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1970-05-06 第63回国会 衆議院 逓信委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年五月六日(水曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 内海 英男君 理事 加藤常太郎君    理事 古川 丈吉君 理事 水野  清君    理事 武部  文君 理事 中野  明君    理事 栗山 礼行君       羽田  孜君    長谷川四郎君       林  義郎君    三池  信君       森  喜朗君    森山 欽司君       阿部未喜男君    鈴切 康雄君       土橋 一吉君    中村 拓道君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 井出一太郎君  出席政府委員         郵政政務次官  小渕 恵三君         郵政大臣官房長 野田誠二郎君         郵政大臣官房電         気通信監理官  柏木 輝彦君         郵政大臣官房電         気通信監理官  牧野 康夫君         郵政省郵務局長 竹下 一記君         郵政省貯金局長 山下  博君         郵政省電波監理         局長      藤木  栄君         郵政省経理局長 溝呂木 繁君  委員外出席者         郵政大臣官房首         席監察官    中根 敬一君         郵政大臣官房建         築部長     山中  侠君         郵政省電波監理         局放送部長   太原 幹夫君         郵政省人事局審         議官      神山 文男君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社総務理事   黒川 広二君         日本電信電話公         社総務理事   井田 勝造君         日本電信電話公         社総務理事   庄司 茂樹君         日本電信電話公         社理事施設局         長)      北原 安定君         日本電信電話公         社理事経理局         長)      中山 公平君         日本電信電話公         社営業局長   武田 輝雄君         日本電信電話公         社計画局長   浦川 親直君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締役         社長)     靱   勉君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締役         副社長)    八藤 東禧君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     板野  學君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取 竹内彦太郎君         締役)         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取 甘利 省吾君         締役)         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取 黒田 義晴君         締役)         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取 増田 元一君         締役)         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締         役)      増森  孝君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締         役)      有竹 秀一君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十八日  辞任         補欠選任   森  喜朗君     池田 清志君 同日  辞任         補欠選任   池田 清志君     森  喜朗君 同月二十四日  辞任         補欠選任   森  喜朗君     向山 一人君   安宅 常彦君     原   茂君 同日  辞任         補欠選任   向山 一人君     森  喜朗君   原   茂君     安宅 常彦君 五月六日  理事古川喜一君同日理事辞任につき、その補欠  として武部文君が理事に当選した。     ――――――――――――― 四月二十日  簡易郵便局法の一部改正に関する請願細田吉  藏君紹介)(第三五一一号)  同外十件(白浜仁吉紹介)(第三五一二号)  同外四件(大橋武夫紹介)(第三六〇七号)  同(橋本登美三郎紹介)(第三六〇八号)  同(山手滿男紹介)(第三六〇九号)  同(永山忠則紹介)(第三六九二号) 同月二十二日  簡易郵便局法の一部改正に関する請願金子一  平君紹介)(第三七七八号)  同外六件(中川一郎紹介)(第三八七六号)  同外一件(永山忠則紹介)(第三八七七号) 同月二十七日  簡易郵便局法の一部改正に関する請願外三件  (櫻内義雄紹介)(第三九八六号)  同外四件(池田正之輔君紹介)(第四一一三号)  同外二件(山口敏夫紹介)(第四一一四号) 同月二十八日  簡易郵便局法の一部改正に関する請願外二件  (大石八治君紹介)(第四二八七号) 五月一日  簡易郵便局法の一部改正に関する請願坂村吉  正君紹介)(第四七五〇号)  同外五件(中川一郎紹介)(第四七五一号)  同(木村武雄紹介)(第四九三九号)  同(倉石忠雄紹介)(第四九四〇号)  同(仮谷忠男紹介)(第五一七九号)  同外四件(椎名悦三郎紹介)(第五一八〇号)  同(鈴木善幸紹介)(第五一八一号)  同(瀬戸山三男紹介)(第五一八二号)  同外六十六件(徳安實藏紹介)(第五一八三号)  同外七件(中川一郎紹介)(第五一八四号)  同外八件(灘尾弘吉紹介)(第五一八五号) 同月二日  簡易郵便局法の一部改正に関する請願大橋武  夫君紹介)(第五四二三号)  同(奥野誠亮紹介)(第五四二四号)  同(鹿野彦吉君紹介)(第五五八七号)  同(山口敏夫紹介)(第五五八八号)  同(伊東正義紹介)(第五八〇七号) 同月四日  群馬赤岩局電話自動化に関する請願中島  源太郎紹介)(第六一七〇号)  群馬県千代田村赤岩速達区域指定に関する請  願(中島源太郎紹介)(第六一七一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十日  簡易郵便局受託範囲拡大等に関する陳情書  (第一七二号)  同外五件  (第一九〇号) 五月四日  和歌山県域テレビ放送局の設置に関する陳情書  (第三一三号)  簡易郵便局受託範囲拡大等に関する陳情書  (第三一四号)  同  (第三五七号)  郵便事業適正化に関する陳情書  (第三一五号)  電話加入権質適正実施に関する陳情書  (第三三五号)  郵便ポスト前等の既設ガードレール処理に関す  る陳情書  (第三三六号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  参考人出頭要求に関する件  逓信行政に関する件      ――――◇―――――
  2. 金子岩三

    金子委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任の件についておはかりいたします。  古川喜一君から理事辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、辞任を許可するに決しました。  次に、理事補欠選任の件についておはかりいたします。  古川喜一君が理事辞任いたしました結果、理事が一名欠員となりましたので、これよりその補欠選任を行ないたいと存じますが、先例により委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。それでは、武部文君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  5. 金子岩三

    金子委員長 逓信行政に関する件について調査を行ないます。     —————————————
  6. 金子岩三

    金子委員長 この際、おはかりいたします。  本件調査のため、本日、国際電信電話株式会社から参考人出席を求め、意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、参考人の人選、手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。     —————————————
  9. 金子岩三

    金子委員長 質疑の申し出がありますので、次これを許します。羽田孜君。
  10. 羽田孜

    羽田委員 私、このたびの総選挙で出てまいりまして、当委員会に所属さしていただいた羽田孜でございます。まだ郵政事業の全容につきましてなかなかつかんでおりませんで、あるいは愚問になるかもしれませんけれども、特に、先ごろ新聞等発表されました「郵便事業の当面の課題」という問題につきまして、大臣構想というものを御発表なさったわけでございますけれども、この問題を中心にして、幾つかお聞きしてみたいと思うわけでございます。  まず、今回御発表になりました「郵便事業の当面の課題」と題して郵便事業の改善の方向を打ち出されましたが、このねらいというもののおもなものにつきましてお尋ねしたいと思うわけでございます。
  11. 井出一太郎

    井出国務大臣 羽田さんにお答えをいたしますが、私からほんの総括的に申し上げまして、こまかな具体的な問題は、郵務局長中心お答えを申し上げます。  御案内のように、郵便仕事がなかなか困難な事情のもとにあるわけであります。諸般の悪条件が重なりまして、しかも合理化機械化と申しましても一定の限界がありまして、大部分は人手にたよらなければならない本来的な性格を持った事業であろうかと思うのであります。  したがいまして、当面問題の所在を探るという意味から、省内に郵便事業に対する基本問題協議会、こういうものを設けまして、事務次官が中心になりましてずっと取りまとめてきたのでございますが、そのおよその煮詰まったところを先般整理をいたしまして、そして当面の課題というものにまとめたわけでございます。これにはいろいろな現状分析を含んでおるのでありますが、多分引き続いて御質問がございましょうから、それについてお答えを続ける、かようなことにいたしたいと存じます。
  12. 羽田孜

    羽田委員 ただいま概要の御説明をいただいたわけでございますけれども、次に、郵便事業の運営の具体策についてお尋ねしたいと思います。  その前に、一つだけ大臣にお尋ねしたいと思いますけれども、それは、ただいま御説明いただきましたいわゆる当面の課題といいますか、またこの時代にふさわしい最も効率的な郵便システムの形成につとめていきたいということを、新聞の中にも述べておられるわけでございますけれども、さらに、今後進展していく情報化社会にあって、国民が真に期待するサービスとは一体どんなことか、また国民経済郵便の果たすべき役割りは何か、この点から現行郵便制度等といわれておるわけでございますが、現時点で大臣は、国民が真に期待するサービスとは一体どういうものであるか、また国民経済郵便の果たすべき役割りというものは一体どんなようにお考えになっておるか、この点についてちょっとお聞きしたいと思います。
  13. 井出一太郎

    井出国務大臣 近年、通信手段というものが多様的に開発をされてまいりましたから、郵便というものの本来的な性質に基づく、Aという人からBという人へ信書なら信書送達するというような面は、ほかの手段でもこれを採用できるメソッドが生まれておるわけでございますから、それ自体は、その分野は、あるいは縮小してきたかもしれませんし、郵便内容自体にしましても、個人から個人へというものよりも、企業から企業へ、企業から個人へといったようなものがずっと大きな割合でふえてまいっておる、こういう変化の時代にただいま当面しておるわけでございます。  しかし、郵政百年の歴史といわれますように、長い間国民に親しまれてまいりましたこの仕事重要性というものは、決して従来よりも減殺されるというふうなものでは断じてないと私は思います。やはり親書なら親書をいかに適確安全性を持って、そしてまた迅速にこれをお届けをする、こういうことが従来郵便のモットーとされておったようでございますが、これをいま役所の仕事としてやっておるこの特殊な形態ではございますけれども、ずっと国民には親しまれてまいりましたし、さらにそれに徹するといいましょうか、サービスに徹するという心がまえでこれをとり行なっていかなければならぬもののように考えるわけであります。
  14. 羽田孜

    羽田委員 それでは、これより、先日発表なされました各項目にわたりまして、それぞれお尋ねしてみたいと思います。  送達速度安定化のための方策についてですが、現在郵便配達市内区、市外区によって区別されているのを、ビジネス地区また住宅地区区別に改めるのが、総体的に見まして、一般サービスダウンというような印象を受けるわけでございますけれども、この点についてはいかがでございましょうか。
  15. 竹下一記

    竹下政府委員 お答え申し上げます。  配達回数の問題でございますが、今日までとってまいりました方針は、いわゆる市内地は二回配達市外地は一回配達、これが配達基本方針でございます。そういうことでやってきたわけでございますけれども、最近における郵便物の異常な増大、それから東京等において見ます急激な都市化現象労働力逼迫、それから居住者の移動が非常に激しいということ、交通難、こういったいろいろな事情が重なりまして、二回配達をお約束しておるのでありますけれども、実際はなかなかそれは実施ができかねる、非常に無理をしておるというのが実情でございます。いわゆる慢性的な遅配ではないかという批判を受けておるわけでございます。  そういう体験の中からいろいろ考えますると、市街地の二回配達ということは、これはそうありたいわけでございますけれども実施がなかなかむずかしい。それを解決する方法といたしましては、いろいろな壁がございましてむずかしいわけでございます。また、この二回配達というものをしいて強行しようといたしますると、配達業務全体に非常な無理を来たしまして、全体の運行がゆがめられてくる、そういう苦しい面もございますので、ものの考え方といたしまして、この際配達は、住宅地域におきましては一回配達に切りかえることを考えてもいいのではなかろうか。そういうように決定したわけではございませんで、今後その方向でいろいろ掘り下げて検討してまいりたいと思っておりますが、市街地は一回配達ということにして、そのかわり、これは必ず毎日一回の配達を励行する、そういう方向で検討したらばどうかというのが今日の私ども考えておるところでございます。そのかわり、ビジネスセンターといったようなところにおきましては、そういう地区に対しましては、一回ということでなくして、状況によりましては二回、三回の配達考える、こういう扱いも並行的に考えていいではないか、こういうことでございます。
  16. 羽田孜

    羽田委員 それでは次に移りたいと思います。「通信内容緊急性に応じて、料金格差のある緊急を要する郵便とそうでない郵便の二種類を設け利用者の需要に見合うサービスを創設すること」を御検討されるというきわめて注目すべき考え方が打ち出されておるわけでございますけれども、これはどういう御判断からの発想でありますか。また、この制度を採用している英国とかフランス等実情について、お尋ねしてみたいと思います。
  17. 竹下一記

    竹下政府委員 引き受けました郵便物を、甲乙の区別なく迅速に処理をしてあて所へお届けをするというのが私どものつとめでございまして、そうしなければならないわけでございますけれども、先ほど申しましたように、郵便物数が非常に激増してまいってきておりますのと、労働力逼迫でありますとかいろいろな事情が重なりまして、なかなかそれがむずかしくなってきておるわけでございます。一日に二千五百万通の引き受けをするように今日はなってきておりますので、この引き受けました二千五百万通を同じような取り扱いをしていくということにつきましては、なかなかむずかしいわけでございますので、ここはひとつ利用者方々の御選択によりまして、急ぐ郵便とあまり急がない郵便と分けていただく。そのためには料金の差をつけなければいけないかと思いますが、そうやって分けていただいて、急ぎの郵便につきましては優先して処理をする、急がないものにつきましてはこれに応じた措置をいたしまして、全体として郵便送達安定化をはかる、こういうことは、非常に苦しい事態の中から考え出されたやり方でございます。これは、イギリス、フランスにおきましてすでに実施に移しておりますので、私どもはその実情をも参考として——これも、そういうことにきめたというわけではございません。その方向でこの問題について今後さらに掘り下げてみよう、こういうことを目下考えておるわけでございます。
  18. 羽田孜

    羽田委員 新聞報道等によりますと、この二つに分ける方法のことを、いわゆる準速達というような名前をつけまして、いわゆる実質的な料金値上げというようなふうに一般の人には受け坂られるような書かれ方をしておるわけでございます。また、そのように受け取った方々の、たとえば、準速達に対して怒りを覚えるというような投書がございましたり、また、いまちょうど物価問題でいろいろと問題になっておる時点で、ある新聞のコラムなんかでは、今度こそほんとうにおこるというような表現をしているのも、新聞等であちこち見受けるわけでございますけれども、これについて実質的な料金値上げになるんじゃなかろうかという問題、この点についてどのようにお考えになるか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  19. 竹下一記

    竹下政府委員 このたび新聞に出ました「郵便事業の当面の課題」にうたわれましたいろいろな項目でございますが、その項目が、どうしてそういうふうに選ばれてきたかということにつきましては、先ほど大臣の答弁のとおりでございまして、いま非常に困難な局面に遭遇しております郵便事業というものを、どうして打開して正常な姿に引き戻すかという立場から、いろいろなことを問題点として掲げまして、その方向で今後検討していきたいという方針を述べたわけでございます。したがいまして、料金値上げということにつきましては全然触れてなかったわけです。その点、新聞発表がそれに相違いたしまして値上げ値上げというようないい方になりましたので驚いたわけでございますけれども、省といたしましては、事業の財政的な事情につきましては、全然考慮しないというわけではございませんけれども料金値上げということにつきましては何ら申し上げなかったわけです。  先ほど問題になりました早い郵便、おそい郵便、これをかりに採用するといたしますると、両者の間に料金格差を設けなければならない。これは制度のたてまえからして当然のことだと思いますが、そういう表現がございましたので料金に差がつく、すなわち早い郵便値上げである、こういうふうに受け取られた面もあったかと思いますけれども、私どもの真意は料金問題ではございませんで、業務を正常化するための方策ということに主眼を置きましていろいろと説明をしたわけでございます。
  20. 羽田孜

    羽田委員 いま御説明をお聞きして、おおよそのあれがわかったわけでございますけれども新聞のほうはそのような受け取り方をしているために、一般国民方たちはまた値上げか、という感じを非常に強く受けておるもので、この点についてもどうか慎重に扱っていただきたいということを、この際御要望申し上げたいと思うわけでございます。  次に、第二点といたしまして、外務員制度というものを取り入れようといいますか、これは朝日新聞でございますが、「外務員制度の改革」という見出しになって出ておるわけでございますけれども、現在、外務員雇用実情は一体どうなっているかということ、また、外務員離職率というものがどのようになっているか、また、離職の場合のおもな理由ですとか、年齢なんかの構成までわかればでけっこうですけれども、おわかりであれば、お聞かせいただきたいと思います。
  21. 竹下一記

    竹下政府委員 外務員につきましては、地方におきましてはたいへん希望者もありますし、外務員になりましても比較的安定をしておるわけでございますけれども東京大阪等大都市及びその周辺地区におきましては、残念ながら採用が思うにまかせないという一面がございますし、せっかく採用いたしました者が固定いたしませんで、離職をしていくという傾向があるわけでございます。  今日現在の外務員欠員状況でございますが、全国で三百六十九名ということになっておりますが、その大部分は、さっき申しました大都市及びその周辺欠員でございます。  離職率ですが、これは世間の会社、企業、商店、こういった職場の離職率と比べまして、郵便局外務員の場合、特に悪いというふうには思っておりませんで、労働省等で調べました統計そのものと比較いたしますると、それよりも幾らかいいわけでありますけれども、それにいたしましても三年間のうちに二〇%の人が離職をする、五年間で二五%が職を離れる、こういう実態になっております。  そういうことがございますので、外務員制度をいまよりももっと改革いたしまして、処遇をよくするとか将来に希望を与えるとか、そういったあの手この手を考えてまいろうというわけでございます。
  22. 羽田孜

    羽田委員 ちょっと処遇の問題についてお尋ねしたいわけでございますけれども、この新聞の中でも、だんだん上に上がっていくといいますか、そういった制度も取り入れたいということがございますけれども、現在、外務員から課長さんやまた郵便局長さん等への登用状況といったようなものについて、おわかりでしたらお尋ねしたいと思います。
  23. 竹下一記

    竹下政府委員 おおよそのことを申し上げます。  全国郵便局課長、副課長総数の中で、外務員出身の人の率は一四%、それから局長、次長の総数の中で、外務員出身の人は六・五%、特定郵便局長の場合は五%という数字が出ておりまして、これは、ごらんになりますように高い率ではございません。
  24. 羽田孜

    羽田委員 なおこの新聞で、勤務能率に応じた給与を支給したいといわれておるわけでございますが、勤務能率は一体何によって決定されるのか、具体的に御説明いただきたいと思います。
  25. 竹下一記

    竹下政府委員 外務員勤務能率をどう判定するかという問題ですが、外務員の個々の作業ぶりの客観的事実を把握する、こういうわけでございまして、この外務作業に必要なる知識、能力といたしましては、たとえば通区能力というものがございます。配達区の幾つをこの人は覚えておるか、幾つの区について道順の組み立て作業ができ、また実際に配達することができるか、こういうことでございますが、これは、その人の経験あるいは勉強の程度によりまして個人差があるわけでございます。  それから、もう一つ重要なポイントは、出勤状況ということがございます。精勤をしておるかあるいは休みが多いか、病気休暇が多いか、こういったこともその人の能力の判定の基準になるわけでございます。
  26. 羽田孜

    羽田委員 第三点といたしまして、「雇用難対策」ということがあるわけでございますけれども、女子職員や中高年齢層の採用というものは、私どもこれは大いに取り入れるべきじゃないか、かように考えております。昨年から大都市周辺の団地で行なっております、いわゆる団地ママさん配達というものの実情といったものについてお尋ねしたいと思います。  それから、これらのパートタイマーの主婦の身分の安定化及び処遇の改善については、一体どのようなふうにお考えになっているのか。これで見ますと、いわゆる本務者というふうに新聞等には発表されております。  それから、雇用対策とも関連する作業環境の改善について、一体具体的にどのようにお考えになっていられるか、以上三点についてお尋ねしたいと思うわけでございます。
  27. 竹下一記

    竹下政府委員 都市における労働力雇用難ということからいたしまして、最近では女子職員をアルバイトとして採用いたしまして、先ほど申しましたような団地配達をやるということをやっておりまして、目下のところ東京、大阪におきまして十八カ所、その人数はまだ少のうございまして、八十名ばかりというのできわめて小規模でございますけれども、この女子労働力の活用ということにつきまして、今後これを拡大してまいりたいという方針を述べたわけでございます。  いまやっております団地配達、ママさん配達はきわめて好成績でございまして、信書の秘密を犯す心配も全然ございませんし、そういったトラブルも起きておりませんし、たいへん好評裏に日常の仕事をやっておるということでございまして、今後ともこのママさん方の身分につきましては、いろいろと措置を講じまして、安心してこの仕事ができる、そういう体制をつくっていきたいと思います。  その一方法といたしましては、短時間雇用の本務者という制度が開かれるかどうか、これはいまの公務員法あるいは人事院規則にはそういうことを予定しておりませんので、新しいケースとして、もしやるとすればそういう道を開かなければならないわけでございますが、そういうことによって身分の安定がはかられ、労働力として安定ができますればたいへんけっこうであろうかと思います。  また、ママさん配達の実態等見ておりますと、この人たちは必ずしも本務者になるということを希望してない人もいるわけです。家庭を持っており、副業としてやるわけでございますから、いまの制度のほうがよろしい、あとは賃金を上げてもらうとか、そういった要望もございましょうけれども、いまの姿でやってもらったほうがいいという要望もあるわけですから、これは一律には申せませんけれども、要するに、そういう方々に腰を落ちつけてもらって安心して仕事をやってもらうという体制を今後くふうしてまいりたい、かように存じます。  それから、作業環境の改善でございますけれども、これは何と申しましても働く職員の作業環境を明るく清潔にし、十分な作業スペースを確保してあげる、これが第一の要件かと思います。また、できるだけ機械を入れまして、たとえば郵袋を手で運ぶかわりにコンベヤーでもってやるとか、歩くかわりに機動車を入れるとか、そういうことで、疲れやすい労働ということでなくして、疲れやすい労働を、極力その疲れを軽減してあげるということも大事なことかと思います。また、郵便局舎内にいろいろな厚生福祉的な施設をできるだけ盛り込んでやる、こういうことも大事なことかと思います。また、りっぱな被服を支給するということもあろうかと思います。その点につきましては、たとえば局舎の整備でございますけれども、昭和三十年以来第三次にわたって長期計画をもちまして、総額一千百億円ばかりの予算を投じまして局舎の改善を今日までやってきて、かなりの成果をあげたと思っておりますが、この局舎問題等々につきましては、決してこれで十分でございません。特に大都市におきましては、作業量の増大に必ずしも局舎スペースがフォローされていないという問題等々、作業環境、特に局舎問題については、今後なおなさなければならないものが相当残されておりますので、今後その方向で努力してまいりたいと思います。
  28. 羽田孜

    羽田委員 大体いまの御説明で、郵政当局といたしましても、この慢性的な遅配とか、そういった問題について対処されている御努力、私もよく承知したわけでございますけれども、非常な人手不足というおりから、特に待遇改善ですとか、また皆さん方がほんとうに働きたくなるような職場づくりというような問題につきまして、今後とも一そう御研究いただきますよう、この際お願い申し上げたいと思います。  第四点といたしまして、「私書箱利用の促進」についてというのが新聞にございます。そこでお聞きいたしたいのは、現在行なわれております私書箱制度というものの設けられたその理由、いわゆる利用者郵便等について、それから、今度の場合は無料というようなことが出ておるわけでございますけれども、現在の場合の私書箱の利用の料金、そういったものについても、この際お伺いしたいと思うわけでございます。
  29. 竹下一記

    竹下政府委員 私書箱の制度は、郵便事業が開始されまして間もなく開かれました制度でございます。そのねらいは、郵便局から配達されるのを待つよりも、むしろ郵便局へ出かけていきまして、そこで郵便を受け取ったほうが好都合であるという個人あるいは団体、そういう人もかなりおりますので、そういう人たちの利便をはかるために設けた施設でございまして、今日、日本におきましては、そういう意味の私書箱がおおよそ六万個あるわけでございます。ただし、その中のおおよそ半分は利用されておる、あとの半分は眠っておるということでございまして、私どもといたしましては、これがフルに活用されることが望ましいことでございますし、その方向で、むしろいまあります六万個を上回って増設する方向で、国民の皆さんに勧奨してまいりたい、かように存ずるわけでございます。  私書箱制度は、初めは利用者の皆さんに郵便局の施設を利用させるという、いわば恩恵的な制度であったわけですが、最近におきましては、これは世界各国そうでありますけれども、私書箱を利用していただきますと配達しないで済むわけでございまして、労働力不足のおりから郵便局はむしろ助かる、こういう性格を持っておりますので、利用者の理解と協力を求めるという方向でこの私書箱を考える、こういうふうにだんだんものの考え方が変わってきておるわけでございます。  私書箱の利用料金でございますが、東京、大阪の中央郵便局におきましては年額三千六百円でございます。それから、これも大まかな申し上げ方でございますが、かなりの規模の大きさの局でございますが二千四百円、それから小局におきまして千二百円、これは年額でございますが、その三通りに分けてあります。この料金につきましては、私どもが目下検討事項としておりますことは、この料金を無料といたしまして、そうして私書箱の利用を今後やっていただく上にやりやすくする、そういう道を開こうということでございます。
  30. 羽田孜

    羽田委員 私書箱の制度についてはおおよそわかったわけでございますが、一般に私書箱の利用というものについて、一般方たちがまだ理解していないような点もあると思うわけでございまして、そういった点についてもPRといいますか、そういった問題についても大いにやっていただきたい。人手不足のおりから、この活用というものは、スムーズにするために大きくプラスになると思うので、ぜひお願いしたいと思います。  次に、「第三種郵便物の再検討」ということがございます。まず、現在の低料扱いの料金はあまりにも低過ぎるのではないかという声も、ちょっと私、聞いたわけでございますけれども、外国なんか一体どんなふうにこの第三種郵便的なものを扱っておられるのか、いわゆる郵政当局の率直な感想とかまた意見を聞かせていただきたいと思うわけでございます。
  31. 竹下一記

    竹下政府委員 この第三種郵便物制度を設けましたゆえんのものは、これは申し上げるまでもございませんけれども、産業、文化、経済、そういった性格の出版物、特に新聞、このものの郵送料を割り引きいたしますことによって、この一国の文化の向上、そういうものに役立てる、こういうねらいがあるわけでございまして、その方向で今日やってまいっておるわけでございますけれども、物数がとてもふえまして、最近では年間十二億通という物数でございまして、全部の引き受け物数の大体一四%に達してきておるわけでございます。それも料金的に見ますると、これを割り引きするということは、制度の趣旨からいたしまして当然でございますけれども、この十二億通の中の大体九億通ばかりのものは、いわゆる低料三種と申しまして、日刊新聞紙を主とするものでございますが、一部三円というきわめて低額でございまして、これが事業財政に非常に大きな影響を持っておるというふうに私どもは今日考えるに至ったわけでございます。  これは日本だけでございませんで、外国におきましてもみな三種郵便制度がございまして、たとえば、その料金制度につきましては各国まちまちでございまして、一律には申し上げられません。比較的コストに見合う料金を取っておるところもございますし、相当低廉な料金をとっておるところもございます。日本は非常に安い料金でやっておる国の一つかと思います。  そういうことを考えますと、三種郵便制度というものの一つの時代的な移り変わりというようなことも考えるわけでございまして、明治初年におきましては、郵便というものが情報なりそういう出版物の唯一の送達手段であった。それ以外何もなかったわけでございますが、今日ではラジオ、テレビ等々そういった情報等を伝えるメディアというものが相当大きくなってきておりまして、三種郵便制度がになってまいりました役割りというものも相当軽くなったと申しますか、比重的には小さくなったといいますか、そういう見方もございますので、いつまでも同じような三種郵便考え方はこの際いかがであろうか、もう一ぺん抜本的に考え直してみる必要がありはしないか、こういう意味をもちまして、当面の課題、こういうふうにしたわけでございます。
  32. 羽田孜

    羽田委員 それでは、次に移らしていただきます。  小包のほうに移るわけでございますけれども、小包料金は現在非常に大きく原価を割っているというふうなことを聞いておりますけれども、その実情は一体どうなっておるのか、また国鉄の小荷物と比較して一体どうなっているか、簡単でけっこうでございますので、お答えいただきたいと思います。
  33. 竹下一記

    竹下政府委員 小包料金は、原価計算をいたしますると、大きく原価を割っておるのでございまして、四十四年度につきまして試算をいたしますと、小包一個当たりの原価は二百二十三円であるのに対しまして、一個当たりの収入は百六十円、一個当たりの損失は六十三円、こういうことになっております。つまり、小包一個引き受けますそのたびごとに六十三円の赤字である、こういうことでございまして、郵便事業全体の財政の上で一つの問題であるわけでございます。  国鉄の小荷物の料金と私どもの小包料金とを比較いたしますると、これは地帯別のとり方が両者の間で違いまするのと、重量制においても若干の違いがございますので、一律には申せませんけれども、条件を一つにいたしまして料金の比較を極力やってみるという方法をとりますると、非常に大ざっぱに申し上げまして、国鉄の小荷物料金は小包料金に対して一・八倍から一・九倍程度のものになっておるように思われます。
  34. 羽田孜

    羽田委員 どうもありがとうございます。  およそ先日新聞に出ました問題等につきまして、逐一お尋ねしてまいったわけでございますけれども、これからほんとうに郵便事業というものが伸びていくためには、やはり国民の理解、またその協力というものが必要じゃないかと思うわけでございます。そういった意味で、理解してもらうために何とか、郵便白書といいますか、そういったものを今後出していかれるお考えがあるか。そういったことについて、簡単でけっこうでございます。
  35. 竹下一記

    竹下政府委員 これからの郵便事業の運営につきましては、国民方々の理解と協力がどうしても必要でございます。先ほどの私書箱の利用にいたしましても、理解と協力が得られなければ拡大ができないわけでございまして、そういう意味も込めまして、今後事業の実態ということにつきましては、その真相をわかっていただく、事業の赤裸々な姿をぶっつけまして、よくわかっていただく方向でPRをしてまいりたい、かように存じております。白書というのも一つの考え方かと思いますので、十分検討をしたいと考えております。
  36. 羽田孜

    羽田委員 当面する郵便事業の問題につきまして、いまずっとお聞きしてまいったわけでございますけれども、やはり一番大きな問題としては、郵便の慢性的な遅配というものが、当面する一番大きな課題ではないか、このように考えるわけでございます。私なんかも、いろいろな案内状等が二、三日おくれたということのために非常に不義理をしてしまったような事例が、ここのところ何件と続いておりますので、こういった問題を中心にして、ますます御研究いただきたいということをお願いしたいと思います。  時間もございませんので、あと一点だけ簡単に、これは郵便貯金の利率改定の問題についてお聞きしたいと思います。  今回の引き上げによりまして、支払い利子は本年度どの程度にふえるものと見込んでいらっしゃるか、またその増額分については、いわゆる預託利率の引き上げを大蔵省に要求されるかどうか、この点だけ、簡単でけっこうでございますが、お尋ねしたいと思います。
  37. 山下博

    ○山下(博)政府委員 お答え申し上げます。  本年四月二十日から定額貯金の利率を改定いたしました結果、必要といたします金額は約七十三億円でございます。この七十三億円本年度かかりますが、将来ともこれは漸増していく金額でございます。  これに伴いまして大蔵省の預託利率、現在六分五厘資金運用部からもらっておりますが、これをこの両三年改定する必要は、現在のところ考えておりません。
  38. 羽田孜

    羽田委員 どうもありがとうございました。  それでは、最後に電電公社の総裁にお尋ねしたいと思うわけでございますけれども、これは五月一日の日本経済新聞で、電電公社が「“情報通信公社”めざす」という見出しで新聞発表があるわけでございますが、私どもも、いわゆる電電公社の第二公社といったものはまだお聞きしてもございませんし、一体この点についてどのように総裁はお考えになっていらっしゃるか、この点がまず第一点。  次に、「昭和六十年の電電公社のビジョン」というものをお持ちのようでございますけれども、今度発表されました技術調査研究実用化計画との関係は一体どのようになっておるか、この点について簡単でけっこうでございますので、お聞かせ  いただきたいと思います。
  39. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  日経新聞に載りましたのは、ちょうど公社が毎年発表いたしております技術の調査研究計画を発表いたしましたおりに、新聞が表題として、「“情報通信公社”めざす」というふうに出したのでありまして、電電公社が発表した次第ではございません。  電電公社は、電信電話、この電信というのは非常に広いわけでありまして、データ通信も入るわけでありますから、それをやるということでありまして、私が情報通信公社を目ざしているわけではありません。といいますのは、たとえばデータ通信をやるにいたしましても、公社は、いわゆるデータバンクをみずからやる意思は全然考えておりません。私、これがNHKと非常に違うところだと思うのでありまして、公社は、ソフトウエアを含んだ設備を提供するということが主体であります。  その次に、「昭和六十年の電電公社のビジョン」ということについての御質問がございましたが、三年ほど前に、十年後の電信電話のビジョンというものを経営調査室長の名前で発表させました。私もそれをよく見まして、ときどきよそで話を頼まれたり講演を頼まれたりするときにそれを使ってみたのでありますが、最近の電信電話技術の進歩とか、あるいはデータ通信の問題とかいろいろ出てまいりまして、すでにそれが現在の時点で少し古くなってまいりました。それからまた、もともとこれをつくりました趣旨は、公社には大ぜい若い職員をかかえておりまして、それらの人は一生懸命で仕事をしているわけでありますけれども、やはり将来に対する夢とか希望とかいうものを与える必要があるということでつくらせたのでありますが、先ほど申し上げましたように、それが少し古くなってまいりましたので、それを改定するという意味におきまして、特に人間の問題、人間性尊重というような問題を強く出すために、新しくまた経営調査室長の名前でつくらせたのが、いま御指摘の「昭和六十年の電電公社のビジョン」こういうものであります。中身は省略いたしますが、趣旨はそういうことであります。  先ほど出ました調査研究計画との関係でありますけれども調査研究計画は、ものによっては十年あるいは五年とかいう先を目ざしまして、どのようなサービスが、国益なりあるいは国民の要望から出てくるかということを、ある程度予測いたしましていろいろやっているわけであります。そういう面におきましてつながりがあるわけでございます。     —————————————
  40. 羽田孜

