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1970-04-16 第63回国会 衆議院 地方行政委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月十六日(木曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 大西 正男君    理事 塩川正十郎君 理事 砂田 重民君    理事 古屋  亨君 理事 山本弥之助君    理事 斎藤  実君       亀山 孝一君    高鳥  修君       中村 弘海君    中山 正暉君       野呂 恭一君    山崎平八郎君       豊  永光君    綿貫 民輔君       井岡 大治君    華山 親義君       細谷 治嘉君    桑名 義治君       和田 一郎君    青柳 盛雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   荒木萬壽夫君  出席政府委員         警察庁長官   後藤田正晴君         警察庁長官官房         長       富田 朝彦君         警察庁交通局長 久保 卓也君         運輸政務次官  山村新治郎君         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君         自治政務次官  大石 八治君         自治省財政局長 長野 士郎君  委員外出席者         建設省都市局都         市計画課長   大富  宏君         自治省財政局交         付税課長    横手  正君         地方行政委員会         調査室長    川合  武君     ————————————— 四月十日  ドライブインにおいて酒類提供を禁ずる法律  制定に関する請願園田直紹介)(第二九六八  号)  同(松平忠久紹介)(第二九六九号)  同外一件(西村直己紹介)(第三〇四一号)  同(吉田賢一紹介)(第三〇四二号)  同(和田春生紹介)(第三〇四三号)  同(松浦周太郎紹介)(第三一二二号)  クリーニング業事業税軽減に関する請願(中  野四郎紹介)(第二九七〇号)  同(中山正暉紹介)(第二九七一号)  同(小川半次紹介)(第三〇三九号)  同外三件(山下徳夫紹介)(第三〇四〇号)  同(奥野誠亮紹介)(第三一一八号)  同(永山忠則紹介)(第三一一九号)  同(安田貴六君紹介)(第三一二〇号)  同(山本弥之助紹介)(第三一二一号)  行政書士法改正に関する請願井岡大治君紹  介)(第三〇三八号)  同(岡崎英城紹介)(第三一一七号)  道路交通法の一部改正に関する請願今澄勇君  紹介)(第三一一四号) 同月十四日  行政書士法改正に関する請願岡沢完治君紹  介)(第三二〇六号)  クリーニング業事業税軽減に関する請願(田  中伊三次君紹介)(第三二〇七号)  同(別川悠紀夫君紹介)(第三二〇八号)  同外三件(佐々木義武紹介)(第三三八四号)  ドライブインにおいて酒類提供を禁ずる法律  制定に関する請願古井喜實紹介)(第三二〇  九号)  同外二件(天野光晴紹介)(第三二五九号)  同(鳥居一雄紹介)(第三二六〇号)  同(中谷鉄也紹介)(第三三二六号)  同(山本政弘紹介)(第三三二七号)  同(土井たか子紹介)(第三三八六号)  同(中谷鉄也紹介)(第三三八七号)  同(山本政弘紹介)(第三三八八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第七二号)  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第八三号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 小澤太郎

    小澤(太)委員長代理 これより会議を開きます。  委員長参議院地方行政委員会出席のため、委員長の指定により、私が委員長の職務を行ないます。  地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。砂田重民君。
  3. 砂田重民

    砂田委員 きょうは運輸省山村政務次官お出ましをいただきましたので、地下鉄の問題について二、三伺っておきたいと思うのです。  と申しますのは、三月十六日の衆議院予算分科会で、運輸大臣地下鉄の問題について発言をなさいました。その当時の報道関係報道のしかたが、公営地下鉄には路線延長を認めない、あるいは地下鉄の新設は都、市営は認めない、こういうふうな、われわれにしてみれば、非常にショッキングな見出し報道されたものでございますから、非常に大きな関心をわれわれも持っておりますので、運輸省からお出ましをいただいたわけでございます。  つきましては、予算分科会での運輸大臣発言についてお伺いをいたしますが、きょうは参議院予算の総括で運輸大臣お出ましがいただけません。そこで、山村政務次官お出ましをいただいたのですけれども、お願いをしておきましたように、衆議院予算分科会での運輸大臣発言をめぐって伺うわけでございますから、政務次官運輸大臣十分話もなさいまして、またこの場でも山村政務次官大臣身がわりになっていただかなければなりませんが、運輸大臣真意というものを把握してお出ましいただきますようにお願いをいたしておりますけれども、きょう山村政務次官のいろいろ御答弁いただきますことは、運輸大臣真意をお話しいただける、こう理解してよろしゅうございますね。
  4. 山村新治郎

    山村政府委員 この問題につきましては、大臣とは十分な打ち合わせをいたしまして、大臣考えというのを十分承知しているつもりでございます。私が申し上げますことは、大臣がそのままお答えしておるというぐあいにおとりいただいてけっこうだろうと思います。
  5. 砂田重民

    砂田委員 ありがとうございました。そこで、予算分科会での運輸大臣発言は、速記録を私は拝見いたしまして、新聞見出しで伝えるようなそれほどショッキングなものではないような気もいたします。運輸大臣発言は、地下鉄通勤輸送機関であるということ、地下鉄は撤去した市電都電かわりをするものだというふうな考えは間違っているんだ、大都市通勤区間というものが相当広がってきているので、市内から市内への通勤時代ではなくて、今日ではその通勤区間というものが二十キロ、三十キロという離れたところから通勤するのが原則になってきている。したがって、地下鉄一つ公共団体建設し、経営するのはもう間違いの時代で、複合形式地下鉄はできなければならない。さらに重要なもう一点は、四十五年度予算から、公共団体建設費の二分の一を負担しようというものの考え方は、広地域大都市交通圏というものを地下鉄が負うべきであるという責任から、あのような制度を大蔵省に認めさせた、こう述べられているわけであります。大事な点でございますからここをちょっと読みますけれども、結論的にこういうことをおっしゃっているのです「であるから、今後新しい地下鉄をもし市営でもって申請があった場合には、私は、非公式でありますが、私見としては許可しない方針であります。原則的に許可しない。特別の事情があれば別でございますが、原則として許可しない。そしてやはり大都市交通圏としての地下鉄役割りを果たすという前提に立って、そういう建設であり、運営でなければ将来非常な禍根を残す。こういう意味からいっても、いわゆる複合形式、ある意味においては営団形式といってもいいでしょうが、複合形式でなければ、地下鉄というものの経営及び建設の任に当たるべきじゃないというのが私の考え方であります。」こう述べておられるわけでございます。そこで、非常に長期的な展望に立って、将来の地下鉄建設主体経営主体検討するときには、運輸大臣の御意見に私も敬意を表して賛同するものでございます。しかしながら、地下鉄の当面の問題のとらえ方としては少し異議があるのです。  そこで、私は三つの点を伺っておきたいと思います。その一つは、現存する地下鉄個々に見れば、機構なり組織なり、そういった内容は別としても、複合体といいますか、複数の地方公共団体といいますか、共同で費用を出すような行き方を今日覇面の問題として直ちに検討を要する地下鉄路線も、全国の地下鉄の中にはあるかもしれない、またあるでございましょう。しかし、その反面、一つ大都市市内の住居から同じ市内職場への通勤輸送機関としての地下鉄建設をもう当面始めなければならない、そういう現実地下鉄計画もあるわけですね。すべての大都市が過密的な市街化区域だけ、そういう都市ばかりではない。一つ市内で、大団地造成をその市が建設中であって、その方面に新たな人口が流入をしたり、過密地域から、家族の核分裂を起こして、何十万という人たちがその団地付近に定着をしていく。この新しくできる住区からさらに同じ市内職場への通勤輸送手段として、いまにして地下鉄建設に着手しなければならない市があります。これは当該市の責任で、国の補助を受けてやらせるべきだと思う。たとえば都市交通審議会がすでに答申をした神戸市の場合がそうだと思うのです。都市交通審議会を、神戸市において整備すべきものだという答申をしているわけですね。第一期工事だけでも五年くらいかかる。第二期工事まで入れれば七年も八年もかかる。その先では、おそらくもっとこれが西へ延びて、市外へ出て、県下に出ていって、東播工業地帯と結ばなければならないということも出てくるでしょう。先の時点では複合体ということも当然考えられるようになるでしょう。しかし、長期的な展望に立っての複合体構想について、今日ただいますぐに行政的に結論を出さなければ、市営申請しても第一期工事に対してすら許可しないという意味であるのかどうなのか。もしそうであるとするならば、地方公共団体としては住民の最低の要望にもこたえられないということになってしまう。私が先ほど速記録を朗読いたしました大臣結論が、そこまで言っておられることなのかどうかということが一つ。  あわせて伺いますけれども、二番目には、たとえば名古屋市の場合のように、市内に一本の地下鉄が完成いたしました。これをさらに同じ名古屋市内に枝を張らなければならない、また枝を張ったほうが経営的にも合理的だ。これも市営だからといって許可をしないのかどうか。長期的な展望に立って、愛知県下に出ていく広域的な計画をつくったり、愛知県との複合的な話の決着するまでは、名古屋市内だけを走る地下鉄をも許可しない、そこまでおっしゃっておられるとすれば、非常に大きな問題があると思うのですから、そこのところをひとつ政務次官から、大臣にかわってお答えをいただきたいと思います。
  6. 山村新治郎

    山村政府委員 先生の御心配よくわかるわけでございますが、先ほど先生のお読みになりました次の時点からの大臣答弁もよく見ていただきたいと思うのでございます。「この点、皆さん方においても十分御検討の上、私は、将来そういう措置をとったということはけしからぬとおっしゃらぬように、まずもって御検討願っておいて、そして私の考え方が誤りであるならば、もちろんこれは訂正いたします。」ということも入っておるわけでございます。まあ大臣考え方と申しますのは、今後は都市広域化に対応して鉄道網広域化してくる、その必要があるのではないか、いままでのような経営主体についての考え方では不十分ではないだろうか、こういう点を大臣考えておるわけでございます。御質問のような、客の流動がさほどない、また市内だけの通勤はどうかというような場合、これは運輸省といたしましては、将来の旅客流動状況もいろいろ勘案いたしました上で、ケースバイケースということでやっていきたいと思います。  こまかい問題につきましては、政府委員のほうから答弁させます。
  7. 町田直

    町田政府委員 大筋はただいま政務次官から申し上げたとおりでございます。大臣のおっしゃっております趣旨は、その速記録にもございますように、今後の地下鉄というものは、相当広域交通機関として発展していくべきだ、したがって、その広域に対応するような経営主体であるべきではないか、こういう趣旨だと思います。  そこで、ただいま先生がおっしゃいました当面の問題、具体的には神戸名古屋の例をおっしゃいましたけれども、当面の問題をどうするのか、こういうことにつきましては、これも政務次官からお答えいたしましたように、結局、その具体的な問題についてケースバイケース考えていくということになるであろうというふうに考えます。言いかえますれば、現在、もし神戸市がどうしてもこの時点申請をしなければならない、それが将来の問題として非常に広域になることを考え経営主体複合体として申請してくるというような検討の余地がないほど、積極的に差し迫っている、そしてそれがぜひともこの際認可しなければならないというような具体的な場合には、当然のことながらその形で認可せざるを得ないだろう。その辺のところは、個々の具体的な問題として今後考えていくべきではないかと考えております。  それから名古屋の場合につきましても、現在は名古屋市が経営主体になっております。これをこのままいますぐに、大臣の言われているいわゆる複合体に変えていくかどうかということにつきましても、名古屋の現在並びに将来の交通事情交通需要実情見通し等を勘案して検討していかなければならないのじゃないかというように考えております。
  8. 砂田重民

    砂田委員 政務次官念押しをするようでございますが、今後ケースバイケース考えていく、大臣はそういうお考えである。それから私が読みましたあと速記録の部分、大臣予算分科会での御発言の基本的なお考えというのは、それぞれの都市圏の中で地下鉄が果たしていかなければならない役割りというものを、相当長期的な展望に立って、こういう考え方を一般論的にはやはり考えていくべきではないか、そういうお考えからの御答弁であるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  9. 山村新治郎

    山村政府委員 先生のおっしゃいましたとおりでございます。そのようにお考えいただいてけっこうだと思います。
  10. 砂田重民

    砂田委員 これは鉄監局長からお答えいただければいいと思いますが、いま私が例にあげた神戸市と名古屋市の例について鉄監局長からもお答えをいただいたわけです。地下鉄建設というのはけっこう長年月を要しますね。ですから、神戸の私があげた例にしても、名古屋の私があげた例にしても、一応その第一期工事的なものを考えても、五年やそこらはすぐかかる。五年先に完成するものが、市内の住区から市内職場への通勤輸送、その場合に、いまもうすぐにその先のことを考えて行政的に県との話を具体的に煮詰まらして、そういうものでなければいけないということではないというふうに受け取ってよろしゅうございますね。将来の問題としては、そういう構想を県との話し合いを行ないながら、五年先に完成させる第一期的な工事については、これは市営でやる。新聞報道するところの、市営は許可しないというようなことではない、そういうふうに理解してよろしゅうございましょうね。人口流動その他を勘案して都市交通審議会答申を済ませたことでございましょうから、そういうふうに理解していいわけですね。
  11. 町田直

    町田政府委員 はなはだ具体的な問題でございますので、はっきりした御答弁を申し上げるのは若干差し控えたいと思いますけれども、考え方としては、現在どうしても神戸市に地下鉄をつくる必要がある。しかもそれが神戸市内だけの輸送需要というものをもとにしたものであるという場合には、おっしゃるように、いますぐ複合体をつくらなくても、神戸市が経営主体となってやっていくということでも差しつかえないのではないかと私は考えます。ただ、それが将来は、当然のことながら、広域に延びていくということであるならば、広域中心にした複合的な経営主体というものが、もしこの際に考えられるならば、そういう形で申請をしてもらうほうが、大臣のおっしゃったような意味には、より合うのではないかというふうに私は考えております。この辺は、やはり先ほど申しましたように、具体的な輸送需要の動向というようなものを十分勘案いたしまして、ケースバイケース考えていくということになるのではないかというふうに思います。
  12. 砂田重民

    砂田委員 どうも少しぼけてきたので、もう一点伺っておきますけれども、必要があれば、というふうな鉄監局長お答えでしたけれども、運輸省の所管しておられる都市交通審議会は、答中を出すとき、必要のないものをやれというような答申を——どうもちょっと皮肉に聞こえるかもしれませんが、都市交通審議会は、私は権威のある審議会だと思うのです。それぞれの都市部会までつくって、その都市へ出ていって実情もお調べになって、その神戸部会なら神戸部会というものの構成委員というものも、非常に各方面の申し分のないメンバーをそろえて検討されて、必要のないものを答申されるようなことがあるのですか。必要があればこそ、ああいう答申が出ているのではないのだろうか、私はそう思うのです。それで都市交通審議会がそういう判断をしたのならば、五年先に完成するものをいまから当然かからなければ、たいへんなことになってしまう。そういう意味で、もう早急にかからなければならない。それを、その五年からもう一つ先のことをいまからきめておかなければ、五年先に完成するものも、その話がきまるまで待たされるというふうなことはちょっと考えられない。いかがですか。
  13. 町田直

    町田政府委員 御指摘のとおり、都市交通審議会答申は、昨年の十一月十七日に出まして、非常に詳細に各事業主体がどういう程度輸送力増強、どういう程度の新線建設をすべきものであるという答申をいただいております。ただ、この中には、第三の六でございますけれども、「神戸市を中心とする高速鉄道は、以上のように整備増強することが適当であるが、その具体的な実施時期については、それぞれの整備増強対策の原因となっている輸送需要のすう勢を勘案し、これに合わせて実施していくことが必要である。」こういう文句が入っておりまして、輸送需要趨勢というものをよく考えて、それに合うような整備をしていきなさいという表現が入っているわけでございます。その辺の輸送需要趨勢判断というものもあるいはあるのではないかというふうに考えまして、そういうふうな御答弁を申し上げた次第でございます。したがいまして、今度神戸市から申請が出てまいりました段階で、この答申中心にいたしまして、輸送需要趨勢並びに今後の計画というものを十分参酌して、検討をさせていただきたいというように考える次第でございます。
  14. 砂田重民

    砂田委員 町田さん、しつこいようですけれども、実施時期というよりは、私は完成する時期が問題なんだ。完成する時期と人の住みついていく、へばりついていくそのタイミングのかね合いから逆算して、実施時期というものはおのずからきまってくるだろうと思うのです。神戸市が、そういう先を読んで、住民要望にこたえなければならないという判断神戸市の責任上、そういう結論を出して申請をしてくれば、それはひとつケースバイケース考えるのであって、予算分科会大臣がおっしゃったことを新聞見出しで伝えたような、市営は許可しないというようなことでは少なくともない、こう理解してよろしゅうございますか。
  15. 町田直

    町田政府委員 そういう市営であるということだけで許可しないということではないというふうに御理解いただきたいと思います。
  16. 砂田重民

    砂田委員 最後に、もう一点だけ私は運輸省のお考え方を伺っておきたいと思うのです。  大臣の御発言の中に、地下鉄通勤輸送機関であって、撤去した市電都電代替物じゃないという御発言がございました。地下鉄ははずした都電市電かわりの役目もしていると私たち考えているのです。四十五年度予算からの新しい地下鉄建設の国、地方公共団体費用分担方式を、われわれ地方行政を担当している自民党議員は、地下鉄広域的大都市交通責任を帯びるのだからという理由だけで、国も従来よりたくさん費用を負担するようにしたのだという理解ではないわけです。財政当局にこの方式を認めさせるためには、交通関係議員地方行政関係議員が非常な努力をしたことは、もう御承知のとおりでございます。私たちは、今日の大都市並びに大都市市民がわが国の前進の中で果たしている役割りからして、その大都市市民の足の確保をはかるというその問題は、地方問題じゃなくて、まさに国の問題だ、そういうとらえ方をわれわれはしたわけです。路面電車が走れなくなった今日の交通事情から、大都市市民の足を確保するための地下鉄建設に、従来と異なった大幅な国の責任分担、国も責任を果たす、そういうことで費用負担方式が変わったのです。党の理解と党の財政当局への主張もさようでございました。わが党の選挙の公約でもあったわけです。したがって、運輸省でも、この費用分担の新方式を、大臣の御発言はその新方式を確立した理由一つをおっしゃったのであって、あれがすべてではない、大臣がおっしゃったような、広域的大都市圏交通機関としての地下鉄性格大都市庶民の足としての地下鉄性格、両々相まってこの新方式ができたのだという理解運輸省にもしてもらわなければ、基本的に困るわけです。これを鉄監局長、どういうふうに御理解になっておられるか、ひとつ伺っておきたいと思います。
  17. 町田直

    町田政府委員 当然のことながら、市電等が撤去されたかわりとしての地下鉄意味もあるというふうに私どもは考えております。ただ、おそらく、大臣が御発言になりましたのは、市電がなくなったかわり地下鉄ができたんだという当初の考え方は、それだけではないのであって、むしろ最近においては、都市構造そのものが変わってきている地域、郊外から流入してくる人口が非常に多い、それに対する地下鉄というものの意味が非常に強くなってきているんだということを強調して言われたのであろうと思います。私もそういうふうに考えております。したがいまして、おっしゃるように、都電市電がなくなったかわりにできたという意味が全くないんだということでは決してないんであろうというふうに考えています。
  18. 砂田重民

    砂田委員 大石政務次官、いま具体的な例をあげて運輸省のお考え予算分科会における大臣の御発言真意というものを伺ったのですけれども、そういう運輸省のお考え自治省はどういうふうに考えておられるか。
  19. 大石八治

    大石政府委員 たいへん失礼いたしました。いま鉄監局長の返事の最後のところは、ちょっと私聞き漏らしたわけですが、砂田委員の御質問のとおり、現実に、たとえば神戸市の場合に、第一期工事というものを五年以内にやりたいという問題のときに、市外に出るのはそのあとだという場合に、最初から複合体というものは私は関係の隣の市となかなか相談はできないものだと思うのです、自分のところはすぐには来ないのですから。したがって、そういう場合、手をつけるということが何としても大事だとすれば、市の独立の申請に応じなければならないではないかというふうに感じます。
  20. 砂田重民

    砂田委員 やはりそういう公営企業としての大都市地下鉄というものを、自治省も非常に重要視をしておられるわけであります。大臣の御発言真意をいま政務次官大臣にかわって御答弁をいただきましたけれども、政務次官、ひとつ運輸省でもそういう考え方でこれからも取り組んでいただきたい。やはりそれぞれの都市というものは、財政も苦しいことではありますけれども、市電を撤去したことによって足を奪われていったそれぞれの都市市民の足を確保する。市民要望に沿っていく、こたえていく。これは各都市とも重大な責任のあることでありますから、十分そこの辺を御理解の上で、これからの地下鉄の問題と運輸省も取り組んでいただきたいということを御要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  21. 小澤太郎

