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1970-03-12 第63回国会 衆議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月十二日(木曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 大西 正男君    理事 塩川正十郎君 理事 砂田 重民君    理事 古屋  亨君 理事 山口 鶴男君    理事 斎藤  実君 理事 岡沢 完治君       岡崎 英城君    亀山 孝一君       高鳥  修君    中村 弘海君       中山 正暉君    野呂 恭一君       山崎平八郎君    豊  永光君       綿貫 民輔君    阪上安太郎君       土井たか子君    華山 親義君       山本弥之助君    和田 一郎君       門司  亮君    青柳 盛雄君  出席国務大臣         自 治 大 臣 秋田 大助君  出席政府委員         運輸政務次官  山村新治郎君         自治政務次官  大石 八治君         自治省財政局長 長野 士郎君  委員外出席者         運輸省航空局飛         行場部長    丸居 幹一君         建設省計画局技         術調査官    今井  勇君         建設省河川局治         水課長     岡崎 忠郎君         建設省道路局道         路経済調査室長 浅井新一郎君         自治省財政局財         政課長     森岡  敞君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  今井 栄文君         地方行政委員会         調査室長    川合  武君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十一日  辞任        補欠選任   華山 親義君     北山 愛郎君   桑名 義治君     相沢 武彦君 同月十二日  辞任        補欠選任   北山 愛郎君     華山 親義君 同日  辞任        補欠選任   華山 親義君     北山 愛郎君     ――――――――――――― 三月十一日  万国博覧会等における暴徒等取締臨時措置法  制定に関する請願宇野宗佑紹介)(第一〇〇  六号)  ドライブインにおいて酒類の提供を禁ずる法律  制定に関する請願福田篤泰紹介)(第一〇二  〇号)  同外一件(田中伊三次君紹介)(第一一一六号)  同(田中榮一紹介)(第一一一七号)  同(濱野清吾紹介)(第一一九六号)  同(山本政弘紹介)(第一一九七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  首都圏及び近畿圏近郊整備地帯等整備のた  めの国の財政上の特別措置に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第五号) 新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の 特別措置に関する法律案内閣提出第六号)      ――――◇―――――
  2. 菅太郎

    菅委員長 これより会議を開きます。  首都圏及び近畿圏近郊整備地帯等整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  他に質疑申し出もありませんので、本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  3. 菅太郎

    菅委員長 これより討論を行なうのでありますが、別に討論申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  4. 菅太郎

    菅委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  5. 菅太郎

    菅委員長 この際、古屋亨君、山口鶴男君、斎藤実君及び岡沢完治君から、四党共同をもって、ただいま議決いたしました法律案に対し、附帯決議を付すべしとの動議提出されております。  本動議議題とし、この際、提出者から趣旨説明を求めます。古屋亨君。
  6. 古屋亨

    古屋委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党を代表し、首都圏及び近畿圏近郊整備地帯等整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により、趣旨説明にかえさせていただきます。    首都圏及び近畿圏近郊整備地帯等整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、中部圏の均衡ある発展と住民福祉の向上をはかるため、左の諸点について留意すべきである。  一、中部圏保全区域についても、区域内の施設整備をはかるため財政援助の特例を設けること。  二、現に指定を受けていない区域についても、実態に応じてそれぞれ区域指定の追加を行なうよう検討すること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆さま方の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  7. 菅太郎

    菅委員長 本動議を採決いたします。  本動議賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  8. 菅太郎

    菅委員長 起立総員。よって、古屋亨君外三名提出動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  秋田自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。秋田自治大臣
  9. 秋田大助

    秋田国務大臣 いわゆる中部圏に関する法案につきましては、慎重な御審議、御可決賜わりまして、まことにありがとうございました。政府といたしましては、ただいまお示しの附帯決議趣旨を十分尊重いたしまして、善処いたしたいと存じております。     ―――――――――――――
  10. 菅太郎

    菅委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 菅太郎

    菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――   〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  12. 菅太郎

    菅委員長 次に、新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  本案の審査に際し必要が生じました場合には、随時新東京国際空港公団関係者参考人として招致することにし、人選及び手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 菅太郎

    菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  14. 菅太郎

    菅委員長 質疑を行ないます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。綿貫民輔君。
  15. 綿貫民輔

    綿貫委員 昨日はまことに夢の大型旅客機といわれますジャンボジェット機羽田に参りました。また、今月の二十八日には日ソ航空交渉による日航の自主運航が開始されるというこの時点におきまして、なおかつ、わが国が最も早急に要望し必要としておった新東京国際空港の問題が論ぜられておるということそのものが、まことにナンセンスだと私は思うのであります。今日までこれがおくれてまいりましたいろいろの理由はあるにせよ、可及的すみやかにこれをひとつ建設する前向きの方向に持っていかなければならないということを、昨日のジャンボジェット機の着陸を見てひとしお痛切に感ずるものでございます。  私は、前回の国会にこれが提案されまして、流産をしておりますが、そのときの長々三十時間に及ぶ議事録の内容につきましても目を通してみました。また、去る十日には、現地にも参りまして、新東京国際空港現状についての視察、調査もしてまいったのでございます。したがいまして、私は前回で論ぜられたようなことをあらためて申し上げる必要もないと存じます。ただ、その後いろいろの変化があったと思いますし、また事態も発生しておると思います。そういう意味におきまして、それらを取りまとめまして私の質問を展開してみたいと存ずる次第であります。  まず最初に、軍用基地としてこれが使用されるのではないかということを非常に心配をした質問が、前回議事録の中にたくさん出ております。しかも、中曽根運輸大臣原田運輸大臣大臣がかわられるたびに、その発言のニュアンスが違うということで、何かそこに含みがあるのではないかというような疑惑が持たれておるようであります。今回また新しい橋本運輸大臣ができたわけでございますが、これは大臣が幾らおかわりになりましても、そういう前提はないのだということを、私ははっきりとこの際運輸当局から御説明を願いたいと思う次第でございます。なお、明後日は万国博覧会の開幕であり、百万人といわれる外国人日本に押し寄せてくるわけでございまして、今日ではこういう大型飛行場必要性というものを、おそらく前回反対になっておった皆さん方も、まあ必要じゃないかというふうに考えておられるというふうに私は考えておるわけでございます。どうかその点について、きょうはまだ大臣も次官もお見えになっておらぬようでございますが、お聞きしたいと思っておったのでございますが、これはあとからまたお聞きしたいと思います。これが質問の第一点。  第二点は、前回議事録の中で、羽田空港限界というのが、離着陸年間回数十七万五千回ということになっておるわけでございますが、今日ジャンボジェット機が現実に発着をするこの時点において、しかも先般新聞によりますと、ジャンボジェット機乱気流のためにその後続の離着陸が、タイムリミットを置かないと、非常にむずかしいというようなことが出ておりましたが、これについて十七万五千回というような回数に今後大きな変化があるのではないかということが想定されるのでございますが、これについての運輸省見解を聞きたいと思うのです。  なお、新しく日ソ間の航空交渉によりまして、自主運航が開始される時点におきましても、それらの問題、さらには昨年の佐藤総理の渡米により、沖繩の、今回復帰が内定いたしておりますけれども、これに伴う沖繩との交流による航空便の増発ということが考えられると思うわけでございます。ちなみに、昨年のわが国から海外に旅行いたしました旅行客が七十一万人、外国人日本に入ってまいりました数が五十一万人というふうに報ぜられておるわけでございますが、今回の万国博覧会契機にいたしまして、さらに日本というものに関心を持つ観光客や、あるいはさらに世界的な広域の交流が広まることによって、これらの想定いたしておりますいろいろの問題につきまして、明年の四月一日この新国際空港が開港しないと、羽田が過密になるということが第一前提になっておるわけでございまして、それらについて、羽田の過密の限界というものがそれまでにただいま申し上げました条件に適合するかどうか、ひとつ的確なる御回答を願いたいと存じます。
  16. 丸居幹一

    丸居説明員 ジャンボジェットがきのう初めて入りまして、実はきょうも入ってくる。当座毎日一便入ってくることになっておりますことは、先生指摘のとおりでございます。当初はジャンボジェット乱気流のために、飛行機飛行機間隔を四分、距離にしまして十マイル離しておかなければならぬというNOTAMがアメリカのFAAから出ておったのです。われわれのほうでは、そのFAANOTAMを信頼する以外方法がないものですから、羽田の管制もそういうことでやる予定にしておりました。そうなりますと 通常DC8あたりは二分と四マイルの間隔でございますので、先生指摘のとおり、時間が倍ほどふえるわけでございます。しかし、今月の初めごろだったと思いますが、FAAからそれの変更NOTAMがまた出まして、いろいろ検討した結果、また飛行機が飛んだ結果からいって、二分と五マイルでいいということに変更NOTAMが出ました。二分、五マイルといいますと、従来DC8で扱っておりました間隔の時間帯と同じでございますので、羽田発着回数につきましても、従来と変わらない状態になるわけでございます。  それで、四十四年、最近統計が出てまいりましたが、東京国際空港発着回数は約十四万六千回余りという状態でございますので、十七万五千回までにはもう少し余裕があるように思います。ただ、ただいまはB滑走路を延長しておる途中でございますので、C滑走路一本しか使っておりません。したがいまして、非常に混雑をしておることは確かでございます。それに対する対策といたしましては、時間調整等を行ないまして、現在それを切り抜けておる次第でございます。  それから、万博について相当込むのではないだろうかという御心配でございますが、これはかなり外人客がふえることとわれわれも想定いたしておりますけれども国際線につきましてのただいまのロードファクターは、少ないので三九%、多いので五三%程度でございます。まだ定期便につきましてだいぶお客も積む余裕があると思います。お客は主としてこの定期便に乗ってくるのじゃないだろうか。しかし、チャーター便というものも当然考えなければなりませんけれども、これらもかなり羽田で吸収できる余裕があるように思います。ただ一ぺんにまとまってまいりますと、やはりかなり不安がございますので、ただいま厚木等臨時に使わしていただけるように交渉をしておりまして、そういうことをあわせまして、万博輸送につきましては、遺憾のないように取り計らいたいというふうに考えております。
  17. 綿貫民輔

    綿貫委員 私は、万博の一時的なことを申し上げたのではないのでありまして、今後、最初想定しておりましたよりも、これを契機にしてさらに需要がふえて、航空便の増便をやらなければならないような事態がくるのじゃないか。そういうことで、私は、来年の四月一日から新国際空港を開港しなければ、羽田が非常にたいへんなことになるということで、急いでおられるのだと思います。そういう点で、そういう事態がいま十七万五千回のリミットまでだんだん近づいておると思うのです。そういう点を私は心配して申し上げたわけでございまして、もしも今度の新国際空港が来年の四月の供用開始がずれたという時点でも、いま私が申し上げましたような諸条件を勘案して、まだしばらくはだいじょうぶだというようなお考えであるかどうか、それ一ぱいまではとても、なるべく早くということであるのか、その辺の見解をちょっとお聞きしたいと思います。
  18. 丸居幹一

    丸居説明員 おっしゃるとおりに、私は、あまり長くは羽田の寿命はもたない、ちょっと表現がおかしいと思いますけれども、そのうち十七万五千回に到達するものと思います。しかし、来年四月一日にそれが必ずくるかといいますと、もう少し余裕があるような気が多少はするのでございます。それは旅客のほうは毎年非常に大きな伸びを示しておりまして、四十三年でいいますと、東京についていいますと、二七%伸びております。しかし、機材が毎年大型化しておりまして、その大型化によりましてかなり発着回数を吸収いたしておりまして、数字で申し上げますと、その二七%に対しまして、発着回数は一三%の伸びになっております。そういう点で、機材大型化していけば、少しはそれによって吸収される余地があると思います。しかし、あまり新空港がおくれることがありましたら、先生指摘のとおり、羽田は満員になるものと思います。
  19. 綿貫民輔

    綿貫委員 次に、新東京国際空港年間離着陸リミットが二十六万三千回というふうにお答えになっておるわけでございまして、この回数でいくと、十年はだいじょうぶだ。ところが、この飛行場計画を立てましたときの経緯を見てみますと、最初は七百万坪、それをあとから変更いたしまして、現在の千六十ヘクタール、三百二十万坪に変更いたしておるわけでありまして、おそらく最初は世界の空港のスケールからいいましても、この大型化を望んでおったものだろうと思うのですが、諸般の情勢からこれを縮小されたというふうに私は考えるわけでございます。そういう点でおそらく、先ほど私は羽田の場合も申し上げましたが、この二十六万三千回というものも十年もたないのじゃないか、十年以内にこの回数になるのじゃないかということが考えられるわけであります。  時たまたま橋本運輸大臣国際空港群構想というものを先般打ち出しておられます。これはおそらく、新国際空港もそのうち過密になるだろうから、そろそろ次の手ということで、御発表になったものじゃないかと私は思うのでございますが、少なくともこの新国際空港経緯を見ましても、起案をいたしましてから十年たって、やっとそれができ上がるというのが現状であってみれば、この構想についての裏打ちというものが、単なる構想なのか、そういうふうにほんとうに推進するための構想なのか、これをひとつお聞きしたいと思うわけでございます。
  20. 丸居幹一

