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1970-10-09 第63回国会 衆議院 農林水産委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十月九日(金曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 草野一郎平君    理事 小沢 辰男君 理事 仮谷 忠男君   理事 丹羽 兵助君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 芳賀  貢君 理事 山田 太郎君    理事 小平  忠君       鹿野 彦吉君    亀岡 高夫君       熊谷 義雄君    澁谷 直藏君       白浜 仁吉君    高見 三郎君       松野 幸泰君    森下 元晴君       角屋堅次郎君    田中 恒利君       千葉 七郎君    長谷部七郎君       美濃 政市君    瀬野栄次郎君       小宮 武喜君    津川 武一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 倉石 忠雄君  委員外出席者         農林大臣官房長 太田 康二君         農林省農政局長 中野 和仁君         農林省農政局参         事官      岡安  誠君         農林省農地局長 岩本 道夫君         農林省蚕糸園芸         局長      荒勝  巖君         農林水産技術会         議事務局長   立川  基君         食糧庁長官   亀長 友義君         林野庁長官   松本 守雄君         水産庁長官   大和田啓気君         水産庁漁政部漁         業調整課長   油井  恭君         通商産業省通商         局次長     楠岡  豪君         農林水産委員会         調査室長   松任谷健太郎君     ————————————— 委員の異動 十月九日  辞任         補欠選任   中澤 茂一君     美濃 政市君   鶴岡  洋君     二見 伸明君 同日  辞任         補欠選任   美濃 政市君     中澤 茂一君   二見 伸明君     鶴岡  洋君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件  小委員長からの報告聴取  昭和四十五年産甘しょ及び馬鈴しょ原料基準  価格並びにでん粉及び甘しょ生切干の政府買入  価格等に関する件      ————◇—————
  2. 草野一郎平

    ○草野委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。熊谷義雄君。
  3. 熊谷義雄

    熊谷委員 青森県の八戸中心にした水産生産額は、年額五十万トンをこえるというような相当な大きい数量が確保されている。その内容は、大衆魚であるイカサバあるいはサンマというようなものが大部分を占めている。そのイカサバがいま盛漁期で、全国の漁船八戸港に集中して、八戸港を中心に三陸、北海道にかけての漁場操業している。そういう状況にあるわけですが、ここ数日以来イカは意外にとれない。ところがサバまき網は大漁だ。とれ過ぎて、キロ当たり驚くような、キロ五円というような安い価格まで出ている。そういうことのために、生産調整という観点から沖合い操業を休むというようなことを再三繰り返している。ところが、そのサバまき網でとった漁獲物の中にイカが混獲されているというようなことで、イカ一本釣り漁業者立場からすると、われわれの対象としているイカまき網でとられている、こうしたようなことで非常な刺激を受けて、そのことがきっかけになって相当険悪な状態が展開されて、新聞紙上等にも報道されているわけですが、この際、水産庁に入っている情報、あるいは水産庁はどのようにこの紛争を見ているか、まずその点を長官から伺いたいと思います。
  4. 大和田啓気

    大和田説明員 お話しのように、現在八戸沖サバまき網イカ釣り船の間で相当緊張した空気が流れておることはお説のとおりでございます。これは実は毎年のようにイカ釣りサバまき網との紛争が起こりかねない状況でございますので、最近は十一月及び十二月につきましてはそれぞれの操業のやり方について協定があるのでございますが、今年の特別な事情といたしまして、イカが一般に不漁でございまして、北海道あるいは日本海の各海域に出ておりました八戸イカ釣り船が早く八戸に帰ってまいりましてイカ釣りを始める。ところが、サバ漁場は今年も早くから形成されておりまして、すでに約七十統のまき網がそこで操業をしておるわけでございます。ただいままでのところ、きのうきょう多少様子が変わったようでございますけれどもサバイカとが同じ漁場で、片方浮き魚片方は多少は下のほうにいるわけですけれども、上下の関係で、魚がおると、そこで完全にその漁場競合いたしておりまして、まき網のいわば相当大きな船が何そうもサバ漁獲をすると、なかなかそばではイカ釣りにくい、そういう状況がございますわけであります。そこで、十月についてこういう競合が起こりましたことはきわめて珍しいことでございまして、協定もありませんので現在イカ釣り関係者まき網関係者とが協議して、何らかの活路を見出そう、協調を見出そうとして話し合いを進めておるようでございます。私ども八戸におけるこの漁業紛争というのはなかなか沿革のあることでもございますし、それから当地方にとっての大きな問題でございますので、八戸の市長あるいは青森県知事からもいろいろお話を聞いておりますし、また当地の業者からもお話を聞いておって、できるだけ円満に話し合いが行なわれるように、また水産庁としてそれに対してできるだけの御協力を申し上げるつもりで現在いろいろ情報をとっておる最中でございます。
  5. 熊谷義雄

    熊谷委員 いま長官答弁にもあったような状況である。しかし、この問題は本年に始まった問題ではない。数年前から行なわれた問題であって、サバまき網操業統数も、当初二十二、三カ統程度操業、また規模もそう大きくなかった。それが一年一年隻数も増大し、また規模も大きくなった。そうしたようなことからして、あの地域で大衆漁業といわれて従業員一万というふうにいわれ、しかも八戸経済を左右するイカが、漁があれば即刻商店街にもはね返るというほど密着したイカ釣り漁業、それに相当の脅威を与えてきた、こういうことは御承知のとおり。こういうようなことを繰り返してきて今日に至っている。そうしてことしは特に長官言われるようにイカの最近にない不漁のためにということで事がきわめて深刻になっている、こういう状況であるわけです。いま長官は十一月、十二月については協定があるけれども十月については協定がないというようなお話もあるわけですけれども、しかし、そのことについては問題がことしに始まった問題じゃない。数年来継続されて問題が起きて、その上で協定が出て、しかもその協定も、初めてできたのじゃなしに、前々からの協定が発展的に現在の協定に至っている。こうしたような経緯であるわけです。このようなことを考えると、本年起きている問題はさらにまた明年、将来にもわたるおそれのある内容を持っている、こう考えるわけでございまして、この問題はきわめて重大であるわけで、この問題に対しての解決策は何かないか、こういうことについては関係面非常に心配をしているという現状にあるわけです。長官としてこの問題の解決策についてどのように考えているか、お考えを伺いたいと思う。
  6. 大和田啓気

    大和田説明員 問題になっておりますサバ及びイカはいわゆる回遊性魚類でございまして、なかなか漁場が固定しない、動くわけでございます。したがいまして、こういうものの漁業調整というのはなかなかやりづらいわけでございますが、先ほども申し上げましたように八戸沖の問題というのはなかなか重要なことでございますので、従来も水産庁はいわば立ち会い人になって十一月ないし十二月のいわば漁業調整協定をやっておるわけでございます。なお、ことしの特殊の事情から十月が問題になっておるわけでございますが、その十一月、十二月のいわば基本的な協定を十月まで繰り上げるかどうかということにつきましては、これは両当事者の話し合いもあるわけでございます。私ども、できればそういう方向で処置をいたしたいと思いますけれども、何せ、漁業調整はそう一方的に行政権力で押しつけるわけにはまいりませんので、両方意見がうまくまとまるように、私ども十分協力の体制をとって、できるならば、今回のような紛争が起こらないように協定拡大等についても十分検討をいたしたいと思います。
  7. 熊谷義雄

    熊谷委員 問題がきわめて深刻であり、そして将来にわたるおそれのある問題だ、何としてもこの問題を根本的に検討し、対策しなければならない、こうしたように考えるわけで、したがって、もう少し専門的な立場からこれを堀り下げて検討したい、こう思うので、あとの問題については長官でなく、調整課長でもいいのですが、なるべくひとつ具体的に答えてもらいたいし、最後に締めくくりで長官意見を伺って、この問題の解決を急ぐ、こういうことにしてもらいたいと思います。  まず第一番の問題は、この問題のそもそもの本質は一体何なんだということについて調整課長からひとつ……。
  8. 油井恭

    油井説明員 お答えいたします。  もともと漁業活動が行なわれるいわゆる漁場と申しますか、生産の場は、御案内のように、その漁場はだれが使ってもいい、公共の用に供する水面でございます。しかもそこで生産される目的とするところの魚は、これはいわば無私物でございまして、だれがとってもいいというようなもの、こういう漁場目的物を持つのが漁業性格でございます。したがって、この辺が農業と同じ原始産業といわれながらも、農業と根本的に違うのが漁業性格でございます。したがいまして、いまもお話がございましたように、漁業の中で特に魚類の中で広く回遊する魚を目的とする漁業につきましてはいろいろと漁場競合し合うというのが漁業性格でございますし、またそれが一つ宿命かと思っております。したがいまして、こういった回遊魚対象とする漁業目的とする漁場使い方につきましては直ちに制度的に規則の中で当てはめるというようなものでございませんので、むしろ関係者がよりよい方向漁場使い方を弾力的にいろいろ話し合ってきめるというのがいわゆる漁業調整でございます。私どもも従来そういったようなことで、こういった漁業性格に対して、漁業の持つ宿命に対しまして弾力的な調整ができるような方向で指導してまいっておるところでございますが、本件につきましても、先ほどお話しのようなぐあいで、もう少し関係者の話を待って方向を見出したい、かように思っております。
  9. 熊谷義雄

    熊谷委員 移動性のある魚類についての漁場関係というものはなかなか単純ではないということはよくわかるわけですけれども、しかしこの八戸沖合い漁場推移、そうしてイカ釣り漁業サバまき網漁業、この発展過程を考えた場合に、イカ釣り漁業は何十年前からの素朴的な漁業として、いわゆる沿岸漁業の大衆的な大宗としての漁業立場を持ち続けてきておる。ところがサバまき網はそうそう前々からの漁法ではない。いうならばきわめて最近大幅に発展した漁業だ、こうしたような推移であるわけです。したがって、イカ釣り漁業者立場からイカ釣り漁業者は、本来八戸沖漁場はわれわれのイカ釣り漁場である、そこにサバまき網漁業が入ってきたんだ、われわれが先鞭をつけて、われわれの生活と密着した生活の場だ、それにと、こういうことを言うわけですが、この考え方については水産庁漁業調整立場からはどのように考えているわけですか。
  10. 油井恭

    油井説明員 御指摘のように、八戸イカ漁業というのは確かに歴史がございまして、古くからたくさんの人が依存しておることでございますし、また八戸市の経済にも大きなウエートを持っております。あそこの漁場イカ漁業の、俗なことばで申し上げますと先住的な、先住民族としての占有権があるというような見方は、地元漁民感情としては確かにそのとおりでございます。また、まき網漁業もいま御指摘のように、これは五、六年前から始められた漁業でございまして、その面におきましてはイカよりは新参者でございます。そういうことで四、五年前に漁場紛争が起こりました。しかし、その使い方については制度的なきめ手がないということで、いろいろと関係者が苦心のあげく、先生指摘のように八戸イカ漁業者というのは昔からの歴史を持っておるということをまず前提に踏まえて、そういうことを優先的に考えながら、それじゃ新参者まき網との漁業調整をはかっていく場合にどういうような使い方をしたらいいかというのが、その後数年取りきめられております関係者申し合わせと申しますか、漁業協定と相なっておる次第でございます。その過程におきまして、八戸沖漁場イカのみにやらして、まき網漁業禁止したらどうかという主張もありました。しかし、まあ私ども、広く日本の漁業漁業調整観点、ごく零細な小型船保護するために漁業調整という観点から三トン、五トンの漁船の働く場所を大型船が荒らさないようにということで制度的に禁止区域としておる例は、全国至るところございます。しかし本件、問題になっております八戸沖漁場は大体二十マイルから三十マイルのところでございます。しかも、イカ漁業と申しましても大体五十トンから八十トンくらいの船がその主力をなしております。まき網船のほうは、確かにこれよりは規模は大きいのございますが、漁船規模としては百トン程度の船である、実態がそういった五十トン、八十トン型のイカ漁船である。しかも距岸三マイルから五マイルの沿岸ならともかく、二十マイル、三十マイルの沖合いでございますので、一がいにすぐこれを一方の漁業禁止区域としてしまうことにはいささか問題がございます。そういったことで、確かに昔からの八戸漁民イカ漁場であるということをまず前提に踏まえながら、その辺の漁業調整両者話し合いでやっているのが現在の姿でございます。
  11. 熊谷義雄

    熊谷委員 イカ釣り漁業前提にして、あとから起きてきたまき網漁業との間の操業協定によって、両者が立つように何とか配慮したい、そうしたようなことで協定を結んで仲よくやってきたというお話ですが、それではどういう協定を結んで仲よくやってきたか、そうして去年は仲よくやってきた、また仲よくできたのに、ことしはできないというようなことは一体どういうことに基因しているか、その点をお伺いしたい。
  12. 油井恭

    油井説明員 現在取りきめられております協定内容でございますが、四十一年から始まりまして、昨年の六月に三回目の改定をいたしまして、現在協定は二カ年間有効ということで、去年の漁期とことしの漁期対象になった申し合わせでございます。そこの漁場イカ釣りサバまき網と、もう一つサバ一本釣りというのがございます。この三者で申し合わせされた協定でございます。その内容を端的に申し上げますと、漁場はそういったことで、大体同じところでお互いに魚がまじり合って生息しておるわけでございますから、操業の時期を漁場ごとに別々にしたらどうかというのが骨子になっております。そこで現在の協定は、まず一番中心の、一年を通じて一番競合する十一月と十二月につきまして漁場区域を二つに分けまして、半分は釣りのほうが使い、あとの半分をまき網が使うというようなことで、二日間交代交代制をとって漁場使い方をきめております。なお釣り側のほうをさらに保護をするために、まき網のほうは大体まき網目的とするサバが南下し始めることもございますので、現在の協定は十一月の十六日以降はまき網のほうが操業を自発的に自粛するということに相なっております。  いまの先生の御指摘では、それではそういった協定が昨年結ばれておって、ことしすでに問題が発生しておるのは、その協定がおかしいからではなかろうかという御指摘でございますが、従来の八戸沖漁場は、まずイカ釣り漁業から見ると、先ほど申し上げましたように、型が五十トンないし八十トンのかなり大型の船でございますから、七月、八月、九月、十月までは大体日本海から北海道近海まで出漁いたしまして、その辺の漁期の終わるころを見計らって形成されるということもありまして、十一月ごろ八戸漁船はほとんど帰ってくるというのが従来の例でございました。したがって、十一月が競合の一番中心となるということで、そういう申し合わせをしてあるわけでございますが、ことしは先ほどお話しのごとく、ほかの出かせぎに行っておった漁場北海道近海なり日本海のほうが不漁でございまして、それで、同じ不漁なら、わずかのイカをねらってよそで銭を使うよりも、地元へ帰ったほうがいいのじゃなかろうかということで、イカのほうの漁船が九月末から十月にかけて大挙帰ってきたところに問題があるわけでございます。こういう回遊魚変動というのは、この程度変動はほかの漁場でも見られるところでございますが、昨年協定いたしました申し合わせと、ことしの実態がやや時間がずれたということがことしの姿でございまして、必ずしも去年の協定方式は、方向そのものは間違っていませんけれども、そういった海況その他の変化の時間がずれたというのがことしの状態でございます。
  13. 熊谷義雄

    熊谷委員 もう一つイカ釣り漁業夜間操業本質で、昼の操業はほとんどない。ところがまき網は昼間の操業本質で、揚網等事情から夜間にも及ぶということ、ただ、集魚灯を使って夜間操業まき網もやるというような漁法もないわけではないけれども、その点については規制をしていると承知しているわけですが、そこでイカ釣り業者立場からすれば、そういう本質的な観点に立って、まき網漁業夜間操業はしない、そうして夜間操業イカ釣り漁業にまかせる、こうしたようなことでいけばこの問題は解決できるんじゃないか、こういうような考え方に立っている、そういうことを主張するという向きが強いわけですが、これについては水産庁はどう考えていますか。
  14. 油井恭

    油井説明員 イカ業者まき網夜間操業禁止主張しておるということに対しての見解はどうかということでございます。  もともとイカ漁業は、集魚灯を使ってイカを集めて釣るというのが実態でございますが、まき網漁業は、いまこの海域での集魚灯の使用は禁止されております。これは資源保護のために禁止をしておりますが、ただ、このまき網漁業性格として、夜間にその操業が及ぶということは常態でございますので、どちらもそういう面での、夜間対象にするということは避けがたい漁業でございます。と申しますのは、まき網漁業は時間が来たらこれで終わろうというような、すごく簡単な漁業ではございません。たとえば午後から魚群をさがしまして、四時か、五時ごろに魚群を見つけたといたします。それから網を入れて魚をとって、一応一網が終わるまでに五、六時間はかかります。そうすると、どうしても夜間操業がまたがるわけでございます。この問題につきましては、まず、先ほど申し上げましたように、どうせ同じ漁場競合する以上は、時間帯の差をつけるか、日にち交代制を設けるかということがだれしも常識的に考えられることでございますから、五、六年前からこの漁場紛争を起こしまして、まず第一に調整として取り上げられたのが夜間操業禁止でありました。ところが、いま申し上げましたような状態で、かえってそれが紛糾のもとになりまして、紛争が拡大するばかりでございましたので、かつてやりました夜間操業と昼間操業という調整方式を改めまして、現在のような日にち交代制をとったというのが姿でございます。  そこで、いま私どもも今度の紛争に対して、直ちにまき網のほうの夜間操業禁止したらどうかという声も伺っておりますけれども、過去の例等から見まして、また漁業実態から見まして、すでに過去実験いたしまして実効を期し得なかったというような例もあることでございますし、現在その経験を生かして関係者で昨年きめられました協定——この方法が決して間違っておるわけではございませんから、そういう方向をさらに検討して推進するということのほうがより実態に即した調整ではなかろうか、むしろ夜間操業禁止ということは現実に沿わないのではないかという、率直に申し上げますとそういうような見解を持っております。
  15. 熊谷義雄

    熊谷委員 先ほど水産庁長官答弁にもありましたが、業者間の話し合いによって何とか解決の糸口を見つけたいというような、いわば消極的な考え方に立っておるように聞くわけですが、しかしいま調整課長から話があったように、この問題については紛争紛争が相次いで、その解決のために水産庁が指導的な役割りを持って、両者調整話し合いによって協定が出ている、こういうようなこと、したがって、事態は昨年までの漁況、また潮流の状況と著しく違っている、したがって十一月、十二月の協定は出ているけれども十月の協定はない、こういうことです。ところが、いままでの推移からすれば、問題が起きればそれを調停する、そして仲よく両方操業させる、こういうことで指導してきている、こういうことなわけですが、そういうようなことも含めてイカ釣り漁業者から、十月にこの協定を繰り上げて実施するということが解決一つ方向ではないか、こういう強い意見が出ている。これは聞くべき意見だと私も思うわけですが、これに対して水産庁はどういう考え方を持っていますか。
  16. 油井恭

    油井説明員 現在の申し合わせ協定方式を繰り上げたらどうかという御質問でございますが、これは先ほど申し上げましたように、三者の合意のもとにできたものでございます。そこで、私どもも、先生指摘のとおりで、いまの方式関係者でいい方式だということなんで、それが十一月ならば、今度起こっている問題の解決のためにも十月に繰り上げたらどうかという感じはいたしております。  ただ、漁業調整と申しますのは、俗に申し上げますとギブ・アンド・テークみたいなことで、十月にかりにいまの協定を繰り上げるといたしますと、それは一方のほうを制約することになります。ということは、十月にいまの方式を持ってきますと、まき網側のほうが制約される形になります。しかし、まあ程度の差はございますけれども漁業調整というのはやっぱり片方に制約を加える場合には、その代償というようなのがつきまとうのが常でございます。いまかりに、もし解決のために十一月の漁期交代制を十月に繰り上げるといたしますと、はたして、それじゃその代償的なまき網主張と申しますか、希望をどの程度取り上げられるかというようなところが問題になるんじゃなかろうかと思います。ただしかし、先生の御指摘は、確かに一つの——先ほど夜間操業の問題は、私は現実にはそぐわないのじゃないかと思うのでございますが、いまの方式、御指摘の点は一つ方向だと思いますので、これはもちろん関係者三者の合意に基づいたもので、おいそれと役所からそうせいというような権力行政はできないにいたしましても、ちょうどいま目下関係者話し合いを進行中でございますので、そういうような関係者の自発的な一つ話し合いを尊重しながら、私ども漁業調整立場から指導してまいりたいと、かように考えております。
  17. 熊谷義雄

    熊谷委員 具体的な問題についての意見を聞いたわけですが、長官も聞いていてくれたと思いますが、この話し合いを通して感ずる点は、ことしは従来にない現象が起きている、こういうこと、たとえば具体的な一つの例を申し上げますと、先ほどもちょっと言いましたが、イカが大不漁である、したがってイカ価格八戸キロ当たり二百円、ところがサバはどうか、キロ五円、そこで、キロ五円のサバをとったのじゃまき網漁業立場は不採算、こういうようなことで生産調整のために出漁を休むというようなことをやっている、したがって漁業調整立場からすれば、両者に公平にがまんしてもらっているというのが本質であるかもしらぬけれども、とればとるほど安くなって漁業採算現象が起きるということであるならば、そうしてまたまき網漁業が資本家漁業的な性格を持っている、俗なことばでいえば、力のある大きいほうの側だ、イカ釣り漁業は零細な、力の弱い側の漁業だということになったら、大きいほうが少しがまんして、小さいほうをめんどうを見てやる、こうしたような常識的な考え方も含めてこの紛争解決をはかるべきじゃないか、ただ単に漁業調整観点からいって、そう一方的に、云々とかというかたくなな考え方をとるべきじゃないじゃないか、こういうふうに考えるわけです。ですから、さっきも言ったように、八戸におけるイカ釣り漁業は多数が零細漁業者という状況、一万人以上の漁夫が家族を、ということになると五万から——一歩誤まれば社会問題化するおそれのある内容を持っておる。しかもこれは何らかの解決方策を打ち出さなければ、何がきっかけになって問題がさらに先鋭化するかわからない。いわば一触即発の危機をさえ、というような状況にある。それに対して水産庁両者、あるいは三者の話し合い協定であるから、その話し合いが進めば水産庁もそれに乗っかってというみたいなように、どうも消極的なぐあいに私には響く。そういうものじゃないじゃないか、このように社会問題さえも惹起しかねないような急迫した状態は知っている。であるならば、水産庁は現地に係官を派遣して、その実情、実態を把握して、そうして一日も早く解決するということでなければならない、こう思うわけです。ところが残念ながら、水産庁からはまだ現地調査に行ってないというふうに聞いているしするから、この際ひとつ即刻係官を派遣して実情調査実態把握をして、そうして水産庁は積極的にこの問題解決に対しての措置をとるべきだ、打つべきだ、こういうふうに私は考えるわけですが、長官の考えをひとつ……。
  18. 大和田啓気

