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1970-03-26 第63回国会 衆議院 逓信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月二十六日(木曜日)    午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 内海 英男君 理事 加藤常太郎君    理事 古川 丈吉君 理事 本名  武君    理事 水野  清君 理事 古川 喜一君    理事 中野  明君       加藤 六月君    上林山榮吉君       佐藤 守良君    園田  直君       羽田  孜君    浜田 幸一君       林  義郎君    三池  信君       森  喜朗君    森山 欽司君       武部  文君    池田 禎治君       土橋 一吉君    中村 拓道君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 井出一太郎君  出席政府委員         郵政政務次官  小渕 恵三君         郵政大臣官房長 野田誠二郎君         郵政省郵務局長 竹下 一記君         郵政省貯金局長 山本  博君         郵政省簡易保険         局長      上原 一郎君         郵政省人事局長 中田 正一君         郵政省経理局長 溝呂木 繁君  委員外出席者         郵政大臣官房首         席監察官    中根 敬一君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 三月二十五日  簡易郵便局法の一部改正に関する請願(早稻田  柳右エ門紹介)(第一七四二号)  同(澁谷直藏紹介)(第一七四三号)  同外一件(田村元紹介)(第一七四四号)  同(中島茂喜紹介)(第一七四五号)  同外六件(森山欽司紹介)(第一七四六号)  同外十件(渡辺美智雄紹介)(第一七四七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  簡易郵便局法の一部を改正する法律案内閣提  出第五六号)      ————◇—————
  2. 金子岩三

    金子委員長 これより会議を開きます。  簡易郵便局法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。中村拓道君。
  3. 中村拓道

    中村(拓)委員 ただいま議題になっておりますところの簡易郵便局法の一部を改正する法律案につきまして、前者の質問と重複しないようにつとめて質問いたしたいと思います。  この法案は、御承知のとおり第五十五国会、また第五十八国会、さらにはまた六十一回国会に提案されまして、微に入り細にわたって質疑応答がかわされ、しかも、六十一国会においては衆議院としての結論が出されているわけでございます。そういうことでございますので、若干重複する点があるかと思いますが、その点は御了承賜わりたいと思います。しかしながら、その後政府におきましても、郵政最高責任者である大臣もかわり、また政務次官もかわっており、さらにまた委員会におきましても、委員長はじめ委員方々も入れかわっておりまするので、新しい陣容のもとに慎重審議して私の責任を果たしたい、このように考える次第でございます。  質問する前に一言申し上げておきたいのですが、先ほども委員の方から、中村君は一体何党なんだ、こういうようなお話もあったわけでございます。そこで、委員方々質問される場合は、私は何党を代表して質問いたします、こういうふうに申されまして、昨日も自民党代表、あるいはまた社会党代表、あるいはまた民社党代表、本日はまた公明党、共産党と、いろいろ代表されて質問されるわけでございまするが、遺憾ながら私は無所属を代表して、こういうことばを言えないのでございます。といいますると、無所属は現在三名ございまするが、まだ無所属クラブも結成しておりませんので、まず無所属を代表してということばを言わないで、無所属議員として質問いたしたい、こういうふうに考える次第でございます。  しかし、私は前に地方議会に席を持ったことがあるわけでございます。そのときには、自由民主党に所属しておりましていろいろやったわけでございます。あるいはまた地方の小さい市でございましたが、市長の立場にもありまして、保守系無所属、こういうふうな立場でやってきたわけでございまして、今回質問するにいたしましても、保守系無所属立場に立って質問いたしたい、このように考える次第でございますれば、これまた御了承を賜わりたい、このように考えます。  そこで、質問の第一点でございまするが、御承知のとおり日本郵便制度が創設されたのは、明治四年だと記憶しておるのでございます。当時の前島密先生がいろいろ先進諸国の、特にイギリス方面郵政事業をよく調査して、これを模範として日本郵便制度を創設したと聞いておるのでございます。特に先進国におきましては、いまの請負制度あるいは個人委託というような点につきましても相当進んでいるやに聞いておるのでございます。  そこで、今回この法案を提出するにあたって、欧米諸国先進地のいろいろな制度を勘案したものであるかどうか、あるいはまた独自の構想に基づいてこれを提案なさったものであるかどうか、その点をまず承りたいと思います。
  4. 竹下一記

    竹下政府委員 日本独自のものではございません。ヨーロッパアメリカ等小局制度を十分勘案いたしまして簡易郵便局制度を編み出したわけでございます。日本小局は、郵便だけでなくて貯金とか保険とか、こういう仕事もやっておりますので、必ずしも諸外国小局と正確な比較ができませんけれども共通点も相当ございますので、外国の例を参考にいたしました。外国におきましては、請負制的な小局運営を非常に大幅に採用いたしております。
  5. 中村拓道

    中村(拓)委員 欧米各国のこういう制度を勘案なさった、こういうことでございまするが、小規模の窓口のこのような制度実態がどのようになっているか、もし御視察なんかなさっておられるのであったら、その辺をも承りたいのでございます。
  6. 竹下一記

    竹下政府委員 小局でございますから、ヨーロッパ等の国々におきましても事務量はきわめて少ない。したがいまして、そこの局長さんは郵便仕事をやると同時に、もう一つ何らかの職業を持って、兼業という形で行なっていることが多いのでございます。そういうこともございまして、身分公務員という形をとらないで、民間人という形において仕事に従事する。ただし、仕事そのもの公務でございますから、公務を執行するにつきましては公務員扱いを受ける、こういうことになっております。  それから報酬ですけれども、通例、取り扱い事務量に応じた請負料あるいは手数料、こういうものでもって報酬を受けておる、こういうのが実態でございます。
  7. 中村拓道

    中村(拓)委員 大体先進地の模様もわかったような気がするわけでございます。  それでは次に、この法案難産難産を重ねたといいますか、いままでなかなか日の目を見ないで来たわけでございます。しかるに、政府におきましてはどうしてもこれをやりたい、そしてへんぴな土地地域住民の福利を増進したい、こういう熱意のほどはよくわかるわけでございます。  そこで、この公共性、それからまた独立採算制をたてまえとする企業性、これをどのようにして調和していくか、そのかね合いをどのように持っていくか、この基本的な考えを承りたい、こう考えます。
  8. 竹下一記

    竹下政府委員 郵政事業はきわめて公共性の高い事業でございまして、国民に極力サービスを広くあまねく提供するということが課せられた使命であると思います。事業公共性ということはそういうことだと思います。ところが、片や独立採算制のもとに仕事運営をやるべしと、こういうたてまえになっておりますので、経済性の追求ということもまた私どもに課せられた使命でございまして、その二つをどういうところで調和をしていくかということがむずかしい点でございますが、へんぴなところに窓口設置するにつきましては、この二つ使命といいますか、そういうものの調和を求める求め方といたしましては、いなかのことでございますから、採算という点につきましてはこれはどだい問題にならない。これはやはりどうしても赤字経営にならざるを得ないわけでございます。  したがいまして、その赤字をいかにして少なくするかということ、そういう形において公共性を求めていくということになるわけでございまして、簡易郵便局設置しようとすること、また簡易郵便局個人委託という姿において実施してまいろうということは、いま申し上げました公共性経済性との調和点を求める上に最も有効適切なる施策ではなかろうか、かように存ずる次第でございます。
  9. 中村拓道

    中村(拓)委員 昭和四十五年度簡易郵便局手数料予算額は十二億五千百二十二万四千円、こうなっているわけでございまするが、この新年度予算一体何局置局する考えでいるか、それを承りたいのでございます。
  10. 竹下一記

    竹下政府委員 ただいまおっしゃいました十二億何がしという数字は、現在ありますところの三千二百局の簡易局運営費と、四十五年度において新たに設置を予定しております簡易局三百局分の手数料でございます。
  11. 中村拓道

    中村(拓)委員 前年度におきましても相当予算を取ったわけでございまするが、この予算が全部消化されたかどうか。未消化であったならば、今後それに対してどういうような措置を講ずるか、それを承りたいのでございます。
  12. 竹下一記

    竹下政府委員 昭和四十四年度におきましては、予算上三百局の設置を予定したのですが、今日まで八十一局の設置にとどまっております。前年度におきましては、同様に三百局を予定したのですが、百五十五局の設置でございまして、いずれも予算消化いたしておりません。  これは物件費でございますので、未消化の分は予算が残ったということでございますけれども、これは予算年度の整理をつけます関係上、物件費でございますから、そのほかの物件費と総合的に年度末において調整し帳じりを合わせてある、したがってその分は残ってない、こういうことでございます。
  13. 中村拓道

    中村(拓)委員 御承知のように昭和二十四年ですか、審議会から答申が出た場合に、個人委託をしないというように承っておったわけですが、今回これを個人委託にするというようになったいきさつ等についてお答え願いたいと思います。
  14. 竹下一記

    竹下政府委員 戦後、昭和二十四年にこの簡易局法ができたわけですが、そのときは個人委託はやらないということを当時の郵政大臣がおっしゃったわけでございます。  そのことはどういうことかと申し上げますと、小局運営につきましては個人委託方法考えられなくはない、そういう方法もある、あるけれども今回はそれをやらない。と申しますことは、この個人委託という制度は、昔やりました特定局請負制に逆戻りするのではなかろうかという懸念が一部にございましたし、戦前の特定局におきましては、全部ではございません、ごく一部でありましたけれども、この請負制にまつわる弊害みたいなものも事実あったわけで、戦争直後のことでもありまして、そういうことは当時話題になっておった。大臣といたしましては、そういう論点を避けたいという気持ちがあったようでございます。  もう一つは、郵便局がない町村が全国にまだ相当数ございましたので、目下のところ、さしむきのところはこの未設置町村郵便局設置することが急務である、そのためには市町村等委託をさせる方法で足りるではなかろうかという配慮があったように聞いております。ところが、二十年たちました今日、いまや郵便局において請負制ということは考えれませんし、いまに至りましてはこの個人委託ということもきわめて合理的な、かつ、経済的な適切な方法でありますので、このたび個人委託という制度を開こうという、こういうことにいたしたわけでございます。
  15. 中村拓道

    中村(拓)委員 個人方々受託希望者が二人以上あったというような場合、これをどのようにして採用するか、何かそこに基準等があるものでしょうかどうか、承りたいと思います。
  16. 竹下一記

    竹下政府委員 二人以上ございました場合には、やはりその方々の持っておられる諸条件、社会的な信用でございますとか、事務能力あるいは経済的な能力等々、幾つかの点について両者を比較いたしましてすぐれた方になっていただく、こういうことでございます。  ところが、甲乙つけがたいという場合がこれはあろうかと思うのでございまして、このことは、現在の特定局長の選考のときにもやはりこういう同様の問題にぶつかるわけでございます。そういうむずかしい問題の解決策といたしましては、妙薬は実はございません。あくまでもその人たちの地元民に対する信用の度合いであるとか、先ほど申しましたような学識、学歴であるとか、過去の経歴であるとか、いろいろなことを総合的にやはりきめこまかく比較検討いたしまして、いずれかに軍配を上げるということしか手がなかろうかと思います。
  17. 中村拓道

    中村(拓)委員 その場合、受託希望者を公募してやるのかどうか、あるいはまた申し出、やりたいからというのでやるのか、どういうふうな方法でやるものでしょうか。
  18. 竹下一記

    竹下政府委員 それは、現在特定郵便局設置あるいは特定郵便局長の任用につきましては、やはりお申し出を待って取りかかっておることから考えまして、簡易郵便局の場合におきましても、やはり希望のお申し出があって私ども作業を開始する、こういう段取りになろうかと思います。
  19. 中村拓道

    中村(拓)委員 法第五条によりますと、委託契約期間が三年ときめられておるわけでございますが、この三年というのは、どういうような考えでやったか、お答え願いたいと思います。
  20. 竹下一記

    竹下政府委員 特別の理由はないのでありまして、おおよその目見当で三年ということになっておるようであります。一年であるとか二年でありますと、契約更改等に事務的にも手間がかかりますし、五年などにいたしますると、やはりその地方地況変化でありまするとか、受託者人的構成が変わってくるとか、いろいろ変化が出てまいりまして、五年にすればちょっと長過ぎるような感じもする。さすれば、三年くらいがちょうどよかろうというようなあんばいできめられたように思っております。
  21. 中村拓道

    中村(拓)委員 法第十三条によりますと、受託者は必要な施設を設備したり、あるいはいろいろな経費がかかる、これを支弁しなければならない、こういうふうになっておりまするが、この費用は一体どの程度かかるものでしょうか。
  22. 竹下一記

    竹下政府委員 これは簡易郵便局の個々の事情によりましてさまざまであろうと思いますが、平均して申し上げますと、四十五年度予算で予定しております手数料の中の基本額相当部分だと思うのでございまして、月額といたしまして一万四千九百七十円というものを一局平均として私どもは予定しております。
  23. 中村拓道

    中村(拓)委員 希望者を選考する場合、この法律によりますと、きのうもお話があったのですが、「十分な社会的信用を有し、かつ、郵政窓口事務を適正に行なうために必要な能力を有する個人」と、こういうふうに新たに加えられておりまするが、きのうの御答弁にもありましたが、公務員だとかあるいは民生委員だとか、いろいろな適格者をあげられたようでございまするが、窓口事務にそれほどなれたような方々がない場合、これは相当教育とかあるいは講習なんかしなければならぬのじゃないか。このように考えるわけですが、そのような教育あるいは講習訓練といいますか、こういうのはどういうふうに考えておられますか。
  24. 竹下一記

    竹下政府委員 簡易郵便局事務委託者に指名されます方は、簡易郵便局が開局して仕事を開始します前、相当期間もよりの受け持ちの集配局へ行きまして、そこでいわば見習いをするということをやっております。それから研修所へ行きまして訓練を受ける、そういうこともございます。  予算といたしましては、年間五百人ばかりの人を予定して、研修所訓練をやることにいたしております。それから、体系的な訓練でございませんけれども、日常の仕事運営につきましてわかりません点は、これはもより集配局長に電話をするとか来てもらうとか、非常に密接なる関係を持続するようにいたしておりまして、そこでいろいろな指導を受ける、こういうことにいたしております。
  25. 中村拓道

    中村(拓)委員 受託者身分のことについてお伺いしたいと思いますが、いろいろ質問を聞きあるいは答弁を聞いておりますると、何かまだ不安定なような感じが持たれるわけでございます。  そこで、法第十一条には、「委託事務に従事するものは、法令により公務に従事する者とみなす。」と、また、「前項の者には、国家公務員法の規定は、適用されない。」こういうふうになっておりまして、きのうもこれが論議されたわけでございまするが、実際、たとえば一昨年青森地方に大きな地震があり、また津波等が発生したのでございまするが、ああいうへんぴな土地であれば、そのような地震あるいは山津波等のような災害があり、殉職に値するようないろいろな場面があるのではないか、このように考えまするが、そのような場合の補償といいますか、それに対する身分といいますか、その辺はどういうふうに考えておられるものですか。
  26. 竹下一記