    丸居説明員 せんだって運輸大臣が、一つの大きな飛行場というものも非常にけっこうなんだが、いろいろ情勢なり日本の国の事情からいって、国土が狭いといったような問題もあるので、むしろ空港群というふうなことで考えたい、という発言をなさっておったことは事実でございます。ただ私は、そのときに思いましたのは、国際空港群とおっしゃるのでなく、空港群とおっしゃったように記憶しておるのでございますが、その空港群構想といいますのは、新空港成田にでき上がりまして、東京国際空港から国際線成田へ持ってまいりますと、約五万回程度羽田余裕ができるわけでございますが、やはり最近の国内線輸送需要伸びからいいまして、国内線専門になりました羽田がまず詰まってくるだろう、一つ飛行場では間に合わなくなるだろうということが想定されますので、そういう意味で、大臣は、東京なり大阪なりに空港群というふうな考え方で、複数空港を考えていかなければならぬというふうに言われたように思います。私ども羽田における国内線伸びに対応するような対策を講じなければならぬというふうに考えておりまして、実は今度も、そういう意味もありまして厚木に、ちょうど万博のときにもそういう事態が起こったときの対策としてお願いをしておるわけでございますが、そういった複数空港群というものをやはり検討しなければならぬ段階ではないかというふうに考えております。
  21. 綿貫民輔

    綿貫委員 ただいまのお答え新聞記事とだいぶ違うようですが、新聞には「運輸省国際空港群構想」というふうに出ておりますから、これはひとつ大臣とよくお話しを願いたいと思います。あまりこの問題にばかりこだわっていますと時間がなくなりますから。  いずれにいたしましても、これからSSTとかコンコルドとか、いろいろあるわけでありますが、航空需要というものはふえる一方だと思います。この実態伸び率というものを十分御調査願いましで、今後の航空対策、また飛行場対策について、行き当たってではなしに、なるべく前もってひとつ十分なる対策をお立てになるように、強く望む次第であります。  なお、最初軍用基地の問題につきましては、あとから大臣なり政務次官からひとつお願いをしたいと思っております。  次に、この建設見通しについてちょっと質問したいと思いますが、実はわれわれの選挙をやっております期間中だったと思いますが、週刊誌に一坪運動実態というものがちょっと出まして、十月十七日にたいへんたくさんの地主さんがおできになったということが出ておりましたが、私はあまり深くは触れませんけれども、現在戦後最大の土地収用法をかけまして、いま裁決申請をいたしております。これは四月末の裁決に間に合うのかどうか、これを一つお聞きしたいと思います。
  22. 今井栄文

    今井参考人 空港公団総裁今井でございますが、お答えいたします。  御指摘のように、二月十九日に、第一期工事四千メートル滑走路に直接影響のある十一カ所の一坪運動等につきまして、立ち入り調査を行ないました。そのときに、何らの妨害なしにすべての調査を完了いたしましたものが六カ所でございます。それから、建物その他内部に反対同盟方々あるいはまた支援団体方々が立てこもりまして、調査を拒否、あるいはまた妨害されたところが五カ所ございました。しかし、これにつきましては、従来私どもの職員が連日入って仕事をやっております関係上、平素の調査もございますし、それからまた、当日ヘリコプターによる航空測量等も十分行ないまして、残りの五カ所についても、当日十分な調査ができなかったものについても、土地収用法上の資料は整えたわけでございます。  御指摘のように、千葉土地収用委員会に対して、六件につきましてまず第一の申請を行ないました。で、十一カ所の収用裁決申請に対しましては、私どもは、千葉県に対しまして側面的に、五月ないし六月末までに何としても裁決を得たい、われわれは七月中にどうしてもその土地を取得したい、こういうふうにお願いをいたしておるわけでございます。
  23. 綿貫民輔

    綿貫委員 四月末の裁決は間違いないということだと思うのですが、これは間に合わないと、何か手続はちょっとむずかしいように聞いておりますが、そのとおりですね。
  24. 今井栄文

    今井参考人 そのとおりでございます。実はその十一カ所の一坪運動のうちで、約六カ所は四千メートル滑走路の北の部分の谷津田の部分に散在いたしておりまして、この部分が取得できませんと、滑走路誘導路灯工事に非常に支障が生ずるわけでございます。
  25. 綿貫民輔

    綿貫委員 この裁決の問題は、お見通しがあるようでございますが、この間の新聞を見ますと、公団の中で、土地買収が済めばほとんど九〇%はできたようなものだというような御発言がささやかれておるというふうに出ておるわけでございますが、これはやはり新聞によりますと、アプローチライト部分買収あるいは代替は進んでいないように聞いております。そういう点から、こういう楽観をしていいものかどうかという問題。  それと、これがもし建設されますと、一日の建設量が日銭にして一億五千万円あるいは二億円の大工事をやらなければならぬということが報ぜられておりますけれども、これらの大工事というものが、実際それだけのものが可能なのかどうか、これについてひとつ御所見を承りたいと思います。
  26. 今井栄文

    今井参考人 まず第一点、アプローチエリアの問題でございますが、これは先般の新聞に、公団アプローチエリア買収を怠っておったのではないかというふうな趣旨見出し記事がございました。内容的には、解説的なもので特に問題はございませんが、見出しが若干センセーショナルではなかったかと思います。私どもとしては、アプローチエリアにつきましては、先生も御存じのように、飛行場敷地滑走路の先端から千百メートル、それから幅は三百メートルという範囲で買うことにすでに当初から決定しておったわけでございますが、特に四千メートル部分の北の部分に当たります成田地区につきましては、地区内の地主と同じ方々アプローチエリアを持っておられるということが多いわけでございまして、その方々との話し合いはすでに大体ついております。  なお、南のほうでございますが、これは山武郡芝山町、現在反対同盟の非常に強い根拠地になっておるわけでございます。特にアプローチエリアに近い、あるいはその中にある部分の岩山あるいは菱田というようなところは反対運動の一番強いところで、こういうところに対しても、私どもは非常に強い働きかけをしておりまして、最近、大きな代替地を取得していただければ、集団で移転しようというふうな動きも実は出ておるわけでございます。したがいまして、アプローチエリアについて正確に申し上げますと、進入灯の設置のためのみならず、他の航行用施設も実はその中につくるわけでございまして、これは私どもは絶対にネグレクトしておったわけではありません。ただ、敷地買収に重点を置きました関係上、いわばわれわれの仕事のスケジュールの関係からいって、あとになったということでございますが、私ども十分取得見通しありというふうに見ております。  なお、二千五百メートル滑走路あるいはまた三千二百メートルの滑走路というような面につきましては、これは第二期工事に関する部分でございますので、地主さんのお申し出のあるものについては、逐次買っていくというような方式をとっておるわけでございます。
  27. 綿貫民輔

    綿貫委員 その建設量の問題をちょっとお答えを願いたいのですが、一日に一億五千万……。
  28. 今井栄文

    今井参考人 四十五年度予算は現在国会で御審議をいただいておるわけでございますが、一応政府原案としては、三百億の現金ベースと国庫債務負担が三百億ということで、合計六百億になるわけでございます。この三百億の現金ベースの内訳といたしましては、そのうちの七十億程度のものは、大体公団敷地内のいろいろな施設のために関係する企業から負担金をとるというふうな形、あるいはまた公団の繰り越し金というふうなものを合算して七十億でございまして、こういったものは、それぞれ公団自体の施設に使うというよりは、企業からの負担金というような形をとるわけでございます。それから二百三十億の現金でございますが、そのうちの五十億は河川改修あるいは道路、または上下水道等に対する公団の県その他に対する負担金に充当されるわけでございます。  先生のおっしゃるように、一日二億の金が使えるかというお話でございますが、実は私どものほうの工事は単位が非常に大きゅうございまして、たとえば、現在の資材置場として成田市内につくっております専用鉄道並びにストックヤード、これだけでもすでに一つの発注で十三億からする契約をやっておるわけでございます。したがいまして、建築あるいはまた飛行場内のいろんな施設、それからまた滑走路、誘導路、エプロンというふうなものの発注を逐次やっていきますと、現金ベースそれからプラスの債務負担三百億という金が使えないということは全然ないわけでございますから、その点はどうぞ御心配のないようにお願いいたしたいと思います。
  29. 綿貫民輔

    綿貫委員 それでは次に、こういう国家的な大事業を行なうと同時に、やはり今回の法案が出ておりますのも、地方自治をどうして守り、住民を守っていくかという、両方を折衷させていくところに問題があると思うわけでございますが、特にイデオロギー的にこれに反対をしておるという人は別であります。しかし、ほんとうにまじめな気持ちで、自分の住んでおった土地あるいは職業を今度は変えなければいかぬとか、いろいろなことで不安を持っておる人がたくさんおられると思うのであります。このまじめな不安を感じておる人に対して、やはり対話といいますか、そういうものが必要だと思うのでありますが、いままでに公団あるいは実施本部、県、市町村、こういうものが一体になって住民と話し合いをしたというケースが非常に少ないのであります。これは私は現地で調べてまいりました。しかも、これを訴えるための陳情する場所といいましても、大体八省にわたりましてこの所管が分かれております。したがって、どこへ行っていいのか、住民にとってはまことに泣きつらにハチというような現状であります。いままでは実施本部長というのは運輸大臣ということになっておりますが、自治大臣はこういう問題について、今後この法案が通りましても、いままでと同じ立場であるのか、あるいはこの実施本部長にかわるくらいの権限を持っておやりになるのか、この辺をお聞きしたいと思います。
  30. 大石八治

    ○大石政府委員 空港それ自体につきましては、これは運輸省の直接の関係でありますから、空港整備に関連しましては、運輸省の力にまたなければならないと思います。  いまお話の点は、この法律が通ったら、この関連事業について、円滑な仕事をさせていくという責任は、これはもちろん自治省に私は責任があるという考え方で、地元とよく連絡をとって、慎重にしかも円滑に仕事が進むように努力をいたすべきものと自治省は考えております。
  31. 綿貫民輔

    綿貫委員 この新東京国際空港公団の中の役員の皆さん方の前歴をちょっと調べてみたんですが、もちろん、これは運輸省の管轄というようなことで、実施本部長が運輸大臣だということだと思うのですが、運輸省御出身の方、大蔵省、しかしそうはいっても、農林省の御出身の方もたくさんおられるわけでありますが、少なくとも、あとから申し上げます騒音の問題やその他地方の住民に非常に大きな影響を持っておりますこういう問題を解決するために、自治省関係の方が一人もおられないというのは、私は、これはおかしいんじゃないか。むしろ、このごろ天下りということが非常にやかましくいわれておりますけれども、こういう公団の中に自治省の御出身の方ぐらいお入りになって、住民との対話のパイプになっていただくということは、私は非常にいいんじゃないか。これは、私の考えでございますから、いま御答弁をどうということではございません。こういうことを、私は一年生でございますが、非常に通切に感じます。ひとつそういう点で、公団皆さん方も、おれは自方自治のことは知らないんだというような、そういう水くさいことを今後言わないように、自治省の分もおれたちがやってやるんだというお気持ちなら、またけっこうだと思いますが、どうかそういうお気持ちで、これからの対策も十分お考えいただきたいというふうに思うわけでございます。  次に、今回のこの法案によりますかさ上げのメリットといいますか、いろいろございますけれども前回これをお出しになりましたときと今回と、どの程度地元の負担を軽減しておるのか、同じなのかどうか、これをひとつお聞きしたいと思います。
  32. 大石八治

    ○大石政府委員 前回法律と変わっているところは、事業対象の項目の中に河川を入れたという点が違います。前回は、河川法はそのままでいくというふうに考えられておったのが、今度の予算折衝の過程といいますか、事実に照らして、河川の補助率が下がるということになりましたから、この法律ではそれをまた入れまして、負担額が大きくならないような措置をとっておるわけであります。
  33. 綿貫民輔

    綿貫委員 もう一つ、県道が国道に昇格したのもあると思いますが……。
  34. 大石八治

    ○大石政府委員 あります。ありますが、それは、直接数字では――法律自体とは関係ない。
  35. 綿貫民輔

    綿貫委員 いろいろとそういう多少の変化があったと思いますが、私は、今回のこの法案そのものは、いわゆる地方自治体あるいは住民をいじめて、国だけがいいことをするんだというような受け取り方をされますと、この法案にいろいろけちをつける人も出てくると思うのですが、これによって地域一帯が、デメリットではなしに、メリットも私はあると思うのですが、そういうメリットとして大きなものは何であるか。これはひとつどういうものが――私はあると思いますが、概略、ちょっとお話しいただきたいと思うわけでございます。
  36. 大石八治

    ○大石政府委員 この法律の内容の中に、気持ちの中で、一つは、飛行場ができるということから、ダイレクトに問題が出てくる部分があります。たとえば一番簡単な例でいえば、飛行場のいま予定されている土地の中に道路があった。飛行場になれば道路はつけかえなければならないような、飛行場建設でダイレクトに影響する分を受けとめて、補助率等かさ上げをしてやる部分。それからもう一つは、これを契機に関連的に起きてくからもう一つは、これを契機に関連的に起きてくる問題を処理する。それと同時に、その場合に、ただ受けとめるというだけでなしに、ニュータウンというような構想をその際取り入れて、新しい地域社会というものをそこに新建設をしていこうというようなことを、今度の法律の中には織り込んで、その財政援助をしていこうというふうになっている点が、メリットの大きな部分であろう、こう考えております。
  37. 綿貫民輔

