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1970-09-11 第63回国会 衆議院 地方行政委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年九月十一日(金曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 塩川正十郎君    理事 砂田 重民君 理事 古屋  亨君    理事 斎藤  実君 理事 岡沢 完治君       亀山 孝一君    高鳥  修君       中島 茂喜君    中村 弘海君       野呂 恭一君    山崎平八郎君       豊  永光君    綿貫 民輔君       井岡 大治君    阪上安太郎君       土井たか子君    桑名 義治君       門司  亮君    林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 秋田 大助君  委員外出席者         内閣官房内閣審         議官      城戸 謙次君         警察庁交通局長 久保 卓也君         大蔵大臣官房審         議官      嶋崎  均君         大蔵省主計局主         計官      原   徹君         文部省大学学術         局長      村山 松雄君         文部省管理局教         育施設部長   菅野  誠君         建設省都市局都         市総務課長   国塚 武平君         自治大臣官房長 鎌田 要人君         自治大臣官房         参事官    佐々木喜久治君         自治大臣官房参         事官      立田 清士君         自治省行政局公         務員部長    山本  明君         自治省財政局長 長野 士郎君         消防庁長官   松島 五郎君         地方行政委員会         調査室長    川合  武君     ————————————— 委員の異動 八月十二日  辞任         補欠選任   細谷 治嘉君     土井たか子君 九月十日  辞任         補欠選任   華山 親義君     中澤 茂一君   桑名 義治君     中川 嘉美君 同日  辞任         補欠選任   中澤 茂一君     華山 親義君   中川 嘉美君     桑名 義治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政及び警察に関する件  消防に関する件      ————◇—————
  2. 菅太郎

    菅委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井たか子君。
  3. 土井たか子

    土井委員 きょう私は、これから三点ほどにわたって御質問をしたいと思います。  第一点は、先ごろ勧告されました公務員給与改定に関する財源の問題でございます。もう周知のとおりに、八月十四日に公務員給与史上空前改定というふうな表書きで発表されましたけれども新聞紙上で私たちこれを読みまして、まずとたんに考えましたことは、今年度の一般会計当初予算で五%引き上げ給与改定費しか組まれていなかったのに対しまして、国家公務員は言うに及ばず、地方公務員についてもはたしてこれだけの給与引き上げに対する財源確保ができるのかどうかという心配でございます。せっかく史上空前引き上げであるというふうな表向き内容を生かすことのためには、どうしてもこれだけの財源確保が果たされなければなりません。この点、自信があるのかないのか、どういうふうにおやりになるのか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
  4. 菅太郎

    菅委員長 大臣は、閣議関係上、十一時には出席をいたします。さしあたり、それでは財政局長から御答弁をいただきます。
  5. 長野士郎

    長野説明員 今回の給与改定につきましては、当初におきまして、給与改定財源として平均五%、それから一般行政経費のうちに約三%に相当するものを算入いたしておりまして、つまり財源措置としては、千四百億措置がいたしてありますが、今回の給与改定は一二・七%のアップ率でありまして、これに対する所要財源は二千四百億ということでございます。したがいまして、千億財源不足ということに相なるわけであります。これに対しましては、その後の法人関係税中心といたしますところの税の自然増収のぐあい、それから行政経費節約その他必要な、それでもなお足りない措置に対しますところの財源手当てというようなものをあわせて考えることにいたしました。去る二十五日に閣議決定が行なわれまして、国家公務員については完全実施を、そういう一つ条件のもとにやるということになっておりますが、同時に、その閣議決定の際の一項におきまして、地方公務員につきましても同じような要請が行なわれておりますが、そういうたてまえを貫きながら、完全実施という方向でぜひやってまいりたい、こう考えております。
  6. 土井たか子

    土井委員 いまの御答弁を承っておりますと、もう一つ、これならやれるという自信がわくような御答弁ではないわけでございます。どうも今回の改定は、いまおっしゃったとおりに、実質一二・六七%の大幅引き上げでございますし、さらには人事院制度始まって以来初めての五月にさかのぼっての完全実施ということが表向きになっております。この線は絶対にもはやくずすわけにはいかない。その線に沿って考えてまいりました場合に、地方自治体ではいろいろな行政需要が増してくる。見込み得る限りの財源をそれに予算化して、現在いろいろな地方財政内容については進めてきているわけなんでございますから、この地方財政計画額に計上された交付税既得額以外の財源を新たに設けるわけにはもはやまいりません。したがって、この点について捻出する余裕が全くない現状から考えますと、やはりそこのところは、これならやれるという確とした試算がなければ、どうにも動きがとれる問題ではないと思うわけです。この点についてもう一つはっきりしたお答えをこの場でいただかないと、せっかくの五月完全実施という表向きの、いままで私たちが要求してまいりました内容も、それからさらには一二・六七%というアップ率内容も瓦解してしまうといううき目を見なければならないということも予想されますので、ひとつその点について確とした御答弁をもう一度いただきたいと思うのです。
  7. 長野士郎

    長野説明員 ただいまお答え申し上げたとおりでございまして、お話がございますが、今回の給与改定は大幅な給与改定でございますけれども国家公務員につきましても地方公務員につきましても、五月完全実施を行なうということははっきりいたしておるわけでございます。完全実施を行なうについての必要な財源措置をどういうふうにやっていくかという問題でございます。しかし、経常経費の中から財源を捻出するということは不可能ではないかという御趣旨でございます。それは私どもも、たとえば国が八%節減を行なうというようなことを考えます場合に、地方が同じように八%行なえるとは思っておりません。これは地方団体がやはり現実に即応した行政を行なっております。したがいまして、行政経費節約ということを考えます場合にも、おのずから限界がございまして、その場合にはやはり地方実施不可能なことを期待するということはあってはならないわけでございますから、そういう意味で、一つ実態に即応しながら、やはりそれにしても行政経費の効率的な使用というものを考えていく。それから同時に、行財政運営を通じましての合理化というものも、やはりこういう際に国民の期待しているところでございますから、そういう努力はしてもらう。また、法人関係税中心といたしましての税の自然増というものもやはり当然期待される点もあるわけでございますから、そういう面を含めまして、総合的な観点から五月完全実施財源措置というものはしてまいりたい。これは何も今回に限った考え方では実はございません。従来からも給与改定に伴ないますところの財源措置につきましては、考え方としては同じような考え方をとりながらやっております。そのときそのときの状況に応じまして、たとえば補正予算によって交付税財源を増額するということもいたしますし、あるいはまた、そのときの状況によりましては、起債措置によって行なうこともございます。あるいはまた、特別交付税をそちらに充当することによって給与改定をやっていくこともございます。今回の場合は、いろいろなやり方の中で、従来からやってまいりました方法を踏襲しながら実施をしていく、こういうことでございますので、完全実施をするのがあやふやになるという意味では決してございません。実施するだけの必要な措置は、いままで考えられておりましたいろいろな措置を総合的にとりながら実施もできる、しかも経費効率化あるいは行政簡素化という趣旨にも沿える、こういう方法でやっていく、こういうことでございます。
  8. 土井たか子

    土井委員 ひとつ計画計画として計画倒れにならないように、これの実現に向かって努力をしていただきますことを切に希望したいと思いますが、一つここにつけ加えて申しますのは、どうもいままで地方財政は好転した、地方財政は黒字になったということがしきりに言われながら、全般的に見ました場合に、国の基準率よりも高いところへは、これを引き下げようという指導、あるいは国の基準率よりも低いところに対しては、その反面、上げようというふうな指導がないような全般的な傾向があるように私は見るわけでございますが、この点はどういうようにお考えになっていらっしゃいますか。
  9. 山本明

    山本説明員 お答えいたします。  地方団体給与につきましては、個々団体によって異なっておりますので、一般的にながめますと、都道府県、六大都市市関係国家公務員よりは高いということになってまいります。御質問内容は、おそらく町村関係についての御質問ではないだろうか、このように考えます。これにつきましても、従来から自治省におきましては、もちろん低い団体等につきましても、地方公務員給与国家公務員給与に準ずるというたてまえでございますので、指導をしてまいっておりまして、四十三年四月一日のラスパイレスによりますと、国家公務員に比べまして大体九〇%ということでだんだん近づいてまいっておるわけであります。ただ、その内容を見てみますと、町村によりましては、やはりその地域民間給与あるいは農協というような公共団体給与との関係がございます。それとの均衡をとらなければならない、あるいは初任給基準までまだつくっておらないという町村も実は私のほうで知っております。そういうことにつきましては、やはりそういう制度の問題として初任給基準もつくり、さらには十分な給与が支給されて、十分な行政能率が向上できるように実は指導してまいっておるわけでございます。ただ、いま当初申しましたように、それぞれの自治体によりまして自主的にそれぞれの地域民間企業あるいは一般公共団体職員給与というものとの均衡上、なかなか国家公務員まで準じないというところもございますが、これにつきましては、過去数回にわたりまして指導してまいっておるのでありまして、高いところだけをむやみに押えておるということではございません。その点につきましては、十分御了解いただきたいと思っております。
  10. 土井たか子

    土井委員 これもまた関連する問題でありますが、地方公営企業に関する問題であります。  地方公営企業の中で、わけても最近都市交通についての問題がどうしても大きなしこりになっております。もう積年の赤字をひっかかえてどうにもならないというところがあっちこっちに散在しておるわけでございます。いままでこの赤字対策に対してどのような対策をとられてきたか、また今後どのように赤字対策に対処しようというふうに考えていらっしゃるか、その点をあわせてお伺いをしておきませんと、交通関係に従事しております地方公営企業体関係者からしますと、どうも先行き不安でならないという声がこのところ非常に強うございます。ここのところをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  11. 長野士郎

    長野説明員 公営企業関係におきますところの給与改定の問題でございますけれども、やはり企業はその企業であげますところの収益の中で経営費をまかなっていくということがたてまえでございます。つまり、独立採算といいますか、そういうことをたてまえとしておりますので、したがいまして、その給与に必要な財源については料金収入その他でまかなうということになってまいるわけであります。そのためにどういうことが必要かということになってまいりますると、これにつきましては、やはり企業経営合理化あるいは健全化というものを推進していくということを、これは給与の問題だけじゃございませんけれども考えなければならないということになる。給与改定のために特別な措置を何か考えるべきではないかという議論もあります。ありますけれども、そういうことで、たとえば後年度に負担を残すようなかっこう措置をするということは、私どもは、企業経営あり方という面からしまして、適当ではないというふうに考えておるのでございます。
  12. 菅太郎

    菅委員長 井岡大治君、関連質問を許します。
  13. 井岡大治

    井岡委員 いまの話を聞いていると、全く合理化ができるような話をしておいでになりますが、いわゆる指定団体あるいは指定団体でない団体、これはすべて今日もう合理化をやり過ぎてしまっているのでございますね。これ以上合理化をどうしてやるのか、その点についてひとつ御説明をお伺いしたいと思います。しかも現在の料金で、はたしてそれがまかなえるのかどうか、ひとつこの点だけお伺いしたいと思います。そんなできぬこと言ったってだめですよ。
  14. 長野士郎

    長野説明員 企業の中でもいろいろな条件で必ずしも同一じゃございませんが、交通事業等につきまして言えば、御指摘のように、一番経営が困難だという条件の中にあるものでございます。そして給与改定等でも一番その点でおくれておりますのが、交通事業中心とした企業の中で特に大都市関係中心としたものがたちおくれているかっこうになっております。これにつきましては、企業の内外にわたっていろいろな阻害条件といいますか、事業経営を困難ならしめる条件がございます。これの打開につとめていかなければならないわけでございます。その点は必ずしも容易でない問題もございますが、根本的に申しますならば、そういう意味での原則としての、料金収入によって経費をまかなうというたてまえが、だからくずれるというわけには私はまいらぬだろうと思います。そういう意味では、料金が安ければ料金を上げるということもある面では考えざるを得ないという時期がもうそろそろ実は来ているようにも思っております。しかし、同時に、外部的な条件で、企業の内部での努力がどうしてもできにくいという問題もございます。と同時に、市民の足を確保するために採算を度外視してでもやらなければならないという側面もやはりあるわけでございます。そういう意味におきましては、やはり企業自体だけに負担をかけるということももちろん無理があるわけでございますから、そういう観点に立ちまして、やはり企業自体負担というだけでなくて、一般会計において当然負担すべきであると考えられる面については負担をする。そういう意味で、両者の負担関係を明確にしながら、あわせて企業経営合理化を進めていく、こういうことでなければならぬということは御承知のとおりだと思うのです。そういう意味で、企業資金コストが非常に高くなる、その資金コストについても、その資金を良質の資金にするとか、あるいは一般会計の出資をふやしていくというようなことにして、重い資金を少しでも軽くしていくということで、企業経営健全化に資するということが妥当であるというような点につきましては、そういう一般会計における寄与ということも考えていく、こういうことはあると思います。  ですから、そういうことでの企業自体の問題と企業外部からの問題、両方合わせて考えなければなりません。しかし、いろいろな見方があると思いますけれども合理化はこれはもう終わってしまったのだというふうに考えるばかりでなくて、やはり合理化に今後なお一そうつとめながら、企業自体の基本のあり方というものをしっかり打ち立ててやっていくということでなければならぬだろう、こう思うわけであります。そういう面で言いますと、給与改定ということのために特別な措置をするのかということになれば、やはり原則としては、料金をもってまかなうというたてまえは私どもはくずすべきではあるまい、こう考えております。
  15. 井岡大治

    井岡委員 結局、何をおっしゃっているのかさっぱりわからない。企業内と企業外との両面からくる経営困難、こういうものがある、そしてこれらの中で企業外からくるものについては一般会計からこれは何とかしなければならぬ、こういうことですが、その一般会計それ自体がそれだけ負担し得るだけの条件を備えておるかどうか。たとえば十賃はいまだ解決をしておらない状態であります。そうだとすると、十一賃の問題がはたして解決できるのかどうか、そういうことはできないはずです。それから料金問題等を言っておいでになりますけれども料金の問題は、直ちにこれはきょう言ってあすできる問題じゃないわけでございます。特に来年は地方統一選挙をやるわけですが、そういうさなかに、はたしてそういうものが実際行なわれるかどうか。こう考えてみると、私は行なわれない、こう考える。そういうように考えてくると、あなたのおっしゃっておいでになるいわゆる合理化案はどうだということ、その合理化というものはどんなことをさして言っておいでになるのかさっぱりわからない。だから、もう少し具体的におっしゃっていただきたい、こう思うのです。
  16. 長野士郎

    長野説明員 一般論で申し上げて非常に恐縮でございますけれども、たとえば交通関係について言いますならば、私は外部的条件による障害はすべて一般会計負担しろという意味で必ずしも申したわけじゃないわけであります。そういう面が非常に多いことは御指摘のとおりでありますけれども、同時にまた、そういう意味で、モータリゼーションによっていわゆる大量輸送機関であるところの公営交通事業が確保されていくというようなことがございますが、それにつきましては、やはりそういう事態に即応した交通体系の再編成といいますか、そういうものもやはり考えていかなければならない。  たとえばバス事業等につきまして、いわゆるターミナルから長距離路線運行をしておったというようなものを、ある面ではやはり短距離方式に置きかえていくというようなことも、これは、市民の足を確保するという要請にこたえながらでございますから、もちろん限界はございますけれども、やはり考えなければならない、こういう点もございます。それからまた職員配置につきましても、これは都市によっていろいろ事情が違いますけれども、そういう意味での配置転換合理化というものが都市ごとに様子が違うというのは、やはり全体としてなお合理化余地もあるのじゃないかというふうにも思うわけであります。それからまた同時に、給与体系につきましても、現在初任給引き上げをすべきだという議論が片一方でございます。これは企業自体といたしましてはある程度首肯し得ることであります。年功序列型の給与だけで企業関係職員給与を律するということは必ずしも適切ではないと思います。そういうことになりますると、やはり一面職階的な要素といいますか、能率給的な要素というものを考えていくという必要が出てくるわけでございます。年功序列型でないということは、つまりそういう能率給的な要素ということを要望するという線にもつながっていくわけでございます。そういう点については公営企業の中で関係者の、言ってみれば、多年の宿題のようでございまして、現実問題として合理的な切りかえというものがなかなかできない、これはもう現実でございます。  そういうことを考えますと、やはり企業のサイドにおけるところの努力というものもなおなお必要だし、またその努力余地というものが場合によっては非常に少ないかもわかりませんが、私どもはまだ大いにある、こう申していいのじゃないかというふうにも思うわけでございます。そういう努力をあわせて考えながら給与改定というような問題も考えていかなければならないというところに差しかかっておると思うわけでございますが、御指摘の十賃の点につきましては、そういう意味で、たしか全国で七企業でございますか、交通事業中心にいたしましてなお実現を見ておりません。これらにつきましては、現在現実個々企業実態と合わせながら改定準備中、こういうことを申し上げておきたいと思います。
  17. 井岡大治

    井岡委員 言っておいでになることは、少し現実離れをしているのですよ。たとえばダイヤの編成考える。長距離輸送をもっと短くしてターミナルのほうに回す、これは自治省でできることじゃないのですね。運輸省と相談をしなければできない問題なんです。しかも路線という問題ですから、免許制の問題なんですね。これらの問題を現実考えていくと、そうたやすく考えられない。同時に、たとえば路面電車を廃止したところでは、それを短くすることによって大衆輸送というものが非常に困難におちいっている。あなた方が計画されたその計画どおりにやろうとしてもやれない、これが実態なんです。ですから、そういう現実離れをしたようなお話を幾らなさってもこれはだめなんで、一般論でなくてもっと具体的に、こうしたらこうなる、こういうようにおっしゃっていただかなければ答弁にならぬ。同時に、先ほど申し上げたように、料金内でこれをやるのだと言ってみたところで、来年の統一選挙を前にして、こんなものをかけて通るとお思いになるのですか、できないでしょう。できないことをできるようにここで答弁されればしまいだということでは、責任ある行政指導をする自治省としての立場じゃない、考え方じゃない。私はやはりこの点を具体的に考えてもらわなければいかぬと思う。したがって、私はあなた方がお考えになった地方公営企業というもの、特に交通の場合は、前から言っているように、これは何も企業者自体考えておるだけの問題でなくて、国の政策によってしいられておるものがあるわけです。これは国鉄、私鉄にもそうでありますけれども、いわゆる通勤、通学の割引、これなどは国の政策によってやられているわけですね。したがって、国の政策によってやられておるものに対しては国がめんどうを見てやるという仕組みにしない限り、これは幾らそんなことを言ってみたって解決しないのですよ。この点はどうなんです。もっと具体的に示してください。できぬことなら、言わぬほうがいい。
  18. 長野士郎

    長野説明員 確かに御指摘のように、個々具体の問題について具体的な話ということになりますと、状況が必ずしも一つでございませんから、お話しのような問題が多いわけです。そこで、これは私どもはお説のような意味では、一般的なお話もいま申し上げましたが、十賃等の問題になってまいります。これは具体問題でございます。具体団体の、具体事業の、具体状況に応じて、先ほども準備中ということを申し上げましたけれども、その準備中を実施の段階に持っていくために、現在関係機関の間でいろいろと討議を重ねておる、こういう状況でございます。私どもはその点でいろいろ議論もございます。議論もございますが、現実交通事業あり方の中で、いろいろ事業の種類もあるわけでございます。状況も違うわけでございますけれども、そういう実現方向で、これはぜひ考えていただきたい。状況個々によって違いますので、個々状況に即応しながら、原則は踏みはずさない形で、説明のつく限りりっぱに原則を守りながらやってまいりたい、こう考えております。
  19. 井岡大治

    井岡委員 あなた、七都市だけの問題を言っておいでになりますけれども、いわゆる中小都市においても、路線の問題はこれは運輸省の所管の問題なんですね。したがって、競合しておる点がたくさんあるわけです。あるいは、ここは俗にいうドル箱線だ、こういうところに運輸省が免許をすれば、これは通さなければいけないことになるわけです。そういうことで実際問題として考えていくと、あなたの考えているようなことができるのかといったら、できない、こういうのです。これを運輸省とどういうように話をなさっておるのかどうか、そこらの問題を具体的に解明しないと、これは解決ができませんよ。市内交通というものは、市内の市営なら市営をやっている、私は行政の一部だと思うのです。特に市町村を合併した条件というものは、みんな交通を通すということを条件に市町村を合併しているわけです。だから、不採算路線というのが非常にたくさんあるわけです。国鉄の不採算路線と一緒ですよ。いわゆる政治路線といわれている、そういうものがたくさんあるわけなんです。したがって、そういう政治路線に対してやはり何とか措置を講じてやらないと、これは採算ベースに乗らないですよ。だから、採算ベースに乗るなら、あなたの言ういわゆる、そういう実態を変えないというか、原則を変えない程度にというお話ですけれども、これは変えざるを得ないのですよ。だから、いま何もできないようなそういうことはあまり言わないで、これはどうする、こういうように言ったほうがはっきりするのです。その点、どうですか。
  20. 長野士郎

    長野説明員 先ほど申し上げました路線の再編成の問題は、これは私が申し上げるまでもなく、御指摘のようないろいろな関係方面の問題がございます。他の営業との関係もございますし、いわゆる免許の関係も当然その基礎にあるわけでございます。ですから、自治省が独自で考えていくというような性質のものではもちろんございません。これはやはりわれわれのほうは企業の意見を入れながら、関係省の考え方にももちろん沿いながら、全体としてお互いにそういう意味での一致した考え方のもとで、この再編成とか合理化を進めておるということなのでございまして、決して私どものほうだけで特に飛び出して、ああしろこうしろということを実は申しておるわけではございません。そういう意味で、バス事業等につきましても、これをめぐる環境というものも非常にきびしいという点がございます。私どももやはり公共輸送機関と申しますか、大衆の輸送機関でありますだけに、そういうものの優先交通といいますか、そういう優先交通の確保ということは機会あるたびにやかましく言っておりますけれども現実交通渋滞という現実があまりきびしいものですから、なかなか実現できない。その意味で、バス事業につきましても、ますますきびしい環境の中に置かれているというような状況でございまして、この点は公営であろうが私営であろうが、そのきびしい環境という点ではあまり変わらないわけでございますが、特に御指摘のように、公営につきましては、いわゆる公共的目的のための路線というものも多いわけでございますから、一そうその困難が強いということは、そのとおりでございます。そういう意味で、両方の公共目的と企業目的というものをどう調和しながら再編成していくか、これはたいへんむずかしいことでございますが、やはり合理化のためにはやっていかざるを得ない、こう考えておるわけでございます。具体的には、個々企業努力に沿いながら、私どもも実際の再建の仕事が実現するようにぜひつとめてまいりたい、こう思っております。
  21. 土井たか子

    土井委員 ほかにまだこの人事院勧告完全実施に伴う諸懸案につきましては質問を申し上げたい気持ちでございますが、時間のほうの制約がございますので、次の機会にこれを総合的にお尋ねすることにゆだねまして次の問題に進みたいと思います。  次の問題は、昨今取りざたされております公害対策に対する自治体への権限委譲の問題でございますが、規制権限の委譲、環境基準の適用の権限の委譲、両者を含めまして考えました場合に、現在各都道府県、市町村にはそれぞれ公害防止条例などの制定権がございます。いままでのところ公害防止条例をまだ制定していない府県がどれくらいございますか。
  22. 立田清士

    ○立田説明員 四十六都道府県のうちいま二つの県がまだ未制定でございます。それで、その二つの県につきましては、現在制定するための準備をしておられる、こういう段階にございますので、いずれ条例制定をされることになる、こういうふうに私たち考えております。
  23. 土井たか子

    土井委員 二つの県とおっしゃるのは、いずれの県でございますか。
  24. 立田清士

    ○立田説明員 京都府と香川県でございます。
  25. 土井たか子

    土井委員 なぜいままでに公害防止条例が制定されなかったかというその理由については、何らかのお考えをお持ちでいらっしゃいますか。
  26. 立田清士

    ○立田説明員 昨年私たちが都道府県について調査いたしましたときには、四十六都道府県のうち三十二府県が条例を制定しておりまして、その後昨年からことしにかけまして十二県が制定されたわけでございます。それで昨年の調査いたしましたときの状況を見ますと、比較的過疎地帯をかかえている県とか、あるいはまだ開発途上にあるような府県においてまだ制定されていない、こういう状況がございまして、その後昨年からことしにかけまして、府県のほうでもいろいろな状況の変化あるいは全体的な動きというのも見られまして、それぞれの府県において条例を制定して現在に至っております。したがいまして、いまの二県につきましてもそういうような状況が、同じようなことがあったかと思いますが、現在はさらに各県の条例の内容等もいろいろその県に適合したような状況内容にしていきたいというようなお考えで、現在せっかく準備中であるというふうに私たちは聞いております。
  27. 土井たか子

    土井委員 このたびの公害対策閣僚会議で発表されました内容を見ますと、特に環境基準の適用よりも規制権限を重点に置いてお考えになっているように私は見受けるのです。そういう点から考えますと、現にございます条例の中で、国のきめます基準よりももう一つきびしいこの対策と申しますか、その公害に対する規制基準というものを設けまして、そして条例を現に制定して監視体制をとっているというところもございますが、この条例の内容が国の規制基準を上回るような内容を制定している場合、これに対して自治省としてはどういうふうにこの条例をいままでごらんになっておられたか、この点をひとつお伺いしたいと思います。
  28. 立田清士

    ○立田説明員 御承知のとおり、法令と条例との関係におきまして、具体的に法律が適用されている場合に、たとえば地域を指定している場合あるいは水域を指定している場合、そういうところにつきましては、国の基準がそのまま適用されていく、こういう状況になっております。したがいまして、いわゆるそういう地域以外のところにつきましては、都道府県のほうで条例で規制できるというかっこうになっておるわけでございますが、ただいまお話しの条例の内容によりまして、そのいわゆる規定上国の基準と都道府県の基準が多少違う点があるという場合におきまして、いま申し上げましたような事情も内容的にはあるわけでございまして、したがいまして、基準そのものがどういう地域に適用されるかということによって、直ちにそれ自体が国の基準を越えているかどうかということにはならないというふうに私たち考えておるわけでございます。したがいまして、国が指定しております地域なら地域については国の基準どおりということになるわけでございますが、現実にいままでの条例の中におきましては、国が指定している地域についての基準を越えているものはないというふうに承知しております。  ただし、その地域指定をしている地域におきまして、さらに国がまた定めております施設について、こまかいことをいいますと、適用されておるわけでございますから、指定地域の中で国の基準が適用されない施設というものもやはりあるわけでございまして、その面については、都道府県でまた規制もいたしておりますし、また別な観点からの規制も現実に条例によっては行なわれている、こういう例があるわけでございますので、表面的に見ました場合に、そのいまのような事情を全部捨象いたしました場合に、あるいは国の基準を越えているような感を与える場合があり得ると思いますけれども、私たちのほうでは、現在のところ、ただいま申しましたような内容から考えまして、特に国の基準を越えているというものは現在制定されておるものについてはないというふうに考えております。
  29. 土井たか子

