように増加をいたしておるところでございます。したがいまして、いわゆる予算の伸びという面からすればある程度の伸びがあったということがいえるかと思うわけでございますが、御指摘のように、文化財なりあるいは遺跡等の保護の必要性、重要性からいいますると、さらに一般と努力をしなければならないものだ、かように考えておる次第でございます。
  205. 小林信一

    小林(信)分科員 具体的な問題を申し上げて検討をするのはまた委員会でいたしますが、私はもっと文化財保護について積極的な政策をとらなければ、ただ一般の財政の伸びに応ずるなんということではいけないと思うのですよ。とにかく調査費にしてもわずかしか組んでおりません。こんなことでほんとうに調査が完全にできるかどうか。あっちでもこっちでも団地をつくっておる、道路をつくっておる。そういうものに十分手が回るかどうかということを考えただけでも、私は不満だと思うのです。  そこで一つ具体的な問題として、帝国ホテルがりっぱに完成をいたしましたが、あの帝国ホテルの問題では保護の問題でもってずいぶん論議をしたことがございます。一部は何とかして保存をするということで、明治村に百個ですか、荷物を送ったということは聞きましたが、それはその後どうなっておるか。
  206. 安達健二

    ○安達政府委員 帝国ホテルの保存の問題につきましては、御案内のとおり昭和四十二年にこれが大きく世論の問題になりまして、この保存につきましてはその一部、玄関、ロビーの一部を明治村に移築して保存をする、こういうことになりました。政府といたしましても、この帝国ホテルの価値等を勘案いたしまして、これに対しまして一千万円の助成昭和四十四年度予算に計上いたしたわけでございます。そこで、この復元のために関係者等といろいろお話をいたしまして、その一千万円の補助を受けまして、今月の十八日に現地において地鎮祭を行なう、この復元工事は相当な経費も要しますので、昭和四十七年度までに完成する予定ということで工事を始める、こういうことになっておるわけでございます。
  207. 小林信一

    小林(信)分科員 何とか希望が持てるようになったということは非常にうれしいことですが、あれだけ騒いで、外国の人にまで心配をかけて、そして一方こわしたものはりっぱに完成して、今日いよいよ開店披露というふうなときに、文化財保護のほうの仕事というものはいまもって――緒についたわけですが、非常に時間的にもおくれておるし、その規模にしても、当初われわれが希望するような形というのが、ほんとうに、ごくていさいを保持するだけになる、しかも、文部省の仕事ということでなく、多分に一般人の協力がなければできないというふうな文化財保護では、ほんとうに日本の文化を向上させていく仕事じゃないのじゃないか。だから、もっと強く予算要求をしろというわけです。これは文部大臣からその決意のほどを聞きたいわけですが、時間がありません。やってくれるならどうかお願いいたします。
  208. 坂田道太

    坂田国務大臣 私はやはり文化を愛する人間の一人でございまして、全力をふるって文化財の充実のために努力する覚悟であります。
  209. 小林信一

    小林(信)分科員 終わります。
  210. 笹山茂太郎

    笹山主査 次は山田太郎君。
  211. 山田太郎

    山田(太)分科員 先ほどの小林先輩議員の文化財の質問に引き続いて、同じく文化財の問題を主点にして、ことに風土記の丘について質問を進めてまいりたいと思います。  その前に一言お伺いしておきたいことは、佐藤総理は、本年度は内政の年だ、ことにその重点の柱の一つといたしまして教育という問題をあげてのお話だったと思います。ところが、これまでにもこのような質問はあったと存じますが、文部省関係予算の伸びというものが一三・七%で、全予算の伸びに比較いたしまして、内政の年の大きな柱の一つにするという総理の話からいたしますと、その点に若干矛盾を感じるわけです。文部大臣も非常に御苦労なさったこととは思いますが、その点について文部大臣見解あるいはこれからの姿勢というものと、それから先ほど小林議員からもお話がありましたが、文化財保護についてどのような熱意を持ち、またそういう熱意をどのように予算面においても金額としてあらわしてきているかという点をあわせて、文部大臣の姿勢と、文化財保護の文教予算の中の位置づけといいますか、そういうものについてお伺いしておきたいと思います。
  212. 坂田道太

    坂田国務大臣 先般の当委員会におきまして、同趣旨の質問が実はございまして、確かに伸び率はそう高くはないわけでございますが、元来、文教予算というのは人件費を中心としておるということもございますが、しかしかといって、文教予算の中で、過密都市の社会増のための予算であります公立文教施設に対しましては、かなりの予算配慮いたしておりまして、たとえば小学校の建築ということに対しましては約四一%ということで、かなりきめこまかい配慮はいたしておる。たとえばまた私学助成に対して思い切ったことをやったというようなこと、それからまた理科教育等につきましても、数学教育を小中校においてやるということで八億組んだというようなこと、あるいはまた特殊教育、これが一番日本の教育行政の中で谷間だと思われておったところでございますが、こういうようなところに対して、久里浜に特殊教育総合センターというものをつくる、しかもその建築予算が本年度は認められて、着々と進行するというようなことで、しさいに点検をしていただきますと、かなりきめこまかな予算措置がとられておるということを御了承を賜わりたいと思うわけでございます。もちろん、いま申しますように、昨年の伸びからは少しは増加いたしましたけれども、全体の予算の伸びから考えると、御指摘のとおりだというふうに思いますし、これで私たちは十分だとは考えておりません。しかしまた一面、ダウンをいたしました一つの原因は、従来高等教育機関、つまり大学の急増を控えましてどんどんお金を出してきておったわけですが、一応急増の期を過ぎたということが一つ、それから昨年度は大学紛争で実はつくるべき建築ができなかった、そうして補正予算を出さざるを得なかったというようなこともございまして、そういうようなことから多少鈍化しておるということは言えると思います。  この全体の予算の中に文化財というものをどういうふうに考えておるかということでございますが、まず第一には、日本民族が過去におきまして蓄積してまいりました文化的遺産というものは、やはり何と申しましても大事なものでございまして、今後私たちの次の世代にこの文化的な遺産、価値ある文化財というものを伝えていく責任というものが、われわれ当年代の者にあるという確信のもとに、まずそういうような――特に中国あるいはインド等から文化が流入いたしまして、そうしてそれをある程度日本人として吸収し、また日本人としての独創的ないろいろな文化というものを生み出した。しかもこの文化というものは、仏教国であります中国それ自体にあるいはインドそれ自体にも残っておらないようなものが日本にはまだ残っておるというようなこともございまして、東洋の博物館すなわちこれ日本なんだというようなことも一面においては言えるわけなんでございまして、そういう意味合いにおきまして、貴重な文化価値の高いものは今後保護し、そうしてそれらを一つの基礎として新しい文化というものを創造していかなければならないというふうに考えております。  同時に、単に昔の文化をただ、めでて、これをとうとぶということだけじゃなくて、これから先、未来社会に向かって新しい文化の創造ということが非常に大切であるということも私は考えております。同時に、何か都会的な文化が文化なんだというような誤った考え方もあるので、むしろ民族に根ざした文化ということから考えるならば、地方の文化にもうちょっと保存しなければならない、あるいは守っていかなければならない、あるいは新しくそれを基盤として伸ばしていかなければならない文化というものがあるはずだというふうに思いまして、文化庁ができまして今長官を迎えて、今長官の一つの考え方としては、地方文化を充実していくというユニークな考え方を出してきておられるわけでございまして、私も全く同じような考え方に立っておるわけでございます。
  213. 山田太郎

    山田(太)分科員 大臣のお考え、また姿勢、非常にむべなるかなの感はいたしております。  ただ申し上げておきたいことは、本論に入る時間がなくなりますので一言こちらから申し上げておきますが、世上では、大蔵省に対する腰が文部省は弱いのじゃないかというふうなことを言うている人もあるやに聞いております。ことに文教予算の中で文化財保護に使う金というものは、これがことばとうらはらで、どうも虐待されるというおそれもあるやにも聞いておりますし、また事実、金額の面においてそういうものが如実にあらわれているということを感じるのですが、文化庁の次長さん自体としてはそのようなことは言えないと思いますので、ひとつもう一ぺん文部大臣から、そのおことばはけっこうなんですが、文化財保護についての、事実予算面においてもう少し熱意のあるものを示していただきたいということをお願いしておきたいのですが、これは時間の関係上御答弁は要りません。  そこで、風土記の丘のことについてお伺いいたします。  まず、この風土記の丘の設置の趣旨といいますか、あるいはあわせて経緯というもの、これは非常にりっぱな、画期的な事業を始められたことと思いまするので、文部大臣のお答えになれないところもあるかと思いますが、ひとつ文化庁のほうからまずお答えしていただきたい。
  214. 安達健二

    ○安達政府委員 風土記の丘の建設の趣旨でございます。これは、各地方におけるところの歴史的、風土的な特性をあらわすところの古墳とか城郭などの遺構等が多く存在する、ある程度集中して存在する地域を広い地域にわたって保存をすると同時に環境を整備する、そして、この地域に地方文化の所産としての歴史資料とか考古資料、民俗資料等を収集展示するというようなことで、保存と同時に、そのものを通して広く国民に対しそういう遺跡についての理解を深めるとともに、先ほど大臣のおっしゃいました、新しい文化を創造する意欲を燃やすような、そういう目的をもちまして建設するということで、昭和四十一年度から国庫補助事業として実施しておるものでございまして、現在まで宮崎県の西都原古墳群、埼玉県の埼玉古墳群、和歌山県、滋賀県の安土、富山県の立山というようなところに着手し、あるいは完成をいたしておるところでございます。
  215. 山田太郎

    山田(太)分科員 この風土記の丘の設置については、それぞれ選定の基準といいますか、そういう条件が当然あることと思います。文化庁という散文的な意味でなしに、もうちょっと具体的に、どこが担当してどうやってきめるのだ、基準はどういう基準であるのだという点をお伺いしておきたいと思います。
  216. 安達健二

    ○安達政府委員 先ほど申し述べました建設の趣旨、風土記の丘の趣旨にかなうかどうかということでございまして、その選定の基準といたしましては、その地域に歴史的、風土的特性をあらわす古墳とか城跡などの遺構等が多く存在する、ある程度集中的に存在するということ。それからまた、その地域が歴史的雰囲気を持ってまとまりのあるよい地域である。それから、風土記の丘の設置要領に基づきまして計画が十分練れてなければならない。先ほど申し上げましたように、これは単に保存するだけではございません。これは広く一般の国民にも親しませるようなものでなければならないわけでございますから、その設置の計画が十分練れていなければならない。それから事業を計画的に、確実に実施するための地元の熱意、体制が十分整備されていなければならない。かようなことを選定の基準にいたしておるわけでございまして、この仕事は文化庁の文化財保護部の記念物課が担当いたしております。
  217. 山田太郎

    山田(太)分科員 そこで、もうちょっと今度は具体的に入ってまいりたいと思いますが、この風土記の丘の、現在、申請ということばは適当ではないと思いますが、候補地ですね、候補地はどことどこか教えてもらいたいと思います。
  218. 安達健二

    ○安達政府委員 現在、私どもが県当局からお話を聞いておりますのは、岡山県、島根県、それから長崎県、千葉県、その他いろいろと御希望があるようでございます。
  219. 山田太郎

    山田(太)分科員 その候補地、非常に数はいまおっしゃったようにまだ多いと思うのですね。各県からおそらく相当数出ていると思います。その中で私が申し上げた候補地というのは、いまの基準から参酌して、まだ何も手がついてないというふうなことはないと思います。当然ある程度選定には協議をし審議もしておいでになると思います。そこで、もう一歩具体的に入って、いわゆる候補として――私の聞いていることでは昨年度から二つ指定してあります。またことしも二つ指定することに決定したと聞いておるんですが、このいわゆる候補ですね。多少しぼっていらっしゃるはずです。そのしぼっている点の名前をひとつあげてみていただきたいと思います。
  220. 安達健二

    ○安達政府委員 実はその予算といたしましては二カ所ということになっておりまして、具体的にはまだ検討中でございますので、いまこの段階でどこが有力であるということまでちょっと申し上げかねると思うのでございます。
  221. 山田太郎

    山田(太)分科員 「この段階で」という意味がよくわからぬ。もうそろそろきめなければならない段階のはずですからね。だから、重要な候補地としてはやはり数カ所なり相当練れていなければならないはずなんですね。それをまたもう一ぺん聞いたんでは同じ答弁しかできないという顔をしていらっしゃるから、もう少し今度はこちらのほうで進めさしていただきます。  そこで、私、地元のことしかその風土記の丘の候補地のことはつまびらかでないものですから、その点について恐縮ではございますが地元のことを申し上げます。  いわゆる大和朝文化、北九州文化、それからその中間に吉備文化という、千数百年前から非常に発達しておったところがありますが、その吉備路の風土記というものについての意義といいますか、その重要性といいますか、ことばが悪ければほかのことばを使ってもいいのですが、その点について文化庁の認識されておるところを簡単に言っていただきたいと思います。
  222. 安達健二

    ○安達政府委員 岡山県の吉備路の風土記の丘の計画等については、いま承っておる最中でございます。  計画地区は、岡山県の総社市、高松町、山手村にまたがるところの旧山陽道をはさむ東西約四キロメートル、南北約一・五キロメートルの地でございまして、この地域は、東に史跡造山古墳、西に作山古墳を含み、中央には史跡の備中国分寺跡、史跡備中国分尼寺跡、巨大な横穴式石室を持つ史跡こうもり塚古墳など、史跡の密集地域でございまして、古代吉備の一拠点と考えられる、こういう意義を持っておると思います。
  223. 山田太郎

    山田(太)分科員 先ほど文化庁の次長の御答弁にもありましたように、この吉備路の風土記の丘は、そういう先ほど申された条件は備わっておるかどうか、どうですか。
  224. 安達健二

    ○安達政府委員 風土記の丘という抽象的な基準というような面から、これがその基準に合致しない、こういうわけではございませんけれども、まだ来年度の予算が現在御審議中でございますし、これが明年度のものとして基準に合っているかどうか、これはまだほかにも希望もございまするし、十分検討しなければならない、かように考えております。
  225. 山田太郎

    山田(太)分科員 いまのではちょっと答弁になっておらぬと思うのですね。そんな子供だましのような答弁でなしに、実は地元のほうの受け入れ態勢としても、もうすでに吉備路顕彰会、正式の名前では史跡自然公園吉備路顕彰保存会という、しかもこれは、ずっと四十一年度から申し込んでおる。ところが、一番心配しているところは、いま現在この地域が――これは、大臣も聞いておいていただきたいのですが、分譲団地なりあるいは分譲住宅の話が出ているということを聞いておるわけです。もし一たびそのような事態になってしまったら、この重要な吉備文化、しかも必ず保存しておかなければ、将来の文化的遺産としても非常に重要度の高い造山、作山古墳です。これは天皇陵と同じ大きさです。日本でも第三番目でしたか、大きさからいっても。年代も相当古い年代です。それがいままさに荒らされようとしているところなんです。そこで、地元の民間も、非常にいま心配しまして、山陽新聞という地元の新聞あるいはRSKという地元の山陽放送局も、これら民間団体全部、いまこぞってこれを何とかして残したい。ただ地元だけのためでなく、全国的な意味において非常に価値があるところです。すでに明日香あるいは平城あたりにしても、外国の人が来たときに、日本の古代文化のあとを見たいというときには、もうすでにそこを避けつつあるという状態です。中には、ここへわざわざその吉備路の風土記の丘の候補地としてあるところへやってくる海外の人も多い状況です。それがまた荒らされる。いまのうちに手を打てばこれが荒らされなくて済む状況なんです。したがって、私たちもともどもに、民間の人たちと働きかけて、県ではもうすでに予算を組んでおります。本年度四十五年度三千六百七十万円組んでおります。もちろん、この中に補助費も入る計算にはなっておりますけれども。そういう、非常に大切な、いま緊急を要するときになっているのです。こういう点、御存じのこととは思いますけれども、と同時に、それを荒れるのを防ぐために都市公園事業として、都市公園の指定も受けるような、そういうふうな予防措置もいま進めております。非常に緊急課題のときになっておるわけです。  そこで、いま大臣のおっしゃった文化保護の熱意というものを、この非常にユニークな考えである風土記の丘というものを、これを全国的な立場から考えても、これに対しての大臣の御意向を、文化庁としてはそれ以上のことをよう答弁できぬのかもわからぬ、ひとつ大臣から一言答えてもらいたいと思います。
  226. 坂田道太

    坂田国務大臣 私、二年前に実は参りまして、見せていただきました。その後どういうふうに変化しておるかわかりませんけれども、私はやはり価値の高いものであるというふうに、私ながらには把握したつもりでございます。  それから、地元のほうでも予算まで組んで相当熱意があるということもいまお聞きしました。こういうものは、国がやるということの前提としましては、やはり地元が、県が、あるいは市町村が、あるいは民間の文化を守るようないろいろの諸団体がこぞってやらなければならない問題でございますので、ひとつぜひ、そのことは私と山田さんも同じような考え方のようでございますから、よろしくお願い申し上げたいと思いますが、ただ、いま予算の審議中でございまして、どうだということを私から申し上げることは差し控えたいというふうに考えておる次第であります。
  227. 山田太郎

    山田(太)分科員 では、大臣のお考えは非常に前向きの意向であるということにとらしていただいて、最後に一点だけ、時間が来ましたので、もう二分ですが、津島の遺跡というのがあります。これも全国の新聞にも報道されたほどの一番古い農耕の遺跡です。農作業の、農耕の遺跡として一番古いものです。それが武道館を建てる云々の問題から、非常にトラブルが起きている。一応その決着はついた。けれども、一応の計画は聞いております。しかし、一応大臣からもこの点は――ことに一番最古の農耕遺跡になっています。そのほかにもいろいろな重要な意義がありますが、この事後処理ですね、これは大臣の答弁ではちょっと無理かもしれませんね。文化庁のほうからお願いしておきます。
  228. 安達健二

    ○安達政府委員 すでに十分御案内のとおりでございますが、昭和四十三年に総合グラウンド内に岡山……。
  229. 山田太郎

    山田(太)分科員 簡単でいい。
  230. 安達健二

    ○安達政府委員 それでは簡単に申し上げます。  この点につきましては、一つは、いまこの重要な弥生前期前半の遺跡の残っている部分につきましては、これをやはり整備をして、一般の方々にも十分理解していただくような形にしなければならないということが一つと、それからこれらの遺跡を含む地域につきまして、これを史跡に指定をする、こういう二つの問題がございますので、これらの点につきましては、積極的に進めてまいりたい、かように考えております。
  231. 山田太郎

