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1970-07-21 第63回国会 衆議院 商工委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年七月二十一日(火曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 浦野 幸男君 理事 橋口  隆君    理事 中村 重光君       稲村 利幸君    宇野 宗佑君       北澤 直吉君    小峯 柳多君       左藤  恵君    坂本三十次君       始関 伊平君    進藤 一馬君       藤尾 正行君    増岡 博之君       山田 久就君    石川 次夫君       加藤 清二君    中井徳次郎君       松平 忠久君    横山 利秋君       近江巳記夫君    松尾 信人君       川端 文夫君    西田 八郎君       米原  昶君  委員外出席者         公正取引委員会         委員長     谷村  裕君         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         経済企画庁国民         生活局水質保全         課長      白井 和徳君         外務政務次官  竹内 黎一君         外務省アメリカ         局北米第二課長 溝口 道郎君         外務省経済局参         事官      鈴木 文彦君         大蔵政務次官  中川 一郎君         大蔵省主税局税         制第一課長   山内  宏君         厚生省環境衛生         局食品衛生課長 鴛淵  茂君         厚生省環境衛生         局公害部長   城戸 謙次君         厚生省環境衛生         局公害部公害課         長       橋本 道夫君         農林政務次官  渡辺美智雄君         農林省農林経済         局企業流通部長 森  整治君         農林省農地局長 中野 和仁君         食糧庁業務部長 中村健次郎君         通商産業政務次         官      小宮山重四郎君         通商産業省通商         局長      原田  明君         通商産業省企業         局長      両角 良彦君         通商産業省繊維         雑貨局長    三宅 幸夫君         通商産業省公害         保安局長    荘   清君         通商産業省公害         保安局公害部長 柴崎 芳三君         中小企業庁長官 吉光  久君         運輸省自動車局         整備部車両課長 細谷 開造君         自治省行政局選         挙部長     中村 啓一君         商工委員会調査         室長      椎野 幸雄君     ————————————— 委員の異動 七月二十一日  辞任         補欠選任   中谷 鉄也君     加藤 清二君   吉田 泰造君     西田 八郎君 同日  辞任         補欠選任   加藤 清二君     中谷 鉄也君   西田 八郎君     吉田 泰造君     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  商業に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、商業に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出があります。順次これを許します。小峯柳多君。
  3. 小峯柳多

    小峯委員 きょうは、通産大臣外務大臣も御出張中で留守のようでありますが、気鋭の両政務次官がおられますので、ひとつきっぱりとお答えいただいて、この問題に関心を持つ国民の不安を取り除いていただきたいと思います。  問題というのは、対米繊維交渉の問題なんでありますが、そのアフターケアに関してお伺いいたしたいと思います。  今回の対米繊維交渉に対しまして皆さまが払われた御努力に対しましては、深い敬意を表します。しかし、御承知のとおりのいきさつでございますので、その後の問題に皆さまがどう対処していくか、その対処のしかたによりましては、私はいろいろな問題が派生するように思うのでございます。そういう意味合いで、最初にミルズ法案成立皆さまはどうお読みになっていらっしゃるか、そうしてそれが通ったような場合には、これがどういう波紋を広げていくであろうか、両政務次官、それぞれのお立場お答えいただきたいと思います。
  4. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 小峯先生も御承知のように、現在ミルズ法案については下院歳入委員会で討論されているようでございます。これは秘密理事会でやられておりまして、いまやられておりますのは、原案より非常に保護貿易的な方向に向かっておる。秘密理事会でございますので的確な情報はとれませんけれども、そういうふうにわれわれ聞いております。それで、その内容というのは、繊維あるいはくつ輸入制限だけでなくて、ASPの存続とか一般輸入制限条項をやろうというような動きでございます。二十九日からまた下院歳入委員会審議を再開するようでございます。これがもし通るようなことになればたいへんな問題である。これは国際経済に及ぼす影響というものはたいへんなもので、一部アメリカ国会議員の中でも、アメリカが三十年来の自由主義貿易をやっておった、それが崩壊するのだとまで言っておる議員もおるようでございます。また、いま言いました自由貿易団体のこれに対しての批判も非常に強いようでございますので、なかなか成立の見通しというものが——確実に通るか通らないかということはいま申し上げられない、非常にむずかしい段階に入っておると思います。  また、いま御質問の、ミルズ法案成立した場合どんな影響があるかということでございますけれども、これは不確定要素も非常に多うございますが、わが国の毛とか化繊などの対米輸出が大きな影響を受けることは間違いございませんし、単純な試算をしてみましても、毛とか化学合繊の問題で、一九六九年の実績に比較して二割くらい、あるいはそれ以上の輸出減少を生じるのではないかと思います。また、くつについては、特にケミカルシューズ、これは日本が相当アメリカに輸出しておりますので、ここら辺の打撃は大きいかと思います。
  5. 竹内黎一

    竹内説明員 ただいま小宮山政務次官答弁のとおり、私どももそのように見ております。ミルズ法案は目下下院審議中なわけでございますが、これが上院に移った場合、あるいは十月に中間選挙のため米議会が休会をいたすような場合は、年度内にもはたしてその結論が出るかどうか、いろいろとまだ不確定要素が多いと思います。情勢は、私ども一般的に流動的だと見ております。
  6. 小峯柳多

    小峯委員 私は、ミルズ法案なるもの、またその前段の日米繊維交渉というものは、主として政治的な理由で持ち上がってきたように承知しておったのでありますが、いま通産政務次官の御答弁の中に、かなり範囲を広げてこれが拡大する懸念というふうなものにお触れになったように思うのでありますが、どうでしょうか、アメリカの今後の動きというものが単に繊維の問題でなしに一般に広がる、すなわちいままでの自由貿易主義というものを保護貿易主義に切りかえるというふうな経済上の底流というものをお感じになっていらっしゃるか。あるいは、あくまでもこれは政治的なもので、そういう底流のものでないと御判断になっていらっしゃるか。その辺の見解、いかがでございましょうか。
  7. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 一部にはそういう保護貿易的な性格をもって推進していこうという声も非常に強いようでございますけれども、反面、先ほど申しましたように、自由主義貿易を主張する方々も多い。そういうことで、われわれとしても、この成立は予断を許さないのでございますけれどもアメリカ良識というものに期待をしているのでございます。
  8. 小峯柳多

    小峯委員 私は、いまのお話を非常に好意的に受け取ると、何とかおさまりそうな気がするのでありますが、しかし、いきさついきさつでございますから、どうも私は、ミルズ法案というものだけはでき上がるんじゃないかというふうな感じがいたします。その場合に、ガット体制に実は非常に大きな響きを持つだろうと思います。通産並びに外務大臣折衝するその折衝精神の中にも、ガット体制にひびを入れちゃいかぬというふうなことがかなり強かったと承知いたしておりますが、ガットの当事者がこの問題に対してどういう関心を払い、どういう動きをしているか、承りたいと存じます。
  9. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 ガットの場ではございませんけれどもロング事務局長日本アメリカ英国EEC諸国を呼びまして、今月末という予定でございますけれどもジュネーブでこの問題について話し合いガット精神で、ガットの場でということで、公式ではございませんけれども、この精神を何とか生かそうということで話し合いをやる予定でございます。
  10. 小峯柳多

    小峯委員 伝えられる四カ国会議というものはどういう性質のもので、これはアメリカも乗り出してきておるように聞いておりますが、そのとおりでございますか。
  11. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 さようでございます。
  12. 小峯柳多

    小峯委員 私は対米繊維交渉いきさつを見ておりまして、皆さんに御努力はいただきましたが、どうもその認識のしかたに甘さがあったような感じがしてならぬのであります。そこで、今度のミルズ法案成立の問題でございますが、わずかに存在する良識派を当てにして、この法律成立しないなどという期待を持っちゃならぬと思うのです。むしろ成立する見込みが非常に多いということを前提として——いままでもき然として御折衝になっておられたのでありますから、よもやそういう姿勢をくずすとは思いませんけれども、そういう読みのもとに、成立した場合は当局としてはどういう手段でこれに立ち向かっていくか、その辺の決意のほどを承っておきたいと思います。
  13. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 ミルズ法案成立に対しては、あらゆる手段を使って成立阻止をやっていきたいと思っておりますし、もし成立をした場合には自由主義貿易の崩壊でございます。そういう意味でも、ぜひ皆さま方といろいろはかって、それに対して制限条項その他についても考えざるを得ない。またその準備も進めております。
  14. 小峯柳多

    小峯委員 外務省も同じような御決心でしょうか。
  15. 竹内黎一

    竹内説明員 私どもとしてはまず第一に、ミルズ法案そのものがいわばアメリカ良識によって未然に終わることを期待しておるわけでございます。そのために外務省としてもあらゆる手段を尽くしておるつもりでございますし、また今後も真剣にその道を考究してまいりたいと思います。ただいま通産政務次官お触れになりました点につきましては、外務省としてはなお慎重に事態の推進を見守る必要があろう、こういう立場に立っております。
  16. 小峯柳多

    小峯委員 両政務次官とも法案成立阻止するということに努力するという御意見でございますが、具体的にミルズ法案阻止する手だて、手段というものは何かお考えになっておられますか。お差しつかえない範囲でひとつ教えていただきたいと思います。
  17. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 ミルズ法案阻止については、イギリスあるいはEEC諸国と、米国政府良識を促し、今後ともそういうあらゆる諸国との連携によって法案成立阻止していこう。こうこうやっておるということについては問題がございますので、発言を差し控えさせていただきたいと思います。
  18. 小峯柳多

    小峯委員 外務省のほうは何かお考えになっておることありませんか。
  19. 竹内黎一

    竹内説明員 先ほど小宮山政務次官がちょっと触れましたように、ジュネーブ日本米国英国EEC、こういう四大国の非公式会合等予定されております。こういうような国際的な場を通じまして、あるいはまた在米の大使を通じまして、米国当局あるいは議会自由主義派と目されている人、こういう人たち日本の真意をよく理解してもらう、こういうふうな方法も考えられるかと思います。
  20. 小峯柳多

    小峯委員 私は皆さま方の御努力は否定はいたしませんけれども、何にしてもこの問題の持ち上がった背景がなかなか深いものがあると思いますので、むしろ私は、法案成立することを前提としてほぞを固めておかれる必要があると思います。この問題は、御承知のとおり国会の議決に基づいて皆さまも御処理くださったはずでありますから、よもやほぞにゆるみなどあろうとは思いませんけれども、これは私はむしろ、与党だけでなしに野党の皆さんも御一緒に、今後の問題に対して、いままで通してきたその根性、筋というものを曲げずに、最後まで一貫してき然たる態度で当たっていただきたいと思います。抽象的に御質問申し上げましたが、両政務次官のあらためての御決意をひとつ承っておきたいと思います。
  21. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 先ほどから申し上げておりますように、ミルズ法案成立するということは、世界の通商問題についてたいへんな危機を招くものでございます。いま小峯先生のおっしゃいますようなことを体して、自由主義貿易というものを推進していくということで、政府も全力をあげてこれに取っ組んでいく覚悟であります。
  22. 竹内黎一

    竹内説明員 国会の示されましたあの四つの原則と申しますか、それをわれわれは絶えず念頭に置いて日本の主張をぜひ貫きたい、このように考えます。
  23. 小峯柳多

    小峯委員 ありがとうございました。
  24. 八田貞義

  25. 中村重光

    中村(重)委員 私は、時間の関係がありますので、繊維問題と独禁政策については来月の委員会お尋ねをすることにして、きょうは公害問題にしぼってお尋ねをいたしたいと思います。  通産政務次官お尋ねをいたしますが、御承知のとおり、公害問題はいまや大きな社会問題であり、政治問題に発展をしておる。新聞等の報ずるところによりますと、通産厚生経済企画庁その他の省において、公害対策といったようなものを検討しているやに伝えられておりますが、現在政府考えている、さらにまた次期国会において提案等準備を進めておる公害対策についてのお考え方等を、この際明らかにしていただきたいと思います。それから、いまのは政務次官お尋ねをしたわけですけれども厚生省あるいは経済企画庁等々お見えでございますから、関係省からもひとつ簡潔にお答えを願います。時間の制約がありますので、お答えはできるだけ要点をしぼってお答え願いたいと思います。
  26. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 公害の問題については、よく通産省のほうは加害者のようにいわれておりますけれども通産省といたしましても、次期国会でできればぜひやりたい問題は、企業者責任分担法律を出しておきたいということで、これは、公害を出した、あるいは出すと思われる企業者が、責任をもってその公害防止をしなければいけないという趣旨の法律でございます。それは費用分担をも含めておりますので、いままでの公害防止の中では画期的な法律かと感じております。またほかに危険物あるいは大気汚染のような問題については、全国的に一律規制しようという考え方でございます。
  27. 城戸謙次

    城戸説明員 厚生省といたしましても、いま通産のほうから御説明がありましたように、大気汚染防止法はじめ各法律につき、それぞれ必要な改正点について現在検討いたしております。  なお、ただいま大気汚染防止法につきましては、地域指定の問題がお話しございましたが、私ども特定有害物質はじめ、地域指定になじまない物質が相当ございまして、こういうものにつきまして常時規制しなければいかぬということを一つ考えておりますし、それから、先ほど来問題になっております条例の問題につきましても、この際はっきりした方針を打ち出すべきじゃないだろうかと考えておるわけでございます。  また、騒音規制法等につきましても、道路交通法改正等関係におきまして検討をいたしております。
  28. 中村重光

    中村(重)委員 いま通産政務次官お答えになりましたのは、先日内田厚生大臣が参議院の、たしか公害対策特別委員会お答えになったことと関連があるのではないかと思いますが、厚生省構想としていま固めておるのは、進出した企業地元との間に公害防止のための協定を行なわせる、それから公害防止に対しても、都市計画関係その他と関連する事業に対しても、企業公害防止のための負担を約束をさせる、そういった構想が明らかにされているわけです。この点は厚生省では固まっておるのかどうかという点をお答え願いたいのと、通産省としては厚生省のこの構想に対して、企業関係ですから当然主管省ともなろうと思うのですが、通産省との間にそうした話し合いがなされておるのかどうか、これは法的な措置が必要になってくるのかどうか、それらの点について通産厚生両省からお答えを願いたい。
  29. 荘清

    荘説明員 お答えいたします。  いま先生御指摘になりました企業地元との間で公害防止に関して協定を結ばせる問題について、厚生省のほうで検討しておるのであるがというお尋ねでございましたけれども、私ども、現在のところは直接その問題について厚生省と打ち合わせをしておる段階ではございません。  ただ、通産省といたしまして、先ほどの政務次官の御答弁にも関連いたしますけれども公害防止のための公共事業を円滑に実施しますために、公害基本法の規定に基づきまして、公共投資について関係事業者にも事業費の一部を負担させるという立法措置を早急に講ずべきだということで、現在各省と御相談に入っておるわけでございますが、それとの関連におきまして、これは今後通産省審議会におはかりをして検討いたす事項にいたしておるわけでございますけれども、各地区ごと企業にも公害防止責任者というふうなものを企業ごとに設けさせるとか、あるいは企業一つ組織をつくりまして、その地区において共同して公害防止事業を自主的に行なうような対策をどう講じたらいいかということについて、省内の審議会におはかりをしてこれから御検討いただくことにしておりますので、その場合に、そういう組織の運営につきましては、地元の都道府県なり市というふうなものとも常時密接な関連を保ちながら当然行なわなければならない、こういう方向でいま内部で検討を始めつつある、こういう段階でございまして、この問題につきましては、まだ厚生省自治省等とも御相談には入っておらないのが実情でございます。
  30. 中村重光

    中村(重)委員 厚生省からいまの点をお答え願う前に、あわせてお答えを願いたいのでお尋ねするわけですが、公害補償無過失責任制考えていると厚生大臣が語っているわけですが、これは省議でまとまって厚生大臣の談話という形になったのかどうか。関係省との間の調整というものを進めているのか。これは当然なことですから。われわれは社会党案としても、無過失責任を当然問うべきである、こういうことで独自の提案をしたわけですね。ですからわれわれが考えていることと同じことになるので、もちろんこれは大賛成なんです。当然こうでなければならぬ。その点どうなんですか。先ほどお尋ねしたこととあわせてお答え願いたいと思います。
  31. 城戸謙次

    城戸説明員 ただいまの無過失責任の問題でございますが、これにつきましては、いまお話しございました厚生省内の公害対策連絡会議におきましては、何らかの形で無過失賠償責任制度公害に関し確立することが公害行政を進める上に適当であろうという考え方を打ち出しております。ただ、これにつきましては関係省庁が多いわけでございますし、むしろ総理府を中心としまして現在調整が進められておる項目一つに入っておる状況でございます。  それから公害防止協定でございますが、これにつきましてはむしろ自治省中心となって進められておるようでございますが、私どもとしましては、公害防止協定が結ばれましたものが確実に履行されるということに非常に強い関心を持っているということが第一点でございます。  それから第二点は、その防止協定の中に織り込まれます項目はいろいろございますが、たとえば燃料の規制ということがよく織り込まれているわけでございます。こういう点、むしろ公害防止協定の実態をながめながら、今後公害立法の進むべき方向づけを考えている。協定に織り込まれるということは、それだけにさらに立法すべき基盤があるのじゃないか、かようなことで協定の中身についていろいろ検討をいたしております。ただ、具体的に私ども直接防止協定を結ぶような指導を個別にやっているということは、特殊の地域は別といたしまして、一般的にはそういう形になっておりません。
  32. 中村重光

    中村(重)委員 その点は私は追及するわけじゃないけれども自治省がこれを所管するとかということなんだけれども厚生省構想として、公害のない地域社会づくり企業地元協定を結んで公害防止を約束させるということになっているわけです。だからあなたのほうでこうした構想を独自に進めているということではないのですか。
  33. 城戸謙次

    城戸説明員 考え方としましては全く先生おっしゃるとおりでございまして、そういうような考え方で仕事を進めているわけでございますが、いまお読みいただきましたのはどういうことからとられたのか、ちょっと了解できなかったのでございますが……。
  34. 中村重光

    中村(重)委員 それでは時間の関係がありますので先に進みます。  具体的な問題として私はお尋ねしてまいりますが、長崎対馬カドミウム汚染調査を進めてこられたわけです。七月七日に発表されたと思うわけですが、この調査内容について厚生省からお答えを願います。
  35. 城戸謙次

    城戸説明員 私どもとしましては、四十三年五月のイタイイタイ病公害認定以来、特に食べもののほうでは自家用保有米、こういうもののカドミウム汚染ということを一番大きな注目点として見てきたわけでございます。これは世界的にも例のないことでございまして、この自家用保有米の基準を何とかきめるということでございましたが、非常にむずかしい作業であったわけでございまして、その作業の結果をまとめたのがいまお話にありました発表一つでございます。  もう一つは、四十三年度と四十四年度で健康調査を行ないました中で、イタイイタイ病あるいはカドミウム慢性中毒初期症状として鑑別診断を要すると見られた者九名につきまして鑑別診断研究班による研究をしてまいった。それで具体的な鑑別診断をやってまいったわけでございますが、その結果の発表、この二点でございます。  特に前の米の問題でございますが、米につきましては、私どもとしましては、カドミウムの玄米における濃度が一・〇〇PPM未満のものを食べるのが適当である、こういうような結論を出したわけでございまして、その算出にあたりましては、特に非常に厳密な意味での安全率を見ましてやったわけでございます。たとえば汚染した地元食品を食べる割合を非常に高く入れるとか、あるいは米以外の食品カドミウム濃度を非常に高く判定するとか、あるいは地元産以外のものの濃度を高く算定するとか、あるいは食べる量を安全率を十分見る、かようなことで一・〇PPMという一つの数値を出したわけでございます。  それから鑑別診断のほうにつきましては、現在の段階では安中と対馬と両方あるわけでありますが、両地域から鑑別診断を要すると認められました全員につきましてカドミウム慢性中毒ではないということでございまして、今後さらにこれらの人につきまして観察を続けていこうということになっておるわけでございます。
  36. 中村重光

    中村(重)委員 この調査の結果がまとまったのはいつであったのか。それから発表は七月七日であったと思うが、そのとおりであったのかどうか。それからこの調査に基づいて厚生省は県に対してどのような指示をなさったか。
  37. 城戸謙次

    城戸説明員 ただいまのは鑑別診断のほうのことだと思いますので、主として鑑別診断のことについて申し上げたいと思うわけでございます。これにつきましては、長崎の場合でございますと、五名の鑑別診断を要する人につきまして四十四年十二月二十三日、四十五年三月七日、それから四月六日、この三回にわたりまして研究班の会議検討された後、報告書の作成にかかったわけでございます。この段階におきまして、もちろん研究班のほうから、班員の先生方、いろいろ文書で照会しながら文案をまとめて七月七日に報告する、かような形になっておるわけでございます。  なお、地元との関係でございますが、これにつきましては、七月七日に発表されました後、七月九日に長崎県の公害対策室の職員が現地対馬の厳原町の町役場に向かいまして鑑別診断の結果を報告し、対象者へは役場を通じて結果を通知された、かような形になっておるわけでございます。
  38. 中村重光

    中村(重)委員 調査結果がまとまったのはいったのかということです。
  39. 城戸謙次

    城戸説明員 ただいま申し上げましたように、調査の結果につきましての会議は四月六日でございますから、四月六日までに基本的な考え方をまとめまして、そのあとは研究班の班長から、あるいは事務局であります公衆衛生協会から、それぞれの班員の先生方に御報告しながら報告書の作成の段階で文案等の検討をされた、こういうふうな形になっておるわけでございます。
  40. 中村重光

    中村(重)委員 四月初旬にまとまったものを、いまあなたがお答えになったように、それからまたいろんな手続がなされた。それにはある程度の日数はかかったでしょう。ですから、そういった手続が一応終わったという段階が伝えられているのは五月の中旬なんですね。そうですね。
  41. 城戸謙次

    城戸説明員 さような意味で、おっしゃるように、実質的にある程度のそういう問題点の整理ができたということは、確かに五月中旬過ぎの段階であったわけでございます。私どもとしましては、五月二十二日から二十四日に、そういったこともございまして、公害課長が現地に参りまして、鑑別診断の実施状況につきまして、樫根地区の住民を個別に訪問しまして、いろいろと懇談をしあるいは説明をするという形をとってまいったわけでございます。
  42. 中村重光

    中村(重)委員 五月中旬にまとまった。ところがあなたのほうでは、その間、県に連絡をするとか、あるいは現地に行ってその地区の住民に——住民ということばをお使いにならなかったのだけれども関係者に、たぶん役所であろうと思うのですが、そういう報告をした。ところが、これを公表したのが七月七日であることは間違いないわけですね。
  43. 城戸謙次

    城戸説明員 これは私どもの直接の調査研究ではございませんで、公害調査研究委託費によりまして公衆衛生協会に委託しているわけでございます。公衆衛生協会でこのための研究班を組みまして、協会自身、班自身で活動しているわけでございまして、班の取りまとめの結果、厚生省に報告されたものを発表した、その日にちが七月七日であった、かような手順になっておるわけでございます。
  44. 中村重光

    中村(重)委員 先ほど私がお尋ねしたのだけれども、その調査結果がまとまった、それに基づいてあなたのほうでは県に何か指示をしたのでしょう。
  45. 城戸謙次

    城戸説明員 これは先ほど申し上げました公害課長が現地に参りました。したがってそういう意味では、口頭のいろいろと懇談等をいたしたということ以外に具体的な指示は、研究班からの報告がありますまでは、私どもは全然いたしておりません。
  46. 中村重光

    中村(重)委員 県があなたのほうに見解を求めたことに対して、あなたのほうでは、白米一キロのうち〇・九ミリグラム以上のカドミウムが含まれている場合は続いて食べないこと、他の汚染されていない米をまぜて食べるよう指示をしたんじゃありませんか。指示をしていないのではない。私が言いたいのは、五月中旬にまとまった、そうして七月七日に公表した、その間約二カ月なんです。それで問題がなければ別なんですよ。ところが問題があるんですね。あなたのほうで安全基準としているところの〇・九PPMを上回っている、公表しないものだから。今度は公表して県が緊急措置を実はきめた。食べてはならない。あなたのほうでも、続いて食べさせてはならぬということを言っている。私は非常に問題を感じるのだけれども、ほかの汚染されていない米とまぜて食べさせるようにしろ、こういう指示をしている。そういう有毒性の米がある。さらにまた健康調査をやった結果、あなたが、カドミウムによるところの中毒症状はなかったとおっしゃったのだが、実際はもうその一歩手前なんです。人体からカドミウムが検出をされたわけです。だから産米からもそういった基準を上回るカドミウムが検出をされた、尿の中からもそれが検出をされた、これは重大な問題なんです。それを七月七日までなぜに秘密にしておったのですか。
  47. 城戸謙次

    城戸説明員 先ほど申し上げましたのは、実は二つの調査研究の中での鑑別診断のほうのことを申し上げたわけでございまして、いま御指摘のありました一PPMという問題は、実はもう一つ別の研究班でやっております要観察地域におけるカドミウムの摂取と蓄積に関する研究のほうでございます。このほうでございますと、実はこのほうが若干おくれぎみであったわけでございまして、一・〇という数値、あるいは白米で〇・九という数値を出しましたのは、発表のすぐ直前でございまして、その前に、そういう数値につきまして県と連絡をした、あるいは相談をした、指示をした、かような事実は絶対にございません。
  48. 中村重光

    中村(重)委員 これは県議会でも問題になっているわけだ。そうしてその結果は明らかになったではないか、それを県議会において報告をしろということを迫ったわけだ。ところが、いやそれは厚生省の指示がある、資料を提出したもの以外にこれは明らかにしてはならない、こういう指示を受けているのだからこれは発表するわけにはまいりません、答弁するわけにはまいりませんと言って隠し通してしまったんですよ。これははっきり県議会で県衛生部のほうで答弁をした議事録があるわけです。全くそういった指示をしたことはないとおっしゃるならば、それでは県議会で県衛生部というのはうその答弁をしたということになりますね。  それから、あなたは別な班がやったとおっしゃる。あなた相前後してやっておる。まとまったところの時期は大体同じなんです。いずれにしても二カ月近い期間、そうした有毒性の産米がある、健康上にも問題があるということがわかりながら、先ほど来申し上げたようにそれを秘密にしておったということは、これは明らかに人命軽視です。問題なんです。
  49. 城戸謙次

    城戸説明員 鑑別診断につきましては、先ほども申し上げましたように、比較的早目にある程度のめどがついたわけでございます。またこれにつきましては、三月末に研究班の会議がありましたときにも、一部中間的な発表もいたしておるわけでございます。ところが片方の調査研究でございますが、これはたとえば食品別の摂取量だとか、あるいは食品中のカドミウム濃度だとか、あるいは陰ぜん方式によります食品の摂取量だとか、いろいろなものをデータとして出しまして、たとえば摂取量と尿中のカドミウム関係とか、そういういろいろな結論を導いていただいたわけでございます。これに基づきまして、実は私どもはこの報告を受けたあとにおきまして、カドミウム濃度、玄米の場合一・〇PPM未満ということを数値として、行政的な指針として出したわけでございまして、これは私のほうで、行政のほうで出したわけでございます。したがって、その前の段階でさような数値が出ているということは、私としては考えられないわけでございますが、なお県議会等の記録がございましたら、また後ほど見せていただきたいと思うわけでございます。私はそういう感じでございます。
  50. 中村重光

    中村(重)委員 あなたは知らぬ存ぜぬということを言い張るわけなんです。ところがあなたのほうで委託調査をやらせたんですよ。それで調査が終わる。その報告というのを厚生省に県がやるのはあたりまえじゃないですか。それに対してあなたのほうでは適当な指示をされたということは、常識で考えてもわかるでしょう。まさか発表時まで厚生省がそれを知らなかったということはないわけです。そしてあなたは先ほどの答弁に際して、健康診断の結果もたいしたことはなかったような言い方をしている。なるほど申し上げたように、中毒症状はなかった。だがしかし、その問題の樫根部落というところの住民の検診の結果は、ほとんど自覚症状がある、腰が痛いだとか。そして申し上げたように、尿の中から相当高いカドミウムが検出をされているのです。私は衛生部に尋ねたら、はっきりそのことを表明している。これは間違いない。だからしてカドミウムによるところの影響というものはあるんだから、引き続いてこれを観察をする必要があるということを言っている。あなたのほうも引き続いて観察をいたしますということを答弁した。その点だけは似通っているのですね。だからあなたは、非常に重要な点はここでぼかしてしまって、診断をいたしました、たいしたことはありませんでした、だがしかしこれは引き続いて観察はしてまいります。その聞き方に、あなたの答弁からすると、何にも問題はなかったようになる。そういうことはけしからぬ。あなた方は秘密主義なんだ。だれに遠慮をしているんだ。おそらく企業に遠慮しているのだろうと私は思う。では企業の利益を守るためには住民を犠牲にしてもよろしいというのか。人命を軽視してもかまわないという考え方なのか。そうとしか受け取れないでしょう。
  51. 城戸謙次