    土井委員 この公害の問題につきましては、特に地域における特徴をその地域でスピーディーにキャッチして、そしてそれに対処するということがどうしても私は不可欠の要件だと思う。そういう点から考えてまいりますと、今までには国の基準を上回るような規制基準というものを認めている条例はないようにお答えがございましたけれども、今後、これから先、そういう問題については国の基準を上回るような条例をつくるということがないとは、これは断言できないわけです。こういうふうな状況がもし起こった場合には、自治省としてはどういうふうにお考えになりますか。
  30. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 原則的にはもちろん条例は法律のもとにあるべきで、しかし、事柄は国民及び住民の健康の保持に関する問題、また生活環境の良好な状態の保持にかかわる問題であります。いろいろ具体的な問題についてはなかなか解釈上もむずかしい問題がある。百般の事情に事実即しましていろいろ問題点が出てくることもまたやむを得ない点があろうかと存じます。したがいまして、自治省といたしましては、法体系におきまして法律と条例との乖離矛盾のないような仕組みをつくり上げていくことがまず第一必要なことだと考えまして、この間の調整ということを考えまして、内閣において公害対策に関する会議なり、あるいは今日それが対策本部となったわけでありますが、そういうところにおいて調整をされるよう提案をし、今日、公害対策本部の設立を見ております。ここで先般も公害対策に関する権限の地方委譲に関連をいたしまして、こういう種類のものはこういう原則により、またこういう種類のものは各種の規格を設けて、それが当てはめについては各地方において事実に即してやっていただくようにしょう、またこういうものについては一定の最高限度を設けておいて、その範囲内においてやっていただこうというような、いろいろ状態を考えまして分類をしまして、大体の状態に間に合うような方針をきめまして、それに基づきましてこまかにいろいろ規定を設けていただくというような方針を大体決定いたしまして、具体的ないろいろ準備作業に入っていただくようにしておるわけであります。  しかし、現実はどんどん進行しております。そういう作業には多少の時間を要します。したがいまして、その間にいろいろ問題が生じてくることもまたやむを得ないと思います。しかしながら、その国の方針につきましては、地方及び中央の公害対策本部との連絡を密にいたすことによりまして、この間の矛盾調整につきましてはひとつ努力をしていただく。その点を自治省といたしましても、あっせんに努力をいたしたい。したがって、昨日の参議院で、産業公害についていろいろ御論議がありました際に、山中総務長官からもお話を申し上げておりましたが、その時間的誤差の間隔についてはひとつ便宜の方法考えたい、しばらくお待ちを願うとか、実際において十分連絡をとってその間のそごを来たさないようにするとかという点について、十分連絡をしながら事実上の矛盾を埋めたい、こういうふうに考えておる旨も、私からも答弁をいたした次第でございます。
  31. 土井たか子

    土井委員 いまの大臣の御答弁からいたしますと、日本の国の法秩序体系からしますと、当然法令は法律以下でございまして、条例もしたがって法律の範囲内で考えられなければならないというその御趣旨でもっともだと思うのです。しかし、私は、法律だって法令だって、それぞれ一体何のためにつくられ、何のために運用されるかという点を考えてまいりますと、人命尊重、生活の保全ということを抜きにしては考えられないと思うのです。そういう点から考えてまいりますと、現在あっちでもこっちでも続発いたしておりますこの公害問題をひっかかえまして、いま現にございます公害対策基本法の一条二項で常に問題にされてまいりました経済の健全な発展との調和というところに必ずぶち当たる。したがって、各都道府県、市町村が、公害防止条例の内容で、国の基準について、たとえその基準よりも上回る基準をこの際設けなければどうにも規制を十分にすることができないと考えましても、この法律の一条二項の部分にぶち当たって、国の基準以上の基準を積極的につくることができかねるという認識を持たれる場合も多々あると私は思うのです。  そこで、いま大臣の御答弁にございました、法律の範囲内で条例は考えていかなければならないという大前提に立ってものを考えた場合に、この公害対策基本法の一条二項などの問題を、これほどあちこちで激発しております公害問題をひっかかえたこの現時点で、どのようにお考えになりますか。やはりこの公害対策基本法それ自身の改正がこの際どうしても必要なのだというお考えをお持ちなのであるか、それとも、この条文に対してはやはり修正をこういうふうにしていかなければならないという具体案をお持ちであるか、その辺をひとつお伺いしたいのです。
  32. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 経済との調和の条項は、これは修正していかなければならない。住民の、そして人間の健康第一、生活環境の保全第一に考えなければならない、こう考えております。この点は、この前のこの委員会でも、林委員のお尋ねに対してと思いますが、関係閣僚の意見もほぼ一致を見ておるということを申し上げたのでありまして、そのとおりでございます。  なお、その法律と条例の問題につきまして、おことばを返すようで恐縮でございますが、われわれといたしましては、人の生命に関する問題につきましては、これはもう最高限のシビアな基準を置かなければならないと考えております。したがって、この点につきましては、現状におきましては、どなたが考えていただいても、あらゆる場合に即しまして矛盾のない最高限をひとつ考えて、その基準を示して、それに従っていく。生命それ自身に関係しないその他の問題につきましては、これはこのシビアな段階からだんだんゆるやかな状態に、何段階かの基準をつくりまして、事情事情に即応してどの基準を適用するかは、これは地方の実情によることであるから、そこの決定についてはおまかせをする。こういうふうな仕分けをしておるということを申し上げておるのでございまして、したがって、十分関係者で検討されました範囲におきましては、今後、法律を上回って条例がシビアにならなければならないという状態はないようにくふうをいたすつもりでございます。しかし、その過渡期にはいろいろ問題が起ころう、こう申したわけで、しかし、また事実はまことにわれわれの人知の上に出ている場合もございましょう。そういう場合には、ひとつ臨機応変、機宜の処置をとってまいりますことは当然でございますが、要は、人間の生命は第一に尊重さるべきであるという原則だけはかたくわれわれは守っていきたい、こう考えております。
  33. 土井たか子

    土井委員 いまの御発言によりまして、公害対策基本法についての改正なり修正なりがやはりどうしても必要だという御意見を確認させていただきましたが、実はこの条文に対しての修正をやる場合には、御承知のとおりに、関係法令一般に及ぼす影響が非常に大きゅうございますので、単にこの一カ条の、一部分の修正にとどまらないことはもう言うまでもございません。そういう点から、要は、公害関係法令一般のあらためての考え直し、あらためての改正ということにもこれはひっかかってくるわけでございまして、ひとつそこのところを重大な決意を持って臨まれないと、仏つくって魂入れずのたぐいになるであろうかと私は思うわけでございます。ひとつ御決意のほどを重々に要望申し上げたいと思います。  もう一つその問題について気にかかることが現にございます。それは、各地方地方で基準を十分にその場で押えて実行していくのに、公害発生源とすでに確められている企業あるいは新たに企業誘致する際に公害発生源になるおそれがあると考えられる企業、その企業を相手にして自治体が協定を結んでいるという実例がだんだんふえてきております。私がおります地元のほうでも、尼崎などは、尼崎市と兵庫県と、さらには公害発生源と現に事実によって認められ確められておる関西電力との間で、協定を結んでいるという事実もあるわけでございますが、その協定の内容などを見てまいりますと、たとえば操業の短縮であるとか、場合によると操業の中止というふうな非常に強い制裁までも置きまして、協定を結んでいるわけでございます。この協定違反という場合には、事実行為としてこういう操業短縮あるいは操業中止などということが求められるはずでございますけれども、実際問題、協定自身の法的効力なり法的意味なりがもう一つ確かでないことのために、一部では、紳士協定にしかすぎないとか、これは道徳的な規範にしかすぎないとか、心得程度などだから、あんまりこれに対して期待をかけることはできないという声が出ておりますが、この協定についての法的意味あるいは法的効果について、どういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、この点をひとつ伺わしていただきたいと思うのです。
  34. 立田清士

    ○立田説明員 公害防止協定でございますが、御承知のとおり、公害防止協定は、現在相当数締結されておりますし、今後もおそらく相当数締結されると思います。私たちも、条例の実施とあわせまして、具体的なケースにつきまして防止協定を締結することが望ましい、こういう考え方に立っております。その場合に、現在あります公害防止協定にもいろいろな種類がございまして、この中には、いまおっしゃいますとおり、一つの取りきめ的なものもございます。それから内容的にいろいろな段階のものもございます。そこで、協定自身は、これは地方団体、あるいは場合によりますと地域住民の方が入っておられる場合もございますし、それから相手方の企業との間におきます全部の合意を得た一つの契約的な性格があるというふうに考えられております。ただし、これについては、私どもどうも学問上のことはあまり詳しくございませんし、いろいろ説はあるようでございますけれども、少なくともいまの当事者間において合意をした一つ内容になっております。  したがいまして、その内容実施について、たとえばそこの内容にきめられている一つの条項が実行されるかどうかということは、その当事者間において誠意をもってこの実施を確保するという方法ということになろうかと思います。
  35. 土井たか子

    土井委員 といたしますと、いまのお答えの限りでは、法的な効力をこれに対してあまり期待をかけるわけにはいかない、お互い同士の紳士間の協定であり、お互いがこれを守るというふうな努力義務にすぎないというふうに考えてもようございますか。
  36. 立田清士

    ○立田説明員 あるいは私の表現があまりうまくなかったのかもしれませんけれども、これはやはりそこできめられている事項は、それぞれ当事者間が合意をしてきめておられるわけでございますので、そういう意味では一つの契約的な要素というものも多分にあるわけでございまして、それは当然当事者間において実施を確保していくということになろうかと思います。ただし、その協定の内容によって、その内容自体一つの宣言的な内容だけを持っておるというような場合には、いまおっしゃるような問題もあろうかと思います。内容によりましては、相当具体的に、こういう場合にはこういう措置をとる、こういう場合にはこういう勧告をする、いろいろこういう内容がございますので、その事柄によって、具体的な内容によって判断をせざるを得ないのではないか、こういうふうに考えております。
  37. 土井たか子

    土井委員 いま私がお伺いしているのは、実は協定を締結して以後、協定が実際問題守れないというふうな実情があちこちで多々見受けられるのです。先ほど私が申し上げました尼崎の実例などは、関西電力が締結をしている一方の主体でございまして、この中で取りきめられている内容は、言うまでもなく、亜硫酸ガスに対する排気量の押えでございます。年間どれくらい押えていくかということを五カ年計画できちんと協定書の内容では盛って、そしてその数量までもきちんとそこに示して、年間これだけに押えていくのだということを協定では取りきめておりますけれども、実際問題これは守れないような実情に、関西電力をして言わせますと、立たされているということになってくる。こういうふうな協定を結びましても、実際守れないような実情がある限りにおいては、何らか国側としても、この協定の内容について、協定が守れるような状況というものをつくっていかないとならないのじゃなかろうかというふうな感じもいたします。  そこで、実はそういう意味で、私は協定の性格を先ほどからお尋ねをしているわけです。このことに対して国が関与する余地は全くない、あるいは、場合によりますと、この協定というものを根拠にして提訴をするなんというふうなことが可能であるということになってきますと、その限りにおいて国が関与するということが新たに問題になりましょうけれども、まだそういう段階にいかないまでにも、この協定の内容について国が何らかの指導なり何らかの関与なりをする余地があるかどうかという問題なのでございます。
  38. 立田清士

    ○立田説明員 的確なお答えかどうかわかりませんけれども、現在私たちは、ただいまおっしゃいますように、協定自身が結ばれておるところで、現にそれがどういう実行の状況にあるかというようなこと等も含めまして、実はいまいろいろ調査をいたしております。したがいまして、私たちといたしましては、そういう実態的な協定自身の内容あるいはそれの実施状況ということの調査をいま実施中でございますので、その結果によりまして、いまお話しのような一つのいろいろな対応策を考えていきたい、そういうことを実は考えております。それとともに、協定も、先ほど申しましたとおり、いろいろな内容のものが実はあろうかと思います。したがいまして、どういう協定が今後望ましい形であるか、そういうことも私たちとして検討していきたい。そういうふうに実態に即してものを考えて、それにどう対応できる方策があるかということも検討していきたい、そういうふうに考えております。
  39. 土井たか子

    土井委員 公害対策に対して自治体への権限委譲の中で、特に今度重点を置いてお考えになっていらっしゃるのが、規制権限の強化ということであるように私は思うのです。規制権限の強化というのは、要するに、公害発生源に対する取り締まりを強くしようというところに私は主眼があるのではないかと思うのです。そういう点からしますと、いま、現在調査中であるとおっしゃいましたが、やはり協定などの内容についてもすみやかに御調査されまして、そして実際どういうところで、どういう協定が、どのように結ばれて、それがどのようなぐあいに運用されているかという実態を実は知っていただかないと、規制権限を強化すると言われましても、なかなかそうたやすくいく問題ではなかろうと思います。そこで、ひとつそこのところを要望申し上げたいと思います。  それから、規制権限強化に伴いまして、私、実は一連の動きを見ておりますと、国の基準でまかない切れないところを、協定で何とか具体的に押していこうという努力を自治体それぞれがやるという傾向が出てきておりますが、いま申しましたような、自治体が、この協定自身が守れなかったときに、制裁として設けました操業短縮とか操業中止のままで、はたして公害発生源に対する規制というのが果たし得るかどうかということを私は常に考えておるわけなんです。やはり何と申しましても、公害対策の根本問題というのは、現在、事、産業公害に関する限り、公害発生源に対する抜本的な取り締まりあるいは監視、それなくして済む問題ではないと私は思います。  そういう点から考えていきますと、いま一つ俎上に上りつつあるのが、公害罪を新設しよう、公害罪を考えてみてはどうかというふうな、一つのこれに対する対策なんでございますが、私自身の考えからすると、やはり公害発生源に対する抜本的な取り組みの一つとして、公害罪というふうなものを設けて、公害罪を適用していくということが考えられなければならない一つ観点ではなかろうかと思っているのです。そういう点からしますと、自治体などはやはりこれに対しては告発をする、告発をしてあとは警察権、検察権にゆだねるというところで、問題はおのずと自治体における権限というのが告発権というところに置かれるだろうと思うのです。何かいままでのところ、こういう公害罪というものを前提に置いて、地方自治体のそれに対するいろいろな対処のしかたなんかということについてお考えをお進めになっている部分がございますれば、ひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  40. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 公害罪の新設等につきましては、法務省関係で熱心に検討されております。閣議等の席上におきましても、小林法務大臣からその旨の発言がございました。しかし、まだ中央公害対策本部において関係閣僚でこれを議するまでには至っておりません。しかしながら、法務省は公害罪を設けたいという意向を持っております。  これに関連をいたしまして、ただいま先生御提案の告発の問題等につきましても、自治省といたしましても、ひとつ前向きに今後に対処して検討いたしたいと考えております。
  41. 土井たか子

    土井委員 特に私がいまそんな問題を申し上げましたのは、このたびの自治体に対する公害対策の権限委譲の中で、規制権限を大幅に委譲するという分野が前面に出てきたわけでございますから、規制権限の強化というのは、やはり公害発生源に対する取り締まり、押さえというところが重点でなければ、この問題は出てくるべくもございませんので、申し上げた次第なんです。  ところで、これは住民サイドから申しますと、どうしても被害者の立場に立った場合に、心配の種になりますのは医療救済の問題でございまして、イタイイタイ病だとか水俣病くらいに極端になってまいりますと、こういうことなくしてはもはや考えられないわけですが、まだあからさまでない地域におきましても、かなり広範囲にわたって慢性気管支炎のようなありさま、あるいはぜんそくのような状況というのが特にちっちゃい子供たちの間で蔓延している地域があるやに私は聞くのです。最近、尼崎なんかでも、尼崎の医師会などが尼崎住民の一斉検診をやりまして、慢性気管支炎にかかっている率が非常に高いというふうな新聞発表をやりまして、みんなびっくりしたわけなんでございますが、しかし、こういうふうな状況考えれば考るほど、保健所の役割りというのは非常に大きいんじゃなかろうかと私は思うのです。保健所は、御承知のとおりに、指定都市ではございますけれども、たいがいいま公害問題なんかを考えていった場合に、これから先どうしても中小都市、十二万くらいの人口のあるような都市なんかでは需要がふえるだろうと考えられるにもかかわらず、保健所がいまだにない。県にあるじゃないか、府にあるじゃないかとおっしゃればそれまでかもしれませんけれども、やはり保健所の活躍というのは、広範囲にそれぞれにわたっているのじゃ、どうもかゆいところに手の届くというふうな仕事にはならないわけでございまして、できる限り地元になければならないということは至上命題の一つだと思うのです。そういう点から考えまして、私は、十二万前後の都市に保健所というものをこの際、公害問題などを考えた場合に、ぜひとも設置すべきことは急を要する課題の一つじゃないかと思うわけでございますが、この点についていかがでございましょう。
  42. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 お説のように、人口何万だからどうこうという観点と、公害に処して保健所等の増設を考えてはどうかという点と、二点とにわたりましょうと思いますが、概してそういう点に対する配慮から、保健所というものを整備強化していくという必要は十分考えられるところでございます。今後の実情に即しましてひとつ検討してまいりたいと思います。国、地方を通じましていろいろ定員の削減とかあるいは行政機構の合理化、簡素化等も叫ばれておりますが、こういう点は、そういう原則にとらわれず、その面はその面として十分考えていかなければならない面と思いますから、そういう行政機構の合理化あるいは簡素化という点も踏まえながら、また一方、そういう点には強化の配慮をするという点を今後十分考慮してまいりたいと存じます。
  43. 土井たか子

    土井委員 いまの大臣の御答弁のとおりに、保健所自身を各地域に強化させていくということは、先々これは望まれるところでございまして、それはどうしてもやっていただきたいと思いますけれども、もう一つ、現存する保健所につきましても、実は公害病の認定であるとか、あるいは公害に関係のあるそれぞれの症状に対する指導あるいは予防あるいは治療、それぞれに関与する権限が現在ございません。このことに対しましてはいかがお考えでいらっしゃいますか。
  44. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 末端の保健所までそういうことが扱える機能の強化というのは望ましいと存じまするけれども、一がいに、また一どきになかなかそうまいらない実情がございます。そういう点につきましては、県の中央部の指導機能の強化というような点で能率化を期しながら、漸次ひとつ機能の整備につとめてまいりたいと思いますが、さしあたりましては、いろいろ中央部の指導等の能率化を考えてまいりたいと存じます。
  45. 土井たか子

    土井委員 ひとつその点はよろしく御指導を賜わりますように御要望いたします。  ところで、いまの問題も、さしずめ行き着くところは、やはり財源確保の問題になると存じますし、先ほどから問題にしてまいりました自治体への公害対策の権限委譲をめぐりましても、やはりこれは実際動かしていくためには必要経費がどうなるかという問題だろうと存じます。そこで、公害についての地方財源確保をどのようにお考えになっていらっしゃるか、いまその点について一点お伺いしたいわけでございますが、特別交付税について別ワクを設けて、公害対策にこれだけ使うというふうなお心づもりを現にお持ちであるかどうか、この点はいかがでございますか。
  46. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 いま御提案のような特交に別ワクを設けていくということまでは考えておりません。しかしながら、公害に対処いたしまして特交を強化しようということは十分考えております。
  47. 土井たか子

    土井委員 公害対策関係をする特交を強化するというふうな御答弁でございますが、その際はぜひとも公害対策内容に対しては細目でかっちりとやっていただきたいと私は思うのです。特交、特交という名に乗って、自治省の思惑で、胸三寸で事はきまるということはやめていただいて、ひとつこの公害対策についてはこれだけ自治省はやる気でいるということを、その特交の内容について明示していただくというのはたいへん大事な眼目であろうかと私は思います。ひとつその辺はよろしく御要望を申し上げます。  さて、時間のかげんがございますから、先を急いで最後の問題に入りたいと思うのですが、最後の問題はほかでもございません、新聞紙上に大きく出ました、昨日の早朝の宇都宮でのデパートの火事の問題でございます。これはもうすでにみんながよく知るところでございますが、宇都宮の中心商店街にございます百貨店が火事で、内部はもうまる焼けになってしまいました。ところが、この火事をめぐりましてどうしても私たち気にかかることがあるわけでございます。実はあの宇都宮市の消防車が総動員でかけつけて、そうしてこの火事に対処しようとしたわけでございますけれども、何といっても八階建てのビルの八階までに水が届きません。六階までしか水が行かなかったというのです。この事実を見た場合に、どうも建築物そのものと、それからそれに対する消火作業に従事するところの消防の機能というふうなもののちぐはぐをどうしても考えないわけにはまいりません。あたりで鉄筋の建物あるいは高層建築等々が激増しております現状にかんがみまして、これから先を思いやりますときに、どうもこれはただの心配ごとでは済まされないような気がするわけでございます。この事実につきまして、まず事情の説明を簡単でけっこうでございますから、お聞かせいただければ幸いと存じます。
  48. 松島五郎

    ○松島説明員 お答えをいたします。  九月の十日午前四時ごろと推定されておりますが、宇都宮市の福田屋百貨店で火災が発生をいたしました。覚知をいたしましたのは二九番でございまして、通行人が公衆電話から消防署に連絡をしております。鎮火をいたしましたのが七時三十分でございますので、覚知をいたしましてから約三時間半燃えたわけでございます。消防隊は連絡がございましてから、ただいまお話がございましたように、ポンプ車、タンク車、はしご車等十六台、これは消防本部でございますが、そのほかに消防団から三十台、消防職員は二百名、消防団員二百五十九名が出動いたしまして消火に当たっております。はしご車は十八メートル級のものが一台あったわけでございますけれども、御指摘のとおり、十分な消火能力を発揮することができなかった、かような状態でございます。
  49. 土井たか子

    土井委員 それじゃ、まずここでお伺いしたいのは、建築基準法によりまして、増築、改築、新築の場合、建築物の防火設備等々について消防署は具体的にはどういうふうにこれに対する関与をなすっていらっしゃるか、ひとつその辺をお伺いします。
  50. 松島五郎

    ○松島説明員 建築をいたします場合は、消防法第七条でありますが、その規定によって消防署の同意が必要であるということになっておりまして、消防署の同意を求めて建築に取りかかる、こういうことになっております。
  51. 土井たか子

    土井委員 それでは、消防署とされましては、この事件から憶測いたしますと、守備範囲を越えた、守備範囲ではとうていまかない切れないということが事実考え得るような建築に対しても——増築すること、新築すること、改築することに同意をなさるということなのでございますか。
  52. 松島五郎

    ○松島説明員 建築の確認の申請があります場合には、現在の消防法規並びに建築基準法によりまして、防火上の種々の設備等を設けなければならない、あるいは防火上の配慮からのいろいろな規定がございます。たとえば一定の高さ以上の建物をつくります場合には屋内消火せん設備を設けなければならないとか、あるいは一定の広さを持つ建物をつくります場合にはスプリンクラー設備を設けなければならない、あるいは火災報知設備を設置しなければならないというような、消防法によるいろいろな規定がございます。また、最近改正されました建築基準法によりましても、同様な規定が入っております。消防署といたしましては、そういった設備がその建物内に設けられるという前提で、そういう設計になっているかどうかを審査した上で確認をするわけでございます。
  53. 土井たか子

    土井委員 そういたしますと、いまのお答えの限りでは、個々に建築施工主がその建築物に対して責任をもって大体防火をできる、消火をできるということに対する確認にとどまると私は思うのです。消防署における消防作業というのは、公の立場において消火をする、防火をするという任務があるはずでございますが、その側面からいまの問題をお考えになります場合、個々におけるそういう防火、消火の問題にだけゆだねられてしまって、片や消防署が本来持つところの消火作業、防火作業についての役割りからすると、どうも片手落ちのような感がなきにしもあらずと思うのですが、その辺、いまの問題についての関与はどのようになるわけでございますか。
  54. 松島五郎

    ○松島説明員 御指摘のとおり、世の中が変わってまいりまして、火災の様相も変わってまいりますに従いまして、消防もそれに対応する体制を整えていかなければならないことは当然でございまして、消防といたしましても、そういった面からのいろいろな機材の整備あるいは体制の整備につとめておるところでございます。  ただ、今度の場合は別といたしまして、たとえば霞が関ビルのような超高層の建物ができました場合、これに対応するような設備を消防として整えていき得るかあるいはいくべきかどうかということになりますと、多少問題が別な面を持っていると思います。   〔委員長退席、塩川委員長代理着席〕 たとえば、現在の段階におきましては、はしご車にいたしましても、大体三十メートル程度が限界でございまして、これ以上長いはしご車をつくることは不可能ではございませんけれども、はしご車さえ長くなればどんな高いビルにも対応できるというわけではございません。道路条件その他によってはしごを伸ばした場合の安定性の問題というような点からも制約を受けますし、また霞が関ビルのようなビルになりますと、ほとんど窓は完全に閉鎖された建物でございますから、無窓建物に近い状態になりますので、はしご車を持っておりましても、必ずしも外から水をかけるということで有効な消防作戦がとれないという面もございます。したがいまして、一定の高さ以上の建物になりますと、やはり建物自体において完全な防火体制をとっていただくという方針で、現在は建築基準法、消防法も整備されてきているわけでございます。ただ、今回問題になりました七階、八階程度の建物でございますと、これは普遍的な建物でございますので、消防側といたしましては、その程度の建物に対応する機器の準備というものは十分していかなければならないということは御指摘のとおりでございます。私どもも、はしご車等の整備につきましてはできるだけの努力をいたしてきておりますけれども、何ぶんにも一台を整備いたしますのに相当の経費を要するものでございます。しかし、今回のように、整備が十分でなかったという点につきましては、私ども深く反省をいたしております。今後ともこの充実に努力いたしていきたい、かように考えている次第でございます。
  55. 土井たか子

    土井委員 いまの御答弁では、設備を充実させていくというふうなことの御決意のほどがうかがわれてまことにけっこうなんでございますが、本年の「地方財政状況」というものを拝見いたしますと、その中で、消防団員の数が年々減少してきているというふうに指数の上で載っかっております。昭和四十一年以降毎年一−二%減というような数字が出てきているわけでございます。消防機能を発揮する消防設備を拡充するという点から考えましたら、言うまでもなく、その近代化、設備の拡充ということと同時に、やはり人員の確保ということがどうしても大事だろうと思うのです。いまこの人員が減ってきていると申します状況についての原因はどの辺にあるのか、これをひとつお伺いしたいと思います。
  56. 松島五郎

    ○松島説明員 消防団員は、御指摘のとおり、年々減少を続けてきておりますが、特に、昭和二十六、七年ごろまでは全国で約二百万の消防団員がおりましたけれども、最近では百二十五万程度でございまして、その当時に比べまして六割強程度にまで減ってきているわけでございます。この原因につきましては、私どももいろいろな角度から分析し、検討いたしておりますけれども、時期的に見まして、一番減りましたのは昭和二十七年から三十三年ぐらいまでの間でございます。その間には、御承知のとおり、町村合併が強力に進行いたしております。消防団の数がその当時約一万ございましたけれども、この昭和二十七年から三十三年ぐらいまでの間に四千五百程度まで減っております。町村の数ももう少しよけい減っておりますけれども、要するに、町村合併に伴いまして消防団の整理統合が同時に進行した。その間にやはり消防団の統合によりまして人員が減ったのではないか、これが一つの原因だろうと思っております。  その後の減員の状況をいろいろ分析してまいりますと、一つは、やはり都市への人口集中という現象に伴うものがあろうと思います。都市へどんどん人が出られますと、大体都市へ出られる方は、申し上げるまでもなく、雇用労働者として昼間は会社なり工場なりに拘束される。したがって、地域消防団に加入する方が少なくなる。その分がいなかから出てこられますから、いなかの消防団員が減っていくという形であらわれてきているという面があろうかと思います。  それから第二点は、消防機器の近代化というものとやはり関連があると思います。いま、消防機材は近代化していかなければならないけれども、それを運用していく人が減っては何もならぬではないかという御指摘でございます。それももっともでございますが、他面において、従来人が引っぱって運んでおりました手引きポンプというようなものがなくなりまして、それにかわりまして自動車ポンプというようなものになりますと、多少人員の節約がそこにできるという面で減ってきている面がございます。  もう一つは、火事の様相もだんだん複雑になってきておりますので、やはり専門的な訓練を受けた人が常時出動の体制にあるといういわゆる常備体制をとっていきませんと、今日の火災にはなかなか対応できないということから、常備化が非常な勢いで進行いたしてきておりまして、終戦直後には二百三十程度の常備消防しかなかったのが、現在では千の市町村で常備消防体制をとるという段階まで来ております。常備化に伴いまして、いわゆる専門の消防職員がかなりふえてきております。あるいはそれと反対の現象と申しますか、消防団員が減ったから常備化が進んできたとも言えますが、そういうことで、常備化の進行と消防団員の減少というものがうらはらの関係にあるということになったのではないかと考えられます。  以上のようなことがいろいろ重なってきておりまして、一つには、そのためには常備化をできるだけ進めていつでも対応できる体制を整えていくことが必要でございますけれども、それでも山村等におきましては、どうしても消防団にたよらなければならない地域というものが残るわけでございますが、この辺の消防団の整備、資機材の近代化、装備の近代化というようなことについてはさらに私ども努力をしていきたい、かように考えております。
  57. 土井たか子

