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1970-03-18 第63回国会 衆議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月十八日(水曜日)    午前十時四十分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 内海 英男君 理事 加藤常太郎君    理事 古川 丈吉君 理事 本名  武君    理事 水野  清君 理事 古川 喜一君    理事 中野  明君 理事 栗山 礼行君       加藤 六月君    佐藤 守良君       園田  直君    坪川 信三君       羽田  孜君    長谷川四郎君       浜田 幸一君    林  義郎君       森  喜朗君    森山 欽司君       安宅 常彦君    阿部未喜男君       武部  文君    八百板 正君       伊藤惣助丸君    土橋 一吉君       中村 拓道君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 井出一太郎君  出席政府委員         郵政大臣官房長 野田誠二郎君         郵政大臣官房電         気通信監理官  牧野 康夫君         郵政省郵務局長 竹下 一記君         郵政省貯金局長 山本  博君         郵政省簡易保険         局長      上原 一郎君         郵政省電波監理         局長      藤木  栄君         郵政省経理局長 溝呂木 繁君  委員外出席者         郵政大臣官房首         席監察官    中根 敬一君         郵政省大臣官房         建築部長    山中  侠君         郵政省電波監理         局放送部長   太原 幹夫君         郵政省人事局審         議官      神山 文男君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社副総裁    秋草 篤二君         日本電信電話公         社総務理事   黒川 広二君         日本電信電話公         社総務理事   庄司 茂樹君         日本電信電話公         社理事         (施設局長)  北原 安定君         日本電信電話公         社理事         (経理局長)  中山 公平君         日本電信電話公         社営業局長   武田 輝雄君         日本電信電話公         社計画局長   浦川 親直君         日本電信電話公         社建設局長   原田 安雄君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   野村 達治君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   竹中 重敏君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   川上 行蔵君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   志賀 正信君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   長沢 泰治君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     松浦 隼雄君         参  考  人         (日本放送協会         経営企画室経営         主幹)     野村 忠夫君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   池田 直和君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 三月十六日  辞任         補欠選任   伊藤惣助丸君     坂井 弘一君 同日  辞任         補欠選任   坂井 弘一君     伊藤惣助丸君 同月十七日  辞任         補欠選任   伊藤惣助丸君     大野  潔君 同日  辞任         補欠選任   大野  潔君     伊藤惣助丸君 同月十八日  辞任         補欠選任   久保 三郎君     安宅 常彦君     —————————————  三月十七日  簡易郵便局法の一部改正に関する請願菅太郎  君紹介)(第一二六〇号)  同外一件(福田篤泰紹介)(第一二六一号)  同(吉田実紹介)(第一二六二号)  同外九件(坂本三十次君紹介)(第一三〇四号)  同外二件(中尾栄一紹介)(第一三〇五号)  同外一件(三原朝雄紹介)(第一三〇六号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第一三三六号)  同外八件(鹿野彦吉君紹介)(第一三三七号)  同外一件(中野四郎紹介)(第一三三八号)  同(古屋亨紹介)(第一三三九号)  同(内海英男紹介)(第一三五一号)  同外五件(田中六助紹介)(第一三五二号)  同外一件(田村元紹介)(第一三五三号)  同(毛利松平紹介)(第一三五四号)  同外二件(山本幸雄紹介)(第一三五五号)  同外一件(早稻田柳右エ門紹介)(第一三五六  号)  同(田村元紹介)(第一三七五号)  同(福田篤泰紹介)(第一三七六号)  同外七件(小川平二紹介)(第一四〇四号)  同外七件(大竹太郎紹介)(第一四〇五号)  同(斉藤滋与史君紹介)(第一四〇六号)  同外七件(高橋清一郎紹介)(第一四〇七号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第一四〇八号)  同(早川崇紹介)(第一四〇九号)  同(愛知揆一君紹介)(第一四一〇号)  同外五件(足立篤郎紹介)(第一四六二号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第一四六三号)  同(大竹太郎紹介)(第一四六四号)  同外八件(大野市郎紹介)(第一四六五号)  同(仮谷忠男紹介)(第一四六六号)  同外三件(倉石忠雄紹介)(第一四六七号)  同(正示啓次郎紹介)(第一四六八号)  同外二件(園田直紹介)(第一四六九号)  同外四件(藤波孝生紹介)(第一四七〇号)  同外一件(松野幸泰紹介)(第一四七一号)  同外九件(森喜朗紹介)(第一四七二号)  同外四件(渡辺栄一紹介)(第一四七三号)  同外八件(綿貫民輔紹介)(第一四七四号)  同外三件(木部佳昭紹介)(第一四七五号)  有線放送電話試験接続県外通話期限延長に  関する請願原茂紹介)(第一四七六号) は本委員会に付託された。     —————————————本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第二号)  逓信行政に関する件      ————◇—————
  2. 金子岩三

    金子委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗山礼行君。
  3. 栗山礼行

    栗山委員 きょうは大臣が参議院の本会議のほうに御出席されるということでございます。限られた時間でございまして、NHKに関連する問題だけを三点お尋ね申し上げまして、その他の問題は午後の一般の質疑で御質問をいたしてまいりたいと考えております。  先日の所管事項の御説明をお伺いいたしますと、郵政大臣は、電波法の一部を改正する法律案放送法の一部を改正する法律案については、引き続き検討いたしておる旨をお述べになったと承知をしておるのでございます。また、過般八百板委員の御質問についても、改正する方向目下検討を進めておるという御答弁をいただいたように解しておるわけでありますが、実際どういう検討をされておるのか、こういうことをきわめて率直にお伺いをいたしてまいりたいと思うわけであります。そのことは、改正案提出の時期などをいつをめどにされて御検討されておるかどうか、以上お答えをいただきたいと思うのであります。
  4. 井出一太郎

    井出国務大臣 栗山さんにお答えいたします。  先般、所管事項の御説明を申し上げました際に、放送法あるいは電波法、これにも触れたことは御承知のとおりであります。これは長年の懸案でございまして、昭和四十一年の第五十一国会提出をいたしました改正法案、これがそのままの形で今日まできております。すでに四年の歳月がたっておりまするので、この間に放送なり電波なりの事情もいろいろ変化がございますし、また、その行政分野というものは非常に広がっておると思うのでございます。したがいまして、これを中心にただいま郵政部内において鋭意検討中であります。  しからば、どういう骨子でどのような方向でというところまでは、まだ明確に煮詰まっておらないのでございます。私この衝に当たってみまして、もうあまり長いことほっておくわけにいくまいという感じで、鋭意いま検討中でございまして、したがいまして、その提出の時期ということも、明示申し上げるのにはもう少し御猶予をいただきたいと存じます。
  5. 栗山礼行

    栗山委員 そういたしますと、御承知のように昭和三十九年九月でございますか、臨時放送関係法制調査会答申が出てまいったと思うのでありますが、それを下敷きにされるという検討の中身であるか、もしくは、お説のようにその当時と相当情勢変化がございますから、そういう変化に対応しつつ検討を加えてお進めになるか、こういう点で御所見を伺ってまいりたいと思うわけであります。
  6. 井出一太郎

    井出国務大臣 三十九年に御熱心な検討の結果を答申におまとめになっておるのでございますから、これを尊重することはもとより当然でございます。したがいまして、これは一つの基盤にしなければならないと考えておりますが、先ほど申し上げましたように、その後の情勢変化は相当なものでございますから、この答申を踏まえまして、その後の新たな事情というものを勘案いたしまして、省内において関係係官を網羅した一つ機関をつくることも一案だろうと思いますが、いずれにもせよ答申を尊重しつつ、その後の変化に対応した検討をいたす、こういうことに考えております。
  7. 栗山礼行

    栗山委員 率直にお尋ね申し上げますが、可及的すみやかに委員会を設置されて御検討するという用意がおありかどうかということをお伺いいたしたい。
  8. 井出一太郎

    井出国務大臣 その委員会という意味は、省内における機関でございますが、この国会でも済みましたら、ひとつそれにあげて取りかかりたい、かように思っています。
  9. 栗山礼行

    栗山委員 私、過般できました財団法人東京ケーブルビジョンについて、要点だけちょっとお尋ね申し上げたいと思うのであります。  先日の郵政大臣の御説明も拝聴いたしたのでありますが、郵政省行政指導によって東京地区において有線テレビジョン業を営む財団法人設立されまして、その法人にはNHKも参加されておるとの御説明前田会長からございました。一体この法人はどういうものであるか、その目的、事業、資産、役員等について書類を拝見したのでありますけれども大臣の御意見伺いたいと思います。
  10. 井出一太郎

    井出国務大臣 少し専門的にもなりますので、電波監理局長がお答えいたします。
  11. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  財団法人東京ケーブルビジョンは去る一月十三日に設立を見たわけでございますが、御案内のように、NHKをはじめ民間放送関係、それから電電公社あるいは電子機械工業会といったところがメンバーになって財団法人をつくったわけでございまして、いわゆる都会におきますビル陰の難視聴を救済するということを主体にしてつくっているわけでございます。いまのところ、三年間におきまして救済の世帯数を約二万五千ぐらいを考えまして、鋭意準備を進めているわけでございます。  さしあたりは、新宿地区におきます問題がございます。と申しますのは、この財団法人発端となりましたのは、一昨年のメキシコオリンピックのときにおきまして、新宿地区においてある企業が、企業的にビル陰の難視聴を解消しようということを思いついたのが発端でございまして、東京におきましては、新宿のほかにいろいろございますけれども新宿の駅の前あたりが相当ビル陰難視聴であるということで、あそこを救済するためにそういったものができたというわけでございまして、現在は、そこを中心として事業を拡張しつつほかのところも救済する、そういうことでやっておるわけでございます。
  12. 栗山礼行

    栗山委員 今後は他の都市においても、東京をモデルにいたしまして、同じく公益法人設立を積極的に指導してまいる、こういうお説を承ったのでありますが、そういたしますと、他の都市での設立の進捗の状態といいますか、進行の状態をあわせて承りたいと思うわけでございます。  それから、もう一つNHK前田会長お尋ねを申し上げたいのであります。ちょっと記憶漏れいたしたのでありますが、NHK東京の新法人に御出資をされておるという御答弁があったようにお伺いしたと承知するわけでありますが、今後設立の予定されます他の都市法人にも、東京と同様に御出資をなさるかどうか、こういうことをお尋ね申し上げたい。そしてことし四十五年度の予算に、予算収支としてどのように計上されておるのか、これをお伺い申し上げたい。
  13. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  初めの御質問東京以外のところでございますが、これにつきましては、現在大阪、これは京都、神戸を含みますけれども大阪地区、それから名古屋地区、それから福岡地区といったところがいま準備を進めておるという段階でございまして、特に大阪におきましては、おそらく今月中、あるいはおそくても来月の初めには設立ができるものと思っております。
  14. 前田義徳

    前田参考人 私どもといたしましては、難視聴解消の一助になるわけでありますから、単に東京のみならず今後でき上がると予想される、当面大阪あるいは名古屋等についても、同じ方法をとりたいと思っております。  その予算は、東京については四十四年度予算大阪名古屋等については明年度予算に、一億円を計上しております。
  15. 栗山礼行

    栗山委員 これは大臣のいらっしゃる時間でということで、もう一点だけお尋ねをいたしてまいりたいのですが、NHK経営近代化計画というものが、非常に世界的な評価を受けておる、こういうふうな御意見をしばしば伺うわけなんですが、郵政省としてはどのような評価をされておりますか、これは大臣からちょっとお伺いを申し上げたいと思います。
  16. 井出一太郎

    井出国務大臣 NHK公共放送のにない手として、特に法に明記しておる使命がございます。その線に沿ってせっかく努力をされておるわけでございますが、私の聞いておる範囲におきましても、国際水準から見ても、技術的にもあるいはまたその機構の上から見ましても、非常に高い評価を受けておる、このように私も承知をいたしております。
  17. 栗山礼行

    栗山委員 前田会長にちょっとお伺いを申し上げます。  申すまでもないことでありますが、放送事業は近年飛躍的な発展を遂げてまいりまして、今後も社会のいわゆる技術革新の波に乗りまして、成長を持続的に続けていくであろうという信じ方をいたしておるわけでありますが、放送の持つ情報伝達機能は、その同時性即応性のもとに、その特徴を遺憾なく発揮いたしておると承知をいたしておるわけであります。また放送影響力は、社会を動かす一手段として大きな意味を持っておるとも解しております。  たとえば、昨年暮れの衆議院選挙におきまして、テレビ放送が初めて実施されまして高視聴率をあげた。また有権者にとって、候補者の選択に大いに役立ったとも評価をされておるのでございますが、他方また教育の面でも、放送を利用いたしました大学の設立構想が進められておるおりからでございます。私は、今日のNHK受信者総数一が二千万世帯を突破いたしまして、NHK国民に負う責任も飛躍的に増大をいたしてまいったと理解をいたしておるわけでありますが、NHK事業体規模もしたがって拡大いたしまして、受信料収入が四十年度が約七百億円でございましたが、四十五年を拝見いたしますと九百億近いものに相なっておろうかと思うのであります。   このようにNHK規模放送の持つ影響力増大と、NHKの重大な責任から考えまして、NHKの今後のあり方、将来に対するビジョンについて、会長の率直なお考えを承ってまいりたいと思います。
  18. 前田義徳

    前田参考人 御指摘のとおり、NHKは全国民と申しますか、世帯契約総数が、私ども考え方では、四十七年度末には二千四百万に達するという考え方を持っており、単に放送法上の責任のみならず、実際上の社会的責任がますます広がってくる、また、深くなってくるということを自覚いたしております。  私どもとしては、いわゆる放送メディアがこの期間にどの点まで発展するであろうか、また社会構造がどの点まで深まっていくであろうか、それからまた、単に日本放送という見地ばかりでなく、宇宙中継が茶飯事となった今日、世界放送社会と申しますか、その中でNHKはいかなる役割りを分担しなければならないかということを考えながら、さらに、これは私どもだけでは何ともなりませんが、放送使用される波がまだ残っているという現状において、その面でも将来これをNHKとしてはどう活用すべきか、このような点を十分勘案しながら、私どもとしてはいかなる発展、進歩あるいは変化にも対処し得る構造あるいは心がまえを固めてまいりたい、これが従来の第一次五カ年計画、第二次六カ年計画、現在の第三次五カ年構想を貫く精神でございまして、私どもはこの方向で万全を期してまいりたい、このように考えております。
  19. 栗山礼行

    栗山委員 少し具体的になりますが、NHK企業内部について効率的運営をしてまいらなくちゃならぬということについては、もうすでに進められておる段階でございますが、私は先日お招きを受けまして、NHK機械化現状について拝見をさせていただきました。コンピューターを取り入れました経営近代化計画の基本的な考え方ですね、これについて端的にちょっとお伺いいたしたい。
  20. 前田義徳

    前田参考人 この考え方実行に移そうという決心をした理由としては二つございます。一つは、過去におけるNHKの体質と人員構成の問題です。二つは、ただいま申し上げましたように将来の展望に立って、NHK活動能力をいかに実効あるようにすべきかという点でございます。  第一点については、昭和三十年に至るまでの、いわゆるラジオを中心とする仕事の中で当時すでに六千名をこえる職員の数がございました。その時点に立って将来を展望したとき、今日すでにおわかりのように、テレビジョンにおいて二つの系統、さらに中波においても第二放送が拡充充実され、その上にFM放送が実際上のわれわれの放送メディアとして全国網をつくっているわけでありますが、さらに国際放送の面で考えましても、三十年当時の国際放送というものはまことに微々たるものでございました。おそらく今日の三分の一の規模国際放送でございます。そういう環境をしさいに検討した上で、将来のあらゆる需要と申しますか、社会的要請に応ずるためには、効果ある経営効率の上に立っていかなる社会的発展にも応じ得る方法というわけで、三十五年ころからこの機械化検討し、第二次六カ年計画の六カ年間に、一応これをオンラインシステムとして完成したわけでございます。
  21. 栗山礼行

    栗山委員 関連いたしまして、お説のような経営近代化にかけていらっしゃる経費というものは、大まかにどの程度これを投入されておるか。率直に申し上げまして、メリットはどの程度見ることができるか。
  22. 前田義徳

    前田参考人 第二次六カ年計画のスタートからこの問題と現実に取り組んだわけでありますが、昭和四十二年度末までに第二次六カ年計画は完成したわけで、この期間におけるすなわち近代化機械の面でのみ申し上げますと、それに使った金は大体十九億円強であります。その後第三次構想の初年度におきましては、大体五億から六億の間でございます。いま御審議願っております明年度予算の中では、それが十億を少しこえております。  この効果はどうであったか。この測定は、いろいろな意味測定の基礎を考えなければなりませんが、一番簡単な方法としては、これも私どもあまり好ましくない比喩でございますが、機械が人手を省いたという点では、明年度予算におきましては十億を投資しながら、おおよそ四十二億ないし四十五億の効率をあげるということになると思います。これは第二次六カ年計画六年間の効率としては、機械化が徐々に行なわれてきたわけでありますから、その効率は、ただいま申し上げたものよりも多少低いかと思いますが、大体効率というのは、数字に換算して換算しやすい面を取りり上げますと、いま申し述べたとおりでございます。
  23. 栗山礼行

    栗山委員 いわゆる頭脳産業の典型であると世上で理解をいたしております番組制作部門コンピューターを導入されましたわけでございますが、これを導入されましたことによっての弊害の面がないかどうか。それから、番組を制作するのは、私はあくまで人であると理解をいたしておるのであります。したがって、機械に振り回されておるというような傾向はないかどうか。特に、創作活動に役立っているかどうか、こういう点をお伺い申し上げたいと思うのです。
  24. 前田義徳

    前田参考人 番組システム並びに技術システムは、世界放送事業界では最初の新しい考案の実行であります。これは四十四年度に、今年度に使用を始めたわけでございまして、ただいまの御質問要点は、このシステムが、番組システム並びに技術システム番組そのものを制作しているのではないという点とも関連いたすかと思いますが、これは要するに編集、送出の自動化という点で使われているわけでありまして、個々の番組自体については、従来どおりのスタッフの知能を集めて計画し、取材し、制作する、それを機械に入れるという段取りでございますので、私どもとしては、そのような御懸念はないと考えております。  ただ、移行時期において、人間のフィーリングが機械使用に反発を感ずるという時期があり得ると思いますが、これは、本質的には番組制作そのものとの関連ではないと申し上げたいと思います。
  25. 栗山礼行

    栗山委員 もう一点お尋ねしたいわけでありますが、創作活動影響がございませんか。
  26. 前田義徳

    前田参考人 私どもはないと確信いたしております。
  27. 栗山礼行

    栗山委員 いろいろお説を伺ったのでありますが、今後のNHK経営を推進されます上について、新たなる構想を持っていらっしゃるかどうか、これが一点であります。  二点は、ちょっとお聞きいたしたいのでありますが、情報産業分野についてどのように会長は御解釈をされておるか。これは電電公社が、データ通信についていろいろ構想を推し進めていらっしゃるのでありますけれども、この点についてNHKとしてはどういうお考えをお持ちになっていらっしゃるか。
  28. 前田義徳

    前田参考人 当面、今後三年間の構想といたしましては、NHKのよりコンパクトな経営を開始いたしたい。そのためには、現在田村町と渋谷に分かれている二つ放送機構一つにまとめたい。その意味で、御審議いただいております明年度予算の中でも建設計画の中で、このための費用として二十六億円を計上いたしております。これは四十七年度末に完成いたしたい。それによって、そのころに始まるかもしれない新たな需要に即応するいろいろな設備対策を、それまでにいわゆる先行投資の形で準備したい、こういうように考えております。  お尋ねの第二の点につきましては、これは私見になるかもしれませんが、NHKとしては、この情報化時代においても、その本旨とする活動根本方針は、その中の放送部分であるということを堅持すべきであると考えております。今日、情報社会ないし情報産業ということがきわめて当然のようにいわれておりますが、まだこの定義について、あるいはその中身の分析についてはなはだ未熟なところがあるのではないか。施設の面では一種のハードウエアでありますが、問題は中身の問題でありまして、その点についても、NHKは本来の業務と責任方向でこの新しい社会の開発にこたえ、かつ協力してまいりたい、このように考えております。
  29. 栗山礼行

    栗山委員 最近、御承知のように国際間の交流が一そうひんぱんに進んでまいったのでありますが、NHKの海外との交流、それからニュース番組等の交換は、どのように実施されておるのか、お伺いいたしたいと思います。
  30. 川上行蔵

    ○川上参考人 お答え申し上げます。  海外との番組交流につきましては、おおよそ三つの方向があって、それに基づいていまやっております。  一つは、今日すでに世界的に普及いたしましたインテルサットを利用した衛星中継であります。これはおもに即時性ということが中心になりますので、ニュースのやりとりというようなことが中心になろうかと思います。  それから二番目に、番組の交流という関係におきまして各国とお互いに番組を交流し合うということでございますが、この態様は三つに分けて考えております。一つは、共産圏でございます。これはいろいろな外貨事情そのほかがございまして、もっぱら共産圏の国々とは交換をする、一種のバーター的な考え番組を交換をする。それから、欧米関係の国は自由市場でございますので、番組の売買という形で行なっております。三番目のアジア、アフリカ諸国は、まだテレビが未開発の国でございますので、もっぱらそういう国には、一種の援助的な意味も含めまして、番組を提供するとかあるいは実費で差し上げるという形をとっております。  それから三番目には、番組の協定をいたして、そうしてできるだけ番組の交流を促進しようという関係。これは、いま第二番目で申し上げました自由圏はもっぱら売買でございますが、この番組協定はもっぱら共産圏が主になっていたしておりまして、それは定期的にニュースを交流するとか、そういうふうな形をとりながら、共産圏とのそういう番組の交流もいたしております。  ただ、問題の一番大きな分野は、二番目に申し上げました番組の交流、特に欧米圏各国との売買、あるいは将来共産圏との売買をもっと促進する、このような方向かと存じます。
  31. 栗山礼行

    栗山委員 二番目は、NHK日本ショーというのをお設けになりまして、学校の放送番組、教育番組の向上に専意努力をされてまいっておるのでありますが、海外に系統的に教育番組を提供するという考え方がおありかどうか。
  32. 前田義徳

    前田参考人 私どもは、実は七年前からアジア放送連合というのを結成いたしておりまして、NHKは過去六年間その会長というポストを持っております。このアジア放送連合の参加国は、アジア諸国においてはわが国をも含めて二十三カ国、それから、欧米のいわゆるアソシエートメンバーとしては三十六カ国ございます。合計五十九カ国でございます。  このうち、私どものアジア放送連合の主たる目標は、アジアの文化的交流と教育的相互援助ということが目標でありまして、第一回の総会以来昨年まで六回の総会を開いておりますが、その議決の主たるものは、こういう発展途上国に対する義務教育、基本的教育の向上のためにアジア放送連合が一つの特別の方策をつくるべきである、それはアジアの放送衛星を打ち上げることによってこれら二十三カ国の教育の興隆、しかも二十二カ国は大体発展途上の国でありますので、その義務教育の基礎を与える番組を供給してもらいたいという要望でございます。私としては、会長として、これにこたえたいという熱意を持っているわけでございます。
  33. 栗山礼行

    栗山委員 次に、海外への技術協力の問題また海外からの研修の委託は、どのような現状に相なっておるかということをお伺いいたしたい。
  34. 前田義徳

    前田参考人 海外の技術協力につきましては、コロンボ計画及び海外技術協力協会及び二国間の関係で、過去十年余にわたって積極的な協力をしてまいってきております。たとえばスペインからアラブ連合、イランの線、さらに東南アジアで申しますとインドネシア、シンガポール、マレーシア、パキスタン等のテレビ局の開設とその技術協力は、主としてNHKがコロンボ計画の代行者として実行してまいっており、たとえばカンボジア等においても、今日NHKのスタッフが依然として協力いたしておりますし、パキスタンにおいても、番組関係、技術関係が連続して常駐いたしております。中南米においてもほぼ同様な経過をたどっており、先進国でも、たとえばカナダのモントリオールの万国博開催直前には、カナダ放送局の要請に応じて、カラーテレビジョンの実施の計画とその技術操作を指導しております。  それからまた、そういう要員の研修につきましては、NHKは中央研修所を持っており、ユネスコの委嘱と、いま申し上げたコロンボ計画等による委嘱並びに二国間の委嘱に応じて、定期的に今日もなおこれらの国々の放送関係スタッフの研修を行なっております。
  35. 栗山礼行

    栗山委員 NHKは、国際交流のためにNHKインターナショナルを設置をなさっておるとお聞きをいたしておるわけでありますが、これはどのような活動を主としてされておるか、これもひとつお伺いをいたしてまいりたいと思うわけであります。  第二点は、放送文化の海外への提供は、私は、特に東南アジアの後進国に対する提供は、日本国の援助計画の一環として考えるべきものではなかろうか、こういうとらえ方をいたしておるのですが、今後もっと積極的に実施を望みたい、こういう考え方でございますが、この点について会長はどのようにお考えになっておるか、承ってまいりたいと思います。
  36. 川上行蔵