    大和田説明員 私、先ほど漁業調整は当事者がよく話を詰めることが前提だということを申し上げましたけれども、それは私ども水産庁立場としてきわめて消極的だという意味で申し上げているのではございません。役所が権力的に一方的に出ていってはあとがなかなかおさまりが悪いので、とことんまで当事者が話し合わなければなかなかまとまらない性格のものだということを申し上げておるわけで、私ども漁業調整ができるだけうまくいくように、絶えずいろいろな形で御協力申し上げていることは当然でございます。八戸沖の問題についてもそういう態度でやってまいるつもりでございます。  それから係官の派遣につきましては、私どもその時期がきたと判断をいたしておりますので、早急に係官を派遣して実態の把握につとめるつもりでございます。
  19. 熊谷義雄

    熊谷委員 長官解決に対しての積極的な姿勢を伺って、一応その方向でいってもらいたいということを重ねて申し上げて私の質問を終わります。
  20. 草野一郎平

    ○草野委員長 角屋堅次郎君。
  21. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 大臣がおっつけお見えになると思いますが、熊谷先生の御質問が終わりましたので、私、引き続き、きょうはとりあえず水産庁長官が見えておるようでありまして、あと長官局長そろわぬようでありますから、水産の若干の問題から少しく質問をいたしたいと思います。  きょうは沖繩の農林水産関係の諸問題、それから真珠の不況打開の問題あるいはきのう共立講堂で行なわれました公害絶滅全国漁民総決起大会に関連する海の公害対策関係の問題大体こういう問題にしぼってお尋ねをいたしてまいりたいというふうに考えております。  最初に海の公害関係の問題でありますが、御承知のとおり、最近陸地といわずあるいは河川、海の関係といわず、公害問題が非常に大きく世論の注目を集めるような状況になってまいりました。特にこの水産関係においては、東京湾の問題あるいは伊勢湾の赤潮の問題あるいは北九州の海の汚濁問題、あるいは有明の最近のカドミウムその他からするいろいろな諸問題、各地に水産関係の公害被害が激発状況にございまして、これは沿岸たると近海あるいは遠洋たるとを問わず、まさに漁業者にとっては深刻な死活問題に発展をしてきておるわけでございます。  そこでまず水産庁長官にお伺いをいたしたいのでありますが、この種漁業にきわめて甚大な影響を持ってきておる最近の激発した各地区の公害問題、そういうものについて水産庁として具体的にどういう取り組みの姿勢でこれに当たっておるのか、もちろんこれは直接公害関係の諸立法の改正問題等、来たるべき臨時国会に備えての法関係の改正問題については総理府総務長官の山中さんが中心になって各省それぞれの協力を願って鋭意準備を進めておられると思いますが、具体的な各地域に起こっている問題について、特に水産被害の問題について水産庁としてどういう取り組みをしてきておるか。また具体的にどういう処理を今後やろうとしておるのかという点について水産庁長官からまず最初に説明を願いたいと思います。
  22. 大和田啓気

    大和田説明員 漁業公害の問題はことしはなかなか深刻でございまして、まず六月くらいから長良川、狩野川あるいは栃木県の思川等の川魚が相当斃死したという問題がございます。それから田子の浦を中心として工場排水による漁場汚濁の問題がございます。また瀬戸内海の西部あるいは伊勢湾、三河湾等を中心として赤潮の被害があるわけでございます。それで私どもそのつどいろいろ手を打っておりますけれども、これらの漁業被害を通観いたしまして非常に考えられますことは、一つは田子の浦の問題のように、だれもかれもがたいへんだということになるともういわば手おくれで、なかなかその回復がむずかしいという問題がございます。したがってそこに至るまでに相当あぶないと思われる漁場については早急にその調査を行なって、打つべき手があればそれを打つということが必要ではないか。それからまた長良川あるいは狩野川等でもアユが現実に死亡しても、だれがどこでどういうことでそうなったかということの原因の究明は県の試験場その他がやっておるわけでございますけれども、いままでの例によりますと、なかなかその原因がわからないというのが通例でございます。したがいまして、公害は結局きたない水を流すもとを締めることが第一でございますから、政府全体として水質汚濁関係の法律の改正その他を進めるよう私どもも積極的に発言をいたしておりますけれども、とりあえず水産庁としてできますこととして、ことしの八月中旬に各県に通達を出しまして、一つはあぶないと思われる漁場の再総点検をしてほしい。そこの水質あるいは底質それから魚の生存関係等々についてそうこまかい調査でなくてもいいから、漁場被害といいますか、これからの公害の及ぶ及び方というものが推定ができて、それが対策を持てるようなものということで、約二百を少しこえるほどの漁場に対して漁場の再総点検ということで現在調査を進めておるわけでございます。それから狩野川あるいは長良川でも示されますように、時がたってだれが川をよごしたかということを追及いたしましてもなかなかわからないのが通例でございまして、それではあまりにも漁業者の立場がないわけでございますから、そういう被害が起こりましたらすぐに県の水産試験場あるいは衛生試験所その他が出動してその原因をきわめるようなそういう体制を整備してもらいたいということで、現在、県でその仕事を進めておるわけでございます。さらに瀬戸内海及び伊勢、三河湾の赤潮につきましては、これはここ数年水産庁あるいは県の試験場、大学の教授その他の共同研究があるわけでございますが、なかなかその実態が究明できないわけでございます。ことしの赤潮の発生も相当きつうございますので、これはすでに水産試験場——広島にある南西海区の研究所と、それから東海水研でございますが、それが先頭に立ちまして、関係の試験場あるいは大学の教授を糾合して、赤潮の再度の究明に現在取りかかっておるわけでございます。
  23. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 公害対策の問題は——これは当然公害の被害の起こらないような予防問題、あるいは公害発生源に対する排除措置さらに現実に公害が発生した場合における被害の救済と、いわば公害の予防、公害の排除、公害にかかわる被害の救済という三つの問題が完全に整備されなければならぬわけでありますが、従来のこの経済の高度成長の中で爆発的に今日の公害の出てまいりましたのは、これは言うまでもなく歴代の保守党内閣のいわゆる経済の健全な発展との調和という、公害対策基本法の第一条に示されておるようなそういう考え方のもとにおいて、公害対策を第一義的に人の健康、生命というところに重点をしぼってやってこなかった政治的責任というのがきわめて大きいわけでありますし、また、そういう世論の批判から、政府も公害対策基本法をはじめ関係法律の改正に踏み切らざるを得ぬという今日の事態にきておることは御承知のとおりでありますが、ただ水産関係の問題を含めてこの農林省の公害対策に取り組む姿勢というものは、私は機構的にも、また体制的にもきわめて不十分であるということを率直に痛感をしておるわけであります。それはたとえば厚生省あるいは通産省等が公害に関する部局をきちっと陣容的にも整備をしておるのに比べて、いわば被害的性格を大きく持っておる農林漁業関係の農林省内のこの方面に対する機構的な整備というものはきわめて貧弱である。もちろん今後の方向としては公害行政の一元化、われわれの主張からいくならば独立の行政委員会によって一元的に公害行政を運営するという方向は持っておりますけれども、当面そこにいき得ない現状のもとにおいては、いわば農林漁業者の被害的要素がきわめて大きい農林省としては、やはりこの方面の機構、陣容についても積極的に整備をはかるということが当面必要である、こういうふうに痛感をいたしておるわけでありますが、これらの問題に対して来年度に対する予算要求その他の問題を含めて、今後どういう取り組みをやろうとしておるのか、こういう点についてひとつ農林省側から考えを説明していただきたいと思います。
  24. 大和田啓気

    大和田説明員 農林省全体のことは、ひとつ後ほど官房長その他からお答えいたすことにいたしまして、水産庁関係だけで申し上げますと、現在調査官を公害問題に配置してやっておりますけれども、なお陣容が足りませんので、四十六年度の予算に合わせて相当陣容の充実をはかるつもりでございます。それから予算につきましても、現在までのところでは、水質の汚濁についての観測の機械、要するによごれが目立ち始めたときにどうするかという対策をとることが専一でございますから、そのための観測装置等の補助あるいは調査ということに重点が置かれておりましたけれども、四十六年度の予算といたしましては、それにつけ加えまして、先ほど申し上げた初動調査といいますか、川その他で被害が起こりました場合に、直ちに出動して検査ができるように、漁協の役職員の訓練と適当な場所に薬剤その他を設置するための助成でございますとか、あるいは相当油濁の激しい漁場に対してオイルフェンスの補助でございますとか、その他公害については相当な規模の予算を、現在提出といいますか、概算要求をいたしておる段階でございます。
  25. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 きのう公害絶滅全国漁民総決起大会で決議がされております。この十七項目にわたる決議の内容、これは内容的に見ますると、われわれとしていずれも漁業者側の当然の要求だというふうに判断をしておるわけです。それにさらに都道府県連合会提出要望事項というのが加わって、資料として含まれておるわけであります。先ほど水産庁長官は、いわゆる農林省側としての公害の実態調査というのを指示したというお話がございましたけれども長官はこれらの内容については十分承知をしておるわけでございますか。
  26. 大和田啓気

    大和田説明員 私ども、この漁連の公害対策関係の大会についての扱い方につきましては、事前に十分相談を受けておりますので、よく承知をいたしております。
  27. 草野一郎平

    ○草野委員長 角屋君に申し上げますが、大臣が出席いたしましたからどうぞ。
  28. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 大臣お見えになりましたので、引き続き大臣の御出席のもとに質問を続けたいと思います。  大臣御出席の前に、きのう共立講堂で行なわれました漁業関係諸団体の公害絶滅全国漁民総決起大会、これの決議あるいは要望事項に関連をして、農林省の取り組み姿勢についていろいろお伺いをしてきたわけでございます。その問題提起の中で、今日、沿岸沖合い、遠洋を含めて、日本の近海におけるところの漁業被害というものはまさに爆発的に増大をしてきておる。それは田子の浦のヘドロあるいは東京湾の問題あるいは千葉沖の問題あるいは伊勢湾の赤潮問題瀬戸内海の内湾におけるところの問題あるいは北九州の外洋の問題あるいは有明の最近の諸問題、もう全国的に水産関係の公害が爆発的に続出をしてきておるわけでありますが、たとえばそういう続出過程の中で私ども痛感をいたしますことは、農林省のこういう問題に取り組む場合の機構あるいは適応体制というものが、十分整備されてないのじゃないかという問題が一つと、それから、特にヘドロの田子の浦の問題あたりを見ても、いま田子の浦に堆積しておりますヘドロの海洋投棄問題について、水産庁が安易にこれにオーケーを与えるというふうな姿勢そのものにも、私は非常に問題があるというふうに思うわけでありまして、御承知のように最近の報道によりますと、アメリカのニクソン大統領が廃棄物の海洋投棄問題について、とにかく最近アメリカの環境問題委員会の海洋投棄に関する報告を議会に送りまして、来年一月から始まる第九十二議会に法律案をこの勧告に基づいて提示するということで、廃棄物の海洋投棄についてはアメリカでもきびしい規制案をつくっていく態勢にございますし、また日本の最近の状況からいたしましても、この問題については真剣にやはり取り組んでまいらなければならぬ。最近運輸省でも油以外の廃棄も対象にいたしました海洋汚染防止法の大綱というものをまとめられまして、これらの問題に対処する姿勢を示しておるわけでありますが、いわゆる水産公害という問題はまさに漁業者の死活問題でありまして、これらの問題に対して農林大臣として、いわゆる漁業権を守る立場から、漁業者の生活権を守る立場からどういう姿勢でこれらの問題に対処しようとするのかという基本姿勢について、私は大臣出席の機会に承っておきたいと思います。
  29. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 都市その他河川等から生じますいろいろな公害につきましては、御指摘のように私どもにおいても非常に重要視しておるわけであります。内水面では河川の自然環境を保全するためにも強い姿勢で事態の改善につとめる必要がございますし、海においても同様でございます。農林省では最近各都道府県に緊急の指示を行ないまして、全国の沿岸それから内水面の水質及び底質の一斉点検を実施せしめておりますが、これからもなお水質汚濁の監視、防止体制の整備、それから公害によりまして生産力の低下した漁場の復旧、漁業公害に関する調査、研究等の措置を強力に進めてまいりたいと存じます。  政府は、御存じのように先般公害対策本部を設けまして、各省のそういう関係のことを全部持ち寄りまして、中央においてそれぞれの対処策を講じ、そして担当の省において行ない得ること、それからまたいろいろな各省にわたる事柄、そういうことについてそれぞれ強く対処してまいれるような体制をいま整備いたしておるわけでありますが、ことに私どもといたしましては、適正な漁業環境を保全するため水質汚濁、産業廃棄物の投棄等をより厳重に規制するための立法措置等につきまして、現在政府部内において検討いたしておる最中であります。
  30. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 先ほど申しました田子の浦のヘドロ問題について、当初水産庁はいわゆる海洋投棄という問題にオーケーを与える方向で、山中総務長官と現地の知事との話し合いでいわゆる二十日から海洋投棄をしよう、これが漁業者の非常に強い反対で中止になって、いわゆる陸上処理という方向に変わったわけでありまするけれども、今後海洋投棄等の問題に対してはこういう方向漁業者の反対で方針が変更になるということでなしに、本来農林省自身としていわゆる漁場を守る立場からそういう問題についてはきびしい姿勢で今後とも臨むべきではないか、こういうふうに存じておりますが、田子の浦のヘドロの海洋投棄は今後絶対にあり得ないという問題も含めての御見解を承りたいと思います。
  31. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 当初立てました方針につきましては、技術的に専門家たちもこれならばよかろうということでございますし、またかなり、いまちょっと距離を忘れましたが、遠距離に投棄いたすことであって、こういう程度のことであるならばだいじょうぶではないかということで、種々検討をいたしたわけでありますが、いまお話のように漁業関係者の御意見等もありましたので、静岡県当局においても方針を若干変更いたしておるようでありますが、もちろんわれわれといたしましては漁業保護し、これの育成をはかっていくという立場から、漁業者の合意をなるべく得られるように、また事前にいろいろ御相談の上で、要するに、いまアメリカのお話もございますしたけれども、われわれの立場といたしましては、海水汚濁というのは漁業それ自体だけではありませんで、人類全体にも非常に大きな悪影響を持ってくるのでありますから、そういう広い立場に立って対処してまいるつもりであります。
  32. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 大臣自身、きのうの大会に基づく十七項目の大会決議と各都道府県からの水産の被害の現状についての対策の要望事項が出ておるわけですが、私はこれらの内容については真剣にこれを受けとめられて、今後の公害対策に積極的に生かしてもらいたい、こういうふうに思うわけでございますが、大臣、いかがでございますか。
  33. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 私、実は昨日福島県へ、明治十五年から始まりました有名な安積疎水の八十八年祭に参っておりまして、ゆうべおそく帰りましたので、詳細の内容をまだ事務当局から報告を受けておりません。新聞記事程度でございますが、要は先ほど来申し上げておるような立場でわれわれとしては対処してまいりたいと思っております。  なお、これらの漁業者の御意向等については、これから十分事務当局からの報告を受けてまいりたいと思っております。
  34. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 きょうは三点の問題について大臣にお伺いをする予定でありますので、公害関係の問題は該当特別委員会等もございますのでこの程度にいたします。  で、きょうは沖繩の農林漁業関係の諸問題、それから真珠の不況打開の問題等をこれからお尋ねしてまいりたいと考えております。  沖繩の農林漁業問題これは今月の一日から四日ばかり、私、初めて沖繩の現地に行ってまいりました。本島はもちろん伊江島のほうにまで射程を伸ばしまして、琉球政府の農林局長あるいは担当の部課長あるいは農林漁業団体の会長、こういう諸君にも農林局長のところにお集まりをいただいて、いろいろ本土復帰に伴う農林漁業問題という点についてざっくばらんに要望等についても聴取してまいったわけでございます。大臣も御承知のように、沖繩の国政参加が実現をされることになりまして、来たるべき臨時国会には初の沖繩からの代表が衆議院で五名、参議院で二名参加されるという新しい国会の姿になるわけでありまして、したがって本院といたしましてもこれらの諸問題に対してはもう一九七二年、明後年ということになりますと、明年の予算編成あるいは立法その他のいろいろな諸準備というものを精力的に進めてまいらなければならぬ時期にきておるわけであります。したがって、そういう観点から、時間的には本日は制約はございますけれども、若干現地に参りまして問題になりましたような諸点を重点的に取り上げて大臣のお考えを承ってまいりたいと思います。もちろん、これは沖繩の本土復帰までの間にさらに検討を要すべき問題等もございまして、明確にここですべて割り切った答弁ができるというふうにはならない点もあろうかということは、私も十分承知をした上に立ってお尋ねをいたしたいと思います。  本来、沖繩問題ということになりますれば、本院にございます沖特等の特別委員会で、沖繩の防衛あるいは基地あるいはまた日米共同声明をめぐる諸問題というのがはなばなしく論議されるのが中心議題のように承っておりますけれども、本来やはり本土復帰に伴う問題としては、沖繩の経済復興をどうしていくのか、その中で重要な柱になる農林漁業の発展をどうバックアップするのかということはきわめて重要な問題であることは申し上げるまでもございません。そういう点で若干お尋ねをしたいのは、まず現地に参りまして、農林局その他営林署等にも参りましたり、あるいは北部では農林関係の職員の諸君ともいろいろ話をしたわけでありまするけれども関係者と話したところでは、まず中央、地方を通じての行政機構の仕分けという問題が現地側に相当な不安を与えておるようでございます。本土復帰に伴って農林省の出先の機構がどういうふうになるか、沖繩県との農林関係の仕分けがどういうふうになるかという問題が——約千二百前後の農林局関係の職員が営林署あるいは試験研究機関あるいは農林関係等含めてございまするけれども、沖繩復帰後の農林省出先機関のあり方がどうなるか、食糧事務所あるいは統計調査事務所、農地関係の出先あるいは営林署、試験研究機関問題、こういう問題と沖繩県の農林関係の行政機構の仕分けという問題がやはり現地側の農林関係の非常に不安に思っておる点でありますが、これらの問題については、どういう方向で現在準備が進められておるのかという点をまずお伺いをいたしたいと思います。
  35. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 沖繩につきましては、総理府が中心になりまして各省関係いろいろ検討中でございますが、御存じのように、農林漁業関係は沖繩住民にとりまして経済的にも政治的にも社会的にもたいへん大きな影響を持っておる産業でございますので、そういうことについては従来も農林省はなるべく丁寧にまた親切にお世話をしてまいったわけであります。したがって、われわれのほうと沖繩琉球政府との間には緊密な連絡が平素保たれております。そういうようなことをも参考にいたしまして、総理府において沖繩の人々またわれわれの意見等も徴しながら、出先機関の処理等についてもそういう方向で善処してまいるように、ただいま事務当局において鋭意調整、研究中であります。      ————◇—————
  36. 草野一郎平

    ○草野委員長 この際、昭和四十五年産甘しよ及び馬鈴しよの原料基準価格並びにでん粉及び甘しよ生切干の政府買入価格等に関する件について、いも、でん粉等価格対策に関する小委員長より報告を聴取いたします。丹羽兵助君。
  37. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 いも、でん粉等価格対策に関する小委員会は、去る九月十日の本委員会においてその設置が決定され、同月十七日、委員長より、小委員長及び小委員が指名されました。  本小委員会は十月七日及び八日の二日間にわたり調査を行ない、この間政府から、イモ、でん粉の需給事情、原料イモの予想収獲量、生産費及び価格算定等について説明を聴取し、質疑を行ないました。  審査の過程を通じ問題となりましたおもな事項といたしましては、  一、イモ、でん粉問題についての前回の農林水産委員会の決議に対する政府の対処の結果を明らかにすること。  二、国内産イモ、でん粉の長期需給見通しに即して、自給率向上の観点から生産目標を確立するとともに、必要な生産増強対策を講ずること。  三、でん粉工場の合理化促進と排液処理施設の設置等について税制上、金融上等の優遇措置を講ずること。  四、その他イモ原料基準価格として、基準歩どまりをこえるものの加算を明らかにすること。基準価格決定にあたり、農産物価格安定法第五条の趣旨に基づき農業団体の意見聴取の方法を実質的なものとするようにすること。等であります。  これらの質疑の詳細は会議録に譲ることとしますが、特に大臣御出席でございまするから、この点は十分今後御決定に御配慮を願うようにという皆さま方の申し添えの意見のあることも申し上げておきたいと思います。  本小委員会は結論として次のとおり決定いたしましたので御報告申し上げます。  まず、本小委員会の結論の案文を朗読いたします。    昭和四十五年産甘しよ及び馬鈴しよの原料基準価格並びにでん粉及び甘しよ生切干の政府買入価格等に関する件   政府は、いも作農家経営の安定向上のため、長期需給見通しの下に国内供給の増加による自給率向上を図るよう地域特産農業振興の抜本策を確立するとともに、農産物価格安定法に基づく本年産甘しよ及び馬鈴しよの原料基準価格並びに甘しよ生切干及びでん粉の買入価格の決定にあたつては、左記事項に十分留意し、いも作農家、でん粉生産者及びでん粉実需者等の経営安定を図るよう努めるべきである。      記  一、いも原料基準価格については、生産費、諸物価、労賃の上昇、原料いもの生産事情等を十分に勘案し、再生産の確保が図られるよう決定するとともに、歩留加算が原料取引上適正に織込まれるよう留意すること。  二、でん粉及び甘しよ生切干の買入基準価格については、原料運賃、加工経費等を実情に即して加算し決定すること。  三、いも類の地域別生産目標を設定し、これら地域における農業生産性向上をはかるため、優良品種の開発普及、土地基盤整備事業の実施、農業機械化の促進等生産施策の拡充を図ること。  四、国内産いもでん粉の優先消化を図るため、現行関税制度の活用により、競合農産物の輸入抑制策を引続き講ずるとともに、販売調整措置を継続実施すること。なお、生食用、加工食品用販路の拡大等いも消費の増進に努めること。  五、でん粉工場の合理化を更に促進し、合理化再編成のため必要とする税制措置、金融措置を講ずること。特に、中小企業近代化促進法の適用にあたつては、農協に対しても税法上の扱いが均衡を失することのないよう措置すること。なお、廃液処理施設の設置については、飼料資源を回収できるように配慮し、その設置について低利、長期の融資、助成及び税制上の優遇措置を講ずること。  以上でありまするが、小委員会の本結論を当委員会の決議とされるよう提案をいたします。
  38. 草野一郎平

