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岡沢委員 私は、一年ぶりで大蔵
委員会で
質問する機会、ことに
総理御出席の場で
質問する機会を与えていただきましたことを、先輩、同僚の議員に厚くお礼申し上げたいと思います。
実は、きょうはわが党の大会でございまして、春日一幸前書記長、竹本政審会長あるいは先輩の
永末さん、いずれも大会に出ておられまして、私がピンチヒッターでいささか心苦しいのでございますけれ
ども、
質問をさせていただきたいと思います。主として
土地税制を中心にして
質問をいたします。
きょうは、
総理と
大蔵大臣お並びでございますが、私たち野党の一員としての民社党も、率直にいって、自民党政府の
政治の成果について、たとえば日韓問題、沖繩問題あるいは経済成長、そのメリットを評価するにやぶさかではございません。しかし、この
土地税制に関する限り、あるいは地価
対策に関する限り、
物価に関する限りは、
佐藤内閣は失政である、失敗だと私は指摘せざるを得ないわけであります。
土地の値上がりということは、ここ十年来続いての特徴的傾向であります。ことに
佐藤総理が就任されてから以後、ここ数
年間、値上がりの傾向は特に急カーブを描いております。
土地問題が、あるいは地価問題がどれだけ影響を持つかということにつきましてはちょうちょうすることは避けますけれ
ども、一口にいって諸悪の元凶だといわれております。個人からいたしましても、それによって
貯蓄意欲がなくなる、あるいは家庭が乱れる、あるいは勤勉性についての意欲をなくするという問題があります。地方公共団体からいたしましても、公共用地の取得の困難性その他の問題がございます。国にとりましても、
政治に対する不信あるいは諸事業の遂行の困難性というようなこともございます。まして国内的な
課題を一九七〇年代の最大の取り組み
課題とされる
佐藤政府にとりましては、
物価問題が一番大きな
課題の
一つだと思いますけれ
ども、この
物価問題とも不可分の関係がございます。あるいはまたもう
一つの大きな
課題といわれております交通事故防止の問題。
年間二万人の死者を出し、九十六万人の負傷者を出すこの交通事故問題とも、やはり地価問題は関連してまいります。道路の改良あるいは拡張等の困難性からいたしましても不可分の関係にもあります。こういうふうに
考えてまいりますと、地価問題は、じみなようでありますけれ
ども、日本の現在の
政治の中で
一つのガンだと見ていいかと思います。
私は、政府もこれに真剣に取り組んでおられないという見方をするわけではありません。真剣に取り組んでおられるんだと思いますけれ
ども、結果としては異常な値上がり、しかもその傾向は経済合理性を越えた値上がりであります。ここに、
政策の失敗と申しますか、あえて私が
佐藤政府の最大の失政だと指摘したい理由があるわけであります。ここで
政治的な決断を、この地価
対策について求められている時期ではないか。そういう前提に立ちまして、私はピンチヒッターでございますので、春日
委員の
質問内容を預かってまいりましたので、最初にそれを読ませていただきまして、それを前提にして
質問を続けたいと思います。
土地税制の根本的
改正について、まず、
土地政策の重要性についてであります。
地価問題、
住宅問題を解決するためには、
土地政策が総合的見地から確立されなければならない。
土地政策とは
土地利用の規制と誘導に関する
政策である。
土地政策はきわめて広範多岐にわたり、しかも
国民の権利義務、利害に関する重要な問題であるから、
国民世論に基づき、
国民心理に適合したものでなければならない。
土地政策に関しては、
昭和四十四年六月に新都市計画法と地価公示法が前後して制定せられ、また昨年には
土地税制が
改正されて、かなり前進が見られるが、なおきわめて不徹底で、このままでは地価問題、
住宅問題の解決には焼け石に水
程度の効果しかない。
そこで、新都市計画法の問題点でありますが、新都市計画法は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業等に関する必要な事業を定めておるものである。同法によれば、都市計画は市街化区域及び市街化