    山田(太)分科員 時期はどうですか。
  232. 安達健二

    ○安達政府委員 指定でございますか。――指定につきましては、この三月の指定の問題が起こりますので、そのときにこれをかけ得るかどうかということについて検討いたしております。
  233. 山田太郎

    山田(太)分科員 では、最後に文部大臣に文化財保護についての金の裏づけのある熱意のあるやり方を御要望申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  234. 笹山茂太郎

    笹山主査 次は細谷治嘉君。
  235. 細谷治嘉

    細谷分科員 私は過疎地帯の教育の問題について若干お尋ねしたいのですけれども、昭和四十一年と思ったのですが、大臣の地元であります熊本県の五木村を中心といたしまして、衆議院の地方行政委員会で国政調査をいたしたわけです。その節、過疎地域の学校先生方というのがどうしても量の問題、質の問題等で確保できない、こういうことから寺本知事が、過疎地帯に行った先生については二号俸を終身ずっとつける、こういう特別措置をいたした、そのことによって先生の数も質も確保できるようになったと、こういうことを伺いました。大臣御存じですか。
  236. 坂田道太

    坂田国務大臣 一応おぼろげながら聞いておるのです。
  237. 細谷治嘉

    細谷分科員 大臣の地元の熊本県の、しかも大臣の選挙区ですね。五木といいますと、五木の子守りうたで知られるような非常に奥地でして、まあ言ってみると神代のままのところもあるのではないかと思われるようなところです。そこに私はあの知事のやり方というのは非常に思い切った措置だと思いました。おそらく行くにあたっては、三年なら三年というものをしんぼうしなさい、行ったとたんに二号俸は上げる、そしてその僻地のつとめが済んでからでも二号俸は一生その人につきまとう、こういうことなんですよ。ですから私は、大臣がおぼろげということについては、これはちょっと大臣の過疎地域に対する教育の熱意が少し薄いのじゃないか。足元で非常に善政が行なわれているわけなんですね。ほんとうにおぼろげですか。
  238. 坂田道太

    坂田国務大臣 おぼろげと申しました意味は、かつて知事並びに教育長から、僻地教育に対してわが県においては非常によくやっておるというようなことで、いま御指摘のようなことも含めて、それだけでなくて総合的に言っておりますけれども、その全体の総合的なものをただいま私はここで承知をいたしておりませんので、おぼろげということを申し上げた次第であります。
  239. 細谷治嘉

    細谷分科員 大臣がおぼろげということになりますと、二号俸というのを知事の思い切った措置としてやったのですけれども、これはやはり国庫負担の対象ぐらいにしてやるべきじゃないか。それがやはりへき地教育振興法の精神ではないかと私は思うのでありますが、そういうふうになっておりますか。
  240. 坂田道太

    坂田国務大臣 御承知だと思いますけれども、あれの特別昇給の制度というものがいまできております。それで結局、この僻地の場合におきましては、御承知のようにたとえば多学年学級担当教官手当、それから僻地手当、そしてまたいま申しますような特別昇給の手当というものがかぶさっていく、さらこの先生方に対する住宅を建てるということ、あるいは先生方の子女が教育を受けることについて非常に困難があるからということ、で、全国におきましてかなりの県におきましてはその子女のための寄宿舎を建てておるというようなことで、僻地に対しましてはかなりきめこまかに数年にわたって努力をしてきたというふうに私は承知をいたしておる次第であります。
  241. 細谷治嘉

    細谷分科員 大臣がいまおあげになった点ですと、たいへんきめこまかいようでありますが、あの二号俸というのは、僻地に行くと自動的に上がっていくわけですね。いま手当とか住宅とかいろいろおっしゃいましたけれども、このへき地教育振興法による手当なんというのは、これは寺本知事が二号俸というのを自動的につけて、それに振興法に基づく手当というのをつけておるわけなんですね。ですからおそらく二号俸上げたのは、大臣のいまおっしゃった国庫補助の対象になっておるものと単独部分とがあると思うのですね。私はそういうものは全部認めてやるべきだと思うのですよ。ですから二号俸上げた上に熊本県の場合は手当をつけているんだと思うのですね。そうじゃないのですか。
  242. 坂田道太

    坂田国務大臣 その辺が実はおぼろげでございまして、熊本の場合はっきりどうなっておるか。しかし私文部大臣としまして、一般的には特別昇給の制度がたしか昭和四十年度から始まっておると思うのでございますけれども、これは一号俸だったというふうに記憶をいたしております。
  243. 細谷治嘉

    細谷分科員 大臣、これは「広島県へき地教育白書」というので「つくりだされたこの教育の差別」という、白書の一号というのが、「過疎 そのなかの子どもと教師と」こういうものが出たのですが、これは朝日新聞もこの問題を社説で取り上げておるわけですが、大臣、これをお読みになりましたか。
  244. 坂田道太

    坂田国務大臣 広島から出ましたのは読みませんでしたけれども、朝日新聞に出ましたのは読みました。
  245. 細谷治嘉

    細谷分科員 朝日新聞に出たのは社説に出ただけで、いろいろまあ議論があるわけですけれども、これは広島県教組がつくったのですけれども、やはり非常に深刻な状態が描かれておりますね。ですから、これはひとつ大臣参考に読んでいただきたいと思うのですよ。これを見ますと、これは朝日新聞の社説も言っておったように「先生、前の先生みたいに自殺だけは、しちゃあいけませんで。」とこういうことから始まっております。そして非常な苦労をしておる生活環境の中、そしてこれを見る限りにおいては、児童生徒の体位というものは、僻地とそうでないところの大きな差は見られませんけれども、しかし全体としてからだのバランスが失われておる。しかもたいへん驚いたことは、無免許授業というのが非常に多いのですね。  ちょっと例をあげて申し上げますと、美術関係では免許外の担任率というのが四六・二%、保健体育では五一・三%、技術では四二・四%というのが免許外担任なんですね。全体としては二四・一%。およそ四分の一というのは免許外の担任です。それから各教育事務所別に見ますと、三次という教育事務所は過疎の僻地の学校が多いところでありまして、この事務所の管内だけでも免許外担任率は三三・五、こういう状態なんですね。そして免許外の教科を担任している人を見ますと、一教科を担任している人が三百五十六人、二教科というのが七十六人、こういう異常な状態にあるわけですね。いってみますと、これはもう法律に何て書いてあろうと、教育職員免許法の違反というかっこうになっていますね。私はこの白書を見て驚いたわけなんですけれども、大臣、御存じですか。
  246. 坂田道太

    坂田国務大臣 かなりの無免許といわれる教師が教壇に立っておるということは事実でございます。そしてこういうような方々をなるたけ無免許でないような形にもっていかなければならない。また同時に、そういうことになりますというのも、やはりある程度小規模学校に対する定員を確保するということが必要だというようなこともございます。しかしながら、一応無免許ではございますけれども、当該教育委員会がこれを認めた場合においては、教壇に立つことはできるということになっておる。しかし、これはやはり望ましいことではありませんので、なるたけ免許ある人たちが多数教壇に立つということは当然だと考えておるわけであります。
  247. 細谷治嘉

    細谷分科員 先ほど大臣は、学校先生方についてもいろいろな手当もやっている、特別昇給もやっている、住宅も建ててやっている、いろいろやっておるということでありますけれども、実態はこの広島県の白書もそうなんですね。大臣のとなりの県に私は住んでおるわけですが、福岡県の奥地にも僻地というのがあるんですよ。その僻地教育白書という、これは福岡県から出たものですが、第一集というのを持っているんですが、これは大臣の選挙区と境はつながっているところですよ。それを見ましても、住宅問題というものについては非常に困っておる、こういうことを言っております。大臣いろいろとおっしゃいました。ことしの予算、今度の予算案を見ますと、大臣の御努力で、教職員なり児童生徒の対策あるいは教育施設の整備、そういうものについては予算の平均の伸びの一七・九五%をかなりオーバーして、この点については大臣の努力は認めますけれども、ことばでおっしゃるように、僻地教育は一応のていさいは整ったという段階にいっておらぬで、きわめて問題点が多々あると、こういうことです。これも一年半くらい前でありますけれども、熊本県の境に釈迦ケ岳というのがあります。そこの御側という小学校に来ましたその先生が、筑後平野のまん中が生家でありますから、月に一ぺん帰るというのですが、帰りますというと、御側のところからバスの出るところまで自動車で二千円かかるというんですよ。それからいきますと、もう手当なんて吹っ飛んじゃうというんですよ。そういう点からいって、私は、この教師の手当の問題なりあるいは住宅の問題なり、今度の予算ではまあある程度伸びておりますけれども、きわめて不十分である、僻地教育の振興にはまだほど遠い、こういうふうに申さなければならぬと思うのでありますが、いかがですか。
  248. 坂田道太

    坂田国務大臣 十分とは申し上げかねるわけでございます。そしてまたこれから努力しなければならないとは思いますけれども、従来皆さん方のお力もございますし、われわれの努力もございまして、かなり進んできたということは言える。  それから、いろいろの調査をおあげになりましたけれども、昨年度は小規模学校に対する標準定数の確保というようなことから、これからかなり進んでまいるのじゃなかろうか。たとえば単級四、五個学年複式学級解消というようなあるいは複式学級を漸次解消していくという方向もとられておりますし、それからもう一つは、先ほどのどなたかの御質問もございましたけれども、自然的制約というものは、われわれ人間がかなりの努力をしましても、どうしても避けがたいという部面も実はあるわけなんです。たとえて申しますれば、中学校に対しては統合を実施する、そしてそれに宿舎をつける。私の五家荘のところに実はそれをやりまして、鉄筋コンクリート三階建てのすばらしい学校をつくりました。五家荘の中学校は全部ここへ来ていまやっておるわけであります。もちろん、これに対してまだいろいろ問題は残っております。しかし小学校をそこまで持っていくということは、あまりにも小さい子供たちでございますから、なかなかその統合というものはできない。かといって、あの五家荘の中をそう簡単にバスを回すということもできません。かなり最近は電源開発等の関係がございまして、あのわれわれが三日がかりで山を越えていかなければならなかったところにもバスやジープが通えるようになったわけでございますけれども、そうでないような福岡県の私たちのところだとか、あるいはその他飛弾の山の中であるとかいうようなところでは、そういうバスやジープさえも行けないというところがあるかと思う。それを一体どうするんだと言われても、これは率直に申しまして、非常にきめこまかにやりましても、実はなかなかむずかしい問題だと私は思うのです。だから、そういうようなことについてどうやるかということは、われわれ政府と、また皆さん方のお知恵を拝借して、もしいろいろの御提案がございますならば、すなおにそれを承りまして、もしそれが予算的に解決できるならば、あるいは行政としてやり得る可能性があるものならば、採用して、そうしてやはり僻地教育充実をはからなければならならぬ、かように考えておる次第でございます。
  249. 細谷治嘉

    細谷分科員 確かに簡単に自然的条件というのを克服できないところもあります。そこで大臣、あなたは去年ですか、島根県においでまして、僻地教育の問題を論議されたわけです。やはり学校は統合すべきだ、こういうことをおっしゃったんじゃないですか。
  250. 坂田道太

    坂田国務大臣 私は何も統合だけがすべての僻地教育を全からしめるものだということは申しません。やはり統合もその一つだ、統合によってどうしてもかなわないところは、バスを通わせるというようなことも一つの方法だし、それに対してバスも通わぬというところには通勤手当その他を配慮する。それからもう一つ私があの際申しましたことは、僻地僻地といって今日は先生がなかなか行きたがらない、この実情というものも考えてみなければならないのであって、それは先生も人間でございますから、なかなか行きたがらないこともわかりますけれども、しかしやはりほんとうに僻地の子供たちがかわいそうなんだ、むしろ進んで自分たちはそういうところに行って、そうしてあの子供たち教育するんだという使命感に燃えてやられるということも、僻地問題を解決する非常に大事な要素ではなかろうか。それから、そういう嘆き悲しむばかりの先生がおりました場合においては、その嘆きが今度は子供たちに伝わって、そうかというようなことになるかと思うのであります。そうじゃなくて、話に聞くと、東京とかなんとかは都市集中でえらいたいへんなことだ、公害というものがたいへんなところだ、そうでなくて、ここはとにかく空気がいいんだ、そしてむしろ山あり野あり、ここで自分の身体を鍛えるんだ、これによってからだはかえってよくなるんだ、あらゆる困難に対して克服する力を自分たちは養うんだ、そういうようなことを先生方が始終おっしゃるというのと、いやだいやだ、もうここはだめだというようにやるのとでは、子供に与える影響が非常に違うんじゃないか。やはりそこに赴任して使命感を持ってやられる教師自身のものの考え方の生徒、児童に与える影響というものは非常に大きい。戦後よく経済成長に対する御批判等をわれわれは承るわけでございますけれども、一面において、この豊かさに対する挑戦といいますか、豊かさなるがゆえにかえって人間精神をむしばんだり、あるいは人間性をなくしておる部面ということに対して、みずからの力によって、このいろいろの豊かさによる弊害を克服する力を与えていくことも、また教育の重要なる要素であるということを、各教師の方々もお考えになっておるとは思いますけれども、一そうお考えをいただきたい、かように私は思います。ただ、われわれ文部省といたしましては、そうは言いましても、そういうようなところに赴任されるところの先生方に対して、やはり相当の手当を差し上げる、あるいは旅費を差し上げる、あるいは住宅をつくってあげる、あるいはスクールバスをつくって子供たちの通学の便をはかる、あるいはボートをつくってあげるというようなことはやはり当然考えていかなければならぬ責任が私たちにある、かように考える次第でございます。
  251. 細谷治嘉

    細谷分科員 大臣のおっしゃるように、それは僻地の医療をやるにしても、教育をやるにしても、使命感に徹しなければなりませんけれども、使命感に徹すると主張なさる以上は、やはりそれに相応するようなものを、要求しなくたってやはり報いてやるという、行政面からのサポートがなければならぬと私は思うんですよ。さっきも実例を申し上げました。これは熊本県との境に剣持という小学校がありますが、イノシシが出るんですよ。そこに百二十戸ぐらいの農家があるんですよ。そこの小学校先生は、これは小学校ですから女の先生が多い。その部落に出るまでは相当長い間、杉の、昼なお暗い道を行かなければならぬわけですね。そうしますと、女の先生は朝と晩、自転車で通えたって、イノシシが出たらたまったものじゃないですわな。それはトラとかなんとかいう猛獣じゃありませんからいいですけれども、そういうことになりますと、これは私が言っておるように、手当をやっているからそれでいいんだ、今度少しふやしたからそれでいいんだというようなものではなくて、もっともっと住宅なり学校施設なり等々について積極的にやってやらなければならぬ。こういうことを私は申し上げておるわけですが、そういうことに関連して、大臣が松江の一日内閣で、学校の統廃合を進めたいと発言した。これが一つの流行病になっちゃって、教育の側面じゃなくて、財政の側面からしゃにむに学校の統合というのが今進められる傾向がかなり顕著に出てまいっておることは御存じですか。
  252. 坂田道太

    坂田国務大臣 私があのときにそういうことを言うたことによってそれが促進されておるというのは、私はそういうふうには承知しておりません。  それからイノシシなんというのは、私たちの水俣あたりでもしょっちゅう出ることでございまして、相当近くまで来ているんですよ。あまり僻地ばかりにイノシシが出るのじゃないのです。そうしてたいへんなことなんです、作物を荒らしまして。大わらわになっております。そういうような認識もひとつしていただきたいと思います。
  253. 細谷治嘉

    細谷分科員 時間がありませんが、大臣、いろいろ努力していただいておりますけれども、この問題は、学校の統合だとか、あるいは広域行政、あるいは過疎対策になるんだという、そんなものでは一向片づかぬのでありますから、ひとつ積極的に重点的に取り組んでいただきたい、こういうことを強く要望しておきたいと思うのです。  時間がありませんので、これは大臣の管轄か、科学技術庁ですか、一言お尋ねしたいのですが、私は数年前にやはりこの予算委員会で、頭脳の流出という問題についてかなり心配しまして質問をいたしたことがあるわけです。この四十三年度の科学技術白書にありますように、一九五六年から六七年まで日本の科学技術者あるいは医者、そういう人たちがかなりアメリカ等に流出しております。日本はまだ言語等の問題があって顕著じゃありませんけれども、ドイツ、フランス、イギリスなどという西欧の諸国はたいへんな流出なんですね。一年間に三千人をこえる人たちがアメリカに行っておるわけです。そればかりではなく、最近の顕著な傾向は、東南アジアの未開発国の優秀な頭脳、そういうものがアメリカにどんどん流入していっちゃっているから、新しい開発をしようといったって、そういう未開発国の頭脳が皆無になろうとしているわけです。ですから、日本がいろいろ経済援助をやろうとしても、受け入れ体制が頭脳の面では全くない、そういう状態になる。アメリカにどんどん流入していって、アメリカの頭脳はいいかもしれませんけれども、それによって近代的なものができてきた場合に、そういうものは東南アジア等の未開発国では受け入れることができないという状態になってきていると思うのです。そればかりでなく、日本の頭脳の流出というのもだんだん増加の傾向にあります。だんだんことばというのが、私どもの時代には、英語を教わっても、それは本を読むだけの英語で、話をするための英語ではなかったんだけれども、これからはだんだん耳、口の外国語ということになりまして、言語による障害というのがなくなってまいりますと、私はもっともっと日本の技術者の流出というのがたいへんなものになると思うんですよ。技術面におけるいわゆる輸出と輸入問題、若干改善されておりますけれども、まだまだ日本はこれから技術者が必要なんだ、優秀な頭脳が必要だという段階にあると思うんですね。これは私はたいへん心配しておるのでありますが、ひとつこういう問題について科学技術庁と、特にそういうものを養成する機関である文部大臣の御所見をお聞きしておきたいと思います。
  254. 鈴木春夫

    ○鈴木(春)政府委員 頭脳流出についてでございますが、わが国からの科学技術者の海外流出はほとんどが米国でございます。米国の議会資料、これしかないわけでございますが、これによりますと、先ほど先生御指摘のとおり、四十三年度の科学技術白書に載せてございますが、日本の場合では一九六七年百五十八人になっております。その前年は百七名、その前は三十五名、その前は四十三名ということで、だんだんふえている実情でございます。しかしながら、ほかの国に比べますと、たとえば一番多いのはイギリスでございますが、同じく一九六七年は二千三百四十五名でございます。この表にはございませんでしたが、別の資料によりましてカナダを見ますと、千九百九十七名、この辺が非常に多うございます。その次はドイツあたりで、五百五十八名というようなところでございまして、わが国の百五十八名に比べますと、大体英語国が非常に多い、その次にヨーロッパの国々というような関係でございます。こういうところを見ますと、いまのところはそう大きな問題にまだなっていないというふうに考えるわけでございますが、この動向については十分注目していなければならぬというふうに承知しているわけでございます。
  255. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 大学等の研究者で海外に渡航する者は、年間二千人をこえております。その中で大半は二年未満で帰国いたしております。二年以上滞在し、中には海外で就職をして永住をいたす者も若干ございますが、その分につきましてはその動機はいろいろございます。一つはやはり研究者の特質といたしまして、当該研究分野で最も進んでおり、研究仲間の多いところで研究をしたいという気持ちで残る者がございます。それから物的条件、待遇でありますとかあるいは研究設備でありますとか、そういうもののよいところに残るというような者もございます。文部省といたしましては、そういう研究者の国際交流はあながち悪いこととは思っておりませんけれども、わが国の待遇なりあるいは研究条件が悪いために、本来わが国で働いたほうが望ましいような人まで海外に長期滞留するということにつきましては、わが国の研究条件や待遇を改善することによりまして、わが国の研究にマイナスにならないように配慮してまいりたいと思っております。
  256. 坂田道太

