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1970-10-14 第63回国会 衆議院 商工委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十月十四日(水曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 浦野 幸男君 理事 橋口  隆君    理事 前田 正男君 理事 中村 重光君    理事 岡本 富夫君 理事 塚本 三郎君       宇野 宗佑君    加藤 陽三君       久野 忠治君    小峯 柳多君       佐々木義武君    坂本三十次君       田川 誠一君    藤尾 正行君       増岡 博之君    山田 久就君       中谷 鉄也君    松平 忠久君       多田 時子君    松尾 信人君       川端 文夫君    吉田 泰造君  出席国務大臣         通商産業大臣  宮澤 喜一君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      佐藤 一郎君  委員外出席者         公正取引委員会         委員長     谷村  裕君         経済企画庁国民         生活局長    宮崎  仁君         経済企画庁国民         生活局参事官  西川  喬君         厚生省環境衛生         局水道課長   国川 建二君         厚生省環境衛生         局食品衛生課長 鴛淵  茂君         厚生省環境衛生         局公害部長   曾根田郁夫君         厚生省環境衛生         局公害部公害課         長       山本 宜正君         農林省農地局長 岩本 道夫君         食糧庁次長   内村 良英君         水産庁調査研究         部長      松下 友成君         通商産業政務次         官      小宮山重四郎君         通商産業省公害         保安局長    荘   清君         中小企業庁次長 外山  弘君         建設省都市局下         水道課長    久保  赳君         建設省河川局次         長       角田 正経君         自治省財政局地         方債課長    石見 隆三君     ————————————— 委員の異動 十月十四日  辞任         補欠選任   石井  一君     久野 忠治君   遠藤 三郎君     加藤 陽三君   坂本三十次君     田川 誠一君   田中 六助君     佐々木義武君 同日  辞任         補欠選任   加藤 陽三君     遠藤 三郎君   久野 忠治君     石井  一君   佐々木義武君     田中 六助君   田川 誠一君     坂本三十次君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  通商産業基本施策に関する件  経済総合計画に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、商品取引所問題について参考人から意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありません。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 八田貞義

    八田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 八田貞義

    八田委員長 通商産業基本施策に関する件、経済総合計画に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出があります。順次これを許します。中村重光君。
  5. 中村重光

    中村(重)委員 昨日、時間の関係がありまして質問も一十分できなかったわけですが、答弁の点も明確な答弁がなされておりません。したがいまして、昨日質問をいたしましたことについて、あらためてまたお尋ねをしてみたいと思います。  小宮山政務次官は、きのう、諫早カドミウム調査について、有明海海域にわたっているということ、また具体的には四県それぞれノリからカドミウムが検出をされていること、また今後そうしたことがさらに強まってくるというような可能性もある、これは強力な調査をやる必要があるのではないか。そこで、各県にまかせるというのではなくて、広域調査であるから国の責任によって調査をすべきであるという私の指摘に対しまして、そういう方向で調査をするというお答えがあったように聞き取ったわけでございますが、そのとおりであるのかどうか。また、それでは具体的にどういうような調査を進めていこうとするのか。その点について政務次官並びに政府委員から、それぞれお答えをいただきたいと思います。
  6. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 昨日御指摘のあった点については、通産省公害保安局長を通しまして、公害対策本部あるいは各県各庁に連絡をとって、今後どのような対策をとったらいいのか、協議をするように指示をしておきました。
  7. 荘清

    荘説明員 昨日御指摘のございました有明海の問題でございますが、諫早湾というところでノリに高濃度のカドミウムが突然出たということでございますので、有明海全般調査といたしましては、これは広域海域調査でもございますし、政府といたしましては、経済企画庁中心各省が協力いたしまして調査を実施するということになるわけでございます。  この諫早湾に直接注いでおります本明川という川がございますが、この流域の工場につきましては、一応県を通じての調査というものがございますけれども、再度厳密な調査を、予備費等を利用いたしまして早急に実施をいたしたいと考えております。
  8. 松下友成

    松下説明員 昨日御指摘ございました有明海カドミウムの分布につきましては、現在、現状把握のために水産庁関係四県を指導いたしまして、海水、底土、魚介藻類、そういったものにつきまして百五十点の調査を実施している段階でございます。十月末までに一応この調査は終了いたす予定でございますが、この分析した資料に基づきまして、さらに関係県の衛生研究所に上記の資料についてのカドミウム分析を行なってもらうことになっております。さらに、この詳細な分析結果を待ちまして、特に諫早海域においてカドミウムが高い原因の究明につとめたいというふうに思っておりますが、必要があれば、当然水産庁がこの調査に協力するということになろうかと思います。
  9. 中村重光

    中村(重)委員 水産庁答弁というのは、一般的な調査というような印象しか受けないのです。私が言っているのは、それではいけないんだということですよ。いま荘局長は、経済企画庁中心にして政府としての調査体制を確立して調査に当たりたいというお答えでありましたし、政務次官のほうからは、いまどういった調査政府としてやったらよろしいのか、それぞれ資料を要求しておるというお答えであったわけですね。そうすると、諫早湾泉水海カドミウム調査については政府として積極的な調査に当たる、そういうことに理解をしてよろしいかどうか、もう一度きちっと確認をしておきたいと思います。
  10. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 中村先生のおっしゃるとおり、積極的にやる覚悟でございます。
  11. 中村重光

    中村(重)委員 調査の大体のめどですね。これは原因がわからなければ、なお深く時間をかけてやらなければならないということはわかるのです。しかし、調査についての計画というのがありますね、いつごろをめどにしてどんな調査をやろうという。そのためには予算の問題がある。人的な関係も一あるだろう。めどがあって初めてそういうことも具体的なものが出るのではないかと私は思います。また、関係漁民は言うまでもなく、ノリを食べているところの国民といたしましても不安があるわけですから、一日も早くその不安を解消してやるということでなければならないと考えます。したがいまして、いつごろをめど調査をしようとお考えになっておるのか。
  12. 荘清

    荘説明員 諫早湾に流入しております本明川沿岸工場調査につきましては、早急に、今月中にも再検査を実施いたしたいと考えます。分析の結果が明確になりますのは、今月中は事実上無理かと思いますが、検査は直ちにでも実施いたす所存でございます。  それから、有明海全般海域調査でございますが、非常に広域調査でございますだけに、準備、調査方法等専門家意見も聞きまして、経済企画庁中心にこれから御検討いただくということになると思います。通産省としては、経企庁のほうにはなるべく早くということは当然に申し入れるつもりでございますが、あと経企庁のほうから担当政府委員が見えると伺っておりますので、詳しいことは私ちょっと申しかねますので、そちらのほうに御質問をいただきたいと思います。
  13. 中村重光

    中村(重)委員 では水産庁お尋ねいたしますが、従来どおりノリ生産を行なわせるというような御方針なのかどうか。
  14. 松下友成

    松下説明員 有明海域ノリ生産につきましては、従来どおり生産を続けたい、そういうふうに考えております。
  15. 中村重光

    中村(重)委員 そうだとすると、カドミウム汚染されたノリをどの程度食べたら有害になるのか、それを水産庁からか、あるいは厚生省ではないかと思うのですけれども、はっきり公表していただかなければならないんじゃないかと思うのですがね。これは地元ではたいへんなショックなんです。  また、ノリ生産を従来どおり行なわさせるということでございますが、その点を考慮して、ノリを食べても影響はないのだというようなことで不安感を一掃していくということでなければ、生産に当たる漁民も、不安というものを持ちながら生産に当たるということになるのではないか。生産意欲を阻害するという形にもなっていくであろう、そう思います。その点、厚生省でございましょうか、その御方針があるのかどうかお答えをいただきたいと思います。——それでは、厚生省あとで入るそうでございますから……。  これは水産庁並び中小企業庁関係になろうかと思うのですが、正直に言って、このカドミウム問題が出てまいりましてからノリの売れ行きというのが非常に鈍ってきたわけです。そこで小売り店等にはストックされている。これは漁民も、売れないということになれば、結局ストックしていくことになるのではないか。非常に深刻な問題なんですが、ノリが売れなくなって、問屋であるとか小売り店、あるいは漁民ノリをかかえ込まなければならないということになりました場合には、これに対する救済措置ということを考えていかなければならないと思うのです。これはその原因が明らかになりますと、要するに補償の問題というのが起こってまいりましょうが、−それまでは、全くわからないということになれば別といたしまして、いま調査段階においては、国がかわっての補償というところまでいかないのではないか。そうすると、融資その他いろいろな救済措置というものは考えなければいけないのではないかと思いますが、その点はいかがでございましょうか。
  16. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 ノリの問題については、原因者がわからないということになりますと、この点なかなか補償の問題が——わかれは、これは補償させざるを得ない、補償しなければいけないということでございますが、わからない場合にはどうなるのかという御質問でございますけれども、これはやはり中小企業庁としても補償ができませんので、融資その他の問題は考えざるを得ないであろう。そういうようなことは、一応検討の中に入っております。
  17. 中村重光

    中村(重)委員 経企庁西川参事官が入られたようでございますから、いまそれぞれお尋ねをいたしましたことをまとめて、経企庁関係するものというような考え方質問をいたします。  小宮山政務次官から明確なお答えがあったのは、荘局長とお二人の答弁の中から、経企庁中心にして国の責任において積極的な調査体制を確立して調査に当たる、そして一応この月中をめどにして調査をする、こういうことなんですね。それからいま、カドミウム汚染されたノリを食べたら人体に有害なのかどうか非常に不安に思っているわけですから、そこで私は、この程度まで食べても人体影響はないのだというようなことの公表というものが必要ではないのか。これは厚生省であろうと思いまして厚生省質問いたしましたが、出席をいたしておりません。経企庁生活局関係においても、その点は十分関心を持ち留意をして対策もお考えになっていらっしゃることだろうと思いますから、それらに対しては公表される御意思があるのかどうか。もちろん、厚生省との話し合いになるだろうと私は思うのでございますが、そうなさる必要があるだろうと思います。一応これらの点について、経企庁としての考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  18. 西川喬

    西川説明員 お答え申し上げます。  有明海につきましては、現在周辺で一番汚染発生源と見られます大牟田についてのみ現在まで規制をかけておったのでございますが、最近のいろいろなデータによりまして、佐賀県側、長崎県側も相当汚染しているというような問題がはっきりしてまいりましたので、経済企画庁中心となりまして早急に調査体制をつくりまして、関係各省と協力して調査いたしたい。     〔委員長退席橋口委員長代理着席〕 現在のところ、海水水質につきましては経済企画庁が、それから排水口につきましては通産省のほうで、それから貝類の汚染につきましては水産庁のほうで協力して、早急に今年度の予算の中からやりくりいたしまして調査にかかりたい、このように考えております。  それから、第二点のカドミウムの問題でございますが、これは私どものほうは、厚生省のほうで考えております疫学的見地から見ましての許容基準というようなものを念頭に置きまして、水質の分だけ規制しておるようなわけでございますが、やはり摂取しました場合の全体の摂取量の問題その他につきましては、ちょっと私ども専門外でございますので、厚生省のほうから確実な御見解を伺っていただきたい、このように考えております。  ただ、経済企画庁といたしましては、水質のほうにつきましては、現在カドミウムにつきまして環境基準といたしまして〇・〇一PPM。これは水の中に含まれる分で〇・〇一PPM。この数値を出しますにつきましては、水から体内に入ってくるカドミウムの量というものを、ほかのいろいろな米なり何なりから摂取してまいるだろうと予想される量とのバランスを考えながら検討されたものでございまして、水道のじゃ口から出る水の基準とこれは同一でございます。そのようなことは、私どもも一水質観点から考えておりますが、全体の、ノリあるいは米あるいは貝というようなもののカドミウム量という問題になりますと、これは厚生省のほうにはっきりお聞きしていただきたい、このように思うわけでございます。
  19. 中村重光

    中村(重)委員 厚生省曽根田公害部長さん入られたと思いますが、私の質問をお聞きになっていらっしゃったでしょうか。お聞きになっておられましたか。——連絡も不十分であったと思うのですが、どうもそろわれないので同じような質問を何回も繰り返すことになるのですが、水産庁としては、有明海ノリは従来どおり生産をやらせるというわけです。ただそうなってくると、諫早泉水海でとれたノリから三・一PPMのなにが検出されたわけですね。県のほうで、ノリというのは、大きいのを一枚としてだろうと思うが、三十六枚ぐらい毎日それを常食しておらなければ人体影響ないのだということを、県議会なんかの質問に対して答弁をしているという程度です。それでは、責任ある政府考え方というようなものが、そこで公表されたということにはならないわけですね。だから、どの程度食べたら人体影響があるのか、それらの点について、これは消費者の不安も一掃しなければなりませんし、生産に当たる漁民に自信も持たせるということでなければ、生産意欲を阻害してくるということになろうと思います。これは泉水海地区だけではなくて全国的な問題であろうと思います。したがって、厚生省としてはこれを公表される必要があるだろうと私は思うのでございますが、いかがでありましょうか。
  20. 鴛淵茂

    鴛淵説明員 ただいまのノリカドミウム安全性の問題の御質問でございますが、私どものほうで先般、食品中の米のカドミウム許容基準につきまして、微量重金属調査研究会の学者の先生方に御検討いただきました。一・〇PPM未満の米であれば安全であるという結論を得たわけでございます。  この米の基準をきめるにあたりまして、私どもが学問的に検討いただきました計算の基礎の中には、大体米以外の摂取量を十分見込みまして計算したわけでございまして、数字を申し上げますと、米を一日大体五百グラム摂取すると考えまして、一PPMでございますから、大体五百マイクログラム毎日とることになります。それから水が、〇・〇一PPMという基準一ぱいの水を一・五リッター毎日飲むといたしますと、これが十五マイクログラムでございます。それから米以外の副食物を一応調査いたしまして、最高を見込みまして大体百五十マイクログラムとるということに計算いたしますと、一日の総摂取カドミウム量は六百六十五マイクログラム・パーデーということになるわけでございます。これを毎日、一生食べましても大体安全であるという結論に達したわけでございます。  ただいま先生のおっしゃいましたノリ三・一PPMというのは、大体全国平均でいたしますと、一グラムとるのは多いほうでございまして、平均大体〇・五グラム程度だと思われます。したがいまして、これで計算をいたしますと、大体一・五マイクログラム程度になろうかと思います。これは毎日食べるということで計算をいたした場合でございますが、ただいま申し上げましたように、米の基準をきめます場合に、総量六百六十五マイクログラムカドミウムを摂取しても大体安全である、それからいきますと、大体ノリ摂取量は、先ほど申し上げましたように、六百六十五マイクログラム中の一・五マイクログラムぐらいでございますから、ほとんど心配は要らないかと思っているわけでございます。
  21. 中村重光

    中村(重)委員 御説明を聞きますと大体わかるのですけれども、国会で御答弁になるということ、これは責任ある政府考え方を明らかにするということになりますから、それはわかりますけれども消費者に何らかの方法でわかりやすくこれを公表するという形に、やはり明らかにしていく必要があるのではないかと思いますが、そういうお考え方がありますか。
  22. 鴛淵茂

    鴛淵説明員 有明海カドミウムにつきましては、先般福岡県のほうで赤貝の含有量についてやはり同様の御心配がございまして、そのときに福岡県のほうから質問がございましたので、私どものほうで、安全である、心配がないという回答をいたしました。この資料を全部全国の各都道府県通達をいたしまして、大体米のときのものも通達をいたしてございますが、いま申し上げましたような方法周知徹底方をはかるように、各都道府県のほうにはお願いしているわけでございます。
  23. 中村重光

    中村(重)委員 あなたのほうで通達をされたから、県としては議会等質問に対して、人体には影響ない、安全だということを答弁したのでしょう。しかし、それではやはり消費者は不安に思うのですよ。だから、そういう機関に対しての通達ということだけではなくて、何らかの形で安全性を公表するということをおやりになったらどうですか。できないことじゃないでしょう。あなたのほうでは、水産庁は言うまでもないのですが、やはり現地に行って調査等をしておられると思うのですよ。だからそういう場合に、記者会見をするというか——全国的な問題であるけれども、直接的にはいま泉水海からノリカドミウム三・一PPMという非常に高い数値が検出されたわけですから、とりあえずは有明海地域消費者がわかるようにする、そして全国的にもその点を公表していく、そして不安を一掃する、特別にそういう点を配慮なさったらどうでしょうか。
  24. 鴛淵茂

    鴛淵説明員 私どもPRのしかたが非常にまずくて申しわけありませんが、いまおっしゃいました趣旨で周知徹底いたしますように、クラブ等にも働きかけたいと思います。
  25. 中村重光

    中村(重)委員 宮崎生活局長もお見えでございますが、小宮山政務次官からでもけっこうですが、いま私が申し上げたこと、これは国の責任において積極的に調査をしていくことと関連をしてまいりますから、やはり不安を一掃するために公表する、そういう措置をおとりになる必要があると思います。  なお、宮崎局長には、先ほど私がいろいろな観点からお尋ねをいたしましたのを、あとでおいでになってお聞きになっておられると思います。何かお答え願うことがあれば、ひとつこの際お答え願っておきたいと思いますが、まず政務次官から……。
  26. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 確かに、カドミウム許容量と申しますか、安全度というものを国民が知っておくということは、ある意味では混乱を起こさない、また安心できる、そういうことで、有明海ノリの問題については、いま課長が言っておりましたように、PR不足だった、発表が不足だったということはいなめないようでございます。そういうことを今後とも積極的に、通産省といたしましてはやっていくつもりでございます。
  27. 宮崎仁

    宮崎説明員 特に申し上げることもございませんが、先ほど西川参事官のほうからお答えをいたしたと思います、諫早海水汚染の問題がきのう御指摘がございまして、関係各省とも打ち合わせした結果、今年度内にこの問題についての調査をやるということに考えております。その結果につきましては、これは県に委託することになるのだと思いますが、当然公表するという形でやりたいと思います。  カドミウムの問題につきましても、きのう以来御指摘がございまして、私ども担当としては、一応この地域についての水質基準の設定を急ぎたいということで、きのう申し上げましたが、そういう形で取り組んでまいりたいと思いますが、御指摘のように非常に広範にわたる施策が必要なようでございますので、関係各省とも十分御相談して、ひとつこの推進に努力したいと考えております。
  28. 中村重光

    中村(重)委員 あの米から検出されたカドミウムの問題については、一PPM以上は食糧庁としては買い上げをしないけれども、一PPM以下は買い上げをする、しかし米が余っておるときであり、国民感情もあるから、したがって〇・四PPM以上は配給はしないということを倉石農林大臣談話の形で公表されたことがあるのですよ。今回も同じように、農林大臣並びに厚生大臣談話形式でよろしかろうと私は思うのですが、やはり公表していくというような措置をおとりになったらいかがなものかと私は思います。ここで大臣がいないのに、政務次官あるいはその他局長が、そうさせますという答弁はなかなかできないのかもしれませんけれども……(「委員長を通じてやらせればいい」と呼ぶ者あり)そうですね。委員長いかがですか、そういうようなこと。まあ大臣がいないのだから、そうさせますということを政府委員でも答弁してもらえばけっこうですけれども、その必要があると私は思うのです。委員長として、やはり厚生大臣あるいは農林大臣が、談話形式でもいいから公表する、そういうことをひとつ申し入れをするということの扱いをしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  29. 橋口隆

    橋口委員長代理 いまの件は、ひとつ慎重に検討いたしまして、あと連絡をとるようにいたします。
  30. 中村重光

    中村(重)委員 どうも、あなたと議論してはいかぬが、あなたが慎重に検討しますというのじゃなくて、その必要を認められるならば、おそらく理事会を開かれても、これは反対という人は私はいないだろうと思うのです、不安をなくすることだから。だから、委員長としてそれを申し入れをするということをちゅうちょする必要はないのだろうと私は思うのです。何らかの形で不安を一掃するための措置をおとりになったらどうか。大臣談話というような形が一番好ましいのではないか。そういう申し入れということはできないことはないでしょう。慎重検討は要らないんじゃないですか。
  31. 橋口隆

    橋口委員長代理 それでは、小宮山政務次官ひとつ発言をしていただきます。
  32. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 いまの御質問に対しては、厚生、農林各政務次官連絡いたしまして、そのような措置を速急にとるようにお願いいたしておきます。
  33. 中村重光

    中村(重)委員 対島のカドミウム米の予約受付というのは、全面的な解除をしていないのではな・いかと思いますが、食糧庁お見えのようでございますから、どうなっているのか、それから全面的解除はいつごろ、どういう方法でなされる考え方であるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  34. 内村良英

    ○内村説明員 お答え申し上げます。  対島につきましては、厳原町の一部につきまして、一・〇PPM以上の汚染がある疑いがある地域の農家十六戸につきまして、予約を留保しております。その他のところにつきましては予約を受け付けております。
  35. 中村重光

    中村(重)委員 昨日も申し上げたから、くどくなるからあまり申し上げませんけれども、特定地区の農家、一PPM以上検出された農家は二戸だというのです。その農家がその地区から、一俵なんということはないでしょうけれども、かりに一俵収穫した。ところが、全くそのカドミウム汚染された地区でないところから大半を収穫したという場合、それは全然買い上げの対象からはずしている。御存じになっていらっしゃるのかどうかわかりません。しかし、私は現地に調査に行って帰ってきたばかりなんです。町議会の公害対策特別委員会に出てきたのです。陳情書をもらってきていますが、深刻な問題としてこれを何とかしてもらいたい、こう言っているのです。  いま一つは、これはその農家の責任だと言われればそれまでのことでしょうけれども一、政府が積極的に供出を奨励していないでしょう。それから自主流通米制度なんというものが出てきましたね。そういうことから、どちらかというと、農家は供出よりも保有米として持って、それを、やみ米ということになるのでしょうか、売る、そういう傾向が非常に強くなってきた。したがって、保有米が相当あるわけですよ。〇・四PPM以上は食糧としては配給しないという御方針を決定されたものですから、それらも手伝って、非常にうまい米だそうですが、そこから買うことをちゅうちょする。それで保有米が非常に多いのです。もうどうにもならないという深刻な状態で、農家は悲鳴をあげているわけですね。そういったこと等もあるので、それらの救済策が何か考えられないのかという点が一点と、それから、いう言うように、特定地区だけの予約受付はしないのだ、こうおつしゃるのだけれども、そうした問題等もあるのだから、何らかの措置というものが講ぜられなければならないのではないかと私は思いますよ。しかも、その調査が早ければよろしいのですけれども調査調査といって非常に時間がかかっているでしょう。それではもうだれも救ってくれない。どうにもならないのですがね。何か考えなければいけないのじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  36. 内村良英