    綿貫委員 要するに、これが住民をいじめて国だけが強引にものごとをやっていくんだというような受け取り方、やはりこういう大事業をやる裏には、日本の新しいこれからの一つのあり方としてのニュータウンもつくっていくんだという、そういうものもPRをされる必要があるんじゃないか。何か悪いみたいなPRだけされるのは損だと思うのです。これは皆さん、お役所仕事だから、その辺PRがへただと思うのです。その辺ひとつ、民間の人なんかも入れて、PRをおやりになったほうがいいんじゃないかというふうに考えるのであります。そういう点で、新国際空港ができることによって、この周辺が、ただみじめな地帯になるんだということよりも、むしろ、新しい日本の新都市ができ上がるんだという、そういう方向をお示しになる必要があるというふうに私は強く感ずる次第であります。  次に、これに関連する事業にいたしましても、これは国の責任とそれから受益者の負担というものの調和が私は大事だと思うのです。そういう点の中で、昭和四十三年の三月九日に、当時の運輸大臣、実施本部長が千葉県知事に対しまして、代替地の提供に伴う負担についてということで文書をお出しになっております。これについては、特別交付税でこれをおやりになったというふうに聞いておるのですが、それは事実ですか。
  38. 長野士郎

    ○長野政府委員 代替地関係につきましては、代替地土地を取得する関係で、課税の対象になるというようなことがございまして、そういう点で、円滑に仕事が進むようにというようなことで、関係の機関の間で話し合ったように聞いております。その場合に、いまのお話のような問題が出てまいりました。たしか八千万円でございましたか、そのような関係の負担について千葉県が特別配慮するというようなことでございまして、県のいろいろな事業との関連におきまして、特別交付税等で措置をしたというふうに聞いております。
  39. 綿貫民輔

    綿貫委員 私も長らく県会議員をいたしておりましたが、特別交付税の性格についても私はよく知っておるつもりでございますが、こういう問題につきましては、これは決算委員会でもちょっと問題になったというふうにも聞いておりますので、今後厳に慎しんでいただかなければならぬのじゃないかというふうに私は考えます。  次に、資材道路についてお尋ねしたいと思うのですが、これはもうほんとうはでき上がっておるはずだと思うのです。これは三月十日時点で私が参りましたときに、まだ第三、第四工区は未買収、その中に郵便局長さんの方もおられるというふうにも聞いておるわけでございますが、この問題についてどうなっておるのか。もしこの資材道路ができないと、現在の五十一号線というものを、現在でも、ピークになるとたいへんなんですから、今度資材道路に使うということはたいへんだと思うのですが、この見通しについてちょっとお尋ねしたいと思います。
  40. 今井栄文

    今井参考人 先生、現地を視察されて非常によく御存じでございますので、私から現状を御説明申し上げたいと思いますが、御承知のように、あの成田の土屋の地先の十万平米にわたる資材のストックヤードから国道五十一号線をクロスして直接に空港敷地内に入る専用道路を現在計画いたしております。御指摘のように、第一区間、第二区間、第三区間、第四区間、こういうふうに分けて工事を発注いたしておるわけでございます。すでに大多数の地主の承諾を得まして、第一工区、第二工区、第四工区については発注を終わっております。おっしゃいますように、先生のおっしゃる郵便局長さんを含めて二、三の方がまだ未承諾という関係にございます。しかし、それらの方々は、反対同盟に属しておるがゆえに反対だという、要するにイデオロギー的に反対だという趣旨反対ではないのであります。若干感情の行き違いその他がございまして、今日までまだ未解決でございますけれども、必ず解決し得るという見通しに立って、すでに工事を発注しておるという状況でございまして、工事が本格的に始まる時期には、土屋の地先から専用道路で資材を敷地内に運び入れる、こういうふうに考えております。
  41. 綿貫民輔

    綿貫委員 昨年の七月十日の地方行政委員会におきまして附帯決議がなされております。三項まであるが、その中で湾岸道路を早急につけろということが一番重点的に取り上げられております。また成田千葉の商工会議所からもそういう要望が出ておるわけでございます。現在まだ東関東自動車道路もできておらない。  こういう一つの不安な要素があるわけでありますが、これは公団でおやりになるのか建設省でおやりになるのか、この問題についての見通しはどうであるのか。この附帯決議についてのその後おとりになった処置についてお尋ねを申し上げたい、こう思うわけであります。
  42. 丸居幹一

    丸居説明員 建設省がただいまお見えになっておりませんので、実施本部の事務局ということで、私から知っておる範囲についてちょっとお答え申し上げます。  湾岸道路につきましては、埋め立てが済んだところから整備を始めるけれども、おおむね昭和五十年ごろに大井から検見川までの加速車線の整備が行なわれる予定だというふうに聞いておるのが、ただいまの実情でございます。
  43. 綿貫民輔

    綿貫委員 この湾岸道路というのは、附帯決議でもきめられておりますように、非常に早急にやれ。飛行場ができ上がっても、飛行場と都心との交通、それらをやらないと、何のために――高速飛行機で来ると、ハワイから二時間半で来るわけですね。幾ら飛行機で早く飛んできたって、都心まで入るのに何時間もかかったら、これは全くナンセンスだと思うのです。そういう点で、これは子供でもわかる理論なんですから、この点についてひとつ附帯決議を――附帯決議というのはただやればそれでいいのだという安易なものでないので、附帯決議趣旨を十分尊重するようにやってもらわなければ困ると思うわけです。  きょうは責任ある答弁をなさる方が来ておられぬから、ひとりでほえついておるみたいで、まことにたよりないのだけれども、この次、機会があったらまたやります。
  44. 菅太郎

    菅委員長 綿貫君に申し上げますが、いま建設当局お見えになるそうですから、ちょっとあとに……。
  45. 綿貫民輔

    綿貫委員 それでは、あとから適切なる御答弁をお願い申し上げたいと思います。  次に、反対しております農民に対する代替地は、これはお手当ては済んでおるのだと思いますが、これについてお尋ね申し上げたいのです。このときの十アール当たりの買収単価は百四十万円ということですか。
  46. 今井栄文

    今井参考人 代替地の問題でございますが、値段の問題と手当てがしてあるかどうか、この二点についてお答えいたしたいと思います。  代替地の値段につきましては、百四十万円というお話がございましたが、百四十万円というのは、敷地内の畑地を私どもが買いましたときの協定価格でございます。それで代替地のほうは、県と私どもと協議いたしまして、これは主として県がおきめになったわけでございますけれども、大体反当たり九十万円ということでございます。したがって、敷地内は畑百四十万、代替地は九十万で売り渡す、こういうことが原則になっております。  それからなお、代替地の面積でございますが、これは私ども非常に今日も感謝いたしておりますが、国有地百ヘクタール、民有地三百ヘクタール、それに県有地を百ヘクタール、合わせて五百ヘクタールの代替地をあらかじめ用意して、敷地内の方々に御移転を願う計画をいたしたのでございまして、現在三百五十ヘクタール程度のものはすでに全部配分が済んでおります。なお、まだ未配分のものが百五十ヘクタール前後残っておる、こういう状況でございます。
  47. 綿貫民輔

    綿貫委員 反対しておられる方々にも代替地については準備をしている、こういうことだと思う。やはり土地と生活という問題については、裏打ちをしてやるということをはっきりしておかれないといかぬと思うわけでございます。  私、さっきちょっと言い間違いました。買収の百四十万と、売り渡しの九十万から九十五万だと聞いておりますが、これを間違いましたが、アプローチエリアの用地の買収価格も百四十万円でできますか。
  48. 今井栄文

    今井参考人 現在は私ども主として四千メートル滑走路の北端と南端についてのアプローチエリア買収を進めておりますが、すべて敷地内価格と全く同一、畑については反当たり百四十万、水田については反当たり百五十三万、それから山林原野については反当たり百十五万、宅地については反当たり二百万、こういうことで買収を進めておりまして、それによって御承諾をいただいておるような状況でございます。
  49. 綿貫民輔

    綿貫委員 現地では、もうちょっと無理なのではないかという話もしております。まあ、なるべく安くやっていただきたいと思います。  なお、今回の新空港建設にあたって、いろいろと就業対策というものが問題になると思うわけでありまして、土地提供者とか付近の商工業者には空港関連産業などに優先的にあっせんするということは、閣議決定をされておるわけであります。この閣議決定の線に沿ってどの程度進捗しておるのか。はっきり言って、いままでお百姓をしていた人に、そういうりっぱなビルの中に入って、国際的な人を相手にして商売をしろといわれましても、実際そういうことがやっていけるのかどうか。そういう問題についてどの程度進んでおるのか、これをお答え願いたい。
  50. 今井栄文

    今井参考人 私どももその点は一番関心を持っておる問題でございまして、従来敷地内におられた方々、それからアプローチエリアあるいはまたそういう区域に住んでおられてまた代替地を提供されるというふうな、直接間接に空港によって犠牲をこうむられた方々に対しては、その方々がなし得るものについては、私どもとしては最大限の御協力を申し上げるという線で、現在も御相談を申し上げておるわけでございます。  具体的な点で申し上げますと、すでに敷地を離れまして、千葉県あるいはまた職業紹介所等のごあっせんによって、従来の農業から新しい事業へ移られた方々も相当ございます。あるいはアパートをやっておられる方、あるいは飲食店あるいは食品店あるいはまた牧場というようなことをやっておられる方々もございます。それからまた、従来のように、他の地域に住んで農業を新たに始めておられる方々も相当おられるわけでございます。直接空港公団自体が成田の分室に生活相談所を設けまして、農民の方々のいろいろな御相談に応じておるわけでございますが、私どもが現在積極的に指導をしてでき上がり、活動を始めようとしておる仕事について申し上げますと、現在成田空港警備株式会社というものが生まれまして、これはある程度中年層の方々でも十分に仕事ができるということで、当時の大きな条件派の一つである成田空港地権者会の方々が中心になって、ガードマンの会社をおつくりになりました。これは私どもの分室の警備、あるいは敷地内におけるわれわれの財産の警備等に実は現在十分な活躍をしてくださっているわけでございます。それ以外に、将来空港ができました場合に、造園関係、特に花卉類の取り扱いであるとか、あるいはまた空港の庭木の手入れ、あるいはまた除虫というような点で成田園芸という会社ができて、すでに活躍をいたしております。それからまた、将来空港の中で一般的な食堂を経営しようというふうな意味で、県のお世話で稲毛の団地で食堂をやっておられる――これは当時のやはり大きな条件派の方々と部落対策協議会のメンバーでありますが、三桜商事というものが、空港で将来そういう仕事をするために、現在団地においてそういう経営の勉強をしておる、こういうふうな面もございます。それ以外に、空港のターミナルの清掃であるとか、あるいはまたレンタカー、あるいはガソリンというふうなもので、それぞれ当時敷地におられた方方で志を同じゅうする者が集まって一つの組織をつくって、空港開設に備えておられる。われわれはそれを全面的にバックアップしておる、こういう状況でございます。今後ともこういう姿勢はくずさないでいきたい、こういうふうに考えております。
  51. 綿貫民輔

    綿貫委員 この新国際空港というのは、非常に人の集まるところでございまして、そこでいろいろなことを営むということについては、利権というか、そういうような考え方も成り立つわけであります。こういう問題については、ひとつ疑惑の生まれないように、地元優先ということについて十分閣議決定の線を御尊重いただくように、強く要望申し上げたいと思います。  最後に、先ほど私が御質問申し上げました中でも、メリットとかデメリットとかいいましたが、デメリットの最たるものであるというのは、騒音の問題だと思います。音さえなければ、私はまことにいいものだと思うのです。この音の問題についてやはり一番真剣にお取り組みいただくのが当然だと思います。そういう点で対策委員会の設置ということが公約されておるわけですね。地元民も含めてということになっておりますが、これはいまだに何かもやもやしておるようでありますが、これにつきまして、どういうふうなお考えであるのか、これをひとつお聞きしたいと思います。
  52. 今井栄文

    今井参考人 騒音の問題は、全般的にいろいろな問題があろうと思いますが、先生の御指摘もその一つの大きな問題であろうと思います。騒音対策委員会、これは現在羽田にも伊丹にも騒音対策についてのお役所側と地方住民との間の協議会があるわけでありまして、現在羽田におけるいろいろな新しい機種が入ってくるというふうな問題について協議会を開いて、航空局のほうへ陳情して、それによって局のほうがそれに対する対策を立てるというふうに実際やっておるわけです。本来なら、成田におきましても、騒音対策委員会が実際に活動を始めるのは騒音発生後というのが本来の原則でございますけれども、私どもは前々から事前にこれをつくりたいということで、構成メンバーであるとか、あるいはまたその協議会において討議すべきいろいろな事項とかいうものについて検討を加えておるわけでございます。いよいよ来年新しい空港において国際線の一番機が飛ぶというふうな時点までには、私どもとしては、十分活動し得る体制をつくらなければならない、それ以前において片づけるべき問題は片づけなければいけないというので、われわれとしては昭和四十五年度の当初においては、地元の方々も含めて騒音対策協議会というものをぜひつくっていきたい、かように考えております。
  53. 綿貫民輔

