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1970-04-09 第63回国会 衆議院 逓信委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月九日(木曜日)    午前十時九分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 内海 英男君 理事 加藤常太郎君    理事 古川 丈吉君 理事 本名  武君    理事 水野  清君 理事 古川 喜一君    理事 中野  明君       加藤 六月君    佐藤 守良君       園田  直君    坪川 信三君       羽田  孜君    長谷川四郎君       浜田 幸一君    林  義郎君       森  喜朗君    森山 欽司君       阿部未喜男君    武部  文君       池田 禎治君    土橋 一吉君       中村 拓道君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 井出一太郎君  出席政府委員         郵政大臣官房長 野田誠二郎君         郵政大臣官房電         気通信監理官  柏木 輝彦君         郵政大臣官房電         気通信監理官  牧野 康夫君         郵政省電波監理         局長      藤木  栄君  委員外出席者         郵政省電波監理         局放送部長   太原 幹夫君         会計検査院事務         総局第五局長  石川 達郎君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     前田 義徳君         参 考  人         (日本放送協会         副会長)    小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   野村 達治君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   竹中 重敏君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   川上 行蔵君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   志賀 正信君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   長沢 泰治君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     松浦 隼雄君         参  考  人         (日本放送協会         経営企画室経営         主幹)     野村 忠夫君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   池田 直和君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ――――――――――――― 四月八日  簡易郵便局法の一部改正に関する請願外六件  (相川勝六紹介)(第二七八三号)  同外四件(大久保武雄紹介)(第二七八四号)  同外九件(草野一郎平紹介)(第二七八五号)  同外十件(西岡武夫紹介)(第二七八六号)  同外十九件(橋口隆紹介)(第二七八七号)  同外十七件(早川崇紹介)(第二七八八号)  同(松田竹千代紹介)(第二七八九号)  同(水野清紹介)(第二七九〇号)  同(村上信二郎紹介)(第二七九一号)  同(木野晴夫紹介)(第二九二九号)  同外二件(關谷勝利紹介)(第二九三〇号)  同外三件(中野明紹介)(第二九三一号)  同外四件(松尾信人紹介)(第二九三二号)  同外五件(松澤雄藏紹介)(第二九三三号)  同外二件(八木徹雄紹介)(第二九三四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本放送協会昭和四十三年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書      ――――◇―――――
  2. 金子岩三

    金子委員長 これより会議を開きます。  日本放送協会昭和四十三年度財産目録貸借対照表及び損益計算書議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林義郎君。
  3. 林義郎

    ○林(義)委員 私は、ただいま議題になりました日本放送協会昭和四十三年度財産目録貸借対照表及び損益計算書につきまして、いろいろと質疑を行ないたいと思います。  決算の問題でございますので、この決算というのは、一体国会でどんな決算審査をする、あるいは決算検査をするということにつきましては、いろいろと問題があると私は思うのです。放送法の中におきましては、会計検査院検査をいたします。国会に対しましては、その報告をするというふうに書いてございます。こういった点につきまして、いろいろと法律的な問題があるんだろうと私は思いますが、これはまた別の機会にいろいろと議論されるところでもありますし、立法上の問題としていろいろ問題があるのではないかと思うので、きょうの決算審査につきましてはこれを省きまして、私は、若干の内容についてお尋ねをしたいのでございます。  まず第一に、日本放送協会お尋ねしたいのですが、政府からの交付金収入というのが収入の部にあがっております。この交付金収入の実態は一体どういった内容であるのか、その辺について御説明願いたいと思います。
  4. 志賀正信

    志賀参考人 四十三年度におきましては、交付金収入として決算をいたしましたものの総額は一億四千九百四十三万円でございました。  これは内容二つございまして、一つ国際放送につきまして、法律に基づきまして郵政大臣から命令を受けております分がございます。これにつきましての実費といたしまして、郵政省から交付されました金額が一億四千六百四十三万五千円ございます。それからもう一つは、選挙放送交付金でございまして、これは公職選挙法に基づきましてNHK選挙放送をいたした場合に、自治省からその実費として交付されますものでございますが、ちょうど当年度には参議院の半数改選がございまして、これの費用といたしまして三百万四千九百七十円を受領いたしております。この二点が当年度交付金収入でございます。
  5. 林義郎

    ○林(義)委員 いまのお話の中で、国際放送の問題に関してお尋ねをしたいのですが、国際放送につきましては、放送法の九条の二というのに、「協会は、前条に規定する業務のほか、国際放送を行なうものとする。」という規定がございます。同時に、法の三十三条に、「国際放送実施命令」というのがございまして、郵政大臣は、「協会国際放送を行うべきことを命ずることができる。」という規定がございます。おそらくこの交付金は、第三十三条の命令に基づいたところのいろいろな放送に対する費用支払い、こういうことだと私は考えておるのでございますが、その場合におきまして、この国際放送実施命令をされるところの範囲、それから、NHKが本来の業務として九条の二に基づいて行なわれている業務との間にどのような差別があるのか、その辺について御説明をいただきたいと思います。  なお、できましたならば、郵政大臣が命ずることができるという内容についてどういった命令を出しておるのか、御説明をいただきたいと思います。
  6. 井出一太郎

    井出国務大臣 放送法の第九条の二の規定は、NHKの本来の業務として国際放送実施を定めたものでございますし、また放送法三十三条は、郵政大臣命令によって行なう国際放送について定めたものでございます。これら業務の関係といたしましては、放送法第四十四条の五に定める国際放送放送番組編集基準に準拠して、個々に区別することはなく、業務一体として行なっておるのでございまして、それによる放送効果向上につとめております。  なお、郵政大臣命令によるものといたしましては、時事、国策等に関する報道解説、及び国際問題に関する政府見解、並びに放送区域空中線電力等を指定するとともに、これに要する費用が国の負担に相なっておる、こういうたてまえでございます。
  7. 林義郎

    ○林(義)委員 いまのお話でございますが、その三十三条に基づくところの業務と九条の二に基づくところの業務というのは、決算の問題としては若干違いがあるということでないといけないのではないかと私は思います。というのは、三十三条に基づくところの命令に基づく業務は、少なくともこの費用は国の負担として予算範囲内で交付金で出す。ところが、一方NHKのほうで、九条の二で行なわれるところの業務につきましては、これはNHK受信料収入でもってカバーする。やはり国がやらなくてはならないという命令をされる点と、NHKがあまねく国民に広く放送を受信させて、文化的な使命を達成するという点については、おのずからそこに法律的な差異が当然なくてはならない。もしも全然ないということで、同じであるということであるならば、これはわざわざこういった規定を設けて、国がその費用負担する必要もないし、NHK範囲内でおやりになればいいわけでございますから、やはりそこにおいては観念的には差があってしかるべきではないかと思うのでございます。  そういった点で、郵政当局がこの辺をどういうふうにお考えになっておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
  8. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  この国際放送命令自体におきまして、実は先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、放送法の第四十四条の五の規定によって行ない、それからまた、この放送法第九条の二の規定による国際放送一体として行なって、放送効果向上をはかること、そういう命令を実は出しておるわけでございまして、そういうことで一体となってやっているというわけでございます。
  9. 林義郎

    ○林(義)委員 この規定は、たとえば今回のハイジャックのような問題につきまして、いろいろと問題がある規定だと私は思うのです。と申しますのは、たしか板付から韓国のほうに飛行機が飛んでいくという段階だと思いましたけれども、その段階のときにおきまして、NHK放送網を使って韓国北朝鮮のほうに対しても、こういった飛行機が行くから、航路の安全を保障してくれというような話をされたというようなことを聞いております。  こういった場合には、これは協会としてももちろん常識的に判断されましておやりになるのでありましょうけれども、これはまさに郵政大臣命令しておやりにならなくちゃいかぬ事項ではないかと思いますし、電波法におきましても同じような規定が――ちょっと条文がわかりませんが、電波法の何条かに、無線局に対して郵政大臣命令をする、その場合においては費用は国の負担とする、こういうふうなことがあるわけでございます。やはりこういった非常時に際しましては、郵政省大臣が積極的にこれに対していろいろな措置をするという道が法律的にも開かれておるのでございますから、今回のような場合には、郵政大臣が積極的にこれをやられてしかるべきではないかと思いますが、その点につきまして、NHKが今回放送されたのは、法律的にいいますとどういった考え方でおやりになったのか、その辺についてお尋ねしたいと思います。
  10. 井出一太郎

    井出国務大臣 お説のような考え方一つの理論でございまして、実はわれわれもそういう点を検討した上に措置したのでございますが、電波法第七十四条によりまして、非常の場合の無線通信を命ずるといったような方法もございますが、郵政省としましては、ただいま来問題になっておる放送法の三十二条、これに基づいて、NHKに対して国際放送実施命令するに際しましては、放送事項として、時事問題あるいは国際問題等に関する政府見解を、報道という形で解説を含めて取り扱ってもらうというスタイルを考えたわけであります。  今回の事件に関しましては、そういう点を政府命令の形にするかどうかという点、NHKとの間に十分協議をいたしました結果、これを受信する側、たとえば韓国もあるいは北鮮もございましょうから、そういう側に与える印象であるとか効果であるとか、こういう点をも考慮いたしまして、まあ従来国際放送という形でやっておりますから、これでいくことが一番すなおではなかろうか、こういう判断のもとにあえていたしましたわけで、決してこれを知らないわけではないのであります。今回やったようなやり方が、一番穏当であろうという判断に基づいていたしました。
  11. 林義郎

    ○林(義)委員 処置としては、私はけっこうな処置だと思うのですが、いま問題になっておりますのは四十三年度の決算でございますが、実は、たとえば今度こういったような事件が起きたときに、NHK韓国北朝鮮に対していろいろと放送すれば当然費用はかかるわけでございまして、それは、本来は国の負担すべき費用でやるべきではないか。したがって、それはもしも当初に予算が組んでなかったならば、予算の許す範囲内においてやるということでございますから、予備費支出でもすべきではないか。これは非常にけっこうな話であって、こういった緊急事態に対してやるわけでございますから、それにかかった費用については、むしろ予備費支出というような形をとってもいいのではないだろうかというふうな気がするわけでございます。  いまのお話だと、どうもよくはっきりわからないのでございますけれども、NHKの本来行なうところの九条の二の業務として、やはりこれはNHKだけにそういったことをまかしておいて、政府が持っていられるところのこの有力な武器をお使いにならないというのは、私はどうであろうかという感じがいたすわけでございます。これは二年くらい先でございますか、おそらくその決算のときの問題になることかと思いますが、この辺につきましてどういう法律的な御見解を持っておられるのか、その辺をお聞きしておきたいと思います。
  12. 井出一太郎

    井出国務大臣 おっしゃる点よくわかります。そして、二つ方法があるわけでございますが、その本来業務のほかに政府命令という道も開かれておる。したがって、そういう場合の費用としてあらかじめ国の交付金というものが設定をされておるのでございますから、そういう非常の場合に、これを使い得る道は十分に開かれておるわけであります。  その範囲内において判断をした結果が、今回は、政府命令はやればもちろんやれるのでありますけれども、本来業務国際放送、そういう形のほうがすなおであり自然ではなかろうか、こういう判断に立ったというふうに御了解願いとうございます。
  13. 林義郎

    ○林(義)委員 関連してお導ねしておきますが、今回のよど号事件におきましては、NHK特派員韓国のほうに派遣されましていろいろやられましたし、一体この点で、NHKは今度の体制をどういうふうにとってこられたか、かいつまんで御説明いただきたいと思います。
  14. 川上行蔵

    川上参考人 お答え申し上げます。  今回の事件が非常に特異な事件であるということで、幾つか特徴がございます。たとえば密室の中に起こった事件であり、しかも空港を舞台としており、その空港がまた、国内だけではなくしてさらに外国へ移っていく、さらにその外国が、必ずしも一国交のある国じゃないというような観点、そういう観点から考えまして、私は三つの線をかたく現場のほうへあれをいたしまして、この線に基づいてやってもらいました。  第一点は、緊急非常の大きな事件であるので、まず全国民にこれを広くお伝えする、そういう義務を十分に果たすように。しかし第二番目に、こういう人質が取られておるわけでございますから、そういう点において、その人命の保護を十分に考えていくということ。それから第三番目に、こういう国際問題でございますから、そういう国際間の配慮を十分にするとともに、同時に、これは国際的な世論というような力をかりて、その人質が十分に安全に帰り得る、あるいは飛行機が飛んでいった場合の安全を期し得る、この三点を十分に配慮しながら全般のニュースを早くお伝えし、あるいは国民の願望を他国に伝える、そういう観点放送いたさせました。
  15. 林義郎