    ○内村説明員 お答え申し上げます。  ただいまの汚染地区にある農家のたんぼがその地区外にある、それは政府が買ったらどうかという御質問だと思います。この問題は、ほかの汚染地区につきましても同様な問題があるわけでございます。ただ、そこで一つ問題なのは、農家が収穫した米をうまく仕分けして置いてあればいいわけでございますが、一緒になっている場合に、一俵一俵調査しなくてはならぬ、こういう技術的な問題がございます。しかしいずれにせよ、われわれといたしましてもその問題はいろいろ検討しておりますけれども、その仕分けその他非常にやっかいな問題があるわけでございます。  第二の、保有米が非常に余っておるということでございますが、汚染地区の農家の保有米につきましては、食糧事務所と県であっせんしておりまして、現に富山の場合にはすでにライススターチ用の原料として——これは何か写真の原料に使うものでございまして、人間の口に入るおそれがないものでございます。それの工場にすでに売却をしております。それから接着用ののり等の業界から、ぜひもらいたいということで、そういった保有米を人間の口に入らない形で処理したい。それを食糧事務所と県が入りまして、現在あっせん中でございます。ただ、長崎につきましては、その点についての詳細な報告はまだ受けておりません。
  37. 中村重光

    中村(重)委員 調査の報告がないということは、そうした買い上げについての措置、いわゆるあっせん行為ということになりますか、それらのことが、まだおくれているのではないかと思います。ですから、積極的に対策をお考えになって救済をするということをしていただきたい。  それから、その仕分けということがたいへんむずかしいということはわかります。わかりますけれども、事務的にたいへんだからということだけで農家の救済をあと回しにするということは、いかがなものだろうかと私は思います。ですからその点も、とも一かく第一に人命尊重、農民は被害者である、その被害者を苦しめてはならない、その考え方の上に立って、犠牲を払ってもこれは救済をする、そういうかまえでひとついっていただきたいと思います。もう一度お答えをいただきましょう。
  38. 内村良英

    ○内村説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘のとおり、農家は被害者でございます。したがいまして、食糧庁といたしましても、やれる範囲のぎりぎりの線でやっているわけでございます。たとえば〇・四以上の米については、国民感情を考慮して配給しない。しかしながら、一・〇以下のものについては政府が買い入れということもやっておりますし、極力農家の被害を最小限に食いとめたいということで、食糧行政の範囲内でやれることは、一生懸命やっておるつもりでございます。  なお、お話がありました点につきましては、長崎県ともよく連絡をとって善処したい、こういうふうに考えております。
  39. 中村重光

    中村(重)委員 ひっかかってくるのはそこなんですよ。食糧行政の範囲というのを食糧庁は出ないのですよ。そうすると、一PPM以上の米が買い上げがされない、それはだれがどうして救済をしてくれるのかという問題が起こってくるのです。いろいろな問題がありますから、ともかくそうした役所は、それぞれ所管事項によって行政を進めていくということですね。そこへどうしても陥没地帯が出てくるのですから、これを何とかしていかなければならないのじゃないでしょうか。これに対するお答は、これが河川か港湾の問題なら宮崎さんお答えになるのでしょうが、この陥没地帯をどうするということについて、政務次官から答弁してもらわなければいけないのでしょうね。陥没地帯、何とかしなければいけないですよ。そうでしょう、農民は被害者なんだから。いかがですか。答弁だけじゃいけませんよ。これは確かに責任をもって、そういう方向へ進めていくというような自信の上に立ったお答えでなければいけませんよ。
  40. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 確かに農民は被害者でございます。また、その被害を出したところの企業その他がわかれば、これが責任を負うのは当然でございますけれども、いま先生のおっしゃっている問題は、その辺のわからない問題もあると思うのでございます。この点については何らかの措置をとらざるを得ないだろう、私は個人的にはそう感じております。それでこの点について、役所が違うという問題もございます。食糧庁の問題については農林省とも、今後どういうふうにするか、先ほどの問題もございますので、農林政務次官とも相談したいと思っております。
  41. 中村重光

    中村(重)委員 農地局長お見えですが、この汚染農地は客土をいたしますか。
  42. 岩本道夫

    ○岩本説明員 汚染農地につきまして、できるだけ現地の事情に即して汚染の防止と申しますか、原状回復の措置を検討中でございますが、対策としてはいろいろのことが考えられるわけでございまして、たとえば水源を転換しまして、もっと上流の汚染されていない水をとってくるとか、あるいは客土をいたしまして薄めるとか、いろんな策が考えられるわけでございますので、どういう方策をとったのが一番効果的であるかといったことを十分検討した上で、できるだけ早くこの対策に手がつけられるように努力してまいりたいと思います。
  43. 中村重光

    中村(重)委員 県としては、客土をする以外にはないということを言っているのじゃないでしょうか。いかがですか。
  44. 岩本道夫

    ○岩本説明員 そういうお話を承っておりますが、客土の土とり場と申しますか、素材の採取の可能性といったようなものもなお検討を要すると思いますので、目下検討中でございます。
  45. 中村重光

    中村(重)委員 まあ検討するとおっしゃられると——それは検討してはいけないなんということは言えない。それは検討しなければいけないんですが、あまりにもこれは長過ぎるのですよ。非常に現地農民は不安なんですね。客土以外には手はないのですよ。いま申し上げたとおりに、カドミウムが含有されているところは、金属分が下にあるわけですから、どうにもなりません。客土をする場合の費用の分担というようなものは、どういうことになるのですか。
  46. 岩本道夫

    ○岩本説明員 公害対策事業に伴いまする各種の対策の費用の負担の問題につきましては、目下公害対策本部で検討中でございますので、その結論を得まして対処してまいりたいと考えております。
  47. 中村重光

    中村(重)委員 犠牲者である農民に、負担を要求されるようなことは万々ないでしょうね。
  48. 岩本道夫

    ○岩本説明員 公害対策本部で検討しております、費用負担に関する考え方結論に従って処置するほかないわけでございますが、先生のおっしゃいます意味はよくわかりますし、私ども、被害者である農民の立場を十分反映できますように努力をしたいと考えております。
  49. 中村重光

    中村(重)委員 私は、この問題についてお尋ねしたことがあるのです。大蔵政務次官出席をされた委員会の席上でした。農民は被害者である、したがって農民にこれを負担させるというようなことは避けなければならない、負担さすべきではないという答弁というものがなされているわけです。その際に、生産性が上がった分だけは何とかというような言い方をしましたから、そんなけちったことじゃ話にならぬじゃないかということを申し上げたと思います。ですから、被害者である農民は、長く結論が出ないために、物質的、精神的にたいへん大きな損害を受けているのですよ。痛手なんです。だから、企業責任というものが明確にきちっと出ると、これは企業に向かって積極的に働きかけも、補償要求もできるのです。ところが政府の態度があいまいなんだ。企業責任があるかのように、ないかのように、ありもするが、古い歴史を持っているのだから、全面的に企業責任とも言えない、こういう態度。したがって農民の補償要求というものにブレーキがかかってくる。昨日も一申し上げましたが、昭和三十二年度には訴訟を起こそうとした。これは米以外の農作物に対して大きな被害が出ましたから。ところが、企業があわてて当時の金で二百五十万円という補償をしたので、一応訴訟は取りやめたという経過もあるわけなんです。そのときはブレーキをかけなかったのですよ。あげて企業の責任であるという形であったわけです。いまは企業が、自分のほうに責任はないのだというのは、政府のそういったあいまいな態度、むしろ企業の側に立った——これは政府といっても通産省になるわけですが、その態度というものに企業は大きな力を得て、そして補償に対する積極的な態度をとろうとしない。消極的な形で、ケース・バイ・ケースで、企業としても何らかの責任をとることにいたしましょうという申し出が、通産省と県とになされているという程度なんです。そういうことで、実際期間はかかるし、困っているわけですから、被害者である農民には負担させない、企業と国と県というものがこれは負担をするのか、全面的に企業に負担をさせるのか、そのいずれかでありましょう。いずれにしても農民は被害者であるから、これを救済するという考え方の上に立った措置こそ進められなければならないと思います。この点に対して、いま一度明確にお答えをいただいておきたいと思います。  それから、時間の関係もございますからあわせてお尋ねいたしますが、町当局が、もう国がみこしが重い、県がみこしが重いというようなことから、これは被害者農民から非常な反発をされまして、そして町として何とかしなければならないというので、薬の散布であるとかいろいろな公害対策に取り組んできておるようです。そのために相当な出費もあるようでございますが、これに対しましては、当然特別交付税としていくということでなければならないと思うのでございますが、この点に対する、自治省お見えのようでございますから、自治省の考え方をひとつお聞かせいただきたい。
  50. 岩本道夫

    ○岩本説明員 費用の負担につきましては、先ほどから申し上げておりますように、公害対策本部におきまする費用負担の考え方がきまるのを待ちまして対処してまいりたいと思いますが、被害者である農民の立場を十分勘案し、しんしゃくをして対処してまいりたいと思います。
  51. 石見隆三

    ○石見説明員 公害対策事業に必要とします経費につきましては、基本的には、原因者、あるいは国、あるいは地方団体の負担区分が明確にされるということが前提だろうと思うのでございますが、そのような考え方の上に立ちまして、一般的に、お示しのございましたような問題につきましては、地方団体に災害あるいはその他の特別な財政需要がございましたときには、その団体の財政状況等も見まして、特別交付税をもって措置してまいっておるところでございます。したがいまして、お示しの問題につきましては、それぞれ具体の事情に即しまして十分検討いたしたいというふうに存じておる次第でございます。
  52. 中村重光

    中村(重)委員 水質保全の立場から、建設省と企画庁と両方からお答えをいただきたいのですが、公害を防止していくというためには、当然河川の改修というものが必要になってくるであろうと思うのです。これは群馬県の渡良瀬川の場合もそうであったわけですが、そうなってまいりますと、佐須川と椎根川、この河川の改修というものを、私は早急にやらなければいけないのではないか。建設省としてはこの点どうお考えになっておられるのか。
  53. 角田正経

    ○角田説明員 お答えいたします。  先生指摘の佐須川でございますが、二級河川でございまして、県が管理しているわけでございます。事業主体は県でございます。まことに恐縮でございますが、私ども、改修計画等まだ県のほうから伺っておりませんので、御指摘の点につきまして県と相談いたしまして、必要に応じた措置をとりたいというふうに考えております。
  54. 中村重光

    中村(重)委員 佐須川については、約六千万円程度かけて改修するやに伝えられているわけです。私は現地に行って見まして、佐須川だけではだめなんだ、当然椎根川の改修というものもやらなければいけない、そう見てきたわけです。それで、二級河川でございますから県でありますものの、公害対策という立場からは、当然国としても積極的にこれに対するところの対策をお立てになる、そして必要な指示をしていかれる必要がある。これは公共事業でございますから、国としての負担というものも当然ありますから、単に県だけの考え方によってこれが処理されるものではない、そのように考えます。したがいまして、これに対しては早急に、いまお答えがございましたように、単に県の意向を聞くにとどめない、積極的にひとつ対処してもらうということでなければならないと思います。いま一度お答えを願います。
  55. 角田正経

    ○角田説明員 ただいま申し上げたような事情でございまして、私どもまだ不勉強な点もございますが、先生指摘の点、十分検討いたしたいと思います。
  56. 中村重光

    中村(重)委員 荘局長お尋ねしますが、東邦亜鉛が上対馬にも鉱区を設定をいたしまして、もうすでに試掘を終わり採掘の状態にあるのではないかと思います。ここには公害は起こっていないのかどうか。
  57. 荘清

    荘説明員 御指摘のとおり、そこで試掘が行なわれておるようでございますが、公害の問題につきましては、現在のところ公害が起こっているという話は承知いたしておりません。
  58. 中村重光

    中村(重)委員 アユがいなくなってしまったようですが、その点はお聞きになっていらっしゃいませんか。
  59. 荘清

    荘説明員 まだその話は存じておりません。
  60. 中村重光

    中村(重)委員 私は、現地調査をして帰ってまいりましたから承知をしております。アユがいなくなっているのです。また佐須の二の舞いを演じる危険性なしとしない。さっそく調査をされて万全を期していく、こういうことでなければならぬと思います。よろしいですね。
  61. 荘清

    荘説明員 先生から貴重なお話を伺いましたので、もちろんさっそくに調査いたします。
  62. 中村重光

    中村(重)委員 それでは長官がお見えのようでございますから……。  この間テレビで長官が、三十四都道府県、五十四海域でございますか、汚染されたという問題について、いろいろな対策をお考えになっておられることを拝聴して、実は心強くも思ったのですが、さて汚染は加速度的に進んできている、はたして間に合うものであろかという不安は依然として残るわけです。東京湾の問題等々いろいろお尋ねをしてまいりたいと思うのですけれども、時間の関係がございますから、私が事情をある程度承知をいたしております長崎港の例をとりまして、これは全般的な問題と関連をいたしますが、お尋ねをいたしたいと思います。  初めは事務的なお尋ねでございますから、事務当局からお答えをいただいてもけっこうです。長崎港湾で、港内は言うまでもありませんが、これに流れ込む河川の水質調査をしておられると思うのでございますが、現状調査の結果はどうなっているのか、お答えをいただきましょう。
  63. 西川喬

    西川説明員 長崎の市内河川につきましては、昭和四十五年度、今年度に委託調査調査は実施いたしております。まだ調査実施中でございまして、県のほうからの調査結果の報告は手元に参っておりません。ただ、昨年度に長崎県が県の予算で行ないました長崎港内の調査のデータは参っておりますが、それによりますと、港の中につきましては、現在COD値はまだわりあいといいという結果が出てきておりますが、市内河川につきましては、本年度の調査を待ちませんと、まだ承知しておりません。
  64. 中村重光

    中村(重)委員 四十五年もやっておられるのですか。三十八年度から調査をやっているのでしょうから、前の調査はわかっているのでしょう。
  65. 西川喬

    西川説明員 国といたしまして調査をいたしましたのは、今年度が最初でございます。以前は県が行なったのではないかと思いますが、その調査結果につきましては承知いたしておりません。
  66. 中村重光

    中村(重)委員 大臣、お聞きのとおりですが、私はまだほかにも分厚い資料を持っているのですが、これには詳細に書いてある。これほど公害問題がやかましくなってきたいま、国でやったのはことしなんだ、前のは県がやっているのだが承知をしていない。これは国が消極的か、県が怠慢なのか。私は少なくとも県がやったのであっても——国がやったのは言うまでもありませんが、町村がやったにしても、これほど汚染されて新聞にも大きくこうして出ているのですが、こういうものに対して、関係者と積極的に連絡をとり合う、報告を求める、あるいは進んで報告する、そうして対策を立てていくというかまえがなければいけないと思うのですが、いかがなものでしょうかね。
  67. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 いま申し上げたと思うのですが、県の報告は昭和四十四年度分についてはわかっておるわけです。それで四十五年は国が調査をいたします。四十四年につきましては、まだCODが一、九PPM以下ということで、長崎港内における状況はまあまあ比較的良好である、こういうふうな数字を四十四年の最近の調査で得ておるようなわけでございます。もちろん企画庁といたしましても、できることでありますれば全国一ぺんに調査をしたいところでありますが、実情はそうはまいりません。  公害問題がこういうふうになってきていることは、もうわれわれもとっくに承知はしているつもりでありますが、さらに緊急を要するものをいま鋭意やってまいっておる。そういうことで、ようやく長崎県の調査を本年し得るところまで進んでまいったわけでございます。経済企画庁としても別にこれについて無関心である、ほうっておるというわけではございませんのでして、そういう意味におきまして、昨年度の調査が比較的良好であったという実績も踏まえまして、本年初めて調査をいたしたようなことでございますが、この調査の結果によりましては、いま御指摘のように、それについての基準の設定、地域の指定、対策の樹立、これらを至急にやらなければならない、こういうふうに考えております。
  68. 中村重光

    中村(重)委員 四十四年までのは報告を受けているのだということであれば、それはそれでよろしいわけです。ただ大臣は、CODのことについての説明があったんですが、一方BODのほうはどうなったか。これは非常に高いんですね。これは両方見なければわからないのです。私はBODのほうは、港のほうも河川のほうもお尋ねをしたわけですが、私の調査によると、この流入の河口のほうは一〇PPMをこえているんです。これは決して良好ではございません。それから長崎港に流れ込んでおる河川のほうは、何と浦上川、中島川は四五PPMから六九PPMです。三十八年とは比較になりません。たいへん悪化いたしておりますよ。それから浦上貯水池——長崎は有名な水不足のところですから、水源池が干上がってしまってひび割れするといった、あの浦上水源池の入り口の付近ということになってくると、これまた二三PPMです。これだと、私は河川の流水の正常な機能というものをもう完全に失ってしまっている、非常に危険な状態だというふうに感じるわけでございます。だから、いま大臣お答えになりましたように良好な状態だ、これを踏まえてどのような対策をお立てになるのかはこれからお尋ねをしてまいりますけれども、楽観に過ぎるのではないかという感じがするわけです。ですけれどもあとにずっと港湾の締め切りの問題等出てまいりますから、その際具体的な考え等を聞かしてもらいたい。  長崎においでになって、長崎の水をお飲みになったみんなが顔をしかめられる。くさくて飲めないのですね。水がくさいのは原因は何だろうか。これは、市民は言うまでもなく、長崎を訪れた人たちが飲んでみて、これはこれでいいのだろうかというので非常に不安を実は持っていらっしゃるのですね。これらの点を明らかにされる必要があるのだろうと私は思うのですが、この異臭というのか、悪臭というのか、この原因というのはどこにあるのか、これをひとつこの際関係省のほうからお答えを一応していただきまして、それから対策を伺ってみたいと思います。
  69. 国川建二

    ○国川説明員 お答え申し上げます。  長崎市の水道の水のにおいの問題につきましては、数年前からも問題になっておったわけでございますが、これは原因は主としまして貯水池系統の水でございまして、御承知のように貯水池にはプランクトン、そういう藻類が、時期的にあるいは気温、水温、そういったことの関係からも発生することがございます。このプランクトンの発生によりますにおいが残ることがあったわけでございます。  こういった問題を解消いたしますために、水道事業といたしましては、特に浄水方法に留意いたしまして、たとえば活性炭を使いまして沈でんろ過いたしまして、その臭気を除くという方法を講じておりまして、鋭意そういうことのないように努力いたしているところでございます。原因はまあそのようなことでございます。
  70. 中村重光

    中村(重)委員 ともかく大臣、港にいたしましても、それから河川にしてもそうなんですが、家庭の汚水が流れ込んでまいりますね。したがって悪化してくる。BODが非常にふえるという形になってくる。そういったことで水がくさくなるということになる。全く富栄養湖というのでしょうね。そういうようなことになってしまっているのですよ。水のくさいというふうなことも、これは長崎の水がくさいのだというような形で片づけてはいけないと思うのです。これは浄化するから、直ちに有害ということにならないのだろうと思います。しかし、正常な水を飲ましてもらうのでなければどうにもならないわけですね。ですから、下水関係等も関連をしてまいりますので、あとお尋ねをいたしますが、いずれにいたしましても、こうした港が決して良好ではない、悪化の一途をたどっている。  それに対して、長崎港の外港一帯というのは臨海工業地帯、いわゆる公害源というのが、工場が出てまいりましたから非常に増加をしている。それに加えて、世界一といわれる三菱重工業の百二十万トンのドックが今度着工したわけですね。この着工に関連をいたしまして、香焼と深堀というところがある。これを締め切ってしまった。締め切ってしまったために、ここで潮流が停滞するわけです。そうなってくると、そうした公害発生源というものはふえてくる。潮は変わらない。そうすると、いよいよもって富栄養湖という形になってくる。これは私は問題だと思う。こういうことは当初からわかっておったのだろうと私は思う。  そこで、経済企画庁水質保全の所管をおやりになるわけですね。公害が出てからあと追いでしょう。追い回されているのですよ。それならば、これを埋め立てしたならば潮流の関係はどうなるのかということをまず調査をして、それがわかったならば、その締め切りとか埋め立てということについて、待ったをかけなければいけないのではないか。だから当然、行政のあり方としてもっと関係各省というものが十分な、緊密な連絡をとっていく、そういうような行政をお進めにならなければいけないのではないか。どうして長崎港のそうした締め切りなんというようなことをおやりになったのだろうか。これからは、ともかくそういった締め切りとか埋め立てというものは、その水が悪化しないということが許可の前提条件でなければならない、こう考えますが、これらの点に対して大臣はどのようにお考えになるか。行政の運営のあり方としての考え方等々も基本的な問題でございますから。具体的な問題は宮崎局長から先にお答えをいただきまして、将来の基本的な考え方については大臣からひとつお答えをいただきたい。
  71. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 経緯もあるようですから、まず国民生活局長から説明をさせます。
  72. 宮崎仁

    宮崎説明員 御指摘のように、長崎外港の地域に埋め立てをいたしまして、そうして造船所その他の工業用地をつくるという計画がかなり前に立てられました。そして先般この埋め立てが完了して、いま御指摘の香焼島等の離島の指定も取りやめになるというような事態になっております。  長崎港のあの地形を見ますと、非常に湾入が深いものでございますから、いま問題になるような公害というような関係から見ると、条件が非常に悪い地域であろうと思います。したがって、こういった一応外港部ではございますが、埋め立てをするというようなときに、湾内の水質がどうなるかというような面についても、十分の配慮があるべきであったろうという御指摘は、私どもよくわかるわけでございますが、何ぶんにも十年近く前の計画でございますので、そういった面についての検討が十分行なわれない形で、すでに工業用地のほうができてしまっておるというようなかっこうになったろうと思います。最近になりまして、港内の汚染問題、あるいはそのいま御指摘のように流入河川の非常な汚濁の問題等が出てまいりまして、昨年、県の調査等の結果も出るというかっこうになりましたので、私どものほうも、本年度水質基準の設定をするための調査にかかったわけでございます。こういった港内の汚染問題というようなことについての認識が比較的薄かったということは、われわれとしても今後は十分考えなければならぬと思います。  今回、いまわれわれのほうでも水質保全の法律の全面改正を考えておりますが、そういった法律改正の段階におきまして、こういった湾の問題、あるいは沿岸海域の問題、こういうものもひっくるめてひとつ対象にしていくと同時に、対策その他の問題も考えていく、こういうことにしたいと思います。現在の問題としては、一日も早く調査の結果を出して規制をしていくということがまず必要であろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
  73. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 いま御説明がありましたように、率直に言いまして、十年前からのいわゆる団地計画であり、そういうことで団地のていさいが整ってしまって、結局既定計画をそのまま遂行していった。その結果が、予想よりも公害の問題が起こりそうである。まあ私も聞いておりまして、まことにそういう点について、今日の観点からしますと用意が不十分であったと感じられます。しかし、とにかくそこまでやったわけですから、問題は、まだ新しい団地でありますから、今後の規制を十分にすることによってできるだけこの水質の問題を防ぐ余地が十分あるわけでございますからして、至急に基準を設け、そうしてきびしい規制のもとに、いわゆる公害のない産業、こういう姿に持っていく以外にはないのではなかろうか、こう思っています。
  74. 中村重光

