○土橋
委員 この問題は、佐藤内閣全体の労働行政の内容にも含まれておるし、
日本のいわゆる財界といわれる諸君の高度経済成長政策という政策の一環としても、またこういう点を特に最近は強調しておるわけであります。でありますから、単に一
郵政大臣だけで問題を解決できないことは私も万々
承知しております。
しかし、きのうの新聞にもありますように、朝日新聞ともう
一つは読売新聞と
二つ持ってまいりましたが、先ほ
ども私は具体的な事実を示してあなたに
お話をしたのでありますが、ここでも、こういうふうに書いております。「広い局内には「東京
郵政局」と書いた白い腕章の〃監視員〃がつめかけ、ものものしいふん囲気の中で、区分けの間に合わない
郵便物がつぎつぎとたまった。」あるいは「
郵政局から派遣された課長クラスの調査官が、慣れぬアルバイト学生のために、配達用の地図を作るなど、汗だくのアナ埋め作戦。」というふうに書いておるわけです。これはとりもなおさず、いま申し上げたようないわゆる監視労働という内容をはっきりと示しておるわけです。本来ならば、
郵政局から行く諸君が一緒になって区分するとか、あるいはコンテナを運んでいくとか、かいがいしく働くという体制をとるならば、それは非常にけっこうだと私は思う。特に進歩的な思想を持っておるとか、あるいは労働
組合の幹部であるとか、あるいは日ごろ課長並びに
局長に気に食わないというような諸君に目星をつけて、いまのような行動をとっておるのであります。したがって、
日本共産党員であるとか、共産党を支持しておるとか、あるいは進歩的な労働運動をやっておるというがゆえにこういう差別をしてはならないことはもはや言うまでもないことであります。それが平然として
——ここにもやはり監視員が立っております。この前資料であなたにお目にかけたとおりです。ここにも立っておるわけです。主婦たちがここでアルバイトしておる。これも来てみてわかると思うのですが、こういう状態におちいっているわけです。
この前の経理
局長の説明によりますと、つまり欠員不補充の金は、人事院の勧告があれば、それは全部詰め込んでしまうのだ、それは合法的であるというような説明を経理
局長はしておりましたけれ
ども、全然
予算費目の内容は違うわけです。つまり
予算定員で組んだ内容を、人事院が勧告したから、給与ベースを上げるという問題にぶち込んで、そして苦労しておるというような説明は、端的にいうならばごまかしてしまうことで、これは間違いです。やはり定員をふやさなければならない。全国の
郵便物の三割か三割五分以上は東京に集まってくる、欠員ができておっても補充しないでおいてそして物がたまってくる、こういう形を認めながら、その金を人事院が勧告すれば、そこへ上積みしていったからこれでいいという説明では、これは全然話にならないわけです。このことも前にも
お話を申し上げたのですが、現在起こっておるニューヨークの
郵便局のストライキの問題、あるいは東京に起こっているこの問題、特に大都市周辺におけるいわゆる
郵政労働者の現状が、どんなに痛ましいかということについて、
郵政大臣はもっと真剣に私は
——この問題について、何か片方だけの見方をするような
立場で責めておるのは、事実に当たらないというような
答弁をしたけれ
ども、この問題は、
日本全国の労働者階級の労働者の問題と佐藤
政府の政策という問題、とりわけ
郵政省としてどうするかという問題に帰着するのです。
たとえば、私は昨夜おそく八丁堀の南の小包集中局に行きました。食堂で、ちょうど七時半ごろであったと思うのですが、その人は東北線の向こうのほうからやってくる労働者で、この人は十四年間つとめて、三十四歳で奥さんがあって子供さんが二人あるというんだが、大盛りのめしを食っておりました。めしは幾らですと聞いたら、百二十五円だと言う。そして、失礼だけれ
ども給料は何ぼもらっていますかと聞いたら、三十四歳で五万一千円ぐらいうちに持って帰るんだ、いろいろな手当なんかもらって、どうにかこうにか六万円前後になるということを本人が言っておられたわけです。私は親のうちにおるから、女房と子供二人でもどうにかやっていけるし、私も健康だから、たんぼも幾らか耕しているからやっていけるようなものだけれ
ども、もしストレートでそれだけだったら、家賃を払っておったんではとてもやっていけない、賃金労働者はそういうことを告白しておるわけです。
こういう事実を、
一体郵政大臣はほんとうに直そうという態度であるのかどうかという点が、この問題の中心であるわけです。そこを私は言っているのです。このあらわれた現象だけをとらえて、
郵政省をやっつけるための材料に言っているわけじゃなくて、やはり大幅の賃上げをしてやるということ、そして、待遇改善をすると同時に
郵政の低家賃、公営住宅をどんどん建設するということ、こういう態度を
郵政大臣がとられない限りは、この問題の基本的な解決にはならないということであります。ですから、そういうことについて、ただ通り一ぺんの適当な回答をしておけばいいというものじゃなくて、あなたが二十数万の労働者の
作業環境において、この問題をどうやるのかという決意とそういう態度をはっきりしてもらわない限りは、私は、
郵政大臣としてはまことに不十分じゃないかと思うのであります。
もちろん、
郵便業務は多岐多様にわたっております。
仕事の内容も非常に複雑であります。でありますが、それはすべて
郵政労働者が双肩にになって
仕事をしておるわけであります。
大臣は一年かあるいは二年でおかわりになっても、
局長は一年か半年でかわっても、そこで働いておるはえ抜きの労働者は何十年と
——いま申し上げるように十四年間働いて、しかも五万一千円しか入らないということを告白しておるわけであります。これで、いまの物価でやっていけるのかどうか、家賃を払って奥さんと子供二人でやっていけるのかどうか、こういう点を、現在の物価体制、あるいは税金体制、あるいは公営住宅の不足、こういう点から率直に
考えて、どうしなければならぬかということを私は
郵政大臣にお尋ねしておるのであって、こういう事件が起こってくる問題の基礎にはそういうものがあるということを
——もちろん、その内容について十分
検討するものもあるけれ
ども、基本的には賃金体系が低いということ、そして全逓労働者にストライキ権を持たしてないということを、それをかさに着て
郵政局幹部諸君が、いま申し上げたようなあらゆる行動を平然として行なってはばからないということ、ここに問題があるのであります。
郵政大臣の明確な所信と今後に対する態度を、この
委員会においてはっきりと言っていたただきたいと思うのであります。簡単でよろしいです。