    羽田委員 どうもありがとうございました。  以上をもって質問を終わらせていただきます。
  41. 金子岩三

    金子委員長 先刻決定いたしました国際電信電話株式会社から、お手元に配付いたしました名簿のとおり参考人方々出席されました。  この際、靱社長から、国際電信電話株式会社事業概況について説明を聴取することといたします。靱社長
  42. 靱勉

    ○靱参考人 本日、逓信委員会参考人として出席を求められました国際電信電話株式会社社長の靱でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  本日は、まことに貴重な時間をいただきまして、会社事業の概要につき御説明申し上げる機会を得ましたことをありがたく存じますとともに、平素格別の御指導を賜わっておりますことに対し厚く御礼申し上げます。  当国際電信電話株式会社は、昭和二十八年創立以来十八年目を迎えたわけでありますが、この間当社は、短波通信から広帯域通信へと歴史的な転換を遂げつつ、社業の充実発展をはかってまいりました。  すなわち、新型海底同軸ケーブルの開発と衛星通信技術の進歩により、国際通信回線の広帯域化が世界的趨勢となるや、当社はいち早くこの時代の流れをくみ取り、昭和三十九年には太平洋横断ケーブルを布設し、初の広帯域幹線を実現いたしました。また、インテルサット、国際商業通信衛星組織でございますが、インテルサット発足と同時にこれに加盟した茨城、山口両地球局を建設いたし、太平洋・インド洋地域衛星通信網を完成する一方、日本海ケーブルによる日欧間通信幹線を開設するなど、わが国国際通信史上画期的な建設事業に取り組んでまいったのであります。  当社は今後、この安定かつ良質な通信幹線を活用いたし、先進国は申すに及ばず、発展途上の各国とも回線を設定して、世界をおおう通信網の形成につとめますとともに、国際化、情報化の時代にありまして一そう会社の使命を自覚いたし、たゆまざる研究と真剣な企業努力を重ね、国民の皆さまに御満足いただけるようなサービスを提供いたしたいと存じております。何とぞ今後ともよろしく御指導をお願いいたす次第でございます。  つきましては、ここにまず最近一年間の事業の概況について御報告申し上げます。  昭和四十四年度における設備の拡張改良計画のうちおもなものといたしましては、衛星通信の関係をはじめ日本海ケーブルの完成による日欧間通信幹線の開設、国際加入電信交換の全自動化等がございます。  まず第一に衛星通信の関係でございますが、昨年度の特記すべき事項といたしましては、かねてより山口市郊外に建設を進めてまいりました地球局が六月に完成いたし、同年八月からインド洋上のインテルサット3号衛星を経由しまして、欧州、中近東及びアジアとの衛星通信を開始したことがあげられます。山口衛星通信所では、現在、英国、西独、インドネシア、クウェートおよびマレーシアとの間に衛星回線を運用いたしており、これらの地域との通信事情は一段と改善を見ておりますが、さらに本年度は、インド、シンガポールをはじめイタリア、フランス等欧州主要国との回線開設を計画いたしております。  一方、茨城衛星通信所におきましては、タイ、香港及び台湾との回線を追加し、太平洋地域の衛星通信網を一そう充実いたしました。  以上申し上げましたとおり、茨城、山口両地球局により東西二つの衛星幹線が完成を見ましたことは、ひとりわが国の通信サービスが拡張されたことにとどまらず、通信路の多様化によりましてわが国が世界を結ぶ通信センターとしての役割りを一そう高めたのでございまして、現に昨年七月アポロ11号打ち上げの直前、大西洋上の通信衛星が故障となりました際に、欧米各国からの緊急要請に基づき会社の機動性を遺憾なく発揮して、太平洋、インド洋にまたがるテレビ伝送回線を成功裏に設定し、人類初の月面着陸の模様を中継して、世界各国の人々から感謝されたのであります。  第二は、日本海ケーブルの完成でございます。このケーブルの計画につきましては、すでに御承知のことと存じますので、詳しいことは省略させていただきますが、わが国の直江津とソ連のナホトカとの間約九百キロメートルを結ぶ海底ケーブルは、KDD丸によりまして無事布設を終え、予期以上のすぐれた性能をもって昨年七月正式に開通を見ました。本ケーブルは、シベリア大陸を横断してモスクワへ、さらにスイスをはじめ欧州主要国へと接続され、衛星回線とともに日欧間の一大通信幹線を形成することとなりました。現在、このケーブル回線によりまして、スイス、英国、西独、イタリア、オーストリア及びソ連との間に直通線が設定されており、これらの回線は欧州のほとんどすべての国々によって利用されておりますが、今後さらに直通回線対地を拡張してまいる予定であります。  第三は、国際加入電信、いわゆるテレックスの全自動交換の開始でございます。テレックスの通信量は、おかげをもちまして毎年著しい伸びを示しておりますが、この交換作業を機械によって自動化いたし、交換接続の即時化をはかるため、当社は数年前から準備を進めてまいりました結果、昨年八月四日、米国及びカナダとの間に全自動運用を開始いたしました。その後さらに香港、フィリピン、オーストラリア、ニュージーランド、西独及び英国を加え、全通信量の七割強を自動化いたしまして、ここにいつでも、すぐに通信できるテレックスの理想の姿が実現したのでございます。なお、全自動化に伴いまして、一分一分制料金を採用いたし、利用の一そうの便宜をはかっております。  続いて、昭和四十四年度の営業概況について申し上げます。まず取り扱い業務量の実績でございますが、これは回線の新増設によるサービスの向上、貿易の伸長等による需要増の結果、各業務ともおおむね順調な伸びを示しております。すなわち、主要業務別に見ますと、概数で国際電報六百一万通、国際加入電信二百八十九万度、国際電話は百五十八万度となり、それぞれ前年度に比較して四%、四七%、二七%増加いたしております。  次に、経理の概況を申し上げますと、まず昭和四十四年度上期の収支状況は、営業収益百三十八億円、営業費用は百億円となり、これらに営業外収益、営業外費用及び特別損益を加減したこの期の利益は二十三億円となっております。四十四年度の下期につきましては、いまだ確定的なことを申し上げる段階にないのでございますが、おおむね順調な決算ができるものと考えております。資産の状況につきましても、四十四年九月末について申し上げるわけでございますが、資産の総額は四百四十九億円でありまして、そのうち流動資産は百三十九億円、固定資産は三百十億円となっております。一方、負債総額は百九十二億円で、そのうち流動負債は九十七億円、固定負債は五十二億円、引き当て金は四十三億円となっております。したがいまして、差し引き純資産額は二百五十七億円となっております。  以上で昭和四十四年度の概況の報告を終わり、続いて昭和四十五年度の事業計画の関係について御説明申し上げます。  本年度は、先ほど申し上げましたように、完成を見ました一連の広帯域通信幹線網の利用の充実をはかり、これをもととしサービスの一そうの向上を目ざして、諸般の施策を進めてまいる所存でございます。  すなわち、当社の今年度の設備計画といたしましては、茨城第三地球局の建設をはじめ広帯域幹線関係諸施設の整備に引き続き努力いたすことのほか、通信回線の新増設や通信設備の近代化、新総合社屋の建設、非常障害対策、新技術の研究開発等を推進することとし、これらに要する経費といたしまして百四億円を予定しております。このうち対外通信回線の新増設につきましては、広帯域幹線の完成により、高品質の回線を多数設定することが可能となりましたので、加入電信七十六回線、国際電話七十四回線をはじめとして、専用回線、電報回線等、総計二百九回線を新増設する計画であります。これが実現いたしますと当社の対外回線は全体で千三百回線に迫り、国際通信サービスの一そうの改善向上を見ることとなります。  また、現在使用中のインテルサット3号系衛星は、数年を経ずして需要に応じ切れなくなることが予想されますので、インテルサットでは新しく電話五千回線以上の容量を有する4号系衛星の打ち上げを計画いたしておりまして、太平洋地域にはこれが昭和四十六年度後半に打ち上げられる予定でございます。当社はこれに対応しまして、茨城衛星通信所に第三地球局を建設いたすこととし、明年八月の完成を目途として工事を進める予定であります。  次に、通信設備の近代化計画としましては、現在人手によって行なわれている電報の中継作業及びこれに関する処理作業を、大型電子計算機システムにより機械化しようとする電報中継機械化計画を、明年二月末から実施に移してまいる予定であります。  次に、新国際通信センターの設備でございます。国際通信の質量両面における爆発的発展増大に対処いたし、時代の要請に応じた十分なサービスの提供をはかるため、当社が昨年、長期的な見通しのもとに新宿副都心地区に約一万平方メートルの土地を購入いたしましたことは、昨年のこの席上で御説明申し上げましたところでございますが、本年度は、昭和四十九年完成を目途としてここに建設いたします新しい国際通信センターの具体的な設計を進めるとともに、地質調査にも着手いたすこととしております。  なお、以上の設備計画のほか、お客さまの利便をはかるため新たに新東京国際空港ビル局を開設いたし、あるいはまた大阪南局の開設準備を進める等、営業所施設の拡充整備をはかるとともに、ここ数年来対策を講じてまいりました非常災害時の通信確保につきましても、考えられる種々の事態を想定して、さらに対策を強化充実してまいる所存でございます。また、従来多くの成果をあげてまいりました新技術の研究開発につきましては、本年も広帯域通信方式や通信機器の自動化、電子化のための研究を重点として、これを充実いたすこととし、あわせて新技術に対応する訓練施設も整備してまいる方針でございます。  最後に、本年度の収支につきましては、主要業務の需要量を国際電報六百二十一万通、国際加入電信三百八十二万度、国際電話二百八万度と見込みまして、この予測のもとに、収入については約三百三十七億円、支出については一そう経費の効率的使用につとめることとし、約二百九十五億円を予定いたしました。  以上、簡単でございますが、事業概況の御報告といたします。何とぞ今後とも一そうの御指導、御鞭撻のほどをお願いいたします。  なお、歯の治療をいたしておりまして、お聞き苦しい点が多かったことをおわび申し上げます。  ありがとうございました。
  43. 金子岩三

    金子委員長 これにて説明は終わりました。     —————————————
  44. 金子岩三

    金子委員長 質疑を続行いたします。武部文君。
  45. 武部文

    武部委員 ただいま靱社長から、四十五年度の事業計画の概要について説明がございました。同時に、国際電電の海外通信の現状についても若干お触れになったようでございますが、私は、この際数点について、国際電電の今後の方針等についてお伺いをいたしたいと思います。  まず第一点は、ただいまお話のございましたインテルサット、通信衛星を使って国際間に放送業務を中継する、そうした仕事が非常にふえておるわけでありますが、第六十一国会でこのテレビ中継の料金問題がいろいろ論議をされました。現在テレビ中継の料金はどうなっておるのか。料金の算出の基礎は一体どうなっておるのか。同時に、先般の国会で問題になりましたが、わが国においても、この料金の問題で値下げの陳情がある、こういう答弁がなされておりました。アメリカと欧州間の料金は相当低くなったというようなことを聞いておるわけですが、この問題に関連をして日本の場合はどうなっておるか。御答弁によりますと、通信量が増加をする場合には料金の引き下げということは、値下げということは当然起こるだろう、こういうことが六十一国会でも論議をされておるわけですが、このことについて最初にお伺いをいたしたいのであります。
  46. 板野學

    ○板野参考人 お答え申し上げます。  まず最初に、インテルサット衛星によるテレビ中継の料金の算出基礎につきまして御説明いたしたいと思いますが、衛星によるテレビ中継につきましては、各国がそれぞれ自国側の料金を定めるというたてまえになっております。したがいまして、テレビ中継の利用者は、日本側の料金と関係国、たとえばアメリカ側の料金との合計額を支払うということになるわけでございます。  現在、日本側の料金は、次のような基本方針に基づきまして設定いたしたものでございます。すなわち、テレビ中継の料金収入は、業務の費用を償い得る範囲のものとする。その償う期間というものは、大体五カ年間くらいでその実費を償い得る、こういうたてまえのもとに私どもは計算をいたしてあります。その構成する費用につきましては、第一が宇宙部分の使用料金でございます。それから地球局の運用の経費、それから国内、KDDにありますこのテレビを受け渡す場所の費用とか、あるいは連絡費用とか、あるいは研究開発費用、こういうものを計算いたしまして、これらを総需要量との関連において決定をいたしておるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、五カ年間でどのくらいのテレビの需要があるか、こういうものを分母にいたしまして料金を決定しておる、こういうことでございます。  その料金額は、外国との対応関係を考慮いたしまして、昨年ですか、この料金改正をいたし、値下げをいたしたわけでございます。すなわち、料金の立て方といたしましては、最初の十分間と追加の一分間ごとに分けて定めるというほかに、カラーと白黒との区別をなくいたしました。それから、映像と音声とに対する料金を分けておるわけでございます。また、アジア近隣諸国とその他の地域の料金と二本立てにいたしまして、アジア地域につきましては二五%程度安くいたしたわけでございます。  総体にこの料金の構成をそのようにいたしますと同時に、料金も値下げをいたしました。対ヨーロッパ関係につきましても同様でございまして、ニューヨークをとってみますと、日本側で十分間までが四十万三千二百円、アメリカ側が五十万四千円、合計で九十万七千二百円、こういうことに相なっております。ヨーロッパにつきましては、日本側が少し安くて四十万三千二百円、ヨーロッパ側が五十七万六千円、こういうぐあいになっておる次第でございます。  以上、テレビの料金につきましてお答え申し上げました。
  47. 武部文

    武部委員 ただいまのお答えに関連をいたしまして、先ほど御説明がございました日本海ケーブルの関係についてでありますが、日本海ケーブルの利用が開始された場合には、欧州向けの通信というものが非常に改善されるので、その際には料金は安くなるだろう。それで、具体的には、パーソンコールで十二ドル取っておったが、ステーションコールでは九ドルになるだろう。それから、専用回線がいままでは非常に長い距離で、たとえばハワイ回りでカナダを回ってロンドンに行くというようなことであったが、今度は非常に近くなるから、専用回線については二〇%程度安くなるだろう、こういう話が前国会でございました。それからテレックスは、一分一分制にする場合には同様に二〇%くらい安くなるだろうというようなことが言われておりましたが、現実にこの日本海ケーブルが利用開始されてから、いま私が申し上げたような料金体系になったかどうか、それをちょっとお伺いしたい。
  48. 板野學

    ○板野参考人 お答え申し上げます。  大体先生がただいまおっしゃいましたとおりにいたしておる次第でございまして、御承知のように、昨年七月に日本海ケーブルを経由いたしまして日欧間に幹線が開設できましたので、この通信料金の値下げを実施いたしておるわけでございます。すなわち、電話につきましては半自動サービスを開始いたしますと同時に、     〔委員長退席、内海(英)委員長代理着席〕 従来の指名通話制度、すなわち料金十二ドルという制度のほかに、新たに番号通話制度を取り入れまして、最初の三分間を九ドルといたしました。それから、従来は一分ごとに四ドルを追加として取っておりましたものを、一分ごとに三ドルというぐあいにいたしまして、平均をいたしまして約二〇%程度の料金を値下げいたしたわけでございます。  また、各種の専用サービス料金につきましても、日本海ケーブル経由のものにつきましては、約三〇%程度の値下げをいたしております。すなわち、五十ボーの電信回線の例をとってまいりますと、アメリカ経由コンパックを通りましたものにつきましては、一回線が九千五百ドルということになっておりますのが、日本海ケーブルを経由いたしますと七千ドルということになっておりまして、三〇%程度値下げをいたしたわけでございます。  以上、御答弁申し上げます。
  49. 武部文

    武部委員 そういたしますと、第六十一国会で御答弁になったように、大体日本海ケーブルの開通に伴って、御回答があったような料金体系になったというふうに理解できるわけでありますが、それでよろしゅうございますか。
  50. 板野學

    ○板野参考人 そのとおりでございます。
  51. 武部文

    武部委員 その点わかりました。  次に、アジア諸国との間の通信回線のことについてお伺いをいたしますが、先般のよど号乗っ取り事件の際に、北朝鮮との間の電信というのは、上海、香港、モスクワ経由で通信ができるということを私ども初めて知ったわけであります。このよど号事件の際に、北朝鮮との間に電信の申し込みが相当あったと思うのですが、このように非常に回りくどいやり方で、上海、香港、モスクワ等の経由ではたして円滑に通信ができるだろうかということをしろうとなりに思うわけですが、よど号事件の際に、この回線はどういう効果的なあれをあげたのでしょうか、もしおわかりならばお伺いいたしたいと思います。
  52. 増田元一

    ○増田参考人 お答え申し上げます。  よど号の事件が起きましたときに、ただいま先生のお話にございましたように、現在、電信、電報につきましては、上海経由またはモスクワ経由で行なわれておりますが、よど号の事件が起きましたときには、おもに電話の需要がございました。電話の需要が六十四通話申し込みがございました。それで、急遽四月一日からモスクワ経由で電話回線を設定いたしました。東京からモスクワまでケーブルでまいりまして、モスクワからピョンヤンまでは短波回線でいく、こういう形で通話回線を設定いたしました。実際に通話が完了いたしましたのは三通でございます。  以上でございます。
  53. 武部文

    武部委員 お答えのように、北朝鮮との間には電話の直通回線はないわけですね。したがって、モスクワから平壌へ向けてそういうやり方をおとりになって、六十四通話の申し込みで三通話、こういう結果になったようですが、アジア諸国の間で、わが国との間に電話の直通回線のない国はどこですか。
  54. 増田元一

    ○増田参考人 お答え申し上げます。  電話の直通回線のない国は、ただいま申し上げました北鮮、それからモンゴル、北ベトナム、それからラオスにつきましては、直通電話回線はございませんが、香港経由の中継の通話がございます。
  55. 武部文

    武部委員 わかりました。  そこで、続いてお伺いいたしますが、KDDがアジア諸国において衛星を利用しての通信の相手国及びその利用状況、これをお聞きしたいのです。衛星を利用してアジア諸国においてはどういう国と通信しておるか、それとその利用状況ですね。それから、ごく一番最近の地球局の設置をした国はどこでしょうか。
  56. 増田元一

    ○増田参考人 お答え申し上げます。  一番最近に地球局を設定いたしましたのは、四月の六日だったと思いますが、マレーシアのクアラルンプールでございます。現在、衛星の地球局がございます国は、中国、フィリピン、香港、インドネシア、タイ、マレーシア、アジアではこれだけでございます。したがいまして、各国別に申し上げます。  まず中華民国。電報につきましては、大阪−台北間、衛星によりまして一回線、取り扱い数、月二万七千八百三十二通ございます。それから電話につきましては、東京−台北間でございますが、衛星回線で十九回線ございます。取り扱い度数は一万六千百八十五度ございます。それからテレックスにつきまして、大阪−台北間に衛星四回線ございます。八千四百三度でございます。  次に、香港でございますが、電報につきまして申し上げますと、大阪−香港間に電報衛星回線が一回線、取り扱い数が四万四千二百十五通でございます。次に、東京−香港間に電話回線が十四回線ございます。取り扱い度数は一万八千七十五度でございます。テレックスにつきましては、東京−香港間に衛星回線九回線ございます。取り扱い度数は一万九千百九十六度でございます。  次に、インドネシア共和国を申し上げます。大阪−ジャカルタ間に、電報につきましては衛星一回線ございます。取り扱い数は一万八百二十通でございます。電話について申し上げますと、東京−バンドン、その間に衛星四回線ございます。取り扱い度数は二千九十四度でございます。テレックスについて申し上げます。大阪−バンドンの間に衛星一回線ございます。取り扱い度数は一千八百八十七度でございます。  それから、フィリピンを申し上げます。フィリピンにつきましては、電報は全部ケーブルでいっております。したがいまして、衛星を使っておりますのは電話とテレックスでございます。電話につきましては、東京−マニラ間に衛星が二回線ございます。ここはケーブルがそのほかにもございまして、取り扱い度数は四千五百二十五度ということでございます。それからテレックスは、東京−マニラ間に全部で衛星六回線ございます。九千六度取り扱っております。  それから、タイにつきましては、東京−バンコク間に、電報につきまして衛星一回線、取り扱い数は一万六千百九十五通でございます。電話につきましては、東京−バンコクの間に衛星四回線ございます。取り扱い度数は二千八度でございます。テレックスにつきましては、東京−バンコク間に衛星五回線ございまして、取り扱い度数は四千十七度でございます。  それから、次にマレーシアを申し上げます。電報はケーブルを使っておりまして、衛星は使っておりません。電報とテレックスはケーブルを使っております。衛星は電話だけでございますが、東京−クアラルンプールの間に電話衛星回線が三回線ございます。千三百八十九度の取り扱いになっております。  以上でございます。
  57. 武部文

    武部委員 シンガポールはどうなっておりますか。
  58. 増田元一

    ○増田参考人 シンガポールは、まだ地球局ができておりません。
  59. 武部文

    武部委員 わかりました。  いまお尋ねいたしますと、この回線は相当利用されておるようでありますが、国際間の電話回線の設置ということは、言うまでもなく経済的には非常に大きな影響を持つ、そういうことでございますけれども、その意味とは別に、国家相互間におけるところの友好の面においても、これはたいへん必要なことではないかというように考えますが、特にアジア各国との間に、電話回線に関する計画というものが、先ほどお伺いいたしますと、北鮮、モンゴル、北ベトナム、ラオス等についてはないということでございました。あとで具体的な余裕金等の問題にちょっと触れてみたいと思っておりますが、そういう面で財政的に豊かでない、特に東南アジアあるいはモンゴル等について、通信回線の増設に役立つようなそういう施策というものを、国際電電としてはお考えになっていないのか、そういう計画はないのか、これをひとつお伺いしたい。
  60. 靱勉

    ○靱参考人 国際通信施設の充実は、いま先生のおっしゃったとおり、単に商業的な関係ではなく、国際間の親善、文化その他各方面に非常に大きな価値のあることは御承知のとおりでございます。ことに、アジア地域とわが国との関係におきましては、ただいま電話についてお話がございましたが、わが国とアジア地域におきましての電報及び電話は、他の大陸、アメリカあるいは欧州等に比べて一番通信量が多いわけでございます。テレックスが若干おくれておりますが、これは施設の関係等もございますが、だんだんふえていく。したがいまして、回線増設等も今後五カ年間に約倍以上になっていく。年々の計画におきましても、アジア地域における回線増設の数は、欧州、大洋州に比べて一番多い施策をとっておる次第でございます。  ただいま御質問の、何と申しますか、経済力の関係で通信施設の整備のできないというようなところに対して、積極的な方針を持っておるかという御質問でございますが、現に、あるいは政府ベースあるいはKDDと直接の協定によりまして、技術者あるいはその他通信に従事する人の教育訓練につきましては、毎年相当数の人を受けまして、あるいは集団訓練あるいは個別訓練、あるいはまたそういうこと以外に、機器の貸与あるいは譲渡、またいろいろな設備について御相談等、積極的にやっております。ただ、何と申しましても各国いろいろな事情がございまして、そこの、たとえば地球局を建設する場合におきまして、経済的にどの程度わが国を受け入れてくれるかどうか、ただいまのアジア地域における地球局も、必ずしも日本の建設メーカーの手に落札していないのもございます。  いろいろな関係がありますが、私どもの基本的態度としましては、これはもちろん政府その他の御方針にも御相談申し上げなければなりませんが、何と申しましてもアジア地域の今後の通信量の期待というのは非常に大きいのであります。私ども積極的な姿勢で御協力申し上げたい、こういう気持ちは持っております。
  61. 武部文

    武部委員 ただいまいただきました四十五年度事業計画書、二ページ中ごろに、「東南アジア・ケーブル計画については、引き続き検討を推進する。これらに要する経費として、十六億四千万円を予定する。」こういうことが書いてありますが、この内容はどうなんですか。
  62. 板野學

    ○板野参考人 お答え申し上げます。  東南アジア・ケーブルにつきましては、過去数年にわたりまして関係諸国と折衝をしてまいりました。また、会議も二度ばかり東京において開催をいたしたわけでございまするが、ケーブルに対しまする投資につきまして、いわゆる財政的な措置につきまして、現在までは関係諸国の了解はなかなか得られない。建設そのものについては非常に賛成だが、ぜひ日本の財政的な援助をもらいたい、こういうことで、私どもずっと引き続き検討をしてまいっておるわけでございます。まあ私どもの現在の考え方といたしましては、ケーブルそのものは衛星と併用いたしまして、非常に効力のある施設でございまするので、引き続き関係諸国と財政の面につきまして折衝していきたい、こういうように考えております。  とりあえず東南アジアのケーブルにつきましては、その第一段階といたしまして、マニラとバンコクを結ぶケーブルを計画いたしておるわけでございまして、その初年度といいますか、そういう経費を一応そこに見積もりまして、さらに関係諸国の出資といいますか、財政的な措置と相まちましてこの実現をできるだけ早くはかっていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  63. 武部文

    武部委員 それでは次に進みまして、先ほど御説明のございました新宿総合局、いわゆる新国際通信センター、このことについてお伺いいたします。  これも前国会でいろいろ質疑が取りかわされたわけでありますが、坪百六十万円の非常に高い土地を約五十億、当時の回答ですと五十一億六千二百万円ですか、投じてこれを求め、計画は昭和四十九年ということが先ほどの説明の中にございました。あの当時も話がございましたが、非常に高い新宿副都心の土地を、なぜこれだけ膨大な金を出して買うのかというような話もあり、いや、いまの段階では郊外にそれを持っていったのでは、利用の面からいってもこれはだめだというようないろいろ話があったことも承知をいたしております。  そこで、それに関連してお伺いしたいことは、大手町に現在一万坪の建物を持っておるわけですが、新宿副都心に三千坪。私どもから見ると、新宿副都心に国際通信センターができた場合には、全部が向こうに移転するものだろうと思っておりましたところが、必ずしもそうでない。それは答弁の中で、大手町には若干のものは残すのだ、こういう話でございました。きょういただきましたこれの三ページの下段に、「新国際通信センター建設等」という事項がありまして、その中に、「業務規模の拡大および設備の近代化に対応して、大手町および大阪中央局舎の整備、京橋局舎の改築等を行なう。これらに要する経費として、二十二億一千余万円を予定する。」こういうことがここへ書いてあります。  新しいものを相当多額の金をかけてこれからおつくりになる。その場合に、いまある大手町の一万坪をさらに拡充をするということになってくると、何かちょっと私どもから見ると疑問に思うのですが、一体いまの大手町というのは、どういう規模でこれを整備されようとしているのか。どんどん整備をする、続いて四十九年には膨大なものが建つ、こういうときに、一体大手町はどうなるのか、一体この二十二億一千余万円の中で、大手町の整備等にはどれくらいの金をお使いになるのか、これをちょっとお伺いいたしたい。
  64. 靱勉

    ○靱参考人 ただいまの御質問に対しましては、実は先ほど業務報告で申し上げましたが、電報の中継機械化、あるいはテレックスがどんどんふえる、国際電話もどんどんと回線を増設してまいりますれば、それはもう即刻設備をしてまいらなければなりませんので、御案内のとおり、本社がすでに大手町から出、さらにこれを五十年度までもたせるために、現在内部の改装をいたしておりますが、詳細な金額は後ほど御説明申し上げますが、この改装が約十億程度かかると思っております。明年まで継続になっております。  一方、新しい技術の採用、電子交換等の問題もございますが、さらにデータ通信等の新しいサービスの提供、それから今後さらに拡大するところの施設というものは、もう大手町は収容し切れぬということで、先ほど御説明申し上げましたように、新宿に四十九年度に、大体四十九年六月を現在のところ目標といたしておりまして、現在もう基礎設計に入っておるわけでございますが、これをやはりそれに間に合うように建設してまいらなければ、せっかくの広帯域通信幹線網ができましてもサービスの改善ができない、通信増設ができない、こういう状況でございまして、そういう計画を持っておる次第でございます。  詳細につきましては、なお常務から御答弁申し上げます。
  65. 竹内彦太郎

    ○竹内参考人 大手町局舎の問題につきましてお答え申し上げます。  この新宿の新東京局舎ができますのが、先ほど申し上げましたとおり四十九年の半ばでございますが、その以後におきましては、大手町局舎の現在の施設の大部分が移るわけでございます。しかし、先ほど社長の御説明にありましたとおり、やっと昨年にテレックスの全自動化システム、非常に膨大なシステムができ上がりました。それから本年設備が整い、来年二月から稼働いたします電報中継の機械化設備という、コンピューターを使いました設備ができ上がります。これらの設備を四十九年に直ちに移すということは、非常なむだと費用がかかります。これは現在の大手町局舎で使えるという意味で、そこに施設した膨大な施設でございます。これの大体の使用期間としてわれわれのほうで考えておるのは、十年間は少なくともこの新しいシステムが十分活用し得るものと私ども考えております。したがいまして、昭和五十五年くらいまではこのシステムが十分使える。したがって、大手町局舎はそれまではそういう施設に十分活用できる。それから以後は、技術の進展によりましてますますサービスの向上のために、そういうシステムもそれ以後に国際通信センターに移すということを考えております。  なお、それが移るまでの間にかなりのスペースが大手町局舎にできてまいりますけれども、これはわれわれといたしましては、一番重要な人間関係の開発、つまり研修所の設備、あるいは料金関係、今後どんどんとふえてまいります通信量に伴う料金関係のセンターというようなものも、そこを利用することをいま一応考えております。まだ十年先でありますけれども、現在の予想ではそういうものに十分使えるんではないか、こう考えております。  以上でございます。
  66. 武部文

    武部委員 そういたしますと、大手町の一万坪というのはまだ若干面積がふえるようなお話でございますが、十年後には内部施設は国際通信センターのほうに移る。しかし、その一万坪かあるいはそれ以上になるかわかりませんが、そのものはそのまま何かの訓練とかその他の施設として使うというふうに理解してよろしゅうございますか。
  67. 竹内彦太郎

    ○竹内参考人 現在のこの大手町局舎の構造自身が、機械設備を入れるのには四階まででございまして、それ以上は事務室設備としてつくったものでございます。したがいまして、それ以外の場所は、いま申し上げましたとおり、利用の方法としては、そういった料金その他の事務関係の設備が今後拡張されていく、十分それに利用できるというふうに考えております。
  68. 武部文

    武部委員 私は、この大手町とそれから新宿副都心のこの建物との、いわゆる両建てと申しましょうか、そういうことに若干まだ疑問を持っておりますが、相当膨大な金が使われるわけでありますから、本来しろうと目に考えても、大手町はあそこに行くんだろうくらいのことはだれでも考えるわけでありまして、行かなければ行かないだけの理由があるわけでありますから、そのことは、いずれまた詳しくお聞きをいたしたいと思っております。  これに関連をして、前の国会でもいろいろ問題になってきたわけですが、KDDが国際通信の進展に対処するために、東京中心を置くという考え方に対して、いろいろ意見が出ておりましたね。私も聞いておりまして、各委員のほうから、東京に集中することの可否についていろいろお話がございました。特に、衛星通信なりあるいは海底ケーブルなり広帯域通信の幹線網がすべて東京に集中されるということになった場合に、日本の特殊事情による災害の発生の場合には一体どうなるか。そうした場合に、全部国際通信がとまってしまうというような重要な事態が起きたときはどうなるかというようなお話がございました。たしかそのときの社長の答弁だったと思うのですが、将来の展望については、中期的に見て大阪をそういう面では考えておるんだというようなお話がございました。そういう意味から私がお伺いするわけですが、特に通信網という非常に重要な地位を占めておるものが、そういうような災害の発生とか、そういうときに、これが全面的に停止されるということは重大な問題だ。特に、近畿圏における情報センターの設立の動き等も進んでおるという場合に、一体この大阪と東京というものについて国際電電は、将来の展望としてはどういうふうにお考えになっておるか、それをひとつお伺いしたい。
  69. 靱勉

