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1970-10-28 第63回国会 衆議院 内閣委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十月二十八日(水曜日)     午後二時三分開議  出席委員    委員長 天野 公義君    理事 熊谷 義雄君 理事 佐藤 文生君    理事 坂村 吉正君 理事 塩谷 一夫君    理事 大出  俊君 理事 伊藤惣助丸君    理事 和田 耕作君       阿部 文男君    加藤 陽三君       菊池 義郎君    辻  寛一君       葉梨 信行君    堀田 政孝君       山口 敏夫君    横路 孝弘君       鬼木 勝利君    渡部 一郎君       受田 新吉君    東中 光雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 中曽根康弘君  委員外出席者         内閣法制局長官 高辻 正巳君         防衛庁参事官  江藤 淳雄君         防衛庁長官官房         長       島田  豊君         防衛庁防衛局長 宍戸 基男君         防衛庁人事教育         局長      内海  倫君         防衛庁衛生局長 浜田  彪君         防衛庁経理局長 田代 一正君         防衛庁装備局長 蒲谷 友芳君         防衛施設庁総務         部長      鶴崎  敏君         外務省アジア局         外務参事官   金沢 正雄君         外務省アメリカ         局外務参事官  大河原良雄君         大蔵省主計局主         計官      吉岡 孝行君         内閣委員会調査         室長      茨木 純一君     ————————————— 委員の異動 九月八日  辞任         補欠選任   横路 孝弘君     黒田 寿男君 同日  辞任         補欠選任   黒田 寿男君     横路 孝弘君 十月九日  辞任         補欠選任   横路 孝弘君     金丸 徳重君 同日  辞任         補欠選任   金丸 徳重君     横路 孝弘君 同月十四日  辞任         補欠選任   加藤 陽三君     遠藤 三郎君 同日  辞任         補欠選任   遠藤 三郎君     加藤 陽三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国の防衛に関する件  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 天野公義

    天野委員長 これより会議を開きます。  国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤陽三君。
  3. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 先般、政府防衛白書と三次防に続く防衛力整備計画構想を発表されまして、国民の理解を求めようとされておることは非常にけっこうなことと思うのであります。私も防衛白書の内容については大体同感をするものでございますが、若干の問題について大臣にお尋ねをしてみたいと思います。時間が少ないので簡潔に質問いたしますので、誤解を招かない程度に簡潔にお答え願いたいと思います。  まず最初にお伺いしたいのは情勢見通しでございますが、この「日本防衛」にも防衛力整備構想にも、中共核開発について述べておられますが、中共核開発見通し及び潜水艦に搭載しておるロケット開発状況について、まずお伺いしたいと思います。
  4. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 中共核開発情勢につきましては、公表されているものは、アメリカ政府要路者の議会における証言等でございますが、それらによりますと、中共はことしじゅうぐらいにIRBMの実験、発射をやるだろう、それから一九七五年前後にICBMを実戦配置して、その数が、非常に幅がございますが、十五とか、多いときにはたしか八十くらいの数字が出ておったのでありますが、そういうような情報がアメリカから公表されております。私は、日本固有のそういう調査がそれほど整備されておりませんので、日本が独自に考えているというような、そういう資料は持ちません。しかし、一般的にアメリカがそういうふうに公表しているということは、信頼すべき根拠を持って言っているのであろうと思って、われわれの参考にしておる次第でございます。
  5. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 潜水艦ロケット開発は。——それでは、時間がありませんので、あとで知らしてください。私は、中共ICBMに進むということはまずなかろうと思うのです。中共IRBMで十分ではなかろうかと思うのでありますが、この辺はまたあとでゆっくりと議論をしたいと思います。  次に、今後数年間の極東における米軍の配置と申しますか、特に日本及び沖繩における米軍状況について、どういう見通しを立てていらっしゃいますか。
  6. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国際情勢の推移によっていろいろ変化はあり得ると思いますが、もし平和があるいは平和の方向事態が持続していくものであるならば、極東におけるアメリカ軍事予算あるいは軍事基地というものは、かなり整理統合されていくものと考えております。
  7. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 「日本防衛」及び防衛力整備構想を読んでみましても、やはり米軍の力に期待していらっしゃるところが相当あると思うのです。たとえば航空優勢とかあるいは制海権というようなことばも使っていらっしゃいますが、やはりこういうものの背景には、極東における米軍軍事力というものが想定されておるのだろうと思います。数年後にどういう状態になるかということについては、私は、そうなるかどうかは別として、一応の見通しがあってしかるべきじゃないかと思うのでございます。おそらくお持ちなんだろうと思いますが、いま御答弁ができなければ、残念ですが次の機会にお願いをいたします、時間がありませんので。  その次にお尋ねをいたしたいのは、防衛白書防衛力整備構想を読みましても、ある程度侵略脅威を説いていらっしゃる。もちろんそうあるべきだと思うのでありますが、一体あなた方の頭の中では、日本に対する侵略態様というものをどういうふうに考えていらっしゃいますか、お答え願いたいと思います。
  8. 宍戸基男

    宍戸説明員 防衛を考えますときには、侵略態様を一応想定しながら考えなければいけませんけれども、今度の新防衛力整備計画に関しまして、五年ないし十年程度情勢見通しを立てました上で一応侵略の様相を考えてみました。  要点を申し上げてみますと、一つは、一番大きい侵略事態として、全面戦争あるいは全面戦争に準ずるような大規模戦争というものが理論的にはあり得るわけですけれども、この五年ないし十年を見通してみますと、核を使うそういう全面戦争あるいは核を使わないでも地域的、時間的に無制限な戦争というものは、その生起の公算はほとんどないというふうに判断されますので、そういった意味脅威は、われわれの防衛計画を立てる上においては直接の対象にしなくてもいいんじゃなかろうかというふうな前提一つ立ててみております。逆に申し上げますと、われわれが防衛計画を立てます際に考慮に値する侵略事態脅威事態としましては、通常兵器による限定的な事態を考えればいいであろうというふうに考えました。  それをやや具体的に申してみますと、一つは、侵略基盤の醸成、間接侵略の促進などを目的とします軍事的な示威とか、どうかつとか、あるいは非公然あるいは奇襲的な武力行使というふうなもの、つまり、小規模ではあるけれどもわれわれも不断に警戒しなければならないような事態というものは、われわれが考慮に値する侵略事態として考えてみたいというふうなことが一つでございます。それから、われわれが考える侵略事態のいわば上限でございますけれども、いま申し上げましたような間接侵略が進行しまして、そして一部の地域を占領するということによって占領の既成事実をつくるというようなことを意図して行なう進攻あるいは間接侵略がありまして、それの仕上げをするために相当な本格的な規模進攻があって、しかし時間的にはわりあい短期間に済むであろうような進攻事態侵略事態というものがまた一応考えられる。この後段に申し上げたようなものが、われわれが十年ないし五年程度見通し防衛計画をつくる際の侵略事態として考えるべき事態であろう。後段に申し上げたようなのがわが国を取り巻く情勢から考えて考えるべき侵略事態上限であろうというような前提で陸海空の防衛計画を立てた、こういうことでございます。
  9. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 そこでひとつ観点を変えてお尋ねしたいのですが、防衛白書の中にこういうことが書いてあるのです。「侵略抑止と排除」というところ、米軍を当てにするというところでありますが、「核兵器を使用する戦争や大規模武力紛争脅威に対しては日米安全保障体制による米軍抑止力に期待する。その他の武力紛争脅威に対しては、つとめてみずからの力で防衛体制を確立して、わが国に対する侵略事態が発生することを防止する。」、この考え方はいいと思うのです。いいんですが、大規模武力紛争米国をたよりにするわけでありますが、しからば大規模武力紛争というものをどういうふうに考えていらっしゃるが。そこで私は日本防衛力整備限界がきまってくると思うのです。これが一つの大きな歯どめになると思うのですが、その辺についてお答えいただければ非常にありがたいと思うのです。
  10. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そのときの防衛活動及び防衛活動を行なうべき事態情勢、たとえば航空母艦とかあるいは爆撃機とかミサイルとか、そういうもので日本が攻撃されるという場合に、日本のいままでの通常兵器、限定された通常兵器でとても対処し得ないという場合には米軍に依存せざるを得ないわけであります。しかし、それ以外の通常兵器で対処するあるいは対処し得るという場合には日本人みずからの力においてこれを排除する、そういうところへ持っていくことは当然のことで、それを目標にして次の新防衛計画基本的構想ができておるわけです。そこで非核中級国家という概念を私は出しております。防衛力限界にも関係しておりますが、まず核を持たないという点に一つ限界があります。二番目には、攻撃的空母とかB52とかICBMとか、そういう外国に脅威を与えるような兵器を持たない。そういう意味中級国家であります。核を持たない国でも、攻撃的空母とかICBMとかあるいはB52とかいう爆撃機とか、そういうものを持てる国があります。そういう国は非核上級国家になりますから、そういうものは持たぬという意味においては中級国家である、その限度である、そういうことが言えると思うのです。  それで、陸上については、現在の十八万を基準にして、沖繩その他で増員を要するという場合には、これは新しい需要として追加されますけれども、大体定員ではこれが限界としてよろしい。それから海については、兵器種類がいろいろありますが、理論上はヘリ空母くらいまではいいだろう。しかしヘリ空母は効率が非常に悪い。そういう意味DD、いわゆる駆逐艦護衛艦にヘリコプターを積むという形が能率的であるという考えをとって、大体それが一つ現実的限度であるというふうに心得ております。空については、ファントム、ナイキ、ホーク、それが今日の限界である。一応そういう限界を守りながら、その中の性能を改良していくという形で進んでいくだろうと思うわけであります。
  11. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 いまの持つべき、持ちたいと思われる兵器種類等についての話はわかるのですが、私がお尋ねしたいと思いましたのは、そういうふうなファントムならファントムあるいはDDAとかDDHというものをどのくらい持とうとするのかということです。それは、大規模なものは米国に依存するんだが、それ以下は日本でやる。どこまでを日本で担当しようとするかという点についてお伺いをしたかったわけでございます。これは、将来も国民がたいへん関心を持つ大きな問題だと思いますので、次の機会にゆっくり伺わしていただきたいと思います。  もう一つ観点を変えてお伺いしますが、専守防衛ということは非常にけっこうなんですが、専守防衛で、たとえばASM、これはだんだん今後発達してくると思うのです。飛行機から発射するロケット、こういうものになりますと、射程も非常に長くなるわけです。射程も長いし非常に遠距離からぶっぱなしてくるということになるのですが、こういうものはどういうふうに考えていらっしゃるのですか。  それともう一つは、専守防衛といいましても、国土、国民を守るということはもちろんでありますが、日本海上防衛、これは日本の国が生きていくためにどうしても必要なわけでありますから、海上防衛専守防衛ということとどういうふうな調整を考えていらっしゃるかという二点についてお伺いしたいと思います。
  12. 宍戸基男

    宍戸説明員 ASM、空対艦あるいは空対地ミサイルにつきましては、四次防では直ちに装備する計画にはなっておりませんが、将来それを開発するというようなことが必要ではなかろうかという線で検討いたしております。空対地ミサイルにしましても、非常に長射程のものを日本が持つという必要はおそらくなかろうと思いますけれども、ちょうど支援戦闘機を持つのと同じような考え方で、長距離爆撃機は持ちませんけれども、侵略のありました際に船なり陸上部隊をわがほうの空から攻撃するということが必要だということで、いわゆるFS戦闘機を持とうとしておるのと同じ意味で、射程の短いASMは持てるであろう、また持つべきかもしれないという考え方開発をしたいという考え方を持っております。  それから、専守防衛海上交通の保護の関係でございますけれども、広い海を航海するわがほうの船舶をどうやって守るかということは、非常にむずかしい、完ぺきを期することがもともと困難な問題でございますが、やはりわが国が生存するためには、わが国周辺海域において侵略者潜水艦等が自由かってに跳梁するということを許すというふうなことは、独立国としてやはり考えてみなくちゃいけない。そういうことを考慮に置きまして、日本領土、本土及び日本周辺に広がっている日本領土を囲むわが国周辺海域におきましては、相当な海軍といいますか海上自衛隊の力によりまして、侵略者潜水艦が自由気ままに跳梁するということを許さない程度のものを持つ、また与国との共同体制ももちろん考えますけれども、そういうことによりまして、ある場合には航路帯を設定してパトロールをするというやり方もございましょう、ある場合には対潜掃討部隊が逐次行動することによって潜水艦の跳梁を許さないというやり方もございましょう、いろいろなやり方はございますけれども、適当な水域において行動し得る程度護衛隊群等を持つことによって、自由諸国の貿易その他が著しくそこなわれないというふうな考え方をとって防衛力をつくるべきではないか、こういう考え方でございます。
  13. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 これはたいへん大事な問題だと思いますので、これまた残念ですが、きょうはこれ以上論議を進めません。ただ、私ASMのことを言いましたのはこういう意味なんです。ASMが発達すると、短距離ミサイルと私は同じだというふうに思うわけですね。例の敵に攻められる前に敵地をたたくかどうかという問題については、憲法解釈上やり得るんだというふうなことを政府は従来から言ってきておるわけでありますが、それと同じような立場に立ってASM対策をどう考えておるかということを聞きたかったのでございます。これは残念ですが、また次の機会に譲ります。  一つ大事なことをお聞きしたいのでありますが、それは中曽根長官の「「日本防衛」の発刊に当たって」の談話の中に、いまの海上防衛の問題とも関連するのですが、「われわれは、相互安全保障上の日米協力責任限界を明確にし、このため日本固有防衛体系を確立しつつ、相互協力を効率的に行ない日米安全保障条約を弾力的に運用しつつ、在日米軍基地整理統合を促進して行く。」、この「相互安全保障上の日米協力責任限界を明確に」する、これはたいへんけっこうなことでありますがむずかしいことだと思うのです。これはどういうことを考えていらっしゃるのですか。これは長官にお聞きしたいと思うのです。
  14. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 安全保障条約によりまして原則がきめられ、かつ安保協議委員会によりまして、その実行方法の相談が行なわれるということになっております。そういう機構を通じまして、平時並びに有事の際の日米協力を緊密にかつ効率的に行なおうという考え方に立っておるわけであります。それで、やはり日本が引き受ける範囲あるいは日本防衛としてみずから行なう範囲というものは、いままでるる申し述べましたように、憲法による限界もあり、また政治的な諸般限界もあります。また米軍がやり得る仕事も、やはり安保条約に基づいて限界があります。極東条項にしても、極東という範囲が付随しておるわけであります。そういうわけで、やはり条約ないしは協定等できめられている限界を、その法規どおり守りながら、そしてお互いが完全によく了解し合って、いわばお互い信頼関係を持ちながら進めていくということが大事だと思うのです。その関係をあいまいにして安受け合いをしておいたり、あるいは過大に期待していたりあるいは過大に期待されていたりするということは、一たん事があった場合に幻滅の悲哀を感じたり、不信感を醸成いたします。これが一番いけないことであります。そういう意味において、平生から言うべきことは言い、守るべきことは守り、堂々とした行動を相互にとりたい、そういう意味のことを申し上げたのであります。
  15. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 これもまだ問題が残るのですが、残念だけど時間がありませんから次へ進みたいと思います。  新しい防衛力整備計画の概要を伺ったわけでありますが、やはり相当の増強があるようでありますが、これは人員充足についてどういうふうに考えていらっしゃるか、ほんとうに実行できるのだろうかという気がしてならないのであります。いただきました防衛白書の付表を見ましても、昭和三十五年は採用人員に対して五・九倍の応募者がありましたのが、四十四年では一・八倍になっておる。まだまだ適齢者人口は低下していくんじゃないかと思うのでありますが、いかに大きなりっぱな計画を立てられましても、必要な人員充足できなければどうにもならないと思うのでありますが、この点はどういう見通しを持っていらっしゃいますか、お伺いしたいと思います。
  16. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 お説のとおり、高度経済成長に伴いまして、一面において産業からの需要が非常に激しくなりました。それから、たまたま人口層の構成が適齢人口が激減している時代に入っております。それから、高校に対する進学率が非常に増加いたしまして、結局自衛隊対象人員というものが非常に激減しているわけであります。そこで、次の防衛計画におきましては、この募集体制整備強化、それが一番重要問題中の重要問題になるわけであります。そこで、諸般対策を講じまして、一面においては待遇上の問題、あるいは二面においては精神的待遇問題等についてもできるだけの努力をしてまいりたいと思っておりますが、昭和四十五年九月三十日現在の充足率は、陸上自衛隊において八七%、海上自衛隊において九五・三%、航空自衛隊において九六・四%であります。しかし、次の防衛計画全般を見ますと、大体充足目標陸上自衛隊において八五%、海上自衛隊において九五%、航空自衛隊において九五%、この程度を完全に充実させるという目標で進んでいくべく計画が立っております。この数字を見ますと非常に落ちているように思いますが、次の防衛計画期間中の日本高度成長大学進学率等を見ますと、こういう数字を置かざるを得ないのであります。したがって、この反面非常な省力化を行なう。約一万二千人分を省力化によって節約するという計画にもなっております。また婦人自衛官を六千人にふやすという計画もございます。あるいは予備自衛官を、陸上につきまして三万九千人から六万人にふやす、そういうような計画もございます。いろんな手を講じまして原単位の能率を向上させて、ある意味においては資本装備率をよくしながら、民間産業における職員や工員諸君があげていると同じ能率自衛隊においても一人一人があげていく、そういう方向に鋭意改善していきたいと思っているわけであります。
  17. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 時間が少なくなりましたので非常に残念なんでありますが、最後にひとつお伺いしておきますが、それは防衛白書の中で掃海のことについて述べてありました。たしか九三%掃海が完了しているとありましたね。先般富山県のほうで何か機雷が触発して人身事故があったようでございますが、これはどういうことで起こったのか。また残っておる七%については、どういうふうな安全措置と申しますか、注意を促していらっしゃるのか、これをひとつお聞きしたいと思います。
  18. 宍戸基男