    坂田国務大臣 ただいまうちの局長並びに科学技術庁からお答えになりましたようなことでおわかりだと思いますけれども、私は全般的にはそう心配はいたしておりません。と申しますのは、その数字が示しておりまするように、主といたしましてイギリスあるいはドイツ等において非常に顕著なのはなぜかということ、そしてそれはやはりヨーロッパ社会における高等教育機関の制度が従来非常に閉鎖的な制度であったということでございます。しかし日本は戦後開放性の制度をとりましたために、すそ野が非常に広うございます。したがいましてかなりの人たちが次々に出てくるということでございまして、ただいま村山局長が申しますように、国際社会に入っていく、あるいは研究をともにする、そしてまたその研究した成果を日本に持ち帰ってくるということも意味がありますし、同時に、アメリカやその他の国々に貢献するということもあながち悪いことではなくて、私はある程度はいいことだというふうに考えるわけでございまして、そう心配はいたしておりません。
  257. 細谷治嘉

    細谷分科員 さっきのカナダは多いのですが、カナダは流出と流入というのがあり、流入も相当多いのですからバランスはとれているのです。それから白書に書いてあります一九六七年の百五十八というのは、アメリカに社会科学者というのがやはり頭脳流出しているのですね。それから、医者ばかりでなくて、医療技術者というものを加えますと、百五十八というのが二百になっているわけですね。ですから、それと同時にこれにも指摘してありますように、全般にわたって科学技術者の移住が増加するおそれもあり、さらに外資系企業によるわが国の科学技術者の吸収が増大することも十分予想される。外資系のところに入った場合は、国内にありましても、その技術は日本のものじゃなくなるのですよ、外資系の会社のものなんですから。それがどんどんふえていっているということになりますから、からだはアメリカに行かぬでも、外国に行かぬでも、そういう新しいこれに指摘してあるような面もありますから、これはやはり待遇の改善とか、あるいは研究環境の整備、それから日本の特殊な、助手というものがきわめて足らない、こういう体制等も十分お考えいただかなければならぬじゃないか、こういうことを強く指摘して、要望して、私の質問を終わります。
  258. 登坂重次郎

    ○登坂主査代理 田中昭二君。
  259. 田中昭二

    田中(昭)分科員 大臣は昨年に引き続き、またことしも学校教育の責任者としてたいへん情熱を持ってがんばっていただいておりますが、私から申し上げるまでもなく、子弟の教育ということは国家百年の大計の上からも大事なことであり、特に最近問題になっております大学のいろいろな問題等もたいへん御苦労なさっていることもわかりますが、その大学の内部においてたいへん困った問題があるということは、はっきり言いまして、予算が足りないとか、大学で勉強している子弟が、たいへん悪いことばでございますけれども、貧乏な立場に立たされておるとか、そういうことをいろいろ聞くわけでございます。そういうことにつきまして特に私がいまからお聞きしますことは、国立九州大学の問題でございますが、国立大学等で、そういう予算的な問題で、何か大学から要望があったり、その予算的な要望が文部省のほうで取り上げられなかったりというようなことはないか、そういう問題について大臣は日ごろどのように思っておられますか、まずお聞きしたいと思います。
  260. 坂田道太

    坂田国務大臣 戦後高等教育機関に志望します学生の数が非常に高まってきた。これに対して大学の教官あるいはその質あるいは施設、設備というものがなかなかそれに相応しなかったということは率直に認めなければならないというふうに思います。しかしながらこれも相対的な問題でございまして、国立に関しましてはかなりの水準にあるのではないかというふうに私は考えるわけでございまして、頭割りにいたしまして非常に恐縮でございますけれども、たとえば全国平均にいたしますと、三十万の国立大学生一人当たりに対して先般私が調べましたときには七十六万円ぐらい。最近では八十万円ぐらい。東大のごときは百二十六万円、ところがこれは研究所も含めておりますから、これは少しあるいはデータのとり方が間違っておるので、そういうものを取り去りますと四十万円程度じゃないか。     〔登坂主査代理退席、主査着席〕 そうしますと、イギリス、フランス、ドイツということを考えると、イギリスは八十万ぐらい、ですからその半分ということになりましょうか。しかしフランスだったら、五十万かそこらということでかなりの水準にあるのじゃないか。しかしこれが百五十万、百六十万のいわゆる私立大学を含めまして頭割りにいたしますと、一学生当たりが十四万円くらいになる。それから私立大学だけ考えると、いままで一万円以下しか国が補助しておらぬというようなアンバランスもあったという意味においては、相当質的な低下があるわけなんで、これからは量的拡大と同時に、やはり質的充実ということにわれわれは努力をしなければならないということは、もうおっしゃるとおりだと私は考えております。
  261. 田中昭二

    田中(昭)分科員 そこで具体的にこまかい問題になりますが、これはそちらのほうで取捨していただいて御説明はだれでもけっこうですが、九州大学の医学部に火葬場がございまして、人体を学問の研究のために貢献したものでございましょう。ものと言うとたいへんあれでございますが、それを焼きますためにくさいにおい、いわゆる臭害といいますか、そういうものがたいへん問題になっております。私も現場に行ってみましたが、確かに九州大学医学部の構内で、学問の研究に貢献された死体が毎日のように焼かれております。焼かれておることは問題でございませんが、問題は死体を火葬したときのいまのその臭害、それから灰が落ちてきまして、そして周辺地区の住民がたいへん悩まされております。これは工場のばい煙とか悪臭とかいう公害と違いまして、人体を焼くにおいですから、これだけでもたいへんなショックを受けております。この問題について監督官庁の文部省としてどのような経過を御存じなのか。処置はあとで――簡単なことかと思いますから、経過をひとつお聞かせいただきたい。  私は前もって申し上げておきますが、きょうはこの問題だけでございますから、率直にこの問題についての経過を詳しくひとつお聞かせ願いたい。お願いしておきます。
  262. 西岡武夫

    ○西岡政府委員 お答えいたします。  ただいま御質問の九州大学の医学部の死体焼却炉の問題でございますが、これは明治年間に、当時の福岡県令十九号によりまして、墓地及び埋葬に関する取り締まり細則というものに基づきまして設置がきまったわけでございます。ところが、当時は、御承知のとおり、人家などもほとんどないという付近の状況でございましたので、そのような問題は起こらないままに経過をいたしました。その後、昭和二十五年の四月に、はっきりした墓地、埋葬に関する法律というものができまして、これに基づいて、正式に九州大学の火葬場として認可されたわけでございます。それから急に人家が密集するという状態が起こってまいりまして、一番初めに起こりましたのは、昭和四十二年に、地元の住民の方々の代表が陳情をしたという事実がございます。これは、文部省といたしましても、そういう事実があるということにつきまして、ことしの三月になってから実態というものが文部省のほうに入ってまいりましたので、早急にこれにつきまして事情を聴取をした、そういう状況でございます。  これの処置につきましては、一つには、九州大学といたしましても、遺族の希望によって、と申しますのは、火葬場が非常に遠いところに存在をするという事実もございます。そういった関係で、近いところで、経費の点その他の点もございまして、ぜひ九大の火葬場を活用させてもらいたいという意向も一方にありました。それからまた、九大の火葬場でこれを処理するということを条件として遺体解剖をさせてもらう、そういったものがからみまして、九州大学の当局としても、これに対する対策がおくれていたという事情でございます。  しかしながら、これは、先生が御指摘のような、死体の臭気の問題でございますので、ほかのにおいというものと違いまして、たいへん大きな問題でもございます。したがいまして、これを早急に廃止するという方向大学当局もこれの検討を進めておりますので、文部省といたしましても、その方向でこれをすみやかに処置をしたい、かように考えているわけでございます。
  263. 田中昭二

    田中(昭)分科員 次にこれは大臣にお答え願いたいと思いますが、いまお聞きしましたように、住民の生活環境、公衆衛生の立場からも、火葬場というのが市街地の中にあってはいけない、当然市街地、住宅地から離れたところにあるのがあたりまえではないかと思うのです。こういう考え方に対して、文部大臣、この九大の火葬場のことを考えながら御見解をお伺いしたいと思います。
  264. 坂田道太

    坂田国務大臣 この点は仰せのとおりだと思いますし、また、いま政務次官からお答えいたしましたように、われわれといたしましても、おそらく全国の国立大学で火葬場を持っておるのは九州大学だけじゃないかと思うわけでございまして、九大当局とよく相談をいたしまして、廃止の方向に持っていきたいと考えております。
  265. 田中昭二

    田中(昭)分科員 廃止ということは大体お聞きしておりますから、それは大体の方向は承知しております。この問題は、ただそれだけでは済まない事情があるわけです。その点に触れてまいりますから、そのつもりでお答え願います。  それで、この火葬場が大学の付属機関として構内にあるわけでございますが、先ほどからの御説明のとおり、市街地が発達しまして、そして住宅街の中心に長い間そのまま放置されておる。これはたいへんな問題であります。こういうことがわかっておりますならば、文部省として当然何らかの予算的措置、まあ移転させるとか、そういうことは当然考えて、そしてやらなければならない問題でないか。当初申し上げましたように、大学当局としては、予算の少ない面もありましょう。そういうことを考えますと、当然監督官庁の文部省が、進んで――そういう火葬場が町の中にあるなんというようなことを御存じなかったと言われればそれまででございますけれども、そういうことだけではいけないではないか、こう思うのでありますが、いかがでございましょう。
  266. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 九州大学の火葬場の問題は、実は、たいへんうかつでありましたけれども、世間から指摘をされるまでは、詳しい事情を承知していなかったわけでございますが、御指摘を受けまして、事情がわかりましたので、いま政務次官並びに大臣からお答えがありましたように、大学としても設置それ自体は合法的に設置されたものであるけれども、現時点においてはもうそぐわないということからいたしまして、これをやめる方向で考えておるわけでございます。  やめた場合に、今度は死体の処理が困るではないかというような趣に承知いたすわけでありますが、現在医学部を持ちます国立大学は九大を含めまして二十四ございます。そこではすべて、基礎医学の解剖学、病理学あるいは法医学といったような分野では、解剖が行なわれておるわけでありまして、その処理をしております。その処理につきましては、医学部の経費において市中の火葬場に出しまして火葬をやっておるわけでございますので、九州大学につきましても、かりにこの火葬場をやめましても、死体の処理に著しく困るということはないと思いますけれども、具体的な方法につきましては、大学の意向も徴しまして、支障のないようにやってまいりたいと思っております。
  267. 田中昭二

    田中(昭)分科員 大臣、そういうことは、私が言う前から――ずっといまお話しになっておるようですけれども、結論は、ある程度文部省のお考えも聞いておりますから、そういう予算的措置とかなんとかということについて、いままで文部省として、こういうことに対しては当然やってやらなければならないじゃないかということが一点あったわけです。これを一緒に含んでお答えいただきたい。  いま私が前もって申し上げたように、こういうことを知らなかった、政務次官は三月に知った。知ったけれども、四十二年には陳情が出ている。いいですか、四十二年には陳情が出ておった、しかし政務次官は三月に知った。局長さんは、うかつだけれども知らなかった。ただそういうことだけでこの問題を解決してもらっては困るのですよ。  いまから申し上げますけれども、この問題については、昨年――私もそこまで、そういうことを言いたくなかったのですけれども、申し上げなければわかりませんから申し上げますが、この問題については、大臣、昨年の五月に、地域の住民が、もうどうしようもない、もうしんぼうできないというようなことで、署名運動まで起こしまして、そしてこの移転促進に対する請願を大学当局にも出しているわけなんです。そういう陳情を出しているのですよ。また、それが県議会に取り上げられまして、それで県議会の中でも、厚生常任委員会の中でもこの問題についてはさっそく調査をして、そしてそれだけの処置がなされておるわけなんです。  ところが、知らなかった、三月知ったとかということになりますと、これはそういう地域住民の要望というものが等閑視されるというような、大学の当局のシステムの中にそういうものがあるか、それとも特に監督官庁である文部省のそういうものに対する取り組む姿勢といいますか、そういうものについては、これはもう少し何か改めるというようなことを考えなければならないじゃないか、こういうことも思いますが、これ、大臣からお答え願いたいと思います。
  268. 坂田道太

    坂田国務大臣 われわれのほうは率直に申し上げておるわけでございますが、確かに四十四年に町内会の代表から福岡県の議会の厚生常任委員会に対してその改善方について陳情があって、またその年に県の公衆衛生課長外二名がその臭気等の状況について調査をしたということもございます。おそらく福岡大学に対して相当その廃止方について要請があったと私は思うのでございますが、御承知のとおりに昨年度は大学紛争のまっただ中にありまして、それで私から言わせますと、九州大学の管理体制というものは私たちが想像する以上になかなかむずかしい状況にございましたというようなこともあって、そういうようなことがわれわれのところまで非常に端的にあらわれてくるというようなことがなかなかできにくかったのだろうと思います。  それからもう一つ、われわれのほうは、やはり大学が第一義的にどう考えるのだ、これに対してどういう処置があるのだということがまず前提になって、そして私どもがこれを促進する、あるいは誤った考えがあった場合に、それはいかがかどうだろうかというような指導助言をやるというたてまえになっておりますので、あるいはそういうような不都合なことが今日まできたのではないかというふうに反省をさせられるわけでございますが、こういうふうにして予算委員会分科会でお取り上げいただきましたわけでございますから、われわれもかなり積極的に大学当局と相談をいたしまして、その方向でひとつ処置をしたい、かように考えておる次第でございます。
  269. 田中昭二

    田中(昭)分科員 私の申し上げたのは、そういういわゆる管理体制といいますか、そういうのは改めるべきじゃないかということについてのお答えはなかったようでございますけれども、一つ一つやっておっても終わりませんから、いま大臣がおっしゃったように、確かにやはり大学当局、現場のものの判断というものが私は大事だと思うのです。そのものの判断によって当然監督官庁の文部省あたりで早急にそういう処置がなされなければならない。これは大臣が昨年たいへん努力されました大学紛争問題があるからこういう問題をほうっておいていいという問題じゃないと思うのですよ。  私はそういう現場の問題も考えながら、いまから申し上げますが、この問題について地元民からの請願があったときに、医学部では五月十五日に臨床医学部長会ですか、こういうのが開かれまして、この火葬場を早急に移転させる方針をきめた、こういうふうに新聞報道までなされておる。そのときの部長さんが間田医学部長さんです。問田さんは、地域住民にもたいへん迷惑がかかっておる、かかった以上は早急に対策を講じたい、こう善処方を約束されておるのです。そういうことは新聞も報じておりますし、そういうことで地域住民もそのときは一安心いたしまして、そのことに対してはたいへん期待を持っておったわけなんです。それがいま大臣がおっしゃるように当局の管理体制といいますか、そういうものと一緒になって、これは昨年新聞にも大きく取り上げられた問題ですし、本年になっても何も文部省が御存じない。御存じないということは放置されているということです、事実は。きようでも焼いていますよ。二日前も焼いておる。そういう現場のことを考えれば放置されていい問題じゃない。大学なり監督官庁というのは地元住民を軽視したものの考え方じゃいけないじゃないかと私は思いますが、もう一ぺんその点大臣からお答え願いたい。
  270. 坂田道太

    坂田国務大臣 大学といえども地域住民の衛生環境その他に対しましては十分考えていかなければならぬわけでございまして、それはおっしゃるとおりに私は考えるわけでございます。でございますから、これを知りました以上は、廃止の方向へ向かって大学と一緒になってその措置を考えてまいりたいというふうに思うわけでございます。きょうもやっているんじゃないか、あしたもとこうたたみかけておっしゃいますけれども、そうすぐというわけには実はまいらぬわけでございまして、その辺のところはもう少し現地あるいは現場の大学当局とわれわれと、あるいはこの予算措置を一体どうするのかというようなこともあわせて考えて進めてまいりたいと思っております。
  271. 田中昭二

    田中(昭)分科員 大臣、私がきょうもやっていると言ったことは、そういう現場の問題を真剣に考えるならば、昨年そういう学部長会がありまして、早急に移転しなければいけないとか処置をとるとかと言って住民を安心させておいてというようなことがまた繰り返されることになるのです。大学当局はこの問題を早急に善処したいと言うけれども、それじゃいつどういう指示をやるのかということをほんとは私はお聞きしたいのです。いろいろな理屈を言うよりも、ほんとうにこの問題をいつどうするのか。しかしそのためには、よその火葬場に持っていくとかそのためのいろいろな事後の問題があるでしょう。そういう問題まで文部省が責任を持ってこういうふうに指導するのだ、こういうふうにおっしゃっていただくならば――おっしゃっていただかなければならないと思うのです。  それでこのことにつきまして、私は政務次官に三月にこの問題をちょっとお話ししておきました。そのことでお知りになったようだと思いますけれども、その後この問題について文部省の役人さんが私のところへお見えになりまして、いろいろお話がありました。ただ、そういうお話を信用しないわけじゃございませんけれども、ただそういう話だけでここでまた終わるようなことでは、私は住民の皆さんにほんとに申しわけない、そう思うんです。そこで、どうですか大臣。この問題は予算的な問題もございましょうし、ほんとうはきょうはこの問題でお聞きしますと、死体を焼却する場合には政府から補助が出ているそうですね。その補助金がどういうふうに使われておるかということまで実は調べてきておるわけでございますけれども、こういう問題、こまかい問題でございますが、遺族の方が何千円もらったとかもらいそこなったとか、そういう問題はございますけれども、そういう問題にまでは触れませんから、どうかひとつこの問題については、これは大学当局の責任というよりも文部省が主体になって、こういうふうにしてはどうか、それはこういうふうにいつするんだとか、いつを目標にやるんだとか、そういう御返答はいただけないのでしょうか。
  272. 坂田道太

