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1970-03-20 第63回国会 衆議院 大蔵委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月二十日(金曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 毛利 松平君    理事 上村千一郎君 理事 金子 一平君    理事 藤井 勝志君 理事 山下 元利君    理事 広瀬 秀吉君       奥田 敬和君    木野 晴夫君       木部 佳昭君    木村武千代君       佐伯 宗義君    坂元 親男君       高橋清一郎君    登坂重次郎君       丹羽 久章君    原田  憲君       福田 繁芳君    坊  秀男君       松本 十郎君    森  美秀君       吉田 重延君    阿部 助哉君       堀  昌雄君    美濃 政市君       貝沼 次郎君    二見 伸明君       春日 一幸君    竹本 孫一君       青柳 盛雄君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君  出席政府委員         外務省経済協力         局長      沢木 正男君         大蔵政務次官  中川 一郎君         大蔵省主計局次         長       船後 正道君         大蔵省国際金融         局長      奥村 輝之君         運輸政務次官  山村新治郎君         運輸省航空局長 手塚 良成君  委員外出席者         通商産業省貿易         振興局経済協力         部長      黒部  穣君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 委員の異動 三月二十日  辞任         補欠選任   竹本 孫一君     西村 榮一君   小林 政子君     青柳 盛雄君 同日  辞任         補欠選任   西村 榮一君     竹本 孫一君   青柳 盛雄君     小林 政子君     ————————————— 三月十八日  利率等表示年利建て移行に関する法律案  (内閣提出第二二号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会設置に関する件  利率等表示年利建て移行に関する法律案  (内閣提出第二二号)(参議院送付)  経済及び技術協力のため必要な物品外国政府  等に対する譲与等に関する法律の一部を改正す  る法律案内閣提出第三六号)  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に  伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第四〇号)  空港整備特別会計法案内閣提出第三一号)  国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第三二号)      ————◇—————
  2. 毛利松平

    毛利委員長 これより会議を開きます。  小委員会設置に関する件についておはかりいたします。  すなわち、先刻の理事会で協議いたしましたとおり、それぞれ小委員十四名よりなる、税制及び税の執行に関する小委員会金融及び証券に関する小委員会財政制度に関する小委員会を設置することとし、各小委員及び小委員長委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 毛利松平

    毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、小委員及び小委員長は追って公報をもって指名いたします。  なお、委員辞任に伴う小委員及び小委員長補欠選任、小委員及び小委員長辞任の許可並びにその補欠選任につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 毛利松平

    毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  5. 毛利松平

  6. 毛利松平

  7. 中川一郎

    中川政府委員 ただいま議題となりました利率等表示年利建て移行に関する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  御承知のとおり、わが国におきましては、金利表示につきまして、主として日歩建て年利建てとの二つが併用されており、表示方法が統一されていない状況にありますが、これは、国民的能率の観点から好ましいことではなく、また、最近における経済及び国民生活の著しい国際化の動きに即応するためにも、国際慣行に合った金利表示方式を整える必要が強く感じられるのであります。  このような背景のもとに、先般、公定歩合年利建て移行が実施された機会に、金融界におきましては、各金融機関貸し出し金利等表示が一斉に年利建てに改められ、引き続き預金金利につきましても、近く全面的に年利建てに移行するため、その準備が進められており、本年四月以降におきましては、各金融機関適用金利がほとんど例外なく年利建てに統一される見通しであります。  政府といたしましては、さらに、この際進んで法令等規定における利率等表示年利建てに統一することにより、年利建て表示の一そうの普及、定着をはかる方針を固め、ここに、この法律案を提出することとした次第であります。  以下この法律案内容につきまして、その大要を御説明申し上げます。  この法律案は、利率等日歩建て表示しているすべての法律規定を一括して年利建て表示に改めるものでありまして、改正対象としている法律は、国税通則法地方税法土地収用法道路法農地法等五十八法律であり、改正する条項は百六十四カ所であります。  また、右の改正により、従来の日歩建て割合にかえ、新たに規定する年利建て割合は、公定歩合その他金融機関適用金利等の体系との関連を考慮して、特別の事情のある場合のほかは、〇・二五%の整数倍の数値に調整することとしております。なお、その調整にあたり、改正前の利率等の水準が端数部分において動くこととなる場合には、国民の負担を軽減する方向に調整する等の原則に基づいて、適切に処置しております。  さらに、法律規定における利率等表示年利建てに改めることに伴い日割り計算等に関し明確化を要することとなる事項について、規定整備を行なうこととしております。  以上、この法律案につきまして、その提案理由内容大要を申し述べました。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  8. 毛利松平

    毛利委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  9. 毛利松平

    毛利委員長 次に、経済及び技術協力のため必要な物品外国政府等に対する譲与等に関する法律の一部を改正する法律案及び国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。阿部哉君
  10. 阿部助哉

    阿部(助)委員 一番最初に、いままで一般会計IMFへ金を出しておりましたね。これを外為から出すように変更するわけでありますが、やはり一般会計で出していくべきじゃないかという考えを私は持つのですが、なぜここへ移さなければいかぬのか、御答弁願いたいと思います。
  11. 奥村輝之

    奥村政府委員 今回IMFの増資に際しまして、従来一般会計から出資いたしておりましたこれを外為会計出資することにした理由でございますが、まず第一は、最近におきますIMF外為会計との取引緊密化一体化でございます。これに応じまして、私どもの扱いも一元化していくという考え方でございます。  もう少し詳しく申し上げますと、この外為会計ができましたのは昭和二十六年でございます。そのときの外為会計のおもな仕事は、外貨外国為替売買、それと外国銀行等に対する取引、こういうことでございました。ところが、日本は少しおくれてIMFに参加いたしましたために、昭和二十七年にIMF加盟が行なわれた。これに伴いまして、IMFとの間で外貨売買が始まったのであります。そのときに外為会計IMFとの間の外貨取引が始まったわけであります。さらに昭和三十七年になりますと、例の、先生御存じのGAB、一般借り入れ取りきめというのができまして、外為会計からIMFに対して円貨の貸し付けをするということが行なわれるに至ったわけです。ごく最近では、昨年でございますけれどもSDRというものが創設せられるに至りまして、これはまた外為会計との間で取引が行なわれるということになりました。したがって、こういうふうな取引の基礎は何にあるかと申しますと、これは出資でございます。この出資の中で二五%はゴールドトランシュと呼ばれていることも御存じのとおりだと思いますが、七四%の部分については国債で出すわけであります。これはIMF加盟しておりますどこかの国が国際収支の危機におちいって外貨がほしいというときには、場合によっては日本の円がそれに用いられ、引き出しが行なわれるわけであります。そうしますと、そこに起こりますのはスーパー・ゴールドトランシュと呼ばれるものでございます。このゴールドトランシュスーパー・ゴールドトランシュも、ともに必要なときにはすぐ外貨になりまして、私ども手元に戻ってくる。もう少し言いかえてみますと、そういうふうに出資いたしましたその裏でできましたところのものは、外為の資産、資金運用によって運用対象となる。こういうものを持つことになるわけであります。したがって、その裏にあるこの出資外為資金運用として行なわれるのは適当であるという考え方を持ったわけであります。  それからもう一つは、IMFへの出資は、国際通貨制度金融機能そのものでございます。七五%、これは先ほど申し上げたわけでありますが、他国に対する貸し出しに用いられる場合には、これはかなり多いわけでありますが、それを一般財源で処理するということは、どちらかといえば不適当で、これはむしろ通貨代用証券日銀に売ってファイナンスしたほうがいい、こういう考え方でございます。  それからもう一つは、IMFの出しました通貨代用証券は、加盟国都合で、ときには円現金にかえなければならぬことがございます。しかし、これはときには不要になりまして、もう一ぺん通貨代用証券に戻る。つまり発行と償還というものが繰り返して行なわれる。これに対しては機動的にあるいは弾力的にこれを処理する必要があるということで、一般会計ではむしろ不適当であるということで、今回外為会計から出資をするというふうにお願いをいたしておるわけであります。
  12. 阿部助哉

    阿部(助)委員 しかしこれは第十条の七に、「国債整理基金特別会計法第二条第二項の規定適用については、国債とみなさない。」というけれども、この規定については適用がないといえども、やはりIMFへ出したものは、これは国債には違いないんじゃないですか。どうですか。皆さんがみなそうとみなすまいと、やはりこれは国債には違いないんじゃないですか。
  13. 奥村輝之

    奥村政府委員 国債の中にはいろいろなものがございまして、私先ほど御説明申しましたように、これも一種の広義の国債と呼べないことはないと思うのです。しかしその国債性質たるや、通常の国債とは非常に違う。出しておいたものが、どこかの国の必要によりまして、IMF手元に出してある、先生のおことばによれば国債が、いつ何どき円に交換してほしいという要求が出るかもしれない。しかしまたそれはぐるぐる回っておるものでございまして、またそれを戻してくるということで、しょっちゅう回転しているわけなんです。もともと借り入れとか何とかという問題ではなくて、通貨代用としてこの国債を出しておる。そして必要があれば円にかえる。また必要がなければ基金通貨代用証券にかわる。こういうようにぐるぐる回っておるものなんです。しかもそれは、かりに円を出しましても、その円は外国の当局によりまして、すぐ外貨にかえてくれということをいってくるわけです。円がふえないわけです。国債についてもいろいろな議論がある。あるときには円が出てインフレになるじゃないかという議論が私はあると思いますけれども、この基金通貨代用証券というものは、そういうことでかりに円に直されましても、すぐ相手国ドルにかえてくれ、こういう話になってまいりまして、円は外為会計にもう一ぺん戻ってくるわけであります。したがってインフレ的な要因は全然ない。広い意味の国債にはいろいろなものがございますけれども、まさにこれは日本銀行に売却して一時的なファイナンスを受けるにふさわしい、そういう基金通貨代用証券である、そういうふうに考えております。
  14. 阿部助哉

    阿部(助)委員 インフレ的要素はない、こうおっしゃるのは、外国が円を引き出す。そうした私の言う国債IMFへ出しておる。ところが円をIMFからもらっていった国は、あなたのお話だとすぐドルに交換する、こうおっしゃるけれども、いままではそうだったかもわからないが、これからかりに円がもっと強くなる、場合によって切り上げの可能性すら出てくるというようなことになれば、だれも円をドルにかえるというばかはいないんじゃないですか。あなたのおっしゃるのは、ただ、いままでは円を持っていっても、その国々はすぐ使いやすいドルに交換してきたという事実は私も否定するものではないけれども、これからはたしてそうなるかどうかという保証はどこにあるのです。
  15. 奥村輝之

    奥村政府委員 いままで確かに円は外国にすぐドルにかえられました。これからどうかということになるのですけれども、円を引き出してこれをためておいて、万一のときにもうけようというようなときに引き出しが起こるのじゃないわけです。すぐ使うということで起こってくると私は思うのです。  それからもう一つ、かりに百歩譲りまして円が使われるということになりましても、その円はほどなく戻ってくるわけです。いままでのIMFの持っておる各国通貨の資料を見ましても、出たり入ったり出たり入ったりというのが非常に多くて、ほどなく戻ってくる。いわば短期的なものである、ぐるぐる回っておるものであるというふうに私は考えております。要するに外貨が必要である、どこからか買うことが必要であるからこそ、IMFからどこかの国の通貨を引き出すのであります。
  16. 阿部助哉

    阿部(助)委員 あなたのお話を聞いておると、私はわからないのですが、それなら何も、ドルを引き出せばいいものをなぜ円で引き出すのですか。
  17. 奥村輝之

    奥村政府委員 いまは世界の決済通貨として一番よく使われているのはドルでございます。もちろんそのドル引き出してもいいのですけれどもIMF仕組みというものは、各国IMFに自分の国の通貨を出し、そして強い通貨を出した国は——円でもいいのです、マルクでもいいのです、そのほかの通貨でもいいのですけれども、その強い国の通貨引き出して、その国の責任で、その引き出した国が何に使うか、為替市場介入操作に使う、そのときに必要な通貨にかえてほしい、こういう段取りになるわけでございます。段取りはそういうことでございますので、日本は円を出しておる。したがって円を引いてドルに直してもらう、こういう話になる。これは円だけでなくて、ほかの通貨もそうでございます。
  18. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だから私はあなたの話が理解できないのですが、きのうおいでになった課長さんのお話でも、かりに円を——最近だいぶ出ていますね。九百三十億くらい引き出されているのじゃないですか。そうだけれども、それはほんとうのワンタッチですぐドル等にかえられる、こうおっしゃるのですが、それならそんなめんどうくさいことをしないで、初めからドルIMFからお借りになったらいいじゃないですか。
  19. 奥村輝之

    奥村政府委員 先ほどから申しておりますように、これはIMF仕組みというものをまず御理解いただきたい。各国が、日本は円を出す、ドイツはマルクを出す、フランスはフランを出す、イタリアはリラを出す、そしてIMFは余裕のある国の通貨を使わせるわけです。それを使わせるということは、それをIMFから引き出しまして、その国へ持ってまいりまして、イタリアならイタリア日本なら日本へ持ってまいりまして、介入通貨とかえてもらうわけです。介入通貨はいまはドルなんです。だからドルにかわるということを申し上げておるわけです。
  20. 阿部助哉

    阿部(助)委員 ドルポンド……。
  21. 奥村輝之

    奥村政府委員 このごろはポンドはあまり使われておりません。
  22. 阿部助哉

    阿部(助)委員 安いから……。
  23. 奥村輝之

    奥村政府委員 はい。
  24. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だけれども、その場合にやはりこれはすぐその国がかえなければならぬという義務は何もないわけでしょう。
  25. 奥村輝之

    奥村政府委員 日本御存じのように昭和三十九年に八条国になりまして、日本の円で非居住者が持っておるものについては、これはドルにかえる、外国通貨にかえるという交換性を与えたわけでございます。したがってIMFとの取引においてもドルにかえるということの仕組みになっております。
  26. 阿部助哉

    阿部(助)委員 外国IMFから円を持っていったとしますね。そうするとその国は必ずしもドルにかえなければならないという義務づけはないのじゃないか、私はこう言っておるのでして、それはよござんすが、そのIMF証券を渡しておる。円を出す場合に、外為証券を持っておる外為IMFに円を渡すわけですね。——わかりませんか。外国IMFへ借りたいということで申し込む。そこの国が円を持っていく場合に、日本証券を渡してあるわけだから、証券日本に持ってきて円を持っていくわけでしょう。それを外為がやるわけでしょう。
  27. 奥村輝之

    奥村政府委員 IMF国債で出してあるのが七四%ございます。それを、そういうふうな事情がございましたときには、IMF日本に対して円にかえてほしい、現金にかえてほしいということをいってまいります。私のほうはそれは円にかえてやる。ただそのときに、出してあるものが七四%分は基金通貨代用証券でございます。これを日本銀行に渡しまして、そして円を調達して、それをIMFに出すわけであります。
  28. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だから私の言ったとおりなんでしょう。そうすると基金通貨代用証券外為を通していくかどうか。まあ日銀に入りますね。そうするとこれはやはり日銀日銀券発行担保となるのじゃないですか。
  29. 奥村輝之