    宍戸説明員 残存機雷によります事故が、ことしになりまして北九州及び富山港において三件ばかり起こっておりますが、これはいずれも船舶航行中に起こったということではございませんで、浅い海で港湾のしゅんせつをしている場合に、古い機雷に衝撃を与えて、その機雷が爆発したという性質のものでございます。もともと第二次大戦で米軍により敷設されました機雷が、向こうのパイロットの報告をそのままとりますと、約一万個をこえるものがわが国周辺にばらまかれたようでございます。それで、終戦後海上保安庁あるいは海上自衛隊等がずっと処分に当たりまして、現在までに約六千個を処分しております。数字だけで見ますと約五千個が残っているということになっておりますけれども、米軍報告等によりまして、大体危険と思われるところを、まず船舶航行を安全にする目的掃海をいたしました。それが九三%でございます。で七%はまだ未掃海で残っているということでございますけれども、現実にその残っております七%は非常に浅い海でございまして、おそらく機雷がありましてもどろの中に深く埋まっているということと思われます。船舶航行中に機雷に触れて危害を受けたということはもう全然ございません。浅い海でいろいろ港湾建設等をやられます際に、しゅんせつ船等がその機雷をいわばつついて危害を受けるということ等が先ほど申し上げましたように若干ございます。  この対策でございますけれども、海上保安庁運輸省港湾局等が指導されまして、そういうところをしゅんせつする場合には、まず警察なり海上自衛隊等に通告してもらうことによりまして、できるだけ掃海を行なう、見つければもちろん海上自衛隊等でそれを処分いたします。業者等にもそういうものを見つける機材もございます。そういうことでできるだけ見つけるということをやっております。見つければ、わがほうが手伝ってそれを処分するというふうな処置をいたしております。今後も、そういう浅い海の未掃海のところを普通の意味掃海するということは事実問題としてほとんど不可能に近い。また、海上自衛隊もいろいろ掃海艇等を持っておりますけれども、それはもともと、御承知のように、いわば侵略者が敷設した機雷がわがほうの船舶危害を与えることを未然に防ぐためであって、どろの中で深く埋まったものを一生懸命探すという機能を発揮するようにはできておりませんので、浅い海をそういうことでほじくり返して見つけ出すということはなかなかむずかしゅうございますけれども、狭い地域でしゅんせつする場合には、できるだけそのこともやろうじゃないかというふうな指導を、主として運輸省のほうがおやりになる、海上自衛隊はそれをお手伝いするというふうなやり方をしております。今後もそういうふうなやり方が行なわれるであろう、こう思っております。
  19. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 そうすると、いまあなたのおっしゃったようなやり方であればいいと私思うのですが、この間事故の起こった件は、事前にそういう措置をやら、なかったわけですか。
  20. 宍戸基男

    宍戸説明員 不幸にしてその手続が十分でなかったようでございます。
  21. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 それはどこの責任なんですか。私非常に大事な問題だと思うんですね。残っているところを明確に知らせて、ここをしゅんせつしたりする場合にはどういうことをやれということを厳重にやらせないといかぬのじゃないですか。
  22. 宍戸基男

    宍戸説明員 そのとおりだと存じます。運輸省のほうも、そういうのが数件続きましたので、従来ともそういう指導をしておられたわけですけれども、関係各省が寄り集まりまして、従来の方針を確認し、それをただ通牒で出しただけではそういうふうな事件が起こりますので、実行をするということを最近も確認し合ったということでございます。
  23. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 ぜひいまの件は、今後厳重にひとつ実行していただきたいと思います。  私の質問はこれで終わります。
  24. 天野公義

    天野委員長 大出俊君。
  25. 大出俊

    ○大出委員 最初に一つ承っておきたいのでありますが、北富士演習場の問題でございますが、すわり込みの小屋をこわす、さて二十九日の演習に備えて、三々五々の形になるかわかりませんけれども、あくまでも阻止ということで農民の皆さんが抵抗をする、こういう状態であります。私は、このままほうっておくと、これはえらいことになるという実は心配があるわけでありまして、何としても演習は延ばさして、そしてあくまでもこれは話し合いをする、できればやめてもらいたいわけであります。そういう態度が私はいま必要だというふうに思うわけでありますけれども、その辺についてまず簡単に承りたいと思います。
  26. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先般来、山梨県知事からの要請もあり、かつ、けさ山梨県知事が私のところへ参りまして、いろいろな陳情、お話も承りまして、私も情勢を勘案して、人命尊重の立場から、かりそめにも人身傷害事件が起きないように十分配慮して、もし必要とするならば発射訓練というものはこの際延期したほうがいい、そういうことを米軍のほうに申し入れるように施設庁長官に指示いたしましたところ、そういう要請を申し入れしたようであります。たぶん米軍側もわれわれの要請をまじめに検討してくれるだろうと思います。しかし、やはりあの地域米軍に提供している区域であって、先方が実弾射撃をやりたい、あるいは演習をやりたいというときには、提供する責任防衛庁側としてはあるのでありまして、地元の皆さんとできるだけ早く了解をつけて、円満に施設が使用できるように、今後とも県側並びに地元の皆さんの御協力をお願いいたしたいと思っております。
  27. 大出俊

    ○大出委員 私も山梨とも連絡をとっておりますし、長いことでございますから、初めてじゃございませんので事情もよくわかっておりますが、いまここで長い時間をつぶしたくないわけでございます。したがって、申し入れをした、こうおつしゃるのですけれども、施設庁の側から、これはやめるならやめるという確答とまでまだいっていないわけでございますか。
  28. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まだ返事は私聞いておりません。けさの省議のあとでそれを指示いたしました。
  29. 大出俊

    ○大出委員 時間が残りましたら、そこでまた重ねて申し上げたいのでありますが、時間の制約もありますので端的に承りたいのであります。  核という問題につきまして、この防衛白書の中で、核につきましてたいへん方々に心配がある時期にもかかわらず、小型の核兵器は、自衛のため必要最小限度の実力以内のものであって脅威を与えないというようなものであれば、これを保有することは法理論的にはできるのだ、わざわざなぜこれを書かねばならぬわけでございますか、理由を承りたい。片っ方では徴兵なんというものはわざわざ削る。非常に国民的な心配のある核という問題については、わざわざこれを入れる。それは徴兵だって核だって国会で論争してきたのはもう長いのでございますから、いろいろな角度からのやりとりはあった。何でわざわざこれをここへ入れなければならないのか、その理由が私はわからないのでございますけれども、どういう意味でございますか。
  30. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 政治的に実行していることと法理論的に可能な限度というようなものは、おのずから違う面があるわけです。したがって、その法理論的に可能な限界、それから政治的に実行している限界をある程度明らかにしておくということが、白書の書き方としては親切なやり方である、そういう考えに立ってやったわけであります。
  31. 大出俊

    ○大出委員 ほかのほうの部分には、逆に法理論的には一つ限界があって載せないで、政治的なものが政策という意味で載っかっていたり、たいへんこれは矛盾があると考えるのであります。  時間の関係もありますからそれはそれとして、私は端的に承りたいのだけれども、表面はともかくいままで私おとなしく長官に質問し答弁を聞いてきたのですけれども、核の問題についてどうもすっきりしない。長官の腹の中に何かがある。将来にわたる核武装という構想がおありになるような気がどうしてもする。そこで承りたいのでありますけれども、この辺まできたらほんとうのことを言っていいと思うのです、あした辞表をお出しになるのでしょうし。そこで、アメリカにおいでになる前のあなたの答弁がここにあるのでありますけれども、これはだれが考えたって気にする答弁です。何と言っているかというと、昨年八月のあなたの発言をとらえて、重大な情勢変化があった場合に——なければという表現ですけれども、逆にひっくり返せば、あった場合には核というものを考えなければならぬと言わぬばかりの発言があった。それをとらえてあなたに追及をした段階で、重大な情勢の変化というのは一体何かと言ったら、核防条約には、国家至高の利益が害される、そういうおそれがある場合脱退できるように書いてある、そういう場合です、こういう答弁をされた。しからば安保条約がなくなったということになったらどうなるのか、直ちに核を持つというふうには申し上げない、ただ選択の自由というか選択権があるということにはなる、これ以上お答えにならぬわけですね。そうすると、やはりあくまでも核については選択権を持っておく、フリーハンドをとっておきたい、こういうことになるのですね、一貫して長官が言っていることは。いまでもそれはお変わりになりませんか。
  32. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は一貫していわゆる核非武装論者でありまして、大出さんがどういうふうにお受け取りになったのかわかりませんが、そのようにぜひ定着さしていただきたいと思うのです。それで、NPT条約の第十条でありましたけれども、国家の至高の利益が害された場合はこの限りにあらず、脱退の自由がある、そういうふうに国際条約にすらも示されているという限度においては日本も行動の自由を持つべきである、そう思うわけです。すべて絶対的な、宗教的な世界に入って、そこで静ひつを維持しているという心境になれば、これはまた別ですけれども、国家、民族が生存していく客観情勢というものは、必ずしもそういう宗教的信条のみに国民を置いてはならない。政治というものはそういうところまではいけない状態にあると思うのです。したがって、そういう留保は国家生存上当然の留保として考えていただきたいと思う。しかし、それはいま言ったような至商の利益が害されるというような条件のもとであって、ふだんの情勢のもとにおいてはもちろん核非武装でいくのが正しいし、それが適当である、そう私は考えておるわけです。  今回アメリカへ行きまして一番強く訴えたのは、そういう平和国家の日本のあり方というものをアメリカ人、世界の人たちにもしっかり認識してもらおうと思って、強くそのことを訴えてまいりましたし、また、帰ってまいりまして各方面で演説していることもそのことでありまして、日本の今日の政策として、その平和国家のイメージを定着させるくらい重大なことはない、そう考えておるのです。われわれ日本人は国内にいてよくわかりませんけれども、たとえば西ドイツがヨーロッパやその他でまだ非常におそれられている。東西ドイツに分割されたドイツ人は統一の悲願を持っています。まわりの国は一緒にしたらいいというようなことをときどき言っていますけれども、案外腹の中では別ではないかという感じもいたします。それくらいドイツ人はおそれられておるわけであります。それと同じような恐怖心が、日本に対しても東南アジアやあるいはアメリカや共産圏にあると考えなければならぬわけです。ドイツは人のことじゃないと考えなければならない。そういう無用な誤解や何かがあるということは、日本の外交政策上も、そのほかの国際的関係においても非常にマイナスになります。国益を非常に害します。そういう点からしても、今日防衛をあずかる者あるいは外交をあずかる者、政治家として、間違った誤解に基づくそういうイメージを払拭するくらい国のために大事なことはないと思いまして、その点特に強調してやっておるわけであります。
  33. 大出俊

    ○大出委員 そうすると長官、あなたはアメリカに行かれたり、防衛白書をお出しになったり、四次防をお出しになったりしているんだけれども、私に言わせると、国益を害することばかりやっている、マイナスになることばかりやっている、恐怖心を払拭しないことばかりやっている、より一そう植えつけることに役立つことしかやっていない、こういうことになると私は思うのですね。いまの点を申し上げますと、あなたはアメリカへ行って何で一体濃縮ウランの技術提携をやるというようなことを言うのか。簡単に一言えばこれは製造法を教えろということになるのか。これは監視をするのだったら云々ということをおっしゃるから、受け取るアメリカの側はたいへんです、これ一つ取り上げたって。ここに私はいろんな当時の影響、反響を集めてみた。東南アジアの至るところの国から始まりまして、シンガポールだってそうです。韓国でさえそうです。核開発なんていってアメリカの肩がわりされたらとてもじゃないがかなわぬ、韓国自身こういつている。朝鮮日報がいっている。もちろんこれはソビエトにしたりて、中国にしたって北朝鮮にしたってたいへんなことなんです。フィリピンあたりだってそうです。フィリピンなんて教科書にたいへんなことが書いてあるんです。これは申し上げるまでもない。たいへん暗黒な時代であったと日本に占領された時代を学校の教科書で教えておる。実はたいへんなことになったという印象の書きっぷりを片っ端からやっている。これはますますもって日本に対する——あなたが言う西ドイツ式の恐怖心をより一そう植えつけることが国益を害するというなら、害しっばなしだ、あなた、そこのところをどうお考えになりますか。
  34. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 あの発言は、元科学技術庁長官、原子力委員長、政治家としての発言でありますが、私はプラスになったと思っておるのです。現に御本尊のアメリカが、新聞に報道されるように、ノーハウを日本、オーストラリア、ヨーロッパ諸国に公開することを検討している、そういう新聞報道があります。私はシーボーグ委員長から手紙を個人的に受け取っておりますが、それもいい返事であります。このことは、日本のエネルギーの将来を考えてみますと非常に重要なことで、一九八〇年におけるエネルギー需要を見ると、六千万キロワットの原子力発電と七億三千万トンの石油が同時に要る。六千万キロワットの原子力発電をやるためには、現在のアメリカの濃縮ウランの三分の一は日本に回さなければ動かない。しかし、アメリカは増設する能力はあるかというと、もうない。それで一九七四年にはアメリカ自体が使うだけで精一ばいになるわけです。ですから、七四年の日本の原子力発電の契約においては、提供を向こうは承知しないのです、濃縮ウランを日本に供給することを。それじゃ石油をもっと輸入するとなると、公害で日本はばい煙の巣になってしまいます。どうしても原子力発電に依存せざるを得ない。そういうエネルギー需要等考えてみますと、いま手当てしておかなければ間に合わないわけです。アメリカはそういう事情もよくわかって、そこで、もし関係各国と話が合うならばそれに進む用意を示してきたということは、日本のために非常にプラスになっておると私は思う。
  35. 大出俊

    ○大出委員 これは、日本には総理もおれば、外務省もある。科学技術庁もある。あなたが行ったのは防衛庁長官の資格で行った。決して個人の資格で行ったのではない。かりに個人の資格ということを冒頭につけてしゃべられても——冒頭につけなかった場所もあったようですけれども、これはあなたの不用意かもしらぬ。それにしても相手方の受け取り方、国際的に与える影響というものは、あなたのことだから百もわかっておるはずだ。いまあなたが言われたことは私もわからぬわけじゃない。ないが、ここに技術者が書いているのを手にしていますけれども、つまり、いまお話しの産業用の平和目的の燃料用と、それから熱核爆弾用の製造工程というものはほとんど違わない。お互いほんとうの意味の技術者でないから、客観的なものを見る勘定になりますけれども、至るところにそう書いてあるということから、その中心になっておるあなたが持ち出せば、国益を害するようなものの認識が至るところで出るのはあたりまえでしょう。さっき私が申し上げたのは事実なんだ。シンガポールにしたってあるいはフィリピンにしたって、あるいは韓国でさえ、東南アジア各国がみんな片っ端からそういうふうに書いている。簡単にこれを打ち消しようがないですよ。シーボーグ氏がどういう手紙をよこしたか知らぬ。知らぬけれども、この防衛白書でいまの点と関連をしてもう一点あるのは、この「日本防衛力」というところにありますけれども、「核兵器と攻撃的兵器を持たない以上、日本の安全保障上、国際情勢に大きな変更のない限り、日米安全保障体制は必要であると考えている。」、核兵器と攻撃的兵器を持たない以上、安保体制は必要だ、あなたこう書いておる。これをひっくり返せば、あなたの答弁と一致する。安保体制がなくなったらどうするかということになる。安保体制がなくなれば、この論理からいけば核は持たざるを得ないことになる。間違いなくそういうことになる。そうすると、あなたが言うように重大な変化があった、安保体制がなくなったらどうするのだ。直ちにやろうとは思わないが選択権がある。つまり、ここで述べている核兵器はない、その限り攻撃的兵器もない、その限り安保が必要なんだ。安保がなくなる将来を考えた場合に、あなたは前にいろいろ言い直しておるけれども、安保条約というものは、何年か先になったら——この席じゃ一生懸命、再検討すると言ったんだと言うけれども、検討の余地があると言ったというのですけれども、当時の新聞報道を見れば、なくす必要があるということを言っておる。うらはらなんですね。ここまで書かれれば、幾ら長官がそう打ち消しても、あなたの腹の中はそうではないんじゃないか、こういうことになりかねない。そうなるでしょう。あなたのここの答弁と少しも違っていない。ここに書いてあることはいかがですか。
  36. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私がいままで言ってきたことと同じであります。
  37. 大出俊

    ○大出委員 核兵器と攻撃的兵器を持たない以上は安保が必要だ、そうなると、安保条約がなくなる、そうなれば、これは核を持たざるを得ない、そういう論理になる。当然の帰結だろうと申し上げているのですが、いかがですか。
  38. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 客観情勢がそのときにどういうふうに動くかにもよりますが、日本は、核の脅威に対しては、自分で核は持たないでアメリカ抑止力に依存している。したがって、アメリカ抑止力は、安保条約から条約的にはきているわけです。したがって、核の脅威あるいは抑止力ということを政策的に考えるならば、日米安全保障条約は、いまのような条件下においては必要である。私が、安保体制、日米安全保障体制は半永久的に必要だと言うのは、核を持つ意思がないからそういうことを言っておるのであります。
  39. 大出俊

    ○大出委員 半永久的にというのは、原文にあって、あなたは削ったじゃないですか。それはどういうわけですか。
  40. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それは、ことのはをとらえてそういうことを言ってもくだらぬことなので、私は、いま言ったようなことが根本的精神にあることをよく御理解願いたい。半永久的にと書いたことと書かないことと、どっちが長く続くのだということになれば、ある説によれば、書かないほうが長く続くという説もあるし、あるいは半永久的のほうが長いのだという説もあるし、いろいろあります。そういうことを意図的に削ったり取ったりしたという、そういうあまりせんさくされるような立場でお読み願わないようにお願いいたします。
  41. 大出俊