    土井委員 今回の場合はビルディングでございましたが、各地にございますいろいろなコンビナートであるとか、あるいは都市の過密化なんかを考えてまいりますと、どうしても科学的な消防機能を発揮するためのいろいろな資材がこれからいよいよ重要視され、必要視されるというふうに私は考えるのです。そういう点から考えてまいりますと、自治体から消防経費についての要求がございましたときには、これに対しましては何をおいても対策というものを自治省としても考えていかなければならないのじゃないか。したがって、基準財政需要額がこうなっているとか、現在の補助率が何分の一であるとか、消防ポンプを何台回すとか、はしご車をどうするとかいうふうなこともさることながら、必要だと考えられるのは、もうこのあたりで徹底的に財源を認めていかなければならないという問題じゃなかろうかと私は思うのです。そういう点から考えまして起債の自由化、消防財源であったならその起債は自由化していいというふうな考え方一つあるやに私は思いますが、この点はどのようにお考えになりますか。
  58. 松島五郎

    ○松島説明員 私ども消防の立場から申しますと、できるだけ消防施設の充実を促進してまいりたい、そのためには十分な財源が必要である、したがって、その方法として起債のワクを拡大するということもぜひ必要であるという考え方を持っておりまして努力をいたしておるところでございます。  ただ、これを全く自由化するかどうかという問題になりますと、消防の起債といいましても何の起債といいましても、結局、最終的には市町村の財政負担の問題になるわけでございますから、全体の財政運用の一環として考えなければいかぬ面もまた同時にございます。その辺の調整をはかりながら、できるだけ重点的に消防施設に対する起債のワクの拡大をはかっていきたい、かように考えております。
  59. 土井たか子

    土井委員 こういうふうな事件というのは、おそらくは現在の自治体と消防機能とのこういうぐあいであるという実例を私たちに知らしてくれた、いわば一つの象徴であるかのごとくに私は思うわけでございますが、これから先こういうことの二の舞いがあっちでもこっちでも起こって、あのときにやっておけばよかったと取り返しのつかないことが続発しませんように、これを与えられた大事な機会だというふうに考えまして、ひとつ決意のほどをお願いして、私、きょうの質問を終わりたいと思います。
  60. 塩川正十郎

    ○塩川委員長代理 引き続いて桑名義治君。
  61. 桑名義治

    桑名委員 私は、公害問題に集約をいたしまして、御質問をしていきたいと思います。  公害問題につきましては、もうすでに国民の世論は相当な盛り上がりを示し、これは世界的規模の中において論じていかなければならない問題になってまいりました。しかしながら、当委員会におきましては、地方行政上における公害問題というとらえ方でこの問題に対処していかなければならない重大なる使命があるということを私たちは認識をして、その立場で公害問題を論じていきたいと思います。  まず最初に、総理府のほうからいらっしゃっておられますが、すでにいま公害対策本部というものが設けられております。またこれを受けまして、各地方には各地方の公害対策本部が設けられております。しかしながら、その機能が現在どのように動いておるか、これが私は問題ではないかと思います。福岡県の場合に、私は県に行ってまいりました。そして対策本部がどのような動きを示しているかということをいろいろと調査をしてまいりましたが、いわゆる厚生省関係警察関係、それぞれの分野でこの人員構成がなされておりますけれども、また、それぞれの守備範囲があまり明確でないために何をやっていいかわからない、実質的には何も動いていないというのが実情でございます。  こういった立場を考えましたときに、はたして公害対策本部が各地方本部に対してどのような指示をし、どういう方向でこの問題に対して取り組んでいるか、その点のところをまず明確にしておきたいと思いますので、御答弁を願いたいと思います。
  62. 城戸謙次

    ○城戸説明員 ただいまのお尋ね、主として地方対策本部のことでございますが、地方の公害対策本部に関しましては、一次的には自治省のほうで御指導いただいておるわけでございまして、自治省のほうから御答弁いただくのが適当かと思います。
  63. 立田清士

    ○立田説明員 地方の公害対策本部につきましては、都道府県単位で設けられるように、それぞれ地方団体のほうで設置をされたところ、あるいはいま設置の準備をされておるところ、両方ありまして、いまお話しの例示であげられました福岡県の場合は、今月の一日に設立され、第一回の会議が開かれたというふうに承知しております。  なお、各都道府県の公害対策本部につきましては、一つは、国と地方団体との公害対策に関しますあるいは公害に関します情報の交換、それから二番目には、公害対策実施に関しましての調整なりその推進というようなことが主たる任務になっておるわけでございます。そして、その点についての運営につきましては、その都道府県の実情に即して自主的に、弾力的にやっていただくというようなことでお願いをいたしておりまして、そのやり方につきましては、現在それぞれの都道府県で、いまお話しもあったわけでございますが、ちょうど設けられたばかりでございますので、それぞれいま御検討になっておる、こういう段階にあろうかと思います。
  64. 桑名義治

    桑名委員 いま自治省お話では、まだ第一回の会合を開いたのみで、これといった対策を指示していないというような意味お話でございましたが、実際問題として、この対策本部がどういうふうな意味を持っているかということに対して、私は大きな疑問を現在のところ持っておるわけです。  と申しますのは、現実に大きな立場からいいますと、公害問題がこのような危機に立ち至ったということは、国家的見地から見た場合には、いわゆる縦割り行政が大きな欠陥になっている、こういうふうにいわれております。しかしながら、これをまた一本化していくというふうに考えていきますと、現在のように多岐にわたった分野を一つにまとめて一つの省にするということにつきましては、事務の内容やあるいは権限の内容等で、あるいはまた各地方にそういった支所を持っているか持っていないか、そういうふうないろいろな問題がかみ合わされてなかなかむずかしい問題だ。そういった立場から考えたときに、地方に権限委譲した場合には、やはり国と同じようなシステムにはなっておりますが、集約する面においては非常に便宜であり、また容易に集約することができる、こういうふうに私は考えるわけでございます。そういった立場に立って公害対策本部がどういうふうなことをなすべきものであるかという、その性格なり権限なりを明確に指導して、そしてこれがための推進をはかっていくことが最も重要な事柄ではなかろうか、このように思うわけでございますが、この点について伺っておきたいと思います。
  65. 立田清士

    ○立田説明員 私たちといたしましては、ただいまお話しにございましたとおり、公害対策実施に関しましては、やはり地方団体中心になってその地域の実情に応じて対処していく必要がある。そういうことからいたしまして、基本的には地方団体に対する権限の委譲、こういう点、そのほか地方団体が公害対策をやりやすくするようなことが基本的に必要だ、こういう前提に立っておりますが、現在お話しの都道府県の本部につきましては、先ほど申し上げましたとおり、公害対策のその地域における実情に即して都道府県あるいは市町村あるいは国の出先機関の間で、その地域に着目しました横の面といいますか、そういう面から総合的に一つ対策をそれぞれの立場で一つ方向に向かって調整しながら推進していく、こういう考え方で本部を運営していただこう、こういうことで都道府県のほうにはお願いをいたしております。
  66. 桑名義治

    桑名委員 そこで、権限委譲の問題が出てまいりましたが、この権限委譲の問題につきましては、すでに閣議の中におきましてもほぼ意見が一致したように聞いております。そこで、この権限委棄の問題がいろいろ論議された中で、いま私が不安に思っておる問題は、この権限委譲が各県までおりるのか、あるいは政令指定都市も含めてこの権限が委譲されるのか、この点が明確でなければならないと思うわけであります。現状は、考えてみますと、政令指定都市につきましては、すでに公害の中核をなしていると言っても私は決して過言ではないと思います。この権限委譲につきまして、はたして県段階までか、あるいは政令指定都市を含めての権限委譲を自治省考え、あるいは推進をしていくのか、その点についての見解を伺いたいと思います。
  67. 立田清士

    ○立田説明員 ただいまお話しのとおり、現在国と地方団体との間の権限委譲の問題が一つの検討事項にあがっております。そこで、いまお話しのとおり、地方団体の中におきまして都道府県、それからさらに、都道府県が比較的中心的にお話としては出ておるわけでございますが、私たちといたしましては、やはり政令指定都市の扱いにつきましても、これは都道府県と指定都市の間の事務配分の問題でもございますので、現在の都道府県あるいは指定都市の公害対策実態、それから今後のあり方ということを十分に勘案いたしまして、前向きに検討していきたい、そういうふうに考えております。
  68. 桑名義治

    桑名委員 いまの答弁の中では、政令都市も前向きで考えていきたい、こういうふうなお話でございますが、しかし、公害の実態から考えてみますと、一つの県の中でもいわゆる政令指定都市における公害がやはりその県の公害問題の中核になっている、こういうふうな位置づけをしても決して私はこれは思い違いではない、このように思うわけです。現実に現在の段階では、北九州市におきましては大気の権限だけが委譲をされているというのが実情でございます。事務配分の問題だとかなんとか言ってはおりますけれども、しかしながら、そういった立場から考えますと、ではなぜ北九州市に大気の権限をもうすでに委譲されておるのか、こういう問題が起こってくるわけでございます。当然これは、県全体としての考え方も必要でございましょうが、直接膨大な、過酷な公害に悩まされている政令指定都市が、自分の住居を守る、自分の守備範囲を守っていくという、そういう強い意識の上に立っての公害対策であるならば、なお一そうの効果をあげることができるのではないか、このように私は思うのですが、この点について大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  69. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 ただいま立田参事官がお答え申し上げましたとおり、政令都市と公害対策の権限委譲の問題につきましては、なるべく指定都市に権限を委譲されるよう前向きに検討しておるのでございまして、一般事務配分との関係ももちろんございますけれども、そういう点も考慮しつつ、できますことならば、地方の公害対策本部等でも地方の市町村の代表の方も入れて組織されておるようにいたしておりますから、こういう点でもひとつ前向きに御検討願いたいと切望するわけでございますが、自治省といたしましても、ただいま申し上げましたとおり、指定都市に権限が委譲されるよう検討、指導していくならば、一番適切ではなかろうか。これも地方の実情にもよろうかと思いますが、しかし、大体は政令都市につきましては権限委譲がしかるべきではなかろうかという気持ちをもって、さらに検討の上そのように配慮いたしたい、大体そんな気持ちでおります。
  70. 桑名義治

    桑名委員 大臣からも政令指定都市に対する権限委譲は妥当であろう、こういうお考えでございまして、各政令指定都市における個々の問題もあり、事情もあろうというお話でございますが、実際には政令指定都市がこの公害問題に関しまして全国の部長会を開いている。さらに九月九日に、神戸におきまして同じように今度は局長段階でこの話し合いを進めております。そういった立場から考えますと、ここに要書聖がございますけれども、この要望書の中身をよく読んでみますと、政令指定都市は全部が権限を委譲してもらいたいという意向なのでございます。いま大臣は、各地方考え方もあろうというふうなお話でございましたが、政令指定都市としては全部が権限を委譲してもらいたいというのが実情でございます。しかも現在の公害問題が早急な手を打っていかなければならないという立場から考えますと、要するに、国の段階、県の段階、政令指定都市の段階、このままにしておけば、いわゆる三重行政になるおそれもある。北九州の場合は大気だけが権限を委譲されております。しかし、水質の問題につきましては権限がない。そうすると、それは県の段階でやっていかなければならない。大気は北九州の段階でやっていく、あるいはこれに国の行政がかぶさってくると三重行政を免れない。こういうふうな事柄にも公害問題が進んでいかないというような一つの大きな問題点もあるのではないか、こういうふうに思うわけでございます。  その点について大臣は、都道府県の段階まで権限委譲がされる場合には、政令指定都市へ必ず同時に権限を委譲していくという、そういう強い態勢で臨んでいただきたいと思いますが、再度大臣の決意を伺っておきたいと思います。
  71. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 公害の問題は住民直接の問題でございまして、したがって、住民に直接に一番接触している地方公共団体との関連が一番大事なわけでございまして、ここに権限が委譲されるということが、原則的には私は必要ではなかろうかと考えております。したがいまして、さらに検討はさせていただきますが、大体御意向と同じような気持ちで検討を進め、善処をいたしてまいりたいと考えておる。すなわち、前向きに検討いたしたいと思っております。
  72. 桑名義治

    桑名委員 また、権限委譲の問題に関しまして各地方において非常に心配している問題がございます。それは、現段階におきましては各地方自治団体に権限が委譲されるという一つの傾向がございますが、いわゆる電気とガスと鉱山、その中では電気は電気事業法、ガスにつきましてはガス事業法、鉱山につきましては鉱山保安法という法律の規定があるために、国の通産省の段階に保留をされていくのではないか、こういうふうな心配を現在しているわけです。ところが、各地方におきましては、この三つが除外をされれば、地方に権限が委譲されてもほとんど実効をおさめることができない、あるいはもう全面的に委譲された効果があらわれない、あるいはまた半減をするというような事態が起こり得るということは当然考えられるわけですが、実際問題として、現在の傾向の中で、いわゆる電気、ガス、鉱山が除外されるのかどうか、あるいは除外されるとするならば、この点は自治省としてはどのように考えていくか。この点について伺っておきたいと思う。
  73. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 御承知のとおり、また御指摘のとおり、三事業について三事業場に対する権限はいまだ地方に委譲されておりません。この点につきましては、特に電気、ガスと大気汚染に関連するのが現状でございますので、関係閣僚会議の席上におきましても、私からはっきりと、大気汚染等公害対策に関する部分につきましては権限を知事に委譲されたい旨を要望いたしておきました。これに対しまして通産大臣から、いろいろ広域にわたりまして電気、ガス事業等供給の必要性という点から問題がある、確かに大気汚染等公害対策関係について、自治大臣の発言の必要性も十分考えられますので、前向きに検討をしたいという約束を得ております。なお、公害対策副本部長である総務長官山中君も、その点に対しましてはほぼわれわれと同意見のように考えられます。また、そういう発言をされておられますので、この点はわれわれの希望する方向に検討され、解決されようと思っております。強くそれを期待し、今後もその主張をいたすつもりでございます。
  74. 桑名義治

    桑名委員 大臣から、この点については、公害を起こす部分についてのみでも鋭意地方に権限を委譲するように努力をしていきたい、こういう答弁がございましたので、今後ともこの問題については全力投球で、実現方向でがんばっていただきたい、このように思うわけでございます。  次の問題でございますが、地方公共団体に権限が委譲されましても、現実問題として、それを執行する上においての予算措置というものがやはり問題になってくると思います。先ほどの質問のときにもこの予算問題があがっておりましたが、では、自治省関係の方の中で、実際に採水したものを分析する場合にはどのくらいの費用がかかるか、はたして御存じでございますか。試験管一本に対して一物質を検出する場合に、どのくらいの費用がかかるか、御存じですか。
  75. 立田清士

    ○立田説明員 たいへん申しわけありませんが、御質問の点については私のほうとしてはよく存じ上げておりません。
  76. 桑名義治

    桑名委員 いま自治省関係の中で御存じの方は一人もいらっしゃらない模様でございます。はたしてそういう実情の中で組まれた予算が適当であるかどうかという問題でございます。実際に私のほうとしましては、東京湾やあるいは洞海湾あるいは博多湾あるいは有明海、こういったところで現実に採水あるいは採泥をやって分析にかけたわけでございますが、いわゆる公共の工業試験場で大体一本に対し一物質を分析する場合に千円です。大学に依頼した場合には、それは三千円かかります。ところが、工場の一つの排水口から流れてくる水を分析する場合には、まず排水口の水をとらなければなりません。それからその一帯に広がっておる表面上の水をとらなければなりません。それから約五メートルの水深のところの水をとらなければならない。それからヘドロをとる。大体四つの作業を進めていかなければならない。これを大学に依頼した場合には、それは三、四、一万二千円かかる。ところが、一物質の分析だけでは終わらないわけです。そうしますと、五つ、六つの分析をやれば、これの五、六倍の費用がかかるということになるわけです。実際に分析をする費用だけで考えた場合にもこのような費用がかかるわけでございますので、あるいは人件費やら船をチャーターするとか、いろいろな面から見ますれば、非常な費用がかかるということでございます。  そういったことから考えましたときに、権限が委譲されても実際に予算的な措置がなされなければ実効をおさめていくことができないということは、これは火を見るよりも明らかでございます。これは現実に各省にわたる問題ではございますが、現在この公害に対する費用の中でいわゆる関係のある省庁が県に対してどのくらいの予算を計上しているか、これを調べてみましたところが、通産省関係がわずかに通常経費を渡しているだけで、その他の関係省はびた一銭渡してないというのが実情でございます。こういった中で公害対策を推進し、あるいは公害対策本部を設けて推進をしろ、こう言ったところで、当然不可能であることは火を見るよりも明らかでございます。  こういった面から考えてみましたときに、自治省としてはそういった問題に対しても名君にも当然督促をしなければならないし、自治省自体もこの公害の対策費というものを大幅に組んで、そして公害問題がスムーズに解決の方向へ進んでいくような処置をとっていかなければならない、このように思うわけでございますが、この点についての自治省考え方をまず最初に聞いておきたいと思います。
  77. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 公害防止にかかわります、ただいまお話しの測定でありますとかあるいは監視だとか規制等各種の公害対策の事務は、非常に広範かつ多岐にわたっております。したがいまして、権限の委譲に伴います財源措置につきましては、その事務の性格に即しまして、もとの権限のある各省において適切なる財源措置を講じ、所要の措置を講ずることはもう当然でございます。その点をひとつ公害対策本部における関係閣僚会議におきましても、自治省として強く要望をいたしておるところであり、また要望を今後も続けたいと思います。  なお、それに関連いたしまして、地方交付税におきましても、今後ますます適切な措置を講じてまいりたいと思いますが、この点に関しましては、昭和四十五年度には公害対策関係の人件費、機械器具費、事務費といたしまして都道府県分には二十億円、市町村分は十億円、計三十億円を算入しておるのでございますが、今後これら交付税措置も強化をいたしてまいりたいと考えております。
  78. 桑名義治

    桑名委員 交付税の問題はあとにしまして、まず最初に機材の購入の問題について伺っておきたいと思うのです。  まず公害対策実施する上におきましては、先ほど申し上げたような運営に関する費用が当然要ります。それと各種の機械がそろわなければ、当然この問題に対処するわけにはいかないわけでございます。ところが、たとえば機械の中でも、補助金の対象になっておる機械と補助金の対象になっていない機械がすでにあるわけでございます。たとえばCOの測定器は約四百万でございますが、これは二分の一の補助が現実についております。ところが、オキシダントの測定器は、これは約百七十万の価格だそうでございますが、これについてはいわゆる補助の対象外になっている。こういうふうな実情がいまの姿でございます。そういった面から考えますと、こういった機械を購入する場合のいわゆる補助の品目の拡大あるいはまた起債のワクを拡大するとか、そういった財政的な処置をとっていかなければならないし、さらに補助額を増大していかなければならない、こういうふうに考えるわけでございますが、この点についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  79. 立田清士

    ○立田説明員 御指摘のとおり、公害行政の面におきまして、監視、測定あるいは分析、それがいろいろ行政上の措置につながっていくということを考えますと、機械器具の整備というのは非常に必要でございまして、その点に関しましては、先ほど大臣お話がございましたとおり、四十五年度は四十四年度より地方交付税上の措置におきましても増ワクをはかっておりますし、今後においてもそういう点についての増ワクをはかっていく必要があるというふうに考えておりますとともに、現在各省からそれぞれ機械器具についての補助金等が出ておりますので、そういう面における増ワクについても国のほうの補助金等の増ワクも必要であるというふうに私たち考えております。
  80. 城戸謙次

    ○城戸説明員 ただいまの分析測定機器の関係でございますが、これは先般きまりました緊急公害対策関係経費の中で一億二千五百万ほど本年度計上されることになったわけでございます。たとえばいま御指摘の一酸化炭素の検知器、これを主要警察署あるいは交通機動隊に整備する、あるいは自動記録方式のシアン測定機器をメッキ工場に整備する、あるいは通産局にも測定機器を整備する、微量重金属関係の分析測定器を都道府県、政令市に整備する、こういうような各種の項目にわたりまして分析測定機器の整備をはかることになったわけでございます。これの裏づけとしまして、各所の汚染状況の総点検を行なうための経費が一億九千万ほど計上されております。そのほか研究費につきましても八千七百万ほど計上されました。他を合わせまして十五億四千五百万の経費が今度認められておるわけであります。
  81. 桑名義治

    桑名委員 いま種々数字が述べられましたが、しかし、その問題は、それは全部各地方に下った場合には、大体充足率がどの程度になるか、現実にそういった測定器についてのいわゆる需要の限度がいまどの程度になっているか、それが完全にまかなわれた場合には、その予定をされておる何%くらいの充足率を示すのか、その点についてわかりますか。
  82. 城戸謙次

    ○城戸説明員 今回の分析機器の整備につきましても、十分地方状況調査した上できめておるわけでございまして、たとえば微量重金属の分析測定器につきましては、都道府県なり政令市にどれだけあるかというのを、これは従来は厚生省等で補助をしましたものと、県なり市の単独事業で整備したものとございますが、こういうものを十分調査し、その上で不足しておるところに補うという形で今回の整備がきめられたと聞いております。
  83. 桑名義治

    桑名委員 数字的な問題は一応の了解をし、今後もなお一そうのいわゆる拡大をはかっていかなければならないと思うのですが、いわゆる補助対象の品目の拡大、この点についてはどのようにお考えになっていらっしゃるのか。その点について伺っておきたいと思います。
  84. 城戸謙次

    ○城戸説明員 これは現在四十六年度予算として各省から大蔵省に予算要求が出ておりまして、公害対策本部としましても、これをいろいろ事情聴取いたしまして、重点事項をしぼって、今後できるだけバックアップしていきたい考えを持っておるわけでございまして、ただいまのような分析測定機器等非常に重要なものにつきましては、できるだけこれが認められますよう努力したい、こう考えておるわけでございます。
  85. 桑名義治

    桑名委員 先ほど例の一つとしてあげましたオキシダント測定器、この問題はもうすでに東京都におきましてもあるいは北九州方面におきましても、大体主要都市におきましては、この測定器は十二分に必要な機械になっておるわけでございますが、このオキシダントについては現在は補助対象ではない。こういったいわゆる即時備えつけていかなければならないこういう器具については即時品目を拡大していくという、そういう考え方でよろしゅうございますか。
  86. 城戸謙次

    ○城戸説明員 これはおそらく厚生省の予算の中に入っておると思うのです。従来機器整備予算が非常に少なかったわけでございますが、相当大幅な予算要求をしておりますので、当然その中でまかなわれるだろうと思います。   〔塩川委員長代理退席、委員長着席〕
  87. 桑名義治

    桑名委員 たぶん、おそらくではなくて、これは確定したところでお話しを願いたいと思います。これはいま即刻にできなければ、あとでも私のところへ通知をしていただきたいと思います。  いずれにしましても、このように公害問題に対処していくためには、必要な機械は当然そろえていかなければならないわけでございますので、そういうようないわゆる補助対象品目の拡大あるいは起債のワクを広げるとかあるいは補助率をアップしていくとか、そういった財政的な措置をとっていかなければ、現在地方公共団体の財政の中では大きな負担になってくる、こういうふうに考えなければならないと思います。そういった意味で、今後ともこの問題については十二分な配慮と施策をしていただきたい、このように思います。  次に、公害に対する予算は、先ほどから交付税によってまかなう、こういうふうなお話でございました。それと同時に、現在の自治省の公害防止対策の推進に必要な経費というようなことで公害総合センターを五カ所つくる。その補助金として一応そういった経常費として四億二千五百二十四万円の計上がなされているわけでございます。  まず、交付税の問題でございますが、この交付税の問題が不交付団体に対してはどのような処置をとっていくのかという問題でございます。これは二つ考え方があるのじゃないかと思います。一つは、不交付団体に対しては、交付税で見る場合に、交付税で当然まかなわれないという不合理の点が出てくるということがまず一つと、それから不交付団体の中でも、交付団体になるか不交付団体になるかという接点にいるところが、公害のいわゆる需要額というものが増大してくると、この市町村は当然いわゆる交付団体に転落をしていかなければならないということも、これは当然考えられることだと私は思うわけでございます。ところが、今年度はこの算定は八月で一応終わっております。もしこういう事態が起こったときに、いわゆる財政的措置をどういうふうにとっていくか、これは一つの問題点ではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、この点についての見解を伺っておきたいと思います。
  88. 長野士郎

    長野説明員 御指摘のとおり、原則的には、交付税措置というものは不交付団体には及ばないわけでございます。ただ、お話しがございましたように、不交付団体と交付団体の接点と申しますか、そのために公害の需要が非常に大きくなりまして交付団体になるというような実質を持っておるような団体につきましては、もう普通交付税についてはきまっておりますけれども、その後のそういう特別な財政需要があるということであれば、特別交付税その他において必要な措置考えるべきときには考えるということに相なろうと思うわけでございます。
  89. 桑名義治

    桑名委員 いま申し上げましたように、不交付団体に対する処置その他を考えてみますと、はたしてこの公害対策費というものを交付税で見るのが適当であるかどうかという、この点については今後の大きな論議になっていくのではなかろうか、私はこういうふうに思うわけでございます。  きょうは公害全般の問題に関して質問をしますので、この点についての掘り下げは次の国会のときの論議の一つとして私は考えていきたい、このように思っておりますが、各地方自治団体といたしましては、この公害対策費の地方交付税算定について行政費中その他の諸費に算定をされているのが実情でございますが、大都市へ公害が集中しているために、一般行政事務費の算定方法とは別の、新たないわゆる公害対策費として十分な算定補正が行なわれるよう交付税の大幅な対策を確立すべきであるという、いわゆる意向といいますか、各地方団体には非常に根強くこの意向があるわけでございますが、この点についての、現時点における自治省考え方をまずお聞かせ願いたいと思います。
  90. 長野士郎

