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1970-03-25 第63回国会 衆議院 大蔵委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月二十五日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 毛利 松平君    理事 上村千一郎君 理事 金子 一平君    理事 藤井 勝志君 理事 山下 元利君    理事 広瀬 秀吉君 理事 松尾 正吉君    理事 竹本 孫一君       奥田 敬和君    木部 佳昭君       佐伯 宗義君    坂元 親男君       田村  元君    高橋清一郎君       地崎宇三郎君    登坂重次郎君       丹羽 久章君    原田  憲君       福田 繁芳君    坊  秀男君       松本 十郎君    森  美秀君       吉田 重延君    阿部 助哉君       平林  剛君    堀  昌雄君       貝沼 次郎君    二見 伸明君       春日 一幸君    小林 政子君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      荒井  勇君         外務省経済協力         局長      沢木 正男君         大蔵政務次官  中川 一郎君         大蔵大臣官房審         議官      高木 文雄君         大蔵省主計局次         長       船後 正道君         大蔵省理財局長 岩尾  一君         大蔵省証券局長 志場喜徳郎君         大蔵省銀行局長 近藤 道生君         大蔵省国際金融         局長      奥村 輝之君         通商産業省公益         事業局長    馬場 一也君  委員外出席者         大蔵省理財局資         金課長     田中  敬君         日本開発銀行総         裁       石原 周夫君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 三月二十五日  理事永末英一君同日理事辞任につき、その補欠  として竹本孫一君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣  提出第四一号)  造幣局特別会計法の一部を改正する法律案(内  閣提出第四二号)  利率等表示年利建て移行に関する法律案  (内閣提出第二二号)(参議院送付)  経済及び技術協力のため必要な物品外国政府  等に対する譲与等に関する法律の一部を改正す  る法律案内閣提出第三六号)  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に  伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第四〇号)      ————◇—————
  2. 毛利松平

    毛利委員長 これより会議を開きます。  理事辞任の件についておはかりいたします。  すなわち、理事永末英一君より辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 毛利松平

    毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。  引き続き、理事補欠選任を行ないますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 毛利松平

    毛利委員長 御異議なしと認めます。それでは、竹本孫一君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  5. 毛利松平

    毛利委員長 日本開発銀行法の一部を改正する法律案造幣局特別会計法の一部を改正する法律案利率等表示年利建て移行に関する法律案の各案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
  6. 堀昌雄

    堀委員 最初政務次官にお伺いをいたしますが、日本経済というのは現在どういう状態にあるとお考えになりますか。
  7. 中川一郎

    中川政府委員 非常にむずかしいというか高度な御質問で面くらうわけでありますが、御承知のように、日本経済は戦後何にもなかったところから非常な充実がはかられてまいりまして、最近においては過熱というか、あまりにも伸び過ぎるというところにきておると、一口で言えば言えると思います。そこで、大きくなった喜びはありますけれども、大きくなっただけに、それぞれ大きな問題がいろいろな面で出てきておる。そういった面を手直しをして、過熱による被害がないようにしなければならぬということが、一口で言えば言える日本経済状況ではないかというふうに思います。
  8. 堀昌雄

    堀委員 おっしゃったこと、そのとおりでありますし、日本経済というのはいまお話にありましたように、戦後の荒廃から立ち直って、今日では、戦前はもちろんのこと、現在の資本主義社会においては、工業生産その他においてはアメリカに次いで二番目だというたいへんな発展を遂げておるということは、国民ひとしくこれを認めるところだと思います。そうすると、実は経済再建を必要とするかという問題が一つ出てくるのですが、私はもう今日、経済再建を何らかの目的とするような問題はすでに過去のものになってきておる、こう判断をしますが、政務次官どうでしょうか。
  9. 中川一郎

    中川政府委員 私も経済再建というのはもう終わったのではないか、逆に経済再建のスピードがあまり出過ぎておるのを、いかにしてこれを調整をするかという段階に来ておろうかと思います。
  10. 堀昌雄

    堀委員 きょうは開発銀行法の一部改正について論議を進めるわけでありますが、御承知のように、開発銀行というのは昭和二十六年に開発銀行法が制定されまして、その第一条の目的のところに「日本開発銀行は、長期資金供給を行うことにより経済再建及び産業開発を促進するため、一般の金融機関が行う金融を補完し、又は奨励することを目的とする。」こういうふうに第一条に書かれているわけです。昭和二十六年には私は開発銀行の設立の目的がまさにこのとおりであったと思いますけれども、昭和四十五年の今日、もちろん産業開発というものは、これは国の続く限り当然産業開発という問題はあろうと思いますが、まず前段経済再建という問題は、いま政務次官お話しのように、私ももはや終わったと思うのですね。そこで私は、開発銀行というものが、ここで定められた目的とそれに伴うところの業務範囲の問題というものとがおのずからあるわけですけれども、このような日本経済発展の過程につれて当然目的も変更をされなければならないと思うし、同時に、当初考えられた経済再建産業開発というものがそのときの日本国民生活に与えておる比重と、今日の、もう経済再建はなくなりましたけれども、産業開発というものが今日時点で国民生活に占める比重は、昭和二十六年当時とはおのずから相当な相違がある、発展段階相違に応じて相違がある、こういう判断でありますが、政務次官はいかがでしょう。
  11. 中川一郎

    中川政府委員 お説のとおりだと思います。昭和二十六年ころの経済状況は、あのころは何といっても戦後の復興ということで、国の力は全部そちらに入っていた時代であります。今日は、いまおっしゃるように、どちらかというと復興というよりは手直しをしなければいかぬ。手直しをしなければいかぬのでありますけれども、やはり産業成長なりあるいは開発ということは均衡ある形で進めてまいらなければなりません。したがって、開発銀行の使命も、復興というところよりも、やはり健全な日本産業成長なり開発というふうに変わってこなければならないものだというふうに承知をいたしております。
  12. 堀昌雄

    堀委員 実は昭和二十六年当時における日本産業開発というものは、これはもう当然産業開発でありますが、私は、単に産業開発だけではなくて、経済再建産業開発が結びついていたと思います。ところが今日の段階になりますと、もちろん私も前段で触れたように、産業開発というものは、これは国家の発展の途上においては常に必要ではありますが、国として必要としておる程度においては、私は昭和二十六年当時に比べて産業開発という比重もおのずから変わってきていいのではないか、開発あり方が実は変わってきておっていいのではないか、こういうふうに感じておるわけであります。  そこで、まずこの問題について、少し法律範囲について触れていきたいと思うのでありますけれども、この開発銀行業務範囲について、ちょっとひとつ総裁からお答えをいただきたいと思います。
  13. 石原周夫

    石原説明員 私どものやっております業務範囲ということに相なりますと、どういうような融資をやっておるかということでございましょうか。
  14. 堀昌雄

    堀委員 規約、定款その他、そういうものに定めておる業務範囲という意味であります。
  15. 石原周夫

    石原説明員 開発銀行法第十八条にございまするが、第一条に掲げる目的、先ほどお読みいただいたわけでありますが、その「目的を達成するため、左の業務を行う。」一が「経済再建及び産業開発に寄与する設備取得改良若しくは補修」これに必要な資金、これに数年前でありますが「土地造成」ということを加えたのであります。これが性格から申せば運転資金の形になるわけでありますが、これだけを加えていま申し上げましたような設備資金融資に当たる、こういうことであります。  第二項は、この「資金の調達のために発行される社債証券業者等が応募又は引受をすることが困難なものに応募する」。これは本行出発以来いまだかつて使用したことがない条文であります。  第三番目は、「銀行その他の金融機関貸付に係る開発資金返済に必要な資金を貸し付け、若しくは返済資金を調達するために発行される社債」「又は銀行その他の金融機関開発資金貸付に係る債権の全部若しくは一部を譲り受ける」、この後段のはいわゆるリファイナンスということでありまして、もう十年ほど前になりますか、肥料につきましてこの条文を適用したケースがあるだけで、それ以後はありません。  四番目は、「開発資金に係る債務保証すること。但し、その保証に係る債務履行期限は、その債務保証」云々と書いてございますが、これは現在御承知のように航空機、電力その他につきまして、約二千二、三百億円に達します保証をいたしております。  大体以上のようなことでございます。
  16. 堀昌雄

    堀委員 そこで今度は、業務範囲も第一条の目的を受けておりますから、いまのように本来的には経済再建または産業開発に寄与する設備取得改良補修。ですから、設備投資に対して資金供給しましょうというのが開発銀行をつくったときの主たる目的であったのですね。その後の設備投資は、土地造成して、その土地の上に設備投資をしなければならぬという問題も含んできたものだから、おそらく「土地造成に必要な資金」ということがこれに加えられてきた、こう思うわけであります。  そこで、それでは今日開発銀行国民的視野から求められておる命題は一体何だろうか、こう考えてみますと、これはすでに開発銀行でも手をつけておられると思いますが、基本的に、これまでの基幹産業に対する協力といいますか、エネルギーであるとかあるいは海運であるとか、そういうものに対する協力をなさることは、ひいては国民生活全体の基盤をなすものでありますから、これはもちろんそのままでいいわけでありますけれども、新たに都市開発とか地方開発、あるいは公害関連に対する融資というような、当然いまの経済高度成長に伴って起きておるひずみ、さっき政務次官もちょっとお触れになりました行き過ぎについてのひずみを正すということも、これはいま国民的視野から見てきわめて重要な課題になってきておると思うのですね。ですから、本来なら今日、昭和二十六年につくられた開発銀行法はこの際再検討を必要とするのではないか。銀行そのものをどうするという問題はまた別途の問題でありますけれども、少なくとも現存する開発銀行がこれから、いまの国民的視野において、国民の求める産業関連開発なり、あるいは産業関連だけではなくて、もちろん広義には大体あらゆるものが産業に関連するでありましょうけれども、産業そのものに関連するものではないが、もう少し国民の要望にこたえるといいますか、そういうための運用をされる必要があるのではないのか、こう考えるわけですね。なぜ私がそう考えるかといいますと、開発銀行というのは全額政府出資であります。同時に、その資金のもとはすべてが財政資金、こういうことになっているわけですね。  そこで、理財局長にまず最初にお伺いをしたいのは、本来財政資金というものはどういうために使用するのが最も望ましいのかということについて、財政資金運用心がまえといいますか、伺っておきたいと思います。
  17. 岩尾一

    岩尾政府委員 財政資金運用心がまえということでございますから、財政投融資計画基本方針といったようなことでもいいのではないかと思うのですが、われわれの考えておりますのは、予算は資源の完全なる配分である、それから財政資金というのは国民からお預かりをしておる金でございますので、収益性という点を無視することはできない。やはり有利、確実に運用をしなければならない。しかし財政資金でございますから、国全体のためになるように、国民全体のためになるように、公共的に使うということが必要である。この二つの点をどういうふうに勘案をして、融合さしていくかということによって、財政計画というものが非常にうまくいっているかどうかということを判断できるのではないか、そういうふうに考えます。
  18. 堀昌雄

    堀委員 いま理財局長の答弁にありますように、確かに財政資金というものはいろいろな形で、あるいは郵便貯金のような形で、簡易保険のような形で、あるいは国民年金なり厚生年金なり、国民が実は負担をして、あるいは国に預け、あるいは国にたくわえておるといいますか、そういう原資でありますから、当然まず有利、確実であるということが一つ条件になりますが、同時にそれは公共的であり、国民全体のためになるということが、私は非常に重要な一つの柱だと思っておるわけです。  そこで、いまの開発銀行というものが少なくとも財政資金を使って各種の融資をするということになるならば、いま理財局長が答えられた、特に国民全体のためになるものということは、開発銀行融資の場合には欠くべからざる一つの原則ではないのか、私はこういうふうに考えるわけでありますが、総裁いかがでありましょうか。
  19. 石原周夫

    石原説明員 まことに政府側お答えのとおりであると存じます。また先ほどお話もございましたように、電力海運というような基本的なものでなくても、たとえば最近起こっております社会開発の問題であるとか、あるいは新規産業の問題であるとか、あるいは開放経済に備えますための産業融資の問題であるとか、こういうものは、各個の場合におきましては個々産業の立場が当然ございますので、これが広く国益という見地から見て合理的だと考えられるものに当然考えられるべきものだというように思っております。
  20. 堀昌雄

    堀委員 そこで、いまおっしゃったいろいろなものが確かに関係はあります。関係がありますが、その関係あり方は、国民全体に役に立つものと、なるほど国益というような表現では確かに関係があるけれども、最終的にはそのことはどこかで国益につながるとしても、やや基盤が特定のものに限られるもの、要するに国民全体のためになるという程度においては個々産業の中にも順位がある、私はこういうふうな感じがするわけです。  私がさっき最初に触れましたように、当初の経済再建段階においては、鉄鋼業のようなものは当然基幹産業の重要な一部でありますから、確かにこれは非常に重要でありました。しかし今日ここまで来ますと、鉄鋼業というものはほぼ再建段階を越えて、いままさにアメリカに近づこうとする生産力を持つところまで来ておる。なるほど鉄鋼製品はわれわれ国民の家庭の中に非常に入っておりますから、その点では必要でありますけれども、しかしいろいろな条件から見て、もうかつての経済再建段階における順位からすれば、これはかなり下に下がるべきものであろうと思います。  海運の問題を考えてみると、日本はこういう島国でありますから、日本経済的発展というものは何としても輸出、輸入によらなければなりません。特に原料を運んできて加工して輸出をするということによって、日本経済的諸条件発展を約束されておる以上は、これまた海運問題というのも言うならば産業基盤一つの大きなものでありますから、やはりこれは国民全体に結びつきが非常に大きい、こう考えるわけであります。  電力の問題も、今日われわれの生活電力を度外視してもう個人の生活を考えることはできない。今日では確かにエネルギー源として一番重要なのは電力ではないのか。もちろん石油なり揮発油なりも重要ではありますけれども、個々国民生活にとっては何といってもエネルギー源として重要な比重電力ではないのか。もし今日電力がとまるようなことがあったら、都市文化生活というものはたちどころに停止しかねないというきわめて重大な基盤を持つ産業であります。  私がいまここまで話を進めてきましたのは、いま開発銀行融資をしておられるものの中におけるあるべき方向に向かっての、私がその前に問題を提起しております産業公害とか都市開発とか地域開発、こういうものに対する比重と、やや質の異なっておるものに対する比重が高過ぎるようなものがあるという点について、少し問題を広げていきたいと考えておるからであります。  まず最初に承っておきたいのは、昭和四十四年度に、実は当初の貸し付け計画に対して二百三十五億円の追加貸し出しをしておられますね。この二百三十五億円の追加貸し出しの中身をちょっと伺いたい。
  21. 石原周夫

    石原説明員 二百三十六億のうち、(堀委員「二百三十六億円ですか」と呼ぶ)九十億円が日本電算機株式会社、いわゆる電算機レンタル融資であります。六十一億が海運関係、四十億が大都市開発関係資金、これは主として都市交通と申しますか、都市乗り入れ、あるいは立体交差安全装置、そういう関係、残るものがその他になります。合計二百三十六億になります。
  22. 堀昌雄

    堀委員 そうしますと、いまの日本電算機株式会社に対する貸し出しは、昭和四十四年度においては当初の九十億円に対してさらに九十億円、百八十億円の財政資金をもって充てたということになるわけでありますね。いかがでありますか、ちょっとお答えをいただきたい。
  23. 石原周夫

    石原説明員 さようでございます。
  24. 堀昌雄

    堀委員 私は、いま日本経済の中に占める電子計算機の問題を過小評価するものではありません。今後のいろいろな情報の問題を含めて、産業の合理化なり、いろいろな問題に電子計算機が役立つ比重というものは非常に大きなものがある、実はこう考えているわけであります。ただここで、私がずっと一連の形で伺ってきた現在の業務方法書業務範囲は、さっき総裁がお読みになったようなことになっているわけです。一体これと日本電子計算機株式会社に対する融資は、どういう法律的関係融資を行なうことができるのかという点を、ちょっと伺いたいと思います。
  25. 石原周夫

    石原説明員 先ほどお読みいたしましたように、平たく申しますと設備資金融資になるわけであります。日本電子計算機株式会社電算機をつくっておりますメーカーでございます。そして設備としてそれを取得をいたすわけであります。したがいまして、その取得をいたしたものに対する融資をいたすわけでございまして、その取得をいたしました上で、日本電子計算機株式会社がそれをレンタルとして他の使用者に出す、こういう関係でございますから、産業設備でありまする電算機そのものに対する融資をわれわれがやる、こういうことであります。
  26. 堀昌雄

    堀委員 設備というものは、本来その企業がその企業独自でその企業目的のために使用するものが設備であって、要するに日本電子計算機株式会社設備というのは、私はその建物と事務用機械設備であると思うのです。明らかにこれは当初からレンタル目的として、要するに六つの電算機メーカー出資をして、そうして一つのリースの会社をここに設立したと同じような、こういうのが私は日本電子計算機株式会社だ、こういうふうに理解をしておるわけです。ですから、まずその点で、設備というものの概念は少しきらんとしておかなければならないと思うのです。設備というのは縦から見ても横から見ても、ある企業設備は、その企業がその企業目的のために使用するものを設備というのですから、もちろん多少動きがあってもかまいませんけれども、本来他の産業に貸し出すための物品は、これは物品であって設備ではない、こういう判断ですが、これは銀行局はどう考えますか。いまの設備に対するやや法律的見解。  きょうは法制局は入っておりませんけれども、呼んでもらいたいと思います。
  27. 近藤道生

    近藤政府委員 ただいま御指摘の点、たいへん苦しい御返答になりますが、固定資産勘定に一応計上をいたすことになりますので、広い意味での設備であろうかというふうに考えております。なお、法制局等とも連絡をいたしまして詰めていきたいと考えております。
  28. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、日本電算機株式会社はこの巨額の、いま各企業に貸し付けておるものを全部自己の固定資産と見ておるわけですか。それではばく大な減価償却があるということになりますね。これは税に関係がありますね。やはり主税も呼んでもらいましょう。  その点はあと法制局が入り、主税局が入りましてから議論をいたしますが、私はたいへんむずかしいことを聞いているようでありますけれども、むずかしいことを聞いておるということは、まず法律的にもやや問題があるし、同時に、一体いまの電子計算機レンタルにしなければならないという理由はどこにあるかといえば、これはIBMとの対抗上の問題としてあるだけであって、何も本来はレンタルにしないで、企業が買い取って差しつかえないものであります。それを財政資金をもってレンタルにしなければならぬということは、先ほど私の申し上げた国民全体のためになるという財政資金運用上の問題に関係がある、実はこういうふうに考えております。  それで、もう一つ問題は、昭和四十四年度の電力に対する開発銀行融資は幾らであるかお伺いします。
  29. 岩尾一

    岩尾政府委員 電力関係は、原子力発電と、それから重電機の延べ払い等も含めまして二百十五億と承知しております。
  30. 堀昌雄

    堀委員 あとで少し電力の問題はこまかく聞きますけれども、私は、電力が今日置かれておる情勢というものは、特に昭和四十六、七、八年あたりは予備力が不足してくるために、異常なピンチに見舞われるおそれがあるのではないか、実はこういう判断をしております。  通産省公益事業局長にお伺いしますが、通産省側見通しですね。新聞が伝えておるところでは、四十六年以降かなり電力需給は危険な状態になるというふうに伝えておりますが、その点について設備投資関係を含めて答えていただきたいと思います。
  31. 馬場一也

    馬場(一)政府委員 新聞等に報ぜられておりますが、電力需給を考えますときに、大体常識的に、従来の通例といたしまして、一応その年における需要見通しを行ないます。その需要見通しに対しまして、こういう基幹的なものでございますから、それに対して一定の予備力と申しますか、供給予備力を持つということでやっておるわけでございます。どのくらいの予備力が適正であるかということにつきましてはいろいろ議論がございますけれども、大体いままでの通例では、予想される需要に対して七%程度予備力を持つ。これは、たとえば非常に大型の発電ユニットがにわかに故障いたしますというような非常の場合がございます。それからまた異常な渇水でございますとか、というような事態があった場合、つまり供給力のほうにかなり思わざる問題が出てきた場合に備える予備力、それからもう一つは、需要見通しを行ないますが、これがその年の経済の動向等によってかなり変動いたしましたときに、つまり需要の思わざる伸びに備える予備力と、これは二つの動きます要素がございます。これに対して七%程度予備力を持つというのがいままでの考え方でございます。  それで、先生仰せになりましたように、四十五年、本年度、それから四十六年度、四十七年度あたりは、その七%という適正と考えられる予備力に対しましてかなり下回るという状況になっておりまして、一応いまつくっております四十五年の九電力供給計画によりますと、本年度の八月、一番ピークの出る月でございますが、このときにおきまして、大体全国を総合いたしまして四%弱ぐらいの予備力というような供給計画に相なっておりまして、この傾向は四十六年、四十七年あたりまで続かざるを得ないのではないか。われわれといたしましては、できるだけ七%台の予備力に戻しますために、ここ四十五年、四十六年あたりの間に、いままでよりは急ピッチの電源開発を行なう必要がある、かように考えておるわけでございます。
  32. 堀昌雄