    ○大出委員 中曽根流の得意な発言で、ことばの魔術が多過ぎるから、そうなると、あなたの魔術の一つ一つをつかまえてものを言わなければ、なかなか本心をお言いにならぬ。そこが中曽根流だというんだろうと思うのですが、しかしここまでくると、もうそれでは通らない。だから、その辺本心を言ったらどうだということを私は言っているだけです。この書き方、この立て方からすれば、法理論上からすれば小型の核兵器や何か持ってもいいのだというように世の中の新聞が片っ端からとらえるようなことを書かなければならぬというようなことの中に非常に危険なものを感ずる。だからその点を念を押した、それだけです。  ついでに、これまた国民の皆さんが心配しておりますから、また中曽根流のことばの魔術が出てきそうな気がしますが、聞きたいと思いますが、新聞によりますと、奉公袋か何か持ってしまって——私も奉公袋か何かもらって、出征の赤紙をもらって出かけたんですが、徴兵いやなんということがいろいろ一ぱい書いてある。これだけ徴兵いやだいやだと言って大騒ぎさせなければならない理由はない。あなたがことばの端をとらえるなと言ったって、原案に徴兵という文字がちゃんと載っていた、それは行なわない、とるところではない、こういう趣旨に書いてあったものをわざわざ削れば、これは世の中はその意図があるのじゃないかということになる。少なくともそういうせんさくは行なわれる。あたりまえです。一体この辺のところはどういうことになっているんですか。
  42. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 徴兵はいたしません。ただ法理論という問題になると、二、三議論があったようです。それで法制局の意見を参考にいたしまして、われわれの自主的判断でそのところは削った、そこのところに置いておくことが適当でない、そう判断したから削ったので、徴兵はしないということは一貫していることであります。
  43. 大出俊

    ○大出委員 それはほかにもあるんですがね。つまり、徴兵というのは、しないというのと、法理論上できないというのとは違う。徴兵制度というものはとり得ない、とれないというのと、あなたの言う、しないというのは違う。しないのなら、これは政策だから、将来することもある。当然でしょう。持てないというのと、持たないというのは違う。そういう意味で、これは、法制局長官お見えになっておるから、また新聞によると——あなた方はほんとのことをおっしゃらぬから、新聞で見るよりしょうがない。もし新聞が違うんだというなら、大きな声を出して新聞はうそばかり書いていると言っていただきたいんだが、法制局から話があって——いわば横やりだ、そうなれば。どうも学者、学説の中に、多数意見のほうは憲法上徴兵はできない、こういうけれども、いいんだという少数意見もあるという段階で、有権解釈がない、だから、ということで待ったがかかったように新聞はものをいっている。そうすると、元凶は法制局なんだ。高辻さん、あなたのほうだ。この委員会でもかつて論争したこともある。もう一ぺんあらためて、世の中が注目しているんだから、はっきりしていただきたい。徴兵制度はとれるならとれる、とれないならとれない。しないんじゃないですよ、とれるのかとれないのか、やれるのかやれないのか。やれないということになれば国民は安心する。長官のように、いたしません、いたしませんじゃ、いたしますと言いかえるかもしらぬ。中曽根流論法で、ひゃっといつか言いかえたということになると、中曽根さんは若いから心配です、先がありますから。そういう意味でひとつはっきりしてください。
  44. 高辻正巳

    ○高辻説明員 「日本防衛」という、いわゆる防衛白書から徴兵制度についての文言が消えたということが一般にいわれておりますが、これは交渉の中での話でございますので、あらためてそのことについて私は申し上げようとは思いません。これはいずれにしても、ただいま防衛庁長官がおっしゃいましたように、防衛庁として削除されたということは間違いのないことであります。むろんこの交渉の過程に、私自身ではございませんけれども、いろいろ話があったことは事実でございます。ところで、いまお尋ねはそういうことではなしに、徴兵制度というものは一体わが日本憲法のもとでやれるのか、とれるのかとれないのかというお話でございます。これは、ただいま御指摘がありましたが、元来佐藤総理は、中曽根長官もいまおっしゃっていますが、徴兵制度実施の考えがないということは、これはしつこいほど述べておられます。そういうこともありまして、いままで特に研究する必要にも迫られなかった、また現に研究もしなかった、そういうことで、いま御指摘のように、去る六十一回国会の当委員会だったと思いますが、御質問がありましたのに対して、率直に、憲法上許されないとする考え方のほうが通説として一般的であるという話をするにとどめたわけです。徴兵制度はとるべきでないという政府考え方、これはむろん変わりがあるはずはございませんが、いまはたってのお尋ねでございますので、見解を申し述べるということになりますと、いいかげんなことでお答えはできない。やはり徴兵制度ということは一体いかなるものであるのか、その辺を確定してかからないとお答えをするわけにまいりません。そこで私もいろいろものの本によって調べさせましたが、たとえば、徴兵制度は、国民をして兵役に服する義務を強制的に負わせる国民皆兵制度である、すなわち、軍隊を平時において常設し、これに要する兵を毎年徴集し一定期間訓練して、新陳交代させ、戦時編制の要員として備えるもの、これは一つの本ですが、これに似たものはたくさんございます。というように、一般に兵役といわれる役務の提供は、わが憲法の秩序のもとで申しますと、社会の構成員が社会生活を営むについて、公共の福祉に照らし当然に負担すべきものと社会的に認められるわけでもないのに義務として課される点にその本質があるように思われます。このような徴兵制度は、憲法の条文からいいますとどの条文に当たるか、多少論議の余地がございますが、関係のある条文としては憲法十八条「その意に反する苦役に服させられない。」という規定か、あるいは少なくとも憲法十三条の、国民の個人的存立条件の尊重の原則に反することになるか、そのいずれになるか、私は、多少論議の余地があるかと思いますが、いま申したような徴兵制度、これは憲法の許容するところではないと私どもは考えます。
  45. 大出俊

    ○大出委員 くどいようですが、これだけ各新聞で取り上げているんで、もう一歩突っ込んで聞きたいんですが、私もいろいろ調べてみた。国会答弁というものも、始まって以来のやつを調べてみた。すると、あなたがいまおっしゃった、なかなか研究してないというのですが、これはずいぶん昔にもそう言っているんですよ。これは並木さんという方が質問をして、昭和二十八年、十九回国会、佐藤達夫さんが法制局長官の時代ですが、「政府といたしまして別に現実当面の問題ということになっていない今日においては、あるいははずかしいことかもしれませんが、その点について研究もしておらず、結論も得ておらないということが率直なお答えであると思います。学説」、つまり学説なんかによれば「大体の傾向としては、現憲法のもとではむずかしいという学説の方が、われわれの目に触れ」ております。こういう答弁ですね。だから何と、昭和二十八年から今日の内閣委員会まで同じなんですよ。昭和二十八年から四十五年まで情勢変化があったのに、まだ研究していないなんということを冒頭にあなたがいまおっしゃっている。ずいぶん法制局長官としては無責任きわまる。しかもこの途中には、船田国務大臣が、第二十四回、三十一年三月二十二日の衆議院内閣委員会、ここで「現行憲法において徴兵制を施行するということは、これは憲法の許すところではないと存じます。」と明確に答えている。これは議事録を見てみました。そう答えています。これは政府憲法解釈、山内さんたちのですよ、旬報社から出している。この国会のものもみな同じことが載っております。そうすると、これはそういう明確な答弁があった。それを何となくまたぼやかし、林さんから結果的にはできないというふうなことを言っているのに、あなたはまた佐藤さんの時代に戻っちゃった、この委員会で。だからそういうことでは困るから、憲法上できないならできないということをやはり明確にしていただかぬと、研究中でございますだけでは困る。いかがですか。国民がこんなに心配していることは最近見たことがない。
  46. 高辻正巳

    ○高辻説明員 ただいま御指摘の質疑応答、私は全部承知しております。それから、法制局は大学の研究室と違いますから、やはり具体的な問題について、これこそもうほんとうに——私どもが言うのはおかしいですが、もう完ぺきのつもりで研究をいたします。先ほど申し上げましたように、徴兵制度というものは、もう政策問題として全然問題になっておらない。したがって、そういうことに当面して研究したことはほんとうにないんでございます。したがって、正直に申し上げておるわけですが、しかしいま、もうとてもそれじゃお許しが得られない。とにかくたっての御質問だということを先ほど私も申し上げましたが、ということでありますので、徴兵制度というものは一体何であるかという辺から調べまして、いまそういうような一般に徴兵制度といわれるような内容の徴兵制度、それはわが憲法のもとでは許されないということをはっきり申し上げておるわけでございますから、その点御了承願います。
  47. 大出俊

    ○大出委員 少しくどくて恐縮なんですが、中曽根さんも人騒がせで、あなたは結論までちゃんと書いておけば、法制局も法制局でそんなよけいなことを言わなければ、これだけ世の中は大騒ぎにならぬ。いまの法制局長官の答弁、それでよろしゅうございますか。
  48. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 大出さんのような博識の方が御質問しているから、政府は徴兵しないということがますますはっきり国民の耳に入るので、非常にいい機会を与えていただいたと思って感謝しております。
  49. 大出俊

    ○大出委員 たいへんまた中曽根流が出てまいりましたね、だいぶなれましたがね。なれたところで、さよなら、さよなら、さよならという淀川さんじゃないけれども、寂しいですけれどもね。おやりになっていただければまたそれなりになれた上で続けられると思うけれども……。  次にもう一つ、こまかい点で、しかし大きな問題でもあり、これまで取り上げられている問題でありますから承りたいのですけれども、限界という意味で持てない兵器、こういうふうな形で定義をされている問題でありますが、たとえばB52であるとかあるいはICBMであるとか、攻撃型空母であるとか、まあB52のような長距離爆撃機、こういう意味でございましょうが、これは、岸総理のときにはIRBMも国会答弁の中に一緒に入っている。ところがこのIRBMは抜けちゃているんですね。そうするとこれなんかも、そう日本ICBMは要らない。これなんかたいへん誤解を生むところですから、何べん相談していただいてもけっこうですから、はっきりお答えをもらいたい。
  50. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 IRBMも持てないほうに入っております。
  51. 大出俊

    ○大出委員 それならば、岸総理の答弁もIRBMを入れてしゃべっているのですが、それをわざわざ「日本防衛」の中で何で変えたんです。おまけにこの中には攻撃型空母というんだけれども、攻撃型でない空母というものがあるのかないのか。さらに潜水艦には触れてないけれども、原子力潜水艦は一体どうなるのか。それらのところは一体どういうふうにお考えになっておりますか。
  52. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ICBMIRBM、ともに持てないということです。またIRBMというのは民衆的に膾炙してないことばで、ICBMまではよくわかります。ICBMと言えばIRBMまでも含まれるだろう、一般的にはそう考えられるだろうと思うのです。つまり中長距離ということになると長いほうですから、短ということになるとナイキとかホーク、これは局地防衛という意味を持っておりますから、そういうものとの対比においては常識的にも理解される。象徴的にICBMということばを使った。それにもちろんIRBMも入っておる。そのほかの兵器については、いままで国会で御答弁申し上げたとおりであります。たとえば原子力潜水艦についていえば、原子力基本法をつくりますときに私が提案者として説明した中に、もし原子力推進の船舶が通常において使われるという状態になった場合には、潜水艦にも原子力を動力として使うことは違法ではない、そういう答弁をしております。その見解に従うわけであります。
  53. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、原子力潜水艦がつくれる、こういうことになりますか。はっきりしておきたいんですがね。
  54. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それが一般的に商船として使われるような場合にはつくれるということであります。しかし、つくるかつくらないかは別です。法解釈としてつくれるという解釈であるということです。
  55. 大出俊

    ○大出委員 だから、長官はなかなかことばはむずかしい方だから、つくる、つくれる、二つ言ったのです。私はどっちですかというのです。つくれる、しかしつくるかつくらないかは政策上の問題だからわからない、こういうことになるのですか。いまのあなたの答弁だとちょっと違いまして、商船等、こう言うのですが、商船を聞いているんではない、原子力潜水艦兵器ですよ、軍艦ですよ、潜水艦ですよ。アメリカ日本に原潜を入れるときに一般の軍艦と一緒だと言っている。ただ推進力が原子力だと言っているだけだ、こういう言い方をしておる。同じ意味でこれは軍艦なんです。その場合に、いま動力として使うというんだけれども、それでもつくれる、こういうことになりますか、こう聞いている。
  56. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いまメモが入りまして、ICBM等と書いてあるそうです。やはりIRBMは等の中に入るのだ、こういったことであります。  それから、潜水艦につきましては原子力基本法との関係が非常に大事でございまして、原子力基本法の解釈はさっき申し上げたとおりであります。したがって、商船等に原子力推進の船が使われるという状態になった場合には、日本としては原子力推進による潜水艦兵器として防衛庁その他がつくれないということではないんだ、つくる可能性は法的にはあるんだ、しかし、そのときに現につくるかつくらないかということは、防衛政策上の問題で、それを今日、つくるとかつくらないということは明言できません。次の防衛計画の中には入っておりません。
  57. 大出俊

    ○大出委員 長官ICBMというのは射程が一番長いですね。IRBMは短い。いままで論争して、敵に脅威を与えるという論法からすれば、高辻さんの御答弁によく出てくるけれども、長いものはいけない、こうなっている。長いものはいけない短いものはいい。ICBMは長いからいけない、IRBMは短いからいい。等と確かに書いてありますが、等の中に何と何が入るのですか。宍戸さん、等等等では困るんだ、幾つまで……。
  58. 宍戸基男

    宍戸説明員 たとえば、爆撃機で申しますと、アメリカのほうのB52の例を引いてあります。ほかに例をあげろとおっしゃいますと、ソ連のベアとかバイソンなんかもそれに類するものということで、等ということに入ろうかと思います。それからミサイルのほうで申し上げますと、ICBMが代表的でございますが、IRBMもあります。そういった戦略ミサイルがやはり等の中に入るものと思います。それからSLBM、つまりポラリス潜水艦、ポセイドン潜水艦、こういったものが、やはり等の中に入る戦略ミサイルである、かように思います。
  59. 大出俊

    ○大出委員 攻撃型潜水艦は入りますか、原子力潜水艦のうち。これはサブロックもありますね。そこらはどうですか。
  60. 宍戸基男

    宍戸説明員 国際的な軍事常識から申し上げますと、おそらくこれは戦術兵器のほうの部類に入るもの、つまり、都市を攻撃する、大陸を攻撃するというものでなくて、ポラリス潜水艦を攻撃する潜水艦である。サブロック等はそういうものと思いますので、戦術兵器ではないかというふうに考えられます。
  61. 大出俊

    ○大出委員 どうも確たる御答弁がないような気がするんです。私がなぜこの辺をしつこく聞くかというと、昨年の六月十七日、これはあなたの防衛局がつくっておられる例の「憲法上の制約、国民感情等を考慮しないとすれば、」、称して「自前防衛の長期構想」というもの、この中にあるやつはみな抜いてある。この中に徴兵制度もちゃんと書いてある。「徴兵制度、軍時訓練の普及等の措置さえ必要となろう。」と書いてある。そうしたら徴兵検査は切られている。この中には原子力潜水艦もつくることになっている。これはなぜつくるかというと、ソビエトの潜水艦がウラジオストックに百隻くらいいて、三割くらいは原子力潜水艦だ。自前の防衛を考えれば、通常潜水艦では間に合わない、だから原子力潜水艦が必要だと書いてある。核戦力も要るので、フランスが五十億六千万ドル、一兆八千二百億円使って開発した、さらに、運搬手段に九千五百億円かかっている、年月をかけてつくっていかなければ核兵器はできません、核兵器を持ちましょうと書いてある。航空母艦というやつも、マラッカ海峡の防衛の中にある。これは全く夢みたいなことを言うとおっしゃるけれども、やろうとすればできる。現に新聞が書いている中身には、今回三十万トンになるとすれば、これはマニラくらいまで海上防衛ができると思っていたけれども、二十四万トン何がしだから、ちょっとサイパンくらいまでしか行けそうもない、というようなことをいっている。いまの公海防衛という踏み切り方をされたんだから、そうすると、公海といえば、インド洋だってマラッカ海峡だって、これは公海だ。そういうことになるから、そこらのところを聞いたら、この中にあるやつはみんなはずしている。そうすると、これもどうも全く意味がなかったんじゃないか。ある議員の方がと言うけれども、ある議員というのは、これは想像がつくような気がする。だから、そこらのことがあるので聞いているんだが、確たる御答弁の段階ではないとおっしゃるんですか。いまのところ攻撃型の原子力潜水艦なんというものは戦術のほうに入るであろうという、どっちなんですか。入るんですか。
  62. 宍戸基男

    宍戸説明員 戦略兵器、戦術兵器、はっきりした定義で何キロのミサイル以上がそうである、どの型の潜水艦はどちらに入るということの国際的にきっちりきまったものはございません。私どもが持っている常識から見て、ポラリス潜水艦はほとんど異論なく戦略的に使われる潜水艦である。しかし、お尋ねの攻撃型の潜水艦はそれとは性格が違った使い方をされるのが常識であろうというふうに申し上げたわけでございます。
  63. 大出俊

    ○大出委員 長官に簡単に次々聞いていきますが、四次防が出されましたが、これによっていまの三自衛隊は、この自主防衛という一つ目標に向かって進めていく場合に、どの程度の段階までこれで来るんですか。過渡的な段階である、こうなっておりますがね、どの程度過渡的なんですか。
  64. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、非核中級国家ということでお答えしたあの範囲でございます。
  65. 大出俊

    ○大出委員 非常に新しいことばをお使いになるので、非核中級国家なんて舌かみそうですがね。つまり、非核中級国家というのは核を持たない、これが一つですね。中級だからICBMなんか持たない、それを非核中級国家だとあなたが言っているのだと思うんですがね。そうすると、それを規模的にいうと、たとえば海上においてトン数にしてどのくらい、自主防衛というものの目標は。そうして飛行機にしてどのくらい、一般的にわかりやすく言えば。そうして陸上兵力にして数はどのくらい。自主防衛とあなたおっしゃるんだから、その辺のところを明らかにしてもらわなければ、単なる非核中級国家ではこれはわかりませんね。そこはいかがですか。
  66. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 防衛力というものは相対的でありまして、国際情勢あるいは周囲の情勢等に依存するもので、主観的に一方的のみにはきまらないものであります。そういう相対性で考えていきますと、なかなか数量的にきめられないものです。それから兵器の性格についても、一つ一つの個々的な兵器の性格を論ずるよりも、やはり防衛体系全体が一つの問題と私は思います。そういう政策の原点ですね、むしろ政策の原点を論ずるほうが大事なポイントではないかと私は思うのです。それで、どの程度がそういう防衛限度か、限界イメージというものを指摘されるのでありますが、大体どの程度が一体表現できるか検討してみい、この間庁内に命じましていま各幕で検討さしておる最中であります。
  67. 大出俊