    ○靱参考人 ただいまお話ありましたとおり、昨年もこの問題につきましてはいろいろ御意見も拝聴し、お答えも申し上げた次第でありますが、やはり国際通信センターとしては、できれば一つが、国際的サービスの面からいっては一番便利でございます。ことに現在程度の通信量から見ますと、その感が特に深いのでございますが、いまお話しのとおり、わが国は非常に災害の多いところでございますから、万一の場合に全線ストップというようなことになりましては、これはゆゆしき大事でございまして、これに対しては、別途また御説明申し上げる機会があるかと思いますが、非常災害対策を目下進めております。しかし、これを徹底的に申しますれば、東京、大阪に二つ通信センターがございまして、これが常時動いておりますことが、災害対策としては一番理想的でありますが、現在のところ、やはり電話は東京に集中しましても、全国ほとんど瞬時にしてつながるという意味合いから申しますれば、これが一番、国際電話の自動化というような点から申しましても、単に技術的、経済的な問題ではなしに、サービスの面からいいという問題があるのであります。  私どもこれにつきましては、かなり前からいろいろ論議があったのでございますが、現在のところといたしましては、ともかく東京のセンターを完成させる。大阪におきましては、現在電話を除きましてはテレックスの一部と、それから電報がやはりセンターとして残っておりますが、これはなお当分残ると思います。問題は電話でございます。そこで、先ほど来申し上げましたとおり、長期の見通しのもとにおきましては、やはりわが国の産業の発展、社会の発展というところから見まして、やはり大阪に、いわゆるセンターと申しますか、関門局を設置するほうがいいかどうか、これにつきましては、私ども決して固定的な観念を持っているわけではなくして、通信量の非常に膨大になってくるものに対しまして、その点、今後十分検討していくというような立場でおるような次第であります。
  70. 武部文

    武部委員 去年の答弁では、中期構想の中に入れておるんだということのお話でしたが、いまのは長期ということをおっしゃっておるわけですね。だいぶ前より後退したような気がするんですが、去年はそういうことじゃないんですよ。そういう面では、あなたの答弁は、中期構想として大阪の国際通信センターというものは考えていかなければならぬだろうということをおっしゃっておったわけですが、いまは長期に考えるんだというようなお話ですが、どうなんですか、そういう点は。
  71. 靱勉

    ○靱参考人 どうも、ちょっとことばを間違えまして……。私ども現在長期と申しておりますのは、実際的には中期と申したほうが正確かと思います。ただ、私ども五年間の、一応かなり具体的な計画を策定いたしておりますけれども、その間、毎年情勢の変化に応じまして、これは当然修正されてまいります。この情勢の変化に十分対応できるよう、この中期の計画においてもそういうことを常に考えつつ、計画を策定いたしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  72. 武部文

    武部委員 それでわかりました。いろいろこの問題は何人かの委員からもお話が出たわけでありまして、将来の国際情報社会の進展に伴って、そういう具体的な災害の発生等に対処する方針というものは、当然国際電電としてはお考えになっておる、こういうふうに考えていきたいと思うのです。さしむきは東京の国際通信センターの設立に重点を置くが、将来そういう点については十分考えるんだ、こういうふうにお考えになっておることがわかりました。  先ほどからいろいろ聞いておりますと、データ通信ということばがたびたび出るようであります。この機会に、データ通信についてお伺いをいたしたいのでありますが、これは郵政省にも関連をするわけですから御答弁をいただきたいのでありますが、この事業計画書の一ページのまん中ごろに、「対顧客設備およびデータ通信関係設備の増設、」ということばが載っております。これから具体的にお伺いいたしますが、一九六七年アメリカのRCA通信会社が、国内及び国際間の電話の専用線の使用者を対象にエヤコンというデータ通信サービスを開始した。これは新聞にも載っておるわけですが、このRCAのエヤコンというものは大体どの程度のものなのか、そうしてこれに対して、わが国の大手商社が一体どの程度加入をしておるのか、この点を御承知ならば、当然御承知だと思いますが、郵政省のほうからひとつお伺いしたい。
  73. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 お答えいたします。  エヤコンと申しますのは、RCAが国際的な専用回線につきまして新しいサービスを始めたのでございまして、たとえば、日本の商社がアメリカの各地に支店を持っており、この間に専用線を通じて自社内の通信を行ないたいという場合につきまして、従来は、ニューヨークならばニューヨークの支店におきまして、各地間の専用線の交換を自分でやっていたようでございますが、それにかわりまして、RCAのコンピューターによりましてそういう専用線の交換サービスもするということでございます。これによりまして、ユーザー側といたしましては、たいへん能率的にまた経済的に専用線を使うことができるということで、かなりこれの利用が最近行なわれているようでございます。主として商社がこれを使っているわけでございます。現在のところ、日本の商社も数社が利用しているように聞いております。
  74. 武部文

    武部委員 その商社というのは、新聞に報道されておるような商社ですね。たとえばこの新聞の報道によりますと、三井物産、住友商事、伊藤忠、日商岩井、丸紅飯田、こういうものはエヤコン等やっておるのですか。
  75. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 大体、新聞に報道されているようなものが利用しているように聞いております。
  76. 武部文

    武部委員 私はしろうとですから、非常に幼稚な質問になると思うのですが、その場合に、データ通信が外国からわが国の商社にどんどん入ってくる、このことについて、国内的に規制するというような法律があるのか、なければこれを出そうとしておるのか、その辺はどうなんですか。
  77. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 お答えいたします。  データ通信につきまして、御承知のように昨年から、郵政省におきましても今後の国内あるいは国際のデータ通信の需要に対応し得るような諸制度、法制の改正につきまして検討を始めておりまして、今国会におきましては御審議願う段取りまで至りませんでしたが、公衆電気通信法もその必要な部分につきまして改正をしたいという意図のもとに、作業を進めておったわけでございます。  そのおもな内容といたしましては、やはり専用線の使用の条件あるいはその料金というところがおもな問題でございまして、これらにつきまして、ただいま公衆電気通信法で定めております共同利用の条件というものを緩和できるような方法を主とした法律改正を検討しておったわけでございます。
  78. 武部文

    武部委員 そうすると、その法律は提出されませんでしたが、それでは国内法でそういうものを規制するというところまではいかない法律なんですか。どの程度のことなんですか。
  79. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 お答えいたします。  規制といいますか、その意味はいろいろあるかと思いますが、むしろいままで公衆電気通信法で利用できなかったユーザーに、データ通信のために専用回線が利用できる範囲を広くするという趣旨のものでございます。
  80. 武部文

    武部委員 そういたしますと、法律が出なかったわけですから、内容を論議するわけにいきませんが、このエヤコンのようなものが次から次と外国からわが国に入ってくることも考えなければならぬと思うんですね。国際間の問題ですから、そう簡単に国内法で、いま私が言うように排除はできないかもしれません。しかし実際問題として、すでにアメリカではそういうものがやられておって、具体的には日本にそれが入ってきて、日本の商社がそれを利用しておる。  そこで、日本には国際電電というものがれっきとしてある。それならば国際電電は、このデータ通信について何回かお述べになりましたが、今後一体どういう考え方を持っておるのか、このデータ通信というのは、これからの通信に非常に大きな役割りを果たすと思うのですが、一体国際電電はこの情報処理のあり方、あるいは伝送のあり方、こうしたことについて、今後どういう方法で対処しようとしておるのか、その基本的な考え方はどうなのか、これをひとつお聞きしたい。
  81. 板野學

    ○板野参考人 お答え申し上げます。  ただいま国際間のデータ通信につきましては、千二百ボーとかあるいは二千四百ボーというような高速度の専用回線あるいは一般公衆の回線を欧米間で提供しておる、こういうことでございまして、情報処理業者といいますか、そういう企業者が、そのデータ通信の回線を利用し、コンピューターを利用して一般のものにサービスをするということまでには、国際間でまだいっておりません。それからまた通信業者も同様でございまして、国内的にはそういうサービスを提供いたしておりますけれども、国際的にはこれをいまだ提供していない、こういう状況でございます。  それから、先ほどのエヤコンにつきましては、私どもこのユーザー、利用者の非常な要望もございますので、昭和四十六年度からこのサービスを開始いたしたい、こういうことで目下準備をいたしておるわけでございます。  それから、さきの情報処理の問題というようなことにつきましては、今後私ども郵政当局の御方針、御指導によりまして検討し、いろいろ考えてまいりたい、こういうように思っておる次第でございます。
  82. 武部文

    武部委員 これは国際電電としては、郵政省からいろいろそういう積極的な支持といいましょうか、協力がなければできないわけですが、少なくともこういう情報社会の進展の度合いなんですから、積極的にわが国がITU、国際電気通信連合ですね、そういうものに働きかけをする、そういうくらいな姿勢がデータ通信についてはあっていいと私は思うのです。そういう姿勢はいまの郵政省にはありますか。考えておりますか。
  83. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 お答えいたします。  御承知のように、国際電気通信連合におきましては、データ通信の問題は主としまして、最近非常に活発に国際電信電話諮問委員会、CCITTと申しておりますが、ここの研究委員会でいろいろの新しい問題に取り組んでおるわけでございます。日本といたしましても、これらの新しい問題につきまして、国際的な競争と技術的な進歩につきまして日本がおくれをとることのないよう、いろいろ積極的にこの問題に取り組みまして、この研究活動に参加しているわけでございます。
  84. 武部文

    武部委員 時間が非常にたちましたのでこれで終わりますが、このデータ通信については、ぜひひとつ積極的に取り組んでいただきたい。きょういただきました国際電電の三十三期の報告によりましても、相当な利益金もあるわけですから、そういう点でひとつ積極的に、国際的なデータ通信の面においておくれをとらないように、アメリカのほうからどんどん入ってきて、たいしたことはないと言っておるうちにたいしたことになったということのないよう、ひとつぜひやっていただきたい、これを申し上げておきたいと思います。  それで最後に、これも去年問題になって、私も聞いておって意外に思って、きょうもう一回お伺いいたしますが、電電公社が持っておる国際電電の株百三十二万株、この議決権の行使についていろいろここでやりとりがあって、結論から言うと、電電公社としては、何か中山さんがいい答弁をしておりましたから、私、何かわからなかったのですが、結局、何の法律の根拠に基づいてやらないのかということもわかりませんが、これにつきましては、郵政大臣のほうからよく考えるというようなことの答弁もございました。一体百三十二万株持っておる電電公社が、国際電電に何らの議決権をも行使しないというのは、それは一体どのような理由であるのか、これをひとつ最後にお伺いしたい。
  85. 中山公平

    ○中山説明員 お答え申し上げます。  国際電電の株式を電電公社が保有することができるようになりました根拠といたしましては、三十一年の三月に電電公社法の一部改正がございましたわけでございまして、それに基づいておりまして、その改正の理由とされておりますところは、片や公衆電気通信業務の国際部門、片や国内部門、これを受け持つ両事業が密接な関係を持って円滑化をはかっていく、こういうことが一つの理由とされております。もう一つの理由としては、国際電気通信事業は高度の国家性、公益性を有しておるものでございますから、公社が会社の安定株主となることによって会社の事業経営が長期的に安定する、それをはかっていく、これが理由となっておりまして、もともと公社が株式を保有することによって、会社の事業経営に支配、介入をするというようなたてまえではないことが本義だと私どもは解釈いたしております。  したがいまして、電電公社が株式を保有しておりますその株式につきましては、議決権をりっぱに持っておるわけでございますが、これの行使のあり方といたしまして、従来、いま申しましたような改正の理由等にも私ども思いをいたしまして、会社の選任する者に委任をする、こういう形でやっておる次第でございます。
  86. 武部文

    武部委員 まああのときはあなたは、電電公社の株主としての自制ということをおっしゃいましたね。支配、介入したくない、ことばはまことにけっこうで、こういうりっぱな株主がおれば国際電電にもたいへんありがたいことなんで、けっこうだと思うのですが、どうも私は百三十二万株——あのときはたしか五分の一ですか、ここを見ますと株式は一〇%、一割になっておりますね。まことにそういう精神でおやりになるなら私もこれ以上のことは申しませんが、当時いろいろやりとりがありましたのでたいへん不思議に思っておったのですが、そういう精神でおやりになっておれば、きょうのところはけっこうでございます。  一応国際電電の概要あるいは将来の展望についてお伺いいたしたわけでございますが、きょうは時間の関係で具体的な数字、特に決算の点で相当な利益をあげておる。こういう点と料金体系について、私はもう少しお伺いしたかったわけでありますが、また次の機会に譲ることにいたしまして、国際電電についての質問はこれで終わります。たいへんお忙しいところありがとうございました。  続いて、郵政大臣にお伺いをいたしますが、先ほど羽田委員のほうから話がございました今回の「郵便事業の当面の課題」と称する、これは新聞にたくさん出ておりますから、非常に反響を呼んでいるわけですが、このことについて私は、きょうは時間が非常に短いので、あとは同僚議員にこれを引き継ぎますから、ひとつ私の考え方なりを申し上げ、大臣の御見解を承りたい。  この「郵便事業の当面の課題」というのは、ずっと読んでみますと、当面と書いてありますから、確かにいまなすべきことだというふうに理解はできますが、郵便の遅配、欠配といういわゆる社会問題が最近起きてきた、これは郵政事業にとってはかなり危険な様相だということは、これは私どもとしてはよくわかります。ただ、昭和五十年には郵便の物は百四十億になるという、そういう状況がこの中に書かれております。こういう百四十億ないしはこれからはそれ以上のものが出てくるだろうということが予想されるわけでございますが、そういう意味からいうと、当面のことについて、郵政大臣の何とか解決したいという気持ちもわからぬわけではないわけでありますが、長期的な構想に立って、これからどんどんふえていく——これは人手がなければ処理できないという郵政事業の特殊性からいうと、百五十億ないし二百億に達するであろう郵便物処理、そうしたことには、むしろ長期的な構想に立って、その設備投資の資金を導入するとか、こういうようなことをやらなければ、小手先細工だけではこの問題はもう解決しないというふうに私は思うのです。  そういう意味では、この井出構想といわれるものは、これは何べんも言うようですが、当面とあるわけですから当面とお考えになっておられるのでしょうが、これだけでは問題は片づかないのじゃないか。もう少し長い目で、一体郵政事業はどうあるべきかということについて考えていかなければならぬのだというように私は思いますが、これについて大臣は一体どういうふうにお考えなのか。  さらに、この郵政事業の今後の経営の方向でありますが、いまの労使関係の紛争を見ておったりいたしますと、官僚機構といいましょうか、そういうことではもう郵政事業というものは抜本的に解決できない。むしろこの際、国民のあらゆる側から郵政事業についての意見を取り入れる。それは、利用者でありあるいは学者であり、経営者であってもいいと思うのです。そういう者の意見を取り入れて、一体郵政事業はこれからどうすべきかというような長期の構想を立てるべきではないだろうかというふうに私は考えるわけです。特にこの構想の中に、「公社化答申も踏まえつつ、」こう書いてあるわけでありますが、御存じのようにこの公社化は、いま郵便、保険、貯金というような問題をめぐって、政府の内部にも相当な反論が出ておるようですね。そういう公社化の内部で郵政事業というものの将来の展望を考えるということではなしに、いま私が申し上げたような長期の展望に立って、多くの意見を取り入れた構想を立てるべきではないだろうか、このように思いますが、大臣の御見解を承りたい。
  87. 井出一太郎

    井出国務大臣 武部さん御指摘になりましたもろもろの点につきましては、私もおおむね同感でございます。郵便事業の持っております、内在しておる体質的なものに対する御認識も、御指摘のようなものだと思うのでございまして、せんだって新聞に載りました、しかもまたきょう御質疑を願っております当面の問題でございますが、これは井出構想というようなタイトルを用いた新聞もありましたが、そう大ぎょうなものではございません。むしろ当面手軽に——手軽でもないんですけれども、まずまずさしあたり解決すべきものありとするならば、かようかくかくというように例示をしたわけでございまして、私どもとしては一種の中間的な結論のように考えておるのであります。  これはこれとして、もっと長期的な展望に立って、もっと高い次元から分析をすべきであろう、これも私、異論のないところでございます。  それから、「公社化答申も踏まえつつ、」という表現がそこに用いてありますが、これは従来の懸案であり、郵政審議会という権威ある機関が答申をしてくださったものでありますから、これを無視するわけにはまいりませんし、それと郵便事業基本問題協議会という省内における機関、一方、公社化についての対策委員会も省内にあるわけでありますから、これは同時並行的に問題を煮詰めていきたいと考えるのでございまして、あくまで当面と書いてありますとおり、まだもう少しこれは奥行きがあるんだというように御理解をいただきまして、最後に御指摘になりました、何としても人の問題が大事じゃないかとおっしゃるこれも同感でございまして、そういうような点から解きほぐしていかないと、幾ら作文をしてみても、青写真をかいてみても、これはほんとうに効果はあがらない。やはり問題は、その一番の基礎にある、人は石がき、人は城なんだというふうなところから入っていくべきだというふうに考えております。
  88. 武部文

    武部委員 武部節みたいなわけにいかないわけで、なかなかむずかしいわけですが、それではあなたのほうがお出しになったこれを読みますと、省力化——省力化というと私どもあまり聞きなれないことばだったんですが、省力化、合理化ということが出てきておるわけですが、郵政事業というのは何といっても人ですから、そのときにはその省力化、合理化ということにおのずから限度があると思うのです。その場合には、そのとる道は一体何かということになれば、いろいろ論争が起きましたが、労務政策中心というそういうやり方ではなしに、私はそういう政策を改めて、職員が生きがいを持って、そうして誇りを持って郵政省につとめるというようなやり方でなければ、とてもこれは解決できないというような気がしてならぬのです。杉並に私も行ってみましたが、あれは特殊な例かもしれませんが、あとで申し上げたかったのですけれども、たとえば東京あたりでは、募集しても半分ぐらいしか来ぬというような状況ですね。そしていつでもやめるぞという体制、こういうような状況があるわけですね。それだけ人手不足です。これは合理化だって省力化だって限度があるわけです。そういう面から考えると、なるほど当面の課題としてはわからぬわけではないけれども、そういう基本的な方針というものを頭に置いて当面の問題を解決していかなければならぬのじゃないだろうかということを、私は特に強く要請しておきたいと思うわけです。  そこで、時間の関係で先を急ぎますが、この中で賛成する点がたくさんございます。確かに私どもとしてもこれが実行できればたいへんけっこうだと思うのですが、少し疑問に思ったことがございますから、この際お伺いをいたしておきたいと思うのです。  先ほども御意見があって、緊急を要する郵便とそうでない郵便と二種類をつくるというようなことをおっしゃっておったわけですが、第一種の中に大体ダイレクトメールの割合はどのくらいありましょうか。
  89. 竹下一記

    竹下政府委員 この詳細、精密な調査を実はまだいたしていないわけでありますが、昨年やりました一万世帯に求めましたアンケートの結果等から推測いたしますると、第一種郵便の中で、いわゆるダイレクトメールと称する広告類を内容とする郵便は、二割から三割程度あるのではないだろうかと思います。  ところが、新聞等によりますると、ダイレクトメールということばの使い方が、非常に広くとった用語として使っている新聞もありまして、個人間、個人と家庭との間の消息通信、安否通信以外のもの一切をダイレクトメールといっている場合もございます。その中には、会社相互間あるいは会社と株主の間といった業務用通信が入りますが、これは内容的にはきわめて大事な内容を持った通信でございまして、そういう広い意味でダイレクトメールということばを使いました場合には、やはり一種郵便物の中の七割から八割のものがそういう郵便があろうかと思います。
  90. 武部文

    武部委員 それでは二つ続けて御質問いたしますが、通信文などのいわゆる第一種の料金というのは、公共料金のいわゆる物価抑制の面からいって、これはむしろ上げるべきではない。値下げをすべきだ。むしろダイレクトメールのような企業の出す文書については、もっと適正料金にすることが必要ではないかという声が非常に強いのです。あなた方お聞きになっているかどうかわかりませんが、われわれ確かにそういう面があると思うのです。ですから、料金体系の中で第一種は値上げをすべきでない。むしろその中でダイレクトメールというようなものについては、どのような料金が適正かわかりませんが、むしろ適正料金をとるべきではないかというように考えますが、これについてはどうでしょう。
  91. 竹下一記

    竹下政府委員 従来の料金の立て方は、御指摘がございましたように、個人通信の場合もダイレクトメールの場合も同じく大部分のものが第一種定形郵便物でございまして、同一料金になっておるわけでございます。このことにつきましてはいろいろ問題があろうかと存じますが、現行の制度はそういうふうになっておりまして、郵便の扱い方といたしましても、いわゆる高等信と俗にいっております信書を内容とする郵便とダイレクトメールとは全く同じ扱い方をしておるわけでございまして、その扱いについては差等を設けるべきではないかという御意見も一部にあるわけでございます。その差等の、あるいは区別の設け方いかんによりまして料金というものが違ってくるかと存じます。  その点につきましては、今後研究問題でございますけれども、この「当面の課題」という印刷物の中で提起しております課題の一つである早い郵便とおそい郵便と、この制度のあり方について今後検討してまいりたいということを申し上げておるわけでございますが、いわゆるダイレクトメールのたぐいは、この場合おそい郵便というグループの中に入る、そういうことで対処してまいるのが、いまの事態に一番適当ではなかろうかということを私どもは寄り寄り話し合っておる段階——きめたわけではございませんが、そういう段階でございます。
  92. 武部文

    武部委員 確かに高等信とダイレクトメールというものは、私は料金に差があっていいと思うのですよ。そういう点についてはやはり検討すべきだと思うのです。これはいろいろ研究課題になろうかと、そういうように私は思います。  先ほどもお話がございました、例の外務職員を管理職に登用する、これは大賛成です。ただ問題は、これは現在の人事院規則なりあるいは公務員法などと抵触するおそれがありますね、試験制度の面からいって。そういう面については、適用除外で思い切ってそういうような人事政策というものを立てなければならぬ、こう思うのですが、そういうお考えはありましょうか。
  93. 神山文男

    ○神山説明員 お答えいたします。  ただいま、人事院の初級職試験でございますが、これの適用は郵便の内勤でありまして、郵便の外勤は試験の対象外ということになっておりまして、試験の制度が若干異なっております。それで外務員の採用につきましては、郵政省における職員の採用規程を設けまして、これによる試験を実施しております。両方とも試験を実施していることは同じでございますが、制度として若干異っているということでございます。  外勤職員を内勤に転用するということにつきましては、現在内勤職員につきましても、郵政省の場合非常に地域的に山間僻地もあるということで、必ずしも初級試験合格者のみをもってしては内勤に充て得ないという面もありまして、職員採用規程による試験合格者から選考任用するというやり方もやっておりますので、制度的に外勤職員を内勤職員に転用するということは、現在においても可能であろう、こういうふうに考えております。
  94. 武部文

    武部委員 私は管理職のことを伺った。先ほど答弁がございましたが、課長課長代理というのが一〇何%ございましたね。ここどまりですよ、ほとんど。うまくいったってそれ以上のものはほとんどない。現場に行ってみればないのです。そこで、あなたのほうがそういうような何か登用の道を開くということならば、これは人事院規則なりあるいは公務員法というものと抵触するおそれがある。だれでもかれでもできるというわけのものではないのですから。そういう意味においては、思い切って適用除外というようなことをしなければ、これはスムーズにいかないではないかというような気がするわけですが、いまの答弁ですといけそうだということだけれども、それはおそらく数に限定があろうと思うのです。そういう意味では、外務職を管理職にするという精神については私も賛成ですけれども、それがスムーズにいくような方法をぜひ考えていただかなければならぬ、こう思います。  それから、先を急ぎますが、通区手当のことについてお考えになっているようですが、通区手当というのは一体何なのか、何%くらいの人がこれを受給することになるのか、ちょっとそれをお伺いしたい。
  95. 竹下一記

    竹下政府委員 いまから細部につきましては検討するわけでございまして、まだ固まったものではございませんが、おおよそ三区以上の通区能力を持っておるという認定をいたしまして、この認定のやり方につきましても、いろいろこれは問題があろうかと思いますが、そういう点につきましては、いろいろと目下考究をいたしておるわけでございますが、ともかく通区能力個人別に認定をいたしまして、いまのところおおよそ三区以上の能力を持った人につきまして、その能力の段階に応じて、かつまた、その日々の就業の事実の確認の上に立ちまして、日額制の手当というものを支給してまいりたい。今日、そういうものがないわけでございます。  ところが、職員の努力、経験等によりまして、ある人は相当の区につきまして通区ができるという人がおります。ある人につきましては、その努力が足りないという人もあるわけでございますが、そういう個人能力の差というものも反映いたしまして、能率給的な手当というものを開始したい、こういうふうに存じております。その中で、何割の人が通区手当の対象になるかということにつきましては、これはまだそこまで問題を煮詰めておりません。
  96. 武部文

    武部委員 この構想の中に、「現行の外務職の画一的、年功加給的な給与体系を改めて、勤務能率に応じた給与を支給できるような仕組みをとりいれ、勤労意欲の向上を図るとともにその労に報いる給与体系としたい。」ということばが出ておりますね。これは私は誤りだと思うのです。これは問題なんですね。これは、少なくともこの中から出てきたのがいまの通区手当だと思うのです、それに関連をして。外務員の給与を能率給的な、勤務能率に応じた給与とする、年功加給的なものじゃだめだ、この考え方は、私はいまの現業の実態から全く遊離したものだと思うのです。これは私は誤りだと思うのです。むしろこういうことをすれば、競争心をあおっていくのですよ。現場の第一線における外務職員諸君の競争心をあおる。むしろむだな摩擦を起こすことになると思うのです。外務職員というものの俸給は、少なくとも雨の日も風の日もたいへんな苦労をいとわずに配達しておる、そういう外務職という職員に対して、いわゆる内務職員と違った外務職員の俸給表を適用しておるのです。それを、こういうふうに構想を変えて能率給的なものにするということについては、全面的に反対なんです。むしろ外務職群そのものの俸給表を、いまの俸給表の上にもっと上積みをして、そして喜んで外務職にみんながやってくるようにすべきだ。  さっき、郵務局長は通区手当のことをおっしゃって、私は聞いておって、能率の判定はどうするかということについて、いまお述べになったような三区程度とか、あるいは客観的な事実に基づくとか、あるいは勉強ぶりとか、出勤状態とかいうことをおっしゃった。こういうことを現実に現場の第一線の局に当てはめたらどういったことになるか、私はそれがおそろしいと思うのです。これは必ず混乱を起こすのです。そういうことではなしに、さっきから申し上げるような外務職群という特殊な職種、そういうものについて郵政省が内務職群と変わった俸給体系をとってきた。それでもなお人が来ないのだ。そういう点から、いわゆる外務職群と同様な労働をする者、勤務状態を行なっておる者との賃金の比較をしながら、この外務職群の待遇を高めていく、これでなければ、こうした問題は解決しないと思うのです。むしろ逆な現象を起こしはしないかという危険性を持っておるのです。ましてや通区手当は、いまおっしゃったようなことは現実に実行できないと思う。これは必ず混乱を起こすのですよ。  この外務職群というのは、なるほど三区程度ということになれば、八、九〇%の者が該当するでしょう。該当するかもしれません。残った者はどうなるか。一体その判定はだれがするのですか。たとえば、一〇%くらいの者が残ったとします。それは三区の通区ができなかった。それに近い通区はするかもしらぬが、それが落ちた。片方のは入った。そういうことは無用の摩擦を現場に起こすことになるのです。私はそういう点について、この問題だけは納得できないのです。ですから、これからいよいよ構想がまとまると思うのですが、ひとつ十分現場の意見を聞いて、そしてそのことによって混乱が起こらないように、ひとつ十分な配慮をしてもらわなければならぬ、私は特にこの問題についてそういう見解を持っておるので、申し上げておきたいと思います。  そのほか、ママさんの配達が公務員だとか公務員でないとか、通信の秘密とかいろいろなことがあるようですが、そういう面についてもいろいろの意見がありますが、きょうは時間の関係で、私たいへん時間を超過したので、これはやめたいと思います。  この間私、サンケイ新聞を見た。ここにゼロックスにとって持ってきたのですが、「全逓が“郵政再建案”役場事務請負も検討」こういうことは、いまだかつて労働組合が結成されて以来私は初めてだと思う。こういうことを労働組合自身が考えるようになった。これはいまの郵政事業というものが、たくさんの職場を持ち、あるいはへんぴな農村から非常に過密化した都市までたくさんの段階をかかえておって、自分たちが働いておる中からいろんな見解が出たことが、こういう見解になったと私は思うのです。労働組合がこういうことを言ったのは画期的なことですね。  ですから、こういう点について、一体郵政事業の将来はどうあるべきかという点については、現場の従業員、その代表である組合、そうした者と十分意思疎通をはかって、意見を聞きながらその解決策を立てていただきたい。さっき申し上げたような外務職の俸給表の問題、あるいは通区手当の問題、登用の問題、あるいはママさんが団地に配達する問題、そういう点については、具体的な案を立てる場合には、私が申し上げたような点について、ひとつ十分な配慮をして再建策というものを立てていただきたい、このように思いますが、最後に大臣の見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  97. 井出一太郎

    井出国務大臣 ただいま数々御指摘のございました点は、これから問題を煮詰める上において、私のほうも十分に関心を持って注意をしてまいりたい、かように存じます。
  98. 武部文

    武部委員 それでは、私の質問はこれで終わります。
  99. 内海英男

    ○内海(英)委員長代理 土橋一吉君。
  100. 土橋一吉

    ○土橋委員 時間がないので、二つだけ質問をしたいと思います。  一つの点は、下谷郵便局の敷地の問題と、もう一つの問題は、この春全逓労働組合が休暇をとったということで、郵便物が滞留をしたということで、これを郵政当局は、ついせんだっての新聞によると、約四千名を処分するということを発表しておるわけです。どういう根拠に基づいてこういう不当な処分を行なうのかというような点について質問したいと思いますので、答弁の内容を準備して答えていただきたいと思うわけです。  この前本委員会において私が質問をいたしました、下谷郵便局の敷地約七百五十坪前後、これが坪当たり百七十二万円で、昭和四十三年六月十日の日に、中田正一東京郵政局長と京成電鉄株式会社社長川崎千春との間に契約を結んでおるわけであります。この前も指摘したように、上野駅は近々のうちに大改造しまして、地下道を通すとか、あるいは御徒町さらに広小路方面から上野の駅に向かって、大きな地下道と商店街の建設があるとか、こういうことが両三年前からいわれておるわけです。したがって、この問題は井出郵政大臣が直接関係していないようでありますが、小林元郵政大臣あるいは河本前郵政大臣などが策動いたしまして、これが坂本方面へ移るように相なっております。この取りこわしについても、やはり取りこわし賃は郵政省が負担をしておるようです。  この値段は、大体同時刻起こった事件で、大宮駅前の元大宮郵便局敷地あと、これをやはり坪百七十一万円で転売をしておる問題で、すでに新聞でも皆さんが御承知のように、大宮市会議員の多くの諸君とかあるいは市長が、この問題でたいへんな騒ぎをしたといわれておるが、少なくとも一日約七百本以上の列車、電車が発着をして、そうして四十五万以上の人々がおりるといわれる上野駅前は、日本の駅の中でもおそらく最も大きい駅の一つだと思うわけです。  したがって、この下谷郵便局の敷地あとというものが、どんなに高価なものであるかということは、もうこの前郵政大臣の答弁でもその点が出ておるわけですが、つい三、四日ほど前、私もう一回あの地域を全部調べてまいったのですが、それに対して郵政大臣は、一体あの下谷郵便局の土地を確保することについてどういう努力をしたのか、一体どういう考えでおられるのか、いま一度確めてみたいと思うので、御答弁を願いたいと思うのであります。
  101. 井出一太郎

    井出国務大臣 土橋さんから前回も同様な御質疑がございまして、私も上野駅は時に利用するものですから、再々あなたからもおっしゃられまして、注意をしながらあそこを通っておるのでございます。  確かに日本じゅうながめましても、上野駅前というのは非常に繁華な地価の高い例の一つでございましょう。それだけに、今度は場所がよ過ぎてかえって交通難などの今日においては、利用価値にマイナスの面の生ずるということもあるのではないか。しかも非常に狭隘である。あそこにもっと大きなものを建てなければならぬということからいたしてみますと、これは私の前任の時代にできたことではございますが、思うに、まずもう少し広い場所へ出るべきだという判断をしたことは、決して誤りではないように私は思うのであります。  したがいまして、自余の問題は、当時の経過その他については、担当者のほうが詳しいでございましょうから、御答弁を引き続いて申し上げることにいたします。
  102. 竹下一記