    小澤(太)委員長代理 斎藤実君。
  22. 斎藤実

    斎藤(実)委員 当委員会運輸政務次官お出ましになりましたので、若干この地下鉄に関連いたしまして基本的な問題をお尋ねいたしたいと存じます。  先ほどから砂田委員も御指摘のように、大都市において非常に交通混乱が起きております。したがって、都心部交通の麻痺状態はきわめて憂慮すべき様相を呈しているわけです。ことに朝夕ラッシュ時においては停滞寸前におちいっているという状況です。ですから、大衆の輸送機関の輸送能力の低下は、一面から考えますと、国家的損失と言っても過言ではない。したがいまして、こういった現状を打開するためには、やはり大衆の輸送機関である地下鉄が非常に重要な立場になってまいります。私は、今後地下鉄問題について運輸省としてどう考えておられるのか、基本的な問題についてお考えを承りたい。
  23. 山村新治郎

    山村政府委員 お答えいたします。  まず、今後のいわゆる都市対策といたしまして、都市人口の増加に対応して通勤圏を拡大する、そして住宅可能地域を広げていく、これを行なわなければならない。そしてこのために地下鉄を大いに郊外へ伸延していく、また広域的な輸送需要広域的な都市形態に対応できる路線形態としていかなければならないのじゃないかというぐあいに考えます。また、経営主体も当然、行政区域を越えた広域行政区域、いままでの行政区域のみならず、もっと広い意味での行政区域というものを考え、そして地下鉄体系に対応できるものでなければならないというぐあいに考えるものでございますが、現在の地下鉄経営主体であります都市で、単独でこのような要望にこたえるということはなかなか困難ではないか、こういうぐあいに考えます。そしてこのような事態に対応するために、広域交通の見地から地下鉄整備を行なう。そのような地下鉄整備を行なうための経営主体として、いわゆる複合形式が適当であるというぐあいに考えるものでございます。  今後は、原則といたしまして、市のみによる地下鉄は認めないこととしてはどうかという点につきまして、各界に検討を願うということでございます。
  24. 斎藤実

    斎藤(実)委員 地下鉄経営主体についていま御答弁がございましたけれども、運輸大臣予算委員会でこうおっしゃっているわけですね。大都市交通圏が非常な広域にわたっているので、この輸送に当たっては地下鉄経営市営とか都営とかに限定すべきではない、複合形式建設及び経営に当たるべきであり、今後は市営申請があっても原則として許可しない、こういうふうに述べておられますけれども、私はこれに関連しまして若干お尋ねをしたい。  地下鉄の事業区域が二つ以上の地方公共団体の行政区域にまたがる場合のみに複合形式が求められるのか、そういったことに関係なく、今後の地下鉄の延長申請については、すべて複合形式が求められるのか、この辺どうですか。
  25. 山村新治郎

    山村政府委員 先生がいまおっしゃいましたのは、大臣答弁の一部でございまして、「特別の事情があれば別でございますが、原則として許可しない。」ここで切ってありますので、何か絶対許可しないというようなことにちょっと聞こえるわけでございますが、しかし、あとの部分を速記録をお読みいただきますとわかりますが、「御検討願っておいて、そして私の考え方が誤りであるならば、もちろんこれは訂正いたします。」ということでございますので、許可しないということではございません。  また先生のおっしゃいましたこまかい部分につきましては、局長のほうから答弁いたします。
  26. 町田直

    町田政府委員 先ほど砂田先生との御質疑にもお答えいたしましたけれども、全く市なり府なりという一つの行政区域の中だけのものであるならば、何もあえて複合体をつくる必要はないというふうに考えます。ただ、繰り返しになりますけれども、今後の都市交通というものは、大都市中心の話だろうと思いますけれども、都市交通というものは必ず外延的に延びていく。そういうふうになった場合には、地下鉄という輸送形式も必ず外延的に延びていくように建設していくべきものではないか。こういう一つ考え方をもとにいたしまして、そういうような場合には、当然のことながら、複合形式経営主体というものが望ましいんだ、こういう趣旨発言されているというふうに、御理解いただいていいんじゃないかと思います。
  27. 斎藤実

    斎藤(実)委員 たとえば、いま札幌市で地下鉄工事をやっております。これは事業主体は札幌市でやっております。そして札幌市内でいま建設工事をやっておるわけであります。現在常北工事をやっておりますけれども、将来は同じ市域内で東西にも延長したい、こういう計画もある。この場合は、いまの複合形式ということは当たらないという答弁ですな。そういうふうにとってよろしゅうございますか。
  28. 山村新治郎

    山村政府委員 先生おっしゃいました、現在すでに免許を受けておるもの、工事をやっておるもの、これに対して新たな経営主体を行なうということは、これは将来においてはまた別の問題が生じることかもしれませんが、現在のところ、これはむずかしいのじゃないかというぐあいに考えます。現時点において、実際上そのような、別のものをつくるというようなことは困難である、こう私は考えます。
  29. 斎藤実

    斎藤(実)委員 その問題はわかりました。  それから、大臣答弁にもあるいは政務次官答弁にも複合形式ということが出ておりますけれども、複合形式ということは、具体的に出資方法だとかあるいは組織団体の性格等、何かお考えは固まっていらっしゃるのかどうか。
  30. 町田直

    町田政府委員 まだ具体的にこういうものにすべきであるという、いわゆる複合形式の内容を固めたというわけではございません。ただ、考え方といたしましては、いろいろあると思います。たとえば、地方自治法にいう一部事務組合のような形、これは企業団方式というふうに考えていいかと思います。あるいは公営企業法第四十二条にいう地方公営企業体ということも考えられます。それから現在の東京にございます営団と同じような、要するに、地方公共団体と国鉄というようなものの出資による一つの団体というもの、あるいは首都高速道路公団あるいは阪神高速道路公団のような国と地方公共団体との出資による公団方式。そのほか考えられますものとしては、民間の出資と地方公共団体の出資を合わせたようなものということも、考え方としてはあり得るのではないかというふうに考えておりますけれども、このどれがいいのだということにつきましては、具体的な場合に応じまして、それぞれの利害得失を慎重に検討しなければならないのじゃないかというふうに考えております。
  31. 斎藤実

    斎藤(実)委員 先ほど運輸政務次官から、大都市の重要な輸送機関であります地下鉄について、今後も前向きな御答弁がありましたので、ひとつ地域住民の輸送能力の確保という立場に立って十分これから御配慮を願いたいと御要望申し上げて、私の質問を終わります。
  32. 小澤太郎

  33. 井岡大治

    井岡委員 まずお尋ねしますが、三十年に都市交通審議会をおつくりになったときの経緯について、一ぺん御説明願いたいと思います。
  34. 町田直

    町田政府委員 都市交通審議会は、わが国の都市交通が非常に逼迫してまいりまして、したがいまして、今後都市交通につきまして、最も合理的な都市交通の形態なり路線なりというものを、学識経験者の方々を中心にいたしまして、運輸大臣がそれぞれの地区につきまして諮問をいたしまして答申をしていただく、それに従って、それを尊重して今後の都市交通というものを持っていこうという趣旨で、都市交通審議会が設置されたというふうに存じております。
  35. 井岡大治

    井岡委員 そこまで御存じであったら、一つだけ足らないところがありますね。地下鉄をこしらえる、そのために都市交通審議会をつくる、こういうことになっているはずです。そうなのと違いますか。
  36. 町田直

    町田政府委員 都市交通審議会令第一条に書いてございますように、「都市における交通に関する基本的な計画について調査審議」するということでございまして、確かに実態は地下鉄というものを中心に審議されておりますけれども、必ずしも地下鉄だけに限っているわけではないというふうに考えております。
  37. 井岡大治

    井岡委員 じゃ、ほかのどれをお考えになっておるのか、それを伺いたいと思います。
  38. 町田直

    町田政府委員 たとえば、地下鉄に関連いたしますけれども、地下鉄に関連する私鉄との乗り入れの問題とか、そういうようなことも含めて当然審議しておるわけでございます。
  39. 井岡大治

    井岡委員 結局は高速鉄道をつくるということでしょう。乗り入れであるとか乗り入れでないとかいうことは、それは単に複合形式とか複合形式でないとかいう問題じゃないわけなんです。より合理的にやるために、あるいは資本の二重投資を防ぐために、いわゆる相互乗り入れをやる、こういうようにしか考えられない、そうなのと違うのですか。
  40. 町田直

    町田政府委員 おっしゃるとおりでございます。私が申し上げましたのは、都市交通審議会の運営を見ておりますと、確かにおっしゃるように、地下鉄中心になって行なわれております、しかし、都市交通審議会令には、都市交通に関する基本的な計画を調査審議するということを書いてございます。できました趣旨は、そういうことであるというふうに申し上げた次第であります。
  41. 井岡大治

    井岡委員 そのために国は地方公営企業法の五条の二にこういうことを明らかにしているわけです。「国の行政機関の長は、地方公営企業の業務に関する処分その他の事務の執行にあたつては、すみやかに適切な措置を講ずる等地方公営企業の健全な運営が図られるように配慮するものとする。」これは公営企業というものが健全な発達をするためには、どうしても地下鉄をこしらえなければ、当然大衆輸送ができなくなってくる、そのために産業に大きな影響を与える、こういうことで第五条の二にこれを明らかにしておるわけです。でありますから、大臣が言われた、私の考えが間違いであれば改めるにやぶさかでない、ここらのところをやはり十分考えておいていただかなければ、単に複合方式複合方式建設することだけを土台にものを判断されたのでは、これは大きな間違いを起こすと私は思う。しかも、大臣の言われておるのは、このことを予測して……。  建設省はおいでになっていますか。どなたですか。
  42. 小澤太郎

    小澤(太)委員長代理 大富都市計画課長が見えております。
  43. 井岡大治

    井岡委員 定義にこのことを書き、さらに施設のところで第十一条の一項に「都市計画には、当該都市計画区域における次の各号に掲げる施設で必要なものを定めるものとする。この場合において、特に必要があるときは、当該都市計画区域外においても、これらの施設を定めることができる。」その次に十一ありますが、その第一にあげておるのは「道路、都市高速鉄道、駐車場、自動車ターミナルその他の交通施設」とある。この点間違いありませんね。
  44. 大富宏

    ○大富説明員 そのとおりでございます。
  45. 井岡大治

    井岡委員 そうだとすると、現在のいわゆる都市の構造の変化に伴って郊外に延びていくこと、このことはもうすでに予測されて、そうして四十四年に従来の都市計画法を改正されて、従来の都市計画法には、交通というのが第一の目的のところに明らかにされておったはずです。それを施設として郊外に延びていく、延びていかさなければならない。そのために都市高速鉄道、これは地下鉄だけでなくて、市内は地下でもあるけれども、郊外に出ていく場合は高架、こういうこともあり得るでしょう。でありますから、高速鉄道、こういうように規定した、こういうように理解してよろしいですね。
  46. 大富宏

    ○大富説明員 旧法と異なりまして、新都市計画法では、都市の根幹的施設を十一条で十一号にわたって列挙したわけでございます。お述べになりましたとおり、都市高速鉄道というのは、根幹的都市施設というぐあいに考えております。  そこで、こういった根幹的な都市施設は、都市計画において必要の場合は必ずきめる。それは原則といたしましては都市計画区域内においてきめる、これが原則でございます。しかしながら、道路におきましても、都市高速鉄道あるいは水源地とか、ごみ焼きとか、そういうようなものは、必要な場合には、都市計画区域外でも定めることができるということで、定めた趣旨だと思います。
  47. 井岡大治

    井岡委員 私は水道のことを聞いているのじゃないのです。都市計画というものは、いまの都市の中において住宅その他を建てようとしても、これは建ち得ない。当然外に団地を設ける。こういうことで、高速鉄道というようなものを、輸送するために第一にあげておるのです。そうして、駐車場、自動車ターミナルなどをそこにあげておるということは、これは都市の施設だ、こういうように理解していいか、こう開いているのです。何も水道の水源地がどうであるとかこうである、そんなことを聞いているんじゃないのですよ。
  48. 大富宏

    ○大富説明員 御指摘のとおりでございます。
  49. 井岡大治

    井岡委員 そうだとすると、鉄監局長、あなたは先ほど四十二条の地方公共企業体の問題をお話しになっておりました。具体的にどういうことを考えておいでになるか。これは大石次官にもお聞きしたいのです。地方公共企業体ができる、それだけであって、何にもない。そこに大臣があのような御答弁をなさる原因があると思うのです。もしこのことについて自治省が、都市交通というもの、大衆輸送というものはどうだということに大きな一つのマスタープランを持っておいでになっておったとするならば、あのようなことはなかったと思うのです。この点については、私は自治省にも大きな責任があると思います。ひとつお伺いしたい。
  50. 大石八治

    大石政府委員 地方公営企業法の四十二条に「地方公共団体は、別に法律で定めるところにより、地方公営企業経営するための地方公共企業体を設けることができる。」という規定が実はあるわけでありますが、いままでの企業団のような形式以外に、企業体という形でやる方法論が実は示されているわけであります。その具体的な形というものは、法律で実はつくらなければならぬということになっておりますが、まだその法律ができていないということは、まことに御承知のとおりで、こういう問題が起きましたので、われわれは関係各省とこの問題の検討に入らなければならないという感じがいたしているわけであります。
  51. 井岡大治

    井岡委員 感じでなくて、建設省のほうは、都市交通というものは区域外でもよろしいのだということをもうすでにきめておるわけです。したがって、これをきめたときに、自治省は、いわゆる都市の構造の変化に伴って、この企業体というものはどういうものであるべきかということの研究にかからなければいけないと思うのです。私は、おそらく、複合体ということが出てからあわててどうしたらいいのだろう、こういうことになったのじゃないかと思うのですが、間違いありませんか。
  52. 長野士郎

    ○長野政府委員 公営交通事業の広域経営方式ということに概括していえば、正確かどうかわかりませんが、常識的にはそういうことになると思うのですが、この広域経営といいますのは、結局、地方団体の区域を越えて経営する方式をどう考えるかという問題であります。この点につきましては、現在でも、たとえば、地方自治法の中には、区域外に施設を設けることを認めております。それはその設けられるほうの地方団体の議会の議決が必要だということになっておりますけれども、そういうことで承認が得られれば、当然に区域を越えて公営企業経営範囲にすることができる。これは現行法でもそういうことになっておるわけです。それからもう一つは、たとえば、地方団体がお互いの間で組合をつくりまして、いわゆる企業団、それでも広域的な経営というものは可能でございます。さらに、企業体という形で、別個の主体によって企業の特殊な経営の体制を確立するといいますか、企業自体の特殊性に基づいてその自主的な経営をやっていくために、思い切って別個の経営主体をつくっていくということも一つ考えられるのではないか、こういうのが公営企業法の四十二条に示しておる問題だと思います。したがって、現行制度の上でも、いわゆる広域的な経営方式というのは、全然ないということでは実はございませんで、あるわけであります。さらにその上に含めて、こういう企業体というものをどういうふうに編成していくかという問題は、これはかねてからありますがゆえに、この公営企業法の中にもその問題を指摘しておる、こういう形だというふうに御了解を願いたいと思うのであります。
  53. 井岡大治

    井岡委員 これ以上自治省に言ってみても、自治省はおそらくそれだけしか答弁ができないだろうと思うのです。たとえば、私は大阪ですから、よその都市のことを言って間違いを起こしちゃいけませんから、言いますが、山村次官も御存じのとおり、去年泉北のニュータウンをこしらえた。あの輸送はだれがやるのですか。三十万の都市をこしらえて、だれがその人間の輸送をするのですか。都市計画というものは、そういうものではありません、こう言って指摘したはずです。ここに塩川さんおいでになりますが、その当時、塩川さんの都市のほうからも、これにつないでもらいたいという意見が出ている。だから、国が二五%、地方公共団体が二五%、その二十五%は、当該地方公共団体とは書いてないわけです。それをどう配分するかということ。それは大都市圏における交通というものを考えたから、いわゆる公共団体として考えられたのだろうと思いますが、間違いありませんか。
  54. 町田直

    町田政府委員 ただいまのお話は、地下鉄に対する補助のことだろうと思いますが、大体、先生、御指摘のようなことだと理解しております。
  55. 井岡大治

    井岡委員 そうすると、私は、複合方式でなく——将来そういうものがあってもいいですよいいですが、当面、やはり神戸から申請が出て、もうすでに答申が出ているわけです。神戸のほうも、それはゆったりしていますよ。まだこれに工事認可の申請を出していないというのもゆったりしています。私は、神戸局長に笑っておいたのです。ことしの予算で二十八億もの予算を計上しながら、まだ工事認可の申請をしておらぬ。こういうこと自体もゆったりはしておりますけれども、神戸の場合などは、当該の市から市の中へこれを通させようとしておるのです。そういう場合、これを市だけではやらさない、こういうように言うものですから、市会では大混乱が起こっておるわけです。これは、ここに砂田先生がおいでになりますから、もうあまり言わぬことにしますけれども、ちゃんと法律で、それらのことを予想してつくっておきながら、あるいはそのためにこそ援助の方法を考えながら、あのような御答弁をなさるということは、これは将来はどうあろうとも、当面直ちにあの問題を取り上げられることは、やはり非常に迷惑をすると思うのです。したがって、この際、私は、取り消しを願っておいたほうがいい、将来のことは考えるけれども、当面は直ちにやるというのじゃない、このことを明らかにしておいたほうがいいと思うのです。政務次官、どうですか。
  56. 山村新治郎

    山村政府委員 今回の大臣発言というのは、いわゆる地下鉄というものにつきましての将来というものを考えて、いわゆる将来の通勤圏の拡大に伴う広域的な交通網の整備、これをするためには、現在の都や市、これが単独で建設を行なうよりは、複合形式経営主体によるほうが適当であると考えられるので、この考えについて各界において御検討を願おうということでございますので、ひとつその点御了解いただければしあわせでございます。
  57. 井岡大治

    井岡委員 私は十分了解しますよ。了解はしますけれども、そのためにこそ、今度は援助方法を考えたり、あるいは建設省は、そのことを予想をして、区域外に延ばしてもよろしい、こういうことになっているわけです。そうして自治省のほうは、四十二条で企業体というものをつくってやりなさい、こう言っておる。だから、これらの問題を考えながら、いまの複合方式というものを御検討なさるほうが私は近道だ、こう言うのです。そうでないと、建設省の言っていることと大きな誤差を生じてくるわけです。同時に、いま私たち考えている、たとえば大阪なら大阪の場合を考えますと、これを守口のほうに延ばしていく、あるいは高槻のほうに延ばしていかなければ、とうていこれを輸送することはできない。三十万の大都市をこしらえてくれるけれども、だれも輸送するものがない。こういうことを考えてみると、私は、単に複合方式ということにこだわるのでなくて、いままでやってまいったけれども、これからはもっと積極的にやらそう、こういうことで補助をきめたわけですから、そのことに重点を置くべきではないのか、こう言っているわけです。
  58. 山村新治郎

    山村政府委員 先生のおっしゃるのは、ごもっともでございますし、また先生のおっしゃられるように、現在の——先ほどケースバイケースということを申しましたが、先生のおっしゃいました現実の解決をどうするかということも、もちろんやってまいりますが、それと将来の地下鉄ということで、広く各界でいわゆる複合方式というものを御検討いただきたいということでございます。どうか御了解いただきたいと思います。
  59. 井岡大治

    井岡委員 そのケースバイケースということよりは、これは、どこでも問題になってくるのは、いわゆる大都市は全部問題になってくるわけです。いま神戸の問題が問題になっておりますが、この次は京都の問題になるでしょう。また、ここで複合方式の問題が出てきて、混乱が起こるわけです。ですから、当面路面を撤去して、大衆輸送をやっておった路面電車が走れなくなった、機能を喪失した、したがって地下鉄建設に切りかえろ、これは自治省の方針なんですね。再建方式というのは、自動車の収入でやりなさい、こういうことだけれども、自動車それ自体が走れなくなる、地下鉄をこしらえるよりしかたがないのです。そうすると、どうしても金がかかる。そこで、みなで金を出してやろうじゃないか、こういうことになった。これは京都も起こりますよ。京都は四十六、七年から先に起こるでしょう。だから、当面は、都市の問題については、もうその都市だけにやらさないのだということではなくて、いわゆる多様化した都市の構造によって延びていく場合、その場合にのみこれらの問題を検討すべきであって、いま直ちに複合をやらせるのだ、こうきめつけることは、私はケースバイケースではないと思うのです。
  60. 町田直