    城戸説明員 先ほど来お話し申し上げておりますのは、実は二つの問題がございまして、米の問題につきましては、この数値が出ましたのは実は発表の直前でございました。かような御答弁を申し上げているわけでございます。  それから鑑別診断につきましては、三月末に一応中間的な発表もいたしているわけでございますし、残りましたのは、一名について安中及び対馬がそれぞれあったわけでございまして、この点につきましては、御指摘のように、最後の文章の整理はともかくとしまして、五月の中旬の段階以後めどがつきましたので、公害課長に現地に行ってもらいまして、いろいろと住民と話をしてもらった、こういうようなことでございます。ただ、この形式的な発表の点に関しましては、これは実は委託調査でございまして、研究班の班長の統括のもとにやっているわけでございますから、私のほうから、それをとめるとかとめないということはございませんで、研究班として統一ある活動、こういう点で御了解をいただきたいと思うわけでございます。
  52. 中村重光

    中村(重)委員 それから、先ほど申し上げましたように、人体から高いカドミウムが検出をされた。それは事実は間違いない。したがって、これからも引き続いて観察をしていくということになってくると、入院して検査なんかやっている事実もあるし、それから相当高いカドミウムが尿から検出をされている。これは治療を受けなければならない。そうした医療費の負担ということはどういうことになりますか。
  53. 城戸謙次

    城戸説明員 かような腎臓障害等慢性の疾患でございまして、今後カドミウム慢性中毒鑑別診断を続ける必要がありますものにつきましては、研究班の指定するものに限り、この社会保険の自己負担分に関しましては公費で負担してまいろう、私どもはかような考え方で進めてまいりたいと思っているわけでございます。
  54. 中村重光

    中村(重)委員 公費で負担をするということは、国民健康保険の場合、三割分の自己負担というものを公費で負担をするという意味なのかどうか。それから大蔵省との話し合いはついているのかどうか。
  55. 城戸謙次

    城戸説明員 ただいま御指摘のように、国保の場合では三割の自己負担分を公費で持つ、かような考え方でございます。大蔵省とも現在話を進めている段階でございます。
  56. 中村重光

    中村(重)委員 国民健康保険の場合はそうなんですね。それからその他の保険では家族の場合は五割。ですから、個人の自己負担を一切要求しない、公費で負担をする、こういうことなんですね。
  57. 城戸謙次

    城戸説明員 カドミウム慢性中毒鑑別診断に関します研究班を今後とも置いていくわけでございますが、研究班で必要と認められる医療に関しましては、自己負担分全額について公費で負担していこう、こういう考え方を持っております。
  58. 中村重光

    中村(重)委員 あなた方のほうでは、どうもあまりむずかしく言うのだね。慢性だなんというと、どの程度なのか、これは専門家でないとわからないんだね。しかし、現実に自覚症状を起こしている人というのは、樫根部落を中心として相当多いわけです。尿からカドミウムが検出をされたものは、一人や二人ではないわけです。腰が痛いとか、いろんな障害が出ている。そういうものをあまりきびしく線を引かないで、それの疑わしいというようなものについては、検査から治療から一切公費で負担をする、そういう態度をとるべきではありませんか。
  59. 城戸謙次

    城戸説明員 原則的な考え方先生と全く同様でございます。ただ私といたしましては、基本的な考え方をより詳しく申し上げたのであります。原則的な考え方においては全く同様でございます。
  60. 中村重光

    中村(重)委員 原則が例外みたいになってしまって、実際公費で負担するのがわずか何人だということにならないようにしてもらわなければならぬ。ともかくそういう疑わしいものは全部公費で負担をしていく。そういう不安を持たせないということをしてもらわなければならぬ。  それから、先ほどあなたがお答えになりましたが、これまでの安全基準というのは、玄米でもって〇・四PPM、白米でもって〇・三PPMであった。今度はそれを〇・九PPM、それから玄米は一PPMに引き上げる。これはどうしてこの安全基準を引き上げることにしたのですか。
  61. 城戸謙次

    城戸説明員 前に〇・四PPMというのがいろいろ伝えられておりますが、これは私どもはこの調査をいたします場合、最初に環境汚染の調査をいたしまして、水だとか米がどのくらいによごれているかという一応の調査をいたすわけでございます。それで米の場合は〇・四PPMという数値をこえているという場合には、人為的汚染の可能性があるということで、そこでさらに環境汚染の精密調査を開始する、こういうような暫定対策要領の方針になっているわけでございます。それで、環境汚染が具体的に確認されました場合においては、さらにカドミウムの一日当たり摂取量の調査をする。この摂取量が一日〇・三ミリグラムということになりましたら、要観察地域として指定をしまして、それでさらに健康調査に進んでいくということになっているわけでございます。したがってこの〇・四というのは、あくまでそういう環境汚染の精密調査を始めます場合のスタートの数字でございます。さきに発表しました玄米で一PPMという数字は、これは、これより未満のものをとるということがこういう観察地帯では必要であるということを申したわけでございまして、全然その立脚点が違っているわけでございます。
  62. 中村重光

    中村(重)委員 岡山大学の小林教授は、厚生省の安全基準というものは甘い、しかもこれは科学的に問題があるということを言っているのですね。そこであなたのほうで安全基準を一PPMと定めた科学的根拠というものは何があるか。
  63. 城戸謙次

    城戸説明員 私どもとしましては、四つの要観察地域につきまして、四十四年度の先ほどの二つの調査研究班によります研究結果に基づきまして、カドミウムの健康診断の第二次検診にひっかかるところを三十マイクログラム・パーリッターという尿中の濃度にきめてございますが、いかなる場合でもこれにひっかかることのないような数ということではじいたわけでございまして、このはじき方につきましては、最初に申し上げましたいろいろな点を考慮しましてきめましたので、実際は四分の一程度の安全率が見込まれております。それで、事実上の問題といたしましては、平均値としますと、要観察地域を今後きめます場合、一日の各食品中の摂取量〇・三ミリグラムと並べまして、今後は尿中の濃度九マイクログラム・パーリッターということを条件で示すようにいたしたわけでございますが、この九マイクログラム・パーリッターという条件以下にその地域住民の平均値は押えられるということに大体なっているわけでございます。そういうようなはじき方で出したわけでございまして、私どもといたしましては、これ未満であれば安全であると考えているわけでございます。
  64. 中村重光

    中村(重)委員 正確なのかどうかわからないけれども、あなたのほうでこの安全基準をきめられるということについてはいろいろな配慮があったらしい。一日だけの調査でもってこれをきめたということが伝えられているのです。あなたはここでお認めにならないのだろうと思うのだけれども。これに対する非常な不安というものが出ているということは事実なんです。やはり健康上の重大な問題ですからね。  そこで食糧庁にお尋ねをするのですが、あなたのほうで、汚染米の買い上げ、それから配給ということについて厚生省との折衝をやっておられたようですが、新聞には発表されておるようでございますけれども、この際ひとつ、最終的にどうきまったのか、お答えを願います。
  65. 中村健次郎

    中村(健)説明員 農家の保有米につきまして、現在樫根地区の部落の農家で保有されておりますもの約十トン程度と聞いておりますけれども、これにつきまして、政府といたしまして、食管法のたてまえからいたしますと、保有米を買い上げるということには問題がございます。それからなお、これを買い上げまして消費といいますか、配給に適さないということになれば、これを買い上げるということもまた問題があるわけでございます。この点につきましては、目下厚生省と、そういった一PPM以上の保有米を持っておられるような地帯からの米を配給に回していいかどうかということにつきまして相談中でございます。ただ、そういった地域で汚染された保有米を食べないということで農家のほうで食糧がないというものにつきましては、政府で特別の配給を行なうということはいたしております。なお、その保有米の処置につきましてどうするかということにつきましても、厚生省あるいは県と相談の上、今後適当な措置をとってまいりたいと思います。
  66. 中村重光

    中村(重)委員 途中でちょっと話をしておったので聞き漏らしたのですが、そうすると、新聞では、一PPM未満は買い上げる、配給にも回すというのが食糧庁の方針としてきまった、こう報道されている。このとおりですか。そうではないのですか。もう一度。
  67. 中村健次郎

    中村(健)説明員 玄米で一PPM未満の地帯の米につきましては政府が買い上げるということは、これはきまっております。しかし、一PPMをこえる地帯のものを買うか買わないかということは、目下検討中でございます。
  68. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、その買い上げた米は一PPM未満だから、したがってこれは食べても有害ではないという考え方から配給に回すのですか。あるいはほかの汚染されていないところの米をまぜて配給するのですか。
  69. 中村健次郎

    中村(健)説明員 それにつきましては、厚生省から聞いておりますところでは、一PPM未満の米につきましては、これは配給しても差しつかえないというふうに聞いておりますけれども、いまの状態でこういったものが配給できるかどうかという点につきましては若干問題がございますので、目下どういうふうに扱うかにつきまして検討中でございます。
  70. 中村重光

    中村(重)委員 私は先ほど言ったように、厚生省が怪しいのだ。〇・四PPMといっておったところが、とたんに今度は〇・九PPMとか、玄米で一PPM未満だったらよろしいのだ、これは安全基準としてだいじょうぶだ、そんなことでは国民感情としてもおかしいと思うのです。それをあなたのほうで、厚生省がそう言ったから配給するということは私は問題があると思う。あなたもこれは問題があるということをいまおっしゃった。これはずばり廃棄することが当然だと私は思う。米があり余っているといわれる際に、汚染されているところの米を、たとえ一PPM未満であったにしても、これをそのまま配給したり、あるいはその他の米をまぜて配給したりするということは、私は問題があると思う。どうです、これはいま研究しているんだろうが、見通しとしては。私は廃棄すべきだ、こう主張したい。
  71. 中村健次郎

    中村(健)説明員 食品といたしまして、国民食糧として一PPM以下の米は配給しても一向差しつかえない、人体に害はないというふうになりました場合に、せっかく国民食糧の確保ということで買い上げました米を廃棄するということは、またこれは問題があると思います。したがって、害のないものであれば、これは配給して差しつかえないのだと思います。ただ、現在米が余っておるときでございますし、消費者その他から、安全だとはいっても私のほうは買わない、食わないというふうににおっしゃるものを、無理押しして配給することにも問題がある。したがって現在、その辺をどういうふうに行政的に措置していくかということについて検討中でございます。
  72. 中村重光

    中村(重)委員 人に食べさせなくたって、用途は幾らでもあるはずです。だから、そういうものは廃棄する、ともかく食べさせない、そういう措置をとるようにひとつ強く要求しておきたいと思います。  それから、先ほど一PPM以上の汚染米は買い上げない、こうおっしゃった。現行の食管法は無制限買い上げというのがたてまえなんです。これを買わないというのはおかしいじゃありませんか。当然これは買い上げて、そして農民には当然代価を支払うことを保証してやるというのがあたりまえです。同時に、これにお答えを願うとともに、あなたのほうでは、汚染地区の米は予約受付をしない——いま改められたかどうか知りませんが、私が情報を入手したときまではそういうことであった。受付をしないものだから予約代金は払えないでしょう。農家は肥料も買えない、農薬も買えないということで非常に困っている。これは農民の責任ではない。被害者である農民に一方的な犠牲を負わせるということは問題がある。この二点についてひとつお答えを願います。
  73. 中村健次郎

    中村(健)説明員 食糧管理法に基づきまして買い上げている米は、国民食糧の確保という目的をもって買っておりますので、一PPM以上の米が国民食糧として配給に適さないというふうにまだこれはきまっていない。そういったことにつきましてもいま厚生省相談中でございますけれども、ということになるとすれば、国民食糧にならない米を食管で買うということは、これは問題があると思います。農家の方がお困りの点はよくわかりますけれども、食糧管理の立場からそういう問題があって、これを買うということについてはきわめて問題が多い、このように考えます。
  74. 中村重光

    中村(重)委員 食糧管理法の問題は、これは行政措置政府部内で処理すべき問題であって、農民にそういう犠牲を要求すべきものではないと私は言うんです。そういうことは部内で話をしなさい。いわゆる食管会計で一PPM以上のものを買うということは公害対策みたいになるからこれは問題があるとおっしゃるなら、それは大蔵省とも話し合い厚生省話し合いをやって、部内的に処理をすればいいわけです。そして農民に対しては当然補償していくということでなければならぬのです。同時に、予約米の受付をしないなんということで農民に不安を持たせるのではなくて、四十五年産米というのも当然買い上げをしなければならないのだから、いま申し上げたように受け付ける、そして農民の不安を一日も早く解消すると  いう態度をおとりになるべきだと私は思う。これはあなたのほうからもお答え願いますが、政務次官お二人おられるので、どうも担当ではないのですが、政治家ですから、いまの議論をお聞きになって、ひとつあなた方の考え方というのをお聞かせ願いましょうか。政務次官会議等において大いに正論をお吐きになって農民の不安をなくしていくということが当然だろうと思います。お答え願います。
  75. 中川一郎

    ○中川説明員 このほうの所掌は大蔵省の直接の担当には相なっておりませんので、農林省あるいは厚生省結論を得ましたときには、大蔵省として協力することにやぶさかでないことだけははっきり言えると存じます。ただ政治家として、公害にあった米だから買わないということについて、残酷ではないかという気持ちはそのとおりだと思いますが、食糧にならぬものを食管で買うというところにもまた問題がある。しかし、農家の気の毒なこともわかりますので、厚生行政で、あるいは補償問題でこれを解決するという道もあろうが、どちらの道でやるのが適当かを検討して、農家に被害を与えないように政府として措置をとるという態度が必要であろうかと存じます。
  76. 中村重光

    中村(重)委員 そのとおりです。それでけっこうです。これは、食管法によって買い上げしなくたって、農民に犠牲を及ぼさないということであればよろしいわけですから、そういう態度をひとつこの際明らかにされて、ましてあなたは大蔵政務次官ですから、さいふのひもをぐっと押えているんだから、あなたのきょうの答弁で問題は解決をしたというふうに私は思います。  それから、愛知県や福島県で、〇・四PPMをあくまで守るんだ、それ以上のものは配給しないということを、県とあなたのほうの下部組織の食糧事務所その他できめているんですが、この扱いをどうするんですか。
  77. 中村健次郎

    中村(健)説明員 その問題につきましては、七日にああいった基準が出まして混乱しております直後におきまして、そういったことが新聞報道されましたり談話その他が出たりしたのでございますが、私のほうでは直ちに食糧事務所等に、その問題については厚生省と安全の基準について十分打ち合わせし、いかに扱うかということを決定するまで、地方において県、食糧事務所独自の考えで事をきめない、こういう電信を打っておきました。目下厚生省相談中でございますので、いずれ近く厚生省の見解等を聞きまして、われわれ配給操作としていかに扱っていくかということをきめてまいりたい、このように考えております。
  78. 中村重光

    中村(重)委員 厚生省相談をするという約束でしょうから当然でしょうが、厚生省は玄米一PPM未満はよろしいのだ、こういうことを言うでしょう。ところが愛知県とか福島県で、不安だからこれ以上配給をしないのだというのを、いや配給しろというようなことで押しつけるということがないように、これもあくまで人命尊重の立場から処理していただきたいということを、これも特に中川大蔵政務次官にはひとつ御配慮を願う必要があるだろうと私は思います。  なお、汚染地区範囲の基準はどうなるのですか。いわゆる集落全部が汚染地区という形になりますか。これは私は問題だろうと思うのですね。たまたま汚染米が出た、その個々の農家だけを指定するのか。あるいは、いまの対馬なら対馬の樫根部落から基準を守らぬものが出た、それから人体からもそうしたカドミウムが検出された、だから集落全部を汚染地区として指定をするのか。これによって買い上げの問題が出てくるわけですから、その点きまったのですか。
  79. 中村健次郎

    中村(健)説明員 その点につきましては、むずかしいもので、私ども厚生省にいろいろお尋ねしておるのですけれども、私のほうといたしましては、その世帯なりその地区で、一PPM以上の保有米だということで、そういった保有米を食べないような措置をとることが公害立場から望ましいと厚生省でおっしゃっております。そういう措置をとる地区、地帯の米につきましては、これを買うか買わないかということを問題にして検討いたしておる、こういうことでありまして、地区なのか農家なのか、どの範囲なのかということは、現地現地の調査によって決定されるものと考えております。
  80. 中村重光

    中村(重)委員 地区なのか個人なのか現地の実情によって、それは私はおかしいと思うのだ。たまたま提供されたその特定の家の米に汚染されたのが出た。ところがその他のところもそれがないとは言えない。検出されたのは四十三年産米なんです。いま四年を食べておる。今度は五年。だからして、これは当然集落全部を指定するということがたてまえでなければならぬ。ともかくものの考え方は、人命を尊重する、そういう危険性のあるものは食べさせないようにするという、その点に基本を置いて考えなければならない。何とかできるだけ金を出さないようにしよう、そういう考え方ではもうだめなんです。だから十分配慮していただきたいと思う。  それから、これは通産省お尋ねをいたしますが、対馬カドミウムの原因は何ですか。もうずいぶん前からこの問題は問題になっているわけですが、相当期間が長いだけに、あなたのほうでも調査をしておられるだろうと思う。
  81. 荘清

    荘説明員 現在対馬で問題になっております土壌とか米の汚染は、樫根部落、床谷部落というふうな地区中心に問題が発生しておるわけでございますけれども、何ぶんこの地方全体が非常に古い鉱山地帯でございますので、昔から鉱山が掘られたという事実があるようでございます。そういう関係で、当面問題になっております部落は、これは文献等も若干あるようでございますけれども、相当古い時期に掘られた鉱山の捨て石とか、あるいは昔の製錬所の個所というふうなものが部落の下にございまして、その上にその後部落ができてきたというふうな事情もあるように述べておる文献もあるようでございます。いま御指摘ございましたように、非常に古い鉱山地帯でございまして、明治以降も相当掘っております。現在も東邦亜鉛が掘っておるわけでございまして、はたして全く昔のそういう捨てたものの関係だけでいま土壌が汚染されておるのか、それともその後の明治以降の鉱山の稼働によってまたそういうものに若干でも影響が出ておるかという点は、鉱業権者等も相当変わっておりますし、それから、明治以降の鉱山を掘ったり選鉱いたしましたりした場所あたりでは、現在資料が散逸いたしてわかりにくい面が相当あるかと思いますけれども、今後調査いたしまして、初めて実態が明らかになる面もあろうかと思います。そういう点でいま県のほうで、あの地区全体につきまして重金属分布調査というふうな御計画もございますので、両者突き合わせまして、今後実際の原因が一体何であろうかということを慎重に検討する必要があろう、基本的にはこういうふうに考えております。
  82. 中村重光

    中村(重)委員 四十三年にこれは要観察地区として指定をされたのです。私はこの問題についておそらく四、五回くらい質問しているはずです。私ばかりではなくて、衆参両院の各委員会でこれを取り上げてきた。答弁はいつも同じなんですよ。あなたがいま答弁したことも少しも発展がない。事態は非常に発展をしてきておる。これはむずかしい問題ではあろうけれども、どうも政府の熱意というものが足りない。小宮山政務次官もひとつ真剣にこの問題をお考え願わなければならぬと私は思うのです。対州鉱業所の検査はどうなっているのですか。
  83. 荘清

    荘説明員 鉱山保安法の対象鉱山でございますので、毎年鉱務監督官を数回現地に派遣いたしまして、鉱害防除施設の整備状況、排水の状況等の詳細な調査、検査等をし、所要の改善の命令を出しまして逐次改善をさせておるわけでございます。現在通産省といたしまして、カドミ関係の鉱山、製錬所が全国に六十数カ所ございますが、重点を置きましてそれぞれ詳細な調査を実施中でございます。対州鉱山につきましても、たしか先週の初めから鉱務監督官を派遣いたしまして、そのような調査をさせておるところでございますが、ごく最近までの検査の結果では、現在の排水につきましては特に問題がないのじゃないかと思っております。今後とも、こういう精密調査の結果に基づきまして、さらに所要の指示も必要ならば出しまして、一そう鉱害防除施設の整備というような努力をいたしたい、こういうふうに思っております。
  84. 中村重光

    中村(重)委員 あなたは前には保安局長、今度は公害局長になられた。任務は非常に重くなったですね。守備範囲も広くなったのですよ。ところがいまの答弁、これは、就任早々だから歯切れのいい答弁はできないのだろうと私は思う。しかし少しも進歩はありませんよ。もう少し具体的にお答えになったらどうなんですか。  それから、時間の制約がありますから、私の質問にだけ答えてもらいたい。対州鉱業所の検査はどうなってどうしているのかとお尋ねしたのだから、二カ月に何回やっているならやっている、その検査の結果はこうなんだ、よくなったのか悪くなったのか、そういうことを的確に答えてもらわなければ困る。
  85. 荘清

    荘説明員 対州鉱山に対しましては年四回検査を実施いたしております。検査の結果につきましては、先ほどもお答え申し上げましたとおりであります。検査いたします際には、鉱山からの直接の排水口のみならず、河川の付近の利水点での水も取りまして調査もいたしておりますが、現在のところ、特に重金属関係につきまして、カドミなど特に問題がないような状況だと考えております。
  86. 中村重光

    中村(重)委員 年四回やっているならば、データがあるはずですよ。一回から二回、三回、四回、そのデータは改善されてきたのかどうかということです。どうなんですか、変わらないのですか。よくなったですか、悪くなったですか。
  87. 荘清

    荘説明員 この鉱山では、政府の指示に基づきまして、四十四年、五年で大体一億円くらい鉱害防止施設関係だけで投資を行ないつつある状況でございますので、最近非常によく改善されてきたということは事実として申し上げられると思います。  なお、それでは過去においてどんな状況であったかという点でございますけれども、私、現在手元に資料は持ち合わせておりませんが、過去におきまして重金属関係調査等の結果がどうなっておるか、あるいはカドミそのものもいつのころから——ずっと以前は少なくとも検査の直接の対象項目としていなかったと思いますが、現在手元に資料がございませんので、お答えを申し上げかねます。
  88. 中村重光

    中村(重)委員 年四回あなたのほうは対州鉱業所の調査をやっているというのだから、調査結果としてデータがつくられているはずなんですよ。だからその調査の結果はどうなっているのか、こう言ったのだから——設備もしたし、改善されているのでしょう。
  89. 荘清

    荘説明員 鉱害防除施設を最近特に力を入れて改善させてまいりましたので、検査の結果の数値は現在手元に持ち合わせておりませんが、現在の基準に対しまして、最近ではかなりよろしい結果が出ておるわけでございまして、逐次改善されてきたことは明らかであろう、こういうふうに思っております。
  90. 中村重光

    中村(重)委員 それでは、データをとってみたり、その調査の流れを見てみるとずっとよくなってきたということは認める。だがしかし、この排水からカドミウムが検出されたという事実はないと、あなたはおっしゃるのでしょう。そうなんですか。ところが、排水からずっと改善されてきたということになってくると、問題のカドミウムというようなものに汚染されているのは——歴史は古いのだから、昔はいろいろなことがあった。千三百年ぐらいになるはずなんです。それはあとでお尋ねいたしますが、ずっと設備をやって、いわゆる予防工事もやってきたわけですね。そしてそれに基づいて年四回ずっと調査をやってきた。よくなってきた。そうなってくると、やはり工場から流しておった排水が直接の原因ではないのかという疑問がそこへ生まれてくるのですよ。あなたはその点疑問はありませんか、どうですか。
  91. 荘清

    荘説明員 したがいまして、対州鉱山の場合には、歴史も古いだけに、最近改善はされておりますものの、先ほど御答弁申し上げましたとおりに、過去において、どういう地区でどういうふうに鉱石を掘ったり製錬したり、あるいは鉱石のかすを堆積させるというような施設をしてきたのか、ずいぶんあの地区で変化があったようでございますし、そういう排水の状況等も歴史的に見て逐次変わってきているようでございますから、そういうあたりを全部詳細に調べまして、そうしてそれが現在問題になっております樫根部落等への、たとえば水の供給等とどういう因果関係があったかというふうな調査を、これから精密にする必要があるであろうということを申し上げたのでございます。
  92. 中村重光

    中村(重)委員 私はそれを聞いているのじゃないんだ。要するに工場から流される排水、それに対してのいろいろな汚染されないような予防工事なんということをおやりになっていらっしゃるんだから、その点を——絶えずあなたは、年四回対州鉱業所について調査をしたとおっしゃったんだが、私はそんな広い範囲の、農林省がやるようなところをあなたに言っているのじゃないのです。あなたのほうは要するに鉱業所を中心にしての調査なんです、通産省の担当は。あなたの守備範囲について私はお尋ねしているんだから、その守備範囲についての調査の結果が、年四回やってずっとよくなったということであるならば、この汚染の直接原因はやはり工場の排水にあったのではないか、あなたはその点の疑問というものをお持ちにならないか、こう私はお尋ねしたのです。政務次官、どうです。
  93. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 いまの問題でございますけれども、かんがいの採水分析の結果、四十四年十二月でございますけれども、カドミ濃度が〇・〇〇二から〇・〇〇六PPMでございました。これはカドミの環境基準の〇・〇一PPMよりずいぶん下回っておる。で、問題はないと考えられますけれども、またことしの七月十四日から検査をやっております。この結果は八月の末ごろにわかるかと思います。そういうことで、かんがい利水地点採水分析の結果ではそういう結果が出ておりますので、問題はないかと考えております。
  94. 中村重光

    中村(重)委員 予防工事をやった。そこでずっとデータをとってみた、漸次改善されてきている、だから排水からカドミウムに汚染されたという疑いはまず持たれない、そういうことなんですね。そうするとやはり問題がここに出てくるのですが、そこで、西歴七〇〇年にこれは銀山として当時開発した山なんですね。その当時の亜鉛というものは捨てられておったと私は思う。亜鉛であるとか、今度はずっと亜鉛も採掘するようになりましたが、からみであるとか、ズリであるとか、そういうようなものの処理というのはどうなっておったんですか。時間がありませんから的確に簡潔に答えてください。
  95. 荘清

    荘説明員 文献によりますと、この当時は、御趣旨にありますとおり、からみとかズリは山間に全部捨てられておった、こういう記録がございます。現在はそういうところに上に部落ができておる、こういう状況のようでございます。
  96. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、あなたのほうでは、これは工場の検査の結果は問題はない。ところが、その地域が汚染されているという事実はこれもまた間違いはない。そうしてみると、捨てられてあった亜鉛、からみ、ズリ、そういうものの上に部落ができ上がった、だからそれが原因ではないのか、そういう疑いを持っておられるということのようですね。そうなってくると、問題はこの鉱業法の関係が出てまいります。鉱業法によりますと、これはずっと引き続いていわゆる鉱業権を譲り受けることになってまいります。そうなってまいりますと、鉱業法の百九条の二項、三項によって、この前の鉱業権者が捨てておった亜鉛あるいはからみ、ズリであったにしても、それからいわゆる有毒性のものが出て、それで汚染されておったということになってくると、その責任は現在の鉱業権者は免れない、この責任を当然負わなければならないということになってくると私は思う。したがって、鉱業法というものは明治の時代に私はでき上がったと思う。そうすると、内容的にずっと改められてきたので、この法律をつくりましたときはどうであったかということ、そこまで見ぬとわからないのだけれども、そこまでは私はお尋ねいたしませんが、この点は工場の排水が直接の原因でないとすると、そうしたからみであるとか亜鉛であるとかいう捨てられたもの、それが原因であったとすると、鉱業権者の責任というものはどうなってくるのか。
  97. 荘清

    荘説明員 明治三十八年から鉱業法が施行されて、その後改正になってございますけれども、鉱業法が施行になりましてから鉱業権者がそういう行為をしておりました場合につきましては、そういう事実が明らかでございますれば、ただいま御指摘のような法の運用になろうかと思いますが、私どもも現在あまりはっきりした資料はないのでございますけれども、一応文献等で調べておる範囲におきましては、現在の樫根、床谷という二つの部落の関係につきましては、非常に昔鉱山が掘られておりまして、大体二百五十年から五百年くらい以前にいまの部落のところへ捨てられて、その上に部落ができて、その後の鉱山の関係は特にそことは関係がないのではないか、こういうふうな判断をいたしておるわけでございます。
  98. 中村重光

    中村(重)委員 あなたの判断というものは、どうも企業優先というものが頭にこびりついて離れないんだな。それはあなたの感じですよ。科学的に証明されないでしょう。それではないかと思うということは私は問題があると思う。かつて自民党の参議院議員であった現久保知事は、企業優先である、企業責任を追及しなかったところに問題があると言っている。だからこの対馬カドミウムの問題は、企業責任を追及するという考え方の上に立って処理しなければ問題の解決はあり得ないと言っている。だから、そういうような、いまお答えのような先入主を持たないで、もっと積極的に関係省と話をやって調査をやる、すみやかに結論を出す、こういうことでなければ私はならぬと思う。政務次官ひとつ。
  99. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 この鉱業法の問題でいろいろ問題がございますけれども、いま先生がおっしゃいました問題点については、もし東邦亜鉛が、そういうようなことで企業側が鉱害を出しておるというなら、これは追及せざるを得ない。しかし、鉱業権を前の企業から受け継いでいないということになりますと、これは鉱業法の適用がございませんので、そういう問題もございますけれども、もし出しておるというようなことがあれば、われわれはその原因追及をしなければいかぬ、そういうことも頭に入れてやっていきたいと思います。
  100. 中村重光