    竹下政府委員 いま大臣が申し上げましたとおりでございますが、あの場所はたいへん繁華街でございまして、郵便局の利用も多いということは予想されます。したがいまして、下谷局が坂本地区へ移りましたあとにおきましては、いまの——いまと申しますことは、従来ございました下谷局の敷地あと、これは京成がいずれビルを建てることになると思いますが、その一画に郵便局の窓口を置くということをいまから予定をして、相手方と覚え書きにおいて交換もしておるわけでございまして、郵便の窓口は必ず置きます。それは置くべき必要の場所かと考えております。  ただ、郵便局自体の作業を考えますと、従来の下谷局の三倍以上の容積を必要とするわけでありまして、いまの七百坪の敷地にはとうてい建たないわけでございます。それから繁華過ぎまして、いまでもそうでございますが、郵便自動車の出入れがとても困難をいたしております。そういう事情も、移転の一つの理由になっております。
  103. 土橋一吉

    ○土橋委員 裁判所の手続やあるいは皆さんの書類だけ拝見しておりますと、これは一応筋は通っておるわけです。しかしながら、御承知のように成田新空港が四十六年度以降発足をいたしまして、そして成田の飛行場、また上野の駅自身が、いま申し上げますように大改築をする。そして松坂屋から西郷さんの銅像の下を通って上野の駅に抜けていく、ちょうどそのかどのところに下谷郵便局は当たるわけです。郵政大臣がはしなくも、土地の効率から言うならばという一言を漏らしておったわけでありますが、私は再三申し上げますように、この土地は郵政省が持っておるたいへんな宝であります。これは東京中央郵便局の所在を見ても、あるいは名古屋中央郵便局の所在を見ても、あるいは京都中央郵便局、その他大阪の中央郵便局などを見ましても、すべて駅前に持っておるわけであります。なぜ下谷の局だけが、そういう坂本くんだりの一番東のはずれのほうに移らなければならないのか。  いま申し上げますように、京成電鉄そのものが、電鉄業務よりは土地ブローカーあるいは土地の売買等によってばく大な利潤をあげておることは明白な会社であります。こういう会社のもとに下谷郵便局の土地が取られるということは、書類の面においては一応納得のできる説明はしておるけれども、だれが考えてみてもその背後における、いわゆる有力な政治家、それと川崎千春、同時に川崎千春の一年後輩である上山中野区長、こういう関係が、ずっと一連のいわゆる黒い霧の問題として残らざるを得ないわけです。まして、坪百七十二万円で売ったと言いながら、取りこわし料は全部郵政省が払っておる。そうすると、坪当たりどう考えても当時の値段で二百五十万、現在では四百万といわれておるこの高価な土地を、そういう方法で国有財産の処分を不当にするということは、これは私、現郵政大臣もひっくるめて、将来に非常な禍根を残すものであると思うものである。  いま申し上げますように、こういう大切な土地、これは七百五十坪もあるんですから、これは京成電鉄は、この新聞の報道によりますと、こういうことを書いておるわけです。地下三階、地上九階、約三万三千平方メートルの売り場を持つ百貨店を七十五億円で建造するということがいわれて、一面ある面においては、地元の商店街でこれに賛成する者もいるけれども、実際郵便業務の集配その他から見ればまことに不都合である。片方に、東側に浅草郵便局がある。そして上のほうには、御承知のように本郷郵便局を持っておって、そしてあんな東のはずれのほうに行って郵便局を開設をする。現在の鉄道郵便局で窓口事務ができておるわけです。それで実際の現場は、両大師のあの中で仕事をやっておる。こういう不都合なことをやって、それでも郵便業務は一応まかなわれておるわけです。どこにあれが狭いというのか。現在新宿郵便局などでも、高い建物を建ててりっぱに業務をやっておるではないか。  こういう点を考えてみると、あなた方の説明はつじつまを合わせただけであって、内容としては非常に黒い霧の問題が依然として存在をしておる、こういう点を私は指摘せざるを得ないのであります。でありますから、小林郵政大臣から井手、郵政大臣に至るこの三大臣のもとにおいて、この問題を善処しなかったということは、将来日本の郵政事業についてはたいへんな禍根を残すものであるというふうに私は考えております。それでもなおかっこの問題を、竹下郵務局長などが言われたような精神で押し切ろうとするのかどうか。  いま一つの点は、中野区役所あとにおける土地の問題についてもいろいろ意見が出ておりますが、地域住民のためにこれをある程度開放して、そうして皆さんの要求では千三百坪あればよろしいということがいわれておるわけです。そうすれば当然地元の関係者、地元の方々のために、あるいは中野区民のためにこれを開放するという考えがあるかどうか、こういう点を簡単に答えていただきたいと思います。
  104. 竹下一記

    竹下政府委員 これは前回お答えをしたのでありまして、繰り返しになりますが、郵便局が駅に隣接してあるということがいいことではないか、こういうお尋ねのようでございます。この下谷は、駅前から少し離れたところに移るわけでございまして、不都合ではないかというお尋ねかと思いますが、駅舎と隣接して郵便局がありますのは、いずれも郵便物の運送の都合上郵便局と駅舎とが地下道で結ばれておるという、そういう特別の意味がございまして、郵便物を地下道を通じてプラットホームに運送するということをやっておるわけでございまして、東海道線の大局は、東京中郵はもちろんでございます。名古屋、京都、大阪、みな地下道でもって結ばれておりますから、駅に隣接しなければならないわけでございます。  ところが、下谷局につきましては、従来地下道を持っておりません。それほどの物量がないわけでありまして、路面輸送でもって郵便物を運送しておるのが過去の姿でございまして、今後とも地下道でもって結ぶ計画を持っておりません。したがいまして、必ずしも駅の前あるいは隣に局舎の位置を定めなければならぬという理由がないわけでございます。そういう意味を込めまして、そのほか先ほど申しましたいろんな意味合いを込めまして、いまの場所からもう少しゆったりと作業ができるところへ引っ越そうというわけでございます。
  105. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、地下道が必要だから下谷郵便局がいいなどと言っていないのであります。つまり、郵政業務の看板である下谷郵便局が、上野の駅がよくなると同時に、やはりあそこに郵便局があるのだということが、郵政事業業務発展の上においても非常に大切なことだということを指摘しているのであって、しかも高価な土地を、わざわざ坂本くんだりのあんなところに行って営業をやるなどということを考えること自身が、第一ふしぎじゃないかということ。  もう一つは、いま申し上げるように、これを買った京成電鉄の川崎千春という社長があまり評判がよくない。土地ブローカーなどをやって、交通事故なども起こしておる。こういう者が中に入ってこれを売るというような、しかもそれが時価の半分くらいで売って、おまけにばく大なこわし賃までかかっておるわけでしょう。そうすれば実際は、大宮の中仙道にあった元大宮郵便局の土地より安い値で売っておるわけですよ。  こういうばかばかしいことをやって、しかもそれが一応正しいかのような説明をされるあなた方の良心、つまり郵便業務将来の発展のためにこういうことが正しいのかどうかということを質問しておるのであって、将来下谷郵便局のところに地下道がちゃんとできて、いま申し上げるように、松坂屋から上野の駅のほうにまたがってりっぱな商店街ができれば、いや応なしにあそこがかどになって、地下道を利用して郵便物が東北方面にも輸送できるのであって、またこの予定の地図を見れば、ちゃんとそういうことを書いておるわけです。あなた、こういうものを見ないでそういうことを言っておるが、これを見れば、ちゃんと上野の駅といまの下谷郵便局のところを抜けるようになっておるわけですよ。そういうまことに便利なことになるにもかかわらず、これを売るということはどういうわけか。しかも時価の半分の値で売って、あの鉄筋コンクリートの下谷郵便局のこわし賃まで出してこれを売るというようなことが、はたして正しいのかどうか、ここのところを私は聞いておるわけです。  もうこれ以上答弁は要りませんが、私は終生この問題について、小林郵政大臣、河本、井出三大臣の間でこういう間違ったことが平然として行なわれたということを、やはり逓信労働者、すべての皆さんに示しておかなければいけないと思うわけです。そのほかに、多くの土地の売買あるいは郵便局の建てかえの問題などについて、こういう問題がひんぴんとして起こっておると私は思うわけです。こういう不都合なことをわれわれは許してはならない、少なくとも郵政業務は、そういうことについてやはり清潔であってほしい、こういう念願から再質問をしたのであります。  続いて、私はせんだっての杉並郵便局における不当な首切り……。
  106. 井出一太郎

    井出国務大臣 ちょっと一言だけ。  あなたが、上野駅の場所柄これを惜しまれる気持ちですね、言うならばあれは郵便局の場所としてはまことに適当な場所であって、何か郵便の象徴みたいに、一種の郷愁をさえ覚えられるようなそのお気持ちは私もわかりますが、当局はおそらくもっとドライに、現実の要請にこたえるために措置をしたというふうに私は理解をするわけでございます。さらにまた、小林元大臣以来ずっと三代にわたって、さっきのお話では、終生あなたの怨霊がたたるようなことではたいへん困りますが、これはやはり社会通念というものがおのずからありますから、そのときの地価は、そう無理なものではなかったのではないか。私は直接タッチはいたしませんけれども、そんな感じでおるのでありますが、何かばかに黒い霧があるようにおっしゃられても困りますから、一言釈明申し上げておきます。
  107. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は繰り返して言いますけれども、当時の値段が、いま申し上げたように中仙道の大宮の駅から二百メートルも離れておって、そうして当時の人口二十二万の大宮市のそこの土地よりも一万円しか高く売っていない。おまけにこわし賃は全部自分で自前、こういうばかばかしい売買契約をやっておるということ自身が、あなたがどんなに理屈を並べようと、ドライであろうと何であろうと、こういうばかばかしいことは許されないということを私ははっきり言っておきたい。でありますから、即刻にやはりもう一度よく調べて、こういうでたらめなことをおやりになることは、郵政事業全体にとってもそうだし、国民全体の疑惑を一そう増すものである。土地の効率の点からいって、あなたもちょっと言ったけれども、そのほうがいいかもしれない、デパートでも建てて、十階、三十階のものを建てて、上野が繁華街になるということをもし予想してそういうことをやったとすれば、これは不届き千万だ。もしそういうことに乗っかっちゃって、川崎千春などとぐるになってこれを売買するようなことがあったとするならば、これは郵政業務の内容を忘れたものであって、これこそ許しがたいものであります。  最後に私はお聞きするが、四千名の処分をするというのは、一体どういう法律の規定に基づいて処分をするのか。どういう不都合があったのか。一般全逓労働者は年次休暇をもらって、いわゆる休暇で休んでおるが、たまたまその結果によって……要するにあなた方の今日までの説明によりますと、非常に郵便物がふえているにかかわらず人員がふえていない、またパートなどの点で多くの方々に迷惑をかけて処理をしておる、こういう事態の中で起こった問題でありますから、私は四千名の処分に対しては、直ちに撤回をすべきだ。また、あなたは宝樹委員長とそういう問題について、どういう話し合いをしてあの結末をつけたのか、こういう点について、率直に説明をしていただきたいと思うわけです。
  108. 井出一太郎

    井出国務大臣 お答えをいたします。  前回、休暇闘争が行なわれましたこと、私もたいへん残念に存じます。しかしながら、これは本来郵政の従業員がおのずから置かれておる立場から申しますると、やはり法規典礼に照らしてどうもあの措置はやむを得なかったものである、かように考えておるような次第でございまして、そういった法律的な問題は、審議官のほうから申し上げます。
  109. 神山文男

    ○神山説明員 五月二日に、御質問にありましたように約四千名の処分を行ないました。  これは、三月末から四月上旬にかけまして、各郵便局におきまして年休闘争と称しまして一括年休の請求書を提出し、あるいは年休の請求を提出しない場合もございました。年休の請求を一括して出した場合、所属長におきまして、これは年休闘争という違法な闘争の一環であるということから、年休の承認を与えなかったということでございますが、それにもかかわらず同日休んで、結果的には勤務を欠いたということでございまして、国家公務員法の八十二条に照らしまして処分いたしました。
  110. 土橋一吉

    ○土橋委員 もう時間がなくなりましたが、いまあなたの処分したというのは、国家公務員法八十二条ではなくて、十七条と十八条でしょう。条文をよくごらんなさい。
  111. 神山文男

    ○神山説明員 国家公務員法八十二条でございます。
  112. 土橋一吉

    ○土橋委員 いまあなたがお話しになったのは、憲法第二十八条の規定によりますと、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」ということが憲法の条章によってはっきりしておるわけですよ。したがって、国家公務員法は、この憲法の規定に抵触する場合には、当然その法律は無効であるか、違法でなければならない。これがいわゆる近代的な法律の基本的な解釈であります。したがいまして、憲法第二十八条の規定に基づいて、団体行動する権利やあるいは休暇を申請する権利は当然過ぎるほど当然の権利であって、これは憲法第二十八条の違反行為であります。  でありまするから、この二十八条に違反をする国家公務員法であろうとあるいは公共企業体の法律であろうと、それは無効であるかあるいは違法であるか、この両方しかないのであります。したがって、憲法第二十八条の規定から、これは基本的な労働運動あるいは働く者の権利、これを侵していることは間違いないのであります。ですから、すみやかに二十八条の規定によってこの国家公務員法が改正されるか、あるいはこれを削除しなければならない立場に立つのでありまして、その違法な、間違った法律で処分するとは一体何事ですか。この答弁をもう一回明確に願いたい。憲法第二十八条の規定に基づいて、われわれは、当然また郵政省も、この権利を保障しなければならない。この点を明確に答弁していただきたい。
  113. 神山文男

    ○神山説明員 私どもといたしましては、公務員法八十二条は合憲であるというふうに考えておりますし、従来、第三者機関においてそういう決定もされておりますので、そういう考えでおります。
  114. 土橋一吉

    ○土橋委員 第三者機関であろうと何であろうと、憲法第二十八条はそのことを明記しておるのであって、これはアメリカのダグラス・マッカーサーが日本占領中に、御承知のようにアメリカが朝鮮侵略戦争を行なうにあたって、自衛隊の創設、労働運動に対する弾圧、三鷹事件、松川事件などをつくり上げた、その一連の処置であります。  したがって、わが国が独立国家になったというならば、当然占領中のこういう制限の法律はすべて撤廃をするか、新しく書き直さなければならぬのであります。それを、今日までずるずるとこういうことをやっておる政府の責任は、まことに怠慢といわなければなりません。その一名である井出郵政大臣も、当然その責任を負わなければならない。これは憲法違反であります。占領軍がかってに自分たちの占領政策を遂行するために、日本国民の意思に反して、憲法の規定に反してつくった、そういうものをそのまま今日存続をさせておいて、それで処分したから合法であるなどというのは、もってのほかであります。  私は、逓信委員会において、この憲法第二十八条を正確に守るということと、この基本精神にのっとってやはり労使間における諸問題を解決することは正しい、かように確信をしておるがゆえに質問をしたわけであります。今後ともやはり憲法のこの条章を尊重しなければならぬのは、国家公務員もそうでありますが、われわれ議員も憲法を尊重しなければなりません。これは憲法に明確に規定しているのでありますから、これに違反をする行動をとって、それが正当であるなどという答弁は、本委員会において許すべきでないと私、考えております。すみやかに撤回をするかあるいは善処されんことを要望して、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  115. 内海英男

    ○内海(英)委員長代理 午後二時十分再開することとし、この際休憩いたします。     午後一時四十一分休憩      ————◇—————     午後二時二十三分開議
  116. 金子岩三

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。阿部未喜男君。
  117. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私はまず冒頭に、先般来の大臣のたいへんなお骨折りで、社会の注目しておりました郵政の労使の紛争が片がついたことにつきまして、非常に感謝をしておりますが、先ほど土橋委員からもちょっと質問がありましたが、先般、五月二日でしたか、この闘争に参加をしたというゆえをもって、四千十九名の職員が処分をされておるわけでございます。  実は私、あの話し合いの中から察知をいたしましたのに、郵政省側にもやはり行き過ぎというものがあるのではないか、そういうことも大臣考えになって、それを直してもらいたいという職員の切なる願いから出た行動として、妥結をみた以上は、この際はこういう処分をせずに、お互いに反省し合おうではないかという結論が出るものと期待をしておったのですけれども、残念ながら四千名をこす多量の処分が、法に照らして、こういうおことばで出ておるわけでございます。  そうなりますと、それでは管理職にある方々で、明らかに組織に対する不当介入をした者、差別人事等を行なった不当労働行為についても何らかの措置をとるのか、こういう意見が組合側から出てくることは理の当然で、当然そこには感情的なしこりが残るし、せっかく労使が力を合わせて郵政事業を正常化しようではないかという大臣のお考えが、この処分によって一歩後退したような気が私はしてならないのです。何とかほかにとり得る措置はなかったのか、また、これからの問題としてもそうですが、特段の配慮をする方法はないのか、ひとつ政治的な配慮をもって大臣のお考えを承りたいわけでございます。
  118. 井出一太郎

    井出国務大臣 先ほども土橋さんにお答えをいたしましたが、私も今回のことはたいへん残念に存じております。いま阿部さん一方的というふうにおっしゃいますけれども、本来、法に違反した行為、これはすべからざることをされたということであって、これに対する責任を一応問うということでございますが、同時に、しからば、一方的にというお話でありますけれども、先般の一連の経過を通じまして、一つの教訓は得ておるはずでございますから、こういう点につきましては、少し目盛りを長くして見ていただきたいという感じがいたします。  いずれにもせよ、こういう悪循環みたいなことをしておったのではいたし方ありませんから、一応今回のことはこれで一つの折り目、けじめというふうにお考えをいただきまして、なお、これで事済んだというつもりでは毛頭ございませんから、十分にこれからのアフターケアと申しますか、そういう注意をいたしてまいる所存でございます。
  119. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣の御決意もあるようですから、それを期待いたしますけれども大臣もちょっとことばで漏らされましたように、言うならば双方にそれぞれ落ち度があったといいますか、行き過ぎがあったといいますか、事実私も幾つかの問題をここに指摘をせよというならばできるわけです。しかし、そういう一つ一つの問題ではなく、郵政全体の中に流れておるいわゆる不信感が問題であり、それゆえにやむにやまれず抗議の行動をした、そういう理解をするならば、組合員だけをこの際処分して、片一方の不当労働行為というものについてはそのままになるということは、かえって不信感を増すゆえんにならないかということを心配しておりますけれども、あの妥結以来、職場に参りましても幾らか空気が変わってきております。それは非常に喜んでおりますが、でき得れば今後も十分大臣なり幹部のお考えを下部の職場まで浸透させて、この処分がむだにならないように、これをもって大臣の言うように、郵政の労使の関係をほんとうに正常化していく一つの契機にしていただくように、格段の努力をお願いしたいと思います。  続いて質問をさせてもらいますが、実は「郵便事業の当面の課題」いわゆる井出構想というのが先ほど来問題になりまして、羽田委員武部委員からもそれぞれ質問がありましたので、重複は避けたいと思いますが、なお疑問のある点につきまして、幾つか質問をいたしたいと思います。  先ほど武部委員のほうからもお話がございましたが、四月十三日のサンケイ新聞に、「遅配解消へ女子配達員」というので、全逓の労働組合のほうで論議をして、郵政事業のいわゆる遅配解消、近代化の問題について、事業のあり方等をいろいろ検討されておるようでございます。特にこの中で全逓の宝樹委員長は、労働組合としては問題が残るものもあるけれども、今日の郵政事業の実態から真剣に取り組まなければならないのだという意味の意見を述べておられるようですが、まさに今日労使の双方が、郵政事業の危機について何らか打開の方策考えなければならないという点では、意見の一致を見ておるやに推測されるのでございます。  そこで、「郵政事業の当面の課題」の中で、郵便事業基本問題協議会というのがこれを進めていく中心になっておるようでございます。先ほどその組織についてちょっと検討さしてもらったのでございますけれども、この組織の中のそれぞれの役員といいますか、そういう方々はほとんど郵政本省におられる局部課長、そういう方々をもって集められておるようでございますから、それならば、ことさらここに郵便事業基本問題協議会云々という名前をつけなくとも、これは朝晩机を並べ、顔を会わして仕事をしておられる方々ですから、この大臣の新しい意欲的な構想を政策に移していくためには、もっと幅の広い各分野からの意見を取り入れて、当面のこの問題処理が必要じゃないかという気がするわけでございます。  具体的に申しますと、この基本問題協議会の中に学者の方々を加える、あるいはいま申し上げた、直接事業を担当しておる職員で結成をする労働組合の方々もこの協議会の中に加えて、幅広く意見を徴してこれを実行に移していくということが望ましいのではないかというふうに考えますが、この点について、ひとつ大臣のお考えを承りたいと思います。
  120. 井出一太郎

    井出国務大臣 おっしゃるように、郵政部内だけで事を処理しておったのでは、どうしてもこれはマンネリズムになってしまう、こういう意味の御指摘であろうと存じます。これは、まあ言うならば一つの素案をつくるというような作業でございますから、いずれこれをたたき台にして、もう少し各界各層の御意見をこの上にお伺いをして、そういうものを一ぺんろ過させてみるということは、私、非常に有意義であろうと存じます。  したがって、まあそれをどういう形でやるかということは、まだ私も腹案はございませんけれども、決して郵政部内だけで、一種の閉鎖的なものの考え方で押し通そうというのではございませんことを申し上げておきます。
  121. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 たいへん積極的な御意見を承りまして、喜んでおります。  少し続けて内容について御質問申し上げたいのでございますけれども、新しい構想によりますと、早く言えば、急ぐ郵便と急がない郵便ですか、そういうような区分けをしたいというのですけれども郵務局長、これは現在でも、よく新聞の投書なんかによりますと、速達郵便が普通の郵便よりもおそく着いたとか、そういうのがよく投書に出ていますし、また輸送の関係からいくと、そうなる場合もかなり多いようでございますが、この急を要する郵便とそうでない郵便を、どういう形によって分類をして、どういう見分けで見分けていくお考えでございますか。
  122. 竹下一記

    竹下政府委員 まだ正確なところは結論を出しておりません。もちろんのことでございますが、大体の構想でございますけれども速達郵便物というのは現在あります制度でございまして、いま御指摘ございましたように、何かの間違いでもって、普通郵便よりもおくれるということも間々あるようでございますけれども、大勢として見ますると、速達郵便はまあ合格点をいただける程度のサービスを維持しておると私は確信しております。速達郵便につきましては、まあまあよろしいと存ずる次第でございます。  普通通常郵便につきましては、何か事情がございますと、たとえば物の出回りがちょっと異常に多く出回りますとか、欠務が発生しますとか、何かある事情が出ました場合におくれるという現象はすぐ出るわけでございまして、いわゆる慢性遅配、こういったことばでよくいわれるわけでございますが、そのものにつきましては、やはり早い郵便とそう急がない郵便と分けてみまして、扱い方を変えてみたらどうか。  それでは、早い郵便とは一体どういうことかということでございますが、いま私ども考えておりますことは、郵便送達上予定しております結束表というのがございます。これは汽車やバスあたりの時刻表とでも申すべきものかと思いますが、この郵便送達の計画、時刻表というものに乗りましてスムーズに送達されるものがいわば早い郵便である。結束表からはずれまして、少し局内作業の段階、あるいは輸送の段階、あるいは配達の段階等におきまして足踏みする、少しおくれる、そういうことであってもよろしいという郵便が、私は必ず中には出てくると思うのですが、そういうグループを一つ設ける。非常に荒っぽい言い方でございますが、そういう二つのグループが理念的にも分けられるのではなかろうか、また利用者の皆さんにもその方向で御理解がいただけるのではなかろうかというふうに考える次第でございます。
  123. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 郵務局長の輸送の方法等については理解ができるのです。まずその差し出すときに、これが急ぐのか急がないのかという表示の問題です。これの分け方としては、定形と非定形との分け方をするのか、いまの一種、二種というような分け方をするのか、あるいは急ぐ郵便は書留か何か特殊扱いみたいな分け方をするのか、ひっくくる、より分けるときの急ぐ急がないの取り扱いが非常に混雑するのではないかと思うのですが、その辺はどうお考えですか。
  124. 竹下一記

    竹下政府委員 いまお取り上げになりました問題が、早い郵便、そうでない郵便の二速度郵便といいますか、そのものの取り扱いが一番大事なポイントだろうと思うのです。この点につきましては、もちろん成案は得ておりません。  イギリス等でやっておりますことは、早い郵便、おそい郵便制度を採用するに際しまして、従来ありました郵便の種別体系を大変更いたしまして、従来は封書、はがき、印刷物、小型包装物、こういうふうに分けておりましたのを、統合いたしまして同じ種類にする、そうして早いものと早くないものとの二種類にあらためて分けたわけでございます。これは一つのやり方であろうと思いますけれども、日本の場合は、イギリスと種別体系及び郵便物料金体系の立て方が大違いですから、イギリスの流儀をそっくりまねるということにはもちろんまいりません。  したがいまして、差し出された郵便で早いものとおそいものとの識別をどうするかという点につきましては、非常な課題でございますけれども、目下のところは、これも非常に大まかな言い方でございますが、種別体系ということでなくして、いわば特別取り扱いの一つとして扱うということのほうが、日本の現状に合っているのではなかろうか。それにいたしましても、郵便の種類が複雑になることにおいては変わりませんので、この両者の識別のやり方につきましては、今後の研究課題として非常に大きい問題になってくると思います。切手でもって識別するか、それだけではなお不十分でございましょうから、補助的なことを考えなければいけないと思います。が、そういう面につきましては、これから掘り下げていくわけでございます。
  125. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大体引き受けと輸送の経路がわかりましたが、この配達にあたってですけれども、特に近距離の場合、それから過疎地帯等の場合、どのくらいの料金の差をつけるおつもりかはわかりませんけれども、かりに急ぐ郵便が二十円、急がない郵便が十五円で隣の町、隣の市という非常に近いところに出した場合、配達についてそれぞれ分けて配達する、特使をもって配達ということにはならないように思われますので、そうすると料金格差はありながら、同じ時間帯で到着する、配達ができる、何のために料金を高く払ったかわからないというところも結果的には出てくる。有効なところもあると思いますが、そういう意義のない地域もかなりあらわれるのではないか。そういう地域別の何らかの措置については考えておられますか。
  126. 竹下一記

    竹下政府委員 おっしゃいますように、この二速度郵便の効用は大都会にあるわけでございます。東京、大阪、名古屋、北九州等におきましては、郵便局の作業が平均化されるという利点もございますし、郵便速度が全体として安定するということもございまして、非常なメリットがあるわけですが、いなかの取り扱い物数の少ないところにおきましては、せっかく二種類の郵便をつくりましても、実際上の取り扱いは同じになりまして、同時に相手方に到着する、料金差を設けましても意味がない、こういうところも国内には幾つか、何%かあるいは何十%か出てくると思います。  しかしながら、そういう地域につきまして、また別の方式をとるということもたいへんむずかしいことでございますので、そういうものにつきましては、これはまだ究極的なものを結論を得ておりませんけれども、二速度郵便を設けましても、実際利用者が利用される郵便はおそい郵便という、つまり安い値段の郵便を使うということに現実的には落ちついてくるんではなかろうか、そういうふうに思います。そこで、トラブルというものは別に起きないのではなかろうか。制度改正しました直後におきましてはいろいろとあるかと思いますが、やがてそういう姿に自然と落ちついてくるんではなかろうか、かように存じます。
  127. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 その点についてはよくわかりました。  次に、同じく構想の中で、団地における主婦の方々による配達等についてもお考えのようでございますが、たとえば、この主婦の団地配達等をかなりこれからも進めていくとするならば、その方々の身分とか給与、そういう労働条件についてはどのようにお考えになっておられるわけでございましょうか。
  128. 竹下一記

    竹下政府委員 いまやっております団地配達に主婦を活用するという問題でございますが、ただいまでは非常勤職員という身分で二時間から五時間程度のパートタイムの仕事をやっておる、それが実情でございます。一時間当たり百二十円から百五十円、これは労働の内容が若干違いますので、それに応じて差がございますけれども、百二十円から百五十円の単価になっておるわけでございます。  私どもといたしましては、主婦の皆さんが喜んでこの団地配達仕事をやってもらいたい、こういうふうに念願しておりますので、できるだけ一時間当たりの単価も見ますし、労働条件につきましても、たとえば服装につきましても官品を支給しますし、運搬する機械等につきましてもできるだけ官給をしたい、こういうことを考えておるわけでございます。  ただ、この問題につきましては、非常勤では不十分ではないか、そういう主婦の労働力を確保するという意味からは、いっそのこと本務者にしてあげるということが一番いい道ではないかという御意見もございます。ただ、それにつきましては、いまの国家公務員法でありますとか規則等いますぐそれは受け入れられない性質のものでございますので、その問題につきましては、今後そういう新しいタイプの公務員を法律なり規則の中に認めてもらうような、そういう措置を講ずる必要があろうかとも存じております。  そういう道を一つ開くのと、もう一つ、やはり主婦の方々の何を考えて何を希望しておられるかということを十分検討いたしたい。と申しますことは、必ずしもこの人たちは本務者になることを希望しておりません。やはり一家の主婦でありまして、家庭を持ち子供さんを持っておるということで、あまり身分的に縛られて動きのとれないような関係を持つということにつきましては、希望がないという一面もございますので、そういったことをあれこれ勘案いたしまして、身分上の措置並びに処遇のことにつきましては、対策を立てていきたいと思います。
  129. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 たいへん皮肉な質問なんですが、いまのお話、よくわかりましたが、しかし、なるほど非常勤であるいはパートでやっておる限り、郵政省としてはわりあい身分上は責任がなくて済むわけです。しかしこの方々が、たとえば、どうも賃金が安いし、ほかのほうが歩がいいから、これをやめようかというので一挙に団地の奥さん方がわっとやめてしまうとか、そういうことはないと思いますけれども、杉並の局なんかにはたくさんの奥さん方が入って郵便を扱っておりますけれども、あの方々がわれわれのいうストライキですね、どうも郵政省は安いからもうやめた、こうなったときにはどうしようも手のつけようがないような気がするのですが、その点はどう考えておられますか。
  130. 竹下一記

    竹下政府委員 その点につきましては、従来、いまおっしゃったような事例は発生していないわけでございまして、今後とも発生しないであろうということを念願し、かつ、そのためには一時間当たりの単価等につきましても、事情が許すだけのお金をはずむといったようなことを考えておりますし、まずまずそれでよかろうかと思っております。  また、でき得れば登録制をとりまして、主婦の方々はあらかじめ郵便局に登録をしておいていただく。その登録制の意味は、やはり長期に安定的に郵便局が主婦の方々をアルバイトとして契約を取り結ぶという一種の契約みたいなものでございますので、そういう意味合いの登録制を採用するというようなことで主婦の方々の安心感を得る、こういうこともまた大事なことかと思います。
  131. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いろいろ方法考えておられるようですけれども郵務局長、昔は郵便局に採用されて郵便の集配を途中でやめていくなんということは、常識では考えられなかったのですけれども、今日東京の都内では、あんまり帰ってこないから見に行ったら、赤自転車に郵便を積んだまま店屋の前に置いてある。あんた、どうして帰って来ぬのか。いや、郵便局は安いからやめた、きょうからここに雇ってもらうといって、商店で手伝いをしておったのですね。いまの局長の答弁からすると、従来はなかったし、常識では考えられない問題ですけれども、しかし、今日の社会では転勤なんかもいろいろあることでしょうし、やはり万全の対策を立てておかないと、一つだけにたよっておってそれで事足れりというのは、やはり心配があるのではないかという気がするわけでございます。  大体お考えがわかりましたので、次の質問に移らしてもらいたいと思いますが、郵務局長外務員処遇の問題の中で、通区手当あるいは通区を一つの能率の判定の基準にする、そういうお話をなさっておったようで、確かに郵便外務の業務の運行上通区というのは非常に重要な一つの問題ではあります。しかし、今日それだけ重要な通区の問題について、手当を出さなければ一人の人間が二区、三区行けないんだ、手当制度をつくってまで通区奨励をしなければならないという事態がどこから起こっておるのか、お考えになったことがございますか。
  132. 竹下一記