    町田政府委員 大体先生のおっしゃっていることと運輸大臣の言われていることは、そう開きがないと思っております。要するに、先ほどから繰り返しておりますように、最近の大都市の交通というものは、一つの行政区域と申しますか、市なり都なりというものの範囲を越えた交通になっていく、また現実になりつつある。したがって、そういう広域な範囲に敷設されるような地下鉄というものを経営する経営主体も、やはりその広域な施設に適応したような経営主体が適切ではないか、こういう趣旨であろうと存じます。したがいまして、先ほど先生からいろいろと御指摘がございましたが、都市計画法も確かにそういうことを予想して、鉄道というものは広域に敷かれていいのだ、そういう計画をしてもいいのだ、こういうふうになっておりますし、それから、その経営主体として、先ほど自治省から御説明のございましたように、一つ公共団体が、その施設を設置する他の公共団体に協議をしてやっていくという方法もございましょうし、あるいは一部事務組合という形もございましょうし、いろいろな組合もございましょうけれども、いずれにしても、広域交通機関を運営するにふさわしいような、いわば複合体というような経営主体が望ましいのだ、こういうふうな趣旨でございまして、そういう意味におきましては、現在はそういうことはないのだということではなくて、現在すでにそういう事態に立ち至っているところも非常に多いし、また近い将来にそういうことになると思われるところも非常にあるであろう。したがって、そういうものを予想したような経営主体にしておくべきではないかという趣旨であろうと存じます。そういう面で御検討いただきたいというふうに運輸大臣は申しているのだというふうに考えていただきたい。
  61. 井岡大治

    井岡委員 私は正直に言いますよ。それは川崎と横浜、こういう場合は複合体でいい。複合体というか、これがお互いの合弁の何をつくるというようなこと、こういうことは私はあり得てもいいと思うのです。しかし、神戸なり京都という場合はまだそこまで行っておらない。特に神戸の場合は、神戸の市域内、私は神戸の線はどこが出ておるか知りませんけれども、答申は見ておりませんけれども、特に須磨、垂水方面から来る——あの団地、ものすごい団地なんですね。早くこしらえたいと思うのです。そうしないと、どうにもならないと思うのです。ですから、これらの問題が来た場合は、都市だけでは許さないのだということではなくて、大臣が言っているように、将来のことを考えてこういうことを検討してくれ、こういうことでございますから、私は、そちらのほうに重点を置いて、神戸の場合は早くやってやる、こういうことにしないと、ほんとうに困ると思うのですよ。垂水のあの団地は何ぼあるのですか。三十万からの団地を持って、運ぶものがない。地下鉄以外に運ぶものはないのですよ。だから市で早くやれ。申請が出ていないのでなくて、申請が出てなければ、鉄監のほうは督促をするというくらいにしてやっていいと思うのです。そういうふうに思いませんか。
  62. 町田直

    町田政府委員 先ほども申しました審議会答申もございますので、その答申の線に沿いまして、申請が出ましたら検討いたしたい、こう思います。
  63. 井岡大治

    井岡委員 まあ一日も早くというのではなくて、私は出たら直ちに何をしてやっていただきたい、こう思うのです。  同時に、自治省のほうも、十一月十七日に答申が出て、予算は組んで、まだじっとしているという神戸それ自体に——大体あなたのほうはおせっかいのほうだけれども、このことについては一向におせっかいではないのですね。大石次官、ひとつおせっかいしたらどうですか。
  64. 大石八治

    大石政府委員 法律の五条の二の精神に従って、すみやかに処理するようにいたしたいと思います。
  65. 井岡大治

    井岡委員 そこで、建設省に言っておきますが、建設省のほうはせっかくあのように出しているわけですから、私はいま六十年代のことをここで論議をするのではなくて、四十年代、五十年代の間は少なくとも早くこの計画実施するように、建設省のほうからも、ここに一つの団地をつくる場合は直ちに鉄道はこういうようにしなさいということを、やはり輸送計画として立ててもらいたい、こういうように思うのですが、ひとつこの点だけ……。
  66. 大富宏

    ○大富説明員 都市高速鉄道、お述べになりましたとおり、市においては最も重要な根幹施設でございます。関係各省とも十分相談いたしまして、善処いたしたいと存じます。
  67. 井岡大治

    井岡委員 最後に、私は災害のところへ大阪の爆発のことでどうしてもお前出てこい、こういうことでございますので、行かなければなりませんから、このことだけを一つ委員長お願いをいたしておきます。  神戸の問題は、そのように議会の議決を経て、予算も取っている、そういうことでございますから、大臣は当面直ちにやる、こう言っていないわけですから、委員長のほうから、すみやかに行政府のほうを督促してやらしてやっていただくことをお願いして、私の質問を終わります。
  68. 小澤太郎

    小澤(太)委員長代理 承知しました。  この際、暫時休憩いたします。    午前十一時四十六分休憩      ————◇—————    午後一時八分開議
  69. 菅太郎

    ○菅委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山本弥之助君。
  70. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 地方交付税の特例措置につきましては、いままで相当論議もいたしておりますし、私ももう詳しくお尋ねいたさないつもりでおりますが、先般大蔵大臣に来ていただきまして、特例措置につきましては、四十六年度までに解決をつけていただくということの要望も申し上げたわけでありますが、年度間調整の問題をどう調整をしていくかという問題につきましては、私は、先般の質問を通じて、問題が必ずしも解決をしているのではない、今後折衝につきましては非常に複雑な問題が残っておるというふうに感じたわけであります。しかし、今年におきますように、交付税に関連して補助金を交付税の中に繰り入れる、あるいは重要な国策として遂行してまいっております道路や河川の補助金を引き下げるというような、いろいろなことが関連いたしまして、過去二年と同じようなやり方をとったというふうに見ておるわけであります。しかし、いずれにいたしましても、私は、今日、国、地方との財源の配分等が、補助金にいたしましてもあるいは交付税にいたしましても、早晩検討をしなければならない時期にきておるというふうに感じております。その前提としての事務の配分ということも考えなければならぬとは思うわけでありますが、この国、地方を通じましての事務の配分ということは、きわめて大きな問題でありますので、過去の何回かの調査によりましてもそれが実現していないという今日、来年度予算までに、事務の配分と関連いたしまして、税源の配分ということは容易ではないというふうに考えておるわけであります。しかし、少なくともこの年度間調整の問題は目鼻をつけていただきたい、かように考えておりますので、地方税のときにおきましても、大臣の決意をお聞きいたしたかったのでございますけれども、いろいろな関係大臣の決意をお聞きする機会を得ませんでしたけれども、この問題につきまして、お見通し等とあわせて政務次官から御所見を承りたいと思います。
  71. 大石八治

    大石政府委員 この年度間調整ということについての考え方に、多少大蔵省と自治省の間に私はまだ差があると思うのであります。したがって、年度間調整という問題を、その思想を統一した上で、その制度をどういうふうにするかということが私どもの目の前にあるわけで、事務当局で折衝を昨年度もやってきたのですけれども、その開きが非常にありますので、実は、最終結論に至らないまま、ああいうことになったわけであります。しかし、私どもも実は、いまの交付税の伸びというような問題が、いままではどんどんこうなってきておりますけれども、いまのような伸び率というものがいつでもきまっているのかというと、これから将来にわたっては不安定のところもありますし、そういう意味では、非常に激減したりあるいは急増したりすることでは、地方団体の財政という問題も必ずしも安定性が期せられないような問題等もありますので、そういう意味の年度間調整という問題を、私どもは地方自治体の立場においても考える必要はあろうかというふうな立場で、年度間調整の問題を取り上げるといいますか、そういうふうに考えていきたい。そういう中で、大蔵省との間に何かの話し合いができるかどうかということだろうと思うのであります。何回もそういう自主的な地方自治体の立場においての調整ということの御指摘を受けておるわけであります。私どもも、そういう気持ちで大蔵省との間に今後も検討を続けていきたい、こう思っております。
  72. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 ただいま政務次官の御所見を承りましたけれども、今後の折衝におきましても、年度間の調整も国の財政のベースということではなくて、今後複雑多岐にわたってまいります地方自治体それ自体の長期の計画を遂行いたします上の財源の確保という意味におきましての年度間調整につきましての話し合いがきまりますように、どうぞ今後も強く御折衝を願いますことを要望いたしておきます。  次に、この点はいろいろ問題になっておる点でありますが、今日の財政計画が、国の補助金なりあるいは起債あるいは交付税というふうに、一つのワク組みによりましてきまってまいるわけでありますが、現実には、単独事業等も相当伸びを見ておるわけでありますけれども、末端の市町村におきましては、ことに財政計画では単独事業を相当遂行できる態勢になっておるわけでありますが、すでに問題になっております超過負担の関係だとか、あるいは補助事業をこなすという意味におきましての単独事業が圧迫されるというのが、現実の状態ではなかろうか。こういう点につきましての今後の配慮といいますか、さらには、そういうワク組みの中で補助金と交付税というのが性格があいまいになってきておる。この点は、いまの府県にいたしましても市町村にいたしましても、いろいろ激変をして流動化が激しくなっておるときに、ある程度それらに対処する交付税の配分ということも当然考えなければならぬというふうに私ども考えますけれども、交付税が補助金の裏打ち財源として、全くこれと一体となるような操作になりますと、一般財源であるかあるいは特定財源であるかということの区別もなくなってまいるわけでありますし、また流動化に対応するということになりますと、ややもすれば交付税の性格が特定財源のほうに、操作によりましては、移っていくという懸念も出てまいるわけでありまして、これら交付税と補助金、負担金とのそれぞれの持つ役割りをはっきりしておかなければならぬというふうに私ども考えるわけであります。  いままで交付税は非常にこまかな計算の上に立って積み重ねをしてこられておるわけでありまして、簡単にそれを是正するというわけにはいかないと思うのでありますが、ある程度まで私は大まかな数字ではじいてみて——こまかく検討してまいります交付税としての配分、一般財源としての公平な配分ということが交付税の使命でありますので、大まかな計算とこまかく積み重ねていく配分との関係がどの程度開きがあるのか、それらを今後の将来の地方自治体のためにも考えてみなければならぬのじゃないか。そして交付税の配分と起債との関係をどう考えていくか。一つのワク組みで、足らないところは起債、補助金、それの裏打ち財源の交付税、その他貧弱団体に交付税を配分するというふうな、いわば財源保障と財政力の均衡化ということは、これは並行していかなければならないにいたしましても、それらの起債その他の運用の関連を十分今後再検討してみる必要があるのではないか、私はかように考えるわけであります。それらがはっきりしておりませんと、大蔵省の折衝におきましても、たとえば、国民健康保険の負担金を府県の交付税でまかなうことにして補助率を低めたらどうかとか、あるいは国の本来の仕事であるところの教科書の無償配布を半額府県で持つべきではないかというふうな議論が、補助金と交付税との関連において折衝の過程に出てくるというようなことも、それぞれの持つ役割りというものを自治省自体もはっきりつかんでいただきたい、かように私は考えるわけでありますが、その辺今後それらの問題についてどう検討されるのか。あるいはいままでどおりの積み上げ方式で、できるだけ公平に分配するということに配慮をなさるのか、その辺の将来の見通し等につきまして、お伺いいたしたいと思います。  私がお伺いいたしますのは、今後府県よりも市町村の事務の内容は非常に複雑になってくると思うのでありますが、それらを一々ワクの中にはめるというようなやり方になりますと、地域住民要望をできるだけ末端行政に吸い上げるということに意欲を失う、また市民それ自身もそれらに対して熱意を欠いてくる、いわゆる地方自治が守られなくなる、住民意識がだんだん薄れていく、そのことが国政においても同じような結果を招来する懸念があるということと、もう一つは、末端行政を運営する市町村長あるいは府県知事も同様でありますが、国の補助金を確保するということに全力をあげて努力して、成果をあげますれば、それの裏財源としての交付税の配分も必ず約束されるということで、その自治体としての必要な仕事をどうこなしていくかということよりも、いままでより以上に陳情によりまして補助金の確保に狂奔するというふうな態勢がだんだん出てまいるのではないか。現にそういう弊害も出てまいっておるわけであります。それらとあわせて政務次官財政局長さんの御所見を承りたいと思います。
  73. 大石八治

    大石政府委員 私は確かに御指摘のような点はあると思っておるわけであります。交付税制度の生まれる前身からの変遷というもの等もあって、事実交付税の気持ちの中にも、だんだん多角的な要素が入ってきていると思うのです。今日では三二%というその比率を現象的にはくずさないということに、きゅうきゅうとしていると言ってはおかしいのですが、そういうことから生まれる交付税制度の見方というものも実は多少できてきているんじゃないか。しかし、それではなかなかこれからの地方団体の要望に沿い得ないという点、私は確かにあろうと思うわけです。ただ、そういうふうに考えますと、いわゆる公共事業というものとそれから地方の単独事業というものが、簡単に言えば、しなければならないものでありますが、その単独事業をどういうふうに見るかということに、実は何らかのルールと長期計画を設定していけば、これだけの財政需要があるというふうに、将来の展望の上に立ったもので、いわゆる財政計画というものができるわけだろうと思うのです。そこの点にまだ、地方財政計画を立てる上において、多少弱点がある。それが財政需要の、いわゆる大蔵省との、財政計画を立てて地方団体にやるべき金の問題について問題があると思うのです。いま三二%ということに事実上——これをふやすということもなかなかたいへんでしょうけれども、現象的には守るような形になって、したがって、その中で問題を考えるというのが現状だろうと思うのです。それだけでは、いま御指摘のような将来の発展する、ことに地方第一線自治体である市町村の要望というものを、長期の七〇年代の内政の充実の時代という中で満たしていくことは、非常に困難であろうというふうに思っております。その点の検討をわれわれはさらにしなければならない。たまたま実は私どもも、具体的な予測をどういうふうにするかいまできませんけれども、七二年に沖繩が返ってくる。沖繩県というものがわれわれのいまの府県の中に入り、市町村がそれだけ入ってくるという時点というのは、一つは交付税のいまの問題にも実は関係がある。そういう時点を目の前に控えて、私どもは一体七〇年代の内政にどう対処していくかということを検討しなければならないだろうというふうに感じているわけです。
  74. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 ただいまの御答弁でよくわかりました。今後、交付税を公平に、各自治体の実情に即応して基準財政需要をどう考えていくかということにつきまして、財政局長さんは、今後の事務的な処理をどういうふうにお考えになっておられるか、お聞かせ願いたいと思います。
  75. 長野士郎

    ○長野政府委員 政務次官お答えになりました基本的な考え方は、私ども全く同感でございますが、ただ、現在の状況といいますか、社会経済の変貌といいますか、そういう意味で、地域社会も非常な激変のまっただ中にあるような状況でございまして、そういう中で地方団体として処理をしなければならないような新しい問題が次から次へと起こってくるわけでございます。そういう意味で、地方財政の問題を考えます場合に、そういう流動してやまない社会における当面の財政需要にもこたえていかなければならないということが一つ出てくるわけでございます。そこで、先ほど御指摘のございました、交付税か補助金かといわれるような、一つの御指摘も受けるような形の対応策、補正等を通じましての対応策というものも、当面の措置としてはある程度やむを得ないことでございまして、そういう意味では、当面のいろいろな問題にまかないをつけながら将来を展望していくという二つの課題を、これから解決していくという努力を続けていかなければならないと思うのでございます。  その点では、結局、これからの将来を見渡しますと、何と申しましても、都市化の時代であります。そういう意味で、都市の機能、都市役割りというものの中で、われわれがわが国の地域社会の都市化というものをどういうものとして受けとめていくかということを、一つ大きな目標として掲げていく、そしてその目標の像というものを、これは私見も大いにまじるわけでございますけれども、ある程度十年先、二十年先のそういう都市像というものを設定して、これに近づくために、これを実現するためにどれだけの措置を考えていくべきか。これは国としての計画もございましょうが、地方団体として、いわゆる単独事業と申しますか、そういうものも含めまして考えていくというようなことで、一つの目標を設定して、そしてこれに向かって進んでいくということを私どもも考えますが、それぞれ個々の地方団体におきましても、そういう一つ構想を打ち立てて、その目標実現のために努力をする。こういうことによって、議会のみならず、住民をひっくるめてその目標実現に努力するという意思が結集をしていく。そのためにどれだけの費用が必要だ、どれだけの膨大な資金が必要になってくるか、これはあらかじめ出てくるわけだろうと思います。自治省として計算をしました場合でも、たとえば、七〇年代の十年の間に、せめて市町村道なら市町村道についてはこれだけのものは改良しておくべきではないか、このくらいは舗装したいではないか、あるいは下水道施設にしましても、少なくともこの十年後におきましては、いわゆる特別清掃地区と申しますか、そういう必要な地区におきますところの衛生処理というものは、ほとんど完了に近いところへ持っていけないかというようなことだけ取り上げまして考えましても、膨大な資金を必要といたします。そういうことがありますが、それにもかかわらず、そういう目標を持ってそれに対応していくために、この財政措置をセットし、そうしてそれに対する交付税の役割りというものを考え、各行政費目に均衡のとれた配分が行なわれていくということにだんだんブレークダウンをしていきまして考えていく。そうなれば、いままでのものをもう一回洗い直すということになるかもしれませんけれども、やはりそういうことを一面考えながら、これから作業を進めていかなければならぬだろうと思っております。
  76. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 地方税法の改正法案の際も御質問をしたわけでありますが、交付税のたてまえからいいますと、今日大都市が交付団体になっておることは何もふしぎなことではないわけでありますけれども、大都市の将来の行政需要の関係からいいますと、交付税の対象になっておるということ自体——本来その地域における税収、ことに法人課税から上がる税収というものは相当のものだ。今後企業あるいは管理機能が活発になればなるほど税収は上がってまいるのじゃないか。それが現実大都市に落ちる法人課税、たとえば、東京は別の性格を持っておりますが、大阪市を見ましても、法人課税の一一%しか大阪市の税収にならないというのは、私は、いかにも大都市が新しい複雑な需要に対応し得ないという実態を明らかにしておるのではないか、かように考えるわけであります。しかも、今日の経済の発展の状況から見ますと、法人の担税力というのは、社会資本のおくれからいいますと、しかも、その設備投資の旺盛な意欲等から考えますと、まだまだ担税力があるのではないか。このことは、十分内容を見ておりませんけれども、新経済社会発展計画等におきましても、所得税あるいは住民税の負担の軽減ということをうたっておりますと同時に、法人税の負担水準の適正化をはかるということが必要ではないかということ等もいわれておるわけでありまして、そういうことから考えますと、交付税のたてまえから、交付団体であるということは当然であるにいたしましても、ある程度まで自主財源の確保ということが必要ではないか。その意味におきまして、一応長期税制というものが、答申に基づくのが四十五年度において所得税をはじめといたしまして一段落を見ておるわけでありまして、大蔵省等におきましても、将来の税制をどうするかという問題について根本的な改正が行なわれるかどうか、あるいは根本的な改正を踏まえて部分的な改正に来年度あたりから取りかかるのではないかというふうな重要な時期にあると私は思うのです。その際に、あわせてそういった大都市財源、これらは当然自治省として考えておかなければならぬのじゃないか。いわば大都市のみならず、財政局長からお話がありました、都市化の傾向に伴う行政需要に対応する税源を法人課税に求めるかあるいは付加価値税に求めるかということも、今後の検討事項であろうかと私は思うのです。何に求めるかということによりまして、地方税の根本的な改正は行なわれないまでも、私は、やはり国税、地方税との配分の関係からいっても、真剣に討議をしておかなければならぬ、これに備えなければならぬ。特にいまの大都市の法人課税の問題につきましては、準備をして大蔵省との折衝に当たるという態勢が必要ではないかと思うのであります。その辺のことにつきまして、重ねて、すでにこれは御答弁をいただいておる問題ではありますけれども、私、いろいろな角度からそういう動きが活発になってくると思いますので、いずれ経済社会発展計画の内容等も私どもは吟味しなければならぬと思っておるわけでありまして、それらとも関連いたしまして、地方税制、ことに大都市税源、しかも、法人課税という問題、それの国、市町村、府県との配分関係は、重要な課題になってくるのではないか、かように思いますので、これにどう準備を進め、対処されるか、政務次官から御方針を承りたいと思います。
  77. 大石八治

    大石政府委員 もちろん、まだ最終的にわれわれは結論を得ておらないわけでありますが、御指摘の点は、もうそのとおりでありまして、本年度でも、実は法人税割りというものを、府県から増額する部分についてはこれを市町村にやる、しかも暫定的でなしに、恒久的な措置としてやるというふうな制度をとったわけでありますけれども、なおこれだけで十分だとは私ども思っておりませんし、その検討を続けたい。しかも、これを府県と市町村だけの問題で割り振るということだけでは済まされないので、その場合に、国との関係のことはやらなければならぬじゃないかというふうに思います。  もう一つ、私どもは、例の十兆円の道路整備計画の問題がいまあるわけであります。この場合に、道路財源をこれからどうするかということが議題になるわけであります。そのときの問題として、目的財源という形にするか、いろいろその手段方法論をこれから検討せざるを得ないところに入ると思うのですが、そのときに、いわゆる地方公共団体の道路財源、しかも、それを市町村という形でどういうふうに確保するかということが、実は非常に重大なところに入ってくるのじゃないか。その一つの解決がかなりできれば——いま市町村が道路の整備に使っている金というものはかなり多いわけです。指定市以外に市町村というのは、この間つくりました自動車取得税以外にないわけである。あれが四百何億でしたか、あれしかないということを考えまして、私どもは、指定市のみならず、一般都市というものを含めて、この十兆円の整備計画に応じて市町村の道路財源をどういうふうにつくるのかというのが、いま目の前の重大課題である、これを解決することはかなり大きな要素であろうというふうに考えて、これに対処をいたしたい、こう考えているわけであります。
  78. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 それでは、交付税法の内容のこまかい問題につきまして二、三お尋ねいたしたいと思います。  第一に、土地開発基金でありますが、四十四年度の補正予算におきまして、交付税が増額になりましたことに関連いたしまして、府県のほうには増額になりましたので、今度の改正におきましては、市町村に対しまして交付団体を含めまして六百億円という土地開発基金が配分になるということでございますが、だいぶ内容が拡大されるようでありますが、どういう市町村にどういうふうに拡大されるのか、その内容をお聞かせ願います。
  79. 長野士郎