    堀委員 いまのお答えに関連してちょっと伺っておきたいのですが、これまで皆さんの需要見通しを立てたものと実際の需要関係ですね。これは、いまの問題は、予備力というものは、もし需要見通しがそのままであるならば予備力に残ります。しかし、もし需要見通しを上回った需要が行なわれたとすれば予備力がなくなるわけですから、もし予備力がゼロになったときには、これは実は停電ですね。そういうことになるわけです。だから、過去における三カ年くらいの、皆さんのほうの当初の需要見通し需要の実績はどういうぐあいだったのかをちょっと答えてください。
  33. 馬場一也

    馬場(一)政府委員 昭和四十四年度についてみますと、いまここに的確な数字は持っておりませんが、いわゆる当初に見通しました需要よりは実績はかなり上回っておりまして、したがいまして、それだけ予備力関係も窮屈になる、こういう実情にございます。それで、需要見通しに比べまして実績が上回りますのは、いろいろ国民経済なりの伸びがいわゆる当初の見通しを上回ったということが一番大きな原因かと存じております。
  34. 堀昌雄

    堀委員 私は何も特別に今後に危険があるということを強調する意思はないのですけれども、これからの時期にもし電力がとまるということになりますと、都市生活でひとつ考えてみますと、大体最近は高層建築物に居住をしておる人が非常に多いわけでありますから、便所に行っても水洗便所が働かないという問題が直ちに来ますね。まっ暗になる。それからあらゆる家庭内の電気設備は全部動かなくなる。情報もなければ何もないという段階にまずなってまいりますし、外に出れば、自動車に乗って通うことはできるけれども、おそらく私は、各種の生活なり産業に停電のもたらす影響というものは、戦後にしばしば停電しましたけれども、あのような程度の問題ではない。たいへんなおそるべき事態が起こるだろう。これはすでにニューヨークでこの前実験済みなんですね。緊急な停電が大都市で起こるとどういう被害が起こるかというと、たいへんなおそろしいことが起こる。  ですから、私は少なくともいまの経済及び生活の実態から見て、電力需給というものは非常に重要なものだと考えておりますが、これは単に金の問題だけでは実は片づかない要素がたくさんあるわけです。発電所をつくろうと思っても、御承知のような公害問題で、なかなか資金をつけても発電所が必ずしもできてこない、こういうことが現実の問題としてあります。しかしここまで追い詰められてくると、何はともあれ設備資金を十分に供給をして、いまの電力が一応求めている設備投資をやらせる以外には私は道はないのじゃないか、こう考えているわけです。おそらく政務次官も私の考えに御賛成をいただけると思いますが、そうなったときに、一体それでは電力資金需給関係はどうかというと、この前新聞で見ておりますと、通産大臣が、本年度の電力資金需給については六百億ないし八百億資金不足のようであるということを話されているのが新聞に発表されているわけです。  そこで、ひとつこれは通産省のどなたでもいいのですが、一体、現在皆さんが考えている電力設備投資に対する六百億ないし八百億資金が足らないという問題はどうしたら解決ができるのか、通産省側は一体どういうふうにこれを考えているのか、最初にお伺いをいたしたい。
  35. 馬場一也

    馬場(一)政府委員 ただいま先生仰せになりました六百億ないし八百億と申しますのは、四十五年度の九電力のいわゆる設備資金需要、これをいわゆるわれわれのほうでヒヤリングをいたしまして、これに対する各電力会社の考えております調達計画、自己資金がどのくらい充当できるか、あるいは外部からの調達にどのくらい依存するかという調達計画がございます、これらを通産省のほうでいわゆるマクロ的に検討いたしまして、設備資金需要そのものにも、合計いたしますと七千六百億円というのが積み上げでございますけれども、若干は調整ができるのではなかろうかという見方もございます。また九電力の考えております自己資金の見方につきましても、もう少しくふうができるのではなかろうかという考え方もございます。また、外部資金社債その他の調達計画につきましては、現在の見通しに立っていろいろ努力を各社もし、かつそれぞれの金融当局にも御努力を願うというようなこと、われわれのほうでこのくらいではなかろうかということをいまの時点で考えましたときに、ただいま申しました六百億ないし八百億というのがこれからの問題であるというふうに考えている数字というふうに御了解を願いたいと思います。
  36. 堀昌雄

    堀委員 ちょっとラフにしても、六百億と八百億というのは二百億の誤差があるのですね。この二百億というのは何でしょうか。
  37. 馬場一也

    馬場(一)政府委員 六百億ないし八百億というのは非常に荒い考え方でございますけれども、そういうようにして、自己資金の見方あるいは外からどのくらい調達できるだろうかというようなことをざっと試算をいたしてみますと、約八百億くらいという残が出てくるわけでございますが、これに対しましては、非常にこれもいろいろの問題点があろうかと思いますけれども、たとえば外債、インパクトローンというようなものも取り入れるというような手ということも考えられるのではなかろうかというような調達計画、各社の当初の調達計画にございませんその他の手段というのがもしできれば、たとえばもう二百億ぐらいというのは何とかなるのではなかろうかということで六百億ないし八百億、こう申し上げているわけでございます。
  38. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、いま御承知のように、わが国は外貨が非常に多くなって、あまり急激に外貨がふえるのはどうも他国を刺激してよろしくない、そういうときに、国内的に重要産業ではあるけれども、インパクトローンをとるとか、外資をとるというのは、私はいま時期的には、日本の置かれている経済諸環境から見て必ずしも適切でない。そうすると、これは私は一応国内資金でまかなうのが当然じゃないかと第一点考えるわけです。  もう一つは、この前アメリカの輸銀の総裁日本に参りまして、アメリカとしては輸銀資金が非常に枯渇をしているから、日本向けの輸銀融資昭和四十五年度以降はやめたいという意思表示が実はされているわけですね。そこで私はちょっと九電力のほうで調べてみると、現在九電力が出している四百七十四億という延べ払いの中で、百六十三億アメリカの輸銀の延べ払いが実は入っている。かれこれすると、いま通産省が言っておられる八百億というのをかりに資金不足と見るならば、延べ払いの四百七十四億と予定をしておる中の米輸銀分の百六十三億も、おそらくいまのアメリカの情勢では輸銀で借りられないから市中銀行で借りるなどということは、タイトなアメリカ金融情勢から見て困難だと思いますから、当然これも国内資金でまかなわなければならない。ということになると、概算で一千億近い資金需要が、通産省のいまの見通しにいまの新しいアメリカの輸銀の問題を加えると出てくるのではないか。こうなったときに、実はそれだけ必要としておる資金が、特に国民生活に最も重要な財政資金を使うことに適当しておる産業、その産業に四十五年には一体幾ら使われているか、こういうことが私は一つの重要な問題ではないかと思います。四十五年の電力向け開銀融資は一体幾らくらいでありましょうか。
  39. 石原周夫

    石原説明員 開銀の電力に対しまする融資は三本ございます。一つは原子力関係でありまして、これが百四億。石炭の火力がまだ残っておりますので、これに融資を続けますのが三十四億。そのほかに従来電力ワタということで考えておりました重電機延べ払い、これが七十七億ございますから、合計いたしますと二百十五億という数字に相なります。
  40. 堀昌雄

    堀委員 いまお話しのように、電力にまいりますものは二百十五億。そして四十四年度の日本電子計算機は百八十億で、四十五年度は百五十億ですね。どうも私は開発銀行法が定めておる方向、あるいはいまずっとここまで論議を進めてまいりました、要するに財政資金をもって開発銀行融資をするという本来のたてまえからくるところの重要度の序列、こういう観点から見て、どちらが多くてどちらが少ないという相対的な問題もありますけれども、私はこういう際でありますから、日本としてはいま金融引き締め、いろいろな処置をしておる際でもありますしするから、開発銀行として電力融資の問題については再検討する必要があるのではないか、こう考えておるわけであります。  そこで、電力でもうちょっと伺っておきたいのですが、実は産構審の電力に対する当初見通しと、それから四十四年度の推定実績とを比較してみますと、実は計画とそれから推定実績との間にかなりな乖離があります。これは私のほうから申し上げますけれども、要するに総必要資金は計画では六千二百四十五億でありましたけれども、四十四年の推定実績では六千五十六億、約二百億実は資金の必要がなくなっております。内部留保のほうは、さっきかなりここで弾力があるようなお話でしたが、当初の計画は三千二百八十七億、いまの推定実績が三千三百八十七億でありますから、ここでは百億程度の誤差です。増資は四百十四億を予定していたけれども三百二十五億、ここも約九十億くらいの誤差があります。社債の手取りは当初千四百六十一億を予定していたけれども実積は千百九十五億ということでありますから、ここでは約二百六十億程度の誤差があります。借り入れ金は一千八十三億が九百四十六億ですから、これは百四十億くらいここで誤差がある。もちろん計画と実績ですから誤差があるのは当然なんでありますけれども、いずれも実は計画に対して実績は下回っておるわけですね。  そうすると、四十四年度はこれで済んだと思うのですが、四十五年度が、このように資金計画を立てたけれどもそれに実績が伴わないとすれば、工事がそれだけおくれるということになるのじゃないだろうか。それは資金需要が必要がなくなった、要するに発電所を建てたいけれども建てられないということから起こる資金需要の減で資金のいまの計画が変わってきたというのなら問題はありません。しかしそうではなくて、資金側に供給力がないために、資金供給力の結果、当初のように計画どおり設備投資をすることができなかったということであるならば、これは私はやはり問題がある、こう思っておるわけです。いま私の触れました四十四年度のこのような各項目別の誤差の問題、これはいま私が前段で言ったような、必要がなかったから資金が要らなかったというのか、実は必要はあったけれども資金供給側として供給能力がなかったということなのか、ちょっといま私が触れたような調達先別、社債、増資それから借り入れ金、こういう個々の問題についてお答えをいただきたいと思います。
  41. 馬場一也

    馬場(一)政府委員 四十四年度の当初の計画といわゆる実績との乖離につきまして、一つ一つのアイテムについてこれがどうなったかという数字はいま手元に持っておりませんが、先生仰せになりましたように、当初の資金計画、設備投資計画と申しますか、六千二百億何がしに対しまして六千五十六億という実績でございます。これは一つ一つ当たりますと、九電力の総計でございますからいろいろなことはあろうかと思いますが、大観して申しますならば、資金がついていかなくてやむを得ず工事が延びたというケースではなくて、むしろ工事はやるべくして計画をしておるけれども、先ほど先生ちょっとお触れになりましたように、いろいろ発電所を建てるにつきまして地元との了解といいますか、そういう話し合いがおくれたことに伴いまして工事の着手が延びる、あるいは四十四年度中にそれが実行できないということによる計画の繰り延べと申しますか、こういうファクターが多いのではなかろうかと思っております。
  42. 堀昌雄

    堀委員 今度から私の質問のときには、計数を持たずに答弁してもらっては困るんですよ。いいですか。私はもうあなたも御承知のように、議論をするときに数なくして議論はしないというのは、私も商工委員会に二年もおったわけですから御承知だと思います。これから私がお呼びをしたときはきちんとした計数を御所持の上で御答弁をいただかないと、やや権威を欠くような感じがしますのでちょっと申し上げておきます。  いまのお話で、もしそれであればたいへんけっこうだと思う。けっこうなことはないけれども、しかし政策当局としていろいろ努力をしていただいた結果で、やむを得ないと思うのです。ただ、実はそれだけでも困るんですよ。そんなことを言って設備がどんどん繰り延べになっていけば、どこか停電するわけです。  まずその点については、公害問題その他のいろいろな問題がある。この公害問題のもとは何かといえば、これはともかく燃料の問題ですね。要するに低硫黄重油をどれだけ手配するのか。いま開銀のほうでも硫黄脱硫について融資をしていただいております。これもたいへんけっこうだと思っておりますけれども、そういう脱硫問題をよりひとつ合理的に、効率的に行なうという問題、あるいは原油なまだきの問題、そういういろいろな問題を通じまして、やはり公害がない、非常に少なくなるという、こういう政策を裏づけない限り、これは住民の側としては、公害の多い発電所を建てられることに賛成する住民は日本じゅうどこへ行ったってないわけですから、その点はその点として特に配慮をしていただきたいのです。  しかしそれにしても、昨年と今年の状態は、だいぶ資金需要の大きさが違いますね。特に私が調査をした範囲では、返済金も相当多額にのぼるために、ことしの資金需要というのは全体としては一兆二千三百五十八億円だというふうに九電力側は言っておるわけですね。これは純増ではありません、返済分を含めてでありますけれども、昨年が九千五百六十七億円でありますから、そうすると、少なくとも約三千億円近い資金需要を必要とするという、前年に比べてたいへん大きな資金需要状態になっておるわけです。この点は、私はいま各項目別にいろいろ問題があろうと思っておるわけですが、ちょっとこれについて、これは日銀の問題だとは思いますけれども、いま電力が考えておる借り入れ金、純増分で約千八百億円程度だ、こう判断をしておるわけですが、こういうものは、特に市中は非常に詰まっていますから、信託なり生保なりというようなところである程度の配慮をしなければ借り入れ困難だと思うのですが、ここらについては銀行局としては、金融引き締めの際ではありますけれども、事の重要性にかんがみて銀行局の所管範囲において前向きな処理をしてもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
  43. 近藤道生

    近藤政府委員 電力の高い公共性と切実な資金需要というものにつきましては、先ほど来堀先生から御指摘のありましたとおりでございまして、もしこれが十分なる設備投資ができない場合に起こってくるであろうもろもろの現象等につきましては、各金融機関とも非常に切実な感じを持ってこれを受けとめております。現在、普通銀行、長期信用銀行、それから信託銀行、生命保険、それら金融機関その他の関係者を含めまして、この問題にどう対処するか、寄り寄り協議もいたしておるわけでございまして、制度的に、この電力という業種だけをえこひいきするというような形はもちろんむずかしいわけでございますけれども、それぞれの与えられました裁量権と申しますか、金融判断範囲内におきましては、鋭意きめのこまかい配慮をいたすということで研究いたし、考えておるという実情でございます。
  44. 堀昌雄

    堀委員 証券局に伺いますが、昨年は増資予定として四百十四億円の手取りを考えていたところが、実際は三百二十五億円であった。本年は大体五百五十八億円くらい増資をしたいということのようですが、いまの証券の環境は旧ダウでも二千五百円近くになるということで、かなり好況なようでありますから、環境的には私はそうむずかしくないと思うのですが、この増資については証券局の判断はどうですか。
  45. 志場喜徳郎

    ○志場政府委員 四十四年度は、ただいま先生がお述べになりましたように発行ベースで四百十三億円の増資、手取りで三百二十五億円の増資が行なわれました。四十五年度における会社の計画は、発行ベースで七百九億円、手取りで五百五十八億円の予定でございます。ちなみに四十三年度の実績では、発行ベースで八百億円の増資、手取りで六百三十二億円を調達しております。四十五年度の増資は、時価発行等のプレミアムを含めまして約六千億円程度と私どもは見ておりますが、証券市場の状況、株式市場の状況その他を考えまして、電力に関するただいまの増資は決して困難ではない、こういうふうに考えております。
  46. 堀昌雄

    堀委員 もう一つ証券局に関係のありますのが社債でありますけれども、この間、ちょっと私、大臣との間で電力設備投資金の問題に触れたわけですが、社債のほうはどうでしょうか。これは御承知条件改定等もありますから、多少手取り額は減るという問題はあるでしょうけれども、ラウンドナンバーにおいてはそんなに大きな違いは出てこないのではないかと思いますが、このほうは社債もなかなかむずかしい段階にありますので、この間もあなたがお述べになったように、幸いにして電力債というのは個人消化が最も高い債券でもありますが、社債発行の見通しはどうでしょうか。
  47. 志場喜徳郎

    ○志場政府委員 社債は、発行ベースと手取り額でかなりの差はございますが、四十四年度の実績発行見込み額は、先ほどお述べになりましたけれども二千八十億円であったわけでございます。四十五年度の会社の計画額は三千八十億円、お述べになりましたとおりであります。  四十五年度の電力債を含めました全体の社債市場の見通しでございますが、実は金融引き締め下の影響等もございまして、起債希望額は非常に多額に達する見込みでございます。電力ももちろんそうでございますけれども、ほかの専業会社が多うございまして、ただいまのアンケートの速報によりますと約九千五百七十億円の起債希望額があるわけでございます。そのうち電力が三千八十億円ということになるわけでございますが、私どもといたしまして消化見込み額はどの程度であろうか、これは今後の金融環境の推移にも関連いたしますので、ただいまの状態でははなはだ予測困難でございますけれども、一応月平均にいたしまして四百三十億円見当、年間で五千二百億円からあるいは五千三百億円程度を予定できるかもしれない。ただいまの段階では五千二、三百億円、こういうふうに考えております。  その場合、電力にどれほど消化が期待できるであろうかという問題でございますが、私ども、三月債の起債における電力債のシェアは四五%としたわけでございます。ただ、四十四年度全体で見ますと四二%程度でありまして、四十五年度年度間を通じてみますと、四五%のシェアを電力に確保することが、希望といたしまして最低のめどといたしたいというつもりでございますが、これにもかなりの困難はあろうかと思いますけれども、そこに一応最低めどを置きますと、年間の起債額は二千三百四十億円となります。したがいまして、約七百億円程度社債における希望額の不足が生じます。で、私どもは、四十四年度におきまして電力会社の発行希望額に対しまして実績として達成いたしました率が八四・六%でございますが、それを何とか四十五年度における三千八十億円の希望額に対して八五%の達成を見たい、こう置きますとこの数字が二千六百億円と相なるのでございます。私どもシェアの面から見ますと、ただいま申しましたように二千三百四十億円程度というものは、ぎりぎりとは申しませんが、かなり困難を伴いながらもできるかとも思います。今後の関係方面の協力なり努力によりまして、何とか達成率を八五%程度、前年並み二千六百億円程度の消化ということを考えたいと思いますが、現段階ではこれ以上の消化を見込むということはとうてい困難な状態であるというふうに遺憾ながら考えております。
  48. 堀昌雄

    堀委員 大体いまの諸情勢から見て、やはり通産省が当初述べたように、全体としても少し資金需要に穴があくような感じがいたします。それを全部開銀で見ろということではありませんけれども、やはり私は事の重要性にかんがみ、必要最小限のものは——先ほどのたとえば石炭火力、これも非常に政策配慮であるあれでありますが、石炭火力などの容量は実は知れているわけですね。ですから、原子力発電も重要でありますが、これもスタートしたらぱっと出てくるということにならないと思いますし、重電機の延べ払いもありますけれども、何とか少し高能率発電力に対して何らかの処置を考える必要があるんじゃないだろうか。そのことは、私が最初からずっと述べてきた財政資金の有効にして効率ある使途として十分なものではないかという感じがしますので、まず第一点として、これは今後各民間金融機関あるいは証券会社等がいろいろな角度で努力してくれることでありましょうが、しかし、最終的にはどうも見通しがやや暗いような気持ちがしますので、開発銀行のほうにおいても、また財政当局もひとつよく協議の上で、不測の事故が起こらないような対策をぜひとつてもらいたいということを要望したいと思いますが、それについてのお答え開発銀行と財政当局から伺っておきたいと思います。
  49. 岩尾一

    岩尾政府委員 電力に対する四十五年度におきます需要の増大に対して、財政当局としてどういうふうに考えるかという御質問でございます。お話しのように、確かに国民生活に非常に大きな影響を持っておる産業でございますから、われわれといたしましても、財政資金の投与に対してできるだけ積極的に考えたいと思いますが、他方、これは国における一産業部門であり、私企業というようなものでございますから、したがって、おのずからそこには限度があると思います。私らがいま考えておりますのは、先ほど先生が御指摘になりましたような、現在の起債市場が非常に不振である、したがって、必要な社債を起債市場において調達できない、そういうところに基本的な問題があるので、やはりいまの電力会社の体質からいたしましたならば、そういった起債市場で所要の資金が獲得できるという力があることでもあり、資金の流れというものが現在の間接金融中心から直接金融に移っていけば、そういうことは可能になるわけですから、そういう方向に四十五年はできるだけ考えてみたいということが第一点でございます。  それから第二点は、それ以外にもなお、先ほど銀行局長が話しましたように、民間の金融その他についてきめのこまかい配慮をやって、必要な資金の調達に事欠かないということもやり、さらに状況非常に逼迫をいたしまして悪いということになれば財政のほうでも考えたい。その場合に、現在開銀のほうでお手当てをしていただいておる分以外に、たとえば電発がいろいろと電源開発の仕事もやっておりますし、それから離島電力その他についてはこまかい配慮を開銀等でやっていただいておることもございますので、そういった全体を考えて必要な資金を必要な部面に振り向けるという点から検討を加えていきたい、かように考えております。
  50. 石原周夫