    竹下政府委員 この簡易郵便局地方公共団体あるいは組合、今度はまあ個人委託ということになりますが、こういう方々委託契約という形でやってまいります以上、この方々公務員と同様な扱いということにはどうしても理論上まいらないわけでございますし、また、簡易郵便局実態を見ましても、事務量がきわめて少ないし、兼業することも可能でございますし、そういう簡易郵便局実態をながめてみますると、これを公務員もしくは公務員に準じた身分保障をするということについては、理論的にもまた実際的にも問題があろうかと存じます。  ただ、公務を執行するに際しまして非常異変的なことによりまして生命に障害を受けるとか、そういった突発的なことにつきましては、今度個人委託という制度を開きました今日におきまして、従来とだいぶ様子が変わってきております。従来は市町村役場あるいは組合職員ということでございまして、その方々地方公務員災害補償法の適用を受けるという道もあったわけでございますが、個人になりました場合にはそういう保護といったものもございませんで、これは新しい問題として何らかの補償方法考えなければいけないなというふうに目下考えまして、検討を進めております。
  27. 中村拓道

    中村(拓)委員 そういたしますと、公務災害補償についても検討中だ、こういうことでございますか。
  28. 竹下一記

    竹下政府委員 そのとおりでございます。
  29. 中村拓道

    中村(拓)委員 そういたしますと、この法律によりますと、公布の日から三十日で施行する、こうなっておりますが、その施行までにそういうことが具体化されてくるものでしょうかどうか。
  30. 竹下一記

    竹下政府委員 その取りきめは法律事項でございませんということと、ほかにも類似の例が実はあります。たとえば集配請負人でありますとか、運送請負人でありますとか、こういった人たちにつきましては、公務災害の場合の補償の道が現在あるわけでございます。そういう先例を参照いたしまして作業を進めますから、そう時間はかからないで結論が出るものと考えております。
  31. 中村拓道

    中村(拓)委員 それから、受託者に対して、一般郵政省職員のように医療機関あるいは保養機関等利用といいますか、そういう恩典がなされるかどうか。
  32. 竹下一記

    竹下政府委員 これは郵政職員ではございませんので、したがいまして、共済組合組合員でもございませんので、共済組合の基金でもって運営される病院でありますとか診療所、あるいは保養所等利用はできないわけでございます。
  33. 中村拓道

    中村(拓)委員 できるようにする方法はないものでしょうか。
  34. 竹下一記

    竹下政府委員 たいへんむずかしいと思います。できないと思います。
  35. 中村拓道

    中村(拓)委員 契約解除のことについてお伺いいたしたいと思いますが、十九条では解除の条項がうたわれているわけでございまするが、この場合に、受託者のほうから解除したいという場合は、九十日間以前に余裕をもって申し出なければならない、こうありますが、郵政省のほうからやる場合、何か期間があるものでございましょうか。
  36. 竹下一記

    竹下政府委員 そういう期間を設けてございませんので、郵政側からは即刻やめるという通告もできるわけでございます。
  37. 中村拓道

    中村(拓)委員 即刻やめる、これは何か事故があったときでございましょうが、そういう郵政省側のほうから解除するという場合は、具体的にはどういうような場合が含まれるわけでございましょうか。
  38. 竹下一記

    竹下政府委員 簡易郵便局がございましたところに新しく特定郵便局設置されるということになりますと、窓口は二重になります。これは、したがいまして簡易局のほうを閉鎖するということになります。それから、これはあまり例はないのでありますけれども、重大なる事故犯罪が起きた場合、遺憾ながらこれはしばらく閉鎖をして様子を見るということもあろうかと思いますが、あまりそう御心配になるようなひんぱんなことにはならないと思います。  また、運用につきましては、寝耳に水といったようなことには相ならぬように、十分気をつけてまいるつもりでございます。
  39. 中村拓道

    中村(拓)委員 今度の法律によりますと、福祉年金等も取り扱わせる、こういうことでございまするが、これはどれくらいの件数になるものでございましょうか。
  40. 山本博

    山本(博)政府委員 四十五年度におきます福祉年金の総支払い件数は約一千万件でございます。簡易局取り扱いというのは、大体このうちの約二%になります。したがいまして、各簡易郵便局に割り振りますと、大体一局六十件ということになろうかと思います。
  41. 中村拓道

    中村(拓)委員 昨日も質問が出されたと思うのですが、この業務で一番心配されるのは、信書秘密の保持と犯罪の防止、この二つだろうと思いまするが、信書秘密が侵されるというような場合、どういうような手落ち——といえばなんですが、どういうことで侵されるのでございましょうか。
  42. 竹下一記

    竹下政府委員 私も実はあまり見当がつかないのでございまして、簡易郵便局は今日までざっと二十年やってまいりましたが、信書秘密の問題でトラブルが起きたことはほとんどございません。記憶がありません。  考えられますことは、引き受けました郵便をひそかに配付しますとか、通信文を読むとかなんだとか、そういったことだと思います。また、到着した郵便物を一時預かることがございますが、預かった郵便物通信文を見たり中身を見たりするようなことは想像されますけれども、そういう問題で具体的にトラブルが起きたということを聞いておりません。
  43. 中村拓道

    中村(拓)委員 金銭上の問題につきましては、よく新聞やニュース等で報道されるわけでございます。青森県のどこどこの郵便局でどういうようなことがあった、こういうことで金銭上のことはよく報道されますが、信書の問題については、事実があってもあるいは報道されていないのではないか、こういうような気がするわけでございます。実は私も、終戦後でしたが、進駐軍の関係をしたことがございまするが、よく信書秘密が侵されたような事実があるわけでございます。現在はそのようなことはないかもしれませんけれども、そのようなことが一般方々はあるのではないかというような心配を私は持っていると思うのですが、その点についてもう一度……。
  44. 竹下一記

    竹下政府委員 御懸念のようなことがあっては絶対にいけないと思いますので、仕事をなさる方々によく趣旨を徹底させるとか、あるいは訓練のときによくそのことを繰り返し強調してやるとか、そういう手段を講じて、そういう事例がないようにしたいと思います。
  45. 中村拓道

    中村(拓)委員 これはささいなことでございまするが、現金を郵送する——いまはいろいろな制度がありまするが、われわれが学校に行ったり何かした時分に、二千円であれ三千円であれよく手紙の中にそのまま、なまのまま入れてやった経験があるわけであります。その時分郵便局では、封筒の目方を見て、これはくさいぞということでそれが破られたというようなこともあったわけです。現在はそういうことはないでしょうけれども、そういうような点についても十分注意してやってもらいたい、このように考えるわけですが、その点ちょっとお伺いしたい。
  46. 竹下一記

    竹下政府委員 現金を郵便に入れて出すことは郵便法で禁じられております。しかし、中にはやる人もおるようでございますが、件数は非常に少なくなっておるようでございます。また、現金を送る場合には、現金書留という便利な制度もございますから、そういうこともあって、そういう事例は少なくなってきていると思うのでございますが、御指摘の点については十分注意をいたします。
  47. 中村拓道

    中村(拓)委員 持ち時間もなくなりましたが、この場合、委員長一つ提言いたしたいと思います。  といいますのは、冒頭申し上げましたとおり、この郵政事業につきましては先進地をよく視察し、また勘案した、こういうことでございます。先般の委員会でテレビの問題、NHKの問題でも、相当国際的な問題があるわけでございます。どうか委員会におきましては、委員長はじめ理事方々でもひとつ先進地を御視察なさって、そしてこの郵政事業をりっぱにやっていただきたいということを特にお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  48. 金子岩三

    金子委員長 中野明君。
  49. 中野明

    ○中野(明)委員 私も、極力重複を避けて二、三お尋ねしたいのです。  大臣の提案理由の説明の中で、簡易郵便局設置を必要とする地区が全国で約二千カ所ある、このようになっております。おそらく大多数は地方の僻地であろうかと思いますが、都会地においても必要なところがあるんじゃないだろうか、このように考えられます。この二千カ所の比率——私の質問の意味がとりにくいかもしれませんが、東京とか大阪とかそういう大都会の範囲の中で、どの程度必要個所が出ておりますでしょうか。
  50. 竹下一記

    竹下政府委員 おっしゃいますように、東京、大阪の都会地でなくして、田園性の強い地方のほうに要設置の個所が多いわけでございます。県別の数字を持っておりますけれども、こまかくなりますので省略いたします。
  51. 中野明

    ○中野(明)委員 東京とか大阪とか六大都市ですか、そういうふうな行政区域の範囲の中でも、やはり設置しなければならないという個所はあるのですか、どうですか。
  52. 竹下一記

    竹下政府委員 東京都の中に五カ所ばかりあるようです。これはもちろん都下の少し田園のほうだと思います。大阪府につきましては八カ所ばかりある、こういう数字が出ております。
  53. 中野明

    ○中野(明)委員 最近は大都会の範囲の中でも、団地なんかがどんどんできてきますので、そういう特定局までいかないそういう方面もやはり必要じゃないか、このように考えるものですからお尋ねしているのですが、その辺はどうでしょうか。
  54. 竹下一記

    竹下政府委員 都会あるいは近郊地の発展しておる地域に置くかというお尋ねかと思いますが、これは非常に発展がめざましいということであれば、早晩事務量もふえますし、無集配特定局を置くべき地域になるのでございますので、原則といたしましてはこれは無集配特定局を置く、こういう方向でまいりたいと思います。
  55. 中野明

    ○中野(明)委員 法律案の参考資料の中でございますが、現在設置されているのは三千二百九十三、新たに約二千二百カ所ほどですか、地方郵政局別に前回たしかお尋ねしたと思うのですが、これで見ますと、地域によってずいぶん格差があるように思うわけです。  一例をあげてみますと、熊本郵政局管内では現在の設置が圧倒的に多いです。今後設置しなければならぬという希望個所では、仙台とか名古屋、ここらは非常に多いように見受けられます。何か現在までに各郵政局管内におきましてのPRというのですか、設置の差が非常にあるように私、数字の上で見られるわけなんですが、何かこの点わけがあったのでしょうか、どうでしょうか。
  56. 竹下一記

    竹下政府委員 地方によりまして設置の数にアンバラがございますが、どういう理由でこういうふうになってきたかにつきましては、詳細なる事情がわからないわけでございます。PRをやはりやったか、やり方が足りなかったかというようなところ、それからまた地元の地方公共団体等で、これはひとつやってやろうというようなことで非常に意欲的にかまえられたか、そうでなかったか、これはまた郵政局側のPRの程度にもよったかもしれませんが、そういったような事情がこれに反映しているのではなかろうかと思います。
  57. 中野明

    ○中野(明)委員 新しく今度設置しなければならぬところと、現在設置されているところを両方見てみますと、たとえば私、四国なんですが、松山郵政局と広島郵政局を比べてみまして、いままであらゆるものを統計的に見てみましても、中国と四国というのは大体五対三、これがほとんど統計的に見た常識の線になっております。ところが、簡易郵便局のあれで見ますと、新しく設置希望する個所というか、しなければならない個所と現在とを合計しますと、広島で約六百近く、松山関係で三百、約半分になっております。  こういう面から見ると、四国関係の松山郵政局管内で非常に徹底がおくれているのじゃないかという気も私するわけですが、局長のほうでこの設置を必要とする地区が二千カ所というのは、これはどこまでも郵政省のほうで考えられた地区なのか。そしてまた、個人受託にしようというこの法律案ですから、個人受託になった場合におそらく希望者がふえると私も見ているわけですが、そういうことを含んでこの二千カ所という数字になってきたのかどうか、そこのところはどうですか。
  58. 竹下一記

    竹下政府委員 これはあくまで郵政局が地図を案じまして、この辺に簡易局は置けるじゃないかということで集計いたした数字でございまして、希望者の意向などを取り入れておりません。
  59. 中野明

    ○中野(明)委員 そうすると、実情は少しこれより変わってくるのじゃないかと思われますが、いずれにしましても、本省のほうではやはり全国的な視野に立たれて数字をにらんでおられるわけですから、先ほど答弁がありましたように、ただどういう理由かよくわかりませんというようなことじゃなしに、数字の上で極端に徹底しているところとしていないところが分かれてきているわけですから、やはり実情をある程度調査するというのですか、検討を加えられて、郵政事業の性格からいきましても、あまねく全国の地域住民に利便を与える、そういう趣旨で進んでいっていただきたい、こう思うわけです。ただ数字だけ見て、報告を受けて、なぜこんなことになったんでしょうかというような消極的なあれじゃなしに、せっかく制度があるわけですから、どうしてこの地域はこんなにおくれているんだろうか、そこに何か障害になっていることがあるのじゃなかろうか、そのように積極的な考え方を持っていただきたい、私はこう思うわけです。そうでなければますます差が開いてくるし、それだけその地域の住民が不便をしているということにも通じると思います。そういう点を要望しておきたいと思うわけです。  それから次に、ただいま中村さんからも話が出ておりましたが、今回のこの措置で、新たに個人受託を追加するわけですが、「郵政窓口事務を適正に行なうために必要な能力を有する個人」このようになっております。きのう来、いまも中村さんがいろいろ議論なさっておられましたが、私もこの点について非常に気にかかることがたくさんあります。それで、個人ということになってまいりますと、当然競願者も出てくると思います。この選考をされるにあたりまして、いまここに書いてあるようなばく然としたことじゃなしに、こまかい基準、内部で通達のような形をとられるのかどうか。それは、私は専門でありませんのでよくわかりませんが、何か項目的に選考の基準というものを全国一律に通達をされるのかどうか。もしされるのでしたら、選考の基準になっている項目を発表していただければと思うのですが……。
  60. 竹下一記

    竹下政府委員 選考基準を、通達といったような形で地方へ流さなければいけないと考えまして、目下準備を進めておるわけでございますが、そこに盛られる項目の詳細につきましては、実はそこまで作業が進んでおりませんので、申し上げる材料がございません。
  61. 中野明

    ○中野(明)委員 私は、これは非常に大事なことでもあると思いますし、この点は現在もう、昨年も提案されたのですし、ことしもまた——昨年は諸般の事情でこの法案が廃案になったわけですけれども、だから、そういう点で煮詰められていないということは、私どもどうも納得できないわけです。おそらくもうかなりの線が、原案が出ているのではないか。  なぜ私がこういうことを聞くかと申しますと、そういうもののはっきりした基準がないと、必ず全国で格差が出てきて、そしてそこにいろいろと問題が起こってくるのではないかと心配をするからです。もし項目をいま考えておられるのでしたら、われわれもまたその項目を検討することもできるわけです。もっともっと、こういうことも考慮に入れたらいいんじゃないかというふうに議論ができるわけですけれども、いまのお話のように、まだ考えておりませんというのですが、気持ち的には考えているけれども作業は進んでおらないと言われるのでしたら、これはちょっと困るのです。結論的なことじゃなくしてでも、局長として、これこれこの程度のことは全国的な基準としてやはり流さなければならぬのじゃないかというふうに構想はあると思うのですが、それはどうでしょうか。
  62. 竹下一記