    竹下政府委員 外務員の皆さんが極力通区能力を身につけてもらうということは、郵便局としてたいへん望ましいことで、職員の方々にもそういうことを絶えず申しておるわけでございますけれども、なかなか現実はそのようにはまいらないわけでございます。仕事の内容は違いますけれども、貯金、保険の外務員につきましては、募集手当というものがございまして、契約の募集実績に応じて手当が出る仕組みになっておりますが、郵便につきましては、事業の性格が違いますから同様のことは申されませんけれども外務員の人々が自分の仕事に打ち込んで能力を高めていくという面は、この通区能力をつけるかっけないかという点が、外務員仕事の中では一番大きいところだろうと思うのです。  かつまた、通区能力をつけるかっけないかはその人の在職年数にもよりますけれども、その人の意欲によるところが非常に多いわけでございますから、そこに着目いたしまして、そういう能力をみずからの努力によって身につけられた人に対しては、何らかの方法で報いてあげたいというのが、この通区手当を考えております出発点になっておるというわけでございます
  133. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 郵務局長は、通区をしてもらうように努力をしてもらうといまおっしゃっておりますが、それは通区を覚えていただく、いわゆる一区しか行けない方に次の二区も三区も覚えてもらうためには、今日までどういう措置をとってきたんですか。
  134. 竹下一記

    竹下政府委員 ずいぶん昔ですと、この通区能力を認定するための検定試験みたいなものをやっておったということはあるようでございますが、最近におきましては、その能力を客観的に確認し認定する方法は実はないわけでございます。その局の管理者は、もちろん日常の業務を通じて大体のことはわかっておると思いますけれども、正確なる把握はできかねております。したがいまして、通区手当の創設につきましては、能力認定ということにつきまして一つの新しいシステムが必要である、かように存じます。
  135. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 質問はそうではないんです。およそ郵便局の集配ができる人、たとえば一つの区だけでも完全にそれを覚えて郵便配達のできる人は、機会さえ与えれば、二つの区でも三つの区でもそれができる能力はあるわけなんですよ。一つの区については覚えて配達ができましたが、二つの区を覚えることは困難ですなどという人間はないのです。一つの区の完全な配達のできる人は、機会を与えて教えさえすれば、二つの区でも三つの区でも行けるはずなんです。ところが、現在の状態は、見習いと呼ぶのですけれども、本務者について見習いをしていくだけの勤務の余裕がないのです。職員にしてみれば、行く余裕さえ与えてくれれば、一つの区よりも二つの区を覚えたいし、二つの区より三つの区に行けるようになりたいんですけれども、その余裕を与えてないから通区ができないのであって、手当を出すとか出さないとかいう性格以前の問題として、現在の定員の配置では、通区できるように見習いさせてもらうゆとりがないのです。その点のほうが私は先決だと思うのですが、どうでしょうか。
  136. 竹下一記

    竹下政府委員 私の先ほどの答えは多少不十分でございまして、実は通区の訓練というものをやっておるのです。毎年やっております。四十五年度におきましては、少し大き目に通区訓練をやりたいということで計画を立てておりますが、その場合には、自分の本来の仕事のほかに訓練の時間をつくりまして、そこで幾つかの区の順立ての仕事等について勉強してもらう、そういう施設を考えておりますので、そういう機会において、通区能力を身につけることはできるわけであります。
  137. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 くどいようですけれども、そういうことをやりながら、なおかつ通区できない人間とできる人間ができてきますか。要するに通区のできないのは、今日までそういう施設があって、勤務につく日に、あなたはきょうこっちの区のほうの見習いをしてこっちの区を覚えなさい、そういうふうな訓練をしてやっても、なおかつ二つの区、三つの区に行けなくて一つだけにしか行けないというような能力のない人間がおるとするならば、それはこの手当を設けてみたところでやはり通区はできないわけです。訓練によって通区ができるものならば、特別なこういう手当を出さなくても二区でも三区でも行けるわけです。したがって、勤務時間の中で、あなたはきょうこちらの区を練習しなさいと言ってそこにつけた人間が、そういう通区の練習ならいたしませんと言ってサボるとか、勤務を放棄するとかいうような状態があるのかどうか。それがなくてまじめに訓練を受ける限りにおいては、特殊な人に対してこういう手当を設けなくても、おたくのやり方いかんでは通区はみな可能である、こう思っておるのですが、どうでしょうか。
  138. 竹下一記

    竹下政府委員 この職員の方々は通区訓練をまじめに受けまして——これはまじめに受けるでしょうが、勉強してもらいますから、大部分の人が通区能力を身につけることができると思います。三区、四区、五区とできるようになると思いますが、大ぜいの人の中には、やはり何らかの個人的理由によって、そうならないことがあることも予想されます今日の実情です。業務の運行を見ておりましても、やはりその職員間の能力、勤惰の差というものは出てくるわけでございまして、これは避けられない現象ではなかろうかと思います。  それからもう一つは、この通区手当のねらいといたしますところは、外務員の通区能力を持っている人の労働に極力報いてやろうというのが趣旨でございますから、そういう能力を持っているという認定がつきます人につきましては、なるだけ多く漏れなく通区手当を支給して差し上げるのがねらいでありまして、これが逆に非常に少人数に限ってやるということにしますと、これは一種のしりたたき政策とも見られなくもないと思いますが、制度の趣旨は、先ほど申しましたようなことでございますので、これはわかっていただけるのではなかろうかと思います。
  139. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 先ほど武部委員からも御質問がありましたように、これは二つの区に行くとか一つの区に行くとかいうのではなくて、郵便外務員の皆さんの持っておる条件たる、雨の日も雪の日も働かなければならないその労働に対しては、全体的な給与を引き上げるべきであって、いま局長おっしゃっていましたけれども、一つの区の配達をし切れるほどの人間は、教えさえすれば二つの区でも三つの区でも配達ができると思うのです。教えたけれども一つ以上には行けないというような、そんなことはあり得ないと思うのです。それは教え方が悪いのです。訓練がどこか間違っておるのではないか。一つの区の集配ができる人間が、通区を教えても二つの区の集配ができないというばかなことはないと思う。ですから、そのことだけで差別をしていますと、たとえば、今日まだいなかのほうのお年寄りの集配の方々は、自転車に乗れない人もあるし、バイクに乗れない方もあります。そういう方は、勢い一つの区で非常に労働としては苛酷な山の中の区を受け持っておるけれども、自分がバイクに乗れないからよんどころなくそういうところを歩く。あるいは肢体の不自由な方もおいでになるでしょう。たとえば、片手のない人なんかもおるわけですが、そういう人たちにバイクに乗れというのは無理な話です。それで、行くところは普通の人が行かない山の中のへんぴなところをその人が受け持っていつも行っており、しかもそういう人は一区しか行かない。そういう人は通区はできない。通区ができないからといってかなり苛酷な労働をしておる方々は、通区という問題だけでとらえると、おたくで考えるこの恩恵に浴せない結果になってくる。  したがって、個人にそういう手当をつけていくというのは、非常に考えものだという気が私はするわけです。もう少しほかの方法考えられないものかどうか。たとえば、いま調整給をつけておりますが、もっとこの調整給の額を引き上げるとか、何かほかに方法はないものでしょうか。
  140. 竹下一記

    竹下政府委員 先ほどの武部委員のお尋ねの中にも、若干御理解がいきかねておる点があるやに見受けられましたので申し上げます。  この通区手当を開きますことによって、従来ありますところの外務職群の俸給の立て方をくずすわけではございません。御承知のように、外務職員の俸給はそのほかの職種の俸給と区別してございまして、基本額において千五百円でございましたか、一般より高くなっております。この給与のあり方につきましては、これをくずすわけではございませんで、これをあくまでも堅持するわけでございます。堅持した上で、先ほど申しました通区手当というものを上積みして差し上げる、こういうわけでありますから、従来の俸給がなくなって今後は通区手当一本に切りかわる、あるいはそれに重点的に切りかえるというわけのものではございません。その点を一つ申し上げたいと思います。
  141. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大体わかりましたが、特に局長、さっき申し上げましたようにいま通区ができないのは、やはり本省で考えておるほど現場で人があって、余裕ができて、よその区を見習ってくるだけの勤務のゆとりがないわけです。勤務のゆとりさえできて、自分の行けない区を見習いをさせれば、それは二つ、三つの通区が行けないような、そんな能力のない人間はいないのですから、その措置のほうが手当を設けるより先だという気がしたから、特に申し上げたわけです。  次に、もう一つお伺いしたいのは、第三種郵便物を大幅に整理をするということばを使ってあるのですけれども、この整理というのは、いまの三種郵便物の認可を取り消して、あらためて三種の郵便物の幅を狭くするという意味なのか、これの料金を適正な料金に変えていくという意味なのか。先ほどの説明では、ちょっと私も理解がいきかねたので、もう少し詳しく具体的に知らしてもらいたいのです。
  142. 竹下一記

    竹下政府委員 第三種郵便の認可につきましては、一定の基準が従来からございまして、それによって認可をしておるわけでございますが、全国でざっと一万ぐらいの認可になっておるようでございます。それを見ますると、認可しましたときの条件については問題はなかったのでありますけれども、その後時間の経過によりまして、三種郵便物として認めていくだけの内容をはたして持っておるかどうかにつきまして、疑わしいものが出てきておるようにも見受けられるわけでございまして、この面につきましては、三種郵便認可の本来の趣旨に立ち返りまして、再検討させてもらいたいというねらいが一つあるわけでございます。  それからもう一つは、やはり三種郵便物料金にからむわけでございますが、一般に六円、低料三種になりますと三円、これが年間九億通出るわけでございます。年間の総郵便物数の九%程度のものは一部三円で受け付けられておるわけでございまして、これが事業財政の上に大きい問題になってきておると私どもは認識するわけでございますので、この料金問題につきましても、これは洗い直してみたい、かように存ずるわけでございます。
  143. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうすると、第三種郵便物については二つの面から検討したい、一つは、三種の認可がしてある中で、条件にいろいろ問題のあるものがあるから整理をしたい、もう一つは料金の面からも検討してみたい、そう理解してよろしいわけですね。——はい、わかりました。「郵便事業の当面の課題」については大体理解がいきましたが、特に冒頭申し上げましたように、職員のほうでも郵便事業について非常に大きい関心を持って、何らかの措置を講じたいという意欲もあるようでございますから、ひとつ大臣の御努力で、これらの計画が、具体的に入っていく場合にはいろいろのこまかいことにとらわれずに、ひとつ衆知を結集してりっぱな計画の実現ができるように希望をいたしまして、次に移らせてもらいたいと思います。  どこの所管になるか、私、詳しくわかりませんが、郵政の職員宿舎を取り扱っておるところにお伺いしたいのですけれども、私の郷里の大分県の大分の郵便局で、つい先日、郵政の職員宿舎の窓から子供が転落をして死亡したのでありますけれども新聞の報道によりますと、この宿舎は窓ワクがなくて危険だということがかねていわれておったにもかかわらず、郵便局ということばを使ってありましたが、郵便局としてはそのままに放置をしてあってこういう事故を生んだ、こういうふうに報道されておりますし、聞きますと、二年ほど前に同じ型の郵政の職員宿舎が、福岡の二日市だったかどこかはっきりしませんが、福岡県にあるそこでも同じような事故が起こっておるやに聞いております。そういう世の中の非難を受けるような建築でありながら、なおかつ放置してあったというのは、あまりにもメンツにこだわり過ぎて、おれたちの設計に間違いはないとか、うちの建物はいいのだとかいうようなことにこだわり過ぎて、そういう世論に耳を傾けなかったためにこういう結果を重ねて招いたのではないかという気がしますので、その宿舎の所管の方から、いまの建築の様式なりその危険性についてどういう対策を立ててこられてきたのか、知らせてもらいたいと思います。
  144. 神山文男

    ○神山説明員 ただいまの御質問の件でございますが、実はそういう報告を本省としてはいままで受けておらなかったわけでございますが、ただいま簡単な口頭による照会に対する返事がありましたが、御指摘のように、五月三日五才の女の子が窓から落ちたということがあったことは事実のようでございます。それで、ただいま福岡でも前にあったというお話でございましたが、その件も私ども実は承知しておりませんでございました。で、何かそういう点でもし落ち度があるというようなことであれば、これは当然早急に検討して措置をとらなければいかぬと思いますが、現在、簡単な報告でございますから詳しいことはわかりませんが、何か窓かあるところに——北側の窓でございまして、南側ですと大体ベランダがございますが、北側の窓ぎわにオルガンが置いてございまして、そのちょうどオルガンの高さが窓の高さよりちょっと低いくらいの状態でございまして、そこに女の子が上がった、それで転落したということのようでございます。  まあどういう点に問題の所在があるのか、早急に私どもももう少し詳しい事情を聞いてみたい、それから民間や公団のアパートと比べて郵政省の職員宿舎の現状がどうなっているのか、早急に調べてみたい、こういうふうに考えております。
  145. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 お調べとしてはその辺のところではないかと思うのでございますけれども、これは二回にわたって起きておることですし、いまお話しのように、私もこの宿舎を知っておるのですが、北側の窓です。そこで、窓の高さがわりあい低くて危険だからオルガンを置いておったわけです。そのオルガンの上に子供が上がって落ちたのですけれども、そこにワクさえあれば落ちなくて済んだのですが、何にもないから落ちた。もちろん、オルガンが置いてなければそういうことはなかったかもしれないけれども、オルガンが置いてあっても、一般の宿舎のように外にワクがありさえすれば、落ちる心配がなかったわけです。しかも、これが初めてならやむを得ませんが、二回目です。同じ型の舎宿で二回も続けて起こっている事故を、いままで本省が知らなかったということは、ちょっと私は手落ちのような気がしてならないのです。できたことですからやむを得ませんが、ひとつ速急に調査をして措置をとってもらうようにお願いしたいと思います。  それから、電波局長お見えですか。——この前ちょっと私がお伺いしたのですが、ラジオ関東の問題ですけれども、この川崎の送信所がいまだれも人がいない。無人になっておるそうですが、これは電波法からいきますと、何かそういうところには技術者を駐在させておかなければならないということになっておるやに聞いております。ところが、いやそれはおらぬのはうちだけではない、最近はどこも送信所に人はおらぬのだということだそうですが、電波法でそういう人を置く必要がなくなっているのなら、要らぬ法律は改正したほうがいいし、置く必要がある法律なら、やはり法律どおりに指示をなさったほうがいい、そういう気がしますが、どういう実情でしょうか。
  146. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  ラジオ関東の送信所は、現在、私どもが調べてみましたところが人がおります。少人数であるけれども、技術者が保守しておるそうでございます。  ただし、御指摘になりましたように、テレビ中継所のような山の中にありまして、普段はただ電波を中継するだけというような場合は、人がいなくてもそれを監視する装置がございますれば、地上におきましてそれをモニターするわけでございまして、故障があれば直しにいくというような装置になっておれば、これは人がいなくても運用ができるという解釈で、現在の電波法のもとにおきましても、人がいなくてもそういう装置があればよろしい、そういうことになっておるわけであります。
  147. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 わかりました。  ただ、申し上げておきたいのですが、何か法的には技術者を置いておかねばならぬことになっておる。しかし、実質的にはもういないところが多い。問題は、人を配置してないのに、そういう法律があるから、人を配置してあるという、何か日誌があるんでしょうが、日誌をつけて出しておる。そういう法律があるためにうその報告をせんならぬような、要らぬ法律ならば改正をすべきではないですか。これをお伺いをしたかったわけです。答弁は要りません。  次に、電電公社のほうにお伺いしたいが、公社の総裁は、さきの事業概況説明で、第四次五カ年計画は大幅に修正をして、四十六年度を初年度とする七カ年計画の策定をするんだ、こういう御説明をいただいたわけですけれども、その計画がどの程度進んでおるでしょうか。そしていつごろには大体公表ができる段取りでございましょうか。
  148. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  現在、第四次五カ年計画を進めておりまして、代表工程といたしまして九百三十万の加入電話をつけるのを、最近の電話需要の増大に応じまして、百万プラスいたしまして一千三十万の加入電話をつけるということにいたしております。  ところで、四十五年度の予算は先般国会で議決していただきまして、四十六年から五十二年に至ります七カ年計画を、いまいろいろ事務的に検討しておる最中でございます。大体四十六年度の概算要求を郵政大臣の手元へ提出いたしますのが八月末でございますから、八月末までには少なくともこの七カ年計画の基本的な問題をきめたいと思っております。  七カ年計画の構想という点につきましては、先般この委員会でもお答えいたしたのでありますが、まず電話の積滞を全国的規模においてなくなすということ、これが第一点でございます。第二点は、情報化社会の進展に対応いたしまして、データ通信その他の画像通信であるとか、そういうものを整備するということ。第三が、公社の経営基盤を充実する。特に拡充法、いわゆる債券を加入電話をつける方に負担していただいております拡充法が、四十七年度で時限立法で切れますので、さらにその延長問題をはっきりさせるということ。それからあとは、いろいろ新しい技術開発を進める。この四つが骨子になっておりますが、いまいろいろ数字を集めまして検討しておるところでございます。
  149. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大体わかりましたが、そうしますと、この計画が実現をするころには積滞がなくなって、申し込めば電話がすぐつく、しろうと考えでそういうふうに考えてもいいわけでございますね。  そうしますと、この計画は膨大な予算が要ると思うのですが、先般建設省の関係でも十一兆か何ぼの予算を組んでおったのを見たのですけれども、おそらくこの七カ年計画も相当膨大な資金が要ると思うのです。その資金の調達あるいはまた総額どのくらいのものになる予定か、ざっとでけっこうですが、公社の構想として知らしてもらえれば幸いですが……。
  150. 浦川親直

    ○浦川説明員 お答え申し上げます。  ただいま総裁が答弁いたしましたように、現在この七カ年計画の投資その他作業中でございまして、まだ数字が出ておりませんけれども、先般の五月一日に閣議で決定されました新経済社会発展計画、これの中におきまして、これは四十五年度より五十年度の六カ年でございますけれども、四十四年度価額にいたしまして五兆三千二百億という数字が出ております。これらを勘案いたしまして、私どもの四十六年度から五十二年度に至る七カ年計画と申しますのは、これはやはり時価で計画を立てざるを得ませんので、必ずしもこの数字と合致いたしませんが、これらを参考にいたしまして現在作業を進めておりますが、ともかくも相当な投資額になることは間違いございません。
  151. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで、関連をしてくるのですが、相当大きい投資額、資金が必要になってくるわけでございます。総裁は先般電信電話料金に若干触れられまして、料金体系全般にわたる合理化についても、今後における事業収支の動向等を勘案して新たな観点から検討してみたい、そういうお話をなさっておったのですが、いまの七カ年計画と電信電話料金の関係ですけれども、この長期計画と電信電話料金の関連といいましょうか、若干の手直し、あるいは合理化、あるいは引き上げそのものについて、すでに検討されておるのかどうか、お考えを聞かしてもらいたいと思います。
  152. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  七カ年計画の中で、先ほど経営基盤の充実をはかるということを申し上げましたまず第一が拡充法の延長、これは先ほどお答えいたした次第であります。それから第二点は、今度の新経済社会発展計画の中でも、現在の料金体系が非常に古いので、これを近代化するために料金体系合理化が必要であるという答申が出ております。公社といたしまして、ただ赤字になったから単純に埋めて、いわゆる値上げするというようなことは考えておりません。いわゆる新しい今後の情報化社会の発展等も考えまして、たとえば市内市外料金体系等いろいろすでに古くなっておる状態もありますので、そういうものを考えて合理的な料金体系にしたいということで、いまいろいろ検討中でございまして、まだ成案を得ておりません。  それからもう一つは、電報に対しまして、これは前々から電報の合理化というものを、公社も、たとえば電報の中継機械化等で全国の三十の局を自動中継にするとか、あるいはまた配達区域を統合するとか、いろいろやってまいったのでありますが、しかし、最近の人件費の増加等に応じまして、電報に対してもう一回これをあらためて検討し直す必要があります。  そういう意味におきまして、過去におけるいろいろないきさつにとらわれないで、七カ年計画の中で料金体系合理化を新しい見地から検討したい、こういうことを申し上げたのでありまして、いまいろいろその作業を進めておるところでございます。まだ成案を得ておりません。
  153. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 続いて電信電話事業についてお伺いしたいのですが、最近の経済の著しい発展を反映して、電信電話事業はかなり増収になっておるのではないか。どうも電話事業はもうかっておるようである、一般にこういわれておるわけでありますが、大体四十四年度の事業収支の見通しはどういう状況でございますか。
  154. 中山公平

    ○中山説明員 お答え申し上げます。  四十四年度の決算につきましては、法律でも六月の末日までに完結をするようにということを義務づけられておりまして、目下作業に大わらわのところでございます。したがいまして、現時点におきまして四十四年度の決算が数字的にどうなるだろうかというその傾向について、まだ把握するところまでまいっておりません。  ただ大まかに、大筋として現在わかっておりますのは、先ほど先生の御指摘のように収支の動向でございますが、これにつきましては、年度当初から四十四年度は増収、それから経費については節約ということを、全社をあげてやってまいるということに決意をしてやっております。それに、御指摘のように好況、特に秋口以来の非常な好況にささえられまして、大体四十五年の二月までの私どもの予算の月割りの予定の累計額が、八千九十億円くらいを予定しておったのでございますが、これに対しまして約三百八十億円上回っております。しかし、一方では、御承知のように四十四年度のベースアップもございましたし、あるいは三月に業績手当の支給もいたしておりまして、これらの額が損益勘定の収支に影響するところだけで三百五十億円程度に及んでおります。これは予算には予定されてない費用として出てまいるわけでございますので、この辺のところはマイナス要素になってまいる。  ただ、決算の場合には、ほかにも事業外の損益だとかあるいは予備費がどう使われたかだとか、あるいは節約額がどうなったかだとか、あるいは勘定間の流用の問題等もございますので、先ほど冒頭にお話し申し上げましたように、全体の落ちつく数字的な傾向というものは、まだ的確に把握できない、こういう状況でございます。
  155. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 どうもありがとうございました。  では、最後に貯金局長にお伺いしたいのですが、先ほどの羽田さんの御質問で、この貯金の利子の引き上げが行なわれるけれども、大蔵省からの現行六分五厘については、ここ両三年改定してもらう考えはありません、そういう御答弁のように承ったのですけれども、すべて人件費等も上がっておる時期でもありますし、とりわけ私は、もう貯金事業はこれだけ郵政の職員が苦労して集めておるのですから、その運用について、もう一つ郵政省で考えるくらいの意欲があっていいのではないかという気がしますけれども、どうも当局のほうでは、大蔵省にたいへん気を使うておるような気がしますが、忌憚のないところで、六分五厘でほんとうにいいのか、あるいはもう少し郵政省が積極的に、自分で集めたお金はひとつ自分で運用するくらいの意欲はないのか、貯金局長のお考えを承りたいと思います。
  156. 山下博

    ○山下(博)政府委員 貯金事業の経営状態でございますが、昭和三十六年ころまでは非常に不如意でございまして、もろもろの点でいろいろ困難な問題をかかえておりました。現状、三十六年以降今日に至るまで、非常に推移をいたしまして、今日では剰余金といいますか、積み立て金総計で約千億円ちょっと持つほどになってきております。なお、この千億円の中身につきましては、いろいろ分析をいたしますと、ほんとうに純粋な意味での積み立て金という性格のものに合致するものは、大体二百数十億円というのがほんとうだろうと思います。ただ、現在の経営状況でございますと、毎年百億円から二百億円くらいの増収というものが見込まれるというのが現状でございます。  したがいまして、先ほど他の委員から御質問がございましたように、利子の引き上げをいたしますと七十億円ちょっとかかりますし、それから、ベースアップにつきましても毎年大体八十億ないし百億、ことしまた上がると思いますので、なおよけいかかるかもしれません。いずれにしましても、その程度の経費をまかなっていくには、現状の経営状態というものにいろいろ条件の変更がなければ、まず心配はないのじゃないか。したがいまして、資金運用部からもらっております六分五厘、これは五厘は特利でございますが、この六分五厘をこのまま引き継いでいきましても、ここ両三年の間に、経営状態に非常に大きな問題が出てくるということはないという見通しでございます。  ただ、この六分五厘が妥当であるかどうか、あるいはもう少し運用の余地があるのではないかという御指摘でございますが、これはかつて六分でありましたときに、そういういろいろな貯金事業経営に問題点が出てまいりましたので、これを五厘上げるということで六分五厘になった経緯もございますし、先ほど申し上げましたように、ここ両三年の見通しとしましては、さしむきの変更というものはなくても済むと思いますけれども、条件が変更になりましたり、あるいはその他貯金事業経営上の問題点が出てまいりましたら、当然この点については、あらためて考えなければいけないというふうに思います。ただ、六分五厘そのものが、一般的な運用の利率の高さからいいますと、現状で必ずしも低いものではないのじゃないか。自主運用しましても、必ずしも六分五厘よりもちょっと高目になるかならないかという程度のところで、これはいまのところそう低い利子ではないのじゃないかというふうに考えております。さしむき現状の時点で考えまして、これを直ちにどうこうということは考えておらないということでございます。
  157. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 たいへんありがとうございました。質問を終わります。
  158. 金子岩三

    金子委員長 鈴切康雄君。
  159. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほどから同僚議員から質問がありまして、重複する点もあろうかと思いますが、井出郵政大臣が二十八日に、「郵便事業の当面の課題」と題する郵便事業の改善策を発表されましたけれども、当面の課題とは言いながらも、現時点の解決をはかることはもちろんでありますが、さらにそれを踏まえて、今後郵便事業というものをどういう方向へ持っていくかという、私は重大な問題を踏まえての構想でなくては、場当たり式になってしまうのではないかと思うのであります。  そういう意味からいうならば、郵政大臣が言われているように、当面の課題であるからたいしたことないというようなお考えではなくして、私は相当重大な問題であろうかと思うのであります。大臣は、この郵便事業の現状をどういうふうに認識されているのか、さらにそれを踏まえて、事業の将来をどう予測されておるのか、その点についてまずお伺いいたします。
  160. 井出一太郎

    井出国務大臣 お答えいたします。  当面の課題だからといって、末梢的に、事が解決すればいいというそういう手軽な考え方ではございません。ただ、私が先ほど来お答えしておりますのは、問題はなかなか重大でございますから、まだまだ煮詰めるべき余地は十分にある。そういう意味で一つの試案をお示ししたのだが、試案自体は十分にこちらも重大に扱う、こうまず御理解を願いたいのであります。  そこで、これはもう当委員会においてずっと会期を通じて議論の出た問題でありますが、いろいろな悪条件を郵便事業はしょっております。その中で、人手に主としてたよらなければならないというところに、先ほども出たような近代化、合理化といいましても限界というものが一つある。しからば、そこをどういうふうに切り開いていくかという意味においては、まずこれは精神的な面も必要でありましょうし、実際の物質的というか、待遇面というか、そういうものも必要になってくるでございましょう。ですから、郵便事業を管理する管理者の立場にもこれは問題があるでしょうし、主として現場で仕事に当たっていただく従業員諸君の心がまえという問題もありましょう。しかし同時に、ただ精神訓話だけしていていいというものではございませんから、それを受け入れるためには、諸般の設備というものを十分に改善をしていかなければならない。あるいはここにも示してあるように、昇進の道も当然開かれなければなりますまいし、能率給か生活給かというような議論もおありでありましたけれども、そういう点にも若干メスが入っておるわけであります。  そういう諸般の問題をここで総ざらいをしてみまして、その中からまず取り上げるべきものは何かということをきめて、スタートをするときにはひとつ強力に走り出そう、こういう考え方でおります。
  161. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 構想の中に、「事業経営の硬直化を招かぬよう、変化に対する十分な適応性と積極的な対策」が必要である、そのようにいわれているわけでありますが、その硬直化のあらわれというものは、国民生活に重大な影響を与えた先般の郵便遅配問題が、特に大都市中心として非常に慢性化している傾向があるのであります。しからば、その慢性化しておるところの遅配問題をどのように分析し、そしてどのようにキャッチしているかという問題について、大臣にお伺いいたします。
  162. 井出一太郎

    井出国務大臣 これもたいへん皆さまに御心配をかけ、世間をお騒がせをしたのでございますが、必ずしもいまに始まった問題ではない、相当にこれは歴史もあり、根も深いんだというのが実態のようでございます。郵便という、いわばこれは天下の公器といってもいいでしょう。それを現実に扱っている立場の従業員の諸君から見れば、これを利用することによって遅配ということが世間さまに迷惑がかかる、それは今度は郵政当局としてみれば、そこが泣きどころでございますから、そういうことでどうも、鶏か卵か知らぬが、どっちにも言い分がありまして、まことにぐあいの悪い状態で終始してきたと思うのであります。一体こんなことでいいのか、こういう悪循環をどこかで断ち切らなければなるまいという角度から、この問題と取り組むべきだというのが私の基本的な考え方であります。  したがって、労使の双方においてこれは話し合いをしてわからぬはずがないではないか。もっとお互いに、ひとつ虚心たんかいになって、相手方に非のあるということだけ強調しないで、ひとつ裸になって取り組んでみたらどうなんだ、憂えるところは同じじゃないか、そしてもしそれが解決できるならば、同じ高ねの月をながめることになるじゃないかという気持ちで、実はおるわけでございます。これは、まだ何も緒にもついていないのですよ、実際。実際は、先般休暇闘争の際に宝樹委員長と二度会って、スタートは準備されたというふうに考えるのですが、ひとつこれからも、やはり私の一つの仕事としてこの問題に取り組みたい、こう存ずる次第であります。
  163. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先般の郵便の遅配問題というものは、それはただ一つのケースでありまして、今後やはり遅配問題というものは、大きな社会問題にもなろうかというような状態にあろうかと私は思うのであります。そうであるとするならば、やはりその来たるべき原因というものが私はあろうかと思うのでありまして、その話し合い云々ということについては、先般郵政大臣が仲にお入りになりまして解決を見たわけでありますが、しかし、またいつ何どき起こるべき状態にあろうかと思う諸問題の原因についてお伺いをしているのでございます。その点について、郵務局長でけっこうですから……。
  164. 竹下一記

    竹下政府委員 先ほどの大臣お答えは、このたびの——このたびと申しますか、先般来の郵便遅配は、労使間の紛争がございまして、三月二十五日以来の休暇闘争のためにごらんのような遅配が起きて、その事態は今日解決をいたしましたので、ただいまでは郵便の流れは順調でございますけれども、そういった意味の御答弁があったわけでございます。労使間の紛争あるいは組合の闘争というものは、郵便の遅配の原因になることしばしばでございまして、まことに遺憾でございますけれども、その問題を離れまして、郵便事業そのものに着目いたしまして、はたしていまの郵便事業の体質は遅配を招くようなことはないのか、といったことになりますと、またおのずからいろいろと問題が出てくるのでございます。  そのことにつきましてかいつまんで申し上げますと、今度の郵便業務の運行を非常にむずかしくしております原因の一つは、異常なる郵便物数の増加ということでございます。ここ十年間、国民総生産の増大に伴いまして、郵便物数も非常に伸びてきておりまして、この十年間でざっと二倍の物数になってきております。そして今後とも、この情報化社会の進展に伴って、物数が伸びるということが予想されます。それに対しまして労働力のほうはどうかと申しますと、労働力の確保がたいへんむずかしい時代になってまいっておるのでありまして、特に東京大阪等の大都会におきましては、この問題は深刻化いたしております。さらに大都市におきましては、いわゆる過密現象、都市化現象というものが顕著でございまして、人の出入りが非常に激しいということ、それから交通難、あるいは高層ビルが建つとか、大きい団地ができるとか、こういったような、郵便業務をむずかしくするいろいろな現象が出てきておるわけでございまして、これに対しましては、要員措置その他いろいろなことをやっておるわけでございますけれども、遺憾ながらフォローができない、あるいはフォローいたしましても、その中に若干のおくれがあるというようなことが重なりまして、いわゆる慢性的な遅配現象を生んでおるわけでございます。これに対しましては、日夜遅配解消のために努力をいたしておるわけでございますが、やはりそういった御指摘を受ける面が、残念ながらあるように考えられるわけでございます。
  165. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 郵務局長のお話しになった点は、遅配問題の原因となる大きな問題であろうかと実は私も思うのでありますが、その中でも、雇用関係という問題は非常に深刻な問題だと思います。都市における郵政事業員、特に郵便外務員雇用難が表面化しているわけでありますが、要員確保の予算措置はどのようになっておるのか、それから予算定員に対して実際の欠員はどれくらいあるか、それは何が原因になってそのように欠員になっているのかという点について伺います。
  166. 竹下一記