    坂田国務大臣 いますぐどうこうという手順までここで私が申しかねるわけでございますけれども、そこはわれわれが誠意をもって大学当局と話をして、指導助言をいたしながら地域住民の要望にもこたえたいというふうに考えておるわけでございます。
  273. 田中昭二

    田中(昭)分科員 それじゃ当の責任者である学術局長にお尋ねしておきますけれども、三月一ぱいですか、そういうふうにも私はあなたの部下から聞いております。いいですか。三月一ぱいに廃止します。それはけっこうなことです、三月一ぱいに廃止してもらえば。それじゃその廃止するということについて局長はどういうふうに指示なさったのか、また報告を受けてあるのか。私はほんとうはこの問題につきましては、そんなことはやめるとか、それからその問題についてはだれが責任を持って話をするとかいうふうなことをずっと詰めて聞いていきたいのです。だけれどもそういうことはできませんから、そういうものを廃止するとするならば、その廃止した場合にはどういう処置をとってあげるのか、これを聞かしていただきたいと思います。
  274. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、現在医学部では若干の教室で死体解剖というのは教育研究上不可欠のことでございます。死体を解剖いたしますと、その遺体を火葬に付さなければならないわけでありますが、そのための費用は、九大といわず他の医学部平等に予算の積算がございます。それによりまして、九大以外の大学は市中の火葬場で処理をいたしておるわけでございます。九大だけが自分で火葬場を持っておる。これは火葬場を持たなければならないという関係ではなくて、自分で持っておれば、市中の火葬場まで運ぶ手数あるいは場合によっては経費のほうも節約になるということから、遺族の希望などもありまして、なかなかやめかねておったというのが実情だと思います。  したがいまして、これをやめるといたしますれば、他の大学と同様、文部省での予算措置によりまして、大学が市中の火葬場で処理するということになるわけでございます。その手順といたしましては、大学の意思決定のやり方は、これは医学部のことでありますから医学部長が決定するわけでありますけれども、医学部長が独断でやるわけではなくて、関係の教授あるいは全体の教授会に付議をしてきめるわけでございまして、現在、医学部長としてはやめる方向でそのような段取りを早急に進めておるというのが現状でございます。
  275. 田中昭二

    田中(昭)分科員大臣 この問題は、事柄は簡単ですけれども、明確な――明確なといいましても大臣の御決意でもいいのですが、お聞かせを最後にお願いしたいと思いますが、いま私がちょっと申し上げましたように、あなたの部下が、これはいついつまでに廃止しますとか、そういうことを話しにきて、そうしてこれで納得しろとか、また、政務次官もいらっしゃいますから申し上げますが、そういう問題に対して善処しますとかという、いわゆるあなたの部下の人がそういうふうに言うてくることに対して大臣としてどう思うかということと、それからあとは、その善処しますというよりも、何か具体的な処置を大臣として指示していただくという御返答をぜひいただきたいわけですが、いかがでしょうか。
  276. 坂田道太

    坂田国務大臣 どうしてわかっていただけないかと思うのは、非常にはっきり私は言っているつもりでございます。ただ、私としましては、いつの幾日までにどうだということは、ちょっとここでは明言できない。明言できないほうが非常にすなおではないかというような気がいたしておるわけでございまして、できるだけ早く、数カ月後には何とか結末がつくということでひとつやっていきたい、ここまで申し上げれば御了承いただけるというふうに思います。  それから、部下が言ってまいりましても、方針としては私はその方向でいくべきであると思いましても、部下が言いましたことに対しましてもやはりその手順がございますし、医学部教授会の決定、それから大学全体の意思というものがはっきりし、そうしてそれに対してわれわれがそのとおり、こういうようなことで進むことが今日やはり大学文部省との関係においては筋道ではなかろうかというふうに考えます。しかし、そういう医学部教授会を開き、医学部長がその前に決心をするということについては、われわれ文部省が相当指導助言をしたということが前提になっておるということは御了承を賜わってけっこうだと思います。
  277. 笹山茂太郎

    笹山主査 次は、大出俊君。
  278. 大出俊

    大出分科員 社会増地域の義務教育施設の問題につきまして、時間もございませんから、端的に御質問いたしますので、そのものずばりをお答えいただきたいと思います。  四十五年の一月ということで、いわゆる社会増対策全国教育長会議から文部省等に対しまして幾つかの要望書が出ているはずであります。まずもってこの幾つかの項目について簡単にお答えをいただきたいのであります。  まず一つは、人口急増地域における小中学校用地取得に対する国庫補助の新設及び整地費補助、これは現行三分の一、予算額三億円なんでありますが、この大幅拡大、こういうことになっているわけでありますけれども、どうもあまり大幅拡大とは思えない実は中身のようでございます。大蔵省もあることでございますから、文部省を幾ら責めてみても限度はあろうと思いますけれども、もともと三億円しかないのでありますから、どうもあまり大幅な感じになっておりませんが、そこらのお考え方をひとつ聞きたいのでございます。
  279. 坂田道太

    坂田国務大臣 整地費補助というのは、昨年の大臣折衝におきましてようやく獲得いたしたものでございまして、私はこれをもうちょっと大幅増額をいたしたかったわけでございます。しかしながら四億五千万ということにとどまったことは、実を申しますと、ちょっと残念に思っておる次第でございます。
  280. 大出俊

    大出分科員 これは、急増する人口がどの程度かということによりましても受け取り方はずいぶん違うと思うのでありますが、残念であるというお答えでございますから、今後ひとつ、坂田文部大臣がこれから先いつまでおやりになるかは別として、責任継承の原則もございますので、十分これから御検討をいただき、かつまた前向きで、いわゆるこの大幅拡大の方向に進みますように御努力いただきたいと思うのであります。  二つ目に、小中学校の校舎建設国庫負担事業量、いわゆる事業量と一がいにいっておりますが、この拡大の問題でございますけれども、まあ教育それ自体に大きな影響があっては困りますので、そこらのところを、これでいいと実はお考えになっておられるかどうかということなんであります。例を申し上げますと、私、横浜におりますので横浜の例が一番よくわかっているわけでありますが、義務教育施設整備費、それから小学校校舎に関する事業量、四十四年度の表がございますけれども、これを見ていきますと七十二万平米、こうなっているわけであります。これは四十四年度でございますけれども、実は横浜が七万二千平米ぐらいになっておりますか、おおむねこれは横浜が一割に該当する、こういうことですね。そうすると、はたしてこの事業量というのは、これまた今日の状況に照らしてみて妥当だということになるのかどうかという点、ここもひとつ簡単に承っておきたいのであります。
  281. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 いままでのいろいろ資料を見ますと、横浜は、不足面積におきましてもまた仮校舎にいたしましても、全国の比率が非常に高うございます。不足面積はおそらく一〇%をこえておる。それからプレハブ等も一七%というふうな状況でございます。そういうふうな観点から考えますと、横浜市が全国の十分の一を占めるというふうな事情も理解できるわけでございまして、横浜市におきまして特に急増の波が最近高いというふうなことであろうと思います。
  282. 大出俊

    大出分科員 岩間さん、よく御存じでお答えのようでありますが、まさにそのとおりでございまして、ここらにももう少し御検討いただかなければならぬ点があるというふうに思っているのであります。  それから、これまた岩間さんお見えになっておりますから御存じだと思いますが、昨年、私、実はずいぶん心配しまして、先ほど例にあげました教育長会議の要望の三項でございますが、人口急増地における小中学校校舎建設費に対する国庫負担の割合、三分の一、二分の一という点でありますが、過疎過密両方考えた場合に、極端な過密地域に対して過疎地域と同様に負担率がきめられているというのはどうもいささか不合理ではないかということで、昨年赤澤自治大臣に御出席をいただいている席で、岩間さんにもおいでいただいて、また大蔵省からも主計局の方々においでをいただいて詰めてみたのであります。赤澤さんの御発言は、全くそのとおりだ、御指摘のとおり私も全く賛成だ、岩間さんも、当時文部省官房長をおやりになっておって、私も全く賛成だというようなお話で、そうしたら自治大臣赤澤さんうしろを振り向いて、うしろにいる大蔵省の主計局、この連中が一番悪いのだというようなことを委員会の席上で言いました。何もそこまで言っていただかぬでも理屈はわかっているわけでございまして、当時大蔵省は、たとえていえば、三分の一、二分の一、こうなっておりますのをあるいは五分の二にするとか五分の三にするとかいうふうな形で、過密地域については運用の面で何とか考えたいという意味のことを――これは決着したわけじゃありませんが、そういう意味のことをお答えになっておったようでありますが、ここらあたりはどういうふうにお考えになっておりますか。
  283. 坂田道太

    坂田国務大臣 この点も、実を申しますとわれわれの気持ちといたしましては、補助率アップということも当初要求で考え、かなりの段階まではそれで押していったわけでございます。しかし大蔵省の壁はなかなか厚く、この段階ではむしろ事業量の伸びというものを考えたほうがいいのじゃないかということでございまして、昭和四十四年度は七十二万平米でございますが、四十五年度は九十二万平米、約二七・一%の増、これは小学校校舎についてでございますが、これを予算額にいたしますと昨年度より一四一%ということです。でございますから、社会増地域と申しましても、いまおっしゃいますように、予算配分の場合は横浜、神奈川、その地域等々に重点的に執行しなければならないということは当然だと考えておる次第でございます。
  284. 大出俊

    大出分科員 もう時間ありませんけれども、大蔵省あたりはどうお考えですかな。
  285. 藤井直樹

    ○藤井説明員 ことしの公立文教施設予算におきましては、やはり過密地域におきます小学校校舎の不足というのが一番問題でございますので、予算を一九%増加する、その中で過密地域の予算は約四九%、量的に申し上げますと大体三割四分くらいのことを考えているわけでございます。本年、やはり過密地域の校舎の補助率ということで引き上げの要求がございましたが、当面、そういう量的な面でこたえていかなくちゃいけないという大きな問題がございますのと同時に、補助率の引き上げということになりますと、個々の市町村の財政事情に関係なく一律に上がるということになりまして、非常に画一的になる。やはりその地域の財政事情に応じてきめこまかく財源措置を考えていくほうがむしろ適切ではないか。そういうことになりますと、むしろ交付税上の措置、それから起債、そういうことでやったほうが市町村の実情に応じた措置ができる、そういうことでございまして、補助率の引き上げのほうは私どもできないというお話を申し上げたのでございます。
  286. 大出俊

    大出分科員 ここへ私もこまかい表を持っておりまして、こまかく計算もしてみておりますから、実はこまかい反論を申し上げたいのでございますけれども、十分ばかりたってしまいましたから、本題のほうを申し上げる時間がなくなり三でございますので、いまの点はあらためてこまかく反論を申し上げたいと思っております。  そこで、横浜の例をあげますと、旧来、大きいことはいいことだ、になっているのですけれども、なかなか大きいことはよくないのでございまして、実は、いわゆる六大都市、東京を抜きましてこれの人口の増加率その他ながめてみますと、昭和三十年をまず基本にいたしましてこれを一〇〇といたしますと、当時、横浜は六大都市の四番目にあったのです。人口にして百十四万ばかりでございました。ところで大阪は二百五十万ばかりありました。そして名古屋が百三十三万、京都が百二十万、こういうことだったのですけれども、四十三年の例をあげますと、百十四万しかなかった横浜が何と二百四万になっておる。したがいまして、大阪は三百万ちょっと出ましたが、実はその次が横浜になっちゃったわけであります。そして名古屋が百九十九万で三番目、横浜の次でございます。京都は伸び率が非常に少ないわけでありまして、百四十万。こういう人口ですね。ですから横浜の伸び率は、三十年を一〇〇といたしますと一七九になる。七割九分伸びちゃったわけです。ところが大阪なんかにいたしましても、伸び率からいきますと一二〇でございますから二割、また名古屋あたりでも一四九でございますから四割九分、京都なんかになりますと、一一七でございますから一七%しか伸びてない。横浜は一七九、七九%伸びちゃっているわけです。この趨勢は強まればといって戻らないわけでございますから、今後ますます急増するという状態に今日あります。  そういう状況でございますので、他都市と私どもの受け取り方がたいへん違うことになると思うのでありますが、どうもあまりにもひどいのじゃないかというふうに実は考えるのでありまして、たとえば越してきた人から私に、横浜で東京版の新聞は売っていないのですかという質問が出る。そんなもの何で関係があるのだと言ったら、いや実は東京が一切日常やっている仕事の場所で、うちへ帰ってきて寝るだけだと言う。だから東京版の新聞ぐらい売ったっていいじゃないかという話になる。つまりうちへ帰ってきて、寝て、子供さんつくるだけになっちゃっている。そして住民税だのやれ固定資産税だのというのはみんな、住民税なんというのは東京で払っちゃって、横浜へ越してきて一銭もまだ横浜市に払わないうちに、どうもプレハブばかりで困るじゃないかというようなことになる。すぐ水道引いてくれ、道路つくれ、こうですね。おまえさん横浜市に一銭もまだ税金払ってないじゃないかと言うわけにもいかぬ、やはり横浜市民ですから。こういう現象が次々に起こるわけです。ふえるんだからそれだけ税収入もというお話も一面あるかもしれませんけれども、実はそうじゃないですね。子供さんだけは教育しなければならぬわけですから。だから六大都市の教育予算をながめてみても、実は横浜が極端に多くなってしまう。やむを得ないわけでありまして、そういう実情にございます。したがって、どうしてもやはりこういう地域についてはそれらしいことをしていただきませんと、教育環境その他非常によろしくない結果がやむを得ず出てしまうことになりかねないわけでございます。  そこで、実はいまからどのくらい学校を建てなければいかぬかという数字がここにございますが、昭和五十年の四月に出発するまでに、小学校中学校に分けまして、小学校九十校、中学校三十二校、百二十二校つくらなければいけない。人口の伸び率からいきまして、ひょっとすると百二十三校になりそうであります。そうなると、その予算教育委員会にこまかく計算してもらいましたら、内輪に見ても四百億をこえる。何とか満足にということになりますと四百五十億かかっちゃうのです。四百五十億というと市税収入のほとんど一年分でございますから、市の職員に一銭も、ベースアップもしなければ金も払わないということにしてやればいざ知らず、そうでない限りは、いまから五年ぐらいの間に四百億から四百五十億かけて、しかも九十校の小学校、三十二校の中学をつくる、こういうことは市の税収入から見てまさに神わざなんですね。これはできないものはできないのですから、そうなると、そこらあたりのことについて、何か教育の責任は市にあるのじゃなくてやはり国にあると私は思う。こういう事情が起こっておる現実を御存じないはずはないと思うのでございまして、先ほど岩間さんもあれだけよく御存じなんですから、そこらに何がしかの対策をお立ていただくのが文部大臣の筋ではないか、私はこういう気がするのでございますが、この大筋についてまずお答えいただきたいのでございます。
  287. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 先生の御指摘のとおり、今後横浜市におきましては、六年間ぐらい先を見通しますと、小学校九十校それから中学校三十二校というふうな膨大な予想が立てられております。私も実はそういう実態を見まして、これほどまでに深刻になっているというふうなことは気がつかなかったと申し上げたほうが正確だろうと思いますけれども、とりあえず四十五年度におきましては、現在御審議を願っております予算が通りました場合には、できるだけ実行面におきましてその計画が促進されるように御協力を申し上げたいというつもりでございます。  なお、土地の問題その他、私どもばかりではなくて各省にまたがっていることもございますので、それらの点につきましても御配慮をお願いしたいということを考えております。  さらにその先の問題につきましては、いま関係各省それから行政管理庁等からもいろいろ御議論がございます。私、振り返って考えまして、文部省予算にもいろいろございますけれども、その実態に即していないというふうな感じのする予算の一つかもわかりませんので、この点十分検討さしていただきたいと思います。
  288. 大出俊

