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1970-04-22 第63回国会 衆議院 内閣委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月二十二日(水曜日)     午前十時十分開議  出席委員    委員長 天野 公義君    理事 伊能繁次郎君 理事 熊谷 義雄君    理事 佐藤 文生君 理事 坂村 吉正君    理事 塩谷 一夫君 理事 大出  俊君    理事 伊藤惣助丸君 理事 和田 耕作君       阿部 文男君    伊藤宗一郎君       加藤 陽三君    笠岡  喬君       菊池 義郎君    辻  寛一君       中山 利生君    堀田 政孝君       鬼木 勝利君    受田 新吉君       東中 光雄君  出席国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 中曽根康弘君  出席政府委員         内閣法制次長  吉國 一郎君         国防会議事務局         長       海原  治君         行政管理庁行政         管理局長    河合 三良君         防衛庁長官官房         長       島田  豊君         防衛庁防衛局長 宍戸 基男君         防衛庁人事教育         局長      内海  倫君         防衛庁衛生局長 浜田  彪君         防衛庁経理局長 田代 一正君         防衛庁装備局長 蒲谷 友芳君         防衛庁参事官  江藤 淳雄君         防衛施設庁長官 山上 信重君         防衛施設庁総務         部長      鐘江 士郎君         防衛施設庁施設         部長      鶴崎  敏君         外務省国際連合         局長      西堀 正弘君         運輸大臣官房長 鈴木 珊吉君         運輸大臣官房審         議官      内村 信行君         運輸省船員局長 高林 康一君         運輸省自動車局         長       黒住 忠行君         気象庁長官   吉武 素二君  委員外出席者         気象庁予報部長 高橋浩一郎君         内閣委員会調査         室長      茨木 純一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出第二三号)  運輸省設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出第一五号)      ――――◇―――――
  2. 天野公義

    天野委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。受田新吉君。
  3. 受田新吉

    受田委員 中曽根長官、御就任以来非常に活発に御所見の開陳があり、かつ、みずから先頭に立って、指揮官としての行動まことにすばらしいものがあることを認めます。国土国民を守るための責任者として、そうした熱心な発言、熱心な行動、それには敬意を表するものであります。と同時に、その発言行動は非常に慎重を期して、国民の信頼の上に立ち、かつ、国民がこれを支持するという形に持っていかなければならない。一時的な思いつきでその場しのぎ発言であってもならないし、場当たり的な国民のごきげんとりであってもならないということを願ってやまないものでありますが、長官自身発言行動をされた上における問題点を一、二指摘してまずお尋ねをしてみたいと思います。  防衛庁長官となられて以後において、防衛庁長官の責務の重大さを認識されておるのでございますが、前長官並びにそれ以前の歴代の長官が久しく苦労して、国民の前に防衛実態示して、しかる後これに協力を求めんとするいわゆる防衛白書なるものを前長官のもとにおいて集大成されんとしておりました。昨年末これを国民に示すというお約束をこの委員会でしておられたのでございますが、ことしの初めまで在任されながら、その約束が果たされていない。あとを継がれた長官はこの防衛白書を天下に示し国民国防実態を理解してもらうというこの計画はいかようにお取り扱いになられたのか、まず御答弁をお願いしたいと思います。
  4. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国防実態国民によく知っていただくために防衛白書のようなものを出すことは、非常に機宜を得たことであると思います。私も就任以来、防衛白書の原案を散見いたしましたが、しかし、内容を見ておりまして、新しい時代の変化にそぐわないような要素も多少あるように思いました。そういう意味におきまして、若干手直しをしまして、そして適当なときにこれを公表したいと思っております。  ただいま、ある意味において自衛隊実態を出して国民に御理解願うために、防衛並び自衛隊を診断する会というものをつくりまして、細川隆元さん以下に診断していただいている最中でございますが、こういうずぶのしろうとの方によって新鮮な感覚で自衛隊をあらゆる角度から見ていただき、これを夏までの間に出してみたいと思っております。  それから、四次防のいろいろな基本構想というものがまとまり、四次防の防衛庁としてのあらましの考え方、アウトラインが出てくる。その後に防衛白書というものを国民の前に出したらどうか、そういう段取りを私は個人的に考えておるのでございます。
  5. 受田新吉

    受田委員 そうすると、その防衛白書国民の前に示される時点はいつごろであると目標を置いておられるか、御答弁をお願いします。
  6. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 夏以降になると思います。
  7. 受田新吉

    受田委員 半年ほどおくれて、手を入れるべきところに筆を加え、大衆の意見を聞いて万全を期したいという御配慮のようです。その意図されるところは了といたします。と同時に、長官がかわるつど、政府国民にお約束されたものが変わっていくということもまた問題があると思いますので、時期のズレが多少出てきましたけれども、前長官のしばしば公約をされたことをより大きな成果があるように国民の前にお示しを願いたい。  次に、長官就任早々まず北海道にお飛びになられた、そして隊員生活実態にお触れになられた。若きたのもしき長官という印象を国民に与え、また自衛隊員自身も何らかの明るい希望を胸に抱いたことと思います。雪に閉ざされた北海道の原野に苦労される自衛隊員にあなたのあたたかい心づかいで、テレビも、それから自分生活、身辺の諸問題にも非常に愛情をもって予算措置等も講じてもらったことなど、これはなかなかてきぱきとした行政長官としての質のよさを物語るものだと思います。  と同時に、ここで自衛隊員生活実態というものを把握されるにあたって、ただテレビをみんなが金を出し合って見ているとか、あるいはその他の防寒の諸装備等についても節約した経費でまかなっておるとかこういう問題だけでなくして、給与そのものが一体どうなっているか。そうして私、当委員会でしばしば指摘しておるのでございますが、新婚間もない自衛隊員宿舎がない。宿舎上級に至るほど完備して、佐官の上級者及び将官はほとんど宿舎が完備しておる。しかるに下級尉官並びに下士官、兵に相当する皆さんの宿舎というものはきわめてきびしい状態に置かれている。下級者、特に新婚生活に入ってきた、しかも自衛隊で生涯を貫き通そうとする熱意を持った者がばかに高い家賃を払って家をさがしておる。そうしてもう相当の所得があって社会的にも安定した人々になると、今度は安い国営宿舎が提供されている。この不合理というものをどう把握されたか。ここまでまだ御検討される機会がなかったかと思いますが、私も北海道へしばしば旅をして、あの雪の荒野で階級の下の者ほど公営宿舎の割り当てが少なくて、そして安い月給で高い家賃を払っている。高給者ほど安い国営宿舎にお住まいになっている、こういう傾向をどう見るか。上の者にきびしくて下の者にやわらかく、温情ある上薄下厚処遇こそ自衛隊員希望を与え、国土国民を守るための勇気をわかすものであると思うが、行動の一端であなたの愛情をお示しになったことに関連して一言御所見をお伺いしたいと思います。
  8. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 事態はまさに御指摘のとおりであると思います。私も現地でそういう直接の声も聞きましたし、それから何でも苦情や困ったことがあったら私のところに手紙をよこせと私話しましたら、相当全国の若い自衛官や曹士の諸君から手紙が来ますが、その手紙内容を読んでみると、一番多いのは宿舎の問題であります。そこでいま申されましたようなことには非常に心を痛めておるのでございますが、これは計画によって御期待に沿うようにできるだけ早目に改革してまいりたいと思います。
  9. 受田新吉

    受田委員 自衛官だけの優遇措置をとるということになると、大蔵省も他の公務員とバランスがくずれるという考えをお持ちかもしれません。しかし、自衛官勤務形態というものは昼夜兼行であって、他の職種と異なる要素が多分にある。そしてまた、その勤務は自己の都合で自由に休暇がとれたりする形でなくして、命令一下、一切束縛を受けるという立場になる、また危険な地域で生命の危険にさらされながら行動するということもやっておる、そういう人に対して、一般警察官基準バランスをとって大体いままで処遇をしてきたと思われるのでございますが、その勤務形態国土国民を守るためという意味から非常にきびしいものがある。そのきびしいものに対応する処遇がいま私が指摘したもの以外にも、たとえばジェット戦闘機に搭乗して行動する人々の場合の殉職者に対する処遇、その若き妻、子供に対する殉職後の処遇とかいうものにも思い切った処置をしなければならないと思う。これは私もしばしば当委員会指摘したのですけれども、漸次改善はされているけれども、しかしながら、若き主人をジェット機で航空において失って、しかもそれは非常に危険な環境の中で勇敢な行動をとって生命を捨てておる。そういう人の遺族の処遇というものは決して豊かではありません。あとへ残された奥さんや子供のそれからの生涯を自衛隊で御調査を願いたい。決して豊かになっていません。そういう形では安んじて自衛隊員として奉公するという気持ちをわき立たせるのには非常に壁があるということを私は指摘しなければならない。隊員処遇改善というものは、もっと真剣に給与面において、その他の諸制度を創設することによる精神的なあるいは環境の上の処遇面において、もっと根本的な対策が私は必要であると思っております。これに対しても長官は熱心に取り組んでいただきたい。
  10. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御指摘の点につきましては、私も同感でございますので、真剣に努力いたしたいと思います。
  11. 受田新吉

    受田委員 では長官が人道に立たれて行動し、発言された問題の二つのポイントを、まずこれに関連してお尋ねして、これからいよいよ防衛庁法規の質問に入っていかしていただきましょう。  自衛隊がスタートしたとき、これは警察予備隊から保安隊、そして自衛隊変遷もありましたけれども昭和二十年代の末期に一応防衛庁というものがスタートした。そのときの時点と、十六年たった今日の時点とには大きな国際的な変化、国内の事情の変化があります。そしてこれに対応するための自衛隊変遷も、私、そのつどの法改正の際に大いに論議したので、国民もある程度理解していただいておると思います。ただ、ここでまず指摘したいことは、自衛隊のスタート当時につくった自衛官責任、それと今日の時点における自衛官責任というものには非常に大きな相違が出てきておる。これをきびしい面からまず指摘したいと思うのでございますが、自衛隊法規定罰則の中に、自衛隊隊員あるいは指揮官に当たる中隊の将校でもいいが、上官の意図に反してかってに部隊指揮して行動した場合の処罰でも、三年以下の懲役程度です。自衛隊内ゲバができてかつての二・二六事件のように自分の一中隊、一大隊を指揮してかってに反乱行動をとったとしても懲役三年程度という、こういうきわめて寛大な、往年の陸軍、海軍刑法に比べるとまことにゆるやかな規定がある。同時にまた、一方では予備自衛官招集招集命令に違反した場合などの三日以内に出てこないとかいう場合に対する規定は、これまた同様のきびしいものが掲げられてある。今後現役の自衛隊員プラス予備自衛官、今度の御措置もそういうところで三千三百人の増員計画予備自衛官の上に期せられておるのですが、責任においては、そういう内ゲバの驚くべき違反行為をする者と招集命令に応じない予備自衛官の場合の罰則がほとんど同じような基準であるというようなことは、この時点において改めていかなければならない時期に来ておると思うが、十六年間罰則が全然変わりないこの現状、責任をいかに明らかにするかということを自衛官立場と照らし合わせて御答弁をいただきたい。
  12. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点につきましては、私まだ勉強不足でありますので、人事局長答弁させます。
  13. 内海倫

    内海政府委員 確かにいま御指摘なさいましたように、現在の自衛隊法罰則規定におきましては、予備自衛官招集に応じない場合における罰則も、あるいは自衛官上官命令に従わないという場合における罰則も、同じように同じ条文の中で、「三年以下の懲役又は禁こ」こういうふうな形で規定されております。さらにまた、防衛出動した場合における命令違反というふうなものは七年以下というふうに規定されておりますが、私どもこの自衛隊法、特にそういうふうな防衛出動時における諸般の体制あるいは法規制、こういうふうなものについては、いずれも現行法も別に法令で定めるような形の委任もいたしておりますし、またわれわれ自身も、そういう場合における事態、そういう事態に対処していかなる法規制を加えるべきか、さらに防衛出動の際における罰則体系をどういうふうに整備していくかということは、基本的にもう一度考えてみなければならないことは事実でございます。ただ事実でございますけれども、どういうふうな考え方でどういうふうな事態が起こるか、あるいはどういうふうな事態に対処してどういうふうに問題を考えるかということはさらに慎重に考える必要がある、こういうふうに思っておりますので、今後十分検討は続けたいと思いますが、いまどういうふうにすればいいかという結論を得るには至っておらない、こういうことでございます。
  14. 受田新吉

    受田委員 これはたとえば中曽根長官、あなたが自衛隊部隊に対する長官命令を出されておる。ところが、その命令に従わないで、職務上の命令に反対して多数共同行動をする。そして上官職務上の命令に違反して、別個自分自衛隊部隊指揮して命令に干犯する行為をする。これはもう自衛隊の士気に対しては最も脅威的な、つまり中曽根長官が何々部隊はこの方面に行動せよという指令を出されたのに、その中の一大隊長長官反抗態度をもって長官を襲うような行為をやってきた場合には、これは防衛庁長官権威が失墜するだけではなくて、自衛隊そのものに対して二・二六事件、現在においては二・二六事件以上の大きな国民的な批判が起こってくるわけです。事実そういう危険がないとは断言できない。たとえば三矢のあの秘密文書が流れ出るというふうに、自衛隊の内部にりっぱなスパイがおるという現実がはっきり出てきておる。こういう状態の中で罰則を強化すれば、飛行機乗っ取り事件罰則を強化する法律を出されたが、それどころの騒ぎじゃない。自衛隊の中の一部隊長部隊をかってに指揮しても懲役三年以下で済む。または禁錮でも済む。以下ですから三年が頂天ですから、一年でも半月でもあるわけですからね。こういうことは指揮系統指揮の権力、組織体としてはなはだ私問題があると思う。同時に、防衛招集に応じなかった予備自衛官に対する罰則がまた同じような懲役三年以下というような規定があるということは、私は、あまりにも片手落ちであって、予備自衛官などに対してきびしい制約があり過ぎる。命令違反をやって、部隊をかってに指揮した内ゲバ部隊長予備招集に応ぜられなかった人とが同じ犯罪の罰則というのは、まことに不可怪だし、いま人事局長においても、いろいろ問題があるので、これに対してなかなか手がつけられないというなまぬるい御答弁であったのでございますが、指揮系統を明確にし、権威ある自衛隊をつくって責任体制を明らかにするという意味からは、これをじんぜん月日を費やして、十六年前の規定をそのまま適用するべきものではないと私は思う。この点長官、あなたとしては部隊権威自衛隊権威を保って国民の信頼する自衛隊たらしめるために、予備自衛官責任反乱部隊部隊長のかってな指揮をした責任を同一に見るという大きな矛盾を、この際すかっと、長官として部下に命令して検討させるということを御指示願いたいのです。
  15. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御意見の中には非常に大事な要素もあると自分考えますので、よく検討いたします。
  16. 受田新吉

    受田委員 検討をする、大事な要素がある、これはなかなかなまぬるい。長官、大事な要素というのは、いまあなた御自身が自覚されておると思うのですが、罰則が全く同じ刑期で、そして対象になるものは非常に大きな差を持っておるというようなものは大きな矛盾ですね。この点はゆるやかにするところときびしくするところと罰則を再検討をする時期が来ておる。この点については、あなた御自身おわかりにならなければいけない、聡明な長官としては。御答弁を願いたい。
  17. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御趣旨に沿いまして、よく検討してみます。
  18. 受田新吉

    受田委員 御趣旨に沿うて検討していただけるそうですから、ひとつすっきりしていただきたい。  私、この機会にひとつ国防会議防衛庁との立場を明確にしておかなければならないと思います。国防会議というものは、これは防衛庁設置法の中の規定で、末尾にほんにちょっぴりここで誕生しておるにすぎないのでございますけれども、しかし、その置かれている国防会議責任というものは非常に重大である。これはまた総理がおいでになられて確認すべき問題でありまするけれども、しかし、防衛長官である中曽根さんとそして国防会議事務局長とがおいでいただいておるこの機会に、明確にしておきたいと思うのでございます。  「国防に関する重要事項を審議する機関として、内閣に、国防会議を置く。」「内閣総理大臣は、次の事項については、国防会議にはからなければならない。」ここは短い文章ですから、読みます。「一 国防基本方針 二 防衛計画大綱 三前号の計画関連する産業等調整計画大綱四 防衛出動可否 五 その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」こうあるのでございますが、これについて国防基本方針防衛計画大綱などは何であるか、国防防衛との相違等指摘しながら、この基本問題について、まず国防会議事務局長から御答弁願い、これに対する議員の一人である防衛庁長官からまた同様御答弁を願いたいと思います。
  19. 海原治

    海原政府委員 国防基本方針は、現在同じ名前できめられております四項目の基本方針がありますが、ああいうようなものを国防基本方針といっております。防衛計画大綱と申しますのは、現在第三次防衛力整備計画が第四年目でございますが、このような防衛力整備計画、これが防衛計画。さらにあとのほうの出動可否のほうに関連いたしまして、この出動との関連においての非常に広範な一般的な国防計画もこれに入るかどうかということが実は問題でございますが、一応私どもとしましては、それは入るという考え方で今日まで来ております。
  20. 受田新吉

    受田委員 事務局長の御答弁で一応基本的な問題が解明されておるのでございまするが、この二項の五号にある「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」という中にはその他どんなものが入ってよろしいのか。たとえば外交防衛という意味から外交の問題がこれにも入ってくるのかというような問題も含めて御答弁を願います。
  21. 海原治

    海原政府委員 ただいまの点につきましては、別にまとまった正式の見解というのはございません。そのつどそのつどの議長たる総理大臣の御判断で国防会議が開かれるということで従来まいってきております。したがいまして、たとえば昨年の一月に新しい戦闘機の国産のことが国防会議に出されましたが、これも直接防衛力整備計画との関連ではございませんで、特に議長が必要と認められました事項ということではないかと私どもは解釈いたしております。
  22. 受田新吉

    受田委員 国連軍との関連問題等は討議の材料になるべきものかどうか。
  23. 海原治

    海原政府委員 いままでのところでは、そういう問題について検討対象になるかどうかを検討したことがございません。
  24. 受田新吉

    受田委員 日本国連軍が置かれる協定が一九五四年にりっぱなものができておる。こういう問題は当然防衛大綱とつながる問題であり、その他重要事項と思うが、事務当局としていかがお計らいになるべきか。
  25. 海原治

    海原政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、議長たる内閣総理大臣が重要と認める、そこに意義がございますので、総理がすべての認定を実施される立場でございます。いままでのところでは、そういう問題につきまして国防会議を開こうとか国防会議議題に付せようというようなお考えはございません。
  26. 受田新吉

    受田委員 きょうここに西堀国連局長が来ておられますので、在日国連軍協定に関する扱い方はいま外務省はどういうふうにしておられるのか、協定はできたけれども実際は有名無実なのかどうか、御答弁願います。
  27. 西堀正弘

    西堀政府委員 この場合の国連軍は在韓国連軍でございますが、これの地位、それから取り扱いに関しましては、先生御承知のように、国連軍協定ができております。それで、この国連軍米軍に関します限りはすべて日米安保条約地位に関する協定でもって規定されることに相なっておりますので、したがいまして、日本にいる限り、この国連軍は、一応名前国連軍ということでございますけれども米軍と全く同じ地位を有し取り扱いを受ける、こういうことに相なっております。
  28. 受田新吉

    受田委員 これは国防会議関連する大事な問題ですからちょっと掘り下げてお尋ねしますが、今度日米共同声明イエスかノーか、事前協議対象になるかならぬかの問題に関連して、日本のごく近いところの韓国で紛争が起こって、火の粉が日本へかかってくるような事態が起こった場合には、国連の認証のもとに在日米軍戦闘行動についてイエスと言う場合があり得るという答弁総理大臣がやっておられる。その国連認定というのは結局アメリカ軍国連軍ということ以外には何ものもないのでございますね。そうでございますか、どうですか。
  29. 西堀正弘

    西堀政府委員 私が先ほど、国連軍米軍に関する限りは米軍地位並びに取り扱いに関するところの協定を受けると申し上げましたけれども、これは要するにただいまの先生事前協議と申しますか、本件に関しましては、もちろん米軍に関する限り安保条約を受けます。しかしながら、その国連軍行動につきましては、すべて一応米国の統一司令部のもとに置かれます。米軍指揮下にはありますけれども国連に毎年その行動は報告されまして、一応国連によって地位を与えられ、かつ、その国連規定ないしは決議に基づいて行動しておるという体制をとっておるわけでございます。
  30. 受田新吉

    受田委員 総理が先般、国連認定により事前協議対象としてイエスと言う場合も在日米軍行動に対してあり得るという答弁があった。国連認定というその基準は一体そのアメリカ軍による国連、たとえば一九五〇年の朝鮮動乱の際においてアメリカ大統領命令基準にした国連部隊というあの国連軍認定か、あるいは国連本部認定か、どう解釈されるのか。これは外務省総理とは打ち合わせしておられると思うので、国連認定というものは一体どういう形の国連認定か。つまりアメリカ軍によって構成された、一方的にいうならば国連軍というものの認定でいいのか、国連本部認定というものが要るのか、安保理事会等機関を通じての認定が要るのか、どの認定であると総理国連認定ということは解釈すればいいのかを教えていただきたいのです。
  31. 西堀正弘

    西堀政府委員 現在韓国において活動いたしておりますところの国連軍、これは先生もよく御承知のとおり、一九五〇年六月二十七日に安保理の決議でもってありまして、その場合にはそれは北からの軍を撃退するという任務を持っておったわけでございますが、その後御承知のとおり休戦協定ができまして、現在韓国におりますところの国連軍というのは、あの休戦協定の条項を守っているかどうか、それを監視し、そしてその平和を維持することを目的としているわけでございます。したがいまして、その任務につきまして毎年安保理に、国連軍指揮官としての米軍指揮官から米国政府を通じまして事務総長に報告がいっているわけでございます。それはまた安保理に提出されるわけでございます。  したがいまして、基本的には米軍の活動、すなわち国連軍として活動しているところの米軍の活動は、この安保理によって与えられたところの権限、すなわち現在の休戦協定を守り、その平和を維持するという目的を持っておるわけでございます。したがいまして、その範囲内におきまして安保理は、今後いかなる活動をするかということについて、現在以上の行動をこれに付与するというような場合がありましたならば、もちろんそれに従って米軍、すなわち国連軍としての米軍は、現在の平和維持活動以上のことをあるいはすることに相なるかもしれません。それはあくまで安保理の新たなるところの決議というものによらざるを得ない、こう考えるのであります。
  32. 受田新吉

    受田委員 なかなか私に対する答弁としてすかっとしたものが、最後のものが抜けておって、回りくどい御答弁になっているのですが、きょうは国連軍の性格論をまずいまお尋ねしてみて、同時に一つ疑義が起こってきておるのです。それはもう当面の問題として総理みずからが、韓国、台湾等の近海、すなわち火の粉が日本に振りかかるようなきわめて接近した地点における紛争に対して、在日米軍行動に関してイエスという場合があり得ると御発言があったわけです。そのことに関して国連認定というのを前提にしておられるわけです。その国連認定が単なるアメリカ国連軍というような意味か、あるいは国連本部認定か、こういうことがあいまいに、まだ御答弁がないのですね。これが問題なんです。  それから一緒に質問しますから、法制局の吉國さん、私ここで一緒に疑義が起こっているのは、防衛出場の可否につながる問題でもあるわけでございますが、昨年のニクソン・佐藤両首脳の共同声明で事前協議対象になる規定がはっきりうたわれておるのでございますが、ここで核防衛の問題に関連して一緒にお尋ねします。  核の持ち込みということは、アメリカ自身事前協議をやろうとするときは、向こうから日本に申し込むのでありますから、事前協議を受けるほうは受動の立場に立つけれども、選択の自由があるということで、御相談になるほうは非常に積極的、受けるほうは消極的でできるだけこれを避けていきたいという感じになるのです。これはよくわかるのでございますけれども、ここで一つ疑義が発生するのは、日米共同声明の中に、事前協議制というものは米側の立場を害さないということが書いてある。よろしゅうございますか。同時に、日本政府の非核原則を持つ核政策には反しないという二つの了解が前提になっておる。そうしますと、事前協議制について米側の立場を害さないということになると、向こうが何でも言うてくる、言うてきたい。日本は政策の点でこれは反対しなければならぬ立場がある。しかし、イエスを言う場合もあるというのでございますから、イエスを全然言えぬということは言っておられぬのでありますから、核の持ち込みの場合でも事前協議にかける権利はアメリカは持っておるわけですね。そうすると、政府事前協議そのものにイエスと言う場合もある、ノーと言う場合もありますから、共同声明そのものは論理上は核の持ち込みを認められるものである。政策では断わるが論理的には認めるという形になりますね。そういう解釈はできますね。論理解釈を申し上げたい。憲法解釈も法制局は、攻撃用の核は持てないけれども、防御用の核は持てるという論理を構成されておられる。事前協議もやはり同様、中曽根長官はこの間、原子力を原潜に使うことをちゃんと論理的には認めておられる。すべて、政策でなくて論理でいきましょう。この問題は、核持ち込みは可能であるという論理はここに生まれますね。法制局としては論理を排除する理由があるかないか。御答弁を願いたい。
  33. 吉國一郎

    吉國(一)政府委員 ただいま共同声明の原文をちょっと持ってまいりませんでしたので的確に申し上げられませんが、そこにうたってございますように、「事前協議制度に関する米国政府立場を害することなく、」というのは、ただいま先生もおっしゃいましたように、事前協議についてアメリカ側から日本政府に対して相談を持ち込むということを全く排除するものではないということをうたっただけでありまして、その事前協議があった場合に日本政府がどうするかということは、日本政府がみずからの国益に徴して判定をして返事をするというのは明らかでございます。  他方、核につきましては、それより前の個所であったかと思いますが、核に関する日本国民の、日本国じゅうに、何と申しますかびまんした感情をニクソン大統領は十分に了解をしておるということを書いてございまして、その理由といたしますところは、日本については核の持ち込みはしないということを意図したものと考えておりまして、論理的にも核の持ち込みはそこから出てくるということはございません。
  34. 受田新吉

    受田委員 核の持ち込みは日本にやらないと言うておる。これは政策ですよ。論理じゃないのです。私は論理の議論をしておるので、政策の議論をしておるのじゃないのです。ニクソンの発言は政策的発言である。それから日本として非核原則から政策的に防御用の核は持ってもいいという論理を憲法ではちゃんと構成されておる。原潜に対する原子力の利用は、これもまた論理的には持てる。お隣のわが親愛なる長官が言明しておられる。したがって、論理的には、アメリカ自身が米側の立場を害さないというて、米側が途中で政策を変更された場合も起こるわけです。そういう場合も含めて論理の矛盾を来たさないような法制局の見解を私は聞きたいのです。政策はいまはやめておるのを論理で築くというのは、これは法制局としてはおかしいじゃないですか。
  35. 吉國一郎

    吉國(一)政府委員 共同声明それ自体は、日米両国の政策をいろいろ相談をいたしまして、あるいは日本の政策を述べ、また他方アメリカアメリカの政策を述べたものでございます。その政策が両方からからみ合ってまいりまして、どういう姿が出てくるか、それをまあかりに論理ということで申せば、先ほど私が申し上げたような結果に相なると思います。その政策を抜きにして論理的にはどうかというお話になれば、共同声明自体ではその政策を全部抜いてしまいましたならば、またもとへ返りまして、安保条約それ自体の第六条の実施に関する交換公文の問題に戻ってしまったのではないかと思います。論理的と申しましても、共同声明自体が両国の政策を宣明したものでございますから、その政策がからみ合ってでき上がる一つの両国共通の政策と申すようなものがございますが、それでどういうふうに相なるかということを私先ほど申し上げたつもりでございます。
  36. 受田新吉

    受田委員 この事前協議制というもの、その制度というものは、核兵器持ち込み、核装備等対象にするというのであって、事前協議制そのものは論理的に考えていくべきものです。したがって、核装備を対象にしていいことになっているのです。事前協議というものはそうじゃないですか。核装備を事前協議対象にしていいのでしょう。
  37. 吉國一郎

    吉國(一)政府委員 仰せのように、それは事前協議対象事項でございます。
  38. 受田新吉

    受田委員 したがって、事前協議というその性格を論ずる場合に、アメリカ側は米側の立場事前協議でできるだけ尊重してもらいたいという政策的見地が一応あろうと思います。あろうと思うけれども、しかし、事前協議そのものの対象に核装備が入っている以上は、ではもう一歩進んでお尋ねいたしましょう。  事前協議イエスと言う場合もあり、ノーと言う場合もあるという意味からいうならば、核装備がその事前協議対象になるという意味で、イエスと言う場合もあるという意味で論理が成立する。核をイエスと言う場合もあるという論理も、政策でなくて成立する。その点の論理はお認めになりますか。
  39. 吉國一郎

    吉國(一)政府委員 事前協議対象になっておるということはイエスもあればノーもある、論理的にはそのとおりでございましょう。
  40. 受田新吉

    受田委員 だからその意味で、事前協議対象になる核の持ち込みがイエスと言う場合があり得るという論理が成立したといま御答弁になりまして、名答弁をいただいたわけですが、これは今後の問題として、憲法上は海外派兵はできない、憲法上は徴兵制はしかない、憲法上は攻撃用の核兵器は持たないという非常に大きな制約はあるけれども、その他のものは、自衛隊は何をやってもいいということになる。論理的には防御用の核兵器は持てる、論理的には事前協議で核兵器を持ち込むことをイエスと言う場合もあり得るといういまの御答弁、そういうふうに論理と政策とはみな違っておる。  そこで長官、今度国防会議の本質論に触れていくのですが、国防会議というものは非常に大きな国の基本に関する、国防に関する重要事項を審議する機関でございますので、これは内閣総理大臣議長になり、防衛庁長官も一議員としてこれに参画されるにすぎない。そういう意味からいうと、国防に関する重要事項を審議して、国防会議がきめたその事項に基づいて防衛庁はその専門の防衛の担当庁として実践面を扱っていく、こういう形になるのであって、国防会議は根っこをきめる機関であり、防衛庁はその実行機関であると了解してよいかどうか、これは防衛庁長官から御答弁を願います。
  41. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 大体そのようにあると考えます。
  42. 受田新吉

    受田委員 そうしますと、国防重要事項を審議する機関が一年間にどれだけ会議をしているか、基本を扱う機関として正式の国防会議が過去において何回行なわれ、また一年に割り当てて最近どれだけ行なわれ、その前提としての懇談会がどのくらい行なわれておるかということをちょっと国防会議事務局長から御答弁願います。
  43. 海原治