    中村(重)委員 鉱業権は引き継いでいるのです。だから、鉱業法が制定される前捨てられたもの、それが原因であったとすれば、現在の鉱業権者に責任を追及することはできない。その制定後であれば、現在の鉱業権者が鉱業権を引き継いでいるのだから、その責任は鉱業法百九条によって追及していかなければならぬということになってくるわけです。だから、調査もせずして、それはもっと前であったと思われます、だから責任はないのではないかと思いますなんというようなことはいけない、企業優先の考え方である、こう言っている。あなたのように、ただ、鉱業権を引き継いでいないんだったら責任を追及されないんだ、そういう答弁ならわかるのですよ。ところが局長は、鉱業権を引き継いでいるということを知っているんです。そしていまその責任が——私もない責任を追及しろとは言いません。よく調査をしなさい、そして早く結論を出しなさい、そして住民の不安を一掃しなさい、こう私は言っておるのです。責任を負うべきものは負ってもらわなければならない。追及すべきものでないのに強引に責任を追及すべきではない。態度ははっきりしているのですよ、私は。だから、のろのろ通産省その他関係省がしているから、いつまでもこういう問題が不安として残っている。  そこで、いずれにしてもその土地が汚染されているということに間違いないんだから、その農地を今後とも使っていこうということになってくると、私は客土以外にはないのではないかと思いますから、農林省のお考えをひとつお聞かせ願いたい。これも簡潔に。
  101. 中野和仁

    ○中野説明員 長崎県の報告によりますと、百二十六ヘクタールほど被害を受けておるということでございます。そこで、農林省といたしましては、本年度からこの地域の分布調査をいたしますと同時に、対策基準調査もいたしまして、具体的にどういうふうにやったらいいかということを検討をしたいと考えております。技術的に詰めたいと思います。同時に、いまるる御議論ございましたように、こういうところでそういう客土等の土地改良事業をやる場合に、国の負担あるいは県、原因者の負担というものをどうするか。新しい事業になってまいりますと、そういう面もあわせて至急検討いたしたいと考えております。
  102. 中村重光

    中村(重)委員 原因がいずれにあったにしても、農民は被害者です。だから、いままでの土地改良事業のように、国が二分の一、県が今度は四分の一ですね。それから受益者の負担がある。ところが今度は、受益者が農民であるということになってまいりますと——今度の場合は受益者ではないのです。被害者なんだから。かつて群馬県の渡良瀬川の河川改修工事の場合には、国と県と企業で負担したという事実がありましょう。その例にならって、農民に対しては、被害者だから土地改良事業の場合これを負担させない、そういう考え方であると理解をしてよろしゅうございますか。
  103. 中野和仁

    ○中野説明員 まだそこまで結論を出すまでに至っておりませんけれども、少なくとも厳密に調査をいたしまして、あるいは先生おっしゃいました排土、客土等をやる場合に、一体国がどれくらい持って、地方公共団体がどれくらい持って、企業がどれくらい持つべきかというようなことは、いままでの土地改良の場合には、具体的には制度としてはございません。そこで、その点も含めまして至急検討しなければならないということを申し上げたわけであります。
  104. 中村重光

    中村(重)委員 私は、国が幾ら、県が幾ら、企業が幾らと言っているのではないのです。それは内輪できめてもらえばよろしいでしょう。問題は農民に負担させるべきではないということを言っているのです。群馬県の渡良瀬川の場合におきましても企業が負担をしましたから、受益者である農民には、被害者であるから負担をさせなかったのです。だから、客土をするとか排土をするとか、それはこれからの検討によってきめてもらうことになりましょう。私はこれは客土をすべきであるということを強く要求いたしたいと思います。いずれにいたしましても農民には負担させない。その点だけをひとつ明確にお答え願えればけっこうなんです。
  105. 中野和仁

    ○中野説明員 ただいままで農地局でやっております公害対策事業におきましては、国、県、それから地元の負担もございます。そこで、いま先生のおっしゃいました制度として立てるにはなお検討を要します。ただ、いま先生のおっしゃいましたことを十分頭に入れておきまして、検討を進めたいと思います。
  106. 中村重光

    中村(重)委員 政務次官、お聞きになってどうお考えになりますか。私はそういう公共団体の負担割合をいろいろ言っているのじゃないですよ。国と県と企業、これはいずれにしても企業責任一があるわけです。だからその負担割合は、それを適当におきめになってけっこうなんです。ただ被害者である農民にはこれを負担さすべきではない。前例としては群馬県の渡良瀬川の河川改修工事の際もそうであった。だからその点を明確にお答え願えばよろしい。
  107. 中川一郎

    ○中川説明員 御質問の趣旨はよくわかりますし、完全にこれが農家が被害者であるということであれば、農家にまた負担をさせるということはどうかと思いますが、まだ調査も十分でないようでありますし、あるいはまた、排水、客土をやることによってそういった害がなくなるだけにとどまらず、そのほかの生産性向上というようなことも付帯的に出てくるというようなことになれば、ある程度御協力をというようないろいろなことが考えられるのじゃないかと思いますが、いずれにいたしましても、御趣旨はわかりましたので、調査結論を待ちまして御趣旨に沿うように慎重に検討を進めてまいりたいと思います。
  108. 中村重光

    中村(重)委員 今度は中川さんらしくもない。慎重論、いわゆる大蔵官僚みたいになってしまったのでは困るのです。農民の責任でないならばとおっしゃる。明らかに樫根地区の米は厚生省が示している基準を上回ったわけです。食べるなという指示がなされているのです。県も食べさせないという方針を緊急措置として決定したわけです。だから保有米買い上げを国に要求しているわけです。だから汚染されたという事実は、それによって明瞭なんです。してみると農民は被害者なんです。だから責任がないのであるならばということではない。これははっきりしている。ということだから、渡良瀬川のそういう前例にもならって、ともかく農民には負担をさせない。土地改良事業の場合ですね。あるいはそれに準ずるような事業をおやりになるような場合、いずれの場合であろうと負担をさせない、このことだけをこの際——政務次官は、慎重なという大蔵官僚の答弁みたいなことになってはどうもならぬ。
  109. 中川一郎

    ○中川説明員 先ほども申し上げましたように、カドミウムの害については御指摘のとおりであろうと存じますが、けちな話になりますけれどもカドミウムの害をなくすのみならず、その上に生産性がかなり上がるという効果もあるのではないか、その分については何らかの御負担を願う趣旨等もあるのじゃないかという、若干けちな、大蔵的なところもないわけではありませんが、しかしカドミウムの害については御趣旨に従ってやるべきであろう、このように存じます。
  110. 中村重光

    中村(重)委員 生産性が上がるかもしれぬから、その場合には農民にも負担をさせなければならぬということになる。そうなってくると、農民がいままで受けた物質的、精神的損害を国を相手どって訴訟を起こしますよ。客土をしたために生産性が上がるから、その分だけは農民にも幾らか負担をしてもらわなければいかぬという考え方であるとするならば、これは問題なんです。(「低下した場合には補償するか」と呼ぶ者あり)そういう問題も出てくる。生産性が上がるとばかり言えない。低下した場合はどうするかという問題も出るくる。だからそういうけちなことをおっしゃらないで、農民には負担さすべきではないとお考えになるならば負担さすべきではない、こう思う。それだけお答えになればいいわけです。
  111. 中川一郎

    ○中川説明員 いままで、カドミウムによって買い上げ制限をしたり、生産性を落としたりというような害は、御迷惑は農家にはかけていなかったのではないか。今度明らかになりまして、買い上げをしなくなるとかということになりますれば、これは直接農家に御迷惑をかけますので、その分については農家の御負担にならないように配慮してまいりたい。ただし、そのことによって生産性がかなり上がるとするならば、御協力を願うと言っているのではないのですが、願うということも考えられるのではないかという程度のことでございますので、御了承をいただきたいと存じます。
  112. 中村重光

    中村(重)委員 どうも先ほどの名答弁国民が胸がすきっとするような答弁だったけれども、最後のはあまりぴんときません。だから政務次官もいろいろ配慮してのお答えだろうと思うけれども、少なくともあなたは政治家としてお考えになって、被害者である農民に負担までさせるということになってくると追い打ちですよ。ほんとうにいまものすごい憤りを持っているのです、地元の農民というものは。何もなかった、何もなかったと言いながら、いまさら米を食べるな食べるなということは、つくるなということです、といっておこっているのです。ですから、これはもう汚染されていることは間違いないのだから、客土以外に私はないと思う。専門家である農地局長はいろいろお考えになるでしょうけれども、農民には負担をさせないようにしてもらいたい。  次に、経済企画庁お見えですから……。  長崎港の汚染が実にひどい。大腸菌がうようよしているということですが、調査はしているのかどうか。いまの調査の中間的なものはどうなっているのか。
  113. 白井和徳

    ○白井説明員 長崎港につきましては、現在経済企画庁といたしましては、長崎市内の河川の水質調査を行なっておりまして、その調査の一環といたしまして、長崎港についても水質保全をはかりたいということで、現在、水質指定地域といたしまして、水質基準の設定を考えております。  四十四年度に県が行なった港内の水質調査によりますと、先生指摘のように、COD等につきましては良好でございますが、大腸菌群数が比較的高い数値を示しております。これはやはり長崎市四十万の家庭汚水による影響だろうと思っています。
  114. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、いまのところの調査の結果は、中間的に見て、四月二十一日に閣議決定をしました水質汚濁にかかる環境基準を軽くオーバーしているんですね。ですから、いま指定をするとおっしゃったのですが、指定をされるのは大体いつごろになりますか。
  115. 白井和徳

    ○白井説明員 今年度調査をしておりますので、その調査結果に基づきまして解析をいたしまして、長崎港並びにその市内河川に立地しております工場等の水質規制を行なう。そのときに設定しますので、来年度になろうと思います。
  116. 中村重光

    中村(重)委員 それでは、すみやかに調査を進められて指定をするという方針を御決定になったようですから、決定も早くする、そうして徹底した調査をやる。そうせぬと有名な長崎港が死んでしまいます。これは単に長崎県民だけの関心事ではなくて、私は全国的な問題であろうと思う。同時に私はいろいろな調査がなまぬるいと思います。農林省にも私は申し上げたかったのですが、富山県の黒部市なんかはこの間要観察地域に指定したのです。非常に汚染している。カドミウムにおかされている。濃度が高いのです。だから、イタイイタイ病で死んだのではないかといって、死んだ人間を追跡調査しなければならないような状態です。この黒部市の要観察地域に対する指定は五番目なんです。だから、もう手おくれ、手おくれということになる。今度は決意も新たにしてそういう調査もすみやかに行なう。そして不安を解消する、指定すべきものは早く指定をする、徹底した調査をやる、こういうことを十分配慮していただきたい。  政務次官から、いままでの質疑であなたが感じられ、公害対策として通産省として考えることについての御答弁は先ほどありましたけれども、最後に、公害対策に取り組むかまえについて、あらためてひとつお答えを願いたいと思います。
  117. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 いままで先生の御質問を聞いておりまして、通産省といたしましては、企業優先という角度ではなくて、公害をなくすことによって国民生活がよりよくなるという観点からこのことを考えていかなければならぬ。公害追及を今後とも強力に推進していく覚悟でございます。
  118. 中村重光

    中村(重)委員 割り当て時間十二時二十五分かっきりでございますから、一応きょうの私の質問はこれで終わります。
  119. 八田貞義

    八田委員長 石川次夫君。
  120. 石川次夫

    ○石川委員 実は私、質問の通告が非常におくれたために十分か十五分ということに限定をされまして、非常に重要な問題をはらんでおるわけでありますけれども、時間がありませんので、きわめて結論的な質問だけを申し上げたいと思います。  公取の行なっておる独禁政策、それから金融政策、産業政策、この三つの柱がいわゆる経済政策の三本の柱というふうにわれわれは理解をしておる。さて、価格政策にしても経済政策のきわめて重要な一環として公取の役割りは重かつ大である、こう思っておるのですが、その公取が三百五十人しか人を擁することができないということは、非常に手が回りかねるという実態があると思うのです。その点は御同情申し上げますけれども、きわめて素朴な任務までも怠っているのではないか。このことで一つ申し上げたいのです。  実は科学技術対策特別委員会におきまして——誇大広告あるいは虚偽の広告というものは、公取がきびしく取り締まる責任があるわけです。一面全部でかいてあるコカコーラの広告がある。それには、チクロは使っておりません——これは確かにチクロは使っておりません。チクロは、われわれコカコーラについて問題にしたことはない。燐酸とカフェインあるいは香料の中に多分の食品添加物というものが入っていることは、これは厳然たる事実なんです。ところが一面全体に、これは人工添加物は全然入っておりませんと広告している。でかでかと一面全部ですよ。全面広告です。これはおかしいじゃないかということで、公取の取引部長に聞きましたところが、これは調べますと言っただけで、何らの反応がないわけです。この点はどうなっていますか。
  121. 谷村裕

    ○谷村説明員 御質問の点のような話があることは私も聞いております。そしてその件につきましては、人工添加物の入っている形で、燐酸何とかというのがどういうことであるかというのを、何か厚生省のほうでいろいろと御調査になっているということは聞いております。公取の事務局といたしまして、そのことを直ちに、公取の立場における虚偽の表示、不当表示法に基づく問題として現にいま何かしておるということは、私はまだ聞いておりません。
  122. 石川次夫

    ○石川委員 きょう質問したい主たる点じゃありませんから、私はあまりこの点については言いたくないのです。言いたくはないのですが、人工添加物が入っておりますと厚生省はちゃんと言っているのです。公取の取引部長もちゃんとそう聞いているし、善処しますという答弁なんです。ところが、それは厚生省におまかせしますというのは、どうも私合点がいかない。だから、独禁法の守り本尊たる公取は、そんな初歩的な任務すらやってないんじゃないか、こういう点が私は非常に不満です。確かにコカコーラというのは相当の財力を持っておりますから、これにたてつくことはなかなか容易ではないという実態であることはよく御承しておりますけれども、虚偽な広告をでかでかと全面広告で出して、それを何ら取り締まることがではないないという、こんなばかげたことは許すべきではない。こういう点で公取委員会が職責を全うしてないということを指摘したいと思うのです。  それから、実はこの前もこの委員会で御質問申し上げたわけなんですけれども、公取は公正取引というものを守るための守り本尊であります。そこで実は八幡、富士の合併についていろいろわれわれはやって、この合併は、前の公取の委員長である北島さんなんかは、一位と二位が合併するということには問題があると言った。山田さんはこれに対して相当抵抗した。しかしついに合併になってしまった。そこで、戦争前の日鉄のようなかっこうで、相当傲慢な取引をするのではないかということをおそれておりました。最近の金融逼迫ということがこれに拍車をかけまして、二十五カ月以上の手形でもって取引先あるいはまた下請に手形を切っておるという実態を御存じですか。
  123. 谷村裕

    ○谷村説明員 私は、その点の実態について、まだつまびらかにいたしておりません。
  124. 石川次夫

    ○石川委員 大蔵省とか通産省はきめこまかい配慮に基づいて、中小企業のほうの金融というものは絶対に逼迫させない、大企業のほうだけ金融を引き締めているんだということを再三大蔵大臣も言っておる。しかしながら、実態は下請その他に対して二十五カ月以上の手形を出したのではお産手形、台風手形ということはいままで聞いたことあります。しかし、二十五カ月以上の手形ということになれば、中小企業はとてもやりようがないのです。そういう実態を知らないということは、私、怠慢だと思うのです。
  125. 谷村裕

    ○谷村説明員 つい一月ほど前でございますか、あるいは三週間ほど前でございますか、全国で特にそういった機械関係、電機関係あるいは重化学関係、いろいろな下請のほうをやっていらっしゃる方の実態を伺う機会を二日ほどつくりまして、いろいろ承ったのでありますが、ある業種において二十五カ月以上の手形による下請の支払いが行なわれたという話は私どもは聞いておりません。多少金融の関係でもって、従来の九十日ものが百二十日ものくらいに少しずつ移っている傾向があるというふうな報告を、一般的にはじかに聞きましたけれども、二十五カ月というような話は、実はいま初めてここにおいて伺うような次第でございます。
  126. 石川次夫

    ○石川委員 中小企業、下請というのはそれほど弱いんですよ。実際、私、二十六カ月という手形を見せてもらいました。これではお話にならぬでしょうということも現実に聞いております。しかし、それを言えば、そういうことを言った本人が取引停止になるというような懸念があって、それが出せないというのが実態なんです。これでは仕事にならぬです。  そういうことに関連して、きょうは大蔵政務次官もいなくなってしまったわけですけれども、ミニ緩和をちょっとやりましたね。物価を上げる原因といたしましては需給要因が一番多い。それから国際要因がその次である。それから構造要因、この三つがあるわけです。しかしながら、最近、卸売り物価というものが若干下がったというようなことで、国際要因と需給要因というものはだいぶ変化をしてきているのではないかということで、金融を緩和しなければならないのではないかという論調が新聞などにも散見されるようになったわけでありますけれども、これは大蔵省がその管轄でありますが、通産省としてはどうお考えになっておりますか。
  127. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 中小企業の金融逼迫が出ておりまして、これ以上金融が逼迫いたしますと倒産その他の問題が出てまいりますので、また卸売り物価も下がってきたというような状況もございますので、金融を緩和してもらいたいというような要望をしております。
  128. 石川次夫

    ○石川委員 大蔵省はそれに対して反応はどうですか。通産省としては当然そういうふうにお考えになるだろうと思うのです。しかしそれをきめるのは大蔵省ですね。だから通産省としては、そういう要望を大蔵省に出して、大蔵省としてはどういう反応を示したかということを伺いたい。
  129. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 これは日銀あるいは大蔵省が、経済の状況あるいは金融状況を見まして決定することでございましょうが、最近、卸売り物価が下がったからといってまだまだ警戒しているようでございますので、その点は私もまだ返事を聞いておりません。
  130. 石川次夫

    ○石川委員 これはひとつ政務次官、私は、別に物価の関係としては構造要因が一番大きくなりそうな気配が最近出てきておりますので、需給要因と海外要因というものが緩和されたからといって、必ずしもそのことによって直ちに金融緩和していいというきめ手になるかどうかということについては、私自身疑問を感じてはおるのです。しかしながら、最近の金融逼迫は相当ひどくて、物価のインフレによる損害を外に分散させる、たとえば不動産所得を持つ債務者の利潤でもってそれをまかなっていくというような余地がほとんどなくなってきている。また、そういうふうなものにたよってきたというのは、非常に企業者の態度というものはなまぬるいところが物価に対してあったんではないかと思われる点が多々あるわけです。  何としてもその禍根をなしている中心は、管理価格の問題であろうと思うのです。公正取引委員会は、いまの独禁法では管理価格に対して十分な監視をすることができないのではないかということで、この下方硬直性を打破するための、管理価格というものを監視するための独禁法の改正をお考えになっておるというようなことを新聞で散見するわけでありますけれども、その点どうお考えになっておりますか。
  131. 谷村裕

    ○谷村説明員 いわゆる管理価格なるものがどういうことをさしているのか、そしてまた、それをどう評価すべきであるのかというふうな基本的な問題が、まだ一般的にいって解明されていない状況でございます。これは私ども日本国内だけではなくて、欧米諸国においても同様であろうかと思います。しかしながら、一般的な傾向として、産業あるいは経済の高度化等に伴いまして巨大企業が出現し、またある程度市場における集中性が上がってくるという事態は各国においても起こっており、またわが国においても、そういう傾向がある特殊部門においてはないとは言えないわけであります。  さような事態に対処しまして、本来ならば、有効な競争条件が整備されておれば、それが企業に対する一つの制約となりまして、企業がなかなか自分の思うとおりには動かせないという条件が設定されるわけでございますけれども、たとえば寡占になってまいりましたような場合には、必ずしも有効な競争条件というものの整備がきかない——これはきかせるべきでありましょう。本来ならば、たとえば輸入をできるだけ自由化するなり、有効な対抗力を持った企業があらわれるなり、いろいろな形において競争条件が整備されてしかるべきなんでありますが、必ずしも経済の実態はそうはいかない場合が出てくる。さような場合において、本来ならば有効な競争条件を設定することを目的としております独禁法は、たとえば競争制限的になるような合併であればこれを押える。たとえば競争を制限するような行動が行なわれればこれを押える、規制するということはできますけれども、そうでなくて、フェアに競争しながら巨大化していく、あるいは力が強くなっていく企業に対しては手が打てないということもある。これは日本だけの問題でなくて、アメリカでもあるいは欧米でも、これが問題になっておるということを、私は先般記者会見の際に紹介したわけであります。  そして、たまたまもしそういったような問題にいかなる方法で対処したらいいかという問題の一例として、ことしの三月に、当時は労働党内閣でありましたが、イギリスの政府国会提案をいたしまして、従来は独占委員会という委員会一つの働きをやり、もう一方では物価・所得委員会という委員会があってこれが一つの働きをしていた、その二つを一つに合わせまして、そうしてやはり大企業対策というものを考えなければならないという、そういう体制になっているのが一つ考え方として御紹介できるという意味で申したわけであります。  日本の国内においていわゆる管理価格問題をどう考えるか。もし本気に考えるのであれば、場合によればそういう体制日本として必要になるのではなかろうか。しかしその場合には、ある意味においては超過利潤の問題にかかってまいります。そしてまた、広告費でありますとか、あるいは宣伝費でありますとか、あるいは賃金の問題でありますとか、そういう企業のコスト、利潤、価格形成、そういった問題にも政府一般公益を代表して入っていかなければならないという問題も出てくる。かように管理価格の問題というのは、ある意味では企業の自由な行動に対して政府が介入をするというふうな問題にまで発展するような問題であるから、問題としてはなかなかむずかしいのでありますよと、かようなことをその際は申したわけであります。そうして、公正取引委員会が現在は競争政策を維持するという立場で見ておりますけれども日本政府全体として、一体それをどういう役所が——役所ということばは古うございます。行政官庁が受け持つべきであるのか。そしてまた、それはどういうやり方でやっていくものであるか。私は公取の問題だけとしては決して申さなかったので、やはりもしそういうことを考えるとしたならば、行政府全体がこの問題を一つのコンセンサスをもって考えなければならないでしょう、かようなことを私は申したのであります。
  132. 石川次夫

    ○石川委員 時間がないので非常に残念です。追及したいことは、いまの答弁の中からたくさん引き出せるのですが、ビール値上げのときに、公正取引委員会としては、寡占体制が確立した分野においては現行独禁法の手は及ばない、こういうことをはっきり言っております。私もそのとおりだろうと思うのです。したがって、下方硬直性というものを何とか打破するための方策を、公正取引委員会としては真剣にひとつ取り組んでいただきたい、このことを強く要望したいと思うのです。  それからあと一つは、それと相呼応する——呼応するということばはちょっとおかしいのでありますけれども、第九条の改正論というのが、経団連のほうから非常な燎原の火のごとく広まってきておる。しかし、公正取引委員会といたしましては、独禁法の改正、第九条には手をつけない、現時点においては必要ない、こういうことを前から谷村さん自身がおっしゃっておったと思うのであります。その論拠をひとつお示し願いたいと思うのです。
  133. 谷村裕

    ○谷村説明員 まず、経団連あるいは日本商工会議所のほうからさようなことを文書で私どもはいただいておりますが、新聞の記者会見で、新聞に載っておりますこと以外には、さような要望をなすった側から、どういう意味で、どういうところに問題があって、どういうふうにそれがじゃまで、だからどういうふうにしてほしいんだという具体的な御説明をもっては伺っておりません。一般的にいわば資本の自由化ということに伴って、どうも外国に比べて日本ではいささか武器が不足しておるようだ、外国では自由に持ち株会社というものがつくれるのに、日本ではそれがつくれない。これは純粋持ち株会社でございますが……。それだけ日本としては国際競争において有し得る武器が足りませんから、やはり第九条を直して、何か外国と対抗できるような意味における武器がほしい、かような意味ではなかろうかと思っておりますが、具体的にどういうふうにしたいのであるからというふうなお話を実は聞いていないのでございます。  しかし、だんだん推測いたしますると、大体二つ理由があるようでありまして、一つは、やはり強い企業体制をつくりますというふうな意味における、合併、提携等にかわる意味における純粋持ち株会社というものがほしいのではないかという感じと、もう一つは、いわゆる株の乗っ取りといいますか、取得した外資に対して防御するということのために、何かそういうものがほしいと言っておられるように思います。  これに対しまして私どもの態度は、基本的にはこういうことになります。第九条の考えておりますことは、戦前の財閥形態においてそれが象徴されておりますように、いわば資本を節約いたしまして、少数の、一握りの資本が企業を支配し、その企業がまだ次の企業を支配しというふうに、少数の資本による、節約された資本による企業の集中管理体制というものができること、これを防止するというのが第九条の目的であろうかと思うのです。したがいまして、そうでない形、たとえば事業持ち株のような場合には、第十条で競争制限にならない限りはこれを差しつかえないという形になっておるわけであります。これはいつぞやも石川委員お答えしたとおりでございます。それで私どもは、そういった、世界に例はないかもしれませんが、しかし、資本が資本を支配し、そして節約された資本による多数企業の支配というふうな体制は、やはりとるべきではないと考えておりますから、さような意味における第九条を改正しようという考え方に対しては、私どもはそれを容認するつもりはないというふうに申しているわけでございます。  しかし、ではどういうことがしたいんだ、第九条の制約というのはあまり広過ぎる、場合によれば、たとえばそういう目的でない目的のものがあるのだったら、それまでおまえはいかぬというのかというふうな話にかりになるとすれば——これは仮定の話でございます。何やらそれは、国のひとつの経済の発展のために必要であり、しかもそれが独禁政策の目的から見て、別にどうしてもここの一線は譲れないというふうなものでない、いわば抽象的な話であるともしするならば、その場合に考えられるものがあるかないかということは、それは検討することにやぶさかでないということも私は申しているのでございます。したがって話が、一体何が具体的にどうなんだということになりませんとわかりませんが、基本的な、私が申し上げました独禁法の考え方というものを譲るつもりは、毛頭ないわけでございます。
  134. 石川次夫

    ○石川委員 非常にはっきりした御答弁で、まあ八分どおり安心をしたわけでありますけれども、石油みたいな国際資本が資本の自由化によってどうっとなだれ込んでくる。ガルフとかエッソとかがですね。それに対抗するために持ち株会社的な制度が必要であるということは、われわれも理解ができるのであります。そういう点では、個々のケースとしてそれぞれの対応策というものは別個に考えてしかるべきであろうけれども、第九条あるいは第十条というものそれ自体を根本的にそのために改正をするということに対しては絶対反対であります。ということは、体制べったりの学者といえども日本が完全な典型的な意味での独占資本主義の国家になっておらないというのは、この独禁法の第九条、第十条があるではないかというようなことが一つの防壁みたいな論拠になっておるわけでありまして、そういう点からいっても、日本が典型的な資本の暴威といいますか、それをふるわせないというような、とりでとしての第九条、第十条というものを持っていきたいというのが、私は国民全体の願いではないかと思うのです。そういう点で、個々の、資本の自由化によって起こるべきケースごとに、これは検討する余地はありましょうけれども、九条、十条それ自体は絶対曲げてもらっては困る、これは国民の強い念願でありますし、国民大半の切望であろうと思うのです。その点の決意を最後に御確認いただきたい。
  135. 谷村裕

    ○谷村説明員 重ねて申し上げるようでありますけれども、九条が考えております節約された資本による多数企業の支配という考え方を、私どもはこの際改めなければならないということは考えておりません。しかし、いまおっしゃったように、もしそういう問題とは別の角度から、何かより日本経済のために必要なことがあるということであれば、それは場合によればいろいろとよく吟味しましょう、かようなことを申し上げているわけであります。
  136. 石川次夫

    ○石川委員 時間がありませんから、これで終わります。
  137. 八田貞義

    八田委員長 横山利秋君。
  138. 横山利秋

    ○横山委員 始まる前に谷村さんにちょっと申し上げておきますが、きょうどうしても御用事があるそうでありますから御退席なさってもけっこうです。あとで事務局長に十分、私の質問する趣旨を聞いて善処していただきたい。これだけ要望しておきます。  まず、私はきょう質問したい項目を申し上げますが、一つは商品取引の問題である。一つはエッソの行なっておりますいわゆるマネプラ方式に関する問題であり、第三番目は、二月に倒産いたしました技研興業に関する政治的疑惑の問題であり、最後はチクロの問題であります。  まず最初に商品取引について質問をしたいのでありますが、休会になりますまでに、国会においてずいぶん同僚諸君とともに商品取引の現状について質問をし、要求もいたしました。ところが、国会が終わりましてから、続々とまた新しい問題が発生をしたのであります。委員長をはじめ同僚諸君も御存じかと思いますが、閉会直後の五月十五日には、大阪大成商品の営業課長が委託者に殺される事件が起こりました。また相場の穴埋めに石油販売会社の経理課長が一億円を横領した事件が発覚をいたしました。外務員が鉄砲だまで仲買い人に三千万円の損害を与えた問題があり、北海道上富良野農協の経理課長の公金横領事件が勃発をいたし、北洋相互銀行札幌南六条支店の支店長がこの商品取引に関連して自殺をいたし、また出版妨害事件等、実に国会が終了してからも、枚挙にいとまがないほど問題が続出をしておるわけであります。一方農林省、通産省におきましては、来年一月の許可制度移行を控えて、まず最初にこの小豆自己玉の規制問題を提起をされ、それがかなえのわくように仲買い人あるいは商品取引所あるいはちまたで問題となりました。同時に、私がこれから質問をいたしたいと思っておることの内容一つでありますが、政治的にいろいろと暗躍が始まったような気がいたすのであります。  このように、国会終了直前に私が警告を発しましたにかかわりませず、続々と商品取引の問題が発生をいたしましたことは、まことに遺憾千万でありますから、この際、ひとつあらためて政府の見解をただしたいと思います。  まず最初に、いま仲買い人の仲間あるいは商品取引の仲間でいろいろといわれておりますこのうわさを御紹介をします。つまり、政府がいろんなことを言っても、現在営業をしておる仲買い人は結局全部許可になるだろうといわれておるわけであります。なぜこんな話が町に伝わっているのか、なぜ仲買い人がそういうことで安居をしておるのか、実にふしぎな話でありますが、それにはそのような根拠が、政治的に、あるいは法律的にあるのではないかと、私は憂慮をしておるわけであります。  まず最初に法律的に伺います。すでに御存じのように、八月末までに、全国の各商品取引所においては、いまの仲買い人の許可の申請をするについては、意見を付して両省に提出をすることになっておる。一体いまの取引所が、かねて私どもが指摘いたしますように、この仲買い人会社は認められるべきではない、この仲買い人会社はりっぱなところであるから許可さるべきであるというような公正な意見が出せる状況にあるのかないのかという判断を、私はたいへん心配をしておるわけであります。取引所の意見という、その取引所とは一体何だ。取引所の最高決議機関は総会であり、理事会であり、理事会、総会には仲買い人が中に入っておる。仲買い人諸君を目の前にして、あそこの仲買い人はいい、ここはいかぬということが、一体公正に出し得るのであろうか。もしそういう関係者を除外するとしたならば、法律にいう取引所とは一体何だ。理事長個人の裁断にゆだねられるつもりであろうか。まず最初にそれが質問の第一であります。
  139. 両角良彦