    竹下政府委員 全国共通した一つの基準というものは、やはり必要かと思います。この点につきましてはもう問題はございません。  あと、どういう基準を具体的に立てていくかということにつきましては、あれやこれやいろいろなことを考えておりますけれども、まだそれを整理していないという段階でございまして、御披露がまだできないわけでございます。
  63. 中野明

    ○中野(明)委員 せっかく私ども法律案を審議するわけですから、そういう点についてある程度心配のない、これならば公平な、妥当な人が選ばれるなというふうな基準というものをわれわれとしても知りたいわけなんです。それでお尋ねしているわけです。  いま局長考えておられる条件の中で立地条件ですね。同じ地域の中でも、人物が適当であっても、その場所があまりにも端のほうに片寄っておれば、これはまた地域の人たちは非常に不便です。そういう立地条件、あるいは、家は何ぼりっぱで大きくても山の上だとか、それじゃ困ります。やはり交通の便利、一般利用者が便利であるという立地条件、これなんかを選考の基準の中に入れようと考えておられるかどうか。
  64. 竹下一記

    竹下政府委員 そういうことも選考の基準の一つとして入ってくるかと思います。
  65. 中野明

    ○中野(明)委員 早急にこれは作業を進めていただいて、そして、あとで解釈に困るような基準を出されないように強く要望しておきます。  次に参りたいと思いますが、これも同じく大事な問題でありますので、重複するようですが尋ねておきたいと思います。十九条の契約解除条件です。現在まで委託契約をしておりまして、郵政大臣のほうから解除したことがあるかどうかです。
  66. 竹下一記

    竹下政府委員 ございます。近所に特定郵便局設置されるということになりましたので、これは当然のことといたしまして、廃局をするという措置を講じましたものが二百十二局ございます。それから、取り扱い事務量がきわめて少なくなった、これは地況変化その他があったと思いますが、仕事の量が激減したということのために、郵政局から働きかけをいたしまして廃局いたしましたものが百二十五局ございます。それから、これは申すまでもないことでございますが、犯罪を犯しましたので廃局いたしましたものが十一局ございます。
  67. 中野明

    ○中野(明)委員 そのほかの理由はありませんか。いまあげられた以外の理由で廃局になったというものは……。
  68. 竹下一記

    竹下政府委員 今日まで五百局を廃止いたしておりますが、その中の最大のものは、先ほど申し上げました、近所に無集配特定局ができるということで廃止いたしました局が、大体四割見当でございます。  そのほか大きい理由といたしまして、先ほど申しました事務量が少なくなったということのほかに、町村が合併をいたしまして、その結果役場がなくなる、あるいは支所がなくなるというようなことのために、施設がございませんのでやむなく廃止したというのが一割二分ばかりの件数にのぼっております。  それから、炭鉱やダム建設をやっておりましたところに設置いたしておったのが、炭鉱が閉山になるとかダム建設が終わるとか、そういった事情のために廃止するとか、あるいはまた受託者のほうで、そちらさんの事情がありまして、解約をしたいというお申し出があってそれを受けたのが八・八%という数字があがっておりますが、そういうケースがございます。
  69. 中野明

    ○中野(明)委員 先ほど、犯罪があったためにやめさせたのが十一局と言われましたが、これは犯罪があれば全部やめさせているのか、それともある特殊のケースだけやめさせたのか、そこの区別はわかりませんか。
  70. 中根敬一

    ○中根説明員 全部ではございません。罪状が個別的に事情が千差万別なものでございますから、状況に応じまして受託者のほうで判断いたしまして措置しておる模様でございます。具体的に結果の数字を申し上げますと、過去五年の状況におきましては六四%が解免されております。
  71. 中野明

    ○中野(明)委員 いままではおそらく市町村あるいは組合ですから、それで犯罪を犯したというのは、その責任者ではなくして事務担当者が犯罪を犯したのではないかと思われますが、それでもやはりその市町村にこちらのほうから一方的に解約を通達したのか、それとも向こうのほうから、こんな事故が起こったからやめると言ったのか、そこはどうなんでしょうか。いま十一件と言われましたが、犯罪の内容がわかりましたら、一件でも実例を話してもらって……。
  72. 中根敬一

    ○中根説明員 解約の措置につきましては、罪状によりまして受託者みずからが自主的に解免の措置をとるという形になっておりますが、具体的には、いろいろこちらの状況等も話をいたしますものですから、その点は十分に受託者といたしましても、当方の事情を聞いた上で措置しておるという状況でございます。  実例といたしましては、十一件はいままでの件数でございますが、具体的に局名で申し上げる必要がございましょうか。
  73. 中野明

    ○中野(明)委員 いや、そうではなしに、私の聞きたいのは、こういう内容の事件でこの程度ならば解約しなくてもよろしいとか、この程度なら解約しなければならぬという、その判断はだれがなさるのかということなんです。
  74. 中根敬一

    ○中根説明員 判断は受託者がやっております。具体的には、金額で、実損で二百十万程度のものが最高でありますし、最低では実損ゼロのものまで、いろいろなケースがありますので、犯罪金額の多いもの、罪状の重いもの等につきましては、これはすみやかに解免の措置がとられておる、こういう実況でございます。
  75. 中野明

    ○中野(明)委員 私が最初からずっと尋ねていっているのは、郵政大臣のほうからというか、郵政省のほうから解除したことについていま話を進めておるわけです。だから、向こうのほうからやめさせてくれと言った分は、いまの私の質問の主題ではないわけですが、そこを少し混線しているような気がするのです。結局、郵政省で判断をして、犯罪なんかで解約させた、郵政省のほうからやめさせたところは何件あるか、こういうことなんです。
  76. 中根敬一

    ○中根説明員 ちょっと誤解をいたしまして失礼いたしました。その実情は、ちょっと手元に詳細資料ございませんので、明確なことは申し上げかねます。また後刻調査いたしまして、先生のところまで御報告いたしたいと思います。
  77. 中野明

    ○中野(明)委員 それでけっこうですけれども、やはりこちらから解約をしたのは実例としてあったのですか、全然なかったのですか、あなたの記憶では。たとえば、犯罪が起こった、事故が起こったためにこれはだめだ、そういうところではもう簡易郵便局設置してくれちゃ困るというふうに、郵政省のほうから解約をしたというのはは……。
  78. 中根敬一

    ○中根説明員 その実例はあったと思います。
  79. 中野明

    ○中野(明)委員 それでは、後ほどこれは資料でお願いしたいと思います。  それで次に、解約の件に関連してもう一点。先ほど局長答弁では、簡易郵便局のある地域に特定郵便局設置されたために、当該簡易郵便局を存置する必要がない、このときは当然廃止になる、こういうことでございます。そこで私、一点お尋ねしたいのですが、いままで簡易郵便局で一生懸命窓口サービスをしていた、その地域の状況が変わってきた、これは本人の責任というよりも環境の変化ですが、そこへ特定郵便局設置される、こういう事態は過去もあったと思うのです。いままで受託者地方公共団体あるいは組合だったから問題がなかったと私は思いますが、今回から個人が入ってまいります。そうすると、個人責任において誠心誠意何年か窓口サービスを住民のためにがんばっていた、そこが、地域の状況が変化してそこへ特定郵便局ができる、こうなった場合、この現在そこで簡易郵便局を受託してやっておった個人、その人がそのままと言えばことばはどうかと思いますが、この人が特定郵便局長になれるのかなれないのかということなんですが、質問の意味はわかるでしょうか。そこら辺どうでしょう。
  80. 竹下一記

    竹下政府委員 特定郵便局が近所にできました場合には、局長を任用しなければいけませんが、これは御承知のように、特定郵便局長任用規程というのがございまして、たとえば年齢制限、それから学歴、さらに地元の信用だとかいろいろ掲げられておりますが、その基準によりまして局長を選考するということでございまして、従来の簡易郵便局取り扱い者が、そのまま特定局長のほうに切りかえられていくということには相ならないと思います。  ただ、そういう特定郵便局長を任用するにつきましては別個のそういう選考がございますので、その選考の対象には、もとより当然のこととして対象になるというわけでございます。
  81. 中野明

    ○中野(明)委員 対象になるし、同時にこれは一つの、どう言ったらよろしいか、選考に対しての有利な条件になると考えていいか悪いかです。いままでそこで一生懸命苦労をしてやってきたわけですから、もう同じ条件ならば当然この人にやらしてあげるべきじゃないか、私どもはそういうふうに考えるわけです。もちろん、いま局長が言われたように選考の基準があるのはわかります。けれども、その選考するにあたりまして、そういういままでの功績というのですか、努力というのですか、その簡易郵便局を受託しておった個人の人ですね、その人の選考するにあたりましてのプラス、非常に優先的な条件に考えておられるかどうかです。いままでなかったことですから、これから個人が受託するということになると、必ずこういう問題も出てくると思います。特定局の昇格というか、簡易局を廃止して特定局がどんどんできていくわけですから、そういうところも出てくるので、その場合のことをお尋ねしておるわけです。
  82. 竹下一記

    竹下政府委員 簡易局の事務をやっておったということは、特定郵便局長任用についてのいろいろな条件がございますが、その中でたいへん有利な条件の一つになろう——全部じゃございませんけれども、いろいろな条件がございますので、そういうものを総合的に見なければいけませんが、たいへん有利な材料の一つになるだろうと、かように思います。
  83. 中野明

    ○中野(明)委員 そのときに、幸か不幸か個人受託をしておった方が特定郵便局長希望をして、しかもその選考に漏れた、こういう場合もあると思います。そのときは、何か補償的なものを考えておられるのかどうか。結局、本人の都合でやめるんじゃなくて、事故でやめるんでもない、地域の状況が変化してきて、そこへ特定郵便局ができたから、やむなく簡易局を廃止するのでしょう。そういう場合に、何か補償的なものを考えておられるのかどうかです。
  84. 竹下一記

    竹下政府委員 突然のお尋ねでございますので、このことにつきましては十分検討いたしておりませんが、目下のところ、そういうことは考えておりません。
  85. 中野明

    ○中野(明)委員 何か突然だとおっしゃっていますが、だれでもちょっと考えれば想像ができることで、大体私もあんまり頭のいいほうじゃないですけれども、その程度までは想像できます。そのときに、いままで長いこと苦労をして一生懸命に窓口サービスをやってきて、それで特定局ができたから、おまえもうだめだ、それで何にも補償考えられないというのじゃ気の毒じゃないですかね。その辺は考えておりませんというような返事でしたけれども考えなければなりませんとか……。政務次官どうでしょうか、いま聞いておられたのですが、そこら辺は……。
  86. 小渕恵三

    ○小渕政府委員 法規的には、御承知のように、簡易局が廃止をされた段階で局長としての職務を解かれるわけだろうと思いますが、道義的といいますか、情的といいますか、そういう観点から考えますと、長い間その地域の中で局長として責任を果たしてきたことでもあり、また、仕事につきましても精通しておるという点もございますので、十二分に勘案していくという立場をとってまいるということであろうと思います。
  87. 中野明

    ○中野(明)委員 法的には、それはいろいろこれから検討の余地もありましょうし、また、それがもし必要であれば法的な措置も講じなければならぬでしょうけれども考え方の基本として、退職金というようなものも一般の会社ではありますし、そういう意味合いも含めて、もし地域の状況が変化しなければ、これは本人の責任ではないわけですから、環境が変わってきたためにその近くに特定郵便局をつくって、そのためにいままでやっていた人が、もうおまえはやめておけ、それで何もめんどうは見てやらぬのだ、これではあまりにも気の毒ではないか、そういうふうに思うわけです。ですから、もし法律的に無理ならば、そこを何とか考えて、制度をつくるなり、退職金という名目でなくてもよろしいでしょうが、いままでの労に報いて、長い間御苦労さんでした、このたび町のほうが発展してまいりましたので簡易郵便局は閉鎖いたしますと、こういうものがあってしかるべきではないか、こういうことを私、申し上げているわけです。だから、御検討をいただきたいと思います。  それからもう一点は、現在受託しております市町村及び組合ですが、この中で、昨日もちょっと話が出ておったよう思いますが、この法律ができ上がりますことによって解約を申し出て、そして個人受託に切りかわるというのですか、そういうこともあるかもしれないと私も想像するわけです。どの程度、当局のほうでは推定をしておられますか。
  88. 竹下一記

    竹下政府委員 これは全く推測でございますが、現在市町村あるいは協同組合等に委託をしてやっておりますけれども仕事運営ぶりをながめておりますと、非常に個人色の強いやり方でやっておるところがございます。事務取り扱い者はその役場あるいは組合職員ではございますけれども、嘱託といったような非常に軽い関係でやっておる、あるいは局舎はその人が提供しておるといったような、一口に申しましてたいへん個人色の強いケースにつきましては、今度個人委託の道が開かれますと、その中の相当のものが個人委託という姿に切りかえられてくるのではなかろうか。  それを最大限見ますと、全国の簡易局数三千二百の中の三割は下るまい。これは少し多く見過ぎたかもしれませんが、そういう個人色の強い実態の数を調べてみますと、大体それくらいございますので、そういうふうな荒っぽい推測をいたしております。
  89. 中野明

    ○中野(明)委員 その場合、向こうが解約を申し出てくれば、これは当然郵政省のほうとしてはお受けになるでしょうが、そのときに同時に個人の申請も出ると思いますが、その間、日にち的にブランクができるような心配はないでしょうか。解約とそれから個人の申請と同時に出てくるというのは、ちょっと私、この法律の精神からいっておかしいのではないかというような気もするのです。片方は解約を申し出たら九十日の余裕がありますから、その間に選考はできるのでしょうけれども……。  もう一点は、そのときに、現在事務取り扱いをしておる人を優先になさるかどうか。
  90. 竹下一記

    竹下政府委員 個人委託に切りかえます場合におきましても、これは従来受託をしておりました市町村役場あるいは組合、そういった方々の十分な了解がなければできないと思います。つまり個人とそういう方々との連絡が十分よく行なわれた、そういう姿において切りかえがなされていくわけでございまして、いまおっしゃいましたように、切りかえに伴ってブランクが生ずるということは一番いけないことでございまして、私どもは、仕事の取り運びにつきましては、そういうことがございませんように十分気をつけてまいりたいと思います。
  91. 中野明