    海原政府委員 ただいま受田委員のおことばの中に、正式の国防会議というおことばがございましたが、法律的に申しますと、いわゆる懇談会もこれは国防会議でございます。ただ従来の慣例上、国防会議がものを決定いたしますときにはこれを国防会議と申しまして、決定するに至るまでの間の各議員の方々のいわゆる意見交換等の場合におきましてはこれを懇談会、こう言っておるわけであります。したがいまして、正式の国防会議ということになりますと、懇談会も含めましてこれは国防会議というふうに私ども考えております。  創立以来今日まで、合わせまして六十回でございます。この二年半におきましては、国防会議はものをきめましたのが一回、昨年の一月でございます。それから昨年の秋に、総理渡米の前の沖繩問題につきましての勉強会と申しますか、これが懇談会という形でございますが、一回、合わせましてこの二年半に二回でございます。
  44. 受田新吉

    受田委員 二年半に二回しかやっておらぬ。そして、いまの国防会議と通称言うのは懇談会を含むのである。それで正式に議決するのを正式の国防会議という。ちょっとあいまいですが、法律用語をりっぱに執行してもらわなければいかぬと思う。「国防会議にはからなければならない。」とある以上は、国防会議にぴしっと統一してもらわなければ、懇談会のようなあいまいなものを国防会議と称してくれたのでは、これは法律の忠実な執行ではないです。法律にはっきりと国防会議と書いてあるのですから、懇談会を国防会議というようなあいまいな発言があることを私はたいへん了解に苦しむのです。国防会議というのは、法律規定された国防会議、懇談会というのは、法律規定された国防会議ではないが、それのおぜん立てをする会であるというように――それも国防会議というのであれば、法律にきちっと書いてある「次の事項については、国防会議にはからなければならない。」という、その国防会議の中に懇談会が入っておるなら、懇談会といわずに国防会議とびしつとすればいいじゃないですか。あいまいなことばが入っておるのは、私、はなはだ釈然としません。
  45. 海原治

    海原政府委員 これは従来の慣例を申し上げたわけでございます。法律的には先ほど申しましたように、懇談会も正式の国防会議でございます。具体的に申しますと、たとえば、二次防とか三次防とかいう防衛力整備計画が最終的にきまりますまでの間にはいろいろ関係議員の御発言がございますから、その意見の取りまとめの段階までは通称これを懇談会というのです。そこで意見が一致いたしまして、いよいよこれをきめるというときにはこれから国防会議ということの扱いにしております。これが事実上の問題でございまして、法律的に申しますと、通称懇談会も含めましてこれは国防会議でございます。
  46. 受田新吉

    受田委員 通称懇談会を国防会議、これは本会議委員会というような性格のものと違って、同じような性格の、同じような議員の集まりですから、懇談会などといわずに、はっきり国防会議といえばいい。閣議の中には、法案をきめる必要がないときには閣議懇談会、正式にやるときにはすべて閣議、それに持ち回り閣議というのさえある。したがって、こういうものは用語をあいまいにしないように、懇談会という名称は海原事務局長でもう国防会議にぴしっとしましょう、懇談会でなくて、議決しようと議決しまいと国防会議にしましょうと、すっきりするほうがいいと思うのです。  それと同時に、中曽根さんが長官になられると、外務大臣と官房長官とを招かれた、防衛外交閣僚会議というのか懇談会というのか知りませんが、そういうのを提唱されて、一応国民にも受けておる。しかし、これは要するに国防会議のようなものであって、あなたがいま用意されておられるその会議の構成員の中に、もう二人いれればりっぱな国防会議がつくれるわけです。外務大臣もおれば、防衛庁長官もおる、総理に代行する官房長官がおる。そうすると、あとへ大蔵大臣、経企庁長官というようなものが入ってくればもうりっぱな国防会議になる。国防会議にするほどにもないがというような思いつき、これは思いつきとしてはおもしろいかもしれませんが、国防会議という国の防衛の基本をきめる機関が一つあるのでございますから、この国防会議をできるだけ重視して、国防会議で英知をすぐっていくというような形、国防会議防衛庁としては十分利用されるような形が好ましいのではないかと私は思うのです。国防会議を敬遠してはならない。国防会議を尊重して、国防の基本に関するものがきまったのを防衛庁が執行する、こういう形を、本筋に返って、アメリカの国家安全保障会議のような強大なものとまでは私は申し上げませんけれども国民の支持の上に立つ国防会議、シビリアンのコントロールを実行するとなれば、やはり国防会議というのはシビリアンでいくわけです。シビリアンコントロールの尤たるものがこの国防会議です。制服をかかえて御苦労をされる防衛庁長官として、シビリアンコントロールの最も大きな機関である国防会議を最高に利用して、その最高に利用する国防会議防衛庁長官も議員の一人として意見を述べて、そして防衛庁長官意見のとおりに他の閣僚も説得していく。また、外交責任者である外務大臣は、平和外交立場からなるべく軍事を押えようとする。大蔵大臣は、金を使わないようにしようとする。経済企画庁長官は、経済の企画の上から防衛計画を判断する。みんなが英知をすぐっていく。私は総理に、さらに民間人である議員をつくるように持っていけという提唱をしたいと思っておるのですが、中曽根さん、あなたがかつて民主党の議員であられたころ、あなたの党で鳩山さんが総理になられたときに出された国防会議には民間人が入っておった。非常に信頼のおける民間人を置くということになれば、そういう民間人がそこに入っていくということによって国民全体の規模の国防会議というものができていく。インナーキャビネットのような形の国防会議でなくて、国民の代表者が入って、そこで国防大綱をきめるということであれば、これは国民は納得すると思うので、むしろ国防会議の議員には閣僚以外の民間人を二人なり三人なり入れるという構想を新しく生み出していく必要があるというくらいに思っておるのです。そういう意味で、国防会議は国の基本に関する問題を討議する機関として大いに重視していただかなければならない。  防衛庁長官は、先般ちょっと失言されたようでございますが、国防会議事務局長はその意味においては――国防大綱国防会議で決定することを議員の一人である防衛庁長官が忠実にこれを実行しようといまここで言われておる、それを預かっておる大番頭として大いに奮励努力して国防会議権威を高めるようにがんばってもらいたい。御所見を承りたい。――御所見はないですか。
  47. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国防会議は、御指摘のように最も重要な会議でございまして、私もその会議を大いに機能あらしむるように努力いたしたいと思っております。防衛問題については内外にわたっていろいろ重要な問題が山積しておりますので、時期を見て国防会議をしばしば開きまして、基本をきめていただくようにしていきたいと考えております。
  48. 受田新吉

    受田委員 もう一つ、防衛庁設置法の中に、これは当時立法技術上の問題が一つあったと思うのですけれども、私たちもこの法律を審査する当時、一つ危惧を持っておったのですが、防衛庁設置法の第三章に、国防会議がちまこっと入っておるのです。これはむしろ国防会議を単独の法律にして、防衛庁設置法とは違って国防の基本に関するのですから――ここへちょこっと入っておるから、長官もちょっと油断すると、防衛庁設置法の中に国防会議があるからおれの所管じゃないかと錯覚を起こす危険がある。むしろこれは国防会議設置法という法律をつくって、国防会議法でもいいですが、つくって、それで防衛庁設置法と別の法律として体系をつくるのが適当かどうか。法制局次長、御答弁を願いたい。
  49. 吉國一郎

    吉國(一)政府委員 国防会議に関する事項防衛庁設置法の第三章に規定いたしましたのは、その当時の諸般の事情に基づきまして、第三章に国防会議規定いたしまして、別に法律で定めるところによるといたしました。その別に定める法律は約二年おくれて成立いたしたような経緯がございます。その経緯を離れて考えまして、国防会議に関する部分を別個の法律にいたすということは立法政策上も可能だろうと思いますので、もしもそういう立案を担当の部局でいたしましたならば、十分に私どものほうで審査をすることになると思います。
  50. 受田新吉

    受田委員 防衛庁長官、当時は国防会議というのは、何かものすごい軍国主義の復活のような印象を国民が受けるという時代であった。しかし、いまや野党であるわれわれ罠社党も、国土国民を守るための最小限の自衛措置を認めておる。自衛隊の量的増強よりも質的強化をはかれというような、国民のための自衛隊というものを考えるようになっておる。そういう意味からいったら、その国民の支持する国防会議というものが、アメリカ式の強大な軍国主義の復活のような機関でなくして、シビリアンコントロール、軍国主義を押えて、制服の横暴を押えて文官優位の原則の国防会議という意味でいくならば、むしろ国防会議のそうした機能の質的向上というものを期待しておるのです。時代が変わってきた。ここで敢然と防衛庁設置法から抜き出して、国防会議法あるいは国防会議設置法というのをつくられてもいい時代が来ておる。防衛庁設置法のかどにちょっと宿借りをしているような印象から、むしろ防衛庁の上にでんと控えた機関として、シビリアンコントロールの根源地として鎮座ましますようなものにする必要があるのではないかと思うのです。時代的にもそういう時代が来ていると思うのです。そうあってほしいと海原局長は思われるか、あるいは法律はこのままでいいと思われるか。これは局長にお尋ねするのがむずかしければ、長官はどうですか。あなたに最後にお聞きしておきたい。
  51. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 名分論、筋論からいえば、先生のおっしゃるとおりだと思います。ただ、いま防衛庁としましては実質的に改革を要する諸政策が多々ありまして、そちらのほうに全精力を投入しなければならぬという情勢でもありますので、この法律をいま変えるという考えはございません。しかし、将来のこととして、もし変える必要があるとするならば、私の個人的な考えでは国防会議という名前ではなくして、むしろ国家安全保障会議というような名前にして、その内容も総合的な国家安全保障という面から、防衛も見るし、その他の面も見る、そういうもっと幅の広い、政治と軍事、経済その他も全部総合したような感覚から見た安全保障という意味の、高い会議が必要ではないか、そういうふうに考えます。
  52. 受田新吉

    受田委員 それがアメリカの国家安全保障会議のような性格ということでなくて、日本的な安全保障会議という形のもの、私もそういうことを期待しておる。その中に防衛も含む。防衛の問題に外交が前面に押し出される、経済も押し出される、こういう形で、国民的規模に立つ国防会議、安全保障会議、名称はどちらでもいいが、そういう形で、ひとつきわめて近い将来にそういう発想で防衛庁長官としても御推進を願いたい。  そういう場合に一つここで問題になることは、治安出動でございますが、自衛隊法の中に防衛出動と治安出動がある。ところが、治安出動というのは国民同士を戦わせるというような結論が、間接侵略に関係するものでありますから出るのですが、しかし、これは防衛出動に匹敵する大事な問題でもありますので、防衛出動可否を論ずると同じように、治安出動可否国防会議にかける基本の問題として扱うべきものではないか。自衛隊出動という基本の問題が、つまり自衛官が間接侵略に出動するという問題は、一ぺん戦いが始まったらいざ知らず、防衛庁長官の判断、総理大臣の判断だけでなくして、もう少し外務大臣が外交の、間接侵略の背景にある国との配慮などもしながら判断をしていくという意味で、国防会議の審議事項として治安出動というものを入れる時期に来ておるんじゃないか。ここまで進んだ段階において、治安出動はやはり総理大臣防衛庁長官の決定だけでなくして、国防会議で決定していく事項として適当なものではないかと思います。こういう私の発案、国防会議にかけること、つまり間接侵略の背景にはいずれかの国を想定するわけですから、そのいずれかの国ということになれば、外交ということにもなってくる。間接侵略になると今度は国内の戦いになってくるのでございますから、経済の問題も伴う。そういう意味で、防衛出動と匹敵する重大な事項である治安出動国防会議議題にする必要はないか。もし一項をあげることが困難であるとするならば、あなたが総理大臣であった場合に「内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」としてこれを取り上げるかどうか。総理に遠慮される必要はないのでございますから、すかっと長官の御所見を伺いたい。
  53. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 治安出動防衛出動おのおの性格は違いますが、日本の置かれた状況を見ると、なるほど治安出動も非常に重要ではあると思います。しかし、現在の内外の情勢から見ると、このままでいいと私は考えます。
  54. 受田新吉

    受田委員 私は、国防会議論議はそのぐらいにします。いま長官から明確なお答えもいただきましたし、将来に対する非常な希望も持てたわけですから、海原ざん、どうぞお帰りください。  そこで長官、私は、あなたの若くて率直な御存在が、国民防衛庁に対する新しい期待と希望をわかしておるということを否定しません。否定しないと同時に、あなたは非常に責任がある。そうした期待の上に立つ長官として、一つ一つやらなければならぬ問題が山積しておるといまあなたは言われた。それに該当する問題でいまからお尋ねをしたいことがあるわけです。  国連局長、あなたも最後までおられるのはお気の毒ですから、長官の基本問題に入る前に、あなたがすぐお帰りいただけるように、国連の問題を片づけておきます。  朝鮮半島に事変が起こった場合、国連認定という問題の結論がまだ出ていない。事前協議在日米軍日本の基地から直接発進をする場合の国連認定条件というものは、総理が言われたいかなる性格の国連であるか。つまり、在韓国連軍という認定でいいのかという問題。総理と御相談されておらぬですか、おらなければおらぬであなたの立場で言っていただきたいのです。
  55. 西堀正弘

    西堀政府委員 総理がいつどこで国連認定ということを言われたか、実は私存じませんけれども、私の存ずる限りにおきまして、いまの事前協議の問題に関連をして国連認定総理がおっしゃったといたしますならば、これはその時点におきましては統一司令部の長としての米軍指揮官認定いたすでございましょうけれども、それは先ほども申し上げましたとおり、毎年安保理事会に報告をいたしまして、そうして安保理事会でそれは承認を受けるわけでございます。したがいまして、現在の在韓国連軍の目的という点から考えまして、それを逸脱するようなことは、そのときの米軍司令官、すなわち国連軍の司令官としての米軍の司令官といえどもこれはできないわけでございます。これは結局安保理事会の承認を得ることにはならないと存じます。したがいまして、これは事後になりますけれども米軍指揮官といたしましては、国連認定と申しますか、それをいたします場合には、国連軍が現在韓国におりますその任務の範囲内において、すなわち休戦協定以来はあそこの休戦協定の実施を監視し、しかも平和を維持するというその任務の範囲内において行なう。そうしてそれは安保理事会に提出され、そこで承認を受けるということになりますので、事後ではございますけれども、いわば安保理事会の認定がそこであるということになると私は考えます。
  56. 受田新吉

    受田委員 そこで問題が一つあるのは、安保理事会は必ず認めるだろう、期待に基づいてやるであろうというても、事実は違う結果が起こる可能性があるわけです。そういう問題も含めて国連認定には一つ問題があると私は思うのです。  局長、きょうはこれでお帰り願ってよろしゅうございますが、ちょっとお待ちいただきたいのは、長官への質問であなたへの何かが出るかもしれませんから……。  長官在日米軍が、たとえば、板付飛行場から韓国へ、いまの論議のような過程を通じて、出動したとします。国連認定で、イエス日本政府が言った。そうして在日米軍が朝鮮戦線に出動した。板付というところには日本自衛隊もおるわけです。共同使用をやっています。そのときに一方は板付からどんどん兵を送る、あるいは都合によると日本の海上からも輸送する、こういうときに、事実問題では、同じ飛行場におる日本の軍隊は、共同作戦行動ではないわけですから、黙って見ておるわけです。ただ、ごく近海あるいは朝鮮半島の陸地で多数の戦死者や負傷者が出て、どんどんこちらへ運ばれてくることになったときに、その救恤問題ということになると、日本自衛隊はいかなる扱いをするのか。これは赤十字問題になるのか。共同作戦行動ではないが、しかし、負傷者の救恤という問題を含めた日米間の扱いはどうなるのか。これは長官でなくても、人事局あるいは衛生局でもよろしゅうございますよ。これは直接問題が出てくるわけです。大量のものが出てくると、日本は手をこまねいているわけにはいかぬ。
  57. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 法制局次長がいるから、そちらのほうから……。
  58. 吉國一郎

    吉國(一)政府委員 現在の日米安全保障条約なりまた地位協定なりでそこまで触れて規定している問題はございませんので、事実上の協力の問題に相なると思います。したがって法律問題ではございませんが、その場における諸般の情勢に応じて、自衛隊としても適正なる措置をとるべきであるということで足りるのではないかと思います。
  59. 受田新吉

    受田委員 日本にあるアメリカ軍がその時点において国連軍と化する可能性があるかどうかです。在日米軍がお隣に事前協議による直進をしていった場合に、国連の機構は、いま日本にあるアメリカ軍在日国連軍協定が現実にあるのですから、そのときに日本にある米軍国連軍と切りかえをするようなことがあり得るかどうか。軍というものはなかなかにしきの御旗だから、これが国連軍アメリカが言えばそのままになるんじゃないですか、実際。国連軍じゃないと言っても、アメリカ国連軍と言えば国連軍になるんじゃないですか、どうですか。これは事前協議となるかどうか、国連軍になるのかならぬのか。
  60. 西堀正弘

    西堀政府委員 ちょっとお尋ねの点がはっきりしないのでございますけれども日本に参りますと、米軍から構成されるものは、これはすべて米軍になってしまいます。もっとはっきり申しますると、日本には国連軍たる米軍は一兵もいない。除くその最高司令官、それは統一司令部としての最高司令官お一人が日本にいたわけでございます。したがいまして、日本には国連軍としての米軍は、理屈を申しますと一人もいない。したがいまして、それが韓国出動するとたんに、これはいわば国連軍に編成されるものでございます。したがいまして、ちょっとお尋ねの点がはっきりしないのでございますが……。
  61. 受田新吉

    受田委員 そうしますと、一九五四年二月十九日の東京における在日国連軍協定はどういう性格になっておるのですか。それに対する合意議事録……。
  62. 西堀正弘

    西堀政府委員 あの国連軍協定は、要するに米軍以外にも当時十六カ国が国連軍に提供しておったわけでございます。それの地位をきめ、その任務をきめたものでございます。したがいまして、国連軍としての米軍につきましては、先ほども申し上げましたように、日米安保条約に基づくところの行政協定において当時はカバーしておったわけでございます。したがいまして、米軍に関しましては、すべて安保条約のもとで規定される。国連軍協定自体は、米軍以外の十六カ国の軍隊の地位規定する。米軍について見ますならば、先ほどもちょっと申しましたように最高司令官一人であった、こういうことでございます。
  63. 受田新吉

    受田委員 そうしますと、日本から飛び立つと同時に国連軍になる。はなはだ変わり身の早いかっこうで出かけていくわけですね。だから、羽田を立って韓国へ行くと同時に、この出動部隊そのものが国連軍になるということですか。つまり、イエスを言って飛び立っていけば、向こうでは国連軍という規定をされることが多分にあるということですね。在日米軍が火の粉が飛んでくる朝鮮海峡を越えていく場合に、国連軍として朝鮮に出動するということが想定される、そう了解してよろしゅうございますか。
  64. 西堀正弘

    西堀政府委員 日本を飛び立ちましてから、米軍国連軍になるかならないか。それは米軍指揮系統の問題でございまして、日本に関しまする限りは、米軍国連軍としてここにいるということはないわけでございますから。したがいまして、国連軍協定でカバーされるのは、先ほど申しましたように十六カ国である。それから米軍に関しては、日本出動していった場合に、これが国連軍として認識するかどうかは米国の問題でございまして、日本と米国と申しますか、国連軍を提供しておった当時の諸国家十六カ国、それとの関係ではございませんので、したがって、米軍日本を離れましてあと指揮系統の問題はわれわれの関知せざるところ、すなわちそれは米国内の、米国の指揮系統の問題でございます。それを米国の、純粋の米国軍として認識するのかあるいは国連軍として認識するのか、それは米国の指揮系統の問題だとわれわれは認識しております。
  65. 受田新吉

    受田委員 じゃ、これでおきます。  いまの御答弁のように、アメリカの都合ではあるが、日本を飛び立つと国連軍として朝鮮では行動するということにおおむね予想できると私は思うのです。そういう形で、アメリカの独断で、アメリカの意思一つで国連軍といわれるような形の、国連の認証でオーケーがされるというような形に一つの問題があると思うのですが、これはまたあらためて論議をすることにして、防衛庁長官にすかっといまから――時間も追っております。質問も短い。答弁も短くお願いしましょう。  防衛力整備計画昭和三十二年に誕生をいたしまして、国防基本方針がきまった。第一次、二、三と防衛計画は進んできた。その中で、第一次のときは、国力、国情に応じて必要最小限の自衛力をつちかうと言った。第二段階では、在来型兵器による局地戦以下の侵略にたえ得る力を持つもの、これが自衛隊だ。三番目が、侵略に対する抑止力としての自衛隊考えてきた。四番目は、何を考えるかということについて、四番目の構想を、私最近新聞などで長官構想も伺っておるのですが、こういう自衛隊の質的変化に対応して、四次防で、あまりたくさんのことは要りません、一応基本の柱として三次防までの反省の上に立って考えられるものは、新聞等で拝見する構想をそのまま長官はお認めになりますか。
  66. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 一言で言えといえば、性格的には自主防衛を主として、安保条約でこれを補完する、そういう性格に変わっていくだろうと思います。
  67. 受田新吉

    受田委員 そこで一つお尋ねしたいのですが、自衛隊の独力による直接侵略に対抗できる力を養いたい、こういう一つの構想がその中に入ってくるだろうと思います。そういう構想でいく場合に、つまり安保は副であるから、通常の場合は日本自衛隊で外部の侵略を排除する、こういう考え方、そうしてやむを得ぬときに米軍の協力を求める、原則的にはこういう形ですね。
  68. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 核兵器とか攻撃的兵器は日本は持ちませんので、その部分は米軍に依存せざるを得ない。それ以外の問題については、できるだけ日本が独力でやるように整備していきたいと思います。
  69. 受田新吉

    受田委員 日本の自衛力で外部の武力侵略、いまのような核攻撃その他という場合でない、通常の兵器による、在来型兵器による攻撃の場合に、量的な問題もある程度あると思いまするが、通常の攻撃に対しては日本自衛隊で間に合う、たとえば二カ月なり三カ月なりはいかに困難なときでも間に合う、そうしてその間に外交交渉もやる、アメリカの協力も得る、こういうような形の場合が考えられるかどうか。
  70. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 通常兵器による限定戦に対応し得るということであります。大体おっしゃるようなことだろうと思いますが、それもしかし時間をかけて、国民の諸政策とのバランスをとりながら、そういうふうに充実していかなければならぬと思います。
  71. 受田新吉

    受田委員 そこで、侵略に対する抑止力をつちかうと同時に、日本自衛隊を主にして安保を補完に考えるという考え方に去年から切りかえられた。その段階で日本自衛隊というものをどう見ていったらいいか。問題はたくさんころんでいるのです。  法案に直接関係する問題になります。陸海空、この三軍が常に有機的な連絡をとり機能を存分に発揮することで、量より質的向上で、侵略に対する防衛力が増強できると私は思う。人間よりも、人をふやすよりも質を向上する。陸上が十八万という目標を置いておられる。これは第一次防衛計画から今日まで一貫して十八万です。そうしていま十七万九千という数字になっている。けれども、現時点において二万幾ら不充足になっておるようですが、現時点の正確な数字を、事務当局でけっこうです。
  72. 内海倫

    内海政府委員 本年の二月二十八日現在の数字を申し上げたいと思いますが、陸海空合わせまして、全部の欠員が二万七千七百十三名でございます。その内訳を申しますと、陸上自衛隊が欠員が二万三千五百七十九名、海上自衛隊が二千三百五十七名の欠員、航空自衛隊が千七百七十七名の欠員、こういうことでございます。
  73. 受田新吉

    受田委員 長官、陸が二万三千五百という欠員がある。七千人師団からいったならば三師団以上、九千人師団にしてもそれに近い。七千人師団か九千人師団か、いずれにしても三師団分に相当する欠員が陸にはある。これは非常にゆゆしい問題で、私、昨年六千人の増員を計画されたときもこのことを申し上げたのですが、増員をするよりも、現におる自衛官に十分希望を与えて、そして隊に残ってがんばってもらえるようなくふうをつくるべきだ。量的充実よりも、一人一人の質的向上をはかっていって、自衛隊というものが強くなるんだ、こういう質問をいたしました。ところが、やはり部隊編成上、人間をふやしておかぬとぐあいが悪い。下士官以上ばかり多くて、兵が少なくては困るというような御答弁もありましたが、こういう三師団分の欠員があって、それを補充しないで今日に来ておるようなこの現状をよく検討しなければならぬ。それを検討することが大事なんだ。したがって、国民一人一人が自衛隊に対する理解と協力をするようなくふうをつくっていく。漸次それはできつつある。そこに働く自衛官が喜んでそこで働くというくふうをつくる。定員はふやすが、個人個人は優遇してないという形でなくして、定員増を押えて質的な向上へ力点を置くという行き方、これ一つに目的を注いでいただきたい、集中していただきたい。私は自衛官の待遇なども決していいと思いません。かつては日給制であって、それを三十三年から月額制に切りかえた。結局、移動が激しいから日雇い労務者と同じ賃金で、自衛官の給与をきめたときに私は月額制にせよと五年がかりで訴え続けて、やっと三十三年に月額制にかわるほど、自衛隊の中には日額を万能に考えた時代があったのです。五年間毎年叫び続けてやっと三十三年に月給に切りかえられた。そして超過勤務手当、管理職手当とかいう分もみんな本俸へ繰り入れられた形でちょっと給与が高いように見えているけれども昼夜兼行勤務をする者にしては、依然として低給です。だから、自衛隊におって運転手の資格をとるとか、何かかせいで出ようとかいう、何か資格付与の便宜主義で考え隊員もできている。長官、それを考えるのがあなたの大きな使命だ。中学を出た者は高校卒の、高校卒で入った者は大学卒の力をつけるようにしていきたいという愛情のある長官発言は、私の共感を呼びます。何か隊員希望を与えてあげたい。今度の准尉という制度など、そういうものにとらわれる必要はないのです。准尉という、そういう階級を付与して待遇を改善していくよりも、隊員は准尉よりも少尉になったほうがみんな喜ぶのですから、少尉の中で特別の付少尉、部隊付少尉というものをつくればいい。准尉をつくることによって下級の、昇進のおそい者ののがれ場所をつくってやるような気がしていけないのです。准尉をつくるなら准将をつくればいい。将官になれない者を気休めに准将にしておくのがいい。そこへつくっておくべきで、准尉という階級は意味がないと思うのです。だから、そういう処遇改善に力を入れて、自衛官の給与表が二割くらい高くても国民は納得する、私も納得します。そうしてあげてしかるべきだ。隊員をふやすことをやめて内面を充実していくということ――この機会に一つ私案を提案します。陸などは十個師団くらいにして、充実した隊員をもつて、そうして幹部だけは養成しておくが、いつでも予備自衛官等を招集することによって、有事の場合の部隊編成ができるが、平時は十個師団ぐらいの力ある充実した陸をつくるというようなそういう方式をおとりになる必要はないか。つまり量よりも質という方針をこの機会に、特に陸の場合は転換される必要はないかと思いまするが、いかがでしょう。
  74. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 空、海につきましてはやはりまだ定員が不足であると思いますが、陸につきましては、先生の御趣旨と私も同感でございます。やはり質を充実させるということ、それから待遇を思い切って改善するということ、その点につきましては、私も真剣に努力してまいりたいと考えます。
  75. 受田新吉

    受田委員 非常に率直な御意見です。真剣に考えておられる、あなたが真剣に取り組みたいというお気持が私によく響きます。それをひとつ考えていきたい。  もう一つ、陸海空の三幕の連絡ですが、前に私これを自衛隊法に織り込むときにも質問したのです。ナイキ部隊は航空自衛隊、ホーク部隊は陸上自衛隊、なぜこのような地対空部隊、ミサイル部隊と見てもいいこういう地対空部隊を陸と空とに分けるんだと質問をいたしました。何か昔のセクト主義というか、陸のほうへも多少サービスしなければいけない。陸からスタートした自衛隊だから、警察官が中心になって自衛隊がつくられた関係もあって、陸から地対空ホーク部隊をはずすのもぐあい悪いので、ホークは陸へ持っていく、ナイキは空へ持っていこう、こういうふうな任務別に考えていけば全くおかしい、笑うべきようなことが現に行なわれておるのです。長官の部下の中に、ナイキ部隊は航空自衛隊に入っている、ホーク部隊は陸上自衛隊に現実に入っておるのです。そしてこの三軍の一体的有機的活動をやるというところに、どこかに支障が起こっている。  それから、それをバランスをとるためにでしょうか、統幕会議というのがある。統幕会議は非常に大事な役を持っている。それを陸海空交代で議長をやるようになっている。陸でやったら海と空と順番になっている。そういうところにもちょっと三つを尊重するといっても問題があるんだが、人材があれば陸が長くやってもよければ、空が長くやってもよろしい。自衛官の数、将官の数からいえば、陸が三倍も四倍もあるんだから、陸が二年やって、その次に空を一年、海を一年、こうやってもいい。こういうような運営のやり方も問題がある。統幕議長は二年間定年が延びていますから、六十歳までです。そういう問題も含めて陸海空の有機的な活動ができるような部隊活動における任務別の部隊編成、そういうところを含めた再編成というのが必要なんですが、どうも長官が御就任される前に、あなたの願いとは違った意味で、古い伝統の上に各幕のセクト主義が手伝った部隊編成がこういうものに出ておる、これについて防衛局長から行きがかりを御説明願って、長官答弁を願います。
  76. 宍戸基男

    ○宍戸(基)政府委員 例をあげられましたナイキ、ホークは、確かに一方は空であり、一方は陸が運営をしておるということはございます。しかし、これはそれぞれやはりもちろん議論はございましたけれども、そういうことになりましたのは理由のあるところでございまして、防空という面では、ナイキもホークももちろん両方役に立たなければいけません。しかし、その性能その他運用のしかたが若干違います。広域な防空の面では、ナイキが直ちに役に立ちます。それからたとえば師団が戦術隊として活動いたします場合に、機動性を持ったホークというものが、やはり防空のかさをかぶせなければ、師団も十分な力を発揮できません。そういう意味で平時といいますか、編制上は陸上自衛隊にこれを持たすというふうなことも理由のあることでございます。ただ全般的な防空ということになりますと、お話しのような統幕会議、統合部隊というものは、場合によってはできまして、総合的な運用ということが非常に大事であるというようなことは、当然考えておるわけでございます。
  77. 受田新吉