    奥村政府委員 ちょうどSDRについてお願い申し上げましたように担保になることになっております。
  30. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だから結局は、規定づけで国債であると皆さんが認めようと認めまいと、その限りにおいては国債と同じ機能を果たすだろう。そうすると皆さんが、この前御説明おいでになった方も、あなたもいまインフレ要素は全然ないとおっしゃるけれどもインフレ可能性を持つのではないか。現にいままで物価値上がりの原因はいろいろな要因があったろうと思いますけれども、四十年から国債発行してきた歴史、まさに物価値上がり歴史だろうと思うのであります。そういう点でこれが絶対にインフレ要因にはごうまつもならないということはないのじゃないか。
  31. 奥村輝之

    奥村政府委員 日本は、先ほど申しましたように外貨証券のかわりに相手国に渡すわけでございます。だから外貨だって日本銀行の持っているものについては同じでございます。外貨証券にかわるだけだともいえるわけであります。したがって、厳密なインフレ論というのは、なかなかいろいろ範囲があるものでございますから、一がいな議論というのはむずかしいと思いますけれども、これによって非常に御危惧になっておるような物価上昇等の結果をもたらすようなインフレにはならない。  もう一つは、私が申し上げておきたいと思いますのは、外国が、外国都合によって、IMF体制というものがあるにしましても、たまたま日本IMFを通じてこういうかっこうの短期金融を持ち込んできたからといって、そのために一般財源を使うということは非常に不適当である。むしろそちらのほうからそういう議論がいままでから出されてきたわけであります。
  32. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それが皆さんは不適当だとおっしゃるけれども、見方によっては必ずしも不適当じゃない。なぜそれならばいままで一般会計から出しておられたんですか。
  33. 奥村輝之

    奥村政府委員 日本国際収支が最近のような状況になりましたのはまさに最近のことなんです。むしろ日本は前はIMFとの関連においては金を借りる機関であると観念しておった。ところが最近は国際収支がよくなってまいりましたので、ことに去年、おととしあたりからいわゆる取引によるスーパー・ゴールドトランシュはふえてきたわけであります。これがかねがね問題はあったわけですけれども、こういう制度について根本的に異論はないかという再検討の必要に迫られたゆえんでございます。やはり状況変化でございます。それから先ほど申し上げましたようにIMFとの取引全般が緊密になってまいりました。これが第二の理由でございます。
  34. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうすると、いままでは日本は大体IMFから借りたいという希望、借りる事情が多かったが、最近は国際収支もよくなったし、むしろ日本の円が引き出されるという段階へ来たのでこういう仕組みに変えたいという、状況変化だ、こういうことですか。
  35. 奥村輝之

    奥村政府委員 かねがね基本的にこういう考え方があったわけであります。ただ、いつどういう段階でこれをやるかということになりますと、やはり客観情勢がいま先生もおっしゃったようなことで変わってまいりましたので、この際やろうということでございます。
  36. 阿部助哉

    阿部(助)委員 その点はさておいて、まあ私は、やはりこれが結局日銀担保になり、日銀券の増発につながっていくのじゃないかという感じがするわけでありまして、皆さんのほうは、そういう点では否定的なあれですが、それならひとつ国債状況を少しお伺いしたいと思うのです。四十年度、まあ不況克服という形で実際は出されたと思うのですが、当初はたしか二千億ですね。それから今日までどれだけの国債発行しておるか、ちょっとお伺いしたいのです。
  37. 船後正道

    ○船後政府委員 一般会計国債でございますが、当初予算ベースで申し上げますと、四十一年度が七千三百億円、四十二年度が八千億円、四十三年度が六千四百億円、四十四年度が四千九百億円、四十五年度は四千三百億円を予定いたしております。これはいずれも当初ベースでございますので、実際の発行につきましては、これはその年度年度で、自然増収その他を勘案いたしましてすることになっております。
  38. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうするとこれは、四十五年度、今年度は別にしまして、四十四年度までトータル幾らです。——それは計算してもらうことにして、次、そのうちに、この国債は、この前わが党の堀先輩からも質問ありましたが、日銀引き受け的であるというお話がだいぶあったわけでございますが、この国債保有状況、たとえば日銀でいまどれだけ持って、金融機関でどうで、そして個人所有がどれだけという、この分類はおわかりですか。
  39. 船後正道

    ○船後政府委員 新国債保有状況でございますが、四十四年十二月末現在の計数でございます。政府が所有いたしておりますのが三千百二十八億円、大部分資金運用部でございます。それから政府関係機関に五千万円、日本銀行に一兆八百五十四億七千百万円、市中銀行市中金融機関に八千五百九十五億九千三百万円、その他が三十二億七千四百万円でございます。
  40. 阿部助哉

    阿部(助)委員 やはりこれを見ましても、大体一年たてば日銀へ持っていって日銀券に引きかえができるということで、相当部面が一応引き受けた金融機関の手からは離れておる。結局日銀引き受けみたいなものですね。だから物価にこれは非常に影響しておるということと、もう一つは、国債というのが、建設公債であるとかいうけれども、だんだん多目的にこれが使われてくるという危険性を私は感ずるわけであります。私は大体、国債というものは戦争政策につながるという考え方を持っておりますので、これには非常に賛成ができないのでありますけれども、今度の場合もこういうことを考えていくと、一般会計から出すのが適当である。不適当であるということをおっしゃるけれども、やはりいままでどおりやって、そして必要があればまた日銀から金を持っていくという道も開かれておったわけでありますから、何も方法を変える必要はないじゃないかという感じがするわけであります。まあその点では皆さん方のほうにも御意見があろうとは思うけれども……。  もう一つお伺いしたいのは、IMFで今度増額をするわけです。出資をふやすわけですね。これは何のためにふやすのですか。
  41. 奥村輝之

    奥村政府委員 これはIMF協定の三条の二項で、五年をこえない間隔でクォーターの検討をやる。ことしはちょうど前回から五年目になるわけなんです。これは形式的なことを申し上げたわけですが、実質的な問題といたしましては、やはり世界経済の成長に見合うような流動性を出さなければいかぬということで、昨年もSDRの審議をお願いしたわけですが、このSDRというのは無条件の流動性で、これに対してIMFというものは条件つきの流動性で、両々相まって適切な流動性を確保しなければいかぬという考えがあるわけであります。  もう一つは、各国別に見まして、五年たちますとお互いの間の経済的な地位というものが相当変化をいたしております。やはりその変化に即した割り当て額、その変化を割り当て額によく反映をさせる、こういう必要で今度の増資が行なわれるということになったわけであります。
  42. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうしますと、その過去五年間の変化というものは、どういうものが一番大きい変化を起こしたのですか。
  43. 奥村輝之

    奥村政府委員 これはいろいろな変化がありまして、それを全部御説明するのはたいへんだと思います。一つ例を申しますと、世界貿易がこの五年間に二八%増加しておるわけです。まあ、その他いろいろ変化はございます。
  44. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いろいろ変化がある中で、IMFからの借り入れをやっておる国というのを見ると、一つはやはりイギリスが非常に弱ってきたということ、それに伴って、アメリカのベトナム戦争や何かでドルの地位が非常に落ちてきたというあたりが一番大きな変化じゃないんですか。
  45. 奥村輝之

    奥村政府委員 先ほど私五年間と申しましたが、失礼いたしました、三年間で二八%でございます。訂正させていただきます。  それから、最近英国あるいは米国の国際収支問題、確かにいろいろな変化があったわけでございます。しかしいま、IMF加盟している国は全体で百十五ございます。その中で開発途上国というのがもう四十八カ国もある。先進国と呼ばれている中のものでも、ユーゴとかスペインとかアイルランドとかアイスランドとかフィンランドとか、こういう国がたくさんあるわけです。そういうことで、こういう国が、いままで振り返ってまいりますと、IMFの創設以来二百億近くの資金IMFから引き出しておるわけです。小さい国は小さい国として十分やはりIMFを利用している。大きい国も大きい国として、これはやはり国際通貨制度を棄損するというような場合がありますから、全体を助けなければならぬ。そのときにIMFが必要な役割りを果たすということで、それぞれに必要な援助をIMFが果たしてきた。必ずしも特定の国のためにIMFがあり、特定の国のために今回の増資が行なわれるものとは私は思っておりません。
  46. 阿部助哉

    阿部(助)委員 今度の増資を見ますと、日本はその増資の比率といいますかが、わりかた高いんですね。なぜ日本はそんなに高くしなければいかぬのです。
  47. 奥村輝之

    奥村政府委員 まず、なぜいままでこんなに低かったかということを私どもは考えているわけであります。これは日本の成長が非常に目ざましいということで、やはり五年目ごとのこの検討をまって、追っかけ追っかけ適正にしていかなければならぬ。今回の増資によって日本は世界第五位になるわけでありますが、その前は七位でございました。私どもはなお不満を持っておりますのは、今回の増資のもとに使われましたブレトンウッズ方式という計算方式があるのでございますが、これは国民所得とか輸出だとか輸入、外貨準備だとか、こういうものをいろいろな算式で計算いたしまして数字をはじくわけでございますが、残念ながら世界的な統計が全部、たとえば一九七〇年の一月一日でそろわないわけであります。六七年の数字を使っているわけであります。こういうことで、むしろ低きに過ぎるというおしかりがあっても高きに過ぎるというおしかりはないというふうに考えております。ことに昨年のSDR法律審議にあたりましては、なぜこんなに少ないのか、IMFの中における日本の地位をもっと向上させなければいかぬじゃないかという御叱正をいただいておるわけでございまして、むしろそれに忠実に私どもは努力してまいったつもりでおります。
  48. 阿部助哉

    阿部(助)委員 まあ前に、フランスはドゴール時代にはなかなか出さなかった。最近ふやしておりますがね。いまあなたおっしゃる地位の向上のためによけい出資したい、どういう地位が向上するのです。
  49. 奥村輝之

    奥村政府委員 私ども、われわれの国際収支あるいは日本経済を見ます場合に、やはり順調な発展ということが一番望ましいと思っております。しかし特に国際収支だけとってみましても、やはり山あり谷ありで、いまの状況必ずしもこれは永遠に続くものと思ってはならないと思って、深く心を戒めているわけでございます。IMFに対する出資というものは、先ほどちょっと触れましたけれども、今度十二億にいたすことによって、いざというときにIMFからの借り入れができるという意味で、第二線準備を拡充するという意味があるわけでございます。そういうことで、私どもは、日本の貿易規模が伸びている、日本経済も大きくなりましたから、場合によってはぶれがあるかもしれない、そういうときに適切な外貨のバッファーと申しますか、準備を十分にとっておくということは日本の今日の経済機構を前提とすれば当然のことであろうと思います。
  50. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうしますと、地位を向上するとおっしゃるが、内容はいざというときの手当てにそれを引き出せるようにというお話であります。日本経済、今国会の財政演説等を拝聴いたしておりますと、たいへん強気な財政演説をしておられる。そうすると、あまりいざというときの心配のためにこれをふやしておるというふうには私は受け取れぬのですがね。それと、前に福田大臣はアジア開銀総会で、五年で援助額を倍にする、また愛知外務大臣は東南アジア開発会議では、七〇年代の後半においては五十億ドルの対外援助をやりますといって、公約をしてきておるわけですね。そうするとあなたのおっしゃるといざというときはという心配でこれをふやしておるのではなく、もっと別のことでこれをふやす——これでも今回どっちかといえばよその国に比較して日本出資額の増加率は大きいわけです。それでもあなたはいま不満である、もっとふやしたいんだ、こうおっしゃる。そうすると、そのことはいざというときの心配ということではなしに、別の目的があるんじゃないですか。どうも矛盾しておるのじゃないですか。
  51. 奥村輝之

    奥村政府委員 私は、長い年月の間には経済がいろいろと変化することがある、一時的でも国際収支の問題というのは変化することがあるので、それに対して万全の措置をとる、こういう必要があるということを申し上げたわけであります。もちろんわれわれがIMFに今度増資いたしますについては、われわれがいざというときにIMFから借り入れをするその規模をふやすという点もあります。また、私申し上げませんでしたが、国際通貨制度において日本が応分の協力をしていくという意味もこれは否定できない。これは権利と義務車の両輪でございますので、したがってそういう意味において、いざというときに対処してこの増資をするということについては——いまの御質問、どういう御趣旨かよくわかりませんけれども、決して他意なく、自然の必要として私どもは受け取っておるつもりでございます。  なお、大蔵大臣がアジア開発銀行の総会におきまして、来たるべき五年内にアジアに対する援助を倍増するということを申しておりますが、経済の許す限りという文句を中に入れております。日本としては、やはりわれわれは開発途上国に対する協力はわれわれの義務だと思っておりますので、前向きでございますけれども、やはりそこは経済の許す限りという前提で対処しているわけであります。
  52. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それなら、いざというときの用意でやっておるんだというなら、それ一本で筋が通るならばそれで私はわかるのですが、あなたはさっき地位の向上のためにとおっしゃったので、その地位の向上は何をねらっている地位の向上なのかということでお伺いをしておるわけです。というのは、ほんとうにこれをやっていくとすれば、理事国になれば発言権が大きくなる。その発言権がいいように使われていくならこれもまたいいのでしょうけれども、どうもIMFの運営方式というのは株式会社方式じゃないだろうか。たとえば国連なら議決するとき、理事国もありますけれども、投票は大小の国にかかわりませず一国一票という投票方式がとられ、ある意味では国際的な民主主義体制というようなやり方で議決が行なわれるけれどもIMFの場合はそうではなしに、五番目まで入れば任命国になれる。理事任命国だ。それで理事になればやはりそこに発言権が強まってくる。いままでの、過去の運営を見れば、何といってもキーカレンシー国であるアメリカ、イギリス、特にアメリカの発言権が強大であったということを私どもは認めざるを得ないという点から、あなたがはしなくも地位の向上、こうおっしゃった、この地位の向上というところに何か私は危険なものを感ずるわけであります。そういう点で、私、あなたのことばのあげ足をとろうとは思わぬけれども、これはやはりここにほんとうのねらいがあるのじゃないだろうかという感じがする。この日本の大国主義的な経済の進出、そういうものを考えての地位の向上をねらっておるとすればやはり問題があるのじゃないかという感じがするわけですけれども、いかがですか。
  53. 奥村輝之

    奥村政府委員 IMFにおける日本の地位の向上ということで、今度は日本は任命理事になりました。五人までは任命理事でございます。おっしゃるとおりでございます。それをアメリカと結びつけられましてすぐどうこうという、私どもにはちょっとどういうふうな御趣旨の御質問であるかわからない。私ども、いままでIMFの中に選挙理事を送っておりまして、主張すべきものは主張し、拒否すべきものは拒否するという立場で、あくまでも日本の立場で議論してまいったわけでございます。ことに最近、日本は債権国になってまいりましたので、債権国にふさわしい発言、他国の規律、経済運営の節度を求めるための発言もときにはしなければならないというような立場にあるわけでございまして、これはもう当然日本の地位を向上させるというのは私はあたりまえだと思っております。
  54. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それでは、私の質問の本意がなかなかわからぬようですから、次へ移ってなるたけわかるようにしたいと思いますが、日本は四十年、日韓条約以降、急激にアジア近隣諸国への資本の進出が多くなってきた。経済援助といいますか、経済進出といいますか、それはどこの国に、アジアにどれだけ出ておるかという表をいただきたいということでありましたが、おもだった一番大きな順から五つ、六つ並べてくれませんか。
  55. 奥村輝之

