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1970-09-18 第63回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年九月十八日(金曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 鬼木 勝利君    理事 大坪 保雄君 理事 神田  博君    理事 藏内 修治君 理事 田中 六助君    理事 三原 朝雄君 理事 岡田 利春君    理事 相沢 武彦君 理事 伊藤卯四郎君       有馬 元治君    進藤 一馬君       松本 七郎君    林  百郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  宮澤 喜一君         労 働 大 臣 野原 正勝君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      徳田 博美君         厚生省年金局年         金課長     幸田 正孝君         通商産業省公害         保安局長    荘   清君         通商産業省鉱山         石炭局長    本田 早苗君         労働省労働基準         局労災管理課長 桑原 敬一君         労働省職業安定         局失業対策部長 遠藤 政夫君         建設省住宅局住         宅総務課長   大富  宏君         自治大臣官房参         事官     佐々木喜久治君     ————————————— 委員の異動 九月十八日  辞任         補欠選任   田代 文久君     林  百郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件  派遣委員からの報告聴取  原料炭確保に関する件      ————◇—————
  2. 鬼木勝利

    鬼木委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  先般来、九州地区常磐地区及び北海道地区石炭鉱山等実情調査のため、委員派遣をいたしましたので、派遣委員よりそれぞれ報告を聴取することといたします。  まず、九州地区について、相沢武彦君。
  3. 相沢武彦

    相沢委員 さき実施されました石炭対策特別委員会現地調査九州班概要を御報告申し上げます。  まず、日程は、六月二日より六日に至る間、福岡県、佐賀県及び長崎県の産炭地域におもむき、石炭鉱業の現況について調査を行なうとともに、各関係者より要望等を承ってまいりました。  なお、参加委員は、現地参加を含め十四名でありました。  今回の調査に際し、関係各方面より一致して要望されましたことは、去る第六十三回国会において決議されました「石炭鉱業政策に関する件」の各項目の早期実現方であり、この決議実施に関してはなみなみならぬ期待が寄せされていることを痛切に感じてまいった次第であります。  また調査開始当日である六月二日未明、日本炭鉱高松鉱業所においてガス突出事故が発生し、四人の人命が失われたという悲惨な報告現地で聞き、調査班といたしましては、直ちに三原田代委員を現場に派遣いたしまして弔意を表してまいった次第でございます。ここに犠牲者の御冥福を衷心よりお祈り申し上げますとともに、負傷者早期全快を切に祈念する次第でございます。  保安確保がいかに重要なことであるかはいまさら申すまでもありません。石炭鉱業のきびしい現状より見ても、災害の絶無を期することが第一の要件であると確信をいたします。今後さらにきめのこまかい保安対策を講ずべきであろうと存じます。  次に、石炭需給について一言申し上げます。  第四次答申に基づいて石炭政策実施されておりますが、石炭鉱業を取り巻く諸情勢は、労働者不足、物価、賃金の値上がり、資金繰りの悪化、坑内条件劣悪化等々のために経営難を来たし、さきに明治、麻生、杵島の大手三社の閉山をはじめ、相当量閉山が発生するなど、きわめてきびしい現実に直面しております。  四十四年度生産実績は一千七百四十八万トンで、合理化実施計画一千七百八十四万トンに対して九八%となっており、これは大手炭鉱における機械化採炭方法合理化等により、閉山による減産を補ったため、大幅な生産減を避けることができたものといえましょう。需要は、原料炭については生産供給状態でありますが、一般炭は、前年度に比べ三百七十万トン減となっております。  なお、本年二月から、大気汚染防止法による指定地域硫黄酸化物排出基準の強化に伴って高硫黄炭引き取りが困難となり、高硫黄炭対策九州石炭鉱業重要課題となっております。  在庫は、年度初めの百三十七万五千トンに対し年度末は六十二万七千トンと大幅に減少し、需要減にもかかわらず、閉山による供給不足在庫減となってあらわれ、特に三池炭在庫減が著しい結果となっております。  なお、九州地区石炭鉱業実情現地における要望等につきましては、別途の報告書を提出いたしますので、会議録により御承知を願いたいと存ずる次第でございます。  以上、まことに簡単ではありますが、御報告を終わります。
  4. 鬼木勝利

    鬼木委員長 次に、常磐地区について、岡田利春君。
  5. 岡田利春

    岡田委員 さき実施をされました石炭対策特別委員会現地調査常磐班概要を御報告申し上げます。  まず、日程は、七月七日より九日に至る間、福島県及び茨城県の産炭地域におもむき、石炭鉱業現状について調査を行なうとともに、各関係者より要望等を承ってまいったのであります。  参加委員は、鬼木委員長をはじめ、現地参加を含め六名であります。  次に、常磐地区石炭需給について申し上げます。  当地区石炭の炭質は、非粘結性一般炭に属し、精炭カロリーで平均五千三百九十カロリーとなっております。  炭鉱数は、昭和三十年当時は九十八炭鉱であったのが、昭和四十四年度末ではわずか六炭鉱となり、それらのほとんどは最も炭層の発達した常磐炭田中央部において稼働し、約三百八十四万トンの出炭であります。  一方、石炭需要は、電力用炭の比重が年々増加し、特に、常磐共同火力株式会社勿来発電所は、本年度下期に二十五万キロワットの増設が完成し、既設四十七万キロワットと合わせて七十二万キロワットの大規模なものとなり、全出炭の七七・六%に当たる二百九十八万トンが見込まれており、需要は安定しているといえます。  次に、当地区において特に懸念されている点は、産炭地振興についてであります。当地区が、関東経済圏の一部となっている関係上、企業の進出が活発であり、他の産炭地域に比べて地理的に有利ではありますが、反面、これがゆえに産炭地域振興に対する施策が安易なものとなるのではないかと関係者はひとしく心配しているところであります。これらの点についても、今後十分配慮されるべきであろうと存ずる次第であります。  なお、常磐地区石炭鉱業実情各地における要望事項等については、別途報告書を提出いたしておりますので、会議録を御参照願いたいと存じます。  以上、簡単でありますが、報告を終わります。
  6. 鬼木勝利

    鬼木委員長 最後に、北海道地区について、田中六助君。
  7. 田中六助

    田中(六)委員 さき実施されました石炭対策特別委員会現地調査北海道班概要を御報告申し上げます。  私ども一行は、八月四日現地におもむき、札幌通商産業局並び札幌鉱山保安監督局より管内概況説明を聴取し、さらに北海道及び関係団体代表より陳情、要望などを聴取した後、八月八日に至る間、住友奔別鉱北炭幌内鉱北炭夕張新鉱の開発地点、三菱大夕張炭鉱及び新日本製鉄室蘭製鉄所等をそれぞれ視察してまいったものであります。  なお、参加委員現地参加を含めて九名であります。  北海道地区は、豊富な埋蔵量に恵まれ、また、優良炭の産出が多いのでありますが、その反面、ガス湧出量九州の二倍もあり、さらに炭層に褶曲、断層が多いので、総じて急傾斜における採炭を余儀なくされており、保安上の問題点も多いのでありますが、現下の原料炭需給をめぐる諸情勢から、現在、原料炭炭鉱近代化をはじめ、原料炭得率向上のための新区域の開発や新鉱開発の促進がはかられている状況にあります。  なお、北海道地区石炭鉱業実情各地における要望事項などについては、別途報告書を提出いたしますので、会議録を御参照願いたいと存じます。  最後に、今回の国政調査は、第四次政策下なお深刻な事態に当面している石炭鉱業実情をつぶさに調査してまいったのでありますが、この調査過程において把握された問題点並び要望事項について、本委員会はもとより、関係政府機関においても十分これを検討し、すみやかに適切な措置を講ずることを強く要請して報告を終わります。     —————————————
  8. 鬼木勝利

    鬼木委員長 これにて派遣委員報告は終わりました。  派遣委員各位にはまことに御苦労さまでございました。  なお、ただいま御報告がございました各班の派遣委員から、内容の詳細について、その調査報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録に参照として掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 鬼木勝利

    鬼木委員長 異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書本号末尾に掲載〕     —————————————
  10. 鬼木勝利

    鬼木委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。岡田利春
  11. 岡田利春

    岡田委員 午後から通産大臣が見えられますので、重複しない形で事務当局に御質問いたしたいと存じます。  すでに体制委員会が設置をされて、去る十日にも体制委員会が開かれて、この体制委員会でいま当面する石炭政策について議論をし、結論の出たものから分割答申をする線で進められておるわけです。当初の目途は八月一ばいで分割答申をしたい、こういうことが言われておったのでありますが、この答申の時期が今日多少ずれてまいっておるわけです。したがって、第一の、一番先に分割答申される問題点は、どういう問題点を今日議論をしておるのか、それと同時に、その答申目途は一体いつごろになるのか、こういう点についてひとつこの際見解を明らかにしていただきたいと思います。
  12. 本田早苗

    本田説明員 お答えいたします。  体制委員会はことし四月に設置いたしまして、各種石炭鉱業に関する諸問題を御審議いただくということにいたしまして、御指摘のように八月に中間答申をいただいて、これを予算その他に反映して石炭対策の基本的な考え方に反映いたしたい、こういうことであったわけでございます。ただ、審議過程におきまして、八月の答申まで待てないというような事情が起こってまいりまして、たとえば炭価引き上げ問題等については最初に取り上げまして、炭価引き上げについて措置すべきであるという意見が出まして、一般炭の、特に電力用炭炭価引き上げについていろいろ措置をいたしまして、本日電力関係者最後結論を行なうというふうに聞いておりますが、大体方向としては、電力用炭について炭価引き上げを行なうという方向になっております。  それから第二点といたしましては、今後の石炭需要状況から見ますと、原料炭確保はきわめて必要である。原料炭確保について新鉱開発を推進すべきであり、のみならず原料炭確保についての強力な方策を考えるべきだということにつきまして、新鉱開発についての考え方をすみやかに整理するということで、先般来合理化部会のほうに審議を回しまして、十六日の合理化部会におきまして、新鉱の開発計画についての適当であるという承認をいただきまして、政府として、最終の手続を進めるということにいたしております。  かように必要な問題から逐次意見を整理して施策に移していくということになっておりますので、八月の中間答申というのは若干おくれてまいっておりまして、十月の中ごろに残りの問題がいろいろ審議されるということに相なる次第でございますが、今後の問題といたしましては、借り入れ金の問題であるとか、あるいは予算と関連する諸問題につきまして御意見が整理されるというふうに考えておる次第でございます。
  13. 岡田利春

    岡田委員 私が特に一番関心を払っておりますのは、現在制度的にあります特別閉山制度、これは来年の三月三十一日で法律の失効がなされるわけです。したがって、この特別閉山制度を一体どう扱うのか。このことは当面の緊急な問題であり、しかも、その結果として、法律改正国会提案をしなければならぬ事態にもなる問題でもあるわけです。したがって、この制度が一体どういう形で議論され、いつごろまでに結論が出されるのか、このことは非常に重要な問題だと思うわけです。そしてまた、扱いいかんによっては、今日の炭鉱における労働力確保に重大な影響を与えるだろう、こう私は実は判断をいたしているわけです。したがって、この特別閉山制度の取り扱いについては、もちろん体制委員会でも議論されると思いますけれども、この具体的な議論とこの問題の扱いについて、いつごろを目途に大体結論を出されるお考えであるか、この機会に明らかにしていただきたいと思います。
  14. 本田早苗

    本田説明員 お答えいたします。  御指摘のように、石炭鉱業合理化臨時措置法におきましては、特別閉山制度は四十五年度末で期限が切れることになっておりまして、この点についてわれわれとしての意見を整理すべき段階になっておるわけでございまして、体制委員会におきましても、本問題についてはいろいろ御意見が出ておるところでございます。ただ、われわれといたしまして、現在の時点におきましては、法律の定めるところによりまして、本年度末で廃止すべきであろうというふうに考えております。ただ、御承知のように、特別閉山制度に伴って各種の特殊な配慮がなされておるという事情がございますので、この特別閉山交付金制度を廃止することに伴って必要な措置がいかなるものであるかという点は十分検討を要するというふうに考えております。体制委員会におきましても、この点について御考慮をいただいて審議していただき、先ほど申し上げました十月の中旬までにはその結論を得たいというふうに考えておる次第でございます。
  15. 岡田利春

    岡田委員 本制度議論をする場合に非常に大事な点は、この制度が設けられて、いわば石炭のなだらかな撤退の面では、会社摩擦を回避しつつ今日まで企業ぐるみ閉山が順調に行なわれてきたわけです。今年度に入りましても、雄別以来中小鉱山企業ぐるみ閉山もすでに行なわれておるわけです。したがって、今後のわが国の石炭鉱業のそれぞれの企業現状考えてみますと、この制度をなくしてはたして社会摩擦を回避してなだらかな閉山が行ない得る保証があるかどうか、こういう点については非常に問題点があるのではないかと思うわけです。それと同時に、この制度が一番作用しておるものは前項に申し上げたと同時に、いま労働者雇用統一雇用ではございませんけれども、最終的に炭鉱に残った労働者のいわば退職金はじめ債務というものが保証される。そういう意味で、今日労働力が安定し、あるいは一時その山が非常に危険な状態になっても、最後にはその保証があるからといって、労働力が非常に安定して、最後までその山に労働者がとどまっておる。この側面を見のがすと、今日の第四次石炭政策は瓦解をする状態になるのではないのか。したがって、今後の具体的なそれぞれの企業の分析、それと同時にこの制度労働力確保に果たしている役割り、この保証、最低この二つの課題は、この制度がなくてもやはり何らか政策の上で実現されなければゆゆしき問題になるのではなかろうか、こういう見解を私は持っているわけです。したがって、もし今年度末でこの制度をなくするとするならば、これらの面について検討を加え、今日の一般閉山制度を含めてこれらが当然消化でき得る方向で問題が議論され、解決されなければならぬ、かように私は思うのでありますけれども、この点の認識についてはいかがですか。
  16. 本田早苗

    本田説明員 お答えいたします。  特別閉山制度の特別に設けられました事情はもうよく御承知のとおりでございますが、その効果として、御指摘の二点、これは実際的にはそういう効果を持っておるというふうに考えております。体制委員会におきましても、それらの点についての配慮というものが必要であろうという御意見も出ておりまして、これらにつきましては、答申を得るまでの間によく整理いたしたいというふうに存ずる次第でございます。
  17. 岡田利春

    岡田委員 十二月に通常国会が召集されると思いますが、来年度予算に関連をし、整備をしなければならぬ石炭関係法律があるわけですが、通常国会に当面提案を予定している法律改正案はどういう内容を予定しておるか、この機会に明らかにしていただきたいと思います。
  18. 本田早苗

    本田説明員 お答えいたします。  さしあたり当面考えておりますのは、期限切れとなります電力用炭販売株式会社法産炭地域振興臨時措置法の二法につきましては期限延長が必要であろうと存じます。特に、産炭地域振興臨時措置法につきましては、期限延長と同時に、産炭地についての各種問題についても御検討いただくということで、現在審議会において御審議をいただいておる次第でございます。
  19. 岡田利春

    岡田委員 過日、北海道羽幌炭鉱会社更生法適用を申請いたしたわけです。この羽幌炭鉱は、今日、西坑閉山をしても八十六万トン程度出炭をしているのです。かつては百万トン以上の出炭をしておった山でありますから、中小でありますけれども非常に大型な炭鉱である、こう言えると思うわけです。したがって、この会社更生法適用を申請している羽幌炭鉱一体再建ができるのか、そういう見通しがあるのかどうか、あるいはまたこれに対する対策はどのように進められておるのか、こういう点について、非常に重大な関心がいま払われておるわけです。特に、石炭政策下におけるこの会社更生法適用というのは非常にまれなことでありまして、いままでもあまり数多くないわけです。最近は特に非常に珍しいケースである、こう申し上げなければならぬと思うわけです。したがって、この羽幌帰趨について、特に北海道では非常に大きな関心を払っておるわけですが、今日羽幌現状再建見通しについてどういう見解を持たれておるか。そしてまた、この会社更生法適用申請した羽幌対策として、通産省としてどのように対処しているのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  20. 本田早苗

    本田説明員 お答えいたします。  羽幌炭鉱は、九月の二日に更生手続開始の申し立てを行なったわけでございまして、御指摘のように、会社更生法手続をとるというケースはそれほどないケースでございまして、今回の羽幌炭鉱の場合は、たまたま出炭が減っておって資金繰りが苦しくなっておったところへ、系列会社不渡り手形影響を受けまして、急に資金繰りが悪くなったというようなケースが原因でございまして、現在のところ、二日に更生手続開始を申し立てまして、翌三日に地方裁判所から保全処分決定がなされております。したがいまして、この決定によりまして、一切の金銭債務の弁済、あるいは金円の借り入れ、あるいは動産、不動産の処分というものについては、許可なくしてできなくなるということになっております。したがいまして、負債は一応たな上げされて、今後は石炭を現金販売して従業員賃金ほか電力火薬等の資材の支払いを行なっていけばよいという状態にいまあるわけでございます。九月五日以降は組合等とも交渉が行なわれまして、九月の八日から管財人決定するまでの期間は、会社組合代表者をもって、資金運用委員会で、入金、支払い等を確実にチェックしていこう、こういうことに相なっております。当面の所要資金は月に一億二千万円程度でございまして、現在の千三百トンないし千四百トンの出炭があれば、資金繰りは一応つくという状況になると存じます。そして、これによりまして十月上旬に期末手当残り分支払いが可能になる。八月分の賃金は九月の十三日に支払いを行なっております。今後の見通しといたしましては、十月二十日に羽幌鉱の右十片払いの採炭準備が完成することになりまして、これによりまして、十一月初めからは、羽幌鉱の自走ワクが二払い、上羽幌鉱のホーベルが一払い、稼働体制が実現するということに相なります。これによって一応出炭ベースは予定のように上がるというふうに存ずる次第でありますが、長期の現金決済可能性未払い退職資金の処理あるいは従業員の今後の動向、こういったものがなお問題として残ると思います。これらについてはなおよく状況を注視してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  21. 岡田利春

    岡田委員 私の試算によれば、もし羽幌炭鉱閉山をするということになりますと、さき西坑部内の閉山をいたしておりますから、その場合には、今年度三百三十万トン程度閉山を、予算上はむしろ要求を上回って今年度予算にきめられているわけですが、この羽幌炭鉱帰趨の結果によっては、四百万トン台の閉山、四百万トンから五百万トンに向けての閉山規模になる可能性が非常に大きくなってくる、かように私は考えるわけです。そういう意味で、前年度八百四十万トンの閉山規模に次いで、今年四百万トンないし五百万トン近い閉山規模にもしなるとするならば、まさしく大なだれ閉山、こう申し上げなければならないわけです。そういう意味で、いま羽幌の問題について報告を受けましたが、特に、それらの全体の趨勢の中でこの対策を進めるべきではないか、かように思いますので、この点について特に注意を払って行政当局としても対策を立てられるように、この機会に強く希望いたしておきたいと思います。  次に、今日原料炭不足が非常に政治問題になって、本委員会でもあとから決議案を上程することになっておるわけですが、一方において、今日の電源開発現状からいえば、電力用ローサルファ一般炭確保もまたこれに準ずる非常に大事な課題であると私は考えるわけです。現に三十六年前の火力発電所が今日稼働しているというような現状でありますし、また、今日の電源開発現状を見ても、今日の事情を大きく好転させるということはなお数年かかることはもう明らかな事実だと思うわけです。こういう現状から考える場合に、原料炭確保はもちろん大事でありますけれども、一方において、私の見解によれば、少なくとも大体〇・五%以下のローサルファ一般炭確保がこれまたある一定期間きわめて重要な課題である、かように私は考えるわけです。そういたしますと、今日、政策的に、原料炭一般炭安定補給金については二百円の差があるわけですが、そういう認識から考えますと、一方において原料炭は今年五百円炭価が上がり、一般炭炭価の値上げがようやく大体その五割程度で終わったという現状から見れば、原料炭ローサルファ安定補給金の格差というものはむしろ原料炭並みに扱っていく方向をとるべきではないか、私はこういう意見を積極的に持っているわけですが、こういう点についていま検討されておるか、これから検討されようとしておるのか、こういう点についてどうお考えになっておるか、もしお考えがあればこの機会に承っておきたいと思います。
  22. 本田早苗

    本田説明員 御指摘のように、現在の電力事情から申しますと、能力が手一ぱいになっておりますので、古い石炭火力についてもフルに稼働することが必要だという状況に相なっておりまして、その際、公害対策等から申しますと低硫黄炭確保が必要だということは御指摘のとおりだと思います。ただ、電力用炭につきましては、今回一応電力会社の負担によって電力用炭確保する、その際政府においてもこれを助成するという意味で増加引き取り交付金交付について配慮するということにいたしたわけでございます。これによってしばらく情勢を見たいというふうに存じておる次第でございます。
  23. 岡田利春

    岡田委員 今日、産炭地振興の問題でいろいろ各階層から意見が出されております。特に、来年度産炭地振興法の改正案がこの国会にも出されるわけですが、いわば産炭地振興政策について質的な転換をむしろはかるべき重要な時期にちょうどいまきておるのではないか、こう私は認識をするわけです。したがって、そのための準備はおそらくしておると思いますけれども、そういう意味で、産炭地振興政策について、その基本方針を含めて基本的にやはり検討し直すべきである、こういう見解を私は持っているわけです。それは、今日の経済の発展の方向から考えても、従来の緊急対策的な産炭地振興労働力捕捉型に終始した産炭地振興政策から質的に大きな転換をはかるべき時期だと私は思うのです。そういう点について、産炭地振興政策については来年法案も出ることですから、基本的に検討するべきだ、こういう見解を実は持っております。この点についてどう考えられておるかというのが第一点です。  それから第二点の問題は、産炭地振興法の二条、六条の関係でありますけれども、今日二条と六条の指定地域があるわけですが、しかし、そういう経済の急激な発展、変化に対応する状況から判断しますと、従来の二条、六条の指定、それに伴ういわゆるこの制度のあり方、あるいは産炭地振興政策の業務を進めている基準というものは現状に適合していない面があるのではなかろうか、実は、私はこういう感じがするわけです。特に、九州地区から北海道閉山が移っておりますけれども、たとえば上砂川市がございますが、これは二条指定です。しかし、歌志内その他周辺は全部六条指定で各炭鉱がある。しかし、産炭地振興をする場合には、上砂川を除いて、沢地の、直接その地元を振興することは非常に困難があるわけです。そうすると、こういう場合は、業務としては当然六条指定に準じて産炭地振興考えなければいかぬのではないか。あるいは、北海道の釧路のように周辺の炭鉱閉山になる、しかしながら、それぞれの奥地にある、沢地にある地元そのものを振興することは困難であるが、釧路炭田を総括をして、やはり釧路を中心にして産炭地の振興をはかっていかなければならない、そうするとやはり事業団の業務のあり方も六条に準じて扱っていく、二条ではあるが六条に準じて扱っていく、こういう地点が北海道にもありますし、ほかの九州や常磐にも今日出てきているのではないかと私は思うのです。そういう面ではやはり実情に即応した制度の運用ということが今日大事だ。そういう意味から産炭地振興政策の転換が大事ではなかろうか。あるいは北海道のように非常に広大な土地では第一次産業が非常に盛んで、第二次産業のウエートが非常に低い。九州の内部でもそういう地点がありますが、そういう場合には、やはりいま申し上げました地点を含めての第一次産業の取り扱いについても当然配慮を払って弾力的に運用すべきではないか、こういう見解を持っておるわけです。そういう面を含めて、産炭地振興政策はやはり今日その基本方針を含めて質的な転換をはかる必要がある、そういう検討を慎重に深めてやる必要がある、こう思うのでありますけれども、この点の見解を承りたいと思います。
  24. 本田早苗