    受田委員 運輸大臣が来られて、私の発言をやめてくれという委員長からの御希望があるのですが……。
  78. 天野公義

    天野委員長 そろそろ結論に……。
  79. 受田新吉

    受田委員 それでは長官、そろそろやめることにしましようか。けれども、あなたとお話をしていると、非常に私も質問のしがいがあるし、あなたもなかなかぴんぴんと響いておられるようです。日本防衛の担当最高責任者としてのあなたにいろいろな注文をしたい。私ははっきり申し上げておく。自衛隊を解散せよという立場発言はしておらない。自衛隊の質的向上をはかって、国民に信頼される自衛官として、制服を着て堂々と家庭に帰り、そしてみんながこれを歓迎して、国家、社会の構成員の一人として大衆から愛される自衛隊として、みんなから尊敬を受けるような形にもっていくべきだ。自衛官が窃盗したり、強姦したり、強盗したりというような例が最近続出している。もう私は例を言いません。そういうような、まことに不届きな隊員が生まれているというところにどこかに欠陥があるし、また高級自衛官は何かいい職場はないかと思って、防衛産業のいいポストをねらって、在任中から重要な会社と下交渉をしているというさみしい話です。そういうようなことでは、国土を守る自衛官としての誇りを高めることはできません。これをひとつ長官がすかっとしたお気持ちで自衛官希望を与え、自衛官国民的規模で国民全体が国防の意識を持って、軍事的な要素でなくて、平和的な要素自衛官の存在を示して、国防とは軍事力を高めるだけでなくて、第一は外交である、ナショナルコンセンサスである、国民の合意である。こういうものが大事なんだ。軍事増強なんというのは、ほんとうに一番最後の壁であるということをはっきり植えつける。そのためには国防白書などが要る、PRも要る、そうして父兄会との接触も要る。自衛隊は自民党だけの自衛隊などといって、自民党以外の議員を毛虫のごとくきらう自衛隊の幹部の伝統をこの際払拭する。それからもう一つは、日本の国は二対一の割合で非武装中立あるいは自衛隊の存在を否定する勢力もあるわけでございますから、そういうことも前提にしながら自衛隊国民的規模における信頼を高める政治を、行政をやっていただきたい。  その点について、いまひとつ希望を申し添えて、御希望に沿うて質問を終わりにしますが、自衛隊に入ったために学校の資格を取るという点について、前の有田長官は、防衛大学校の卒業生は学校教育法による大学の資格を付与するために、教育内容は別ですけれども、教科課程において十分検討したいといって、ずいぶん苦労されておった。防衛大学校と「校」の字がついている。学校教育法の大学の資格がない。これを大学の資格があると、他の社会に行くからという問題を別にして、高校、大学の資格を与えることはあなたの構想にあるのです。これを具体的に実行する方向で御検討願いたい。自衛隊に入っている者に、高校卒業の認定資格を与える。こういうことはお手伝いします。それから自衛隊は、勤務中は大体まじめにやっていると私は思います。こういう自衛隊勤務というものは、国家社会において、あの規律ある経験を得た人たちは非常に貴重な人生が築かれる。その意味では、ある程度一般国民自衛隊に、一日、二日入隊という訓練を受けてみる。成人に達した人は自衛隊で一日訓練するというような、そういう風潮をつくるということも含めて、国民的規模における自衛隊、軍事的強化という意味ではなくて、質的に国民国防意識に乗っかかる自衛隊を育成していただきたいというような点で、いま申し上げたような問題とひっくるめて御検討いただきたいと思います。  沖繩問題があるのですが、これはきょうは質問をしません。  以上、基本的な問題を質問いたしましたが、あなたを激励したいと思うし、それを忠実に実行をはかっていただきたい。これで質問を終わりますが、答弁があればひとつ……。
  80. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は、受田議員と昭和二十二年以来、衆議院に議席を共にしてまいりましたが、受田議員はこの長い間、日本の安全保障の問題について、ほんとうに心から心配され、特に自衛隊発足以来は、陰に陽に健全な成長を願って激励を、また非違を是正していただいたことをほんとうに感謝するものであります。私は久しぶりに受田議員の御説を拝聴して、正直に言って共鳴するところ非常にございます。御趣旨を体して一生懸命やります。ありがとうございました。
  81. 受田新吉

    受田委員 それでは、これで終わります。      ――――◇―――――
  82. 天野公義

    天野委員長 運輸省設置法等の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田耕作君。
  83. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 運輸大臣、交通事故というものはなかなかなくならない。次から次へと出てくるわけです。きのうも東武電車でトラックと衝突して大きな事故になった。全般的にこの交通事故をなくするためにどういう措置をしておられるか、あるいは今後しようとしておられるのか聞きたいと思います。
  84. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 全く交通事故が漸増するといいますか、あるいは急増している、こういう状態はお互いにまことに嘆かわしい次第であります。もちろん、これにはいろいろの原因があります。一つは道路等のキャパシティがなかなかふやしにくいにもかかわらず、自動車がどんどんと利用される。最近はマイカー族といいますか、自家用車族が非常にふえてきている。またもう一つは、やはり運転手教育というものが必ずしも十分ではないのではないか、これも一つの傾向であると思います。また一つは、施設としては、相当の交通量があるところは立体交差を進めるべきでありますが、なかなかこれも財政上の関係からして、そう急速にはできない。したがって、今回の御承知のような遺憾なる事故が起きましたが、これもいわゆる一応警報機の措置は行なっておる。にもかかわらず警報が鳴っている中をばく進ずるのですから、初めからぶつかるようなことがわかり切っている。これは運転手の悪質な問題もあります。こういう意味でこれらを総合的に、運輸省としては、施設関係に対しては、人命尊重のたてまえから、いわゆる資本投下を交通安全の方向にできるだけ向けるように、これが一つ。それから立体交差もしくは機械によるところの遮断機等の問題、あるいは必要によっては人をつける、こういうことを強く要請をいたしております。一方また、そういうことをいっても、立体交差あるいは相当の機械化をやるためには、一カ所三百万、遮断機をつけるためには三百万から五百万くらいかかります。したがって、これもやはり国鉄にしても私鉄にしましても、なかなか一ぺんにこれをやってのけることはできない。しかし、これを三カ年計画とか五カ年計画とかいうことで進めるように――私鉄の場合でも五カ年計画で施設の増大とともに安全装置の拡充というものをやって、本年が三年目に入っておるわけであります。しかし、それだけじゃとても間に合わない。私がいま指示しておりますのは、緊急措置として踏切を、車等の通行をある程度制限してはどうだろうか、車で走るのですからして、百メートル、二百メートルよけい走っても、たいしたことじゃないのですから。たとえ交通量が少ないからといっても、交通量の多いところで必ずしも事故が起きているわけじゃないのですね。昨日の事故のときは、自動車の交通量からいえば大体五百台くらいの交通量なんですね。したがって、交通量が少ないところは無人踏切になっておる、こういうところももう少し整理して、そこは車を通行させないということも一つの方法じゃなかろうか。これなら金がかからない。そういうことによって、他の踏切場所に対しては集中的に人的配置、あるいは機械装置を進めていく、これも一つの方法だろうと思うのです。こういうことで、運輸省の関係の交通安全対策というものは総合的に、緊急措置としては多少の不便があっても、このようなこともやむを得ない、かように考えて、建設省とも――これは建設省の仕事になるのですがね、道路をとめるということは。これは建設省に具体的に調査した上で要請しよう、こういう指示を与えて万全の措置を講じたい、かように考えております。
  85. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 しろうとから見ましても、道路の問題と自動車の問題、その運行、運用の問題、非常に緊密な関係があると思うのですけれども、何か恒常的に運輸省と建設省で事故防止対策というふうな緊急に措置のできるような制度がありますか、あるいは考えておられますか。
  86. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 一つは、いま総合的には総理府でやっております。先だって来から新聞にも出ておるように、比較的狭い裏通りの場合は一方交通を強行しよう――私は一方交通だけでなく、そこには交通のディフェンス、白いやつがありますね、ガード、そうして車道と人間の歩く道を区分する。それがためにいままでは自動車が往復できたようなところでも、今度はできなくなるかもしれません。しかし、一方交通にしたらよろしい。  もう一つは、やはり人間の生命を保護するという意味で、ことに子供生命を保護するという意味で、ある地区においては思い切って車の通行を禁止する。子供の遊び場、こういうものをひとつつくってはどうだろうかということで、総理府が中心になって、あるいはバスの専用レーンだとか、あるいは大阪でやっておるような基幹道路においても一方交通を思い切ってやって流れをよくする。大阪の場合、この一月から実施しておるのですが、その結果を見るというと、大体一〇%ないし一五%の流通といいますか、流れがよくなっておる。一〇%前後よくなるということはたいへん効果があがるわけですから、それらの実績をもとにして、目下検討を続けております。  運輸省と建設省だけでやれる問題は、先だっても二回ほど建設大臣とも大綱の話し合いを進めておりますが、具体的には事務当局において、先ほど申しました踏切をある程度整理をするという考え方、あるいは踏切の狭いところは思い切って道路を広くしてもらうということを申し入れて、さっそくにも実行に移したい、かように考えております。
  87. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私、杉並ですけれども、杉並のある地区でこの二、三日前、商店街の住民から――これは十メートル足らずのわりあいに狭い道路ですが、一方交通にしてくれということで商店の人たちに寄ってもらっていろいろ相談したことがある。その町で三、四年前も一方交通にしろということで一方交通にした。ところが一方交通にすると車が安心してスピードを出して走るものだから、ますます危険になってしまったということで、やめてしまったということです。そういう面がこの問題にはあるわけで、一方交通にするだけではなかなか解決しないということがあるのです。両方から来ますと、車があぶないと思うから、人も用心するし、車も用心して、だんだんスピードがおそくなる。一方交通になると安心してスピードを出して走り過ぎるというようなことが起こった実例があったのです。こういうような問題があるので、やはりこれはいろんな制度をどんどんやっていくと同時に、何かの形でそういう問題は、道路を広げるというような問題もあるでしょうし、これはむずかしい。人の気持ちの問題がありますしね。一般の住民の気持ちの問題を解決するために、いま大臣のおっしゃったように、ある地域を切って安全地帯をつくるということは一つのポイントだと思うのですけれども、それをもっと適当な宣伝、教育、啓蒙という面を考えてみる必要があるような気がするのです。これは単に一般の市民だけではなくて、自動車の運転手、不良自動車の整備をする人、そういう人たちのグループをつくって、もっと再教育をするとかあるいは運転の免許の問題も検討してみるとか、そういうふうな一般の市民教育の問題、そうして運転手あるいは会社の経営者あるいはその整備士等を区分けしての、もっときめのこまかい教育の問題が必要だと思うのですが、そういう問題について御計画はないのですか。
  88. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 ことしのこの国会で提案しておりますが、タクシーの近代化センターといいますか、この法律案が皆さんの御協賛を得て成立しますと、ここに研修所を設置することになっています。しかし、いまおっしゃったようなところまで手が届くかどうかは別問題といたしまして、少なくとも職業運転手、タクシーとかハイヤーとか、こういうものは、それによって相当の研修を与えることができますから、これは効果が上がると思いますが、しかし実は事故を起こしているのは、私はこまかく調べていませんが、タクシー及びハイヤーの運転手の事故率はわりあいに低くて、ダンプだとかトラックの運転手ですね、若い二十二、三の連中及びマイカー族、これがやはり事故の数は相当多いんです。そういうようになりますと、研修センターでそこまで手が及ばないだろうと思う。そうなれば、いま和田さんがおっしゃるように、そういうしかつめらしいような研修じゃなく、あるいは町内ごとに、そういう交通安全会議のようなものを持って、ふだんから皆が考えるということですね。また施設を要望するなら、政府がその施設を引き受けてやる――いま杉並の話が出ましたが、ただ一方交通にしただけではそういう危険があります。いままで二つの車が通っておったならば、おそらく八メートル前後の道路の幅があるだろうと思う。そういうところには、両側に二尺なら二尺のディフェンスをつくるなり、安全に人間がそこだけ歩けばいいわけですから、適当に、百メートルなら百メートルおきにいわゆる歩行者優先の、筋かいのシマウマみたいなものを施設しますね。もちろんまたスピードも制限する、こういうこまかい方法をとらないと、思い切って交通事故を減らすことはできないのじゃないか。そこまでやると、利用者から見ると、多少不便は感じます。交通事故は減らないから、そこで一方交通はやめたというんじゃなく、おそらく商店街としてみれば、お客が何分の一か減るというところが最大の原因じゃなかろうかと思う。これは皆さんが外国へ行ってごらんになってもわかるように、日本は狭いくせに自動車の通る道が非常に多過ぎるのです。たとえばアメリカのニューヨークもそうですけれども、少なくとも三百メートルくらいは、道路は自動車が通らないのです。あとは窓のようになっていて、人間がちゃんとその中に入っている。これはそれが当然なんです。にもかかわらず、日本は市街地の構成というものが、交通といっても、せいぜい昔の人力車が中心の、自転車とか人間が歩くくらいのもので、自動車というものを想定していませんからね。いまでも団地あたりでは四メートル、六メートルという道路をやるのですが、こっけいなんです。四メートルの道路なら自動車が入っちゃうのです。入るから無理が起き危険がある。ああいう団地のつくり方、五十年前、百年前のものの考え方は非常に間違っていると思う。ですから団地をつくる場合でも、自動車の通るところと人間だけしか通らない道路、こういうものを区別して、人間が五十メートル、百メートル歩くことを惜しむようじゃどうにもしようがない。しかし、日本のいまの新しい分譲住宅地のつくり方はみんなそうなんです。道路があれば自動車が走る、これではいつまでたっても交通事故はなくならない、こういう点をひとつ根本的に考えなくちゃいかぬ、こういう考え方も私は建設大臣に進言はいたしておるわけであります。
  89. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 おっしゃるとおり、いま新しい団地の住宅地をつくる場合に、非常に小さな道路がある。いま大臣のおっしゃるように、運輸省と建設省と連絡して、そういうふうなものをこれからだけでもなくすようなことは、さっそくにしなければいかぬ。  それで、いま一番問題になっているのは、小さな商店街が日本国中にたくさんあるのですけれども、たとえばいまの一方交通にする、ところが酒屋さんだとかあるいは八百屋さんだとか、荷物の積みおろしの激しい商売は一方交通にされたのでは困るのです。だから非常に強い反対があるのです。これに各級の政治家が動員されて反対をする、そういうことでなかなか解決できないわけです。こういう問題を検討するためにも、いまの事故の問題に効果のある対策をするためには、もっと肝心の、加害者を監督する親玉が大臣ですから、そういう問題をもっと迅速に処理できるように、あまり一人一人のことを聞いておったのでは、この問題は解決できません。そういうふうなことで、迅速な解決をはかってもらう体制をつくる必要があると思う。また東武の問題は、あの事故を起こしたダンプの運送屋は無許可の運送屋だそうですね。あれはもぐりの運送屋だったそうじゃないですか。
  90. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 形式上は無許可というわけじゃないのですが、あれはいわゆる自家用という形でやっているのです。ダンプカー等の規制に関する法律も皆さんの御審議でできているのですが、どうも私はあの法律ももう一度少し手直しをする必要があると思う。一つは、ダンプカーとはいわゆる土砂、砂利等を運搬する、こういうふうに非常にこまかく規定されていますね。そのころは砂利トラが一番の加害者だったからそういうことになったのでしょうが、最近はそういうものだけじゃなくて、ことに列車の軌道等において起こる事故は必ずしもそれだけではない。たとえばミキサーあるいはトレーラー等の車は速力がおそいですから、だいじょうぶと思って渡っておるうちにわっと来る危険性がある、こういう中車両といいますか重車両というものは、大きな意味でとらえないといけないのではないか。  それからもう一つは、これは非常に不便を感ずる結果になるかしれませんが、いま検討さしておるのは、七トン半以上の車はある一定時間だけ、昼間通行を禁止しております。これを思い切って大幅に規制をする。三、四年たてば当然私はそうなるだろうと思うのです。国民も要望してくるだろうと思う。そういう車は十一時から午前五時までの間、道路があいているときに使わせる。それには問屋側なりあるいは商店側なりが、それを受け入れる情勢でないとだめなんです。おれたちは夜働かないのだ、これではしょうがない。皆さんが外国へ行ってごらんのように、ニューヨークでもワシントンでも、日本のような五トン車、十トン車なんというのが昼間走っておるのをおそらく見たことがないでしょう。すでにもう外国では実施しておる。すなわち、機械とか道路というものは二十四時間使うべきもんだ、こういうたてまえで行なわれておるにかかわらず、日本はそこまでいっていない。しかも世界第二位の車を持っておる。こういうような情勢、車の増加とそれを受け入れるところの道路等の造成あるいは人間の勤務情勢というものが合っておらない。それをやはり近代的に考え直す必要がある。あるいはまた皆さんがお歩きになって、私も非常に気がつくのですが、四車線もしくは二車線にいたしましても、ちゃんと十分使えるような道路が、ずっと片道駐車しておるでしょう。そのために二車線が楽に通れるべきところも片道で通れない。あるいは当然四車線として通れるような市内道路が、両わきに駐車して、そのために通れない。なぜこういう状態が起きてくるか。これも皆さんが外国を御旅行になってごらんになるように、たとえばニューヨークに参りましても、ちょっとした町ではいわゆる小型ビルガレージ、四十台から五十台程度のそういうガレージというものが五十メートルごとにあるのです。そして近所に来た者をそこに駐車させる。日本では五百台とか千台とかという地下ガレージというものはあるけれども、そういう簡単なガレージがない。したがって、とんでもないところまでも持っていったんじゃやりきれないものだから、そこの前にとめておく。それを大目に見る。そういう近代国家にあるまじき状態が現在では東京都内でも大阪でも起こり得る。これは法律でもって規制できませんからして、したがって行政指導なりあるいは商店街なり等が、ことに問屋街の皆さんが、横山町の横へ行ってみたらわかるのですよ、実際は楽に通るところが全く車一台も通らない、こういうところになぜガレージができないのか。だから、そういうものに対しては国がある程度の安い金を貸して――いま日本の場合は小売り商人というものはアメリカ――アメリカと比較するのはどうかと思いますけれどもアメリカの例でいいますれば、いわゆる近代国家といわれる日本における小売り商の数というものは、アメリカの六倍です。だからみんなが過当競争をして困っておる。そういう人たちが一緒になって国から安い金を借りてガレージをつくれば、商売が成り立つわけですね。そういう近代化というものがおくれている。こういうことも考えなければならぬと思っております。
  91. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 非常に問題点指摘されるのですけれども、大臣、それはあなたがおやりになることですよ。
  92. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 これからやろうと思っています。
  93. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 ひとつその問題を、かなりあればあっても、ぜひやっていただきたいと思うのです。  もう一つ、このちょうどいい機会に。きのうも私、防衛庁長官にお話ししたのですけれども、例の「よど号」の問題でたいへんどうも御苦労さまでした。あれで一つまだわからぬ点は、例の金浦へおりたというような問題。私は、実は板付でもって何とか処置をしてもらいたいと願っておったのですが、飛び立っていった。金浦へおりたというので実はほっとしたのですけれども、大臣、どういうようにお考えになりましたか。
  94. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 こっちは大体少しのんびりしておるほうですから、金浦におりた、あれ、北朝鮮に行くやつがどうして金浦におりたのだろうという程度の疑問――金浦におりたら何とかなるという自信は、初めはあまりなかったのです。ただ、翌朝早く官房長官から連絡があって、金浦におりた、大臣が行って何とか処理してほしい、こういうことで、こっちもちょっと覚悟せざるを得ないという気持ちであったのですが、だれか行かなくちゃなりませんから――はたして運輸大臣の仕事か、よその仕事かよくわかりません。飛行機を動かすことはそうですけれども、人を助けるのは国務大臣としては当然やるべき仕事ですから、承知しましたと言って行ったのですが、金浦におりたことはほっとするというか、全然そのような感じがなかった。何でおりたのだろうか、北朝鮮に行くとわれわれは思っていましたから。あるいは北朝鮮に行くと言ったんですが、よく飛行場やなんかわからなかったのか、あるいは航空図も持っておりませんから、そういうことでおりたのかという程度で、実情は行くまではどうしておりたかはわからなかった。行きましても、その点について私は機長が帰るまでは会えませんでしたから、事情は知りませんでしたが、帰ってきて機長に聞きますと、平壌――百三十五メガサイクルですか、これは国際用のいわゆる呼び出し番号といいますか、でありますが、それを使って、そして自分のほうが平壌、平壌と呼び出した、ところが平壌ということであったから、そこでおりたという機長の話であります。それ以上にわれわれは知りようがないし、事実また韓国政府にしても日本政府にしても金浦におりろという指令は出しておらないし、私自身が行っておったのですから、出しておりませんし、韓国政府にしても突然おりられたので、面くらったという形のようでした。
  95. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 たぶんそれはほんとうだと思うのですけれども、そういう説明では非常にミステリーみたいなものですね。だれがおろしたか、リードした電波というのはだれが出したかということになるわけですけれども、それはほんとうですね。日本政府が当然何とか手を尽くして、そして乗客の安全をはかるために、むずかしいけれども、とにかく金浦におろすような手配をしたと好意を持って実は私どもはほっとしたのですけれども日本国民の大部分の人も、防衛長官も、実は私もほっとしました、こうおっしゃっておられる。これはだれでもほっとしたと思うのだけれども、そういうふうにわれわれが思うから、政府は懸命ですから、何とかそういうような手を打ったんじゃないかというように私は思ったのですけれども、そういうこともなかったのですか。
  96. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 私は残念ながらほっとしなかったわけですよ。防衛長官がほっとしたかどうか知らぬが、一つ仕事がふえたのですから、実際から言えば。私がやらなければならぬという法律上の規定もありませんけれども結局私は命じられたのですから、あそこである程度の解決ができなければ、日本国民韓国政府も困ることですからね。私にとっては非常な重荷です。金浦におりてこれを何とかやれということは――ただどうしてもやってきかなかったから、その間北朝鮮にやったというのであれば、これは日本政府というか、特に韓国政府がかっこうがつかぬでしょう。私自身も現地の責任で、かっこうがつかぬ。ですから、ほっとしたというのは私はちょっとわからないのです。やっかいな仕事ができたということですね。北朝鮮の飛行場というものはちゃんと着けるものであれば――ただ、あとで聞いてみると、機長は全然知らない、平壌の飛行場がどんな飛行場かがわからない、また自分自身国際航空を飛んだことがない、また日本にはいわゆる北朝鮮の航空路もない、こういうことであるから、北朝鮮に飛べと言われても、本人はいろいろ悩んだことがあったようですが、金浦におりたことは、日本政府というか、私自身責任者として見れば、これはまた一つ仕事がふえたということで、ちっともほっとしなかったということは事実でございます。
  97. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 ミステリーがますますわからなくなってしまったのですが、私はほんとうはあれはよかったなという感じを受けたので、政府は非公式に韓国と、あるいはアメリカとでも連絡をとって、ああいう形で万全の策を講じたのだ、もしそうであったならば、何も隠す必要はないのです。北朝鮮に対しても、韓国に対しても、隠す必要は一つもないのだというような感じを持っておるものですから、そのことをあえて御質問申し上げたのです。ほんとうに知らなかったわけですか、あれは。――よくわかりました。  それからもう一つ、ハイジャックの問題で、私、気持ちの問題としてわからない問題は、人道的な問題を中心にしてあれをずっと処理していった、これは結局成功したということだと思います。ただ、この問題を今後の問題として、そういうことだけでああいう問題が処理できるかということですね。たとえばグアテマラですか、西独大使が殺された事件、ああいうふうな問題も――かりに極端な話が飛行機を乗っ取った、たとえば内閣総理大臣を更迭し、政府をかえろ、かえたらおろすぞという条件でも出てくると、これは二百人の乗客がおってもとても応じられないという問題が出る、極端な例ですけれけども。そういうふうな問題を処理する場合に、やはり一番いい機関は、日本の近海であれば、台湾なり北鮮なりあるいはソ連なり中共との間にそういう問題を処理するもの、ちょうどアメリカがやっているような、そういうふうな考え方というものが必要になってくるのではないか。人道的な問題だからお願いします、あたかも九人の犯人が命の恩人のような錯覚を与えるようなことになってしまうということもあって、そういう問題をお考えになっておりますか、各国際間の処理の問題は。
  98. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 ハイジャックを未然に防ぐことは最大限の努力をしなければいけませんけれども、さればといって、これから警備体制を強化し、あるいは警察を十分に強化しても、万が一そういうことが起きないか、こう言われると、これは警察当局にしても、われわれにしても、万が一起きないとは断言はできない。起こしてはいかぬということは間違いないのですから、最大限事前的に、日本は比較的に警察の力といいますか、捜査網が世界でも優秀なんですから、これは考えなくちゃいけません。しかしそこまで十分にやっても、たとえば私はいま国家公安委員長といろいろ相談していることは、羽田飛行場とか伊丹飛行場、特に羽田飛行場を例にいえば、一日平均十五万人の人が出入りしている、しかもこれは全く動いておる人口ですから、普通の町の十五万人の人口とは違うのです。普通の町の動いている人口は、十五万といってもせいぜい三分の一、多くても二分の一が動いている人口ですから、十五万人といっても七万人程度である。ところが羽田飛行場の人口十五万人というものは、そのまま動いているのですから、普通の町でいえば三十万ないし五十万の都市に匹敵するほどの複雑怪奇、多様性を持っているということです。そういうところの警察というもののあり方がはたして十分かどうか、これを国家公安委員長といま相談中なんです。であるからして、ものの考え方が従来多少不十分ではなかったのか、こういう意味で空港の警察権がもっと強化されなければいかぬ。ことにそう強化しましても、国内線のごときは、五分前にかけつけて、ぱっと乗っていかれるのですね。その場合に、いわゆる検索機をもってその人を調べる時間があるかどうか、これは問題だ。この間のハイジャックされた日航機にしても、身元不明の人が何人かあった、身元不明といっても、その人が何も浮浪人というわけではない、いろいろの事情から自分の居住所をごまかした、これを調べるひまはないですよ、五分前で、しかも国内航空ですから。こういう問題がありますからして、これはなかなか容易ではない。したがって、いま和田さんがおっしゃるように、いかに事前に努力はしても、万が一あり得るであろう、その場合にどうしたらいいか。この間は人道主義の立場から各国の協力を得て成功しましたことは、関係各国に対してわれわれは心から感謝して、御礼の気持ちを持っております。しかしながら、これからそういうことだけで済むかどうか。しかし問題は人の生命を助ける人道的問題、だから問題の解決のしかた、その基底というものはやはり人道主義でよろしいと思うのです。その人道主義によってこういうものを解決するんだが、その場合に、何らかの方法を考えるべきではないだろうか。ただ日本の近接は、御承知のように、分裂国家が幾つかある、、ベトナム、中国及び朝鮮、これは非常に隣国であって、いわゆる分裂国家である、特殊な事情です。こういう場合において、日本から向こうにハイジャッキングするものもあるだろうし、あるいは向こうから日本にハイジャッキングする者もないとはいえない。おれは共産主義の国にいるのはいやだという者は、ほかの国ではあるのですから、一種の亡命の意味で。であるから、日本だけで起こり得る現象じゃない。いわゆる共産主義国家もしくはそれに類似する国家も、そのようなことは起こり得ないとはいえない。いろいろの点で非常にきびしいからして、起こる可能性は非常に少ないようですが、ないとはいえない。そうなりますというと、これは政治の形態のいかんを問わず、あるいはイデオロギーのいかんを問わず――イデオロギーがあるところでも起きるのですが、こういうことは、一種の世界的な最近における共通的現象である、こう見なければならない。しかし問題は、乗客がおる、おらぬにかかわらず、少なくとも機長とか機関士とか副操縦士とか、やはりこれは人でありますからして、人命問題がある。そういう意味において、何らかのいわゆるこれを連絡すべき機関が実務的にできないものであろうかどうか。ここで一応私は運輸大臣としてお話し申しあげておるので、したがって具体的なこういうことはどうであろうかということを申し上げることは遠慮したいと思いまするが、いま申しましたように、実務としてこれを扱う方法がないだろうか、こういうことで目下私自身考え中であり、これがある程度まとまれば、政府の関係者とも相談をしてみたい、かように考えております。
  99. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 ちょうどこういう問題は、たとえば北鮮なり中共なりソ連なりと――北鮮とは国交がないとしても、こういう問題で話し合うということはできるわけですから、しかるべき方法でひとつできるだけ手を尽くしていただきたいと思います。  この法案についての若干の質問がございますけれども、今度、運輸省関係のいろいろ重要な各審議会、委員会の整理統合を行なうというのが、この設置法の一番の中心になっておるわけです。運輸政策審議会あるいは運輸技術審議会を中心とした審議会の整理統合案というものですけれども、この構成の問題、たとえば運輸政策審議会というのは、構成はどういうふうにお考えになっておられますか。
  100. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。  今度の審議会といたしましては、中央に運輸政策審議会それから運輸技術審議会、それから地方に地方の審議会を設置することになっておりますけれども、その委員の構成といたしましては、まず中央の審議会につきましては、これは大体この審議会設置の目的というものが、いままでのいわゆる分断的な運輸政策というものに対しまして、もっと総合的に、客観的にこれからの運輸政策の進むべき道を見つけたいということでございますので、学者ないしは学識経験者を中心として構成してまいる。特にこういう場でいろいろな利害関係が対立云々というのは望ましくないので、利益代表的な者は入れませんで、そういうふうな中立的な、客観的な者で構成していきたいという趣旨でございます。  それから、技術審議会につきましても同様でございまして、運輸政策に科学技術なり、そういうものを高度な見地から取り入れたいというのが主眼でございますので、運輸技術に関しまする高度の学者あるいは学識経験者、あるいは運輸技術のみならず、もっと全般的に広く見渡せる高度の技術者、学者、そういう方を中心として構成してまいりたいと思っております。  なお、地方につきましては、これは若干中央と異なりまして、現実の行政に密着してまいりますので、この点につきましては、学識経験者あるいは利用者というものを含めまして、あるいは関係者、そういうものを入れまして、いわゆる三者構成的なものできめていきたいというふうに考えております。
  101. 受田新吉

    受田委員 関連して。運輸省は、そうした審議会の構成分子の選任にあたって、一応の構想を持ってやれる役所でありまして、他の省とのかね合いなどという問題は、あまり考えなくてもいい役所だと思います。それで兼職を幾つもやっている審議会の委員がおるわけです。一人で十も二十もかねておる、そういう人は貴重な、便利のいい人間ではあるけれども、運輸省の関係の審議会では、やはりもっと希少価値の人間を他方面から採用することにして、よそでもしばしば顔を見せるような委員は断わって、新鮮な委員会の構成をしていただきたいと思いますが、そういう兼職なども調べられたことがありますかどうか。任命されるにあたって調査ができているかどうか。現在の審議会の委員で兼職している人がどのくらいあるかということを調べておられるかどうか。
  102. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 調べてはおりますが、いま、ここに資料を持っておりませんので、どの方がどのくらいということは、ちょっといまわかりません。
  103. 受田新吉

    受田委員 これも技術が入ってくるわけですから、技術審議会になれば、技術者が相当比率が高い、そういうかっこうですか。
  104. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 さようでございます。
  105. 受田新吉

