○土井
委員 いままでしばしば触れられました点もございますが、特にこの際なお確かめておきたいという
意味も込めまして、私、ただいまより四点ばかりお尋ねをしたいと思います。
いま家庭の主婦が最も大きな悩みを持っておりますのは、御承知のとおりに物価の異常な値上がりなんでございますが、同時に、この物価の値上かりの中で少しくらいのベース
アップじゃ家計はちっとも楽にならないのに、
税金はウナギ登りにふくれ上がっていくことにたいへん悩みを持っております。四十五年度の予算編成にあたりまして、政府は
所得税と
住民税の減税を行なうということを三大政策の
一つとなすっているわけでございますが、どうも考えてみますと、減税というのは名目だけのもので、実際を見ますと、かえって名目的な所得増加に伴って増税となっているのじゃないかと思われる節が多分にあるわけでございます。たとえば平均的なサラリーマンの所得を見てみますと、四十四年度は百十五万円程度と見られております。この場合ベース
アップが平均的に一二%程度あったというふうに仮定いたしますと、月額一万五千円程度の
増収に一応なります。しかし、そのうち
所得税、
住民税、間接税を合わせまして二〇%以上が
税金で天引きされるわけでございます。加えて社会保険料が七%以上も天引きされますから、ベース
アップの約三割が実質的な
税金にとられてしまうという
実情でございます。しかもこの物価の値上がりは、四十四年度の政府統計によって見ましても六%以上と見られておりますし、四十五年度も四・八%と見積もられているわけでございます。かりに政府見積もりどおりと仮定いたしましても、毎月のベース
アップのうち約五千七百円くらいは物価値上がりによって目に見えない形で吸収されてしまうということを覚悟しなければなりません。これではベース
アップが平均的に行なわれたと仮定いたしましても、その六割五分以上、七割近くが実質的に
税金と物価で差し引かれてしまうということになります。このような実態から、勤労者、働いている人の減税要求がきわめて強うございまして、特に低所得層や独身者の減税を望む声が非常に高くなっているということは、これは重視しなければならない事実だと思うわけでございます。このような
立場からこのたびの
地方税法の
改正案を見てまいりますと、その実態は何だか名目的な減税にとどまってしまっておりまして、この物価高と重税の中で家計の
やりくりに追われている主婦の
立場からは、きわめて偽善的な内容にとどまっている、そういう感がするのでございます。
そこでこれから約四点ばかりお伺いしたいわけでございますが、まず一点は、
生活費非課税の原則がどのように生かされているかという問題でございます。相変わらず
生活費にまで食い込んで課税され、物価調整すらどうも行なわれていないという
実情なんでございますけれ
ども、今日平均的な家庭の
生活費を見てみますと、政府の国民
生活研究所のデータでは、四十二年十月に調査した結果、団地住まいの四人世帯で年間百九万円以上
生活費にかかっていることが明らかにされております。
総理府の家計調査によっても、四十三年度の実際の
生活費は四人家族八十五万円以上と推計されております。これに対して、今度の
税制改正によっても四人家族の
課税最低限は六十二万九千円にすぎません、明らかに
生活費に食い込んで課税がなされているということがはっきりいたします。しかも相次ぐ物価上昇の中で、名目的な所得の増加に伴いまして
税金が累進的にふえていくことを考える必要がございますから、六百四十四億円程度の
住民税の減税では、物価調整すらおぼつかないといわなければならないかと思います。すでに物価の値上がりにつきましては四十四年度六%以上となることは明らかでございますし、四十五年も四・八%と見込まれているときに、この物価調整分だけで六百億円程度の減税が必要となってまいります。今日の減税をはたして減税ということができるかどうか、こういう点から考えてたいへん疑問に感ずるわけでございます。先日、これは三月二十一日付の新聞紙上に報ぜられたところによりますと、第一銀行の調査では、実際の家計簿について調べた場合に、四十四年度は実に一一%の値上がりとなっているということが伝えられているのでございますから、この点非常に深刻な問題だと私は思うわけでございます。しかも重要なことは、
住民税の諸
控除がきわめて低い水準にくぎづけされておりまして、
所得税に比べて、低所得階層にまで容赦なく課税されているという点でございます。その結果、
所得税と
住民税の
課税最低限の差は、ここ数年来五人家族を見た場合実に三十万円近くの格差が生じている。しかもそれがもう定着してしまっているという
状況でございます。
減税が必要なのは、
生活費にまで食い込んで課税されている低所得層でございまして、特に
住民税の減税をそういう
意味では私は重視していかなければならないと考えるわけでございます。
生活費非課税の原則を貫いて、
住民税をせめて三年間ぐらいには
所得税並みの
控除に引き上げることが必要だと私は考えるわけでございますが、この
生活費非課税、応能課税の原則というのは、およそ近代国家の所得課税の大原則でございますし、住民の税
負担の実態とあわせて、軽視することは許されない問題だと考えるわけでありますが、この点まずどのようにお考えであるかということをお伺いいたしたいと思います。