    奥村政府委員 なかなか国別の問題というのはむずかしゅうございますので、先生の御趣旨に合いますかどうですか、私ども、本邦の企業が海外に投資をしている、その場合に全体として幾らあって、アジアはどれぐらい占めておるということをひとつ申し上げたいと思います。  全体としては千六百五でございまして、アジアは七百十一でございます。これは多少推算が入っておりますので、数字の正確性についてはお許しをいただきたいと思うのですが、国別の数字をいろいろとあげますと、これまたいろいろと問題がある場合もあります。ただ数字でなくて大体の感じというものを申し上げさしていただければ、一番この数が多いのは台湾です。それから香港、タイというような順序になっておるかと思います。
  56. 阿部助哉

    阿部(助)委員 韓国は上のほうにはないんですか。
  57. 奥村輝之

    奥村政府委員 韓国は、アジアの中を見渡しましたところ、非常に下のほうでございます。
  58. 阿部助哉

    阿部(助)委員 ここへ出かけていっております日本の企業の利益率というものはどんなものでありますか。たとえば、これは一九六九年四月の調査で見たんですが、アメリカの資本の場合、大体アジアで、まあインドネシアやあっちのほうだろうと思うのですが、年間三一・五%、日本へ投資しておるアメリカの資本は一三・五%と出ておるわけでありますが、皆さんのほうも日本の企業の収益率ぐらいは把握しておられるはずなんでありますが、これはどんなふうですか、できたら国別に。
  59. 奥村輝之

    奥村政府委員 この利益率をいろいろとやります場合に、日本国際収支あるいは日本の国力との関係で——国力と申しますのは経済力等でございますが、力がつきましたのはやはり最近でございます。そういう意味で、いまある企業の中で創業間もないもの、それからかなり創業して時間がたっておるもの、こういうふうに分けて考えてみる必要があるのじゃないかと私は思うのであります。創業間もない企業と、たとえば創業してからまだ三年であるという企業は、東南アジアの場合には約五割でございます。で、この創業間もないものの収益率、これはあがらないということはお認めをいただけると思いますので、その他のものについて見てまいりますと、大体この三分の二はかなり業績がいい、残る三分の一はどちらかといえばまだ芳しくない、こういう状況でございます。  それで、業績が良好で配当を行なっているというもの、内部留保の問題もありますのでこれだけではなかなか問題把握はむずかしかろうと思いますけれども、大体配当率としては一〇%あるいは二五%、ときには三〇%程度のものがあるかと思うのでございます。
  60. 阿部助哉

    阿部(助)委員 韓国へ出ております日本の企業はなかなか、向こうの総生産の割合からいって——昨年の暮れに外務省から調査団を派遣しましたね、その報告によると、セメント工場で五一・四%、化学繊維工場五〇%、合成樹脂工業で六二・四%、肥料で三〇%という形で、韓国の総生産の中に占める日本の進出した企業のパーセンテージは非常に高い、こうなっておるわけでありますが、その点は皆さんのほうでももちろん把握しておられるわけですね。
  61. 奥村輝之

    奥村政府委員 私ども実は先ほどから申しました数字は、これは一体事業がどういうふうな経営の状態であるかということを把握する点で、一九六九年の三月末の数字をとっているわけであります。そのとき現在において韓国で創業間もないというのが四件でございまして、それがすべてであったわけでございます。その後、それほど大きな変化というものはまだ私どもはないと思います。
  62. 阿部助哉

    阿部(助)委員 しかし、これは昨年外務省から行った調査団の報告ですよ。皆さんのほうでそれぐらいなのは把握しておられると思うのでお伺いしたわけです。
  63. 奥村輝之

    奥村政府委員 私、申し上げましたのは、本邦企業の現地における活動、つまり子会社とか出資関係、そういうものについて申し上げたつもりでございまして、あともしあれでございましたら外務省の経済協力局長が控えておりますのでお答えしていただきたいと思います。
  64. 沢木正男

    ○沢木政府委員 ただいま御指摘になりました各企業は、借款によりまして韓国に日本が供与をいたしました工場の操業が韓国の工業において占める比率であるかと存じます。
  65. 阿部助哉

    阿部(助)委員 韓国とか、具体的にお伺いできれば一番いいのですが、台湾あるいはタイ国、インドネシア等における現地の人たちの労働賃金というのは大体どれくらいなものですか。
  66. 奥村輝之

    奥村政府委員 これはみな各国によって違うと思うので、いま私のほうではその数字を持っておりませんのでお答えいたしかねますが、いずれにしてもこういう地域の労働賃金というものは、労働の質の問題、技術の問題等との関係もありましょうけれども、いまの日本と比べて安いという感じは持っております。
  67. 阿部助哉

    阿部(助)委員 まあ日本の国内でいったって、技術で、多少質によって賃金が違うとかいろいろございますが、だけれども日本の場合の平均賃金は大体どれくらいであるとか、統計があるわけでしょう。同じように韓国であれば、私がお伺いしておるところであれば、大体一万二千円前後、台湾の場合もまた大体その前後じゃないか、こう思うのですが、それくらいのものは大体把握しておられるのじゃないか。なければ、ひとつこの辺くらいは調べたほうがよかろうと思うのです。  そこでもう一つお伺いしたいのは、日本のほうから出ていっておる商社マンといいますか、向こうへ駐在しておる人たちの俸給というのは、少なくとも常識からいけば、海外の手当といいますか在外手当といいますか、そういうような形で、日本におけるよりも何がしかの色がついておるだろう、こう思うのですが、その辺はどうなんです。どなたでも……。
  68. 奥村輝之

    奥村政府委員 おっしゃるように、日本から出ている商社マン等の給与は、国内勤務の場合と比べて高いということは、私ども承知しております。
  69. 阿部助哉

    阿部(助)委員 日本の最近の海外に行っておる人たち、また日本人自体が、最近イエローヤンキーだとかあるいはエコノミックアニマルだというような言い方で非難が非常に強い。しまいにはタイ国でホステスに殺されるという事件まで起きてひんしゅくを買っておる。なぜこういうふうなひんしゅくを買っておるのですか。なぜそうなるかというようなことを考えてみたことないですか。
  70. 沢木正男

    ○沢木政府委員 日本が最近東南アジアその他におきまして、エコノミックアニマルとか、ただいま御指摘のありましたようなイエローヤンキーとか非難されておる事実が現に存在いたします。これは日本の外交にとりましても非常に重要なことであると思いまして、外務省におきましても昨年来その原因について調査いたしております。その結果、まだ完全な報告は完成いたしておりませんが、われわれの推測では大体四つくらい基本的な理由が考えられるのではないかと思います。  第一は、やはり日本の急速な経済力の伸長、伸びに対するねたみといいますか、そねみといいますか、そういうものが基本的な感情として存在するということであります。  それから第二は、やはり日本の実際の経済力というものを必要以上に高く見過ぎておる。それがために、それだけお金持ちの国ならばもっとこういうことをやってくれてもいいじゃないか、それがやってくれないということに対するばく然たる不満でございます。  それから第三番目に、やはり政府が実際やっておりますことに対するPR活動といいますか、宣伝広報活動、そういう面においてまだまだ至らない面もあったかと存じます。  それから第四番目に、やはり貿易というようなことがアンバランスであるとか、そしてその国がいろいろ問題をかかえておるものが必ずしも十分解決のめどがついておらない。  そういうふうな、大別いたしまして大体その四つくらいのことが原因になりまして、それに日本人の旅行者、進出企業、あるいは貿易商社の海外における行動、すべてのことが総合されまして、いろいろなそういう非難に集まってきておるのではないか、こういうふうにわれわれ分析いたしております。
  71. 阿部助哉

    阿部(助)委員 あなたたちの見ておるこの四つの点も否定はできませんけれども、もっと根本的なものがあるのじゃないですか。先ほど大蔵省のほうで答弁されましたように、また大体この資本輸出というものは商品を売るよりももうかるというのは、昔からの例であります。だからここにあるように、三年もたてば二五%、あるいは三〇%という収益率をあげていく、それが魅力だからこそ多少の、国内におけるよりも、資本の危険性をおかしても海外へ出ていくということになるのではないですか。  そうすると、このいまあげたねたみであるとか何だとかというよりも、ほんとうに援助の名に値する日本経済進出であるのか。名前は経済援助であるけれども、中身は東南アジアの低賃金の、さらに無権利の状態における労働者の搾取、まあことばはきついけれども実際はそういうところにより深い根があるのじゃないか。その問題の解決なしに、多少のいまのようなPR不足だとか、あるいは実際以上に高く見過ぎるとか、ねたみだとかいうようなことをおっしゃっても、私はそれは表面的な見方であって、ほんとうにとにかくあの東南アジアの人たちの生活を引き上げてやるという親切での援助の名に値する経済の援助であれば、私はこういうものは出てこないのじゃないかという感じがするのですが、その点でのもう少し実態を掘り下げた調査をなさる必要があるのじゃないですか。皆さんがこんなものだけで見ておられるとすれば、まだまだこれから問題が出てくるだろう、そう思うのですが、どうです。
  72. 沢木正男

    ○沢木政府委員 ただいま御答弁申し上げましたのは、分析の結果としての大体の原因と考えられるような大筋の問題だけを申し上げたわけでございまして、海外に対する民間資本の直接投資というのは、それはそれなりの一つの援助の形態でございますけれども政府が海外に経済協力をいたしますについては、その国の雇用の増進、それから技術の発達あるいはひいてはその国の経済的自立を助成する、そうしてできるだけ早くその国の経済が伸びるようにという目的から、種々の方策を実施しておるわけでございまして、お説のとおりわれわれまだまだ研究する面が多いと思います。それはわれわれとしても真剣に取りかかって検討してまいりたいと存じております。
  73. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だから、私は経済進出というものが、国内の搾取では足らなくなって海外へ、外国へ行くのではないかという、非常に極端な言い方です、私の言い方は。なかなか問題はわからないというから、ごく端的に申し上げますとそういうことになっているのじゃないか。だからこそ日本はいろいろな非難を浴びるのではないか。アジアの人たちの生活をほんとうに一緒になって引き上げようという立場で進出をするならば、私はこういう問題は起きないだろうと思う。  もう一つお伺いしますけれども、それならば、なぜこれだけ大きな金を使って海外へ進出をしなければならないのか、そこをひとつお伺いしたいのです。特にことしは、七〇年代は総理は内政の年だと、こうおっしゃっておるが、内政のほうはさっぱりやらないで海外へ出るということには、どういうことなんだろうという私は疑問も持っておるわけであります。
  74. 奥村輝之

    奥村政府委員 東南アジアに対する直接投資というものは、非常にむずかしい分野であると私ども思っております。これは中南米その他の地域と比べまして、国家主義的なものの考え方が強い地域でございます。そういうことで、日本の海外への民間の企業進出の中では比較的歴史がおくれておる。で、東南アジアへ出ます場合には合弁会社が多い。日本だけが行って日本だけで仕事をするのではなくて、土地の産業と共存共栄をはかる、あるいは土地の産業に対して日本の経営技術とかあるいは製造上の技術というものを与える。そしてできれば一人立ちができるように、それから各地の国産化計画というのがございます、そういうものに対応して協力をしていく、こういう、受けるほうも国家主義的ないろいろな配慮がありますけれども、それはまたそれでそういう点にメリットを感じて日本の資本を受け入れているわけであります。われわれ今後の進め方については、まことにお説のような点については、これは大いに頭に置いて、行政的な面でも考えていかなければならぬと思いますけれども、要するに、特に東南アジアについてはやはり共存共栄というかっこうで処理していかなければ長続きしない、こういうのが私どもの気持ちでございまして、今後とも必要に応じて調査その他もいたしまして、御趣旨に沿うような方向で改善をはかってまいりたいと思います。
  75. 阿部助哉

    阿部(助)委員 改善をはかっていく、こうおっしゃるのですが、それを具体的にきっちりしていかないとまだまだ問題が起きると思うのです。たとえば韓国では、もうきめただろうと思いますが、日本の資本、外資の入っておる会社の工場はスト権がなくなる、臨時措置法をつくってスト権をなくしてしまう、まあ労働者を無権利の状態に置いていこう、しかも低賃金だというようなことをやっておる。おそらく東南アジア等でもこの低賃金労働——これは合併というけれども、それは向こうの大資本と日本の資本と一緒になるのであって、あちらの人民がそれではたして潤っておるのかどうかわからない。だからこそ悪口を言われるような形、また日本が再び帝国主義的な大東亜共栄圏的な様相になるんではないかという不安を持っておる。最近韓国でもそういう非難が非常に多いと私聞いておるのでありますが、同時に東南アジアの国々でもその点での不安を非常に感じておるのは、先ほど外務省ですか、通産省ですかのほうのお話しのような問題、四つの問題ではなしに、もっと基本的なところに狂いがあるのではないか。その基本的なことは政府がやらないと、企業自体はもうけるためには何ものもいとわないという形になるのは、これはある程度理解ができる。それをどういうふうに指導していくかが問題だろうと思うのです。いまケンブリッジ大学のロビンソンという有名な教授のあれを見たのでありますが、ちょっと読みますから聞いてもらいたい。「もっとも望ましい発展の方向は、イギリスの年々徐々に蓄積される富を教育、保健、厚生施設の改善、つまり福祉国家の実現に使用することである。しかし、このような政策も、ほんの少し進歩的な改革にさえ、恐怖を感じる富の所有者達が、その対抗手段として資本逃避を企てる限り成功しないだろう。」こういっておるのであります。ところが私たち、あれを読みますと、まさに日本の場合にもぴったりと適応するのではないだろうか。日本経済はこれだけ発展した、こういっておるけれども、社会保障の点は一体何ごとなのだろう。これだけ海外へ進出して、また援助の名に値しない、むしろ搾取をしに行くとすら思われている数多くの対外援助をしながら、農業問題はといえば、米が余っておるなんていうことで農業をつぶそうとしている。経済は非常なアンバランスの中での発展をしておる。なぜそういうところにもっと資本をつぎ込んで発展する方向をとらないのか。そうしながら、福田大蔵大臣や愛知外務大臣のように、五年後には対外援助は二倍にしますという大ぶろしきを広げてみたり、あるいは七〇年代の後半にはこれを五十億ドルにふやすなんと言っておるならば、この問題は内政のほうにもう少し問題を向けるべきではないかという感じがしてならないわけであります。内政の年代だとおっしゃるけれども、私はこういう姿を見ると、むしろ七〇年代の日本経済、政治は外政の方向へ向かっておるのじゃないか。その外政も政治の政でなしに、征服の征の外征のほうに向かっておるのじゃないかという感じすら受けるのでありますが、これは政治問題でありますので、ひとつ大蔵政務次官から明快な御答弁をお願いしたい。
  76. 中川一郎