    受田委員 大臣、あなたの役所に、そうしたいろいろな審議会、付属機関というものがたくさんできていると思うのですが、そういうときに、大臣みずからが委員の選任を、直接チェック、関与されますか。下僚まかせですか。
  106. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 こういうような法律できめられている審議会、このようなものに対しては、一応原案を持ってまいりますが、私がだいぶ修正をする場合があります。私は、建設省にもおったことがありますが、どうも同じ人を使い過ぎるんですね。それは重宝ではあるし、また総合的な知識が必要ですから、一部分は、ある程度はやむを得ないと思うし、また必要であろうと思いますが、しかし大部分がそうであることは好ましくないので、多いときには半分くらい入れかえてしまう、少なくとも三分の一くらい入れかえてしまう場合が多いし、できるだけ新鮮な、ことに近代社会に適応するといいますか、やはりある程度若返りをやかましく言っているのですが、そういう方向で私になってからは委員を選任している、こういうことです。
  107. 受田新吉

    受田委員 はい、けっこうです。
  108. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いま受田委員からいろいろ質問がございましたが、学者を中心として選ぶということですね。学者は、いま受田委員指摘されたような問題もありますけれども、学者という人は、圧力団体と利益代表的な人から話をされると、案外弱いものなんですね。これは政治家よりはもっと弱いのかもわからぬと思われるほど、あまりそういうことをしつけないから、頼まれると非常に弱いというところがあるわけで、必ずしも公正な意見を発表しない。利益代表のまた代表みたいなことになる可能性も現実としてあると思うのです。しかし、学者だから、公正な立場を主張するというような外見にもなるのですが、その問題について、いままで運用されて、そういう面もあるなという感じはなかったでしょうか。
  109. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 特にそういう弊害はありませんけれども、ただ一つは、学者というものは学問にたより過ぎるんですね。だから、一足す一は二、これは学者は必ず二と言うんですね。われわれは、一足す一は一半である場合もあるし、二半である場合もある。たとえば造船工学のような場合、これは、もちろん貴重なる学問でありますから、私は、それを尊重いたします。けれども、海象あるいは気象でもそうですが、これらは、過去に起きた海象なり気象なりの力学以上に出ないとはさまっていないんですね。出る場合もあり得る。しかし、学者というものは、将来起こり得るそういう現象ははかりょうがないんですね。プラスアルファというもの、政治家はそこをはかれるんですね。はかれるというよりも、プラスアルファを考えられる。そういう意味において、学者には一応のそういうような欠陥と言っては失礼かもしれないが、何か応用性というものがない。したがって、そういう意味では、今度は利用者の立場といいますか、やはり利用者になりますと、そういう学問はないけれども、おれを安全に運んでもらいたいとか、そういう別な意識がありますので、そういうものと組み合わせる必要がある。ですからして、たとえ技術審議会のようなものであっても、学者だけ、いわゆる造船なら造船の技術者だけ集めればよろしいというわけにはいかない。こういう観点で委員を選任すべきである、こう考えております。
  110. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 もう一つ、こういう委員会で問題になるのは、労働者代表なんですが、これは労働者代表は考えておられますか。
  111. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、地方と中央では若干性格が異なっておりますけれども、地方については特に現場との密着というものがございますので、その点については考えております。
  112. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 中央については考えていないわけですね。
  113. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 先ほど申し上げましたようなことにつきまして、なるべくこれを中立的な客観的なものにしたいという意味から特に考えてはおりません。しかし、この審議会でいろいろな項目が審議されておりますけれども、その審議する項目によりまして、必要があれば特別委員というようなかっこうで入り得ることはある、こういうように考えております。
  114. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いまの特別委員という形を運用されるといいと思うのですね。特別委員という形は、これは政治家でもいいと思うのです。これは各党、自民党のように三百名のところと、私らのほうのように三十二名でも、これは特別委員の知識ではあれですから、各党一人くらいの特別委員をつくるというようなこともいいと思う。政治家が入ってぐあいが悪いのは、悪いことを発言するから悪いので、やはり決定権のない特別委員的なものにはもっとフリーに考えてみるほうがいいのじゃないか。ぼくは学者の人とは非常に親しくしている人が多いのですけれども、学者が公正な立場からそういう場で発言できるかというと、必ずしもそうじゃないのじゃないかという感じがしてならない。これは学者不信ではないのですよ。不信ではないけれども、そういうような問題をよくお考えになって検討していただきたいと思うのです。いまおっしゃったように、地方の審議会、特に自動車運送協議会を発展解消して、地方陸上交通審議会をつくる、この場合は、やはりいままでも労働者代表が入っておったようですけれども、ぜひとも労働者代表を入れてもらいたい。労働組合の代表というものは、これはいろいろな面があります。組合をバックにしながらいろいろな横車を押すというところもなきにしもあらず、また選ぶのになかなか苦労なさるところがあると思います。思いますけれども、この人たちはそういう人たちの立場をわりあい公正に代表する可能性が多いと思うのですよ。ただおまえのところは二人でおれのところは一人だというようなことを言って、ごたごたはありましょうけれども、ひとつこういう問題については、労働者の代表を公正な判断でぜひとも参加さしてもらいたいと私は思います。  以上質問をいたしまして、私の質問を終わります。
  115. 天野公義

    天野委員長 午後一時三十分より委員会を再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十四分休憩      ――――◇―――――    午後一時四十二分開議
  116. 天野公義