    ○林(義)委員 これは非常に突発した事件でございまして、体制をすぐとるといったところでなかなかたいへんなことだったと私は思います。そこで、いろいろと問題がございまして、飛行機板付から出て朝鮮のほうに行くというときに、いろいろ情報が漏れたとかなんとかいう話もあります。  その辺はさておきまして、私は一般国民の皆さんは、ほんとうにこの百何人の方々の行くえを見守っておったと思うのです。特にNHKは、即刻いろいろと報道をしておられたので、おそらく多くの方が、夜おそくまでNHKテレビにかじりついて見ておられたのじゃないかと思います。私もその一人でございます。  実は、金浦飛行場かん詰めになっている場合に、大体向こうから電話でいろいろとお話があったわけでございます。現在の科学技術をもっていたしますと、おそらく何らかの方法を講ずれば、韓国のなまの状況テレビ画面に映し出すことができたのではないだろうかと私は思うわけでございます。そうしますと、やはり電話いろいろ話を聞くよりは、現場写真がさっと出てくるといったほうがはるかに国民には安心感というか、いろいろな時点の推移をはっきり知ることができるだろうと私は思うのです。  そこで、韓国にもテレビがあるのですから、その韓国からのテレビを、たとえば、対馬の辺でキャッチしてそれをさらに国内のほうへ流す、そうすれば、おそらく若干画面が暗くなる問題があるかもしれませんけれども、そういったことでもしたほうがあるいはよかったのではないだろうか。まあ飛行機がいつ飛び立つかわからない状況でございますから、行ってみたらもう終わっていたということになるかもしれませんけれども、たとえば、私がいま申し上げましたように、対馬あたりに臨時に何か施設を設けて、それでもってNHKの波を中継して国民に流すとか、あるいは、これはいろいろな方法はあると思いますけれども、今回のこういった事件飛行機を飛ばして、飛行機向こうの波をキャッチして、それを放送するというようなことだって、考えられないこともない問題ではないだろうか。これは近隣諸国韓国であるとか台湾であるとか、このハイジャック事件ではございませんけれども、いろいろな事件があるときに、そういったこともやはり国民としては早い情報、早いものを直接見たいというのが一つの願いでございますので、その点につきまして、いろんな点を配慮していただけたらとも考えているわけでございますが、この点につきまして、NHKのほうでどういうふうなお考えでおられるのか。  今回の措置は、どうも韓国だけに特派員でございましたか行かれて、それから電話をかけて、電話内容テレビ画面紹介されるというようなことでございましたのですが、そういったことはお考えになっておるのかどうか、その辺をちょっとお尋ねしておきたいと思います。
  16. 川上行蔵

    川上参考人 お答え申し上げます。  まことに適切な御示唆だと存じますが、ただ韓国のほうから直接テレビで入る、これは技術的に絶対にできないということではございませんけれども、相当の準備期間を要するということと、それからヘリコプターそのほかということも、なお一段とむずかしい技術的条件がございますので、検討いたしながらも、速報するという点に追われましてできませんでした。かりに技術的に配慮いたしましても、事実上あの飛行機がソウルを飛び立つまでには間に合わなかったのではないか、このように考えております。  ただ、いままでの経験といたしましては、韓国との間でオリンピックの際に、マイクロを別途設けまして、国際電電のほうに配慮いただきまして送ったことはございますけれども、これも相当な準備期間がかかりまして、約三日、四日かかっておりますので、事実上今回の場合においては、間に合わなかったのではないかと思います。ただ、今後とも配慮いたしますと同時に、動く写真が入らなくても、スチール写真を伝送するとか、そういうことは一、二いたしております。
  17. 林義郎

    ○林(義)委員 ハイジャック事件は、直接にこの四十三年度決算の問題には関連ございませんので、この程度で質問は打ち切っておきますが、いろいろと科学技術は進歩するわけでございます。NHKももちろん考えておられると思いますが、そういった点につきましていろいろなことが考えられると思います。これだけ技術が進歩してきましたし、とにかく月の世界がわれわれの家庭の中で見られるような時代でございますから、技術的には非常にむずかしい、困難であるとかということではないと私は思いますが、その点につきまして、今後ともNHKが、あまねく国民に対して、全国において放送を受信できるように措置をする公共的な使命から考えて活躍されることを期待いたしまして、この辺の質問を終わっておきます。  次に、私はもう一つお尋ねをしたいのでございますが、この決算書を見ますと、NHK収入でございますが、受信料収入が七百七十七億四千五百万円、未収入というのが十億四千万円ほどございます。その未収入というものについてお尋ねするわけでございますが、放送法の三十二条の規定が四十三年から改正されまして、ラジオ放送に限って受信することのできる受信設備のみを持っておる者は受信契約を要しない、契約の甲、契約の乙というふうな形から、現在の普通契約カラー契約というふうな形に変わっておるということでございますが、この改正につきまして、これはすでに先輩議員の諸公が、いろいろと御議論された上でされたのでしょうけれども、私はどうもこの辺、こういった考え方にすると、受信料の性格というものが非常にあいまいになってくるのではないだろうかと思う。  受信料といいましても、法律的にどういったふうに解釈するのがいいのかどうかということでございますが、法律の三十二条の中には、「受信設備を設置した者は契約をしなければならない。」こう書いてあるわけでございます。しかも、契約をしなければならないと書いてあって、その点については罰則規定は何もない。契約をした者は支払いをする義務が生ずる、こういうふうなことだと思いますが、一体こういった契約をしなければならない、しかも罰則はない、そうしますと、契約をしなくてもよろしいということでございましょうけれども、一つお尋ねしておきたいのは、未収入という分でございます。この未収入という分は、契約をしたにもかかわらず、金の支払いはしてないのが未収入ということであって、およそ受信設備を持っているけれども契約をしてないというのは、この未収入の中に入ってないのかどうか、その点をまずお尋ねしたいと思います。
  18. 志賀正信

    志賀参考人 受信料未収金として計上いたしております金額は、契約いたしましたものの中で、当年度の年度末までに収入に至らなかったものでございます。
  19. 林義郎

    ○林(義)委員 そういたしますと、いわゆる設備をしておって契約をしてないというのは、どの程度あるのかおわかりでございますか。もしおわかりでございましたら、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  20. 志賀正信

    志賀参考人 お答えいたします。  設備をいたしまして契約をしておらないというものにつきましては、さだかに把握をいたしておりません。受信契約増加につきましては、いろいろな角度から戸別訪問その他によりまして常時増加をはかっておりますが、この設備をいたしましてなおかつ契約をしてないかどうかということにつきましては、訪問いたしました際に、設備がありますればそこで御契約をいただくということにしておりますので、その間に若干のタイムラグがあったり何かいたしまして、ある程度設備をしておっても、なおかつ契約に至らなかったものがあるかと思いますが、全般的にどれだけあるかということにつきましては、さだかに把握はしておらないわけであります。  ただ、いろいろな角度から推定をすることができるわけでありますが、いま一つ方法といたしまして、総世帯数からこれを見ましたらどうだろうかということでございますが、大体現状では八七%ぐらいの契約数を持っておりますので、世帯数が全部テレビのセットをお持ちになっておられるとは限りませんけれども、なおある程度の数字はあるのじゃないかというふうには考えて、努力をいたしておるところであります。
  21. 林義郎

    ○林(義)委員 私は、そういった規定がなぜあるのか、これはむしろ立法府のほうの問題で、私のほうで議論しなくちゃならぬ問題かとも思いますが、いまお話しになりましたように、八七%程度のところが契約をしておられ、残りの一三%というものについては、おそらく持っておられることにすれば、とにかく一三%は契約をしておられない。ほんとうに持っておられないところも相当あるかと思いますが、若干のところは契約をしておられないというようなところがあるわけでございます。私は、それほどまでも国民に普及をしてきておりますし、受信料を払うということをしてきておるので、むしろこの際、これははっきりと罰則をかけるなり何なりの形にいたしまして、支払いについての義務づけをするというふうなことが一つ方法ではないか、むしろそのほうがはっきりするのじゃないだろうかと私は考えるわけでございます。  その場合におきまして、そういった考え方をするに際しまして、一体受信料というものはどういった性格を持っておるのか。最初に私がお話し申し上げましたように、普通放送、カラー放送というふうな区分になって、ラジオ放送だけを聞く人については負担はないということでございますが、むしろこれは考え方として非常に理屈っぽく言いますと、やはりNHKにしましても、テレビジョンの放送をされるしラジオ放送もされます。そうすると、それぞれについていろいろな費用がかかるわけでございます。特に、テレビジョン放送ラジオ放送につきましては、番組の編成とかいろいろなことにおきまして費用のかかり方が違ってくるし、また、送信設備につきましても特別の費用がかかる。そういった点におきまして、負担を公平にするということから考えるならば、やはりラジオだけ持っているから負担を免れてよろしいという議論は、コスト主義というか、そういった点からすると、若干問題があるのじゃないだろうかという気がします。  法律でそういうふうに書いてあるわけでございますから、ここでどうだということはないかと思いますが、一体そもそもの考え方として、NHKがいま料金をきめておられます根拠というのは、やはりそういったコストというか、NHKのいろいろな費用がかかる、その費用に対して国民負担をするということだろうと思いますので、そういった考え方を推し進めていくと、ラジオ放送テレビ放送、あるいはテレビの中を分けまして白黒とカラーと、こういうふうな形で分けるのが、私は論理的な帰結ではないだろうかという気がするわけでございますが、その辺につきまして、郵政大臣の御見解を承りたいと思います。
  22. 井出一太郎

    井出国務大臣 理論的に言えば、私は林さんの御見解が正しいと思うのです。現行の料金のあり方というものは、多分に現実的な配慮がなされておるんではないか、こう一般的には思うのです。  そこで、一体NHK受信料とは何ぞや、この性格の規定づけというようなことがしばしばこの委員会では出ておるようでございますが、それをごく総括的にまとめて申し上げるならば、昭和三十九年に行なわれた臨時放送関係法制調査会の答申におきまして、受信料NHK放送サービスに対する対価というわけでも必ずしもないんだ、また放送のための税金でもない、要するにNHK業務を行なうために必要な費用をまかなうために一種の国民的な負担をするんだという見解に基づきまして、法律により国がNHKにその徴収権を認めたものであるという意見が示されておるのでございます。したがって、省といたしましても受信料の性格を、この答申に述べられておるような観念でわれわれは承知をしておるというわけであります。  そこで、今度は一体ラジオをどうするか、テレビをどうするかという問題ですが、昭和四十二年に放送法第三十二条第一項の改正を機会といたしまして、ラジオ放送受信設備のみの設置者については受信契約を要しない、こういうことにされたわけでありますが、この趣旨は、テレビジョン放送が普及、発達をするにつれまして、その普及率がラジオ放送とほとんどひとしくなってまいりましたし、当時、ラジオ放送のみの受信契約であるいわゆる契約乙の有料契約数が百万件あまりに減少してしまってきたわけであります。これについては、受信契約を要しないことにしたほうが受信料制度上は適当だ こういう考え方措置されたわけでございます。  そこで、受信料の性格から見ますと、理論的にはお説のようなことに考えられましょうが、前々から逓信委員会におきましても、ラジオ受信機のみを持っている者が非常に少なくなった時点では、受信契約乙は廃止すべきであるとの御意見が出ておりましたし、現実にも、当時受信契約乙による収入見込みというものはざっと七億二千万円程度、しかも、これに対しての集金経費というものが何と三億八千万円、これぐらいもかかるというような事情もございまして、契約乙を廃止することに踏み切ったわけでございます。  こういう沿革があるわけでございまして現実は理論よりも実際面に当てはまるような仕組み、考え方の上に立っておる、こういうことも私から申し上げておきます。
  23. 林義郎

    ○林(義)委員 なぜ受信料の性格を私いまお尋ねしたかと申しますと、この放送法の中で規定してございますところのNHKの役割りと、それから一般の民放との間で相当な格差があるわけでございます。言うまでもないことですけれども、特にNHK受信料収入でやるし、民放は広告収入でもってまかなうということでございます。一方NHKのいろんな基準につきましては、役員の任免その他の規定から始まりまして、NHKがほんとうに公共のためにやるというふうな形で非常にきつい制限があるわけでございます。ところが、一方民放のほうにつきましては、免許基準等につきましても電波法関係で規制をされておる。やはり同じ放送をするんだから、当然同じ放送法の中で書いてしかるべきものだろうと思いますし、それから、放送法の中でNHKについて規定されておりますようなことは、電波法の中では規則に譲っておられる点があるわけであります。いわゆる電波法の基本基準と申しますか、そういった中に譲っておられる点があるわけでございますが、法律の立て方といたしますと非常に片ちんばと申しますか、バランスを欠いた形だと私は思うのでございます。  そういった点からいたしまして、いろいろ議論はあると思います。たとえば、NHKも少し広告収入でも取って、受信料収入を半分くらいにしたらどうだとかというような議論もいろいろあると思いますが、これから、民放の問題につきましてももう少し制限を強化していくとか、あるいはいろいろな形でもって、民放もほんとうに国民のための放送となるようなことを考えていかなくちゃならない時期に来ていると思います。特に、CATV法案とかいうようなものも先国会でいろいろ議論されたようでございますが、私は、ああいった形の問題というのはむしろこれから出てくるのではないか。特に情報化時代に入ってまいりますと、いろんな形での通信網というものが出てくるだろうと思います。そういった観点からいたしまして、どうもいまの法律の体系からしますと、いろいろと考えさせられる点がたくさんあるのではないだろうかというふうな気がしておるわけでございます。  最初にちょっとお尋ねしておきたいのですが、民放の問題につきまして、こういったいわゆる規則に譲ってやっておられるような免許基準の定め方、それからあの規則をすらっと読みますと、初めに免許を与えるときにはいろいろ基準に合っていなくてはならないが、しかし、一たん免許を与えたなら――三年たったらとにかくもう一ぺん免許するわけですが、その間においては、免許基準にはずれてもいいのじゃないかという解釈すら私はできるのでございまして、その辺につきましてどういうふうに考えておられるか、郵政当局の御見解を承りたいと思います。
  24. 井出一太郎