    ○両角説明員 明年に控えました許可制への移行に関連しまして、ただいま御指摘をいただきましたように、各取引所は意見を付して主務大臣に許可の申請を取り次ぐわけでございますが、その際その意見は、取引所単位におきまして理事会の議を経て送付をされる。その理事会の中に、当該申請をされる仲買い人と同じ資格の仲買い人が入っておる、したがって公正な申請が行ない得ないかもしれないという御意見でございますが、私どもは、現在の取引所におきまする理事会の公正な、第三者を含めまして、かつ仲買い人も含めまして、それぞれその目的に従った活動を行なっているものと期待をいたします。また、そのような理事会の構成におきましても、当然私どもは、今回の意見が、公正、客観的に政府に対して申達をされてくるものと強い期待を持っておるわけでございます。しかしながら、もし主務大臣といたしまして取引所の意見をそのままうのみにしなければならないというたてまえであれば、あるいは御指摘のような危険性が起こるかもしれませんが、政府としましては、そのほかに、政府の独自の、主務大臣の独自の責任と判断におきまして、当該申請の可否を決定をすべきものと考えております。それはやはり営業の姿勢ということに関連をする諸般の判断というものが、取引所の申達内容に付加されまして総合的に判定をされることが望ましい、かように考えておるわけでございます。
  140. 横山利秋

    ○横山委員 きわめて形式的な御答弁であります。私の心配しておりますのは、いまの法体系、商取法の体系というものは、取引所の意見というものを尊重するということがたてまえになっている。したがって取引所からこの横山という仲買い人は許可さるべきでない、あるいは許可さるべきである——そこまで明白な意見が出るかとうか知りませんが、意見が出たものに対して主務大臣が、これはだめだという、その意見と違った処分をするときには理由を付さなければならぬ、聴聞をしなければならぬ、そういうことになっている。政府は、その取引所から出た意見、たとえばマルであったものをバッテンにするためには理由を付さなければいかぬ、聴聞をしなければならぬ、そう考えるときに、この法体系というものは、取引所の意見というものをきわめて尊重する立場になっている。その取引所が、かねて私が指摘しているように、いまの取引所は自主能力を備えておるかどうか。あとで話をしますけれども、この間の東穀の千代田事件の処分のしかたは何ですか。東穀は何をやっている。二転、三転をして、一部の人に言われてぐらぐらするような取引所が、どうして一体公正な意見を付することができるか。理事会というものの中に、仲買い人の利益を代表する仲買い人が理事として参画をしている。それならば、その仲買い人に対して公正にだめだと言う、全く公正な立場に立てる人、そういう人は一体どういう人なんだ。私は利害関係者はそこから除外さるべきであると考えておる。仲買い人も含めて全部の仲買い人、その十取引所の中におきます全部の仲買い人について、甲乙丙丁と勤評することがはたして公正妥当に行なえるかどうか。あなたはほんとうに公正妥当に行なえると信じておる一人ですか。
  141. 両角良彦

    ○両角説明員 御事情はよく理解できるのでございますが、少なくともわれわれとしましては、取引所の理事会は公正な意見を提示すべきものである。またわれわれは立場として、当然公正な意見が提示されることを期待すべきものであると考えます。しかし、それですべてが保証されるわけではないという点は、御指摘のとおりかと思います。したがって、取引所の意見は尊重はいたしますが、主務大臣立場において客観的な判断基準のもとに、当該仲買い人が不適格と認められることがあり得べし、その点について主務大臣の最終的な判断というものを留保することは当然であろうかと考えております。
  142. 横山利秋

    ○横山委員 もっと突っ込んで伺いますが、取引所が意見を出す、それぞれの仲買い人の勤務評定をして意見を出すについては、政府は許可基準というものをお示しになる。その許可基準について、こういう点についてはこういう調査をしろという許可基準をお出しになる。もうすでに資産その他についての許可基準はお出しになったのですか。お出しになったのですね。
  143. 両角良彦

    ○両角説明員 出しております。
  144. 横山利秋

    ○横山委員 営業姿勢についてはお出しになりましたか。
  145. 両角良彦

    ○両角説明員 近日中に出す予定でございます。
  146. 横山利秋

    ○横山委員 私が心配いたしますのは、営業姿勢に関する資料の提出、意見の付し方なのであります。それに関連をしてお伺いしたいのは、先般本委員会におきまして、予算委員会から本委員会に連続して要求をいたしました事故の総括表、ずいぶんもみにもんで国会に事故の総括表をお出しになりました。そのときに両省の言い分は、この事故の総括表は下から上がってきただけであって、政府としては念査ができていないから、だから出しがたいのだと言って、特に農林省は渋られたのであります。けれども結局はお出しになった。そのときに私が言ったのでございますが、もしも両省が言うように、この事故の総括表、仲買い人の紛争事故の総括表というものが、下から上がってきただけで政府責任を持てないというならば、政府責任をもってそれを調査すべきである、そうして責任をもって調査した結果を国会に提出すべきであると言いまして、両省とも御了承になりました。これは国会に提出なさいますか。
  147. 両角良彦

    ○両角説明員 通産省関係の取引所につきましての調査の結果につきましては、現在整理中でございますが、当省関係については国会に提出をいたします。
  148. 横山利秋

    ○横山委員 農林省はどうですか。
  149. 森整治

    ○森説明員 農林省もただいま数字を整理中でございますが、できるだけ出していくようにいたしたいと考えております。
  150. 横山利秋

    ○横山委員 できるだけ出すのですか、出すのですか、どちらですか。
  151. 森整治

    ○森説明員 できるだけお出ししたいというふうに考えております。
  152. 横山利秋

    ○横山委員 はっきりしてください。今度は逆で、この前通産省がさらっと出して農林省が渋った。今度は、農林省がさらっと出すというのに、通産省はできるだけというのはどういうわけですか。(「農林省だ」と呼ぶ者あり)これは間違いだった。——お出しになるのですか。
  153. 森整治

    ○森説明員 私が申し上げましたのは、事故の件数そのものを——紛議件数をこの前お出しいたしましたけれども、紛議件数というのは取引全体の形のものを考えておりまして、要するに総取引の中でそういうことがどのくらいあるかということをごらんいただけるほうが、むしろ誤解が生じないのじゃないかということを考えておりましたものですから、そのままということでなしに、もう少し客観的に表現できるような形のほうがいいのではないかということを実は考えておりまして、まだ通産省調整がついておりませんので、その点、若干ニュアンスの違った御答弁を申し上げたわけです。
  154. 横山利秋

    ○横山委員 まだ終わってないとおっしゃいますけれども、私が調べましたところによりますと、共管五十五社はもう一週間前に終わっておると聞いております。専管の通産、農林両省の調査も終わっておると思います。きょうは間に合いませんから、次回の商工委員会に両省ともこれを提出されることを要望しておきます。  そこで、営業姿勢における認可基準で私が心配いたしますのは、先ほど両角さんが言うように、最後は政府がきめるのだからではいかぬと私は思うのであります。最初商品取引所が意見を付すときに、意見の付し方、その付す資料のとり方、そういうところに問題がある。だから取引所の自由裁量権をなるべく詰めて、法規裁量的に取引所が意見を出せるようにしなければならぬ。その中で一番むずかしいのがこの営業姿勢であります。営業姿勢が、一つの取引所、たとえば名古屋なら名古屋を例にとりますと、名古屋の穀物取引所は、自分の管内におけることしか知らない。しかし、ある仲買い人は全国でやっておるのでありますから、その管内のことだけしかわからないというふぐあいがございましょう。それから一つの紛議でも、件数だけではいかぬことは百も承知しておるところであります。内容にもよる。こう考えますと、営業姿勢における点数のつけ方というものはたいへんむずかしいことではあろうが、これを取引所にまかせたままにしておきますと、たとえば取引所でもいろいろと違いがある。自主能力を持っておる取引所、持っていない取引所、仲買い人はじめ多くのところから影響を受けやすい取引所、そういうことを考えますと、自由裁量で取引所の意見を付すという場合においては、取引所によって意見の採点のしかたに多くの違いが生ずるということを憂慮します。  それから、うっかりすると、ほとんどの取引所がバッテンをつける場合が少なくなるのではないかと思うのであります。こういう状況を放置しますと、取引所から出てきます意見は、許可さるべきである、あるいは条件つき許可さるべきである、こういう結果になる。それと違って、農林、通産両省が、これはバッテンであるということには理由を付さなければならぬ、聴聞会を開かなければいかぬ、そうなりますと、あとから私が言う政治的な背景と相まって、いま仲買い人仲間でいわれておりますように、何かかんか騒いでいるけれども、結局現役はすべて許可されるであろうといううわさが広まっておる。こういうことを私は法規的にも心配をするわけであります。  ここで、政務次官の小宮山さんに私はあらためて伺っておきたいと思うのでありますが、農林政務次官がここにいらっしゃらないけれども、お二人を比べてみますと、国会における発言は、小宮山さんよりも渡辺さんのほうがはるかに強硬だった。だから、あなたの意見を聞けば、渡辺さんの意見は、国会の議事録に関してはもうわかったようなものです。   〔委員長退席、橋口委員長代理着席〕 こういう私が心配しておるような情勢を踏まえて、許可制度移行に関する通産省の御意見を伺いたい。
  155. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 いま横山先生のおっしゃいましたこともごもっともなことだと私は思います。特に営業姿勢等については、許可をする段階において、取引所が審査して、それから主管官庁が審査して許可するようなことでいいのか悪いのかということもありますけれども、私は、営業姿勢については、取引所そのものがいろいろ違うこともございましょうが、主管官庁が厳正な態度で審査をしていくということでよろしいのではないかと考えています。
  156. 横山利秋

    ○横山委員 具体的に一つ二つ、いまの両省の気持ちを伺いたいのでありますが、例を出します。  たとえば、この間千代田商品の再度にわたるのみ行為が発覚して、東穀でも大問題になりました。東穀は理事長が辞任して、鈴木新理事長が就任して第一回の重要な問題であります。ところが、すでに御存じのように、ある工作があって、一ぺんきめた除名が免れて売買取引停止六カ月という処分になりました。二転、三転しまして、全く東穀の新理事体制というものは株が下がったといいますか、何てだらしのないことだということになっておるわけであります。こういうあり方について農林省はどうお考えですか。
  157. 森整治

    ○森説明員 千代田の件でございますが、これはいま先生がおっしゃいましたようなことというよりも、事件がむしろ東穀自身の調査で確認をされまして、それが東穀の商品仲買い人の業務健全化特別委員会、ここにおきまして、会社が責任をとって、自分でやめるという意思がなければ除名もやむを得ない、ただし六カ月の売買停止の線も考えられるから、この点理事会での検討にまつこととしていま一度自廃を勧告をする、こういう結論を出しました。その線で理事会が措置をとったというふうに報告を聞いておるわけであります。
  158. 横山利秋

    ○横山委員 その報告は、簡単にいえば適当な御報告だと思いますよ。あなたも十分お調べになっていらっしゃると思うが、東穀の今度のあり方は全くだらしがないというふうに私は思いますよ。少なくとも私どもは、商品取引のあり方の基本的な立場というものは、取引所が社会的にもあらゆる意味においても権威をきちんと保って、自主的な決定、一たんきめたら、それをとことんやるという立場法律的にも運用的にもつくり上げたい、こういう念願をいたしておりますにかかわりませず、これはまことにお粗末なことだと私は思います。一体千代田はのみ行為をしたのですか、しなかったのですか、どっちですか。
  159. 森整治

    ○森説明員 いままでの調査では、千代田信用が直接のみ行為をしたということではなしに、千代田信用の某取締役個人がそれをしておったのがあとで発覚した、会社もそれを知らなかったというケースであるというふうに承知しております。
  160. 横山利秋

    ○横山委員 そんなことがあり得るんでしょうかね。それで済ませ得るんでしょうかね。  伺いますけれども、東穀はやめなければ除名だという。やめなければ除名だというあなたの報告を一応そのままとしても、いずれにしてもやめなかったら除名したことは間違いない。除名というのは、たいへん悪いことをしたから除名処分がそういう意味で行なわれる。それについて一体農林省は何にもしないのですか。
  161. 森整治

    ○森説明員 仲買い人自身がのみ行為をやりました場合には、九十三条で当然処分の対象になるわけでございますが、役員個人ということでございまして、むしろ取引の信義に反するということで、取引所の定款で法令違反以外でも——具体的に申しますと、東穀の定款の百九条の十一号に、ちょっと読みますが、「売買取引又はその受託に関し取引の信義則に反する行為をし」、そういう場合がございます。そういうようなことから、取引の信義則に反する行為をしたという考え方で東穀としては除名という考えをとった。またこういう時点でございますから、当然のみ行為というのはたいへんな問題でございまして、東穀のとった措置というのは正しいとわれわれは考えておるわけですが、農林省は、法令違反でいろいろ処分するケースに該当しない、むしろ取引所がこういう規定で処分をするということが実はできるし、また社会的にはそれが当然であったろう、われわれはそういうふうに考えている次第でございます。
  162. 横山利秋

    ○横山委員 これは商品取引所がしたのではない、その会社の役員がしたのだ、役員がしたのだから法令違反ではない、東穀の定款に反することだから東穀がすればよろしい、政府はそれに対して何ら処分の対象にしない。しかし、どこかピントが違うような気がしませんか。政府は何にも処分の対象にしない、役員がやったのだから、何にも政府はやらなくてもけっこうでございます、ああよくおやりになりました、政府の関知したことではございませんということで、それで済ませて何とも感じませんか。
  163. 森整治

    ○森説明員 先生、私どもはこういうふうに考えているのでございます。やはり第一義的には、取引所がとにかく全体の責任をもってこういう問題を処理していくのが原則である、それがきかない場合、あるいはそれがうまくいかない場合に、やはり行政官庁が処分なり何なりをしていく、結局、農林省なり通産省という監督官庁は、事こすかにすべてにつきまして処分をしていくというよりも、取引所が第一義的にそういう責任をもってやっていく、むしろそれをわれわれの監督でそういう運営がうまくいくように持っていく、こういうのが全体の考え方ではなかろうか。そういう意味から申しますと、いまのケースも、別にわれわれはおかしいというようなふうには考えないのでございますが……。
  164. 横山利秋

    ○横山委員 気持ちの上では、私はあなたと同感です。しかしそれならば、法律体系はどういうふうに解釈したらいいのでしょうか。たとえば千代田がのみ行為を明白にしたとしましょう。取引所の処分と、それから政府の処分とは、どちらが優先し、軽いほうになるのか、重いほうになるのか。片一方をすれば片一方はやる必要はないのか。法律解釈としてはどうお考えになっているのですか。
  165. 森整治

    ○森説明員 取引所が処分いたしますことがございます。それから役所のほうで処分をすることがございます。役所が処分をいたしました場合には、必ず取引所もそれに追随をするか、もう少し幅の広い処分をするか、そういうことでバランスというのがございますけれども、大体役所が処分したものにつきましては、取引所は必ず何らかの措置をとっておるというのが従来の慣例でございます。
  166. 横山利秋

    ○横山委員 私の質問しておることから言うと、慣例ということは、政府の処分がまず最初に行なわれる、それを考えながら取引所が処分をする、こうおっしゃるわけですか。
  167. 森整治

    ○森説明員 もちろん政府のほうでいろいろ調査をいたします。処分をするには、いろいろ聴聞をしなければなりません。またそういう場合には、取引所に当然立ち会ってもらっております。したがいまして、処分をする以前にそういう違反の事実行為がある場合には、当然取引所も同時にいろいろ調査をされておると思います。ただ、結果的に申し上げますと、政府みずからがそういう違反事実を確認しました場合に、政府が処分をする。その場合には、当然取引所も聴聞に立ち会っておりますから、それに準じた処分をするということ、具体的に申しますとそういうことになっているということでございます。
  168. 横山利秋

    ○横山委員 そうしますと、あなたの先ほどの答弁と逆になるじゃないですか。あなたは、取引所の自主能力というものを尊重するがゆえに、取引所の処分がまず行なわるべきであるという印象でした。いまのお話は、結果としては政府の処分が先行して、それに準じて取引所が行なわれるような感じを受けているわけです。私は法律解釈を聞いているんですよ。法律上は、両方とも処分が独自の立場で行なわるべきが法律の解釈なのか。また、一つの事案について、片一方が重かった場合には、重いほうの処分が優先をすると考えらるべきなのか。この点はどうなんですか。
  169. 森整治

    ○森説明員 役所の処分は、法律的に申しますと、取引所法の百二十三条によりまして、取引所法と、それに基づきます命令なり処分に違反する場合に、役所のほうで仲買い人に対しまして処分をいたすわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、そういうこと以外の場合でも、取引所は処分を行なうことがあり得る。したがいまして、範囲といたしましては、先ほど申しましたように、信義則とかそういうことで、取引所が処分をする権限というのはもっと広く与えられているということでございます。もちろん、主務省が処分をするような場合に、取引所法に違反したり、あるいはそれに基づく命令に違反しているわけでございますから、当然取引所も処分はできるということになっているわけでございますが、私が先ほど申しましたように、取引所のほうが、やはり自治監査機能というものがまず先に与えられているのだ、だから、当然法律なり定款の書き方から見ましても、より広い自治監査機能としての処分ということまで与えられている、こういうふうに理解をいたします。
  170. 横山利秋

    ○横山委員 どうも答弁がはっきりしない。  ついでに、百二十三条をいま引用されましたから、百二十三条を引用しますと、「当該違反行為が法人たる商品取引員の役員に係るものであるときは、当該役員の解任を命ずることができる。」千代田の場合にも、あなたの言うように、もし役員がかってにやったら主務大臣は役員の解任を命じなければならぬけれども、相手がもうやめてしまったのだから事実上の効果がないということで、この百二十三条を発動なされなかったのですか。いずれにしても、農林省として千代田の問題について、何もわしに関係ないとは言わせませんぞ。どうなんですか。
  171. 森整治

    ○森説明員 われわれ関係がないということを申し上げているわけではなしに、常時千代田の問題につきましては取引所から報告を受けております。いろいろ二転、三転をしたというふうに言われましたけれども、われわれが聞いておりますのは、千代田信用のほうで非常に判断に迷っているなという感じを受けた時期が事実ございますけれども、われわれは、これはあくまでも除名にするかどっちかだろうという考え方は、非公式には取引所側にはお伝えしておったはずでございます。したがいまして、結果的には千代田信用が、七月でございましたか、廃業の届けを出したことによりまして目的は達成をされたわけでございますから、それ以上役所といたしまして云々する必要はないのではないかという判断をいたしておったわけでございます。
  172. 横山利秋

    ○横山委員 私は、もう相手はやめたのだから、役員の解任の必要は事実問題はないというお話は、結果論ではそうだと思います。結果論ではそうだと思いますけれども、しかし、この千代田の問題を含めて、まだまだ政府の態度にあいまいなところが残っておる。間髪を入れずに処分をし、そして適切な指示をするということについて、じくじたる思いがするところが残っておるということを私は感じます。  同じような問題で、カネツ商事が、北海道の上富良野農協経理課長との間の売買問題について、旭川の長谷川外務員が教唆の疑いで六月二十五日に逮捕、同社に対する商取法違反の疑いが出されました。この問題は一体どういうことなんでありましょうか。政府としては商取法違反があると考えるのですか、それとも過当勧誘があると次元を下げてお考えなのですか、どちらでございましょうか。同じく山佐商事、両方とも仲買い人としてはトップクラスであります。国会が終わったら相次ぐ不祥事件がトップクラスの中で出ておるということは、私はまことに遺憾千万なことであると思いますが、この二つの違反について、いまどう考えておられますか。
  173. 森整治

    ○森説明員 上富良野のほうにつきまして、多少通産とも関係がございますが、農林省のほうがおもでございますから、私のほうからお答えをさしていただきたいと思います。  この事件につきましては、カネツ商事とおっしゃいましたから申し上げますけれども、旭川の支店の外務員の某が逮捕されました時点、すなわち六月二十五日でございますが、その時点からわれわれといたしましても、関係の仲買い人に資料の提出を求めまして事情を聞きました。ただ、その問題につきましては、当然商品取引所法の違反の事実にもちろん主眼を置いて調べたわけでございますが、現在までのところ、これは三十六年の十二月から約十年間にわたって、関係している仲買い人が三軒あります。カネツだけではございません。それから取引所が八つ、取引回数も数百回に及ぶ、こういうことでございまして、非常に膨大なものでございます。したがいまして、現在まで最終的な結論を得ているわけではございませんけれども、いままでのところでは、取引自体について、のみ行為などの商品取引所法違反の疑いというのは薄いのではなかろうかというふうに考えております。それから、外務員の某にかかります無登録外務行為という事実は認められませんでした。  そういうことでございますけれども、さらに関係の仲買い人におきまして、本件に関しまして、違法とまでは言えませんでも、仲買い人として何か不適当な行為がなかったかどうか、そういう点につきましては、そういう観点からもさらに検討をして、しかるべく措置をしてまいりたい。この調査時点では、その当事者といいますか、逮捕されました外務員がまだ勾留中でございまして、最近処分保留のまま釈放されたということで、さらにその点につきまして調査を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  174. 横山利秋

    ○横山委員 この仲買い人の最高幹部の会社がいろんな問題が続々出てまいりまして、私はたいへんこれは重要なことだと痛感をしておるわけであります。銀行の支店長が自殺をする、農協の課長が農協の金を使い込む、それがしかも十年になんなんとするということについて、一体仲買い人の方は、これがほんとうに銀行の金であろうか、農協の金であろうか、個人の問題であろうかということについての判断ができなかったものであろうかどうか、こういうふうに私は考えるわけであります。しかも両方ともばく大な金じゃありませんか。この自殺をした銀行の支店長の合計は、一億五千三百三十三万六千四百円の損失になっておる。そんなことが個人でやれるはずがない。そうすると仲買い人の諸君も、それだけの取引をするのであるならば、念査をすれば容易に問題がわかりそうなものだ、どこかそこに問題がある、こういうふうに私は考えられてならないのであります。この種の問題について、まだまだあとを引きそうな気持ちがいたします。まだまだほかに出てきそうな気がいたしますから、その点については、政府も取引所も、あるいは仲買い人も、十分念査をされることを私は望みたいと思います。  次に私は、最近きわめて不愉快なことを聞きました。それは、率直に申しまして恐縮でありますが、仲買い人の二十社くらいの人たちが如月会というものに加入をして、そうして中曽根大臣の後援をしておられるそうであります。私の調査したところによりますと、如月会というのは政治資金規正法の届け出をしておるようであります。しかし四十四年は入金の届け出がありませんでした。本年に入りましてから、私の承知しておりますのは、月に十万円、二十社でありますと二百万円、年間二千四百万円になんなんとするでありましょう。そういう、いま最も社会の非難の的になっている商品取引業界が、しかも仲買い人の人たちを集めて月に十万円取って、そうして何を一体なさろうというのでありましょうか。単に政治的な中曽根さんの支援だけではなかろうと私は思うのであります。いま私どもが仲買いの皆さんに反省を促し、政府に監督の強化をするように言い、来年一月の許可制移行を前に控えまして、月に十万円出す気持ちは何だろうか。その金をもらって、何とか意見はないかと言って聞く気持ちは一体何であろうか、こういうふうに私は考えるのであります。  しかも、最も遺憾千万なことは、農林政務次官の渡辺さんがその如月会に出席をしておられるということであります。私が先ほど言いましたように、本委員会政府を代表して最も強硬な発言をされたのは渡辺政務次官である。私は記録を全部持っておるわけでありますが、渡辺政務次官がこの商品取引について最も強硬な意見を私の質問に対して答えられました。その渡辺政務次官が如月会に出席をしておって、月に十万円を取る役割りをしておられて、来年の農林省における免許制移行は一体どんなことが行なわれるであろうか、私はたいへん不愉快千万に考えておるのであります。いささかこれはマッチ・ポンプに関係しておるのじゃあるまいか。妙な言い方でありますが、秋の総裁四選とからんで、閣僚諸公がお金が要るであろうと思う。そういうときに、商品取引の問題がこんがらがっていたのでは、まことに私どもが堂々と本委員会で議論をすることが空文になってしまいます。  それかあらぬか、最近におきましては、現役の仲買い人の仲間が言っていることは、いろんなことを国会で議論しても、現役の仲買い人はほとんど全部許可がされるものという楽観説がずっと流れておるわけであります。これはどういうふうに考えたらいいのでありましょうか。私はきょう渡辺さんに出席をお願いしておるのでありますが、何か聞くところによりますと、羽田に行かれて、地鎮祭へ行かれて、ここへ出席がおくれるそうであります。御本人のおらないところでこういうことを言うのはまことに遺憾なことでありますから、もし御本人がいらっしゃったら、その真意をお伺いしたいと思うのであります。  かくのごとく、商品取引の許可制移行あるいは向かい玉の規制というものも、バックグラウンドにそういう政治的な流れというものが、われわれがこうしてまじめに議論しておる、知らないままに流れていくとしたならば、国会軽視もはなはだしいし、あなた方が言っていることも、何も信憑性がなくなってしまう。どなたがお答えになりましょうか。小宮山さんですか。私の心配していることについてどうお考えですか。
  175. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 如月会なるものについては、私も初めてでございます。また、それに現職の政務次官が出席したということも初めて聞いたことでございますので、この点も政務次官その他に聞いてみまして、疑惑を招くようなことは避けていただきたい。また、この許可制問題云々がございます。非常に重要な時期でございますので、これを厳正に処理するためにも、そういう国民の疑惑を招くようなことは避けていただきたいという考え方でございます。
  176. 横山利秋

    ○横山委員 如月会は、日本橋蛎殻町一の二十四、共同ビルの四階に本部が置かれておる模様であります。中曽根さんとの関係は、山王経済研究所、これも中曽根派のものだそうでありますけれども、それとともに役所の秘書官が実際に運営していらっしゃるという情報を私は承知しておるのであります。  自治省にお伺いしますが、私の手元に四十四年の政治資金規正団体の届け出の書類がございます。如月会は四十四年度上期、下期、収入総額は提出なしとしてありますが、そのとおりでございますか。もしも如月会が四十四年度に届け出の収入総額がゼロとして、これが事実であるとするならば、最近十万円ずつ集めておるということは、これはまさしく私の指摘をしていますように、いまの商品取引の国会及び世論の糾弾のもとにある状況の中で、そのバックアップを中曽根さんにお願いする、あるいは出席される渡辺さんにお願いする、こういうようにとられてもやむを得ないのではないか。もし如月会が四十四年の上期、下期、ほんとうは収入があるにかかわらず提出をしていないとするならば、政治資金規正法の違反の疑いがある。秋田自治大臣は、この間新聞にも載りましたから皆さん御存じだと思うのでありますが、この未提出の団体を処罰する、そして寄付を受けた団体が報告書を提出しない場合には、その会社の寄付金を非課税の損金扱いとせず課税対象とする、また期限までに報告書を提出しない団体には、政治資金規正法の罰則を適用し、びしびし処罰をする。その罰則というのは、提出を怠ったり偽りの記入をしたりした場合には、五年以下の禁錮または十万円以下の罰金、こういうことになっているわけであります。  選挙部長ですね。さっそくですが、いま御質問をしたいと思っておりましたのは、如月会の昭和四十四年度上期、下期、あなたのほうの書類によれば、収入総額の欄に提出なしとしてありますが、これは事実でございますか。
  177. 中村啓一

    中村(啓)説明員 如月会につきましては、仰せのとおり、四十四年は上期、下期とも収支の報告書の提出はございません。
  178. 横山利秋

    ○横山委員 提出がないということは、内容があってサボって提出をしないものなのか、あるいは収入がゼロだと見るべきか。これはあなたに聞いても実際の話はしかたがないんだけれども、実はそれによって判断が違ってくるわけです。それでいままで、提出なしと書いてあるものについてはどういうふうな処置をなさっていらっしゃるのですか。
  179. 中村啓一