    ○大出委員 それでは、いまの問題とからんで法制局長官にここでひとつ聞いておきたいのです。  戦力というのは不保持の原則がありますね。九条二項がございます。ここでいう戦力というのは統一見解がございましたね、過去に高辻さんの前の前の時代に。そこらを振り返って簡単にお話しいただきたいのだが、戦力というのは一体何だ、つまり中曽根さんが談話でも強調され、この前書きでも強調されておりますが、私の聞き方がおのみ込みいただけないと困るから申し上げるのですが、つまり砂川判決等をお出しになって、まあ平たく言えば、自衛隊の市民権獲得運動みたいな感じのする言い方が書かれてある。そこで長官は、自衛隊合憲、これを信じているけれども、ということで、もうちょっと明らかにしてもらいたいということをここに書いておられるのですけれども、私の読み方からすると、前のほうとあわせて考えると、つまり自衛力というものはあ認めているという有権解釈、砂川判決は。だがしかし、戦力というものについては砂川判決というのは逃げている。いわゆる自衛のための戦力というものを憲法は許容するのかしないのかという点については逃げている。ここにひとつ非常に大きな問題がある。だから願わくは、自衛のための戦力は、憲法上不保持の戦力ではないのだということ、九条二項の不保持の戦力目的は、それは戦争にあるから、だから不保持の戦力でない自衛のための戦力は憲法は許容するのだというところまでいきたい。ところが、それがいけないためにいまのような長官の答弁になってしまうのです。これは非核中級国家といったって、近代戦争遂行能力があるのかないのかという問題が当然起こる。いままでの考え方からいけば、近代戦争遂行能力、佐藤達夫さん以来、林さん、そういうふうになっている。しかもその前に二十七年に統一見解が出ている。総合力、いま言われる政策の原点、そこまで明確になっている。これはそうだとすれば、いまの長官の答弁は、何かというと憲法上の制約というものが頭にあるからなかなか歯切れが悪い。過渡的段階なんだと言うんですね。十年先見通して、四次防、五次防を見通している。自前防衛を私さっき言ったのは、この十年から先を言っているのだから、見方によれば、安保は十年先はなくなる、そういう感じは、市民感情として、安保がなくなるんだから、ここで、私がさっき指摘したように、核も必要なんだ、原子力潜水艦も必要なんだ、徴兵も必要だ、こういうふうに読み取れる。これは書いてあるんだから、そういうものも現にあるんだから、そうでしょう。そうだとすると、戦力不保持の原則に立つ戦力、それは一体何なのだということと、もう一つ、これは限界とからまるのですが、自衛のための戦力というものは憲法は許容するのかしないのか、それといまのおっしゃる限界というものがからんで一体どこまでなのだ、こうならなければ世の中にはわからぬ。どうお考えですか。
  68. 高辻正巳

    ○高辻説明員 大出委員はもう古くからのことを御存じでありますし、現にいまおっしゃっておりますから、どの程度申し上げていいのか、申し上げようによってはかなり時間がかかりますので……(大出委員「要点でけっこうです」と呼ぶ)簡単に申し上げることにいたします。  御指摘のように、戦力というのは、佐藤達夫法制局長官、時代でいえば吉田内閣までです。林長官、これは鳩山内閣からですけれども、確かに少し説明のしかたが変わりましたが、実態は変わりがないと私はいまでも思っております、両方にわたって私はおりますから。しかし、近代戦争遂行能力というのはいかにもどうも説得力が薄いようだということで、もう戦力というものを文字どおり見れば、やはり戦いに役立つということになるだろう。しかし、その戦いに役立つ力というのは、一億の国民自身が戦いに役立つ力である、そんなべらぼうなことを言っているわけではございません。まず「陸海空軍その他の戦力」とあるから、それは組織だった、物的、人的、総合組織力だろうというようなことから、組織性でもってまず縛る。それから警察力。日本の警察力は必ずしも大きなものだとはいえません、世界でもなかなかりっぱな警察力、かなり装備のりっぱなものがありますから。しかし、警察力も、警察予備隊は警察力でございましたが、ああいうものもやはり戦力だろう。しかし、やはり憲法で保持を許す目的憲法に適合する目的からくるそういう組織力というものは、よもや憲法が否認しているものではあるまい。まず出てくるのが警察力でございますが、結局はそれと同じような理屈になります。この憲法九条の解釈は、もういまさら申し上げるまでもありませんが、一国の自衛権というものを否定するものではない。それから条理からいっても、一国が武力攻撃を受けた場合に、いろいろな制約はございますが、国民の生存と安全を危うくするような事態に、それを維持することが憲法に違反するということはおよそ考えられないというようなことから、自衛というものについては憲法の九条がこれを度外視するものではあるまい。そこで、防衛白書でいえば、自衛に必要相当な限度という限度が問題になってくるんじゃないか。いままでも国会でその限度論が非常に盛んでありまして、規模限度と行動の限界の問題が出ておりますが、その限度の問題から来まして兵器一つ一つがやはり問題になると思いますが、しかし、兵器一つ一つを論ずるというのは、実は私もやはりほんとうは自衛力の全体で考えるべきだと思います。自衛力の全体で考えた場合に、B52みたいなものは、とうてい日本の自衛力として肯定できないだろうというようなことから、またさかのぼって個々の兵器の問題にはなりますが、これは個々の兵器について憲法上どうかというのを論ずるのは誤りだというわけでは決してございませんし、これはまさにそういう点からも考えなければならぬと思いますけれども、やはり一つ一つがよろしければ全体の兵力というものはいかに大規模であってもよろしいかというと、やはりそこには限度があるといわざるを得ないと思います。その限度は、よけいなことかもしれませんが、やはり予算なり法律なりの段階で国民の審判すべき問題だと思います。
  69. 大出俊

    ○大出委員 いまの答弁からすれば不本意な点が幾つかあります。過去の例からいたしますとちょっとまずい点がありますが、時間がないからまたあらためてそれには触れます。触れますが、私の言いたいのは、砂川判決を見ても、つまり戦力不保持を規定している不保持の原則、これは逃げている。しかしいずれにしても、というふうに判決文はうたっている。それしか書いてない。だからその意味では、この二項をそのまま受け取って、今日は——先はとういうものが出るかわかりませんが、いわゆる戦力というものは持ってはならない、現時点ではこうなるわけですよ。学者の多数もそうですよ。さてそこで問題になるのは、長官、いま長官の言う政策の原点というのだったら、それに私は賛同してもいいんだ。いいんだけれども、いま言われる警察力というのは、警察官職務執行法で、携行できる武器という規定が明確にある。とんでもないものを携行できやしません。そうすると武器の力の限度というものは明確になっている。携行できる武器、こうなっている。ところが、自衛隊にはそれはないということです。そうすると、原点はそこにあっても個々の問題をとらえざるを得なくなる。これはあたりまえだ。そうでしょう。そうすると、非核中級国家というのだけれども、いまの四次防で出てくる、やれ八千トンの護衛艦をつくるとか、ヘリを六機ばかり載せるとか、あるいは高速ミサイル艇をつくるとか、いろいろあるでしょう。二十四万何千トンというのでしょうけれども、しかし問題は、近代戦争遂行能力といったら、いまの自衛隊で遂行できるのかできないのか、でき得る兵器体系になっているのかどうか、核は別として。あとは核を持つか持たないかということになるのだから。そうでしょう。それといま言う戦力というものとの関係、自衛のための戦力も許されないのだとすれば、ここのところを明らかにしなければ——一体その限度というものはどこにあるのだ、向こう岸が高くなったからこっちも高くするのだということでふえていっちゃうのじゃありませんか。世間一般ひとしくそれを心配する。だから、その意味でさっき私は長官に聞いているので、いまあなたが答弁したように、つまり不保持の戦力、これは変わってない、戦力は不保持で持ってはいけない、これははっきりしているのだから。そうすると、戦力と対比をして、非核中級国家というところのいまの兵器体系を含めた自衛隊の力というものはどの程度なんだ、近代戦争遂行能力があるのかないのか、そこは長官どうかという意味なのです、さっきから私が言っているのは。
  70. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 もちろん憲法に違反しない、憲法範囲内における防衛力である、そう考えております。
  71. 大出俊

    ○大出委員 だいぶんむずかしいところになると、あなたはそういう言い方をするのですが、自衛隊だって何も違憲だちょうちんだと言っているのではない。自衛隊の中身が、携行できる兵器なんということになっているとすれば、別に自衛隊憲法違反ではない。そうでないところに——われわれの党だって国民警察なんと言っている。それは何だといったら、携行できる武器、兵器、そういうものに限度を置いているということ。自衛隊に自衛力はあるにしても、その中身の問題、それが戦力であれば自衛隊は明らかに憲法違反だ。だからいまの四次防という段階で、その辺のところは一体どういうふうに見るのか。非核中級国家ではわからない。近代戦争を遂行する能力があるのかないのか、こういうことです。いかがですかその辺のところは。
  72. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、憲法第九条の範囲内における自衛力であります。
  73. 大出俊

    ○大出委員 自衛力であるかないかを中身に入ってこれから一つ一つ聞いていけば時間が足りませんから、これは近代戦争を行なう能力のある兵器かどうかという聞き方をすれば全部出てくるわけだけれども、それは長官、きょうどうなるかわかりませんから、ここから先の時間のところに譲ります。問題の焦点はそこにある。それがこの防衛白書で明らかになっていない。なっていないから新聞がいろいろとお書きになる、こういう筋合いだと私は思う。  そこでもう一つ長官のテレビ会見のときに、何と中曽根さんはお話しになるかと思いまして私記者会見を見ていた。新聞記者の質問に答えてこう言っておられますね。文民統制を貫くことが大切だ、仮想敵国を設定しないためにも、どこの敵がどこから攻めてくるのかをわざと明らかにしなかった、専守防衛構想がこの白書のねらいです、こうあなたはお述べになっている。どこの敵がどこから攻めてくるのかをわざと明らかにしなかった。しかしこの白書によりますと、どこの敵がということはおぼろげに出ております。非常に流動的であるといっている国をさせば当然そうなる。したがって、あなたがわざと明らかにしなかった仮想敵国があるが発表しなかった、これは真実だと受け取っていいのでしょうね。
  74. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 仮想敵国というものを持たないということは、何回も言っているとおりです。
  75. 大出俊

    ○大出委員 どこの敵がどこから攻めてくるのかをわざと明らかにしなかった。あなたはわざとと言われるから困るのですよ。一々わざと言う。だから世の中は騒然としてみたり、何だたいしたことはないじゃないかということになってみたり、制空権なんか言い出されるとぎょっとする。あとになって航空優勢、今度は非常にささやかに答えているのです。わざというのは困る。わざとと言われてはいけませんよ。わざと明らかにしないのなら、あるでしょうと私は聞いている。それをわざと明らかにしなかったのでしょう。そう受け取っていいのですか。
  76. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 仮想敵国は持たないということは前から言っているとおりで、そのとおりなのであります。
  77. 大出俊

    ○大出委員 まだそのあとにもう一つある。防衛規模はどうなのか、私の言う質問と同じなのです。あちらが兵器を拡大し、こちらも兵器を拡大するという兵器競争を避けたいので、わざと規模も明らかにしなかった、あなたはこう答えている。そうわざとが続いたのじゃ困ると私は言うのです。委員会ですからそうわざとわざとと言わないで、わざとでなく言っていただけばどうなのか、明らかにしていただいてもいいでしょう、いかがですか。
  78. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そのわざとという意味は、心がけたという意味です。
  79. 大出俊

    ○大出委員 長官、あなたはよくそういうことをぬけぬけと言えると思って、ほんとうに厚顔非礼だ、それは少し。  そこでもう一つ聞きましょう。外交と文民統制、国民協力の重要性を指摘して、「外交が崩れれば防衛の過半は失われ、国民協力が得られなければ防衛の全てが存在し得ない。」、こういうふうに言っておられるわけです。論理の立て方からすれば、私はそうだと思うのです。私も枝葉末節を避けたい。ただ、このわざとというのには非常に大きな問題がある。そこで一つ承っておきたいのは中国問題です。これは、あなたのほうはきわめて絵そらごとみたいなことをここに書いている、たいへんどうもふざけたことをお書きになっている、こういうふうに思わざるを得ないですね。つまり情勢の分析になりますね。「特に中共および北朝鮮は引き続き硬直した対外姿勢を堅持しているが、」、これは佐藤内閣みたいですよ。「アジアにおいて核兵器開発している唯一の国である中共の動向や、さらに英国軍のアジアからの大巾な撤退と」云々というふうに書きまして、「米国軍の動向等」、こういうふうに並べまして、つまり東南アジアあるいは朝鮮半島等の情勢をめぐって中共と朝鮮、ここが硬直した姿勢をとっているから流動的なんだ、こう言っている。これは、非常に長官がこの中で心配をされている対中国政策がうまくいけば北朝鮮だってうまくいきますよ。にもかかわらず、この対中国政策には何にも触れていない。これは私は、防衛白書を通じて当面一番重要な問題が抜けちゃっている、こう理解せざるを得ない。この対中国政策という問題について、防衛とからんで抜いてはならない論点だと思うのでありますが、あなたはどうお考えになりますか。
  80. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その分野は、外交白書で書くべき分野であると私は思います。
  81. 大出俊

    ○大出委員 外務省おいでになっておりますか。——ここで承りたいのですが、米ソ二大国の支配体制がある。中国は文革後非常にソフトな外交体制に変わってきている、そういうふうに見られる節がたくさんある。ここに幾つか論証をあげて私は書いているのでありますが、そこで、カナダが中国を承認した。カナダ方式といっていいような承認のしかた、台湾問題の処理のしかたが行なわれている。そこで、イタリア、ベルギーがこれに続こうという動きがいま出てきている。これはもう外務省ですから御存じだと思う。南米のボリビア、チリ、ここらあたりも中国との修好、そういう方向に動きつつある、こう見てもいいんじゃないかと思う。そうすると、イタリア、ベルギーあるいはボリビア、チリ、それから東南アジアでもインドネシア、マレーシア、こういういわば親英米国家といってもいいところが、今回の国連の中の情勢なんか新聞等で見ましても、あるいは他国の新聞等を見ましても、中国の国連加盟に対して非常に好意的な態度に見える。これが実はいまの、中国に対するカナダの中国承認以後特に方々で見られる国際的な空気だろうと私は思うのです。こういう中で佐藤さんは、この間の四選出馬の弁からいたしましても、どうもさっぱり新政策らしきものはない。国連総会における演説でも何にも新政策らしきものはない。一体これで防衛というものをほんとうに考えられるのかという気が私はする。ここのところ、愛知さんおいでにならないのだからしようがない、外務省は、対中国問題の国際的な情勢、これを一体どういうふうにつかんでおられるのですか。
  82. 大河原良雄

    ○大河原説明員 つい先週、佐藤総理大臣は国連の二十五周年記念総会に出席されまして演説をいたしておりますけれども、その中で中共ということばについては具体的に何も述べておられませんけれども、そのあとの記者会見におきまして、分裂国家の問題について自分が総会で演説をした、その点については十分中共の存在ということを意識して言ったつもりであるという趣旨のことを言っておられます。さらにまた、二十四日にニクソン大統領と佐藤総理が会談されました際に、中国の問題につきましても簡単な意見の交換をしたというふうに新聞の発表でいわれております。したがいまして、ただいま先生がいろいろあげられました国際情勢の推移につきましては、佐藤総理をはじめとしまして政府といたしましては、十分そこらの情勢を見守りつつ、今後きわめて重要でありますこの問題に対処していくという考えであることはもちろんのことでございます。
  83. 大出俊

    ○大出委員 中曽根さん、これは大体詰めになりましたが、もう一つお伺いしたいのであります。いま答弁があったような総理の気持ちの動きが多少あるのだとすればなおのこと、やっぱりこのあたりで佐藤内閣なるものの対中国政策というものはいささか考えていかなければならぬときに来ている。でないと、アメリカと一緒になって経済、外交の面で孤立してしまう、私はそういう気がする。そのところをひとつこの今日の防衛問題のそれこそ一番原点に、政策の原点に置いていただかないと、専守防衛と言っている国が四次防でどんどんどんどんふえていく、それも過渡的段階だからなおふえる、自主防衛という目標にはほど遠い、こういう形になっていたのでは、ある意味では国際的に軍備縮小という方向の見える時期に、それは長官が幾ら、国益を害する、日本に対する恐怖がある、だからそれをなくすのだと言ったって、言行不一致ですよ。だから日本に対する感情というものはますます悪くなる、強くなる、こうなっているのだと思う。だから、そういう意味で対中国関係というものを改善をする、そういう努力をすることが、私は専守防衛の中で日本防衛負担というものをさらに減らしていくという方向に行くのだろうと思うのでありますが、それが抜けちゃって、向こうが高くなるからこっちも高くするのだ、こっちが高くなったから向こうも高くするのだ、またこっちが高くするということになっていたのでは、この防衛白書をながめて、出すことに意義があるのかもしらぬけれども、国民一般が心配する。私は当然だと思う。そういう意味で、外務当局からの答弁が一つ出てきたわけですから、その上に立って、長官防衛という観点から見た対中国という問題について、もう一ぺん一あなたは外交を一番柱にしておられる。そうだとすれば、そこのところに何かがあってしかるべきだろう、こう思うのでありますが、いかがでありますか。
  84. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は、つとに申し上げておりますように、外交優先、外交がくずれれば防衛の半分は失われる、そういう考えは一貫しておるのであります。そういう外交の中には周辺諸国に対する適切な措置も含まれるのであります。したがって、中共に対する諸般対策ももちろん含まれるのであります。私らはそういう意味において近隣諸国と善隣友好の実をますますあげて、そして兵というものを頭に置かなくてもお互いが平和に暮らせるような状態につくっていくというのが政治の目標である、そう思っております。
  85. 大出俊