    ○中野(明)委員 いま一点答弁がなかったのですが、現在事務を担当している人を優先的に受託者に選定される考えがあるかないか。現在、市町村で事務を担当しておる人がありますね。この人たちがもしも個人で受託をしたいというので申請してきた場合、どう考えておられるか。
  92. 竹下一記

    竹下政府委員 実際問題といたしましては、現在やっておられる取扱い者の方が個人受託の希望をなさるので、そういうケースは一般的だろうと思います。また、従来そういう仕事をやっておられたということは、この個人受託の契約の対象として、選定いたす場合のきわめて有利な条件の一つでもございますので、通例の場合には、その方が個人受託者ということに切りかえられていくことが、通例のケースになろうと思います。
  93. 中野明

    ○中野(明)委員 じゃもう一点。先ほどもお話が出ておりましたが、事故の件で私も気になりますから聞いておきますが、今回の改正で個人が入ってくると、いままでと考え方すべてが変わってこなければならないと思いますが、事故と申しましても二通りあろうかと思います。不可抗力による事故と、それから本人の故意によるところの犯罪事故、このように分けられますが、不可抗力による事故、これなんかで、いま局長お話しになっててましたように、軽い嘱託というような身分でわが家を提供しながらやっておったような人たち、そういう人たちに、いままでそういう不可抗力による事故があったと思うのです。  たとえば、先ほどちょっと話が出てました火災とか交通事故あるいは盗難、こういうような場合、盗難は当然受託者責任をとるんでしょうけれども、ちょっとそれが、どっちかというと軽い身分で嘱託というような立場であった場合には、郵便省として何か考えておられたかどうか。そういう事故に対してどういう処置をしておられたのか。もうそれは知らぬのだ、適当にそっちのほうで済ましてくれというふうになさっておったのか、そこのところどうでしょう。
  94. 竹下一記

    竹下政府委員 嘱託ではございますけれども、やはりその地方公共団体あるいは組合職員には違いございません。したがいまして、そのほうで何らかの措置が講ぜられるものと私どもは理解いたしますので、従来、そういう場合におきましては、何らの措置も講じておりません。
  95. 中野明

    ○中野(明)委員 そういう特殊の例も全然なかったでしょうか。何か見舞い金か何かを、あまり気の毒だから上げたとか、そういう処置をとられたことはなかったでしょうか。
  96. 竹下一記

    竹下政府委員 なかったように聞いております。
  97. 中野明

    ○中野(明)委員 そうしますと、今度個人になってきた場合は、もう全然だれもめんどうを見てあげる人がないわけです。先ほど中村さんの質問にもお答えになっておられたようですが、当然公務員仕事をしながら、公務員としての疾病に対する補償も受けられない、現在のところではそのようになっておりますが、先ほどの答弁で私も一応了解はしておるんですけれども政務次官のほうで、やはり今後個人が加わってくるわけですから、そのときに不可抗力による、仕事中にけがをしたとか、あるいは事故を起こした、あるいはどろぼうに入られてけがをさせられた、火事にあった、そういうふうなもろもろの不可抗力による事故に対して、やはり何らかの形で補償をしてあげ  なければならぬ、これは当然だろうと思うのです。  この点について、前向きになって検討なさることをおっしゃってましたが、相当裏づけのある具体的なものを考えてあげていただかないと、ただそのときそのときの状況で、だれかの判断でつまみで、もうこれでよろしい、これでよろしいということじゃなしに、何か確固不動の裏づけのある恒久的なものを考えていただきたいと要望したいんですが……。
  98. 小渕恵三

    ○小渕政府委員 規則は規則だろうと思いますけれども、やはり郵政事業の一翼をになって努力をされる方々でありますので、法律が施行されまする段階までには、はっきりした考え方を確立をいたしまして、御趣旨に沿いたいと存じます。
  99. 中野明

    ○中野(明)委員 次に、昨日の答弁の中で、郵便貯金を扱ってない局があるということをおっしゃっておりましたが、全国で何カ所くらいあって、その扱わない理由ですね、どうして郵便貯金をそこの簡易局は扱わないのか、その理由を説明してもらいたい。
  100. 竹下一記

    竹下政府委員 簡易郵便局総数三千二百九十三局の中で、郵便貯金の事務を扱わない局が六百三十五局ございます。  これは大部分、と申しますより、ほとんどは農協委託簡易局でございまして、農協におきましては、農協の仕事一つといたしまして預金事務をやることになっておりますので、その関係郵便貯金のほうは、われわれがやっていただきたいと申しましても、向こうのほうで受けてくださらないという事情がございまして、委託をしていないわけでございます。
  101. 中野明

    ○中野(明)委員 六百三十五局というのは、全部農協ですか。ほかにありませんか。例外は。
  102. 竹下一記

    竹下政府委員 全部農協であったと記憶しております。
  103. 中野明

    ○中野(明)委員 参考資料にいただいたのは一千五十七あるわけですが、そうすると、約五百ほどの農協では貯金もやっている、そういうことになるわけですね。それは農協の出先で、そこでは貯金を扱ってないという場所なんでしょうか。それとも農協で、自分のところでも貯金扱いながら簡易郵便局でも貯金を扱っている、両方の貯金を扱っているという農協がこの千五十七の中にあるのかどうか、それはおわかりでしょうか。
  104. 竹下一記

    竹下政府委員 農協委託の形でやっております場合にも、先ほど触れました農協の嘱託という形で、農協の施設から若干離れたところで局舎を提供して簡易局仕事をやっておる、いわゆる個人色の強い形の簡易局の場合には預金業務を扱っておる、こういうケースであろうと思います。
  105. 中野明

    ○中野(明)委員 それじゃ、同じ農協で両方扱っているところはないわけですね。窓口は違うけれども、片方では農協の貯金もやっておる、片方では簡易郵便局仕事は全部している、だから、農家としてはどっちか好きなほうへ預ければよろしい、こうなっているようなケースのところはないでしょうか。
  106. 竹下一記

    竹下政府委員 若干あるようでございますが、そのほうの郵便貯金のほうの額はたいへん少ないようでございます。
  107. 中野明

    ○中野(明)委員 これは向こうの都合で貯金を扱われないのですから、それはしようがないと思いますけれども、昨日ちょっと聞きおりまして疑問に思ったものですから……。  次は、もう一点基本的なことですが、この法の第十二条で、本人みずからというふうに出ております。この法解釈については前回もかなり議論になっておったと思うのですが、現在の郵政当局としては、本人みずから一週間で大体何時間ぐらい就業したら、本人みずからというふうになるものと解釈しておられるか、その解釈の基準を示してもらいたい。
  108. 竹下一記

    竹下政府委員 本人みずからという趣旨は、私どもといたしましては、委託を受けた人はみずからの責任においてやるというふうに理解しておりまして、直接自分自身が事務を取り扱うといったような厳格な意味には理解しておりません。自分の責任においてやる、こういう趣旨であると考えております。  したがいまして、実際問題といたしましては、通例の場合、やはり自分みずからやる人が多いと思いますけれども、病気をするとかあるいは何かのことで旅行に出かけるとか、こういった場合には、かわって事務を取り扱う人が出てくるわけでございます。そういう場合であっても、受託者がみずからの責任においてやるということには変わりないわけでございます。  御質問の趣旨は、一週三十時間は少なくとも局をあけておくようにという規則がございますが、みずからやる時間はどのくらいやってしかるべきかという御質問だと思うのですけれども、これはなかなか、いま申しましたような趣旨でございますので、一週のうちで何時間やればみずからやったことになるといったような話に、ちょっとならないじゃなかろうかと思います。しかし、通例としては、自分自身がみずから仕事を取り扱うということが多いと思います。
  109. 中野明

    ○中野(明)委員 きのう水野さんの質問のときに、第一順位、第二順位というような、何かそういう意味の答弁があったわけです。ですからあらかじめ——もちろん個人ですから、病気もあればいまおっしゃったように旅行もあります、いろいろ個人的な用事があることはわれわれも十分わかります。そのためにあらかじめ第一順位、第二順位ですか、かわるべき人、代理人を選定しておくというような答弁であったかに私、聞いたのです。  ただ、私が心配しますのは、地方でかなり信用があって、そうしてりっぱな人というのは、わりあい忙しいと思うのです。その人が、最初から自分はできないということを含んで簡易郵便局の許可をもらって、そうして、本来ならば郵政省でいうところの能力に合わない人を使用人として使って、そうして自分はしょっちゅう旅行したり、いいろ他の用事をしている、窓口はもっぱらその雇った人が窓口に立って仕事をしている、こういうふうなケースが出てきたときには、何か基準がなかったら困るんじゃないかしら、このように私、考えていま質問しているわけです。そういうことなんですが、それはどうでしょうか。  そういう場合に、いまの局長答弁では、三十時間局をあけておればいいんだ、どうもそこはなかなか判断しにくいということならば——こういうことはおそらくあり得ないと思いますけれども、最悪の場合を考えたら、安い給料で雇って、そうして自分の名前だけ出して人にやらしておいて、中間で利益だけもらう、こういうことになってくると、一つの弊害だろうというような気がします。私も三十時間局をあけておくことは承知しております。この三十時間局をあけておく中で、まずまず六割とか七割は本人が顔を出して仕事をしなければならぬのだという、まあそれはケース・バイ・ケースで、一週間旅行している人もおるでしょうしするから、年間を通算してでもけっこうですが、もっぱら本人が責任をもってこの仕事をしているんだという判断の基準になるものをやはりつくっておかないと、そういうことが出てきたときにどうも解釈があいまいになってくると思うのですが、そこはどうでしょうか。ぼくの言っていることは、少しひねくって考え過ぎかもしれないんですが、一応心配されることはこの際はっきりしておいたほうがいいんじゃないかと思って質問しているわけです。
  110. 竹下一記

    竹下政府委員 責任を持ってやっていただければ、必ずしも二六時中みずから仕事をなさらなくてもよかろうというふうに考えておりますけれども、いまお話がございましたように、まるっきり仕事を顧みないというような姿になりますことは、私どもは、いろいろな弊害も出てまいりますので避けたいと思います。  個人委託の選考基準をつくります場合には、私どもはそこまでは実はまだ詰めておりませんけれどもお話の御趣旨を十分考えまして、十分参考にさしていただきまして基準をつくりたいと思います。
  111. 中野明

    ○中野(明)委員 それは局長おっしゃるように、責任を持ってさえくれれば何をしてもいいんだとということではないことはわかります。けれども、一応そのお考えの中に、責任さえ持ってくれればということが強く出てきますと、本来ならばそういう能力がない人が窓口作業をしていて、これは事故も起こりやすいでしょうし、間違いも起こりやすい。そしてまた利用する人たちも、相当これは将来苦情が出てくるんじゃないかというようなことを私、心配するわけです。だから申し上げているわけですので、何もかたくそれで縛ってしまえという意味じゃなしに、そういうことも一応考えて選考して、本人が個人受託をする場合には十分その趣旨を言っておいていただかないと、いまの局長のように安易に、あなたはとにかく責任だけ持ってくれればいいんだ、あとはよろしゅう頼むという式でいきますと、実際仕事をしている人は、郵政省考えているようなそういう能力のある人じゃなしに、こんなことを申し上げては失礼ですけれども郵政省でいう資格のない人が実際に仕事をどんどんやり出して、大きな間違いを起こす、事故を起こす、住民に対して非常に反感を持たせる、文句も苦情もどんどん出てくる、こういうことになったのではしようがありませんので、局長答弁を聞きおって、少しその辺が、何か責任さえ持ってくれればそれでいいんだというニュアンスを非常に強く私、受けるものですから、それで申し上げているわけで、そういうことがなければけっこうなんです。ただ、よくそういうことはお互いのときでもありますね、責任さえ持ってくれればというので向こうにはねまかせてしまう。そういうケースになってくると、これはちょっとまずいんじゃないかと思いましたので聞いたわけです。  それからもう一点、昨年いろいろ私もお尋ねした中で、簡易郵便局手数料をいろいろ検討しなきゃならぬというふうな前向きの答弁が出ておりましたが、その後、昨年以後におきまして簡易郵便局手数料をどの程度改善されたのでしょうか、昨年来改善された点を説明してもらいたい。
  112. 竹下一記

    竹下政府委員 全体的な手数料の額を申しますと、これは予算額でございますけれども、四十五年度は十二億五千万円何がしを予定しておりまして、前年度よりも一億七千万円ばかりのものを上積みするということにいたしております。  中身につきましては、たとえば、貯金取り扱い費は一件当たり十九円でございましたものを二十一円にする。それから、郵便一件当たり十二円でありましたものを十三円にするということで、単価アップをやっております。それから、基本額の算出にいたしましても、いまの物価等を勘案いたしまして、備品等の物件費の算出については若干のアップを見ておりますし、また準備、整理に要する人件費の算出につきましても、世間のベースアップの実態を取り入れまして若干の値上げをいたしております。その結果が、先ほど申しました一億七千万円の増となってあらわれてきておるわけでございます。
  113. 中野明

    ○中野(明)委員 基本額というのは、これは変わっていませんか。郵便貯金、簡易保険、こうなっておりましたが……。
  114. 竹下一記

    竹下政府委員 基本額は、先ほど申し上げましたように、物件費、人件費の増加を見込みまして、やっぱり上げております。予算の平均として申し上げますと、基本額相当部分が月額として一々四千九百七十円を見ておりますが、前年は一万三千八百五十円ということでございまして、一割くらいのアップになっておるかと思います。
  115. 中野明

    ○中野(明)委員 昨年もちょっと議論したのですか、簡易保険の基本料の百円は、やっぱり変わりませんか。
  116. 竹下一記

    竹下政府委員 簡易保険につきましては、前年度考え方を変えておりません。基本額百円でございます。
  117. 中野明

    ○中野(明)委員 これは将来の検討事項とし——百円というのはどうも私、去年から気になっていかぬのですが、何を根拠に出されたのか。あまりにも何か形式的過ぎて、なしならなしでもいいと思うのですがね。百円というのはいつからですかね。
  118. 竹下一記

    竹下政府委員 簡易保険のほうは、この簡易局での取り扱いが非常に少ないわけでございまして、それが一つございますのと、契約を取りました場合には、募集手当を月額の百分の百という非常に高い率でもってその労に報いる、いわば歩合的な考え方、そっちのほうに重点を置くということでございますので、基本額百円というのは、これは去年も申し上げましたが、ほんとのおつき合いで、気は心という額でございまして、これは、当初からそういう百円という単価で、今日まで百円のままで続いてきているわけでございます。
  119. 中野明