    大出分科員 前向きな答弁をいただいておりますから、短い時間ですので四の五の申しませんが、もう少しこまかい例を一つだけあげさしていただきます。  教育委員会にお願いをして、ことしの四月に新学期でございますから出発をする、さあ出発だという、つまり生徒児童の収容対策ですね。ここのところを調べてみたのでありますが、実は当初予算で計算をいたしますと、小学校で十八万四千七百九十人という児童生徒数になる。このうちで新一年、つまり一年生ですね。これが三万三千九百三十人いるのです。片方出ていくわけですから、在校生ということで計算をいたしますと、十四万六千六百七十四人いることになる。これはいろいろほかから入ってまいりますから、転入がだいぶ多いわけです。これらを計算いたしますと、そのほかにふえるのが四千百八十三人ですね。これで実は十八万四千七百八十九人になるのです。概略でこういう計算になるのです。そうなりますと、さて、ずいぶん無理して、これは無理し続けておりますけれども、どのくらい教室が足らないかという点を出発にあたって計算をいたしますと、五百八十八教室足りない。ですからいたし方がないわけでございまして、何とかしなければならぬというので中身を見ますと、四十五人が一クラスの文部省基準でございますが、やむを得ない、これは父兄からおこられてもしかたがないから四十八人というクラスをつくる。これが実は九十九学級あるのです。それから仮設教室ですね。ところがこの仮設教室も実は使用にたえないものもあるのですけれども、何とかしなければというので、プレハブをことしも五十くらい増設をするというかっこうで計算をしてまいりまして、大体三百六十二くらいのクラスがプレハブでいかなければならぬということになる。それから、学校建築の過程にあるところがございますので、これは借りもので、どこかで借りて間に合わしているというのが四十八クラスあるわけでございます。そのほかに教員室をまん中で仕切りまして、つい立てを立ててやるというようなところをつくりましたり、あるいは保健室なりあるいはその他の特別教室を使うもの等を入れて二十一クラスぐらいこれをつくりまして、そのほかに廃棄処分にしなければならないプレハブ、これもプレハブが三百幾つ学級があるのでありますからどうにもならない。これも場所によりますけれども、やむを得ず四十八クラスばかり考える。かといって、市予算はたいへん教育費をよけい使っておりますから、建てないわけではございません。ですから、四十四年度から四十五年度にかけてまたぎますけれども、三百六十九クラスの教室ですね。これは建設中でございます。施越しの形になりますものが大体五十教室ぐらい普通教室でございますが、そういうふうな無理算段をいたしまして、何とかつけようということで出発をするわけでございまして、全くそれはもう四苦八苦なんですね。しかもこのプレハブと称するものが横浜の場合には大体六教室くらいまではためてくるわけですね。たとえば八教室転入その他できる。そうするとその四教室を切って鉄筋校舎を建てるというようなぐあいにためてきておるわけですから、そういうことをやりながらなおかつこういうことでございまして、プレハブだけでも実は年間どのくらいになるかといいますと、一つの学校からほかに持っていくわけですね。こっちへ学校をつくるわけですから、移転をする、その移転費をこの間ちょっと気になって計算してもらいましたら、一つの学校から一つの学校に持っていくのに百八十万くらいかかるのですね。ですから年間一億二千万円というプレハブ予算が必要になるのです。ところがこの一億二千万ありますと相当の学校の教室ができてしまう。全くこれはもったいないのですね。鉄筋で二十くらいできてしまうでしょうね、六百万にして。ですからもったいないのだけれども、そう言っちゃいられない、何とか収容しなければならぬわけですから。ところがさてこのプレハブには、文部省もどこもかしこも補助をくれるわけじゃない。ほんとうをいうと、こういうところにはプレハブの補助くらいは、学校にちゃんと使っているのですから、くれたって悪くはない。何にもしようとなさらない。全くこれは不合理な話だ。市民の税金なんですから。こういうばかなことになっている。  そうなりますと、さらに一ぺんに言ってしまいますけれども、用地なんかにつきましても、旧来からいろいろ問題がありまして、さっきも申し上げましたが、私も初めて質問するわけじゃないのでありますけれども、整地費をまず見てみても、三分の一というのでございますから、三千円の三分の一の九百円、補助はこういうことでございますから。また単価なんか見ましても、国の単価で四十五年度で平米三万二千九百円という建築費が見込まれている、こういう単価になっています。建てているのを見ますと、実際には四万二千円かかっている。どうにもならない。先ほどのお話にございましたような、例の、三億が四億五千万円になったということを大臣がお答えになりましたが、たいへん大幅だとはいえないふえ方でございます。大臣折衝をやったというので、この表に、いつ大臣折衝でこうなったということが全部書いてありますから、御努力のほどは認めますけれども、そうなるとさて起債という問題が出てくる。そこで用地の場合には、横浜のようなところは縁故債でやってくれというのです。縁故債ということになりますと、どう考えてみても利息が違うわけですね。そうするとこの縁故債でやればいいのだけれども、じゃやりましょうといった場合に、何がしかそこで見てくれるのかというと、ずいぶん市がかぶって苦労しなければならぬ利子がつくわけでございまして、たとえばここに数字がございますけれども、六大市は縁故債でやれ、これは七分五厘でございますから、そうすると自治省の起債の八十億というワクがございまして、これも来年は百億くらいになるのだそうでございますが、これは六分五厘でございますから、これをわざわざ七分五厘で交付公債式に利子を払わなければいかぬわけであります。二年据え置きで五年償還。そうなるとこれは全く不合理な話で、自治省の起債のワク八十億の中に入れてもらえれば、ここで明らかに七分五厘のものは六分五厘で済むわけでございますから、これだけ苦しい事情を文部省の皆さんが――全くの急増地域なんですから御存じであるとすれば、せめてこの辺のことくらいお考えいただいて、私は悪くないと思うのです。もしそれができないならば利子補給くらいのことは――一番苦しい事情にある、七〇何%もふえちゃって二百万をこしちゃった、三十年に百万ちょっとのところが二百万をこえちゃったという人口増加地域、ますます急増する。やたら転入で、クラスをつくらなければならぬ、こういう状況でしょう。プレハブだってさっき申し上げたように一億二千万円も年間かけている。そうなるとそういうところに、六大市だからというので、縁故債でやって七分五厘払えというのは、幾ら何でも酷ではないかという気がするわけでございまして、ここらをもう少しお考えいただけないのかという気がするのです。プレハブについての補助はくれない。これじゃそれこそ決して大きいことはいいことになりませんで、ここらのところをひとつ何かいい知恵はございませんですか。
  289. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 起債の問題につきましては、これはただいま自治省にお願いしているわけでございますけれども、本年度の予算の過程におきましても、利子補給というふうな話も出ておりまして、土地問題全般を含めまして、また土地につきましては補助金を出せという議論もございます。そういうものを全般含めまして、来年度予算におきましては検討してみたいというふうに考えておる次第でございます。
  290. 大出俊

    大出分科員 来年度予算で検討してくださるということなんでありますが、さて、あと五分ばかりしかございませんが、起債という面で、自治省の皆さんのほうでひとつ何とか六分五厘で済むようなかっこうに御検討いただけませんか。きょうは自治省の方おいでになりませんか。
  291. 山本成美

    ○山本説明員 ただいま御質問になった点でございますが、私どもといたしましては、まず学校の整備、用地の問題も含めまして、これは適実な補助制度の運用というものを前提にして、これを大宗として、それに合わせるに地方債と地方交付税で援助をしていく、かようなことではないかと思っております。この場合に、地方交付税につきましては、たとえば過疎の地域におきましても統合の校舎の問題が出てまいりますし、必ずしも過密だけの問題に対処するわけにはまいりません。そういう意味で、地方交付税におきましても限界があるのではないか、かように考える次第でございます。  なお、そういう前提に立ちまして、地方債をどういうふうに運用していくかという問題になるのでございますが、私のほうとしては、毎年地方債計画のワク内に取り込んでおります地方債の政府資金のワクを逐年増額してまいっております。四十四年度は五十億でございましたけれども、四十五年度は八十億にする。しかし、これだけをもってしてはとうていまだ十分な措置とは申せませんので、具体的な措置としては先生おっしゃられました縁故債をつけますとか、あるいは交付公債という形で用地を取得させるとかいったようなことで、たとえば、五十億の政府資金を含めまして四十三年度においては約二百億の地方債で処理をした実績がございます。いずれにしましても、六分五厘の資金である政府資金というものはたいしたシェアになっておりません。これをいかにふやしていくかという問題が一つと、それからおっしゃいました利子補給の問題をどう取り扱うかという問題が残されておりますが、これもなお十分検討しなければいけない問題かと思っております。
  292. 大出俊

    大出分科員 これはだれが悪いわけでもございませんで、一種の都市現象でございます。だから、社会増、こういうことばはどこから出たかわりませんけれども、このことばにも意味があると思うのですね。これはやむを得ないですね。こればかりは、横浜市民になっていただいちゃ困るといって断わるわけにもいかぬですから。山がなくなってやたらむしょうに家が建つというわけですね。道路も次から次とつくらなければいかぬ。これはまさに驚異的な伸び方なんです。まだ伸びる地域は横浜というところは山のようにあるわけです。したがって、私なんかが一カ月行ってないで行ってみると、いきなり新造住宅地ができちゃっている。こんなところに家があったのかということになる。年じゅうそうですね。茅ケ崎くらいの町が毎年横浜の中に一つくらいできちゃう勘定です。そういう意味でぜひひとつこれは、いまおわかりの上でお答えのようでございますから、御理解をいただいて検討しようというお話でございますから、じかにここで責めることはいたしませんけれども、不合理である点は、教育上何とかしなければならぬ点はひとつまたお含みをいただきたいのであります。  最後に、いたし方なく――用地は先に上がります。校地ですね。それからまた建築費も超過負担ばかりのかっこうになっておりますから、これもふえるばかりでありますから、したがって公社設立という形をとりたいという考え方、校舎を建築する公社をつくりまして、そうしてここでとりあえず先買いをしてもらって建ててもらう。そうしておいて、あとから起債その他の手段を講じながら、市がそのつど買い取っていくというかっこうにでもしないと、実は先ほど申し上げました教育長会議の要望の中に先行一年半、つまり校舎建設、現行の最高先行一年半――先につくるという意味ですね。これを二年ないし三年先行整備というかっこうでやらしてくれぬかという要望が出ているのですが、どうしても教育上それが必要なんですね。でないと、私どもが見ても何ともこれじゃいかぬと思うプレハブが建ってしまうわけでありますから、したがってそういう意味で、このやり方についてこれをお認めいただいて――ここに四十四年二月十四日付の文部省見解というのが、学校建築公社はやむを得ないという官庁速報とか何とかいうのがございまして、一応これでわかるような気がするのでございます。ここらのところをどういうふうにお考えになっておられるかを、横浜市のほうからもいっていると思うのでございますが、御見解をいただいておきたいと思います。
  293. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 横浜市から実は前にそういうお話を承りまして、私どもの意見を聞かれましたものでございますから、これはむしろけっこうではないか、ぜひそういう方向で推進していただいて――そういう校舎の問題、校地の問題が解決すれば、これは一つの過密対策としてはけっこうじゃないかということを申し上げた次第でございます。
  294. 大出俊

    大出分科員 これで終わりでありますが、実は校舎それ自体につきましてもやむを得ずやる措置なのでございますが、先に建てて、そういうかっこうで今度は公社が使っている金を市が起債を起こして埋めていくわけでありますから、先行き教育予算の面で非常に窮屈になってしまうのじゃないかというので、横浜市の内部におきましては非常な心配があるのですよ。しかし、当面急増するこの状態の中で切り抜けていかなければ、教育環境なり内容なりが充実いたしませんし落ちてくるわけでありますから、やむを得ざる措置ということで、いわば苦しまぎれでございますが、そこまで考えているわけでございます。  したがってここでひとつ、自治省のほうからも大臣からも一言いただきたいのは、以上簡単にこの時間で申し上げたわけでございますけれども、そこのところをおくみいただきたい。いろんな方法がございましょう。先ほどの利子補給を検討するというお話もございました。あるいはまた整備費その他についても何とか考えなければならぬ点は考えていただくとか、あるいはプレハブなんというものに対しても多少は考えていただくとか、できるまでの間なのですから、教育の責任を負われるならば、プレハブ予算くらいのことは国が見るくらいのことをお考えいただいてもいいと思うのです。そういうふうな点、いずれかを見つけていただいて――全部が全部とは申しません、これはなかなかできがたいですから。だから基本をいえば三分の一、二分の一というものを過密地域については変えていただく。また用地費分に類するものを国庫負担の問題なり入れていただく、これが必要なんです。そうして超過負担の解消をねらっていただく。起債についてもやはり六分五厘なら六分五厘で済むようにしていただく。     〔主査退席、登坂主査代理着席〕 こういうふうに、かつ過渡的なプレハブについては何がしかめんどうを見ていただくというふうな措置が、事教育でございますからあっていいと私は思うのでございます。全部はできないと思うのでありますので、何がしかの前進をおはかりいただきますように御努力を賜わりたいと思います。御答弁をお願いしたいと思います。
  295. 坂田道太

    坂田国務大臣 きわめて建設的な傾聴すべき御提案かと思うのでございまして、私、十分総合的に検討いたしまして、一つでもその実現をはかりたいというふうに考えるわけでございます。
  296. 大出俊

    大出分科員 自治省のほう、もう一ぺん答えてください。
  297. 山本成美

    ○山本説明員 先ほど申し上げましたことと、あるいは繰り返しになるかも存じませんが、適実な補助制度の運用と相まちまして、地方債の上でも善処してまいるように努力をいたします。
  298. 大出俊

    大出分科員 大蔵省、ひとつどこかの場面で大蔵大臣に御質問しようと思っておりますけれども、とりあえず意のあるところをお伝えをいただきたいと思うのでありますが、何か御所見があればお答えをいただきたい。
  299. 藤井直樹

    ○藤井説明員 これから過密地域の財政の事情をさらによく勉強さしていただきたいと思いますが、この問題は当面の資金繰りと将来の収支という問題がございまして、やはりそれだけ社会増があるということは将来やはり税収もふえるということになりますので、そういう長い目で見ていかなくちゃならない。そういうことで、今回の起債の償還期間を十年が二十五年になったというようなことで、それに関連があるかと思っておりますけれども、今後よく勉強さしていただきます。
  300. 大出俊

    大出分科員 長い目で見ようというので、十年二十年待っているうちにあふれちゃったんでは、これではしょうがないわけですから、当面何とかしなければ、生徒というのは一年ずつ勉強していくのですから、基礎的な勉強をするわけですので、どうも大蔵省のように十年二十年先につじつまが合えばいいといって教育の放任はできませんので、そういう点をひとつよく大臣にお伝えをいただいて、またあらためて大臣に御質問したいと思います。  以上でございます。
  301. 登坂重次郎

    ○登坂主査代理 山原君。
  302. 山原健二郎

    ○山原分科員 共産党を代表しまして、教育に対する政党の介入問題並びに教育者の身分保全につきまして、主として文部大臣に所信を伺うことにいたします。  去る二月二十三日赤松委員の予算委員会における質問でも触れられております東京都の高等学校教師が政党の介入の中で都教育庁によって不当に授業停止を命ぜられ、かつ配置転換をさせられたいわゆる事件でありますけれども、あの質問が行なわれましてからすでに十七日が経過をいたしておりますが、この問題の重要性にかんがみまして、文部省はどのような調査をされておるのか、まずお伺いをいたしたいのであります。
  303. 宮地茂

    ○宮地政府委員 御質問の件は四年前の昭和四十一年一月に当時の都立深川高等学校の教師をしておられました――まあこういう席でございますので、個人の名前は遠慮さしていただきますが、某教諭の授業に関連いたしましてのことと存じます。この問題につきましては、四年前のことでもございますし、当時の責任者である小尾教育長もその後教育長をやめておられますし、そういう関係で、また多少古い話でもございましたので、教育委員会のほうにも私ども確かめまして、ある程度の事情を承知いたしました。  それ以上必要ございますれば、詳細お答えいたします。
  304. 山原健二郎

    ○山原分科員 古い話であるから調査は十分していないようなお話が先般もあったわけですが、すでに事件が起こってから五年たっておりますし、また内藤国夫さんの「公明党の素顔」という書物にも出ておりますし、また国会でも取り上げられておるわけでございますから、この点について調査をされておるとするならば、どういう見解を持っておるのか、簡単に文部大臣からお伺いしておきたいと思います。
  305. 宮地茂

    ○宮地政府委員 私のあとを大臣に答えていただきまして、調査のようすだけ……。  お答えいたします。  調査と申しましても、先ほど来申しましたように、当時の責任者がやめておられますので、都の教育委員会に状況をただしました。ただこれは、先生のおっしゃいますように、その教諭が授業を停止させられ、またその後転勤になったわけでございますが、それについてのいわば処分庁――監督庁の意見を聞いただけで、私のほうは直接その教諭に当たっておりません。したがいまして、教育委員会の報告を徴しましたところ、詳細は省略いたしますが、同教諭が授業を行なうにあたりまして、当時三年生を受け持っておるようですが、社会科の時間に親鸞の「歎異抄」を読ませてそのレポートを書かした。そのことについて公明党議員さんとの間でいろいろトラブルがあった、そういうことに関連して授業停止になった、また転勤させられた、詳細は省略しますが、そういうことでございます。  聞きましたところ、これは同教諭から四十二年に、精神的損害を受けたということで訴訟にもしておられますので、詳細につきましては訴訟を通じてむしろ明らかになろうかと思いますが、私どもが承知した限りにおきましては、同教諭の行ないました授業が教育基本法に規定しております、宗教について寛容な態度といったようないろいろ規定もございますが、そういうような点から見て必ずしも適切なやり方ではなかったような節も見受けられます。また同時に一方公明党議員さんとの間でトラブルがあったということにつきましては、それ以上詳細なことがわかりません。  なおこの点につきましては、教育委員会の報告だけでなくて関係者の意向等も十分聞いて御報告申し上げないと正鵠を失すると思いますので、一応概括的な感じを申し上げますと、同教諭が授業に際して行なわれたことは教育基本法違反とかなんとかいうこととは別としても、教育基本法に書かれております宗教についての教育という点についてはもう少しくふうがほしかったという同教諭についての感じと、またどの程度の圧力が公明党議員さんからあったかどうかは別といたしまして、要するに教育基本法の趣旨からいたしまして、教員が他の政党の方々あるいは団体の方々、そういう外部勢力によって教育者が影響されないということが教育基本法の趣旨でございますので、その詳細はわかりませんけれども、必ずしも好ましいことではないであろう。また同時に同教諭がその公明党議員さんの――御本人は圧力を受けたということのようでございますが、それによって影響はされないと言っておられますが、私どもとしては、そういうことがかりにあったとしても、教育は影響されないで正しい教育が行なわれることが望ましいことである、そういうふうに感じております。
  306. 山原健二郎

    ○山原分科員 大臣の答弁はあとで聞きますが、そうすると、教育基本法に照らして、公明党の議員がこの問題でトラブルを――鷲見さんですが、名前を申し上げますけれども、御本人の許可を得ておりますから。鷲見教諭との間にトラブルがあったということは、教育基本法に照らして好ましくないということですね。いまの結論は。簡単に答弁してくださいよ。好ましくないかどうかだけ答弁してください。
  307. 宮地茂

    ○宮地政府委員 教育基本法には「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。」ということが第十条に書かれております。したがいまして、公明党の方が圧力をかけられたかどうかは一応別といたしましても、要するに教員自身が不当な支配に服しないように教育が中正でということでございますから、いろいろトラブルが起こるということは私ども好ましいことではないというふうに考えます。
  308. 山原健二郎

    ○山原分科員 文部大臣にお聞きしますが、この問題は昭和四十一年二月十九日に起こった事件でございまして、この際事件の経過は本日早朝質問が出ておりますので申し上げませんが、東京都の教育庁の最高責任者と公明党二名の都会議員が出まして鷲見教諭との間にトラブルを起こしたという事件だといま判断をするわけです。そういうことが教育基本法の立場から好ましいことであるのかどうか一言伺っておきたいのです。
  309. 坂田道太

    坂田国務大臣 どうもトラブルを起こしたということは、やはり望ましいことではございません。何らかの原因があるわけでございますが、えてしてやはり信教、信仰の問題になりますと、これはなかなか、信仰の自由というものが憲法に保障されておりまするように、その本人にとりましては絶対的主張というものを持つのが、これは当然と私は思うわけでございます。でございまするがゆえに、そういう信仰の問題について、教育の場におきまして、確かに、先ほど午前中の御質問にもお答えをいたしましたように、教育基本法第九条に宗教教育のあり方について述べておるわけでございます。そういうわけなんで、そのやり方ということについては十分の配慮と慎重さとがなければいけないんじゃないかというふうに私は考えるわけであります。同様に、政治上の問題は、たとえば、学校教育の中におきまして、政治教育、良識ある公民たるにふさわしい政治教育は、これを身につけなければならぬということなんでございますけれども、一方にはまた、一党一派に偏するような教育はしてはならない、こういうわけで、教育の中立性ということが示されておるわけでございまして、たとえば、現在争われておりまする政党間の問題につきまして、あまりにも深入りして、あるいは一党一派に偏するような教育を、もし教師が行なった場合におきましては、その反対の考え方を持った生徒やあるいはそのおとうさん等のおる場合におきまして、非常にやはりトラブルを起こすわけでございまして、そのゆえにこそ、教育の中立性と、あるいは信仰の自由というものが憲法にも保障され、一方においては教育の中立性というものが教育基本法で守られておる、こう考えなきゃいかぬわけでございまして、私はそういう意味合いにおきまして、そういう形においてトラブルが起こったということについては遺憾に考えておる次第でございます。
  310. 山原健二郎