    石原説明員 政策問題でございますので、政策当局のほうからお答えいただいたことで、私のほうからは申し上げることはございません。
  51. 堀昌雄

    堀委員 法制局の荒井部長、主税局、審議官に入っていただきましたから、さっき議論をしている過程で、実は私が一般的経済常識として考えておったことと、日本電子計算機株式会社の問題がちょっと違いがあるようなことになってきたものですからお伺いをしたいと思うのです。  まず法制局にお伺いをいたしますが、開発銀行法に書かれております十八条の「業務範囲」の中で「経済再建及び産業開発に寄与する設備(船舶及び車両を含む。)の取得改良若しくは補修補修にあっては、当該設備に価値の増加をもたらすものに限る。)又は経済再建及び産業開発に寄与する事業の用に供する土地造成(当該造成に必要な土地取得を含む。)に必要な資金(以下本項中「開発資金」という。)で銀行その他の金融機関から供給を受けることが困難なものを貸し付けること。但し、その貸付に係る貸付金の償還期限は、一年未満のものであってはならない。」こうありまして、特にこの「設備」というところには「(船舶及び車両を含む。)」と書いてあるのは、船舶と車両というのは一般的には設備として見るかどうかちょっと問題があるから、おそらくカッコ書きにしたと思うのです。  そこで、船舶と車両というのは当該企業の外に出ていく場合が多いということを含んでのことだと私は理解しているのですが、日本電子計算機株式会社というのは、ここに定款もないしするからまずいのですけれども、本来の仕組みからいいますと、これは電子計算機製造六メーカーが、IBMが御承知のように電子計算機レンタルでやっておることに対抗をして、共同で出資をして一つの株式会社をつくって、その株式会社がいまのメーカーから電算機を買い取って、その買い取ったものを今度は賃貸しをしておる、こういうことになっているわけですね。ですから、ここに書いておる設備というのは、私はその企業が使っておる設備、その企業目的のために使っておる設備そのものは設備だと思うのだけれども、本来が賃貸を目的としておる会社のその賃貸物そのものがその会社の設備であるかどうかという点については、私は経済的な常識判断では設備ではないような、要するに一種の商品といいますか、それを貸すことによって利益をあげるのですから、設備を貸して利益をあげるというのはちょっとおかしいのではないだろうが。もちろん不動産のようなものは、これは賃貸をしてもその建物そのものとしてあるわけですけれども、このように物品を貸与をしてそれによって利益をあげるというのは、私はどうも設備ではないような気がするのですが、法律的見解としては、これはやはり設備ですか。
  52. 荒井勇

    ○荒井政府委員 ただいまの日本開発銀行法十八条の業務の規定でございますけれども、それは「経済再建及び産業開発に寄与する設備取得」ということを書いておりまして、自己の直接使用に供する設備取得というふうには必ずしも書いていないということでございます。経済機構の複雑化に伴いまして、設備取得の態様についてもいろいろな態様が出てくるということが考えられるわけでございます。そういう設備をみずからの名において取得し、自己の企業資産として計上し、それを貸与することによって最終的にその設備を活用する企業が、経済再建及び産業開発を行なう、それに役立つ設備になるというので、確かに一つの具体的な、あるいはその間接的な取得形態というものであるかもしれませんが、それが、現在の複雑化している経済機構のもとにおいて、やはり日本産業のために必要だということであるならば、それはやはり文理から読みますと、十八条第一号のそういう設備取得というものには当たるのではないか。単純な経済機構という場合には、堀先生おっしゃいますように、まさにその設備を使用する企業自体が取得するというのが普通であろうと思われますけれども、その設備取得するのにも非常に巨額の資金が要る。需要産業が直らにそれを経済的対価をもって取得することはできないという場合に、一つのクッションを置いて、迂回的な取得の形態をとるということが現状において必要やむを得ないというような場合に、その中間的な段階にある企業がその所有権を取得する、そしてそれを日本経済再建及び産業開発に寄与するものとして、その有効に活用される形態というものをとるという場合に、この第一号の規定に当たらないことはないというふうに存ずるわけでございます。
  53. 堀昌雄

    堀委員 法律というものはずいぶんどうでも言い回しのできるものだと思って私も全く感心をしておるのですが、まあいいですが、常識的には、私どもはやはり設備というのは、その企業がその企業内部に置くものが設備であって、レンタル目的をもって購入してレンタルしておる、会社には何もないのだ、全部どこかに行っちゃっておるというのがその企業設備というのは、われわれの経済的常識ではちょっと判断しにくいのです。  それで、今度はちょっと税制のほうで聞きたいのですが、そうすると、それがいまの設備になっておるとすると、日本電子計算機株式会社は相当巨額の電子計算機を持っておるから、たいへんな償却が行なわれておるわけですね。そういうことですか。それは法律的には、税制上はそれを設備と見るということなら償却ができるわけですね。そういうことでしょうね。
  54. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 税法の上では、法人税法の第二条にいろいろな定義がございますけれども、その中で固定資産という定義がございます。固定資産とは何だというと、土地減価償却資産、電話加入権等というふうに規定してありまして、この減価償却資産というのは何だというのは二十四号に、建物、構築物、機械及び装置、船舶、車両云々とありまして、いまの電子計算機はやはり機械の中に入る。ご存じのように、こまかい耐用年数表等の表がございます。いまちょっと手元に持ってきておりませんけれども、電子計算機は何年と、こうきめておるわけでございますので、いまの御質問の開銀法のことはよく存じませんが、そこでどういうふうに定義するかは別にして、物理的に電子計算機がこの税法の上では明らかに機械に入る以上は、やはり償却してよろしいのではないかというふうに考えます。
  55. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、いまのリースの仕組みというのは、借り入れ企業は、賃貸料だからこれは全部損金に落ちるということですね。借り入れ企業は全部損金に落ちて、貸したほうだけは、自分の手元には何も設備がないけれども、貸しているものはみな自分のところの資産ということになって、それは全部そっち側が減価償却する、こういうことに税法上なっておるわけですね。
  56. 高木文雄

    ○高木(文)政府委員 それは、たとえばレンタカーの会社の場合にも似たようなことになっておる。自分が持っていて人に貸す。これは長期に貸す、短期に貸すということがいろいろありますから、形態はちょっと違うかもしれませんが、まさにいまおっしゃったようなケースに当たると思います。
  57. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、日本電子計算機株式会社というのは、減価償却による内部資金がかなりあるということになると思うのです。ただ、この問題を特に少し触れておきたいのは、このJECCの資金状況でありますけれども、昭和四十四年は、資金として必要な資金が一千百九十億、昭和四十五年は千八百六十億、昭和四十六年は二千八百九十億、昭和四十七年は四千三百九十億というのが、現在JECCが考えておるところの大体今後の必要資金ということになるわけですね。そこで、メーカーに引き渡します費用が千三百五十億円ですか、ですから残り、昭和四十五年度の未払い金が九百九十億円ぐらい残っている。こういう計算が現在では一応できておるわけですね。これだけで見ても、実はなかなかこのJECCの資金というものが異常に膨大なものである、この膨大なものが年々また異常に伸びていく、こうなっているわけですね。  確かに電子計算機はいまの日本経済上では非常に重要で、必要なものではありますけれども、さっきも議論をしてきたように、これは個々企業の合理化に非常に役立つ。結果としては確かに日本の全部の産業に役立つものでありますが、まず最初には、個々企業がその企業合理化のために、あるいは生産の拡大のために、本来はその企業利益に最初に役立つものですね。しかし、その結果としては、確かに国民全体に対してプラスにならないとは思いませんが、一体今後このように急激に上昇してくるものを、いまのような仕組みで財政資金で今後もずっと見ていくということが、はたして適当なのかどうなのか、これが第一点なんです。  そもそも、実は諸外国の電子計算機の推移をずっと見ておりますと、電子計算機の問題というのは、イギリスにおいてもフランスにおいても西ドイツにおいても、いずれも実はIBMになかなか対抗できないという条件に追い込まれ、多くの国は国策会社のようになって、合併して一社をもって対抗するというのが、いま西欧諸国における現状であります。私はすでにこの前、もう商工委員会で問題を提起しておるのでありますが、やはり今後の電算機問題だけは——私はかねてから競争原理の主張者でありますし、御承知のように富士、八幡の合併に反対しておる立場でありますが、電算機だけは、これはIBMという全く巨大な、グローバルな企業が、その開発能力と資金力と、その全国的なネットで、とてもこれは簡単に太刀打ちできるような条件に置かれていない。どうしても私は、少なくともこの六社ができるだけすみやかに統合する、そうしてそれが何らかの国策的な会社という形になるのならば、その時点において財政資金の問題を考えるということはまた別個にあろうかと思うのですが、現在のような、私企業がおのおの自己の利益追求に狂奔しておる中において、それの集約的なためのレンタル資金として、いまの電力に比較をしていささか巨額の資金日本電子計算機株式会社に供与されておるという点については、私は財政資金運用上について疑問があるというのが率直な私のいまの見解でありますが、それについて財政当局はどういうふうに考えるか、ちょっとお伺いしたい。
  58. 岩尾一

    岩尾政府委員 JECCの所要資金でございますが、いま先生御指摘のように、JECCが三十六年ですかにできて以来、年々非常なふえ方でございます。現在、大体国内におきます電算機全体の資金はまあ五、六千億ではないかと思いますが、そのうち半分くらいは大体外国系をもって占められる、それからあと日本の国産メーカーの製品が使われておるという状況でございます。現在も、先ほど申しましたように、若干のレンタル的なものに対しての追加をやったわけでありますけれども、これは先ほど御指摘になりましたように、メーカーからJECCが買いまして、それを貸し付ける、レンタル料がJECCに入ってくる。それから、技術の革新がありますからどんどん進んでまいりまして、古いものではだめだということでありますと、その分を貸したほうから返してもらってメーカーへ戻すということをやるわけでございます。究極的には、先ほど来御指摘のありますように、電算機メーカーというものがIBMその他によって圧倒されて、日本の国内に出ておる電算機というものがほとんど外国の製品であるという状態になってはいけないということを考えまして、まあ力のある人がその力を伸ばしていけるように、こういった形で財政的な援助を行なっておるという形でございます。こういうことをやりましたために、従来であれば非常に過当競争になりましてメーカー同士が競争をするということが省かれる。それから、いま申しましたような外国の大きなメーカーが入ってくるということに対して対応できるという体制をつくる必要がある。メーカーとしますと、すぐにつくった製品の金が入ってくるわけです。普通の製品であれば、つくりましても、未払い等によりましてなかなか金が入ってこない。したがって新しい電算機資金というものがなかなかつかない。それを助けるという意味では、私は非常に力があると思います。  今後の見通しでございますが、来年度も従来のテンポであれば千二百億くらいの資金が必要であるというふうに、私、予算のときには大体聞いておったわけでございます。しかし、いま先生おっしゃいましたような気持ちも私ありまして、これはそういう意味で考えて、大体国内のシェアが半半くらいになり、しかも各機種によりまして大型、中型、小型、それからメーカーによりまして、いわゆる併業的にやっておるメーカーもありますし、重電機もやれば軽電機もやり、かつコンピューターもやっておるものもあれば、コンピューター一本ということでやっておる会社もあるわけでございます。したがって、その辺に何らかの仕分けというものは必要ではないか。そうして、先ほど申したような意味で、ほんとうに伸ばしていくものを伸ばしていくということで財政資金というものを投入していくべきじゃないか。まあ、おっしゃいましたような合併その他も一つの考え方かと思いますけれども、私は、現在の六社があのままの形でこういった機構を通じて資金の供与を受けておるというのは、やはり変えてもらわなくてはいけない、こういうふうに考えまして、四十五年度の開銀資金につきましては、これを大体千二百億と私は記憶しておったのですが、千億に切ってもらって——千億というのは、結局百五十万円以下のような小型機種については、もうメーカーに力がついておる、自分で自己調達ができる、したがってこれはもう計画からはずしてもらうということにいたしまして、千億という計画にいたしたのであります。それに基づいて、従来のいろいろな融資比率あるいは投資の比率等を勘案いたしまして、先ほどお話ししたように百五十億というものをJECCに来年度は貸すという計画を立てたわけであります。なお今後もそういう意味で、ほんとうに役に立つような融資にいたしたいという意味合いで、対象会社の問題あるいは機種の問題等について十分検討いたしたい、こういうふうに考えております。
  59. 堀昌雄

    堀委員 私も必要でないとは思っていないのです。ただ問題は比重あり方です。順序からいきますと、いま理財局長が触れられたように、これに参加をしております企業というのは確かに能力のある企業ですね。第一、一番大きいのは富士通と日本電気でありますけれども、これらはいずれも電子計算機メーカーでもありますが、同時に通信機器のメーカーとしては、日本電信電話公社が最も大きな購入をしておるという意味でも相当大きな企業でありますから、ただ電子計算機部門だけの独立した会計によって処理される必要はない。いまの企業の問題についてみればその他の収益というものもあるわけでしょうから。ですから、各社が自己で開発して、そしてレンタルに出すというのが本来の筋道だろうと私は思うのですよ。ただ、それを合理的な処置をしたことには別に問題はありませんが、合理的な処置をしたからといって、そういう財政資金その他におんぶするというのは必ずしもノーマルな筋道ではないのであって、必要な範囲における財政資金協力を私はいけないというわけではありませんが、いまあなたも御指摘のように、おのずから限度のある問題だということで対処していただかないと、今後飛躍的にふえてくるこの資金需要を、もっぱらそういうことでまかなっていくなどという安易な考え方は、私はやはり問題があろう、こう感じますので、その点についてちょっと申し上げたのであります。  以上で電力電算機問題を終わります。
  60. 平林剛

    ○平林委員 ちょっとそれに関連して。いまの電子計算機について私も実は質問を用意しておったのであります。大体堀委員が尽くされたと思うのですが、先ほどの法制局の解釈を聞いていて、あまりにも回り回っていてどうも私にもぴったりしない。そこで、実際上の運用として開発銀行はさような解釈でやっていたのか、拡大解釈でやっていたのかという点が私はしっくりしないのです。  そこでお尋ねするのですけれども、開発銀行のいろいろな事業計画の中に、特定産業融資というのがあるわけですね。この特定産業融資の中に、電子計算機の周辺装置について、生産体制の整備に重点を置いて、昭和四十三年度にはおおよそ十一億円程度融資が行なわれていた。昭和四十四年は幾らになっているかわかりません。またことしはどういう計画になっておるのか、私の持っておる資料ではわからないのでありますけれども、一面、電子計算機の分野において昭和四十三年が八十億、四十四年が九十億、昭和四十五年が百五十億という計画のほかに、四十三年は十一億あったのですが、四十四年はやったのかやらないのか、また昭和四十五年はどういう計画になっておるのかということを聞きたいということと、こういうふうに区分けしてありますことは、さっき言いました設備資金かという点の一つの悩みといいますか、そういうものがあったのではないかなと私は受け取っておるわけですけれども、この関連性は、どういうふうな気持ちで二つに分けて融資を行なっておるわけですか。
  61. 石原周夫

    石原説明員 ただいま平林委員から御指摘のございました周辺機器と申しますのは、御承知のようにいま電算機のいわゆるハードウエアと申します機械の部分のうちで、本体の部分と出入りの関係、アウトプット、インプットと申します、その関係の、たとえば非常に早くプリントする、あるいは表示のしかたがテレビで出る、そういうような関係、あるいは電算機に入れますのに普通に書いた字で入るというような、そういう形のものが非常にふえてきつつあります。これは先ほど来お話しの電算機メーカーがおのおの本体も周辺機器もやっておるわけであります。  ただ、周辺機器につきましては相当な進歩が世界じゅうで行なわれているものでありますから、この際できるだけ、そのうちのインプットのほうは、これはたとえばAという会社でできるだけまとめてやろう、これにはもちろんほかの会社も協力をしてもらう。アウトプットはまた別の会社というふうに、周辺機器としては非常にたくさんの種類を持っているものでありますから、これを先ほど理財局長の申されたように、非常な自由競争にして過当競争に相なるよりは、むしろある程度集約した考え方でやっていこう。その場合に、その新しい設備をつくります、これは先ほど来お話しのレンタルの対象になる電算機ではございませんで、それをつくります機械があるわけです。設備があるわけです。それをわれわれが融資をいたすということに相なります。四十三年度十一億でありまして、四十四年度は実は電子工業という、これは電子工業振興法という別の法律がございまして、いろいろ電子関係の部品あたりに融資をいたしております。それをまとめて四十億というワクを持っておりまして、その中でまかなっておる。いまちょっと手元に四十四年度の現在までの数字が幾らになっておるかがありませんけれども、おおむねそれと同じ程度の金額に相なるかと存じております。
  62. 平林剛

    ○平林委員 この問題についてはもう少し研究しなければならぬ問題がありますが、同時にいまお話しになっておるように、開発銀行法法律上の定めをこえて、やや拡大的な解釈で開発銀行融資が行なわれているのは、一つには電子計算機産業が新規の産業である、かつ外国の電算機メーカーに対抗して国内の電子計算機産業を育成する必要がある、そのためには将来の情報産業の基礎になるわけだからレンタル制度をつくろうという趣旨がこれにはあると思うのです。そのことはそのこととして、一体対抗できるだろうか、いろいろな疑問が私はあると思うのです。逆に言えば、政府自体が使っている電子計算機というのは国産を使っておるのか、それともIBMを使っているのかという問題もございまして、政府自体が首尾一貫しないものを、こちらのほうでは一生懸命になって国内産業育成だということを言っておる。もともと、一たん入れた電子計算機というのはあとではなかなか切りかえがたいへんだから、初めが肝心だということで激しい競争が行なわれていることは事実でございますが、一応目的電子計算機の国内産業を育成するということに置かれての具体的な運用、こう私は見ておるわけであります。そうだとするならば、同じ開発銀行業務の中に、外国からお金を借りるような場合に融資というのをやっていますね、保証ということ。この保証を行なうという仕事が一つありまして、この保証状況を見てみますと、大体電子計算機関係保証が見られるわけであります。電子計算機だけを洗ってみますと、昭和四十年ごろが八十億円、また最近の金額はあれですけれども、数十億円保証を行なっておる。これはアメリカのそういう銀行関係との関連においての債務保証であろうと思うのですけれども、これはどう結びつくのでしょうか。これはどういうことで債務保証をやったのか。私の疑問は、どうもこれは日本から電子計算機輸出するためのあれではない。向こうから買うということになると、外国の製品を入れているのは研究開発のために必要であったからということならば、これは話はまた別になるでしょうけれども、そこに少し矛盾があるから説明をしてもらいたいと思いますが、その点はいかがですか。
  63. 石原周夫

    石原説明員 平林委員お示しのように、昭和四十三年で十一億、四十四年は十八億という金額でございます。これは先ほどお話のございましたように、日本電子計算機株式会社は非常に旺盛な資金需要がございまして、電算機の売れ行きははなはだよろしい、こういうことであります。したがいまして開発銀行あるいは市中銀行、そういうところの借り入れもやっているわけでございますが、外国の銀行から借り入れる場合に私どもが保証をいたすわけでございます。したがいまして、借り入れ金の私どもの保証、ただその借り入れ先が外国銀行である、こういうことに御了承願います。
  64. 平林剛

    ○平林委員 私の言うのは、一面において国内産業を育成するというために相当巨額の融資が行なわれる、また片方外国の製品を入れるための保証をする、こういうことには矛盾がありはしませんかということです。
  65. 石原周夫

    石原説明員 先ほどの説明が不足でありましたが、外国の製品を入れる場合の保証ではございません。日本電子計算機株式会社が外国の銀行から借金をいたします、それに対しまする債務の支払いをいたすわけでございます。したがいまして物が入るわけではございませんで、外国の銀行から借金をする。これは国内の銀行から借金をいたす、それでは不十分で外国の銀行からも借金をするということで、その場合に私どもの銀行保証をする、こういうことであります。
  66. 堀昌雄

    堀委員 ちょうど切れ目ですから、ここで私一応中断をいたしまして、午後再開後に残りの部分をやらしていただくということにいたしたいと思います。
  67. 毛利松平

    毛利委員長 午後二時から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時十六分休憩      ————◇—————    午後二時二十九分開議
  68. 毛利松平

    毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。堀昌雄君。
  69. 堀昌雄

    堀委員 引き続きお伺いをいたしますが、産業公害防止の貸し付けというのが今回五十億円認められておるようでありますけれども、これまで話をしてまいりました経緯から見ましてもちょっとこの五十億円というのは、まあ需要がないのかもしれませんけれども、公害防止ということが今日非常に重要な課題であるにしては融資額がわりに小さいように思います。あわせて今度は、産業公害に対しては少しソフトな金利で貸し出しをしたいという意向もあるやに聞いておるのでありますが、これについては一体いつごろからそういうソフトの金利の、特別金利というのですか、措置をされることになるのか。あわせて先ほどの電算の場合は、最初の九十億に対しては六六・七%増とたいへんな伸びであり、その他のものも一般的には三〇%内外主要な項目は伸びておりますが、産業公害防止貸し付けについては二五%程度の伸びしかないということで、ややこの点は不十分な感じがするわけであります。前段で触れてきましたように、これからはやはり開発銀行というものの位置づけが新しい位置づけになるのが相当と考えますので、産業公害防止については特に金利の面も配慮をした形で、さらに貸し付け資金のワクの拡大をはかるように行なうべきではないかと考えるのでありますけれども、これについての政府側の見解を承りたいと思います。
  70. 石原周夫