    本田説明員 お答えいたします。  御指摘のように、産炭地域振興策の考え方といたしまして、当初の緊急的な考え方から逐次地域開発的な考え方に移るべきであるという点は御指摘のとおりであろうと思いますし、産炭地振興事業団の事業の方向としては、現にいまそういう方向に向かいつつあるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、来年の十一月に産炭地域振興臨時措置法期限が切れるわけでありますので、この延長は当然必要だろうという考えで、延長について審議会の御意見をいただきましたが、なお、その際、御指摘のように、産炭地域振興の今後のあり方についてやはり御審議をいただくということで、御指摘のように、広域的な振興あるいは中核企業の導入というような諸点につきましての産炭地振興効果を十全ならしめるような配慮を行なうための御意見をいまいただいておるわけでございまして、二条、六条等の運用につきましても御意見をいただけるつもりでおります。
  25. 岡田利春

    岡田委員 この際大蔵当局に、主計官が来ておると思いますので御質問いたしたいと思うのですが、今日の石炭特別会計、この法律は大蔵委員会に付託されて成立した法律でありますが、この特別会計ができるいきさつは、石炭審議会答申が行なわれて、石炭政策を進める財源の確保については、いわば原重油関税方式じゃなくして、重油消費税キロリットル当たり千円——わが国の石炭政策はドイツと非常に似通っておるわけですが、ドイツと同じようにむしろ重油の消費税に求めるべきだというのが石炭答申であったわけです。しかし、エネルギー価格のバランスその他のいろいろな事由から原重油関税に財源を求めるということになったことは御承知のとおりであります。したがって、本来であれば、競合する重油に消費税をかけて、価格バランスをとりつつ財源を確保するというのが、西ドイツでもそうですし、当初の石炭答申の原案はそういう内容であったわけです。しかしながら、それを最近は忘れて、原重油の関税なるがゆえにこの財源をめぐっていろいろな意見が出てきておることは、私は実は憂慮をいたしておるわけです。特に、特別会計の運用について、その前提になりましたのは、大体昭和三十八年度出炭規模が三千六百万トン程度、一応これを前提にして特別会計が組まれてきたわけです。原重油の消費の伸びによって四千五百億程度になると思いますけれども、しかしながら、一方において、昨年も四百万トンの閉山が進み、今年、私の見通しでは、へたをすると四百万トンをこえて五百万トン近く達する可能性すらある。こういう急激に閉山が進んでおる現状から考えますと、その閉山処理に借り入れ金をもって充てて今日処理をいたしてまいっておりますことは御承知のとおりなわけですが、そういう面から考えますと、いまの石炭政策現状からいえば、さらに来年度閉山ということも相当な規模に達するだろうという見解を残念ながら私は持たざるを得ないわけです。しかし、従来の借り入れ金は、昭和四十七年、四十八年の二年間でこれを返済するというのが一応の特別会計のたてまえになっておるわけです。来年度は一応問題はございませんけれども、再来年になればそういう運びになる状況になっておるわけです。特別会計は、そういう意味において、前提が大きく変われば当然それに対応して運用しなければならぬのではなかろうか、こう考えざるを得ないのですが、財政当局として、特別会計のいま申し上げました観点にのっとって、この財政運用についてどういう見解を持たれておるか、この機会に承っておきたいと思います。
  26. 徳田博美

    ○徳田説明員 お答えいたします。  御存じのとおり、エネルギー政策と申しますのは、ほとんど日本経済の運営の基礎をなすものでございまして、その一環としての石炭対策の重要性につきましては、財政当局といたしましても十二分にこれを認識しております所存でございます。  ただいま御質問の石炭対策特別会計でございますが、ただいまの御質問にもございましたとおり、現在の石炭特別会計の運営は、四十三年十二月二十五日に提出されました答申の線に沿って運営されているわけでございまして、その前提としては、いま御質問にございましたような、石炭の産出量その他のいろいろな前提があるわけでございます。ただ、この点につきましては、少なくとも四十五年度に関する限りにおきましては、ただいま御質問にもありましたように閉山も非常に増加してはおりますけれども、他面、ビルド山の能率の向上あるいは運営の合理化等によりまして一応四千万トンの線を確保できるのではないか、そういう見通しになっているわけでございます。しかしながら、今後、四十六年度以降の推移につきましては、さらにまたいろいろな検討の必要が場合によっては生じてくるかもわからないわけでございますけれども、その場合におきましては、そういう問題が生じてきたつど適正な対策を講ずるようにいろいろ検討してまいりたい、このように考えております。
  27. 岡田利春

    岡田委員 私は、今日の石炭鉱業をめぐる内外の情勢は大きな変化を遂げつつあると思うのです。それは、特に昨年の七月以来非常に顕著になってきている。原料炭確保をめぐる問題、鉱害をめぐる環境の変化、この二つが石炭鉱業をめぐる大きな環境の変化だと私は思うわけです。したがって、この事態を第四次政策が明確に予測しておったかどうかということになりますと、残念ながら、その面については不十分な面が多々あった。したがって、アフターケアもしなければなりませんけれども、ある程度変える点は思い切って変えていくという措置をしなければならぬのではなかろうか、こういう見解を実は持っているわけです。そういう意味で、石炭特別会計の運用についても、来年度予算あたりから漸次思い切って現在の情勢に適合するようにこの運用を変えていかなければならない時期に立っているのではないか、こういう見解を私は持っているわけです。きょう理事会で特別会計の概算要求の資料をいただいたわけですけれども、私の試算によれば、大体四十四年から始まって、石炭鉱業関係予算は、四十四年度を一〇〇とすれば四十五年は一〇七です。四十六年は概算要求で見れば一〇五、むしろ下回っていくわけです。一方鉱害は、四十四年が一〇〇でありますが、今年度の要求は一三四、産炭地は四十四年が一〇〇でございますが、四十六年度の概算要求は一四八、労働関係は、四十四年一〇〇に対して、四十六年は一五二、そうして財源は、四十四年一〇〇に対して一一六の伸びであるわけです。こういう内容をずっと検討してまいりますと、一方において新鉱を開発し、原料炭確保しなければならないという課題が出てきた。一方において、鉱害対策の面からやはりローサルファ原料炭確保しなければならぬという要請もある。こういう角度から見れば、別に鉱害、産炭地、労働対策がうしろ向きだとは申しませんけれども、石炭鉱業を積極的にささえていくという面についてもう少し重点を向けなければならない、そういう客観的な情勢の変化があるのではないか、いわゆる予算種目のバランスについて、単に従来の流れを踏襲するという考え方はむしろ検討すべき時期に来ているのではないか、今日の石炭鉱業をめぐる内外の情勢から私はこう理解をするわけです。問題はいずれも大事な種目であります。しかしながら、そのバランスについて十分配慮を払う最も重要な時期が来年度予算編成ではないか、こういう考え方を私は持っているわけですが、こういう点について、内外の情勢の変化に対応して、これから四十六年度予算検討されてまいるのでしょうけれども、財政当局としても、私がいま申し上げました情勢の変化を念頭に入れてこれに対処する考え方であるのか、従来の方向を一応踏襲するという考え方に立っておられるのか、この点についてもしお聞かせ願えるなら見解を承りたいと思います。
  28. 本田早苗

    本田説明員 財政当局からということでございますが、われわれとしての考え方を先に述べさしていただきたいと思います。  御指摘のように、石炭対策予算の総ワクというものについて、今回の要求はそれほど大きく伸びておりませんが、当初から五カ年の総合的な判断のもとに予算措置を講じようという基本的な考え方でございましたので、それらの考え方を基礎に置きまして予算の要求を行なうという制約があるわけでございます。その中で、御指摘のように、原料炭確保あるいは一般炭確保についての考慮というものが必要であるという点から、われわれとしては、要求の面でできるだけの配慮をいたしたつもりでございます。そういうふうに御理解を賜わりたいと思います。
  29. 徳田博美

    ○徳田説明員 お答えします。  ただいま通産省側からの答弁にもございましたように、一応予算のワク内においてこれを効率的に使用するということが審議会の大勢でございまして、そういう面でその効率的な使用に一段と配意をいたしたいと考えております。確かに、先ほど先生の御指摘にもありましたように、たとえば産炭地振興の問題一つ取り上げましても、これだけの産業経済構造の変革の中においていろいろ質的な変化が出てきていることは非常に大きな問題と思われますので、そのようなことも勘案しながら、その全体としての効率的な使用をはかっていく、こういうことで検討してまいりたいと思います。
  30. 岡田利春

    岡田委員 一応概算要求も出されておるわけですから、いま程度の答弁しかいただけないとは思いますけれども、少なくともそういう点について、関係当局は、綿密な分析と情勢の把握のもとに、大胆に変えるものは変えていく、こういう前向きの姿勢で臨むことが国民にこたえる道である、私はこう思いますので、特にそういう点の注意を私はこの機会関係局に促し、またいずれ大臣にも質問ができますので、この程度にしておきます。  第三番目に大蔵当局にお伺いしたいのは炭価の問題でございますが、今回電力関係会社の協力によって一般炭炭価の値上げがきまり、方向が出て、これに対して九電力の場合は三分の一程度政府が援助をするというのが基本であるわけです。この炭価決定にあたって、特に電発が二百円——電発は、御承知のように従来は九電力並みの炭価である。石炭特別会計から出資をしておるが、あくまでも炭価の建て方は九電力並みであるというのが出発当時から今日まで一貫しておるわけです。にもかかわらず、今回の炭価の値上げでは、二百五十円に対して二百円、五十円の格差が出てまいったわけです。これは従来のたてまえを大きくくずすことになるではないか。しかも、特別会計から出資をしてまでつくった政策発電所のほうが引き取り炭価が安くなって、九電力のほうが協力を得て高くなる、これは明らかに矛盾だと私は思うわけです。  一方において、常磐共同火力は今度七号機ができて、低品位炭の問題は別にして、六号機、七号機については二百二十円、いずれもこれは国の石炭特別会計で補てんするという方針のように承っておるわけです。九電力と電発が格差があるのがおかしいのに、なぜ一体常磐と電発とが二十円の格差があるんだ、これは少なくとも今日の行政のあり方としてきわめてゆゆしい問題である、こう私は考えるわけです。もちろんこれは原局としても責任があるのでしょうけれども、財務当局としても、特別会計の運用について、こういう措置に一応終止符を打とうとしている考え方に私は納得ができないわけです。この点について明確な見解を承りたいと思います。
  31. 本田早苗

    本田説明員 私のほうから先に事情を御説明申し上げたいと存じます。  御指摘のように、電発の常磐共同火力の六号機、十一月からは七号機も対象になるわけでございますが、これらにつきまして、財政負担が値上げ額の一部であったということにつきましては、今後の石炭引き取りその他の関係からまいりまして、電発あるいは共同火力においてもある程度負担をして、電力用炭引き取り、使用を行なっていくという考え方に切りかえたわけでございます。その際、電発と共同火力との財政負担について約一割の差があるということでございますが、この点につきましては、先ほど御報告がありましたように、常磐炭はほとんどその八割近いものを常磐共同火力に納入しておる。ところが、一般的な一般炭の納入は電発に限っておるという状況ではないかということが一点ございますが、そのほかに、電発の揚げ地火力発電につきましては、適正炭の不足ということで、重油の混焼率が常磐火力に比較しましてかなり高くなっております。このことは、当然、全体の燃料費負担として、電発の場合には低くなっておる、こういうことになっておりますので、これらの事情を入れまして、二十円の差が適当であるというふうに判断したわけでございます。
  32. 岡田利春

    岡田委員 電発の場合に、重油の使用量がふえているという局長の説明ですが、そうであれば、燃料費は逆に安くなるんじゃないですか。石炭のほうが安いのですか。油のほうが安いのでしょう。そうであるならば問題であると私は思うのですが、いかがでしょうか。
  33. 本田早苗

    本田説明員 重油の混焼率が高くなるということは、御指摘のように、重油のほうが安いわけでございますから、燃料費負担としては低くなるわけでございます。ただし、電発の場合につきましても、財政負担として二十円の差をそういう意味でつけましたけれども、現実の引き取り価格といたしましては、電発が自己負担といたしましてある程度負担するということで現在話を進めておるわけでございます。
  34. 岡田利春

    岡田委員 そういたしますと、私の理解では、従来電発が国会で言明しておるように、新しく石炭火力をつくる場合に、あくまでも単価の立て方は九電力並みであるという原則、やはり財政負担は二百円であるが、その原則を貫いて二百五十円にするように折衝している、こういう意味に理解していいのかどうか。したがって、常磐共同火力よりは高くなっても安くなることはない、こういう理解でいいのかどうか明確にしてもらいたいと思うのです。
  35. 本田早苗

    本田説明員 これは電発自身としての判断も入ってまいりますので、全く同額にできるかどうかという問題はまだここではっきり御返事はできませんが、ある程度の負担は電発のほうでしていただきたいということを話しておる次第でございます。
  36. 岡田利春

    岡田委員 私の質問の趣旨は理解されたと思うわけです。したがって、いま局長が説明された理由からいえば、結局、電発の負担も伴って、常磐共同火力より下回ることはない。従来の主張からいえば、むしろ九電力並みである。まして電発の場合には、公害環境の非常にうるさい地点に火力発電所があるわけです。常磐共同火力の場合には、公害環境は電発発電所に比べて概して問題がない。電発の場合には磯子、竹原、高砂、いずれを見ても公害環境の基準の非常にうるさい地点なわけです。それだけに、ローサルファーの一般炭供給しなければならないという、炭そのものに質的な要求が電発にあるわけです。私は、そういう状況考えても、やはり九電力と同じような扱いをすべきである、こういう見解を持っておりますけれども、結論が出ていないという答弁でありますから、これ以上議論をしてもどうかと思いますので、その点について、この機会に私の見解をひとつ十分そしゃくされて、最終的な結論を出されるように期待をいたしたいと思います。  時間がありませんので、次に厚生省にお尋ねしますが、今日炭鉱労働者に対して厚生年金プラス炭鉱労働者の特別年金制度を採用いたしまして、基金が発足をいたしておるわけです。これはトン当たり四十円支出をされているわけです。しかし、当初の試算から見れば、炭鉱労働者は今日当初予想以上に激減している。もちろん出炭も減っておりますけれども、出炭の減少度合いと人員の減り方というのは一致してないわけです。人員の減り方のほうが大きいわけです。したがって、当然財源的に余裕が出てきているのではないか。見直しをすべき時点にきているのではないか。それと同時に、各種年金は今日上がっているわけですから、それと見合ってきめた今回の炭鉱労働者に対する割り増し年金、特別年金についても、そういう意味でこれに見合う引き上げは当然行なうべきではないか。特に、昨今炭鉱労働者確保が非常に困難であり、労働者確保できないために日本の石炭鉱業が瓦解するという側面が非常に強まってきたという現状から見ても、なおこれを魅力あるものにすることが必要ではないか。そして、労働政策と相まってこれからの閉山も行なわれるわけですから、技能を持つ炭鉱労働者炭鉱に行き得る方向をより確立をしていくべきではないか、こう思うのでありますけれども、この点について厚生省当局の見解を承っておきたいと思います。
  37. 幸田正孝

    ○幸田説明員 お答えをいたします。  石炭鉱業年金基金が行ないます年金額の決定は、基金自身の定款できめることに法律上相なっております。この年金額につきましては、さような意味で、本来基金が会員の話し合いによりましてきめるべきものというふうに考えておりますけれども、基金を監督いたします立場にございます厚生省といたしましては、昭和四十七年十月から給付が開始されますが、その給付が開始されますまでの社会経済情勢に対応して給付水準が適切に確保されることが望ましいというふうに考えている次第でございます。
  38. 岡田利春

    岡田委員 きわめて事務的な御答弁でありますけれども、これを管理している厚生省当局は、各種年金を管理いたしているわけですから、そういう点について、今日の現状と合わせて、積極的な強力な指導というものが大事ではないか、私はこう思います。特に、今年もおそらく四百万トンをこえる閉山規模になるという現状から見れば、そこから出ていく労働者がやはり炭鉱に行ける、そういう意味で構想なりでも早目に発表する、こういうことが今日政策的に非常に大事ではないか、タイミングを逸するべきではない、こういう見解がありますので、特にそういう点についての指導と、少なくともそういう構想的なものについては、最終決定以前でも、考え方についてはある程度炭鉱労働者に向けて発表するというくらいに進めてもらいたいということをこの機会に強く要望いたしておきたいと思います。  次に、先般北海道に参りましたが、炭鉱病院の医師の確保が非常にむずかしい。これは過疎地帯もそうです。非常に政治課題に今日なってきているわけですが、特に、日本の炭鉱というのは企業企業病院を持ってくるというのがいままでの歴史的な経過でありますけれども、これからのビルド炭鉱を安定させていくというためには、企業の病院から、地域的な総合的な医療機関、充実した医師が確保できるようなそういう医療機関を基幹的につくっていく、こういう政策が大事ではないか。単にこれは炭鉱のみならず、最近のように超大型の工業地帯ができ上がって、そこに多くの企業労働者が集中をするという場合には、それに適合する保健、医療の面で、従来の古い考え方から一歩前進した、今日の経済発展に適応したわが国の労働者の保健と医療対策をどうするか、これを解決する課題が非常に重要であるという認識を私は持っておるわけです。特に、最も災害率の高い、しかも今日非常に苦難にあえいでいる炭鉱の場合においても、むしろ積極的にそういうことを先べんをつけて協同的な病院を建設するということを進めるべきではないかというのが私の見解であるわけです。しかし、残念ながら、既設の病院がすでに設けられている。したがって、これを整理統合して協同化するということになりますと、新たな投資が伴うという面で非常にちゅうちょをしている面があるのだと私は思うわけです。そういう大きな構想を前提にして、まず炭鉱における協同病院、充実した医療機関、医師を確保する。こういう立場から、協同病院のあり方については、積極的に、そして政策的にある程度これを奨励し、ささえていくというような政策があってしかるべきではないか。しかもそのことが、先ほど申し上げましたように、これからのそれぞれの工業地帯に労働者の新しい保健、医療の体系というものを整備していくということにもつながっていくのではないか。もちろんこれは労災病院等いろいろ関連も出てまいるでしょうけれども、そういう面で総合的に考えていくべきまず第一歩として、石炭においてこういう問題を解決すべきだという積極的な見解を私は持っているわけですが、この点についてはいかがですか。
  39. 幸田正孝

    ○幸田説明員 御指摘のとおり、過密あるいは過疎の進行等の社会経済情勢の変化に伴いまして、医療機関の整備について、社会経済情勢に対応した考え方で進んでまいるべきことは、私どもも日常そういう方向で努力をいたしているつもりでございます。特に、お尋ねの産炭地域におきます病院の統合の問題につきましては、個々の具体的な事情にいろいろの差があろうかと思いますが、統合を必要とするというようなものにつきましては、私どもといたしましても、たとえば年金福祉事業団を通じての融資その他の方法を検討いたしてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  40. 岡田利春

    岡田委員 七〇年代のこれからのわが国の経済社会発展計画を検討しても、国民、労働者の保健、医療という面について、いま述べられた点をさらに深められて、これに対応する方向というものをぜひ明らかにしてもらいたいということを、この機会に強く希望いたしておきます。  次に、労働省にお伺いいたしますが、炭鉱労働力確保の問題は、もう本委員会で非常に多くの議論が出ておりますから、労働省としては強く認識しておるとおりだと思います。特に、炭鉱離職者の臨時措置法ができた当時は、労働者が一ぺんに解雇されて就職ができない。しかし、今日はまさしく百八十度逆転の環境にあるわけです。しかし、法律の精神はやはり依然としてそういう精神の法律がありますし、もちろん、これの運用については、労働省としても弾力的に運用するように努力をしている形跡については私も認めておるわけでありますけれども、しかし、この機会に、炭鉱労働力確保という面を中心にしてやはり再検討すべき段階だというぐあいに私は思うわけです。そういう点についての見解と、特に炭鉱労働力確保するについて、来年度予算を展望して、新しい制度といいますか、そういうものを考えられているかどうか、そしてまた、今日の情勢に適応するように炭鉱離職者の臨時措置法を来年度改正するという積極的な意思があるかどうか、これをこの機会に承っておきたいと思います。
  41. 遠藤政夫

    ○遠藤説明員 炭鉱労働力確保の問題につきましては、本委員会のみならず、いろいろな機会に諸先生方から御注文を承っております。実は、体制委員会でもこの問題が非常に論議されておりますが、労働力不足は最近全産業にわたって非常に深刻な問題になっておりまして、石炭産業もその例に漏れないわけでございます。特に、石炭産業自体が非常に将来性に不安を持たれるというようなことから、ここ数年炭鉱に就職しようとする人がだんだん減ってまいりまして、非常に深刻な問題になっていることは十分承知いたしております。ただ、問題は、炭鉱労働者を幾ら振り向けようといたしましても、炭鉱の将来に不安を抱かれ、あるいは炭鉱の労働条件がほかの産業に比較して比較的低い。こういった状態では、労働力確保に幾ら施策を進めてまいりましてもなかなか十分な成果があがらないことも申し上げるまでもないところでございます。そういったことで、いま岡田先生から御指摘のように、従来の炭鉱離職者臨時措置法によります離職者対策についても、この際労働力確保の観点から再検討すべきじゃないか、あるいはもっと極端ないい方をいたしますと、もう離職者対策をやめてしまって、労働力確保対策に切りかえるべきじゃないか、こういう御意見も承っておりますが、離職者対策につきましては、先ほどもお話がございましたように、まだこれからも閉山による離職者も出てまいることでございますし、離職者対策の必要性がなくなったかということになりますと、私は必ずしもそうではないと思います。同時に、炭鉱労働者確保の観点からいたしましても、他の離職者に比較いたしまして、こういった比較的手厚い離職者対策、保護の措置がとられていることによって、言ってみますと安心して炭鉱につとめておられる、こういった見方も成り立ち得るのではなかろうかと思うのです。また、かりに閉山しても、そういった手厚い援護措置が現にあるから、それによって再就職できる、こういうことで炭鉱への足どめ策にもなっているというようなこともいえるのじゃなかろうかと思っております。そういったことで、来年度以降の離職者臨時措置法の改正云々というお話でございますが、法律を改正してということまでは考えておりませんが、従来の炭鉱離職者を炭鉱に優先的に紹介して炭鉱に残ってもらう、優秀な技能を持った熟練労働者炭鉱に残ってもらうというような措置については従来以上に強化してまいりたいと考えております。  予算要求の面におきましても、この臨時措置法によります離職者対策の相当部分は、弾力的な運用によって、炭鉱へ戻る、炭鉱へ再就職する離職者についても適用いたしてまいっておりますが、あとに残されております雇用奨励金でございますとか、その他の福祉施設等につきましても、来年度こういった炭鉱へ再就職する人たちのために適用されるように努力いたしてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  42. 岡田利春