    天野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  運輸省設置法等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を続行いたします。鬼木勝利君。
  117. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 私は運輸省に対しまして、今度の三月一日から上がりましたタクシー料金の値上げの問題についてちょっとお尋ねをいたしたいと思うのです。  巷間で私どもがタクシーを利用しますと、運転手が異口同音に申しますことは、料金が三十円上がったが、これは会社の利益をはかって、われわれ従業員としてはほとんどその恩恵をこうむっていない、こういうことを言っておりますが、この三十円料金をお上げになった算定基準といいますか、どういう根拠のもとに三十円上げられたのか、そういう点についてちょっとお尋ねいたしたいと思います。
  118. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 運賃の改定につきましては、原価計算をいたしまして、費用が高騰している。その費用は人件費、物件費等がおもでありますけれども、経営の内容が非常に悪くなっておるから、これを是正をしなければならないということでございます。過去の実績から見まして将来の四十五年度を平年度といたしましてこれを推定いたしまして、東京につきましては二二・五%改定をすれば収支が償うということで、二二・五%の値上げを認可した次第でございます。
  119. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そこで二二・五%の値上げをされたその内容について、そういう抽象的でなくして具体的に、会社側の経営がこれだけ赤字だ、あるいはこれだけ経営に困っておる、三十円の料金を上げてそれを運転手の従業員に何%還元するんだ、何%が会社側の経営に充てるんだというような、もう少し計数的、科学的なものがあるはずだと私は思う。ただ漫然と二二・五%上げるんだ、これは会社の経営が苦しいからこれだけ上げるんだ。それでは根拠がはっきりしない。
  120. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 二二・五%につきましては、特別経費の増加分が六・二一%で、通常経費の増加分が一六・二九%でございます。それで二二・五%をさらに分けますと、特別経費の中におきましては特別人件費が一・六八%、特別物件費が四・五%。これは特別物件費につきましてはLPGの税金でありますとか、自賠の保険料でありますとか、そういうふうなものが含まれております。それから通常の人件費といたしましては一一・〇四%、通常の物件費につきましては五・二五%、合計いたしまして二二・五%でございます。  このような割合をもってきめたわけでございますが、給与のアップにつきまして具体的にどれだけ支払うかにつきましては、これは労使間の話し合いできまるものでございます。しかし運賃の改定の申請後におきまして、認可の前におきまして、労使でいろいろ話し合いが行なわれまして、少なくとも増収分の五〇%は賃金の改定に充てるというふうな話し合いに相なっております。具体的には三月の一日からやりましたので、その後の実際の実収の状況を見まして今後労使でもってきめるというふうな順序になっております。われわれといたしましてはそのようにいたしまして認可をした次第でございます。
  121. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうしますと、大体五〇%が従業員に回るのだ、その点においては労使間の話し合いによる、これはまことにごもっともな話でございますが、料金値上げをされましたその後の労使間の話し合いによってそういう点がスムーズにいっておるか、そういう点について陸運局あたりで行政指導といいますか調査をされておるか、はたしてどういうふうに労使間の話し合いができておるのか、そういう点を、その後の情勢ですね。
  122. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 昨年の十二月二十三日に東旅協の会長と組合のほうの全自交の東京地連の副委員長と確認事項が交換をされておりまして、労働条件の改善というわけでございます。労働条件の改善につきましては、給与の面とそれから勤務時間その他の面があるわけでございます。勤務時間その他につきましては労働省でいろいろ監査もしていただいております。給与の改善につきましては、三月に実施いたしましてまだ日が浅いわけでございまして、その後の実収等を見まして、これは労使の間で目下、おのおのの組合によって違いますけれども、話し合いが進行しているように聞いております。
  123. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 給与の面あるいは勤務の面、つまり、労務管理というような点については、またあとで言及したいと思いますが、今回のこのタクシー料金の値上げということに対しましては、これは大臣にもちょっと御意見を伺いたいんですが、いささか無理があったんではないか、結局、公益優先ということでなくして、企業優先のきらいがあったんじゃないか、私どもはそういうふうに考えるんです。これは、その自動車料金をもう三年も据え置き、四年も据え置いて上げていなかったので、やむを得なかったというお話もちらちら聞いたんでございますが、その時期でございますが、三月一日に非常に無理をして私はお上げになったきらいがあるように思うんです。なお、まだ今日まで、旧メーターと新メーターと料金ストップと三様の姿でタクシー業界は動いておるんですね。どうしてこんなめんどうなことをなさったのか。非常に無理をなさったんじゃないか。専門的なことになれば自動車局長のほうからでこざいましょうが、大臣はどのようにお考えになってああいう御無理をなさったのか、その点をちょっと……。
  124. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 こまかい運賃のきめ方等は自動車局長から話があると思いますが、時期としては、この前上げたのは三十九年一月でありますからして、相当期間を経ておりますから、経営状態が悪いということになれば、これは企業だけじゃなく、そこに働く従業員、運転手の待遇改善もできない。大体このタクシー事業といいますか、この種の仕事は、近代産業と違いまして、あまり近代化されていませんね、実際。私も、運輸大臣になっていろいろこれを調べてみて、非常に近代化されておらない。ということは、労働省の監査で、労働基準法による労働時間が十分に守られておらなかったとか、あるいは従業員の待遇に関しても、近代的な賃金制度が確立しておらないとか、いろいろな点があります。ただ、ものによっては、いろいろその仕事の業務上、すなわち一週間に一ぺん休むとかいうふうな普通産業とは形が違いますから、やむを得ない点もありますが、基本給料も従来やっておるような基本給料でいいのか、あるいはまた、退職手当等の問題も、どうも一般企業とは少し性質が違いますから、必ずしも同じにせよとは言いませんけれども、不十分である。こういう意味で、とにかく近代産業じゃない。車だけは近代産業なんですが、その経営とか運行とかいうものが近代産業ではない。こういう点で、非常に扱い方がむずかしい点があるようであります。また、私も、その後の様子を事業者及び運転手にも聞いてみたんですが、どっちももうかってないというんですね。事業者のほうももうかってない。いわゆる実収があがっておらないというし、また、運転手も収入のほうは必ずしもあまり増加しておらない。当初の計画とは少し狂いがあるようであります。そういう意味で、これを許可するに至った、ああいう多少めんどうくさい賃金制度をきめたのも、この企業に伴う、あるいは利用者に伴うところのいろいろ条件を加えますというと、ああいうことになったんだろうと思うのです。たとえば、交通渋滞という状態もあることは御承知のとおり。場所によっては、同じ交差点において、五回、六回というストップを待たなければ通れない。その間においては料金が取れないので、今度は待っておるタイムの時間制を考えるとか、深夜になると、いわゆる時間外に働く時間外手当という問題もあるものですから、そういうことからして、いわゆる割り増し料金、まあいろいろな制度を考えざるを得なかった。しかし、必ずしもそれが実態とはたして合っておるのかどうか。事業者にも運転手にも利益があったかどうかということになると、なかなかむずかしいようであります。まだ日が浅いものですから、実際上の判定が下しにくいのでありますけれども、いわゆる当初考えたようなぐあいにはいっておらないというように私も見受けるのであります。  その他のこまかい事情は自動車局長から説明させます。
  125. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 今回の運賃改定は、大臣からもいまお話がありましたが、昨年の十一月二十一日に閣僚協議会の決定を見まして、特に労働条件の改善の状況につきまして、所定の賃金規程等が提出されておるかどうか、さらに、それが実態的に守られておるかどうかということにつきまして、労働省で監査してもらったわけでございますが、その結果、六十二事業者、六十八営業所につきましては、まだ実態として十分ではないということに相なりましたので、そのものにつきましては約半月実施をおくらしたわけでございます。  運賃を改定いたします場合には、これだけの三万台以上の車でございますから、一晩でメーターをつけかえるというわけにもいきません。さらに、メーター器につきましては、いわゆる頭部検査をいたしますと同時に、走行検査をしなければならないわけでございまして、通産省所管といたしまして、走行検査は一日約五百両ないし六百両の能力でございまして、したがいまして、換算表でもって従来から大都市のタクシーの運賃の改定のときには行なったわけでございます。今回につきましても、換算表を実施いたしたわけでございます。それで、ただいま申し上げました六十八営業所の約三千六百台のものが半月おくれましたのでそのものと、それから、通常に値上げいたしまして新しいメーター器をつけたものと、三つあったわけでございます。二つにつきましては、従来から、換算表はやむを得ないものとして実施してきております。今回は、半月間、ただいまの労働条件の改善が十分でなかったものがあったわけでございます。これにつきましては、PRその他も十分し、そうしてまた、運転手その他に対する教育も十分注意いたしまして実施いたしました結果、一応スムーズに実施されておると思っております。  現在におきましては、もう三段階の運賃はないわけでございまして、ただ、約三万台の車につきましては、新メーター器がすでに装着ができております。あと残りにつきましては、今月の末から来月早々にかけまして全部新メーター器を装着させるように、現在、業者なりメーター器のメーカー等を督励いたしておるような次第でございます。
  126. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いや、いま大臣も認められた。最初の計画どおりにはいっていないことは私も認めると言われた。私が言っておるのは、その点を申し上げておるので、事実、会社ももうかっていない、従業員も恩恵に浴していない、ただいま大臣もそのように御答弁なさっておった。しかも、いま黒住局長さんは、今日は三様になっていない、全部そろっておるとおっしゃっておりますけれども、まだ旧メーターでやっておる車もあります。それはあなた方の認識不足です。まだあります。つい一昨日でしたか、私が乗りました車は、旧メーターでございました。そういう点がまだあなた方が非常に認識不足だ。これは昨年の十一月閣僚会議で労働条件その他労務管理についてお話し合いをなさって、それにおくれたものは許可しないというようなことで三月一日に発足した。私が申し上げておるのは、もう四年も五年も料金を上げなかったので料金を上げたのだ、その点は大臣の御説明のようにやむを得なかったと私は思いますけれども、いままで四年も五年も上げておらなかった料金を三月一日にどうしてそんなにあわただしく、しかも大衆が非常に迷惑をする新メーターと旧メーターと料金ストップ――御承知と思いますけれども、当時新聞にたびたび出ましたが、非常にトラブルが起こる、あるいは運転手がインチキをやった、これはもう御承知と思います。でございますから、そういう、大衆に迷惑をかけるような――大衆の利益をはかってこそ初めてタクシーというものがわれわれの毎日の生活に役立つのであって、われわれに迷惑をかけて、そして会社のほうに料金だけ上げてやる。つまり公益優先でなくて企業優先のきらいがあったのじゃないか。何をあわただしく三月一日に、そろいもしないのに、そういう、われわれに非常に迷惑をかけるようなばらばらの体制で、準備体制ができないのに値上げをされたのであるか、それほどまで、いままで長く上げなかったのに三月一日に上げなければならないという、大衆の利益を無視してまで三月一日に上げなければならなかったという絶対の根拠、理由がどこにあったか、こういうことをお尋ねしておるのです。
  127. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 それはいま自動車局長から答弁しましたように、個人タクシーまで入れると東京に約四万台あるのです。四万台は一日でつけられないということなんですよ。御承知のように、そのためにはメーター器検査があり、そして走行検査というものがある、走ってみてメーターが正確かどうか、こういうことをやるためには当初は相当、四カ月も五カ月もかかると言うから、そういうばかなことでは困るから、人間を増員してでも、少なくとも最少限度に早く切りかえろ。そうなりますと、もしいま鬼木さんがおっしゃったように、それなら早くから、去年の十一月から、だから新メーターをつくっておけばいいのじゃなかろうか。もちろん一部早くつくったのですが、一台の新メーター器をつくるのに三万から三万五千円かかるのです。これは、必要ないから、レディメードで売っておらないのです。そうしますと、そういうものをつくる期間も要るのみならず、業者によっては、一部旧メーター器を改造してもできるのですから、なるべくは新メーター器を急がしてやらせましたけれども、ともかく走行検査あるいはメーター器検査等をやりますと、四万台のタクシーに取りつけるためにはやはりある程度期間が要る。やむを得ない実際上の物理的現象です。ちょうど皆さんが電話をつけるといたしましても、電話のような簡単につけて線を引っぱるだけでも、一ぺんに四万の電話をつけろといっても実際上つけられない。それがそうじゃなくて、タクシーの場合は安全及び正確、こういうことのために、間違いないメーター器をつけて走って、ここまでやってきて初めて許可をする、こういうことになりますから、どうしても一カ月なり一カ月半の時間は要する。  もう一つ、いまの鬼木さんがお乗りになったというのは、労働省で労働状態がまだ改善されないというので、たくさんの数じゃありませんけれども、三千六百台というのがおくれたのです。これは労働条件が悪いものですから、それがあとからになりましたから、いまなお新しくメーターがかわってないのがあるかもしれませんが、これも先ほど申し上げましたように、今月の末かおそくも五月の初めまでには全部新メーターにかわる、こういうことになっておるので、三月になぜ一斉にできなかったか、決定されたのは昨年十一月に決定されましたが、それから準備をし、そうしていろいろなPRをして、利用者の人に迷惑がかからないように、運輸省としても、あるいは宣伝ビラあるいはポスターあるいは懇談会等で、こういう状態になります、しかしなるべく早くやりますが、それにしても一カ月もしくは二カ月かかるから、その間はこういうことであって御不便をかけて申しわけないけれども御了承願いたい。これだけの手続を運輸省としてはしたわけであります。したがって、これを三月一日一斉になぜできなかったかということは、物理的な現象であるからひとつ御了解を願いたいのです。  もう一つ、先ほどお話がありましたが、せっかく料金を二二・五%上げたにかかわらず実収があがってこない、それはどういう原因があるのだろうか。いろいろあると思いますが、一つは電信電話の場合でもあるいは郵便の場合でも同じですが、料金が値上げをされた場合には、乗る乗らぬはやはりお客のほうに選択権がありますから、したがってお客が一部バスとか地下鉄に逃げたのも一つの原因だろうと思うのです。そういうことから、当分の間は、将来はある程度復活すると思いますけれども、現状では事業者のほうでも増収にはまだなっておらない。運転手のほうは、時間制といいますか、八時間というものは守られておるようです。これは守らなければならぬ、摘発されますから。それにおいて一部の改善はなされましたが、収入の増大という意味ではまだまだ実質的な効果はあげておらないというように、実情を聞いてみますとわれわれは考えられるのであります。しかし、将来これらの増収がだんだんあがってくるに従って、運輸省としては、行政指導としては増収分の約五〇%は待遇改善に使え、こういう指示も与えておりますので、そのように運ぶものと考えておるわけであります。
  128. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いま大臣の御説明は私もわかっております。新メーターに直す、それから走行検査をする、それはわかっております。わかっておりますけれども、三月一日に料金値上げされまして、いま自動車局長の説明によると、大体においてみなそろっております――そろっていないのも私あると申し上げましたが、大体全部そろったというようなお考えなんです。そうしますと、三月から始めまして約二カ月で大体もうそろったということになるわけなんです。でございますから、新メーター、旧メーターでも、それは二つ取りつけておけばかまわぬですから、できますから、あるいは走行検査でも、三月におやりになるのをその準備体制を延ばされて、五月なら五月から、その準備期間を置けば結局同じことになるわけなんですから、それはいま大臣の御説明もわかります。なるほどごもっともなことで、そういう点もあったろうということは、それは大体わかります。しかしながら、私が申し上げますのは、大衆に非常にそのために迷惑をかけたという点に対してはどのようにお考えになっておるのか。料金ストップだなんというような車は夜分おそくなりますとほとんどいませんからね。非常に迷惑するのですよ。これは御承知のとおり、皆さんは専門家だから釈迦に説法で、大体二時に車庫に帰ると――二時が交代ということになっておるんでございますけれども、二時に帰るというんじゃ話にならないから、十二時半から一時ころにはおりませんからね、料金ストップの車は。夜そんなおそくぶらぶらしなきゃいいじゃないかとおっしゃるけれども、そうはいきません、用件を持っておれば。(「大事な用件があるからね。」と呼ぶ者あり)大裏な用件がありますからね、これはもう。大事な用件にもいろいろあるかしりませんけれども。しかしながら、万やむを得ず一時、二時になるというようなことも間々あることなんですよ。そうしましたときにほとんど車はいないんですよ。これは全部一時ころは姿形が見えません。非常に不便を感じたんですよ。また、旧メーターでやっておれば、御承知のとおり百五十円なら百五十円とメーターに出たので、降りるときに払おうとすると、百八十円ください。御存じの方はいいんですけれども、御存じない方はどういうわけだと非常に迷惑をなさったんですよ。そのためにあちらこちらでトラブルが起こったことも先ほど申したとおりであります。こうした一般大衆の迷惑を考えないで、それは大臣は人情大臣だから十分お考えにはなっておったと思いますけれども、万やむを得なかったと思いますが、だったらその後の状態を――だから私先ほどから申し上げたんですよ、大臣のおっしゃるように労使の関係はどうなっておるか、先般から陸運局に対して私は盛んに苦情を申し上げておるが、別に何も陸運局長、自動車局長にどうというようなことがあるわけじゃありませんけれども、陸運局あたりが料金値上げをして、その後大衆にどのように便しておるかというようなことを街頭でも十分御検査なさったか、どのように大衆が迷惑しておるかというようなことを、実態を把握されたか、そういう点をひとつ。
  129. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 ただいまいろいろお尋ねなり御意見がございましたが、先ほど私が申し上げた新メーターを装着するにつきましては、約三万台装着が終わっておりますけれども、なお四、五千両のものは終わってないので、それらのものにつきましては今月末から来月初めにかけまして、全部新メーターとなるように業者なりメーカーを指導しておるということをるる申し上げた次第でございます。  それから、旧メーターの場合におきまして、新メーターと旧メーターが並行してあります場合に、換算のやり方といたしましては、爾後距離が四百五十メートルが四百四十五メートルになりました。その間につきましては換算をしないで、これをサービスするというふうにいたしました。それからさらに旧メーターと新メーターを両方車につけておいたらどうかという御意見でございましたけれども、車内のスペースが、新メーターと旧メーターを同時につけるだけの余裕が十分でないという点があり、また、旧メーターをはずします前には逆換算という方法もとらなきやならぬわけでございまして、先ほどから大臣からもお話がありましたように、物理的問題として、これは従来から東京におきましてもその他の大都市におきましても、換算表の方法によって実施をいたした次第でございます。  それから、夜のことでございますが、現在東京のタクシーはスリーシフト、三つの交番の組み合わせをいたしておりまして、一応二十四時間という体制になっておるわけです。しかしながら、夜の二時から六町の間につきましては約一割でございますので、ほかの時間帯よりも実働の車が少ないということは事実であろうと思います。しかしながら、体制といたしましてはスリーシフトをとっておる次第でございます。  それから、それらの運賃改定後の実際の状況はどうかということでございますが、これは協会の指導委員会等を督励いたしまして、お客さんに対するサービスを街頭でやらす。と同時に、役所におきましてもその業務が十分行なわれておるかどうかということは、監視いたしております。その結果、現在におきましては、警察なりあるいは直接利用者からの苦情というものも、前よりは半減いたしておる。しかしながら、現在乗車拒否がまだ撲滅されているとは申し上げかねますので、これらの点につきましては、今後も引き続いて十分な監督をいたしたいと思っております。
  130. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 ちょっと補足といいますか、局長や役所の人はむずかしいものの言い方をなさるのでわかりにくいのですが、まあ内容はいま言ったとおりなのですが、もう一つ、深夜の車が足らない、乗りにくい場合が多いということですけれども、個人タクシーの実態を調べますと、いま個人タクシーは九千台あるのですが、夜おそくはやらないのですね。大体走行キロがきまっておるのと、それから自由営業ですから、自分のからだを大事にするということもありましょう。いろいろの理由から、九千台の個人タクシーは八時過ぎるともうほとんど動いておらない。九時以降は動いておらないでしょう。したがってあとは三交代制で事業会社がやっておるのですが、これもいまの制度では時間外手当とか、深夜になると相当出費がかかるということで、必ずしも十分な車を動かしておらないのじゃないかと私は思います。そこでこれは、私、ちょっと思いつきといっては失礼でありますけれども、たとえば夜九時から午前五時まで走る車があってもいいんじゃないか。それにはやはり、料金は同じにしましても、特殊な、認可の条件にそういうものを一つ考えてもいいんじゃないか。ただ問題は、そういうものを許可して、それらが収入として見合うかどうかという問題があるのですね。何十人か何百人かが不便を感じておるために、そういうものを何千台と動かしたら、これはやっていけないかもいれない。こういう点をいろいろ検討してみなければわかりませんけれども、とにかく夜どうしても走らなければならぬという車を考えてはどうだろうかと考えて、いま検討はしておりますけれども、なかなかむずかしい問題がいろいろあるようであります。  それと乗車拒否の問題ですが、今度は料金改定が行なわれる。かつまた皆さんの御審議を得ておるタクシー近代化の臨時措置法、これによって運転手の教育、教養あるいは運転手の養成、登録、こういうものを行なうことによって、できるだけ質を向上させていこう、こういうことで、この法案が通りますれば、運転手の養成、教養等について相当の力になると思いますが、それにしても乗車拒否が絶対になくなるかというと、なかなかこれは品性の問題でもありますから、これを絶滅することは困難でありましても、おそらく何分の一あるいは何十分の一に減るというだけの自信は持って、タクシー近代化法案をお願いをいたしておるような次第であります。
  131. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 私がお尋ねしようということに対して、いま大臣からお話がございましたが、料金値上げの問題について、せっかく労使の希望をいれられて料金を値上げされた。そこでタクシーが都民の足になる。われわれの足になる。それにはいろいろな条件があると思いますけれども、やはりそういう点について陸運局あたりが主体になって、これが行政指導を十分にやっていただかなければ、その実効はあがらないと思うのです。いま深夜の車のことも大臣はおっしゃっておりました。まことにありがたいことでございますが、いま仰せになったように、深夜から朝までのみを走る車もあっていいじゃないか。私はまことにごもっともで、そういうことをお願いしたいんですね。陸運局あたりがどういう指導をしていらっしゃるか。問題は、ただいま大臣のおっしゃった乗車拒否というような点に私は触れたいと思うのですが、われわれの日常生活と切っても切り離すことのできない重要な役割りを果たしておるのはタクシー、車でございますね。それがいま都内では想像以上に乗車拒否が多いんですね。これは大臣がいまおっしゃってよくおわかりだと思いまして、私も大臣のお考えに非常に敬意を表するわけでございますが、乗車拒否の多いことは東京都が最たるもので、非常に迷惑をしておるんですよ。国会の前あたりでもほとんど乗車拒否ですね。非常に不親切きわまるですよ。会社の営業に対して、金は上げてやる、これを従業員に五〇%回せというふうなことをおっしゃっておりますけれども実態は、大衆は非常に迷惑している。こういうことに対して具体策を、どういうことをして取り締まるか。これは法でもきめてあるようですね。道路運送法ですか、第十五条、それから四十三条、罰則は百三十条、これに載っておるようです。でございますけれども、そういうほうにたよって、安易な気持ちでなくして、どんな対策をとっておられるか。事実上、乗車拒否に対して、陸運局あたりは具体的に日常どういう対策をとっていらっしゃるか、そういう点をお伺いしたいと思います。
  132. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 乗車拒否を防止いたしますためにはいろいろな方策が必要でございまして、従来から、取り締まり、あるいは今回運賃制度の改正等をやっておりますが、さらに近代化センターというものを設けまして、これも乗車拒否対策として考えておるところでございます。取り締まりの点につきましては、現場等の現行犯等につきましては、警察のほうから通告をいただいております。警察とも密接に連絡いたしまして、その取り締まりに力をかしていただいておりまして、その通報によりますものと、それから利用者のほうから直接陸運局なり陸運事務所のほうに、乗車拒否があったということで通報をいただいております。この通報をいただきますと、関係の運転手あるいは会社の責任者を呼び出しまして、その事実を確かめ、その結果、道路運送法に基づきまして所定の処分をいたしております。たとえば、東京の場合は、昨年度におきましては百六十二件につきまして車両の使用停止処分をいたしております。それから文書の警告を百四件いたしております。それから、ふだんの監査等によりまして、これを徹底していくということにいたしておる次第でございまして、警察の協力を得まして、現地の陸運局、陸運事務所でこれらの処分をするというふうにやっております。
  133. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 取り締まりに対しては厳重にやっておると仰せになっておりますけれども、私が先ほど申しましたように、法の監督処分とか取り締まりということには、これは限界がございます。警察が現行犯を押えてそして通報する、あるいは利用者がナンバーをお知らせする、そういう消極的なことで、あなた方がじっと通報を待っているというようなことでなくして、陸運局自体が自主的に主導的にどういう乗車拒否に対しての対策をとっていらっしゃるか。これはもうだれでも常識論で知っています。番号を知らせろ。ところが利用者が、超スピードで行くような自動車のうしろの番号なんかそう簡単にわかるわけがありませんよ。そういう消極的な皆さんのお考えでなくして、陸運局自体が主導的な立場に立って、どういう乗車拒否に対する対策をおとりになっておるか。なければないでようございますから、それをお尋ねしておるわけです。
  134. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 乗車拒否の防止等につきます指導関係でございますが、従来から協会の指導委員会がございます。今回近代化センターができますと、これを強化いたしまして、たとえばそれだけの関係の人間で百名以上の者を街頭に配置して、取り締まり、指導に当たる。それから同時に陸運局、陸運事務所でも、これは人数に制限がございますけれども、それらの街頭指導を直接督促いたしております。要するに、警察の現場の取り締まり、それから協会関係、業界関係の指導、これにプラスいたしまして、陸運局、陸運事務所の現場指導ということを、従来もいたしておりますが、いま申し上げましたように、これをさらに強化いたしたい。  それから先ほど申し上げましたのは、通告が参りましたときの処分についても申し上げたわけでございまして、通報がありました場合の処分については厳重にこれを行なっていきたい、かように思います。
  135. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 陸運局自体でおやりになっておることは、いま簡単に御説明がありましたが、すこぶる不徹底です。では試みに、陸運局自体で現行犯を押えてこういうふうにやったというようなデータがありましたら、これは資料として私要求したい。これは資料として要求しますから、いまでなくてもようございます。月に何回なら何回、あるいは一週間に一回なら一回、警察がパトロールするように陸運局が街頭に出て、そしてこれだけの実態をつかみました、そしてこういうようにやっておりますというようなことは、ほとんど皆無でございます。警察や一般大衆、人だよりであって、これでは徹底はしない。また乗車拒否も非常に巧みですから、向こうの運転手さんたちがりこうですから、たいへん乗車拒否もうまくやられるのです。  これは大臣にちょっとお尋ねいたしますが、交通関係閣僚懇談会というのが昭和三十八年であったかと思いますが出発しておるようでございますが、これは乗車拒否に対する防止対策が打ち出されておるようでございます。大臣、御記憶がなければようございますよ、わかっている方で。自動車局長おわかりでしょう。そんな昔の詳しいことを大臣が全部――大臣はえらいから知ってごさるかもしれないけれども局長でもいいですから。その閣僚懇談会で乗車拒否に対する防止対策というのが明示されております。その内容はどういうものでございますか。
  136. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 なかなかきめ手はありませんけれども、閣僚懇談会では、モニター制度ですね、何百名か、あるいは一千名か、そういう民間の人をお願いして、そうして、そういう人と連絡をとる。また鬼木さんのおっしゃるように、運輸省が実地に、これはそこまでやる権限があるかどうかは別にしましても、監督官庁でありますから、実態を知るという意味でそういうようなことも、人間は少ないながらも、将来やったらいいと思います。  ただここでひとつ、私はこの自動車業というものに対して詳しい知識を持っているのではありませんが、やはりこういうことをお互いに知る必要があると思うのです。いまの運転手の給料の成り立ち方がどうなっているかと申しますと、これは鬼木さんもお調べになったと思うのですが、基本給料は二万三、四千円から三万円、あとの残りの五万円前後がいわゆる歩合制になっておる。これは勤務の性質上そうせざるを得ないんでしょうね。そういうことが一つと、もう一つは二十四、五歳の運転手も四十歳のベテランも、その収入にかわりはないということなんです。ここに非常に不合理があるんですね。二十四、五の人も、最初たとえば二万三千円ぐらいの基本給料、あとは歩合制でもって五万七千円ぐらい入る。四十になっても、基本給は幾らか上がりますけれども、せいぜい五、六千円で三万円前後、そうして歩合制は若かろうが年寄りであろうが一あるいは若い人のほうが働くかもしらぬ。こういうことで、経験の浅い人も二十年の経験者も収入が同じだというところに一つの問題点があります。  そこで、私が協会の諸君に言っておるのは、そういう制度はある程度やむを得ない。もっと極端に言いますと、内容を調べますと、十六日間というものは一カ月間に出るべき日数です。その十六日間のうち一日でも休めば、三万円の基本給料が十六分の一ずつ減らされてくる。したがって、一般の会社員ならば、日曜、祭日というものは休んでも金をもらうことになっていますが、そういう制度がない。私はやはりこういう運転手にとっても気の森な点があると思う。もっと三日間ぐらいは、そういう病気やなにかで休んだ場合でも、何とか見られる方法がないだろうか。  もう一つは、先ほど申したようなそういう条件がある。二十四、五歳も四十五歳のべテランでも収入が違わない。逆に二十四、五歳のほうが多いかもしれぬ。それから十年でも十五年でも、そういう基本的な運転手の状態ですから、退職金制度というものが確立しておらない。でありますから、働けるうちに働こうという傾向がある。これはやはり問題があると思うのです。ですから、やはりそういう待遇の問題について、私が先ほど申しますように、近代化を考えなければならぬということは、そういう点を考えないと、いかに品性を上等にしろと、われわれが紳士運転手をお願いいたしましても、なかなか紳士運転手になれない。これは実情を彼らは告白しておる。私も数回にわたって、大臣になりましてからも、身を隠してタクシーに乗ったことがあります。値上げの前も乗っておりますし、いまでもたまに乗って事情を聞くことがあります。ただ事業体からいって、先ほどの乗車拒否にも悪意のない乗車拒否もあります。というのは、八時間労働ときめられております。そういたしますと、浅草、銀座で動いておった運転手が、どうしても八時間の限度までに杉並の営業所に帰らなければ八時間をオーバーする、そうするとこれは労働省から摘発される。ですから営業所に帰るまでにちょうど八時間の労働が終わらなければならぬということで、反対側とか横のほうへ行って十分でも二十分でもオーバーするようなことをやれば、今度は事業所のほうから、労働省のほうからおこられるぞというようなことでやられる。ですから回送車といって、せっかくだが同方向なら乗ってもけっこうだが、方向が違えば、私は帰る時間がありますから……、こういうことでのいわゆる乗車拒否もあるのです。もちろん悪意のもありますよ。大部分は悪意かもしれぬ。その悪意かもしれぬことは、要するにタクシー運転手の身分がはっきりしておらない、近代的な労働条件が備わってない、これをどうして改善したらいいだろうか。私が心配しておるのは、タクシーという何か日雇い式なこの制度を、年功序列もある程度考えられるような制度に何とかして確立できないものだろうか、これができればいまいったような問題はかなり改善される。それでも悪いやつは、これは人間が悪いのですからどうにもしかたありませんけれども、そうでない限りは、必ずりっぱな逆伝手ができるのじゃないか、こういう点を自動車局に対して検討を命じておりまするが、ただ事業の性質上なかなかむずかしい点が多々あるようであります。こういう点も鬼木さんであればよくおわかり願えると思いますので、参考までに申し上げたわけであります。
  137. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いま大臣のおっしゃったとおりです。それは私も全く御高見と同じで、まず運転手の優遇、そういう年齢の差というようなことを、どうしてこれを調整するかという点は、私もここへ書いたものを持ってきております。  なおタクシー運転手の不足だとかあるいは多少運転手そのものの質が低下しているのじゃないかというような、乗車拒否の理由はいろいろあげられておるようでございます。大臣のおっしゃったとおりでございます。そこで、この乗車拒否に対する防止策として大臣の皆さんが閣僚懇談会をなさって、そしてその対策を打ち出していらっしゃるのを自動車局長は御存じであるかということをお尋ねしておるのです。大臣のいまのお話はまことに私ありがたく思います。私も全くそのとおりだと思います。
  138. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 臨時交通関係閣僚懇談会が開催されましたのが三十八年の六月十八日でございますが、それは都内交通混雑緩和対策等の問題もございますが、その懇談会要旨の第四点目に、タクシー乗車拒否対策というのがございます。  それが四つありまして、その第一は、個人タクシーの増車を検討する。第二点が、警察取り締まりの強化、通報、連絡の強化、不良運転者名の公表等を検討する。第三点が、就業免許制の採用による不良運転者の就業停止を検討する。第四点が、民間モニターによる監視員制度を検討するという四点になっております。  これがございましたので運輸省といたしましては三十八年の十月七日に通達を出しまして、免許の促進ということが主体でございますけれども、特に個人タクシーにつきましては一定の基準に合うものを免許していくというふうな意味の通達を出しております。東京陸運局におきましては、この通達を受けまして三十八年の秋から三十九年にかけましては非常にたくさんの、たとえば三十八年の十月から十一月におきましては千八百三件の個人タクシーを免許いたしております。  それから就業免許制の点につきましては、その当時運輸省からも資料を提出をいたしておりまして、運転手の登録制度、これは就業免許制の制度と非常に似ておる制度でございます。これらにつきましても資料を提出いたしまして、これは法律改正を要しますので、それを検討いたしたのでございますが、今回の提案申し上げております法案におきましても、この運転手の登録制度を採用しようとしておるのでございます。  それからモニターの制度は、民間のモニターによる監視員制度でございますが、これは協会を督励いたしまして、協会におきましてモニター懇談会あるいはタクシー問題懇談会というのを開催いたしまして対処いたしております。これらを受けまして、いま申し上げましたような具体策をもって進んでおる次第でございます。
  139. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 私の聞き及んでおりますところでは、もっとあるようですがね。むろんいまあなたのおっしゃったことも懇談会の重要な要項になっておりますが、それに対して、どのように皆さんがこれを実行されたか。運転者の養成体制の確立についての事業者に対する指導とか、あるいは給与制度の改善、あるいは退職金制度の確立の指導、これは大臣がおっしゃったとおりです。厚生施設、労働時間制の改善指導あるいは個人タクシーの育成、これは先ほどおっしゃったとおり。駅の構内専用タクシーの創設とか事業者に対する監査の強化とか、いろいろ閣僚懇談会でお話し合いがあったと聞き及んでおりますが、せっかく閣僚懇談会において線を出されて、このようにやっていくべきだと方向を示されたのに対して、皆さんが具体的にどういう対策をとられ、事実どういうことをやっていらっしゃるのか、そして乗車拒否が年々減少して、公益の優先ということで、実際に実績をあげておるかどうかというようなことを私は承りたいのです。
  140. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 いま御指摘のものは、この懇談会におきまして、運輸省といたしまして従来からとってきた措置、それから運輸省としては将来に対してこういうふうに考えております、それには関係各省の協力をお願いしなければなりませんということで、資料を出したわけでございます。それでいろいろ各省からも資料が出まして、懇談会として御決定のものは先ほど申し上げましたような四点でございます。  その懇談会で御決定の四点につきましては、ただいま申し上げましたような個人タクシーの増強であるとか、登録制の実施であるとかいうふうなことで対処いたしますということを申し上げたわけであります。さらに先生の御指摘は、その懇談会に運輸省として提出いたしました資料で、二番目に、これまで当局においてとった措置ということで、給与の改善以下いろいろあるわけでございますが、従来このようにとってきまして、将来に向かいましての対策といたしましては、運輸省としては労務管理の適正化と運転者の養成、それはさらにこまかく分かれています。第二番目が輸送力の増強及び利便の確保、第三番目が取り締まり体制の強化、四が立法措置等の検討ということを運輸省としては具体的に、さらに対策として考えておりますということで資料を提出したわけでございます。  それで、先ほど申し上げましたのは、全体として閣僚懇談会で取り上げられましたおもなる点につきまして申し上げた次第でございまして、さらにこまかくは、ただいま申し上げました点につきまして、運輸省としても努力してまいっております。労務管理の適正化と運転手の養成というものは、給与の関係を、たとえば固定給分を引き上げる、それから宿舎等の厚生施設の整備充実、これは労働省とも協力してやるというふうなこと、それから労働時間の適正化、これらにつきましては、今回の運賃の場合におきましてもさらに進めまして、就業規則であるとか賃金規程を所定のものを全部提出させ、さらにそのとおり守れるかどうかということを監査するというようなことで処置をいたした次第でございます。  それから輸送力の増強の点につきましては、当時はオリンピックを翌年に控えましたので、増強をする必要があるということで、特に東京においては、個人について三十八年から九年にかけて相当大幅に免許が、たとえば三十八年の十月から十二月までにかけては千八百三名の個人タクシーを免許いたしておりますし、それから法人についても新免をやりまして増車いたした次第でございます。したがって、オリンピックのときにおいては大きな非難もなく経過したように思っております。  それから取り締まり体制の強化につきましては、警察でもって指導の点についてはさらに厳重にいたしたということは聞いております。  それから立法措置等の検討につきましては、運転者の登録制というものが触れられております。これにつきましては、先ほど申し上げましたように法案を提出いたした次第でございます。  それから対距離、時間制併用運賃というものもすでにこのときに指摘されております。今回の運賃改定につきましては時間距離併用メーターを実施した次第でございます。
  141. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それで、その四項目は決定事項であったと思いますが、皆さんのほうからもいろいろな意見を出された。その中でも取り締まりの強化だとか、運転者の養成だとか、給与制度の改善あるいは労務管理とか輸送力の増強とか、いろいろあるようでございますが、先ほど大臣もおっしゃっておりましたが、労務管理あるいは給与制度の改善なんかは早急に何とかやらなければならない。  私がお尋ねをしておるのは、三十八年に閣僚懇談会があってそういうことを方向として示しておられるにもかかわらず、今日までまだ何もそういうことに実績があがっていない。それはどういうわけか。こういう点についてはもう少し皆さん方に努力をしていただかなければ、大衆は気の志だ。しかも閣僚懇談会でこういうお話があっておる。しかもあなた方からこういう問題は出されたのだ。四項目に対してのみならず、皆さん方がかねがね持っていらっしゃるお考えが形の上においてあらわれていないではないか。あらわれていない証拠には、先ほど大臣も、給与の問題あるいは労務管理の問題、そういうような点においては非常に遺憾である、ぜひこれは近代化しなければいけないということを盛んに力説していらっしゃる。そういうことはすでに三十八年の閣僚懇談会で示してあるのですよ。それがじんぜん今日までまだそのままにしてあるということに対して、まことに遺憾だということを私は申し上げておるわけであります。局長、おわかりでしょうか。
  142. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 このときにおきましても、タクシーの乗車拒否をなくして旅客へのサービスをするということが最も重要なテーマであったわけであります。そのためには車が足らないという現象でありましたので、これにつきましては、たとえば三十七年度において法人のタクシーが一万九千台でありましたものが、三十八年度二万一千五百、三十九年度二万四千六百というふうに、法人タクシーにつきましても新免増車をいたしました。それから個人タクシーにつきましては、三十七年度の二千二百に対しまして、三十八年度は三千九百、千七百人を増強いたしております。三十九年度におきましてもさらにこれを三千九百から四千七百というふうにふやしました。その結果、解決すべき重要テーマでありましたところのタクシーの乗車拒否につきましては、オリンピックのときにおきましては現在のような批判はなく経過したように思っておりまして、その後におきまして、需要に対して供給がマッチしないというふうな現象、運転手不足という現象が起きましたので、最近におきます乗車拒否問題が起きた次第でございまして、同時に、車両を増強することによりまして乗車拒否の問題は解決したというふうに思います。  それから労務管理の適正化につきましては、これは当時から、主として労働時間はじめ給与関係等につきましては、労働省の労働行政の面でございますけれども、われわれもタクシー業者を監督するたてまえから、両省におきましていろいろやってきたわけでございます。そこで労働省におきましても、悪い業者に対しましてはおのおの、それぞれの罰則をかけてきたわけでございますけれども、これと行政処分というものがマッチしなければならない。特に運賃の改定のときにおきまして、これらをやることによってさらに完全に実施できるのじゃないかというふうなことで、先般の運賃改定のときにそれらの処置をしてきたわけでございまして、これらの点につきましては、おっしゃるように完全には改善をされてないわけでございますので、引き続き努力をしなければならぬわけでございます。今回の近代化に関するその法律案も、それらの点につきましての改善努力の政策の一環として御提出申し上げたような次第でございます。
  143. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 関連質問がございますそうですが、私その前にちょっと質問いたします。  輸送力の増強ということについては、これは局長のおっしゃるように目ざましい増強ができております。いま数字で明示されたように、一万九千台が二万一千五百になり、二万四千、いま東京都内で四万二千九百台、ハイヤー、タクシーがそういうようになっておるというようなお話を聞いておりますが、これはここでちょっとやめてまたあとで聞きたいのですが、個人タクシーの問題も、二千二百から三千九百になり四千七百台と、こういうふうに急速に、迅速に、個人タクシーなんかもできておる。どうもこの点がおかしいですね。これはまたあとで大臣にもお尋ねしたいと思うのですが、全国の陸運局なんかが、出願をして一年半も二年もしなければ許可がおりない。ところが、あなた方がやろうとなされば二千二百から三千九百、四千七百と、急速に、迅速に、個人タクシーなんかは許認可がおりておる。これは二年も三年もたってこうなったのか知りませんけれども、いまの数字の面からいけばですね。こういう点についても、輸送力の増強ということをお教えになっておるけれども実態は非常におかしい。これはまたあとで御質問いたします。  乗車拒否の問題に対して、せっかく閣僚懇談会などにおいて乗車拒否をなくするようにという方向を示してあるので、いま局長がおっしゃるように、十分でない、まだこれから十分努力しなければならぬというお話でございますので、一応ここでちょっと話をとめておきまして、引き続きまたお尋ねいたします。  関連質問がございますそうですから、ちょっとここで私……。
  144. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 運輸大臣にお尋ねします。  乗車拒否という暗い面がありますけれども、私、一方では、まじめに、乗車拒否をしないで、長い間ハンドル一つで生活しておる運転手もおると思うのです。こういったようなタクシーの運転手、バスの運転手、トラックの運転手、こういったような輸送の面で長年活躍しておる人々の中から、表彰というか勲章規定というか、そういうものに合致する人が出たことがございますか、あるいはそれに該当するような人があるか、そういうお考え方をお聞きしたいと思います。
  145. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 数は私存じておりませんが、そういう人もあります。私は、そういう人をなるべく多くしたいと思うのであります。二十五年、三十年無事故でまじめにつとめられたという人は、この間勲章のいわゆる下審査をしましたときに、私は上のほうはあまり興味ないのです、勲六等とか七笹とか、そういう人に興味があるものですから、一々調べたのですが、運輸省のような、わりあいに割り当てが多いのですけれども、それにしても現業部門を持っておるのは運輸省が最大です。こういうところは割り当ても多少多いのですけれども、私がこういう人にもっとやりたいという数からいうと、まだ少ない。しかし考え方は、ほんとうに現業で苦労した者、これにできるだけ六等でも五等でも、あるいは七等でもけっこうだから、いわゆる国家の褒賞の意味ですからやるように、こういうような指導をいたしてまいっております。
  146. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 ぜひともひとつ、それを実行していただきたいと思います。先般私もあるタクシーに乗りまして、三十数年間ハンドル一本で過ごしてきた、まじめにやってきた、できるならばそういう栄に浴したいという、年をとった、もう五十年配のタクシーの運転手さんの話を聞いて、涙が出るような思いをしました。将来とも輸送の第一線に活躍する人というのは次の時代の日本の再建の骨幹になると思いますので、積極的にそういった方々の表彰を考えていただきたい、これが第一点です。  それから第二点は、タクシー料金が上がったある日のこと、私霞が関から羽田までタクシーを飛ばしたのですが、首都高速道路公団のハイウエーといいますか、あそこの料金が、百五十円から二百円に上がったのに私はショックを受けたわけであります。事前にそういうPRがされたかどうか知りませんが、いつも使用しているわれわれは全然知らなかったわけです。こういう問題については、建設省関係だと思いますけれども、建設大臣それから運輸大臣、経企庁長官、そういった三者の上でもってこの料金は上げるようにしたのですか。それをお尋ねしたいと思います。
  147. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 首都高速道路公団の料金につきましては、建設大臣に申請いたしまして、建設大臣は運輸大臣に協議、同時に物価の問題でございますので、経企庁長官にも協議いたしまして、認可をするということであります。そういうことで、あの認可をされたわけでございます。
  148. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 私しろうと考えですけれども、ああいう道路が建設されてもう数年間たっている、非常に利用度が高いから償却もだんだん減ってくるんだから、年ごとにあそこは料金は百五十円が百四十円になり、百三十円になるものだと、こういうぐあいに期待する大衆というものが大部分じゃないかと思うのです。他に計画があるからこれを上げるのだということが理論だと思いますけれども、私はそういう場合の上げ方について非常に不信感を持ちましたので、これはひとつ今後ともそういう場合においては、よほど事前に、大衆、使用者に周知せしめるような方法でやらないと、私は物価政策の全般についての不信感というものはぬぐい去られないと思います。この点、私の感じた点を申し上げまして、大臣の御意見を承りたいと思います。
  149. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 御意見のとおり、これはもう周知徹底せしめなければならないわけであります。ただ、従来どうもそういう習慣なんですか、これはいいとは思いませんけれども、一カ月ほど前から入り口に書いてあるのですね。何月何日から値上げをするということで、はたしてこれでいいかどうか。これはもっと新聞等大衆の目につくもので、多少金はかかってもやはり一般に周知徹底せしめるという方法をとるべきだろうと思います。  もう一つ、私も建設大臣もやった経験があるのですが、たとえば、有料橋のような場合、橋の償却が大体二十五年とか考えて算定いたしますね、七十円とか八十円とか百円。期間内にこれだけの金を償還すれば、二十五年前でもこれは無料にする、これは一つのきまったものですからできるのですね。首都高速道路とか阪神高速道路、こういうものは実は当初からそういうような計算になっておるわけですね。全体としてここからここまで有料でやっていく。それから先は別になりますけれども、ある程度ここまでは――いまやっているのであれば羽田から入谷とかあるいは池袋、これが一つの全体の計画、その中で料金と償還をきめて、しかしながら初めからとるわけにはいかぬ、できないのだから。そこででき上がったものについて一応この区間だけはこれだけとって償却するという前提ではなくて、この区間にはとりあえずこれだけの、いろいろな点から考えて二百円はとりにくいというので百五十円、しかし全体の計画としてここまでということになれば、どうしてもこれはできれば二百円を一ぺんにとらなければいかぬ、こういう点で首都高速道路とか、阪神高速道路の場合は多少有料橋とは違った計算をせざるを得ない。またそうなって初めて有料道路の価値が出てくるわけです。東京のまん中でおろされて、あとはまた一般道路でというのじゃしょうがないので、さような意味でいわゆる耐用年限とそれに使った費用とその間だけは計算する、その先はまたあらためて金をとるというやり方、長い距離、たとえば東名とかあるいはそれに近いような長い距離の場合は、この区間だけはこうやるというやり方もあります。あるいはまた有料道路の中で、どうしても金が高くなる場合がある。たとえばその間に百キロとか五十キロなりは一般道路を加えて、そこで全体の計算をあまり高くならないように、経済的に影響を与えないように、こういうやり方もあります。こういうやり方もありますが、今回の百五十円を二百円にする場合は、どうしてもそうしなければ全体のいわゆる都市交通としての目的を達成することができない。こういう意味で、このような措置をとったのでありまして、ただ周知徹底せしめるとかあるいはいま私が説明したような点が不十分である、こういう点について十分反省して、善処していきたいと考えております。
  150. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 これで終わりますが、三五%の値上がりですから、これは物価政策の平均値から見まして、非常に大きな影響があると私は思うわけです。しかも都市のまん中ですから、非常に大きな影響があると思いますので、こういう点については物価全般を考えて、あそこを使用するトラック、タクシー、自家用車、ハイヤー、そういうものにビラを入れるとか、そういう協力のもとに上げていくという体制をぜひともしていただきたい。これは私が偶然感じたことですけれども、聞く人全部の声です。あれば一部の自家用車が使うのではなくて、トラックの運転手さんも使う。そういうようなことで、たいへんな影響があったことがお耳に入っておると思いますけれども、私は今後の施策の一環として十分に考えていただきたい、こう思っております。  ありがとうございました。
  151. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そこで先ほどからのお話を続けていきますが、ただいまの佐藤先生のお話のように、これはいずれの社会においても信賞必罰ということは必ずあり得る、なければならぬということで、まじめなそういう運転手さんなんかはどしどし国家の名において表彰していただく。そして悪質な方に対しては十分な指導をしていただく。ことにまた乗車拒否がよってきたった原因は、ただいまずっとお話を申し上げましたような悪条件が重なっておるので、その条件をよくしていただくように、そして皆さんが喜んで仕事に励まれるように、閣僚懇談会の取りきめ事項なんかについて十分御努力をしていただきたいということを、結論として申し上げたいと思います。  そこで陸運局にお尋ねをいたしたいのでございますが、駅の構内専用タクシーがあちらこちらに創設してあると思いますが、どういうふうな指導を陸運局はなさっておったのか。創設の当時に非常にいざこざが起こりまして、私どもも非常に迷惑をしたことがあるのです。これには相当条件もあったようでございます。構内の専用タクシー業者が、その指定をとるために相当競争もあったようでございます。また非常ないざこざもありまして、一時たいへんなこともあったのでございます。そういう古いことは私はどうでもいいのですが、現在実態といたしまして、それほど苦労をして指定をされた駅の構内の専用タクシーが、雨天の場合なんかほとんどいないのですね。乗客の方々が三十分も一時間も待たなければならぬ。そういう実態を陸運局あたりで把握していらっしゃるかどうか。そういう点において指導なさっておるかどうか。これは非常に迷惑をいたしております。むろん雨天の場合は多少のことはあるかもしれませんけれども、非常にはなはだしい。しかも駅構内の専用タクシーとしてその指定を受けるには非常な苦労をしている。たいへんな競争によって指定になっておる。それが今日、大衆が非常に雨天なんかのときには迷惑をしておるという実態でございます。そういう点を局長なんか把握していらっしゃるかどうか。  きょうは自動車局長ばかり私は決して攻撃するのではありません。黒住局長に別にぼくは何も遺恨があるわけでも何でもない。あなたが局長だものだから、あなたに聞かぬわけにいかぬから、淡淡たる気持ちでひとつお答え願いたい。
  152. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 駅の構内におりますものは構内営業といって、国鉄がその構内営業を許可するわけでございます。国鉄側としましては、構内の広さの問題、それから設備の問題等ございますので、それにマッチするように許可をしておるというわけでございます。それでその場合に相当な都市でございますと、事業者の個々と国鉄が折衝するよりも、事業者の団体、協会と折衝したほうが便利でございますので、国鉄側といたしましても、その協会といろいろこれらの問題について折衝しておるのがいままでの通例でございます。その点につきましては直接陸運局の許可の仕事ではございませんけれども、利用者の利便というふうなことに直接関係があることでもございますので、国鉄側と事業者団体とのいろいろの話し合いにつきまして、現地の陸運局があっせんをしているというふうな例はございます。われわれといたしましても構内のスペース、設備が許す限りにおきましては、なるべくたくさんの事業者がこれに入れるようということを願うわけでございまして、東京等におきましても、ずっと前には数業者に限ったわけでございますけれども、現在におきましてはたくさんの業者が入り、協会のほうでそれらの整理を整理員を出してやっておるという実情でございます。したがいまして、現地現地の構内の設備の状況に応じまして協会と折衝して拡充するという方向に至っておりますので、われわれのほうも利用者の便利のために、この折衝をあっせんして応援をしていきたいというふうな態度で臨んでおる次第であります。
  153. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 駅と業者との話し合いによってできておる。これは、先ほど私が申し上げたとおりですよね。それはよく存じております。指定をとるために――そんなことはありません、ありませんけれども、一般の御存じない方は、駅が、構内専用の指定タクシー業者になるための権利金を取った……。そんなことはない、調査しておりますから。ありません。それを私は信じておるのではありません。知らない人がそんなことを言っているのであって、そんなことはありません。でございますけれども、駅と業者との話し合いによってできておることはもう、いまおっしゃるとおりです。でございますが、個人タクシーなんかでも、許認可はあなたのほうでなさっている。ただ、車の認可だけ、許可だけおれたちはやって、それから先、飛んでおるのはおれたちには関係ない、そんなことはあるわけはない。それは、いまあなたがおっしゃった。私らもその間に入ってあっせんしたり補導、助言をしているとおっしゃっておるけれども、もっと強力にやっていただかないと、駅と業者と話し合っているんだから、われわれは第三者だというみたように消極的だじゃ、困る。大衆は困る。指導、補導、助言をしてもらわないと、タクシーの許認可をするときには――これは大臣がいらっしゃらないときに、許認可の問題で先般いろいろお話を申し上げたんですけれども、出願をして二年も三年もしなければ許可がおりないんですよ。冗談じゃありませんよ。そうして、出願するときには、それば貯金は何ぼなければならぬ、車庫をつくれとか、新車を買えとか。そうして、半年も一年もして聴聞。聴聞して許可がくるのにまた一年もかかる。その間の生活はだれが見るんだ。まあ、これは先般じっくりあなたに話をしたから、もう二度繰り返す必要はないけれども、大臣は初めてだから……。  そこで、そのようにしてまであなた方は念入りにおやりになっておって、それから先はもう放置だ。放置というのはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、大体、駅と業者にまかせておる。これじゃ困ると私は思う。雨天の場合なんかは、陸運局から駅あたりにも来て、見てもらいたいんですよ、どういう実態であるかということを。こういうことを申し上げたいんです。どうです、局長
  154. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 先ほども申し上げましたように、あっせんするということは、まあ、こちらは軽い気持ちでは決してございません。国鉄が許可をいたしますのでございますけれども、利用者の便利になる問題でございますから、陸運局も積極的にあっせんすべきである。私も、経験から申し上げまして、たとえば、東京の場合におきましては、そういう結果、相当改善されておるわけです。  いまの問題につきましては、私たちも極力、自分で駅等に参ります場合におきましては、タクシーの乗り場においてどういうような状況になっておるかというふうなことを観察、視察させていただいております。やはり、駅等におきまするところの客扱いというのが、よそから見たような場合におきましては、その町におきます最初の印象として一番重大なことではないかと思う次第でございまして、駅におきますタクシーのサービスが非常によろしいということになりますと、その町に対するいい印象を旅行者は受けるわけでございますし、われわれといたしましても、駅におけるタクシーサービスということは最重点的に考えておる次第でございます。それには、駅のスペース、設備の許す限りにおきまして、なるべくたくさんの車が整然として入ってお客を輸送するという体制が最も好ましいわけでございますので、それらの実現のためには今後も積極的に努力をすべきであると思っております。
  155. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 黒住局長さんはみずから陣頭に立って、駅で調べたこともある。まことにけっこうです。どうぞそういうあなた方のお考えが地方の陸運局あたりにも十分徹底するように指導していただきたいと思います。地方においては非常に困っております、迷惑しております。  そこで、結論といたしまして、先ほどからたびたび自動車局長からお話がありましたが、そういうことをなくすために財団法人東京タクシー近代化センターというものをつくったというふうに新聞にも出ております。ところが、これは大臣もひとつよく御参考に願いたいと思いますが、――これも私が申し上げているのじゃありません、新聞でございますが、非常にあらぬうわさ、批評を立てられておる。ことに、これはもっともだと私も思うのは、東京自動車協会内に陸運局が間借りをしておる、借家をしておる。いわば取り締まる者が取り締まられる者のうちに住んでおる。これは取り締まると言うとはなはだおかしな話でございますが、ことばのあやでございますが、民間業者である自動車協会の中に運輸省の陸運局が間借りをしている、家を借りている。ところが、いわく、家賃を出しております。あたりまえですよ。家を借りて家賃を出す、それは当然ですよ。でございますが、私は、こういう点はもう少しはっきりしてもらわぬと困ると思うのです。だから世間では、自動車業界と運輸省がなれ合いになっておる、だから金を三十円上げた、三十円金を上げてもらったから、そのお礼として財団法人東京タクシー近代化センターというものをつくった、それで九億円という金を出して、運輸省の高級官僚を天下りでお迎えする、このように――これは私が言っているのじゃない。新聞に載っているんだ。その新聞をここに持ってきている。だから、私がいま言っているように、痛くもない腹を探られる、あらぬことをいわれるのじゃないか。瓜田にくつを入れず、李下に冠を正さず。こんなことをするからとやかくいわれるんじゃないか。だから、乗車拒否でも何でも、何もできないんだ。自動車協会の中に陸運局がおじやましている、こういうことがいわれておるのですね。私は、こういう世間でいうような事実があるとは思いません。そういうことを申し上げておるのじゃありません。こんな疑わしいような、こんなかっこうのつかないことは、大臣どうでございますか、はっきりなさったほうがいいんじゃないですか。私は民間の自動車協会と互いに対立して敵対しろ、そういうことを申し上げているのじゃありません。仲よくなさってけっこうでございます、官民一致協力してやってけっこうでございます。しかし一面こういう批評を受けるようなことは、いやしくも運輸省です、そんなことはやってもらいたくない。いかがでございましょうか。よくお考えください。私はあなた方の味方をしておるのでございます。
  156. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 おっしゃるとおり、そういう誤解を受けることはやめるほうがいいのです。そのとおりです。ただこの機会におわかり願いたいのは、当時おそらく鉄道省といいましたが、そのころは貧乏だったのでしょうね。したがって建てる金がなかったということが一つの原因です。さようなことはいつまでもほうっておけませんし、今度本庁舎もできたことでありますから、そこでせんだってから工事を進めておりまして、昭和四十六年の六月には千代田区の大手町一丁目、気象庁の隣ですが、そこに自分のうちを持つことになります。したがって従来は借地料を払っておるが、これは適正価格で払っておる、こういうことであります。  もう一つ、財団法人の近代化センターといいますか、これは九億円などという金は残念ながらいまの運輸省は持っておりませんので、国が出しておる金は、せんだって通りましたが、本年度の予算は三千万円でありまして、その他は業者が一台につき幾らという、これは運用のしかたによっても変わりますけれども、業者、いわゆる個人タクシーまで含めて一台年額二万円になるか一万五千円になるか、こういう自分たちが金を出し合って、研修あるいは登録の問題とか、あるいは設備の問題等を、そういうわずかな金で、近代化の資金を出しておるわけであります。その他何億かかりますか、まだ決定はしておらぬようでありますけれども、三億や四億かかるだろうと思うのです。そういう金は事業者、いわゆるタクシー業者あるいは個人タクシーの人、金額が多少違いますが、そういう方々がお互いに出し合ってそうしてタクシー業務の近代化をはかろう、どっちかといえば自主的な団体です。それに対して政府がわずか三千万円程度を助成しておる、こういう性質のものでありまして、御心配のような、運輸省と業者がなれ合いであるということは全くございませんので、御迷惑をかけることはないと思いますから、御了承を願いたいと思います。
  157. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いや、それは、そういう事実はないということは私が信じておりますけれどもということは、前もって冒頭に申し上げておる。  これは昨年の十一月十七日に第一回準備委員会があっております。そして運輸省の肝いりで、利用者の利便を増進する、一般公共の福祉をはかり、これに貢献するという目的のもとにできておるようでございます。いま大臣のおっしゃるように、東京は三千万円運輸省から出ている。大阪には二千万円出ております。ところが会費として、法人タクシー一台につき一万五千円ずつですか、出しております。個人タクシーはこれで非常にもめております。それはもうずいぶんごたついております。結局相当の混乱をいたしましたけれども、個人タクシーは年間たしか六千円とかに引き下げてあるようでございます。その結果その合計が九億円、大臣は御存じないようですが、九億円集まるということになっておる。それで運営する。だから世間ではあらぬうわさをこれに立てたと先ほど申し上げたわけなんです。しかしながら先ほどから申しますように、結局これは自動車の運転手の優遇問題、労務管理の問題福祉施設の問題、運転手の養成、さらに乗車拒否はむろんのこと、これの是正、一般自動車行政に対して、民間の団体としてその完ぺきを期していこうというためにできたものがこれだと承っております。どうですか局長さん、そうでしょう。
  158. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 事業者のほうもこの重要な事態を認識いたしまして、事業を近代化いたしますためにはこのようなものが必要であるということで、また同時に役所といたしましても法律的にバックし、また金も十分ではございませんけれども、先ほどのような金額のものを予算から出しましてこれをつくり上げる、よってタクシー事業の近代化をぜひやりたいというふうなことで、なっておる次第であります。
  159. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 私はこの近代化センターの設立に対しましてはたいへんけっこうなことだと思います。ただこれの運営のいかんによるわけでございますが、先ほどからたびたび申し上げておりますように、陸運局、陸運局と言ってはなはだ相済みませんけれども、私は十分設立の趣旨を実行に移していただきたい、これの実績のあがるように。今度もまた近代化センターにまかせ切りでなくして、十分陸運局あたりはこれが指導、助言、補導、監督をやってもらいたい。そして実績をあげていただきたい。そうしないと、世間ではなれ合いなんというようなことに考えておりますし、せっかく皆さんがおつくりになって大衆の利便に寄与しよう、タクシー業界、自動車業界の近代化をはかろうということも、かけ声ばかりであって実績があがらないことになる。しかも九億円というばく大な金を集めていまから出発するわけですから、十分陸運局の皆さんがこれと取り組んでいただきたい。そのためにはやはり本省の皆さんが十分指導をしていただかなければならぬ。これは実際の活動はいつから始まることになっておりますのですか。
  160. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 これは財団法人といたしましては、東京につきましては昨年の十二月にできたわけでございますが、まだ不十分でございます。今回法律を御提案申し上げておりましていま御審議を願っておりますが、これができますと本格的になるわけでございます。その前に本格的に事業活動を行ないます場合に、人事の面あるいは資金計画、事業計画の点につきまして運輸大臣の認可を受けなければならぬことになっております。しかも、前に運輸省としまして政令を出しまして一定の地域を指定する。指定地域につきましては、おおむね現在では東京と大阪というふうに考えておるわけでございますが、それらの政令を出します。それを受けて近代化センターのほうで申請をしてくる。それを認可をするというふうな順序になっているわけでございまして、そして実際には十月ごろに運転手の登録の規定を完全に実施をする。それと並行いたしまして諸事業もそのころから活発に本格的に動くようになると考えております。
  161. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それで私が聞き及びますところによりますと、運転手の登録に関することとか、あるいは街頭における監視、指導をする、あるいは運転手の再訓練、福祉厚生施設の整備というようなことが、近代化センターの主目的だというようなことがうたってあるようでございます。自動車局長さんのように詳細は私知りませんけれども、私が聞き及んだ範囲内においては、いずれもけっこうなことで、私ども一般大衆が助かることでございますので、いよいよこれが実行に、実働に入るということになりますならば、十分その実績があがるように格段の御配慮を願いたいと思うのです。よろしゅうございましょうか。
  162. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 本法が成立いたしますと、その法律に従いまして所定の手続が行なわれるわけでございます。したがいまして、その計画につきましても十分運輸省といたしまして把握し指導をする、それで認可をするわけでございます。さらに運営につきましても、当然これは役所のほうからも金を出すわけでございますし、法律に基づく制度でございますので、これが十分の効果があがりますように、運営の面におきましても監督をしてまいりたいと考えております。
  163. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いろいろお尋ねしたいのですけれども、時間があまりありませんので、私が一人でやってもお気の毒でございます。そこで、最後に設置法の問題に入るわけでございますが、運輸省の付属機関としての審議会が三十ある。ここに資料が出ております。ところがそれを整理統合して十九になっておるようでございます。人員も減っておるようでございます。なおあとに残存しておるところのいわゆる十九の審議会が、はたしてこれがまだ必要であるか。審議会というものは、そのとき急にぜひ必要だと認められたときにこれを置くことができると国家行政組織法に載っております。ところがあとのまだ残っておるところの十九の審議会は、永久にこうして、いつまでもいつまでも残しておくべきものか。急にぜひその時点において必要だと認めたときに審議会はこれを設置することができるという法のたてまえから、あとの残っておる十九の審議会の内容を、これは時間がございませんので一々お尋ねすることはできませんが、これはもうその整理統合、縮小をすることができない、これが最小限度だということと解釈してようございましょうか。
  164. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、現在三十ございますのが昭和四十七年には十七に相なります。また人間の数も五百四十八名現在おりますが、三百八十八名というふうに減少いたします。これにつきましては実は一昨年でございますか、運輸省の中に運輸省の行政につきましてひとつ再検討しようじゃないかということで、運輸省の行政刷新本部というものを、本部長を政務次官になっていただきまして、各局長が部員に入りまして、約半年かかりまして練り上げたのでございます。運輸省といたしましてはその結果、おっしゃいましたような整理統合を行なった。まあ一番大きな問題は、この中で新たに運輸政策審議会並びに運輸技術審議会という新しい大きな政策を行なう審議会をつくったということが眼目でございまして、それに伴いまして整理統合を行なったというわけでございます。したがいまして、残りましたものにつきましては、その大きな二つの政策審議会、技術審議会のほかに、そういったような統合あるいは総合してものを見るというのではなしに、海陸それぞれの専門の分野につきましていろいろ審議していただく、こういった意味の審議会は必要ではないだろうかということで残したのでございます。こういった意味におきまして、現在では当分の聞こういうことで十分整理がついたのではないかというふうに、私ども考えておる次第でございます。
  165. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そういう点を要望申し上げておきます。  それから運輸省の付属機関として交通安全公害研究所を設けるとございます。けっこうだと思いますが、海上安全と航空安全に対するところの機構がもう少し整備されるべきではないか。陸上の交通繁雑で交通事故、交通の公害ということは当然対策を練らなければなりませんけれども、海上交通の安全ということに対しても十分ひとつ意を用いていただかなければならぬ。むしろ今日は海上交通が非常にたいへんでございます。その点に意を用いていただきたい。  その次に許認可の問題でございますが、これは先ほど来申しますように、先般大臣がお留守でございまして、私は十分これは運輸省当局の局長さん方に申し上げたのでございますが、非常に事務の渋滞といいますか、むろん出願の件数が多いということは当然でございます。わかっております。けれども、許認可の審理期間が一年半から二年かかる。これでは陸運局の存在すら私はどうかと思うような状態です。これは先ほど申しましたように、出願をしまして一年も二年もたったならば、おのおの個人の生活状態も変わるし、社会情勢も変わります。出願をしたときと許可が二年先におりたときと全然情勢が変わっております。またその間の本人の生活状態ということも一体だれが責任を負うのか、だれが保障してくれるか、これは大きな問題でございます。でございますから、許認可の問題につきましては、これは真剣にひとつ大臣もお考え願いたいと思うのです。全国に陸運局が九カ所ですかあるようでございます。その許認可の出願から処理、未処理の資料もここにいただきました。もうほとんど二十カ月以上かかっております。これでは私は出願をした人たちが非常にお困りになっておると思う。その実例はたくさん私知っております。私どもはそういう問題を持ち込まれて非常に気の毒に思っております。これはひとり自動車局長を責めてもしかたがないことで、ことに地方の陸運局の局長をはじめ局員の皆さんは一生懸命仕事はしております。それはまじめに仕事はしていらっしゃる。いかんせん出願数が多いものだからできない。しかしできないのに出願書類を受け付けておる。私のところでは、九州には一カ所しかありません。出願しまして二年もして、しかもこれが不許可だ、もしこうなったらどうしますか。貯金通帳も持っていかなければならぬ、車庫もつくれ、車は新車を用意しろ、そういうことを言ってもし不許可になったら、一体その損害はだれが賠償するか。その間の生活は一体だれが見てくれるのか。これは大きな人道上の問題です。これはこの前自動車局長さんには申し上げましたが、大臣には初めて申し上げますが、これは私文句を言っているのではありません。大衆がほんとうに気の毒ですよ。運輸省なんかはほんとうに一生懸命何でもやっていらっしゃる。だから決して運輸省がどうだこうだとは言いませんけれども、一般は運輸省に対してはもう怨嗟の的です。そのために運輸省は全部詰まらぬように思われる。運輸省は一体何をやっているんだ、こうした声です。どうですか、大臣、これは何とかならぬものですかね。
  166. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 おっしゃるように平均二十カ月かかっているようであります。まことに遺憾千万であって、これは私は就任早々にやかましく言っていますが、最近私は、六カ月以内に片づけろ、だめなものはだめ、いいものはいい、それでいいのです。いま申されたように、だめか何かわからぬのに二年も延ばされたら――できないものは、当分の間許可する見込みはないと早く言ってやれば、その人はまた別な方法を考える。ですから私は、今後は六カ月以内に、許可不許可どちらでもいい、そういう方針でやれと言っている。最近御承知のように、物価安定政策会議というのがありますが、これは経済企画庁ですか、中山伊知郎さんが会長ですが、そこでも言っておるのです。内容は、簡単に言いますと、増車の制限を緩和しろということが一つ。もう一つは、一定の基準に合致したものはそのまま認めろ、こういうような提言をしております。ただこれには少し意見があるのです。これは御承知のように国会で法律が制定されております。いわゆる自動車運送事業の免許をする場合に、免許の基準法律があります。それによりますと、「運輸大臣は、一般自動車運送事業の免許をしようとするときは、左の基準に適合するかどうかを審査して、これをしなければならない。一 当該事業の開始が輸送需要に対し適切なものであること。二 当該事業の開始によつて当該路線又は事業区域に係る供給輸送力が輸送需要量に対し不均衡とならないものであること。三 当該事業の遂行上適切な計画を有するものであること。」こういうぐあいに四、五まであるのです。なかなかやかましい条件がついておる。なぜこんな条件がついたかというと、これは何年の法律か知りませんけれども、改正したのは四十四年、最近の法律改正であります。ということは、ある意味においては事業者保護の立場に立っておるのですね。したがって、こういう法律がありますために、相当申請者が多いと、それは需要供給の均衡があるかどうかということを法律によって調べざるを得ない。もしこれをかってに認可すると、物価安定政策会議でいうように一定の基準があったら許可したらいいじゃないか、たとえば資本金、人口、こういうようなものがあったら許可したらいいじゃないか、こういうことでやるなれば、いま言ったようにあるいは三カ月でもできると思うのですが、それはある意味においては法律違反になる。それが事業として適切であるかどうか。需要供給を調べたか。もし損害があった場合に、訴えられたらこれはけんかにならない。民事訴訟を起こされるかもしれない。こういう一つの規定法律的な処置が一方においてあるということが、運輸省でもなかなか時間を要せざるを得ないということなんですが、しかしそれにかかわらず一般の人は、なぜ許可せぬのだろうかというわけですね。それで私は極端に言うと、本人が申請してやれるというんだから許可してもかまわぬじゃないか。これは極端な議論ですよ。そういうことを考えざるを得ないのですが、そこまでもいかない。こういう法律があって、ちゃんと事業ができるようなものでなければ許可してはいけませんよと書いてある。これは国会を通過した法律であります。お客さんがないのにむやみに許可してはいけませんよということをちゃんと書いてある。そういう点からいってなかなかめんどうですけれども、私が自動車局長はじめ下の人に言うのは、とにかくイエス、ノーを早くきめろ。そうしてできないものは当分の間許可できない、許可できるものは直ちに許可しろ、しかもこれは六カ月以内で処理しろ、こういう命令を最近出しておるわけであります。したがっておっしゃるような問題は、いま直ちに解消するとは言いませんけれども、ことしの秋もしくは来年には、この私の強い意見が全体の陸運行政に響いてきて、その点はある程度改善されるだろうと思う。ただ法律にこう書いてあることをひとつ御了承願いたいのです。こういう法律が一方においてあるんですよ。そこに問題点もある。しかしながら、物価安定政策会議でも増車の制限をできるだけ緩和しろというが、この人たちは、現在東京のタクシー事業者が約一割五分、三千台のあき車があって運転手がないということを知っているのかどうか。その上やったところで運転手がないのですよ。車の許可は持っておる。東京だけで三千数百台から四千台ある。ところが適当な運転手が得られないから、車は四千台の認可を持っておりながら充足できない。その上制限を緩和してどうなるか。個人タクシーをふやせ、そうすると個人タクシーというものは結局客扱いの経験がなければいかぬでしょう。まさか砂利トラの運転手をそっちへ回すわけにはいかない。やはり相当客の扱いをした経験者を個人タクシーに回さざるを得ない。その結果どこから来るかといえば、タクシー運転手の経験者をこっちに回さざるを得ない。しかしタクシー運転手も、ある程度の経験がある人が老後のために個人タクシーをやることはけっこうですから、できるだけそういうことをしろ、こういうことで、現在六千件ぐらいいわゆる申請が残っておりますが、ことし一ぱいでできるだけ大部分は整理しろ。できないものはできない、できるものはできる。六千ですからそう簡単にできませんが、本年一ぱいという限度をきめて、そうして許可すべきものは許可する、いろいろな面から考えて許可できないものはできない、こういう措置を私は命じておるわけでありますが、できるだけおっしゃるような方向で事をきめていきたい。しかしこういう事情もあるということも御了承願いたいのであります。
  167. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 委員長関連。実はいま運輸大臣からたいへん御苦労なお話があり、ことに法律内容まで明らかにされたわけですが、同僚鬼木委員から前回もこの問題についてはかなり突っ込んだ質問があり、きょうもあったわけです。私もこの問題は非常に重要な問題と考えて、実は先般も東京陸運局へ行って最近の状況はどうかということをただしましたところが、東京陸運局、非常に勉強をして、一年を九カ月のところまではめどがついた、これから六カ月まで短縮をしたいと思っておる、こういう話です。そこで私は、出た申請を審査をするまでほっておく、これは順番に審査をしなければならぬという公平の原則もありますからやむを得ないと思うのですが、そうでなく、いまの法律内容は抽象的でもって、これは当該申請者にはわかりません、全然わからぬです。それで申請者のほうにわかるような基準をひとつ出して、それを周知せしむる方法をとっているのかと聞いたわけです。そうしたら東京陸運局においては、各陸運事務所にこれこれの基準に基づいて申請をしてくださいという一応の標準を明らかにしておる、こう言うので、それじゃそれを見せろ、こう言って見ましたが、これまた残念ながらかなり抽象的です。ところが現実に小型トラックの免許であるとか、あるいはタクシーの免許であるとか、あるいはまあさっきのお話の個人タクシーの免許であるとかというものについては、運輸省は内規というかこまかい基準がある。たとえば五メートル以内の道路に車庫を持っておってはだめだ、七メートルでしたか五メートルでしたか、そういういろいろなものがある。そういうところは現地を調べなければわからないのですが、さいぜん鬼木委員からも話があった金の問題、その他いろいろこまかい基準で、出てきた書類でもってまあ三分の二は役所の審査基準に合わないものがある。少なくとも私はそう思う。そういうようなものが出てきたら、すぐその点のあらましの書面審理をやって、書類に適合しないものを、あなた方これでは審査をしても不許可になりますぞ、これは少し手数がかかりますが、不許可になりますからもう一ぺん出し直しなさいとかなんとか、もう少しこまかい配慮を講ずる必要がありはせぬか。この問題をひとつ東京陸運局が模範的に、手数はかかるだろうが――私は今日まで行政調査会あるいは内閣委員会において、運輸省の自動車関係の増員、通産省の特許関係の増員、それから法務省の登記関係の増員、この三つは各党を通じてできるだけ増員はしてやらにゃいかぬ、超党派でこれは努力をしてもらいたい。運輸省の自動車関係もその一つです。ところが皆さんの希望するようにはなかなか政府は増員をしない。したがって人も足らないということですが、一応聴聞をする前に、まずできるだけ早くその概要を書面審理をして、これではあなた免許になりませんぞということを事前に言う道がないかということを東京陸運局長及び自動車一部長、二部長と私はこの間懇談をした。こういう道を講じてやって、ほうっておく前に、あなたのは大体これでは落第ですぞ、だからきちんとしたこういう基準でお出しなさいという、基準をもう少し親切にこまかくつくって公示をしてやるか、申請が出たら、あとせめて一カ月くらいで通知をしてやる。金なんかだって、さいぜん鬼木委員が言われたのですが、てんでもういよいよ聴聞がくる前に、激しいやつは前の日にこちょこちょ集めて預金を持っていくなんというのはざらです。そういうことではいけないのだから、少なくとももうちょっと親切な事前の書面審理で、あらかじめ申請当事者に通知をしてやるというような方法について何とかひとつ考えてみなさい、こういうアドバイスをしておきましたが、局長、こういう点について、いま大臣から言われたあの五項目の免許基準なんというものは、われわれでもよく読まなければわからぬ、しろうとなんかわかりっこないです。しかも役所中心の審査基準なんです。だから当事者にそういう方向を与える道を講じてやって、まずそれで大っぷるいしておくということくらいのほうが親切じゃないかと思います。その辺を一ぺん、鬼木委員の問題に関連して、私は先般来この問題についていろいろ自分でも心配をしているものですから、御回答いただきたいと思います。
  168. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 伊能さんの御提言、たいへんけっこうでありますから、できるだけ励行させたいと思います。ただし実際は、伊能さん御存じのとおり専門家が全部つくるのです。だからこれは人口が幾らのところ、地元がこれだけ、他の業者はどれだけ毎月の運賃があがる、こういう計算をきちっとして、ちゃんと彼らは申請してくるのです。だから書類審査だけでもってはじくというのは実際問題としてほとんどないだろう。そういうような書類の審査を一応やってはずすこともけっこうなんですが、さて今度出てきた場合は許可になるだろうという安心感を与えると、この条項に触れてくる場合の免許基準の問題が出てくる。ちょっとやっかいなんです。だから昔のようにタクシーなどはもう免許制度をやめろという意見すらもあるわけです。ただ、そうなると、今度は交通事故の多い今日ではそれをどうするのだ、むやみかってにやった、それで人をひき殺して逃げてしまった、それはどうしようもありません。かってにやっておれば運輸省も関係ありません。そういう問題をこの安定会議では考えているのだろうかどうか。タクシーを自由に許可しなさい、そして今度は交通事故を起こして、いわゆる五百万円台、一千万円台というような損害が出た場合に、賠償法だけで処理できるか。賠償法だけでは五百万円ですからとてもなかなか処理できない。そういうところに一つの問題があるのです。ですから、いまの社会というものは非常に複雑であり、また高度の社会になってきておる。そこにいわゆる自賠法が生まれたゆえんでもあり、同時にまた事業免許的な性格も帯びざるを得ない。そういう意味で、安定会議の諸君の言っていることは、私は直接聞いたのではありませんからわかりませんけれども、どこまでほんとうに研究をして、そして自動車をどんどんかってに認可しなさいと言っているのかどうか。それならば、事故が起きた場合だれが責任を負うのだ。交通事故は国家が全部金を払ってくれるんだという制度ができない限りはむずかしい、こういう問題もあるわけであります。ですから、いろいろ問題がありまして、そう簡単にはこの問題をばちっときめる手はない。私なども気が短いほうですから簡単にきめたいほうなんですが、そういう問題では非常にいろいろ検討してみたが、むずかしい点がある。ですから総合的な対策が要るわけです。ただ、先ほどから申しますように、二年も待たせておくことはいかぬ。ですからなるべく早く片をつけて、あなたはこういうことだから当分の間、こういう条件を満たさなければ許可はできませんよという、親切なことはやってやる必要がある。こういう書類さえ整えればと出されますと、それじゃ今度は運輸省は許可するのか。許可しなかった場合にはまたたいへん国民から文句が出てくるという点もあるわけであります。しかし伊能さんの御意見、ごもっともな点もありますので、これらの点をも含めて十分検討させたいと思います。
  169. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 いや、実は私はそういう意味で言ったのではないのです。それでは審査の基準に乗らない。いま大臣から専門家がつくったとお話がありましたが、代書屋は形式的につくっているわけです。ほんとうの専門職は、大会社の中に専門家がいて、それを自分のところの型式に当てはめてきちっとつくる。ところが五万円か七万円出してタクシーやトラックの免許申請を出すのは代書屋なんです。代書屋は専門家ではありません。ただ定型の書類があるから、それにその出してきたものを形式的におっぱめているだけで、これは専門家が見ればまるでとんちんかんなやつです。したがって、これでは審査をする基準にすらならないのだということをはっきり言ってやる必要が私はあるのじゃないか、こういう感じを持っておるのです。
  170. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 わかりました。
  171. 坂村吉正