    井出国務大臣 NHKと民放というものが、両々相まって日本の放送体系ができておりますことは、御承知のとおりでございます。そして、一方は公共放送としてかなりきびしい規制を受けており、民放は、広告収入を基礎にして自由濶達な運営もなされ、同時に民放は民放の使命もあると思うのですが、現行はこういう両建てで行なわれておりまして、それぞれその長所を発揮しておるように私は思うのでございます。ただ、御指摘のように民放の現在のあり方というものが、番組その他についていろんな御批判のあることも承知しております。  そこで、三年ごとの免許の更改という程度の規制で一体いいのかという御所論でございましょうが、これについては、昭和四十一年の第五十一回に放送法改正を提案したわけでございます。その中においては、放送法上、民放というものは日本の放送体制を形成する上に必要不可欠なものであるという認識に立って、民放のあり方について法的な基礎づけをしよう、こういう試みがなされたわけでございます。しかし、残念ながらこの法律はその際成立をしないままに今日まできておるわけでありまして、その後も、諸般の情勢はかなり変化もあり時間もたっておりますから、放送法改正というものを企図しなければならないと思うのです。  しかし、いつか申し上げましたように、なかなかこれは大法案でありますから、相当の準備も要る。いま郵政省としましては、これも当面の課題としてそう遠くない機会に法の改正をしなければならない、こういう考え方のもとに、ただいま鋭意検討ないし準備をしておる、こういう段階でございます。
  25. 林義郎

    ○林(義)委員 私は、いま大臣から御答弁ございましたんですが、昭和三十九年の臨時放送関係法制調査会でございますか、その答申で放送法の一部改正が出ておったということでございますが、私は、昭和三十九年からのそのままの形でいろいろものを考えては、やはりいかぬのではないだろうか。むしろ三十九年からことし四十五年の段階におきまして、私は情報化社会というものが非常に進んできているんだと思います。先ほどお話ししましたCATVの問題であるとか、あるいは僻地における難視聴の問題、これもいろいろ問題があると思いますが、こういったものにつきまして、NHKとしてもいろいろやっておられることも聞いております。だけれども、いまの法制の中ではなかなかできない問題が私はたくさんあると思います。さらにこういった問題のみならず、最初にお話ししました監査の問題であるとか、技術革新に基づいてやらなくてはならない国際放送上の問題であるとか、いろいろな問題があると私は思います。私も放送の関係、特に技術的な関係につきましてはしろうとでございますが、やはりしろうとはしろうとなりの意見を出し、それからまた専門家、技術者は技術者なりの意見を出して、ほんとうに国民が納得するような放送の体系というものをこれからつくっていかなくちゃいかぬ。  特に、電波というものを使うわけでございますから、そういった電波というものは、国民の共通の財産として考えていかなくちゃいかぬものだと思いますし、有限の電波を使っていく上においては、やはり相当な公共的な目的に使うというようなことを考えていかなくちゃいかぬと思います。いま大臣からちょっとお話がありましたけれども、民放が自由濶達にということでございますが、私は、やはり自由濶達だけではいかぬので、民放につきましても、やはりそれについての経理監査であるとか、番組の規制であるとか、いろいろな点について監督をしていかなくちゃいかぬような問題が、私はたくさんあるだろうと思います。特に、情報化時代とよくいわれるんですが、プライバシーという問題もこれはまた出てくるだろうと思います。こういった点も含めまして、やはり政府におかれまして早急にその辺のいろいろな議論も整理されて、ほんとうにいい体制をつくっていくことが私は必要ではないだろうかと思う次第でございまして、その辺につきましての大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  26. 井出一太郎

    井出国務大臣 御指摘の点は、一々ごもっともに存じます。自由濶達だからといって、何も野放しにしておいていいというものではございません。むしろそういう面が、このごろはかなり世論の批判もあるようでございます。したがいまして、情報化時代を前にいたしまして、そういつまで引っぱっておける問題でございませんから、先ほども申し上げましたように、本格的にこの問題と取り組んでまいる所存であります。
  27. 林義郎

    ○林(義)委員 最後に、NHK会長が来ておられますので、NHK会長にちょっとお聞きしておきたいんですが、やはりいまのようにNHKをめぐる諸問題があるわけでございまして、やはりNHKというものは、これからも公共目的に沿ってますますやっていかなくちゃいけないということでございますが、NHKのいま考えておりますような、いわゆるNHKの長期構想ということで四十三年から進められておるのでございますが、そういったときにおきまして、やはりその運営にあたって、この情報化社会におきましての今後の体制について、NHK会長はどういうふうに考えておられるのか、その点についてひとつお尋ねしておきたいと思います。
  28. 前田義徳

    ○前田参考人 私どもの立場は、やはり情報化社会という一般的呼び名の中で、やはり放送を中心として、放送の発展と社会の要請にこたえる、その目標に向かって全力を注ぐべきである。これと関連するいろいろな構想というものは、慎重に分析しながら、やはり放送事業であるという立場を厳守して前進すべきである、かように考えております。
  29. 林義郎

    ○林(義)委員 先ほどの大臣お話、いまのNHK会長お話と、大体の考え方はわかったのでございますが、今後におきまして、やはり先ほどお話し申し上げたような点を十分考慮していただいて、これからの放送の健全な発達に、郵政省NHKも努力されることを期待いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  30. 金子岩三

    金子委員長 武部文君。
  31. 武部文

    ○武部委員 先ほど林委員から、今回の日航機の乗っ取り事件についていろいろ質問がございました。私も、このことについて最初に何点かお尋ねをいたしますが、できるだけ重複することを避けたいと思っております。  このたびの日航機の乗っ取り事件にあたって、NHK事件の発生以来六日間、よど号が羽田に帰ってくるまで、連日にわたってこの問題を放送して、全国のたくさんの受信者の耳目を画面にくぎづけにした、こういう点について、これはまことにけっこうなことだと思います。同時に、先ほどお話がございましたように、この放送にあたって、突発的な事件であっただけに、NHKの担当者の皆さんがたいへん苦労されたということも、よく承知できるところであります。このような国民が注目し、特に人命に関する重大事件については、NHKといういわゆる公共放送は、いかなる犠牲を払ってでも、こうしたことについてすべての努力を傾注していかなければならぬ、このように考えるところであります。  そこで、具体的に最初に三つ、四つの点をお尋ねをいたしたいのでありますが、NHKがよど号の事件にあたって、先ほど非常体制をおとりになったというようなことをお聞きしたわけですが、具体的にこの事件にあたって、組織、人員、機材、そうした面についてどのような体制をおとりになったか、また、国内放送については延べどのくらいの時間をこの放送に充てられたか、これを最初にお伺いをしたい。
  32. 川上行蔵

    川上参考人 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、今回の事件が非常に特異でございまして、しかも、場所が転々と変わっておるという形におきまして、福岡までの間の経緯、それから福岡滞在中から離陸までの間、それからソウル着陸までとその滞在中、それからソウル発から北鮮行き、それから北鮮から帰ってきたあとのすべてという形の、およそ五段階に分け得るかと存じますけれども、その一つ一つを申し上げることはないかと存じますので、全体を通じまして、およそ千四百名の要員がこのために動いております。その中で、国内放送関係でおよそ七百名、技術関係で五百名、国際放送関係で二百名、これはもちろん延べ人数でございますけれども、こういう関係の者が働いております。さらにソウルのほうへ、海外派遣という意味において十二名を特派いたしております。もちろん、現地に一名駐在員が参っております。  それから、機材関係につきましては、羽田にその問常備二台ないし多いときには四台の中継車を持ってまいっておりますし、さらに福岡におきましては、常備二台をこの方面に全面投入いたしております。  それから、放送時間といたしましては、国内放送におきましては、テレビのニュースにおきまして約二十四時間半、これは日常のニュースの時間を除いておりまして、この事件のために増加したテレビのニュース時間が二十四時間半でございます。それから番組関係、たとえば三十分の座談会を組むとか、あるいは深夜に特別の座談会を組むとかいう関係が、十六回で十五時間半ということになっております。  それから、ラジオのほうにつきましては、いま申し上げましたニュースのワクを広げた時間が十二時間三十六分、それからラジオの特別番組が十一時間二十分ということになっております。  それから、国際放送のほうは、これは緊急に増大をいたしました。国際放送二つございまして、ゼネラルサービス、世界各地向けのゼネラルサービスと、韓国向けの放送二つございますが、ゼネラルサービスは毎時間放送いたしております、毎正時三十分。ただ、一日に数回は一時間放送をいたしておりますが、そのゼネラルサービスの増加の時間が約六時間、それから韓国向けのほうが二十六時間四十分、これは非常に大幅に特設いたしております。と申しますことは、韓国向けは一日二回、午前七時ごろと午後八時半ごろに四十五分間ずつしか放送いたしておりませんので、日常聞かれておる韓国に向けての放送のほか、いま申し上げましたような韓国向けの特殊な時間帯をこの約五日間に二十六時間四十分増加いたしております。  こういうことになっております。
  33. 武部文

    ○武部委員 国際放送までお答えいただいたわけですが、お聞きするように、今度の事件は三国にまたがっておるわけで、国際的にも非常に関心を呼んだわけでありますが、国際放送がどのような役割りを果たしたか、こういう点についてお聞きをするわけです。  先ほども質問がございましたように、放送法第三十三条の「国際放送実施命令」、この点について、大臣から先ほど、従来どおりが妥当で、そのほうがすなおで穏当であろうというような答弁がなされておりました。私も先ほどの林委員と同様に、この第三十三条の適用をむしろ積極的におやりになったほうがよかったのではなかろうかというような気持ちを持っておりますが、これは済んだことでありますが、いずれにしてもそういう点で、事人命に関することですから、人命救助のために韓国あるいは朝鮮民主主義人民共和国、ソ連のほうに呼びかける放送を具体的におやりになったかどうか、これをひとつお答え願いたい。
  34. 川上行蔵

    川上参考人 直接呼びかけと申しますよりは、先ほどの郵政大臣のお答えの中にもございましたように、われわれのニュースの中に、あるいは番組の中におきまして、現在日本政府がこういう考えを持っている、この点について了解してほしいというような形、あるいはまあ国交のない国でございますから、一種の電波による国民外交という形において、国民がいまこういうことを非常に強く要望しておるということをニュースで伝えるというようなことで、先ほど申し上げたような、国際放送の全時間をこれに充てて放送したというようなことでございます。
  35. 武部文

    ○武部委員 もう一つお伺いいたしますが、この事件報道にあたって、韓国テレビ局からNHKに対して協力があったかどうか。
  36. 川上行蔵

    川上参考人 お答え申し上げます。  韓国テレビ局は、MBSという商業放送とKBSという国営放送二つございますが、それらとNHKは友好関係を持っておりますので、この事件が起きまして、直ちに先方から、協力しようかというあたたかい申し入れがございました。私どものほうはそれらをいただくつもりでおりましたけれども、実際上、取材の過程におきましては、やはり国情が違うということ、あるいは、いただきました資料等をどう送るかという問題もございまして、現実的には、KBSのほうのスタジオを借りて、そうしてこちらへ送りました写真あるいは電話、いわゆるPTS回線と申しますか、それらを使うためのスタジオを一つ拝借したことと、それから先方のVTR、これも先方のKBSかち約三十五分のものをいただきまして、その中で約五分を放送に使っていった、こういうことでございます。
  37. 武部文

    ○武部委員 NHKは海外放送機関に対して、今回の事件でどのような取材協力をされたか、衛星中継等についてはどのような方法をとられたか、これをひとつお伺いをいたしたい。
  38. 川上行蔵