    岡田委員 もちろん、この職業転換についての措置というものが必要なことは私も意見は全く同じです。ただ、特に中高年齢層——日本の企業は非常に労働力に対してぜいたくな考え方を持っているわけですが、今日定年制の延長という問題が閣議で問題になっている情勢でもありますし、そういう意味では、特に中高年齢層の場合でも、炭鉱で働いておった者が炭鉱に行くということは一番就職しやすい。しかしながら、新しい重装備をしている炭鉱側からいえば、それに適応した労働力ということで若年労働力を求める、このギャップが実はあるわけです。そういう面については、今日の実情からいえば、重点的な施策をこの際前進させるべきだ、こういう見解を私は持っておるわけです。そういう点についての検討も進められておるようでありますけれども、そういう点について、法の運用についてより一そう重点を向けるべきだという点についての配慮を強く要望しておきたいと思います。最近、特に炭鉱離職者を集める場合に、就職を紹介する場合に、一般企業がどんどん入ってきてやってくれることはけっこうですが、そのついでに周辺の炭鉱からどんどん引き抜いていく。しかも、前渡金を渡して職安法違反を明らかに行なっている事実がある。おそらく、この問題は労働省にもあがってきている問題もあるわけです。いわば引き抜きの公然化という問題が起きている。やっていける炭鉱も、労働力が引き抜かれたために、隣の山に持っていかれたためにやめなければならない、こういう事態がありますので、こういった点については、特に職安法の運用について十分御注意いただきたいということをこの機会に強く要望いたしておきたいと思います。  さらに、若年労働力確保が、重装備をし、能率をあげ、近代化する炭鉱については必要なわけですが、それぞれの企業は、今日、職業訓練所あるいはまた鉱山学校をつくって、これの生徒に手当を出して若年労働力確保するために努力しているわけです。そしてある一定の成果をあげていることは、生徒数の確保状況から見ても認めざるを得ないと思います。なぜ一体、職業訓練制度のみによらないで鉱山学校制度によるのか、これはやはり魅力の問題があるわけです。一定の高校卒の資格を与える、こういった学校法に基づく鉱山学校のほうを選び、そしてこれに一定の手当を出しながら若年労働者教育をしているというのが実情なんです。魅力の問題でありますから、実質は純然たる炭鉱の若年労働力確保するための技能工員を確保するための技能訓練所と全く質的には変わらない、これが実情だと思います。私は、そういう意味において、この鉱山学校というものは、そういう実態把握の上に立てば、職業訓練と同じように、むしろ積極的にこういう面については前向きの施策として援助を与えていいのではないか、こういう見解を持っているわけですが、こういう点の検討をされておるかどうか。いやこれは学校法に基づくものだから、文部省だからということで、行政が違うという点で簡単に片づけられる問題ではないのではないか、こう思うのですが、こういう点について見解を承っておきたいと思います。
  43. 遠藤政夫

    ○遠藤説明員 職業訓練校とそれから文部省所管の学校との連携の問題につきましては、従来からいろいろむずかしい問題がございました。いまお説のように、職業訓練校を出た者については高等学校卒業の資格を与えられない。実質的には、ものによっては高等学校よりはるかに実力をつけ得るような内容を持ったものでございましても、高等学校卒業の資格がない。そのために魅力がない。そういうことで、実際上の社会に出た場合の処遇その他についていろいろと問題が出てまいっております。また逆に、文部省所管の学校であるということによって、いま御指摘のような、実質的には職業訓練校でありながら、そういった面の援助が受けられないといった問題がございますので、実は、最近も文部省といろいろ御相談いたしまして、職業訓練校と文部省所管の高等学校との実質的な連携、両方の資格を与えられるような、あるいは両方からの何らかの援助が与えられるような体制を相互にとっていきたいということで、最近急速にそういった面の検討を進めてまいっております。炭鉱学校の問題についても、もう少し担当者のほうで具体的に検討さしてみたいと考えております。
  44. 岡田利春

    岡田委員 炭鉱の死亡災害は漸次減っているようでありますけれども、しかし、労働者数から見るとそう極端に減っているということにはならないと私は思うわけです。特に労災法の問題でありますけれども、これは一番早くできた社会保障制度の一つの柱なんですが、いまこれが一番おくれているんじゃないかという見解を私は持っておるわけです。その証拠に、いまたとえば災害死亡いたしますと、労使で民間協定がどんどん進んでいるわけです。それは労災法がすでに現状に合わないからです。たとえば炭鉱労働者の場合、全鉱などの場合でも百五十万から三百万の弔慰金、多いところは、装置工業では七百万、八百万の弔慰金協定、こういうものがいまどんどん進んでおることは労働省は御承知だと思うのです。前にも私はこの委員会で問題にしましたし、労災法の改正が審議会審議をされておる。ずいぶん時間がかかって、一体いつになったら今日の情勢に適応するような労災法の改正案が出されるのか。もちろん、この改正をめぐる審議会では、労働者の代表とか、使用者代表とか、いろいろ意見があることは私は承知いたしております。しかし、もはや今日国民総生産が世界第二位まで上がったという段階で、それらの意見を総合して、やはり勇断をもってこの改正をすみやかにすべきだ、私はこういう見解を持っておるわけですが、この点については、私の受けておる感じではなかなか期待する方向に進まない、時間がかかり過ぎる。一方、自動車災害の場合は三百万がすぐぽんと五百万に上がっていくという現状なわけですから、労働省は一体何をやっているんだということを大きな声で言わざるを得ない感じを私は持つわけです。この点についてどのようになっておるのか、今日の情勢をどう認識されておるのか、この労災法の改正について労働省は意欲を持っておられるのか、この機会見解を明らかにしていただきたいと思います。
  45. 桑原敬一

    ○桑原説明員 労災保険法の改正の問題でございますけれども、先生御指摘のように、前々からこれについては積極的に改正をやるというお話がございまして、実はさきの六十三国会におきまして改正法案を提出いたしたわけでございます。その中身は、大筋を申し上げますと、昭和四十二年にILOで採決されました労災補償に関する条約の数字に合わせるために改正法案を固めたわけでございますが、遺族補償年金を標準世帯につきましては二五%引き上げる、障害補償年金については一六・五%引き上げる、それからいろいろ御批判いただきました遺族補償一時金につきましては四百日分を千日分に上げるというような内容でございます。なお、法律改正は必要ございません面におきましても、葬祭料の引き上げ、あるいは遺家族で学校に行かれる方がございますので、そういう方に対する奨学援護資金の支給、こういうような新しい制度もつくりまして、現在その施行準備に全力をあげているようなわけでございます。御指摘のように、労災保険の制度の問題につきましては、日本の社会経済の発展に応じて今後とも積極的に取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。
  46. 岡田利春

    岡田委員 大体、私の記憶では、おととしあたりこれは改正されていなければならぬ予定であったわけですが、審議会で時間がかかり過ぎますから、せっかく答申を受けて、法律をつくって施行すると、もう情勢がその時点では変化している。スライド制を採用していればいいのですけれども、平均賃金だけが基礎でありますから、そういう点で非常に問題があるのではなかろうか。ドイツあたりでは、大体働いた賃金の六割が年金で支給されるというような状況のように私は承っております。そういう意味で、この労災法については、情勢に適合するように——少なくとも普通一般の国民の側から見れば、自動車災害のほうなんかは、非常にスピーディーに、審議会でそうかんかんがくがく時間をかけないでもやっている、労災になると時間がかかって、できたときには情勢に適合しない、こういう繰り返しが行なわれていくのではないかという見解を持っておりますので、特にこの点について、労働省として、今日の経済発展の現状に対応してそういう措置をすみやかにとられるように強く希望いたしておきたいと思います。  時間がありませんから、最後に自治省にお伺いします。  今年度国勢調査が行なわれようとしておりますが、前回四年前の国勢調査においては、特に炭鉱のように市町村で人口が激減したという場合においては、国勢調査の時点が閉山時点、非常な人口の激減時点、それで急激に激減するものでありますから、制度的に非常に適合しない点があるわけです。前回は、産炭地のような人口激減地域に対しては、これを救済する措置がとられてまいったわけですが、今年度国勢調査をした結果、そういう人口激減の市町村に対しては前回と同様の措置をとる考えであるかどうかという点を承っておきたいと思います。
  47. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 ただいま御指摘のように、人口の急減いたしました市町村につきましては、これまで数値急減補正というのを適用してまいったわけであります。昭和四十五年の国勢調査に伴いまして、こうした人口の減少状況がどういうふうになるかということが、まだ私ども的確な予測がつかない段階でございますけれども、そうした人口の急減に伴ういろいろな財政上の問題につきましては、私どもも財源措置の面で当然に配慮しなければならないと考えておるわけでございます。ただ、具体的な点になりますと、まだ私ども検討の段階でございますので、的確なお答えはできませんのでございますけれども、いずれにいたしましても、そうした人口急減という事態に対処いたします適切な財源措置はとってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  48. 岡田利春

    岡田委員 特に、最近、北海道閉山等を見ますと、炭鉱地域そのものがスクラップ化される、スクラップ化されたあとは木でも植える以外にないという個所が非常に多いわけです。最近では、もう半年もたたないうちにクマがのこのこ出てくるというのが炭鉱のあと地の現状であるわけです。東京では非常に予測のできない地域の現状であることは御承知だと思うのです。したがって、公共施設一切が完全スクラップ化されるという点は従来以上に深刻な面が出てまいりました。いままでも、公共施設の起債償還については、補てん措置について特別交付金等で配慮をされておったわけですが、この特別交付金というのがいろいろやられておるのですけれども、内容が明示されないわけです。ですから、何がどの程度認められたのか、起債償還はもちろん見ているのだといっても、何がどう見られたのかということは一向明らかではないわけです。行政としてそういう制度をせっかくとる場合でも、不親切というか、まことに当を得ていない感じをその結果与えるのではないか。ですから、公共施設の起債償還の補てんについては特にこういう措置をとったということを的確に明示すべきではないのかという見解を私は持っておるわけですが、この点について、起債等の償還については当然配慮が継続されると思いますけれども、その点がどうかということと、この措置の額的な明示について親切に示すお考えがあるのかどうか、この点についてひとつ見解を承りたいと思うのです。
  49. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 公共施設の整備に伴います起債の元利償還の措置につきましては、現在普通交付税の措置を原則にいたしてやっております。したがいまして、その内容は、普通交付税の計算につきましての規則等もございますので、市町村の段階におきましてはその内容は十分承知いたしておるものというふうに考えております。ただ、全額措置いたしておらない面も相当あるわけでございますので、その点につきましては、さらにその市町村の財政の実態を見まして、特別交付税におきましていわばその補てん的な措置を講じていきたい。特に、最近のように、産炭地域の市町村におきまして、閉山等に伴うところの、たとえば義務教育施設等が全く廃校になってしまうというような事態に対処いたしましては、当然に元利償還だけが残るというようなものにつきましては、普通交付税のほかに特別交付税におきましてその補てん措置を講じていく、こういうつもりでございます。
  50. 岡田利春

    岡田委員 参事官、せっかくそういう答弁をいただいたのですが、われわれどこを歩いてもわからないと言うのですよ。これはおそらく九州地区常磐地区もありますけれども、ずいぶん話を聞くのですが、この点が不明確で非常に困っておる。せっかくやってもらってもありがたみがわいてこない。もちろん、自治省にまで足を運んで聞けばわかるかもしれませんけれども、実際上一般的になかなかわからないんじゃないでしょうか。せっかくそういう御答弁ですから、ぜひ明示をして、よくわかるように——こういう点については閉山に伴ってこういう措置を一応特別交付金でとっておるというような点を親切に、せっかく明示をしているという御答弁でありますから、さらに、われわれが行っても別にそういうことを聞かれないように措置願いたいと思うのですが、いかがですか。
  51. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 ただいま御指摘の元利償還金の財源措置でございますが、たとえば義務教育施設につきましては、普通交付税におきまして元利償還金の六〇%を基準財政需要額に算入いたしております。したがいまして、残りの分につきましては、それぞれの市町村の財政の実態に応じまして、必要な部分につきましては特別交付税で財源措置をするということにいたしておりますが、ただ、こういう内容がやや不明確になっておるという点は、現在の交付税の機構そのものが非常に複雑な計算方式をとっております関係で、相当技術的に規則等を読んでいただかなければなかなかわかりにくいという点もございます。さらにはまた、現在交付制度が一般財源を付与するという制度でございますので、そういう意味で、特定財源のように、事業ごとに計算される明確な性格のものではございませんので、そういう意味におきましても、一般的にはその内容につきまして十分御理解が得られない面もあるかと思います。ただ、算定方法の内容につきましては、規則等におきまして十分私どもは明示いたしておるつもりでございます。
  52. 岡田利春

    岡田委員 これで終わりますけれども、われわれもいろいろ話を聞いているのですが、結果を聞きますと、全体的に予算がふえるとふえていくわけですね。伸びてはいるんだけれども、はたしてそれが認められるのかどうかというような面と、それから義務教育施設につきましてはいま明示がありましたけれども、それ以外もあるわけですね。いろいろな福祉施設もございますし、特に最近の場合は、二万の人口がおっても、一万人が二、三カ月でぽんといなくなるわけですよ。そのくらいすさまじい完全な地域スクラップ化なわけですね。ですから、単に学校教育施設だけでなく、福利施設等いろいろな施設があるわけです。そういう点で、石炭特会では地方自治体に対して特別交付金制度も一応採用はしておるのですけれども、自治省のそういう処置について、義務教育以外の面についてもどうなのかという点で非常に疑問がありますから、これは各町村でなくても、たとえば指導機関である県庁あるいは道庁に財政局、部があるわけですから、こういう面で親切な方向をぜひ研究して、せっかくの措置がほんとうに理解されるようにしていただきたい、努力を何か考えてもらいたいということをこの機会にお願いしておきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  53. 鬼木勝利

  54. 相沢武彦

    相沢委員 最初に、まず石炭局長にちょっと事情をお聞きしたいと思うのです。九月十三日付の一般紙に「有明炭鉱会社で再開発か」「四十七年から採炭開始へ」という記事が出ております。さらに、長崎県の鹿町町の本ケ浦鉱で、これも再開発という記事が出ておるのですが、本日同僚議員から決議案が出されまして、その中にも、有明鉱の再開発の一そうの促進をはかることを決議するという予定になっております。この記事を見ますと、「関係者の間で大筋の合意をみた模様である。数日中に正式に決定したうえ、今秋から開発を再開し、四十七年から採炭を始める見込みである。」とあるが、ということは、関係当局の通産省としてもかなり具体的に話が進んでいると私思うのです。私どもかねてから北炭夕張鉱、有明鉱の開発については要望してきておるところであります。今回の現地視察のときにまだあまり様子がわかっていないということでございましたけれども、もしこれが事実とすれば、このように早く再開が行なわれるということは非常に喜ばしいことでございますが、新聞発表になる前に、少なくとも石特の理事会を開いていただいて、こういうぐあいに進展してきたという状況を一言お伝えいただければ、もっともっと今後の検討意見が盛り込まれたのではないか、こう思うのです。つんぼさじきに置かれていて、いきなりこういうものが出てくるということは、何か石特委員会だけが断絶しているみたいな感じなんですが、この辺の事情についてお伺いしたいと思います。
  55. 本田早苗

    本田説明員 有明鉱の開発につきましては、現在関係者において検討中でございまして、まだ、われわれはその検討の結果についての報告を受けておりません。近く検討の中間的な報告が来るというふうには聞いておりますが、結論を得たとは聞いておりません。正式に開発するといたしましても、開発計画の変更等、合理化部会等にかけて審議をしていただく必要もあろうかと思いますけれども、現在の新聞の記事については、われわれとしては全然承知しておらないことでございますので、この点については、かねてから当委員会において非常に関心を持っていただいておりますし、事情の進行に従って御報告すべきであろうというふうに考えておる次第でございます。
  56. 相沢武彦

    相沢委員 一応了解いたしました。  続きまして、同じく十三日だったと思いますが、全国の鉱害量につきまして記事が出ております。千三百億円をこすと通産省が石炭審議会報告しております。これにつきましても、私ども、今回の委員会を開かれるにあたって、いろいろ調べているうちに、大体今年一ぱいかかるという調査が非常に早目に終了できた。そのように早く進展しておることは喜ばしいのですが、これも正式に理事会等での御報告等も承らないうちにこういうことが述べられている。全国の鉱害量につきましては、四十二年度調査したときに八百五億円ということで私どもは認識をしてまいりまして、若干上回るのではないかということを思っていましたが、今回の調査で一千三百億円をオーバーするだけの残存鉱害量があるということがわかったわけであります。その後、四十二年の時点で八百五億円、四十三年度の鉱害対策費としては七十七億九千万、四十四年度で百億六千万が鉱害対策で行なわれているわけでありますから、この分を差し引きますと、四十四年度のときの鉱害残存量としては六百億ということになりますと、今回の調査で一千三百億円をこすとなりますと、大体倍額近い鉱害残存量になる。毎年物価の上昇等を一〇%見なければならない。あるいは労賃、資材の上昇ということは当然考えられることでありますし、また、四十二年度以降において、かなり産炭地閉山いたしまして、新たな鉱害量の発生というものは年々減少の傾向にあります。そういった点から考えますと、四十二年度のときの調査資料は机上の資料であって、十分な現地調査ができなかった、こういうことでございますが、あまりにもそこに大きな違いがあるんじゃないかということを感ずるわけでありますが、この点の事情説明していただきたいと思います。
  57. 本田早苗

    本田説明員 お答えいたします。  かねて残存鉱害量については調査実施中でございまして、夏過ぎごろには調査が完了するというふうに申し上げておったというふうに記憶いたしておるわけでございますが、その残存鉱害量調査が今般整理をされまして、鉱害部会に御審議を願ったということでございます。御指摘のように、今回の調査では千三百八億というものが残存鉱害量というふうに調査結果が出たわけでございますが、前回の調査、四十二年度におきましては、御指摘のように八百五億でございまして、大幅な増加になっておるわけでございます。この点は、御指摘のように、一つは復旧費の単価の増額がございますが、また、鉱害の新規発生によるもの、そのほかに、これも御指摘がございましたが、調査方法の改善によりまして調査精度が上がって、そのために鉱害として新たに計上するものが出てまいったということが原因として大きな数字になっております。前回の調査は御承知のとおりでございますが、各炭鉱の申告を基礎にいたしまして、これは算定いたしましたものでございますが、今回は、残存鉱害の約八〇%をカバーする部分につきまして、石炭鉱害事業団が航空写真をとりまして、そうして主要な水系ごとに水文調査を行ないまして、鉱害復旧の基礎調査実施いたしまして、その結果と残りの二〇%分については、通産省が客観的な数字をはじき出しまして、これを合わせて千三百八億の鉱害というふうに調査結果が出たわけでございます。  今回の調査と前回の調査を比較してみますと、先ほども御指摘がございましたが、八百五億の当時の残存鉱害量に対しまして、復旧単価の上昇がございますので、これは百六十九億、約百七十億ほどは八百五億に加算しなければならないと存じます。そのかわり、また四十四年度までの間に新規発生したものが約九十四億ございますので、八百五億に約二百六十億ほどを加算して一千億余りになるわけでございます。その間に、御指摘のように二百十九億の鉱害処理を行なっております。これを差し引きますと、約八百五十億になりまして、今回の報告の千三百八億との間では約四百六十億ほどの差額が出るわけでございます。  差額につきましては、先ほど申し上げました調査の方法が精度が上がって、新しい方法でやったということと、それから鉱害復旧の程度を従来のかさ上げよりも上げるというようなことに伴う増が約二百七十五億、六〇%ございます。そのほかに、従来は鉱害と認めなかったものを今回は鉱害として認めて鉱害復旧の対象に加えるというのが九十五億ございまして、約二一%ございます。また、前回の調査調査漏れになっておりましたものが、今回は調査の対象になって残存鉱害量に加わったというのが七十一億ございます。また、他の工事との関連で、工事量の増加があるというのが約三十億ございます。反対に、前回の調査では過大な評価であったということで修正したものがマイナスになりますが、約九億ございまして、これらの総合で約四百六十億ほどの増加ということに相なっておる次第でございます。
  58. 相沢武彦

    相沢委員 四十六年度の鉱害対策費の予定は百四十二億になっていると聞きますが、そうしますと今後完全に復旧するまでに約十年間は時間を要するわけでありますが、その間地元住民に対する十二分な補償を行なうことが大切だと思いますが、その点に対する対策をどういうふうに立てているのか、その点が一点と、鉱害復旧に際して、資金投下の面におきまして、現在までは分散方式でほとんど行なってきたと思うのですが、特定集中方式で行なうことも考えられると思うのですが、その点も比較検討して、地域的にメリットの高い方式を採用するほうがいいのじゃないか、こういう意見もあるのですが、その点の検討はどうなっているか。それから、今回の調査でほとんど調査漏れはなくなったと思いますが、新しい鉱害等はやはり今後も発生するわけであります。しかし、炭鉱閉山によって新たに発生する鉱害は、これまでよりも発生額、率等は毎年減っていく傾向にあるとは予想されておりますけれども、今後発生が予想される鉱害量、これはすでに四十八年までの四年間で約四十六億円、五十三年までの九年間で約七十二億円程度の鉱害量の発生が増大する、こういう見通しができておりますけれども、新たに発生する鉱害を未然に防ぐ、そういう防止策は考えていないのかどうか。以上三点についての見解をお伺いしたいと思います。
  59. 本田早苗

    本田説明員 お答えいたします。  御指摘のように、千三百億の鉱害を処理するということになりますと相当な期間を要することに相なります。その間被害者に対しては保護の配慮が必要ではないかという御指摘でございますが、ごもっともの御指摘でございまして、われわれといたしましては、農地等の被害者に対して、有資力の場合には年々賠償ということで、鉱害復旧対象になっておらない場合には年々賠償を行なっておりますし、それから賠償義務者が無資力の場合には、無資力鉱害調整交付金というものによって一応被害者を保護するということにいたしております。特に、無資力鉱害調整交付金制度につきましては、さき国会でその改善をはかるように御指摘がございましたが、四十五年度から必要な改正を行なって保護を厚くしたという状況に相なっておる次第でございます。  また、鉱害復旧は特定の地域で集中的にやってはどうかという点でございますが、かなり広範な地域にあちこち鉱害ができておるという事情がございますので、一つの地域に集中して、他の地域の鉱害復旧をしばらく見送っておくというのは必ずしも現実に即さないということがございますので、われわれといたしましては、鉱害復旧を計画いたしますにあたりまして、施行能力あるいは復旧の土量あるいはかんがい用水等を考慮して、できるだけ広域の地区を対象にいたしまして、能率的、合理的に鉱害復旧をやってまいりたいというふうに考えておりますが、御指摘のように、一つの地域だけ集中的にやって、あとの地域はあとの年度回しということになりますと、被害者の間の均衡の問題もありますので、徹底的に特定地域に集中するというのは困難であるというふうに考えておる次第でございます。  それから将来の採掘の鉱害量でございますが、御指摘のように四十八年までは四十六億円、それから五十二年までの九年間では七十二億円、五十八年までの十四年間では八十七億円というものが将来発生する採掘鉱害量というふうに調査結果で報告されております。
  60. 相沢武彦

    相沢委員 今回の調査で無資力鉱害が五一%と、半ば以上を占めるようになったわけでありますが、鉱害の発生源となる炭鉱のうち、すでに掘り続けている炭鉱はもう五十鉱しかないし、三百五十九鉱が閉山して、閉山した後の鉱害復旧の資力を持つのが百八十六鉱、こういうわけで、これからも無資力鉱害は増大することは明白でありますが、ここでやはり鉱害復旧に対する新たな検討が行なわれなくてはならないと思うわけです。こういった事態に対応する復旧事業のあり方として、有資力、無資力ともに含めて、公共事業の形態にして仕事をはかどうしてはどうか、また、そういうふうにしてほしい、有資力のうち、復旧の資力を持つ分についてはあとから分担費用を納入させる、こういう方向でとにかく復旧を促進してほしい、こういう地元の要望等も強いわけでありますが、特に、形式的な有資力の権者の場合に問題が多いと聞いておりますが、この点の当局の見解を承っておきます。
  61. 本田早苗