    綿貫委員 ただいまの御答弁の中で、飛行機が飛んでからでいいじゃないかというようなお考えがもしありとせば、これは非常に重要な問題だと思います。これはむしろ早くつくることによって、地元民の不安感についてもっとスムーズに話のいく問題が出てくると思います。したがって、飛行機が飛んで騒音が発生してからあと始末をする、いわゆるうしろ向きの委員会だというふうにおとりいただくと問題がたいへん大きいと思います。これはひとつ前向きに騒音解消――解消とまではいきませんが、これに対する対策を打ち出していくのだという前向きの委員会、そういう意味で、これはぜひ早急に設置をされまして、その機能を十分に発揮されることがきわめて必要だというふうに思うわけであります。  なお、先般の新聞によりますと、小学校とか中学校十校ばかりの騒音の施設については早急に手を打つというふうに書いてありますが、そのほか養護施設だとか精薄施設その他の今後の計画はどういうふうになっておるわけですか。
  54. 今井栄文

    今井参考人 まことにごもっともな御質問でございますが、私どもはすでに昭和四十四年度において、滑走路の南方にある山武郡芝山町の小学校については、実は完全なる鉄筋コンクリートの防音施設校舎を一舎つくるということで、地元と話し合いをいたしたのでございますが、地元のほうで、その地区の小学校を統合した上でりっぱなものを一つつくりたいというふうな、小学校の統廃合の関係がございます。それともう一つは、一番対象になりました小学校がまだ相当反対が強いところで、町長さんとしてももうしばらく時をかしてもらいたいというふうなことで、その小学校に対する防音校舎新築費を騒音校舎改築費のほうに回したというような実情もございます。いよいよ来年から飛び立つということになりますと、私どもとしては、四千メートル滑走路の南北において影響を受ける学校等については、当然考えていかなければならない。現在私どもがこの新空港によって防音工事を施し、あるいはまた新たに校舎を鉄筋コンクリートで新築するというふうな対象になる学校が、小学校で二十一、それから幼稚園が一つ、保育所が三つ、精薄施設一つということに一応なっております。四十五年度において成田市あるいはまた周辺の市町村で要求しておるものが、学校が成田市で六カ所、芝山町で四カ所ございます。これに対しては、私どもとしては四十五年中にでき得る限り地元の要望に沿うような努力を続けていきたい、かように考えます。
  55. 綿貫民輔

    綿貫委員 先般、大阪空港におきまして、航空公害防止協会が防音林をつくるということでいろいろやっておるわけですが、そのときにジェット機一台の着陸について一回千円ずつ取って、これで防音林をつくったらどうかというようなことをいったということが新聞に出ておるわけでございます。これに対して地元では、そんなのは気の長い話だ、防音林をつくるのになぜ国が補助しないのかということをいっておるわけです。今度の場合は防音林対策があるように聞いておりますが、まだこれについてはどういうふうに御発表になっておるのか知りませんが、それと同時に、ジェット機一回の発着についてこういうことをするということは、運輸省として考えておられたのか、協会自身が単独でやったのか、これについて御存じならば、ちょっとお答え願いたいと思うわけであります。
  56. 丸居幹一

    丸居説明員 ジェットの着陸一回について千円徴収する方針をきめましたのは、実は運輸省でございまして、公害防止協会が空港会社からそれを受け取りまして――実はそういうものでなしに、本来これの一番よく使われております対象は、テレビの障害を取り除くような施設をつくるようにというための補助金なんです。しかし、それを実際につくらないで、自分でテレビの減免があったというふうに御解釈になるかならぬかは御本人の自由なんでありますが、とにかくテレビの聴視料を半分減免しようというために徴収し始めたのが最初でございまして、防音林等も有効な場合にはそれをつくりたいということが、事業活動の中には入ってございますけれども、一番たくさん金を使っております対象は、テレビの減免でございます。これは防衛庁の基地に対して防衛庁が早くからやっておりまして、地元でもそういう要望があったんでございますけれども、騒音防止法の関係でちょっとそれを入れることができなかったものですから、それに対する一つ対策といたしまして、そういう処置をとった次第でございます。
  57. 綿貫民輔

    綿貫委員 これを見ますと、千円の寄付で造成することにしていたが、外国航空会社が騒音対策は国がやるべきで筋違いだと断わったために、これは協会がやったというふうに出ている。そういうせっかくおやりになって断わられるような、そんな中途はんぱなやり方というものは非常にあやふやなものだと思うので、取るなら取る、取らないなら取らない。先ほど運輸省が考えたというお話でしたから、ひとつ今後十分お考えの上で御処置をお願いしたい、こういうふうに思うわけでございます。  一応時間が限られておりますので、私は質問はこれで打ち切りたいと思いますが、私、現地に参りまして非常に考えましたことは、測量するにも、夜やると、鐘をたたいたりどらをたたいてみんながじゃまをする。それから学生が四、五十人たむろしておって、そこへ行くと、ぎょろぎょろこっちを監視する。こういうような現状があるわけであります。しかも、成田市で聞きますと、税金の滞納があって、これを取りに行くのも、みんなが監視して取りに行かせない。警察がボデーガードとしてついて税金を取りに行くという現状があるわけであります。これは県についても同じだと思うのでございます。こういう現状が現在繰り返されておるということでございまして、いま見ておりますと、何か非常に情けないというか心細いというか、そういう感じが非常にしたのでございます。そして特に地元の農民の方でも、決して反対じゃないんだと言いながらも、第一期工事の来年の四月一日開港は無理ですよ、こういうことを言う人が非常に多いわけです。非常に不安感を持っておる、こういうことです。これは先ほどから総裁からお話がありましたが、アプローチの誘導灯の用地あるいは資材道路の問題、あるいはさっきの騒音対策協議会もまだ出発してないというようなこと、いろいろあると思いますが、こういう賛成派もたくさんおるのでありますから、どうかそういう不安感をなるべくときほぐすように、妨害派もおりますけれども、ひとつぜひおやりになっていただきたい。私は、特に自由民主党の党員でもございますし、国際社会にこれからどんどん出ていくための大事な国際空港を、一日も早くつくらなければだめだと思います。そのためにも、やはり地方自治というたてまえから、住民のそういう不安感というものをなるべくほぐしながらやっていくというところに、非常にやり方の大切さがあると私は思うわけでございます。どうか期日までに十分仕上げていただくということ、またただいま申し上げましたような住民の不安感をひとつぜひときほぐすように、前向きの姿勢で取り組んでいただきたいということを切に要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  58. 菅太郎

    菅委員長 綿貫君に申し上げます。  いまの空港東京との間の連絡の高速道路の進捗状況に関する建設当局に対する御質問、及び最初に言われました、空港を軍用に供することありやいなや、これに関する運輸省当局に対する御質問、これは後刻関係当局が見えましたら御質問を許すことにいたします。  山口鶴男君。
  59. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私どもは新東京国際空港、いうところの成田空港、これに対していろいろな疑点を持っているわけでありますが、これについて明確にいたしますためには、どうしてもやはり本部長であります運輸大臣の御出席をいただかなければならぬと思います。本日は運輸大臣の予定で来られぬようでありまして、その点はたいへん残念でありますが、少なくともこの法案の審議中に運輸大臣が当委員会に出席をして事態を明らかにしていただきますように、これはまずもって委員長のほうに要望いたしておきます。  それから軍事目的には使わない、こういうことを私と同郷であります中曽根元運輸大臣が胸を張って堂々と発言をされたのでありますが、その後原田運輸大臣になりますと、やや元気がなくなるといいますか、その点があいまいになりましたが、今度の運輸大臣は自民党内におきましても相当実力のある方と聞いておりますから、これは中曽根元運輸大臣と同じように、非常に元気のいい態度を明らかにされるんじゃないかと心から期待をいたしておりますが、場合によりましては、事はやはりアメリカとの関係、安保条約との関係、さらに地位協定との関係にもかかわる問題でありますから、運輸大臣の御答弁いかんによりましては、外務大臣の御出席もいただかなければならぬ、こういう場合があり得ると考えます。その場合につきましては、これまた委員長のほうで十分お取り計らいをいただきますように、これも前もってお願いをいたしておきたいと思います。  さて、私どもがこの法案のもとになっております成田空港に対して疑点を持っておりますところは、以下のとおりであります。  一つは、安保条約、地位協定の関係による軍事目的のためには一切使わぬという、かつて元運輸大臣発言があったわけでありますが、これが必ずしもそのようなふうにはならない。軍事目的のために使用され得る危険性というものが十分想定されるということが、まず第一点であります。  それから第二番目としましては、先ほど綿貫委員もお触れになりましたが、やはり土地を守ろうとする農民の方々が、この問題に対して非常に反対をされておる。私も現地に三度ほど参りましたが、あの地域の土地というものは非常な沃野、非常にいい土地だそうであります。そういった沃野を守ろうとする、あるいは祖先伝来の土地を守ろうとする農民の立場というものは、私どもは十分尊重しなければならないと思います。また、地域の人たちは騒音に対して非常な心配をいたしております。これらの問題についても、今日までの議論の過程では必ずしも明瞭でありません。騒音がどの程度あるのか、また騒音対策については万全を期することができるのか、こういう点についても疑点がございます。これが第二点であります。  第三点といたしましては、今回提出されましたこの法律によりまして、周辺整備のための事業につきましては、財政上の特例を講じようといたしております。はたしてこの特例で十分なのかという問題であります。奄美大島振興法その他によりましては、これ以上の補助金のかさ上げも現に制度としてあるわけであります。で、かりに新東京国際空港成田に設置をされた場合、これに伴うところの関連事業、この関連事業のために自治体として相当な負担をしなければならぬ。補助金の特例等はありましても、この負担がかさみますために、成田市及び芝山町周辺の町村が、本来の自治体が果たすべき固有事務、住民の福祉のために果たさなければならぬ事業、こういうものが大きな制約を受けることになるのではないだろうか。いわば、成田市を中心とする地域の自治体の財政に対して悪い影響を与える懸念がありはしないか、こういった問題であります。  さらに、これも綿貫委員がお触れになりましたが、空港だけ畑の中にぽんとできても、これは使いものになるはずはないわけであります。これと結ぶところの東関東自動車道、あるいは都心と結ぶところの湾岸道路あるいは高速道路、こういったものが一体どうなっているのか。こういったものが昭和四十六年の四月差でに完備をされなければ、これは畑の中に飛行場だけぽんとできたということでありまして、これでは飛行場としての、新東京国際空港としての機能は果たし得ないと思うのであります。しかるに、前の国会におきましていろいろ議論をいたしましても、これらの関連する最も重要な事業というものがさっぱり進展をしていない。こういうことでは、飛行場だけつくっても全くむだじゃないか、新東京国際空港としての機能が、現在の仕事の進捗では果たし得ないのではないか、こういう問題であります。したがいまして、私どもといたしましては、これらの問題を、逐次質疑を通じまして、明らかにしてまいりたいと思っております。  初めに、私どもが考えております立場というものを明らかにいたしまして、以下お尋ねをしたいのでありますが、本日は、自治大臣運輸大臣も、それからまだ運輸政務次官もお見えでありませんで、責任ある立場としては大石自治政務次官以外にいないのでありますが、どうですか、いま私ども提出をいたしましたこれらの疑問、これを完全に果たし得る――いや、いま山口が申したような心配はないんだ、こういうことで、自信を持ってお答えができますでしょうか。まず大石政務次官の御所見を承って、それから質問に入りたいと思います。
  60. 大石八治

    ○大石政府委員 山口議員のお話は、お伺いをしている間に感じたわけですけれども、もっとちゃんとスピードを出してやれという激励のようにも、私承ったわけでございます。  軍事用その他の問題につきましては、私の所管外でございますから、これは運輸省政務次官等が来た場合にお答えさせていただきたいと思うわけでございます。  財政関係につきましては、あの整備計画――ことばが正確ではないかもしれませんが、整備計画が実施本部で取り扱われるまでの間にはいろいろの経過があって、市町村なり県なりと熟議をされ、そうして財政関係等の配慮もあって、これだけはひとつやろうということになり、それに対するいわゆるかさ上げ援助の方法をとってきたわけでありますから、私としては、そういう実情の上に計画ができたということから、それほど心配をすることはないのではないかというふうに思っております。しかし、この法律以外に、成田市の場合には、例の首都圏及び近畿圏等の法律の適用される部分があるわけでございますので、それらにつきましても、さらにそこに適用されるところがある。なお、仕事をやっている経過の中で、地方債その他の配慮もしていくということで、私は、財政的にはこの問題が市町村に大きな迷惑をかけないようにやっていけるだろうというふうに想定をいたしております。
  61. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私が申しております真意は、この安保条約、地位協定のことはしばらくおきましょう。それはしばらくおくとしまして、問題は、なぜこの周辺の農家の皆さんが非常に強固に反対をしておるのかということをやはり十分考えなければならぬということなんであります。確かに飛行場に必要な土地につきましては、鋭意空港公団が努力をしておるようであります。こういうものは避けたほうがいいと思いますが、土地収用法の事業認定についても、これを受けて申請もありまして、裁決を近く出すように努力をしておるようなお話でありますが、問題は、飛行場の用地についてはそういう努力をやっておる。ところが、去る六十一国会で明らかになったところでは、肝心の東関東自動車道のごときは、まだ用地は一坪も買っていない、こういう状態。ましてや湾岸道路のごときは、全くもう雲のような計画だ、こういう状態ではありませんか。そういうことであって、結局飛行場と都心を結ぶ道路の建設一つ見ても進んでいない。そちらのほうも逐次どんどんと整備をし、それからさらに騒音対策についても、ほんとうに住民に心配させない科学的な数字というものを出し、またこれに対する対策というものも万全を期する、そうして地元の自治体に対しましては、このようなけちなかさ上げではなくて、ほんとうに自治体が安心して仕事に取り組めるような、一切地域住民にしわ寄せをすることのないような万全な財政負担というものも考える、こういうことが先行して、それから地元民の納得を得て、そうしてこの土地収用法というものをかけぬでも済むような事態をつくるようにするのが、私は政治ではないかと思うのです。ところが、関連の仕事は進んでいない。自治体に対する財政援助も十分ではない。そういう中で、しゃにむに空港用地の土地だけを、土地収用法をかけて、何としてでも召し上げる、公権力を使ってこれを強引に買収する。こういうことのみ先行しておるところに、今日のこのような紛争の原因もあり、現在のような状態になっておるのだろうと思うのです。ですから、そういう意味では、本末転倒なんであって、安保条約あるいは地位協定の問題はあらためて議論をいたしますが、それをかりにたな上げしたといたしましても、地元住民の納得を得るような、そういう努力というものが不足して、そうして都心と国際空港を結ぶという肝心な仕事もおろそかになって、そうしてしゃにむに土地だけ土地収用法で取り上げようという。こういうところにそもそも無理があるということを申しておるつもりであります。そういう意味で、大石さんが激励と受け取るなら、それは激励と受け取ってもいいと思いますが、本来私が申し上げておる趣旨は、そういうことでありますから、誤解のないように、その点だけは申し上げておきたいと思います。  今井総裁おられますが、いま私が申した考え方についての御所見を伺っておきましょう。
  62. 今井栄文