    中村(重)委員 わかるんです。まあそうだろうと思うのですね。しかし、これは行政機構のあり方としてはお考えをいただかなければならぬ。私はいつも申し上げるのですが、経済企画庁がもう少し、中核ということで私はよろしいと思いますが、役割りを果たしていただかなければ、やっぱり総合的な企画、調整というそれを果たされなければいけないのじゃないでしょうか。実施庁である縦の線でくるわけでしょう。地方自治体から建設省なら建設省、農林省なら農林省、大蔵省、この関係できまっちゃう。ところが経済企画庁としては、これは国土総合開発の観点から、あるいは水質保全の問題等々、当然それなりの発言というものを確保して、そして将来こうした公害のあと追いをしない、まず事前に万全を期していくということが必要であろう、こう思います。まあ大臣としても異論はないところであろうと思いますが、閣議なんかで積極的な発言をしていただいて、そういう方向にひとつ改めていただきたい。その点ももう一度お伺いをしたい。  それから、私はそいう埋め立てとかあるいは締め切り、こういったことはひとり長崎の問題だけではないと思います。これからは、水質保全の基準がありますから、それが悪化しないということが前提とならなければいけない。そして悪化しないということが確認をされるならば、そこでやはり許認可をする、こういうことに行政運営をしていただきたいと思います。この二点について大臣のお考えを伺いたいと思います。
  75. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 まことに私も同感でございます。実は新全総計画におきまして、御存じのように、いろいろなプロジェクトを提唱いたしております。この新しいプロジェクトの場合におきましては、現在専門委員会を設けまして、公害の問題からまず基本的に取り上げる、そしてそれを前提にしたレイアウトを行なう、こういうことで進めるようにしております。従来の分は、そういう意味において私は不十分であったと思います。公害の意識そのものがやはり非常におくれてきておる、この結果であろうと思いますけれども、今後はそういうことがあってはならないわけでありまして、いま御指摘のように、今後ほかの地域においても埋め立て、締め切り等が行なわれると思いますが、そうした際に、一面その埋め立て、締め切りの要求自体というものの必要性というものを十分考えながらも一同時に、いまの水質の規制のことを頭に置いて当初から計画が行なわれる必要がある、こういうふうに考えられます。
  76. 中村重光

    中村(重)委員 いま委員部に連絡をしたわけですが、農林省と食糧庁水産庁、それから自治省はちょっとおっていただきますが、これらの質問は一応終わりましたので、私のほうとしては必要ございませんので、適当にお引き取りをいただきたいと思います。  それから、水質の保全という観点から考えてみますと、工場等の排水規制というものが、もちろんこれは大切なことなんです。これとあわせて重要なことは、家庭からの排水の下水処理、この点を完備していくということでなければならないのではないかというように実は考えます。ところが、下水道の普及率というのは、あとで正確にお答えをいただきたいのですが、私の調査したところによりますと、全国平均が一六%、長崎県に至っては六・五%。お話にならぬという状態でございますが、この点に対して、何か次の通常国会に下水道法の改正等も提案されるやにも新聞には伝えられておるのですが、私はその中身はわかりませんけれども、いま言うように、家庭からの汚水処理、下水道事業の普及、これを強力に推進をしていくということでなければならないということについての、大臣の一つのお考え方をお聞かせいただきたい。  それから、いま私が数字をあげましたが、この点おわかりでしたらば、事務当局から、下水道事業の全国普及率、長崎県の普及率がどうなっておるのか、これもひとつお答えをいただきたいと思います。
  77. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 まさしく御指摘のように、従来はどっちかといいますと工場汚水が水質問題の中心でございましたが、最近に至りまして、家庭排水によるところの汚水というもののウエートが非常に高まってきました。したがいまして、水質保全行政の見地からいいまして、当然のことながら強力にこの下水道の普及を促進させなければならない。こういうことでわれわれ自身も、私も先般の閣議でも特にこの点について、建設大臣、大蔵大臣に対して強い要求をいたしております。これらはいずれも予算の制約を受ける問題でございますからして、全体の計画をできるだけ高めなければなりません。先般の経済社会発展計画におきましても、公共投資の中における下水道投資のウエートを特に重視いたしまして、これを高めているのもそのためでございます。  また、従来は十分行なわれておらなかったのですが、私どもにありますいわゆる国土調整費、この調整費の中から、特に本年の下水道の促進のために、相当の金額をさいて出そうということで決定をいたしたようなわけでございます。経済企画庁といたしましても、水質保全のために下水道の普及が一番基本的な点である、これはもうよくわかっておりますので、極力そうした点を今後も推進をしてまいるようにわれわれが努力をしてまいらなければならない、こういうふうに考えておるようなわけであります。
  78. 久保赳

    ○久保説明員 下水道の普及率の問題でございますが、人口に対する下水道の利用人口、こういうことで普及率をあらわすといたしますと、現在では全国平均が約二〇%でございます。そのうち長崎県の普及率を出しますと、これは先生指摘のように六%、こういう数字でございます。
  79. 中村重光

    中村(重)委員 いま大臣から、結局、下水道事業というものは、これを普及していくためには予算の面であるというようなお答えもあった。そのとおりだろうと思うのですが、まだ私は他に、この普及しない原因というものがあるのではないかというように思います。これは私の思いつきなんですが、耳を傾けていただいて採用できるならばということで、むしろ提言という形で申し上げてみたいのですが、この下水道事業というのは、市町村が事業主体になっているわけですね。それで広域にわたる事業の場合は、市町村の事務組合をつくってやっている。県は事業主体になっていないのですね。したがって、市町村が下水道事業をやります場合には補助をしないわけです。それから、汚水処理の下水道事業計画に加入をしないのですね。個々人が加入をしない。どうして加入をしないのか、これは何もメリットがないからです。補助もないわけですね。特別な融資というものも考えていない。そこに問題もあるのではなかろうか。  私は、このことを考えると、下水道事業というのは、上水道と同じように受益者負担の原則の上に立っているところに問題があるのではなかろうか。上水道にいたしましても、空気と水と太陽というものは、人間が生きていくためには絶対不可欠のものであるから、これも受益者負担の原則というものは当てはまらないのではないかというのが私なりの持論であります。ましてや、今日公害がうんと発生をしている。しかもその中で、大臣お答えになりましたように、家庭の汚水というものがその大きな原因をなしているということを考えます場合、下水道の事業というものは、今日受益者負担の原則の上に立つのではなく、これは相当な社会投資という形において、大きなウエートを持って運営をしていくのでなければならないのではないか。そのためには、県が私は事業主体になるべきだと思う。市町村がやります場合にも、補助も、当然県としての割合というものをそれなりに負担をしていく、そしてそのかわりに指導もしていくというようなことで、強力な体制をもって下水道事業を推進していくということでなければならないのではないか。それから、これに対する加入というものをさらに促進をしていく。そのためには、これは時間の関係がございますからまとめて申し上げますが、家庭の汚水処理に対しましては、何らかの形で補助もするが、低利の融資もしていく。そのかわり市街地の住宅建設にあたっては、汚水処理に対するところの義務づけをしていくというところまで、強力な体制をとらなければいけないのではないか。  非常にたくさんのことを申し上げましたが、これらの点についてひとつお考え方をお聞かせいただきたい。
  80. 久保赳

    ○久保説明員 お答えいたします。  下水道事業は、下水道法によって運営をされておるわけでございますが、先生指摘のように、現行の下水道事業は、事業の主体が市町村になっております。しかし、実態が市町村のみで下水道事業を実施しがたい地域全国にかなりございまして、それらの地域におきましては、ほとんど例外なくその流域の水質保全がはかられなければならないという地域が非常に多うございます。したがいまして、建設省のほうにおきましても、そのような地域につきましては広域的な下水道事業を実施する、こういう方針に従いまして、現在十二地域につきまして事業主体を府県にいたしまして、普通の公共下水道と別に流域下水道ということで事業を実施いたしております。普通の公共下水道が、国の補助率が十分の四でございますけれども、流域下水道につきましては十分の五ということで、約一割補助率を高くして実施しているわけでございます。  その流域下水道は、二市町村以上にわたる区間につきまして、末端の終末処理場と、それから市町村の行政区界を越える部分につきましては、幹線を府県が実施し、それぞれの市町村の区域の中は公共下水道として実施をする、国が二分の一を出し、残りは府県と市が分担し、さらにはまた公共下水道連絡をしながら全体の地域の生活環境の改善なり、あるいは水質保全をはかろうということで事業を実施しているわけでございます。  先生指摘の下水道法の改正というのは、法律的にもそういう体制をとりたいということで、下水道法の一部改正を現在検討中でございます。  以上でございます。
  81. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 いま下水道課長から御説明がありましたように、現在四割、五割の補助を行なっているわけです。私は補助としては十分なのではないかと思っております。確かに財政力貧弱な町村を中心にしているというところに、私は少し問題がありそうに思いますけれども、二市町村以上は県営がずいぶん多いようでありますが、できるだけひとつ県営を中心にしてやってまいるということも、御指摘のように事業推進の上で大きな力になると思います。  ただ、率直に申しまして、水質問題についてこれだけ意識が高まってきた、これは比較的最近だと思います。結局、水質についての関心が高まってこなかった点に、今日までやはり下水道についての関心がおくれておった点があると思うのです。これは両者の間は、決して無関係なものではないと思います。そういう意味におきまして、今後市民自身も、この水質自身について非常に関心が高まってきた際ですから、下水道事業についての関心を高め、そしてまた市民の代表である市町村の団体も、これに対して対応した熱意を見せる、これがやはり必要ではなかろうか。  これを申しますのは、実は国の補助だけで全国をやりますとたいへんです。それこそなかなか進みません。ですから、地元負担制度というようなものを同時に取り入れながら進めているのが実情です。市町村によっては、地元負担制度を非常にきらってなかなか事業の進まないところもある。しかし実際問題としましては、この下水道をやりますと非常に地価が上がります。ですから、これは地主にとっても非常な利益を生ずるのでございます。そういう意味において、いわゆる一部自己負担というものもある程度加えることは、これはやむを得ない措置であろうと私は考えておりまして、国の補助金あるいは自己負担の制度、こうしたものとあわせて財源を拡充しながら、しかも、最近における水質問題の経緯にかんがみて一そうの関心を持ち、それによって一体となってこの事業の普及をはかってまいる。もちろん、国としてもそうした方向で今後極力進めていきたい、こう思っております。
  82. 中村重光

    中村(重)委員 おっしゃる点もわかるのですよ。ですけれども、基本的な考え方として、上水道の場合とは異なった考え方が、もう今日の段階では当然出てこなければいけないのではないかと思うのです。地元負担、いわゆる自己負担、それと国とが相まってやる、こうおっしゃる。それが受益者負担の原則というものから離れないということになってまいりますと、依然として強力な推進というのはできないのではないか。やはり内容的に検討していく必要があると思う。いま大臣がおっしゃったような点、従来の普及しなかった原因がどこにあるのか。単に国の予算というようなものが低かったというだけではない。制度そのものにやはり問題があるわけですから、そこをひとつ再検討をされる御意思があるのかどうかという点。  それから、この受益者負担の中からは出てまいりませんが、私が申し上げたように受益者負担の原則から離れて、もっとよりこれは重要なウエートを持った事業であるということになってまいりますと、当然今日公害というものは、一億の国民すべてがこれに参加をしていくということでなければ、ほんとうの公害の防止はあり得ない。そうなってくると、市街地の住宅建設というものには、この汚水処理というものを義務づけるというようなところまで検討しなければならない時期に来ておるのではないか。これはいろいろむずかしい点がございましょう。しかしその点、検討もしてみる必要があるのではないかというように思います。それらの点をもう一度お聞かせいただきたい。  それから、事務当局でけっこうですが、来年度下水道事業というものは、今年度よりどの程度増額をしようとお考えになっているのか、今年度との比較の中でひとつお答えをいただきたい。
  83. 久保赳

    ○久保説明員 お答えいたします。  下水道事業の財源あるいは基本姿勢という問題について、先生から御意見をいただいたわけでございますが、建設省のほうでは、先般下水道事業の整備推進策はどうあるべきかという問題について、建設大臣から都市計画中央審議会に諮問がなされたわけでございますが、その諮問に対する都市計画中央審議会の結論が出てまいりました。その中では、やはり下水道事業は国と公共団体、さらにはその下水道が整備される区域内の住民の三者が協力をして事業を実施し、費用の負担も協力しながらやるべきものということで解釈がなされておるわけでございます。先ほど経済企画庁長官から御説明がございましたように、下水道が整備される区域の中の地主の方は、整備されない区域の地主の方とその土地の利用価値が非常に違う、こうういう観点から下水道整備事業費の一部を負担をしていただく、こういう制度を従来からもとっておりまするし、そのやり方が適切であろう、こういう答申をいただいたわけでございます。  そこで、下水道事業全般をながめますと、一番末端につきます終末処理場と、それから市街地の中を網の目のように下水道管が入ってまいりまして、一番末端のほうは家庭の台所すぐ近くまで枝線が入っていく、こういう状態の設備でございます。したがいまして、国と公共団体は、終末処理場であるとか、あるいはポンプ場であるとか、あるいは幹線あるいは幹線に準ずるような下水道管の建設は責任をもって実施をいたしまして、一番末端の枝線部分、この部分につきましては、一部受益者という形で負担をしていただく、こういう仕組みが適切であろうか、そのように考えているところでございます。  それからなお、施設ができましたならば、その施設を維持していかなければならないわけでございまして、その維持費につきましては、実際に下水道を使用する人が、家庭の排水なりあるいは一般の市街地の中の排水がそれに入って利用するわけでございますから、その利用の度合いに応じて下水道の使用料をいただきまして、それで維持、管理をしていく、こういうふうに考えているわけでございます。  それからなお、来年度の予算の問題でございますが、この問題につきましては、現在下水道整備五カ年計画が、下水道整備緊急措置法によって閣議決定をされまして、第二次下水道整備五カ年計画が総額九千億で実行されておるわけでございますが、いろいろ世の中の下水道を取り巻く情勢の変化が著しいわけでございますので、それらの情勢に対応するために、来年度から五カ年計画を改定いたしまして、総額二兆六千億を投資して、たとえば水質環境基準に対応するような下水道整備であるとか、あるいはまた市街地の中の生活環境の整備のための下水道であるとか、重点を設けまして、来年度から新たな五カ年計画に入っていきたいということを要求いたしております。  国費でございますが、四十五年度の下水道費は全部で四百七十四億の国費でございますが、来年度はそれを七百一億にふやしまして、下水道事業五カ年計画の初年度の事業としたい、こういうことで要求中でございます。  以上でございます。
  84. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 いま説明のありましたような状況でありますが、先ほど御指摘がありましたが、上水道は原則として受益者負担、こういうことにいまなっています。しかし、今日下水道はだんだんに補助率が高められまして、先ほど話がありましたように、四割、五割というところまでとにかく持っていきました。ですから私は、補助金が不足だから下水道が普及しないという点はないと思います。むしろその全体の金額を薄めてでも、できるだけ広く各地域にこの事業を着手することを私は望んでおります。そういう意味におきまして、先ほどのように三者負担の原則が確立されて、そうしてこれによって推進をしていくということでありますから、私は十分今後下水道の推進が行なわれると思います。  これは余談でありますけれども、従来、たとえば下水道の整備というようなことに力を入れる市長さんは、比較的じみな人だということで、一生懸命下水道に力を入れたら、案外その次の選挙で落っこちてしまったという人がいるんですね。最近はもう急に、ネコもしゃくしも下水道の普及ということを非常に言うようになりました。私は、これも公害問題が高まって意識が高まってきた一つのあらわれだと思って非常に喜んでおるのでありますけれども、いずれにしましても、政府としても極力、いま話がありましたように、ひとつこれを推し進めてまいりたい。  率直に言いまして、日本のいわゆる住宅建設というものがスプロール的に行なわれておる、これがやはり基本である。ですから外国のように、一定のブロックをつくりまして、そこへ電気、ガス、下水、水道、みんな集中投資をして、そうして一区画ごとに町を外へ外へとつくっていく、こういうことが行なわれるようになりますと、ずいぶんそうした点が違ってくるのです。日本はまだそこまでいきませんが、都市計画法によりまして、御存じのように線引きも行なわれるような状態に、おそまきではあるけれども進んできました。今後そういうことで、できるだけスプロール化を防ぎながら集中投資をしてまいる、そうして地主は地価の上昇に応ずるだけの地元負担をあえて辞さない、こういうようなことで、国の補助金の増額とあわせて事業の進行をはかってまいる、こういうふうに考えています。
  85. 中村重光

    中村(重)委員 いずれにいたしましても、全国平均率があまりにも低い。それから、申し上げたように、長崎はわずかに六%ですね。そういったことにやはり注目をしていただく。そうして原因を究明していく。また、一応お答えはそれなりにわかりますけれども、個人の参加というものが事実上なければどうにもならない。そこに普及率が低いということもあるのではないか。おっしゃるように、補助金だけの問題ではないかもしれません。いろいろあるんだから、したがってそこにメスを入れる、そうしていろいろな面について再検討して、制度の面において改める点があれば改めていく、そういうことでなければ私は普及しないと思います。その点を十分留意をしていただきたいということを要請しておきたいと思います。  最後にもう二、三問、公正取引委員会がお見えでございますからお尋ねをしておきたいと思います。
  86. 橋口隆

    橋口委員長代理 中村委員にちょっと申し上げますが、総済企画庁長官は退席されてよろしゅうございますね。
  87. 中村重光

    中村(重)委員 けっこうです。
  88. 橋口隆

    橋口委員長代理 どうぞ御退席ください。
  89. 中村重光

    中村(重)委員 再販問題について、鋭意これに取り組んでおられる。これもたいへん政治問題化したような感じすらいたします。近く結論を出すということが伝えられているわけですが、この結論としては、指定をはずす方向で検討をしておられるのであるかどうか、その点を一応伺っておきたいと思います。
  90. 谷村裕

    ○谷村説明員 非常に端的に一点だけをお聞きになりましたのですが、私どもといたしましては、再販制度というものが、現在独占禁止法の適用除外として認められている法目的、法益が、そのように現実に妥当するように適正に行なわれているかどうか、さらにそれの及ぼすところとして、消費者の利益を害するようなことになっていないかというふうな角度で、あらゆる角度から検討しておりますので、ただいまのように、非常に具体的に指定品目をはずすのかどうかというふうな結論を出すところまではまだ行っておりませんが、そのことも問題の検討の対象になっているということだけは申し上げておきます。
  91. 中村重光

    中村(重)委員 委員長御承知のとおり、物価安定政策会議がこの再販の再検討を提言いたしましたのですね。また、政府の行政介入といったようなものが物価を引き上げる原因になっている、それも再検討しなければならないということを、具体的な例をもって指摘をしておりました。それらの点を受けて佐藤総理大臣が、メーカーが小売り価格をきめるようなあり方は間違っている、これはやめるべきだというような発言等をいたしました。これらの点に対して、公正取引委員長としてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  92. 谷村裕

    ○谷村説明員 経済の実態は非常に複雑でありまして、メーカーが現実に小売り希望価格というふうなことを申して出しておる。再販品でない場合でもそういう問題がございます。それが別の角度からは、いわゆる現金正価なるものの意味いかんということで問題になっておることは、御承知のとおりと思います。  再販制度というものが持っている意味あるいは目的については、もう中村委員重々御承知であると思いますから、ここで申し上げませんけれども、そういう一つの法目的と現実の運用とがうまく適合しているかどうかということ、そういう角度から私どもは見ているわけでありまして、メーカーそれ自身が値段をつけて、その値段を強制して執行させているということ、そのこと自体が許されるのは一体どういう目的からかという、それだけでございまして、それが一がいにいけないと言えるかどうかという問題も含めてそういう勉強をしている、かように申し上げておきたいと思います。
  93. 中村重光

    中村(重)委員 再販制度が昭和二十八年に生まれた経緯というものがある。アメリカが御承知のとおり再販制度というものをまず制度化したわけですね。そのときは粗悪品を締め出して消費者を守るという点にあった。日本の場合もまずそれはそれなりに取り入れた。同時に、日本の場合もう一つの柱は、当時小売り商が、あの不況の中で過当競争で倒産の一途をたどるという深刻な状態であった。この小売り店を守っていかなければならぬということも、いま申し上げたように大きな柱であったわけです。ところが今日、経済は高度成長した、技術革新だ。そして今日の高度成長下において国民の生活様相というものも変わってきた中で、クリームとかおしろいに鉛を入れて売った場合どうなるのか。粗悪品をつくったら、そういう粗悪品をつくるメーカーそのものが消えてなくなってしまうという、そういう時代になってきたと思うのです。  ですから、再販の一つの柱というものは倒れた。もう一つの柱というのが、多少は中小企業の経営は安定してきたとは申しながら、まだ非常な苦しい経営状態の中にあるのだ。そこはやはり考えなければならぬ。物価面からだけこの再販制度をとらえるという点については、若干問題もあるのではないか。それらの経緯というものを十分考えていかなければならぬ。だがしかし、やはり大前提となるものは消費者をいかに守るかという点にあるだろうと思います。それらの点を十分勘案されて——次の委員会においてお尋ねをいたします。あなたのほうも十分詰めておられる時期であろうと思います。来月十一日、二日が委員会ということでございますから、十一日にお尋ねをしてみたい、こう思います。いずれにしても一、公正取引委員会が政治問題に巻き込まれないで、見識のあるき然たる態度をもってこの問題に対処していただきたいということを要請いたしまして、きょうは質問をこの程度で打ち切っておきたいと思います。  以上で終わります。
  94. 橋口隆

    橋口委員長代理 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際休憩いたします。    午後零時三十八分休憩      ————◇—————    午後一時五十分開議
  95. 浦野幸男

    ○浦野委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質問を続行いたします。岡本富夫君。
  96. 岡本富夫

    ○岡本委員 最初に公害問題について御質問いたしますけれども、御承知のように、きのうのテレビを見ますと、アメリカからも、公害問題についてはわが国と提携をし、また資料の交換などをしようというような非常に強い姿勢に変わってきております。したがって、わが国におきましても公害問題にはさらに一段と力を入れなければならぬ、こういうことでありますので、きょうは公害問題を取り上げて若干解明をしていきたいと思います。  そこで、通産省の荘公害局長来ていますね。——昨日の各紙の報ずるところによりますと、東京において、日本電気府中事業場付近から神通川を上回るところの高濃度のカドミウムが出た、こういうように発表されましたけれども、この新聞を見てあなたはどういうことを感じられたか、ひとつまずその点をお聞きしたい。
  97. 荘清

    荘説明員 府中の日本電気のカドミの問題につきましては、指定河川でございまして、従来から東京都知事に権限が委任されておりまして、監督をお願いしておったわけでございますが、こういう大都市で相当高濃度のものが出たということは、これから原因の解明については、都のほうであの河川の上流から下流まで総合的に検討されるわけでございますが、とにかくこういう危険のある工場につきましては、企業の自覚も必要でございますが、早急に政府、地方一体になりまして十分な調査も行ない、所要の措置も迅速に講じていくということが今後非常に要請されるということで、私どもも今後一そう努力しなければならぬ、こういうふうに痛感した次第でございます。
  98. 岡本富夫