    中村(啓)説明員 横山先生お話にもございますように、政治資金規正法に基づきまして、政治団体は政治資金の収支をいたします際には、すべて届け出が必要なところでございます。それにつきまして実態を申し上げますと、四十四年の例をとりましても、約千三百の政治団体の中で、届け出をしたものは六百余りでございます。で、このままではいけないと私どもも存じまして、特に今年は未提出の各団体に厳重に、政治資金の実質の収支がおありであれば法に基づいてお届け出にならねばいけないというお知らせをいたしておるところでございます。
  180. 横山利秋

    ○横山委員 もちろん、そのお知らせというのは如月会にもなさったと思うのですが、そうですか。
  181. 中村啓一

    中村(啓)説明員 仰せのとおりでございます。
  182. 横山利秋

    ○横山委員 ですから、私の判断としては、この四十四年上期、下期に如月会が収入がゼロであったとは私には考えられない節がある。それはきわめて零細であったかもわからぬ。しかし、最近において私が指摘していますように、月に十万円仲買い人から、少なくとも二十社以上だと思われるのでありますが、それを集めている形跡がある。これはまだ届け出の段階ではありませんからなんでありますが、一回ひとつこの如月会の四十四年度の上期、下期提出なし、それに対して督促をした、その督促の結果はどういうことになったのか、次回に御返事をいただきたい。これはお願いをしておきます。  そこで私は、いまこの如月会の提出、未提出を必ずしも問題にしているわけではありません。いま私が問題にしたいのは、繰り返し申しますけれども、いまの風潮としては、許可制度移行について、われわれお互いに国会で議論をしておるにかかわらず、裏のほうでは、まあみんな許可されるよという楽観説が振り回されておる背景というものを二つに分けて言っているわけであります。一つは、先ほどのお話のように、法制的にそうせざるを得ない条件下にある、だからそれをカバーいたしますためには、農林、通産両省は、許可意見を付す付し方について相当緻密ないろいろな内面指導、努力をなさらないと意味がありませんぞということが一つ。それからもう一つは、いまになって、このときに政治家が仲買い人から金を集める、そういうことはどういうことだ。できれば私は総理大臣に来てもらいたいと思う。農林大臣通産大臣も来てもらいたいと思う。いわんや農林政務次官がそれに一枚かんでおられるとするならば、まことにゆゆしい問題ではないか。即刻その問題について政府側として調査をしてほしい。これは、二時ごろに渡辺さん来られれば渡辺さんの意見は聞きますけれども、ここでは次に移らなければなりませんから、政府を代表して小宮山政務次官に、この問題について調査をしてほしい。よろしゅうございますか。
  183. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 この問題については、私も渡辺政務次官から直接お話を聞きたいと思っております。
  184. 横山利秋

    ○横山委員 次に、取引所の税制についてちょっと伺いたいと思います。  私が取引所のことについてくどく言いますのは、取引所がもっと自主能力を持たなければいかぬ、そして東穀のこの間あったようなだらしのないようなことではだめだという意味において、取引所の財政的基盤をいろいろと調査をいたしました。そうすると、取引所は株式会社と一緒に、一般の株式会社と同様の法人税率を出しておるということだそうであります。一体これはどういうことなんだ。取引所は利益団体であるのか、利益の組織であるのか。そうではありますまい。取引所は特別法人であり、会費制度であり、配当は禁止されておる。利益法人ではないのであります。したがって、一般並みの三五%、今度は本年から三六・七五%でありますが、普通法人税を出しておるということがかえっておかしいのではないか。一般の協同組合は軽減税率は二三%であります。すでに地方税法では取引所は軽減税率をたしか適用されておると私は承知しています。この法人税率が、利益団体として取引所を規定しておるということについては、どうにも私は納得できない。  それから、同じく税法の中で、来年の三月三十一日で商品取引責任準備金制度が期限切れになるわけであります。いま大衆投資家保護の立場でいろいろと本委員会で議論をしておるたてまえからいきましても、商品取引責任準備金制度が来年で終わってしまう、期限切れになるということは、どうにもこれもいかがなものかと思われる。  それから地方税の固定資産税でもそうでありますが、地方税法の中で協同組合の固定資産は非課税となっています。ところが、取引所の所有の不動産は固定資産税を尋常普通に出しておるわけであります。  取引所とは一体何だ。いま、ことしのこの国会を通じて、取引所の本質的な性格をわれわれは議論の対象にしておるわけでありますが、少なくとも取引所は公共的な性格を持ち、いまの現行法で会員組織でありましても公共的な性格を持ち、仲買い人の行き過ぎをため、そうして大衆投資家を守り、そうして価格の公正な形成をする公共的な性格であるとするならば、この際取引所の税制について改革を、現行法のもとにおいても改善をすべきではないか。一体、農林省や通産省はこの問題について何をしておるんだ。むしろいまごろ私が気がついて、私でもおかしいくらいでありますが、どうお考えになっておるのか、どうなさっておるのか、どちらでもいいのですが、両省から御意見を伺いたい。
  185. 両角良彦

    ○両角説明員 取引所の法人税の軽減税率の適用の問題でございますが、ただいま御指摘がございましたように、われわれも取引所なるものは、会員組織による公共性を持った特別な法人であると考えております。したがいまして、一般の公益法人並みの軽減税率が適用されてしかるべきであるという御意見には全く同感でありまするが、現在まで大蔵省主税局の解釈というものは、法律的には、このような取引所の公益的な性格にもかかわらず、残余財産の分配等につきまして、他の公益法人とは異なった、取引所の会員への帰属を認めておるというような点から、一般公益法人並みに扱いかねるという見解で処理してきておる次第であります。しかし、それはこまかな差でございまして、本質的に見ましたら、やはり公共性を持った公的な性格の強い組織といたしまして、われわれは軽減税率が適用されてしかるべきであるという考え方を持ちまして、今後とも大蔵当局と協議をいたすつもりであります。  また、御指摘をいただきました商品取引責任準備金につきましては、期限切れの問題がございますので、われわれは、これを延長をいたすべく折衝をいたしたいと考えております。
  186. 横山利秋

    ○横山委員 農林省も一緒ですか、御意見は。
  187. 森整治

    ○森説明員 一緒でございます。
  188. 横山利秋

    ○横山委員 大蔵省、きょうは局長来ておりませんが、税制一課長の御意見を伺いたいと思います。  あわせて伺いたいのは、これは商品取引所ばかりではなく、証券取引所も同様のことでございます。ふしぎなことに、どういうことだか、差しさわりがあるかもしれませんけれども、証券取引所はほとんど法人税を出しておらぬのであります。商品取引所が相当な法人税を出しておる。何かうまい方法がそこにあるのかどうか。私もまだ研究不足でありますが、どういうわけだか、そういうことであります。しかし、性格としては両取引所とも一緒でありますから、時間の関係上言いますけれども、ぜひことしの税制調査会で本意見を付して、大蔵省としてもこの問題について、商品取引所を含むいまの客観情勢をお聞きになっておると思うのでありますが、これを考えつつ善処してもらいたい、こう思うのです。
  189. 山内宏

    ○山内説明員 御承知のとおり、現在の法人税法におきましては公益法人という概念を設けまして、これについては、通常の法人と比べて軽減した税率を適用することになっております。法人税法の基本的な考え方といたしますと、これは営利を目的とする法人であるといなとを問わず、特別にいま申しましたような公益性の強い法人を除きましては、一般的に、結果といたしまして所得が生じておる場合には、法人税の所得として通常の課税をやるというのがたてまえでございます。  ただ、先ほどの公益法人等につきましては、軽減税率を実施いたしておるのは御承知のとおりであります。従来まで公益法人等として軽減をいたしておりますものにつきましては、その法人が解散をいたします場合に、残余財産の分配請求権が、その会員と申しますか、メンバーにないということのほかに、通常の段階、つまり企業継続中におきましても、これを脱退するときに、メンバーといたしましてはその持ち分相当額を返還することを請求できないといったような点で、これは法人の仕組みといたしまして根本的に違っておるというふうにわれわれは考えております。したがいまして、機構、運営等が、いま言いました既存の公益法人等と異なっております現在のたてまえのままでは、商品取引所について軽減税率を適用することは適当でないというように考えます。  それから、証券取引所の場合に比べてなぜ商品取引所の場合は実際問題として課税所得が多いのかという御質問でございますが、この点については、当方としてもつまびらかにしておりませんが、大体推定いたしますところでは、おそらくその会費の徴収のしかたに差があるのではなかろうか。会費を必要以上に多く取っておりますと、勢い取引所のほうにたまりができますものですから、そのたまりが所得という形で課税対象になりますけれども、会費を少なく、あるいは適切に取っておれば、取引所においては所得が発生をしないという関連がございます。もちろん、会費を少なく出しております証券取引所の場合には、メンバーの所得がその分だけ多くなって、メンバーの所得として課税をされておるということで、商品取引所と証券取引所とメンバーを含めて比べて、税負担のバランスは現状でとれておると考えます。  それから最後に、商品取引責任準備金の問題でございますが、これは期限切れが来年ということになっております。今後税制調査会の審議とも並行いたしまして、慎重に検討いたしたいというふうに考えます。
  190. 横山利秋

    ○横山委員 四十四年度の法人税を、取引所すべての合計を見ますと、課税所得が十億六千百十二一万、法人税が三億六千七百八十一万ある。あなたのお話しのように、公共法人は非課税、公益法人は二三%、協同組合等も法人税法六十六条第三項によって二三%ですね。協同組合等が軽減税率二三%でありながらどうして取引所が普通法人であるかという点について、もう一ぺんひとつ聞かしてもらいたい。
  191. 山内宏

    ○山内説明員 協同組合につきましては、すでに先生承知のとおり、大体経済的に力の弱い業態なり人たちというもののために、その相互扶助を目的として設立されております。その運営のしかたは、いわゆる協同組合原理に従ってなされておるわけでありまして、そういう意味合いからいたしまして、たとえば加入をするメンバーにつきましても、特別に大きな法人は加入できないとか、ある地域あるいは業態に属するものについての加入の制限は一々できないといったような特殊の機構を設けております。こういった機構に比べますと、現在の取引所の機構といいますのは、基本的に機構、運営ともに変わっておると思いますので、そういう意味合いから申しましても、協同組合と同じ扱いをいたすことは適当ではないというふうに考えております。
  192. 横山利秋

    ○横山委員 中小企業協同組合が、中小企業の恩恵として二三%であるというならば、公益法人二三%の諸団体のうち、たとえば日本商工会議所あるいは糖価安定事業団、中小企業団体中央会、日本電信電話公社の共済組合、自転車競技会、漁業のすべての団体、商工会議所、もう実にこれだけたくさんのものがある。これだけたくさんのものがありながら、これと比較して取引所が軽減税率は絶対だめだという論がほんとうにあるでしょうか。時間の関係であなたと論争をする時間がないのだけれども、私も十五年間御存じのように大蔵委員をやっておって、一応税法はやっておる人間ですよ。これだけ軽減税率の団体がありながら、取引所が公共性が乏しいとか、残余財産の問題があるとかいうことだけで、軽減税率が適用できないということはおかしいと思う。どうですか。あなたも、まあ一応そうおっしゃるところだろうけれども、腹の中では、それは横山の言うことだから、少しは考えなきゃならぬところだろうと思っているんじゃないですか。それを言ってもらうとすぐ次に移れるのです。
  193. 山内宏

    ○山内説明員 いま御指摘になりましたのは、確かに軽減税率適用法人でございますけれども、その中の大部分は、これは出資のない法人でございます。したがって、会員と法人の間の資本関係が切り取られておりますので、そういう団体につきましては、これは解散その他の場合に、メンバーのほうから財産を請求することができないという振り合いになっております。また、中には出資の関係のあるものもございますけれども、これにつきましても、先ほど申しましたように、いずれも残余財産の分配請求権、それから途中で脱退をいたしますときの持ち分請求権というものがございません。こういう点につきましては、取引所はいずれもあるわけでございまして、そういう資本関係、資本の回収関係におきまして、メンバーと法人との関係が全然違うというふうに考えております。
  194. 横山利秋

    ○横山委員 取引所が解散をするなんということを、あなたほんとうに考えているのですか。そんな中身のない議論を——理論上はあり得るかもしれぬけれども、いまの取引所がつぶれるとか解散をするとか、合併はあるかもしれぬけれども、いずれにしても、解散して市場がなくなるということを考えるのはばかな話じゃありませんか。机上の空論ですよ。だからこの機会に、特にあなたに初めてこういう商品取引について意見を聞いてもらってたいへんけっこうだと思いますけれども、こういう状況ですから、取引所はいまは会員制度であるけれども、公益性が非常に重視されてきて、何とかこの取引所を健全化しなければならぬのです。いままで取引所は仲買い人から金をもらってやっているものだから、仲買い人をよう監督しないのです。その財政的基盤を何とかしっかりさせることによって、取引所の指導能力、監督権限、自主能力というものを強めなければならぬ社会的必然性がいまあるのです。おわかりですか。そうだとしたら、三回もうなずいたら、いいかげんにわかりましたと言ってもらわぬと次へ進めないのです。どうなんですか。
  195. 山内宏

    ○山内説明員 取引所の重要性については、御指摘のとおりだろうと思うのですけれども、先ほど再三申し上げておりますように、メンバーと法人との間の資本の回収関係、これは解散の場合だけでありませんで、途中でメンバーが脱退いたします場合、そのメンバーが自分の出した出資と、これに関連をいたします従来の法人の中に積まれております留保、そういうものまで含めて、つまり自分の持ち分といたしまして自分が回収をして、いつでも好きなときにやめて外へ出られるというところが根本的に違っておる。そういう点が改善されませんと、やはり法律上軽減団体ということにするのは、非常にむずかしいというように考えております。
  196. 横山利秋

    ○横山委員 しかし、そうはおっしゃるけれども、あなたも税制だけで生きてきたわけではありませんから、もう少し高い次元でいまの商品取引の現状ということを考えて、寄ってたかってみんなで、農林省も通産省もだんだんうしろへ引っ込んで、取引所に政府にかわって商品取引の健全化をさせようと、みんなが一生懸命になっておるときなんですから、そうして将来商品取引所法の改正もしようと思っておるのだが、さしあたり、あなたは狭い範囲考えるのだけれども、一歩好意的に見たならば、これに取引所を入れたことによってどういう積極的なふぐあいがあるか。取引所を入れたら、あとあれもこれもということになるかというと、そういうことはないと私は思う。新しい観点で一ぺん検討してみたらどうですか。よくわかりました、検討してみますというぐらいは言って帰りなさいよ。
  197. 山内宏

    ○山内説明員 この種の問題につきましては、取引所に限りませず、枚挙にいとまがないと言うと大げさでございますが、いろいろな団体から同様の要望が出てまいるのが通例でございます。先生はないだろうとおっしゃるわけですけれども、必ずしもそうではありません。そこら辺のところの関連も十分見きわめませんと、軽々な判断は下しかねるわけでございますけれども、従来からわれわれといたしまして、先ほど来申し上げておりますようなことで、取引所については軽減をすることは認められないというふうに考えておりますし、今後も、そういった運営なり機構なりという点に何らかの改善が行なわれるということがない限りは、同様の結論になろうかと思います。  なお、つけ加えて申し上げますと、先ほど先生の御指摘にありましたけれども、証券取引所の場合、会費の取り方その他にくふうをこらして、事実上課税されないというふうな状態にもなっておりますので、その点につきましては、あわせて御検討願えればというふうに考えております。
  198. 横山利秋

    ○横山委員 あなたでなくて局長が来たらこんな答弁にならぬと私は思う。局長はもうちょっと高い次元で考えるから、私がくどくこれだけお話をしたということを一ぺん局長によく話してください。そうしたら、それは横山の言うとおりだと言うにきまっている。それから両省も、いまの税制課長お話ですけれども、なぜ証券取引所と商品取引所の税の納入状況において違うのかという点について、検討しておいていただきたい。  たいん時間がおくれましたが、もう一つだけ重要なことでありますから、恐縮ですが短い時間でお聞きしたいと思いますけれども、農林省が穀取だけに適用するやり方として、農産物の商品取引に関する取引方法の改善として、つまり向かい玉の全面禁止、自己玉は専業仲買い人五%以内という線を出しまして、これが非常に問題になって発展をしています。仲買い人の諸君は大会を開いてこれに反対をするということで、商品取引所としてもずいぶん問題になっています。私は時間の関係で端的に申しますが、それこそ農林政務次官の、向かい玉の問題についてはひとつ厳重に考え処置をするということばを、そのまま信用いたしたいと思います。この向かい玉の規制についてはいろいろ議論がある。理論的に認める立場に立てば、首肯する議論がないではないと私は思う。しかしこの機会に、この向かい玉規制がいろいろな意味を含めて完全に行なわれるということは、何としても商品取引を改善する基本的な大道が開かれると私は信じておる。これを政府がたじろいで、そうして一たん出した改善方式について、業界の反対なりいろいろなことがあるので妥協したり適当に引っ込めるようなことがありますと、商品取引改善の道というものはまた政治的に閉ざされていく、私は大局的に見てそう感じます。ですから、簡潔にお答えをしてほしいと思うのでありますが、農林省はこの問題について断固として業界を説得し、所信に邁進するお気持ちがあるかどうか、伺いたいと思います。
  199. 森整治

    ○森説明員 いままで穀物取引所の理事長との会合を数回重ねてその結論を出したわけです。少なくとも穀物に関する限りは、すでに通達も出ましたことですし、この線で維持してまいりたいというふうに考えております。
  200. 中村重光

    中村(重)委員 議事進行。先ほど横山委員が指摘をした中曽根防衛庁長官、農林政務次官の、如月会のあり方というものは、商品取引の問題がきわめて大きな社会問題となっているときであるだけに問題であります。したがいまして、特別調査委員会の設置について委員長のお取り計らいを願いたいと思います。本来ここで採決をしていただきたいと思いますが、定足数の関係もありますので、理事会を開いて設置についておはかりをいただきたい。
  201. 橋口隆

    ○橋口委員長代理 ただいま中村君よりお申し出の件は、後刻理事会にはかって検討いたしたいと思います。
  202. 横山利秋

    ○横山委員 では、恐縮でございますが、あと二十六分くらいでありますからごしんぼう願いまして、次の問題に移ります。  次はマネプラの問題であります。マネプラというものは、委員長はじめ同僚諸君あまり御存じないかもしれませんが、一言で言いますと、石油会社のエッソが日本国内に約二千七百のガソリンスタンドを持っています。最近において、その二千七百の中でマネージャープラン方式というものを編み出しまして、それが驚くべき勢いで全国に発展をしておるわけであります。一言でマネプラ方式といいますのは、エッソが土地も買い、建物も建て、商品も貸し、あらゆる準備をして、マネージャーとして、金がなくてもいいから私のスタンドをやってくれというやり方であります。しかし、このマネプラ方式はたいへん問題がございまして、独占禁止法並びに商法違反の疑いがあることが一つ。二つ目は、先進国が何か後進国へやってきて、そうしてかってな契約を示して、人間の弱みにつけ込んでマネプラを推進をするという、非商業道徳的なものが含まれること。それから三つ目には、マネプラをやっておる人たちは、結局自転車操業のようなことになって、スタンドの組合がきめております調整規定、たとえば日曜祭日あるいは勤務時間等をじゅうりんをして、年じゅう無休、朝の七時から晩の二十四時まで働くということを余儀なくさせられる。売り掛け債権は全部エッソのもの、しかし貸し倒れがあったら全部マネージャーが責任を持って弁償せよというようなのがマネプラ方式であります。人はよくこれを雇われマダムといいますけれども、雇われマダムよりももっとひどいのがこのマネプラ方式であります。  きょう公取と通産省においでを願いました。きょうの短い時間では、このマネプラについて両者の御見解を伺う時間がございませんので、私はこのマネプラの問題で、法律上の問題点だけをこの際提起をしておきますから、次回の商工委員会までに十分調査をされ、また場合によればエッソを招いて、エッソに、私が指摘したような点について、政府の見解を含めて善処を促し、その結果を次回の商工委員会に御報告を願いたいと思います。以下、時間の関係で指摘だけをしておきます。  この指摘は、最近エッソが、私が検討しておるということを聞いたかどうか知りませんけれども、全国一斉ではない、一部の地域において、新しいサービスステーションマネージャー契約書なるものを示して、個別に切りくずしをしておる。この契約書に基づいて私は問題点を提起します。  第一に、代理商と書いてある。商法四十六条で「代理商トハ使用人ニ非ズシテ一定ノ商人ノ為ニ平常其ノ営業ノ部類ニ属スル取引ノ代理又ハ媒介ヲ為ス者」をといっておる。だから代理商ならエッソスタンダード石油株式会社の関係は委託関係である。もちろん従属関係ではない。従属というのは指揮に服従する関係である。だから、エッソに服従する必要はないのであるけれども、形は代理商になっているけれども、実際は従属関係になっておるといっても言い過ぎではない。これが契約書を貫く第一の問題であります。  第二番目は、代理商だから、エッソの外にあって補助して、自分ももうけ、エッソももうけて働く義務がある、これが普通の代理商であります。ところがこの契約書はそうではない。完全にエッソの指揮、服従の関係に立っておる。第四条に商品の委託販売の項目がある。この委託販売については、売った代金の回収義務、つまり、ここにエッソから来た品物がある。おまえはこれを売れ、その回収を完全にしろ、しそこなったらおまえが払え、こういう委託販売のやり方であります。債権は全部エッソのものだよ、しかし取りそこなったらおまえが負担するものだよ、こういうやり方である。しかもガソリンは一キロリットル当たり、エッソがほかの一般のスタンドに卸すよりも高く卸されておる。そしてそのコミッションを払うのであるからそれでいいのだ、家賃はあたりまえにもらう、地代はあたりまえにもらう、石油を売れ、おまえにはコミッションを渡す、こういうやり方になっておる。それから、別に定める委任された販売の掛け売り——掛け売りするについては十分な信用調査、給油契約をとれ、範囲を越える掛け売りについてはエッソの同意を得よ、給油所の掛け売りの総金額をきめる、こういうやり方でありますから、まさに、掛け売りをするについても金額制限、金額をこえたらエッソの承認、掛け売りがうまくいかなかったならば自分の責任。ことごとく販売についてエッソの承認を得なければならぬ。委託販売のほかに預託販売というのがある。売ったとき、預託販売の場合にはエッソからスタンドを経て顧客に移転する。したがって、その預託販売の掛け売りのときには売り掛け金の所有権を持つという巧妙なやり方になっている。スタンドが保険をかけるときはエッソの指定する保険会社でやれ、金はエッソの同意をする金額以上にやれ、保険金はスタンドがそれでもって払え、こういうことは私はかって過ぎると思うのであります。  その次に第七条で、エッソの扱い商品以外に仕入れするときには、エッソが指定する銘柄を使え、それを変えるときはエッソの承認を得よ。この項目は代理商の観念からはずれる。独占禁止法三条に該当する。一二条というのは排他条件つき取引の項でありますが、それに反するのではないか。また独禁法は拘束条件つき取引を禁止をしておる。これはマネージャーの事業活動を不当に規制をしておるのではないか。  それから十七条に、スタンドが給油所以外の営業をするときには、営業してはならぬと定められておる、この契約書に。つまり、自分がスタンドをやっておって、よその会社のスタンドをやるということには、確かにエッソの承認を得ることについては当然であろう。しかし、あらゆる職業についてはならぬというのは、いささか不当ではないか。  それから十七条に、そのスタンドは法人になってはいかぬと書いてある。法人になってはいかぬというのはどういう意味かといいますと、御存じのように、売り上げがふえれば個人よりも法人のほうが税金が安くなる。だから、法人になりたいけれども、法人になると、法人の資本金による限定責任になるであろうから、このマネージャーに対してとことんまで追及することができないから、法人になることを禁止するということらしい。  それからこの承諾書は、いつでも、いかなるときでも一カ月前にスタンドのマネージャーを首切れるということになっておる。一カ月前に、どういうようなときに契約解除をエッソがするかといいますと、いろいろあるけれども、たとえば保証人。保証人が何かで問題が起こったときには直ちに首を切れる。保証人を首切るのではなくて、そのスタンドのマネージャーが首を切られるというのです。保証人が何か起こったら、保証人を変えればいい。エッソの契約書の保証人というのは、ちょうど身元保証人みたいに、あらゆることについて責任が追及される保証人というのはいささか過酷ではないか。  二十三条にこういうことがある。裁判所が指定されている。エッソとスタンドに裁判が起こったとする。そうすると、この契約書によりますと東京地方裁判所が指定されている。九州のエッソのあるスタンドとエッソと紛争が起こったとき、東京の裁判所でエッソと裁判をやらなければならぬ。こんなばかげたことが一体あり得るだろうか。帳面も、問題点も九州のスタンドにある。そいつは九州にやったほうが裁判もやりやすい。費用もかからぬ。ところがエッソは、紛争が起きたときには東京の地方裁判所で裁判をやれということを契約書で要求している。まさにこれはひどいじゃないか。それならマネプラ契約なんかしなければいい。エッソの言い分によれば、おそらくこれは、あらかじめ見せてこれでいいと言った、自由に行なわれた契約だから文句は言えぬはずではないか、こう言うに違いない。そこがつけ目であります。何か先進国が後進国へやってきて、おれの土地、建物を貸してやるから、おまえさんは裸一貫でここで商売をやらぬかということで、喜んでつられてやる。つられてやることによって、こういうような過酷な条件をしいられておる。たとえばガソリンがそうだ。普通のディーラーですと、リッター四十九円である。利益が一リッター当たり七円。ところがマネプラの場合には、一リッター当たり四円しか利益がない。なぜかというと、仕入れ値段が、エッソから普通のところへ行くよりも、マネプラへ来るほうが仕入れ値段が高いから。それからモーターオイルにしますと、ディーラーの場合には二百七十五円であるけれども、マネプラの場合には百七十五円しか利益がない。こういうようなことでは、土地も建物も商品も貸してくれるなら私やりましょうかというて、この契約書がどんな結果をもたらすかを知らずに、ひとつやろうということで飛び込んだマネプラの諸君は、もう休日も祭日もない、夜の夜中まで、二十四時まで働いて、そうして結果としては、エッソはいささかもその商売が失敗したって損はない。エッソの場合には、商品を貸す、売り上げはもう優先的にエッソが取る。その店がつぶれようがエッソには何の損害もない。そうして損害が起きたときには、マネプラのマネージャーの損害として残るだけである。だからこのマネプラ方式はエッソにとって非常な利益をもたらしている。国内の元売りの諸君はそれならなぜマネプラ方式をやらないだろうかといいますと、国内の元売りの諸君は、それはとてもそんな非道徳なことはやれぬと、こう言っておるのです。ほかの日本石油や、そういうようなところは、とてもそんな非道徳なことはやれませんよ、長い商売をやるのにと、こういうような状況なんであります。  だから、私は、この意味において、このマネプラ方式について独禁法及び商法違反の疑いがあり、それ以前にきわめて非道徳なやり方ではないか。何か聞くところによりますと、エッソのこういうようなものについては、本国、つまりアメリカにおける本社の規制でオーストラリアでやりかけたけれども、反撃があってやめちゃった。今度はインドでやるそうでありますが、日本において発展をしつつあるこのやり方というのは、いかにも非道徳な点があるということを指摘をいたしまして、ひとつ公取並びに通産省においては、最初に申しましたように、一ぺん十分に新しい契約書を検討して、できればエッソと話し合って、次の商工委員会において政府の見解を伺いたい、こういうわけでありますが、よろしゅうございますか。
  203. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 マネージャープランの問題について、契約内容、運用等の実態については、まだよく承知しておりませんので、これについては、研究の上、また関係行政機関とも連絡の上、次の国会お答えできるようにしたいと思っております。
  204. 吉田文剛

    吉田説明員 ただいま先生おっしゃいました趣旨は十分わかりましたので、直ちに綿密な調査をいたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。この次の商工委員会におきましては、エッソにも十分話をいたしまして、もし独禁法違反ということであれば、何らかの見通しをつけたい。それなりの措置ができるかどうか、それはわかりませんけれども、違反であるかないかという見通しをつけたいというふうに考えております。
  205. 横山利秋