調整区域を定めるものとしている。すなわち、市街化区域はすでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化をはかるべき区域とし、市街化
調整区域は市街化を抑制すべき区域としている。そしてそれぞれの区域について住居地域、商業地域、準工業地域または工業地域並びに住居専用地区、工業専用地区、特別工業地区、文教地区、空地地区、防火地区、美観地区、風致地区等々の地域、地区を定めるとともに、道路、都市高速
鉄道、駐車場、公園、緑地、広場、水道、電気、ガス供給施設、下水道、汚物処理場、河川、学校、病院、市場等々の都市施設を定めるものとしている。
以上は都市計画の根幹をなすものであるが、これら基本計画はもとより、
実施計画についても、それらの策定には関係各省の協力が必要であり、同法の所管庁たる建設省や都道府県知事、市町村の手に余るものである。都市計画についてはようやく市街化区域と市街化
調整区域との線引きが近く
実現されるような運びとなったが、以上のような実情からして、これが単なる線引きに終わるおそれなしとしない。これが単なる線引きにとどまる限り、
土地利用の規制の基準たるべき
土地利用計画はかけ声にすぎなくなり、
土地政策は根底からくずれることになる。
次に地価公示法の問題点についてであるが、懸案の地価公示
制度がいよいよ具体的にすべり出した。すなわち、さしあたり東京都の区部と大阪市、名古屋市、それにそれらの都市の周辺地域について、
昭和四十五年一月一日現在の正常な価格、すなわち第一回の地価公示が去る四月一日に行なわれました。
公示価格は、地価に関する最も信頼し得る、また同時に最も権威ある価格とされ、公共用地の取得に関しては、任意買収による場合と収用
委員会の裁決によって買収する強制取得による場合とを問わず、いずれも公示価格に準拠することが法律的に義務づけられ、一〇〇%公示価格が適用されることになるが、民間の
土地取引については、不動産鑑定士に評価してもらう場合に、不動産鑑定士は地価公示価格に準拠することが義務づけられているほかは、単なる目安で拘束力がない。すなわち、民間の
土地取引については、売り手も買い手も公示価格をめどにして取引を行なうよう取引慣行をつくり上げていくことにしたいとの政府の
願望を示すにとどまっておる。しかしながら、地価公示
制度はほかの
政策とうまくかみ合わせて初めて
土地政策としての威力を発揮することとなる。この
意味において、
土地税制において地価公示
制度を一〇〇%活用すべきものと
考えるが、これについての見解を聞きたいということであります。
そこで具体的に
土地税制の改革について、この地価公示
制度と結びつけて
お尋ねするわけでございますけれ
ども、国及び地方公共団体は、
土地利用の規制だけでなくて、
土地利用の誘導についても大きな責任を負っておると思います。
土地利用の誘導については、金融措置等のほか
土地税制にまつところが大きいと思います。すなわち
土地税制は
土地政策を補完する有力な手段というべきであります。しかし
土地税制を改革するにあたっては、同時に反面において金融措置等につき、きめこまかな、それこそかゆいところに手の届くようなあたたかい配慮ある手段を講じ、
土地を持っている人の意思を十分にくみ取り得るよう、
生活再建方策等についての万全の措置を講ずる必要があると思います。
ずいぶん前置きが長くなったわけでありますけれ
ども、そこで
土地税制の改革に関するわが党としての試案を申し上げるので、
総理と
大蔵大臣の見解を聞きたい。
最初に未利用地税の創設の問題であります。
土地の有効利用を促進するため市町村税たる未利用地税を創設する。すなわち、市街化区域内において、その用途地区に応じ有効に利用されていないときは、そのような未利用地の所有者に対して未利用地税を課する、こういうことを党としても決定しているわけでございますが、この未利用地税の創設について、
総理と
大蔵大臣の見解をお聞きします。