    ○岡本委員 経済企画庁長官がお見えになっておりまして、公害対策会議の御一員でございますので……。  ここにこういうことが書かれております。東京都の中川予防部長あるいは富沢都首都圏整備局次長、この人たちが十二日の午前十時に記者会見を行なったときに、非常に重苦しいところの態度で、「原因が日本電気の排水だと断定はできない」、こういうようなことを言っておりますけれども、これはまさしく企業を守る、すなわち健康を第一にするところの公害対策の態度ではないと思うのです。いまだにこういうような態度である。また、非常に重苦しいような態度だということになりますと、いつまでたっても公害問題が解決はしないと思うのです。  そこで、公害基本法もいよいよ改正しなければならぬというときでありますが、ここで、公害対策国民の健康が第一か、あるいはまた企業と同列にするのか、この問題はずいぶん論議されましたけれども、地方自治体においてはこういう姿なのでありますから、あらためて長官からひとつはっきりと国民の前に解明してもらいたい。それからさらに、地方自治体にも、こうした態度を改めていかなければならぬというような指導をしていただけるかどうか。この二点について。
  99. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 まず、経緯をちょっと担当者から申し上げた上で、私からお答えします。
  100. 宮崎仁

    宮崎説明員 御承知のとおり、人の健康にかかわる基準につきましては、四月にその内容を閣議決定をいたしまして、八月からこれを適用いたしております。この地域につきましても、指定水域にかかわるところでございますので、当然八項目の健康基準が適用されております。問題になりましたカドミウムについても、これは当然規制されることになります。  そういう事態でございますが、ちょうど問題になりました工場付近においてカドミウム汚染があるのではないかというようなことが問題になってまいりまして、東京都のほうで調査をいたしたわけでございます。そして、どうもその結果において問題があるということで、カドミウムの、これはメッキ工場のようでございますが、その操業はすでに先ほど通産省からもお話があったようにやめまして、そして調査をさらに続けておったわけでございます。この工場汚染との関係ということにつきましては、これはさらに詳細な検討が必要だと私ども考えております。何か検討の結果、まだ十分私ども直接聞いておりませんけれども工場排水口上流部でも何かそういったものが出たというようなこともあるようでございますので、その辺の究明を十分行ないまして、そしていろいろの措置がまた考えられる、こういうことになると思います。ただ規制のほうの措置はすでに働いておる、こういう状況でございます。
  101. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 ただいまの話にございましたように、すでに規制をしておるわけでございます。目下検討中であるので、いま御指摘のような答弁があるいはあったかもしれませんが、もちろん先般来、政府としましても現在の公害基本法を改正しよう、こういうことをすでにはっきりと言明をいたしておるところでございます。その趣旨は、もちろん御指摘のように、この公害問題について別に政府が企業擁護の立場に立つというようなことは一切ない、これは明らかに公正な立場からこの問題を処理していく、こういうことでございまして、別に政府としてその今日の方針を変えておるところではございませんから、今後も一貫してその立場において処理をはかってまいらなければならない、こういうふうに考えております。
  102. 岡本富夫

    ○岡本委員 私がなぜこの問題を取り上げてやかましく言うかと申しますと、実は四十二年の菅野通産大臣のときに、ちょうど神通川事件、あるいはまた水俣事件、阿賀野川事件、こういうのが非常にクローズアップされまして、たとえば水俣、阿賀野川事件、これは十五年来の係争であったわけです。ところがそのあとで神通川事件が出たんだ、したがってこうしたカドミウムの出るところの工場を総点検してもらいたい、こういうことで私は提案しました。そしてその総点検といいましても、実はその前に水俣、阿賀野川のこういう事件があったので、通産省としては各工場に対してどうやっているかという報告をとった。ただ、報告だけだったので結局は点検にならなかった。したがって、こういうことではだめじゃないか。通産大臣の菅野さんは、まことに遺憾であります、今後は必ず直接調査いたします、こういう約束をして、その後こうした事件が次々と起こっているわけでありますけれども、四十四年、四十五年と去年、ことしにかけましては、重金属の被害が続々起こってきておるわけでありますけれども、この府中のカドミウム公害は、すなわち日本電気、この付近と書かれておりますけれども、このときの総点検の中に入ったのかどうか、すでに点検をしてあったのかどうか、この点についてひとつ通産当局からお聞きしたい。
  103. 荘清

    荘説明員 お答えいたします。  通産省カドミウム関係工場総点検の中に当工場も入ってございます。ただ実施の時期が、東京都がまた独自に行ないました都内四十五工場調査よりも若干ずれまして、九月の初めにやったわけでございます。したがいまして、当工場は八月にすでにカドミウムメッキ工場を停止いたしました。そのあとになりまして、結局当工場については、その停止の状況を確認した。それからまた停止後のメッキ槽から若干水が出ておりましたが、それを取りましてそれの分析を行なった、こういう状態になっております。
  104. 岡本富夫

    ○岡本委員 四十二年、菅野通産大臣に約束を取りつけた。それからこれは何年たっていると思いますか。まあ済んだことを言うてもしかたがないみたいなものですけれども、四十三年、四十四年、四十五年。二、三日前のテレビのスタジオ一〇二ですか、そのテレビを見ていますと、イタイイタイ病の権威者であるところの、発見者であるところの萩野博士が神通川の問題を取り上げて話しされておりましたが、〇・六ないし〇・七というような米を二年前から食べなかったならば、こうした骨折なんか起こってなかったのじゃないかというようなことも発表しております。これは私またけさ電話で確かめたわけでありますけれども、そういう面から見ますと、四十二年にそうした答えがあって、ことしの九月こういうことになれば、この対策というものはほんとうに後手後手になっている。そうした通産当局の怠慢というか、あるいは責任というか、この点についてぼくはきょうは大臣に聞きたいと思ったのですけれども、またあと大臣が見えるはずですが、あなたからまずお聞きしたい。
  105. 荘清

    荘説明員 お答えいたします。  従来童金属関係全国多数の工場調査につきましては、その大部分が都道府県の監督に属しておるというふうなこともありまして、県を通じましての監督ということに当然なっておったわけでございますけれども、何ぶん数も多い、中小工場も相当あるというふうなことで、とかく不十分な点があったことは御指摘のとおりでございまして、非常に遺憾に存じております。今回はカドミウム問題の一斉点検ということで、本省も乗り出しまして、地方と一緒になって実施したわけでございますが、今後ともこういう危険物質関係につきましては、中央、地方一体になりまして十分に調査を行ない、随時適切な措置をそのつど講じていくということでぜひまいらねばならない、こういうふうに思っておるわけでございます。
  106. 岡本富夫

    ○岡本委員 それは今後の問題も必要でしょうけれども、まず過去のことを反省しなくて今後の対策は立たないと思う。なぜいまみたいにもつと早くできなかったのか。しかも厚生省調査したのが、製錬所をやりましたけれども、この八つの製錬所に対してはそれが抜けていた、こういうこともございました。そこで富山県の三日市の日本鉱業、これも八製錬所のうちの一つだったわけですけれども、こうしたカドミウムを排出するという疑いのある工場に対してまずしぼりまして——この八つの製錬所は通産省の直接の管轄じゃない、こういうことでいまま放置されておったわけでありますけれども、どうしても地方自治体は、事業税あるいは工場誘致、こういうことで、非常に対策がおくれたり、あるいは立ち入り検査も非常におくれたりしておる。  そこでまず私の提案は、通産省からこの八つの製錬所に対しても——そのうちの一つはできましたけれどもあとの七つの製錬所に対しても鉱山保安法の適用をして、そして公害対策をよくきちんと行なえるかどうか、強力な行政指導をして、それから地方自治体に権限をおろしてあげる、こういうようにならなければならない、こういうように思うのですが、その点について荘局長のお考えを聞きたい。
  107. 荘清

    荘説明員 亜鉛、銅、鉛関係の七つの独立製錬所でございますけれども、これにつきましては県と通産省と共同いたしまして、ことしの八月に全面的な排出状況及び環境状況の調査を実は実施いたしたわけでございます。御指摘にもございましたとおり、この七つの製錬所は鉱山保安法の対象になっておりません。と申しますのは、鉱山保安法では、法律の規定で鉱業法の上でのいわゆる鉱山及び鉱業法の上での製錬所、鉱業権者が実施しております場合の製錬所というものが鉱山保安法の規制の対象であるということに現在なっておりまして、鉱業権者が行なうものである。鉱業権者の法律上の特別な地位にもかんがみまして、非常にきつい監督規定が整備されておるわけでございます。  先生ただいま御指摘になりました独立製錬所を、いきなり大気汚染防止法とか工場排水規制法のほうで県に規制をさせるというのではなくて、ひとまず通産省が十分監督して、その上で県におろしたらどうかという御趣旨、確かに承りましたが、現在は鉱山保安法の対象には、これは鉱業権者が行なっておりませんので、法律上は不可能でございます。また、現在七つの中の二つの製錬所につきましては、実は大気汚染防止法の指定地域の中にございまして、大気関係は大気汚染防止法の適用を現に受けておるというふうな状況もございます。また排水の関係につきましては、近く経済企画庁のほうで、それぞれ七つの製錬所の排水しております河川の水質指定等も行なわれるべく着々御準備が進んでおるやに伺っております。  こういうことで、方向といたしましては、地方のほうで現在の法令のもとで監督をお願いするという方向に進んでおるわけでございますけれども通産省の所管業種であるいわゆる製錬所であることには変わりはございませんので、現在大気法の指定を受けてないという製錬所も実はまだ五つ残っておりますけれども、これにつきましても、通産省の行政指導によりまして、実は地元の県と緊密な連携のもとに従来から指導を行なってきたところでございます。現在七つの製錬所、それぞれ必要に応じまして改善工事など実施をさせておりますが、これも、監督指導すべて法令上お願いすることになっております県のほうと、事前にその内容等についても十分御相談した上で、通産省からの行政指導ということで実は実施させておるわけでございまして、今後とも両者密接に協力いたしまして万全を期したい、こういうふうに考えております。
  108. 岡本富夫

    ○岡本委員 いま聞いていても前向きの姿勢がない。そのためにこうした府中の日本電気の排水によるところのカドミウム公害がいまになって浮き彫りにされておる。だから、そうした姿勢をどうしてもここで変えて、公害問題については強力に、法の改正が必要であれば法改正をする、あるいは政令の改正が必要であれば政令の改正もするということにしなければ、後手後手になってしまう、これを私は言っているわけです。  そこで、大臣お見えになりましたからちょっともとに戻りますが、いまもちょっと論議しておったのですけれども、実はきのうの夕刊に出ました府中のカドミウムの問題を取り上げました。四十二年に菅野通産大臣のときに、こういうカドミウムを排出する工場を全部総点検をして適切な指導をし、カドミウムが出ないように、こういう被害が起こらないようにと、強力にぼくは要請しておいた。ところが、それから三年たって、こうして府中の日本電気のカドミウムの問題がいまになって出てきておる。これはあと人体検査などしないとよくわかりませんけれども、ここでの米なんか買い上げることになると思うのです。米を買い上げるといいましても、食管の金は国民の税金ですよ。結局、通産の怠慢によって、こうしたところの何年か前にとめることができたものがいまになって大騒ぎが起こるということは、非常に遺憾であると私は思うのですが、それに対して、ひとつ大臣に確たる返答あるいはまた今後の考え方、これをお聞きしたいと思うのです。
  109. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 事実に徴しまするに、ただいま御指摘のようなことがあったわけでございますから、私どももっと早くこの事実を知っておれば早急に処置し得たであろうということは、これは御指摘のとおりと思います。一般に公害の問題につきまして、私どもの意識というものがもっと早くから問題をとらえておれば、現在起こっておりますような問題は、そのほかにもいろいろ問題がございますけれども、早く処置し得たであろうということは、まことに言われるとおりであると思います。したがって私ども、おくればせではありますけれども、今後このようなことが再び起こりませんように、徹底的に関係の法律も一整備いたしまして、公害問題全体に当たりたい、こう考えております。
  110. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうしますと、あらためてカドミウムを排出するおそれのある工場の総点検と、それから行政指導を適切に行なっていただけるかどうか、これが一点。  それから、府中のカドミウム汚染の問題は、水田から最高九・三PPMということでありますか、この周辺の土壌の調査を全域的にやって、そして対処するかどうか、これについての対策をお話し願いたい。これは事務当局からでもけっこうです。
  111. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 第一の点につきましてはさよう考えております。  第二の点につきましては、指定水域にもなっておりますので、東京都と協力しつつそういうふうにやってまいりたいと思っております。
  112. 岡本富夫

    ○岡本委員 次に、中小企業の場合に、公害の防止施設をつくるためには金融面で非常に困るわけでありますけれども、公害防止事業団、これは通産と厚生の共管になっておりますが、この活動範囲が、大気汚染防止法のひっかかったところ、あるいはまた水質基準のきまったところのみに限定されておりますので、これを全国的に広げるといり考えがおありかどうか。これはぜひそうしないと、中小企業にあっては公害防止はおぼつかない、こういうように思うのですが、これは大臣からはっきりした答弁をいただきたいと思います。
  113. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 一般に中小企業につきましては、公害防止事業団のほかに、中小企業振興事業団あるいは中小企業金融公庫、国民金融公庫等、公害関連の貸し出しはなし得るということにすでに制度としてはなっておるわけでございます。ただ、公害の問題というのが、ここまで意識が高まりましたのは比較的最近でございますので、十分資金の需要に応じ切れるかどうかという問題がございますから、その点は明年度にかけましても機動的に対処できるような資金の手当てをする必要がございます。  それからもう一つ、私が先々これはよほど考えなければならぬと思っておりますのは、金融機関でございますから、それらの貸し出しについて、やはり金融機関的な考え方をしなければならない。ところが、公害防止の投資というものは、必ずしも再生産的な投資でないということから、貸し出しそのものの採算性というものは、銀行的な観点からいいますと、この金を出せばすぐ利益になって返ってくるというような金ではございません。その辺については、運営もよほど、ことに政府機関においては考えておかなければならない。これもひとつ解決しなければならない問題と思っております。  それから、公害防止事業団のいまのお尋ねでございますけれども、確かに従来、公害地域を優先するという考え方から、ただいま御指摘になりましたような指定地域についての貸し出し、政令ではそういうふうになっておるわけでございます。ところが、全国一律基準というような問題も出てまいりましたし、指定されたところだけ優先的に処置をしなければならぬとは必ずしも限らなくなってまいりましたから、この政令のたてまえと・いうものはやはり変えていかなければならぬのではないだろうかということで、ただいま財政当局と一緒に検討しておるところでございます。
  114. 岡本富夫

    ○岡本委員 次に、実は福島県の磐梯町あるいはまたいわき市、この方面のカドミウム汚染の問題で、私さっそく調査に行ってまいりました。どういうような状態になっているかと申しますと、これは岡山の小林教授に分析をしてもらったわけでありますけれども、福島県の磐梯町におきましては、畑の土にカドミウムが三五・六四PPM、亜鉛が一〇九六PPM、鉛が一一一四PPM、こういう高濃度を示しております。水田におきましては、カドミウムが五三・九四PPM、亜鉛が二一一〇PPM、鉛は三七五PPM、こういうような高濃度です。しかも、日曹金属というのがございますが、ここの排水を見ますと、排水してから百メートル下流のところでとりましても、これは土でありますけれどもカドミウムが二五六、それから亜鉛が一四九七、鉛は一五三〇、こんな大きな濃度を示している。また水でも、カドミウムは三・一九、亜鉛が八五・三、鉛は〇・三九PPM。こういうような結果が出ておるわけであります。そこでこの工場に対して通産省はどういうような指導をしたのか。県に指示をしております、こういうことですから非常に弱い。ましてここの会社の社長は、もと鉱山石炭局の局長か何かというので、県の完全な指示が出てないのではないか、こういうようにも私は行って感じられたわけでありますけれども通産省としてはこうした会社に対してどういうような指導を着実にやったのか、これを実施したところのはっきりした答えをいただきたい。
  115. 荘清

    荘説明員 日曹金属の会津製錬所でございますが、今回の独立製錬所の一斉調査で、通産省から直接排水口及び煙突の排煙の調査をいたしております。県には環境濃度の調査を委託して実施をしていただいたわけでございます。排水の関係でございますが、カドミウムは、現時点では排水口では〇・〇六PPMということで、基準の〇・一PPMをかなり下回った結果が判明しておりますが、御指摘になりましたような数値というものは、土壌の中ということでございましたけれども、従来十分な防除装置等がなかった時代もあるわけでございまして、そういう時代からの蓄積ということは、これは容易に想像のつく点でございまして、現時点におきましては、基準に合格しております。  それから、排煙の関係でございますけれどもカドミウムは、同地方におきまして米の中からも発見されたようでございまして、いま厚生省の方へ県から要観察地域の指定問題について協議がなされておるというふうに私どもも伺っておりますが、通産省でこの八月調査いたしました結果は、ここは煙突が五本ございますが、排出口では一立米中〇・一〇七ないし一・〇三七ミリグラムというふうな低いものもございますが、一本はやや高い感じのものもございました。現在御案内のとおり、大気汚染防止法でも、また県の条例でも、カドミウム排水口濃度につきましては、実は基準が定められておりません。大気中のカドミウムにつきましては、環境濃度につきまして厚生省の暫定基準がございまして、一立米中〇・八八マイクログラムというのがございますが、これに対しましての県のほうの調査の結果が、まだ県からわれわれのほうへ参いっておらない状況でございます。県からの調査結果を見ました上で、カドミウムにつきまして若干高いのではないかと思われる煙突も一本入っておりますので、この工場につきましては再調査を全面的に実施いたしたいと思っています。  なお、通産省措置といたしましては、県とも打ち合わせの上で、本年度二億円の投資規模で各種の排煙関係の防除施設の整備を行なわせることとし、すでに着工させております。  なお、煙突を高くするとか洗浄装置をつけるというふうな応急工事のほうはさっそく指示をいたしまして、この点はすでに完成しておるところでございます。
  116. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは日曹金属の排水口から約百メートルほど下ったところの水なんです。日橋川という川がある。ぼくは行ってきましたが、ここの水をとっても三・一九PPMなんですよ。あなたは、基準に合格している、ここに県のあれで行っておるとか言いますけれども、一ぺんほんとうに直接行って、通産省でも試験してみたらどうですか。全部ごまかされているのだ。各県へ行きますと、なるべく大きな数字を出さないように、あるいはまたなるべく小さく押えようとして出してこない。これは私どもは小林教授と一緒に行って水をとった。前のデータと違う四十五年九月五日に採取したデータなんです。あるいは土をとったデータです。ですから、まだまだこんなものは基準に合っていないのです。そういう考えだものだから、こんな府中のようなことが次々とまた出てくる。そしてまた大臣に迷惑をかけなければならぬ。こういうことになりますと、国民のほうも非常に不安なんです。現地のほうでは、県や国で言っているのと事実とったのとは違う、こういうのです。ですから、皆さん方は県からの報告だけを聞いて、それをまるのみにしてうまく言っていますが、そうではないということは、私は事実ちゃんとこうして岡山大学のデータを持ってきているのですよ。いまここでそうして論争してもしかたがありませんが、大臣ひとつもう一度——これはこまかいことではありますけれども、やはりこのカドミウムというような微量重金属は、知らず知らずのうちに住民の健康を害するわけですから、ひとつそうしたところを再調査をお願いしたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  117. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは公害全部について言えることと思いますけれども、データというものが、どういう条件のもとにおいてどのくらいの期間、調査の結果得られたかというようなことは、公害問題というのがまだこの段階でございますので、もう少し私は、データそのものの完備ということには、一般論としてつとめなければならないと思います。ただいま御指摘のようなデータをお持ちである、通産省はまた通産局を使いまして調べたデータを持っておるということのようでございますけれども、いずれにしても、客観的に見て論争の起こらないデータというものを確定する必要がある。施策はこれからスタートしなければなりませんので、通産省といたしましても、もう一度これは調査をいたしまして、データを確定して、その上でいろいろ次の手段を考えていく、こういうふうにいたしたいと思います。
  118. 岡本富夫

    ○岡本委員 じゃ再調査をしていただくことをお願いして、次の質問に移りたいと思います。  次は、農林省来ておりますね。すでにあなたのほうでも御承知のように磐梯町あるいはまたいわき市小名浜や富岡地区、こういうところにカドミウムの含有された米がずいぶん出ております。そこで午前中も中村委員から話がありましたように、一PPM以上は政府買い上げ、〇・四PPMは配給しない、のりなんかに回すというようなことになっておるのだということでありますけれども、しからば保有米はどうするか、これについての確たる答弁がなかったわけでありますが、一つはあなたのほうから、先般産業公害の委員会でぼくが言ったために答弁が来ておるわけです。保有米については、食用以外の用途に向けるよう販売あっせんを県とともにするというような答えが来ているわけでありますけれども、この保有米は、農家のほうではあっせんしてくれとは言っていないのです。これは農家は、企業のために、要するにそうした汚染された土壌のためにそういうものができた。それを普通の品物のように、どこが買ってくれ、売ってくれというものじゃないと思うのです。したがってこの保有米についても、国のほうで何とか処理をしてあげる、そして配給米を回してあげる、そのかわりその費用は企業からきちっととるということにしないと、これは解決しないじゃないか。ましてこの買いたたきの問題がありまして、そんな汚染米だから安く売れということで買いたたかれたといううわさがあった。しかしこれは結局、あなたのほうの調査においても真偽が確かめられなかった、こういう話でありますように、たとえば食用以外のものに使うのだ、こう売りましても、買ったほうが、これを自主流通米というのですか、やみ米というのですか、それで売ってしまったから何にもならないじゃないですか。一つ一つ米に何PPMだとは書いてないですからね。袋をかえたらしまい。だからいま食糧庁がとっているところの対策というものは非常におそろしい。こっちの米を向こうへ持っていっただけだ。この点についていかがですか。
  119. 内村良英

    ○内村説明員 お答え申し上げます。  まず最初に、いわき市と磐梯市につきましては、まだ要観察地域の指定はございませんが、八月から農家が希望する場合は農家に対して配給米を売却しております。そこでその場合の条件として保有米はきちっと保管しておくということを条件にして配給米を配給しております。そこで、その残った保有米をどうするかということでございますが、現在の食糧管理法のたてまえでは、一応保有米は政府が買わない、こういうことになっております、農家が本来自家消費するものでございますから。そこで、それをのりとかその他のいわゆる加工原料にあっせんしようということで、現に富山県につきましては、すでに写真の原料用ライススターチに売却がされたということがございます。したがいまして、福島県につきましても、そういった保有米はそういった売り渡しのあっせんをしたいと考えております。  そこで、それを買った者が横流しをしたら汚染米が市中に流れるじゃないかという点でございます。この点につきましては、私どもも非常に心配しておりまして、売却した後に食糧事務所が常に、それをどういうふうに使っているかということをトレースするような形で監視体制をつくりたい、こう思っている次第でございます。
  120. 岡本富夫

    ○岡本委員 ここでお聞きしますと、保有米もそうして完全にしてあげるというように聞こえるのでありますけれども、福島県の食糧庁の出張所ですか、これの所長がだれか、名前も聞いてきましたのですけれども、たとえばいわき市の小名浜の富岡地区、ここに西丸さんという人がおります。ここは農家です。保有米はどないしてくれますか、こう言いますと、これは食べてもらわなければしようがないな、こういう答えをしているのですよ。ですから、ここであなたが答弁なさって国民に言うのと現地とでは、こんなに違うのです。その点いかがですか。
  121. 内村良英