    ○中野(明)委員 まあ言われることはわかるのですが、何かこう形式的なような気がしていかぬのです。  それからもう一点は、やっぱり貯金です。通常の貯金、これが非常に不合理なのです。だから、昨年は不正があるとかないとかいうことで非常に議論があったようですね、私もそばで聞いておりましたが。いま貯金は十円から許されているのですから、十円入れても出しても、やっぱり今度上がって二十一円ですかの手数料をもらえるわけですね、これは不正のあるなしにかかわらず。これは根本的に不合理だと思います。それを何かしら機械的に、十二円を十三円にし、十九円を二十一円にしたらもうそれでいいのだ、世間並みに値上げをしているのだからいいのだという、そういう考え方でなしに、抜本的にこれは検討する必要があるのじゃないかということを、私も去年議論をしたのじゃないかと思うのですが、やはりことし見てみますと、そのまま自動的に、ただ単価を上げただけで終わっているわけです。  だから、不正があるとかないとか——これは不正があるということがおかしいのですから、不正のことをいまここで議論をして単価をきめるということはおかしいことは私もわかります。だけれども、これは不正があるなしにかかわらないで、正常な場合であったとしても、やっぱり十円貯金を、子供なら子供が十円貯金を入れに来た、これはあんただめだと言うわけにはまいりません。そうすると、やはりそれにも二十一円の手数料がつく。また十円出しに来た、それにもやっぱり二十一円の手数料がつく。正常に、合法的にやってもまことに不合理なのです。だから、これは何かはかの方法で、簡易局の皆されに手数料の減にならないような、もっと合理的な、合法的な、納得のいくような手数料の算出のしかたがないものかどうかということなのです。  言うている意味わかりますでしょうか。不正があった、不正が行なわれているからいけないという議論を私はしているのではないのです。不正があろうとなかろうと、正常にやった場合もこれは不合理じゃないか。去年も何か検討するというふうな御返事だったように私、記憶しているのですが、そのまま自動的に値段を上げてこられて、二円プラスしただけで終わりというような、まことにお役所がやられそうなやり方なんですね。めんどうくさいことはあまりやりたくないというのかもしれませんが、これでは将来だれがやるにしても、ちょっと不合理だなと思い思い仕事をされるのじゃないかという気がします。そしてそこから、結局また変な、あまりにも収入の少ないところでは、暴発的に不正が出たりしてもこれはおもしろくありませんので、この辺何かほかに方法考えられないものでしょうかね。  件数一件当たりというような手数料の計算のしかたではなくて、件数も金額もそういうものを総合して手数料をきめる、そういうふうな制度に変えるわけにはいかぬのでしょうか。何か一番簡単で、貯金を一回出し入れすればまあ二十一円もらえるのですから、計算上は簡単ですけれども、現在の法律の上ではそういう不合理があります。そこのところをどういうお考えを持っておられるのか。
  120. 竹下一記

    竹下政府委員 手数料は、基本額と取り扱い手数料と加算額という三本立てでやっていく、こういうたてまえにいたしておりますが、この三本立ての組み方も、実は理論的にいえば問題もございますし、非常にむずかしい苦心の策でございます。  いま御指摘の取り扱い手数料の算出基準の問題でございますが、昨年も御指摘がございましたのでいろいろと検討してみたのでございますけれども結論を得ませんので、この一年間の人件費のアップ分、そういうものを盛り込むというだけの措置に終わって予算を組んだ、こういうわけでございまして、私どもはこれが最上のものであるとは思っておりません。ただ、おっしゃいますような趣旨で取り扱い手数料をうまく算出していくというやり方は、技術的になかなかむずかしいものでございますので、実はこの結論を得ないままに終わった次第でございます。しかし、今後とも検討は続けたいと思います。
  121. 中野明

    ○中野(明)委員 検討していただきたいと思います。私は、それは手数料がただの一円でも二円でも上がることについてはけっこうなことだと思います。けれども、正常にやっても不合理があるわけですから、これはやはり変えていかれたほうがいいのではないか、このように思います。いまのお話でなかなかむずかしいことはわかりますけれども、何とかそこを、皆さん頭のいい人が大ぜいおられるわけですから、寄り寄り御相談になっていい結論を出していただきたい、このようにこれも要望しておきます。  それから、窓口取り扱い事務がここに参考資料として出ておりますが、取り扱わせることになっているのが何種類かあります。この現在ある中で、将来簡易郵便局にも取り扱いをさせていく、このように検討されるようなものが何件かあるのでしょうか。それとも現在のままで、全然簡易郵便局にはこれ以上のことは取り扱わすわけにはいかぬというふうに考えておられるのか。将来取り扱わす可能性のあるものは何件かあるのでしょうか。
  122. 竹下一記

    竹下政府委員 このたびの法改正によりまして、老齢福祉年金関係の給付事務がつけ加えられるわけでございます。そのほかにつきましては、目下のところ新しく広げようということを考えておりません。検討はしてまいりたいと思いますけれども、目下のところは考えておりません。
  123. 中野明

    ○中野(明)委員 極力、この簡易郵便局設置するのは、趣旨が広く国民の皆さんに郵政窓口サービスをするということですから、その方向で前向きに検討していただきたいと思います。それは技術的になかなかむずかしい問題がたくさんあることは私も見てわかりますが、しかし、なるべく一つでも多く取り扱えるようにやれるものはやらしていただきたい、こう思うわけです。  それから一点、これはお年玉はがきのことなんですが、お年玉はがきが始められてからずっと非常に国民の間にも定着しまして、評判もよろしい。あのお年玉はがきを元日に受け取るということは、お年玉のついてないのとあるのと、何か非常に受け取ったときの気持ちが違うというところまで国民に定着したわけです。それだけ広く全国的にこれが活用されているわけなんですが、現在、このお年玉はがきの賞品は、簡易郵便局では扱われてないと思います。特等とか一等というのは無理でしょう。なかなか当たるものじゃないんですが、四等だとか五等というのは、かなりの数にのぼっているんじゃなかろうかと思います。やはりそういうものは、趣旨からいっても簡易郵便局でも取り扱えるようにしていいものじゃないだろうか。そうしたら、山間僻地におる人も近くの簡易郵便局でそういうものが受け取れる、こう思うわけなんです。この点、お考えになったことがあるでしょうか。
  124. 竹下一記

    竹下政府委員 たてまえといたしましては、簡易郵便局ではお年玉の賞品を渡さない、こういうたてまえをいたしております。  しかし、実情を見ておりますと、かなり取り扱い件数の多い簡易郵便局におきましては、受け持ちの集配局と連絡をとりまして、この四等、五等の賞品につきましては渡しております。これは、数といたしましてさほど多くございませんが、かなりお客さんの多い簡易郵便局におきましては、いま申し上げましたことを実行上いたしております。また、それでよろしいじゃなかろうか。全局にやるほどのこともないではなかろうか。と申しますことは、賞品を非常に小さく数多く分散しなければならないという非常な時間とロスを伴いますので、扱いの多い局についてそういう特別措置を実行上講ずるということでよいのではなかろうかと思います。
  125. 中野明

    ○中野(明)委員 それは、では簡易郵便局のほうから希望すれば扱えるんですか。簡易郵便局のほうから、自分の受け持ち範囲に希望者があるから、四等、五等——それとも、もうちゃんと郵政省のほうから、おまえのところはいい、おまえのところはだめだというふうに区別しているのかどうか。
  126. 竹下一記

    竹下政府委員 受け持ちの集配局長にまかしてございます。郵政局では、個々にここの局には何ぼといったようなこまかい指示をいたしておりません。
  127. 中野明

    ○中野(明)委員 では、ある程度幅があるようですので、こういう点も——こまかいことです。まことにこまかいことですが、精神から、趣旨からいきましたら、その辺まで配慮してあげれば山奥の人は非常に助かる、こう思うわけです。ですから、簡易郵便局のほうで、自分のところで何人かあるようだからというふうに担当の局に言えば、取り扱えるというふうなところまで解釈を広げてもらいたい、このように思うのですが、どうでしょうか。
  128. 竹下一記

    竹下政府委員 おっしゃいました方向で検討してまいりたいと思います。
  129. 中野明

    ○中野(明)委員 郵政大臣が見えましたので、一、二点ちょっと大臣にお尋ねして終わりたいと思います。  なかなか参議院の予算でたいへんな中を御足労願ったわけなんですが、いま簡易郵便局法の一部改正を審議しているわけなんですが、大臣もおかわりになったことですし、あらためて確認をしておきたいのですが、この簡易郵便局個人にまでワクを広げて、郵政省のほうとしても非常にこれに力を入れて窓口サービスを拡大していこう、こういう意欲的な姿勢に対して、私どもも心から賛同しております。ただ、こういうことを新しく何かやり始めますと、いままで同じく郵政業務に携わっておった人たちに、不用意な不安と心配を与えるということも間々あることです。  それで、一つの例を申し上げれば、小さな無集配特定局あたりが、簡易郵便局が軌道に乗り出して、個人もどんどんやり出すと、自分たちは格下げされるんじゃないか、そういうふうな心配が、一応消えたといわれておりますけれども、根強く残っていると思います。ぜひこの機会に、新しく大臣が就任になったわけですから、いま一度大臣から明確に、部内におきまして無用な心配と混乱がないように、大臣の所信を明らかにしておいていただきたい、そう思います。
  130. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 前回本委員会で御審議をいただきましたあとの附帯決議を拝見いたしましても、そういう混乱のないように、不必要な不安を与えないように、こういう御注意があったわけでありまして、あくまでもこれを尊重いたし、ただいま中野さん言われるような御趣旨の線に沿いまして、部内が動揺するというふうなことは未然にこれを防ぐという配慮のもとに、幸いに本法成立になりました暁は、十分な配意をいたすことを申し上げる次第でございます。
  131. 中野明

    ○中野(明)委員 せっかくおいでいただいたので、もう一点だけ……。これは直接この簡易郵便局法関係はないのですが、大臣も御承知のとおり、いまアメリカでは大々的な郵便ストが起こっております。そして大統領が非常事態宣言までしたというふうに新聞は伝えているわけです。私どもも非常に心配をしておるわけですが、このアメリカでの郵便ストがわが国の外国郵便ですか、そういうことにも関連もあるし、影響もあると思いますが、そこら辺はどういうふうな手を打っておられるのか。これは大臣でなければ、担当の局長からでも……。
  132. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 私も新聞記事等で見ておる程度でございますが、アメリカもなかなかゆゆしい事態のように承知をしております。これが妙な連鎖反応みたいなことでは困るのでございますが、郵便という仕事に内在する同じような要因もあるにはあるかもしれません。     〔委員長退席、本名委員長代理着席〕 しかしまた、同時に、日本とアメリカの国情の偉いもあるでございましょうから、必ずしもこれを同一視してよかるべきものでもない、かように思いますので、こちらはこちらとして、そういうことに巻き込まれるようなことがあっては相なりません。  実は部内に、新聞記事等でごらんのように少し騒がしい状況があるようでございますが、この辺は当局にもよく戒めまして、早いところ収拾をいたしたい、そのように考えるわけでございますが、なお詳しいことは、郵務局長から申し上げます。
  133. 竹下一記

    竹下政府委員 アメリカの模様は、新聞情報程度しか存じませんが、アメリカから参りますところの航空郵便は、羽田着のものを見てみますと、かなりおくれておるようでございます。それから、こちらから行きます場合は、ニューヨークまで行く郵便は、せんだってニューヨークまで行ったのですけれども、引き渡せなくてサンフランシスコまで持ち帰った。それでサンフランシスコどまりにしておいた。それが、きょうからニューヨークまで持っていってもよろしいという連絡が来たようでございますので、事態はだいぶよくなってきたのかなというふうに考えております。  それから、そのような実情でございましたので、日本国内の主要なる郵便局窓口には、アメリカの郵便のストライキのために、アメリカあての航空郵便は遅延することが考えられるので、遅延承知で差し出していただきたいという掲示を掲げました。
  134. 中野明

    ○中野(明)委員 いま大臣からも私の質問に関連して御返事いただいたのですが、いままでの傾向を見てみますと、何事によらず、アメリカで起こったら日本へ移ってくるような気配があるのですが、けさの新聞を見てみましても、何かまた全逓のほうでもストが行なわれるということのようで、私も心配しているわけです。郵便物がおくれるということで、郵政に対して国民の気持ちが非常に不信が強いときですし、この点について、労使関係といっても結局人間関係ですから、よくお話し合いをなさって、万全の処置を講じていただきたい。  何かけさの新聞では、また相当大げさなことを書いておりますが、全国で郵便物が二千万通たまるかというようなことが報道されております。そういうことで、一般の国民の側から見ましても非常に不安があるでしょうし、何か同じ東京の中で、隣の区へ行くのに四日も五日もかかって、北海道のほうから来る郵便のほうが早く着いたり、小包を送ってきたって中をあけたら腐っておったり、いろいろ苦情も出ておるようです。そういうことで国民の皆さんに迷惑をかけるということは、郵政本来の仕事からいって申しわけないことだと思いますので、きょうは時間がございませんので詳しくお尋ねいたしませんけれども大臣の先ほどのお答えで決意のほども私、わかりました。どうかこういう点について、国民の生活に不安を与え、また不便を与え、迷惑を与えるような郵政事業であってはならない、私ども委員会を担当しておりまして、いつも、それだけは思っております。  大臣も新しく就任されたことですので、よくその点をお話し合いなさいまして、早急に解決をつけられることを要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。
  135. 本名武