    本田説明員 お答えいたします。  御指摘のように、今回の調査結果で、無資力鉱害が六百六十七億で全体の五一%を占めるということで、初めて半分以上が無資力鉱害であるということに相なったわけでございます。これには大手三社の特別閉山が行なわれました分も無資力鉱害というふうに算定をいたしましたのと、中小炭鉱閉山に伴って無資力鉱害がふえておるという状況であろうと存じます。かような事情から、御指摘のような考え方はとれないかということでございますが、われわれといたしましては、来年度に鉱害二法の改正が必要であるというふうに考えておりまして、その延長にあたりまして、同時に、復旧方法あるいは復旧手続等の処理方式についても審議会に諮問をして検討をいたしておるわけでございまして、御指摘のような点についても検討する対象として考慮いたしたいと存ずる次第でございます。  さらに有資力鉱害にあたりましても、国が鉱害復旧を行ないまして、そのあとで分担金等を徴収するという形で鉱害復旧を迅速に行なうのはどうかという御指摘でございますが、鉱害復旧の基本的な考え方が私法上の賠償の法理を基礎といたしておりますので、全面的に行政機関が復旧をしたあとから分担金をとるという考え方は直ちにとりがたいのではないかというふうに考えておる次第でございます。  また、有資力復旧の際に適切な鉱害復旧が行なわれがたいのではないかという点でございますが、この点につきましては、われわれとしては、被害者保護という観点に立ちまして十分な行政指導をやってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  62. 相沢武彦

    相沢委員 鉱害量のうち地表沈下による被害が一番多いわけでありますが、農業耕地が七千九百四十万平米、家屋で二万八千八百四十四戸該当しているわけでありますが、この農地に関しまして、現在米の生産調整等の問題もありまして、農政自体が非常に大きな曲がりかどにきているわけであります。こういった点から、被害者の中には、農地から宅地にしたい、こういうことを希望している人も非常に多くなっていますし、現在、農地を宅地に転用するみなす工事の場合には、道路並みのかさ上げの部分は受益者負担になっているわけですが、そういった点、分担率を低くして、宅地あるいは将来その地方自治団体の計画する工業団地に転用できるような促進をはかっていくべきでないか、こういう意見を持つわけでありますが、これに対してどのように考えられるか。  もう一点は、地表沈下による家屋の復旧の問題として、現在は土地の地上げのみで、家屋の改修に対しては法律が及んでおりませんが、そのまま放置されますと、家というものはまっすぐ建っていてもやはり年々損傷していくわけでありまして、まして、傾いたまま置いておかれるということは損耗率が非常に激しくなる。そういったことから早く移転をしたいという希望もかなり申し出ているようであります。こういった点の家屋改修に対する予算化も、法律運用の面で検討すべき段階にきているのじゃないか、こういうように考えているのでありますが、これに対する御答弁をお願いします。
  63. 本田早苗

    本田説明員 お答えいたします。  御指摘のように、農地を農地以外の用途に転用するための工事につきましては、みなす工事ということで三十八年度から認められておるわけでございますが、最近の総合農政の問題あるいは地域開発の推進というような観点から、当事者の同意のある限りみなす工事を一そう推進してまいりたいというふうに考えているわけでございますが、その際、御指摘のように、受益者負担について軽減を行なうということについてはさらに検討をさしていただきたいというふうに存ずる次第でございます。  それから家屋の問題でございますが、当委員会におきまして、かねてからも、家屋自体を補助対象にすること、あるいは家屋の移転、復旧を認めることにつきまして御指摘を受けておりまして、検討することにいたしておりますが、この点につきましても、さき審議会等におきまして検討をいたすことにいたしたいというふうに存ずる次第でございます。
  64. 相沢武彦

    相沢委員 次に、ボタ山被害の問題でお伺いしたいのですが、これまでに危険ボタ山と称されるボタ山についての処理はどれくらい済んでいるか。きょういただきましたこの四十六年度の概算表を見ますと、対前年度比におきまして約六千万増加になっているということは、これまで危険とみなせなかったボタ山についても、ダムまたは鉄さく、コンクリート等のさくを構築してボタ山の被害をなくしようという積極的な姿勢を示されるためにこのように予算を増額されたのか、四十六年度はどういうようなボタ山に対する防災工事等をやる予定でいるのか、概略についてお伺いしたい。
  65. 荘清

    ○荘説明員 現在までのボタ山の処理状況でございますが、通産省におきまして危険ボタ山の調査費を計上いたしまして、従来から危険ボタ山の調査をいたしております。それに基づきまして、昭和三十九年から今年度まで、都合二十九のボタ山を手がけております。県別に申し上げますと、佐賀県が十一、長崎県が十三、福岡県が五、合計二十九でございます。そのうち十六のボタ山につきましてはすでに工事が終了いたしておりまして、今年度は十三のボタ山を手がけております。  明年度予算につきましては、ただいま先生御指摘のございましたような数字も含めまして、現在最終的な検討をいたしておる段階でございますが、今年度やっております十三に続きまして、来年度は継続工事も含めまして十数件のボタ山を手がけたい、こういうふうに思っております。そのうち新規のものとしては現在四、五件を予定いたしております。こういう状況でございます。
  66. 相沢武彦

    相沢委員 現地のほうでは一応人命に危険を及ぼすようなボタ山の処理は非常に早く処理されているようだけれども、それ以外のところは何となくまだ復旧工事が進んでない。このまま放置されるのではないか、こういう心配をしている向きがあるようでありますけれども、現実にはまだまだ、十五メートル以下の高さのボタ山であっても、雨の降るたびに土砂くずれ等があって川へどんどん流れ込んでいる、現実に被害が出ている、こういうことでありますので、一そうボタ山防災工事の促進をお願いしたいと思うのです。また、その防災に加えて、国の開発につながる対策をひとつ立てていただきたい。すでにお考えかと思いますが、海の埋め立てに利用するとか、あるいは廃坑への埋め立てに利用するとか、その他総合的な見地から効果的な措置を推進するために、もっともっと国と地方自治体との間のプロジェクトチーム等をつくって、メリットの高いシステムで、一そうこのボタ山の防災工事を、また新たな開発につながる行政の指導をひとつお願いしておきたいと思います。  次に、保安の問題に移りたいと思うのですが、現在各炭鉱とも採掘条件がだんだん深部に移行しております。特に北海道はそれが顕著でございますが、この深部採炭に伴いまして、非常に条件が悪化してくる。そのためにガス突出あるいは山はね等の災害で被災率は年々漸増の傾向にございます。本年度におきましても、すでに三井芦別鉱でも事故がございましたし、現地の監督局では、このような災害が漸増する原因として、採炭現場がこの十年間で平均二百十八メートルも深部に移行した、さらに現場がゆるい傾斜から中あるいは急傾斜に移ってきた、また三番目としては、坑道維持の延長も非常に長くなった、こういうことをあげてございます。そこで、保安確保を第一義に徹しようとするなら、坑内の骨格構造の整備あるいは拡充等が完ぺきにされなければならない、こう思うのであります。しかし、現実は、各炭鉱とも労働力不足であるし、資金の面も困難を来たしておる。現在、坑道掘進補助金あるいは近代化資金等によりまして促進はされているものの、すでに限界にきているのではないか。ですから、現状のままの制度で、保安確保または骨格構造等の整備というものを企業側だけの努力にまかせておくと、災害を絶滅することは非常にむずかしい、このままだと非常に大きな事故につながるのではないか、もっともっと保安に力を入れるべきだ、こういう意見現地の監督局からも出されております。そういうことで、深部移行等に伴う独立、分流、通気とか後退払いの実施等、近代的防止体制の拡充をはかるには、現状制度では行き詰まっている、限界だ、補助率あるいは限度額並びに融資率をもっともっと引き上げて、国の資金を増大する以外にはない、こう思うのですが、この点のお考えを聞きたい。また、開発銀行の融資制度も、現状に合わせて復活することが望ましいのではないかと考えられます。さらには、現在の保安専用機器、ガス抜き、密閉、充てん等について国が三分の二の補助金を出しておりますけれども、いわゆる集中監視設備、私ども今回三菱のものを見てまいりましたけれども、新しく鉱区を開発するときにはこういった集中監視設備等を備える義務づけを行なって、しかもこの集中監視設備等に対しては補助対象に加える、このように制度を拡充すべきだと思いますが、この点の見解もひとつ……。
  67. 荘清

    ○荘説明員 深部移行に伴う保安確保の問題でございますが、先生御指摘のとおり、深部移行に伴いまして地圧、地熱、ガス圧等もふえますし、通風等も非常に問題がふえるというふうに、保安を取り巻く環境はすべて重大化してくるという実情にございます。したがいまして、今後におきましては、保安確保のための総合対策を十分講じまして、その保安体制に即応して生産を遂行していくという政策が最も緊要でございますけれども、その場合、特に国として助成に力を入れるべき第一のポイントというものは、骨格構造の整備、この点にあるという御指摘、全くそのとおりであると存じます。しかしながら、ただいまの状況では、坑道の展開というのは決して十分でございません。全国平均で大体六カ月程度になっておるかと思いますが、私どもといたしましては、四十六年度以降三カ年程度で極力これを推進いたしまして、十二カ月程度の水準まで平均をぜひあげる必要がある、かように考えております。ただ、この場合、石炭鉱業現状考えましても、また、坑道掘進に要する資金量の膨大さから申しましても、国の助成の強化ということが一段と検討されなければならないということはまさに御指摘のとおりでございます。今年度予算では、補助金が三十九億程度、融資の関係では約三十四億という水準になっておるわけでございますけれども、この点につきましては、かねての国会の御決議の御趣旨もございますし、今回の現地調査等でも労使からそういう非常に強い御要望があったということも承知いたしておりますので、全体の予算ワク等との関係もございますけれども、補助金も融資も、両方ともワクを極力ふやしまして、少しでも骨格構造の整備の進みますように懸命に努力いたしたい、かように考えております。  なお、その場合の開銀融資の問題をただいま御指摘がございましたけれども、今年度ほぼ二十億ぐらいの規模で開銀融資が行なわれる計画になっておりますが、これは先般の石炭対策の基本答申におきましても、何ぶん無利子融資でもございませんし、六分五厘の特利の融資になっておりますが、政府関係機関からの通常の融資という制約もございまして、返済能力という点を全く無視した融資もできないという実情にございますけれども、その融資ワクの拡大につきましては明年度ぜひ努力いたしたいと考えております。  なお、最後に集中監視装置というふうな近代化された保安体制の整備のお話がございましたけれども、現在の保安確保事業の補助金制度では、年十五億ばかりございますけれども、その中の保安専用機器の中には入っておりません。これにつきましては南大夕張等でも相当成果をあげておるようでございます。炭鉱では、運搬関係の遠距離監視と申しますか、集中監視、これについては、自力で、生産にも直結している面もございまして、ある程度進みつつあるようでございますけれども、ガスとか、機器の運転の状況とか、通風とかという点についての集中監視装置というものは、深部移行に伴いまして非常に効果もあるし、事故の二重チェックという意味でも効果的であると思いますので、来年度予算におきましてはぜひ補助金の中に対象機種として加えまして、極力整備を促進いたしたい、こういうふうに考えております。
  68. 相沢武彦

    相沢委員 ただいまのお話を承ってまことに心強いのでございますが、原料炭価も値上がりになった、また一般炭も値上がりになった、また各企業も非常に努力しておる。しかし、一たび事故が起きました場合に、保安の不備から閉山につながるという面もございますので、なお一そう保安については全力を傾けて取り組んでいただきたいことを要望いたします。  最後に、生活環境整備の問題を一点お伺いしておきますが、労働力確保につきましては、いまもさまざまな御意見がかわされました。労働力確保するためのいろいろな項目があげられておりますけれども、山元の労働者から、非常に強い要望として、住宅をもっと整備してほしいということが要望されております。一般住宅の整備につきましては、近代化資金の融資を受けて非常に促進をしておりますが、他産業の住宅環境状況に比べますとまだまだ立ちおくれているということはいなめない事実でございます。労働力確保並びに労働者の定着対策、これの最大の隘路になっているのが住宅問題だ、このように炭鉱産業ではいわれているわけであります。それで、雇用センター等の設置等も要望されておりますが、これも予算関係がありまして全炭鉱にというわけにいかなくなると思うのですね。どうしても部分的な問題になる。そうすれば、激しい労働を終わってきた労働者の疲れをいやす唯一のいこいの場であるこの炭鉱住宅をせめてもう少し整備して、労働者の定着を高めたい、こういう声は当然であろうかと思います。現在、整備はされているものの、中小炭鉱ではまだ外便所のところがあったり、あるいは狭いために子供の勉強等も非常にできない、あるいは三番方勤務の人が十分な睡眠もとれないという、こういう状況等があるわけでありまして、三菱南大夕張に先日行きましたときには、非常に苦労しまして増築等努力しておりますが、まだまだ微々たるもので、従業員からの相当な不満が出てきている。こういった点、他産業に比べて労働賃金はまだまだ低いし、労働条件は非常に劣悪であります。しかもその上生活環境が悪いのでは、炭鉱にとどまって働いてくれ、来てくれ、こう言うことのほうが無理だと思うわけでありますが、そこで、住宅整備並びに補修のための現行近代化資金の融資ワクの拡大と、住宅新築に対する特別融資または住宅公団等による融資等の円滑化が何とかはかられないか、その余地が残っていないかどうか、この点の検討をお願いしたいと思います。
  69. 本田早苗

    本田説明員 御指摘のように、労働力確保につきましては、労働組合等の御意見では、住宅対策についてできるだけ推進する必要があるということを御指摘も受けておりますし、われわれとしてもその必要を痛感しておる次第でございます。現在のところ、御指摘のように、近代化資金によりまして、住宅の新築あるいは補修を対象に年々進めておるわけでございますが、労働者数の減少の傾向はございますが、これらの傾向とは無関係に、住宅整備につきまして近代化資金の活用を推進してまいるという考えでおる次第でございます。
  70. 相沢武彦

    相沢委員 関連して、建設省に一問御答弁をお願いしたいのですが、現在、炭鉱住宅の改修、改良等は住宅地区改良法の中において行なわれておりますが、現行の分担率では、極度に疲弊しました産炭地の自治体には荷が重過ぎる、こういう声が最近あがってきております。そこで、炭鉱住宅には特別立法措置を講じて、非常にむずかしい問題だと思いますが、補助率をさらに高くするような検討を加えることはできないかどうか。これは今年の四月の調査ですが、九州の粕屋ですか、ここでは、四万三千五百五十二戸の炭住のうち、使用中のもの三万七千四百三十二戸、あき家が六千百十九戸、修理の不能または大修理を要するものが全体の四五・四%もある。これはこの八月までに数値は若干変わってきていると思いますが、まだまだこういった老朽炭鉱住宅等があるわけでありまして、地域の環境整備また産炭地域振興対策の中で、もっともっと積極的な施策を講じなくてはならないと考えるのですが、この点について建設省のほうの御見解を承っておきたいと思います。
  71. 大富宏

    ○大富説明員 お答えいたします。  炭鉱地帯における住宅対策で、御指摘のとおり一番重要なことは、居住環境を整備して、産炭地振興はもとよりでございますけれども、居住水準を逐次引き上げていく、これが一番重要な観点だろうと思いますけれども、そういう観点で住宅地区改良法に基づく改良住宅の推進ということをやってきているわけでございます。御承知のように、この建設主体というのは市町村でございますので、地元市町村の意見も十分聞きながら逐年改良住宅の建設のワクを増大いたしておりますが、御指摘のとおり、今後、規模の増大、それから適正単価の確保、そういう意味でもっと内容を充実していくようにしたいと思っております。  また、そのほかにも公営住宅、これが非常に大きい分野を占めておりますし、また、住宅金融公庫の産労住宅の貸し付け、それから日本住宅公団の特定分譲住宅、これも産炭地でやっております。それから、石炭局からお述べの近代化資金もございますし、そういうような総合施策で今後とも充実さしてまいりたい、かように考えております。
  72. 相沢武彦

    相沢委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。
  73. 鬼木勝利

  74. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 石炭の根本的な問題については、午後から大臣がお見えになるので、その機会に十分お伺いしたいと思っておりますが、政府委員関係者がお見えになっていますから、そのことについてのみ四、五点お伺いをいたします。  四十四年度閉山炭鉱の数と従業員の数が幾らいたかということ、その従業員炭鉱に再就職した者と他産業に行った者との比率がどうなっておるか、ちょっとお聞かせ願いたい。
  75. 本田早苗

    本田説明員 お答えいたします。  いま数字の整理が手元にございませんので、後ほど御報告させていただきたいと存じます。
  76. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 四十五年度閉山炭鉱の数が幾らになるかという予想、それからよって伴う事業団が買い取る石炭の数量、並びに従業員の数がどのくらい閉山炭鉱から出るか。これもおわかりになりませんか。これは予想だからわかるだろう。
  77. 本田早苗

    本田説明員 先ほどの御質問の中で、終閉山の山の数につきましては、四十四年度が四十九でございます。それから四十五年は四月−八月の実績で十四でございますが、あとの点につきましては後ほど御報告させていただきたいと思います。
  78. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 いま局長が申された四十四の閉山炭鉱は、大部分が埋蔵炭量、可採炭量を相当持ちながら閉山をしておりますが、これはどういうところからよって起こっていますか。
  79. 本田早苗

    本田説明員 ただいまの御質問の最後の点、ちょっと聞き漏らしましたのですが、御趣旨をもう一度お聞かせ願えませんか。
  80. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 昨年度閉山になった炭鉱、いま局長が発表された炭鉱の数は四十四あると言われたが、この四十四の炭鉱は相当埋蔵量があり、可採炭量を相当持っておりながら閉山をしておるが、その閉山した理由についてお聞かせ願いたい。
  81. 本田早苗

    本田説明員 お答えいたします。  四十四年度の、先ほど申し上げましたのは四十九でございまして、四十九の数は、閉山の処理につきまして、交付金を支給した対象の炭鉱でございます。なお、埋蔵量は、御指摘のようになお残っておって、それについて買い上げが行なわれておるということは御指摘のとおりであろうと思いますが、閉山の理由といたしましては、採炭の条件が悪化した、あるいはものによっては終掘になったというような自然条件のために閉山を行なっておるもの、あるいは採炭の能率が必ずしも向上しないために採算ベースに合わない、これが逐次資金繰りを困難にしておって、経理的に閉山せざるを得ないもの、あるいは事故の発生等による経理的圧迫によって閉山に向かわざるを得ないもの、種々原因はあったものと考えておる次第でございます。
  82. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 炭価が安いので引き合わないから閉山したのですか。あるいは、政府側のほうで、こうすれば閉山にしなくとも貴重な石炭であるからぜひ出さしたいということも多分あるだろうと思うのですが、そういう点についての政府の処置、あるいは、申し上げたように、炭価が安くて引き合わないから、葬式料がもらえるこの期間閉山したほうがよろしいというふうなことでやっておるのですか、どっちです。
  83. 本田早苗

    本田説明員 閉山の理由といたしましては、先ほど申し上げたような事情があるわけでございますが、その際、政府の助成策といたしましては、先生も御承知のとおり、四次対策といたしまして、財政の可能な最高の限度で助成いたすことにいたしまして、これに基づいて山の経営を継続し得るかどうかの判断を経営者の判断にゆだねたわけでございます。その際、最後の判断としてどうであったかという点につきましては、先ほど申し上げたような事情に基づいて閉山を決意されたということであろうと存じます。
  84. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 大体政府のほうでは一人当たりどのくらいのトン数まではやれる、そういう一つの見当というものをおつけになっていますか。その点をひとつお聞かせ願いたい。
  85. 本田早苗

    本田説明員 本年度実施計画におきましては六十トン・人・月ということで考えておりますが、近く六十数トン程度採炭能率に向上するであろうというふうに考えておる次第でございます。
  86. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 その六十トンというのに対して、炭鉱坑内条件はそれぞれ違いますし、また機械化の設備など等も違います。六十トンということを指示される以上は、政府は、六十トン出し得るだけの、それらに対する措置をどのようにおとりになってやろうとしておられるか、お聞かせ願いたい。
  87. 本田早苗

    本田説明員 お答えいたします。  ただいま申し上げました平均の数字は、そういうところまで合理化が進んだ平均の能力であるということでございますので、政府の助成策による機械化の推進その他各種企業の努力等の結果そういう能率まで合理化が進むというふうに見ておるということでございます。
  88. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 先ほどなにしましたように、これは昨年度も、また本年度にも伴ってくることでありますが、閉山炭鉱から出た従業員の数ですね。昨年度従業員の数はあとで資料をいただくことになっておるようでありますが、私の見ておるところでは、多いところで二十人に一人くらい他の炭鉱に行っておるようです。あとはほとんど他産業に行っておるようですが、それは労働賃金、労働条件が他産業より低いからですか。炭鉱に対する不安、不信感があるからですか。その点をひとつお聞かせ願いたい。
  89. 本田早苗

    本田説明員 先ほど御指摘のありました四十四年度交付金の対象になりました閉山四十九炭鉱従業員は一万六千三百九十人でございます。この対象の閉山炭鉱従業員の方々が炭鉱に再び就職するという比率は、御指摘のように非常に低くなっております。この点につきましての理由は何かという点でございますが、御指摘のような事情もあろうかと存ずる次第でございます。
  90. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 どうも局長の答弁ははっきりしないのですが、私は非常に具体的に質問をしておるのです。労働賃金が他産業より低いからか、労働条件が悪いからか、あるいは炭鉱に対する不安、不信感からか、どっちか、こういうことを聞いておるのですから、もっとはっきりしてください。
  91. 本田早苗

    本田説明員 お答えいたします。  炭鉱への再就職率が低いという点につきましては、そのどちらかというふうに御指摘がありましたが、むしろそうした事情がからみ合って再就職について非常に低率になっておるのではないかというふうに考える次第でございます。
  92. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 それでは局長、私が例をあげて質問しましたことについては、いわゆる他産業より炭鉱は危険で重労働であるのに労働条件が悪い、労働賃金が低い、そういうところから炭鉱に対する不安感、不信感があって他産業に行ってしまう、こういうようにとっていいですか。私の言ったことがもしそうでないというなら、そうでないことをひとつおっしゃってください。
  93. 本田早苗

    本田説明員 その事情も一つの事情であろうと思いますが、それがもっぱらの事情かどうかという点については、他の事情ともいろいろからみ合って、他の業種に……(伊藤(卯)委員「その他の事情を聞かしてください」と呼ぶ)たとえば、その労働の場所が非常に僻遠の地であるとか、いろいろ事情があるかと思います。
  94. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 どうも納得できませんが、いずれ、午後から大臣がおいでになったときに、石炭の根本問題とからめてもっと明確に答弁してもらいますから、そのつもりでひとつ勉強しておいてください。  委員長、この程度にしておきます。
  95. 鬼木勝利

