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1970-03-27 第63回国会 衆議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月二十七日(金曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 大西 正男君    理事 塩川正十郎君 理事 砂田 重民君    理事 古屋  亨君 理事 山本弥之助君    理事 斎藤  実君 理事 岡沢 完治君      稻村左四郎君    岡崎 英城君       亀山 孝一君    高鳥  修君       中島 茂喜君    中村 弘海君       中山 正暉君    永山 忠則君       安田 貴六君    山崎平八郎君       豊  永光君    綿貫 民輔君       阪上安太郎君    土井たか子君       細谷 治嘉君    安井 吉典君       桑名 義治君    和田 一郎君       青柳 盛雄君  出席政府委員         自治政務次官  大石 八治君         自治省行政局長 宮澤  弘君         自治省税務局長 降矢 敬義君  委員外出席者         厚生省保険局国         民健康保険課長 松田  正君         自治大臣官房参         事官      首藤  堯君         自治省税務局固         定資産税課長  山下  稔君         地方行政委員会         調査室長    川合  武君     ————————————— 委員の異動 三月二十七日  辞任         補欠選任   野呂 恭一君    稻村左四郎君   華山 親義君     安井 吉典君 同日  辞任         補欠選任  稻村左四郎君     野呂 恭一君   安井 吉典君     華山 親義君     ————————————— 三月二十六日  クリーニング業事業税軽減に関する請願外九  件(松山千惠子紹介)(第一八三四号)  同(小山省二紹介)(第一九〇二号)  万国博覧会等における暴徒等取締臨時措置法  制定に関する請願永田亮一紹介)(第一八三  五号)  ドライブインにおいて酒類の提供を禁ずる法律  制定に関する請願濱野清吾紹介)(第一九〇  三号)  同(藤山愛一郎紹介)(第一九二七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  五一号)  地方税法の一部を改正する法律案阪上安太郎  君外五名提出衆法第一一号)      ————◇—————
  2. 菅太郎

    ○菅委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案、及び阪上安太郎君外五名提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桑名義治君。
  3. 桑名義治

    桑名委員 二日にわたりましていろいろと質疑が行なわれてダブる点もあると思いますが、私も国会に出まして初めての質疑でございますので、ひとつその点は御了承願いたいと思います。  地方財政というものが現在非常に大きな曲がりかどに来ていることは、もうすでに討論の中でもいろいろと論議をされた事実でございますが、私の出身地であります福岡方面におきましては、産炭地という非常に特殊な事情の地域をかかえているわけでございます。もちろん過疎問題あるいは過密問題、それに合わせて重要な問題は、こういった産炭地の復興問題にかかってくるのではないか、このように思うわけであります。  たとえば、山田市あたりになりますと、市を設立した当時は五万の人口をかかえておりましたが、その後炭鉱の閉山によりまして、現在は約一万九千の人口をかかえるというような、激変の事情にあるわけでございます。あるいはまた、ある町村におきましても、非常に収入の少ないために、単独事業ができずに、公共投資が非常におくれている、このような実情にあるわけでございます。例をあげますと、一つ町村はいわゆる屎尿処理場に困りまして、炭鉱露天堀りをしたそのあとの穴にその屎尿を投棄する、そういうような現象が起こっておりますし、あるいは消防署の問題にしましても、単独運営がなかなか困難であるがために、その市町村がお互いに一部事務組合をつくって、そうしてこれを運営をしているというのが実情でごごいます。もちろん特別交付税やその他の傾斜的な配分をいただいているわけではございますけれども、それでは十二分にこれを達成することはできません。あるいはまた、大都市におきましても、これは前々からいろいろと論議が重ねられておるとおりに、交通問題やあるいはまた都市ドーナツ化に伴うところの住宅問題、こういった問題で現在は環境の整備に非常に追われているというのが実情でございますが、佐藤総理もこの問題につきまして、ことし七〇年代は内政の年である、このように言われておるわけでございますが、そのときにあたりまして、補助金やあるいはまた特交あたりになりましても、これに伴う地元の負担金というものが当然要るわけでございますが、そういうような産炭地方面につきましては、独自の固有財源というものが非常に少ないために、たとえば産炭地開発就労事業等を行ないまして、そして社会投資充実させようと思いましても、これを充当することができない、このような状態にあるわけでございますが、総理の言う七〇年代に向かってのいわゆる地方財政充実という面につきまして、どのようなビジョンをお持ちになっておるか、どのような財源を確保していかれる方向なのか、その点についてまず伺っておきたいと思います。
  4. 大石八治

    大石政府委員 御質問の意図がどういうところに正確にあるかよくわかりませんけれども税制の上で、そういう産炭地のような産業が大いに後退しているような段階の中で、そういうものを埋める税制があるかどうかという御質問とすれば、いまはちょっとないのではないか、しかし財源的な強化をするという問題であれば、これは別途のことであろうというふうに考えます。産炭地等に対する特別の法律による問題もあります。と同時に、すでに御指摘になりましたような交付税措置であるとか、あるいは事業に関連した起債の充当の問題であるとか考えられるわけでありまして、いま御質問意味がそういうところに——税制上の何か新しい措置が考えられるかということでありますと、私も不勉強でありますが、新しい税目を立ててやるという問題は、ちょっと考えられないように思いますけれども、そういう産炭地問題等については、いまさらに強い変化が特に出ているようでありますから、そういう財政強化の問題は今後とも慎重に考えなければならないと思われます。
  5. 桑名義治

    桑名委員 私はいま産炭地の問題だけを取り上げて聞いたわけではございません。たとえば過疎問題あるいは過密問題、こういうふうな問題と同時に、産炭地問題等も起こってきているという問題であって、いわゆる七〇年代は内政充実方向へ向かうという総理考え方に対して、どのように地方財源充実していくかという、その方向を聞いているわけです。
  6. 大石八治

    大石政府委員 その意味でありますれば、いま申し上げたことと大体同じだと思うのですが、税目上の新しいものをつくってやっていくことはできないというふうに考えます。ただ府県市町村関係につきまして、あるいは国との関係において、前々から御質問がほかの方々からもありますように、市町村財源強化をしろ−今度は逆に過密関係といいますか、大都市関係がわりあいに主体となりますけれども法人税割り増収分になる部分を全部市町村に移すというような形をとる、全体的な府県税制市町村税制の中のやりくりの問題を考えるという方向一つであろう、これは原則的に市町村財政という問題である、特にいま過疎関係とか、あるいは産業上の後退におけるような問題は、いわゆる傾斜配分による交付税措置ないし地方債による問題という点、われわれがいまできる大きな手がかりは、そういうところでやっていくべきであろうというふうに考えております。
  7. 桑名義治

    桑名委員 交付税やあるいは起債というお話でございますが、交付税につきましても、結局はひもつき財源、こういうふうにいわれております。起債につきましてもそれは借金であります。そういった意味からいいますと、いわゆる地方固有財源充実さしていく以外にはない、このように考えるわけですが、そういった固有財源充実させるという意味においての今後の方針を伺いたいわけです。
  8. 大石八治

    大石政府委員 交付税につきましても、いまそういう方向に進んでおりますし、それから過疎債等につきましても、過疎関係で起こしました起債交付税算入——普通の場合はそのままでありますけれども、それをまた交付税で算入していくという形になりますから、今度の過疎の場合は皆さんの御立法でありますが、五七%は交付税へそれをもう一回持ち込むということで、半分以上を別の財源で補てんするという制度でありますから、それを直ちに借金だといっても、全額が借金になるわけではないのではないかというように思いますし、交付税といえどもひもつきだというふうなお話でありますけれども、私ども交付税算定のしかたが一つの方式を持ち得るわけでありまして、それによって結果の数字ができておる、そのことが直ちにひもつきだということにはならないのじゃないかと思いますし、また同時にいま多少ひもつき傾向だというふうな御指摘がありますけれども、それは市町村要望というものがありまして、公共事業なりその他いろいろのそういう問題に対しての裏打ち的な財源確保もすべきだという要望がありまして、交付税算定の際にそういうことをするのであって、これを逆にひもつきであるというふうに考えるのは私どもとしては多少困るような気がいたしますし、もし逆にそういう傾向交付税算定でしなかった場合ということを考えた場合のほうが、かえって困るのではないだろうかという感じがしております。しかしわれわれのほうにもまだまだ配慮すべき点がたくさんあろうかというふうに思いますので、慎重に検討を続けたいと思っております。
  9. 降矢敬義

    降矢政府委員 いまの御質問財源充実については、政務次官からお話し申し上げたとおりでありますが、要するに地方財源総量というものをやはりふやしていかなければならぬ、それが第一の問題であろうと思います。その際、やはり御指摘のように、固有財源というものを中心総量をふやすということが基本だろうと思います。  そこでいま税の問題と固有財源、あるいはわれわれは自主財源と考えておりますが、地方交付税の問題があるわけでございます。いずれにいたしましても、今後の都市問題を中心にいたしまして、地方制度調査会におきましても、そのあり方を検討されております。そういう際に、そういう答申を得た上で、われわれといたしましても、この地方固有財源、特に自主財源としての税の増強、同時に町村の側におきましては、御指摘のように、産炭地をはじめ過疎地帯におきましては、そもそも税源が枯渇しております。そこでそういうところには、やはり地方交付税というものによって財源総量を確保する、しかもいま政務次官の御説明がありましたように、地方交付税におきましては、使途に制限をつけてはならぬということになっておりまして、やはり自由に使える一般財源ということで、町村のほうには傾斜配分をして財源を確保するということだろうと思います。  そこでそういうかっこうの中で、昨年来から御指摘がありましたように、全体の行政計画、いろいろの施設上の計画というものに見合って財源充実を今後考えてまいりたい、こう考えております。
  10. 桑名義治

    桑名委員 交付税の問題はこれで一応終わりまして、次に法人税の問題に移っていきたいと思います。  法人税の場合に、国税で今回は一・七五%のアップをしたわけでございますが、これに伴って各地方財源初年度で約八十二億の増分があるというふうにいわれておりますが、国税の一・七五%のアップに対しまして、国税はどの程度の増収を見込まれるか、その点についてちょっと伺っておきたいと思います。
  11. 降矢敬義

    降矢政府委員 初年度で六百数十億円というふうに記憶しております。
  12. 桑名義治

    桑名委員 今回の改正によりますと、県の五・八%を五・六%、それから市町村は八・九%を九・一%、こういうふうに改正になっておるわけでありますが、いずれにいたしましても、これは各地方自治団体の中のやりくりであって、これは国税に何ら影響がない、こういうふうに考えられるわけでございますが、冒頭に申し上げましたように、過密都市におきましては、当然富裕団体でなければならない地方自治体が交付団体に落ち込んでいる、こういうような状況をかもし出しておるわけでございます。もちろん下水道の問題にしましても、道路の問題にしましても、外国と比較をしてみると、相当の立ちおくれは明らかであるわけでございます。財源措置としましては、こういった法人税についても、まだまだ国と各地方団体との間の割合——ただ県と市町村との間で操作をやるのではなくて、この配分率をもう少しアップをしていく方向で考えていかなければならないのではないか、このように思うわけでありますが、その点についての自治省としての見解をお願いをしたいと思います。
  13. 降矢敬義

    降矢政府委員 法人税割りにつきまして、御指摘のように、今回、国の法人税増収に見合う法人税割り増収分市町村にやったわけでございまして、そういう意味において、県の財源を分けてやったのではございませんので、増収にかかる分を引き当てにして移譲をした、こういうかっこうでございます。もとより、法人税は二年間の限時法でございますが、われわれは、税源配分、あるいは市町村財源、特に都市財源充実という見地から、二年後にどういう姿になるかということを想定せずに、今度の増収分財源にいたしまして、恒久的に税率の移動を考えたわけでございます。  なお、いままで四十年、四十一年と法人税税率引き下げが行なわれましたときには、法人税割り減収を回避する意味で、税率のはね返しをやっておりまして、今日、一四・七%という税率は、そういう結果、はね返しをいたしまして、減収を避けてそうしてでき上がった税率でございます。そういう意味におきまして、私たちは、従来からもやはり法人の減の場合には、はね返しということでやってきたわけでございます。今回、逆に増になれば、これは引き下げるべきじゃないかという御議論も一部にございましたが、都市財源充実ということを念頭に置きまして、引き下げをせずにこれを財源にして市町村のほうの税率を増加するという姿をとったわけでございます。
  14. 桑名義治

    桑名委員 現在の税金のいわゆる割合につきまして、九・六・四だとかあるいは一〇・五・三とか一〇・四・一とか、いろいろなことがいわれておりますが、今後こういった税の配分につきまして、税率につきまして、大企業は、あるいは公害問題、あるいは交通の問題、あるいは道路の破損問題、こういったことで、地方団体に多大の迷惑をかけているという、そういった立場から、利益の再配分というたてまえをとって、そういった大企業関係に対する法人税負担アップするという、そういうことは技術的にできないものかどうか、伺っておきたいと思います。
  15. 降矢敬義

    降矢政府委員 要するに、企業から税金を取る大きな姿といたしまして、直接のかっこうとしては法人税割り、それから府県における法人事業税、それから特に市町村におきましては、企業に限定すれば、償却資産課税というものがあるわけでございます。いま言われたような観点で、特に増収をすることができるか、できないかという問題でございますが、やはりこれは企業から来る税というものを総合的に判断した上できめなければならぬわけでございまして、特殊の財政需要だけを特に取り上げまして、その分に対する財源としてどうするかということにつきましては、ちょっとむずかしいんではなかろうかという気持ちを持っております。
  16. 桑名義治

    桑名委員 次には、地方道財源問題について、多少お伺いをしたいと思いますが、最近、主要幹線道路が非常に混雑をするために、地方道に非常に通行量が多くなっているというのが実情でございます。当然国道を通るような自動車でさえも、地方道通行量の少ないところをなるべく通っていく傾向にあるわけでございますが、こういった状態に置かれた各地方道が、簡易舗装なんかでやられている場合には、もう即座に道路が破損をしてしまう、こういうような状況になっているわけですが、これに対する財源処置が別に全然行なわれていないわけです。こういった状態の上から、この道路財源を他に求める方法はないものか、その点について伺っておきたいと思います。
  17. 大石八治

    大石政府委員 われわれがいま当面している問題の中で、地方道路財源という問題が非常にクローズアップされている重大な問題であろうというふうに思います。特に、現在までも、市町村道路目的財源というものは、自動車取得税をつくったときに、これは県税でありますけれども、これを市町村に与えたいということで、しかし技術上は県税として取る以外にないものですから、県税として、しかもその三分の二を市町村に付与するという形でやったのが、目的財源としてはただ一つでございます。それに、実は交付税で、これはいわゆるひもつきではございませんけれども道絡財源というものを交付税の相当重要な部分としているわけでございます。  ただ、新しい道路計画十兆余というものが今度できておりまして、それの財源計画というものがこれから始まるわけであります。その場合に、私どもは、地方道路関係の仕事も、前の第五次よりは倍くらいの規模の整備計画になりますものですから、この部分に対する財源裏打ちをどうするかということが、これから当面する最大の問題であろう。これはいま、御承知のとおり、十兆何千億円の問題は、計画自体はできたわけでありますけれども国道部分に関連しても、その財源を一体どうするかという、全体としての道路財源問題になっておりますので、これを解決する場合に、地方道路財源という問題を、まあ忘れることなくというのは消極的でございますけれども、その際に、地方道路財源をどういうふうに固定していくか、新たに考えるかということを、この際、重大な問題として取っ組みたい、こう考えているわけであります。
  18. 桑名義治

    桑名委員 次に、固定資産税の問題について少し伺っておきたいと思いますが、固定資産税の場合には、考えられますことは、結局免税点土地あるいは家屋について非常に低いわけでございますが、この現在の免税点に対するいわゆる免税人口ですね、これが、土地の場合は何%あるいは家屋の何%になっているか、それがわかりましたら伺っておきたいと思います。
  19. 山下稔

    山下説明員 土地の場合四〇%、家屋二%、償却資産六四%でございます。これは四十四年度の課税状況によって調べたものでございます。
  20. 桑名義治

    桑名委員 現在の固定資産税土地家屋に対する免税点というものが非常に低いわけでございますが、こういった低い免税点である場合には、ほとんど免税はないんじゃないか、このように思われるわけです。いま数字の上で明らかになったことではございますが、いわゆる控除額はゼロではないか、こういうふうに言われても、これは決して過言ではないと思うのですが、今回の評価がえに伴なって、固定資産税のいわゆる免税点をもう少しアップする考え方はないのかどうか、その点について伺っておきたいと思います。
  21. 降矢敬義

    降矢政府委員 ただいま申し上げましたとおり、土地免税点は八万円で、免税点以下の納税義務者約四割になっておるわけでございます。また、実際の最近の宅地分譲を見ましても、たとえば六十坪ないし八十坪ぐらいの分譲宅地というようなものにつきまして見ましても、いまの免税点でありましても、四十六年ないし四十七年ぐらいから初めて課税される事例が非常に多うございます。と申しますのは、御案内のとおり、土地につきましては負担調整措置を講じておりますので、それ自体課税標準が低くなっているわけでございます。したがいまして、われわれは、いま申し上げましたような二つの観点から見まして、今回これを引き上げる必要はないというふうに考えたわけでございます。
  22. 桑名義治

    桑名委員 固定資産税の中で、家屋土地につきまして、特に現在は非常に住宅難というのが実情でございます。こういった住宅難を緩和するという立場からも、あるいはまた自分の家を確保するという大きな意欲が国民の中にはわいているのが実情でございますが、そういった自分生活に供する土地家屋といった問題は、現在の段階では生活に必要な、いわゆる必需品といっても決して過言ではないと思うのですが、そういった宅地家屋控除措置をする考え方、いわゆる住宅控除のようなものを新設する考え方はないかどうか、その点について伺っておきたいと思います。
  23. 降矢敬義

    降矢政府委員 ただいま固定資産税は、資産それ自体の持つ価値に着目して比例的に課税しておるものでございます。したがいまして、現にその所有者具体的に何に使っておるかということを一々考慮しているわけではないわけでございます。そのかわり比例税率で、低い税率で課税するというしかけにしておるわけでございます。また、住宅控除というような措置について考えますと、理論的にもいわゆる物税でございますので、人税と違うことは先生御案内のとおりでございます。  そういういろいろな問題のほかに、たとえば住宅控除を考えました場合に、一定の面積に相当する金額というようなものをかりに考えました場合には、都市と農村では評価額に非常な差がございますので、したがって、個々の受ける減税、控除の恩典というものも非常なアンバランスが生ずるわけでございますし、また、具体の問題といたしましても、所在市町村単位に課税するわけでございますので、そういう観点からしても非常にアンバランスを生ずるのではないか。つまり、土地をばらばらに持っておる人と同じ町村の中に持っておる人との間にアンバランスの問題があるわけでございます。  また、具体的に考えた場合に、御案内のとおり、いま一筆単位評価をするわけでございますが、その一筆単位評価をする場合におきまして、土地の上に家屋が幾つも建っておるという場合の処置、あるいはいまむずかしいのは併用住宅、いわゆる事業用家屋用住宅の建築をしている場合、もう少し言いますと、御案内のとおり、現在土地課税台帳家屋課税台帳、いわゆる土地登記簿家屋登記簿という基本になるものが全然つながりがないわけでございまして、したがって、具体賦課事務を考える場合に、一月一日現在で具体状況を把握するということは税務執行上ほとんど至難に属するわざでございまして、これは膨大な人員を使えば可能かもしれませんけれども、非常に至難なわざでございます。そういう意味合いにおきまして、実際問題あるいは理論的な問題からしても非常に困難である、こういうふうに考えておるわけでございます。
  24. 桑名義治

    桑名委員 次に、住民税の問題についてお伺いしたいと思いますが、住民税課税最低限の引き上げが今回もまた行なわれたわけでございますが、昭和四十二年には二十七万八千それがし、四十三年には二十七万六千、四十四年度には二十八万六千、四十五年度、今回は二十七万二千、こういう所得税住民税との差があるわけでございますが、大体二十七万円ラインで追っておるわけです。前々から所得税住民税差額是正の問題につきましては、いろいろと論議をかもしておるわけでありますが、再度確認の意味におきまして、所得税住民税との格差是正についての考え方は、自治省としてはどのように考えているか、お尋ねをしておきたいと思います。
  25. 大石八治