    川上参考人 お答え申し上げます。  海外機関の中で特にEBUのような、ヨーロッパ放送連合のほうから強い要望がございまして、約五日間にわたりまして五回、一日に十五分から多い日で三十分程度をカラーで、衛星を使いまして先方にフィルム、資料そのほかを送りました。これらは欧州各国におきまして、約十三国、十六放送機関がこれを利用しておるということでございます。  なおそのほかに、アメリカ系のほうの放送機関も、時差の関係でございましょうか、むしろ欧州の、ロンドンのBBCのところに着きました絵を、逆にそれを使いたいという申し出があったようでございますけれども、それらの点は間接の連絡なものでございますから、十分に確かめておりませんで、現在、それを確認するように手配をいたしております。
  39. 武部文

    ○武部委員 先ほどラジオ十二時間余り、テレビでは大体四十時間放送をやった、こういうことで、私どもが見ておって、定時番組というものが文字どおりずたずたに切られておった。まあそれを押して放送されたということには一応敬意を表しますけれども、そのために、たとえば子供番組だとか、ちょうどあのときには野球放送があったときですね、そういうような点、あるいはあとでちょっと触れますがカーラジオ、そういうような点で、NHK放送については非常によかったという人もあるけれども、一面、そういう面で批判もあったように聞くわけです。そういう点についてはどう考えておりますか。
  40. 川上行蔵

    川上参考人 お答え申し上げます。  放送につきましては、やはりこういう事態でございますので、非常に数多くの電話を直接局にいただいております。その中で、もちろんいま先生のおっしゃったように、いませっかく野球をやっておるのになぜやらないかというあれもございましたが、逆に、なぜ野球をやっているのかというような問い合わせのほうがむしろ多いくらいでございまして、やはり国民的な関心がこの点に非常にかかっておったのじゃないかというように配慮いたしまして、私たちもこの報道に全力を傾注したわけでございます。
  41. 武部文

    ○武部委員 いま一つ、今回の事件報道にあたって反響はどういうものであったか。NHKとしてはこの報道について、反響はどういうようなものであったと考えておりますか。
  42. 川上行蔵

    川上参考人 お答え申し上げます。  この反響につきましては、直接放送局に電話をいただきましたのが、この五日間の間におよそ三千三百件、東京だけで電話がかかってまいっております。もちろん、局にかかってくる電話は、東京だけでなくして全国から長距離電話でたくさんかかってまいりまして、それで、乗客を救うためにはどうすればいいかという方法なり、あるいはいまやっておるアナウンサーの聞き方はどうかとか、あるいは解説はどうかとかいう御批判をいただいておりまして、それらのことを刻々われわれはいただいていったわけでございますけれども、直接反響という点におきまして一番いい具体例は、やはりどの程度放送が見られていたかということじゃないかと思いますが、実は、私どものほうで直接調査いたしておりませんけれども、ニールセンという聴視率を調査する会社がございますので、そこの調査をとりまして見ましたところが、およそこういう事件の関係として、いままでにかってない最高の率をあげている。もちろん、紅白歌合戦とかそういう娯楽番組を除きまして、こういう報道関係の番組では最高の率をあげているということ。それからそれが一日じゅう、たとえば朝の七時、正午、それから午後七時、午後九時半とこの四つのニュースをとってみましても、一番最高の日の四月三日では平均通じましておよそ四〇%の聴視率をNHKがあげておったという点に、非常に高い関心を呼んでおったということがいえるんじゃないか、このように思います。
  43. 武部文

    ○武部委員 実はきょう警察庁の御出席を求めたわけですが、きのうの事件のために各委員会に出席されておって、どうしても当委員会に出席できないということであります。これから申し上げますことは、放送の自由の原則に関係する重大な問題でありますから、できるならば警察庁当局の見解も承りたかったのでありますが、そういう関係で出席されておりません。  そこで、よど号が板付の飛行場に着陸してから、捜査当局から報道について協力要請があったというように聞いておるわけですが、それは何時ごろ、どのような要請が放送関係、特にNHKに対してあったのか、これをお聞きしたいと存じます。
  44. 川上行蔵

    川上参考人 お答え申し上げます。  福岡へ飛行機が着きましたあと、現地の飛行場に機動隊が出動されました。その際におきまして、われわれはこの時点以後非常に大きく発展するであろうということ、それから多くの人命がかかっているという点におきまして、いろいろな誘拐事件あるいはそういう似たようなケースの場合におけると同じように、自主的な立場におきまして、犯人にこの報道が聞かれないようにという配慮で、直ちに自制的な措置をとりました。その直後におきまして警察のほうから、その点についての配慮をしてほしいという要請がございました。  それにつきましては、われわれのほうではすでにその実施をいたしておりますので、その点につきましては、御心配なくということで返事をいたしておきました。
  45. 武部文

    ○武部委員 飛行機板付の飛行場に着いてから、報道について配慮してほしいという要請があった時間までは、どのくらいの時間があるんですか。
  46. 川上行蔵

    川上参考人 飛行機が着きましたのがたしか十時前かと存じますが、午前十一時ごろ、福岡の県警広報係から福岡の報道局長あてに、機動隊員の待機の報道については、配慮してほしいという申し出がございました。
  47. 武部文

    ○武部委員 警察からは配慮してほしいという、それだけですか。何か具体的に……。
  48. 川上行蔵

    川上参考人 ちょっと私のことばが足りなかったのですが、慎重に扱ってほしい。そういうことでございます。
  49. 武部文

    ○武部委員 そういたしますと、お聞きすると、十時に飛行機が着陸して、十一時ごろに慎重に取り扱ってほしいという連絡があった。しかし、NHKとしてはそれ以前から、人命救助の面から考えて、そのような配慮をしながら放送しておった、こういう御答弁でございますね。  そこで、ある新聞が相当スペースをさいて報道しておる中に、これはいま国会でも問題になっておりますが、警察庁のほうから四項目について福岡県警に指示があったという点であります。これはあったとかなかったとかいうことが、この間の衆議院の本会議で若干問題になっておったようですが、この新聞報道によりますと、NHKはこの四項目を正午のニュースでそっくり画面に文字としてあらわしたという記載がありますが、そういうことはありませんか。  それから、これはテレビですからね、ラジオと違ってテレビは機内にないことはわかっておるのですから、その点で、あなたのほうはそれは差しつかえないという判断でお出しになった、このように理解してよろしいのですか。
  50. 川上行蔵

    川上参考人 犯人に聞かれないようにということを配慮いたしまして、ラジオについて非常に慎重にしてあれしたということで、片一方では国民にいろんな問題を知らせるという意味において、テレビにおいては、いまお話があったような点を放送したというふうに存じます。
  51. 武部文

    ○武部委員 先ほど申し上げるように警察庁がお見えにならないのでちょっと議論が片寄るわけですが、この新聞報道によると、「各放送局の“常識度”」ということで、「つつ抜けだった?極秘作戦」というような、少しおもしろおかしく書いてあるようですけれども、内容を読んでみると、この新聞記事は国民の側から見れば、一応なるほどと思うような記事にもなっておるのですね。ただ福岡県警本部長がかんかんになっておこったといったところで、自分のほうから一時間もおくれてそういう要請をしておって、かんかんになるほうがどうかしているので、そのほうが筋違いだ。そう言えば、警察当局で見れば、これは日常の常識だろう、こう出てくるでしょう。そういうことはあるにしても、現実問題として、これから先こういう問題で要請があることは当然だと思うのです。要請してくると思うのです。問題は、その要請の内容によって、報道の自由を侵すおそれがありはしないか。国民は知る権利があるし、知るところの欲望を持っておるということになってくると、なぜ放送しないか、カーラジオなんかは全然やらぬじゃないか、こういうような不満があることも当然だと思うのです。  しかし、そういう一面、たとえば誘拐犯人あたりについて、警察当局と新聞社との間に申し合わせ事項があることも私たちは承知しておりますが、そうした面で、今後こうした事件が起こる可能性もあるわけですが、よど号の事件一つ例をとってみますると、放送によるところの報道の行き過ぎ、こういうことをいわれますけれども、私は行き過ぎということもことばとしてはあまり適当なことではないと思うのですが、いずれにしてもそのようなことが新聞に取り上げられて伝えられておる。そうして、これが少なくとも人命に関係する問題ということになると、今後郵政大臣は、こういう問題についてどのような考え方を持っておられるのか。たとえば、この新聞記事によりますと、誘拐や恐喝事件の取り扱いについての申し合わせが新聞界にはある、この中には当然放送界も入っておる、それで、今後民放連も警察庁と同様な申し合わせをする方向で検討中であるということが書かれておるのです。この問題について郵政大臣見解をひとつ承りたい。
  52. 井出一太郎

    井出国務大臣 何としても非常に希有な事件でありました関係から、あるいはとっさの場合、心がまえとか準備とか十分でなかったということはあろうかと思うのであります。  そこで、すでにできてしまったことはおくとしまして、これからこういうことに備えてまいらなければならぬと思うのでございますが、放送というものは、申し上げるまでもなく、新聞のように印刷という方法を通して行なうのとは違いまして、非常に即時性がある、あるいは拡散性が特徴であるわけであります。今回の事件のように事人命にかかわる場合におきましては、人命の安全確保に関する配慮を最優先にすべきでございまして、郵政省といたしましては放送事業者に対し、その放送というマスメディアの他と異なる機能に着目して、この種の報道にあたっては、今後とも人命の安全確保の配慮を最優先とするように注意を喚起してまいる所存でございます。  なお、民間放送事業者の連合体であります社団法人日本民間放送連盟におきましても、放送番組の編集の基準において、この点を検討いたしたいという考え方がある旨を聞いておるような次第でございます。
  53. 武部文

    ○武部委員 この問題はこれで終わりますが、いずれにしてもこのような新聞記事が非常に詳しく――私はきょう放送会社の名前を言いませんでしたけれども、相当詳しく出ておる。しかし、誤ればこれは報道の自由を束縛することになる、侵すことになるわけですから、これは慎重にやらなければならぬことです。非常にむずかしいことかもしれませんが、これはあるいは放送界の常識として処理されるべきものかもしれません。しかし、現実にそういうことがあったということは、国民がこの新聞を通して知ったわけです。いまの郵政大臣見解をお聞きして今後の郵政省のあり方が一応わかりましたから、これでこの問題は終わります。  そこで、四十三年度の事業報告書に関連をして二点だけ質問をいたします。  四十三年度は、説明がございましたように経営近代化が特にスタートをした年であります。番組技術システムの導入ということが行なわれた年でありますから、このことに関連をしてお伺いをいたしますが、この四十三年の秋から番組技術システムがスタートしたわけですが、このシステムの効果、番組制作上のメリット、こうしたものをひとつ説明していただきたい。
  54. 松浦隼雄

    ○松浦参考人 お答えいたします。  NHKの経営全体の近代化、特にその中で電子計算組織を使います経営改善につきましては、昭和三十六年に立案をいたしまして三十九年から実施に移しております。四十三年度においてその番組技術関係の仕事を発足させたということで、機械化そのものは三十九年から実施に移しております。したがって、その全体を通じまして効果をねらっておるわけでございまして、番組技術システムは、その中でもNHKの基幹業務である番組を企画し、制作し、送出するという仕事の機械化でございます。  この中で、全体として方針として定めましたことは、番組を制作するという仕事に対しては、これはあくまで人がもとであるから、その番組制作面の人を節減するということはねらっておりません。むしろそのほかの間接的な事務関係の仕事、こういうものに、いままで人力でやっておりましたものを機械にかえる、こういうことでやっておりますので、全体的な数字についてお話し申し上げます。  人数のことばかり申し上げますことは、いささか真意を表明しないところもございますが、そのほかにこまかい数字的なものがございませんので、総人員の推移で申し上げますと、昭和三十六年と昭和四十四年というふうに比較いたしますと、その間NHKは総人員において約三千七百名の増員を行なっております。同時に、経営近代化の努力によって二千八百名の減員を行なっておりまして、差し引き実増九百名強になっております。その九百名と申しますのは、番組関係にその間に千六百二十名を増員いたしまして、それ以外の業務から約七百名を減員いたしまして、差し引き九百名の増ということになっております。したがって、機械化によりまして、いわゆる間接業務の人手を省くことはあくまでねらっておりますけれども、番組制作そのものから人手を取り去るという考え方はございません。  番組技術システムだけについて申し上げますと、これは開発に約五年を要しましたシステムでございます。実際に運用しておりますのは現在までまだ一年半でございますので、ほんとうのその成果につきましては、むしろ今後に待つ点のほうが多いということでございますが、現在まではっきりいたしました点は、その中でやっております自動化という部分において、従来の単純繰り返し業務は相当部分を機械のほうにかえるというような方向を出しております。  それから、従来番組をつくっていきます上にいろいろな仕事の人がお互いに共同し一連絡し合ってやっていくというたいへん複雑な面がございましたけれども、その相当部分を、いわゆる機械的なデータによる連絡にかえて排除いたしまして、いわゆる番組制作上の間接業務の排除ということについてもかなりの成果をあげておると思います。  ただ、コンピューターそのほかの機械によります情報連絡ということでは、番組制作のような創意くふうを要し、きわめて全般的な、たとえば先ほどのような社会事象に対応するという面になりますと、何といっても人間同士の連絡ということが最も大事でございますので、一〇〇%そういうものを取り去ったという意味ではございません。
  55. 武部文