    石原説明員 ただいまお話がございましたように、産業公害はたいへん重要な問題でございます。私どものほうといたしましては、昭和三十五年以来産業公害融資をいたしておるわけでございますが、御承知のように昭和四十年度に公害防止事業団というものができまして、これは公害防止のために、施設ばかりでなくて、御承知のように融資もいたすようになっておるわけでございます。ただ、事業団設立当初は何ぶんにも早々なことであったものですから、だんだん地域を拡大していただきまして、現在は一般の大気汚染あるいは水質保全ということにつきましては、事業団のほうで施設も融資もやっていただいておるわけです。したがいまして、私どものほうに残っておりまする問題は重油脱硫の関係、それから海水油濁と申しまして、海の水が船の捨てた水のために濁らないというための施設をつくります関係、それから主として地盤沈下でありまするが、そのために工業用水をつくりまして地下水を掘り上げることをやめてもらうということ、それは依然として私どもの所管でございます。しかし主力は何と申しましても重油脱硫でありまして、これが昨年あたりからだんだんふえてきている。お話しのように非常に大きな金を用意すべき段階にだんだんなると思うのでありますが、現在のところでは各社の持っております重油脱硫装置を見まして、大体この程度でいくのではないかと考えております。  なお、もう一つ申し上げておきますことは、金額の内容はまだきまってないのでありまするが、四十五年度から——従来から工場移転ということにつきましては開発銀行は相当な努力をしてまいったわけであります。なかんずく公害のために移転をやむなくされる、必要となるという場合がございます。これは一般的には細密地域に違いないのでありますが、どの程度の地域からどういうような条件で出ていくものにいたすかという点は、実はこれから政策当局と御相談しなければならないのでありますが、いずれにいたしましてもそれにつきましては、従来公害には特利がついております。御承知のように最初の三年間が七%、それから三年以降が七・五ということに相なっております。それと同じような金利で、従来から工場移転には、これは基準金利で貸しておりますが、その分、すなわち公害のために工場移転をいたすというものにつきましては七分五厘で出そう。これの金額なり、あるいはどういうような条件で縛るかということにつきましては、これから政策当局と御相談をして、四十五年度以降そういうほうにもわたってまいるというふうに考えております。
  71. 堀昌雄

    堀委員 前段にも触れましたように、何と申しましてもいまの日本の公害の中で一番大きい問題は、やはり亜硫酸ガスの問題でありますし、この問題が解決をしないために実は午前にありました電力問題も非常な隘路にきた。どうしてもこの脱硫の方法も、まずやはり重油脱硫のように、もとでやりませんと、排煙脱硫などというようなことは——本来ものをどこかから取り除くときには、濃縮して取り除くというのならばわかるけれども、拡散をした中から取り除くなどということはたいへん非科学的な発想でもありますから、何とかそういう重油脱硫のようなものがより進捗をするために、開発銀行としてもひとつ格段の協力をしてもらいたいと思います。  以上で大体政策問題を終わりまして、二、三資料を要求しておきたいと思います。  と申しますのは、いま拝見しておりますいろいろな資料ではよくわかりませんけれども、開発銀行の貸し付けについてもいろいろな、石炭産業その他についての貸し付けもありましょうから、当然利子が定められた期間に入らないもの、要するに延滞利子という形になっておるものもあろうかと思います。そういうような利子が延滞をしておるものは、最近のどの時点かをとっていただいてけっこうでありますが、四十三年ぐらい、四十四年があれば四十四年でもけっこうですけれども、どういう姿にいまなっておるのか、特にその延滞をしておる業種というのは一体どういう業種であるのか、それが一つであります。  もう一つは、今度は貸し付け金のこげつきの問題でありますけれども、おそらく利子が延滞をするような場合には貸し付け金の返済についても問題が起きておろうかと思いますので、貸し付け金の返済について、それがこげついておるような状態、まあこのほうはいまでもお答えがいただけるのかもわかりませんが、一体それはどの程度あるのか、あわせてその業種は現在ではどういう業種にそういう貸し付け金のこげつきがあるのか、会計上の問題についてちょっとお伺いをいたしたいと思います。  先ほどの延滞のほうは、もし現在お答えが無理ならば、これは後ほど資料で御提出をいただければけっこうであります。
  72. 石原周夫

    石原説明員 利子の延滞につきましては、いまお話のございました資料を整えましてお届けをいたします。  元金の延滞額につきましては、四十四年九月末現在におきまして百八億八千万でございます。残高に対しまする割合から申しますると〇・八%になります。ただいま堀委員お話もございましたように、石炭の関係がこの中に含まれておるわけであります。石炭の関係がこのうち五十六億二千百万円、半分をちょっと超過をいたします。これを除きますると〇・二%になりまして、石炭産業以外は比較的延滞の割合が小さい、こういうことになります。実は石炭の閉山に伴います延滞が出てまいったわけでありまするが、それまでは大体ここ数年間五十億から六十億の間でございまして、比較的安定した額であったのでございますが、石炭がこのところ閉山の関係がございまするので、いまのような額に最近になって相なっておる、こういうことであります。
  73. 堀昌雄

    堀委員 この閉山になった石炭のこげつきというのは、事実上はちょっと回収がむずかしいのじゃないかと思うんですが、こういういまの産業政策上のある程度やむを得ざる結果起きてくるようなものは、これは何かあるルールがあるのでしょうが、ある時期を限ってやはり消却をせざるを得ないのじゃないかと思うんですけれども、その点については取り扱いはどうなるのでしょうか。
  74. 石原周夫

    石原説明員 御承知のように、石炭の融資に対しても担保をとってございます。これは鉱業財産のみならず土地もございまするし——土地も利用価値のあるものとそれほどないものとございまするから、一律には申し上げがとうございまするが、なお土地以外の担保を取っているものもございます。したがいまして、延滞額がそのまま損失になってしまうわけではございません。ただ、不動産が多いものでございまするから、処分をいたしますのに相当の時間がかかります。また急いで安く売る必要もないわけでございまするから、したがって、そこらへんはこれから合理的な期間をかけて処分をいたしてまいりたい。その上で損失をどうするかという問題が出てまいります。その場合に、御承知のように例の肩がわりの法律がございまして、政府がそのうちのある部分をしょっていただくわけでございますから、その点でどうなりますか。これは担保処分等をいたしました末の話であります。それ以後の問題につきましては、いま堀委員お話しのように、ほんとうに消却をいたすという問題もございまして、これは毎年消却のやむなきに至りましたとわれわれが考えておるものにつきまして、銀行局から一件一件検査部で審査をしていただきまして、その上で消却をいたしております。年額が、近ごろの年で大体二、三億程度に相なっておるかと思います。
  75. 堀昌雄

    堀委員 以上で私の予定をいたしておった質問を終わります。  要するに、一番初めに触れましたように、すでに昭和二十六年の法律でもありますから、いつか適当な時期に開発銀行の法を改正をして、やはりいまの時代に即応して財政資金を使うことによって、開発銀行国民経済とその生活に寄与しやすいようなたてまえに直すことが当面必要ではないか。特に今後は地域開発なり都市開発なり、いまの公害防止なり——公害防止はいまのような問題ですから、事業団があるようでありますが、ともかくいまのひずみの是正なり、そういうことのためにより積極的な項目の入ることが必要ではないかと考えますので、その点を付言をして私の質問を終わります。
  76. 毛利松平

    毛利委員長 平林君。
  77. 平林剛

    ○平林委員 大体今度の開銀の法律案の中の問題を抽出すれば、ただいままでの質問で展開された点であると思うのでありまして、したがって、私の質問はだいぶ省略されまして、少しばかり補足をしての質問になると思うのであります。  いま指摘をされました産業公害防止、これは昭和四十三年は百六十七億円の幅があったのに、四十四年になりますと四十億、四十五年は五十億というふうになりまして、非常にこのところ公害対策基本法などというものが成立をいたしまして、大いにこれから公害を防止しようというような機運が巻き起こっているときに開銀の融資額が少なくなっておるというのは、私は非常に奇異な感を実は受けたわけであります。したがって、公害防止についての積極的努力は開銀のような機関こそ行なうべきだというのにかかわらず、金額が少なくなっておる。これは一体どういう理由によるものかという点をもう一度お聞かせいただきたい。
  78. 石原周夫

    石原説明員 平林委員のお手元に差し上げております資料が、あるいはミスプリントがあるのかもしれませんが、私どもの融資実績は四十年が一番多くて十五億になります。それから、四十一年が十億、四十二年が六億、こういうふうに減ってまいりますが、先ほど申し上げましたように公害防止事業団法が昭和四十年度にできまして、大気汚染、水質保全の——最初は地域を限っておったのですが、だんだん地域を広げまして、肩がわりをされました関係で四十三年に二十二億になりまして、四十四年は現在四十億というふうになっております。四十五年が五十億という見当になっております。あるいは私どもの差し上げた資料のほうが違っておったのかもしれませんけれども、数字はそういう数字であります。  ついでにと申しましてはたいへん恐縮でございますが、午前中平林委員からお尋ねがございました周辺装置、電子計算機関係でちょっと間違った数字を申し上げたので、この機会に訂正させていただきます。四十四年度の電子工業——ちょっとついでに申し上げておきますると、周辺の装置の関係は電子工業振興法というものがございまして、これはだいぶ前からのもので、これは先ほど申し上げておりますように、そういうものの中に実は周辺装置が入っております。したがって電子工業振興法関係融資でございます。それはそれとしての特利があるわけでございます。その電子工業のワクが三十億ございまして、そのうち五億出しております。それが四十四年でございます。先ほど申し上げた数字は間違いでございます。それから四十五年度に電子工業のワクが三十五億ございまして、そのうち十億でございます。したがいまして、先ほど申し上げた数字は、電子工業振興法全体のある部分が入っておるものですから、そのためにちょっと違った数字を申し上げてたいへん失礼いたしました。
  79. 平林剛

    ○平林委員 数字についていえば、さっきお答えになった電子計算機関係、四十三年が十一億、私の資料では四十四年は七十二億になっております。その点もちょっと違う。その点、先ほどのお話ではもっと少ない金額をおっしゃったのですが、私の得た資料では七十二億になっております。これはどういうわけですか。
  80. 石原周夫

    石原説明員 先ほど申し上げました十一億と申しますのは、それは電子工業振興助成法に伴います融資額そのものであります。その中にいま申し上げた周辺装置が入っております。こういうことでございます。  それから七十二億という数字はその差し上げた資料から出ているのかと思いますけれども、ちょっとその数字は私は見当がつきませんので、いま申し上げたとおり電子工業振興法の関係は四十五年度におきまして三十五億の数字がございます。ちょっと申し上げておきますが、機械工業振興法というのがございまして、いわゆる特定機械に対する融資というものがございまして、自動車部品でありますとか油圧機械でありますとか、そういうようなものでありますが、その分を含めまして機械工業のワクという計算をいたすことがございます。しかしその場合にも数字は九十億くらいになっておるはずでありまして、七十二億という数字はどちらにもつかない数字かと思いますが、どういうことでありますか、後ほどまたよく伺いまして申し上げます。
  81. 平林剛

    ○平林委員 まあ数字のことは、あなたのほうの一九六九年四月の日本開発銀行の現況というプリントには、予定とは書いてあるが、七十二億と書いてある。予定でありますから変わったのかもしれません。  これはいいにして、産業公害の問題ですね。先ほどのお話ですと、私の得た資料は百六十七億円で、同じようにあなたのほうの予定になっておるわけでありますが、いずれにしても四十億、五十億ということで記憶いたしまして、それで議論を進めます。かりに、四十五年度五十億になりますと、開銀が受け持つべき公害防止融資の構成割合というものはどのようになっていますか。
  82. 石原周夫

    石原説明員 構成割合というと、私も実は公害防止事業団のほうがどういう予算になっておりますか承知いたしておりませんからわかりませんが、先ほど堀委員お答え申し上げましたように、私どもの担当しておりますのは、重油の脱硫の関係、海水の油濁防止の関係及び工業用水関係、その三本でございます。  なお、先ほど申し上げましたように公害のために工場を移転をするという関係を、新年度四十五年度から新たに取り上げられておるはずでありますから、それを公害の中に入れますと金額はふえますから、これは政策当局と条件その他を打ち合わせいたしておりませんので、ちょっと金額を申し上げる段階に至っておりません。
  83. 平林剛

    ○平林委員 わかりますか。
  84. 田中敬

    ○田中説明員 公害防止事業団の融資貸し付け事業の金額を申し上げます。四十四年度四十億、四十五年度予算案におきまして九十億を予定いたしております。
  85. 平林剛

    ○平林委員 そうすると、合わせておよそ百四十億円、これで大体——これはだれに聞いていいかわからぬけれども、政府の公害防止対策関係資金調達の構成は一〇〇%になる、こういうふうな判断でしょうか。
  86. 田中敬

    ○田中説明員 私の記憶では、そのほか中小公庫に公害防止関係で十五億の資金ワクを予定いたしております。大体それくらいであろうと思います。
  87. 平林剛

    ○平林委員 大気汚染なんかにつきましては昭和四十三年からやはり開銀のほうでやるという話でしたけれども、その点の実績はどうなっておりますか。
  88. 石原周夫

    石原説明員 一般の大気汚染、たとえば煙突の関係でありますとか、除じんの関係でありますとか、そういうような関係は公害防止事業団のほうでございます。重油脱硫も当然大気汚染に関係がありますけれども、私どもは重油脱硫だけに限ってやっております。一般的なものは事業団のほうでやっております。
  89. 平林剛

    ○平林委員 いずれにいたしましても産業公害防止について、やはりわれわれといたしましては基本法の関係もありますし、最近の都市問題の重要な点でもございますから、この点はきょうの委員会でも議論が集中されたということを頭にとどめていただきまして、今後の運営について何らかの形が反映できるように御努力を願いたいと思うのですが、その点をお伺いいたしまして私の質問を終わります。
  90. 近藤道生

    近藤政府委員 ただいま平林先生より仰せられました御趣旨に沿いまして、できるだけの努力をいたしたいと存じます。
  91. 平林剛

    ○平林委員 それじゃ、私は開銀はけっこうです。  次に私は、造幣局特別会計法の一部を改正する法律案に関連いたしまして若干お尋ねをいたしたいと思います。  政府の当局からいただきました補助貨幣の回収準備資金と補助貨幣の発行現在高の推移を見ますと、この制度が実施をされた昭和二十五年から昭和三十九年ごろまでは、昭和三十三年の特別期間を除きまして、補助貨幣発行現在高の対前年増と補助貨幣の回収準備金の対前年増は大体とんとん、もしくは発行現在高の微増に推移してきておるわけですね。ところが、昭和四十年になりまして準備資金増のほうが逆に発行高増を上回りまして、昭和四十四年に準備金が発行現在高を上回って今回のような法律提案になってきておることを承知しておるわけでありますけれども、昭和四十年に急激に傾向が変わってきた一番大きな理由というのは何ですか。
  92. 船後正道

    ○船後政府委員 お手元の表でもおわかりのとおり、四十年代に入りましてから補助貨幣の発行高が急増いたしておるわけであります。これは一つには百円貨のコイン化の推進ということでございまして、これは同時に一般の需要が硬貨を使う慣習がふえてまいりました。自動販売機の普及等の影響が大きな理由であろうと考えるのでありますが、最近に至りまして、このように小額通貨につきまして硬貨の発行高がふえてきております。その結果といたしまして、回収準備金を資金運用部に預託いたしまして運用いたしておりますが、利子収入もふえてきております。したがいまして、その製造経費等につきましても、利子収入でもってまかなってなお余りあるという状況にあるわけでございます。
  93. 平林剛

    ○平林委員 造幣局の事業費は大体どういう経過をたどっておりますか。
  94. 船後正道

    ○船後政府委員 やはりお手元の表にもあると思いますが、造幣局の製造経費はこの回収準備資金から繰り入れておるのがおもでございますが、これも同様に三十年代の後半、特に四十年代からふえてきておりまして、四十五年度では七十七億円を見込んでおります。これが大体三十年代の初めでございますと二十億足らずというような状況であったのでございます。
  95. 平林剛

    ○平林委員 これは資料はまたあとでもう少し詳しいのをもらわないと私も質問が続けられませんけれども、今度こういう制度を新しくやることになったのですが、補助貨幣の引きかえまたは回収のための準備として、補助貨幣の回収準備金が昭和四十五年で三千九百四十億円、補助貨幣の現在高が三千七百四十一億円でありますから、その差額百九十九億円は一般会計に繰り入れよう、こういうことになって今回の法律の改正が提案をされたわけでありますけれども、元来補助貨幣の発行現在額と同額の回収準備資金を保有しておく理由というものはあるのでしょうか。それは絶対額、それが必要であるということになるのでしょうか、この点はいかがです。
  96. 船後正道

    ○船後政府委員 補助貨幣の発行に見合いましてその収入をどうするかという、一般論といたしましては非常にむずかしい問題もあろうかと思うのでございますが、日本の制度は、御案内のとおり発行高に達するまでの準備資金を保有しておる。これはあくまでも補助貨幣の信認を維持するという趣旨に基づくものでございます。
  97. 平林剛

    ○平林委員 そういう理屈なら日本銀行の発行券というものは、昔はこの券を持ってくれば金何匁、それに相当するものを支払う、従来金本位制というようなことになっておりましたときは、それが裏づけになったわけですけれども、日銀券のほうは必ずしもそれの裏づけになるものがあるわけではないでしょう。なぜ補助貨幣だけがその現在高相当額を準備金として積み立てなければならぬということになるのですか。
  98. 船後正道

    ○船後政府委員 日銀券の場合には、日本銀行におきまして発券保証があるわけであります。これを見合いといたしまして日本銀行券が発行されておるということであります。
  99. 平林剛

    ○平林委員 もともと補助貨幣の回収準備金制度は、昭和二十五年に回収あるいは引きかえの信用保証目的として創設をされたわけでありますが、後に昭和二十八年に、資金に属する現金を特別会計における補助貨幣製造のためにも使用することができるようにしたり、たしか昭和三十二年にも若干の地金等の取り扱いについてあれしたのでありますけれども、私が疑問を提起したと同じように、実際は補助貨幣の発行現在高と同額あるいはそれに見合うものを必要としないというような理由で、将来この資金から一般会計に繰り入れようというような苦肉の策に使ったりするようなことはしない。やはりいまお答えになりましたように、これはもう発行高に見合うもので、それを越えたものだけを一般会計に繰り入れるということで貫き通しますか。
  100. 船後正道

    ○船後政府委員 先ほど来説明いたしましたような趣旨で現在の回収準備資金制度があるわけでございますから、将来といえども補助貨幣の発行現在高に見合う資金は保有するということで運用してまいります。
  101. 平林剛

    ○平林委員 それを変えることはないということをあなたからとるのはちょっとあれですけれども、そういうお答えがあったことにいたしておきましょう。  次にお尋ねをいたしますけれども、日本銀行券の発行高の推移を見ますと、昭和三十五年に大体一兆二千三百四十一億円でありましたのが、毎年のように一九%、一八%という割合で増加をいたしまして、今日では四兆八千百十三億円という数字になっておるわけであります。これに伴いまして、補助貨幣のほうも発行高の増加が見られまして、今日では三千七百四十一億円。しかも昭和三十九年度にはオリンピックの記念貨が少し製造されたことや、あるいは昭和四十二年にはいまお話しのように百円通貨のコイン化が促進をされました関係でふえてはおりますけれども、しかしその金額は最終的に三千七百四十一億円。昭和二十五年当時の三十九億円から比べますと二十年間にこれは何倍になっていますか、相当な規模に増大をした。こういうふうにそのつどそのつど、必要に応じて貨幣の製造あるいは日銀券の発行が行なわれていると思うのでありますけれども、かくのごとく流通する貨幣、日銀券が発行されておるこの事態は何を意味するかという点について、ひとつ政府当局のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  102. 近藤道生

    近藤政府委員 まず日本銀行券のほうについて私から御答弁を申し上げたいと思います。  ただいま御指摘のように昭和三十五年、一兆二千三百四十一億円でございました日本銀行券が、その後毎年一七、八%ないし一九%、まあ途中で一一%−一三%というようなこともございましたが、たいへんな勢いで伸びてきておるということはそのとおりでございます。またそれが国民総生産あるいは物価というようなものとも非常に密接な連係があるということは御指摘のとおりでございます。  そこで、この日本銀行券の発行高につきましても私どもは絶えず注目をいたしておるわけでございまして、ことに昨年の九月あたり、この日本銀行券の発行高も対前年で二〇%近いところまでのぼってきている。最近の状況を見ましても、今月に入りましてまだ大体二〇%近いというような状況できておりますので、そのような見地から予防的な引き締め措置がとられておるという状況でございます。この日本銀行券の発行高の推移につきましては、御指摘のように私どもといたしましてはたいへん注目をいたしておるわけでございます。  補助貨につきましては船後次長からお答えいたします。
  103. 船後正道

