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1970-05-07 第63回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年五月七日(木曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 松平 忠久君    理事 青木 正久君 理事 砂田 重民君    理事 登坂重次郎君 理事 松山千惠子君    理事 武部  文君 理事 渡部 通子君    理事 和田 耕作君       上村千一郎君    山下 元利君       有島 重武君    栗山 礼行君       松本 善明君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      佐藤 一郎君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     谷村  裕君         経済企画庁国民         生活局長    矢野 智雄君         厚生政務次官  橋本龍太郎君         厚生省環境衛生         局長      金光 克己君         厚生省薬務局長 加藤 威二君         厚生省社会局長 伊部 英男君         水産庁次長   藤村 弘毅君  委員外出席者         国税庁間税部長 中橋敬次郎君         農林大臣官房参         事官      山下 一郎君         農林省畜産局参         事官      斉藤 吉郎君     ――――――――――――― 四月二十七日  物価安定の抜本的対策確立等に関する請願(河  野密紹介)(第三九九三号)  同(河野密紹介)(第四一二二号) 同月二十八日  物価安定の抜本的対策確立等に関する請願(河  野密紹介)(第四三一九号)  同(河野密紹介)(第四四二三号) 五月一日  物価安定の抜本的対策確立等に関する請願(河  野密紹介)(第四五四八号)  同(河野密紹介)(第四七六一号)  同(河野密紹介)(第四九四八号)  同(河野密紹介)(第五一七四号) 同月二日  物価安定の抜本的対策確立等に関する請願(河  野密紹介)(第五四四四号)  同(河野密紹介)(第五五九五号)  同(河野密紹介)(第五八一四号) 同月四日  物価安定の抜本的対策確立等に関する請願(河  野密紹介)(第六一七六号)  同外一件(河野密紹介)(第六四五九号) 同月六日  物価安定の抜本的対策確立等に関する請願外一  件(河野密紹介)(第六七〇九号)  同外一件(河野密紹介)(第六八四二号)  同外一件(河野密紹介)(第七〇三一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 松平忠久

    松平委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。式部文
  3. 武部文

    武部委員 「行政介入物価について」という安定政策会議提言が、四月六日に総理に対して提出をされました。この内容は非常に重要でありまして、十五の項目について、かつて懇談会なりあるいは安定推進会議なりが提言をされました内容とは趣を異にして、具体的に、行政介入物価にどういう影響を与えておるか、こういう点について、私どもとしては、これは非常に時宜に適した提言であろうと思います。  そこで、きょうは、経済企画庁長官中心にして各省庁責任者皆さんに、省庁のなわ張りを離れて、当面する物価問題でこの提言をどのように生かす決意があるのか これを実行する意欲は一体どの程度あるのか、こういう点について、具体的に見解をただしたいと思います。長官出席がちょっとおくれておりまして話が前後いたしますが、その点を最初にお断わりをいたしておきたいと思います。  そこで、時間の都合で御退席になる厚生省政務次官中心にして、厚生省の担当について最初にお伺いをいたしたいのであります。きょうは時間の関係で、たくさんの提言についてお尋ねをするわけでありますので、私のほうは質問をある程度羅列をいたしますが、回答も、その点をひとつ考慮してお答えをいただきたいと思います。  まず第一は、この提言の中の特に厚生省関係のある問題といたしまして、「政府が間接的に価格形成介入するもの」という中に「薬局等適正配置規制」という項目がございます。いま薬局を開設するのには、距離その他いろいろと制約がございますが、この提言の中に、「配置規制は撤廃すべきである。さらに、過重な施設基準コストを高めている面もみられるので、この点についても再検討を行なうべきである。」こういうことがいわれております。したがいまして、このことは薬事法第六条四項の薬局配置基準に抵触する提言でございますから、これについて厚生省はどういう考え方なのか、これが一点。二点目は、いま申し上げたような、過重な施設基準コスト高、こういう点について再検討をせよという点、これが第二点。第三点は、これはすでに新聞報道でもなされておりますが、大衆薬の取り扱いについて、現在許認可制になっておるものを「少なくとも届出制に切りかえることとすべきである。」ということがいわれております。これについてどういうようにお考えか。  それから、公衆浴場適正配置規制についても提言がなされておりますが、いまふろ代の問題で、東京ではいろいろ問題が起きておるようであります。例の洗髪料の問題で、払うとか払わぬとかいろいろなことが起きておりますが、公衆浴場適正配置規制についてどのようにお考えか。  最初にこれらの点についてお伺いいたしておきたい。
  4. 橋本龍太郎

    橋本(龍)政府委員 非常に広範囲にわたる質問でありますので、もし抜かしましたら補足さしていただきます。  私は、最初に申し上げておきたい点がございます。  そもそも医薬品というものの性格、これはどのように認定するかということでありまして、なるほど、物価対策としての観点から医薬品をごらんになるお考え、それも確かに一つの見方でありましょう。しかし、医薬品というものは、本来人間の健康を保持し、人間の健康を増進していくためのきわめて重大な手段として活用されているものであります。言いかえれば、私ども医薬品行政というものを考えてまいります場合に、まずそれが国民健康保持国民の健康の増進にいかようにプラスするか、それを最初考えなければなりません。その場合に、今日、遺憾ながらわが国の中には、いまだに無医地区というものがございます。また、非常に大都市に医師が偏在し、無医地区とは言わないが、人口当たり医師の数の少ない地帯というものがございます。何がこれを一体カバーし、そうした医師の少ない地域において国民の健康を維持していく助けをしておるかといえば、これは医薬品なのであります。  そして、いわゆる薬局適正配置というものがその一つの大きなささえになっておるわけでありまして、むしろ、この適正配置というものを完全に考えない、野放し状態にしました場合に、私どもは幾つかの問題の出ることをきわめておそれております。第一は、顧客対象層と申しますか、その薬局に通い得る範囲内に人口の多い地域を選んで開業が行なわれ、非常に薬局の分布が偏在をし、それこそお医者さんもなかなか定着をしていただけないような僻地あるいは離島等においては、同じような原因において薬局等もなかなか開いてもらえない。あるいは転廃業というものが行なわれる。その結果、その地域の人々の健康管理の上にきわめて大きな支障を来たすわけでありまして、私どもが今日、この状態を防ぐ唯一とは申しませんが、きわめて大きな役割りを、この適正配置基準というものが助けておると考えています。そうした観点から参りますならば、今日私どもは、これを軽々に、物価安定会議の御意見とはいいましても、ただ単に物価観点だけからこの薬務行政というものを考えるわけにはまいりません。  また逆に、非常に過当競争等を引き起こし、その結果いわゆる不良医薬品というものが大量に発生し、流通し、販売されるような危険性というものも、決してなしとはいたしません。武部委員もよく御承知のとおりに、この薬局適正配置というものが行なわれるようになりました原因は、たしか昭和三十七、八年ごろでありましたか、池袋において行なわれた医薬品乱売合戦の結果であります。当時、私の記憶では、それこそ正価百円のガーゼが五円、あるいは五十円のマーキュロクロームが五円と、九〇%、九五%という大幅な値引き競争になり、結果的に、それこそ質的によいものがその場から駆逐され、低品質のものが流通をいたすような事態も起こりました。これは国民健康管理上きわめて大きな私ども関心事でありまして、いわゆる物価を下げるというその役割りのために、国民健康管理の上に支障を来たすような事態は、私どもは断じて容認をいたすものではございません。この点だけは、特に私は強く申し上げたいと思います。  ただ、この適正配置条例のおかげで、医薬品供給秩序というものがかなり安定してまいっていると考えておりますけれども、同条例運用の点については、なお考慮をいたす部分も多々あると、私ども考えております。むしろこの運用の上において、学識経験者等意見も聴取し、今後の体制を考えてまいりたい、そのように考えております。  また、設置基準について、これをゆるめろとの御意見もございました。ただいま適正配置について申し上げたと同じような理由で、私は、少なくとも国民の健康を維持管理するために必要な医薬品というものを取り扱う業者の方について、どれだけ大きな責任をお持ちいただいても、これは当然のことと考えております。いやしくも人命にかかわることであります。これについての基準を、私ども軽々にやわらげることはできません。  また、いわゆる大衆薬というものについて届け出制を採用しろという御発言もございました。しかし、医薬品安全管理、これが必要なのは、何もいわゆる医家向け、医師用医薬品ばかりではない。いわゆる大衆薬といわれている一連の医薬品においても、その必要性は同じことであります。そうして、いわゆる大衆薬というものの中で最も大きなウエートを占めている一つの例をとりましても、たとえばいわゆるかぜ薬の場合、この成分中には麻薬に類する成分もあるわけでありまして、こういう成分を有しているものについてまで、私どもは、ただ単なる届け出だけでこれを認めるわけにはまいりません。むしろ、有効であるという臨床例を過重にせよ、臨床データをそろえることをもっと厳重にせよ、中身のチェックをせよという御意見については、私ども考えなければならぬ点を多々含んでいると思いますが、いわゆる大衆薬というものの許可基準、これをただ単なる届け出制で終われという御意見については、私どもとしては、これは同意をいたすことはできないのであります。  また、浴場につきまして、公衆浴場お話がございました。先般来の東京浴場料金の改定問題につきましては、一応東京都と業者間において自主的な解決がはかられている際でありますので、この際、これについて触れることはお許しを願いたいと思います。  公衆浴場というものの性格をどのように、武部委員、認定をされるか存じませんが、浴場経営状態というものは、必ずしも今日、非常に優秀であるとは申しがたい実情にあります。そのためにも、また料金改定の議論も出たわけであります。現在いわゆる自家ぶろというものがふえてきて、公衆浴場というものの社会に占めるウエートは非常に変わってまいりました。それだけに、距離制限野放しにしてしまえという御意見、一理あることではありますけれども、逆にこの場合、今日の営業成績から見てまいりますと、これもやはり一部の地域に偏在してしまって、利用者の上に相当なマイナスを来たすような場合というものも、私どもは想定せざるを得ないわけでありまして、今日の時点で、公衆浴場というものの距離制限を云々する考え方は持っておりません。  以上、非常に荒く申し上げましたが、お答えいたします。
  5. 武部文

    武部委員 企画庁長官がいまお見えになりましたが、実は、この「行政介入物価について」、きょうは、それぞれの党から政府見解を問いただすことになったわけであります。最初企画庁の御意見を聞いてからと思っておりましたが、時間的にそれが不可能なので、ただいま厚生省から、この提言の問題についてお伺いをいたしておるところでありますので、経済企画庁の御意見もこれからあわせてお伺いをいたしますので、その点もお含みをいただきたいと思います。  冒頭申し上げますように、きょうは時間の関係で、この十五の提言なり、その他これに関する問題を取り上げますと、たいへん長時間になりまして、内容に入ることが困難になろうかと思いますので、きょうは、ざっと、一応政府見解なり、これに対して私どもの疑問に思っている点を申し上げ、いずれ詳細について質疑を取りかわしたいと思っておりますが、ただいま橋本政務次官から、この提言の中の厚生省関係する薬局適正配置薬事法六条四項修正について、厚生省はその意思がない、こういうことがわかりました。いまの次官の御意見の中に、保健衛生健康管理、こういうことがしばしば出ておりましたが、なるほど、そのことも私は重要だと思うのです。しかし、現実に、今日、薬局物価の上昇の中でどのような地位を占めておるのか、あるいは――公正取引委員長がお見えになっておりますが、これから問題にする再販価格の問題が、この薬局とどういう関係にあるのか、こういうことについて、この提言はきわめて妥当な提言をしておる。もちろん、この中には、詳細にわたっておりませんから、直接法律を改正するとかいう点については、あるいは欠けておるところがあろうかと思いますが、私はいまの物価政策の上から見て、薬局が、ここに提言にありますように「効率的な事業者の参入を阻害することによって既設の非効率的な薬局を温存し、再販売価格維持制度等影響もあって、医薬品価格を高位に維持する結果となっている。」こういうことが指摘をされておるのでありまして、この適正配置は、再販価格の問題とも深い関連を持っておるわけです。こういう点から、今回の提言が、物価問題で、薬局適配というものが非常に問題だということを指摘をしたわけです。  私は、いつかここで、これを皆さんにお見せいたしましたが、この提言がなされた直後、すでに厚生省薬務局は、適配再販についての態度を協議をし、それがこうした業界紙によって出ておった。山高薬事課長談ということも載っておりますが、これは真偽は別として、ただいまの次官の説明によって、大体、この記事は間違いない記事だというふうに見ることができます。したがって、いま厚生省がこの提言について、薬局配置規制の撤廃は考えていない、あるいは、大衆薬届け出制に切りかえることについても、これについては反対である、こういうことがはっきりいたしました。さらに、公衆浴場の問題については、料金についてはいま触れられませんでしたが、この提言の中には、料金問題も触れておる。それから、施設基準立ち入り検査の強化、こういうことについても触れておるわけですが、いまお伺いをいたしたところでは、この提言について、厚生省としては、ほとんど受け入れる余地のないということがほぼ明らかになりました。  そこで、話を進めますが、この機会厚生省もぜひ承知をしていただきたいのは、この再販価格維持制度ということが、今日、医薬品化粧品そめ他、昭和四十二年ごろ、私どもが聞いたところでは約四千商品、当時の金にして二千七百億程度が、この再販商品の金額だということを聞いておりました。おそらくその後膨大にこれはあがっておると思うのですが、厚生省のこの提言に対する態度は一応わかりましたが、そこで、公正取引委員長にこの機会にお伺いをいたしたいのであります。  前回も、この委員会で私は、再販に対する公正取引委員会態度はどうかということをお伺いをいたしたわけでありますが、これについて検討をし、できるだけ早い機会結論を出したい、こういう答弁でございました。今回の提言の中にこのことに触れて、次のように指摘をされております。「再販売価格維持制度」で、「再販売価格維持行為が一旦認められれば、高いマージン、高い価格が維持されるだけでなく、販売業者間の競争が制限され、流通機構効率化が阻害されることとなる。」この指摘は、いまの厚生省答弁にあった薬局適正配置関係を持っております。「したがって、現在指定されている化粧品医薬品家庭用石けん等について、独占禁止法上の指定要件に該当しているか否かを早急に検討し、問題がある商品については、速やかに指定告示改正を行ない、これを削除すべきである。」こういう提言がなされております。一応厚生省態度は、公取の委員長もお聞きになったとおりであります。これはあらため、て論議をいたしますが、ここではっきりお伺いをいたしたいことは、そのあとに書かれておる「本制度に関する独占禁止法第二十四条の二第一項但書についての解釈基準を明確にし、常に再販売価格維持行為実態について検討を加え、一般消費者利益を不当に害すること、となる行為は無効にする措置を講ずべきである。」こういう提言がなされております。二十四条の二第一項ただし書き消費者利益を不当に害する、これについての解釈基準を明確にしろ、こういう提言がなされておりますが、これについて、公正取引委員長はどのようなお考えをお持ちであるか、それだけひとつ伺いたい。
  6. 谷村裕

    谷村政府委員 特にいまの二十四条の二第一項ただし書きの問題だけについてお聞きになったのであれば、その点だけをお答えいたします。あるいは、もっと再販問題について、おまえはこの間、これから勉強すると言っておったが、どうだというお話であれば、それはそれでまたお答えをいたしますが、とりあえず、この消費者利益保護の問題でありますが、私どもは、これが具体的な問題としては、先般もお話が出ましたけれども、なかなかむずかしい問題を持っているとは思います。思いますが、しかし、そういうただし書きがあって、これが現実には何ら運用できないというのでは、私どもとしても、やはり申しわけがないことだと思います。そういう意味では、この問題について検討を加えまして、いかにしたならば一般消費者利益を不当に害することにならないようにできるかというふうなことを、もう少し突き詰めまして勉強をいたしたい、かように考えております。
  7. 武部文

    武部委員 勉強勉強ばっかり、それはけっこうなことですがね、公正取引委員長は非常に頭がいいんで、そういうふうにお逃げになるわけだけれども、私は前回からあなたに申し上げているように、この再販行為というのは非常に長い歴史を持っておる。そうして前々委員長は、この再販の問題をめぐって、抜本改正を提案される前におやめになった、山田委員長も、このことについて洗い直しをされた、こういう経過があります。  私がきょうお伺いしておるのは、この提言の中で、やはり物価安定政策会議皆さんで疑問に思われるのは、消費者利益を不当に害するという、そういうものは再販に指定してはならぬ、この法文のただし書きについての解釈基準というものが明確でないから、線が引っぱってないからやみ再販というもりも生まれるし、こういうような非常に大きな影響物価問題に与えておるんだ、だから解釈基準を早く明確にして、き然たる態度をとれと、この提言指摘をしておると私は思うのです。  そこで、先回もあなたに申し上げましたように、公正取引委員会が、私が資料を要求して、調査をなされた中間の報告をお聞きいたしましても、リベートマージン現品添付というものが最高一二五というような、まことにどうも、想像を絶するような取引がなされておる。それによって、下がるべき医薬品小売り価格硬直化をするというようよりも、むしろメーカー利益の隠れみのになっておるんではないか、こういうことを指摘いたしたわけでありまして、いまの御答弁は非常に抽象的でありますが、提言がなされた以上、この提言の線に沿って、公正取引委員会は早急にただし書き解釈基準というものを明確にしなければならぬ。一体それはどの辺に線を引くのか。リベートマージン現品添付は、一体何パーセントあったならばこのただし書きに該当し、何パーセントであればただし書きに該当しないかというような点を、線を引くことはなかなか困難だと思います。困難だとは思いますが、それをやらなければ、この問題の解決は私はないと思うのです。現実野放しになっておるようなこの行為を、一体公正取引委員会は、この提言をもとに、それこそ早急に、消費者利益を不当に害するものはかくかくの基準だという解釈基準をお示しになる意思があるのか、お示しになる意思があるとすれば、それはいつごろか、それをお聞きしたい。
  8. 谷村裕