    ○武部委員 そうすると、具体的にこのシステムの導入によって人員の配置転換は何名行なわれたか、それは何ら問題なくスムーズに行なわれたのか、これはどうでしょう。
  56. 長沢泰治

    ○長沢参考人 お答えいたします。  御指摘のように、番組技術システムは四十三年の後半から本番運用に入っておりますが、現在までのところ一年半でございますが、その間に、番組技術システムだけについてしぼって申し上げますと、およそ百八十人が配置転換をいたしております。
  57. 武部文

    ○武部委員 NHKの番組技術システムは非常に高く評価されて、何かたいへん見学者も多いと聞いておりますが、アポロ11号などの打ち上げ、アメリカの航空管制に次いで世界で第三位だというような非常な評価があるそうですが、私は、コンピューターを導入したために人間が黙り込んでしまって、機械に振り回される人間ができてしまうというような、いわゆる個人の創造性といいましょうか、あるいは主体性というものが疎外をされてしまう、こういうようなことになっては、企業にとっても重大な問題だと思うのです。  そこで、現場の番組をつくっておる人たちのいろいろな意見を聞いてみると、こういうことを言っておる。番組の質的低下を来たす、あるいは型にはまった仕事が多くなって、予算やあるいは人員や資材が十分確保されない、こういうことを言っておる。万能でないわけですから、いろいろな欠陥もあるでしょう。あるでしょうが、この経営の効率化あるいは合理化を急ぐあまりに、先ほど申し上げるような番組制作の流動性や主体性というものを、あるいは制作者の創造性というものをそこなってしまうという点があるとするならば、これは問題なんですが、こういう点について、前に会長さんからもいろいろ御説明がございましたが、私が申し上げたことについて、会長はどういうお考えでしょうか。
  58. 前田義徳

    ○前田参考人 番組の質的低下はないと確信いたしております。この一年半の間のNHKの番組の質は、おそらく諸先生の共感をいただける程度に逆に向上しているのじゃないかという気は、実ははなはだ不遜でございますが持っております。  ただ問題は、機械との関連でフィーリングが、人間感情がまだそれになじんでいない。過去の経験から推して、新しい機械を使うということに対して、一種の心理的な先入観と申しますか、危惧感と申しますか、それらがあると私は考えております。この点については、今後一そう努力いたしまして、機械と人間の関係を少なくともNHKの中で明らかにしていく必要がある、このように考えている次第でございます。
  59. 武部文

    ○武部委員 そういたしますと、三つ質問いたしますから、一緒にお答えいただきたい。  今後のシステムの展望についてでありますが、代々木センターに移転をするわけですが、センターの移転にあたって、このシステムを大幅に改革をする計画があるかどうか。  それから第二は、当初あったそうですが、コストシステム計画、こういうものについて、番組制作に関連してどのようなプランお持ちであるか。  第三は、評価システムの計画についてお考えになっておるかどうか。この三つについて、一括してひとつお答えいただきたい。
  60. 松浦隼雄

    ○松浦参考人 お答えいたします。  第一の放送センターに移るにあたって、番組技術システムを今後どうするかという問題につきましては、ただいま会長からも申し上げましたとおり、人間と機械との調和ということを最も重要と考えておりますので、いわゆる物理的な改善は考えておりません。もちろん、業務量の増加その他による問題、それから、現在まで施行いたしましたシステム設計の持っております欠陥というものは改善いたしますけれども、考え方は、今後この線で展開していくということでございます。  第二に、コストの問題につきましては、個々の現場におけるこまかいコストを云々するというよりは、協会全体としての今後の業務発展並びに使命遂行のために必要な財務管理を徹底するという意味で、むしろ管理面、トップから以下第一線までの管理面におけるコストマネージメントの徹底という点に視点を置いていくという考えでございます。  それから、第三の評価の問題でございますけれども、これは必ずしも私どもは、いわゆる電子計算組織という機械の問題だとは思っておりません。番組という業務そのものの中で、評価の問題は非常に大きな位置を占めますけれども、これを単なる統計数字あるいはいわゆる数量化できるデータで評価するという考えは持っておりませんので、特に、電子計算機をこの面に先行さして使用するという考えは持っておりません。  以上でございます。
  61. 武部文

    ○武部委員 今後のシステムの問題についてはわかりました。  最後に、基地障害についてお尋ねをいたしますが、この間の予算の論議の際に、この基地障害に対する防衛施設庁の出資についていろいろ問いただしをいたしました。どうもはっきりいたしませんし、納得ができませんので、この四十三年度の決算にも当然これは関係をしておることでありますが、お尋ねをするわけであります。  お尋ねの第一点は、この基地障害について、今度滑走路の直線が五キロまで距離が延びてきたわけです。横一キロ、縦五キロ。これに対する基地障害のNHK負担、これは防衛施設庁もひっくるめてですが、基地障害として収入が減になる金額は総額幾らでしょうか。
  62. 志賀正信

    志賀参考人 ただいまお尋ねの、四十五年度から実施をいたします、従来やっておりました横に一キロ、縦に二キロの範囲の半免につきまして、今度横に一キロ、縦に五キロに拡大をいたしますわけでありますが、その拡大分の半免件数の増加は七万二千件でありまして、拡大によりましての減収額は一億四千三百二十万円でございます。
  63. 武部文

    ○武部委員 私がお聞きしておりますのは、五キロ分全部のことを言っておるのです。拡大したのではなしに、とにかくこの基地の滑走路から五キロまでと横一キロ、それの間の基地障害の全部の金額、いわゆる二分の一減免するわけですね。その金額一体幾らなんですか。
  64. 志賀正信

    志賀参考人 一キロから二キロを、一キロから五キロに拡大をいたしましてふえます全体の件数を含めました総体の件数は二十二万八千件になりますが、その減収総額は四億七千百万円でございます。
  65. 武部文

    ○武部委員 そこで、小野副会長から答弁がございましたが、あのときの会議録を私あとで読んでみますと、その責任はやはり加害者補償の原則だということをおっしゃっておるわけですね。そこで、防衛施設庁もどの席上で大体それを認めておる。認めておりながら、話はそのようになっていない。その原因としては一体何だということになったわけですが、小野さんの答弁は、そういう面で全額政府で出していただければ非常に筋が通ると思うけれども、政府もいろいろ検討になったこともあるが、立法上、行政上、財政上いろいろな面に難点があってなかなか手がつきにくいから、NHKとしてほっておくわけにいかぬというのでいままでやってきたんだ、こういう答弁でございましたね。それから防衛施設庁のほうは、NHKからもお話もあり、わがほうもやはりそういう原因者の関係があるということから、お互いに協力してひとつこの拡張の面について考えたいというような形になった、客観的な事実として十分原因を与えておることについては認識をしておる、こういう答弁です。まことにじょうずな答弁なんですよ。答弁は答弁だけれども、何も補償しておらぬ。たったの七千百万円だけ持ってきた、こういうことですね。  それで、同僚議員からも質問がございましたように、そのもとはほっておいて、今度延びた三キロ分の四分の一負担、それだけしかしないのです。これは理屈が通らぬのじゃないか。当然、これはいまおっしゃった四億七千百万円というものを全額加害者である防衛施設庁が負担すべきものである、われわれはそう思うのです。彼らはそういうふうに責任を感じておるわけなんですよ。NHK一つも責任があるわけじゃない。そういう点で、交渉される態度に非常に力がないじゃないか、もっと強く要請したらどうだ、要求したらどうだということを言ったわけですが、ことしも予算はああいう形で通ってしまった。いままでずっとこれはNHK負担をしておるわけですね。ですから、これは当然NHKは防衛施設庁に対して、全額四億七千百万円というものは、加害者負担の原則によって防衛施設庁は負担をすべきだ。防衛施設庁はほかのほうには、基地周辺対策費というような金で相当なものが出ておるのです。なぜこの基地障害の聴視料の全額を出せないのか、私は非常に疑問に思う。  そういう意味で、NHKは今後全額負担を防衛施設庁に積極的に要請する意思があるかどうか。また同時に、郵政省はこうした問題について一体どう考えておるのか。私は郵政省は当然そういう立場に立って、防衛施設庁なり大蔵省と折衝すべきだと思うのですが、これについてどうですか。
  66. 小野吉郎

    ○小野参考人 先般もお答えを申し上げましたとおり、NHKは原因者が責任を負うべきである、こういう基本的な考えは今日も変わっておりません。そういう面を筋を通せば、従来やっておりましたものも、今後拡大をいたしましたものも、全額国で支出せられるのが、これが当然であろうと思います。  ただ、国の財政状況におかれましても、予算編成上いろいろな御事情もございましょう。そういう意味におきまして、今回の面は、われわれの年来の基本方針に全面的に沿うものではございませんけれども、それにいたしましても前進的な措置をとられましたことは、非常に私は高く評価をいたしておる次第でございます。今後の問題につきましては、NHKの基本方針について、そういった面は強く要望をいたしてまいりたいと思います。
  67. 井出一太郎

    井出国務大臣 いま小野副会長からお答えがありまして、私もよくそれを聞いておりました。この予算をつけるのには、過渡的に若干の段階のようなものがあるかもしれませんが、いまのような趣旨にのっとりまして、私どもも相協力をしてまいりたい、かように存じます。
  68. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 関連。関連の質問に入ります前に、実は先般来当委員会でしばしば問題になりました郵政省内における労使の紛争の問題につきまして、今朝の新聞によりますと、大臣の英知と決断によって、組合側もそれを了承して紛争が解決をしたやに承っておりますが、その間における大臣の御労苦に心から敬意を表します。どうかできることなら、今後大臣のお気持ちが下部まで十分行き渡るような御指導を、あわせてお願いしたいと思います。  そこで、先ほど林委員のほうからもお話がございましたが、現行の電波法によりますと、免許を与えるまでにはかなり郵政省が強い基準を定めておるようでございますけれども、一ぺん免許を与えますと、三年間は何をしてもいい。極端に言うならば、一ぺん免許を与えればどうなってもいいというふうな、放任的な内容に法の解釈ができるような気さえするのでございますけれども、具体的な例といたしまして、ラジオ関東というのが、これは神奈川県域におけるラジオの放送を行なうことを、電波法十四条三項三号によって申請をして、これは免許を得ておるようでございますけれども、その後このラジオ関東は、ほとんど実質的には東京に移ってしまって、その目的である神奈川県域を中心とするローカル放送の責任を内容的には果たしていない、そういうふうな状態があるようでございますけれども、こういう問題について、一体郵政省はどのようにお考えになっておるのか承りたいと思います。
  69. 井出一太郎

    井出国務大臣 私も発言の機会をと思っておりましたが、いま阿部さんから、ここ半月ばかり続きました労使の紛争につきまして御発言をちょうだいいたしましたから、この機会に申し上げます。  たいへん御心配をかけましたが、何としてもこういう問題は、お互いに歩み寄って解決をしなければならないのでありまして、幸い、けさ方新聞等でごらんのような段階に達したわけであります。それにしましても、従来ずいぶんいきさつもありましたし、根も深いと思いますので、さらに意を用いて今後一そう正常化するような努力を払いたいと思いますので、よろしく御協力をちょうだいしたいわけであります。  なお、いまのラジオ関東の問題は、少し専門的になりますので、政府委員のほうからお答えを申し上げます。
  70. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  ラジオ関東につきましては、私どものいわゆるチャンネルプラン、いわゆる放送局の長期計画におきまして、御指摘のように、神奈川県をサービスする放送局ということになっておるわけでございまして、当然放送の主体といいますか、それは、神奈川県の地元に、地域社会に密着した放送ということになるわけでございます。  先ほど御指摘ございました、免許を与えてあとは知らぬというようなことでございましたけれども、私どもといたしましては知らぬというわけではございませんで、御存じのように、三年ごとの再免許というものがございまして、そういった機会をとらえまして地域社会に対する密着性、貢献度といったようなことを十分勘案して再免許の事務を進める、そういうふうな態度でおります。
  71. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いまの問題については、免許当時と内容が変わっておることについては、特段再免許についてお考えはないわけでございますか。
  72. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  ちょうどことしの十一月にはまた再免許の時期が参るわけでございまして、それまでに十分必要な資料を検討いたしまして、御指摘のような点につきましては十分検討いたしたい、そういうふうに考えております。
  73. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 よくわかりました。  次に御質問申し上げますが、同社、いわゆるラジオ関東が昭和四十四年の八月一日、正式には七月十六日だと思うのですけれども、八月一日の新聞発表ですが、東京十二チャンネルテレビに関する要望書というものを郵政大臣あてに提出しておるようでございますが、その内容と、それからどういう措置をなさったのか、承りたいと思います。
  74. 藤木栄