    大石政府委員 その御質問については前々からお答えしているわけでありますが、差があるという問題につきましては、それは事実でありますし、しかも所得税というものと市町村住民税というものの性格から考えて、必ずしも所得税最低限住民税最低限というものを同一にしなければならぬというところまで行かなくてもいいのではないか。つまり住民税というものが、その地域社会における行政のいろいろな利益を受けるという意味において、いわゆる応益の原則というものをそこに持っておるわけでありますから、そういうことでやっていいのではないか。ただ、全体的な観点からいって、市町村財政という問題がありますけれども課税最低限というものは、固定すべきのものではなくて、引き上げていくという方向をとるべきであろう、しかし、それは所得税最低限が幾らだからそこまで上げろというふうにまで突き詰めていくことではないのではないか、しかし、最低限につきましては、全体の負担を軽くするという意味で今後も検討を続けていきたい、こういう考え方であります。
  26. 桑名義治

    桑名委員 いま次官の答弁では、その差額が少なくなるように近づけていく、こういうお話でございましたが、年次的に、または計画的にこれを近づける計画があればお答え願いたいと思います。
  27. 大石八治

    大石政府委員 これは、実は所得税のほうが一応答申に基づいて、本年度百万円台に行けという答申がありまして、所得税がそこまで行ったわけであります。もちろん所得税について、今後政府の考え方を聞いて、税制調査会もこれに対して所得税考え方があると私も思うわけであります。したがいまして、そういうものとの関係を含めて、住民税最低限というものもしなければならぬというふうに考えておるわけでありまして、いま住民税だけが今後何カ年にどの程度まで行くというふうに、それだけが孤立して考える段階ではありませんが、私の想像では、当然所得税も新しい計画でどういうふうな方向でやるべきかというものか出てくると思います。そういうものとあわせて当然税調自身も地方税についての住民税の問題は配慮されるべきものであろう。その答申に基づいてわれわれはその努力をいたしたい、こう考えております。
  28. 桑名義治

    桑名委員 住民税というものは結局地方所得税である、こういうふうに考える考え方もできるのではないかと、このように思うわけです。そうしますと、所得税課税最低限というものは、最低限が二本立てになっておる。このような考え方もまた出てくるのではないかと思うのです。もちろん所得税よりも地方税というものは当然安いわけであります。課税は低いわけではございますけれども、そういう二本立ての姿から、課税最低限とは何ぞや、こういう不満が住民の中には十二分にあるのではないか、このようにも考えられるわけでございますし、あるいはまた、六十一国会の地行の委員会でもこの問題につきまして、所得税最低限に近づけるようその引き上げをはかる、こういう趣旨の附帯決議も付されておるわけでございますし、この問題についてさらに十二分の配慮をしていただきたい、このように思うわけでございます。  この給与所得者の実態の中から見ますと、高等学校の卒業生、いわゆる新卒でございますが、これは労働省の調べによりますと、大体月給が月に二万七千五百円、こういうふうになっております。賞与を大体三カ月分というふうに見て計算をしますと、年間の所得が四十一万二千五百円程度になるのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、最近のこういう高等学校の新卒あるいは中卒、こういう人たちは故郷を離れてそれぞれ出かせぎに出る場合が非常に多いわけでございますが、こういった人々に対しても現在の三十二万の線から考えると、同じように住民税が課せられるという姿になるわけでございますが、少なくともこういった未成年の人々に希望を持たせる意味においても、未成年の三十二万円というこの最低限をさらにアップする考え方はできないのかどうか、その点について伺っておきたいと思います。
  29. 降矢敬義

    降矢政府委員 高等学校を卒業して就職された方については、御案内のとおり初年度、就職された年はこれは課税されないわけでございます。今回いわゆる未成年者である高等学校卒業者について三十二万円で、給与の収入金額に直しますと先生御案内のとおり五十万になるわけでございまして、したがって今回二万円引き上げというのはそういう趣旨でありますが、この三十二万円の引き上げ、まあ四十四年は五十万でございまして、その他の諸控除との引き上げのバランスを考えながら毎年これを引き上げてまいってきたわけでございます。そういう意味におきまして他の諸控除とのバランスを考えながらなおこの引き上げについては今後も検討いたさなければならぬ、こう思っております。
  30. 桑名義治

    桑名委員 いまの答弁の中で、考慮をしていかなければならない、こういうようなお答えでございますが、アップする考えがあるかないか、あるいは技術的にそれができるかどうか、その点について伺っておきたいと思います。
  31. 降矢敬義

    降矢政府委員 今回二万円アップいたしたわけでございます。今後の問題としては、なお他の諸控除との関係も考慮して、そのバランスを考えながらアップを検討してまいりたい、こういうことでございます。
  32. 桑名義治

    桑名委員 次に事業税の問題についてお伺いしておきたいと思いますが、この問題につきましてもいろいろと前から議論があったところでございますが、所得税を納めない人で事業税を納める人、こういう人たちにとりましては、非常にこれは過重な税金である、こういうふうに考えられるわけですが、自治省はどのようにこの問題についてお考えになっているか、あるいは今後の方針について伺っておきたいと思います。
  33. 大石八治

    大石政府委員 これも多少所得税との関係の問題でありますけれども事業税が、行政のサービスを受けるという問題で何らかの意味負担をしてもらうということは、私は当然やっぱり維持されなければならないというふうに思っているわけであります。一つには、実は自治体の問題というものがありまして、税金を安くするということについて、私どもも決して悪いことではないし、その最低限を引き上げていく方向はそういたしたいと思うわけでありますが、そのこと自体を突き詰めてどんどんやっていきますと、簡単にいえば、市町村行政というものをどうするかというところの問題に実はまた行き当たるわけであります。ですから、たとえば住民税最低限を極端に上げていけば、市町村状態によれば、ほんとうに課税対象というものがまるで限定されてしまうという問題等もありまして、私ども市町村財政という問題も考えながら、一体事業税の最低限をどういうふうにするんだというふうに考えなければならない面も一面あるわけです。したがって所得税欠格は直ちに事業税欠格になるんだというふうには考えないでおるわけであります。
  34. 桑名義治

    桑名委員 それで、いま質問をしましたように、今後これを減税なりあるいはまたなくす方法が技術的にあるのかどうか、その点について伺っておきたいと思います。
  35. 降矢敬義

    降矢政府委員 この個人事業税をなくすという考え方は、いま政務次官申し上げましたとおり、ないわけでございます。ただ零細負担を逐次排除していかなければならぬという考え方基本にあるわけでございまして、そういう意味合いにおいて、昨年度は完全給与制と白色の十五万の専従者控除をしたわけでございますが、今回も事業控除を五万円引き上げた、こういうことでございまして、なくすということは考えておりませんが、零細負担の排除ということについては今後も考えてまいりたい、こう思っております。
  36. 桑名義治

    桑名委員 論理的にいった場合に、技術的に所得税の失格者の免税点を考慮すると、どの程度まで引き上げればよいか、試算をするとどうなるかという、その点についてお答えできたらお伺いしたいと思います。
  37. 降矢敬義

    降矢政府委員 事業所得者の課税最低限といいますか、夫婦子供三人でいずれも専従者がいない場合は四十九万四千円でございます。
  38. 桑名義治

    桑名委員 いずれにしましても、一面事業税と住民税との税の性格からいって二重課税のうらみがある、このような論議もあるわけでございますが、どうかこの事業税につきましても免税点を大いに引き上げて減税の線に大きく前進をするように要望して終わりたいと思います。
  39. 菅太郎

  40. 土井たか子

    ○土井委員 いままでしばしば触れられました点もございますが、特にこの際なお確かめておきたいという意味も込めまして、私、ただいまより四点ばかりお尋ねをしたいと思います。  いま家庭の主婦が最も大きな悩みを持っておりますのは、御承知のとおりに物価の異常な値上がりなんでございますが、同時に、この物価の値上かりの中で少しくらいのベースアップじゃ家計はちっとも楽にならないのに、税金はウナギ登りにふくれ上がっていくことにたいへん悩みを持っております。四十五年度の予算編成にあたりまして、政府は所得税住民税の減税を行なうということを三大政策の一つとなすっているわけでございますが、どうも考えてみますと、減税というのは名目だけのもので、実際を見ますと、かえって名目的な所得増加に伴って増税となっているのじゃないかと思われる節が多分にあるわけでございます。たとえば平均的なサラリーマンの所得を見てみますと、四十四年度は百十五万円程度と見られております。この場合ベースアップが平均的に一二%程度あったというふうに仮定いたしますと、月額一万五千円程度の増収に一応なります。しかし、そのうち所得税住民税、間接税を合わせまして二〇%以上が税金で天引きされるわけでございます。加えて社会保険料が七%以上も天引きされますから、ベースアップの約三割が実質的な税金にとられてしまうという実情でございます。しかもこの物価の値上がりは、四十四年度の政府統計によって見ましても六%以上と見られておりますし、四十五年度も四・八%と見積もられているわけでございます。かりに政府見積もりどおりと仮定いたしましても、毎月のベースアップのうち約五千七百円くらいは物価値上がりによって目に見えない形で吸収されてしまうということを覚悟しなければなりません。これではベースアップが平均的に行なわれたと仮定いたしましても、その六割五分以上、七割近くが実質的に税金と物価で差し引かれてしまうということになります。このような実態から、勤労者、働いている人の減税要求がきわめて強うございまして、特に低所得層や独身者の減税を望む声が非常に高くなっているということは、これは重視しなければならない事実だと思うわけでございます。このような立場からこのたびの地方税法改正案を見てまいりますと、その実態は何だか名目的な減税にとどまってしまっておりまして、この物価高と重税の中で家計のやりくりに追われている主婦の立場からは、きわめて偽善的な内容にとどまっている、そういう感がするのでございます。  そこでこれから約四点ばかりお伺いしたいわけでございますが、まず一点は、生活費非課税の原則がどのように生かされているかという問題でございます。相変わらず生活費にまで食い込んで課税され、物価調整すらどうも行なわれていないという実情なんでございますけれども、今日平均的な家庭の生活費を見てみますと、政府の国民生活研究所のデータでは、四十二年十月に調査した結果、団地住まいの四人世帯で年間百九万円以上生活費にかかっていることが明らかにされております。総理府の家計調査によっても、四十三年度の実際の生活費は四人家族八十五万円以上と推計されております。これに対して、今度の税制改正によっても四人家族の課税最低限は六十二万九千円にすぎません、明らかに生活費に食い込んで課税がなされているということがはっきりいたします。しかも相次ぐ物価上昇の中で、名目的な所得の増加に伴いまして税金が累進的にふえていくことを考える必要がございますから、六百四十四億円程度の住民税の減税では、物価調整すらおぼつかないといわなければならないかと思います。すでに物価の値上がりにつきましては四十四年度六%以上となることは明らかでございますし、四十五年も四・八%と見込まれているときに、この物価調整分だけで六百億円程度の減税が必要となってまいります。今日の減税をはたして減税ということができるかどうか、こういう点から考えてたいへん疑問に感ずるわけでございます。先日、これは三月二十一日付の新聞紙上に報ぜられたところによりますと、第一銀行の調査では、実際の家計簿について調べた場合に、四十四年度は実に一一%の値上がりとなっているということが伝えられているのでございますから、この点非常に深刻な問題だと私は思うわけでございます。しかも重要なことは、住民税の諸控除がきわめて低い水準にくぎづけされておりまして、所得税に比べて、低所得階層にまで容赦なく課税されているという点でございます。その結果、所得税住民税課税最低限の差は、ここ数年来五人家族を見た場合実に三十万円近くの格差が生じている。しかもそれがもう定着してしまっているという状況でございます。  減税が必要なのは、生活費にまで食い込んで課税されている低所得層でございまして、特に住民税の減税をそういう意味では私は重視していかなければならないと考えるわけでございます。生活費非課税の原則を貫いて、住民税をせめて三年間ぐらいには所得税並みの控除に引き上げることが必要だと私は考えるわけでございますが、この生活費非課税、応能課税の原則というのは、およそ近代国家の所得課税の大原則でございますし、住民の税負担の実態とあわせて、軽視することは許されない問題だと考えるわけでありますが、この点まずどのようにお考えであるかということをお伺いいたしたいと思います。
  41. 降矢敬義

    降矢政府委員 課税最低限の引き上げの問題につきましての御質問でございますが、これは考え方としては、住民税の性格あるいは地方財政納税義務者の推移ということを考えながら、逐次引き上げていかなければならぬ、こういう考え方基本的に持っているわけでございます。  あと物価調整の関係でいろいろ御指摘がございましたが、物価調整だけの減税額というものを考えますと、その場合に必要な所要額は二百七十億というふうに見込まれるわけでございます。  それからまた、所得税との差の問題でございますが、何回も御説明申し上げたとおり、前年四十四年夫婦子三人の場合の六八・五%が、今回は七二・八%までなったわけでございます。そういうことで逐次引き上げにつきましては努力をしてまいるという考え方でございます。
  42. 土井たか子

    ○土井委員 問題は、生活費に税の内容が食い込んで低所得層を圧迫しているという問題なんでございまして、生活費非課税の原則についてどうお考えになっていらっしゃるかという点がポイントなんでございます。この点についてお伺いしているわけでございますから、もう少しこの問題についてのお答えをちょうだいいたしたいと思います。
  43. 降矢敬義

    降矢政府委員 生酒費の問題をどう考えるかということでございますが、いろいろな尺度のとり方があると思います。たとえば、生活保護の支給基準というものも一つ国のほうではあるわけでございまして、それに比べますれば二十二万ぐらいは上回っているわけでございます。あるいは基準生計費というものを、御案内のとおりに、四十年までは国のほうでも使っておったわけでございますが、四十一年以降ありませんので、それを一つの物価上昇の比率によって伸ばして、現在それを想定して考えますと、住民税は御案内のとおり前年課税でございますので、したがって四十四年度でそういう計算をいたしますと、四十四年度は七十万七千円というかっこうになります。それと比較いたしまして、今回の引き上げによってややオーバーしているというかっこうでございます。あるいは、その他人事院の標準生計費というようなものもあると思います。これも全国の平均を見ますと、今度の引き上げによってそれをオーバーしたというかっこうになっておるわけでございます。
  44. 土井たか子

    ○土井委員 何だかはっきりしないのでございますが、私先ほどから申し上げておりますのは、生活費非課税の原則というものをお認めになって、それを貫くという態度で、いまこういう税制改正について、はかられているかどうかということをお伺いしているわけなんでございます。
  45. 降矢敬義

    降矢政府委員 抽象的にはそういうことが基本にあると思います。したがって、あと何を具体的に考えるか、こういうことでいま御答弁申し上げたわけでございます。
  46. 土井たか子

    ○土井委員 しかし、幾らこれらを繰り返しても同じことの繰り返しにしかならないと思いますけれども、現実を見た場合にやはり生活費に食い込んでいるという実態があるわけでございますから、その問題について解消されない限りは、いつまでもこの生活費非課税の原則を貫き通せという要求はとどまるところ知らずだと私は考えるわけでございます。将来にわたってこういうことについてやはり御努力をいただきたいというふうに私は考えるので、特に第一点として申し上げた次第なんです。  次に、時間の関係がございますから、第二点に私は移りたいと思いますが、第二点の内容は、住民税減税の内容がきわめて不公平だということなんでございます。それに関係いたしまして、その一つは、配偶者控除と基礎控除の差を見ました場合に、相変わらず二万円の差がつけられているということでございます。所得は夫婦共同の所産でございまして、基礎控除並みに引き上げるべきであると考えているわけでございますが、妻の座を高める税制を進めることは総理及び大蔵大臣がたびたびお約束をされているところでもございます。所得税においてはすでにこのことはかなり実現されていると私は思っておりますけれども住民税におきまして相変わらず据え置かれていることは、明らかに妻の座を軽視するものじゃないかといわざるを得ないのです。私は女性でございますから、こういう点はたいへん敏感でございますが、そういうふうな点から考えてまいりまして、住民税所得割りの自然増収額というのが千七百三十六億円にのぼっておりますし、地方税全体では六千六百二十八億円の自然増収が現在見込まれておりますから、いまこそ思い切った住民税の減税を行なう絶好のチャンスであると私は考えているわけでございますけれども、いま申し上げましたような問題につきましていかがお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
  47. 降矢敬義

    降矢政府委員 配偶者控除の創設の意味は、いま御指摘のとおり、夫の稼得する所得に対する妻の貢献度というようなものが配慮されたように、私ども承知しております。所得税において三十六年に配偶者控除が創設されまして、住民税については四十一年にそれが創設されたわけでございます。実は創設当時においては所得税におきましても一万円程度の差があったわけでございますが、これが翌年同額になったわけでございます。地方税につきましては、今日までいま御指摘のような差があるわけでございますが、やはり今回課税最低限の十万円の引き上げを考えます場合に、引き上げの十万円をどう配分するかという問題として検討いたしましたときに、扶養家族の多い方々に対する配分の問題をどうしても中心に考えなければいかぬ。たとえば独身者であれば課税最低限の四十年から四十四年の年率の引き上げ率は一七・二%になっておりますが、夫婦子三人の場合には一五・八%ということで、やはり基礎控除中心に引き上げられた結果そういうかっこうになっているんじゃないか。したがって今回この地方財政状況あるいは納税義務者の推移というものを考えまして、十万円を引き上げるというときに扶養控除をまず中心に考えて、これを二万円引き上げるというかっこうにしたわけでございます。しかしながら御指摘のように、いずれにいたしましても将来課税最低限の引き上げを、やはり政務次官お答えのように、考えていかなければならぬわけでございますから、その際の問題点として十分意識して検討してまいりたい、こう思っております。
  48. 土井たか子

    ○土井委員 わかりました。  さらに、この住民税減税の内容で不公平であるということに関しまして、都道府県民税の所得割りの税率が相変わらず比例税率のままに据え置かれて、負担アンバランスということが各方面から問題にされてきたわけでございますが、このことがどうも低所得層に逆進的な税負担となっているということは事実のようでございます。未成年者や独身者について見た場合に、これは減税が全く軽視されているんじゃないか、そういう点も言わざるを得ません。ちょっと見てみますと、中学卒業初任給が平均月額二万四千円、年収にいたしまして三十九万円というふうにいわれております。基礎控除は一万円しか引き上げられておりませんから、所得税減税のはね返りを加えて考えましても、独身者にして二十七万円から課税の対象となるということになってまいります。中学卒業初任給から納税者となるという実態は、どうもこれはきびし過ぎると私は考えるわけでございますが、この点いかがでございましょう。
  49. 大石八治

    大石政府委員 私も、まあ税金の性格というものからいえば理の当然だということも考えますけれども、中学を卒業してすぐ税金がかかるというのは、何となく私も気持ちの中でなじまないところが実はあるような気がするのです。私も、来年度あたりは、この所得税自体のところで、おそらく税調等でも問題になり得るんじゃないか、またしてもいいんじゃないだろうかという感じがいたしておるわけでありますが、これはまあ一つには政策問題と同時に、そのときに税金というものを払わないようにすることをした場合に、一体それに見合ってどういう比率というか、均衡というものを一やっていった場合に影響の問題も出てくるであろうと思うわけなんです。ですから軽々しく実は言えないと思うのですけれども、私の個人的な感じとしては、中学を卒業したらすぐもう税金がかかるというのは、少しわれわれとしては政策上考えなければならぬ点ではないんだろうか。これは所得税自体で出てくると思うのです。それに関連して、住民税のほうの問題も私は出てくると思う。金の卵といわれて中学卒業生が相当高い給与で就職するという問題から当然出てくる。まあ十何歳くらいで、おれたちに税金がかかるというのは、理屈はわかりますけれども、同時に何となくおれたちまで税金がかかるという感触を与えるということは、政治の上で多少問題があるのじゃないか。それらが次の税制等の段階で問題になり得るところだろう。しかしそれは非常に高給になってきますと税金はかかるということも、これはもう当然なんで、同時に扶養家族を持っている人から見れば、おかしいじゃないか、おれたち子持ちだって……といった一つの反論もあると思うのです。しかしここのところは一つの問題点であろうと思いますので、来年度慎重に検討さるべき事項であろうというふうに感じております。
  50. 降矢敬義

