○畑
委員 法務大臣もちょうど参議院に出ておるようで、せめて次官をと思ったら、次官は勲章の授章の立ち会いなんかで出られないそうだけれども、せめて次官くらいいないと困るんですけれども、しかし、そう言っても時間の制約がありますから、質問を始めます。
今度の問題は、いわゆるシージャックというか、船の強奪
事件というのが一部にあるわけであります。一番最終はそれだ。その前に幾つかの
犯罪が積み重ねられて、最後に船の乗っ取りということになったという点において、この間起こりましたいわゆるスカイジャックの問題とはいささか違うと思う。しかし、船を乗っ取ったという点については
飛行機乗っ取りと同じように、この間
ハイジャックの問題について
立法がなされましたけれども、その際にもこれは問題になっていた。しかし、今度も完全に同じだとは私は思わない。その目的などが、この間の「よど号」の
事件の場合には、赤軍の人々は明らかに
飛行機を乗っ取って、その運航を支配して、そして北朝鮮に飛ぼう、初めからそういった意図だった。今度の場合には不良少年がいろいろな
犯罪を積み重ねて、最後に出港しようとする定期観光船に乗って、そして
乗客等を
人質にして
逮捕を免れようとしたというようなことにおいて、この間の問題とは少し違うと思う。しかし、そういう公共的な乗りものの乗っ取りだという点については同じである。そういうことからいろいろ区分けをして
考えてみたいと思うのです。
先ほど
田中委員のほうからは、どういうわけでこの間
船舶まで入れなかったかということについて御
質疑があった。それに対して答弁もございました。実はその点については、われわれもある
意味でいえば同じ責任があるわけですが、しかし、
田中委員はあの当時、
ハイジャックの問題当時おられなかったからその
経過、いきさつ等をあまり御
承知なかった
ろうと思う。われわれも実はあの問題が起きたときに、この取り締まりの
法案をつくれということで要望もいたしました。最初
船舶も入っておったわけでありますけれども、
船舶の場合と
飛行機の場合とはそのスピードにおいて、安全性において相当違うというようなこともあり、またそれをつかまえたりなどするのに、
飛行機の場合と船とはなかなか決着をつける、
逮捕したり何かすることについての難易の問題等もある、それが
一つと、それから同時にまた船の大小というようなことも、ただ一律に
船舶ということで定義づけるということになると問題もあ
ろう。それからさらにまた、
船舶については多くの乗り組み員がおる場合が多い。そういう人たちのいわゆるストライキ行為というものなどとの関連で、この
船舶を入れることによって、よほど注意しないとそういったものまでが新しく設けられる
法律によって規制をされるようなおそれがないか、こういった点でわれわれも
船舶については慎重を期すべきである、こういう立場で
反対ということではなかったつもりです。
ハイジャックが起きたからというので、それで
船舶まで一緒くたにとりあえず急いでそれをやるというのは危険がありやせぬか、慎重にすべきではないかというような
意見をわれわれは申したわけです。それで
法務省のほうでは、
法制審議会には
船舶も含めてはかり、
法制審議会もそれを入れたほうがよろしいという
意見だったそうでありますけれども、われわれ、あまりどろなわ式にやって先ほど言うたようなそしりを受けてはいかぬというようなことで、実は
船舶についてこの際は譲ったほうがよろしくはないかという
意見を申した。ところが、実際にはこういう
事件が起きたわけでありまして、あまりにも現実となるのが早過ぎたというようなことで、先ほど
田中委員のほうから言われたような御質問となったわけだと思う。
経過はそういうことでありまして、これは大体与野党を通じての
意見であったということについて、
田中委員も御了解願いたい。われわれも決して
反対というわけじゃないけれども、
船舶の場合は
飛行機の場合と違ってよほど慎重にやる必要がある、こういうことだったのであります。しかし、現実にはまことに皮肉な話に、同じこの
国会の会期中にその
船舶の乗り取りということが実現してしまったわけです。それはもちろん「よど号」
事件と同じように、それ自体が目的ではない。ほかの
犯罪を積み重ねて、最後に
逮捕を免れるために船を乗っ取って逃げ回るというようなケースであるという点において少しは違いがあるけれども、やはり乗り取りという点では同じだということだと思うのです。
ところで、私がさっきちょっと聞き漏らしたのですが、
犯人が死ぬようになった場合のことですね、もう一度最後のことを話してくれませんか。射殺ということになるのかどうか。