    鬼木委員長 この際、午後二時十分まで休憩をいたします。    午後一時二分休憩      ————◇—————    午後二時十七分開議
  96. 鬼木勝利

    鬼木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。田中六助君。
  97. 田中六助

    田中(六)委員 大臣がおいでですので、通産大臣に三点ぐらい質問したいと思います。  最近、原料炭、つまり粘結炭につきまして、一番わが国がたよりにしておりますアメリカなどで、価格の値上げはもちろん、輸出を禁止しようと電力業会の会長がニクソン政府に申し入れたり、そういう動きが非常に強くあらわれておりまして、わが国としても非常に懸念すべき事態におちいっておりますが、特に、四十五年度を見ましても、鉄鋼生産の分を見ましても、約六千万トンくらいの鉄鋼生産のうち五千万トン原料炭が要る。わが国の国内の原料炭出炭量が一千万トン、そうしますと、どうしても四千万トン程度は外国の粘結炭に依存しなくちゃいかぬ。豪州炭とかカナダはもちろんでございますが、ソ連などにも目を向けているわけでございますけれども、こういうことでは、昭和五十年になると、鉄鋼生産だけでも一億六千万トン、それに要する粘結炭が一億トン、そういう計算にちゃんとなっておるのですが、ますます原料炭不足する。一方炭鉱閉山は非常にスムーズに行なわれておるというようなことで、四十四年度を見ましても、七十七万トンの原料炭がスクラップ化されておるわけです。そういうようなことで、先行きの見通しですが、政府は、これらの内外の諸情勢に対しまして、原料炭対策にどのようなお考えをお持ちか、大臣にお聞きしたいと思います。
  98. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 米国の強粘結炭のわが国に対する供給の問題でございますが、ただいま田中委員の御指摘になりましたような事情がございます。これは原因は幾つかあるようでありまして、一つは米国の炭鉱保安規則が非常にきびしくなったということが背景にありまして、それと同時に、アメリカの電力会社がやはり原子力発電というもののウエートを少し事実より重く見過ぎたと申しますか、予定どおりに原子力発電が必ずしも進捗いたしませんという事情が生まれてまいりましたが、当初にはその進捗をかなり早いものと見ておりましたがために、大手石炭供給業者に対して長期契約を電力会社がすることに比較的消極的であった。つまり、電力という大手が長期契約にあまり応じませんでしたために、石炭山のほうも生産縮小に入ってしまった。ところが、原子力発電が必ずしも思うようにいかないといったような事情もあるようであります。それから積み出し港のハンプトンローズに至る間の輸送の問題もあるようでございます。それらの事情が重なりまして、御指摘のように炭価が急上昇をしておるというのが実情と思います。そこで、需給バランスあるいはコスト上昇に基づくものは、これは止むを得ないということでございましょうけれども、他方で、そういう状況を背景にして、わが国の鉄鋼側の買い急ぎと申しますか、やや不規則な買い方が炭価を上げておる。ことに、スポットで相当高いものをわれ先に買うというような動きがちょっとございまして、それが炭価を上げ、また、そういうことが先ほど御指摘のありました日本に対する輸出云々ということにも波及しかねないような情勢であると思っております。  そこで、当面といたしましては、やはり鉄鋼側がいわゆるオーダリーな買い方をする、これが私は基本であろうと思っております。また、そういうことを鉄鋼界に対しても私どもから要望いたしておりますが、鉄鋼界自身もそれは気がついておられまして、抜けがけの、ことにスポットで高く買うというようなことはできるだけやるまいというような協調体制にいま入りつつあるところでございます。これが当面の対策の第一でございます。  それから第二に、先ほど言われましたように、かりに昭和五十年の粗鋼生産を一億五千万トンといたしますと、一億トン内外の粘結炭が要ることになるわけでございますが、アメリカばかりでなく、その他の国からの輸入源も確保すると同時に、いわゆる当用買いでなくて、われわれの投融資によって供給確保するというふうなことも当然必要になってまいります。また、すでにそういうことも始めておるわけでございます。それによって供給先をなるべく分散すること、それからそれに対してわれわれの投融資によって供給確保するといったようなことが必要であろうと思っております。  第三に、むろん国内にも同じような考え方をしていかなければならないわけでございますから、新鉱開発、ことに原料炭の新鉱開発につきましては、できるだけ政府としても支援をしてまいらなければならないと思っておりますし、既存炭鉱原料炭転換ということについても同様に考えておるようなわけでございます。
  99. 田中六助

    田中(六)委員 大臣の御意見十分わかりました。確かに、大臣のおっしゃるように、アメリカの原子エネルギーの開発不足、つまり原子炉などの完成もアメリカ当局が思っておるよりもずいぶんおくれておるし、むしろ先行きどうなのかという非常な疑問を投げかけておるようですし、わが国のそういうものに対する投資がどの程度行なわれておるか、私はわかりませんが、アメリカの場合、増殖炉などの調査を見てみましても非常に不安で、むしろ、これからのエネルギー対策として、エネルギー不足になるのではないかという観点から、石炭ということにまた目を向け直しておるようです。わが国も、そういう観点から見ますと、いままで石炭対策がスクラップ・アンド・ビルドということになっておりますが、一応このビルドとスクラップと二つ並べておってもスクラップ・アンド・スクラップというような方向にいっておる傾向がありましたし、石炭特別会計は、四十三年度答申が出て、それに応じてでき上がったわけですから、これの運営、それから質的な方向変化、そういうものも十分検討しなくちゃいかぬ段階になっておるのですが、私に言わせれば、むしろエネルギー不足という観点からするならば、葬式用のいろいろな費目というよりも、いかにして石炭エネルギーを温存するかという方向、それには、具体的にはもちろん原料炭を含めまして新しいフィールドの開発、もちろん一般炭も——一般炭のことを強調するのはなぜかといいますと、コークス、つまり一般炭を粘結化するいろいろな研究をやりさえすれば、これも強粘結炭になり得る可能性が十分あるし、すでに北海道あたりでも研究所を設けてやっているわけですが、そういうことからも石炭というものをもう一度考え直す必要があるのじゃないか。アメリカだけじゃなくて、そういう傾向は全世界にある。イギリスでも、フランスでも、西ドイツでもそうですし、日本だけがらち外にあって、石炭は何か古いものだとして、大臣の頭の中にも、古いものを相手にしているというような印象があって、石炭特別委員会の連中はどうも頭が古いのじゃあるまいかというような印象があるならば、それはもしかしたら大きな誤りじゃないかと私は思うのです。むしろ、いままでの見方をもう一度反省してみて、十分内外の資料を検討してみるとか、あるいは調査団を欧米にもう一度派遣してみて、いままでの石炭に対する行き方と違っておる方向をとり始めているんじゃないかということを実地に通産省で調査してみたり、いろいろなことをする段階じゃないかという気がすることが一つです。したがって、石炭特別会計なども、四十八年度までこの特会はあるのですが、この財源が原油、重油の還付税からきているために、むしろ公害の財源に振り向けるというような動きが通産省の中にもあるし、それから各政党の中にもあるかもわかりませんが、そんな財源で公害が片づくわけじゃなし、そんなみみっちいことで公害の解決に向かうならばナンセンスでありますし、それから石炭特別会計ができ上がった趣旨にも反しますし、そういうことよりも、石炭に前向きに取り組むために、どういうふうに石炭特別会計を動かすかという方向にこれを持っていってもらいたいので、もしもそれが事実ならば、行政指導の意味内容が少し違うのじゃないかと思いますが、大臣のその二つのことについての御見解をお願いしたいと思います。
  100. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 世の中の転換が非常に早く、かつ激しゅうございますので、エネルギー問題についても、一つの予断を持って、弾力性のない態度で臨むということはもちろん避けなければならないと思っております。原料炭についてももちろんそうでございますけれども、一般炭について、あるいはエネルギー全体について申し上げたほうがよろしいのかもしれませんが、原子力にも言われるような問題がございますし、そもそもまた、原油につきましても、ここのところ少なくとも目先あまり楽観できないような様子があるわけでございます。ヨーロッパの諸国が石炭から原油に転換をしていくということがある一方で、他方で、中東の紛争でありますとか、パイプラインの問題でありますとか、アラスカの問題でありますとか、タンカーの問題でありますとか、いろいろありまして、ことに、これだけ全世界の原油の消費量が多くなってまいりますと、わずか二、三%の計算の違いだけで非常に大きな供給不足ということになるわけでございますから、あれこれ考えまして、エネルギーの、これはわが国ばかりじゃありませんが、わが国の場合にことに需給ということの算定は相当慎重であることを要する。たとえば昨年のいまごろといまの時点とを比べてみますと、そういう何か不安定な要素がこの問題の中に入ってきておるということは、私は否定できないと思うのであります。それが恒久的にそうであるのか、あるいはまた、新しい要素が入ってきてそのような不安定要素がすぐに除かれるのか、その辺ははっきりいたしませんけれども、絶えず弾力的に考えていかなければならない。ただいま二点ばかり具体的な御指摘がございましたが、そういうことも検討いたさなければならないと思っていますが、いずれにしても、予断を持たずに弾力的に対処しなければならないということは心がまえとして持っておるつもりでございます。
  101. 田中六助

    田中(六)委員 石炭特別会計の内容についても十分御検討願えると思いますが、その中で、特に私が最近また心配をいたしますのは、この特別会計の予算の項目の一部に触れたいわけですが、たとえば鉱害にいたしましても、最近の調査の結果によりますと、最初八百五億くらい四十二年度調査のときは予定されておったのが、千三百八億ですか、そういうふうになっておりますし、そのほか、産炭地振興事業費におきましても、産炭地に使う金はあたかもただどぶの中に捨てるような金だというような印象があちらこちらにあるのを憂えるのです。これは御承知のように、つまり低利ではございますが、六・五%で十年以内に大体返還をするというような方向で貸し付けて、ことに、こげつきなどもほとんどなく、事業団そのものも昨年度末くらいから黒字になっておるはずです。赤字も解消しておりますし、その上いまの設備資金が二百九十八億円出ておりますが、これは四十五年度六月末の調査でございますが、六百四十五の企業に融資しておりますが、これの年間の生産高が二千六百六十四億です。しかも炭鉱関係雇用者が二万二千六百八十二名というようになっておりますが、このように非常に有効に使われておりますし、それからこの対象の市町村は約二百十七市町村ございます。それで、その人口は一千万近く、七、八百万くらい対象人口があるのです。したがって、日本の人口から見ますと、かなりの部分をやはり産炭地振興事業費の関係がちゃんと関係できておるわけでございまして、過疎とか過密とかいう対策をいまやっておるのにも、この事業を誘致するということからも考えまして、十分その役割は果たしておるし、離島振興とか、新産都市とか、それはどうだとかこうだとかいまさらやる必要もなく、これはちゃんと大きな役割りをやっておりますから、来年十一月に振興臨時措置法は切れるわけですが、こういう点の大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  102. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 産炭地振興措置がいろいろな意味で、地域の問題はもとよりでございますけれども、石炭産業全体に大きな意味を持っておりますことは御指摘のとおりであります。また、受益者の住民の数も非常に多いことでございます。そこで、これからの問題でございますけれども、いまのような状態があまり急変せずにずっと続いていくということを考えますと、この措置をやはりある程度続けてやっていくことが必要なのではないかというのが私どもの大まかな判断でありまして、そこで、この点は石炭鉱業審議会にすでにおはかりをしておりまして、大体の考え方としては、延長を前提に、将来どのような改善を加えていったらいいかということで御相談を願っておるところでございます。
  103. 田中六助

    田中(六)委員 私の持ち時間はこれだけですから、終わります。
  104. 鬼木勝利

  105. 岡田利春

    岡田委員 私は、七〇年代のわが国の課題のみならず、これからの工業国家の課題は、いわゆるエネルギーをどう安定的に低廉なものを確保するのか、さらにまた、この基礎物資関係をいかに安定的に確保するのか、加えて一次エネルギーから二次エネルギーに転換する場合の公害問題、基礎物資から精錬する場合の過程における公害問題、これらが七〇年代の産業経済政策の非常に重大な柱ではなかろうか、こう認識せざるを得ないわけです。しかも、石炭鉱業をめぐる内外の情勢は、昨年の七月に当時の富士鐵の永野社長あるいは東電の木川田社長をはじめ多くの方々を参考人に呼んで、これからのわが国の石炭鉱業のあり方、内外の情勢等について意見を求めた際に、やはり非常に深刻な意見が述べられて、これに端を発して、いわばオープンに石炭鉱業をめぐる課題の解決についての議論が出てきたと、私はかように実は理解をしておるわけです。エネルギー学者の調査によりますと、アメリカの現在の国民一人当たりのエネルギー消費量で換算して、石炭エネルギーは三百二十年、また、石油で換算するならばわずか二十年という、こういう試算でありますから、石炭は依然として豊富な国際的なエネルギー資源であることは間違いがないわけです。そういう意味で、最近の石炭鉱業をめぐる内外の情勢から私は判断をいたしますと、わが国の石炭鉱業に対する第四次政策そのものについてわれわれは十分検討をもう一度する必要があるのではないか、こう考えざるを得ないわけです。特に、いま第四次政策で一番問題なのは、第四次政策昭和四十八年度までしか明らかにいたしておりません。そうして、その四十八年度の時点の出炭規模はおおむね三千六百万トンと、かように想定をいたしておるわけです。ですから、そういう判断からまいりますと、今日までの実績はむしろ三千六百万トンを実質的に大きく割る情勢にもございますし、一方において炭鉱労働力確保は非常に困難になってきた。その困難になってきた理由に、いわゆる四十九年度以降の石炭の位置づけと展望が明らかにされていない。だから労働力は不安であり、閉山がなされても、四十九年度以降の展望が明らかでない石炭鉱業には、技能を持っておる炭鉱労働者、技術を持っておる技術労働者が就職をしない。一方において新鉱開発を進めていくという事態をいま迎えているわけです。私は、これらを総合的に判断をいたしますと、いまにして、むしろ昭和四十九年度以降の展望をすみやかに明らかにすることが最も大事な政策である、こう考えざるを得ません。それと同時に、四十九年度以降の展望を明らかにするということは、石炭の位置づけというものを、原料炭、ローサル炭を中心にして位置づけをはかる、このことなくしては労働力確保ももはや困難になるのではなかろうか、労働力確保ができないから、その面からわが国の石炭鉱業が瓦解する可能性が年々増大をしていく、こう私は判断をするわけです。そういう意味で、まず第一に、この際、石炭鉱業の内外の情勢の変化に対応して、わが国の石炭鉱業の位置づけをはかるべきだ。同時に、労働力の安定的な確保のためにも、新鉱開発を正式に許可しようとしておる今日の情勢からいえば、四十九年度以降の石炭政策の展望というものを明らかにするために早急に着手すべきではなかろうか。もちろん、来年度予算についてもその面について配慮されると思いますけれども、来年度予算の終わったころには、その石炭の位置づけと四十九年度以降の展望を明らかにすることが、石炭政策をやっておる関係者として一番大事なことだ、これをたな上げにして石炭政策を論ずることはさか立ちの議論である、私はかように思うわけです。こういう基本問題について大臣のお考えをぜひ聞かしていただきたいと思います。
  106. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほど田中委員に申し上げましたように、昨今になりまして、わが国ばかりでなく、世界全体のエネルギー需給にかなり不安定な要素が入ってきておりますので、そこで、岡田委員の言われますことは、原則論としては私はよくわかる、そういうふうに考えるべきものであろうということは言われるとおりだと思います。  そこで、問題は、過去においても、エネルギー、ことに石炭の国内における需給というものについては、私ども何回か見通しを立てましたが、それが大体一定の方向で狂ってきておったわけでございます。従来でございますと、予想するよりは需要が少ない、炭価が下がっていくというような方向で、大体その方向見通しが誤ってきておったと思いますけれども、これからもそういうトレンドが続くのか、あるいはここでそういうトレンドがかなり変わってくるのかということは、何ぶんにも不確定要素が多いだけに、慎重に見ておる必要がある。  四十九年度以降云々ということは、理屈の上ではそのとおりでございますけれども、わが国並びに世界全体のエネルギーの需給がどっちの方向に向くのかということが、多少中期的に見ましてもはっきりいたしません。その点で、私ども予断を持たずに弾力的に考えていかなければならないと実は申し上げておるようなわけであります。  いずれにしても、ただいま石炭鉱業審議会の例の体制委員会が間もなく、来月の中旬ころには中間答申を出されると考えられますので、そのあと四十八年以降の問題をどうするかということを御研究を願おう、こういうふうに思っておるわけでございます。
  107. 岡田利春

    岡田委員 ある人は、わが国の石炭資源というものは、掘らなければ国内地下貯炭、こういう理解もできるではないかという意見を述べる方もおりますけれども、これは全く石炭そのものを知らない方の言う意見だと思うわけです。なぜかならば、石炭というものは、有機成因の可燃性岩石であるが、経済的に稼行できなければ石炭ではないわけです。地下に入って働く労働者がいなければこれはもう経済的に稼行できないわけですから、決して地下貯炭とはみなせない結果になってしまう。  私は、七〇年代の経済の発展の立場からいえば、労働力をいかに把握をして石炭鉱業を続けていくかという一点に尽きるのだと思うのです。そうすると、わが国の石炭資源というものは、継続的に、計画的に採掘を進めていく、それができなくなった場合には、わが国は石炭資源というものはほとんどなくなった、こう断定しても差しつかえないのではないかと私は思うわけです。むしろ、国内資源を大事にするならば、大陸だな及び国内の石油、天然ガスをどんどん発掘をして、これを地中に貯蔵しておく、備蓄をしていくというくらいな雄渾な政策、むしろそういう方向考えるべきであって、石炭資源の開発は継続的に進めなければならないものである、こう私は考えるわけです。そういう考え方からまいりますと、いま一番問題なのは、やはり労働力が集まらなくなってきたことで、これは単に日本のみならず、外国でもそうです。まして、原料炭の最大の供給先であるアメリカ、オーストラリア、カナダ、いずれも最高の労働条件を保障しておるが、なおかつ労働力問題が非常に不安な傾向が出てまいりました。オーストラリアはいま週四十時間の労働でありますが、すでに労働協約を協定して、三十六時間に来年あたりから労働時間がさらに短縮されるのでありますから、そういたしますと、四日半働くわけです。二日半休むのがオーストラリアの炭鉱の労働条件です。ですから、単に供給先のエネルギーの確保というだけの問題ではなくして、労働条件から大きく変わっていく可能性が日増しに増大していく。あるいはまた分散する、こう簡単に言われたとしても、いま原料炭供給先を油のようにそう分散することは容易なわざではありません。やはりアメリカとオーストラリア、カナダが中心になるでしょうし、あとは対ソ連の経済協力による原料炭確保、それ以外はいわゆる質の悪い原料炭をスポット買い的に補足的に補完的にやるという程度のものである。大体、石炭の歴史は長いのでありますから、世界の石炭状況というものは学者の手によって全貌がほぼ明らかにされておる。こういう理解に立ってけっこうだと思うわけです。私は、そういう認識に立つ場合に、いま労働力確保で悩んでおる、そうしてまた急激な情勢の変化があるとするならば、いま大臣が言われた石炭の位置づけとある程度の展望は、多少それが結果的に狂ったとしても、政府の意思として、国家社会の意思として、そういう使命感を与えて石炭産業というものを持続安定させていくという気持ちが為政者にないと、おそらく労働力確保の面から瓦解するのではないかということから、こういう多様な面からわが国の石炭鉱業というものを新たな角度から十分認識すべきだ、かように思うわけです。そういう点で、いま体制委員会議論されておりますけれども、体制委員会は当面の課題について検討しておるわけです。この答申が十月になされ、いずれ一応の任務が終わるとするならば、終わった時点で、ある程度の長期的な政策について、大臣として、その面についての解明をはかっていく、審議会意見を十分聞いて、そういう点について石炭の位置づけを明確にしていくという決断をぜひしていただきたい、こう思うわけです。大臣もいまそういう意思がおありのような発言で、私も意を強くしておるわけですが、重ねてその点について見解を承りたいと思います。
  108. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御指摘のように、来月体制委員会中間答申が出ましたあと、四十八年以降の問題についてお考えを願いたいと思っておるわけでございますが、そのときには、何といたしましても、曲がりなりにも、どのような需給見通しになるだろうかということは、それをベースに考えませんとあとの考えが組み立てられないわけでございます。ただ、この見通しというものは、現在のような世界の情勢でございますので、非常に不確定要素が多いものになるだろうということはおそらく避けられないように考えております。ただ、現在のような不安定な基調が続きます限りは、原料炭はもちろんでございますけれども、一般に、石炭産業について最小限必要な山及びそれに伴うところの労働力と労働条件、これは確保しておくことがきわめて望ましい、こういう結論になるのではなかろうか。これは皆さまに御答申をいただくことでございますけれども、ただいまの感じでございますとそういうふうに思っております。
  109. 岡田利春

    岡田委員 第四次政策答申をされて今年度で第二年度目を迎えたわけです。昨年は八百四十万トンの閉山、今年は三百三十万トン程度といいますけれども、四百万トンをこえることはもう間違いがないというのが私の分析です。もう日本の炭鉱も九十前後になってきますと、大体一つ一つ見てもそうむずかしくなくなってきておるのが現状でありますから、そういう意味では、いわばなだれ閉山かどうかという不毛な議論は私はしませんけれども、非常に加速度的にスクラップ化が進行している事態であるという認識だけは一致できるのではなかろうかと、こう私は思うわけです。ところが、四十四年度、四十五年度予算がそれぞれ確定をされて、来年度三年目の予算を編成するわけです。そうして四十八年度までの答申でありますから、四十八年度を展望するわけですが、当初第四次答申がなされた時点と予算を組んだ時点とでは内外の環境が大きく変わってきたわけですから、そういう意味で、これに対応するための予算編成については、当然適応するような予算編成をすべきではないか、私はこういう意見を持っているわけです。たとえば石炭鉱業関係で、四十四年度は六百二十億五千万でありますけれども、今度通産省が大蔵省に出したのは六百五十二億八千万。四十四年度を一〇〇とすると、四十六年度は一〇五です。総体の伸びは、四十四年度一〇〇に対して四十六年度は一一六です。しかもこの中には、三百六十六億六千万程度は第一次、第二次の肩がわり分が含まれているわけですから、これを除きますと、大体三百億程度なんですね。いまの石炭産業そのものを前向きにささえていくという予算は三百億程度にしかならないわけです。一方、鉱害関係はもちろんあと始末をしなければなりませんから、四十四年度一〇〇に対して四十六年度の要求は一三六、産炭地が一〇〇に対して四十六年度では一四八、労働省関係は一〇〇に対して四十六年度一五二という伸びの予算を、今年度大蔵省にすでに石炭特別会計は出しておるわけです。これはもう従来の四十四年度の一つの流れをそのまま踏襲をしていることではないのか、やはり、情勢の変化に対応して、予算もそういう情勢に対応した予算を編成することが非常に大事ではないのか、こういう意味で、今年度概算要求している内容については、私は、非常に不満といいますか、どうもいささか当を得ていないという判断を実はせざるを得ないわけです。そういう意味では、やはり三年目の予算でありますから、今日の情勢変化に対応して新鉱開発——たとえば新夕張か新鉱開発をして、近く正式に大臣認可で公示をされる。だからといって、では、百億すでに投資をしている有明の開発ができるかというと、予算上から見ると、そう簡単にできないわけです。なぜかならば、前向きの予算が少ないからです。しかもかつ緊急な要望として原料炭開発を進めなければならない。百億を投資している再開発をずっとおくらすわけにはまいらぬわけでありますから、そうなると、もう少し前向きに予算の重点を向けていくという姿勢が大事ではないか。概算要求でありますから、まだ別に決定したわけではありませんから、そういう最も重要な時期でありますので、そういう点について、大臣として、一応の概算要求でありますけれども、それくらいの決断をもって、いろいろ意見を十分聞かれて来年度予算に対処をして、今日の情勢にふさわしい石炭特別会計の最終的予算をきめるということが最も大事だと思いまして、私は特に強く大臣にその点について提言をいたしたいと思うのでありますけれども、大臣のお考え方はいかがでしょうか。
  110. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 従来の施策との関連で続けてやらなければならないものがございますことはもう申し上げるまでもないことでございますが、同時に、いわゆる前向きといったようなことについても、世界のエネルギーの需給がどっちの方向をさしますのか、重ねて申すようでございますが、はなはだ不明確でございますから、そこで、そういう事態考えながら、できるだけ前向きのものをやはり考えていく。その辺は事態に即応できるような弾力的な予算内容確保しておきたい、こう考えておるわけでございます。
  111. 岡田利春