    ○川上参考人 NHKインターナショナルは、四十二年の九月に設立いたしまして、海外に番組を有償頒布するという形をとっております。ただその中に、先ほど申し上げましたように教育番組ライブラリーというのが日本ショーを契機といたしまして設立されております。その中で、特にいまお話のありました東南アジア各国へのそういう教育番組をできるだけ安く、実費程度で提供していくという形を加えておりまして、いままでの実績を申し上げますと、四十二年度はまだ開設早々で、ほとんど金額的に申し上げる点はございませんけれども、四十三年度ではおよそ三千五百万円売り上げをいたしております。四十四年度はまだ月末の清算が終わっておりませんけれども、およそ五千九百万を見込んでおる、このように急激に増加をいたしております。これがインターナショナルのあれでございます。  それから、いま海外援助ということについてお話がございましたが、これは先ほど会長が申し上げましたように、東南アジア各国を特に重視いたしまして、海外放送におきましても東南アジア方面の放送を重視すると同時に、東南アジア各国の教育関係番組を制作する関係の人たちの養成、これにつきましては全面的に協力をいたしております。それから同時に、いま申し上げましたようにインターナショナルを通じまして教育関係の番組をできるだけ海外、特に東海アジア各国の教育体系の中に入れてもらえるような形で便宜を提供いたしております。これがおもなところでございます。
  37. 栗山礼行

    栗山委員 いわゆる衛星を利用されました番組の提供でございますが、これはどういうふうに考えておいでになるか。  それから、もう一つは地域衛星のことでございますが、各国との地域衛星の問題についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、あわせてお伺いいたしたい。  それから、特に会長にお伺いいたしたいのですが、放送衛星の将来についてどうお考えになっていらっしゃるか、まあ言うなら一つビジョンといいますか、そういった考え方を承ってまいりたいと考えております。
  38. 前田義徳

    前田参考人 現在の放送宇宙中継を利用する限度は、私どもNHKとしては、主としてニュースの交換ということを基本的目標にいたしております。ただし、国際的連帯感の上に立って、各国の要請があれば、それ以外のものも宇宙中継するという第二義的なたてまえもあわせて堅持いたしております。万博の開会式の場合でも、現実に直接中継した国は七カ国があり、さらにVTRによる中継も、ヨーロッパ諸国のほとんど全部に行き渡っております。  第二に、地域衛星の問題については、私は過去七年間、日本も地域衛星を持つべきであるという考え方を持って今日に至っております。いわゆる商業衛星は、これは東南アジアとの連帯という実質的な立場に立つときには、かなり各国の負担が大きくなる。と申しますのは、簡単に言って、放送ばかりでなく、電信電話を中心として放送を第三の目標としているわけでありますから、そのコスト計算からいっても、現在の宇宙中継の方式はかなり高額である。これについては先進国、日本を含めヨーロッパ諸国も、その低減を連続して要望しているわけであります。いわんや開発途上の国においては、これらを常時教育のために使用するということは不可能だと思います。そういう意味で、アジア放送連合の過去約七カ年にわたる要請もあり、私自身もそのように考えておりますので、願わくは政府及び関係方面においても、次に打ち上げ得る可能性がありとせば、その地域衛星は、まず放送衛星であるべきだという考え方を持っております。
  39. 栗山礼行

    栗山委員 もう二点だけお伺いをいたします。  テレビの共同受信設備について、担当の局長さんからでけっこうでございますが、お聞きをいたしたいと思います。僻地におきますテレビの共同受信施設については、私の承知いたします範囲内では、昭和四十四年度から従来の助成方式を改められまして、NHKがみずから基幹設備を設置され、そして受信者の利用に供するということをシステム化された、こういうふうに承っておるわけでありますが、昭和四十四年度の設置数はどれくらいになっておるか、また対象世帯数はどれくらいになるのか、次年度の計画はどういう計画内容を持っておるかということが一点であります。  二点は、昭和四十四年度以前につくられましたいわゆる受信者の自己設置についてであります。これについてはどういう施策を考えておいでになるか。たとえば、逐次NHKの施設に切りかえていくつもりであるか、また老朽施設の改修には助成等でこれを補っていくつもりであるかどうか、この点の御見解を承っておきたい。
  40. 小野吉郎

    ○小野参考人 四十四年度の実施件数は六百五十件でございます。これの対象世帯、すなわち難視聴改善世帯は三万八千世帯ということに相なります。四十五年度におきましては八百施設を予定いたしておりまして、それに必要な予算を計上しておりますが、これによって改善される世帯の数は四万八千世帯、このように考えております。  また、共聴施設に対する基本方針を変えました以前のものにつきましては、これがやはり非常に老朽化しまして役に立たないというような状況になれば、ただいまの新設と同様な措置によって考えてまいりたい、このように考えております。
  41. 栗山礼行

    栗山委員 受信料の問題でございますが、四十五年度から基地周辺の免除範囲を拡大される方向でお運びのように承知をいたしておりますが、私の聞き違いかも存じませんけれども、羽田、伊丹の民間国際空港の周辺については、今度の拡大対象の中に入っておらないやに見るわけなんでありますが、これは一体どういう理由に基づくのか。特に、最近万博等を通じましてジャンボのジェット機時代になり、すでに日本に入っておる。こういう点を考慮いたしますと、羽田等々の問題について少し考え方を新たにしてお取り組みを願わなくちゃならないのではないかと私は考えるのでありますが、これについてどのように理解をされておるか。  それからもう一点は、免除範囲は確かに拡大をされまして非常にけっこうなわけでありますけれども、この程度の拡大範囲ということになりますと、英国とかフランスとか諸外国と比較いたしまして、一体幅が広いのか狭いのか、こういう考え方について率直にひとつお伺いをいたしたい。
  42. 小野吉郎

    ○小野参考人 前段の御質問でございますけれども、基地と民間航空場につきましては、基本的の考え方は同様でございますけれども、現実の取り扱いはやや異なっております。と申しますのは、責任の所在は原因者が負うべきである、こういう点につきましては、基地につきましても民間航空場につきましても同様に考えておりますけれども、基地の関係につきましては、諸般の事情もございまして、これは免除基準による受信料免除措置を講じております民間航空場の関係につきましては、責任者もはっきりいたしておりますし、いわゆる営業行為であります旅客飛行によって起きる問題でございますので、これはどこまでも航空会社あるいは航空場管理者、この辺においていずれも責任を負われるべきものと考えておりますので、免除基準の扱いとしては、基地同様に取り扱っておりません。  さて、それかといって、そのままではなかなか問題も解決をいたしませんので、航空会社とNHKと共同で航空公害防止協会、こういうものをつくりまして、大体比率は半々の経費の持ち出しによりまして、現在受信者の方々に対する措置はいたしておりますが、これはいわゆる放送法規定せられた免除基準上の措置としてではなくて、現実の扱いとしてそのような措置をいたしております。  現在基地関係並びに民間航空ともにその救済の対象になりますものは、横一キロ、滑走路に伴いました方向が二キロと、こういうことでございますが、基地関係につきましては、縦のほうを五キロに拡大をいたしました。民間航空場につきましては大体一キロ、二キロ、こういう基準でまいっておりますが、基地の面に対する拡大によって何がしかの影響がないとは申せないと思います。現実の状況は、一キロ、二キロで計算をいたしますと、東京で一万二千件でございます。大阪におきましては二万二千件でございますけれども実行上の措置といたしましては、東京の関係につきましても、明年度予想される件数は一万六千百件でございます。大阪につきましては、万博に備えますB滑走路の新設によりまして、この点に対する配意もいたし、また地域の面で厳格に一キロ、二キロで区切り得ない実情もございますので、現実の措置といたしましては、広いところでは五キロの範囲まで現実に措置をいたしておりますので、ただいま申し上げましたような一キロ、二キロで二万二千の件数は、明年度は四万五千六百件、こういうように考えております。  基地拡大に伴う影響につきましては、東京の羽田空港につきましては、おおむね海上へ向けて離着陸しておりますので、さしたる影響はないと思います。大阪につきましては、多少の影響はあろうかと思いますけれども、現在のように実行措置といたしまして一キロ、二キロでぴしゃっと切っておりませんで、場合によれば三キロあるいは四一キロ、五キロのところまで実行上はやっておりますので、件数もそれだけ伸びております。多少またそれでも問題はあろうかとも思いますけれども、この措置は、先ほど申し上げました航空公害防止協会の面の仕事といたしまして、問題があれば考慮しなければならないのではないか、かように考えております。  第二点の受信料の免除の外国との比較でございますけれども、これは数字上でそのままは比較しかねると思います。いわゆるラジオ、テレビの普及の度合い、こういうものも違いますし、また、いろいろ国情も違っております。どこの国も、社会保障的な施設あるいは身体障害者、教育機関、こういったものにつきまして免除措置をとっておりますことは、おおむね軌を一にしております。ただしその点につきましても、社会保障の度合いが国によって違っております。欧米のヨーロッパの先進国におきましては、非常にそういう社会保障施設という政策が進んでおりますので、そういった面もありましょうが、件数といたしましては、おおよそ似たようなところにあるように考えますし、また、免除の対象もおおよそ似通っております。  ただ、日本の特殊の状況といたしましては、先ほどもございました基地の関係がございます。この関係は日本特有の問題でございましょうし、また、ヨーロッパ方面にも基地のあるところもございますけれども、おおむねそれは周辺にそのような世帯があまりないというようなことでございますし、民間航空場につきましても、日本のような居住者の多い周辺にはおおむねないようでございまして、この点は日本特有の措置と考えております。
  43. 栗山礼行

    栗山委員 時間が参りまして、まだ少しお聞きをいたしたいという問題を残しておるのでありますけれども、後日の機会に承ることにいたしまして、私の質問を終わることにいたします。
  44. 金子岩三

    金子委員長 土橋一吉君。
  45. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、前田会長お尋ねを申し上げたと思います。  よく会長も御承知のように、放送事業に関係をする多くの労働者、あるいは下請関係に働いておられる多くの勤労者、並びに放送局の幹部の皆さんがいろいろ奮闘されておりますが、特に労働者の待遇改善については、申すまでもなくまことに重大な問題だと考えております。今日まで放送事業をささえてこられた多くの勤労者の皆さん、この会場にはお出ましになっておりませんが、その多くの勤労者の皆さんと、また放送局の将来について、たいへん多くの国民が関心を持っておるわけであります。こういう皆さんに対して、私は敬意を表しながら会長お尋ねを申し上げたいと思います。  会長も御承知と思いますが、放送法の第四十四条の規定の特に国内放送番組については、厳正な法律の規定によって行なうことが規定されております。特にその第三項の規定を読み上げまするならば、「協会は、国内放送放送番組の編集に当っては、左の各号の定めるところによらなければならない。」一つ、「公安及び善良な風俗を害しないこと。」二、「政治的に公平であること。」第三番目に、「報道は事実をまげないですること。」第四番目に、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」こういうふうに明示して、いわゆる国内放送番組の編成あるいは取り扱い方について厳重に規制をいたしております。  そこで、昨年の選挙におきまして日本放送協会が国内番組としていろいろお取り上げになりました政党の取り扱いについて、特に公正であってもらいたい、公平であってもらいたいということは常々わが党が申し入れを行なってまいりました。このことはすでに御承知と存じます。この点について日本放送協会としては、番組の編成などについて相当改善をされておられる向きもわれわれは承知いたしております。しかしながら、昨年の総選挙における二党間の討論などにおきまして、まだまだ改善する余地があったではなかろうか、かように考えるのであります。特にこの二党間の討論では、わが党が要望したような各党総当たりの体制をとるためには、どうしても改善をしていただかなければならぬと思うのであります。わが党に対する他党による批判、中傷に対して、やはり反論の機会を与えるということは、この放送法の第三項の内容から見ましても、また第二項の規定から見ましても、きわめて至当な要求であると私も考えておるのでありますが、今後ともそのような不公平な問題が起こらないように、さらに一そうその取り扱いあるいは番組の編成などにあたりまして改善をしていただきたいと思うのでありますが、前田会長は改善をする意思を持っておられるかどうか、率直に、簡単にお答えを願いたいと思います。
  46. 前田義徳

    前田参考人 御指摘のとおり、放送法四十四条の四項目は、私どもにとっては編集上の事実上の基本的方針の基礎となるものでございます。したがいまして、私どもとしては全力をあげてこの規制に沿うように、ことばを変えて申し上げれば、われわれの放送がいかなる意味においてもこの四十四条各項に違反しないように、全力をあげて努力しているわけであります。  昨年の総選挙と関連して土橋委員の御指摘の点があったとすれば、われわれとしては今後改善の方向に努力いたしたい、このように考えております。
  47. 土橋一吉

    ○土橋委員 続いて前田会長お尋ねを申し上げますが、放送法の第九条において、日本放送協会が行なう業務の内容は明確に規定をされております。この内容の中にはいろいろございますが、おもに国内放送、国外放送、さらにこの内訳をするならば、教育放送とか教養放送とか、あるいは娯楽番組放送などを実施をして調和をとるということを規定いたしております。  そこで私は、ごく最近、放送番組センターというのが新聞その他の出版物においていろいろ説明されておりますが、この放送番組センターというのは一体どういう性格と、またどういう内容を今後実施しようとしているのか。聞くところによりますと、前田会長自身もこの放送番組センターの副会長をしていらっしゃるというふうに承っておりますが、この法人が将来何をしようとしているのか、またどういう計画あるいは資金などによってまかなっておるか、将来日本放送協会に対しましてどういう影響を及ぼすのか、あるいは民放関係の放送営業者に対してもどういう影響を持とうとしておるのか、こう言う点についてごく簡単に明瞭に、性格、資金、またどういう目的で会長がお入りになっておるのかというような点についてお答えを願いたいと思います。
  48. 前田義徳

    前田参考人 お説のとおり、私はこの番組センターの四人の副会長のうちの一人でございます。したがいまして、この番組センターは独立した機構でございまして、NHKの立場は、これに協力するという立場でございます。  その協力の方法としては、まず資金の面でございますが、NHKは四十二年度に五千万円、四十三年度に五千万円、四十四年度の予算では三億円を予定いたしております。  放送番組センターの運営とその目標については、私ども考え方が全部を占めるわけではございませんので、以上の点で御理解いただければ幸いだと存じます。
  49. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、日本放送協会がこの法律の規定によりまして設立をされまして以来、先ほど申し上げましたように、一定の成果をあげつつある中において、特に日本放送協会は全国民を対象とする聴視料を基本として財政をまかなって、しかも、自主独立の体制をとっておると考えております。もちろん、他の営業放送業者とかあるいは諸外国のそれぞれの関係方面とは深いつながりを持たなければならぬのでありますが、ここにあらわれている放送番組センターというのは、御承知のように会長さんが石坂泰三さんという方でございまして、しかも前田会長がお入りになっておる。あるいはその他民放関係の幹部の方々がお入りになっておる。そして資金が、いまお話になったように、今年度予算でも三億程度見込んでおられると思いますが、すでに日本放送協会からは七億円の資金を投入し、なおかつ電気機器関係などの業者からも資金を入れ、民放からも入れておると承っております。  そうすれば、この放送番組センターなるものは日本放送協会の上にあって、放送番組の指導あるいは番組内容についてとやかく言うというようなことになるならばたいへんで、これは日本放送協会の独立性と自主性に対してどういう関係を持っておるのか。またこの法人が、とかく戦争中にも御承知のようにたいへんな間違いをいたしたわけであります。またまたこういうふうに業者あるいは特に財界の大御所ともいわれておる石坂泰三さんなどがお入りになって、一体何をしようとしておるのか、これは非常に私たちは疑惑を抱かざるを得ないのであります。この法人財団法人であるのか社団法人であるのか、またどういう定款を持っておるのか、そのほか具体的に、役員はどういう方々がおられるか、こういう点について、すみやかに本委員会に資料を提出されましてこの実態を明確にされなければ、私は非常に危険な方向に向かうではないか、かように考えざるを得ないのであります。  御承知のように、最近、たとえば学問と軍事体制をともにする軍学協同体制であるとか、あるいはまた産業と学校関係をともにするというような産学協同体制であるとか、あるいはいまあらわれておりますように財界と放送界、つまり財放一体化のそういう方向は、まさに佐藤自民党政府の政策は危険な方向に向かっておることはよく御承知のことだと存じます。特に、日米安全保障条約の継続延長をはじめといたしまして、佐藤・ニクソン共同声明によるこの内容などは、まさに危険と言わなければなりません。また沖繩返還問題につきましても、いろいろな問題をかもしておることは御承知のとおりであります。きょうの新聞でも、中曽根防衛庁長官は御承知のような発表をいたされております。これは御承知のように、憲法第九条の違反であるばかりではない、これはアジア諸国に対しましても非常に危険な日本状態を示すものと考えておりますが、そういう点について、前田会長の簡単な所信を披瀝していただきたいと思います。
  50. 前田義徳

    前田参考人 NHK会長として、NHK事業責任者という限度並びに前田義徳という限度でお答え申し上げたいと思います。  私の主たる任務は、NHK事業放送法の原則に従って、できるだけ完全な形で聴視者との結びつきを完成いたしたいというところに集中されるわけでございます。  これと関連して番組センターの問題については、私は、先ほど申し上げたように四人の副会長の一人として就任しており、番組向上に役立つ限度において御協力申し上げているという限界でございます。したがいまして、その問題の御質問の全部に答える資格はございませんし、また、私としてもお答え申し上ぐべき立場にないというように考えます。  その他政治的な問題についての見解については、私の立場は、先ほど御指摘されたごとく政治的に公平の原則に従って番組を編集するという点に集中されますので、一般的見解は私としてはお許しいただきたい、このように考えます。
  51. 土橋一吉

    ○土橋委員 先ほどお答えをお願いしたわけです。が、この法人は営利法人でございましょうか。それとも公益を中心とする、いわゆる公益法人でございましょうか。あるいは社団法人でございましょうか。こういう点が、特にこの法律でもすでにおわかりになりますように、放送協会の幹部は兼職など固く禁じておるわけです。特に会長あるいは理事などは営利会社とともに身分を同じゅうすることを許してはいません。それほど厳重な規定を持っておるところへ、この放送番組センターと称するものが、いま申し上げまするようなにおいが非常に強いわけでございまして、そういうところへ公益法人中の公益法人ともいわれる会長などが副会長でおさまるというようなことについては、非常に疑惑を招く点がございます。  ですから私は、あなたの今日まで努力せられました偉大な実績の上から考えても、なるほど石坂泰三さんは、私どももいろいろ承っておりますが、これは財界人で、こういう財界人が中心となってやっておるこういう機関に、あるいはそういう組織にあなたがお入りになっていることに対して、私は非常に遺憾なことだと思うわけです。特に日本放送協会は、石坂泰三さんはどういう方かは私は詳しくは存じませんけれども、少なくとも日本放送協会はこういう問題について、ただおつき合いだから、ほかの業者もやっておるから、一丁入ってなければ権威がつかないというようなことでもしお入りになったとするならば、これは心得違いではなかろうかというふうに私は考えておりますので、重ねてそういう点を簡単に答えていただきまして、資料がございましたらばそういうものを出していただきたい。  もう一つの点は、あなたのほうで特に国内放送番組審議会をおつくりになって、そしていろいろな方々に御奮闘願っておるわけですが、この中央審議会は委員十五名以上、地方審議会委員はそれぞれ七名以上をもって構成するというふうに書いてありますが、この中央審議会と大阪地方のその審議会の委員の名簿とその略歴を、本委員会提出して私にいただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。ちょっと簡単に答えてください。
  52. 藤木栄

    藤木政府委員 郵政省の立場としまして、一言だけお答え申し上げます。  放送番組センターは、郵政大臣が認可いたしました財団法人でございます。その目的は、「教育、教養番組の企画、制作、管理および配給などの事業を行なうことにより、一般放送事業者の教育、教養番組のいっそうの充実、向上をはかり、わが国放送事業の伸展と教育の振興、文化の発展に寄与すること」を目的として設立されたものでございまして、詳しい資料は、私どものほうから提出いたしたいと思います。
  53. 土橋一吉

    ○土橋委員 いまのお答えでございますと、郵政大臣が認可をしたということを仰せになりましたのですが、この番組センターというものは、財界からもいろいろ話はございますけれども、特に業界の諸君が相当の金を拠出するというようなこともうわさされておるわけであります。約三十億円くらい近々のうちに資金を調達しようという。そうすれば、私が先ほど申し上げましたように、まことに危険な内容を持っていると認めても差しつかえないではないか。特にこういうものを郵政大臣は認可したということですが、いま申し上げましたような内容から見て、あなたは懸念がないと考えて認可したのかどうか、郵政大臣に簡単に答えていただきたいと思います。
  54. 井出一太郎

    井出国務大臣 番組センターは、御案内のようにNHKも含めた放送事業者が中心になっておるわけでございまして、それぞれの拠出金といいますか、出損金はございますが、いまの財界からの巨額なものが導入されるというふうなことは、私まだ承知をしておりません。
  55. 土橋一吉

    ○土橋委員 これは日米安全保障条約に基づくアメリカ合衆国と日本国との間において、教育、文化に関するいろいろな会議を開いたことは皆さん御承知のとおりであります。そういう中から、これがアメリカの放送内容を日本に入れるという目的を持っておったということ、またアメリカの公の会合において、アメリカのいろいろなものが日本に定着をしたというような発言をしていることも私どもは承っております。したがって、日米安全保障条約を中心とする教育、文化の面からこれが生まれておるということは、すでにもう先ほどの一言の発言の中にもあらわれておるわけです。この日米安全保障条約は、ことしの六月二十二日で十年の固定期限が終了するわけであります。この条約は、百害あって一利ないものとわれわれは考えておるわけです。でありますから、私はいま申し上げましたように、この放送番組センターが立案しておるいろいろなものについても、国民から多くの疑惑と疑問を抱かれていることは、うすうすでありましょうけれども郵政大臣も御承知だと思うわけです。でありますから、こういう問題について厳重に今後とも私たちはこの成り行きを注視すると同時に、やはり郵政省においては、この問題を十分監督いたしませんと、えらいことになってくるというような気配がするから質問したわけでございます。  続いて、私は郵政大臣お尋ねをしたいのでございますが、日本放送協会の最高幹部であるところの経営委員会というのがございます。この経営委員会は、十三条の規定から二十三条まで多くの条文によって規制をされ、その内容がきわめて明確にされております。  そこで、私は端的にお願いをしたいのですが、日本放送協会提出をされました四十五年度における収支とか、営業内容とか、資金計画と同時に、ここに経営委員会のメンバーの方々のお名前とその略歴を書いてございます。ところがこの委員の任命は、御承知のように第十六条の規定によれば、「委員は、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。この場合において、その選任については、教育、文化、科学、産業その他の各分野が公平に代表されることを考慮しなければならない。」こういうふうに明確に規定をいたしております。  ところが、この委員のメンバーを拝見いたしますと、ここに十二名おられますが、たとえば太田さんとか、桜内さんとか、あるいはまた赤羽さんというような方々は、地域別にはなるほど構成されておる。別表によってできておるけれども、これはそれぞれ九州電力あるいは中国電力、そういうような、あるいは網島さんの場合もそうでございますが、住友系の会社の社長さんでございます。この規定を読めば、分けましたブロックごとに、少なくともここに書いてある教育界を代表するような人、文化、そういう面を代表する人、科学、産業、そういう面を代表する人、そのほかにだれでも考えることは、労働界あるいは中小企業のそういう方々、あるいはそういう業種別の分け方でなくても、たとえば主婦あるいは青年、こういう者がどうしてもこの経営委員会に入らなければつじつまが合わないようになっておるわけです。  ところが郵政大臣、あなたのほうの、ごらんくださってわかるように、ここに書いてある方々はそういうことを全く無視をした委員の選出を内閣総理大臣がしておりますが、郵政大臣責任はどうでしょうか。どうお考えになっておるのか。
  56. 井出一太郎

    井出国務大臣 いま十六条を読まれまして土橋さん御指摘がございましたが、公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する方々を所定の手続で任命を申し上げる、こういうことに相なっておるわけでございまして、総合的にこれをながめてみますると、必ずしも各分野に結びつけることはあるいは困難かもしれませんが、教育なり文化なり科学なり産業なり、こういうものを公正妥当にながめ得る方々を人選した、こういうふうに御理解を願いたいと思います。
  57. 土橋一吉

    ○土橋委員 たとえば、これは法律の規定にもございますが、最後の工藤さんという方は毎日新聞社相談役となっておるわけです。これは、この放送法規定によりますと、十六条四項六号の規定から見ると、この規定に違反する疑いが非常に顕著にあるわけです。つまり、こういう同種の業界からやってはならないということは厳重に規定してあるわけです。こういう点から考えましても、いま郵政大臣は公平だということをおっしゃったようですが、私はそうじゃないじゃないかと思います。十二名いるうち八名は、各地域別にそれぞれ、ここに書いてありますように各界を代表し、あるいはここに書いてなくても、各界を代表する人物だと思われるような、そういう人を任命しなければならないというふうに書いてあるわけです。ところが、この中には実業界の方が、住友の社長さん、それから粟村製作所の会長さん、中国電力、そして九州電力、こういうふうに実業界を代表する方が四名もおられるわけです。これはどういうふうに答弁されるのでしょうか、簡単にお聞きしたい。それでも公平だというのか。     〔委員長退席、内海(英)委員長代理着席〕
  58. 野田誠二郎