    ○船後政府委員 全体としての現金通貨がふえておる中で、特に最近補助貨の量が多いわけでございます。これは先ほど来申し上げましたような需要がふえておるという関係によるわけでありますけれども、御参考までに申し上げますと、現在現金通貨の流通高のうちの補助貨の比率でございますが、四十四年末では五・六%でございます。これは三十九年当時五・〇%でございましたのが若干上昇いたしました。しかし先進国でございますとかアメリカ、西独等をとりますと、アメリカは一〇%程度、西独は六・七%程度というような状態になっておりますので、やはりここ当分の間はわずかながらも補助貨のウエートが増加してくるのではなかろうか、かように考えております。
  104. 平林剛

    ○平林委員 日本銀行券の発行高の増加、これは政府側の型にはまった答弁で言えば、経済規模の拡大によって通貨量がふえるということで押えればそれまでの話でありますけれども、しかし日本銀行券の発行高の増加あるいは信用膨張等によりまして、実際にはこうした上昇傾向が始まる、ちょうど昭和三十何年でしたか、三十二、三年当時から、わが国の物価上昇が始まっていることは事実なんであります。そこにどういう因果があるか。これは単に通貨だけから判断はできないにいたしましても、結果的にはそういう現象があらわれている。決してこれは無関係ではあり得ないというのは銀行局長お答えになったとおりだと私は思うのであります。  同時に、物価上昇が始まるとともに貨幣の価値も下落しておる。いつも私はみんなに話をするのですが、アルミの一円貨で何が買えるか、答えられる者があったら手をあげて答えてもらいたい、こういう質問を発すると、しばらくたっても何人も答弁できない。一円では何も買えない、こういう経済であります。かつては一円玉でも相当の品物を買えた。私の小さいときは鉄砲玉というやつが六つ買えた。いまでは一円では何も買えない。日本の通価の単位である円がもはやわが国の経済国民生活の中において何も買えない、こういう実態があらわれておるわけでありまして、長期的に見れば私は円の価値、これは下落しておると思うのです。  同時に、最近の事例をとりましても、最近の経済の規模拡大、いわゆる高度成長政策に伴いまして貨幣の価値は明らかに下落をしておる。この間大蔵大臣に、インフレというのはどういうことを言うのですかとしらばくれて聞きましたところが、インフレとは貨幣価値が下落することだ、こういうお話であったわけであります。すなわち貨幣価値は明らかに下落をしておるわけであります。そうすると、いまはインフレだということになるわけでありますけれども、大蔵当局はどう考えますか。
  105. 近藤道生

    近藤政府委員 確かに、御指摘のように——インフレということばの定義をどうきめておくかによりまして非常に違ってまいる問題であろうかと思いますが、貨幣価値の下落という側面をとりますれば、広い意味のインフレということは確かに申せると思います。ただその場合に、たとえば同時に可処分所得のほうが上がってまいるというような形で、実際上の貨幣価値の下落よりも可処分所得の上昇が一般的に早いという場合に、それは特に広い意味のインフレとも呼びにくいというような立場をとる方もあろうかと思います。したがいまして、あらかじめの定義によりましていかようにも言えようかと思うのでございますが、ただ御指摘のように、最近における貨幣価値の下落がかなり顕著なものがあるという点、これは確かでございます。  それからもう一つ、その前に御指摘になりましたように、通貨の増発と物価の間に非常に密接な関係があるということも事実でございます。ただその間を律する因果関係につきましては、世界的にもまだ定説のないところでございますし、いわゆるブラックボックスと称せられる部分でございますが、ただ大体において、経験的には前年に対しまして二〇%をオーバーした場合には、これは危険信号であるということがいわれておるわけでございます。したがいまして、おっしゃいますように、ただいまかなり警戒すべき状態にあるということは事実であります。その意味で予防的な引き締めを堅持してまいるということになろうかと存じております。
  106. 平林剛

    ○平林委員 これは大臣でもおって、私の言い分に反発でもしてくれないとけんかにならない。議論もこれ以上発展しないと思うのです。ただ、政府は非常に現況をインフレと呼びたがらない。いまの経済はインフレでないかというと、それはいろいろな議論をすることができるわけであります。呼びたがらない心境はわかるのでありますが、貨幣価値の下落という面からとらえれば、私ははっきり言ってもうすでにそういう危機的状態であるということが言えると思うのであります。卸売り物価は上がっていないから、したがって国際収支は悪化していないから、インフレということなら国際収支は悪化する、こういう言い方で通ってきた時代はありますけれども、現代の経済におきましてはそういう理屈では通用しない。だからインフレでないという言い方は常識的に通用しない。特に卸売り物価につきましては、国民の側から見れば流通の段階の最終的な受け取りは、生活の面で物価水準として見るわけであります。国民生活の中においては、卸売り物価というよりは消費者物価として受け取るわけでありますから、消費者物価水準が上がっていけば、それは通貨の購買力の低下ということを意味するわけで、国の通貨価値を反映しているものと見るわけでありますから、今日のごとく物価が上がっておるというのは、私はやはりすなおに言ってインフレ的傾向、こういうみなし方をして対策を進めなければ、やはり将来を誤るおそれがあると考えておるわけであります。  いずれにしてもこうした問題につきましては、今後とも補助貨幣よりもむしろ日銀券発行という点について、こうした面からインフレを促進することのないような努力をせねばならぬと思うのでありまして、この機会に補助貨幣の現在高、発行の計画あるいは日本銀行券の発行の計画、そういうものをきめるのはどういう基準できめるべきか、こういう点について政府当局の見解を承っておきたいと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  107. 船後正道

    ○船後政府委員 補助貨は、御承知のとおり、流通いたしますときには市中需要に応じながら日銀の窓口から出ていくわけでございます。毎年度製造計画を立てるにあたりましては、このような市中需要の動向を見込んで種別に決定するわけでありまして、やや具体的に申し上げますと、一応経済成長、GNPの伸び、これと貨幣の流通高はやはりある程度の相関がございますので、そういった経済成長見通し、さらには種別に市中需要がどの程度あるか。これは先ほど申し上げましたように補助貨の場合でございますと、自動販売機等の普及の状況によりまして十円、五十円、百円というものに対する需要がある程度変わってくるわけでありますから、そういうことを考えます。日本銀行の発券高と調整をとりまして年々の製造計画を立てておる次第でございます。
  108. 近藤道生

    近藤政府委員 日本銀行券につきましては、特にあらかじめ幾ら幾らにするという計画をきっちりと立てて、それに基づいて実施をするということはいたしておりません。ただ全般の経済情勢を勘案いたしましていろいろと指導を行なう。そしてその結果非常に限度外の発行が多い場合には事後的にこれを調整するというような仕組みになっております。
  109. 平林剛

    ○平林委員 そこで私は、きょうはこれで質問は終えたいと思うのですけれども、最後に、このような貨幣価値の下落、それから物価の上昇、同時に、賃金は上がるけれども労働分配率というようなものは下がっていくというようなこと、そういうことを考えますと、国民はインフレという問題に、好むと好まざるとにかかわらず直面をしていると私は思うのです。  さて、こういう傾向について敏感に気づいてくれればいいのですけれども、大蔵省当局のお話は、そういう点についてはかなりシビアに感じておられる、また人によってはかなり深刻に考える人がいますが、経済議論というのはいろいろな角度から議論して、依然としていまの経済はむしろまだ楽観的だ、むしろ日本の円は外国との貿易においてはいまや世界最高だくらいの強気な議論が展開をされて、私どもや国民の心配にかかわらず、こうした対応策についてどうも手の打ち方といいますか、が足りない。したがって物価政策についてもあまり見るべきものがない。このままでは一体どうなるのだろうかという感じがするわけであります。国際的に見ても、物価が上がっているのは日本だけではなくて、各国それぞれ上がっていることは事実であります。したがって、最近のわが国の貿易などは対米輸出が多いだけに、アメリカにインフレ的傾向があれば輸出の伸びというのはかなりこれからも期待をされる。価格面においてもいまの一ドル三百六十円、その有利性から相当程度輸出の伸びというのは期待できるんじゃないだろうか。しかし、それは一体いいことか悪いことか、逆にいえば、そのために国際的なインフレが今度は国内にもはね返ってくるというような心配も考えておかねばなるまい。そういうことを総合的に考えてみますと、一部の人の中には、この際円の切り上げによって輸入インフレを押えるべきだという議論があるわけであります。ところが、こういう質問に対して政府は、いや、頭の中にちっともそんなことはないとか、そんなことを考えるのはナンセンスだということで片づけておりますけれども、一体大蔵当局、特に銀行局長としては、この問題についてどういう御判断を持っておるか、ひとつ聞かしてもらいたい。
  110. 近藤道生

    近藤政府委員 これは私どもの所管でもあり、国際金融局の所管でもございますが、大蔵省といたしましては、ただいまあらかじめくぎをさされましたが、この前、大臣から、円の切り上げにつきましては自分の頭の中のどのすみにも一かけらもそういう考えはないという趣旨の答弁をなされたと記憶いたしておりますが、大蔵省としてはそういう見解を持っております。
  111. 平林剛

    ○平林委員 きょうは、これ以上やってもあれですから、別な機会に譲ることにしまして、私の質問を終わります。
  112. 毛利松平

    毛利委員長 松尾正吉君。
  113. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 私は、開銀総裁並びに政務次官最初伺いたいと思います。  私どもは、いずれも、今回初めてでありまして、特に開銀関係については初めてでありますので、ひとつお答えを具体的にお願いしたいと思います。  まず私は、日本開発銀行融資あり方といいますか、運営の基本的なあり方、これについて伺いたいと思うのです。  わが国は現在目ざましい高度成長を続けておるわけですが、その反面に、放置されているいろいろな弊害、いわゆるひずみが起きております。国民生活を脅かしているという点では、もうものによっては行き詰まり状態、こういうものさえ見られるわけでありますが、この間に国としてもいろいろな国土開発計画あるいはその他の計画を立てて取り組んでまいりましたけれども、現状は行き詰まり状態、こう言える状態であります。そのために、政府としましても、今度あらためて二十年を目途とした新総合開発計画を昨年閣議決定をして、きょうも参議院の予算委員会で佐藤総理はこれに触れておりましたけれども、この新しい総合計画の発足間もなく、すでに、この計画には財政的な裏づけが明らかでないために、疑義論さえ起きている現状であります。こうした中で、未来ビジョンを踏まえた上で、今後日本開発銀行がどのような考え方を持って基本的に進んでいくのか、この運営のあり方等についてお伺いしたいと思います。
  114. 石原周夫

    石原説明員 政府のほうからお答えをいただくことかと思うのでありまするが、私どものほうで現在までいろいろな業務の変遷がございます。そのうちに、いま松尾先生御質問でございます方向がある程度出ていると思いますので、その点も含めて申し上げます。  私どもの開発銀行は、かつては電力あるいは海運、鉄鋼、石炭というような、いわゆる基幹産業に非常なウエートを置いておった時代がございまして、毎年度の貸し付け計画のうちの八割、はなはだしいときには九割近い金を基幹産業につぎ込んだ時代がございます。しかし、だんだんその時代が過ぎまして、産業政策もいわゆる高度化という段階に入りました。特定機械でありますとかあるいは石油化学でありますとか、そういうような、産業融資の中でも基幹産業よりももう一つ高いと申しまするか、そういうようなものに融資の重点がだんだん変わってきた。  最近になりまして、いま松尾委員からお話もございましたような、社会開発というポイントがだんだん出てまいって、それを若干、最近五年ほどの数字で申し上げますると、ただいまお話のございました全国開発計画というものに関連をいたしまして、一つは地域の開発をはかる、もう一つ都市問題を解決する、そういう問題と、それから産業公害防止、そういうものを含めまして国土開発ということで呼んでみますると、四十一年度には私どもの融資の二割八分が、いまの地方開発、大都市開発・流通近代化、産業の公害防止、いわば国土開発というものにあたったわけでありますが、これが四十五年度の予算におきましては三割二分ということになります。中でも、大都市開発・流通近代化という都市問題に対しまする、主として交通問題あるいは流通問題、それは四十一年度は八・六%でございましたが、一四・二%というふうに、これは倍近い割合で、融資額は毎年一割あるいは一割弱ふえてきておりますから、その割合の上のいわばシェアと申しますか、構成比でそういうふうにふえてきております。  もう一つの項目は、技術開発という問題でございまして、これは国産新技術というものを確立をしなければならない段階にまいりました。したがいまして、国産技術振興、それから午前中にもいろいろ議論のございました電算機、この融資を合わせまして、やや広くこれを技術開発というふうに申しますと、四十一年度に四・六%でございましたのが、四十五年度には九・五%ということで、これは倍を越しておるわけであります。  海運融資が、これは御承知のように私どもの融資の相当大きなウエートを占めております。四十一年度には三七%を占めておったのでありますが、四十五年度には三〇・五%というふうに、だんだんウエートが減ってきております。依然として三割という非常に高いのですが、だんだんそういうことで減ってきております。  エネルギー開発関係は、これは原子力、石油、石炭の関係でありますが、四十一年度は一二・六%でございましたが、四十五年度は八・八%で、これは石炭が落ちた関係でございます。そういうようなもののウエートがやや減っている。  先ほどちょっと申し上げました、特定機械でありますとかあるいは開放経済に伴います体制整備、重電機延べ払いというような産業融資、これが、一〇・七%が一一・三%で、大体横ばい。  いま申し上げましたように、国土の開発関係及び電子計算機を含めまする技術開発関係というのが、最近におきましてウエートを増してきている。これから先にまたいろいろなことが想像されると思うのでありまするが、この傾向というものは、これからだんだん強くなってまいるのではないかということと、全体の国土総合開発計画ということになりますると、これは公共投資にまつところが非常に多いわけでありまして、私どものほうで受け持ちます部分はその一部であろうかと思いますが、そういう問題もだんだん出てまいるかと思いますが、現在のところは、そういうふうに、最近数年間で融資のウエートが動きつつあるということを申し上げました。
  115. 中川一郎

    中川政府委員 ただいま開銀のほうから御説明しましたとおりでありますし、また午前中にも、開銀の制度ができました昭和二十六年度とは事情が一変をいたしております。さらに、御指摘のように長期的な今後の日本経済ということを考えますと、これまた大きく変わってくるわけでございます。したがいまして、当初は基幹産業重点でありましたが、今後は地域開発なり産業公害あるいは都市対策、こういった日本経済発展に伴うひずみの部分に重点が置かれていかなければならないことは当然でありまして、これからの日本経済の動きに対応しつつ、開銀の資金運用、利用ということについても善処してまいらなければならない、このように思っております。
  116. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 非常に丁寧にお答えをいただきまして大綱をよくつかむことができたのですが、確かにいま政務次官からもお話しがありましたし、総裁からも伺って、いままでのいわゆる法律の基本的な考え方をもう改めなければならない時期に来ている、こういうことは私どもも、政府当局も感じておられると思うわけです。確かに基幹産業から一般の社会開発に向けていかなければならない、こういうことはもう全部痛感しているところであると思うのです。  そこで、いま総裁からお話しがありましたけれども、地方開発関係が大きく伸びてはおりますが、五百二十億、さらに大都市開発・流通近代化、これが大きく伸びて四百五十億、さらに産業公害については力を入れていると言っておりますが、四十億が五十億、こういった点がむしろ今後は、率を伸ばしたのだからというのでなしに、現状を見合って、そしてここまではぎりぎりやっていくことが開発銀行としての目的に沿うためであり、さらにこれが使命なんだ、こういう考え方を政府と一体になって持っていただき、ふやすべきものは思い切ってふやす、切るべきものは切っていく。えてしてこういう規制なり法律というものは一たんできますとなかなかこれが改廃されない、こういうものであります。その困難を押し切って、現状に即した運営をやってもらいたい、こういうことを強く要望したいわけであります。  実は詳しく突っ込んだものを準備しておりましたけれども、基本的な問題については前平林、堀議員からの質問がありまして構想がはっきりしましたので省略をいたしますが、もうどうしてもそういうところへ来ている、こういうふうに感じますので、この点は強く要望しておきたいと思います。  次に、いただいた資料によりますと、規模でありますが、日本開発銀行貸し付け計画の規模を四十三年度以降を比較してみますと、総ワクで伸び率が四十三年度は二千五百十億で一一・四%、これが四十四年度には急減して二千七百億で、額は伸びておりますけれども、比率でいきますと七・六%と激減しております。四十五年度にはこれが三千百七十億と増額をされて一七・四%、この四十三、四十四、四十五年度とぐっと経済が上昇してきておる中で、どうしてこの四十四年度に七・六%と激減をしたのか。これは公害の問題で先ほど触れられましたけれども、総体的な面でひとつ伺いたいと思います。
  117. 近藤道生

    近藤政府委員 ただいま御指摘のとおり四十四年度の伸び率が落ちておりますことは確かでございます。そこでその理由といたしまして、ここに四十四年度が七・六%で四十五年度が一七・四%という計画でございますが、実は若干表面上の数字に比べまして四十四年度の数字がふくらみます理由は二つほどございます。一つは、四十三年度からの繰り延べがかなり行なわれました。四十二年度から三年度に繰り延べが行なわれました関係がございます。それからもう一つは、追加貸し付けの規模がかなりいつもの年よりもよけい行なわれたという二つの事情を勘案いたしますと、四十四年度の伸び率はかなり高くなるわけでございます。ただ、それにもかかわらず、相変わらず御指摘のように四十五年度のほうがはるかに四十四年度よりも多いわけでございますが、これはやはり大都市開発とか流通の近代化とか、いわゆる社会開発の推進、それから最近の生活環境の激変に伴いましてのいろいろな要請、こういうものが非常に緊迫、切実なものになっておりますので、そういう要求にこたえるために貸し出し規模もふくらんでおるということでございます。
  118. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 いまのお答えの中で、四十五年度にふくらんできたのはわかるのですけれども、四十四年度に急減した理由です。
  119. 石原周夫

    石原説明員 大体銀行局長お答えで尽きておると思うのでありますが、一点申し上げておきますことは、石炭の審議会の答申がございまして、石炭に対しまする融資のほとんど大部分が石炭の合理化事業団のほうに引き継がれまして、合理化事業団におきまして融資をせられたのがございます。私どものほうといたしましては、四十三年度には百十億という石炭関係融資がございます。それが一応落ちておるものでございますから、その関係だけで約四%くらいの数字に相なるかと思います。したがって、石炭を除いてみますと特にそこのところはあまり違いがないということが言えると思います。
  120. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 これはそのときの現状によってもちろん対処されておるという理由はわかります。したがって、先ほども申し上げましたように、こういうふうにその年度年度の現状によって貸し出しワクが急変するというこの過去の実績を見て、いまほんとうに社会開発に力を入れていかなければならないという段階で、政府の考え方として、必要な場合にはどんどんその手を打っていくという決意があるかどうか、この点について政務次官ひとつ……。
  121. 中川一郎

    中川政府委員 その決意は十分あるわけでございます。ことしふえました開銀関係の内訳を見ましても、地方開発なり、特に大都市開発、流通の近代化というようなことについては飛躍的に伸ばしております。また電算機だとか技術振興というような比率も六〇とか三六とかいうようなことで大転換をはかってまいったつもりでありますし、今後もこういった気持ちで勇断をもってやってまいりたい、このように思います。
  122. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 これはぜひひとつがんばってもらいたいと思います。  そこで、次に内容に入ってまいりますが、この法案の立法理由の説明によりますと、「日本開発銀行が行なう貸付及び債務保証残高の合計額は、現行法では、自己資本と借入れ及び」云々、こうなっております。すなわち、開発銀行の資本金は現在二千三百四十億円、これに法定準備金九百億円を合わせて自己資本が三千二百四十億円だ。これに対して四十五年度の貸し付け計画と新規保証見込みからすると、開銀の貸し付け及び保証残高は四十五年度中に限度を越える、これがため五倍を六倍にするものである、こういう説明でありますが、こういう形でいきますと、二、三年するとまた借り入れ限度が超過することになるということはもう目に見えております。その際またこれを法改正して引き上げていくのか、また借り入れの限度の引き上げには何ら歯どめがなくていいのかどうか、こういう点についてお答えをいただきたいと思います。
  123. 近藤道生