    岡田委員 一応、大臣が統轄をしておる通産省内部の予算が概算要求されておるのでありますから、それを大幅に変えるような意味の趣旨の大臣のお話を聞くことは不可能かと思いますけれども、そういう点について、現在の情勢に適合するように予算の配分とバランスを考え、そして要請にこたえ得る方向で、四十六年度予算の編成に際して、特段の御配慮、御努力を私は強く期待をいたしたいと存じます。  次に、北炭の新夕張炭鉱開発でありますが、一応技術的に検討を得て、結論が出て、大臣が認可をし、これが公示をされて、今年度すでに新鉱開発予算は計上されておるわけですから、これが開さくにかかってまいることになっていると承っておるわけです。今日の情勢からいって、新しい原料炭炭鉱開発はもちろん大事なことでありますが、それと同時に、わが国の技術からしてすでに克服可能な有明の開発もまた大事だと思うわけです。しかも、この有明開発には、日鉄が自己資本を投じて、政府の援助はそう大きくなくて、とにかく有明の開発を進めてまいって、水の問題でついにこれが中止になっているという現状なわけです。しかし、私は、この有明の開発は、今日、わが国の炭鉱技術において十分克服可能である、こういう条件は大体そろっておる、こう見ておるわけです。そして、この場合一番大事なことは、日鉄鉱業はもう伊王島よりございませんから、炭鉱労働力を自分みずから確保することは、困難というより不可能に近いと申し上げても差しつかえないと私は思います。そうすると、結局、この労働力確保は大牟田地域で確保しなければならぬ。そうするとそれは、三井三池炭鉱の労働力の総合的な活用というところに依存しなければならない条件にあることも間違いのない事実だと思うわけです。したがって、有明の再開発をするとするなれば、この原料炭を必要とするユーザーと、技術と労働力を持っている三井鉱山と、そして今日まで開発を進めてまいりました日鉄がほんとうに虚心たんかいに一致して、そういう体制でこの有明の開発をしなければならぬのではないか。しかも、投資はすでに百億が投資されておるわけですから、そういう意味では、予算上多少問題があるかもしれませんけれども、いま私が前段に申し上げました考え方に立って予算を編成し、これに取り組むとするならば、これはもう早急に再開発可能である。可能であるというよりも、むしろやるべきだ、こう思うのでありますけれども、この面についての大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  112. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御指摘のような幾つかの関係者がございますので、いま関係者間で具体的に、これをどのような段取りとどのような見通しによって行なうかということを協議をしておられるように承知しております。そこで、その協議の結果がまとまりましたら、私どもとしては、それを拝見した上で、基本的にはただいま御指摘のような、いわば積極的な方向考えていくべきものではなかろうか。ただいま、協議の結果が出るのを待っておるところでございます。
  113. 岡田利春

    岡田委員 私は、わが国の石炭資源の開発で、新鉱開発というのは、今度の新夕張炭鉱開発、有明の再開発で、あとよほどの大きな変化がない限りおそらく終わりだろう、もちろん、われわれが予測できないような内外のエネルギー情勢の変化があれば別でありますが、大体わが国の石炭は、地質学的に検討しても、七〇年代の開発炭鉱規模としてはもうこの程度で終わるんではないだろうか、こういう見解を持っているわけです。そういう立場に立ちますと、結局原料炭確保というのは、原料炭の得率をその原料炭の山でいかに高めていくか、こういう方向で努力をしなければならないことが、第一に当然考えられてくるわけです。  第二には、わが国の炭層は、ほかの外国と違って非常に褶曲の作用を受けておりますから、炭層はつながっておるけれども、地域にすれば全く新しいフィールドである。こういう成層条件がわが国の炭層のきわめて特徴的な条件であるわけです。ですから、せっかくいままで投資をしてきたのだから、それをさらに延長すれば新区域は採掘可能である、しかし、これは同一範囲内の採掘と見ればなかなか困難が伴う、こういう問題がいまいずれの山にも出てまいりました。ドイツでは、もう千メーターラインは平気で掘っているわけですが、日本でもようやく千メーターラインの山も出始めつつあるわけです。深度は年々ますます深くなってまいることは当然であります。そして、炭層の展開状況が、いま申し上げた日本的な条件があるのでありますから、そういう意味で、この新区域の開発について、最近の稼行炭層の地点の深部化に伴って、特にこの面については新たに政策的に考えて、これを強力に進めるべきではないかというのが私の実は意見なわけです。今度の要求でも若干この面が考えられておりますけれども、さらにこれを充実してまいるべきだ。北炭をやる場合に、たとえば百五十万トン出すのに百六十億かかる。鉱害施設、福利厚生は既存のものを活用して、なおかつ百六十億かかるわけです。しかし、二千万トンや三千万トン程度の新区域を開発する地点は、いまの既存の炭鉱ではたくさんあります。そうすると、これはわずか大体三十億か四十億、多くても三分の一程度の資金があれば、この地域の開発は、合理的に可能である地点はたくさんあります。そういう面にやはりこれからの政策は目を向けていくべきだというような私の意見でありますけれども、この点についていかがでしょうか。
  114. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 北炭の新鉱開発につきましては、ただいま御指摘のように、百五十万トンという目標で資金計画等もかなりでき上がってまいりましたので、私どもも積極的に応援をすべきものというふうに基本的に考えて、ただいま作業をいたしておりますが、同時に、既存炭鉱の新区域開発ということも、これも同じように大切なことでございます。そういう場合、何といってもユーザーの協力ということがこれは前提になりますが、そういうことを前提にした上で、合理化事業団の無利子の融資でありますとか、あるいは業界から坑道掘進費補助といったようなものの要望もございますので、私どももそれらのこともできるだけ積極的に措置として考えてまいりたい。概して御指摘の御趣旨に賛成で、そのように行政をやっていきたいと思っております。
  115. 岡田利春

    岡田委員 わが国の最大の炭鉱である三池炭鉱、これは出炭比率でいいますとこれから二〇%程度に達していくんではなかろうかと思う。六百万トンをこえるという体制にあるわけですからね。しかし、これはいま重液選炭機をつけて、そして原料炭化の方向をはかり、残余の石炭については、地元に火力発電所をつくって、三井アルミにこれを供給する。ほぼこれはセットされる体制に入っていくわけです。そうなってまいりますと、三池のローサルファ一般炭の処理もできる、こういう情勢が明らかになってきておりますから、九電力引き取り量はさらにいよいよ逐年減ってまいることは大体いなめない趨勢であろうという理解をしておるわけです。しかし、その一方、電力を見ますと、大臣御承知のように、昨年は電源開発が五〇%今年に申し送りされておる。いま、電力会社を訪れますと、節電、節電という紙を張っております。国民にはまだそこまできておりませんけれども、いわば電力行政の常識からいえば、ある限界を越えておるというのが今日の状況であろうと思いますし、いよいよ電源開発はいろいろな困難な状況に直面している。したがって、三十五年前の石炭火力の発電所が急遽稼働しているという現状もあるわけです。これは二、三年や四年で解決できる問題では決してないということは大臣も御理解できるのではないかと思います。そして、公害環境から考えて、ローサルファの原油の確保という一つの社会的要請からも判断いたしますと、ローサルファ一般炭——ローサルファ一般炭というのは一体何をいうのかというのはむずかしいのですけれども、私は、常識的に、〇・五%以下くらいのサルファの一般炭ローサルファ一般炭であると規定ができるのではないかと思うのですが、したがって、このローサルファ一般炭確保ということは、原料炭に準じてある一定の期間をやはりどうしても確保しなければならない状況にあるのではないか、またそのことは、せっかく開発をしており、稼行している山でありますから、そういう面でこれを受けとめていくべきではないか、したがって、原料炭というのは非常に大きくなってまいりましたけれども、原料炭及びローサルファ一般炭確保ということがこれからのわが国の石炭鉱業の命題になっていくのではないか、こう思うのです。しかし、電力側は、石炭がなければ油をたくと言っておるわけでありますけれども、これはやはりエネルギー資源でありますから、総トータルで見て、エネルギー価格のバランスを考えて、わが国のエネルギー価格の水準をも考慮に入れる場合に、石炭の占める位置から考えて、私はそのことが国家的に十分大切な施策であるという認識を持っておるのですけれども、大臣はどのような御認識を持っておられますか。
  116. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 従来、と申しましてもこの十年あるいは数年間でございますけれども、原油の供給はほしいだけある。ことに、その当時は原油のサルファのことは世の中でもあまり言われませんでしたこともありまして、そういう面からずっと石炭電力会社でも見てきたと思うのでございますけれども、その原油のほうがほんとうにほしいだけいつもあるのか、ことに、低サルファのほうがいつもあるのかという問題がだんだん現実になってまいっておりますので、いま言われましたような問題は、どうしてもこの段階になりますとやはり出てくるのではないだろうか。経済価格にエネルギーを換算することになりますが、ないものはないということにやはりなってまいりますから、そうしますと、いまのようなサルファ分の低い一般炭といったようなものを求める。ことに、この状態が続いていきますと、これはやはりそういう方向になっていくのではないだろうか、そういう観察を私もいたしております。
  117. 岡田利春

    岡田委員 石炭政策をある部分的に見る見方と、総トータルで見る見方、やはりこの二つの見方でものを言っている人々があると私は思うのです。私は、やはり一度総トータルでものごとを考えてみる必要もあるのではないか、こう思うのです。総トータルという意味は、いろいろな施策をやる、ビルド政策をやっていく、あるいはスクラップ化されていくわけですが、ビルドされる山があっても、その後鉱害が発生すれば、鉱害は自分で見るとは言いますけれども、山がなくなってしまった場合は、やはり現実に起きているように、これは国で復旧しなければならないわけです。いろいろそういうすべてを含めた総トータルで石炭政策というものを見る。この場合に、やはり海底下を掘っている炭鉱や、北海道のように山の中を掘っている炭鉱は鉱害はゼロといっていいわけですから、案外政策的に政策費用は安いわけです。しかし、掘ればどんどん鉱害が起こる、やっているうちは多少自分で金を出して復旧するけれども、やめた場合は国で全部やってもらうということになりますと、ものすごく厚い政策でささえていくという結果になるわけです。どうせ最後にやるのだから、これはいまからやったほうがいいということで、保安のほうの予算で、たとえば充てんまでこれを補助しているということだと思うのです。これが保安で見るべきかどうかということは私は非常に疑問がありますけれども、そういう政策をとっているのも、事故の問題を考えれば、これは前向きの施策であるという割り切り方があると思うのです。そうなってまいりますと、やはり鉱害のない地帯の——ほんとうに鉱害がうるさいのです。鉱害のない地帯の炭鉱について、われわれはやはり十分に注意を払ってみる必要があるのではないか。雄別のように器用にやってしまいますと、開発間もない上茶路炭鉱が能率百トンを出しても運命をともにしなければならぬ、鉱害はほとんどゼロだというようなことも明らかであるわけですね。そういう意味において、もう少しトータルでものを見て政策考えると、大陸だな、海底下の開発というものが一番有利ではなかろうか、こういう判断すら実は私は起きてくるわけです。いままで原料炭地域の探鉱は政府の手によって進められてまいりましたけれども、おもに陸上の探鉱がどんどん行なわれたわけです。最終的に、古河鉱区に対して海底は政府が一本のボーリングを打ったというだけに終わって、昨年度でその制度は切られてしまったわけです。そして、その最も鉱害のない海底のほうの調査はボーリングが継続されないままに終わってしまった。今年度近代化資金で何とか手当てしているわけですが、そういう総トータルで政策を見た場合に、むしろそれはいまの要請から考えるならば、特に海底のような、大陸だなのような特殊な点については、この地点を正確に把握すべきだ、そのことがまた最も大事な時期になってきているのではないか、こういう意味で、従来の制度というものをそういう地点に向けて新たに政策を展開すべきだという意見を私は持っているわけですが、大臣の見解を承りたいと思います。
  118. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 鉱害というものがこれだけ広く問題意識にのぼってまいりますと、鉱害防除あるいは防止のための費用というものは国民経済的に相当大きくなるはずでございまして、まだそれは顕在化しておりませんけれども、やがて顕在化することは必至と思います。そうなりますと、先ほどトータルと言われましたが、そのとおりでありまして、国民経済的に見てどっちのほうがメリットが高いかということは問題にせざるを得ないことになってまいると思います。そういう場合、海底の炭田といったようなものは、鉱害の観点からは、おそらくそれ自身の開発に金がかかりましても、いわゆるトータルとしてはそのほうがメリットが高いということは当然考えられることでございますから、この段階になりますと海底の炭田開発調査ということは一つの大きな重要性を持ってくると思います。そこで、そうなりました場合に、これにある程度の補助をして海底の炭田開発調査をやるということは政府として当然考えてしかるべきものであると思いますので、来年度にはそういう予算の具体化をいたしたいと思って、そういう予算要求をいたしているところでございます。
  119. 岡田利春

    岡田委員 時間がありませんからもう一問で質問を終わりますが、来年三月三十一日で、今度新しくとられてまいりましたいわゆる企業ぐるみ閉山特別閉山制度というものが法律的に失効するわけです。いま、体制委員会等でもこれらが議論をされ、近く答申される、こういうことも承っておるわけです。ただ、この制度を機械的になくするということになりますと、非常に大きな波紋が出てくるのではなかろうか。結果的に同様に企業ぐるみ閉山でやめざるを得ないものが出てきた場合には、いままでは解決されたけれども、今度は解決されないで混乱が拡大していくというようなことにもなるでしょうし、一方、この制度が非常に有効的に作用したのは何なのかというと、労働力確保の面で非常に有効に作用したわけなんです。結局、労働者の基本的な権利というものはこれを保障するという制度でありますから、最後までがんばっていても、自分の権利だけは、かろうじてきまったものだけは保障していただけるという安心感がやはりありますから、そこに労働力が定着をした。私は、企業ぐるみ閉山の最もいい面は何であったかといえば、そこにあったのではなかろうかと思うわけです。ですから、特別閉山制度が三月三十一日で法律的に失効して、もしそのままで終わるとするならば、この二つの側面を一体どう処理をしていくのか、こういう点の解明がなくして、いまの制度を、単に法律で三月三十一日に失効するからそのままで終わるのだというのはやはり当を得ていない、かように思うわけです。そういう点について、大臣としてはもちろん答申も受けられるでありましょうけれども、最も問題になってきたこの制度について、これを扱う場合の大臣としてのお考え方があれば、この機会に承っておきたいと思います。
  120. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 特別閉山制度は、その時点までのいろいろたまってまいりました問題に一つの区切りをつけることが適当であろう、ことに労務関係の問題もございましたし、地元の問題もございますから、そういうことで一ぺん限りかなり思い切ったことをやろうと考えまして生まれた制度であります。ある程度これはその目的にかなった運営をされたと思います。そういう制度でございましたから、このような制度を恒久化するということはもともと適当でないであろうと考えますし、また、現在のこの時点のエネルギーの需給関係といったようなものは、先ほどからたびたび申し上げますように、かなりいろいろな不安定要素を世界的に含んでおるというようなこともございます。そういうこともございますから、特別閉山制度をさらにこのまま延ばすということは考えておりません。ただ、ばちっと打ち切りまして、それで全部問題が片づくかといいますと、必ずしもそうであるとはいえないように思いますので、そこで、私どもは、これは打ち切るということを前提にいたしまして、その場合、そのあとどのように考えていったらいいかということを体制委員会に諮問をして、御審議を願っておるわけでございます。したがって、打ち切りを前提として、もうそのままであとは全く何もございませんというような処置をすることは必ずしも適当でない、何かあとのことを考えなければならぬ部分があるのではないかということがただいま御討議の対象になっているわけでございます。
  121. 岡田利春

    岡田委員 私はこれで質問を終わりますが、この扱い方いかんがこれからの石炭政策影響が非常に大だと思いますので、いま大臣の答弁もありましたけれども、より慎重に、ひとつ十分検討されて対処していただきたいということをお願いしておきたいと思います。  それと、これは先ほど局長の答弁をいただきましたが、一般炭炭価の値上げが大体最終的な結論を出す段階になってきておりまして、多少残っておるわけですが、揚げ地電力が二百五十円、北電が百五十円、ローサルが百五十円というような形でそれぞれ一般炭炭価の値上げの方向が出て、常磐共同火力に対しては二百二十円、電発に対しては二百円の財政負担をする。先ほども要請いたしたのでありますけれども、電発は石炭特会の出資によってできた火力発電所であります。したがって、特会で出資をしておるたてまえ上、電発はあくまでも九電力と同じ炭価でいくというのが当初からの基本方針であり、そういう説明を了とし、特別会計から出資がなされたという経過があるわけです。ですから、今回もしこの二百円で打ち切るということになりますと、炭価において九電力と格差ができる。当初の電発火力発電所の設置の基本方針に基づいて、電発も九電力並みの炭価を当然保証されなければ非常に問題があるのではないか、こう私は判断をするわけです。そうでなければ、何がゆえに電発に火力発電所を置かなければならぬのかという議論すら、私は、基本的な問題として出てまいると思います。そういう意味で、常磐共同火力、電発を含めてそれぞれ——最終的にまだ共同火力側の決断が出ていないようでありますけれども、この面について重大な注意を払ってこの問題に対処してもらいたいということをこの機会に強く要請をして、通産大臣に対する私の意見を終わりたいと思います。  労働大臣がお見えになっておりますから、一問だけ私から質問をいたしたいと思うわけです。  実は、石炭特会の中で産炭地振興政策というものが進められ、一方、労働省関係予算としては、産炭地域開発雇用対策費として就労事業が行なわれて、これがやはり本年度予算が要求されておるわけです。御承知のようにこの就労事業というのは、最近特に閉山が大きくなってまいりました北海道にはゼロです。常磐に一部で、大体九州でこの就労事業がほとんど行なわれておるわけです。ですから、まあ雇用対策という面がありますけれども、それは事業を通じては、やはり産炭地の地域の整備という意味では、この産炭地振興事業と産炭地域開発就労事業というものが併用されるところと併用されない地域が出てきている。これも政策的なトータルで見ますと、やはりどうも公正、バランスを欠いている傾向があるのではないか、このように私は言わざるを得ないと思うのです。もちろんその事業の内容は多少違いますけれども、この産炭地振興事業の総合的な判断の中にこれを含めてものごとを考えるほうが合理的だという面が私は非常に多いのだと思うのです。そういう意味では、一方は労働省の所管でありますけれども、この面は産炭地振興事業を担当している通産大臣と労働大臣がもう少し協議をして、そういう総合的な産炭地振興地域整備というものも含めて——単なる雇用に重点を置くのではなくして、そういうものをやはり含めて進めるべきではないか、そういう時点に今日きている。最近北海道もどんどん閉山しているわけですから、そういう時点にきているのではないか、こう私は考えますので、この点について、労働大臣として、十分通産大臣とも相談をされて処置されるべきじゃないかというのが私の意見でありますが、労働大臣の見解を承っておきたいと思います。
  122. 遠藤政夫

    ○遠藤説明員 事務当局から前もってお答え申し上げます。  御指摘産炭地開発就労事業あるいは緊急就労対策事業につきましては、御指摘のとおり、産炭地域のうちで失業者の滞留が著しくなってまいります地域、今後また炭鉱の合理化によって合理化離職者が多数発生するというような地域につきまして、こういった離職者に対して臨時的に就労の機会を与えるということと同時に、こういった産炭地域の地域開発ということを目的といたしまして、就労機会確保と地域開発と、この二つの目的をあわせ備えたものとしてこの事業を実施しているわけでございます。そういった観点から、この就労事業をどういうところで実施するかにつきましては、この両方の目的を十分達成できるような地域を指定してこの事業を実施してまいっているわけでございます。お説のように、北海道等でも最近閉山が相次いでおるのでございますが、北海道等の地域につきましては、この離職者がその地域に滞留するというようなことが比較的少のうございます。同時にまた、その閉山地域が九州その他と違いまして、主として山間部でございますので、こういった地域開発というような観点からこういった事業を実施するという、その効果その他きわめて問題点がございますので、今後こういった事業を実施するかどうかということにつきましては、この事業の目的その他を十分勘案いたしまして今後検討してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  123. 野原正勝

    ○野原国務大臣 御指摘の点は、通産省とも十分連絡をとりまして、今後の石炭対策、また就労対策を講じてまいりたいと思っております。
  124. 岡田利春

    岡田委員 最近労働省も、緊急就労だとか、あるいは失対事業の問題についていろいろ検討を加えられておるわけですから、単にそこに固定化しておくということがはたしていいのかどうかという問題もあるわけです。ただ、しかし、実際に雇用しなければならぬという面は、産炭地振興事業団の事業としてやっても、やはり雇用できるわけですね。その点を加味した制度にさえすればできるわけなんです。その点の合理的解決という点が大きな点ではないか、こう思うわけです。そういう面で、これは強く問題提起をして、この機会十分検討してもらいたい。何か、一方においては固定化するようなものがあり、一方においてはなくしていこうというようなことは労働省としてもどうなのかという気がしますし、むしろ産炭地振興対策が高度化し、質的に相当整備の段階に入ってまいりますから、そういう時期でもありますので、そういう点についていま大臣の答弁もせっかくありましたが、私は、そういう点についての緊密な連携で問題が総合的に効率的に進められるように強く希望しまして、質問を終わりたいと思います。
  125. 鬼木勝利

  126. 相沢武彦

    相沢委員 通産大臣のおられる時間の制約がありますし、私のあとでまだ同僚議員の質問がございますので、簡単に二問だけ御質問したいと思います。  公害問題が非常にクローズアップされておりまして、公害問題は七〇年代の政治的課題だ、こうも言われておりまして、現在、マスコミや国民世論の盛り上がりにつれて、政府も本格的な取り組みを始める姿勢を見せつつございますが、公害の中で石炭鉱害の問題が一番歴史の古いことは周知のとおりでございます。昭和十四年度にすでに旧鉱業法改正がされまして、鉱害賠償の規定が置かれて賠償制度がすでに確立されておりますし、その後二十二年に償還金制度あるいは石炭プール資金制度、ずっときまして、四十一年度には無資力鉱害の調整交付金制度、こういうように制度がいろいろ変転し、また新しく設けられてきておりまして、公害問題に対しては一番先べんをつけてきたというか、一つの手本となる立場に立っている、こういう認識をしております。公害の発生あるいは影響に対する企業の責任について現在論議されておりますが、鉱害賠償の歴史と制度というものを考えますと、今後、この問題は、石炭鉱害におけるところの各制度等も大いに参考にすべきであって、これまでのいろいろの政府の努力は意義があった、このように私は思う次第でございます。しかし、一方、これだけ石炭鉱害復旧の制度等ができていながら、まだまだ残存鉱害量等も今回一千三百億円というように、昭和四十二年度の算定から見まして倍近くまでのぼってきておりまして、今後百億円程度の鉱害復旧費で復旧事業が行なわれましても、あとまだ約十年間かかる、こういう現状でございます。  そこで、公害問題に先べんをつけた石炭鉱害問題がまっ先に解決の終末を遂げなくてはならない、このように思いますが、所轄大臣のこの石炭鉱害に対する処理の姿勢といいますか、基本的な態度と見解を承っておきたいと思います。
  127. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 昭和四十四年度末現在で全国の鉱害量の調査をいたしました結果、御指摘のように一千三百億円の残存鉱害量があるということが判明いたしたわけでございます。そこで、これはこのままにしておけませんので、長期の処理方針を立てなければなりません。それから、御指摘の鉱害二法も四十七年の七月には期限切れになりますが、これは当然改正もし、延長もしなければならない、こう考えておりますから、そういうふうな具体的な準備をすでに始めたところでございます。福岡県が非常に多うございます。それから佐賀県、この二つで九〇%以上になりますが、この法律の改正、延長等もはかりまして、長期的な処理方針を確定して促進をいたしたいと考えておるわけでございます。
  128. 相沢武彦