    今井参考人 道路の問題につきましては、建設省から担当の方がお見えのようでございますので、お話しいただくことにしまして、先生の御指摘一つである、これは非常に重要な問題でございますが、騒音問題についての御指摘でございますが、これは御承知のように、航空機が飛ぶ場合においては不可欠な問題として起こってくるわけでございますけれども、これについて政府といたしましても、新空港につきましては、騒音区域として政府が何らかの手当てを講ずる区域について特に幅を広げまして、従来私ども千葉県と一緒にお願いいたしておりました空港滑走路の末端から二千メートル、それから中心点から六百メートルという区域について法律の適用をお願いいたしておったのでございますが、それも昨年新空港については、他の空港以上にわれわれの要望をいれて政令の改正をしていただいておるということでございます。  それからまた、先ほど綿貫先生の御質問にもお答えいたしたのでございますけれども、学校それから幼稚園、保育所あるいはまた精薄施設というようなものについての防音工事等も実は考えております。さらに、これは空港周辺に限られた問題でございますが、防音林等につきましては、すでに融資を決定いたしまして、苗木を千葉県の林務課を通じて発注いたしておるというふうな状況でもございます。  それからまた、すでに騒音区域において買収を希望しておられる農家の方々に対しましては、県と公団とでそれぞれ折衝いたしまして、現在約四十ヘクタールの騒音区域買収の契約をいたしております。すでにお移りになろうという方々で、千葉市その他に移っていかれた方々が今日では相当あるわけでございます。  私どもとしては、今後とも騒音区域の希望者に対する土地並びに住宅の買い取りの問題、あるいはまた学校その他の施設に対する防音工事の問題等については、全力をあげてやっていきたい。それからなお、騒音対策委員会についても、先ほど御指摘がございましたように、私どもとしては、年度が変わりましたら早急につくって、来年に備えていきたい、かように考えておるわけでございまして、この航空機の騒音による公害防止、それについて何らかの負担、犠牲を軽減するという意味においては全力をあげて私どもとしてはやっていきたい、かように考えておる次第でございます。
  63. 菅太郎

    菅委員長 綿貫君、それから山口君に申し上げますが、ただいま綿貫君から留保されました問題、山口君がいま質問されております問題につきまして、建設省から浅井道路経済調査室長それから今井術調査官が見えられました。それからもう一つの問題につきましては、山村運輸省政務次官が見えておられます。  この際、さきに留保されました問題について綿貫君の御質問を許します。
  64. 綿貫民輔

    綿貫委員 先ほど運輸省の御見解を承りたいと思ったのは、前回の国会のときの審議の中で、いろいろ議事録を拝見いたしましたが、軍用基地として使用するというような前提でこれをやっておるのかどうかということが非常に大きな争点だったと思います。しかも、これは運輸大臣がかわるたびにちょっとニュアンスが違うというようなことで、今度また大臣がおかわりになったわけですから、大臣がおかわりになってもかわらなくても、運輸省見解なり政府見解はこうなんだということを、ひとつお示しをいただいたほうがいいのじゃないかということで、お尋ねをします。
  65. 山村新治郎

    ○山村政府委員 綿貫先生お答えいたします。  先生いまおっしゃいましたように、いつでも、今度の特例法の問題で一番の大きな問題となりますのは、この新空港軍用基地として使うか使わないかというような問題でございますが、これはただいまの橋本大臣ともども、これは十分な連絡をとりましてのことでございますが、新空港を米軍施設区域として提供するとか、または米軍に共同使用させる こういうことは全く考えておりません。  本来、米軍機というものは、横田等のいわゆる提供施設区域を使用していただく、これが原則でございます。民間空港の使用につきましては、その機能に支障を生ぜしめないように従来から措置してまいったものでございます。そして今後もこれを継続していく予定でございます。  しかし、ただ、たとえば例外と申しますような、いわゆる突発的な技術的な理由によってわが国空港へ着陸することを求められた場合、これは地位協定等のたてまえ上、認めないわけにいかないのではないかということは考えております。しかし、この新空港というものは、世界の民間航空界の発展に対処するための純民間空港でございます。そしてこれを整備するためのものでございますから、本来の機能に支障を生ぜしめないように措置することは当然のことであろうと思います。そしてまた必要な場合には、日米合同委員会を通じて米軍と十分協議し、理解していただくつもりでございます。  特に私といたしましては、この新空港の所在地が私の選挙区でございますので、現地の情勢というのは一番よくわかっておるつもりでございます。反対派の方々で、軍事空港に使われるのではないかといって、反対を叫んでおられる方々が数多くございます。いわゆる軍事空港ということで神経がぴりっと張り詰めておるというような現地の空気がございますので、これはもちろん大臣も十分理解いただいておりますし、これを十分申し上げまして、日米間の理解を深め、そして純民間空港として使っていくつもりでございます。
  66. 綿貫民輔

    綿貫委員 ただいまの政務次官の御答弁を聞きまして、いろいろと私と見解の違う方もあるかもわかりませんが、私は先ほどもちょっと申し上げたのですが、いよいよ明後日から万国博覧会日本で開かれる。百万人近い外国人が押し寄せてくる。しかも、この二十八日には日ソ間の自主運航が開始される。しかも、昨日はジャンボが着いた。こういうふうに、われわれの想像しておった以上に国際空港の利用度というものがこれからどんどんふえてくると思います。そういう点で、ただいま純民間空港としてやるのだということでございまして、軍事基地などを最初から想定したものでないということ、これはひとつはっきりお答えいただいたものと受け取りまして、その線に沿って十分これからもお考えいただくようにお願い申し上げたいと思います。  なお、先ほどちょっとお尋ねいたしましたが、先般橋本運輸大臣が、国際空港群構想というものを御発表になったように新聞で受け取ったのですが、これについてもし御存じのことがあれば承りたい、こう思うわけでございます。
  67. 山村新治郎

    ○山村政府委員 現在、いわゆる航空輸送の需要というのは著しく増大いたしております。昭和四十三年度から昭和四十五年度にかけまして、大体二百万人のお客さんが八百二十万人までふえてくる。そういうようなことから考えますと、とてもいわゆる新空港――新東京国際空港を含めまして大阪にも新空港をつくらなければならないじゃないかということも考えるわけでございます。そこで、特に、新東京国際空港における場合ですと、とりあえず昭和六十年をこえましてもまだ少し余裕があるのではないかといわれておりますが、しかし、大阪の場合ですと、もう昭和五十年というのは限度でございます。そこで、数カ所におきまして、大阪の場合には、これはいろいろ地形もございます、また都心からその地へ参りますまでの交通事情、また交通安全、これらを含めまして、いま検討させている状況でございます。そういうようなことをもちまして、将来はこの東京周辺でももう一つ空港をつくらなければならぬだろうけれども、とにかく早急にはそれは必要でないけれども、もうそろそろ研究対策に手をつけてもいいのではないか。また、大阪の場合は、早急に空港予定地というものをきめるべきではないかというような大臣発言であろうと思います。われわれもその線に沿って、とりあえず大阪のほうへひとつりっぱな空港を、そしてそのあとでまた今度は東京周辺にもう一つ空港を、そのように考えております。
  68. 綿貫民輔

    綿貫委員 これは運輸大臣の個人的な構想ととれるのかあるいはアドバルーンととれるのか、ほんとうにそういうことを運輸省自体として真剣に考えておられるのか。その辺にやはり一貫したものをひとつおつくりになる必要があるんじゃないか。その使命をおつかさどりになるのが政務次官の役目だと思いますので、どうかひとつ、トップと下の事務ベースで誤解を受けないような仕組みをぜひお考えいただきたいと思うわけでございます。政務次官に対してはそれだけでございます。  建設省の関係でありますが、先ほどちょっとお尋ねしておったのですが、昨年の七月十日の地方行政委員会附帯決議の中で、特に湾岸道路の早期完成をやれということを決議しておるわけであります。同様な要望が各所の関係商工会議所からも出ております。しかし、現状は、東関東道路にいたしましても、まだ何も手がついていないというような状態で、空港だけが先行して完成するというようなことがないのかどうか。少なくとも一体となって、取りつけ道路と申しますか、こういうものができなければ空港のほんとうの目的が達せられないわけでありまして、これについての見通しをお聞きしたいと考えるわけであります。
  69. 今井勇

    今井説明員 空港と都心との連絡につきましては、まず首都高速七号線及び京葉道路の一期の拡幅、ただいまお話のございました高速自動車道の東関東自動車道がございます。  四十五年の一月末現在で、用地の契約済み面積の割合及び工事の発注済みの割合を申し上げますと、首都高速七号線につきましては、用地は全部契約済みでございます。工事の発注済みが八七%でございます。京葉道路の一期の拡幅につきましては、同じく用地が八四%、工事の発注済みが八六%でございます。それから東関東自動車道につきましては、用地の契約済み面積が七七%、工事の発注済み割合が現在二一%でございます。
  70. 綿貫民輔

    綿貫委員 事務ベースでお進めになることはけっこうですが、ひとつ私が申し上げました趣旨を――やはりタイミングというものが特に大事だと思います。  いま、湾岸道路の問題はどうなんですか。
  71. 浅井新一郎

    ○浅井説明員 ただいま今井調査官から御説明しました道路については、すでに着々と進んでおるわけでございますが、空港供用開始までに間に合わせる道路といたしまして、さしあたり首都高速七号線と京葉道路第一期区間を予定どおり竣工させれば、大体開設当初は、一応都心まで一時間の交通がピーク時においても確保できるという見通しでございますが、その後航空旅客の増加に対応いたしまして、相当空港関連交通が伸びると思いますので、それに対応するべく考える路線といたしましては、昭和四十七年度までに供用を要する路線といたしまして、京葉道路の二期区間に相当します幕張-原木の間がちょっとパンクするような計算になりますので、その間を至急湾岸で補うように考えております。それで湾岸道路の幕張-原木間の両側二車線ずつ、合わせて四車線をそれまでに完成するように考えております。そうしまして、その前後の取りつけの街路もあわせて整備することになりますので、昭和四十七年時点では、京葉二期区間と並行して湾岸道路を使うという姿ででき上がると思います。  それから、さらに四十九年度、いまの道路整備五カ年計画、第六次の計画の最終年度に当たるわけでございますが、それまでには、いまの湾岸道路につきましては、原木から環三、東京のちょうど首都高速九号線が湾岸にぶつかるところでございますが、そこまでの間を完成いたしまして、あわせて首都高速道路九号線を完成いたしますので、この間は原木から湾岸を通って、首都高速の九号線で都心に入るという形で、昭和四十九年度までに対応しようというふうに考えております。
  72. 綿貫民輔

    綿貫委員 ただいまの御答弁を聞きますと、湾岸といっても、部分的に何かこう薬を張りかえていくようなやり方に受け取れるのですが、この前の附帯決議はそんな決議じゃなかったと思うのです。やはり一気にぱっとやれという決議だと私は思います。そういう事務ベースでお進めになるのもけっこうですが、これはもっと大きな見地からおやりにならないと、地方の住民なり地方自治体を騒がせて、これだけの大きな公共事業を行なって、そのあと始末、アフターケアがうまくいかないということは、重大問題だと思います。どうかそういう点で、もっと大きな政治的見地からお進めいただくように、特に強く要望申し上げたいと思います。  では終わります。
  73. 菅太郎