    ○内村説明員 事実についての報告を受けておりませんので、はっきりしたことは申し上げることができませんが、その農家は配給を受けている農家でございましょうか。
  122. 岡本富夫

    ○岡本委員 保有米を持っているのです。
  123. 内村良英

    ○内村説明員 いや、保有米を別にしまして、本来ならば保有米で配給を受けない農家であるはずの農家が、保有米を凍結して配給を受けている農家であるか、あるいはそうでない農家であるかという点がちょっとよくわからないのでございます。
  124. 岡本富夫

    ○岡本委員 ここは配給米を十月まで——ぼくが行ったときは九月でしたが、十月までは受けられる、それから先のことはまだきまってないのだ、こういうことであった。福島はみな全体そうですよ。企業が金を何か農協に供託して、それで十月までは配給をする、あとのことはさまってない。あとどないするのですか、こういうことになれば、この保有米は食べてもらわなければしかたがないですな、こういうことを言って指導しているのですよ。だから住民はみんなものすごくおこっている。しかもここの奥さんは指が曲がっているのです。これはよく診察してもらって、どういう状態でそうなったかということはもう一度よく見ないとわかりませんけれども、ぼくはここへ事実行って見てきた。だから、あなたがここで言っているのと違う。だからあなたが、私は詳しいことは知りませんが——詳しいことを知らずしてここで答弁したって話にならないじゃないですか。その点いかがですか。
  125. 内村良英

    ○内村説明員 食糧庁といたしましては、汚染地区の農家の保有米を凍結しておいて配給米を配給するというのは、福島地区につきましては大体その方針を八月にきめまして、その旨を食糧事務所に一応指示してございます。したがいまして、私どもといたしましては、食糧事務所がそのように指導しているということを思っていたわけでございますが、ただいま先生のお話もございましたので、その点についてはさっそく食糧事務所に照会してみたいと思います。
  126. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは昔から、初め帽子をかいた人が次々写していったら、しまいに黒パンになったという話がありますけれども、やはり事同じ農林省で、しかも食糧庁管内において、こっちで言うのと向こうで言うのと違うようなことでは相ならない。ひとつもう一度よく調査をして返事をもらいたいと思います。  そこで次に、農地局長おりますね。たとえば汚染地区と非汚染地区の畑、田でどの辺に線を引くか。この調査がはっきりできてからやるのか。あるいはまた、ぼくが向こうへ行ってみましても、こっちのたんぼもそうだし、こっちのたんぼもそうだし、排煙の場合もあるし、あるいは水の場合もあるわけですが、どの辺で汚染の田畑の線を引くのか、この点についてひとつ明確にしていただきたい。これは特に現地の人たちの要望なんですか、どうですか。
  127. 岩本道夫

    ○岩本説明員 農林省におきまして、ただいま農地汚染の実態について調査を実施中でございますが、特にカドミウム関係する問題につきまして、四十五年度から、関係する鉱山、製錬所の水田あるいは農地の関係面積約二万ヘクタールを対象にしまして、どのように汚染が広がっておるか、その汚染の水平的な分布、あるいは縦の垂直的な分布、あるいはその作物に与えます影響調査いたしておりますまた要観察地域に指定されております五地区につきましては、これらの汚染を除去するなり防除するための対策、たとえば客土とか水源を転換するとかいったような対策の実施基準を得ますために調査を実施しております。したがいまして、正確な施策の対象範囲なり施策の内容につきましては、この調査がまとまりましてから明らかになるはずでございますけれども、その調査の結果が完全にまとまるのを待ちますると、なお二、三年の日子を要しますので、少なくとも今年度の調査が出ましたところで、何をやるかということを具体的に検討し、一日も早くこの対策を進めてまいりたいと考えております。
  128. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで現地を見ますと、この土壌汚染対策を講じませんと、毎年そこから汚染された米ができてくるわけです。ですから、この土壌汚染対策についてどういうように考えておるか。  なおもう一つ農林省に聞きたいのは、すでに四十六年産米のために農家は種あるいは肥料、そういうものをみな買い付けているわけです。そうしたものの救済をどうするか。あるいはまた大体お盆前に、野菜なんかは売って、あるいはお米も少し売ってお金をこしらえるというのが、いままでの農家の慣習なんです。あるいは契約栽培がある。学校と契約して契約栽培している。そういうのがみんなだめになって非常に困っているわけですが、そうしたものに対するところの救済はどういうようにするのか、それもひとつお聞きしたい。
  129. 岩本道夫

    ○岩本説明員 カドミウムによりまする農地汚染の実態、あるいはメカニズムと言ったほうがよろしいかもしれませんが、非常に複雑でございまして、その汚染の範囲も問題でございますが、どういうメカニズムを通じて有害物質が植物体に吸収され、それが蓄積されるかということを、かなり克明な調査をしまして的確な対策考える必要があるわけでございますが、当面この農家の被害を妨ぎますために、たとえば食用に供されない花木とか花とか、ほかの作物をつくるとか、またカドミウムが水に溶けにくいような中和剤を投入をするとか、あるいは、ただいま答弁いたしました土壌汚染防除工事として、排土、客土、あるいは水源を転換するとか、いろいろな対策考えられるわけでございますが、調査の進度に応じて、また地元の実態を考慮いたしまして、それらの対策考えたいと思います。それらにはいろいろ経費を要することでございますが、先生ただいま御指摘の農家に対する補償の問題も含めまして、そういう費用の問題は、現在、政府公害対策本部で費用負担のあり方について検討中でございますので、その検討結果を待ちまして対処してまいりたいと考えております。
  130. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは両大臣いらっしゃるのでちょっとお聞きしたいのですけれども、実際におきまして、ここの福島県も、私、行きましてずっと回ってきたけれども、知事がその被害地域に来まして、大体カドミウムというのはどこにもあるのだから心配要らぬよ。こんな大きなデータが出ていますがと、東京教育大学のデータを出したって、そんなものは必要ないのだ、こうあっさり片づけて、非常にみんなおこっているわけですね。したがって、こうした地方自治体に対するところの指導も、先ほど佐藤長官から話があったように、やはり国民の健康が第一なんだということをもっと強力に指導をしていただかなければ話にならない。いつまでたっても公害問題は解決しない。あるいは企業に押されておるのかどうか知りませんが、こういうような姿を私は見てきたわけですが、それに対して両大臣から、さらに強力な御発言をいただきたい、またお答えをしてもらって、はっきり国民の前に明らかにしてもらいたい、これをひとつお願いします。
  131. 宮崎仁

    宮崎説明員 経済企画庁側のほうでちょっと経過を申し上げておきますと、いま御指摘のように、この問題に関しまして県の条例での規制がございますので、福島県の事務当局の意見としては、当初条例でやるので、必ずしも指定をして国の基準によって規制をする必要がないというような御意見もあったようでございます。しかし問題が非常に重要でございますので、いろいろ話をいたしまして、県知事のほうもやはり指定をしていただいて、そして国の基準としてこれをしっかり規制をすることが必要だ、こういうことになりまして、今月中に先ほど御指摘の七製錬所という問題がございましたが、その一環としてこれについての指定と基準の設定が行なわれる予定になっております。そういう形でやってまいりたいと思っております。
  132. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 いまのお話でございますが、これはやはり最近における日本の全土にわたる公害意識の向上といいますか、これを背景にして、私どもは今後の行政を地方に委譲しよう、こういうように考えておるわけであります。でありますから、もちろん岡本さんが御指摘のような点が万一ありますれば、これはわれわれとしても注意をすべきことであります。あそこの知事さんはお医者さんですから、私は百も知っているんだろうと思うのです。あるいは不安動揺を与えないためにどういう表現をされたか、ちょっと具体的なことはわかりませんけれども、今日においてそうした問題について真剣に取り組まない知事はないと私は信じております。今後も政府、地方一体になってひとつそうした問題への取り組み方を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  133. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 知事が、どういう環境のもとにどういう目的でどのような表現を使われたかということがわかりませんので、それについて論評いたすことはできませんが、ただいま企画庁長官が言われましたように、明白に基準量をこえる、しかもそれがカドミウムでありますとなおさらですが、そういうものについて、これは何でもないんだというようなことを言われるということはよもやあるまいと思います。
  134. 岡本富夫

    ○岡本委員 よもやあるまいということはおかしい話です、ぼくは聞いてきたんですから。しかしそれはそれとして、その問題で一々言っていてもしかたありませんから……。  そこで福島県のこの二地区に対しての健康調査の問題でありますけれども、これは現在県でやっております。しかしそのやり方を見ておりますと、たとえば冨山県から萩野博士を呼んで、健康調査の診断をしてもらった。しかしその中に、この被害地域では、非常に病気にかかっている、そういうような人はなかなか入れない。やっと現地の人がやかましく言って三人入れたというのですね。あとの人は健康調査をやらない。こういうような姿も見てきたわけでありますが、正確な健康調査をこれをやるかどうか。  それからもう一点は、このいわき市の小名浜町ですか、あるいは磐梯町、これは要観察地区に厚生省は指定するか、この二点についてお答え願いたい。
  135. 山本宜正

    ○山本説明員 健康調査の実施の方法につきましては、実施の線を厚生省のほうで指示いたしまして、それに基づきまして県がやっておるわけでございまして、いま先生が御指摘のような点につきまして、私ども県から伺っておりませんが、一応対象住民を一次検診いたしまして、その上さらに二次検診、精密検診、こういう三段階でやっておるわけでございまして、もし御指摘のような点がございますようならば、強く県にもその点を指摘して、そういったことのないようにいたしてまいりたい、かように存じます。  それから第二番目のお尋ねでございますが、磐梯町につきましては、現在私どもも要観察地域として指定する方向を考えております。ただ詳細に指定いたします場合には、地域の、俗に申しますと線引きと申しますか、そういった点につきまして現在県と緊密な連絡をとりまして最終段階に持ち込み、近く指定に運びたい、かように存じております。  小名浜のほうの問題につきましては、まだ国といたしましても、要観察地域に指定するというところまでいってはいないように思っておりますが、これも県の調査を十分とりまして、早急に結論を出すようにしてまいりたい、かように存じております。
  136. 岡本富夫

    ○岡本委員 厚生省、ちゃんと東京教育大学の森下助手の試験データでも、小名浜の富岡地区あたりの玄米あるいは白米を調べたところによると、ちゃんと基準以上は出ておる。厚生省が言っておるところの一PPMですか、これよりもみんな大きなデータが出ておるわけですね。なぜそこに磐梯町と小名浜町との差をつけるのですか。その点ぼくはおかしくてしかたがないのですがね。あなたのほうにもおそらくこのデータは行っているはずですが、その点もう一ぺん……。
  137. 山本宜正

    ○山本説明員 お答えいたします。  現時点で差がついているような形になっておるかと思いますが、私どものほうといたしましては、要観察地域に指定する場合には、米の中の含有量のほかに、地域の健康調査等もあわせ含めまして判断いたしますということでございまして、小名浜のほうのデータが若干おくれているということでございます。
  138. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうしたら、かっちりしたデータが出たら要観察地区にするということなんですね。
  139. 山本宜正

    ○山本説明員 そういうことも考えられるわけでございます。
  140. 岡本富夫

    ○岡本委員 どうもはっきりしないが、考えられるというのは。だからぼくは、きょうは厚生大臣に出てもらいたいと言ってあったのだ。そうしたら厚生大臣は何か北海道に行かんならぬ。それでは局長にさせろと言ったら、局長も北海道に行かんならぬ。部長はどうかと言ったら、部長は昼から用事がある。大体、厚生省ははっきりした答弁をする人を委員会に出さなければならぬ、こういうようにぼくは言っておいたのだが、あなたはそれをはっきりできないじゃないですか。  この問題で聞いておってもしかたがないから……。次に、やはり小名浜に日本水素というのがありますが、ここから一日に八キロのシアンを出しておるのです。このシアンの安全基準としては大体二PPM。ところが、宮城県の衛生研究所でこの水を持っていって調べたところが、三・四一PPM出ておりまして、二PPMといたしましても、シアンが一日に八キロ流出しているから、これは十万人の命を奪う大きな量なんです。しかもこの小名浜は鮮魚、要するにサケとかカツオですが、いまカツオをどんどん揚げておりまして、その水をカツオの上にかけておる。そのために、売り上げが非常に少なくなったとか、大暴落したとか、そういうことも私この目で見てきました。また底びき組合や、あるいはまたそうした中小の組合が、網でもってその港の中をちょっと出たところですけれども、そこへ行くと奇形の魚がずいぶんおる、こういうことで商売にならぬというので非常に問題になっております。聞くところによると、ここはまだ経済企画庁水質基準もきめていないということでございますが、これに対するところの水質基準をどういうようにきめ、あるいはどういうように指導するか、これについて経企庁長官あるいはまた通産省、両省から意見を聞きたいと思います。
  141. 宮崎仁

    宮崎説明員 御指摘の小名浜海域の問題につきましては、そういった事態も出てまいりましたし、前々から若干議論もございまして、これを指定水域として規制をいたすべく、水質審議会においてすでに部会を設置しまして取り上げておりまして、今月中に指定と基準の設定を行なう予定でございます。  この日本水素の工場も当然そういった場合に問題になりますが、実はこの指定の問題が最初に出ましたのは、先ほどから御指摘の製錬所の問題が動機で問題に出たようでございます。しかし、この日本水素の工場排水についても一問題がございますので、これも水域の中に取り込みまして規制をする、こういう方針で現在作業をいたしておるところでございます。
  142. 荘清

    荘説明員 日本水素の小名浜工場の件でございますが、シアンの問題につきましては、とりあえず緊急措置といたしまして、次亜塩素酸カリによるシアンの除去の措置をとらせまして処理をさせておりますけれども、なお抜本策としまして、同工場の排水につきまして完全循環方式による設備をさせております。今後は排水が出ないというふうにさせるわけでございます。この工事は現在やっておりまして、十月一ぱいで一応終了することに予定されておりますので、従来の蓄積の問題がございますが、今後におきましては、こういう工事を通じまして、シアンの流出の防止ということに万全を期したいと考えております。
  143. 浦野幸男

    ○浦野委員長代理 ちょっと岡本さん、あと質問者の時間の都合もございますので、この質問一問で終わっていただきたいと思います。
  144. 岡本富夫

    ○岡本委員 一問というわけにいかぬので、あと簡単にぱっぱっとやりますから、常識を重んじて……。
  145. 浦野幸男

    ○浦野委員長代理 あとがつかえておりますから、そうしてください。全部一ぺんに質問しておいてください。
  146. 岡本富夫

    ○岡本委員 わかりました。それでは委員長の要請がありますので、一つは私どもが総点検をやりましたときに大阪湾で非常に水銀が検出されておる。これもよく御存じだと思います。それで非常に困っておるのは、水域指定ができていないので、この基準の決定ができないので工場の取り締まりもはっきりできないというのが、まあ地方自治体のいわくでありますから、この水域指定をいつ行なうことができるか。これは経企庁。  それから次には、この間尼崎のほうに調査に行きましたが、この大気汚染の八〇%、すなわち〇・〇八四PPMの亜硫酸ガスが出ております。この基準は〇・〇五PPMですが、これ以上に上回っておる。この八〇%の亜硫酸ガスは関西電力の第一、第二、第三、それから東、この火力発電から出ておる。このためにここにどうしても排煙脱硫をつけさせなければならぬ。この間、木川田さんに来てもらっていろいろと聞きましたが、排煙脱硫なんかをつけると非常に電気代が高くなるのでむずかしい。しかし、ここは特別の汚染地区ですから排煙脱硫でもさせるという意思が通産大臣おありかどうか。  次に厚生省に。この尼崎の健康被害の調査がおそらく終わったはずですが、いつ公害病の認定の指定地区にするか。  この三点をお聞きしたいと思います。まず経企庁から答えていただいて、それから通産大臣、それから厚生省、こういうようにお願いします。
  147. 浦野幸男

    ○浦野委員長代理 簡明に願います。
  148. 宮崎仁

    宮崎説明員 お答え申し上げます。  大阪湾につきましてはすでに調査を実施いたしておりまして、大体の結果がまとまっておりまして、現在これを基準に当てはめるべき作業を実施中でございまして、今月末に水質審議会において部会の設置をお認めいただきまして、年度内に基準設定をしたい、こういうふうに考えております。
  149. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 尼崎の火力は、御承知のように、これは本来でありますともう動かさなくていいと考えられておったものでございますから、どうしてこういう電力の需給状況が関西で狂ってきたかという、もとのことを実は私どもはやはり問題にしたいところでございます。しかし、それはそれといたしまして、ともかく現状のようでございますから、まず低硫黄の油をたかせるということを一番にすべきであろうと思います。  それから排煙脱硫でございますけれども、これは御承知のように、いま関西電力では堺で十一万キロ程度のものを半ば実験的にやっておりまして、これが本格的にいいということになりましたら、排煙脱硫まであちこちに広げてまいりたいと思いますけれども一、これには多少時間がかかります。したがって、当面低硫黄をなるべく集中するということで地元の御迷惑を防いでまいりたいと思っております。
  150. 山本宜正

    ○山本説明員 尼崎市の健康被害の救済措置の問題でございますが、現在までに六月及び九月の二回にわたりまして現地においての調査を実施して済んだわけでございます。第二回目の調査の終了後のデータを現在集計中でございまして、その結果近く指定の方向に持ってまいるということでございます。ただ、政令の改正等の必要がございますので、その点の日時をお貸しいただきたいということでございます。
  151. 岡本富夫

    ○岡本委員 宮澤通産大臣から、排煙脱硫がまだうまくいってないから、その様子を見てからというような話がありましたが、これは木川田さんにこの間来てもらったときに、もう完全にできるという自信がつきましたということでしたから、ひとつそれは早急に指示をしていただいて、まああそこは特に電力の不足ということも考えてする場合であれば、特に全体から見て、採算を度外視してでも必ずつけさせて、そして健康を守ってもらいたい。これをひとつ要求いたしまして終わります。
  152. 浦野幸男

    ○浦野委員長代理 中谷鉄也君。
  153. 中谷鉄也

    ○中谷委員 同僚議員の質問があるようでありますから、私、簡単にまとめたいと思います。  最初に宮澤通産大臣お尋ねいたしたいと思います。この質問は、宮澤通産大臣の十月七日の衆議院の産業公害特別委員会での、次の答弁に対しての質問であります。「公害というものについての国民の意識がこれだけ高まってまいりましたことは、きわめてけっこうなことであると思っておりますけれども。何ぶんにも従来放置されておりました問題でありましただけに、問題のとらえ方が多少情緒的になりやすい、ただいまそういう段階にあると思います。そこで、基本的には、この問題はやはり理性的にとらえられなければならない」、「現在多少情緒的な——これも従来放置されてまいりましたからやむを得ない面もございますけれども、そういうとらえ方が地方などでなされております結果、」云々、こういう御答弁であります。始関委員質問に対するお答えでありますが、これについてはその後同僚委員のほうからその真意をお尋ねし、さらに別のところで、宮澤通産大臣がこういう答弁をしておられるけれどもこれは一体どういうことなんだろうかというようなことを、総務長官に対して質問した人までいるようであります。それで、大臣としてはちょっと食傷ぎみであろうと思いまするけれども、私もやはりこの問題についてお尋ねをしたいと思います。  真意を承りたいというのが質問の趣旨でありますが、要するに、本来公害によって被害を受ける、不快な感じを受ける、そういうものは結局感情的にならざるを得ないじゃないか。そういうようなものについて理性的にということは一体どういうことなんだろうか。理性的であるということは私は理解できないわけではないのでありまするけれども、何らかの前提条件がそろわなければ理性的になるわけにはいかないじゃないか。そういった前提条件についての欠落があったままで理性的にとおっしゃっても、これは無理じゃないか、こういうような感じがいたします。大臣の御答弁も、その点については非常に注意深く御答弁をしておられるというふうに拝見をいたしましたけれども、あらためて真意をお伺いいたしたい、これが第一点であります。
  154. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは速記録でごらんくださいましたことと思いますけれども、火力発電の立地との関連における始関委員お尋ねであったわけでございます。私の申し上げましたことは、長い目で見て、この公害という問題及びそれに対する処置が国民の間に信頼を得て定着するためには、やはり公害というものは数量的にとらえられなければならないであろう、学問的に考えてここまでは許容量内である、これ以上は危険であるといったようなところで規制が行なわれ、また防除が行なわれなければならない。本来そういうものであると思います。したがって、いま急にということはいろいろ無理もございましょうが、行く行くは数量的に問題をとらえる、そしてきめられた基準については国民もこれに信頼を寄せる。またそのような基準でなければならないわけでございますか、そういうふうに問題がとらえられなければならない。そうでありませんと、火力発電が来るということはだれが考えても愉快なことではございませんから日本じゅうどこでも火力発電はお断わりかりに例を一つ申します。というようなことになりましては、これはまた電力が足りなくなれば国民の命にも一すぐかかわりますから、そういうわけのものでもございますまい。したがって、国民の信頼を得るような、学問に基礎を置いた規制の基準及びその規制を順守するためのもろもろの措置、これがとられなければならないのではないかと思います。こういう趣旨で申し上げたのであります。
  155. 中谷鉄也

    ○中谷委員 ではもう一点だけお尋ねをいたしたいと思います。私自身現に多くの公害の市民運動というようなものに若干の形でかかわり合いを持っていますけれども、現にある既設の工場の住民に対する対処のしかた。企業のトップなどが、責任者が、住民と直接会おうとしない、そういうようなことが非常に住民を感情的にしていると私は思うのです。そういうようなことについて、公害というものについて住民と企業との間での対話が行なわれていないような、そういう状態がある限りは理性的なというふうなわけにはいかないだろうと思うのが一点であります。  いま一点は、既設の企業が現に公害を発しているわけでありますから、数量的にとらえろといっても、現に発している公害についての防除策がなされなければならない。そうすると、公害の問題というものが数量的に、したがって理性的にとらえられる前提としては、住民との間の、あるいは地方公共団体との間の公害防止協定というようなものが結ばれるというようなことがどうしても前提でなければならないだろうと私は思うのです。そういうふうな前提が現在はなはだ欠除している。そういうふうな状態の中で大臣が行く行くはとおっしゃいますけれども、じゃお尋ねをいたします。  大体、現にそういうふうな問題を放置されておった。そういうふうな、住民自身がものごとを数量的にとらえることを私も期待をする。しかし、それが行く行くはということでありますけれども経済企画庁長官にあとの問題をお尋ねいたしますが、少なくともあと五年や六年、あるいは七年や八年はかかるんじゃないかと思う。大臣は、行く行くはというようなことは、一体どの程度を期待し、どのような見通しの中で言っておられるのでしょうか。大臣に対する質問はこれだけなんです。
  156. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 中谷委員の御質問になっておられます面と同じ平面でお答えを申し上げますけれども、現に公害が発生しているとまずおっしゃいましたが、その現に公害が発生しているということ自身、現に何が何PPM発生しておるのかというようなことがお互いに客観的にまず確定されなければいけないわけでございますし、それが許容量以下であるか以上であるかということも、これは理性的に客観的に定めませんと議論のスタートがございません。それを一つ申し上げたいことと、それから企業の責任者は、そのような客観的な基礎の上に立ってその防除に努力をすべきであり、また住民の声を聞くべきでございますけれども、これはおっしゃるとおりと思いますが、その場合それが、そういう客観的なデータを持たずに、何となく多数の力というような形でありますと、これはかえって事を冷静に客観的に決定することにならないであろう、そういう面をもおそれるわけでございます。私の申し上げていることの意味はおわかり願ってお尋ねでございますから、これ以上申し上げませんけれども、そういう意味合いを申し上げておりました。  さて、そのような国民が信頼し得るところの客観的な水準というものは、どのくらいたったらできるであろうかというお尋ねでありますが、これはやはり本来から言えば、公害についての幅広い半間というものがもう少し発達しなければならないのでございましょうから、厳格に申しますとかなりの年月がかかるということでございましょうが、とりあえずの問題としましては、政府がこの際公害についての基本法を改め、そして基準も、ものによりましてはいわゆる指定制というのをやめる、シビルミニマムというようなものを考える、そういうことがほぼ整ってまいりますと、まずまずそれ以下であれば許容し得るものであり、それ以上は許容し得ないというような、おのずから議論の対象となる公害の程度というものが客観的にきまってくるのではないか、こういうふうに期待をしておるわけであります。
  157. 中谷鉄也