    ○長野政府委員 お話がございましたように、府県につきましては四十四年度に、いわばことし措置すべきものを繰り上げて措置をしたというかっこうになっておりますので、四十五年度は市町村分について六百億円考えておるわけでございますが、この点につきましては、今年度は四百三の市町村、特にそれはいわゆる都市圏の範囲に入っておるところの市町村を対象としたわけでございますが、来年度につきましては、市はすべて算入の対象にいたしたい。それから、いわゆる衛星市町村であるところの乙地の町村についても算入をしていきたいというふうに考えておりまして、四百三の市町村が、来年度はそういうことでいま予定を立てておりますが、おおむね千二百市町村くらいに拡大をいたしたい、こう考えております。
  80. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 昨年、土地開発基金が設けられまして、いろいろ通達によりまして御指示されたようでありますが、府県は四十六、それから市町村はただいまお話しの四百三、これの設置状況及び先行取得額といいますか、面積とそれから金額、それらをお聞かせ願いたい。
  81. 長野士郎

    ○長野政府委員 県及び市町村の土地開発基金の設置状況でございますが、これは県分につきましては本年の二月現在でございますけれども、栃木県と東京都、神奈川県を除きまして、全県がそれぞれ設置をいたしております。基金積み立て額の総額が二百十四億円となっておりますが、これは四十四年度中にさらに二百七十二億円が積み立てられる見込みというふうに聞いております。さらにまた、四十五年度の当初予算におきましても百八十八億円計上するということに聞いておりますから、合計いたしまして、府県では六百七十四億円ということに相なるわけでございますが、その上に、この前の補正予算におきますところの交付団体分の二百八十二億円、これを加えておりますから、この額はさらに大きくなっていくものと考えております。  それで町村分につきましては、本年の二月末現在で、四百三団体のうちで三百四十六団体が設置しておりまして、総額は三百三十六億円になっておりますが、さらに年度中に四十七億円、五十団体が積み立てる見込みでありまして、総額は三百九十六団体で三百八十二億円、こういうことに相なっております。  基金の運用状況でございますけれども、これはいまお話ございましたが、どれだけの土地を面積として持っておるかという点は、実は手元に資料がございませんが、直接土地を購入しておりますもの、それから土地取得の特別会計に貸し付けまして運用しておりますもの、それから開発公社等に貸し付けて運用しておりますもの、それから県の場合では、市町村に貸し付けて運用しておるもの、それから見返りの融資を受けるために、金融機関に預託をしておるもの等があるわけでございます。同じような形で市町村も大体運用をいたしております。  用地購入を直接行なっておりますものは、本年の二月現在で、県では六十七億円、市町村では百二十一億円、それから特別会計に貸し付けて運用しておりますものは、県では四十二億円、市町村では五十六億円、それからいまの公社等に貸し付けて運用をしておりますものが、県で十三億円、市町村で二十四億円、見返り融資を受けるための金融機関への預託は、県で十三億円、市町村で十七億円、それから市町村ではその他というので十四億円となっております。  運用残高は、二月末現在で、府県で七十六億円、市町村で百六億円、こういう状況に相なっております。
  82. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 昨年、土地開発基金設置に関連いたしまして御質問いたしましたところ、細郷財政局長は、これは四十二年度の実績というお話があったと思うのでありますが、地方公共団体で金額にいたしまして約千億、三千七百七十ヘクタール見当の用地の先行取得を実施しておる、こういうふうな答弁がなされたと思うのであります。新たに財源を付与いたしまして土地開発基金を設定して、ただいまの話ですと、先行投資した金額というのは非常に少ないようですね。その辺のいきさつはどういうことになっておりますか。
  83. 長野士郎

    ○長野政府委員 毎年地方団体が公共用地として取得いたしますものは、大体三千ヘクタールないし四千ヘクタールぐらいあるように聞いております。そしてまた、公共用地取得のために、これは基金だけでございませんで、いわゆる起債もございますし、それから直接事業費として取得するものもございますが、こういうもので買いますものは、金額にいたしまして大体二千億円ぐらいというふうに聞いておりますから、そういう全体の計算では、土地開発基金におけるところの役割りも、その中に一部として加わっているということでございまして、さらに先行取得の必要性が高まっておりますから、それよりも土地取得の状況はふえておるとは思います。ただ、詳細な資料をいま手元に持っておりませんが、大体いままでのところでは、その程度のものを取得してきておるような実績のように聞いております。
  84. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、土地開発基金の財源付与以外に毎年、四十二年度は千億という御答弁をいただいたようでありますが、これは四十三年、四十四年というのは、二千億円程度のものを予算、起債その他で処理しておるということなんですね。
  85. 長野士郎

    ○長野政府委員 おおむねそういうかっこうだと私ども思っております。
  86. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、この前の答弁が誤りなければ、四十三年、四十四年というのは、土地購入というのですか、先行取得という意味ではなくて、当該年度に必要な公共用地の取得ということが倍増しておるというような数字になっておりますね。それと同時に、いまお聞きいたしますと、現実に府県、市町村を通じまして活用したというか、現実に作用した金額というのは非常に少ないようですね。もう一度はっきり、府県ではどのくらいの金を使い、市町村ではどのくらいの金を使ったのか、お聞かせ願いたいと思います。
  87. 長野士郎

    ○長野政府委員 残りということで申し上げたほうがいいと思いますが、運用しました残り金が、本年の二月現在では、府県の場合に七十六億円、こうなっております。七十六億円でございますから、一府県平均いたしますと、一億少々のものが残る。それから市町村の場合で、運用残高が百六億円ございますから、これは四百市町村でございますので、二千五百万円程度でございます。
  88. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 二百五十億に比べて百六億残っているとなると、相当残っていることになりはしませんか。
  89. 長野士郎

    ○長野政府委員 残っているといえば残っておりますが、これは二月というときでございますから、どういう状況でこういう形になっておるかということ、これは個々の団体についてもう少し検討してみないといけないと思いますけれども、このときは確かにこういうかっこうで残っておるということでございます。
  90. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私どもは、一般財源としてひもつきに交付すべきでないということを昨年申し上げた手前もありますので強く追及することもどうかと思うわけでありますけれども、この東京、神奈川は、これは不交付団体ですね。栃木県はどうなんでございますか。  それから、四百三の市町村のうちで約五十数団体が実施をしていないわけですね。その理由をお聞かせ願いたいと思います。
  91. 横手正

    ○横手説明員 お答えいたします。  栃木県におきましては、土地開発基金という基金は設けておりませんが、別個に公共用地の取得の特別会計をつくっておりまして、そちらのほうにおきまして、必要とする公共用地の先行取得をはかっておる状況でございます。  それからなお、市町村につきましては、交付税の算入対象団体の中には基金を設置していないところもございます。ただ、先ほど先生もお話しございましたように、私どもひもつきの指導をいたしておりませんので、こういう結果になっておるという次第でございます。
  92. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 それから、特に府県なり市町村で、その必要性のもとに交付を受けた金額より以上には基金造成をやっていないのですか。
  93. 長野士郎

    ○長野政府委員 たとえば四十四年度で考えまして、市町村におきましても、需要の算入額は三百七十七億円でありますが、三百九十六団体で三百八十二億円積み立てるという予定になっておりますから、必ずしもこの交付税の需要額には一致しておりません。むしろふえております。これは逆な話で、置かないところもあるわけでございますから、置いているところだけで考えますと、必要なところでは基金として相当積み立てておるということになるかと思います。
  94. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 今度の交付団体として、前年度より千二百市町村でありますので、約三倍近い市町村を対象にしておるわけであります。私は、傾向としてはどの市町村といえどもそういう基金は必要である、こういうふうに考えております。こういうふうに普遍的な体制になっていく。ことに農地の休耕というような問題等に関連いたしまして、そういうときに公共団体が先行取得をするということは、どういう団体においても必要なことであるわけでありまして、対象範囲を拡大したということは、これはある意味におきましては、私は、そういう資金を持っておるということ自体が、ちょっと当てはまるかどうかわかりませんけれども、市町村としては、ある意味において、余裕のあるときにそういう基金を持つという、いわば年度間調整とは意味が違うわけでありますけれども、そういう基金を、行政需要はありますけれども、特に交付税で配慮せられたものをいわゆる基金として持っておくということは、公共団体の将来の財源措置からいっても、私はそういう意味におきましてはきわめて適切な措置であるというふうに考えるわけであります。さらに、千二百市町村といいますと、大体三分の一になるわけですが、将来これは拡大する御意思はありますか。
  95. 長野士郎

    ○長野政府委員 千二百町村でございますから、三分の一くらいになるわけでございますか、これは結局交付税措置ということでございますので一つの制約もございますし、また、あまり小さいものになりましても、基金としての意味を失うということにも相なるわけでございます。また同時に、公共用地先行取得の必要度というようなものの強いところということで考えてまいっておるわけでございますから、その意味では、それ以外の町村が必ずしも弱いとは申しませんけれども、これはまたほかに、先ほども申し上げましたように、県の公社に基金を入れたりしておるような場合もありますから、そういう町村は、また府県のそういう基金を活用するとか、いろんなことも考えられるわけであります。今後の状況によって、拡大をさらに続けるか、あるいは厚みを増していくか、これは需要との関係もございますが、考えてまいりたい。
  96. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 本年も附則で暫定措置になっておりますけれども、この制度をどのくらいお続けになるお考えでございましょうか。
  97. 長野士郎

    ○長野政府委員 この制度をどのくらいやるべきかという問題は、実はいろいろな見方があると思います。わが国の地方団体におきまして、特に都市中心にして、県もそうでございますけれども、現在土地の取得ということが非常にむずかしい問題でございます。中にはいろいろな意見を私ども伺いますが、公有地の少ないことが、わが国の自治体行政を伸ばしていく、あるいは公共施設の整備に非常な隘路になっているので、むしろこの際、思い切って土地の公有という部分を拡大する、農地のいろいろな問題もあるから、そういうことで恒久化していって、西欧のように、もっと公有地の部分を広げておくほうがいい、それが自治体の土地政策の基本ではなかろうかというような御意見もあるわけです。そこで、そういういろいろな御意見を伺っておりますけれども、現在のところは、現に府県では措置したものが昨年で標準団体で大体十二億ということになっておるわけでございます。それから市町村では標準団体で二億くらいになっておるわけでございますが、まだこの程度では、先ほどのそういう大目標からはほど遠いことでございますし、現実の土地の先行取得に対応するということからしてもまだ不足ではなかろうか、できればもう少し続けてまいりたい、こう考えておりますが、どのところまで行ったらやめるのかやめないのかということになりますと、これはもう少し様子を見ながら、この基金の効果、それからほかとの関連、ほかの制度もいろいろございますから、そういうものを見ながら、検討をいたして結論を出したいと思っております。
  98. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私も、公有地をふやしていくということの必要性につきましては、同感であります。今後ある程度まで公有地をふやしてまいるということにつきまして措置すべきであるというふうに考えております。  なお、今後の農村地帯の変動というものは相当きびしく、また拡大していくのではないか。そうなりますと、過疎地域対策緊急措置法等におきましても、私どもどこまで将来の農村を食いとめ得る集落の再編成ということが可能であるかどうかということにつきましても、よほど腹を据えてかからないと、再編成した集落がさらに危機になるというような事態を起こしかねないほど農村に対する影響力、それに関連する地方自治体の影響力というのは大きい、これは数字的なものによるわけではありませんけれども、ただ見通しがそういうような感じを私は受けるのであります。そういたしますと、そういうことに対応する意味において、どうしてもある程度町村におきましても公有地を所有しておくということが、集落の再編成あるいは牧野の造成というような、新しい水田以外の農業の振興をはかるという意味におきましても必要ではないだろうか。そのことが、昨年私どもが疑問を持ちました点も、土地開発基金というものが市町村に普辺的な財源になり、大きく変動する市町村の将来の財政及び施策に関連してまいると思います。ある程度続けていただきますということと、それから公有地をふやすという努力、さらにはでき得れば、町村の範囲を拡大願って、どうにもならない貧弱団体というものは、こういうことよりもあるいはその他の適切な施策をやることが必要だろうと思いまして、ある程度の村等に対しましても、こういう財源を配分するということによりまして、できるだけ交付税が一般財源的な性格を持つということに近づけるという努力をお願いしたい、かように考えていますので、その点を要望申し上げておきます。  次に、広域市町村圏についてお伺いしたいと思うのでありますが、まず予算措置あるいは交付税等について内容をお聞きしたいと思います。予算では圏域に対しまして一千万円、これを二カ年継続で交付する、こういうことに補助するということになっておりますが、これは補助基準といいますか、そういうものはどういうことでございましょうか。それから、時間もだいぶたちましたので、交付税で見ております一圏域三億円というようなお考え、これらはどういうふうにお考えになっておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  99. 長野士郎

    ○長野政府委員 広域市町村圏の関係におきましては、補助金は、計画策定のために一圏域百五十万円、それから整備事業の関係におきまして、二年度にわたって交付されるということでございまして、一圏域に平均一年度分が一千万円ということでありますが、これは平均でございますから、圏域の大きさ、規模等によりまして、それを中心にしながら多少調整が加わってくる、こういうことであろうと思いますが、そういう具体的な内容は、まだ明確にはいたしていないように聞いております。  それから交付税措置でございますが、交付税につきましては、地方債も単独事業といたしまして広域市町村圏分として一応三十億円予定しておりますが、財政計画なり交付税の措置といたしましては、市町村道を、基幹道路の整備というものを中心にいたしまして約百六十五億円、一圏域当たり三億円を用意いたしております。なお、単独事業につきましては、広域市町村圏の関係の事業につきましては、ほかの事業債で該当させるのに適当なものがありますれば、これも加えてまいりたい。そこで起債といたしましても、大体一圏域平均今年度少なくとも二億程度のところには持っていきたいというようなことを考えておりまして、これはいわゆる広域計画が十分できておりますところについて考えていくわけでございますが、相当な措置に相なっていけるのじゃなかろうか、こう考えております。
  100. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、五十五圏域の事業内容その他計画が固まってから、一千万円の補助金も、全額補助にするかあるいは半額補助にするか、補助対象をどうするか、補助団体はその圏域内の一部の市町村になるのかあるいは交付税の配分も計画ができてから配分を考えるということになるのですか、どういうことになるのですか。何もかもすべてさっぱり固まっていないわけですね。
  101. 長野士郎

    ○長野政府委員 補助金のほうのことは、私直接担当しておりませんので、ちょっと申し上げかねますけれども、これも結局費用の調整的な意味も含めて考えておると思います。そこで、組合でやっておりますところとか、あるいは協議会でやっておりますところとか、いろいろ違いますから、組合で実施しておりますものは組合に持っていける、そうではないところは、一応は各市町村という計算を現行の制度においてはせざるを得ない、そういうことになるのではなかろうかと思います。  交付税措置といたしましても、その点では、協議会という事実上の組織に対してというわけにまいりませんので、これは関係の圏域の市町村というもので措置していくということにならざるを得ないと思っております。ただ、そういう場合に、計画ができた上でなければだめなんだというようなことになりましたら、補助事業、起債についてはそういうことがすぐ出てまいるということになりましょうが、交付税上の措置として考えますものについては、一応そういう財源付与ということで考えますから、圏域の該当の関係の市町村に対してはそれだけのものを算入して配分をする、こういうことに相なるだろうと思います。普通交付税は確かにそのようになると思っております。
  102. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 五十五の圏域が半年くらいの間に将来の計画を立てるということは、慎重な将来計画を立てるにしては期間が短過ぎるという感じが私はするわけでありますが、しかし、ある程度まで大まかな計画を立てるということであれば、可能かもわかりませんが、この広域市町村圏が、各市町村個々の行政水準の向上ということを考えながら、行政の効率をあげるということがねらいだろうと思うのでありますが、もうすでに府県が関与しておりますし、府県は自治省のほうに連絡しているのじゃないかと思いますが、大体どういうふうな傾向というものが出てまいっておるのでございますか、おわかりでしたら、お聞かせ願いたいと思います。
  103. 長野士郎

    ○長野政府委員 具体的な関係につきましては、行政局のほうでいろいろ実は相談に乗っておると思っております。私も具体的な計画はまだあまり承知しておりませんが、一番の中心になっておりますものは、道路の整備というように聞いております。それから医療関係の施設、社会福祉関係の施設、それからスポーツ関係の施設、それから清掃関係の施設というようなものが、個々実情に応じて出てきておるようでございますし、おっしゃいますように、もう相当時間もたっておることでございますから、私どものほうもいいかげんに輪郭をはっきりさせてもらいたい。もっともこれは一度きめたら、あともう動かせないというものでもございませんし、少しずつ問題を進めていきますためには、やはりそろそろ具体的な計画が出ていいころであろうと私どもも思っております。
  104. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 全国を三百数十の圏域に分ける、そして市町村の広域行政に対応するのだというそのお考えですが、私は、市町村圏域という基本の考えは、各市町村ができないことをその圏域内で共同でやるということと、都市化の傾向の中にあって、住民に対するサービスを、中心都市と同じような便益をどう受けるかということ、いわば個々の市町村の住民ということを中心考えておるものだと思うのでありまして、早くこれを把握願いたい。経済企画庁の新総計画等で、広域圏、広域圏という、行政はこれに対応しないのだということで、文書はできておるわけであります。しかし、市町村は市町村なりに、従来も自治省の御指導があったかと思うのでありますが、屎尿処理だとか、じんかい処理だとか、あるいは場合によっては、都市の連檐のところは阪神の上水道の企業団だとか、それぞれ知恵を働かしてすでにそういうことをやっておるわけなんです。それらに対しまして、画一的な上からの指導ということではいかぬのではないかということは、昨年も申し上げたわけであります。そういう問題が現実的に全国にどういう趨勢にあるのか、市町村が単独でできない悩みがどういうふうに盛り上がりつつあるのか、そういうことを把握する意味におきましても、まず一斉に調査をやるべきではないか。そして、上水道にいたしましたら水源の関係もありましょうし、あるいは産業政策にいたしますれば、いわゆる日常生活圏という考え方よりも、相当広範囲にわたる大規模な畜産振興というような問題も出てくるでしょうし、それから施設にいたしましても、じんかい処理というのは、市町村が清掃車をもって処理場に運ぶにいたしましても、それぞれ効率的にやる距離というものがあると思いますので、圏域を設定して、それで広域行政がうまくいくのだということは決してない。それぞれの圏域というものは、指定する方法によりましては狭められる。それをほんとうに、現実に、各市町村の発展あるいは住民の福祉につながるような運営、処理をすべきじゃないか、机上の計画だけではそういう問題は解決しないのだという考え方を、私は持っておるわけであります。いわゆる広域的に処理することの必要性はあるにしても、消防はどういうふうにやるか、協力体制でやるのか委託でやるのか、あるいは一本化で、連合組織でやるのかというような、いろいろな問題があろうと思いますが、これは地域に最も適したやり方でやるべきではないか、かように考えるわけであります。そういう全国的に広域処理ということを現実に把握するという意味におきましても、ある程度まで全国的な趨勢を握るという意味で調査に力を入れて、それを百五十万なら百五十万一気に出しておやりを願うことが必要だということを申し上げておったわけでありますが、その辺の考え方ですね。ただ単に経済企画庁が新総計画で、いまの地方公共団体は、府県にいたしましても市町村にいたしましても、広域処理に対応しないのだ、何か新しい行政組織を考えなければいかぬということになりますと、建設省では地方生活圏という構想を打ち出す。その地方生活圏にいたしましても、道路を中心整備するのだといって、一県が圏内にぼそっと入るような指定のしかたをしてみたり、大きいところは二つ三つに分けるようなやり方をしておりますが、道路の整備をどうするかということを圏域行政としてやるということは、府県行政なわけですね、圏域行政でやるなんというのはおかしな話で、それを全国幾つか指定する圏のモデルにすればいいのでありまして、したがいまして、圏域というものはある程度まで入り乱れてくる。たとえば、いま地方制度調査会で問題になっております大都市をどうするかという問題、大阪市を中心とする周辺の連檐しておる市町村をどう処理するかということは、これはまた新しいもっと強力な連合組織にするのかどうかというような問題に出てまいるかと思いますけれども、いわば後進県の中核都市と付近の町村との関係は、画一的に全国を三百幾つに分けてやればいいのだという問題だけではなくて、それぞれの地域が、施設を効率化するためには、どうすればいいかというような、きめこまかな地域実情に即した市町村の協力体制というものをつくらなければならぬのじゃないか、私はかように考えるのであります。たとえばいろいろな態様が考えられると思うのです。盛岡の場合に、たとえば中央卸売市場を整備しようとすれば、もう都心には土地がない、隣接町村に市場を設置した。そこに県道を整備するという問題もありましょうし、またその隣接の村は、村道を整備するにいたしましても、ほかに村道を整備するのがあるにもかかわらず、国道と市場とを結ぶ村道を整備しなければならぬということになりますと、余分の財政需要が出てきたということになる。しかも、開設と同時にその道路は整備しなければならぬということになりますと、そこに交付税として行政需要を基準財政需要額に算入するということば意味が出てくると私は思うのであります。高等学校が市内から市外に出ていく場合もそうであります。たんぼのまん中に学校をつくるだけではいけませんので、道路をどう整備するか。それに専念することによって住民の必要とする村道の整備がおくれるということは、村民にとっては耐えがたいわけであります。それを調整するために、行政需要のふえる分を交付税で考えていくというような考え方もありましょうし、いろいろあろうかと思うのであります。しかも、これを打ち出したときの細郷さんの説明は、過疎対策なんだ、過密対策としては、四十二年ですか、十年間の状況を調べてみたところが、単独事業として特別な交付税としての財源を約三千億考えなければならぬ、それを三カ年で解消するという意味で、四十四年からいわゆる人口急増地域の対策を交付税として見ていくのだ——おそらく今度もそういう措置がなされておると思うのでありますが、過疎地帯はどうも把握しにくい、そういうふうに人口急増地域に比べて現実にどういうふうな財源の裏打ちをすればいいかということが明瞭ではない、いずれ市町村圏という構想で調査をいたしますので、その結果を待って過疎対策については本格的に取り組みたい、それまでは暫定的に過疎対策につきましてある程度までの交付税の配慮をする、こういうような答弁がなされたわけであります。昨年五十五圏、本年七十圏でございますか、調査を始めるということになりますと、一応過疎対策としてもまずやり、それに対してすぐ交付税で考えてやる、こうなりますと、全体の過疎対策としての全国的な把握からいいましても、最後の設定された圏の結果が出るのはだいぶ先のことではないか。それが五年後になるのか十年後になるのかわかりませんが、いわば過疎対策の調査段階もそういうふうにおくれるというような結果になるのではないか、私はかように考えるわけであります。その辺の関連をどういうふうにお考えになっておるか、承りたいと存じます。  と同時に、市町村圏を過疎対策として取り上げるという場合に、その辺のことを具体的にはどう考えるのか。今度の交付税は、市町村道路の整備をやるものとして、ある程度まで上積みとしての財源措置を一圏平均三億した。これは平均三億ですから、おそらく圏域の広いところ、狭いところ、あるいは場合によってはおくれておるところ、ある程度まで整備されておるところ等判断なすって、いろいろ交付税の数字を合わして配分なさるんだと思うのでありますが、その辺二点につきましてお聞かせ願いたいと思います。
  105. 長野士郎