    ○草野委員長 以上で報告は終わりました。  おはかりいたします。  ただいま小委員長から提案のありました案文のとおり決議することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 草野一郎平

    ○草野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  ただいまの決議に対し政府の所信を求めます。倉石農林大臣。
  40. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 ただいま決議されました事項につきましては、政府といたしましてもこの決議の趣旨に沿い、十分の努力を尽してまいる所存でございます。
  41. 草野一郎平

    ○草野委員長 なお、ただいまの決議の関係当局への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 草野一郎平

    ○草野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  43. 草野一郎平

    ○草野委員長 引き続き質疑を続行いたします。角屋堅次郎君。
  44. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いま大臣から、復帰後の沖繩における農林省出先機関のあり方の問題について一般的な御答弁がございましたが、現時点で明確な方向答弁を要請するということは若干無理な点があるいはあるかもしれませんけれども考え方としてやはりもう少し明確にしてもらいたい。  沖繩の場合も、おそらく沖繩の総合開発庁という機構が、当然考えられるだろうというふうに私は予測をいたします。北海道の場合も北海道開発庁という形がとられたように、沖繩においても総合開発庁という形が強力な機構としてとられると思いますが、北海道の場合からいきましても、農林省の出先機関は食糧事務所あり、統計調査事務所あり、さらにまた営林署、営林局、こういうものが置かれておるわけであります。したがって、沖繩の場合においても総合開発庁が設置をされるという場合においても、本土に準じた農林省の出先機関は当然沖繩において考えられる、こういうふうに私は思うわけであります。同時にその場合に、食糧事務所あるいは統計調査事務所、あるいは営林署あるいは国立の試験研究機関というふうな内容の問題をどうするかということが当然これから検討されることだと思いますけれども、やはり基本的な機構のあり方として、本土に準じた機構が沖繩にも当然農林の出先機関として考えられる、こういうふうに思うわけでありますが、その点はいかがでございますか。
  45. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 北海道は御存じのように北海道開発庁がございますが、これから沖繩については、いま御存じのように、沖繩・北方対策庁と総理府が中心になりまして、ただいまお尋ねのようなことについて鋭意検討中でございますので、そういうところとわれわれのほうと十分な接触を保ちまして、なるべく合理的な効率よく運営されるような機関を設けてまいりたい、こういうことでいま一生懸命でやっている最中であります。
  46. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私はそういう検討の際に特に現地側でいろいろ話し合った点から若干注文をつけておきたいと思いますのは、一つは営林署の問題でありますが、いま沖繩には営林署としては南部、北部、八重山と三つございますが、この南部営林署の場合は苗畑といわゆる保安林管理指導というのに力点がございまして、沖繩で営林署を考える場合には、場合によっては本島に一つと八重山に一つという形で苗畑等については本島の一つの中に含むという検討の経緯が出てまいるんじゃないかというふうに思っておるわけですが、私苗畑にも行きましたけれども、現地側では将来の身分という問題については非常に不安を持っておりまして、いわゆる営林署を現地に設置する場合は熊本の営林局管下ということも当然考えられてくると思いますけれども、そういう沖繩の林業政策上の問題ということになりますと、これは相当部分が米軍の軍用地として押えられておるというふうな問題もございまして、今後防衛庁あるいは防衛施設庁、それと林業政策推進上の農林省の立場というものがこれからの具体的に処理する場合の基本論になると思いますけれども、機構の問題として、そういう点について現地側に不安のないような形をぜひ考えてもらいたい。それから、特に沖繩農業というものと本土農業を考えます場合には、大臣も御承知のように、本土であれば米麦あるいは畜産、果樹、園芸、こういうのが柱になるわけでありますが、沖繩の場合は、米のウエートは総需要量の大体八、九万トンに対して一万トンをちょっとこえる程度生産である。本土からも米を入れておる、あるいはカリフォルニアその他からも米を入れておるという状況にございまして、沖繩の農業の柱ということになればサトウキビ、パイン、それに畜産、さらに今後の問題としては果樹、園芸をそれに含めた農業の発展を考えなければならぬということであろうかと思います。そういう点から見て、熱帯農業にふさわしいような国立の強力な試験研究機関を通じて、沖繩農業の体質改善と近代化をはかるということが当然真剣に考えられなければならぬと思いますし、また漁業関係においても沿岸、近海等を含めましたいわゆる資源調査、さらにそれに基づくところの養殖とかいろいろなそういうことを含めた沿岸、近海の漁業の発展のためには、これについても強力な試験研究機関が必要であるというふうなことも痛感をしてまいっておるわけでありまして、いわゆる農林省の出先機関を考える場合には、本土に準じたやり方を原則としながら、沖繩に適したやり方をどうとっていくかという検討は当然進められてまいりますけれども、いま言った沖繩農業の発展のための基礎づくりという点からの機構整備には、前向きに対処してもらいたいというふうに強く要請をしておきたいと思います。  第二点の問題は、現地の一般の沖繩の方々にお会いしますと、本土復帰の場合には本土には食管制度がある、当然生産者米価、消費者米価等がいわゆる米価審議会等を通じて政府決定となっていくという米価の仕組みが、御承知のようにございます。そこで食管制度が沖繩の復帰後どういうふうに適用されるか。特にその場合に、米の生産としては総需要量に対して沖繩生産の米の量は一万トンをこえる程度でありますけれども、消費者米価という問題については、本土の一般の国民が配給を受けておる価格よりも相当程度安い価格で受けておるわけであります。沖繩の米価と比較するならば、本土の配給の米価は大体六割増しであるというふうな形に当然数字上は考えられるわけでありまして、したがって旅館に泊まりましても、一般の方々に会いましても本土復帰の場合において消費者米価というものが異常に上がるということになったならば、これは消費者物価にも本土並みの消費者米価ということにした場合には、五%の影響を持ってくるというふうなことになりますし、沖繩の一般の県民の生活に対してきわめて甚大な影響を持ってくる。したがっていわゆる食管制度の沖繩への適用という点については、特に生産者米価の問題と同時に消費者米価の問題については、やはりそういう沖繩の実態というものをわきまえて、本土で消費者米価を消費者対策上押える。同時に沖繩の現状の消費者米価水準というものを維持するという形が考えられなければならぬと思うわけでありますが、これらの問題に対して農林省はどういうふうな基本姿勢で臨まれるか、これをお伺いしておきたいと思います。
  47. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 長い間特別な行政が行なわれておりました地域でありますので、これが復帰いたしたからと申しまして、即座に本土と同じような行政が行なわれるというわけにはまいりませんことは御指摘のとおりであります。したがっていまの食管制度等につきましても急激な変動がないように、そういう過程においてどのような取り扱いをしたら一番事実に即しているかというふうなことについていま相談をいたしておる最中でありまして、お話のございましたような点については特段にわれわれが注意をいたして、いま協議いたしておるということであります。その他の農業関係、いま御指摘のようにパインであるとかあるいはサトウキビであるとか、畜産もそうでありますが、こういうことも従来の状態のままでも私どもがいろいろ琉球政府当局者と、御相談に応じましていままでやってまいったわけであります。そこで今度は内地の制度を採用いたしていく内地の法律も実施されていくという段階において、そのまま移すわけにはまいりませんので、その中間にどうするかということが大きな問題であります。こういうことについては十分急激なショックを与えないような方法で処理してまいる。これは農業だけではないのでありまして、ほかの産業でもそういうことでございますが、十分に地元事情をしんしゃくしながら対処してまいりたい、こう思っております。
  48. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 そこで、さらにお伺いしたのは、御承知の昨年の十二月の第六十二臨時国会で沖繩における産業の振興開発等に資するための琉球政府に対する米穀の売渡しについての特別措置に関する法律が成立をいたしまして、本年度本土米を三万五千トン沖繩に供与したわけでありますが、来年度五万トン要求が御承知のように出ております。同時に、関係団体と農林局長のところで集まったときに強く要請をされましたのは、いま本土の場合は残念ながら在庫が非常に多い関係もあって、この余剰米をどうさばくかということで団野さんを座長とするところでいろいろ検討され、最近最終報告等も出てまいりましたが、そういう中で飼料用に百四十万トンを回すとかいろいろなプランが出ております。政府といたしましても、最近のえさの高騰に伴いまして古米を飼料用に緊急放出をすることが進められておるわけでありますけれども、沖繩の現地側の要望として、来年度の五万トン要求にプラスをいたしまして、本年度えさの高騰に対する対策として三万トンの古米をえさ用に放出をしてもらいたいという強い要請が出ております。これは農林省にもまいっておるかと思うのでありますが、これらの問題に対してはこれを現地側の要請として受け入れる用意があるのかどうか、この点についてお考えを聞きたいと思います。
  49. 亀長友義

    亀長説明員 私のほうで沖繩の御指摘のような要請についてまだ十分聞いておりません。さっそく調査をいたしまして、どの程度の可能性があるか、十分検討いたしたいと思っております。
  50. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは三団体の責任者のうち農林局長もおったところでのお話でありますので、本土でもそうでありますから、当然現地側のそういう要求が出ておると思います。したがって、その要請が正式に出てまいりますれば、本土政府としてもこれに対しては本土同様に善処するという方向であるのかどうか、考え方をお聞きしたい。
  51. 亀長友義

    亀長説明員 主食用につきましては、御承知のように沖繩は国内産が非常に少のうございますので、八万トンないし九万トン近いものを外国から入れております。そういうものを行く行くは私どもは日本の米、全部にいたしたいという希望を持っております。でございますから、主食用に関してはできるだけ必要な数量は御希望に応じて出したいと思います。  えさ用につきましては、私どものほうで現在えさ用に処分をいたしておりますのは、配合飼料工場に原料として渡しておるのでございまして、この配合飼料工場につきましてはそれぞれ政府においても十分な監督ができ、横流れなどはしないというふうな体制をとりまして流しておるような次第でございます。沖繩につきましても古米をえさに渡すというような場合には、必ずえさに使われる、また配合飼料における混合の可能性という問題もございます。内地につきましても全部米にかえるというわけにはいかないので、やはりそこに適正な米の混入量というものもございますので、そういう点も、混入量につきましては内地と十分バランスがとれるような形で、また配合飼料工場等につきましても私どもでまだ十分調査をいたしておりませんので、配合飼料工場の実態等も調査をいたしまして、決して内地と不公平に扱うというつもりはございません。十分内地と同じような体制があるということでございますれば、十分事情を聞きました上で善処をいたしたいと思います。
  52. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 沖繩の農林漁業の今後の発展をはかるためには、何といっても、農業の場合でも基盤整備を思い切ってやらなければならぬという現状にございます。同時に、水産関係でいえば漁港整備ということが真剣に急がれなければならぬ。基盤整備の問題は今日まで二十数年間の米軍の支配下で農林漁業の立ちおくれというものが多いわけでありまして、特に沖繩農業の基幹をなしますパイン問題あるいはサトウキビの問題についても、大臣御承知のように国際的視点からすれば、国際競争にたえるための体制整備のためにはずいぶん思い切ったことをこれからやらなければならぬ問題がございます。そういう前提からいっても、農業における基盤整備というのは相当思い切ってなされなければならぬ。土地改良長期計画あるいはそれに基づくところの本土における基盤整備という問題もございますけれども、この中にやはり沖繩の基盤整備の問題も当然今後の問題として織り込んで、特に沖繩については基礎的条件として農業基盤整備に思い切った国の助成、基盤整備は全額国庫負担でやるというような積極的な姿勢で取り組むことが必要であると思いますし、私伊江島に行ったときにも組合長の案内で漁港を見せてもらったわけですが、漁港らしい漁港になっていない。沖繩は台風の経路になっているところでありまして、くり舟その他で沖繩の漁民というのは漁業操業がなかなかうまいわけでありますが、漁港その他の基盤整備が非常に立ちおくれておる。特に漁港については、いわゆる漁港法に基づくところの漁港整備計画の中に積極的にこれを織り込んだり、あるいは改修、局改で積極的に漁港整備を進める等、これからやらなければならぬ問題がきわめて多いと思うわけでありますけれども、これら農林漁業の基盤整備の問題については今後どういうふうに取り組むつもりであるのか、これをお伺いしたいと思います。
  53. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 従来は、ああいう行政地域でございましたので、琉球政府に私どもがアドバイスいたしまして、技術的にあるいは資金的に日本政府がめんどうを見てやってまいりましたが、これからは復帰いたすわけでありますから、そういうことを前提に考えてみますと、御指摘のように基盤整備がきわめて重要であろうと思っております。先般、御存じのように熱帯農業研究所の支所が先島にできました。あそこではもっぱら亜熱帯農業についての検討をさせるわけでございますが、私どもといたしましても沖繩というところは従来、昔の時代のいわゆる沖繩県と申しますよりは、もっと近代的な、そしてずっと南方のほうにあります拠点としてかなりいろいろなことが考えられる地域ではないかと思っておりますので、漁業もそうでありますが農林業の基盤整備については特段の努力をする必要のあるところではないか、このように見ておるわけであります。
  54. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは大臣が労働関係のベテランということもあって社会保障問題は十分御認識を持っておるわけでありますが、この農林漁業団体の諸君から出た問題の中に、御承知の農林漁業団体は本土では農林年金の該当を受けておるわけでありますが、農林漁業団体の意見としては、本土復帰の際に農林年金の適用ということになると、従来の掛け金については蓄積がないわけでありまして、そういう問題については現地側の要請としては、掛け金は国の責任をもってそれを処理をして、復帰後においては本土における農林漁業団体と同じような農林年金の適用をぜひ実現をしてもらいたいという要請がございましたし、これは農林年金の問題ばかりでなしに、過般の国会で通りました農業者年金基金というのは数年おくれて現地側の適用問題が出てくる。あるいはまた国民年金とかその他社会保障全般の問題についても、本土復帰の場合に従来の掛け金についてはかけてない。それが、社会保障関係の立法が適用される場合に、従来の掛け金ベースをどうするのか、あるいはその後におけるところの適用の水準をどうするのかということは共通的な問題でありますけれども、これらの問題に取り組む政府の姿勢としてはどういう考え方で臨まれるわけですか。
  55. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 こういうもろもろの年金制度等も、やはり総理府が中心になりまして鋭意検討しておるわけであります。沖繩の農林年金は四十五年一月から発足いたしておると思いますが、その内容についてはほぼ本土と同じでありますが、こまかいところを見ておりますと、若干いろいろ違っておるところもありますし、いま御指摘のような従来の歴史等もございますが、もちろんこういうものも事情に合うように改めてまいりまして、当然本土と同じように行なわれるべく努力いたしてまいりたいと思っております。
  56. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 沖繩の漁業関係の問題で現地の漁連の会長から出た要望の中に、御承知のように昭和二十五年に漁業法が制定をされたときに、従来の漁業権について国が買い上げるという形をとった経過がございますが、その当時は沖繩はいわゆる本土政府の全体的な政治下にはなかったわけでありますけれども、本土復帰の際に、いわゆる昭和二十五年の漁業法制定のときにとられた措置を沖繩においても漁業権補償として実現をしてもらいたいというふうな要請が漁業団体の会長からございました。これは主張としては十分根拠のあることでありますが、法制的にあるいはどういう検討を今後進められるかわかりませんけれども、現地でこういう根拠のある主張が強く述べられたという前提に立って、今後の処理については前向きに検討を進めてもらいたいと思うのでありますが、これはいかがでございましょう。
  57. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 この機会に私どもの考えておりますことを、基本方針を申し上げておくことがいいと思いますが、沖繩の漁業関係者の所得、生活水準の向上と漁業生産性の向上を目途として、次に申し上げますような施策を重点的に推進してまいりたと思います。  その一は、沿岸漁業沖合い漁業に重点を置きまして、漁場の開発、技術導入等によりまして、経営の近代化を進めてまいること。その二は、漁業基地として重要な漁港を計画的に整備する、これは先ほど基盤整備のところで申し上げました。第三は、漁協組織を育成強化いたしまして、これを通ずる金融等の充実をはかってまいりたい。第四は、沖繩の実態に即した養殖事業を推興してまいりたいと思います。第五は、市場、冷蔵庫等を整備して、流通加工の合理化をはかってまいりたい。第六は、試験研究及び技術普及体制を強化いたしたい。第七は、災害補償制度を整備して参りたい。私どもといたしましては沖繩における漁業についてかなりの関心を持ち、またこの振興をはかってまいるように努力してまいりたいと思っております。
  58. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 沖繩の問題についてはまたさらに別の沖特の委員会あるいはまた本委員会等でも論議する機会であろうと思いますので、本日はこの程度にとどめますけれども、いずれにいたしましても、本土の農業と沖繩農業には内容としてまた違った性格の点もございますし、非常な立ちおくれといいますか、これから本土の農業水準と匹敵していくためにも、また国際的にサトウキビあるいはパインが競争力を持っていくためにも、ずいぶん思い切ったことをこれから考えていかなければならぬということでありますので、国政参加に伴います沖繩代表が来る、あるいは明後年に沖繩の祖国復帰を控えるということで、農林省としても積極的に沖繩農業漁業の問題に取り組むということで、機構的にも立法的にも政策的にもやはり準備に万遺憾ないようにやってもらいたいと思います。  最後に、真珠の不況対策の問題について若干お伺いいたしたいと思うわけでありますが、これは私のように真珠の本場にあります三重県の選出の議員という立場からいたしますと、昭和四十一年の秋以降の歴年の不況ということで、現地側がいま非常に深刻な事態にある。あるいは自殺者が出たり、あるいはまた倒産があったり、あるいはまた今後こういう不況の長続きの中でどうするかということで苦悩しておる関係者の人々を見ますと、何とかしてこの不況から脱却をして、再び真珠が輸出産業においても、また水産業の輸出産業的性格の産業といたしましても、安定的に発展をするような方途を見つけなければならぬということを真剣に考えてまいっておるわけでありますけれども、御承知のようにことしは万博もあって、万博景気で真珠も少し浮揚するかという期待もしておりましたが、真珠の輸出状況あるいは玉の値段の状況というのを見ますと、昨年は秋の浜あげ一時期に若干値上がりはいたしましたけれども、一月以降は値下げの状況にずっと推移をしておりまして、ことしの秋の浜あげの価格がどうなるかということは、養殖関係業者としてはきわめて不安を持っておるわけでありまして、過般三重県でも養殖業者の総決起大会が持たれまして、安売りは絶対にしない体制をとらなければならぬ。前年度の価格に比較をして一割以上の価格でなければ売らないという体制をつくるんだ。これは三重県ばかりでなしに、その後他の中心県においても総決起大会が持たれまして、養殖業者としては秋の浜あげに備える体制をとろうとしておるわけでありますが、一体今日数年来の不況がなかなか浮揚しないという不況の要因を農林省としてはどういうふうに判断をしておられるのか、また不況打開のために、秋の浜あげを前にしてどういう手を積極的に打とうとしておられるのかという点について、まず御説明を願いたいと思います。
  59. 大和田啓気

    大和田説明員 お説のように四十四年は多少真珠のぐあいがよくなって、私ども愁眉を開いたのでありますけれども、四十五年になりましてからまた輸出が落ちまして、最新の資料によりましても、ことしの一月から九月までの数字で昨年の同時期に比べまして、数量で一二%減、金額で一五%減という状況でございます。その不況の要因につきましては、いろいろな意見があるわけでございますが、私どもといたしましては、やはり基本的には価格不安が解消されていない。これは調整保管で五千貫ほど持っておるということも一つの理由になっておると思いますが、そのために海外業者が買い控えをしているということ、それからさらにそれに関連して、真珠はだめだというところまでは私はいっておらないと思いますけれども、海外業者の販売努力がどうも少し鈍くなったのではないかということがございます。またそれに加わりまして、昨年後半以降アメリカにおける購売力が一般に落ちたという問題がございますが、こういうことからいって、やはり一つ生産調整一つは販売努力といいますか、輸出の窓口のできるならば一本化という方向で、私ども業界と現在話し合いをいたしておるわけでございます。
  60. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 水産庁としてことしの浜あげの数量、あるいは来年の場合は、現地でいろいろ承っておりますと、母貝生産関係、特に優良母貝というものはだんだん少なくなる傾向にある。そういう点で生産調整も、もちろん真珠養殖等調整暫定措置法が通ったわけでありまして、それに基づく密殖の改善計画の実施また推進をしてまいらなければならぬわけですけれども、本年度の浜あげ予想なり明年度の浜あげに対する見通しなりをどういうふうに見ておられるか、その点はいかがですか。
  61. 大和田啓気

    大和田説明員 ことしの浜あげの数量の見込みでございますが、これも業者によっていろいろ強気、弱気の評価があるわけですが、私どもは大体昨年の二割ないし二割五分減で二万四千貫ないし二万五千貫程度というふうに考えております。来年の問題につきましては、これはしばらく事態を見て私ども問題の処理をいたしたいと考えております。
  62. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 そこで秋の浜あげを前にして安売りをしない体制をつくるためにはそれに対する金融その他各般についての幾つかの手がやはり当然考慮されなければならないと私は思います。養殖関係のほうでは安売りをしないという体制をとろうと思っても数年来の不況でそれを持ちこたえる力というものが非常に弱っておるという現状にございますし、一方また加工業者のほうはある程度手持ちを持っておる、これが四千貫であるか五千貫であるか、とにかくいろいろ予測はいわれております。したがって加工業者のほうがたたく姿勢になるのじゃないか。しかし買い手の力もやはり弱っておる、バイヤーは買い控えであるというふうな幾つかの悪条件があるわけですけれども、何といっても価格の安定ということをやるためには金融その他のいろいろなてこ入れを当然秋の浜あげを前にして考えてもらわなければならぬと思うのですが、そういう点についてはどういう準備をされておるのか、その点ひとつ御説明願いたいと思います。
  63. 大和田啓気