    近藤政府委員 ただいま御指摘がございましたように、すぐにまた限度がきてしまう、その日暮らしではないかという御質問がたしか前回にも竹本委員からあったように記憶いたしております。その点はまさに御指摘のとおりでございます。ただ一面におきまして、何ぶんにも財政資金に関することでございますので、やはりできるだけ一歩一歩コンサーバティブな形で国会の御審議を経てやっていくという観点からの着意も必要であろうかと存じますので、その意味で従来は一倍ずつ伸ばして、そのつど国会の御審議をお願いするということでやってまいったことと思います。ただその点につきましては、かねがね竹本委員の御指摘もあり、またただいま松尾委員の御指摘もございましたので、今後あるいは何倍かにまとめて引き上げる、そういうような方向について抜本的に検討してみたいというふうに考えております。
  124. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 歯どめについてはどうですか、どの辺に……。
  125. 近藤道生

    近藤政府委員 その歯どめにつきましては、実は各種の金融機関、あるいは世界各国いろいろバラエティーがございまして、大体において債券発行限度二十倍というようなところが東西を通じて非常に多い例であろうかと思います。したがいまして、たとえばその辺のところというのが一つの歯どめであろうかと思いますが、しかしそれには別に確たる理論的根拠があるわけではございません。したがって、もしそういう方向で研究をいたします場合には、あらためて歯どめをどの辺に置くか、十分慎重に研究を要する問題であろうかと存じます。
  126. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 この点はこれにとどめて、次に移りたいのですが、私どもの党としてあるいは委員として、前回あるいは前々回、この開銀融資が防衛産業につながるではないか、こういう質問をしております。五十八国会では田中委員並びに他の委員からもこれについては相当質問がございました。この質問に対する前銀行局長の答弁を要約しますと、現在の開発銀行融資目的の中で、特定の企業が防衛産業に当たる業種を営んでいる場合もある、またそれを開発銀行目的に照らして、その目的に妥当する範囲内において行なわれる融資の中で、防衛産業を経営している企業融資をしている場合もある、どうもあまりよくわからないのですけれども、結局防衛産業にも融資をする、こういうふうに、前回、前々回等の答弁をまとめますと、受け取れるわけです。以上の答弁のとおり、防衛産業とはっきりしておっても、これに対して開銀としては融資ができるのか、こういう見解でよろしいかどうか、この点について、はっきりしたお答えを承りたい。
  127. 近藤道生

    近藤政府委員 防衛産業についてどうということは特別に考えておりませんが、ただ、金融判断といたしまして、防衛産業は客観情勢の変化とか、そのほか状況の変化でたいへん変わりのひどいものが一般的には多いということでございまして、したがって、防衛産業関係につきましての金融判断については、一般の場合よりは慎重である場合が多いというふうに伺っております。したがって、開発銀行のほうにおかれましてもそういう方向でやっておられるのではないかというふうに考えております。
  128. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 そうしますと、これは総裁にお伺いしたいのですが、開発銀行が実際に防衛産業融資をする場合に、開発銀行基本方針、あるいはどこに根拠があってこれを融資されるのか、その点について伺いたいと思います。
  129. 石原周夫

    石原説明員 午前中に御議論のありましたように、開発銀行法第一条にございます、経済再建産業の振興ということでございましょうから、まずその読み方がございます。防衛産業と申しましてもやはり産業でございます。したがって、第一条のワクの問題といたしましては、防衛産業を含めるということで従来やってまいっているわけでございます。ただ、これは昭和二十九年から始まったと思っておりますが、経済援助資金特別会計というものがございまして、アメリカからの食糧援助のかわり金を経済援助資金特別会計に積みまして、それでいまおっしゃるような意味におきまする防衛産業融資をやった時代がございます。この場合には、従来の私どもの一般の資金運用部の金と別に、特別会計から金をいただきましてわれわれのほうが融資をしていた時代もございます。それが一昨年だったかと思いまするが、その特別会計が廃止になりまして、現在は産業投資特別会計に引き継がれたことに相なっております。その当時には、援助資金特別会計の運用につきましての政府の方針の御決定がありまして、それに基づいて私ども融資をいたしておりました。その特別会計廃止とともにどういうことに相なったかということにつきましては、運用基本方針というものが毎年内閣で御決定になりまして私ども通達をいただいております。その方針の範囲内におきまして私ども融資をいたしております。ただ、金額的には最近はやや小さな額になっておりまして、四十三年度におきまして一億円、四十四年度におきまして大体二億円見当に相なるかと思います。
  130. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 開銀の場合には、前々から私ども伺って承知していることは、お金を出したものがどういうふうに効果的に国民経済発展のために使われるかという点を確認をしている、検討をしている、こういうことでありますが、いま防衛問題はまだ相当論議の過程にあります。こういう中で、融資した企業先等で、これは明らかに防衛産業であると、はっきりした場合には相当検討されていいのではないか。四十四年度の運用基本方針にも、わが国経済の健全な発展のため、あるいは経済基盤の充実をはかり、産業構造を高度化するためだ、こういうことがあるわけであります。したがって、私どもには、いまその銀行法の目的あるいは基本方針に基づいてやっているのだということではありますけれども、事、防衛産業に関する出資承知してのやり方についてはちょっと納得できない点があるわけです。この点については、四十三、四十四年度額が少ないということでありますけれども、わずか年間一億円ないし二億円のものならば、何か別な方途で、何も開銀から出さなくても済むのではないか、こういうことが考えられるわけでありますけれども、この点はどうでしょう。
  131. 石原周夫

    石原説明員 ただいまお読み上げになりました文章の中にもございまするように、産業の高度化と申しまするか、その産業融資をいたしますことによりまして技術の普及度でありまするとか、あるいは先進性でありまするとか、そういうようなものが強いということが、国益と申しまするか、開発銀行融資をいたしまする一つのポイントであるわけでございます。防衛産業の中にもいろいろあるわけでございまするけれども、たとえば航空機産業あるいはその関係の部品というようなものにつきましては、これは非常に技術的に高度のものでございます。そういうようなものをつくります過程におきまして得られるところの技術というものが、その航空機に限らず、それ以外のものに非常に大きな波及効果を生むという点がございます。私どもは、そういうような波及効果というようなこともできるだけ考えまして、その当該生産のみならず、全体の技術向上に役立つというようなものを考えていきたいと思っております。お話しのように、金額は少のうございまするけれども、われわれとしては、先ほど銀行局長お答えにもございましたように、慎重に対象を選んで、できるだけそういう波及効果の点も考えながら、そういうような役に立つものを拾って融資をいたすということでございます。
  132. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 これをさらに突っこんでいきますと国防論まで発展しますので、これにとどめておきたいと思うのですが、わずかな額で、しかも他の何らかかわる方法が講じられると私どもは考えますので、この点はぜひひとつしっかり御検討願いたいと要望しておきたいと思います。  次に、別な角度でありますが、最近物価安定のために、その調整手段として、金融引き締めに関連して財政支出を繰り延べるべきである、こういう意見があります。たしか三月の十一日と思いましたが、参議院の物価対策特別委員会で経済企画庁長官が、財政支出を繰り延べていく、このように答弁しておるのでありますが、開発銀行のこの開銀資金に対しては、この繰り延べに対してどういう態度であり、お考えを持っておるか、この点をお伺いいたします。
  133. 近藤道生

    近藤政府委員 財政資金の繰り延べにつきましては、ただいまの情勢におきましては特にそういうことが考えられてはおりません。ただ全体の状況いかんによりましては、将来あるいはそういうような事態が出てくることがなしとはいたしませんので、そういう場合におきましては、もちろん開発銀行もこれと同様に繰り延べるべきものは繰り延べるということに相なります。ただ、いまのところでは、全く財政資金の繰り延べというようなことは考えておりません。
  134. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 繰り延べは現在考えていない、将来よほどのことがない限り、ということで承知いたします。  次に、これもちょっと重複する問題でありますが、電源開発融資についてお伺いしたいと思います。  電力需要の逼迫が非常に大きな問題になっていることは午前中にもお話がありました。電源開発融資について過去にいろいろ論議されたということも承知しておりますけれども、もし電源開発資金不足等の場合に、電力不足が起きる。こういうことになりますと、これは国民全体の生活に大きな影響を及ぼす結果になる。これも先ほど来詳細にお話があったわけでありますけれども、それにもかかわらず四十五年度のワクを見ますと、電力についてワクが廃止されている。この点も先ほどちょっと伺いましたが、この電力が全国民国益に最優先する問題であるという立場に立って、もう一度この点をお伺いしたいと思います。
  135. 近藤道生

    近藤政府委員 電力について特にワクが廃止されたわけではございませんので、エネルギー関係という名前で、ワクの名前が変わったわけでございます。と申しますのは、電力関係と申しましても、先ほど来お話がございましたように、開発銀行といたしましては、そのときどきの政策目的に応じて、絶えずいわば卒業生は卒業生として出し、新入生は新入生として迎え入れるというようなことで、そのときどきの政策目的にマッチするような方向で、法の許す範囲内において貸し出し内容も変化いたしてきておることは総裁からも御説明のあったとおりでございますが、その意味で、たとえば電力会社に対する融資というよりは、最近におきまする融資は、むしろ通常の融資は民間金融機関にまかせまして、開発銀行といたしましては石炭火力、適正な石炭需要の確保という特別の目的を持つ石炭火力あるいは重電機の延べ払い、これは諸外国の重電機に対抗いたしまして国産技術の使用を容易ならしめるという特別の目的、あるいはまた原子力発電、これは原子力技術の培養というやはり特殊の目的を持つわけでございますが、そういったような特別のものにだんだんに切りかわっております。そこでむしろエネルギーという名前のほうがふさわしい名前ではなかろうかというようなことでワクの名前が改められたということでございまして、電力に対する資金供給をおろそかにするという意味ではなしに、だんだん卒業生として市中金融にゆだねてまいる、その分量を多くしてまいる。そしてその市中金融のほうもこれを受けまして、ことにこういう御指摘のような電力のたいへんな時期でございますので、これに対しましては関係機関みな相寄りまして、きめのこまかい配慮をしてまいろうという話になっておりますことは先ほど堀委員お答え申し上げたとおりでございます。
  136. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 電力の問題も、先ほど堀さんからのあれがありましたので以上でとどめます。  次に開銀の基準金利、この点についてお伺いしたいのです。この開発銀行の金利にいては、当初一〇%から逐次低下して、現在では八・二%、このように承知しておるわけでありますが、ところで最近市中の長期貸し出し金利の引き上げが行なわれた。開銀金利は今後どのようにこの金利を扱っていくか。いわゆる基準金利であります。さらにこの問題について、新聞報道によりますと、これも参議院の大蔵委員会で大蔵大臣の答弁によりますと、この引き上げは行なわない、こういう答弁がありましたが、この答弁のとおりと承知してよろしいかどうか。
  137. 近藤道生

    近藤政府委員 大臣の答弁のとおりでございます。
  138. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 特利の点についてはどうでしょうか。
  139. 近藤道生

    近藤政府委員 それも大臣の答弁のとおりでございます。ただ大臣の答弁の趣旨は、長期金利全体の落ちつきをじっくり見定めた上で、また政府関係機関についても別途考えることはあるけれども、当面はとにかく変更は考えませんという趣旨の答弁であったかと存じますので、その意味で大臣の御答弁のとおりでございます。
  140. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 全体の金利水準は別として、個個のものについては私はここでもう考えていくときが来たのではないか、こう思うのです。まず先ほど来お話のありました公害についての金利ですが、これを見ますと向こう三年間については七%、それ以降は七・五%、このようになっておりますが、先ほど来、冒頭からお話のあるように、経済事情その他が大きく変わってきておる。したがって、融資関係もここで考えて、だんだん開銀でも当局でも変えてきているわけです。したがって、現在この特利のあります電力その他に対しての六・五%、私鉄その他の七%、さらに地域開発その他に七・七%、こういうふうになっておりますが、むしろ地域開発等、これらについては大幅に引き下げて、しかも長期化していかなければならない、こういう声もずいぶん起きておりますし、またそういう特利についてもここで操作しなければならないときであろう、こういうふうに思うのですが、この点について局長のお考えを……。
  141. 近藤道生

    近藤政府委員 もちろん特利というものは政策目的に応じて定められるものでございますので、ただいま御指摘がございましたように、一つ一つの政策目的が時勢とともに変わってまいりまして、非常に重要なものが出てくるというような場合に、これをいたずらに旧慣になずんで上下しないということではならない、やはり流動的、弾力的に考えていくべきものであるということは、お示しのとおりであろうかと思います。ただ現在の状況は、一般金利がむしろ上がる方向で動いておる時期でございますし、また特利といい基準金利と申しましても、やはりある程度は一般市中金融の奨励、補完ということを目的といたします開発銀行の金利といたしまして、これと無縁であるということはなかなかむずかしいことであるということでございまして、現在引き下げる方向というのは、当面の情勢としてはきわめてむずかしい情勢にある。しかし、おっしゃいましたように、長い目で見れば流動的、弾力的に考える、特に特利の場合には政策目的に沿って考えるということに相なろうかと思います。
  142. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 この特利を全般的に水準を引き下げる引き上げるということは、これは問題があろうと思うのです。ただ、ものによってはもうすでに引き上げ、これは今後の問題として考えなければならない。こういうことは、先ほども言いましたように、開銀が出した金がどう効果的に使われるかという点についてはしょっちゅう検討されておるわけですから、この趣旨に沿って、先ほど来の公害問題の融資関係、この金利の関係あるいは過密過疎の対策の問題等は、いま手をつけなければほとんど行き詰まり状態というところにあるわけであります。この点を十分見ていただきたい、検討をいただきたい、こう要望しておきます。  次に、これに関連する問題で農村の工業化、総合農政の立場で農村の工業化ということが論議されております。この農村の工業化については当然強力に促進しなければならない問題ですし、開銀としてもこの農村工業化の助成についてはやはり考えておられるとは思うのですけれども、この助成に対する考えと金利のあり方についてあわせて伺いたいと思います。
  143. 石原周夫

    石原説明員 農村の工業化という問題は、私の理解するところでは比較的新しい問題として起こっておるかと思います。したがいまして、いわゆる新農政ということの一環としてどういうふうにやっていかれますか、これは政府当局においてこれから御検討いただく問題だと思いますので、そのまた具体的な一翼をどういうふうにしてになってまいるか、これは今後申し上げたほうがいいかと思います。ただ現在の段階において申し上げられますことは、先ほど御指摘がございましたように、地域開発ということを私どもやっておりますので、これは農村工業化ということとぴったり合うわけではございませんけれども、結果においてねらっておられるところと比較的近いことをやっております。ことに裏日本でありますとかあるいは南九州あるいは四国というような、経済が先進地区ほど進んでいないようなところにつきましては、できるだけ地場産業、地元産業融資をいたすようにしております。ある程度まで同じような目的に役立っているということは申せると思います。  特利の点につきましては、先ほど申し上げましたように工場を公害のために移転をいたす、これは農村工業化と必ずしも結びつきませんが、公害のないような地域に持ってまいる、その場合に今度新しい特利を設けまして七分五厘で融資をいたそうということを申しております。それから、先ほど松尾委員から御指摘がございましたように、地域開発の中で特定地域と申しますか、裏日本におきます新産業都市に新規に立地をいたします、根幹になる工業施設につきましては七分七厘という特利を適用することにいたしておりますので、一歩一歩前進のような形でございますが、特利の問題につきましてもそういうようにやっておる、こういう状態でございます。
  144. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 積極的に進めていかれる、こういうふうに理解して承ります。  次に、開銀の貸し付けですが、基本的には毎年閣議で決定される政府資金産業設備に関する運用基本方針、先ほど総裁の言われたこれにのっとって行なわれておるわけでありますけれども、たとえば「その他」というワクがあります。九百五十五億ですか、「その他」のワクが必ずしも明確に方針がきめられていないものがある。したがってこれらについては、開銀資金運用産業政策との調整、これがきわめて重要な問題になってくるわけであります。この間の調整はどういう形でここにはばかられているか、まずこの点を伺ってみたいと思います。
  145. 近藤道生

    近藤政府委員 ただいまおっしゃいましたように、まず閣議で基本方針が定められまして、それから各省から推薦がございまして、その各省との連絡を開発銀行が緊密にされまして、そこできめてまいるという方法をとっております。
  146. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 「その他」のワクについて、私、時間がなくて資料要求する間がなかったのですが、四十三年度の貸し付け実績さらに四十四年度の実績見込みがお手元にありましたら簡単に伺いたいと思います。「その他」というワクでけっこうであります。
  147. 近藤道生

    近藤政府委員 四十四年度の実績見込みを申し上げます。  輸出産業が二十億円、国際観光六十五億円、石炭十七億円、国内航空十二億円、研究所十億円、プレハブ建材七億円等でございます。
  148. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 私がいま、この調整がどのように行なわれているのかということを伺ったのは、いま「その他」というワクの中で必要なものもあります。プレハブ住宅等の必要なものもありますが、これも毎々論議されている国際観光に六十五億という融資がされておるわけであります。この国際観光に融資をされるという意味がどうも私にははっきりしませんので、どういう目的でこの国際観光には融資をされておるのか、この点について伺いたいと思います。
  149. 石原周夫

    石原説明員 国際観光、これは国際観光ホテルということでございますが、融資をいたしておりまする開銀の歴史は相当古いものでございまして、だいぶ前からこの融資をいたしております。御承知のように、国際収支のうちの、貿易外のうちとしては非常に大きな項目でございまするので、国際収支の観点から大いに推進をせられていく。最近におきましても、たとえば万博の関係でありますとか、非常に経済の国際化、したがって人間が行ったり来たりする関係で非常にふえてきております。またそういうようなものに対しまする意味からいたしましても、やはり国際観光ホテルというものの重要性というものは依然として相当強いのじゃないかというふうに考えまして、政策当局と御相談をいたしながら国際観光に融資をいたしておるわけであります。
  150. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 これも過去に論議された問題ですけれども、設備投資計画調査報告書、これによりますと、旅館等はもう外部資金の依存が要らないほどもうかっている、こういうようなことがもうすでに論議されておるわけです。それで、外貨獲得という、確かにいま海外の往来も激しくなっておりますが、むしろ先ほど来の公害あるいは社会開発という面と比べて、はたしてこの九十五億という額が適当な額であるか。使い道を検討してみたとき、全体を見たときに、はたしてこういう額が適切であるかどうか、この点について伺っておきたいと思います。
  151. 石原周夫

    石原説明員 適切であるかどうかというお話でありますが、これは非常にむずかしい問題であろうかと思います。開発銀行が扱っております分野は非常に広いものでございまするから幾つかの省の所管にわたっておりまするし、一つ融資と他の融資との優先性をなかなかきめにくいような状態にございます。ただ、観光融資でございまするが、これは御承知のように、最近のような外人の往来という関係から見ますと、需要は相当強いわけでございまするが、ここ二、三年大体このくらいの金額に据え置かれておるわけでありまして、全体の貸し付けワクは先ほどごらんいただきましたように伸びておりますけれども、金額は大体これくらいのところにいっておるものでありますから、融資のウエートから申しまするとやや落ちぎみであるというふうにお考えいただきたいと思います。
  152. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 この問題はこれで打ち切りたいと思います。  最後に、開銀貸し付け計画の中に地域開発融資、これが五百二十億円ですか、大きな比重を占めておるわけでありますが、地域開発融資は地域経済の振興という観点に主眼を置いて運用されなければならない。ところが日本開発銀行法の第一条を見ますと、開銀の目的は、経済再建及び産業開発を促進する、このようにあります。地域開発融資に十分即応したものと言えるかどうか、この点が先ほど来の論議を通して私は疑問なしとは言えない。ここで国全体を見ますと、他方には、北海道東北地方については別途に北海道東北開発公庫、こういう専門機関があります。開銀の地域開発融資については、北東公庫融資、こういうものがあるわけでありますが、一方には銀行によって、一方には公庫で、同じ地域開発融資しているわけでありますけれども、金利その他についてこの調和はどのようにとれているのであろうか、こういう点が疑問でありますのでお聞きしたいと思います。
  153. 近藤道生

    近藤政府委員 まず最初の、設備投資融資ということ、それから産業の育成というような観点から見て地域開発がいかがであろうかというような御趣旨であったかと思いますが、地域開発は後進地域に重点を置きながら新産業都市などの地域開発、それから各地方の開発整備に寄与いたします民間の設備投資計画に対する融資ということが地域開発の主たる目的になっております。その意味におきまして第一条の目的には非常に忠実に従っておる融資であろうかと存じます。  それから第二点の問題でございますが、北東公庫と開発銀行地域開発融資とのバランスがいかがであろうかという問題でございますが、これは先ほど申し上げましたように、後進地域に重点を置くということでございますので、東北、北海道というようなところにかなりの重点を置く。ただ面積的に申しましても、東京、名古屋、大阪周辺は開発銀行の一般の地域開発からは除かれますために、それを除きました部分と、それから東北、北海道とは、大体面積的にも、あるいはその後進性などを勘案いたしますれば、ほぼバランスのとれたところではなかろうかというふうに考えております。
  154. 松尾正吉