    ○大出委員 その点を特に私は指摘をいたしまして、長官も与党の中の中心的存在のお一人ですから、どうかそこのところは、与党野党でなしに、ひとつ対中国問題を前向きで、せっかく総理の気持ちがそう動くという意味のことが出てまいりましたから、一そうその方向に向かって御努力願う、そのことが一番基礎になるのだという気が当面私はするのでございまして、その点を最後に申し上げまして、終わらせていただきます。
  86. 天野公義

    天野委員長 伊藤惣助丸君。
  87. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 防衛庁長官に伺います。  長官は九月八日から二十日までの間訪米されましたが、その訪米後の長官報告を正式に聞いていないわけでありますが、一般の報道によりますと、定期的に閣僚会議を開くことをきめてきた、あるいはまた軍国主義の懸念また誤解を解いてくる、この委員会でもそのようなことを申して出発したわけであります。さらに、基地問題についても自衛隊管理というような面から話し合ってくるというようなことも言っておられました。さらに、これは先ほどもお話がありましたが、濃縮ウランの共同開発について話をしてきた、こういうことでございますが、そういった点について簡単に伺いたいと思います。
  88. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 アメリカへ参りまして、まず第一は、平和国家のイメージをはっきり国際的にも定着させる、そういうことを心がけてやってまいりました。ちょうど先方は、ニクソン大統領が出てきてから防衛計画をずっと策定中で、新しい五カ年計画を来年度から始める、その草案が防衛当局、レアードさんの机に上がってきたのが前の金曜日であります。そういうときに行ったために、向こうもこれからの五カ年計画をやるについて日本側の考え方の基点を知り、われわれもアメリカ側のある程度の長期的な考え方見通しを知って、お互いが大体自分はどういうふうな考え方で進むべきであるかという参考資料を分かち合ったという点が非常に有益であった、そう思います。  それで、基地問題等につきましては、ともかく外国の基地が日本に数多くあるということは正常な状態ではないので、私はできるだけこれらの基地を整理統合して、そして外国の軍隊は、日本からはできるだけ不必要なものはなくしていきたいという気持ちを持っておりますから、そのポイントについても、いろいろ具体的に話し合ってきたわけであります。アメリカ側は、その整理統合については話し合って段階的に進めていこう、こういうことで応諾して、いま具体的話し合いに入っておるところであります。  濃縮ウランにつきましては、さっき申し上げたとおりでありまして、アメリカ側が非常に真剣にこれを討議して、前向きにこれを取り扱い始めたということは非常にプラスであったと思います。  閣僚レベルの仕事というのは、いままでややもすれば日米の防衛問題というのは、東京・ハワイの事務レベル、制服レベルの仕事であったように思います。アメリカ筋と称するものは、ハワイあたりから聞いたものが大体アメリカ筋というものであったのです。それを東京・ワシントンの政治レベル、新線建設といいますか、新しい路線をつくって、そして政治家が大局的に話し合って、それを下に、制服にやらせる、そういう方向の窓口を開いたという意味はあると思います。それで定期協議というのは、お互いが時間を束縛されて、議題をつくったりむだが多い、だから適当なときにお互いが行ったり来たりするという形で自主的にやろう、そういうことで大体話がまとまったと言っていいと思います。そういうようなことをやりまして、今後日米関係を効率的に、また緊密に運営していきたいと思っておるわけであります。
  89. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いまのお話の中で、もっと深く突っ込んでいきたいわけでございますけれども、あまり時間がありませんので、もう少し伺っておきたいと思います。  要するに、濃縮ウランの共同開発については、どのような形で今後話し合いが行なわれていくのかということです。見通しをまず伺っておきたいと思います。  また、基地問題について申し上げますと、御存じのように、アメリカはグアム・ドクトリン、すなわちニクソン・ドクトリンを通してアジアの撤退計画を立てているわけであります。報道によりますと、レアード国防長官、キッシンジャー大統領補佐官などと会って、長官はその感触といいますか、長官の考えている基本的な方向と一致しているような感触を伝えているわけでありますが、その点についてもう少し具体的に伺っておきたいわけであります。
  90. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 濃縮ウランの問題につきましては、先ほど申し上げましたが、アメリカ国内においても、もはや政策を変更すべきときにきている、そういう認識でありまして、原子力委員会においても、アメリカの上下原子力合同委員会の内部においても、いろいろ論議のあるところです。アメリカ国内の需要をまかない切れないという時間も迫ってきている。そこでアメリカ国民は、そういうときに外国に供給する分までもアメリカ国民が税金を出してやるということはたえられない、したがってお金のある国から金を出してもらってジョイントでやったらいい、そういう議論があって、ある議員はインテルサット方式でやろう、つまりお金を出させて、そして外国を全部合わせるとアメリカよりも資本は多いが、アメリカが個別的には資本を持っている、そういう形でやろうとか、あるいは濃縮ウランの隔膜については、現品をアメリカが供給して、その秘密は出さないというようなアイデアがあったり、ともかくいろいろなアイデアを向こうが持って検討しているわけです。それで、ヨーロッパ原子力共同体と下話をしている状態がありましたが、日本はそれを知らないで見過ごされてきたわけです。私はその情報をキャッチして、それで日本を忘れてはいかぬぞ。日本こそ、いまやそういう手当をすべき時期にきているわけであります。先ほど申し上げましたように、十年後には六千万キロワット以上の原子力発電をやろう、さらに七億三千万トンの油を供給しなければエネルギー計画が立たない、公害問題を考えれば、原子力エネルギーをもっとふやさなければならぬという状態でしょう。そのときに現在のアメリカの濃縮ウランの生産の三分の一を日本に持ってこなければ間に合わないという状態であります。しかし、アメリカは海外需要をまかない切れないのみならず、国内需要もまかない切れないという状態になってきているわけです、アメリカの現在の濃縮ウランの施設は。そういう情勢から見て、日本はいま最大限に努力をしなければ間に合わぬという状態になってきている。石炭の輸出すら、アメリカはいまや切ろうというような状況であります。ところが日本は、将来原子力発電を外国に売ろうということになるでしょう、ちょうど造船の船を売るのと同じように。そのときに燃料をつけてやらなければ買ってくれる国はないわけです。ですから、権利として取れる濃縮ウランを持っていなければだめなんであります。そういう面からいっても、ジョイントベンチャーでやって三分の一は日本の権利として取れる、そういう形にしておけば、将来は原子力発電プラントを外国に輸出できるという状態になるわけです。そういう長期的展望を持って、できるだけ早くこの問題を軌道に乗せたほうが国益に合致する、そういう考えを持ってやったのであります。そして、その方向にいま進みつつある状態であります。
  91. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 基地問題についてはどうですか。
  92. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 基地問題につきましては、私の感触では、アメリカは来会計年度以降においてかなり海外基地については予算を削減するであろう、そういう予感を持って私帰りました。それで、それは私がかねがね考えておるのと同じ方向であります。ですから、前から言っておりましたように、日本側が積極的にアメリカの基地、基地を検討して、これは要らぬじゃないか、これは整理統合したらどうだ、これは自衛隊とこういうふうにしたらどうですか、そういう積極案を持ってアメリカと話し合っていこう、こういうことで防衛庁の内部に基地管理協議会をつくりまして、その積極的な検討をあらゆる基地についてやらしているところであります。
  93. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 時間がございませんから私のほうから申し上げますが、要するに自衛隊が管理をするということについては、国民感情には非常に合うようでありますが、よく検討してまいりますと、銭勘定に合わないというような実態があるわけであります。それは、いままで米軍がその施設あるいはまた、そこにかかわる一切の費用を負担しておったわけでありますが、長官構想によりますと、自衛隊が管理して、そうして米軍に提供する、それはアメリカのニクソン・ドクトリンに沿った、それを側面から協力する一つの案でしがなかったと私は思うわけであります。いずれにしましても、私どもは、自衛隊管理の中に米軍基地を置いて、そしてその基地が返還になるというような形で米軍に提供することについては反対でございますし、またそういうことがあってはならない。どこまでも基地問題については、国民感情を第一にして、そして特に地方自治体のためになる基地の返還を強力に推進するように私は要望しておきます。  それで、限られた時間でございますので、この白書といわれる「日本防衛」のことについて伺いますが、一つは、長官が訪米して直後、次々と「日本防衛」、また新防衛力整備計画というものを出されたわけでありますが、戦後初めて「日本防衛」というものが出たわけでありますが、いまの時期になぜあえて出したのか、その点についてまず伺いたいわけであります。
  94. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は、防衛庁長官に就任しましてから、防衛問題を国民の皆さんにいろいろ議論していただこう、茶の間に入れよう、タクシーの運転手さんからお手伝いさんに至るまで防衛問題を議論していただくようにしたい、そういうことを言ってまいりまして、その一つの手段として防衛白書を出したい、そういうことを言ってきたわけであります。そういう情勢から防衛白書を手がけてまいりまして、この秋には提出するということも言ってまいりました。そういう約束もしてきたので秋に提出したわけです。そこで、これを皆さんに読んでいただいて、いろいろ疑問を提出していただき、間違っているところがあればわれわれも反省をし、直し、これからいろいろ論争を誘発する、それがやはり国民のものになっていくもとでもあります。ですから、こういう委員会でいろいろ御質問していただくことは非常に有益なことで、防衛白書を出した趣旨にも合うわけであります。大出さんには非常に感謝しているところであります。
  95. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 しかし、この「日本防衛」については、長官、申すまでもなく非常に疑問の点が多く、抽象的な表現も多いわけであります。こういう白書を出すということであるならば、世界各国の例を見てみますと、一年間おきに出しておる。しかもその脅威の分析や防衛については、周辺諸国の実態というものを明らかにしておいて、そのことを一つ防衛構想の中に盛り込んである。にもかかわらず、今回の「日本防衛」というものは、何年をめどにしているのか、またこの計画は毎年つくるものなのか、そこら辺が明確でないのでありますが、その辺についてはいかがでありますか。
  96. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 日本防衛白書は、日本の国柄がほかの国と違います。第一憲法第九条というものを持っている国であり、自衛隊というもので国を防衛している特殊の国であります。したがいまして、防衛白書もほかの国とパターンを同じくするということは無理だと思います。いわんや第一回に提出すべきものでありますから、できるだけ専門的なものを避けて一般論を国民の皆さんに読んでいただき、専門的なことは次の段階に譲ろう、そういう考えに立ってわりあい総論的なものにしたわけでございます。  これを続いて出すか出さぬかということは、もう少し様子を見まして、第一回の防衛白書に対する批判、反応等を見まして出すことを検討するということになると思います。しかし、私は、ある時点が来たら出して、屈折点ごとに国民の皆さんに問題点を示して御意見を聞くようにすることは適当だろうと思いますし、今度の白書には各論がありませんから、来年あたりは各論を中心に出したらどうか、そういう気持ちもしております。
  97. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そうしますと、五年のものか十年のものか、あるいはまたことしこういうたたき台として出しておいて、まずければ今後は絶対出さぬということなのか私はわかりませんけれども、いずれにしてもこの中で問題点が数多くございます。先ほども同僚の大出委員からもお話がございましたが、特に憲法自衛隊という関係において、政府は、砂川判決をいつも引用しまして自衛隊は合憲であるということをあげてきております。しかしながら、戦力不保持の憲法の精神からいうならば、自衛力にはおのずから限界がある、量的、質的、地域限界がなければならない、またもしそれが法律的にはっきりしなければ政策的にでも明確にすべきである、私はこのように思います。そこで装備の限界としては、先ほどB52であるとか、ICBMであるとかあるいはSLBMであるとかいうことを伺い、またそれがいままでの解釈と変わっていないことを私は知りました。しかし、実際新防衛力整備計画によりますと、たくさんのミサイルあるいはまた足の長い戦闘機、さらに早期警戒レーダー機、こういったものが装備されることになっているわけであります。私は地域限界をいままで再三質問してまいりましたが、明確にできない問題もございます。そこで伺っておきたい点は、これらの能力をどの程度考えて装備に踏み切ったのかという点でございます。まず第一に、この中にもありますように、「防衛に必要な限度においてわが国およびその周辺の海域や空域における航空優勢、制海の確保に努め、その事態から生ずる被害の局限化をはかり、侵略を早期に排除することをはかる。」、このように出ているわけでございますが、かかるために新防衛力整備計画ができ上がったということでございます。まず具体的に伺いたい点は、海の場合ですと、わが国侵略者から守る、領海、領域を守る一つ範囲というのは、わが国から何キロくらいなのか、その点伺いたいと思います。
  98. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 日本の自衛力及び次の防衛計画における限界等につきましては、先ほどいろいろ申し上げましたが、数量的な表現というものは非常にむずかしい。前から申し上げているとおりであります。(伊藤(惣)委員「距離です。」と呼ぶ)距離にしても同じ数量的なものであります。そこで方法における制限という意味において、憲法上の制限やあるいは政治上の限界というものを考えており、かつ現状が続くならばこの程度限界の映像であろうというものが浮かぶならば、国民に了解していただくのに早いために、これも早く検討するようにということをいま指示して、せっかく検討している最中であります。したがいまして、数量的なことはいま申し上げるまでに至っておらないので御了承願いたいと思います。
  99. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 このことが非常に大事であって、その想定がなく、ただいたずらに——通常兵器でも近代兵器の進展というのは目ざましい、しかもそれがだんだんと足が長くなっている、飛行機にしてもそうだという、ただ単なる装備の近代化という点においてのみこのようなものを持つということはきわめて危険であると私は思います。そういった点について検討しているということであれば、早急にその点はきめて明確にすべきであろうと私は思います。その点も要望しておきます。  特に申し上げておきたい点は、最近のあのプエブロ号事件、EC121の撃墜事件というものがございます。新防衛力整備計画においては、ファントムという足の長い飛行機を買います。特にこれがRF4EJという形で偵察機がしょっちゅう飛ぶということになります。さらにまた早期警戒レーダー機、これも飛ぶようになるわけであります。この点で、その地域的な限界を正確に定めておかないと、第二のプエブロあるいはEC血型機が撃墜されたような事態が発生しないということは、だれでもが保証できないことだと思います。そういった点について長官から、その点についてのみでけっこうですからお答え願いたいと思います。
  100. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、数量的には非常にむずかしいので、兵器につきましても大出委員の質問に対して具体的に幾つか申し上げましたが、その限界というふうに御了承願いたいと思うのです。それでファントムとおっしゃいますが、ファントムの航続距離を聞いてみますと、日本から大体三十八度線くらいまで行くのが一ぱいくらいだ、そういうことのようです。そういう点を見ますと、それほど外国に対して脅威を与えるというものではない、そういう性格だと思っておる。まあ国際的にも非常にうるさい分野でありますから、この点は慎重に今後もやってまいりたいと思います。
  101. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 時間がありませんから次の質問に入りますが、この中で明確に海外派兵は行なわないというふうにうたっておりますけれども、海外派兵と海外派遣の定義について明確にしておいていただきたい。その点法制局長官からでも答弁願いたいと思います。といいますのは、海外派兵についていま伺いますけれども、これが陸軍あるいはまた陸上自衛隊というならばわかるわけでありますが、現在の近代兵器の発達によりまして、空軍というのははるか領海のかなたから攻撃ができるわけでありますし、さらにまた船においても、小型ヘリ空母といわれるような、これは別に読んでいるわけではありませんけれども、少なくとも六機くらい積む護衛艦は小型ヘリ空母くらいに思えるわけでありますが、こういったものが公海上の防衛において遊よくするということになるわけであります。そういったことを考えてみますと、海外派兵と派遣ということを明確にしておいて、しかもなおかつ、脅威を与えるような遊よくや飛行はしてはならないと私は考えるわけであります。その点についても伺っておきたいと思います。
  102. 高辻正巳

    ○高辻説明員 私はときどきその海外派兵と海外派遣とどう違うのかということを聞かれるのでございますが、実はわれわれどうも使ったことがないのでございます、少なくとも法制局といたしましては。したがって、その違いを聞かれましてもほんとうは困るのでございますけれども、ときどき私ども現にそういう質問を受けたことがございますので、そのときのお答えも振り返りながら申し上げますと、海外派兵というのは、派兵と派遣の違いでございますから、派兵というのはおそらく兵力使用の目的を持って海外におもむくこと、簡単にいえばそういうことじゃないかと思う。ところが、海外派遣というのは兵力の使用が目的ではなくて、ほかの目的を持って、たとえば監視とか監察とか、そういうことで行くのを海外派遣というのかというふうに、まああえていうなら想像をいたしまして、そんなことであろうかというお答えにならざるを得ません。定義として私が申し上げたことがあれば、むろんはっきり申し上げますが、実はそれほど政府として統一した見解として両方のことばを区別して使った覚えがないものでございますから、あしからず御了承願います。
  103. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 じゃ一つの例を申し上げますが、たとえば第七艦隊が東南アジア方面あるいは台湾海峡などを遊よくしております。たまさかベトナムにその艦上機が命令を受けて攻撃する、こういう形の実態はどういう解釈になるのか。
  104. 高辻正巳

    ○高辻説明員 その軍艦というのはアメリカの軍艦のことでございますか。
  105. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そうです。第七艦隊です。
  106. 高辻正巳

    ○高辻説明員 第七艦隊がベトナムに飛行機を爆撃か何かの目的でやらせることは海外派兵か海外派遣か。いま申し上げたように、定義がはっきりいたしませんことを前提としてお答えをいたしましても意味がないと思いますけれども、先ほどの派兵というのは軍事目的で海外に行くこと、海外派遣というのはそうではないことという分類が正しいといたしますならば、いまの第七艦隊から兵力の使用目的を持って飛行機が爆撃に行くというようなことであるならば、これはやはり派遣でないほうに入りそうに思います。
  107. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それでは時間をかけてでけっこうでございますから、海外派遣と派兵の問題について統一見解を明確に出していただきたいと思いますが、いかがですか。
  108. 高辻正巳