    ○長野政府委員 広域市町村圏につきまして、いろいろな見方ができるわけでございますが、広域市町村圏という考え方は、結局地域社会の発達いたしました現状から考えまして、市町村の区域を越えまして住民の日常社会生活圏というものが広がりつつある実態に即して、都市中心として都市、農村を一体とした圏域というものが形成されつつある。その実態に着目して、そしてその広域圏における施設整備というものの水準を上げると同時に、そういう規模の利益の効果というものも発揮できる。つまり個々に施設をするより、相当まとまった形で整備をして、質も上げるが規模も大きくしていく。それによって前後の地域が利益を受けることも可能になってくる。またそういう体制を整えていくことが必要ではないかということでございますから、そういう意味では、広域市町村圏を中心としたいわゆる行政水準の向上といいますか、そういうものが私は基礎にあると思いますが、その場合に、過疎地域につきましても、その圏域内に取り入れることによりまして、そうしてその圏域の中心とも結ぶような幹線道路の整備等を行なうことを通じまして、過疎地域にもいい影響を与える。私どもが二、三拝見した過疎村におきましても、やはりその地方の中心になりますところとの間の断絶といいますか、陸の孤島といわれておりますように、そういう関連が非常に薄いということが、過疎現象を起こさせる大きな原因の一つ——ほかにもいろいろ事情はございますけれども、あるように思いますから、そういう意味で、市町村圏の中にうまく組み入れることができれば、これは過疎関係のいろいろな対策の一つとして重要な役割りを果たすことにもなるのではないかということでございます。これが過疎対策だということには必ずしもならない。これはやはり過疎対策についての一つのいい影響を与えるということだと思います。そこで、広域市町村圏が全国に整備をされなければ、過疎問題はもう問題にならぬというようなことではなくて、やはり過疎対策は過疎対策として別個に措置していくということもあり、また広域市町村圏というのは、そういう意味では、応急措置というより、むしろある意味の恒久体制的な考えでございますから、そういうものが両方合わさっていって過疎地域にもいい影響を及ぼしていくということができるのじゃなかろうかと思うわけでございます。ですから、広域市町村圏という構想なり考え方は、地方制度調査会の答申にもありますけれども、これはやはりある面、何といいますか、総合施策でございますから、総合施策の中心をなしますものは、やはり地域の行政施設水準の向上であり、地域社会の発展に応じた、それにふさわしい機能の発揮ができるような施設を整備していく、あるいは産業基盤の整備をはかる、こういうことであろうと思うのであります。それがいろいろな現象、問題に対しましていい影響を与えていく、その中でも特に過疎地域の問題についてはよりよき影響を与えるということに相なると思うのでありますが、これが過疎対策のすべてであるなどということにはならぬのじゃなかろうか、私はこう考えております。  それから交付税で考えております市町村道の整備に要する経費の配分の問題でございますが、これにつきましては、道路でございますから、道路の延長とかいろいろなことを考えながら配分をしていくわけでございます。と同時に、人口の要素も加味いたしまして、そういうものを考えていくということにいたす予定にしております。
  106. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 昨年、過疎地域は具体的にどういうふうにするかという質問に対して、細郷さんの、広域市町村圏の調査によって設定をし、それを調査して過疎地帯の実態を把握することによって対策を講ずるのだという御答弁があったものだから、それが現実にことしになってみたところが、部分的に指定をし、すぐそれに対する財源の裏打ちをするというやり方なら、全国的な過疎対策の把握ということについては——それは過疎対策をほっておくわけにいかぬので、逐次おやりになることは私どもも強く要望するわけですが、ほんとうの過疎対策をどうするかという把握については、あまりに調査期間が長過ぎるのじゃないかという感じがありたので、お尋ねしたのであります。  今回の広域市町村圏におきましても、その中心都市中心になっていることは明らかで、交付税の算定におきましても、ある程度まで中心都市を優遇する配慮をしてあると思うのであります。そしてそれに対する交付税の配分も濃くすることで中心都市がよくなることによって周辺もよくするという、いわば拠点都市の経済の波及効果を付近の町村にも及ぼそうという考え方に立っておる。いわゆる新産都市の小型版みたいな考え方、そういうことは私はある程度まで必要ではなかろうかと考えるわけでありますが、中心都市をよくすると同時に、その周辺への中心都市のある程度までの協力、あるいは周辺との関連を考えながらの配慮が必要だ。先ほど私が例に申し上げたように、隣接に卸売り市場を持っていけば、それを建てるだけではなく、市場との関係の道路を国道と結ぶことが必要であるならば、市もそれだけの協力をするような広域圏としてのあり方が必要ではないか、かような感じを持っておるわけで、それをお尋ねしたわけです。  盛岡の大まかな関係は、私まだ計画書をもらっていないので——一応の計画はもらっておるのですが、実際は抽象的で、皆さんの期待するような計画ではないのです。道路の整備をいわれますけれども、付近の町村の中心地との交通幹線道路というのは市町村道ではない。国道もしくは県道です。行きどまりというような山の中にある村の中心地の場合は、それは別です。県道でない場合もあるわけであります。道路というものは、ある程度ずっとつながっておることが必要なのに、それが国道もしくは県道でつながっているわけなんです。中心地からその村の集落との関連においての道路を整備しなければならぬ。いわばその中心都市中心とする中心地との結びつきと同時に、その村の中心地から村内の集落との結びつきをどう整備していくかということが重要な町村の仕事である。それらをある程度まで交付税で見るということについては、指定を受ける受けないにかかわらず、そういう配慮はどこでも必要なんです。ただ、先行投資ではございませんけれども、指定を競争することによって財源を少しでも確保するという市町村の競争意識といいますか——みずからの村をつくるための指導助言、調査というのにはなかなか金を投じません。ほんとうは住民組織を動員して住民の意見を聞く、それの集合費というふうな経費あるいは専門的にそういうものを調査する経費というものは、市町村の協力でやることはなかなか金を投じがたいわけでありますけれども、そういう助成をすることは意味があると思うのであります。あととにかく補助金で何とかするぞというやり方は、何か上から画一的に、全国を単に三百幾つの圏域に分けるということに重点を置いているような、実態と離れたような、上からそういうことが一応完成して、いわゆる広域行政がうまくいくんだ、そういう考え方に交付税を使われるということについて、私は多少疑問を持っておるわけであります。いわばもっと有効な考え方に立ち、そしてもしそのために必要な事業があるという場合には起債を認め、さらにその村としては、共同施設をやるにしてはほかの施設があるから、その施設をやるためには新しい経費を投じなければならない、そういう場合に、そこに対していわば先行投資的な必要な事業を与えるんだ、そのために交付税で考えるんだというふうなやり方は私は必要だし、また交付税の本質を生かすものだ、かように思いますけれども、ただ単に圏域をつくれば、計画を立てれば、すぐ翌年からそれに対して、何かわからぬけれども、交付税で見てやるのだというふうなやり方については、どうも賛同しがたいという感じがするわけであります。どうお考えになりますか。
  107. 長野士郎

    ○長野政府委員 まあ広域市町村圏というものは、先ほどお話がございました建設省の一日生活圏でございますか、ああいうものとは——そんなことを言うと語弊があるかもしれませんが、私はいささか質を異にしていると思っております。と申しますのは、建設省は建設省の所管の行政、つまり道路でありますとか河川でありますとかいうものの行政をやるやり方の一つの理屈づけのようなことで、ああいうものをお考えになる。地方制度調査会の答申を受けました広域市町村圏は、これはあくまでも自治体の一つの共同の認識の中におけるところの日常社会生活圏であります。つまりそれは自治政策として、自治体がその地域地域において一致した共通認識の中から生まれてきたもので、決して上から求めようとかいうものではない。ただ、それを一応考えていきますと、大体この辺じゃなかろうかということが予測されるということから、全国が幾つくらいになるとかならぬとかいう議論はたまたま出るわけでございまして、そういうことから、上から画一的にやっているというのでなくして——ですから地方制度調査会の答申も、これはやはり地方団体の連合組織ではないかというような御答申もいただいているわけでございます。これはあくまで自治の政策であり、自治体自身の発想に基づいて出てくるもの、私どもはそう思っております。  ただ、その際に、そういうことについては、自治体のほうも非常に賛成だ、ただし国も何とかひとつやれるような形を整えてくれるべきじゃないか。これは地方制度調査会などを通じて、実は当時私どもにも強い御要求が地方団体側からもあったわけでございます。そこで、そういうものにつきまして、大体やれる体制というものを整えるために、自治省としてもできる範囲のことはできるだけ努力を惜しまないというようなことで、むしろ私どものほうがくっついていっているようなかっこうが、現在の広域市町村圏のあり方であります。したがいまして、決してこうやるからこうしろというようなことを申しているわけでもございませんし、広域市町村圏というのは認可を得たり承認を得たりするものでもございません。やはり出たところによって考える。ただ、予算上の問題等が多少、小さな額ではございますが、あるものでございますから、そこでそれが五十五といいましたり七十くらいといいましたりするような大体のめどをつけていかざるを得ない、これだけのことに御了解を願いたいと思うのであります。決して上から押しつけてやらす、そのためにえさをつけて無理やりにやらすというようなことを考えているわけでは私は決してないわけであります。ですから、広域市町村圏というものを考える必要がないというお考えのところがあっても、ちょっともかまわないというふうに思うわけでありますから、その点は全く地方団体の自主的な発意のもとに仕事を実施していくということで、けっこうだと私どもは思っておるわけであります。  そこで、また先ほどのお話に返りますが、だから、無理やりに道路の財源を保障したりすることで強制するようなかっこうはおもしろくないというお話でございますが、私どもは決してそういう意味で強制をいたしておりません。道路財源を計算するときに、道路の延長なり何なりで計算をいたしましても、それがもしそこに使われなければ使われなくてもこれはいいわけであります。決して強制をするわけではございません。そういう意味では、広域市町村圏というものの存立の基礎というものは、やはり地域社会がささえていく必要があるし、ささえていくべきだという、そういう相互認識なり理解がなければ、これは画餅に帰することになるわけでございますから、これはかかって自治体のそういう決意と前進させるかさせないかという計画と、両々相まって問題が処理されていく。私どもはどちらかと言えば、それについていっている、こういう形だというふうに御了解をいただきたいと思うのでございます。
  108. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 その国からの補助金をもらって計画を立てたものだけ交付税の配慮が行なわれるというようなあり方は、交付税の合理的な公平な配分を考えておるあり方に対して、ちょっといささか荒っぽいやり方じゃないでしょうか。かりにそういう計画がなくても、現実に周辺との協力のもとに広域圏としての構想をやっておるというようなところに対する配慮というのはなされないわけでしょうか。単に補助金をもらって計画を立てつつあるというところに交付税で上のせをしていくわけですね。逐次順番にそういうあめを上げるから、おくれるところはしんぼうせいというような感じですね。
  109. 長野士郎

    ○長野政府委員 広域市町村圏におきまして、広域市町村圏の整備のための振興計画を立てる、整備計画をつくる、そういうことで市町村圏内の交通網というものも、核となる都市中心にいたしまして、全体の集落に至るまでのいわゆるネットワークと申しますか、そういうものが体系づけられる。そういう計画ができるということは、これはたいへん意味のあることでございまして、そこで日常社会生活圏の基礎というものが形づくられていくということになってくるわけであります。個々のところで考えていくことにも全然意味がないとは申しませんけれども、現在のような生活実態の中で広域化された日常社会生活圏、これは時代が要請する広域化一つの問題だと私どもは受けとめていくべきだと思いますが、それに対応するような整備計画ができまして、そして総合的な体系化された道路の整備計画あるいは文化的な施設の整備計画あるいはいろいろな処理施設の整備計画ができて、そしてそれはそれぞれの広域市町村圏なり、その圏内の市町村の共同の処理が十分末端の集落まで一貫して作動して効果をあげていく。こういうことになってまいりますと、それはやはり一つ時代の要請する広域化への前進ということで評価をしていくべきではなかろうか。そういうものに対しての特別な需要というものを考えていくことは、これは個々のものがやったのと同じように評価してしまえばいいじゃないかというのとは、ちょっと私は、質的にも違っていくことではあるし、時代の要請に即応するという意味では、やはりそれに必要なものを考えていくことは、措置として認められるべきものではなかろうか。これは程度にもより状況にもよりますから、画一的には申し上げられませんけれども、そう考えておるのであります。
  110. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 その市町村の行政の効率化、あるいはその圏域における市町村の行政能率が上がり、住民のサービスが徹底するような前進をはかるということについて、私は異議を申し上げているのではないのですね。そういう体制の機運のあるところは、全国を三百五十とか三百というようなことでなしに、どういう範囲が妥当であるか。全国的に私は市町村の自発的意思によって調査を一せいに進めるべきではないか。それに対する必要な経費は、交付税なりその他で見てあげる。それができ上がって、こういう広域圏内の仕事をやるということが必要であるならば、その必要に応じて交付税を配分するというやり方をとるべきではないか。補助金をもらって調査をしたところは、交付税で配慮をされ、補助金をもらわぬで現実にそういうことをやる意欲のあるところは、交付税の配分も配慮してもらえないというやり方、そのやり方は、私は交付税を使うときに間違っているんではないか。おやりになるなら、そういう広域行政が必要であるならば、どういう必要があるからということを、市町村ではあるのかないのか調査をしてやってごらんなさい、費用だけは持ってあげますよということで、やりたくないところはそれでいいわけですから、やるところは、そういうふうな調査費を配分し、それをある程度まで補助金を出せなければ、多少のそういう余分の経費を行政経費の一部として交付税で見てあげる。そうしてできた結果、われわれの広域圏は、こういうことをやることが各市町村の自主性を尊重し、広域全体の行政水準を上げるのに効果がある、こういう仕事をするんだという目安がつけば、そのときに交付税で配分すべきではないだろうか、こういうことを私は言っているわけでありまして、広域圏の必要性の問題ではなくて、そのやり方ですね。とにかく圏から選ばして、そして補助金を出して、補助金が済んだところは、計画ができたところは、すぐその次から何とはなしに交付税で上のせをしてやる。もっと熱心にやっておって、補助金もなしにやっておって、その必要性でもっと財源がほしい地域があるわけですね。それらは交付税のそれだけの行政需要があるのにかかわらず、基準財政需要額に算定されてない。そういうあり方が私はふに落ちない、間違っていはしないか。それが必要であるならば、どういうふうに必要であることを市町村が受けとめるか。そういうことをやらしておいて、仕事がこれは適切だ、これは将来効果は上がらぬとかいうふうに検討させるべきだ、私が申し上げているのは、こういう意味なんです。何も広域市町村圏というのは必要ないということを主張しておるんじゃないのです。交付税の措置のしかた、そういうあり方のほうが妥当性を持ってくるんじゃないか。何らの法律の根拠に基づかない補助金をもらったところは、何か計画をつくれば、五十五の計画の内容がどういうふうなことをやっているのかということがわからないうちに、もうすでに翌年から何に使おうとかってだというような財源の上のせが交付税で配分される。そういうことでは、ほんとうに交付税が生かされてはいないのではないか、こういうことを申し上げているのです。
  111. 長野士郎

    ○長野政府委員 お話の意味はわかりますが、広域市町村圏として一応扱われておるもの以外にも、もっといい広域市町村圏あるいは同じような広域市町村圏があるではないかというお話かと思いますが、それは現在はほとんどないと思います。やはり広域市町村圏という形で発足するまでには、相当いろいろな経過もたどってきておるように私どもは思っておりまして、ここまでやってまいりますためには、たいへんな関係者の共同研究、共同作業というものが進んでおる段階になって初めてこういう形になっておるように思います。四十四年度の場合におきましても、当初はたしか五十の圏域を考えておったと思いますが、それが五十五でございますか、そういうふうになっておりますのも、そこまでのところがだんだんとそういうことになってきたからでございまして、四十五年度には七十ということだそうでございますが、これがどの程度広域市町村圏としての形の協議体制というものが整ってまいるか、それによって考えなければいけないし、また同時に、お話しのように、それが七十でなくて、七十をもっと過ぎて何かできていくということになりますれば、これはまたお話しのような面も確かにありますから、その実態に応じて考えていくということも必要かと思います。補助金の、そういうことを申すのはいささか語弊もありますが、百五十万円足らずのものがついたとかつかぬとかということで差別をするということはもちろんございません。これは同じような状態であれば、やはり考えていくのは当然だろうと思っておりますけれども、しかし、いまのところ実質は、そうであるものがはずれているというようなことにはあまりなっていないのじゃなかろうか、こう考えております。
  112. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 現実に自分のことを申し上げては申しわけありませんが、岩手県の場合は少し大きかったわけでありますが、県内を四つに分けて、すでに七、八年前に圏域内をどうするかということを進めているわけなんです。それが今度の計画で御破算になり、それから建設省の計画によってそれがまた御破算になり、今度新しい計画を立て、新しい区域で一緒になっていたものが離れてやるというような、そうしてまた新しい計画を立てる中央の各省のそういう地道にやってきたことをぶちこわして、新しくまた同じような計画を立てるというやり方、それらを十分反省する心要があるのじゃないかということを、具体的な例がないというから申し上げるわけです。  現に八戸を中心とする青森県では、新産都市で相当の広域計画を立ててやっておるのです。それが今度一日生活圏として、広域市町村圏としてまた同じような圏域を指定して計画を立てる。それにどれだけの意味があるかということに私は疑問を持つわけなんです。ですから、上からそういうふうにやる以前に、ある程度の大まかな実態というもの、どの県はどういうような動きをしておる、市町村はどういう動きをしておる、そういうことをやらないと、いわば地方自治体に対して、新総計画ができればそれに乗りおくれないような、各省がそれと同じような計画を立てて、自治体に、これをやれ、ただではやらぬので、調査費をつけるというふうなやり方、そういうやり方は地方自治体を守ってくださる自治省のやり方ではない。必要であるならば、じっくりそれらの実態から積み重ねていくべきである。いままで積み重ねてきたものを御破算にさせるようなやり方は避けるべきである。もし区域が悪ければ、ほんとうにそこは悪いのだということで、再検討してまでもその区域を是正するという方向で広域圏を形成させるんだ、こういうふうな指導が好ましいのではないか、そういうことを申し上げたかったわけであります。しかも、交付税との関係においても、そういうふうにたやすく調査が、根拠のない、何とか計画はできた、できたら交付税ですぐそれに対して中心都市その他がある程度まで上のせになるというようなやり方は、ほんとうに交付税が生かされていない、私はこういう感じがします。  現に盛岡市を中心とする広域圏の計画それ自体を見ましても、これは新味もあります。私は、もう過去のものになっておりますので、新味がないとは言いませんけれども、皆さん方から期待されるようなのが出てきようはずがないのです、すでに前に計画を立てておりますので。そういうことを見ましても、もっと生かされた指導がなされるべきである。交付税もそういう方向に配慮すべきであるというふうに申し上げておきます。  どうも交付税の審議に十分の時間がなくて私ども残念であります。しかも、私ども六人全員を従来やっておるのに、全員まだ済んでいないのでありますが、本日質問の打ち切りということで、約束の時間にだいぶ超過違反をおかしておりますので、これで打ち切りますが、まだ疑問の点がたくさんあるわけであります。一応約束の違反をしたことになって申しわけありませんが、これで質問を終わらしていただきます。
  113. 菅太郎