    ○本名委員長代理 土橋一吉君。
  136. 土橋一吉

    ○土橋委員 時間がたいへんないのでありますので、郵政大臣には簡単に答えていただきたいと思います。  過日の十二日の予算分科会におきまして、私は、わが国の労働運動についての基本的な内容として、「奴隷的拘束及び苦役からの自由」というので、憲法第十八条が、そういう労働条件下において労働さしてはならないということを明瞭に規定しておるということを申し上げました。さらに、労働基準法の第五条の規定、これもまた「使用者は、暴行、脅迫、監禁、その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって労働者の意思に反して労働を強制してはならない。」こういうふうに書いてあるわけであります。  日本も国際労働機構の一員として、ILO百五号の規定によっても、いま申し上げましたような趣旨のことが第一条の規定で明確になっておることは、この前もお話し申し上げたとおりであります。百五号の第一条は、「この条約を批准する国際労働機関の各加盟国は、次に掲げる手段、制裁又は方法としてのすべての種類の強制労働を禁止し、かつ、これを利用しないことを約束する。」というふうに書いてあるわけです。特に(a)として、「政治的な圧制若しくは教育の手段又は、政治的な見解若しくは既存の政治的、社会的若しくは経済的制度に思想的に反対する見解をいだき、若しくは発表することに対する制裁」そういう制裁をしてはならないということが第一条の(a)項の規定で明確に書いてあるわけです。(b)項では、「経済的発展の目的のために、労働力を動員し、及び利用する方法」などについても、それをやってはならないというふうにはっきり書いてあるわけです。また(c)項では、「労働規律の手段」としていろいろなことを用いてはならない。(d)項では、「同盟罷業に参加したことに対する制裁」を行なってはならない。同時に(e)項では、「人種的、社会的、国民的又は宗教的差別待遇の手段」をもっていろいろやってはならないというふうに明確に書いてあるわけです。  この前も私はお話を申し上げたように、中田人事局長からのお答えで、そういう事実、監視労働をしておったということをはっきり認めながら、いま争議中であるから、この問題は当然であるかのような説明をこの前はしておられたわけです。いま私が読み上げたような内容から見ても、郵政局の諸君が白腕章をつけてタイムウォッチを持って、一人の労働者に数名が監視し、あるいは監督、あるいはいろいろないやみを言うというようなことは、明らかにこの条項に違反をする内容であって、これはやるべきことではないわけです。それが、争議中であれ平生であれやってはならないということが規定されておるわけです。  でありますから、基本問題は労働者の賃金を上げる、待遇をよくするということが中心でなければならないわけなんです。したがって、そういう点について人事院制度なるものを設けて、そして国家公務員のストライキ権を憲法の規定に違反をして奪っておいて、そしてその人事院の勧告も満足に実施しない、こういう態度は、一体郵政大臣としてそれでも正しいと思っておられるのかどうか。アメリカ軍が全日的な支配をした当時のそういう慣行、あるいはGHQなどから出てくる指令を中心としたそういう軍事体制下に置いた問題を、依然として今日これを踏襲するような態度は、現在の佐藤政府の政策としてそれでもいいというのであるかどうか、ここの点イエスかノーかを簡単に答えていただきたい。     〔本名委員長代理退席、委員長着席〕
  137. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 先般予算分科会において、土橋さんから同様の趣旨の御質問に接したのであります。その際にお答えを申し上げたつもりでありますが、いまおっしゃる監視労働あるいは強制労働、こういうものは一九七〇年代の日本にあり得べからざることであろうと私、思うのですが、その事実関係が、はたして土橋さんの指摘されるようなものであるかどうか。当局としては、一種の指導とでも申しましょうか、そういう立場で臨んでおるように私は心得ておるのでありますが、被害者意識といってはどうかと思うのですが、何かそういうことでのみ、御判断をいただいては、あるいは実情に遠いのではないか。  したがいまして、私のほうとしては、その事実関係というものを十分に調査いたしましたところ、必ずしも土橋さん御指摘のようなものではない、こういう認識の上に立っておるわけであります。
  138. 土橋一吉

    ○土橋委員 この問題は、佐藤内閣全体の労働行政の内容にも含まれておるし、日本のいわゆる財界といわれる諸君の高度経済成長政策という政策の一環としても、またこういう点を特に最近は強調しておるわけであります。でありますから、単に一郵政大臣だけで問題を解決できないことは私も万々承知しております。  しかし、きのうの新聞にもありますように、朝日新聞ともう一つは読売新聞と二つ持ってまいりましたが、先ほども私は具体的な事実を示してあなたにお話をしたのでありますが、ここでも、こういうふうに書いております。「広い局内には「東京郵政局」と書いた白い腕章の〃監視員〃がつめかけ、ものものしいふん囲気の中で、区分けの間に合わない郵便物がつぎつぎとたまった。」あるいは「郵政局から派遣された課長クラスの調査官が、慣れぬアルバイト学生のために、配達用の地図を作るなど、汗だくのアナ埋め作戦。」というふうに書いておるわけです。これはとりもなおさず、いま申し上げたようないわゆる監視労働という内容をはっきりと示しておるわけです。本来ならば、郵政局から行く諸君が一緒になって区分するとか、あるいはコンテナを運んでいくとか、かいがいしく働くという体制をとるならば、それは非常にけっこうだと私は思う。特に進歩的な思想を持っておるとか、あるいは労働組合の幹部であるとか、あるいは日ごろ課長並びに局長に気に食わないというような諸君に目星をつけて、いまのような行動をとっておるのであります。したがって、日本共産党員であるとか、共産党を支持しておるとか、あるいは進歩的な労働運動をやっておるというがゆえにこういう差別をしてはならないことはもはや言うまでもないことであります。それが平然として——ここにもやはり監視員が立っております。この前資料であなたにお目にかけたとおりです。ここにも立っておるわけです。主婦たちがここでアルバイトしておる。これも来てみてわかると思うのですが、こういう状態におちいっているわけです。  この前の経理局長の説明によりますと、つまり欠員不補充の金は、人事院の勧告があれば、それは全部詰め込んでしまうのだ、それは合法的であるというような説明を経理局長はしておりましたけれども、全然予算費目の内容は違うわけです。つまり予算定員で組んだ内容を、人事院が勧告したから、給与ベースを上げるという問題にぶち込んで、そして苦労しておるというような説明は、端的にいうならばごまかしてしまうことで、これは間違いです。やはり定員をふやさなければならない。全国の郵便物の三割か三割五分以上は東京に集まってくる、欠員ができておっても補充しないでおいてそして物がたまってくる、こういう形を認めながら、その金を人事院が勧告すれば、そこへ上積みしていったからこれでいいという説明では、これは全然話にならないわけです。このことも前にもお話を申し上げたのですが、現在起こっておるニューヨークの郵便局のストライキの問題、あるいは東京に起こっているこの問題、特に大都市周辺におけるいわゆる郵政労働者の現状が、どんなに痛ましいかということについて、郵政大臣はもっと真剣に私は——この問題について、何か片方だけの見方をするような立場で責めておるのは、事実に当たらないというような答弁をしたけれども、この問題は、日本全国の労働者階級の労働者の問題と佐藤政府の政策という問題、とりわけ郵政省としてどうするかという問題に帰着するのです。  たとえば、私は昨夜おそく八丁堀の南の小包集中局に行きました。食堂で、ちょうど七時半ごろであったと思うのですが、その人は東北線の向こうのほうからやってくる労働者で、この人は十四年間つとめて、三十四歳で奥さんがあって子供さんが二人あるというんだが、大盛りのめしを食っておりました。めしは幾らですと聞いたら、百二十五円だと言う。そして、失礼だけれども給料は何ぼもらっていますかと聞いたら、三十四歳で五万一千円ぐらいうちに持って帰るんだ、いろいろな手当なんかもらって、どうにかこうにか六万円前後になるということを本人が言っておられたわけです。私は親のうちにおるから、女房と子供二人でもどうにかやっていけるし、私も健康だから、たんぼも幾らか耕しているからやっていけるようなものだけれども、もしストレートでそれだけだったら、家賃を払っておったんではとてもやっていけない、賃金労働者はそういうことを告白しておるわけです。  こういう事実を、一体郵政大臣はほんとうに直そうという態度であるのかどうかという点が、この問題の中心であるわけです。そこを私は言っているのです。このあらわれた現象だけをとらえて、郵政省をやっつけるための材料に言っているわけじゃなくて、やはり大幅の賃上げをしてやるということ、そして、待遇改善をすると同時に郵政の低家賃、公営住宅をどんどん建設するということ、こういう態度を郵政大臣がとられない限りは、この問題の基本的な解決にはならないということであります。ですから、そういうことについて、ただ通り一ぺんの適当な回答をしておけばいいというものじゃなくて、あなたが二十数万の労働者の作業環境において、この問題をどうやるのかという決意とそういう態度をはっきりしてもらわない限りは、私は、郵政大臣としてはまことに不十分じゃないかと思うのであります。  もちろん、郵便業務は多岐多様にわたっております。仕事の内容も非常に複雑であります。でありますが、それはすべて郵政労働者が双肩にになって仕事をしておるわけであります。大臣は一年かあるいは二年でおかわりになっても、局長は一年か半年でかわっても、そこで働いておるはえ抜きの労働者は何十年と——いま申し上げるように十四年間働いて、しかも五万一千円しか入らないということを告白しておるわけであります。これで、いまの物価でやっていけるのかどうか、家賃を払って奥さんと子供二人でやっていけるのかどうか、こういう点を、現在の物価体制、あるいは税金体制、あるいは公営住宅の不足、こういう点から率直に考えて、どうしなければならぬかということを私は郵政大臣にお尋ねしておるのであって、こういう事件が起こってくる問題の基礎にはそういうものがあるということを——もちろん、その内容について十分検討するものもあるけれども、基本的には賃金体系が低いということ、そして全逓労働者にストライキ権を持たしてないということを、それをかさに着て郵政局幹部諸君が、いま申し上げたようなあらゆる行動を平然として行なってはばからないということ、ここに問題があるのであります。郵政大臣の明確な所信と今後に対する態度を、この委員会においてはっきりと言っていたただきたいと思うのであります。簡単でよろしいです。
  139. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 どうも、土橋さんのように必ずしも明確にいかぬのであります。先ほど来の御所論は、失礼ではありますが、少し教条主義的な面もあるのではないかと思われる点がございます。ことに、これは佐藤政府の姿勢である、アメリカの極東支配のもとにおいては云々というような、そういうようなお立場に立って、論理はまことに明快でありますけれども、さて現実を受け持っております私どものほうとしては、これはいろいろな条件がございまして、なかなか御貴意には沿いがたいのでありますが、しかし、その中で最大の努力を払わなければならぬことは当然でございます。  したがいまして、職場環境をもっとよくしなければいかぬというおっしゃり方には、私も同感でございますし、その面においては、われわれ管理側の立場においてできるだけのことをしなければならぬ。あるいは帰着するところは、一つは賃金問題になる、こうおっしゃるわけでございますが、これも、それぞれ一つの体系というようなものがございますし、あわせて、国内のもろもろの企業や、あるいは公共企業体も同様でございますが、そういうものとのバランスもこれあり、やはりこちらだけで独走するわけにもまいらぬ点がございます。したがいまして、そういう点を十分に考量をいたしまして、郵政の範囲においてまかない得るできるだけのことをしなければならぬ、こういうつもりでおるわけであります。  それからまた、当面の労使のトラブルにもお触れになりましたが、これは、それぞれ言い分があるようであります。今回の休暇闘争などは、はたして、いかなる意図により出るのか、これを十分に把握、解明をすることは、私もきのう来心を痛めておるのでありますが、なかなか的確にこれだというところまではまだ申し上げにくい状況にございまして、現場の模様をさらに確かめまして適切な対処をいたしてまいりたい、このように心得ます。
  140. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、井出郵政大臣のいまのお話を非常に残念に思うのであります。私は、アメリカ帝国主義がどうしたこうしたとか、あるいは統一的などうだこうだというようなことを言ってないわけです。しかも、私が教条主義的とは、一体どういう内容からそういう御発言が出たのか承りましょう。どういう点が私が教条主義であったのか、この点を明確にしていただきましょう。私がいま読み上げましたこの法文というものは、これは政府を問わず、一般の国民として当然守るべき基本的な内容を示したのであって、これであなたが教条主義だとか、あるいは財界がそういう方向に向かっておると言うことにあなたが教条主義と言うならば、その内容をもっと明確に、どういう点が教条主義か説明してください。私は、そういう郵政大臣ともあるまじき発言に対しまして厳重なる抗議をするとともに、私は取り消しを要求します。どういう内容でそういうことを言うのか、どこが教条主義であるのか。
  141. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 最初るるお述べになりました憲法とか基準法とか、こういうプリンシプルは、これは私もそうだと思うのであります。しかし、何か現実の動きが、佐藤政府というものはどうも、反動的とはおっしゃらなかったけれども……(土橋委員「何も言ってないじゃないですか」と呼ぶ」ニュアンスは、何かそういうふうな意味を持っていらっしゃるように……(土橋委員「それはあなたが自民党で、そういうことをかってに推察して言うのだ。私は反動とどこで言ったか」と呼ぶ)反動とはおっしゃらないけれども、何か全般的なニュアンスは、そういうふうな感触をもって受け取られるような御発言の内容だったように思うのであります。さらにまた、アメリカを例に引きまして、これまた日本はその制約下にあるというふうなおっしゃり方について、これを一言におおうならば、何か少し教条主義的だ、こういう感じがいたしたわけであります。
  142. 土橋一吉

    ○土橋委員 教条主義というのは、あなたも知っておられると思うけれども、マルクス・レーニン主義的な理論に対して、これを機械的に、しかも、事実に即しないただ一方的な一面をとらえて、その説明の内容を強調するということを教条主義というのであります。私が、マルクス・レーニン主義を言わない、しかも、日本の佐藤政府のもとにおいてこういう事態が起こっておるのだ、これは一郵政大臣だけの問題ではない、佐藤政府全体としても考えなければならない問題だ、財界もそうだということを言って、どこに教条主義との関係がありますか。教条主義は、マルクス・レーニン主義に対する理論の片言隻句を、かってにそこだけ強調して言うのが教条主義というのであります。資本主義体制について批判を加えることは、当委員会において当然やるべき仕事であって、それが教条主義とどんな関係がございますか。教条主義は、マルクス・レーニン主義の一面をとらえて言う者を教条主義というのであって、あなたは教条主義の内容について知らないじゃないですか、どうですか。したがって、そういう暴言を吐いてはならない。これは郵政大臣として取り消しを要求します。あなたの説明のしかたは少し片寄っておるように私は思うと言うならば、またそれは一つの問題だけれども、教条主義と言うのは一体どういう内容か、明確に答弁してください。私は、マルクス・レーニン主義を論じていないのです。
  143. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 私の発言がたいへんお気にさわったようでありますが、私は、言うならば教条主義的な感触がくみ取られる、こういう表現でありまして、これはごく常識的にお受け取りになるならば、私の言わんとするところは、聡明なる土橋さんもおわかりくださるだろう、かように存じます。
  144. 土橋一吉

    ○土橋委員 こういうことであなたの失言をとらえてとやかく言う気持ちはないけれども、もう少し勉強もしていただきたいと思うわけです。いまのような発言が教条主義だなどと言って、そうかといって考える人も中にはあるのです。それが、何と申しましょうか、全共闘式ないわゆる暴力学生たちはそういうことを言うのです。ですから、暴力学生の背後でいろいろ皆さんも研究されておるでしょうが、そういうものをまねをしないように、やはりわが国の国務大臣として、見識を持ってよく発言をしていただきたいと思うのであります。  次は、お忙しいことですから簡単にしますが、郵政互助会というのがございます。あなたもいろいろ研究していただいておると思いますが、郵政互助会というのは一体会員というのがいるのかいないのか、簡単に答えてもらいたい。
  145. 中田正一

    ○中田政府委員 郵政互助会は財団法人でございますので、その意味での会員、社団法人とかそういうものに対する会員というような、財団法人郵政互助会自体の会員というものはないわけでございますが、俗に会員と申しておりますのは、財団法人でいろいろ事業を行なっておりますが、その事業の中の運営上の会員でございます。そういうものはございます。
  146. 土橋一吉