    降矢政府委員 ただいま政務次官からお話がございましたが、今度給与の収入金額として五十万までの未成年者であれば、住民税は課税されないということになっております。したがって、いま御設例にあげられました三十九万、月二万四千円ということであれば、その中学校卒業者に対しましては住民税は課税されないということになっております。
  51. 土井たか子

    ○土井委員 それでは五十万以上でございますか。
  52. 降矢敬義

    降矢政府委員 収入金額が年五十万以上になりますれば、独身者であれば課税最低限二十七万ということで課税されるようになります。
  53. 土井たか子

    ○土井委員 その点につきましても、五十万というのは私低過ぎるように思うわけでございます。勤労青少年の中には、定時制の高校に通ったりして、非常に熱心に勉学を続けているような青少年もいるわけでございますし、そういうふうな実態を見ておりまして、どうも私、いまのこの問題、たとえそれは五十万ということでございましても、少し低過ぎるような気もいたしますので、先ほど次官から御説明のございましたとおりに、これは将来にわたってお考えいただきたいという点であるというふうに私申し添えて、次の問題に移りたいと思います。  第三点としてお伺いしたいのは、個人事業税についてでございます。事業税において、事業控除が五万円引き上げられることになりましたが、三十二万円の水準では所得税における専従者控除額にすら達しておりません。減税の実効はほとんど期待できないのじゃなかろうかと私見ております。私のところに、知り合いの本屋さんが多いものでございますから、零細な出版業者の方がよく出入りなさるわけでございますが、そういう方々からもう再三再四聞きますのは、個人事業税というのはもともと二重課税的な性格のものなんだから、その撤廃を行なうということはこれは必要なことじゃなかろうか、急ぐべきことではなかろうかといったふうな御意見でございます。中小事業者の減税を実現するために思い切って個人事業税を撤廃する方向を打ち出すべきじゃなかろうかと、私考えたりするのですが、この点どのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
  54. 大石八治

    大石政府委員 合理化をしていくべきことは私はあると思いますが、いま現実の問題として個人事業税をなくしてしまえという点には、私どもそこまで踏み切っておらないというお返事を申し上げる以外にないと思います。
  55. 土井たか子

    ○土井委員 しかしどうもこの個人事業税のあり方というのは、零細なほうにしわ寄せが行くという傾向を十分に持っておりまして、ずいぶんこの個人事業税のために零細な事業主というのが、実は泣いているというのが実態でございますので、いまのままでいいかどうかということになりますと、断じていまのままでよくないということが、どこからでも返答が返ってくるのではないかと思います。将来この点に関して何らかの構想を持ってお臨みにならなければ、どうも実情に即した税制のあり方にならないのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  56. 降矢敬義

    降矢政府委員 個人事業税の零細な所得者の負担軽減ということにつきましては、昨年に引き続きまして、行なってきたつもりでございますが、なお将来につきましても、そういう方向で検討してまいりたい、こう思っております。
  57. 土井たか子

    ○土井委員 検討はいつもお願いをしているわけでございますけれども、やはり実行していただかなければ困るわけでございまして、十分に実行を目的とした検討を、どうぞよろしくお願いいたします。  最後に、四番目に、この際特に申し上げたいことは、四十五年度実質四千七百五十一億円をこえる国税の租税特別措置がそのまま地方税にはね返ってまいりまして、これは大きな減収となっているだけではございません。どうも見ましたら、税の不公平を一そう拡大しつつあるという実態だと思うわけでございます。これに対しまして、何らの対策も行なわれていないじゃないかと思うのです。かえって地方税独自の減免措置を拡大延長していることが実態でございますから、住民税や勤労者負担に対しては、負担分任、応益原則というものを強調いたしまして、法人税制や資産所得課税については国税の減免措置をそのまま適用するといった仕組みは、きわめて片寄ったやり方ではなかろうか、このことば税の公平の立場から、どうも認めるわけには、根本的にいかないと私は思うのです。   〔委員長退席、塩川委員長代理着席〕 税の公平を期して、地方税へのはね返りを断ち切るべきじゃなかろうか、これは地方財政法第二条の第二項を見ましても、「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」とございますから、これはもう根本問題だと存ずる次第でございますが、この点についてどのようにお考えでいらっしゃいますか。
  58. 降矢敬義

    降矢政府委員 ただいま御指摘のように、法人関係の特別措置というものが法人税割り、あるいは法人事業税にも多少はね返っているわけでございます。この点につきましては、法人税割りにつきましては、特別償却という方法をとられます場合には、それは所得を計算する場合に経費として落ちてしまうわけでございまして、その点のはね返しということは、実際問題として課税技術上全く困難でございます。ただ法人税割りにつきましては、税額控除という制度をとっているものが特別措置の中にございまして、その点につきましては、はね返しをやっているわけでございます。法人事業税につきましても、所得の計算は国の所得の計算によりということになっておりまして、特別償却につきましては、同じような問題がございます。ただこれにつきましても、税額控除あるいは特に外国の貿易関係におきます特別控除というものをやっておりますが、これは地方団体ではとるべきでないということで、はね返しをしているわけでございます。  そういう意味合いにおきまして、従来からも国の特別措置のはね返しという問題につきましては、課税技術上可能な限りは、私たちつとめてまいっているところでございますが、実際問題として課税技術上全く困難であります。それから納税義務者のほうから見ても、これは非常に手間をかけるという問題がございまして、したがって、いま申し上げたようなことで、努力はしていますが、法の仕組みからしまして、なかなかむずかしい、こういう状況でございます。
  59. 土井たか子

    ○土井委員 いま御説明のございましたとおり、これまでどうも技術的な理由からその実施が拒否されたり、あるいは危ぶまれたり、やりにくいというようなことで見送られているという実態でございますが、シビルミニマムというものを確保する、そうして新たな財政需要に対応する税収を確保する、これはどうしても必要事項でございますから、そのために思い切った改廃をすべき措置が要求されているのではなかろうかと考えております。最後にこれをつけ加えさせていただいて、質問をきょうは終わりたいと思います。ありがとうございました。
  60. 塩川正十郎

    ○塩川委員長代理 午後二時三十分に再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午前十一時四十六分休憩      ————◇—————    午後二時四十一分開議
  61. 菅太郎

    ○菅委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡沢完治君。
  62. 岡沢完治

    ○岡沢委員 地方税法の一部改正に関連して、最大の問題の一つと思われます大都市財政の実態に対応した財源確保の問題、いわゆる都市税源充実の問題でございますが、こういう問題や、住民税課税最低限の問題、特に所得税のそれとの格差の問題、あるいは道府県民税の所得割りの税率の問題、あるいは徴税経費の節減の問題等につきましては、もう本委員会でもたびたび論議されましたし、税調の第三部会等でも慎重に検討されているようでもございますし、特に本法案の附帯決議としても用意されるようでございますから、あえてちょうちょうすることは避けますけれども、やはりこれらが大きな問題であるということを最初に指摘させていただきまして、質問に入りたいと思います。  最初に、昨日本会議で提案されました道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案の趣旨説明と関連いたしまして、これも附帯決議に入る予定ではございますけれども道路整備五カ年計画の改定に伴って、地方道路財源充実の問題が緊急の課題になってこようかと思います。特に市町村道路目的財源問題等につきましての見解あるいは見通しを聞きたいと思います。
  63. 降矢敬義

    降矢政府委員 道路整備五カ年計画の改定に伴いまして、地方事業費が現在の事業費に比べまして約二倍、四兆一千億程度になる見込みでございます。これに対しまして、現在の特定財源ではじきました割合は五二%程度になります。これは現行の割合六一%から見まして約一〇%低下するわけでございます。そこでわれわれといたしましては、ことし一ぱいかかってこの道路財源の問題をどうせ議論いたさなければなりませんこの際、総量を確保するという問題が一つございます。同時に、しばしば御指摘ございますような市町村道路目的財源充実ということについて特に意を払って、総量の確保につとめたい、こう考えております。
  64. 岡沢完治

    ○岡沢委員 これからの課題ではございますけれども、すでにもう昨日法案としても提案がございましたわけですし、むずかしい課題ではありますけれども、税の裏づけのない計画というのは無意味でございますし、その辺の慎重な御検討をお願いしたいと思います。  行政局長、所管でないのにお立ち合いいただきまして恐縮なので、最初にお尋ねをいたしたいと思います。地方税法質疑でお尋ねするのもどうかと思いましたけれども、しかし、納税する側からいたしますと、税の基本原則というものを納得させるという意味から、地方行政の簡素化、合理化の問題はやはり切り離して考えることはできないのではないか。特に行政局長に御答弁いただく機会がわりと本委員会では少ないので、あえて引っぱり出させていただいたわけでございます。これはもう十年来繰り返されている問題ではありますけれども、やはり古くて新しい課題ではないか。四十三年の七月十一日から三十一日にかけまして地方行政合理化調査実施本部が設けられて、いわゆるアンケート調査をなさいました。その後のあとづけと申しますか、行政改革三カ年計画等と結びつけて、このアンケート結果がどういうふうに生かされているか、お尋ねいたします。
  65. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 アンケート調査の結果がどういうふうに生かされているか、こういうことでございますが、ただいま岡沢委員のおっしゃいましたように、国のほうで行政改革本部をつくりまして、その中に国、地方を通ずる行政の簡素合理化を行なうという方針が示されているわけでございます。行政改革につきましては、一昨年の八月でございましたか、十月でございましたか、第一次の行政改革計画が出まして、これは許認可の整理というものを中心にいたしたわけでございます。それから昨年第二次の行政改革基本計画というものが出されたわけでございます。これも引き続き許認可を整理いたしまして、さらに補助金の整理というものも中心の課題になっているわけでございます。  そこで、私どもは一昨年いたしました地方行政の合理化に関するアンケ−ト調査との関係でございますが、私どもは、この地方のなまの声を行政改革に反映させるべく、行政改革本部にも提出をいたしまして、行政管理庁が中心になりまして各省との調整をいたしている段階でございます。これは申し上げるまでもなく、各省各庁がいろいろ関係をいたしておる問題でございまして、なかなか私どもの希望しておりますような方向で問題が一気に解決をするということにはなってまいりません。やはり一歩一歩問題を解決していく以外になかろうかと思うのでございます。行政管理庁を中心にいたしましたところの検討の結果につきましては、大体措置ができる方向に進んでおりますもの、それから今後なお検討すべきもの、こういうふうに大体二種類に分けて申し上げてよろしいかと思うのであります。大体措置済みと申しますか、あるいは措置が確定をいたしましたものは、たとえば住宅組合、貸し家組合というような制度の廃止の問題でございますとか、何点かあるわけでございます。まあこれだけでも進歩ではあろうかと思うのでありますが、なお今後検討すべき問題がたくさん残っております。私どもは、この行政改革本部を中心にアンケート調査の結果を今後も生かしていくべく努力を続けたい、こういうふうに考えております。
  66. 岡沢完治

    ○岡沢委員 地方行政にはもちろん地方自治という大原則がございます。しかし、地方行政の実態は、国の法令なり予算と密接な関係がございますし、そのためにこそアンケートについても、当時関係府県市町村は非常に積極的に協力されたように聞いております。またいろいろの改革案についてその実現に大きな期待が持たれたはずであります。しかし一方で、せっかくアンケ−トで回答を出されても、それが実際に実現するかどうかということについては、当時から危惧が持たれておったわけでございます。参加した当事者の地方自治体以外の世論もそういうふうに見ておりました。いま局長からの御答弁で、補助金の整理あるいは許認可の問題等につきましては、実績をあげているようでございますけれども、まだまだなまぬるいといいますか、単なるゼスチュアではないか、あるいは常に議論はされるけれども実行されないという感じを、われわれも国民も持っておると思うのです。その調査で指摘された、特に改革意見の賛成率の高かったもの、具体的には行政内容が社会、経済の実態に合わないという批判のあったもの、農業委員会とか米穀配給制度の問題、援護行政の問題、地代、家賃の統制の問題、農林産物の生産、出荷指導等の問題、あるいは行政の手続が煩瑣にわたると指摘された。これは先ほど許認可の整理と結びつけて御答弁ありました。あるいは国のばらばら行政の問題、それから公害行政、港湾管理、森林振興、危険物の災害防止等が特に指摘されておりました。あるいは国の地方出先機関の整理の問題、地方事務官による行政問題等指摘されましたが、これらの問題について、これは突然質問をさしていただきましたので、十分な御答弁をいただくことも無理かと思いますけれども、局長としてお答えいただける範囲で、具体的な成果なりあるいは今後の方針なりをお尋ねしたいと思います。
  67. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 お尋ねでございますので、多少具体的にわたりまして一、二申し上げてみたいと思うのでございますが、先ほども申しましたように、行政改革につきまして、大体改善の方向がきまったグループのものが幾つかございます。たいへんこまかいものでございますけれども、たとえば現在装蹄師という制度がございます。装蹄師については免許の制度があるわけでございますけれども、これにつきましては、関係省庁との話がつきまして、おそらく近く国会にこの装蹄師の免許制度をやめるというような方向改正案というものが出るだろうと思うのでございます。あるいは法令を改正いたしませんけれども、各省庁の命令で行政の簡素合理化が行なわれ得るものというものも幾つかございます。たとえば戸籍につきまして、戸籍帳簿類等を廃棄いたします場合は、地方法務局長の許可が要るというようなものにつきましての許可を廃止するというようなことも行なわれているわけであります。したがいまして、すでに方向がきまりましたものあるいはすでに行ないましたもの、こういうものが幾つかあるわけでございます。  なお、大体の検討の方向というものがほぼ打ち出されたものといたしましては、ただいま御質問もございましたけれども、たとえば地方事務官の関係というものにつきましては、大まかな方向が打ち出されているわけでございます。地方事務官につきましては、御承知のように、厚生省関係地方事務官とそれから労働省関係、運輸省関係、三種類あるわけでございますが、厚生省関係の社会保険の関係につきましては、医療保険制度全般の問題がございますので、これは全般の改革との関連でなお今後の検討事項ということで残されているわけでございます。  それから労働省関係地方事務官の問題でございますが、これにつきましては、労働省の本省、地方を通ずる行政機構の改革と関連をして、地方事務官制度もこの際改革をしていこうということで、労働省のほうと昨年だいぶ話が進んだのでございますけれども、これは労働省のほうの中央、地方を通ずる機構改革の話がその後ちょっと停とんをいたしております。そういう状況でございます。  それから運輸省関係の陸運事務所の関係でございますが、これにつきましては、地方事務官制度を廃止するという方向で、ただいま私どものほうと運輸省のほうと事務的に話を詰めている、こういう段階でございます。  大体現在すでに改革の方向が見出されたも一の、あるいは措置が行なわれたものというものについて、二、三の例をあげまして申し上げた次第でございます。
  68. 岡沢完治

    ○岡沢委員 この地方行政の合理化は、局長の御答弁にもありましたけれども、調査は自治省が主体になさいましたが、関係各省庁に関連するところも多うございますし、その改革の希望の中にも、関係各省庁の行政の改善によって是正されるところも多いと思うのです。自治省は各省と対等の立場におられますけれども、正直いって、それほど力の強い省とも思えないのです。こと地方行政に関する限りは、やはり自治省が指導していただいて、関係各省庁との改善についての連絡あるいは指導というような問題について、どういう努力をされたかあるいはされようとしておられるか、その辺もお尋ねいたします。
  69. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 ただいまお示しのように、各省庁にすべて関係している問題でございますので、私どものほうだけで問題がきめられるわけではございません。それで先ほども申しましたように、この行政改革は、行政改革本部が中心になって改革案をつくりまして、行政管理庁が事務当局となってそれを推進する、こういうことになっています。自治省の事務次官も行政改革本部のメンバーに入っているわけでございます。私どもといたしましては、行政改革本部を通じて、さらには行政管理庁にも働きかけて、改革を進めていっているというのが現状でございます。ただ、先ほどもおっしゃいましたように、私どももいままでの進みぐあいはたいへん歯がゆく思っているわけでございます。これはやはり何らかの形で政府全体がもう少しこの問題に力を入れてくれるように、また私ども関係地方公共団体と相談をして推進する方途を考えなければいけない、こういうふうに思っておる次第であります。
  70. 岡沢完治

    ○岡沢委員 行政一般、地方行政の簡素化、合理化につきましては、だれも口先では異論はないのですが、実際に実効があがらない。これにはいろいろ問題があると思いますけれども、特にいわゆる国の立場府県立場市町村立場、特に行政の対象者である住民の立場というものが、一致する場面もありますし、利害が対立する面もある。その辺の調整がむずかしいと思いますが、やはり国、府県市町村、住民という立場を考えた場合に、そのどれを最優先で行政改革の合理化、簡素化の基準に置くべきだと行政局長はお考えでございますか。
  71. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 それは申し上げるまでもなく、国民の立場中心にして考えるべきであろうと思います。私どもは、一昨年行ないましたアンケート調査は、府県市町村関係者から実際の経験に即した意見を求めたわけでございます。やはり府県市町村というのは住民に密着をいたしました地方公共団体でございますから、アンケ−ト調査の結果というものは、やはり住民側、国民側の意見を正直に反映している、こういうふうに私は考えている次第でございます。したがいまして、単なる地方制度としての府県なり市町村だけだという意味ではなく、住民を代表しております県や市町村の意見、こういうふうに受け取って推進をしておりますし、今後もそういうつもりでやっていきたいと思っております。
  72. 岡沢完治

    ○岡沢委員 いまの行政局長の御答弁、全くそのとおりだと思いますので、ぜひ住民の立場に立った改革を勇断を持ってやっていただきたい。局長一人の立場でできる問題ではございませんが、やはり積極的に御努力を重ねていただきたい。きょうの地方税法の一部改正の法案審議と直接関係ございませんので、これで終わりたいと思いますけれども、最後に、この問題につきましては、納税者の立場からすれば、払う税金が安いということももちろん希望いたしますけれども、それ以上に、払った税金が有効に適切に使われたかということが大きな関心事であり、また納税意欲とも結びつくと思いますので、その点だけ指摘させていただきまして、行政局長に対する質問を終わります。  次に、すでにこの委員会でも論議されましたけれども、私も初めて聞いたのでありますが、コーレスという新しい燃料の問題につきまして、軽油引取税の一部改正の問題と結びつけてお尋ねいたしたいと思います。  私がここで指摘するまでもなしに、公害というのは、一九七〇年代の最大の課題の一つかと思います。物価の問題あるいは年に二万も生じます交通死亡者の問題等と結びつけまして、最大の課題であります公害防止ということは、内政の年と言われる佐藤内閣にとっても重要な課題だと思います。このコーレスの実態を知りませんので、確信をもって言えるわけではございませんが、少なくともわれわれが陳情者から受けました資料によりますと、自動車の排気ガスによる公害問題の対策としては、非常に効果的な燃料ではないかというふうに解するわけでございます。ガソリンと比較して、一酸化炭素排出濃度は十分の一であるというふうにいわれておるわけでございますが、もしそうだとすれば、この公害防止対策から考えて、こういう燃料の普及を助長するというのは、政策的に非常に意味があることだと思いますが、今度の課税はそれと逆行するという心配があるわけでございます。その辺について、あえて課税に踏み切られる理由。本委員会における御答弁では、目的税の立場から当然だという御解釈でございましたが、それは税体系から見ればそうかもわかりませんが、より大きな政治的な考え方からすれば、やはり再考される余地もあるんではないかと考えますので、その辺の見解を重ねてお尋ねをいたします。
  73. 降矢敬義