    ○松尾(正)委員 以上で終わります。
  155. 毛利松平

  156. 竹本孫一

    竹本委員 私は最初にまず、わが国の現在、開発銀行も含めての長期資金の融通といいますか、供給はどういうふうになっておるかということについて伺っておきたいと思います。
  157. 近藤道生

    近藤政府委員 手元の資料がやや古くて恐縮でございますが、四十三年度におきましての長期資金の総額が三兆五千二百十一億でございまして、そのうちの銀行分が二兆一千九百五十二億円、信託分が一兆五百二十五億円、それから開発銀行が二千七百三十四億円、これが四十三年度の数字でございます。
  158. 竹本孫一

    竹本委員 開発銀行は国策銀行として、これらの長期資金供給の面においてどういう分野を受け持ち、どういうシェアになっておるか、また今後はなろうとしておるか、この辺をお聞きいたします。
  159. 近藤道生

    近藤政府委員 ただいまの数字でまいりますと、シェアは全体の八%ということに相なっております。これは銀行が六二%、信託が三〇%でございまして、開発銀行が八%ということでございます。そして、シェアを今後どういうふうにいたすかということにつきましては、特にシェアをどのくらいに保とうとか、あるいは削減しようとかいう方向で考えますよりも、むしろ貸し付け内容を、常にそのときどきの政策目的に沿いまして、できるだけ民間金融に乗りがたいというものを次次に選びまして、したがって常に卒業生を出し、新入生を迎え入れるという形で運営をいたしてまいりたいというのが基本的な考え方でございますので、シェアといたしましては特に著しく増減するということはあまりないのではないか。ただ、もちろん最近における社会生活の激変、社会環境の激変、社会資本の充実の必要性、そういうものがここ二、三年来特に非常に多くなってきておりますので、その意味から申しますと、あるいは開発銀行のシェアにつきましては増加をいたすというような方向で考えなければならないのではないか。これはやや私見に属しまして恐縮でございますが、そういうふうに考えております。
  160. 竹本孫一

    竹本委員 八%ということでございますけれども、私は二〇%くらいにしたいという考えを持っております。もちろん政策当局として、あまりにもイデオロギッシュに考えるということは慎まなければならぬということもよくわかります。しかし、開発銀行が受け持っておる使命というようなものから考えると、これはむしろだんだんにふえていくのが当然であるし、またある意味においてはより積極的、計画的にそれをふやしていくということも、これからの一つの政治課題ではないかと思いますが、いかがですか。
  161. 近藤道生

    近藤政府委員 ただいまも申し上げましたように、ことに最近の情勢におきましては、開発銀行の受け持つべき分野の長期安定資金の必要性が非常に大きくなっております。ただいま御指摘のありましたような方向に向かっていくということが必要になってこようかと考えております。
  162. 竹本孫一

    竹本委員 方向にいくということですけれども、私が言うのは、引っぱられる、パッシブな受け身で、ずるずるべったりにそういうところへいくというのではなくて、やはり国策金融として受け持つべき分野があり、使命があり、ある程度もっと計画的にやらなければ、五倍にしてみたり、四倍にしてみたりするようなことになって、しょっちゅう同じところを行ったり来たりしていることになると思うのです。これはあとで聞きますが、ポジティブにいくのと受け身に引きずられていくのとではだいぶ違うと思うのですが、私は、一方においては開発銀行の重大な使命と任務にかんがみて、もっと積極的、計画的に取り組んでいったらどうかと思うのです。  最初に結論を申し上げたことになりますけれども、そこでついでに伺っておきたいが、民間にもいろいろ長期信用関係銀行がありますが、金融の効率化だとか、合理化だとかいろいろいわれておりますけれども、開発銀行はそういう流れの中で消えてしまうのか、より大きくなるのか、そういうことも含めて、開発銀行をめぐる金融の効率化なり、あるいは長期信用の再編成なりというものについては、現在どういう段階に問題が発展しているか、伺いたい。
  163. 近藤道生

    近藤政府委員 御承知のように、ただいままで金融制度調査会におきまして、一般民間金融機関あり方につきましていろいろ議論がなされてまいりました。それが近く、審議が最終的な調整を終わりまして、六月ごろには大蔵大臣に対する答申が出ようかと存じます。その際には、もちろん政府関係の機関というものは含まれておりませんが、ただその審議の取りまとめの段階におきまし  て、いろいろ話は出てまいるかと思います。  そこで、ただいま御指摘のございました、開発銀行を含めて、長期信用銀行全体のピクチャーがどうなるかということについても、おそらくいろいろ議論があろうかと存じますので、その議論の結果も十分参酌いたしまして考えてまいりたいというふうに考えております。
  164. 竹本孫一

    竹本委員 総裁もお見えになっているからちょっと伺いたいが、総裁としては、そういう再編成というか効率化というか知りませんが、金融制度調査会で取り上げられているような方向づけの中で開発銀行はいかに位置づけるべきであるかということについて、総裁自身の御意見はどういうことですか。
  165. 石原周夫

    石原説明員 非常に論議のむずかしい問題であろうかと思います。ただ開発銀行法の第一条に書いてございまするように、民間金融機関の補完ないし奨励、あるいは奨励ないし補完でありましたか、そういうことが書いてございまして、私どもの現在までやっておりますることは、原則として協調融資ということでございまして、私どもの銀行のほうの金も出すが、長期信用銀行あるいはそれ以外の金融機関にも協調融資をしていただく、こういう立場になっておるわけでございます。したがいまして、両者の間において非常にシャープな限界があるということよりは、相寄り相助けて一つの仕事ができ上がっていく仕組みであろうかと存じます。ただ、私どものほうは一〇〇%政府が持っております政策金融機関でございますから、したがって政策遂行の手段というもので、たとえば税制でありますとか金融でありますとかいうようなものが、これからの経済運営に当然必要になって、いよいよその必要性を加えてくるかと思いますが、そういった場合に政策を反映する手段としての政策金融機関と、それから市中におきまする長期信用機関というものとの間には、おのずから使命と申しますか、動きようといいますか、動かしようと申しますか、そこら辺に違いがあるのではなかろうかということを申し上げておきます。
  166. 竹本孫一

    竹本委員 それぞれの使命、任務、役割りの違いもあるけれども、似た分野、関係した分野がだいぶある。いま私が伺ったのは、総裁お答えになったような問題ではなくて、新しい長期信用のあり方といったようなものを考えた場合に、開発銀行はいかに位置づけるべきであるかということについて、総裁自身はどういうお考えを持っておられるかということを聞いているのです。
  167. 石原周夫

    石原説明員 私が申し上げましたのは、そういうような政策金融機関と、それから市中金融機関とが協調して働いている。したがって、政策金融機関が出なければ十分な融資ができないというようなケースが現在すでに起こっておるわけでありますし、今後も起こるであろう、したがって、社会開発というような要請が加わればいよいよそうだと思うのでありますが、それにはそれを一本にして機能を果たし得るかというと、そこには明らかに違いがあるのであって、それを一体にするということは、はたしてうまく金融の実をあげることができるであろうかという疑問を持っております。
  168. 竹本孫一

    竹本委員 ファンクションの面でいえばおそらくそのとおりだと思うのですね。だからそのファンクションをより効率的に完遂していく立場からいって、現在の制度、機構のあり方について、開発銀行総裁には特に御希望や御意見はありませんかということを聞いているわけです。
  169. 石原周夫

    石原説明員 先ほど来申し上げているとおりであります。
  170. 竹本孫一

    竹本委員 これは総裁、慎重に答えているわけでしょうけれども、開発銀行は何も金融制度調査会に対して全部受け身に立たなくても、こうあるべきだ——いやしくも三千億も金を動かそうというところが、必要なものは出します、足らないところは補いますといったことだけでなくて、やはり政策金融機関というものが制度的にも、特に民間だけでは間に合わない、軌道に乗らない面があるから、これをやろうということです。しかも、いま御承知のように、ここにいろいろ営業の業務内容がありますように、これからの七〇年代の経済を運営していく上においては、開発銀行が受け持つべき使命というか分野というか、ファンクションというものは、私はある意味において非常に飛躍的に拡大されると思うのですね。その場合に、足らないところは補っていくのですということだけ聞いておると、位置づけからいえば、ただ量的にいまの仕事が少しふえるだけで、さらに制度、機構の面からはほとんど問題はない、こういうふうに解釈できるが、そうですか。
  171. 石原周夫

    石原説明員 私どもがいまやっておりまする金融のやり方におきましても、社会開発的な金融の場合と、産業金融と申しまするか、その場合とでは融資率が違う、あるいは融資期間が違うという点がございます。したがって、これから社会開発的なもののウエートがふえるということであるわけでありまするから、そういうような場合におきまする、協調金融の間におきまするウエートの違いというものは当然出てまいろうと思います。ただ、これは各政府当局が政策をおきめになる立場にあるわけでございますから、開発銀行が自分の見解でさじかげんをいたすという筋のものではないだろうと思います。しかしながら、そういうような政策が今後引き続きとられる、あるいは進展を見るということを前提にいたしまして考えると、いま申し上げたようなもののウエートがふえてまいるであろう、こういうことが申せるわけでありますが、それではひとつ開発銀行がそれを全部引き受けたらどうだというお話しでございますると、これは現在の金融あり方としてそういうことは考えることじゃないだろうということを申し上げます。
  172. 竹本孫一

    竹本委員 希望を申し上げますが、開発銀行の持っておる使命、任務が重大であればあるだけに、政策金融のシェアも一体どこまではいかなければならぬかとか、あるいはどこまではいくべきであるかとか、また制度、機構の面においても、位置づけはこうあるべきだ、いまの制度ではこの点において不満があるがとか、悩みがあるがとかいった問題点を、ここでむしろ積極的に出すくらいの用意があってしかるべきではないか。量もだんだんふえるでしょう、機構も制度金融としての使命はだんだん重大になってくるでしょうといったようなことでは、はなはだもの足りない。せっかくりっぱな総裁がいらっしゃるんだから、こういう機会に、量的にも制度的にもこうあるべきだということの、開発銀行総裁としての御自身の意見というかあるいは希望というかが、私はないということになれば問題だ。あるけれどもいまは言えないんだ、金融制度調査会に遠慮して言わないんだとおっしゃるなら、これはそのお考えも納得できると思うのです。私としては無理な質問をいたしませんから、希望を申し上げておきますけれども、いやしくも政策金融を担当する重大な分野におられる総裁のことでございますから、シェアについてもあるいは制度、機構の問題についても、こうあるべきだという自主的な御判断あるいは御意見があってしかるべきであろうという希望を私は申し上げて、この話は一応終わりにいたします。  それから第二に伺いたいことは、体制金融ということを一時言われたけれども、あれは一体どういう意味で言われたのであって、現在はどういうふうになっておるか、今後はどういうふうにされるつもりであるか、その点をちょっとお伺いしたい。
  173. 石原周夫

    石原説明員 体制金融ということばははたして適当であるかどうか存じませんが、開放経済というものに向かい、輸入はもちろん資本自由化という時代を迎えまして、日本経済の体質を強くするという必要がある、こういうところが出発点であろうかと思います。そのために、たとえば装置産業におきましては規模の大型化が必要である、あるいは企業の間における連携の問題、あるいは合併という問題、そういうような各種の手段がございまして、それによって日本産業の体質というものを開放経済の時代にふさわしいような形に持っていきたいということが政策の基本であろうかと思います。したがいまして、私どももその線に沿いまして、たとえば自動車であるとかあるいは石油化学であるとか、あるいはアンモニアであるとかあるいは繊維であるとかというような各種の産業におきまして、いま申し上げたような体質強化を、各個の業態によって違うわけでございますが、実現し得るようなお手伝いをいたすという意味で、私どもの金融はやってまいりたいと思います。
  174. 竹本孫一

    竹本委員 私が先ほど来言っているのは、たとえば体制金融の問題、ことばが適当かどうかは別としましても、これも、自由化とかあるいは世界化とか開放経済とかいったようなものは、これは時代の大きな流れでしょう。そういうことになりますと、それにま正面から取り組んでいく開発銀行の使命というものは飛躍的に大きくなる。そのときに、大川の流れを渡るみたいな、自然のままに流れていくということではなくて、これを受けとめていく体制、準備がなければいかぬじゃないかという意味で、私は先ほどの第一の問題を聞いたわけでございますけれども、明確な御答弁はなかった。体制金融だけではない。いろいろ開発銀行はやっておられる。大体ことしはどういう分野に重点を置いて、どれだけの貸し付けをやろうというお考えであるかを伺いたい。
  175. 石原周夫

    石原説明員 体制整備ということで、昭和四十四年度におきましては追加後におきまして百八十億、来年度も百八十億であります。主たる融資対象は、乗用車、石油化学、特殊鋼、繊維、アンモニア、これらはいずれも御承知のように数年前から始まっているのがあるわけでございますが、各業界の実態におきまして、そういうような大型の装置をつくることに対しまする話し合い、あるいは企業の連携につきましての話し合い、そういうようなものがいろいろ遅速がございまして、たとえば繊維あたりは、これはずいぶん前にプランを立てたんでございますけれども、比較的最近になって出てきたという状況がございます。大体いま申し上げましたもののうちで金額的に大きいのは石油化学の関係と繊維の関係とアンモニアの関係、その三つが金額的に大きい、こういう状況でございます。
  176. 竹本孫一

    竹本委員 体制金融だけでなくて、全体としての開発銀行の三千億からの融資ですか、そのおもな分野をちょっと御説明願いたい。
  177. 石原周夫

    石原説明員 これは実は先ほど松尾委員のお尋ねのときに私、申し上げたかと思うのでありますが、大体融資の傾向がどうなっておるかということの関連になるかと思うのでありますが、第一に申し上げたのは国土開発というカテゴリーでありまして、これには地域開発、大都市開発・流通近代化、産業公害防止、その三つの項目を合わせまして、本年度が千二十億円であります。内訳は、地域開発が五百二十億、大都市開発・流通近代化が四百五十億、産業公害防止が五十億で千二十億、こういう数字になります。割合から申しますと、全体の三千百七十億に対しまして三二%ということになります。  技術開発の点でございますが、これは国産技術振興という、国産技術を開発せられた企業がそれを現実の生産に移される、それへの融資であります。その関係が百五十億。それから電算機が、先ほど来御議論がありますように百五十億。合計いたしまして三百億。シェアから申しますと九・三ということに相なります。海運が九百六十七億で三割。  大体、国土開発、技術開発という二つの、われわれの銀行の中におきまして比較的伸び率の高いもの、これを合わせますと、現在四十五年度におきまして四二%ほどに相なります。これが四十一年度におきましては三二%でございましたから、割合において約一割シェアがふえてきておる、こういうことであります。  同じように海運を見ますると、海運は四十一年度三二・七%でございましたから、この間に約七%シェアが落ちた、こういうことです。  エネルギー開発でありまするが、これは原子力、石油、石炭火力でありますが、これが合計いたしまして、四十五年度の数字を申し上げますと、合計二百七十八億、シェアからいいまして八・八%であります。これは四十一年度におきましては一二・六%でございましたから、先ほどもちょっとお答え申し上げましたが、石炭が落ちただけ割合は落ちてきておるわけであります。  特定産業融資、これは先ほど来御質問のありました体制整備の関係、あるいは特定機械という、機械工業振興臨時措置法あるいは電子工業振興臨時措置法、これに関連いたしまする融資でありますが、それと重電機の延べ払い、この三つを合わせますると三百五十七億に相なります。割合からいいまして一一・三%になります。これは五年前に一〇・七でございましたから大体横ばい、その他が二百四十八億ございまして、これが現在七・八%というような状況でございます。  大体いま数字をもって申し上げたようなところがわれわれの貸し付けのウエートになっております。
  178. 竹本孫一

    竹本委員 そこで、私が先ほど来言った問題、これから言う問題に関連してくるわけだけれども、いまお述べになりました国土開発にしても、技術開発にしても、エネルギーの問題にしても、体制金融にしても、どの一つをとってみてもこれから飛躍的に拡大されていかなければならない分野ばかりでしょう。そういうことを考えると、私が言ったように、これからのシェアはどのくらいまで伸びていけばいいのか。また工業がそれだけ発展すれば、新しい制度金融の機構の中でどういう位置づけをしなければならぬかということについて、一つのビジョンがなければうそだということをぼくは力説しているわけですね。これは現状のままでとどまるとか、あるいはだんだん卒業生になって終わりますというような問題ならば、それはそれで話はわかるけれども、これから飛躍的に拡大していくということになれば、やはりそういう問題について前に向いたビジョンなり構想なりというものがなければうそだ。これは局長、いかがですか。何かありませんか。
  179. 近藤道生

    近藤政府委員 政府関係機関がこれらの重要な部門につきまして、いわば先兵の役割りを果たす、誘導する、リーダーになるということはたいへんに重要なことであろうかと思います。ただ、そこでその政府関係機関の分野をどの程度のものにするかということは、民間金融機関側の体制整備がどのくらいできているかということと非常に密接な関連がある問題であろうかと存じます。たとえば民間金融機関側のこういうことに対する能力が非常に劣っておるというような場合におきましては、政府関係機関のウエートが相当大きくなってまいらなければならないというようなことでございまして、もし民間金融機関側においてこの種の問題に対してこなすことができる能力が相当ございますれば、政府関係機関はほどほどのところでやっていくほうがよろしいのではないか、補完し、奨励するという法のたてまえもその辺のところを申しておるのではないかという感じがいたします。ただ全体として、いまのような情勢においてもっともっと補完し、誘導し、奨励する側の奨励的役割りのほうにウエートを移すべきではないかという先ほど来の先生の御意見は、まことに傾聴すべき御意見と思いますが、現在におきましては、この民間金融もできるだけこれらのものをもこなし得るような制度改正という方向に持っていくべく努力もいたしておりますので、そこらの辺をもあわせ考えまして、将来のビジョンを考えていくべきではないかというふうに考えます。
  180. 竹本孫一

    竹本委員 私は、局長並びに総裁の御意見もよく承りましたけれども、やはりすべてが非常に受け身である、パッシブである。積極的でもなければ前進的でもないんじゃないかという点を非常に遺憾に思うのです。五倍、六倍を、六倍、七倍にするというが、貸し付け、保証をこの前改正したのはいつでしたか。
  181. 近藤道生

    近藤政府委員 二年前です。
  182. 竹本孫一

    竹本委員 私はそのときにも、開発銀行の使命の重大性にかんがみると、こんなものでは役に立たないだろうということをここで質問をしたのを記憶しております。今度もこの計算書を見ると、こうこうこうなって、貸し付け、保証余力がマイナス四百二十五億くらいにことしの末はなるだろう、だからこれだけ、五倍、六倍にしてあるやつを六倍、七倍にするのだ。はなはだ事務的な案だと思うのですね。きわめて事務的、良心的でいいという議論も確かに成り立つでしょうけれども、政治的に大きなビジョンをもって考えると、ただことしの末には少し足らなくなりそうだから、その分だけ一倍だけ上げておきます、こういう、全くナンセンスとは言いませんけれども、たいして意味のない、きわめて受け身のやり方であって、そういうことだから先ほど来の答弁がちょうど符節を合しておるわけで、そうした考えだからこういう結論が出てくる。どちらが原因、結果か知りませんけれども、いずれにしてもこんな案では間に合わないことはもう明瞭であろう。また二年先には案を出すにきまっておる。出さないという自信がありますか。
  183. 近藤道生

    近藤政府委員 ちょうど先ほど松尾委員から同じような御質問がございましたときにお答え申し上げましたが、その点につきましてはまさに御指摘のような面がございますので、根本的な検討をいたしてみたい。従来はいわばその日暮らしということを、たしか竹本委員が二年前、当委員会においてお述べになったことを速記録で読んだ記憶がございますけれども、そのような面が確かにございます。ただそれは財政資金に関することでございますので、一々国会の御審議をお願いをした上でやってまいるというたてまえで、そういう方向でやってきたのであろうかと思いますが、ただいま仰せになりましたように、やはり二年後に変えないという自信は全くございません。したがいまして、次のときには抜本的な検討をいたしてみたい、本委員会の御意見なども十分参酌いたしまして考えてみたいというふうに考えております。
  184. 竹本孫一

    竹本委員 政務次官にお伺いするが、いま局長はきわめて良心的なお答えのようだけれども、いわゆるその日暮らしでしょう。年度末に四百二十五億ですか、足らなくなるから、それだけ上げておきます。しかし先ほど私が言ったように、このどれをとりましても、現在大事な仕事のどれが来年になったら減って、他の部分がかりにふえても、プラスマイナス大体これでいけるという見通しがほとんどないでしょう。あるならそれを承りたい。なければまたこの次同じように、今度は六倍、七倍を、七倍、八倍にするということだけで、ひまつぶしにはけっこうですけれども、少し政治家としては見識がないし、われわれお互い忙しいし、全く時間のむだな議論ばかりしているような感じがするが、政務次官の政治的な判断ではどうですか。
  185. 中川一郎