    藤木政府委員 ちょっと、資料が手元にございませんので、あとで調べまして御報告申し上げたいと思います。
  75. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは、その問題を保留をします。  それからその次ですけれども、同じく昨年の八月八日にこのラジオ関東が、中波三百キロワットの増力申請を行なったという発表がありますが、これについては郵政省はどういうお取り計らいになりましたか。
  76. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  増力の申請は受け付けておりますけれども、これはラジオ関東だけではございませんで、ほかのいろいろのラジオ局からも増力の申請がございます。したがいまして、私どもといたしましては、こういった全体の問題としまして、先ほど申し上げましたように十一月には再免許もあるわけでございますので、その時点までには、どういう取り扱いをするかということを検討してまいりたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
  77. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 続いてですが、いま東京都におけるUHFテレビチャンネルの割り当てはどういうふうになっておるのか、そしてまた、現在東京都にUHFのテレビチャンネルを申請しておる会社は何社ぐらいあるのか、ちょっと聞かしてもらいたいと思います。
  78. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  現在東京を対象としてUHFの申請を行なっている会社は十六ございます。ただ、東京におきまするUHFの新しい免許をするかどうかという問題でございますけれども、御存じのように郵政省といたしましては、いわゆるVHF帯からUHF帯への移行という問題がございますし、また、いわゆる放送大学の問題もございますし、あるいはまたNHKの県域放送というものもございまして、そういった点を全部ひっくるめまして現在検討中でございます。  ただ、いまの波の事情から申しますと、新しい民間のUHFの免許ということは、まずあり得ない、非常に困難である、そう思っております。
  79. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それで基本的な問題がわかりましたが、ただ、こういうことを私は聞いておるのです。先ほど申し上げましたラジオ関東が、当初神奈川県を放送区域とするUHFテレビのチャンネルの申請を行なった。その後これを変更して、四十三年の十月、京浜地区を放送区域とする申請を行なった。そうしてその後、社長の話によりますと、このチャンネルはラジオ関東に免許がおりるのだ、佐藤総理と約束ができておる、そういうことを公言しておるやに聞いておりますけれども、いまのお話では、そういう事実はあり得ないというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  80. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  私どもとしては、そういう話は聞いておりません。また、先ほど申しましたように、波の事情からいっても非常に困難である、そういうふうに思っております。
  81. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは最後にお伺いしますが、いまラジオ関東で非常に長い年月にわたって労使間の紛争が繰り返されておるという事実については、御存じでしょうか。
  82. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  ラジオ関東からの報告によりますと、最近発生しました労使関係の問題といたしましては、会社が横浜支社を拡充強化するというために、本年の三月十三日付で三十二名の人事異動を行なった。これには、執行委員等がその中に二十二名入っているということ等のために、組合側から、この配置転換は組合弾圧であるとしまして、東京都の地方労働委員会に不当労働行為仲裁の申し立てがなされているという状態でございまして、この問題につきましては、まだ都の労働委員会のほうでの審査は行なわれていないと聞いておりますが、配置転換者は、いずれも配転には応じておりません。現在なおストを行なっているという状態でありまして、まだその解決の見通しがついていないということを聞いております。  このほか、昨年にも社長さんと会社の一職員との間で傷害事件が起きたといったようなことで、東京地裁に告訴を行なったということを聞いておりますが、まだ決定していないという状態でございまして、私どもとしましても、そういった裁判にかけられているという状態でございますので、いまのところそれを見守っているというところでございます。
  83. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大体様子はわかりました。まだそのほか労使間の紛争の問題につきましてはいろいろありますが、それは社会労働委員会なりでまた別に質問することにいたします。ただ、労使間の紛争があるだけでなくて、このラジオ関東では、部長は部長でまた一つの団体をつくっており、いろいろな内紛があるようでございますが、それらは、放送法の一条の三号に照らして必ずしも適切でないのではないかという気もいたしますので、再免許にあたっては、十分な調査を行なっていただきますように要望いたしまして、私の質問を終わらしてもらいます。
  84. 藤木栄

    藤木政府委員 先ほどのラジオ関東から提出されました要望書、わかりましたのでお答え申し上げます。  これは昨年の七月十七日に私ども受理したわけでございまして、十二チャンネルテレビに関する要望書というわけで、社長名で出ております。  内容は、十二チャンネルが予備免許されたときに、ラジオ関東の申請は、総合局であったため周波数の割り当てが不能であるという理由で拒否された、当時ラジオ関東としては、財団形態よりも株式会社のほうがよいという要望書を出した、それで十二チャンネルの再免許にあたっては、科学技術教育局としない場合にはラジオ関東が最も適格者である、そういう趣旨の要望書が出たわけでございます。
  85. 武部文

    ○武部委員 終わります。
  86. 金子岩三

  87. 中野明

    中野(明)委員 けさほどから林さん、武部さん、いろいろお話がありましたので、私も重複を避けますが、決算に入る前に、日航機のあのよど号の件に関しまして二、三お尋ねをしたいと思います。  このよど号のことにつきましては、全国民が非常に心配をいたしましたが、その中でNHK国際放送が非常に活躍をして、国交のない北鮮ということで、一時はどうなることかと心配したわけですが、たいへん活躍をされた、こういうことを聞きます。また、この報道に関して関係の皆さんが、NHKはもちろんのこと、民放関係も非常に努力をされたことについては、私どもも敬意を表している次第でございますが、国際放送NHKがいろいろ北鮮へ要請されたというのは、NHK御自身のほうからやられたのか、あるいは大臣のほうからそういう要請をされたのかどうか、そこを最初にお尋ねしたい。
  88. 井出一太郎

    井出国務大臣 日本放送協会のほうからお答えします前に、私から申し上げます。  先ほど林委員に概略はお答えをいたしましたが、今回の事件に関しましては、NHK郵政省との間で協議をいたしました結果、受信する、たとえば北鮮側等に与える印象あるいは効果などの点を考慮いたしまして、本来の国際放送の形によることが適当であろう、こういう判断をいたしまして、韓国語、日本語及び英語により、時々刻々のニュースを放送したのであります。その中で、特に日本政府筋の見解として、北朝鮮政府においてよど号の航行の安全と人命の保護に万全の策を講じていただきたい、こういうことを繰り返し呼びかけたわけでございまして、以上申し上げましたように、あらかじめNHKとは協議をして臨んだわけでございます。
  89. 川上行蔵

    川上参考人 お答え申し上げます。  ただいま大臣からお話ございましたように、われわれといたしましては、郵政当局あるいは外務省その他関係の方々とも十分にお打ち合わせをいたしまして、われわれのいろんな経験そのほか、あるいは国際情勢という判断も、こちらの意見も申し上げまして、それでいまお話がありましたような措置をとって放送いたしたわけでございます。
  90. 中野明

    中野(明)委員 非常にこまかい話になるかもしれませんが、先ほどの答弁の中でも、国際放送については、大臣のほうから指示があって放送した分は交付金として出ておるわけです。今回の場合、その点についてはどのような取り扱いになるのか。協議してなさったというのですが、NHKのほうとして自発的になさったのか、それとも後ほど交付金として、国のほうからこの放送に要した経費を出されるのかどうか、そこのところを知りたいのです。
  91. 前田義徳

    ○前田参考人 御承知のとおり、放送法三十三条は昭和二十七年に改正された条項でございます。放送法九条の二は昭和三十四年に改正されたものでありまして、これと関連して四十四条の五が同時に書き直されたものでございます。と申しますことは、総括的な指示については、その年度間の計画として、郵政大臣がわれわれの九条二の作業の中での一部を命令されるわけでありまして、これについては、年間の交付金をいただいているわけであります。  ただいま申し上げましたように、われわれとしては三十四年当時、これは当然NHKの本来の業務という観点に立ちまして、したがって、郵政省からも接触がありました際に、われわれとしては二十七年の改正の条項によらずに、三十四年の九条の二によって行なう方針であるということを申し上げたわけで、したがって、この件については交付金とは直接関係のない問題であるということになります。
  92. 中野明

    中野(明)委員 了解しました。  それで、これはNHKだけでなしに、国際電電も今回の事件に関しましては非常に骨を折られた、日ごろないルートがあったわけですから。それでソ連を通してやられたのか、そこのところです。新聞その他では一部伝えられておりますが、この機会に郵政省の担当者のほうから、国際電電がこのハイジャック事件についてどのような活躍をしたか、その点について説明願いたい。
  93. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。  本件に関しまして、国際電電がとりました措置について御質問でございますが、従来、平壌との間の電報につきましては、上海を経由して疎通されていたわけでございます。電話についてはございません。回線がございませんので、直接通話するということは不可能であったわけでございますが、国際電電は四月一日、ソ連政府及び北京政府に対しまして、この回線を臨時の措置として設定することについて自主的に申し込んだわけでございます。それに対しまして、ソ連政府からは直ちにこれに応じて、ソ連のモスクワを経由して平壌と連絡がとれるという返事が参ったわけでございます。それで、四月の二日から同五日までの間、モスクワ中継による通話の取り扱いをいたしたというふうに報告を受けております。
  94. 中野明

    中野(明)委員 これも参考までにお尋ねしたいのですが、いま事件が終わったばかりでもありますので、正確なことはどうかと思いますけれども、全体としまして、このよど号事件に関連して、報道関係にどれくらい経費がかかっただろうかということなんですが、推定でもおわかりにならぬでしょうか。
  95. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 報道関係に韓国との間の通話が利用されましたことは、かなり利用されたのではないかと思うのであります。しかし、実際のその期間におきますところの通話度数、これは報告を受けますと、度数については平常のときとたいして変化はございません。若干多い程度でございます。しかし、一つ一つの通話がかなり長時間にわたっておるという報告を受けております。通話の内容は、だれが通話したという記録はございませんので、その結果だけが報告されてきておるわけでございます。  そこで、もしかりに、ほんとうにかりにでございますが、かりに三十分、四十分程度以上の通話が報道に充てられたと計算いたしますると、およそ六百万円程度のものがそれに使われたのではないかというふうに推計されるわけでございます。
  96. 中野明

    中野(明)委員 NHKとしては、大体どのくらいに見積もりというか、推定をしておられますか。
  97. 川上行蔵

    川上参考人 お答え申し上げます。  まだ早急な間でございますので、正確な数字にはならないかと存じますけれども、おおよそ見積もってまいりますと、国内放送向けに二千万円、海外放送向けに約六十万円、この程度は最低かかっておると存じます。あと職員の、たとえば時間外とかあるいは徹夜とか、そういう作業のこともこれから見込んでまいらなければいけません。おおよその見当として、それをさらに一割程度増すか、このように考えております。
  98. 中野明

    中野(明)委員 昨日も大阪でまたたいへんな惨事が起こっております。死亡された人、その他けがされた人、非常に気の毒なことだと思っておりますが、思わないような不測の事件が起こりまして、報道関係の皆さんもたいへんなことだろうと思います。ちょうど決算でありますので、お金のことについてお尋ねしてちょっと恐縮でしたが、参考までに私はお尋ねをしてみたわけです。  もう一点、決算に入る前に電波のことについてお尋ねしたいのですが、御承知のように、電波が非常に不自由であります。その不自由な中から米軍関係にかなりの電波が割り当てられている、こういうことも承知しております。それで、最近米軍は基地を縮小していくという方向になっておるわけでありますが、基地縮小その他によりまして、いままで米軍に割り当てておった電波が、もともとわが国に割り当てられた中から米軍に割り当てているわけですが、返還されるというような見通しといいますか、そういうことについての折衝はどの程度まで進んでおられるのか、また今後の見通し、この点について御説明をしていただきたいと思います。
  99. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  米軍関係の電波というものは、御存じのように、いわゆる地位協定といったものによりましてその手続が定められているわけでございまして、いまおっしゃったように、ある程度の電波がいっているわけでございますけれども、実際、米軍の無線局の数であるとか用途といったものは、基地の中でございますのでこちらにははっきりわからないので、この基地が縮小されても、それがそのまますぐに電波の返還につながるかどうかという点は、私ども実はよくわからないわけでございまして、この基地の返還に伴っての折衝ということはやっておりませんし、また、見通しというものもはっきりわからないといったような状態でございます。
  100. 中野明

    中野(明)委員 いずれにしましても、電波は非常に需要が多くて限られているわけですから、そういう点についての折衝というのですか、それはなさってもいいんじゃないかという気がするのです。だんだんアメリカのほうも基地を減らしていくということもありましょうし、そういうことから考えていきますと、当然不自由しているときですから、できれば早くこちらのほうへ少しずつでも戻してもらいたいということを、要求して差しつかえないのではないかと私、思うわけですが、この点大臣どうですか。いままでなさったことはなさそうですが、今後そういう要請はなさるべきではないかと思うのですが、それを承りたい。
  101. 井出一太郎