    ○野田政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま御質疑のございました第一点の工藤経営委員につきまして、毎日新聞の相談役である、こういうことから、放送法第十六条違反ではないかという御趣旨の御質問があったのでございますが、相談役の職務、権限等にかんがみまして、郵政省としましてこれがこの法律に抵触する、このようには解釈をしていない次第でございます。
  59. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、日本放送協会が自主独立的な、不偏不党で、しかも真実を伝え、なおかつ自律的であるという放送法の基本的な理念、法律がきめた基本的な態度からこれを申し上げているのであって、単に郵政大臣をどうしようとか、会長さんをどうしようということで申し上げておるのじゃないのであります。特に、放送事業国民全体に至大の関係を持っておるし、国民大衆がこのすこやかな発展を願っておるわけです。そういう観点から、最高の機関である経営委員会の構成について、いささかも国民大衆から質疑が出たり疑惑を招くようなことは、特に法律の規定に明文化しておるような内容については、率直に間違ったものは間違ったものとしてやっていただきたいということを私はお願いをしておるのであって、決してこの場においてどうこうというとことを言うわけじゃないのです。この点はよく了解してもらいたいと思います。疑いがないと言うならば、たとえば十六条二項の規定はどういうふうに疑いがないのか。やはりこれは、先ほども申し上げますように最高の機関でありますだけに、この決定するところは前田会長さんもさからうことはできないわけです。理事の諸君もさからうことができないわけです。これが、要するに国内放送番組あるいは予算の収支、新しい事業、すべてを決定するということに相なっておるわけでありますから、だから非常に重要な機関であるわけです。  たとえば、前田会長が先ほど仰せになりましたように三億円を出しておる。ことしの予算も入れておる。なるほど日本放送協会としては三億円はそう大金ではないかもしれませんけれども、この団体が、いま申し上げますような性格を持っておるところに三億円を出すことは、これは重大な問題であると思う。日本放送協会は法律の規定によって、会長といえども自由気ままなことに金を出すようになってはいないわけです。金を出す内容は法律に明確に規定してあるわけです。これは郵政大臣も御承知だと思います。えてかってなことはできないようになっておる。それだからこそ、国民も信頼しなければならないような体制がとられているわけです。ですから、私は十六条二項の問題について、明確な理由を示さないで、ただそうじゃございませんと言っただけでは納得できないわけです。ましてや、ここに書いてあるように財界が四名もいる。これは明らかにだれが見だって、この規定から見れば違反していることは疑いのない事実です。どういう美辞麗句を用いようと、どんなに説明しようと、この規定から見れば違反していることは明瞭であります。  私は、そういう点を今後直してもらいたいと思うわけです。この規定に違反をする経営委員会は、法律的に無効であるわけです。そうでしょう。法律の規定した内容を十分中心としないでこういうものをお出しになっても、違法性のある委員が中に入っておって決定することは、法律が許さないところであります。もちろん、法律といえども時の流れや条件によってかなり伸縮性は持っておるものでありますけれども、基本的な内容を忘れてはならないということを私は申し上げておるわけでございますので、さらに答弁を願いたいと思います。
  60. 井出一太郎

    井出国務大臣 十六条に違反あるいは抵触というふうに御発言でございますが、これは高い見識を持ち、広い視野でものをながめる、こういう立場でお考えをいただきますならば、決して土橋さんのおっしゃるような筋合いのものでもなかろう、こう心得ております。
  61. 野田誠二郎

    ○野田政府委員 大臣答弁を補足させていただきますが、工藤先生の場合毎日新聞の相談役ということになっておりますが、放送法第十六第四項第六号の規定によりますと、新聞社の場合、「これらの事業者が法人であるときはその役員若しくは職員」ということになっておりまして、相談役の場合、当該新聞社の役員もしくは職員、このように考えていないわけでありまして、その点、先生が御指摘の十六条四項第六号に抵触する、このようには考えられないということでございます。
  62. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、工藤さんの場合に抵触しておるというふうには申し上げてなかったつもりです。抵触する疑いがあるのではなかろうか、またそのような疑惑を持たれる余地があるのではなかろうかということを申し上げたのです。つまり、六号の規定によれば、ここに書いてありますように、「職員若しくはその法人の議決権の十分の一以上を有する者」というふうに厳格な規定をしてありますが、ここに書いてあります趣旨は、そういうことと同時に、そういうかかわりのある人はできるだけ選ばない精神であるというふうに私ども理解をしておりますので、そういう点を申し上げたのです。  私は、これ以上この問題だけについて質問をするわけにもまいりませんが、郵政大臣のお考えは、ちょっと検討してみる必要があるのではないかと思うのですね。と申しますのは、第二項で、「前項の任命に当っては、委員のうち八人については、別表に定める地区に住所を有する者のうちから各一人を、」と書いてあるわけです。「その他の委員については、これらの地区を通じて四人を任命しなければならない。」というふうに書いてあるので、よく吟味していただくならば、私が申し上げたように——私は十分研究して申し上げておるわけですから、いまのあなたの抽象的なお答えでは答えにならないわけです。  つまり、何地区に分けているかといえば、おそらく八地区くらいに分けていると思うのです。あと四名の方は、要するにいまあなたのおっしゃったような、そういう人を選んでくださいといっているわけです。そうすれば各地域別に、この表ですぐわかるように、たとえばこの中には関西方面とか、あるいは御自分の住所は書いてございませんが、大体推定ができるでしょう。そうすれば、この中から選んでおるのは各界でありますから、上の条項を受けなければなりませんね。上の条項を受けますと、ここには教育あるいは文化関係、科学、産業、四つしかないわけです。あと、しいて言えば労働界が入っていないじゃないか。あるいは、ひょっとしたら中小企業界を代表している者もいないじゃないか、そういう業界を別とするならば、たとえば主婦の代表とか青年の代表といったような者も入っていない、そういうお話がこの前の委員会でも出たでしょう。そういうことから、公平に地域別にして、しかも、そういう業種別のそれをきちっとしなければならないじゃないかということを言っているわけなんです。郵政大臣どうですか。
  63. 野田誠二郎

    ○野田政府委員 私ども、いま先生がいろいろ御指摘になりました十六条の解釈につきましては、ここの条文の規定に盛られております趣旨を十分わかっておるつもりでございまして、この規定に従いまして忠実に委員の選任あるいは任命等の手続等に従ってやっておる、このように考えております。
  64. 土橋一吉

    ○土橋委員 最後に私は、前田会長が過日沖繩のOHKに対して三億円の資金をやっておるということをお話しくださって、たいへんけっこうだと存じます。会長の回答によりますと、沖繩の放送は今後解消をしてNHKに全部統合するか、それとも併合するかということですが、これについては非常に深い関心を私、持っております。これはけっこうだと存じます。ぜひそうあってほしいことだし、またそうならなければなりません。  ただ、資金を三億円出したということをお話しになったのですが、この法律の規定から見まして、どこの項目でこれをお出しになったのだろうか、どういう内容に該当しておるだろうかということをそのときすぐ私は頭の中に浮かべたわけですが、先ほど申し上げますように、三億円といえども国民全体の聴視料でありますので、えてかってに気随に出すことはできません。やはり経営委員会承認を得、場合によっては、ただの三億円であったといたしましても、郵政大臣と打ち合わせがあってその支出をしなければならない。支出をする内容はきわめて厳格に規定してありますから、率直に聞かせていただきますが、どういう項目に基づきましてこれを支出なさったか、ちょっと簡単に答えていただきたい。
  65. 前田義徳

    前田参考人 前回も私は触れたと記憶しておるのでありますが、当時、沖繩放送協会に対する援助について特別の法律が成立いたしました。この法律に基づいてNHKは、機械設備を中心として三億五千万円の援助を行なったわけございます。
  66. 土橋一吉

    ○土橋委員 郵政大臣お尋ねしますが、その特別な法律というのは——御承知のように、沖繩県が近々のうちに返還をされるというので、今年度予算においても三百数十億の予算を編成いたしましていろいろ努力をされておるのでありましょうが、私はもっとたくさんの努力をしなければ、沖繩の現状にかんがみまして、また沖繩県民の要望などを考えてみまして、これだけの予算ではたしていいであろうかというような点が非常に疑問になります。いま会長のお話しによると、そういう法律をつくった。私は未熟なためによく知りませんでしたが、そういう法律でおそらく三百七十億といわれる沖繩の援助の問題についても、これからいろいろ電話、あるいは郵便、さらに電信などについて協力体制が一そう強化されると思いますが、この金額であなたは十分だとお思いでございますか、簡単にお答え願いたい。
  67. 井出一太郎

    井出国務大臣 どこまでいけば十分かという問題は、立場によって異なるかと思いますが、一般論としまして、沖繩と本土とはずいぶん格差もあることでございますから、それを解消するためには多々ますます弁ずるわけでございましょう。そういう方向で努力をいたす所存であります。
  68. 土橋一吉

    ○土橋委員 終わります。
  69. 内海英男

    内海(英)委員長代理 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  70. 内海英男

    内海(英)委員長代理 次に、逓信行政に関する件について調査を行ないます。  この際、おはかりいたします。  本件調査のため、本日、日本放送協会から参考人の出席を求め、意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 内海英男

    内海(英)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  参考人の人選、手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 内海英男

    内海(英)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、参考人からの意見は、質疑応答の形式をもって聴取することといたしたいと存じますので、さよう御了承願います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。水野清君。
  73. 水野清

    ○水野委員 大臣の当委員会における所管事項説明の資料を先日来拝見しておりますが、二、三の問題について伺いたいと思います。  最初に、この九ページ目かにございます有線テレビの放送再送信の業務については、ということに関連して少し伺いたいのでありますが、この大臣説明を拝聴しておりますと、郵政省は有線テレビの問題を、都市のテレビが見えないところで再送信をするという形でこの文章では取り上げておられるわけであります。  しかし、御承知のように、有線テレビの技術的な限界というものははるかにそれを越えておりまして、同軸ケーブルで同時に新しい自主番組をつくって放送することもできる、あるいは古い映画のフィルムを借りてきてテレビ局とは関係なしに放送することもできる、あるいはさらに進んで、最近新聞社が非常に関心を持っておるのは、この同軸ケーブルを利用してファクシミリを新聞のように送ることもできる、あるいは将来、もちろんこれは現在の公衆電気通信法には抵触するわけでありますけれども、テレビ電話というようなものにもこれを利用することができる、あるいは現在電電一公社でやろうとして考えておられるデータ通信の問題もできるわけであります。しかるに、こわ郵政省のおつくりになった大臣所管事項説明の中では、再送信の問題だけを取り上げておられますので、この郵政省考えておられる範囲について、大臣からでもあるいは所管局長からでもけっこうでございますが、どこまでを一体考えておられるのかということを承りたいと思います。
  74. 井出一太郎

    井出国務大臣 先般の所管事項は時間の制約もございまして、ごく簡単に触れたということであります。いまおっしゃるように、有線テレビが実質問題としましては各地にそれぞれ発生をしておる現状でございますから、これを何とか秩序づけるということが必要であろう、こういう意味で先般のような程度に触れておいたわけでございますが、いまおっしゃる自主放送という問題に当面十分に関心をもって臨まなければならない問題かと考えております。  そういう点、この国会に法案を用意してというつもりでおるわけでございますが、煮詰まるまでにまだもう少し時間がかかるようでございまして、その辺も配慮はいたしたいと思っておるのでございますが、当面私からそれだけ申し上げまして、あと所管局長からお答えいたします。
  75. 水野清

    ○水野委員 そうしますと、その自主放送の問題はよくわかったわけであります。  次の問題として、実は私、事前に資料要求をしましたが、東京ケーブルビジョンの役員の構成などを拝見しますと、たとえば新聞社の代表として新聞協会から人が入っておられるというふうなことを見ますと、これは新聞界が、現在自分たちの配っている新聞の販売というものと、場合によっては、将来技術革新によって抵触するのじゃないかということを非常に心配しているから入ってきているわけです。現にそういうことがあるから、それならばということで、私は、東京ケーブルビジョンの役員の構成の中に新聞協会の代表者を郵政省のほうでもお入れになったのだと思います。そういう形であの法人の認可をなすったのだろうと思うのです。その辺について、現在の法律では確かに問題はいろいろあると思います。たとえば、さっき申し上げたように、電電公社はデータ通信の問題を現にやろうとして手を染められておる。こういう問題も含めて、どの辺ぐらいまでに限界を限っていくのか。いまここでこの問題を議論するのは、時期尚早だというお答えもあるかもしれませんが、少し事務当局から詳しく話してもらいたい。
  76. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  いま先生もおっしゃいましたような、将来におきまするファクシミリであるとか、あるいはテレビ電話等、そういったものも技術的には将来可能であろうと思います。もっとも、いまでもやろうと思えばある程度できると思いますけれども、現段階におきましては、先ほど大臣から御答弁がありましたように、いわゆるビル陰による難聴視というものをまず救済するということで、それにプラス自主放送ということも含めまして、先般東京ケーブルビジョンという財団法人を認可したわけでございます。  ただ、この財団法人事業内容にもありますように、この再送信と自主放送以外の問題につきましては、さらに調査研究をするという段階になっておりまして、私どもといたしましても、そういった問題につきましては将来の発達、そういったことを含めまして十分に検討していきたい、そういうふうに考えております。
  77. 水野清

    ○水野委員 まだ方針がきまらないということが私はほんとうだと思います。  それではもう一つこれも一つのまた前向きの話として伺いたいのですが、現在データ通信を電電公社がやろうとしておられる。現在でも、御承知のように、電電公社は電話の需要が多くて積滞を解消し切れないでおる。それなのにまたデータ通信をやって、電話の積滞もあるけれども、データ通信のほうも積滞になってしまうのでは、私は電電公社の本来業務としておかしくなってくるのじゃ在か。将来の問題として——将来といっても近い将来ですが、こういう際に、それならば、いまの私が申し上げた話を逆に申し上げると、このCATVというものを郵政省としてはお生かしになって、全国のケーブル網をつくって、これはどういう形式になるか問題はまた別でありますし、それはここで論議することはまた時期尚早だと思いますが、そういったものにこれを全部預けてしまったらいいじゃないかということも考えられるわけです。そういうことについて、郵政当局はどのくらい検討しておられるかということをお伺いしたいと思います。
  78. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 水野委員の、電電公社がたくさんの仕事を持ってサービスが十分行き渡らないにもかかわらず、いろいろデータ通信網をやったり、そのほかをやろうというのは、いろいろな意味でむずかしくなるのじゃないか、むしろCATVのような設備を民間の方々がやられるのなら、それを大いに利用して使ってみたらどうだというお話だと思います。  われわれ自身としても、確かに重大な問題でございます。片や多くの電話を申し込んでもそれがつかないということの問題データ通信もまた、そのいろいろな技術的な内容につきましては、技術を多く経験し蓄積しておる電電公社にやらせることによってその技術を伸ばすことができる、国力をつけることもできるという問題を持っておるわけでございますから、これからいろいろその問のやり方ということを考えていかなければならないと考えておる次第でございます。  現在のところでは、有線電気通信法によりまして、他人の通信を媒介することは普通の電気通信設備ではできないことになっております。その点によりまして、現在のCATVで、そういう他人の用に供するようなサービスを行なわせることはできない、こういう次第でございます。
  79. 水野清

    ○水野委員 御承知のように、情報産業日本経済の将来に占める割合というものは非常に大きいといわれております。ですからそういうことを頭に入れて、私はCATVの今後の認可とかいろいろなことをやっていただきたい。お断わりしておきますが、現在民間のいろいろなものが出てきておるから、それを利用してはどうかという私の質問ではないのであります。民間のものを利用するかどうかということも含めて、電電公社でやるのかあるいはもう一つ電電公社のようなものをつくるのかということも含めて、検討していただきたいということです。それだけであります。  それからさらに、これは大臣NHK会長双方にお答えをいただきたいのですが、当委員会中野委員からも先般来御質問がありました、このビル陰その他都市の受信障害の問題ですが、要するにビル陰の問題で有線テレビジョンが出てきたわけでありますが、郵政省としてはNHKの組織は——NHKというものは、聴視者に対してNHK独自でテレビの映像を見せなければいけないというふうに義務づけられているわけです。ところが有線テレビというものができて、NHKは有線テレビに乗っかって見せればよろしいというのか、それで義務は完全に果たせるのか。やはりほんとうは別に、NHK独自でビル陰も見せることができるのか。何か昨年の当委員会において、加藤六月委員からその当時質問がありましたときには、NHKは画質が悪くても見えればいいのだ、有線テレビは良質のものを見せるのだというような石川電監局長から答弁があったのを私、速記録で読んだわけであります。ここのところは、私はNHKの本来の使命とも関連して非常に重要な問題だと思います。大臣あるいは電監局長から、その辺のお考えを明確にお答えいただきたいと思います。
  80. 井出一太郎

    井出国務大臣 おっしゃるように、視聴障害といいますか、従来は山間僻地を考えておけばよかったのを、このごろはむしろ大都会のまん中がそういう地帯になったわけであります。したがいまして、これが救済をどうするか。いまのケーブルビジョン一つ方法でもございましょうが、これは一方において金がかかるという問題が伴っております。さればといって、NHKとしましては、放送法規定する任務がございますから、それにも鋭意力を注がなければならないわけで、一つのジレンマにおちいっておると思うのでございます。その辺の調整をどうするかは、御指摘の線に従って努力をするつもりでございますが、詳しいことは局長のほうから申し上げます。
  81. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  いま大臣から御答弁がありましたような方向で、私どもも、この都市におきまするビル陰の問題は、いわゆるCATVという有線テレビでやる場合が今後相当多くの部分を占めると思いますけれども、しかし、個々の一つの建物によってその障害を受けるといったような場合は、これは明らかに加害者というものはわかっているわけでございますので、そういった建物の所有主に対しまして、ある程度補償してもらうといったような方法考えており、実施もしておるわけでございまして、私どもといたしましては、NHKも含めました受信障害対策協議会といった団体をつくりまして、そういった個々の指導をやっております。ただし、一つの建物じゃなくて、どこの建物からかその電波が反射して乱れてしまって、その加害者がわからないというような場合は、相当大がかりな高いアンテナをつくるとかというようなことがありますので、そういった場合は、どうしてもケーブルテレビといったものに依存せざるを得ないと思います。  したがいまして、NHKがあまねく電波を見せるようにしなければならないという規定につきましては、このビル陰みたいな問題にまで、全部手当てをしなければならないというふうには考えておりません。そういったところまでは法律としては要求していないだろうと思います。しかし、もちろんNHKとしてもそういった場合ほっておいていいかということもありますので、いま申し上げたようなケーブルテレビとかの財団のメンバーとして入るとか、あるいはまたこの受信障害対策協議会といったものの主要なメンバーとして活躍するということになろうかと存じております。
  82. 水野清

    ○水野委員 いまの電監局長の御答弁ですと、自然障害でテレビが見えないのは、これはNHKがあらゆる施設をやってやる義務がある。しかし人為的な障害ではこれはやむを得ないという、一口でいえばそういうことですね。それでよろしいのですか。
  83. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  法律的には、そのビル陰のような問題は、全部がNHK責任ではない、そういうふうに解釈しております。
  84. 水野清

    ○水野委員 NHK前田会長は、それについてどう考えておられますか。
  85. 前田義徳

    前田参考人 御承知のとおり、放送法昭和二十五年にできており、その後三十四年にかなり重要部分について改正されておりますが、放送法第七条の原則は、単に地域的な問題ではないと私は解釈いたしております。二十五年当時においては、いまから二十年前には、主たる目標は放送網を拡充する、全国網を張る、具体的にいえばその方向にあったと思いますが、その後、新たな障害が都市においても起こる場合には、この第七条の原則は、当然われわれの責任であるというように考えております。  それから、有線放送の業務に関する規正の法律は、放送法ができた翌年にできております。この法律の中心は音声でありまして、テレビジョン自体については、今日私の知識があるいは浅いかもしれませんが、何も規定はないんじゃないか、問題は過去十数年間に一、二回起こった事実はありますけれども。しかも、NHK放送法によって、放送とは何ぞや、いわゆる放送法第二条の規定に従う業務をすべきものとされております。この放送法二条の規定した定義を確定している放送とは、受信者が直接受信する無線通信であるということを明らかにしております。したがって私どもといたしましては、CATVとの関連では、法律専門家ではございませんが、この放送法の大原則と昭和二十六年にできた有線放送義務の運用の規正に関する法律とを総合的に検討して、新しい考え方を打ち出すべきではないかという期待を持っているわけでございます。NHKから申しますと、現地において再送信を主たる目標とするそういう事業があるならば、NHKの果たすべき責任の果たし方の方法一つとして、これをも利用すべきであるというように考えるわけでございます。
  86. 水野清

    ○水野委員 そこで今度、NHKの聴視料を取り、ケーブルビジョンの施設料といいますか、それを取るということにおいて、NHK東京ケーブルビジョンに参加をしておられますけれどもNHKの負担分がどういうふうに施設料に軽減さわているのかという問題が、私は将来起こってくると思います。これはいまここで詰めて伺ってもしようがありませんので、そういう問題について郵政省及びNHK検討しておく必要があるのじゃないか、よく検討していただきたいとお願いして、このケーブルビジョンについての質問は終わります。  次に、郵務局に伺いたいのですが、時間がありませんので、簡単に伺います。  御承知のように、大臣所管事項説明の中で、郵政事業近代化ということを言っておられます。日本経済の発展によって産業構造がこれからどんどん変わっていく、特に労働力が不足するということは火を見るよりも明らかであります。この背景の中で郵便業務の機械化というものがどう進められているか、またこれから進める予定があるのか、時間がありませんので簡単に伺いたいと思います。  それから、将来完成した場合、郵便物の何%が機械で処理されていくか。要するに、あて先を人手による区分をやらないで済むのかということを簡単に伺いたい。
  87. 竹下一記

    ○竹下政府委員 郵便事業近代化という意味合いももちまして、一昨年の七月に郵便番号制の採用に踏み切りました。これは、一つ機械化考えておるわけでございます。御承知のように、自動読み取り区分機というたいへんな精巧なる機械を開発いたしまして、今日までに全国で十七局、二十一台を配備いたしております。これは極力整備を急ぎまして、なるたけ早い機会に全国でおおよそ百六十台程度のものを配備したい、それを目標にいたしまして目下努力をいたしておる次第でございます。  お尋ねの、機械でもって郵便物のどの程度のものを処理することができるかということでございますが、今日ただいま、先ほど申し上げましたように二十一台の機械を配備しております結果、一日の引き受け物数おおよそ二千万通のうちで機械による区分が百万通、これは実は目下のところ数といたしましては少ないのでございますけれども、いまのところで百万通の処理をいたしております。先ほど申しましたようにこれが百六十台くらいになりますと、引き受け物数二千万通のおよそ三分の一強のものは機械で処理されることになろうかと思います。
  88. 水野清

    ○水野委員 機械化に伴って、郵便番号というものを今度は一般国民が書く——これは義務じゃないでしょうが、そういうようにいろいろ郵政省が指導して、みんな書く習慣をつけておるわけでございます。その記載率というものは、承ると八割をこえているというふうに伺っております。  ところで、私あまり郵便業務について詳しくないので、間違っていれば訂正してもいいのですが、素朴な質問をしたいのですが、この郵便番号の自動読み取り区分機が置いてないところから置いてないところへ郵便を排送する場合、これは現在一〇〇のどうのこうのと書くわけですけれども、これは国民がいま練習しているんだ、習字をやっているんだ、実際にはまだ使っていないのじゃないかというふうに感じるわけです。将来は使うのでしょうけれども。それから、これは漏れ承るところによると、郵便局の人も機械のあるところは機械が仕分けしてくれるから番号で仕分けするでしょうけれども機械のないところは、やはり番号を覚えてやるよりも、茨城県のどこどこ、岩手県のどこどこで分けたほうが分けいいということで、実際にはそうして分けておられるということを聞いているわけです。こういう意味で、基本的な問題を私は否定しているわけじゃないのですけれども、やや立ちおくれというか、いろいろな過渡的な問題があるように思います。郵務局長としてこれをどう考えておられるか、またどう対処していかれるか、伺いたいと思います。
  89. 竹下一記

    ○竹下政府委員 お尋ねの中で、若干誤解をなさっておられる点があると思うので申し上げますが、郵便番号は確かに機械にかけるのに便利であるという利点があると同時に、手作業にもたいへん便利であります。これは年末にアルバイトを、これは学生ですけれども非常勤を採用いたしまして年賀郵便の区分をやってもらうわけですが、昨年の年末時にはたいへん成績がよかったわけですが、これは全部番号区分をやってもらったからであります。  先ほど機械で百万通ぐらい毎日処理していると言いましたが、手作業で番号を活用して番号区分をやっておる数がざっと九百万通あると私どもは見ております。これから番号の記載率がもっと高まりますから、ただいまは、いまお話しのございましたように番号で区分してみたり、従来のやり方で字名で区分してみたりチャンポンでやっておるというところがございますが、だんだん記載率も八〇%近くなってきましたことも考え合わせまして、近い将来に番号区分に全面的に切りかえる、従来の区分は補助的なものとして、二次的なものとして扱う、番号区分というものを本体とした作業方法に改めるということを計画いたしております。そうしますと、書いていただきました郵便番号は有効にむだなく活用できる、そういうことに相なろうかと思います。
  90. 水野清

    ○水野委員 以上で私の質問は終ります。
  91. 内海英男

    内海(英)委員長代理 阿部未喜男君。
  92. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 実は大臣、私も新米の委員でございますから、当を得ない質問がありましたら御指摘を願いたいと思います。  先般の大臣所管事項説明の中で、昭和四十五年度における郵政事業特別会計の歳入歳出につきましては百三十二億八千四百万円の歳出の超過という、いわゆる赤字予算を組まざるを得なかった、こういう御説明でございまして、私の記憶では、郵政事業特別会計で赤字予算を組んだのは、昭和四十年度におけるたしか六十億余りの赤字を組んだことがあったと記憶します。決算で二十八億程度の赤字であったように覚えておりますけれども、これ以外には、まだ郵政事業特別会計が赤字を組んだというようなことは記憶にないわけでございます。本来ならば、予算が歳出超過になる場合には、極力歳出を押えて赤字を計上しないというのが予算編成の原則的なお考えであると思いますが、特に今回百三十億をこす膨大な赤字の予算を計上された大臣のお考えについて、まず承りたいのでございます。
  93. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 経理局長ですが、お答えいたします。  実は四十五年度の予算編成にあたりまして、ただいま先生のおっしゃったような問題がいろいろあったわけでございますが、まずわれわれとしては、事業を遂行するに必要な歳出を組むことに重点を置きました。したがいまして、その歳出をまず予定して、そしていろいろ郵便業務収入というものをあとで見直してみたところ、やはりどうしても収入支出が合わないという形になりました。  しかし、たまたま郵政事業特別会計法において許されている、いわゆる持ち越し現金をもってその歳出の財源に充て得るという方法が見出し得えましたので、結果的には、私ども予定しました歳出をまかなうに足る予算が組めた、こういう事情に相なっております。
  94. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 続いてお伺いしますが、確かに郵政事業の特別会計の歳入の見込みの伸びは一一・六%の伸び、歳出の面では一三・七%、これは国家予算の一七・九五%なりないしは政府の経済成長見込みの一五・八%に比べれば、郵政予算としては全くつつましいものであるし、御苦心のあともうかがえます。しかし、ちなみに郵便業務収入の伸びを見ますと六・四%という伸びを見込まれておるようであります。  そうなりますと、本年度は繰り越しの財源をもって充当することができても、郵政事業は本年度限りで終わらない限り、来年以降は非常に大きい赤字が累積していくんじゃないかという考えがいたしますので、来年度の事業計画等について、郵便料金改定等の方法考えられておるのかどうか、ひとつ承りたいわけであります。
  95. 井出一太郎