    中川政府委員 非常に格調高い日本の一九七〇年のあるべき姿についての御高見でありまして、非常にわれわれ参考になるわけであります。しかしながら、わが党としてもあるいは政府としても、決して内政をほったらかしにして外国に、しかも外征——政治でなくて征服をしようというような気持ちは全くないわけであります。一九六〇年代を振り返って、廃墟と化した日本がようやくここまで外国からうらやまれるまでになったということは、これは高く評価をして、その上に立って今後は内政に力を入れて物価の問題あるいは農政の問題、社会保障あるいは社会資本の導入、こういったことをきめこまかくやって、調和のとれた日本をつくることが政治的に大きな課題であろうと存じます。かたがた、これだけ大きくなった日本でありますから、東南アジアのおくれた国に対しても積極的にお手伝いをしようということで、対外援助についても、経済の許す範囲という、先ほど注釈がありましたが、範囲内において援助の手を差し向けようというわけでございます。先ほど来のIMFの増資等も、国の力がついてきた分の応分のことはやりたいということもこの一つではないか。しかもやり方については、諸外国からうらまれないように、せっかく愛の手を差し伸べても、国民からはしかられる、外国からはまたきらわれるので、これはまことに合わないことでありますから、国民の理解の上で、しかも東南アジアの各国から喜ばれる姿というものについては十分くふうしてまいらなければならぬ、このように思っております。
  77. 阿部助哉

    阿部(助)委員 まあ、せっかくの御答弁でありますけれども、肝心のところはぼけてしまっておるわけです。愛の手と言うけれども、私が先ほど来申し上げておりますように、この利益率は非常に高い。そして非常にきらわれ始めておる、危険視されておるといういまの段階、この段階でもっと抜本的に考えないといかぬのじゃないか。日本の資本がもう最近非常な勢いで韓国にも出ておると聞いております。またタイ国を中心にして東南アジアへの進出は、これはもう目ざましいというか、その度を越しておるほど出ておると聞いておる。しかもそういう国が、決して経済援助としてよりもむしろ侵略としてこれを受け取りつつあるという現状は、もうこの根本方針を変えることが焦眉の急だと思う。そこへもってきて韓国、台湾に資本が出れば出るほどいろいろな問題を起こして、そういう問題が起きているときにやはり、佐藤・ニクソン会談じゃないけれども韓国の治安問題あるいは台湾海峡は日本の平和にとって重大だ。ある意味では私たちはアメリカと一緒に、朝鮮半島で事が起きれば日本の自衛隊まで出兵するのではないかという危惧の念を持たざるを得ない発言をしておる。また財界は、マラッカ海峡は日本の生命線だという、非常な不穏当な発言すらいま行なわれておる。日本の資本家の発言、そういうものと東南アジアの人たちの日本の進出に対する危惧の念、これとを合わしてみると、日本経済援助あるいはまたIMFへの発言権の強化、こういうものがただ単に抽象的な地位の向上だとか、そういうことではやはり間違った、それこそ帝国主義的な地位の向上になるのじゃないか。しかも内政の年だなんといいながら、内政のほうはさっぱりおざなりにして、そうして外国へ行ってもうけるというために国民の血税を土台にしながら資本家が利潤追求のために対外進出をするなどということは、日本の新憲法のもと、私たちは合点のいかぬところであります。そういう点で、もう一度ほんとうに心底から対外援助という問題は練り直すというか、基本的な態度を考え直す段階に来ておるのじゃないか。大きくなったら発言権がふえなければいかぬという抽象的なことで国民の血税をそっちへ回すのではなくて、ほんとうにアジアが平和で繁栄するためにこれがどうあるべきかという問題を私はもう一ぺん再検討する時期へもう来ておるのじゃないかという感じがいたしますので、たいへん恐縮だけれども、政務次官からもう一ぺん明快な御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。
  78. 中川一郎

    中川政府委員 阿部委員の御指摘、われわれは今後十分注意しなければならぬ大事な問題であろうと存じます。ただ、外国の人が日本のことをエコノミックアニマルだとかイエローヤンキーだとか言う本質のものも日本人として考えなければいかぬのじゃないか。ヨーロッパや何かに参りますと、たとえば円の力が非常についてきた、日本という国はたいへんな力を持った国だという高い評価もあります。あるいは東南アジアなんかへ行きますと今度は、たいへんな力を持ってきて、われわれも日本みたいになりたいんだがどうしたらあんな国になれるのだか教えてくれというような日本の評価もあります。ところが一方では、そういうふうに後進国に資本進出をいたしますと、そのうちにわれわれ労働者を搾取するんだ、日本だけでは足りなくて外国にも来たんだというような意見も確かにあろうかと存じます。しかしながら、こういった海外援助については、後進国は全部といっていいくらい失業者の多い国であります。就業の場がない、非常な低賃金だ。そこで日本が地元の人と合弁会社をやって、いろいろな企業が来ることによって失業問題が解決し、あるいは賃金もだんだん上がってくるという傾向に対して感謝している向きも、東南アジアの各国、後進国には数多く見られるわけであります。したがって今後もそういった気持ちで、中心は、アジア諸国がともどもに明るく平和な国家ができるということに中心を置いて、またやり方としては、いま言う、あまり暴利をとって日本人はずるい国民だといって非難をされるようなことのないことについては、今後も勇断をもってひとつ対処をしていかなければならぬというふうに思うわけであります。今後ともそういった点、悪い点がありましたならば遠慮なくひとつ政府に御叱咤賜わりますようお願い申し上げます。
  79. 毛利松平

    毛利委員長 堀昌雄君。
  80. 堀昌雄

    ○堀委員 きょうは最初にIMF関係のものをやりまして、次回に経済協力の問題をまた別個に取り上げる予定でありますが、さっきからの阿部委員の質問に関連して、ちょっと私見を述べながらいまの問題に触れておきたいと思うのです。  私は、いま東南アジア諸国で起こっておる現状は、一面的にいうと日本の沖繩で起きておる現状と非常に共通性があると思っています。そのことは広くいえば、日本とアメリカとの関係における過去におけるいろいろな問題に非常に関係があると思うのです。私は、アメリカの文明というものは確かに新しい文明でありますが、同時にそのアメリカ文明の中の一つの欠陥というのは、やはり物質万能主義的発想というものがアメリカ文明の一つの大きな欠陥の側面であると思っています。  私は欧州に二回の旅行をして非常に痛切に感じておることは、欧州では少なくとも今日まだ物質が万能ではありません。そこではやはり人間がすべてであって、物質はやはり人間に隷属をするものだという気持ちを、私は欧州諸国を歩きながらいつも感じるわけです。イギリスに行って、イギリスは御承知のように、なるほど物質的な問題としては今日やや立ちおくれている感があるかもしれません。しかしイギリス国民がそれではしあわせでないかといったら、いまのイギリス国民日本国民よりもはるかにしあわせだという確信を私は持っておるわけです。  日本は、なるほどいまたいへん高度成長で、経済的、物質的には恵まれた条件に立っているかもしれないけれども国民の心の中で、人間としてのわれわれの暮らしがほんとうにしあわせかどうかという点については、これはだいぶ考えなければならないところに来ているんじゃないだろうか。かえってアメリカのほうが、今日ややその物質文明の欠陥に気がついて、そういう人間的な側面に対する反省が、やや日本より先に生まれつつあるのではないかという感じを私はいま持っておるわけです。そういう物質文明がすべてだという前提で、いま実は阿部君が指摘をしたように、日本が東南アジアに出ていっているということは、私はイエローヤンキーということばは全く的確なる指摘だというふうに感じておるわけです。欧州の諸君がアメリカ人をヤンキーとしてある程度軽べつをしておるもとは、そこにはやはり伝統的な欧州の文化と、その文化というものを全然評価をしないで、物質がすべてだというアメリカ的発想とのギャップだと私は考えておる。  今日、東南アジアにおける諸国民は、なるほど空活水準は低いかもしれない。しかし生活水準は低いなりに彼らは彼らなりの人間としての生活がある。その人間としての生活をいま物質文明で撹乱しようとし、利益の追求によって、表面上はわからないかもしれないけれども、彼らは直観的に彼らが搾取をされておるということをいま感じ取りつつあるというのが、いまの東南アジアの国民の状態ではないか。だから、さっき外務省の経済協力局長がいみじくもこう言いました。日本経済が非常に伸びてくることに対するこれらの諸国民のねたみではないのか、この発想が、私はいまのイエローヤンキーの最も根本的なものだろうと思うのです。この見方は一体どこから生まれているのか。われわれのほうから後進国に対して、おまえたちは後進国なんだぞと、思い上がった気持ちがねたみということばであらわれているんじゃないでしょうか。私はそこに非常に重大なこの問題のポイントがあると思う。そういうことばを外務省の経済協力局長が公式のこの場面で言うなどというところに日本の思い上がりがあるし、その思い上がりの上で外務省が経済協力をやっても、そんなものは私は東南アジアの国民の心には通じないと思う。私はその点について、まず外務省側の反省を求めたいのだが、それについてのあなたの答弁を求めます。
  81. 沢木正男

    ○沢木政府委員 私が使いましたことば、すなわち、ねたみと申しますか、それは一つの原因の要素ではないかというふうに申したわけでございまして、先ほどから申し上げておりますように、われわれとしましても、この問題については非常に重要な問題でございますので、まだまだ研究し、かつ分析していきたいというふうに思っておりますので、ただいま先生の御意見のような点も十分くみまして、今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  82. 堀昌雄

    ○堀委員 次の経済協力の問題のときには外務大臣に御出席をいただいてこの問題の論議をいたしますけれども、さっきそういう話がありましたところですから、まず私はいまの問題だけはこの際明らかにしておきたい、こう思うわけです。  結局、これまで言われておることは、日本の海外経済協力というものは一体ほんとうに海外経済協力なのか。それはその国のために行なわれておるのか、自国のために行なわれておるのか、ここに私は重要な限界があると思う。日本における主として海外協力という項目の上にあげられておる中には、延べ払い輸出もあるし融資もあるし、どちらかといえば、それを通じて日本の商品を海外に売り込んで日本がプロフィットを得るということが主になっておる。なるほど結果としてはその国における住民に物資を供給したということになるでしょう。しかしどちらかといえば、受け取る側にとってみれば、やはりそれは本来の協力ではないという感じとして受け取られていると私は思うのです。  私はかつて商工委員会で、海外経済協力基金法の改正のときにも申しましたけれども、まず日本としていまほんとうにやらなければならないことは、これらの後進諸国の有能な人をもっとたくさん日本に留学させる、もっと日本で豊かな教育をさせることが大事ではないか。この前、千葉大学に留学しておる人たちが、とにかく日本政府が与えておる給与が少ないから値上げをしてくれ、それでなければ試験を受けないという問題があった。かつて私たちは、日本外国から留学をした人たちが、日本好きといいますか、日本のひいきをする側に立ったのではなくて、かえって日本に留学をした人が日本に反対する立場に立つ人が多かったということを聞いておるわけですけれども、私は、今日日本国内でやっておる留学制度は、アンチ日本党をつくりつつあると思うのです。日本のこのいまの国内の状況をこれらの留学生が見て、もう少しわれわれがまともな条件で勉強ができるようにしてくれというささやかな気持ちすらも、いま日本政府は断わっておる。そうして、自分たちの国の利益になるなら惜しみなく金を使うなどという態度は正しく改められなければならない。  これは大蔵省に財源の問題で関係がありますから、この点はひとつ中川政務次官、ほんとうに海外経済協力というならば、なるほど物資の供与も、いろいろのものの物的供与も必要でしょう。しかしもっと日本としては、日本が幸いにしてアジアの諸国の中で一番すぐれた科学技術なりいろいろなものを持っておるならば、そのようなものをその国民に吸収してもらって、その国民がそれによって自力で自分たちの国を発展させていくために、私は、もっと財政的な協力をして、そうしてその国の発展に寄与し、あわせて、その国に帰った人たちが日本好きになって、将来とも日本とともにやろうということの道を開くことなくして、いまのようなやり方をやっておれば、これは決して協力に結果としてはね返ってこない、こう考えるのですが、この点について、これは来年度予算の問題になるのか、今年度中に処理できることかわかりませんけれども、もう少し大蔵省は前向きに考えてもらいたい、こう思うのです。  そこで、ちょっと先に、船後さんは文部省担当ですかね、主計局側としては、これは事務的にどう考えておるのか。もう少しこれらの海外留学生に対する費用、これは文部省なのか、外務省の予算なのか、どこの予算かよくわからぬが、これはもうちょっと引き上げて、ゆとりのある留学生活を送らせるというために費用をもっとさくべきではないかと思うのですが、その点についての見解をちょっと承りたい。
  83. 船後正道

    ○船後政府委員 開発途上国からのいろいろな留学生の受け入れでございますが、予算的には、研修関係は外務省、いわゆる大学に対する留学生は文部省でございます。手元に資料がございませんので、詳しい数字は忘れましたけれども、文部省系統でございますと、留学生の受け入れにつきましては、宿舎の問題から月々の学費と申しますか、そうした給付金の問題につきましては、毎年配慮いたしておりますし、ことしもかなりの増額をいたしておる、かように考えております。
  84. 堀昌雄

    ○堀委員 私は増額していないことはないと思うのですが、その人たちが、個別的な不満を述べるならともかく、ある程度団体として不満を述べておることは、これはもっと私は財政当局としても配慮しなければならぬ問題じゃないか。だから、さっきの話のように、われわれが思い上がった態度ではなくて、その国と対等、平等の立場に立ちながら、どうしたらその国のためになるのかということを考えることなくして海外経済協力なんというものはあり得ない。だから、そのことは金額だけの問題ではなくて——金額の問題もあるが、われわれの心がまえの問題ではないのか。心がまえがそうなっておれば、その人たちにもっとあたたかい処置をしようというのは当然のことですから、それは財政的にもそれに協力ができるわけです。心がまえがなってないから、その他の日本のいろいろな諸費用を勘案したらこれだけでいいだろうというようなことになりかねない。そのことが大きな不満を呼んでいくならば、いかに物的協力をしたってそんなものは役に立たないということを、さっきの答弁を聞きながら非常に強く感じたものですから、まず、これは本来ならば海外経済協力の分野でやることだけれども、いまホットのうちに申し上げたということであります。——外務省、通産省、けっこうです。もう一回次回にやりますから。  今度の基金代用証券の問題なり、法案として提示をされておりますことについては、ある程度合理的な問題もありますから、そのことすべてについて反対をするわけではありませんけれども、私どもは実は昨年のSDRの問題について反対をいたしました。その反対についての考え方というものが、私は当時当委員会におりませんでしたので、いささか私なりの見解を述べる機会がありませんでしたから、本日はこれから問題提起をする問題の中に、いまのSDRとの関係を含めて私の意見も交えながら少し伺っておきたいと思います。  そこで、最初に少しお伺いをしたいのは、一九六九年におけるアメリカの流動性収支と公的決済との関係、流動性収支と公的決済がこのように乖離をしてきたのは一体どういうモメントによるのか、これらについて最初に事務当局からお伺いしたいと思います。
  85. 奥村輝之