    ○中谷委員 次に経済企画庁長官に対するお尋ねをいたしたいと思いますが、これは私のほうから宮澤さんのほうに次のようなことだけ、私の意見だけ申し上げておきます。  最近、私の友人が日弁連の中で環境権という問題を提起いたしましたけれども、先ほど大臣が、大ぜいの人が押しかけていって事を大きくしてはかえっておかしいことになるだろうというふうなお話がありましたけれども、私は次のように思うのです。たとえば言うてみれば、賃金の問題について、労働者は労働組合があって、団結権と団体交渉権、団体行動権があるじゃないか。生命と健康の問題について市民に団結権や団体行動権や団体交渉権というふうなものがないということが大体おかしいのであって、結局、大ぜいでその問題について団結をして団体交渉をするというようなこと、これは人間の本能じゃないか、こういうふうに私は思うわけであります。ただ、この問題については、実は三十分までに質問を終わる約束らしきものをいたしましたのでこれ以上申し上げませんが、意見だけを申し上げておきます。  そこで、長官に御答弁をいただきたいのは次の点であります。従来から私は、公害の解決については新経済社会発展計画というものが、少なくとも近い機会にすみやかに修正されねばならないだろう、そういうことを申したところ、それについては現在考えていない、これが長官の御答弁でありました。そこで、私は本日都市河川の汚染の問題についてお尋ねをしたいと思うのですけれども、若干経過を私のほうから申し上げておきますけれども、「水質汚濁に係る環境基準の設定の基本方針について」の答申を四十五年の三月三十一日にお受けになりました。その答申に基づきまして「水質汚濁に係る環境基準について」を四十五年四月二十一日、そして四十五年五月二十九日一部改正、そういうふうなものをおつくりになって、その後四十五年九月一日閣議決定をもって「公共用水域が該当する水質汚濁に係る環境基準の水域類型の指定について」を出されました。そこでお尋ねをいたしたいのでありますけれども、その類型についてはAからEまである。Eというのは、言うまでもありませんけれども、これは速記録にとどめてみたいと思うのですが、一番基準のゆるやかなもの、言ってみれば一番汚濁しているもの。達成期間についてはイからハまである。そこで新経済社会発展計画の達成年度は昭和五十年だ。ところが、答申については、必ず達成については期限を定めなさいということがあったはずであります。ところが、ハというのは、「五年を越える期間で可及的すみやかに達成」とある。五年をこえて可及的すみやかにというのは、百年河清を待つということばがありますけれども、十年たつのか十五年たつのかわからないというふうなことでは、ハに指定された都市の汚濁河川を持っている人間は承知できないじゃないか。これは一体期限じゃございませんね。五年をこえて可及的すみやかに、こういうふうな水域指定と、新経済社会発展計画で公害を重視しているんだということの関係は一体どうなるのか、これは考え方でありますから、ひとつ簡潔に御答弁を願いたい。
  158. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 これは実は当初は、たとえば八年とか九年、こういうような限定のしかたも一つあったのです。しかし、実際のわれわれの気持ちとしては、八年、九年というようなことでは長過ぎるから、できたらまず五年でやりたいということで、五年というくらいのところをめどにいたしまして、どうしてもむずかしいものについては暫定的な目標を設ける、こういうことでありますから、五年をこえるというようなことで可及的すみやかということは、あなたの御指摘になるように、百年河清というようなことを考えておるのではないかということは、これは常識でひとつ御判断を願いたい。われわれといえども、もちろんそういう気持ちで水質の審議をいたしておるわけではございません。できるだけすみやかに、本来七、八年かかると専門家が言っているものも五年ぐらいで何とかしたい、こういう気持ちをあらわした、こういうふうに御解釈を願いたいのであります。でありますから、私たちは、何も「可及的すみやかに」ということによって、無限ということを考えているわけではございません。
  159. 中谷鉄也

    ○中谷委員 そうじゃございません。ロについては「五年以内で可及的すみやかに」、ハについては「五年を越える」というんですよ、そうして「可及的すみやかに」ですから、まず国民が与えられたものは、五年はこえるんだということだけが与えられている。あと五年プラスアルファというところが問題になるわけです。その点をとにかくわれわれは承知できないし、先ほど大臣お尋ねいたしましたけれども、感情的になるな、理性的にやれといったって、理性的ではそうそうわれわれしんぼうできないじゃないですかという問題が起こってくるだろうと思うのです。  そこで私は、経済企画庁長官に都市河川の問題についてお尋ねをいたしたいと思いますけれども経済企画庁水質調査課長のお話によりますと、日本でどうにもこうにもならない札つきの川、群を抜いて汚濁している川というのが四つあるということであります。それは一つは何かといいますと和歌川、いま一つは御坊川、いま一つは大牟田川、そうしていま一つは浜川、この四つが、何十と指定した川の中で、とにかく群を抜いているたいへんな川だ。特に和歌川については、新聞の報道によりますと、水質調査課長から、あれは川ではなしにため池なんだ、要するに排水ため池だ、こういうふうなはき捨てるようなおことばをいただいているわけなんです。そこで、そんな状態の中で、五年をこえる間ということになることは、これは地元の者としては承知できないだろうと思う。それが一点です。  ところが、それはあくまでも生活環境の基準でありまして、健康に関する基準としては水銀を水質の中に含んでいないということが前提になる。もうそういうことは絶対いけないんだとなります。ところが、〇・〇六PPM以上の水銀が含まれている。和歌川を例にとりまするけれども、ヘドロの中には一九〇PPMの水銀が含まれているということを資料は報じている。そういたしますと、具体的にお尋ねをいたしますが、この和歌川についての問題は、健康にかかわる基準の違反があるのだから、これは一体どういうふうな具体的な措置をおとりになるということになるのでしょうか。たとえば和歌川のような場合にはどうなるのでしょうかという点をお尋ねいたしたいのです。五年というのはあくまで生活環境の基準であって、健康に関する基準に反している場合にはもう直ちに措置をとるんだというお答えをまずいただきたい。そうしてあと経済企画庁関係の方から私は具体的な対策をお聞きいたしたい。同時に建設省の方、おいでいただいていると思いますが、建設省の方にお尋ねをいたしたいのは、七二年、昭和四十七年までの間にヘドロをしゅんせつするということを地元は和歌川については計画をいたしておりますけれども、そういうふうな計画を建設省はお持ちになっているのかどうか、この点であります。通産省としては、一体この和歌川についてどういうふうなアプローチをされるのか、これもひとつ通産省関係の方から、それぞれ簡単にお答えいただきたい。  以上であります。
  160. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 御指摘の和歌川につきましては、経済企画庁が今日までに出ておる資料から判断して、本水域については水銀にかかわる環境基準は達成されている、こういうふうに判断をいたしております。  なお、これにはいろいろ経緯等がございますから、国民生活局長から答弁させます。
  161. 宮崎仁

    宮崎説明員 御指摘のとおり、この和歌川は非常に汚染程度のひどい川でございまして、特別都市下水路等の事業もまず第一にここが始められたという経緯もあるくらいであります。そこで、これに対する環境基準の設定は御指摘のとおり行なわれたわけでございますが、何ぶんに現在の汚濁の程度がひどいものでございますから、五年をこえる基準の適用ということにいたしております。しかし、これについての水質基準設定はすでに行なわれておりまして、これに伴いましての下水道の整備等の事業も現在進行中でございますが、さらに、この川につきましては、非常に汚濁の程度がひどいものでありますから、この河川のしゅんせつでありますとか、あるいはさらに高次の終末処理施設の設置をするとかいうようなことも考えてまいらなければならないと思います。この辺につきましても、環境基準設定の際にいろいろの議論が行なわれて、ある程度計画が出されておりますけれども、さらに建設省と十分打ち合わせまして、できるだけ早くこのEという基準が達成できますようにやってまいりたい、こういうふうに考えております。
  162. 中谷鉄也

    ○中谷委員 国民生活局長にいまの点について御答弁をいただきたいと思います。  長官は、環境基準についてはいろんな経過はあるけれども、要するに、たとえば水銀のことを私は例にあげましたが、水銀は水質の中に含んではいないんだと言う。これは一体その根拠はどこになるのでしょうか。もしそれが違っておったら、だれが責任を持つのですか。地元では、県のほうでは、結局そういうような問題について、とにかく県の発表したデータと、その後新聞社などが中心になって、あるいは地元の人が中心になってやったデータとは違ってきた、県としてはそれについては謙虚に反省をしたい、こういうふうに言っているわけです。だから経済企画庁長官、先ほど人の健康にかかわる環境基準については基準に達しておると言われたけれども、達していないという場合に一体だれが責任をとるのですか。経済企画庁としては、ほんとうにそういうことは断言できるのでしょうか。私は、もしそういうことであれば、あと、建設省やあるいはまた通産省政府委員から御答弁いただかなくていいかもしれない。しかし、もし達しているという御答弁を信用して、達してないということが——私は達していないのですよと言った。あなたは達していると言ったけれども、それはこういう経過があって、県の公害白書の中にはそういうふうなことが出ておったけれども、それはほぼ間違いだということを地元の人は断定しているのだ。もう時間がないからそういう経過を省略して質問したわけです。達しているということですが、達していないということになった場合に、一体だれが責任をとるのでしょうか。局長のほうから、長官のほうからでも御答弁ください。
  163. 宮崎仁

    宮崎説明員 その点に関しての答弁が落ちまして、たいへん恐縮でございます。  この水銀の問題につきましては、当然この環境基準の中に入っておるものでございまして、先ほど申し上げましたように、環境基準はすでに適用いたしておるわけでございますから、これを守っていただかなければならないわけでございます。これは環境基準と申しますのは、御承知のように行政の目標としてきめておるものでございますから、これが達成できるように水質の規制なりあるいはその他の措置をやっていく、これはそれぞれの事業の実施の責任にある者がこれをやってもらわなければならないものでございます。  そこで、この和歌川の地域についての水銀の問題でございますが、御指摘のように〇・〇六PPMの水銀があったというようなことがいわれておりますけれども経済企画庁のほうが四十四年度に調査をいたしておりますが、そのときにおいてはこの水銀というものは検出されておりません。その後県のほうでまた別途の調査をされたのかどうか、その点が問題かもしれませんけれども、私のほうはそういったものが出ておるということは聞いておらないわけでございます。ただ問題は、川底に沈んでおりますヘドロといいますか、汚泥でございますが、こういったものに検出されることがあり得るわけでございまして、これが水の中に入ってまいりますとそういった事態が生ずるおそれが全然ないとは言えない。現在のところそういった数値をわれわれは出しておりませんけれども、やはり今後も、先ほど申しましたしゅんせつその他の施策というものが実際に行なわれていくことによりまして、初めて個々についての水質の規制が十分目的を達し得る、こういう事態になると考えております。
  164. 中谷鉄也

    ○中谷委員 では局長、もう一点私お尋ねしますけれども、ヘドロだとか水だとかおっしゃるが、どこがヘドロだか水だかわかりはしないですよ、都市の汚染河川、いわゆるさっきあげた四つの川なんというものは。ですから、水が動いているときと動いていないときと、全然問題になりませんよ。もう一度申し上げますけれども、これは私が調査をして入っていたということになれば、一体だれが責任を持つのですか。私のようなしろうとがかりに調査をして、水銀が入っていましたよということになれば、これは経済企画庁責任をおとりいただけるのですか。そういう経済企画庁調査というものを信用して——私は信用していないのです。信用できない状態にある。しかしそれは、あくまでもまじめにやったのだ、だからもうとにかくそれは絶対に間違いないのだとおっしゃり切れるのですか。そうおっしゃって、もし私自身が水をくんできて水銀が出たという場合には、どういう責任をおとりになるのですか。少なくとも規制は四十二年より今日のほうが進んでいますよ。それが出た場合には、局長責任をとっていただけますか。
  165. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 まあ、経済企画庁調査を信用しないということでは、これは私はもう話は問題にならぬと思うのです。われわれは別にふまじめにやっているつもりはごうもありません。十分まじめにやった結果、少なくとも四十四年度に企画庁が自分でやった調査に関する限りは出なかった。そこで、環境基準の達成は今日のところはまだ行なわれておるだろう、こういうことを申し上げておるのです。しかし、われわれも事態の推移ということを考えないではもちろんありません。それからまた、地方等が有力なデータをこっちへ持ってきたというときに、十分再調査をするにはやぶさかではございません。そういう意味でもって、別に絶対的に申し上げているわけではないのでありまして、先ほど申し上げましたのは、今日までのところ調査では出ておらなかった、こういうことを申し上げておるわけであります。もちろん今後またさらに新しい有力なデータが出てさましたら、私たち、これを無視するとかいうような気持ちはごうも考えておりませんから、そこだけはひとつ御理解願います。
  166. 中谷鉄也

    ○中谷委員 じゃ私は、建設省と通産省の御答弁はもう次回でけっこうですから、もう一度国民生活局長お尋ねいたしましょう。  一体どの地点で採取されたか。それは一体調査なんですか。それは一体どういう時刻ですか。波の動き方によってだいぶ違いますね。どういう時刻の調査ですか。
  167. 宮崎仁

    宮崎説明員 調査の詳細な内容の御質問でございますので、後ほど資料で提出さしていただきたいと思います。
  168. 中谷鉄也

    ○中谷委員 じゃ、もう建設省とあれはいいということで、もう一度私のほうから言いますけれども調査については、何カ所、どの地点でどの時間に採取したか。採取の方法等は、これはもういわゆる手法については原則があるんだから、どんな方法で採取されたかということについてはお答えいただけますね。これはとにかく、長官は先ほど、信用しないのでは話にならぬとおっしゃいますけれども、こちらは五年も待たされては話にならぬというのが地元の気持ちなんですから、話になっておりませんよ。五年もたって、しかも可及的プラスアルファがついている。しかも五年で達成するのはABCDEのEだ。一番低いところだ、環境基準は。しかもとにかく全国で群を抜いて四つのうちのトップだ。経済企画庁水質個所は、あれは池である、川じゃない、そういう批評をして、とにかく、政府のおやりになっていることについて、沿岸の地元住民二十万は信用できないと言っていますよ。信用できないと言ったって、住民は私の言っていることについて、決して無理を言ったとは言わないだろうと思う。だから、調査の手法についてお答えいただいて、きょうは一応終わっておきたいと思います。
  169. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 技術的に具体的なことについてはいずれ資料を出しますが、いまあなたのお話ですと、五年たつから問題にならぬというお話ですが、私はそうじゃないと思います。今日までの長い事態を経てこういう結果になっておるのです。これまでのいろいろのものが積み重なっておる。これを直すのにある程度の年月のかかるのもやむを得ないところもありますし、特にこの川は、先ほども指摘のように非常に問題の川のようであります。そういうことで今日率直に言って公害技術の開発がおくれております。そういう点をわれわれ反省してこれを進めなければならぬ、こういうことをしておる。しかし、率直に言いまして、ここのところへきて公害の問題が急速に取り上げられておるのです。原因は根が深いのであります。でありますから、すべて半年や一年でもって片づくものばかりはございません。われわれは、もし今日の技術をもってして可能なものであれば、すべて半年なり一年でもって片づける、そういう目標で全部あの目標をつくってあります。それでも水質審議会に集まりました専門家の諸公の意見を総合して、どうしても十分にそこまで行なえないものがある今日、特に下水道の整備その他一般の家庭排水の問題になりますと、これは場所によりますけれども、多少年数のかかるものがある。そういうことを頭に置いてこれをやってある。それから企業については、原則としてもっと短く行なわれるものが多いのであります。ただ、パルプ産業のような特殊なものについては、先ほど申し上げた技術の問題がこれにございます。そういうことで、なかなか一ぺんにきれいにならないから段階をとってこれをきれいにしていく、こういうことでありますから、そこのところは、住民の皆さまのお気持ちも一わからぬではないけれども政府としてもできるだけ努力をしてあの目標をつくっておる。それは何も長引かしておるわけではございませんから、そこは御了解いただきたいと思います。
  170. 中谷鉄也

    ○中谷委員 これで質問を終わりますが、こういうことがあるのです。昭和三十四年ごろに私自身が地方議会の議員になった。いまから十年になります。それからずっと和歌川問題浜川問題というのは——これはたとえば全部都市河川だ。そのことについて住民はずいぶんそういうことを言ってきた。ことに四つの河川なんか、全部そうだと思います、御坊川にしろ何にしろ。そういう状態について、住民のそういう要望というのは十五年も前から、二十年も前からあるわけです。それについて政府自身がそれをどんどん措置されなかった、地方自治体も不熱心であった、そういうふうな状態の中で、いまになってとにかく積み重ねがあるのだからと言うが、だれが積み重ねをつくったのか。住民には責任はありませんよ。私はそう思います。それについての行政指導を怠ったのは政府であり地方公共団体ではないですか。それについて、五年待ち切れないというのはおかしいじゃないかというふうな言し方というのは、これはいたけだかな言い方だというふうにいわざるを得ません。そういうふうなことでは、最初私がお尋ねをしたように、理性的になれといったってなれないじゃないか。これはずいぶん感情的になりますよ。二十万のこの沿岸住民が立ち上がって一体どうなるかというふうなことも、この答弁の中から出てきますよ。そのことを私は申し上げたいのです。
  171. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 私もいますでに申し上げましたように、できるだけひとつ早く達成したい、これがわれわれの気持ちであり、そういう意味において、私たちは、たとえば専門家会議においてはほんとうはもう少しかかるのだというところも、できるだけ繰り上げを強く要請しているというのが実情であります。そこのところを御了解願いたい。
  172. 浦野幸男

    ○浦野委員長代理 塚本三郎君。
  173. 塚本三郎

    ○塚本委員 幸い両大臣おいでになりますから、今後の日本の経済の見通しにつきまして率直にお尋ねをしてみたいと思っております。  最初に宮澤通産大臣お尋ねをいたします。  少なくとも戦後今日までの日本経済は、いい品物を安くさえつくって売りつければ、世界の国々は一応日本の生産の量だけはほとんど買い受けてくれた。これがいままでのアメリカをはじめとする世界の経済のたどってきた道だと国民は判断してまいりました。そして自由化の声とともに、この傾向はますます拡大されてきて、日本の進出すべき経済の分野がますます広がってくると判断をして今日までたどってきたと思います。しかしこのところへ来まして、実はそのような期待と希望がだんだんとかげりがさして、暗い部面が一つ、二つあらわれてきたというのが最近の徴候だと判断されます。特にアメリカにおきましてはこの傾向が顕著になってきたやに受け取られるわけでございます。  実は私、ことしの八月にアメリカでバージャーという——これはつい最近まで経済担当の公使として来ていた人だと紹介を受けました。おそらく通産大臣も、そういう方ならばお会いになったと思いますが、この方がこういう発言をしておったのでございます。ほんとうはアメリカのとっておる保護貿易主義の態度は世界の指導者として正しい姿だとは思いません、しかしいまや、アメリカの政治家、アメリカの指導者はこのところ保護貿易主義に移ってしまっておるのです、きわめて残念なことでございまするが、私たちは役人でございます、だから、アメリカの政界が保護貿易主義に傾いておるこの振り子は、ある程度まで行きつかないと戻らないのでございます、きわめて残念でございまするが、しかし日本はむきにならず、おこらないでください、こういうふうに、半ば陳謝するような発言で、アメリカの政界が保護貿易主義の方向に振り子が行きつつあるということを、率直に実は私に語って聞かしてくれました。  同じとき、私はヨーロッパに参りましたときにも、これは西ドイツのジュッセルドルフで、広瀬さんという、実はこちらで課長をしておられた方がジェトロの所長で移られました。彼とお会いしたときにこんなことを聞かしてくれたのです。あなた新任でたいへんでしょうと、実は慰めのことばを私がかけたとき、彼が言いますのに、実は私たちはほんとうは、機械や、あるいはまた商品の宣伝や貿易のための市場拡大が最初のつとめであったけれども、いまや商社同士が自由かってに契約をして、量が急激にふえてきてしまっておるので、私たちジェトロの仕事としては、逆にドイツ政府が目をつけて保護貿易主義に移らないようにするためには、こちらで売りつけることを摩擦なく調整することが主たる任務になってしまっておるんですと、こんな説明をしてくれました。日本の経済力はそんなにまでも強くなってきたのかという、一面においては喜びの気持ちを持ちましたが、すでにヨーロッパにおきましても、日本製品を何らかの形で制限するような空気というものを察知して、そうさせられないようにということにジェトロのほうは気を配っておる、こういうふうに判断をしたわけでございます。  そうすると、アメリカならず、世界の大勢としてそういう傾向になってきたと判断をすることが間違いでしょうか。この点をお尋ねしたいと思います。
  174. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいまの御観察には、私は大いに同感を感じますところが多うございます。私も過去において、この委員会におきまして同様の所感を申し上げたことがございますと思います。
  175. 塚本三郎

    ○塚本委員 今度は経済企画庁の長官にお尋ねをいたしますが、おそらく、宮澤大臣がそうお答えになりました以上、経済企画庁も同じような観察をしておいでになると判断をいたします。  すでにして、綿製品から鉄鋼、さらに毛と化合繊がいま焦点となっております。さらにまた、別の問題点はあるといたしましても、やはりカラーテレビや板ガラス等が関税の問題でチェックをされかけてきたというような状態になってきております。そうすると、これからの経済見通しについては、いままでのような体制ではいけませんよというような、やはり見通しに対して何らかの警告をお出しになる、早手回しにそうなさることが必要だという一部の意見があります。私は、実はきょうはお尋ねをしておるのではなくて、また問い詰めようとも思っておりませんが、業界はたいへんな不安の気持ちを持っており、鉄鋼のごときはたいへんな減産の体制をとっておりまするので、関連業界も相当にさびしい気持ちでこれを見ております。しかし、事態は事態で率直にやはり警告をなさる必要がいまや出てきたのではないかと思いますが、どうでしょうか。
  176. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 いまの通産大臣のお話、私も同感であります。ただ、警告というお話がございましたが、今後のそうした局面に対する打開の方法、どういう方向でこれを打開していくか、これは一つはわれわれの努力にもかかっていると思います。それからまた、こうした局面を生じてきたことについていろいろな原因考えられるわけでありまして、われわれとして十分また考えなければならない点がございます。そういうような点についても十分検討をし、そうして、きわめて短期間の問題については別といたしまして、これから先を長く見ました場合に、直ちにいまのような警告を発するところまで考えるべきかどうか、これらの点は私ももう少し慎重に検討する必要があるんじゃないか、こういうふうに考えております。
  177. 塚本三郎

