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1970-02-19 第63回国会 衆議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年二月十九日(木曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 草野一郎平君    理事 安倍晋太郎君 理事 小沢 辰男君    理事 仮谷 忠男君 理事 丹羽 兵助君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 芳賀  貢君    理事 山田 太郎君 理事 小平  忠君       亀岡 高夫君    熊谷 義雄君       佐々木秀世君    齋藤 邦吉君       坂村 吉正君    澁谷 直藏君       瀬戸山三男君    田澤 吉郎君       高見 三郎君    中尾 栄一君       中垣 國男君    松野 幸泰君       森下 元晴君    渡辺  肇君       角屋堅次郎君    田中 恒利君       千葉 七郎君    中澤 茂一君       長谷部七郎君    松沢 俊昭君       鶴岡  洋君    合沢  栄君       小宮 武喜君    津川 武一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 倉石 忠雄君  出席政府委員         農林政務次官  渡辺美智雄君         農林大臣官房長 亀長 友義君         農林大臣官房予         算課長     大場 敏彦君         農林省農林経済         局長      小暮 光美君         農林省農政局長 池田 俊也君         農林省農地局長 中野 和仁君         農林省畜産局長 太田 康二君         農林省蚕糸園芸         局長      荒勝  巖君         農林水産技術会         議事務局長   横尾 正之君         食糧庁長官   森本  修君         林野庁長官   松本 守雄君         水産庁長官   大和田啓気君  委員外出席者         農林水産委員会         調査室長   松任谷健太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 草野一郎平

    草野委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、農林水産業基本施策について、倉石農林大臣から説明を聴取いたします。倉石農林大臣
  3. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私は、農林大臣に就任いたしましてから約一カ月を経過いたしましたが、農林水産業及びこれをめぐる内外の諸情勢がまことに容易でない時期でもあり、その職責のきわめて重大であることを痛感いたしている次第でございます。全力をあげてこの重責を果たしてまいる所存でございますので、委員各位の御理解ある御協力をお願い申し上げます。  最近の農業をめぐる諸情勢変化は著しく、米の過剰をはじめ種々困難な問題に直面しております。このような情勢に対処し、政府としては総合農政の展開をはかることとし、その具体化につきまして昨年九月の農政審議会の答申の線に沿い鋭意検討を続けてきております。  本日はこの機会をかりまして、農林水産業に対する施策についての私の所信を申し述べ、今国会に提出いたします農林省関係予算案及び法律案について、委員各位の御審議の御参考に供したいと存じます。  第一に、今後の総合農政推進にあたって最も重要なことは、規模が大きく高能率の近代的農業育成していくことであると考えております。自立経営農家育成により、その生産が、農業生産のかなりの部分を占めるように努力するとともに、あわせて今後とも兼業農家がなお相当の割合を占めるものと考えられるので、兼業農家をも含めた各種の集団的生産組織育成助長することにも努力してまいりたいと考えております。さらに、基幹施設を有機的に結合して、生産から加工流通まで一貫して組織化される広域営農集団形成を進めてまいりたいと考えております。  