    中川政府委員 先ほど来、竹本委員から、これから日本経済は将来に向かってやるべきことばかり多いではないか、だからもっとこの制度を拡充してやれるような体制を整えておくべきだという御主張であります。私も政治家として全く同感の感じがいたします。これほど大きくなった日本経済のひずみというものを直していかなければいけない、そこに開銀が果たすべき役割りというものもこれからますます大きくなっていくわけでございます。したがって、これからもっともっと前向きでやるべきであろうということも同感でありますし、二年前にやって、ことしやって、またさらに二年後になったらやらぬとは言えないというような見通しであるために、忙しい時期にこんなことで議論するのはおかしいということも、政治的に見て全くそのとおりだと思います。そこで、従来からの御指摘もありまして、この際抜本的に検討してみたいということを銀行局長が申しておるところであります。私どももそういった方向でこのやり方については十分検討いたすべきであろうと思いますが、ただ一部の議論としては、国の、国民の負担においてなされるこの金融について、あまりに大きな幅にしておいて、その中でかってにやってよろしいということもいかがか。やはり二年か、三年か、五年かに一回くらいは、こういったあり方について御検討をいただくことも、大事な国民の税金であるというところからいうならば、勘案しなければならないのではないか。お忙しくはあろうけれども、あまり幅を広げておくということもどうかという議論もあろう、こういったことも勘案しつつ、今後前向きでひとつ考えてみるべきであろう、このように思うわけでございます。
  186. 竹本孫一

    竹本委員 これはワクを広げるだけでしょう。だから何も、現実に金をそれだけ使えればばらまけとかいうことをだれも言ってやしない。ワクだけの話です。ワクは政治家の見識できめるべきであって、事務的に同じようなことを何度もおさらいをしているようなひまなことはやるべきでない。あなたも大蔵政務次官だから、大蔵省がこの案を出すのですから、いまおっしゃったことをやはり具体的な実践の上に反映してもらわなければ話にならぬと思うのです。そういう意味で、私は、これはほんとうはやはり法案自身をそういう立場で再検討すべきだと思うのですよ。きょうは時間がもうありませんからそれ以上申しませんけれども、何だかばかげていると思うのです。全く見識もない、事務的な積み重ねだけで。まあ、ひまな人はやってもらってもけっこうだけれども、われわれは少し忙し過ぎると思うのです。しかも、見識を笑われる。事務的にはある意味において良心的かもしれませんが、政治的には見識がないということだけ、はっきり申し上げておきたい。  次に、開発銀行がそれだけの貸し付けを、三千億の貸し付けをやられる場合には、どういうような審査のプロセスをとっておられるのか、その辺を聞きたい。
  187. 石原周夫

    石原説明員 審査ということでございまするが、銀行の中に審査部というものがございまして、申し込みの受け付けをいたしました上で審査——独立した部でございまするから、これは営業と独立をした判断をしておって、その結果を営業のほうに移して結論を出す、こういう仕組みになっておるわけでございます。お尋ねの審査というのが、私のお答えしたことでいいかどうか疑問でありますが、もし審査の手続はどうだということでございますれば、いま申し上げたようなことでございます。
  188. 竹本孫一

    竹本委員 それらの審査をやられて、いろいろ貸し付けをやられた、それの業務報告というのはどういう形でどういうふうに出されるものであるか、それを伺いたい。
  189. 石原周夫

    石原説明員 業務の報告は、まずその前に、先ほど来申し上げておりまするように政策金融機関でございまするから、各省との間に非常に密接な連絡が要るわけでございます。先ほど銀行局長からお答えをいただきましたように、地域開発の金はそうでもないのでありまするが、それ以外につきましては原則として各省から推薦をもらうことになっております。推薦も、そう一方的にもらっても困るものでございますから、推薦をいただく前には十分に御相談をした上で御推薦をいただいておる、こういうことでありまして、事前に、政策面におきましての検討は、われわれもいたしまするし、また各省のほうにおいても十分に御検討いただく。その点のすり合わせが当然起こってまいります。大蔵省のほうは、これは理財局、銀行局、いずれも私のほうの主務官庁でございますので、これまた定例的に相談をする機会を持ってやっておるわけでございます。  各個の議案の内容につきましては、先ほど申し上げましたように、申し込み、審査、決定、こういう段階があるわけでございまするが、その後におきまして、実は私どものほうに参与会というものがございまして、これは法律の中に規定がございます。現在六名の方が参与になっているわけでございますが、これはいずれも経済界の長老にあたられる方でございまして、毎月業務の報告をいたしまして、その方々の御意見を伺っておるわけでございます。これは大体各種の業界を代表せられる方々の中からなっておりまするから、私どもの業務の一応重要なものにつきましては、その経験を十分に持たれ、それのみならず経済界の非常に高い指導者の立場にあられる方々でございまするから、非常に幅の広い御意見を承っておるわけであります。  それからあとのことになりますると、これは半期ごとに一応決算をする。決算そのものは御承知のように年度一回の決算でございまするが、私どものほうは年の半ばに納付金を暫定納付いたしまする関係もございまして、一応半年で経過を締めてみるわけでございますファイナルにきまりますのはその後であります。大体そういうような手順で業務報告を締めておるわけであります。
  190. 竹本孫一

    竹本委員 二つに分けて伺いますが、申し込みがあって、審査をする、各省と連絡をとる。いろいろ御説明をいただきましたが、私は、いま参与会という、六名とおっしゃったですね、その人たちがどの程度の発言なり、影響力を持っておるかということを、もう少し具体的に聞きたいのです。  私のほうから申し上げますが、そういう政府の、あるいは国策金融機関といったような問題に対して、役人の内側の連絡は十分とられるでしょうけれども、それ以外の一般の声をどの程度に聞くのであるか、また聞いておるのであるか、制度的にどれだけのくふうが行なわれておるのであるかということについて、私は実は心配をするので少し伺いたいのです。  参与会、いま六名とおっしゃいましたけれども、まあ、それは人数は六名で必ずしも足らぬとはいえないかもしれませんが、その選考、またその六名にどういう人が出ておるか。経済界の長老といういま御説明がございましたけれども、私は長老ばかりではだめだと思うのですね。経済界のいま長老として、いままでやってこられた先輩に敬意は表しますけれども、そういう人たちの経験がほとんど問題にならないような、コンピューターをはじめとして新しい時代の波が押し寄せている、技術革新が押し寄せてきている、そういうときに、そういうような古い資本主義の上昇期というか何というか、そのときの経験しか持ち合わせない人たちが六名も集まって、同質の人たちだけが幾ら意見を述べてみても、時代の要求に十分耳を傾けるということにはならぬと思うのです。でありますから、その六名のいまの人的構成はどんな構成になっておるかということについて、もう少し具体的に聞いてみたい。  さらに、その人たちはいかなる場合にどの程度の影響力を及ぼしておるのであるか。開発銀行独善でやってもらっては困りますから、三千億の金をわれわれは数名の人に預けてしまうというわけにはちょっとまいらない。そういう意味で、どの程度に一般の意見なり、希望なり、要求なりというものが織り込まれるように制度的のくふうが行なわれておるかということについて、もう少し具体的に承りたい。
  191. 石原周夫

    石原説明員 私が申し上げましたように、六名の方々は、たとえば重工業の関係、あるいは軽工業の関係、あるいは繊維の関係、あるいは化学工業の関係、あるいは海運関係というふうに、まあ業界としての非常に長い経験を持って、あるいはそれ以外の業界の経験を持っていらっしゃる方に、大体月に一回お集まりをいただきまして、われわれのその前月における業務の報告を申し、その中でまた特殊に重要な問題につきましては別に文書を用意いたしまして御説明もし、それに基づいていろいろ御意見を伺っておるわけであります。相当具体的な問題を申すわけでありまするから、したがって、御意見も相当具体的に伺うわけであります。  なお、いまお話がございましたように、技術進歩の相当著しい時代でございまするから、私どもは、先ほど申し上げましたように、国産技術振興という項目の融資を持っておりまするが、それに限りませず、技術嘱託、二十名くらいの方になっておりまするが、これは長老の方もおられますし、おっしゃるような若い方もおられます、そういう方も含めまして、そういった技術進歩と非常に密接な関連を持ちます案件につきましては、審査の段階において十分にそういう方々の御意見を伺い、それを取り入れてやっておるわけであります。  なお、協調融資ということを先ほど申し上げましたが、協調銀行との間には、個々の案件につきましておのおのの融資比率なり、はたして金融が全体つくのかどうかという問題がございますから、これは具体的な案件につきまして、時によりましては相当突っ込んだ意見を聞きまして、ほかの銀行がどういうようなことを考えておられるか、あるいはどういうような融資のやり方をなさるか、そこら辺の打ち合わせは十分いたしまして、そういうような市中銀行サイドの御意見というものは、各個の案件で織り込まれるというような仕組みになっております。
  192. 竹本孫一

    竹本委員 少しこまかくなるかもしれませんが、参与六名の中には学識経験者の代表がおりますか。それから、技術革新の時代に、その技術を代表する技術者がおりますか。あるいは消費者や労働者といったような、いわゆる社会代表といったような者がおりますか。
  193. 石原周夫

    石原説明員 いま御発言のありましたような技術の関係は、技術嘱託という関係で各個の分野についてのお話を伺っておりますから、参与の中には入っておりません。  それから、いまおっしゃいました点、すなわち、大体経済界の代表者の方からなっておりますから、いまお尋ねがありましたような人たちは入っておりません。
  194. 竹本孫一

    竹本委員 そういう意味で、私は、開発銀行のばく大な、国策金融機関としての運営については、もう少しそういう面の声を、ただ嘱託から聞くといったような次元の低いことでなくて、本格的に聞くなら聞いたらどうかと思うが、いかがですか。
  195. 石原周夫

    石原説明員 いずれにいたしましても、融資というのは非常に具体的な案件になるものでありますから、したがって、一般的なものの考え方、一般的な業務のやり方につきましては、先ほども申し上げましたような参与の方、これはもちろん重要な具体的な問題に変わりはありません。技術的な問題になりますと、これはよほど具体的な案件につきまして各個の技術の専門家の方に御相談をいたしませんと、必ずしも十分な知識を得ることはできないという点がございますから、この点はむしろある程度の数を持ちました技術嘱託のような形で御相談をするほうが、技術開発の進歩に、できるだけ新しい状態をつかむというのには適当ではないかという感じで私どもおります。
  196. 竹本孫一

    竹本委員 この点は、ぼくは総裁の考えは間違っておると思うのです。技術的な審査やあるいは検討を加えるというならば、開発銀行にも相当な専門家がいらっしゃるわけだから、極端にいえば何もそんな参与の意見を聞かなくてもわかっているはずだ。わからないようでは事務的に大問題だ。私がいま問題にしているのは、社会代表の方の、一般のむしろばく然とした常識的な意見を聞くということが、政治の方向づけにおいては大事なんですし、また国策金融機関というものの運営について、一般庶民の願いなり要求なりというものをいかに取り入れるかということについては、そういう専門家というものでなくてもけっこうなんです。もしまた専門家というならば、いま言ったように技術の代表といったようなものはより専門的なんだから、財界の長老以上に専門的な見識を持っているかもしれぬ。そういう意味のハイヤーコモンセンスというか、あるいは庶民のほんとうのコモンセンスというか、そういうものを取り入れながら、資金の大きな流れといったものについてパブリックコントロールを加えるということを考えなければならぬのではないかと私は思うのです。そういう意味でいろいろ聞いたのでございます。  これはちょっと話が違いますけれども、総裁、あるいは大蔵省でもお目にとまっているかもしれませんが、二十一日の新聞にちょっと出ています。私が従来持っている意見とちょっと似たものがありますから申し上げるのですけれども、これは、GMの重役に市民代表、公害を防ぐお目付け役に政府支援で実現、ということで新聞に出ております。結論は、五月の株主総会で承認されるならば、三人の公益代表をGMの重役会に送り込んで、企業の責任のためGMの株主委員会を設置することになる、こういうふうに書いてある。アメリカのような資本主義万々歳の国でも、やはり公益代表というものをだんだん企業の運営の中に取り入れて、その意見を尊重して運営するということが、企業の社会的な役割り、使命を果たす上において必要だということで、こういう制度的くふうまで考えているわけですね。  日本の政策金融の本元であるところの開発銀行に、三千億円の金の運営についてこういう考慮が一つもないということは、ぼくは重大な問題だと思うのです。単なる技術的あるいは事務的なアシスタントとして嘱託がその辺に必要だという問題をぼくは言っておるのではない。そんな問題ならばむしろ開発銀行の中によりすぐれた事務屋がいらっしゃるであろうと思うのです。そうではなくて、そういうセンスの問題を言っておる。市民代表というか何というかは別といたしましても、開発銀行融資その他の運営については、もっと大きな立場からの国民の要求に耳を直接傾けるパイプといったようなものが制度的にくふうされなければならぬと私は思うのです。  大臣がお見えになりましたから大臣の御意見も伺いますが、開発銀行の運営について、庶民の声をもっと聞くなりあるいは国民の声を聞くなりして、その運営に全きを期する、その制度的くふうがありますか。今日、参与会議というものがあるそうで、六人おるそうですけれども、財界の長老だけ集めておるような大体お話です。私は、財界の長老も大事かもしれぬけれども、こういう技術革新の大きな転換期には、それだけの意見を聞いておったのではだめだ。聞くならばそういうような、もっと新しい国民の声が聞けるようなパイプを考えるべきではないか。アメリカのGMに三人のそういう重役を置くというような時代が来ておることから考えてみても、そういう開発銀行の運営について、もう少し庶民的な要求が反映できるようなくふうはできないか、こういうことを私は伺っておる。
  197. 福田赳夫

    福田国務大臣 石原総裁によく検討していただきます。
  198. 竹本孫一

    竹本委員 ぜひひとつ前向きに検討を加えていただきたいと思うのです。  それから業務報告ですね。ここに出ておりますけれども、これは、こういうものを受け取った段階で、たとえばわれわれはこれを見ても、ほとんど書類を読むだけで、どれだけの検討ができるかということについては私は非常に疑問だと思うのです。大蔵委員会には優秀な方もいらっしゃるから読んだだけでみなわかるかもしれないけれども、こういうものを、結論だけのこの紙切れをもらっただけでは、われわれも全体の動きがほとんどわからない。いろいろ議論したいと思ってもほとんどそれは不可能だ。それであればなおさらのこと、事前にそういうわれわれの声も国民の声も反映するような制度、機構というものを考えるべきではないかということを、私は開発銀行の重大使命にかんがみていままで申し上げたわけです。  最後にもう一つ、先ほど体制金融の問題がいろいろ出ましたときにお話もありましたように、自由化とか開放化という問題とも関連いたしまして、最近その問題が特に問題になっておるとは思いませんが、資本の自由化の荒波が押し寄せてきた場合に、それによって立場を失って、われわれの民族産業といったものが存立の危機に立たされるような場合が考えられないではない。そうした場合に、それを国の力あるいは政策金融の力でバックアップしていくというようなことが必要になるかもしれない。御承知のように、イギリスは産業再編成公社というようなものができて、必要な場合には金を貸してやる。そうしてアメリカ資本に乗り取られるものを防ぐ。そのかわりにパブリックコントロールも加えて、産業配置については地域開発のことも考えて、その工場はどこどこに設けろ、その製品の何割は輸出しろということを、イギリスではパブリックコントロールを加えておりますね。日本ではいまそういう制度的なものがほとんどないと私は思うし、もしそういうものを考えるならば、開発銀行なんかは一つのいい候補者ではないかと思うのです。そういう点について、資本自由化の荒波が押し寄せてきた場合に、それに対して受け答えをする制度的な金融的なものは一体何であるかということが一つ、それからもう一つ開発銀行自体がそれをになっていこうということは考えられないかどうか、この二つを伺って終わりにしたいと思います。
  199. 福田赳夫

    福田国務大臣 資本自由化はそう混乱ないようなスケジュールでやっていきたいと思いますが、何せヨーロッパの事例を見ましても、自由化後の状態、これは容易ならざるものがあると思います。そういうものに備えまして、金融上の演ずべき役割り、これは重大なものがあるであろう、かように思います。その際に開発銀行がどういう役割りをにないますか。まだ自由化がそこまでの段階にはなっておりませんので、まあ一つの候補者であるという御所見、これは私もそういうふうに思いますが、今後十分検討してまいります。
  200. 竹本孫一

    竹本委員 これで終わりますが、先般来一部で議論されています円の切り上げとかいったようなものに私自身はあまり賛成ではないのです。しかしそういうことを防ぐためには、やはりこの資本の自由化ということは思い切ってやらなければならぬだろう。そうするとその巻き添えを食って、ある場合には日本の大事な民族産業が相当大きな犠牲を背負わされるようなことになるかもしれない。そういうものをだれがどうしてささえていくかという、うしろのほうのバックアップの保障がなければ、ただ資本の自由化やってみろといったって、そうやれるものではない。こういう点も考えますので、ぜひ資本自由化に対する制度金融といいますか、国策金融というものもこの際用意しなければならぬ。前向きに御検討いただくように要望申し上げまして、質問を終わります。      ————◇—————
  201. 毛利松平

    毛利委員長 この際、経済及び技術協力のため必要な物品外国政府等に対する譲与等に関する法律の一部を改正する法律案、及び国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  両案につきましては、すでに質疑は終了いたしております。  これより討論に入るのでありますが、両案につきましては討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、経済及び技術協力のため必要な物品外国政府等に対する譲与等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  202. 毛利松平

    毛利委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  203. 毛利松平

    毛利委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表し、藤井勝志君外三名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者の趣旨の説明を求めます。広瀬秀吉君。
  204. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 私は、ただいま議題となりました経済及び技術協力のため必要な物品外国政府等に対する譲与等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党を代表して、その提案理由の説明をいたします。  案文はお手元に配付してありますので、朗読は省略させていただきます。  わが国の経済は近時著しく発展し、国民総生産はすでに世界第三位に達し、国際収支も順調に推移し、外貨準備の蓄積も近々のうちに四十億ドルになんなんといたしております。このような情勢を背景にして、わが国の発展途上国に対する経済援助は年々増大し、またわが国に対する発展途上国の期待もとみに高まっているところでありますが、反面わが国の援助に対する発展途上国の評判ないし国民感情は必ずしもいいとはいえない面もあり、また計画的、効率的に行なわれていないきらいのあることは御承知のとおりであります。  したがいまして、政府は、経済及び技術協力を進めるにあたっては、全世界的視野に立ち、平和に徹し、共栄の実をあげるよう、発展途上国の自主性を尊重し、その経済成長、技術の向上等を通じ、国民所得の増大を期することを基本として、次の諸点についてその実現をはかるべきであります。  すなわち、その第一点は、長期的視野に立って経済及び技術協力を積極的に推進するとともに、現在発展途上国の要請に基づいて物品譲与等が行なわれているのでありますが、今後は発展途上国の実情を見詰め、要請された国、あるいは要請された物品に限ることなく、自主的認識による長期的展望に基づく譲与等も行ない得るようにすべきであります。  第二点は、海外からの研修正、留学生を政府は積極的に受け入れるとともに、この問題につきましては、先進諸国では一万とか二万とかたいへんな数にのぼっておりますが、これに対しましてわが国は数の問題でも問題にならない少数でございます。さらに十分に学習、研修の実効をおさめるに足る研修費等、その受け入れ体制の改善、充実をはかる必要があるとするものであります。  第三点は、経済及び技術協力を行なった後も、十分その効果が発揮されるよう、常にその推移を見守り、調査を行なうなど、実態把握につとめ、必要な関連施設等についても援助を行なうこと等、アフターケアに十分留意する必要があるとするものであります。  以上が本附帯決議案の提案の趣旨でございます。  何とぞ御賛成くださいますようお願いいたします。(拍手)     —————————————    経済及び技術協力のため必要な物品外国政府等に対する譲与等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は海外経済技術協力を進めるにあたっては、全世界的視野に立ち、平和に徹し、共栄の実をあげるよう、発展途上国の自主性を尊重し、その経済成長、技術の向上等を通じ国民所得の増大を期することを基本として、次の諸点についてその実現を図るべきである。         記 一、長期的な視野に立って海外経済技術協力を推進するとともに、あわせて譲与等を行なうことができる物品等の範囲の拡大に努めること。 一、海外からの研修生、留学生等の政府ベースでの受入れを拡大するとともに、その受入れ体制及び内容の充実を図ること。 一、海外経済協力の推移をたえずみまもり、アフターケアーの万全を期すること。     —————————————
  205. 毛利松平

    毛利委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  おはかりいたします。  本動議のごとく附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  206. 毛利松平

    毛利委員長 起立多数。よって、さよう決しました。  本附帯決議に対し、政府の所信を求めます。福田大蔵大臣。
  207. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては十分関係省庁とも協議し、御趣旨を体して努力いたします。     —————————————
  208. 毛利松平

    毛利委員長 次に、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  209. 毛利松平

    毛利委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  210. 毛利松平

    毛利委員長 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  211. 毛利松平

    毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  212. 毛利松平

    毛利委員長 次回は、来たる二十七日金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時十七分散会