    相沢委員 九州の地元の人々は公害のほうの防止対策が非常に叫ばれて、そのあおりで石炭鉱害の復旧事業が立ちおくれては非常に困ると、こういう懸念を持っておりますので、いま大臣の御答弁にありましたように、行政指導のほうで一そうこれを促進するように強力にお願いしたいと思います。  次に、先ほどもお話に出ておりました原料炭確保の問題の中で一つだけお尋ねをしておきますが、一般炭コークス化の早期実現の問題でございます。鉄鋼の大手でも原料不足に危機感にかられまして、技術面からの対策を急いで、それによって当面の危機をしのごうと、こういう懸命な努力をしているようでございます。石炭産業界また鉄鋼企業界におきましても、一般炭のコークス化についてはすでに取り組んでおりまして、新日鉄の戸畑では加熱成型炭方式等を採用しておりまして、実験段階でありますが、これが成功すれば年産能力三十万トン程度まで行くのじゃないか、こういうようにいわれておりますし、また、一歩進んだ方法として取り組まれているのが成型コークス法で、川崎製鉄が千葉、また新日鉄の室蘭で基礎研究中でございます。大体これらは実験段階では成功いたしまして、工業化に成功した場合には強粘結炭が約五〇%から八〇%は生産できるのじゃないか、こういうことでございまして、もしこれが量産化が実現すれば、一般炭需要、すなわちローサルファ一般炭の安定につながるということが考えられるわけでございまして、このようなローサルファ一般炭の安定、また需要の増大をはかるためにもこれはどうしても一日も早く量産化の成功に持っていかなければならない、こう考えるわけであります。そこで、通産省としても、工業技術院の北海道工業開発試験所では成型コークスの製造試験を行なっておりまして、一応その成功を実験段階の中に見ておりますが、今後、通産省の基本的な立場として、考え方として、各メーカーの研究に量産化の成功をまかせることを主体にするのか、それより一歩先んじて、通産省の技術院が工業化への見通しを立てて各メーカーのそういった技術関係の指導を行なう、そういう立場をとる意思があるのか、その辺の姿勢についてお伺いしたいと思います。
  129. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 その問題は、従来から北海道の工業開発試験所で研究をしておった問題でございます。従来は、どちらかと申せば、一般炭を高度に利用する方法はないかと、そのほうの観点が主であったと思いますけれども、今日のように、原料炭、ことに強粘結炭の供給にやや問題があるということになりますと、ただ一般炭の山をどうやって維持するかという観点からでなく、むしろ、そういうように世界的に需給が逼迫してきたものをどうやってかわる措置をするかということになりますので、おのおのの民間会社ばかりでなく、政府においても、もう少し積極的に、この転換が量産的にも可能になり、またコスト上もあまり法外なコストにならないでできないかということはさらに力を入れてやってまいりたい。つまり、それがいまやかなり緊急の問題になりつつあるという認識のもとにやっていく必要があると考えるわけであります。
  130. 相沢武彦

    相沢委員 先日、北海道工業開発試験所を視察したのでございますが、成型炭を燃焼するための焼成炉は連結式横型媒体流動焼成炉が最適である、すでにこういう結論を得ておりまして、四十五年度から三カ年計画で装置とプロセスの開発を進める、こういう計画をお伺いしましたが、こういったいまの緊急事態に合わせまして特別研究としてすでにやっているわけでありますから、必要人員を増加して、あるいは予算等の増加を行なって、早急に成功に持っていかなければならないと思うわけであります。  今回の概算要求を見ますと、その他の欄の一億一千百万円、これは石炭技術振興費補助金、炭鉱機械化促進指導費補助金が含まれているそうでございますが、前年度と比べても同額の予算が盛られているわけでありますが、この点、こういった緊急を要する研究に対しては予算をもっと見て、開発の促進を強力にはかっていくべきじゃないか、こう考えますが、この点についての御見解を……。
  131. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 量産が可能になり、しかも経済的に引き合うということにはまだ研究にかなりの日子がかかるのではないかということを従来聞いておりましたわけでございます。また、従来のテンポでは、先ほど申しましたようなことが頭にございましたからそういうテンポでやっておったのかと思いますが、現在の需給状況から申しますと、これがほんとうにできるようになりますと非常な福音でもございます。そういう状況になりましたら、金などは惜しまずにひとつこれにつぎ込んでみたい。研究の段階がそこまでいきませんでしたら、それはあまり意味のないことでございますけれども、そういうことでございましたら、できるだけこれは金を使い、時間を急がしてみたいと思っておるわけでございます。
  132. 相沢武彦

    相沢委員 以上で終わります。
  133. 鬼木勝利

  134. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 大臣に四、五点お伺いしようと思っております。  さっきから答弁を伺っておりまして、大臣も石炭問題についてだいぶん熱心に取り組んでおられるということを伺いまして、私も意を強うしておるところであります。お伺いしたいと思いますのは、これは前にもお伺いしたようなことをお互いにみんな繰り返しておるようなことになりますが、やむを得ないからまた四、五点伺うわけでありますが、国内石炭の必要性について大臣は一体どの程度認めておられるのか、また、政府は国策として樹立しようとしておるのかという点を伺いたいのでありますが、たとえば、斜陽産業でだんだん落ち込んでいくのだからもう手の打ちようもないじゃないか、だから、いままでやってきたようなことで、それ以上のことはできないのじゃないかというようなお考えであるのか、あるいは、そうではない、石炭はわが国において残された唯一の熱資源であるから、これは国策として重要にこれを取り上げて、その対策を立てていこうというように、そういう点を取り上げようとしておられるのか、その辺の点、ひとつ大臣の決意を聞かしていただきたいと思います。
  135. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この点は前回にも伊藤委員からるるお尋ねがあり、また御意見の御開陳もございまして、私の考えておりますことも多少その節に申し上げたわけでございますが、基本的には、エネルギーの一形態としての石炭というものを、長期的にはできるだけ経済法則というもので考えていこうと思っておりますことは、これは前回おしかりもございましたけれども、非常に長い目ではやはりそう考えていくべきものであろうというふうに思っております。ただ、工場と違いますので、きょう締めてあしたあけるというようなことはとうていできないことでございますし、労務者の問題もございますし、地域の問題もございますので、したがって、単純に経済法則だけではいけない。これは、従来の政府がやってまいりましたことをごらんくだされば、るる申し上げるまでもないことでございます。  そこで、昨今新しく世界的に、エネルギーの需給に何か不安あるいは不安定な要素があらわれているようにも思われます。つまり基本的にはかわるべきものがあればという前提になるわけでありまして、これにかわるべきエネルギーというものが現実にある、あるいはない——エネルギー需給関係でございますけれども、だんだんそういうことも加味しながら——これはさっきも申し上げましたように、簡単に掘ろうとすればいつでも掘れるという種類のものではございませんから、そういうことも加味しながら考えていかなければならない、こう思っておるわけでございます。
  136. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 大臣は、経済問題については専門家ですから、あえて私から申し上げるまでもありませんが、御存じのように、日本の経済は、このごろなどは経済大国なんていうことばがはやってきておりますが、まさにそういう拡大発展をしつつあることは、これはもう何人もわかっておるわけであります。五年後になれば現在の二倍に経済力が拡大する、十年後になれば現在の四倍以上に拡大するということ等も、相当科学的な資料があるというか、そういうことでも明らかにされてきておるようでありますが、西欧六カ国を合わせた経済力より日本のほうが大きくなるのだというデータも出ております。アメリカに次ぐ経済大国になる、こういう点はもう動かしがたいものとして一応認めていいのじゃないかと思っておりますが、そういうように日本の経済が拡大していくということは、日本の産業がそれだけ設備も拡大され、生産もあげられてくるということであります。産業がそれだけ拡大されてくれば、産業の食糧であり、熱源であるエネルギーは、これと同じようにやはり五年後には二倍、十年後には四倍以上というように拡大してくるわけでございます。そのように経済力が拡大してくるのに、石炭はだんだんなくなってくる、あっても経済ベースに乗らぬというようなこと等で、御存じのように、四十四年度、昨年より、約五十鉱近くの炭鉱閉山をしてきてしまっております。さっき政府委員のほうから伺ったのですが、一万五、六千の炭鉱従業員の人たちも、そのほとんどは他産業に行ってしまっておる。こういうことが動かすことのできないようにして進行しつつあるわけでございます。そうすると、外国熱源、エネルギーという、まあ油やら石炭、そういう外国もののみに依存しておって一体いいのだろうか、それで安心をしてだいじょうぶということが言えるのだろうか。私も、終戦後から、この石炭問題と日本の産業経済とに取り組んで、ずいずん繰り返し繰り返し同じようなことを言ってきたような気もしますので、実は同じことを言いたくないのですけれども、しかし、問題が解決しない限りにおいては、これは言わざるを得ないわけであります。私ども考えてみて、そんなに大きく産業経済が拡大していくのに、外国エネルギーだけに依存をしておっていいのかということでございます。いいも悪いもない、依存せざるを得ないものはやむを得ませんけれども、しかし、日本にある石炭、あるいは日本にある可燃性天然ガス、あるいは油——油はもちろんたいしたことはありませんけれども、そういう国内にある熱源というものは、これは国策として、最大限にこれを保護し、粗末にしないようにしてこれらをとっていくということが大事であろうと思うのですが、こういう点について大臣はどのようにお考えになっておるかをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  137. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 わが国の経済成長との関係で、今後五年あるいは十年ということを考えてまいります場合に、やはり一番はっきりしない要素はエネルギーの共給であるということは、私どもも同じように実は感じております。たとえば原油でございますと、今年あたりおそらく二億キロリットルぐらいの輸入であると思いますけれども、まさにGNPが倍になればこれは倍以上になるということを考えなければなりません。それだけの供給が確かにスムーズに行なわれ得るのであろうか、そのための船腹は十分に用意され、しかもあまり問題なく輸送ができるのであろうかというようなこと、それから他方で、国内で発電の立地というものがそんなにたくさんできるであろうか、原子力の開発はどうであろうか、天然ガスはどうであろうかというようなことを考えていきますと、今後の経済発展でわれわれが一番不確定な要素だと考えるものはエネルギーではなかろうかという点は、伊藤委員の言われますところと私は同じような認識を持っておるわけでございます。その場合に、かりにそのような供給が可能であるという場合と、ないと考えられる場合とは答えが違ってまいるわけでございまして、もし可能でないといたしますならば、これは国内にあるエネルギーを、あらゆるものを動員しなければならぬということになってまいりますけれども、ある程度可能であるということになれば、これもやはり程度問題でありますけれども、そのエネルギーのメリットというものを考えていくべきではないのであろうか。もちろん、石炭なんかの場合にはいろいろ要素がございますから、国が間に入りまして、価格的にはかなりいろいろなささえをすることもやっております。これもまたしばらく必要であろうかと思います。そういう供給がまあまああるという場合には、これはある程度メリットということを考えていかなければならないのではないだろうか、こういう感じを持っておるわけでございます。
  138. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 私は、実は、このエネルギー問題については人一倍心配しておる一人でございます。さっき大臣も言われたように、これは心配をすれば切りのないことであるかもしれませんけれども、経済力がそんなに大きくなっていっても、この日本の経済は、結局原料はほとんど外国から入れる。熱源も入れる。あるいは生産したものを外国市場に売り込んでいくのに、ほとんど船に依存をしなければならぬわけです。ところが、現在でも戦前の二倍の日本の船があるけれども、いまなお日本が輸出入する貨物の半分は外国船が運んでおる。さっき申し上げたように、そんなに大きく拡大していくということになれば、輸送力もそれに応じて、やはり二倍、四倍というところに拡大されてくるわけでございます。こういう点を考えるとなかなか容易ならないものがあるということを心配しなければならないと思うわけでございます。でありますから、こういう点に立って考えるならば、あに石炭ばかりではありませんで、やはり総合エネルギーという一つの大きな強力な国策というものをつくる必要がある。単に、どうも石炭が窮地に立ったから、まあびほう策として手当てをしておこうというようなことだけではこれは済まされぬと私は思うのです。やはり、私が先ほども申しておりますように、とにかく国の総合エネルギーを、国策をつくって樹立していく。諸外国でも、西洋諸国の状態を見ましても、この熱源エネルギーというものを自由放任しておる国はほとんどありません。御存じのように、国有国営、国家管理か、あるいは国内にあるものと外国から入れるものを相互調整していくか、いずれにしても、とにかく自由放任の形で投げっぱなしにしておるところはありません。でありますから、いわんや日本のごとき、この資源、熱源というものの貧弱な国においては、なおさらやはり総合エネルギーの強力な国家機構をつくって——私はいま国有国営とか、国家管理を言おうとしておるのじゃありません。ただ、外国ものをそんなにたくさん熱源輸入をするわけであるから、国内にあるものとでやはりこれを相互調整をして強力な国家機構でやっていく。たとえばプール制にするというか、あるいは数量をそれぞれ位置づけをしてきめていく。同時にまた、単価もそれに応じてやはりきめていく。それはそういう強力な国家機構によって、数量の問題、単価の問題、というものをそこであんばいして、調整してやっていくということ、これはきわめて近い将来に必ずやらざるを得ないと私は確信しております。それならば、私は、国としてそういう一つの見通しの上に立って、事前にそういう国策を樹立していくということはきわめて重要であると思いますが、そういう機構の問題、私がいまお話をしましたようなことについて、大臣はどのようにお考えになっておるか。これは将来にとってもきわめて重要であると私は思いますから、大臣もやはり将来の展望の上に立った、ひとつかくあるべしということについて、私の意見に賛成なら賛成、反対なら、おれはこうしてやるというようなこと等をお聞かせ願いたい。自由放任だけでほうっておくべきでないということを、この熱源資源について私は考えておりますから、お聞かせ願いたい。
  139. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 エネルギーの需要計画につきましては、従来何度か長期のものが、考え方が発表されておるわけでございますけれども、問題は、実は、こうなりますと、需要の側もさることながら、供給がはたして確保されるか、それだけのものがあるか、また無事に輸送されるかといったような問題になってきておるのではないかと思います。したがって、これからわれわれがしなければならないことは、そういう需要を一応想定した限りは、できるだけそれが供給されるような体制をつくることであると思うのでありますけれども、そのためには、ある程度は国ないし国の政策が具体的に関与をすることは必要であろう。それはたとえば、特に九電力会社に地域独占を許しておること、また電源開発会社を持っておるというようなこと、あるいは石油開発公団が海外の探鉱のための融資をしておるというふうなこと、また、これはまだ具体的な話はございませんけれども、たとえばソ連から天然ガスを大量に輸入するといたしますと、そのための施設等々は、これはおそらくは純民間の力だけでやっていけないのではないかといったようなこと等々、また、エネルギーの輸送のための船腹について計画造船をやっておりますことも御承知のとおりであります。したがって、そういう形において国が直接間接に関与する必要があるということ、ここまでは私どももそのように考えておりますが、エネルギー全般の需給について国家機関が直接に中へ入るということは、私自身としては、いま必要でもないし、また、それではなかなか所期の効果をあげ得ないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  140. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 この点は、私の確信を持っておることと大臣がお考えになっておることとは非常に意見が違いますけれども、私は、私の信じていま述べておるようなことを必ず近い将来にとらざるを得なくなるということだけは確信を持って大臣に意見を述べておいたようなわけです。  それから、振興開発の問題も意見を述べられておりますから、重複することは避けますが、振興開発にも相当の金を注ぎ込まなければならぬ。それは国のほうであっせん協力をしていけば、援助協力をしていけばできることですが、人の問題はなかなか容易でないと私は思っております。午前中に政府委員の人々とこの問題でも議論をしましたが、とにかく一万五、六千人も昨年度炭鉱閉山のために離職をした。その人々が厳密になにしたらおそらく一割も行っていません。一割どころじゃない、あるいは二十分の一ぐらいではなかろうかと私は思っております。われわれは、九州、常磐、北海道炭鉱国政調査をやりまして、その振興開発をやろうとする経営者の代表の諸君と話し合いましたが、人の問題については、われわれがなるほどそれならばいいなという安心のできる、確信を持っての意見をこの振興開発代表者は述べておりません。大体こうしてやりたいと思いますという程度以上にはありません。でありますから、この点は通産大臣、労働大臣にも関係することでありますから、きょうはこのことについては私は伺わなくともいいと思いますが、そういう点が容易ならざるものであるということを、人的な問題において考えておいてもらいたいと思うわけです。  私が伺おうとするのはこのビルド鉱の問題です。ビルド鉱を、振興開発に準じて援助対策を国はもっとやるべきではないか。というのは、たとえば昨年五十鉱近くの山が閉山して、八百何十万トンも合理化事業団が買い取っております。けれども、そこから離職した人々がなぜ炭鉱に行かないのか。ほんとうは、熟練工ですから熟練したところに行きたいのはだれでも考えがちでありますが、行こうとしない。それはやはり、ほかと比較をして労働条件が悪い、それからいつ閉山になるかわからぬという不安感と不信感があるからです。これは松島炭鉱においてしかり、あるいは、さっきから岡田委員も質問しておりました羽幌炭鉱のごときもそうであります。でありますから、そういうところから、羽幌炭鉱はいまのはやりことばで言えば倒産をしてしまっている。埋蔵量はたくさんある。それで労使は一体になってやっておる。その石炭の七割以上は北海道内で家庭用として非常に重要な熱源としております。のにもかかわらず、倒産しなければならない。というのは、結局、自分の鉱区内にどういうような埋蔵量があるのか、どういう断層障害物があるのか、そういうことについて、こういうものにボーリングをおろすとか何とかして——みずからやる力を持っておらぬので、当てずっぽうで坑内をどんどん掘っていっておるというのが、結局計画出炭がやり得ないということになって、多くはやめてしまっておる。しかも、もう不安定であるから、葬式料をもらえるうちに早く閉山しようというようなことでやっております。でありますから、やはり松島炭鉱の池島坑においても、私も行ってみたが、ボーリングを三本なり四本なりをおろさなければいかぬというものもあります。池島のように、一本おろしたが、もう三、四本おろさねばならぬものもあります。けれども、山自体はようやれぬと言っております。常磐炭鉱のごときも、無限大な有望な炭層があるけれども、それは、だんだん太平洋側に向かって掘っていくのには通気立て坑をおろさなければならぬ。やはり一本おろせば三億円ぐらいかかる。しかし、こういうものをやらないで坑内だけで掘進していきますと、思わざるものにぶつかってしまって、これで閉山というようなこと等、多くの山に起こってきておりますから、やはりビルド鉱に対して、炭層を確かめて、健全な出炭、健全経営をやらせるためには、どうしてもボーリングなり通気立て坑なり——あるいはその他の、山によって確かめる条件はいろいろ違いますが、そういうものを確かめていく上において、国は新鉱開発に準じて、ビルド鉱に対して、そのようなものに対して、たいしたことはないのだから、これはひとつ国が援助協力して、ほんとうに計画出炭ができるように、あるいは三千六百万トンでも、三千八百万トンでも、一応国が計画した出炭だけはどんなことをしても守らしてやろうということがビルド鉱を維持していくためには必要である。新鉱開発から見たらその程度の援助協力はさしみのつまにもなりません。そういう点において、大臣は、このビルド鉱の計画出炭をする上においてどのようにお考えになっておるか、これをお聞かせ願いたい。
  141. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 新鉱が開発されます場合と、既存のビルド鉱が新区域を開きます場合と、経済的には似たような効果があるわけでございますから、そこで、ビルド鉱でありましても、新しい区域を開発するときには、国がそれ相応の補助をなすべきものである。たとえば、近代化資金でありますとか坑道補助金等を通じて考えるのが当然であろうと思います。ボーリングなどにつきましても同様でありまして、過去におきましても、原料炭のそういう関係のボーリングにつきましては、何十本か国が補助をやってまいりました実績があるようでございます。今後も当然そうすべきものだと私は思いますし、また、海底炭田の先行ボーリングについても、先ほどちょっと申し上げましたが、今後急務になると考えられますので、来年度からは新たに補助をしてまいりたいと思っております。
  142. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 大臣の時間も差し迫っておるようでありますから、もう何点かありましたけれども、いま一点だけお伺いしたいと思います。  それは、実は、炭価原料炭一般炭とでそれぞれ四十五年度は上げられることがすでに決定されております。ところが、それで安定をするかというと、安定いたしません。というのは、たとえば労働賃金が、これは毎年上げなければならぬようになってくるわけですが、いままでの例から見まして、たとえば今日どのくらい労働賃金を上げなければならぬものが出てくるだろうかということを見てみますと、大体トン当たり三百円に該当する労働賃金あるいは月給を上げなければならぬようになっております。そうすると、四千万トンは出ませんけれども、これを四千万トン出たと仮定して、三百円、三、四、十二で、百二十億円近くのものを労働賃金としてこれは上げなければなりません。しかし、それでも他産業と比較をすれば安いから、少ないから、したがって炭鉱に行き手がないというような現状でありますから、ほんとうからいけば、まだまだこれは値上げをしてやらなければ、熟練工を炭鉱に引きとめるということはできないわけです。けれども、トン当たり三百円上げたとしても、とにかく百二十億要るのです。一体百二十億を、いまの炭鉱が、今度の値上げされたそれで払い得るだろうか。今度だけは何とかかんとか無理をして払ったとしても、一体あとをどうするんだという問題があります。でありますから、政府みずからやれる、石炭需要者を相手にしなくて政府みずからがやれるいわゆる安定補給金、この安定補給金をいま三百円政府は出しておりますが、これを二百円どうかして五百円にする。もちろん、五百円にしたからといって、これで賃上げの分に該当はいたしません。けれども、しかし、炭鉱の健全経営を何とかしてつくってやる。この安定化に加えていこうとされるならば、一番やりやすい方法としては、大蔵省との関係もありますけれども、安定補給金を、現在三百円のものを五百円に引き上げてやる。こういうことは一時しのぎということになりますけれども、まあしかし、一般炭原料炭を上げて、それを健全経営の一つのかてとするというためには、いまのような安定補給金を二百円引き上げてやってやる。こういうこと等をやらない限りにおいては、明年でも同じようなことが出てまいります。でありますから、大臣、この安定補給金を三百円を五百円に引き上げてやる、そうして健全経営をひとつ——まあ健全経営とまでいかなくても、とにかく何とか閉山させないようにしてやろうというようなことをお考えになられるかどうかという点であります。  それからついでながら申しておきますが、合理化、能率化はもう最高にきているのです。私も専門家でありますからよくわかっていますけれども、山々で坑内条件が違いますから一定には言えませんけれども、いまの日本の炭鉱では、いま機械化しておる点では最高の能率をあげている。これより以上の合理化と能率をあげられぬというところまでがんばってきておることを私は知っております。でありますから、そういう点から見ても、やはり安定化、健全化あるいは炭鉱従業員を山にとどめさしていく、また閉山した従業員を他の炭鉱に行くようにする、これは大事なことです。そういう点からも、いまの問題を解決するために大臣が一はだ脱がれなければだめだということを私はいま考えておるわけです。  それから、炭鉱というと、何か借りたものを払わぬようなことを言われがちであります。ところが、私は長い目で見てみまして、三井にしても、三菱にしても、古河にしても、多くの大会社でも、三十年、五十年、百年やってきたそういう炭鉱で、財産をつくったというものは一体あるだろうか、ありません。ちょっとやって、景気のいいときにすぐだれかに炭鉱を売って、もう山から手を引いた人は、それで何人か財をなした人はおりましょう。しかし、三十年、五十年、八十年とやってきたものでは、大会社といえども炭鉱で産をなしたものはおりません。そういう点から見ますと、炭鉱につぎ込んだ金は炭鉱閉山したら何にもならない。たとえ話に、手に負えないのは鬼の死骸だ、鬼の死骸は引き取り手があるかという話がありますが、それと同じです。工場なら、その工場がやめても土地建物がありますから、他の製品をつくるためにその工場は生きてきます。しかし、炭鉱に何百億円つぎ込んであっても、炭鉱閉山したら、それはもう何にも価値はないのです。全くやっかいものです。やはりこの石炭問題を取り扱われるについては、そういう点をよくよくお考えになって石炭対策を立てられないとうまくいきませんから、私は、そういう点等も含めて、大臣の時間の関係もありますから、二つばかりくっつけて意見を述べたわけでありますが、そういう点についてあわせてひとつ大臣の意見をお聞かせ願いたい。
  143. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 今年も賃上げの季節に組合の代表の方々と何度かお会いをしまして、一緒にお話をいたしましたが、まことにお気の毒な感じがいたしました。ことに、経営内容石炭問題については十分知っておられる諸君でありますので、一般の労働組合と同じだけの賃上げということはもとより自分たちは考えていないのでというような雰囲気のお話でありましたから、私も心底御同情をしたようなわけであったのであります。したがって、おっしゃいます問題の所在は私なりに幾らか知っておるつもりでございますけれども、安定補給金をかりにほぼ二百円上げるということになりますと、お用いになりました御推定を使いましても八十億円ということになるわけでございますから、それをどうしていくのかといったような問題が出てまいります。でございますから、問題は私なりに知っておりますし、非常に気持ちの上で御同情をしているところでございますけれども、いまたいへん具体的な御指摘がございましたが、それについてお答えをいたすことは、残念ながらその用意がございません。しかし、いわば非常にお気の毒な状況にあるということであるだけに、いろいろ考えてはみますけれども、ただいま即答申し上げることができませんと申しますことが正直なところでございます。
  144. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 もう時間の関係がございますからやめますが、一言大臣に申し上げておきたいのは、きょう私が幾つかの問題を出しましたが、これは、私は非常に重要であると思いますし、必ずそれはやられなければならぬ問題であると思います。総合エネルギーの調整の問題、あるいは安定補給金引き上げの問題等が今後の石炭問題を解決する上にいかに重要であるかということは、大臣もおそらく御存じであろうと思います。でありますから、いまの安定補給金の問題などは、ここで大臣から即答を得るということは不可能であろうけれども、それがいかに重要であるかということをひとつよくよくお考えになって、これらに十分対処されるように私は強く大臣に要望いたしまして、私の質問をこれで終わります。
  145. 鬼木勝利