このような近代的農業育成するためには、何よりも構造政策の一そうの推進をはかっていかなければならないと思います。このため、本特別国会においては、農地法改正法案等構造政策関連法案の提出を予定しておりますので、よろしく御審議賜わりますようお願い申し上げます。  また、中高年齢層を多数かかえた就業構造改善をはかることが重要であることは申すまでもありません。そこで農業者が希望に応じて他産業へ円滑に転職できるよう離農援助促進のための施策を進めていく考えであります。特に農地利用との調整をはかりながら農村地域への工場誘致を積極的に進めることとし、関係各省協力して所要措置を講じていくこととしてまいる考えであります。  また、来年度から農業者年金制度創設し、農業者農業から引退しても老後の不安が残らないようにするとともに、これが経営規模拡大に資するようにしてまいりたいと考え、これがため本国会におきまして所要法案を提案する所存であります。  このように、農業構造改善を進めるにあたっての大きな前提となるのは、土地基盤整備であります。このため、大規模農道等農道網整備圃場条件整備草地造成改良など農業生産基盤整備開発などに力を入れていきたいと考えております。  第二は、近年、食料自給率が低下する傾向にありますが、私は人口が一億をこえるわが国において国民が必要とする食料を大幅に海外に依存するのは適当でないと考えており、今後の農業生産従前にも増して需要動向に即して進めることが特に必要であると考えます。  最近の米の需給動向を見ますと、国民食生活変化により消費は減退しているのに対し、生産増加しているため、相当な供給過剰の状態になっており、今後ともこの基調に変化はないものと思われます。  このような米の需給事情にかんがみ、政府米管理の面におきましても、生産者米価及び消費者米価の水準を据え置く方針をとることとするとともに、米の需要の増進に努力いたす考えであります。  さらに、新規開田、干拓は極力抑制するとともに、米の生産調整を緊急の課題として実施することといたしました。すなわち、政府としては、米生産調整目標数量を百万トン以上とし、これに見合う水田作付転換等を奨励するとともに、五十万トンに見合う水田の他用途への転用を見込むことにより米の減産を期することにしております。農地転用については、私は、農業生産基礎である農地について、その無秩序な壊廃の防止に十分留意しながらその転用許可基準の緩和を早急にはかるようにいたしたいと考えております。  畜産物園芸作物などについては、需要伸長が見込まれますので、生産性向上基本として生産振興につとめる考えであります。畜産物については、飼料基盤整備中心対策を進め、また養蚕野菜果実などの園芸作物については、主産地中心に安定した供給確保するよう対策を講じてまいる所存であります。  また、地域の特性を生かして、米ばかりでなく畜産物野菜果実などを農業者が安心して生産できるように将来の望ましい農業生産の姿を明らかにしたいと考えております。  第三に、農産物価格政策については、価格変動の著しい生鮮食料品のうち、新たに肉用牛野菜などについて価格の安定のための対策に意を用いるつもりであります。さらに、農産物流通加工の問題も重要でありますので、その近代化促進してまいりたいと考えております。  第四に、都市に比べて立ちおくれている農村生活環境整備農村整備開発推進することが重要であると考えております。  このため、農村における道路通信網医療施設などの整備を進めることがぜひとも必要であると考えております。  次に林業についてであります。近年、木材需要は引き続き増大傾向にありますが、国産材供給が十分これに対応できないため、外材輸入の著しい増大を招いております。このような情勢に対処するため生産性向上基本として林業生産増大をはかることが必要であります。このため、林道網整備など林業生産基盤整備拡充をはかるとともに、里山の再開発により森林資源有効利用につとめるほか、資本装備高度化森林施業計画化林業従事者就労安定等をはかることにより林業経営近代化促進してまいりたいと考えております。  また、近年国土保全等森林の持つ公益的機能の発揮に対する要請が強まってきておりますので、これに応じ治山事業等拡充をはかってまいる考えであります。  水産業につきましては、近年、漁業労働力の逼迫、公害増大国際的規制強化等に見られるように、漁業をめぐる環境はきびしくなっております。