    谷村政府委員 たいへん先ほどは、簡単に決意のほどだけを申し上げまして、失礼いたしましたが、この問題は、御指摘のとおり、私どもとしても勉強しなければならぬし、勉強だけではだめで、何らかの形で結論を出さなければならぬことだと思っております。  ただいま、このただし書きの適用の問題については、いわゆるマージンリベート現品添付景品等業者の間では相当のいわばさやがあって、しかも、お客さまには、本来ならば、そういうさやがなければもっと安く提供したであろうというふうに考えられるものがあるとすれば、それをどの程度考えたらいいか、そういう問題もございますが、その問題は、確かに一つの大きな問題でありますけれども、それ以外に、たとえば、価格つけ方自体一体どうであるか、業務用にいくものと、いわゆる一般消費者に向けられていくものと――もちろん、これを一度に多く売れば相当の値引きがあるというのは商法の通例でございますけれども、それにしても、そこに非常に大きな差別的な価格があると認められる場合にはどうかとか、あるいは、もっと進んでいうならば、メーカー自体の利潤なり、メーカー自体の値のつけ方、それが一体、はたして適正であるかどうかとか、その売り方の問題、チェーン組織をつくっておるとするならば、それの配置先お話が先ほどありましたけれども、そういったような問題にもからんでまいりまして、要するに、再販制度というものによって一定の保護されたいわば法益、それの裏返しとして、その保護に値する法益に伴う義務と申しますか、そういうことをやはり業者関係のほうでも負ってもらわなくてはならない。そういう意味でいえば、再販品についての私どもの立場からいいますと、通例の、自由な価格競争を行なっている商品と違いまして、ある意味で監視と申しますか介入と申しますか、ことばはいろいろでございましょうが、そういったことも相当積極的にやっていかなければならないものではないか、かように考えまして、いまのような、幾らかあげました問題点、特に最初から御指摘になっておりますマージンリベート等の問題、これについて実態把握をいたしますとともに、一般消費者のためを考えたならばどの程度が適正であるかという線、これをひとつ出してみたいと考えておるわけでございます。  なお、再販問題全体についていろいろと考えてみますと、そもそも出発だなりました――ただいま橋本政務次官からもお話が出ましたけれども、いろいろな意味でのおとり廉売といったようなところ、その不当廉売、いかなる形でこういう問題に対処できるかという方策もあわせて、いろいろと検討しなければならないということで、武部委員からは再三、おまえは勉強するとか検討するとかいうことで、さっぱりだめじゃないかと言われますが、しかく、なかなか簡単でない問題がいろいろございますので、いつになったらちゃんとできるかという日にちを切ることは、どうも私、ちょっとここで申し上げかねるのでありますが、私ども最善を尽くして、ひとつ答えを出すようにいたしたい、かような決意を申し上げておきます。
  9. 武部文

    武部委員 いずれ、これはもっと詳しくやらなければなりませんから、次々と進みますが、経済企画庁長官がお見えになりましたので……。  私は、きょうの主たる議題である「行政介入物価について」というこの提言についてお伺いをいたしておるわけでありますが、ここへ来る前にある新聞を見ましたところが、こういう記事が載っておりました。国会で、物価の値上がりを押えるために、早く具体的な手を打て。国会がそれができないというならば、われわれ国民は、いまの議員にやめてもらいたい。それができるような議員を選び直したい。全国的リコール運動だ。いろいろな突発的なニュースや事件が飛び出して、新聞やテレビでは大きくそれを取り上げるために、国民の目がそらされておるけれども、 いまの国会議員は全部、物価の値上がりを押えることを公約して選挙に出たんじゃないか。約束を早く果たせ。こういう新聞記事がありました。  私は、自民党の与党の皆さんでも、物価の値上がりに賛成しておる人はいないと思うのです。そういう意味で、物価問題がこれだけ大きく国民影響を与えておる今日でありますから、何とかこの物価問題を解決したいというのは、佐藤総理以下全部の閣僚も、私ども会議員の一員も、みなそうだと思うのです。そういう意味で、何回かいままでここで論争いたしましたが、先ほど申し上げましたけれども、第一次、第二次の物懇、安定推進会議提言、二十幾つ出ました。今度また十五、「行政介入物価」ということが出たわけであります。これについて総理が発言されておること、あるいは物価対策閣僚協議会の申し合わせ、そうしたことを、私ども新聞で承知をいたしております。経済企画庁長官は、物価の元締めとして、この「行政介入物価について」という提言について、一体どのようなお考え方なのか、これをどのように受け取っておられるのか、今後これをどのようにされようとしておるのか、これを最初にお伺いしたい。
  10. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 私どもは、物価安定政策会議、この会議はわれわれにとっても大事な会議でございまして、従来も数々の提言をいただいておりますし、まあいわば、政府物価政策を推進するにあたってはいろいろと知恵をつけていただいておる、こういう関係でありますから、その提言についてはできるだけこれを尊重したい、こういう気持ちをもちろん持っております。  ただ、行政介入の問題につきましては、従来のいわゆるオーソドックスな物価対策の問題と多少違う複雑な要素を持っておるように、私は思っております。それで、当委員会におきましてもかねがね、前回も申し上げたと思うのでありますけれども行政介入というものにつきまして、議論がむしろ二つに分かれておる。ある意味においては行政介入をすべきじゃないかという議論さえも、一面にあるわけであります。そういう意味におきまして、結局、これは個々の問題を一つ一つ取り上げまして、そして、政府としてその妥当性を十分に検討しなければならない。個々の行政制度には、本来それぞれの固有の目的がございます。それからまた、これを提言のごとくに撤廃した場合の影響はどういうふうになるか、こういうようなことも考え、それでは、それにかわるべき対策が一体ほかに立てられるのか、こういうことも考えてこれを実行しなければならないものが多いと思うのであります。そういう意味におきまして、私どもは、安定政策会議のこの提言をできるだけ尊重する方向でもって検討したいと思っておりますが、一つ一つの問題については目下検討中であります。閣僚協議会をまた近い機会に開くことにしておりますけれども、それまでに結論の出るもの、あるいはまた、結論の出ないものとあると思います。問題によって、それはおのずから違ってくると思いますが、いずれにしても、あまり機械的、一律に扱うということは避けたいと思っております。やはり制度本来の目的というものを考えながらも、物価対策に非常に効果的なものというものについては、どういうふうにその間の調整をしたらいいか、これを考えなければならない。そういう意味の調整を、いま企画庁と各省でもって互いに検討し合っておる段階でございます。結論を出すにはまだ間がございますけれども、いま申し上げたような気持ちで、物価ということを十分頭に置きながら、どうしたらこれを前向きに取り扱うことができるか、そしてまた、それの影響がどういうことになるか、そこいらを十分検討しているところであります。
  11. 武部文

    武部委員 いまのお答えですと、これから検討するということでありますが、この提言の中に記載されておる文章には、今回の提言の多くは、政府がみずから行なうことができるもの、政府がやる気になればできるということを指摘をしておるわけですね。いま長官がおっしゃったように、行政介入をすべきであるということとすべきでないということの二面あることは、私どももよく知っております。早い例が、昭和四十二年当時、牛乳の問題をここで取り上げましたときに、当時は行政介入があった。これは指導価格制をとっておったが、これを廃止した。廃止したとたんに牛乳は値上がりをした。そこで、この指導価格制を取り除くか取り除かないかということで、だいぶんここで論争したのです。そういう具体的な事例を、私ども承知をいたしております。ただ、この提言の十五項目は、行政介入が今日、物価値上げの根底になっておるという具体的な事実を述べておるのです。そのほかにも、まだたくさん行政介入がありますよ。行政介入物価を押えておる面もある。それはこの提言にない。ですから、二面あることは私ども承知をいたしますが、行政介入物価を上げておるということについての具体的な例は――これは政策会議が十二回にわたって、非常に長期にわたって検討された結果がこの提言だと思っておるのです。それだけに、政府側も真剣にこのことについて取り組んでいただかなければならぬと私は考えます。先ほどお隣におられて、厚生省は、この提言について必ずしも賛成ではない、賛成でないどころか反対だというような意向もあらわれておるようでありますが、それはそれとして、あらためて私は適正配置の問題、再販の問題で、医薬品にどのような状況があらわれておるか、あるいは大衆薬性格なり、そうしたことは厚生省と十分やりとりしなければ、短い時間では困難だと思うのです。  そこで、今度もう一つ具体的にお伺いいたしますが、再販は一応のところでおきまして、この提案の中で触れられております農林省関係をひとつとってみたいと思うのですが……。
  12. 橋本龍太郎

    橋本(龍)政府委員 たいへん申しわけありませんが、参議院の委員会のほうに参らねばなりませんので、退席の前に、厚生省態度を、あらためてもう一度申し上げたいと思うのであります。  ただいま武部委員から、この安定政策会議意見に対して厚生省はまっこうから反対であり、ひいては、むしろ厚生省物価問題に対して冷淡であるというようなニュアンスを多少込めた御意見もあったようでありますが、私は、あらためてこの際はっきり申し上げたいと思うのです。  私どもの役所の所管するこれは、一人一人の人間の命を預かり、その健康を維持することであります。ある意味では、これは値段にはかえられません。これは御認識を願わなければならぬ最大の点であります。  そして現在――なるほど物価安定政策会議から御意見をいただいた、これは物価政策の上から、私ども理解のできないことでは決してございません。現在の医薬品行政の中に、むしろ全国津々浦浦、どんな僻地に参りましても、どんな離島に参りましても、遺憾ながらお医者さんのおられない地域においても薬局があり、そして、そこに置いてある薬により応急の処置ができるということによって、国民の生命、健康の維持されておる度合いというものはきわめて大きなものであります。これは、金銭にかえられる問題ではございません。そして、適正配置をはずした場合、現在他の業種においても見られるように、一部の地域にそれが偏在をし、他の地域にそれがないというような事態、これは、ほかのお仕事とは違って、国民の生命、健康を維持するために非常に大きな役割りをしている医薬品という商品性格からいくならば、許されないことであります。また、設置基準をいかにゆるめろと言われましても、設置基準をゆるめたために保存されていた医薬品が変質をし、それによって人間の健康、生命がそこなわれたら、責任をとらなければならないのは私たちであります。これは私どもは、金にはかえがたい大きな責任だと感じております。  そうした観点から、ただいま御指摘になりましたことにお答えを申し上げたのでありまして、ですから、むしろ適正配置のこの条例等について、その運用の適否等、あるいは運用の方法の改善等について、私ども検討いたしたいということを申し上げました。  また、公衆浴場について、お話の中に触れておられませんでしたので、あえて申し上げませんでしたけれども、私どもは、公衆浴場という職業が負っている社会責任、また地域住民への福祉、こうしたもの全体をひっくるめて、むしろ公衆浴場というものの将来のあり方はどうすべきか、そのための検討を今日しようとしております。むろん、その中には物価問題も含むでありましょう。  むしろ私どもは、この安定政策会議の御意見そのものについては、いま申し上げましたような諸点で、簡単にこれをそのままに受け入れるという気持ちにないことは事実であります。しかし、厚生省自体が物価問題に対して不熱心であるかのごときお考えは、もしお持ちでありましたら、ぜひお捨てを願いたい。これだけ、たいへん恐縮でありますが、一言申し述べさせていただきます。
  13. 武部文

    武部委員 いまのことば、あなたの御意見として聞いておきます。いまの意見には私も若干異論があるわけで、僻地の薬局の問題と過密のところの薬局の問題と同一視することはできないし、医者と薬局というものの考え方もあるし、いろいろありますが、これはいずれ、もっと具体的に厚生省見解を問いただすということにして、それだけでけっこうでございます。  そこで、話がたくさんありまして時間がないわけでして、一応きょうは、さっき申し上げたようにざっと態度をお聞きするわけです。  農林省の関係になるわけですが、砂糖の値段が、実はこの提言の中でも――経済企画庁物価安定の具体策として、物価対策閣僚協議会に経済企画庁が提出された中に、砂糖の値段があるわけですね。これは御承知のように、チクロ問題で砂糖の消費が非常に大きくなるということから、砂糖の値段というものに注目されることは、これは当然のことだと思うのですが、現在、輸入糖の一キロ船揚げの金額は三十一円五十三銭ですね。三十一円五十三銭に、関税がたしか四十円とかぐらいかかって、価格調整費が四円とか五円かかって、砂糖消費税が十六円、それに流通マージン等いろいろあって、小売りの店先に並んだときには百三十四円五十三銭だと、四倍近くの砂糖の値段にはね上がっておる。こういう点につきまして、経済企画庁もこのことにメスを入れられておる。特にケネディラウンドの問題等に関連をして、企画庁はこのことについていろいろ考えておられるようでありますが、三十一円五十三銭で入った一キロの砂糖が、小売りの店先に百三十四円五十三銭であらわれてくるという、その中間の魔術といいましょうか、この中に経済企画庁がメスを入れられるということは、私はけっこうだと思うのです。この提言の中には、このことに触れまして、約二百億の財源が積み立ててあるが、一銭も使われておらない――私も調べてみましたが、使われていない。そういう価格調整の金をとる必要はない。また関税の引き下げ、砂糖消費税一キロ十六円、こうしたことについて、経済企画庁は、この砂糖の価格問題についてどういうお考えを持っておられるのか、農林省は、一体これについてどうお考えなのか、こういう点は、両方からお伺いをいたしたいのであります。  次に、ひっくるめて申し上げますが、この提言の中に「安定帯制度および公課は、これを根本的に洗い直し、制度改正を図る」、砂糖消費税を廃止せよ、こういう提言がありますが、これについて、農林省、経済企画庁考え方をお伺いいたしたいと思います。  続いて、豚肉の問題についてこの提言が触れております。畜産振興事業団が安定価格制度を活用して、農家の価格保証を考え消費者の購入の金額について適正な措置をするという。この措置は、私どもは妥当な措置として見ておりましたが、残念ながら今日まで、畜産振興事業団が多額の政府出資をもらいながら、肉については何らの用をなしていない。これは昭和四十二年か三年ごろでしたが、当委員会で論議をいたしましたときに、八十九万頭の豚を買い入れた。たしか私は三万六千トンだと記憶いたしておりますが、山積みのように豚を買った。そうして倉庫に積んで、一番下は黄色く脂肪の面が変色してしまって、使いものにならない。そうして、それはハム、ソーセージに安売り、たたき売りされた。たいへんな損害を受けたということが当委員会で論議をされたわけであります。  今日、買い値の下限は一キロ三百四十五円、これは白の上の枝肉でありますが、放出価格上限四百二十二円というそういう安定価格帯があるにかかわらず、昨年の九月にはキロ五百六十三円という相場があった。これは芝浦相場ですが、そのときに、畜産振興事業団の倉庫には一キロの豚もなかった、こういう結果であります。この安定価格制度のあおりを受けて、小売り価格はたいへんな値段になっておる。一番高いのは、去年の十月に小売り価格で、正肉の中一キロ当たり千二十円というべらぼうな値段が市場を支配しておった。本年の二月は九百二十三円です。去年に比べて、卸は確かに下がっております。去年のような、五百六十三円というような数字はありません。確かに下がっておりますが、その下がりようは四割程度ですね。卸は四割も下がっておるのに、小売りは去年に比べて二割ぐらいしか下がっていない、こういう実態が実は存在をしております。  そこで、この提言の中にございます、豚肉等安定価格制度についての提言について、一体農林省はどういうふうにお考えになっておるか、これをお伺いいたしたいのであります。  続いて、農林省関係で、ノリのことがここで提言をされております。  このノリも、新聞紙上をにぎわしておりますように、たいへん疑問の多い業界であります。全国千三百軒にのぼる問屋が、この流通機構を利用して多額のマージンを取っておる。そのために、豊作で値下がりすべきノリが値下がりしない。あるいは韓国から安いノリを輸入しても、問屋同士で、問屋から問屋へ、問屋から問屋へというキャッチボール方式をやって、いつの間にかマージンを取って値段が上がっておるという、そういう具体的事実を、私どもはかねて指摘をしたところであります。  この提言は、主として韓国からの輸入だと思うのですが、輸入あるいは放出のタイミングについて、消費者利益を十分考慮して運営せよ。これはのり協会の運営だと私は思うのですが、のり協会の役員というのはほとんど生産者側で占められておるということを聞いておるわけです。こういうことではこの提言が生かされない。そこで、農林省はこの提言の趣旨にのっとって、ノリの値段等についてはどのようにお考えになっておるか。  以上、砂糖と豚肉問題とノリ、この点について、農林省並びに経済企画庁の御見解をひとつ承りたい。同時に、関税、消費税の廃止についてどのような見解を持っておられるか、これをお伺いしたい。
  14. 山下一郎