    鬼木委員長 林百郎君。
  146. 林百郎

    ○林(百)委員 大臣の時間の都合と委員会のいろいろの御都合で、私の質問時間は十分ということでございますので、いずれ本格的な質問の機会をぜひ保証していただきたいと思いますが、きょうはごく簡潔に二、三点をお聞きしたいと思います。  先ほどから通産大臣の答弁を聞いておりますと、日本のエネルギー源について、非常に不安定な要因があるんだと、このことを幾たびか幾たびか強調されております。わが党としては、日本のエネルギー源があまりにアメリカに依存し過ぎておるのではないか、したがって、アメリカの出方次第で日本のエネルギー政策が非常にゆすぶりを受けるのではないか、こういうように前から指摘をしていたわけでございます。いま問題になっている原料炭の問題も、一つはここからゆえんしているというように私たちは見ておりますが、海外から輸入しておる原料炭、総輸入の約半数を占めておる米国炭を見ますと、これは値段は国際水準より高い炭価になっておるし、それから米国船舶の専用利用を強制されておりますし、それから金利の徴収などもその条件の中に入っているというような、一方的な取引条件がつけられておるわけであります。これに対して、原料炭を一番必要とするわが国の鉄鋼の独占資本のほうは、アメリカとの従属貿易を続けてきたばかりに、ここで米国炭、ことに原料炭の輸出の規制を受けるということになりますと、これは非常に大きな問題になりまして、オーストラリアなどへのアメリカとの合弁の形での資本進出というようなことも考えざるを得ない、後進国開発というような形で入らざるを得ないということになるわけです。  私たちのほうの党としては、こういうことを見通しておりましたので、第一には、アメリカにあまりに依存し過ぎている現在の日本のエネルギー政策を改めて、原料炭に限らず、石炭産業を保護して、それから一般炭のコークス化等の技術も研究して、そして石炭産業全体をもっと全般的に保護する、そして炭鉱労働者の労働条件を改善して、労働力確保につとめる、これが第一です。第二は、社会主義国をも含めて各国と平等互恵の貿易をするということが日本の国のエネルギー政策を安定した状態に置くために必要ではないか、こういうことを前から主張してきたわけであります。そういう意味で、このあと決議されます決議につきましても、この趣旨に沿い得ない点もございますので、わが党としては反対するわけであります。  そこで、時間がないので質問を限らなければならないので、はなはだ意が足りないのでございますけれども、三点ほどに限ってお聞きしたいと思います。  鉄鋼独占資本のほうは、昭和四十五年から五十年を目ざして、約一億五千万トン台を確保したいというような見通しを持っておる。現在約九千万トンから一億トンといわれておるわけです。これに要する原料炭、いわゆる原料炭というのは、われわれは、一般炭もコークス化して原料炭として十分使えるんだと考えている。技術的な開発もできている。これはもう日本の商業紙にもちゃんと出ております。「一般炭を製鉄原料に、成型コークス製造法」という日本に向く方法が出ておりますので、これをもっと全面的に政策として推進すべきだと思いますが、粗鋼生産がこういうばく大な量になるという段階において、アメリカから原料炭の輸入の規制について何か話があるのじゃないですか。通産大臣、ありましたら、その事情をお聞きしたいと思います。私のほうは私のほうなりの資料を持っておりますけれども、通産大臣から責任のあるお答えを願いたいと思います。
  147. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 最初に、私どもの原則的な考え方を申し上げておきたいと思うのでございますけれども、私どもは、製鉄用の原料炭、ことに粘結炭につきましては、メリットのいいもので供給が円滑に行なわれるということであれば、どこからでも買いたいというのが基本的な態度でございます。もちろん、一番買っておりますのはアメリカのウェストバージニアの炭でございますけれども、これは何といっても非常にメリットが高いということから買っておりますので、別段従属という意味ではございません。ただでもらっているわけではございませんので、メリットの高いものを自然一番よけい買っておるということでございます。ただ、御指摘のように、これにも供給側に、将来にわたっていろいろな問題もございましょうしいたしますので、われわれも自主的に、キャプティブ・マインとまで申さずとも、ある程度開発に自分で参加するという必要を考えまして、オーストラリアにもカナダにも開発しつつあるわけでございます。  それから、その他、これは自由主義国たると共産主義国たるとを問わず、メリットのいいもので供給が円滑に行なわれるならばどこからでも買いたい、これが基本の原則でございます。ただ、それにいたしましても、海外からの強粘結炭にとことんいつまでもたよらなければいかぬのかということになりますと、ただいま御指摘のありましたように、新日鉄の戸畑でいたしておりますような一般炭原料炭に転換できないかという研究、これは工業試験所もやっておるわけでございますが、そういうことを進めて、他方で、これはまだ現実の問題になりかねますけれども、このような強粘結炭を節約する形での製鉄の方法はないかというようなこと、これも御承知のようにぼつぼつ研究が始められておるところでございます。したがって、できるだけ、ことに一国あるいは少数国の資源の供給からなるべく制肘を受けないようにという努力はいろいろな形でしておるわけでございます。  それから、アメリカのウェストバージニアの強粘結炭の供給について、何か制限的な申し入れが来ておるのではないかということにつきましては、公にはそういう話は聞いておりません。非公式に仄聞いたしますところでは、むろんアメリカ側もわが国には大量のものを長いこと売っておるわけでございますから、ビジネスベースの上でこれをやめるとかいうようなことを考えておるはずはないので、問題はむしろ、先ほどもちょっと申し上げましたが、スポットでもって値段を引き上げるという傾向が最近ままございますので、そういうことはアメリカの国内のユーザーに対して非常に迷惑をかけますから、そういったようなことはひとつ考え直してもらえないか、こういう点の話は非公式にはあるようで、これはしごくリーズナブルな話である。そういうことは、実は、わが国としても、単価を上げることになってしまいますから好ましくないことでございますので、その点は、業界にも、ひとつ協調してやられたらどうかということを申しております。しかし、政府間ベースで輸出を制限するとか何とかいう話、報道は二、三聞きましたけれども、そういうことはないように承知しております。
  148. 林百郎

    ○林(百)委員 本年度昭和四十五年度のアメリカからの原料炭の輸入トン数は、見通しは大体幾らなのか。それから一九六九年と六八年、去年、おととし、数字だけでいいですから、これは事務当局から答えてください。
  149. 本田早苗

    本田説明員 お答えいたします。  本年度の米炭の輸入見込みは二千四百七十万トンでございます。それから去年が二千六万九千トン、その前の年が千五百万トンでございます。
  150. 林百郎

    ○林(百)委員 日本に対するアメリカからの輸出量について、本年度実績を一九七二年ごろまでは継続して、その後、おととしにまた戻すというような話があるということをわれわれのほうでは聞いておるのですが、大臣はそういうことは聞いておりませんか。また、そのようなことは決してないという保証がここでできますか。
  151. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私も聞いておりませんし、事務当局も聞いておらないようでございます。聞いております話は、粗鋼生産を、一億五千万トンというような先の時代のことを考えていきますと、そのときにどういう供給になるだろうかというような計算がいろいろございます。そうしますと、業界の中で、長期に早く手当てをしておかなければならぬということで、ばらばらにいろいろなことを言って出られている向きがあるようで、それをトータルすると四十万トンになるというような話が出たりするものでございますから、アメリカの市況を非常に荒らす。そういうことはひとつ考え直してくれないかということで、私どもも、それは自分たちの損でございますから、その点はひとつお互いに協調したらどうですかということを申しております。そういう程度の話はあるようでございますけれども、いま言われましたようなことは私ども聞いておりません。
  152. 林百郎

    ○林(百)委員 時間がありませんので、あと二点だけ。  オーストラリアへの日米の合弁の石炭企業開発輸入のための資本投下ですが、これは、アメリカとの合弁のもとにオーストラリアの炭鉱開発するという計画があるようですけれども、この計画の概要を大臣からお聞かせ願いたいと思います。幾つあって、どういうようになっているか。
  153. 本田早苗

    本田説明員 豪州では、われわれの承知しておるのは三件ございます。
  154. 林百郎

    ○林(百)委員 三件あるが、それがアメリカと合弁で資本を投下するようになっているのかどうか。できたら、アメリカのどういう会社か、会社名までわかれば聞かしてもらいたい。
  155. 本田早苗

    本田説明員 お答えいたします。  会社名はいまここで承知しておりませんが、三件とも米国法人との合弁で開発いたしております。
  156. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、日本の商社はどこですか。
  157. 本田早苗

    本田説明員 三井物産、三菱商事でございます。
  158. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。三井、三菱とアメリカとの合弁でオーストラリアへ資本を投下して新たに石炭企業開発をするということを、私たちもアメリカの会社名も含めて知っております。知っておりますが、しかし、先ほどから、日本の石炭業がどのような惨たんたる状態にあるかということは各委員も質問し、大臣もそこで、ことし炭労の労働者の諸君と賃上げの問題で話をしたときに、賃上げができないということで何とも申しようもなかったという、客観的に見ると非常にしおらしい、と言っては失礼ですけれども、そういう答弁があったわけなんです。しかし、これは最後の質問ですけれども、この一般炭をコークス製造法で原料炭にするという方向、それから日本のエネルギー源をアメリカの石油だけに依存するということから石炭に移行するという方向、この石炭を中心としての日本のエネルギー政策をもっと積極的に打ち出すという方向、よその国に行ってまで石炭を掘り出す、資本を投下するというのですから、そういう方向を大臣はお考えになっておらないのか。さっき技術的な研究の程度ということを聞きましたが、これは企業としても、政策としてもっと援助する方法を考えないのか。たとえば一般炭原料炭にする、さらに石油のエネルギー適用部門を石炭に転換する、そして日本の持っている石炭エネルギーをもっと積極的に日本の産業のエネルギー資源に使う、こういう積極的な政策をおとりになれないものでしょうか、どうでしょうか。わが党はこのことを当初から主張しておるわけですけれども、通産大臣どうでしょうか。これで私の質問を終わります。
  159. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいま工業試験所等で一般炭原料炭に転換するという研究をいたしておりますのは、ただ技術的にどういうプロセスで可能かということを研究しておるわけではございませんで、これが大量的に企業化をして、そうしてメリットを失わないような方法があるかということを研究しておるわけでありますから、これは御趣旨に沿ったようなことをやっておるわけでございます。他方で、強粘結炭を使わない製鉄の方法があるかということも研究され始めております。しかし、これらの二つのことを実現することはきわめて好ましいのでありますけれども、いつまでに実現するという保証があるわけではございません。他方で、御承知のように、そのような原料炭はわが国で産出いたします数量は、新鉱開発などをいたしましても国内の需要を満たさないことはもう明らかでございますし、そうしてアメリカの供給側も先ほど申し上げました状況でございますので、そこで、海外にそのような製鉄所の原料炭を求める。そうでございませんと、数年先には原料炭の補給が不足するということがはっきりいたしておりますから、そのような努力をいたしますことは、私は当然であろうと考えております。  それから、石炭と石油との関係でございますが、片方で、わが国自身の大陸だな等でさらに石油の開発を試みようとしておりますことは御承知のとおりでありますが、同時に、これは石炭か石油かということは、やはりメリットでもってきめなければならないことで、経済的に不利であっても、何でもかんでも自分の国の石炭を使えというようなことは、私どもの経済政策では考えていないということでございます。
  160. 林百郎

    ○林(百)委員 終わります。      ————◇—————
  161. 鬼木勝利

    鬼木委員長 ただいま委員長の手元に、田中六助君外三名より、原料炭確保に関する件について決議せられたいとの動議が提出されております。  この際、本動議を議題とし、提出者から趣旨の説明を聴取いたしたいと存じます。田中六助君。
  162. 田中六助

    田中(六)委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかる決議案の趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付されているとおりであります。  御承知のとおり、原料炭需要は、わが国産業の発展と経済の拡大から見て、今後ますます増大していくことが予想されております。当委員会におきましては、石炭鉱業審議会の数次にわたる政府に対する答申を受けて、原料炭確保のための決議をたびたび行なってまいりましたが、今日、わが国鉄鋼業を中心とする原料炭需給状態はきわめて不十分な状況であります。すなわち、昭和四十五年度の高炉銑六千九百八十万トンの出銑に対する原料炭の総消費量は五千五百八十四万トンの見込みでありまして、このうち国内原料炭は一千二十万トンで、その大部分は海外からの輸入炭に依存している実情であります。  さらに鉄鋼各社の高炉計画による出銑量は、昭和五十年度は一億一千六百三十万トンをこすと見られており、これに必要な原料炭は約九千六百万トンといわれ、全産業の昭和五十年度原料炭需要は一億トンをこえる計算になるのであります。一方、国内での原料炭需給事情をながめると、昭和四十四年度中に閉山した原料炭炭鉱は大小合わせて五炭鉱で、約七十七万トンの出炭減が見込まれており、現状では、鉄鋼向けの国内原料炭一千万トンの確保も危ぶまれているのであります。他方、海外原料炭の動向を見ますと、炭価の値上げ、輸送上の問題など、海外原料炭需給事情にも大きな変化が見られ、原料炭確保にも限度があると思われるのであります。  このような内外の諸情勢から見て、いまや、わが国の原料炭の長期かつ安定的な供給確保は緊急な問題であります。これがため、特に、開発途上、湧水対策のため一時休止のやむなきに置かれている西九州有明炭鉱の再開発北海道清水沢地区の新鉱開発の具体化を早急に進めることが必要であります。このような対策は、単に原料炭需給の改善策としてのみならず、国内エネルギー資源の有効な活用からも具体化すべき国策問題であり、過去十数年にわたって再建のため困難の道を歩んできた石炭企業が、原料炭重点に体資改善を行なうための機会を得る方途にもなるのでありまして、長期的な石炭政策効果が期待され得る原因にもなろうかと思われるのであります。  かかる実情にかんがみ、本決議案を提出いたした次第であります。何とぞ各位の御賛同をお願いいたします。     —————————————     原料炭確保に関する件(案)   原料炭需要は、わが国産業発展と経済の拡大からみて更にその増大が見込れるが、国内原料炭供給はこれにともなわず、今日、原料炭総消費量の大部分は海外からの輸入炭に依存している状況にある。   一方、海外原料炭需給事情炭価値上げ、輸送問題など大きな変化がみられ、輸入原料炭確保見通しは必ずしも安易なものといえない。   このような諸情勢から、国内外原料炭の長期的かつ安定てき供給確保が緊要事として強く要請されるところである。   かかる実情にかんがみ、政府は、石炭鉱業界並びに需要業界の原料炭確保の努力を支援するため、次の諸点につき早急mに強力な措置を講ずべきである。  一、国内原料炭確保について   (1)夕張新鉱の開発及び有明鉱の再開発の一層の促進を図ること。   (2)原料炭の得率の向上、採堀箇所の深部化にともなう新区域の開発原料炭々鉱の安定のため強力な助成措置を講ずること。   (3)一般炭のコークス化試験を一層促進し、早期実用化を期すること。   (4)前三項の実施のため労働力の安定的確保を図ること。  二、海外原料炭確保について   (1)海外原料炭開発を更に強力に推進すること。   (2)海外原料炭の長期安定引取体制を確立すること。   (3)流通機構の整備充実を図ること。   右決議する。       —————————————
  163. 鬼木勝利

    鬼木委員長 この際、本動議について御発言はありませんか。——岡田利春君。
  164. 岡田利春

    岡田委員 採決の前に、この決議に関して若干意見を述べておきたいと存じます。  いま、提案者からるる説明がございましたが、問題は、石炭政策の歩みから判断いたしまして、新鉱の開発労働力をいかに確保するのかであり、そういう意味では、最もタイミングをはずして、わが国の新鉱開発が順調にいくという保証は私はないと思うわけです。そういう意味において、特に新鉱開発は、今日のスクラップ・アンド・ビルド方式の中に明確に位置づけて、労働力が潤沢に確保でき得る体制を確立することが最も緊要であろうかと存じます。  現在の原料炭炭鉱の新区域開発については、すでに先ほど当委員会議論したとおりであります。特に第三番目の一般炭のコークス化試験でありますが、これは三年前当委員会議論をいたしまして、ようやく政府としてもこの問題に着手をいたしたわけです。ただ、しかし、一般炭のコークス化がいわばBF方式のみに限定したものと考えるべきではないという意見を私は持っているわけです。すなわち、加熱式成型炭コークス製造方式という新しい方式についても着目をしなければならぬでしょうし、いわば、今日、一般炭のコークス化の問題はかような面がすでに研究されておるようにわれわれは把握いたしておるわけです。そういう意味で、今日の開発試験所の試験、あるいはまた石炭技術研究所における試験成果、さらにまた民間で行なわれておる一般炭のコークス化、こういう問題を多面的に十分分析をして、総括的にとらまえて、最も早急に一般炭がコークス化でき得る体制を築くことが最も大事であります。もちろん、コークス化するのでありますから、特にローサルファ一般炭確保がそのためにも必要であり、この点を特に私はこの機会に強調しておきたいと思います。  さらにまた、海外原料炭確保についてでありますが、国内原料炭開発を積極的に進めれば、ある程度この点は補完できるのではなかろうか。もちろん補完できるのでありますけれども、残念ながら、わが国には強粘結の原料炭は皆無といって差しつかえないのでありますから、強粘結の原料炭については、どうしても海外から仰がなければならないわけです。そういう観点に立って、海外原料炭開発確保をやはり積極的に進めてまいらなければなりません。最近のカナダあるいはまたオーストラリアの現状を分析いたしますと、オープンカットあるいはまた平層採掘が終わって、急傾斜あるいは緩傾斜の採掘部門に入っていく状況のようにわれわれは判断をいたしております。したがって、わが国の固有の技術である水力採炭方式、あるいはまたコンティニュアスマイナーと加えて、新しい自走鉄柱の組み合わせの採炭方式等は、今日海外からも注目されておる。そういう意味で、蓄積した技術というものを海外の強粘結炭原料炭確保に向けることはきわめて当然のことであり、積極的に推進されなければならない問題点である、かように思います。  今日の現状は、長期協定を結んでおりますが、残念ながら、この達成率は四〇%を切れる時点も実は出ております。したがって、いわば海外原料炭の長期安定のためには、単にアメリカ、豪州のみならずソ連邦のシベリア開発ともあわせて、外交主導型の原料炭確保、こういう広い外交主導型によってわが国のエネルギー資源を確保する方向を積極的にこの機会にとるべきではないか、私はかように思います。  特に流通問題は、私は、非常に多岐多様の内容を含んでいると思います。これからの基礎物資の公害問題を考える場合には、特に製鉄で見れば、鉄鉱を焼く場合及びコークスをつくる場合の公害が一番問題であります。鉄鋼生産を伸ばすとするならば、コークスの製造はいわば集中的に公害問題が考慮された時点で大量のコークス化が行なわれ、そうしてそれぞれの製鉄工場に送られる、こういう方向に七〇年代は変わっていかざるを得ないのではなかろうか。そういたしますと、結局流通問題というのは、わが国の受け入れ体制の問題、あるいはそれぞれの相手国の内陸輸送に対する協力の問題、あるいはまた共同購入機構確立の問題、あるいはまた船舶充足の問題、多種多様の内容原料炭確保にはあろうかと思います。  そういう意味で、この表現はきわめて抽象的でありますけれども、そういう内容を含んでおるという点について私は特にこの機会に強調し、その意見を付して私は賛成をいたしたいと思います。  以上です。
  165. 鬼木勝利

    鬼木委員長 本動議について採決いたします。  田中六助君外三名提出の動議のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  166. 鬼木勝利

    鬼木委員長 起立多数。よって、田中六助君外三名提出の動議のごとく、原料炭確保に関する件を本委員会決議とすることに決しました。  ただいまの決議について、政府の所見を承ることにいたします。宮澤通商産業大臣
  167. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重いたしまして善処いたしたいと存じます。
  168. 鬼木勝利

    鬼木委員長 なお、本決議の議長に対する報告及び政府への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 鬼木勝利

    鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十四分散会      ————◇—————