    竹下政府委員 要員の予算措置ですが、郵便物数の増加もございますので、毎年予算要求をいたしますし、また所要人員を予算上獲得いたしておるわけでございますが、四十五年度におきましては、千八百名ちょっとのものを予算定員といたしまして獲得いたしております。大体毎年その程度のものは予算化いたしておる次第でございます。したがいまして、予算上だけをながめてみますと、労働力はその必要なるものを獲得しておるわけでございまして、郵便物数が十年間に二倍になっておりますけれども、予算定員は一・六倍というので、まずまずの労働力を予算上は獲得しておる、こういうふうに申し上げてよろしかろうかと思います。  ただ、東京等大都市におきましては遺憾ながら、せっかく予算化いたしましたものが、どういうわけでございますか、外回りの仕事一般の人に敬遠されるというところがあるのでございましょうか、採用の面で思うように人が得られない。またせっかく採用いたしました者が、定着しないで離れていくということもございます。全国外務員欠員は六百数十名ございますが、その大部分東京大阪等の都市性の強いところでございます。  それから、外務員の定着率といたしましては、先ほども申し上げたのですが、三年間で二〇%の人がやめる、五年間で二五%の人がやめます。このことは、民間の会社、工場等に比べて特に高い数字だと思いませんけれども、やはり事業の運営上問題でございますので、極力外務員処遇を厚くするように、いろいろと措置をいたしております。郵便外務の仕事に魅力を持たせて、せっかくこの仕事についた人がその仕事から離れていかないように、いろいろと苦心をいまいたしておる次第でございます。
  167. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 全産業から比べると決して勤続の状況が悪いのではない、そのように郵務局長がいまお話しになりましたけれども、実際には、全産業の勤続年数を一年から五年という非常に若い年数にとってみますと、全産業の場合には約三七%の数値を示しております。ところが、郵政職員の勤続年数を一年から五年にとってみますと、約一四%となっておるわけですが、全産業から比べると離職が格段に多い数値が出ているわけです。勤続年数が若いのが少ないということは、裏を返してみれば離職率が高いということに結論的になるのじゃないかと思うのですが、その点について、いま言われましたのと私の考え方とはちょっと違いますし、私は皆さん方からいただいておりますところのデータに基づいてお話しをしているわけでございまして、その点どういうことになるか、御説明を願いたいと思います。これは「グラフでみる郵政事業」という、このデータによって私は判断をしているわけですが、一年から五年、この非常に若い、勤めて間もなくすぐにやめていくというのが、全産業から比べるとはなはだ多い、こういう結論に達していると思うのですが、その点について。
  168. 竹下一記

    竹下政府委員 お互いに、持っておられる資料と私の持っております資料とがちょっと違っておりますので、食い違いの点が出てきておるかとも思うのでございますが、私どもとして参考にいたしておりますのは、労働省の労働市場センターというところで調べました昭和四十四年のものでありまして、新規中高卒等就職者の離職状況という統計があるのでございますが、それを見ますると、採用しまして三年後に五三・五%という非常に高い離職率を示しておるわけでございます。これは民間企業でございますが、こういうデータを持っておりますので、それに比べますると、郵政職員の場合は、先ほど申しましたように五年間でおよそ二五、六%という数字でございますから、これは世間のものに比較すれば、だいぶ離職率は低いというふうに私どもは見るわけでございますが、後ほどまたお手持ちの資料等を見せていただきまして、勉強さしていただきたいと思います。
  169. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私はいま「グラフでみる郵政事業」という、昭和四十五年の郵政省の経理局から発行された書類によって見さしていただいているわけでありますけれども、それによると、たしか就職して一年から五年の間の短い期間におけるところの離職者は、全産業から比べると非常に多いということを意味しているのではないかと思うのですが、それは一つは、やはり私は待遇の問題が大きな原因になっているのではないかと思うのでございます。  そこで、非常勤職員の雇用賃金は、現在大体幾らであるか、そして類似産業等の外務の職員の賃金は幾らぐらいであるかということについて、郵政省のほうでお調べになっておられると思いますけれども、その点についての比較をひとつ教えていただきたいと思います。
  170. 神山文男

    ○神山説明員 お答えいたします。  非常勤職員の単価でございますが、現在、本省では内勤と外勤と分けまして、最低単価というものをきめておりまして、これは最低単価でありまして、あとは各地の実情に応じて雇える単価で各郵便局において採用する、こういう方法をとっております。最低単価を申し上げますと、これは地域別になっておりまして、地域を四段階に分けまして、内勤は大都市等は七百二十円でございます。それから地方にまいりますと、最低が六百五十円。それから外勤でございますが、大都市等は九百円、地方にまいりますと八百円、これが最低単価でございます。
  171. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、外勤のほうは幾らですか、もう一度聞かしてください。  それから、類似産業等の外務員は大体幾らであるかということについて掌握されておるかどうか。これを掌握されていませんと、雇用関係についての問題で、やはり何といっても賃金という問題が大きなウェートを占めてくるだけに、類似産業等の外務員についての賃金は幾らであるかということを掌握されているかどうか。
  172. 神山文男

    ○神山説明員 類似産業といいますか、地域ごとの各企業の賃金というものは参考までに調べてはございます。ただいま資料は手元にございませんが、そういうものは調べてございます。  ただ、私どもの非常勤職員でございますが、大量に雇用いたしますのは年末が一番多いわけでございます。それから、夏季繁忙と申しまして、暑中見舞いとか夏の贈答品のふえる時期、こういう時期に、ある期間に非常に大量の非常勤職員が必要となる。幸いにしまして、この時期は高等学校とか大学の休みの時期でございまして、そういう学生の方々を大量に採用するという状況でございまして、この非常勤単価につきましてはいろいろの検討のしかたがございますが、私どもとしては、雇える単価ということで絶えず努力いたしてまいっておりまして、賃金が低ければ当然非常勤職員の確保がむずかしくなるということもございまして、よく実情にマッチするように絶えず検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  173. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 実際には、外務員の非常勤職員の雇用賃金は、私ども調査によりますと、昭和四十四年は八百八十円だと記憶しております。四十五年が千七十円ということだとするならば、類似産業の賃金というものは、少なくとも一日千五百円から二千円程度のお金を払っているわけです。そこに私はやはり大都市雇用関係の隘路があろうかと思うのですが、その点について郵政大臣はどのようにお考えになっておりましょうか。
  174. 神山文男

    ○神山説明員 ただいまお答えいたしたのは非常勤の賃金でございまして、非常勤職員の特に必要な時期と申しますのは、さきに申し上げたように年末とか夏季繁忙、こういうときが一番必要な時期でございまして、臨時的に郵便物が非常にふえる、こういう時期に、いろいろ学校の生徒とかそういう方々にお願いして来ていただくということをやっているわけでございます。こういう単価につきましては、先ほど申し上げたように、そのときの雇える賃金というようなものをよく考えまして措置してまいっておる、こういうことでございます。
  175. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま言われたんですが、やはり私は雇用関係の一つの重大な問題というのは類似産業の外務員と、この種の非常勤職員との賃金の格差、すなわち待遇に基因することが主たる問題になっておるのではないかと思うのです。結局外務員になったんだが、類似産業のほうが雇用関係が非常によいということを聞いてやめていくということから、しょせんは一年から五年の若い年代の方々がやめていくケースが多かろうかと思うのですが、その点について郵務局長はどのようにお考えになりますか。
  176. 竹下一記

    竹下政府委員 ちょっと数字を申し上げますが、新高卒の人が外務職に採用されました場合の初任給は二万九千六百五十円でございます。これは全国の平均といいますか、初任給でございます。ところが、東京大阪等の都心部におきましては、労働の実態等を見まして、これに何がしかを上積みして、それを調整額と申しておりますが、大体五千円とちょっとのものを調整いたしまして、三万五千円程度のものが初任給になっております。これは新高卒の初任給でございますが、この金額を民間の類似の職種に比べますと必ずしも悪くない。月給という面につきましては必ずしも悪くない。これは非常に好況の産業もございましょうから、はるかに高いところもあろうかとも思いますけれども、これ以下のものも相当あるわけでありまして、平均してみまして、私は東京都内における新高卒、それに準じて新中卒の外務員の初任給は悪くないと思っております。  したがいまして、外務職が敬遠されるゆえんのものは、月給の額にあるのではなくして、それ以外のものにあるのではなかろうか。もちろん月給の金額を上げれば上げるほどよろしいでありましょうけれども、それだけが原因になっておるのではないように考えるわけであります。
  177. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま賃金の問題はさほど格差がない、それ以外の問題が主たる原因ではないかというお話もありましたけれども、それ以外の問題というのはどういう具体的な問題があるか、その点についてお答えいただきたいと思います。
  178. 竹下一記

    竹下政府委員 やはり外務職の仕事は、郵便局の局内作業と違いまして、外へ出向いてやるいわゆる外回りの仕事でございまして、肉体的にもかなりつらい面がございます。また、東京都などにおきましては交通難というようなこともございまして、事故の心配があるというようなこともございましょう。また、若い人たちの間でかっこうがあまりよくない、こういう見方もあると思うのです。そういうことのために、どうしても希望者が出てこない、外務職を希望する人は少ない、こういうことになってくるのではなかろうかと考えるわけでございます。
  179. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 交通事情の悪いということは、これはすべて外務員に対しては共通した問題であるかとも思うのですが、結局、雇用関係に対するところの賃金の問題が非常に大きな隘路になっているんじゃないか、私はそのように思うのですが、その点もう一度、よくよくそういう類似産業等の問題等も考えられまして御検討願いたい問題だと思うのです。  そこで、まあ何とか雇用関係を維持していきたいという観点から、井出構想にも示されているいろいろの改善方法が出ているわけでありますけれども勤務能率に応じて云々という先ほどからの問題がございましたが、作業ぶりの客観的事実を把握するということを言われたわけですが、事実どういうふうな点を把握されて、それを勤務能率に応じた給与としていかれるつもりでおるか、その点についてお伺いします。
  180. 竹下一記

    竹下政府委員 郵便仕事は局内作業と局外作業と分かれておりまして、おのおの仕事の内容が違うわけでございますが、外務の仕事について申し上げますと、外務員能力の差はどういうところに出てくるかということでございますが、これは日常接しております上司から見れば容易に認定ができる。そう克明なるものはできないにいたしましても、おおよその認定はできるわけでございまして、あの人は三区の通区能力がある、ある人は残念ながら一区である、ある人は非常によくて五区である、こういうことは大体わかるわけでございます。それが能力の認定の一つでございます。  もう一つは精勤状況であります。非常にまじめに出勤する人と、そうでなくてよく休む人、これは職員ですから有給休暇、年次休暇はもちろんございますけれども、それ以外に病気休暇をやたらにとる人、そうでなくて非常にまじめに出勤する人、これは出勤するか、欠勤するかという事実によってその事実をはっきりと認定ができるわけでございます。大体この二つであろうかと思います。
  181. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 通区手当の新設というふうに言われておりますが、その基準はどのようにお考えになっていますか。また、都会と地方と同一に見るというのはまことに不合理な点が多々出てくるのではないかと思いますし、やり方によっては結果的に外務員の不平不満を誘発するおそれが出てくるのではないかと思うのですが、その点について御見解をお伺いします。
  182. 竹下一記

    竹下政府委員 通区手当の制度を開きました場合には、その人の通区能力の認定につきましては、十分慎重に正確にやるようにそういう仕組みをしたい、かように考えております。  ただし、この制度の趣旨は、あくまでも外務員が身につけておる通区能力というものに着目いたしまして、これを見のがすのではなくして、そこを取り上げて手当をもってその労に報いてあげよう、こういう趣旨のものでございます。また、極力外務員に勉強してもらいまして、なるたけ多くの人にこの手当をやりたい。もちろんその日その日の労働の実績に応じて出しますところの日額制の手当でございますけれども、ねらいとするところは、その人の労に報いようというのでございますから、これは大かたの外務員の人にとっては朗報であろう、喜んでもらえる制度ではなかろうか、かように存ずるわけでございます。
  183. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 団地において主婦が郵便配達しておるところがありますけれども、これは非常に好評であるというお話でございました。これにも私は幾多の問題がまたあろうかと思うのですけれども、団地ママさんの配達の現状についてお伺いいたします。どういうふうになっているか。
  184. 竹下一記

    竹下政府委員 いわゆる団地のママさん配達でございますが、これは東京と大阪の一部におきまして、十八カ所におきましていま試行をいたしておるところでございます。  どうしてそういう制度を始めたかということでございますが、その地区配達を受け持っております郵便局外務員欠員が出まして、もうなかなか人が埋まらないという場合がございまして、その対応策といたしまして非常勤の主婦にお願いをした、こういうのがこの制度が始まる理由になっております。  この仕事の実態を簡単に申し上げますと、大体八十名近くの主婦の人を先ほど申しました十八カ所の団地配達雇用をいたしております。各人の労働時間は二時間から七時間の間にわたっておりまして、これは人によりましてまちまちでございます。一時間当たりの賃金単価は、仕事の内容によって違いますが、百二十円から百五十円の間でございます。やっております仕事の内容は、これも一律には申し上げられませんが、普通通常郵便物、小包郵便物配達がおもでございまして、場所によりましては書留郵便物配達しておるところもございます。  この人たちの仕事ぶりでございますけれども、目下のところたいへん好評を得ておるのでありまして、何らのトラブルもない。心配されました、信書の秘密云々といったような問題も全然起きておりません。その地域の人々にむしろ好ましいものとして受け取られて日常仕事をやっておる、こういうように私どもは受け取っております。
  185. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この郵便物の受理については、どういう形式で行なわれているのか。郵便物を受け取るのはどういうところからどういうふうにして持ってくるのか。また、非常勤雇用関係を結んでいるわけでありますけれども、人選の問題はどのようにしているのか。また、連帯保証とかそういう点についてははたしてあるのかどうか。非常勤雇用関係でありますので、責任問題はどうなのか、こういう問題について明らかにしていただきたい。
  186. 竹下一記

    竹下政府委員 この郵便物の授受でございますが、これも一がいには申せませんけれども、おおよそは郵便局から団地付近のある場所、そのある場所と申しますのは、団地の事務所みたいなところがございますが、そういうところでありましたり、そこにあります無集配局でありましたりいたしますが、そこまでは郵便局員が持ってくるわけでございます。そこでママさんたちが郵便を受け取りまして、配達の順序に従って郵便物を組み立てる仕事をやる場合もありますし、その配達順路に応じて郵便を組み立てる仕事は、受け持ちの郵便局ですでにやっておりまして、組み立てが済んだものを持ってきて、ママさんたちはそれを配達するだけである、こういう形でやっておる場合もございます。これは一がいには申せません。  それから雇用契約でございますが、先ほど申し上げましたように、非常勤職員ということで辞令を交付いたしまして非常勤職員に任じておるわけでございます。非常勤職員といいましても、これは国家公務員でございますから、郵便仕事をやりますにつきましては、本来の職員と全く同じ責任と権限を持ちまして配達仕事に従事をするということになっております。したがいまして、だれかがこれを妨害する者がありますとすれば、これは公務執行妨害罪になる、こういうわけでございます。  それから、非常勤職員として採用します場合の措置でございますが、面接をいたします。それから、通例団地のママさん方が近所の主婦を紹介するという形でやってくる場合が多いわけですから、その人がどういう人柄の者であり、経済状態はどうであるかということにつきましてはおおよその見当もつきますし、すぐ近所に居住しておる主婦でございますから、居住の姿もその地域の風評等につきましてもわかるわけでございます。したがいまして、特にむずかしい規則をつくってはおりませんけれども、それで間違いなく雇用契約が結べてきておるというのが実態でございます。
  187. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほど郵務局長からお話がありましたが、信書の秘密という問題について、いまだ何ら問題も起こっていないというふうにお話がありましたけれども、私は非常に心配される問題は、団地のママさんというのは隣近所は接近しているだけに、やはり悪い気持ちがなくともうわさが伝わるというおそれも十分に予測されるのではないか。日常特定の場所のみの配達は、いつかはそういう弊害を起こすのではないかというようなことも実は考えられると思うのですが、その点についてどのような御配慮がなされているか。
  188. 竹下一記

    竹下政府委員 このママさん配達は、長いもので三年ばかりやってきておるのです。短いところは一年ばかりのところもございますけれども、しかし、仕事になれてもらうということからいきますと、同じところを長くやってもらうということが、仕事の運営の上からは望ましいことでございます。ただ、団地の居住者配達するママさんとの関係でございますけれども、ママさん自身がその団地に住んでおるかあるいは近所に住んでおるというような関係がございますので、あまり身近な人が居住するところを配達の受け持ち区とするということにつきましては、人間関係が少しなまなまし過ぎるということもございますので、そういうやり方は避けまして、自分の、ママさんの居住しておる場所と少しばかり食い違うといいますか、少し離れておるというか、そういう点を受け持ってもらうといったような配慮も実はしておるわけでございます。  そういうことをやりつつ、配達仕事はやはり長いほうがなれるわけですから、外国でも同じ区を何十年とやっておるという例も幾つもある。そのことが、地域住民の人たちと配達員との人間関係に非常にいい結果をもたらしておる、こういうことも実際ありますし、そういうことも期待できるわけですから、ママさん方の仕事は固定をして、定着をして長くやってもらうということでよろしいかと思います。
  189. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 女子外務員に対する外部からの犯罪、なかんずく書留を委託している団地もあるようにいま聞いておりますけれども、その点どのような配慮がなされているか。また勤務中何らかの事故を起こした、しかし非常勤雇用であるので、国家公務員災害補償法の適用は受けられないわけでしょうけれども、その場合の身分の保障はどのようになるのか、その点についてお伺いします。
  190. 竹下一記

    竹下政府委員 いままでのところ、事故ですとか外部の者から襲われるといったようなことは起きておりません。かりにありました場合には、そうして災害、けがをするとか何かがございました場合には、非常勤でありますけれども、国家公務員災害補償法の適用を受ける本務者に準じて、そういう適用が受けられるわけでございます。また書留の事故につきましては、これは一般外務員、本職の外務員がやっておりますのと同じように、受け持ち局との間に厳密に授受をするということで間違いなくやっております。
  191. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 団地ママさん方式が非常に好評であるということ、これは今後おそらく恒久化をしていく考え方になっておられるのではないかと思うのですけれども、私もけっこうな話と思うのです。しかし、いま私が申し上げました諸点というのは、いままで事故がなかったからそれでいいというのではなくして、私は今後起こるべき問題をやはり提起しているわけでありますから、その点十分に御配慮を願いたいと思うのであります。  なお、私書箱の利用の促進をはかり、地域によっては私書箱センターを設けるということでありますが、本来あてどころの配達をたてまえとしてきた郵便事業の使命からいって、私書箱の利用の勧奨は、私はある程度サービスの点においては問題があろうかと思うのであります。しかも、いままでの私書箱の中には、結局労務の提供を国民のほうからサービスをしながら、そしてなお私書箱の料金を払っていると、そういうふうな非常に矛盾をした点があろうかと思うのでありますが、私書箱については、今後いろいろセンターを設けられるにしても、また郵便局の中にあるところの私書箱にしても、私は無料にすべきが本来の姿ではないか、そういうふうに思うのでございますが、その点についての御構想をお聞かせ願います。
  192. 竹下一記

    竹下政府委員 私書箱につきましては、今日まで利用者郵便局の施設を使わしてあげる、こういったような考え方がございまして、いわば利用者に対する恩恵と見ておったわけであります。そういうことで料金を取ってきたわけでございますが、私書箱につきましては利用者郵便を取りに来られるわけでありまして、そのことは、郵便局配達すべきものを配達しなくても済むという、郵便局にとりましてはたいへんありがたい一面があるわけでございますし、労働力の確保の困難なる今日におきまして、たいへんこれは運営上助かることでございます。  そういうこともございまして、今後大いに私書箱を利用していただくようにキャンペーンをする予定でございますが、その方向でやってまいります上で利用料金をどうするかということにつきましては、いまお話がございましたのと全く同様のことを私ども考えておるわけでございまして、従来の料金を撤廃して無料にするということでいくべきではないかというおおよその方向を打ち出しておるわけでございます。
  193. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 送達速度安定化ということで、いまの市内区、市外区の配達回数区別を、ビジネス地区は二回から三回、住宅地区は一度配達に改めることを検討しているようですが、実際にビジネス地区住宅地区の区分けは、私はそんななまやさしいものではない。すなわち、住宅地区の中にもかなりビジネスをやっている人たちもあろうかと思うわけでありますが、そういうものをはっきりとはたして分けて考えられるかどうかということです。しょせんは総体的にはサービスの低下になってしまうのではないかと思うのですが、その点についての御構想はどういうふうになっていましょうか。
  194. 竹下一記

    竹下政府委員 ビジネス地区とそうでない地区との区別は、これはなかなかむずかしい一面がございます。しかし、どこかで線を引かなければならないと思うのですが、東京都内で申しますと、京橋、神田、東京中郵、芝、そういったところ、これも全部ではありませんけれども、そういう地域を囲んだところが一応のビジネス地区、こういうふうに言って間違いないではないかと考えております。従来からも神田地区につきましては、実は三度配達というわけではございませんけれども郵便物数が非常に多い場合には適宜何回かに分けまして、つまり配達回数を多くしてビジネス地区内の会社等に配達するということもやってきておりますので、いままでの経験から見まして、あるところで妥当な線を引けるではなかろうかと思っております。
  195. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、このビジネス地区住宅地区との区分けというものは、ただ単にそのように場所的に指定をしたから、必ずしもそれでいいというものではないと思うのです。やはり場所的においてもいろいろの事情もあろうし、またそれに指定されないところにおいても、かなり、要するにビジネス地区に該当するそういう要素を含んでいるところがあろうかと思うんで、その点について、ただ単にビジネス地区は二回、住宅地区は一回というふうなものの考え方だけで割り切れない。そうしますと、結局は総体的において非常にサービスの低下を来たしてしまうというおそれが出てくるのではないかと私は思うのであります。  なお、郵便緊急性において、緊急を要する郵便とそうでない郵便の二種類を設けることを検討しておるようでありますが、具体的にはどうするつもりでありますか。また、料金格差はどのようにお考えになっていますか、その点についてお伺いします。
  196. 竹下一記

    竹下政府委員 理想といたしましては、引き受けました郵便は全部一通も残らず早く正確にお届けしたいというのが郵便の使命でございますし、ぜひともそうしたいところでございますけれども、先ほど来申してきましたように、異常なる郵便物数の増加という点、それに対する処理要員の確保なり、そういういろいろな事情が重なりまして、まことに残念ながら引き受けました郵便物を、すみやかに正確に一通残らずやるということにならないわけでございます。これは日本ばかりでございませんで、イギリス、フランスにおきましても事情は非常に似ておるわけでございまして、イギリスにおきましては一昨年の秋から、フランスにおきましては去年のちょうど一月ごろから、この早い郵便と早くない郵便という制度を開きましてやっておるわけでございますが、その趣旨は、先ほど来申し上げたとおりの事情があるからでございます。利用される側から見ましても、これは通信の内容によりますけれども、急ぐにこしたことはないわけでございますけれども、その中でも緊急性の強いものがありますし、片一方、そう急がないものもあるわけでございまして、私どものほうで衷情を訴えまして、いま申し上げたような制度を始めるということを申し上げるとすれば、その事情はわからないではないがという向きも出てくるのではなかろうか、かように思います。  それと私どもは、この早い、おそいの郵便の体系を無理じいにおっつけようという気持ちはございません。利用者の方の選択によりまして、いずれかの郵便を利用していただくというわけでございます、これはもちろんのことでございますが。  その選択は何によるかと申しますと、料金でございます。この料金差をどれだけにするかにつきましては、非常に大事なポイントでございまして、まだ成案を得ておりませんけれども、イギリスの例をとりますと、急ぐのが五ペンス、つまり十八円で、急がないのが四ペンス、十四円です。つまり、その間に四円の開きがあるようでございます。こういった制度参考にしつつ、今後検討を進めてまいりたいと思います。
  197. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 速達、準速達、普通の区分けになると、普通はいまより標準送達日数がダウンになるのか、速達は現在よりも早くなるのか、あるいは準速達と現在の速達との標準送達日数をどのように考えておられるか、その点について御構想はございますか。
  198. 竹下一記

    竹下政府委員 これは、先ほどもお尋ねがございましたが、お答えいたしますと、速達郵便物につきましては従来どおりと考えております。  それから、今度の早い郵便とおそい郵便の差でございますけれども、私ども郵便送達するにつきましては、結束表と申しまして、いわば送達の時刻表というのがあります。郵便物を運送機関を利用しまして、ルートに従いましてあて地まで送りますについては、一つの定められたる時刻表というものがありまして、それに乗っかって水が流れるように郵便は流れていく、これが本来の姿であります。その本来の姿で送達されるものを一応いま申しております早い郵便、片一方、その結束表から離れまして、途中ところどころ足踏みをして——申しますことは、郵便の差し立ての段階、それから運送機関を選定する段階、到着しまして配達作業の段階において、おそい郵便は若干の足踏みをすることを予想しておりますので、先ほどの結束表に従って送達される早い郵便に比べますと、若干のおくれが出るというわけでございます。  どこを基準にする、標準にするかということになりますと、結束表どおりに正確に流れていくものは、在来の考え方から申しましても一応標準になろうかと思います。しかしながら、こういう制度をかりに開きますと、標準というものは一体どういう意味があるのか、たいへん主観的なものになってくるんじゃないかと思います。ちょうど国鉄の場合にも、新幹線がありましたり、急行がありましたり、片一方のほうで鈍行列車もあるということで、利用する人はおのおの自分の都合に応じて利用するわけでございまして、ちょうどそういう姿が郵便の場合にも出てまいりまして、速達を利用する、あるいは急ぎ郵便を利用する、あるいはおくれていい郵便でもいいじゃないか、そういう利用のしかたは、それぞれ利用者の方の選択にまかせるというわけでございまして、標準という言い方は、これからそういう制度を開きますると、あまり大きい意味合いを持ってこないのじゃないか、かように存ずるわけでございます。
  199. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 雇用問題が非常にたいへんになっている現時点でもあり、また簡単化ということがいわれているわけでありますけれども、これは実際には料金値上げになり、しかも郵便体系を一そう複雑化させるようなことになるとするならば、作業方法の改善あるいは合理化、効率化を大臣はこの構想の中にいわれておるわけでありますけれども、むしろ逆行するようなおそれがあるのではないかと思うのですが、その点について大臣はどうお考えになりますか。
  200. 井出一太郎

    井出国務大臣 この問題は午前中にも出ましたように、普通の一般信書等とあるいはダイレクトメールとを分けたらどうかというような考え方もあるようでありますし、また、いまこれは英仏で実施しておる早い分とおそい分を分けるというような構想、これをとってもって用いたいわけでございます。しかし、いま御指摘のような、何かこれによってかえって混乱が起こるのではないか、実質的な値上げになるのではないかといったような御批判も聞いております。したがいまして、これらは、きょうの鈴切さんのそういう御意見等もわれわれとしては参考に供するのに決してやぶさかではございません。  したがって、これを固めるまでには、もろもろの御意見をよく伺いました上で、一番適切な方途を選択しなければならない、こう考えるものであります。
  201. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それではちょっと話が変わりますが、今度は三多摩の電話の格差について少しお聞きしたいわけであります。  東京の三多摩地区では、電話サービスの上で都区内に比べますといろいろ不利な点があり、不満が強いようでありますが、両地区格差実情をどのように認識をされておるか、その点をお聞きいたします。
  202. 武田輝雄

    ○武田説明員 お話がございましたように、最近大都市近郊、三多摩地区は当然のことでありますが、三多摩地区だけではございませんで、東京周辺、大阪周辺等における人口の流入が非常に激しゅうございまして、そのために電話の需要が非常に大きく出てまいっております。東京都内とかあるいは大阪市内はある程度落ちついてまいっておりまして、したがって、申し込まれてつく電話の数、充足率もだいぶよくなっておりますけれども大都市周辺の需要が急増いたします結果充足率が悪くなっております。  そこで、ここ両三年来、これらの地域に対する電話の需要に急速に追いつくために百万個の電話をふやす、そして四十五年度も、従来の百八十五万の計画を二百十万にいたしまして、主として大都市近郊に注ぐ、そういうことで大都市近郊における電話の需給につきましては、その改善をはかるべく最大限の努力をいたしたい、こういうように考えておる次第であります。
  203. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 三多摩地区においては、地区内の加入区域や単位料金区域を統合拡大したほうがいいところもあるように私は思うのでありますが、公社ではどのようにお考えになっておるか。また、三多摩地区住民の最も強い希望というのは東京都区内の加入区域に入れてもらうということを願っておるようでありますが、漸進的にも合併を進めていく考えがあるのかどうか。なお、その手始めとして三多摩地区の広域加入区域の設定も考えられておるかどうか、その点についてお伺いいたします。
  204. 武田輝雄

    ○武田説明員 御指摘のように、生活圏が非常に拡大いたしまして、昔のように市町村が孤立しておって、市町村だけで生活が成り立っておる、あるいは経済圏が成り立っておるといったような状態ではございませんで、広域行政といいますか、広域生活圏が発生してまいっております。これに対処いたしまして、公社としては従来から、同一市町村の電話局が六キロ以内のものはなるべく合併していくというようなことでまいったわけでございますが、それでは足りませんので、さらにそれを広げるというようなことを考えております。  しかしながら、この生活圏は同一市町村を越えてさらに広域化してまいりますので、加入区域の拡大のみではこの料金格差は必ずしも解消しない、ある意味ではひどくなるというようなこともございますので、加入区域の問題あるいは市内通話、市外通話全体の問題といたしまして、これが根本的に解決できるよう新しい見地に立ちまして、七カ年計画の中で皆さん方の御要望に沿えるよう料金体系の合理化をはかりたいというような考えで、いま検討を進めてまいっているような状態でございます。
  205. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 三多摩地区においては、電話の加入区域と行政区域とが一致していない。たとえば町田市、調布市、小平市、府中市等は特にひどい状態であろうかと思うのでありますが、同一行政区域内でも格差ができておるというところも相当あるようでありますが、どうしてこのような状態になったのか、そうしてこれもまた今後調整をされていくおつもりであるかどうか。あまりにも加入区域の区画が細分化され過ぎておるがゆえにこういう状態が起こったのではないかと思いますが、その見解について伺います。
  206. 武田輝雄

    ○武田説明員 確かに御指摘のように、三多摩地区におきましては、行政区域と加入区域と非常に入り組んでおります。また、いまおっしゃいました点は、加入区域が非常に狭いということに起因していることも、あるいは複雑であるということに起因していることももちろんでございますけれども。またそれ以上に、生活圏の拡大に伴って行政区域を越えて生活が行なわれ、経済活動が行なわれているという点もございますので、いま御指摘のありました点を含め、全般的な問題といたしまして、加入区域の問題あるいは市内料金体系を根本的に合理化をはかるという見地から、地域住民の皆さん方に喜んでいただけるような近代的な、合理的な体系にいたしたいというふうに考えまして、いま鋭意検討を進めている段階でございます。
  207. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 単位料金区域の設定基準は、あまりにも私は抽象的過ぎるのではないかと思うのでありますが、「単位料金区域は、一の区域ごとに、その地域の社会的経済的の諸条件、地勢及び行政区画を考慮して通話の交流上おおむね一体と認められる緊密な関係にある地域からなるものであること。」ということであれば、三多摩の場合においては、広域単位料金区域としての設定が一番順当であり、行政区域と加入区域の点も考え合わせても当然と考えるが、その点どう考えておられるか。また、その単位料金区域についても、具体的にその設定基準を説明願いたいわけでありますし、単位料金区域の数を全国で五百以上六百未満とした根拠は何なのか、その点についてお伺いいたします。
  208. 武田輝雄