    山下説明員 最初の、砂糖の問題についてお答えいたします。  砂糖につきましては、御指摘がございましたように、現在糖価安定事業団を設けて、これによりまして糖価安定をやる仕組みになっております。この仕組みについて簡単に御説明申し上げますと、輸入粗糖、外国から入ります粗糖につきまして、海外糖価の異常な変動による国内市場の混乱を防止いたしますために安定帯を設けまして、安定下限価格と安定上限価格の幅の中に、国際糖価の変動による国内市場への影響がおさまるようにする仕組みが一つございます。なお、これとあわせまして、国内産糖と輸入粗糖との価格調整をこの仕組みの中で行なっておるわけでございますが、この制度につきまして物価安定政策会議からの提言もございますので、今後ともより一そう、この適正な制度運用につとめてまいりたい、このように考えております。  関税につきましては、沖縄をも含めました国内産甘味資源全般についての保護、また砂糖消費税につきましては、提言にもございますように、国産のイモでん粉及び黒糖に対する保護の機能を果たしておりますので、かりにこれらの手直しをするといたしますと、国内産甘味資源全般に与える影響はきわめて大きいものがございますので、別途何らかの保護措置を要することになることは明らかでございます。この関税、消費税の問題につきましては、財政収入の面からも問題はございますようで、今後この問題につきましては、私どもといたしましては慎重に検討してまいりたい、このように考えております。
  15. 斉藤吉郎

    ○斉藤説明員 私のほうからは、豚肉についての御質問がございましたので、豚肉についてお答え申し上げます。  豚肉につきましても、安定価格帯ということで、安定上位価格、それから安定基準価格ということで、その安定帯の中に安定的な価格の実現をいたしまして、これによりまして生産の安定と、それから消費者に対します豚肉につきましても、変動の少ない安定的な価格でもって供給をいたす、こういう制度になっておりますことは、先生すでに御承知のとおりでございます。そこで、この価格帯の中で安定的に供給をするという制度をとっているわけでございます。  何ぶん需給の規模が、現在のように、豚肉及び食肉につきましては急激に拡大をしておる、そういう状況にございますので、先ほどお話がございました、畜産振興事業団が価格の低落時に買い入れました保管豚肉の放出ということだけでは、安定上位価格をこえる価格の高騰を防止し得ないという場合が生ずることがございます。このようなときには、あわせて豚肉の緊急輸入ということを行ないまして、これに対処をいたすことにしているわけでございますが、この場合、輸入品の価格が割り高でございます場合には、関税の減免ということでこれに対処する形になっております。その減免措置の発動要件が、従来関税定率法の規定によりまして、御承知のとおり国内卸売り価格がこの豚肉の安定上位価格をこえて騰貴しているときに限って発動できる、こういうかっこうになっていたわけでございます。とかく輸入の円滑を欠くということで、先ほど先生御指摘の、過去に緊急輸入をやりましても、なかなか安定上位価格まで価格が冷えないというような事情が、残念ながらあったわけでございます。しかし、その点を考慮いたしまして、今国会にすでに御審議願いまして、安定上位価格をこえて騰貴するおそれがあると認められるときにもこの減免措置が行なえるように、という同法の改正を御提案申し上げまして、御審議の結果成立させていただきまして、この五月一日からこの改正法が施行されているわけでございます。したがいまして、今後は、豚肉価格の騰貴が予測されるというような場合には、早目に十分な数量の輸入割り当てを行なうということとともに、必要に応じまして関税の減免措置を弾力的に行なえるというかっこうになったわけでございまして、市価が安定上位価格をこえないように、これらの措置を十分活用いたしまして今後努力していきたい、こういうぐあいに考えておるわけでございます。  さらに、価格の安定につきまして、この提言の中では、生産対策というものについて触れられているわけでございます。何と申しましても基本的には、御指摘のあったとおり、需要に見合いました適切な生産を確保するということが基本的な問題になるわけでございます。肉豚につきまして計画生産の推進事業を実施して、安定的な供給につとめてまいっておるわけでございます。今後とも需給予測の精度の向上――これは先生御承知のとおり、豚肉につきましては豚のサイクルというようなことがございまして、なかなかいろいろとむずかしい点がございますけれども、私どもも努力をいたしましてこの精度の向上をはかりまして、さらに、その生産農家へこれを周知徹底をいたしまして、優良種豚の確保あるいは養豚経営の近代化、養豚団地の形成の促進といったような生産面の措置をあわせ講じまして、需要の拡大に応じた安定的な生産体制を整備するということでこれにこたえてまいりたい、かように考えております。
  16. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 ノリにつきましてお答え申し上げます。  ノリは、先生御指摘のとおり、本年度は五十億枚をこえる生産がございまして、昨年十一月に一枚当たり三十六円七十銭、東京の黒ノリの中級品の価格でございますが、三十六円七十銭が、四月には二十七円二十銭となっております。また、東京都内の小売り店には、十円ないし二十円という中級品が相当多量に出回っております。ただ、ノリにつきましては、品質が非常に多様でございまして、品質による価格差は非常に大きくなっておりますので、東京の中級品の黒ノリということで、直ちにノリの価格というものを比較するわけにはまいらないかとも思います。  また、輸入放出の時期でございますけれども、これにつきましては、韓国の実務者と日本の実務者で、時期、方法を含めまして検討を進めておるところでございます。  また、ノリの流通につきましても、必ずしも合理的ではなくて、不合理な面もございますので、これにつきまして、現在水産庁といたしましては、生産者、流通業者消費者、学識経験者の方方にお集まりいただきまして、のり問題研究会をつくりましてこれを検討いたしておりまして、この研究会でさらに検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  17. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 いま農林省当局から説明がございましたが、私ども、これらの問題を、今後の一つ価格対策上の問題点として指摘しましたのは、これはいわゆる個別対策でございますから、ものによっていろいろと違いますし、取り扱い、考え方も実は違っております。  砂糖につきましては、実は私のほうは提言をいたしましたのは、これは武部さんよく御存じのように、非常にむずかしい問題を含んでおります。自由化はしたわけでございますけれども、国内産糖と調整をいかにするかという問題がございます。そういうことを考えて、今後これは課題として研究したい、こういうつもりを持っておるのであります。関税、消費税、こうした問題も、確かに高過ぎるというふうに一般的にも見られております。まあもともと、こういう保護制度を与えておりますけれども、これは永久に温存すべきものではない。やはり一方において、国内産糖の生産性の上昇というものを十分頭に置いて、逐次そうした保護的な要素というものを逓減していく、これが本筋であろう、こういうようなことから、この国内産糖をいかに保護するかという問題を取り扱うにしましても、そうした見地が要るのではなかろうか。また、財政収入との関係がありますから、なかなか一がいには言えませんけれども、こういう問題は、ただ財政の見地からだけ扱うべきものではない。したがって、同じ保護を与えるにしても、ほかのやりようもあろうではないか。いろいろとこの砂糖問題についてはむずかしい問題がありますので、これをいま一挙に、半月か一月で結論を出すということは困難でありますので、私どもは、この砂糖問題は一つの課題として検討したい、こういうことで実は提言をしております。  それから、豚肉につきましては、いま大体、提言の趣旨に沿った説明がありました。緊急輸入を適時適切にしなければならない、あるいは、豚肉制度についての需要の測定と生産の安定、これをどうすべきか、こういうような問題、これらは、提言自体も、必ずしもそう具体的なものを示してはおりませんから、さらに具体的な点を検討いたしまして、この提案の趣旨に沿うような方向でこれはやっていかなければならない、そういう答弁が農林省からもありました。大体私は適当であろうと思うのであります。特に緊急輸入のいままでのやり方等のタイミングについては、よほど私たちが考える必要があろうと思います。  また、ノリについては、これも時間がありませんから十分の説明を申し上げませんが、いま農林省からありましたように、せっかく研究会をつくっております。非常に複雑な流通機構を持っておるのでございますから、至急にこの結論を出したい。末端のノリ生産者も、必ずしも十分な収入は得てない。中間のマージンがよほど多いんじゃないだろうか。あるいはまた、非常に変動が激し過ぎる等々、いろいろな問題を持っておるわけでありまして、それらの検討をいま農林省において行なっておる。われわれも、その結論を聞きまして、そうして、ともに今日のような事態の改善をはからなければならない、こういうふうに考えているわけでございます。
  18. 武部文

    武部委員 いまの御意見の国内産糖の問題等については、私ども意見がございまして、保護をやめるとかいうのじゃないんでして、別な方法がありはしないか、こういうことですが、実は時間の関係企画庁長官は十二時半までだそうで、あと同僚議員も二人質問の予定がありますので、私は酒税の問題、生協の問題、それをちょっとあとに回しまして、酒税のカルテルの問題もございますから、公正取引委員長お残りをいただきたいのですが、私は一つ経済企画庁長官にぜひとも要望申し上げなければならぬ。  それは、企画庁がこの物価対策閣僚協議会に提出をされた案を、私は新聞で拝見をいたしましたが、その中で交際費問題に触れておられるのです。これが物価安定の具体策の内容に盛られたということは、非常に重要な意義を持っていると私は思うのです。この交際費が、国税庁の発表によっても、去年一年間に七千七百三十四億円という膨大な交際費が使われている。それは国民所得の二%です。少なくともわが国の国家予算の社会保障費に匹敵するくらいの膨大な交際費が、湯水のごとく使われている。アメリカでは〇・四%、日本では五倍です。こういう交際費について、物価安定の具体策の中にこれを盛られたということは、私は、非常に重要だし、ぜひこれを実行してもらわなければならぬ、こう思います。アメリカやイギリスの交際費に対する課税の内容を見ましても、日本よりも非常にきびしい。交際費からは税金が取られるために、ほとんど交際費を使わない。そういうのがアメリカ、特にイギリスはそうでありますが、そういう実態だということがわかりました。  この交際費は、それならば消費者物価にどういう影響を与えるか、交際費を使ったからそれが物価にどういう影響を与えるんだというように、簡単に考えると思うんですけれども、私はそうじゃなしに、この交際費を使われるために、業者が無用に高いもの、生鮮食料品ですね、こんなものを金に糸目をつけずにどんどん買う、それが市場の価格に反映する、それが物価をつり上げるという悪循環を来たしていると思うのです。この物価安定の具体策の中に盛られた交際費、こういうばく大な金に対しては、どんどんきびしく課税対象にしなければならぬと思うのです。  私はこの間、あるものを調査をしてみて実に驚いたのですが、職業に卑しい、とうといはないわけですが、日本のバーのホステスの数が百万人、西ドイツは一万人、銀座の一丁目から八丁目のバーやキャバレーは二千四百軒で、ホステスは五万人。一晩に三億円の金を使っている。そのうちの九八%は社用族だというのです。こういうばかげたものがどんどん使われて、そうして課税の対象からはずされて、そうして企業が、使った金をみんなコストに入れている。当然のことなんです。そういうものが価格に反映をしてくるという悪循環に、やっぱり目を向けなければならぬと思うのです。私は、いまのバーのホステスのことなんか、あまり言いたくなかったのだが、具体的に見ても、二千四百軒で、一晩に三億の金を使わせるのだから、たいへんなことなんです。  そういうようなことを西ドイツの例と比べてみましても、この交際費に対しては、もっときびしく税金を取らなければならぬと思うのです。七千七百億円も交際費が使われておって、そのうち税金はたったの五百七十一億円ですよ。こういうことでは私はいかぬと思う。そういう意味で、経済企画庁がお立てになったこの具体策の内容の中に占める交際費の課税の問題については、ぜひき然たる態度で、政府の中においてきびしくひとつ追及していただきたい。このことについての御意見を聞いて、私は質問を保留して交代いたします。
  19. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 交際費課税の問題は、やはり重要な問題であります。私たちも、今日の事態はこれをもっときつく締めなければいかぬ、こういうふうに考えております。そういう意味では、全く同感であります。ただ、これをいわゆる正面切って物価対策として取り上げるかどうかということの適否はございます。そこで、これは税制改正の問題として、大蔵省とも相談をしております。大蔵省も、これについては前向きの姿勢で取り組む、こう言っております。でありますから、いわゆる物価問題の課題というところからははずしておりますけれども、われわれとしてはやはり無視できない重要な問題である、これはもうお説のとおりでありまして、前向きにやってまいりたい、こういうふうに考えております。
  20. 武部文

    武部委員 それでは交代します。
  21. 松平忠久

    松平委員長 和田耕作君。
  22. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 武部委員には、御無理願って切り上げてもらったのですけれども、私も十五分の時間しかありませんので、重要問題だけについて、長官あるいは公取委員長に御質問をいたしたいと思います。  物価安定政策会議提言が出たときに、長官はたしか、これはたいへんにりっぱな答申である、これを全面的に実施するためにひとつ努力してみたいというごあいさつをしておったと思いますけれども、いまでも、その気持ちには変わりございませんか。
  23. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 この前の和田さんの御質問に対して、私はこうお答えしたと思っています。先ほど申し上げたと同じ趣旨になるのですけれども行政介入というものは、本来の行政上の目的もあることであるから、この提言には確かに鋭い分析もあるわけでありまして、われわれがなるほどと思える点もございます。しかし、また非常に簡単な点もございまして、必ずしも細微を尽くしていないものもございます。そういうふうなことで、よくこれはひとつ検討してみたい。そうして、確かに行政介入が、本来値段が下がるはずのところを下げないような、いわゆる値段を下げることを妨げているような要素がある。そういう要素は、確かに指摘のとおりありますから、そういうものについては、これを取り上げて廃止をするような、あるいは訂正を行なうような方向でやってまいりたい。しかし、同時に、必ずしもそうばかりと言えないものもあるだろうということで、これは一つ一つ検討して、その上で結論を出したい、こういうふうに、私は和田さんにお答えしておったと思うのです。
  24. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それで、いまの大体の見当でけっこうですけれども、幾つか具体的にあげられました品目について、提言はかなりはっきりした、つまり自由販売、自由営業的な色彩を出しているわけですけれども、そういうことではちょっと困るなと思われる品目はどういう品目であるか、もしよかったら、ひとつお示しいただきたいと思います。
  25. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 実はこの点につきましては、いま各省と検討、調整を行なっているところでありまして、まだ全然結論めいたものまでいっておりません。でありますから、いま御指摘のような点をいま申し上げるという段階にはきていないのであります。ですから、はなはだ抽象論になりますけれども、先ほど申し上げたようなことで、必ずしも自由主義的な手法一本やりでもっていかない場合もあるだろう。こういう点は、われわれとしては考えなければいかぬし、また、かりにこれを廃止した場合にも、それでは、そのかわりに保健衛生の問題はどうするかとか、その他かわるべき対策ということを同時に考えなければならない。そういうこともありますので、目下検討をしておるところでございます。
  26. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私は、提言の趣旨を間違ったものであるとは思いません。思いませんけれども、この趣旨を正しく生かすためには、もっと現在の公取委員会の機能が強化されていく、これが必要ですね。そしてまた、現在、実際上各流通部門にある寡占構造というものに対して、効果のある手がつけられないと、それをそのままにして、ただ自由化だということでやることはかえって弊害がある、こういうような全体的な感じを持っておるのです。そういうような意味で、若干御質問を申し上げてみたいと思うのです。  たとえばタクシーの営業規制を解除するとか、あるいは台数規制をなくするとか、つまりタクシーの営業を自由にするという提言があります。つまり、現在の条件でこれをそのまま自由にして、価格の問題でも、あるいはわれわれの便利、あるいは交通事故等の問題から見ても、それが正しいことであるかどうかということですね。そういう問題は、もっと違った立場で検討する必要がある。たとえば、現在のタクシー営業の問題を規制するためには、われわれの足になるバスがもっとまともに運行できるような方法を講じなければならない。バスの路線を特別の道路につくるとか、バスをうまく運行すれば、タクシーはそうたくさんなくてもいいのです。また、バスが実際上機能するようになれば、タクシーの料金がそう上がるという条件もなくなる。そういうふうな面で、タクシー料金に対しては本格的に対処すべきであって、ただタクシーの営業を自由化することによってタクシー料金もチェックできるというような考え方は、あまりにも楽観的過ぎる。むしろそういうことによって役所がやるべき責任を回避をしてしまう、責任のがれの状態をかえってつくるような結果になってしまう、こういうことをおそれるんです。つまり、タクシーの問題に対しては、むしろバス専用の路線をつくるとか、バスがもっと正規に運行できるようにすることが必要なんですね。それがまた、タクシーの料金に対しても具体的に影響していくんです。バスにどんどん乗れるようになれば、タクシーを使わなくてもいいんですから。そういうことをやるべきであって、間違った行政介入があるからといって、行政介入をはずせというこの考え方は、私は何ぼ考えても同意できない。  それからもう一つ公衆浴場の問題があります。公衆浴場の問題でも、自由に競争できるように新規の参入を許すようにしなさい、これは非常にオーソドックスな理論としては、そういう議論も成り立ちます。しかし、その結果、はたして公共料金の値段が下がるのか。浴場経営者には事実上のカルテルがある。話し合いによってものをきめる体制ができておる。そういう習性がある。新しく入っても、そういうふうな事実上の寡占構造に対して何ら規制するあれをしないで、ただ浴場をふやしたらいいということでは対策にならない。むしろそういう場合には、正しいりっぱな規格の公設浴場をつくっていく。公設浴場をつくっていくことによって、一つの正しい基準料金の目安をつくっていく、こういうことが必要であって、現在の状態では、ただ自由にすればいいという問題ではない。  これは、公正取引委員長にお伺いしたいのですけれども、自由な価格競争条件をつくることにしたとしても、はたして不公正取引を、違反を公正取引委員会でチェックできるかという問題ですね。そういう問題は、公正取引委員長、いまのこの提言が行なわれた場合に、現在の公取機構そのままではむろんできますまい。おそらく、二倍になっても三倍になっても、このチェックはできないと思う。しかも、これは公正取引委員会の機能の強化を前提にしてこういう提言をしているというふうにも思われる。この問題、公正取引委員長はどういうふうにお考えになっておられるか。
  27. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 和田さんのおっしゃる点、私も同感すべき点が多いのであります。そういう意味で、一つ一つこの提言については検討が要るんじゃないかと思っています。  今日のタクシー業界の問題については、いろいろ問題がございます われわれは、運輸大臣にも常に、もっと員数をふやすべきであるとかいろいろな注文をしております。現実の問題として、いわゆる職業運転手というものの数がなかなか、そう余裕がない、ふえないというような基本的な困難にぶつかっております。ただ、この形だけを改めれば実態が改まるというものでない要素が非常に多い。そういう際でありますから、私も、これらの提言につきまして、全くこれを野放しにすることが一体適当かどうか、そこいらは、やはり十分検討しなければならぬことであろう。むしろ、料金の引き上げを押えるためには、もっと運用その他、別の角度から考えるほうが適当なのかもしれない。そこいら、私、まだ結論を出しておりません。検討中であります。  それから、やはり運輸省の意見も十分に聞く必要があろうと思います。運輸行政自体として、いわゆるサービスの改善とか安全の確保とか、いろいろの問題があるわけでございます。そういう意味で、一方において野放しにしまして、とんでもない運転手の素質の低下を招くとかいうようなことも、これはまた一面、問題もありましょう。かえって消費者がそのために非常な迷惑をこうむる、こういうことも考えなければならない。いろいろとそうした点を検討しながら、料金というものがいかにして、できるだけ引き上げられないようにするかという点を考えなければならないであろうと思います。これは、もうちょっと検討したい、こう思っています。  同様の問題は、公衆浴場にもある。公衆浴場というのは、昔はわれわれにとって非常に比重の高いものでありましたが、今日は、アパートその他に、自分の家のふろができたりして、昔ほどではありませんけれども、しかし、やはり大衆の重要な施設でございます。ただ、御存じのように、今日非常に地価が高くなり、そのために、たとえば東京でもって、それじゃ浴場がだれにでもつくれるかというと、その土地を確保すること自体が相当問題でございます。ある意味においては、公衆浴場に投資すること自体に非常に困難な条件が生じておる。そういうことをやはり頭に置いて扱わないと、よく一ころいわれておりますように、逆に、いたずらに公衆浴場というものを消えさせてしまう。つまらないからやめちまう。やめちまうと、結局残った公衆浴場は、料金を倍にでもつり上げなければならなくなる、こういうような事態になってはアブハチとらずであります。そういうふうな点もありますから、ここいらはよく、一つ一つ提言の中身を検討してみたい。また提言は、それにかわるべき対策を必ずしも明示してないものもあります。われわれとしては、行政の責任を持つ以上は、そのかわるべき対策も考えなければなりません。そういうことで、ここいらのところをひとつ十分検討した上で結論を出したい、こういうふうに考えております。
  28. 谷村裕