    ○山原分科員 一般的なことを言いますと、時間が長くなりますから、この事件がありまして、いわゆるトラブルといわれることがありまして約一カ月の後に、この深川商業高等学校定時制の講師をしております鷲見教諭に対しまして、授業停止と、さらに生徒に接近することを禁止するという命令が出されておるわけですね。そして、一年数カ月にわたってこの授業停止ということが行なわれておるわけでありますけれども、この事実は確認をいたしておりますか。
  311. 宮地茂

    ○宮地政府委員 ほぼ御指摘のようなことがあったようでございます。
  312. 山原健二郎

    ○山原分科員 授業停止あるいは生徒に接触を禁止するというようなことは、地公法上、また他の法規あるいは規定上何に該当するのか、これをはっきりさせていただきたいのです。
  313. 宮地茂

    ○宮地政府委員 法律上の懲戒ではないと思いますが、本人の授業に際して、必ずしも適切でないということに対する戒めの措置と存じます。法律上の懲戒ではございません。
  314. 山原健二郎

    ○山原分科員 法律上の懲戒ではないということになりますと――しかし懲戒的な意味を持っておることは事実なんですか。
  315. 宮地茂

    ○宮地政府委員 本人の非を戒める意味がございますので、常識的にいえば懲戒的な意味があろうかと存じます。
  316. 山原健二郎

    ○山原分科員 では、この事件について、鷲見教諭の教授内容について非があるという判定はどこで下したのですか。
  317. 宮地茂

    ○宮地政府委員 東京都の教育委員会の報告によりますと、公明党議員さんとの間のトラブルということとは別に、それより前のことでございますが、そういうトラブルがある前の段階で当該教諭が行なった教育につきまして、たとえば先ほど来申し上げておりますように、教育基本法では宗教に対しての寛容の態度、こういったようなことがございますが、当人が授業中に行ないました言動あるいは生徒のレポートに対する同教諭の批評の文言、こういったようなものに照らしまして、必ずしも適当でないという注意も与えたようでございますし、その点を当該教諭は必ずしもがえんぜず、自分の考えが正しいということで、そのままの教育を続けていくということは、好ましくないという意味で、懲戒をするということよりも、考え方教育の問題でございますので、これを刑罰的に懲戒をするという措置ではなくて、当人の反省を求めるというような意味もございまして授業を行なわさない、一定期間授業を行なわないようにという措置を講じたようでございます。
  318. 山原健二郎

    ○山原分科員 そんなばかな答弁はないですよ。全くそういう事実はありません。しかも、レポートの問題を出されておりますけれども、これは校長にも見せて、こういうレポートについては校長みずから零点にすべきであるということを本人に言っておりますので、四十一年の一月十五日の公明党議員が出てくるまでは、何ら問題はないわけです。このことを契機にして問題が起こっているわけでしょう。それはもう明らかなんです。いまは訴訟上の問題としても法廷の中でも、そんなあなたが言ったようなことは全く出ておりません。いまごろになってそんなことを言っても、それは答弁にはならないのです。  さらに、この授業停止という、法律にもないものは、一体何なのか。これは何ですか。法律にもない、懲戒でもない、授業停止をする、こういうことが、これは業務命令で行なわれるのですか。一体何なのか、これはわからぬですね。普通、休職であるならば六割の給与が払われる。この際は、生徒には面談もさせないし、授業もさせない。しかし給料はまるまる払っておる、こういう措置というものですね。懲戒措置ではないというのであるなら、一体これは何なのですか。
  319. 宮地茂

    ○宮地政府委員 これは先ほど来私が申し上げておりますのは、教育委員会の報告を私のほうが徴しまして、そういうことを申し上げておるわけでございます。  先ほどの点は、一応そういうふうに申し上げておきますが、授業停止の問題につきましては、これは職務――校務分掌と申しましょうか、何教諭は何年生の社会科を何時間担任するとか、あるいはしないとか、そういったような系統で、校務分掌としてそういう措置がなされたものと思います。
  320. 山原健二郎

    ○山原分科員 文部大臣にお伺いいしますが、都道府県教育委員会の指導、助言の任にある文部省として、これは一体何なのかという問題なんですよ、懲戒でもなければ。しかも、あなた方は常にノーワーク・ノーペイということを言っているわけでしょう。仕事はさせない、生徒にも接近させないということをしておいて、給料を払っていく、こういう措置は、文部省がおそらくいままで前例のないことだと思うのですけれども、これは処置としては一体どういう処置なのですか。答弁できないでしょう、この問題は。
  321. 宮地茂

    ○宮地政府委員 東京都教育委員会の報告によりますと、四十一年二月十九日から授業停止を命じておりますが、その間教育相談を担当するということで、先ほど来申しておりますように、校務分掌として、おまえは何を担当してほしいという、その命令の一種だと思います。
  322. 山原健二郎

    ○山原分科員 授業を停止しておいて、しかも生徒に接近をしてはならない、クラブ活動もやってはならないといっておいて、校務分掌で他のものの何をやらせたのですか。
  323. 宮地茂

    ○宮地政府委員 先ほど来お答えいたしましたように、東京都の報告によりますと、その間教育相談を担当させておるようでございます。
  324. 山原健二郎

    ○山原分科員 そんなことは現在行なわれております訴訟の過程においても、証人尋問の中でも全く出てきておりません。これは国会における答弁としては全く不届ききわまる答弁だと私は思うのでありますけれども、時間がたちますから先に進めたいと思うのであります。  こういう特定の政党やあるいは父母から授業内容について批判があった場合には、それを調査し、さらには本人の意向も聞きまして――調査をしないで、業務命令によって授業放棄をさすというようなことが文部省指導方針としてあるのかどうか、文部大臣に伺っておきたいのです。
  325. 坂田道太

    坂田国務大臣 具体的なことを、私、直接聞いておりませんので、何とも申し上げようがないわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、現在の政治的課題に対しまして、一つの自分たちの政治的な考え方がすべて絶対であるというような観点から教育というものはなされるべきものではない。そういうものは政治教育ではないということも、やはり私は教育の中立性ということが教育基本法においていわれておることだと思います。その限界というものは実際問題としては非常に私はむずかしいとは思いますけれども、少なくとも教育基本法の中立性という意味は、そういうことをわきまえて政治教育をやってもらわなければならない、こういうことだと思うのでございます。同様にまた宗教の問題につきましても、信仰の自由というものは全く個人個人の信仰に根ざすものでございますから、その本人にとりましては、その信仰というものは絶対と主張するのは当然のことだと思うのでございます。でございまするから、また今度は教師が自分の一つの信仰を持っておるからといって、その他の信仰を持っておる人たちに対して、必要以上の、あるいは常識以上の批判を教室の中においてやるということは、決して私は教育基本法第九条の精神ではなかろうというものでございまして、そういうようなことが常識をおっぱずれた形においてやられた場合においては、相当にその子供なりあるいはその子供の親なりが反発をするということはあり得ることだ、一般的に申し上げて。そういうような形においてトラブルがないように私は心得るべきであるというふうに思うのでございます。今日教育基本法の第九条あるいは十条というものはなかなか意味深いものであるし、同時に、これを実際上教師が行ないます場合においては非常にむずかしいものではあるけれども、慎重に取り扱ってもらわなければならない。その意味合いにおきまして、そのことに対して直接その指導の任に当たっております教育委員会が適切であったか不適切であったかという判断を下すことはあり得ることであるというふうに思います。しかしながら、そういうものがどうしてもわれわれは了承できないということでおそらく裁判ざたになっておると思います。最終的には裁判の結果を待たなければならないと思いますけれども、そういうようなことは起こり得る。だからこそ教師たるもの、政治上の問題あるいは信仰の問題については十分慎重に配慮いたしまして考えなければいかぬ。また一面においては、教育の中立性というものが逆な形において教師によって侵されておる場合だってあり得るわけでございますから、私はそういうことを申し上げておるわけでございまして、あまりにも絶対性を主張する、政治的信条につきましてもあまりにも教室の中において、まだいたいけな子供たちの中において主張するということは慎むべきであるということが、教育基本法の宗教に関する個条といたしましては九条、政治上の問題については十条の精神であると私は思っておる次第でございます。
  326. 山原健二郎

    ○山原分科員 いまの答弁も、全く事実を調査していないからそういうことになるんですよ。国会でいま問題になっておるときに、この問題について十数日間もあるのになぜ調査しないのですか。だから、あなた方の答弁は全く間違っているのです。これは政党が一月十五日に介入したことから問題が起こっております。しかも、この鷲見教諭については不適格性は全くないのです。そのことは東京都教育庁そのものが認めているわけでしょう。だから、不適格性は全くないのです。そして授業を停止しておいて、直ちに東京都教育庁が鷲見教諭に対して強要したことは、公明党に対してあやまれということ一本やり。そしてもう一つは、転勤もしなさいということでしょう。転勤もしなさいということは、現に鷲見教諭が適格性を持っておるということを証明しておるんじゃないですか。そんな答弁でこの場をのがれようとしてもいけません。しかも、現に鷲見教諭は駒場高等学校において教壇に立っております。適格性は明らかに立証されておる。そういう大臣の答弁で、どっちが悪いかわからぬような一般的なことを言って、しかも片一方のやいばを被害者である鷲見教諭に対して押しつけるなどということはもってのほかだと私は思うのでございます。いま申しましたように、鷲見教諭は転勤をしなさいと言われているんですよ。転勤をせよということは、学校の教師として、講師として適格性を東京都教育庁そのものが認めているのです。ここにあなた方の答弁に詭弁があるということを私は申し上げておきたいと思うのでございます。しかも、私も実は学校教育行政に携わったものでありますけれども、こういう一政党の授業内容に対する介入によって教員が処分を受けるなどということは前代未聞です。私はやったことがない。ずいぶん問題も処理してまいりましたけれども、こういうことはやったことありません。しかも、授業停止ということは教育者にとって致命的な不当きわまる処置であると思います。これはおわかりだと思うのです。同時にしかも、生徒への接近を禁止するということは、教育者にとりましては死刑の宣告にひとしいのです。こういう処置が一年数カ月にわたって鷲見教諭に対して行なわれておることは、私は少なくとも適法ではないと思うのでございまして、全く不当な処置であると思うわけでありますが、これについて不当であるのかないのか、一言でけっこうですからはっきりお答えをいただきたいのです。
  327. 宮地茂

    ○宮地政府委員 先ほど来申し上げておりますように、先生が名前をあげられましたので私も使わしていただきますが、鷲見教諭に対して懲戒処分をしておるわけではございません。教育的な配慮から、当該教諭がやりました行為にも反省を要する点があるということ、そういうことでございますと同時に、一方におきまして子供が当該教諭の授業は受けたくないとか、学内でもその教諭をめぐってのトラブルもあったようでございます。したがいまして、校務分掌として当該教諭に社会科の授業を持つことをしばらく停止して教育相談をさした。それから転勤をさしたことも、これは懲戒ではございません。そういうことで、当該鷲見教諭の授業と、それから公明党の議員さんと当該教諭の間でいろいろトラブルがあったということは関連しておりますが、いま先生のお尋ねは、当該教諭の教育について言われますのでそういうことを申し上げておるので、一番最初に、政党の方々に限らずその他の団体の人でも、独立して教育を行なう教師に外部から不当な圧力をかけた、そういう事実があるとすれば、これは好ましくないということは、最初の段階でお答えしておるわけです。両者に関係はございますけれども、当該教諭のやりました教育にも多少非があったということを申し上げておる次第でございます。
  328. 山原健二郎

    ○山原分科員 非があったのなら、なぜ転校を要求するのですか。授業内容について非がある、不適格性があるなら、なぜ他の学校へ、しかも東京都内の学校へ転勤をさすということが出てくるのですか。  あなたの答弁を聞いておりますと、時間がたちますので、私は次のような見解を申し上げたいのです。  実際にこの問題は四十一年の一月十五日に、突然東京都会議員の公明党の二名の方が、しかも権力を持っておるところの東京都教育庁の総務部長と一緒になって鷲見教諭との間に起こしたトラブル――と言うことが合っておるかどうかわかりません、叱責を受けたと本人は訴えております。また校長の証言によりますと、この両者の間に口論があった、あるいはけんかがあったということが言われておるのですが、ともかく大きな力を持っておる者が鷲見教諭に対して圧力をかけたことは明らかです。一方は教師の生殺与奪権を持っておりますところの東京都教育庁の最高幹部でしょう。一方は東京都議会におきましてキャスチングボートを握っておると自称しておりますところの東京都行政にかなり左右する力量を持っておる政党であります。この両者の重圧の中で、一人の教師が前例の全くない授業停止、生徒への接近禁止、さらには不当配転――不当ということばをのけましても、配転を受けたというこの事実は、これは全く大海の木の葉のようにほんろうされた一人の教師の経過だと思うのであります。だから、鷲見教諭はついに高血圧、不眠症のために倒れて、お医者さんから転地療養をすすめられておるという状態。私は、当然、重圧を受けたからだと思うわけでございまして、ここまで一人の教育者を追い込んだこのようなことに対しまして、教育基本法の立場から、あるいは教育基本法の第六条には御承知のように「教員の身分は尊重され、その待遇の適正が、期せられなければならない。」、第十条は申すに及びません。このことと関連をして、抵触をするのではないか、また抵触をする可能性を持っておるのではないかということになりますと、これは当然十分な調査をすべきであると思うのでありますが、簡単に大臣の意見を聞きたいのです。
  329. 坂田道太

    坂田国務大臣 ただいまも局長からお答えを申し上げましたように、公明党議員が圧力をかけて、あるいはその圧力によってどうだこうだということではなくて、やはりその教諭におきましても、多少非とするところもあったんだということで、しばらくの間おまえさんは配置転換といいますか、に行ったほうがよろしいというような措置をとることは、私は教育上もあり得ることだと思うのでございまして、その辺につきましては、基本的に申し上げますと、非常に抽象的になっておしかりを受けるわけでございますけれども、やはり不当な支配に服することなく、直接国民に対して責任を負って教師自身はやっていかなければならないということだけは、われわれ文部省といたしましては、守っていかなければならない、かように考えておる次第でございます。
  330. 山原健二郎

    ○山原分科員 私は、そういう意味では教育基本法というものに対して、抵触をする可能性があるならば、これは精密に調査をしておくべきだと思いますし、その調査の上に立って、事実に基づいて答弁をされるのが、国会におけるやりとりだと私は思うのですよ。そういう点では、文部大臣がまだ調査されていないことについて私は非常に残念に思うのです。しかも教育基本法の「不当な支配に服することなく、」ということは、これはたいへんな問題なんですね。戦前における、三百万の同胞を殺した、その日本の教育の反省の上に立って教育基本法が生まれておる側面を持っておるわけでして、その点に対して文部省は、いまこれらの問題を契機にしまして、この教育基本法のほんとう姿のというものを私は、銘記すべきときに来ておると思うのです。しかも、日本政府みずからが参画をしましたところの一九六六年のユネスコにおける特別政府間会議におきましても――文部大臣、よく聞いてくださいよ。教師の地位に関する勧告には、教育の目的、目標を完全に実現する上で教員の正当な地位及び教育職に対する正当な社会的尊敬が大きな重要性を持っているということが認証されなければならないとこうなっておるわけです。しかも、日本の文部省はみずからこれに参画をして、世界各国の人々との間に誓約を結んだわけですね。この誓約から言うならば、本事件は一体どうなるのかということを考えますと、明らかに政府みずからが結びましたこのユネスコの政府間協定といいますか、勧告に対しまして十分な措置をとっておるとは私は思いません。だから、私は、当然教育への政党の不当な介入、あるいは教育権という問題につきましては、これからも文教委員会その他を通じて解明していくつもりでございますので、その点はひとつ覚悟しておってもらいたいと思うわけでございます。
  331. 登坂重次郎

    ○登坂主査代理 山原君、時間が参っておりますから……。
  332. 山原健二郎

    ○山原分科員 時間が参りましたので、最後に、私は、文部省に対しまして本事件につきまして精密な調査ですね、これは先ほどから御答弁がありましたけれども、東京都教育庁の一方的な資料をもとにして答弁をされておりますので、したがって、私との間の質疑応答はかみ合わない面があったわけでありますが、この点について、いまだ東京都教育庁も鷲見教諭本人に対しては十分な御調査をされておるということを聞いておりません。だから文部省としまして、調査をされまして、国会に報告されることを強く要求をいたしますので、その点は確認をしていただきたいのであります。
  333. 坂田道太

    坂田国務大臣 先ほどのお話は、おそらくIL Oだったと思うのですが、教員の身分とその地位に関する……。(山原分科員「そうです」と呼ぶ)このことはそのとおりなんで、また尊敬されるような先生ということなんで、それを国としても保障する意味において教育基本法もございますし、いろいろその他の法律もあろうかと思うわけでございますが、同時にそれゆえにこそ、今度は教壇に立ちまする先生方というものも、やはり尊敬に値するような先生になってもらわなければならないわけでございますし、先ほど来申しますように、政治上の問題、あるいは宗教上の問題については非常にトラブルが起こりまするので、やはりその辺はよく踏まえてやらないと、あまりに一方的な話ばかりをやりますと、これはやはり教育基本法を逸脱する形にもなりかねない。それに対して今度はトラブルも起こってくるということでございますから、お互いこれは注意すべき問題ではなかろうかと思います。もちろんこの内情等について、私たちとしては一応報告を受けておりますから、これで調査と仰せられましても、われわれはそれ以上に東京都の教育委員会からは来ないと思いますけれども、しかし、きょうせっかくお尋ねもございましたから、もう一度いろいろ、あるいは欠けておる点なり何なりにつきましては、ひとつ東京都の教育委員会に報告を求めたいと考えております。
  334. 山原健二郎

    ○山原分科員 トラブルが起こることはあるのですよ、どこでも。教授内容について父母の間から、あるいはその他の団体、関係者からトラブルが起こる、あるいは批判があることはこれは当然あることなんです。しかしその処理について、現実にそこに政党が介入し、しかも政党が力を持っておる、行政権を持っておる者と一緒になって、この一人の教師に対して立ち向かうという姿、しかもその中でその一方のほうが被害を受けておる。一年数カ月にわたって授業停止を受けておるというこの事実、ここのところをはっきりさせなければいけないということを私は申し上げておりますので、その点はとくと御確認をいただきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  335. 登坂重次郎