このため、漁業生産は、中高級魚介類中心に堅調に増加している需要に十分こたえることができず、水産物価格の上昇を見ております。  このような情勢に対処するため、生産流通の拠点となる漁港につきまして第四次漁港整備計画に基づいて重点的整備につとめるとともに、海洋開発の立場から新漁場開発試験研究推進、新技術企業化促進につとめる所存であります。  また、沿岸漁業振興をはかるため、沿岸漁業構造改善事業推進強化をはかるとともに、資本装備高度化等による経営近代化を進め、あわせて水産物流通改善促進する諸施策推進してまいる所存であります。  以上申し述べました農林水産業に対する施策推進をはかるため、昭和四十五年度予算の編成にあたりましては、所要の財源の確保につとめ、主要な施策推進するために必要な経費につきましては、重点的にこれを計上いたしたつもりであります。  また、これらの施策実施に必要な法制の整備につきましても、鋭意法案の作成を取り進めているところであります。  以上、所信の一端を申し述べましたが、農林水産行政推進のために今後とも、本委員会及び委員各位の御支援、御協力を切にお願い申し上げる次第であります。  何とぞよろしくお願いいたします。(拍手
  4. 草野一郎平

    草野委員長 以上で倉石農林大臣説明は終わりました。      ————◇—————
  5. 草野一郎平

    草野委員長 次に、昭和四十五年度農林省関係予算について説明を聴取いたします。渡辺農林政務次官
  6. 渡辺美智雄

    渡辺政府委員 このたび農林政務次官を拝命いたしました渡辺美智雄でございます。何とぞよろしく御指導、御鞭撻のほどお願い申し上げます。(拍手)  昭和四十五年度農林関係予算について、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和四十五年度の一般会計における農林関係予算の総体につきましては、農林省所管合計は八千五百三十億円で、これに総理府、厚生省及び建設省の他省所管農林関係予算を加えた農林関係予算総額は九千百七十七億円となり、これを昭和四十年度の当初予算と比較をいたしますと、一千五百十二億円の増加となります。  以下、この農林関係予算重点事項について御説明を申し上げます。  第一に、農業生産基盤整備について申し上げます。  農業生産性向上農業構造改善等農業近代化をはかるためには、農業生産基盤となる土地及び水の条件の整備開発基本となるものであります。この観点から、総合農政の方向に即して圃場条件整備基幹かんがい排水施設体系的整備、農用地の開発等各般事業計画的に推進することといたしておりますが、特に通年施行を含む圃場整備事業の強力な推進広域営農団地農道新規整備等農道整備事業の大幅な拡充、畑作及び畜産振興に必要な事業伸長重点としております。  なお、米需給の最近の動向及び今後の見通しにかんがみ、新規開田につきましては厳にこれを抑制する方針をとることといたしております。  以上に要する経費として一千八百九十億二千五百万円を計上しております。  第二に、米対策に関する予算について申し上げます。  米は、消費が減退する一方、生産増大しているため、恒常的な過剰状態にあります。このような事態に対処して緊急に米の需給の均衡をはかりますことは、当面する農政の緊急かつ重大な課題でありますので、農業者及び関係団体等協力を得て、米の生産調整を本格的に実施することといたしております。すなわち、百五十万トン以上を減産することを目途として、このうち百万トン以上については稲から他作物への転作等を通して生産調整をはかることとし、そのため米生産調整奨励補助金を交付することとし、総額八百十四億七百万円を計上いたしております。  なお、米の生産改善対策につきましては、米の主産地域中心として生産性の高い稲作経営の確立を期するとともに、米の品質改善重点を置いて所要施策推進することとしております。  第三に、農業生産選択的拡大に関する予算について申し上げます。  まず、畜産振興対策であります。その生産対策としましては、飼料自給度向上をはかるため、草地開発事業等推進する一方、既耕地における飼料作物積極的導入のための飼料作物増産対策を引き続き推進をすることといたしております。  次に、酪農経営の安定と肉牛資源維持増大をはかるため、新たに市乳地域への乳用牛輸送事業流通飼料生産実験事業肉用牛種畜生産基地育成事業等につき助成をするほか、引き続き家畜導入事業、大規模牧場創設事業等実施することといたしております。  