    谷村政府委員 和田委員のおっしゃるとおり、自由競争ということがあって、そこにお互いの切瑳琢磨もあれば、お互いによりよく自分の業態を伸ばそうという努力が重なって、そうしてそこに公正な価格が形成されるというのが、本来の、われわれが考えているいわゆる価格市場の姿であり、そこにまた経済の発展があるということ、これは私は、原理原則として疑いのないところであると思います。しかし、現実の問題としては、いまおっしゃいましたように、そういう立場に立ちつつ、なおかつ、ある程度の規制を加えていったほうがいいかどうかというふうな問題も、いろいろな角度からございましょう。  それは別といたしまして、御質問のように、自由な競争状態にした場合に、はたしてそれでうまくいくだけの担保力がおまえはあるかと言われますと、本来、私はあるはずだと思いますけれども現実がそれを妨げている点があるかと思います。  一つは、先ほどちょっと冒頭に触れられましたような寡占状態が起こっている。これは大企業のほうの問題になるかと思いますが、そういうところでは、おのずから価格について明白な形での協定、話し合等――通謀はないにいたしましても、みな大体のところで方向が、これは数も少のうございますから一致してしまうということが、実際問題として起こってまいります。世にいわゆる管理価格的な構造というものがございます。これは現在のように、片一方で競争条件があるにいたしましても、経済が成長し、設備がふえ、そしてまた国民所得もふえ、賃金も上がっていく、こういう循環の中において、はたしてこういった問題をどう――これはもちろん独禁法で、いけないという面がつかまえられればつかまえることは可能でございますが、必ずしも独禁法の現在の体制で、はたしてそこまで突っ込んでいけるかどうかという問題があるんだと思います。  第二に、たとえば、いま公衆浴場のことをおっしゃいましたけれども、これも、暗黙のうちに何か話し合いをやっておるようだ。もし浴場等で――ただいまは物価統制令ということでございますけれども、かりに自由になった場合に、そこに料金協定等を組合あるいは業者等が話し合ってやるというのであれば、それは私どもは、確かに独禁法に抵触するものとして取り締まるつもりでおります。それが今度は具体的に、一体現在の機構なり何なりでうまく見つけてつかまえることができるかという話になってまいりますと、これは私は、ちょうど交通違反に対して、どのくらい交通巡査をふやしたら交通違反が防げるか、またつかまえられるかという問題にやや似たような問題であると思います。本来は、私は、人間を幾らふやし、行政官を幾らふやしていわば悪と戦うかという話よりも――悪ということばは悪いのですが、基本的な考え方、自動車でいえば、ドライバーがほんとうにドライバーのマナーを備えてくれるようにならなくちゃいけないというのが前提だと思います。しかし、それはそう言ってもなかなかできませんが、そういう意味では、私はある意味で公取の強化が必要であると思います。と同時に、各省各庁、それぞれ所管官庁におきましても、いわば公取と同じような立場、気持ちで業界を指導していただく、また監視していただく、さようなことが私は大事であろうかと思います。  しかし、第三に、なかなかつかまらないけれども、何となく暗々裏にいろいろとこうやってしまっておるというふうな話になってまいりますと、これは日本では、ただ、おかしいから突っつくぞというわけにまいりません。やはり法律上、ちゃんとした証拠があって初めてそれを規制できるというわけでございますから、そういった問題についてどこまで手が入れられるかということになりますと、これはなかなか、実際の問題のことになってまいります。  要は、いかにしてうまく競争条件が働くようになってもらえるかということだと思いますけれども、経済の現実は、必ずしもすべてが、競争条件がうまく働くようにばかりはなっていない。また、そういう面があらわれてきておる。これにどう対処するかというのが私どもの今後の課題であろうか、かように考えております。
  29. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 御答弁の趣旨はよくわかりますけれども、たとえば、先ほどの問題になった再販制度の問題でもそうだと思います。再販制度というものはできるだけ早く整理しなければならぬと思っておりますけれども、しかし、現在の状態は、取り締まりの対象になる再販制度よりは、むしろ三倍くらい、もっと多いやみ再販が事実上ある。このやみ再販の問題については、現在の公取の機能をもってしてはなかなかこれをチェックすることができないという実情が一つある。一方、メーカーは、再販という間接的なことを飛び越えて、直接自分の事業場、出先のものを持とうとする傾向がある。こういうふうな場合に、いまの再販という問題をなくする。しかし、現在ある場合でも、やみ再販が処理できない。これを処理しようとしても、二年も三年も、あるいはそれ以上かかるというようなことをそのままにして、再販の問題を直接問題にしても、これはたいして効果のあるあれにはならない。むしろこれは、大企業のメーカーの、いわゆる原価に対してもっと効果のある規制の方法を考えたほうが、はるかに物価の問題に対しても強力な措置になる、そう私は思うのです。その問題を避けて、ただ形だけを、役所は自由な競争条件をつくったのだから役所は知らないんだということになれば、つまり責任のがれという形にならざるを得ない。つまり現在の状態は、昔ながらの自由競争状態にもろに返していくという状態ではなくて――自由競争のいい面は確かに取り入れなければならないし、戦時統制の妙な抜けがらみたいなものはどんどんはずしていかなければならない。たとえば、ここにあげられておるノリの輸入の問題なんかは、早速措置しなければならぬと思うのですけれども、しかし、全般の考え方として、つまり、自由にして、あとのことは何とか考えなさいというのでは、これは対策にはならない、そういうような感じを持つわけなんです。そういう点で、ぜひともこの問題についての御考慮をしていただきたい。  近い日に、この政策を提案しました物価安定政策会議責任の方々に、ここに御足労を願って――そういうデリケートな問題ついては、ここでははっきり述べておりません。いろんな含みのある、どちらにもとれるようなことばもあります。そういう問題についてひとつ検討してみたいと思いますけれども、きょうは時間もありませんので、その点だけをおただししたわけであります。
  30. 松平忠久

    松平委員長 松本善明君。
  31. 松本善明

    ○松本(善)委員 経済企画庁長官伺いたいのでありますが、物価の値上がりについて、いまの国民の中での政府に対する非難というのは非常に強いものがある。佐藤首相が首相になられてから五年間たっていますけれども、その間、物価について努力するということを言われなかったことはない。にもかかわらず、実際問題としてはどんどん上がっているという状態であります。この点について、経済企画庁長官としては、担当大臣として非常に重要な責任があると思うのですけれども、全般にわたって伺いたいのであります。  まず最初に、何といっても一つは、やはり公共料金の問題があると思うのです。公共料金について、私鉄の大手十四社の運賃値上げの問題とか、あるいは郵便料金の実質上の値上げというような問題が出てきておりますが、この公共料金の問題についての政府の現在の考え方、これをまず最初に御報告いただきたいと思います。
  32. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 公共料金につきましては、たびたび申し上げておりますように、できるだけこれを押えてまいらなければならない、そういう立場に立っております。もちろん、公共料金価格現象の一つでございます。コストも原価もあるわけであります。人件費も上がるわけであります。でありますから、そうした観点からいえば、ただこれをやみくもに押えさえすれば能事終われり、こういう意味ではございません。  まあどっちかといいますと、公共事業というのは、比較的競争にさらされることの少ない事業である。それだけに、とかく合理化がおろそかになり、近代化がおくれがちの要素が非常に高い。しかも、それを自発的に行なうという刺激に乏しい。そういうようなことから、もしもこの公共料金の問題を安易に取り扱いますと、結局、非能率な要素というものを温存しながら料金の引き上げを行なうことになります。そういうことを絶対私たちは避けるようにしなければならない。そういう意味で、今日、政府関係の機関あるいは地方公共団体の経営するところの企業、いろいろございますけれども、これらに対して、一面、できるだけのコストの低下ということを要求しながら、一方において、公共料金というものをできるだけ抑制をする。一つには、公共料金というものは政府自身の扱う料金であるだけに、非常に心理的な影響も大きい。そういうことも頭に入れまして、公共料金抑制の原則、こういうものを立てておるわけであります。もちろん、永久に押え込むといっても、これは先ほど申し上げましたように価格の問題でありますから、そういうことはできないのでありますけれども、いま申し上げたような趣旨において公共料金の抑制という原則を立てておるわけであります。
  33. 松本善明

    ○松本(善)委員 長官も時間がおありでしょうが、かなりたくさんのことをお聞きしたいので、簡明にお答えいただきたいと思います。  まず、いま申しました私鉄と郵便料金の値上げの問題、これについてはどうなのか、まず簡明に伺いたい。
  34. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 私鉄につきましては、まだ運輸省から、正式の相談はこちらにはありません。これにつきましては、各社ごとに経理の内容も違うことでありますし、よくそうしたことを検討をいたしまして、そうして結論をつけたい、こういうふうに思っています。  郵便料金につきましては、先般新聞にちょっと出た程度でありますし、われわれ、まだ全然、それについては相談を受けておりませんが、いたずらにこれを引き上げるというようなことでは困りますから、十分その点についてもひとつ検討を始めなければならない、こう思っています。
  35. 松本善明

    ○松本(善)委員 「行政介入物価について」の物価安定政策会議提言ですけれども、この中には「大企業製品価格の下方硬直性が指摘されている今日、いわゆる管理価格等の弊を防止するための行政介入はかえってこれを強化すべきである」ということがあります。独占価格の問題につきましては、当委員会でも、再々私は経済企画庁長官にお聞きしたわけでありますが、この点は、社会の注目をさらにますます集めてきておるように思います。  この間の四月十五日の毎日新聞でありますが、ここで書いてあることによれば、日銀は卸売り物価の上昇の状態について、現象を評価をして、端的に言うならば、昭和四十四年度の卸売り物価上昇の犯人は、大企業の製品価格値上げであると見て差しつかえない、これが日銀の見解であると、こういうふうにはっきり指摘をしておるわけであります。  この大企業の独占価格の問題を、これはどうしても何とかしなければならぬ。日経連の定時総会でも総理大臣が、また、生産性の上がっておるところの企業や産業では、物価を引き下げるという形で社会に還元してもらわなければならぬということも言っておる。これは総理の施政方針演説や長官の経済演説でも言われたことでありますけれども、これについては、単に企業に期待するということだけを考えておるのか、行政介入をするという方向を考えておるのか、この点についての考えをお聞きしたいと思います。
  36. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 全般的に日本の経済全体から見ますと、私は、まだ硬直化ということはあまりない、全体としては、まだ日本の経済は硬直化していない、こういうふうに考えております。したがいまして、それに伴うところの、硬直化をしたところの管理価格の問題というのは比較的に少ないと思っておりますが、しかし、いわゆる景気の循環の過程を通じて、今後やはりそうした要素がだんだんと、ほうっておくと出てくるおそれがもちろんございます。そういう意味において、私たちは第一に、そうしたことの発生が行なわれないような方向でもってまず政策を進めていく。できるだけ自由な競争条件というものを保存していくし、そして、できるだけ自由な競争というものを実現させるように、われわれとしては政策を運営してまいらなければならぬ、まずこれが、私は基本であろうと思います。  それから、このいわゆる管理価格というものが、かりにもしあるということになりますと、これについては、やはり基礎的な調査が必要であります。その調査に基づいて結論を出さなければならない。結局、私はこの調査が基本になろうと思うのです。というのは、ムード的に、行き当たりばったりの思いつきでやるわけにはまいりません。やはり一定のスタンダードが要ると思うのでありますが、いずれにしても、それには調査を行なってまいらなければならぬ。その前提がありませんと、私たちも、一部にそういうものがあるのではないかという推測をするだけに終わります。  今日どっちかというと――皆さんからもよく言われておるのです。政府は、警告だけは発しておるけれども、具体的なことはしないじゃないか、そう言われる向きがあることを、これは私自身も認めざるを得ない。結局、基本的な調査が足りないからであろうと私は思っておりますが、そういったようなことで、これを今後どういうふうに持っていくか。この物価安定政策会議の文章の引用がありましたから、これを私も読んでみましたが、要するに物価安定政策会議も、まだ中身のあるものではなくて、今後検討しようといっております。大いに意見も聞きたいところでありますが、要は、そうした事態を確実に認識するかどうかということを基本にして、そうした場合に、われわれとして単なる警告といいますか、個別の企業あるいは一つの部門について、そうした警告を発する問題が起こってくる、そういうふうに考えています。  目下別に、具体的な中身を持っておりません。ですから、われわれとしても、今後そうした意味の基礎的な調査をいかにしてやるかということが基本になる、そういうふうに感じております。
  37. 松本善明

    ○松本(善)委員 日銀もこれを指摘しているというような状態でありますので、長官のお考えでは、たいへんなまぬるいように思うわけであります。いま現にここの委員会でも、先ほど公取委員長は、大企業の場合は管理価格的なものができてきてしまう、公然と協定をしているということまで出てくるわけじゃないけれども、数が少ないから、おのずから管理価格的なものが生まれてくる、こういうことを現にいま、数分前におっしゃったばかりなわけで、この問題について目をつぶるということは絶対にできないことだというふうに思うわけであります。  いま長官は、調査の問題が大事だということを言われましたけれども、この委員会でずっと一貫して、大企業の製品の原価調査のことを問題にしてきたわけでありますが、この原価調査については、長官答弁では、公取に依存しているのだということを言われている。それで私は、公取の委員長にあとで詳しくお聞きしたいのですけれども長官のおられるときにひとつ答えていただきたいと思うのは、物価のそういう意味での安定ということのために原価調査というような基礎的調査をするについて、公取はできますか。
  38. 谷村裕

