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足立委員 何ぶんどうも時間が足りないものですから論じ尽くせませんが、私は、きのう実は
吉野公使の、
アメリカにおける事情な
どもいろいろ伺いましたが、もう話の大部分は、
アメリカ側の動きがきわめて激しい。ことに国会方面ではもう是が非でも立法せよという気がまえだ、議員のうち三百人くらいがこれに賛成しているというような話ばかり聞きまして、まあ
吉野公使は非常にまじめな人柄だから、ほんとうのことをおっしゃったには違いないと思うが、聞いている私
どもの
立場から申し上げますと、何かいかにもどうかつを受けているような感じを受けたわけです。それも三百人といっても、私は
繊維関係プロパーの議員ではないと思うので、いまいろいろ伝えられているその他の
品目、
日本からの輸入を何とか押えようと
考えておる
業界は数多くありますから、それらの人々が
繊維で突破口をあけて、何とか
日本からの輸入を
規制しようという腹がまえがあって、この
繊維の議員団に便乗して加わって三百人になったのではないかという疑いはありますが、どうも
日本に対するこうしたやり方は、この問加藤清二君はオキュパイド・ジャパンということばを使いましたが、私
どもそういうことばはどうも使いたくありませんが、とにかく
日本くみしやすしと見て、多国間で
協定すべきものを
日本を目のかたきにして、こうした攻勢に出てくる。まあ私の個人の気持ち――これは自民党という
立場では申し上げられませんが、個人の気持ちを率直に申し上げれば、どうも
アメリカは白い手袋をはめてタキシードを着て商売をやる。しかし内面は、ときにはむちをふるって強引な商売もやる、こういうふうな印象が押え切れないわけです。もし
アメリカがほんとうに
インジュリーを受けてどうにもならないというのならば、あえてガットの制裁を覚悟の上で立法をすべきじゃないかというふうにも私は思います。まあこれは、いま
外務大臣は、そういうことになればたいへんだ、日米間の友好
関係がくずれるとおっしゃいますが、
日本だって法律によって百何
品目の
規制をやっているのですから、
アメリカ側だって、世界一の大国とはいいながら、ほんとうに困ったというのなら、あっさり筋の通った立法をやってこの問題を片づけたらいいじゃないかというふうに、私個人としてはそういう感じを持ちます。かえってこういう
関係で日米間がごたごたしまして、
アメリカの圧力に屈して、ついに
LTAの愚を繰り返して、轍を踏んで、またここに毛や
化合繊で
規制を受けるというと、
日本人の気持ちというものは、あとに残るしこりは屈辱感ですね。これは将来の日米間の友好にかえってじゃまになると私は思う。あっさり
アメリカが立法すれば、これは非難はするでしょうが、
アメリカがもう背に腹はかえられずにやったのだ、
日本だってやっているじゃないかということで、これはかえってあっさりすると思う。
アメリカはそれは自由貿易主義を唱えてきた
立場上やりたくないから、
日本に自主
規制を求めていると思いますが、これは非常に虫のいいやり方だと思うのです。もし
アメリカが法律を出して
アメリカ自身の輸入
規制をやれば、これはたいへんな手間ひまがかかりますよ。おそらく現在
統計さえも不十分な
アメリカ政府が、これはやりきれないと思う。何万人という人を置いてチェックしなければ、おそらく完全な輸入
規制はできないと思う。ところが
日本は、じゃ
輸出規制が簡単にできるかというと、これは御
承知のとおり、そんな簡単なものじゃない。ただ
輸出を円満にやるために非常な苦労をして、手数をかけて
輸出規制をやっているのでしょう。その手間ひまを
日本に押しつけておいて、ガットの面からいえば、
アメリカは涼しい顔をして、白い手袋で商売をする。それで
日本が自主
規制をやったのだからガットの制裁は何ら受けない、これはかってにやったことだということで涼しい顔をしておる。これではあまりに虫がよすぎると思うのです。私
どもは
アメリカが立法することについて、これをおどしだ、あるいはどうかつだという受け取り方をするのでありますが、むしろあっさりおやりなさいといったほうが、日米
関係の将来に私はいいんじゃないかと思うのですが、時間がないし、どうもこのことについて
外務大臣の答弁を求めても無理のように思いますから、
松浦周太郎君から、これは農林
関係の問題のようですけれ
ども、関連
質問の申し出があり、
大臣の御都合で私の持ち時間の間にはさんでいただくことになっておりますから、私は、この際、私
どもの主張を十項目に分けてはっきり記録にとどめさしていただきたいと思っております。
この
繊維問題に対する私
どもの主張として、第一は、
化合繊製品の
需要は新素材、新商品の開発と無限の可能性を持ちつつ爆発的に増大しつつある。
需要が停滞ぎみの綿
製品と全く事情が異なる。これが第一であります。
第二は、
米国繊維産業は新たな輸入制限措置を必要とするような困難な
立場ではない。
米国衣料品業界の将来は非常に明るいという見方を私
どもはしております。
第三は、
日本からの
繊維二次
製品は
米国産業の供給し得ない分野を主として補完しておりまして、何ら
米国産業に
インジュリーを与えていない。
第四は、ファッション時代において
繊維の二次
製品のあすの流行を予測することはきわめて困難である。ファッション時代においては
米国繊維産業は極東諸国との競争上かえって優位に立っていると私
どもは
考える。なぜならば、われわれはファッションのあとを追っていかなければならないからであります。
第五は、
アメリカ向けの毛・
化合繊輸出問題は特定少数
品目の自主
規制にとどまることはあり得ず、一
品目の
規制は多数の
品目に及び、さらに他の商品に波及すると
考えております。これは
LTAの実績が示すとおりであります。
第六は、
繊維二次
製品の
輸出業界は中小の専門
業者を基盤としておりまして、輸入制限はわが国の社会的、政治的な大問題を引き起こすと私
どもは
考えております。
第七は、毛・
化合繊製品の輸入制限はニクソン政権のインフレ抑制策と逆行して、
米国の消費者にかえって
インジュリーを与えるというふうに思っております。
第八は、
米国の毛・
化合繊業界は
日本の二倍以上の高
関税に保護されております。
米国は
繊維に関し世界で唯一のオープンマーケットであると主張しておりますが、事実上はきわめて制限的でありまして、むしろ
日本こそ、唯一完全なオープンマーケットであります。
第九は、わが国が対米綿
製品の自主
規制を開始した一九五六、七年当時と現在とでは全く事情が異なっておりますし、対米綿
製品規制で体験した、正直者がばかをみるあやまちを二度と繰り返すべきでないと
考えております。
最後、第十は、貿易の拡大を基本精神とし、ガットの例外として暫定的性格を持って実施されたはずの
LTAは輸入制限の具にのみ利用され、永久化、固定化しようとしております。要するに、対米綿
製品規制は自主
規制とは名ばかりで、実態は輸入クォータと何ら変わらず、いずれも商取引の流動性を全く無視したシビアな
規制をしいられているからであります。
以上、十項目に分けまして私
どもの主張を明らかにして、綿
製品や
繊維関係の私の
質問を一応終わらしていただきます。