    ○登坂主査代理 次に、川崎秀二君。
  336. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 野球賭博の問題に関連をして、球界をおおっておる黒い霧、この問題は三月三日われわれの所属をしておるスポーツ振興国会議員懇談会の総会から火ぶたを切ったわけであります。その後予算委員会におきまする中谷議員の質問はかなり核心をついております。私どもは来たる十七日に議員連盟主催の聴聞会的公聴会を開きまして、球団の内幕を十分に知りまして、その後国会審議、特に元来言えば本節は文教委員会でお取り上げいただくことが最も節を通したことであると思いますが、幸いに予算委員会で発言があり、やや社会的、政治的問題になりましたので、この機会に実は、坂田文部大臣もたいへんにスポーツの愛好家であって、水泳などについては非常な知識を持っておられまするけれども、私の目から見まして、さようにスポーツの表裏に通暁しておられるわけではない。ことに過去一年間は大学紛争の大問題に没頭されて、深く敬意を表しつつ、きょうはむしろこれを取り上げた私どもの考え方を多少明らかにしておく必要がある。  方針演説を最初に申し上げて、そして球界のオーナーの中には相当な経済的実力者もあるわけでありますが、これらは今日のこの問題に対する国民的支持を肯定はいたしておりまするけれども、中にはいろいろな関係があって、間違った観測をする者もある。そこでわれわれの意思を明らかにしつつ、起こされておる問題の提起を、文部省にこういうものもあるということを申し上げて御参考に供したいと思っております。もちろん御答弁も承りたいことはあります。  われわれがこの問題を取り上げたのは、プロ野球というものが、健全娯楽として国民に魅力を与えておる点では、集団的にはいまは最高だと私は思っておるのです。健全娯楽ということでは、いろんな芸能あるいはプロボクシングあるいはその他のプロスポーツもあるわけですが、それらよりもはるかに深く、広く視聴率を持ち、新聞、雑誌等の与える影響も重大であって、たとえば長島選手のごときは、佐藤総理大臣の名前とどのくらいどっちが有名であるかはわからぬけれども、他の閣僚の名前などは知らなくても、長島、王は知っておることは皆さん御案内のとおりであります。したがって、野球賭博というものが公然と行なわれて、しかも捜査さえしにくいということになれば、青少年に与える影響はきわめて甚大であって、黙過できないということが第一の点である。文教政策上も黙過できない。  第二は、文部省はいままでアマチュア野球ばかり主点に取り扱っておって、コミッショナー事務局などというものに対してはここ七、八年接触がなかったんじゃないか。この間スポーツ議員連盟が行った。翌日三月四日に井原事務局長が呼ばれて文部省のスポーツ課に説明に行ったということでありますけれども、もとよりスポーツ行政はそう権力的にこれに介入してはならぬ。ことに野球の場合は自分らの力だけでやっておるので、問題が起こらなければ、これは介入すべきものではございません。これはわれわれも同じ見解でありますけれども、社会的に問題になれば、責任は何ぴとにあるか。それは行政者よりもむしろ国会がこれを取り上げなければならぬ。国会の責任でもあるので、私は進んでこの問題の提起者になったということを明らかにしておきます。  第三の点は、この結果どういうことが起こりましても、私はプロ野球というものを相当長期にわたって、あるいは永久的に発展をさしていかなければならぬという意味で、この心棒になるものはコミッツショナーというものです。このコミッショナーがまるで球団からなめられるようなことであり、一般からも権威のないもの、宮沢俊義先生のようなりっぱな憲法学者を擁しておりながら、なおかつ権威がないということであれば、重大問題である。機構を整備したい。これが第三点であります。  第四の点は、一体野球には八百長があるのか。私は八百長はなかなか九人でできるものではないといままで思っておったのですが、なかなか抜け穴がある。それはやはり接戦をしてきてピッチャーが棒だまを出す。これは中学校高等学校の野球なら打者はなかなかそう棒だまを出したって打てやせぬが、プロ野球の選手は、へぼでも棒だまを出せばホームランを打つ余力があるわけであります。そういうものが現にあって、いま八百長の問題に関連をしてうわさが出ておるのはみなピッチャーです。いまある有力な選手がその疑惑の対象になっておるということでありますが、八百長というものがあればどういうことになるかといえば、観客が非常な損をするわけである。あれは、野球協約その他を見ていくと、選手個人個人が事業経営者的な性格を帯びておるので、中谷君などの考え方によると、もし八百長したといえばその選手の背任行為的なものが行なわれたということで、刑罰の対象にもなり得る、こういう解釈もあるのでありますから、この疑惑を一掃したいということが第四の点である。  第五の点は、国民の魅力であるプロ野球というものは、プロレスリングとかあるいは近ごろはやりのキックボクシングとか、ああいうショー的な要素の非常に強いものとはまた違って、ショー的要素はあっても、あくまでも職業競技人としてのきびしい鍛練を経たものであるという意味で、長島君、王君等が子供のアイドルになっておる。この傾向は伸ばさなければならぬ。これがわれわれの問題を提起した第五点で、きわめて明白にしておきたいと思うのであります。  後刻何かの問題になったときに、会長は方針がないのではないかと言われたのではまことに恐縮なので、そういう意味でこの場をおかりしたわけです。これに対する文部大臣の御見解を承りたい。
  337. 坂田道太

    坂田国務大臣 きわめてスポーツにたんのうであり、かつプロフェッショナル・スポーツに対しても造詣の深い川崎さんの、何カ条かにわたる御高説は、きわめて識見の高いものと拝聴いたした次第でございます。
  338. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 そこで、きょうの場面は、私はむしろスポーツの環境とかあるいは具体的な事実の羅列によって問題を提起しておきたいと思うのです。こういうことが起こってくるのは、一つは私は野球場の隣接環境の問題もあると思う。これは文部省として非常に関心を持たなければならぬ。たとえば、大阪の南海の球場、あるいは後楽園もそうです。それから西宮球場、こういう競技場はすべて隣に競輪場というものが付設をしており、あるいは競輪場と併設をしておる。そこで間間観客の中には競輪ファンであって、しかも野球ファン――日本における観客の素質、観客の品位というものから見ると、悪いほうのことはあまり申し上げませんが、ラグビーだとかあるいは陸上競技であるとか、水上競技、サッカーまでは観客の品位も非常に高いようであります。これがやはり競輪になると、公然たるギャンブルである。そこには投機で利殖を夢見て集まる、競技そのものよりも、かけそのものに興味を持っておる群集が相当にあるので問題が起こっている。そういうものと競技場、野球場が隣接をしておるというものは将来何とか解決をして、野球場を静ひつな場所に移す、あるいはそういうものの環境を整備するということは文部省としても重大な関心を持つべきものだと思うんですが、そういう純スポーツの観点からいかがにお考えになっているか承りた
  339. 木田宏

    ○木田政府委員 いま川崎委員が御指摘になりましたように、プロ野球のごとく非常にたくさんの観客と、愛好者というものの関心の的になっておりますものは、またその観衆の球場に出入りする便宜も考えなければならないだろうと思います。御指摘になりました後楽園にいたしましても、南海にいたしましても、一番交通の便利な、古くから人の集まりやすいところにできておるわけで、おのずから競輪その他いろいろなものがそこに集まってきて一つの雰囲気ができておるかと思いますけれども、だからといって直ちに野球場だけをほかの地域に持っていくことがいいかという点につきましては、私はやはりもっと別の角度から問題を考えて、正すべきものは正すというふうに考えていったほうがよろしいのではないかと考えます。
  340. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 いまのお話は言いのがれの答弁であります。私は何も野球場を移せとは言ってはいない。あべこべに東京都は競輪をやめるという。もとよりそれに代替していろいろな代替案が出ておることも私は承知をしておりますけれども、やはりいま競輪場と野球場が隣接をしておるということはいいことだと思いますか。これは観客は同じようになるのです。
  341. 坂田道太

    坂田国務大臣 この問題は、やっぱり川崎さんがおっしゃるように、でき得べくんばそうじゃないほうがいいと思いますね。
  342. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 大臣のほうがはるかに常識的な、また方向づけをしておられる。あなたうまいことを言ったってだめだよ。まあそのくらいでやめましょう。  そこで、次はいろいろな風聞がありまして、この間荒木公安委員長は実に明快に、実は相当あるんだ、あるけれども捜査をしてもなかなかつかまらぬ、こういうことです。十七日の公聴会では、そのことについては事情を知っておる評論家あるいは球団関係者からも話が出ると思う。名前まで出すのはどうかと思うんですが、きょうここで、われわれは憲法第五十一条によって院内の言論を保障されておる、ことに委員会、本会議における、というので、名前まで出してもいいと思うが、少々まだ早いと思う。具体的実例を少し言いましょう。たとえば高校野球とそれからプロ野球のかけなどというものは全然関係がないものだと私は思っておった。するとそうでもない。関西方面では高校野球にもかけをしておる。ところがこの高校野球のかけというものは、大体において選手は関係しておらぬです。もっとも中には将来プロ野球に入れようと思うと、暴力団のある者は、何々高校の有力選手についてふだんから違う意味で金を与えているのはこの間中谷君が言うた。三千円ぐらいでいろいろな誘惑をして、あるいは喫茶店へ連れていくというようなことでありますから、必ずしも高校選手も関係ないとは言わないが、一昨年習志野高校というものが勝ったことがある。そうすると高校がどこが勝つかということについて相当なかけをした。その胴元は、他にも四つ五つ優勝候補があって、習志野高校なんというものが勝つというのはだれも当てた者がないから、したがって胴元がどえらい損をしたそうです。そこでその損金を何とかしてほかのプロ野球の試合で返さなければならぬというので、最も有名なカード、まだ名前はあげない、それにかけをした。その一チームは当時非常な首位に立っておって、八つか九つの貯金――あれらの仲間では貯金と言っているが、貯金があった。ところが相手チームとの八連戦のうちに七連敗した。この七連敗をしたうちの、その首位チームのピッチャーがくさいというのが今日非常な問題になっておるのです。こういうことを言う者がある。あるいはおととしの九月に、碑文谷署で野球賭博の開催中をつかまえた事件がある。これは十一人の野球賭博者、暴力団の一味が逮捕され検挙されたわけでありますが、この事件にある球団の選手、しかも最も有名な球団です、それから続いては在京球団、この二チームが築地署と碑文谷署に十七名呼ばれておるということの情報をある評論家が言っておる。そこでわれわれがこれをいろいろ調べてみても、警察当局は、これは前半は事実でございます、野球賭博者がつかまったことは事実でありますが、選手は関係ない、こういうことです。が、もう一度やる。あるいは非常な信憑性のある話によれば、本年からはびしびし検挙するが、いままでのは参考人としてであったから見のがしておこうというのがどうやら真相のようだ。こういう案件が、そうですね、私どもの耳に入っておるだけでも二十から三十、三十をこす程度あるかとも思う。ですから荒木さんのああいう発言が出てきておる。捜査がしにくいだけであってかなりある。もっとも少し大げさに伝えられておる点もあるというのですが、こういう問題についていずれ公聴会の席上秘密会にすれば明らかになってくるだろうと私は思っておるのですが、こういう問題があって、ことに先般中谷君がここで提起をされた、すなわち選手の引き抜きなどにあたって父兄などにわいろにひとしい金が渡る、こういうものを文部省が見のがす、文部省がこの空気を全然知らぬということになりますると、非常に大きな社会問題をロストしたということになるわけであります。私はそういう点で、この問題はただ文部大臣の感想だけを承っておけばよろしいので、決してこの席上で深く追及はいたしませんが、こういうことだけは一掃して明るいシーズンを迎えなければならぬのじゃないか。私がいま言っておることも永易事件に続いて氷山の二角、三角である、こういうことであります。どういうふうに思われますか。
  343. 坂田道太

    坂田国務大臣 いやしくも、プロでありましてもやはりスポーツ精神に徹していただかなければ、社会に与える影響、ことに青少年に与える影響は大きいと思うのでございまして、そのようないまわしいような暴力団あるいは賭博がこれに関連して、そして試合を人工的にくつがえすというようなことは許さるべきことではないというふうに思いますし、スポーツをやるという場合においては、そういうことこそきれいにやらなければいかぬのじゃないかというふうに思います。やはりそれには国民の世論をかきたてて、自粛自戒をさせるということが必要かと思うのであります。この問題が国会に取り上げられまして、私きのうかなにかの新聞を読みますと、すでにある球団におきましては、どの程度であるかはまだ詳しくは承知はいたしておりませんけれども、選手団がそういうような暴力団とつき合うことを厳禁するとかなんとかいうようなことを出されておることは、やはり一歩前進したのじゃないかというふうに思います。その意味におきまして、私たちもこれから十分注意をし、そして慎重に取り扱っていきたいというふうに考えております。
  344. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 きょうはそういう基本的な感想を伺っただけでもけっこうであります。いろいろ問題がありますので、もう一つ、二つ基本的な問題として文相の意見を聞いておきたいと思うのです。  一つは、プロ野球というものが人気の絶頂である、またこれから先も伸びるであろう。けれども、私は、アメリカの大リーグは数十年の歴史を持ち、そして技術も――日本はだんだん接近はしておるけれども、必ずしもこれを凌駕するというところまでには至ってないように思う。正力さんは、将来日米野球というものをやって、世界一を争うという気宇きわめて広大な御意見を持っておられ、その実現を見ないままになくなられたばかりでございますけれども、私は、その意気はそうであっても、長島君たりといえども、大リーグのナンバーワンあるいは主力とは相当の径庭があるように思うのです。もっともこまかい技術になれば、すばらしい才能を持っておられますから、これは批評の限りではございませんが、しかし、この伸びている野球の中に、年俸が四千万円――人の年俸をうらやむ必要はありません、何ぼでもけっこうです、ことに自由主義経済の中ですから。世界一の給料とか世界二であるとか、それは問題ない。しかし、その反面三万五千円の選手もいるそうですね。三万七、八千円から四万円が大学卒業の一流会社のあれでしょうが、同じような程度で、そういう者が同じところで合宿したり、同じグラウンド――巨人軍などは二軍というものがあって、各球団もそうですが、こういう者が一緒にゲームをしておる。そういうところに問題がありはしないか。それは球団がかってにやっていることですから、これを押えるわけにいかぬが、できれば退職金あるいは将来野球生活を終えた後の保障というもののほうヘセーブをするような方向ヘコミッショナーが導くということに対して文部省が助言を与えてしかるべきだ。たとえば選手の健康管理の問題もあるし、選手の社会保障の問題もあるし、こういうことのほうが望ましい。こんなに大きな落差がある。それからまた、俸給が野球の契約更改にあたってダウンする選手もあるのです。技量が落ちたのですから、ダウンすることはあたりまえだけれども、あれは二五%がダウンの最高です。しかし、二〇%落ちたら、いままで百万円もらったやつは八十万円、八百万円もらっておったやつが六百万円になれば、家庭生活というものも非常に圧縮されざるを得ない。いろいろうわさの出ておる選手がずいぶんあるのです。それはみんな月給がダウンしておる。これはどこかから補充しなければいかぬということであせるのです。トレード要員などというものを調べてみると、まあその半分――全部とはいわぬが、かなりの者はくさい選手。そういうところに問題があると思う。これは球界内部の自粛にもまつとともに、方向としてコミッショナーがそういうような導き方をしなければならぬ。ところが、いかんせん、いまコミッショナーは宮沢さんと金子さんともう一人の三人で、聞いてみると、年間二百万円ぐらいしか出ておらぬ。もっとも宮沢さんには自動車が出ているので、これを勘定すると相当な金にはなるかもしれぬと思うのですが。ところが、アメリカのコミッショナーが権威を持っておるのは、年間四千万円以上だそうです。ですから、選手からばかにされない。もっとも宮沢さんをばかにする選手はないでしょうけれども、何かアマチュアの体育協会の役員と同じような感じで扱っておるとすれば、これは違うのであって、プロ野球のコミッショナー並びに機構を整備してそれらをうまく指導させることがこれから先は必要ではないか、こういういろいろな問題点について文部大臣の御意見を承りたいと思います。
  345. 木田宏

    ○木田政府委員 いま御指摘になりましたいろいろの問題は、やはりプロ野球そのものを将来に向かって盛んにするために、プロ野球の関係者自体が考えておかなければみずからの墓穴を掘ることになる大きな課題だというふうに考えます。コミッショナーの権威にいたしましても、あるいは選手の処遇の問題にいたしましても、プロ野球界全体の課題として、プロ野球界自体でまず基本的に正していく。いまございます協約の中にも、守るべき協約はみずから守る、部外者からいろいろな問題が起こってきて秩序が保てないときに関係官庁その他の協力を仰ぐということを、みずからおきめになっていらっしゃるわけでございますけれども、そういう基本姿勢でもって、プロ野球界の一番基本の問題を、こういう機会に御指摘いただきましたようなことを、関係者がほんとうに考え直してくれるということが大事なことだというふうに思います。私どももまたそういう観点で、プロ野球の関係者からいろいろな助言、協力を求められますならば、十分に相談に乗りたい、このように考えます。
  346. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 最後に一問だけやりまして、時間内に終わります。  これは全然問題が違いますけれども、文部大臣非常に御努力をいただいております青少年の国際交流については、本年、文部省予算も非常に御協力をいただいて、そして先日、珍しいことには佐藤総理大臣は――われわれの関係していることで佐藤総理大臣からほめてもらったのは初めてですが、非常に妙なことでございました。あれをだんだん積み上げていきたいけれども、文部省におかれまして、四十六年度予算ではもっと大幅な予算を与えてもらって、でき得るならば千人ぐらいの優秀な青少年を――自己負担を大体十万円台にしないと、優秀な中産階級の子弟は集まらぬわけです。それ以上になれば、どうしてもブルジョア的なものになりますから、そういうような意味での御協力を得たいと私は思うのです。財政当局はこのことについて非常に深い御理解をいただいておる。どうか、文部省の原案が出るときに十分に御協力をいただきたいことを要望しまして、その点、たいへん御理解をいただいておることに感謝しつつ、御答弁を賜われば恐縮でございます。
  347. 坂田道太

    坂田国務大臣 この点は、かねがね川崎さんが非常な実践活動を通じて御協力を賜わっておるわけでございまして、私どもといたしましてもやはりこれから先は世界の中の日本として、単に経済成長だけが日本でなくて、教育、文化、芸術、そしてスポーツあるいはいろんな面におきまして世界の人々からほんとうに尊敬されるような国にならなければならぬと思います。それにつきましては、次代を背負うところの青少年が国際的視野を持ちましてそして交流をするということは、この一九七〇年代の初めにおきまして非常に私は意義あることであると思いますし、今後大いにこの面につきましても予算的措置について努力をしてまいりたいと思いますが、どうかひとつ川崎さんも、なお一そう御協力賜わりますようにお願いを申し上げ、感謝を申し上げる次第でございます。
  348. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 じゃ、終わります。
  349. 登坂重次郎