    ○坂村委員 関連して。せっかく大臣がおいででございますから、私は自動車行政はしろうとですけれども、いつもこれは七ふしぎの一つだと考える問題で……。しろうとでございますからあるいは的はずれなことがあるかもしれませんけれども、たとえばタクシー料金を値上げするという話があった場合に、私はタクシーを使うときには個人タクシーを使う。それで経営状態はどうだ、償却はどうだ、こういろいろ聞いてみます。そうすると、個人タクシーは、いや、上げなくてもゆっくりやっていけます、償却も完全に済んで、ちゃんと生活費も確保できます、上げる必要はありませんよ、こういうことを個人タクシーは堂々と言いますね。あるいはそういう御経験がおそらく局長なんかもあるんじゃないか、大臣だってあるんじゃないだろうか。タクシー会社のほうでは、これはどうしても上げなきゃいかぬ、こういうことを言ってやいやい責めるわけです。大体事業の合理化を進めるというのは、大規模に持っていくということで、何十台あるいは何百台持っているような会社は、自動車も安く買える、ガソリンも安く買える、部品だって安く買える。個人タクシーはそういうわけにもいかないで普通の値段で買っていく。数多くの台数を持っているものがやっていけないで、個人タクシーで一台でやっているものがゆうゆうとやっていける、値上げをしないで済むのだ、こういうことを言っているわけです。そこら辺のところをどういうぐあいに大臣はお考えになりますか。
  172. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 これは私の研究といいますか、調べた範囲では、個人タクシーは御承知のように基準法の労働時間の規制を受けないんですね。われわれ政治家なんというものは十五時間働いています。これは仕事の性質上ですが、個人タクシーはまず労働時間の八時間制という規制を受けない。もう一つの理由は、かせぎいいときだけ働けばいいということですね。それですから、この二つの条件がおもなる条件です。ところが業者になりますと、そうはいかないんです。やはり午前八時に出ていって三交代で働かされる。ところが個人の場合は実は一応は運輸省ではやはり三百五十キロとか四百キロとかきめているのですよ。ところがそんなものは、何キロ走ったか調べようがないんですね。私はあんなものはとったらいいと思うのです。実際から言ったら意味ないんです。いまの高速道路を行ったり来たりしたら、一時間か一時間半くらいですぐ六百キロくらいになっちゃうんですから、そんな意味のないことを条件にしたってしょうがない。ああいう走行キロ数とかはとったらいいと思うのです。労働基準法というのがあるから八時間労働、ところが個人タクシーは個人ですからこの適用は受けないんです。  それから、第二に申したように、いい収入のあがるときだけ働く。だから皆さんが夜の十一時ごろ個人タクシーをさがしたってほとんどいませんよ。朝の六時ごろさがしたっていませんよ。八時ごろのようなラッシュアワーをつかまえる。こういうことで結果においてば収入がわりあいにいいということですね。  それともう一つは、一般的な事業体と違って管理費が少ないということも原因です。たとえば事業体であれば、そこには食堂も考えなければならぬ、その他娯楽施設も考える、あるいは重役の収入も考える。こういうことで一応管理費というものを全体の収入の一割前後見なくちゃならぬ。ところが個人タクシーであれば管理費は要らぬわけですね、自分が運転手ですから。ただ必要なのは、車庫の代金、月二万円なら二万円の車庫の代金だけが要る。経営上はこういうことの違いがあります。  それに収入の面が違うようです。いろいろ聞いてみますと、大体個人タクシーの収入は、実収入として十万円に近い。ところが事業の連中は賃金収入で七万円前後である。二万円前後は違う。一つは実収入でそういう違いがある。そこで個人タクシーのほうは値上げをしなくてもやっていける。これはもちろん年齢にもよると思います。あまり年配になればそう荒かせぎもできないが、若い人になれば、労働時間の制限がありませんからかせぐ時間が多い。こういうことが最大の理由だと思います。
  173. 坂村吉正