    ○高辻説明員 使ったことがないものでございますので、どうもそれを統一見解を出せといっても、ちょっと私はむずかしいような気がいたします。
  109. 大出俊

    ○大出委員 ちょっと委員長一つ。これは高辻さん、増田防衛庁長官のときに、ここで九時間ぐらい実は論議をしたときに、増田さんのほうが——これは聞いておられる方がおられる。島田さん、あなた防衛局長のときです。増田防衛庁長官が一生懸命ここで派兵と派遣は違うんだということをちょうちょうなんなん述べたんだ。いいですか。監視の場合は派遣である。そのほかに二十何人派遣しているのだ。あれだけやっているのですからね。いまになってそれは法制局に見解がないというのはおかしいですよ。時の長官があれだけ責任持って答えたんだから、おかしいですよ。それは出してください。
  110. 高辻正巳

    ○高辻説明員 よくわかりました。私は、まことに申しわけないことに、その前の防衛庁長官がおやりになったときのことを承知しておりません。したがって、その見解はどうも法制局から出すのはどうかと思います。やはりお使いになったところからきちんと出していただきたいと思います。
  111. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 といいますのは、その点を前提に伺わないと、たとえば今後ヘリ空母といわれるものが公海上において遊よくするわけであります。第七艦隊といっても、あれば常時ベトナムに派兵されているのではなくて、あの太平洋沿岸を警戒しているわけであります。たまたまそういう命令が出て行くわけであります。ですからわれわれの場合も、日米安保条約範囲内において、今後はそういった問題もあろうかと思うわけであります。したがって、そういった点を明確にしていただかないと、新しい防衛力整備計画の中で、現在は六機ぐらいの護衛艦でございますが、先々はヘリ空母のようなものもできるという考え方もあるわけであります。またそういうような話も聞いております。したがって、その場合には明確にしておかないといけない問題でありますので伺ったわけであります。  それでは次に……。
  112. 大出俊

    ○大出委員 ちょっと。いまのそれだけじゃ困るのですよ、こっちからなんというのでは。長官、国連軍と一口に言っても、御存じのとおり朝鮮戦争のときの十六カ国の朝鮮国連軍がありますね。カナダのように六カ国の待機軍がありますね。コンゴなんかの緊急国連軍がありますね。また今度は停戦監視がございますね。そこで愛知外務大臣に聞いたときでも、朝鮮国連軍あるいは待機軍あるいは緊急国連軍というふうなものは、これは派兵だというわけだ。だからこれは困る。だけれども、あなた四十年ですか、予算委員会で答えているのも、そういう派遣、派兵とは言わないけれども、それに類する答弁をあなたはしている。それは何かというと、朝鮮の場合は停戦協定なんだから、これは監視なんだ、戦争目的にしていないんだから派兵じゃないんだ、監視団に行くのは派遣なんだという趣旨の言い方、これはほかの大臣からも出ている。待機軍の場合だったら、要請があれば行く、国連協力法をつくるのだから。その場合でも目的戦争で待機軍が出ていくのならば、それは派兵なんだというふうにいままで答えているのですからね。これは法律的な問題なんですよ。政治的な問題じゃないんですよ。だから、やつぱりそこらのところははっきりしておいていただかないと、今度の防衛白書では、海外派兵はしないということになっているのだけれども、では派遣はいいのかという問題が出てくるのだ。当時の松岡大使みたいに、朝鮮というのは停戦監視なんだから、派遣だからいいんだということを言っているんだ。そこは法制局、少し怠慢だよ。やはりあなた法制局長官なんだから、政治的答弁をしないで、法律的に答えてくれなければ困るのです。
  113. 高辻正巳

    ○高辻説明員 私が申し上げているのが政治的に聞かれるとすれば、私の答弁のまずさだと思いますが、実態でおっしゃっていただきますと、私はいつも実態について申し上げております。とにかく派兵と派遣というようなことばを、単にそのことばだけで申し上げることはあいまいさが残りますので、むしろ法律的に中身をとらえて申し上げているつもりでございます。しかし、派兵と派遣といずれに当たるかと言われれば、こういう場合があるいはそうかもしれない、率直に申し上げてそう言うほかはないのです。ですから、もし統一見解を示せということであれば、どういうつもりでそういう区別をしたかという観点からするお答えが必要であろうと思います。それは、たぶん私が先ほど申し上げたようなことだと思いますが、私のほうでそのことばの意義を申し上げるよりも、もし必要なら実態についてお答えをしたいと思います。
  114. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 関連。高辻さんのお話を聞いていると、あなたは防衛庁の職員じゃないのでしょう。中曽根長官やほかの連中に相談してやる必要はないのじゃないですか。なぜ法的に解釈しないのですか。あなたは、もっと根本的に法的の説明をしていただくために来ているのであって、中曽根さんの相談役で来ているのではない。そういう点からこんがらかっていくのですよ。あなたは法の番人としているのです。政府の番人じゃない。そういうところをもう少しはっきりしなさい。源が乱れるというと末が乱れてしまう、本足りて末生す、そういう点をはっきりしなければいかぬ。何のためにここに来ているのですか。長官も、言を左右にしないで、もう少し的確に答弁する責務がある。しかっているのじゃないから大らかな気持ちで聞いてほしい。  そこで、あなたの防衛白書で、こういうことをお書きになるからまぎらわしいのです。海外派兵は行なわない、これは当然のことですよ。日本は戦力を保持していない、派兵ということばはあるわけがないじゃないですか。ですから、いかなる理由のもとにおいても、海外には出動しない、こういうふうに言われればはっきりする。派兵と派遣というのがいま問題になっている。海外に派兵は行なわないというならば、では派遣はいいかということになってくる。断じて派遣もいけません。ですから、そういう点をもう少しこまかく、中曽根さんも非常に頭脳明晰だということで、私ら大いに買っておるけれども、こういうことでは見直さなければならぬ。そういう点を御両人にはっきり申し上げておきますから、的確な、国民全体が納得するような、先ほどから中曽根長官は茶の間にこれを持ち出したいとか、お手伝いさんにもわかっていただける——わかるわけがない、最高機関で論議をしている国会議員がわからないのだから。そういうことを言ったのでは話にならない。もう少し話が進むように、この防衛白書問題につきましては、きょうは三十分だというから私はやらないが、いずれじっくりやらせていただきます。いいでしょう。ですから、そういう点で納得するような御答弁を願いたいと思います。私は決して文句を言っているのじゃありません。よくお聞きいただきたい。  以上です。
  115. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 その点についてはまた機会を見まして、その実態を申し上げまして、ちゃんと見解を出していただく、きょうはっきり言えなければ、またの機会に明確にしていただきたいということを要望します。  ところで、国防の基本方針でございますけれども、中曽根防衛庁長官は、自主防衛五原則を根本にして四次防というものを考えるということでございました。今度の「日本防衛」の中では、従来からの基本方針を確認しているわけです。従来からの安保体制を基調としてということをそのまま容認している。これは、六十三国会の佐藤総理の施政方針演説にもありますように、また、中曽根長官の自主防衛構想でもある。自主防衛を主として安保を補完とするという方針というものがどうなったのか、非常にその点が問題であり、また今回の防衛白書で前に戻ったのであるならば、なぜ後退したのか、長官が自主防衛ということを前面に押し出してそのことをやるのに、政府当局あるいはまた他の閣僚からの圧力で自主防衛五原則を引っ込めたのか、その点なんかも伺っておきたいと思います。
  116. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国防の基本方針は、私はいままで国会で申し上げた精神を生かして改定したいと思っております。ただ、この白書というものは、過去にやってきている実績等をお示しして、そして未来に対して差しつかえない範囲内において展望を出すという精神でつくりましたが、国防の基本方針というような重大な問題については、まだ熟しておらない情勢でありますから、官庁文書として出すという点については制限を自分から加えたものでございます。しかし、これから改定作業を一生懸命やるつもりでございますが、できるだけ生かしていきたい、そういう気持ちでおります。それで、国防の基本方針をつくるについては、いままでのように政党の一部あるいは政府だけでつくるというやり方よりも、大ぜいの皆さんの意見を入れて、みなでつくる国防の基本方針というプロセスをできるだけとりたい、それには多少時間がかかってもやむを得ない、そういう気持ちでやりたいと思っております。いままでは白書と次の新しい防衛計画で一ぱいでありまして、国防の基本方針までとても手が回らなかったわけであります。
  117. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 これも同僚委員から先ほど伺いましたが、長官は核武装はしないということでございます。しかし、重大な変化があればそれは別だ。その重大な変化とは何か、それは核防条約の第十条にあることである。それは「この条約対象である事項に関連する異常な事態が自国の至高の利益を危うくしていると認めるときは、その主権の行使として、この条約から脱退する権利を有する。」、ここを長官は引用されて、核武装の留保をしたと私は考えております。では、この自国の至高の利益を危うくするという事態は、どのようなことを想定なさっておるのか、その点を伺いたいと思います。
  118. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それは、NPT条約の解釈にも当たりますので、外務省にお聞き願いたいと思います。しかし、私らのしろうとの勘として申し上げますと、やはり国家存立の基礎があぶなくなる、そういう危機に瀕するような情勢が出てくる場合だと思います。
  119. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 国家の存立を危うくする状態があれば、核防条約を締結しておっても直ちに核武装に踏み切るということでございますか。
  120. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 直ちに踏み切るとは前にも申し上げておらないのです。そのときにはそっちに行くのか、そのままストップしているのか、選択のポジションに入る、そういう意味です。
  121. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 ですから、その選択も、この場合、こういった存立を危うくする場合には核武装もやむなしというふうに私は思うわけでありますが、そういった国家の存立を危うくするという事態は、どういう事態を想定するかということです。
  122. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 以上申し上げたようなこと以上に申し上げることができないのを遺憾に思います。それは、やはりもう少し客観情勢が熟してきて、そういう現実的判断を生むべき材料がもっと整えられてこないと的確には答えられない、いま申し上げた抽象性で答える以外にはない、そう申し上げたいのであります。
  123. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 法律的な解釈の上では、高辻法制局長官も、防御のためならば通常弾頭も核弾頭も同じであるということを答弁されておるわけであります。そういう事態が来ることを私は決して望むわけじゃありませんし、また、戦争が起こるからということで、自衛力のために防衛力を整備するわけではないわけです。したがって、そういった点を留保したからには、こういう国家の存立を危うくするような事態、具体的にこういうことが前提であればやむを得ないんだということが、やはり留保した理由だと思うのです。そういったときに選択する自由というものを長官は考えておっしゃったと思うのです。その点をもう一回、ごまかさないで、どうか前向きに答弁願いたいわけであります。
  124. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 前向きに話しているつもりでございますが、私の法律的知識がまだ足りませんので、そういう熟した情勢でお話しできないのをまことに残念に思います。ともかく、国の存立の基礎が危険になる、そういうような状態が出てきたときが該当するんだろうと私は思います。
  125. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 先ほど法制局長官が大出委員におっしゃった中で、憲法の十八条さらに十三条に抵触するから、徴兵制は現在の憲法は許容しない、許さないということを述べられました、通説ではとおっしゃいました。それで私は、この徴兵制の問題については、法制局の中にそれに反対する、通説でない説があるようにも聞いているわけであります。もう少し突っ込みますと、憲法の十八条、十三条に抵触しない徴兵制ということであってみれば、それは許されるのかどうかということです。
  126. 高辻正巳

    ○高辻説明員 先ほどお答え申し上げましたのは、法制局の見解はどうだというお尋ねでございましたので、私は、私の責任においてお答え申し上げました。すなわち、法制局の見解はそれ以外のものはございません。通説として言ったではないかというようなことがあったとすれば、これは通説として申し上げたのではなくて、法制局の見解として申し上げたわけです。ただし、その徴兵制度、これは概念がはっきりしませんとぐあいが悪いものですから、私はいろんなものの本によりまして、まずその徴兵制度とはこういうものであるということを確定してお答え申し上げました。その徴兵制度というのは、これはまあ一般に常識的に考えられることでありますが、「国民をして兵役に服する義務を強制的に負わせる国民皆兵制度、即ち、軍隊を平時において常設し、これに要する兵を毎年徴集し一定期間訓練して、新陳交代させ、戦時編制の要員として備えるもの」これと同じようなものがございます。いま、一つ具体的にそのまま読んだわけでございますが、そういうものについては、憲法の十八条ないしは十三条、これはいずれによるかは問題はあるがということを申し上げましたが、私どもの見解としては、そのいずれにせよ、憲法上許容されないと考えるということを断言申し上げたつもりでございます。ただ学説として申し上げれば、これはたとえば、いま申し上げた憲法十八条の苦役には当たらないという説もあります。また、苦役には当たらないが戦力不保持、先ほど大出さんがおっしゃいました戦力不保持ということを非常に広範に見ております学説によりますと、その関係で論議の余地がないというような考え方がございます。それから、苦役でもない、それから戦力不保持といっても、一定限度のものは持てるのだという説から申しまして、懲兵制度もわが憲法のもとでとれるのだという説もございます。これは少数説——はっきり申し上げますが少数説でございます。しかし私は、いまこの学説の中で申し上げなかった十三条を引っぱり出したわけですけれども、十八条に当たるか当たらないかというのは、私どもから言いますと確かに疑問なんです。それは少しよけいな話になるかもしれませんが、アメリカ憲法、これは同じようにインポランタリー・サービチュードという十八条と同じような規定がありますが、アメリカにおける徴兵制度が、その憲法十八条に違反するのではないかということ。日本にはまだそういうものはございません。徴兵制度がありませんからありませんが、アメリカではそういうのが係争事件であります。連邦裁判所では、徴兵の義務というものはそんなものじゃないのだ、その意に反する苦役に服させられないというものに当たるものではないのだという判決が実は出ております。したがって、それを断言するのは、私はやはり同じような系統の憲法の規定としてやや疑問があるように思います。だから、できるというのではなくて、やはり最小限度十三条の、何というか、私は国民の個人的存立条件尊重原則と申しておりますが、そういうものからいっても、何かいま申し上げたような徴兵制度というものは許されないというのが相当であろうということを先ほど申し上げたわけです。そのいずれであるかはややあいまいにいたしましたが、結果としては、憲法上許容されるものとは言えないということを申し上げたつもりであります。
  127. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 少数意見としては、そういう説もあるということでございますが、それはまたおりを見まして伺っておきたいと思っております。  それでは長官、時間がありませんので続けて申し上げますから、どうか落とさないように、具体的に明確にお答え願いたいと思います。  まず、今回、新防衛力整備計画という名前を使った理由、われわれは四次防、五次防というふうに考えておったわけでありますが、その理由です。  それから、その防衛力整備計画からして、今度の五カ年間の四次防といいますか、そういうものを見ていきますと、長官は記者会見において、山にたとえるならば、海上自衛隊は五合目である、陸上自衛隊は八合目である、航空自衛隊はその中間で六合目か七合目である、こういうことを言われたわけでありますけれども、ということは、新防衛力整備計画によりますと、それぞれ十合目まで整備するというふうに考えられます。それでは残ったものはどんなものがあるのかということであります。陸上自衛隊で八合目、次の十合目までは何が残っているのか、航空自衛隊はどういうことを想定しているのか、さらにまた海上自衛隊においてはどういう程度のことを考えているのか、そういうことが、即新防衛力整備計画の内容ではないかと思いますが、その点について。  それから、自主防衛体制の最終的な目標といいますか、そういった点についても伺っておきたいと思います。  それから、この新防衛力整備計画は五兆二千億円であるということでございますが、この根拠は、何を想定してこのような一つのものを組んだのかということでございます。  それから、大蔵省のほうに伺いたいのですけれども、この新防衛力整備計画については、大蔵当局としてはどのように評価をしているのか。さらに、その中で特にヘリコプター搭載の護衛艦であるとか、いままでにない八千トンクラスの船舶があるわけでございます。あるいはまたミサイルを装備した艦艇、こういったものは周辺諸国に非常に刺激を与えるものだと私は考えるわけでありますが、そういった点について大蔵当局はどうお考えなのか。さらにまた、四十六年度の予算編成の内示はおそらく今年末か来年になると思いますが、基地の対策、それから隊員の処遇改善、こういった問題は急を要する問題であると思います。そういった点について私どもは防衛庁並びに大蔵省にも申し入れしたわけではございますけれども、そういった面の進捗状況というものを伺っておきたいと思います。どうかその点について明確に答弁願いたいと思います。
  128. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まず名称でございますが、ことしは安保条約は自動継続になって、そういう意味でいままでの時代と様相が違ってきたわけであります。七〇年代という新しい時代にいよいよ入ってまいりましたから、過去の衣を脱ぎ捨てて、新防衛計画、そういうふうに新鮮な名前にしたというのが私の考え方です。  それから、三自衛隊について、私はたしか比喩的に申し上げたことがあると思うのです。一番進んでいるのは陸である。これは高校の上級生ぐらいじゃないか。それから、その次は空であって、これは高校の中級か下級。それから海は中学生の上級ぐらいじゃないか。たしかそんな比喩を申し上げたことがあると思います。これは、三自衛隊の現在の整備状況を、自分たちがイメージとして考えているものからするとその程度のような感じを申し上げたのであります。では何が残っているか、こう言われますと、それはさっき申し上げた限界のイメージというものについて、いま検討を加えさせ始めたところでありまして、そういう作業が進み次第、もし御報告ができれば申し上げて差しつかえないと思います。  それから、五兆二千億円という金額でございますが、これは、たしか道路の計画が五カ年計画で十兆三千億円、下水道が三兆五千億円だったと記憶しております。大体その間における社会保障費や教育研究費の動向も考え、またGNPというものも一面におきまして研究してみまして、そして国民生活を圧迫しないで、経済成長を阻害しないで、まあまあ国民がこの程度はと——ことしやるというのではありませんから、大体七年後が一番最終の段階ですね。そういう七年後の日本はどういう状態になっているかということを考えてみますと、そのころのGNP全般を計算すると六百数十兆円になるわけです。六百数十兆の五兆二千億円という程度ならば、まあまあ国民も了承していただけるのではないか、そういうふうなセンスでこの数字をきめたわけでございます。  それから、あと基地の関係とか待遇の改善等については、来年度からさっそくとりかかれるものは予算要求しておりまして、退職金の問題とかあるいは殉職者の扱いとか、あるいは官舎、隊舎の改善とか、そういう問題については鋭意改善の努力を積み重ねてまいるつもりであります。
  129. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 ただいまのいわゆる四次防の概案につきましての大蔵省の評価という御質問ですが、実はわれわれとしましては、今回発表になりました四次防の概要なるものは、別に防衛庁の最終的案としてこれが固まっているものではなくて、今後さらに作業を進めていく上の骨格的な素案を発表されたというふうに聞いておるわけです。それで、実は具体的な数字等につきましては、われわれとしましても新聞で初めて知ったような状態であります。詳しい内容についてはよく承知しておりませんので、現段階においてこれをどう評価するかというような段階にないわけでございます。  それから、いろいろ来年度予算の関連で基地対策、隊員の処遇改善という問題ですが、これは現在検討中の段階で、十分検討してまいりたい、そう考えております。
  130. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 最後に一言。要するに、いままで伺いましたけれども、その内容や、それから想定あるいは分析等についても非常に明確でない。抽象あいまいの段階を出ていないわけでございます。私が最後に一言だけ申し上げておきたい点は、自主防衛といいあるいは新しい防衛力整備計画といっても、GNPのみを強調して装備するということは、これは反対でございます。そしてまた、そういった中で検討されたものは決して国民が納得できない。この世論調査にもございますが、白書の中の最後の世論調査でも、自衛隊の支持率が四十年の八〇何%から七五%に落ちておる、こういう実態を見ても、非常に今後の自衛隊のあり方に国民は危惧を持っておるという一つの証明になるのではないかと私は思います。したがいまして、この新しい防衛力整備計画については、私は中止をすべきであると思いますし、さらにまた、国民に納得できるような防衛構想、白書というものを出すべきである、そのことを申し添えまして、質問を終わります。
  131. 天野公義