    奥村政府委員 昨年のアメリカの国際収支は、流動性ベースで見ますと約七十億ドルの赤字でございます。これは第四・四半期だけを取り上げてみますと、その前期である第三・四半期に比べまして改善はされているわけでございます。というのは、第四・四半期は十一億ドルの黒字でございます。第三・四半期は二十六億ドルの赤字でございます。次に御指摘になりました公的決済べース、これは昨年年間で二十八億ドルの黒字でございます。前年が十六億ドルの黒字でございます。その点では数字はよくなっております。中を分けて申しますと、第四・四半期の公的決済ベースは十二億ドルの黒字、第三・四半期の公的決済ベースのしりは九億ドルの赤字ということでございます。  この乖離の原因でございますが、これは、公的決済ベースと流動性ベースというものがどこが違うかというところの定義からおのずから出てくるわけでございます。大まかに申し上げますならば、公的決済ベースは、アメリカの銀行の借り入れ等は除外してある、流動性ベースではアメリカの銀行の借り入れ等が含まれている、こういうことであろうと思います。   〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕
  86. 堀昌雄

    ○堀委員 形式的にはいま言われたように、流動性ベースと公的決済ベースというのはそういうことでありますが、経済的にはどういうところに問題があるかといえば、七十億ドルにのぼるところの流動性収支の赤字がありながら、二十八億ドルの公的収支の黒字になるということは、一体何を意味しておるのか。これは、結局アメリカの民間資金がユーロに流れ出て、流れ出た結果が——それだけではないでしょうが、ほかには財務証券の一九六八年における対外増加と、逆に一九六九年には減少しているというようなこともあるかもしれない、ほかの要素も多少あるでしょうけれども、主たるものはそういう民間資金がユーロに変わったということによる赤字、今度は逆にユーロを米銀が取り入れたという黒字、要するにアメリカの中から出ていったものと入ってきたもの、そういう形がやはり流動性ベースと公的決済の大きな乖離の一つの象徴的な問題だ。要するに、各国通貨当局のドルすらも民間に流れ出るほどに、アメリカは高金利によってユーロダラーを集めたということになっておるということではないでしょうか。
  87. 奥村輝之

    奥村政府委員 お説のとおりであると思います。
  88. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、現在国際金融局は、アメリカの過剰ドルというのは一体どのくらいに推定していますか。
  89. 奥村輝之

    奥村政府委員 アメリカの過剰ドルという定義でございますけれども、私どもこの問題を考えるときに二つに分けて考えたいと思うのです。一つは、やはり外国の公的機関手元にあるドル、それから外国の民間の手元にあるドル、これは相互にかきねがあるわけではなく、金利その他の要因によって非常に移動すると思います。それで、全体として幾らという数字は、各国のいまの公的準備中の米ドルは、これは一九六九年九月の数字で恐縮でございますが、百六十六億ドルでございます。いままでアメリカのドル外国人の持っているドルが問題になるときには、公的機関の保有するドルというのが問題になるわけです。というのは、これは申し上げるまでもありませんが、金の兌換の要求が圧力になるということでございます。   〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕 先ほどのお話しの、流動性ベース、公的決済ベース、この二つを比べてみまして、公的決済ベースがいいということは、その限りにおいてはそういうふうな圧力がない、しかし流動性ベースにおいて赤字が大きいということは問題をはらんでいるということであろうかと思います。
  90. 堀昌雄

    ○堀委員 あなたのほうでは、いまあなたが言われたように、確かに各国通貨当局の持っておるドルと民間のドルとがある、そうすると、言うなれば通称過剰ドルというのはその民間のドルとほぼパーになる、こう言いたいということですか。
  91. 奥村輝之

    奥村政府委員 非常にむずかしい御質問でございまして、いまドルに対する需要というものは一体あるのかないのかというと、フランスにいたしましてもイギリスにいたしましても、あるいはドイツにいたしましても、供給不足という状態が実はあるわけでございます。それで、そういう点から申しますと、一口にいまドルは過剰であるかどうか。私は決して、民間の手元にあるのがどうで公的機関にあるのがどうでということを結論的には申し上げませんでしたが、いまの時期は非常に微妙なものがある、一がいに申し上げるのはむずかしいと思っております。
  92. 堀昌雄

    ○堀委員 どうも話がかみ合わないのですがね。それでは、一九六八年には大体百六十億ドルくらいのユーロダラーが動いた。昨年は、私どもの感じでは大体百四十億ドル近いものが余剰ドルといいますか、そういう形になっているという実は判断をしているわけです。それは百四十億ドルなのか百億ドルなのかというのは、私もこまかい資料からあれしているわけではなく、推計の問題ですが、そうするとここで問題になるのは、そういう中からいまの流動性ベースの赤字分を差し引いた差額というものが出てきますね。だからその分だけは結局問題のあるドルになる。各国通貨当局なりIMFからそれだけ余分に流れているということになる。ところがいま言うように、イギリスもフランスも西ドイツもややドル不足という条件が出ているというのは、アメリカが高金利によってそういうドルを民間から吸い上げてユーロダラーを取り入れてきた。ユーロダラーというのは民間から出てくるわけだけれども、その民間のもとは各国通貨当局からどうせ出てくるわけですから。結局いまの一つの問題は、なるほど公的決済ベースで二十八億ドルの黒字になりましたと言っていますが、自然になったわけじゃないですね。アメリカの高金利によってこの公的決済ベースが二十八億ドルの黒字になったのじゃないでしょうか、どうでしょうか。
  93. 奥村輝之

    奥村政府委員 お説のところはあると思います。
  94. 堀昌雄

    ○堀委員 だから、私がSDR問題についてひとつ触れておきたいことは、現在の世界通貨の状態というものはあまり自然な状態で動いていない。ドルを主として買ったり売ったりしているのは、アメリカ人以外ではなくてアメリカ人だという問題が一つあるのじゃないですか。そうでしょう。アメリカ人がドルを欧州に売ってみたり、今度はアメリカの銀行が欧州にあるドルをまた引き揚げてみたり、もっぱらアメリカがドルをこうこうこうやっているのが主であって、アメリカ以外のほうは、どちらかというとそれに影響されながら、それに追従しながらやっているというのが昨年の大体の経過じゃないだろうか。そのことは一体どういうことになるか。要するにいまのそういうユーロダラーの取り入れた分と、それから流動性ベースとの差額というものをもし余剰ドルとして見るとするならば、その分はこれから毎年毎年まだふえていくのじゃないだろうかという気持ちが私はするわけです。そのもとはどうしなければならぬかというと、アメリカ自身が基礎ベースのバランスをとるようにしない限りは、いまのような状態を続けていれば、その過剰ドルというかそういうものはだんだんふえていく。非常に矛盾に満ちた姿が片方では出ていくのじゃないか。なるほどSDRを出して、アメリカはいまSDRを使っていないけれども、アメリカがもし使うとするならばその分だけは減るかもしれませんけれども、大体いまのSDRの取りきめでは、全部使ってみたところで年間七、八億ドルでしょう。二十億ドル以上もそういう分が出てくれば、その差額は依然として拡大をする。だからいまの国際通貨上の問題は、まず何はさておいても、アメリカが基礎収支をバランスをとるという前提なしに問題は考えられないのじゃないかというのが第一点なんですが、その点についてはどう考えておりますか。
  95. 奥村輝之

    奥村政府委員 いまの政権が誕生いたしましたときに私ども伺ったことは、この国際収支の問題というものを正面から取り組む、正攻法で取り組むという政策意図の表明でございました。それで、アメリカの最近の経済政策がどっちを向いているかということになるわけでありますが、われわれの得ている指標では、実質のGNPは伸びがとまってきた、あるいは鉱工業生産指数とか民間住宅の建設着工件数、小売り売り上げ指数だとかあるいは失業率、こういうものは景気の低下の方向を示している。ただ物価のほうは若干まだ上がっているようでございますけれども政府も黒字財政政策をとっておるということでございまして、私どもはこのお説のとおり、何と申しましても流動性ベースと申しますか、あるいは実質的な意味のアメリカの国際収支の黒字というものがなければ、やはり世界の通貨問題も安定はむずかしい。しかし、アメリカがその方向に向かっていま努力をしているその効果があがることをわれわれとしては期待をしておるわけであります。
  96. 堀昌雄

    ○堀委員 いまおっしゃったように、確かにアメリカ経済はマクロ的にはやや鎮静化しつつあります。しかし本年のアメリカ経済の見通し、一九七〇年の見通しというのはいろいろ議論があるわけですね。これはOECDが出しておるもの、あるいはアメリカの学者の中にも二通りも三通りもの意見もあります。これは見通しですから、ここでいろいろ議論をしてもそうどうこうということはありませんけれども、ただしかし、そういう姿であるにもかかわらず、卸売り物価は一九五七年−五九年を一〇〇として、一九六九年の一月が一一〇・七であったものが、十一月の速報は一一四・七ですね。生産は非常に横ばいになってきている。鉱工業生産は横ばいになっておるにもかかわらず、卸売り物価は依然として相当な値上がりを続けておるということは、あとの貿易収支の動き等を見ながらも、卸売り物価指数なり消費者物価指数、おまけにことしは御承知のように賃上げの年に当たるわけですから、そう簡単に私はこれらが鎮静化するようにはマクロ的には思えない。ちょっと私の手元に資料がありませんけれども、第四・四半期の貿易収支は一体どうなったのですか。一九六九年の最終的な貿易収支は幾らになったのか、ちょっと教えてもらいたい。
  97. 奥村輝之

    奥村政府委員 一九六九年の十−十二月の貿易収支、これは軍関係を除きまして四億三千八百万ドルの黒字でございます。内訳を申しますと、輸出のほうはやはり軍関係を除いて九十八億二千七百万ドル、輸入のほうは軍関係を除きまして九十三億八千九百万ドルでございます。
  98. 堀昌雄

    ○堀委員 そうしますと、全体として年間は七億六千万ドルぐらいの黒ということになったわけですか。
  99. 奥村輝之

    奥村政府委員 貿易収支は合計いたしますと、軍関係を除きまして六億七千四百万ドルの黒字でございます。
  100. 堀昌雄

    ○堀委員 六億七千四百万ドルの貿易収支の黒字ということは、一九六八年とほぼ横ばいということですね。一九六八年の第四・四半期から赤字が続いているのがやや黒字になっているから、その限りでは、今後の見通しははっきりしませんが、私はどうもいまのアメリカ経済の動きを見ておると、それじゃ一九七〇年に貿易収支が非常に改善されるという見通しは実はあまりないように思う。だから、その意味では、一九七〇年の流動性ベースのかなりの赤字を依然として予想せざるを得ないのじゃないか、こう私は思っているわけですが、その点はどうでしょうか。
  101. 奥村輝之

    奥村政府委員 これはアメリカ政府がいま鋭意取り組んでいる問題でございます。われわれ日本の役所といたしましては、アメリカ政府がいっておりますように、二十億ないし三十億ドルというものを期待する、そのために努力をしている、これに対してはひとつしっかりやってくれ、これは国際通貨制度のためにも必要であり、アメリカのためにも必要であるというふうな気持ちで、大いにその成果のあがることを期待いたしておるわけでございます。
  102. 堀昌雄

    ○堀委員 まあ御期待申し上げるのはけっこうですけれども、私は、やはり国際通貨問題というのは、そういう期待や願望の上で成り立たないと思うのです。きびしいものです。現実はきわめてきびしいものです。あなたの期待するようになるかならないか、また来年のいまごろやってみればわかる。いまの諸情勢から見て、アメリカの流動性ベースは少しは回復するかもしれませんね。ことしのように七十二億ドルにもならないかもしれないけれども、この改善される幅というのはせいぜいでも二十億ドル内外程度のものであって、場合によってはあまり改善されない場合もあり得るんじゃないかということを第一点感じます。  じゃ、そのことは何を意味しておるかというと、SDRというものの性格は、これは金融価値が保証されておりますね。そのかわり金兌換性というものは認められていないということではないですか。
  103. 奥村輝之

    奥村政府委員 お説のとおりであります。
  104. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、国際収支黒字国のドルは、理論的にいえば、やがてはSDRにだんだんと置きかえられていくでしょう。そうすれば、ある段階にくると、あなたのさっき触れた百六十六億ドル各国が持っておるところの対米債権というものは、最終的にはSDRに全部置きかえられる時期がくるかもしれない。そうすると一体どういうことが起きるかというと、今日ドルは金に兌換するということで問題は進行しておるわけですね。いよいよその段階までくると、いまやこの不安定なドルが金にかわって世界の基軸通貨になってしまう、これが基本になってしまう、こういう時代がくるということに理論的にはなるわけですね、どうですか。
  105. 奥村輝之

    奥村政府委員 結論的に申しますと、お説の点はちょっとわかりかねます。
  106. 堀昌雄

    ○堀委員 どこがわかりかねるのですか。まず第一点で触れたSDRは金の兌換性がない。黒字国のドルは三十五億ドル、三十億ドル、三十億ドル、その次もまた幾らかずつ毎年出していって、赤字国はその割り当てられたSDRで黒字国のドルをだんだん持っていく。黒字国のドルは最終的にはSDRにだんだん置きかえられていくんじゃないですか、だんだんやっているうちには。赤字国はSDRを使っては黒字国にSDRを置いていくわけだから、こっちのドルはなくなって赤字国のほうへいくわけだ。そうすれば、理論的に、最終的にはSDRに黒字国のいまの部分が全部置きかえられる可能性が出てくる。そうすると、置きかえられた部分だけは金兌換性がないわけです。そうなれば、そういう意味ではドルは金兌換性——自分の国内のものは問題がないんで、外の黒字国のドルだけは全部SDRになってしまうという場合が起きれば、もはやドルは金に交換する必要のない通貨である。あなたのさっき言った百六十六億ドルの質は金にかえなければならぬですね。百六十六億ドル全部SDRになったら、もうアメリカのドルというものは金と無関係に基本通貨になるということになるんじゃありませんか。なりませんか。
  107. 奥村輝之

    奥村政府委員 SDR各国の協力のもとにだんだんと順調に伸びていく。ただ一方では、各国の中央準備としてのドルがもう要らなくなるのは相当先の話でありまして、どうもこれから先、世界が必要とする国際流動性をドルにいままでのような調子で依存するということはむずかしい。したがって、金の問題につきましても、金は自然の産物でございますから、それに依存することもむずかしい。一方では世界の貿易もだんだんとふえてまいります。そこで、SDRというものをつくってインフレにもならない程度の流動性を与えようではないか。ドルをいま全部中央準備から抹殺するとか追い出すというような程度の、そこまでの見通しのもとにこの制度が進んでいるわけではない、私もそういうふうに理解しております。
  108. 堀昌雄

    ○堀委員 しかし、SDRを三十五億ドル、三十億ドル、三十億ドルとやっていくと九十億ドルになりますね。そうして、日本にいろいろ割り当てられているやつ、日本は使わない、赤字国のほうだけが使う、そうすれば日本は、日本にあるドルSDRにかわるんじゃないですか。そこのところからお伺いいたします。
  109. 奥村輝之

    奥村政府委員 日本は国際的な相互関係で協調を保ちながら、やはり貿易もふえてまいりますから、日本の準備というものがふえていくと思います。これは一つあると思います。  その次には、SDR外国からしむけられた場合には、ドルをそれに対して渡してやるという問題もありますから、つまり、ドルSDRの共存というかっこうであると思います。
  110. 堀昌雄