    井出国務大臣 私も、この点不案内なんでございますが、いままでもある程度はそういう折衝はしておるようでございます。これは基地全面撤廃という場合と、一部縮小という場合は事情が違うかもしれませんが、ただいまの御発言の御趣旨は私どもも十分に承って臨みたい、こう考えます。
  102. 中野明

    中野(明)委員 では、本題に入りたいと思います。  四十三年度の決算をいま審議されているわけですが、四十三年度の当初予算ですか、それではカラー契約はたしか二万四千件じゃなかったかと思いますが、間違っておれば訂正していただきたいのです。それで、この決算では最終的に幾らになったのですか、ちょっとその点を私、最初にお聞きしておきたい。
  103. 志賀正信

    志賀参考人 カラー契約につきましては、四十三年度からこの方式を発足させましたが、初年度といたしまして、当初百四十万を予算で見込んでおりました。そのうちで、カラー契約につきましては白黒からカラーへの契約変更が大部分でございますが、そのほかに、新しい世帯からすぐにカラー契約が出てくるというものを二万四千というふうに見込んでおりました。ただいま先生からお話しの数字でございますが、それを含みまして当年度には百四十万初年度としてカラー放送契約を新しくふやしたいというふうに考えておりましたが、決算時におきましては百六十八万八千まで到達をいたしております。
  104. 中野明

    中野(明)委員 先日の新年度の予算におきましてもいろいろ議論になったわけですが、私、この際将来のことについてお尋ねをしておきたいのですが、このカラーの受信契約が、全体の契約の比率でいいまして大体何%ぐらいになったとき、現在の白黒の普通契約、これの料金を減じたり、あるいはラジオのときのようにもう免除というのですか、そのようにするか、ある時点が私、あると思うわけです。そういう点についての将来のお考え方、これを前田会長お尋ねしたいと思うわけなんです。これはいつになるかという日にちはなかなかわからぬにいたしましても、全体の契約の中で、カーラーテレビの占める比率がこの程度になったときは、設備もそう幾らでも伸びる一方でもないでしょう。ある一定の時期が来れば、設備投資も横ばいあるいは少なくなってくるということも考えられるわけですが、その点の見通しをお聞きしたいのです。
  105. 前田義徳

    ○前田参考人 そのものずばりで御質問に答えることは、当面非常に困難だと思いますが、先ほど来のお話の中にも問題点が出されたわけなんですが、私どもは受信料というたてまえで、そうしてラジオはただにするとか、あるいは将来白黒をただにするという考え方は持っておりません。私どもの立場で言いますと、受信料というのはすなわち放送料でございます。したがいまして、四十三年度予算を編成するにあたっても、私どもの立場では総合的な放送料という考え方でございまして、したがって、ラジオとかそういう分け方をやめたという意味合いに、私どもは、法律上の用語は別として、経営上からはそのように考えておるわけです。  四十三年度予算を編成いたしました際のラジオの受信契約者の総数は約一千六百万でございました。当時の白黒を含めてのテレビ契約世帯数というのは、おそらく二千万ぐらいであったかと記憶いたしております。そういう見地に立って今後どうするかという問題になりますと、私ども三年後に予測する契約の総世帯数は、少なくとも二千四百万を期待しているわけでございます。その中で、第三次五カ年構想の今年度予算の御審議をいただきました際に申し述べました、今後三年間の構想の練り直しと申しますか、それによると、大体四十七年度末、すなわち四十八年の三月までに、カラー契約世帯数をおおよそ一千二百六万と予想しているわけでございます。したがいまして、四十八年三月までには、その後の将来について、私がいままで申し述べました総合放送料をどういうふうに取り扱うかということを申し上げることは、きわめて困難でございます。  ただ、将来、いま御審議いただいている決算と関連して申し上げると、少なくとも世帯契約数の八〇%くらいに達したときに、問題はどう整理さるべきかという時期が来るのではないか、このように考えております。
  106. 中野明

    中野(明)委員 いま会長NHKの立場からのお話は私もよくわかります。やはり放送料というのですか、そういうふうな形でNHKの経営というものを考え、そして放送国民に提供していくという上から考え、当然のお考え方だと思いますし、私もその点については異存はございません。ただ、私がお尋ねをいたしましたのは、いま申し上げましたように、そういう総合的な見地から、大体こういう線まで来れば受信料も検討していかなければならぬということをお尋ねしたわけです。いまのお答えで、大体将来のことについて私なりに見当がつきました。  次にお尋ねしたいことは、NHK使命といいますか、それは全国にあまねく放送をする。テレビも同様でございます。四十三年の予算のときにも私、お尋ねをしたと思いますが、その後におきまして小笠原群島が本土に復帰になったわけです。この小笠原諸島に対してのテレビ放送――ラジオは届いているように聞いておりますが、テレビはどういう具体的な構想をお持ちになっているのかどうか、その点について御説明を願いたい。
  107. 井出一太郎

    井出国務大臣 小笠原におけるテレビ事業につきましては、御案内のとおり東京から小笠原諸島までは約千キロメートルございます。したがって、現状におきましては、本土のテレビ放送を直接受信をするということはできない状況にあるわけであります。なお、ラジオ受信につきましては、東京や大阪の波がおおむね受信をできる状態にあるわけでありまして、残念ながらテレビは、どうも現段階においてはまだちょっと手が届かない、こういう現状であります。
  108. 野村達治

    野村参考人 お答え申し上げます。  四十三年の予算のときに御質問がございましたように、当時やはり百世帯以下でございまして、この状態で回線がなくてパッケージテープで行なうということにいたしますと、かなりな費用がかかるというようなことが見込まれておりましたので、その後の世帯の増加というようなことを検討いたしまして、小笠原の復興開発ということとあわせて考えていきたいということを御説明申し上げましたが、やはりその後もあまりその世帯はふえておりません状況でございますので、あそこに土地の要求はいたしてございますけれども、ここへ置局してパッケージテープを送りましてやるというようなところまでには、まだ至っておらない状況でございます。
  109. 中野明

    中野(明)委員 事情は大体わかっておりますが、将来何かの形でやはりテレビを送ってあげなければならぬのじゃないか、私もこのように思っているわけです。いま大臣お話にもありましたように、現状は、それはとうてい実情として無理でしょうけれども、やはり公平に電波を送るという上からいきましたら、何かの形で検討も加え、努力もなさっていただかなければならぬのじゃないか、このように思って将来のことについてお尋ねをしたわけです。まあ世帯数の関係もございましょうけれども、また経費が安く済むような方法が生まれてくれば、何かの形で一日も早くそういう方面の方々にもテレビが見れるように努力をしていただきたい、このように思います。  それでは次の問題に入りたいと思います。先ほども質問があったようでありますが、未収金の問題であります。未収金がかなりの金額になっておりますが、この欠損処分をした金額と件数、これについて最初にお尋ねしたい。
  110. 志賀正信

    志賀参考人 お手元に四十三年度の決算書としてお出しいたしました書類に計上いたしてございます、ただいまお話しの受信料未収金につきましては、四十三年度末で十億四千七十三万六千五百九十円でございます。これに対しまして、当年度末におきまして欠損の引き当て金を計上いたしてございます。これは全体の調定額の約〇・七%に当たりますが、五億五千八百六十万円を引き当て金として計上いたしてございます。  四十三年度末の決算状況につきましては、この四十四年度一年間を経過いたしまして、ただいまこの四月一日以降決算に入っておる状況でございますので、この決算状況から、ここで欠損の引き当て金を対象にいたしまして欠損の償却をいたすわけでございまして、まだ最終的に欠損の償却はいたしておりません。いずれ近日中にやる予定でございます。ただいまのところでは決算の途中でございますが、この十億四千万の四十三年度末の未収に対しまして、四十四年度中に、去る二月までのところで四億四千六百万が回収されております。なお三月一カ月ございますので、おおよそ三千万以上のものは回収できるのではないかというふうに見込んでおるのでございますが、まだ決算の最終確定をいたしておりませんので、どの程度償却ができるか、しなければならないかということにつきましては、確定数字をただいままだ持ち合わせておりませんが、おおよそこの欠損償却見込み額でおさまるのではないかというふうに考えているところでございます。
  111. 中野明

    中野(明)委員 税金でも、やはり全然取れないというのもかなりあるように私どもも承知しておりますが、それから見るとNHK受信料の収納率というのですか、これは非常に高率で、経営努力というものを認められるわけでございますが、いずれにしましても未収があるということは、全体から見まして公平というわけにまいりません。その点については、いまもちょっと申し上げたように、かなり努力をなさっていると思いますが、契約をしておりながら結局全然取れなくなってしまったという、この欠損処分にしなければならない金額の内訳ですか、いままで何回か経過をしておりますから、大体分類的におわかりだろうと思うのですが、どういう種類で欠損処分にしなければならないようになってしまったかということを、大まかに分類ができれば、分類をして説明していだたきたいのです。
  112. 志賀正信

    志賀参考人 四十三年度の分につきましては、先ほど申し述べましたように、今次の決算におきまして償却をいたしますので、まだ確定をしておりませんが、四十二年度の一年前の実績から見ますと、当時六億の欠損処分をいたしました。  その内容といたしましての大まかな内訳と申しますか、内容で申し上げますと、まず重複契約とかあるいは転居先不明とかいうような契約上の事故によるものがおおよそ三分の一ございます。約二億円でございます。それから航空騒音、難視聴等というようなことで、事実上契約をしたけれども非常に聞こえにくい、見えにくいというような苦情から、あとで欠損の対象にいたしましたものが約四億ございまして、全体の三分の二ということになっております。なお、この航空騒音あるいは難視聴地域というようなものでくくっておりますが、この四億の中には、一部理解の不足その他あるいは経済上の理由というようなもので欠損の対象にいたしましたものもございます。  なお、ただいま四十二年度の状況につきまして申し上げましたが、これにつきましては四十四年度中に約二千二百万を、この欠損償却をいたしましたものの中から回収をしておる状況でございます。
  113. 中野明

    中野(明)委員 今後もこの未収金については、ただいまもお話がありましたように、一たん欠損処分になった中からでも回収ができたというようなお話でございます。真剣に努力されていることを私どもも日ごろからよく承知しております。やはり決算書その他に未収金というふうにあがっておりますと、どうして取れないのだろうかというふうに疑問にだれしも思うことでありますので、極力この未収の回収については、今後ともなお一そう努力をお願いしたい、このように思います。  それからいま一点、予備費のことについてお尋ねをしたいのですが、このいただきました資料で予算総則の適用条項の中で四番目に、予備費の使用について、十勝沖地震による被害復旧経費等というふうになっております。この予備費の内訳について説明をしていただきたいのです。
  114. 志賀正信

    志賀参考人 お答え申し上げます。  四十三年度の予備費として予定をいたしましたものは総額四億でございましたが、これに対しましては、年間三億二千百万円の振り当てをいたしまして、七千八百万の残額を生じております。  この三億二千百万円の内容といたしましては、まず第一に、ただいまお話しのように、当時十勝沖の地震がございまして、NHKの局舎及び設備につきましても若干の被害がございました。またこれに応じまして、NHKは受信者の対策の経費を計上してこの活動をいたしております。この費用といたしましては四千五百九十六万円でございました。  それから、郵政省に集金事務を委託いたしておりますが、契約によって単価をきめてございますが、これが、郵政省側の年間の人件費等の改定がございました場合には、この単価を改定する約束になっておりますので、四十三年度に入りましてから約八千八百万円の増額がございまして、これを予定せざるものということで予備金から振り当てをいたしております。  それから、新しく当時発足をいたしました放送番組センターに対しまして五千万円の協力をいたしております。  それから、これも四十三年度中途から発足をいたしました問題でございますが、東京及び大阪の国際空港におきまして、航空公害防止協会というものが発足をいたしまして、地元の受信者に対して助成をするという形が出てまいりまして、NHKも一件七十五円の割りでこの航空公害防止協会に対しまして助成金を出しております。  それからもう一点は、当時役員の改選がございまして、この役員の退任慰労金等で約一億一千九百万の支出をいたしております。  ただいま申し落としましたが、航空公害防止協会に対する助成金は千七百万円でございました。  以上五件が、四十三年度の予備費内容でございます。
  115. 中野明

    中野(明)委員 この四十三年度の予算は、政府提出はいつだったですか。提出された日にちは……。
  116. 志賀正信

    志賀参考人 郵政大臣に提出いたしましたのは、四十三年の二月八日でございます。
  117. 中野明

    中野(明)委員 それで、予備費の中で支出されました番組センターの出損料ですか、これは第二回目に当たっていると聞きましたが、これはあらかじめ予算の中で一まあ本年は予算の中に出ておりましたが、当然予算に組み入れられるべきものではなかったろうかと、私、そのように理解するのですが、どうして予備費でお出しになったのかどうか。
  118. 志賀正信