    井出国務大臣 郵便会計の事情をよく御承知でございまして、たいへん御同情のある御発言だと思います。  おっしゃるとおりなかなかいま苦しいわけでありまして、御指摘のように一方においてはあまり伸び率はよくない。しかも、郵便の仕事というものは七、八〇%は人手によらなければならぬということでございますから、人件費を節約するという限度は、よほど企業努力をいたしましても限界があるわけでございます。  そこで、四十五年度は幸い持ち越し現金があってこれを使用させていただいたというものの、過去の蓄積を食っておるようなものでありますから、来年度はどうなるか、いまからこれは相当苦しいことを予想しなければなりません。  これを突破する方法としては、先般予算の分科会でも申し上げたと思いますが、一つには、借り入れ金というようなことも、これはまた将来に持ち越すだけの話でございます。あるいはまた一般会計から補てんをしてもらう。これは外国じゃそういう例もあるようでございますが、それができればけっこうですけれども、そうでない場合は、料金という問題も考慮をしなければなるまいか、その一番最後の私の発言に、何かアクセントを置いた新聞等の受け取り方があったようでございますが、私としては、もし方法を数えてみるならばそういうことではないか、こういうふうにお答えを申し上げたつもりでありました。
  96. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大体予算につきましてはわかりました。  そこで、実は関連をするわけでございますけれども、同じく大臣所管事項の御説明をなさった中で、こういうふうに申されておるのです。「若干の郵便局におきまして、一部の者の扇動による職場秩序の混乱等により郵便物の滞留が生じ、国民利用者に御迷惑をおかけしておりますことはまことに遺憾に存じており、」こういうふうに御説明になっておるのでございますけれども、この郵便物の滞留、遅配の原因が、大臣考えのように、単に一部の扇動者がおって、そのために滞留、遅配があるというふうにお考えになるのはいかがなものでございましょうか。  実は、私も東京に参りまして、二月の二十四日の消し印のある郵便で、内容は二十六日の会議に出席をしてもらいたいというその郵便が、月を越えて三月の二日にこの第二議員会館に到達したというそういう経験があるわけでございますけれども、私の知る限りでは、大臣の御指摘になるような、職場でいろいろな紛争、混乱がない職場でも、現に相当の郵便の滞留なり遅配があるのでございまして、その大きい原因は、今日、都市近郊における激増と申しますか、過密の状態、それから地方においては新産都建設等による高層の建築とか、そういうものが非常に、きのうがきょうに変わって出現をしてくるのに対して、当局が十分な手を打つだけの措置が行なわれていない。いま一つは大都市における労働力の不足、これはもうおおい隠すすべもない事実ではないかという気がするのでございますが、大臣は、単に御指摘になったような問題だけで今日の郵便の滞留、遅配があるとお考えでしょうか、私が申し上げましたような点についてはどうお考えなのか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  97. 井出一太郎

    井出国務大臣 全国六千余りの配達局がございますが、この大部分の郵便局における運行というものは、現状においてたいへん努力のあとが見られると私は思っております。  問題は大都市、特にその周辺でございますが、いまおっしゃるような郵便物数の非常な増加、ダイレクトメールとかいうふうなものが非常にふえておりますし、それから人口移動等もひんぱんでございますから、住居の表示等も明確を欠いておる点がありましょう。特に、いま言われます労働力の確保という点に実は頭を悩ましておるわけでございまして、その上に、最近の交通事情の悪化といったことも、停滞を来たしておる大きな原因であろうと思うのであります。  一部職員の低能率といいますか、中には、私が少しどぎつく表現をしたかもしれませんが、そういう現象もないわけではない。しかし一般論から申し上げれば、いまるる述べましたような諸般の情勢が、ここへ集約して一つのネックをなしておる、こういうふうに考えております。
  98. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣のお考えを承ったわけですけれども、少なくとも所管事項説明の中では、実にその項だけが、一部の人たちの不心得で郵便がおくれておるというふうに受け取られがちな表現になっておるわけですが、いま承りまして大体了解ができました。  そこで、実は同じ所管事項説明大臣は、郵便の滞留の対策として人事管理、労務管理を最重点事項として取り組むのだ、こういうふうに述べておられますけれども、いまのおことばではそうではなくて、人手不足をどうして確保するとか、労力の確保の問題その他の施策もあるようでございますが、特に人事管理、労務管理を最重点とするという具体的な施策と申しましょうか、これは当局のほうでけっこうでございますが、ひとつお聞かせ願いたいと思うわけでございます。
  99. 竹下一記

    ○竹下政府委員 遅配の原因になっております局舎が狭いとか、要員不足であるとか、そういったものにつきましては予算を用意するといったようなこと、そういったことは十分やってまいるつもりでございます。  その中で、一部の局でございますけれども、職場の規律が十分でありませんで、職員の中にものすごい低能率者がおるということ、それからまた職場規律を乱す者が遺憾ながらいるわけでございます。管理者の指示に従わないとか反抗するとか、その原因になるものはいろいろあろうかと思いますけれども、現象的には、いま申しましたようにたいへん感じの悪いのが遺憾ながら若干ありますので、その面につきましては、職場秩序を正す、正常なる労使関係をつくる、こういった面でいろいろとくふうをしてまいりたい、そういう趣旨でございます。
  100. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 実はお伺いしたがったのは、特に労務管理を最重点とするということは、具体的にどうなさるのかということをお伺いしたかったわけですけれども、私の知る限りでは、実は十年ほど前の昭和三十六年ころに、郵政省は「新しい管理者」というような冊子をおつくりになりまして、労務管理についてはかなり長い歴史を持って取り組んできておられるというふうに考えるわけでございます。そしてその十年間の労務管理の結果として、今日いろいろ起こっております問題は、他の官公庁の人たちは、郵政省には労務管理というのはあるけれども、業務管理というのはないではないか、そういう口をよその官庁からきかれるほど、いわゆる労務管理が先行した形になっておるというふうに考えられるわけでございます。  業務の運行を正常化しようとお考えになる当局の幹部の皆さんのお考えとはうらはらに、現場のほうにおきましては、たとえば良識職員ということばがございます。良識職員ということばがどういう場合に使われるかと申しますと、ここの職場では全逓という第一組合がいま五十人おる、全郵政という第二組合が四十人おる、本年度良識職員を十名ふやして過半数をつくらなければならない、そう言えば、おのずから良識職員なるものの内容はおわかりになると思います。言うならば組合を分裂させる、そういうために良識職員ということばが使われて、そのためには人事で差別をする。たとえば、部内の高等部など中央研修所の第一次試験が受かっておりましても、第二組合にいかない限り研修所には入れない。あるいは郵政局のほうに転勤を希望して試験を受けて第一次は受かっておるけれども、第一組合に残っておる限りは郵政局には登用されない、試験に落ちた人でも、第一組合を脱退すれば郵政局のほうにやってもらえる、そういう事例が数限りなくあらわれておる。  私は、一つ一つの事例はどうこう言うのではございませんが、それが今日の職場の実態になって、非常に暗い職場、そして友だちを裏切って第二組合に行って栄進を望むか、さもなくば職場にとどまって不満な毎日を送らなければならないわけで、それで一体事業を愛する、事業に協力するという意欲がわいてくるのだろうかどうか。十年間優先した労務管理の結果が、今日実はこの曲がり角になって、郵政事業を非常な危険な状態におとしいれているという気がしてならないわけでございます。  その労務管理をさらに再優先、重点事項に取り上げるということでございますが、いま申し上げましたような具体的な事例が、現に皆さんのお気持ちとは別に現場で行なわれておる。また管理者自体にしましても、自分が組合を分裂させ切らなければ栄転ができない、分裂さえさせれば、無能な管理者でも栄転ができる、そういうふうに思い込んでおる。そういう風潮が今日の郵政の各職場においてある。これからの郵政事業考えてみました場合、これは簡単に郵政事業の立ち直り、とりわけ先ほど申し上げました、もし郵便料金の値上げでも行なおうとする際に、そういう職場の状態、そこから起こる郵便の滞留なり遅配というものについて、国民の納得が得られるのかどうなのか、非常に気になる点でございますので、少し具体的に当局のお考えを知らしてもらいたいと思います。
  101. 井出一太郎

    井出国務大臣 労務管理と申します意味は、何も強圧的にどうこうというのではなくて、私の趣旨は、まず管理者みずから姿勢を正さなければいかぬのではないか、そうして現業の第一線に働く人と管理者の間に、何か不信感のようなわだかまりがあるとするならば、そういうものの解消につとめなければならない、こういう気持ちでおるわけでございます。いま御指摘になったような問題がありとすれば、これはひとつ十分に気をつけなければならない、こう私、心得ております。     〔内海(英)委員長代理退席、委員長着席〕  なお、詳しいことは事務当局から申し上げます。
  102. 神山文男

    ○神山説明員 ただいま御指摘のありました個々の事例につきまして、実は全逓信労働組合のほうからも私のほうに、間々実例というか、具体例をあげまして持ち込んでいるという例がございます。私たち事務当局の者も、大臣がただいま申し上げたような姿勢で労務問題に対処しているわけでございます。  先生が御指摘になりましたように、十数年来省としての一つの労務関係についての姿勢というものはございます。しかし、郵政事業がうまくいくかどうかという基本的な問題につきましては、やはり労使間の信頼関係というようなものが基本にならなければならないのではないかということで、常に全逓信労働組合に対しても対処いたしてまいっているわけでございます。おっしゃるようなそういう具体例につきましては、要は、現場におけるいろいろの不信感、労使相互間にわだかまっている不信感というものを、お互いの努力で取り除いていくということが必要かと思いまして、私たちも下部機関にそういうことで常日ごろ指導してまいっているわけでございますが、御指摘のように、なかなか数多い現場でございますので、不信感というものがやはり抜け切らない。そこからいろいろの管理者の措置に対する不信というものが、そういう例になって出てきているかと思いますが、われわれとしては今後ともそういう姿勢で是正するように努力してまいりたい、こう考えております。
  103. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣の非常にりっぱな抱負も承りましたし、事務当局のお話も承ったわけでございますけれども、先般ですけれども、郵政の職場に民主主義は要らないのだ、必要なのは命令と服従の関係だけだ、そういうことを公然と言う管理者も実はおるような状態でございますので、ぜひひとつ新しい大臣のもとで、いま事務当局からもお話がございましたように、労使間の話し合いを通じて労働者の協力を得ると申しましょうか、職員の協力を得て、この郵政事業の難関を乗り切るような施策をめぐらしてもらいたいと思うわけでございます。  少し具体的に御質問をさせてもらいたいのでございますけれども、まず職員の処遇の問題ですが、今日都市で労働力の確保が困難な一つの理由に、やはり待遇の問題があろうかと思います。おそらくこの大臣所管事項説明は事務当局でおつくりになったものであろうと思いますけれどもNHK会長がお話しになった所管事項説明の中では、職員の処遇につきましては、社会水準に比して適正な水準を維持するようにつとめていきたいというお考えも披瀝されましたし、また質問に対しましても、NHKの職員はできるだけ優遇したいのだということをおっしゃっておられました。残念ながら、この大臣所管事項説明の中には、そういう職員の処遇等につきましての思いやりが何にも載っていないのは、私、残念に思うわけでございます。  まず、特に郵便の外務に携わる方々の処遇を抜本的に改善しなければ、都市における労働力の確保は困難ではないかと思われますが、所管の事務当局からどういうお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  104. 神山文男

    ○神山説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘の郵政省の職員の給与、特に郵便の外務に従事する職員の給与につきましてでございますが、御承知のように、郵政の職員の給与は毎年組合との問に団体交渉をいたしてまいっておりますが、ほとんど仲裁裁定の結果値上げをするという結果になっております。特に、外務職員につきましては、そういう仲裁裁定による配分による賃上げと同時に、従来から外務職員のその仲裁裁定の配分に際して、外務職員は内務職員に比べて千五百円高くいたしてまいっております。それから外務職員の調整額というものを設けまして、これは地域によりまして、先生御指摘のように大都市は、特に厚くするようにいたしまして付加いたしております。  それからさらに、最近の外務職員の雇用難というような現象がございますので、これに対する対策といたしまして、初任給の調整額というものをさらに、これも大都市に特に厚くするようにつけ加えております。こういう方針で今後も臨んでいきたいと考えております。
  105. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 確かに給与等については、お話しのように最終的には仲裁裁定できまるということもあろうかと思いますけれども、たとえば予算の面から見ましても、郵便事業機械化作業のために郵便作業機械を来年はたくさん入れる。その伸び率は一二六%ですね。ところが、職員の宿舎についてはわずかに四・七%の伸び率。これは、今日の物価の値上がりから考えるならば、本年度だけの宿舎の確保は困難ではないか患われる程度の伸び率になっておりますし、さらに局舎、作業環境等についても六・五%の予算の伸び率でございます。こういう点から考えますと、どうしても、先ほど大臣のお答えになりましたように、七九%以上が直接の労働力にたよっておる郵政省の施策としては、やはり不十分な点があるのではないかという気がしてならないわけでございます。  加えて、都市における労働力の確保が非常に困難な状態と、あわせて、たとえば病気で休む、休暇で休むと、当然そのあとには補充を入れなければなりませんが、私ども通常臨時雇いとか非常勤ということばを使っておりますが、実はこれは今日、都市、地方を通じて来てくれる人がありません。そのために、きょう郵便の配達をすべきところがぽかんと穴があかざるを得ないのです。これが郵便の遅配の大きな原因の一つになっておりますが、いま郵政省が払っております臨時雇いに入れる人の賃金は、大都市で幾ら、そして地方都市で幾ら、それで一体人の確保ができておるのかできておらないのか、その点のお調べがついているならば聞かしていただきたいと思います。
  106. 竹下一記

    ○竹下政府委員 非常勤職員の雇用単価は、日額で六百五十円でございます。ただし、これは最低でありまして、東京等におきましては相当の上積みをしまして、千円程度の額にしておるはずでございます。正確な数字の持ち合わせがございませんが、なお外勤は内勤に比べまして、若干多い目にしてあるわけでございます。
  107. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 郵務局長、その額で実際に人が雇えるのか雇えないのか、そこが大事なところですので……。
  108. 竹下一記

    ○竹下政府委員 毎日の非常勤の雇用につきましては、たいへん苦労いたしております。したがいまして四十五年度予算におきましては、予算単価を相当上げていただくように、外勤の雇用単価にいたしましても千円をこすように要求を出しております。そういうふうにしまして、極力経費を捻出いたしまして、雇用が楽になるような方向で努力したいと思います。
  109. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで、特にこれは事務当局のほうにお伺いをしたいのですが、採用の方法等にについて、外勤に入ればいわば一生外勤だというような状況も、一つは労働力の確保に非常な困難性を与えている。大都市に就職しておれば、将来は自分の郷里のほうにでも帰れるとか、こういうふうな条件でもつくと、都市でもかなり労働力が確保できるのではないかと思います。今日よその多くの会社等でとられておりますが、外務員として一応は全部採用する、二年、三年たったならば内勤のほうに組みかえていく、そういう施策についてはお考えかどうか、これが第一点。  二点目は、女子の職員ならば都市でもある程度確保できるのではないかと思いますが、女子職員を採用して、事故郵便物を整理するとか、あるいは職場環境の整備などに当たらせる。いまほとんどやっておりませんが、郵便の外務職にも女子職員を採用してみたらどうか、これが二点目。  それから三点目に、郵政省の職員になれば定時制の高校に行かれるとか、あるいは大学の二部のほうにも行けるとか、そういう向学の面での措置について、物心両面からの便宜を与えてやったらどうか。  そういうことをしながら人手の確保を行なって、そしていま大臣も披瀝をされました、ほんとうに職員の協力を得て今日の郵政事業に対する不信を挽回するために、そういう郵政事業の今日起こっておる不満に対する解決の方途を、労使が一緒になって解決するための委員会等をつくって、長期的に検討されたらどうかというふうに思いますが、当局のお考えを承りたいと思います。
  110. 神山文男

    ○神山説明員 ただいま御質問の第一点でございますが、私どもも、まず外務職員に採用いたしまして、内勤に持ってきたらどうかというような点につきまして、種々検討は加えてまいりました。ところが、ここで一番問題になる点は、郵便局における外勤の数のほうが内勤の数より多い。それで、これを一定のレールに乗せたように外勤から内勤へという流れが、なかなかそうスムーズにいかないという点が、まず第一に問題かと思います。これは他の企業等においては、そういう事例は見られるわけでございますが、しかし、何といっても内勤の欠員というのは非常に数が少ない。それで大都市においては特にそうですが、内勤の欠が少なくて外勤の欠が非常に多いというふうな点から、なかなかスムーズにいかない。それで、その点をどうするかということが大きな問題になろうかと思いますが、おっしゃるような考え方というものは、私たちも何とか取り入れていったらどうかというようなことで、今後もよく検討していきたい、こういうふうに考えるわけでございます。  それから、第二点でございますが、女子職員を郵便の職場に採用するという点につきましては、従来から女子職員の深夜業が禁止されているとか、それから生理休暇とか、そういう問題がありまして、なかなか現場では、人が豊富な時代におきましては、男子のほうが郵便という仕事の特殊性からいってより適当であろうということから、男子採用というふうに傾いてまいっております。しかし、今後若い男子だけを採用するということがますます困難になってまいりますので、おっしゃるような方向に私たちも何とかいかないかということで、真剣に検討してみたいと思っております。  それから、採用された職員につきまして、定時制高校等の部外の学校に通学できるような措置という点でございますが、ただいま郵政省におきましては部内の訓練機関がだいぶ整備されておりまして、職業訓練といった面で能力開発につとめてまいりたいと努力いたしておりまして、今後ともこういう職員は、できるだけ部内の訓練機関において能力を発揮するように、また素質を高めることができるようにつとめてまいりたい、こういうふうに考えております。  それから第四点でございますが、いろいろこういう職員の身分とか処遇、そういう点について労使委員会というようなお考えの御質問がございましたが、省といたしましては、こういう問題についても、労使間の話し合いになじむような問題につきましては、できるだけ組合と意思疎通をはかり、それぞれの問題にふさわしい方法で労使間で話し合ってまいりたいというふうに考えております。
  111. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 最後の項でございますけれども、それは単に指摘した二、三の事項についてだけではなくて、先ほど大臣のお話もございましたように、あくまでも労使が協力をし合ってこの郵政事業の今日の難関を乗り切りたい、そういう大臣の御意思に基づいて、労使が協調して今日の郵政事業の難関を乗り切るために、長期的に見て遅配や滞留を解消するとか、そういうようなものも含めて、労使の協議会あるいは委員会というようなものをおつくりになる考えはないでしょうか、こういうふうにお伺いしたわけでございますが、どうでございましょう。
  112. 井出一太郎

    井出国務大臣 御指摘のような形、どういう内容を持っておるかは、私またあとであらためて伺いたいと思いますが、この問も全逓関係御出身の議員の方の一、二とお話をしたことがあるんですよ。それはやはり労働界の先輩として現状は見るに忍びない、こうおっしゃる。私のほうも、何かどうも新聞種になるようなことはお互い恥ずかしいじゃないですかというような話題を取りかわしたような次第でございまして、そういうことを一つの契機にでもしまして、何か具体的な問題を検討してみたい、こう考えております。
  113. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 ただいまの大臣のお考えを非常にありがたく思っております。ぜひそういう道を開いていただきますことを期待をいたしまして、最後にもう一つ伺いをしたいのでございます。  実は、これも大臣所管事項説明の中で、この国会に提案を予定する法律案の第一に、簡易郵便局法の一部を改正する法律案をおあげになったわけでございます。いまさら申し上げるまでもございませんが、この法案は過去において三回くらいにわたって廃案になったといういわくつきのものだというふうに聞いております。したがって、この法案の可否についていまここで論議しようとは思いませんけれども、基本的なお考えだけを承っておきたいのでございます。  この法案の内容は、受託者の範囲を広げて簡易郵便局の数をふやして、窓口で老齢福祉年金等の支払い事務まで加えて、利用者へのサービスを増進するのだという御趣旨のように承っておりますが、先ほど来大臣のほうからもお話がございましたように、この郵政事業特別会計がたいへんな赤字を計上せざるを得ないという今日の段階で、実は簡易郵便局もふやせばふやすほど赤字がふえていく性格のものだと承っておるわけでございます。確かに地域住民に対するサービスが、郵政事業にとって一つの大きな問題であることは私も疑いを持ちません。  ただ、今日の社会情勢から考えてみますと、地方自治体等におきましても、市町村の合併とかあるいは農協等の農業団体の合併、統合が行なわれて、窓口事務は廃止されるとかないしは縮小されていきつつあるのが地方における実態でございますし、そういう地方自治体や農業団体等の合併、統合というのも、ひっきょうするに予算の合理的な使用というものを目ざしての統合ないしは合併であるように考えられます。また、国鉄など郵便事業と同じ性格を持つところにおいても、赤字線の廃止、中間駅の廃止というものが叫ばれて、具体的な日程にのぼってきておる。交通関係から考えてみますと、今日自家用車は非常に普及しましたし、交通の便はまさに従来に比べると昔日の比でないと思われます。そういうふうに、交通機関が発達をするに加えて、郵便局でやらなければならない仕事は、信書の送達だけがほかではやれない仕事になっておるから、あと貯金、保険の事業などというのは、当局はどうおっしゃるかわかりませんが、少なくとも地方では、実は非常に敬遠されておるのです。農協が貯金、保険も集めにくる、そのほか民間の会社がくる、今度は郵便局か、また貯金、保険じゃなかろうな、帰ってくれ、これが今日の地方の実態です。したがって、ほんとうにサービス提供という面から考えれば、郵便事業だけということになろうかと思いますけれども、一方では電話の普及によって、信書にたよらなければならない依存の度合いはかなり減っておるというふうに理解ができます。  そう考えてみますと、この際なお簡易郵便局を多数設けて、それぞれの地域に赤字をかかえてまで郵便事業がサービスをしなければならないということが、納得をしかねる気がするわけでございます。他の地方自治体なり公共企業体との今日的な予算とのかね合いというものと比べて、なおかつ今日郵便局だけがどうしても、サービスということばを表面に出して簡易郵便局をたくさんつくらなければならぬのかどうか、理解のいくようにひとつお答えを願いたいと思うわけでございます。
  114. 竹下一記

    ○竹下政府委員 郵政事業の窓口がほしいという声がやはりあるのです。それから私どもが図上で考えまして、全国にざっと二千百カ所ばかり、窓口機関を置いてあげたほうがいいと思われる個所がございます。事業の性格は、申し上げるまでもございませんように国家事業でございますので、公共性という一面があると思います。と同時に、独立採算制でやらされておりますので、経済性の追求という一面もございまして、要は、公共性と経済性との調和をどこに求めるかということだと思いますが、従来のような無集配の主義でいきますと、これは非常に採算がとれないわけでございます。したがいまして、昭和二十四年以来簡易局という制度を編み出しまして、それでやっておるわけでございます。  それで、簡易局方式でいきますと、採算はとれませんけれども、赤字でありますけれども、その幅はきわめて小さい。要するに、経済的な出費を極力切り詰めて、片一方の窓口の設置を要望される国民の御要望にどうこたえていくかということでございまして、結論を申し上げますと、やはり窓口機関を増置する方向でいきたい、そのやり方は極力経済的なやり方をとっていきたい、そのために簡易局という方式をとっていきたい、こういうことでございます。
  115. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 窓口のサービスを提供してもらいたいという声が多いという、その御趣旨はわかります。それはしかし、鉄道の場合でもなるべく自分のうちから近いところに駅のあることを期待する、地方自治体の場合でもなるべく自分のうちから近いところに出張所なり何かがあって、そこで用が足せることを期待するのは、地域住民の当然の声だろうと思います。私が申し上げたいのは、いま局長もおっしゃったけれども、独立採算制をとる郵政省で、さっき大臣は悪戦苦闘ということばを使われましたけれども、一般会計からの繰り入れもするからこうやってくれという要請があるならともかくとして、独立採算の中でそれだけのサービスを郵政省が負わなければならないという絶対的な理由があるのかどうか、それが一点です。  もう一点は、郵便事業が独立採算である限り、受益者負担という原則は原則的には曲げられないというお考えだろうと思います。そうすると、非常に利用の少ない地域の支出をかかえて郵便料金の値上げを行なうということになりますと、郵便をたくさん使う方々はそのために負担が増さなければならないという、受益者負担の原則とサービスとのかね合いの問題、これがまた一つの大きな問題になろうかと思うわけでありまして、そういう点はどうお考えか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  116. 竹下一記