    ○菅委員長 斎藤実君。
  114. 斎藤実

    斎藤(実)委員 きょうは自治大臣がお見えになりませんので、基本的なことについて政務次官にまずお伺いします。  交付税の性格、本質について先般大蔵大臣に御質問申し上げましたが、私どもも非常に納得できない答弁で、大蔵大臣は、交付税は国のお金である、いわゆる三税の三二%は法律によって地方に交付するという意味においては地方の固定した財源である、そうも言えるけれども、本来の性質は国の財源であるというような御答弁があったわけですね。こういった考え方は、地方自治体側にとってみれば、非常に不満な御答弁なんです。大蔵大臣から言われるまでもなく、交付税法の六条には、所得税、法人税、酒税の三二%をもって交付税とすると、はっきりと交付税は地方税と書いてある。こういったことについて自治省を代表する政務次官から、まずこの問題について御所見を承りたい。
  115. 大石八治

    大石政府委員 私、その返事が非常にしにくいところもあると思うのでありますが、交付税は地方の固有財源であるという表現は、われわれがいままで言っていることでありますし、また大まかに言えば、そういう理解をされていると思うのであります。ただ、この問題について問題になるのは、実は三税の三二%というそこに問題があると思うのです。それが交付税制度ができてから、もう全く動きがなかったかというと、そうではなくて、二八%あるいは幾らというふうに動いてきているわけであります。したがいまして、交付税というその姿は、私どもは、地方財源として固有のものであると言いますけれども、しかし、パーセンテージの問題は、一定不動であったかというふうに考えますと、一定不動ではなかったわけであります。ふえてきているという経過を見ますと、国税であった部分に私どもが入ってきたという形を、たとえば大蔵省のほうとすれば、見られるわけであろう。そこらに、問題の解決のしかたについて、私は多少ニュアンスが違うところがあるんではないかと思うんです。したがって、固有の財源であるかどうかということだけに、そのことばの表現にあまりとらわれることが必要であるかどうかということよりは、交付税というものが持っているいまの意味と地方団体が要求している財政需要という問題のかみ合わせで、もっと交付税は必要なんだということの理解が、財政当局あるいは社会的、一般的理解をされていくことのほうが重大であるんではないか、こういうふうに私は考えているわけであります。
  116. 斎藤実

    斎藤(実)委員 毎年の予算時期には、最後までこの問題でもめるわけですね。もめる理由一つは、やはりいま私が申し上げましたようなことがはっきりしない、これが一つの大きな原因じゃないかと思うのです。こういったことがはっきりしないから、いつまでも折衝時に苦労されるわけですね。いずれはこの問題について、年度間調整等も含めて検討するというような御答弁もありましたけれども、この年度間調整についても、これをはっきりしなければしょうがないんじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  117. 大石八治

    大石政府委員 年度間調整という問題で、いままでの話の中では、具体的な予算折衝の段階で、国も苦しいんだから少し何とかならないかという、まあ俗っぽいことばで言えば、そういう表現で貸し借りの話がありまして、それが今日いう年度間調整かといえば、まあ大蔵省と地方団体との間の年度間調整というふうになっていると思うのです。しかし、私どもは、国の財政と地方財政というものは全く切り離されたものであるというふうに考えることは、あまりにも固定的であろう。そういう問題はまた関連があるということは、私ども確かと思うのです。それで、年度間調整というのは、山本委員にもお答えしましたとおり、地方自治体の立場における年度間調整ということがやはり今後においては必要である。しかし、その制度をどういうふうに仕組むかによってあるいは国との間において、たとえば特別会計というものに入れて、——もちろん法律を直さなければならぬと思うのでありますが、非常に急激に伸びたときにはそこに一時デポジットされる金がある。それはその年度には使わない金であるとすれば、大蔵省との間に貸借関係といいますか、そういうことは削ずるという形ではなしにあり得る、私は個人的には、そういうことも制度の中では考えられるんじゃないだろうかというふうにも思われるわけであります。しかし、これらは今後大蔵省との間にさらに検討しなければなりませんし、もう一つには、私どもは、先ほども触れましたけれども、沖繩の問題があり、それから今後の第一線自治体の七〇年時代の内政の充実ということを考えた場合に、一体三二%ということ自体が固定されていいものかということすら、すなおに考えてもあり得るわけだろうと思います。そういう意味で、大蔵ともこの問題の検討を相互に続けていかなければならぬというふうに思っているわけであります。
  118. 斎藤実

    斎藤(実)委員 いま、年度間調整につきましては、今後大蔵省とも折衝を続けていかなければならないというふうに御答弁がございましたけれども、私もそれは了承いたします。しかし、この年度間調整についてはいろいろ問題があるわけですね。大蔵省の考え方としては、一般会計内で操作をしたい、それから自治省側は交付税特別会計のうちで処理をしたい、二つの相反する考え方がある。財源留保する場合に、何を基準にして財源留保するのか、きめ手はどういうようにお考えでしょうか、何かございましょうか。
  119. 長野士郎

    ○長野政府委員 その年度間調整をしますときの基準といいますかものさし、実はこのものさしも、一つはものさしを見出すことがなかなか困難な問題でございます。地方制度調査会におきましても、そのものさしの発見といいますか、見出すことについては慎重に検討を続けていくべきだ、とりあえず特別会計直入という方式の実現のほうが先だというような御答申もいただいておるわけでございますが、中には、国民総生産の伸びでありますとか、あるいは経済成長率の伸びあるいは国の財政規模の伸びとの関連というようなことを言う意見もございます。しかし、これらは、過去の実績から見ましても、当初の見込みと現実の結果とには相当な食い違いもあるわけでございます。そういうこともございますし、問題は、結局地方財政の立場からどれだけの需要というものが長期にわたって考えられるか、そうしてそれを計画的に実現していくときに、経済の拡大を反映いたしまして、交付税が非常に伸びたりあるいはまた縮んだりということが起こる。そういうことの中で、計画的な長期的な安定した運営をはかっていくということを考えるべきだということ、抽象的にはそういうことが出てくるわけでございますが、それでは、そのものさしというものは、まず、地方財政の立場で長期的に考えていくというものさしを考えていくべきだ。このものさしが非常にむずかしいということでございまして、この点は、これからもなお検討を続けていかなければならない問題だと思っておりますが、要は、国家財政と地方財政との円滑化とかあるいはそういうようなことで、ある意味で、国の立場でのものさしで考えるということは適当ではないということでございますが、それでは、地方の長期的な一つの大きな目標があって、それに対する一つの到達していく年次計画というようなものがどうやって考えられるか、それがまた一般的な承認が受けられるためにはどのような内容であるべきか、こういうことを、現在、正直に申しまして、いろいろと模索をしておるという段階でございます。今後ともその検討は十分討議を続けてまいらなければならないと思っております。
  120. 斎藤実

    斎藤(実)委員 次は、交付税につきましては、地方自治体の単独事業の推進という意味、立場から、あるいは地方財政需要におきまする補助的な性格を持っている、こういうふうにも考えられますけれども、この交付税の、いま私が申し上げましたような問題についてお尋ねしたい、どういうふうにお考えになっておるか。
  121. 大石八治

    大石政府委員 具体的には財政局長等から聞いていただきたいと思いますが、私はやはり交付税制度も多少時代の流れによって性格的には多様化してきておるというふうに思うのです。それは標準の行政費というものを維持させようということは、税制の中ではとうてい充足できないから、いわゆるこういう形で最低標準というんでしょうか、そういうものは財源措置を交付税の制度でやろうというものが、一つの交付税の流れ、性格の重大部分であろうと思うのです。だから、どんなに貧しくても一定標準はできるんだというのが、おそらく最初の発想にはあると思うんですけれども、平衡交付金制度とか、いろいろこの制度の歴史も前身等もあります。しかし、今日はそれだけの性格かどうかといえば、そうではなくて、それぞれの事態に沿っている財政需要というものも、この交付金制度の中でやはり見ていかなければならないというふうになってきておりますので、あるいは山本委員等からの御質問のあるとおり、国の行政方向というものがあって——それは国の行政方向といいますけれども、やはり地方の要望があってそういうことが出てくるわけでありまして、いわゆる清掃の仕事であるとかそういうもの、それを五カ年でやっていくというものは、何も国だけが頭で思いついてきまったわけではございません。そういうものが必要であって出てくるわけでありますが、そういう一つ計画というものに沿わせて地方団体がやれるようにしてやるという、簡単な単独事業でない性格というものも今日は含まってきていると思うのです。しかし、それは、日本の経済というものがこんなに急速に動いているとき、そういう時代に応じて、国が政策として地方団体の要望するものをこの中に入り込ませていると思うのです。しかし、これがもう少し安定した成長の中に入ってくれば、私は、また性格は、交付税の制度ももう少し静かなものといいますか、形で、そして単独事業的なものがかなり大きく取り上げられるというふうになってくる時期が来るんだろうというふうに思っておりまして、必ずしも一つ性格がもう一定不動でいるのであるというふうにはなっていないというふうに思います。
  122. 斎藤実

    斎藤(実)委員 財政局長、この点についていかがですか。
  123. 長野士郎

    ○長野政府委員 政務次官からお答えしたとおりでございまして、現在行政のあり方というものも、社会的な構造変化というものが非常に急激に進行しておるという事態でございますので、現実の行政に対応する観点というものを無視するわけにもまいらないわけでございますから、そういう面で、国の政策としての公共事業費等につきましては、現在地方公共団体の普通建設事業と申しますか、そういう建設事業の中の三分の二は、実は国の補助なり負担を得て行なう事業に相なっておるわけでございまして、そういうものに十分対応して地方として事業が実施できるということの保障も一面考えなければならないわけでございます。現在、そういうことで事業費補正等のいろいろな補正を使いまして、地方団体の現実の需要に合うような形をとらなければならないということになるわけでございます。たとえば港湾の整備というようなことを考えましても、最近の大型化しました輸送の施設の一環をなしております港湾の整備というものは、ばく大な投資を必要とするわけでございます。そうすると、そういうものに対応していくような需要というか、地方団体が受けとめるだけの力というものは、通常一般の考え方だけでは、その需要に対応する財源措置というものはできないわけでございますから、そういう意味で、その事業に対応して処理していけるだけのものを考えていかなければならないというようなことが現実問題として出てくるわけであります。それをある程度は交付税の中へ算入をしていくということにどうしてもならざるを得ない。それが一部補助金化していくというような御批判も受けるわけでございますけれども、同時にまた、一面単独事業等におきましても、たとえば市町村道でございますとか、下水道なり清掃施設なりというものだけを取り上げましても、今度は改良なり——道路でいいますとか改良率なり舗装率が立ちおくれておりますから、そういうものについての単独事業の増強ということを一般的にはかっていくという必要にも迫られておるわけでございまして、両方相まって交付税措置というものが、最低の財源保障でもあるし、また同時に、必要な施策に対する財源の補てん的な役割りも果たさなければならないという形で、現在は推移してまいっておるということになるわけでございますが、将来はもっと高い目標を掲げまして、それに対応して全般の水準が上がっていくような形での交付税の検討ということは十分やっていかなければならないと考えております。
  124. 斎藤実

    斎藤(実)委員 確かに社会的な構造の変化等によりまして、地方団体も財政需要が増加してきております。さりとて税収の伸びということにも限度がありますし、やはり財源の少ないところでは交付税にたよらざるを得ない。今後ますます地域住民要望は急激に高まってまいります。そうしますと、この財源確保という意味におきまして、交付税率を現状のままでいくのであれば、地域住民のためにある程度何らかの措置を考えなければならない。さもなくば、交付税率を上げるとか何らかの措置を当然講じなければならないと思いますけれども、この点はどうでしょうか。
  125. 大石八治

    大石政府委員 これは税制のほうとも実は関連が出てくるわけでありまして、大都市税制の問題が出ておったり、あるいは過密のところの問題も出てきておりますし、従来から市町村の財源といいますか、都市財源の拡充という問題等も実はあるわけでありまして、交付税率だけを上げることで解決するというふうなことは端的にはやっぱりいけないので、やはり一つの方向というものは、固有の税制上の問題を地方税と国税との関連、また地方税の間で、府県と市町村との間における問題の調整等をはかりながらいかなければならないのではないかというふうに思いますが、先ほどもちょっと申し上げましたとおり、一体現在の三二%が将来にわたってこれでいいのかといえば、私どもこれでいいということはとうてい考えられない。ことに地方団体のこれからの施策というものになりますと、非常に重大になってくる。余分なことですけれども、国民総生産が世界で第三位になったという表現が非常に強く国民に入っていくと、そのことは、そんなに高いのにおれたちの身の回りの状態はどうだという不満感が逆に出てきていると見てもいいくらいに私は思う。そういうことになりますれば、地域団体というものがいわゆる生活の諸条件を整備していくということは、いままで以上に義務感として地方団体の人たちは非常に考えなければならぬ。そういう需要を考えていきます場合には、とうてい現在の税制あるいは財政制度をこのままでその需要を満たし得るものとは私ども思いません。
  126. 斎藤実

    斎藤(実)委員 この地方団体の財源確保についてひとつ十分御検討なさることを要望申し上げて、次の問題に移ります。  国の地財計画でございますが、御承知のように、地方団体の予算編成というのは、大体一月の中から末にかけて、地方交付税を幾ら計上したらいいかということで、検討されるわけですが、実際に発表になるのはおそくなる。地方にしてみれば、国の地財計画というものを非常に参考にするわけです。昨年は二月の初旬でしたか、地財計画が発表になった。ことしは選挙等がありまして三月六日に地財計画新聞で発表になった。ある都市ですけれども、税収三十億の中で交付税が十八億で、約六割は交付税が占めておるわけです。ですから、地財計画がおくれるということは、地方団体としては非常に困るわけです。国と地方との会計年度をずらすということも当然考えられるのではないか。地方団体の立場に立てば、地財計画を早目にひとつ発表してもらいたいという要望が強いのですが、この点についてはどうでしょうか。
  127. 長野士郎

    ○長野政府委員 確かに地方財政計画は地方団体全体に対する問題でございますが、地方団体に対する財源保障の形を総体の計画として示すということでありますし、同時に、個々の地方団体におけるところの財政運営の重要な指針になっていると思います。そういうことでございますので、御指摘のとおり、年度間を通じ安定した運営をしていくということは、個々の団体にとっても非常に要望しているところでありまして、なるべく早く地方財政計画が定まり、そうしてそれを個々の団体に理解してもらえることが一番いいわけでございますが、ただ問題は、国の予算編成との間に非常に重要な関係があるわけでありまして、これを離れて考えるわけにはまいりません。そこで、現実の姿は非常におくれがちに相なっておるわけであります。  そこで、会計年度を国と地方をずらしたほうがいいのではないかという御意見は、多年にわたってあるわけでございますが、会計年度を動かすということになりますと、それ自身またいろいろ検討しなければならない問題がございます。全然動かせないものとは思いませんけれども、それぞれまたいろいろ問題がありまして、だいぶ前になりますが、自治省の中に財務会計制度調査会という調査会ができまして、この調査会の一つ検討項目の重要なものの中に、会計年度を動かす、国と地方とを変えるという提案があったわけでございますが、これは結局、なお慎重に検討を要するということで、答申には至らなかったというような状況もございます。そこで、自治省といたしましては、財政計画が正確にきまるという事前におきましても、確実な資料なりいろいろな状況につきましては、随時会議その他を開きまして、地方団体には十分その間の事情がわかりますように連絡はいたしておるわけでございますが、現状においては、本年は特におくれまして、そういう意味で、地方団体に迷惑をかけておりますけれども、今後もそういう会計年度の変更ということは大きな問題でございますので、いまの状況の中でできるだけ正確な情報を伝えまして、そうして年度間の安定した運営に資するようにつとめてまいりたいと思います。
  128. 斎藤実

    斎藤(実)委員 次に、土地開発基金制度についてお尋ねをいたしたいと存じますが、この土地開発基金につきましては単年度で処理されるのか。この土地の先行投資に向ける制度的な性格からすれば、やはり単年度ではなく、農村及び都市の拡大化に対応して、当然何年か永続的に措置をすべきではないかと思いますけれども、御所見を承りたいと思います。
  129. 長野士郎

    ○長野政府委員 お話しのとおり、公共用地に対する需要というものは、今後ますます大きくなってまいると思います。と申しますのは、立ちおくれたそういう施設の整備ということを強力に推進していきますためには、どういたしましても公共用地の取得ということがまず先決条件でございますから、そういう意味で、ますますその必要は増大をしてまいりますから、私どもといたしましては、今年度で終わるということでなくて、明年度以降におきましても、交付税の増加状況等をにらみ合わせまして、なおこの制度を続けてまいりたい、こう考えております。
  130. 斎藤実

    斎藤(実)委員 土地開発基金について本年度は約六百億、こういうような御答弁がございました。それから公共用地の先行取得債、あわせて地方団体が土地を取得するのだと思いますけれども、この地方債計画の中に入らない、はみ出したワク外債につきましては、昭和四十四年度はどれくらいございましたか。
  131. 長野士郎

    ○長野政府委員 先行取得のワク外債につきましては、いまちょっと手持ちの資料がございませんが、義務教育関係につきましてもワク外債としてたしか二百億程度のものが、いわゆる義務教育の用地の取得につきまして出ておるように思います。
  132. 斎藤実

    斎藤(実)委員 昭和四十四年度は約二百億。そうしますと、許可実績はどのくらいございましたか。
  133. 長野士郎

    ○長野政府委員 四十四年度におきましては、公共用地の先行取得債は、計画におきまして二百億円、許可見込みにおきましては二百八十億円となっております。
  134. 斎藤実

    斎藤(実)委員 昭和四十四年ではワクが二百億、許可実績が二百八十億、そうしますと、八十億はみ出しておるわけですね。この二百八十億の許可実績に対する要望は、どれくらいございましたか。
  135. 長野士郎

    ○長野政府委員 公共用地の先行取得債につきましては、要望といたしましては、実は非常に多い数量が出てまいりますが、実は先行取得債というかっこうになりますと、その用地を充てますところの事業計画が具体化しておるということが条件になっております。したがいまして、一般的に公共用地を取得しておきたいというような形の要求が実は多いわけでございまして、そういうものを取り除きますと、大体三百億前後のものであろうというふうに思っております。
  136. 斎藤実

    斎藤(実)委員 そうしますと、土地の先行取得については、やはり要望があるわけですね。したがって、ワク外債というものを使うようになるわけですね。ワク外債とすれば、これはすべて縁故債で、非常に金利が高いわけですね、安いので七分三厘から高いのは八分三厘まで。そうなりますと、ワク外債が増加することによって地方団体の利子負担が非常に大きくなって、財政的に非常に圧迫されるのではないか。ですから私は、少なくてもこのワク外債についても国が利子補給の道を開くべきではないか、このように考えるのですが、いかがでしょう。
  137. 長野士郎

    ○長野政府委員 先行取得をいたしました場合には、これは一年あるいは二年先の事業に充てるために用地を取得するわけであります。その場合には、当然、たとえば二年先といたしますと、二年間の利子がつくわけでございますけれども、現在は、この利子につきましては、たしか七分五厘までは、用地を取得いたします際に、用地費の中に加えるということができることに相なっております。それから先行取得をするという地域におきましては、毎年その土地代が一〇%以上値上がりをするということが明らかに予測されるようなところについて先行取得をする、先に手当てをしておくわけであります。そういう意味で、その事業を行ないますときに取得をいたしますと、さらに高い経費を必要とすることに相なりますので、そういう意味では、先行取得をしたほうが利益であるということで、取得をいたしておりますわけでございますから、その点では財政負担に非常に耐えられなくて、そのために別の措置が必要だという事態にはあまりならないで、むしろいま買っておくほうが土地の値上がりが少なくて済むという見込みのあるところについて、措置をしておくというかっこうに相なっております。
  138. 斎藤実