    ○武田説明員 単位料金区域につきましては、公衆法の四十五条の二に規定がございまして、単位料金区域は、市外通話の料金を算定する基準となる地域であるというふうに定義されております。そしてこれの三項に、公社がこの「単位料金区域を定める場合の基準その他必要な事項については、郵政省令で定める。」ということになっておりまして、郵政省令でいま御指摘のありましたような点が第一点として定まっております。そのほかに二号で、「全国の単位料金区域の数は五百以上六百未満とすること。」三号に、「一の電話加入区域が二以上の単位料金区域にまたがることのないようにすること。」というふうに規定されておるわけであります。  そこで、単位料金区域を五百以上六百というふうにすることが郵政省令できめられておるわけでございますが、その理由といたしましては、自動の市外通話は、加入者の方々が電話番号を回してやっていただくわけでございますが、集中局といいますか、単位料金区域の識別は、最初の三数字で単位料金区域の識別をいたしたいということでございます。この三数字——四数字ということも可能でございますが、そうなりますと、課金機器のためのコストが非常にかさみまして、ひいては電話料金にはね返ってきて加入者の方々に御迷惑をかけるということで、三数字でおさめたいということでございます。三数字でおさめるということになりますと、千の番号がとれるわけでございますけれども、たとえば最初のゼロは使えないといったようなことがございますし、東京、大阪のように大きな——大きなと申しますか、加入者数の非常に多いところは、最初の一数字を使ってしまうというようなこともありまして、やはり何といたしましても物理的に、三数字でやるといたしますと、五百ないし六百程度ということにならざるを得ないということでございます。現在この規定に基づきまして、五百六十二の単位料金区域をきめております。  それから、御指摘のように単位料金区域は、市外通話料金を算定いたします基準となります区域でございますが、と同時に、準市内通話のエリアでもあるわけでございます。したがいまして、これが全国的に平均したといいますか、均一の面積を持つことが望ましいわけでございますが、実際は人家の状況、あるいは山岳、湖沼等の関係で、必ずしもすべての単位料金区域が全部均一であるというわけにはまいりませんので、いま御指摘のような点の矛盾が若干あるわけでございます。しかしながら、これにつきましては、すべての伝送路がこの単位料金区域に基づいてつくられておるといったようなこともございますし、これは昔から集中局といたしまして、電話が始まりましてからこういう区域を設けている点もございますので、いまおっしゃいましたような矛盾が料金面においてないわけではございません。  そこで、この点に着目いたしまして、昨年の十月一日に料金体系の合理化を御審議願って、法律が通りまして現在実施をいたしておるわけでございますが、そのときに新たな制度を設けましたのは、近郊通話という制度でございます。これは、従来は単位料金区域に近い通話でありましても、あるいは隣接の単位料金区域への通話でありましても、単位料金区域相互間の距離によっておりましたけれども、そうなりますと、単位料金区域の大きさによりまして不公平が出てまいりますので、隣接の単位料金区域であればすべて近郊通話として六十秒七円にいたしますと同時に、小さな単位料金区域もございますので、必ずしも隣接しておらなくとも、二十キロ以内であれば近郊通話として扱う、こういうふうなことによりまして、広狭から起こってまいります一部の不合理を通話料制度の面で合理化をしてまいりたいという考えで、そういうふうにいたしたわけでございますが、御指摘のような矛盾もまだ若干残っておると思いますので、これらの問題につきましては、七カ年計画の中におきまして料金体系合理化の問題として取り組んでまいりたい、こういうように考えておる次第でございます。
  209. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後にお伺いするわけでありますけれども、これはおそらく決算等でも相当問題になろうかと思うのですが、いつも日本電信電話公社等においては不当事項が指摘をされております。昭和四十三年度においても会計検査院から不当事項が指摘されて、S会社のコンクリートブロック土どめの施工、N会社の防雪さくの施工は、いずれもその強度が設計に比べて著しく低くなっていて、工事の目的が達せられていない旨の指摘がありました。これは何が原因になっているのか、そうして工事人の選定についてはどのような配慮がされておるのか。工事請負人が下請にやらせる、その下請がまたその下請といって、結局、当然単価に見合う工事ができないところに大きな問題があろうかと思うのでありますが、その点についてはどうなのか。あるいはこの手抜き工事に対して、監督官庁の監督のミスについてはどういう実情があったか、その点についてお伺いいたします。
  210. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  電電公社の工事関係は、大きく分けますと、建築工事とそれから建設工事ということに分けられます。建築工事は、これは一般のビルディングと同じように、公社の中で、大手の建築会社を対象にいたしまして、指名競争入札によってこれをやっておる次第でございます。それから建設のほうは、これは電気通信技術というものが非常に特殊でありますので、全体の中で第一、第二、第三、第四と四つに種類を分けております。そしてそれに対しましてどのような評点を付するか基準をきめまして、そしてその基準によって一、二、三、四のクラスに分けております。現在、大体一級会社が二十社ぐらいございまして、その一級会社には一級相当のむずかしい工事をやる、二級に対しては二級の工事をやるというふうにやっております。現在、四級というものはほとんどございません。全国で二社ぐらいでございます。  それから、ただいま不当工事のお話がございましたが、毎年一件ないし二件程度不当工事が出ておりますが、まことに遺憾であるというふうに考えております。しかし、この不当工事を処理するためには、やはり私たちは、膨大な建設工事をやる場合に、規格に合った完全な設備をつくるということを経営方針といたしてやっておるのでありまして、特にその際に大事なことは、電電公社の工事というのは全国に非常に散らばって一カ所に集中しておりませんので、工事長の訓練をする。特に、請負会社におきましても工事長というものをしっかり訓練して、その人たちがしっかりした工事を見なければならないということが大事であります。  それからもう一つは、ただいま御指摘がありましたが、下請という問題に対しまして、やはりこれが非常に大事になっておりますので、最近は下請に対しまして登録制というものを一応とっておりまして、従来、最近はございませんけれども、十年ぐらい前に行なわれたような、たとえば請け負ってそれをそのまま下請にやらせるというようなことは厳重に禁止しておる次第であります。  いずれにいたしましても、規格に合った完全な設備をつくるということを中心にいたしまして進めておる次第でございます。
  211. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 たいへんに長時間ありがとうございました。
  212. 金子岩三

    金子委員長 中野明君。
  213. 中野明

    ○中野(明)委員 たいへん時間的におそくなっておりまして恐縮でございますが、きょう私、電波の免許の問題についての基本的な姿勢をお尋ねしたいと思いますので、大臣、しばらくお時間をお願いしたいと思います。おそらくこの委員会が、本国会の最終になるんではなかろうかというふうな気がいたしますので、具体的な問題についてお話をして、大臣の意見を求めたいと思います。  東京地区で、FM放送の免許が出ましたのが昨年の十二月だったですか。それに先立ちまして、この東京地区では、東海大学の実用化試験局FM東海、これが運用されておりました。ところが、四十三年六月二十九日に、郵政当局から東海大学に対して、実用化試験局の再免許を与えない、こういう通知を行ないまして、東海大学のほうではこの通知を無視して運用を続けた。  そこで郵政省は、四十三年七月、電波法第四条の違反ということで、東海大学を東京地検に告発しておられます。これに対して、東海大学から東京地裁にあてて、免許拒否処分取り消し請求の訴え及び処分の執行停止申し立てが提起されました。同じく八月に、東京地裁は東海大学の言い分をほとんど全面的に認めて、郵政省の再免許を与えない通告は、事件判決の確定するまでその効力を停止する、このように決定しました。これを郵政省は不服といたしまして、四十三年八月に執行停止申し立てを却下する裁判を求めておられますが、このときたしか郵政大臣は、現法務大臣の小林さんであったかと思いますが、いま私が調べましたところ、こういう実情になっておりますが、そのとおりで間違いございませんですか。
  214. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  間違いはございません。
  215. 中野明

    ○中野(明)委員 郵政省が裁判に持ち込まれるという以上は、私、相当自信を持って抗告された、このようにも思います。ところが、この事件がその後どういう結末に終わったのか、ほとんど報道もされておらないような状態で、私もよく承知しておりませんが、当時の新聞をちょっと見ますと、放送部長は、新聞発表では、全く予期しない決定で郵政省としては承服しかねる、違法電波に間違いないのだから、抗告してでも断固戦う、刑事事件にまで進めてでもがんばる、このようなことを言っておられた記事を見たことがあります。この問題のその後はどうなりましたでしょうか。
  216. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  その後学校当局との話し合いがなされまして、東海大学のほうは訴訟を取り下げた、そういうことになっておるわけでございます。
  217. 中野明

    ○中野(明)委員 向こうも取り下げ、こちらも取り下げたということでございますが、郵政省がこの抗告をした、そして話し合いで取り下げたということなんですが、それは結局、そういう事実が無根であったかどうかということでございます。東海大学のほうでは、七月十一日に郵政省を謹告罪及び名誉棄損罪で訴えておるわけです。そういうようなたいへんな両方の騒ぎになっているのですが、はたして向こうの言うような内容であったのかどうか。郵政省のやり方では、名誉棄損あるいは謹告罪に当たるようなやり方であったのか。両方ともきれいに取り下げてしまうということになれば、じゃ、これは初めから事実無根であったかどうか、こういう問題が疑問に残るのですが、この点どのように考えたらよろしいのですか。
  218. 藤木栄

    ○藤木政府委員 実は、私どもその当時おらなかったわけなんで、まことに恐縮ですが、いま調べておりますので、後刻御報告申し上げたいと思います。
  219. 中野明

    ○中野(明)委員 これは郵政省は、そういうことはいままでもそうたびたびなかったと思います。少なくとも郵政省が告発をしたり、あるいは謹告罪で訴えられたりするということについて、当時おらなかったという程度で局長が済まされるというのは、私は電波の行政ということについて何か、どう言うのですか、無関心でおられるということ、非常に遺憾に思うわけです。そういうふうな考え方でおられれば、いつまでたっても、電波行政そのものの疑問というのですか、いろいろ世間ではうわさが出ております、そういうことについて解決しないのではないか。少なくとも告発をされる以上は、それだけの根拠を持って、そしてやられたことに違いないのですが、それがわけがわからぬような、両方とも話し合いがついて取り下げたということは、何か郵政省のやったことが間違っておったのかというような疑問、これを残すわけです。  その点、電波監理局長は当時おらなかったということでございますが、そんなことは、おそらく新聞紙上にもいろいろ問題があったことは載っておりますし、特に郵政関係におられる人ならば、私はそのことは知りませんでしたということで済まないと思うのです。ですから、後でもよろしいですから資料を調べていただきたいと思うのです。  大臣、どうでしょうか。この郵政省がやったことに間違いはなかった、告発をしたことについては間違いはなかった、このようにいまでも大臣は思っておられるかどうか。
  220. 井出一太郎

    井出国務大臣 私も当時国会におりまして、いまのような一連の話題がございましたことは耳にしておりました。  したがって、このことは私も一つの懸案として、この国会でも済みましたら、電波の問題全体をひとつ総ざらいをする際に、私自身もこれは関心を持って調べたいと思っておった問題でございます。きょうはむしろ中野さんに少し虚を突かれたという感じでありますが、これはけっこうなことじゃございませんから、十分にひとつ意を用いたいと思います。
  221. 中野明

    ○中野(明)委員 私の言っていることが誤りであれば、また訂正も注意もしていただきたいのですが、私は、少なくとも国民の電波を預かっている郵政省が、そういう裁判でも起こそうとされる以上は、それなりに確固不動の信念と根拠を持ってけしからぬと、こういうことで告発されたと思うのです。ところがいま、何か向こうが取り下げたからこっちが取り下げるとか、そういうふうな簡単なやり方で、そのあとどうなっているかということについて、何ら御返事がいただけないということについては、私どもは非常に不明朗なものを感じるわけです。これは、質問時間がおくれておりますので続けますが、後ほど結論がわかりましたら、どういうふうになっているか。いまおわかりでしたら。——わかりませんか。じゃ、後ほど調べておいていただきたいと思います。  それで本題に入っていきますが、先ほどもちょっと申しましたように、郵政省で四十三年の十一月二十九日に、年来の懸案でありました、FM放送に関してチャンネルプランを発表されました。東京、大阪、名古屋、福岡の四地区に民間放送のFMを免許しておられるわけです。  ところが、東京以外の三地区は四十四年三月末にすでに免許が終わっております。東京だけは九カ月もおくれて、去年の十二月にやっと予備免許を与えておられるわけです。放送局の免許の常識からいったならば、これは私は非常に奇異な感じを受けるわけですが、大体東京がまず誕生いたしまして、それから地方に許可がおりていくというのがいままでの自然の姿だったように思うのですが、なぜこのような奇妙なことが起こったか。一番大事な東京が、九カ月もおくれて新しいことが起こっている。こういうことについて、ちょっと考えてすぐ疑問が起こるわけですが、どうしてこれがおくれたのか、その点、御説明をいただきたいのです。
  222. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  おっしゃるように、確かに東京から始めるべきだと思いますけれども東京におきますFM放送の申請者は、当時六十六社ございました。このうち既設の放送事業者、新聞社以外でありまして、いわゆるチャンネルプランに合致いたしました、超短波放送の特質を生かした放送というものを行なうと認められる申請者の数は三十一社ございまして、ほかの地区よりもはるかに数が多いという状態で、一本化の調整といったものがなかなか難航したということのために免許がおくれたわけでございます。
  223. 中野明

    ○中野(明)委員 いま一本化というようなお話が出ておりますが、申請者が数多く出て一本化をする、こういうことのようですが、郵政省ではその一本化するにあたって、大体どの程度までタッチされるものか。たとえて言えば、一本化の調停人に何か条件をつけて頼まれるのか、あるいは調停段階で希望を述べられるのか、ある程度一本化にあたって郵政省が手伝われるのかどうか、この辺の事情を御説明していただきたいのです。
  224. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  本来、この申請がたくさんございます場合は、その間で郵政省のほうにおきまして優劣の判断をつけて、最も公共の福祉に合致すると見られたものに免許をおろすのがたてまえでございます。ただし、先ほどの東京の例のように、非常に数が多いという場合におきましては、当局としましてなかなか優劣の判断というものがつけにくいわけでございます。したがいまして、そういう場合はできるだけ多くの申請者が一緒になって放送の経営に参画するということも好ましいという見地から、できるだけ申請が一本化するようにお願いしておるという状態でございます。  その一本化の方法といたしましては、一般的には申請者側が独自で調整を行なうということが一番望ましいわけでございますけれども、またそういう例もございますけれども、なかなか申請者だけで一本化が進展しないという場合には、地元の有力者に調整をお願いする、そういう段取りになっておるわけでございます。
  225. 中野明

    ○中野(明)委員 いまのお話の中で、申請六十六社というふうなお話が出てまいりましたが、六十六社の中で何か三十一社と言われるものですから、あと三十五ですか、それは免許保留というような形になったのだろうと思いますが、基準はどこに置いて、保留とそれから保留でない分とに分けられたのか。その基準はどこに置かれたのでしょうか。
  226. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  先ほどもちょっと申し上げましたように、いわゆる既設の放送事業者、あるいは教育、報道等の放送を目的とした申請者というものは保留いたしまして、その他の三十一社ですかに対しまして一本化をお願いしたということになっておるわけでございます。
  227. 中野明

    ○中野(明)委員 巷間伝えられておるところでは、三十五社というような話をよく私、聞くのですが、三十一社に間違いないでしょうか。
  228. 藤木栄

    ○藤木政府委員 先ほど申し上げましたように、三十一社が一本化されたわけでございまして、保留になったところが三十五社、そういうことでございます。
  229. 中野明

    ○中野(明)委員 それでは次にいきますが、調停に際して、大阪、名古屋、福岡の三地区は、たしか各県の知事に御依頼になったように聞いております。東京に関しては都知事に頼まれないということでありますが、これは何か理由があったのでしょうか。
  230. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、地元の有力者ということでございまして、いろいろなケースがあるわけでございますが、たとえば大阪におきましては、商工会議所の会頭にお願いした。東京におきましては、日商会頭の足立さんにお願いした。そういったようなことになっております。
  231. 中野明

    ○中野(明)委員 私の聞いたところでは、大体知事にお願いしておるケースが多いようなんですが、そうとは限らぬのですか。
  232. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  知事にお願いする場合もございますけれども、必ずしも知事ということではございません。
  233. 中野明

    ○中野(明)委員 FMに関して、大阪、名古屋、福岡、これはいまおっしゃったことでよろしいでしょうか。三県とも知事じゃなかったでしょうか。大阪、名古屋、福岡の三地区です。
  234. 藤木栄

    ○藤木政府委員 ちょっと手元にはっきりした資料がございませんので、後刻はっきりさせまして御報告申し上げたいと思いますが、大阪と東京は以上のようなわけでございます。
  235. 中野明

    ○中野(明)委員 もう一点、大阪、名古屋、福岡の三地区の株の配分を私、見てみましたが、いずれも大体同率で配分が割り当てられているというふうに私、書物で拝見したのですが、そのとおりでございましょうか。
  236. 藤木栄

    ○藤木政府委員 そのとおりでございます。
  237. 中野明

    ○中野(明)委員 この株の割り振りというのですか、これについては、郵政省から何か行政指導というような方法で、あらかじめワクというのですか、そういうふうな希望条件を述べられるのですか。この点、株の配分についてどうでしょうか。
  238. 藤木栄

    ○藤木政府委員 いわゆる新聞、報道等のマスコミにつきましては制限をいたしておりますけれども、それ以外には、こちらといたしまして制限をつけておりません。
  239. 中野明

    ○中野(明)委員 この株の割り振りを見ますと、私ども大体納得できるのです。大阪、名古屋、福岡が、大体申請者が等分に株を持っておられるようです。ところが東京の場合ですね、先日資料をいただいたのですが、東京地区の株の割り当てが、これはたいへんな割り当てになっております。申請者単位の率からいってもばらばらですし、何を基準に株の割り振りをなさったのかわけがわかりません。延べ何人おられるでしょうか、百人とはおらぬのじゃないかと思いますが、こういうことについて、郵政省が免許を与えられるときに、これをどういうふうに受け取っておられるのか。  株というのは、私、非常に大事だと思うのです。免許は個人に与えるのじゃなしに、その会社そのものに免許をおろされるわけですから、そうしますと、会社の代表者というのはやはり株主、こういうことになってまいります。その株の割り振りが、前の三地区では非常に公平に、大体このあれによりますと、三・七五%とか五%とか六%とかいうふうに平均にきれいに割れているわけです。これならば、なるほどきれいに話し合いができて許可がおりたんだなというふうに私どもすなおに理解できるわけですけれども東京の場合全然もうばらばらで、百人に近い、しかもその株の配分が非常に小さい。〇・二%とか〇・三%というような、こういうような人がずらっと並んでいるわけです。  こういう点について、なぜこんなことになったんだろうかと、私ども素朴に疑問を持つわけですが、この間の事情は、どの程度まで郵政省のほうで気にしておられるものかどうか、そこら辺どうでしょう。
  240. 藤木栄

    ○藤木政府委員 先ほども申し上げましたように、東京の場合は足立さんにお願いしましていろいろやっていただいたということと、それから、先ほども申し上げましたように、三十一社という非常に多くの申請人を一本化したという経緯がございまして、自然とその出資される方が数が多いという状態でございまして、おっしゃるようなことになったわけでございます。  ただ、私どもといたしましては、非常に少ないのから、ある程度多いといっても、いませいぜい五%ぐらいが最高でございまして、平等というわけにはいかないと思いますけれども、この程度であれば、こちらとしてとやかくといいますか、別に問題はないのじゃないか。平等とはいきませんけれども、大体配分されているのじゃないか、そういうふうに考えておるわけでございます。
  241. 中野明

    ○中野(明)委員 この前の三地区と比べまして、同じようにFMの免許をおろされたのですが、あまりにも極端な、同じFMの免許でありながら株の配分が違うわけです。そういう点、いま局長は、これでまあ大体文句なかろうと思ったというようなことをおっしゃるのですが、私どもしろうとが見ましても、三地区東京とはあまりにも違いがあり過ぎます。約百と言いましたが、九十何日に分かれております。ほかは、よく分かれても十五口ほどです。こういうふうな株の配分でふしぎに思われなかったかということなんですが、これは後ほどいろいろとお話を進めていけば、もう少し具体的な話になっていくと思うのですが、この点何か、巷間伝えられているように、今度の東京のFMの免許というのは非常におかしい。どういうのですか、いろいろ問題があるというふうに文句を聞くわけです。私どもも逓信関係を担当しておりまして、大事な電波を、それも東京で一波しかないこういう貴重な電波を割り当てられるにあたりまして、あとから文句が出てくるような、そういう免許のあり方というものに私どもは非常に遺憾にも思うし、疑問を持つわけです。それでいまこういうことをお尋ねしているわけですけれども局長自身がそんなことに何ら不審を持たれないような、これでいいんだろうというようなお考えでおられたら、これは電波の割り当てを今後なさるにあたりましても、そういう不用意なというのですか、あまりにも考え方が甘いような考え方では、何ぼでも問題が起こるのじゃないか、私そのように心配をするわけであります。  どう申し上げたらよろしいのでしょうかね、この株のことは、私どももしろうとでそんなにやかましいことを知りませんけれども、やはり会社の経営ということになると、株主というのは会社の一番の主体者ですから、ここに非常に関心を持っていただかないと困るのではないか。そういう意味で、先ほども、放送関係の株を幾らにしなければならないというところまで郵政省のほうとしては希望条件を述べておられるのですから、ですから、株の関心がないということは私どもは言えないと思います。だけれども、この三地区とそれから東京とのあまりの大きな違い方に疑問を持たれなかったかという点、いまのお答えではたいした疑問を持っておられないような返事だものですから、私どもも非常に遺憾に思うわけですが、時間がおくれておりますので、そんなことでこだわっておってもしようがないから、次にまいりたいと思います。  電波法を読んでみますと、申請の審査については、郵政大臣は、申請書を受理したときは、遅滞なくその申請を審査しなければならない、このようになっております。この際、審査に不合格な者は当然免許拒否、こういう手続をとられると思います。もし適格な申請者が割り当て可能な周波数の数、たとえば東京で五つ割り当てができるとしたときに、それ以上に来たとき、いま一本化というようなことになっているのですが、正式には何を基準にして審査をされるか、審査の基準、これはあると思うのですが、どうでしょうか。波の数よりも越えて申請が出た場合に、一応不適格なものは落とすはずです。その基準ですね、これはどのようになっておりますか。
  242. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  法律にございますように、電波法の七条にございますように、いわゆる周波数があることと、あるいは技術基準に合致することと、あるいは財政的な基礎があることと、あるいは放送局でありますと、放送局の開設の根本基準というのがございまして、これに合致することと、そういった四つの条項が免許する際の基準、そういうことになっておるわけでございます。
  243. 中野明

    ○中野(明)委員 法律の上でも免許の基準はきめられているようですが、そうなりますと、私まず一番に疑問に思いますのは、そのようなはっきりした基準が出ておるのですから、調停とか一本化というようなことをする必要はないじゃないだろうか、その基準に照らしてどしどし処理していかれたらいいじゃないか、このように思うわけです。法律の上では、調停しろとか一本化しろというようなことはうたっていないと思います。私もいろいろ電波法を読んでみましたけれども、それはありません。  ですから、郵政大臣は、申請書を受けたら遅滞なく審査して免許を与えなければいかぬ、こういうふうに法律では明言をしておるようですが、調停とか一本化をやるということは、そうなりますと、法律にそんなことを書いてないということになると、これは違法かという疑問が出てきます。違法行為なのかということ、あるいは郵政省がもうそういうことはわずらわしいから、ごちゃごちゃ文句を言われるのはいやだからということで、自分の権限というものを、そういう振り分けする権限というものを郵政省に与えられているはずですが、その権限を放棄してしまったのか、あるいはそういうことを一々仕事の上でこまかくするのはいやだからというなまけですか、怠慢だろうか、こういうふうに、大きく言えば三つの疑問が起こるわけです。  法律では、申請を受けたらすみやかに免許を与えろ、こうあるわけであります。基準はこうだと、一応抽象的ですけれども、基準は出ておるようです。それにもかかわらず、すぐ調停とか一本化ということは、法律はそうしろと命じてないわけですから、違法行為じゃなかろうかとか、あるいは郵政省がもうわずらわしいことはさわらぬがいいというふうにのいてるのか、みずから審査する権限を放棄したのか、こういうような疑問を持つわけですけれども、この点どうでしょう。
  244. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げました電波法におきまする基準というものによって、もちろん役所といたしましては、申請があった場合は直ちに審査いたしますけれども、四つの基準といったものは、よほどのことがない限り申請人のほうで満足している申請が出てくるという状態でございます。したがいまして、いわば全部合格、ほとんど不合格がないということになるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、たとえばさっきの東京の例で申し上げますと、FMの波が一つしかないというときに、三十一社も申請があるという場合、その三十一社が全部基準に照らしまして合格といった場合は、郵政省といたしまして優劣の判断がつけにくいということになるわけでございまして、こちらで明らかに優劣の判断がつく場合でありますれば、それを取り上げて免許をいたしまして、ほかは拒否するということになるわけでございますけれども、ほとんど優劣がつけにくいという状態が多いわけでございますので、こちらも、先ほど申し上げましたような一本化ということにせざるを得ない状態になるわけでございます。  ただ、一本化と申しましても、先ほども申しましたと思いますけれども、地元におきます多数の申請者が参画するということになるわけでございますから、それだけ地元住民の意思も反映するのじゃないか、そういうことで一本化自体は好ましいことではないか、そういうふうに考えておるわけでございます。
  245. 中野明

    ○中野(明)委員 そうしますと、いまのお話をじっと聞いていますと、いずれか甲乙つけがたい、こういうようなお話ですから、そうすると、もし波の数が申請者と同じだけあったら全部許可をされる、こういうことですか。
  246. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  波の数がもしそれだけ豊富にございましたら、当然、法律に照らしまして一つずつ免許が与えられるということになると思います。
  247. 中野明

    ○中野(明)委員 もう一点、このFM放送の今回の四地区の免許は、競願処理は行なわないで、全部一本化の方向でやったのですか。
  248. 藤木栄

    ○藤木政府委員 FMに関しまする四地区につきましては、お説のように申請者の数が多数ございましたので、一本化ということで免許を行なったという状態でございます。
  249. 中野明

    ○中野(明)委員 この機会に一点だけ、私もちょっと自分でも疑問がありますので聞いておきますが、申請者の中に発起人となっている人が重複して申請をしておられる、ちょっと見てみますと、こういうのがあるのです。同じ人が別々のところで発起人になって申請をしている、こういうのがあるわけですが、結局そうなりますと、一本化したときに、両方に申請をしているから、複数のところから株の配分を受けて、結果的にはその発起人の持ち株はほかの人よりもふえるわけですが、この点はどうでしょうか。重複する発起人の申請はどうお考えになっておりますか。私ちょっとおかしいような気もするのですが、それでもかまわぬものかどうか。言うている意味はおわかりでしょうか。
  250. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  重複して申請される場合は、役所といたしましてはどちらかを取り下げてもらうということになると思います。したがいまして、具体的には、たとえば先ほどの東京の場合ですと、三十一社の場合に重複して申請を出されているということはないと思います。
  251. 中野明

    ○中野(明)委員 いまの発起人の場合なんですが、もう一つ、発起人の代表というのがあります。発起人代表、これが数名おられる会社があるのですが、その中ででも、いまちょっと名前をあげるのは差し控えますが、Aという会社の発起人代表が数名あるわけです。その中にある人が名前が出ているわけです。またその後Bという申請が出たわけです。その申請の中にも発起人代表とし  て名前が出ているわけです。それで受け付けておられるわけです。ですから、それが違法であるならば、これは取り下げさせなければならないわけ  ですが、それは受理されているようでございますが、その点どうでしょう。
  252. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  発起人代表として一人の人が出ている場合に、同じ人がほかの会社の発起人代表として出ているということはないと思います。ただ、発起人代表が数人ある場合に、ほかの申請の発起人代表がやはり数人ある場合に、その中の一人として入っているという場合はあるかと思いますが、できるだけ平等に電波を使うという立場からいいますと、そういう場合はあまり好ましい状態ではないと思います。
  253. 中野明

    ○中野(明)委員 好ましい状態ではないけれども、受理されたということは、現行法ではこれを拒否する理由はない、有効である、そういうふうに解していいですか。
  254. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お説のとおりでございます。
  255. 中野明

    ○中野(明)委員 その辺も将来の検討課題としていただきたい。私、問題があると思います。同じ人が何社からも名前を連ねて申請が出ているということ、これは大臣もお聞きおきいただきたいと思うのですが、そういうことはあまり好ましい状態でないし、法的に考えても私は疑義があると思います。そうしないと何カ所でも申し込んで、どうせもめて一本化になるんだから、自分の名前をたくさん出しておけばそれだけ自分の権利、言い分がふえる、こういうことが起こり得るわけです。そういう点、将来の課題にしておきたいと思いますが、私もこれは非常に疑問に思っておることです。  それで、先ほど六十六社と言いましたが、今回の東京FMの提出の期間はいつからいつまででございましたか。
  256. 藤木栄

    ○藤木政府委員 東京地区におきまするFM放送の申請は、昭和二十九年からございまして、一番古いのが昭和二十九年でございます。その後四十三年まで合計六十六件ということになっておるわけでございます。
  257. 中野明

    ○中野(明)委員 昭和二十九年からといいますと、一番最初に申請した人は、申請してから十五年待っているわけです。それは本人が承知して待っておれば、それだってかまわないとおっしゃるでしょうけれども、この辺にも私は問題があると思います。二十九年に申請して、すみやかに処理しなければならぬというふうに電波法ではうたわれておるのですけれども、その間十五年間もほったらかしてある。その間にぼつぼつ申請が出てきて、四十三年十月ですか、締め切ったのはいつなんですか。そして何を理由にして締め切られたかということなんです。
  258. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  初め無線局の申請といったものが出た場合に、もちろん法律的には、先生のおっしゃるようにすぐに審査をしなければならないわけでございますけれども、たとえばFM放送のような新しい形の媒体の免許ということになりました場合には、やはり法律だけでは事務的な処理ができないわけでございまして、その下の段階の省令あるいは具体的な電波の割り当て計画と申しますか、いわゆるチャンネルプラン、そういったものが整備しないと具体的な免許ができない。特にこの放送の場合は、チャンネルプランというものを公表いたしまして、それに基づきまして免許を行なうということになっておるわけでございますので、昭和二十九年に申請がすでにあったわけでございますけれども、実際具体的には、先ほどもおことばがありましたように、昨年におきましてやっと民間放送におきまするFMのチャンネルプランといったようなものができたというわけで、そこで初めて具体的な免許が行なわれる段取りになったわけでございます。  したがいまして、締め切りというものも、チャンネルプランができて初めてそこで締め切るということが行なわれる、そういう状態でございます。
  259. 中野明

    ○中野(明)委員 いまの理屈でいきますと、チャンネルプランができた日と締め切った日というものがあまりにも接近し過ぎているわけです。チャンネルプランを発表してあくる日締め切っているということです。ですから、そこら辺私、非常に疑問を持つ一人なんです。二十九年からずっと受け付けておいて、そうしてまだだまだだと言っておいて、四十三年の十月の終わりごろにチャンネルプランを発表して、そのあくる日くらいにもう締め切っておる。こういうやり方、これはちょっと私おかしいんじゃないかという気がするんですが……。  まあ、現在の法律ではかまわぬのでしょうけれども、私、考えますのに、チャンネルプランをある程度発表して、それから一定の期間を設けて、その間に申請をさして、そして期間内に申請のあった分を審査する、これなら私は常識だろうと思うんですけれども、いまのやり方を見ていますと、昭和二十九年から申請をずっと受け付けて、それもいよいよだめなら拒否すればいいと思うんですけれども、拒否もしないでずっと預かっておいて、十五年もたったらこれは相当状況も変化いたしますし、これはかなり問題が残ると思うんですが、そういうことになっているわけであります。私ども、そういうことからいろいろ問題が起こるんではないか、このように思うんです。  先ほどの話にちょっと戻るようですが、どうでしょうか、将来のことも私あると思うのですが、私ちょっとあわてて資料を向こうに置いてきたんですが、重複して申請している人が発起人の中にもおるし、発起人代表の中にもおるように先ほど私、見たわけです。ですから局長のおっしゃっているのは——資料がそこにないのかもしれませんが、後ほど資料としていただけますか、それは。
  260. 藤木栄

    ○藤木政府委員 ただいま手元にございませんので、後ほど資料として提出申し上げたいと思います。
  261. 中野明

    ○中野(明)委員 私が見た資料では、同一人物がかなり重複して出ているんです。そういうことを郵政省のほうで何も気にしないで平気で受け取っておられるのか、チェックされたのかというところも、非常に私、疑問に思っておるわけです。ですから局長の答弁では、何か全然なかったみたいな返事でしたので、資料をお願いしておきたいのです。  それで、時間がないですから次にいきますが、東京の場合も最終的には一本化という形になったから、免許をおろされたというふうに思いますけれども、一本化が終わった場合は、もう審査をしないで免許をおろされるのかどうか、最終的にですね。調停人が一本化するわけでしょう。一本化が終わった場合には、もう審査しないで免許をおろすのかどうか。
  262. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  一本化されましたときには、一本化した申請が出てまいりますので、ほかの申請は全部取り下げていただくわけです。もちろん、この一本化して出てきた申請に対しましては、先ほども申し上げましたような法律の基準もございまして、あるいはそれの下の段階の省令というものもございますので、そういったものに照らし合わせまして十分審査をいたします。
  263. 中野明