    長野説明員 公害対策費につきましては、先ほど御指摘がございましたように、これは公害対策というものの性格等から考えなければならない問題がございます。それから同時に、公害の権限委譲というような問題で、いわゆる規制権限を国から地方へ譲っていく、こういうような問題になってまいりますと、これはやはり事務の性格といたしましては、国家的な仕事と申しますか、そういう性格が非常に強いと思っております。したがいまして、そういうものを地方一般財源だけで受けとめていくという一環としての交付税措置だけにゆだねるということには、私は問題があると思っております。  したがいまして、そういう公害の各般にわたる問題はたくさんございますけれども、その公害対策費のよって来たる経費の性質、性格というものから考えますと、単純に地方財源だけでこれに対応していくというべき筋合いのものではないのじゃないかというふうに思うわけでございますが、これは、しかし、いずれにいたしましても、いま公害関係行政及びその経費負担関係につきましては、まず第一に企業の側の責任、国の責任、地方の責任、こういうものにつきまして、現在制度的な側面なり、経費負担原則なりというものを各項目に応じていま検討中でございますから、そういうものが明確になるに従いまして交付税として対処すべきもの、地方財源として対応していくべきものにつきましては、これは当然充実をはかってまいらなければなりませんけれども、それ以外の国の責任、あるいは企業の責任にわたりますものについては、それぞれの措置を講ずることによって、全体としての公害対策行政というものが整然と行なわれるということになるのが至当ではなかろうか、こう私は考えます。
  91. 桑名義治

    桑名委員 公害基本法の中の第二十三条の中にも、「国は、地方公共団体が公害の防止に関する施策を講ずるために要する費用について、必要な財政上の措置その他の措置を講ずるように努めなければならない。」こういうふうに、当然これは明確な姿でうたい込んであるわけでございますので、こういった立場を加味しながら考えたときに、先ほどから局長のほうからもこの問題は交付税で処置をされることは、これは適当ではないのではないかというようなお話でございましたけれども、この問題については鋭意今後とも地方公共団体にその財政的ないわゆる重圧がかからないように十二分な配慮を今後ともしていただきたい、このように思うわけでございます。  それから、先ほどちょっと触れましたが、公害防止対策の推進に必要な経費の中に四億二千五百二十四万円というふうにうたってありますが、現在の概算要求の中で約二兆一千億の立場から考えた場合には〇・〇二%という非常に低い率で組まれているわけでございますし、あるいは公害総合センター、これを設置するにあたりまして、補助金として約一億五千万円のお金が計上されているわけでございます。これは福岡県が今回公害センターをぜひつくりたいということで計画をしておりますが、これは衛研と一緒に合わせたいわゆる公害センターということで、建物だけで約八億、そうして中の充実に対しては同じように約八億くらいのお金がかかるのじゃないか、こういうふうにいわれているわけでございます。  この問題に対しては各地方とも、これはあとから触れたいと思ったのですが、技術者の不足というものがいわゆる一つの大きな隘路になっております。それから人員が足りないということも、これも大きな隘路になっております。それから充実した設備がないということも隘路になっております。そういった意味から、国営による公害総合センターというものを各ブロックに私は建てていくべきではないか、このように思うわけです。なぜこういうふうなことを私は申し上げるかといいますと、現在の地方自治団体のスタッフでは、たとえ勧告を出しても、各企業の技術者に対して説得をし、指導、助言するだけの力がない。たとえば延岡の場合には、県で調査分析をした分析の結果と工場がいわゆる分析した結果が食い違ったということで、多々問題をかもしております。あるいはまた北九州の大気の場合でも、企業に勧告をしたところが、じゃあ、公害がなくなる方法を教えてくださいと、ばあんと開き直られるような場合が多々あるというのです。こういった場合に、全国に国営によるいわゆる公害総合センターのようなものをつくって、ここでいわゆる中央との完全な連携のもとに技術の交換あるいはまた情報の交換等をやりながら強力ないわゆる公害防止対策体制というものをこしらえていく。これは必要があるのではないか、このように思うわけです。ところが、そういう構想があるかどうか、これは対策本部のほうにお聞きしたわけでございますが、その前の時点として自治省考えているのだと、こういうふうにおっしゃるならば、少なくとも現在の公害に対応できるような、いわゆる公害総合センター的なものをつくっていかなければならない。それにしては五県で一億五千万円のいわゆる補助を組むということは非常に少な過ぎるのじゃないか、これはただ単に形をつくったような姿にすぎないのじゃないか、このように思うわけでございます。  この点については、まず最初に、公害対策本部の総理府の城戸さんにお伺いをしておきたいと思いますし、その後自治省から答弁願いたいと思います。
  92. 城戸謙次

    ○城戸説明員 御指摘のように、現在までそういうような技術者の養成という組織が十分でなかったわけでございまして、たとえば国立公衆衛生院で専攻課程三十名、特別課程五十名、前者一カ年、後者三カ月でございますが、これがあったという程度のものでございまして、あとは一週間程度の大気だ、水だ、騒音だ、こういうコースごとの研修は日本環境衛生センターで百二十人程度行なわれておるということでございまして、そういう面の今後の強化が非常に望まれているわけでございます。来年度、幸いにしまして各省から、そう大きな金額ではありませんが、そういう面での予算要求も出ているようでございまして、たとえば通産省から出ておりますのは、俗に公害防止大学といわれております公害防止担当者養成機関設立準備調査費というような調査費の形で要求が出ております。その他にもこういう職員養成、技術者養成あるいは事務担当者の養成という両方がございますが、そういうような要請が各省から出ておるような状況でございますが、いずれにしましてもこれはまた来年度の予算の問題でございます。
  93. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 先ほど国立の公害防止センターを少なくとも各ブロック単位ごとにつくるべきではないか、非常に適切な御発言だと思うわけでございます。私どももそういうものができることを期待いたします。  ただ、現在の段階におきましては、公害防止体制あるいは公害防止事業、権限、こういったものがやはり機構的にも、あるいはこの主体と申しますか、内容的にもばらばらであるということが一番基本の欠陥だろうと思うわけであります。私どもは、来年度地方団体が公害対策というものをやりやすいように、どのような形で予算的に援助できるかということで、ない知恵をしぼりましたのが、県の総合公害防止センターという考え方であります。  まず第一のねらいといたしましては、各省各庁ばらばらである。それを少なくとも県では地域的総合性という見地から、一本で処理できる体制、そういうものを建物の上でもひとつつくってまいりたい。それが総合的な防止センターという意味でございます。  第二は、地域住民が公害問題についてどこへ持っていっていいかわからない。その窓口というものを、ここへ持っていけば、少なくとも大気であれ、あるいは汚水であれ、あるいは何であれ、そこに一応窓口ができる。こういう対住民の、苦情処理を持ち込むあるいは苦情処理ができる、そういうものを一つのセットとしてつくりたい。これが第二でございます。  第三は、常時の測定、監視、あるいは状況によって、そこで一元的に警告を発していく、警報を発していく、あるいは状況によっては強い勧告、是正まで持っていける、こういうものをそこにまとめたい。  それから四番目といたしましては、いわゆるトレーニングセンター。これは先ほどもございましたけれども、私は、公害についての要員が足りない、そのレベルが低いということは、これは地方団体もそうでございますが、国も同様であろうと思うわけでございます。少なくとも県なり市町村の公害関係職員のトレーニングセンターという機能もここで持たしたい。そういう非常に欲ばった考え方で、この公害防止センターというものの予算要求をいたしております。  それにしては予算が少ないではないかというおしかりをおそらくいただくのだろうと思うわけでございますけれども、まあこれは一応最小限度のものを少なくとも整備をいたしたい、そういうことからいたしますと、やはり財政全体のワク組みというものを考えまして一億五千万、その二分の一の補助、当面緊急を要しまする五県というものを、今後三年間程度で五県ずつ、こういう考え方がその基本でございます。
  94. 桑名義治

    桑名委員 今回対象になっております県をいろいろとお聞きしてみますと、現実に一番公害の起こっておるところの県には補助をしないような形になっておるわけです。この問題をさらにお聞きしましたところが、他の、公害がいま盛んに起こっておる主要都市については、いわゆる主要自治体については、もうすでに公害センター的なものがあるのだ、こういうお考えのようでございます。しかしながら、実際問題、福岡県の例ばかりあげて申しわけないわけでございますが、福岡県の場合は、現実には衛研や工業試験場やあるいは農業試験場、こういったところに分散をしながらこの問題に対処しているというのが現実の姿でございます。だから、まあ福岡県は西も東も公害ばかりで悩まされておりますので、この問題に対してはぜひ取り組んでいかなければならぬということで公害総合センターを県独自でもつくろう、こういう姿勢を示しているのが現実の姿であります。そういった姿や、あるいは現在の公害に対する国民のとらえ方、あるいは世論あるいは現実の姿、被害状況、こういったものを考えたときに、こういった公害の防止に関する費用というものが、全体のワクの中でも重要な位置を占めるものでなければならないというのが私たち考え方であります。これはおそらく皆さん方も同じような考え方じゃなかろうかと思う。それにしては先ほどから官房長のお話にあった、予算が少なくてしかられるのじゃなかろうか。少ないと最初からわかっていたら、なぜ組まないのですか、そう私はむしろ言いたいくらいであります。これをさらに増額する意思はないかどうか、この点について再度伺っておきたいと思います。
  95. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 ただいまおしかりを受けましたが、正直に申しまして、私も少ないと思っております。実はいろいろ忙しい中で、方々公害問題について実地を私も調査しておるのですか、四日市へ参りました際に、総合監視センター、形ばかりありました。しかし、はなはだ小規模で、これを来年度は拡張したい、必然のことであります。その際はひとつ、少ないながらも今度公害防止センターの予算を概算要求されているそう、だが、その一部をいただきたいというお話がさっそくございました。これは無理からぬことでございます。まあそういう点を考えますと、少しくこれは措置が妥当でない、もう少し、そして従来あるところについてもこれは補完的な措置ができるように講ずべきであった、あとから気がついてまことに恐縮に存じておるわけでございますが、しかし、これは総合センターの、ある基本的なワンセット分として考えてございます。もちろんこれだけで足りるものではありません。総合的な建物、設備その他ごく基本的なものでございます。当然各省いろいろ測定器とか、各省別に御予算の要求がございます。これらのものとの総合的な適切な配分を通じまして、これらの実情に対処するように配慮すべきものである。ことしはそういう措置をぜひ講じたいと考えまして、公害対策中央本部のほうへもその趣旨でひとつお取り計らいを願うように、事務的段階、チャンネルを通じ、また私からも要望することにより、この際は適宜の措置をとりたい、こう考えております。
  96. 桑名義治

    桑名委員 この公害問題につきましては、公害行政は新しい行政がいまここで出発をしなければならぬのだという、そういういわゆる行政上の意識革命がなされていかなければならないのじゃないか、こういう段階に来ていると私は思うわけでございますし、あるいは公害行政地方自治の再確認というもの、あるいは地方自治体と国との関係の再確認、こういったものの中で行政上の問題を把握していかなければならないの、じゃないか、こういうふうに思うわけでございます。そういった立場から考えたときに、実際に公害防止総合センターを各地方自治体が独自の力でつくるというこの視点は、非常に低いのじゃないか。先ほどから申し上げておりますように、国が全力をあげてブロック別に完ぺきな体制をこしらえていかなければならないのじゃないか、このことを強く申し述べたいわけでございます。  何となれば、公害は一時的な問題じゃない。これは将来にわたり恒久的ないわゆる重大な問題の一つとして、極端な例を言えば、人間の存続を意味するのだというところまでの視点に立った考え方でなければならないのじゃないか。そうすれば、国による公害センターをブロック別につくり上げていくということは当然の処置だと思います。それに並行的に、そういった各自治体が独自のいわゆる公害総合センター的なものをつくって対処していく、こういう態勢がなければ、この公害問題に対する完全な行政的な姿勢ではない、こういうふうに私は思うわけでございます。この点についての公害対策本部の城戸さんのお考え、あるいは対策本部のお考えをさらに聞いておきたいと思います。
  97. 城戸謙次

    ○城戸説明員 私ども日本の公害対策の推移をずっと見ておりまして、やはり研究面だとかいまの人の養成面だとか、こういう面で足りない点が従来あったことはつくづく感じておるわけでございます。こういう面、将来大いにやらなければならぬと思っておりますが、本部自身が予算要求するということではございませんので、関係各省でそういう方角づけで要求されているものをできるだけバックアップしていきたい、こういうことしかないわけであります。
  98. 桑名義治

    桑名委員 そういうお答えをしていただくと、この対策本部の本質までさかのぼっていかなければならないと思うのです。ただ、完全に各省の連絡事務、これを一応まとめ上げていくという段階であるならば、これは必要なのかどうかというところまで考えなければならないと思うのです。むしろこれを指導助言をして推進していくという立場をとるならば、少なくとも各省から上がってきた問題点を集約して、そしてこういう方向で進むべきではないかという一つの施策を推し進めてこそ、私は初めて対策本部という名が生きてくるのではないかと思うのです。各省でそれぞれ考えておりますので、それをそういう連絡調整をしまして、交通整理であるというんだったら、こんなものは必要じゃございませんよ。むしろ縦割り行政を一本化していくというのが理想ではございますけれども、現在の仕組みの中で、そのためには非常な時間もかかるし、あるいは複雑多岐にわたっておる行政を整理するということは非常に困難な問題である。とすれば、現在の行政のあるままの姿でそれを吸い上げ、その必要点をまとめて、さらにこれを国家的見地に立って推進していくという権限と、それだけの姿勢がなければ、私は対策本部は何のためにあるかと言いたいのです。先ほどのあなたの答え方は、常に逃げています。各省で考えているでしょうとか、私のところでまとめておりますとか、権限がないから予算措置ができません、それはわかっています。だから、そういうことを聞いているのじゃない。あなたたち対策本部として総括をしているんだから、総括したものの中でどういうふうに考えているのかということを私はお聞きしているのです。その点について伺いたいと思います。
  99. 城戸謙次

    ○城戸説明員 私、お話し申し上げましたのは、現在の段階におきまして、予算要求を各省してしまった段階でございますから、いろいろそういう関係予算があるので、それをバックアップしていきたい、こういうことを申し上げたのでありまして、私どもとしても、そういう問題は非常に重要だということは、十分承知をいたしておるわけでございます。もちろん私ども受け身だけではなしに、これまでも何回も閣僚会議をやっていただきまして、第一回目は公害基本法の改正問題、第二回目が費用負担の問題、第三回目は、先ほどから問題になっております国と地方団体との関係、第四回目には情報機能の関係、こういう問題をいろいろ協議いただいたわけでございまして、その出ました結論に従って問題を整理しているわけでございます。私ども現在検討いたしておりますのは、各規制法——基本法はもちろんでございますが、各規制法あるいは費用負担の法律、その他法律関係の改正案をつくるということで鋭意われわれは努力しているわけでございまして、私どもは受け身に立っておるということは決してございません。ただ、それは予算の問題でございましたから、さように申し上げたわけでございます。
  100. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 総理府及び公害対策本部方面への質問ではございましたが、国務大臣としてお答えをいたしたいと思います。的確に国立の総合センターの問題ではございませんが、それに関連をいたしまして、やはり閣議等で問題になっておりますので、その点を御披露申し上げまして、お答えにもかえたいと存じます。  実は先般閣議におきまして、公害問題に関するいろいろの研究機関等を一本に統合するような措置はどうだろうかという点について検討されておるのでございます。お話は総合センターでございますから、研究機関と直接ではございませんが、やはり事の性格上、研究体制の一本化ということが相当関連をしておるところでございます。こういう点につきましても、注意をいたしまして、いろいろ検討をいたしたのでございますが、いまの段階においては、おのおのいろいろな状態、いろいろな種類の公害に対処しまして、一本にまとめることはまだどうかなということも検討されて、いまのところひとつ分立のまま置いておこうというようなことになったわけであります。そこで、ただいまお示しの国立の総合センターという点は、確かに検討に値する重要な問題であろうと思いまするから、この点は、ひとつ山中公害対策副本部長にも当省から連絡をいたしまして、御検討を願うようにいたしたいと考えております。
  101. 桑名義治

    桑名委員 では次の問題に移りたいと思いますが、次の問題は、先ほど一部申し上げましたが、権限が委譲されたとしても、完全にこの問題に対して対処をする技術者網がいないということでございます。たとえば北九州の例をあげてみますと、実際に公害対策部というのが現実にできております。いまは大気だけが権限を委譲されておりますが、水質、水の問題までも委譲された場合に、これに対処する技術職員が何人おるかということになってまいりますと、課長を含めてわずか三人でございます。もちろん御生研究所やその他の職員を集めてみますと、多少まだふくれ上がってきますが、現実にこの公害の問題だけに取り組める人員といえば、課長を含めてわずかの三人、課長は直接に携わるわけにいきませんので、現実には二人ということでございます。しかし、こういった規制にかかる工場がどのくらいあるかというと、洞海湾の中でも三十七の工場を控えております。この三十七の工場に対して、たとえば定期的に、月に一回は必ず水質検査をやる、こういうふうになってきますと、当然これに対応できないというのが現実の姿であります。  そこで、この技術員の養成について、あるいは先ほども申し上げましたように、さらに技術の開発という、この両面から対処をしていかなければ、権限は委譲されても、地方自治体は必ず一そう苦しみに苦しんでいく、そういう状況の中に置かれるのではないか、こういうことを私は憂慮するものであるし、さらに現時点よりもこの公害の問題がむしろ拡大をしていくのではないか、こういうことも憂うるのでありますが、技術員の養成の件について、自治省としてはどのようにお考えになっていらっしゃるか、お伺いをしておきたいと思います。
  102. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 率直に申しまして、現在地方団体の技術要員、こういったものをどのようにして養成するかということにつきましては、先ほどお話し申し上げました、現在いる要員のトレーニングということで、総合公害防止センター、ここの機能に予算が認められますことに期待をする、こういう段階であるわけでございます。率直に申しまして、自治省というものは、公害対策というものに直接どのような形で入っていくかということについて模索をしておるような状況であるわけでございますが、将来的な方向といたしまして、大臣も示唆をされておるわけでございますけれども、中央でそういう研修センター式なものをつくる。そこへ地方団体から定期的に何カ月研修——現在自治大学校では一般の事務職員、こういったものについて行なっておるわけでありますが、そういった現在の自治大学校の研修システムというものを考えながら早急にひとつ対策を練りたい、こういう状況でございます。直接的には、やはり公害を直接所管をいたしておりますのは厚生省であり、通産省でございますから、そういうことはもっと積極的に対案を立ててしかるべきか、こういうふうに思う次第であります。
  103. 桑名義治

    桑名委員 いまの官房長のお話では、現在のスタッフの中でトレーニングするということでありますが、トレーニングをする人間がいないのが問題なんです。トレーニングをするのは非常にけっこうだと思いますが、トレーニングする人間がいないわけです。だから、この問題をどうするかというお伺いを私はしておるわけです。  さらに、この問題については、いま答弁がございましたように、厚生省関係はどのようにお考えになっているのか、あるいは通産省は来ていないですね。——厚生省は来ていませんか。厚生省は来るように頼んでおいたでしょう。——まあ先ほど対策本部のほうのお話では、厚生省では公害大学の調査費を一応要求されておるというお話でございました。しかしながら、この問題については、これは権限委譲と同時に、同時的に考えていかなければならない問題じゃないかと思うのですよ。権限だけ委譲したところで、お金の問題も考えない、あるいは技術者の問題も考えない、施設の問題も考えない、ただ法的に権限だけを委譲する、こんな酷な話はないと思います。これを総合的に考えてこそ、いわゆる地方自治を推進していく自治省であるということが、私は初めて言えるんじゃないか、このように思うわけですが、私は直接いまの段階では非常にむずかしい問題ではございますが、将来という展望の上に立って、大学の中に公害学科を設けるとか、あるいは工業高校の中に公害科を設けるとか、あるいは現在、各地方に国立高専があります。この中に公害科を設けるとか、こういう施策を推進をしていくことが、非常に重大なことではなかろうか、こういうふうに思うわけです。さらに、高専の校長あたり、あるいは高専の先生あたりがどういうふうに考えているかということを調べてみましたところが、非常に乗り気でございます。乗り気ではございますが、現在の高専の中には、そういうものに対処するところのいわゆる機械器具が全然ない、こういうところに頭を打っているのが実情でございます。これは国民総ぐるみ、あるいは各省一体になって、当然、この問題には取り組んでいかなければならない立場にいまあるわけでございますが、この、大学の中に公害学科を設けるとか、あるいは工業高校の中に公害科を設けるとか、国立高専の中に公害科を設ける、さらに、いわゆるその一つのつなぎとして、いま官房長のおっしゃったように、自治大学校の中における公害の研修を定期的に行なうと同時に、拡大をしていく、こういう方向を強力に進めていく必要があるんじゃないか、こういうふうに思うわけでございますが、この点についての文部省並びに自治大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
  104. 村山松雄

    ○村山説明員 文部省といたしましては、現段階では、公害という形容詞を冠しましたところの学部、学科あるいは高専の学科をつくるという計画は持っておりません。と申しますのは、公害と申しましても、御指摘のように、たいへん広範囲でありますが、さしあたり、一番問題になっておりますところの大気汚染あるいは水質汚濁といったような問題、これを見てまいりますと、物質の生産過程において人類に有害な物質が生産され、それをどうするか、それによって悪影響が出た場合の健康保持をどうするかという問題でございますが、そういうことになりますと、その公害発生のメカニズムそのものは、物質の生産過程のメカニズムと原理的には同じわけでありまして、現在、この物質生産のための技術者の養成なり学問の研究といたしましては、理工系の学部、学科、高専が相当数あるわけでありまして、問題は、なぜそういうものがあっても公害が発生するようになったかということでありますが、やはり一つは、技術者なりあるいは企業なりあるいは社会一般の意識の問題、ないしは一番主要な問題は、そのコストの問題であろうかと思います。そういうことで、従来、大学なり高専等におきまして、公害という問題につきまして、必ずしも意識が十分でなかったという点は反省もし、こういう問題に重点を指向した指導、助言あるいは研究費の計上といったようなことにつきましては、努力をいたしておるところでございますが、公害ということで学部を設けますような場合には、一体どういう学問構成で講座、学科目、教育課程を用意したらよいかというようなことになりますと、きわめてむずかしい問題がございます。  そういうことでございますので、現段階といたしましては、理工系ないしは医学、薬学といったような学問分野全体にわたりまして、公害防止というような観点についての注意を喚起し、あるいは、研究費あるいは設備費等の面において、その面を手厚く見ていくということによりまして、養成されました理工系ないし医学、薬学の技術者というものが、若干の訓練を加えることによりまして、公害のための技術者としても十分働き得るだろうと思います。将来においては、さらにその問題を拡大し、あるいは絶対数をふやすとか、あるいはもうちょっと学問的に構成し得るものであれば、そういうものに重点を置いたところの学科構成ということも考え得るかもしれませんけれども、現在のところでは、一般的な底辺、基盤の拡大、研究の充実ということにつとめてまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  105. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 実は、公害に関する権限の地方委譲に関連をいたしまして、財政の問題、人の問題は当然すぐ考えなければならないことでありまして、私も、中央公害対策本部の設置と同時に、関係閣僚の集まった席で、地方は非常に権限委譲されて妥当な措置が講ぜられたが、同時に、財政上、人の問題で非常に悩みが多い、また、責任が重大になっている、ことに人の問題については適当な技術者がいないと考える、それは中央からいただいて、ひとつ適当な措置を講じたいとも思う、というようなことを関係閣僚に話しまして、それがよかろうということになったのですが、また、実は中央にもないんだよ、という話もあります。  そこで、ただいまの、公害について適当な指導者がないんだという先生のお話、ないといえばないかもしれません。しかし、これはもう、公害というそのものずばり適当した先生はあるいはないとは言えますけれども、しかし、やはりくふうによりまして適当な方をお願いをして、そうしていまある人でそれに適する、また、その素養のある方をトレーニングをして、そうして適当な措置を講ずるという措置が必要であると思います。また、そういう意味においての先生は得られるし、指導者はないことはない、そこに創意くふうをすべきである、こう考えておりますので、先ほど官房長からもお答えをいたしましたとおり、各省と今後連絡をいたしまして、適切なトレーニングセンターというようなものの開設をはかるか、場合によりましては、いろいろ財政法上の許す範囲におきまして、このたび概算要求をしたものの中から、くふうをいたしまして、器材等もそろえて、自治大学校等においてもトレーニングの機関をおいてみようか。とにかく適切な時宜に適した方法を講じていきたいと考えております。
  106. 桑名義治

    桑名委員 ある大学の教授と話をしましたときに、大学の教授がこのように申しておりました。現在の大学は公害をつくることは教えるけれども、公害をなくすことは教えない。まことに至言であると私は思いました。いま、文部省の村山大学学術局長お話の中では、あまりにも現実というものを無視している発言ではなかろうかと私は思います。確かに、現段階におきましては、公害科を設けるというこの命題は、非常にこれはむずかしい問題だと思います。しかしながら、私は文部省自身の姿勢の問題だと思います。文部省自身が公害に対して、どれだけ真剣な態度でこの問題に取り組もうとしているか、この姿勢の問題をまず私は疑いたい。こういうふうな公害問題が重大問題となっている現況を考えたときに、少なくとも文部省は文部省なりに公害の問題と真剣に取り組んでいくという姿勢を明確にしてもらいたいと私は思うのです。そのためには、それは技術的にはむずかしいかもしれませんが、大学、工業高校あるいは高専等に公害科というものを——現時点における制約された中でも公害科をつくることは決して至難なわざではない、私はこういうふうに思うのです。現状は、地方自治体の中で、先ほどからたびたび技術者のトレーニングというお話大臣の口からも飛び出しておりますけれども現実に、現在公害の問題で水質の調査をしている人は、水道関係に携わっている人をピックアップして、その人に現地で多少のトレーニングをして公害対策に従事しているというのが実情であります。  だから、そういった立場から考えると、文部省はもう少し積極的に大学もしくは工業高校、高専、これは一応国立の場合ですから、国の姿勢、文部省の姿勢が明確になれば、この問題は現地としてももろ手をあげて賛成の意を表するのじゃなかろうかと思うのです。各地方自治体の意見を聞いてみましても、工業大学や高専をつくることは大賛成だ、学校の先生も大賛成だと言っておるのです。文部省は、おれのほうは技術的には無理だとこういうお話、文部省は現在の姿からいけば全くうしろ向きですよ。もう少し、将来のビジョンとしてもいいじゃないですか、こういう方向でつくりたい、一つのビジョンとして掲げていくというなら少しはわかりますけれども、現時点ではどうしようもありませんで終わるのじゃ、あまりにも現在の世情に対して、公害に対してうしろ向きである、こう言わざるを得ないと思うのですが、再度御答弁を願いたい。
  107. 村山松雄