    ○竹下政府委員 突き詰めていきますと、公共性をどこまで確保して差し上げるかという問題だと思います。今度の法案改正の中身には、福祉年金の支給事務という事務を新たに広げるという一項がございます。これは御承知のように、老齢福祉年金を受けられる人はきわめてお年寄りでありまして、ただいまではかなりの距離を山越え野越えいたしまして、もよりの無集配局まで行かなくちゃいけない。そういう面に対する御要望も非常に強いものですから、老齢福祉年金事務をつけ加えることにいたしたわけでございますが、簡易局というものはやはりそういうものではなかろうかと思うわけでございます。  それから、郵政事業の全般的なものの考え方でございますが、収支ということにあまりこだわりますと、いなかのほうはなべて赤字経営をいまやっておるわけでございまして、財政収支あるいは財政的なことにあまりこだわりますと都会だけになりまして、大部分の田園につきましては資本投下はできないということになります。しかし、最初申し上げましたように、やはり公共的な一面がございますから、その面は最小限度維持していく、そのための所要の経費も、これはやむを得なかろうかと思います。
  117. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 時間がきたようでございますから、以上で質問を終わらしてもらいたいのでありますが、特に繰り返して申しますけれども、新しい大臣は労使間の紛争の解法について特段の意を用いてもらいたいということと、事務当局のほうも、せっかくの機会ですから、その点に耳を傾けまして、郵政事業のこれからの発展にぜひ力を合わした、国民の信頼を得る運行を期していただきたいということを最後にお願いいたしまして、私の質問を終わらしてもらいます。
  118. 金子岩三

    金子委員長 中野明君。
  119. 中野明

    中野(明)委員 郵政大臣所管事項説明を受けたわけですが、私もこの機会に二、三点お尋ねしておきたいと思います。  ただいまも阿部さんのほうから話が出ておりましたが、まず最初に、私どもが一番心配しておりますのは、郵政事業特別会計の問題であります。先ほどもお話がありましたが、百三十二億とか歳出超過、赤字になっておりますが、これを持ち越し現金で充当されるということになっております。持ち越し現金が一体現在どのくらいあるのか、そこのところをちょっと伺いたいと思います。
  120. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 持ち越し現金の算出にはいろいろあるわけでございますが、いま私ども、いわゆる支払いに充て得る安全な持ち越し現金を百四十七億程度というふうに推算いたしております。
  121. 中野明

    中野(明)委員 そうしますと、大体持ち越し現金がほとんどこれで終わることになりますが、私どもまず第一に疑問に思いますのは、決算をずっと見てまいりますと、四十一年、二年、三年、四年と、決算ではずっと黒字が出ておるようであります。ところが、四十五年の予算で、突然といえば突然ですが、百三十億という赤字が出たわけです。これはどういう理由でこのような赤字になったのか。いままでずっと毎年黒字が続いてきておって、ここで赤字になったというんですから、かなり大きな理由があると思います。その辺を説明していただきたいのです。
  122. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 ただいま御質問にありましたように、確かに昭和四十一年度に料金を値上げをしていただいて以来、いま四十三年度まで決算が終了しているわけでございますが、毎年ずっと黒字を出しております。しかし、その黒字はだんだん減ってきておりまして、まだ決算は終わっておりませんが、四十四年度では収支はとんとんか、ほんのちょっと黒字になるんじゃないかという状態でございます。そして四十五年度に持ち越し現金百三十億、そのうち厳密に言うならば、損益収支差額に充当するものが約百億でございます。百億赤字になる。  なぜこういうふうになってきたかと申し上げますと、御承知のように郵便業務収入は、対前年の増加率が六ないし七%ずつ伸びております。それに対しまして支出のほうは最近では一〇%、四十五年度の予算では対前年一四%増と見込まざるを得なくなったわけであります。  その理由は、御承知のようにこの特別会計の八〇%が人件費でございまして、人件費の伸び率が高いわけございます。その人件費の伸び率は、仲裁裁定による部分が大きな原因でございまして、現に四十四年度は八%プラス千円、大ざっぱに言って約一割でございます。それに昇給原資三%、そういったもので、ある程度必要やむを得ざる人件費の増、そういったもののために、収入、支出のアンバラが生じまして、過去において黒字であったものが、ついに四十五年度予算では赤字予算を組まざるを得なくなった大きな原因というふうに考えております。
  123. 中野明

    中野(明)委員 毎年そうですが、特に四十五年度は、収入の見積もりが少し過小ではないか、少ないのではないか、このように考えるわけです。毎年の予算を見ていきますと、プラスマイナス・ゼロということでずっといっておりますが、決算では黒字が出てきております。そういうことでことし百三十億、純然たる欠損は百億ですか百四億ですか、いまそういうふうに言われているわけです。こういう理由には、いま言われたような理由があると思いますが、いずれにしても収入の見積もりが少し過小じゃないか。特に、本年は大臣も、御承知のように二月ごろから、何かもう来年から郵便料金を値上げするのではないかということが巷間伝えられております。特に先日の分科会でも、先ほどはそんなつもりで言ったのではないとおっしゃっておりましたが、大臣答弁が、郵便料金の値上げをするというふうな新聞報道にもなっております。二月ごろの新聞では、何か郵政当局では検討を始めている、そういうふうな新聞の報道になっております。  大臣としてはよくおわかりのように、これは物価との関連もありまして、郵便料金値上げということになりますと相当大きな影響があります。そういう点で、ことしの予算に初めからこういう赤字、しかも大きな赤字を見込んで予算をつくってこられるということは、やはり来年から値上げをするという一つ準備運動ではないか、そのように勘ぐる向きもあるわけです。  この予算でもう一点私、気になっておりますのは、毎年、年度の途中で仲裁裁定が出ましてベースアップがあります。四十五年度の予算ではどうなんでしょうか、それを見込んでおられるのかおられないのか、その点……。
  124. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 ただいまお尋ねの二点のうち、まず第一点のほうは、収入の見込みがちょっと過小ではないかという御質問だったと思います。いままでの予算と決算とを見ますと、確かに予算よりも決算のほうが伸びております。その意味において、四十五年度の収入が絶対これ以上伸びないかということになりますと、私はある程度伸びるのではないかという感じはいたしております。しかしその額は、四十四年度においても三、四十億ではないかというふうに私、踏んでおります。  そこで、いま御質問の第二点に関連してくるわけでありますが、四十五年度予算には、四十五年度で予定されている仲裁裁定の財源は、予算上では見込んでおりません。そこで四十四年度においても同様に、四十四年度の仲裁裁定の財源は見込んでおりませんでしたが、四十四年度において仲裁裁定を受けて、われわれが四十四年度予算においてどう処理しているかということを御参考に申し一上げます。それが四十五年度の処理にもつながるとおもいますので、四十四年度で説明させていただきますと、先ほど申しましたように八%プラス千円、約一割のベースアップがありました。これは約三百億であります。そのうち郵便業務収入で見るべき、すなわち郵便で見るべきものが約半分でありまして、百五十億程度でございます。この部分をどう処理したかと申しますと、先ほど言いました四十四年度で増収が見込まれるその増収と、それから予備費と、それからあと、あちらこちら少し無理したのでございますが節約をさせまして、そしてこれを四十四年度において処理する見込みでございます。  したがいまして、四十五年度でどの程度の仲裁裁定が出るかわかりませんが、四十四年度等から見て、大体その近くのものであるということであれば、われわれとしては、そのある程度見込まれる増収と、予備費と、それから四十四年度で行なったと同等の節約というものでもって、何とか処理しなければならぬのではないかというふうに考えております。
  125. 中野明

    中野(明)委員 いまのお話では、よく伸びたとしても大体三、四十億というような答弁でしたが、去年と同じようにベースアップがあったといたしますと、大体いま答弁の中にもおっしゃっておりましたが、ことしというか、昭和四十五年度の場合やはり百六十か七十億円は必要じゃないか、このように常識的に考えられます。それよりも多ければ多くなりますがね。  そうしますと、この四十五年度の予算はベースアップを見込んでおりませんが、いまのお話では、増収とか予備費とかで何とかいける、そういうような幅を持った予算を組んでおられる。それなら、去年で実績があるのですから、経費その他も最初から節約した予算をきちんと立てて、そして少しでも赤字を少なく出しておかれるのが正しい予算の組み方じゃないか、このように私、考えるわけです。  ところが、いまの状態ですと、逆に考えますと、業務の成績があがらなかったり、あるいは予備費もほかのほうへいったり、経費の節約もこれで目一ぱいでできないということになりますと、最悪の場合は補正予算でも組まなければならぬ。こういうふうな心配もするわけですが、そういう点、いまのお話を聞いていますと、やはりかなり幅を持った予算を組んでおられるのじゃないかと私どもも想像するわけですが、その点、最悪の場合は補正予算を組まなければ運営できないと思うのですが、組まれるのかどうか、あるいは絶対にこれで何とかいける自信を持っておられるのかどうか、この点もう一度お伺いいたします。
  126. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 ただいまちょっと簡単に申し上げましたので、節約がいとも簡単にできるようにもし御理解なさったとすると、私の答弁のしかたが少し足りなかったということでございます。と申しますのは、節約も、初めのわれわれの予算としては、この事業をやっていくためにはどうしても必要な経費ということで、相当詰めたつもりでございますし、大蔵方面においても、相当強い査定というものをいままで行なってきております。  そこで、なぜそれでは四十四年度にそのような無理した節約ができたのかと申しますと、ざっくばらんに申し上げますと、実はこれは相当人件費等で、これは好ましくないのですが、ある郵便局で人がやめたときに、それはすぐ埋めなければならぬようになっておりますのを、少し欠員のままちょっと待ってくれというようなことで、サービス上は非常に経理当局としてはさびしい話だったのですが、とにかく財源を出すためにということで、そういった欠員を埋めるのを少し待ったり、そういうようなことをいたしましてかなり節約した。それから物件費等につきましても、局内においては、これほど節約されたならば事業運営に支障があるという事業局方面の強い要望があったにもかかわらず、とにかく仲裁裁定の財源だけは確保しようということで、そういう無理をした結果でございます。  したがいまして、四十五年度予算におきましても、四十四年度予算をもととして組んでありますので、また四十五年度に仲裁裁定が出た場合は、相当そういった無理をして初めてその財源の確保が可能であるというふうに考えております。しかし、仲裁裁定が何ぼ出るかいまわかっておりませんので、もしわれわれが予定というか、われわれの財源で処理し得ないような大きな仲裁裁定が出ますならば、当然そういういまの節約、そういうものを持っていってみて、そしてなおかつ財源が出ない場合は、当然これは補正予算をお願いせざるを得ないということになろうかと思います。ただいまのところ仲裁裁定がどのくらい出るか、それから節約財源がまだ現実に詰めておりませんので、どのくらいになるか、その辺のかみ合いがまだきまっておりませんので、確たる答弁はできかねますが、お尋ねのように、もし仲裁裁定の財源が出ない場合は補正予算を組まざるを得ない、こういうことになろうかと思います。
  127. 中野明

    中野(明)委員 いまの答弁ですけれども、確かに苦心をして節約をされたということのようですけれども、やめた人のあとを補充するのをおくらせたとか、意図的であるかないにかかわらず、やはりその点は、先ほど阿部委員からの質問もありましたように、働いている人の労働を圧迫することにつながったり、いろいろとこれはたいへんな問題に発展していくわけですから、そういうやり方は好ましいやり方ではないと思います。  そういう点、大臣は新しくかわられたことでもありますし、私、心配しておりますのは、赤字を相当大きくここで表に出して、そして郵政事業の危機を訴えるという一つ考え方はあるかもしれませんけれども、当然それは、先ほどの質疑にもありましたように、四十六年以降の料金値上げにつながってくる一つ準備運動ではないかというふうに私どもは見るわけです。ですから、この点大臣のほうとしては、先ほどはそこまで断定的に考えたものじゃないとおっしゃっておりますが、郵政事業の性格からいっても、やはり私は、三つ方法があるようにさっき述べておられましたが、一般会計から、何とか埋めて、そして郵便料金の値上げをしないでがんばる、こういうことが一番好ましいとわれわれは考えております。この点について、四十六年度以降に対する一つの方針といいますか、大臣の腹がまえをあらためてもう一度お尋ねしておきます。
  128. 井出一太郎

    井出国務大臣 百三十二億の繰り越し現金を赤字補てんに用いたということは、決して伏線があるというふうなものではございません。そこまで郵政の会計がぎりぎりに相なっておるという証左でございますが、さりとて、中野さんが言われるように、郵便料金は公共料金の最たるものでありますから、これが相当値上げという場合の抵抗のありますことは、私どももよく承知をしております。  したがいまして、これからできるだけの企業努力を部内をあげてやってもらわなければならぬと考えております。そういう点、ひとつ年度当初から十分に引き締めてやってまいりたい、かように考えております。
  129. 中野明

    中野(明)委員 事務当局にお尋ねしますが、二月六日の新聞に、郵政省は四十六年度から郵便料金を値上げする方針を固め、その準備に着手した、このように報ぜられておるわけなんですが、そういう事実があるのですかどうですか。
  130. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 事務当局として、報ぜられておるような具体的な着手はまだしておりません。
  131. 中野明

    中野(明)委員 そうすると、この新聞の報道というのは、どこかにやはり根拠がなかったら出ぬと思うのですが、かなり具体的なことを書いておりますが、いまの御答弁で、一切そういうことがないということですから、一応私もそれを了解しておきますけれども、こういう具体的な新聞記事が二月ごろに出て、先日の大臣の分科会の答弁では、もう値上げを大体考えておるというような報道になりますと、郵便事業に対する先ほどの遅配の問題、やはりこういうことがある現状でもありますので、国民の側からすれば、これだけ郵便物が遅配してみんなに迷惑をかけておるのに、はや来年から郵便料金の値上げを考えておる、けしからぬ、こういうふうな声が出てくるのは当然だと私は思います。きょうは時間がありませんので、郵便物の遅配の問題については、また機会を見ていろいろ質疑をしたいと思います。大臣もお急ぎになっておるようですから、もう一点、先に進ましていただきます。  それは、大臣も新しくかわられたことでもありますし、郵政の公社化の問題について大臣の見解を聞いておきたいのですが、これは、御承知のとおり四十二年の暮れに、そのときの郵政大臣の小林さんが郵政事業公社化構想というものを発表されました。そういう今日までいろいろと賛否両論、がありますが、いずれにしましても、四十三年の十月に郵政審議会に公社化を諮問しました。その結果答申が出たわけでして、前河本郵政大臣も、この点については前向きで、大体四十五年度を目標にして公社化を実現させたい、こういうことを公式に答弁を何回かなさっております。  井出郵政大臣はこの点について、過去二代の郵政大臣のあとを受けられたわけですが、この公社化ということについての基本的な大臣考え方答申を尊重して云々ということがこれにも出ておりますけれども、そういう抽象的なことではなしに、過去二人の大臣は、四十五年度を目途にして実現をさせたいということを明言しておられるわけです。その点について……。
  132. 井出一太郎

    井出国務大臣 郵政事業の公社化につきましては、昨年の十月十七日に審議会からの答申が出されたことは御承知のとおりであります。答申によりますと、「郵政事業経営形態を公社化することは、これを機として経営の合理化、国民にに対するサービスの向上を推進するという真剣な決意をもって、あるいは努力が傾注されるならば、その効果をあげるに役立つ方策として採用に価するものと認める。」こういうことに相なっております。  この答申の取り扱いといたしましては、答申の趣旨を十分に尊重することは当然でございますが、本来経営形態のあり方は事業の根幹にかかわる重大かつ多岐にわたる問題でもございますから、省といたしましては、省内に郵政事業公社化対策委員会というものを設けまして、答申に示された各事項など公社化に関する諸問題についての具体的な検討を加えるということにいたしまして、省内いま各部局において鋭意これと取り組んでおる、こういうのが現状であります。  いまお述べになりました小林大臣、河本大臣、それぞお考えを述べておられますることは私も承知をしておるのでございます。したがって、その線を踏襲するということは当然でございますが、ただ問題は、非常に複雑かつ重大でありますので、時間的なテンポというふうなものから申しまするならば、当初言われましたような時点ではたしていけるかどうか、私としては十分時間をかけて慎重に検討をした上結論を出したい、こう思っておるわけであります。
  133. 中野明

    中野(明)委員 大体いつごろ結論を出される見通しなんですか。もし大体の目標を持っておられたら示していただきたいのですが……。
  134. 野田誠二郎

    ○野田政府委員 お答え申し上げます。  公社化といいますか、郵政事業経営形態の変更につきましては、非常に重要な問題でございますし、また、非常に多岐にわたる点がございます。またもう一つ、これは郵政省だけできめられない問題が非常に多く含まれておるわけでございますし、さらにわれわれの立場から申し上げますと、ただ事務的と申しますか、あるいは実務的な点からのいろいろな問題点だけでなく、最終的には非常に高度な政治的な判断を要する点もあろうかと思います。  ただ、われわれの事務的なあるいは実務的な点から申し上げますと、これは一応のめどでございますが、来年度の予算要求をいたします時期までには、そういう意味での事務的な案を一応そろえるという覚悟と申しますか、意気込みで現在作業にかかっておるわけでございまして、先ほど申し上げました大体八月くらいまでには、大臣の手元にまで差し出せるようにというつもりで努力いたしておる次第でございます。
  135. 中野明

    中野(明)委員 大臣も急いでおられるようですから、もう一点だけおられるうちにお願いしたいのですが、これは昨年簡易保険法の改正のときに、私、大臣質問をしまして、そして大臣もそれに対してはっきりお約束なさっておるわけです。  まず一点は、簡易保険の限度額を昨年は二百万円としたわけですが、三百万円にできないか。現時点におきましてはもちろん、去年でもそうでしたが、二百万円という限度額は低いということはもう常識です。それで三百万円にするということで議論をしまして、ことしはどうしようもなかったので、四十五年度は必ずそういたしますと、このような答弁があります。またそれから、それに引き続いて学資保険、これも昨年提出するようになっておったのですが、いろいろの都合でつぶされた。これも必ず四十五年度には実施いたします、このように確約をなさっておられます。  ところが、大臣所管事項説明の中では、こういうことについては一切お触れになっておりません。私は、委員会で慎重に審議して、その過程におきましていろいろ理由の説明があって、必ずそういたしますと言われたことが、その後何の形もあらわれてこないということについて、非常に遺憾に思うわけですが、その問の事情どういう事情大臣が約束されたことが実現できなかったのか、引き継ぎも受けておられるとは思いますけれども、お返事が願いたいと思います。
  136. 井出一太郎

    井出国務大臣 前大臣が言明せられましたことは、私も十分これを踏襲し、尊重しなければならぬと考えております。  そこで、いま御指摘の三百万円に限度を上げるという問題あるいは学資保険を創設する、この二点でございますが、その準備は進めてまいったのでございますが、今回は予算策定当時において、関係方面との調整が十分につきませんでした。現在のところは、昨年九月に発足した例の傷害特約制度、これはおかげさまでたいへん評判がよくて軌道に乗りつつあるわけでございますから、まず当面はこれにひとつ精力的に力を注ぎまして、これが軌道に乗りました上、次年度においては、いまの二つの問題の実現に取り組みたい、このように考えております。
  137. 中野明

    中野(明)委員 いまおっしゃった事情は、昨年の委員会審議の中でお返事になったこと、御答弁があったことと同じなんです。昨年すでにこの三百万円にしなさい、そして学資保険をどうしてやられないのですか、このように私、尋ねましたら、いま大臣がおっしゃったと同じお返事だったわけです。それで、こういう事情ですから、必ず四十五年度からは実施いたしますと、ここにちょっと記録がありますが、両件とも、来年は必ず実施する、こういうことをはっきり述べておられます。ですから、重ねてここで同じような答弁をいただくということになれば、何のために委員会で審議をしているか、こう私どもは申し上げたくなるわけです。ことしの予算編成にあたってどこまで——お金だって、学資保険は最初はそんなに大した金額じゃないと思います。たしか五億ぐらいだったと思います。そういうことについて、予算編成のときにどうされたのか。初めからもうお約束されたことを無視して全然やられなかったのか、それともどういう理由でどこかから待ったが出て思いとどまったのか、そこの事情をもう少し説明していただかないと、せっかく委員会で審議をしても何にもならないということになりますと、これは問題だと思います。その辺もう一度お願いしたいのです。
  138. 上原一郎

    ○上原政府委員 お答え申し上げます。  基本線はただいま大臣からお話があったとおりでございますけれども、関係方面というのは、率直に申し上げまして大蔵省でございますけれども予算編成のときにいろいろと折衝いたしました。三本立てと申しますか、学資保険、それから最高制限額の引き上げ、それから保険金増額保険その他の改正ということがありましたけれども、一番問題になりますのは、何と申しましても最高制限額の引き上げでございます。御承知のとおり、各委員の御努力によりまして、四十四年の六月に二百万円に上がっております。それをまた三百万円というのに難色を示したというようなことで、いろいろと折衝をしたんですが、どうにも私自身の力弱くして改正に至らず、それよりも傷害特約が、当初は付加率七五%という目標でやったんですけれども、これがたいへんな高成績であるので、そちらに重点を置こうということになったので、今回は見合わせることにしましたが、今度の機会にぜひとも実現させたいというふうに考えて、目下鋭意折衝中でございます。
  139. 中野明

    中野(明)委員 そういうことになると、たびたび大臣がかわられると非常におもしろくないのですが、現大臣はそのときは大臣じゃなかったのですし、局長さんもそのときは局長じゃなしに、お隣におられる竹下さんが局長さんだったと思います。ですから、局長さんのほうはまだおられたんですからいいんですが、どうもいまのお話を聞いておっても、昨年の委員会の審議のときに、いま申し上げたことは全部議論になったわけです。その結論として、大臣、またその当時の竹下局長も、そうしますというお話だった。もうかわったから力弱くてと言われてしまえばそれまでかもしれませんけれども、そういうことでは、私ども委員会でほんとうに慎重な審議をしても何にもならぬということになります。そこら辺の責任は十分お感じになっていることと思いますけれども、来年また同じようなことを繰り返されたんでは、われわれも審議する気持ちも起こらぬということになりますし、また、国会軽視にもなるんじゃないかと思います。予算折衝のときでも、私どもはあまり深く存じませんが、新聞を見ておりましても、何か第一次で大蔵省のほうから横やりが出れば、もうすぐ引っ込んでしまって、復活要求なんか全然なさっているような気配が感じられません。だから結局、大臣がここで答弁なさったことに対することを何とかして実現さしていこうというところの意欲というのですか、責任感というのですか、それが局長さんあたり全然ないんじゃないか。大臣がかわったんだからいいだろう、そういうふうな考えでおられたら、私は重大問題だと思うわけです。そういう点、今後もあることですから、ただいま御返事になりましたこと、後ほど大臣にもよくあなたから話していただいて、ぜひこれは来年は実行に持っていってもらいたいと思います。  それからもう一点は、そのとき、小さなことですが、給付内容の民間との違いがありました。あのことについても、何ら改善がされてないんではないか。せっかくここで前向きのお話が出ても、実行できないということになると、これは何にもなりません。そのときにできないならできない、だめならだめだとおっしゃっていただけば、これはまた私どももそれなりに反論もして、そして納得できれば、無理を言うわけではありません。そういう点、簡易保険の目的、性格から考えまして、保険料をできるだけ安くしろとか、国民の福祉のためにとか、あるいは国でそれを責任をもって運営しておるとかいうその精神からいきましても、民間とあまりにも不公平な差があるというようなことは、法律の精神にも反すると思うわけです。ですから、昨年お約束なさったことをまだいまごろ言わなければならぬということ自体、私たちは非常に残念でしょうがありませんが、十分責任を感じて、善処していただきたいということです。  それからもう一点は、終身養老保険ですか、これにつきましても掛け金の問題がありました。ですから、これは何か方法考えていかれて、自分の保険金額に達した場合にはもう掛け金はしなくていいとか、そうしないと、保険金額をオーバーしてどんどん掛けておるということになる。これについても、相当苦情とか批判があることは昨年も申し上げたとおりなんです。そういう点、いろいろ幅広い問題があると思いますので、十二分に簡易保険の目的、精神というものを考えた上で対処していただきたい、このように要望をしておきます。もう大臣も参議院のほうに行ってしまってどうしようもありませんのでこの程度にしておきますが、十二分に責任を感じて善処していただきたい、このことを申し上げておきます。  それから、時間がございませんが、せっかくきょう公社においでを願っておりますので、電話のことについて申し上げてみたいと思います。  大臣所管事項説明の中にも出ておりましたが、電話の積滞につきましては、全国的に電話に対する関心は年々非常に高まってまいりまして、これから先電話を持ってない人は珍しいというような時代が来るくらいな勢いで伸びておりますが、その反面で積滞というのが非常にふえております。四十五年度の予算では二百十万個を新設するという予算がいま出ております。出ておりますが、この四十五年度に二百十万個が新設されたと  いたしまして、四十五年末の積滞の見込みは一体どれくらいになるでしょうか。現在の積滞は幾らで、四十五年にこの二百十万個を全部つけたといたしまして、四十五年度末には積滞の数は一体幾らになるか、それを最初にお聞きしたい。
  140. 武田輝雄

    ○武田説明員 全国で昨年の十二月末で二百五十六万ほどの積滞がございます。この積滞は、四十四年度末までに増加するというふうに考えられます。  それと、もう一つは四十五年度のお尋ねでございますが、四十五年度に新規の申し込みが出てまいりますので、四十四年度末の積滞並びに四十五年度におきます新規需要を合わせまして、それに対して二百十万個をつけるということでございますので、大体二百七十九万、約二百八十万くらいの積滞が残ろうかというふうに考えております。
  141. 中野明