また、中小家畜につきましても、優良純粋種豚確保対策国産種鶏増殖センター設置助成等新規事業を行なうほか、さらに、畜産全体について、家畜改良増殖対策家畜衛生対策等の諸施策推進することとし、畜産生産対策として、合わせて百四十一億六千三百万円を計上しております。  また、畜産物価格安定及び流通改善対策といたしましては、引き続き加工原料乳に対する不足払い制度の円滑な実施をはかるとともに、学校給食用牛乳供給事業につき画期的な内容充実をはかることとし、前年に対し六十万石増の二百七十万石の供給確保することとともに、一人当たり供給単位補助単価改善を行なうこととしております。  さらに、肉用牛について、肉用子牛及び乳用雄肥育牛価格の異常な下落の場合に生産者に対し、生産者補給金を交付する事業を行なうとともに、牛肉流通機構合理化をはかるため、肉用牛の主産地において牛肉処理加工施設設置につき助成することとしております。  以上のほか、生乳流通改善施設食肉センター設置等推進することとし、畜産物価格安定及び流通改善対策として合わせて二百六十二億八千万円を計上しております。  次に、蚕糸園芸振興対策であります。  まず、養蚕生産対策といたしましては、繭生産改善推進施設設置事業を引き続き実施するほか、新たに養蚕経営規模拡大に対応して多回育養蚕技術指導パイロット事業実施することといたしております。  野菜生産対策としましては、指定野菜拡大指定産地増加等野菜指定産地計画的育成をはかることとし、果実生産対策といたしましては、近代的な生産出荷基盤となる濃密生産団地形成を進めるため、果樹広域主産地形成事業果樹栽培省力化促進事業拡充実施するほか、新たに最近の果実生産消費動向にかんがみ、産地体質改善果実品質向上をはかるため、優良品種への更新、ナツカン園等の再開発内容とする果実品質改善緊急対策事業実施することといたしております。  特産農産物及び甘味資源作物生産対策としましても、それぞれ引き続き地域特産農業推進対策及び甘味資源生産合理化推進地区設置等事業推進することとし、蚕糸園芸生産対策として以上合わせて四十三億九千六百万円を計上しております。  また、野菜価格安定及び青果物流通改善対策としましては、野菜生産出荷安定資金協会の行なう野菜価格補てん事業について、その対象品目拡大交付予約数量の追加を行なうほか、野菜価格異常低落時の補てん事業を実験的に実施する等本制度拡充をはかるとともに、うんしゅうみかん越年出荷調整する産地貯蔵施設優良品種のリンゴの品質保持出荷調整をはかるための産地冷蔵施設果実加工需要拡大に資するための近代的な果汁工場設置に対する新規助成等を行なうこととし、合わせて十三億九千七百万円を計上しております。  次に、麦の生産改善対策でありますが、機械化推進品質改善により生産性向上しつつ主産地育成推進することとし、麦作団地育成対策事業等を引き続き拡充実施することとし、六億五千四百万円を計上しております。  第四に、農業構造改善推進に関する予算について申し上げます。  まず、農地保有合理化法人による農地移動方向づけ等農地制度改善して農地流動化促進するため所要措置をとることとし、二億三千七百万円を計上しております。  次に、昭和四十四年度から発足した第二次農業構造改善事業については、四十五年度からその事業実施に着手するとともに、従前農業構造改善事業についてその計画的達成目途として、合わせて二百二十二億二千三百万円を計上しております。  また、農業振興地域整備に関する法律に基づき、土地農業上の有効利用農地保有合理化農業経営近代化及び生産基盤整備に関する措置を総合的計画的に推進をするため、引き続き農業振興地域指定及び農業振興地域整備計画の樹立を進めることとし、二億八千四百万円を計上しております。  また、農業者老後生活の安定をはかるとともに、農業経営の移譲の促進等を通じて農業構造改善に資するため、農業者年金給付離農給付金の支給、農地等買い入れ等を行なう農業者年金制度創設をはかることといたしまして、三十六億五千七百万円を計上しております。  以上のほか、広域農業地域において生産から出荷販売に至る一貫した体制組織化をはかるため、広域営農団地育成対策を新たに実施するとともに、農業者転職対策を含め、農業就業構造改善対策充実等をはかることとしております。  