    ○坂村委員 大臣がおっしゃったとおりだと思うのです。そこで考えられることは、私はタクシーなんというものは、大体本来的に会社経営に適さないんじゃないか。たとえばマイカー族でみんな各戸で自動車を持っているような状況になり、そのものを集めてみたって――いみじくも先ほど大臣がおっしゃったように、三千何百台遊んでいる。私は、この間会社のタクシーの運転手にいろいろ聞いてみました。聞いてみたら三割は遊んでいるそうです。そうして遊ばせておいて台数の免許だけはどんどんふやせふやせといってやっておる。そういうところに非常に無理がある。もう経営自体にいま根本から無理がきているんだということですね。そういうものを合わせるために値上げしなければならぬということで追っかけられたのじゃ、これは幾ら値上げしたって間に合うものじゃないのじゃないかというような感じがするので、これだけ自動車が各戸に普及しているという状態のときに、その自動車を一つの手だてにして大きな会社をつくって何百台持ったって、これは先ほど言ったように現状では経営自体がやっていけないような状態になっておる。本来的にタクシーなんというものは個人が自分で持つ。そうすれば自動車の寿命も長いし、あるいは交通事故も起こりません。自分の車ですから、ぶつけられるのもこわいし、ぶつけるのももったいないし、非常に慎重にやっていく。それから先ほど大臣がおっしゃったように、いやな時間には働かないだろう。しかし個人タクシーがふえれば、あいているところへどんどんこれは働きます。これはそうでしょう。夜中に働いたほうが得だというようなそういう実態があれば、個人タクシーでも夜中でも動く。そういう自然現象が起こってくるのじゃないか。いまはいかにも会社経営にウエートが置かれている、こういう感じがするので、タクシー業なんというものについては、本来的に本末転倒しているのじゃないだろうか、こういう感じがするのですが、どうでしょう。
  174. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 この間運輸委員会で公述人に業者の代表を呼んで意見を聞いた。私も途中から入ったのですが、聞いていると、もうからない商売だと業者のほうが言っていますよ。したがって、いま五十台、六十台のタクシー会社をだいぶ売りに出ているものが多いけれども、もう買い手がない。あんなものを買ったら借金をしょうだけの話だという傾向になってきている。おっしゃるとおりだろうと思うのです。ただ問題は先ほどから申しましたように、自賠だけでいけるかどうか。自賠だけでいけないと、力がないと、それ以外の民事訴訟によって判決が下った場合、たとえば一千万円この人に払えという判決に、五百万円を個人タクシーが持てるかどうかという問題があるわけですね。アメリカあたりは二千万円から三千万円くらいが相場でしょう。そこでこの間大阪の万博では、特別の保険をやってくれ、それでなければ外人は一切お断わりだ、こういう声があるくらいで、これは日本だってそういう声は金額はだんだんしわ寄せしてきますよ。いま五百万円ですが、間もなく一千万円、こうなってくるとはたして個人タクシーの人が自賠責保険すらもかけ得るかどうかという問題が出てくる。しかしながら、そういうことからして運輸省がいろいろ行政指導をしまして、個人タクシーに一つの組合をつくらして、それで一種の共済的な考え方でもってこれを救うということもやらしております。ところが、やはり個人ですから、なかなかうまくいかぬようです。何だ、あいつはしょっちゅう事故を起こしておれらがそのために負担しているのかというようなことも起きてくる。そういう関係がありますが、ただ金がもうかるといいますか、企業としての形態ははたしてどうであろうか私も心配します。ただそういう企業として成り立たなくなると、結果は実態は個人的なものになるということになって、形式的な企業ということになる。そうすると、形式的企業は何をやるか。そうすると、そういうような損害賠償におけるところの負担能力と、それから管理運営というものはやっぱり要ると思うのです。個人タクシーでもガレージを借りなくちゃならぬ。いま三万何千台という事業体が一ぺんになくなったら、これはガレージがありゃしませんよ。そうすると、いまの企業体の持っておるガレージなり自動車置き場を使わざるを得ないとか、食堂も使う、こういう面がありますので、将来私はやはりいまおっしゃったように自動車事業というものの内容が変わってくるのじゃないか。それには事業者、企業者自身がやはり考え直さなくちゃいけない。同時にまた制度の上でも、たとえば無線タクシーというもの、こういうものを思い切って採用する。それにはそれだけの対価を与えてやらなければ、これは数十万円金がかかるのですからできません。こういういろいろな点を考えて、この四、五年の間には根本的な抜本的なものの考え方をタクシー行政では考えなくちゃいかぬのじゃないか。そういう企業体の問題、あるいは個人タクシーの問題にしましても、あるいは夜間の問題にしましても、先ほどちょっと触れたように、夜間走る自動車には青はち巻きでも白はち巻きでもいいから目じるしをつける、これは昼間は通してはいかぬというような制度も考えるとか、非常に細部にわたっての施策がありませんと、現代人の要望にはこたえられない。現代人は夜中でも働く人もあるし、遊ぶ人もある。けれども、実際は人数としては少ないのですから、それを無理やりにみんなが走れといっても、企業体ですからこれは無理だ。こういういろいろの点を考えますと、タクシー事業というのはなかなかむずかしい問題だ。しかしむずかしいからといってほうっておけませんから、自動車に対してそれらのこと全般を考えながら将来の制度の改善に資するように、こういうことを強く要望しておるわけであります。
  175. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 先ほど伊能先輩議員からお話がありましたように、免許基準という五項目、これは私も拝見しておりますが、伊能委員のおっしゃるように、これは一般の人にはなかなかわかりにくいのですよ。それで、大臣は四十四年とおっしゃっておりますけれども、四十四年に法の改正があったと思いますが、この問題は四十四年からじゃなくしてここ五年、十年、ずっと前からの問題でございます。いかに自動車の許認可で一般大衆が苦しんでおるかということは、与野党一致して皆さんが認めていらっしゃることでございますから、これに対しては先ほどからるる私も申し上げておりますし、伊能委員からもたいへん名案も出ておるようでございます。ことにまた大臣は、六カ月でこれを処理しろという命令を出しておる、こう仰せになっておりますので、少なくとも期間をずっと短縮していただく、そうしないと、今日ではただやたらに願書を受けつけて、そして聴聞は六カ月も七カ月もかかって聴聞している。それで全部はねている。あるいはまた聴聞は通っても一年もして今度は不許可、こうなるのです。そういう非常に不合理な面がございますので、これは国民総意のお願いでございますから、ぜひ大臣のおっしゃるように、六カ月以内でこれを解決せよ――それは先ほど仰せになったように、書類はどうでもいい、ずさんでもかまわぬ、どんどんやってしまえ、そんなことを申し上げているのじゃありません。大臣のおっしゃったとおり基準には従うようにきちっとやっていただいてけっこうでございます。またそうやっていただかなければならぬと思いますけれども、少なくとも大臣も御自信があって仰せになっておることと思いますので、六カ月でやれとおっしゃるその威令が全国の陸運局に行なわれますように、ぜひそれをお願いいたしたいと思います。そうすると、いかに皆さんが助かるか……。  時間がございませんので、きょうはこの程度で御無礼したいと思いますが、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
  176. 天野公義

    天野委員長 東中光雄君。
  177. 東中光雄

    ○東中委員 先日の委員会でいわゆる調査員の制度についてお聞きしたのですが、その際運輸省の人事課長は法律上の根拠はないというように言われまして、荒木行管長官は不届きだというような発言をされたわけです。その後善処するということであったわけですが、その後どういうふうにされたか。まず行管のほうで総理府と協議するとか言われておったわけですが、どういうふうにされるのか、その点をお聞きしたいと思います。
  178. 河合三良

    ○河合政府委員 お答え申し上げます。  先日御指摘のございました点につきましては、調査員という形で公務員以外の者が官庁の仕事をしているという点でございまして、それにつきまして私ども人事院、人事局とも相談をいたしまして、この問題につきましてどこが調査いたすべきかいろいろ検討いたしましたが、とりあえず私ども御質問を受けましたので、お示しいただきました点につきまして各省庁に問い合わせまして、その実情につきまして聞きましたところ、私どもの聞きました範囲におきましては、運輸省を除きまして数省庁、これは純粋に研修という目的のために文書による要請を受けまして、役所の側でも文書によりましてこれの受け入れを約束いたし、そこで研修をいたしているということでございます。運輸省につきましては、研修と長期的な調査に従事する職員がおるということを承りました。  以上の職員につきまして、東中先生の御指摘もございましたような機密の保持に遺憾があるのではないか、あるいは営利企業と特別な関係が生ずるのではないかという点につきまして、それぞれそういう事実はないということの答えをいただいております。
  179. 東中光雄

    ○東中委員 たまたま調査員ということばで言われておるから調査員と申し上げたので、私のお聞きしておるのは、この前は運輸省が例にあがったわけですけれども、民間企業の職員であって民間企業から給料をもらっておって、そして公務に、一般公務員と同じように出勤し、行政事務に携わっておるという、そういう状態である。それもたまたま一日、二日じゃなくて、数カ月あるいは一年、二年という、そういう制度を調査員制度、こういうふうに便宜的に名前を、呼称を用いただけで、そういう実態を持っているのは運輸省だけじゃなくて、経企庁にもあるように聞いているのですが、その点行管のほうはどうなんですか。
  180. 河合三良

    ○河合政府委員 経企庁につきましては、非常勤の公務員ということでその職務に従事してもらっているというふうに私どもは理解いたしております。
  181. 東中光雄

    ○東中委員 ただ公務員という場合に、国家公務員法上いろいろな制限を受けていることば申すまでもないわけですが、国家公務員法百条による秘密保持の問題、あるいは兼業禁止の規定がございますね。また政治活動の禁止の規定がある。さらに私企業からの隔離という国家公務員法百三条の規定がある。こういう体系からいきまして、民間企業の職員で、そこから給料をもらっておって、実際出てきて仕事をやっているということになれば、公務員法のたてまえからいくと、これはもうまるっきり脱法的に全部抜けちゃうことになるわけで、申すまでもなく憲法の十五条の規定からいえば、公務員というのはたてまえとして全体の奉仕者だ。それから九十九条では憲法擁護義務を憲法上の義務として公務員は負うている。私企業の職員である場合は、これは労働協約あるいはそこの就業規則に従っている。そこの私企業の、たとえば運輸省の場合日通から見えている人もあります。日通の職業規則に拘束され、労働協約に拘束され、日通は株式会社ですから、営利企業体としての事業をやっているわけですから、その職員としての行動をやる。そういう資格で官房政策課の中で、他の課員と一緒に仕事をしている。これは非常に性格が違うことになってくるわけですから、こういう点で現実に秘密漏洩をやったかやらなかったかというようなことがいま問題になっているんじゃなくて、秘密事項なんというのはその作業の中で出てくるわけですから、もし現実の秘密事項だけが問題になるというんだったら、そういう秘密事項のことにかかわらなければいいんだというんだったら、一般公務員の、あの公務員法で全般的に公務員労働者を規制している、たとえば兼業禁止なんという規定は、全部要らなくなっちゃうのですね。そういう非常に体系的には重要な問題があると思うわけです。そういう点で行管長官も非常に不届きだと言われておるんだと、私はあの速記録で理解をしておるわけですが、運輸省としては今後もこの制度を続けられるつもりなのか、あるいは行管長官は善処すると言っておられたわけですが、どうされたのかお聞きしたいわけです。
  182. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 運輸省の関係につきましては、先般私どもの人事課長が現状を詳しく御説明申し上げたのでございますが、確かに一般論といたしまして、いま先生のおっしゃったような弊害があると存じます。ただこれは、ついておるポストについて具体的に判定すべきではないかと私ども実は思っておるのでございまして、私どもの例を申し上げますと、全部で二十五名そういう方がおります。そのうち十四名は大体調査、解析とかあるいは計量とか、そういったような仕事についております。それでまた六名は航空局で臨時に、このたびの長期計画がつくられるので、そういう専門家がほしいということで、日航あるいは全日空から臨時的にそういう方に来てもらっておる、これはそういう特殊の目的のために来てもらったのでございます。かようなことでございまして、企業を監督しているとかそういう立場の仕事、そういうものに直接タッチさしていないというのが実情でございます。  それからまた、来ている方も二十五名のうち国鉄から十一名、それから日航が三名、それから開銀とか興銀とか長期信用銀行とか、特殊銀行でございますね。そこから六名というようなことでございまして、派遣されてくる先につきましても、そういうような実は選択をしているつもりでございます。  先生おっしゃったような点につきましては、特に重要な点を決定するとかというポストにつきましては、たとえば課長以上のポストあるいは部長以上、参事官というところにつきましては、そういう外部の方がおられますけれども、全部公務員という資格に変えて来ております。全部公務員になって来ております。実際はそういうような重要なポストではなしに補佐官程度あるいは係長なり一般職員、補佐官と係長の間くらいが一番高いのでございますけれども、そういった方が多うございまして、そういった決定的な仕事、裁決というような仕事にはタッチさしていないのが実情でございます。そういうつもりでやっておるのでございます。  ただ、そういうようなことで民間企業との癒着とか、あるいは何か秘密保持という点で疑惑が持たれるのではないかということは、私ども反省しなければならぬと思っております。したがいましてこの点につきまして改善すべきところは十分改善して、そういうことのないように、今後とも気をつけていきたいというふうに私ども思っている次第でございます。
  183. 東中光雄

    ○東中委員 改善すべきところは改善してと、こうおっしゃったのですけれども、その内容がよくわからないのでお聞きするわけですが、たとえば運輸省では、一般職員がかってに他の職業を兼職しておる場合、それは国家公務員法違反になるわけだけれども、そんなのが起こってもそれは別に実害はない、直接許認可するわけではなく、監督するわけではなく、何にもないのだから、そんなものはよろしいということで、ほうっておかれるのですか。実際実害が起こらない限りはほうっておくという方針だったら、いまおっしゃっていることも実害がないようにする、こういうことになってしまうわけですけれども、そうではなくて、それはやはりいかぬのだというのだったら、公務員でない、就業規則に縛られている人が、しかも一般公務員というよりも補佐官クラスの人が多いわけですから、これはやはり国家行政、国家意思決定に直接、最終的な決定じゃないにしても、参画してくるわけですから、一般末端事務、いわゆる末端事務を担当している公務員なんかよりもずっと違った重要な行政事務に携わっているわけですから、こういう点からいうと、どうも言われている趣旨は私納得がいかないのです。だから兼業禁止その他いろいろ条項があります。たとえば公務員の宣誓の問題もありますけれども、これは宣誓しないでやっているわけです。やっている内容は全く一緒なんですから、長い人は二年というのですから、朝九時に出勤して五時までみんなと一緒になってやっているということなんですから、これはやはり根本的に検討してもらわないといかぬのじゃないか。これは公務員というものの制度からいってぐあいが悪いんじゃないか、こう思うんですが、どうでしょう。
  184. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 一般論といたしましては、そういうことに相なるかと思いますが、実際といたしまして、私どもに来ております二十五名ですかにつきましては、実は補佐官まで行ってないのです。ほとんど一般職員が半分ぐらいでございます。したがいまして、そういったような実害は、私どもないんではないかと実は存じておるのでございます。むしろ私のほうといたしましては、確かに法的根拠のないことは事実でございます、ただし、昔は専門的な知識を得るために嘱託制度というのがございました、いまそれはございませんけれども、たとえばそういったようなものに類似しているんではないかと私は思うのでございます。また、もう一つは、研修という意味で受けるということもございますので、そういう存在、公務員じゃないけれども、役所の中へ入って仕事を一緒にできるんだ、そういう何か認められるような措置をつくっていただければ一番いいんではないかと思っているわけでございます。実情はないんですけれども、そういう措置を認めていただきまして、かつての嘱託制度というようなものですね、無給の嘱託というようなものに切りかえていただければ一番いいんではないかと実は思うのでございます。
  185. 東中光雄

    ○東中委員 研修だったら、これはもう嘱託なんというのとまた性格ががらっと変わるわけでしょう。だから、嘱託という制度ができたらいいという、やはり運輸省側の必要性の問題が出てきているわけですね。研修というのは研修する側の民間の企業体の職員としての立場で言うておられるわけで、まさにぬえ的な存在になっているのですね、法的根拠がないんだから。法的根拠がある制度――その人たちの知識が必要だったら、それは場合によっては、その企業体からいえば出向して、公務員として採用してやられればいいわけですし、またそういうことも実際あるわけですから、それで公務員でないけれども、公務員としての仕事をする。ほかから来れば公務員として接する。わからぬわけですからね。そういうことはまさに癒着という問題、天下りが癒着というようなことをいわれますけれども、それより一そう、民間の就業規則に拘束されて公務に従事しているというのですから、これは全く癒着になってしまうわけですね。実害の問題は発生してからじゃだめなんで、制度の問題としてぴちっとするという方向をぜひとってもらわないとぐあいが悪いんじゃないか、こう思うのですが、ひとつ大臣、その点運輸省としてどうされるか、方向を出していただきたいと思います。
  186. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 ちょっとこれは国家公務員法を調べてみないとわからないのですが、おっしゃることはよくわかります。国家公務員の義務、権利というものを持ってない者が入ってきてそういうような仕事をすることはどうかということで、いわゆる公務員制度及び公務員の資格義務規定、こういうものと全然相いれない者が入ってきて、それで国家行政の事務を扱うことは好ましくないじゃないか、こういう御意見だろうと思いますね。弊害が起きる起きないは別問題、規定上おかしいじゃないか、こういうことじゃないですか、まず第一は。弊害が起きるからいけないということのほうか、それとも公務員制度及び公務員法から見て、そういう者が公務員と一緒に仕事をすることが法律のたてまえからいっておかしいんじゃないのかということじゃないのでしょうか。まず質問の趣旨をお聞きしたい。
  187. 東中光雄

    ○東中委員 たてまえからいって許されないということと、そういうたてまえをくずすということになってくると、必ず弊害が起こってくる。いまたまたま二十五人だからということもあるでしょう。しかしこれが二百五十人にならないということはないわけですから、論理的には。官房の政策計画室にとにかく九人もおられるわけですから、これが半分以上になってくるということになったら、民間企業の職員が中心になってやっていくということになったら、もう運輸省としては誘導行政なんていったって、逆に誘導され行政になってしまいます。そういうことになりはせぬか。論理的にそうなるわけです。だから私は弊害がいま起きているというふうに具体的に出しようがないわけですが、しかし弊害を必ず伴うものとしてこれが正されなければならぬのじゃないか、こう考えております。
  188. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 私が答弁をする場合、あなたの重点がどっちにあるかということで答弁が違ってくるわけです。弊害の問題であれば先ほど言ったようなことになります。行政事務というものは監督行政である。国家行政というものは一種の監督行政ですね。もちろん郵政省のように自分自身が業務を持っているものもあります。運輸省でもそれはそういう業務を持っているものがありますが、非常に少ない。どちらかといえば国家行政というものは監督行政である。その監督行政を行なう場合に、やはり実態を知るということがまず大事なんですね。そういう場合が一つは必要であるということと、もう一つは、政策を行政主体は考えなければならぬ。政策立案というものが行政事務の一つの重要な職務なんですね。そうしますと、国鉄の実情なら国鉄の実情というものを知らないで政策立案をした場合には、間違いが起きる。あるいは法律は国鉄から出すのでありません。実際の相談はしましょうけれども、国鉄に関する法律は運輸省がこれをこしらえるわけですね。実態を知っておらないで法律をつくった場合、これこそおそるべきものができる心配があります。これは御了承願えるだろうと思うわけです。あるいは航空の実態を知らないで、そこで航空法というものをつくれば、これもまたあるいはそれに合わないようなものをつくる場合がある。こういう危険があることも、これは御了承願えると思うのです。  ですから、最初におっしゃった国家公務員制度と相いれぬじゃないかという観点からいいますと、私も実は答弁に苦しむんです。それはなるほど私も詳しく調べておりませんけれども、あるいは相いれない場合が出てくるようなことがあるのではないかと思います。ただ監督行政をする場合に、それは実態と無縁のものであってはいけないということですね。これからの行政は、ことに近代行政はそうです。そうなりますと、一年なら一年間くらいはそういう者が政策立案あるいは技術等でもいいんです、やはりそういう者に来てもらって、それらの意見を十分に取り入れながら政策をつくる、法律をつくるという必要はあると私は思うんです。ただその場合に、いま調査員という名前になっておりますが、実はそういうことをいまの法律規定しておりません。調査員という制度がちゃんと規定されていればいいんです。あるいはそういうものをちゃんと入れて規定することがいいかどうか。しかし実際は必要だということですね。新幹線の法律をわれわれがつくるにしても、やはり鉄道の実際上の業務に携わっている者の意見を十分に反映してつくらなければ、これはほんとうに実態に合ったものができない。そういう意味でいま官房長から言われましたように、これら二十四、五名の人というものは、そういう政策担当の行政の中に一部分入ってもらっている、一般の公務員の従来の行政事務には入っておらないということは、いま申し上げたように、監督行政を進める上においてもやはりそういうような実際的な知識が必要だ。そうしませんと――金融関係も入っておりますが、金融にしてもたとえば新幹線の問題の場合、これから九千何百キロつくっていくというためには、現在の金融情勢、財政から見てこれがどういう限度でいかれるだろうか。法律ではぴしっと昭和六十五年とか七十年ときめませんけれども、これから無限に百年間というわけにもいきません。大体こういうものは限度としてはいつごろの見通しになるだろうか、こういうことになると、現実的に金融、財政の知識のある人が要るんです。そういう意味において、われわれの仕事をしていく上においては必要なんですね。ただしかし、これは国家公務員制度というものに相反しはしないかというおしかりを受けるとすれば、その点については私もう少し公務員法を調べてみませんと、どこかでそういうことが認められておる点もあるかもしれませんけれども、これは差しつかえないんだ、こういうわけにも参らない。ただ運輸省のたてまえからいえば、こういうような人は必要なんだ、それなら委員会でいいではないかという御意見もあると思います。しかしながら委員会では、そのもとの立案、基礎を考えるのですから、必ずしも委員会の委員だけでは間に合わない。こういうこともやはり運輸省としては必要の度合いからいえば、ある程度の必要はある。しかし法律的に考えていかぬというような判断を行政管理庁なり、あるいは人事院でお定めになるならやむを得ません。実際上の仕事の上においてはマイナスが起きましても、これはやはりやめざるを得ないと思いますが、それらを十分検討した上で善処してみたい、かように考えております。
  189. 東中光雄

    ○東中委員 私の申し上げているのは、たとえば国鉄についての知識が非常に必要だ、あるいは航空についての知識、金融についての知識が必要だ。これをそんなものはどうでもいいと言っているのではないのです。そういう知識を持っている人で運輸省の公務員を構成すればいいのだ。その知識を持っている人を、今度は国鉄職員の立場のままで参画し、日通職員の立場のままでやってくれということが、これは弊害を生む可能性が非常に多いし、それから対外的に見て癒着というかっこうで見えるし、また法制的にも非常にぐあいが悪いのではないか、こう思うわけであります。そういう点で、いま法制局の意見も聞いてとおっしゃいましたが、その点を検討していただいて、これは非常にぐあいが悪いと私は思いますので、処置されるように要望したいのでありますが、どうでしょうか。
  190. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 ちょっとそれについて。おっしゃるとおりずいぶん検討した上で、そういう必要があればこれを処置したいと思いますが、ただこういうことがあるのですよ。たとえば、なるほど金融の知識は必要だ、大臣が言うようにまあ必要だ――必要性はお認めになりますな。その場合に、それなら公務員に移したらいいではないか、こうおっしゃるのですね。これはやはり給料の点で相違があるので、こういう人を三年、五年使っておったのでは知識が古くなってしまうのですね。だから一年とか一年半でかえてもらわなければ意味がない。あるいは航空も日航の職員なら日航の職員を経験の点で利用する。これも国家公務員となると、給料の面においての違いがあるし、それを三年も五年も置いたりすると知識が古くなってしまう。一年か一年半ということになりますと、やはり国家公務員の形に直すということは、いろいろな不便があるのです。給料の点もあるし、知識の新旧の点もある。しかしながら便、不便は別にしまして、制度として、はたしてこれが適正かどうかという点については十分検討して、適正でなければこれはもうやるべきではありません。いやしくも国民の公僕であり、国家の行政機関でありますから、適法ならざるものをやることは好ましくないので、十分検討した上で考えてみたい、こう思います。
  191. 東中光雄

    ○東中委員 いずれにしても民間大企業と運輸省の間がごっちゃになっておって、どこかわからぬというふうな事態にならないように、それでは全くの癒着だということになってしまいますので、早急に検討して結論を出していただきたいと思います。  次に設置法の関係でお聞きしたいのですが、運輸政策審議会あるいは運輸技術審議会の設置をされる理由は何か、明らかにしていただきたい。
  192. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 お答え申し上げます。  まずその趣旨でございますけれども、ちょっとまっこうからわがほうの恥を申すようでいささか言いにくいのでございますが、いままで運輸省に対する批判というものは、運輸省には政策がないではないか、あるものは縦割り行政ばかりである。また目先のことばかり考えてびほう策である。もう少し長期的にものを考えて進めてもらいたい。こういう議論が一番多かったのであります。そして皆さん御承知のように、わが国の経済発展というものは著しいものがございまして、今後もその方向というものは進んでまいる。したがいまして、情報革新でありますとか、あるいは産業発展というふうなことによりまして、産業構造というものが変わってまいっております。しかし一方これを受けまして、輸送側におきましても、そういったものを将来どういうふうに受けていくかということが大きな問題でございまして、需要についても相当な増加というものが見込まれてまいりますし、あるいは輸送の質というものも変わってまいります。そういたしますと、こういったものを受けてまいりますためには、やはりこれは総合的にものを考えて、ある程度十五年、二十年という先を見通して基本的な方策を考えていかなければならないというようなことがございまして、そのために学識経験者といった方のお知恵を拝借いたしまして、そうして政策の基本をつくってまいりたい、ということでつくったのが趣旨でございます。
  193. 東中光雄

    ○東中委員 従来あった懇談会とはどういう関係になるのですか。
  194. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 御承知かと思いますけれども、先国会におきまして実は設置法改正を提案したわけでございますが、不幸にしまして、これが流れてしまいました。そこで、こういうふうな審議会というものは、法律でできないということになったわけでございます。ただ、現実の問題といたしまして、こういうふうな総合政策をつくるという要望は非常に強く、また必要も強くなりました。したがって実行上、運輸大臣の私的な懇談会という形式でもって運輸政策懇談会、あるいは運輸技術懇談会というものをつくりまして、その中である程度の仕事を進めていただいたというのが事実でございます。
  195. 東中光雄

    ○東中委員 この審議会のメンバーは、そうしますと従来の懇談会のメンバーがそのまま進んでいくということになるわけですか。
  196. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 大体そうなると思います。
  197. 東中光雄

    ○東中委員 審議委員のうち、民間企業や民間団体の役員を兼ねておられる委員の氏名、企業、団体の地位を明らかにしていただきたい。
  198. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 運輸政策懇談会のほうについて申し上げますと、あいうえお順になっておりますが、秋山龍さん、日本空港ビルディング社長、芦原義重さん、関西経済連合会の会長、荒木茂久二さん、この方は民間と申しますか、帝都高速度交通営団の総裁、安藤豊禄さん、経団連の運輸委員長でございます。石原周夫さん、日本開発銀行総裁でございます。権田良彦さん、山九運輸機工の副社長、それからこれは民間団体ではございませんが、向坂正男さん、日本エネルギー経済研究所長、土光敏夫さん、東京芝浦電気の社長、永野重雄さん、日本商工会議所会頭、中山素平さん、日本興業銀行会長、二宮善基さん、東洋曹達会長、平田敬一郎さん、日本経営情報開発協会理事長、宮崎一雄さん、日本長期信用銀行頭取、森永貞一郎さん、東京証券取引所理事長、若干御質問の点と違う点があるかもしれませんが、ほかに薬、新聞社関係等がございます。
  199. 東中光雄

    ○東中委員 いまお聞きしますと、財界のそうそうたる大御所が並んでおられるわけでございます。結局あとは学識経験者ということになるのですが、もし新しい審議会が設置されるとすれば、新しい審議会のメバンーもそういうことになっていくということですか。
  200. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 大体においてそうなるというふうに考えます。
  201. 東中光雄

    ○東中委員 そうしますと、結局財界の代表が中心になってしまいますので、企業利益に不利になるような結論は出なくなってくるというふうに考えざるを得ぬわけです。運輸省の政策決定はこの審議会の答申に基づいてやられるようになると思うのですが、審議会の答申というのはどの程度の拘束力を持ってくるか、その点はどうでしょうか。
  202. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 これはいずれの審議会でもそうかと思いますが、大体審議会の性質は諮問機関でございまして、その諮問に対する答申あるいは建議を運輸大臣が尊重するということになっております。したがいまして、法律的に申しますと必ずしもそれに拘束はされないことになりますが、大体尊重することになっております。
  203. 東中光雄

    ○東中委員 直接的に、法律的に拘束しないけれども、尊重するから、実際上それに従ってやっていくということになると思うのです。そういう点で、この審議会の構成を、懇談会から審議会に変わるについて、財界、企業代表中心じゃなくて、これを変える意図はお持ちでないかどうか、その点をお伺いしたい。
  204. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 先ほどは先生の御要望によりまして、特に財界に関係のある人だけを述べよという仰せがございましたので申し上げたのでございますけれども、そのほかには一ッ橋大学の名誉教授の中山伊知郎先生をはじめといたしまして、あるいは都留先生、大来先生その他学者の方もおられますし、ウエートとしては必ずしも経済界の意見のみが反映されるというものではない。なお、先ほど申し上げた方々につきましても、これはむしろ財界の代表という意味ではなくて、将来のビジョンなり何なり考えてまいる際の貴重な学識経験の持ち主ということに着目してお願いしたわけでございます。
  205. 東中光雄

    ○東中委員 新聞関係の論説委員とか大学の教授とかこういう学識経験者、いわゆる学識者のほかは、先ほど申し上げたような財界関係の人が中心になっているようですので、もっと広く考える意向はないのかどうか、その点をただしているわけです。
  206. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 この性格をもうちょっと御説明したほうがいいかと思いますが……。
  207. 東中光雄

    ○東中委員 時間がありませんから、結論的に言ってください。
  208. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 大体この程度で進めたいというふうに考えております。
  209. 東中光雄

    ○東中委員 もう一つ、地方陸上交通審議会の設置の目的ですが、たとえば国鉄の赤字線の廃止とかバス路線化なども審議の対象になるのかどうか、そういう点をひとつお聞きしたい。
  210. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 地方の審議会の場合は、主としてこれは陸運局長の諮問機関でございまして、陸運局長が重要と考えることを諮問することになっております。大体考えられますのは、地方における基本的な具体的な計画とかあるいはその計画を進めるための整備の方向でございますとか、方針、やり方、それからあるいは通勤輸送その他大量輸送、こういったものをどうこなすかといったような、いわば一般的なことをやるので、個々の路線の問題の許認可の問題については直接取り上げることはないかと思います。
  211. 東中光雄

    ○東中委員 この審議会の構成には地域住民の代表、あるいは利害関係者、あるいは関係運輸機関の労働組合代表、こういうものは構成メンバーとしては入る予定なのかどうか。
  212. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 地方は先ほど申し上げましたのと若干趣を異にいたしまして、現実の行政とのあるいは現実との密着がございますので、そういった意味で学識経験者のほかに一般利用者、乗客あるいは関係事業者を含めておりまして、その中に組合の代表も入っておられるというように考えます。
  213. 東中光雄

    ○東中委員 地域住民とか、乗客代表とかに相当する者も入るわけですね。
  214. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 いま広い意味で、いわゆる三者構成と申しますか、中立の者、あるいは事業者関係、あるいは利用者、ユーザー側、こういった三者構成というふうに考えておりますので、その中に入ってまいると考えております。
  215. 東中光雄

    ○東中委員 次に移りたいと思うのですが、気象庁関係のことでお聞きしたいのです。  実は、昨日の毎日新聞、大阪の新聞ですが、「当たらない天気予報 観測三分の一に」というトップの記事が五段見出しで大きく出ているのです。このことに関連してお聞きしたいのですが、ことしから昨年の大阪に続いて東京、御前崎で人員削減と観測を一日八回に減らすという問題が出ております。いま新聞でも大きく取り上げておりますように、非常に大きな国民の関心が寄せられているわけであります。これについて三月十日の運輸委員会などでも気象庁長官は大阪、東京、御前崎などで従来気象観測を二十四回行なっていたのを、気象観測は従来どおり行なうが気象庁に電報を打って知らせる回数を減らすだけだ、こういうふうに言っておられるわけですが、実際そうなのか。観測は従来どおりで通報だけが減るということなのかどうか、まず明らかにしていただきたい。
  216. 吉武素二

    ○吉武政府委員 気象観測という中で、気温とか気圧とか湿度とか風速、風向、こういうふうなものはみな機械を使って観測するわけです。といいますのは、それが多くの場合、みな自記の記録でとられているわけです。ですから気温ですと一日のうち刻々どういう変化をしているというのがペンで書かれているわけです。そういう意味ではわれわれは絶えず記録をとっているわけです。それを一日何回か通報してもらって、気象庁の本庁に一応集めます。それからまたそのデータを地方にも流してやります。それで天気図をかいております。私たち、いまかいている天気図というのは、三時間おきに天気図をずっとかいているわけです。そのような時間間隔をおいて天気現象を追いかけているわけでございますが、そういう意味で私が申し上げたいことば、そのために予報が悪くなっているとか、そういうことはございません。
  217. 東中光雄