    斎藤(実)委員 次にお尋ねをしたい問題は、港湾、河川などの公共事業に対する地方団体の負担についてでございます。これにつきましては、交付税と起債で財源措置がなされるようでありますけれども、起債の元利償還については、財源措置が十分でないために、地方団体が非常に困っている。この起債の元利償還に対する現在の地方交付税上の措置はどういうふうにするのか、またこういった措置を強化すべきではないかと考えるのですが、この問題についてどうでしょう。
  139. 長野士郎

    ○長野政府委員 公共事業にかかわりますところの地方債の元利償還につきましては、御指摘のありましたような関係の費目につきましても、本年度におきましても算入措置を講ずる予定にいたしております。その算入の割合でございますけれども、これは川河事業等につきましては、現在地方負担分二〇%は地方債で見ておりまして、そしていわゆる補正によりまして八〇%分は交付税上で措置しておりますが、その二〇%分のものにつきましての地方債を充当しておりますところの公債費に対しまして、公債費総額のおおむね三〇%程度を算入いたしたいという予定にいたしております。
  140. 斎藤実

    斎藤(実)委員 これはある都市の港湾費におきます事業費補正について、こういう事例があるわけです。この事業費の市の負担分約二千万円、それから国の直轄事業の市の負担金一億一千万円、合計で一億三千万円になりますね。交付税措置としましては九千万円、そうしますと差し引き四千万円、これが起債ということになりますね。これ等についても何らかの財政上の措置が考えられぬか、こういうわけなんですが、こういう具体的な例についてどうでしょう。
  141. 長野士郎

    ○長野政府委員 いま申し上げましたように、地方負担の中の八〇%は交付税上の措置をいたしております。それで大体二〇%は地方債を充てることにしておりますが、その公債費総額に対しまして三〇%程度見るということにいたしますと、全体といたしまして地方負担分の八六%程度のものが措置をされるという結果に相なります。そこで、税その他の収入もあることでございますから、大体計算上は計算がついておる、こういうことに相なるわけでございます。
  142. 斎藤実

    斎藤(実)委員 次に、現在の交付税は、その市町村全体が過疎、過密の場合は基準財政需要額で見られておるわけですね。交付税は人口が計算の基準となっているわけでありますけれども、市なら市全体は人口が動かない、ただしその市の区域内で非常に人工の移動が激しくて、ある一部は過疎になった、ある一部は過密になっている。こうなりますと、過密のほうには学校も建てなければならぬし、それに付随する道路も建設しなければならぬ、学校の備品等、道路用地等いろいろ財政負担が増大するわけです。一つの例を申し上げますと、昭和三十五年から四十五年の間に、減ったほうは二一%も減っている、それからふえたところは五五%も人口がふえている。こういったことで非常にアンバランスになっている。こういった地域に対して何らかの財政措置を考えられぬかどうか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
  143. 長野士郎

    ○長野政府委員 その市としては全体として人口は増加している、しかしながら、たとえば市の中心部は人口が減っておって、増加するところは郊外と申しますか、同じ市の行政区域の中だけれども、周辺に人口が集中する、こういうかっこうのお話だろうと思います。そういうところにつきましては、確かに今度は周辺地区に小中学校を整備する、下水道なり道路を整備するという必要が出てまいります。その点につきましては、先ほども申し上げました事業費補正等によって、なるべく需要を算入していく。その現実の事態に対応した算入を関係費目についていたしまして、適確な財源措置をいたしてまいりたい、こう考えますが、同一の都市でございますので、その都市の一部が減り一部がふえるというようなところについて、その同一の都市の中の特別な調整をするということは、どうもそういうときに、ふえている地域について、たとえば人口が急増しておるから急増のための補正等を考えることができるかというようなことになりますと、これは現在のところ技術的にたいへん困難でございます。今後もそういう問題も確かに一つの問題として検討を続けてまいらなければならないと思いますけれども、いまのところは、個々の事業に対応しましてその需要を測定するという意味で、事業費補正等を適用いたしまして適確な財源措置をするというようなことで、対応策を考えてまいりたいと思います。
  144. 斎藤実

    斎藤(実)委員 寒冷補正につきまして若干お尋ねをいたします。  これまで国の配慮によりまして、寒冷地あるいは積雪地帯の需要もかなり改善されているようでありますけれども、実態としてはまだまだ相当な開きが出てきておるわけです。たとえば道路、橋梁の維持につきましても、基準財政需要額と実財政需要額は相当の開きがあるわけですね。これは札幌に例をとってみましても、道路、橋梁費の基準財政需要額は十二億五千三百八十三万七千円、同じく実財政需要額が二十二億六千八百二十七万七千円、差し引き十数億円の差が出てきておるわけですね。この中には除雪費も含まれているわけですね。この除雪の費用を見てまいりましても、札幌市の場合は、昭和四十四年度で約六億円の除雪の費用というものが実際かかっているわけです。ところが、交付税では約八千七百万円しか見られない。ですから、こういった特別な積雪寒冷地帯に対する経費は、大幅に基準財政需要額に算入すべきではないか、特別なそういう地域に対して何らかの手当てをすべきではないかというふうに考えるのですが、いかがでしょう。
  145. 長野士郎

    ○長野政府委員 そういう積雪地帯の寒冷度でございますとか積雪度に対応いたしまして、道路の構造でございますとか、除雪の関係でありますとか、あるいは道路の維持管理に属するものとしましても、たとえば薪炭とか燃料がたくさん要るとか、いろんな手当てその他の必要があるというようなことがございますので、いろいろな関係経費の中にそういうものの割り増しをいたしておるわけでございますけれども、今後も引き続いてやってまいりたいと思っております。四十五年度におきましても、なお一そうその充実につとめてまいりたいということで考えておりますが、これは累年そういう実態になるべく相応ずるように近づけてまいっておるのでございます。なお、今後とも努力をいたしてまいりたいと思います。四十三年度から四十四年度で比較をいたしましても、大体府県分におきまして、寒冷度、積雪度両方合わせまして、財源措置は三十一億程度ふやしております。それから市町村分におきましても、大体十三億程度ふやしております。四十五年度も引き続きそういう措置をいたしてまいりたいと思いますが、これもいまの除雪費等の関係におきましては、通常の除雪費というものを想定いたしまして、積算を行なっておるわけでございまして、異常ないわゆる豪雪でありますとか、そういうことになってまいりますと、その団体の財政の実態等をにらみ合わせまして、やはりこれは特別交付税で措置していくというようなことでやってまいりませんと、一律にはまいらない。そういうことがございますので、普通交付税、特別交付税両方合わせまして、今後とも充実につとめていきたい、こう思います。
  146. 斎藤実

    斎藤(実)委員 積雪寒冷地帯におきます除雪につきましては、非常に大きな財政負担になっておりまして、この件については、ひとつまたよろしく財政上の措置について御配慮を積極的にされるよう要望して、私の質問を終わります。
  147. 菅太郎

    ○菅委員長 青柳盛雄君。
  148. 青柳盛雄

    ○青柳委員 昭和四十三年度以来、四十四年度さらに四十五年度というように、連続して三年間も地方交付税総額を削減し、繰り延べするという、こういう現象が起こっている。その総額はいまや九百十億円にものぼっている。地方交付税は地方公共団体の固有財源であって、国の地方公共団体に対する補助的な財源ではない。これはもう現行法制のもとでは何人も異議を差しはさむ余地はないものだと私どもは考えております。にもかかわらず、このように削減、繰り延べを行なうということは、ことばをかえて言うならば、地方交付税という地方財源の一部を、一定時期の間、国が自由に使うことのできる財源とするということであります。だから、俗に国に貸すというようなことばが使われているのだろうと思います。一体どうしてこういう現象が起こるのか、このような措置をとるのは、地方交付税法第六条の規定に例外を設けることでありますから、そのためには地方交付税法の一部を改正するという作業が必要となるのであります。内閣がこのような改正法案を国会に提起するにあたっては、まず大蔵大臣と自治大臣の間で協議をし、合意に達したところで閣議に提案し、その承認を得るという手続がとられているようであります。  そこで御質問いたすのでありますが、なぜ大蔵大臣はこのような借りを申し入れ、また自治大臣はなぜこのように貸すということを承諾されるのか、その理由をお尋ねいたしたいと思うのです。
  149. 大石八治

    大石政府委員 今年度と前年度とを考えてみますと、結局予算編成という過程の中で起こる問題であろうと思うわけです。それは結局各省の財政需要という問題と国税その他の関係、あるいは国債等の関係の中で一定ワクの中に何とかおさめ切りたいという問題の中で、実はああいう問題が起きるわけであります。その場合に、自治省として、これらの全体の中でこれに応じたという形は、本年度の場合は、法人税のアップという問題に関連して、法人税のはね返りがあるということ、ないしは全体の経済繁栄を反映して、いわゆる三税の伸びというものが非常に強くなっているというような形等で、地方財政をいわゆる三百億減額するということが、四十五年度の地方財政の全体に重大な影響を与えないという一つ判断で、ああいう措置がとられたものと考えております。
  150. 青柳盛雄

    ○青柳委員 地方交付税の貸し借りの問題につきましては、四十五年一月十九日の地方制度調査会、それから四十五年一月二十日の地方財政審議会、さらには四十五年一月十四日の財政制度審議会等々で一定の見解が答申されておりますが、問題になりますのは、年度間調整はいずれも必要であろうという前提に立っておりますけれども、この貸すという作業は、地方財政を景気調整——どうも国の経済が過熱になる危険がある、そこで財政的な措置でこれに一定のチェックをするというようなことを期待してやるのだが、その場合、地方の財政についても、そういう景気調整機能みたいなものを考える必要があるのではないか、そういうような見解があるのだが、地方制度調査会あるいは地方財政審議会のほうは、それには反対である、こういう立場をとっておられるようであります。  いま政務次官の御答弁では、余っているから、三百億程度本年度について貸しても、特段の支障はない。余っているから、国のほうのことも考えて配慮したんだというふうな、要するに国の財政の不況のところを幾らかお助けするというような趣旨に聞こえるのでありますけれども、それよりもっと進んで、そんなに地方交付税をたくさん使わせると、経済の過熱状態を起こし、まずいので、景気を調整する意味において引き締めるという意図が大蔵大臣のほうにあって、それもごもっともだというような面はなかったのでしょうか。
  151. 大石八治

    大石政府委員 それは私はない、そういう意図でやられたものだとは思わない。三百億を貸せるという形をとったことは、最初それを申し上げなければ申しわけないわけですが、まことに私ども遺憾でございます。非常にいいことをやったなどと、とても思っているわけではありません。まことに遺憾なことであります。ああいうことを繰り返すことは私どもほんとうに避けていきたいと思いますが、いわゆる過熱を避けたいためにやるというなら、それは使ってはだめなんですから、国のほうに入って使ってしまったのでは、何も過熱引き締めの意味をなしていないわけで、決してそういう財政政策のために、あの三百億円の問題が出ているわけではないと思います。また事実そうであります。
  152. 青柳盛雄

    ○青柳委員 そうだといたしますと、俗に言えば、支障がない程度余っているというようなことが一つの原因のようであります。そこで、一体そういう余るということがどうして起こるのか、これがちょっとふかしぎな感じがいたしますので、ちょっとくどいようですけれども、地方交付税法の規定の趣旨にのっとって分析いたしてみますと、自治大臣は、地方交付税法第四条第一号の規定によりまして、毎年当該年度において地方公共団体に交付すべき交付税の総額を見積もるという作業を行なうことになっております。この作業は、地方交付税法の規定によれば、当該年度の基準財政需要額と基準財政収入額との差額、つまり財源不足額を算定するということであります。ところで、地方交付税法の定める基準財政需要額というのは第二条第四号、また基準財政収入額というのは同条の第五号にそれぞれ定義をされているとおりであります。簡単に申しますと、基準財政需要額というのは、測定単位の数値に単位費用を乗じたものである。これが十一条。それから基準財政収入額というのは、普通地方税等の見込み額の七五ないし八〇%に地方譲与税等の見込み額を加算したものである。これが十四条の規定だと思います。このような基準財政需要額と基準財政収入額との差額、すなわち財源不定額というのは、地方交付税法第六条に定められているところの地方交付税の総額とは必ずしも一致するというたてまえにはなっておらないようであります。しかし、地方交付税の制度の精神は、できるだけこれは過不足のないようにして、財源不足額の算定を行なうようにしなければならないということを義務づけていると解釈するのが正しいと思います。ただしかし、それは第六条の所定の額をあらかじめ見積もっておいて、そのワクの中で財源不足額がまかなえるように計算をする。そういうことではなくて、地方自治体の行政需要を満たすという立場から財源不足額を算定し、そして六条の所定の額がそれにはなはだしく不足してくるというような場合は、むしろ六条のほうの率を上げるというような形で一致をはかるというのが、正しいのではないかというふうに考えます。ところが、どうも基準財政需要額というものを考える場合に、いま申し上げましたように、地方交付税法の第十一条にはっきり単位費用と測定単位の数値とをかけ合わしたものだというのであって、何か逆に六条の額がきまって、それを基準にして計算をするというようなことは一つもきめられていないわけです。ところで、衆議院地方行政委員会調査室資料、昭和四十五年四月二日、昭和四十五年第七号「地方交付税法の一部を改正する法律案について」というのがある。この十ページを見ますと、一番終わりのところに、交付団体の基準財政需要額の増加額五玉三百九十六億円イコール交付団体の基準財政収入額の増加額二千七百四十六億円マイナス前年度特別事業債償還交付金百三億円マイナス前年度調整額九十八億円プラス普通交付税増加額二千八百五十一億円、こういう算式が出されております。これを見ますと、あらかじめ普通交付税の増加額二千八百五十一億円というものがすでに基準になっておって、それから交付団体の基準財政収入額の増加額というものを頭に入れて、この基準財政需要額の増加額というものを出している。そうだとすると、あくまでも普通交付税の増加額というものが基準となって、その上で何か単位費用を算定する作業に入るような感じがするのでありますけれども、その点はいかがでしょうか。
  153. 大石八治

    大石政府委員 前段の青柳委員から、地方交付税は余っているので貸してやったとおれは認めるというお話は、事実はそうじゃないので、喜んで貸したなんということは全くないわけで、泣く泣く合意したというほうが適切ではないかと思います。私ども、余っている、ひとつ大蔵省どうだいというような、貸してやるつもりは全くないわけですから、その点の理解はぜひいただきたいと思うわけです。、  なお、財政局長から御説明申し上げると思いますけれども、三二%も法律で書いてある、それから単位費用のほうも法律でこれが書かれているわけであります。そっちがあってあとでこっちの単位費用のほうを計算するのではないかというお話がありますけれども、私はそういう現象のときもあると思います。しかし、実際問題は、また三二%の数字が変わる場合も、過去の経過で見れば御承知のとおりであります。したがいまして、財政関係という問題が金のことでありますので、青柳さんのお話だと、自動的にぱらぱらっとやってぱらぱらっと出たやつをばらばらっともらえるというようなぐあいには、なかなかまいらないのであります。その点は、スライド制のような話にどんどん三二%が動けますと問題はないわけですが、なかなかそうはまいらないところにわれわれが苦心しているところも、御了察をいただきたい。全体的には、大きな流れの中で財政需要というものに合わせるように、いままでの交付税のいわゆるパーセンテージはなってきているというふうに、ぜひ御理解をいただきたいし、われわれもそういう考え方で今後も進みたいと思います。
  154. 青柳盛雄

    ○青柳委員 先ほど申しましたが、繰り返しませんけれども、地方交付税法でいう基準財政需要額というのは、あくまでも測定単位の数値、これは補正された上でのことでありますが、それに単位費用を乗じたものである。そこで問題になりますのは、基準財政需要額を算定する基準とする測定単位とその数値をどのようにきめるか、また単位費用を幾らときめるかという点でございます。これらのきめ方いかんが、決定的に基準財政需要額を左右することは当然でありますが、このきめ方につきまして、地方交付税法は、経費の種類、測定単位及びその数値の算定の基礎などにつきましては、できるだけ地方公共団体現実財政需要額を合理的に測定できるように、技術的に相当こまかく規定しておりますけれども、単位費用については別表に一任をいたしているわけであります。その額は毎年度地方財政計画を策定する際とか補正予算を組む際に改定をされ、国会の承認を得ているわけでありますが、このような単位費用のきめ方、これについてはどうも法律にははっきりと明文がないように私は思うのです。しかし、実際には自治省はこの額を算定して、これを法律案として提出をし、審議されて通過しているわけでありますから、その算定のしかたというものは実情に合っているものかどうか。もし実情に合わないという不合理な点があれば、これは政府の原案が正しくない、また、これを国会がそのまま通過させてしまうということも正しいとは言えないように思うわけであります。  そこで、御質問ですけれども、この単位費用の測定の方法、これを大まかにお話を願いたいと思います。
  155. 横手正

    ○横手説明員 単位費用のきめ方でございますが、これは都道府県並びに市町村に分けまして、都道府県におきましては、おおむね人口百七十万、こうした県を標準団体とみなしております。市町村におきましては、人口十万の市を標準団体として設定いたしております。その上でこれら標準団体における各種の行政経費、こうしたものを見込んでまいるわけでございます。たとえば市町村分の消防費で申し上げますと、人口十万における消防職員数を一応見込みまして、また消防署の数あるいは消防の出張所の数、こうした標準的な形のものを見込みまして、これに要する経費を算定いたしておるわけでございます。したがいまして、消防職員数がかりに六十五人というようなことであれば、この六十五人にかかる人件費を算定し、またこれらの消防職員の活動費をそれぞれ算定する、こういうかっこうにいたしております。このようなかっこうで算定いたしますと、人口十万の市における消防費の一般財源の所要額が算定されることになります。この一般財源の所要額を、消防費の場合は、測定単位を人口といたしておりますので、その標準団体の数値であります十万人で割り返したものが単位費用、こういうかっこうになってまいるわけでございます。  こういうような形で都道府県並びに市町村の各費目につきまして単位費用を定めておるわけでございますが、なおこれらの単位費用の算定にあたりましては、絶えず地方団体の実績との比較検討、こうしたことを行なっておるわけでございます。毎年度ごとの地方団体の決算額と交付税上の算入いたしました基準財政需要額、こうした状況を見ながら、単位費用の設定を行なってまいっております。なお、ここ四、五年前までは、地方団体の決算額に対しまして、交付税上の基準財政需要額の算入割合がやや低い面が見られたわけでございますが、ここ数年来の改善措置によりまして、かなりの面が改善されたというふうに私ども見ております。  いま申し上げましたような過程を経て、単位費用をきめている次第であります。
  156. 青柳盛雄

    ○青柳委員 大体の筋道はわかりましたが、この行政経費の算定が行なわれる、それから特定財源を差し引いていわゆる一般財源というものを出して、それを測定単位の数値で割るという形式をとっている御趣旨だと思うのであります。それにはいわゆる標準団体というものを仮定するわけでございましょうが、私がここでお尋ねしたいのは、この経費の総額というものを算出する基準ですか、これにあたってはいろいろと材料があるんだろうと思いますけれども、それがどんなものであるか。たとえば人件費などにつきましては、給与に関する統一単価というようなものを参考にするということも考えられるのでありますし、また物件については、投資的なものあるいは消費的なものについても一定の統一単価表のようなものがあって、それを利用するというようなことも考えらるのでありますが、その点はいかがでしょうか。
  157. 横手正

    ○横手説明員 ただいま先生おっしゃられましたように、人件費等につきましても、給与費の統一単価というものを一応作成いたしまして、それを基礎にいたしまして人件費の算定を行なっております。投資的経費等につきましても、同様な算定方法をとっておる費目もあります。  なお、この給与費の統一単価でございますが、これは地方財政計画に織り込まれております給与単価、これを基準といたしまして、交付税上で用いる統一単価を作成いたしておる次第でございます。
  158. 青柳盛雄