第五に、生鮮食料品等流通機構整備消費者保護対策農林関連企業対策に関する予算について申し上げます。  さきに御説明しました畜産物青果物流通合理化対策等のほか、生鮮食料品等流通機構整備をはかることとし、中央卸売り市場及び地方卸売り市場施設整備充実をはかるとともに、小売り業対策等強化をはかることとして、合わせて三十四億八千八百万円を計上しております。  また、農林物資の規格及び表示に関する制度抜本的改善を加えること等消費者保護対策強化に一億四千百万円、中小企業近代化促進食品関係企業対策強化等農林関連企業対策に一億二千九百万円を計上しております。  なお、以上の措置に加えて、農林漁業金融公庫に設けられた卸売市場近代化資金及び国民金融公庫に設けられた生鮮食料品等小売業近代化貸付制度拡充をはかることとしております。  第六に、林業振興に関する予算について申し上げます。  林業生産基盤整備につきましては、林道事業造林事業計画的に推進することとして、合わせて二百三十二億五千七百万円を計上しております。  林業生産対策については、森林計画制度森林病害虫等防除事業等継続実施するほか、優良種苗確保事業充実し、また、里山地帯中心とする低位利用広葉樹林合理的利用促進等による資源高度利用をはかるために、里山開発事業について、昭和四十四年度のパイロット事業に引き続き事業本格的実施に入ることとしております。また、林業構造改善対策につきましては、引き続き林業構造改善事業につき、五十二億三千万円を計上し、計画的にこれを推進するほか、入り会い林野整備促進するとともに、新たに通年就労促進対策実施する等、林業労働力対策拡充強化等をはかることとしております。  さらに、国土保全等をはかるため、治山事業につき三百三億四千万円を計上してその計画的推進をはかるとともに、保安林整備管理事業強化することとしております。  第七に、水産業振興に関する予算について申し上げます。  漁業生産基盤整備につきましては、漁港整備事業大型魚礁設置事業浅海漁場開発事業等拡充実施をはかることとし、合わせて二百三十六億五千九百万円を計上しております。  漁業資源維持増大につきましては、遠洋の未開発漁場について大規模開発調査拡充実施するとともに、引き続き沿岸漁場等における水産資源保護培養対策強化、内水面における地域振興対策拡充等のほか、新たに資源事情国際規制等により生産増加が期待できないサケ、マグロ類カニ類を大規模にふ化養殖する技術開発するための実験事業実施することとし、これらに要する経費二十八億一千六百万円を計上いたしております。  また、沿岸漁業構造改善事業を引き続き計画的に推進する等沿岸漁業経営近代化等に七十三億一千百万円、水産物流通加工改善対策として三億八千三百万円を計上いたしております。  なお、第二次沿岸漁業構造改善対策事業につきましては、全国対象地域百八地域、総事業費はおおむね、補助事業八百五十四億円、融資事業五百六十億円で四十五年度以降九年間に計画を樹立して実施することとし、四十五年度においては二十四地域につき計画調査を行なうこととしております。  また、漁船損害補償制度実施費として十五億八千七百万円、漁業災害補償制度実施費として二十三億八百万円を計上しております。  第八に、農林漁業近代化推進に必要な農林漁業金融拡充について申し上げます。  まず、農林漁業金融公庫資金につきましては、新規貸し付け計画額を二千三百億円に拡大し、農林漁業経営構造改善基盤整備及び卸売り市場近代化等に必要な資金拡充をはかるとともに、新たに畜産公害に対処するための貸し付け対象事業拡大等融資内容整備をはかることとしております。  この原資といたしまして財政投融資一千五百十九億円を予定するとともに、一般会計から同公庫に対し補給金百三十四億一千二百万円を交付することといたしております。  次に、農業近代化資金融通制度につきましては、貸し付け資金ワクを三千億円とすることとし、所要利子補給補助等を行なうとともに、同資金にかかる債務保証制度充実強化するため、農業信用基金協会に対する都道府県の出資について引き続き助成する等の経費八十億七千八百万円を計上いたしております。  また、農業改良資金制度につきましては、農業後継者育成資金について貸し付けワクの大幅な拡大と、一人当たり貸し付け限度額の引き上げをはかる等により貸し付けワクを百四十億円に拡大してこれに要する経費四十三億二千百万円を計上いたしております。  