    ○堀委員 だから私が言っているのは、外国日本SDRを持ってくれば逆に日本ドルをそっちへ渡してSDRと引きかえてやらなければならぬ。だんだん引きかえていれば、理論的には日本ドルは、それは理論的だからあれだけれども、全部SDRになるという場合だってある。こっちはまた逆にSDRをよそに対してドルと引きかえに使えるわけだから、そのことは理論的には日本外貨準備というものが全部SDRになる。それはいまの九十五億ドルの範囲ではなりませんよ。ならないけれども、ずっとこうやっているうちには理論的にはなる性格のものじゃないのですか。これはSDRをこれ以上出しませんということがどこかで起これば話は別ですが、そのことはやはり、四百億ドルの金を持っておる欧州諸国としてはどこかで、金と通貨が全然乖離することについては反対だという問題が出てくるでしょう。今度の南ア金協定のように三十五ドル下ざさえという問題もその背景から出ているんじゃないですか。初めはこういうことになっていなかったはずだ。この間の二重課税のときには、この間の南ア金協定をやったときは要するに三十五ドル下ざさえという新しい段階に逆戻りさせたということじゃないですか。それをさしたことは、四百億ドルの金を持っておるところの欧州通貨当局がやはりそこに介入しているものがあるから……。どこかで理論的にはSDRをふやせないという側面はあるけれども、もしかりにSDRがどんどんふやされるとするならば、理論的にはそういう黒字国のドルはみんなSDRに置きかえられる可能性だってあるのではないか。そうなれば金兌換の能力がないわけだから、もうドルというものが金にリンクする必要は完全になくなるという時期が出て、ドルこそが基本通貨だ。そのことはケネディがこの前のIMFの総会で、平価の上げ下げの関係についてはっきりドル本位性ということを言っているところから見ても、私はその背景ということははっきりしてくると思うのです。
  111. 奥村輝之

    奥村政府委員 非常に奥の深いお話でございまして、私どもついていけないのをおわび申し上げなければならないのでございますが、金は、やはりこれは私ども政府といたしましても、まだ廃貨、金の廃位という状況にはならないと思います。これは国際流動性のうちの一つの重要なる項目として続いていく。それからドルにつきましても、あるいは先生のおっしゃるように、計算をするあるいは一つの過程として理屈を突き詰めていけばそういうことになるのかもしれませんが、現実の問題としてはまだドルも共存をする。つまり、ドルその他、もしあれば一つの基軸通貨あるいは介入通貨といいますか、そういうものと金とSDR、三者が共存する。SDRはこれから先、国際的な協力のもとに打ち立てられた制度でございますから、毎日経験を積んで協力の度をふやしながらSDRというものはふえていく。あるいはインフレとかデフレにならない範囲内においてこれを出すということが協定に書いてあるわけですから、そういうふうなワクの中でSDRは操作されていくということで、まだいまの段階で、おっしゃられるような点を突き詰めていくのはいささか時期尚早ではないかと思うのです。
  112. 堀昌雄

    ○堀委員 いま私が言っているのは理論的な話なんですけれども、しかし通貨問題というのはやはり、私は理論的な背景を無視して現実的側面だけでは論じられない問題だと考えているわけですね。  いまの問題はそこまでにして、そこでもう一つ伺いたいのは、いまの国際流動性をふやす問題と、各国の世界的なインフレの関係をあなた方はどう見ていますか。これは国内的にいえば、マネーサプライのふえ方はその国内的なインフレに無関係ではない。これはもうすでに日本銀行がこの前、調査月報で明らかにしておるように、大体二〇%をこえるようなマネーサプライが起きたときには、それから一クォーターくらいおくれて物価の上昇が起こるというレポートを出している。これも確かに過去の状態を見れば非常に明らかだ。日本も大体昨年の第三・四半期あたりからずっと二〇%をこえる程度のマネーサプライがある。そこで今度は国際流動性を増強することと、世界的にいま起こっておるインフレーション——国内的に見てもマネーサプライがふえることがインフレを助長するというならば、国際流動性をふやすということは世界的にインフレのある現状において、はたしてそういう状態がインフレにどういうふうに作用していくか、これについてはあなた方はどう考えておりますか。
  113. 奥村輝之

    奥村政府委員 インフレと流動性の関係でございますが、流動性をふやすことによって経済運営の節度を免れしむるということになってはなるまいということが、実はSDRの五年間にわたる最初から最後までの議論の基調であったわけです。そういうことでインフレを起さない、デフレを起こさないという範囲内において三年なり五年なりの長期を見渡してSDRを出そうじゃありませんか。これは一方、それをやらないときにはどういうことになるかと申しますと、なるほどインフレ対策に非常に苦心をしている国が多いわけでございます。しかしながら急激な経済の収縮がもたらす国内的な諸問題あるいは国際的な問題もこれは看過し得ないところでございます。要は、その間の調和をいかにするかということでございまして、必ずしもSDRを出すからいま世界の取り組んでいる問題に有害である、こうおっしゃっているわけでないと思いますけれども、直ちにそういうようにならない。ここは非常に微妙な問題でございますが、私は、調和点を見出しながら進んでいくというのがいまの姿でないかと思います。
  114. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、三十五億ドル、三十億ドル、三十億ドルときめた背景は何ですか。三十五億ドル、三十億ドル、三十億ドルときめましたね。それをささえる計数的な背景は何ですか。
  115. 奥村輝之

    奥村政府委員 大体世界の貿易がどれくらい伸びているか、七%くらい伸びていると考えているわけでございます。そういうふうな過去の趨勢値をとりまして、一年間にどれくらい流動性があればよいか。いまの七%を使いまして計算いたしますと約四十億から五十億の計算になります。その中で金というものは、先ほど申しましたようにやはり重要な一つの国際流動性である。ドルもまたこれに多くを期待する、あるいは増加を期待するものでありますが、その重要な項目であるこれらを除きますと、それは正確に出てくるものではありませんが、三十億とか三十五億とか、そういう見当がいまの貿易量の拡大に見合った、過去のテンポを考慮に入れた、しかもインフレにもデフレにもならないというものを考慮に入れた数字であるということが、先般三十五億、三十億、三十億を出したときの議論の経過にあったと考えられるのでございます。
  116. 堀昌雄

    ○堀委員 実はIMFのこの間の報告の中に、輸入に対する公的準備の比率というものが出ていますね。この輸入に対する公的準備の、あなたがいま指摘した七%というのは一九五七年ですか、一九五二年から一九六八年までの平均値だろうと思いますけれども、この間における輸入に対する公的準備の比率というのを見ると、要するに、アメリカを除いた工業諸国とかその他先進国という形で見ると、この比率は実はほとんど変わっていない。変わっているのはアメリカだけなんですよ。アメリカは一九五二年に約二〇〇%くらいだったものが、一九六八年には三四%まで下がっておる。だから、要するにこういうものが背景になって実はSDRをつくろう、こういう一つの根拠になっていると私は思うのだけれども、そういう一つの根拠になっておるもとは、言うなれば、SDR発行しなければならなくなったのは、過去におけるアメリカの国際収支が基調的にこういう赤字体制になったということから起きておる国際通貨上のアンバランスを、ともかくSDRで何とか補完をしようという一つの対策にほかならない、私はこういう評価を実はしておるわけです。だから先進諸国なり日本なんかの場合には、やはりIMFの報告の中で触れておるように、カナダや日本というのはほとんど通貨準備はそう変わらない中で貿易取引金融取引も非常に拡大が出ている、こういう事実があるわけです。だから、そういう事実が片面にありながら、こういう問題をやってこなければならなかった背景というのは、アメリカの世界に対する経済政策の誤りというか、それが今日この問題を提起しなければならぬところにきておるのではないかと私は思うのです。  ちょっと時間の関係もあるし、大臣おいでになりましたから大臣に少しお聞きをしておきたいのですが、この間のIMF総会において福田さんは、ともかく為替のフレキシビリティーについては反対だ、これはともかく固定為替をやって、もし短期収支が大きく動くときにはそれは為替管理で処理したらいいのではないかという発言をしておられるようにちょっと読んだのですが、その点はいかがでしょうか。
  117. 福田赳夫

    福田国務大臣 固定為替制を主張したのです。しかし、為替のほうまでは触れないのです。  そこで、固定為替制につきましては、お尋ねもありませんけれども、いまなおこれがいいというふうに考え、そういう考えで国際社会に臨んでいきたい、こういうふうに考えております。
  118. 堀昌雄

    ○堀委員 大臣はなぜ変動為替問題がこれほど——これまで大体IMFというところは固定為替というのが原理であった。ところが、最近御承知のようにロイス委員会が問題提起をして、ファウラー財務長官が発言をし、続いて昨年はシュバイツァーが発言をキングストンでやり、いまやIMFの中では変動相場問題は検討に値する——どうなるかは別として、検討に値するというところへ来ておるようです。これはイギリスも触れておるし、あるいはイタリーも触れておるし、アメリカは当然そうなんですけれども、そういうことで変動相場問題というのは非常に大きくクローズアップされて、たしかケネディ財務長官も、一九七〇年は要するに為替問題の年だなんということをこの前どこかで発言されておるのを新聞で私は読んだのです。なぜそういう変動為替問題が特にアメリカから出てきたと思われますか。
  119. 福田赳夫

    福田国務大臣 まず、あの論議、為替制度変更に関する論議が出てきたのはいつかというと、あれはちょうどマルクだとかフランだとかポンドだとか、非常に流動的な時期です。たまたまそういう時期にIMFが開かれる。そこで問題になったわけでありますが、一応鎮静をした今日におきましては、様相が非常に変わってきておるのです。かなり思い切った改革をしようなんというような意見は目下影をひそめて、何か多少フレキシビリティーを持たせる考え方はどうかなということが論議されるようなことになってきておるのです。でありますので、アメリカがどうのこうのということではなかったと思います。
  120. 堀昌雄

    ○堀委員 私は、昨年のIMF会議のこれを全部読んだのではありませんが、抜き書き的なものを読んでみて、しかし、イギリスのジェンキンズ蔵相が二%福拡大の問題に一応触れていますね。もっとも彼も機械的なクローリングベッグには反対だ、こう言っています。またイタリーのコロンボ蔵相も、条件をつけながら実際はやはりこれに触れておりますね。だから、私は変動相場問題というものがなぜ出てきたかというと、背景は、やはりもとをただせば、アメリカでロイス委員会が問題提起をしたことをはじめ、これはフリードマンも変動為替支持者じゃないかと思うのですけれども、そのもとは、私は、実はやはりアメリカのドルと無関係ではないという判断をしておるのです。IMFというのは、本来はアメリカが主体であったものが、ともかくそのIMF一つの原則が新しい道に入ろうとしておる段階に来ておる点にも、私は、やはりドルの国際基軸通貨としてのやや弱い側面があらわれてきておるというふうに感じておるのですが、大臣はそれは全然無関係だと思うのですか。
  121. 福田赳夫

    福田国務大臣 無関係というわけはないと思いますが、昨年非常に激しい議論が行なわれたというのは、ヨーロッパの通貨不安を背景としたものである、そういう理解をしております。
  122. 堀昌雄

    ○堀委員 もう一間で一応休憩にしますが、一九七〇年という年の国際金融の問題は、私はやはりことしはまたもや基軸通貨の問題になる年だという判断をしておるわけです。一九六九年というのはフランスなりドイツなり欧州諸国の通貨の問題となった年ですが、私は、本年はやはり基軸通貨にはね返ってくる問題の年だと判断をしておるわけです。これは判断の問題ですから……。それを予測しておるというか、ケネディ財務長官も、やはりそれなりの為替問題の年であるというような発言をしておるのじゃないかと思うのですが、これはあとでまた時間のあるときに、ゆっくり国際通貨問題を大臣と少しやらしていただくことにして、そういう感じを持っておりますが、大臣は、  一九七〇年というのは、言うならば、要するにキーカレンシーのまた問われる年だということに  ついてはどうお考えになっておりますか。
  123. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は必ずしもそう思いませんね。ポンドは御承知のような状態で、公定歩合の引き下げまでできるような状態になってきた。ドルもたいへん努力しておる。これはベトナム戦争の推移、こういうようなものがドルには大きく影響してくる、こういうふうに思いますが、さして不安要因がふえておるようには見えません。諸政策の努力が逐次効果が出てきておりまして、経済活動の指数なんかもずいぶん鎮静化の方向に向かっておる。こういうところを見ますと、ドルが不安要因をさらに増したというふうな受け取り方はしておらないのです。したがってあなたが、ことしはキーカレンシーが問題になる年だなというお話ですが、そういう認識は持っておりません。      ————◇—————
  124. 毛利松平

    毛利委員長 この際、両案に対する質疑を中断し、空港整備特別会計法案及び国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  両案につきましては、すでに質疑は終了いたしております。  これより討論に入るのでありますが、両案につきましては討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、空港整備特別会計法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  125. 毛利松平

    毛利委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  次に、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  126. 毛利松平

    毛利委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  127. 毛利松平

    毛利委員長 ただいま議決いたしました両法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党を代表し、藤井勝志君外四名より、それぞれ附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者から趣旨の説明を求めます。坂元親男君。
  128. 坂元親男

    ○坂元委員 ただいま議題となりました空港整備特別会計法案に対する附帯決議案及び国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の両案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を簡単に御説明申し上げます。  案文はそれぞれ印刷してお手元に配付いたしてありますので、朗読は省略させていただきます。  まず、空港整備特別会計法案に対する附帯決議案について申し上げます。  御承知のとおり、政府は空港整備事業に関する経理を明確にするため、昭和四十五年度以降新たに特別会計を設けることとし、このため今国会に空港整備特別会計法案が提出せられたものであります。  最近における航空輸送需要の増大は目ざましいものがあり、これに伴いまして、今後ますます大型化、高速化された機材が導入され、運航回数も増加するものと見込まれているのであります。  このような状況にかんがみ、本附帯決議案の内容は、総合的な交通体系の形成と空港整備に関する新計画の策定、航空機の運航の安全確保、騒音防止対策、税関業務等、空港における受け入れ体制の整備、適正な受益者負担による財源確保の諸点を骨子とするものでありまして、いずれも案文の文言で尽きており、特に御説明を加えることもないと存じます。  要は、特別会計制移行の趣旨に即しまして、空港の整備の促進と運営の円滑化をはかり、所期の目的を達成せられるよう望むものであります。  次に、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について申し上げます。  今回の改正は、最近における国家公務員の旅行の実情にかんがみ、旅費の定額を改定する措置を講じようとするものでありまして、時宜に適した措置でありますが、この際、政府は次の諸点につきまして、なお一そうの努力を払い、公称が円滑に遂行されるよう配慮すべきであります。  すなわち、まず第一に、国家公務員の旅費につきましては、現在、三年ないし四年に一度改定されているところでありますが、最近における物価、公共料金等の経済情勢のもとにおきましては、適宜旅行の実態等を見直し、経済情勢の変化ができるだけ早く反映されるよう改正に万全を期す必要があるとするものであります。  第二に、移転料につきましては、現在、等級別に区分され、その額に格差を設けておりますが、必ずしも赴任の実態に適合しているとはいえない面もありますので、家族構成等、生活の実態が十分反映されるよう、その制度の合理化につとめるべきであるとするものであります。  第三に、日額旅費につきましては、実費を下回らないようすみやかに改定すべきであるとするものであります。  以上が両附帯決議案の提案の趣旨であります。  何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。(拍手)     —————————————    空港整備特別会計法案に対する附帯決議(案)  最近における航空輸送需要の急増と今後の航空機の大型化、高速化に対処するため、政府は、次の諸点について適切な措置を講ずるよう努力すべきである。 一、輸送構造の変化に対応する総合的な交通体系の形成に努めるとともに、早急に空港整備に関する新計画を策定すること。 一、航空機の安全を確保するため、保安施設の整備、検査体制の充実並びに交通管制業務の近代化等を推進すること。   なお、航空機の騒音による障害に対しては、その防止策につき格段の措置を講ずるよう努めること。 一、空港の機能を円滑ならしめるため、税関、出入国管理及び検疫業務等受入れ体制の万全を図ること。 一、航空機利用の実情にかんがみ、特別会計移行の趣旨に即して適正な受益者負担による空港整備財源を確保すること。     —————————————    国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 一、物価、公共料金等経済情勢の変化に対処して、適宜みなおしを行ない、時期を失することのないよう、旅費の改正に努めること。 二、移転料については、その実態等を考慮して、実費を下回らないように定めることとし、その制度の合理化に努めること。 三、日額旅費については、実費を下回らないようすみやかに改定すること。     —————————————
  129. 毛利松平