    ○登坂主査代理 鬼木勝利君。
  350. 鬼木勝利

    鬼木分科員 今晩私がしんがりでございまして、大臣もたいへんお疲れと思いますけれども、しばらくごしんぼう、おつき合いを願いたいと思います。  私は、これはもうずっと以前からどなたからもお話があっておることと思いますけれども産炭地におきましての教職員の定数の改善でございますが、これは産炭地域振興臨時措置法という過疎地域における特別の措置が行なわれておるのでございまして、先般お話を聞くところによりますと、前年度の生徒が急に激減しても九八%の定員は確保しておるはずだ、まあこういうようなお話でございます。文部省のお考えはそうであるかもしれませんけれども、地方教育委員会におきましては、この法十五条一号に基づく定員の加配の算定基準は一学級四十五名ということになっておりますので、地方教育委員会としては四十五名を算定基準にしている。文部省のほうでは現に臨時措置法もあるし、産炭地においては二十名、三十名の学級があるではないか、こういうような御説明でございますけれども、県の教育委員会が教職員の配置という点に至りますと四十五名、そういうところに実際の現地の教育文部省指導方針というのが――それは地方教育委員会に全部まかせておるというようなお話でございますけれども、そういう点の現地の要求、叫びと文部省指導方針というような点について御説明を願いたいと思います。
  351. 宮地茂

    ○宮地政府委員 お答えいたします。  昨年、昭和四十四年に学校教員の定数あるいは学級編制の標準、これに関しまする法律改正をいたしまして、四十四年から今後五カ年計画をもちまして教員定数の充実をはかることにいたしました。その場合、お尋ねのように九八・五と申しますのは、非常に県全体として過疎になり児童生徒数が激減してくる、そういう場合も前年度の教員数の九八・五%以上に減らすことはしないという歩どまりとしての比率をそのようにきめた次第でございます。  それから四十五人と申しますのは、一学級四十五人と計算して教員の定数を文部省としては算定します。ただし過疎地域におきましては、現在は小学校でございますと、一年から六年までを一つのクラスにしたようなものから、二個学年を一緒にした複式までいろいろございます。そこで、今回の改正におきましては、たとえば小学校では単級、一年から六年まで一緒にするとか、その他四個学年、五個学年、こういう複式学級はやめていく、それから小学校の三個学年複式学級の場合ではクラス編制が二十五人ということになっておりましたが、十五人を標準とするといったようなことで教員の算定をすることにいたしております。したがいまして、そういったような積算で県に、たとえば福岡県なら福岡県の教員の総定数を文部省としては算定してそれを県に渡します。そのほか特に産炭地あるいは同和地域等のような教育困難地域につきましては、いまの学級編制等のほかに一定の教員数を加配いたしております。したがいましてそのワク内で県といたしましては、それをどのように使うかは各県の実情に即したように教員の配置をしていただく、こういう仕組みになっておる次第でございます。
  352. 鬼木勝利

    鬼木分科員 仕組みはそうなっておるのであっても、それは私も先ほど申しましたように、九八・五%確保しておるとおっしゃっておる、仕組みはそうなっておりますけれども、実際地方教育委員会としますというと、四十五名ということに縛られるものですから、したがってこの産炭地なんかにはずっとしわ寄せがきておる。たとえて申しますならば、かりに百名おった、そうしますと四十五名でございますのでこれは三学級、ところが激減いたしまして八十二名あるいは三名、四名となった、そうすると四十五名ということになりますというとこれは二学級に減る。ところが四十名というようなそこに幅を持ってもらえば、これが三学級になる。そういうところの現地の混乱が、実際そういう場合が非常に多いんですね。だからあなた方のほうのおっしゃっているところは、福岡県の生徒数なら生徒数をプールして全部に対して教職員を配置する。そうすると県教育委員会のほうとしては四十五名を単位としてやる。でございますから私の申し上げておるのは、皆さん方が机上において、こういう仕組みになっておる、だからこうやるんだと、まことにごもっともでございますけれども、実情に合った――じゃ申し上げますけれども文部大臣でもあなた方でも実際に産炭地の学校をつぶさに御視察いただいたか、こういうふうに申し上げたいんですよね。いや、責めているんじゃありませんけれども、実情に合ったことをやっていただかなければ困るということを私は訴えておるわけなんです。その点ひとつ文部大臣……。
  353. 坂田道太

    坂田国務大臣 実は私、文教委員としまして一ぺん福岡の産炭地域視察をいたしたことがございます。そしていろいろ事情を聞いたわけでございますが、その一つの大きい原因の中に、ある地域においては多少余裕がある、ところがその福岡のある地域においては非常に足りない。なぜそういうようなことになるのか。もう少しプールしたものが県の教育委員会の指導のような形において行けば、わりあいにそのアンバランスが解消して、先生のおっしゃるようなこともある程度可能性が出てくるのじゃないかというのでございますけれども、その異動をいたしますにつきまして、本人の承諾ということが前提になりますと、なかなかいろいろな事情で行かないという事態も実は福岡県の場合にはかなりございまして、そういうようなことから、われわれの中央で算定いたしましたものと実際の場合とにおきまして、過渡的に、経過的にかなりアンバランスがあるということは事実と私は承知をいたしておるわけでございます。
  354. 鬼木勝利

    鬼木分科員 大臣が私の言うことをわかっていただきまして――私もわかっていただければありがたいのですがね。  御承知のとおり、先般も通産大臣が、炭鉱はなだれ現象のようなことじゃないというようなことを言われましたけれども、まさに、いま炭鉱はなだれ閉山で、閉山に次ぐ閉山で、人口は年々激減しております。御承知のとおりです。そこで、その影響を受けて、教育も非常に不自由、窮屈になって、混乱を来たしております。いま文部大臣のおっしゃるとおり、理論と現実は全く相反したところがあるわけなんですよ。そういう特殊的なところについては、ただ単に地方教育委員会にまかしておるということでなくして、文部省指導助言をしていただきたい。もっと強力に援助していただきたい。こういうことが、私の、まず職員の定員問題、学級編制の問題に対する根本趣旨でございますから、その点においてひとつこれからよくお考えいただければ――時間があればもっと突っ込んで私一々例をあげて詳しく申し上げたいのでございますけれども、どうも三十分という制限をされて、時間ばかり見て話をしなければならぬというのでは、はなはだどうも……。  次にお尋ねをしたいのは、養護教員の増員についてでございますが、これは御案内のとおり、学校教育法第二十八条に載っております。これは、養護教諭と事務職員は置かなければならない、こう二十八条には載っております。特別の事情のあるときには事務職員を置かないことができる。ところが、法というものは、なかなかおもしろいものでございまして、逃げ道がまたつくってある。百三条には、「小学校及び中学校には、第二十八条の規定にかかわらず、当分の間、養護教諭は、これを置かないことができる。」置かないことができるのであって、置くことが本体です。それは学校教育法の二十八条は、置くことが基本であって、置かないことができるというのは逃げ道であって、これは法の趣旨ではない。専門家の皆さんもうよくおわかりと思う。なお、また、小学校の場合には、第八条に、八百五十名以上の学校へ置くのだ。こういうふうに、法はなかなかおもしろくできておるのですね。次から次に逃げ道がつくってある。そうすると、文部省の――大臣はそんなお考えはないだろう、教育には非常に御熱心でございますけれども。前進することはやめて、ただ逃げることのみ考えるというような教育行政では、日本の教育は、しかも非常に疲弊した産炭地の教育をいかにお考えであるか、その点を文部大臣にお尋ねいたしたい。
  355. 坂田道太

    坂田国務大臣 これも実はわれわれ自身といたしましては前向きに考えておるわけでございますが、しかし、この養護教諭を全部に置くということを、当初この法律が書かれましたときにやります場合には、やはりその養護教諭の養成というものを一面において考えないと、いかに法律をつくりましても、今度はその養成が間に合わない。また、そうお答をいたしますと、いや、その養成を最初から考えたらどうだ、こういうことかと思うのでございます。しかしながら、事実上そういうことでございまして、われわれも前向きには考えておりますけれども、しかし、一応法律が出て、そしてあまりにもその実態がそれにそぐわないというようなことがあっては、法そのものに権威がなくなってしまう。でございますから、本則と、それからそのただし書きみたいな形において当分の間ということになったかと思います。しかし、当分の間というふうになったからといって、それでは前向きでないのかとおっしゃいますと、そうではなくて、われわれはやはりこれにつきまして、今回第三次五カ年計画におきましては、いま八百五十人とおっしゃいましたけれども、それは前は千人であったわけでございます。それを八百五十人。それから、中学校にございましては、千二百人でありましたものを、千五十人ということで、あんまり、何か申し上げるほどのことでもないのでございますけれども、ささやかながら努力はいたしておるということをひとつお考えをいただきたい。  さらにまた、この養護活動の必要性が大きいと考えられます無医村でございます、お医者さんもいないというところには、むしろ養護教員が配置できるよう、定数上の措置をいたしておりますし、また僻地地域の養護教員の配置を促進するために、僻地学校の数を勘案いたしまして養護教員の数の加算が行なわれるようにするということで、まあ少しばかりの前向きは出しておるつもりでございます。  また、今後とも、私どもといたしましては、当分の間ということでなくて、全校に設置できるような方向へたゆみなき努力を続けなければならないというふうに考えております。同時に、この養成計画も進めてまいりたい、かように考えております。
  356. 鬼木勝利

    鬼木分科員 大臣の御説明、大体わかりましたが、歴代の大臣はおおむねそういうことをお答えになるのでございますが、児童生徒の健康管理ということは、これは学校教育で最も大事な部分でございまして、これが根本でございますから、心身ともに健全なる児童を育成する。ことに私が申し上げておりますのは、教育一般論もさることながら、産炭地の教育ということは、今日これはたいへんなことになっておるわけなんで、閉山に次ぐ閉山で、親もないあるいは住むに家もない、学校に登校するにしても朝の御飯も食べていかない、そして結局は不良化するあるいは長期欠席をやる。まことに、山の閉山ということは、企業ぐるみ、地域ぐるみの閉山でありまして、まさに悲惨の極なんです。でございますから、いまの大臣のお考えはよくわかりますけれども、少なくともこの産炭地においては、特別の処置をもって、生徒の健康管理というような点から、養護教諭は、いまおっしゃるように、大臣もお認めのように、少しずつ、わずかずつでなくして、なるべく勇気をふるって、教育に特に熱心な大臣でございますので、坂田大臣にそういう点において各段の御努力を願いたい、こういうことを要望いたします。  時間がございませんので、いろいろお聞きしたいのですが、結局これと関連いたしますが、全国九十二校の小中学校に米食利用の実験研究学校を指定されて、二億五百万円ですかの予算を計上しておる。こういうお話を承っておるのでございますが、これとても産炭地の給食ということにもう少し力を注いでいただきたい。ことに今度そういうテストをなさるということにつきましては、これはパンが米にかわるのでございますから、パンでございましたならば生徒が当番で配ってもいいわけですけれども、米ということになると一堂に会して、食堂でこれを食べなければならぬ。そうすると、結局施設の改善もしなければならぬ、あるいは食堂も改築しなければならぬ、増築しなければならぬ、新築しなければならぬ、栄養士も入れなければならぬ、カロリーの点も十分考えなければならぬ、いろいろな点から、そういうことで二億五百万円の経費も組んであると思うのですが、えてして地方に対して、あるいは父兄に対して超過負担というようなことが考えられる。そういうことのないように、二分の一の補助は、実際これを引き受けた場合には超過負担を見込まなければならぬ。結局給食費を値上げしなければならぬということは、私はもってのほかだと思う。そういう点はひとつ厳重にやってもらいたい。私どもとしましては、給食は食べさせるということでなくて、学校教育の一環作業でありまして、教育でございますから、むしろ義務教育における学校教育は無償にすべきだ、こういう考えを持っておるのです。  ところが産炭地におきますところの給食の状態を見ますと、小学校においては九八%大体やっておるというようなお話をこの間承った。中学校では九〇%だ。しかも完全給食でない。ミルクだけだ。そういう不徹底なことで給食教育というものが学校教育だ、これは教育の一環である、教育作業だというお考えがあるのか。九八%あるいは九〇%やっておるからと言うが、とんでもない、一〇〇%やってもらわないと、私どもは何のための給食教育であるか。そういう点が非常に不徹底ですね。そういう点においてひとつ御答弁を願いたい。
  357. 木田宏

    ○木田政府委員 学校給食は、いま鬼木委員御指摘のように、私は子供を育てるということの一番基本にある課題だと思っております。育てるということが教育の基礎でもございますから、学校が発育盛りの子供を育てるという気持ちで給食をやっていきたい、このように考えております。  いろいろ御指摘がございましたのですが、産炭地の給食につきまして、その普及率は全国の平均と決して劣らない程度の普及率を示しておりますし、その普及度の向上につきまして、たとえば四十三年度と四十四年度を比較いたしますと、小学校全体でも六百校完全給食の実施校がふえるという状況でございますから、当初の私どもの見込みからいたしましてまだ不十分な点はございますけれども、各県、市町村の努力によりまして、相当程度のスピードで学校給食の完全実施の普及度が高まっていっているというふうに考えております。  先般、保健体育審議会で、学校給食の今後数年にわたります長期の見通しで、おそくも五カ年程度の間に全部の学校でできるだけ早く学校給食が行なわれるようにという御答申をちょうだいいたしまして、その線に沿って私どもも今後努力をいたしたいと思います。  なお、産炭地につきまして準要保護児童生徒の給食費の補助でございますとか、あるいは施設、設備の補助につきまして、特別のかさ上げ、高率の補助を行なっておりますことはすでに御存じのとおりと思います。  なお、米の問題につきまして御指摘がございましたが、今回二億四百七十万円ほどの経費でもって学校給食における米利用の実験研究を行なうことにいたしました。これは米の導入を全般的に進めるということではなくて、むしろ米を導入いたしますにつきましては、いま御指摘がございましたように、取り扱いの問題、あるいは食費の問題、人件費の問題、施設の問題、いろいろとございますので、各県小中学校では二校ずつ実験校をつくりまして、そうしてその実験校に対しましては、食堂施設の整備あるいは炊飯施設の整備等に必要な金額を二分の一補助いたします。また、栄養職員の設置につきましても補助いたしまして、一両年の間慎重な実験を続けた上で、全国的な普及にどのような措置をとるべきかということはあらためて検討したいというふうに考えておる次第でございます。
  358. 鬼木勝利

    鬼木分科員 大体給食教育に対しての御説明はよくわかりましたけれども、私どもが不満に思っておりますのは、いまあなたがおっしゃったように、保健体育審議会も本年二月ですか答申をいたしておる。完全給食の実施をやるべきである。それからコールドチェーン、これの設備をやるように、並びに総合給食センターをつくるようにというような答申があっておるはずです。ところが聞くところによると、コールドチェーンというのは毎年一県ずつおつくりになった、栃木県と茨城県と宮崎県。これは冗談じゃありませんよ。一年に一県ずつつくっていくということになると四十六年かかるじゃありませんか。これはあいた口がふさがらない。そうして給食教育には十分意を用いております、これでは全然話が違うですね。それで来年度の予算には三県組んでおる。まだ一県はわからない。しかもその予算がいまから三年も四年も五年も前には六百万でできた。本年も六百万で、その二分の一の三百万。それでは四年前の六百万と今日の六百万とどういうところであなた方御計算なさっておるのやら。佐藤内閣は物価を上げるということが専門の内閣である。それにあなた方佐藤内閣の大臣じゃありませんか。佐藤内閣のもとの文部省の役人さんじゃありませんか。おかしいじゃないですか。社会情勢、経済状態というようなことは無視してあなた方はおやりになるのですか。これでは教育行政というものは時代におくれていきますよ。そして給食に対しては十分意を用いているとおっしゃったことと実際がわれわれどうしても納得がいかないのですよ。給食総合センターなんというのも、本年二月に保健体育審議会が答申した。だからようやくこれによって何とかしなければなるまい。四十五年度の予算には全然これは入れておりません。答申があろうがなかろうが、学校教育の給食ということはもう歴史も長いんですよ。終戦後です。私も学校教育は三十年の経験を持っております。学校経営をした責任者としての体験も十年持っておる。だがあなた方の机上の空論と私どもの実際現場でやったものとは話が違うんじゃないですか。これは文句を言って責めておるのじゃありませんけれども、あまりことばの先でただいいかげんなことをあなた方がおっしゃっても、国民は承知しませんよ。みな聞いております。大衆には声があります。いかがですかね。――文部大臣にお尋ねいたします。わざわざ文部大臣にしばらくごしんぼうをお願いしたい、おつき合いを願いたいと私は最初御懇願を申し上げておる。
  359. 登坂重次郎

    ○登坂主査代理 鬼木君、時間が参りましたから結論を急いでください。  文部大臣
  360. 坂田道太

    坂田国務大臣 学校給食は、ただいま体育局長からも御答弁を申し上げたわけでございます。やはり給食の普及ということは私たち誠意を持って努力をしておるところでございます。その意味において、しかしこれから先どういうふうに進めていくかということにつきまして、やはり保健体育審議会の答申をわずらわしたわけでございますが、その結果としていま御指摘のような給食センターとかあるいはコールドチェーンの設置というものが要望され、われわれ自身もそういうものがあることが望ましいというふうに考えたわけでございますけれども、これとてもやはり最初の段階におきまして全県にというわけにもまいらぬわけでございまして、こういうやり方を実際にやってみて、きわめてこれが有効であるというようなことがある程度見きわめがつきましたならばさらにスピードアップいたしまして、一年に一つというようなことでなくて、一年に三カ所あるいは一年に五カ所というようなことに持っていきたいというような考え方でおるわけでございまして、これだけをもちましてもう全然熱意がないのたというふうにお考えいただくのは少し過酷ではなかろうかというふうに思うわけでございます。やはりこういうような制度を定着させますには相当な検討と、それから実際的にこれを運用してみてどういうようなプラスがありマイナスがあり、あるいはどういうふうにやったほうが住民に対しまして一番望ましいかということもいろいろ総合的に考えて進めていかなければいけないというふうに私は考えるわけでございます。
  361. 鬼木勝利

    鬼木分科員 なおいろいろ掘り下げて私まだお尋ねしたい件が数件ございますけれども、遺憾ながら時間になりましたので、いずれまた後日いろいろ文部大臣の御高見を拝聴いたしたいと思いますので、きょうはこれで一応私の質問を終わります。たいへんありがとうございました。
  362. 登坂重次郎

    ○登坂主査代理 これにて昭和四十五年度一般会計予算及び昭和四十五年度特別会計予算中、文部省所管に関する質疑は終了いたしました。  明十三日は、午前十時より開会し、国会所管予算を議題とし、質疑を行ないます。  本日は、これにて散会いたします。     午後七時五十五分散会