○志場
政府委員 ただいま
平林委員から御指摘されました問題でございますが、私
どもも全く先生のおっしゃったような問題意識を持っております。ただいまの例にあげられましたけれ
ども、株式を上場しますためには株主数が四百人以上要することになっておりますし、また五千株未満の株主、つまり浮動株と申しますが、そういう株主の持っていらっしゃる株数が、資本金によって違いますけれ
ども、
相当数なければならぬ。たとえば資本金が三、四億でありますと八十万株以上なければならぬといったようなことで、そのために、従来同族会社として発展してきました会社は、したがって少数の株主、役員によって保有されました株をまず公開しなければならぬ。その場合に、公開の方法は増資の方法もございますけれ
ども、それを避けるとすれば、役員が持っている株を一般に売り出さなければならぬということになります。その場合に証券会社の引き受け機能ということをどうしても要することになっているわけでございます。公開そのものは
発行会社並びにその役員の仕事でございます。大蔵
大臣に、売り出すための有価証券の届け出を出していただくわけであります。したがって、公開価格と申しますものも基本的には
発行会社がきめて差しつかえない、またきめるべき性質のものでございますが、証券会社としましてはアンダーライターといたしまして、アドバイザーとしていろいろ価格決定に参画するということでございまして、その段階で大蔵省といたしましてはこの価格決定につきましてとやかく申すことはではないというたてまえでございます。
しからば、各証券会社がどういうふうな角度からその公開価格というものを算定しているかということでございますが、私
どもいろいろとおもな証券会社の価格算定の要素につきまして調べてみております。ですけれ
ども、必ずしもそれは統一した方式を採用はしておりません。またいろいろ危険度合い、引き受け業者としてのリスクを
見込みましてのディスカウントをある程度いたしますが、その場合も、商法でありますと、上場されている株式を増資する場合、たとえば時価
発行の場合に時価の二〇%くらいのディスカウントレートであれば適正な価格という商法上の判定もございまして、ディスカウントレートは算出価格に比べて二〇%を上回るという例もございませんけれ
ども、どの場合に一〇%にし、どの場合に一五%にするかという面についてはまちまちな面も多うございます。どうしてもその間に証券会社といたしましては安全率を
見込みまして、かた目かた目に押えていこうという気持ちも働いていることはいなめないと思います。
また、株価
自体を算定いたします場合に、ディスカウントする前の価格
自体を算出する場合におきましては、その会社と同じような事業をしている同
業種と申しますか、そういう会社を三社ないし五社選びまして、それの一株当たりの純資産の
状態とか利益の
状態とか配当率の
状態とか利回りの
状態とか、そういう既上場の会社の株価とか、そういったものを基準にいたしまして平均株価的なものを持ってくる。これは相続税の場合、同族会社の株式の評価をいたします場合に国税庁方式で算定する方式もございますが、大体同じようなことでございまして、そういうことでいろいろと要素をとりますけれ
ども、全く同じ
業種というものはなかなかありにくいのでございます。しかもこういった会社の場合にどうしても過小資本的なきらいもございます。しかも公開する会社というものは将来の発展、成長に備えまして設備投資をする、そういう成長性が非常に高いという傾向がありますため、そこらのことはなかなか織り込みにくいのでございます。ですから証券会社としましてはできる限りの比較検討ということをやっているようでございますけれ
ども、結果論といたしまして、結果から見ますと、何だ、安い価格をつけたじゃないかというような批判が出る面も確かにございます。しかしこれを事前にその結果が一致するような値段を求めるということはなかなかむずかしいと思うのであります。
ただ私
どもとしましては、お説のような批判もございますし、つとに問題意識も持ちまして、少なくとも同種法人のとり方につきましては、極端なことをいいますと安いものを何か見つけてこようじゃないか、そういう安全のためにいろいろ類似しているような会社を、無理にとは申しませんが、いたずらに引っぱってくることはやめるべきじゃないか。類似している会社というものにつきましては、将来の成長性というものを十分考慮に入れて、一社でもいいじゃないか。できるだけその当該会社と近似しているものを厳密に選んでいく。それから各社において算定方法がばらばらであるということも非常に疑惑の念を持たせるのじゃないか、なるべく統一的な方式でやったらどうか。またディスカウントレートなるものもこれはむやみにすべきじゃなくて、
原則的にはある少ない範囲の幅でもってとどまるべきであって、それ以上どうしても大きく割り引く必要があるというならば、それは個々に十分立証されたらいいじゃないか。こういうことで、大筋の話といたしまして、現在ある私
どもの
考え方の具体的な方向というものを検討いたしまして、証券会社、引き受け会社のほうに提示する。場合によりましてはそれを業務方法書の一環といたしまして、それによって算定するということを指導してみたい、こう思っています。
なお、その公開価格はそういうふうにして事前の価格を決定しますが、その場合は、上場されましたとき、この根つきの
状態が非常に上のほうに根づくのじゃないか。これにつきましては公開株数をうんと多くする必要があるのじゃないかということとか、あるいはその場合に、株主を四百名以上にしますために公開割りつけもいたしますけれ
ども、それが特定の限られた株主、そういうような者に割り当てられることがありますと、あたかもある一定の価値物を贈与するごとくになりかねませんので、あるいはその場合にどういう方法にしますか。たとえばせり売りのような、競争入札のような議論もあるかもしれません。ですから、問題は単に公開価格の決定の場合にとどまりませんで、上場する場合の配分の問題、ないしは公正な価格上の根つぎの問題、そこまで広がっていくわけでございまして、まず価格決定のところから私
ども考えましても、できるだけ合理的な方法で統一すると同時に、引き続きその後の
状態につきましても問題意識を持ちまして善処してまいりたい、かような段階でございます。