    大和田説明員 先ほどお話にありましたように、三重の生産者が会同いたしまして、昨年より一割以上でないと売らないというような決議をいたした経過もございますが、やはり個々に加工業者と取引いたしますと、どうしても買いたたかれる心配がございますので、やはり共同販売ということを主体にして販売するように指導をいたしております。また真珠に対する金融機関は主として中金でございますが、これはいろいろな形で百五十ないし二百億程度の貸し出しが現在残高としてあるわけでございますが、中金にも話し合いをいたしまして、この共同販売をささえるような方法で金融をしてもらうように現在話し合いを進めておるところでございます。
  64. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 真珠養殖等調整暫定措置法を制定のときに、私から提案をして本院の決議になった内容の中に価格安定機関に対する積極的な検討をという注文をつけたわけですが、真珠は相当の比率のものを海外輸出に依存する輸出産業である。アメリカあるいはヨーロッパ、東南アジア等それぞれの地域に、まあ輸出産業としては大体アメリカ、フランス、西ドイツが輸出先としては中心だろうと思いますけれども、そうであるとすると、やはり価格が浮動しやすいということになると、どうしても向こうとしては手持ちをたくさん持たない、買い控えるという要因にもなるわけでありますから、価格安定の機構というものをどう整備するかという点で、単に共販会社の一元化あるいはこれに対する信用保証協会の裏づけをするという程度の形でいいのかどうかという問題が基本的に検討されなければならぬと思うのです。私はここですぐさま政府関係機関である事業団問題あるいはその他の機構問題というところまで一挙に政府が踏み切れるかどうかという点まで議論しようとは思いませんけれども、やはり輸出の比重が大きい産業だけに、しかもまたそれが価格が浮動しやすいという条件があればあるほど海外市況としてそれが伸びていかないという現状があるだけに、価格安定のきちっとした体制を整備することが流通改善の問題として基本的な問題の一つではないかと思いますが、これらに対する取り組みについてさらに御説明を願いたい。
  65. 大和田啓気

    大和田説明員 真珠の不況は相当深刻でございまして、相当抜本的な方策を講じないとこの難局がしのげないのではないかという感じを私ども持っておるわけでございます。ただよく御承知のように真珠業界というのはなかなかむずかしい、またまとまりの悪い業界でございまして、業界が一本化して何かをやるということが行なわれにくい団体でございますので、私ども行政指導にも十分注意をしながらさしあたりの問題としてはやはり輸出関係機関の窓口の一本化ということに力点をしぼって、さらにできるならば信用保証機構の確立、あるいはいまお話しのような価格安定機構というところまで現在私どもと業界との話は及んでおりませんけれども、将来の問題としてはそれも頭に置いて処理をいたしたいと考えております。
  66. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 そこで先ほどお話に出ました約五千貫の調整保管の玉の今後の問題をどうするか。今日生産調整がなされ、そして生産量が最盛期の年次から見れば相当ダウンしてきておる。しかし買い手のほうからすれば調整保管の玉が依然五千貫程度保留されておる。これがまた今日では不況の一つの大きな要素になってきておるということがいわれておるわけですが、一部養殖業界の関係では、政府がこれをとりあえず全量買い上げて凍結してはどうかという意見も出ておるわけですけれども、問題は政府が五千貫なら五千貫の調整保管の玉を凍結するという場合には約五十数億の金が要るだろうと思いますけれども、そういう金そのものは国の財政力から見ればこれはこなせる金ということに一応なりましょうけれども調整保管をする玉を政府が全量買い上げて凍結するというだけで問題がおさまるかということになると、必ずしもそうは考えられない。そこで調整保管の玉の処理について今後どのようにこれをみごとにさばいていくかということについて行政指導として農林省はどういうふうにやっておられるのか、これをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  67. 大和田啓気

    大和田説明員 五千貫の調整保管の真珠が非常に真珠業界の市況を圧迫していることは事実でございます。いまお話にありました凍結をいたしましても、物は現実にあるわけでございますから、私は凍結ということによって根本的な解決にはならないというふうに思います。そこで一体それをどうするか。たとえば現在の全真連その他が加工して農業団体等に流すというふうなことも業界の内部で構想されておるようでございますが、私は、それも一つの方法でございましょうが、やはり生産制限を強化することと、それから輸出体制を強化してとにかく輸出して、多少時間がかかってもやはりこの五千貫の調整保管の真珠を吐き出すように努力をすべきであるというふうに考えて、その方向で今後も指導をしてまいりたいと思います。
  68. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 真珠の不況の要因の中にはいろいろな問題が私はあると思うのですけれども、最近品質の低下問題あるいは玉の死斃が公害その他いろいろな要因もあってふえてきている。密殖その他の原因もあろうと思います。そういうふうな点で私は業界の諸君にも言っておるわけでございますけれども、真珠養殖の海域における公害等の問題がどういう実態にあるか、それに対してはどういう手を緊急に打たなければならぬかということを明らかにすべきである、そういうことを通じて真珠の玉の品質の向上ということを積極的にやる必要があるのではないかということを言っておるわけでありますけれども先ほど冒頭の海域の汚濁問題については現地の調査を通じてという一つの指示をされておるわけですが、真珠産業の今後の安定成長のためには、やはり海域の公害対策というものも真剣に考えていかなければならぬ時期にきておる。こういう問題についてはどういうふうに対処されておるわけですか。
  69. 大和田啓気

    大和田説明員 母貝も現実生産が減退しておるわけでございますが、私ども母貝につきましてはやはり養殖業者との契約栽培ということを進める方向で現在検討いたしておるわけでございます。それから真珠の養殖の漁場がよごれておることも確かでございますが、その詳細は先ほど申し上げましたような漁場の一斉総点検が近く結果としてまとまるわけでございますから、それによりましてすでに漁場がよごれておりなかなか回復の見込みのないようなところの漁場はある程度まで整理をして真珠以外の業種に転換させるということも相当思い切ってやらなければならないというふうに考えております。
  70. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 時間も大体予定のところへ来ましたので、問題を集約をしてまいりたいと思いますが、真珠産業の場合は、大別すれば養殖それから加工、輸出こういう三つのセクションに分けることができるかと思うのですが、問題は養殖事業にも、加工の事業にも、輸出の部面にもやはり今後真珠産業の安定成長のためには、ずいぶん考える問題が多いわけです。そのうちの養殖事業の面で漁業権の問題あるいは数年後にくる漁業権の切りかえというときに備えて、何も養殖と加工、輸出とをそれぞれ専門化してしまうというふうに、みごとに割り切る気持ちは必ずしもないのですけれども、大手が養殖関係にも手を出す、加工もやっておるというふうな関係のところを、養殖についてはそれぞれの沿岸の漁協なり漁業者なりそういうところを中心にして、養殖部面の体質改善、構造の改善なり近代化をはかるという点は、漁業権の問題と関連をしてもっと積極的に進める必要があるんじゃないか。沿岸漁業の構造改善事業あるいは農業、林業でやっておる構造改善事業と同じように、真珠産業の養殖事業についても、構造改善事業のあり方としてはどういう構想が望ましいのか、業界としてどういう構想が受け入れられるか。そういう問題では労働力の問題もあり、さらにまたいろんな幾つかの隘路の問題も明らかにして、やはり養殖事業の構造改善という問題にも積極的に取り組むことが、長期安定の一つの重要な課題ではないかというふうに私思っておるわけですが、これらの問題に対する指導は、現実にはどういうように考えておられるのか、いかがでございますか。
  71. 大和田啓気

    大和田説明員 真珠の養殖業で一番むずかしい問題は、挿核技術が主体でございまして、労賃部分の大部分はそれによるということでございますが、挿核技術が現在のところきわめて伝統的なものが行なわれていて、挿核技術を主体とするために、いわば真珠養殖の規模の利益といいますか、規模経済といいますか、ある程度大きくすればするほど非常に能率的になるということはなかなかないというところが、私は真珠養殖業の一つの悩みの種であろうと思います。といって、現状を放てきすることはできませんので、私どもは密殖の改善の問題あるいは漁業の転換の問題、さらに漁場の転換の問題等を通じて、第二次構造改善事業においても真珠の養殖業の構造改善については、十分の配慮をいたしたいというふうに思います。  それから、今回の不況でいわば実証されたわけでございますが、加工業者と養殖業の結びつきということはどうも必ずしも合理的ではない。両者が深く結びついているところが、いわば不況の振幅が大きくなって、非常に経営上まずいという事態もございますので、そう機械的に養殖と加工流通とを分断するつもりはありませんけれども、できるだけやはり養殖は養殖、加工流通は加工流通ということで切り離していくことがいいのではないかということで、関係業界とも話し合いを進めておるわけでございます。
  72. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 最後に、大臣にお伺いしたいのでありますが、大臣は出身県は長野ということで、真珠の面では直接地域の関係者から深刻な真珠不況のお話が出るというそういう機会は地元ではありませんでも、農林大臣を二度もおつとめであります。まあ真珠産業の数年来の不況については、十分御認識のところだと思うのですけれども、私ども三重なりあるいは二十数県にわたる関係県の真珠の養殖の地帯を控えておる関係者の一人としては、四十一年来の不況がいつ浮揚するか浮揚するか、いろいろな点で政府にもお願いをし、また幾つかの手を打たれ、そしてなおかつことしの秋の浜あげを前にしても明るい展望がなかなか開けない、不況には不況のそれなりの原因があるということも、もちろんいろいろそれぞれの立場から言われておりますけれども、何としてもやはり輸出産業として重要な位置づけを持っておる真珠産業の安定成長というためには、今後やはり養殖の部面でも、加工、輸出の部面でも、あるいは価格安定の強力な体制整備の面でも、金融その他の面でも、政府でできることについては思い切った手を打っていくということが必要であろう。それが対外的にも、真珠の安定を評価される、政府は本腰を入れているという点で評価を受けることにもつながるというふうに思うわけですが、もちろん水産庁長官先ほどお話しのように、私ども業界に対して言っておるのは、いわゆる政府といいますか、行政面と業界との間に相互にやはり不信感がある。不信感は業界にもその責任の一半が存在しておるということを厳重に自己批判をしなければならぬ、業界でやり得ることについては、積極的にみずからの力でやっていくという姿勢がやはり必要であるということは、絶えずあらゆる会合で言っておるわけですけれども、今日のように数年来の不況で気息えんえんとしてまいりますと、政府の積極的な手に期待をするところも相当大きいわけでございますから、これらの問題については、水産業の中では輸出部面としては非常に大きな比重を持っておる真珠産業の安定成長という点について、大臣としての御決意のほどを承っておきたいと思います。
  73. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 先ほど来、水産当局といろいろ質疑応答がありました。大体尽きておると思うのでありますが、私どもの見るところ、需要者の嗜好その他のものはそう著しい変化はないのじゃないか、このように見ておるわけであります。  そこで、先ほどお話がございましたように、適切な生産調整、流通機構の改善等は必要ではないか。先般来、万博で外国の閣僚等がずいぶん参りました。中に懇意な人がございますので、何か記念にお持ちになりますかと聞きますと、パールがほしいと言われます。やはり絹とパールはわが国の自慢のものでございますし、そういうわけでございまして、オーストラリアの方などでも、自分の国でかなり力を入れているようですけれども、日本のパールというのは持ち帰って自慢にするそうでございます。  私ども見ておりますのに、やはり全国各地で始めておられまして、そういうものの中には、やはり専門家の鑑定のもとにおいてはどうかなと思うようなものがあるのではないだろうか、そういうものがまた非常に多く増産されてきている。やはり私どもといたしましては、大体において需要と供給の関係を、業界においてもそうでありますが、私どももいろいろ御注意を申し上げまして、やはりある程度ああいうものは貴重性を持たせることが必要なことではないか、そういうことをつくづく感じるわけでありますが、大事な産業でございますので、ただいま来お話のありましたようなことを十分念頭に置きまして指導するようにいたしてまいりたい、こう思っております。
  74. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 以上で終わります。
  75. 草野一郎平

    ○草野委員長 午後は二時三十分に再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時五十九分休憩      ————◇—————    午後二時三十九分開議
  76. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前の会議に引き続き質疑を続行いたします。瀬野栄次郎君。
  77. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 前橋営林局管内の栃木県宇都宮営林署所管にかかわる日光経営計画、柳沢地区及び外山沢川等の砂利採取の問題について、国立公園内の天然林等の自然保護の上から林野庁長官に質問をいたします。  去る七月十日当委員会で、奥日光国立公園に指定されている国有林野の経営、原生林、天然林等の自然保護について林野庁の基本方針を質問いたしたところでありますが、それぞれ詳細なる答弁をいただきまして一応了といたしたのでありますけれども、当時、私が六月から数回にわたり現地を調査した際、この国立公園の中の日光市奥日光地内外山沢川及び一級河川であるところの柳沢川において砂利採取の現地を発見し、天然林等の自然保護の上から問題ありとしてその後検討を行なうよう指摘したところでありますが、さきに述べましたように、主として柳沢川において砂利採取をしている理由及び採取した砂利の利用はどうなっているのか、詳細に御答弁いただきたいのであります。
  78. 松本守雄

    ○松本説明員 柳沢川におきまして従来から若干の砂利を採取しておりました。昭和四十二年の二十六号台風で相当多量の土石が流出をいたしまして、この川に多量に堆積をした。しかも、どちらかというと天井川、川の両岸よりも河床のほうが高まる、そういう傾向もございまして、その後毎年土砂を取っております。これは県土木と打ち合わせをしまして、渓床の不安定土石の採取、言いかえれば乱流の防止という治山技術上の面からその土砂を取るほうがよろしいということになって、その後ずっと少しずつ取っております。
  79. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 一級河川柳沢川地区の砂利採取にあたっては、言うまでもなく、河川法第二十七条第一項及び昭和四十三年に制定された砂利採取法第十六条によって認可を必要とし、登録を受けていないと採取できないことは当然でございますが、砂利採取業者日光市中宮祠二四八五番地奥日光林産工業有限会社飯見兼光氏が砂利採取を行なっておりますが、許認可の条件はどのようになっているのか、お伺いしたいのであります。また、現在までの砂利採取量並びに販売額、すなわち国の収益金は幾らでどうなっているのか、明らかにしていただきたいのであります。
  80. 松本守雄

    ○松本説明員 昭和四十三年までは河川法によりまして採取の許可を受けておりました。ところが昭和四十三年に砂利採取法ができまして、第十六条による許可を受けなければならないことになっておるわけでありますが、残念ながら事務上の手続もありましてそれ以来許可をとっておらないというのが実情でございます。ただ、その業者は砂利採取の登録は受けております。  それから、いままでの採取量と金額についてお尋ねでございますが、採取量は三万四千立方、三十五年から四十四年、十年間でございます。それから営林署でこれを販売いたしました金額が二百四十万円、このようになっております。
  81. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この柳沢川の砂利採取は、栃木県指令第六十五号の一によって昭和四十二年十二月一日付で申請がなされ、柳沢川筋の土地の形状の変更ということになっておりまして、工事の期間が昭和四十二年九月十六日から昭和四十三年九月十五日までの一カ年となっており、すでに砂利採取法に基づく許可が、昭和四十三年九月十五日で期限が切れておるのであります。長官からいま御答弁がございましたが、それにもかかわらずなぜ現在まで砂利採取が継続されているか、この点について長官の明確な答弁を承りたいのであります。
  82. 松本守雄

    ○松本説明員 いまお答えをいたしましたように、昭和四十三年以降手続が切れておりまして、認可がとれておりません。これは当局としてこの認可の確認が十分でなかったという点が確かにございまして、それを確認しないまま従来に引き続いて砂利を売っておったということでございます。そこで本年七月にさっそくこういう認可の手続をとるべきであるということで指示をいたしまして、その認可がおりるまでは採取を差しとめておる。今後はそういうことが絶対にないように厳重に注意をさせることになっております。
  83. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ただいま長官から答弁ございましたが、業者が申請を怠っていた、認可がないまま、期限が切れたまま数年間砂利を採取していたということでございますが、このことについては、営林署側もそのまま販売をしておるということも問題でありますが、まさにここに手抜かり、ミスがあった、こういうふうに思うわけです。当然担当者のミスということになるわけですが、これ以上追及するのもどうかと思いますけれども、こういったことが方々で行なわれると由いうことになりますと実に問題である、こういうように思います。しかも、自然をこわしてばく大な砂利を採取しておりますので、こういった許可あるいは監視等を怠らないように特に格段の注意をお願いしたい、かように実は思っております。  そこで、柳沢川の砂利採取の許可条件に形状の変更、こういうふうになっておりますが、林野庁長官のただいまの答弁によりますと、不安定土砂の除去、すなわち四十二年の二十六号台風による土砂の堆積を除去する、こういうことで御答弁がございましたが、豪雨等による出水時の災害を防止するためにこのような処置がなされているところでありますけれども、現在かなりの延長にわたって砂利採取がなされております。長官も最近現地を調査されたというように聞いておりますが、長官答弁の趣旨からすれば、今後数キロにわたって砂利採取をするということになる、こういうふうに判断されます。現地についてつまびらかに見てみますと、現在川は林の中を縫って流れております。小河川であります。コケむした石があり、またせせらぎがあるというような、まさに国立公園内の自然にマッチしたところの姿でございますが、今回の砂利採取によりまして、広いところは数十メートルに及ぶような、中河川に人工的にこれがつくられていっている。そのような様相を呈しておるのでございます。そこで、むしろこのようなことでありますと、出水なんかをした場合には水量が増して川下の状態等が狭くなっておる関係から、かえって危険ではないかと私は憂慮するのでございます。  そこで、この柳沢川は昭和四十年四月一級河川に指定を受けていますが、河川の管理保全というものはどうなっているのか。また、このように砂利採取を行なうことにより、天然林の自然保護が逆にますます破壊されていく懸念があるのであります。技術的な面からも今後の採取計画はどのように検討されていられるのか、この点明らかにしていただきたいのであります。
  84. 松本守雄

    ○松本説明員 この川の区域につきましては、栃木県と営林署が協議をしながら管理をいたしておりまして、県では一級河川の指定範囲についての管理、それから上流につきましては営林署が管理をしておるわけであります。そこで両者が全体計画を立てまして、年次計画に従って毎年治山工事を進めることにいたしておりますが、砂利採取につきましては、御案内のように、昨年ですか、私、集中豪雨の直後にちょうどそこを見ております。そのときには西ノ湖のほうへ参る道に橋がかかっておりまして、その橋が流れてしまった。そのあとその橋をかけかえるという話があるわけでありますが、川の床が非常に高まってしまって、川の両岸と高さが変わりなくなったということで、なかなか川筋が一定をしない。はんらんをしてしまって、どの部分が川筋であるかということすら判断がつかないような状態になったということでは、今後だんだん奥のほうから砂利が出てまいりますと、一そうはんらんをしてそのつど川の流れが変わるわけであります。でありますので、その川筋を一定させるために、流れ出しておる土砂を取っておるわけであります。そういう面から、これは治山技術上、取ることがかえってよろしいんじゃないかということで、その両岸の自然林を守るためにも、川筋を安定してやるということが好ましいということでございます。  そこで、その砂利を取っておる際に水洗いをいたしております。コンクリート砂利に向けるための水洗いをして、そこで濁った水が中禅寺湖に入るというようなことを防ぐために、沈でん槽を設けております。そういうことで洗い流した土砂も沈でん槽でためて、そのためた土砂をさらに安全なところへ持っていって捨てるということで、今後この砂利の採取については、県と協議の上、不安定の土砂を取り除くために毎年一万から一万二千立方のものを取り除くという計画を六年計画、昭和五十年まで立てております。
  85. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 長官の説明によると、県と協議の上、不安定土砂除去ということで毎年一万から一万二千立方メートルの土砂を五十年まで六年計画でやるという御答弁でございましたが、この柳沢川の砂利採取の昭和四十三年の許可条件を見てみますと、「洗滌泥水等を直接流入し、流水を汚染してはならない」という、許可条項の中に一項目あるわけです。ところが現地に行ってまいりますと、洗滌泥水が林内に捨てられまして、いろいろな植物学上貴重な草木あるいは天然林等がやがて枯損するというような状態で憂慮されているわけであります。この点、現地を調査されればすぐわかるわけでありますが、この点の監督、指導というものはどういうように考えておられるか、お尋ねしたいわけです。長官は、業者のほうには沈でん槽を設けていろいろと対策をさせておるというふうに言われましたが、事実、大きなホースによって林内に泥水がたくさん堆積しまして、やがて林木も枯れていくという状況がしばしば見られるわけであります。そういう点でひとつ監督、指導についてどう考えておられるか、お尋ねをしたいのであります。
  86. 松本守雄

    ○松本説明員 最初、洗い流した土砂をホースで山林内へ捨てておったのでありますが、それをその後沈でん槽をつくらせまして、その沈でん槽に沈でんをさせる、そのたまった土砂は差しつかえないところ、一定のところへ持っていって捨てさせるということで、その付近の植生、樹木を枯らさないように十分注意を払うことで、いま指導をいたしております。
  87. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 その点は了解いたします。  次に、柳沢川の砂利採取の、やはり昭和四十三年の許可条件のもう一つの項目に「堀さく跡は河川管理上支障のないよう整地すること」、このようになっておるわけでありますが、現在、現地で調査をしますと、堀さくのままで整地の形跡は全く見られないのであります。この点どのように考えていられるか、承りたいのであります。また、護岸の補強についてはどうされるのか、あわせてお伺いをいたしたいのであります。
  88. 松本守雄

    ○松本説明員 条件として、危険のある場合、支障のある場合には整地をしなさいという条件をつけておりますが、いまやっております状態では特に危険は感じられないわけであります。そういうことで、護岸を特につくるとか、そういうことは考えておりません。おそらく、何回かの豪雨その他雨量があれば、逐次その堀り取られたところはまた埋まってしまうということで、いわばそういう上流から流れ出てくるものがそこへたまる仕組みになっておりまして、危険はないもの、治山治水上支障はないということで判断をいたしておりますが、なお危険が特に感ぜられるような事態が発生する際には、十分それに対応すべき護岸工事とか、そういうものを考えなければいけないと思います。
  89. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ただいま答弁をいただきましたが、大きな豪雨がなければ幸いですけれども、二十六号台風みたいな集中的な雨量の多い災害がございますと、一時に水があふれまして、護岸を侵食して林地をこわす、あるいはまた、たまった水が別な林地のほうへ流れが変わっていくというようなことで、せっかく東京の奥座敷といわれる奥日光の、あの自然の動植物に富んだ場所が、こういったことでかえって人工的に荒らされるということになったのではたいへんでございますので、長官は心配ないような答弁でございましたが、さらに綿密な検討をされまして、科学的に土砂の検査をされる等、今後対策を慎重にしていただきたい。そして自然保護の上からも、ぜひ国立公園内の林地を守っていただきたい、かようにお願いをする次第であります。  もう一点、林野庁長官にお尋ねをいたしておきたいと思うのでありますが、林野庁は治山治水臨時措置法によって第三次五カ年計画を立てられておられますが、この柳沢川上流地域の四十一年、二十六号台風等による山地崩壊八十カ所、面積にいたしまして四十三ヘクタール、さらに渓流荒廃地総延長七キロ、面積十六ヘクタールの治山こそが焦眉の急務ではないかと私は思うわけであります。下流の不安定土砂除去のみならず、現に八十カ所のそのような山地崩壊地があるわけでございますので、それらの工事こそが大群である、こういうわけでございますが、そのために堰堤、山腹工事等、柳沢川及び西ノ湖地区全体計画についていろいろ検討されておるやに聞いておりますが、今後の治山工事計画を強力に推進すべきである、かように私は思うわけであります。この点について、林野庁長官のお考えをお聞きしたいのであります。また、今後どのように対処されるか、重ねてお伺いいたしたいのであります。
  90. 松本守雄