    中野(明)委員 そうしますと、二百十万個新設されるということは、昨年よりもずいぶん伸びておりますからけっこうなことのようですが、結局二百十万個を新設いたしましても、四十五年度末におきましては、いまの伸び、申し込みからいきますと、二百五十六万が二百八十万へと逆に積滞がふえるというようなことになっておるわけです。これにつきましては、おそらく計画を長期的に立てられて積滞の解消に当たられる、このように私どもも思いますが、どういうお考えを持っておられるのか総裁のほうから……。せっかく二百十万個つけても、現在よりもまだ積滞数がふえるのですから、これが減っていくならば非常に楽しみがありますけれども。減っていくということについて、将来どのような考えを持っておられるか。
  142. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  先ほど数字を営業局長が言いましたが、私たちといたしましていま第四次五カ年計画を進めておるのございまして、これは四十三年度から四十七年度の問に九百三十万つけるということで計画して進めてまいりました。四十五年度はちょうどそのまん中の年になります。しかし、いま御指摘のように非常に積滞がふえておりますので、これに百万追加いたしまして、九百三十万つけるという四次計画の工程を一千三十万つけるというふうにいたしました。四十五年度につきましては、最初百八十五万という計画でありましたが、いま予算委員会にかかっておりますように、それに対しまして二十五万ふえて二百十万個をつける。さらに、いわゆる農集といいますか、地域集団電話を三十万つけるということで、いま準備を進めておる次第でございます。  それから、いつになったら解消するかということでありますが、電電公社といたしましては昭和四十六年、明年度から七カ年計画を実はつくりたいと思いまして、第五次五カ年計画の最終年度であります昭和五十二年度に至ります七カ年計画の中で、全国的な規模においてこの積滞の解消をはかりたいというふうに考えておりまして、少なくともことしの七月末か八月末には、この計画を公社としてまとめたいというふうに考えております。
  143. 中野明

    中野(明)委員 そうしますと、五十二年度で大体積滞はなくなる、そういう計画を立てようというわけですね。  参考までにお尋ねをしておきたいのですが、ことしのこの二百十万個を、全国の通信局ですか、そこへどのような基準で割り当てをなさるのですか。私、これを申し上げるのは、東京とか大阪とかいう中心部はいまではかなり積滞が減りまして、申し込んだらすぐつくというふうな地域もだんだんできてきておりますが、この大都会の周辺並びに各府県の県庁の所在地、ここらあたりの都会におけるところの積滞というのが非常に大きいわけです。特に県庁の所在地というところはやはりその地域の政治、経済の中心地です。それだけに要求も強いし、そしてまた架設してからの利用価値も非常に高いものだと私どもは見ております。そういうところを重点的に配分をなさろうとお考えになっておるのか、この二百十万個を配分する一つの公社としての考え方、これはおそらく予算が通ったらなさると思いますけれども、もうすでにできているのじゃないかという気もするのですが、わかっていれば伺いたい。
  144. 武田輝雄

    ○武田説明員 御承知のように、現在の公衆電気通信法によりますと、申し込みの全部に予算が応じられない場合には、優先受理基準に基づいて電話をつけるということになっております。したがいまして、公社といたしましては、優先受理基準に基づきまして各通信局への配分をやるということにいたしております。  現在の考え方は、第一順位、第二順位並びに第三順位のものにつきましては、その需要全部に応じていきたい。ただし、第四順位、第五順位につきましては、先ほども申し上げましたように、需要に供給がはるかに及ばないわけでございますから、できるだけ待ち合わせ時間を均等化していく、アンバランスのないようにしていくということで考えてまいりたいと思っております。  しかしながら、電話をつけますには膨大な基礎設備が要りますから、そういう基礎設備をつくりますには、どうしても需要が集中してあるところに早く基礎設備をつくるということが効率的でございますので、どうしてもそういう形にならざるを得ない。そういうふうになりますと、やはり経済の中心、首都圏とかあるいは県庁所在地といったようなほうに、設備の面から重点がおのずから置かれてくるということに結果としてなると思いますけれども、優先受理基準、また地域の状況、需要の質等を考えて、通信局別に配分をし、おつけする際には、通信局においてもそういうことを考えておつけする、こういうことを考えておる次第でございます。
  145. 中野明

    中野(明)委員 では、時間がありませんので、資料として後ほどお出しをいただきたいと思うのですが、優先順位別に、もし計算ができるようでしたら、三年以上の積滞がどれだけあるのか、一位から六位までありましたか、それがわかれば後ほどでけっこうです、資料でお願いしたいと思います。
  146. 武田輝雄

    ○武田説明員 資料として出さしていただきます。
  147. 中野明

    中野(明)委員 では、以上で終わります。
  148. 金子岩三

    金子委員長 この際、午後四時再開することとし、休憩いたします。     午後二時十六分休憩      ————◇—————     午後四時十一分開議
  149. 金子岩三

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  再び放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  本件につきましては、質疑を終了しております。     —————————————
  150. 金子岩三

    金子委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。内海英男君。
  151. 内海英男

    内海(英)委員 私は、ただいま議題となっております放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に関し、自由民主党を代表して、これに承認を与えるに賛成の意を表するものであります。  この議案の内容をなすNHK昭和四十五年度収支予算事業計画及び資金計画は、NHK昭和四十三年度以来推進している長期的構想の第三年度分に相当するものでありまして、当年度の事業計画の内容としてテレビ、ラジオ両放送網の早期完成や放送番組の充実、刷新、番組利用の促進、営業活動の強化等の施策を進めるほか、新たに受信料免除範囲の拡大措置を講じ、また、放送センターの総合整備に着手することといたしております。  かように、昭和四十五年度の事業計画は、従来からの事業の基本路線に新規の施策を織り込んだものでありまして、これはNHKの使命や放送現状に照らして、おおむね適当な計画と認められます。また、この事業計画の裏づけとなる収支予算もまずまず手がたい算定になっていると思われます。  わが党は、こうした判断のもとに、本収支予算に対しては、これを承認することに賛成いたす次第であります。  なお、本件については、別途附帯決議案の用意もありますので、おもな要望はこれに譲り、ここでは、本収支予算等の執行にあたり、NHKが、附帯決議の趣旨はもとより、本案審査の動向等をも参酌して、その適正を期し、よく国民の負託にこたえられるよう、特に希望を申し添えて、私の賛成討論を終わります。
  152. 金子岩三

    金子委員長 武部文君。
  153. 武部文

    ○武部委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件につき、これに承認を与えるに賛成の意を表するものでございます。  この議案の内容をなす昭和四十五年度のNHK収支予算等は、七〇年代に処するNHKの施策を示すものとして注目をせられるところでありますが、わが党はこの点に着目をし、先般来の委員会において収支予算事業計画の内容はもちろん、その背景にわたっても詳細な質疑を行なったわけでございますが、その質疑を通じて、わが党としては、この収支予算等は、NHKの使命や放送界におけるNHK役割り等に照らして、おおむね妥当と判断し、その適正な執行を前提としてこれに承認を与えることにするものでございます。  ただ、この際、本議案に関連して、政府並びにNHKに対し、二、三希望を申し上げておきたいと存じます。  その第一は、放送の公平と不偏不党の保持に関してであります。  申すまでもなく、放送の公平と不偏不党とは民主国家における放送存立の基本原則でありまして、この原則の保持については、放送事業者はもとより、政府においても最大の関心を払うべきものであります。最近、政治、社会情勢が一段と複雑化してきているおりから、特にこの点についての深甚な考慮を望んでおくものであります。  第二は、NHK事業経営のあり方についてであります。  言うまでもなく、NHK事業国民の負担する受信料を基盤として営まれているものでありまして、その運営にあたっては、経費の効率使用と節減につとめるべきは当然であり、この点については、NHK当局も十分に自覚しておられるところであろうと存じますが、なお一そう経理の厳正と支出の適正の保持につとめ、予算を上回る増収があったような場合においても、安易に走らず、将来の受信者の負担軽減にも備えるよう留意せられたいと思うのであります。  第三は、従業員の待遇改善についてであります。  従業員の待遇については、来年度の事業計画においても若干の改善がはかられるようでありますが、本来、放送事業は、人にかかるところの多い事業でありまして、事業経営者としては、常に従業員の待遇を適正に維持するようつとめていく必要があります。したがって、今後においても不断に処遇に心を配り、適時適切な改善をはかっていかれるよう希望いたします。  以上の希望を申し添えて、私の討論を終わります。
  154. 金子岩三

    金子委員長 伊藤惣助丸君。
  155. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私は、公明党を代表して、日本放送協会昭和四十五年度収支予算並びに事業計画に対し、若干の希望意見を付して賛成の意を表するものであります。  希望の第一点は、受信契約に関することでありまして、先般、わが党の中野委員質疑で明らかにされましたとおり、カラーテレビの契約は長期構想の当初の想定をはるかに上回り、契約に対応する受信収入も、見込みを大きく越えて伸びているわけであります。このような契約見込みの誤差は、予算承認の意義にもかかるものでありますから、NHKにおいては今後の予算編成にあたり、つとめて誤差を少なくするよう努力するとともに、予算を上回る収入の増加があった場合には、視聴者への利益還元をはかるよう考慮されたいのであります。  第二点は、テレビ難視聴対策についてであります。  テレビの難視聴対策については、かねてNHKも努力されているところでありまして、四十五年度の事業計画が完遂されれば、テレビのカバレージは九七%になるということであります。難視聴に悩んでいる世帯数はまだ多いのでありますから、山間僻地、大都市を問わず、難視聴対策のためにはなお一そうの尽力をお願いするものであります。  第三点は、NHKの受信料集金に関する問題であります。  集金人の方々は、NHKの財政基盤をささえている陰の功労者でありますが、現在集金人の待遇や身分は必ずしも十分なものとはいえないようでありますので、これらの人々の待遇の改善や身分の安定について、十分の配慮をされるよう希望いたしますとともに、NHKにおいては、未集金の徴収に今後も一そうの努力を要望いたします。  最後に、NHK国民放送との強い自覚をいつも新たにされて、放送法の精神にのっとり、厳正公平なる報道と国民生活向上のための番組充実に、さらに邁進されるよう望みます。  以上の諸点を要望するとともに、賛成の討論を終わります。
  156. 金子岩三

  157. 栗山礼行

    栗山委員 ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項による予算案件の承認を求める件につきまして、私は民社党を代表いたしまして、賛成の討論をしてまいりたいと存ずるのであります。  わが国の国際的使命、特にアジアにおきまする日本役割り日本経済、教育、文化の創造的な発展国民生活の豊かなる向上に、NHKの持つ役割り、その使命がますます重要問題になりつつあることを深く思いをいたし、いわゆる一九七〇年代の創造的文化の建設的使命感に徹し、その運営にあたり御活躍を期待し、その成果に多大の期待を寄せ、本予算に賛成の討論を終わります。
  158. 金子岩三

    金子委員長 土橋一吉君。
  159. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま議題となっております日本放送協会昭和四十五年度の、放送法第三十七条二項の規定に基づき、承認を求めるの件につき、不承認の態度を表明いたします。  NHK予算は、受信料によって成り立っています。またNHKは、真実の報道、放送による表現の自由の確保、不偏不党の原則を法律によって義務づけられ、放送番組編集の自由を法律によって保障されているわが国最大の公共放送機関であります。したがって、予算の編成と執行は、NHKを維持している事実上の主人公である視聴者、すなわち国民の現実に立脚し、その要求を反映し、利益を守るものでなければなりません。  しかし、本予算案によれば、国民NHKが直接交流し、また、それを改善するための国内放送費が予算に占める比率は、昨年に引き続きさらに低下しているのであります。  また、法律によって義務づけられている難視聴対策は、かなりの改善がなされているとはいえ、建設費に占める比率は大幅に低下しているのであります。  一方、急激に増加している建設費を確保するために、放送債券発行額と長期借入金は大幅にふやされ、しかも法律によって義務づけられている放送債券償還積み立て金繰り入れも、長期借入金を充当するという不健全な予算となっています。  さらに、本予算案で強力に推し進められるVHFからUHFへの移行は、国民に多くの負担をかけるものであります。しかも、NHKには移行しなければならない積極的な理由はなく、政府・自民党の国策に無批判に迎合したものとして賛成することはできません。  以上のように、NHK四十五年度予算案は、国民に直接責任を負うべき公共放送機関予算としては幾多の疑義があり、承認することはできません。  わが党は、経営委員会番組編成審議会の徹低的な民主化を要求します。  財政を民主化し、聴視料を引き下げ、難視聴地域の聴視料を減免し、その補償は、被害を与えている米軍や高層ビル所有者などからNHKに払わせることを主張し、反対討論といたします。
  160. 金子岩三

    金子委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決いたします。  本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  161. 金子岩三

    金子委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。     —————————————
  162. 金子岩三

    金子委員長 この際、水野清君外三名より、本件に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  趣旨説明を求めます。水野清君。
  163. 水野清

    ○水野委員 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    附帯決議(案)   政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施につとむべきである。  一、テレビジョン放送のUHF帯移行を円滑に推進すること。  一、テレビ難視聴対策を積極的に推進すること。  一、放送法の精神にのっとり、放送による表現の自由と放送の不偏不党を確保すること。  一、協会は、知識社会技術革新の世代に即応し、放送番組の充実、向上につとめること。  一、協会は、経営近代化、業務の効率化をはかり、従業員の待遇改善に資すること。   右決議する。  この附帯決議案は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかるものであり、また、この案文は先日来の審査の動向を勘案して起草いたしたものでありますから、あらためて御説明するまでもないこととは存じますが、簡単にその要旨を申し上げます。  まず第一は、テレビジョン放送のUHF帯移行に関する要望であります。  テレビジョン放送のUHF帯移行については、一昨年秋、政府の方針が明らかにされた後、昨年二月には郵政省NHKとの間に専門連絡会が設けられ、十月には民放連もこれに参加し、U移行に伴う諸般の問題について調査が進められている一方、NHK東京大阪両UHF実験局も来年度中には発足の運びに至るなど、着々その下準備が整いつつありますが、申すまでもなくこのテレビジョン放送の周波数帯変更は、放送事業者はもとより、受信者に対してもかなりの負担をかけるものである上、一たんやり方を誤れば収拾のつかない混乱を引き起こすおそれもありますので、その実施については慎重を期し、国民理解と支持のもとに、円滑に移行措置を進めていかれるよう、政府の配慮とNHKの協力を望んでおこうというのであります。  第二は、テレビ難視聴対策についての要望であります。  テレビ難視聴対策については、かねて政府、NHKともに格段の努力を払ってこられたところであり、次年度のNHK事業計画においても施策の強化がうかがわれるのでありますが、今日なお相当数のテレビ難視聴地域が残されているばかりでなく、新たに都市視聴の現象も生じてきておりますので、これらをあわせて、その対策を一段と積極化されるよう要望しようというのであります。  第三は、放送法の目的にうたわれている放送による表現の自由の保障と、放送不偏不党の確保に関する要望であります。  当委員会においては、前々年度及び前年度のNHK予算に対する附帯決議でも同趣旨の要望を行なったのでありますが、最近における政治、社会情勢の動向に照らして、公正な世論の形成が一そう緊要になってきていると思われますので、この際、さらにあらためて政府並びにNHKに対し、放送法の本旨の再確認を求めておこうというのであります。  第四は、放送番組についてであります。  申すまでもなく、放送事業の最大の使命はよい放送を行なうことであり、なかんづくNHKは、放送法によって、「豊かで、かつ、よい放送番組放送することによって公衆の要望を満たすとともに文化水準の向上に寄与するように、最大の努力を払うこと。」を義務づけられているのでありまして、常に放送番組の充実、向上につとむべきはいうまでもありません。しかも、知識社会技術革新の世代の進展に伴い、放送に対する社会的期待は今日一般と高度化してきており、協会はよくこの時代の要請にこたえ、番組の充実、向上について、さらに倍旧の努力を傾ける必要があろうというのであります。  最後は、従業員の待遇に関してでありまして、NHK経営現状等より見て、今後における従業員の待遇改善は、経営近代化や業務の効率化の果実をもって行なわるべきであるという趣旨であります。  以上、簡単ながら附帯決議案の趣旨を御説明いたしましたが、何とぞ全会一致御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  164. 金子岩三

    金子委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  水野清君外三名提出の動議のとおり、本件に附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  165. 金子岩三

    金子委員長 起立多数。よって、附帯決議を付するに決しました。  なお、ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  167. 金子岩三

    金子委員長 この際、井出郵政大臣及び前田日本放送協会会長から発言を求められておりますので、これを許します。井出郵政大臣
  168. 井出一太郎

    井出国務大臣 本件に関しましては、慎重なる御審議の上ただいま御承認をいただきましたことを、厚く御礼申し上げます。  ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましても、今後の放送行政にあたりまして、その御趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。
  169. 金子岩三

  170. 前田義徳

    前田参考人 昭和四十五年度のNHK収支予算並びに事業計画につきまして、大多数の御賛同をいただいて承認を得ましたことは、まことにありがたく、厚く御礼を申し上げます。  その際、決議として附帯決議が成立したわけでありますが、私どもは協会経営責任者の一人として、この五項目にわたる附帯決議を、これからの運営の基本方針の中に加えるとともに、慎重御審議の際に、各党それぞれの方々から表明された御意見を玩味いたしまして、これをやはり私ども経営の指針の一部に資したいと考えております。まことにありがとうございました。     —————————————
  171. 金子岩三

    金子委員長 逓信行政に関する件について調査を進めます。  質疑を続行いたします。栗山礼行君。
  172. 栗山礼行

    栗山委員 きわめて限られました時間でございますので、要点のみを申し上げて、端的にお答えをいただきたいとお願いを申し上げます。  私はまず、大臣がおいでになるようでございますが、音声放送について若干のお尋ねを申し上げてまいりたいと思います。  中波放送では、昭和四十五年度に秋田の第二放送の大電力化が完成することになってまいったということを承知をいたすのでありますが、その後の大電力化計画というものは、どういうふうにお進めをいただいておるかということを一点としてお伺いをいたしてまいりたいと思っております。  これにつきましては、いわゆる音声放送の再編成計画との関連がございますが、再編成計画については、郵政省といたしましては、予定どおり昭和五十一年度を完了めどにしてお進めになっておるかどうかということについて、大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  173. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  音声放送の再編成に関連いたしまして大電力計画ということにつきましては、従来、郵政省としましても計画を立てて、いまおっしゃるような五十一年度をめどにして進めるということになっていたわけでございますが、その後、御存じのように放送大学という問題が出てまいりまして、私どもとしましては、放送大学用の電波を確保しなければならないという立場にあるわけでございます。放送大学用の電波といたしましては、UHFのテレビ一系統とそれからラジオ一系統ということになっておりますけれども、ラジオと申しましても、いま御指摘にありましたいわゆる中波の波と、それからいわゆるFMと申します超短波の波、あるいは短波ということも考えられるわけでございまして、そういった点につきまして、いま私どもとしましては検討を進めてまいるという段階でございます。  これは、御存じのように、文部省におきまする放送大学準備調査会といったものがまだ検討中でございまして、きょうの新聞などによりますと、七月の末ころにはその結論が出るというようなことでございまして、私どもといたしましてもそういった問題をかかえておりますので、音声放送全体の再編成の問題とも関連いたしましてこの大電力ということを考えておるわけでございまして、先ほどの五十一年という段階が、いまのところちょっとはっきりしてない状態でございます。
  174. 栗山礼行

    栗山委員 そういたしますと電波監理局長、結局、放送大学等の関連によって、いままで表明されてまいられました五十一年度のめどは、現段階においてはつかない、こういう御説明でございますね。  もう一つ電波監理局長お尋ねいたします。FM受信機の普及が進んでまいっておると理解をいたしておるわけですが、いまどの程度の普及率になっておりますか。
  175. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  現在はっきりした数字は確認しておりませんけれども、約一千万台近く普及している、そういうふうに聞いております。
  176. 栗山礼行

    栗山委員 これはちょっと大臣にお聞きしなくちゃ、政治的な配慮も含まれておるやに承知をいたすのでありますが、CATVの法案の問題であります。いわゆる有線放送業務の運営の規正に関する法律の一部を改正する法律案、こういうことで予定をされておるのでありますが、この法案の提出が、いつごろお出しになるかということでございます。いろいろ各関係方面にわたるそれぞれの議論が展開をされておるやにも承知をいたすのでありますが、郵政省としてはいつこれを出すつもりか、こういうことで、明快にお答えを願いたいと思います。
  177. 井出一太郎

    井出国務大臣 ただいま鋭意調整中でございまして、そのめどはあと一両日中くらい、そこへ参りますと大体煮詰まってくるであろうと考えております。
  178. 栗山礼行

    栗山委員 たいへん恐縮でありますけれども、短い時間でNHKに関する問題について若干お尋ね申し上げておきたいというように考えておりましたので、中にはさみまして、NHKのほうからお尋ねをいたしてまいりたいと思うのであります。  主としてNHKの教育、教養放送についてお尋ねを申し上げてまいりたいと思うのでありますが、いわゆる放送大学の問題が世上にクローズアップされてまいりまして、放送の教育的機能をどう利用すべきか、あらためて検討されるべき機運に進んでまいったと承知をいたしておるのであります。  私は、第一点といたしまして、NHK放送では教育、教養番組の比率はいかがになっておるかということの一点をお尋ねを申し上げたい。  二点は、NHKは現在どういう教育放送を行なっておるか。たとえばラジオ、テレビそれぞれの主要な教育番組について、御説明をいただきたいと思っております。
  179. 川上行蔵

    ○川上参考人 お答えを申し上げます。  NHK番組の中で、教育、教養番組の比率がどうなっているかというお尋ねでございますが、教育と教養との違いということは、放送法ですでに規定がございますのでそれには触れませんで、もうそれがきまっていることとしてお答え申し上げたいと思います。  まず、総合テレビでは、全体の時間数の中で教育番組は八・五%、それから教養番組が三八・二%、教育テレビジョンのほうは、これは教育が本来の使命でございますから、教育番組が八〇・四%、教養番組が一七・九%、それからラジオの第一放送では、教育番組が一・四%、教養番組が二九・八%、第二放送では、教育番組が八〇%、教養番組が一二・七%、それからFM放送では、教育番組が九・五%、それから教養番組が五〇・  一%、これが四十五年の四月から考えております番組の編成の比率でございます。  なお、次にお尋ねのございました、現在どういう教育放送を行なっているかという点につきましては、大きく分けまして二つございます。一つは学校向けの放送番組、これはいままでもこの委員会でお話が出ましたように、学校向けという意味において幼稚園、保育所から現在は通信大学、その対象までの放送を実施いたしております。それから社会教育番組といたしましては、再教育の番組あるいは職業教育の番組、そういう意味におきまして広い範囲でいたしておりますが、おもなものといたしましては、皆さま方御存じいただいておると存じますが、語学講座とかあるいは農業技術講座、コンピューター講座、あるいは婦人の手芸、婦人の日常教育的な番組というものを数多く組んでおります。
  180. 栗山礼行

    栗山委員 その次に、学校放送の利用状況がいかがになっておるかということをお伺いを申し上げたいと思うのです。また、放送をする上でのいろいろ隘路の問題について論議を承るわけでありますが、率直にいって、放送を利用する上での隘路の問題点は何と何かということの御指摘をいただきたいと考えております。  次の一点は、学校の放送の利用につきましては、実際問題といたしまして、これを利用する現場の先生方のいろいろな交流がひんぱんに行なわれねばならないと承知をいたすのでありますが、そういう体制というものができつつあるのかどうか、こういうお尋ねを申し上げてまいりたいと思います。  その次に、教育放送について、放送の持つ教育的機能の研究が何よりもまず必要であるとの考え方の上に立ちまして、そうした研究を具体的に進められていらっしゃるかどうか、この三点にお答えをいただきたいと思っております。
  181. 川上行蔵