    ○塚本委員 最近の日本の輸出実績は、かつての繊維製品や雑貨と違いまして、自由価格の工業製品が実は主たる品目になったことは申し上げるまでもございません。しかも、鉄鋼にいたしましても、自動車にいたしましても、電機産業にいたしましても、日本の業界における下請け関連産業に与える影響がきわめて重大でありますることも御承知のとおりでございます。しかも、この一つ一つを指折って数えてみますると、これらの品目が一つ一つ輸出に対して——まあ、自動車はまだそんなところまでいっておりません。しかし、私はアメリカに参りましたとき、八月でございましたけれども、トヨタの社長、日産の社長——これはアメリカのでございますが、社長と会ったときに、あまりにも強気で、そうして持っている製品は売り尽くして、なお日本からの荷物を待ちわびておる。こんな勢いで、十月になりますればコロナだけで一カ月二万台、輸送が追いつかない、こういうふうな大勢、おそらくこれは日産も同じような姿でございます。月産五万台から毎月アメリカに日本製品である自動車を送り込む、これが毎月千台ずつふえていくというようなベースでいきましたときには、いつの日にか、アメリカの自動車の販売が鈍化しておるときに、日本製品だけが、うれしいことでありますけれども、こんなにも売れていくという状態は、アメリカならずとも、自国産業をかわいがる政治家の立場ならば、一言言いたくなってくるのが政治家の立場ではなかろうか。バージャー氏が言っておりますように、いまやアメリカの政治家は保護貿易主義に振り子が移っておるのです。こういう形だとすると、自動車さえも実はこのような部門の中に繰り入れられる心配があるというふうなことさえも、悲観的に警戒を私はいたしております。  こういう立場で一、二の資料等を調べてみますと、昨年までの設備投資は年間一四%の率で伸びてきておる。しかし、ことしは実は前半が九%ないし一〇%、後半はおそらく四%ないし五%に押えられるのではないかというような数字が日銀筋等からも出ておるようでございます。これは輸出の問題と関係がないかもしれません。金融引き締めの効果がいまやあらわれてきたという証左としてこの数字が取り上げられておるかもしれません。しかし、いずれにいたしましても、全般的に見たとき、われわれ政治家に聞かれることは、これからの経済の見通しはどうでございましょうかと、大ざっぱに聞かれるわけでございます。私たちも数字に詳しくありません。これからはやはり輸出は少々鈍化していくであろうから、無理に設備投資しなさるなよ、金が自由に手に入ってもやりなさるなよ、私はいまこういうふうに発言をいたしております。しかし、この場におきまして長官から、設備投資は控えるべきだという発言を正式になさる必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょう。
  178. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 まあ、設備投資の動向は、最近相当落ちついてまいりました。これはいまあなたが御指摘のように、引き締めの影響もございます。それからまた海外の状況等の影響もございます。いろいろなものが錯綜して鎮静化のきざしがございます。設備投資の先行きを示す指標は、いずれも落ちつきを示しつつあることは御存じのとおりでございます。そこで政府は、一七%ぐらい本年は設備投資が伸びるだろう——従来大体二割五分ぐらい伸びておりましたが、ひどいときは三割と伸びておりましたのが、二〇%を割って、一七、八%、こういうことでありますから、相当の落ちつく見通しを立てたわけでありまして、大体そうした点とあまりそう離れないところに本年度は年間を通じていくのではないかといま私は考えております。これはむしろ政府が積極的に指導するとか指示するとかということでなくして、民間自身が景気の動向を最近は非常に察知しまして、そしてみずからの判断においてやっておるわけであります。私たちも、そうした企業の気持ちというものを総合いたしまして全体の見通しを立てておるようなわけであります。でありますから、企業側においても、おそらくもうすでにそうした今後の見通しについてある程度立てておると思います。もちろん、個々の企業経営者によっては、まだ非常に強気なところもあり、また産業界の事情によっては、もっともっと設備投資をしないと、たとえば電力のように困るところもございます。いろいろ事情はございますけれども、まあ総体的に非常に落ちついた感じを示しつつある。特に政府が申し上げるまでもなく、一般としてもそうした感じで受け取られているということで、ですからいま問題は、そうした政府の感じというものを具体的にどう示すかということが、引き締め解除の問題ともからんで非常に注目を払われておるところだろうと思います。
  179. 塚本三郎

    ○塚本委員 今度は通産大臣お尋ねいたしますが、アメリカのその保護貿易主義に移りつつあるという空気、しかし一面におきましては、最近アメリカ及び海外市場は景気がほぼ底をついて上向きになってきておるという見方が、二、三の報道の中で見受けられるようでございます。保護貿易という一つのアメリカの持っておる体質とは別に、景気は回復しつつあるのだ、こういう見方はいかがでしょうか。
  180. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私の限られた知識でございますけれども、アメリカの景気そのものにつきまして、ただいま多数説となっておるのは、いわゆるリセッションといわれるものは脱しつつあるようである。しかしそれならば、それを回復、リカバリーとはっきり呼べるかといえば、そのようなテンポのものではなさそうである。これから見通し得る半年ぐらいの世界の失業率がかりに五%を切るということはおそらく困難ではないか。すなわち、徐々にリセッションを脱しつつあるが、そのテンポはきわめて緩慢である、こういう見方が多数説になっておるのではないかと思います。
  181. 塚本三郎

    ○塚本委員 私も一同じような判断でございまして、そうではないかと思っておりますが、ここで実は、アメリカが先ほど例示いたしましたような保護貿易主義らしき規制の動きをしておりますので、私は、八月でしたか、この問題を取り上げてアメリカの二、三のポイントの人たちと話し合って、それはアメリカとして正しい方法じゃないじゃないか、世界の指導者として恥ずべき行ないだから改めていただきたい、実はこんな発言をいたしましたとき、彼らが直ちに切り返してくることばは、日本は自由化を進めておらぬじゃないかということだった。おそらく私以上に通産大臣は何度かこのことを聞かされただろうと思っております。しかしいまや、これも日本の国際的に置かれた立場から、残存の問題やらあるいは資本の自由化を繰り上げてまで積極的に受け入れようという体制が進んできておる状態でございますが、しからば日本が自由化を西欧並みに、あるいはアメリカまではいかないけれども、アメリカとほぼ近いところまで進めてきたときには、アメリカに、先ほど例に出しましたような保護貿易的な制限は、撤廃をさせることになるかどうか。あるいは日本はたいへんな努力をしなければならぬと思いまするが、見通しとして、日本が自由化を進めていったら、それと並行して彼らは、いままでやってきたものをやはり撤去してくれるかどうか。この見通しはどうでございましょうか。
  182. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 自由化そのものは、わが国自身のために進めなければならないと思っておりますので、私は、いまから一年たちましたら、わが国の自由化の達成率というものは、よそに対しましてそう恥ずかしくないところまでいけるのではないだろうか。残念ながらいま、そこまでいっておらないということでございますから、推進いたしたいと思います。  しかしながら、先ほど振り子という例をお引きになりまして、これはたまたま私もときどき使います表現でございますけれども、これにはこれなりの経済外の要因等もございますから、やはり振り子が戻るのには一定の時間がかかるであろうということは考えておかなければならないと思います。したがいまして、わが国の自由化推進努力というものが直ちに振り子の動向に影響するということは、正直のところ私は考えにくいと思っております。ただしかしながら、われわれがその程度まで自由化を進めました後には、アメリカに向かってものを言うことができる、そうして、その言うことに少なくともわれわれ自身があまりやましくない、いわばわれわれとしては説得力がある立場からものが言えるようになるであろう、こう思っておるわけでございます。
  183. 塚本三郎

    ○塚本委員 アメリカの国務省でこの話をする前に、私はヨーロッパのジュネーブで中山大使とお会いしました。このことは通産大臣も御記憶があると思いまするが、繊維交渉のときにあそこで下田大使をお呼びになって打ち合わせをなさったということでございますので、私も実はそのとき中山大使と話をしました。そのとき私は、たいへん印象に残ることばを中山大使から聞かされたわけです。もしミルズ法案を通過させたならば、日本はそれに対する対抗措置考えるでありましょう、そういうことを念頭に置いてアメリカはミルズ法案を進めておるのでしょうかな。実は情報を知る意味で下田さんをそこにお呼びになったという経過から、私は事情を知ろうとしてそういうことばを投げてみましたとき、彼はいみじくもこういうことを言ったわけです。なるほど日本の立場は正しいと思います、しかし正しくても、そのようにして対抗措置の投げ合いをして日本が得になるのでしょうかな、こういうことを彼は言いました。私はどきりとしたわけでございます。確かに、一つ一つ対抗措置を投げ合っていれば、アメリカが一困ったならば日本は十困るのではないか。おそらく中山大使は私にそのことを言いたかったのでございましょう。私も繊維の問題でいきり立っておりますから、大使になりますとそういうユダヤ人みたいな言い方ができるかな、こう皮肉を言ってお別かれしたことを実はいま思い起こしておるわけでございます。  日本の国内でも、当委員会におきまして、きのうあたりも同僚委員の中から対抗措置に対する強い発言がなされたことを記憶いたしております。国民感情としては、一時的な経済ぺースからいうならば、対抗措置をとることもやはり当然の道である。さらにまた聞くところによりますると、外務大臣ども、対抗措置をとりますことはガットの精神でございますと、わが党の申し入れに対してそんな回答も寄せてくれたかに記憶いたしております。しかし、こういう経済の、実は保護貿易主義的な声の投げ合いをして、これがエスカレートするとは思いませんけれども、しかしアメリカのとっております動きは今日若干エスカレートしておるように記憶をしております。  そういたしますると、日本の経済のアメリカに対する依存度、これが大きければ大きいだけに、国家というものはそういうものなんだ、国際間における経済の紳士的な姿というものはとかく破られがちなんだ、こういう立場に立ってみまするならば、これからの日本経済というものは、アメリカ貿易に対しては少なくとも要注意の——いつ何どきでもこういうものが投げかけられるかわからない、政府の努力にもかかわらずこういう問題が幾つか飛び出してくるという警告を発すべきだと私は思っておりますが、この点企画庁長官いかがでしょうか。
  184. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 一つのムードとしてそういう情勢が生まれる可能性も十分に考えていいと思います。ただし、そうしたムードが生まれるから、日本とアメリカとの経済関係がすぐにすべて悲観すべきほうに傾いてしまうというところまで断定するのは早いのじゃないか。われわれのこれからの努力、交渉——そうしてまた、アメリカ人の中におきましてもいろいろと意見は分れておることは御存じのとおりでございます。アメリカ自身の理性によって、この自由貿易の大きな道筋というものは間違いないように、こういう内部的な努力もやはり当然なされておるわけであります。  そういうことで、私はいま憂うべききざしが多少あることは認めつつも、しかし、企画庁の扱っておるような、長い目で見まして、いまそれが日本の貿易の将来に非常に大きなかげりを持つというふうにはまだ考えておりません。十分これを打開していくことができるのじゃないか、あまりその片寄った断定もできにくい、こういうふうに考えております。
  185. 塚本三郎

    ○塚本委員 大臣、悪いですがあと五分だけ。  残念でございますけれども、実はこういう空気は、ひとり買ってやらないという問題だけではなくて、日本はなお原料の問題で売ってやらないと言われたらもっと困る、こういう立場に立たされておるわけです。すでにして鉄鋼用の原料炭は、単なる値段のつり上げであろうと鉄鋼業界は見ておったようでございますが、しかしそうではない。現実に、まあ内容は私も向こうで一週間ばかり詳しくいろいろな事情をお聞きいたしましたが、炭鉱労働者の問題、鉄道の不況の問題車両の不足の問題、いろいろとあります。そういたしますると、向こうは絶好の材料として対日の輸出のいわゆるストップ、長期間の契約がなされておるのにかかわらず。ここでもまた、国家というものはこういうものなんだということを、まざまざと見せつけられたような気がいたします。そうなると、これからまた次は何が出てくるであろうか、こういう心配を私たちはいたすわけで、いままでほんとうに日本の生きるべき道は何かといえば、資源がない、土地がない、だからこそ世界における加工工場として工賃かせぎ以外にないから、いい品物を安くつくって世界に買っていただくんだ、このことで、私たちは労働組合の諸君にも、生産性の向上がとにかく日本の経済の死命を制するんだ、こんな指導を、至りませんけれどもやってまいったわけです。にもかかわらず、そうしてきたこと自身が、逆に実は労働時間が長過ぎるとか、いろいろな口実でもって、最後にはその口実も通らないという形になってくると、いわゆる原料を売ってやらない、こういう形が石炭ですでにあらわれてきております。製鉄会社ではそのことを一番心配しておったんです。そうしたら、まっ先にそのことを突きつけられてきた。これから政府が努力なさることもさることながら、やはりいままでのいわゆる日本の対外貿易は、幸いにも幸運の綱渡りをしてここまできたのであって、国家というものは、ちょっとした政治事情でもって自由自在にスイッチの切りかえがなされるということを、いわゆる日本経済自身もはっきりとやはりこの際自覚をさせていかないと困るのではないか。もしこのことでほんとうに原料炭が大幅にストップされてしまったり、そのほかに日本の生産に必要なものが一々チェックされてきたら、それこそ三十五年前の太平洋戦争前における対日輸出禁止のようなことを私たちは想定せざるを得なくなってしまうと思うのです。だから、いまから、いままでのような経済はあまりにも順調過ぎたのだ、国家というものはえてしてわがままなものなんだから、そういうことを、政府の努力いかんにかかわらず、やはり十分警告を発し、そしてまた指導しておかないと、先にきてごつんとつかえてしまうようなことが出やしないか、このことを私は実はいまから心配いたすわけでございます。このことに関して、両大臣から御見解を承りまして、私の質問を終わります。
  186. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 実はこの春以来、私も同様の趣旨のことを当委員会で何度か申し上げまして、当委員会がそれをお許しいただいた寛容に対しては私は感謝をしておるのでございますが、同じ趣旨の御指摘がありまして、私も実は共感をするところが多うございます。そこで、いわばわが国のいまの輸出の好調というものは、私どもは経済成長率をものさしにして考えやすうございますので、われわれとしてはそう異常なことをやっておるつもりではございませんでも、日本以外の世界の国のものさしははるかに小そうございますので、非常に異常なものに感じる。いわばわが国というものがガリ勉をしている優等生のような感じに映っておると思います。向こうもガリ勉をしなければ追っつかない。しかし人生というものはそのようなものでないという感じがございますから、そこから異和感が出てくるのでありまして、私どもとしましては、したがって、やはりとにかく輸出入の三割近いものを一国に集中しておるという体制そのもの、これにもやはり問題がございましょうと思います。だんだんそれを分散してまいらなければならないというような配慮も必要でありますし、一カ所に突然同じ品物が集中するというマーケット・ディスラプションといわれるものにも注意をしてまいらなければなりません。  しかし、終局のところ、ただいま石炭のお話もございましたが、よい買い手だから売る、お互いにそういう関係になっていなければいけないわけでございまして、これは商売でございますから、勝った負けたとか、あるいは侵略だとかいう印象を与えては、これは商売にならないわけでございます。そういう配慮をいろいろしなければならないであろう。昨日も報復というお話もあり、いまもまたございましたが、この報復措置というようなことは、したがってこれが抑止力になる、抑止力として使うというのが一番じょうずな使い方であると私ども考えております。多少アメリカの動きは異常であると思われますが、そのときにはやはり。パートナーは、昨日も申し上げましように、できるだけ冷静に対処しなければならないというのがいまの段階ではなかろうか、このように考えておるわけでございます。
  187. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 いま塚本さんの御指摘になった点は、先ほど私も、われわれがいままで行なったことについての反省、再検討と、こういうことを申し上げましたが、そうしたことに関連あると思います。たとえばアメリカに一辺倒で輸出しておった。ところがこの夏ごろになりますと、ヨーロッパ市場にまた急に相当いろいろ出てまいりまして、前年同月比でもって七割もふえるというような数字が現に七月も出ております。こういうもののやり方でやりますと、まあ二割、三割ふえていくということなら簡単に容認されることも、五割をこえる、七割をこえる、あるいは十割の増加だ——これはまあ、今日の日本の経済成長というものが、二千億ドル経済を実現するということで、たいへんな急ピッチでもって、しかも高い急ピッチでもって実現されてきて、それが外に向かってやはりあらわれたものであろうと私は判断しているのですが、そうしたことは、やはり相手に対して非常な衝撃を与えます。でありますから、事のいかんを問わずやはり反発が出てくることは、私は十分予想できる。今日は昔と違いまして、そこらの調整が自由になっておりまして、なかなかすぐ統制をするとかいう事態ではございません。そうしてまた、一つの市場が非常にはけるというと、われもわれもといって日本式に競争が集中する、こういうようなことですから、相手の市場にも相当のショックを与える。こういうことがやはり知らず知らずのうちにわれわれの急激な経済成長の外的な面として出てきておる。そういう意味で、私は先ほど再検討、反省ということを申し上げましたが、やはりそうした点を今後われわれが経済を運営する際に非常に重要視しなければならない、こういうふうに考えております。そうして、そうしたものを緩和する一つの方法として、いま通産大臣指摘された市場の分散であるとか、いろいろなことも検討に値する課題であります。いずれにしましても、そういうことをやりまして、そうして今後の経済運営をなめらかに、安定的な成長の路線に持っていく、そうしてそれがやはり輸出面にもそうした姿でもってあらわれてくる、これが私は非常に望ましいことだと思っておりますし、これから経済の方向を考える際にも、重要な一つの指針であります。  ただ、アメリカの事情について非常に御心配になっておりまして、いま鉄鋼用石炭の例をおっしゃいました。まあこれなんかも、向こうに山ネコストライキが起こり、石炭自身が向こうにおいて非常に生産が減ってまいったというような事情等も勘案し、見まして、そうして結局輸出統制令を発動するとかしないとかいう議論を喚起しましたが、一応それはいまのところはおさまったようであります。いずれにしても、それぞれ相手国の経済事情の変動ということもあろうと思います。そういうようなことで、われわれも注意深くそういう点を見守りながら、対外的な身の振り方、ビヘービアを行なわなければいかぬ、こういうことになろうと思うのです。そういう意味で十分に注意をし、そして今後の動向についてわれわれはずっとトレースをしながら、いわゆる何か起こったときに間違いのないように、こういうことはぜひ必要だと思います。  ただ、わが国の貿易自体が全体として保護貿易の風潮があるために、いますぐ非常に落ちるかどうかということになりますと、最近実際問題として少し輸出面で鈍化の傾向があらわれております。それらといまの風潮とどの程度に結びつけて考えるかということは、なかなか判断がむずかしい。と申しますのは、一方において、特に欧州等を中心にして、インフレ対策に相当各国政府が必死になっております。そこで、ちょうど景気の鎮静化という面もあらわれておりまして、そうした面と、それからいま御指摘のような風潮というようなものは、いろいろとからみ合っております。どの程度にこれらを判断しますか、そして最近のやや輸出の鈍化の傾向が、短期的ではありますがあらわれております点をどの程度評価するか、そこらも十分注意して見守りながらわれわれの見通しを立ててまいりたい、こういうふうに考えています。
  188. 塚本三郎

    ○塚本委員 希望だけ申し上げておきますが、こういう状態でありますから、年末の中小企業に対する金融だけは十分ひとついまから配慮していただきたい。特に商工中金などは全然金がないという状態で機能を発揮しておりませんから、緊急にひとつ措置をしていただきたい。希望だけ申し上げまして、質問を終わります。
  189. 浦野幸男

    ○浦野委員長代理 松尾信人君。
  190. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 いま中小企業がいろいろの問題をかかえております。公害の問題、また特恵の問題、また構造改善等いろいろございますけれども、結局中小企業の金操りということにすべての問題が落ちてくる、このように思います。     〔浦野委員長代理退席、中村(重)委員長代理着席〕 そういうことを前提にいたしまして、きょうは主として中小企業の金融対策の面、その中で最初には信用保険公庫と保証協会の業務という点につきましてまず質問をしていきたい、こう思います。  で、この信用保険公庫でございますが、これはどのくらいの保険の実績があるのか、それから保険金の支払い状況というものはどういうふうな推移をたどっておるかということを、最初にお尋ねしたいと思います。
  191. 外山弘

    ○外山説明員 信用保証の承諾件数でございますが、これは非常に順調な伸びをしております。昭和三十三年ごろには件数にしまして三十二万件程度、金額にいたしまして千二百十九億円程度でございましたが、逐年これがふえてまいりまして、四十四年度には、件数にいたしまして七十七万六千件、金額にいたしまして一兆六百八十七億というふうな保証承諾の実績を示しております。まず非常に順調な伸びをしているのではないかと考えます。  それから保険金の支払い状況でございますが、これは、これに応じまして保険金の支払いも漸次、ふえることとなるわけでございますが、最近の数字だけで申しますと、三十九年ころが三十八億、それから四十年が五十七億、四十一年が六十六億と、まあ普通の伸び方をしてまいったわけでございます。しかしながら、四十二年に九十五億と非常にふえまして、さらに四十三年には百八十四億というふうな倍に近い伸び方をいたしました。四十四年はやや鎮静いたしまして、百六十億程度の支払いになりましたけれども一、四十二年、四十三年度の支払い保険金は、それまでの伸び方に比して非常に高い伸び率を示したというふうな数字になっております。
  192. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 四十二年、三年の非常な伸び方ですね。いまの保険金の支払いでございますけれども、これは何かそこに特殊な理由がございますか。
  193. 外山弘

    ○外山説明員 当時おそらくは経済変動の幅がわりあいに大きかったということから、一つの保証承諾に対する中身が非常に質的に、量的に伸びる反面、中身のほうもわりあいに不健全と申すといけないことになるかもしれませんけれども、わりあいに安易に保証をしたために保険金のほうに圧迫要因が加わったのではないかという感じがいたします。  それからもう一つは、やはりわれわれとしましては、保証承諾というものがふえて、しかも正常な保険金支払いが伴っていくというかっこうで、信用補完制度が健全な発展をしていくということが望ましいわけでございます。いたずらに停滞するのはよろしゅうございません。したがいまして、なるべく保証承諾をふやし、保険金の支払いも順調なふえ方ならば、ふえるのはむしろ中小企業政策をやっておることになるわけでありますから、そういう意味での指導をしたことも一つの原因だったかと思います。しかし伸び方がやや異常であった。そのために保険公庫がここ二、三年赤字を生ずるに至ったというふうな結果を来たしたわけでございまして、やはり原因そのものには若干それまでの数年間に比べまして異常な点があったというふうに考えざるを得ない、こう思います。
  194. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 この保険公庫の赤字ですね。これは結局何ですか、公庫の保険準備金ですか。そういうものが事故の多いために支払いが多かった、このような関係で出てきたのを赤字、このように解しますれば、その公庫のこのような大きな保険金の支払いがありまして、赤字になってきた。それがだいぶ減ってくるような状況が見られますけれども、その赤字というものをどのようにして補てんしてくるのかですね。そして最近の赤字というものがどのくらいあるのか。赤字というけれども、それは補てんができるものか。政府が結局めんどうを見るのか。そのままずっと残すのか。残すわけにいかぬと思いますので、その点を御説明願いたいと思います。
  195. 外山弘