    ○中野(明)委員 先ほどのお話で、東京の場合は足立さんに依頼されたということでしたが、現在は日商の会頭ですか、けれども当時は、足立さんはたしか日商の会頭ではなかったと思うんですが、それも違ったらまた訂正をしてもらいたいと思います。  先ほどちょっと私、聞きましたが、郵政省で一本化の仕事にどの程度まで協力をするというか、手をかすのかということでございますが、全然これは調停人にまかせっきりのものですか。一本化するにあたっての作業ですね、これはどの程度までタッチされておりますか。
  264. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  一本化をお願いした場合は、もちろんこちらで初めに、先ほどちょっと申し上げましたような、マスコミに対する株の制限といったものは申し上げます。それから役員に関する問題もございますけれども、そのほかに関しましては、こちらで特に条件をつけるということはいたしておりません。
  265. 中野明

    ○中野(明)委員 これは私、聞いたところによりますと、郵政省の職員が、一本化にあたりまして申請書の取り下げ届けを、各三十一社ですか、その申請者にもらいに行っているという話を聞いたのですが、これはどなたか指示をなさったのですか、どうですか。
  266. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  申請者のところに取り下げを、こちらが一々行くということはないのじゃないかと思いますけれども、私もまだこちらに来まして日があまり長くないものですから、過去のことはつまびらかではございませんけれども、普通の状態であれば、当然取り下げは申請者のほうから出てくる、そういうふうに思っております。
  267. 中野明

    ○中野(明)委員 これは三十一社の申請者のうち、数多くの人がそう言っているわけです。郵政省の職員が取り下げ届けをとりに来た。私の聞きたいのは、これはいいのか悪いのかということなんです。局長は自分の考えでそうおっしゃっているわけですけれども、はたしてそれでいいのか悪いのか、行き過ぎではないかという気がするものですから聞いているわけです。事実そういうことをやっていたらどうですか。どう思われますか。
  268. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、申請人のところにこちらが一々出向きまして取り下げをお願いするということは、私どもとしましては好ましいことではないんじゃないかと思っております。
  269. 中野明

    ○中野(明)委員 現実に、郵政省の職員であるということを言いまして、そして自分の名前を名のって、郵政省から来た、申請取り下げ届けを出してくれ、こう言っているわけです。そして、もし取り下げ届けを出さなかったらどうするか、こういうように聞きますと、取り下げ届けを出してもらわなければ拒否処分になる、あなたの申請書は拒否処分になって何の権利もなくなるから出してもらいたい、こういうようなことを言っているわけです。そして取り下げ届けをずっととって歩いているのです。どうでしょうか、そういう事実。私、これは非常に大事な問題だろうと思うのです。本人は知りませんが、郵政省から来た、このように名のって来られて、しかも、申請を取り下げなければあなたの申請は無効になりますよ、ほご同然になって拒否処分になってしまいますよ、だからここで取り下げを出しておいたほうが、一本化の一つの権利が保留されますよという意味の話をして、取り下げ届けを持っていっているという話を聞くのですが、こういうことがもし行なわれておったとしたらどうでしょうか。
  270. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  そのような事例は私はないと思いますけれども、一本化というものがもし行なわれておれば、ほかの申請は不必要になるわけでございますから、当然取り下げが出てくると思います。したがいまして、私どもの職員がそういうようなことを言って取り下げを行なったということは、ちょっと考えられないと思います。
  271. 中野明

    ○中野(明)委員 これはいまここでお話しをしても水かけ論になってしまうわけですが、そういうことを申し立ててくる人が数人おるわけです。私もびっくりしまして、郵政省がそういうことをやるということは不当な介入だろう、行き過ぎもだんだんで介入になる、こういうふうに私なりに考えたわけです。相手のほうも、免許をおろしてくれる郵政省の役人が来てほご同然になると言うのだから、びっくりして取り下げ届けを出した、こういうこと。そういう事実がもしあった場合に、この一本化というものは私は非常に問題があると思うのです。こういう問題が後からでもわかってきた場合に、今回一本化ができたと仮定の上に立って免許をおろされたのですが、一本化するにあたっていろいろ疑義があり、問題があり、不明朗なことがあったとあとからわかった場合に、この免許というものはどうなるでしょう。郵政省の見解を聞きたいのです。
  272. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  先ほど来申し上げておりますように、東京FMの場合は三十一社というものが集まって一本化したという状態でございますので、おっしゃるような、こちらの職員が出向いて取り下げをお願いするということはあり得ないと思います。私どもとしては、もちろん職員に対しましてそういうことを命令したということは、少なくとも私はありません。
  273. 中野明

    ○中野(明)委員 業務課長の名前で電話を先しまして、そういうことを言うて、それから後郵政省の職員がとりに行っている。これは、いまになってみれば当事者が非常におこっているわけです。申請を出すあるいは取り下げるというのはどこまでも個人の意思ですし、申請する権利というものは個人が持っているわけです。それを郵政省の職員か行って、半はどうかつ的に——どうかつということばはどうかと思いますけれども、これは取り下げなければ、あなたのは無効でほご同然だ、こういうような言い方をするということは、裁判でいえば、裁判官と弁護士と一緒にごちゃごちゃにしていることになりはしないか。こういう事実がもしはっきりしてきた場合は、この免許そのものはどうなるでしょうか。私はおもしろくないと思いますし、また必ず問題が起こってくると思うのですが、そういう場合の取り下げ届けば無効になるのですか。
  274. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  取り下げ届けが正式に出ているとすれば、これは無効にはならないと思います。すでに一本化されているという状態で、ほかの取り下げが少なくとも正式に出ているということになれば——仮定の問題でございますけれども、たとえ郵政省の職員が出向きまして取り下げをお願いして出てきたということでございましても、書類的に整えておれば、それは無効ではないと思います。しかし、そういうことはないんじゃないかと思っております。
  275. 中野明

    ○中野(明)委員 これがこの問題の焦点じゃないので、繰り返すのもどうかと思いますけれども、その郵政省の人の名前も言うている人がおりますので、場合によったら証人になってもらってもいいわけです。しかし私としては、そういうことじゃなしに、そういう事実があったということを言うている人が非常に多いものですから、局長が、おそらくそんなことはないと思いますという程度ではちょっと困るのです。これは調べてごらんなさい、必ず行った人がおるはずです。名前まで言うている人がおる。だれかれが来た、こう言っているわけです。あなたが直接調べられたら、まだ半年ほど前の話ですから、当時おった人はまだ郵政省におるはずです。お尋ねになってみられたら、必ずわかるはずであります。この点は、このようなことがあったらとんでもないことだと私は思うわけで、局長も、こういう事実があったらいいこととは思われぬでしょう。取り下げ届けば無効にならないとしても、この事実はどうですか。もしほんとうに行っておったとしたら、どう思われますか。
  276. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げますが、もしいまのようなことが事実とすれば、好ましくないことであろうと思います。
  277. 中野明

    ○中野(明)委員 そういうことが今度のFM東京にはいろいろいわれているわけです。そういうことは局長なり大臣の耳に、予備免許が去年の十二月末で本免許はついこの間です、その間に私は入っていないわけはないと思うのですが、何のために予備免許するのでしょうかね。予備免許して本免許するまでの間に、法律の上ではいろいろ、機械設備だとか放送の実態がどうとかなっていますけれども、そればかりじゃなしに、この予備免許にはたして文句があるかないかというようなことを、ある程度考える時間というものもその中に含まれているのじゃなかろうか。そして一切予備免許に異議がなかったという段階で、機械の状態も放送できる実態ができた、だから本免許を出す、こういう意味で予備免許、本免許ということもあるんじゃないか。法律の上には、おそらくそれは出てきていないでしょう。法律の上では、機械設備とか放送の準備とかそういうことがうたわれているようですけれども、おそらくこの間にいろいろ局長なり大臣なり、そういう方面に苦情が出ているんではないかというような気がするわけですけれども、全然何もなかったでしょうか。文書あるいは口頭で、今度のFM東京について文句がある、けしからぬ、こんなことじゃ承服できないとかいうような意味の申請というのですか、申告というのですか、苦情というのですか、そういうものは全然なかったのでしょうか。大臣どうでしょう。
  278. 井出一太郎

    井出国務大臣 私の耳には、そういうことは伝わっておりません。
  279. 中野明

    ○中野(明)委員 局長はどうでしょう。
  280. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  私に対しましても、そういった特に非難といいますか、そういうことはありません。
  281. 中野明

    ○中野(明)委員 これは覚えがないとおっしゃるのですが、何かそういうことがいろいろと私たちの耳にも入ってくるくらいですから、おそらくそっちへいっているのじゃないか。これはどこまでも私の推察になってきますので、いま大臣が聞いていないと、このように明言されるのですから、それを信用いたしますけれども、そういうふうなことが今回のFM東京に非常について回っているわけです。ですから、最初に大臣も、これからひとつ国会でも終わったらゆっくり調べてみよう、勉強してみようとおっしゃっているのですけれども、これはもういままでにやってもらわなければならないことなんです。  しかも、この免許というのは去年の十二月ですから、選挙のまっ最中です。選挙のまっ最中に、はたしてあわてて免許をおろさなければならない理由があったろうかどうだろうか、これくらいごたごたしているのに。しかも、この一本化ということについてお話がありますけれども、三十一社ですか、この三十一社が一堂に集まって一ぺんでも一本化の話し合いをしたという事実は、私の調べた限りではないのです。全然相談にあずかっていないわけです。それから、三十一社というのは大半つんぼさじきに置かれて、そしてその人たちが知らぬ間にこの会社ができている、こういうことなんです。それとも局長のほうは、三十一社が集まって会合したという報告を受けられていますか。
  282. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  私のほうに対しましては、一々その三十一社が集まって会合したという報告は受けておりません。
  283. 中野明

    ○中野(明)委員 しろうとの常識で考えてみましても、一応個人が放送局を開きたい、このように個人の権利を主張した人が三十一社になった、保留分をのけて。この人たちを一本化するのに、全然この人たちの会合もしない、話し合いもしないで、どうして一本化ができるだろうか。常識で考えれば、まずただ一回でも三十一社に集まってもらって、実はよけい申請があるのに波が一つしかない、どうしたらよろしいか、お互いにいい知恵を出し合って、円満に解決をしようじゃないかというような話がひっかかりになって、初めて私は一本化というのが動き出すのじゃなかろうか。もし依頼されたら私はそうします。これが常識だろうと思う。  ところが、今回の東京FMに限って、三十一社に案内を出して集まってくれ、波が一つしかないのに三十一人が取り合いをしたんじゃ見苦しい、だからお互いに常識で、そして円満に新会社を設立しようじゃないかというような話し合い、これは全然なされておりません、私の調査が不十分かもしれませんけれども。はたしてそれで一本化になったということを、大臣局長も認められるのかどうか、それで一本化できたとほんとうに安心して思われるかどうか、そこら辺は気にならなかったのかどうかということです。その辺どうでしょう。それで一本化できたというふうに自信を持って言えるでしょうか。そこをちょっとお考えを聞きたい。
  284. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  私どもといたしましては、三十一社の申請された方が取り下げ願いを出されて、一本化された申請が出てきたという状態がありますれば、それが一本化されたというふうに思っておるわけでございまして、先ほども申し上げましたように、特別な方に一本化を御依頼申し上げるという状態でございますから、その一本化のいきさつがどういうことになったかつまびらかではございませんけれども、少なくとも書類的に整って一本化の申請が出てきたという状態であれば、それを十分に検討いたしまして、それが適法であれば、チャンネルプランにも合致しておるということであれば、免許するということになるわけでございます。
  285. 中野明

    ○中野(明)委員 ここで、先ほどの件調べていただいたのじゃないかと思うのですが、東海大学の訴訟の件はどうでしたか。両方とも話し合いで取り下げた、こういうことですか。どういうふうな話し合があったのですか。
  286. 藤木栄

    ○藤木政府委員 どうもおそくなって申しわけございませんけれども、東海大学のほうが訴訟を取り下げたということなので、自動的に控訴も解消したということになるわけでございます。  なお、誣告罪につきましては、二、三検察庁で事情聴取があったわけでございますが、現に訴訟を取り下げたということに伴いまして、同時に取り下げております。ただ、郵政省が電波法違反の告発といったものは、現在もそのままの状態でされておるという状態でございます。
  287. 中野明

    ○中野(明)委員 それから、いま取り下げ届けの話をされましたが、取り下げ届けが出たから一本化ができたのだ、こういう確認になるという意味のお話でしたが、一体取り下げ届けばいつ集まったのか。この点、取り下げ届けが集まった時期と一本化できた時期とずいぶんズレがあります。先に取り下げ届けをとっています。そこら辺どうでしょう。
  288. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げますが、ちょっと時期がはっきり、いま手元に資料がございませんので申し上げられませんけれども、後ほど調べまして御報告申し上げます。ただ、いわゆる取り下げが出てきまして一本化が行なわれるというのが、順序であろうと思っております。
  289. 中野明

    ○中野(明)委員 私の考えは少し違うかもしれませんが、一本化の話が円満に話し合いがついて、それで一本化の話し合いがついたから取り下げ届けを出す、これがほんとだろうと思うのです。先に取り下げ届けをとって、それが終わったら一本化ができた、こういうものの考え方、これは私、問題だと思うのです。個人が、自分が申請した権利を持っているわけです。その権利を持っている人たちが一ところへ集まるなり、いろいろ調停人がおって話し合いができて納得した、じゃこれで一本化ができるな、それでは取り下げ届けを出せ、これがほんとうだろうと思う。ところが、取り下げ届けが大半集められたのは、私の調べたところではたしか四十四年の三月。一本化ができ上がったという結論が出てきたのは、四十四年の十一月かそれくらいです。その間、取り下げ届けを出してから一本化ができたというまでの間に半年以上のズレがある。そこら辺も私、非常に疑問に思っているわけです。これは、後ほど調べて返事をするとおっしゃっているのですからいいのですが……。  いまのFM東海のことに戻りますが、いまもなお告発している、告訴は取り下げてないとおっしゃるのですから、そうすると、この方々郵政省の見解では電波法に触れる、電波法違反の容疑があると確信をもって告発しておられるはずです。いわば電波法違反の、ことばはどうかと思いますが、容疑があるということです。それは間違いないと思います。いまも告発を取り下げておられないのですから。そのようなことをじっと考えますと、私、今度目の新しい会社にこれまた疑問を持つわけです。  これはちょっと大臣にも聞いてもらいたいのですが、今度目新しくできましたFM東京は、代表取締役が五名おります。この五名のうち三名まで、電波法違反の容疑をもって郵政省が告発している人が入っておりますよ。いいんですか、これで。いまなお郵政省が電波法違反の容疑で告発しているそういう人が、新会社の代表取締役五名のうち三名まで占めています。五人のうち三人というような過半数を占めています。はたしてそれがよろしいかどうかです。大臣、どういうふうにこれを判断し、考えられるか。
  290. 藤木栄

    ○藤木政府委員 いわゆる容疑があると見られるのは東海大学だけであると思います。  なお、電波法の第五条に、無線局の免許を与える場合の欠格事由というのがございますが、これの第三項に、いわゆる無線局の免許を与えないことができるという者の中に、「この法律又は放送法に規定する罪を犯し罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者」というのが欠格事由の中に入っておりますが、いまのようなただ容疑があるということだけでは、この欠格事由に該当してないということでございまして、電波法的には差しつかえがない、そういうふうに考えておるわけでございます。
  291. 中野明

    ○中野(明)委員 私、答弁を聞いておりまして非常にすっきりしないのですけれども、いやしくも郵政省が電波法違反があると確信を持ったればこそ告発したと思う。裁判を起こしている。裁判の判決が出てないだけのことであって、郵政省の確信としては、これは明らかに電波法違反だ、こう断定しているわけです。しかも、あなたいま大学と言われましたけれども、大学というのは法人であって、これにはやっぱり代表者がおる。理事長もおれば理事もおる。その理事長と理事が、今度目の新しい会社に代表取締役として三人出ているのです。はたしてそんな考え方で、それで郵政省は——もうこの法律でははっきりそうなっていますね。大臣の裁量によって取り消すことを規定しているというのが、電波法の七十六条の二項に、「不正な手段により、」こういうふうに規定しております。第五条の四項では、免許を受けることができない者となったときは、その免許を取り消さなければならないと、大臣の権限は相当きびしいことをいうております。  電波というのは国民の財産ですし、これを私して——私というとことばが悪いかもしれませんが、その電波法上の罪を犯したということは、電波行政の上からいっても相当の重罪であるわけです。こういうことをした人は免許をおろしちゃいかぬ、あるいはその刑がきまってから二年間は、一切そんな者には電波をさわらしちやいかぬというふうに規定しているわけです。現在、郵政省はこの人たちを訴えている。東海大学を訴えているが、東海大学はものを言いますか。いま局長は、相手は東海大学だから関係ないということをおっしゃっているけれども、大学を訴えたら、その裁判に出てきて弁明をしたり、文句を言ったりするのは、必ず人間が来るわけです。それはだれが来るかといったら、理事長あるいは理事が来るはずです。その人が、今度目の新会社に代表取締役五人のうち三人まで入っているのです。これは大臣どう考えられます。
  292. 井出一太郎

    井出国務大臣 いま中野さんは三人とおっしゃいますが、これは一人のようでございます。しかし、事の性質は、三人であろうが一人であろうが同一だろうと思います。  そこで、先般来の東海大学対郵政省とのトラブルは、一方において訴訟を取り下げた以上は、郵政省もその処理を当然しなければならなかったものだ、こういうふうに私も思うのですが、それが、検察庁の都合等もきっとあったのでございましょう、今日までそのままの形に相なっておるというのが事実だと思います。したがいまして、これは御指摘を待つまでもなく、当然処理をして、すっきりした形にしなければいかぬものか、かように心得るわけであります。
  293. 中野明

    ○中野(明)委員 いま大臣は一名とおっしゃいましたけれども、東海大学の理事、こういう立場に立っておられる方がおられるでしょう。梶井さんとか大友さん、この方は東海大学の理事です。私は人の名前はあげまいかと思いましたが、一名だと言われるから私は言うのです。東海大学の理事です。そうしたら、やはり五名中三名じゃありませんか、理事長と理事で。理事というのは、理事長が事故あるときはこれを代行する人です。役員です。そういうお考えでは私は困ると思うのです、大事な電波を割り当てるのですから。現在まだ係争中でしょう。精神はどうか知りませんが、しかし手続の上では、現在まだ訴えているのです。訴えている人を、五人のうち三人までおるのに免許をおろしている。これで、初めからいったら六十六社、あとの三十一社の人たち、それ以外の電波を申請しようと思っている人たち、あるいは電波というものは非常に大事だと思っている人たちが納得するでしょうか。  郵政省のそのやり方、免許のおろし方、これは私は法律的にも問題があると思うのです。こういう会社というものは、先ほどから言っておりますようにやはり法人ですから、会社の代表取締役というのは、これはもうその会社を代表するところの重要な役割りですから、この五人の中で三人まで入っている、これはもうほんとうにむちゃくちゃだと思うのです。そんなのやったら何も訴えなくていいです。それでかまわぬのやったら、訴える必要はさらさらない。訴える以上は、郵政省としては電波を守る立場から、国民の電波を監理する立場から、けしからぬ、法律違反だというわけで訴えたのでしょう。そういう法律違反を平気でするような人を、重役の中に三人も置いてあるその会社に免許をおろしている。これは私は、この免許は問題だと思うのですが、どうでしょうか。
  294. 井出一太郎

    井出国務大臣 先ほど局長お答えいたしましたように、まあ法律論としましては、あるいは形はきちんと整っておる。つまり免許の申請書、書類はそういうことであろうと思いますが、まあ社会通念とでもいいましょうか、そういう面からいいますと、中野さんの御指摘、十分理由のあるように私も思うのでございます。  したがいまして、これはいまここで即答申し上げることはちょっと控えさしていただきますが、十分研究課題たるに値する、かように思うのでございます。
  295. 中野明

    ○中野(明)委員 社会的通念というような大臣のお話ですけれども、私は、法的にもこれは疑義があると思うのです。だって、現在郵政省が訴えているのですからね。その訴えている人が重役の中に三人もおるのです。五人のうち三人ですからね。百人のうち三人だったら、私もここまで言いません。五人のうち三人ということは、過半数を占めて、その人たちの意見で会社はどうでもなるということです。これでは、将来また電波法違反を起こしかねないということは否定できません、過去にやっているのですから。そういうところへ免許をおろした、これはたいへんなことです。  これは、大臣はお気の毒です、大臣は自分が知らぬうちにできたことですから。前の大臣ですからね。選挙中にやったことです。だけれども、やはり引き継がれた以上は、私は責任があると思います。このような大事な問題をかかえているのに、大臣は、先手をとられました、これから研究します、というようなお考えでは困るのです。電波は私されてしまうのです。私は、自分自身が電波のことはしろうとで何も知りませんから、えらそうなことは言えないのですけれども、常識で考えて大事なものですから、きちんとあとで問題の残らないように、また、われわれも一応しろうとでも、ああこういうふうにして電波をおろしたんだなというふうに、すっきり納得できるような、そういう行政をやってほしいわけです。  いま大臣のおっしゃっていることは、筋が通りません、郵政省のやっていることも。自分のやったこととしていることが全然筋が通りません。片方で訴えておいて、片方で許可しているのです。これは筋の通らぬ話ですよ。十分研究しますと言って研究するような問題と私は違うと思うのです。研究の余地ありません。だって、片方では訴えているのでしょう。片方では訴えておいて、片方では許可している。これは、一般国民が聞いたらどういうふうに思うだろうか。これは私、最初にも申し上げているように、東京のFMというのは問題が多過ぎる。だから、あまり問題が多ければ、これは大臣としては取り消さなければならぬのじゃないかというところまで思い詰めておるわけです。それぐらいにやはり井出大臣は、新しく大臣になられて、そして所信表明のときにもおっしゃったし、その後にもおっしゃったように、今後の郵政全般、特にとりわけ電波行政については、斬新的な思い切った政策というのですか、大臣としての決断をしてもらいたい、勇断をもって処置をしてもらいたいという期待をかけて私は申し上げているわけです。これではあまりにも不明朗です。国民もこれでは納得できないと思います。  大臣は、何か御用事があるということですが、あす委員会をもう一ぺん開いていただくならば、私はこんな非人道的なことはいたしませんけれども、あしたどうも委員会は開かれないようですから、もうしばらくおつき合いをお願いしたいと思います。  私の持っている資料で、その次の問題を話したいのですが、FM東京という名前の申請者が三通ほどありました。いずれも今回設立されたFM東京の代表取締役と無関係の人が名前に出ている。FM東京と名前のついた申請です。念のために私は聞くのですが、今回設立されたFM東京の発起人代表はどなたでしょう。
  296. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  発起人代表は六名でございまして、先ほど申し上げました足立さんと大野勝三さん、梶井剛さん、林屋亀次郎さん、松前重義さん、大友六郎さん、以上の六名でございます。
  297. 中野明

    ○中野(明)委員 その新しいFM東京の申請書は、いつ受理されましたか。申請書の受理された日にちです。
  298. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  昭和四十四年の十二月十七日でございます。
  299. 中野明

    ○中野(明)委員 これは四十四年の十二月十七日、このときに申請が出ておりますか。この会社の名前で申請が出ておりますか。FM東京という名前で……。
  300. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  その当時は、株式会社中央FM音楽放送という名前でございました。あとになりましてFM東京というふうに社名を変更した、そういうわけでございます。
  301. 中野明

    ○中野(明)委員 そうでしょう。私もそのように承知しているものですから聞き直したのですが、この中央FM放送がなぜFM東京に名前が変わったのでしょうか。中央FM放送で申請が出ておった、それが十二月十七日の時点でFM東京というふうに名前が変わったのですが、その理由は何でしょうか。会社の名前を変えるというのですから、これはもう重大な問題だろうと思うのです。
  302. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  十二月十七日に申請が出ました当時は、先ほど申し上げましたような中央FM音楽放送ということでございましたが、その後会社の中でいろいろ相談した結果、名前をFM東京、そういうふうに変えたと変更届けが出たという状態でございます。
  303. 中野明

    ○中野(明)委員 その変更届けはいつ出たかということ、そして会社の名前が変更しただけなのか、発起人あるいは株の割り当てなどもとのままで継承されているのか。その変更の内容です。これはもう申請の受付を締め切った後の話ですから、だからFM東京という申請書はないはずです。で、いまお話によると、中央FM音楽か何かという会社の名前を変えたということですから、そうしますと、会社の名前を変えただけなんですか。発起人から株の割り当てから全部変えたのですか。そこのところどうですか。
  304. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  その中央FMのときからFM東京と変わっても、別に内容自体が変わっているということではございません。
  305. 中野明

    ○中野(明)委員 いつですか、その訂正が出たのは。
  306. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  先ほど間違えて申し上げまして失礼申し上げましたけれども、実は従来の株式会社中央FM音楽放送というものがいわゆる一本化されまして、FM東京という名前に訂正する訂正の届け出が、新しい一本化の申請と同時に出たという状態でございます。したがいまして、この従来ありました株式会社中央FM音楽放送というものにほかの三十社が一本化されて申請が出てきた、そういう状態でございます。それが十二月の十七日でございます。失礼申し上げました。
  307. 中野明

    ○中野(明)委員 ちょっとそこに大きな疑問が一つ残るんですが、これが一本化したために、この中央FM音楽放送の名前で一本にして、そして新会社をつくったらよさそうなものだと思うのですけれども、なぜ会社の名前を変えなければならなかったかということです。それから、もしも中央FM音楽放送ですか、中央FMで申請が出ておったのを切りかえるとするならば、中央FM、ここの訂正届けはだれの名前で出ておりますか。
  308. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  結局、この株式会社中央FM音楽放送というものがほかの三十社と一本化されて、それがその際にFM東京という名前に社名が変更されまして訂正届けが出てきたというわけでございまして、そのときの代表の名前は梶井剛さんであったと思いますが、手元に資料がございませんので、もし間違っておりましたら、あとから訂正させていただきます。
  309. 中野明

    ○中野(明)委員 ここは私、非常に大事なところだと思って聞いているんですがね。中央FM放送に一本化して、いまあなたのおっしゃるようでしたら、中央FM放送の取り下げ届けが出ておりますか。
  310. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  中央FM音楽放送にほかの三十社が一緒になって一本化されまして、中央FM音楽放送の名前をFM東京と、そういうふうに改定して出てきた。そういう状態でございますので、中央FM音楽放送自体は、いわゆる取り下げは出ておりません。中央FM音楽放送自体がFM東京、そういうふうに名前が変わった、そういうことでございます。
  311. 中野明

    ○中野(明)委員 そうすると、書類の手続の上からいきますと、中央FM音楽放送という会社の名前から、発起人から、株の割り当て、全部変えるのに、中央FM放送の、それまでの、最初に申請した人たちの訂正届けでないといかぬのじゃないですか、書類の上から考えて。そうしないと、中央FM放送の取り下げ届けが出てない。訂正届けは違う人がしている。違う人の名前で、会社のそんな大事なことが変更できますか、どうですか。たとえば会社がここにある。この会社の名前から、役員から一切みな変えてしまうのに、違う人の名前でできますか。こんなばかなことできないと思う。だから、いまのようなやり方をしておられたら、中央FM放送というのは生きておりますよ。申請書は生きていることになりますよ。だって、中央FM放送の会社の申請をした人の名前で訂正しない限り、生きておりますよ、書類の上で。これ、どう思われますか。
  312. 藤木栄

    ○藤木政府委員 手元に中央FM音楽放送のときの申請書がないので、多少間違っているかもしれませんけれども、先ほど申し上げましたように、梶井剛さんの名前で訂正されている、そういうふうに解釈しておりますので、中央FM音楽放送というのは、それがFM東京というものに変わったものである、というふうにこちらでは理解しておるわけであります。
  313. 中野明

    ○中野(明)委員 そこは、これは非常におかしいです。だって、会社の発起人というのは一人じゃない。五人も六人もおる。そして、その申請の手続その他をするのに委任をしておる人もある。委任状も出している。ちゃんと形式も整っているわけです。その会社の名前を変えるのに、その代表の一人だけでぱあっと変えてしまうことができるということになると問題ですよ、そんなことが行なえるということになると。梶井剛、梶井剛と盛んに言いますけれども、梶井剛というこの人の一存で名前がぱあっと変わるんだったら、たいへんなことです。そんなことはできるわけがないと私は思います。ですから、訂正届けを出して会社の名前を変え、役員を変えられるんならば、前の中央FM音楽の会社を申請したとおりの人の名前で訂正が出てきて、初めて郵政省としては一本化になったんだなという納得をされなければならぬはずです。それを、全然申請者の中の、五人か六人の中の一人が入っておったか知りませんけれども、こっちも五人も六人もで訂正している。私はその訂正書を見ております。見て知っておりますからおかしいんです、これは。だから、ていさいよく、うまく言えば、一人の人のためにくるっと会社の名前が変えられてしまったということ、役員もみなすりかえられたということです。悪いことばで言うと、会社を乗っ取られたというような極端な意見を出している人もおるんです。  これは私、そこのところ、非常にFM東京の申請に疑問を持っておるので、具体的にFM東京に関する資料を持ってきてお返事願いたいと申し上げておるんだけれども、一つも資料を持ってこない。免許の具体的なことについて聞きたいと言っているんです。なぜこんなことを言うかというと、あまりにも極端ですからね。あまりにも問題が多過ぎる。今後の電波行政のあり方についても、免許のあり方についても、郵政省の姿勢の問題ですから、それで申し上げているわけなんです。ところが、資料がありませんとか、持ってきておりませんとか、それは不見識ですよ。局長もそのときは、十二月十七日ですか、もうあなたは局長になっているでしょう。さっきの取り下げの届けをとりに行った人だって、現在全部部長だとか課長だとかになっているんですよ。だから、本人を連れてきたらすぐわかるんです。だから、私はそこまでがたがたと言いたくないという気持ちがあるからそう言ってるんですけれども、あまりにも答弁が、ほんとうに本気で考えておられません、この問題を。  私、皆さんの御迷惑も顧みないでこんなにおそくまで、大臣にもたいへん迷惑をかけておる、その点は個人的に申しわけないと思います。委員長も朝からずうっとすわりっきりですから、委員長の顔を見てたら、いつやめようかという気持ちになっております。ほんとに申しわけないと思っておりますけれども、これは姿勢の問題ですからね。そして大臣も、決意を新たにして電波と取り組むと、こうおっしゃっているから私は申し上げているわけです。これは問題ですよ、監理局長。中央FM音楽放送の訂正をだれがしたかというのは非常に問題ですよ。これは帰って調べなさい。よく調べなさい。非常に問題がある。発起人代表も全部変わっている。それで郵政省としては、一本化になったという確認をしているつもりになっておったらたいへんなことです。まるっきり調停人まかせだ。最終的に電波の割り当てをするのは、郵政大臣が責任を持たなければならぬ。それをあなたまかせで、まとまりましたか、よろしい、よろしいで、どんな書類が出てきても全部判こを押して免許してしまっている、こういうことになりますと、たいへんに問題があります。  それは、一本化になったという時点で、申請書が一日でぱっと訂正されて、そのあくる日にぱっと免許になっている。それこそいままで一年ももたもたして免許ができなかったのに、最後の二日か三日でぱっぱっと免許になっている。あんなに一本化にとまどったのが、そんなに簡単に免許ができるわけはありません。たとえば、関東電波監理局にきょう受けたら、あしたもう本省に送っておる、あさってはちゃんと電波監理審議会にもかかって免許になっている。こういうふうなことで予備免許を与えておいて、そして重要事項を確認するのがあまりにもずさんです。  そこで、もしいま私が申し上げたようなことがずっとはっきりしてきたら、どうなるんですか。この免許は取り消されますか。どうですか局長、もしこういうことがあとから起こってきたときには、郵政大臣は研究してみるとおっしゃるのですが、検討されますか、研究されますか、それだけお聞きします。
  314. 井出一太郎

    井出国務大臣 先ほど来中野さんの数々言われました点は、私も十分真相を究明いたします。そうしてその事実いかんによりましては、さらに検討をいたすということを申し上げてお答えといたします。
  315. 中野明

    ○中野(明)委員 大臣が検討する、このようにおっしゃったわけですから、その検討するということは、あまりにも不合理であまりにもとんでもないことであれば、免許を取り消すこともあり得るということも含めての検討、このように私、理解いたしまして、きょうは時間も延長させてしまってほんとうに申しわけありませんが、これで一応質問を打ち切りますが、大臣のお考えいかんでは、将来証人を喚問してでもこの事実をはっきりしてもらいたいと私は思っております。あまりにも電波に対する軽率な免許のあり方というものは、日ごろから非常に批判の多いことです。  この点を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  316. 金子岩三

    金子委員長 次回は来たる十二日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後六時三十四分散会。