    ○横山委員 三番目の技研興業の問題に移ります。  これも時間の関係で問題提起にとどめるかもしれませんが、たいへん重要な問題であります。技研興業は二月の七日に倒産をいたしました。商工中金から六脚ブロック事業協同組合を通じて多大の金が流れておるわけであります。六脚ブロック事業協同組合理事長が技研興業の社長であります。  私が問題にいたします第一の点は、まさにこの六脚ブロック事業協同組合というものは技研興業のトンネル機関——商工中金から六脚事業協同組合を通ってこの技研興業に流れたにとどまっているのではないか。そうしてこの技研興業の社長の仮払い金が粉飾決算の疑いがある。一億三千万円の使い道がいまもって不明である。一億三千万円のうちでわかったのは、資本金二百万円の二カ所のところ、これは社長の奥さんが経営しておるようでありますが、それと、それから社長個人の所得税分約五百万円、ここへ流れておると思われるが、そのあとが政治資金に使われておる疑いがある。つまり私の言いたいのは、商工中金の金がトンネルをくぐって政治資金に流れた疑いがあるということを指摘したいのであります。  それで、この六脚ブロックの協同組合の理事長であり、技研興業の社長である人は、同時に先ほど指摘いたしました中曽根さんの関係の山王経済研究会——山王経済研究会は、四十四年上半期二百二十四万五千円の収入総額、四十四年下期は提出なしとなっております。この山王経済研究会と、それから先ほど指摘いたしました如月会、新政同志会、青雲会、ともに私の承知しておるところでは、どうもその中曽根さんの後援会らしいのでありますが、その技研興業の関係者はほとんど倒産、会社更生法の適用を受けておるわけでありますが、商工中金は一企業当たり五千万——いまの状態は五千万しか貸されません。去年以前はたしか三千万と私は承知しております。その五千万や三千万のワクをこえて、この技研興業に四十二年ならば七千六百万円、四十三年には一億二千五百五十万の金が行っておるということを、商工中金は一体承知をしておられるのであろうかどうか。こんなことがわからぬとは言わせない。しかも、流れておったその金が、たとえばその社長の仮払い金一億三千万円の使途について、先ほど言ったように不明な点がある。それが山王経済研究会へ流れたおそれがある。私はそういうふうに考えておるわけであります。  以下、短い時間の中で御質問をするのは、たいへん膨大な資料を持っておってなんでありますけれども、一体商工中金は、一企業当たりのワク、従来は三千万円、いまは五千万円、そのワクは守られておるかどうか。またこの技研興業一企業に、四十二年七千六百万円、四十三年一億二千五百五十万円が流れたことを承知をしておるかどうかということをお聞きしたいのでありますが、おそらくいま唐突に言っても、商工中金は来ておりませんから、おわかりにならないと思うのです。お答えになる方ありませんね。ですから、これをひとつ調べておいていただきたい。  それから山王経済研究会。選挙部長に聞きますが、私がいま指摘いたしました四十四年度二百二十四万五千円、四十四年下期は提出なしという報告を受けておるわけでありますが、このことに間違いありませんか。
  206. 中村啓一

    中村(啓)説明員 現在時点まで同研究会は四十四年下期の報告書を提出いたしておりません。
  207. 横山利秋

    ○横山委員 そこで、これもまた選挙部長に要望しておきますが、一体四十四年の下期の提出なしということを督促なさったと思うのでありますが、あらためて督促をして、その状況はどういうことになっておるか承知してもらいたい。  それから、先ほど政府にお願いをいたしました、商工中金からこの技術興業に六脚ブロック事業協同組合を経由して行った金がどういうふうになっているか。いま会社更生法適用中でありますから、社長仮払い金一億三千万円のうち判明しておる分を除いて、あとはどういうふうに使われたか、もうこの段階でわかっておられると思いますから、御報告を受けたい、こういうふうに思いますが、これはどこが担当してやってくれますか。
  208. 吉光久

    ○吉光説明員 商工中金の金融に関連する問題でございますので、私のほうで担当して調査いたしたいと思います。  なお、先ほどお話ございました中で、四十三年度以前におきましては構成員一人当たり三千万円、四十四年度以降におきまして五千万円、これはお説のとおりでございます。ただこの六脚ブロック事業協同組合につきましては、いわゆる組合貸しでございまして、したがいまして、四十三年度以前におきましては限度額は三億円でございます。そして四十四年度以降は限度額が五億円でございます。この点だけさしあたり御報告申し上げておきます。
  209. 横山利秋

    ○横山委員 組合貸しというのは転貸しということでしょう。そうですね。転貸しをする場合に、一企業当たりのワクは、五千万、三千万は働かないのですか。
  210. 吉光久

    ○吉光説明員 事業協同組合のほうに貸しまして、事業協同組合は、もちろん事業目的の中に信用事業がなければいけないわけでございますけれども、そういう信用事業をやります事業協同組合に貸しました場合、あとは事業協同組合の自主性に基づきまして、内部転貸しの限度がきまっておるということでございまして、商工中金が直接構成員貸し、つまり組合員に対して商工中金が直接貸します場合の限度額が、先ほどの四十四年度以降は五千万円、四十三年度以前は三千万円というのが働いておるわけでございます。
  211. 横山利秋

    ○横山委員 それでは御検討をお願いしますが、私の質問の焦点だけはあらためて申し上げておきます。  商工中金の金が中小企業に流れて、そして中小企業の育成発展、不渡り、倒産の防止ということに働くことが望ましいことは申すまでもありません。しかし、その商工中金のお金が回り回って政治資金に流れておるおそれがあるという点を、私は指摘したいのであります。そういう流れておるおそれというものを、事実をもって、こういうふうになっておるという事実関係をこの際明らかにしていくために、政府側のそれぞれの御協力を得たい、こういうわけでありますから、ひとつそのようにお願いをいたします。  私の質問はチクロが残るわけでありますが、同僚諸君に迷惑をかけますので、チクロは来月に回したい。ただ、渡辺政務次官がいらっしゃいましたが、どういたしましょうか。委員長の御裁断をお願いいたします。
  212. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 質問の内容を正確に私が押えておるかどうかわかりませんが、あなたの御質問の趣旨は、如月会という仲買い人がつくっておる会がある、その会が月十万円ずつ拠出をしておる、そういうふうな時期に、このような動きのときに、政務次官がそこに出入りをしているのは一般の疑惑を招くといううらみがあり重大である、こういうふうな御趣旨ですか。
  213. 横山利秋

    ○横山委員 若干ニュアンスが違いますが、まあいいです。それで答弁してください。
  214. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 いま私が廊下で聞いたばかりですから何もわかりませんが、如月会という会があってどういうことをやっておるか、私は存じません。それからその如月会の、たとえばどういうことを意味するのか、業者の集団のところへ私がしょっちゅう出入りをしておる……(横山委員「しょっちゅうとは言いません。」と呼ぶ)出入りをしておる——出入りというのですから、普通常識でいえば、やはり行ったり来たりということだろうと私は思う。少なくとも二回や三回、あるいは四回とか、お互いに行ったり来たりしているというようなことだろうと私は思うのですが、そういうとともありません。私のところに陳情に来たことはあります。仲買い人の何とか連合会会長あるいは何々会長というような方が、二度ほど陳情に来たことはございます。しかし、そういうようなこの質問の御趣旨から見ると、いかにも何か金のことが、名前が出ておって、われわれが何かそいつに多少ともうしろめたいことでもあるかのごとき印象を与えるような御心配をおかけになっておることと私は思いますが、そういう点はございませんから、ひとつそれは国会議員として非常に自信をもって御安心をいただいてけっこうだと存じます。
  215. 横山利秋

    ○横山委員 時間の関係もありますが、二、三それじゃ伺います。如月会の存在は御存じでございますか。
  216. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 如月会というような何か団体の名前は聞いたことはあります。しかし、それが中曽根さんの後援会であるとか、業界の何か特殊な団体であるとか、そういうことは存じません。
  217. 横山利秋

    ○横山委員 私の承知しておるところは、如月会が四十四年、もうすでに政治資金規正法の届け出をしておると先ほど選挙局長に聞いたわけです。ただし収入が未届けである。これが斯界の見るところ中曽根さんの後援団体である。それは山王経済研究所等を含めて、中曽根さんの研究団体であるということを承知しておる。そして最近において、仲買いの諸君が一口十万円ずつ出し合っておるということを私は確実な情報を持っておる。そこまではどうですか。
  218. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 存じません。そういうことはわかりません。だれがどういう金を集めるかということは、われわれに連絡のあることでもございませんし、全然そういうことはわかりません。
  219. 横山利秋

    ○横山委員 渡辺政務次官は如月会にお出になったことはございませんか。
  220. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 如月会という御招待を受けて出たことはございません。
  221. 横山利秋

    ○横山委員 仲買い人の会合にお出になったことはございませんか。
  222. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 仲買い人の会合という御案内で行ったことはありません。
  223. 横山利秋

    ○横山委員 この短い時間で水かけ論をするのはいかがかと思いますけれども、私の承知しておるところでは、仲買い人は最近において、御存じのように非常な向かい玉の反対運動をしておる。そして如月会で二十数名、月十万円ずつ出し合って、そして中曽根さんの応援をしておる。そこから、あなたがそこに出ないというなら、あなた、長年の私は知り合いですから信用せざるを得ないのですけれども、しかしある人が私に言ったのは、渡辺さんもお出になったというふうに聞いたんですがね。私は先ほどここで言うたんですけれども、商品取引については最もあなたが強硬である、本委員会において。その強硬派であるあなたがそういうところへお出になったという話を聞いて、私はほんとうに怒り心頭に発したわけです。長年のつき合いですから、あなたがそういうところへ一切出た覚えはないとおっしゃるなら、仲買い人の会合へ私は出た覚えはないとおっしゃるなら、私はあなたをまじめに信頼したいと思いますよ。なぜそんなうわさが出るのか。  私が先ほどから心配しながら言っておるのは、仲買い人の仲間で、いまこういううわさが一ぱいなんです。現役の仲買い人は結局全部許可されるという雰囲気が横溢しておる。なぜそういう雰囲気が出るんだろうか、二つの問題を指摘した。一つは、法体系が取引所の意見によって始まるから、取引所のいまの実態からいうと、政府がこれに反するようなことはなかなかようやらないだろう、それに反することをやるためには理由を付さなければならぬし、聴聞会を開かなければならぬということをいって、法体系からいって甘い結果になる。もう一つ、そこはかとなくひそかにささやかれているこの種の問題が、陰の疑惑、陰の政治活動、政治運動というものを非常に濃くさせて、うわさが乱れ飛んでいる。結局全部許可されるだろうとみな言っておりますよ。どう思われますか、そういう雰囲気を。
  224. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 許可制は来年のことでありますが、いま事務当局でいままでのいろいろな姿勢等について、これは非常に厳正公平に審査をしておる最中であります。したがって、全部許可されるか、全部許可されないか、まだ結論が出ておりませんが、私は相当ないままで問題を起こしておる人については、何らかの措置は当然とられるであろうと思います。  それから、何か先ほどの御質問の中に、私がそういうようなことについて非常に厳格な態度を持ってきたというようなお話がありましたが、いまでも変わってはおりません。私はこの間事務当局に対して、ただこういうことは申しておきました。それは、ひとつ紛議の調停の方法について何かいい案はないか、いまのような調停のしかたでやっては、しょせん同じ穴のムジナであるというような印象を被害者に与えるであろう。ちょうどこれは横山先生も税金のことは詳しく知っておる方ですからおわかりだと思いますが、いままで国税局に協議団というのがあって、そして異議申し立て等をした場合において、協議団で決定をしても、しょせんそれは国税局長の指揮下にあるから同じ穴のムジナだというようなそしりを受けておった。厳正にやってもそういわれがちである。したがって、仲買い人が中心になってそういうようなものをこしらえておいたのでは、たとえそれが適正な紛議の処理であっても、そうでないような印象を与えるから、これは法改正等必要かもしれないけれども、別個の第三者機関をつくって、第三者に紛議の調停とか処理というものをやらせるような制度にしてはどうか。  それから積み立て金、つまり責任準備金の積み立ての支払いを各人がやっておるのですが、この積み立てられたものが一度損金としてそれぞれの会社の手から離れるときに、税法上の恩典を受けておるにかかわらず、それが取引所に積み立てられたものは、いかにもひもがついているかのような、ついてないような、あいまいなところがある。それもおかしい。私は取引所がその金を運用して、その利息をいろいろな運用資金の一部に充てるということもちょっとおかしいんではないか。したがって、これらについては保険的なものの考え方をして、そうしてこの全部払ったものの中から公平な第三者の決定に従って、ともかくそれを取りくずしてはどうか、そして上記についてはメリット、デメリット制を用いてはどうか、そういうようなことは事務当局に言ったことはありますが、それ以外のことについては何も私は特別な発言をいたしたことはございません。
  225. 横山利秋

    ○横山委員 時間がございませんからこれでやめます。たくさんまだ関連して質問したいことがありますが、先ほど理事からの発言もありますし、一応渡辺次官の答弁があったのですから、一応私の質問を終わりたいと思います。
  226. 橋口隆

    ○橋口委員長代理 午後三時十分から委員会を再開することとし、この際休憩いたします。    午後二時三十八分休憩      ————◇—————    午後三時十六分開議
  227. 橋口隆

    ○橋口委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。加藤清二君。
  228. 加藤清二

    加藤(清)委員 お許しを得まして、私は、今日問題となっておりまする日米貿易、特に繊維規制の問題を中心に、第二ラウンドに入りましたその当初の問題、すなわち、いま行なわれようとしております先進国会議、これ等についてお尋ねしたいと存じます。  第一番にお尋ねしたいことでございまするが、外務省というところは、審議をなさいまする場合に全部英語でおやりになりましょうか。なぜそんなことをお聞きしなければならないかと申しますと、私、ミルズ法案の原文並びに和文をあなたのほうへ要求いたしました。ところが、参りましたのがこれだけなんです。これを私ども残念ながらブロークンイングリッシュでよう読まない。読めないのです。ところで、なぜ原文のままおやりになるかと聞いたら、外務省では原文のままでやるのだ。なぜかならば、和訳するとニュアンスが変わるといけないからだ、こういう話なんです。そこで失礼ですが、本日は政務次官さん、私、ミルズ法案お尋ねする場合に、全部英語でお答え願いたいと思う。よろしゅうございますか。
  229. 竹内黎一

    竹内説明員 お話しのように、全部英語でとおっしゃられても、私、英語ができませんので、日本語でお答えさせていただきますが、先生の資料要求に対しまして何か英文のものしかお届けしなかったように私いま受け取りましたが、もしそれが事実だとすると、たいへん私ども不親切だったと思って、率直におわび申し上げたいと思います。  ただ、先生お話の中にもございましたように、いわゆるニュアンスというものは相当に大事な場合もございますので、あるいは専門家中の専門家の先生にその辺かえってよく御認識いただきたいということで、いわゆるオリジナルなテキストを渡したのだと思います。しかし、外務省におきましても、まだいわゆるミルズ法案についての訳文というものは実はつくっておりませんのでございまして、おそらくそういった点もありまして、とりあえず先生の御要求に間に合うのは、手元にあるのはオリジナルのテキストがあったので、まずそれをお届けしたかと思いますが、しかし、たいへんこれは私どもとして不親切だったと率直に反省いたします。
  230. 加藤清二

    加藤(清)委員 御反省願えばそれを追及しようとは思いません。しかし、この期に及んでまだ和文ができていないといったら怠慢といわざるを得ない。そこで、審議が行なわれておるでしょう、検討も行なわれているでしょう、その場合に全部英語でやってみえますか。私はやむなくアメリカからとりました。アメリカに友人が大ぜいおりますから、原文も和文もとっております。私はそれに基づいて質問をいたしますので、もし英文専門の外務省調査研究と違うところがあってはいけませんので、ちょっと最初に内容検討を進めてみたいと思います。  まず第一番に、はきものは対象とするということに相なっておると思いますが、これはいかがでございますか。
  231. 溝口道郎

    ○溝口説明員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  232. 加藤清二

    加藤(清)委員 このはきものは日本だけでなくして、イタリア、スペインに関係あると思いますが、そうですか。
  233. 溝口道郎

    ○溝口説明員 はい、そのとおりでございます。
  234. 加藤清二

    加藤(清)委員 化合繊、ステープルファイバー、モノフィラメント、これは除外する。つまり、アメリカが加工する繊維材料の輸入については制限を加えない、除外する。ただし、同じ繊維でも、長繊維は除外する、こうなっておるようでございますが、これは日本のみならずドイツに関係あると思いますが、いかがですか。
  235. 溝口道郎

    ○溝口説明員 ただいまおっしゃったことは、行政府といたしましては、ぜひともそれを先生のおっしゃるとおり法案から除きたいと言っております。法案の原案には全繊維となっておりますが、その後、米国の行政府としては、先生のおっしゃるとおり、原料関係のものは適用から除外したいという立場を明らかにしております。
  236. 加藤清二

    加藤(清)委員 次にASPについて、関税課税でございます。これは制度廃止をケネディラウンドのときにアメリカは約束いたしております。引き続いてアメリカの通商拡大法、政府提案でございます。これも廃止の条項に入っておるのでございますけれども、にもかかわりませず、このたびミルズさんはこれを加えておるようでございます。廃止しない。そういう条項があると思いますが、これは間違いですか。
  237. 溝口道郎

    ○溝口説明員 先生のおっしゃるとおり、米政府といたしましては、ケネディラウンドでASP廃止に努力するということをお約束をいたしましたので、今度の通商法案にいたしましても、その廃止を要求しておりますが、現在までのところ、歳入委員会答弁におきましては、それを廃止しないというほうの声が強いように伝えられております。
  238. 加藤清二

    加藤(清)委員 私は、いま原案について翻訳した結果をただしているわけなんです。ASP、これは廃止しない、ミルズ原案はそう受け取ってよろしゅうございますか。
  239. 溝口道郎

    ○溝口説明員 そのとおりでございます。
  240. 加藤清二

    加藤(清)委員 これはヨーロッパの化学製品にたいへんな影響があると思います。日本のみではございません。ヨーロッパの諸外国にたいへんな影響があると思いますが、それはいかがですか。
  241. 溝口道郎

    ○溝口説明員 そのとおり、ヨーロッパの繊維とか医薬品などの化学品にいろいろな大きな影響がございます。
  242. 加藤清二

    加藤(清)委員 以上の三点が六カ条のミルズ法案の要点だと思います。  さて、そうなってまいりますると、この法案が実施された場合には、その被害を受けるのは日本だけでなくて、はきものについてはイタリア、スペイン、化合繊についてはドイツ、ASPについてはヨーロッパの全化学製品、EEC諸国等々に影響がある、こう受け取ってよろしゅうございますか。これはひとつ政務次官お答え願いたい。
  243. 竹内黎一

    竹内説明員 ただいま説明を申し上げましたとおり、そのような影響があるものと思われます。
  244. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは次に、ミルズ法案の今後におけるスケジュールを外務省はどう踏んでみえるか、お尋ねしたいと思いますが、まず、これが今月の二十七、八日に一つの山を迎えるようでございますが、どうキャッチしておられますか。
  245. 竹内黎一

    竹内説明員 下院歳入委員会は、秘密会におきまして大体その討議を終了し、目下事務当局が案文の整理中と伺っております。したがいまして、委員会のいわゆる表決が先生御指摘の前後にあるだろうということは私どもも予測しております。
  246. 加藤清二

    加藤(清)委員 漏れ承るところによれば、欧州の先進国会議、別名四国会議とも言うておるようですが、それが二十七、八日に行なわれるはずであった、最初の予定は。それが月末の三十一日から来月の一日に延ばしてもらいたいとの要請があるやに聞いておりますが、その原因とするところは、ミルズ法案アメリカで通す場合に、今回欧州へアメリカ代表として出かけられる方が国内に必要であるというアメリカの都合のようでございますが、私の漏れ承るところは違っておりますか。
  247. 竹内黎一

    竹内説明員 ただいま御指摘の四カ国の公式会合が、当初予定された日にちを七月三十一日及び八月一日に延期をしてもらいたいという要請が米国政府からガットロング事務局長にあって、そのロング事務局長からまた、わがほうのジュネーーブの大使館を通じて、そういう連絡は受けております。ただしその理由については、私どもはまだ推測の域を出ません。
  248. 加藤清二

    加藤(清)委員 もし下院をこのままで通過したとしますると、ミルズ法案はほとんど原案のままである。無修正のままである。ところで、これが次のスケジュールは上院に回ると存じます。上院に回った場合には、世間一般ではクリスマスツリーだといわれております。なぜクリスマスツリーといわれるかといえば、下院より上院のほうが保守的である。ミルズさんは言うまでもなく、これは民主党の方である。野党なんです。無修正で通したとなれば、上院に行ってますますあれこれいろいろな飾りものやデコレーションを付加されるであろう、ぶら下げられるであろう、つけられるであろう、ゆえにこれはクリスマスツリーになるではないか、そういうおそれがあるではないかといわれておりますが、日本政府としては、これに対してどう想定をし、どう研究しておられますか。
  249. 溝口道郎

    ○溝口説明員 先生おっしゃるとおり、上院では非常に保守的なものが強うございますし、また審議関係で、上院の委員会あるいは本会議でライダーと申しますか、修正案がいろいろつきまして、クリスマス法案と申しますか、いろいろな商品の輸入制限条項がつけ加えられる可能性が非常にございます。こういう点は、行政府としてはいろいろと議会の指導者と話し合いを行なっておりますようでございますし、また上院で通りました案が下院で採択されました案と違います場合には、上下両院協議会調整されますこともございます。ですからまだ予測はつきませんが、たとえば先生のおっしゃりますように、非常に多くの商品がつくクリスマスツリー法案のようになります場合には、行政府として大統領の拒否権行使という挙にいずる可能性もございますわけでございます。
  250. 加藤清二

    加藤(清)委員 両院協議会や大統領拒否権についてはあとで承りたいと思います。時間が非常に短うございますから、私も手短に質問いたしますので、質問の要点にお答え願います。  ところで、このクリスマスツリーですが、こうなった場合、これははたして両院協議会で通過するであろうか、それとも通過しないであろうか、これもわが国としては当然検討をして今度の経済会議に臨まなければならぬはずでございます。そこで日本では、「樅の木は残った」という映画がいま行なわれておるようでございます。しかし、私の考え方をもってすれば、クリスマスツリーは残らないではないかと想定ができます。なぜかならば、日本のモミの木は根っこがあったんですが、クリスマンツリーには根っこがない。だからアメリカのクリスマスツリーは残らない、ベトーが発動されるではないかという気がいたしますが、これはいかがでございますか。
  251. 竹内黎一

    竹内説明員 われわれが今日まで承知しておる行政府考え方から申しますと、そういういわゆるライダーがたくさん出るということは、行政府としては歓迎せざるところであると思います。その意味におきましては、いわゆる大統領の拒否権の発動という事態も予想はし得るところだと思います。
  252. 加藤清二

    加藤(清)委員 予想でなくして、私が本日キャッチしたところによりますと、繊維品以外を対象とするならば拒否権を発動するとニクソンさんはきょう発表しておるようでございますね。これはどう受け取ってみえますか。もう情報が入っておるでしょう。
  253. 竹内黎一

    竹内説明員 ただいま先生お話しのような内容のニクソンの談話があったことは承知いたしております。
  254. 加藤清二

    加藤(清)委員 じゃその談話を発表してみてください。
  255. 竹内黎一

    竹内説明員 これは私どもはとりあえずの連絡電報で、ニクソンさんの記者会見の内容全部を伝えておるかどうかわかりませんが、二十日行なわれた記者会見の際に、ニクソン大統領は質問に答え、目下下院歳入委員会審議中の通商法案は、同大統領の勧告しない条項を含む場合には、貿易戦争に導くおそれがあるので、拒否権を行使するつもりである、このような言明をしたということであります。
  256. 加藤清二

    加藤(清)委員 そのとおりでございます。したがって、私は、ベトーが発動されるのではないかという予想がいたします。しかし、いますでに第二ラウンドが始まっていることだけは事実でございます。その第一手段が今度の経済会議になるはずでございます。そこで、経済会議で共通な利害として問題になるのは、まず第一番に第一条の市場撹乱ということだと存じます。そこで、法案の中には、市場撹乱が第一条にあって、市場撹乱と認める、こうなっておりますけれども、その基準は一体どこに定められているのでございましょうか。この基準が今度の経済会議の問題になると思います。どこにどう定められており、日本政府はどうキャッチしているか。
  257. 溝口道郎

    ○溝口説明員 先生御指摘のように、ミルズ法案の第百一項には市場撹乱と書いてあるだけで、詳しい定義はございませんが、先生も非常に御精通していらっしゃる綿製品長期取引の付属覚え書きには、市場撹乱の定義がございまして、たとえば、輸入が急速に増大しているとか、輸入が低価格であるというような場合に市場撹乱が認められるというのが付属覚え書きになってついております。
  258. 加藤清二

    加藤(清)委員 基準がない。つまり言えば、LTAの付属条項にあることはもうだれしもが承知しているところでございます。しかし、その条項の何がいま日本で問題にされている毛製品、合成繊維の中にあらわれているかというと、これはもう高橋ミッションの報告を待つまでもなく、あるあると称するだけで具体的事実はない。ただあるものは、ニクソンさんが大統領選挙のときに約束しただけのことなんです。約束したという事実はあっても、市場撹乱が現に行なわれているという事実は認めることができないし、資料提出をしても、それも出てこない。いや、出てきたデータを調べてみれば、一つもない。そんなことを今度は逆に日本の輸入する場合に当てはめたとするならば、全部がひっかかってしまう。だから基準もなければ事実もない。そこを基礎に今度の経済会議にぜひ臨んでいただきたいものだと存じます。  そこで、このような問題が行なわれているやさきに、先進国会議が今月の三十一日から一日にかけて行なわれようとしております。一体、日本はだれが派遣されるのですか。
  259. 竹内黎一

    竹内説明員 まだだれを派遣するかきめておりません。
  260. 加藤清二

    加藤(清)委員 怠慢である。アメリカのほうは、すでにとっくに選手交代しておる。だれになっていますか。——そんなことは暗唱してもらわなければ困る。
  261. 鈴木文彦

    ○鈴木説明員 目下米政府では、アメリカ側から出席する方は、ギルバートという特別通商代表とサミュエルズという国務次官代理——経済担当の国務次官代理でありますが、その二人の名前があがっておるようであります。
  262. 加藤清二

    加藤(清)委員 そのとおりであります。ギルバートさん、サミュエルズさんともにこれは世界経済の通なんです。スタンズさんと、ニーマーさんの選手が交代されたようでございます。当然のことでしょう。今度はガットの場でこれを行なうのでありまするから、世界経済に通暁した人でなければならぬのでございましょう。なぜ日本がそういう場合に早く選手をきめないのですか。予想も立っていないのですか。予想はだれですか。
  263. 竹内黎一

    竹内説明員 先ほど答弁申し上げたように、まだ代表のあれはきめておりませんが、予想される人というお尋ねでございますが、予想を申し上げれば、外務省経済局長あるいは通産省の通商局長及び現地の中山駐ジュネーブ大使等が予想候補ということでございます。
  264. 加藤清二

    加藤(清)委員 現地の中山さんが選ばれるであろうということは、これはだれも言えることなんです。しかし、関係諸外国が全部本国から別の代表を送った場合に、はたしてそれで済みますか。礼儀を非常に重んぜられる外務省さん、それで事が足りますか。当然これは早く選手をきめて根回しをせんければならぬはずであります。アメリカはすでにずっと根回しをしておるのです。なぜその根回しが必要かといえば、日本の総理大臣はもう前から言っていらっしゃる。最初は二国間協定である、それが終わった段階において多国間協定に持ち込むのである。これは総理が何べんも答えておることなんだ、予算委員会においても。  そこで、二国間協定が決裂とは言いません、私は、第一ラウンドは五分五分で不調に終わったと解釈しておる。決して決裂ではない。第二ラウンド、第三ラウンドがあるのですから。すでに第二ラウンドが始まっている。さすれば、ほうっておけば、日本と欧州諸国の共通の利害よりか、アメリカと欧州諸国の共通の利害を重んぜられて、アメリカが欧州諸国を引き入れてしまうおそれが十二分にあるわけなんです。したがって、当然のことながら、これは二国間協定の時代でさえも、すでにイギリスとの交渉も行ない、イタリアとの交渉も行ない、関係輸出国の東南アジア関係の国々とも折衝があった。これはもう秘密事項じゃないのです。なぜ早く選手をきめて、そうして対応策を講じないのですか。怠慢といわざるを得ないでしょう。それとも出たとこ勝負で、今度はうまくやれると思ってみえますか。通産省、どうなんですか。調査は進んでおりますか、おりませんか。
  265. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 これについては検討中でございます。
  266. 加藤清二

    加藤(清)委員 検討は何を検討しておるのですか。
  267. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 検討ということは、ミルズ法案の問題について、今後どのようなことの話し合いになるか、その点についてはどういうふうに対処していくか。またもう一つは、輸入制限措置がとられた場合に、自由貿易が危機におちいるということをEECあるいは英国と話し合って、これを撤回していただくということを申し入れるということと、国内産業その他の体制あるいは政策の上での処置も考えなければいけないものだと思います。
  268. 加藤清二

    加藤(清)委員 日本代表はいつきめます。
  269. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 これは外務省ロング事務局長からの話でございまして、当方としてはそれを受けるか受けないかまだ決定しておりません。しかし、そういう話し合いがあった以上は、われわれとしては心づもりをしております。
  270. 加藤清二

    加藤(清)委員 受けるか受けぬかわからぬならば、もう一つ、その前の問題について承るが、二十七、八日と最低想定された、そういう合い図があった。ところが、今度は三十一日と一日となった。その変更は受けるか受けないか、どっちです。これは外務省のほうだな。
  271. 竹内黎一

    竹内説明員 これはまだ決定したわけじゃございませんが、この会議日本も参加することになると思います。
  272. 加藤清二

    加藤(清)委員 そのとおりです。そこで、これは少なくともこの月末から行なわれるんですから、さすれば、二日や三日前には行って、何もしなくても儀礼的なあいさつぐらいはしなければならぬでしょう。もう今週いっぱいにきめてもよさそうなんです。ただ、いまあいにくと日韓会談が行なわれておりまするから、きまらないかもしれませんが、日韓会談が無事に終わって帰られるという段階においては、直ちにこれが発表される。そうしてその選手にそれぞれの準備をさせるということが必要ですが、先ほどおっしゃられました、今日想定している人が大体きまるんじゃございませんか。通産省のほう、どうです。
  273. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 大体これに関連している方々がまた続いてやると思います。
  274. 加藤清二