    ○川上参考人 学校放送の利用状況につきましては、毎年、一応九月末から十一月の初めにかけまして、全国の学校を対象といたしまして調査をいたしております。その調査によりまして、受信機がどの程度普及しているかという問題、それからその受信機が、学校の教育課程に計画的に利用されているかどうか、教育番組でございますから、ただ興味半分に、思いつきで聞かれるというんじゃなしに、学校の教育課程の中に入って使われておるかどうかということを調査いたしております。  それで、昨年九月末から十一月にかけて全国の学校で調査いたしましたものを、テレビだけについて簡単に申し上げますと、幼稚園につきましては、テレビの普及率が九五・二%、それから保育所につきましては九七・三%、小学校では九九・二%、それから中学校では九五・五%、それから全日制の高校では九四・二%、それから定時制高校では七四・七%という数字になっております。  それでは、その学校が計画的に——教室は幾つもございますのですが、一つでも教育的に使っている教室のある学校の利用率というものを一応パーセントで申し上げますと、幼稚園が八八・八%、保育所が九五・四%、小学校が八九・六%、それから中学校、高等学校は下がりまして、中学校は三三・九%、それから全日制の高校は二六・四%、それから定時制高校は一〇・二%、そういう数字になっております。  次にお尋ねの、学校放送の利用状況はどうなっているかということにつきましては、いま三点が考えられるかと思います。それは、いま数字が非常に高いように申し上げましたけれども、受信機は必ずしも学校の教室全部には入っておりません。たとえば、特定の視聴覚教育という教室を設けまして入っているところ、あるいは六学年が五教室あれば、その中の一教室だけにしか入っていないというところもございまして、そういう機器が全教室に入るということがやはり望ましいと思います。  それから第二番目は、やはり放送というものは時間的な放送ですから、その時間と学校の授業が必ずしも十分に合わないというので、利用率が高まらないということがございます。ただ、これにつきましては、ラジオにつきましてはテープコーダーが簡単に各学校に入るようになってまいりましたので、これはかなり高くなっておりますが、テレビのほうも、いまビデオコーダーが安くなりまして、だんだん普及してまいっておりますので、そういう面からカバーができる、このように考えております。  第三は、やはり先生方の問で、学校の教育は教科書が中心であるというお考えが意識として強いということは否定できないと思います。そういう意味におきまして、先生方の間でテレビあるいはラジオ、そういうものの持つ視聴覚的方法の有利さということを理解いただければ、一そう利用率、が高まるかと思います。  そういう意味におきましては、先生の第三の御質問の学校放送の利用については、実際これを利用する学校教育現場との意思の疎通、あるいは普及をどういうぐあいにはかっておるかということでありますが、これにつきましては、すでに御承認いただきました予算の中で約四つ、五つの普及の方法考えております。  一つは、全国の中で二百六十校ほど研究委嘱校というものをお願いいたしまして、小学校、中学校あるいはろう学校というように特殊学校まで含めまして二百六十四校お願いいたしまして、それらの学校に具体的に、番組というものがどういうように利用されるか、あるいは利用上の問題がどうであるかということを毎年毎年研究をお願いしております。  それからもう一つは、それじゃ利用しようという先生方に研究会あるいは研修会を開いていただきまして、それらのものを大学の先生とか、あるいは教育委員会の方々とか、学者の方にお願いしまして研修会をいたしております。これを全国各地で催しまして、かなり成果をあげております。さらに今度は、現場の先生方が利用されました成果を持ち寄って、先生方のいわゆる研究会を毎年各ブロックごとに開き、最後に全国大会まで開くという形で、全国大会にはおよそ七、八千名から一万名の先生方にお集まりいただいて研究大会を開いて、そこの報告を、われわれは次の番組の参考にするということにいたしております。  そのほかにいろいろな調査をいたしまして、これは世論調査を通じまして、その学校放送番組の持っておるいろいろな問題点を研究し、また指摘をしていただいて、それを改善の資料にするという形をとっております。  なお、NHKの学校放送番組につきましては、われわれだけがつくるのではなくて、現場の先生方あるいはいろいろな学者の方々も入っていただきまして、その番組制作委員会というものを、具体的に各教科ごとにあるいは学年ごとに、それを非常にこまかくつくっておりまして、現場の利用上の立場から、学校放送番組の制作に具体的な示唆をいただくという形をとっております。  それから、その次にお尋ねがございました放送の持つ教育的機能というものをどういうぐあいに調査し、あるいは高めるように努力しておるかというお話がございましたが、これにつきましては、現在私たちのほうでいろいろ調査をいたしております。すでに世論調査所のほうにおきましてもこれを調査しております。それで、どういう点が放送の教育的機能の長所であるかということ、あるいは短所はどういうところであるかということ、さらには基本的に視聴覚教育的な方法というものと、それから活字あるいは文字、それからことばによる教育とどこが違うか、簡単に申し上げますと、映像的な教育と言語的な教育効果、それがどこが違うかという調査あるいはその研究をそういうところでいたしておりますし、さらにわれわれは通信高校というところを助成をいたしまして、そこで実際上独学する高校生が具体的に利用するという場合において、その問題点がどこかということを研究をいたしまして、そういうような教育効果をあげられるような手段をいろいろ考えております。と同時に、新しい方向として、学校の教室自体がいろいろな形で新しい機材を導入し、研究を進めておられますので、放送がまたこれに対応していかなければいけませんので、そういう面での研究も重ねております。  以上、大体お答え申し上げます。
  182. 栗山礼行

    栗山委員 NHKの関係で、もう三点だけお尋ねを申し上げておきたいと思います。  NHKは外郭団体として日本放送協会学園を擁していらっしゃるわけでありますが、学園の最近の状況がどのようになっておるかということでお尋ねを申し上げてまいりたい。たとえば現在の生徒数、入学者数と卒業者数との関係、卒業者の歩どまりの問題、それから学園の収支、卒業者のその後の状況等について、簡単に要点だけをお答えいただきたいと思います。  その次に、放送テキストの発行数の問題でございますが、いわゆる発行数は番組の利用状況をはかります一つの指標になるとも思われるのでございますが、テキストは年間何種類、どの程度の数を発行されておいでになるか、特に、その発行数の中で一番数の多いテキストとはどんなものであるか。  それから第三点といたしまして、今後におきます教育、教養放送の新しい行き方としてどのようなものをお持ちであるか、この三点について御意見を伺ってまいりたい。
  183. 金子岩三

    金子委員長 答弁は簡潔に願います。
  184. 川上行蔵

    ○川上参考人 NHKの助成いたしております放送学園は、四十五年度予想しております生徒は一万六千五百名を予定いたしております。毎年六千名くらいが入りまして、これはまあ通信教育のあり方として脱落してかくわけです。勤労者が通うわけですから、それは免れないと思いますけれども、およそ毎年二千名から千六百名卒業いたしまして、この三月に卒業する者は千六百名ほどに考えております。これは普通の通信高校に比べましてはるかに率が高くて、およそ二六%の生徒が入学から卒業まで終始一貫続けられ、しかも、それが四年間で卒業するという数になっております。それで、この放送学園以外の普通の通信高校では、平均一〇%から一二%の歩どまりかと、このように考えます。  それから、学園の収支につきましては、明年度予定しております予算を申し上げますと、大体学務収入、と申しますのは生徒の授業料そのほかでございますが、五千二百万ほど、それからNHKがこの学園に研究を委嘱するその助成金そのほかを合わせまして、それが三億三千万円。それから支出のほうにつきましては、先生方の給与そのほか事務費、そういうような形になっておりまして、予算規模としておよそ四億前後ということになっております。  それから卒業生は、大体みな職業を持って入学いたしておりますので、大体卒業しましても、それをもって特に就職をするということの問題はわりあいございません。自分が卒業資格を持って、そのままいままでの職場に残っておるというのが大部分でございます。  それから第二番の、NHKのテキストがどうかというお話でございますが、このテキストはおよそ九十種類が出ております。その中で非常に大きな数だけを申し上げますと、「英語会話」のようなものは三十万ほど出ております。それから「きょうの料理」というお料理の講座が四十二万、それから「婦人百科」というようなものが二十四万、「コンピューター講座」は明年の四月から約二十万を出す予定になっております。いま申し上げました中で「英語会話」それから「婦人百科」「きょうのお料理」は月刊になっております。それから「コンピューター講座」のようなものは、年に二回出すというような形を考えております。  それから第三番目にお尋ねの、今後における教育放送の新しい行き方として何があるかということでございます。これにつきましては、番組編成の基本方針でも申し上げてございますが、やはりこの情報化時代に対処して教育番組というものの比重、あるいは世界が大きく変わろうとしておる、あるいは日本もこれから大きく変化していこうという時代に、そういう情報を詳しくお伝えするということと、それから変化が激しければ激しいほど、その変化意味とかそれについていかれるための知識を持っていただくために教育番組を充実していきたい、このように考えております。  それから、やはり科学的な番組というものを、今後とも充実していかなければいけないかと思っております。  それから、いままでと違いまして、小さいときから映像で教育を受けている子供たちが非常に多くなっております。いままでの私たちはことばから入っていったわけでありますが、いまの子供は小さいときから映像というものを身につけてまいっておりますし、しかもそれで育ってきておりますので、映像教育の面をもっと充実して、その面の教育を放送番組自体において考えていきたい、このように考えております。
  185. 栗山礼行

    栗山委員 郵政大臣お尋ね申し上げます。  これは予算委員会の分科会においても質問があって、大臣がお答えになっていらっしゃるが、いわゆる四十五年度の郵政事業の特別会計に関する問題が各委員からきょうも説明を求められておられますが、どうも大臣の御答弁を伺う限りにおいては、一つは、各種の政治的配慮があまりに多過ぎるのではないか、一つはやはり困難な財政状況について、具体的に打開策をはかっていかなくてはならぬという場面に直面しておることを踏まえての御答弁理解するわけでありますが、私はぜい言を申し上げませんが、率直にいって、この状態で進んでまいりますと、可及的に財政の健全化の方向に施策として取り組んでまいらねばならぬことは、もう否定すべからざる事実であろうかと思うのであります。  そこで、私は要点だけをひとつお尋ねしておきますが、やはり井出大臣一つの勇断をもって実行性のある具体策をすみやかに提示されまして、いろいろな不安と疑問点について明確にしてこれを推進されるべきだ、こういうふうに私は理解をいたすのであります。井出大臣に期待するところきわめて大きいものがございまして、一にかかって郵政大臣の勇断と決意と実行の問題にあると理解をしておるのであります。井出大臣が可及的すみやかに勇断をもってこれに対処するという決意のほどをお願い申し上げたいと思うのですが、もしあればひとつ御所見を承りたいと思います。
  186. 井出一太郎

    井出国務大臣 お察しのとおり、郵政特別会計はなかなか困難な事態にございます。そこで、これをどうするか。確かに御指摘のように、大きな曲がりかどへ来ておると思います。従来は曲がりなりにも黒字で来たものが、ことしは相当大幅に持ち越しの現金を流用しなければならなかったという事態に徴しても明らかでございます。  そこで、この抜本対策ということに相なるわけでありますが、それには決して道は一つではないと思います。あらゆる知恵をしぼって、おっしゃるように強力な施策を展開しなければなるまいと思うのでございますが、これは単に声を大にしてそれでいいというのではないのでありますから、たとえば、職場の働く人々にもひとつ大いに元気を出してもらわなければなりますまい。それには、労働環境というものの改善にも力を入れなければならない。あるいは御指摘にもあったように、ある程度は賃金も奮発しなければなりますまい。しかし、これは直ちにまた経費増を来たすということにも相なります。また管理をする立場の諸君にも、ほんとうに行き届いた心がまえというものがなければなるまいと思うのでございまするし、郵便の仕事自体が本質的に抱えておる問題もあろうかと思うのでございます。つまり、最終的には足で郵便を届けなければならぬという、機械化近代化の例外というものもあるわけであります。こういう問題も、私は私なりにひとつ総ざらいにさらってみようと思うのです。そして、かえってしろうとの目で見る場合のほうが、案外いままで気のつかなかったものにぶつかるというふうなこともあるいはあるんではないか。  こういうようなことで、ただいままだ予算とかいろいろな問題に忙殺されておるのですから、私自身も明確に、しからばこれだというものをお示しいたすのにはまだもう少し時間をちょうだいいたしたい。私も真剣に取り組むつもりでございます。
  187. 栗山礼行

    栗山委員 電電公社の米澤総裁も御出席をいただいておりますが、ちょうど五時十分でこの質問を終わってまいらなくてはならぬ、こういうふうなことでございますので、要点お尋ね申し上げて、御答弁を重ねて明確にお答えをいただきたい。時間がございましたら、質問を通じて電電公社の御意見も十分お伺いいたしてみたい、こう考えておったのでありますが、後日の問題にいたしてまいりたい。  先ほど中野委員の御質問、それに対する御答弁もお伺いいたしましたが、今日の積滞電話の問題であります。非常に至難な問題でございますが、四十五年度で公社側は大体二百八十万の推定をされていらっしゃるような御意見を伺うのでありますが、どうも従来の経過から見まして、一向に妙薬がなくて、計画倒れ、積滞の増加という形に運んでおると私は理解をいたしておるのであります。  特にその中で、いろいろ資料を拝見いたしましたのですけれども、電話の申し込みの積滞が、通信局別に見ますと、依然として関東通信局管内が一番多うございます。続いて近畿、東海の順となっております。このことは、やはり大都市周辺地区に特に積滞が多いということを物語っておる姿であろうかと承知をいたしておりますが、積滞電話の解消の中で、こういう過密都市、ドーナツ現象化、都市化の状態から積滞が顕著に増加いたしておるという推移等をながめまして、これらの積滞の一番多い地域について特別なる対策をお持ちになって取り組んでいただいておるのかどうか、この点をまず米澤総裁にお伺いをいたしてまいりたい。
  188. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  公社といたしましては、現在第四次五カ年計画を進めておりまして、これは四十七年度がおしまいでございます。四十三年度が初年度でありまして、四十七年度が最終で、ちょうどことしがそのまん中になっておるわけであります。この第四次五カ年計画の中では、加入電話九百三十万をつけるということで進んでまいりました。しかし、ただいま御指摘もありましたが、電話の申し込み積滞が非常に多くなってまいりましたので、これに百万を追加する、すなわち九百三十万の計画を一千三十万にいたしまして、昭和四十五年度でいいますと、百八十五万の一般加入電話をつけるのに対しまして、二十五万上乗せしておるわけであります。  ところで、ただいまも御質問の中に出ておりましたが、特に東京周辺あるいは大阪周辺、ここは非常に多いわけでありまして、そのために追加分の相当のものは、むしろ東京周辺とか大阪周辺に緊急に配分したいというふうに考えているわけであります。ただその際に、場合によりましては、公社が開発いたしましたトレーラー交換機といいまして、移動用の交換機を持ってまいりましてそれで架設をする、そこでまたある量が出てきた場合には本格的な局をつくって、その移動用交換機をもう少しまた農村とか別なほうに持っていく、そういうふうな措置も講じながらやりたいというふうに思っております。
  189. 栗山礼行

    栗山委員 端的にお伺いいたします。これも一般的なただし方でありますが、私の記憶では、たしか四十年の通常国会のときに、電電公社はその計画路線の中で、申し込めばすぐにつくという電話の方向で専意取り組んでまいりたい、こういうことを伺ってまいりました。一つのキャッチフレーズになっておったかと思うのでありますが、その後いろいろな状況の変化、あるいはまたその他積滞電話の解消に対する施策等の問題もございまして、表明されておるその内容について進捗をいたしておらない、こういう状況もあろうかと思うのであります。いろいろその原因的内容があろうと思うのでありますが、重ねて、このごろ申し込めばすぐつく電話でございますというようなことをお言いになっていらっしゃらないと伺っておるのでありますが、いつそれが解消して、当時のキャッチフレーズでございました申し込めばすぐつく電話ということを胸を張ってお答えできるのか、それをひとつお尋ねを申し上げたい。
  190. 米澤滋

    ○米澤説明員 申し込んだらすぐつくというのは、電話事業経営している場合に、当然理想的な目標でなければならないと思います。公社といたしましては、昭和四十六年から五十二年に至ります七カ年計画をこれからまとめて、大体八月末までには公社としての案をきめたいと思っております。その中で、全国的な規模において、五十二年度末においては申し込んだらすぐつけるというふうにいたしたいと思います。  それから、もう一つ質問でありましたからちょっとお答えいたしますと、昭和三十四年にいわゆる第二次五カ年計画を改定いたしましたときに、ビジョンといいますか、一つの目標として、申し込んだらすぐつける時点を昭和四十七年度と考えたわけでありまして、そのときには、日本の電話の総数は一千万で足りるのだというふうに電電公社考えておったわけであります。しかし、いまの状態でいきますと、もうすでに千三百万になっておるというようなことでありまして、確かに予想が違っておったことは事実でございますが、今後七カ年計画の時点におきましてこれを達成いたしたいと思っております。
  191. 栗山礼行

    栗山委員 時間がございませんから、具体的に入るわけにまいらないのでありますが、私、四十年四月八日の逓信委員会で、この積滞問題を中心といたしまする財政事情、特に工事の進捗状態、その中におきます請負制度の問題系列化の問題あるいは技術者、一般の雇用者難の問題等含めて強くこれを推進するということでなければならないが、その具体的な方策はいかがなものか、こういうことでお尋ねを申し上げた記録もございます。私、四年ばかり空白があるわけでありますけれども、この問題について非常に深い関心を抱いておるわけでありますが、御答弁もこういうような御答弁がされております。「工事の機械化の問題と訓練、それから業界の経営力の増強、資本力の増強、さらに下請会社とのいろいろな契約の問題、それから系列化の問題等、」を検討の上対処してまいりたいと存じます。こういうふうに御説明がされておるわけでありますが、その後工事進捗の過程におけるそういう資本、機械化、訓練、技術、雇用対策、中小企業の関係業者の近代化構想を含めての方向に、どのようにお取り組みになっておるか、これはいわゆる事務的に御説明いただくということじゃなくて、大体の方向づけを御説明くださればけっこうだと思います。
  192. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  数字につきましては、後ほど主管局長から答えさせたいと思いますが、一般的に申し上げますと、この工事の進捗といいますか、消化といいますか、その方法は、量的なものとそれから質的なものと両方あると思います。当時の、四年くらい前でありますと、たしか年間の建設投資額も大体四千億円程度だと思いますし、昭和四十五年度は六千九百億円と、まず量的に非常に伸びている点が違っております。それから今度質的に考えますと、その当時に比べまして、たとえばクロスバー交換機とか、あるいは同じ同軸でも、九百六十チャンネルのものが、もっと多い二千七百チャンネルをつくるというようなことで、質的にも非常に違っておる、こういうことでございます。  公社としましては、この膨大な建設投資をやる場合に、経済的な計画設計をいたして、そしてでき上がる設備が完全なものでなければならない、規格に合った完全な設備をつくるということを絶対条件と考えているわけであります。したがって、請負にいたします場合にも、ただいま問題になりましたいわゆる請負業者の——請負工事というものは、ことに電電の場合には職場が一定しておらないので、あちらこちらに非常にちらばっておる。したがって、私は工事長の訓練ということが非常に大事だと考えておりまして、しばしば工事会社の社長等を集めたときにも、実際の工事長の訓練ということに特にウエートを置いてほしいということを要望しております。特に資本金等につきましても、それからまた、たとえば機械化等にいたしましても、それから訓練等にいたしましても、昭和四十年くらいに比べましては格段に量をこなしたということと、最近保守の障害が非常に減ってきたという事実から見ましても、効果があがっているというふうに思いますが、ただ、しかしなお、たとえば下請管理の問題等につきましてはいろいろ問題があると思いますので、その点は十分それをやらしたいというふうに思っております。
  193. 栗山礼行

    栗山委員 時間が参りましたのでありますが、これは重ねて関連いたしましてお尋ねいたしますが、下請工事関係の最近における倒産関係というものは、相当憂慮すべき内容を持っておると思うのであります。これは制度運用の問題及び公社と指定業者との関連ということで、深く考慮をいたさなければならない内容を持っておるかに思うのでありますが、総裁、最近の年度別に、四十三年、四十四年の関連工事業者の倒産件数をおとりになっていらっしゃいますか。
  194. 原田安雄

    ○原田説明員 お答え申し上げます。  私どもの認定した会社、七十数社ございますが、倒産の件数はいままでありません。それから同じような仕事に従事しております、一部下請をやっております会社がございますけれども、そういった関係の下請につきましての倒産状況は、私ども把握しておりません。
  195. 栗山礼行

    栗山委員 お尋ねしておるのは、認定業者について倒産業者があるかどうかとお尋ね申し上げているということじゃなくて、その下請の関係業者というものが、いろいろな問題を内包いたしまして、多く再起不能、また別途の形において再起の方向ということで、それが顕著にあらわれておる。これは広い角度から検討を要すべき問題ではないか、こういうことで、指定業者の下請業者の倒産件数等もよく御存じか、こういうのが私のお答え願いたい中心であります。私はある種のものを持っております。しかし、これは時間がございませんから……。そういうことを存知をしないということで、どうして積滞電話の解消なり、さらに工事の適正なる進捗を進められるか、こういうふうな観点から、この問題をとらえて進んでまいらなくちゃならぬということを強く指摘をいたしまして、この場で御答弁はけっこうでございます。十分お調べの上で、私に資料を提示いただければけっこうです。これは後日いろいろ御質問をさせていただきたい、かように考えております。  もう一点だけお許しをいただきますが、万博関係の問題で、この間も通信館を拝見いたしました。たいへん意を強くする施設でございまして、感銘深く見学いたしてまいりたのでありますが、電電公社はこれについて一体どの程度の投資をなさったのかということを一点。二点は、既存のこの施設は、万博終了後できるだけこれを活用するという方向でお取り組み願っておるのかどうか。この二点について簡単にお答えをいただきまして、私の質問を終わりたいと存じております。
  196. 北原安定

    ○北原説明員 お答え申し上げます。  万国博に関連して、私どもは、大きく分けまして電信電話サービスを提供する設備、それから万国博を管理運営するためのデータ通信施設、こういうものを提供いたしております。  前のほうにつきましては、万国博終了後あの地域、その周辺を含めましての電話サービスにすべて使用するために、恒久的設備として投資いたしております。それからデータ通信に関しましては、公社の近代化を私どもは進めておりますが、そのためにコンピューターを多く使います。したがいまして、終了後直ちに事業の中に転用する予定にいたしております。電話局関係につきましては、約十五億の投資をいたしました。データ通信関係につきましては、約三十二億円の投資でございます。  以上でございます。
  197. 金子岩三

    金子委員長 土橋一吉君。
  198. 土橋一吉

    ○土橋委員 時間が四十分間程度でございますので、たいへん恐縮ですが、米澤総裁には簡潔に答えていただきたいと思います。御用事があるようでありますから、郵政大臣のほうはあと回しにしていただきまして、総裁のほうから御答弁願いたいと思うのであります。  あなたのほうで予算資料というのでお出しになっておる内容を拝見しますと、四ページの四項目にデータ通信施設という題がございますが、これの施設費三百八十億円の予算を計上いたしております。加入データ通信サービスともう一つは専用データ通信サービス、これで合計三百八十億であります。私は電話を一台持っておりますが、この電話を架設するにあたりましては、法律の規定に従いまして電話債券をいわば買わされておる。たしかその金額は十五万か十八万かであったと存じますが、こういう状況です。現在このデータ通信を利用されておる業者の方々は、どの程度の金といいましょうか、あるいは端末機の使用料といいましょうか、そういうものを納めておるのか。それは一体原価はどれくらいするものか。また数としては、業種別でなくともよろしいですが、私どもの調べたところによりますと大体東京で六十五、いまから約十六、七年くらい前でございますか、その数字はわかっておりますけれども、現在どの程度になっておるのか、こういう点について簡単にお答えを願いたいということが一点。  もう一つは、電電公社が津軽丸をおつくりになりましたのですが、この契約は一体随意契約であるのか、それともいわゆる競争入札の形をとったのであるかどうか。なお、今日会計検査院からいろいろ調べられておるということを聞いておりますが、どういう点についてこの海底電線布設船について問題があるのか、ごく簡単にこの二点についてお答えくださればけっこうだと思います。
  199. 武田輝雄

    ○武田説明員 データ通信の料金の問題でありますが、データ通信は高度の通信サービスでございますから、加入電話等には全然影響を与えないように、建設資金面におきましても、料金面、採算面におきましても、独立採算で行なうことをたてまえとしてやっております。  それで、現在具体的な問題として動いておりますのは、地方銀行システムの預金、為替システムでありますが、これに例をとって申し上げてみたいと思いますが、創設時の負担といたしましては、各支店が約六十店舗ほどございますが、その店舗一台につき、これは二百ボーのデータ宅内設備でございますが、四百八十万円ほどの債券を引き受けていただいております。それから取りつけに要する費用は、設備料ないしは取りつけ料として実費をいただいております。それからなおコンピューターにつきましては、縁故債でまかなうというたてまえにいたしております。それから料金につきましては、減価償却費、保守費のほか八%の資本報酬を回収するということにいたしまして、回収すべき絶対額をそういうふうにきめておる次第でございます。
  200. 北原安定

    ○北原説明員 津軽丸につきましてお答え申し上げます。  たいへん突然の質問なんで、詳細つまびらかにいたしておりませんが、競争入札をしたと記憶いたしております。御存じのようにこの船は非常に特殊の船でございますので、公社の中におきましても、学界その他学術経験者を含みました委員会をつくりまして鋭意検討を加えて行なったものでございます。  それから、検査院が何か調査されているということでございますが、検査院が私たちの仕事についていろいろ検査されることは当然でございますが、私どもといたしまして、検査院がどういうことに取りまとめられたか、またどういうことを調査しているか、具体的には何ら公社のほうに問い合わせがございませんので、何も存じておりません。
  201. 土橋一吉

    ○土橋委員 いまどれくらいの業者の方が、中央電話局を中心としてデータ通信を利用されておるのか、その業者数。私の知っている限りでは、いまから三、四年くらい前でございますか、たしか一万三千件ぐらい使用しておったというふうに資料によってはあらわれておるわけですが……。  大体内容はわかりましたけれども、端末機は一体価格はどのくらいするものでしょうか。端末機のいわゆる業者からの購入価格はどの程度のものであるか。いまのお話ですと、大体四百八十万円程度のあれをやっており、それから実費をちょうだいしておるということでありますが、実際その端末機の、ここに出ておりますこういう内容のものですが、これは一体原価はどのくらいしておるのですか。
  202. 北原安定