    谷村政府委員 いかなるところをどの程度に、どういう目的でもって調査するかによると思います。私はかつて、二十何年前に物価庁という役所におりまして、物価担当をやったことがあります。あまり昔のことは申しませんが、現状におきまして、あれだけの組織を持った形においての、物価形成のもとになるところの原価コスト検討調査というものは、いまの体制では、できるとは私は思いません。
  39. 松本善明

    ○松本(善)委員 長官、いまお聞き及びのように、公取ではなかなかむずかしいというお話です。この間の委員会でのあなたの御答弁では、三品目について公取がやっておる、この結果を見てもらいたいということですけれども、この三品目程度で事がおさまるものでないことは明白なんです。ここでやはり、どうしても大企業の製品なりを、消費者の立場で高過ぎるものを押えるという観点での制度をつくらなければならない。公取の委員長が先ほど言われたように、公然と価格協定をやっているということは、なかなか出にくいと思います。それがまた、しなくても、実際上の価格協定のようなことはできる、管理価格というものが生まれてくる。これが現実事態だと思います。ですから、やはり消費者の立場に立って高過ぎるものを押えるという観点での方法、あるいは立法もしくは告示――私は、場合によってはやれるほかの方法もあるかもしれないと思いますけれども、そういうことを長官はお考えにならないかどうか、それが必要だというふうに思われないかどうかという点をお聞きしたいと思います。
  40. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 卸売り物価等の問題につきましては、最近大企業の製品価格が上がっていることは、私はもちろん、これは認めておりますが――別に、大企業の製品だけが上がっていないと言っているのではないのです。従来、中小企業の製品あるいは農産物の価格の上昇が激しくて、物価上昇においては、主としてそうしたものが引き上げるリーダーになっておったが、今日に至って、大企業の製品もぼつぼつ上がり始めている。これはわれわれも認めておるし、またそれだけに、この点を重視して対策を考えなければならない、こういうふうに考えています。しかし、その点は、原因はいろいろあります。管理価格だけを別にきめつけるべきものではなくして、輸入原価の問題もありますし、それから賃金の問題もあります。いろいろのいわゆるコスト上昇の問題があるわけでありますから、これを管理価格一本できめつけるというのは行き過ぎであろうと思います。しかし、いずれにしても、われわれとしても、それについての対策を十分考える必要は認めているわけであります。  問題は、いま、たまたま調査の問題が起こりましたけれども、現行法においては、企業の内容に立ち入って調査をするという権限はわれわれには与えられていないことは、御承知のとおりであります。幸いにして公取委員会には一部与えられてはおりますが、独占禁止法に基づく見地からの調査であります。しかし、その調査においても、価格政策について何がしか参考になるものも十分でき得ると思います。そういう意味において、私は、公正取引委員会のそういう調査というもの等がはっきり出て、それによって結論づけるならば、これはできる。  今日、自由企業を前提にし、それから、価格というものが別にこの理論上――いわゆるコスト理論というものがありますけれども一つ一つの企業は、必ずしも原価を積み上げてきまっていくものではありません。いわゆる社会主義的な経済における価格形成とは、その点はおのずから違っておる。需要供給の要素も無視できませんし、いろいろな要素によって価格の形成が行なわれておる。それを前提にして、いろいろな経済活動が行なわれておるわけであります。そういうことで、確かにいま公取委員長指摘しましたように、調査そのものは非常に困難性の伴うものが多いと思います。特に大きな企業ということになれば、その調査は困難になるでありましょう。しかし、調査ができないというわけではないと私は思います。でありますが、いずれにしても、その基礎になる権限というものは、今日われわれの手にはありません。しかし、われわれの手にない調査資料というようなものでもって利用できるものがあれば、これはまた別であります。  いずれにしても、私の申し上げる点は、ちょうど今日税金を取るのと同じように、一つ基準がなければできない、こういうことであります。恣意的に、あそこの会社はもうかっていそうだから値段を引き下げろ、こういうような程度のことでは、なかなか進まない話であります。それだけにわれわれとしましても、この問題については、現行の体制というものを頭に置きながら、慎重に検討してまいらなければならない。しかし、この管理価格現象というものが、私ちょっと聞いておりませんでしたが、公取委員長の言うように、そういうふうに相当起こってくるというようなことになって、しかも、それが明白に価格上昇の原因になってくる、こういうことになれば、これは、われわれとしても無視のできない問題であります。今日までの日本の大産業の価格というものは、わりあいに低く押えてきたと私は考えております。そういう意味において、あるいは松本さんと根本的に考え方、見方の違う点があるかもしれません。そういうことを前提にして、今後こうした問題を考えていかなければならない、こう考えております。
  41. 松本善明

    ○松本(善)委員 日銀の資料でいっておることでも、卸売り物価上昇に対する寄与率を見ると、大企業の工業製品価格の上昇が五割強を占めているといっているんですね。これは、長官の認識をさらに進めてもらいたいと私は思うのですけれども、さっきお聞きしましたこの観点からの制度上の立法、消費者を守るという、高過ぎるのを押えるという観点での立法を考える気持ちは全くありませんか。
  42. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 第一に、大企業の卸売り製品が上がったからだ、すなわち管理価格による引き上げなんだということは、結論が早過ぎるということは、さっきも申し上げております。価格が上がるには、いろいろな原因が総合しておるわけであります。でありますから、すぐそこに管理価格論を結びつけるというのは時期尚早である、こういうことを申し上げたわけです。  それから、消費者の立場に立ってこれを保護するということでは、われわれとしても、いろいろなことを、制度考えなければなりません。ただ、いま申し上げたように、価格について、ある企業に唐突に、これをそこだけすぐやるというような、そういう制度の立て方というのは問題がある。これは事実上の――よく終戦後におやりになったような、特定の企業を目がけてこうやれという、こういう式のことをやれというなら別でありますけれども、やはり国が制度として考えるということになれば、これは相当慎重に検討を要する問題であろう、こういうふうに思います。
  43. 松本善明

    ○松本(善)委員 この問題については、さらにいろいろ論議をしなければならない点があるわけですけれども、時間がありませんので、これはまたの機会にいたしまして、どうしてもいまお聞きしておきたいのは、野菜など生鮮食料品のはなはだしい値上がりの問題です。これについてのこまかな点だけ伺っておきたいのですけれども、ニンジンとかタマネギとか大根、ジャガイモ、こういうものの暴騰が、昨年の暴落による農家の作付減に背景があるというようなことも、たくさんの人が指摘をしてきたわけです。これを解決をするためには、やはり農産物の価格を安定させる、消費者価格を安定させる、それから農村でも、生産者の生活が安定するような価格をやる、そういうような二重価格制度ということを私どもは主張しておりますけれども、米の食管のような考え方を入れていく、重要な農産物についてそういう方向をとらざるを得ないということが、かなりはっきりしてきておるのではないかというふうに私どもは思うのですけれども、その点についての長官のお考えをお聞きしたいと思います。
  44. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 野菜につきましては、まさしく御指摘のように、何といっても価格の安定ということが基本であろうと私も思います。  今日の日本の野菜は、二年サイクルで、前の年に非常に不作であると、次の年には、今度は必ず作付面積がふえていく、そして下落する。この下落と上昇を一年ずつ繰り返してきております。こういう前近代的な様子というものを改めていかなければならない、これははっきりしております。  そうなりますと、天候だけにたよりがちないわゆる菜っぱ類――露地ものといっておりますが、そういうものをできるだけ少なくして、たとえば施設ものといいますか、ビニールハウス等でもって栽培するキュウリとかトマトとか、そうした天候に左右されないでもって作付の伸びていくようなものにも重点を置いていかなければならないとか、あるいは畑作かんがいをさらに拡充するとか、御存じのように農林省としても、いろいろといま対策を検討しているわけでございます。いずれにしましても、天候天候一点ばりでいっているのは、われわれとしてもまことに残念であるけれども、しかし、この四十年の干ばつというものが出て、はしなくもそういう点で、日本のまだまだ近代的でない点が暴露されたと私は思っております。  そういう意味で、これは一年で解決する問題ではございませんが、いかにして天候に左右されないで野菜の価格の安定をはかるか、こういうことがわれわれに与えられた課題であります。これは今後、野菜がどんどん値が下がってまいると思いますけれども、下がってしまうとすぐ忘れるということではなくて、この際、われわれとして基本的に検討しなければならぬ、こういうふうに考えております。  ただ、いま松本さんの指摘された点ですが、私ちょっと、必ずしも御趣旨がはっきりしなかったのですが、財政の補給によって二重価格制をとろう、こういう御趣旨ですか。
  45. 松本善明

    ○松本(善)委員 それも含めてです。
  46. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 これは、お米について、すでに三千億から四千億の税金をつぎ込んでいるわけでありますけれども、これには、おのずから限度がありましょう。農産物については、ある程度保護ということはやむを得ないでありましょうけれども、しかし、すべて売り値と買い値と二重にして、そうしてその差額を税金でもって埋めるということになると、これは切りのない点もございます。ただ、もっと積極的に前向きに、どうしたら野菜の生産をふやすことができるか、しかも、どうしたらそれを暴落させないで、安定しながら供給することができるかというような、そうした仕組みの問題にもっと金を使うべきではなかろうか、そういうふうにもつばら考えております。いろいろな農作物があるわけですから、全部税金で片づけるというわけにはなかなかまいらない、こう考えております。
  47. 松本善明

    ○松本(善)委員 最後に、一つだけお聞きしておきますが、財源の問題については、ちょっと論議する時間がありませんのでやむを得ませんが、四月二十二日の物価対策閣僚協議会での話ですが、ここでは農産物価格の問題については、関税引下げだとか自由化の繰り上げということが言われておりますが、これでいきますならば、日本の農業や中小企業に対する打撃というものは、やはり相当大きい。むしろ大局的には、これは物価の値上がりという方向にいくのではないか。むしろ、この問題を利用しての自由化という方向が切り開かれてくるのではないか、そういう点で、たいへんな危惧を感じているわけですけれども、そういう方向でいけば、日本の農業や中小企業に対する大きな打撃になるというふうにお考えになりませんか。
  48. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 今日、食料品の価格中心にしてこれだけ消費者物価が上がってきましたが、この消費者物価が上がるということが、すなわち、裏返すと農民諸君の所得が向上してきた――農民諸君が都市の勤労者に対して相当の所得格差を持っておりましたのを、御存じのように、この十年間で埋めることができました。それだけ所得は上がりましたけれども消費者物価もそれだけ上がった。この矛盾をわれわれはやはり十分承知した上で、価格対策というものをやってまいらなければならない。  そういう意味においては、結局農業の生産性を高めるということが一つの大きな課題であります。ただ手をつかねておっても、なかなか生産性は上がらない。やはりある程度輸入の自由化、いわゆる競争条件を導入するということも一つの道であろう。ただ、私たちも御指摘のように、日本の農業の置かれている事情というものを十分わきまえているつもりでありますから、何でもかんでもすぐ輸入化してしまう。物価も大事ですけれども、全部輸入化してしまって、日本の農業を滅びるにまかせていいという考えを持っているわけではありませんし、徐々にやってまいらなければならない。  ただ問題なのは、今日どっちかというと価格の引き上げによって農業というものを保護してきた。この政策ばかりをとっておりますと、結局いつまでたっても生産性の向上、能率の向上というものが期待できない。やはり少しずつ自由化の波にも当てていいじゃないか。これは業種によって私は違うと思う。ですから、それらの品物の選択、それからまた、万一自由化したときには、それによって起こるところの、農民が受けるところの影響をできるだけ避けるように、それに対応した調整対策というものも、もちろん必要でございます。ただ一律に自由化を進めればいい、こういうことではございません。品物によって、もう自由化をしても適当ではないだろうか、こういうもので、今日なお自由化されないで、それがやはり相当今日の消費者物価影響しておるものがある。現実に、この輸入制限品目といいますか、自由化されておらないところの品物の消費者物価の上昇率が一番高い。これは数字にはっきりと出ているわけでありますから、そういう意味で、農民諸君の立場というものも十分考えながら調整していかなければならない、こう思っています。
  49. 松本善明

    ○松本(善)委員 たいへん、きょうの論議では、時間の関係で不十分でありますけれども問題点指摘だけはしたと思いますので、またの機会長官にお伺いすることもあろうかと思いますので――突っ込んで、私は何べんか長官と論議をいたしましたけれども、どうも前進が少ないように思うわけであります。国会で提起をされました問題について、さらに突っ込んで政府考えを、まとめてこの次に伺いたいと思いますので、そういう点できょうの論議を生かしていただきたいということをお願いして、きょうの質疑を終わります。
  50. 松平忠久

    松平委員長 武部文君。
  51. 武部文

    武部委員 国税庁の方には、たいへん申しわけありません、もうちょっとお残りをいただきたい。  先般閣議で生協の問題が取り上げられたわけでありますが、非常に大々的に報道されましたので、皆さんも御承知のとおりでありますが、いまだかつて、生協問題が政府の閣議で取り上げられたということは、私ども承知しておりません。その意味では、非常におそきに失した感がありますけれども、私どもとしては歓迎するところであります。その生協問題が取り上げられた原因も、婦人団体の皆さんが直接総理に面会を求められて、現在の物価高に対するいろいろな苦情なりあるいは要望なりの中から、総理が生協というものに非常に関心を持って、その対策について官房長官に指示をされたということを私ども聞きまして、たいへんけっこうなことだと思うのであります。  生協法が昭和二十三年に制定されましてからすでに二十数年たっておるわけですけれども、この間に、抜本的な改正はただの一回、昭和二十九年に行なわれただけであります。なるほど生協は、全国に二千ばかり存在をいたしておりますが、ほとんどこれは弱小生協でありまして、地域生協、職域生協、その中で職域生協が非常に数が多い。資金的にも非常にこれは小さい。そういう面から、生協法を改正をしてこれに政府がもっと力を入れるべきではないかということを、私ども何回か当委員会で要請をしてきたところでありますが、他の官庁からもいろいろ意見が出たりして、前国会でもこの問題はついに法改正に至らず、今日を迎えました。  先日、厚生省の担当の課長においでをいただいて、私ども見解を述べたわけでありますが、その後に、先ほど申し上げるような、閣議の中でこの問題が取りざたをされ、総理が生協についての育成強化を指示をされた、こういう結果が出てきたわけでありますので、これからこの問題について、厚生省社会局長見解を承りたいのであります。  前回も申し上げておりますので、すでに御承知だと思うのですが、私どもの主張は、生協法の改正の中で特に取り上げなければならぬのは、生協への融資対策、厚生年金の還元融資の問題であります。これは何回かの経過を経て、出資金一千万円ということが法改正をされたわけでありますが、現実には、ほとんどの生協は対象になっていない。活動しておる生協には何ら影響がない。こういうことから、資金面において生協は非常に苦しんでおることは、御案内のとおりであります。さらに、農林中金等については一応認めてもらっているわけですが、このワクをさらにふやすべきではないか、こういう見解を持っておるわけでありますが、これについて厚生省見解を承りたいのであります。  次いで、生協法の法律改正の面で、員外利用の問題であります。員外利用の問題については、類似の協同組合等について非常に優遇をされておるにかかわらず、生協だけ、員外利用を今日認めていない。特に漁業協同組合あたりは五〇%、水産業協同組合共済会、同じように五〇%、農協は二〇%、医療施設は四〇%、こういうように員外利用を認めておるわけでありますが、少なくとも生協については、農協並みの二〇%を員外利用として認めるべきではないかということを、かねてから生協も主張するし、私もそのようにすべきではないか、このように考えておるわけでありますが、これについて厚生省意見をお聞きをいたしたいのであります。  さらに、地域制限の問題については、これまた前回、課長によく説明をしておきましたのでおわかりだろうと思いますが、今日の生活圏の拡大等から、地域制限ということはほとんどこれは効果がない。むしろ地域制限を撤廃したほうがいい。地域制限を撤廃すれば小売り業者がそのあおりを受けて困るという、そういう中小企業庁の意見がございましたけれども、そういうことはあり得ない。むしろ、いまの生協の実態を詳細に検討されるならば、地域制限を撤廃したことによって、小売り店が倒産をするとか商売不振におちいるとか、そういうことはあり得ないことを、自分で調査をしてみて確信を深めました。したがって、この際、総理の生協育成の方針に従って地域制限を撤廃すべきである、このように考えますが、これについての御意見。  さらに、許認可の問題については、あとで国税庁ともお話をするわけでありますが、許認可について多くの制限がなされておる。特に酒、米、薬品の販売等について、生協には他の類似の協組よりも非常にきびしいといいましょうか、生協で売ることについて認可を求めることについて、これは非常に幅が狭い、ほとんど認可がおりない、こういう現実にあるわけであります。これについて厚生省はどうお考えか。  いま一つは、御婦人の団体が総理に直接話されたと私聞いておるわけでありますが、住宅団地に生協の進出が困難である。これは生協が入る以前に、住宅団地には小売り業者が先に店をかまえるとか、スーパーが出店を設けるとか、そういうやり方をするために、生協があとでそこに店を持つことが不可能だ、こういう結果になるわけですから、住宅を新しく建てる場合、団地に生協を入れるところのスペースを事前に確保することが必要ではないか。そうでなければ、団地に生協が進出することはほとんど不可能な状態になっておる。こういう点について、建設省その他と折衝される意思があるのかどうか、これが大きく分けた四つの点であります。  それから、具体的な問題として、先ほど農林省から、ノリの問題等について輸入を促進をして、この提言の趣旨に沿うという話がございました。私がこれから取り上げるのは、輸入の割り当て方式についてであります。確かに輸入によって、提言のようにある程度物価の安定を期待することは、これは私どもとして当然考えなければならぬ。それが二%ということになっておるわけですが、すでに肉あたりは二%以上輸入をされておる。されておるけれども、輸入をされてからの流通一体そのものがどこへ行くのかという追跡調査をしてみると、大メーカーあたりに全部輸入が割り当てられてしまう。そのために、消費者のところにやってくるときには、相も変わらず高い値段になってくる。輸入品の追跡調査の結果から、私どもはそのように見るわけであります。したがって、途中で輸入品が吸われてしまって効果があがらないというようなことではなしに、直接消費者、特に生協、農協、そういうところに渡るような仕組みを考えなければならぬのではないか。そのためには、いま私どもが主張することは、紅茶とか、あるいはタラコとかカズノコとか、イカ、コンブ、そういうものは直接消費者団体、生協にこの輸入の割り当てをやれば、それが価格影響をもたらすのではないか、こういうことを考えておるわけです。かつて砂糖の問題で通産省から、いろいろ弊害があったということについて御指摘があったということを、私もお聞きをいたしましたが、その弊害を除くような方針をとることは私は可能だと思うわけでありまして、いま私が申し上げたような具体的な品名のもの等について、これは農林省になるかもしれませんが、輸入品をそうした協同組合に直接割り当てをして、消費物価に直接影響が出るような方針を考えなければならぬのじゃないだろうか、これが今回の生協、農協育成の中心であって、小売り活動を強化しろという佐藤総理の趣旨と適合したやり方ではないかと私は思うのでありますが、これについて御意見を承りたい、このように考えます。
  52. 伊部英男