    ○村山説明員 学部なり学科をつくる場合、いろいろな条件がございますけれども、一番基礎となりますものは、やはり相応の学科課程と、それを担当するに足る教官の確保の見通しということに相なります。そういうことになりますと、ただいま先生も御指摘のように、公害ということを十分やっている人は現在あまりいないんだということでございまして、まさに御指摘のとおりで、私どもといたしまして、文部省として公害というものを取り上げたいという機運を押えているというようなことは毛頭ございません。むしろこういう問題を何とか取り上げる方法はないかということで関係の学者等とも御相談したわけでありますけれども、まずもってこういう問題を学問的に深めることが必要である、文部省は、ほかの分野でもやっておるわけでありますけれども、こういうきわめてむずかしい問題が起こりますと、まずもって文部省で所管しております科学研究費で特定研究というような分野がございますが、そこでまず重点的に取り上げます。いままでも、たとえば自然災害でありますとか、ガンの問題でありますとか、あるいは脳の問題でありますとか、海洋の問題でありますとか、非常に重要であるけれども、どのように取り扱っていいか、まずもって十分学問的な研究が必要なものについて取り上げてまいったわけでありますけれども、公害の問題につきましても、昭和三十九年以来特定研究として一回取り上げ、それからさらに今回もまた観点を新たにして取り上げたいと思っております。七年間に累計約二百五十件、金額にいたしまして三億五千万程度の科学研究費を出しておりまして、この面の研究を深めると同時に——研究を深めるということは、こういう問題を扱うに足る学者が漸次確立していくということになるわけでありますけれども、そういう方法を一方において講じ、また学科課程なども公害ということで成り立ち得るかどうかというようなことの検討も深めた上で、やはり学部なり学科をつくるということになるわけでありますが、またもう一つの問題といたしましては、そういう特定な学部、学科をつくらないで、既設の関連のある学部、学科で公害というような視点を加えていくというような方法がございます。たとえば原子力の利用ということはきわめて新しい問題で、また事柄の性質上危険が予想される問題でございますので、原子力工学科などの学科課程では、生産過程のほかに必ず放射能に対する影響の除去でありますとか、あるいは原子炉の事故に対処する学問的方法でありますとか、そういうものを同時に研究、教授するような形になっております。公害の問題につきましても、たとえば御指摘の水の問題につきましては、工学部の衛生工学科などでは当然そういう問題を扱っておりますし、それから物質の分析が問題でありますけれども、工学部の工業化学科系統あるいは理学部の化学科等では分析ということは当然やっておるわけでありまして、現在乏しいながらおられますところの公害関係の技術者というのは、大体そういう学部、学科を出た方で、御自身そういうことに興味を持って研究訓練を積んだ方であるわけであります。  そういうことで、文部省といたしましては、まずもって研究体制を拡大強化する、それから関連学科におけるこういう識見を深めていく、さらに確立するものであれば、そういうことを研究しつつ、そういう特定の学科というものを考えていく、こういう順序で対処をいたしておるわけであります。
  108. 桑名義治

    桑名委員 いまの村山局長お話は、大学問題についてのみのお答えでありますが、高専の中につくることも無理でございますか。
  109. 村山松雄

    ○村山説明員 高専は、御案内のとおり、中学校卒業者を入学資格といたしまして、五年間、理論と同時に実験、実習を重視しまして、実験、実習に強い技術者をつくるという目標のものであります。そういう性格上、大学の工学部よりも一そう基礎的な学科、基幹的な工業技術者を養成する学科ということに整備の目標をきめておりまして、現在は大体機械、電気、工業化学というのを主柱といたしまして、それに一、二地元産業との関連その他学校の希望等を勘案いたしまして、土木建築でありますとかあるいは金属でありますとか、そういう学科を加えておるわけであります。そういうことで、高専に理論的に加えられないということはないかと思いますけれども、高専にはなるべく基礎的な学科を優先的に整備するという考えでおりますので、公害というものにつきまして、繰り返しになりますが、どういう教育目標で教育課程が組めるかという研究も不十分でありますので、現段階では高専についても無理だろうと考えるわけでありますが、御指摘でございますので、関係者とも十分協議いたしたいと思います。
  110. 桑名義治

    桑名委員 いまの御答弁の中では、高専の場合には実験、実習を中心とした教育をやっていく、こういうふうなお話でございましたが、この公害という問題は、いまから先の問題としても、現段階においても、学校の実験、実習というものを通して、そうして少なくとも各分析関係はある程度の仕事に耐えられる、そういう技術者が現段階では必要なんです。そういった意味で、高専でこういった公害に関係のある科目を——科ができなければ科目を充実さして、そうして現在の世の中の要求に対応し得る、そういう姿をつくっていくことが非常に大事なことじゃないかと私は思うのです。科ができなければ、高専の場合には、実験、実習ができる、公害関係の分析関係ならできる、そういう技術者養成というものは、現在の社会の要求に対応した学校が望ましいのじゃないか、こういうふうに思うわけですが、そういった方向で高専を一部考えていくということはできないわけですか。
  111. 村山松雄

    ○村山説明員 先ほども若干触れたわけでありますけれども、順序といたしまして、まず、学科まではいかないけれども、関連する学科の中に学科目を入れる、あるいは共通科目として入れるというようなことは当然考えてしかるべきで、現在大学については具体的な大学の希望も勘案いたしまして、一部取り上げております。高専につきましても、用意ができまするならば、関連子科としては、比較的関連のありますのは工業化子科だと思いますけれども、工業化学科あたりの子科目に採用することはこれは可能だと思います。
  112. 桑名義治

    桑名委員 いまの村山局長お話では、そういった公害に関する科目を充実することは可能である、こういうお話でございました。こういった問題が解決をされれば、ある程度地方自治体におけるこういう技術者の問題については勘案をされて充足をしていくのではないか、このように思うわけでございますが、この点について大臣はどのようにお思いになるか、ひとつその決意のほどをお願いしたいと思います。
  113. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 文部省でいろいろこれはお考えのことであります。ある学科というようなものの設置になりますと、これはやはりその立場でそう簡単にいかないことも了解できますけれども、しかし、公害の問題につきましては、学科目等の充実等については十分考慮される、適当な措置を講ずる御意見も十分あります。こういう点等もよく考えまして、また連絡を各関係省ととりまして、ただいま申し上げましたような点も、私ども考えている点もできるだけ実現させまして、地方における必要な技術者及び要員の確保にぜひつとめてまいりたいと考えております。
  114. 桑名義治

    桑名委員 大体時間が参りましたので、これで終わりたいと思いますが、憲法の第十一条あるいは第二十五条、こういった憲法に保障されているいわゆる「社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」こういった憲法の条項に照らし合わせて、地方自治が今後ますます前進をし、国民の生活と健康を守るための最大の努力を払われんことをお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  115. 菅太郎

    菅委員長 午後二時十分に再開することといたし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時三十二分休憩      ————◇—————    午後二時十五分開議
  116. 菅太郎

    菅委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。斎藤実君。
  117. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私は、公害問題に関連をいたしまして、公共下水道について若干お尋ねをしたいと思います。  河川、湖沼、海域の浄化問題、いわゆる水質汚濁による公害の発生あるいはまた都市の生活環境の悪化は、最近非常な社会問題になってまいっております。この河川のよごれ、水域の汚濁については、いろいろ今日まで行政的に手は打ってこなかったわけで、各省ばらばら行政というものが、この河川の汚濁についても大きな原因になっておる。水質については経済企画庁、健康の問題については厚生省、あるいは下水道整備については建設省、農薬については農林省、企業、工場は通産省、これに地方自治体がからむいろいろな問題があります。私は、この下水道事業については何といっても生活基盤確立のためにはこれは絶対必要な事業でございます。市街地における汚水の排除あるいは屎尿の処理、浸水の防止、こういった問題、わが国の下水道事業が非常におくれておる。欧米諸国から比べても非常に低位にあります。私の調べたところによりますと、わが国では約二二%、イギリスあるいはアメリカ、オランダ、西ドイツ、スウェーデン、スイス、これらの諸国も七三%から九九%と非常に高いわけです。一方、わが国の五百六十四の都市の中で、実際に下水道事業を行なっているのは約二百と、五百六十四都市の約三八%よりこの下水道事業が行なわれていない。これについては、多額の資金が必要であるとか、あるいは住民の認識が不足であるとか、いろいろな問題があります。しかし、公害問題の解決とあわせて、この国民環境保全対策の中で、河川等の公共用水域の水質の汚濁防止対策としての下水道整備事業というものは、私は、国家的見地から最も急を要する施策であろう、このように考えるわけでありますが、これらについて、このおくれをどう取り戻すのか。自治省としても起債ワクの拡大あるいは国庫補助の引き上げ等いろいろ考えておられるようでありますけれども、この下水道事業に対して、自治省としてどう取り組んで、この下水道のおくれを取り戻すのか、国民の環境の整備をどうするのか、基本的な考えをまず大臣から承っておきたいと存じます。
  118. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 下水道の整備が、生活基盤の整備強化の基礎になり、また近来やかましい公害防止対策事業、ことに水質保全に関しまして重要な基本的な条件になることは申すまでもございません。しこうして、この重要な部門が欧米のそれに比較して非常に低位にあることもまた遺憾ながら事実でございます。先ごろ発表されました経済社会発展計画におきましても、下水道の整備率につきましてはたしか三八%を予定しておったかと存じます。これらを見ましても、国の計画すらまことにどうも情けないと申さなければならないわけでございます。この点につきましては内閣といたしましても、今後この計画改定する必要を認めておるのであります。  建設省におきましても、この点非常に意を用いられまして、三カ年目に当たる第二次下水道整備計画を来年度から第三次計画に切りかえまして、画期的な施策を計画されておられるようでございます。それによりますと、たしか二兆六千億かの事業計画をもくろみまして、さきに申しました経済社会発展計画の中の予備費一兆円のうち相当部分をこれに充てて計画を上回らせようということのように伺っております。  自治省といたしましても、もとより異存のあろうはずはない、もろ手をあげて賛成をし、また協力をいたしたいと考えておりまして、裏負担地方債あるいは普通交付税の措置等につきましてもこの点強化をいたしてまいりたいと考えておりますが、問題は、公共下水道における補助率もさることながら、補助の範囲がどうも十分ではなかろう。幹線路については補助をするが、枝線路については補助対象外に置かれておる実情でございます。また何が幹線であり、何が枝線であるかということも問題でありますが、同時に幹線、枝線の別を設けることはどうかと思われるのでありまして、できるだけ広範囲に、できますならば、公共下水路線について国の補助があり、地方公共団体の単独事業の範囲をできるだけ縮少すべきものである。こういう見地に立ちまして、今後下水路整備強化に一そう努力をいたしてまいる所存でございます。
  119. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私は、下水道事業は公的な機関、たとえば国が責任をもって行政的にも財政的にも力を入れていくのがほんとうではないか。その上でやはり地方公共団体あるいは住民一体となって進まなければならないと考えております。先ほど大臣から答弁がありましたが、下水道の幹線路、これに対しては国の補助がある、枝葉の問題については地方公共団体で単独でやりなさい、こういう点が私は非常に隘路になっている、このように思うわけです。ただいま大臣からそういった全部を含めて補助の対象とすべきであるという前向きな御答弁がありましたので、その点もあわせて強力に推進をしていただきたいことを申し上げておきます。  それから建設省にお尋ねをいたしますけれども、いま私が申し上げましたような公害に重大な影響のある下水道問題について、建設省としてどういうふうに考えていらっしゃるのか、建設省の基本的なお考えをまず承っておきたいと思います。
  120. 国塚武平

    国塚説明員 下水道の整備状況につきましては、ただいま斎藤先生から御指摘のとおりでございます。現在昭和四十二年から四十六年度に至ります第二次の下水道計画の途中でありますが、私どもといたしましては、現段階におきましては、最近におきます河川、湖沼、海域などの公共用水域の水質の汚濁の問題に対処いたしますためには、何といいましても環境基準が定められ、それを達成いたしますためには、下水道の整備が最重要項目だ、かように考えます。また、先ほど御答弁がございましたように、新経済社会発展計画が策定されまして、六カ年で二兆三千億という額が設定されておるわけでございますが、これを上回る額を策定する必要がある、かように考えておる次第でございます。さらに新しい都市計画法が制定されまして、市街化区域の中で下水道を計画的に進めていくという方針も確定いたしておりますので、これらの諸要請を踏まえまして昭和四十六年度を初年度とする第三次の五カ年計画を発足させまして、下水道の整備に真剣に取り組みたいと考えております。  なお、ただいまお話がございました国が負担すべき割合あるいは地方負担すべき割合、幹線管渠等の整備の問題も含めまして、国の補助対象の率が少しでも高まりますよう、これも十分に検討していきたい、かように考えます。
  121. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 昭和四十二年三月から総額九千三百億円を投じて第二次下水道計画がいま進められておるわけですね。本年度で事業費約六千百五十六億、全体計画に対して六八・四%ということになっておるのですけれども、この第二次計画は四十六年度で終わるのですね。来年度を含めて、ことしも来年度の要求をしているようですけれども、まだ三一・六%というものは残っておるわけです。この当初の計画がこのまま行ってはたして達成されるのでしょうかどうですか。見通しをまず伺っておきたい。
  122. 国塚武平

    国塚説明員 ただいまお話ございましたように、第三次五カ年計画は四十六年度を初年度として発足したいと考えております。したがいまして、第二次五カ年計画は残りの仕事を持ったまま新計画に移行するということでございます。いま仰せになりました趣旨は、四十五年度の残事業を下回るような予算の組み方ではかえって事業がおくれるのではないか、こういう御趣旨ではないかと拝聴いたしますが、その点につきましても、できるだけ四十六年度の当初要求の段階から、五カ年計画の残事業ができるだけ消化できますような形で要求いたしたいと考えます。
  123. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 ことしは全国で下水道要求として約七百一億要求しているようですけれども、これを加えてもなお一〇〇%にならぬじゃないか。この点いかがですか。
  124. 国塚武平

    国塚説明員 ただいま仰せになりましたように、来年度かりに七百一億の要求をいたします場合には、残事業が完全に達成できないのではないかという御指摘でございますが、そのとおりでございまして、第二次五カ年計画はおおむね九七%程度の達成率になると考えております。したがいまして、この七百一億の要求につきましては、私どもといたしましては最低限度の必要額だということで強く確保するように努力したいと思っております。
  125. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私は、いろいろな問題もあろうかと思いますけれども、第二次計画がそのような状態で満度の達成が最初から不可能だ。しかも今度第三次の二兆六千億ですか、これを投入して五十年度までに三八%にしようという計画のように聞いておりますけれども、こういった計画を立てる以上は、諸般の情勢も踏まえて、地域住民の問題あるいは地方公共団体負担の軽減というものを勘案しながら、多額な資金を投入する事業でありますので、国の確固たる財政投入がなければこの問題は解決しないと思うのです。私はこの第三次の計画がまた先へいって挫折をするのではないかというふうに危惧するわけです。第三次のこの五カ年計画が達成できるかどうか、われわれは不信を持っておるわけです。この第三次計画について基本的な構想といいますか、これを達成するためにはこういう方法でやるんだという建設省の考え方があろうと思いますので、基本的な考えだけでけっこうですから、承っておきたい。
  126. 国塚武平

    国塚説明員 第三次の五カ年計画、現在検討段階でございますが、私ども考えております内容を若干御説明申し上げますと、総投資額につきましては、新経済社会発展計画の下水道投資は二兆三千億円とされております。これは四十五年から五十年までの六カ年閥でございます。四十五年度におきましては約二千億円の投資をいたしておりますので、これを差し引きますと、四十六年から五十年までの投資額は、一応新経済社会発展計画を頭に置きますと、二兆一千億ということに相なります。それに新経済社会発展計画の下水道投資額といたしまして調整ワクからさらに五千億円を上積みいたしまして、総額二兆六千億円といたしたい。  事業の重点につきましては、昨今の水質汚濁にかかる環境基準がきめられまして、これに基づきます基準を達成いたしますためには、やはり対象地域を重点的に整備する必要があろう。そのために特に流域下水道計画に力を入れてまいりたいと思います。  なお、公共下水道につきましては、市街化区域の生活環境改善という意味で、これまたきわめて重要でございますので、公共下水道の普及率を現在の普及率二二・八%から三八%に引き上げるよう努力いたしたいというのが骨子でございます。  なお、先生仰せになりましたように、この五カ年計画が組まれました場合にも、それが現実に完全達成されなければ意味がないということでございますので、それには五カ年計画の各年度におきます年平均伸び率を平準化していくということが必要でございます。したがいまして、下水道計画を立てます場合に、できるだけ平準化ができますように努力をして組んでまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  127. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 下水道の事業については、非常に多額な資金を要するわけです。その中でやはりこれは国の補助を大幅にすべきではないか。道路、河川等から比べれば下水道事業は非常に補助率が低いわけです。さらに補助対象分が総事業ワクの七五%というふうな悪条件もあるわけです。ですから、こういったことを解決しなければ、地方公共団体としても財源で苦しんでいますから、総事業費の補助対象分を現在の七五%から多少でも引き上げるべきではないかと思うのですが、いかがですか。
  128. 国塚武平

    国塚説明員 下水道の整備につきましては、御承知のとおり、下水道の設置管理者は市町村でございますので、今後、新計画を立てましてこれを進めていきますためには、私どもといたしましては、水質汚濁の改善ということを考えますと、河川流域の相当広域にわたります下水道の処理のしかたというものについての方針を固めていく必要があるのではないかということで、計画面におきましては市町村を含めた広い範囲で計画をきめて、それをもとにして総合的な下水道計画を立てていく必要がある、かように考えておるわけでございます。  なお、事業の執行面につきましても、ただいま先生が仰せになりましたように、国庫補助率、国庫補助対象事業の範囲を広げていくということにつきまして十分努力をしてまいりたいと考えております。
  129. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 先ほど私が御指摘を申し上げましたように、公共事業の完備ということについては、地方公共団体は真剣に考えているわけです。地域の住民の要望も多い。この財源の内訳を見ますと、国費が総事業費の三〇%、起債が四〇%、あと市町村負担するのが三〇%、こういうことになっておるわけです。したがって、政府も第三次五カ年計画をつくって下水道事業について力を入れようとしているときですから、現在十分の四の補助率ですけれども、少なくともこの補助率を引き上げるべきではないか。さらに先ほど申し上げました補助対象率の七五%を幾らかでも引き上げるべきではないか。さらにまた起債の充当率の引き上げというこの三点について、これは国と地方公共団体が一体となってこの問題に取り組む以上、絶対必要な条件ではないか。金は出さない、そのしわ寄せを地方公共団体にさせるようではいけない。建設省として前向きな考え方を持ってもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  130. 国塚武平

    国塚説明員 ただいまお話がございましたように、下水道は、家庭排水にいたしましてもあるいは工場排水にいたしましても、下水の発生いたしますところから管渠でこれを受けまして、最終的には終末処理場で処理するという体系のものでございますので、実はどこまでが幹線でどこまでが枝線かという点もかなりむずかしい問題だと思いますが、要するに、効用を発揮させるためには枝管から終末処理場を含めた整備が必要になってくると考えております。したがって、この整備をいたします場合に、国と地方公共団体あるいは住民の負担考え方というものをどのようにうまく組み合わせてやっていくかが今後の重点で、御指摘のとおりだと思います。  下水道は、建設をいたしましてこれを管理いたします。でき上がったものはそのままでございませんで、終末処理場を回転させまして、そこで汚水の処理をすることによって永続的に効力が発揮できる事業でございまして、そういう面の事業の性格もございますので、道路、河川等と一律に、同じように考えるというわけにもまいりませんが、先生が仰せになりましたように、地方公共団体負担の軽減あるいは地方債の充実というような措置につきましては、今後とも自治省ともよくお打ち合わせをいたしまして、十分検討してまいりたいと考えております。
  131. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 建設大臣も見えておりませんし、局長もいないようですから、まあ無理もないと思いますけれども、私が先ほど申し上げましたように、この下水道事業は国家的な最も緊急を要する事業なわけです。そういった点からも、公害問題あるいは都市環境の整備という問題も含めて、しかも地方公共団体が喜んでやれるような前向きな施策をひとつぜひとも進めてもらいたいということを強く要望して、私の質問を終わります。
  132. 菅太郎

    菅委員長 門司亮君。
  133. 門司亮

    ○門司委員 最初に、ほんとうは私が自治大臣にこんなことを言ったってぐちのようですけれども、ずっと話がございますように、結局公害だといっても、そのしわ寄せするところは地方自治体に非常に大きな影響を持っている。したがって、自治大臣にお聞きするということも一つの便法でありますが、しかし、国は公害対策に対する一つの基本の問題として、これに取り組む姿勢として、総理大臣中心とする、そうして総務長官を大体当面の責任者としてそういう組織をこしらえておるのであります。ところが、その組織の責任者は、実際の公害対策に取り組まなければならない行政機関である地方の問題に対して、この委員会に何回言っても出てこないというのは、これはどうにもならぬですね。こういうことで一体ほんとうに公害がなくなるような施策を政府は真剣に考えているかどうかということをわれわれは疑わざるを得ない。もう少し政府も考えてもらいたいと思うのです。したがって、ひとつこれは委員長にお願いをいたしておきたいと思いますが、この次の委員会には総務長官でなくて、これの総本山である総理大臣にぜひ出てきてもらいたい。そうしませんと、いつまでたっても、結局国の基本的な姿勢というものが明確にならないのじゃないかという気がする。公害問題は、いろいろ議論されておりますけれども、公害自体の問題について、ほんとうにどこの役所が主管しているかというようなことがわからぬのであります。したがって、自治大臣しかおいでになりませんし、公害関係を担当いたしております総理府の連中もきょうばいないそうでありますから、これはだれに聞いていいかわかりません、わからぬようになってしまうわけでありますが、この機会に私は自治大臣の所見だけを一応承っておきたいと思うのです。  ここに「主要な公害対策に関する所管管庁の概要」というのがあります。これを見てみますると、公害に対するいろいろなことがずっと書いてあるのだが、自治省と書いたところは一つしかない。自治省関係されているのが「公害防止施設の助成等」という一つの区分の中の法人税法、それから租税特別措置法、地方税法等と書いてある、ここに大蔵省と自治省という文字が出ているだけでございます。ほかに公害関係では自治省関係一つもない。そうして仕事はほとんど全部自治省が結局当たらなければならぬ仕事に必然的になってくると思う。こういう政府の機構の中で一体どうすればいいかということです。たとえば大気汚染の規制につきましても、所管事項が工場だとか自動車の排出ガスの規制であるとか、家庭等の暖房ばい煙対策というものが書いてある。そしてこれの関係法令が書いてある。大気汚染防止法であるとか、あるいは電気事業法であるとか、ガス事業法であるとか、鉱山保安法であるとか、道路運送車両法であるとか、道路交通法であるとかいうふうなことが書いてある。これらは全部、厚生省であり、通産省であり、運輸省であり、警察庁ということになっておる。自治省はどこにも出てこない。水質汚濁にしても、最も地方の自治体に直接関係のあるこういう問題にしても、自治省ということばはどこにも出てきていない。水質基準、工場、事業所の排水規制、あるいは船舶からの油の排出の規制であるとか、下水道の放流水の規制であるとか、河川に関する規制、水産資源保護のための規制であるとか、農薬の取り締まりというようなものが書いてあって、これに関係法令がずっと書いてあるが、一体どこに自治省が首を出しておるかというと、ここにも自治省はちっとも首を出しておらない。こういうふうにずっと考えてまいりますと、大体区分として十一に分けられる。あるいは十二になるかもしれない。これには十一と書いてあるが、大体十二になる。一番最後の問題は結局人権擁護という問題が出てくるはずでありますから、個々事業別でなくて、全体をひっくるめて人間の生命を守るという形からくれば当然人権擁護というものが出てくる。これは法務省の関係にならざるを得ないでしょう。こういう政府の一つ行政組織のあり方というものについての基本的の条件を私は実は山中長官にお伺いしたかったのであります。一体どうするのかということ、そして一つにまとめた——総理大臣中心としてという、何か対外的にはばかにていさいのいいようなものをおこしらえになっているが、実際にはどうにも動かぬようになっておる。この動かぬ機構の中で、われわれはやはり地方自治体としてのいろいろな問題を解決することのためには、自治大臣にいろいろのことをお願いしなければならぬ。自治大臣としてはいま申し上げましたように、結局関係法令から申しましても、所管官庁の立場から申しましても、ほとんど関係されているものはないと言って差しつかえないくらいである。ここに私は、今日の日本の公害問題をどんなに議論するといったって、なかなかまとまらぬ関係がありはしないかと思うのです。  これは委員長にひとつ御確答願いたいのでありますが、私は、この次の委員会に総理大臣にぜひひとつ出てもらいたいと考えておる。総理大臣が出て来られなければ、山中長官が出てくるということを、ひとつ委員長に最初に確約をしておいていただかぬと、これから先の話を進めるわけにいかぬ。皆さんもかなり迷惑しておると思うのです。
  134. 菅太郎

    菅委員長 門司委員、ちょっと申し上げますが、先刻の理事会で話が出まして、そういう御要望もありますので、今度の委員会の日にちの決定につきましては少し弾力性をもって、十三日から十六日、それだけの幅をいただきまして、少なくとも山中長官の出席を求めるということで私に御一任願っております。総理大臣出席も要求はいたします。しかし、必ず引っぱり出すのは山中長官ということで御一任願っておりますから、いま善処をいたしておるのであります。
  135. 門司亮

    ○門司委員 そういう議論をしておっても尽きないと思うのです。  ここで一応そういう問題を中心にして、最初御答弁を願いたいと思いますことは、公害というものについて私は二つあると思うのです。一つは産業公害から来るものと、一つは俗に都市公害といわれておる公害の状態、この二つの区分を一体どういうふうにして分けて考えるかということです。これは具体的に非常に分かれておるようには見えますけれども、ある意味においては、産業公害から来る都市公害ということが私は言えようかと思う。たとえば自動車の排気ガスというようなものは、自動車をこしらえていること、あるいは自動車一台ずつについては別にどうということもなさそうだけれども、しかし、これが都市に非常にたくさん集中してまいりますと、当然大気汚染という問題を引き起こしてくる。こういう問題はどこにもある問題じゃございません。結局同じ自動車が歩いておっても、非常に数の少ないところではこういう大気汚染というものは案外出てこない。こういうふうに考えてまいりますと、都市が、非常に膨張してきて、そうしてそのことによってくる一つの公害、これはかりにいま私が都市公害と申し上げましたが、こういう二つの面が必ずここにあると私は思うのです。その面で地方の自治体が受け持つ一つの大きな分野というものは、やはり何といっても都市公害の問題をまず先に、地方自治体としてはこれはやればやれる可能性がある。たとえば自動車の規制、交通の規制等については、これは自治体の仕事でやろうと思えばやれる。河川の汚濁につきましても、産業公害として認められるものもないわけではございません。しかし、最近の河川の汚濁の原因というのは、必ずしも工場から出る廃液だけではないのであります。社会環境の中から来る、いわゆる生活環境の中から来るいろいろな問題があるのは当然であります。先ほども下水の問題が問題になっておったようでございますが、下水等についても、完全にこれを施行していけばこれは減るわけである。日本の下水なんというものは、この間の統計を見てみますと、イギリスが大体一〇〇%といっておりますが、大体都市全体の一八%ぐらいしか下水が完備していないといわれているのです。そういう状態を三〇%に伸ばす、三五%に伸ばすというようなことをいってみたところで、こんなものが早急に伸びるものではない。このことのためにたとえば流域下水道を設けるといっても、いま日本で流域下水道は完成してはおりません。やや一つの見本みたいなものができているのは、大阪に一つあるだけであります。あと神奈川県で計画はいたしておりますが、まだこれは計画の段階であって、実施の段階に入っておらない。  こういうことをずっと考えてまいりますと、地方の自治体の中でやれる仕事、いままでの行政措置の中でやれる仕事、下水の問題であるとかあるいは屎尿の処理の問題であるとかというような問題等については、何も権限があるとかないとかいうようなことでなくして、地方の自治体のいままでの行政上の措置としてやれる可能性のものがかなりあると私は思う。これらの問題に対して主としてきょうは大臣に聞いておきたいと思いますが、一体どういうふうに地方がこのことについて行政的に取り組もうとされておるのかということであります。たとえば下水の問題にいたしましても、さきにもお話のありましたように、政府としては何とかしてやるんだ、五カ年計画がどうだこうだといっておりますが、こんなものがいまの調子で五カ年やそこらでできるはずはございません。やるのならもう少し積極的に政府が乗り出してきてやる姿勢を示さぬ限りは、できるものではないということであります。そのほかの問題にいたしましても、地方の自治体の持っております、たとえばばい煙の問題等につきましても、あるいは臭気の問題等につきましても、いろいろな問題を、地方の自治体の現在の行政の中で解決のつけられる問題がかなりありはしないかと私は考える。  一体こういうものを区分して自治省が積極的に取り組むという範囲を一応考えられたことがあるかどうかということです。全部ひっくるめて公害、公害といっておりますと、これはなかなか問題が片づかぬと思う。やはり自治省自治省の分野においてやれる仕事をやっていくというたてまえをとっていただく、こういうことができるかどうかということであります。
  136. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 公害と一がいに言っても、都市公害と申しますか、地方公共団体の中で解決のつくものがあるじゃないか、そういうものはどうするのか、またその範囲はどの範囲であるかというようなことについても考えたことはあるのかということでございますが、これはなかなかむずかしい問題だと思います。ただいま御指摘のとおり、都市公害というものも、いろいろの面において産業公害という領域につながっております。また一がいに都市公害と申します中にも、たとえば下水の問題でも、ただいま御指摘のありましたとおり、流域下水——他の地方公共団体との関連において広域化の観念の中において把握し処置されなければならないものもあろうと思います。都市の大気汚染の問題につきましても、広域的な広がりがあるのでございまして、大阪泉南地方におきましても、やはり大阪市その他府下阪神地方との関連において、またこれが対策措置を一部講ぜられておるようでございます。したがいまして、あるいはごく範囲の限られた臭気であるとか騒音であるとかいう問題は、都市内で処置されるものもありましょうが、またこの発生源である自動車等を考えてみますと、これはオキシダントの公害に関連しまして、都市交通規制の中において処置されるべきものとしてこれが対策権限を知事にまかしたらということもいわれますが、同時に、この自動車という交通機関はその都市だけにとどまるものではございません。他府県にも移動をされるわけでございまして、そういう全国的な見地から交通規制というような点から考慮されなければならない面もありますので、なかなか複雑かつ多岐な面がございます。したがいまして、都市公害として把握できるものにつきましては、ひとつ地方自治体固有の観点において十分今後とも処理していきたいと思いますが、同時に、広域化という点を考慮いたしまして、広域行政の面においてもこの面をとらえていかなければならない。また国の一般施策との関連においても考えてまいらなければならないいろいろの面を含んでおりますが、総じて都市内における問題としてとらえられる問題、たとえば公共下水の面等につきましては、積極的に重点的な配慮をすべき問題として取り扱ってまいりたいと思っております。
  137. 門司亮