    ○外山説明員 赤字は結局保険公庫の準備金を食いまして、そして補てんするわけでございます。実は、発足以来四十一年までは公庫収支は全然黒字でございました。準備金も当初の準備金がそのまま残っておりました。で、四十二年以降約四十億、それから四十三年に六十億、四十四年にまた四十億というふうな公庫収支の赤字に対しまして、従来の準備金を食いますと同時に、新たに保険準備基金といたしまして、四十三年度の予算で二十五億円、それから四十四年度の出資で四十億円というふうな一般会計からの出資ということを予算上お願いしたわけでございます。これで埋め合わしておるわけでございまして、現在、本年度に関します限りは、ほぼ赤字の額がわずか十億程度にとどまる一これは過去の結果が本年まで残るわけでございますが、その程度にとどまるようなところまで回復をしてまいりました。準備金に対する一般会計からの出資ということで、財政上の措置でこれを補てんしてまいったわけでございます。
  196. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 その点はわかりました。  この信用保険公庫の予算でございますけれども、四十五年は百十五億です。四十六年はどのようにそれを計画されておるか。またその計画の中から公庫の保険準備金としてはどういうふうなものか。それから信用保証協会に対する融資金、両方が組まれると思うのでありますけれども、そのワクみたいなものはどのようになるか。そうして、公庫の赤字も約十億程度であるが、今度この準備金、そういうものが大幅に伸びていくならば、これは解消できるんじゃないか、このような気持ちで聞いておるわけであります。
  197. 外山弘

    ○外山説明員 来年度は、本年度の百十五億に対しまして、百九十億の出資の要求をしております。そのうち準備金といたしまして九十億、融資金といたしまして百億というふうな内訳になっております。準備金と申しますのは、実は赤字のための補てんに使われましたけれども、本来これだけの大きな保証承諾をやっておりまする保証協会に対するうしろだてでございますから、ある程度の準備金は持たなければならない、こういう観点に立ちまして、準備金についての額のお願いをしているわけでございます。それから融資金のほうは、保証協会が保証しやすいように、少しでも経理的基礎が強化されるようにということでお願いをしておるわけでございます。この予算額につきましては、逐年ふえてまいりまして、信用保険制度に対する非常な寄与をしているわけでございますが、私どもといたしましては、中小企業対策の基礎をなす非常に重要な制度であるというたてまえから、引き続き出資の増加要求をしている次第でございます。
  198. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 中小企業としましては、市中銀行からの調達が非常に困難になっておりまして、市中銀行はこの保証協会、それに大体おんぶされたというようなかっこうであります。     〔中村(重)委員長代理退席、橋口委員長代理着席〕  百十五億の中でどのくらい協会に対する融資というのもがあったか、私いま記憶しておりませんけれども、今回百億の融資金を要求されるということでありますが、この保証協会、それから公庫というものが、いま中小企業金融に非常に大きな役割りを果たしておりますので、このような伸び方でいいかどうか。百十五億と百九十億を比べれば、一応ふえたようでありますけれども、いろいろ問題の多い中小企業に対しては、もう少し積極的に取り組んでいく必要があるんじゃないか、これが私の要望の第一点であります。  それから次は、保険限度の引き上げの問題であります。四十二年の七月に一千万円を一千五百万円に限度の引き上げがありました。ところがこの付保限度、これをもう少し上げてくれというような希望が非常に多うございますが、これに対する考え方というものはどうでしょう。
  199. 外山弘

    ○外山説明員 保険の付保限度につきましては、やはり経済の発展に応じまして、中小企業の保証に対する要請も少しずつ上がってくるわけでございます。したがいまして、もうこの次あたりは現在の一千五百万を上げたいというふうなことを考えております。これは法律事項でございまして、私どもとしましては、現在の千五百万をさらにせめて二千五百万程度に引き上げるという方向で法案の改正の準備をいたしております。いずれ本院におかけいたしまして御審議をわずらわすことになると思いますが、その際はひとつよろしくお願いしたいと存じます。
  200. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 次は、この保険金の支払いのワクの問題でありますけれども、現在は原則として七〇%、このようなワクを広げてくれというような希望が、これは全国に一ぱいであります。そのワクを広げるという問題につきましては、公庫の赤字だとかいろんな問題がありますけれども、これはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  201. 外山弘

    ○外山説明員 先ほど申し上げましたような事情が過去にございましたものですから、したがいまして、一応適正保証、適正代位弁済ということの指導が必要であろうということから、それを実行するめどといたしまして、保険金支払いないしは保証承諾の大体のめどといったようなものを設けたということは事実でございますし、現在もまだ赤字の残っている際でございますので、ことしもそういった意味のめどは設けているわけでございます。しかしながら、それはあくまでもめどでありまして、適正保証ということを実行するということが本来の目的でございます。したがいまして、そのめどもかなり弾力的に考えているつもりでございます。今後とも、そういったものがあるために適正な保証に支障を来たすということのないように、私どもとしても十分気をつけて指導してまいりたい、こういうふうに考える次第であります。
  202. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 その点はわかりました。  それから、この保険公庫に関する最後の質問でありますけれども、それは保険料であります。保険料を下げてくれ、これも非常に全国的な要望が強うございますけれども、いろいろな金繰りとか公庫自体の問題もありますが、下げる余地があるかどうか。これは、わずか一毛というようなものを下げても非常に大きく響いてまいります。これは四十二年の七月に一毛下げておりますが、資金の需要が多くて非常に困っている。しかし中小企業のためには少しでも下げてあげたらどうか、また下げるべきではないか、このような気がいたすわけでございますが、いかがでしょうか。
  203. 外山弘

    ○外山説明員 保険料につきましては、御指摘のように、四十二年の七月に二厘二毛から二厘一毛に引き下げたということがございます。私どもといたしましては、やはり保険料を下げることが、それだけ保証協会の経理も楽になるし、したがって中小企業も有利になることでございますから、保険料の引き下げには基本的には努力してまいりたいし、いままでも努力してまいったつもりでございます。しかしながら、先ほど来のような事情がございまして、むしろ私どもとしましては、ここ一、二年来、制度の後退がないように、逆に言いますと、赤字を解消するために保険料の引き上げをすべきであるというような声が財務当局から出るというようなこともございまして、むしろ制度の後退を起こさないようにしたいということで努力してまいりました。     〔橋口委員長代理退席、委員長着席〕 機会を見まして、また本来の考え方でございます保険料の引き下げということにも努力を続けてまいりたい、こう思いますが、いますぐにこの点を持ち出すということにつきましては、先ほど来のような事情もございますので、もう少し時期を待ちたい、こういうふうに考える次第でございます。
  204. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 一応事情の説明は聞いたわけでありますけれども、先ほど申し上げましたとおり、中小企業というのは非常に特殊なものでございまして、大体大蔵のそのような考え方自体が少しも一中小企業の実態というものを知らないで、それで普通の金融情勢で判断したものの見方じゃないか。むしろ政府はあたたかい手を差し伸べるべきものでありまして、そのような財政当局の話がかりにあろうとも、これはもう大いに強く要求していただきたい、しっかりがんばってもらいたい、このように思います。  それから、次に保証協会に移りますけれども、この保証実績と申しますか、保証の承諾額、こういうものはどのような推移をたどっているか。また保証債務の残高というものは現在どのくらいになっておるのかということを、まずお尋ねいたします。
  205. 外山弘

    ○外山説明員 先ほど冒頭に申し上げましたのが保証承諾の推移でございまして、現在、昨年度の実績で申しまして、件数にして七十七万六千件、金額にいたしまして一兆六百八十七億の保証承諾を行なっているということを申し上げたつもりでございます。  それから、現在の保証債務残高の点で申しますと、四十四年末で一兆五百四十億という数字でございます。
  206. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 結局、保証協会は事故がありますと自分が払っていくわけでございますけれども、求償権というものがありまして、その求償権というものの回収状況ですね、そういう状況はどのような推移をたどっておるか、わかりますか。
  207. 外山弘

    ○外山説明員 回収金の納付状況は、事実として四十二年度が三十六億八千万、それから四十三年度が五十二億三千万、四十四年度が七十四億五千万と、逐次回収状況はよろしいわけでございます。絶対額としては上がっているわけでございます。しかし、これは実を申しますと、全体の代位弁済の状況とか保証承諾の状況とか、全体からにらみまして回収状況がどうであるかということの判断が必要かと思います。私どもとしましては、回収にもできるだけ保証協会が努力するようにということを常に指導しているわけでございますけれども、回収につきましてはなおいろいろくふうの余地が多いのではないかというふうに考えている次第でございます。
  208. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 回収金のことを聞いたのは、うんと取り立てを厳重にしてくれ、そういう意味で聞いたのではありません。まあ参考のために聞いたのでありまして、どのくらいそういう契約があって、どのくらい事故が起こって、どのくらい取り立てているか、そういう点だけでありまして、四十二年、四十三年に比べまして非常によくなっておる、公庫のほうの赤字も一解消されつつある、このような傾向を示すような答えがほしかったわけでありますけれども、たぶん実際もそうじゃないかと私は思います。回収金をうんと取り立てろ、こういう意味ではありません。  次に保証料の問題であります。この保証料というものも保険の関連でございまして、協会の保証料をいきなり下げるというわけにはまいらぬと思いますけれども、いずれにしても大きな金融がこの協会にきく。地方におけるほんとうに大切な、そのような金融機関になっておりまするので、これを下げてやるということがどのくらい中小企業に喜ばれるか。あたたかい政府施策として認められるのは、こういう点にあるのではないかと思います。そのような保証料が引き下げ可能となるような——現在ではどうだという問題から離れまして、それも必要でありますけれども、やはりそういうことも勘案しながらも、保証料が下げられるような政府施策というものがやはりなされなくちゃいかぬのじゃないか。そういう点についての見通しといいますか、そういうものをひとつ聞きたいと思います。
  209. 外山弘

    ○外山説明員 保証料も、私どもとしましては、この制度が発足以来毎年引き下げるような指導をしてまいったつもりでございます。事実、当時に比べますと、現在は四厘をこえる協会は五十一のうち九つぐらいにまでなりまして、ほぼ四厘以下にまで下げるような努力を各協会がしてまいったわけでございます。これは保証規模も漸次ふえてきたということもございます。それから、先ほど申しました融資基金の低利による融資ということによりまして、保証協会が経理的基礎を強化するということが可能であって、しかもその融資基金が、発足当時から見ますと、毎年毎年ふえてまいりまして、これが現在もう何百億に達する額になっておるわけでございますから、したがいまして、それによる応援という点も力があったかと思います。それから、やはり保証機能の重要性ということに認識が強まりまして、名地方自治体あるいは金融機関等の応援というふうなこともございまして、保証協会の経理的基礎が強くなってきたということも言えると思います。  しかし、何と申しましても一、協会の中には非常に大きな規模で強い経理的基礎を持っているものと、いまだに保証料の引き下げにも非常に難渋する協会といろいろございます。その辺は、私どもといたしましても、そういう保証料の引き下げが少しでも中小企業のためにも一負担の軽減に役立つわけでございますので、できるだけそういった点の具体的事情を配慮いたしまして対策を講じてまいりたい。たとえば、融資基金の配分といったような点についても一、そういった点の対策を講じてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  210. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 その保証料でございますけれども、上限がありまして、一・〇九%それから一・六〇%まで、古い表現で申しますれば、日歩三厘から日歩四厘四毛、こういうものでありますけれども、この中でおのおのの協会が独自にきめていくわけであります。その上限の決定でありますけれども、これはやはりあなたのほうで指導されてきめておられるのかという点ですが……。
  211. 外山弘

    ○外山説明員 行政指導という範囲内で、大体の指導はしておりますけれども、これ以下にしなくちゃいかぬとか、これ以上ではいかぬとかいうようなルールは、法的にはないというふうに了解しております。
  212. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 そうすると、それぞれ地方におけるこの保証協会の育成強化というものが基本的にはなされれば、この保証料というものもおのずから下がる、こういうことと理解いたします。ひとつ力強いそういう援助と申しますか、育成といいますか、これを公庫並びに保証協会に対して強くお願いしておきます。  次は、中小企業の関係の税制につきまして、二、三お尋ね申し上げます。  中小企業、これは法人組織の分でございますけれども、この軽減税率の適用範囲を拡大する必要があるのじゃないか、このように思いますけれども、これに対する考え方はどうでしょうか。
  213. 外山弘

    ○外山説明員 御指摘の点は、現在の税法が三百万円だと思います。これは最近のような状況の推移から見まして、ぜひとも引き上げたい。つまり五百万程度までは引き上げたいということで私ども考えておるわけでございますが、昨年度は法人税率の全体の引き上げというふうな問題もございましたものですから、中小企業関係は据え置くということに努力したために、いまの御指摘の点がいまだに残っているわけでございます。来年度はぜひとも三百万から五百万に引き上げたいというふうに、私どもとしては財政当局のほうに要求を出している次第でございます。
  214. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 この点は大いにがんばってください。  次は同族会社の留保金の課税制度の撤廃の問題でございますけれども、これについてはどのようなお考えでしょう。
  215. 外山弘

    ○外山説明員 これも、留保金課税の撤廃ということが、均衡論から見ても正しいのではないかという立場に立ちまして、漸次軽減をされてまいりましたものの、やはり撤廃が一番正しいのではないかということで、来年度は撤廃というふうな要求をしているところでございます。
  216. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 これも、撤廃に邁進してもらいたいと思います。  次は個人事業主の報酬制度の創設の問題でありますけれども、これは非常に要望が強うございます。ただいま私の手元にもたくさんの要望と陳情が参っておりますけれども、この点に関する考え方はどうでしょう。
  217. 外山弘

    ○外山説明員 個人事業者に関する事業主報酬制の創設という点は、中小企業関係の各団体からいろいろ強く叫ばれておることは私どもも十分承知しております。ただ、税法上の理論から見まして、いままで実現がなかなかむずかしいという点が、専門家の間でも言われたような問題点を持っていたわけでございますが、私どもといたしましては、やはり個人事業者に対する税法上の援助、これが中小企業対策としても非常に大事な問題であるというふうな立場に立ちまして、内容的にいろいろくふうを加えた上で、つまり個人事業主の報酬制を認めようというふうなことで、現在、やはり税法上の重点施策の一つとして財政当局のほうに要望しているということでございます。
  218. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 次は、設備近代化の資金に関連するものでございますけれども、中小企業金融公庫の構造改善貸し付けのワクでございます。これは四十五年に八十億円でありますが、来年度はどのように考えておられるか、まずその点を聞きたいと思います。
  219. 外山弘

    ○外山説明員 構造改善貸し付けは、現在の中小企業政策の重要な柱になっております。スタートのときは、三十億、本年度は八十億とふやしてまいりましたが、来年度はさらに二百六十億の要求をしているわけでございます。
  220. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 次は、同じく近代化促進の貸し付けでございますが、これは四十五年が三百十五億であります。これを来年度にはどのように考えていらっしゃるか、これもお尋ねします。
  221. 外山弘

    ○外山説明員 近代化促進貸し付けの中には、いま申しました構造改善貸し付けも入るわけでございます。入るわけでございますが、トータルいたしまして、ことしの三百十五億に対して五百九十億の要求をしているわけでございます。
  222. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 これに関連するんでございますけれども、長崎県の中小企業は三菱造船等の下請企業が非常に多うございまして、造船の大型化というものによりまして、下請企業自体も大型化を要求されておる。したがってその中小企業の下請企業が必要とする資金も大型化になってまいりました。ところが、設備近代化資金の対象からはずされております。貸し付けを受けられないという企業が多いんです。と申しますのは、貸し付け限度額というものを昨年は五百万に引き上げたわけでありますけれども、このようなものではもう困るというような実態の中小企業が非常に多うございまして困っております。この貸し付け限度額を少なくとも二千万円程度に上げてもらいたい、このような希望が非常に造船関係の下請に多うございますが、これに対する考え方はどうか。上がったばかりだというような御説明があるかもしれませんけれども、そのような地域におきましては、それでは非常に困りまして、規模の変化、情勢の変化というもので追いつかないという実態があります。
  223. 外山弘

    ○外山説明員 ただいま御指摘の制度は、設備近代化資金、つまり五〇%無利子の制度の問題だろうと思います。先ほど御指摘の近代化促進貸し付けのほうは、御承知のように限度が五千万まで上がっておりますし、さらに、ものによっては八千万から一億まで貸せる余地があるわけでございますが、この設備近代化資金のほうは、五〇%無利子という中小企業にはきわめて有利な制度でございます。多数の中小企業の中でも、特に零細層を中心にこの制度の発足を見たような経緯がございまして、できるだけ多くの中小企業者にこれを使ってもらおうという配慮がスタートのときからあったわけでございます。したがいまして、貸し付け限度といった点につきましても三百万円ということで限られまして、そしてそういった配慮でずっと続いてまいったわけでございます。  ただいま先生が御指摘になったような経済の変化、状況の変化から見まして、省力化投資をするにしましても、若干の投資をするにしても、何といっても設備自体が大型化している、こういうことを私どもも力説いたしまして、ようやく昨年でございますか、三百万を五百万に上げる、つまり、合わせて一千万までの融資が可能になるということを実現したわけでございますが、そういった面から見まして、特殊な制度であるだけに、限度を一律に引き上げることがなかなかむずかしいような状況にあるわけでございます。しかしながら、やはり実情に合った運営をすることが非常に大事でございます。私どもといたしましては、申請の中身がこの五百万では絶対おかしいということで、例外措置を設ける必要ありというふうに県当局が認めるものにつきましてはどんどん申請しなさい、そういったことで個別承認で実情に合った運用ができるという取り計らいをさせているわけでございます。先ほどのような特に有利な制度であるだけに、一般論として、全体を上げることはまた別の意味の問題も生ずるのではないかというのが私どもの感じでございますが、時期を見まして、やはり先生指摘のような点にも前進してまいりたい、こういうふうに考える次第でございます。
  224. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 全体的に考えてもらいたいというのが希望でありますけれども、なかなかむずかしいとすれば、指定業種みたいなもので特定の、特に国策上必要とするようなものに対する優先的なそのような融資、これはいまお答えのとおりに今後ともうんと推進してください。これはお願いしておきます。  最後に、この設備近代化資金に協議の制度がございます。これはいろいろ協議させる目的、わけがあると思います。それで、目的ですね、なぜ協議させるのか、それから協議の件数がどのくらいか、またどのような理由で協議するものが多いか、わかっていらっしゃればその点を教えてください。  それから、一たんそのような協議が参った場合には、あなたのほうでどのような審議をするのか。その期間はどのくらいで済むか。と申しますのは、大型化になっております長崎県の中小企業がいろいろ資金の申請をしますけれども、すぐ協議にひっかかる。その協議の件数が長崎県は多い。四十四年度も、申し込んだ企業が百二十四件ございますけれども、そのうちで二十一企業、一七%がこの協議にひっかかっておる。そのお答えがなかなか速急にいただけないので緊急を要するとき困っておる、これが実態であります。協議を撤廃してくれというのが児並びに関連の企業の願いでありますけれども、これは一挙にそうはいかぬであろうと思います。で、このようなことを聞いておるわけでありますが、相なるべくは協議制度というものをだんだん縮めていく。A、B、Cというグループの問題等いろいろありますけれども、それをできるだけ県にまかせていく。かりにどうしてもだめであるとすれば、この協議も速急な回答をしていただきたい、このようなことから聞いておるわけでありますが、全体的なそのような問題についてどのように考えていらっしゃるか。
  225. 外山弘

    ○外山説明員 設備近代化資金制度は、先ほども申し上げましたような趣旨の制度でございまして、資金調達力の弱い小規模企業に対する近代化への配慮という点があるものでございますから、貸し付け限度を設けたり、いろいろ企業の収益性を見たり、そういうことをたてまえとして運用しておるわけであります。したがいまして、その原則論を守る反面、実情に合わせた運用をするというふうなことから見ますと、やはり何らかの例外措置が要るということで、先ほどもそういう点に触れて申し上げたわけでございますが、それが事前協議の制度というかっこうになるわけであります。一般論として、事前協議をなくして引き上げれば、これは一番よろしいわけでございますが、なかなかそういきにくいという点を申し上げたつもりでございますが、現在、事前協議というかっこうにひっかかるのが約全体の一割くらいのようでございます。これは県によっていろいろ差があると思いますが、それに対しましては、できるだけ実情に合った配慮で、どういう点が越えているか、越えてない点もあるし越えている点もあるというふうなことで、いろいろな角度から検討しまして、できるだけ認めるような方向で運用しているはずでございます。ところが、ほかの金融機関に行けば借りられるようなことが明らかな企業があったり、およそこういう制度を利用して、もっと力の弱い中小企業のじゃまをするようなことになってもいけない、こういうふうな配慮も加えて、いろんな角度を見ながら事前協議に対する承認をしているようでございますが、これの承認率はかなり高いようでございます。したがいまして、承認制で協議を受けたあと断わられるというケースは、そう多くはないと聞いておるわけでございます。  ただ、先生指摘のように、非常に時間がかかるという点は絶対に改めなければいかぬことだと思います。先生指摘のような点があるといけませんので、私どもとしましても、そういう点はスピーディーに処理して、できるだけ実情に合った運用ができるような事前協議制であるように私どももせいぜい指導をしてまいりたい、こういうふうに考える次第でございます。
  226. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 全国平均一〇%、長崎県のほうが一七%あるという実情ですね。これはやはり造船関係の規模の大型化ということで、非常に要請が強いという結果だということであります。そういう実情等をひとつよく勘案されまして、例外的な取り扱いというものはできませんから、そういうものは指定というような一つの——下請振興事業のあれにいたしましても、指定業種というのがありまして、そういうものからやっていくということでありますので、やはり実態を勘案されまして、例外というような考え方でなくて、当然指定をしてめんどうを見ていくのだというような方向で考えてください。  なお、これで私の質問を終わるわけでありますが、以上を通じて私が申し上げたいことは、来年度の予算につきましてはしっかりがんばってほしい。がんばりなさい。  それから、中小企業のお話のところでは、何倍だというような、そういう点は出ておりますけれども、実態はそういうものじゃないんだ。それでは足らないんだ。大蔵省がいろいろ言いますけれども、それは中小企業の実態を知らない言い分である。われわれはそういう段階を離れまして、実態からこのように叫んでおるわけであります。地方に帰りますと、この問題だけで一ぱいです。そういう実情をよくひとつお考えくださいまして、今後ともしっかりがんばっていただきたい。これを最後に要求いたしたい。  以上で終わります。
  227. 八田貞義

    八田委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十五分散会