    降矢政府委員 今回自動車の保有者がいわゆるコーレスという新しい燃料を使って車を走らすという場合には、これを軽油引取税の対象として課税をするということにいたして法案を提出いたしたわけでございます。軽油引取税は、御案内のとおり、元売りから、卸売りから小売りが買うときに、その引き取りに対して課税するわけでございますが、なおそれを補完する意味におきまして、二つの制度がございます。一つは販売業者、いわゆる小売店が混和軽油と俗にいわれる、たとえば灯油に軽油をまぜるというようなことで販売する場合には、これに課税をするという方法と、もう一つは、自動車の保有者が灯油とかあるいは重油というようなものを使って車を走らした場合には、それは軽油課税との均衡あるいは軽油課税の脱税防止という観点から、そういう場合にはやはり課税をするという規定になっておるわけでございます。これは結局、燃料課税としての道路目的財源でありますから、やはりその自動車を走らす内燃機関の燃料に課税するという意味では、バランスをとらなければならぬ、こういう考え方に基づいておるわけでございます。そこで、今回この保有者課税のところに、従来の規定にさらに俗にコーレスの単一の炭化水素というものを加えて、そして軽油を課税すると同じように、道路を走った場合には課税をするということにいたしたわけでございます。  ただいまお話がありましたコーレスなるものは、揮発油に比べますと一酸化炭素は少ないようでございます。そういう意味合いにおいて、あるいは公害防止というような観点の御主張かと存じますが、しかし、そうであれば、たとえばそういう油を使う機械について、現在固定資産税償却資産について課税標準の特例措置がございます。つまり脱硫装置については特別な扱いをするというような考え方があります。油そのものがかりに一酸化炭素が少ないといたしましても、やはり道路目的財源として他の油について課税をしておるというのであれば、違うコーレスを使って車を走らしても、道路財源負担していただくというのはバランスが合うんじゃないか。公害対策につきましては、別途税制上の措置を考えたらよろしかろう、こう考えます。
  74. 岡沢完治

    ○岡沢委員 私も専門的な知識がございませんので、この問題を突っ込んでお尋ねする能力がないわけですけれども、ただ、従来本委員会に関連して、いわゆるプロパンガスの課税の問題がございまして、そのためにあつものにこりてなますを吹くたぐいで、当然政策的に必要な配慮を加えていい課税をあえてするという必要もないかと思うのです。単に税をとるという立場だけではなしに、より高度の政策的な公害防止という国民の要請、特に自動車の排気ガスは公害の中でもやはり一つの典型的なまた大きな課題だと思いますので、その辺の検討もぜひ今後してもらいたいと思います。  それでは、きょうの私の質問の最大の課題と自分で考えております固定資産税に関連して、ことに大都市近郊の農地等を中心にした固定資産税評価の問題についてお尋ねしたいと思います。  固定資産税の一部の改正は、この法案でもなされているわけでございますけれども、最初に税務局長に、固定資産税の課税の基準といいますか、原則というものはどこにあるのか、お尋ねします。
  75. 降矢敬義

    降矢政府委員 固定資産税は、土地家屋及び償却資産に対して、その資産の所在する市町村が固定資産の価格を基準として課税をする、こういうことでございます。その課税標準は、法律でも適正な時価、こういうことになっております。
  76. 岡沢完治

    ○岡沢委員 いまのお答えにございましたように、その固定資産の価格、しかもその中身は適正な時価という御答弁、これは確認していただけますか。
  77. 降矢敬義

    降矢政府委員 さようでございます。
  78. 岡沢完治

    ○岡沢委員 現在の大都市近郊の固定資産、特に土地に限ってお尋ねいたしますが、土地の時価と課税標準価格に大きな差のあることは、これは私は否定できないと思いますが、局長はどういうふうにお考えになりますか。
  79. 降矢敬義

    降矢政府委員 土地課税標準の求め方は、売買実例価格を基準にして適正な時価を求める、それは正常な取引条件のもとにおける価格、こういうことに相なっております。御指摘の、大都市近辺で現在いろいろ土地の売買がありますが、いわゆる呼び値というようなものも相当幅があります。また、仲値と称するものにも相当な幅がございます。そこで、そういうものの中に含まれている売り急ぎ、買い急ぎというような正常でない要素を除きまして評価をするというわけでございます。したがって、実際言われている呼び値などに比べますれば、やはり相当低いものと考えております。
  80. 岡沢完治

    ○岡沢委員 相当低いということはお認めになったようでございますけれども、現実に大阪、東京を中心にしました大都市の近郊土地で、平均価格をとれば、むずかしい問題ですけれども、五万以下ではちょっと考えられないし、十万前後になろうかと思います。ところで、固定資産評価額の全国的な平均を最初にお尋ねいたしますが、宅地と農地に分けて、三・三平方メートル当たりの平均値は幾らくらいになっているか、お尋ねします。
  81. 降矢敬義

    降矢政府委員 四十五年度でありますと、坪当たりで申しますと、田は百七十二円、畑は六十三円、宅地は一万五千八百二十二円、山林は坪二十五円、こういうことになっております。
  82. 岡沢完治

    ○岡沢委員 田が百七十二円、畑が六十三円、山林、これは直接あまり関係はないと思いますが、二十五円、ちょっとわれわれの土地に関する価格の感覚とかけ離れているということは、ここで強調する必要はないかと思います。固定資産課税の原則が時価課税であるのに、これだけ大きな格差があるということにつきましては、本委員会でも、いわゆる激変緩和というようなことばをお使いになりまして、御答弁をなさっておりましたけれども、私はどう考えても納得できないし、どうして時価相当の課税をなさらないのか。それはたとえば技術的な困難性があるのか、あるいは該当者である地主等の抵抗が主たる原因なのか、その辺の事情をお尋ねいたします。
  83. 降矢敬義

    降矢政府委員 いわゆる農地につきましての評価が低いというお話でございますが、農地は農地として評価をする、そうして農地法の規定によって、御案内のとおり、使用収益というものが制限をされております。したがって、周辺の宅地というものと比べますと、そういう観点から評価いたします関係上、当然に差が生ずるわけでございます。  時価課税の問題につきましてどう考えるかということでございますが、この問題は、結局三十九年以来今日、六年間評価を据え置いて、その間激変緩和で逐次負担の均衡化を求めてきたわけでございます。今回評価がえをやるにつきましても、やはり問題は、税負担をどの程度にするかということが一つの問題だろうと思います。それから同時に、土地相互間の値上がりが激しいところとあまり激しくないところの間の負担のバランスというものも考えなければなりません。今回負担調整措置を考えましたのは、二つの要請をかみ合わせて、非常に値上がりが激しいところについては四割を求めるということにして、順次負担を求めていく方式を考えたわけでございます。一挙に時価課税ということにいたしましても、個々の納税義務者負担につきましては、三十九年以来三十八年を基準にしたベースで上げてきたわけでございますから、今回急に切りかえるということにつきましては、非常な負担の激増が生ずるわけでございます。しかも土地評価額の上昇が個々の土地ごとに非常にばらばらでございますので、かりに税率で一定割合を出して、かりに税率を半分にいたしましても、その上がり方が非常に激しいところにおいては、税負担も一挙に十倍にもなるというようなところもあるわけでございます。したがいまして、全体として土地評価の時価の動向がまだ落ちつきません現在におきましては、逐次負担を求めていくという考え方が、同時にその間の負担の均衡化をはかったという考え方が一番妥当じゃなかろうか、こういうことで今回の案をまとめたわけでございます。
  84. 岡沢完治

    ○岡沢委員 局長は、最初の御答弁では、固定資産税の課税の基本原則として時価ということをおっしゃって、いまの御答弁では、農地法云々というようなおことばが出てまいりました。そのこと自体に矛盾を感じますけれども、その点の突っ込みは差し控えます。  局長を責める気持ちはさらさらございませんけれども、大臣おられませんので、政務次官にもあわせてお聞きしたいし、聞いていただきたいのですけれども、私は自民党政治の、特に佐藤政治の利点といいますか、メリットというものを高く評価する一人ではあります。しかし、事物価、特に地価、それから先ほどしばしば御指摘しました公害あるいは交通事故対策ということにつきましては、政党として政治家としてあるいは政治として失敗ではなかったか、結果としてでございますけれども、言わざるを得ないと思うのです。  では、どうしてこれを是正するか。私はやはり思い切った政治的な決断が必要な時期ではないか。このことに関しましては、すでに本会議でも予算委員会等でも何回か取り上げられ、答弁もございました。ことに、この委員会の所管ではございませんが、根本建設大臣は二月十五日のNHKのテレビ討論ではっきりと時価課税をやる、大臣として国民の前に明言されましたし、そのことは私自身が予算委員会の一般質問でも確認をいたしました。そのときの隘路は、むしろ野党側にあるとか、国民の納得が得られないからということで、すぐにはできないかもしれぬが、政府としてはやるんだとおっしゃいました。その言明と今度出されておる法案とは全く食い違いがあるわけでございます。  この問題につきまして、予算委員会質問したときに、建設大臣は、所管の自治大臣とも十分連絡をとって自分考え方が実現するように努力するというお答えがございました。政務次官、そのことを御存じでありますか。あるいはまた、建設大臣のほうからこの固定資産課税の時価への切りかえの方向についての御相談がございましたか。
  85. 大石八治

    大石政府委員 私は、相談があったかどうか、その点はまだつまびらかにしておりません。  実は、関連して私の考え方を、整理されておるわけではありませんけれども、申し上げますと、簡単にいって、農地に対する据え置き政策という問題について、私は全体的にはうなずき得るところもあると思います。ただしかし、いま都市近郊の場合の問題というのが一つ出てきておるわけであります。その場合に、特に新都市計画法の問題等が出てまいりまして、いわゆる市街化区域という問題が新たにできました。そうしてその外は調整区域だ。調整区域というのは、農業をやらせるのだという構想の上に、あれが出ているわけでありまして、そこはあまりみだりに家も建てない、工場も建てないということですから、農業を続けなさいということであります。しかし、これは財産税ですから、それがもうかろうがもうかるまいが、かけるのだという思想でいえば、それまででありますけれども、いまの農業の実態からいって、農業生産を増強させなければならぬということからいえば、ただ時価でいいかどうかということに問題がありますけれども、市街化区域内のそれは都市化されるんだという分については、私どももいまは前向きでいっていいのではないか。前向きというのは、簡単にいえば、時価に近い考え方でいっていいじゃないだろうか。その点は大いに検討をしていきたいという考え方になりつつあるわけであります。  ただ、その場合も、市街化区域ということに設定されてしまえば——市街化区域というのは、十年という問題も含めて、市街化区域ということをいっておるわけでありますから、市街化区域ということに設定されてしまえば、一挙に全部を時価によってやるかどうかという問題も、実は経過的には考えなければならぬじゃないか。十年間にいわゆる市街化していくわけでありますから、直ちに農業をやめてしまうわけではない。しかし、市街化区域の中で、いわゆる都市的な整備もほとんど見込まれる地域という問題については、私どももこれに沿って、それが宅地化するといいますか、そういうことに税制も協力し得るというような問題でひとつ考えていっていいのではないかというふうに考えておるわけです。  ただ、その場合に、いま事務当局がといいますか、困っている問題は、市街化の条件が整備されるということは、一体客観的にどうすれば確立できるか。それを客観的にやることができれば、いわゆる政策としては、そこのところをいま以上に進められるのではないかというふうなところに、いま私ども税制の中であると思っております。いままで税制土地問題解決の権威者になるべきものだと私も思っておりません。もっと土地の使用計画というものが社会的な理解の中にされていって、そうして開放されるものは開放される、またされやすい問題をつくっていく。同時に、税制もそれについていくという考え方でいきたいと思っております。したがって、御趣旨の点については、私ども決してネガティブではなしに考えたいと思っておりますが、ただ、区域が設定されたと同時に、どんぴしゃりというところまでいっていいかどうかはまだちゅうちょのあるところであります。
  86. 岡沢完治

    ○岡沢委員 次官は、正直に、建設大臣から相談があったかどうかわからない、知らないという答えがありました。しかし、この問題につきましては、もちろん大臣に、きょうの五時以降の質問時間が与えられるときに質問いたしますけれども、少なくとも政務次官お話しになっていないということは、もし相談があっても、真剣に自治大臣としては時価課税の問題を検討しておらないということになろうかと思います。  いまの御答弁の中で、新都市計画法の線引き作業と結びつけての御答弁がございましたが、これは私は関係ないと思うのです。先ほど局長が御答弁になりましたように、時価課税が原則なんです。新都市計画法と結びつけて、その線引きがおくれているから課税ができないということじゃないと私は思います。ここで先輩の次官にわれわれから意見を述べることは遠慮せにゃいかぬかもしれませんが、率直に申しまして、いまの政府が当面しておられる大きな問題の一つに、米の生産調整の問題がございます。この問題の解決と結びつけて、農地転用の促進策の一つとしても、時価課税は大いに役立つと私は思います。それから、地価の異情な騰貴が、最大の一つの課題であると申してもいいくらいの物価問題とも密接な関係がございますから、特に税の不公平という点から、国民感情として納得できない点が私はあろうと思います。また、当然取るべきものを取るというのは、これは政府の責任でもあろうし、一方でいま不足といいますか、大きな行政需要をかかえておるところの地方自治体にとっても、大きな税源になるわけでございます。取るべきものを取らないで、一方で必要以上に住民税問題等で国民の不満をかき立てる。私はどうしても納得できないし、よく言われております開発利益の吸収にも役立つ。私は、土地の、特に大都市近郊農地の、あるいは大都市近郊の未利用地の時価課税という問題は、一石二鳥ということばがありますけれども、三鳥も四鳥もの効果が期待できるのではないか。この問題につきましては、税調も答申をいたしておりますし、特に東京問題調査会が、地価騰貴の抑制のきめ手として、具体的に提案しているわけでございますが、もっと真剣に取り組んでもらうべき課題ではないか、政治的な決断がほんとうに必要ではないか。真剣味が感じられないというふうに私は思うわけでございますが、重ねて見解を聞きます。
  87. 大石八治

    大石政府委員 議題が変わってきているかもしれませんが、農地に対する課税の据え置き問題というのは、実はもう一つの政策問題であったと思うのです。その政策的なものがいま全部なくなっているかといえば、私は全部ではないというふうに思います。ただ、御指摘のように、宅地の提供という問題が、もう一つ大きな都市政策、住宅問題の考え方としてかなり目の前に行き詰まってきた問題である。しかも、非常に激しくぶつかってきている問題である。したがって、それに対して一体政策的にどうするかという配慮をせざるを得ない、またすべき段階に私どもも来ていると思います。したがって、それを具体的にどうするかということは、御指摘のとおり、私どもも、うしろ下がりで考えることは決してもうないのではないか、前向きに考えなければならぬというふうに思います。  ただ、税というものをやる場合の技術的な公平の問題。いまお話もありましたもう一つは、すぐ近隣の宅地との間の非常な不均衡感という問題もあわせて考慮すべき問題であろうというふうに思います。ただ、税というものを客観的に問題にするときに、どういうふうにしていくのか等々の問題も、これはむずかしいむずかしいと言っていてはもうだめでありまして、その点はさらに前進して問題の解決に当たるべきだろう、こういうふうに考えております。
  88. 岡沢完治

    ○岡沢委員 政務次官のお答えは納得できないわけでもございませんが、しかし、先ほどの御答弁にもございましたが、地価対策の牽引車に税を考えることは妥当でないというお考え、あるいはいままでの税務局長のお答え等を考えますと、結果においては非常に消極的なわけですね。しかし、私は時価課税が固定資産税の原則であり、本質であるということを考えました場合、そうしてそれは、先ほど繰り返しましたように、地価対策としても、税の課税の公平の面からいっても、あるいは農地転用促進対策としても、あるいは開発利益の吸収、あるいは地方都市財源の確保、いろいろな意味から、利点はあってもマイナスの点はない。むしろやるべきことをやらないために、非常に不合理な土地の騰貴をもたらし、それが住宅問題の解決あるいは公共事業の解決に非常に大きな支障を来たす、あるいは過保護のために、税が軽くて土地が上がるということで、土地の値上がりをむしろ促進している。持っていればもうかる、しかも保有については、税金が軽いので楽な立場にある。数日前の新聞にも、農地が上がり、財産が入り過ぎたがために、家族の殺人事件が起こったような例もございました。過保護は決して私は近郊農家にとってもプラスではないのではないか。このときこそ私は、思い切ったというよりも、当然の時価課税を実現されるということが、税調の答申に合い、また東京問題調査会の意見でもございますけれども、地価抑制の即効薬の役目を果たすのではないか。これだけがすべてだとはもちろん思いませんけれども、それだけのプラス面があり、マイナスのほうは少ないというこの時価課税を、ぜひ実行されるべきではないかと信ずる。建設大臣は、その意味での御答弁を明快に、国民に対してもまた国会においてもなさっているわけでございますが、その辺の食い違いを私は非常に残念に思います。  税務局長に、この時価課税のデメリットとでも申しますか、時価課税がもたらすマイナス面、あるいは時価課税をどうして断行されないかという理由。先ほど激変するからということがありましたが、どうも納得できない。メリットとデメリットを比較した場合に、メリットのこれだけ大きい時価課税を、しかも原則に反してまで実行なさらない理由はどこにあるか、それをお伺いいたします。
  89. 降矢敬義

    降矢政府委員 時価課税という考え方には私も賛成でございます。ただ、問題はいつどういう手順でこれをやっていくかということが、実は三十九年の評価がえ以来の問題であろうと思います。今回われわれといたしましても、三十九年に評価がえをやりまして、課税標準評価額との割合というものが、六年間かかって評価額に対して約四割になったわけでございます。今回負担調整措置をある程度是正いたしまして、三年間で四割程度まで持っていくというような考え方をいたしているわけでございます。問題は、地価が御案内のとおり二割程度上がっていくときに、それになかなか追いつかぬというのは、税負担の激変の問題だろうと思います。この辺を勘案しながら、やはり時価課税の原則に持っていかなければならぬ、こういうふうな立場で今回も考えているわけでございます。  なお、土地固定資産税は、保有課税であり、反面土地資産価格に相当する有効な利用、そういう点から言いますと、先生の言われるように、メリットのほうが大きいだろうと思います。ただこの問題は、政務次官もお答え申し上げましたとおり、現在の土地政策の中で土地税制というものをどう位置づけるかという問題で、税制調査会でもずいぶん御議論がございましたけれども、結局土地の利用計画、それに伴う土地の利用の規制というものが出なければ、なかなか税制だけでこの地価問題を解決するということはむずかしいということでありますし、そういう意味において、いま御指摘がありましたような、未利用地に対するいわば空閑地税あるいは高度利用特別促進税というようなものの発想もありましたけれども、何が空閑地であるかというようなことになりますと、土地の利用計画、規制計画というものがなければ、税制として第三者も納得し得るような基準点は非常に困難だということから、税制調査会におきましても答申の中に出ずに終わったわけでございます。  したがいまして、結論として、考え方としてそういう意見もございますが、どういう手順でどういうふうに持っていくかということにおきましては、やはり現実の税負担というものを離れてこれを考えるわけにまいりませんし、また現在の行政のつながりの中で、三十九年以来の今日の状況というものを踏まえながら考えなければいかぬということで、なまぬるいという御指摘はありましたけれども、やはり今回のような考え方で、四十八年の評価がえの時期までは考えていかなければならぬというふうに思っております。
  90. 岡沢完治