    ○門司委員 いま答弁をいただきましたが、私どもがいま一番大きく取り上げなければならない一つの問題として、産業公害はこれは当然でありまして、これは何といっても企業が主としてその排除に全力を注ぐべきであって、地方の自治体が何ら責任を負う必要はないと考えておる。これは人間の生命のほうが大事でありますから、先ほど大臣のお答えになりましたように、現行の法律の中にも産業との調和ということを——佐藤さんは調和ということばがすきですから、だからそこらじゅう調和というのが出て、法律の中にも出てきていると私は思うのだが、そういうことじゃなくて、やはり人間を大事にするということが基本であり、それが中心でなければなりませんから、この産業公害に対しては主として企業に責任があり、これにおいて処置をさせるというきつい法律が必要であろうかと私は思いますが、しかし、さっき申し上げました都市公害につきましては、やはり地方公共団体がある程度の責任をもってやるべき仕事であると私は考えるのであります。いまお話をいたしました、またされました水質汚濁に対する一つの大きな原因としての、家庭から出る汚水の始末というものが十分についていないというようなことも、これは水質汚濁の一つの大きな原因でありますし、それからこういうものは地方の自治体の仕事である。同じように、川がよごれる、あるいは都市の美観がよくない、非常にきたないということについても、家庭から出るごみの始末を一体どうしているかということ、こういう点は、ごみの問題などに至っては、これは諸外国と日本と比較してごらんなさい。水よりもっと悪いと思うのです。  かりに一つの例だけ申し上げて御参考にしておきたいと思いますが、あなたのほうでもわかっていると思いますが、ローマは、御承知のように、二百六十万の人口を持っております。ここでは人口一万人当たり大体二・八台のごみの収集の車を持っております。そしてその車の機能と大きさというものは、大体日本の東京やあるいは横浜を走っておりますごみ収集の車の三倍くらいの大きな能力と大きさを持っております。ところが、私の住んでいる横浜の例を一つとってみますと、ここは二百二十万の人口を持っております。ここでほんとうに稼動しているごみ集めの車は三百八台であります。これは人口比率で割りますと、一万人当たり大体一・四車にしか当たっておりません。三倍くらいの能力を持っておるという車が人口一万人に対して約三台歩いておるのと、その三分の一の力しか持たないものが人口一万人に対して一・四しか稼動していないという現実を見てまいりますと、これは下水道の問題よりもっと悪いです。こういう実態があるのです。  こういう中から結局都市の美観がそこなわれ、都市の水質の汚濁があり、悪臭があり、いろいろなものが出てきている。だから、私がさっき申し上げました都市公害についての取り組み方というものは、単なる公害だという取り組み方と別に、やはり地方行政の中においてこれを解決していくという姿勢が自治省において必要なんだ、こう考えておるのであります。産業公害は産業公害として、これにはさっき申し上げましたようなことで当然責任者があるわけでありますから、これらに厳重に命じて、そういうことのないようにしていけば、これはある程度押えられるかと考える。しかし、こういう都市公害に対しては、何といっても地方の自治体の一つの大きな仕事であります。大気汚染についても、先ほど自動車の問題を出しましたが、冬になると出てくる暖房の装置、油をたけばばい煙が出るにきまっている。こういうものから出てくるものも大気汚染の一つの大きな原因であることは間違いない。しかし、これらの問題もやはり都市に集中される。ことに過密都市においてはこの現象は非常に大きいのでありまして、こういうものに対する自治省の取り組み方というものは一体どうなっているかということです。予算を見ましても、きわめてわずかな予算であります。きょうは時間もあまりございませんし、大事な相手である長官も見えませんので、そういう問題をこれ以上私は申し上げませんが、自治省においても自治省のなすこと、範囲、この法律のたてまえからいけば、先ほど申し上げましたように、自治省の首を出しておるのは、わずかに地方税の面で何とか自治省考えろということだけしか出ていない。したがって、自治省には公害に対する責任はほとんどないように考えられておる。しかし、全部のしわ寄せが自治省に来る。権限は持たないで仕事だけさせられて悪口ばかり言われている。自治省という役所は実に因果な役所だと考えておりまして、そこを受け持っておられます秋田大臣には非常に同情するのでありますけれども、こういう面、都市公害に対する取り組み方をぜひ厳重にしていただきたいということを申し上げておきます。  それから、これも一つの公害だと言えば公害でありますが、過密都市の問題としてきょうここで主として——公害の問題の議論ができませんので話をほかに移してまいりまして、地方の自治体の学校の問題を少し検討してもらいたいと考えております。これは建設省にも、あるいは文部省、大蔵省にも全部に関係があろうかと思いますが、建設省の諸君は建設省の諸君としていろいろ協議をされておることだと思いますので、きょうは主として文部省にお聞きをしておきたいと思いますが、一体文部省は地方の教育の問題について基本的にどうお考えになっているかということです。施設その他は地方の自治体がやるべき仕事だからそっちにまかしてあるんだというお考えなのか。教育を担当されておる役所として、教育の基本的道場である施設というものは非常に大事な問題であります。ただ、行政地方の自治体が仕事をするんだから、そっちにまかしておるんだというような安易なお考えであるのか、あるいは教育全体について責任を持っておる役所であるというお考えをお持ちになっているのか、どっちかをはっきりしておいていただきたい。
  138. 菅野誠

    ○菅野説明員 文部省の教育施設部長の菅野でございます。  お話しのように、公立学校につきましては、その設置義務は市町村公共団体に課してはおりますが、その設置、建設等につきましては、御存じのとおり、義務教育諸学校施設費国庫負担法その他の関係法も用意いたしまして、また施設の関係につきましては、私ども教育施設部におきまして実態調査し、またこれにつきまして困難の部分につきましてできるだけの措置を講ずるよう関係方面とも連絡して万全の措置をとってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  139. 門司亮

    ○門司委員 私はここでは大体いまの御答弁のようであろうかと存じますが、それなら私ははっきり聞いておきますけれども、今日の地方自治体の、ことに大都市のこれに関する実情を一体どれだけお知りになっているかということです。たとえばきょうの新聞を見てごらんなさい。原町田が何をやっているか。住宅を千戸建てるのなら、一つ小学校を建ててもらいたい、これを条件で公団に住宅建築をやらせようというようなことをきょうの新聞に書いているでしょう。あの町田の市はこの前に何を言ったかというと、団地が急にできたのではそこに水を送らぬということをきめて、えらい問題を起こしたことがある市であります。どこから来ておるかというと、団地がむやみにできたのでは、水道の水はあるんだが、しかし学校の教育はどうにもならない。いわゆる子供の大事な教育をする施設がこれに伴わないから、そういう団地をこしらえてもらっては困る、いわゆる入居を拒否するという問題から来て水道をとめるということを言ったのであります。これと同じように、横浜でも、御承知のように、大きな団地ができて入居することになっておるが、いま入居されたのでは小学校の子供を学校に通わせる校舎がない。四月の一日になれば新しい校舎ができるはずであるから、それまでひとつ入居を待ってもらいたいということで、ごたごたしているでしょう。もう一つは、これも横浜であります。ほかにも例がありますが、十七階の大きな住宅のアパートができる。そうすると、そこの子供を通わせる学校がない。そこで一階あるいは二階に一年と二年の子供だけの教育をする場所をとって、最初はビルの一番上の屋上を運動場にすればいいなんて言っていましたが、この間聞いてみましたら、まさか屋上を運動場にするわけにもまいりませんので、ビルとビルの間のあき地を運動場にいたしましょうと言っているようでありますけれども、こういうことがいいかどうかということですね。こういう点について文部省はほんとうにこれを知っているかということです。この点を文部省は一体どうお考えになりますか。こういうことは横浜や町田だけの問題じゃないと思う。千葉県においても、友納知事は何と言っているか。住宅などむやみに建てられたのでは地元が迷惑だというようなことで、この住宅難のおりから、地方行政を担当している諸君の大きな悩みになっている。このうしろにある意識というのは、単に人間がふえるということだけじゃない。教育の施設というような市民に最も直接関係する大きな仕事が完全にできないということがこれの原因であるとするならば、文部省はいまのような答弁では済まされないと思うのだが、この点どうお考えになりますか。
  140. 菅野誠

    ○菅野説明員 まことにごもっともなことでございまして、私ども非常に責任を痛感し、また鞭撻されるような気持ちを持っておるわけでございますが、特に大都市周辺の住宅建設に伴う人口急増都市の教育施設の問題が最近非常に大きくなっておりますことは、私ども重々承知しておるわけであります。この人口急増都市におきましては、特に義務教育の小学校、中学校の児童生徒の施設としての小中学校施設をつくらなくちゃならない。に整備しなくちゃならないということは、先ほどのお話にもありましたように、一種のその自治体における公害のような形をとることもあるというふうに承知をしておるわけであります。この施設の実態につきましては、五月一日現在におきまする公立学校の実態を毎年調査いたしておるわけでありますが、この結果を見ましても、ことしの五月一日現在のこれら市町村の教室不足数は、小学校七千二百八十三教室、中学校千百五十教室にものぼっておりまして、この教室不足をしのぐために、プレハブ教室及び体育館を仮間仕切りして急場をしのいでいるという状況のものが多数あるわけでございます。文部省ではこうした状況に対しまして、従来からいわゆる社会増による市町村における学校施設整備のために、今年度予算におきましても、事業量の確保、整地費の補助、土地起債の増額等に鋭意努力してまいってきておるのでありますが、しかし、市町村において、その財政能力を上回る多大の財政需要の状況によりまして、特に最近は、急騰する地価対策のため、学校用地の取得が非常に困難であるということが、この困難な事態に対して非常に拍車をかけておるというような実態も承知しておるわけでありまして、このため四十六年度予算要求におきましても、これらの対策として十分な予算を要求するように心がけて、現在のところ作業を進めておる状況でございます。
  141. 門司亮

    ○門司委員 どうもそういうきわめて抽象的なものでは私は済まされないと思うのですよ。大体文部省がいま要求しておるのを、どんなことをおやりになっているかということの概要だけはちゃんとここに持っております。しかし、これではいけないのであって、文部省がほんとうにこれと取り組もうとするなら、もう少し積極的にものの考え方をひとつ私は変えていただきたいということである。  そのことはどういうことかということでありますと、たとえば先ほど町田の問題を申し上げましたし、あるいは横浜の問題を申し上げましたが、やはり文部省に総合的の考え方がなければならぬということである。その年の五月と言われておりまするけれども、こういうものは事前にわかるわけであります。どこの団地はいつでき上がる、そうすればどれだけの入居者がある、そこに学校の子供が何人いるかということはわかるはずであります。わからぬことではないのであります。私はわからぬことをやれと言うわけじゃありません。わかっているはずだ。ところが、これを地方の自治体が責任者だからといって、自治体にまかせておくということでは、これはどうにもならない。敷地がないからというお話しでございますが、敷地等についても、法律上はいろんな角度から、この先行取得に対しまする問題を解決するためにやっておる。ことに最近、文部省には多少の難色があったようでありますが、横浜に対しては、これらを取得するために別途の公団のような組織を設けて、そしてこれに対処させようというようなことで、何か多少文部省に異論があったようであります。横浜はどうもそういうことでもさしていただかなければ、とてもどうしようもない。いわゆる市の会計、予算の中だけではやれない。どこかから資金を仰いで、そうしてその資金によって新しい敷地を求めていくというような便法を講じない限りは、公社みたいなのを考えない限りはできないんだ。しかし、教育の実態からいうと実に奇怪な話であって、住宅その他に対します公社のようなものを設けてやるというのは、御承知のように、その事業自体予算のワクで返すことができることになっておりますが、まあやれるとしても、学校の敷地を設けることのためにほかから金を借りてきて、そうして敷地を先に求めていって、それをまた市役所が払うということになると、実に妙な話でありますが、しかし、そういうものすらすでにやらなければならないようになっている。こういう問題に対する国の、文部省の行政あり方というものについて、私は非常に遺憾に考えておる。  最後に、私は大蔵省にもう一ぺん聞かなければなりませんので、文部省にひとつこの点の区切りだけとして聞いておきたいと思いますことは、文部省はことし概算要求をされておりまするが、この概算要求で一体どこまでしのげるかということであります。かりに来年一年しかこの概算要求ではもたないんだということになると、これはまた来年これ以上の問題を繰り返さなければならぬようになってまいります。したがって、この計画は長期計画であるのかあるいは一年限りの、いまのその場しのぎであるのか、その辺をひとつ文部省に聞いておきたいと思います。
  142. 菅野誠

    ○菅野説明員 お答え申し上げます。  御存じのように、この施設整備計画というのはその場しのぎではならないことはいまおっしゃるとおりでございまして、文部省といたしましても、推計調査、先ほどおっしゃいましたような人口移動に対する推計調査がほんとうは一番むずかしい。地域的な変動が非常にありますので、むずかしい調査ではありますが、一応その都道府県の教育委員会及び関係自治体の協力を得まして推計調査をいたしておるわけでありますが、現実の形におきましては、それが非常に予想と違った形でまた出てくるというようなこともありまして、現実にはいろいろ問題も起こるところではございます。しかしながら、お話の点につきましては、私どもすでに、御存じのように、公立学校施設整備の第一次五カ年計画、第二次五カ年計画を了しまして、現在第三次五カ年計画に入っているわけでございますが、第三次五カ年計画におきましても、ただいまの推計調査も行ないまして、これが実施上の問題を検討しておるわけでありますが、現在問題になっているような都市周辺における非常に急激な人口増に対する修正を要するということが最近の問題であり、特に土地購入の入手難等のためにそれが非常にびっこな形で出てきまして、地方公共団体も非常に困っておるということは、私どもも、先ほど事例などもあげられましたが、報告を受けておるところでございます。  それで、来年の予算要求におきましては、文部省といたしましては、特にこの公立文教施設整備のほうに重点を置きまして、特に土地対策等につきましても新規の予算を要求する等、大臣の、上層部のほうの了解、御方針もございまして、特にこの公立文教施設整備で多額の予算要求をいたしておるわけでありますが、この予算要求が十分にとれますれば、計画的にこれの解消に進んでまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  143. 門司亮

    ○門司委員 いまの御答弁にありましたように、予測のつかない増加がかりにあるといたします、私もそれはあろうかと思います。そこで、問題になってまいりますのは、学齢の児童がふえるということは、一つは、さっきから問題に出しました住宅公団その他のいわゆる建物を建てていくということが一つの大きな原因であることには間違いがございません。  そこで、きょうは建設省の諸君は来ておりませんが、文部省の意見として聞いておきたいと思いますことは、先ほどから二つの都市の例を申し上げましたが、いずれも住宅公団に対する一つの大きな圧力であります。したがって、文部省としては、こういう問題については住宅公団であるとか、あるいは地方の開発公社でございましょうとも、一定の規模に達する住宅の建設については、必ず学校教育の問題を加味して考えるようにというようなことが法律上できないかということ、あるいは行政上そういうことはできないかということであります。これは密接不可分の問題であります。ほかの問題とは違います。事子供の教育の問題でありますから。道路が悪いとか下水が悪いとか水道が不備だというようなことは、これは生活の環境の問題でございますけれども、教育の問題だけは、何といっても、大きなことを言えば、憲法に定められた当然の国民の権利でもあり、また義務でもあります。これを施行するということ、これは行政の中から切り離せない。そうであるといたしますと、これを完全にやっていこうとするには、そういう最大の原因である住宅公団の無方針というとおこられるかもしれませんが、教育行政に対してはある程度無関心な建て方、それからさらに土地開発会社等のこれまた無関心な住宅の建設のあり方というものについてこの際規制を加える必要がありはしないか。また教育関係について義務を負わせる必要があると考えておる。単にその地域だけの下水の処理をどうさせるとかあるいは道路をどうさせるというようなことではなく、教育関係もいわゆる公団に義務を負わせることが私は必要だと考えております。こういう点について思い切った施策を文部省としてはお考えになることはできますか。
  144. 菅野誠

    ○菅野説明員 ただいまの点につきまして、ごもっともでございますが、公団、地方開発公社等との関連におきましては、この公立文教施設整備の補助執行の上におきましても、緊密に連絡をとってやるように指導しておるわけでありますが、さらに公団等大きな住宅の場合におきましては、いわゆる五省協定というような協定を各省の間でいたしまして、これの施行につきまして便法をいろいろ研究しておるわけであります。たとえば公団で住宅をつくる場合に、公団に同じく学校も一緒に建ててもらうということによりまして、その後公団の建てた学校をその市町村自治体が買い取る方式をとるというようなことによって、並行して学校建設をすることもできるのではないかというようなことについて、公団とも話し合いまして、いまのようなことができる形に持ってきておりますので、法令的な準備と申しますよりは、関係省、公団等と実行上の問題を緊密に連絡することによってこの対策をとっていきたい、かように考えております。
  145. 門司亮

    ○門司委員 私はその五省協定のあることもよく存じております。五省協定があっても、先ほどの話のようなことが出てくるわけですから、私は実際は何にもならぬと思っている。いま、公団がというお話でございますが、これは横浜では実施しているんですね。いまの緑区の地域においては、いわゆる開発会社に敷地を提供してもらって、その上に建てて、敷地は年賦で大体払うというような形で一これは営利会社である限りにおいては無償で提供はしてくれません。しかし、一応の敷地だけは向こうさんで確保して、それを市が買い取るという形でやっておることも私どももよく知っております。知っておりますが、しかし、これはあくまでも行政指導であって、相手方に誠意がなければうまくいかないのですね。  それから住宅難ということでいま問題になっておりますのは、住宅公団というようなものは、入居が一カ月おくれれば、公団自身が一カ月分の家賃というものが入らないので、結局経理に支障を来たす、こういうことになるのですね。そこの接点が非常にむずかしいんですね。片方はそこにどうしても入れなければならぬ、自治体のほうは来てもらっちゃ困ると言う。一体子供をどこの学校へ入れるんだという問題が出てくる。ところが、自治体のほうは、子供の教育は義務というよりもむしろ当然の責務の上にやらなければならぬ仕事なんですね。公団のほうは利害の関係なんですね。そういうことを考えますと、やはり文部省はもう少し強くなって、そして自治体に対するバックアップをしてもらわぬといけないのじゃないかという気がするのでありまして、これは自治大臣にもお願いすることが一つの順序かと思いますけれども、しかし、何といっても教育の総本山であると自称される、というとこれはおこられるかもしれませんが、教科書その他についてはときどきお口をお入れになっておられるようでございまして、そっちだけ文部省の幅をきかせないで、実際に子供の教育の道場のほうにも少し力をかしてもらいたいと私は思う。そうしないと、いまの教育行政というものが、非常に私どもの憂慮いたしますのは、びっこになってくる。一つの学校の敷地の中に三階建の鉄筋コンクリートがあると、その隣にはもう建てかえなければならない二階建ての木造がまだある。それでも足りないから運動場にプレハブをこしらえる。同じ一つの学校の敷地の中に三つの階級——ということばはどうかと思いますが、段階のある教育をしなければならない。これが子供に及ぼす心理的な影響は一体どうかということであります。同時に、子供が、あるいは父兄もくるめて、学校の一つの愉快な行事としての運動会なんて何年もできない学校がたくさんあるのですよ。自分の学校では運動会がどうしてもできない。一体そういう教育行政で満足な教育ができていくかということです。いろいろ大学の問題もございますが、しかし、教育のほんとうの基礎固めというのは、何といっても小学校あるいは中学校以外にほとんどないのじゃないかということであります。それ以上は、学問であるとかあるいは技術であるとかいうようなことが考えられるが、人間形成の中で最も大事なものは、何といっても小学校であり中学校だと考えることが私は至当だと考える。その最も大事な小学校、中学校の教育が、いま申しましたような実態に分かれておるということ自身に対して、一体文部省は今日まで何をやってきたかと言いたい。わかっていることなんです。子供というのは、この社会増ではある程度偶然にはふえます。しかし、これは一定の年齢が来なければ学校に行かぬのですから、戸籍を調べればすぐわかる、住民登録を調べればすぐわかるのです、どのくらいの人間がふえるかということについて。だから、新しく入居してくる者に対する対処のしかたというものは、この自然にふえてくる者と別個のものの考え方でやはり対処するというかまえが私は必要だと考えておる。いま当局も申されましたように、新しく来る人がどのくらいあるのかなかなか見当がつかないということでございますが、私はどうせ見当がつかないと考える。しかし、子供のどれだけ来るかということは見当がはっきりわからなくても、住宅ができて入居が許されれば子供がふえるということは事実でございます。大体推定はつくはずであります。したがって、住宅の建設と学校の施設というものがマッチする行政をこの際講じてもらいませんと、地方の自治体では責任だけ背負わされて、そうして市民からも全くごうごうたる非難の中で教育を行なわなければならぬということを私ども非常に残念に考えておりますので、この点をひとつ特に注意をしていただきたいということを、これは私は要望として申し上げておきます。これ以上あなたにお聞きしても何もわからぬと思います。実際出てこないと思います。  それから私は大蔵省に聞きたいのだが、大蔵省は、これらの問題に対しての財政的な措置ですね、これを一体どうお考えになっておりますか。いまも文部省からお話がありましたし、私もお話を申し上げましたが、千教室も足りない。これは横浜だけでも大体千教室くらい、満足なことをやろうとすれば足りないのですよ。そういう実態があるときに、これに対する起債であるとかあるいは補助金であるとかというようなものを特別に配慮される御意思がございますか。
  146. 原徹

    ○原説明員 大蔵省といたしましても、社会増の問題については検討しているつもりでございまして、四十五年度の予算におきましても各学級の平米の増加を予算的に認めておるということでございます。確かにそれだけで問題が解決しているとは思っておりませんが、私どもとしてはなかなか乏しい財源の中からかなり見たというつもりでおります。  それから来年度、確かにただいま文部省から御要求が出ておりますが、これにつきましては、現在聞いている最中でございますので、ただいまの段階でそれをどうするかというところまで申し上げられませんが、しかし、いずれにいたしましても実態をよく調べた上で妥当な結論になるように鋭意検討をしたいと考えております。
  147. 門司亮

    ○門司委員 いまのような答弁でこれは引き下がるわけにはまいりません。私の聞いておりますのは、数字をどうこうせよというのじゃないのですよ。いまの補助単価というようなものに改正を加えられるかどうかということです。たとえば建築費についても小学校で二分の一、中学校では三分の二ですか、くらいの補助率になっておるかと思いますけれども、こういうものを改正される意思があるかどうかということです。特に過密都市といわれておりますこれを強く要求している地域に対して、そういう配慮が行なわれるかどうかということです。
  148. 原徹

    ○原説明員 補助単価につきましても、実は四十二年度のときに例の超過負担という問題がございまして、それを三年間で解消するということで毎年単価のアップをいたしました。四十五年度で大体四十二年度に調べた超過負担は一応解消されたということになっておりますし、今後も実情に応じて、もちろん単価が上がっておることは事実でございますから、これを上げることになると思います。  また補助率の問題につきましては、これはいま予算要求が出たばかりでございまして、ただいま検討中でございますので、ただいまの段階ではこれをどうするというところまではちょっと申し上げかねます。
  149. 門司亮

    ○門司委員 さっき申し上げましたことは私の勘違いでありまして、いまのところ補助が小学校は三分の一ですね、中学校が二分の一ですか、こういうことになっておりますね。  それからもう一つはこの単価、それから補助対象ですか、これは学校を建てるからといって全部補助対象としていないでしょう。この二分の一の補助対象というのは、学校の建築の一体どの部分ですか。
  150. 菅野誠

    ○菅野説明員 基準につきましては、校舎と屋内運動場にそれぞれ基準を設けております。屋内運動場はそれぞれその学級数に応じましての必要な屋内運動場であります。それから校舎につきましては教室、特別教室、それから管理関係も含めました一応のと申しましょうか、教育をする上においては最低限かも存じませんが、教育上の最低限の教育ができる施設の基準になっておりまして、戦後いわゆる〇・七坪というような時代もございましたが、現在におきましては一段、二段の引き上げが行なわれまして、現在のところでは、普通教室ばかりでなく、特別教室等についても助成がなされることになっております。
  151. 門司亮

    ○門司委員 坪数は、教室だけですか、廊下とか、これに付随したものが出ているのですか。校舎全体の坪数ですか、教室だけの坪数だけですか、どっちなんですか。
  152. 菅野誠

    ○菅野説明員 教室プロパーの、たとえば四間、五間の教室だけということじゃなしに、それに付随する廊下も含めまして、それから昇降口でありますとか、階段室でありますとか、それから教員室、それから特別教室、特別教室に付帯する廊下、それから便所というようなものも含めます。
  153. 門司亮

    ○門司委員 それからもう一つ、これは大蔵省に聞いておきたいと思いますが、補助単価の問題ですが、大蔵省はいまの単価で大体適切とお考えになっておりますか。
  154. 原徹

    ○原説明員 補助単価につきましては、毎年建築費その他について統計をもとにして出しています。したがって、先ほど申しましたように、その超過負担は、四十二年に調べがありましたわけですが、その分については一応解消を見ている。ところが、問題は、基準よりも何倍かりっぱなものを建てたいというような、現実の問題としてはそういうことがあるようでございます。そういたしますと、ここで補助の対象とします標準的なものと比べますと、やはりそこで単価的に差が出てくるのではないかというふうに考えております。したがいまして、補助といたしましては、やはり標準的なものでやらざるを得ません。そういう意味では、もちろん毎年実情に応じて上げなければなりませんが、現在のところは、そういうことになっておるわけでございます。
  155. 門司亮