  74. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 政務次官はお忙しいそうでありますから、政務次官にまとめてお尋ねしたいと思いますが、ただいまの綿貫委員質問は、私の聞いておりますのと趣旨が違うわけです。綿貫委員は、軍事基地として使うおそれがあるのか、こう言っておられますが、私どもが考えておるのは、そうではありません。少なくとも安保条約第六条にいうところの、米軍に対して使用を認める施設区域、こういうものとして新東京国際空港を使うなどという、それほどナンセンスなことは、これは政府としては万が一にもあり得ないということは、私どもも十分理解をいたしております。  問題は、地位協定によるところの使用ですね。具体的にいいますならば、MACのチャーター機等が現在民間空港である羽田空港にも絶えず離着陸をしているわけです。また米軍機自体も、数は少ないけれども離着陸をしているという実績が昭和四十二年、四十三年にあるわけです。その後の経過につきましては、あとで事務当局に聞きたいと思いますから、こまかい数字のことはしばらくおくといたしまして、そういった軍事目的のために羽田空港自体が使われてきたではないか。したがって、そういう意味成田空港、新東京国際空港も軍事目的に使われる懸念があるのではないかということを、私どもは言ってきたわけです。これに対して中曽根元運輸大臣は、軍事目的に使うことはないと言い切ったのでありますが、その後、原田運輸大臣の時代になってまいりますと、やや明確を欠いてまいりまして、ただいま山村政務次官が言われたと同じように、安保条約第六条にいう区域として使うことはないが、技術的な離着陸、テクニカルランディングとか、あるいは燃料補給とか、こういう事態成田空港を使うこともあり得るんだ、こういうふうに答弁が変化しているわけです。そういうことでは、われわれが言うところの軍事目的に使わないということにはならぬじゃないか。この点がきわめて遺憾だ、こう言っているわけであります。中曽根元運輸大臣は、現在防衛庁長官に就任をしているわけでございまして、私と同じ選挙区でもあるわけですが、別に選挙区のことを言うわけではありませんけれども、少なくとも中曽根元運輸大臣が答弁したくらいの明確な保障がなければ、やはり地元住民の心配というものは解消できないと思うのです。したがって、綿貫さんのように、軍事基地として使うかどうかということではなくて、軍事基地として使うことは全くあり得ないのかどうか、この点を明確にしていただきたい。これが私の質問であります。
  75. 山村新治郎

    ○山村政府委員 綿貫さんの質問お答えいたしましたときに私申し上げましたように、突発的な技術的理由等ということで、万やむを得なかったというような場合を除いてはお断わりをするという方針でございます。
  76. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 事務当局に聞きますが、現在羽田空港にどの程度MACのチャーター機、米軍機が離着陸しておりますか。昭和四十二年、昭和四十二年における数字というのはお伺いをいたしております。昭和四十二年にはMACのチャーター機が四千四百五十二回離着陸している、アメリカの軍用機が六十二回、合計いたしまして四千五百十四回MACのチャーター機並びに米軍機が離着陸している。昭和四十三年になりますと、MACのチャーター機が三千八百四十二回、アメリカの軍用機が六十六回、合計三千九百八回離着陸しておるようであります。その後の数字は一体どうなっていますか。そしてまた羽田空港にMACのチャーター機並びに米軍機が離着陸する場合は、どういう事態離着陸しているのか、この点ひとつ答えてください。
  77. 丸居幹一

    丸居説明員 四十四年の実績は、先生の数字は発着回数でございますが、これは倍にしてあとで申し上げますけれども、着陸回数で私の統計には千百二十三回となっておりますので、発着回数に直しますと二千二百四十六回ということになっております。それから米軍機は十五回ですから、発着回数に直しますと三十回。  それから内容でございますけれども、燃料補給、乗員の交代または天候状況による待避目的というのがおもでございます。それから、この中にちょっと資料がないのでございますけれども、実は横田のほうで滑走路の修理をしておって、少しこちらへ入ってきたものが四十四年にあったように記憶しております。ちょっといま資料がないのでございますけれども、そういういま政務次官が言われましたテクニカルランディングに属するものばかりだと思っております。
  78. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 政務次官、現在羽田に昭和四十二年においては四千回以上、昭和四十三年は約四千回、昭和四十四年におきましては二千二百七十六回という離着陸がいずれもテク二カルランディングだ、こう言うのですね。そうしますと、政務次官お答えのようならば、同じような回数が、新東京国際空港ができた場合に、テク二カルランディングでやむを得ないということで離着陸するということになれば、同じような状態がずっと続くということになるじゃありませんか。しかも、民間機も次第に大型になっておりますし、また米軍が使用する輸送機も、きのうですか、羽田に参りましたジャンボジェットと同じような大型のものができつつある。こういう状態ではとても羽田は間に合わぬ。そうなれば、いずれも成田離着陸しようということになれば、結局現在の東京国際空港である羽田、これと同じような事態成田でも続くということならば、これは住民の不安は私は解消できぬと思うのです。羽田はいずれもテク二カルランディングだと言っているじゃありませんか。そうすれば、それと同じような状態成田でも続くということになるではありませんか。いかがです。
  79. 山村新治郎

    ○山村政府委員 ただいま先生からの御質問でございますが、この空港ができますと、羽田のほうも大幅にいわゆる余裕ができることも確かでございます。そしてまた、現在MACの回数は昨年半ばから急激に減っておるということも伺っております。そして特に先ほど先生おっしゃいましたように、先生と同じ選挙区の中曽根防衛庁長官、そして橋本運輸大臣によく事情をお話しいたしまして、地元の事情等もよく申し上げまして、ほんとうの純民間空港として使用するように、これを米軍と十分調整していくつもりでございます。
  80. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 地位協定第五条「合衆国及び合衆国以外の国の船舶及び航空機で、合衆国によって、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるものは、入港料又は着陸料を課されないで日本国の港又は飛行場に出入することができる。」いわば合衆国によって、合衆国のために、合衆国の管理のもとに運航されているものについては、この着陸料も無料で日本飛行場に入ることができるという権利が、アメリカには地位協定によって与えられている、それが現状だと思うのです。そういう中で、現在羽田に対していまいったような離着陸があるわけですが、山村政務次官の言わんとするところは、羽田よりは何とかMACのチャーター機や軍用機がおりるのを数においてしぼろう、そういうつもりで内閣としても努力するのだ、政府としても努力するのだ、こういうことを言わんとしておるのではないかと思うのですが、そういった程度の問題では、われわれとしては安心することはできぬと思うのです。また、現在羽田に対してMACのチャーター機や軍用機の離着陸が昭和四十二年よりは減っている、こう言いますけれども、これはベトナム戦争の推移その他の関係もあるのだろうと思います したがいまして、また国際的な情勢によっては、これは急激にふえるということだって考えられないことはない。そうなってくれば、現在羽田が減っているから、何とか成田も減るだろうというような、そういう観測だけでは、住民を納得させることはできないのではないか。どうなんですか。本来MACのチャーター機は横田、立川を使うべきなんです。それを羽田を使っている。そして今度成田に新東京国際空港をつくるということならば、成田国際空港に関する限り、これは軍事基地として使わぬということはあたりまえでありますが、軍事目的についても使わせぬというくらいの、断固たる姿勢が政府にあってしかるべきだと私は思うのです。中曽根元運輸大臣もそういう趣旨で申したと思うのですが、ひとつその点くらいまでここで、新進気鋭の――私も議運として一緒に苦労した仲でもあります、非常に尊敬している山村政務次官でありますから、断固たる答弁くらいひとつやっていただいたらどうか、こう思うのであります。  これ以上繰り返しません。政務次官についてはこの問題は最後のお尋ねにしたいと思いますが、いかがですか。
  81. 山村新治郎

    ○山村政府委員 ただいま山口先生のおっしゃいました、羽田が減ったから成田も減るんじゃないか、そういう意味羽田の例を持ち出したのではないのでありまして、成田空港ができますれば、羽田のほうのいわゆる航空緩和というものはできる。そこで成田のほうへは、純民間空港で、そういうような軍事目的その他についてはおいでいただかないようにしていただきたいということを、いろいろ話し合っていきたい。また、先ほど申しました突発的なというようなもの以外はおりていただかない。そしてちょうどいまの防衛庁長官、そしてまた大物運輸大臣の橋本大臣でございます。これが一緒になりまして、また現地の状況等をよく申し上げまして、山口先生のおっしゃいましたような趣旨に一歩でも近づくようにしたい。そしてまた、先生のほうと私どものほうとの考え方が何かちょっと違うようでございますが、私どもは純民間空港としてこれを使うのだ、突発的な場合のみしかたがないということで、あくまでも腹は純民間ということでやってまいるつもりでございます。
  82. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 事務当局に聞きますが、航空局長さんおいでになりますか。――羽田空港成田空港とは一体どう違うのですか。
  83. 丸居幹一

    丸居説明員 成田ができ上がった場合に、羽田空港成田空港はどういうふうに使い分けるかという御質疑かと存じますが、そのときは成田空港国際線羽田空港につきましては国内線をほとんど大部分とする空港にしたい、国際線は全部成田に、こういうようにいまのところ考えております。
  84. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 MACのチャーター機は、飛んでくるところの場所によって区分けをした場合、国内線あるいは国際線の比率は一体どうなりますか、どういう現状ですか。
  85. 丸居幹一

    丸居説明員 羽田へ入る場合が一番多いのですが、これはさっきも山村政務次官がお話しになっておりましたように、テク二カルランディングがほとんど大部分でございまして、テク二カルランディングの中で、非常に急いで帰りたいために、横田には三千三百と非常に長い滑走路があるのでございますけれども、たとえばハイドラントなしに給油するのは非常に時間がかかる。羽田ですとハイドラントがあるということで、非常に便利に使えるというので、急いで出発しなければならぬような場合に入ってくるというのが、給油の目的で入ってくるものでございます。ただ、羽田が非常に都心と近く便利であるから、羽田を使われておる場合が多いようであります。そういう便利のために羽田を使うのも、非常に最近では込んできまして困るからというので、米軍になるべく羽田を使わぬようにしてもらいたいとわれわれは再三申し入れまして、さっきの数字でもわかりますように、かなり減ってまいっております。特に最近は、同じ四十四年度でも十二月に近づくにしたがってずっと減ってまいっております。そういうことで、いま山口先生おっしゃったのは、羽田というのはそういうことでよけい入るかもしれないけれども成田は非常に遠うございますしするので、着陸回数はうんと減ってくるのじゃないかというように思います。
  86. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いまの御答弁では私はおかしいと思うのです。第一、私の質問には答えてない。MACのチャーター機は国内線の範疇に入るのか、国際線の範疇に入るのかにもお答えになってないでしょう。私の想像するところ、ほとんど国際線の範疇に属するものだと思うのです。国際線の範疇に属するものということになれば、今度羽田国内線を主とし、成田国際線ということになれば、それは今度は成田へということになるじゃありませんか。そのことをまず一点明確にしていただきたい。  それから、いまの御答弁で非常に異様に思ったのは、山村政務次官は、万やむを得ない場合に離着陸をしているんだ、羽田の場合もテクニカルランディング、燃料補給、こういうわけですね。ところが、いまの飛行場部長の御答弁では、何か本来横田のほうにおりてもいいんだが、あそこは都心から遠い、だがら、近く便利な羽田におりておるということを言っているじゃありませんか。これはテク二カルランディング、燃料補給とは違うんじゃありませんか。これでは、米軍の軍人が銀座に出て遊ぶのに都合がいいから、羽田へおりるというふうに聞こえるじゃありませんか。成田は遠いからいいだろうということを言っておるのですが、そういうことならば、初めの羽田離着陸している理由というのは、全く御答弁になったことはうそだということにならざるを得ないじゃありませんか。どうですか。そういういいかげんな答弁をしてもらっちゃ困りますよ。
  87. 丸居幹一

    丸居説明員 たいへん舌足らずで申しわけなかったと思います。以前羽田にチャーター機が非常にたくさん入ったころには、そういうのもあったのでございますけれども、いま申しましたよに、なるべく入らぬようにしてくれということやかましくいっておりますので、米軍のほうとてもそういうものから順次減らしておりまして十一月が三十七機、十二月は四十八機、一日に一機程度に向こうもしぼってきたという現状でございます。  それから、国際線国内線の問題でございますけれども、MACのチャーター機はなるほど米軍でチャーターされた飛行機でございますけれども、これは民間航空機を米軍がチャーターしたわけでございますので、この中に乗っておる人あるいは荷物の関係によりましては、税関検査を受けるようなものもございます。そういう場合には、やはり検査を受けられるようなところにおりる必要もあるわけでございます。そうでないようなものにつきましては、別に国際空港でなければならぬということはないのじゃないかと思います。
  88. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうも飛行場部長さん、私の質問にずばり答えないので困るのですがね。昭和四十二年、四十三年、四十四年、MACのチャーター機が多数飛来していますね、米軍機が。それは一体どこから飛んできているのですか。日本国内から羽田に来ているのですか。そういうものが一体どのくらいあるのですか。
  89. 丸居幹一

    丸居説明員 国内から飛んできたMACというものはないと思います。
  90. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ですから、言うのですよ。羽田は今後国内線専用にするんだ、それから成田国際線専用といいますか、主たるものにするんだ。こういうことになれば、MACのチャーター機というものは、いずれアメリカあるいはその他東南アジア地域から飛んでくるわけなんでしょうから、国際線でしょう。そうすれば、MACのチャーター機は、成田空港ができて、これは国際線専用だということになってくれば、当然成田のほうへおりる。さっきの区分けで、羽田成田とどう違うのかと言ったら、国内線国際線というのですから、そういう区分けからいったら、当然MACのチャーター機はいずれも成田へおりる。山村政務次官の願望を込めた御答弁はわかりますよ。そういうなるたけしぼりたいという願望はわかりますけれども、飛行場部長の区分けの御答弁からすれば、山村政務次官の御答弁とは全く反する結果になるじゃありませんか。その点はいかがですか。
  91. 丸居幹一