    ○伊部政府委員 生協の問題につきましては、ただいま先生御指摘のように、現在の物価問題に関連をいたしまして、生協の育成、活用ということにつきまして、厚生省といたしましても関心を強めておるところでございます。先般の各省からの物価対策の一環といたしまして、生協の活用、育成ということを、厚生省として企画庁に提出をしたのでございますが、ただいま先生からお話がありましたような事情もあったかと思いますが、閣議におきまして生協の問題が取り上げられておるわけであります。  厚生省といたしましても、もとより現行法のワク内におきましても、すみやかに生協の一そうの育成、強化をはかりたいと考えておりますが、今後の生協の育成の長期的ないわば方針というものを立てる必要があると考えられますので、種々省内におきましても検討に着手し、あるいは、関係団体とも打ち合わせを始めようとしておる段階でございまして、ただいま先生が御指摘の点は、いずれもその際十分検討いたしたいと考えておる項目でございます。  具体的には、厚生年金または国民年金の還元融資の御指摘があったのでございます。先生御指摘のように、金融の問題は、生協が発展をしていく上におきまして非常に重要なことでございまして、農林金庫あるいは開発銀行等に対しまして、厚生省といたしましても、個別に申請がありました場合につきまして側面的な応援をいたしておるのでございますが、そのほか、還元融資といたしましては、住宅その他厚生施設につきましては、従来から、年金福祉事業団を通じまして相当量の融資が行なわれておるのでございます。具体的に生協方面から御要望のありますのは、店舗の融資でございまして、これは前国会におきましても先生から御質問があった点でございますが、その後関係局と協議をいたしておる段階でございますが、還元融資につきましては、従来から生産関係には回さないという原則がございまして、そういう点から申しまして、店舗に直接融資をするのはどうかという御意見がございまして、まだ煮詰まっていない段階でございますが、いずれにいたしましても、還元融資を含めて金融の面につきましては、今後一そうの改良をしなければならぬと考えておる次第でございます。  地域制限の緩和につきましては、これも前国会において御質問があった点でございますが、都道府県単位限りという一応のリミットがあるのでございますが、現在の交通状況から申しますと、もう都道府県単位では狭いめではないかという御議論も一方において強いようでございまして、こういう点、関係方面にもいろいろ御議論があるのでございまして、これにつきましても、まだ煮詰まっていない段階でございます。  員外利用につきましても、これもいろいろ御議論がございますが、たてまえといたしましては、生協はやはり組合員相互の一つ社会活動でございますので、員外利用というものは、本来は例外的な問題であろうと思いますが、先生の御指摘もございますので、十分検討してみたいと思います。  許認可等につきまして、実際上いろいろ制限をされておる面がないではないようでありまして、こういう点につきましては、関係官庁に対しましても強力にお願いをしてまいりたいと思っております。  なお、住宅団地にスペースを設けよという御提案につきましては、私のほうも実情を調査いたしまして、必要があれば、関係の建設省その他に十分連絡をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  53. 武部文

    武部委員 一つ落としておりましたから、これも御答弁いただきたいですが、租税特別措置の損金算入の問題ですね。これについて、農協、中小企業と生協との間に差がある。さっきちょっと一千万円のことを申し上げましたが、このことについてどうですか。
  54. 伊部英男

    ○伊部政府委員 御指摘のように生協につきましては、留保所得の二分の一の特別控除制度の適用につきましては、出資額千万円以下のものに限られておるのでありますが、これは、一般の中小業者の関連から制限をされておるものと考えられるのでありますが、厚生省といたしましては、今後とも引き続いて関係当局に対し、制限を撤廃するよう努力をしたいと考えております。
  55. 武部文

    武部委員 いまお聞きをいたしますと、検討をしてできるだけそういうふうにしたいというお話でありますが、いまの租税特別措置の損金算入にいたしましても、一千万円というワクをきめた、それは他との均衡もあってというお話でありました。具体的に一千万円以下の出資金のところは、先般も申し上げましたが、八割八分、ほとんど九割に近い生協が一千万円以下です。一千万円以上というものはわずかに一割ちょっと、一割一分くらいしかないのですよ。だから、ほとんどの生協がこの対象にならないということなんです。生協というものはそういう出資金の状態なんです。ですから、現実というものをやはり見きわめて、それに適合した措置をとっていただかなければならぬ。それが生協育成だと私は思うのですよ。ですから、出資金の非常に多い、そういうところじゃないという生協の実態、これをよく見て――他との均衡といったようなことでは、これはいつまでたっても解決しないのですから、生協の実態というものをよくお調べになって、なるほど二千も組合はあるけれども、出資金の状態はどうだという点をぜひ検討して、この問題についてはひとつ抜本的な改正をやってもらわなければならぬ。これは具体的な解決策ですから、それを特に要望しておきたいのです。  それから、あなたがおっしゃった員外利用の問題についても、他との均衡があっていろいろ考えなければならぬということ、地域制限の撤廃のことについても、これは前からの懸案だからとおっしゃっておるわけですが、これは、私は、中小企業庁が反対をしておると思うのです。確かにそういうことが、前回の法改正のときにありました。中小企業庁がなぜ反対をされるか、私はこのことについて非常に疑問なので、ほんとうならば、きょうは中小企業庁長官に一緒に同席をしていただいて、なぜ地域制限を撤廃することが中小企業庁としては反対なのかをお聞きしたがったのですが、きょうはお呼びすることをしなかったわけです。  先ほど申し上げるように、これはぜひ皆さん現実に、現場を見ていただかなければならぬ。小さい生協は、他に店舗を設けるというような能力はないのです。大きい灘の生協とかいうものが、地域制限の壁に実ははばまれておるのです。それならば、灘の生協というものが、地域制限を撤廃して、大阪のすぐそばに、隣のところに進出したからといって、小売り店がその圧迫を受けて倒産するというようなことは考えられないのです。  私は、あなたにぜひ聞いていただきたいのです。先般課長に申し上げておきましたが、灘の生協はたくさん支店、店舗を持っております。最初は、小売り商が、そういうものが来たのでは自分たちの品物が売れなくなるというので、反対だったそうです。ところが、現実には、いま支店の誘致さえ小売り店が希望しているということを聞いた。私は、二カ月ほど前に行ってきたのです。行って、その小さな店舗を調べてみました。その付近と、これは全く共存共栄です。生協にすべての品物があるわけじゃないのですから、その辺に非常に人通りがふえて、お客がたくさん来たものが付近の小売り店を利用するというので、むしろ、付近の小売り店の皆さんは歓迎しておるという事実があるのです。  そういう点から見ると、いまこの段階で地域制限に固執されることは、私は誤りだと思うのです。ですから、中小企業庁は、十分御相談をいただいて、申し上げたような具体的な点については、すでに閣議決定、総理の指示もあるわけですから、ぜひ、生協の将来の育成のために根本的な改正を求めたいと思うのですが、そういう意思でこれから皆さんのほうでは立案をされ、各関係省庁とこうした問題で積極的におやりになる意思があるかどうか、お伺いをしておきたいと思います。
  56. 伊部英男

    ○伊部政府委員 先生御指摘の灘生協のお話につきましては、われわれも実情をさらに十分調査をいたしまして、他官庁との折衝の間にも活用いたしたいと考えておりますが、生協全体の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、物価対策上、当面現行法の域内においてあとう限りの育成強化をはかりますとともに、基本的な今後の長期的な育成策につきましては、法律改正を含む基本的な検討に着手したいと考えておる次第でございます。
  57. 武部文

    武部委員 それならばひとつ要望しておきますが、前の社会局長もそうでありましたが、ぜひ日協連と具体的にこうした問題について、一体生協は何を望んでおるのか、実態はどうなのかということについて積極的に話し合いをされて、生協の希望がどこにあるのかというような点については、今後ともそういう接触を保って、この実効があがるようにしていただきたいのですが、よろしゅうございましょうか。
  58. 伊部英男

    ○伊部政府委員 生協関係の方々とは、従来から密接な接触を保っておりまして、先般の閣議決定後も、いろいろ意見の交換をいたしたのでございますが、今後とも率直な意見の交換を通じまして、生協の育成強化のための適切な案を考えてまいりたい、かように考えております。
  59. 武部文

    武部委員 それでは、この提言について、あと一つ二つ質疑を行ないたいと思います。  国税庁の方にはたいへんお残りをいただいたわけでありますが、この提言の中に「税収の確保」という項目がありまして、酒類の小売り販売業免許付与の運用について、という内容がございます。すでに国税庁はお読みになっておると思うのですが、この文章の中に、小売り販売免許の条件がいろいろあった、これが自由競争を通ずる合理化、近代化の妨げになっておる、「したがって、消費者利益をより考慮するためにも、販売業に対する免許制度のあり方について抜本的再検討を加えるとともに、当面、新規参入促進の観点から、その運用の弾力化を推進すべきである。」こういう提言がなされております。経済企画庁物価対策閣僚協議会に提言をされました内容を見ますと、それがさらに前進をいたしておりますが、この中で、「酒類販売業における免許制度の緩和等」「現在の酒類販売免許制度の緩和をはかるため、運用を弾力化し、効率的な事業者(スーパー、生協等)に対し、優先的に免許を与えることとする。なお、免許制度の廃止を検討する。」こういう物価安定の具体策が出ておるわけであります。  このことについて――前国会でもいろいろ、この酒類販売業の問題については論議をいたしたところでありますが、この提言について、国税庁はどのような見解をお持ちであるか、これをお伺いいたしたい。
  60. 中橋敬次郎

    ○中橋説明員 いま御指摘になりました物価安定政策会議の、行政介入物価に関する提言の中で、酒類の小売り業免許について言及されたことは、もちろん承知いたしております。ただ、私どもとして、特に開陳しておられる御意見について、全面的に同意をいたしておるわけではございません。  と申しますのは、物価という観点からだけを取り上げましても、はたして過去におきますところの酒類販売業、小売り業の免許制度というのが、そんなに逆行しておったのかという点について、まず基本的に疑問を抱かざるを得ないのであります。  流通制度といたしまして、私どもは、過去三十年間、昭和十三年に小売り免許制度ができましてから、戦中、戦後を含みますけれども、その間、他の物資の流通形態、流通経路を比較いたしますと、酒の流通経路というのは非常に簡素化されておったと思います。私ども製販三層と申しますが、お酒のメーカーから小売りの段階に至るまで、簡単な三つの層、生産と卸と小売り、この三つの層で終始しておったわけであります。他の物資が、小売り屋なり消費者の手元に届くまでに、相当ぐるぐる、ぐるぐる回っておるということを考えますと、かなりこの免許制度というのは流通経路の簡素化に役立っておったのではないか、私はそう思っております。  それから、物価観点に関しましては、たとえば三十年と四十三年との物価を調べてみまして、食料全体では一体どのくらい物価が伸びておったかと見ますと、私の手元では、約七五%伸びておるということになっております。ところが、お酒を見ていただきますと、酒類全体では九・五%、一割足らずの伸びにとどまっております。もちろんこれは、そこにかなり含まれておりますところの酒税の減税の要素がございます。税抜きで一体どういうことになっておるのかということを考えてみましても、清酒で五割、五一%ぐらい、ビールにおきましては一四・八%ということで、他の食料品に比べますと、その伸びたるや格段と低いのでございます。これは、また、免許制度を通じ、われわれが流通経路をいろいろと問題とすることを通じまして、お酒の価格をかなり押えてきたと、私どもは確信をいたしております。  それはさておきまして、それでは、一体、現在小売り免許制度をどう考えるのかということでございますが、提言では、その廃止をまず基本的に検討しろということでございます。物価観点だけから申しましても、先ほど来私が申し上げたわけでございますけれども、酒税の確保というまず第一の点から考えますと、いまお酒の最終小売り価格の中に占められておる酒税のウエートというものは、まだかなり高い。昭和十三年に小売り免許制度を導入いたしました当時と変わっておりません。酒税は、それほど高いのが現状でございます。ビールにつきましては、約五二%は酒税、清酒におきましては四五%から二五%くらいは酒税であるということなんでございまして、その酒税を確保する道、売り掛け金の中に含まれておるかなり高いウエートの酒税をどういうふうに確保するかという点から申しますと、私はやはり、まず販売流通段階におきますところの免許制度というものも存置せざるを得ないのではないかと思っております。  それから第二に、一体、アルコール飲料について野放図に売らしていいのかという問題がございます。先進文明国の例を見ましても、小売りの段階において、アルコール飲料を野放図に売らしておるという国はほとんどございません。私が承知いたしておるのでは、西独におきまして免許制度がないという段階だけでございまして、あとヨーロッパ、アメリカの先進国については、全部免許制度をとっております。そういう観点考えますれば、一がいに提言のように、免許制度をやめたらいいのだというふうにはいえないわけでございます。  それは基本的な態度でございますが、さればといいまして、私どもは免許制度を存続するにつきまして、免許制度一体何のためにあるのかという目的を逸脱しないように、今後十分配意していきたいと思っております。と申しますのは、免許制度があるということは、既存の免許業者利益を擁護するためじゃございません。先ほど言いましたような二つの観点からの免許制度でございますから、これを十分に、その目的に沿うように活用していかなければならない。これは提言にもあるし、あるいは経企庁がいわれておるように、この運用をよろしくやれ、これは全くおっしゃるとおりでございます。私どもは先年来から、そういうことについての努力をいたしておりますし、今後ともなおそういうことをやりたい、基本的にはそういうことでございます。
  61. 武部文

    武部委員 酒税の確保の問題については、いろいろ論議がございまして、酒税は小売り店から取るのではなくて、これはメーカーに、生産の場合に酒税がかかっているわけですから、小売り店でもって非常に混乱した場合には、小売り店からメーカーに金が払えない。それだから、今度はメーカーは税金を払えないという、そういう面からおっしゃっておるわけですね。ですから、酒税の本質的なものの取り方から考えるならば、これはメーカーから取っておるのですから、その段階でもちゃんと押えてある。ただ、それが流通段階で無用な混乱が起きたときに困るのだということがあなた方の心配だ、ということはわかります。このことはわかる。ただ、この提言の中にいわれておることは、店舗の距離であるとか、世帯数の制限とか、あるいは取り扱いの経験年数とか、そういうことが非常に厳格にやられておって、新規参入というのがほとんど困難じゃないか。それで、前回の国会で説明を求めたところが、十年間に小売り店は一割くらいしかふえてない。その反面、ビールは生産が四倍に伸びておる。生産が伸びておるけれども、小売り店は一割しかふえてないというようなことが、間税部長から答弁をされました。これは現実に、数字としてはっきり出ておる。そういうことが実はあったわけです。  そこで、経済企画庁のほうは廃止を検討しろという、あなたのほうはなかなか困難だという。これはまだ、いろいろ折衝の段階があると思うのです。それで私は、先ほど生協のことについて申し上げたわけですが、生協が酒の申請をしても、これはほとんど却下になっている。これは具体的なたくさんの事実があるのです。その理由もまちまちですが、これは国税庁長官の通達が生きておる。そのために、あの通達に基づいて、各税務署長はほとんどこれを却下しておるというのが、どうも事実のようです。  そこで、先ほどの総理の話ではありませんが、生協育成の中で、生協が酒の販売なり薬なり米なり、そういうことについて他と差別を受けておる。そういう点についてこれを検討し直せということで官房長官が厚生大臣にもその話をして、厚生大臣も、生協の販売の品目の中にそういうものを入れるべきではないかというような具体的な検討を進めたと、新聞も報じておるわけです。  国税庁としては、酒の免許をスーパーにおろしておられるわけですね。スーパーには免許をおろしておる例がたくさんあります。スーパーに免許をおろしながら生協に免許をおろさないということは、これは私はおかしいと思うのです。それから、一説によると、生協が酒を取り扱うと、何か目玉商品にするのじゃないかというようなことも、前回の国会でもありました。それで、私も、生協がそういうことをするのかと思っていろいろ聞いてみたが、私の考え方は全く間違い、生協はそういう酒なんか、ウイスキーとか洋酒を目玉商品にするようなところはないのです。生協の目玉というのは、生協自体がつくるものが、ちゃんとりっぱなものがあるのです。それが生協の目玉なんですよ。酒を目玉にするような生協じゃない。むしろ、悪いことばでいえば、スーパーこそ酒を目玉商品にする可能性が、生協よりはるかに強いです。こういう点から考えると、生協に、そういう国税庁長官の通達によって免許の締めつけをするようなことはこの際やめて、この提言の趣旨に沿って、生協でも、規格に合っておればどんどんその免許をおろす、そういう立場を明らかにされるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  62. 中橋敬次郎