    ○松本説明員 今後の計画でございますが、昭和六十年までに約三億三千万円が概略計画をされております。それから、さしあたり昭和四十三年から四十七年の第三次五カ年計画では、残りの三年間、四十五、六、七でございますが、その残りの三年間に山腹工事と堰堤を主体にいたします渓間工約六千万円を実施する計画でございます。これの実施にあたりましては、県の治山計画との調整を十分はかりながら営林署が実施をいたすという仕組みになっております。
  91. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の関係で、以上で奥日光の柳沢川関係の砂利採取問題についての質疑を終わりまして、次に、大規模乾燥調製貯蔵施設、すなわちカントリーエレベーターについて農政局長にお伺いをいたしたいと思うのであります。  このカントリーエレベーター問題については、本年三月二十五日及び四月二日の二回にわたりまして当委員会で質問をいたしたところでございますが、その際農林大臣、政務次官並びに農政局長からそれぞれ答弁がございまして、その結果、政府としてもこのカントリーエレベーターについて今後米生産改善パイロット事業推進の上から、これがもし失敗するとたいへん構造政策にも影響するということから総点検をし、さらに調査を進めて報告をする、このような御答弁をいただいて今日に至っております。先月もこれをただす予定でございましたが、時間の関係で今回になりましたけれども、こういったことにつきまして、るるいまから質問をしてまいりますが、まず最初に、三月と四月に問題にいたしました熊本県不知火干拓農業協同組合の問題からお尋ねをいたします。  不知火干拓農業協同組合のカントリーエレベーターの事故は、もみすり後の玄米検査の結果では、総数二万三千七百二十一俵のうち五等米が四千四百三十五俵、検査規格外が一万九千二百八十六俵となっておりまして、この事故に伴う損害額は、対策等、利息等を含めまして約六千百万円となっておるのであります。不知火干拓農協をはじめ地元関係団体、並びについこの間も、熊本県議会も重要視して国にも陳情をしたところでございます。また、地元の個々の農家にも、負担などで不安と心配は言うに及ばないものがございます。私は去る七月十八日に現地に再度調査に行ったのでありますが、それ以前の七月十三日に農林省から小高技官が現地に派遣されて、いろいろと調査をしていただいて指導をされておったのでありますが、これらを含めましてこの問題についていかなる処置をとられたのか、また、今後対策についてどうされるのか、あわせてまず承りたいのであります。
  92. 岡安誠

    ○岡安説明員 いまお話しの、熊本県の不知火干拓農協のカントリーエレベーターの事故に対するその後の処置でありますが、お話しのとおり設計上の問題もあろうかと思いますが、それらを含めまして六千万円に及ぶような大きな被害を出したものですから、私どもは、この農協につきましてのカントリーエレベーターにつきましては、ともかくやはり乾燥能力等につきましてもう少し余裕のある施設に改造すべきであるということを考えまして、先般標準設計につきましても改定をいたしましたので、その改定されました設計基準によりまして改造をいたすということになったのでございます。不知火農協の場合、その改造費が三千九百万円くらいかかる予定でございますが、このために今年度、三千九百万円の改造費に対しまして補助金を支出するというふうに私どもは考え、そのように現在連絡をし、指導をいたしておるのでございます。現地におきまして現在この工事をやっておるのでございますが、なるべくならば今年度の米の処理に間に合わしたいということで急いでおるようでございますので、私どもは、この改造後の新しい施設によって、今年度の米の処理が相当部分できるのではあるまいかというふうに考えております。  それからもう一点は、機械の操作といいますか、装置の操作につきましてやはり未熟な点もないわけではなかったというふうに考えておりますので、運転操作技術の向上をはかるという趣旨から、ことしの八月上旬に運転の責任者を内原の農林省の技術の研修室のほうへ集めまして、研修会を実施いたしたのでございます。私どもは、今後ともさらにより多くの責任者に技術の向上をはかっていただくという趣旨から、さらに充実した研修をはかってまいりたい、かように考えておるような次第であります。
  93. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ただいま答弁をいただいたのでありますが、実は地元では、今度のこの増設については相当な負担がまた重なってくるわけでございます。従来からの農機具の負担、また今回の事故による負担、また増設による負担、概算で申し上げますと、二月当たり農家が八十万から七十万くらいの負担になるということで、とてもこの負担をしょい切らないというようなことでたいへん苦慮しておるわけでございますが、地元負担金等について出せない場合、または実際に負担額が膨大な額になりますので、農協としてもどうするかということでたいへんな問題になっておるわけですが、この点についてはどのように対策をされるわけでございましょうか、お伺いします。
  94. 岡安誠

    ○岡安説明員 このカントリーエレベーターにつきましては、四十三年度建設当時におきましては、事業費が約一億二千二百万円でございまして、それに対しまして工事の補助金三千百万円をお渡しするということで建設いたしたのでございます。今回の改造は、先ほど申し上げましたとおり、三千九百万円の事業費ということでございますので、なかなか負担がたいへんであるということを伺ったのでございます。三千九百万円の事業費になるにあたりましては、私どもも、できるだけ効率のいい施設をできるだけ安くつくるというふうな観点から、これは全購連が経営いたしましていろいろ仕事をいたしております関係上、全購連等にお願いをいたしまして、改造を担当するメーカーのほうとも折衝をしてもらいまして、効率のいい安い経費の工事というようなことの折衝をいたしました結果三千九百万円という事業費にきまったようでございます。これに対しまして、私どもが、すでにできましたカントリーエレベーターにつきましての改造工事でございますけれども、諸般の事情もありまして、不知火農協以外にもこういうケースがございますが、今年度不知火農協を含めまして十農協につきまして、この改造費につきましての補助金を国が支出するということにいたしまして、まだはっきり金額は確定をいたしておりませんが、一千万円をこえるような金額の補助金をお出しできるのではあるまいかというふうに実は考えておるのでございます。
  95. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 あとでこれに関連してまたまとめてお伺いをすることにいたしますが、次に、昭和四十四年度米生産総合改善パイロット事業の実施区域に指定されておりますところの栃木県大田原市金田地区のカントリーエレベーターにショッキングな問題が起こり、米作農家を不安におとしいれたのでありますが、実はこのカントリーエレベーターの工事が八月に完成し、収穫期の九月から始動予定であったのでありますけれども、乾燥施設の設計変更という理由から工事を中断しせっかくでき上がった施設の一部が取りこわされ、農林省は設計変更のミスを認め、逆に地元では三千五百万円もの再工事費を負担させられるということになったのであります。このため農協または農家の方たちは、農林省のミスで取りこわした乾燥施設の再工事費をなぜわれわれが払わなければならないか、こういったことで非難をしているのであります。この問題についてはすでに操業を開始したというふうにも聞いておりますが、国における標準設計改定のいきさつとさらに処置、今後の対策等について、この機会にお伺いをしておきたいのであります。
  96. 岡安誠

    ○岡安説明員 栃木県の大田原市の金田農協のケースにつきましては、いま先生がおっしゃられたようなことが一部の新聞等に報道されたことも私承知いたしておりますが、多少事情は違うんではなかろうかというふうに思っております。と申しますのは、この大田原市の金田農協は、実は大田原市につきまして五カ年計画でカントリーエレベーターを大体五基くらいその周辺につくるという計画がございまして、すでに四十四年度に実は大田原農協で第一回といいますか、一基が建設されたのでございます。この金田農協は、当初の計画から第二基目といいますか、二年目の事業というふうに予定をされまして、四十五年度にこのカントリーエレベーターを建設するという予定になっておりましたので、地元が非常に急いで工事をいたしまして、四十五年産米の処理に間に合わしたいということから事前といいますか、非常に早く着工することを希望いたしたのでございます。ところが、御承知のとおり、私どもはことしの初めにカントリーエレベーターの標準設計を再検討する、改善をするということの作業を始めておりましたので、旧来の設計でもって着手するならば、途中で改造しなければならないということは再三申し上げたのでございますけれども、そういうことを承知の上で着工いたしましたので、一応四月に入りまして、肝心の乾燥部分を残しまして一時工事を中止するように指示をいたしたのでございます。その後私どもで標準設計がはっきりいたしましたので、さらに工事を再開するということにいたしたのでございますが、いま一部を取りこわしてよけい金がかかるというお話でございますけれども、従来の設計で組み立てられました乾燥機の設置のための骨組みですか、それが改造工事のためにかさ上げをしなければならないというので一部取りこわしをいたしましたことで工事の手戻りがあったと思いますけれども、それを改造することによって新しい設計に合った施設として改造ができまして、九月の十一日に完成をいたしましたというふうに私どもは聞いております。  私どもといたしましてはやはり改造後の工事費を基礎にいたしまして国の助成金その他は計算をいたすつもりでおりますので、この金田農協が、改造したことによってほかの地区よりも不当な損失といいますか、不利な条件に置かれるとは考えておらないのでございます。私どもは、そういう事情によりましてちょっと早期に着手いたしましたために、工事の一部について手戻り工事があったということは承知いたしておりますけれども、全体的には、計画どおり工事は完成しておるというふうに考えております。
  97. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、やはりカントリーエレベーターの問題で新潟県の白根農業協同組合のカントリーにも問題がございまして、この点についてもお伺いしたのでありますが、このカントリーエレベーターは、昭和四十年、全国的にも早く建設されたのであります。昭和四十三年産米について、四十四年七月保管もみを試料調査したところ、三号サイロに発酵あるいは焼け米が混入していることが判明しまして、もみすりの結果二百二十一トンが規格外低品位米となっておるのであります。その結果、農協は国に対して五百一万三千円の損害賠償金を支払っております。ところが、サイロの高さたしか二十一メートル三十センチぐらいのところに、本体のちょうどまん中でありますが、水分が浸透するという新たな欠陥個所が発見され、農林省や工事請負業者関係者の現地調査を行なっているが、このことについての処置と対策をどう講じられたか、報告を承りたいのであります。私が三月、四月質問した際にはこういった事故はないということでございましたけれども指摘のとおりやはり事故があったわけでございまして、これに対する対策をお知らせ願いたいと思います。
  98. 岡安誠

    ○岡安説明員 新潟県の白根農協のカントリーエレベーターにつきましては、お話しのように焼け米が相当出まして損害が発生いたしたのでございます。当初これは漏水の疑いということがいわれておったのでございますが、農林省から係官を派遣いたしまして県との立ち会い検査をいたしました結果、やはり先生指摘のとおり、サイロの貯蔵部分に漏水する個所を発見いたしたのでございます。これは明らかにメーカーといいますか建設者のミスでございますので、私どもはその補修の工事をメーカーに命じましていたさせました。もちろん、これは工事者のミスでございますので、無償でいたさせたわけでございます。このメーカーの責任は改造するだけでは償わないわけでございまして、私どもは、白根農協に対してメーカーのほうから幾ばくかの見舞い金が出されているということを県から報告を得ているのでございます。  さらにつけ加えますと、この白根農協につきましては、御承知のとおり相当早く建設されたのでございますけれども、周辺の稲作が必ずしも計画的な栽培といいますか、そういうことが完成しておらないように私どもは考えております。そこで、今後のこのカントリーエレベーターの運営につきましても、地域の計画栽培というものを強力に推進する必要があると考えておりますので、そういうことを含めまして今後この農協の運営につきましては、県と共同して十分指導してまいりたい、かように考えております。
  99. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いま答弁をいただきましたが、私から指摘いたしました三つのカントリーエレベーター、現在建設中のものも入れまして約四十カ所、毎年八カ所ずつつくっていく計画に大体なっておりますが、これは特におもなものを若干拾い上げたのでありまして、このほかに秋田県とかまたほかの県でも事故は常に起きておるわけでございます。今後農業近代化また構造政策を推進していく上にこういう問題があったのでは、農家はたいへん憂慮するわけでございまして、いまはほんとうにおもなものを二、三指摘したのでございまして、十分な運営をはかっていくように監督指導されることを心から望むわけでございます。  そこで、いまの問題で、たしかつゆ時期に放水して漏水の個所を一回点検されたと聞いておりますけれども、消防ポンプで水をかけたら中に水が入ってきたということで、第一回補修後さらに再補修をしたやに聞いておりますが、その点はどうなっていますか、この機会にお聞きしておきたいと思います。
  100. 岡安誠

    ○岡安説明員 おっしゃるとおり、これは漏水ということがはっきりいたしておりますので、その改造をいたさせたのでございますけれども、その完成後もう一回放水検査をいたしましたところ、さらに完全ではない。やはり漏水個所をさらに発見いたしましたので再補修をいたさせまして、それはすでに完成をいたしておるというふうに聞いております。
  101. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林省は従来、昭和四十四年六月十七日付をもって、四十四農政第二千六百四号「米生産総合改善パイロット事業実施要領の制定について」によってカントリーの標準仕様を定め、設置運営をされてきたところでありますが、本年六月の二十九日付、四十五農政第三千二百七十五号「大規模乾燥調製貯蔵施設の地帯別設置運営基本計画の制定について」という通牒によりまして、その基準仕様を改めておられるところであります。先ほども参事官から一、二ちょっと触れられたところでありますが、この点のいきさつについてまずお伺いをいたしたいのであります。
  102. 岡安誠

    ○岡安説明員 国は大体三十九年ごろからカントリーエレベーターの建設をいたしておりまして、現在全国で四十六基だと思っておりますが、そのくらいのカントリーエレベーターを建設いたしました。それにつきましては、御指摘のとおりいろいろ事故等の発生等がありましたので、私どもも、今年早々から、もう少し安全性を確保するというような観点から仕様の再検討をいたすということにいたしておりまして、四月から五月にかけまして、学識経験者、関係団体、それからその他の農林省部内の関係者意見等を慎重にお聞きいたしまして検討いたしました結果、御指摘の六月の二十九日付の公文をもちましてカントリーエレベーターの標準設計を改めたのでございます。  そのおもな内容をちょっと申し上げますと、その第一番目は、原料一時貯留タンクというものが従来設計にはなかったのでございますけれどもそれを入れまして、従来野積みその他によりますエレベーターにおける処理の前における腐敗、変敗等を防止するということをいたしたのでございます。  二番目は乾燥機の容量を少し大きくいたしまして余裕を持たせるということにいたしたのでございまして、これは従来の容量を大きくすると同時に、従来の少し高温における乾燥を多少低温にいたしまして、そのかわり風力による乾燥という、能力を強大にするというふうな方向でもって改正をいたしたのが二番目でございます。  三番目は、そのような改正に伴いまして、荷受け、搬送等の施設につきましてやはり容量を広げるというような措置をいたしたのでございます。  そういうようなことをいたしまして、私どもは、新しい標準設計によりまして余裕のある安定した施設ができるというように措置をいたし、その後そのような指導をいたし、現に四十五年度のカントリーエレベーターにつきましては、この標準設計によりまして建設を進めておる、かような次第でございます。
  103. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いま答弁いただきましたが、私も手元に通牒をいただいておりますけれども、これを見ますと、かなり標準仕様を改正されるようになっております。いまおもなもの二、三について申されましたけれども、こうして見てまいりますと、従来の農林省が機械化研究所等に設計をさしてやってまいりましたカントリーエレベーターというものは、明らかに農林省の設計のミスで、責任である。またそういったミスというか、設計上の問題があったがゆえにこのように改正をするようになった、こういうふうに私は思うのであります。アメリカのカントリーエレベーターの構造そのものを日本へ持ってくればいいのでありますけれども、ずいぶん予備乾燥等の手抜きをして設計がなされているといったところが問題であろう、こういうふうに実は思っているわけです。それで、従来のカントリーエレベーターの標準仕様が明らかに国の設計ミスということに理解をしていいものか、この点参事官にお尋ねをいたします。
  104. 岡安誠

    ○岡安説明員 お答えいたします。  三十九年ごろからカントリーエレベーターの建設をいたしたのでございますけれども、四十三年以降のものにつきましては、従来のものよりも容量におきまして二千トンくらいというように大規模なものに変えたこともございまして、私ども、やはりその容量に伴いまして相当膨大な建設費がかかるということから、経済的な建設費といいますか、そういうことでいろいろ努力をしてやったのでございます。私どもは、強弁するようではございますけれども、一応前の設計は必ずしもミスであったということはいかがかというふうに考えますけれども、しかし、現在の農業の実情といいますか、先ほどちょっと申しましたけれども、カントリーエレベーターに搬入する周辺地区の農村におきます計画的な栽培というものの普及の度合いその他から考えまして、やはり余力のある設計のほうが事故を起こす機会が少ないと申しますか、そのほうがベターではなかろうかというふうな観点を含めまして、今回標準設計を変えたわけでございます。ともかく私どもは、非常に能率のいい機械をつくれば事故が少ないことはわかっておりますが、あまり経費がかかりましてもいかがかということも考えまして、その辺の調和を考えて措置をいたしたつもりでございます。
  105. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 これ以上詰めることはどうかと思いますが、従来のカントリーにさらに余力がある施設をしてと、こういうような答弁でございまして、日本語というのはなかなか便利にできております。  そこで、不知火干拓農協などを含めまして若干指摘したところでありますが、過去の事故というものは国の責任であり、農民に責任をとらせるというようなことは酷ではないか、こういったことで私たちも陳情を受けいろいろ検討しておりますが、もっとこういった点を勘案していただいて、農家の方たちが安心して経営できるように、あたたかい、きめのこまかい指導と対策をしていただきたい、かように実は思っております。  そこで、実はもう一点参事官にこの機会にお伺いしておきますが、このカントリーエレベーターというものは、過去、三十九年以来四十六カ所建設がされているというふうに御答弁がございましたが、今後も全国的に毎年八カ所くらいの建設がなされるように農林省予算等を見ますと計画されておるのでありますけれども、私が指摘しましたように、このカントリーエレベーターの総点検、今後の構造政策の上からどうあるべきかというふうなことでいろいろ考えておられると思いますが、そういった検討された結果を御報告いただきたいと思います。
  106. 岡安誠

    ○岡安説明員 御承知のとおり、ことしの春からいろいろ事故が発生いたしまして問題がございましたので、全国四十六のカントリーエレベーターのうち、ことしの七月以降にすでに二十三の個所につきまして農林省のほうから係官が出張いたしまして、それぞれ運営の実態等を見、また相談に応じてきたのでございます。さらにことしの秋までに、実際の運営の状況等を含めまして、十二カ所につきまして指導を行ないたいというふうに考えておりますし、残りにつきましては、早急に全部につきまして点検を行なうということを予定いたしておるのでございます。  それから、一般的なカントリーエレベーターの運営につきまして運営留意事項というものを定めまして、ことしの九月に指示をいたしたのでございますが、これによりまして、運営等につきましても従来看過されておりました事項につきまして、もう一回指摘をするということによりまして、運営のまずさからくる事故の発生を防ぐということに留意をいたしております。  さらには、先ほどちょっとお答えいたしたと思いますけれども、操作技術につきましての基本的な訓練ということで、すでに今年度から始めておりますが、来年度におきましても新しい機械等の導入を現在予算要求をいたしておりますが、それらが導入されますれば、もっと能率のいい、大ぜいの技術者につきまして研修ができるものというふうに考えておりますが、私ども、今後ともさらにそういう研修の充実、指導の強化等をはかりまして、事故等を未然に防止をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  107. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 約束の時間がもうしばらくで参りますが、カントリーエレベーターについては、前回もいろいろ質問をして答えをいただいておりますので、きょう申し上げたようなことを慎重にさらに検討、指導、監督をされて、ひとつ今後万全を期していただきますように特にお願いをいたしておきます。  以上でカントリーエレベーターの問題を終わります。  最後に一点、食糧庁長官にお尋ねをして質問を終わりたいと思います。  御承知のように、熊本県天草の早期米のことでございますが、過般、台風九号による農業被害がございまして、すでに報告を取りまとめていま対策がなされておるところでありますけれども、特に熊本県天草地方は早期米の産地でございまして、この天草地方の水稲早期が収穫前の台風九号のため著しく品質が低下を来たし、等外規格米がたくさん出ておるのでありますけれども、この規格外米の政府買い入れについて格段の御配慮をお願いしたい、かように思うわけです。この点について長官の御見解を承っておきたいのであります。
  108. 亀長友義

    亀長説明員 台風九号、十号で熊本県、特に天草、それ以外にもかなり被害を受けた県がございまして、等外米の発生がかなり出ております。そういう諸県に対しましては、等外米の買い入れ等何とかしたいということで、先般農林大臣も何とかせずばなるまいというお答えをいたしたはずでございますが、私ども、その御方針に従いまして、財政当局と等外米の買い入れにつきまして自来協議を進めてきております。現在のところ、私どもの判断でございますけれども、数県については買い入れをしなければなるまいということまではきております。ただ、価格、県別、数量等につきましては、まだ事務的にも若干の問題がございますし、また被害の額につきましても、初め非常に少ないと思っておった県が、あとになってどうも多いということで訂正を申し入れるものもございますし、また、初め非常に膨大に言ってきておったものが、調べてみるとそれほどでもなかったというふうに言ってくるものもございますので、ここら辺を最終的に調整をいたしまして、大体私どもの感じでは、あと一週間くらいのうちに最終的に結論を出したいというふうに考えまして、目下努力中でございます。
  109. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 長官からありがたい御答弁をいただきましたので、地元でもたいへん喜ぶことだと思いますが、たいへんな苦境に立っておりますので、等外米の買い入れについて、一週間後には判明するということでございますので、どうかぜひそのように取り扱っていただきますようにお願いしまして、質問を終わります。  長時間、どうもありがとうございました。
  110. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 小平忠君。
  111. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私は、前々回の委員会でバナナを中心とする生鮮食料品の輸入並びに流通機構について、通産、農林両当局の意向をただしたのでありますが、時間も十分になかった関係で、本日は特にこのバナナの輸入行政について通産大臣、担当局長の出席を求めておるのでありますが、ただいま担当の楠岡次長しか見えておりません、まことに残念です。しかし、最近のバナナの輸入をめぐる業界の現状はきわめて深刻でありまして、私は本日、担当の次長でありますから、きわめて事務的な点をお伺いいたしまして、さらに政治的な問題は次回の委員会に持ち越したい、こう思うのであります。  御承知のように、バナナ業界は、輸入量の拡大を原因として毎月十数億にのぼる輸入欠損を続けておりまして、いまや文字どおり破産状態に直面しておるのが現状であろうと思うのであります。これは中小企業保護育成上重大な問題でありまして、すでに政治問題化しておると思うのであります。この過大輸入の原因というのは、やはり台湾バナナの政府輸入割り当て制度にあると思う。通産当局がこの体制を基礎といたしまして、輸入組合に南米部会を設置させて、業界安定を指導中であると聞くのでありますが、しかし、このような方法では地盤が軟弱でありますから、すみやかに安定するということは期待できないと思う。やはりいまのような思惑輸入を続けているような現状では、どうしてもますます現在の混乱が続くだけだと思う。やはりここで抜本的に、臨時的に単なる注意事項による割り当て制度を実施した台湾バナナの輸入については、この辺で本来の姿に戻すという考え方をとるべきでないかと私は思うのでありますが、この点いかがでございましょうか。
  112. 楠岡豪