    丸居説明員 さっきもちょっと申し上げましたように、いま成田国際空港として建設しているわけでございますから、定期便成田に入ることはもう間違い雇いのでございます。ただ成田羽田の使い道をどうするかということは、実は羽田は大体国内線専用にしようというような方向で進んでおりますけれども、一機も国際線を入れないような国内線専用にするかどうかということは、まだ決定しておりませんので、実はさっきのようなこと、ちょっとあいまいなことを申し上げたような結果になったのでございますが、はっきりと国内線だけにしてしまうのだということは、まだ決定しておらぬわけであります。それでそういうことを申し上げたわけであります。
  92. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうも、答弁がぐるぐるとネコの目のように変わるので困るのですが……。
  93. 今井栄文

    今井参考人 空港公団総裁として、国際線国内線羽田成田の区分の関係について、私自身の考え方を申し上げたいと思います。  いま飛行場部長が、将来は成田国際線羽田国内線というふうにはっきり区分けしておっしゃられて、また最終的には政府としての結論は出ておらないということを実は申し上げておるわけでございますが、私自身としても、かつて航空行政には経験があるわけでございます。羽田を将来どう使うかということについて、将来相当いろいろな問題があるのではないかと思います。というのは、純国内線ということで、現在ICAOに登録してある国際空港としての羽田の地位を羽田から抹殺するかという問題でございますが、私はおそらくそういうことはないのじゃないかと思います。やはり羽田国内線が主として使うけれども、世界の国際空港としての羽田ということは守っていくのではないかという感じが一ついたしておるわけであります。それはあくまでも私個人の意見でございます。  第二の点でございますが、はたして純国内線だけの空港になり得るかどうかという問題であります。特に近距離国際線羽田を出発しましてソウルに行く、あるいはマニラへ行く、あるいは台北へ行く、あるいは沖繩へ行く。沖繩は今度は日本に返ってくるわけでございますが、そういうふうないわゆる近距離国際線というものが、成田と都心との距離の関係からいって、東京をオリジネートする近距離国際線というものは、今度羽田を全然使わないかどうかということは、空港政策上非常に問題がある。したがいまして、先ほどのように、はっきり羽田国内線成田国際線というふうに実行上分けられるかどうかということは、非常に問題だと思います。  それから、従来航空局長なりあるいは大臣、あるいは政務次官等が御答弁申し上げ、あるいはまた丸居行場部長も申し上げておるのですけれども国際線国内線という私どもの考え方は、主としてその飛んでくる距離あるいはまた場所というふうな観念ではなくして、国際線をオペレートする会社のライナー、それからまた、政府の許可を得て飛んでくる不定期の旅客運航というものを中心にしていっておるわけでございまして、要するに、アメリカから来るのは全部国際線というふうな観念で、実は国際線というものを考えているのではない。国際線というものは、パンアメリカン、あるいはノースウエスト、あるいはルフトハンザ、エールフランスというふうな、いわゆる航空会社によって運営される国際ライナーあるいは国際不定期便というものを国際線といっておるわけでございます。MACというふうなものについての考え方は、実は入っておらないわけでございます。したがいまして、これは若干よけいなことかもわかりませんけれども、私は先ほどの山村政務次官と全く同じ気持ちで実は成田空港をつくっておるわけでございます。ほんとうに緊急やむを得ない場合以外は、純国際民間空港として成田はぜひ使っていきたい、かように考えております。
  94. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 委員長もただいまのやりとりを聞いておられたと思うのですが、結局、成田羽田の使い道の区分けにつきましても、空港公団総裁と飛行場部長見解はどうも食い違っておる面があると思います。そうしてMACのチャーター機、米軍機のテク二カルランディングの問題等につきましては、国際線国内線と分けるという飛行場部長の御答弁を主に置くなら、これはMACのチャーター機、まさに国際線なんですから、これは現在羽田離着陸すると同じような状態成田に起きる、こういうことが当然の帰結として出てくる。また、山村政務次官なり空港公団総裁の御答弁を聞いていれば、願望を込めておりますけれども、できるだけしぼりたい、こう言っておられるわけです。そういうように、空港公団のお考えとそれから運輸省当局のお考えが違っているということでは困ると思います。したがって、成田飛行場が将来できた場合を想定いたしまして、羽田成田、これは一体どういうふうな使い分けをするのか、そういった政府としての考え方、統一した考え方。それからさらに、安保条約第六条、これは心配ないわけでありましょうけれども、地位協定第五条によるところのMACのチャーター機並びに米軍機、こういったものの扱い、いわば軍事目的に使うのか使わないのか。こういう問題につきましても、私は運輸大臣に来ていただきまして、その点はやはり明確にしなければ、どうも困ると思うのです。したがって、運輸大臣に来ていただくことは、先ほど申し上げておきましたからいいといたしまして、成田羽田の両空港の使用のしかたにつきましては、文書で政府としては、こういうふうにやるつもりだということを、資料として早急に提出をいただくようにお願いしておきたいと思います。いいですね。
  95. 菅太郎

    菅委員長 本件については、政府側から文書でもってあなたに御回答を――これは全委員にという御要求ですか。――ちょっと私の意見も求められましたが、必ずしも私は食い違っておるように思いませんが、もうちょっと答弁しますか。それとも文書で――それではいまの点について、文書で差し上げることにいたします。
  96. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それでは、またその文書が出ましてからあれすることとして、一応ここでこの問題については保留をしておきましょう。時間もありますから、先へ進みたいと思います。  さてそこで、地位協定に伴う航空法の特例に関する法律というのがありますね。この法律によって検疫あるいは軍需品の輸送禁止、こういうものは適用除外になっておりますね。いかがですか。
  97. 丸居幹一

    丸居説明員 おっしゃるとおりだと思います。
  98. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 厚生省や何かいないから、自治省に聞きましょう。  その地位協定に伴う航空法の特例に関する法律という法律で、武器のほうはいいでしょう。検疫はせぬでもいいことになっておる、どんどん入れることになっておる。そうしますと、地域住民の健康を保持する、生命を守るというのは、自治体の固有事務ですね、重要な仕事です。ところが、王子病院で問題になったように、問題は、MACのチャーター機や米軍機が羽田に飛来をする、離着陸をする、検疫もないままにどんどん乗っておった人が出てくる。そうしますと、当然伝染病が地域に流行するという可能性があるわけですね。したがって、かりに成田にMACのチャーター機がどんどんおりるという事態が起きる。あるいはしぼる場合もあるかもしれません。しぼっても、相当の数がおりることは間違いないのであって、検疫に対しては、ノーチェックのままどんどんそういう米軍機あるいはMACのチャーター機に乗った人が出てくる。そうした場合に、地域住民の不安というものは、当然起きるだろうと思いますし、また、住民の健康を保持するという役目を持つ自治体、そういった自治体を監督する立場にある自治省、こういうものとして一体どうお考えですか。そういうことを私ども心配しておるのですよ。自治体の重要な仕事一つでしょう。自治省としても当然お考えあってしかるべきだと思いますが、いかがですか。
  99. 大石八治

    ○大石政府委員 ちょっと突然のことで、関心事でありますけれども、地位協定によって、いま羽田の場合はそういうふうに行なわれているとすれば、成田よりもっと人口の多いそこ自体に大問題があるのではないかと思って、実は逆にどうなっているんだろうか。成田のほうで心配なら、もっと人家がぐしゃぐしゃいるそこで、そういうふうに過ごされているということは大問題だ。いままでそのことの大問題が起きていないとすれば、どういう扱いをしているんだろうかというふうにいまは思って、それ以外にちょっと答弁がしにくいところであります。
  100. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 やはり自治体に大いに関心のある問題だということ、財政上の特例ばかりじゃなくて、そういう心配もあるということを、自治省としても念頭に置いていただきたいと思います。  飛行場部長、先ほどの御答弁で、MACのチャーター機の場合も税関を通るものがあるんだ、それにはこの羽田のほうが便利なんだ、こういうことを言われましたね。そうすると、MACのチャーター機のうちでどのくらいというか、税関を通るとすれば、当然一緒に、検疫官もおるのですから、そちらのほうもチェックをしているんじゃないかと思うのですが、そういう割合はどうなっていますか。検疫の関係で、ノーチェックでどんどん入ってくるのがどのくらいで、チェックするのは一体どのくらいの割合か、わかりますか。
  101. 丸居幹一

    丸居説明員 ちょっと資料を持ち合わせておりませんので、わかりません。
  102. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それでは、それはあとで資料を調べておいていただいて、またその機会にひとつ御答弁してください。  次に、それでは、建設省の方がお見えだそうでありますから、お尋ねをしたいと思います。  先ほどの綿貫委員に対する御答弁を聞きましたが、この東関東自動車道ですか、こちらのほうは、土地の契約が済みましたものが七割、それから、事業の発注をいたしましたのが約二割と、こういうような御答弁でしたが、去る六十一国会の際には、一坪の土地もまだ買っていないということだったわけですね。現に土地買収が済んでおるのは、どのくらいの割合なんですか。
  103. 今井勇

    今井説明員 手元に具体的な数字がございませんので、割合で申し上げたわけでございますが、先ほど申し上げた数字は、契約済みの面積の割合でございます。
  104. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、当時が六月ぐらいだったと思いますから、約九カ月の間に、当時は契約ゼロだったものが、七七%まで用地の契約は済んだということのようですが、この東関東自動車道が完成いたしますのは、一体いつまでの御予定ですか。
  105. 今井勇

    今井説明員 飛行場ができまして、第一機が飛びますのは、来年の四月ということでございますので、それまでには何としてもやり遂げたいと考えて、督励中でございます。
  106. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私も現地へ参りましたが、現在の道路では、この飛行場まで行くのに非常に時間のかかる道路の状況であるということを見てまいりました。四十六年四月、供用開始までに完成をする、こういうことでありますから、委員会でお約束したことは実行するように、これは強くお願いしておきます。  湾岸道路のほうは、一体どの程度進んで、これはいつまでに完成の予定ですか。
  107. 浅井新一郎

    ○浅井説明員 御説明いたします。  湾岸道路は、御承知かと思いますが、本年度初めて着工になりまして、東京港口の沈埋道路にまず手をつけまして、その前後を多少やっておりますが、本格的に仕事が進められるのは、来年度四十五年度からになります。それで、湾岸道路に関しまして、飛行場関連で間に合わせなければならないのは、先ほど申し上げました幕張-原木の間を、昭和四十七年度までにどうしても間に合わせようということで、そういうような事業ペースを考えております。予算もそういうようにつけるようになっております。
  108. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、具体的にお尋ねしますが、初め実施本部長が現地の人たちに説明したのでは、新東京国際空港から都心まで一時間で結ぶんだ、こういうのが当初の計画だったわけですね。湾岸道路につきましては、昭和四十五年度から実際の事業にかかるようでありますから、これはちょっといつできるかわからぬ。そうなりますと、昭和四十六年の四月、かりに東関東自動車道が完成したとして、空港から都心まで一体どのくらいの時間を車では要するというかっこうになりますか、現在の見通しでは。
  109. 今井勇

    今井説明員 私どもの計算いたしました結果で申しますと、まず箱崎を起点にいたしまして、首都高速六号線、七号線の横を通りまして京葉道路に入りますまで、一二・九キロございますが、それをピーク時の交通量といたしまして走行速度をおおむね五十五キロぐらいに考えて、この時間が約十五分でございます。それから、京葉の一期工事の区間、これは同じく五十五キロの走行速度を想定いたしております。これは現在の首都高速一号線におきます走行速度の実測の結果から、おおむねこのぐらいで行けるだろうというふうに見たわけであります。それから、京葉二期につきましては、七・四キロありますが、それは走行速度を六十キロと見ております。それから、京葉三期につきましては、五・一キロございますが、同じく走行速度を六十キロに想定いたしました。それから、最後の高速国道に入りますと、三十二キロございますが、これは設計速度は相当高いのでございますが、実際の走行速度は八がけぐらいで現在高速道路は走っておりますので、約八十九キロの走行速度といたしまして計算いたしましたものを、合計いたしますと五十九分、おおむね六十分ということで、いままで計算をやっております。
  110. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 おおむね六十分ですか。現在の道路ではどのくらいかかりますか。
  111. 今井勇

    今井説明員 現在の道路で実ははかったことはございませんのであれでございますが、東京都心から千葉まで行きますのに、非常にピーク時でございますと、約九十分ぐらいかかるんじゃないかと思います。
  112. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 これは今井総裁、御商売で、現状どのくらいかかっておりますか。私も三回ほど行ったから、おおよそわかっておりますけれども、どのくらいかかりますか。
  113. 今井栄文

    今井参考人 私も千葉、それから成田へは常時行っておりますけれども成田まで京葉の終点から、これはまだ悪い道路でございますけれども千葉市内を抜けないで参りまして、大体千葉から約三十分くらいかかりますか、それから千葉まで、非常に混むときは、一時間半からもっとかかる場合もあるようでございます。
  114. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 現状では三時間――二時間はどうしてもかかるということですね。二時間以上に在る場合もあるという総裁の御答弁でしたが、確かに私ども行きましたときも、車で参りましたが、三時間とはかかりませんでしたが、二時間半と三時間の間くらいかかりました。そういう現状ですね。  それで、いまおおむね六十分で行けるようになるということでありますが、その点は信用しておってだいじょうぶなんでしょうか。
  115. 今井勇