    ○中橋説明員 それでは今後の運用をどうするのかという御質問でございますが、まず第一に、私ども、スーパーのほうにより甘く見ておるのではないかという御指摘でございますけれども、実はそういう状況ではございません。さりとて、また生協に甘くということでもございません。私どもは、基本的には、今後もスーパーであれ生協であれ、同じに判断をしていきたいと思っております。  ただ、従来もそうでございましたし、今後もおそらくその点はなかなかむずかしい問題だと思いますが、私どものいままで小売り免許を付与する基準の中で、生協についても一つの制限を持っておりました。それは、先ほども武部先生御指摘のように、員外利用ができるかできないかという問題、これをかなり重要な要素として考えておったことは事実でございます。酒の小売り免許を与えます場合には、その免許を一体どういうような地域、どういうような世帯、人口、販売量を踏まえて付与されるかということになりますと、どうしてもパブリックにオープンな売り方をしてもらう店というのをまず第一に考えなければならぬわけでございます。先ほど、厚生省とのやりとりでも先生が御指摘になったとおりでございまして、まず私どもは、生協の免許につきましては、この員外利用という問題を解決していただきたいと、従来からも考えておりました。今後も、スーパーなり一般の小売り免許の問題を考えます場合には、その問題はやはり要素として考えざるを得ないと思っております。それ以外の点につきましては、スーパーであれ生協であれ、一般の小売りであれ、同じような条件のもとに免許を考えてまいりたい、こういうふうに考えております。
  63. 武部文

    武部委員 いまのあなたの御見解は、員外利用が認められれば、当然何の制限もなしに免許を与える、こういうことなんですか。
  64. 中橋敬次郎

    ○中橋説明員 そこで、スーパーなり一般の小売りなりの免許と同じような条件と申しますのは、先生も御承知のように、人口でございますとか世帯でございますとか、販売数量でございますとか、あるいは距離というようなものを考えなければならぬわけでございます。  ちょっと余分に走るかもしれませんけれども、今後私どもといたしまして、たとえば先ほどお話のございましたように、従来もそうだったと思うのですけれども、団地等についての小売り免許を考えます場合に、実は距離制限というのを、百メートルなら百メートルと厳格に守れば、一ぱい店屋が集中的に集まっておるものについて運用しがたいということは、十分わかっております。従来も、そういうときには百メートルという制限は考えなくてもいいんだというふうには言っておりましたのですけれども、とかくそれは画一的に取り扱われておったきらいがあったことは、私どもも十分認めますし、今後は、そういう一般の商店街と違って集中的に店を持つ、また持たざるを得ないところにおける距離制限等の弾力的な運用という点については、十分配慮をしてまいりたいと考えます。  小売り免許を与えます場合に、生協なりスーパーなり一般の小売りの免許というものを、従来と同じようなそういう条件のもとにおいて員外利用が認められますれば、そこで、同じレベルで判断を個別にやってまいりたい、こう申し上げたわけであります。
  65. 武部文

    武部委員 現実に員外利用を認めていない今日、生協に免許のおりているところもあります。ですから、あなたのほうは、員外利用を認められれば、免許を与えるのは同条件になるのだというような御答弁だと思うのですね。そこで、事はそうなってくると、厚生省に――厚生省、帰ってしまってぐあいが悪いのですけれども、そういうことになるわけですよ。ですから、員外利用を認めることとも関連するわけですよ、現実問題として。厚生省があなたのほうと、いろんなやりとりをこれからしてもらわなければならぬ。ですから、員外利用を認めるようにせいと、あなたのほうから言ってもらえば一番いいのだけれども消費者がどこへ行ってもたやすく買えるんだというような、消費者の喜ぶ流通機構というようなものができ上がるような、そういう施策をぜひひとつ立てていただきたい。これは提言の趣旨にも沿うと思うのです。小売り免許の全面廃止ということになると、これは相当問題が大きいと思うのです。いままできた中で、一朝にはそれは困難だと思うのですが、提言の趣旨も十分考えられて――いまの小売り免許のあり方には、やはり免許制度の上にあぐらをかくというようなことがあってはならぬと思うのです。そういう指摘はたくさんあるのですから、そういうことのないような指導をぜひやっていただきたい。提言に対する皆さん方の考え方もよくわかりました。  そこで、提言の中の後段の「酒団法に基づくカルテルが締結され、」と示されておりまして、「かかるカルテル行為は、限界企業の温存を通じ、業界の体質改善を阻害し、ひいては消費者利益を害する事態を招来するおそれがあるので、あくまで緊急避難的措置として、その更改は極力これを回避し、その締結期間中、清酒価格の値上、げが行なわれる場合には、直ちにカルテル認可の取消しを検討する等消費者利益を充分考慮した運用が行なわれるべきである。」こういう提言がありますが、この酒団法に基づくカルテルの問題について、いま提言をしておるような点について、公取委員会委員長はどうお考えでしょうか。
  66. 谷村裕

    谷村政府委員 これは生産、流通機構について、本来は国税庁が所管しておられるところだと思いますが、ここに書いてありますように、自主流通制度の発足に伴ったりいたしまして、今回、従来の生産体制をある程度整備しなければならないという問題に直面したのだと思います。そういうときに一挙に事を進めてしまう。自由にほったらかしておいてもいいという考えもありましょうが、そこにおいて、この間大蔵委員会で言われたことばを拝借すれば、整々たる退却と申しますか、そういう形で処理をしたい、こういうことでございまして、いわばそういう期間の間だけ、こういう意味での生産規制のカルテルをやりたい。しかし、それはずっとやっていくということではなくて、そういう意味の整備が終わるまでの緊急のものである、こういう考え方でありますので、私どもといたしましても、これはやむを得ないところであろうということで同意をいたしたわけでございます。
  67. 武部文

    武部委員 国税庁は、この提言に賛成でございますか。
  68. 中橋敬次郎

    ○中橋説明員 公取委員長が申されましたように、私ども、自主流通制度が突然発足しましたことにかんがみまして、できるだけ早くそれに対応する体制というのを清酒製造業界につくりたいと思っております。幸い、その間の事情を公取でも認められまして、長くて五年間を目途に生産規制をやってもいい。ただし、その間に構造改善事業というものを強力に推し進めろということでございますので、私どもも、その御趣旨に沿いまして構造改善事業をやり、現在国会において御審議中の法案によりますような体制も整えながら、その時期に直面するべく努力をいたしておるところでございます。
  69. 武部文

    武部委員 薬務局長おられますか。――先ほど私は、再販の問題を取り上げましたときに、薬局適配の問題と再販をからめて申し上げたのですが、政務次官のほうからの答弁は、再販についてあまり触れておりません。この再販については、いまさら私がここで申し上げるまでもございませんが、非常に大きな問題であります。特にこの再販の指定品目の中で、医薬品の占める量と金額というものは非常に大きいのです。これは化粧品と並んで、むしろこのほうが大きいと私は見ておりますが、内容も非常に複雑です。そのことについて、公正取引委員会のもちろん所管事項ではございますが、この提言にもあるように、これは厚生省とも非常に関係が深いのです。先ほど私は、業界のこの紙を持って言ったわけですが、厚生省再販の廃止には絶対反対だという態度を――この提言を最終的に決定する以前に、そういう報道がなされておるわけですね。これは内容について、ある程度省庁で打ち合わせが行なわれた際に、すでにあなたのほうは、医薬品再販廃止については反対だ、こういう意思を表明されておるわけですが、この再販廃止と医薬品の取り扱いついて、薬務局長見解をひとつお伺いいたしたい。
  70. 加藤威二

    ○加藤(威)政府委員 再販につきましては、先生御指摘のとおり、医薬品がその品目の中で相当大きなウェートを占めております。そういう意味におきまして、医薬品の取扱いというものは重要だと思いますが、私どもも、この提言でも、必ずしも再販制度を全面的に廃止しろという提言ではないように承知いたしております。悪いところは直せというようなことが提案されているというぐあいに考えるわけでございます。その限りにおきましては、私どもは、この提案について賛成いたしたいと思います。再販制度そのものを直ちにやめろというようなことでありますれば、これは私どもといたしましては、直ちにそれには賛成いたしかねるということでございますが、いまの再販運用について、いろいろ遺憾な点があるから、それを直せということであれば、これは公取でおやりになることでありますけれども、われわれも確かに、いまの再販制度が一〇〇%理想的に運営されているということではないと思いますので、悪い点は、大いに公取に協力申し上げて、これを是正していくということにはやぶさかではないということであります。
  71. 武部文

    武部委員 何かちょっとあなたの答弁は――これは問題なんです。私は、一〇〇かゼロかということを言っているわけではないのです。もちろん、再販全部取り払った場合にどういう影響が起こるかということは、よく承知しております。ただ、現実にこの再販行為が高マージンで、いわゆるメーカー利益の隠れみのになっておるということは、公取の具体的なリベートマージン、添付的なものの実例で見ると、そういうふうに断定せざるを得ないのです。これはあなたのおっしゃるように、最終的には公正取引委員会の所管事項でありますが、再販の洗い直しにしても、再販の法改正にしても、四十二年から、私どもが当委員会でいろいろやっているのであって、厚生省が、これについて非常に強い反対意見を持っておった。そのことが、今日まで法改正ができなかったり、あるいは洗い直しについて、われわれから見れば、まことに不都合な洗い直しにしてしまったということを言わざるを得ないのです。この再販問題について、いまあなたは協力するとおっしゃったけれども、どうも協力するしかたというものは、私は、さほど厚生省にあるとは思っていなかった。したがって、今日、物価問題がここまで大きく騒がれておって、再販が占めるところの物価に与える影響というものは、非常に大きいと私は思っておるのです。したがって、いまのあなたの御意見は御意見として、ぜひ厚生省としても、再販問題について、現在医薬品における価格形成、小売り店がどういう再販によって価格を取り扱っておるのか、それによってメーカーがどういう利潤を得ておるのか、そういうことについても十分検討していただきたい。あなたの見解はわかりましたから、厚生省見解としては一応承っておきたいと思います。  時間がきましたので、最後に公正取引委員長にお伺いして、私の質問を終わります。  この提言の中で、「業界の保護」の項で、「カルテル」を指摘いたしております。今日「十年を超えて継続しているものも少なくない。」、現在「カルテルを締結している組合の数は、なお四五〇以上の多きにわたっている。」というような点を指摘いたしまして、三項目提言がなされております。「①長期にわたりカルテルが締結されており、その間、構造改善の実効があがっていないもの②需要が停滞しているにもかかわらず、事業者数の減少がみられず、または逆にその増加がみられるもの③価格上昇が著しいもの 等については、積極的に廃止の方向で検討が行なわれるべきである。」という提言がなされております。このカルテルに対する提言について、公正取引委員長見解を承りたい。
  72. 谷村裕

    谷村政府委員 具体的には、いろいろ事情によって問題があろうかと思いますが、私は、こういう提言の方向を、全面的に私ども考え方として採用してまいりたいと思っております。
  73. 武部文

    武部委員 時間が経過いたしましたので、私の質疑はこれで終わります。
  74. 松平忠久

    松平委員長 松本善明君。
  75. 松本善明

    ○松本(善)委員 まず公取の委員長伺いたいと思うのですが、この委員会で、委員長がおいでにならないときに、経済企画庁長官と、独占価格の問題についてたびたびやりとりをしたのであります。私は、独占価格についての規制というものを非常に重要なことだというふうに考えておるのでありますけれども長官結論のようなものは、公取に価格調査、原価調査ということをやってもらうのだ、三品目についての調査をやっておられるようだけれども、それを見た上でやるのだ、こういうようなお話、かなり公取の活躍に期待をされておるようなんですけれども、私がここで委員長伺いたい趣旨は、公取として、この物価の安定のために一体どの程度のことができるだろうか、そして、できないことはどういうことなんだろう、そして、できないのはどういうふうなところに問題があるのかというようなことを明らかにしたいという目的で、お聞きをするわけなんです。  まず最初に、総括的に、そういうことについて、公取は物価安定のためにどういう役割りを果たすことができるかというような、いまお話ししたような観点からお答えを願いたいと思います。
  76. 谷村裕

    谷村政府委員 私どもがこの物特で、昭和四十四年度における私どものやりました仕事について御説明申し上げたときに、公取の仕事は、自由競争、公正な競争秩序を維持することによって経済の発展なり安定なりをはかっていく、そういう立場にあるのだ、そういう意味では全部物価に関連いたしますが、特に四点をあげて御説明を申し上げたと覚えております。  ここの提言にも出ておりますような意味での、たとえばカルテルの問題等についての公取の考え方、あるいはまた、景品あるいは不当表示等についての公取のいろいろな問題、また再販の問題、こういうことに触れまして、最後に管理価格の問題にも触れたわけでございます。現行独禁法というものをもとに置いて、そして、われわれが本来望ましいと考えているような競争秩序というものが、現実にはなかなかそううまく動いてくれないような事態が起こってきた場合に、公取は一体それにどう対応していくかという問題がわれわれの課題になっておるということは、この委員会でもお答え申し上げたと思うのでございます。  いま松本委員のお聞きになりますところが、そういった、私がいま羅列的にあげました問題ではなくて、さっき企画庁長官お話しになったような意味での――松本委員たちのおことばというものは、いつも独占価格とか独占資本とかいうことばをお使いになりますが、そういうことじゃなくて、寡占企業とかあるいは大企業等による一つ価格形成の条件、前提、それをどういうふうにわれわれがつかまえていくか、対処していくか、こういう問題としてもしお聞きになっておるのであるならば、そういう問題として、これからお答え申し上げます。
  77. 松本善明

    ○松本(善)委員 具体的に少しお聞きしていきたいと思います。  「エコノミスト」の四十四年七月八日号によると、こういうことが書いてあります。四十年の九月から四十四年三月までの利益の伸び率、機械では三・〇八倍、それから電機では五・五七倍、それから精密機器では十一・一五倍、これは相当の利益の伸び率であります。三年半にこういう三倍、五倍、十一倍というようなことであります。これはやはり、こういう非常にばく大な利益があがっておるということは、逆に言えば、普通の需要供給の原則からするならば、そういうふうにいかないと思われるような大きな利益があがっているということは、裏から見れば、いまあなたのおことばで言われれば、管理価格あるいは寡占支配の中での大企業の価格形成、こういうようなことが行なわれておるのではないかというふうに見えるわけです。先ほどの委員長お話でも、私はさっき長官指摘をしてお話したように、大企業の場合には、数が少ないから管理価格的なものが生まれてくるというお話がありました。いま申しました機械、電機、精密機器、こういうようなところについて、公取としては取り上げていくというようなことはできるか、またはそういう考えがあるかどうか、この点をちょっとお聞きしておきます。
  78. 谷村裕

    谷村政府委員 いま利益率の問題等を、それぞれの業種についておあげになりましたけれども、私どもがいま、いわゆる管理価格的な価格の動向なり市場の動向があるかどうかというのを見ていくときの一つのポイントとしての利益率というものは、あるいは御指摘かもしれませんが、どちらかと申しますと、私どもはやはり、価格形成の姿と申しますか、それがあらわれております問題としては、たとえば変動の頻度が少ないとか、あるいは変動の幅が小さいとか、そういう価格にあらわれた面から、直ちに、いままでの管理価格的なものの調査というものをやっておったわけでございまして、利潤が多いか少ないかというふうな問題は、それこそある企業の、あるいはある業種の、そのときの経済情勢のもとにおいてどのくらいの伸びがあったかとか、また、新たな技術なりあるいは設備なりを入れることによってどの程度生産性の上昇をはかることができたかとか、あるいは、その他コストの面で原材料、あるいはまた賃金、そういったような面でどのくらいのことがバランスとしてできておったか。たとえば、特に人件費があまりかからないようなところは、世間一般並みの賃金上昇があってもそんなに上がらないで済む。それでは、それだけコストが上がらないで済んだならば、値段が上がらないで済むようになるかというと、やはり企業としてみれば、特に安く売らないでも、それで需要がちゃんとついていき、売れていくなら、それで売って利潤をあげるのがいいというふうに考えるのは、企業のビヘービアとして一応考えられるところでありますから、そこへいく。たとえば需要がなくて、競争が激しくて、どうしても下げなければならぬというふうなときには、生産性の上昇を価格の低下のほうに持っていくでございましょうけれども、それでちゃんと売れる。売れるのは、それでは何だ、なぜ消費者がそこで高いから買わないと言わないのかというふうな問題がありますが、たとえば、そこに今度は、いまのマスコミ時代における、製品のイメージを相手に植えつけて、そしてそれを買わせるようにもっていってしまう。消費者のほうもなかなかそこで、いわゆる経済原則に基づいた選択ができない、そういういろいろな問題があります。  私どもは、そういった、先ほど御指摘のように、原価の問題だけを見るということではなしに、そういう企業あるいは業種の取り巻いている、いわば市場条件と申しますか、そういうことを調査して、いわゆる価格形成のあり方というものがどういうふうに行なわれているかということを見よう、こういう考え方をとっておりますので、なかなか、利潤のほうからだけではございません。
  79. 松本善明