    ○門司委員 これは四十五年度ですか、いまのを予算面で見ますと、本年度補助金として出しております分が、大体四百三十三億円ですか、そして全部が三百三十八万平方メートル、予算がこういうことになっておりますね。そうして、それの単価を見てみますと、大体鉄筋コンクリートで一平米当たり三万二千九百円ということで、坪数になおしますと、大体十万円だ、こういうことですよ。それで木造が二万一千四百円、鉄骨が二万七千百円、こういうことが基礎単価になって割り出されている、こういうことですね。ところが、これで一体学校ができるかどうかということですね。たとえこれが標準だといたしましても、この単価で学校ができたらほんとうにどうかしていると思います。これは大蔵省に言わせますと、全国平均にしますとそうなるのだというお考えがあるかもしれませんが、全国平均すればあるいはこういうものが出てくるかもしれませんが、しかし、全国を平均するわけにはなかなかいかないのではないか。特に過密都市というところでは非常にたくさんの要求をされておりますので、一律の補助であって、一律の単価というものにはなかなかいかないのではないかということが考えられる。  土地の問題も同じであります。土地につきましても、文部省の出したことしの予算編成——ここまで言うと、あるいはおこられるかもしれませんが、文部省の出しております単価と自治省の出しておる単価は違うでしょう、用地に対します単価というものは。こういう問題かほんとうに適切に行なわれていないのではないか、そしてこの単価でできるという自信が大蔵省にあるかということです。これはどうなんですか、ほんとうにできますか。
  156. 菅野誠

    ○菅野説明員 ただいまおっしゃいました予算積算上の単価は、おっしゃるとおりでございます。小学校校舎につきましては、鉄筋三万二千九百円、鉄骨二万七千百円、木造二万一千四百円でございます。屋内運動場につきましては若干上回りまして、鉄筋が方三千四百円、鉄骨が二万七千九百円、木造二万二千六百円でございます。  なお、この単価は、建築部分プロパーのところでございまして、これに基礎工事の部分にくい打ち等がありますれば、それに単価補正として加算いたします。それから暖房を行なう地域、これは寒冷地等でございますが、そういう場合におきましては暖房の補正もございます。それからただいま申し上げました数字は、一応予算積算上の全国平均の単価でございますので、これは北海道、東北あるいは東京周辺その他等に段階を設けまして、その単価の標準を四段階に分けまして操作しておりまして、いま私ども聞いております話といたしましては、何しろ物価が非常に急激に上昇いたしますので、それに先ほど大蔵省の主計官からもお話がありましたように、この予算編成にあたりましては、前年度と当該年度との労務費、資材費、その他費の構成割合を、前年度の比率を引き上げて積算されるわけでありますが、それ以上にアップ率が、物価が上がりますと非常に困難な場合も生ずるということになるわけでありますが、ここで申し上げてなんでございますが、まず最低限度のものは一応何とか積算をいたしておるつもりでございます。
  157. 門司亮

    ○門司委員 これは建物ばかりじゃありません。敷地もこれと同じような現象なんですよ。敷地につきましても、文部省はことし一平米出たり一万四千円ぐらいに見積もられております。しかし、いま大体都会で一万四千円で買えるところがどこかありますか。その辺をもう少し実質に合ったものの見方、私はここでこれから——時間がございません、約束の時間があと二分ばかりしかございませんので、多く申し上げることは私はできないと思いますが、お考え願っておきたいと思いますことは、教育費の中でやや満足に支払われておるというのが、学校の先生の給料ですね。これは法律的に実質額の半額となっておりますから、大蔵省で払わなければいかんとは思うのです。ところが、その他のものについては、大蔵省がかなりむちゃくちゃな——私に言わせればむちゃくちゃだといっていいと思いますが、単価を切り詰めて、そして指導してくる、お金を出してこない、そういうことが学校建築の一つの大きなガンになっていると思うのですよ。実際は用地などにつきましても、いま話しましたように、文部省の見積もりは非常に低い。自治省は幾らか高い。約一万六千円くらいに見積もっておいでになるようでありますから、その三倍で大体五万円、文部省はこれが一万四千円にしか見積もっていない。非常に低い単価で、そして基準をきめられて、それを全国平均だというようなことで押しつけておるということになりますと、都会ではどうにもならないということですね。  そこで、私は大蔵省にひとつお答えを願っておきたいと思いますことは、こういう平均単価ではどうにもならないものにつきまして、大蔵省はどういう配慮をされるかということであります。これは自治省としての配慮はあるいはできると思います。それは借り入れたお金に対する利息をどういうふうにするか、補助金をどういうふうに出すかということのいろいろ配慮の方法はあると思いますが、一番大もとの単価の問題についての配慮は自治省ですることはなかなかできないと思います。やはりこれは国がそれに対して十分補助金を出すということが当然でなければなりません。その上の起債や何か借金についての元利償還をどうするかというようなことについては、自治省に配慮してもらえばよいと思いますが、基本の問題について大蔵省にはっきりお答えを願っておきたいと思いますことは、非常に急激にふえております過密都市というようなところでは、学校敷地なんというものはほとんど得られないのです。こういう問題に対してどういうふうにお考えになっているかということをこの際お聞きしておきたいと思いますことと、それからもう一つついでに、これはあなたにこういうことを聞くと、それは所管違いだと言われるにきまっていると思いますけれども、実はかなりたくさんの国有地を持っているのですね。これらの問題を、一つの自治体の財産として国が払い下げて、そうして財産的のほかからの援助をするというようなお考えはございませんか。
  158. 原徹

    ○原説明員 単価の問題については、御指摘の点もございますので、文部省と十分協議をいたしまして、適切な単価になるように検討をいたしたいと思います。  それから国有地のお話は、もう御指摘のとおり、私どもの所管でございませんので、ちょっと答弁はできないわけでございます。
  159. 門司亮

    ○門司委員 では、これだけは大蔵省全体として考えておいてください。私がきょう申し上げましたのは、これから、かなりたくさんの例のアメリカさんの使っている土地が返されることになろうかと私は思います。これらのものが往々にして当該市町村に払い下げをされないでほかのことに払い下げをされるというようなことを考えますと、自治体としては、実際非常に長い間迷惑したものが根こそぎみんな人にとられてしまうような気がします。同時に、財政的に非常に苦しんでおります地方自治体に基礎的な財産を与えるということは、何といっても公有地をたくさん自治体に与えるということであって、そういう問題の配慮を大蔵省全体として考えておいていただきたい。あなたにこんなことを申し上げても、さっきのように、それは私の分じゃないということに結局なろうかと思いますけれども、もうこれ以上きょうは私は、ちょうどお約束の時間でございますので、質問を打ち切ります。
  160. 菅太郎

    菅委員長 岡沢完治君。
  161. 岡沢完治

    ○岡沢委員 私は、当委員会の守備範囲内で、公害対策についてお尋ねをしたかったわけでありますけれども、残念ながら山中長官もお見えにならないようでございます。私のあと林委員も御質問の予定でございますので、時間をしぼらせていただきまして、次回、先ほどの門司委員の御要求で総理大臣が出られるなりあるいは山中長官のおられるところで、きょう質問し残した点はお尋ねすることにして、時間的には二十分くらいで質問を終わりたいと思います。  最初に、公害対策限界と申しますか、最近のここ数カ月間、新聞、テレビ、マスコミ等を通じましてよくいわれますように、カラスの鳴かない日はあっても公害問題が取り上げられない日はないというくらいでございますけれども、だからといって、公害対策といいますか、公害責任をすべて国の予算でまかなう、あるいは地方公共団体予算でまかなうということはむしろ間違いではないか。本来的には、やはり公害の加害者と申しますか、公害原因者というものが公害責任の第一人者でなければならない。もちろん国あるいは地方公共団体の公害対策、公害責任というものを回避したり軽視する気持ちはございませんが、しかし、限界を明らかにすることがきわめて大切ではないか。この辺を、国務大臣として、また自治大臣として、公害対策、公害責任の原則についてどういうふうにお考えになるか、お尋ねいたします。
  162. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 公害発生の原因に応じまして、産業あるいは地方団体それぞれ合理的に、その損害に対する補償あるいは対策費を分担すべきものと考えております。そうして公害対策の本部におきましても、産業の責任に帰すべきものについては、原則的に産業が公害対策費あるいは補償費等の責めに任ずべきであるという基本の原則については、意思統一を見ておるところでございます。
  163. 岡沢完治

    ○岡沢委員 私も大臣の見解に異論はございません。いかに公害問題が大切だからといいまして、結局国なり地方公共団体だけの責任が表に出ました場合、公害の被害者である国民の税金によって公害対策を講ずるという矛盾が生ずるわけでありまして、公害責任の原則を明らかにしつつ、やはり公害行政上の責任と義務につきましては、われわれはこの際きわめてシビアに考える必要があろうと思います。先ほどの門司委員指摘にもございましたけれども、公害対策あるいは公害政策は、最終的にはその仕事をするのは自治体の職員ではないかと思います。苦情の持ち込まれるのも自治体であり、第一線住民の公害の被害面を最も知る立場にあるのも自治体でございます。ところが、現実には自治体に持ち込まれても権限はない、財源はない、人はおらない。けさほど来、公害技術者の養成の問題につきましても各委員から指摘がございました。人も金も権限も自治体には与えられておらないというような実態でございます。私は山中長官がおられたらぜひ指摘したかったわけでございますけれども、公害問題というのは、結局は地域住民の福祉に関連する問題だということに帰すると思いますが、そうとしますならば、むしろ公害行政のプロパーの所管は自治体、自治省だという見方もできるのではないか。自治行政の範囲内に公害行政が入るという見方も、むしろ実際の面を見ました場合にはあり得る、間違いではないんだ。けさほど来公害問題は国際的な問題だ、そういう巨視的な見方もできますけれども、より具体的に公害対策を実効あらしめるためには、むしろ自治行政が公害行政の主体であるべきではないかというような感じすら持つわけであります。そういう観点からいたしますと、きょうの理事会でも公害担当大臣が各委員会に出されておってはとてもからだがもたない、きょうはおるけれども時間的に余裕がない、産業公害対策委員会で質問したらいいではないかという御発言がございましたけれども、私はこの地方行政委員会、これはやはり公害対策実施面を担当する委員会ということになりましたら、ほかの委員会と違ったウエートで公害問題についての発言力あるいはまた権限を持つべきだし、私の私見ではございますけれども、公害対策本部長に総理がお立ちになることはよろしゅうございますが、副本部長は山中長官と並んで自治大臣がお入りになるというくらいの必要と価値があるのではないか、あるいは責任があるのではないかと思うわけでございますけれども、この辺についての自治大臣の国務大臣としての御見解をお聞きしたいと思います。
  164. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 縦割り行政の弊害が公害対策事業に最も顕著に、またそのものずばりであらわれてきたわけでございます。されば自治省があずかったらどうかという議論になりますと、縦割り行政を横に切ってどこで所管したらいいかという問題のむずかしさそのものがあらわれてくるわけであろうかと存じます。地方住民が直接に公害を受ける、したがって、地方公共団体との関係において公害というものがまた処理されていく。そうしてその地方公共団体の仕事を監督しておるのは自治省である。したがって、所管面からいってこれを横割りに考えた場合、少なくとも総理のもとにおいて総務長官と並んで副本部長の責務に任ずべきものであるとなりますと、一理もございますが、同時に、総務長官といえども、これは公害各発生源そのものに関する処理を扱う者としての機能を十分果たし得るかという問題もあります。自治省もまた、関係はいたしておりますが、各公害発生源の原因そのものについての機構を全部自治省内に整備すべきかという問題が解決されませんと、なかなか、自治大臣はこれに副本部長として関係すべきかどうかという問題の最後的解決にはむずかしい点がございます。しこうして、自治省に全部まとめるか。横に切った場合の公害対策関係の省庁を自治省の中に包含すべきだ。これはまたいろいろ多岐にわたり複雑な様相を含んでおりますので、なかなか実際問題としてはむずかしい面があろうと思いますが、しかし、少なくとも、地方住民の福祉につながる公害面につきましては、自治省が至大な関係にあることは申すまでもないのでございます。したがって、副本部長たるとたらざるとを問わず、重大な関心を持ちまして、自分の省に一義的に関係のあるものとして、これが対策のいろいろ関係面について、責任をもってこれに当たらなければならないことは申すまでもないのであります。したがいまして、公害対策に関する横の連絡機関の、公害基本法に述べられておりまする会議、ないしこれにかわる機構の整備活用につきまして、最も強く自治省としてはこれが創設及び運用につき発言をいたした次第でございます。したがって、公害対策本部におきまして、十分責任を果たすべく心がけておる次第でございます。
  165. 岡沢完治

    ○岡沢委員 公害対策基本法、いま自治大臣のおことばからも出ましたので、この際、例の生活環境の保全と経済の健全な発展との調和の条項、第一条第二項でございますか、現にこの法律は生きているわけでございますが、これに対して、いわゆる住民福祉を経済の健全な発達に優先して考えるという見解が、厚生大臣あるいは経企庁長官からも発言がございますが、自治大臣としては、この経済の健全な発展と生活環境、公害対策との関連についてどういう御見解をお持ちか、公式にこの際、お尋ねいたします。
  166. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 その点につきましては、この委員会において、過去におきましても申し上げましたし、また、先ほど土井先生からの御質問についても簡単に申し上げたところでございますが、去る六月十九日に自治省から世間に発表いたしました「公害防止対策の積極的な展開」という文書の前文におきましても、「今後の公害行政は、産業活動との調和よりも、住民福祉を優先するという方針に転換し、地方公共団体地域の実情に応じて自主的に公害防止を行なうことのできる途を拡大する必要がある。」こういうふうに述べておるのでございまして、公害基本法の第一条第二項の経済との調和という条項は削るほうが望ましい。また、関係の各種法令におきましても、同じような表現は、これをとると同時に削除をすべきものであるという見解と立場をとっております。
  167. 岡沢完治

    ○岡沢委員 公害行政地方自治行政の中でもきわめて高いウエートを占めておるということについては、見解が一致すると思いますけれども、今後の地方自治行政上における公害行政の比重について、自治省行政局長おられませんから、大胆からでも官房長からでも、どういうふうに考えておられますか。いかに重視するといいましても、具体的に機構、人員あるいは財源等についての裏づけがなければ、これは絵にかいたもちになるわけでございますが、その辺の今後の公害行政についてのウエートの問題をお尋ねいたします。
  168. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 たいへん大きな問題でございますが、最近、社会経済情勢の進展に従いまして、従来の、これは国の行政、これは地方団体行政、こういうことで、個々にと申しますか、国と地方との間で画然と境界を分けて行なう行政というものでない新しい行政の分野と申しますか、ジャンルの行政というものが出現してまいっているように思います。公害行政はその代表的なものでありますが、消費者行政またしかり、あるいは青少年問題またしかり、交通行政交通安全対策行政またしかり、そういう一連の行政と申しますのは、やはりこれは国の仕事、これは地方の仕事、こういうことでございませんで、国、県、市町村というものが一つの大きな行政のシステムをつくりまして、その中で個と県と市町村というものがそれぞれ機能を分かち合っていく、こういう形の行政になっているように思うわけであります。特に公害行政の場合でございますというと、私どもよく現地性、総合性ということを申すわけでありますが、公害の発生する地域、いわゆる地域性というものが非常に高い。したがいまして、国で画一的な基準というものをつくりましても、地方団体はそれにプラスアルファというものが地域の実情によって行なわれなければならない、こういうことが今朝来問題になっておるわけでございますが、法律と条例の関係につきましても、従来の考え方では律し切れない、そういう面の行政というものが、地方自治体に付加されておるというふうに考えるわけであります。そういうことで、非常に現地性と申しますか、地域性というものが高い。また、地域の住民の生命の安全ということを保持するということが、これは地方自治法第二条の規定によりまして自治体に付加された一番大きな基本の仕事でございますが、そういった面で、自治体の行政といたしまして、公害行政というものが非常に大きなウエートを持ってくる、これはもう間違いのないところでございます。やはり国は、全体的な面といたしまして、公害行政につきましては、技術的な基準の設定、あるいは助言、あるいは数府県にまたがるものにつきましての調整権限、あるいは公害の防止技術に関しまする開発、こういったものにおそらく権能というものは、将来の方向として、とどめられてまいる。実施機能というものは全面的に自治体にゆだねられる、こういうことでございまして、御指摘のとおり、その面におきましての人的な面での充足あるいは財政的な裏づけというものが、今後の大きな問題になってまいるだろう。お答になったかどうか自信がございませんけれども、そういうふうに存じておる次第でございます。   〔「名答弁」と呼ぶ者あり〕
  169. 岡沢完治

    ○岡沢委員 いま亀山先輩から、名答弁という御発言がございました。私どもも試験答案としては満点の答案だろうと思います。しかし、予算というのは政策を数字で裏づけたものといわれますが、具体的にいま人の面とか財政のことをおっしゃいましたが、予算の裏づけがなければ、これは絵にかいたもちでございます。時あたかも予算の要求期でございますが、具体的にいまおっしゃいました地域地方公共団体地域の特殊性に応じて公害防止に実際に役立つような道を開くために、人の面、金の面あるいは機構の面あるいは権限の面でどういう抱負を自治省としてはお持ちなのか。けさ来の自治大臣の御答弁あるいは官房長の御答弁を聞いておりましても、予算要求はきわめて遠慮しておられる。これはいわば絶好の世論的なバックアップもありますし、実際にまた行政上も理由のある、いわば公害対策予算の要求がきわめて貧弱である。機構的にも人の面でも金の面でも具体的にそういう面の裏づけがなければ、これは声はすれども実際の実効はあがらないことは明らかでございます。それだけ重要に思われるなら、予算要求の面において、あるいは機構の面において、あるいは技術面において、なぜ実行に移す努力をなさらないか、私はそこに帰してくると思うのです。この辺についての自治大臣の抱負、具体的にいま絶好の予算要求の時期であるわけですから、これほどいわば天のときはないわけなので、おそらく佐藤内閣としても内政上の最大の課題だと思うのですが、この際にぜひ裏づけのある政策実現するために、具体的に人、機構、特に金の面での御要求あるいは抱負が自治大臣にはあってしかるべきだと思いますので、明らかにしていただきたいと思います。
  170. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 予算面につきまして、先ほど御質問に答えて、総合センター設置の予算において多少欠けるところがあったことを申し上げたのでありますが、総合センターそのものの内容につきまして、内訳等いろいろ問題もございましょうが、監視、防止のための総合センターでございますので、大体はあれで足り得る。ただ設置の個所数等において多少配慮の欠けた点があるかと反省をいたしておるわけでございます。その他いろいろ機材等につきましては、各関係省からそれぞれ要望が出ておりますので、それらを総合いたしますればある程度の処置になろう。自治省といたしましては、総合センター、機材整備というものにつきましては、重複を避けましてああいうことになっておるということをお考えいただきたいと思います。  その他の人員等、各地方公共団体における処置につきましては、交付税の基準財政需要額の立て方において格段の処置を講じてまいる所存であります。  なお、機構等におきましては、本省におきまして国と各地方団体または地方団体間相互の連絡調整をはかるために、自治省におきまして公害対策課、仮称でございますが、これが設置を考えまして、これの予算概算要求をいたしておるわけでございまして、ただいま官房長から申しましたとおり、権限の委譲その他根本的な対策等につきまして、少数精鋭、能率主義をもって、十分公害対策の重要性を認識しつつ対処をいたしたいと考えてます。
  171. 岡沢完治

    ○岡沢委員 約束の時間ですので、終わります。
  172. 菅太郎

    菅委員長 林百郎君。
  173. 林百郎

    ○林(百)委員 私も公害問題について自治省にお尋ねしたいのです。きょうもいろいろ一線で、公害問題に取り組む自治体としての諸問題が提起されていると思うのですが、その中でやはり財政問題が一つの大きなネックになっているのじゃないか。これが裏づけられないと、全く絵にかいたもちになるし、第一国民の期待に沿い得ないことになると思いますが、時間の関係もありますので、この点にしぼって質問をしてみたいと思うのです。  まず、大蔵省いますか、大原参事官は。
  174. 菅太郎

    菅委員長 いますぐ見えるそうですから、ちょっと待ってください。
  175. 林百郎

    ○林(百)委員 大蔵省がいないとしますと、それでは自治省にお聞きしますが、公害対策基本法の十九条で第一次の計画策定の指示を受けております千葉県、岡山県、三重県のそれぞれ千葉市、市原地区、水島地区、四日市地区ですか、これの計画策定が、いまもって総理大臣の承認を得るという段階まできておらない理由はどこにあるのですか。
  176. 立田清士

    ○立田説明員 ただいまお話しの三県の公害防止計画の策定は、昨年総理大臣から公害対策基本法の十九条に基づいて指示が出ております。そこで、その後ことしにかけまして、三県がそれぞれ公害防止計画内容についての策定をしてきておられるわけでございますが、現在まだ提出されていないことは事実でございます。その理由といたしましては、県のほうでいろいろ案を策定され、その内容において国のいろいろ補助対象になる事業等もございまして、関係省庁とのいろいろな折衝がなされ、それにつきましてまた国のほうの各省からいろいろな意見が実は策定過程において出されておりまして、これに基づいてまた現在三県のほうでその案について最終的な練り直しをしておられる、こういう段階でございます。  その過程におきましては、この防止計画実施のための財源関係をどう見るかというようなことも、いろいろ県側の御意見としてはあったわけでございますが、いずれ近い段階においては、最終的に策定されて提出されるようになるのではないか、こういう段階に来ているかと思います。
  177. 林百郎

    ○林(百)委員 財源の問題ですが、これはもう各新聞にも発表がありまして、「もたつく公害防止計画の策定、千葉、市原、四日市、水島」「費用負担片づかず、政府の熱意疑う県、市」というような見出しなんです。見出しだけ読んでいるのです、中身を読むと限りがありませんから。そうしますと、その提出された計画の中の予算ですけれども、一体予算は幾ら必要として、そのうち国が幾ら負担をし、企業が幾ら負担をし、地方自治体が幾ら負担するという計算に当初案ではなるのですか。その計算をちょっと示してください。
  178. 立田清士

    ○立田説明員 まだ現在三県からは正式な提出はございませんということと、もう一つは、公害防止計画そのものの内容には、経費の見積もりについては、これは参考資料として提出されるわけでございまして、計画そのものでは実はないわけでございます。そしてその策定過程において、いろいろ各省の意見を聞いたり、あるいは国のほうで策定の技術的な点についてのいろいろな考え方を述べてきておるというのが現在の段階でございまして、その中間において、おそらくいま新聞紙上等で御指摘のような数字が出ているということはあろうかと思いますが、それ自体はまだ正式に提出されているものではございません。
  179. 林百郎

    ○林(百)委員 数字も出ておるのですよ。自治省の立田参事官、もう数字も出ていると思う。そんな隠しごとを言ってもしようがないのです。そうすると、この基本方針で基準に達する年度は何年になっているか、知っていますか。
  180. 立田清士

    ○立田説明員 先ほど新聞紙上に出ているという数字は、約九百九十億の数字かと思います。その案につきましては、現在県自体としては、もう一回三県とも練り直しをしておられますので、事業費は変わってまいると思います。そういう意味で、その九百九十億という数字は過渡的な数字でございまして、現在においてはそれ自体も別に提出された数字ではないということをちょっとお断わりしておきたいと思います。  それから計画自身としては、昭和五十年を目標にしての計画ということになっております。
  181. 林百郎

    ○林(百)委員 そうですね。だから基本方針ですと、昭和五十年までに基準を達成するようにということになっているわけであります。そうすると、またことしできないということになりますと、まだ総理大臣の当該計画の策定の承認を得ないということになると、間に合わないことになるのじゃないですか。それじゃ五十年が変わるということですか。
  182. 立田清士

    ○立田説明員 したがいまして、計画自体は、いずれことしの秋には提出される予定に実はなっております。当初の予定はもう少し早かったわけでございますけれども、その後いろいろ三県間で内容について練り直しをしておられますので、現在、近くといいますか、この秋には提出をいたす予定になっております。それで、その計画自体も、いまお話がございましたとおり、昭和五十年目標ということ自体は変わらない、こういうことになります。  そこで、いま御質問の問題点といたしまして、提出がこれからになるとしますれば、その事業実施、それから今後の問題ということで、事業実施自身が五十年より延ばさなければ間に合わないのではないか、こういう点だろうと思いますが、そういう点については、これが提出されますれば、これに伴う実施財源等も早急に国として固めていこう、こういうような前提になっております。そういうことで、事業実施の確保については、計画自身をいまの段階では目標年次を変更するということは考えておらない、こういう状況でございます。
  183. 林百郎

    ○林(百)委員 新聞の発表するところによると、九百九十億で、国が二百八十五億、企業が五十億、六百五十一億が地方自治体の負担ということで、これではとても公害防止計画実施は都道府県、自治体としては責任が持てないということになる。あなたとしても練り直しすると言っていますけれども、練り直すというのは、どこをどう練り直すのですか。その練り直しの内容を知らしていただきたい。
  184. 立田清士

    ○立田説明員 練り直すと申し上げましたのは、三県が現在すでに練り直しをしておいでになるということでございまして、県のほうがなすっておるわけでございます。それで、おそらく九百九十億という数字が変わってくるだろうというふうに私たちは予測をいたしております。逆にいうと、まだ最終的にはわかりませんけれども、九百九十億よりはふえてくるのではないか、そういうふうにわれわれは感じております。  それから財源区分の問題でございますが、現在はそれは変更されるであろう——前の九百九十億という財源について、国庫補助金あるいは地方負担あるいは企業負担というのを、三県がそれぞれ御自分のところの一つの方式で計算をしておいでになった数字は、そういう区分になっておるわけでございます。この企業負担の見方あるいは国庫補助の見方等につきましても、全体の事業費そのものが変わってくるということが予想されますが、その際におそらくいまの国庫、地方、それから企業、この負担の割合等について、あるいは金額等についても同様に変わってくる、こういうことになろうかと思います。したがって、いま三県がそれぞれ御自分のところで最終的なまとめをしていらっしゃる、こういう段階でございます。
  185. 林百郎

    ○林(百)委員 私のほうの立場としては、企業はばく大な利益は当然これをはき出して、そしてこの負担を負うべきである、こう考えておるわけなんですが、そうすると、練り直しの前の案の九百九十億の場合は、一体国はこの中で幾ら負担することになっていたわけなんですか。練り直しというのは、どこかの指示がなければ練り直すということはないわけでしょう。どこが指示して練り直したのか。そうしてその指示はどういう内容で練り直すようになったのかということです。
  186. 立田清士

    ○立田説明員 非常に事務的なことを申し上げてたいへん恐縮でございますが、この三県に内閣総理大臣が指示されますときの国の役所の窓口としては、実は厚生省になっておるわけでございます。厚生省が三県にその指示をまとめて国の窓口として指示しております。そして関係省庁は、厚生省を通じまして、厚生省がまとめていろいろ各省の意見を三県に申し述べている、こういう段階でございます。  それで、先ほどおっしゃいました九百九十億というのは、三県がそれぞれ御自分で指示に基づいた内容として事業計画一つの素案としてお考えになった案でございまして、事前に、こういうふうな指示に基づいた内容であるけれどもどうであろうかというような意見を、県のほうから国のほうへ求めてきて、これは厚生省を通じてでございますが、それについてまた各省の技術的な意見が出る。そういうことを参考にしながら県自体が——まだ練り直すということばを私が申し上げたのは適当でなかったかもしれませんけれども、最終的な案のまとめに入っておるわけであります。したがいまして、そういう最終的な案がいずれ正式に内閣総理大臣に提出される。ということは、事務的には厚生省を窓口としておりますので、提出されて、そして所要の国の政府機関の手続がとられていく、こういうことになろうと思います。
  187. 林百郎