    毛利委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  おはかりいたします。  まず、空港整備特別会計法案に対し、動議のごとく附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  130. 毛利松平

    毛利委員長 起立多数。よって、さよう決しました。  次に、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案に対し、動議のごとく附帯決議を付するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 毛利松平

    毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  両法律案に対する各附帯決議に対し、政府の所信を求めます。福田大蔵大臣。
  132. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいまの両法律案に対する附帯決議につきましては、関係省庁との十分な協議及び必要な実態調査を行ない、御趣旨を体して努力いたしたいと存じます。     —————————————
  133. 毛利松平

    毛利委員長 ただいま議決いたしました両法律案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 毛利松平

    毛利委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  135. 毛利松平

    毛利委員長 午後二時再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時五分休憩      ————◇—————    午後三時二十一分開議
  136. 毛利松平

    毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  経済及び技術協力のため必要な物品外国政府等に対する譲与等に関する法律の一部を改正する法律案及び国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。堀昌雄君。
  137. 堀昌雄

    ○堀委員 さっきフレキシビリティーの問題についてちょっと大臣とお話をしておったのでありますけれども、その中に、私が持っておる資料によりますと、福田大蔵大臣はこの間のIMF総会で、リミッテッド・フレキシビリティーについて、「私はまた、かかる資本移動を制限し、抑える直接的手段をとることも特殊の状況の下では正当づけられると考える。こういう手段が基金協定の精神に合わないとは考えない」こう述べた、こうなっているのですが、私はさっき福田さんに、レートの固定化については必要だ、しかしレートの固定化だけをやっておれば、少なくとも短期資本収支の移動に対して無抵抗になるから、それならばそれに対する何らかの措置が必要だということで、要するに短期収支に関する為替管理上の処置が必要だということを言ったんじゃないか、こう聞いたら、本人はそう言っておらぬと言っておるのです。事実は言っておるように書かれてあるんだが、それはあなたはどういうふうに聞いたか、ちょっとそこから……。
  138. 奥村輝之

    奥村政府委員 先ほど大臣がお答えいたしましたのは、去年の秋の総会のときでもございましたし、演説の一行、二行でございまして、ちょっと失念をされたのではないかと思うのです。むしろ、相場制度の問題を考えるときには、政策運営のプリンシプルが大事であるということを頭に持っておられまして、いまの短期資本等の移動制限については少し失念されたのではないかと思います。ただ私どもの考えるところは、実はIMFの精神に違反しないのではないか、ヨーロッパの国がEECその他をつくりまして経済の動向というものを考えておりますので、資本取引、特に短期資本取引まで含めてこれを自由化するという方向に現在は進んできたわけであります。しかし、私どもの目から見ると、これはいささか理想を追い過ぎた感もあるのではないか。これから先私どもが問題を処理いたしますときには、短期資金の問題はよほど注意をして臨むということは、ほかのことはどうありましょうとも、大事ではないかと考えております。
  139. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、いまのフレキシビリティーの問題というのは、私は、何か日本は圏外にいるような気がしておるけれども、やがてこの渦中に立たされるときがないとはいえない、こう見ているわけですね。さっき大臣も言われたように、フレキシビリティーの問題が出てきた背景というのは、確かにポンドなりフランなりマルクの変動の問題に関連して出てきておるわけだけれども、いまやドルのほうが固定をするという形になるならば、場合によっては円はドルとの関係においていろいろ論議をされる対象になりかねない、きつつあるのではないか、こう思っておるわけですね。そうすると、その場合に、わがほうは固定相場ということになるならば、場合によってはそういうスペキュレーションに対する対策を、いまIMFで言われたような形でとるとするならば、一体どういう項目に対してどういう処置がとれるのか。とりたいということではなくて、とれるのかという点を、ちょっと短期収支対策としてひとつお聞かせ願いたい。
  140. 奥村輝之

    奥村政府委員 私どもは為替管理を考えますときに、非居住の問題、居住の問題、二つに分けて考えておるわけであります。いままで私ども居住者に対する円の交換性というものは、短期資本に対する管理という見地から、どちらかといえば慎重にしてきたわけでございます。  一例をあげますと、私ども居住者外国に預金を持つということ、これはスイスフランがどうだから、マルクがどうだからというようなことで、預金を持つということはいま認めていないわけであります。それから、私ども外国の債券を自由に持つということも、同じような趣旨で認めていないわけでございます。  今度はちょっと観点を変えまして、非居住者日本の円を持つという場合があると思うのです。これは自由円という勘定がありまして、ドルから円に転換して得た円というものは、これをもう一ぺんドルにかえられるということで、特別の性質を持つ勘定として区別いたしまして自由円制度があるのですが、これは日本の銀行に対してユーロダラーの取り入れなどとあわせて、行政指導ではございますけれども、ワクを与えておる。これは国内の流動性をどうするかという見地も含めて、またかつは、いまの円に対する問題をも含めて、現在管理をしておるわけでございます。これは全部申し上げますと長くなりますので、考え方の基本を申し上げますと大体そういうことでございます。
  141. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、いま御承知のように、短期収支の形で証券投資がかなり進んできておりますし、昨年は年間六億五千万ドルくらい入ってきておる。それではいまの非居住者日本に対する証券投資は自由円勘定ですか。
  142. 奥村輝之

    奥村政府委員 いま日本の株を非居住者が買うときには、自由円勘定を持っておりまして、その残高で買うこともできますし、あるいは外貨をもって買い入れることもできるわけで、二つできるわけでございます。
  143. 堀昌雄

    ○堀委員 そうしますと、自由円勘定のほうは、いまあなたの言ったように、一応取り入れにワクをつけようと思えばつけられる。しかし、外貨をもってストレートに入ってくる資金、これはコントロールできないんじゃないか。これをコントロールするにはどうやってコントロールするか。それは国内的な措置なんですか、対外的な措置でどうやってコントロールするのですか。
  144. 奥村輝之

    奥村政府委員 いま日本証券外国人が買っていいか悪いかということにつきましては、制限業種は一五%、それから非制限業種は二〇%というところまでは自動認可で認めますということを共同省令で認めているわけでございます。こういうことをいたしますのは、一つは既存業種に対する外資の導入、これはポートフォリオの単なる間接投資の実質を持つ場合もありますし、直接投資の実質を持つ場合もありますけれども、要するにそういうものを頭に置きまして、一五%、二〇%というワクをかぶせてあるわけでございます。これは私どもとしてはいろいろな目的を持つものでございますから、そう簡単にこれを動かしていいという性質のものではないと思うのですけれども、問題が非常にむずかしいというときには、手段としてあるかないかといわれれば、あるわけでございます。
  145. 堀昌雄

    ○堀委員 実際はしかし、私がいま言いたいことは、たとえばソニーの取得限度は動かすわけですね。これはときどき一ぱいになった場合については動かすということになるわけだから、実際にはかなりはいれるし、品目別に一五%、二〇%ですから、全然彼らの買っていないものもありますし、買おうと思えばずいぶん買えるわけです。実際は全株について限度一ぱい買おう——買うか買わないかは別として、買おうと思えば買えるという意味では、かなり外貨が入ってくる可能性があるわけですね。そうして、いまも言われるように、緊急避難的に押えるといってみても、いまの片一方二〇%まで認めているときに、急にいまここは五%でだめですということには、私はなかなかならないと思うのです。実際は、いまの限度一ぱいまではこれはやむを得ないというかっこうにならざるを得ないんじゃないか。だから、これは単に一つの例でありますけれども、要するに、何らかのかっこうでホットマネーが入ってくるというときに、いまのいろいろな諸情勢から見て、自由円勘定の問題一つをとってみてもそうですが、なかなかそう簡単にいきにくい側面があるんじゃないだろうかという、ちょっと不安があるわけですね。これはこの前のマルク切り上げのときを見ても、結局その前後で七十五億ドルから九十億ドル、二十億ドル余りのものがごく短期にさっと入ってきて、また短期にさっと出ていくという、これはいまのEECの特殊性もあるでしょうけれども、しかし日本の場合にもそういうスペキュレーションが起きないという保障もない。またそういうスペキュレーションが起き出したときに、私はいまの短期収支に対する管理というものがほんとうに有効かどうかという点について、実は少し疑問を感じている。その点はいまの欧州と日本はちょっと違いますから、まだいろいろな点で為替管理がたくさん残っている国だから、逆にいえば、やややりやすい条件というのはあるかもしれないけれども、しかしそうだからといって、これからだんだん開放体制にわれわれ進めなければならぬことを求められている段階ですから、依然としていまの為替管理のワクの中にいましょうというわけにはいかないということになると、そのほうはゆるめなければならぬ、しかし場合によってはまた締めなければならぬという、こういう二つの側面が今後に考えていかなければならない問題かと思うが、その場合にはスペキュレーションが起きないほうが——これから起きないためのいろいろな対策はあとで伺うとして、もしスペキュレーションの対象になるような場合の対策としてはどうするか、その点をちょっとお伺いします。
  146. 奥村輝之

    奥村政府委員 まことに御指摘のとおりでございまして、一方では自由化を進めなければならぬ、一方では他山の石を見て対策を講ぜねばならぬという二律は簡単にはまいらぬわけでございます。  いま申しましたほかに、ドイツ、フランス、イギリスの例を見ますと、貿易のリーズ・アンド・ラッグズがやはり多く働いているわけです。これは私どものほうに標準決済規則というものがございまして、輸出、輸入それぞれについて、貨物を入れる前、あと、出すあと、前、このときに何カ月以内に決済するというような規則をまだ残しておるわけでございます。やはり一ぺん裸になりますと、なかなか問題もございますので、平素から治にいて乱を忘れずという考え方で臨んでいかなければならぬということで、私どもとしては、いままでの日本の体制というものは、ヨーロッパあるいはアメリカのそういう関係の専門家から見ましてもかなりそういう問題に対しては打つべき手は持っている体制であるというふうに見られておるわけでございます。今後ともこのお話しの点はよく頭に置きまして、やはりこれはきめのこまかいことを考えてやらなければいかぬと思いますので、万全の策を講じてまいりたいと思います。
  147. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、実はいまの為替の平価問題というのは、一体どこで判断をしなければならないのかという問題があると私は思います。スペキュレーションが起きてから判断をするというのでは実はやや問題はおそいのではないかという感じもするし、そうかといってなかなか、これは確かに政治的な問題だから、そう早く判断もできないだろうし、そのためにはいろいろと対策も必要だろうと思いますが、まず、私はいまの日本外貨の状態では、まあまあその切り上げの問題はわれわれの側から見るとまだ問題でない、こう見ておるわけです。しかしこの間も予算委員会で少し触れたように、いまのようなかっこうで引き締めを続けておると、これはどうしてもやはり外貨がたまるということはだんだん避けられないだろう。ということになりますと、外貨のたまりぐあいのいかんによっては、欧州諸国の問題は私はあまり気にしないけれども、特にアメリカ側がやはり切り上げろという問題提起を強くしてくると、これはやはり貿易との関係もありますから、非常に複雑な問題になりかねないという判断を実は持っておるわけです。そういうようなことを避けるために——私は、これは単に国際金融上の措置だけではないと思います、全体の財政金融政策一般の関係もあるけれども、特に国際金融上、切り上げにならないような適切な運営をやるというために必要なポイントは一体何か、国際金融局として考えておることをちょっと述べてください。
  148. 奥村輝之

    奥村政府委員 これは分類をすると、たくさんあると思うのですが、一つのグループは、輸入の自由化、あるいは資本の自由化というような、つまりいま保護された形で日本の円がある、これをこういう際に少しでも過保護を取り去っていく、こういう方向の対処のしかたが一つある。もう一つは、こういう際には、いままで借りておる借金、その中で期前償還をやっているものもあります。こういうものをどんどん処理をしていく。さらにまた、もう少し別の範疇でございますが、国内の流動性をどうするかという問題があると思います。大体三つあるわけでございますが、最後の点は、なかなかこれは複雑な問題とのかね合いがあります。あまり大きなことを出させるわけにはまいらないのではないか。したがって、いままで私どもとして考えてまいりましたのは、さきにも申しました二つの点でございます。
  149. 堀昌雄

    ○堀委員 ところが、これはこの間、暫定措置法の中で関税局とも少しやって、これは関税の本法で少しやりたいとあとに延ばしておるわけですけれども、輸入の自由化問題も、私はやはり大いにやらなければならないし、特にその場合には、わが国の側が持っておる非関税障壁を含めて、もうちょっと前向きに再検討しなければいかぬじゃないか、こう言っておるけれども、これはまた農産物その他、非常に中川政務次官も関係をする問題等を含めて実際はなかなか簡単にいかないという、国際的問題だけで解決ができない国内的諸問題がある。  資本の自由化についても、私ももうかねてから、ここまでくれば競争原則というのは何も国内だけじゃないと思うのです。国際的にも競争をやらせることによって、国民によりよき商品を提供するということがやはり資本主義のメリットじゃないのか。資本自由化は大いに進めろというのが大体私の、これは個人的ではあるけれども、持論なんです。ところがこれも実はなかなか産業界がいろいろ抵抗して、まあ私などに言わせれば、自動車の自由化をもっと早めることによって、繊維問題などはもうちょっと合理的処置をすべきだと考えているわけです。アメリカ全体として見れば、自動車の資本自由化のほうがわずかな繊維の制限問題よりはるかに国益として大きいものがあるにきまっているのだから……。ところが力の強いやつがそんなところでがんばるものだから、つい力の弱いほうへしわが寄ってくるというような現象がいま起きていると私は思う。だから、この資本の自由化は、言うはやすくして、これも国内的要因が働いてなかなかうまくいかない。借金の期前償還はまだいいと思うのですけれどもね。そうすると、結局残ってくる一つの道は、逆に日本側の海外への投資問題というものが積極的に行なわれるということになるべきではないのか。そうすると、これはあとで海外経済協力に関係してくるけれども、これがまた実は金だけ出すというだけで中身がとれない投資ということになってくると、いずれを見ても、いまの円対策として打つべき方法はあっても、なかなか実際化しにくい問題がかなりあるという一つの側面が実は出てくるわけですね。  だから、これはあなたのところだけの問題じゃないし、関税の問題もあるし、通商上の問題もあるし、農林政策もあるし、特に国内流動性の問題、いろいろありますから、ここだけの議論にはならないけれども、私は、やはりあまりに、そういうことがとれるから心配がないということよりも、こういうものはなかなかとりにくいという前提で、円対策ということについては相当展望を持った処置を考えておかないといけないのじゃないか。これはもう単にアップ・ツー・デートの問題というよりも、やや一つの既定コースの上で考えなければならぬ、ある意味では構造的な対策という問題を含めて考えなければいかぬ、こういうところへ来ておるのじゃないかというふうに私は思うのです。やや政治的なあれだから、政務次官、これについてひとつあなたの見解をお聞きしたい。
  150. 中川一郎