    ○岡沢委員 地方税法の審議の過程で、これだけ大きな角度からの論議をすることはどうかという気もしますけれども、しかし、私は、税務局長、税を取ればいいというだけの問題でもなし、また税法だけの視野ではなしに、やはり高級官僚として、いまの政治がよく行なわれるという観点からの大所高所からの御判断もあってしかるべきだし、そういう立場からの進言を次官なり大臣なりになさるという必要もあろうと思います。私たちは何も時価以上のものを課税せいと言っておるわけではございません。激変緩和とおっしゃいますけれども、地価が急激に上がっておる場合に、それに対応して税金を課するのはあたりまえのことじゃないですか。ただ、私たちも、北陸とか東北なんかの農村の固定資産税を上げよと言っているのじゃありません。むしろ税率は下げていいわけです。ただし、評価を現実に合わしたらいいわけなんで、そういう点で別に純農村地帯に弊害はないと私は思います。あるいはマイホーム主義のわずかな土地を持っておる人に対して、固定資産税を上げることは大きな負担になると思います。そういう観点からいたしましたならば、課税最低限は限度を設けて、そういう方々にまで固定資産税の重税化を求めるものではないわけです。技術的にいろいろくふうがあろうと私は思いますけれども、時価課税が原則であって、その時価課税を実行されないために、非常な土地の値上がりを政府が政策として助長しているという結果をもたらしております。この時価とあまりにもつり合わないいまの評価は、私はどうしても納得できない。ぜひ勇断をもって、これこそ改正といいますか、評価がえをするのに努力をしていただきたい。まあ技術的にいろいろ問題があることはわかりますけれども、しかし、不可能な問題ではなしに、もしそれによって土地の値上がりあるいは物価に大きな好影響をもたらす、また先ほど申しましたような副次的な、第三、第四のプラス面があるということになれば、私は、そのために相当な人員、経費がかかっても、決してむだではないと信ずるわけでございます。  与えられました時間がもうわずかでございますので、この問題はあとで大臣に対する質問でも触れさせていただくことにいたしまして、最後に、国、地方を通ずる税体系の抜本改正の問題についてお尋ねします。  現在の地方税体系が昭和二十五年のシャウプ税制基本にしていることは、ここで申し上げるまでもないと思います。また、最近の著しい社会経済情勢の変化、これも指摘されているところであります。当然抜本改正が必要だと思いますが、その抜本改正の意思ありやなしや。やるとすれば、何年ごろを予想しておられるか、お尋ねします。
  91. 大石八治

    大石政府委員 われわれも、現在の行政の求められている事態から考えて、国、府県市町村ということを考えますと、税のやり方について新しい構想を実は必要とするのではないか、ことに町村というものに対して税源強化ということをしていく必要があるのではないのだろうかということは、考えられるわけであります。ただ、その場合に、一体どうしてやれば、一般的に町村という町なり村まで行き渡るような税目があるんだろうか。法人税の問題というのは、午前中の委員会でも出ておったわけですけれども、一般の町村が、法人税を動かすことで逆にメリットを非常に受けるのかどうかということになりますと、いまの市町村の態様というものは、非常に変わっておりますものですから、そのことだけでは解決できないというふうに、個々の税目でいいますと、なかなかむずかしい点もあろうかと思います。しかし、同時に、それなら税制それ自体に全然手をつけないでいいかということになれば、もちろんそうじゃない。われわれもこの点については、新しい税調等でその問題を真剣に取り上げていただきたい。したがって、税制それだけじゃない。やはりあと、いま持っております交付税制度というものももっと新しく考える点もあり得るではないか。いろいろの観点から財源強化というものをはかっていかなければならぬというふうに考えているわけで、今日、税調等に新しい諮問をし、いつまでに具体的な返事をほしいというふうにやっているか、その点私はちょっとつまびらかにいたしておりませんので、私の考え方を申し上げたわけでございます。  補足する部分があろうと思いますので、税務局長等からお答えを申し上げます。
  92. 降矢敬義

    降矢政府委員 税制の抜本的改正をどういう時期までにやるのかというお尋ねでございますが、いま政務次官お答えになりましたように、税制調査会へ諮問していつまでということには別になっておりませんので、税制調査会としては、やはり四十三年にやりましたような、さらに新しい事態に即応する長期的なものをおそらく検討されるだろうと思います。また反面、御案内のとおり、地方制度調査会におきましては、都市制度の検討というものがすでにもう日程にのぼっておりまして、そういうものとの関連において、事務の処理の方法、事務配分というようなものも関連いたしました場合には、当然ここに、財源の与え方として自主財源としての地方税制の改革というものが日程にのぼる、こういうふうに考えております。
  93. 岡沢完治

    ○岡沢委員 終わります。
  94. 菅太郎

    ○菅委員長 和田一郎君。
  95. 和田一郎

    ○和田(一)委員 数点にわたってお聞きいたしますけれども、前に質問されました先生方と重複するところがあると思いますけれども、その点はひとつよろしくお願いしたいと思います。  まず結論のほうからお聞きしたいと思うのですけれども、これは「国民所得と租税負担額の増加率」という大蔵省の主税局から出ている資料なんです。これを大体昭和四十年くらいから見ていきます。一人当たりの国民所得、これが昭和四十年には二十五万四千七百一円。対前年比が九・六%。ところがその年の一人当たりの租税負担額が四万九千百七十二円ということで、前年比が四・八。このときは非常に減税になっておる、こうなるわけです。ところが四十一年からこういう形になっています。一人当たりの国民所得が対前年比で一六%、ところが租税のほうは一一・五%。だいぶ近づいてまいりました。四十二年ですと、国民所得のほうが対前年比で二八・九%、ところが税のほうが一九・二%と逆に上がっております。四十三年では、一人当たりの国民所得が対前年比一五・一%、一人当たりの租税負担額が一七・三%。ぐっと税のほうが上がっておる。それから四十四年度では、一人当たりの国民所得が一二・四%、そして租税のほうが一四・五%。このように租税の負担額のほうが多い。毎年のように減税をされておりますけれども、これでは減税じゃなくて、逆に増税という形になっていくんじゃないか。これは私のほうの資料じゃなくて、大蔵省のほうの資料であります。こういうことになってまいりますと、税金というものに対しては、一般の方は重いものだ、こういう感覚があるのです。そのいわゆる重いという感覚が、幾らたっても消えない、こういうことになるわけです。ちょっとその伸び率のままで、所得が一〇%増加した場合、税金はどのくらい伸びるかと計算してみますと、年収五十万円の独身者は、所得が一〇%ふえると、今度は税金は二〇%ふえる。これは増税の形になってしまう。また年収百万円の夫婦と子供一人の場合は、所得が一〇%ふえましても、今度は税金は二六%増になる、こういう形になっていく。いま申し上げました租税負担額の中には、地方税も全部入っております。  一生懸命減税されていることはわかりますけれども、この実態についてどうお考えになるか。結論ですけれども、ひとつおっしゃってください。
  96. 大石八治

    大石政府委員 いま私、その数字というのは初めて伺ったわけですが……(和田(一)委員「お見せしてもいいです。」と呼ぶ)その租税総額というものを人数で割った場合、そうなるというのですね。(和田(一)委員「平均です」と呼ぶ)その租税総額というのは、法人税なりその他の一切の税金が入っておるわけですか。(和田(一)委員地方税など入っています。」と呼ぶ)もちろん地方税は全体の六%ですから……。私、いまのそのお話を伺っておると、そういうふうに人数で割ってみてそうなっていくということは、ある意味では、非常に日本の経済成長というものが伸びて、企業活動が非常に大きくなっている、そういう企業に対するいわゆる法人課税というものが伸びた結果、その税金部分も個人の一人当たり人口で割っていくと、そういう形になるんではないだろかというふうに、いま感じがいたしておるわけでうありまして、それが住民税なり地方税である。地方税というのは、全体の国民総生産に対して六%ぐらいでありますから、ちょっとその数字だけで、これでは困るではないかと言われても、日本の経済の伸展、ある意味では非常な伸長ではないかという感じもいたすわけであります。間違っていたら、御訂正いただいて……。
  97. 和田一郎

    ○和田(一)委員 結局、こういうことなんです。所得がふえる、これはわかります。所得はふえるけれども、またかかってくる税金がさらにふえる、所得よりも税金のふえ方が高い、こうなるのですね。ですから、さらにさらに重税感を国民が味わわなければならない、こういうふうに感じるわけですが、その点について今度は税務局長のほうから。
  98. 降矢敬義

    降矢政府委員 国民所得に対する税負担をどの程度にするかという問題でありますが、御指摘のような数字であることは、間違いないと思います。これは要するに、累進構造をとっておる所得税におきましては、所得が伸びますれば、一伸びても一・三とか一・二という税になるはずであります。  そこで、現在のような負担率になっておりますのは、減税がなかったならばもっと伸びたであろうという結果だろうと思いますし、また反面、いろいろな経済の成長、国民生活水準の向上ということが、歳出というものを伸ばしていく要因になるわけでございまして、そういう意味から申しまして、税金負担率でも三十八年、三十九年の一九%台から、最近では御案内のとおり、大体一八%台に落ちついておるわけでございます。そういう意味におきまして、最近は減税をやりながら負担率は、ほぼ一八%台ということになっておるもの、こういうふうに考えます。
  99. 和田一郎

    ○和田(一)委員 この問題は、表を見ていただきますので、またあとで教えていただきたいと思います。  少しこまかいことになるかもわかりませんけれども、今回の改正から、夫婦と子供三人のいわゆる五人家族で住民税課税最低限が七十二万九千円となりました。この所得税を考えてみますと、課税最低限が三十万円低いわけです。そこで、よく考えてまいりますと、夫婦二人と子供三人計五人、ところが現在は、全部平均してみますと、大体三・七六人ぐらいなんですね、一世帯の構成人員は。いつまでたっても五人という計算でいっておりますと、これは大きく現実から離れていくのじゃないか。ほとんどの家庭が標準家族よりも少ない。こういうことになると、確かに減税はしてもらいました、課税最低限は上げてもらいましたけれども、その恩恵に浴する人が少ないのじゃないか、このように考えるのですが、その点について税務局長、どうですか。
  100. 降矢敬義

    降矢政府委員 夫婦子供三人のところで課税最低限がどのくらいになるかということで、一般に議論されておりますが、これは従来からの比較もございまして、ここのところをとって議論をしておるわけでございまして、標準世帯というような考え方ではなかろうと私は思っております。いま御指摘のとおり、現実には三・何人ぐらいになってきておりますが、従来との比較でどうなっておるかという観点から言いますと、国税のほうでも、このところを基準にして比較をしておりますので、われわれもそういうふうにしておるわけでございます。これの課税最低限を今度夫婦子供三人計五人のところで十万円引き上げたわけでございますが、しかし、その中身におきましては、夫婦子供二人はどうなるか、あるいは夫婦はどうなるかということは、控除の引き上げ額によって、それぞれ課税最低限の計算ができるわけでございまして、したがって、夫婦子供三人のところは、従来からの比較をしてどうなるかということを明らかにする意味において用いるもの、こういう、ふうに考えていただきたいと思っております。
  101. 和田一郎

    ○和田(一)委員 それでは、いまのお話はわかりますけれども、時代が変わってくるということもありますので、あまり五人家族ということにこだわっておると、国民のほうから相当離れてしまうのじゃないか。現実に大体四人ないし三人というのが多いのですから、核家族といいますか……。  ひとつ参考のために聞いておきたいのですけれども、大体夫婦と子供二人が、いまでいえば、ほんとうに標準だと思うのですが、そういう家族では、どのくらいの課税最低限になるのですか。
  102. 降矢敬義

    降矢政府委員 給与所得者につきまして六十二万九千十三円でございます。
  103. 和田一郎

    ○和田(一)委員 いまの日本の家族制度を見ますと、大体世帯というものがおもになってくるわけです。個人個人じゃない。税金もどっちかといえば、所得割りとかあるいは均等割りはありますけれども、やはり働くのは、大体がおとうさん一人だけです。何でも単位が世帯になっておるということです。ですから、確かに課税最低限を七十二万にしてもらったけれども、四人家族では、まだ六十二万円だ。所得税からもずっと低いという感じがあるのですね。この点ひとつ今後大いに検討していただきたいと思います。議論があったという話を聞きました。  そこで、地方税の立場として、どっちがしかるべきかということを、ひとつ局長の御意見だけでも伺っておきたいと思います。
  104. 降矢敬義

    降矢政府委員 しばしば御議論がありますように、住民税につきましては、税制調査会においても、やはり地域社会の費用を分担してもらうという意味から、課税最低限について所得税とは必ずしも一致させる必要はない。しかしながら、国民生活の水準その他の事情を考慮して、これは順次引き上げていくべきもの、こういうふうに考えておるところでございます。
  105. 和田一郎

    ○和田(一)委員 四人と五人という意味ですよ。
  106. 降矢敬義

    降矢政府委員 先ほどから申し上げましたとおり、標準世帯ということばではなしに、夫婦子供三人という給与所得者の課税最低限がどうなるかということで、従来もここをベースにして議論をされておるわけでございます。これが所得税において、御案内のとおり、そうでありますので、そこを直していかないと、住民税だけそうでありますということになりますとまた比較の問題が出てまいります。したがいまして、やはり所得税のほうで今後、いま御主張になったような方向で、ここのところをお考えになれば、われわれのほうの比較もそれについて考えられる、こういうふうに考えております。
  107. 和田一郎

    ○和田(一)委員 次の話題に移ります。  法人税の均等割りの件でございますけれども府県法人均等割り、これは年額資本金一千万円以上の会社が千円だ。それ以下の資本金の会社が一年間六百円だ。今度は市町村のほうの法人均等割りを見ますと、資本金一千万円以上の会社が四千円ですか、それ以下の会社が、五十万以上の人口については二千四百円ですか、そちらのほうが専門家でしょうけれども、いずれにしましても、非常に安いのですね。特に府県税金なんかは、資本金一千万以上ですから、上はもう相当あるわけですけれども、そういう会社が千円というのですね。一カ月の間違いじゃないかと一生懸命に見たのですけれども、やはり一年間。ところが個人の均等割りを見ますと、これは市町村の場合でありますが、五十万人口以上の市が年額一人六百円。それから五十万から五万人の間の市が四百円、それ以下が二百円、こうなっておる。これは一人です。おばあちゃんも一人に入るでしょうし、子供も一人に入るでしょう。ということになると、少し優遇し過ぎるのじゃないかと思うのですけれども、この点についてどうでしょう。
  108. 降矢敬義

    降矢政府委員 法人の均等割りにつきまして、府県市町村あわせまして資本金一千万円以上の法人は五千円、それ以下は三千円ということになっています。これは四十二年に引き上げたわけでございまして、その前は三十五年にきめられた額そのままでありまして、千二百円から二千四百円ということに市町村ではなっております。それを四十二年に資本金一千万円を境にしていまのようなベースにきめたわけでございます。それで、個人につきましても、人口段階別に府県市町村七百円、五百円、三百円となっております。これは二十六年以来そのままで据え置かれております。御議論は、個人の均等割りについても引き上げるべきだという御意見も税制調査会などでございますが、この点は今日据え置いておりまして、さしあたって四十二年に引き上げたという経過がございます。御案内のとおり、資本金一千万円以上の会社ということになりますと、まずほとんどの会社、非常に多くの会社がこれに該当するように相なるわけでございまして、現在これを直ちに改正するということは考えておりません。
  109. 和田一郎

    ○和田(一)委員 いまの御答弁を聞きまして、ちょっと矛盾するように感じるのですけれども、資本金一千万円以上の会社が千円、これは改正しないで当分この千円のままでずっと行かれるわけですね。
  110. 降矢敬義

    降矢政府委員 現在いまの段階でこれをすぐ改正するという考えはございません。しかし、将来どうするかという問題になりますれば、すでに四十二年におきましてもこの法人均等割りについて改正を加えたものでございますから、将来の問題としてはあるいは改正をして、さらに引き上げるという問題があるかと存じますけれども、いまこれを引き上げる考えがあるかといえば、さしあたっていまはございません、こういうことを申し上げたわけでございます。
  111. 和田一郎

    ○和田(一)委員 私、少し優遇し過ぎはしないかという質問を申し上げたのです。局長さんの御答弁は、四十二年に一ぺん改正をしたからもう当分しない。ところが、あとでまた質問いたしますけれども、国民健康保険税というのがあります。これはもう毎年上がっているところがあるわけですね。金が足らなくなったから上げましょう。だから、四十二年に改正したからもう上げないという考え方と、どうもつじつまが合わない。それから、一般にいわゆるそういう税金が足らないからまた上げますよ、こういうことが実際あるのですよ。  いまのところ考えないのでしょうけれども、ひとつこの点について政務次官にお願いしたいと思うのですが、この法人均等割りもとにかく都市財源といわれているのですから、資本金一千万円以上の会社は年に千円くらい何ともないと思うのです。この点について政務次官としてどうお考えであるか。
  112. 大石八治

    大石政府委員 実は私は法人関係住民税あるいは個人の住民税の問題について私的見解を自分で持っているものですから、住民税というのが、市町村府県にあるということについて一つの疑問を持っているわけです。それだものですから、私は自分考え方としては、住民税はもう市町村が本体になるべきものである。しかし、そういう制度を途中で府県に導入したわけでありますが、私は、府県住民税というのは、府県のいわゆる県民である、都民である、あるいは府民であるということを自覚させる意味程度の均等割りでもいいのではないかというふうに考えて、それに毛がはえたといってはおかしいですけれども市町村住民税というものはウエートを置くほうがいいのではないかという自分の考えを持っているものですから、よけいいまここのところですぐ、どっちを上げてしまう、軽過ぎるかという発想に対して、自分はそれはいいでしょうというふうに行きかねるところがあるので、お答えにならない返事をして申しわけないわけですが、私の考えに皆さんどうも賛成する人がないので、そのうち私もあきらめるようになれば、またその段階で何とかしなければならぬと思いますが、そういう感触を実は持っておりますので、いま法人税を優遇し過ぎているのではないかという、その一言だけで、ちょっと返事がしにくいととろで、たいへん申しわけないわけですが、以上でお答えにさしていただきます。
  113. 和田一郎

    ○和田(一)委員 これは、だってあれでしょう。一千万の資本金の会社が一年に千円ですよ。ところが、一年間に人間一人六百円ですよ。考えてみれば、これは優遇し過ぎていますね。まあそれ以上私突っ込んで聞きませんから、安心してください。政務次官、ひとつこの点はお心にとめていただきまして、さっそく考えていただきたい。  このことは降矢さんにもひとつお願いしたいと思うのですが、中小企業のための配慮があると思いますね。私、この質問だけであと中小企業をどうするのだということになりますけれども、そういう場合はもっと区分を上げればいいと思う。そういうことでひとつこういう面も一般庶民の納得のいく税制にしていただきたい、そういうところに、先ほどの数字の税の負担率が重い感があると思うのです。
  114. 降矢敬義

    降矢政府委員 均等割りは府県市町村にございまして、法人は、ただいま千円と申されましたのは、府県分だけでございまして、市町村には四千円で、合計五千円。それから、そういう意味府県市町村の資本金一千万円以下の会社は三千円納めているわけでございます。これは二十五年に千二百円から二千四百円となっていたものを、四十二年に約二倍に引き上げたわけでございます。そういう意味におきまして、さしあたっていまこの額を改正する考えはないということを申し上げたわけでございます。特に府県の場合に、法人は千円で、個人は百円でございまして、十倍の差があるわけでございます。ただ、将来どう考えるかということにつきましては、この問題については別途検討させていただきたい、こう思っております。
  115. 和田一郎

    ○和田(一)委員 ひとつ大いに検討していただきたいと思います。期待しております。  それから、次の点でございますが、法人事業税算定基準が今度変わりました。七十二条の四十八の4ですか、これをよく読みますと、なかなかむずかしい用語だったのですけれども、一生懸命読んでみました。資本金一億円以上の製造業について本社である事務所の事業所従業員二人を一人に計算するというのが、今度は全業種になったということですね。ということになりますと、相当大きな減税には違いないと思うのです。しかし、よく考えてみますと、本社であるとか本店であるとか、そういうものを置く会社、これは大体大都市に集中していると思うのですけれども、いままで大都市財源、大都市財源ということがいわれてきました。これをなぜ改正しなければならないのか、その理由をまずお聞きしたいと思うのです。
  116. 降矢敬義