    ○松本(善)委員 高ければ、消費者が買わなければいいじゃないか、それでも売れるなら売ったらいいじゃないか、まあいわばそんなお話なんだけれども、もちろん、価格の形成については、いろいろな要素があるということを否定しないのですが、ここで私が申しますのは、総理も、それから企画庁長官も、生産性の上がっている高い企業や、それから産業は、この利潤を物価の引き下げという形で社会に還元してほしいということを、たびたび演説をしておるわけですね。それについて論議をしていたところが、経済企画庁長官は、公取に多く依存しているんだ、ところが、この公取の委員長は、私のほうはそんなことはあまり考えておりませんということになりますと、政府の言っておることは全くうそじゃないか、全くの口頭禅だということになるんです。公取の委員長は、そういう観点では何もお考えにはならないということですか。
  80. 谷村裕

    谷村政府委員 松本委員は、私の申し上げたことをそういうふうにおとりになっているかもしれませんが、必ずしもそうではない。生産性が上昇した部分が価格に返ってもらいたいということは、これは私も考えておることで、むしろ熱望していることでございます。そして、それができる条件というのは、本来は、有効な競争条件があれば、やはり価格を下げていかないと、そこで相手に負けてしまうという、そういう刺激によって価格を下げていくということが、本来自然に行なわれるというのが筋でございます。  しかしながら、現実の問題としては、さっき申し上げた、――私はさっき、決して企業が高く売れれば売ったっていいと言っているわけじゃなくて、人情自然と申しますか、世の中のことというのは、買うほうはやはり所得が上がる、購買力がある。そうして売るほうは、その購買力に対して、この値段でも売れて利潤があがるというならば、それでいく。そういう形でもって循環してまいりますものですから、えてして、そこに有効な競争条件が存在しないと、なかなか生産性が上がっても下げるというわけにはいかない。片っぽうでは、当然のことながら、生産性の上昇と賃金の問題というのがございます。値が上がるのがいけないという問題よりも、むしろ、どの程度値上げを低くできるかという問題が、いまや、たとえば賃金と生産性との関係において出てくるというようなことにもなっているかと思います。  そういう意味で、私は決して、生産性上昇の効果を消費者のために還元しろということに対して、横を向いているわけではございません。私どもは、そんな考えは毛頭持っておりません。できればそういうふうにしたい。そして有効な競争条件が、現実の問題としてなかなか働かないような姿になっている企業になり業種に対しては、はたしてわれわれはどういう考え方なり態度なりを持っていったらいいのか。したがって、私どもがやっております調査畠しますのは――私は別に、佐藤長官の言ったことを否定するつもりはございません。公取はちゃんと、ある程度調べるものは調べましたし、また、今後も調べていきたいと思っております。思っておりますが、それは、その原価だけを調べるということではないということを先ほど申し上げているのと、もう一つは、さっきお話しのように、全面的にひとつ、ある種の業態、業種を物価統制的な考え方でもって見ていくという話になれば、これは全くその前提が違ってまいります。そして、さっきのお話のような意味で、大企業やその他を全部、おまえのほうでは原価計算できるというだけの組織があるかと言われましたら、私は、現状ではそんなことはとてもできません、こう申し上げたのでありまして、私どもはやはり予算もいただいておりますし、各方面から期待もされておるわけでございますから、本年度も、また来年度も、できる限りそういった意味で、先ほどから申し上げているような意味での業種、業態についての調査ということをやってまいりたい。そうして、それがまた私どもだけではなくて、各省各庁、あるいは経済企画庁のようなところのお役にも立っていただける。また国民も、いろいろな方面の方も、それで実態問題点の所在、そういうものがわかっていただける。そうして、この問題をどう考えていくかということを理解していただける、こういうのにお役に立つのじゃないか、こう考えているわけでございます。
  81. 松本善明

    ○松本(善)委員 公取の調査されました一般集中の現状と動向という資料がありますね。これによりますと、総企業数の〇・〇一七%に当たる巨大企業の百社が、総営業利益の二五・八%を占めているということになっています。こういうようなやり方、これを原価についてやったらどうか、これはできないのですか。原価を調査をする、別に強制調査ということでなくてもいいかもしれません、それはできませんか。
  82. 谷村裕

    谷村政府委員 私ども調査のための権限を持っております。私どもの職務を行なうため必要があるときには、いろいろな情報や資料の提出を求めることができる。これはいわゆる違反被疑事件というのに対してでなくて、一般調査の権限も持っております。ただ、私どもが、その職務を行なうため必要があるというのをどの程度に理解して、そうして、いま原価というのはいろいろな問題があるわけでございますが、われわれがいかなる目的のために、何を得ようとして立ち入るのであるかというところは、これは、やはり日本はそういう意味で法治国家でございますから、私どもも、法律の命ずるところ、あるいは法律の許す範囲において、適正にやらなければならないと思います。  私は、はたしていまの日本の場合に、日本の経済の場合に、たとえば集中度の高い業種における大企業とか、あるいは、たとえばさっきも話が出ました特別の保護を受けているような企業とか、そういうところにむしろ積極的にどんどん介入していって――さっき、たぶんそういうようなお気持ちで佐藤長官お話しになっておられたのだと思って伺っていたのですが、そういうことを体制としてやるのがいいのかどうなのか、いろいろな問題がそこにまだあると思います。私は、いま公取が――どういう趣旨でおっしゃったか知りませんが、必要があれば、原価の調査もいたすことはできると思います。ただ、一般的に広くそういうことをやるのが、はたして適当であるかどうかということになりますと、私はここで、直ちにそういうことをやるとか、やれるとかいうふうにお答えするのは控えたいと思います。
  83. 松本善明

    ○松本(善)委員 先ほど委員長お話しになった、公然と価格協定をやっているというところへは出ないけれども、実際上管理価格的だものが生まれていると言われましたですね、数が少ないから。これは同僚委員の質問の中で言われたわけですけれども、そういうものを実際に二つか三つか、あるいはごくわずかの企業の中で、価格協定というような文書ができてやっているというところを発見するのは非常に困難である。もしやっていても困難である。しかし、最もそれが悪質なわけですね。それを調査をするということになれば、原価調査というようなところから入っていくということが一つの問題になるのじゃないかと私は思うのですけれども、そういう観点は、いままでは検討されたことはないわけですか。
  84. 谷村裕

    谷村政府委員 いまさっき私が申し上げたことが、ちょっとまたひっかかってきているわけなんですけれども、公然たる協定があれば、これは私どももつかまえることができますし、また、公然でなくても、通謀をし、あるいは協定をし、あるいは話し合いをしたということを証明するに足る証拠があれば、私どもはそれはできますけれども、実際問題として必ずしもそうでなくて――しかし、そこが、さっき和田委員は、もう暗黙のうちにそんな秘密のものがあるあるというふうにおおっしゃいましたが、私は、はたしてそういうふうに、あると言い切れるか。それとも、ツーと言えばカーとは言いませんけれども、お互いに競争企業の動きというものはそれぞれ、こういう情報社会でありますから、大体わかっておる。あそこが幾ら賃上げをやるそうだ、うちも大体この辺でいくかとか、そういうような賃上げにしましても、あるいは仕入れ値段にいたしましても、あるいは売り値段にいたしましても、あるいは、その他いろいろなリベートの支出等にいたしましても、大体お互いがお互いの情報を持っているというようなことを私は申し上げたのでありまして、秘密の話し合いを実はやっているんだということで言っているわけじゃございません。それをまず御承知願いたいと思います。  しからば、そういうようなことがあるから、おまえらは、あり得るだろうから原価を調べてみたらどうかというお話でございますけれども、その原価を調べるということは一つの要素になります。しかし、原価だけを調べるという考え方ではなくて、そういう業態、業種における市場の条件、たとえば、私ども合成洗剤を調べましたけれども、なぜ洗剤の値段というものが、しかも強力な大きい二社が相当なシェアを占めるようになり、また、それが維持されているのか、そうして、それのゆえに一体どういう価格の形成の方法がとられているのか、当然、そのときには原価の問題も立ち入りますけれども、いま私どもは、原価だけを調べるという立場から問題にはしていないわけでございます。
  85. 松本善明

    ○松本(善)委員 原価だけということではありませんが、時間もあまりありませんので、ひとつお聞きしておきたいのは、不公正な取引方法について、公正委員会は告示を出していますね。その告示の中で、消費者の立場に立って不当に高く売っているという場合にこれを充てるというふうに変えるならば、これはいま言ったような心配なしにやれるんじゃないかと私は思うのです。そういうお考えは、もちろんいまないわけですけれども、そういう方向で、製造原価に比べて不当に高く売るものを取り締まるという方向で告示を変えるということだけでも、私はそういう問題を一歩進められるんじゃないかと思うのです。その点については委員長、どうお考えになりますか。
  86. 谷村裕

    谷村政府委員 これは、ちょっと妙な話になりますが、本来企業活動は自由であり、企業の責任において自由濶達にやってもらうというたてまえであります。それに対して、その活動がいまお話しのように不公正である、不公正であるというのは一体いかなる基準から考えるかという問題になってくるわけです。もし会社が不当に低い対価をもって、あるいは不当に高い価格をもって、あるいは、Aには安く売るけれどもBには高く売るというふうなこと、要するに、正常な競争の秩序を乱すという意味においてそれを考えているわけでございます。
  87. 松本善明

    ○松本(善)委員 結論だけでけっこうです。
  88. 谷村裕

    谷村政府委員 どうも時間がなくて恐縮です。  ですから、私は、たとえば原価に対して非常に高い価格をつけて売るということを、いま私どもの立場から、不公正な取引であるとして取り締まりの対象にするということにはならないと思います。
  89. 松本善明

    ○松本(善)委員 正当に競争がされているならば不当な高い利益を得ることはできない、これが私ども考えなんです。そしてまた、世間の常識なんです。そんなにべらぼうな利益があるならば、もし協定がなければ、もっと安く売るということで価格が下がるんだ、こういう理屈でしょう。そういうふうに現実はいっていないから、この独占価格の問題というのは問題になっているわけです。これは委員長は十分御承知の上で、立場上なかなか言えないでおられる。しかし、それが結果としては国民を、ことばを強めて言うならば欺瞞をするというか、国民に判断を誤らせていくということにならざるを得ないと思いますけれども、その点については、時間がありませんので、またあらためての機会に論じようと思います。  それから、経済企画庁伺いたいのですけれども、今度の二十二日の物価対策閣僚協議会に十六の対策を提出したというふうに、新聞では報道をされております。この資料は提供していただけますか。
  90. 矢野智雄

    ○矢野政府委員 閣僚協議会では、各省ごとに、閣僚が直接いろいろその場で提案し、討議していただく、こういう趣旨で、ことに四月二十二日の閣僚協議会は開かれたわけであります。事務当局で特にそれを詰めるとか、協議するとかいうことはいたしておりません。したがいまして、閣僚協議会で討議しました内容につきましては、すでに新聞にも公表し、資料もできておりまして、あるいは私の勘違いでしたらば、こちらにまだ御提出してないかとも思いますが、あるいは参議院の物価特別委員会のほうだったかと思いますが、こちらに出ておりますか。配付してございますか。――これをごらんいただきたいと思います。
  91. 松本善明

    ○松本(善)委員 この一枚のものは、私の手元にも来ておるのですけれども、やはり物価の問題は、みな国民は非常な関心を持っておるわけです。五月の下旬にはまた閣僚協議会をやるわけでしょう。やはり国民の中でそういう資料が論議され、そこにまた意見が反映していくというふうにしなければならないと思うのですけれども、やはり可能な限り、そういう資料は公開するべきではないかと思いますけれども、一枚だけしか出ませんか。
  92. 矢野智雄

    ○矢野政府委員 先ほども申しましたように、四月二十二日の閣僚会議会は、表へ出すというような考慮を全然払わずに、非常に自由濶達に議論していただくという趣旨で、それに関する資料はいろいろつくっておりますが、外部に出す性格のものではないと考えられます。もしそういう観点を当初から入れますと、それを意識して、自由濶達な議論がかえってふさがれてしまってはいけないという配慮がありますので、本来これは内部で討議していく、そこできまりましたものを公表してお手元に差し上げたわけであります。  なお、ただいま先生言われましたように、五月の下旬あたりを目途といたしまして、四月二十二日の閣僚協議会で議論され、あるいは大筋についてすでに資料でお示ししておりますが、その点の具体的な細目を、現在関係各省の間で詰めております。そこでまた閣僚協議会できまりましたならば、また公表するということに相なると思います。
  93. 松本善明

    ○松本(善)委員 公取の委員長、けっこうです。  私は、そういう物価対策について国民に秘密があるということについては、たいへん遺憾に思うわけですけれども、これは時間がありませんので、またの機会にしたいと思います。  農林省の方に、お待ちいただいておりますので、一つだけお聞きしておきますが、先ほど経済企画庁長官にもお聞きしましたけれども、生鮮食料品、特に野菜の価格安定のために、いま農林省として考えておる対策について御説明いただきたいと思います。
  94. 山下一郎

    山下説明員 野菜の価格安定対策につきまして、私ども考えておりますことを御説明申し上げます。  最初に、野菜の価格を長期的にその推移を見てまいりますと、三十五年から四十年にかけては急上昇いたしまして、東京都におきます消費者価格で、この六年間に約二倍になっておりますが、四十年から四十四年にかけましては、野菜生産出荷安定法、これが四十一年に制定されまして、これに基づく施策の効果も逐次あらわれてまいりまして、四十四年の東京消費者物価総合指数は、四十年に比べまして二割以上上昇しておりますけれども、野菜の消費者価格は一割以下の上昇にとどまっております。要しますに、四十年以前と以降とでは、野菜の価格の上がり方が非常に変わってきております。  野菜の需要は、コストがかかり、単価が高い促成ものや抑制ものの消費が伸びるというような実質的な変化を伴って、増大をしておりますけれども、これに対して、野菜の生産も年々増加をしてまいりまして、三十五年を基準としますと、四十四年には約四割の増加になっております。三十五年から四十年にかけましては、先ほども申しましたように、需要に供給が追いつかなかったというようなこともありましたが、四十年以降、大消費地向けに野菜を計画的、安定的に供給する指定産地の制度を始めまして、逐次出荷振興産地もできてきまして、野菜の価格は、大勢としては安定化の傾向に向かってきておると考えております。  ただ、御承知のようにことしの冬野菜は非常に値上がりをいたしましたが、これは何と申しましても東京で五十三日という無降雨日数、気象台始まって以来のこういう異常乾燥と、さらに、三月の平均気温が五・五度で、これは大正十三年以来の四十五年ぶりでありました。この二つの異常気象という不可抗力によるところが非常に大きかったわけで、価格が非常に暴騰いたしたわけでありますけれども、このように一般の冬野菜が非常に値上がりしました中で、気象条件の影響はあまり受けません季節もののキュウリやトマトの価格は、むしろ前年よりも低下した、値下がりをしておったという状況でございます。  野菜の価格の安定をはかりますためには、四十一年に制定されました野菜生産出荷安定法に基づきまして、需要に見合いました安定的な供給を確保するということが基本でございまして、これは大消費地域を指定いたしまして、この地域向けの需要の伸びを予測をいたしまして、これに見合った計画的な生産出荷をいたしますための指定産地制度の拡充をいたしますことが一つと、それからなお、これに補足的な仕組みといたしまして、価格が暴落いたしましたときに、翌年への悪影響を緩和いたしますために野菜価格補てん事業、こういうものを実施をいたしておりまして、これも逐次対象品目を追加する等強化をはかってきております。しかし、何と申しましても、この冬の暴騰にございましたように、野菜の生産は気象条件の変動に左右される度合いが非常に大きゅうございますし、また、供給のわずかな変動が大幅な価格変動をもたらすという特性を持っておりますので、今後なお、野菜の生産の安定、流通の改善に一そう努力を傾けてまいりたい、このように考えております。  なお、今年の経験にかんがみまして、今後施設園芸をできるだけ強化をいたしますとか、なお露地につきましても畑地かんがいを一そう普及してまいるように、今後、この辺の問題について検討を進めてまいりたい、このように考えております。
  95. 松本善明

    ○松本(善)委員 時間がありませんのでこれ以上論議できないのは、たいへん残念ですけれども、あらためて農産物価格の安定についてお聞きするということにして、きょうはこれで終わりたいと思います。
  96. 松平忠久

    松平委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時三分散会