    ○楠岡説明員 ただいま先生のおっしゃいましたバナナ業界の過大な輸入によりまして生じました混乱と申しますか、あるいは損失と申しますか、そういうものにつきましては私どもも非常に心配しておるところでございます。私どもとしましては、過大な輸入を政府の手によって人為的に押える、こういうことよりも、あるいはまた業界がカルテル行為等に安易に走るということよりも、やはり業界自体が日本のバナナの需要の動向をよく見きわめて、それぞれなすべき措置を考えてほしいという要望をしておる次第でございます。台湾バナナの規制の問題につきましては、先般も御質問がございましたが、私どもといたしましては、ただいまのような台湾バナナの規制ということ自体は、決していつまでも続けるべき問題ではないと思っております。ただ、私どもまだはっきり見通しがつきませんのは、いまの台湾バナナの規制をやめましたときに、中華民国側でどういう輸出体制をとるかということ、それから、それが国内にどういう影響をもたらすかということでございまして、その辺の状況を見きわめました上で結論を出したい、かように考えておる次第でございます。
  113. 小平忠

    ○小平(忠)委員 台湾政府は、一体そのバナナの輸出にあたって、現在通産省がとっておる注意事項による割り当て制度を望んでおるのですか、それとも自由化を望んでおるのですか。どちらなんですか。
  114. 楠岡豪

    ○楠岡説明員 中華民国政府は自由化を望んでおります。
  115. 小平忠

    ○小平(忠)委員 台湾政府は自由化を望んでおるんでしょう。台湾政府は自由化を望んでいるのに、いまのあなたのお話だと、中華民国政府が自由化にした場合にどういう体制で出てくるか、そんなこと、いま日本のバナナの現実輸入の実態あるいは流通機構の実態からいって、これは全然本末転倒な話だと私は思うのですね。だから、いま台湾政府は自由化を望んでいるというその発言と前段の発言と食い違っている。この点は、バナナなどの生鮮食料品の流通整備の行政指導というものを、実際に通産当局も農林当局も放置しているというところに私は重大な問題があろうと思うのです。こういう状態でまいりますと、やはりその根拠立法を変えて、その根拠立法制定後いろいろ困難な事態が起きてくると思うのです。したがって政府としては、輸出用の輸出市場政策にこれを期待しなければならぬというような状態になってくると思うのですね。そうじゃなくて、やはり台湾バナナの自由化の基礎となるのは、流通整備についてはすでにもう先月台湾政府との、いわゆる日華両国の政府のバナナ貿易制度の改善会議でいろいろ協議されたと思うのですが、さらにまた十月、引き続いて協議をすると聞いているのだが、これに対して通産当局は一体どういう態度で臨もうとしておるのですか。
  116. 楠岡豪

    ○楠岡説明員 台湾側との話につきましては、私ども一番気になりますことは、ただいま申しました中華民国政府あるいは台湾省の関係者が自由化後どのような体制をとるのだろうかということでございます。先方も、決して日本市場におきます市場の混乱というものは望んでおるわけではございませんので、いろいろ考えもあるようでございますが、先月半ばの状況ではまだ完全に話が固まってはいないようでございます。今後先方の話もよく聞きまして対処いたしたいと思います。
  117. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それらの動きについて、巷間には、自由化するにあたって、通産省は現在の輸入割り当て業者二百四十八名全員が輸入できることを条件づけているといううわさが実は飛んでいるわけです。そういうことになると、実際に販売力がない業者と、また輸入をしなくてもよい加工業者も含んでいる、こういうようなデマが飛んでおるのです。だからこういうことは、やはりいまの思惑輸入、過大輸入によって毎月数十億の赤字を出しておる。そのことが中小企業育成の上に通産当局は大きな責任があると私は思う。こういうようなデマが飛んでいるのを、あなたたちはこれをどういうふうに把握しているのですか。
  118. 楠岡豪

    ○楠岡説明員 ただいまのお話、あるいはデマとおっしゃいましたが、その点につきましては私ども存じませんのでございますけれども、私ども制度を変えます場合、いまの現行の業者——御承知のようにバナナの輸入業者は中小企業が多うございますが、そういうようなものについて、ある部分のものはいわば輸入業務から出ていってもいいのだということはなかなか申しかねる次第でございます。ただ、これから先は、私どもまだ公式に固めたわけではございませんけれども、やはり将来のことを考えますと、業界が中小企業であるだけに、やはり組織化というようなものも考えていかなければならないのではないかというふうに私は感じておる次第でございます。
  119. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それともう一つ重要なことは、輸入行政というものは、特に生鮮食料品輸入の基本方針という点から、国民消費層の福祉に貢献するという目的でなければならぬと私は思うのです。ところが政府の所管は、国内流通機構の問題は農林省で所管する、輸入面は通産省で所管する。このために輸入と国内流通との一貫性を欠いておるということがとかく思惑輸入あるいは投機的輸入となりやすく、生鮮バナナもこの例に漏れない事例だと私は思うのです。この輸入と国内流通というものの一貫性がないということはやはり非常に問題がありまして、輸入行政、国内の流通行政というものは、あくまでも通産、農林省が一体となってこの問題を解決していかなければならぬと私は思うのであるが、特にこの際非常に大きな問題をいま惹起しておるだけに、これらの有機的な関連性について通産省の立場、さらに農林省という立場について、私は両省から率直な意見を聞きたい。
  120. 楠岡豪

    ○楠岡説明員 輸入に関します行政をやります場合に国内の消費者の立場を考えなければならないというのは、私どもも当然だと存じております。そのようにつとめておる次第でございますが、その点に関しまして、輸入と消費者をつなぐ流通の問題というのが出てくるわけでございます。農林省との関係につきましては、いわゆるバナナの加工業者の問題等々につきまして緊密な御連絡をとっておる次第でございますし、また、輸入制度を変えるというような場合につきましては当方から農林省に御相談するということで、私どもといたしましては、事務的には緊密な連絡はとっておるつもりでございます。もし至らない点がございましたら、今後とも改善をはかっていく所存でございます。
  121. 荒勝巖

    荒勝説明員 農林省といたしましては、一般論といたしまして、ほかの生鮮食料品の輸入につきましてもいわゆる輸入行政は通産省、それから国内に輸入いたしましてからあとは一般的にも農林省の所管でありまして、流通あるいは加工、あるいは市場あるいは消費者、こういうことにつきましては農林省が責任をとって行政を指導しておる次第でございます。特にバナナの件につきましては、昔からの、輸入統制時代からの引き続きの点がございまして、一時非常に混乱しましたときに通産と農林と両省協議し、かつ関係方面とも十分連絡の上に、いわゆる台湾バナナの輸入問題につきまして、ある程度現状のような形で両省協議の上、意見を統一して現行制度が一応できている次第でございます。その後、やはり時代の流れで、こういう制度が発足しました当時は、いわゆる台湾バナナと称せられるものだけが輸入のほとんど大宗といいますか、一〇〇%近く台湾バナナで輸入いたしていた次第でございますが、その後の経緯で逐次南米産のバナナ、あるいは最近はさらにフィリピン産のバナナというふうにいろいろなバナナが入ってまいりまして、輸入量自身も相当膨大なものになってきておる次第でございます。そういった各方面のバナナの生産状況等の掌握が必ずしもお互いに十分でなくて、たとえばことしの夏のように、南米産と台湾産とがほとんど軌を一にして同時に輸入が行なわれたようなかっこうになりまして、その結果、輸入を担当されておる方にも相当被害があった模様でありますし、またそれを加工しております加工関係の方々も相当な影響を受けられ、その結果バナナの市場が多少混乱するとともに、結果論としてはこの夏場のバナナの価格が非常に暴落したというふうに思っておる次第でございます。それにつきましては、われわれのほうもつとに加工メーカー等に指導いたしまして、業界の不統一といいますか、加工業務のばらばらなのも困ることだし、また零細な業者が多いものですから、前にも申し上げましたが、中小企業近代化促進法に載せまして、業界の合理化と近代化のために現在いろいろと資料を集めまして検討中でございまして、来年くらいになれば大体の、いわゆる中小企業近代化促進法に基づく新しい一つのビジョンづくりができるのではないか、それによってわれわれは国内の流通体制を少しでも整備していきたい、こう思っております。  なおそのほか、行政上の意見といたしまして通産省と農林省、両者の間で今後さらに緊密な連絡をとりましてやるべく、最近このバナナの問題についての検討を、意見を持ち寄って相談している最中でございます。
  122. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいまの両省の答弁を聞きますと、その誠意は認められるけれども、国民がいまあなた方二人の答弁を聞いても納得できる答弁ではない。なぜかといえば、それは積極性がないから。日本の今日の生鮮食料品、特になまものの流通機構についてどれだけ中間搾取、むだがあるかということについては憤りを感じているくらいです。そんな検討中、検討中、来年は何らかのめどがつくだろうなんていうことで現状は糊塗できるものではない。私は、その誠意は認められても、もっと積極的にこの問題には取り組んでいただきたい。  さらに、最近の問題として、これは現在の台湾バナナのいわゆる注意事項による割り当て制を実施しているところからくる矛盾ですね。一つの例として高雄の秋バナナの輸入について、次長はすでに知っておられると思うけれども、日バ組合の理事会で、品質が不良という理由で協定を一方的に破棄し、輸入停止を実施しております。これに対して中華民国政府から、その順調な輸入促進について通産省に申し入れてきているでしょう。それで組合員の中には積極的な輸入希望者も多いし、それから三十万カートンの協定に対して、輸入手続は満額となっているでしょう。そういう点から、政府が輸入管理下であるという、統制を実施しているという点についてやはり問題が出てくるのです。次長、この点はどう処理するお考えですか。
  123. 楠岡豪

    ○楠岡説明員 高雄産の秋バナナにつきましては、先生も御承知と思いますけれども、品質が非常に悪いというのが問題でございます。はなはだしい例は、門司に着きました船が一船廃棄された、約六万八千カートンでございますが、そういうこともございまして、率直に申しまして業界では高雄の秋バナナを歓迎しないというのが実態でございます。ただ、私ども日本と中華民国との関係、あるいは日本のバナナの輸入組合と先方の聯営委員会との関係を考えますと、確かに悪いバナナがあることは事実でございましょうが、参りますものが——参りますものと申しますより、高雄で生産されますものが全部悪いということではないと思いますし、あるいは多少品質が悪くても価格の問題であるかもしれません。私どもとしては、とにかく全部引き取り拒否ということではなしに、何とか条件を考えて合理的な線が出ないものだろうかということをいま呼びかけておるところでございます。
  124. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それは確かに中に若干品質の悪いものがあったことは事実でしょう。しかし、それがために全体をストップする、停止するというものではなくて、現に輸入を希望したい者がたくさんあるということを私は聞いておる。あなたのいまの答弁では業界もとても納得できないし、ますます混乱が続くと思うのだが、現状はともあれ、いま消費者大衆は、あのおいしい台湾バナナがなぜ最近こんなに来なくなったのだろう、市中に見えない、そしてまずい中南米のエクアドルのバナナが町にはんらんしている。それも過大輸入で、輸入業者が毎月何十億の赤字を出しておる。この食うか食われるか、とことんまでいこうというような状態を政府は見のがしておいていいのかという、ただいままでの一つの事例を申し上げて伺ったのに対して、納得のできる答弁じゃないのだが、この点についてこの事態をどう収拾するか、同時に、暫定的に注意事項として行なっておる台湾バナナのいわゆる輸入割り当て制に対して、これをやめてもとの姿に、自由化するという方向にいま乗り切れないか、確たる考え方をもう一回お伺いいたしたい。
  125. 楠岡豪

    ○楠岡説明員 先生の御質問、三点あるかと存じますが、第一点の高雄のバナナにつきましては、何とか、いま先生おっしゃいましたように、オール・オア・ナッシングということではなしに取引を続けられる方法がないかということをいま検討してもらっておるところでございます。  それからなお補足いたしますと、台湾産バナナの最近の品質は、味は一般に非常に好まれておるようでございますが、バナナのいわば見かけが最近非常に悪くなっておりまして、この点が日本の国内におきまして市場であまり歓迎されないという一つの理由かと思います。ただいまの点につきましては、台湾のいわば生産条件の問題でもありましょうし、あるいは包装とか運搬とか、そういう点に難点があるというようにも聞いておる次第でございます。  それから、もう一つの中南米バナナの過剰輸入問題でございます。この点につきましては、先ほど申しましたように、政府の手でいわば強制的に数量を押えて、その結果、悪いことばでございますが、これで値段をつり上げるといったようなことは適当ではないと思います。あるいはカルテル行為といいますものも、必ずしも適当ではないのじゃないかと私どもは考えております。したがいまして、非常にこれは迂遠なようでございますけれども、やはり業界の方々がよく話をされまして、需給の実態というものをもとに輸入を実施していただくということが一番大事ではないかと考えております。  それから、第三点の台湾バナナの自由化を、先生の御趣旨はすぐしないかということでございましたが、私どもは、先ほど申しましたように、なお研究させていただきたいということでございます。ただ、繰り返して申しますように、私ども、台湾バナナの自由化というものを、ここ何年も何年もいまのままで続けていって、それでいいんだというふうには考えてはおらないわけでございます。
  126. 小平忠

    ○小平(忠)委員 そんなゆうちょうなことを言っているような時代ではないと私は思うのだが、これ以上伺ってもならぬし、やはりこれは基本的に責任ある大臣あるいは担当の局長に伺わねばならぬと思いますから、きょうの理事会で次回の委員会は十一月の十日に決定いたしましたので、十日には通産大臣それから通商局長もからだをあけておいてもらって、ぜひ本委員会に出席していただきたい。  そこで、最後に次長に伺うが、あなたはこの前、八月十日の本委員会で私の質問に答えたその答弁について、この際訂正をされる点はございませんか。
  127. 楠岡豪

    ○楠岡説明員 ひとつ補足させていただきたいと存じます。  一つは、輸入組合をつくりました際、あるいはその前でございますが、台湾からのバナナの輸入につきまして割り当て制を実施しました際、先方が窓口一本化と私は申しましたが、これは窓口一本化の時代があったことは事実でございますけれども、その後、当時は政府の輸出割り当て制のもとに窓口は多元化しておりましたが、結局輸出割り当てが行われましたために、やはり限度のある輸出量にこちらの輸入業者が殺到していったということで、過当競争の弊が起きたのでございます。この点は訂正させていただきます。  それからもう一点、先生の御質問の中に、台湾バナナの輸入の割り当ての基準としまして、割り当て実績をなぜとったかという点につきまして、私うっかりいたしておりまして、お答えするのを落としておりました。この点につきましては、四十年の七月当時でございますが、輸入実績を調べますにつきましては非常に時間もかかることでございましたので、かたがた台湾側からはバナナの出回りの最盛期を控えて早く割り当てをしてくれという要請がございまして、割り当て実績をとりまして割り当ての基準といたしました。この点につきましては、先回御答弁申し上げるのを忘れておりましたので、いま追加させていただきます。
  128. 小平忠

    ○小平(忠)委員 いまあなたの最初に述べられた窓口一本化の問題は、補足説明とおっしゃったが、補足じゃなくて、これは誤りなんで、最終的にはこれは訂正するとおっしゃったが、非常に重要な点ですね。台湾バナナ輸入の混乱は自由化後台湾側の輸出窓口が一本であることが原因である、したがってそれによって輸入規制を行なったのだと言ったのだけれども、これはとんでもない、いわゆるあなたの認識不足というか誤りで、そういう考え方のもとにやったんでは大きなそごを来たします。  それからいま補足されたというのだが、答弁漏れではなくて、あなたの答弁の中でこういう重要な問題がありますね。「それから第二点は、まず、現在のAIQ制度というのが法律上必ずしも適当ではないのではないかという御指摘でございますが、これは輸入貿易管理令の九条というのがございまして、「輸入割当て」というものを認めておるのでございます。輸入割り当ての中にいわゆるインポートクォーター、IQと俗称しておりますものと、自動輸入割り当て、AIQと俗称するものと二つございまして、いずれにしてもこの根拠は、この輸入貿易管理令の第九条に基づくものでございます。」この第九条は、外貨予算の制限を基礎として物資を指定して輸入外貨予算を組んで、物資はその輸出国を区別しない規定であると私は解しておるのです。ところが、バナナは外貨予算を組んでいない。しかもその割り当ての根拠は、昭和四十年六月二十四日付の単なる輸入注意事項によるものでありまして、しかも台湾バナナに適用するという規定はないのであります。ゆえに、これは法的根拠を欠いているのではないかと思うし、さらにあなたは、IQとAIQともに貿易管理令に基づくものと、この速記録にありますようにおっしゃっています。確かにIQは貿易管理令を根拠としております。ところがAIQは、外貨予算の制約を行なわぬ自由輸入方式であると思います。ただし、そのAA方式が、通産大臣が外為銀行に手続を委任して行なう自動承認制であるのに対しまして、このAIQは、通産省に申請して通産省は原則としてこの申請どおり割り当てを行なういわゆる自動割り当て制度、これは自由輸入方式であると思うのです。この方式は国際的に異例のもので、自由物資に対する政府の行政干渉のおそれありとして、この廃止をガットから求められていると思うのです。こういう点で通産当局は、従来、AIQは窓口が違うだけで自由化であると何回も言っておるわけです。その自由化物資のリストのAIQの分類でバナナを指定している。どうもこういう点は理解できない。こういう点で、あなたはこの前の答弁どおりこれが正しいと思っているのか、もう一ぺん明確にしてください。
  129. 楠岡豪

    ○楠岡説明員 私、この前の答弁でよろしいかと存じます。非常にこまかいことで恐縮でございますが、いまの輸入制度は自動承認制度、これは割り当てを受けましたものを銀行へ持ってまいりまして承認を受ける制度、自動承認制度は銀行限りでございます。それからもう一つの制度は輸入割り当てを伴う制度でございまして、これは輸入割り当てを受けた後銀行へ行って、輸入承認をもらうという制度でございます。それで輸入割り当てを受けますものの根拠は、ただいま御引用いただきました輸入貿易管理令の第九条でございます。それで輸入割り当てを受けますもののうちに、割り当ての方法として、あるいは割り当てのやり方が二通りございまして、一つはいわゆるIQ、一つはAIQ、こういうことになっておる次第でございます。したがいまして、いずれもこの第九条に基づくということは申して差しつかえないと存じます。
  130. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それはとんでもない。管理令の第九条というのはAIQ、いわゆる自由化物資のことを規定しているのじゃないのですよ。結局これはIQ物資です。従来のいわゆる統制物資です。それをちゃんぽんにしてはいけない。それを通産省は拡大解釈をして、そして単なる注意事項による割り当て制を、すなわちIQ物資と同じような扱いをするところに混乱がある。この点は拡大解釈をすればもう際限ないと思うが、通産省がそういう重大な問題をかりそめにも単なる注意事項で何年間も——暫定的に半年や一年ならいざ知らず、四年も五年もこういう体制のまま放任しておるところに、私は混乱の原因があると思うのです。これ以上あなたに話をしても、やはりあとは政治論になりますから、今日のきわめて重要なこのバナナの輸入混乱、さらにこれに対する業界の赤字、近くこれは全国の業者が集まって、この危機突破のために大会を持とうというような状態にあるのですが、私は真剣にこの問題に取り組んでいただきたいと思うのです。  以上事務的なことでそれ以上進んでも責任者がおりませんから、私は、本問題はきょうはこの程度にしておきたいと思います。  次に、食糧庁長官にお尋ねいたします。  いよいよ本年産米の収穫が始まりまして、大体の作況のめどもつきました。食糧庁は現在の作況に照らし合わせまして、本年度の古米、古々米、それにプラスする生産調整を行なった結果からくる需給の見通しについて、現時点において食糧庁が把握している段階においての現状を聞きたいと思うのであります。
  131. 亀長友義

    亀長説明員 米需給に関しまして、米の需要の面から申し上げますと、国民一人当たりの消費量が非常に減少を来たしておりまして、四十四年では一人当たり百キログラムを割る九十六・九九という数字が出ておるわけでございます。ここ近年ずっと低下をいたしました傾向が、四十四年度でさらに一段と進んだという感じを持っております。これによりまして、農家保有並びに消費者の消費を通じまして、全体としての米の消費がかなり減少いたしまして、四十四年度においては千百九十七万トンぐらいの消費であろうというふうに推定をいたしております。これは六年間で約百四十五万トンの減少の結果でございまして、一年に直しますと、大体二十万トンを上回る程度の減少が毎年起こってきたというふうに考えております。  一方、生産量は、四十二年産米、四十三年産米いずれも豊作でございまして、四十四年産米も千四百万トンというふうにいわれておりますし、四十五年につきましても先般推定実収高の発表のあったとおりでございます。これは千二百九十何万トンが水稲であるという発表でございましたので、陸稲を加えますと約千三百万トンになるかと思います。四十五年につきましては、もちろん生産調整後の数字ということになっております。  以上のような生産状況でございまして、こういう需給事情から考えまして、結果といたしまして政府の買い入れ量も毎年増加をいたしております。過去、三十年当初におきましては、農家の生産量のうち政府売りが四割、六割が自家保有でございましたが、近年の傾向では政府売りが六割、農家保有が四割というふうに逆の比率になってきております。そのように政府売りがふえまして、四十四年産米で約八百七十万トンという政府買い入れ見込みができております。さらに、四十四年産から自主流通が約八十五万トンほどございましたので、これを加算いたしますと、四十四年産米は九百五十五万トンの買い入れ量になったというふうに考えていただいてけっこうでございます。しかしながら政府の売却量は、先ほど申しましたように一人当たりの消費量が減ったということから減少いたしておりまして、四十二年当時には七百九十七万トンでございましたが、四十五米穀年度、すなわちことしの十月に終わる米穀年度におきましては六百五十三万トン、このほかに自主流通が約九十四万トンございますので、七百四十七万トンという見込みになりますが、往年よりはかなり減少いたしておるという結果になっております。  以上のような関係で、政府の買い入れはふえるが売却はふえないというような結果から古米が累増いたしておりまして、昨年十月末で古米持ち越しは五百五十三万トンでございますが、本年十月末にはおおむね七百三十五万トンに増加をする見込みであります。このうち四十二年産米が約百万トン、四十三年産米が約三百万トン、残りが四十四年産米と、かような見込みになる予定でございます。四十五年産米、本年の産米以降の動向につきましては、生産量がふえた結果、おそらく四十六米穀年度、この十月から始まります米穀の需給年度においてもやはり一そう需給が緩和をする、さらに持ち越しがふえるという事態になるのではなかろうかということを懸念いたしております。四十五年産米なり四十六米穀年度の場合につきましてはいまだ推定の段階でございますが、現時点におきます、本年十月末までの需給の数字をいま報告申し上げた次第でございます。
  132. 小平忠