    ○青柳委員 地方公共団体は俗に三割自治などといわれておりまして、本来国の行政事務に属するものとか、また国の事業として実施しているものを下請的に実施する義務を負わされているというのが実情であります。その場合、国は一定の補助を行なったりまたは一定の負担をするたてまえになっておりますが、地方公共団体は、この義務を実施する過程において、実際上膨大な超過負担を背負わされております。そのため地方公共団体は常にもう赤字団体に転落するような危険に脅かされていると言ってもよろしいと思うのであります。それはもちろんいろいろ補助の削減とかあるいは減額とかいうようなために起こる場合もありましょうけれども、いわゆる統一単価というものが、非常に非現実的な数値になっているものであるということが、その超過負担の大きな原因の一つになっていると思います。現実の経費との格差、まあ単位差のほかには、規模の差とか対象の差などというものもありますけれども、単価の差というのは非常にはなはだしいのであります。  たとえば東京都の一例を申し上げますと、保健所新設について見ると、昭和四十三年度、国の一平米単価が三万六百円、ところが東京都の実施する単価は五万九千七百五十三円、その単価の差は二万九千百五十三円というようなぐあいになっております。また、東京都の衛生局の分の補助対象事業についてのみ見ますと、単価差は四十三年度十七億一千六百五十八万円に達し、四十四年度は十三億一千三百万円、四十五年の予想は十五億二千五百万円というふうにいわれております。また、東京都の四十三年度の決算で、警視庁関係を見ますと、単価差は九億四千三十七万七千円。たとえば新宿署建設の単価差は、一平米につき国は一万七千九十八円と見ているのに、都は実際行なう場合に二万八千百十円。このために三千五百二十五万円の超過負担をやっている。万世橋、三田署その他派出所に至るまで単価差による超過負担は非常に大きい。また老人クラブの運営補助費というようなものを見ましても、市町村の単価は、国のほうは一千円ですけれども、都の市町村の場合は四千円もかかっている。これにクラブ数をかけると、四十三年度千六百四十一万円の単価差を負担しなければならない。また、養護施設、児童一人当たり処遇費単価が四十五年度で、国の基準は十三万六千円、四十四年度は十二万四千円ですけれども、都のほうでは四十四年度は十四万九千円、四十五年度は十七万円。これを養護施設運営費全体で見ますと、四十三年度は一億九千万円、四十四年度は一億八千五百万円、四十五年度は二億九百万円。  こういうふうに、単価差だけでこういう超過負担が出ているわけであります。これと同じようなものを地方交付税の単位費用の算定の基礎に使うということになりますと、これは実質上の赤字負担。こういう超過負担を事実上交付税を交付する過程で行なうのとひとしいようなものではないか、実情に合わないんではないかというふうに思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
  159. 横手正

    ○横手説明員 いわゆる超過負担の問題は、国と地方団体間の経費の負担区分に基づいて出てまいる問題でございます。したがいまして、地方交付税上におきまして用いております各種の単価、これは地方財政計画なりあるいは国の予算なりで用いられております単価を基礎として、それぞれの統一単価を作成いたしております。したがいまして、普通交付税上におきましては、いわゆる国なりあるいは地方財政計画なりで用いられております標準的な単価を使っておりますので、最近問題になっております超過負担とは別個の問題になってまいろうか、かように考えております。
  160. 青柳盛雄

    ○青柳委員 概念的には別個のものでございましょうけれども、事実上は、これが客観的な基準になり得るという観点から、基準財政需要額を計算するにあたっての経費の総額の計算に使われているというのが実情でございますから、結局はこういうやり方で地方行政の需要を参考にしつつこれを満たしてやるといって計算をして見ても、事実上は地方交付税額に余裕が出てくるというような結果にならざるを得ないのではないか。超過負担を起こすような統一単価を国が補助あるいは負担の場合に行なっているという根本には、国の財政を豊富にして、弾力性のあるものにして、地方自治のほうはまあがまんをしてもらうというような結果というか、そういう姿勢があると思うのです。だから、この交付税を削減をするという口実も、単位費用をきめるときにあるいは測定単位の数値をいろいろと調整する過程で、結局は十分なことをしない。したがって、余裕が出てくる。本来余裕が出るなどということは、地方の実情考えると、ちょっとふしぎなような感じがするわけで、地方道の問題にしろ下水道の問題にしろ、その他都市と農村との格差あるいは農村地帯相互の格差とか都市相互の格差、いろいろ是正しなければならないことがありまして、幾らあっても地方交付税は足りないといってもいいのじゃないか。むしろもっともっとふやしてもらいたいというのが、地方自治体並びに住民の強い要望だろうと思うのであります。ところが、現実にはいつも余ってくるという、ここに問題があるというふうに私は思うわけです。幾ら地方交付税は地方自治体の固有の財源であると叫んでみても、毎年毎年やってみると余ってくるではないか、これではやっぱり余裕がある証拠であるというように、単位費用が合理的であると言えば言うほど、それではもっと地方交付税の率を下げようとか、あるいは国に都合のいいように年度間調整をやろうではないかというような要求が出てこざるを得ないと思うのであります。  私は、地方交付税の制度というものはもっともっと充実されなければならないと考えますし、またそのためには、国との調整を厳重にやり、そしてたとえば技術的には特別会計に直入するというようなやり方、それから年度間調整は地方自治体で独自に自主的にやるということを達成すべきだと思いますけれども、それにはまず自治省としても、また地方交付税をいろいろと動かす国会としても、やはり姿勢を正さなければいけないのじゃないか。単位費用の計算においても、その他数値の計算においても、常に地方行政の需要に応ずるように、積極的に大担に計算を出していく。そしてたとえば六条によって算定された額を超過するような場合は、これはまた調整措置がとられているわけでありますから、毎年不足なんだという実績をつくっていくことのほうが、この地方交付税というものを確保していく道ではないかと考えるのでありますけれども、この点について政府の見解を承りたいと思います。
  161. 大石八治

    大石政府委員 御指摘の点ごもっともで、私どもも、いままでもいわゆる単位費用というものについて改善を、毎年といいますか、順次やってまいってきているわけでありますが、さらに統一単価その他等是正すべきことについて今後も努力を続けたい、こう考えているわけであります。
  162. 青柳盛雄

    ○青柳委員 終わります。
  163. 菅太郎

    ○菅委員長 本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  164. 菅太郎

    ○菅委員長 速記を始めて。      ————◇—————
  165. 菅太郎

    ○菅委員長 次に、参議院から送付されました、道路交通法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。荒木国務大臣。     —————————————     —————————————
  166. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。  この法律案は、最近における道路交通の実情にかんがみ、交通事故の防止をはかり、その他交通の安全と円滑をはかるため、酒気帯び運転に関する規制及び罰則を強化し、悪質な運転者の運転免許の取り消し後の欠格期間を延長することができることとし、並びに少年に対し交通反則通告制度を適用するとともに、都市交通規制のための規定を整備し、交通巡視員の制度を新設すること等をその内容としております。  以下、各項目ごとに御説明いたします。  第一は、悪質事犯の排除の徹底をはかるための規定の整備であります。  その一は、酒気帯び運転に関する規制及び罰則の強化でありますが、これは、酒気帯び運転の禁止の範囲を拡大すること、酒酔い運転の罰則を強化するとともに、酒気帯び加重の制度にかえて一定の程度以上にアルコールを保有して運転した場合を処罰する規定を新設すること、酒気帯び運転をするおそれがある者に対する呼気検査について規定すること及び酒気帯び運転をするおそれがある者に酒類提供し、または飲酒をすすめることを禁止すること等がその内容であります。  その二は、運転免許の取り消し等を受けた後の運転免許の欠格期間の延長でありますが、これは、現在一年となっているこれらの期間を公安委員会が政令で定める基準に従い三年をこえない範囲内で定めるように改め、悪質な運転者の排除を徹底しようとするものであります。  その三は、酒酔い運転、無免許運転等を命じ、または容認した安全運転管理者等に対する罰則をこれらの運転をした運転者に対する罰則と同一の程度に引き上げることであります。  第二は、交通反則通告制度の適用対象者の範囲の拡大であります。  その一は、少年に対する交通反則通告制度の適用でありますが、これは、少年に対しても交通反則通告制度を適用し、反則金を納付した少年は、家庭裁判所の審判に付されないこととするとともに、反則金を納付しない少年について、家庭裁判所が、反則金の納付を指示することができるようにすることをその内容としております。  その二は、現在反則者とされず、交通反則通告制度の適用を受けていない運転免許の行政処分の前歴者のうち、比較的軽微な反則行為をした者を反則者としようとすることであります。  第三は、都市交通規制等のための規定の整備でありますが、これは、最近における都市の大型一方通行規制などに対処するため、次の交差点で進行する方向による通行区分の指定、進路の変更の禁止等の規制を行なうことができるようにすること等がその内容であります。  第四は、交通巡視員制度の新設でありますが、これは、都道府県警察に、歩行者の通行の安全の確保、駐停車の規制の励行その他の交通指導を職務とする交通巡視員を置くこととするとともに、この職員に対して、手信号による交通整理、歩行者に対する通行方法の指示、違法駐車に対する是正の措置及び駐停車違反に対する告知の権限を付与することがその内容であります。  第五は、歩行者及び自転車の保護のための規定の整備でありますが、これは、通学通園バスが児童、幼児等の乗降のため停車している場合の他の車両等の運転者の義務について規定すること及び最近建設が進められている自転車道が設けられている道路における通行区分に関する規定を整備するとともに、自転車の歩道通行を認めることができるようにすることであります。  第六は、自動車運転者の資質の向上をはかるための規定の整備であります。  その一は、指定自動車教習所に対する指導監督を強化するため、指定の基準に適合しなくなった指定自動車教習所に対しては、現行法における指定の解除のほか、卒業証明書の発行の禁止の処分を創設するととに、この場合には改善命令をすることができるようにすることであります。  その二は、この法律に基づく政令、総理府令等を改正する場合等には、必要な経過措置を設けることができるようにすることでありますが、これによって、総理府令の改正によりマイクロバスを大型自動車にする際に必要な経過措置を設けることができるようにしようとするものであります。  第七は、故障車両による交通の妨害の排除のための規定の整備でありますが、これは、故障等により駐車禁止に違反して駐車した車両を警察官等が移動することができることとし、その費用をその車両の運転者等に負担させること及び高速自動車国道等においては、燃料の不足等のため停止するおそれがある自動車の運転を禁止することがその内容であります。  なお、この法律は、公布の日から三月をこえない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同を賜わらんことをお願いいたします。
  167. 菅太郎

    ○菅委員長 次に、補足説明を聴取いたします。後藤田警察庁長官
  168. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、補足して御説明いたします。  第一は、悪質事犯の排除の徹底をはかるための規定の整備についてであります。  その一は、酒気帯び運転に関する規制及び罰則の強化についてであります。酒気帯び運転の危険性は、いまさら申すまでもありませんが、これの排除のため、この法律案におきましては、次のような規定の整備を行なおうとしております。  まず、第六十五条第一項の改正規定は、現行の酒気帯び運転の禁止が、身体に一定程度以上のアルコールを保有する状態で運転することの禁止となっておりますのを、アルコールの程度のいかんにかかわらず酒気を帯びた状態で運転することの禁止に改めようとするものであります。なお、新たに禁止される部分につきましては、罰則を付さないこととしておりますが、これによって、飲酒運転の習慣をなくしようとするものであります。  次に、第百十七条の二第一号等の改正規定は、酒気帯び運転のうちでも、最も危険性の高い酒酔い運転の罰則の懲役刑の長期を一年から二年に引き上げようとするものであります。  次に、第百十九条第一項第七号の二の規定及び第百二十二条等の改正規定は、現行の酒気帯び加重の制度にかえて、身体に政令で定める程度以上のアルコールを保有する状態で自転車、荷車等の軽車両以外の車両等を運転した場合を直接処罰しようとするものであります。すなわち、現行法におきましては、このような状態での運転は、それだけでは処罰されず、スピード違反、信号無視等一定の違反が伴った場合に、その違反の罰則が倍加されるという酒気帯び加重の規定が適用されるにすぎませんが、酒気帯び運転の防止の徹底をはかるため、このような改正をしようとするものであります。なお、この改正に伴い、免許の効力の仮停止の要件を定める第百三条の二第一項第三号及び反則者の範囲を定める第百二十五条第二項第三号について必要な規定の整備をすることとしております。  次に、第六十七条第二項及び第百二十条第一項第十一号の三の規定等は、酒気帯び運転を防止するための現場措置を強化するため、警察官が酒気帯び運転をするおそれがある者について呼気検査をすることができることとしようとするものであります。  次に、第六十五条第二項の規定は、酒気帯び運転をするおそれがある者に飲酒をすすめることや酒類提供することを禁止しようとするものであります。なお、この禁止については、まず、社会生活の中で規範として確立していくことが必要であることなどの理由から、罰則を付しておりません。  悪質事犯の排除の徹底のための規定の整備のその二は、第八十八条、第百三条等の改正規定であります。現行法においては、運転免許の取り消しを受けた後に新たに運転免許を受けることができるまでの期間が一年となっておりますが、これを公安委員会が一年以上三年をこえない範囲内で政令で定める基準に従い定めるように改めようとするものであります。なお、第九十条、第百七条の五等の改正規定は、運転免許の拒否、国際運転免許証にかかる自動車等の運転禁止についても、同様に三年まで運転免許の欠格期間を延長することができることとしようとするものであります。  その三は、第七十五条の改正規定、第百十七条の二第二号の規定、第百十八条第一項第三号の二の規定、第百十九条第一項第十二号の改正規定等でありますが、これは、安全運転管理者その他車両等の運行を直接管理する地位にある者が無免許運転、酒酔い運転、過労運転、積載制限違反運転等の下命または容認をした場合の罰則を引き上げて、これらの違反運転をした運転者に対する罰則と同一のものにしようとするものであります。なお、この改正に関連して、第七十五条の規定について条文を整理するとともに、酒気帯び運転に関する規制及び罰則の強化をはかることに伴い、酒気帯び運転の下命、容認についても第七十五条第一項の改正規定及び第百十九条第一項第十一号の二の規定により、必要な整備をすることとしております。  第二は、交通反則通告制度の適用対象者の範囲の拡大についてであります。  その一は、少年に交通反則通告制度を適用することについてであります。  第百二十六条第一項の改正規定は、告知の対象となる反則者から二十歳に満たない者を除いている規定を改め、少年である反則者に対しても告知及び反則金の納付の通告をしようとするものであります。  第百二十八条第二項及び第百三十条本文の改正規定は、少年が反則金を納付した場合の効果として、家庭裁判所の審判に付されないこととしようとするものであります。  第百三十条の二の規定は、反則金を納付しないため、家庭裁判所において審判を開始された少年について、家庭裁判所が反則金の納付を指示することができることとしようとするものであります。この場合には、警察本部長が反則金の納付を通告する場合と異なり、家庭裁判所が納付の期限を定めることとし、また、反則金の額も、法の別表に定める反則金の限度額の範囲内で家庭裁判所が定めることとしております。なお、同条第三項は、この反則金の納付の方法及びその効果を警察本部長の通告による反則金の納付の場合と同様に取り扱うための準用規定であります。  その二は、第百二十五条第二項第二号の改正規定についてであります。現行法においては、過去一年以内に免許の効力の停止等の処分を受けたことがある者は、反則者とされず交通反則通告制度の適用を受けないこととされておりますが、このような者であっても、第百二十条または第百二十一条の罪に当たる反則行為をした場合には成人、少年ともに反則者としてこめ制度を適用しようとするものであります。  第三は、都市交通規制等のための規定の整備についてであります。  その一は、第三十四条の改正規定についてでありますが、これは、車両が左折しまたは右折する場合に交差点内で進行すべき部分を公安委員会が道路または交通の状況により指定することができることとしようとするものであります。  その二は、第三十四条の二の規定等についてでありますが、これは、公安委員会が、車両の交差点で進行する方向すなわち直進、左折及び右折により車両通行帯の進行区分を指定することができることとしようとするものであります。  その三は、第二十六条の二の規定等についてでありますが、これは、車両の進路の変更による交通の安全と円滑の阻害を防止するため、公安委員会が、車両がその進行している車両通行帯以外の車両通行帯を通行することを禁止し、または制限することができることとしようとするものであります。  このほか、幅員の広い道路における一方通行の規制に対処するため、第二十条第一項及び第四十条について規定を整備することとしております。  第四は、交通巡視員制度の新設についてであります。  第百十四条の三第一項は、都道府県警察に交通巡視員を置くこととしようとするものでありますが、その職務は、歩行者の通行の安全の確保、駐停車の規制の励行及び交通の安全と円滑にかかるその他の指導の事務とすることとしております。  第二項は、交通巡視員は警察官以外の警察職員とすること、及び政令で定める要件を備えていなければならないことを規定し、第三項は、交通巡視員に対する被服の支給及び装備品の貸与について規定しようとするものであります。  第五条、第十五条及び第五十一条第一項から第四項までの改正規定並びに第百二十六条第四項の規定等は、それぞれ交通巡視員に、手信号による交通整理、違法に通行している歩行者に対する指示、違法駐車に対する是正措置及び駐停車違反に対する告知の権限を与えることとしようとするものであります。  第五は、歩行者及び自転車の保護のための通行方法に関する規定の整備についてであります。  その一は、第七十一条第二号の二の規定等についてでありますが、これは、通学通園中の児童、幼児等の保護をはかるため、児童、幼児等の乗降のため政令で定めるところにより停車中の通学通園バスの側方を通過しようとする車両等は、徐行して安全確認をしなければならないこととしようとするものであります。  その二は、自転車道及び自転車の歩道通行に関する規定の整備についてであります。  自転車道につきましては、第二条第三号の二の規定で定義を設け、縁石線等の工作物で一般の車道と区画された車道の部分をいうこととし、第十一条の改正規定及び第十七条の二の規定によって、自転車道が設けられている道路の通行区分に関する規定を整備することとしております。すなわち、第十一条の改正規定は、行列が自転車道を通行することを禁止しようとするものであり、第十七条の二第一項の規定は、自転車以外の車両の自転車道の通行禁止を、第二項の規定は、自転車の自転車道の通行義務を定めようとするものであります。また、第十六条第四項の規定は、自転車道が設けられている道路における交通方法の規定の適用について通則規定を設けようとするものであります。  第十七条の三の規定は、公安委員会が指定した歩道については、自転車が通行することができることとしようとするものであります。この場合には、自転車は、歩行者の通行を妨げないような速度と方法で進行しなければならないこととしております。  第六は、自動車の運転者の資質の向上のための規定の整備についてであります。  その一は、第九十八条等の改正規定についてであります。  第九十八条第一項の改正規定は、指定自動車教習所の指定の目的を明らかにするとともに、教習事項について規定を整備しようとするものであります。  同条第三項の改定規定は、指定の基準に適合しなくなった指定自動車教習所に対する処分として、指定の解除のほか、卒業証明書を発行することを禁止する処分を創設しようとするものでありますが、この処分は、公安委員会が六月をこえない範囲内で期間を定め、その期間内における教習に基づいて卒業証明書を発行することを禁止するものであります。  同条第四項の規定は、この処分をした場合には、指定の基準に適合させるための措置命令をすることができることとしようとするものであり、同条第五項の規定は、禁止に違反して卒業証明書を発行した場合及び措置命令に違反した場合の指定の解除等について規定しようとするものであります。  その二は、第百十四条の四の新設規定についてでありますが、これは、道路交通法に基づく政令、総理府令、国家公安委員会規則または都道府県公安委員会規則の制定または改廃の場合に、それぞれの法令で合理的な範囲内の経過措置を定めることができることとしようとするものであります。これによって、当面、総理府令の改正によりマイクロバスを大型自動車とした場合の大型免許の受験資格等の特例を総理府令で定めることとしようとするものであります。  第七は、故障車両による交通の妨害の排除のための現定の整備についてであります。  その一は、第五十一条第二項の現定等についてでありますが、これは、故障等により違法に駐車している車両については、運転者等がいる場合であっても、警察官等が移動等の措置をとることができることとし、この措置に要した費用は、その車両の運転者等に負担させようとするものであります。なお、この改正と関連して、保管を伴わない移動等の措置についても、車両の所有者等に費用を負担させることとしております。また、第七十五条の八第一項第二号の改正現定は、故障車両に対する措置を円滑に行なうため、高速自動車国道等における駐車禁止から除外される故障駐車は、幅員の広い路肩に駐車する場合に限られることを明らかにしようとするものであります。  その二は、第七十五条の十一第二項の現定についてでありますが、これは、高速道路における故障駐車による交通の妨害の現状にかんがみ、燃料不足等第六十二条の整備不良車両に該当しない自動車で故障等により停止するおそれがあるものを高速自動車国道または自動車専用道路で運転することを禁止しようとするものであります。なお、この規定には、罰則を付しておりません。  最後に、附則の規定についてであります。  第一項の規定は、この法律の施行期日について規定しようとするものであります。  第二項から第七項までの規定は、違法駐車に対する措置の費用負担に関する規定の改正、運転免許の欠格期間の延長、免許の効力の仮停止の事由の改正、交通反則通告制度の適用対象者の範囲の拡大等に伴い必要な経過措置を設けようとするものであります。  第八項の規定は、家庭裁判所の反則金の納付の指示に関する規定の新設に伴い、反則金収入を交通安全対策特別交付金とすることとしている昭和四十二年の道路交通法の一部を改正する法律附則第七項を改正しようとするものであります。  第九項の規定は、交通巡視員制度の新設に伴い、自動車の保管場所の確保等に関する法律の規定のうち、道路交通法の駐車に関する規定と同一に取り扱われているものについて所要の改正をしようとするものであります。  以上が道路交通法の一部を改正する法律案のおもな内容であります。何とぞよろしく御審議をお願いいたします。
  169. 菅太郎

    ○菅委員長 次回は、明十七日午前九時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十五分散会