    加藤(清)委員 それじゃ、あなたへの質問の次に移ります。  ミルズ法案成立の事前対策で、第三次資本自由化に対する外審の答申、これがこの八月末に出る予定のようでございます。内容は、もう新聞その他もある程度報道しておりまするが、今度は内容がずば抜けてよろしい——よろしいというよりは、何と申しましょうか、いままでの目玉品目を自由化する、それから品目も、もう二百品目ぐらいは確定しちゃって、プラス三百二、三十になるか、四百品目になるかというところが問題のようで、責任者の小林中さん、コバチュウさんも、夏休み返上でこの問題と取り組んでいらっしゃるようでございますが、これは八月末に発表になりますか。
  275. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 外資審議会で八月中に審議いたしまして、答申をいただいて、九月に発表をいたしたいと思います。
  276. 加藤清二

    加藤(清)委員 それで、その中に農産物はどのくらい入っていますか。
  277. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 お答えしなければいけないのですけれども、まだ審議会審議中で、その答申を待っているものでございまして、まだ答弁はいたしかねます。
  278. 加藤清二

    加藤(清)委員 じゃ、決定したものについて……。  グレープフルーツ、四十六年十二月自由化が決定済みのようでございますね。農林省から政務次官が来てみえますから、お答え願いたい。決定しているか、していないか。
  279. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 グレープフルーツにつきましては、御承知のとおり、いままでの、昭和四十六年末までにこれは自由化する。しかし、これについては、アメリカでは御承知のとおりミカンの輸入を禁止をしておる。五つばかりの州が輸入を認めておるというような状態であるので、日本としては、もっと多くの州が輸入を認めるという了解のもとに、この四十六年末までにグレープフルーツを自由化する、こういうことできまっておるわけでございます。
  280. 加藤清二

    加藤(清)委員 もしそれがきまるとなると、日本関係業者、かんきつ栽培業者はどういうことになりますか。
  281. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 これはもう非常に重大なことで、現在のような状態で直ちに自由化をするというようなことは、ナツミカン、ハッサク等に対する影響は大きい、こういうふうに率直に認めております。したがいまして、これに対しましては、もちろん自由化をするということになれば、国内の果実の出回り期に季節関税を設けるというようなこととか、またナツミカン等の再開発特別対策事業、あるいはかんきつ品種等の更新事業、こういうようなことも積極的にやらなければならぬ。さらに、かんきつの出荷貯蔵庫の設置、ミカン果汁工場の設置というような、やはり防衛措置というものも速急に進めていかなければならない、かように並行的にやらなければならぬと思います。
  282. 加藤清二

    加藤(清)委員 アメリカの農耕の面積は少なくとも百町歩から百五十町歩、日本は多くても二町歩から三町歩。けんかになりませんね。とてもけんかにならぬ。しかもグレープフルーツとなりますと、これは日本ではけんかができない。その結果は、ナツミカン、ハッサクのみならず、かんきつ類にたいへんな影響を及ぼしてくる。これは日本のかんきつ栽培業者の盛衰にかかわる問題。にもかかわらず、これを自由化しようとしているのが日本政府なんです。そこで、総理はうまく逃げている。今月の十日、関係閣僚会議で、自主的にやれと言っておられる。アメリカの脅迫にあってやったんでは大国のメンツが立たない。当然のことなんです、経済大国になったんですから。自主的にやれと、こう言っておられる。もし自主的にやるとするならば、農林省としては、このグレープフルーツやトマト等々について自由化は許されますか。それはほんとうに自主的ですか。
  283. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 ただいま自主的にというお話がございましたが、この自由化の問題は、もちろん国内産業の保護ということをまず前提考えなければならない。それをやらなければできない。しかし一方、この間も、私、大阪の主婦連の方と会合したのですが、あのEXPOの会場で、国内で一つ一二百五十円もするグレープフルーツが百円で売られているじゃないか、農林省は一体何で私たちにこういうように高いものを食わせるんだ、これは自由化をしないから高いんで、自由化をすればもっとあすこで売っているように安くなるじゃないかというような、これは消費者の方からたいへんなおしかりを受けておるということも事実でございます。したがいまして、そういうような現況も考慮して、これはわれわれはあわして考えていかなければならない。いま言ったような例は、しかしこれは特別に消費者がそこの会場で安売りをしておるから安いのでありまして、一個百円というのは必ずしも正常な値段ではありませんということを私は申しておいたわけであります。したがいまして、農林省は消費者の農林省でもあるし、生産者の農林省でもありますから、その両者を考えながら、これは決定をさるべきものと存じます。  しかしながら、いま言ったように、グレープフルーツの問題に対する対措置というものは、自信を持って全部できましたという段階ではございません。したがって、まあ先々のことは、私は人のことまでわかりませんが、農林省に渡辺美智雄政務次官の間は、自由化はさせないつもりであります。
  284. 加藤清二

    加藤(清)委員 その結論でけっこうでございます。まあ私は、結論を急げという委員長の注意でございますから急ぎますが、渡辺美智雄が農林省にいる限りは絶対に自主的に行なう、それを許すということではない、ごもっともだと思います。消費者をごまかすにあたって、自由化が行なわれれば安くなるという印象を与えている向きもあるようでございまするが、自由化をどんなにしたって、流通機構を変えなければ安くなりません。ノリも輸入量が五倍、六倍にふえました。バナナは十倍にふえました。ふえるたびに値が上がっているのでございます。(「そんなことない」と呼ぶ者あり)自由化になったからというので、かつて国内の——そんなことないというのなら、申し上げましょうか。ノリの値段からバナナの値段まで、バナナは四百万ドルが四千万ドル余になった。しかし、どうです、あのもともと二円八十銭くらいのものが三十円になっているじゃございませんか。この比率はどんどん開いていくばかりだ。ノリがそうだ。ノリももとは八十銭なんだ。せいぜい二円か三円のものだ。これが日本に上がってきたら、山本山の上から読んでも下から読んでも山本山といったら、とたんに二十五円になるじゃございませんか。こんなばかな話がどこにあるか。しかも国籍をごまかして、日本のノリに化けている。これが実態なんです。これは別なときにやるとして、つまり、農林省がそれだけしっかりしていれば、日本の農民も信頼して喜んで渡辺次官についていくでございましょう。  私の言いたいことは、目には目なんです。歯には歯なんです。それがアメリカの哲学なんです。当然のことなんです。向こうが買ってくれなければ、こっちは買えないのです。何もこちらだけが無理を言うんじゃない。貿易は呼吸と一緒なんだ。吐く息と吸う息なんだ。一方がとまれば、息の根はとまるのです。アメリカ日本に向かって、たくさん買え買えと言うておきながら、自分のほうが買う場合には、制限制限とくるとおっしゃるならば、やむを得ぬ、自由化のスケジュールも延期せざるを得ぬわけなんです。  特に、私はこの際申し上げておきたい。市場転換をすべきなんだ。何も報復手段ではない。これは経済の原則なんです。しかも、この市場転換のことは、アメリカ経済人と日本経済人との会合においても、アメリカ経済人が言うておる。アメリカばかりのシェアを拡大せずに、他の国々にも広げてくれと言うておる。そうでしょう。他の国々に広げてくれと財界は言うけれどもアメリカの政界はどうかといったら、そうはさせないでしょう。自由にアメリカ以外の国ヘシェアを広げようとすると、日本の意思をチンコム、ココムで制限しているでしょう。それなれば、アメリカ政府がいま日本の輸入を制限して、余力を他のほうに向けようとすると、それもまた制限して、アメリカ政府は何を日本にやらせようとしているのか。財界も他のほうへ向けと言っておられるならば、この際、チンコム、ココムを全廃して、イギリス、フランスの例にならって、ぜひひとつ市場転換をやっていただきたい。これを申し上げておく。  時間がきたようでございまするから、私は結論にしますが、日本のコットン材料はほとんどアメリカなんです、オキュパイド・ジャパン時代からずっと。ただ近時は、他の国へも輸入の市場を求めたわけでございますけれども、それといえどもなおいま二九%。通産省いいですか、二九・一%アメリカから買っている。約三〇%です。これはどうです、市場転換をなさったほうがいいでしょう。もうあなた、アメリカのコットンは短繊維ですよ。糸質は悪いですよ。値段も相当のものですよ。ただ、うまみはアメリカに綿借款があるというだけなんです。ところが綿の製品の要求は今日高級化してきておる。もはや短繊維で四十番手や六十番手をつくっておったって輸出には向かないし、皆さんの着ているワイシャツでもそうでしょう。だれか短繊維で四十番手を着ていらっしゃる人がありますか。みな八十双から百双、百二十双となっているでしょう。それならばエジプト綿を買ったほうがはるかにいいじゃありませんか。なぜ日本のコットンはLTAで縛られて、なぜ材料の綿でまた縛られなければならぬのでしょう。いまもなおオキュパイド・ジャパンなんだ。ノーモアLTAなんです。ノーモアヒロシマがもうすぐ参りますが、ノーモアLTAなんです。なぜここらあたりで市場転換ができないのか。私はここへ数字をたくさん持ってきておりますけれども、時間がありませんからそれは他日に譲りますが、チンコム、ココムを廃棄しなさい。報復手段だとは言わないけれども、目には目だ。やむなく市場転換をしなさい。その第一手段としてまず綿花をやりなさい、小麦をやりなさい、トウモロコシをやりなさい、大豆をやりなさいということを申し上げておきます。答弁を要求します。
  285. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 先生のおっしゃること、一カ所に集中して貿易をやるということは、今後貿易の面で非常に問題が出てくるであろうということは事実でございます。しかし、いま米国あるいはEEC、イギリスとの四カ国会議が始まる当初において、これを実行に移すということは現時点においては適当ではないと思いますけれども、もしミルズ法案が通るようなことがあれば、われわれとしてもその対応策を本気で考えざるを得ないということだけお伝え申し上げます。
  286. 加藤清二

    加藤(清)委員 残余の質問はあとにいたします。
  287. 橋口隆

    ○橋口委員長代理 松尾信人君。
  288. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 私は、二つの点についてきょう質問いたします。時間もありませんので、ごく簡略に要点だけ申し上げたいと思いますので、そのつもりで答えていただきたいと思います。  まず第一点は、この日米繊維交渉の経過の問題でありますけれども、一切を省きまして、だんだん第二ラウンド、第三ラウンドとなってまいりますけれども日本の腹がまえですね。いま聞いておれば、まだ代表もよくきまっていないというようなことでは、どのような対策を立てておるのか。また、ミルズ法案がもしも通ったならば対抗的な措置を講ずるというようなお話でありますけれども、これは当然繊維に対しては通るんじゃないかというような考えも持っておったほうがいいんじゃないか。そうしますれば、やはりそういうものをしっかりこちらで固めておいて、そうして腹を固めて、今後行くべきところに行って言うべきことも言うというようにしませんと、だんだん後手後手となりまして押されていくんじゃないか。はっきりとした姿勢というものを固めてもらいたい。これが第一点でありますけれども、その対抗的な措置を講ずるとかなんとかいうお話でありますけれども、具体的なものが一体あるのか。多国間の交渉に臨んでどのようなことをやるのかというような点がはっきり固まっておりますかどうか、その点をまず聞きたいと思います。
  289. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 対抗策あるいは四カ国会議の内容については、その推移がどうなるかによってどう対処するかということで、これについてはいろいろ検討を加えております。  また、ミルズ法案が通った場合の対抗策というのはどうなんだという御質問もございましたけれども、これについては、事が重大でございますので、こうする、ああするということはいま発表を差し控えたいと思います。
  290. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 なかなかむずかしい問題ですね。いま言いにくいと思いますけれども、よくあらゆる角度から、もうここまではどうしても譲らないのだというものはちゃんとしていかれるように、ここで強く希望しておきます。  なお、対米貿易交渉の基本の問題でございますけれどもアメリカのやり方というのは三段がまえであります。自国の都合のいいものは貿易の自由化、資本の自由化で押しまくりますけれども、都合の悪いものにつきましては相手に自主規制を求める、なおそれで相手が納得しなければ輸入制限措置をとるというような三段がまえでありますけれども、どうしても日本といたしましても、対米貿易交渉の基本の態度というものを、あらゆるものについていま確立しておきませんと、押しまくられていくのじゃないか、そのような感じでございます。ひとつ対米貿易交渉の基本態度というものを通じて、世界の各国に対する日本の貿易の基本の態度、こういうものを確立していただきたい。いかがでしょう。
  291. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 いまの御質問でございますけれどもアメリカ規制措置その他をとれば、先ほど外務政務次官がおっしゃっておりましたように、貿易戦争というような形になりかねない。そういうことで、日本といたしましては、このような事態を招かないように、諸外国、特にアメリカあるいはイギリス、EEC諸国と共同して自由貿易を守るという点に立って、今後とも強力に会議を進めていきたいと思います。
  292. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 いまの基本態度はわかります。アメリカがいままで貿易の自由ということで、ガットその他でもいろいろ主張してまいりましたけれども、この日米繊維問題を一つの転機と申しますか、保護貿易のほうへ大きく足を一歩踏み出した。国内のいろいろの要望、要求に負けて、だんだん保護的な色彩を濃厚にしていくような傾向も強くなってくるのじゃないか。これは世界貿易の中のほんとうに憂うべき問題点だと私は思います。  であるならば、今度はわが国こそが、貿易の自由、そしてお互いに通商を拡大して世界の平和に向かって邁進していく、ガット中心の国際貿易の拡大、自由貿易を通じての拡大というものを、いま大きく旗を掲げて邁進していくときであろう、はっきりとそういうものを持たれまして、あらゆる問題に対処していく基本線をそこに置かなくては相ならぬ、こう思いますが、いかがでしょう。
  293. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 先生のおっしゃるとおりの基本的姿勢でやってまいりたいと思います。
  294. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 では、日米繊維交渉に関しまして、問題点は、よろしく今後ともに日本の貿易の基本姿勢、そういうものをひとつこの際確立して進んでいきたい、こう思いますので、しっかりお願いいたします。  次は、先ほどるるお話しのありました長崎県の厳原町のカドミウム汚染米の問題でございます。三点だけ不明確と申しますか、答えがはっきりしなかった点につきましてお尋ねするわけでありますが、まず第一点は、鉱業法百九条の問題、無過失賠償責任の問題でございますけれども、ちょっと先ほど聞いておりましたところが、現在この対州鉱業所から出る排水というものが汚染されていないので、企業責任はないのじゃないかというような意味合いの強い答えがあったと思うのでありますが、もう四十三年、四十四年と、長らくいろいろの手を講じてきまして、どうなりこうなり現在のようにややよくなったきておる状態でありまして、この東邦亜鉛の対州鉱業所の責任というものは厳然とあるのじゃないか。それを弱気を出して、現在は排水のほうがたいしたカドミウム汚染がないのだから、鉱業法上企業側に責任をとらせるということはちょっと困難ではないかというようなお考えであれば、これは大きな誤りじゃないか。その点についてはっきりとお答え願いたいと思います。
  295. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 先ほど中村先生お答えしたときには、私はこう申し上げたので、四十四年の十二月に採水の検査をやりましたところ、カドミの濃度は〇・〇〇二ないし〇・〇〇六PPMだ、これは環境基準以下であるということでございます。この排水の問題については、現時点においてそう問題はないであろう。しかし、それで東邦亜鉛さんが全部責任を免れたということは私言っておりません。今後やはり事実関係についてさらに実態把握をしなければならぬ、それについては追及をしていくべきだと申し上げました。
  296. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 実態の追及、把握ということは大切でありますけれども、これはもうそういうことでは相済まされない問題と思います。と申しますのは、四十四年産米の保有米、これは一番汚染のひどい樫根地区だけで十トンあるわけでありますけれども、その中で、自分の食べる米でありますから、それを、〇・九PPM以上のものは常時食べないようにしたがいいだろうというような厚生省の指導であります。〇・九PPM以上の米を食べないがいいのだ。そうすると、現在そのような米を持っておる、それ以上の米はどうするのかということになりますと、企業側の責任がそこに及んで、そして企業側が何らかそこに補償的な措置等を講ずべきでないであろうかというような厚生省考え方なんですよ。ですから、その鉱業法百カ条の無過失賠償責任の問題を早く現地についてはきちっとされまして、そうしていきませんと、農家の保有米の処置に困っているわけです。県が買い上げるのか、政府が買い上げてくれるのかという問題も先ほどあったようでございましたから、いまから重ねて私は申しますけれども、まずそのような点がありますので、いろいろ事実を調査してということでなくて、いままでの事実ははっきりしていますから、早くそのような百九条の問題が解決して、そして農家の保有米についてはこのようにしたらいいだろうという明確な指示をしてもらわないと、保有米というのは毎日毎日食べておりますし、これは一カ月、二カ月、三カ月とだんだん減っていくわけですから、それはあまり継続的に食べぬがいいだろうという通知に対しても、すみやかに企業側の責任というものを明らかにしていかないと、だれが最終的に責任をとるか、これが全然わからないで現地では困っております。県もそれでどうしようもない、こういう段階ですから、その点は明確にお答え願いたいと思います。
  297. 荘清

    荘説明員 お答えいたします。  ただいま小宮山政務次官からお答え申し上げました調査の点ですけれども、従来この調査が非常に立ちおくれておりました点、非常に申しわけないと思っておりますが、早急にこれを行ないまして事実関係を明確につかみたい。あらゆる努力をいたす所存でございます。この事実関係が明らかになってまいりました場合には——米の問題につきましては、政府の買い上げの方針がこれから関係省において決定されると存じますけれども、その方針ともにらみ合わせまして、通産省としても十分主務の省と御相談申し上げまして、問題の解決のほうにひとつ十分今後の対策検討させていただきたい、かように思っております。
  298. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 いろいろ手を入れまして、そして鉱業所から出てくる排水の処理等もだんだんよくなりまして、現在の段階調査をしますと、先ほど政務次官が答えられたとおり非常にいいんですよ。そこだけをつかまえまして会社側は、自分のほうに因果関係がないから企業責任はないのだというように非常に強気です。そうじゃない。いままでそこにたくさんの功罪が積もり積もって、さかのぼれば千何百年になります。また五百年、六百年——この対州鉱業所が始まりましてから数十年になるわけでありますから、そこにもともとカドミウムの汚染の根本があるんだ、現状の調査じゃないんだ、こういうことですよ。それで、そこのところの因果関係がはっきりしておるわけですが、現在はその因果関係が薄れてきて、ぼけてきた、そこを会社側は言っておるわけです。私もここにカドミウムの汚染されたものを持ってきておりますけれども、このからみというものは、この四地区に一ぱいございます。樫根が一番大きゅうございます。その上に部落ができておるようなものですよ。そして新しくこの対州鉱業所から出まして、このような問題がいま提起になっていますけれども、話は古いのです。すべて鉱山の問題ですから。ひとつ調査してとかなんとかということじゃなくて、ほんとうに早くそのような鉱業法の問題をきちっとされまして——そうして現地住民と会社側もいま対立関係はありません。非常にお互いが持ちつ持たれつの関係であります。ただ金を出すのが困るというようなことでありますから、明確に早く答えを出してください。そうしませんと、この〇・九PPM以上の保有米の処置ができないのですよ。また、処置ができないということは、そういう問題でできないのでありまして、企業責任を問う間はできないわけです。  そのような企業責任を問うという前にもう一つきめてもらいたいのは、樫根地区の十トンの米は、四十四年度の保有米は全部政府のほうで引き受ける。先ほども中村さんからお話がありましたけれども、農民が被害者です。地域住民が被害者です。おまけに〇・九PPM以上のものはすみやかに政府が回収すべきものですよ。食糧管理法の問題がどうだとか、そのような小さな問題ではなくて、とにかく現地の汚染米というものは政府責任で片をつける、このことだけは明確に答えていただきたいと思います。
  299. 中村健次郎

    中村(健)説明員 現在樫根部落で保有されております四十四年産の保有米については、政府責任において回収すべきであるという御意見、ごもっともだと思うのでございますが、食糧管理法によって食糧庁がこれを買うということにつきましては、けさほどもお答え申し上げましたようにいろいろ問題がございますので、この問題につきましては、目下いろいろ政府部内において検討中  でございます。
  300. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 その点はわかっております。いずれにしても農民も被害者であるし、汚染米の、政府の指示の〇・九PPM以上のものを持って困っているのですから、そこに十トンあるのですから、おそくなればなるほどその十トンの米を毎日食べていくのです。これはだれの責任かといえば、企業側にもあるし、政府にもあるわけですよ。企業だ、企業だといううちに時間がたつから、とりあえず政府のほうではっきりしていきなさい、こう言っているわけですから、早く結論を出してください。もたもたして、もう待っておられません。どうですか。
  301. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 買い上げの問題については、先ほど大蔵政務次官お答えしていましたように、食糧として買い上げますのはなかなかむずかしいであろう、その辺の問題をもう少し煮詰めなければいけないのではないかと思います。ただ、被害をこうむっている方が農家の方々である、この点は事実でございますので、この点をやはり考慮に入れて対策を練らなければいけないかと思っております。
  302. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 次は、四十五年度の配給米の問題でございますけれども、いま、そういうごちゃごちゃした問題から、現地の要観察地域の四地区の買い入れ予約はなされていない、いましばらく模様を見るのだ、中止されているということはありますけれども、これではいかぬと思うのです。すみやかに四十五年産米については買い入れ予約を開始するように。樫根のほうが問題とすれば、そこは若干——こちらも一挙に四地区やれとは申しかねますけれども、ほんとうは買うべきがあたりまえだと思います。どういうわけで四十五年産米の賢い入れ予約をしないか、また今後どうするつもりか、その点いかがでしょうか。
  303. 中村健次郎

    中村(健)説明員 予約の問題は、四十五年産米を買い入れるかどうかということと密接に関連してきておりますので、したがって、そういった見通しがつくまでの間、予約をちょっと待ってもらいたい、こういうことでとめております。したがって問題になっております樫根地区だけであるように私どもは了解しております。
  304. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 いや、昨日聞いた話だけでも四地区です。さっそくそれはお調べになりまして、間違いであるならば間違いであるように早く正しまして、そして問題を樫根にしぼる。かりに樫根にしぼっても、樫根の全部のものが全部悪いというわけでありません。予約をしないという問題は非常に重大問題ですよ。だれの責任でもないのに、一生懸命つくってきたのに、問題があるからはっきりするまでは待てとか、買わぬとか——買うなら買うということをしておいて、問題は問題として解決すべきではないか、その点をよろしく。時間がありませんのでこれ以上申し上げませんが、その四地区の買い入れ予約というものはさっそく開始するということに取り運んでいただきたいと思います。  最後にお尋ねしたいと思いますのは、中小企業に対する来年度の予算の問題でございます。  この委員会を通じまして、過去、開会中いろいろお互いに議論もしてまいったわけでありますけれども、常に思いますのは、いろいろ問題の多い中小企業に対して一般予算のほうも非常に少ない。どうにかしてもう少しわれわれががんばってこの予算というものを取りませんといかぬ。やらなければいけない問題は一ぱいあるのに、予算の制約を受けましてそれが実現できないでおるというのが実態じゃないか。今後の問題、また来年度におきましても、中小企業に対して政策的に取り上げていかなければならない問題が三本、四本、五本と、五本はあるのじゃないか、このように私は思います。そのような柱を立てていく上から、何といってもその政策というものを実現できる裏づけになるのは、金融予算以外にありません。残念ながら一般予算におきましては昨年も〇・六%でございます。四十四年度は一般予算の中で中小企業予算は〇・六%です。残念です。ひとつ今後中小企業に対してこういう柱を立ててやりたいという抱負は当然あると思いますけれども、それを実現する上に対して予算というものの獲得をどうするか。いよいよ来月がもう政府に対する最終段階だと思いますので、私は時期的に申し上げるのがややおくれた感じでありますけれども、またこの時期を終わりますと言う機会が全然ありませんので、きょうあえて申すわけでありますが、その点について一般予算の上でどのように考えていらっしゃるか、お聞きいたします。
  305. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 いま松尾先生のおっしゃるとおりに、日本経済の発展とともに、かつまた発展途上国の追い上げその他もございます。中小企業の置かれている地位というものは非常にきびしいものがあるかと思います。  それで、来年度の予算については現在省内で鋭意検討中でございますけれども、その中で、近代化をやるもの、あるいは転廃業の問題まで入れてもっと合理化、省力化というものを強力に推し進めていくという考え方を持っております。いままでのように、予算が〇・六三%でございますか、というような小さな予算だとおっしゃいましたけれども、予算の上から見ますと確かに小さいかもしれませんけれども、中小企業予算の面においては回している面もございますので、その点は実質的な数字とはちょっと違うかと思いますけれども、ただ申し上げることは、少ないことは事実でございます。その点は私も認めざるを得ない。この点、わが国の中小企業の置かれておる地位が非常にきびしいものがございますので、来年度はこれについてもっと強力な政策あるいは資金の裏づけをやりたいと思います。ぜひ先生にも御支援のほどをお願いいたします。
  306. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 御支援でなくて、もう予算はきまるわけでありますから、きまった上では何といっても手おくれであります。作業中のいま以外にもう手かげんはできないわけでありますから。いよいよ来年度あたりになりますと、この特恵関税の問題が起こってまいります。これをまるまる受けていくのは中小企業ではありませんか。また構造改善にしましても、なかなか思ったとおりいきません。近代化もそうでしょう。情報産業にしましても、中小企業が一番立ちおくれて、この前情報のあれが通りましたけれども、非常に申しわけ的の予算にすぎなかった。公害問題はいよいよ今度は真剣に中小企業まで取り上げていくようになります。たくさんの問題をかかえておって、そうしてだんだん貿易の自由化と、おまけに特恵関税で後進国の追い上げを食らっておる。いよいよ来年あたりから中小企業に対するあらゆるしわ寄せというものが必ず来る。それを救っていくのはたった一つ金融的な面以外にありませんよ。そこでひとつそのような柱をがっちり立てられまして、作業中でありましょうけれども、鋭意巻き返してがんばっていただきたい。  次に、いつも予算が〇・六%しかないと言えば、財政投融資のほうでうんとめんどうを見ておるからということを大臣等も言うのでありますけれども、それなら政府三機関に対する財政投融資がどのくらい出ておるか。これは全中小企業の金繰りからいえば九%にすぎません。政府の三機関に対する財政投融資でめんどうを見てくれておるのは、中小企業の金繰りのすべてのわずか九%にすぎないのですよ。一割ありません。そういう点からいっても、財投の面で政府三機関を通じてうんと見ておる、金を回しておるというようなお話でありますけれども、そうじゃない。実態はそういうことで中小企業が非常に金詰まりで困っておる。体質の改善もできなければ、その構造改善もできない。公害問題なんか絶対お手あげなんです。そういう意味におきまして、非常にむずかしい問題でございますけれども、時間がありませんので私はこれでやめますけれども、この一般予算の面も、少なくとも〇・六というようなことでなくて、しっかり目標をきめて、それを一割くらいまで持っていくとか、また財政投融資は九%でありますが、これを一五%くらいまで国がめんどうを見ていく。せめて全体の金繰りの中で二割くらい政府が中小企業のめんどうは見ようというくらいに、そのようなところでがんばっていただきたい。一言次官の決意を聞いて私は質問をやめたいと思います。
  307. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 お説のとおり金額的には少ない。しかし前年度から比べますとシェアの伸びはございます。しかしこれで私は了としておるわけではございません。先ほど申し上げましたように、中小企業の置かれておる地位は非常にきびしいものがございます。来年度については、もっともっと中小企業の合理化、あるいは育成ということに全力をあげたいと考えております。
  308. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 最後に一言ですが、来年度の予算が九兆二千億前後になるだろう、そして一五、六%ことしより伸びていく、ですから中小企業の予算も一六、七%伸びていく、だからいいじゃないか、こういう考えじゃなくて、やはり相対的に見まして中小企業に対する政府のめんどうの見方が足らぬ。予算の伸び方について、中小企業の予算が全体の予算につれて伸びていくというあれじゃなくて、もともとこのくらいあってしかるべきだという、一般予算に対する〇・六というようなことでなくて、一割なら一割という一つの目標をきめて、政策は一ぱいあるのですから、それをやるとすればそれくらいなければ足らぬわけです。財投にしましてもいま九%。これもやりたいことが一ぱいできないでいるのですから、やはりこれは、一〇%、一五%ぐらいはどうしてもとりあえず取ってもらわなければいかぬというようなところにひとつ基本を置かれまして、今後鋭意がんばっていただきたい。これを希望いたします。よろしくがんばってください。
  309. 橋口隆

    ○橋口委員長代理 近江巳記夫君。
  310. 近江巳記夫

    ○近江委員 私は、きょうは時間の関係もありますので、問題点をしぼって質問をしたいと思っておりますが、まず初めに光化学スモッグのことについてお聞きしたいと思うのです。  東京都の発表では被害三千余名、たいへんな被害者ではないかと私は思う。私たち公明党といたしましても、事の重大さを認識いたしまして、特にこの被害状況の大きかった杉並区を重点的に調査いたしました。ところが、私はいまここで驚くべき、また悲しむべきことを申し上げなければならない。あまりにも東京都の発表と食い違いがあるわけです。私はここで何も、東京都やあるいは政府がそれをひた隠しにしておったとは思いたくありません。急な状況であるがゆえに、それだけの調査体制が整ってなかった、未報告があった、そういうように善意に解釈すればそうでありますが、少なくとも権威ある役所の発表として、私はなぜそういうような食い違いがあるのかということについてもお聞きしたいと思うのです。その後、政府におかれましても、東京都におかれましても、いろいろと調査をされておると思いますが、もしその後調査をされてつかんでおられることがあれば、誠意をもって報告をしていただきたいと思うのです。
  311. 橋本道夫