    ○東中委員 気象観測を行なうという意味は、気象観測結果を残しておくということであってこそ観測の意味があると思うのです。観測したけれども何も残しておらぬというのでは観測にはならぬわけですが、今回大阪に続いて東京・御前崎でやられるのは、観測結果を残すことについて、従来二十四時間毎時間にやっておったのを三時間に一回、要するに一日八回に変えたということではないのですか。
  218. 吉武素二

    ○吉武政府委員 二十四回観測通報というように必ず、それをその時間には、たとえば一時間ごとに――二十四回観測通報というのは、そのときに機械の示度を読み取って、それを電報に組んで気象庁なら気象庁に送る、そのことを二十四回観測通報といっておるので、それを今度は八回だけ読み取ってそれを通報する。しかし全官署においては、ずっと連続な記録はとられておるわけです。おわかりいただけましょうか。
  219. 東中光雄

    ○東中委員 観測結果を記録するものは自記機械による観測結果、これは機械が書くやつですね。これが一つありますね。そのほかに野帳というのがありますね。長官御存じですか。
  220. 吉武素二

    ○吉武政府委員 知っております。
  221. 東中光雄

    ○東中委員 それからもう一つは、地上気象観測日原簿というのですか、この三種類ある。私はこの三種類だけだと思っているのですが、そのほかにありますか。どうですか。
  222. 吉武素二

    ○吉武政府委員 先生のおっしゃるとおりだと思います。それで……。
  223. 東中光雄

    ○東中委員 そのとおりだったら、次に移ります。  それだと、もし観測をした結果が意味を持つとすれば、この三つの記録以外にはないということに結局なる。(吉武政府委員「そうです」と呼ぶ)いま長官が言われているその通報というのはこの記録とは別で、記録に基づいてまた別に通報するものは通報するであるけれども、この三種類が必要なんだ、こういうことなんですね。よろしゅうございますね。(吉武政府委員「はい」と呼ぶ)
  224. 天野公義

    天野委員長 委員長の許可を得てから発言をしてください。
  225. 吉武素二

    ○吉武政府委員 よろしゅうございます。
  226. 東中光雄

    ○東中委員 そうしますと、たとえば地上気象観測日原簿には、従来は二十四回、一日毎時ごとに観測結果を載せることになっておった。しかし大阪は昨年から、東京、御前崎は本年からそれを三時間おきしか載せないことになった。そういう意味で観測が三分の一に減らされた、こういうことになるんではないかどうか、その点を明らかにしてほしいと思います。
  227. 吉武素二

    ○吉武政府委員 大体先生のおっしゃるとおりだと思います。ただそのために、たとえば予報とか、あるいはその過去のデータを調べるときに、何か不便があるとか、そういうことは何もないということでございます。
  228. 東中光雄

    ○東中委員 私はまだそこまで聞いていないのですよ。その前の前提を聞いておりますけれども、前提はお認めになったので、次にお聞きしたいのですが、しかしもう一つ自記観測があるじゃないか。自記の記録ですね。これはあるんですけれども、しかし自記観測できないものがずいぶんたくさんあると思うのですね。たとえば現在天気――地上気象観測日原簿によるとそういう項目がありますが、あるいは全雲量あるいは日本式の天気、それから降水量の実測、それから視程、それから雲の状態、個々の雲の量、形、向き、速さ、高さ、それから現象といわれているもの、これは自記では出てこないと思うのですが、そうですか。
  229. 吉武素二

    ○吉武政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  230. 東中光雄

    ○東中委員 そうしますと、東京、御前崎、大阪でやられておる方向でいけば、いままではそれが毎時ごとに出ておったのが今度は三時間に一回しか出なくなる。そういう状態で民間からあるいは気象庁外からいろいろな気象についての問い合わせがあった場合に、その回答はどういうようにされるのか。いまどういうようにやられておるのか。従来はどうやられておって、その観測を減らした結果どうなったかという点をお聞きしたいのです。
  231. 吉武素二

    ○吉武政府委員 先生がおっしゃったいわゆる機械以外で観測する、たとえば雲量とかそういうようなものは一まとめにして私たち目視観測といっております。目でただ大体どうだというように判定しておるものでございます。科学的な観測という目から見ると、ある意味では非常に大ざっぱな観測といえます。いろいろな資料の照会がございます。しかし多くといいますか、ほとんどのものはやはり何時の気温、気圧、湿度、風はどうでしたかというような御質問でございます。それは先ほどからもお話し申し上げましたように、ちゃんと記録が残っておるわけでございます。ですからお答えすることに別に不便はございません。
  232. 東中光雄

    ○東中委員 記録は残っておると言われましたが、照会があった場合に答える資料は野帳なり地上気象観測日原簿ですか、これに基づいて答えるのですね。自記された機械のものを一々引っぱり出してやるということは、実際上はしないというのが実情じゃないですか。その点どうでしょう。
  233. 吉武素二

    ○吉武政府委員 御要望に応じてはそういうこともやらないと、日原簿、野帳だけではわからない面がございますから、要望される側の、これがどうしてもほしいのだとおっしゃるならば、私たちはそういうことをいままでもやってきたわけでございます。
  234. 東中光雄

    ○東中委員 照会、問い合わせの件数は、大阪、東京、御前崎で一体どのくらいあるのか、ひとつ明らかにしていただきたい。
  235. 吉武素二

    ○吉武政府委員 気象資料の照会件数全部申し上げてもとても……。
  236. 東中光雄

    ○東中委員 東京、大阪、御前崎だけで……。
  237. 吉武素二

    ○吉武政府委員 東京について申し上げますと、昭和四十三年に書面で照会があったのが三百八十件、それから来られて照会があったのが三百十一件、合わせまして六百九十一件でございます。その以外に気象庁は気象証明というようなものをいろいろな、裁判とかそういうことに関係して出しておりますが、それが百七十二件ございます。大阪について申しますと、書面照会が三百十七件、来訪照会が八百九十五件、合わせて千二百十二件、証明鑑定が百四十三件でございます。御前崎について申し上げますと、書面照会が十四件、来訪照会が七十九件、合わせて九十三件、証明、鑑定はございません。
  238. 東中光雄

    ○東中委員 私も資料をいただきまして、いま言われた文書並びに来訪照会の件数は、お聞きしておるのですが、電話による照会は、これの十倍をはるかに越しておるというふうに聞いておるのですが、その点はどうでしょうか。
  239. 吉武素二

    ○吉武政府委員 これは非常に限られた、大体平均的な一週間について見ますと、資料の照会というのが四十七件、それに対して電話による気象照会というのが二百一件でございますから、約四倍くらいになりますでしょうか……。
  240. 東中光雄

    ○東中委員 私がいただきました資料では、たとえば東京の場合ですと、各課ごとに来ておって、それをトータルすると、大体十倍ぐらいになるというふうに数字をはじいておるのです。しかも、その資料の中には、東京にある天気相談所への電話照会というのが入っていないわけです。天気相談所の場合は、一番電話照会が多いところですから、さらに十倍どころか、二十倍にもなるのじゃないかというように思うのですが、どうでしょうか。
  241. 吉武素二

    ○吉武政府委員 いま申し上げました二百一件といううちには、たとえば天気相談所ですと、きょうの午後の天気はどうだろう、あしたはどうだろうか、そういうような電話というものがひっきりなしにかかってまいります。それからまた、当日の最高気温はどうでしたろうかというような電話もひっきりなしに、特に暑かったような日にはかかってまいりますから、はっきりした数は、私いまこの席では申し上げかねますが、やはり先生のおっしゃる程度のことは、電話照会はあるものと思います。
  242. 東中光雄

    ○東中委員 そうしますと、一日何十回どころでなくて、ひっきりなしにかかってくる、こういう状態で、現在時点のものを聞けば、それは見ているとおりですけれども、過去のことということになれば、もうすでに先ほど申し上げた原簿に基づいて、あるいは野帳に基づいて答える以外にはないわけですね。その野帳が三時間おき、あるいは原簿が三時間おきしかないということになると、結局二時のことを聞かれたら、十二時のことを言うか、三時のことを言うしかないという、こういうのが現状ではないのかという点を明らかにしてほしいと思います。
  243. 吉武素二

    ○吉武政府委員 いろいろな照会があるわけです、電話なんかで。それは天気相談所、それから東京で申しますと、東京管区気象台の中の観測担当のところ、それから予報部というようなところに、いろいろな人が電話をかけてくるわけです。それで、大体それを受け持っている人たちに集まってもらいまして、もしいままでの二十四回観測通報を八回観測通報にしたときに、どういうことになるかということは、十分相談しまして、そのために特に古い――古いというか、記録書を引っ張り出したりするようなわずらわしさと申しましょうか、そういうことが起きるとは考えなかったわけでございます。そういう意味では、別に御不便をかけることはないというはっきりした結論を出して、八回というふうに踏み切ったわけでございます。
  244. 東中光雄

    ○東中委員 二十四回観測通報の体制をとっているところと、それから八回観測通報の体制をとっているところと、さらに四回観測通報の体制をとっているところと、これは従来からそういう三種類があったと思うのですが、大阪、東京、御前崎というようなところを、なぜ八回に下げられたのか。残っているところはあるわけですね。どういうことなんでしょうか。
  245. 吉武素二

    ○吉武政府委員 実際に去年大阪、ことし東京、御前崎というようにきめたわけですけれども、これは気象庁の中にも、ずいぶん長い間昔からの懸案の問題でして、われわれは、どうしても二十四回観測通報をしなければいけないのか、実際には八回しか書いてないじゃないか、それだけ観測通報すればいいじゃないか、最大限それでいいじゃないかというようなことで、ずいぶん議論を重ねてきた問題でございます。それで特に、最近は航空というような問題がございます。何しろ飛行機が早くなったわけでございます。そういう意味で、やはり全面的に二十四回を、ほんとうは八回にして何とかしてやっていけないかということを、われわれは、かなり真剣になって議論したわけですけれども、多少はやはり航空という面も考えなければいけないのではないかというようなわけで、東京について申しますと、羽田というすぐそばに飛行場がございますが、どうして羽田から数キロ離れたところの東京でも二十四回やらなければいけないかということを真剣に考えました結果、東京は八回でいいのだというように、いろいろな資料の問い合わせがある、そういうようなことも勘案しながら踏み切ったわけでございます。
  246. 東中光雄

    ○東中委員 御前崎には飛行機があるわけではないし、東京の航空気象観測と、それから一般の気象観測とは、これは、もう実際上性質が違うのだし、それから先ほどの当初の答弁では、二十四時間観測しておって、通報が違うだけなのだと言われたけれども、いまのお話は、観測が二十四回から八回に減ってきたというふうに言われているようですが、それと自記観測器ではできない部分があるわけですから、そういう点は、自記観測器があるからということではどうにもならないと思うのですが、その点は、従来二十四時間観測はやっているのだ、通報回数だけが変わったのだということと、いま言われていることとは違うように思うのですが……。
  247. 吉武素二

    ○吉武政府委員 どうも私も「二十四回観測通報」と言えばいいものを、気象庁の中でも「二十四回観測」と短絡して「通報」をつけないことがあるものですから、いま誤解を生んだのではないかと思います。とにかく機械によっては、ずっと絶えず機械で観測できる気象要素については――それが、おもな気象要素でございますが、それはずっとやられているということです。そういう意味で、二十四回というよりはむしろ一日じゅう連続的に記録はとられているのだ、それを二十四回読みとって、その上に目視観測を加えて気象電報を打たれておるのが二十四回観測通報、それを八回やっているのが八回観測通報、こういう意味でございますから……。
  248. 東中光雄

    ○東中委員 御前崎には自記観測機械は入っていませんね。仙台には入っているけれども、二十四回観測をやっている。御前崎は入ってないのに二十四回から八回まで減らした、これはどういうわけです。
  249. 吉武素二

    ○吉武政府委員 御前崎に、記観測機械がないとおっしゃるけれども、私はちょっとわからないのですが、これは気象観測所にはどこもみなそういう機械は備わっている。ただ、便利、不便利のなにはございます。たとえば東京ですと観測室で全部すぐその指示が得られるようになっております。御前崎は、今年度それをつけるようになると思いますけれども、ただその機械が置いてある場所が自分の机のそばにないという違いはございますけれども、記録は同じようにとられているわけでございます。  もう一つお答えしなければいけません。仙台も現在は二十四回でございますが、これは近く八回にする予定でございます。
  250. 東中光雄

    ○東中委員 二十四回観測をやっている官署は現在どれくらいあるのか、その点を……。
  251. 吉武素二

    ○吉武政府委員 私、はっきりした数は覚えておりませんけれども、二十数カ所、二十四カ所。
  252. 東中光雄

    ○東中委員 そうしますと、昨年大阪、ことしは東京と御前崎、残っておるところもたくさんある。なぜ東京、大阪、それから御前崎もそうですが、非常に照会の多いところですね。私の持っております資料では、六十六日間に御前崎に問い合わせのあった電話回数をはかってみると、千二百三十四回、焼津の漁業協同組合、小川漁業協同組合、四日市、航行船等々、神戸、横浜あたりからも問い合わせが来ている。わずか二月余りの間に千二百件以上もの照会が来る、こういうところなんですね。そのときは原簿を見てすぐ回答をするということになっているので、その原簿が三時間おきじゃこれはほんとうに行政サービスできなくなるのじゃないか。一々自記のものを引っぱり出して古いのをやっていくというようなことはできないし、そういうことはやらなくていいというふうに、大阪などでは現場で指示されているようですね。とてもそういうことはできないからということなんで、国民に行政サービスといいますか、という観点から見たら、いままでつくっておった二十四毎時ごとの記録を残しておくということは非常に大切なのじゃなかろうか。それを削ることによって、一名か二名の人を削減しなければいけないというようなものではないのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  253. 吉武素二

    ○吉武政府委員 気象観測というのは測候所というような、御前崎の港内というような特殊なところでやっておるわけです。それはある程度御前崎付近の気象というものを代表しているようにわれわれは考えていますけれども、事実は必ずしも、たとえば船の方にとってみますと、みさきのところがどうだというほうがむしろ問題だと私は考えます。しかし、それは御前崎と、場合によれば、特に風のような場合でしたら風向も風速も、これはかなり違ったものが実際には吹いていると思うのです。そういうような意味で、気象観測というのはどうしても毎時記録を、先生のおっしゃるようななにをとっておかなければいけないかどうかということについては、私必ずしもそれは賛成ではございません。できれば気象観測というのは、それからその通報というようなものは三時間おき程度にやっていく、それで気象台の仕事というものをやっていくのが私は理想だというように考えているわけでございます。
  254. 東中光雄

    ○東中委員 この二十四時間観測をやっておったのを八時間にするというときに、業務打ち合わせ会で、予報官のいる予報課は、二十四時間観測をやるべきだ、これは必要なんだというふうな打ち合わせ会の結論が出た、それが予報部になった場合に、これはほかの予報官以外の人たちがたくさんいるわけですが、その段階で八回でもいいだろうというふうになったと聞いているのですが、要するに予報する専門家からいえば、雲の動く雲状、こういったものを天気図にもかきますけれども、天気図と天気図との間の動きというものは非常に重要な要素になってくるということを現にそういう担当の人たちが言っているわけでしょう。その点はそういう声を無視されているのかどうか、結局無視されていることになっているのですよ。どうでしょう。
  255. 吉武素二

    ○吉武政府委員 気象観測通報というものを今後東京については一年じゅう八回にするのであれば、先生の言うような御意見というものもある程度理解できるのですが、そうではございません。台風とか低気圧が来て気象の変化が激しいときには、これは毎時気象電報を打つということがなされているわけでございます。ですから、平穏なときには三時間おきにとにかく電報が打たれているが、そういうような気象の変化の激しいときになれば、これはやはり変化をなるべく追っかけていくほうがいいわけですから、一時間おきに電報は打たれてくるわけでございます。ですからそういう御心配は何もございません。
  256. 東中光雄

    ○東中委員 気象の変化があるときにはやはり一時間ずつ追っかけていくほうがいいのだ、こう言われている。気象の変化があるかどうかを見ていくのが観測なんで、台風なんかの場合はこれは典型的でよくわかりますけれども、八回になったから人を減らしているわけでしょう。変化があるときには一時間ずつやる、一時間ずつやるほうが好ましいということは、これは明らかにいま認められているわけです。わずか一人か二人の人員整理でしょう。もしそれをやるのだったら、二十四回観測をやっている官署があるわけですから、そこを置いておいてぼつぼつ一つ、ずつやっていくというのは非常にこそくなやり方ですね。要らぬのだったら要らぬところをちゃんとすればいいのだ。要らぬところ二十何カ所はそのまま置いておいて、東京や大阪、御前崎のような重要なところを気象の変化があるときには一時間ごとにするのだ。これは気象の変化があるかないかをはっきりしていくというのが観測でしょう。これは観測結果じゃないですか。
  257. 吉武素二

    ○吉武政府委員 私たちが気象観測と言っているのは、たとえば御前崎なら御前崎の測候所でいろいろな気象要素をはかって気象電報を打ってくれる、それだけが予報を出していく上の資料ではございません。それはほんのごく一部の資料でございます。御存じのように気象レーダーもございます。それからラジオゾンデというようなものもあげております。それから気象術掛からも資料が送られてまいります。ですから、刻々の動きというようなもの、それから変化があるというようなことは、測候所なら測候所の測候のデータから何も判定しなくても、われわれは大づかみにはつかんでいるし、これが大体どういう方向に変化するだろうということは、ある程度の予測を持ちながら仕事をしているわけでございます。ですから、非常に局部的な、御前崎測候所のほんの近くのところというようなことば、あるいは先生のおっしゃるとおりかと思いますけれども、私たちはあくまでも大体の気象の変化というものをつかんだ上で、しかも最近はレーダーというようなものがございますから、そういうものを利用しながら観測というものを続けているわけでございまして、測候所の観測で何かがわかるというようなものではございません。
  258. 東中光雄

    ○東中委員 いまレーダーといわれましたが、夜間観測要員はレーダーにはついていませんね。これは、先ほど申し上げたように、気象観測予報というような問題についていうならば、その専門家である予報官は、二十四時間が必要なんだ、こう言っているわけですから、だから長官が言われているのは、要らぬのだったらなぜ二十カ所残しておくのかという問題が起こるわけですよ。そこらの点は、二十四時間重要なところ、特に御前崎とか、東京とか、大阪とかということになれば、さらに仙台ということになれば、これは非常に重要な台風コースでもあるわけですね。そういう点について、もう全く要らなくなったから人を減らしていくというんじゃなくて、照会に対する答えという点からいっても、データを一時間ごとに持っているほうが三時間ごとしか答えられないというよりは、はるかにいいんだし、そういう点からいくと、特にどうしてもこれを削っていかなければならないという理由が、どうしてものみ込めないのです。どういう点でそうおっしゃるのか。
  259. 吉武素二

    ○吉武政府委員 私としては、やはり気象庁全体というものが絶えず頭の中にあるわけです。それでやはり強化しなければいけない面もある。測候所の観測というようなものは、昔から連綿と、日本にしても百年近く行なってきた観測ですけれども、現時点に立って見たときに、それがどれだけの意味があるか、現在の気象事業で、それはどの程度の重要性があるかということを考えつつ、私はやっているわけでして、そのために御前崎、東京、大阪の八回観測通報への移行というものは、やって差しつかえないという技術的な判断のもとでやってるわけでございます。  それから、先生が予報官は賛成だと、しかし予報部に行ったら、それはそうじゃなかったとおっしゃいますけれども、そうじゃございません。これはもういまの予報官は、そんな毎時間の観測はふだんのときにはなくたって、とにかく天気図というものは八回しかかいておりません。それによって、われわれは作業をやっておるわけでございますから、別にそういう御心配は要らないと思います。
  260. 東中光雄

    ○東中委員 予報官が二十四時間観測をやったほうがいい、やるべきだという結論を業務打ち合わせで出したという事実は、これは長官は認めておられるのですか、おられないのですか。
  261. 吉武素二

    ○吉武政府委員 予報官としたら、そういう意見もあったと思います。それは、ただ自分らが予報という立場から見て、それは資料はあるに越したことはないという考え方は非常に強うございますから。しかし私としたら、それはどの程度の重要性を持っているものか、あればあるほどいいというようなことでは、やはり全体のことはおさまりつきませんから。
  262. 東中光雄

    ○東中委員 予報官はあったほうがいいと言っている。しかし予報官でない長官はなくても差しつかえない、こう判断している。それと、それから要らぬのだったら、なぜ一つずつやるんですか、今度は二つですけれどもね。それが要らぬものなら要らぬで、ほんとうに堂々と整理すればいいわけですよ。ところが、実際二十何カ所二十四時間観測をやっているのでしょう。それは必要だからやっているのでしょう。必要でもないけれども、やっているのですか、その点を明らかにしてもらいましょう。
  263. 吉武素二

    ○吉武政府委員 次第に私は整理していこうと思っております、そういう面を。しかし、いま御存じのように、航空というような問題もございますし、もう航空観測は観測で特別なものですから、それはそれなりにやり方はあると思いますけれども、少なくももうちょっとそういう点は今後整理していきたいというように考えております。
  264. 東中光雄

    ○東中委員 航空も、地震もいろいろ問題はありますよ。しかしそれをいま言っているのじゃないのです。だから、不必要なんだったら、長官は不必要だというように考えてやっているのだったら、それで一貫しておれば、それなりにわれわれはわかるわけです。われわれは反対なら反対ということにしますけれども、ところが現に二十何カ所残している。そうして五%削減を言われているから、そこへ人を入れていくようなかっこうで、大阪で、そうして今度は東京で、御前崎で減らす。次は仙台だ。こういうやり方のようにこれは実際映っていますよ。  それからもう一つは、予報官がそういうものは削ってもらっては困る。現に二十四時間必要性があるということをある程度認めておられるから、現に残っているわけですから、予報官もそれを主張しているのだから、そうして今度は天気予報については、国民のほうでは非常に強い期待と――当たらぬ測候所というようなことをよく言われますけれども、それじゃぐあい悪いわけでしょう。より一そうそれについては努力しなければいかぬでしょう。予報官がそれを要求しているのだったら、大阪、東京、御前崎、一人か二人ずつ減らして、そうして観測地のデータとして残るものを三分の一に減らしちゃう。こういうことは行政の内容からいって、サービス行政という点からいって、どうも納得できないように思うのですが、ひとつ運輸大臣のほうから見られて、新聞もこういうふうに「観測三分の一に」と、ずいぶん大きく書いていますよ。実際そういう問題になっているわけですので――筋が通らないのだよ。要らぬのだったら要らぬで削ればいいものを、そうじゃなくて、要るようであって、要らぬようだ。専門家は要るのだと言っているのだ。長官は差しつかえないと、こう言っている。要らぬのじゃなくて、差しつかえないのだと、こうおっしゃっている、どうも解せぬのです。
  265. 吉武素二

    ○吉武政府委員 気象台の仕事というものは、これは要る、これは要らぬと、はっきり割り切れるようなものではないのですよ、はっきり先生に申し上げますと。それじゃこれはやっぱりあるほうがベターだ。しかしそれをやったから精度がよくなるということにもならないのです、はっきり申し上げると。だから、東京、大阪、御前崎の八回をまた二十四回に返してみて、それで天気予報がよくなるのなら、私は返しますよ。そんなことはないのですから、先生。ですから、その辺はわかっていただけないでしょうか。
  266. 東中光雄

    ○東中委員 それはあなた、そんなことを言っておったら、たいへんですよ。予報をよくしていくために大いに努力するということでなければいかぬのに、戻したってよくなるという保証はないのだ、なくしたって悪くなるということも確定的ではないのだ、だからこことここははずしてもいいだろう、現にまだ二十ほど残っているのだという、こんな筋の通らぬ話はありますか。
  267. 吉武素二

    ○吉武政府委員 もう一ぺん答えさせていただきます。  そういう、たとえば二十四回観測通報とか、八回観測通報とか、そういうことでいまわれわれは予報精度というものを上げていくということは考えていないわけです、はっきり申し上げて。だからそういうことは、あればあるに越したことはないだろうけれども、やはりわれわれも与えられた予算と人員でやっていかなければならぬとすれば、あればあるに越したことはないというものはある程度整理するということをやらなければ、先生がおっしゃる、ほんとうの意味の将来へつながっていく予報精度を上げていくという方向へ向けないわけです。おわかりいただけませんでしょうか。
  268. 東中光雄

    ○東中委員 いまの長官の話だと、あればあるほどいいということであるけれども、予算と人員が削られてくるので、だからここで削らなければしょうがないんだ、こういう言い方をされたわけですが、それはおかしいじゃないですか。現場の責任者である予報官が、あったほうがいいと言って、そうして的確な予報をする努力をするためにそう言っているのに、人員が削られ、予算が削られるから、ここの部分は残るものは残しておくけれども、二十カ所残していってここだけ削ってしまう、一つ一つぽろぽろ削っていく、長官はいまそう言われているのです。そんな行政のしかたがありますか。事は国民に直接関係するサービス行政、通報、照会に対する回答の問題もそうだし、予報の問題もそうなんですよ。そんな確信のないことをやられていたらどうなるのですか。
  269. 吉武素二

    ○吉武政府委員 そういう面で御迷惑はかけないようにやっていきますということを、再三私は申し上げたつもりです。  それから、私は何か予報官とは全然逆な方向でやっておるという先生の御印象ですから、きょうここへ予報部長を引っ張ってきましたから、これはベテラン中のベテランですから、その意見をひとつ聞いてやってください。
  270. 高橋浩一郎

    ○高橋説明員 ただいままで長い間予報をやっておりますが、その点でお答えいたします。  確かに二十四時間観測は、あればよろしいのでありますけれども、しかし現実問題として普通の場合でありますと、先ほど長官言われました八回天気図をかいておるだけで十分です。ただ非常に特殊の場合、不連続線が近づいているというような場合には必要でございます。それから二十四時間観測については、若干問題があると思います。もちろん前線が迫ってまいりまして台風が来るときには問題はありますから、そういう場合には何カ所かあればよろしいのでございまして、二十何カ所全部が必要とは思いません。現在の半数あれば大体つかまるのではないかと思います。ただその数字につきましては若干まだ問題があると思います。したがって、予報官にもいろいろ意見がありまして、全部必要だという人もおりますし、それから必要でないという、いろんな意見がございます。あればあるに越したことはないのでございますけれども、かえって材料がありますと、全部見切れるわけじゃありませんので、何と申しますか、雑音と同じようなことになりまして間違うもとになることもございます。それが現状でございます。  もう一つは、予報という立場からまいりますと、国内に幾らあってもよいというわけではないのでございまして、むしろ海上とかあるいは大陸とか、そういうデータがあることが必要でありまして、予報がうまくいかないという点は、むしろそういった面のほうが多いのでありまして、二十四時間観測が全部あるからといって、予報がよくなるということは必ずしも申せません。それが現状でございます。
  271. 天野公義

    天野委員長 そろそろ、時間もだいぶ超過しておりますので……。
  272. 東中光雄

    ○東中委員 ただ私申し上げたいのは、予報というのは、日本の狭い国土の中だけでできるものじゃない、そんなことはわかり切っている思うのですね。広範なデータも要るだろう。しかしいままで二十四時間やってきたのでしょう。そしていま予報部長は、予報官の業務打ち合わせ会で、結論的には二十四時間、大阪も東京も御前崎もやったほうがいいという結論になったということで、先ほどから申し上げていることを否定されているわけじゃないのであって、現場の人たちのことからいえばそういうことだし、それから二十四時間観測は八時間観測よりもあればあるほうがいいんだということを、これは一貫して認めておられるとおりなんで、それだけあれば何でもできるというようなことを私も言っているわけではないのであって、ただあればあるほうがいい、そうして現場で反対していること、それを予算、人員削減ということで持ってくるのは、この直接国民に関係することであるだけに、しかも人員整理といっても一人か二人のことなんです、それが結局三分の一になってしまうというふうな問題であるから、ひとつ運輸大臣のほうで御見解を聞かしていただいて、私も、時間もありませんし終わりたいと思うのですが、現場の予報を的確にやっていくためにできるだけの努力をするという観点から見たら、あればあるほうがよろしいということ、それから通報、照会に対する回答をやろうというときには、記録に残っておるもので回答するということになると、三時間単位になってしまって、一時間前のことを、たとえば消防署が火災時の状態を聞いてきたときには、一時間前のがなくて、三時間前か、あるいは二時間前か、二時間あとか、そういうようなデータになってしまうのです。しかもその問い合わせというものは非常に多いわけです。官公署もありますし、民間もある。こういう問題について一人ずつ削減をしていってやっていくというのはサトビス行政としてどうも問題があるように思いますので、全体を見て再検討してもらえるかどうか、その点運輸大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  273. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 どうも先ほどから問答を聞いていると、天体問答の宇宙的な問題でありまして、どうも私も十分にどう決断すべきかという点では問題があると思いますが、ただこういうことはいえると思います。いわゆる近代化が進んでいる、特に気象通報のごときは。そうなると、私は、さっきから答弁の点で少し疑問を持たせるのは、二十四回観測を八回にしても気象の変化の少ない地帯では何らそれがマイナスにもならないんだ、こうはっきり言ったらいいんだと思います。必要ないんだ、ただし、気象の変化の多いところ、気象といっても要するに雲の状態でしょうが、そういうところではなおかつ二十四回の観測は必要であろう、しかしながら平生気象の変化の少ないところでは必要ないんだ、こう言い切れば問題ないのですね。ただ置けば幾らかプラスになるだろう、プラスになるかもしれない、ただそのプラスが〇・〇〇一なのか、あるいは一のプラスなのか、そこに問題がある。だからやはり学者として気象庁長官を信頼しておりますから、国民には全く迷惑をかけないという自信を持ってやられておるだろう。ただしそれには、先ほども言ったように、われわれもその点は今後の機械化といいますか、広大な地域の気象の観測というものは、それは重要ですから、そういう機械化については予算上われわれは考えなければならぬ。また予報部長が言ったようにあまり必要ならざる雑音的なものが入ってくればまためんどうだろうと思うのです。もっと機械化の点からいえば、私は中央気象台なら中央気象台に自記されたものが刻々と集約されて、そうしてほんとうに整理できるようなデータ通信システムが生まれればいいと思うのですが、これは一つは金の問題もありますけれども、おそらく近い将来においては全国至るところにあるところの観測所から――そういう雲の厚さ等はできないでしょう、これは将来ははかれるでしょうが、そういうものが一カ所に集中されてそこで整理される、それには相当の人員が要るでしょうが、そういう体制が将来生まれるべきでありましょうが、いろいろ皆さんの御意見を聞いておりまして、今後とも長官の十分なる意見も聞いて処理をしていきたいと思いまするが、要するに、利用なさる大衆の方々には御迷惑をかけないと学者が言っているのですから、これを信用する以外にはないとわれわれは考えております。
  274. 天野公義

    天野委員長 次回は明二十三日午前十時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後五時五十一分散会