    降矢政府委員 御案内のとおり、現在情報化社会ということになりまして、本社の管理中枢部門というものが逐次強化されてまいってきております。反面、たとえば付加価値をつくる、あるいは支店というようなところでは、だんだん従業者数が少なくなってまいります。しかしながら、事業税は、事業の規模に応じて当該事業活動の行なわれる府県に対して負担をしてもらうという考え方でございます。そこで、管理中枢機能が集中いたしますと、その管理中枢機能というものが全体を統括しているのでありまして、それが単に本店だけを統括しているわけではございません。いままでは製造業につきましてだけ二分の二にいたしましたが、情勢が変わってまいりました。そこで、管理中枢部門につきましては、案分の基準から管理中枢部門に属する従業者数は除けという意見すら一部の府県にあるわけでございます。しかし、それは極端でありまして、やはりその部門を全部除くということは適当でありませんので、今回製造業以外の事業、建設業とか銀行業その他の事業につきまして、少なくとも本社の管理部門に属する人間は二分の一ということにして、事業の規模に応じた税源の帰属というものを適正化するために、今回改正したわけでございまして、単に大都市税源充実というようなものと別に関連するものではございません。
  117. 和田一郎

    ○和田(一)委員 大阪の方がこの委員会は非常に多いのですが、大阪市では年間十億くらいの減収になるそうですね。それから東京都では約五十億くらい減収になるということですが、これはどうなんでしょうか。これから私の言うことばと合うかどうかわかりませんけれども、ある雑誌を見ますと、一年間にいわゆる社用族が使う交際費が九千億だという話もある。そこばかりではありませんけれども、そういう反面、大都市財政が必要なのに、必要なものなんです。どうせこれをやるのだったら、給与所得者等の最低課税をもう少し上げてもらったほうがいいのではないか、私はこういうふうに思うのですが、どうでしょう。
  118. 降矢敬義

    降矢政府委員 この改正規定は、法人に対する減税規定ではございませんので、法人が納める全体の法人税事業税額というものを、どの県にどれだけ納めるのが事業の活動規模にふさわしいものであるかということを算定するために、合理化の意味で、改正するわけでございまして、法人が納める税金そのものは、この改正によっては全然影響がないのでございます。それから同時に、この税金都市税金ではございませんで、府県税金でございますので、先ほどから御議論がありましたようなものと直接に関係がない、こう考えております。
  119. 和田一郎

    ○和田(一)委員 次の質問に移ります。  ちょっとこまかいことですけれども市町村の声なんですけれども地方税の税法の改正の時期、これは例年のことですけれども、新年度になってから成立、公布される。そのために、各市町村だとかまたは県等では、条例の整備であるとか、それから市町村の議会の関係だとか、そういったことに忙殺されてしまって、市民または県民にPRする期間がない。そして直ちに徴税令書が発布されてしまう。今度の固定資産税ですか、あのほうも四月から徴収に入るわけですけれども、大体どこの市町村でも一カ月おくらせて徴税令書を発付するような、そういう体制をとっておるということで、実際問題、市町村のほうの事務的な話ですけれども、たいへんな問題である。しかも地方議会のほうもどこでも大体三月で終わってしまう。大体市長だとか町長の専決処分になってしまうと思うのですけれども、いずれにしてもあわただし過ぎる。そういうことで、翌年度取るものは、その前の年度のうちに準備ができないものだろうか、こういう議論があるのですけれども、これについて、確かにそうだと思うのですが、どうでしょう。
  120. 大石八治

    大石政府委員 実はこの問題等はいろいろ議論のあるところと私も聞いております。それで一つのやり方では、国の会計年度というのが四月−三月というふうになっている場合に、市町村の年度を六月−五月というような考え方もあるじゃないかという点もあるようです。しかし、それは国の会計と地方の会計というものが年度がずれるということになれば、それだけのことで済まされないいろいろな問題も出てくるので、それはなかなか容易にできないということだと思うのです。そこで、いまのような問題が起きますので、簡単に言うと、実は国会が一体いつごろ開かれていつごろに来年のものをやるか。そういう地方団体の問題、あるいは国自体もそうだと思うのです。そういうことを考えた場合に、国会が一体いつごろこの問題を取り上げ、そうして終結をして、あるいはPRの時間を与えるようにすべきかということも、あわせてあり得るのではないだろうかというふうに考えている点がございます。
  121. 和田一郎

    ○和田(一)委員 何かお答えにならないような気がしてわからないのですが、この点ひとつ大いに改善していただきたいと思います。御要望申し上げておきます。  時間がありませんので、次に急ぎます。  こういう話があるのですけれども地方税法第三百八十二条ですか、登記所は登記をしたときには十日以内にその旨を市町村長に通知しなければならない、こう規定されておるわけなんですね。また昭和三十五年二月八日の自治次官と法務次官との間の覚え書きがある。登記所が責任を持って期日の厳守を約束しておる。ところが、実情は絶対そんなことはない。三カ月以上も遅滞することがある。こういうことで非常に困るというのです。この三十五年の次官同士の間の覚え書きが死んじゃったのでしょうか、こういうことなんです。その点についていかがでしょうか。
  122. 山下稔

    山下説明員 法律の趣旨は、御指摘のとおりでございまして、私どもも、登記所が法律の趣旨に沿って連絡を密にしてくれることを期待いたしておりますが、御指摘のように、必ずしも十分そう一いう期待どおりの通知は受けておりませんので、市町村具体的に固定資産税を課税する場合に、一通知がおくれている場合には、市町村から出向いて確認するというような方法をとりまして、課税に支障のないように努力いたします。
  123. 和田一郎

    ○和田(一)委員 課税に支障を来たしているのです。これは一つのある市ですけれども例を申し上げますと、昭和四十四年度、一月分が十一日おくれている、二月分が百十六日おくれている、三月分が百十日おくれている、四月分が八十日、五月分が八十四日、こういうようになっているのですね。だから、もう困っているというのですよ。これは自治省でひとつ強力にやってくれませんか、政務次官、これは税源がなくて困っているのです一から。減税はしたし、またいろいろな社会資本の充実に金がほしいというときに、これはむだ使いをするわけです。そういう点、覚え書きをちゃんと実行できるように、しかも自治省の次官との覚え書きです。お答え願います。
  124. 大石八治

    大石政府委員 さらに自治省から法務省のほうにそのことの趣旨を申し入れたいと思います。
  125. 和田一郎

    ○和田(一)委員 よろしくお願いいたします。  もう一つお聞きしますが、国有提供施設等の所在市町村に助成交付金がありますね。結局あれは固定資産税と同じような性質のものだと思うのですけれども、ことしは三十一億だと思いました。去年は二十六億ですか、これは全国です。それは結局は大蔵省からのつかみ金ですね。ちゃんとそういう固定資産税のような身がわりになっているのかどうか。これは市町村にとりましては、地元にとっては、そういう国有財産を提供している場所では、道もつくらなければならない、たいへんなんです。これは水道も掘らなければならないということで。そういった面で、大蔵省だけのつかみ金じゃどうしようもないという声があるのです。これは自治省としてもうんと力を入れて、各市町村を守っていただきたいところなんですけれども、その点についてひとつ自治省の見解はどうでしょう。
  126. 降矢敬義

    降矢政府委員 いわゆる基地交付金についてのお尋ねだと思いますが、基地交付金については、沿革的なことも、御承知のとおり、固定資産税にかわる一般的な安定した財源の付与、こういうことでありますが、御案内のとおり、これをつくるときに、法律の規定にもありますが、二割の部分については市町村の財政状況も考慮してというようなことで、固定資産税に淵源を発する制度であることは間違いありませんが、なお、多少つくるときのいきさつからして、すっきり割り切ったもの、固定資産税と全くかわってしまうものだというふうなところまでにはいっていないように私は承知いたしております。ただ、私たちが予算を要求する場合においては、資産価額に一・四%をかけたものをもって基地交付金の総額ということにして常に要求してまいっております。今回三十一億五千万になりましたが、それは一・一七%ぐらいになりまして、従来〇・九%であったものが引き上がったわけでございます。今後とも私たちは、予算を要求し、これを獲得する姿勢としては、常に固定資産税にかわるものだという前提に立って、資産固定資産税率に相当する一・四%をかけたものをもって今後も予算を要求し、この獲得に努力してまいる考えでございます。
  127. 和田一郎

    ○和田(一)委員 これはぜひひとつお願いしたいのです。これは交付対象の資産が限定されている。廠舎だとか、土地家屋、機械器具、船舶、航空機は含まれない、こうなっておるのですね。いま百分の一・四ですか、かけて予算要求された。こっちはまじめにかけているわけですからね。向こうからはつかみ金しかくれない。一体幾ら要求されたのでしょうか。
  128. 降矢敬義

    降矢政府委員 四十四億でございます。
  129. 和田一郎

    ○和田(一)委員 四十四億で三十一億ですから、だいぶ近づいてきましたけれども、ひとつこの点は固定資産税のようないわゆる本来の姿にどうか戻していただきたいということで、これはもう自治省のほうでもこのことは要望されているのですから、政務次官、ひとつ今後の活躍に御期待申し上げますけれども、そのお考えをひとつ。
  130. 大石八治

    大石政府委員 まあ法律の中に多少あやふやな、きっぱり固定資産税じゃない——それはなっていれば、もうこんな基地交付金なんという別の法律はないのだろうと思うのですが、しかし、私どもの気持ちは、もう固定資産税ということで計算をして大蔵要求をしているわけで、毎年ふえている財産を付加して要求しているわけです。だんだんその額と、実際に折衝して成立する価額との間が詰まってまいりました。これは私ども重要なことだと思いますので、今後もそれを詰めていく努力というものを続けるつもりであります。
  131. 和田一郎

    ○和田(一)委員 ひとつ努力のほうの期待をしておりますから、よろしくお願いします。  次に、今回の改正にも、国民健康保険税の問題が出ていましたけれども、国民健康保険税の問題でちょっとお聞きしたいと思うのです。その最初の質問は、きのうも細谷先生がおっしゃいましたけれども、ちょっと突っ込んだ質問になるかもわかりませんが、去年、昭和四十四年度に国民健康保険税または保険料の値上げをした保険者、団体は一体どのくらいあるのか、それをひとつお聞きしたい。
  132. 松田正

    ○松田説明員 いま先生の御質問に的確なお答えになるかどうかわかりませんが、昨年の九月現在で調べましたところによりますと、保険料あるいは保険税を一〇%以上結果的に上げた、こういう保険者が、一〇%以上につきましては二千四百八十五の保険者でございます。それから一五%以上につきましては二千八十九、こういう数字になっております。
  133. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そうしますと、団体は四千四百あるということですか。
  134. 松田正

    ○松田説明員 昨年の九月一日現在の保険者の数は、私どもの調査によりますれば三千三百、こういうことでございまして、そのうち一〇%以上が二千四百八十五、一五%以上が二千八十九、これはダブっておるわけでございます。
  135. 和田一郎

    ○和田(一)委員 これは二月十六日付の朝日新聞ですけれども、これを参考に読んでみますと、「四十四年度に全国の市町村のうち約千六百団体が保険料を平均一八・五%引上げた」これは朝日新聞の調査だと思うのですけれども、ですから、重複しているとおっしゃいましたが、どちらがほんとうかわかりませんが、いずれにしてもダブって二回も上げているところがあるのですね。保険料または保険税を一年間に二回上げたということになるわけですね、いまあなたのおっしゃったことによりますと。
  136. 松田正

    ○松田説明員 ちょっと私の御説明が不十分でございますが、二回上げたということではございませんで、九月一日現在で保険料の値上げをしているところの保険者の数が、ただいま申し上げた数でございまして、二回上げたということではございません。
  137. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そこで議論していますと、おそくなりますから、先へ行きます。その次に、一般会計からの繰り入れ、これは一体どれくらいあるのですか、ひとつおっしゃっていただきたい。
  138. 松田正

    ○松田説明員 昭和四十三年度の決算について見ますと、市町村の一般会計からの繰り入れ金が約百二十一億円であります。被保険者一人当たりにいたしまして二百九十五円、総収入に対します比率は二・九%ということになります。
  139. 和田一郎

    ○和田(一)委員 まず厚生省の方にお聞きしたいのですけれども、国民健康保険というのは、国が四五%、それからあとは保険税また保険料、そのほかに一般会計、こういう形になっておりますけれども、そういう形でいいものでしょうか。現実の面からおっしゃってください。
  140. 松田正

    ○松田説明員 御存じのように、国民健康保険はいわゆる社会保険方式で医療費を調達するという仕組みになっております。したがいまして、国庫負担金とそれから被保険者の拠出いたします保険料、これでまかなうのが原則でございます。保健施設でありますとか診療所の費用でありますとか、そういったものにつきまして、一般会計からの繰り入れはやむを得ない点もあろうかと思います。
  141. 和田一郎

    ○和田(一)委員 一般会計からもやむを得ないというお話なんですが、いわゆる国民健康保険特別会計ですね、各市町村にとってみては。今度は自治省から通達が出て、一般会計から繰り入ればもう控えろ、いけない、こういう通達が出ているのですが、その点どうでしょう。
  142. 首藤堯

    ○首藤説明員 ただいま御指摘の点でございますが、厚生省の課長も申し上げましたように、国民健康保険会計の事業費会計そのものにつきましては、これは国庫負担金と拠出金でまかなうベきものであって、一般会計からの繰り入れはすべきでない、こういうふうに通達をいたしております。ただ、これに付属をいたしまして、診療所でございますとかそういうたぐいのもの、いわゆる社会行政費、衛生行政費、これに属する分野があるわけでございます。その面については若干やむを得ないものもある。事業費会計としては繰り入れをすべきでない、こういうふうに思います。
  143. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そういうふうにおっしゃられますと、実態を言いたくなるのですけれども事業費会計については、とにかく国のほうと保険税とでまかなうのが当然だ、それに対しては一般会計から繰り入れるべきではない、こういうふうなお考えなんですけれども、実態はそうじゃない。いまおっしゃったように、百二十億のうちの六三・六%が療養給付費不足で入れているのです。それから残りの二〇%が事務費不足なんです。残りの二二・五%が、いま皆さん方が希望していらっしゃるように保健施設等に充当しているのです。全然逆なんです。なぜかというと、自治省からやめろといわれているその一般会計から繰り入れないと、住民のふところはパンクするのです。  そのことについてちょっと申し上げますけれども、保険税または保険料の上昇率は、三十六年を一〇〇としますと、四十三年は、ちょうど七年間ですけれども、三一九・九九、こうなるのです。ところが、消費者物価は二二七・三、それから国税地方税を合算しましても二三二。ところが国民健康保険税は三一九・九九、ものすごく上がっている。それ以上に一般会計から入れなければ、各市町村の保険会計はどうしようもないのでしょう。この点についてどうでしょうか。
  144. 首藤堯

    ○首藤説明員 国民健康保険の実態については、ただいま御指摘のとおりでございまして、非常に低所得者に対します国民健康保険税もしくは料の負担が大きくなりますがために、市町村にかなりの負担が出ておるというのは、御指摘のとおりの実態でございます。  なお事務費につきましても、そのような問題がございますが、事務費の問題につきましては、例の超過負担の解消といったような措置を通じまして、なるたけこれの持ち出しが少なくなるように現在努力をいたしておるわけでございます。  それから、保険そのもののあり方につきましては、国民健康保険のあり方そのものに由来をする問題点が非常に大きかろうかと思いますけれども、この点につきましては、その根本的な解決、こういったことについていろいろ審議ないしは議論が続けられておるところでございます。
  145. 和田一郎

    ○和田(一)委員 立場はわかります。皆さん方の立場はわかりますけれども、この国民健康保険料は、去年も延べで約四千四百の団体が値上げした。ことしも相当な数の団体が値上げしております。あるところで聞きますと、七割上げなければどうしようもないというところがあるのです。それが国民健康保険税の実態なんです。ですから、そのことを申し上げておるわけですから、決して皆さん方を責めておるわけではないけれども、政府として国保の問題については全力をあげていただかなければならぬ。こういう面で私は国民を代表して申し上げておるわけでございますから、もう少し言わしていただきます。  一般会計の繰り入れが、先ほど一人当たり幾らとおっしゃいましたか、ちょっと忘れましたけれども、私の計算では四十三年度二百八十二円になるのですが、幾らになりましたか。
  146. 松田正

    ○松田説明員 四十三年度の決算におきましては、一人当たり二百九十五円でございます。
  147. 和田一郎

    ○和田(一)委員 二百九十五円で、ちょっと十三円狂いましたので、これでひとつ計算してみたいと思うのです。  保険税の負担は幾らかといいますと、多少は違うでしょうけれども、一世帯当たり四十三年度は一万二千七百六十六円、大体その辺の見当です。そこへ一般会計からの繰り入れ、これは当然市民に還元されなければならない金ですね。それが一人当たり二百九十五円だ。そうすると保険税のほうは、世帯で計算しましたから、世帯に直さなければならない。世帯の構成は全国平均で三・四七だ。−一世帯大体そんなものです。それをかけますと大体千円になっちゃう。ですから、一世帯のこの保険税の一万二千七百六十六円に千円乗せますと、一万三千七百六十六円という負担なんです。ですから、四十三年度の平均は、被保険者の一人一人が一万三千七百六十六円。ところがものすごいところがあるのですね。ちょっと所の名前を出してみますと、これは私が国保中央会からいただいてきた資料にはっきり出ておりますから、はっきり申し上げますけれども、北海道の長沼町というところはほんとうにかわいそうですよ。一世帯二万六千三百八十五円。同じく北海道の東鷹栖町というのですか、ここでは一軒前二万九千六十七円ですよ。私は北海道の代表じゃありませんけれども、一番高いので言うのですが、その次に、小清水町というのが二万七千八十七円です。また新潟県の中之口村なんか二万四千三百二十円。二万円以上の市町村がものすごくある。それでまだ上げなければどうしようもない。これが実態なんです。安いところもあるがとおっしゃいますけれども、安いところは、それはいろいろな事情があるのでしょうけれども、大半の市町村または大半の被保険者たちが、国民健康保険のためにきゅうきゅうとしている。これが国保の現状でございます。この点について、どうでしょうか、ひとつ厚生省のほうの何とか力強い返事をいただきたいと思います。
  148. 松田正

    ○松田説明員 いま先生から御指摘ございました数字は、若干私どもの持っている資料と違いますけれども、大体そういう傾向でございます。  先ほど申し上げましたように、やはり国民健康保険も、被保険者の給付、この度合いに応じてある程度の負担は必要かと考えておりますので、若干ずつ毎年上がっていくことはある程度やむを得ないと考えております。ただ、低所得階層につきましては、軽減制度というものを活用いたしまして、できるだけ軽減をしていく、こういう方針でおります。  なお、いま御指摘のありましたように一、個々の市町村につきまして保険料が非常に違う、非常に高低がございます。これは御指摘のとおりでございますけれども、また、それぞれの市町村につきましても、医療費に非常に格差がございます。全国で申しますと、三十六年を一〇〇といたしますれば、四十三年度の医療給付費の実績は三九〇、こういう指数でございます。そういうことで、若干ずつの保険料の値上げはやむを得ないかというふうに考えております。ただ、そういった被保険者間の負担の均衡をはかりますために、現在、医療保険の抜本改正の一環といたしまして、標準保険料という構想が一部から要望されておりますので、そういった構想につきましては、現在社会保障制度審議会で御審議を願っておりますので、その結論を待ちまして検討いたしたい、かように考えております。
  149. 和田一郎

    ○和田(一)委員 この抜本的な解決はいつになるのか、お聞きします。
  150. 松田正

    ○松田説明員 次の通常国会に法案が出せるように、御審議をお願いいたしてございます。
  151. 和田一郎

    ○和田(一)委員 自治省としては、こういう点についてどういう考えでやっていらっしゃるか。厚生省と緊密に連絡をとっていらっしゃるかどうか。皆さん方が一般会計から入れるなと言っておるのに、入れなければならないのですから、その自治省通達を無視してまでもやっていかなければならない、そういうことで、どういう指導をされているか、ひとつ力強い御答弁をお願いいたします。
  152. 首藤堯