    ○小平(忠)委員 そういたしますと、一応そういう推定に立って、十月末では七百三十五万トンの古米、古々米が結局だぶついているという結果になるわけですね。  そこで食糧庁長官にお尋ねいたしますが、この古米、古々米の処理について、いまどういう具体策をお持ちなのか、依然として目下検討中なのか、四年越しの検討中なのか、さらにいまあなたが説明されたような需給関係を照らし合わせて、いま明年度の予算編成中でありますが、その予算編成に際して問題はいかなる米の生産調整を行なうか、これはもうすでにある程度の基本構想ができなければならぬと思うのでありますが、これもまた目下検討中なのか、ざっくばらんにお聞かせいただきたいと思います。
  133. 亀長友義

    亀長説明員 先ほど申し上げました本年十月末おおむね七百三十五万トンの古米のうち、四十四年産の百万トンは——通常はランニングストックあるいは備蓄という意味で、毎年百万トン程度は翌米穀年度において主食として新米と同時に配給をするというような操作を従来やってきておりますので、まずそれから百万トン引いたものが大体において現在主食用に処理し切れない米であるというふうにお考えいただいてけっこうでありますが、いずれにしましても、数量の多寡にかかわらず四十二年産、四十三年産、四十四年産と、大量の米をかかえておる現況でございます。  この処理のしかたにつきまして、私ども、過剰米処理対策委員会というのを開催いたしまして、大ぜいの方にお集まりをいただきまして約五回の会合を開き、一応の報告をいただいております。この報告はいま印刷をしておりますので、御希望がございますれば、いずれ差し上げるつもりでおりますが、その報告の内容によりますと、大きくは、基本的には、やはりこのような過剰処理をするには相当な財政負担が要る、それから今後このような過剰が二度と発生しないような対策を講ずべきであるというのが基本策でございまして、現在ある米につきましては、古米としても主食用に安くすれば消費されるという見込みの可能性について検討しろということをいっておりますと同時に、飼料用その他の用途に処分することもやむを得ないだろうということもいっております。また、その数量につきましては、飼料用に年間おおむね百四十万トン程度であろう、さらに輸出につきましては年間四十万トン程度であろう、その他原材料、新規用途等で二十万トン程度、おおむね二百万トン程度が、現在の主食用とダブらない方法で処分ができるのではないか。これにはいろいろ財政負担その他の問題もあり、政府においてそれぞれ慎重に処理を要するが、年間の処分可能性としてはおおむねそんなものであろう、こんなふうな御報告をいただいておるわけであります。  私ども、それを受けまして、明年度予算編成並びに今後の処理についてどのような方針をとるべきか目下検討中でございますが、最終的にはまだ、いまの段階ではお答えをいたしかねるのでございますけれども、いずれにしましても一挙にこれを処分するということはきわめて困難である、また無理をして処分をすれば、逆に主食用の片方の新米が今度は余ってくるというふうな事情になるので、これはやはり相当な年数をかけて処分せざるを得まい、かような考えで目下具体案を検討中でございます。  なお、御質問の生産調整並びにそれに関連して今後の食管としての対策はどうかというお話でございますが、これは官房長がおりませんので、便宜上、私からお答えさせていただきます。  明年度、需要と供給を均衡させるためには、本年度は生産調整が百五十万トンでありましたけれども、それを上回るおおむね二百五十万トン程度をやらなければ生産調整としては需給均衡にいかないんじゃないかということは、一応数字的にはっきりいたしております。それにしても、具体的にいろいろな問題がございまして、相当な財政負担もかかるし、さらにまた、古米もたくさんあるんだから、古米を主食用に食べさせるというような方向、同時に、それによって生産調整を思い切ってやるという線を打ち出すべきでないかというふうな考え方もございまして、どの程度をめどに生産調整をやるかということは、まだ具体的な数字としては検討いたしかねておるような事情でございます。  なお、食管の問題につきましても、御承知のような米過剰のもとで、やはり従来のような無制限買い入れあるいは消費者価格を上回る価格というものが今後続けられるかどうか、さらに、生産調整をやる場合に、先般の当委員会でも御質問がございましたように、正直者がばかを見るということにならないように何か考えたほうがいいんじゃないかというふうな御意見もありまして、私どもも目下いろいろ検討はいたしておりますが、まだ遺憾ながら、本日の段階で具体的に、どういう考えであるということを申し上げる段階には至っておらないのでございます。  以上が現在の状況でございます。
  134. 小平忠

    ○小平(忠)委員 長官、いまのあなたの答弁で、前段の古米、古々米の処理については、一昨年檜垣さんが食糧庁長官当時しゃべっているのと同じことを、あなたはいま、二年後しゃべっているんだ。前進がないんだよ。十月末で七百三十五万トンの在庫、これは一年ほうっておきますと、食糧庁も発表しておるように、いわゆる管理費が一万円かかるから、七百三十五億の金が吹っ飛んじゃうのでしょう。気長く米の処理を考えるといって、こういう国民の血税を浪費するようなことを一体行政府がしていいのかどうか。さらに、明年度以降の生産調整の問題あるいは米の管理の問題について、やはり検討中——単にその作付制限とか、あるいはいま買い入れ制限をほのめかしたけれども、そういう一方的なことだけでなく、政府は外麦、いわゆる輸入食糧のコントロール、さらに消費の拡大をなぜ積極的に考えないのかという点を私は指摘せざるを得ないのです。同時に、非常にむずかしい問題だからといって放置することは、現状においては許されないと思うのです。七百万トンを上回る古米、古々米をかかえて、さらにこの生産調整、コントロールの具体策もないような状態、こんなことを昔やったなら、ほんとうに一ぺんに内閣総辞職問題ですよ。いまこそ立って、この米の処理については四つに取り組んで、すみやかにその根本策を立てるべきである。われら野党といえども、やはり国民、国家のために、政府与党のこの前向きの姿勢には全面的な協力を惜しみませんよ。だから、もっと真剣にこの問題に取り組んで、予算編成時の本年十二月までには、古米、古々米の処理はこうしていきましょう、来年の米の調整はこうしていきましょうという結論を出して、国民大衆が安心して食糧問題はそう心配しないように、いま大蔵省は三K予算といって、その三K予算の中に米の問題が一つあるのだけれども、少なくともこの食糧問題だけは、食糧庁長官、大臣は歴代かわっても——今度内閣の改造があって農林大臣はかわるかもしらぬけれども、あなたは農林省のエキスパートで、長官になったばかりで、すぐはかわらないのだから、真剣に取り組みなさい。  本日のところ、以上をもちまして私の質問を終わりたいと思います。
  135. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 山田太郎君。
  136. 山田太郎

    ○山田(太)委員 世界に公害列島日本と悪名をはせておりますこの現状から、先日も瀬戸内海の公害総点検に私自身も参りまして、非常に驚くべき事実をこの目にしております。排水口から数百メートルも離れた海水の中に元気のいいハマチを放してみたところが、何と三十秒で死んでおります。この海水汚濁あるいは水質汚濁あるいは大気汚染等々の問題は非常に人間の生活の危機になっておりますが、この公害の中にも、農薬の公害というものも非常に心配されておる段階になっております。こん虫あるいはチョウ類、魚類とだんだん少なくもなり、また人に被害を及ぼすような状況になっておりますが、きょうはこの農薬の公害の問題を取り上げるのでなくて、問題をしぼって御質問申し上げますから、誠意のある回答をいただいて、所定の時間で終わりたいと思っております。  そこで、最近各地におきましてキュウリやジャガイモの中よりドリン系農薬の残留が確認されまして、出荷停止等の措置がとられております。ことに岡山県あるいは高知県、長野県、福島県、宮城県あるいは秋田県等々全国各地にその状況が見られておりますが、この実態とその原因を説明してもらいたいと思います。
  137. 岡安誠

    ○岡安説明員 最近、御指摘のとおりキュウリ、ジャガイモ等につきましてドリン系薬剤が入っているということで問題になりまして、生産県におきまして出荷停止その他の措置をしておることは御指摘のとおりでございます。こういうドリン系の農薬のように残留性がありまして、人間に慢性毒性その他の害を与えるというような農薬につきましては、厚生省のほうで食品衛生法に基づきまして農薬の残留基準というものが定められておりますので、それに即しまして私どもは安全使用基準というものをつくりまして指導いたしておるのでございます。  そこで、ドリン系にもアルドリン、ディルドリン、エンドリンとございますが、それぞれの特性によりましてそれぞれ使用し得る範囲といいますか、それを指示いたしておるのでございまして、そのような基準の範囲内で使用されておるならば、おそらくあのようなキュウリ、ジャガイモ等における残留農薬が発見されることはないのではなかろうかというふうに考えておりますが、私どもそれらの実情をよく調べなければならないと思っております。あるいはいろいろ理由は考えられますけれども、一応想像するところによりますと、指定されましたような使用基準で使用されていたかどうかというような問題または使用はしたんだけれども、過去に使用いたしました結果土壌中に残留をしておりまして、その残留をされた農薬が翌年度の作付であるキュウリに吸収をされてきた、こういうようなことも考えられるのでございます。それで、私どもは、よく事情調査いたしまして、今後の対策は十分にしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  138. 山田太郎

    ○山田(太)委員 参事官の最後のほうのことばが、レコードがこわれたような声に聞こえますので、もう少し明確な発言で御答弁をいただきたいと思います。  そこで答弁の中に、安全使用基準どおり使用しておられたならば、このような事態にはならなかったのじゃないかという答弁もありました。もう一つは、前の年に使用したドリン系の農薬が残留しておってこのような事態にもなったのではないかという二つの答弁があったようでございます。ところが昭和四十四年、昨年の十二月二十六日付で、答弁にありましたような安全使用基準が確かに出されてはおります。しかし、その安全使用基準どおり使用していって、しかも出荷停止の措置なりあるいは残留農薬が見出されて出荷等に不安を感じておる農家の立場からいえば、その安全使用基準については農薬の残留効果、残効性についてはうたわれてなかった。ドリン系にしぼって言いますが、このドリン系の農薬の残効性については、この安全使用基準の通達を出すときには農林省はわからなかったとでも言いたいのかどうか、その点を明確にしてもらいたいと思います。
  139. 岡安誠

    ○岡安説明員 一般的に農薬の土壌中におきます変化につきましては、いろいろわが国でも研究されておりますし、国際的にも研究されておるのでございますが、必ずしも十分に解明がなされていないところが多いのでございます。たとえば現在BHC、DDT、それからドリン系の農薬等につきましては土壌中に残留する性格が非常に強い、こういうふうにいわれておりますけれども、たとえばBHCの中のガンマBHCにつきましては、一週間ぐらいの後には大体分解が進みまして五〇%ぐらいになるとか、四週間たてば九〇%ぐらいは分解して消失をするというようなこともいわれておりますけれども、すべてのこういう残留性農薬につきましての土壌中の変化につきましては、必ずしも明らかではない点があるのでございます。  そこで、私どもにおきましては、ドリン系の農薬のうち、キャベツ、トマト等につきましては土壌中にドリン系の農薬がありましてもほとんどこれは吸収をしないらしいということはわかっておりますが、キュウリにつきましては相当吸収しやすいような状態にあるということもわかってまいりましたので、先般ドリン系の農薬がまかれた土地のあと作につきましては、キュウリ等のウリ類とかジャガイモ等は作付をしないように指示をいたしておるのでございます。  おっしゃるとおり、安全使用基準におきましては農薬の使用の基準でございますので、農薬をどのように使うかというようなことは指示しておりますけれども、すでに土中に残っております農薬のあと作といいますか、その土壌を利用しての耕作の態様につきましては、農薬取締法の側でもって措置をすべきであるかどうか、非常に問題のある点もございます。そこで問題は二つに分かれまして、一つは、やはり土壌中におきます農薬の変化の状態を至急明らかにするということと、それから、明らかになった場合には、それらの土壌の利用方法につきまして、必要あれば何らかの規制を行なうというようなことも必要ではなかろうかと考えまして、現在汚染された土壌の利用方法につきましての規制の立法化が可能であるかどうかというような点を検討いたしているというのが現状でございます。
  140. 山田太郎

    ○山田(太)委員 私の質問したポイントは、昨年の十二月二十六日のときになぜ残効性があるということをうたわなかったか、そのときには農林省はその点の心配は全くしてなかったのかどうかということを聞いているのです。
  141. 岡安誠

    ○岡安説明員 御指摘の昨年十二月の安全使用基準の設定の時点におきましては、先ほど申し上げましたとおり、ドリン系の農薬の土中におきます変化の状態、それから、それから吸収されます状態等が必ずしも明らかでない点が十分解明されていなかった点があるということと、それからもう一つは、先ほど申し上げましたとおり、これを安全使用基準に載っけることが適当であるかどうかという点にも問題がございました点もあわせまして、御指摘のとおりあの時点におきましてはそのような指示はいたさなかったのでございます。
  142. 山田太郎

    ○山田(太)委員 そういたしますと、農林省の試験場関係等々においては、この残効性についての研究はしていなかったということになるのですか。現に、たしか長野県の佐久総合病院等においても、あるいはこれは一九六六年ですが、C・A・エドワーズ氏の調査等々にもこの残留期間がちゃんと明示されております。ディルドリンは八年、アルドリンは三年、DDTは十年、これは佐久病院の研究機関です。また、エドワーズ氏の同じような数値がちゃんと出てきております。農林省はそれを知らなかった、そのような事態であったというのでございますか。
  143. 岡安誠

    ○岡安説明員 先ほども申し上げましたとおり、農薬の土壌中での存在の状態と申しますか、これは天候といいますか自然条件もございますし、また、農薬がどういうぐあいの状態にあったならばどの程度農作物に吸収されるかということは、現在も必ずしも明らかでない点もあるわけでございます。そこで私どもは、もう少しそれらの点を解明いたしましてから必要あればというふうに実は考えておったわけでございますが、先般指示をいたしましたのは、実は予防的な措置といたしまして、ともかく危険が非常に多いものですから、ドリン系をまいた土地につきましては、その翌年等におきましてはウリ、ジャガイモ等は作付をしないというようなこと等を指示いたしたのでございまして、実は必ずしも明らかでない点が非常に多いという点は申し上げざるを得ないと思っております。
  144. 山田太郎

    ○山田(太)委員 九月五日に通達を出して、キャベツ、トマト等の栽培に切りかえるようにという通達は私も知っております。この通達は、予防的措置とはいいながらも、やはりドリン系農薬の残効性があるというおそれが非常にある、だからこそこの通達を出した。であるならば、それまで農林省はこのドリン系についての残効性について、なぜ——昨年の十二月二十六日のときにすでに試験場等々においても残効性の問題は云々されております。それを、この十二月二十六日のときに残効性の問題を出さなかったために、多くの農家の方々が出荷停止を食って非常な被害を受けておるわけです。これはどうあっても農林省としての大きな責任ではないかと思わざるを得ないのですが、その点についてはどうですか。
  145. 岡安誠

    ○岡安説明員 農林省の責任ではないかといわれまして、責任があるとかないとかということはなかなかむずかしい問題だと思いますけれども、これはなかなか——繰り返して申し上げますけれども、この農薬の土中における残留のあり方、それからそれと農産物との関係というものは非常に微妙なことがございまして、たとえばある程度ドリン剤をまきましてそのあとにキュウリを植えましても、あるキュウリにつきましてはそのキュウリの中にドリン系の薬剤が吸収されないというような例もあったり、また、この程度ならばほとんど問題はないと思っておったところにまいたキュウリからドリン系の薬剤が発見されたりというようなことが非常にあるわけでございます。もちろん予防でございますならば、これは一切まかないのが安全というようなこともございまして、私どもは先般思い切ってそういう通達をいたしたようなわけでありますが、やはり本来それらの関係を解明すべきものというふうに実は考えておるのでございまして、なかなかこれには時間その他がかかると思いますが、できるだけ早くその関係を明らかにいたしまして、はっきりした基準といいますか、これを私どもは出したいというふうに実は考えているのでございます。
  146. 山田太郎

    ○山田(太)委員 ということは、農林省においてはこの農薬の残効性というものがまだわかっていないということですか。これは大きな問題ですぞ。
  147. 岡安誠

    ○岡安説明員 繰り返し申し上げますが、土壌中に存在をしますドリン系の農薬と、それから吸収される作物、いろいろございますけれども、それらにつきましていろいろな自然条件の変化がございますので、どういう条件の場合にどういうことになるということが、現在私どもには必ずしも明らかではないということを申し上げたわけでございます。
  148. 山田太郎

    ○山田(太)委員 再びお伺いしますが、その吸収性の問題はいま言っておるわけではない。この農薬の残効性というものは、農林省としてはディルドリンは幾ら、あるいはアルドリンは幾ら、エンドリンは幾ら、あるいはDDTは何年、そういうようなものを持っていらっしゃるのですかどうですか。
  149. 岡安誠

    ○岡安説明員 お話のドリン系農薬につきまして、それが土中に入ってからどのくらいたったならばどの程度分解するか、逆に言えば、どの程度効力が残っているかということは、必ずしも明らかでないのが現状でございます。
  150. 山田太郎

    ○山田(太)委員 農林省のこの農薬の残効性についての研究なりあるいは配慮なりが非常におくれておる、いまの答弁から考えるとそう判断せざるを得ないわけですが、そのように農林省の試験場は怠慢であるとは私は思っておりません。私の知っておる二、三の試験場の結果も聞いております。ところは申し上げませんが。私があえてここまでお尋ねしておるのは、何も追及せんがために言っておるのではないのです。問題点は、安全使用基準に従って、そのとおりに農家の方々は使用したのに被害が出てきた。そういうものに対しての農林省の措置をどのようにやっていくかということも大きなポイントであるから、ここまでお尋ねしているわけです。  そこで、これ以上お伺いしてもいま現状の怠慢を暴露するだけでございますから、その点は早急な措置をやらなければいけないのは当然ですが、それをどのようにしてやっていくかということと、それから安全使用基準どおりに使用して、しかも出荷停止になったそういう農家の方々に対しての援助措置、そういうものはどのような点が講ぜられておるか。これは大幅な、強力な措置がなされなければならないものだと存じますので、明確にこれは答弁してもらいたい。
  151. 岡安誠

    ○岡安説明員 第一番目の農薬の土壌中における変化の状態の究明につきましては、私どもも、今後早急に関係の機関とも連絡をいたしまして、究明をいたしたいというふうに考えております。  それから二番目の、安全使用基準どおりやったにもかかわらず、出荷停止その他によって損害を受けた農家に対する処置という御質問でございますが、これらにつきましては、もちろん私どもも、実情等をさらによく、十分調査いたさなければならないと思っておりますし、また、それによりまして受けた被害の程度等につきましても、いろいろ調査いたさなければならない面もあろうかと思いますので、十分関係の方たちとも打ち合わせをしてまいりたい、かように考えております。
  152. 山田太郎

    ○山田(太)委員 調査しなければならないということは、これはもう当然ですが、その被害によってどのように援助措置をやっていくか、その点もお答え願いたいわけです。
  153. 岡安誠

    ○岡安説明員 繰り返すようでございますけれども、どういうような事情によってそういう事態が起きたかということを明らかにすると同時に、どういうような被害といいますか、困難な状態におちいっているかということも明らかにしなければならないのでございまして、そういう点を調査いたしまして、必要な措置があれば措置をとってまいりたい、かように考えておるのでございます。
  154. 山田太郎

    ○山田(太)委員 非常にポイントをはずしてお答えのようですが、その必要な措置があればといったって、この国の、農林省の指示どおり、安全使用基準どおり使って、そうして被害を受けたら泣き寝入りしろ、そういう意味ではないと思うのですがね。必要があれば措置をする、その点をごまかさないで、はっきり言うておいてほしい。
  155. 岡安誠

    ○岡安説明員 先ほど申し上げたのでございますけれども、安全使用基準というものにつきましては、安全使用基準どおりにやったかどうかという実態もございますけれども、安全使用基準の問題と、それから土壌中に残留いたします農薬がどういうふうに変化をするか、それによってどういう被害を受けたのかということは、多少違う問題であろうという点も考えておるわけでございます。  それはそれといたしまして、先ほど申し上げましたように、どういうふうな実情にあるかということも、これはよく調べないと、対策につきましても、その必要な対策も明らかにならないというふうに考えておりますので、それらにつきましては県のほうとも連絡をいたしまして、まず実態の究明を先にいたしたい、かように考えているのでございます。
  156. 山田太郎

    ○山田(太)委員 これは参事官ではよう答弁できない問題かもしれませんが、ちゃんと上司と相談して、こういうような点については明確な措置がとられるように要望しておきます。これ以上あまり苦しめても私の本意ではありませんから、その点は上司との相談と、それからその結果を預けておきます。  そこで、もう一つは、これは長野県の上田市に起きた問題ですが、一応の例のために言うておきます。米の生産調整でことしから水田にキュウリをつくって、これまで全くドリン系の農薬を使ってない、そうして種まきにウリバエ予防のためにアルドリンを種子粉衣したわけです。その種子粉衣したのが、これはエンドリンの使用はしてないのにドリン系の残留農薬が認められる、これはちゃんと専門家の研究結果でございます。ところが、現在の安全使用基準によりますと、種子粉衣にはこれは使ってもいいということになっております。こういう事態から見ると、当然安全使用基準の再検討あるいは訂正、それが必要であると思われるわけですが、その点についてはどうでしょうか。
  157. 岡安誠

    ○岡安説明員 現在キュウリをまきます場合に、種子をまぶすことを認めておりますのはアルドリン、ディルドリンの系統でございまして、エンドリンにつきましては、これは使用してはならないというふうにいたしておるのでございます。私どもは、アルドリン等につきましては、種子粉衣の程度では、これは人間に害になる程度のものがキュウリの中に吸収されることはないというふうに確信をいたしておりますので、その点は間違いないと思っておりますが、いまのお話は、エンドリンを使わないのに畑にまいたキュウリからエンドリンが検出されたというようなお話であるとするならば、これはまたどういう経路でもってそれが入ったのかということを明らかにしなければならないとは思っております。
  158. 山田太郎