    中川政府委員 なかなかむずかしい問題でありますが、過去の経緯あるいは世界的な経済、いろいろな問題を勘案しつつ、やはり慎重に処してまいらなければならぬと思います。
  151. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの問題、一応そこまでにして、さっき福田大蔵大臣は、リミッテッド・フレキシビリティの問題については、大勢はもうそういうのは鎮静しつつあるというか、そういうような式の発言をされたけれども、ことしの一月の終わりに、アメリカの大統領の経済諮問委員会の報告がこれについて出ていますね。金融局長御承知だと思うのですが、ここで経済諮問委員会がいろいろと報告をしておる問題の中には、私はやはり、アメリカとしてはフレキシビリティーの問題について決してあきらめていないというか、この報告を読むと、ややクローリング・ペッグという問題は前へ進めたいという考えではないのかという気持ちを受け取っておるのですが、この大統領経済諮問委員会の報告について、国際金融局長はどういう判断をし、どういうふうに受け取っておるのか、ちょっとお答えを願いたい。
  152. 奥村輝之

    奥村政府委員 いまのお話は、一番新しいことばではグレーター・フレキシビリティーと呼んでおります。もうIMFの中でも実はことしになりましてから数回会議があるわけです。まだG10ではやっておりません。もちろんアメリカも関心を持つ国でありますからいろいろな機会にいろいろな意見が出るわけでありますが、必ずしもアメリカの中の意見も完全に統一されているわけでもないというふうに私どもは了解しているわけであります。これは非常にたくさんの国が関係いたします。特定の国の考えがどうであっても、全体の一致がなければなかなか前へ進まない。そういうのをずっと見渡してまいりますと——私はアメリカだけ見る必要はないと思うのです。全体を見渡してみますと、グレーター・フレキシビリティーというものをやるとディシプリンがおろそかになるという意見がかなり強いのです。考えてみますと、四分の一世紀にわたって現在の固定平価制度というものが非常に有効に機能してきたわけであります。大臣が申しましたように、去年はいろいろな問題がございまして、こういうことに関心が集まった。関心が集まればどこの国でもこの問題について積極論が出る、あるいはまたもう少し慎重であるべきだという議論も出る。公平に申しまして、いまのところはこの問題はかなり慎重に扱わなければならぬという議論が、私どもが見る限りでは大勢を占めております。おりますので、まあわれわれとしては大臣先ほど申しましたような考え方でこの問題と対処していきたいと思っておりますが、主張すべきところには十分主張をする。そしてあくまでもいまの国際通貨制度の問題は経済運営の節度にあるということをかねてから主張してまいりましたし、これから先も主張してまいるというふうな考えでいるわけであります。つまり私が申し上げたいことは、相場のグレーター・フレキシビリティーということでは問題が解決しない。相場の制度改正というものが処理し得る範囲はそれほど大きくないということを認めている人たちがかなり多いということでございます。
  153. 堀昌雄

    ○堀委員 まあ確かにこの諮問委員会の報告も、実験的に数カ国でやってみたらどうかというような提起をしているのですから、もちろんこの問題はアメリカだけでやれることでもない、こう思いますけれども、これはしかし私は、いい悪いの問題は別として、結局これまでのいろいろな、平価の問題というのは必ずその前段にスペキュレーションを伴ったり、要するにある程度避けられるべき性格の方法も考慮の余地があるのじゃないかという気がするわけですね。そうすると今度は、しかしそういうものがあったらスペキュレーションがなくなるかというと、それもまた問題は別かもしれませんけれども、やり方はいろいろ固定的なやり方もあるでしょうし、ある程度自由裁量の入るやり方もあるでしょうし、やり方そのものも千差万別、いろいろ言われているからどれがどうだということにならぬと思うのですけれども、どうもいまのような世界的な通貨の関係、特にあなたがいま指摘したような各国の節度ある経済運営がなかなかそういってないという現実ですね、そういう現実から、実物の力と相場上の平価上のものとの間に常に乖離が生じ得るのではないか、私はこう思っているのですね。  私、この間ちょっと選挙応援に長崎に行ってホテルに泊まってみて、そこでエクスチェンジのレートが出ているのを見ると、そのエクスチェンジ・レートというのはすでにもう三百六十円をかなり下回ったものが現実には出ているわけですよね。そうするとそういう実物のエクスチェンジ・レートといまの平価上のレートの乖離というものは一体それじゃ理論的にいうと何だということになってきますね。だからそこらの問題を含めてみると、やはり実物のレートと平価上のレートというものはもう少しある程度連動するのでないと、日本のように居住者に金の出し入れを認めないのですからいいですけれども、やり方によって実際にはさやが取れるわけですよ。為銀はそういうことをたくさんやっているのじゃないかと私も思うし、特に各国の平価の動きのときには、それのニュース、情報の処置のいかんによっては、為銀なり貿易商社なりはプラスになったりマイナスになったりするわけですからね。そういうやはり実物と現物、または先物の関係ということになるでしょうけれども、こういう問題が今後もかなり続いてくるのじゃないか、こういう感じがしてならないものだから、検討に値する一つのものがないことはないという気がするのです。それをしなければならないという意味じゃないけれども。だからそうなると、今度はやはりそういうような式のやり方でなしに、変動相場ではなしに、適時平価を動かせばいいじゃないかということになるけれども、それはなかなかちょっと簡単に公定歩合を動かすようなわけにいかない。ということになると、今後の状態でやはり何らかの方法があってもいいのじゃないかという気がするのですが、その点はどうでしょうか。
  154. 奥村輝之

    奥村政府委員 まず具体的な話で長崎の相場からお話があったのですが、この円札につきましては、トラベラーズ・チェックにつきましては電信売買相場を使ってこれに手数量を加味するわけでございます。先ほど私が聞き違えたのかもしれませんけれども、これが公定価格でございます。つまり、普通三百六十円というものを上下に一%以内というところで売買をするように、私ども外為特別会計も介入しているわけでございますけれども、それを為替銀行のほうも両がえ所のほうも守ってやっておりますので、決してインチキな、法に反した相場が立っているというふうに私ども思っていないのでございます。  それからその次に、節度というものを強調しても、現実にはこの世の中には——世の中というのはおかしいのですが、各国なかなか節度を守りにくいのが現実ではないかというお話があったのですが、逆に相場のさらに大きなフレキシビリティーを認めた場合、節度をゆるめることになりはしないかということを私は申し上げたかったのでございます。  それからもう一つは、やりたい国がやればいいじゃないかということを先ほどおっしゃいました。これは一つ考え方だと思うのですが、ドイツが先般非常に混乱におちいりましたときに、IMFの黙認という形で相場をつり出したわけでございます。あとある点を見つけて相場をつくった。この間の事情についてはIMFは黙認をしたというかっこうになった。またブラジルなどでは、現実に平価を非常にしょっちゅう動かしているわけでございます。そういう国が現にあり、過去にもずっとあるわけでございます。そういうことで、何も制度がなくても特定の国はやればやれるじゃないかという議論も、全体の中に出てきているようなことを私どもは聞いております。  それから、追い込まれた形のスペキュレーションというお話があったのでございますけれども、確かにイギリスがポンドを切り下げる、フランスがフランを切り下げるという、切り下げのときには非常に追い込まれた形になるわけでございます。ところがドイツ——よその国のことをここであまり申し上げるのは私よくないと思うのですが、ちょっと触れてみますと、政治的にいろいろ議論があったようでございます。つまり、切り下げでなくて切り上げの場合に、いろいろに議論が分かれてきて、それがもとでめんどうなことになった。したがって、こういう問題は扱いをよほど慎重にいたしませんと——切り下げのときには切り下げで追い込まれることはございますが、そうでないときにはよほど慎重に扱わなければ、その害の及ぶところはかり知れずということでありますので、私どもとしては、この問題はお話しの御趣旨をよく頭に置きまして、しかし慎重に対処していきたいという気持ちでございます。
  155. 堀昌雄

    ○堀委員 大体、一般的な論議は以上といたしまして、ちょっと法律の中のことを二、三伺っておきたいと思います。  法律の第八条に「前三条に規定するものの外、第五条第二項の規定により発行する基金通貨代用証券(前条第一項の規定により日本銀行が買い取ったものを含む。以上同じ。)に関し必要な事項は、大蔵大臣が定める。」と、こう書いてあるんですね。この「必要な事項」というのは一体あとのどういう問題が代用証券について必要な事項なのか。この法律のことをお聞きします。
  156. 船後正道

    ○船後政府委員 現在出資国債同様の規定があるわけでございます。現在もやはり国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う国債発行等に関する省令というのがございます。この省令の内容といたしましては、たとえば取り扱い店をどうするか、証券の形式をどうするか、きわめて事務的な事項でございます。大体今度の場合もこれと同じような省令できめられると考えております。
  157. 堀昌雄

    ○堀委員 わかりました。  そこで、今度もう一つ前にいきまして、第七条の第四項ですね。これもこれまであった規定を読みかえただけですが、「前項の場合において、当該基金通貨代用証券の償還期限及び利率は、第一項又は第二項の規定により日本銀行基金通貨代用証券を買い取った日の現況による他の国債発行条件に準じて、大蔵大臣が定める。」と、こうありますね。そこで、これは日本銀行に強制的に買い取らせたわけだから当然利子をつけるんだということはそれでいいと思うのです。問題は、その利子はそのときの条件によるというのでわかるけれども、償還期限というものは、これはその他の国債の現況によるものではなくて、実質的には外為会計資金状況によるのではないかという気がするのですが、法律の書き方はどうもそうなってないわけですね。ここは一体どういうことでしょうね。一体期限はどうやってきめるのですか。その他の国債というのはもうみんなたいてい七年くらいは次々とあるんですよ。利子はいいのですよ。勘案してきめるというのはちょっと問題があるような気がするのです。
  158. 船後正道

    ○船後政府委員 この基金通貨代用証券、特殊な国債でございまして、IMFとの間に、ある場合には証券形式、ある場合には現金が循環するわけでございます。そこで的確な意味における償還期限がいつであるかということは非常にむずかしいわけでございます。しかし、必ずしも外為証券といったような短期の金繰りのものとも違うわけでございます。どちらかといえばこのような長期と短期の国債の中間程度の期限のものではなかろうか、かように考えております。いままでの出資国債の場合には、これは長期国債並みにいたしまして、七年という長期期限になっております。今回の改正によります代用証券につきましては、必ずしも期限にとらわれるつもりはございませんけれども、周囲の状況を勘案いたしまして考えたわけでございます。
  159. 堀昌雄

    ○堀委員 これは、結局日本銀行のほうに代用証券を買わせるということは、要するに外為側としての資金に関係があるのではないか。だから全部強制的に買わせるわけだから、差額について買わせることになっているんだけれども、買わせたらそれはもう買わせっぱなしで七年なら七年、十年なら十年はそのまま金利を払いますよ、ということなのか。だから私が聞いていることは、代用証券、これは私は初めから期限はないものだと思うのだ。本来こういうものは期限つきに発行する必要がないから期限はない。しかし、日本銀行に買い取らせたときから期限をつけてやらなければ——向こうは無期限のものを買い取らされたのでは困るから、期限をつけてやらなければならない。これは、他の国債との関係で利子を見てやることはわりに簡単だが、その期限を切る限度は国債との関係で見るべきなのか。他の国債とは性格が違うわけだ。本来、初めから名前は国債とついておる。あとのほうに出てくる、要するに世銀に対するものはこれは依然として国債になっているわけだ。国債というのは、ことばは国債だけれども発行の趣旨はいまの一般的内国債とは違うわけですから、言うなれば、本来は一種の代用証券ですよ。一種の通貨みたいなものですね。それを買い取らせるということは、要するに資金の関係なんだから、資金関係の見通しが明らかになる時限を限ればいいのじゃないかと私は思っているわけですよ。しかし書かれていることは、他の国債との見合いできめるんだと書いてあるものだから、どうも本来の趣旨はそうじゃないんじゃないかと思うから私は聞いているわけですよ。資金関係じゃないかなという気がしているので……。
  160. 船後正道

    ○船後政府委員 外為資金繰りと申すよりは、むしろIMFのほうで円のかっこうで保有する必要があるのかないのかという問題でございまして、引き出した国がIMFに金を返した、したがってIMFのほうで円が余ってきたという場合には、今回の改正法によりまして、通貨代用証券を再発行してその円を取り戻す。取り戻しました円でもって日本銀行に買い取らせたものをまた引き取る、こういうことになるわけでございますので、実際的な意味における償還期限というものは、IMFのほうの都合あるいは加盟諸国の都合によってきまってくるわけでございます。しかし、一応日本銀行との関係は、やはり政府日本銀行との関係でございますので、償還期限、利率もはっきりきめておかねばなりません。そこで、従来は七年ということにしてまいったわけでございまして、これは実は理財の所掌ではございますけれども、このあたりが基準になってきめられるものと思います。
  161. 堀昌雄

    ○堀委員 そうしますと、私がちょっと思い違いしておったわけですけれども、あとの処置は償還によらないで買い取りによるから、償還期限というものは一応きめるんだということをここで書いたということですね。主として実行的な出入りというのは、買わせる、または、言うなれば買い取りでしょうね。こういう処置をするということでただ向こうにある間は期限なしの債券を持たせるわけにいかないから期限を一応付する、こういうことですね。大体わかりました。
  162. 船後正道

    ○船後政府委員 そういう意味で「準じて」ということでございますので、やはり短期と長期の国債の中間程度のものを考えてもいいのではないかという気持ちでございます。
  163. 堀昌雄

    ○堀委員 私がこの法律についての疑問としていることは大体わかりましたから、以上で質問を終わりますけれども、実はこういう非常に重要な案件を大蔵大臣なしに質疑を終了するわけにはいかないと私は思うのです。そこでこの法案についても、時間は許される範囲でいいけれども、やはりちょっと大蔵大臣との論議をしておきたいし、あわせて海外経済協力についても、きょうちょっと申し上げたように、外務大臣及び大蔵大臣の、時間はワクをきめませんけれども、出席を求めて、少しこの問題についての質疑をさせていただくことを前提として、当法案の私の質疑を終わります。
  164. 毛利松平

    毛利委員長 次回は、来たる二十四日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時五分散会