    ○首藤説明員 国民健康保険の実態につきましては、御指摘のとおりの実態でございますので、自治省としても、前々から、この抜本的な改正につきましては強く要望をいたしておったわけでございます。たとえば標準保険料の問題等も、その中の一環としていろいろ議論をしたことがあるわけでございます。この上とも、十分厚生省にも強力に働きかけをいたしまして、その抜本改正をはかっていきたい、このように考えております。
  153. 和田一郎

    ○和田(一)委員 政務次官からひとつ。
  154. 大石八治

    大石政府委員 市町村財政という立場から、それから納税者の負担が、他の地方税という問題をあわせて見ていって、住民税等を減税していっても、国民健康保険税がどんどん上がるということで、それは厚生省がやっているといっても、住民からいえば、それは厚生省の所管の仕事だという感じじゃないのです。非常に税金が高いという重圧感がありますし、同時に、いまのように繰り入れの問題をせざるを得ないというところに落ち込まれておりますから、実は私ども、国保の改正をしてもらうということについては、相当熱意を持っているといいますか、自治省としてはハッパをかけている。そういう意味では、今後もその努力を続けていきたいと思っております。
  155. 和田一郎

    ○和田(一)委員 あんまり音が聞こえないハッパでございますけれども、時間がありませんから、もう一つ聞きたいと思いますが、厚生省にお聞きしたいのです。  被保険考証のいわゆる資格のことですけれども、これは大体現在県単位になっていますね。ところが、こうなってまいりますと、ほとんど全国平均してもらいたいという声が多いわけです。たとえば県境に住んでいる人なんかは、近いところへ、ほかの県へ行ってかかる。そうすると負担率が普通よりは高いのです。そういう面で、いろいろな資格審査の問題もあるでしょうが、全国的な通用を考えておられるかどうか、その点についてひとつお聞きしたい。
  156. 松田正

    ○松田説明員 いま御指摘の点は、国民健康保険の被保険者証が全国に通用しないということで、かねていろいろ御要望があるところでございます。私どもも、非常に被保険者の便宜を考えまして、できるだけすみやかに全国通用の制度をつくりたい、かように考えております。ただ、御存じのように、保険者が約三千三百ございまして、それぞれ給付割合が違うところが非常に多くなってまいりました。そういう意味で、医療機関との関係ではなかなか事務的に繁雑であるということが一つ。それから、支払い機構が、社会保険の政府管掌健康保険等と違いまして、各県連合会で実施をいたしておる関係で、そういう支払い的な技術的な問題、こういった問題を解決いたさなければなりません。そういうことで、現在全国通用を実現の方向で検討いたしておるところでございます。
  157. 和田一郎

    ○和田(一)委員 あと一つ具体的なことでお聞きしますけれども、各県に国民健康保険の、あれは事業団というのですか。……
  158. 松田正

    ○松田説明員 国民健康保険団体連合会と申します。
  159. 和田一郎

    ○和田(一)委員 その連合会で、お医者から出てきた請求書を審査しますね。あの審査する職員の一口の審査量は、請求書何通くらいでしょうか。
  160. 松田正

    ○松田説明員 ちょっといま的確に数字を持っておりませんけれども、一日と申し上げるよりも、一人当たり大体六千件から七千件程度でございます。
  161. 和田一郎

    ○和田(一)委員 どんなに頭のいい職員でも、一日八時間の労働の中で六千枚、できるのですか。実際問題として、ただ判こ押しだけじゃないでしょう。
  162. 松田正

    ○松田説明員 六千件と申しましたのは、一カ月に一人の職員が審査する件数でございます。
  163. 和田一郎

    ○和田(一)委員 はっきり言っていただきたいのですが、私びっくりしちゃった。  大体多くて千枚、少なくて六百枚というのですね。これはたいへんですよ。一日六百枚請求書を審査します。ですから、勢いそのままいってしまうというのが多い。これが私、実態だと思うのです。そういう面にも、これは一つの抜本改正の中に含まれるかもわかりませんが、私も国民健康保険に入っている一人です。とにかく大体国民の四二%が入っている。しかも農業であるとかまたは零細企業であるとかいう、いずれにしても低所得者が多い。この国民健康保険が、気持ちよく、しかも晴れ晴れとした気持ちでかかりたい、また税金を納めたい、みんな願っていると思うのです。  きょうはほんとうに御苦労さまでございますけれども、これから全力をあげて被保険者の要望にこたえていただきたい。そのことを強く私要望しまして、私の質問を終わります。
  164. 菅太郎

    ○菅委員長 青柳盛雄君。
  165. 青柳盛雄

    ○青柳委員 政府の高度経済成長政策の中で、財政経済にとって特別な配慮がなされているわけでありますが、税制の面でいいますと、特徴的なのは、租税特別措置法による減免税というのが、大資本、大会社に対して行なわれてきているわけであります。これが、大蔵省の主計局が出した資料によりますと、一九六〇年には一千百三十一億円の減税でございまして、それから五年後の一九六五年には二千三百八十三億円。一九六〇年を一〇〇といたしますと二一〇%、倍以上になっておる。さらに五年後の一九七〇年、本年の予測によりますと三千八百四十一億円。同じく六〇年を一〇〇としますと二九四%、約三倍。こういうふうに毎年租税特別措置による減税額というのが多くなっているわけであります。  国の行政に必要な財源地方行政に必要な財源配分の問題、地方税制のあり方の問題等について、いままで非常に多くの議論がなされているわけでありまして、私も当然それは抜本的に考え直さなければいけないと考えるものの一人でございますが、それはそれといたしまして、地方税制の中でもこのような大企業に対する特別な優遇措置がとられているのではないかという点について、お尋ねをいたしたいと思います。  地方税法の三百四十九条の三、これは固定資産税課税標準の特例に関する規定でございますけれども、これによって相当の優遇措置がとられているのではないか。そのほか国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律などによりまして、四条、五条、五条の二等で交付金や納付金についても、普通の固定資産税の場合とは違った特例が行なわれているというふうに考えられるのであります。そのほかに地方税法附則十六条の新築家屋などに対する減税措置あるいは公、災害に対する減税措置等もありますけれども、これはさておきまして、少なくとも地方税法及び先ほど申しました法律による固定資産税あるいは交付金、納付金の減額の程度というものは、ぜひ国民も知らなければならないと思うのです。大蔵省のほうでは租税特別措置法についての減税額の発表をいたしております。地方税において、いま典型的に申しましたようなものに何らかの計算をしたことがあるのかどうか、まずそれをお尋ねいたしたいと思います。
  166. 降矢敬義

    降矢政府委員 ただいま御指摘かありました固定資産税課税標準の特例では、全体で四十四年度見込み額で三百億でございます。  それから交納付金につきましては、三百団体の公共性を考慮しまして、課税標準を二分の一ということにしてありますが、その額が三百三十七億、こういうことでございます。
  167. 青柳盛雄

    ○青柳委員 それは納付金及び交付金ですか、三百三十七億というのは。
  168. 降矢敬義

    降矢政府委員 そのとおりでございます。
  169. 青柳盛雄

    ○青柳委員 そうしますと、私がいま御質問申し上げたものだけでも六百三十七億という減税措置がとられているわけでございまして、今度の改正によりますいわゆる減税措置、これは四十五年度地方税収入見込み額概算という自治省でつくられた試算の表でありますけれども、これを見ますと、減収額は九百七十三億、それから増収額が九十五億、差し引き八百七十八億の減収になるという発表でございます。これは一応地方税を軽くして地方住民の負担をやわらげるという趣旨も見えるのでありますけれども、この減税措置によりましても、自然増は依然としてございまして、大体前年度比二〇%くらいは伸びているわけです。それにいたしましても、ほとんどが減税の中で、固定資産税だけは初年度で十三億、平年度で十四億、これだけふえているわけであります。このようにふえたのは、負担調整率の二十五倍以上は一・四という数字、こういう上昇率が二十五倍以上の分の増税ではないか、及び固定資産税償却資産の伸びというものではないかと思うのでありますけれども、今度の措置の二十五倍以上には一・四をかけるというこの負担調整率、これで上がる分はどのくらいであるか、見込みはおわかりになりますか。
  170. 降矢敬義

    降矢政府委員 一・四倍、四割増になる分で、負担増になる分は十三億でございます。
  171. 青柳盛雄

    ○青柳委員 ほかはほとんど減税であり、法人税税率改正されたためのはね返りは別といたしまして、この固定資産税だけはこのように上げていく、見込みにおいて上がるという。ここに私は大きな問題があると考えるわけでございます。  そこで、償却資産の自然増をどのくらいに見ておられますか。いわゆる免税点は従来どおり三十万円で据え置いてあるわけでありますから、ここに大きな伸びがあるといたしますと、従来課税されなかった償却資産に対して、相当の課税が及んでいくのではないかというふうに考えられるので、お尋ねするわけです。
  172. 降矢敬義

    降矢政府委員 今回償却資産免税点のみならず、土地家屋免税点もそのまま動かしておりませんが、償却資産免税点以下の納税義務者割合は六四・八%、約六五%でありまして、前回四十四年度とほぼ同様の数字でございます。
  173. 青柳盛雄

    ○青柳委員 それは新たに課税される人の数がそうふえないというようにも見えるのでありますけれども、自然増が二百五十二億ございます。これはほとんど免税点以上のものの価格が増加することによって課せられるものというふうに理解してよろしいのですか。
  174. 降矢敬義

    降矢政府委員 償却資産につきましては、一方毎年償却をしていく分だけが落ちるわけでございますが、新しいものがいろいろな施設としてつくられるわけであります。その結果、いま御指摘のように、償却資産の増は二百五十億ということでございますが、それはいま申し上げたような、いままでの分と新しくふえてくる分の合計として計算した自然増でありまして、毎年大体この程度の自然増はあるわけでございます。
  175. 青柳盛雄

    ○青柳委員 本委員会においても、ときどき固定資産税免税点について質疑がなされているわけでありますが、それは農地等も含めた土地、それから家屋償却資産、こういうものの納税者の数を述べられただけでありまして、私は、宅地等の固定資産税免税点以下で課税されなかった人の数及びその総額、これを知りたいと思うのです。
  176. 山下稔

    山下説明員 免税点につきましては、御案内のとおり、各所有者ごとに、土地ならば土地を合計いたしまして免税点を判断いたします。したがいまして、宅地の分だけの免税点というものはわかりかねます。
  177. 青柳盛雄

    ○青柳委員 わかりかねるというのは、そういうものを計算したことがないという意味だろうと思うのであります。調べれば、当然宅地等の固定資産税で、免税点以下のものはどのくらいあるかということは、固定資産台帳に載っているわけでありますから、集計すればわかると思うのですが、それをやるおつもりはないですか。
  178. 山下稔

    山下説明員 一人で宅地とたんぼと山林を持っております場合は、その三つの地目を合計いたしまして、その合計金額で免税点になるかならないかを判断いたします。免税点はそういう適用のしかたもしておりますし、それに応じた調査をいたしておりますために、宅地分の免税点、山林分の免税点という区分けはできないわけでございます。
  179. 青柳盛雄

    ○青柳委員 先ほど質問するのを落としましたけれども地方自治体で、条例で固定資産税を減額ないし非課税にしているという例があると思います。そういうものを調べたことございますか。もし調べたことがあるとすれば、どのくらいの減税を昨年度において行なっているかということです。
  180. 山下稔

    山下説明員 地方団体は、公益上必要がある場合は、不均一課税あるいは課税免除することができることになっておりますが、これらはもつぱら市町村の自主的な判断によって適用いたしておりますために、全国的な傾向というものは、数字として私どもは調査いたしておりません。
  181. 青柳盛雄

    ○青柳委員 趨勢にとどまるのか。少なくとも何年度かにおいてそれを調査して総計したことがありますか。
  182. 山下稔

    山下説明員 地方税法の六条によります地方団体の判断によってやります分で、減税いたしております額については、全般的なものとしては調査したものはございません。
  183. 青柳盛雄

    ○青柳委員 今度の評価がえに伴って、そのまま百分の一・四をかけるならば、たいへんな問題になるので、負担調整率というものを特例的にやろうということでありますけれども、他方において三百億あるいは三百三十七億というような大幅な減税をしていながら、一般庶民の所有する固定資産に対する課税については、従来どおりの調整措置をとるにとどまる。しかも二十五倍以上というのを一つくっつけて、それが十三億も初年度においてふえるというようなやり方をされると、住民の負担は非常に多くなるわけであります。  そこで私は、少なくとも宅地等の免税点及び償却資産免税点を引き上げるべきではないかというふうに考えます。宅地固定資産税は、評価額が膨張することによって、調整措置をとりましても相当ふえると思うのであります。また、いまの物価上昇の中では、たとえば床屋さんとか、あるいはとうふ屋さんとかクリーニング屋さんといったような零細な企業の所有する償却資産というものの評価も、免税点を上回ってくるだろうと考えるのであります。したがって、このように他方で膨大な優遇措置をとるのならば、当然この免税点も引き上げなければ不公平ではないかというふうに考えるのですが、自治省としてどういうふうにお考えになっておりますか。政務次官からでもお話がありましたら。
  184. 降矢敬義

    降矢政府委員 固定資産税償却資産課税標準の特例は、規定をごらんになっていただけばわかりますように、たとえば新設の発電施設とか、あるいは新設の地方鉄軌道とか、あるいは脱硫装置とかいうようなものを対象にしておるわけでございまして、いずれも物価とかあるいは交通政策とかいうようなものから、そういう特例を何年かの期限つきで設けておるものが多いわけでございます。そういう意味におきまして、この継続をして十年目には全部課税するという考え方をとって設けているものでございます。  半面、小さな償却資産については、いま御指摘のようなものについては、ほとんど課税されていないのが実情ではないかと思います。先ほど申し上げましたとおり、六四・八%まで償却資産については落ちているわけでございますので、そういうことであるというふうに考えております。  また、土地についての免税点でありますが、この点については約四割程度の納税義務者がこれによって非課税になりますし、それからまた、実際最近の宅地分譲状況を見ましても、お手元に資料があると思いますが、八十坪ないし六十坪程度の土地につきましても負担調整措置がありますので、最近の分譲宅地については、四十六年あるいは四十七年ごろから初めて課税されるというのが実情でございます。そういう意味におきまして、今回免税点については改正を考えなかったということでございます。
  185. 青柳盛雄

    ○青柳委員 四十一年にこの負担調整の措置がとられまして、毎年毎年一割、二割あるいは三割税金が上がってまいったわけであります。このように毎年毎年二割ないし三割上がるというこの調整のやり方で、激変を避けてだんだんのうちに評価額に近づけていこうという策だろうと思うのでありますけれども、これはちょうど物価の値上がりと合致してまいっておりまして、そのために、土地の賃貸借、宅地の賃貸借が行なわれておる場合、地主のほうから借地人に対して、固定資産税が上がったからということで、もう恒例のように、税金の上がったよりも、その倍はおろか、五倍程度も値上げを要求するというような事例が、都市においても地方においても非常に多いのであります。これは必然的に借家人のほうにも波及してまいります、土地を借りてアパートをつくっているような事例もたくさんございますから。ですから、借地人や借家人にいたしますと、固定資産税が毎年上がっていくというような措置について、俗に便乗値上げといいますか、地代、家賃の便乗値上げ、こういうことがあたりまえのように行なわれているのでありますが、このことについて、政府としては適当な措置をとって、物価の上昇による借地、借家人の苦しみと、それにさらに輪をかけた負担というようなものを調整するようなことは考えておられるかどうか。
  186. 降矢敬義

    降矢政府委員 ただいま御指摘の問題につきましては、昭和四十一年度のときにも関係各省と相談いたしまして、家賃の問題、地代の問題に対する理解を深める意味において、通達を出したわけでございます。今回においても、関係各省と相談をしてそういうことを徹底するつもりでおります。
  187. 青柳盛雄

    ○青柳委員 ところが、その通達ですか、通牒のようなものをもらった出先の市町村などでは、別にこれは強制力がないんだということで、地主や家主に対して勧告することもようやらないというような現状であります。したがって、通牒か通達か知りませんけれども、強制力はないにいたしましても、相当励行されるような指示がなされるべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  188. 降矢敬義

    降矢政府委員 地代、家賃の統制外のものにつきましては、御案内のとおり、契約で行なわれるわけでございますが、ただ、もちろん借家あるいは借地人のほうからいえば、その引き上げ額以上のものを引き上げられるということについては、これは問題があるわけでございます。ただいまお話のありましたように、市町村に対して強制をするという手だてはないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、住民のための行政を行なうべき任務を持つ市町村でございますので、さらにそういう趣旨も会議等で徹底をいたすつもりでおります。
  189. 青柳盛雄

    ○青柳委員 固定資産税評価がえに伴う調整措置によって固定資産税が上がる、したがって物価が上がるということに関心を持っている中小企業の団体や労働組合その他の借地、借家人の団体等が、国会に対して請願を行なっております。大体七十万以上の請願が出ていると思いますが、こういうことに対して、政府はあえてこの法案をこのままで通すというおつもりであるかどうか。やはり請願の趣旨を考えて、この負担調整措置を従来のまま、いやそれよりも、この二十五倍以上というのはさらに毎年四割上げるということになっておりますが、こういうことでなしに、もっと負担調整について率を変えるというようなことは、お考えになっておりませんでしょうか。
  190. 大石八治

    大石政府委員 青柳さんの御質問は、先ほどから聞いていて、調整率を下げろという意味に聞こえてきたわけですが、しかし、前段の委員の方は、極端にああいう調整率にするなという実は御意見もあるわけであります。必ずしも私、それぞれに全然論拠がないとは思いませんけれども、いろいろ実情からいって、現在の段階では、この程度の調整率としたらどうかという考え方でありますので、これを今度の法案で、政府みずからが修正をして、御審議を願うというつもりはございません。
  191. 青柳盛雄

    ○青柳委員 もちろん私も、一律に下げればいいとばかりにも考えておりません、先ほどのような不公平なことがございますから。ですから、私は、一定の基礎控除免税点、これは同じようにも見えますけれども免税点では少しでもその点下がると全部課税対象になってしまいますから、むしろ一定の額をこえるものにだけ課税をする、そしてそのこえるものに対しては累進的に率を設けていくというようなやり方をすれば、下げるなという議論と下げろという議論との調整は十分つくと思うのでありますけれども、いかがでしょう。
  192. 降矢敬義

    降矢政府委員 今回の調整措置は、いわばこれまでありますものに、特に値上がりの激しい二十五倍以上のものについてだけ四割の負担を求めることによって、負担の均衡化をはかるという程度のものでございます。したがいまして、特に免税点についても、先ほど御答弁申し上げなかったわけでございます。  また、基礎控除あるいは累進税率につきましては、再三御答弁申し上げているとおり、理論的にも、課税技術上も非常に問題がございまして、われわれとしては、これを採用することができないという考え方でございますし、また、税制調査会においても御審議をいただきまして、同様な答申をいただいているところでございます。
  193. 青柳盛雄

    ○青柳委員 もう時間がありませんから、あと一点かそこらだけです。  電気ガス税の免税点を引き上げた。これはいままでどおりにしておくよりは、引き上げたこと自体前進ではありますけれども、これも免税点という形をとっておりますので、非常に家族の多い家庭などにおきましては、この電気あるいはガスの免税点をわずかにこえるという場合も非常に多いと思うのであります。そうしますと、わずかにこえただけで、もうすぐ全体について課税されるというような結果になり、これは一人当たりに割ってみると、非常にこの免税点なるものが役に立たないという結果になるわけでありますが、これも先ほど申しましたような基礎控除にしまして、いまきめられた案になっている額をこえたものにだけ、課税するというようなことを考える余地はないでしょうか。
  194. 降矢敬義

    降矢政府委員 電気ガス税は、消費者とその消費を通じた担税力の関係を見て課税しているわけでございますが、そういう消費税の性格から見まして、やはり零細負担を排除するということで、免税点の引き上げということによって、これに対処していくべきものというふうに考えております。その点につきましても、従来税制調査会でもいろいろ御議論がございまして、いまわれわれが提案しているような御答申をいただいたわけでございます。したがいまして、基礎控除というような制度をこれに導入する考えは持っておりません。
  195. 青柳盛雄