    今井説明員 私どもが、現在までの実測の結果とか、あるいは交通混雑のときにはこのくらいで走れるであろうという見込みで計算いたしましたので、信用の度合いと申しましても、一分も違わないというものではないと思いますが、おおむねこのくらいであろうという見通しでございます。
  116. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 次に、河川局の治水課長さんがお見えでありますので、お尋ねしたいと思うのですが、根本名川の改修ですけれども、これも六十一国会でずいぶん議論になりましたが、まず私は常識から考えて、成田空港に降りました雨を、一体どこへ落としたら合理的かという考えに立つならば、私は利根川にこれを落とすというのは、だれが考えてもナンセンスじゃないかと思うのです。当然こちらにあります高谷川等を使いまして太平洋に落とすのが、私は治水という観点から考えるならば当然じゃないか、かように思われて在りません。なぜこのような無理な計画をおつくりになったのか、この点をお尋ねしたいと思うのです。  千葉県がこれに対しましていろいろ要望を出しておるようですが、地元とすれば、あくまでも利根川に落とせということを言っているんじゃないと思うのです。これは政府のいろいろな御都合でもってそういうふうにしたんじゃないかと思うのですが、どうして合理的な方法をおとりにならなかったのか。無理に利根川に落とす。特に私の県は群馬県でございまして、利根川の上流県ですから、この治水のためにはダムが必要だというので、非常に迷惑しているのです。一方でそういう迷惑を水源県に押しつけて、そしてわざわざ利根川に落とすということは、私は関東の住民も納得しないんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  117. 岡崎忠郎

    岡崎説明員 お答え申し上げます。  ただいま利根川に落とすことは適当じゃないじゃないかというお話でございますが、これにつきましては、河川管理者でございます千葉県知事が建設省といろいろ協議いたしまして、その結果根本名川に排水することに決定いたしました。利根川への影響について御心配いただいているわけでございますが、いままでのいろいろな水位状況、いままでの実績でございますね、これを種々検討いたしました結果、利根川の洪水か最高水位に達する前に根本名川の水が出ておりますので、利根川の最大流量に根本名川の合流する流量というのは影響がないというふうに考えておりまして、したがいまして、空港の設置に伴う流域変更部分もございますけれども、この影響は利根川の治水に対してもない、こういうふうに考えております。やや高い補助率をきめておりますね。その点今回の法律のかさ上げでは不十分というような感じもするわけなんですが、この点はどうですか。
  118. 長野士郎

    ○長野政府委員 御指摘がありましたが、奄美群島につきましては、確かに道路におきまして補助率は、今回の成田関係におけるところの補助率よりも高くなっております。この場合には四分の三でございますが、奄美群島の場合には十分の六・五から十分の九までの補助率がございます。そういうことで、その関係だけを見れば御指摘のとおりでありますが、今回の法律におけるところの補助率の引き上げというのは、その点を除きましては、従来行なわれておりますこの種の地域的な、財政的な特別な地区というものから比べれば、一番高い補助率というものを示しておる規定をしておるということになっておるのでございます。奄美の場合は、奄美の復興から振興へという特殊な状態を反映いたしまして、特別な補助率が設けられたわけでございます。復興当時は十分の十であったものを、振興ということで一応地方負担というものをまぜたという奄美の特殊な経緯もございます。成田の場合におきましては、確かにこれだけでは不十分じゃないかというお話もございますが、全体の他の財政援助としての特別措置との均衡等も考えますと、やはりこのくらいが考えられる一番高いところではないだろうか。これは先ほどもお尋ねのときに政務次官お答えいたしましたが、成田の場合は、首都圏財政援助法もある面では働くときもあるというようなこともございますので、大体それくらい考えなければいかぬ。それからまた同時に、交付税の措置といたしましても、事業費に対する補正も府県、市町村につきまして相当程度働いていく。そういう意味で、需要額の算定が相当考えられるのじゃないかというようなことも考えますと、この補助率の別表の特例だけで考えるということでは、いま申し上げましたように、二つの均衡その他を考えれば、この程度ではなかろうか、こう思っております。
  119. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 本日当委員会で議決をいたしました中部圏財政援助法律、それと同様なものが首都圏あるいは近畿圏にもあるわけですが、それといま審議いたしております新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案、それとが具体的にどの事業について一体重なるんですか。これは、府県と市町村とではおのずから補助金のかさ上げ、それから起債の利子補給という関係で違ってくるとは思いますが、その点どういう関係になりますか。具体的にお示しをしてください。
  120. 大石八治

    ○大石政府委員 この場合、首都圏のほうの財政援助が適用される地域は、成田市であります。成田がたしか開発地域というような形で指定を受けておりますので、その成田市が首都圏財政援助指定を受ける。その他の部分については、首都圏と今度の法律との間で、もし首都圏のほうが補助率が高いところがあれば、その点はそのやり方においても、その例にならってそこまで上げるようにしようという考え方でありますし、法律自体の精神が趣が違っておりますから、ダブってしまう。この新しい法律指定をしている以外の部分首都圏が働くところがあれば首都圏が働く、こういうふうになると思います。
  121. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうなりますと、いただきました自治省の資料を見ますと、成田については昭和四十三年の財政力指数が〇・五四、ところが、富里、大栄、多古、芝山、こういうところを見ますと、富里が財政力指数〇・二七、大栄町が〇・二四、多古町が〇・三二、芝山町が〇・二五で、私どもがこれから与野党を通じて何とか共同提案をしようと考えておる過疎地域振興法、この対象が財政力指数〇・四以下ということなんですね。そうすると、過疎地域で財政力を何とか考えてやらなければならぬだろうと思っている地域よりも、はるかに財政力が富里、大栄、多古、芝山というのは低いわけなんですね。いまのお話を聞きますと、今回の法律の補助金のかさ上げでできるものは措置する。それにのらないもので、首都圏整備法の関係で補助率のかさ上げがあるものはそれで補完をしていく。その場合に対象になるのは成田だけということになると、財政力指数の弱い四つの町村、これについては、成田市よりもはるかに財政援助については率が悪いというかっこうになる。しかも、過疎地域よりもさらに低い――と言っても、まだまだ過疎地域より財政力指数が低いところもあるでしょうけれども、しかし、過疎地域にぶつかるような財政力指数、しかも〇・四より低い、こういうところの四つの町村の財政力というものは、私は非常に問題があるのじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。
  122. 長野士郎

    ○長野政府委員 この仕事の具体的な進行とか決定との関連を考えていかなければならないと思いますが、確かに、富里とかほかの町村は非常に財政力指数が低いことは御指摘のとおりでございます。現在のところでは、むしろ事業量の大きさからいいますと、成田市が相当大きな負担を伴うということがここ当分は出てくるようでございます。その点につきましては、現実の財政運営の状況を見ながら考えていかなければならないというふうにも思っておりますが、ほかの町村におきましては、現在私ども見ますところでは、財政力指数は非常に低うございますけれども、補助率のかさ上げその他の措置によりまして、この関連事業につきましては何とか消化は可能ではないかと思います。  しかし、もちろん、御指摘のような心配が全然ないとは決して申し上げられない。いわゆる貧弱な町村でございますから、一面、関連事業が進んでまいる状況の中では、やはり首都圏の援助措置その他も当然考えていけるような方式を、事業の実施状況その他をにらみ合わせて、あるいは周辺の整備の状況を見ながらあわせて考えていく、こういうことも検討をすべきではないだろうかというふうにも思っておりますが、それぞれの団体の状況に応じまして、特に財政力の弱いところにつきましては、関連事業の執行状況と見合いまして、事業が円滑に実施されるような必要も当然考えなければなりませんので、適切な措置をその事態に応じてぜひ考えてまいりたいと思います。
  123. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 特に芝山などは財政力も弱い。空港ができることによりまして、いろいろな施設ができ、人口の増加ということも考えられますが、そういうのはやはり成田市に片寄る。そうしますと、関連事業で負担はかぶせられる、財政力は弱い、恩恵はあまりなくて、騒音ばかりがわあわあするというような芝山町等の場合は、これは十分考えてやらなければいかぬのじゃないですか。しかも、先ほど言いましたように、財政力指数は、芝山の場合〇・二五というような状態なんですから、そういうところに私は、現地の人たちが必死で反対をしているといいますか、そういう状態も起こると思うのですね。そういう意味では、今回の財政上の特例というものは決して十分ではないという点を指摘しておきたいと思うのです。  あとでまた、わが党の各委員からお尋ねもあると思いますから、そろそろ終わりにしたいと思いますが、もう一つお尋ねしたいのは、これも先ほど綿貫委員が尋ねました交付税の問題です。昭和四十三年に特別交付税で八千万ですか、千葉県に対して措置をされたようです。昭和四十四年度の特別交付税はすでに額が決定しております。今回はこの種のことはやらなかったんでしょうな。どうなんですか。
  124. 森岡敞

    ○森岡説明員 本年度の特別交付税におきましては、千葉県に対します交付額の積算の内容におきまして、昨年は御指摘のような減税に対する手当て措置を積算いたしておりましたが、本年度は積算いたしておりません。
  125. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いまだかつて、減税に対する措置のために特交を出したという例は、千葉県以外にあったのですか。そんなのは特交のブール計算の中にはないでしょう。
  126. 森岡敞

    ○森岡説明員 減税と申しましても、たとえば地方税の減税を指導いたしましたような場合、これは御案内のように、適切な財源補てんの措置を講じております。御指摘千葉県の場合には、県税の問題ではなくて所得税の問題であります。以前の、古いところの辺までの事情は存じませんけれども、最近におきましては、御指摘のように、所得税の減税相当分について措置をしたという事例はないと思います。
  127. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それは、災害等がありまして、当該町村が地方税に対して減免措置を講ずる、あるいは公害等がありまして、農産物の収益等が激減をしたというものに対して、地方税を減免したことによって、それを特交で見るということは、私どももかねがね主張しているところで、そういうことは大いにおやりになっていただいてけっこうなわけだし、問題は、所得税に対してこういう特別交付税で措置するというのは全く異例だし、筋の通らぬ話だろうと思います。ことしはそういうものはないそうでありますが、そういう悪例をつくられましたことに対しましては、昨年もきわめて遺憾であることを申し上げておきましたが、その考えは依然として変わりません。  最後に自治省にお尋ねしたいと思いますが、この法律がもしかりに三月三十一日に通らなかった場合に、具体的に自治体に対するどのような不利益というものが生ずることになりますのか、その点をひとつ明確にお答えをいただきたいと思います。
  128. 長野士郎

    ○長野政府委員 この法律が年度内に成立をいたしませんと、四十四年度において千葉県や関係市町村が実施しております事業の中で、この法律の成立ということに伴いまして、当然といいますか、法律の規定によりまして受ける特別な援助措置というものが受けられなくなるということに相なるわけであります。その関係は県分におきましては七千七百万……
  129. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 この自治省の資料の中にありますか。
  130. 長野士郎

    ○長野政府委員 この資料にはございません。県分といたしまして七千七百十九万五千円ばかり、市町村分といたしまして三千九百六十三万四千円、多少数字は動くかもしれませんが、合計いたしまして一億一千六百八十二万九千円というようなものが、そういう利益を失うと申しますか、そういうことに相なるわけでございます。そういうことに関連いたしまして、この周辺地域の整備事業の円滑な実施というものが妨げられるおそれがあるということになりますと、四十六年に供用開始という問題にも影響を及ぼす。と申しますのは、県、関係市町村は当然にこの法律が、そういう言い方がいいかどうかということはありますが、四十四年度に成立をするということを前提にしていろいろな準備を進め、事業を実施してきておる状況でございますので、そういう意味では、この法律の成立に伴いまして周辺地域の整備計画というものをきめる、それは四十四年度の事業についてきめるということが、今年度内に法律が成立いたしませんと、できなくなるという状況から起こる影響でございます。
  131. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 中部圏整備法のときには、そういう資料がなくてけしからぬじゃないかと言いましたら、いや自治省の資料の中にあるというので拝見いたしましたが、同じことじゃありませんか。中部圏整備法のほうでは、三月三十一日に通らぬ場合はこういう不合理ができるということを自治省の資料の中に入れておいて、同じ成田空港については入れないということは、成田についてはこの成立に対してあまり熱意がない、三月三十一日に通らぬでもいい、筋が通らぬけれども、また来年度の特交で県に対しては七千七百十九万、市町村に対しては三千九百六十三万出せばいい、こういうおつもりではないかという気がするのですが、いかがですか。
  132. 大石八治

    ○大石政府委員 全くそういうつもりはございませんので、よろしくお願いいたします。
  133. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 やはり片方の中部圏で資料を出したのですから、こちらだって資料を出しなさいよ。そうでなければ、私のようなすなおな人間が見れば、ああ中部圏は熱意があるが成田は熱意がないなと思うのは、あたりまえじゃありませんか。資料のほうはひとつ出してください。  それから、もし通らなかった場合に特交で措置するなんというようなことは、今度はしませんね。
  134. 長野士郎

    ○長野政府委員 この問題として特別交付税で、先ほど御指摘を受けましたような事例と同じような状態で措置するというようなことはないと思います。
  135. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それじゃ、運輸大臣等に対して保留いたしましたことを除きまして、一応終わらせていただきます。
  136. 菅太郎

    菅委員長 次回は、来たる十七日火曜日、午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時三十六分散会