    天野委員長 和田耕作君。
  132. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 長官に二、三お伺いしたいと思います。  この三、四日のうちに長官がもしおやめになるようなことになると、いま質問する心がまえもいろいろ変わってくるわけでございます。それで私は、せんだって北海道方面を回りますと、現地の司令、指揮官あるいは自衛隊員もそうですけれども、長官を非常に高く評価をしている人が多い。特に長官は、よきにつけ悪しきにつけ防衛問題について非常に意欲的な態度で臨んでおられる。今度の四次防の問題でも、いろいろ問題はありますけれども、責任者は長官でございますので、長官の気持ちとして今後引き続いてやる決意を持っておられるか。これは佐藤さんに聞かなければわかりませんが、長官としての気持ちは今後やる決意を持っておられるかどうか、あるいはここら辺でかわったほうがいいという判断をしておられるのか。もしお聞かせいただければありがたいと思います。
  133. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは佐藤総理大臣がおきめになることで、われわれ党員は、総裁、総理大臣の命ずるところに従って協力するというのが趣旨であろうと思います。自民党の中にも多士済々、非常にりっぱな有能な防衛庁長官の適任者も大ぜいおられますから、私が何も便々とおる必要もないかとも思いますが、四選に出る総理大臣の気持ちと同じですな。やはりやれといえば党人としてやらざるを得ぬという気持ちもあることはもちろんであります。
  134. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 もう一つ最近の問題で長官の心境をお聞きしておきたいのですけれども、二十五日の大部分の朝刊で、中共側で中曽根長官を名ざしをして、日本の軍国主義は復活をしておるのだ、その元凶とは書いてないのですけれども、さむらい大将くらいのところで長官を非常に非難をしておる記事がございました。私は、東南アジア諸国の人たちがそういうことに言及するのはまだわかると思うのですけれども、私自身は、日本の現状が軍国主義になっておるという感じはしておりません。自衛隊もサラリーマンになっては困るのだ、隊員を募集しても集まらないという実情を見ても、そういうような状態にあると思わないのですけれども、また中共自身が、たとえば二百五十万という陸上兵力を持つあるいは二千八百機の空軍を持つあるいは核兵器を持つ、その運搬手段を持つ、こういうふうな段階で、中国からそういうような非難を受けた。これは日本防衛の代表者が中曽根長官なんですから、この問題を長官は非常に心外だ、何か言いたいという気持ちがあるかどうか。
  135. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この記事を読んでみますと、私がアジア調査会でやった講演を取り上げて、名ざしで論評を加え、非難しておられるようですけれども、まことに心外でありまして、私が申し上げたそのときの講演の内容及び私がアメリカでやりました演説あるいは今度の白書、それをごらんになれば、日本の平和的意図と申しますか、戦々恐々として国際的な疑惑を招かないように、薄氷を踏む思いで日本防衛の問題を取り扱っているのに、その真意を誤解しておるのでありまして、まことに遺憾なことであります。こういう誤解はできるだけすみやかに解いていただきたいと思っております。
  136. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いままで長官も佐藤総理大臣も、この問題について正式に中共側に意思を表明したことはないという感じがするのですけれども、いま申しておられるその非常に心外である、日本はそういう状態ではないのだ、おまえさんはどういう状態だ、そういうふうなことを言っていいかどうかわかりませんけれども、そういうことを声明する気持ちはありますか。
  137. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 外国の新聞がどうだこうだからといって、一々これを取り上げたら切りがないのでありまして、参考に読んでおく程度でいいのじゃないかと思っております。
  138. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これはしかし、ソ連もそれほどでもないけれども取り上げている。中共は一番強く取り上げている。これはヨーロッパ諸国も、それに関連したいろんな評論がありますけれども、大体方向としてはそういうふうな問題を問題にしているということがあるわけです。この新しい防衛計画でも、長官のことばがいろいろ載っておりますけれども、ほんとうに日本の平和というものに徹して、そして専守防衛というものに徹しておるという気持ちがあるなれば、こういう問題についてやはりいろんなことを言っている、いずこも言っているということではなくて、長官としての所信を明らかにすべきだと思うのですけれども、その点重ねてひとつお伺いしたい。
  139. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 中国に対する政策は非常に慎重を要するのでありまして、私は善隣友好ということを心がけておりますから、売りことば買いことばで、新聞がいったことについて一々ことあげするということは慎みたいと思っております。しかし、時間をかければ私の真意はいずれ了解されるだろうと思っております。
  140. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それからもう一点ですけれども、新しい防衛計画の説明の中に分裂国家ということばを使っております。これは国連で佐藤総理も使っておるのですけれども、分裂国家というのは東西ドイツがある、南北朝鮮がある、そして世間の常識では大陸の中国と台湾があるというふうに見られておるのですけれども、長官もそういうふうな意味を含めて分裂国家ということばをお使いになったのですか。
  141. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 大体そうであります。
  142. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 この分裂国家という場合は、たとえば東西ドイツにしましても、二つの国家が、あるいは政府がある。あるいは南北朝鮮にしても、二つの政府があり、二つの国家がある。こういうふうに見られておる。中国の場合にもやはり、大陸を支配している北京政府と、あるいは台湾の地域を支配している台湾の政府というものがある。こういうふうに理解しておると了解していいんですか。
  143. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは定義の問題でありますが、国家のほうへ力を置くのか分裂のほうに力を置くのか、たとえば台湾、国府と北京政府関係というものは、一つの国家で二つの勢力が大陸とあるいは台湾に存在する、そういう形で両方とも一つの国家だと言っておるのですが、しかし一つの国が分かれていることは現実問題として事実です。そういう意味で分裂ということばを使い得るのではないか。国々によってそのニュアンスが違います。がしかし、一般的に言ってそういう範疇に入る。そのかわり、分裂国家ということばの内容は、非常に複雑な豊富な内容を持っている、そう解釈されたほうがいいと思うのであります。
  144. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 その問題について、外務省の方いらっしゃいますね、分裂国家、二つの国家あるいは政府とみなしておるかどうかという問題、大陸中国と台湾を……。
  145. 金沢正雄

    ○金沢説明員 日本といたしましては、御承知のように一九五二年に台湾と国交を結んだわけでございます。それで、これを中国の正統の政府だということで認めたわけでございます。そういうことで、日本としては一つの中国ということで従来も考えておりましたし、今後もそういうことで考えるということだろうと思います。ただ現実問題といたしまして、台湾政府の支配力は中国大陸には及んでいないということは事実でございます。したがって、そういう事実というものは踏まえて、北京の政府との間の関係というものは、極東の緊張を緩和するという目的のためにも接触を保って改善していかなければならない、こういうふうに考えておる次第であります。
  146. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私が質問しておりますのは、その分裂国家ということの意味なんです。分裂国家というのは分裂した二つの国家という意味ですね。そうですね。そうすれば、先ほど中曽根長官も東西ドイツあるいは南北朝鮮と同じように中国の問題も考えておるという御答弁だったのですけれども、そういう認識に立って佐藤総理大臣も今度国連でその演説をなさったということですね。ということは、いろいろ内容は複雑です。それは三つの場合にそれぞれ違います。違いますけれども、二つの国家があるという意味で分裂国家ということばを使ったということは間違いないですね。
  147. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 分裂国家という表現は、一つの国に現実に二つの政府、あるいは政治権力が存在するという客観的事実をそのまま指摘しただけでありまして、政府が政策として二つの中国を認めるとか、二つの朝鮮の存在を認めるとかの主張をしておるわけではありません。中国問題についていえば、政府としてはいわゆる二つの中国方式をとらず、中国はあくまで一つであるという考え方に一貫しておるわけであります。
  148. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それは説明としてはよくわかります。つまり、先ほど私が申し上げたとおり二つのドイツ、二つの朝鮮、そして二つの中国という問題が現実にはあるわけです。客観的にはあるわけですね、分裂国家ということばを使っておりますから。そうですね。そういうことになりますと、この問題はもうそろそろ、防衛問題の幾多の重要懸案と同じように、ことばのあやで問題をすりかえるようなことはおよしになって、先ほども政府自身、佐藤総理大臣自身がそういうことばを使ったのですから、はっきり二つの政府があり——これはいつまで続くのやらわからぬ、それは両方とも一つの国家だと言っておるけれども、客観的な事実としては二つの国家があるということを認めておるという前提に立ってこの防衛白書の問題も考えておるというふうに了解したほうが自然だと思うのですけれども、その問題はどうでしょう。
  149. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたような非常に内容の複雑な、豊富な一般的概念としてお考えいただきたいと思います。
  150. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 きょうは時間もありませんので、特にその問題について、先ほどからいろいろな憲法あるいは核兵器問題等についてのあれがありましたけれども、もう四次防を出してくる、長官の言われる自主防衛という体制ははっきりしてくる、つまり防衛についての日本国民としての概念を、いままでもやもやしたいろいろな問題から越えて明らかにしていく、そして国民に対して共感を求めていく、こういう責任のある一つの体制をとろうとしておるところに、これはよきにつけあしきにつけ中曽根長官一つの存在の意味があるわけですね、そういうことですから、中国の問題につきましても、そういうふうなことについても、私はもう政府が踏み切ってそういう発言をされたのかなという印象を持ったのですけれども、その点は従来のとおりなんですか。あるいは若干ニュアンスにおいて違う立場をとっておりますか。
  151. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 従来のとおりの一般的概念として申し上げているわけです。
  152. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 この問題は、それで一応私はいままでの政府考え方から一歩抜けた感じを受けておるし、たくさんの国民もそういうふうな感じを受けておるというふうに思うのですけれども、こういうことを私が申し上げたからといって、中国の問題をますます緊張を高めていくとか、日本の自主性を高めて、そしていばったようなことを言えばいいというふうな、そういう気持ちで言っているわけではないのです。ないのですけれども、その大事な問題をごまかしておいたのでは、いつまでたっても解決はしないということを考えるがためにいまの問題を申し上げているわけなのですけれども、長官、あなたが出した四次防の問題についても責任をとろうとしているわけですから、この問題については、あんまりあいまいな状態のままではなくて、ひとつ今後ぜひとも一歩前進をさして、そして日本防衛の問題を考えていくという態度をとってほしいと思うのです。  それからもう一つの問題ですけれども、これもあいまいな概念の一つなのですが、自衛隊法にも間接侵略という問題があります。間接侵略という問題を考える場合に、どこがこの侵略をやる可能性があるのかということになりますと、日本の周辺を考えた場合に、ソ連あるいは中共、ひょっとしたら北鮮ということになりますけれども、これは少しイメージが遠い。ソ連、中共という国が出てくるわけだと思うのですけれども、そのような想像なり判断は間違っておりますか。
  153. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 日本は仮想敵国を持たないということは前から申し上げているとおりでございまして、直接侵略であろうが間接侵略であろうが、いずれにせよ仮想敵国というものは想定いたしません。そのようにお答えいたすのみであります。
  154. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 仮想敵国は持たないという気持ち、それは大切だと思います。しかし私が質問しておるのは、間接侵略に備えるために日本自衛隊はあるのだという一つの大きな原則がある、それだけではないですけれども。しからば、その間接侵略に備えるための具体的に可能性のある国はどこかといえば、いまのソ連かあるいは中共だと思われるのだが、その点については仮想敵国と言ってないのですよ。そのことばを具体的に想像すると、ソ連あるいは中共との関連において間接侵略というものが考えられると思うのだけれども、長官はどういうようにお考えになるのか、こう質問しておるわけです。
  155. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 仮想敵国というものを持たないと言明しておる政府であり、かつ私の職責でありまして、そういう点に関していまの御質問に正面からお答えすることはこの際慎んだほうがいいと思います。
  156. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それでは反対のほうから御質問しますけれども、この仮想敵国の可能性として韓国が考えられますか、あるいは台湾が考えられますか、あるいはアメリカが考えられますか、これは否定になりますか、どうですか。
  157. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いずれの国に対しても善隣友好、その精神でいくのでありまして、考えてはおりません。
  158. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 もし長官が自信を持って自主防衛という問題を言っておるとするなれば、そこらあたりの問題をあいまいにしてはいけないということだと私は思うのです。というのは、現地のいろいろな自衛隊の状態を見ましても、それはたしかに長官も書いているように、一部の変なのもおるけれども、大部分がりっぱにやっているのだ、意気が盛んなのだ、こういうふうに書いておりますけれども、私どもこの前内閣委員会で北方のほうに調査に行ったときに、私の端的な感じは、どうもこれはサラリーマン化している。何を目標に教育しているのかわからない、あるいは教育されているのかわからない。自衛隊の人々が言うのには、一にも二にも三にも、つまり給与をもっと高めてくれ、あるいは宿舎問題を考えてくれということだけであって、こういう問題について端的な一つの不安を感ずるわけなのですよね。また四次防の中にも、長官は、第一の項目に教育の問題を中心に考える、こうおつしゃっておられる。教育の場合に、やはり日本の国土を防衛するというための教育なんですから、それは一般の民主教育もあるし、平和教育も大事だけれども、そういうふうな教育をする場合には、どういうふうな状態で防衛するのかということを、いままでのように明らかにしないままでは、一般の常識をもってしても、これはものの役には立たない。ものの役に立たないものをたくさんのお金を使ってやっても、これは意味のないことだ、そういうふうな感じを私は持つのですけれども、いまの間接侵略の問題でも、政府はそろそろ、はっきりと責任を持ってそういうことを言う時期ではないのか。どういうために日本自衛隊はあるのだ、自分たちはどういうふうな状況のもとで祖国を防衛しなければならないのだ、というような問題を端的に言わないと、いまの自衛隊というものは結局どういうふうなことになるかもわからない。それをもやもやさしたままで、いろいろなことばで、雑音として自民党の諸君にもずいぶんそういうことを言う人がおりますけれども、そういう肝心なところがあいまいになって雑音がいろいろ出てきておるということが、むしろ日本の軍国的な意図をいろいろ憶測される一番大きな原因じゃないか。もっと正直に日本の置かれた立場を話し、そうして自衛隊がやるべき任務を堂々とお話しになって、そうして警戒すべき国というような問題も話をする、それほど言ったってソ連も中国も何もびくびくすることはないし、あるいはまた反感を持つこともないのじゃないかと私は思うのです。大体日本は平和国家としてやろうと思っているのだから、誠心誠意そう思っているわけですから。それにしても独立国として日本を守ろうという意気があるわけですから、そこらあたりはあまりもやもやしないでおやりになったほうがいいのじゃないか。もし新しい長官長官がなるとすれば、こういう問題を何もかもはっきりしろといっても、それはできないことはわかっていますけれども、大事な点だけはもやもやしないで、そうして明らかにするような心がまえでおってほしいというように私は思うのですけれども、気持ちをひとつお伺いしたい。
  159. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 暴力をもって憲法をじゅうりんして、そうして政府を転覆するとか社会秩序を破壊する、そういうものはわれわれ日本国民の敵であると思っています。そういうような動きが外国との連携において行なわれるという場合には、間接侵略の様相は非常に強くなってくる。自衛隊は、万一そういうことが出てきた場合に、できるだけこれは支援後拠で警察にやってもらうことでありますが、防衛庁設置法、自衛隊法の命ずるところに従って行動することである、そういうことであると思います。
  160. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 もう一つ、明らかにお答えいただければありがたいと思うのですけれども、憲法の問題なんです。憲法九条の解釈は、この説明にもいろいろあります。これはそのとおりで私はいいと思います。思いますけれども、憲法前文を含めて、憲法全体を中曽根長官は忠実に守るという決意を持っておられるかどうかということをお聞きしたい。
  161. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 忠実に守るという決意を持っております。
  162. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それからもう一つの問題は、五兆七千億という四次防の大体のスケールの問題、大体国民所得の一%ということを言われておるのですけれども、防衛力の歯どめというものは現在非常に重要だと思います。歯どめの非常に寄りどころのある一つとして、国民所得の一%以上にはならないというふうに言い切ってほしいと思うのですけれども、どうでしょうか。
  163. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 おそらくその見当だろうと私は思うのですけれども、こういう公式の席上でそれを明言するということは、私としてはまだできない状態です。そういうことは少なくとも国防会議とか閣議とか、そういうものを経ないといけないことではないかと思います。
  164. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 防衛力の内容の問題もいろいろ重要な問題がありますけれども、内容の問題になるといろいろ複雑になってくる。ただ、日本は平和憲法という特殊な憲法を持っている国なんですから、こういう国としては、これ以上はふやさないぞということは非常に重要な問題になる。そういうような意味で、いまの一%を今後とも考えられる将来においてはこえないという一つの決意を中曽根長官ば気持ちの上として持っておる、こう理解していいのですね。
  165. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は個人の政治家としてはその辺の水準でいくのが賢明だと思っております。しかし、防衛庁長官として、あるいは国務大臣としての答弁ということになりますと、その点はやはりいろいろな手続を必要といたしますから、その点はつつしみたいと思います。
  166. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 最後にニクソン・ドクトリンの問題なんですけれども、これはやはりいろいろな情報なり、あるいはこの前私は南ベトナムに行ってきたのですけれども、現地のいろいろな受け取り方にしても、これはアメリカとしては、特にニクソン政権としては、国内事情からいっても言うだけではなくて相当やるのではないかという印象を持つのですけれども、長官今度アメリカに行かれて、この問題についてどういう御感想を持ったのか。これはやると言ったってすぐやるわけではない。アメリカが約束したいろいろな果たさなければならない責務もある。状態の変化に対応することは必要だけれども、とにかくあらゆる機会を通じてこの方針を貫徹しようというような気がまえが受け取られたのか、あるいは非常に弾力的で、これは一応の目安であってどうなるかわからないのだ、こういうことはあまり念頭に入れる必要はないのだというふうに受け取られたのか、二つの判断をお伺いしたい。
  167. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 長期的政策としてやるという印象を受けてきました。
  168. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 その長期的も大体一九七〇年代の前半、七五年ごろまでには、あらかたそういうふうな問題が、いろいろな状況の変化があるにもかかわらず実行されてくるというような判断でしょうか。その時期をちょっと具体的にしていただきたい。
  169. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その辺は、極東諸国、特に中国との関係がどういうように推移するかということが非常に強くかかっておるポイントでもあると思います。
  170. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 どうもありがとうございました。
  171. 受田新吉