    ○青柳委員 最後に一点だけ。この均等割りにつきましては、もう他の委員からも相当質疑が行なわれているわけでありますが、これは大体十九世紀以前の人頭税に類するようなものではないかというふうに考えるわけであります。住民意識を持つとか応益負担とか分任負担とか、いろいろの議論がございます。だから、わずかばかりでも各人に持ってもらうのがいいというような形で、これが依然として存続しているわけでありますけれども、こういう所得割りあるいは事業税等々で住民としては一定の負担をしているわけであります。その上に一人一人について均等割りを取り立てるというようなことは、二重の課税のような感じもいたします。もとは戸数割りなどというようなものがありましたけれども、今度は均等割りでございますから、家族制度が従来とは変わったから、一人一人に課税するんだというのでありますけれども、これは家族の多い者にとってみると、戸数割りなんかとはまた別な意味において非常に不合理な税負担になっている。もちろんこれを廃止すれば、市町村及び府県を合わせれば百数十億の減収にはなると思いますけれども、これは考え直してみるといいますか、検討してみる必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  196. 降矢敬義

    降矢政府委員 均等割りにつきましても、税制調査会におはかりをいたしまして、御検討願ったわけでございます。負担分任の関係からいたしまして、この税については二十六年以来据え置かれているので、むしろ上げることについても検討すべきであるという答申も一昨年いただいたわけでございますが、そういうことでありまして、いまこれを廃止するというような考え方は持っておりません。
  197. 菅太郎

    ○菅委員長 これにて内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案に対する質疑は終了いたしました。
  198. 菅太郎

    ○菅委員長 これより内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案を討論に付します。討論の申し出がありますので、順次これを許します。豊永光君。
  199. 豊永光

    ○豊委員 私は、自由民主党を代表して、政府提案の地方税法の一部を改正する法律案に賛成の討論を行なおうとするものであります。  今回の政府原案における主要な改正事項は、まず住民税の減税であります。政府原案におきましては、昨年度に引き続き丁住民税課税最低限の引き上げ等により住民負担の軽減を行なうこととしております。その結果、住民税課税最低限は、夫婦子供三人の給与所得者で、現在六十二万三千七百七十一円であるものが、十万五千三百円引き上げられて七十二万九千七十一円になるものと見込まれています。  住民税課税最低限については、これを所得税課税最低限に近づけるため、さらに大幅な引き上げを行なうべきであるという意見もあります。しかしながら、この問題は、住民税の性格、納税義務者数の推移、市町村財政に及ぼす影響等を考慮しながら、慎重に検討する必要があると考えます。  今回の課税最低限の引き上げは、以上の事情を十分にしんしゃくした上で、できる限り住民負担の軽減をはかるという見地からとられた適切な措置であり、政府原案に賛成するものであります。  次に、土地評価がえに伴う固定資産税及び都市計画税の税負担の激変を緩和するための調整措置についてであります。明年度は固定資産税の一般的な評価がえの年にあたっており、この評価がえの結果、宅地につきましては評価額が平均二・三三倍になるものと見込まれております。現在、昭和三十九年度の評価がえに伴ってとられた負担調整措置が進行中でもあり、来年度の評価がえの結果をそのまま税負担に反映することは適当ではないのであります。  政府原案におきましては、このような事情を考慮して、前年度の税負担を基礎として、税負担の激変を緩和しつつ、その均衡化をはかる調整措置を講ずることとしております。また、都市計画税につきましても、税負担の激変を緩和するため、昭和四十五年度及び昭和四十六年度において所要の調整措置が講じられることとしております。いずれもまことに適切な措置であり、政府原案に賛成するものであります。  次に、市町村税源充実についてであります。近年、市町村税収入の伸び率が鈍化する傾向が見られる一方、人口産業の集中に伴い、都市においては街路、生活環境施設等の都市施設の整備のための財政需要が著しく増大する傾向が見られ、市町村、特に都市地方税の充実は、地方税制の当面する緊急の課題となっているのであります。今回の政府原、案は、このような事態に対処するため、来年度において法人税負担が引き上げられる機会に、これに伴う住民税法人税割り増収分を全額市町村に振り向けるべく、市町村民税法人税割り税率を引き上げようとするものであり、まことに時宜を得たものであると思うのであります。賛成いたすものであります。  なお、今後とも都市税源については引き続きその充実につとめることを要望するものであります。  自余の部分については省略いたしますが、いずれもその内容は、地方財政状況を勘案しつつ軽減、合理化をはかろうとするものと考えますので、政府原案に賛成するものであります。(拍手)
  200. 菅太郎

  201. 土井たか子

    ○土井委員 私は、日本社会党を代表して阪上安太郎委員外五名の提出による社会党の地方税法の一部を改正する法律案に賛成し、各委員の御賛同をお願いするとともに、内閣提出地方税法の一部を改正する法律案に対しましては反対の討論を行ないたいと思います。  地方税制改正にあたりましては、いままで各市町が課税事務に支障を来たし、納期を繰り延べる等財政運営に多大の障害を来たすとして、関係団体からしばしば改正時期を早くするよう要望されてきたところであります。このたび例年に比べまして改正の早期実現を期して本委員会の審議が運ばれましたことは、各自治団体の税財政の円滑な運営をはかる上から好ましいことであると存じます。  しかしながら、今日物価高の中で減税に対する要求はきわめて強く、特に住民税中心とする大衆重税を軽減すべきであるという要求はきわめて強いものがあります。このような立場から、今回の内閣提案の地方税法の一部を改正する法律案を検討いたしますと、減税とは名目的なものにすぎず、かえって実質的な増税にすらなっております。  そこで、まず第一の問題は、相変わらず生活費まで食い込んで課税され、物価調整すら行なわれていないことであります。いま平均的な家庭の生活費は、政府の国民生活研究所発表の指数で、昭和四十二年現在団地住まい四人世帯で百九万円以上になっております。総理府の家計調査によっても、昭和四十三年度の実際の生活費は四人家族八十五万円以上と推計されます。ところが、これに対し、今回の税制改正によっても四人家族課税最低限は六十二万九千円にすぎず、生活費に食い込んだ課税がなされていることは明らかです。しかも、さらに物価上昇の続く中で、名目的な所得の増加に伴い、税金は累進的にふえていくのでありますから、六百四十四億円程度の住民税の減税程度では、物価調整すらおぼつかないと言わねばなりません。私の推計によれば、物価調整必要分だけでも、六百億円程度の減税が必要であると思われます。特に物価高が低所得階層の生活に圧迫を加えているとき、住民税課税最低限が、負担分任とか応益原則を名として低い水準にくぎづけされ、所得税との格差がきわめて大きくなっていることは、政府の勤労階層に対する重税政策を裏書きするものであります。  第二の問題は、住民税の減税の内容がきわめて不公平ということであります。配偶者控除と基礎控除の間には相変わらず二万円という差がつけられており、妻の座が著しく軽視されております。憲法二十四条にいう夫婦同等の権利の保障からしても、手直しは急務というべきでありましょう。基礎控除の大幅引き上げとともに、少なくとも基礎控除並みに引き上げる必要があります。さらに、低所得層ほど税負担が重くなる道府県民税の比例税率制には何ら手を触れず、逆進的な税負担構造が据え置かれていることは、きわめて重大な問題と言わねばなりません。  第三に、個人事業税において事業控除が若干引き上げられることになりましたが、この程度の水準では、所得税における専従者控除額にすら達せず、減税の実効はほとんど期待薄であります。個人事業税は、もともと二重課税的な性格のものであり、小手先の減税にとどまらず、その撤廃の方向を進めることが肝要であると考えます。  第四に、電気ガス税の免税点が名目的に引き上げられておりますが、勤労世帯の実質的な減税と生活必需品非課税及び公共料金の値下げを進めるためにも、思い切った実効ある減税が望まれます。  第五の問題は、土地にかかる固定資産税及び都市計画税の負担調整措置がとられている点であります。この措置自体は、税負担の急激な変動を調整するため当然の処置でありますが、問題は、免税点があまりにも低過ぎ、生活資産に対する税負担がなしくずしに増税となっていくことにあります。この際、勤労者の最低限度の生活資産には税金をかけない方向で、免税点の大幅引き上げとともに、段階税率制等の検討を進めるべきであると考えます。  最後に、この際、特に申し上げたいのは、昭和四十五年度実質四千七百五十一億円にのぼる国税の租税特別措置が、そのまま地方税にもはね返り、大きな減収となっているだけでなく、税の不公平をますます拡大しつつあることに対して、何らの配慮も行なわれず、かえって地方税独自の減免措置を拡大延長していることであります。税の公平を確立し、増大する新たな財政事情に対応する税収を確保するためにも、思い切った改廃を行なうべきであることを強調し、社会党案に基づく税制改正を断行することを提唱いたします。  したがって、内閣提案の地方税法の一部を改正する法律案には反対をいたします。(拍手)
  202. 菅太郎

    ○菅委員長 和田一郎君。
  203. 和田一郎

    ○和田(一)委員 私は、公明党を代表して、内閣提出による地方税法の一部を改正する法律案に対して反対の意を表するものであります。  反対理由の第一は、都道府県民税及び市町村民税についてであります。今回の改正によりますと、給与所得者の標準世帯における課税最低限は、十五万五千円引き上げられ、七十二万九千円となっております。従来から住民税は、所得税と比べ、その重税感が問題となっておりました。また、民住税軽減の要請は日増しに高まってまいりました。  今回の改正による課税最低限七十二万円について見ますと、種々の矛盾があります。その一つは、人事院勧告による基準生計費は九十余万円となっております。これは生活を営むために必要な額であり、今回の七十二万円という額は、生活費にも課税するということになり、税の基本原則から大きくかけ離れたものであり、国民の最低の生活を無視したものと言わざるを得ません。また、独身者について見ますと、その課税最低限は二十七万円となっており、未成年者の非課税の範囲が三十二万円というものであり、これは中学新卒の年間平均給与より低いものであります。さらに生活保護世帯の基準額と比較してみましても、わずか二十万円の差よりないのであります。また、所得税住民税とは、現行制度においては同じ性格の税と考えられるものでありますが、同じ税金で三十万円の差が生じておることに対して、国民はさらに重税感を感じるのであります。  こうした低所得者に負担の重い税制は、すみやかに課税最低限を上げて改善すべきであります。  第二は、市町村財政強化についてであります。最近の国民生活の向上に対して市町村の行なうべき施策はあまりにも多く、社会資本の投下が焦眉の急となっていることは、論をまたないのであります。総理も七〇年代は内政充実の年と明言しており、政府もその必要性を十二分に理解していると考えるものでありますが、一方、内政充実の施策の全責任を負うべき地方団体財源は、従来より困窮を続けております。特に大都市における財政需要の増大はあまりにも多くあるにもかかわらず、その財源措置は全く改善されていないと言っても過言ではありません。  今回法人税改正による地方のはね返り分と都道府県市町村との住民税法人割りの税率変更を行なったわけでありますが、市町村特に大都市財政需要を満たすにはほど遠いものであります。また、国と地方との法人関係の税の配分に対しましては、従来から多くの論議がかわされていたにもかかわらず、全然改善のあとも見当たりません。七〇年代に入り、従来の産業投資第一の施策から、内政充実し、国民生活の向上のための施策を行なうためには、早急に地方財源充実強化しなければならないと思うのであります。  第三は、電気ガス税についてでありますが、これは従来から、生活必需品にかかわる税としてその廃止が強く要望されてまいりました。また、総理自身も悪税と言っており、しかも、ことしの年頭に電気ガス税の軽減を唱えていたにもかかわらず、今回、電気ガス税についてわずか二割の免税点の引き上げにとどまったにすぎません。さらに、産業育成という名目で、大企業に対して免税及び減免の措置を講じておりますが、本来、産業育成の立場から論ずるならば、国が当然行なうべき措置であるにもかかわらず、地方負担を負わせるという、しかもこれらの大企業は、公害等多く発生して、地方団体に多くの迷惑をかけている現状であります。わが党は、従来から生活にかかわる電気ガス税は免税とすべきことを主張してまいりました。したがって、早急に一般家庭の生活にかかわる電気ガス税を廃止すべきであります。  第四は、事業税についてであります。従来から、事業税については、事業者、特に小規模事業者の税負担の過重が論議されており、その軽減の要望が多くなされてまいりました。今回事業控除の引き上げがされましたが、事業税に対する重税感は依然ぬぐい去られません。特に所得税の非納税者にも事業税が課せられているという現状からも、事業税が重税であるということを物語っているのであります。しかも現行制度においては、二重課税的な性格も存在しているわけであります。こうした不合理な税制度は、早急に廃止しなければならないと思う次第であります。  第五は、固定資産税についてでありますが、今回、固定資産評価がえに伴い固定資産評価が大幅に引き上げられますが、固定資産評価に伴って固定資産税免税点も引き上げられることは当然であると考えるものであります。現在の固定資産免税点は、土地については八万円、家屋については五万円、償却資産については三十万円というようにきわめて低いものであるにもかかわらず、何ら改善されておりません。現在の免税点では、この対象になるのはほんのわずかで、免税は皆無にひとしい現状であります。住宅及び宅地は、国民生活における必要欠くべからざるものでありますが、これに対する措置は何ら考慮されておりません。  以上の理由により、反対の意思を表明し、私の本法案に対する反対討論を終わります。(拍手)
  204. 菅太郎

    ○菅委員長 岡沢完治君。
  205. 岡沢完治

    ○岡沢委員 私ば、民社党を代表いたしまして、内閣提出の本改正案に反対の意思を表明いたします。  本改正案が、個人住民税、個人事業税等について負担の軽減をはかられ、道府県民税及び市町村民税の法人税割り税率の調整を行なわれていることなど、それなりの苦心と配慮が払われていることに対しては、一応の評価はいたします。  しかし、たとえば土地評価がえに伴う固定資産税及び都市計画税の調整措置に見られますように、それらの課税原則である時価課税をなさず、最近の社会、経済情勢の著しい変化に適正に対応する措置をとられず、かえって大都市近郊農地等の土地所有者を不当に保護するあまり、なすべき課税を怠り、国民に課税の不公平感を与えるとともに、財源に苦しむ地方公共団体の税収をことさらに抑制する役割りを果たさせ、一方、諸悪の根源といわれる地価の異常な騰貴を、政府みずから政策的に助長する結果をもたらす内容等を含んでいるのであります。  また、住民税課税最低限が、所得税のそれに比し不当に低く、住民税にも当然適用されるべき、生活費には課税せずという課税の大原則が貫かれず、低所得者層への配慮に欠けている点も納得できないところであります。  また、都市、特に指定都市等の大都市並びにその周辺都市における財政需要の増高にこたえる税源充実措置もまことにお粗末であります。  さらに、公害防止対策に逆行するおそれのある軽油引取税の一部改正等、なお検討を要する種々の問題点をこの法案はかかえております。  よって、わが党は、遺憾ながら本改正案には反対であります。  討論を終わります。
  206. 菅太郎

    ○菅委員長 青柳盛雄君。
  207. 青柳盛雄

    ○青柳委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっている地方税法の一部を改正する法律案に対し反対いたします。  その理由の第一点は、四十五年度の住民税の減税は、給与所得者の所得に比べ七二・八%で、二十七万二千五百七十九円も低いのであります。生活保護世帯と同じ程度の給与所得者あるいは個人事業者以外の低所得者にまで住民税を課すという、悪税の見本のような本質が改善されておりません。  また、普通法人府県民税、市町村民税について、同じワクの中で比率を変えるのみで、大会社の法人税割りを大幅に引き上げる措置をとっておりません。  個人事業税の事業控除は、五万円の引き上げのみであります。これは四十二年度以来据え置きとなっていたもので、ことしは大幅な引き上げが要求されていたものであります。青色申告、白色申告者の問題も同様であります。  不動産所得税改正案は、妥当なものも含まれておりますが、八郎潟のように、政府の農政の失敗を糊塗するものなどもあります。  固定資産税につきましては、免税点の引き上げがありません。四十一年度以来据え置きのままであります。大幅な引き上げを実施するとともに、先ほどの質問の際にも明らかにしたように、基礎控除制度を採用し、高度累進課税とすべきものであります。都市計画税についても同様ですが、独占資本、大企業等による土地の買いあさり、投機とインフレ政策による土地値上がりの犠牲を大衆に負担させるものであります。  電気ガス税は、これも質疑で明らかにいたしましたように、大家族で生活の困難な人々が対象から除かれる免税点となっています。本来、課税対象とすべきでない人々に課税を行ない、重要産業と称して大会社、独占に一そう奉仕する改正案であります。たとえば住友化学の総資本は、昨年上期で二千二百六十億、これに現有固定資産に対する償却累計八百二十億を加えれば、総資本額は三千八十億円、五年間で三倍近くに成長しております。これに国が与えている税制上の保護だけでも、租税特別措置法四十三条、五十四条、八十九条、関税法等のほかに地方税法五十六条による電気ガスの非課税、四百八十九条による軽油引取税免除等の手厚い援助をしているのであります。これはほんの一例です。今回の固定資産税改正は、改悪と言われるべきであります。  第二点は、四十五年の地方税法改正は、住民税をはじめ個人事業税、固定資産税等、住民の税負担軽減の要求に反し、実質的には大増税となり、一そう重くなるものであります。前年比で二〇・五%増、三兆三千七百四十八億円にものぼります。しかも地方交付金九百十億円も取り上げられるというような措置には断固反対して、これを地方税の減税や住民の福祉に回すのが当然のあり方だと思います。  第三点は、住民税の均等割り、これは生きてさえいれば税金をかけるというものであります。松下幸之助氏のように七億円以上の収入のある人と、月二万円の収入で細々暮らしている人と同じ税金を払う悪税はやめるべきであります。これを廃止するとともに、個人住民税について言えば、四人家族年収百三十万、五人家族百五十万まで免税にすべきだと考えます。個人事業税についても同様であります。第四点は、各種税制において特権的な減免措置をとっている大資本、大企業に対するこの措置をとりやめ、高度累進課税にすべきであります。  以上、日本共産党を代表しての反対討論を終わります。
  208. 菅太郎

    ○菅委員長 これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  209. 菅太郎

    ○菅委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  210. 菅太郎

    ○菅委員長 この際、小澤太郎君、山本弥之助君、斎藤実君及び岡沢完治君から、四派共同をもって、ただいま議決いたしました法律案に対して附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、本動議を議題とし、その趣旨の説明を求めます。小澤太郎君。
  211. 小澤太郎

    ○小澤(太)委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党を代表し、地方税法の一部を改正する法律案に対して、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により、趣旨説明にかえさせていただきます。    地方税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、住民負担及び市町村財政の現状にかんがみ、左の措置を講ずべきである。  一、最近における社会経済情勢の著しい変化に対応するため、早急に国、地方団体を通ずる税制のあり方について根本的な再検討を行なうとともに、都市とくに大都市並びにその周辺都市における財政需要の増嵩の状況にかんがみ、引き続きその税源充実につとめること。  二、住民税負担の軽減を図るため、課税最低限については、所得税課税最低限の引上げ等を勘案し、その引上げにつとめること。  三、中小企業者の税負担の軽減を図るため、所得税との関連を考慮しつつ、白色事業専従者控除の引上げにつとめること。  四、道路整備五カ年計画の改定に伴う地方道事業費の増加に対処するため、地方道路目的財源とくに市町村道路目的財源の確保に必要な措置を講ずること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆さま方の御賛同をお願いいたします。
  212. 菅太郎

    ○菅委員長 本動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  213. 菅太郎

    ○菅委員長 起立総員。よって、小澤太郎君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  自治政務次官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。大石政務次官
  214. 大石八治

    大石政府委員 ただいまいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重し、その実現に努力いたしたく存じます。(拍手)     —————————————
  215. 菅太郎

    ○菅委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  216. 菅太郎

    ○菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  217. 菅太郎

    ○菅委員長 次回は、来たる三十一日火曜日、午前九時五十委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時四十三分散会