さらに漁業近代化資金融通制度につきましては、貸し付け資金ワクを二百五十億円に拡大することとし、これに要する経費一億九千九百万円を計上しております。  以上のほか、農林漁業施策推進のために重要な予算について申し上げます。  まず、農山漁村環境整備につきましては、農林漁業用道路整備拡充生活改善特別事業僻地農山漁村電気導入事業振興山村農林漁業特別開発事業等継続実施のほか、新たに農村食生活改善推進事業山村開発センター設置助成農村住宅団地建設計画推進等実施することとし、これらに要する経費二百十億七千九百万円を計上いたしております。  次に、農林水産業試験研究につきましては、試験研究費の増額、試験研究体制整備都道府県に対する助成充実等により試験研究拡充強化をはかるとともに、新たに浅海域における増養殖漁場開発及び施設農業における光質利用技術化に関する総合研究等を行なうことといたしております。  また、畜産振興基礎をなす技術開発、特に草地中心とする試験研究飛躍的向上をはかるため、その効率的な推進体制整備するものとし、新たに農林省付属機関として草地試験場設置するとともに、熱帯特に、東南アジア地域農業協力わが国農業研究の発展に資するため、農林省付属機関として熱帯農業研究センター設置することとしております。  これらに要する経費として百六十三億八千三百万円を計上しております。  次に、農林水産業の改良普及事業につきましては、農業改良普及事業に八十六億六百万円、生活改善普及事業に十七億五千七百万円、畜産経営技術指導事業に四億三千万円、蚕業技術の普及指導に十二億二千二百万円、林業普及指導事業に十五億五千万円、水産業改良指導事業に二億七千七百万円を計上しております。  以上のほか、農業災害補償制度実施につきましては、所要の掛け金国庫負担のほか、事業運営基盤強化をはかるため共済団体の広域合併の推進等を行なうこととし、これらの経費として四百十億二千万円を計上するとともに、農林統計調査充実整備に四十三億七千五百万円、農業団体の整備強化に四十三億一千九百万円、農業資材の価格流通対策として二十五億三千四百万円、農産物の輸出振興対策として十四億二百万円、農林漁業関係災害対策公共事業として二百五十四億九千八・百万円を計上しております。  次に、昭和四十五年度の農林関係特別会計予算について御説明いたします。  第一に、食糧管理特別会計につきましては、国内米、国内麦及び輸入食糧の管理について、前年度に発足しました自主流通制度及びさきに御説明をいたしました米の生産調整対策を勘案しつつ、食糧管理制度の適切な運営をはかることとしております。このため所要予算を計上するとともに、一般会計から調整勘定へ三千十六億円を繰り入れることとしております。  また、国内産イモでん粉及び輸入飼料の買い入れ等実施のため所要予算を計上し、一般会計から農産物等安定勘定に八億円、輸入飼料勘定に二十億円をそれぞれ繰り入れることとしております。  第二に、農業共済再保険特別会計につきましては、農業災害補償制度の運営のため、必要な予算を計上しており、一般会計から総額二百七十五億六千百万円を繰り入れることとしております。  第三に、国有林野事業特別会計につきましては、国有林野事業勘定において、国有林野事業の一そうの合理的な実施運営をはかるとともに、治山勘定において民有林治山事業及び国有林野内臨時治山事業実施することとし、必要な予算を計上しております。  第四に、漁船再保険及び漁業共済保険特別会計につきましては、漁船再保険事業及び漁業共済保険事業実施のため必要な予算を計上しており、一般会計から三十三億五千百万円を繰り入れることといたしております。  以上のほか、自作農創設特別措置、開拓者資金融通、特定土地改良工事、森林保険及び中小漁業融資保証保険の各特別会計につきましても、それぞれ所要予算を計上しております。  最後に、昭和四十五年度の農林関係財政投融資計画について御説明いたします。  財政投融資計画額としましては、農林漁業金融公庫ほか三機関及び一特別会計を合わせて総額一千七百十四億円の資金運用部資金等の借り入れを予定しております。  これをもちまして、昭和四十五年度農林関係予算及び財政投融資計画の概要の御説明を終わります。(拍手
  7. 草野一郎平

    草野委員長 以上で渡辺農林政務次官説明は終わりました。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時二十分散会