    ○北原説明員 お答え申し上げます。  このデータ通信の端末に使います機械は、各種各様その目的によってそれぞれ違っております。また同じ目的にいたしましても、簡素にしたものと非常に多目的にして複合化したものなどがございまして、価格はそれぞれかなり違っております。  先ほど四百八十万円という数字が出たかと思いますが、その種類のものはかなり高価なものでございまして、もっと安いのは百万円以下のようなものもあり、たくさん種類がございます。
  203. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、それじゃ時間がございませんから簡単に言っておきますが、こういうものについて、少なくとも公の施設を利用する観点から、あの電話でも、いま申し上げるような法律の規定によって債券をいや応なしに買うという状態です。特に業者はこれからますます利用するということについては、これは非常に重大な問題であるので、一電話でも法律の規定で債券を購入しなければならない、コンピューターを使うときにはそんなことはしなくてよろしいということでは、その権衡を失するものではなかろうか。また、そういう機械を破損したというような事態が起こってきたときには、どういう補償をする考えでおるのか。あるいは現実にこうした機械がこわれてしまうとかというような問題が起こってくると思うのですが、そういうことについての十分な配慮と善処をする必要があるのじゃないかということが、私の言いたいところの問題であります。  次の問題は、千代田丸の問題もございますが、海底電線布設船というのは特殊作業をする船舶でありますために、えてしてしろうとにはわからない。特に巻き取り機械やその他の高度なものを持っておりますので、津軽丸といわず、その使用方法やあるいはまたこれに関する国際電電との関係において非常に私は疑点がございますので、きょうはこの程度質問いたしますが、こういうことについては厳重にやりませんことには、特に国際電電は、御承知のように電信電話公社が株券を持って、いわば一つの関係に立っておるわけです。ですから、特に会計面はきちっとしなければならないということを私は申し上げたいわけであります。  以上で私の質問を終わりますから、どうぞお帰りになってけっこうです。  それでは郵政大臣お尋ね申し上げますが、先ほどの政府職員の回答の中では、欠員を不補充したままで予算の捻出をしておるというような重大な発言をされましたが、一体郵便量がどんどんふえておる、しかも東京地域においては、全国の郵便量の約四割は東京でこなすという状態、そういうところにおいて欠員を補充しないで、その金で何か給与の埋め合わせをしたい、しかも四百万にわたる臨時職員と申しますか、パートタイマーといいますか、そういう予算を編成していながら、そういう全く人事行政としてはゼロのようなやり方をしておるのですが、郵政大臣はそれでもいいと思うのですか。
  204. 井出一太郎

    井出国務大臣 先ほどの経理局長の御説明をどういうふうにお受け取りになりましたか、何も不補充ということを一つの政策のようにして、その金を流用したというのではないので、それを充足すべく努力をしたのでしょうが、不補充の分が浮かんで出てきたというものを活用した、こういうことではないかと思うのです。  なお、詳しくは経理局長から必要があればお答えをいたします。
  205. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたはあまりなれておらないと私は承知しておりますが、いわゆる予算定員というものによって厳格に予算がちゃんとできておるわけですよ。それが欠けていったからして、この余った金を給与に回すというようなことは、二重の給与に関する基本的なやり方としてまずいということを私は言うわけです。欠員はすみやかに補充をして、なおかつ。パートタイマーがいても足らないという現状であるわけだからね。あなた方は、杉並郵便局のああいう問題を正当化するような説明になってしまうわけです。だから私は、定員の欠員の不補充なんか、その金を減じてそして何か埋め合わすというようなことは、おそらくあなたのほうの内規だってそういうことになっていないはずだと思うのですよ。こういう点についてはっきりと、簡単にしてよろしいと言うならば、どの法律の規定によってそういうことをやるのか、聞きましょう。
  206. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 先ほどの私の答弁についての御質問と思いますので、私から答弁さしていただきます。  先ほど申しましたのは、予算としては、一応予算定員を組んでそれでやるべきなんでありますが、途中仲裁裁定というものが出ます。この仲裁裁定によるベースアツプの財源を、いろいろ増収とかあるいは予備費とかいうものでやりますが、それで足りません分を節約に持ってきた。その節約の中に、要するに人件費の中で節約をする問題として、たまたまあるいなかのほうの郵便局とかそれぞれの郵便局で欠員ができて、次に埋めるまでの間の日数等をいろいろ苦労していただいて、その資金をもって結局仲裁裁定の財源に充てたということでございまして、予算措置としては許される措置だというふうに考えております。
  207. 土橋一吉

    ○土橋委員 これは会計の基本的な原則として、郵便物数が非常にふえておるという現状と、それからパートタイマーとの関係においては許さるべきことではない、私はかように考えておるわけです。したがって、すみやかに予算定員で獲得をした原資というものは厳然として人件費のほうに回す、足らなければ、政府事業でありますからして一般会計から補てんをして、そして給与のいわゆる人事院勧告を政府が誠実に実施をするということになりますので、足らなければ一般会計予算から捻出をしてもらってやるべきことであって、そういう流用をすることは正しくない。この点ははっきり私は申し上げておきたいと思う。時間がございませんから、あとでこの問題については、監視労働と結合していろいろ郵政省にはお聞きをします。そういう不都合なことがあってはなりませんので、いろいろ郵政省にお聞きをしますので、これはこの程度にとどめておきます。  次は、国有財産の処分についてお聞きをしたいと思いますが、すでに郵政大臣もよく御承知のように、郵政省所管に関する国有財産については厳重な管理、監督をしなければなりませんし、その国有財産が行政財産である場合には、これを一般財産に直して、そしてこれを譲渡するなり売却するなりあるいは贈与という方式をとらなければならぬと思うのであります。ところが、あなた方のやっておられる国有財産の、特に行政財産の処分にあたりましては、非常に政治的な配慮というものが多いように見受けるわけです。  以下、これからいろいろお尋ねをしますが、私のほうに取り寄せた資料がありますので、ひとつあなたにも見ていただいて、ここで公の当委員会において、こういうことが公然と国有財産の処分に関して行なわれておるということを、私たちはやはり厳重に監視をし、また、このような不都合なことがあってはならないというので私は説明したいと思うのであります。  委員長、これを郵政大臣にちょっと渡してください。——それでは私が説明をいたしますから、郵政当局の幹部の皆さん、よく見ていただきたい。  まず、この面を見てください。この一面を見ると、下谷郵便局というのがちょうど上野の駅の入り口のところに、私は黒く丁寧にちゃんとカッコしてしるしてあるわけです。この土地の面積が約七百坪といわれております。そしていま郵政当局が移そうとしているところが、この右の端のところの白い建物の横に、私はちゃんとしるしをしてあるが、そこは要するに日本観光というのが持っておりまして、約五、六百坪であったと思われますが、土地を立ちのきをして、そしてここへいまの下谷郵便局を移そうという問題が一つ。  これはまことに重大だと私は思うのです。たとえば、私はおととい京都の中央郵便局を拝見いたしまして、しみじみとりっぱな郵便局ができたというので心ひそかに喜んでおりました。また、東京中央でもあるいは名古屋の笹島郵便局でもそうですが、大阪の中央は言うに及ばず、要するに大きな駅のところにはきれいな郵便局舎を建てまして、そうして郵政事業の力量をある程度市民の皆さんにも見ていただく、そうして事業の内容もりっぱにやってのける、これがやはり従来の長い歴史を持っている郵政当局の基本的な態度でもあったし、これはどこにも間違いがないと私は考えています。  特に下谷郵便局は、上野の駅が御承知のようにこれから大改造をいたします。ホームの改築、地下道の開設、いろいろなことをやるわけです。これはもうすでにいまから三、四年くらい前に発表されまして、大体よくわかっておったことだと思うのですよ。ところが、この下谷郵便局を、事もあろうにこんないいところを、二度と再び買うことのできないような七百坪の広大な土地、しかもこれが六メートル通りが両側に通っておるわけです。これを坂本のここへ移して、そして現在の下谷郵便局を非常に遠いここへ持っていき、それが金がつり合いがとれないというので、中野の郵便局を中野区役所あとに移転をするというので、いま大騒ぎをしておるという状態であります。  私は、郵政省の将来の事業発展のためにどうしてここが一体悪いのか、どういう不都合さがあったのか。たとえば新宿の郵便局を見ても、面積その他から見まして、従業員の数、物数を見て、私は下谷郵便局に  現在は少し向こうのほうが大局ですけれども、その他の件においてはそう変わらない。しかもこれは玄関口です。一日の乗客が約七十万といわれ、そうして国電あるいは各地方からやってくる汽車の数は大体二千本といわれております。いわば東京の北口の玄関であります。なぜここに下谷郵便局をもっときちっと整備をして、六階なり七階にしてやらないのか。何でこんな坂本の向こうのほうの、これはもう寛永寺の墓地の前のほうに移っていくわけですね。なぜこんなことをするのか。これが郵便業務として一つの正しいやり方かどうか、私は非常に疑問を持っておるわけです。  特に、これは御承知のように、この経過のいきさつについては、東京郵政局長の中田さんがいろいろ関与されておりますけれども、この問題については、御承知のように京成電鉄がこれを買って、その金額その他についても非常に疑問があるわけです。  たとえば、これは当時坪二百五十万するといわれておった土地を百七十二万円で売っておるわけだ。しかも百七十二万円で売って、これをぶちこわす費用も全部郵政省が持っておるようですね。現在行ってみればわかりますよ。そしてこの土地が大体約五億円するといわれていますが、この下谷郵便局の土地は、たしか十二億三千万くらいで京成電鉄に売ったことになっておる。そしてこの下谷の坂本のところの郵便局のあと、私が見たときにはまだ一軒家がありました。これは大体千坪です。場所としては、私は作業などするところではそう悪いとは言いませんけれども、いま申し上げたような郵政事業の旗を掲げて戦うという態度から見るならば、とうてい比べものにならないこの地域を——ここです。しかも、将来これは地下道ができる、それで駅が拡大をする、願ってもないような絶好の土地を、一体何でこれを捨てて、そして坂本くんだりまで落ちぶれていかなければならぬのか。  しかも、現在の状態はどうでしょうか。ここにある、この白いのが鉄道郵便局ですよ。この鉄道郵便局で窓口事務だけやっておるわけだ。そして現業の事務はここの両大師の中に入り込んで——この森が両大師ですよ。ここで三百名以上の労働者が働いておる。窓口事務と現業事務が全然違ったところでやっておる、こういうことすらもやっておるわけです。  この問題については、井出郵政大臣は英断をふるって、ここにそれこそき然とした、京都郵便局とか大阪郵便局に匹敵するようなものを再建すべきであって、こんなすみっこのほうに行くべきじゃないというのが私の主たる主張であります。そしてもしどうしてもこの土地関係がまずいというならば、この一月の「郵政」という雑誌に皆さんのほうの幹部の一人である坂井君から出されておる、現業事務と窓口事務と分けてもいいんじゃないかという懸賞論文が第一位で、賞品をあなた出しておられるわけです。なぜ一体ここへそういうものをつくらないのか。そして現業地域としてふさわしくないなら、現在の坂本のところでやってもいいんじゃないかというふうに私は考えておるのです。  もう一つは、中野区役所あとの土地の買収問題について、これが大体千八百坪ほどあるわけです。現在の中野郵便局というのは宮園通りのちょうど中間にありまして、あの国鉄中央線から南側を引き受けており、中野郵便局としては適切な場所であるわけです。隣に高村建材という建材業者がありまして、そこが千坪あります。その前側の区道を越えて二百坪あるわけです。その裏の何とかさんという地主さんも、そこを売ってもいいというお話もあったということを聞いております。これが千三百坪あるわけです。それで中野郵便局をあの区役所あとへ持ってまいりますと、交通の関係その他では非常な制限を受けるわけです。しかも、中野区の西の北のはずれになるわけです。  こういうことを考えてみると、この土地の売買に関係いたしまして京成電鉄の川崎さんという方がお入りになって、これは社長さんでありますが、あなたもお聞きになったと思いますけれども、この方はなかなか達者な方でございまして、あまり世間の評判もよくない。また交通事故なども盛んにあるといわれております。また不動産業にも非常にたけておるといわれております。  そうしてまいりますと、上野駅の大改造で地下道ができて、そして松坂屋からずっと御徒町のほうも地下道ができる、そういうことが新聞などにも発表されておりますが、こういうことから見ると、郵政省の固有財産である下谷郵便局の敷地を京成電鉄に取られたと言っても私はそう言い過ぎでないように思うわけです。そうしてその代償として、坂本の千坪と中野区役所あとの千八百坪をもらって、なお一千万ほど足らないわけです。  中野区役所あとの問題についてはいろいろ問題がございまして、ここで私は端的に申し上げますが、三月十日に上山区長からもいろいろ意見が出ておるわけです。また地域住民からも、この広大な地域を区民のために活用さしてくれという強い要望があったわけです。全体的に見ると、価格の点などにおいて符節を合わせたような状態がつくり上げられておるわけです。これはわが国の国有財産の管理、保管に関して厳重な規定があるけれども、そういうものの裏をくぐって、そしてこれを京成電鉄が買ったような疑いが非常に濃いということであります。しかも、それが御承知のように小林郵政大臣の当時行なわれまして、相当有力な政治家が背後におられるというようなうわさも世間ではちょいちょい耳にいたしております。そうなってまいりますと、近所の商店街の方々もいろいろ説明いたしておりますが、結局ばかをみたのは郵政省じゃないか。つまり値段がちょうど同じの、大宮の駅から二百メートル下がったあの中仙道のところの元郵便局あとを市が買って、それを百七十一万円で高島屋に売った。ところが、同じ土地が坪四百万もするというのでこれが大問題になって、あなたも新聞でごらんになったと思いますが、大宮の市長、市議会議員に多くのなわつきを出し、辞職をしたという大騒ぎを起こした。それと同じように、下谷郵便局の土地を百七十二万円で郵政省は売却しておる。だれが考えても、下谷郵便局のあの一等地の場所が坪百七十二万円、大宮は人口二十三万ほどでありますが、なるほど繁華街です。しかし、ここの中仙道の通りに面しておる元の郵便局あと、それが百七十一万円、一万円しか差がないのです。そして川崎さんという京成電鉄の方がいろいろおやりになったこの下谷坂本町の土地の売買の価格なんかも、あなた方に示しておる価格よりは高い値でこれを買っておるわけですね。それはだれが買ったというならば、日本観光から、あの日通事件で非常に騒がれた福島さんという日通の社長から六十数万円で買っておるじゃありませんか。そして片方の中野区役所あとの土地をやはり四十数万で売って、そして帳簿をとんとんに合わして等価交換の形式をとっているじゃありませんか。  こうなってまいりますと、将来の下谷郵便局の発展のために、現在の建設を急ぎ、登記を急いでおるこの問題についても私は非常に疑義がある。それは皆さんごらんになったとおりであります。郵政大臣はこれについてはどう考えておるのか。また、こちらのほうには上野駅の大改造の図面も出ておりますから、大体あなたはおわかりだと思うのです。私は一度郵政大臣と幹部の諸君が下谷郵便局と、下谷郵便局がいま行こうとしておる鶯谷の近くの坂本のところに行ってみて、なるほど土橋の言ったとおりだということがわかるならば、やはりこの問題は善処すべきであると思うのであります。  特に中野郵便局の現在のところは、高村建材さんの方々ともいろいろ話し合って、この千坪は何とかしましょうという話も聞いておるわけです。それならば、あそこの千坪と隣の高村建材の千坪を合わせれば二千坪になる。そのうしろには数軒の郵政住宅もあるわけです。ですから、郵政住宅を建てるということが目的であるならば、現在の中野郵便局のところで、区道の関係もあるし児童が学校に行くという関係もいろいろありますけれども、相当善処できると私は考えておる。  また、郵政住宅を建てるというならば、私の住んでおる国分寺には膨大な土地がありますよ。国分寺の鉄道学園の前のところに、それこそ戦後初めて建てた痛ましい郵政住宅が並んでおりますよ。あれも大臣、一度ごらんになりまして、ここにわれわれの従業員が住んでおるのか——だれが見たって、いまどきあの建物に人が住めると外観上見えるかどうか。なるほど中は畳なんか入れて相当努力されておりますけれども、見た目はおよそみすばらしいものの代名詞です。ああいうところに三階建ての建物を建てれば、幾らでも郵政労働者のための住宅施設ができるわけです。こういう点についてあなたの決然たる考えはどうか、ひとつ承りたい。
  208. 井出一太郎

    井出国務大臣 土橋さんはこの問題に対して非常に詳しいわけですが、私はそれほどつまびらかにはしておらぬのであります。ただ上野駅は、私も信越線に乗る関係であそこを通りますから、下谷郵便局はなるほど場所はたいへんいいと思います。これを変えるというのにはよくよくの理由もやはりあるのじゃないかというふうに思いますので、ひとつ関係当事者からその辺伺ってみよう、かように存じます。
  209. 竹下一記

    ○竹下政府委員 下谷郵便局のことについてお答え申し上げます。  いまの下谷郵便局の場所はたいへん便利なところにあると思うのですが、いかんせんきわめて狭隘その極に達しておるというわけでございます。それと郵便車の出入りにとても困難を感じており、道路状況が悪いために苦労をいたしております。そういうことでございまして、新しくできます郵便局はかなり大きいものになります。いまの建物の大体三倍くらいになるのですが、それにはいまの七百坪の敷地では入り切らない、こういう事情一つございます。  それからもう一つ、駅に隣接してあったほうがいいというのはおっしゃるとおりでございますけれども東京中郵、大阪中郵、名古屋中郵等これらはいずれも駅の構内のプラットホームに地下道で結ばれておりまして、郵便を出し入れするという便宜のために駅舎に近くあることが望ましいわけでございますが、下谷局の場合はこの地下道がございません。地下道による郵便の運送をやっておりません。ということは、上野駅発着の郵袋は大部分が東京中郵から行く。下谷から行くものもございますけれども、その割合はごくわずかであるというようなことで、必ずしも駅舎の近くになくてもよろしいという事情があるわけでございます。そういうことで、御指摘のように坂本のほうに引き移るということで、私は必ずしも駅舎にこだわる必要はないと考えるわけでございます。ただ、いまの場所はたいへん便利ですから、窓口だけはやはり何らかの形で残さなければならない、かように考えております。  それから中野局でございますが、これまた老朽、狭隘がひどいところでございまして、かねがね新築を計画いたしておったわけでございますが、ただいまの場所は住宅専用区域であって三階建て以上の建物は建てられない、こういう規制があるように聞いております。  それから場所ですけれども、いまはちょっと中野区の中では片寄り過ぎておりまして、今度建てようとしておる新しい予定地、区役所のあとというのは、むしろ郵便区のまん中になってかえって便利になる、かように考えております。
  210. 土橋一吉

    ○土橋委員 いまお答えいただいたのですが、最初のほうの説明では、私が言おうとしておる内容についてまだ理解をいただいていないようなんです。私はこの土地は郵政省の宝であるというふうに考えておるわけです。したがって、もしここへあなたが仰せになるような説明ならば、窓口事務だけはきちっとしたりっぱなものを建てて、そして作業所は坂本のほうをお使いになってもいいじゃないか、こういうことならば私は非常に納得できるわけです。現在ここは坪大体四百万円でも買えないといわれておるところで、将来ここに地下道がちゃんと建設されるわけです。ですから、そういう意味で長年の歴史を持つでおる郵政事業発展のためにも、ここに郵便局ありということをきちっとさせるためにも必要じゃないかということを言っておるわけですからして、もしあなたがここで、必ず前側にちゃんとした窓口郵便事務を行なうような、きれいなさっぱりとした建物を建てるということでしたら大賛成ですけれども、そうじゃなくてまるっきり売ってしまったわけです。あなたはそういうことを言うけれども、川崎さんとの話し合いで、ここが百坪でも二百坪でも購入されて郵便局を建てられるという保証がありますか。これを第一点として聞きたい。  第二点としては、なるほど郵袋は中央郵便局がいま区分をしておるわけです。しかしいま申し上げるように、ここが郵便局の拠点となる関係、あるいは地下道の建設その他の関係によって、非常に、現在以上に発展をするわけですね。ですから、郵便業務として保険業務をやる際にも、あるいは貯金業務を遂行する上においても非常にいいということ。いまあなた方がお使いになっている坂本の鉄道郵便局の中ですらも、あんなところで皆さんやっておるのですから。現場はごらんになっていないでしょう。私は見ております。あそこでも皆さんがしんぼうしてやっておるのに、ここでどうしてしんぼうできないのか、ふしぎといわなければならないのです。また、百七十二万円で売っておいて、そして坪何万もかけてこわしてやってさら地にして、そしていま申し上げるような財産上の等価交換の方式をとったという中に、非常に疑問の点があるということ、ここを解明していただきたい。ないならばない、そういうことを言ってもらわないと、私どももどうしてもこの点から見まして納得できないわけです。
  211. 竹下一記

    ○竹下政府委員 先ほどの説明で不十分な点がありましたようで、補足して申し上げます。  現在の下谷郵便局のあとには京成関係の建物ができると思うのですが、その一角に郵便の窓口施設を置くということにつきまして、京成と覚え書きを交換しております。そのとおりに実現ができるものと確信いたしております。  それから上野駅の駅舎の将来ですが、上野駅は旅客の発着で手一ぱいでございまして、今度計画されておる駅舎の改築も旅客を中心とするものでございます。すでに貨物は、隅田川駅にあらかた引っ越しておるということでございまして、郵便局がこの上野駅を地下道をつくってまで、利用するという状態にはないようにわれわれは理解しております。
  212. 土橋一吉

    ○土橋委員 私はこの問題を取り上げることによって、郵政当局の大きな反省を促して、そして将来こういう間違いがないように——やはりこういう場所の土地は二度と再び手に入れることはできないわけです。いまあなたが考えておられるような構想は、すでに上野の広小路の松坂屋というデパートの中に小さい窓口事務だけやる特定局があるわけです。ああいうものではしょうがないということなんです。ああいうものでは郵政の信用と信頼を高めることはできないし、単なる特定局にすぎないわけです。これは、丸ノ内ビルヂングの中にも裏のほうにある、ああいうものではいかぬということを私は強調することから申し上げておるのであって、そんな安易なことではいけないと思うのです。  次の問題は中野区役所あとの買収の問題ですが、これは御承知のように訴訟をいたしまして、裁判で一応郵政省側の主張が通ったわけです。しかし、この裁判で主張が通ったからといって、地元商店街、あるいはこの問題について賛成をして、中野区民のいこいの場としてもらいたいという要求が依然として絶えません。その中でいろいろお話がございまして、郵政省としては大体千三百坪くらいが必要だ、あと五百坪程度については、皆さんの御要望もあることだから何とかしなければならぬ考えもある、そういう意向を一応表明されておりました。私どもも非常にその内容を了としておりましたけれども、いよいよ最後になってくればこれはそうじゃないということになりまして、なお中野の人々がいろいろ私にも相談をしておられますが、あなたは千三百坪だけ郵政の土地として、あと五百坪くらいは区民に返す、あるいは区役所とこの問題について話し合いをして、区民の自由ないこいの場にするなり子供の遊び場にするなりして、地元の住民の協力を得るというお考えがあるのかどうか、簡単にお答え願いたいと思います。
  213. 中山公平

    ○山中説明員 お答え申し上げます。  結論から先に申し上げますと、現段階では、一部をさいてお返しするということは考えられないと考えております。ということは、私のほうでは郵便局だけでなくて、これは区のほうの要望で、宿舎も一緒に合築して建てるということになっております。区役所のほうの要望は三百世帯ということでございますが、ぼくらのほうはできるだけそれに近づけるだけの世帯数を持つ宿舎を建てたいと思っております。そうすると、敷地は多くあればあるほど制限内でよけい建つものですから、現段階では、あの敷地全部を使って合築の建物を建てたいと考えております。
  214. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうすると、三百世帯の大住宅、これは郵政住宅としておそらく日本最大の一つだと思うのです。郵政住宅で三百世帯の住宅が密集したところを私はまだ見ておりません。したがって、その千八百坪に対してそれだけの建物を建てるということになれば予算が必要でございます。ところが、あなた方の今日までの説明によると、十億程度だとおっしゃっておった。しかも、それは東京の周辺の郵政住宅全体の総予算が十億。その程度の予算でできますか。
  215. 中山公平

    ○山中説明員 お答え申し上げます。  三百世帯と申し上げましたのは中野区役所の要望でございまして、ぼくらのほうはそれに極力近づけたものを建てたいと考えております。現実に現在設計しております段階では、二百六十から二百七十世帯考えております。それで、この予算がまだ最終決定ではございませんが、大体五億七千五百万というふうに考えております。先ほどもおっしゃいましたように、宿舎の予算十億、そのうちの五億を使って建てたいと考えております。
  216. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、あの地域は、宮園通りはあなたが仰せになる十五階でも十三階でも建てられますが、あの奥に引っ込んだところでそんな高層建築ができますか。これはおそらく傾斜制限があって、あのうしろのほうの地域、つまり中野の国電の側のほうに寄った地域は、おそらく私は困難であろうと思いますよ。傾斜制限その他の制限があるんじゃないか。宮園通りに面したところは、あなたが仰せになる十五階でも建つことができましょうが、どうですかその制限は……。
  217. 中山公平

    ○山中説明員 お答え申し上げます。  図面で御説明するとよろしいのでございますけれども、おっしゃるとおりに斜線制限というのがいろいろございまして、敷地一ぱいに建てるということはもちろんできませんし、上に高くなるに従って制限を受けまして、セットバックとわれわれ申しておりますけれども、階段状に退いていくというような建て方をしなければいけませんけれども、図面で御説明するとわかるんですけれども、そういう法規に合ったやり方をいたしまして、約十三階ぐらい、一部十四階になると思いますが、その程度のものは建つということになっております。
  218. 土橋一吉

    ○土橋委員 時間が参りましたのでこれ以上質問をいたしませんが、そういう点については、地元のそういう方々あるいは区会議員なり都会議員の皆さんがいま心配されておりますので、今後ともその問題について折衝せられるよう望みます。結果はどうであろうとも、地域の皆さんの十分な支持と了解を得てそういうものを建てませんと、そういうもんちゃくを残したままで建てられることは、郵政労働者の住宅として、また郵便局の業務をする上においても好ましくないと思うのであります。ですから、将来その地域にそれだけ広大なものを建て業務を遂行するということになればますます重大でありますので、今後とも地元のそういう方々と十分話し合いを進めることを強く要望して、本日の私の質問を終わらせていただきますが、また機会を求めてもっと詳しくこの内容を郵政大臣説明しておきたいと思います。  本日の質問はこの程度で打ち切ります。
  219. 金子岩三

    金子委員長 次回は明十九日午前十時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後六時二分散会