    ○土橋委員 会員がないのに、郵政互助会というのは一体何を仕事としておるのか。会員を持たない互助会は一体何をしていておるのか。また、加入者というのは一体何のことか、会員を持たないのに郵政互助会とは、一体どういうことで僣称してそういう名前をつけておるのか、簡単にお答えを願いたい。
  147. 中田正一

    ○中田政府委員 先ほど申しましたように、郵政互助会は財団法人組織でございますので、これは財団でございますから、それ自体一つの団体ということでございます。しかし、財団法人は一つの目的を持って運営され、その目的のためにいろいろの事業を行なう。その事業の仕組みとして退職給付を行なう。その退職給付を行なう場合に、それにはいろいろ掛け金をかけ、そういった人に対しては給付を行なう、その場合の退職給付関係の会員というようなことでございます。
  148. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたも財団法人を研究していらっしゃると思うが、ここには会員というのはないのです。会員の権利義務はどこにも規定していないのです。加入者として一定の事故が起こったときには、保険的な給付を受けることに相なっておるのであります。したがってこの財団は——財団法人は民法六十八条の規定によって随時解散もできるという内容であります。しかも、これにはあなた方の幹部が多数入っておられるわけであります。そしてこの内容は、全国的に一人平均どの程度の退職給付をするのですか、簡単に説明してください。どの程度金額において支給しておるのか。
  149. 中田正一

    ○中田政府委員 現在、平均の退職給付の額は、二十数万円でございます。
  150. 土橋一吉

    ○土橋委員 二十七万の金を支給することを中心とする一種の保険的ないわゆる財団法人であります。この保険的な財団法人が、いわゆる会員と称する者の権利義務も規定していないし、自分たちでえてかってに、その保険給付の内容にいたしましても非常に過酷であります。ここの表にも書いてありますように、長い間保険金をかけても、その保険金が返ってこない。むしろ一般の会社などの保険よりはどうかと思われるような給付内容しか支給していない。しかも、それが金逓労働組合員の一人頭から百分の三の金を徴収しておるわけであります。名前は郵政互助会である。互助会には会員はいない。しかも、郵政労働者は何の権利義務も、特に権利はない。ただ金だけを支払っていく。こういうような内容をつけておることについて私は非常に疑問がある。  したがって、この郵政互助会がやっておるいろいろな、特に弘信産業がやっておる不動産の買い入れ内容について、明確に資料を私のほうにいただきたい。また、弘信産業が行なっておるいろいろな事業について、明確な収支決算の内容を私の手元によこしていただきたい。また、弘信観光と称する事業団体が、郵政互助会の子会社であることは明瞭であります。その資本金の支出状況を見れば明確であります。これらの諸君がいろいろな活動をされております。一面においては非常に有益な仕事もされております。しかしながら、多くの事業面において、これはどうかと思うような面が非常に多いのであります。  その一つの例は、あなたも御承知かと思いますが、ついせんだって、ことしの二月、これがこげつきの状態を出したわけです。これは日本経済新聞に、「甘い商法郵政互助会技研興業ざ折のとばっちり」という題で、推定でありますが、約五万坪相当の土地が入らないために四億五千万円前後の金がこげついておるということがいわれております。しかも、これはかつての津久井ゴルフ場の汚職事件、あるいは磐梯山における観光事業における汚職事件、あるいはかつてのどこか、熱海か伊豆半島方面における金ぶろ事件といいましょうか、いろいろな事件をたくさんひき起こしておるわけです。しかも、この弘信産業とか商事の中には、郵政互助会には金があるんだというようなことをふれ歩いて、いろいろな事業をやっております。  しかも、この問題については、いまから二年ほど前、小林郵政大臣のときに、この業界の諸君が非常に脱税をやっておる傾向がある、リベートをたくさん取っておる関係があるというので、たしか八項目にわたる警告書を出しておるはずです。その警告書の内容をちょっと読み上げていただきたい。小林元郵政大臣がどういう警告書を郵政互助会に出しておるのか、二年ほど前だったと思いますが、それを聞かしていただきたい。
  151. 中田正一

    ○中田政府委員 手元に原文がございませんで、まとめたものでございますので、すべてを網羅しているかどうかわかりませんが、ポイントでございます。  一つのポイントは、資産の運用にあたっては、法令に違反しないことはもちろん、公益法人にふさわしい運用を行なうこと、これが一つのポイントであります。次の点は、退職給付率を確保するために、必要な運用収益率を明確にし、その運用収益をあげるに適切な運用方法を長期的に策定するとともに、債権確保を十分に行なうこと、この二点がポイントであるというふうに承知しております。
  152. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたの見解のポイントはそれ二つだと思うのです。しかし、具体的に小林元郵政大臣が心肝を砕いて注意をした内容は、そういう点だけではないのであります。それは一つ二つの柱であって、やはり郵政互助会として、いわゆる財団法人として郵政労働者から百分の三を取って、そして積み立てておる内容から見ても、もっとまじめな内容をやりなさい、あるいは脱税の疑いがあるとされておるが、こういうことについてもきちっとやりなさいという勧告をしたでしょう。そのために、郵政互助会はたしか八億くらいの税金を払ったわけです。それで四苦八苦しておるということも承っております。こういう事実を明らかに——この弘信産業あるいは弘信観光などと称する諸君が、まじめな郵政労働者の貴重な金を集めておるものだということについての真剣な態度がないということが、一つの問題であろうと私は思うのであります。ですから、今後こういう新聞ざたになるような——しかもこの問題についても、別の案件で、このS会社というのが、埼玉県のどこかに土地がちょうどそれだけあるからして、それでとんとんだという説明をしておったのです。これではどんぶり勘定です。やはり八王子の狭間にある浄泉寺の寺の敷地、面積でいいますと九万何千坪でありますか、約十万坪といっておきましょう。その土地の半分しか登記を完了していない。それで埋め合わせに、全然違った案件の埼玉県の土地がそれだけあるからして、収支はとんとんであるというようなことを説明しておったわけですが、こういうことが一体会計上許されるのかどうか、そういうだらしない会計状態で、郵政互助会はそれらの子会社に融資をしておるのかどうか、もう一回明確に聞きたいと思うのであります。
  153. 中田正一

    ○中田政府委員 郵政互助会が、綜合企画株式会社から八王子の五万数千坪の土地を購入して、この登記が完全に済まないうちに金を支出した、そのために四億数千万円の登記の不足があったということは、どうも事実に近いようでございます。それに対しまして、先ほどお示しありましたように、郵政互助会としてはこういう事態が進行する際に、これではいかぬということを考えて、春日部のほうの三万数千坪の土地契約があった際に、その代金を支払っている以上に登記を進めて八王子の担保力を強化したということ、これまた事実でございます。ごく大ざっぱに言いますれば、八王子のものと春日部のものがバランスがとれておるわけでありますが、もとよりお示しのとおり、八王子の土地については八王子のものできっちりと支出をしなければならぬということは、もう仰せのとおりでございます。  そういう点で、十分な処理状況というふうには言えない面があろうと存じます。
  154. 土橋一吉

    ○土橋委員 いま中田局長も認められましたように、これはとかくうわさを生んで、世間では郵政互助会は金持ちだ、これはゴルフ場であれ、金のふろであれ、あるいはあらゆる観光団体に金をどんどん出して景気がいい、そこの幹部諸君、これらが金のふろに入って、女中などをそれこそそばめのごとくにして、豪華な状態を続けておるということも私の耳には入っているのであります。郵政のまじめな官吏の方々が一丁こういう中に入っていって、ここにもありますように、士族の商法で私のほうではどうも不十分だったというようなおこがましい言明をして、そうしてたいへんな損失をかけておる。しかも、その加入者は権利がないのである。加入者にはこの問題を追求する権利を認めないような組織になっておる。どういうわけか。ただ、この互助会をつくった幹部諸君だけが、かってに民法六十八条の規定によって資産の処分ができるとか、かってにそういう幹部諸君で役員を入れかえをしておって、肝心かなめの加入者に何の権利もないじゃないか。これでも郵政互助会といえるのでしょうか。どこで互助をしているのでしょうか。しかも、郵政互助会が今日まで保養所をつくったのは十カ所であります。郵政法律の規定に基づく共済組合では四十数カ所つくっておる。しかも、料金なんかむしろ高いくらいではありませんか。これだけの恩典と幾らかの土地を分譲したということで、しかもその土地の分譲が、詳しく調べてみるならば、決して一般市価よりも安いなどといえるものではないというふうに私は承っておるのであります。それでも郵政互助会の名に値をするのかどうか、加入者こそいい迷惑ではありませんか。  特に掛け金の、たとえばここに書いてあります比率を見ますと、涙が出るほど情けない状態ではありませんか。いま火災保険にしたって何にしたって、ある程度現金を返すような制度をやっているのです。これを見ましょうか。加入期間が二十八年から二十九年で、七九%しかかけたものをもらえないというのはどういうわけだ。しかも、これで郵政職員の互助ができるとあなたは考えていますか。特に、たとえば八年から九年では三九%しか返さないじゃないか。これでも郵政互助といえるのですか。加入者が組合員として権利を行使し、そういう不当なものについてはいつでも糾弾のできる体制をなぜとらなかったのか、この点も明確に、簡単に答えていただきたい。
  155. 中田正一

    ○中田政府委員 先ほど、郵政互助会の会員の権利というものが保護されないような仕組みになっておるんじゃないかというふうなことでございましたけれども郵政互助会は、繰り返して申しますように財団法人でございますけれども、この運営組織といたしましては、役員の理事のほかに、評議員会、評議員というものがございまして、これは郵政関係職員の中から三十名ほど選ばれて、執行機関の動きを評議員会でチェックするしいう仕組みになっておりますので、その点は御了承いただきたいと思います。  それから……。
  156. 土橋一吉

    ○土橋委員 それだけでいい。では、あなたに第十七条の評議員会、評議員をもって構成する内容について、一項目と二項目を読んでいただきたい。はっきりと、ゆっくりと読んで皆さんにわかるように、この評議員会がどういうメンバーによって構成されておるか、十七条の一項、二項。
  157. 中田正一

    ○中田政府委員 財団法人郵政互助会寄付行為第十七条、「評議員会は、評議員をもって構成する。評議員は、郵政大臣の推せんする者九名、全逓信労働組合中央執行委員長の推せんする者十五名並びに郵政大臣及び全逓信労働組合中央執行委員長の推せんする者六名とする。」以上でございます。
  158. 土橋一吉

    ○土橋委員 この構成が、郵政省側組合側との対等、平等の立場において構成されていないことは、あなたもおわかりでしょうね。わかりますか。
  159. 中田正一

    ○中田政府委員 数の上から言えば、仰せのようなことになろうかと思います。
  160. 土橋一吉

    ○土橋委員 この問題はこれで打ち切ります。十分研究をして、そして、いま申し上げるような点についてさらに定款を改正し、もっと多くの、二十数万の郵政労働者が自由に意見を述べ、会計状態を審査できる体制をすみやかにとられることを私は要望いたします。さもなければ、また次の委員会などでこの問題についてとくとお話をしたいと思っております。善処方を要求いたします。  次は、簡易郵便局の問題でございますが、いままでのいろいろなお話を承って、非常に尽力されておることはよくわかります。ただ、簡易郵便局制度そのものが、御承知のように、われわれかつて労働者の側に立っておった者から見るならば、非常に不審な点が多いわけです。たとえば、再契約によって現在簡易郵便局をやっておる人は何人いるのか、簡単に答えていただきたい。再契約によって簡易郵便局を開設しておるのは何名ぐらいおるのか。
  161. 竹下一記

    竹下政府委員 再契約といったような形、そういうものを取り結んで、別の人が簡易郵便局仕事をやっておる、こういうものはございません。
  162. 土橋一吉

    ○土橋委員 それでは、あなたのほうにそういうものがないと言うならば、たとえば、地方自治体あるいは農業協同組合などで、嘱託という名目でそこの地位が与えられておって、その人は実際そこの仕事はほとんどやっていない。その人が、その農業協同組合とか、あるいは地方自治体とか、あるいは御自分のうちを改造して、そこで実際仕事をやっておるケースが何ぼぐらいあるのか、説明してもらいたい。
  163. 竹下一記

    竹下政府委員 おっしゃいますように、役場の職員であるとか協同組合職員といたしまして、身分は、いまおっしゃいましたように嘱託というようなかっこうで、そうして郵便局仕事をやっておられる例は相当ございまして、大体千カ所ばかりあるように見受けます。
  164. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうすると、それはストレートに嘱託をやっておる人に、郵政大臣がいわゆる窓口業務を、委託契約をやったのですか。それとも、農協なりあるいは地方自治体の首長との間にそういう契約をかわして、それを今度は受けてその人がやっておるかどうか。
  165. 竹下一記

    竹下政府委員 郵政大臣契約の相手方は、地方公共団体及び農業協同組合等でございます。
  166. 土橋一吉

    ○土橋委員 それならば、いわゆる嘱託は再委託契約を受けた者と推定をしなければならぬじゃないですか、あなたはそういう者はいないと言ったけれども、どういう内容でそういう者が仕事をやるのですか。
  167. 竹下一記

    竹下政府委員 地方公共団体職員あるいは組合職員という資格で、地方公共団体あるいは組合が受託いたしました仕事を取り扱うわけでございます。
  168. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたは、私が再委託契約というふうに言ったものだからはっと頭に来たと思うのですが、それならば事実そういう方々が、たとえばでは、手当の問題だとか基準的な問題は、一応市町村長や農協の会長に金を出して、それから収支計算上受け取る仕組みになっておるのですか。それともストレートで、その委託者にどんどんその基準の金を出しておるのですか、どうですか。
  169. 竹下一記

    竹下政府委員 受託をいたしました地方公共団体あるいは組合へ、手数料、つまり委託料が行くのがたてまえでございます。
  170. 土橋一吉

    ○土橋委員 私がいま申し上げたように、それじゃ一々、必ず市町村役場や農協や漁業組合にその金は入るのですね。間違いありませんね。そしてその監督も、市町村長や農協の組合長から監督を受けるわけですね。それであなたのほうの郵政大臣の指令は、すべてその地方自治団体の長あるいは農業協同組合の幹部のほうへちゃんといって、それを聞いてその人がやるわけですね。
  171. 竹下一記

    竹下政府委員 おっしゃるとおりでございますが、手数料につきましては、公共団体あるいは組合へ一たん入りまして、そこから支給されるのがたてまえでございますが、実際の取り扱いといたしましては、直接取り扱い者にいっている例が間々あるやに聞いております。そのほか、業務取り扱いにつきましての責任の所在は、これはもうはっきりいたしておりますし、監督権の行使、こういったものは、あくまでも地方公共団体あるいは組合にあるわけでございます。
  172. 土橋一吉