    ○受田委員 関連。私、和田委員の質問の中で釈然とせぬ点が発生しておるので、一点だけ。  防衛庁長官、あなたはいま、日本の周辺に、日本に対して影響力のある間接侵略のおそれのあるという懸念を持っている場合はないかという和田委員の質問に対して、すべての国を平等に見ておられるようでございますが、日本防衛白書の中の「極東における軍事情勢」−中共とソ連、ソ連と北鮮、北鮮と中共との間に結ばれているそれぞれの友好同盟条約の中には、明白に日本を仮想敵国としている規定のあることは御存じのとおりと思うのです。そうした日本を仮想敵国にしているアジアの国があるというこのことを「極東における軍事情勢」の中で一応あげて、しかし相手はそうやっているが、わがほうはそれに対して何ら仮想敵国の考えを持つものでないというふうな分析をされておらないのかどうか。この点はやはり大事な問題だと思うのです。同時に、日本の周辺に出没している国籍不明の艦船、飛行機というものは一体どの国のものと思われるのか。防衛庁はそういう日本——これはあなたのほうの白書にも出ている。多数の、しばしばあらわれている国籍不明の飛行機、艦船というものがどの国のものであるかもわからないような防衛庁であるということになると、これはとぼけた防衛庁であると思うのですが、そういうものもあわせて御答弁を願いたい。
  172. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういうことは全部知っております。知っておるけれども、白書の影響を考えますとそういうことは出さないほうがいい、そう思って出さなかったわけです。
  173. 天野公義

    天野委員長 東中光雄君。
  174. 東中光雄

    ○東中委員 時間がないのですが、最初に能勢町のナイキ基地設置のことについて若干聞いておきたいのです。  地元の能勢町議会も反対決議をしまして、大阪、京都府議会、また周辺の池田、茨木、高槻、吹田、こういった市議会が反対決議をやっておるのでありますが、なお能勢へのナイキ基地建設の予定を強行していかれるおつもりなのかどうか、長官にお伺いしたい。
  175. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 能勢町のナイキ基地の設置につきましては、時間をかけても説得につとめる所存でございまして、地元の理解と御協力を得られるように大いに努力いたしたいと思っているわけです。
  176. 東中光雄

    ○東中委員 いま用地取得について話を進めておられるのかどうか、どの段階まで行っておるのかを明らかにしていただきたいと思います。
  177. 江藤淳雄

    ○江藤説明員 御承知のとおり、能勢のナイキ陣地の用地取得は、現在のところ思うように進行いたしておりません。
  178. 東中光雄

    ○東中委員 用地取得の交渉をすでにやっておられるのかどうか、土地所有者に当たっておられるのかどうかということと、施設局に対してどういう指示をされておるのか、その点をお聞きしたい。
  179. 江藤淳雄

    ○江藤説明員 現在のところ、ナイキ陣地に対する一般論としての反対が非常に強くなっておりますので、具体的に用地の交渉までは進んでおりません。したがいまして、現在のところはもつ。ばらナイキ陣地というものの必要性とかあるいはその安全性とかいうものにつきましてのPRを主として行ないまして、地元のほうの空気がある程度進行したところで用地の取得交渉に入りたいと考えております。
  180. 東中光雄

    ○東中委員 たとえば池田市議会の事務局へ防衛庁から三佐の人が行って、反対決議の内容だけじゃなくて、その提案の経過とか審議の内容、こういったことも聞いておられる。あるいは吹田市でもそういうことがあったように聞いておるのです。いま長官は、議会として反対決議をやっているということに対して、地元の了解を得る交渉を長期の展望の上でやると言われるのですが、これは地方議会の意思に対して何か切りくずしをやっておられるような感じを非常に強く持っているわけです。そういうことも含めて地元の了解を得るような方向で進んでいくと言われているのか、その内容を伺いたい。
  181. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういう土地の買収その他のケースでは、初めは反対決議をされましても、理解の進むにつれて応諾したり同意をしたり協力をしてくれるというケースがかなりございます。そういう意味で、反対決議をされたからといってあきらめてはいけないのであります。
  182. 東中光雄

    ○東中委員 あきらめない、そうすると、そういう市議会に対する工作も含めて——あるいは地元に対する宣伝とおっしゃったのですが、どういう宣伝、了解を得る方法をとっておられるのか、これをひとつ明らかにしておいていただきたい。
  183. 江藤淳雄

    ○江藤説明員 先ほど申し上げましたように、一般例としましてナイキの実態がよく理解されないままに反対をされる例が非常に多いわけでございます。その意味におきまして、ナイキを設置した場合における安全性の問題とか観光との関係、あるいはナイキをなぜ能勢町に設置しなければならないかという地理的な事情、そういうものを十分御説明しまして、防衛庁の真意を理解していただいた上で具体的に設置の手順に入ってまいりたいというところで、現在局のほうで具体的なPRと申しますか、説得のいろいろな手だてをしておると聞いております。
  184. 東中光雄

    ○東中委員 手だてとおっしゃったのですが、どういうことをやっていらっしゃるのかということをお聞きしているわけです。いろいろ手だてをやっていると言われる、その手だての内容を知りたいということと、それからそれぞれの議会が反対決議をしていますけれども、それはナイキに対する理解がなくて反対決議をしているのだというふうにきめておられるような印象をいま受けたわけですが、それぞれの議会の反対決議、反対理由というものを防衛庁としてはどういうふうに理解しておられるのですか、この点を明らかにしていただきたい。
  185. 江藤淳雄

    ○江藤説明員 防衛庁としましては、反対決議の趣旨というものは、従来ナイキ基地を設置してまいります場合に、どこの市町村におきましてもおおむね反対決議をされてまいっておる経緯にかんがみまして、大体能勢町の場合におきましても、あるいはその周辺の町村における反対決議というものも、おおむねナイキの実情について十分な理解がないままに反対決議をされておるというふうに承知いたしております。そういう意味におきまして、当面はナイキ設置の趣旨につきまして、地元の方々に十分理解をしていただくような方法を現在局のほうでやるようにしておりますが、具体的にどの程度やっておるかにつきましては、まだ報告がまいっておりません。
  186. 東中光雄

    ○東中委員 一般的に従来の反対決議の場合はと、こうおつしゃつたのですが、事は具体的な問題で、具体的なそれぞれの議会が決議をやっておるわけです。その反対決議の理由を防衛庁は誤解に基づくものだと、こうおつしゃっておるけれども、それはそうじゃないのです。具体的な理由をあげているんだから、その理由をどうおつかみになっているのかということですね。それを聞いておるわけです。
  187. 江藤淳雄

    ○江藤説明員 ナイキというものに対する真意が十分に地元の方々に御理解いただいていないという点が、多分にあると考えております。そういう意味におきまして、今後、ナイキ設置の必要性とかあるいはその安全性とかいうようなものにつきまして十分御説明申し上げましたならば、たぶんこれまでの例と同じように地元の理解が得られるのではないかという、そういう含みをもちましていろいろと配慮をいたしておるという段階でございます。
  188. 東中光雄

    ○東中委員 そうすると、時間をとりますので、最後にまとめて聞きたいのですけれども、結局地元の土地所有者の問題をいま言っているわけじゃないわけですから、その交渉じゃなくて、地元の議会、地元の意思について、反対の意思がある限りは設置はしない、了解を得るためにいまやっておる、こうおつしゃるわけですから、地元の意思を尊重して、それぞれの関連議会が反対決議をしているままで強行するというようなことはしないというふうにお聞きしていいですか、どうですか。
  189. 江藤淳雄

    ○江藤説明員 ナイキ基地の設置にしましても、また今後部隊が長期にわたって駐とんいたします関係もございまして、十分地元の理解が得られなければ、今後の協力もまた得られないという前提・に立ちまして、まず地元の町の方々あるいは町議会の方々に十分な理解を得るようにいたしてまいりたい。その上で具体的に用地の場所も決定し、取得の交渉に入ってまいりたいというふうに考えております。
  190. 東中光雄

    ○東中委員 四次防では、阪神地域にホークの配備も計画の中に入っているわけですが、結局阪神地域のいまの能勢あるいは大阪南側、こういったところのナイキの配備とあわせて、結局ナイキの配備から、それと関連してホークの配備もやられる計画、そういうふうに聞いていいのかどうか。
  191. 宍戸基男

    宍戸説明員 四次防につきましての具体的な地域のことはまだ考えておりません。阪神方面にホークをふやすべきであるという考え方は基本に持っておりますが、能勢町その他の具体的な計画は持っておりません。
  192. 東中光雄

    ○東中委員 次の問題に移りますが、いずれにしましても地元の意思をよく尊重していただいて、それから理由をはっきりと——一般的にかってに防衛庁できめて、そして誤解だと言って押しつけていくようなことにならないように、強くまず要請しておきたいと思うのです。  それで、四次防計画に関連してお聞きしたいのですが、先ほども質疑がございましたが、ここではわが国周辺における航空優勢、制海を確保する、そういう基本構想というものが出されておるわけですが、「航空優勢」といわれておるのは、従来からいわれておる制海、制空権確保というのと同じ意義に解していいのかどうか、特別に違うのか、その点をまず簡単にお聞きしたいと思います。
  193. 宍戸基男

    宍戸説明員 ことばの定義は、それほど厳密に区別しておるわけではございませんけれども、われわれの頭で考えておる様相、実態を申し上げますと、もちろん進攻様相というものも千差万別でございますので、これもなかなか一がいに表現しにくいわけでございますけれども、標準的に申しますと、航空機による本格的な進攻があるとした場合に、できるだけ第一撃で相当な損害を進攻者の憶うにわがほうが与える。そうしてその進攻企図を挫折せしめる程度のものを持ちたい、こういうことによって進攻抑止することが大事である、こういう考え方から「航空優勢」ということばを使った、こういうことであります。
  194. 東中光雄

    ○東中委員 航空優勢、制海確保ということで、領空、領海から公空、公海へ出ていって、そこで第一撃でそれを押えるというか、そういう体制を目ざす、こう言われたと思うのですが、そういう体制は、四次防では具体的な体制としてはどういう体制になるのか、防衛体制は。
  195. 宍戸基男

    宍戸説明員 趣旨は、先ほど申し上げましたような趣旨といいますか、目標でございますが、具体的にどういうふうになるかということでございますと、御承知のように、レーダーサイトを中心とします警戒管制網というものを基盤にしまして、そうして要撃戦闘機部隊あるいは各種のミサイル部隊、そういう防空部隊によって、いま申し上げたようなことを達成したい。それで、わが本土の領域の領海、領空、領土を守るためには、そこまで来てしまったものを撃破することももちろんですけれども、本来は、守るためには、公海上で早くレーダーで発見して、わがほうの要撃戦闘機も早くそれを撃破する体制になって、できれば本土に取っつく前にそれを落としたいという考え方が基本になっております。
  196. 東中光雄

    ○東中委員 先ほど同僚議員の質問で、周辺の距離的というか、数量的なことはまだ言えないというふうに長官言われたのですが、これは事柄の性質上、周辺というのは、いま防衛局長のお話でもどんどん広がっていく必然性を持っておると思うのですね。それだけにその範囲というのは、非常に重要になってくると思うのであります。これは領海から何キロというような、そういう数字的なことを聞こうと思っておるのではないのですが、長官、その点どういうところまでの制空というか、航空優勢とか制海とかということを考えておられるか、明らかにしていただきたい。
  197. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 本土防衛のために必要な範囲内において有効に対処し得る限度防衛である、そういうふうにお答えを申し上げることができると思います。
  198. 東中光雄

    ○東中委員 それは、周辺ということばと同じように、全く抽象的で意味をなさないわけです。具体的な、たとえば今度新しくRF4Eですか、偵察機をつくられる。これは航空優勢との関係現実に偵察という問題を構想の中に入れてでなければ、航空優勢あるいは制空確保というようなことは現実的にあり得ないわけですから、いま必要な範囲と言われているのは、それが一体どこなんだ、防衛識別圏は線を引かれているわけですから、これも必要な範囲といえば必要な範囲にきまっているわけですけれども、どこを必要だというふうに防衛庁ではいま考えているのか、現実に動く体制があるわけですから、それをお聞きしたいわけです。抽象化しないで、実際に動く防衛庁の活動としてその範囲を明らかにしていただきたい。これはそうしなければ意味がないわけです。
  199. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それはそのときの態様によって変わってくるので、来襲する相手方の勢力あるいは機能、意図、そういうものによってこちらの対応のしかたも変わるわけであって、一がいにいま一般的にこうということは言えないと思います。
  200. 東中光雄

    ○東中委員 そうしますと、相手方の意図あるいは態勢というものを防衛庁で判断して、そしてそれに応じて——意図というのは、これは非常に判断のむずかしい問題だと思うのですが、それに応じて、日本の周辺だけれども、相手方の沿岸のうんと近くまで出ていくということだってその情勢によってはあり得る、こういうふうに聞いていいわけですか、情勢が変わるというわけですから。
  201. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それは相手方の意図にもよります。反復してまた来襲するとか、執拗にやるとか、あるいは巨大な力で一挙にやっつけてしまうつもりで来るとか、あるいはちょっとさわる程度で逃げていくとか、機能、態様によってこちらの態様も違ってくるわけで、一がいには言えないと申し上げました。
  202. 東中光雄

    ○東中委員 一がいには言えない。だから相手方の意図をこちらが判断して、そのこちらの判断に基づいてずっと出ていくこともある。ただ問題は、ここでいわれているのは個々の戦闘行為のことをいわれているのではなくて、航空優勢あるいは制海確保、そういう状態をつくっていく、そういう体制をいまいわれているのじゃないですか、基本構想としては。だから、そこまで出ていけるそういう体制、そういうものを察知できるようなあるいは偵察行動、こういうものをやられる。だから、相手方の意図についての防衛庁側の判断によっては、相手国の領海近くのあるいは領空近くの公海、公空まで行くこともあり得る、そういう範囲のものを考えておるというふうに理解してよろしいわけですね。
  203. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ですから、それはそのときの情勢に応じて、どの程度の距離になるかとか、範囲がどうであるとかということは、相手の出方や考え方にもよる。ただし一般的にいって、日本の本土に来襲するものについては、本土周辺においてそういう優勢を確保しておかなければ本土自体を守り切れないわけですから、そういう原則的な考え方は持って用意をする、そういうことであります。
  204. 東中光雄

    ○東中委員 時間がありませんからこれで質問をやめますが、領土、領空、領海を守る、専守防衛だということから、公海、公空へ出る、これは相手方の意図によってこちらの行動が変わってくる。ところが相手方の意図はこちら自体がつかむことになるわけですから、結局は防衛庁自身の判断あるいは安保条約によってアメリカとの情報提供による判断、それに基づいてどんどん外へ出ていくという非常に危険な内容が、このわが国周辺ということばの中に含まれている、そういう点で私たちは、これは非常に危険だ、こういうことには断じて反対だということを申し上げて、時間がありませんので質問を終わりたいと思います。      ————◇—————
  205. 天野公義

    天野委員長 先般、行政機構並びにその運営、自衛隊及び公務員制度の実情調査のため、委員を北海道に派遣いたしました。  この際、派遣委員から報告を求めます。塩谷一夫君。
  206. 塩谷一夫

    ○塩谷委員 北海道地方の国政調査の結果を御報告申し上げます。  派遣班は、熊谷義雄、塩谷一夫、和田耕作、鬼木勝利、東中光雄の五委員で構成し、七月十三日から十七日までの五日間の日程で、行政機構並びにその運営、自衛隊及び公務員制度の実情調査目的として、釧路行政監察局、陸上自衛隊釧路駐とん部隊、根室海上保安部、根室営林署、網走開発建設部、網走刑務所、陸上自衛隊美幌駐とん部隊、弟子屈営林署、帯広陸運事務所、帯広営林局及び陸上自衛隊第五師団をそれぞれ視察、調査いたしました。  これら調査内容の詳細につきましては、時間の関係上、口頭報告を省略し、委員長の手元に提出いたしました報告書を会議録に掲載されるよう、委員長においてお取り計らい願い、それによって御承知をいただきたいと存じます。  また、各機関より受けました資料等は、当委員会の調査室に保管してありますので、適宜ごらん願いたいと存じます。  以上、御報告申し上げます。
  207. 天野公義

    天野委員長 おはかりいたします。  派遣委員調査報告書は、これを会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  208. 天野公義

    天野委員長 御異議なしと認めます。そのように決しました。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十六分散会      ————◇—————