    ○山田(太)委員 私の言うたのは種子粉衣であります。この種子粉衣の再検討が必要な段階じゃないかということを言うておるわけです。したがって、これまで質問申し上げたことから、あるいは答弁の中にあったことから、あるいは九月五日の通達から考えても、この農薬取締法の改正とか、下っては安全基準の改正というものが考えられなければならないことだと思います。ことに慢性毒性、いままで農林省はこの慢性毒性に対して非常に怠慢であったということは参事官のお答えの中に出てきているわけですが、これについては当然その結果が早急に明らかにされなければならないし、明らかにされたときには、ドリン系の使用禁止とかあるいはそのために他の作物を作付しなければならないときには、その他の作物の作付のために農林省として援助していく。その作物を植えられない作物が出てくるわけですから、これは変えなければいけない、この変えなければいけないものに対して当然農林省としても援助していく必要があるのじゃないか。この二つについてお答えを願いたいと思います。
  159. 岡安誠

    ○岡安説明員 お話のとおり、慢性毒性につきましては、現在の農薬取締法におきましても、登録検査に際しまして必ずしもそれを検査しなければならないという点が明らかになっていない点があるわけでございます。それらの点につきましては、農薬取締法の改正を現在検討いたしておりますが、その中でぜひ取り上げて、根拠その他を明らかにしたいと思っております。さらには、慢性毒性というものにつきましては、御承知のとおり検定といいますか、これにつきまして人員と時間をなかなか要するのでございまして、従来これらは関係の大学とか研究機関という限られたところでしか検査ができなかったということもございまして、先般私どもは補助金の支出をお願いいたしまして慢性毒性に対します研究所をつくったわけでございまして、このような研究機構の整備拡充ということもぜひやってまいりたい、かように考えておるのでございます。  それからドリン系とかそういう農薬がすでに存在する土地につきまして、転作をしなければならないときに何か援助措置を考えるかというお話でございますけれども、私どももこれは一般的に、公害一般の対策の一つといたしまして、汚染された土壌につきましての問題を現在研究いたしております。その中で、たとえばすでに汚染された土壌がありまして転作をしなければならないとか、それから土壌改良その他をしなければならないとかいう場合に必要な援助をし得るかどうかということも、あわせまして立法化できるかどうかも現在検討いたしておりますが、ただ、その土壌汚染の原因がみずからまいた農薬が原因するというような場合に、何か援助ということがはたして可能であるかどうかということも検討しなければならないと思っております。土壌の汚染の原因がみずからの責任ではなく、ほかからの流入とかその他による場合には考えられるかもしれませんけれども、そういう点も私どもはひとつあわせて研究をいたしまして、できるならば汚染された土壌の利用に関しまして何か立法措置をはかりたいということを現在検討いたしておる段階でございます。
  160. 山田太郎

    ○山田(太)委員 何らかの立法措置を考えるということの中には、作物を変えて作付しなければならないときには援助の問題も検討する、当然検討しなければならない、その点を含めての答弁だ、こう解釈してよろしいでしょうか。簡単なお答えでけっこうです。
  161. 岡安誠

    ○岡安説明員 そのとおりでございますが、重ねて申し上げますけれども、その土壌が汚染された原因のいかんによりましては、援助その他もなかなかむずかしい場合もあるということも考えられますので、それもあわせて検討いたしておるということを申し上げたいと思います。
  162. 山田太郎

    ○山田(太)委員 原因の問題を条件にしての答弁だ、一応前向きの答弁としてこの場所では了承しておきましょう。  そこで、時間の関係で次に移ります。もう一時間ぐらいやりたいところだけれども、もう数分の時間をいただいて終わりたいと思います。  そこで、いま現地の実情は、この農薬の分析機器がないために、出荷停止を食ったあとで初めてあわてている状況が非常に多いわけです。そこで、早急に、これら分析機器の整備を行なうためにはそれだけの経費が要るわけでございます。この運営費等の国の補助という問題も当然考えられなければならないはずだと思いますが、その点についてはいかがですか。これもお伺いしておきたいと思います。
  163. 岡安誠

    ○岡安説明員 農薬の残留によります問題につきましては、やはり分析をいたさなければ実態が明らかにならないということもございます。四十四年度から二カ年計画で全県に、その分析に関します機械並びに付属施設というものにつきまして助成をいたしておりまして、今年度全県に行き渡るというふうに考えておりますが、何ぶんにも各県一台という少ないものでございますので必ずしも十分であるとは考えておりませんが、今後それらの充実につきましては努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
  164. 山田太郎

    ○山田(太)委員 では、あと非常に急いでおりますので、最後に要点だけ。  DDTとかあるいはBHCの問題について、これは残留性が十年あると専門家は言っております。この点について、牛の肉にさえもこの残留が人体への影響を心配される状況であるという学説もあるほどでございますが、そういう点も含めて、この残効性あるいは人体への影響、こういうものも、農林省は厚生省にまかすだけでなく、これから強力な研究体制を十分しいてもらいたいことを最後に要望しておきます。
  165. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 津川武一君。
  166. 津川武一

    ○津川委員 水産庁長官にお尋ねいたします。  先ほど熊谷委員から八戸イカサバ関係が出たのでございますが、八戸では昭和二十三年までイワシ、イワシが来なくなってからいまではイカが大宗なんでございます。これに対しまして、昭和三十七、八年ころからサバが参りまして、これは一本釣りなんです。水産庁が認可したときは一本釣りですが、四、五年前からは四、五隻で来る組をつくりまして、千三百メートルばかりの網を深さ四百メートルくらい入れて魚をとってしまうので、いまみたいなたいへんなことが起きているわけであります。そればかりではなく、七十カ統が入るという協定に百カ統以上入って、そうしてイカが二百円、サバが五円というかっこうで、まき網漁船サバをとらないでイカをとっておるので、イカの漁民がいきり立ってまき網の網を切ろうかというところまで情勢が悪くなっているのであります。  ところが現地では、幸いなるかな、両者水産庁の調停を待つというところまで来ているわけであります。現に八戸の水産課長がすでに長官にお目にかかっているかどうかわかりませんが、そこまで来ているのであって、長官は、先ほど調査に係を派遣して、それから考えると言っておりますが、あと二十日というところで調査してから調べるというようなことではなくて、直ちに長官か漁政部長なり課長が出ていって調べていけばきまる。サバの親方は、日の丸は水産庁だと言っておりますので、すぐ出ていく必要があるかと思いますが、お答え願います。
  167. 大和田啓気

    大和田説明員 先ほど申し上げましたように、当事者の話し合いがある程度まで詰まりませんと、水産庁が出ていって調停をするわけにもまいりませんので、早急に担当官を派遣して実態把握をして、本問題の円満な解決に資したいというつもりでおるわけでございます。
  168. 津川武一

    ○津川委員 七日の日にももう話し合いがついておりましてやっている状況で、出ていって調査してということではなく、私は、責任ある立場にある人が行って、その調査と同時に決定しなければいかぬと思うのですが、この点どうでございますか。
  169. 大和田啓気

    大和田説明員 私どもの聞いております話では、七日、八日ごろの空気といたしまして、私どもが出張さえすれば円満に話し合いがつくというところまで残念ながらいっておらないようでございます。これは現地に行きました組合関係の人からの報告も受けて、そのとおりだろうと思います。それで早急にと申しますのは、今晩にでもという意味でございますが、責任ある担当官を派遣して、ただ調査ということばかりではございません、実態の把握を含めて十分実態を把握して、その上で決意をいたしたいというふうに考えております。
  170. 津川武一

    ○津川委員 そういう調停を進める上について、先ほど課長がはしなくも言ったのですが、イカのほうが先にとっておって、ここで生業を立てておったし、サバまき網漁船あとから来ているので、いわゆる先住者と新参者との関係ということばで表現いたしておりますが、私は住民感情からいっても、あるいは国民感情からいっても、そのときにはイカという立場に立って、水産庁サバまき網の船の人たちと交渉、相談すべきであると思うのですが、この態度を明らかにしていただきます。
  171. 大和田啓気

    大和田説明員 水産庁調整に乗り出します場合に、前もってイカ立場に立ってというふうに、一方的に立場を明らかにすることは、これはとうていいたしかねるわけでございますけれども、去年、おととしあたりの実情を見ますと、サバまき網側に相当譲歩をお願いしているということは事実であります。
  172. 津川武一

    ○津川委員 もう一つは、サバまき網船はうしろに水産庁がいるというのでかなり強気なんです。そうして船が大型なんです。そこでイカサバ船が接近したときに、サバ船は遠慮なしにそこいらを歩き回る、泳ぎ回る。そこでイカ船は逃げる。これがまた憤激の一つ対象になっておりますので、この力の弱いイカ船というものを擁護する立場水産庁に必要かと思うのでございますが、この点を含めまして重ねて答弁を求めます。
  173. 大和田啓気

    大和田説明員 水産庁立場はいま申し上げたとおりでございますけれどもまき網側意見としては、ここ一両年相当まき網側が譲歩したという感じでいるようでございます。まき網側がどの程度強気であるか、現地の模様も私ども聞いておりますけれども、いまこの際、イカの側に立って調整に乗り出すというふうには私は申し上げないほうがよかろうと思います。
  174. 津川武一

    ○津川委員 重ねて聞きますが、イカ船、イカ漁を守るという気持ちが水産庁にあるのか、これが一つ。  第二番目には、イカが二百円、サバが五円、このためにサバ船がイカばかりとっているのです。そこでイカ船のほうの被害が大きい。国民感情が、あの一万人のイカ釣りたちの気持ちがおさまらない。  かてて加えて、七十カ統という約束に対して百カ統は入っているかと思うわけであります。そこで、やはりサバ船にはサバをとらせるように、約束どおり七十カ統入るべきなら七十カ統入るように、このような指導、そうすればやはり昼はサバ、夜はイカということも考えられるわけでありますが、この三つの点について答えていただきます。
  175. 大和田啓気

    大和田説明員 協定まき網が違反しているというようなお話でございますけれども、午前中にも詳細に申し上げましたように、協定は十一月、十二月の分について協定をしておるので、十月については協定はないわけでございます。また、サバの産地価格キロ五円あるいは十円という話がありますように、サバを大量とっておりますので、サバをとらないでイカばかりとっているという実情でもございません。またしかし、去年、おととしと相当サバまき網側が譲歩してこの協約ができておることは事実でございますし、またイカならイカ一方の側に立っての調整というのは、これは実際としてできることではございませんで、どちらも譲歩のしかたは違いましょうとも、どちらもある程度まで譲歩しなければ、私ども水産庁としてとても乗り出して調整はできないわけでございますから、ただイカ立場に立ってというふうには申し上げることはできないわけでございます。ただ、午前中にも申し上げましたように、八戸にとってイカがきわめて伝統のある、また重要な水産物であるということは、私ども頭に十分入れて本問題の処理に当たるつもりでございます。
  176. 津川武一

    ○津川委員 水産庁長官、現地を見てほしいの。サバ船のほうがイカ船よりよけいとっているというのは、イカは夜、昼は寝ているのです、海の底で。夜は電灯で誘い出されてくる。サバ船は、明け方千三百メートルから四百メートルの網で、寝ているイカをごっそりとってきている。したがって、魚族保護立場からいっても、私は、八戸の水産を、あそこの経済を維持する立場からいっても、被害者と加害者という立場を考えたときに、よけい比重をイカ船のほうに置くべきだと思うのですが、力のある人と力のない者を水産庁は対等に扱わせて、強い者が弱い者を押しのけて食うということをさせる。だから地元の人は、まき網船は親方が水産庁だ、こういうふうに言っているわけなんですが、ここいらで少し自分たちで批判して考えてみることはありませんでしょうか。
  177. 大和田啓気

    大和田説明員 十月の操業については従来から協定がないわけでございますが、サバまき網側が相当強硬でありますことは、別に親方が水産庁であるということではございませんで、相当いままでサバの側に無理をして譲歩を求めて協約を結んでいるということが大きな原因であろうと思います。従来の私どものやり方をごらんになりましても、強いサバの側に味方をしてイカの側を押えているということはございません。それは八戸の人たちもよく御承知のことだろうと思います。ただ、先ほどから申し上げておりますように、漁業調整というのは水産庁が一方的に一刀両断にやれるものではございませんで、当事者同士が相当詰めてなお詰め切れないところに、水産庁が出ればまとまるというときに出るというのが本来の性格でございますから、まき網側一方に譲歩を求めて、イカ主張を全面的にのますというふうには、これはなかなかまいらない。それはイカの側とサバの側との両方をにらんで、私はやはり落ちつくべきところに落ちつかせる。ただ一方的に片方をやっつけて、片方だけを立てるというのが私どもの趣旨ではございません。
  178. 津川武一

    ○津川委員 私はイカのほうにつくということ、これは当然な感情ですが、そこでこう言っているのです。水産庁はうやむやにして、そうしてあと二十日しかないので、十月は弱肉強食の状態を続けさせるのか。水産庁さえ来れば問題は片づく。そこできょうは八戸の水産課長が来たはずですが、まだ会っていませんかどうか。この点早急にきめるべきだと思うのですが、この自分たちの出ていく日程、今晩にも行くという、二、三日中にもきめる腹があるかどうかということを重ねてお尋ねします。
  179. 大和田啓気

    大和田説明員 どうも私ども協定を故意におくらせているというようなお話でございますけれども、そういうことはございません。八戸の市長には最近会う機会がございましたけれども、水産課長には会っておりません。私どもは毎日いろいろなところから情報をとっておるわけでございますけれども、いま直ちに水産庁が出ていけば協定がこの二、三日中にまとまるというところまで、どうも自信を持って言い切ることはできない状態でございます。相当まき網側も強硬でございますし、御承知のようにイカ側もそれなりの言い分があるわけでございますから、しかし、とにかく責任ある担当班長を早急に立たせて、そして実情を把握した上で私ども出るべき時期に出る、そういうふうに考えております。
  180. 津川武一

    ○津川委員 それじゃ、話を今度は海水、内水の汚染に移しますが、いま話したこの八戸、塩釜、特に松島湾は日本三景の一つでございますが、いま水産加工の工場の廃液と都市下水の廃液でにおいが出て、魚が死んで、新井田川はサケが上がらなくなりましたし、松島湾はノリがだめになりまして、ハゼがだめになったことは御承知のとおりでございます。これを田子の浦みたいにしないために、私たちは大資本の——汚染源が大資本であるときには、大資本の責任で全額それをやらせる、こう思うわけですが、八戸と塩釜の中小企業の方は自分で処理すると破産するという状態になっておりますので、これを国と県なりの責任において直ちに廃液を排除するということを考えていますかどうか、お答え願います。
  181. 大和田啓気

    大和田説明員 塩釜の水産加工業者は、大体二百五十ないし二百六十ほどございます。これは中−小企業でございますが、そこからの廃液による漁業公害というのも相当な段階に来ております。それで、実は公害防止事業団のほうの企画で、一つは団地化と、さらに排水の浄化施設をつくってこの公害防除につとめたわけでございますけれども、非常に残念なことには、公害防止事業団のつくりました浄化施設に設計上のミスがございまして、十分それが回転をしなかったわけでございます。それを設計上のミスを改めまして、新しく工事を起こそうとしておるわけでございますが、費用の配分等の問題がございまして、まだその緒についておらないようでございます。私どもも、公害防止事業団にたびたび申し入れて、その早急な工事とそれによる汚水の浄化ということを要求いたしておるわけでございます。中小企業でございましても企業でございますから、全部国と県でまかなって、業者負担はゼロというわけにまいりませんけれども、いまの制度ででき得る限り私ども、公害防止事業団のほうあるいは県あるいは私どもの金融機関等からもできるだけめんどうを見て、この問題を前進させたいというふうに考えております。
  182. 津川武一

    ○津川委員 はしなくも長官が言ったとおり、失敗したのですね。やりたくても、今度は金のめどがつかないでいるからやれないでいるのです。八戸の人たちも、あの新井田川をよごしたくないんだけれどもやれないでいるわけなんで、いままでの制度だと中小企業の人たちがその汚水を片づける、処理する能力がないので、塩釜に対しては何か特別にやる腹はあるのか。全体に中小企業のそういう公害源に対して、特別な援助方を政府は考えているのかどうか。この二点を明らかにしてください。
  183. 大和田啓気

    大和田説明員 塩釜の事例につきましては、私ども公害防止事業団とも話し合いをして、できるだけ早急にこの話が進むように努力をいたしたいと思います。  それから、一般に漁業公害の問題は、実情を申し上げますと、水産業界一般が被害者でございますけれども、加工業界がいわば加害者的な役割りを持っておるわけで、しかもそれが大企業でございませんで、主として中小企業でございますから、施設の改善等に要する資金の問題が絶えずあるわけでございます。私ども、いま特別に立法措置等は考えておりませんけれども、公庫あるいは中金等の融資については十分の配慮をして、公害の防止といいますか汚水処理については、設備の改善に努力をいたしたいというつもりで現在検討を進めておるわけでございます。
  184. 津川武一

    ○津川委員 公害がこれほど問題になった現在において、中小企業は、いままでできるだけのぎりぎりの資金を使っているわけなんです。ですからやれない。だから法改正をして、この上何らかを出してやらないと問題が解決しない、これが中小企業の本音でございます。この点考える余地はあるかどうか、もう一度答えていただきたい。  もう一つは、先ほど長官が海水、内水のよごれに対して通達を出しておる、その通達を私は見ました。ところで、水産庁にこの公害を扱う職員が幾らいるのか聞きたいわけですが、私、時間がないので、資料を持っているので言いますが、水産庁の公害班が現在三名、対策室は三名、水産保護専門官二名に室長一人の計六人、こう聞いておりますが、このとおりでございますか。これでいいのか。応急に水産研究機関と人員をふやす必要があると思いますが、この二点を答えていただきたい。
  185. 大和田啓気

    大和田説明員 研究機関は別といたしまして、行政の面では、公害だけを扱っておりますのは御指摘のように調査官以下六名でございます。この陣容は私どもとしては十分とは思っておりませんので、四十六年度の予算編成に際しまして、人員の増加を要求をしておるわけでございます。  それから中小企業の公害対策についての融資その他の助成の問題でございますが、私は、いまのところ公害防止事業団の活用と、それから公庫あるいは中金の融資の円滑化ということで、この問題にできるだけ対処していきたいというふうに思います。
  186. 津川武一

    ○津川委員 最後に農林省に。  先ほど山田委員も慢性の農薬の問題で議論していたのですが、そこで話に聞きますと、何か植物防疫課を設置するように要求しているのだそうですが、大蔵省に削られて、班を要求して途中で係になって、最後には消えてしまうのじゃないか、これが現地の実際に仕事をしている人たちの意見でございます。この点での人員の整備のことについて答えていただきます。
  187. 岡安誠

    ○岡安説明員 農薬の問題につきましては、残留の問題がいま非常に問題でございますけれども、直接タッチいたしておりますのは、監督一般では農政局の植物防疫課でございますけれども、農薬検査所がこれに当たっておるわけでございまして、現在四十七名の陣容をもってやっております。これらにつきましては、従来からも残留農薬関係につきましてはそのための課を新設するとかいうことをいたしておりますが、さらに四十六年度におきましても、環境汚染等に対します技術調査のため担当課を新設いたしたいということで要求をいたしておりますので、それらの点につきましては、私どもも計画的に増員をはかるという心がまえでございます。
  188. 津川武一

    ○津川委員 これで終わります。  そこで、ホリドール、BHC原体の製造を禁止したのですが、依然として使われているのです。ホリドール中毒で自殺している人、が出ている。そこで、これをとめる方法がないのかどうか。それから例のダイホルタン、これは農林省自身は急性の症状だけだから厚生省に回して、人体の損害があるかどうか調べなかったといっていますが、最近かなりの部分からじん臓もやられている、肝臓もやられているという報告が出ているわけであります。こういう慢性の使用によって人体が侵されているのを、なぜ人体に対する毒性を検査しないでこのままほうっておくのか。そうしたら今度はたくさんの宣伝文書がダイホルタンの関係から来ているわけですが、この中に久留米大学の高松という教授が、ダイホルタンで肝臓やじん臓がやられるのは、町の開業医がやっていることは当てにならないと言っているのです。この町の開業医の論文を見ると、この高松教授のことを間違っていると反論を書いているわけです。こういう状態に対して、依然としてダイホルタンをこのまま、人体に対する毒性のテストをせずになお使用を続けさせるのかどうか、答えていただきます。
  189. 岡安誠

    ○岡安説明員 まず、ホリドールの件でございますけれども、これにつきましてはすでに製造も中止いたしておりますし、農薬のほうの登録も取り消されておりますので、現在は農薬といたしては流通いたしておらないというふうに考えておりますが、聞くところによりますと、多少末端のほうに在庫があるということも聞いておりまして、それらが農薬以外の目的で使用されているということで、はなはだ遺憾に考えておりますが、農薬としては、今後流通することはおそらくないというふうに実は考えております。  それからダイホルタンでございますけれども、これは御承知のとおりミカン等の殺菌剤として使われておりますけれども、これにつきましては、ただ、裸でこれを使いますと皮膚等について炎症を起こすということは考えられますので、この使用上の注意等の徹底をはかっておりますけれども、内臓の障害を起こすということにつきましては、私ども承知しておりますのは、ある一人のお医者さんがそういうことを発表いたしたことは承知いたしておりますけれども、これらの農薬関係のいろいろの大学の権威の方々の御意見を承りますと、そういうことは必ずしも明らかではないというような意見が非常に大多数を占めておるのでございます。もちろんこれは、そういうような現状であることを御報告申し上げたわけでございまして、もしこのダイホルタンが内臓疾患等に問題があるとするならば非常に問題がございますので、今後さらに厚生省とも連絡をとりまして、今後の扱い等につきましては検討はしてまいりたい、かように考えております。
  190. 津川武一

    ○津川委員 ダイホルタンに対してどなたから報告を受けているのかわかりませんけれども、九大の平木教授なんか、やはり問題があると言っておるのです。それを問題がないとして、人体に対する毒性を検査せずに使っているのはどこにあるか。毒性がないということの証明は非常にめんどうなんです。あるということの証明は非常にできる。あると言う人が何人でもいるからには、私は直ちに人体に対する毒性をテストすべきだと思うのですが、ダイホルタンをやらせるのかやらせないのか、答えていただきたいと思います。
  191. 岡安誠

    ○岡安説明員 これは、おっしゃるとおり、かりにこれが人体に影響があるとするならば、それは大きな問題ではございますので、厚生省とも十分打ち合わせまして対策については検討いたしたい、かように考えております。
  192. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 本日は、これにて散会いたします。    午後五時三十一分散会