    ○土橋委員 いまの御説明を聞くと、竹下さんともあろう人がそういうことじゃいけませんよ。あなたはあろうかもわからぬ——現にそれをやっておるじゃありませんか。現にやっておって、あろうかと思うなんて、そういうことを言っちゃいけません。やはりこれは再契約の一種であります。でありますから、直接そこの特定集配局が監督をするとか、あるいは郵政大臣の通知は、みなそこへストレートで入っておるじゃありませんか。これは契約を現に結んでいなくても、そういう内容を考えておるわけです。だから、こういうことを私は懸念をするわけです。  次の問題は、無集配特定局で範囲が農村などでございますと、そういう簡易郵便局が、いまどんどんあなた方の御主張のようにできますと、業務量が無集配特定局は減るのじゃないかということが懸念されますが、減るか減らないか、簡単にそれだけお答え願いたい。
  173. 竹下一記

    竹下政府委員 減ります。
  174. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうすると、簡易郵便局で年間郵政省が持ち出している金は一局について一体どの程度か。いわゆる赤字として事業をして、要するに事業をやったものをはねて、郵政省のふところから簡易郵便局にどの程度の金をまかなわなければ、一年間の営業はできないのか。  それと、無集配特定局というものは数多い。この局に対して、業務上の収支計算だけでなくて、実際補てんをしてやらなければならない金は、一局についてどの程度の金を出しておるのか。平均でいいです。
  175. 竹下一記

    竹下政府委員 簡易郵便局運営のために要しまするところの経費は、四十五年度予算をもって申し上げますと、一年間およそ十二億五千万円でございます。簡易郵便局全体の運営経費でございます。一局平均はこれの三千二百分の一でございまして、計算すれば出るわけでございます。  収支のぐあいはどうであるかというお尋ねのようでございますが、一局平均の収支はやはり赤字になっておりまして、一局につきまして年間およそ六千円ばかりの赤が出るという結果が出ております。ただし、無集配特定局の収支の状況、つまり赤字に比べますと、格段に少ないというわけでございます。
  176. 土橋一吉

    ○土橋委員 十二億五千万円とか四千万円とか一言いましても、われわれ貧乏人にはちょっとその計算がなかなかできないのです。だから、一局当たりどの程度の補てんをしておるのかということを聞いておるのであって、総計ということは私は一つも聞いていないのです。あなたのお話では七千円、そんなことでやっていけますか。一年七千円の赤字補てんをしてやっていけますか。七万円でしょう。それはあなたの計算違いでしょう。七千円だったら月に五、六百円の計算です。そんなことでは簡易郵便局はやっていけませんよ。
  177. 竹下一記

    竹下政府委員 説明が少し不十分でございましたので、申し上げます。  四十五年度予算についてみますると、一局平均、運営費といたしまして必要なるものは三十四万二百八十四円、こういうことでございます。
  178. 土橋一吉

    ○土橋委員 特定局は幾らくらい一局に対して出しておるのですか。多い少ないはあるでしょうが……。
  179. 竹下一記

    竹下政府委員 特定局について見ますると、これは数が多いのでございますが、簡易郵便局と比較するに適当なる小さい局、つまり二名局と比較いたします。そこの一年の所要経費は、一局平均二百八十八万五千円というわけでございます。
  180. 土橋一吉

    ○土橋委員 さて、あなた方が契約をされている簡易郵便局個人委託をする問題について、私は端的に意見を述べたいと思うのです。  いまお話しになったように、一局で三十四万円のとうとい金を使うわけです。これは普通局の諸君が努力をされた金であります。また、特定局についても二百八十八万という大枚な金を使って特定局制度を維持しているわけであります。そうすると、現在のように交通が非常に発達をして、どういうところにも自動車は入っていける、あるいはオートバイでどんな山の中でも入っていける。それなのに、何でこれだけの金をかけて——これをもし人件費などいろいろな考慮からするならば、相当な金、たとえば十二億五千万円も出しておるのですが、これで、私の推察するところによると、従業員の相当数を定員として組み入れることができる。特定局の場合も同様です。この半額の金を、かりに百四十四万円の金を人件費のほうに回していくならば、いま自動車が発達しておるし、オートバイは発達しておるし、その他あなたのほうでやっておるような、小包に使っておるようなコンテナを利用していけば、移動郵便局、局員を派遣する郵便局、あるいはそれこそ音楽メロディでも入れて、そうして郵便局が参りました、皆さんの御要求はございませんかと言って回らしてもいいじゃありませんか。むしろそのほうが宣伝になるじゃありませんか。
  181. 竹下一記

    竹下政府委員 私の説明がよくありませんために、ちょっと誤解をなさっておられる点があるようでございますので説明いたします。  簡易局一局平均、年間三十四万円の支出をいたしておりますが、それに対応しまして、大体それに近い収入があるわけです。その差額六千円というものが、残念ながら赤字として出てくる。ただし、この赤字は年間六千円でございますから、こういうへんぴなところで扱っております事業といたしましては、簡易局はかなり経営上の能率をあげておるというふうに私は見ております。一局当たり三十四万円というものは、それをただ支出いたしまして金をなくしておるという意味ではございません。別のほうに収入もちゃんとあるわけでございます。
  182. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、去年の速記録を一通り全部見たわけです。そうすると曾山さんがそこで、いま私が言うように、一局について七万円程度の持ち出しがある、特定局は百二十八万円程度の持ち出しをしているという説明をしておるわけです。これは数字は多少の食い違いがあっても、そのときのいろいろな状況でやむを得ないと思いますが、少なくとも十万円前後のものが簡易郵便局に出ていく、片方の無集配特定局では百二十八万円の金を補てんしなければ営業がうまくいかぬという説明を、ちゃんと曾山さんがしておるわけです。これはあなたも研究してみたらいいですが、全部読んでみるとそういう説明をしておる。それならば、私が言うような方法のほうがもっと郵政労働者もふえて、しかも身分の保障があって、郵便局の宣伝にもなるのじゃないかということを言っておるのです。  つまり、あなた方がこれを固執して毎回毎回国会に上程しておられる、そのねらいは何であるのか。なるほど各僻地において簡易郵便局設置するというこの基本的な方針、これは正しい。これはだれといえどもそれを否定することはできない。しかしその陰に、いわゆる郵便局請負制度が今日まで非常に非難を浴びている。特定局請負制度がどういうものであったかということは、あなたもよく御承知です。私どもも、それについて郵政当局にはずいぶん苦情も言ってきた。またぞろ同じような形式で、いわゆる地方において信用があるとか、あるいはその地域の名望家であるという人に、再び郵政事務を委託するというようなのは、率直にいって佐藤政府の、特に、自民党さんがたくさんおられて申しわけないけれども、自民党諸君が考えられている高度経済成長政策全体のお助けをして、そうしてそのために、地域の方々が老齢福祉年金はそういう方々からもらわなければならない、恩に着る、非常にありがたく思うというような制度を、ここで温存させようとするものにほかならない一面があるのじゃないか。  したがって、こういうことから発想されておる簡易郵便局制度はすみやかに再検討いたしまして、いま申し上げるように、もっと近代的な音楽でも入れて、そうして従業員をたくさんふやして、無集配の局からどんどん勇敢に、それこそにぎにぎしく各部落部落を訪れて、郵便局の効用を説明し、そうして端的にそこで取引をして、しかも郵政事業の内容を知っていただく、このほうがむしろいいではないか、こういうふうに私は考えておるのであります。  と申しますのは、この問題については、きのうも自民党の委員さんから質問がありまして、たとえばうちでくだもの屋をやっておる、片方にそういう店をやっておる、お客さんが来たときに、たとえば郵便物がなくなったらどうするかというきわめて素朴な質問も出ておるわけです。ところが、この規定によれば三十時間勤務しなければならぬ、こういう矛盾がある。それこそ人間というのは、そんなに器用に二つのわらじははけないのです。郵政省の方はおりこうですからはけるかもわかりませんけれども二つのわらじをはいて、三十時間の勤務をしながら、しかも鶏を飼うとか、ときにはサービスもしなければならぬというのは、なかなかそうはできないです。やはりこの郵政業務に専念をするという体制をとらせることが必要であるのでありまして、したがって、私が申し上げるように定員をふやして、そうしてそういう余分なところに金を使わないで、もっと宣伝する必要があると思う。私は、昨晩ある簡易郵便局に行きまして局長さんとお話しをした。ポスターが足らぬのじゃないですか、あなたは簡易郵便局をやっておられて、もっと郵政省のいいポスターをなぜ張らないのか、私は反対の立場だけれども、もっと張って皆さんに、うちは簡易郵便局をやっておるということをどんどん示せば、いま七万円の収入が十万円にもなるんじゃないですか、なぜ郵政省からのポスターとかそういうきれいなものを張ってやらないのですかということをお話し申し上げたようなわけなんです。  ですから、私たちは郵政事業が真に発展をすることを念願しておるわけです。郵政事業が国民の事業として真に国民から愛され、これが貯金業務においても、保険業務においても発展することを願っておるわけです。いま申し上げるような観点からいうならば、簡易郵便局制度は、またぞろ特定郵便局制度の問題の悪い弊害を助長しようとするものにほかならない。ですから定員をふやして、現在の交通発展、あるいは社会が便利になっておりますので、そういう宣伝をして、多くの大衆にもっと親しまれる郵政事務になってくださるよう私は願うわけです。時間がありませんが、私がいま考えているような考え方についてあなたはどう考えておられるのか、そういう考え方にも賛成の点があるのかどうか、それは絶対反対なのか、簡単に、イエスかノーを答えてもらいたい。
  183. 竹下一記

    竹下政府委員 いまお述べになりましたようなやり方は、たいへん望ましいことだと思いますが、残念ながらお金が何ぼ要るか、想像もつかないぐらい巨額の経費が必要になってくると私どもは判断いたします。  簡易郵便局方式をとりますゆえんのものは、あまねくへんぴなところに窓口を極力ふやすということを一方に念願しながら、片一方極力経費を切り詰める。したがいまして、これは直営方式はとれないわけです。極力経済的に、ことばは悪いが、安上がりにこの国の仕事を持っていきたい、そういう願望も一つ持ちながらこの制度を進めてまいっておるわけでございまして、たいへん苦しい措置でございますが、これはまあ現実的な措置であろうと考えます。
  184. 土橋一吉

    ○土橋委員 この法文の内容を見ると、いろいろ受託をした契約者は、場所を提供したり建物を改造したり、簡易郵便局にふさわしいそれぞれの施設をしなければなりません。ところが、それに対するいわば報償というものはまずないということです。しかし、これをやるという人は、その道によって生活を営んでいこうという方が多いと存じます。だから、問題はきわめて真剣です。  たとえば、いまあなた方の説明によりますと、安上がりに、なるたけうまいところの穴を見つけて、そういう穴でひとつこの郵政事業をやろうというお考えのようですけれども、これは企業性を中心としたものの考え方であります。これは国家の事業であります。ですから、少なくとも特別会計制度を一応とっておりましても、たとえば、勧告が出て給料をどうしても出さなければならないとか、あるいは簡易郵便局制度をどうしても必要ならば、そういう制度一般会計から繰り入れたらいいじゃありませんか。何で公社でもないのにそういう点を固執して、みみっちく、しかも従業員だけにしわが寄っていくような、働く者だけにしわのいくような、そういう制度を強行しようとするのか。  特に、最近の一般労働情勢は、御承知のように非常に重大な一つの時期にかかっておると思います。したがって、局長さんもそこで働く人も、特定局の場合も同様ですが、物価高、税金難、いろいろな問題で苦しんでおるわけであります。苦しんでおるそういうところに、率直にいわしていただくならばつけ込んで、そういうところでやっていこうというような考え方でなしに、やはり国家業務として約百年の歴史を持っている郵政事業は、もっと一般会計からもどんどん繰り入れてもらって、にぎにぎしくやったらどうですか。そういうあまり情けない考えを持たないで、郵政業務そのものをやはり発展させるという観点と、郵政職員が誇りを持ってこの業務に携わっていくという体制を一面加味しながら、しかも、冷静に堅実にそういう問題についても真剣に考える、これならいかがですか。
  185. 竹下一記

    竹下政府委員 御激励を受けておるようでございますが、やはり郵政事業はこれだけが国の事業でもございませんので、国全体としていろんな財政上の問題もあると思いますし、そういう全体的な財政のバランスの上に、均衡を保った形で郵政事業運営されなくちゃならないと考えるわけでございまして、郵政事業だけを考えるわけにもまいらないように思われます。気持ちの上では、全くできたらそういうふうにしたいという気持ちを個人的には持ちますけれども、残念ながら、そういう仕組みには相なっていないように思われるわけでございます。
  186. 土橋一吉

    ○土橋委員 どうか郵政省の幹部の皆さんが大臣を大いに盛り立て、いま申し上げたような点において大きく活躍されますよう、そして、何と申しましょうか、それでなくても郵便事業というのは人手を要してじみな仕事であります。こういう点から考えまして、どうしても従業員がやはり張り切って働く体制を整える基本である賃金を上げる問題、それから退職その他について安心ができる体制、そして職場などにおいても気やすく話ができるような体制をとっていただきたいと思うのです。  特にあなた方の幹部の一部には、共産党であるといえばことさらマークをして、そしておまえは共産党員と話してコーヒー、茶を飲んだそうだが、あんなのはおまえの出世によくないなどと称する不届きな幹部が多々いるのであります。私は、そういう諸君を名前をあげてこの次の委員会において——これは全逓関係も全電通関係もたくさんあります。私のほうにこれは来ておる。そういうよからぬ幹部をつくらないで、やはり働く人の立場に立っていただきたい。思想、信条は、御承知のように憲法で保障した基本的な内容であります。それを、共産党であるとか民青に入っちゃ危険だとか、出世できないなどとは一体何ごとであるのか。そういう差別をするように諸君が教育されておるのか。それとも郵政大臣やあるいは幹部がそういうように教育しているのか。これは誤ったことであって、当委員会においてはさようなことは許すことはできないのであります。共産党員であるから、喫茶店へ連れていってそして説得して——言うことも聞いてやらない、差別待遇をする、給与でも二号俸くらいおくらしておくとか、泣き寝入りで問題を解決する、そういう態度をあなた方の幹部はたくさんとっておる。特に労務関係の諸君に、末端の局長、課長はそういうことを平然として行なってはばかっていないのであります。これは次の委員会において私は十分資料をあげて皆さん方を追及したいと思うのでありますが、本日は、これをもって私の質問を一応終わる次第であります。  ありがとうございました。
  187. 金子岩三

    金子委員長 次回は来たる四月一日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時三十九分散会