    ○林(百)委員 これは大臣にお聞きしたいのですけれども、実は基本法の十九条に基づいて三県に計画策定の指示をしたのが昨年の五月なんです。一年以上たっているのに、まだ練り直しているとかやり直しているとかいう話をしているわけですね。これでは公害対策基本法の十九条を適用しようと思っても、これは全く実効を疑わざるを得ないわけなんですけれども、この基本法の第十九条第二項にある防止計画の作成をして、提出をして、内閣総理大臣の承認を受けるというのは、いま立田さんの御答弁だと、ことしの秋にはなると言う。秋と言ったって、もう秋なんですから、秋もいつになるのか。だいじょうぶことしじゅうに承認が得られるのですか。あるいは場合によると、この五十年というのは変わるかもしれないというのですか。これは重要な政治問題ですから、大臣の御答弁を得たいのです。
  188. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 いろいろおくれてまいったのは事実でございますが、これが提出されれば直ちに承認されるという——その間にいろいろ事情があり、厚生省主管でいろいろ取り扱っておりまして、そのほうとの関係がいろいろあるようでございます。したがって、五十年までという期限については、おくれるかどうかという点については、そのときになって、あまりにもおくれるとなれば、これは機宜の処置もとられると思います。また、この計画のうちの一部はある程度実際上済んでおる部門もあろうかと思います。そういう面も含まれると思いますが、十分機宜の処置をとることによって最終年度を延ばさずに済ませ得るかとも存じますが、ひとつその作業の完了の状況を待って必要な処置がとられるべきかと思います。ただ、費用分担等につきましては、二十二条の、事業者の負担の部分、費用の範囲等についての法律がまだできておらない。この点についても、したがって急いでおりまして、この間いろいろ打ち合わせもしたようなわけでございます。したがって、先ほど来いろいろお尋ねの、かりに九百九十億、その費用分担がどうなるかという点についても、およその民間での仕分け目標が便宜上いろいろ予想されておりますけれども、半ば公的にもどういう形で費用分担するかという点につきましても、基本の原則だけはさまっておりますけれども、まだ細目がしっかりしておりませんので、そういう数字は出ないわけでありますが、自治省といたしましては、先般林先生にも御参考にお見せいたしましたあの基本的態度によりましてひとつ主張をしてまいりたい、合理的な費用分担区分をひとついたしたい、こう考えておるところでございます。
  189. 林百郎

    ○林(百)委員 自治省の財政的な処置についての資料の拝見はしております。おりますが、しかし、これも非常に一般的で、もう現に期限が限られて、いつまでにこうしろというような事案に対しての対策を私は聞いておるので、一般的な財政方針について聞いているわけじゃないのです。  そこで、いま大臣もお答えになりましたけれども、基本法の二十二条の、負担部分については別に法律で定める。「前項の規定により事業者に同項の費用を負担させる場合における負担の対象となる費用の範囲、費用を負担させる事業者の範囲、各事業者に負担させる額の算出方法その他その負担に関し必要な事項については、別に法律で定める。」これがないということで、さっきからも、これがまだ法律できまりませんのでまだ具体的にコンクリートいたしませんという答弁。これはいつおきめになるのですか。
  190. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 その作業を非常に急いでおるのでございまして、臨時国会等に、御要求がございますが、ぜひ間に合わせたい、こう考えて、対策本部も努力されておるところであろうと存じております。
  191. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、もし公害問題で臨時国会でも開けば、いつでも提案できる態勢になっているわけですか。
  192. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 臨時国会の召集も、それはもう成規によって御要望が野党方面からあるわけなんですから、これは開かれなければいけません。しかしながら、開かれたらすぐ出せるか。いや、多少そういうものを整備する時間はお待ち願いたいということに相なる道理だと思います。これは私の必ずしもお答えする範囲ではございませんけれども、関連していまお尋ねがありましたので、見解を申し上げた次第でございます。
  193. 林百郎

    ○林(百)委員 時間がありませんので、大蔵省見えましたね、お尋ねしますが、もうそろそろ四十六年度予算の概算もされておると思いますけれども、この公害対策プロパーで——公害といったって、いろいろ環境衛生から何から、入れれば限りないわけですが、新しくいま公害が問題になってきている。この新しく発生してきた公害に対する対処のための予算措置というのは、一般財政で幾ら、財政投融資で幾らとなっているのですか。あるいはそういうことは別に考えておらないのですか。
  194. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 私、主計局が非常に作業中なものですから、官房の審議官でございますが……。  お尋ねの予算の問題でございますけれども、すでに先般の通常国会におきまして、公害予算内容がどういうものかということにつきまして資料を提出しております。それはどこまでも四十五年度予算が幾ばくであるかということについての整理をしたものを提出しておるわけで、新しい四十六年度予算としてそれに対応するものがどれだけであるかということにつきましては、御承知のように、現在まだ、概算の集計を急いで、ようやく概算としてどれだけであるというような数字をやっている段階で、個々の公害対策に該当するものが関係各省どれだけあって、それがどれだけの集計になっておるかというようなことにつきましては、明確なところはわかっておりません。しかし、ごく大まかに集計をさせたところによりますと、約千百億前後の数字になるだろうというふうに聞いております。
  195. 林百郎

    ○林(百)委員 それは一般会計ですね。財投は……。
  196. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 財投のほうは、これもベースのとり方が非常にむずかしゅうございまして、御承知のように、財投の場合には、関係行政機関に財投原資を入れまして、その関係行政機関がどれだけの事業に金がさけるか。その中に、自己の原資も入りましょうし、よその借り入れ金だとか回収金であるとかというようなものが入るわけでございます。そういう数字を見きわめないと、実は幾らの金額になるかということは明確にはお答えできない状況でございます。  財投の諸資料につきましても、四十五年度の財投につきましては、もうすでに数字を提出しておったかと思いまして、私の聞いておるところでは、財投合計、地方団体分も含めまして、千百三十八億でなかったかというふうに思っておりまして、新しい四十六年度の作業につきましては、そういう、中でクッションが入りますので、各政府関係機関予算の査定が済み、しかも、さらにその中で実態的にワクで設定されるものについては、その内訳が実施計画その他で裏打ちをされないと、金額的には明確にならない、そういう性格のものでございます。したがって、四十六年度の財投が幾らであるかということについては、現在の段階で数字的にはあまりはっきりはしない。しかし、いずれにしても公害対策ということで関係各省相当力を入れて、財投についても要求を行なっておる模様でございますので、相当程度の伸びを示した要求が行なわれておるのではなかろうかというぐあいに判断をしておる次第でございます。
  197. 林百郎

    ○林(百)委員 これはあなた大臣でないのですから、嶋崎さんに政治的な問題を申し上げるのもなんですが、私のほうで調査したところによりますと、予算の概算要求額が一般会計では、ことしの七兆九千五百億を二三%を上回る約九兆七千億、これは沖繩対策費等が含まれますと約十兆近くなる。それから財投は、本年度計画三兆五千八百億をおそらく七、八〇%上回る要求額ですけれども、六兆円近くの要求がいま出ておるのではなかろうか。それから防御関係費は約六千九百七十七億円、ことしの予算に比べて千二百八十億、二二・五%増、これに喧嘩債務負担行為や継続費二千九百億を入れると約一兆円、それから対外経済協力費は、国民総生産の一%ということになりますと、国民総生産七十二兆円として、その一%七千億、これらの費用と比較してみますと、公害対策費の一般予算一千百億も非常に少ないと思うのですね。これでは、口では政府が本気に公害対策に取り組んでいると言っても、財政的には全く取り組んでいないと同じと言っても過言でない、こういうふうに思うわけです。これはどうですか。
  198. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 御指摘のように、大臣でありませんので、あまり大局的なことは申し上げにくいのでございますけれども、御承知のように、公害の問題につきましては、その発生源あるいはその公害発生の責任がやはり企業の面にあるということは非常に大事なことであります。したがって、公害関係のいろいろな費用というものにつきましては、発生源である企業原則として負担をすべきものであるということははっきりしておかなければならない問題であろうというふうに思っております。先ほど御質問のありました公害基本法の二十二条の問題につきましても、いろいろな方面から議論は出ておりますけれども、われわれの考え方としては、やはりそういう基本的な原則を確認する形で制定をされなければならないというふうに思っておるわけです。  その後の国の負担あるいは国費でもってする公害対策をどういうぐあいにやっていくかということにつきましては、御承知のように、公害問題というのは古いようでもありますけれども、特に最近わが国の経済の非常に高い成長の結果として、その集積の結果が顕在化してきた問題でございます。そういう意味で、すでに大蔵省としましては、先ほど申し上げましたように、下水道等の問題も含めて昨年七百数十億の一般会計予算を組んでおるわけでございます。というのは、当初の予算は七百四億でございましたけれども、その後、御承知のように、実施計画で一応ワク予算できまっておるものの中で、たとえば調整費という中で具体的に公害に使っていくということで金額が確定しておる分がありますから、そういうものを考えますと七百数十億になろうかと思います。そういうお金をつけておるわけでございます。  それから御承知のように、財投におきましても、日本開発銀行なりあるいは公害防止事業団なりあるいは中小企業なり国民金融公庫なりというようなところで、それぞれ公害関係の施設のために財投ワクというものを考えておるわけでございます。さらにまた御承知のように、重油脱硫というようなことで、昨年はキロリットル当たり三百円というようなことで、公害防止のために重油の減免税を行なっておる。さらに国税の面におきましては、防止施設につきまして特別償却を認めるというようなことで、一般会計のみならず、財投の面あるいは税制の面でも、公害問題については相当重要な問題として取り上げてきておるわけでございます。  すでに御承知だと思いますけれども、福田大臣も四十六年度の予算編成につきましては、公害問題というのは一つの重点施策として考えていくべきであるというようなこともたびたび新聞等に語られておるところでございます。われわれも関係各省の予算要求を受けまして、できる限り充実し、かつ予算でございますから、効率的な内容の公害対策が遂行できるように検討いたしたいというふうに、われわれ事務当局も考えておるような次第でございます。
  199. 林百郎

    ○林(百)委員 経済の高度成長政策の結果、公害列島とまでいわれる事態が発生している、したがって、この基本的な責任は大企業にある、財政的にも大企業がまず負担をすべきである、いままでの利益をはき出してでも人命の尊重のためには公害対策の処置をすべきである、これはわかっています。あなたもまた、それもあるからと言っている。それもあるからなら、この基本法二十二条の法律を立法して、こういうふうに立法さして企業にこういう責任を負わしておりますから、昭和四十六年度の概算で一般予算からの支出は一千百億となっていますけれども企業にこういう負担をさせていますと言うならわかりますよ。しかし、あなたがいま言われておる、企業が責任を負うことになるのが財政の原則ですということなら、まずこれを立法しなければいかぬじゃないですか。ところが、いまの答弁を聞けば、企業にどう負担させるかという負担分についての立法が全然なされていない。そのことのためにいろいろな公害の計画が隘路に衝突してしまって、デッドロックに乗っかっているわけですね。そこをいま私は質問しておるわけですけれども、その参考としてあなたに一つ聞いたみたわけです。  そこで、また自治省に戻りますが、ことしの七月二十四日に公害防止計画委員会が東京、大阪、神奈川の三都府県の基本方針案を政府に提出したわけですけれども、これについては基本法による基本方針がまだ策定されておらないわけです。厚生省で発表して発表されっぱなしになっておるのですが、これは何が問題になっておるのですか。公害がいま一番問題になっておるのは東京、大阪、神奈川なのに、また厚生省が案を出したというのに、これが基本方針として関係都道府県に指示されておらないというのは、どこに問題があるのですか。
  200. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 ちょっと私の答弁で誤解があるんじゃなかろうかと思います。御承知のように、現在でも国では一般的な環境基準というのはきめておりまして、それに対応して排出基準というものをきめておるわけでございます。御承知のように、排出基準を守るために企業が費用負担をしているということは事実でございまして、私のことばが足りなくて、何か国の財政投融資をしているから——財政投融資というのは、御承知のように、一応借り入れ金でございます。そういうことをしているから、企業側が全然負担していないととられると非常に困る。特に基本法の二十二条という規定は、国または地方公共団体が公害防止事業を行なったときに、その費用負担企業がどれだけ持つべきかということをきめる話でございまして、公害防止事業を国や地方公共団体がやった場合の負担の率をどうきめるか一すでにそれよりもはるかに先行しておるところの環境基準なりあるいはそれの結果として排出基準がありまして、その排出基準を守るために企業は相当の投資をしておるということとは関係ありませんので、その点は御了承願いたいと思います。
  201. 林百郎

    ○林(百)委員 それは嶋崎さん、わかり切った話をしているので、しかし、待ったなしで防止計画実施しなければならない段階にきて、具体的な計画も指示したり、ことに末端の自治体としては直接住民に対して責任を負わなければならないことになっておるわけですよ。その財政的な措置が、基本法の二十二条の企業負担部分が立法的にきめられないというところで大きなネックになっているという、非常に具体的な問題について私はいま聞いているわけです。  自治省にまた戻って聞きますけれども、厚生省から東京、大阪、神奈川、三都府県に出ている、これは新聞にも大きく発表された。新聞にこれが基本方針として発表されたにもかかわらず、計画策定の指示がされておらない。これは一体どこに原因があるのですか。
  202. 立田清士

    ○立田説明員 ただいま御指摘のとおり、東京、大阪、神奈川について今年度内閣総理大臣の指示が予定されております。それで現在、中央の公害対策本部を中心にしまして、基本方針の策定についていろいろ検討をされております。こういう段階にありますので、いずれ正式な指示が基本方針が策定されますれば出るのではないか、そういうふうに考えております。
  203. 林百郎

    ○林(百)委員 これも新聞で、たしか日経だと思いますけれども、「絵に描いたモチの心配 公害防止計画基本方針 肝心の経費素通り 「十年ではおそい」と地元」こういうことが新聞に出ておるわけなんです。この三県の第一次が九百九十億円ですか、負担だということにかりになるとすると、いま練り直していると言いますが、今度の新しい東京、大阪、神奈川は約五千億になるだろうということなんですね。そのことの裏づけも何にもないということも一つの大きな原因で、そして三都府県に総理大臣から計画の策定の指示をするどころか、これが基本方針にもならないということがここにあるのではないか、こういうことなんですね。  といって、ここで誤解のないようにしていただきたいのは、私は先ほど嶋崎さんにも言ってあるのですけれども、私の言っているのは、公害が発生することを防止するための責任は、当該企業がばく大な利潤を得ているんだから、これを発生源において吐き出してやるべきだということで、いま皆さんにお聞きしているのは、国や地方自治体が国民や地域住民に対する責任として予防措置なり適切な措置をするという部分について聞いているわけです。発生源まで国の費用でやる必要はないと思うのです。これは大企業が長い間ばく大な利益を得ているのですから、それを吐き出して発生源で直ちに措置しなければいけませんけれども、しかし、いま現にこういうような企業がもう蔓延してしまって国民や地域住民の健康と生命を脅かしているわけですから、それに対してとりあえずの国と地方自治体の措置としてやらなければならない問題について聞いているわけです。そこで、さっき言った第一次の三都府県もいまデットロックに乗っている。これは練り直すということばで立田さんから答弁があった。それが今度は東京、大阪、神奈川——これは大臣にお聞きしたいのです、これも重要な政治問題ですから。ことし間違いなく総理大臣からこれが基本方針として計画策定の指示をされるのですかどうですか。これは間違いないのですか。間違いないとすれば、いつごろになるのですか。大臣がここで責任ある答弁ができますか。
  204. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 中央の公害防止対策本部で基本方針を練り、それの完成をまちましてこれが指示をするように極力急いでおります。私、当該責任者ではございませんから、責任あることはまたしかるべき当局者をお呼びになってお尋ねを願いたいと存じます。
  205. 林百郎

    ○林(百)委員 ですから、公害基本法がありましても、お聞きしますと、政府が本腰を入れて取り組んでいるということは全く口先だけで、基準は示されているけれども、それを裏づける財政的な措置もないということで、非常に私たちは心を痛めているわけです。  そこで、警察庁見えておりますか。新聞で見ますと、警視庁が非常にけしかわぬことを九日の東京都都市公害対策審議会総会で言っておるわけですけれども、この真意をひとつ説明願いたいと思います。  いま言ったような非常に重大な段階に立ち至って、もう国民全体が公害の撲滅のために総力をあげているというときに、警視庁の総監代理の小野島防犯部長が「光化学スモッグについては、自動車排気ガスが必ずしも原因ではないという意見や、人体に対する影響も後遺症がないという意見があるなど、因果関係がはっきりしていない。公害行政全般について行政官庁の技術的、科学的分析が不十分である。警視庁としては公害問題に対し積極的に取組む姿勢でいるが、交通規制は都民の生活に大きな影響をあたえ、権利侵害ともなりかねないので、慎重に考えている。交通規制だけが特効薬のように見られているが、科学的な原因の究明がなされていないうえ、道路・都市改造など総合的な対策が必要だ」こう言っているわけです。これはもう一昨日も交通対策特別委員会へ山中総務長官が来て、交通規制の問題については、交通禁止の天国だとか交通禁止の通学路だとかいうことで非常に評判がいいので、これは全国的に広げていくつもりであります、積極的にあの政策はとっていくつもりです、いろいろな地域の事情は参酌しますがと言って、国務大臣が積極的に取り組もうとしているときに、警視総監代理が、第一、光化学スモッグについては排気ガスが原因かどうかもわからない、そんな交通規制するのは都民の生活に大きな影響を与える、権利侵害だから、これも積極的にやるかどうか慎重に考えなければならない、むしろ道路、都市改造など総合的な対策が必要だということで、水をかけるようなことを言っているわけですけれども、これはその後調査されましたか。光化学スモッグが必ずしも人体に対する影響とか後遺症もないところを見れば、どうも光化学スモッグと人体に対する影響との因果関係がはっきりしないなんということを言っているんですか。
  206. 久保卓也

    ○久保説明員 まず御指摘のように、警察庁がけしからぬことを言っていることでないことはおわかりになると思います。
  207. 林百郎

    ○林(百)委員 いや、わからないです。けしからぬことを言っているのです。
  208. 久保卓也

    ○久保説明員 私ども警察庁で、警視庁ではございません。警視庁の防犯部長がどう申したか私は新聞でしか知りませんが、新聞の記事には責任を負えません。そこで、私ども警察庁がどう考えているか、あるいは警察庁と警視庁で協議をしてこの問題についてどう考えているか、それは御答弁できます。  なお、いま御指摘の御質問については、これは私どもが調べるということではございませんで、厚生省及び東京都に調べてほしいということを従来から申しております。
  209. 林百郎

    ○林(百)委員 これは調べたんですか調べないのですか。調べてないからよくわからないというのですか。何かあなたの答弁よくわからないのですが。要するに、「光化学スモッグについては、自動車排気ガスが必ずしも原因ではないという意見や、人体に対する影響も後遺症がないという意見があるなど、因果関係がはっきりしていない。」こういうようなことを言ったんですか、言わないのですか。事実関係だけお聞きしましょう。
  210. 久保卓也

    ○久保説明員 防犯部長がその限りでどういうことを申したか私どもは知りませんし、調べておりません。
  211. 林百郎

    ○林(百)委員 では、調べてないあなたに幾ら聞いてもしかたないから、念のために調べて、事実を私のところへ知らしてくださいませんか。  ではこの問題はこの辺にしておきます。  自治省の「公害防止対策の積極的な展開」にもそうですし、「公害防止事業に要する費用負担に関する研究」という公害防止費用研究会のほうでもそうですけれども、公害防止に必要な費用を財政需要額に組むという点ですね。これは午前中の質問ではどうも答弁がはっきりしないのですが、これは当然財政需要額の中に組んで地方交付税の対象になるというように聞いておいていいのですか。
  212. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 ただいまお話のございました負担区分の問題は、主として費用負担についての研究会の報告だと思います。ただ、それ以外に、いわば国なり地方公共団体が公害防止に関しまして負担をすべき部分について、国と地方とでどういうふうな負担割合をとるべきかということにつきましては、私どもも現在いろいろ検討を進めておりますが、現在の公害対策の重要性にかんがみまして、国の負担というものについても十分国のほうで検討していただきたいということを話しておるわけでございます。その結果、地方負担になります部分につきましては、その財政需要の内容によりまして地方交付税の措置なりあるいは地方債の措置なり、それぞれ必要な財源措置をとる必要があるというふうに考えております。
  213. 林百郎

    ○林(百)委員 何だかはっきりしないですが、これは公害防止費用研究会のほうのは、この中に特に「国の地方公共団体に対する財政上の助成措置」というのがありまして、その中でいろいろありますけれども、たとえば国の補助率の引き上げ、起債ワクの拡大、地方交付税の改善とあって、基準財政需要額の中に算入することを配慮すべきであるという意見もある。それから大臣のほうからいただいた自治省の「公害防止対策の積極的な展開」の中にも、「公害防止施設の整備に要する地方公共団体負担については、地方交付税、地方債等の措置を充実する。」とあるから、これは必要な財政需要額の中に算定して地方交付税の対象になるんだな、こう聞いておるわけですから、それを答えてください。
  214. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 ただいま御指摘のとおり、その財政需要の内容に応じまして、地方交付税の算定上基準財政需要額に算入すべき部分あるは地方債の措置をすべき部分、それぞれあります。
  215. 林百郎

    ○林(百)委員 もう一つ、これは私のほうも自治省からあらかじめ御意見も伺ったわけなんですけれども地方自治体の公害対策に対する財政的な措置がてんでんばらばらに入ってきているというわけですね。要するに、各省別に縦割りで入ってきている。だから、これをこのままにしておくか、あるいはこれを一本の公害対策というプールにするかどうか、あるいはプールにした場合、自治省が掌握するかどうか、特別な措置を必要とするのではなかろうか、こういうことは検討しているというのですが、この辺についての特別措置を何か考慮しているかどうかという点が一つ。  それから大臣、いまの交付税の対象にするという場合、地方交付税法の別表を改正する御意思ですか。このままにしてその中の何かの項目の中に入れるつもりですか。その点を大臣と当該係官にちょっと質問したいのです。
  216. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 基準財政需要額の算入にあたりまして、その公害対策内容によりましては、農林行政の面でありますとか、あるいは水産行政の面でありますとか、あるいは商工行政の面でやらなければならぬ部分も相当あるかと思います。それで、現在それらのいろいろな各事業関連のものは、それぞれの費目に必要額を算入するという方式をとっておりまして、現在まとめておりますのは、いわば公害対策の事務費関係、苦情処理あるいは公害対策審議会等の経費とか、あるいは監視、測定の関係経費といったようなものは、各行政面のいわば共通的なものでございますので、そういうものはまとめておるわけでございます。そういうことで、四十六年度以降どういう措置をとるかということになりますけれども、公害対策費を一本で計上したほうがいいのかどうかという点は、まだ私どもも十分結論を出しておりませんが、いまの段階ではやはりそれぞれの行政分野に応じた算入をしたほうがいいのではないだろうかというような感じがいたしております。まだ現在いろいろ今後の問題を検討いたしておりますので、その検討の過程におきまして適切な結論を出してまいりたい、かように考えております。
  217. 林百郎

    ○林(百)委員 大臣、別表のほうはどうなんです。
  218. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 別表を変える意思はいまのところはございません。
  219. 林百郎

    ○林(百)委員 これは私見ですけれども、やはり別表は変えて、公然と公害対策という費目を設けたほうがいいのではなかろうか、それから縦割りで各省から来ている補助金は、やはりプールにしまして弾力性を持たして、地方自治体が臨機応変に使うような方法考えられたほうがいいのではないか。これは私見ですから、また将来の研究項目にしていただきたいと思います。  最後に、不交付団体に対する問題ですが、これも午前中質問がありましたけれども、どうもはっきりしないので、私なりに最後の質問で確かめておきたいのですが、さきに計画策定の指示のありました千葉、岡山、三重を見ますと、千葉の袖ガ浦町、君津町が不交付、三重の四日市も不交付団体ですね。それからたしか東京都、大阪、神奈川はいずれも不交付団体ではないかというように思います。そこで、不交付団体は富裕団体だからということで、財政的な裏づけが軽視されるということになるとたいへんなことになります。たとえば四十五年度の例、東京都に直接問い合わせてみましたところ、大気汚染と水質汚濁に対する都の予算として五十五億組んだそうですけれども、これに対して国の補助金は六百万円だというのですね。これは富裕団体とはいいながら、東京都、大阪、神奈川というような、将来日本の人口の圧倒的多数が集中するような地域の自治体の公害対策としてこんな国の補助では、これは国はもう手放しているということになると思うのですけれども、この不交付団体に対する国の財政援助の点について、自治省としてはどういう見解を持っているのですか、ここではっきり聞かしてもらいたいと思うのです。大事なことですから、あとで大臣からも聞かしてもらいたいと思います。
  220. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 先ほど申しましたように、公害対策について必要な財政需要額につきまして、交付税の算定上は必要額を基準財政需要額に計算をし、その地方団体の財政需要を正しく把握していくという措置をとるわけでございますけれども、その反面、不交付団体の場合には、収入額が相当超過をする、こういう関係で交付税の面では確かに交付税が交付されないということになるわけでございます。ただ、不交付団体なるがゆえに補助金を削減するとか——あるいはその他地方債の措置等もあるわけでございます。そういう面で必要なその年度の特別の事業費につきましての配慮は十分行なえているのじゃないだろうかというふうに考えるわけでございます。交付税だけを見ますと、確かに不交付団体になりますけれども、その他の財政措置という点につきましては、それぞれの地方団体の財政需要に応じました適切な措置をとってまいるつもりでございます。
  221. 林百郎

    ○林(百)委員 ちょっと大臣答弁の前に……。最後に大臣答弁していただいて終わりますが、起債があるということなんですけれども、起債は言うまでもなく借金になって返さなければならないわけなんで、国家的な事業を現地で第一線の地方自治体が行なうという場合に、そのために自分が借金をしなければならないというたてまえは正しくないんで、不交付団体とはいえ、国の補助、助成で十分見てやる必要があるし、それから基本法の中にもそのことは二十二条に規定されているわけなんですから、十分これは見てやらなければならないように思います。ことに東京、大阪、神奈川といえば、日本の国で人口が最も密集し、企業が最も密集している地帯に対する重大な問題で、政治的な意味もありますので、大臣答弁を求めまして、私の質問をこれで終わりたいと思います。
  222. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 公害の問題は、申すまでもなく、大事な社会問題でもありますし、これに対する財政措置として、交付税関係においては、ただいま事務当局から御説明申し上げましたとおり、また午前中局長からも答弁のありましたとおり、不交付団体でございますので、その点については交付税関係の配付はできないのでございますが、しかし、過渡的にいろいろ公害対策費を要するために、その限りにおいて不交付団体から交付さるべき団体に移るというものについての処置は、午前中局長からお答えをしたとおり、適宜の処置を講じたいと思います。なお、交付税関係以外の補助金、助成金あるいは起債等につきましては、もちろん公平、合理的な措置を講じて、十分公害対策の実のあがるように処置をいたすつもりでございます。
  223. 林百郎

    ○林(百)委員 終わりました。
  224. 菅太郎

    菅委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後五時七分散会