    志賀参考人 お答えいたします。  番組センターが発足をいたしましたのは、四十三年の三月三十日でございまして、ちょうど四十四年度の予算書を国会に御提出申し上げておるときでございました。ただいま御説明申し上げましたとおり、四十三年度中に五千万円を支出いたしましたので、これは当時予算に計上できませんでしたので、予備金から振り当てをいたしてございます。  なお、四十四年度の予算につきましても、すでに編成を終わりまして国会に御提出申し上げて審議の途中でございましたので、四十四年度におきましても同額五千万円でございますが、やはり予備金から振り当てをいたしてございまして、四十五年度には予算を計上して支出をしたという状況になっております。
  119. 中野明

    中野(明)委員 予備費というのはそういうことに使われると思いますが、今回の、先日の事件とかあるいは大阪のきのうの事件、こういうようなことに関連した経費も、やはり予備費でお使いになるのかどうか、その点どうでしょうか。今回のよど号の事件に必要となった経費あるいは昨日の大阪のガス事件、こういうことに関連して必要となった経費、こういうのはやはり予備費でお落としになるのですか。
  120. 志賀正信

    志賀参考人 今回のよど号事件のような際の取材経費、報道経費につきましては、一応年間おおよその経費を予定いたしてございますので、こういう事件ものにつきましては、その中でまかなうという体制をとってございます。それも一応のワクがございますので、それを大幅にはみ出ますような場合には、NHKの当然の活動として、予測せざるものとして予備金の対象にしてもしかるべきかというふうに考えますが、今回は、一応予算範囲内でまかなえそうでございます。  なお、先ほど番組センターのところで、予算年度をちょっとごちゃごちゃいたしまして失礼いたしましたが、四十三年の三月に番組センターが発足いたしましたので、四十二年度におきまして支出いたしました五千万円につきましては予備金で支出をいたしました。それで、先ほど先生からお尋ねの、四十三年度の決算にあらわれております五千万円につきましては、四十三年度の予算におきましても間に合いませんでしたので、予備金で支出をいたしております。なお、四十四年度には予算編成が間に合いましたので、三億円を計上いたしまして、四十四年度中に予算から支出をいたしております。訂正をさせていただきます。
  121. 中野明

    中野(明)委員 ではもう一点、将来の基本的なことについてお尋ねをしたいのですが、テレビ放送の今後のあり方と申しましょうか、最近は放送あるいは電波関係の技術が非常に進んでまいりました。ビデオカセットの研究も進み、実用化されてきているような実情になっておりますが、電波というのは、先ほどもちょっとお話の中で出ておりましたように、非常に限りがございまして、国民のための貴重な財産と申しましょうか、そういう性質を持っております。  この電波を使って、報道あるいは娯楽その他の番組を送っているわけですが、今後テレビ放送、これのあり方でございますけれども、やはりテレビ放送報道に主体を置き、あるいは実況を国民に知らせる、そういうことに主力を置いて、娯楽とかその他の番組はビデオカセットで自分の好みに応じて見ていく、そういうふうな時代が来るのではないかというふうに、私ども一応自分なりに想像しているわけです。  こういう点につきまして、きょうは大臣もおいでになっているのですが、大臣のお考えとして、今後テレビ放送のあり方、番組編成ということでしょうか、放送のあり方、どういう方向にいったほうがいいのか。私個人の考えとしましては、やはり報道番組、それから実況放送とかドキュメント風のもの、こういうものに主力を置いて、娯楽番組その他はカセットテープ、そういうことで十分間に合うのではないか、それのほうが電波の有効な活用になるのではなかろうか、このように考えているわけですけれども、この機会に大臣の御見解並びに前田会長の御所見もあれば聞きたい、こう思います。
  122. 井出一太郎

    井出国務大臣 お説のとおり、最近国内、国外においてビデオカセットレコーダーの開発が急速に進んでまいっておりまして、将来は職場であるとか学校、家庭等におきまして、簡易でかつ廉価なテレビ放送番組の録画やあるいは録画済みテレビ番組の再生等が行なわれるようになるものと予想されるわけであります。  このような装置の一般家庭への普及に伴いまして、従来のテレビ放送は必然的に放送のみが持つ速報性の機能を生かした分野の放送に重点が置かれるであろうと思いますが、その他の番組面につきましても、レコードやテープレコーダーの普及がラジオ放送における音楽番組の一そうの発展に役立っておりますように、ビデオカセットとテレビ放送とは相互に寄与し合って、一体となって発展が期待されるものであろうか、このように考えております。
  123. 前田義徳

    ○前田参考人 私ども、放送法に従って放送を行なっているという立場から申しますと、少なくとも現在の番組編成上の諸方式は守るべきであると考えております。  ただ、カセットの問題は、この原則とどのような関係に立つかという問題になると思いますが、まず、直接にわれわれ自身が関心を持つべきだという面は教育放送でございます。ことに学校放送等において、現状でも、最近NHKは「放送学序説」というのを公表いたしましたが、この研究でも明らかなように、低学年までは放送の利用が直接的でございますが、高校から大学にまいりますと、いわゆる教師と放送との関係がまだ調整されておりません。したがいまして、受像機はあってもその利用がきわめて主観的な立場において、個々のケースで異なってくるという場合もございますので、これらについては、直ちに私どもカセットの関係を考慮すべきであると思っております。  ただいま御質問の御趣旨の第二点の、速報性あるいは報道を原則とするという段階は、私どもの立場から言えば、国民のほとんど全部が見てくださっている放送という立場から申しまして、それらの聴視者に対する経費の問題等を考慮いたしますと、やはり当面、私どもは調和ある番組の編成が絶対に必要であると考えております。ただ、聴視者ないしカセットとの関係で考え得ることは、社会的な要望のあるものについては、それらの面においても、カセットにいわゆる放送資材を提供すべき立場にあるというように考えております。  したがいまして、私どもとしては、このカセットの問題は、ただいま申し上げた方向に従って、直ちにわれわれの考え方を積極的に実行に移す方策を、目下検討中でございます。
  124. 中野明

    中野(明)委員 時間もありませんので、最後にもう一点だけお伺いします。代々木のほうに将来NHKが全部移られるわけですが、内幸町の現在の建物、土地を売却されるのに、私、ちょっとうっかりしておったんですが、大体どのくらい金額を見積もっておられるのですか。
  125. 志賀正信

    志賀参考人 内幸町の設備につきましては、先般の予算の際に御審議を賜わりましたように、今後四十五、四十六、四十七の三カ年間に建設をいたしまして、そのあとで引っ越しをいたしますので、処分につきましても、四十八年以降になるかというふうに考えておりますが、いまの時点から推測いたしますのは、まだいろいろ土地などの値上がりの問題もございますので、ちょっと予想しかねるところもございますけれども、ただいまの見通しでまいりますと、東京放送会館の内幸町の設備につきましては、おおよそ百二億くらいが一応の評価になっておりますので、売り値としては、これ以上の価格で売りたいというふうにいまのところは考えておるところでございます。
  126. 中野明

    中野(明)委員 これはいつも私は疑問に思っております。これはたてまえがそうなっているからだろうと思いますが、先日前田会長説明されたわけですが、この貸借対照表損益計算書についての説明の中で一つ一つ尋ねれば切りがありませんが、いまの固定資産に限定をいたしましても、固定資産の内容は、建物が四百十八億一千八百万円、土地が百二十一億二千六百万円、機械が三百十八億九千四百万円、このようなお話がされたわけであります。これは、おそらく帳簿価格でいけばこうなるというお話であろうかと思うわけでありますけれども、いま内幸町の建物、土地を売却するだけでも、一カ所だけでも百二億というような現状見積もりが概略立てられるような状態でありますので、現実とはあまりにもかけ離れた数字ではないか、このように思うわけです。この点について、これはいろいろ法的にこのようにしろということになっておるのかもしれませんけれども、この点、何か現状に合わない。非常に不合理でいつも私、疑問に思っておるものなんですが、郵政大臣どうでしょうか。  この土地が百二十一億二千六百万円となっておるわけです。いま一カ所売るだけでももう百二億以上に売らなければいけませんというような当局のお話です。そうしますと、この固定資産の内容について、あまりにも形式的な、現状からかけ離れた内容になってしまっておる。法律でこうしろということになっておりますれば、法律を何とか変えるとかしなければ、あまりにも現状と違い過ぎる。何も知らない人がこれをちょっと見ただけでは、ああこういうものかなということで終わってしまうわけです。ですから、実際はどうなのかということ、時価に換算してあらわすということの是非、こういう点は大臣としてどうお考えになっておりますか。
  127. 井出一太郎

    井出国務大臣 昨今の土地値上がりが非常に急速なものですから、どうしてもその間に矛盾といいますか、アンバランスができてまいるのはやむを得ないと思うのでございます。したがって、時価評価あるいは簿価それぞれ非常な落差が生じておりますけれども、今回のNHK決算に関する限りは、大体法律でそういうふうなことに相なっていると思うのでございまして、御指摘の点はありますものの、まずまずこれでひとつお認めを願わなければならぬのではないか、こう考えております。
  128. 中野明

    中野(明)委員 これは将来においても、ある程度時価に近いものを示していく、こういうふうにすることが正しいのではないかと私は思うわけです。そうしないと、NHKに対する認識が違ってくるのではないかというような気持ちがするわけですが、法律のたてまえでそうなっているということになれば、法律を何とか変えるようにしなければならぬと思います。  これはどうでしょうか、NHK志賀さんのほうでは、この現在の固定資産の内容について、時価でいえばこうだというような資料をお出し願うわけにはいかぬでしょうか。そこのところはどうでしょうか。
  129. 志賀正信

    志賀参考人 NHKの財産につきましても、先ほどお話が出ておりましたように、土地につきましては全国で百二十一億二千六百万円ということになっておるわけでございますが、この土地以外の建物、工作物、機械等につきましてはしょっちゅう取りかえ、改善を行なっておりますので、順次新しい価格に置きかえられているというように考えていいかと思いますが、土地につきましては、これは社会全般の問題といたしまして、NHK昭和二十五年と二十九年の二回再評価をいたしておりまして、当時、大蔵省の指定をいたしました再評価法に準じまして行なっておりますが、世間一般がこういう状況にあるかと思います。  最近、土地の値上がりも非常に激しゅうございますので、日本全体の土地の価格というものがこういう形で評価をされているということにつきましては、先生のおっしゃるような問題があるかと思います。ただいまお話しのように、NHKのいま持っておる土地を一応現在価格に見積もってみてはどうかということでございますが、相当全国津々浦々までございますので、事務的には非常に煩瑣であると思いますが、いずれかの機会にぜひやっておきたいというように考えております。
  130. 中野明

    中野(明)委員 大臣も先ほど御答弁になっておりましたが、私もどの点については、ここの決算書にもこういう形で出てくるということに非常に疑問を持つわけですが、将来何か法を改正するなりして、実情に近い――建物とか機械というのは、いまの志賀さんの説明でぼくもよくわかるのですが、土地というのは、大体価格というものがそう急激に変わるものでもありませんので、やはり実情に近いものを決算書の中にあらわすようにするべきではないか、私はこのように思っておるわけですが、この点どうでしょう。
  131. 井出一太郎

    井出国務大臣 これは、ひとつ研究課題にさせていただくということにお願いいたします。
  132. 中野明

    中野(明)委員 では、きょうは以上で終わります。
  133. 金子岩三

    金子委員長 土橋一吉君。
  134. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、交通安全対策特別委員会に出席する関係もございまして、ごく簡単に申し上げたいと思います。  わが党は、日本放送協会放送法規定によりまして不党不偏の立場を一そう進められて、民主的な運営をされますることを心から希望を申し上げるものであります。  本件の決算については、私は棄権をいたします。  以上、簡単でございますが、わが党の態度を申し述べて発言を終わらせていただきます。
  135. 金子岩三

    金子委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  136. 金子岩三

    金子委員長 これより討論に入るのでありますが、申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  日本放送協会昭和四十三年度財産目録貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。  本件について、異議なきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  137. 金子岩三

    金子委員長 起立総員。よって、本件は異議なきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  138. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  139. 金子岩三

    金子委員長 この際、前田日本放送協会会長から発言を求められておりますので、これを許します。前田会長
  140. 前田義徳

    ○前田参考人 日本放送協会の四十三年度財産目録貸借対照表及び損益計算書の御審議、全会一致でこれをお認めいただきましたことは、まことにありがとうございました。  この審議を通じて、貴重な御意見を拝聴しておりましたが、私どもは、その御意見を私どもの経営の指針の一つとして、今後ますます努力いたしたいと思います。  まことにありがとうございました。
  141. 金子岩三

    金子委員長 次回は来たる十七日金曜日午前十時から委員会委員会散会後理事会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十四分散会