    ○橋本説明員 いま先生の御質問のありました件でございますが、本日新聞に載っておりました数字につきましては、昨日の十五時までに東京都で集計したというのでございまして、私どものところに入っておりました数字は、六十八校の三千十七人という数字でございます。この点で、データとしてはだいぶ古くなっているのではないかということもございまして、またいま私どもの課のほうに東京都のほうからの連絡があって、いまの段階でまた数字が新しくなっておるということで持ってきた数字を見ますと、七十九校で三千六百七十一人、全部で七十九校になりまして六百五十四人ふえたという数字でございますが、これもまだその集計の途上のもので、不正確なものであるということでございます。  そういう点で、一つの場所だけを一応抜きまして私ども聞いてみましたが、これは杉並で千四百九十六人という数字が上がっておりまして、これは東保健所の管内の十二校と西保健所管内の二校ということでございましたが、これは東京都のほうに伺ってみますと、さらにこれに高井戸の保健所管内も入ってくるということでございますし、あるいはこの西保健所のほうでも、きょうになって新しくつかまえられたものがあるということでございまして、私どもがいま得ました数字、これはまだ不正確だと思いますが、いまこの杉並のものだけ見たものについて言いますと、高井戸の保健所で九校の九百四十七人というような数字があるようでございます。これは数字としてはまだ未確認なものでございますが、そういうものがふえるということと、それから西保健所のほうにおきましても、従来二校と言いましたのが十六校にふえた。全体で千四百三十二人になるということで、昨日百三十六人ということでございますから、その差といたしまして約千三百名ぐらいの差がある。一区だけでこれだけの差がございまして、保健所網を通じまして全部の正式なものをすぐさまつかまえることはなかなかむずかしいという事情はございますが、この点につきましては、明日以後私ども会議の席上で、その時点までに得られた最も正確な数字をつかまえたいと思っておるわけでございます。
  312. 近江巳記夫

    ○近江委員 正確な数字をおつかみになってはおりませんが、ざっといま御報告を願っただけで、杉並区は千四百九十六名という発表の約倍ですよ。したがって被害がますます拡大をしておる。少なくとも東京都の被害がこの発表で三千余名、杉並区で約倍ですから、したがってこれは六千名以上に拡大を予想されるわけです。これはどういう調査の方法をされたのか知りませんけれども、事生命、健康に関するこれはたいへんな問題です。したがってあらゆるスタッフを動員して綿密な調査をすべきじゃないか。いまあなたのおっしゃることは、そのまま聞けば、いろいろ急なことで了解できる点もありますけれども、まだ調査段階でこういう被害が拡大してきておる。したがって、まず正確な実態調査をどういうように今後やるか、その点を真剣にひとつ私も聞いておるわけですから、答えていただきたいと思うのです。
  313. 橋本道夫

    ○橋本説明員 いま先生から御指摘のありましたように、人間の健康の問題でございますので、私どもも最もきびしく厳格にこの調査をいたしたいと考えております。  昨日の件につきましては、昨日早朝、東京都の衛生局と話をいたしまして、保健所網を通じて東京都が集められたという数字でございますが、あした寄りましたときに、また調査の方式ということについてもう一度はっきりさせてみたいと思っております。これはうしろに振り返る調査でございますので、いま悪いというものをつかまえるのではございませんから、そこらに非常にむずかしいところがございますが、従来、公衆衛生の関係では、疫学調査ということでそのようなこともいたしておりました経験もございますので、極力正確な把握をして問題を明らかにしたいと思っております。
  314. 近江巳記夫

    ○近江委員 このことは委員長からもお願いしてもらいたいのですが、これはほんとうに生命、健康に関する問題です。しかし実態の把握につきまして非常になまぬるいものを感じます。したがって、あと理事会等においても、正確なこの調査のことについて、商工委員会としても何らかの申し入れ等を考えていただきたいと思うのです。よろしくお願いいたします。
  315. 橋口隆

    ○橋口委員長代理 はい。
  316. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは今後の関係各省のそうした御努力期待をするわけです。どうか正確な調査をしていただきたいと思うのです。私はここで政府、東京都のそういう数値の発表の怠慢を言えば幾らでもありますけれども、それ以上私も申し上げません。いろいろとあなた自身も当局もその点はお感じになっていらっしゃると思いますし、あとは誠意をもって正確な実態を明らかにしていただきたい。そうしなければほんとうの対策は立てられない。中間でいいかげんにうやむやにして、それで対策をやれば、その対策もおざなりにきまっている。綿密な実態調査の基礎があって初めて対策がとれるわけです。この点は国民の代表として強く要望しておきます。  それで、光化学スモッグの中に含まれるオキシダント、これは人体に付着あるいは体内に吸引された場合どういう影響を与えるか。いま被害者のほとんどは小学校、中学校の学童、児童です。そういう症状についてはもうすでに御承知のとおりです。したがって、これは医学的、学問的にいくとどうなるのですか。
  317. 橋本道夫

    ○橋本説明員 いま御指摘のありましたオキシデントの点につきましては、カリフォルニア州のロサンゼルスで、動物実験のみならずいろいろの人体曝露実験を相当やられたケースがございますので、その影響につきましては大体次のようなことだと私ども承知しております。  第一は粘膜の刺激ということでございまして、目に涙が出るというのが最も多くの症状でございます。それと同時に咽頭あるいは鼻の粘膜が刺激されるということでございます。それからもう一つの問題は、ある程度以上高くなってきますと、ぜんそくの患者さんのグループの中から、ぜんそくの発作を起こす人の数がふえるというのが一つございます。それからもつ一は、運動会のように運動能力をテストしてみますと、ある程度以上上がりますと、走り合いの能力が少し落ちるということが従来まで知られたことでございます。そのほか感染に対する抵抗力の低下とか一般的なこともございますが、いま申し上げましたことは、カリフォルニア州の大学等全部含めまして、疫学調査のみならず人体の曝露テスト等を経て得られた結果でございます。
  318. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういう症状がひどくなると、それぞれの体力の違いもありますけれども、呼吸困難まで引き起こして、そして病院へかつぎ込まれておる、こういう事態が発生しているわけです。それで、話がちょっと戻りますが、わが党の調査ではさらに上回っているわけですよ。ですからその辺の綿密な調査をさらにお願いしたいと思います。これはもとに戻ったわけですが。  そこで、そういうような被害があるということについては、いろいろといままで研究をなさっておると思うのです。そういう点について、東京都の公害研究所をはじめ、いままでこういう一部の識者からも発生の可能性というものが指摘をされておったわけです。にもかかわらず、今日に至るまで一向にそういうことが考えられてなかったということについて、私は政治責任を追及したいと思うのです。少なくともこれだけスモッグにおおわれた東京です。あるいは大阪です。そういう現象が起こることは予想されていた。それに対して何らの対策も講じておらなかった。これについては一体どう国民におわびをするか、どう反省しておりますか。厚生省から政務次官お願いします。   〔橋口委員長代理退席、委員長着席〕
  319. 橋本道夫

    ○橋本説明員 まず私のほうから事務的にいままでの経緯だけを御報告申し上げたいと思います。  このような光化学的スモッグの問題が起こるという点につきましては、ばい煙規制法の成立直後私どもはこの点に着目いたしまして、三十八年に科学技術庁の特別研究調査費をもちまして、いま問題になっておりますオキシダントをはかるという機械の試作をいたし、さらに三十九年度からこれを都内のステーションに据えてやりました。ところがどうもその機械がうまく動かないということで、二年ほど非常に苦労いたしましたが、日本の国産化はその時点におきまして失敗しました。昭和四十年度から特別大気汚染測定網というものを厚生省が始めまして、これは、法律上将来規制に至ると予定されているもののすべてを測定しているステーションの計画を始めましたが、その中でやはり国産品が失敗いたしましたので、アメリカから二台入れまして、東京と大阪に配置をいたしました。ところが、この機械もまた日本でやった場合にどうにもうまく動きませんので、私どもはどうしてこういう問題が起こるのかということに非常に悩みまして、昭和四十二年にカリフォルニアの専門家が参りましたときに、その問題につきまして合同検討会を開きましたところ、硫黄酸化物の干渉が起こってなるのではないかという指摘を受けました。その指摘された事項を実施をしてみましたところ、四十二年度以降は、大体機械としてあり得るような数字が出てまいったわけでございます。  ただ、現在の段階でも実はもう一点問題がございまして、私ども現在輸入の機械を使っておりますが、測定にいま一つ自信のないポイントがございます。そういう点もございますので、全体として機械を置くというまでに至らなかったという点が一点と、光化学スモッグにつきましては、四十三年度以降日米の科学協力でやってまいりましたが、いま申しました測定の点でなかなかむずかしい点があったということと、実験が徐々に進み始めたということで、いま先生のおっしゃいましたように、早期から全部の手を実行に移すことができなかったということは非常に残念だと思っております。
  320. 近江巳記夫

    ○近江委員 六月の二十八日、千葉県の京葉工業地帯に今回と同様の事件が発生しておるわけです。千葉県公害課のほうからその実態が七月の十四日に発表されておる。それによれば、光化学スモッグ現象と推論される、このように発表しておるわけです。当然これの結果については報告書は厚生省に来ておると思うのですが、何らか千葉県側からも、これに対する対策等についても相談があったと思うのです。そういう点で、そのときに千葉県等についてどういう答えをしておるか聞きたいと思うのです。
  321. 橋本道夫

    ○橋本説明員 いま仰せのございました千葉県のケースでございますが、新聞紙上、木更津の先のほうでございますが、ぜんそく様の発作、あるいは非常にのどが苦しくなったというケースがあったということを聞きまして、私どもは、千葉の衛生部、及び千葉の公害研究所というのがございまして、そこのほうにすぐ連絡をいたしまして、千葉県下のモニターであらわれておるあらゆる汚染数字を全部整理しようということを出したわけでございます。その結果の概略につきましては、硫黄酸化物は少し高いが、決してそう高いといって騒ぐほどの数字じゃないということと、もう一つは、窒素酸化物のほうにつきましても、若干高いがこれだけでは問題になるような数字じゃないということでございました。  ただ残念なことに、千葉の場合には、オキシダントレコーダーというものは入っておりませんで、炭化水素とオキシダントをつかむことができなかったということがございます。そういう点におきまして、千葉のケースにつきましては、それ以上深い追及をすることができなかったという点で一応終わっております。このケースにつきましては、もう一度東京都のケースとあわせて、全体のデータをあわせて検討いたしたいというように私ども考えております。  対策といたしましては、私どもは、かねがねこの炭化水素は規制すべきであるという考えに立ちまして、運輸大臣に四十三年十二月以来、炭化水素に規制を加えるようにという要望を出しておりまして、今回もこの事件の起こる前にやはり出しておりまして、運輸省の側も、この点については非常に積極的にやろうというように承っておりましたやさきに、このような問題が起こったわけでございます。
  322. 近江巳記夫

    ○近江委員 今回の事件に限ったことではありませんが、牛込の柳町のあの事件も、起きてから鉛の公害ということがあらためていろいろと検討されるようになった。そういう犠牲者が出てから検討するということ自体、私はほんとうに人命軽視、生命ということをほんとうに軽く考えておるのじゃないか。根本的なそういう皆さん方の姿勢ということがまず問題だと思うのです。その辺、ほんとうに皆さんが真剣に生命、健康という問題について考えておれば、幾らでも知恵がわき、また対策も立てることができるわけです。そういう点でいつも後手後手に回っておるという姿勢をここできびしく私は申し上げたいと思うのです。このオキシダントの測定器も都立研究所に一台だけしかない。そういう驚くべき事実もはっきりしておるわけです。これだけ公害公害というような問題が出ておりながら、前進的な対策が立てられない。まことに情けないと私は思うのです。特に今回の光化学スモッグ等についてその後具体的な対策を立てましたか。
  323. 橋本道夫

    ○橋本説明員 先ほどお答えいたしましたように、現在の段階では問題の究明ということに全力を注いでおりますが、最も具体的な対策は、光化学的なスモッグをつくる原因になる窒素酸化物対策と炭化水素対策でございますが、現段階では窒素酸化物につきましては技術的に不可能でございまして、炭化水素対策をまず進めていただくということで運輸省のほうにも申し入れをし、運輸技術審議会のほうで積極的な対策を打ち出されるという状況でございます。  測定計器の対策ということにつきましては、これはまだ法律にあがった汚染物質ではございませんので、その点で行政のルートに乗せることができなかったという点と、二つの記録計自身にも技術的に問題のポイントがあるということで私ども確認できませんでしたが、来年度の予算におきましては、現在規制対象になっていようがいまいが、すべて問題になるだろうというものをワンセットにしたような、自動車の排気ガスの大気汚染のネットワークを張るというようなことを進めたいということで、現在省内の公害対策議会でいろいろ検討し、ぜひとも実現したいと思っておる次第でございます。
  324. 近江巳記夫

    ○近江委員 特に東京や大阪などの大都市圏における大気汚染がますますこれから深刻な様相を呈するのじゃないか、このように思うのです。ここにおいて、主要都市における汚染の状況、要するに環境基準に照らしてこれが一体どういうことかということなんです。特に東京、大阪等について、その状況と、また対策等はどうなっているか、その辺についてお聞きしたいと思います。
  325. 橋本道夫

    ○橋本説明員 まず東京、大阪の問題でございますが、一九六八年の段階での私どもが照合できます測定点は、東京は九カ所でございまして、これは硫黄酸化物でございます。この九カ所の測定点のうち四カ所が環境基準に適合していないということでございます。それから同じ年次、六八年から六九年までの大阪のものでいきますと、全部で十五カ所かかっておりまして、このうちで環境基準に合致しておりますものは六カ所でございまして、九カ所が環境基準に合致していないという状況でございます。  全体の傾向といたしまして、非常に汚染のはなはだしいところにおきましては、漸次減少の方向にあるということは申せますが、外縁のほうに、少し拡散等の問題もありましょうが、若干汚染が上がるところがあるということが現在ございます。東京では糀谷の汚染等はまだ非常に悪いということが、硫黄酸化物では申せます。一酸化炭素につきましては、環境基準を大幅に上回るところと、わずかにこれをこえるというところがございまして、都心部はわずかにこえる。しかしながら、都心部の中で、東京都庁前あるいは大原交差点は約四分の一くらいこれからはずれるというような状況でございます。そういうことにおきまして、一酸化炭素のほうにつきましてはまだ改善のきざしはあらわれておりませんが、硫黄酸化物のほうにつきましては、一部分に改善のきざしがあらわれましたが、全体としては安心ができないということでございます。  浮遊粉じんにつきましては、全体として減少の傾向のほうが多うございますが、一部に四十三年以降また逆転しているところがあるということで、私どもは、この秋から浮遊粉じんの規制をより強めようということで、現在通産省のほうと最終の詰めをいたしておるという段階でございます。
  326. 近江巳記夫

    ○近江委員 特に東京、大阪の場合を聞いたのですが、大阪の西淀川、これが非常に被害の状況が大きくて、特別措置法の対象地区として指定されるほど汚染がはなはだしいわけですが、大阪市内だけでなく、隣接の尼崎市からの影響も大きい。そういうように私の調査でも見ておりますが、これは一つの例としてあげたのですが、特にひどいところのそういう対策についてはどういう方法をとっておりますか。
  327. 橋本道夫

    ○橋本説明員 いま先生の御指摘のございました大阪の西淀川は、全国の最高の汚染地帯でございまして、大阪の西淀川と神奈川県の川崎大師地区、この二地区が最高の汚染地帯でございます。これに対しては、これは非常に残念なことでございますが、健康被害救済特別措置法の対象といたしまして、その地域の中におきまして大気汚染影響によってふえていると見られます呼吸器系の疾患の一定のこまかな審査基準をつくっておりまして、そういうものにつきまして医療費の負担という制度をやっております。ただし、このようなことは将来不要にすることが大気汚染防止対策としては最も基本であるということを考えまして、私どもは、特に大阪におきましては、公害対策基本法の第十九条による公害防止計画にかけようということで、今年度は基本方針を示すということで、現在最終の段階のところまでやってきております。これは近く公表されることになろうかと思います。  ただ、このような一般原則だけではなかなか実際の対策は進みませんので、私どもは、大阪府、市を督励いたしまして、特に大阪市におきましては、非常に熱心に特別措置法の指定地域を解消するという運動というものを起こしまして、実は本日の朝も大阪市の公害と衛生、両方の首脳部が参りまして、大阪市内をあげて検討した結果、単に衛生や公害面のみならず、町全体として生まれ変わろうというような、非常に積極的な対策の案を現在大阪府とも連絡をとりながらやっている最中でございます。  そういう点におきまして、私どもは、公害対策基本法の防止計画ということの基本方針を示し、来年度公害防止計画の承認ということになりますので、どしどしそのような対策を進めていきたい。もちろんそれに至るまでに、発生源対策の強化というような点につきましては万全の措置を期していきたい、そういうぐあいに思っておるわけでございます。
  328. 近江巳記夫

    ○近江委員 公害の発生源は通産省の所管のところがほとんどなんです。先ほどから厚生省からも答弁されているのですが、通産省にひとつお聞きしたいと思うのです。  通産省は、こうした公害のことをお考えになって、たしかこの七月からだと思いますが、公害試験研究所をつくられて、その四部門として大気汚染防止技術、自動車排気ガスの調査、水の浄化の研究、窒素酸化物やプラスチック廃棄物の処理技術の開発、そうしたことを重点的にやられるようになった。それは非常にけっこうだと思うのです。しかしはたして中身がどれだけ充実しておるかということが問題だと思うのです。最近は、亜硫酸ガスによる汚染のほか、粉じんあるいは有毒ガスによる汚染、また光化学スモッグが新たな公害として注目されておるわけですが、通産省として関係各省とも連携をとっていらっしゃると思いますが、どういう対策をおとりになっていらっしゃるわけですか。また政務次官にお聞きしたいと思うのですが、今回のこういうような事件をどういうように受けとめていらっしゃるか、率直な感想なり反省をお聞きしたいと思うのです。
  329. 柴崎芳三

    ○柴崎説明員 お答えいたします。  SO2以外に有害物質がいろいろあることは先生御指摘のとおりでございまして、若干、以前からの対策の経過も御説明申し上げたいと思うわけでございますが、最初問題になりましたのは粉じんでございます。これは石炭の燃焼に伴って生ずる粉じんが主でございますが、三十八年にばい煙規制法をつくりまして、この粉じん対策は一応それで効果をあげまして、だんだん粉じんが少なくなってきた。それと並行いたしまして、石炭が重油に置きかわるためにSO2が増加してきた、それでSO2の規制を始めたというのが歴史的な経過でございます。  粉じんは大きく分けまして、降下ばいじんと浮遊粉じんに分かれるわけでございますが、降下ばいじんにつきましては一応の効果をあげておりますけれども、浮遊粉じんは大体十ミクロン以下のこまかいものでございます。これはまだまだ相当増加の傾向にある。浮遊粉じんがSO2と重なりますと、気管支その他に非常に大きな影響があるという有力な説があるわけでございます。そういう意味におきまして、現在SO2と並びまして浮遊粉じんをまず退治しようという対策を立てておりますが、厚生省と現在いろいろ相談しておる最中でございまして、なるべく近い機会に環境基準あるいは排出基準その他をきめまして具体的な規制に移りたいということ、これが第一点でございます。  それから第二点といたしましては、浮遊粉じんの中に相当含まれており、さらにそれ以外から本出るわけでございますが、いわゆる微量重金属で大気に浮遊するものがたくさんあるわけでございます。カドミウムあるいは鉛、マンガン、クローム等、浮遊粉じんを分析いたしますとそういう微量重金属が相当含まれておるわけでございますが、これが健康に非常に被害があるという点も相当はっきりしてまいりましたし、疫学的な検討も進んでおります。それと並行いたしまして、さらに現在では、大気汚染防止法の二条で特定有害物質というものを規定しておるわけでございますが、これは現在の法体系では事故時の規制しかないわけですが、その中に、弗化水素とか、あるいは塩化水素とか、そういう弗化物、塩化物で非常に健康に害のあるものが煙の状態で出てくる可能性がある。この微量重金属と特定有害物質をあわせまして、これは直ちに健康に害があるものですから何とか退治しなければならないという考え方で——現在の大気汚染防止法先生承知のように地域の指定制をとっております。したがって、いまのままでいきますと、これらのものに環境基準を設け、排出基準を設けましても、指定地域以外は適用できないわけでございますが、こうした物質については指定地域制を廃止いたしまして、環境基準、排出基準ができれば直ちに全国的に適用できるというような法改正も考えまして、できるだけ早い時期にこういった有害物質につきましても具体的な対策を講じたい、かような方向で現在厚生省その他関係各省と協議しつつ進めておるところでございます。
  330. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、個別のそういう汚染物の対策では、もうこれからの複雑な公害については対処できないのじゃないか。たとえば今回のこの事件もそういう複雑な要素からやっぱり出てきているわけです。したがって、あくまでも総合的なアプローチが大事じゃないか、このように思うわけです。それについてどう思われるか。そしてまた、全国の特に大気汚染地区を再調査すべきじゃないか、総点検をすべきじゃないか、私はこのように思うのです。これについてどう思われるかということです。  それから、規制基準等についてもいまお話がございましたが、将来やるということじゃだめなんです。もうここまで追い込まれているわけですから、大体のめどはいつ立てるか、その三点のことについて聞かしていただいて、そのあと政務次官からお願いしたいと思うのです。
  331. 柴崎芳三

    ○柴崎説明員 有害物質を個々にとらえてもなかなか効果はあがらないという先生の御指摘は、まことにそのとおりでございまして、アメリカにおきましても、ソビエトにおきましても、特に大気関係につきましては、そういった考え方で総合的な対策を立てておる実情でございます。したがいまして、われわれも以前からそういう考え方はもちまして問題に対処してきておるつもりでございますけれども物質ごとに取り上げましても、その物質自身が個々に非常に複雑な要素を持ち、複雑な影響を持っておりますので、現在まではそういった個々の物質の解明に追われておったというのが実情でございまして、さらに一そう総合的にこれを取り上げるというような考え方で大いに努力いたしたいと思っておるわけでございます。先ほど御説明申し上げました微量重金属あるいは特定有害物質を総合的に取り上げて、できるだけ早い時期に基準を設けようというのも、そういった考え方の一環と御理解願えればありがたいと思う次第でございます。  それから、いつごろでき上がるかという点につきましては、厚生省の橋本公害課長からお答え申し上げたいと思います。  それから、第三点の総合的な再調査をすべきではないかという点でございますが、これも再調査の必要性は痛感いたしまして、四十五年度におきまして、予備費の支出をしてでもいろいろ調査したいということで、現在大蔵省にお願いしておるわけでございますが、微量重金属につきまして五物資、それから有害特定物質につきまして五物資、それぞれの物質について五十工場を選びまして、したがってトータル五百工場につきまして現在緊急調査をする予定でございまして、たぶんこれは一カ月ないし二カ月以内に、いまの状態ですと調査に取りかかれるものとわれわれは考えておる次第でございます。
  332. 橋本道夫

    ○橋本説明員 いつの時点にこれをやるかということでございますが、現在通産省と鋭意作業を進めておりまして、私どもは、ことしの秋のうちにまとめたいということで、極力年内に排出基準の改定と粉じんの環境基準を設定いたしたい、このように思っております。  また、いま公害部長からお話のございました各微量の特殊な有害物質という点につきまして、完全な環境基準をつくることには非常な難点がございますが、暫定基準というような形で、この秋、暮れごろまでには暫定基準としての考え方を打ち出したい。現に鉛につきましては、私どもすでに暫定的な目安ということで、労働衛生の三十分の一ないし百分の一という数字を用い、また同様のことをカドミウムについてもやっておるところでございます。  それから総点検につきましては、私どもは全部測定網を張るという形で、現在全国約二百数十カ所に自動測定器が入っておりまして、昨年のデータを現在全部報告を求めておるところでございます。  もう一点は、指定地域の中におきます約三万余のばい煙発生施設がございまして、このばい煙発生施設が基準に合っているかいないかということにつきまして、通産厚生両省の連名の通牒を都道府県知事に出しまして、この夏じゅうにはその返答が中央に集まってくるということで、硫黄酸化物と浮遊粉じんにつきましての全国の総点検がそれででき上がるというように思っております。また、そのほかのカドミウム、水銀等の問題につきましては、立地公害部長のおっしゃったことと同様、私どもは特に、従来厚生省が洗っておりませんでしたカドミウムの鉱山及び製錬関係を徹底的に全部洗いたいということで、通産省と協力をしながら現在進めておるところでございます。
  333. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 公害問題は、経済成長の急速な発展のためにたいへん重大な問題を引き起こしておりますし、これについては、通産省といたしましては、企業者の費用負担の法律次期国会に出しておきたい。そういうことで企業者責任の明確さを出しておこうという考え方でございます。しかし、それが公害の発生を防止するかということになりますと、これはもっともっと総合的な判断が必要であろうと思います。その面についてはなお検討を要する問題でございますけれども、この点については各省といろいろ研究して、都市改造をも含めてやらなければなかなか解決のめどがつかないのではないかと私は感じております。
  334. 近江巳記夫

    ○近江委員 私も先月科学技術調査団の一員としてアメリカのほうに行ったわけですが、特にロス等においては非常に公害の問題については真剣にやっている。特にロスの場合は、自動車の排気ガスということは最大の問題になっているわけです。きょうは運輸省も来られておるわけですが、運輸省は一体この排気ガス等の問題をどう考えておるか。今後どうしていくのですか、この重大な公害問題を。
  335. 細谷開造

    ○細谷説明員 ただいまの先生の御指摘の点でございますが、運輸省といたしましては、まず自動車排出ガスの中で最も早く問題になりました一酸化炭素につきましての規制に、昭和四十一年九月から着手をしたわけでございます。昭和四十一年九月にはガソリン自動車を対象といたしまして、最高の排出濃度を三%以下と規制したわけでございますけれども、さらにその後一酸化炭素による汚染状況の悪化に応じまして、昨年の九月以降二・五%の排出規制規制を強化してまいったわけでございます。  現在までの規制といたしましては、一酸化炭素に対する排出規制を重点にしてまいりましたけれども、本年二月に一酸化炭素の環境基準が制定されましたのを機会にいたしまして、一酸化炭素に対します規制をさらに強化いたしますとともに、先ほど来御指摘のございました、光化学スモッグの原因になっております炭化水素あるいは窒素酸化物につきましても、この規制に踏み切るという方針にしたわけでございます。ただし、炭化水素と窒素酸化物にはいろいろ技術的にむずかしい問題もございますので、本年二月の段階では、まず自動車から排出される炭化水素のうちブローバイガスにつきまして、本年の九月以降ブローバイガス還元装置の取りつけを規制することにしたわけでございます。その他の炭化水素及び窒素酸化物につきましては、今後長期的な見通しで対策を講じていかなければならない。  その考え方のもとにおきまして、先般発足いたしました運輸技術審議会に、自動車排出ガス対策基本計画につきましての諮問をいたしておりまして、たまたま昨日、これにつきましての基本計画が自動車部会におきまして結論を得られまして、けさの新聞等発表されておるのでございますが、この中に、自動車排出ガスとして取り上げるべきものといたしまして、一酸化炭素のほか、窒素酸化物、炭化水素、それからディーゼル黒煙、鉛化合物その他の浮遊粉じん及び悪臭物質、これをさしあたり自動車排出ガスによる汚染物質として取り上げる。これに対しまして、このうち一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物、ディーゼル黒煙、鉛化合物等につきましては、昭和四十八年、昭和五十年の二段階に分けまして低減目標がはっきり示されましたので、今後はこの目標を達成すべく、なるべく早い時期に具体的な規制を実施していく方針でございます。もちろんこれに対しまして、さらに必要な科学技術の研究等につきましては、本年度の七月一日から当省の交通安全公害研究所の発足となりましたので、ここの交通公害部に規制等に必要な研究開発をさせるということで、現在公害対策、特に大気汚染防止対策に向かっておるところでございます。
  336. 近江巳記夫

    ○近江委員 特にロスアンゼルスの場合なんかは、四十一年度の時点でこの大気汚染防止委員会の中でやっておる。その数だけでも六百二十人おるわけですよ。いまからもう数年前ですよ。それから考えてみて、わが国のそういう公害に対する取り組み方がいかに弱体であるか、こう申し上げれば、これから一生懸命やります、そういう抽象的な答えしか返ってこないと思いますが、その点は少なくとも、何回も私は申し上げますけれども、いまではガンの発生とかいろいろなことがありますけれども、どういう要素でガンができるか、そういうことも複雑にこういう公害問題がからみ合っているのじゃないか。ひとつ今後真剣にその点を検討していただきたい。この点を強く要望しておきます。政務次官、簡単にその点についての御決意をお聞きしたいと思うのです。
  337. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 この点については、近江委員の一おっしゃるとおり、重大な決意を持ってやらなければなかなか公害対策はできないということは事実でございます。今後御趣旨に沿うてやっていく覚悟でございます。
  338. 近江巳記夫

    ○近江委員 次に私は商品取引の問題に入りたいと思うのですが、この商品取引は、先ほど横山議員からも指摘がありましたが、あはだけ私たちが国会において、業者の姿勢等についてきびしく当局から取り締まる、大衆の保護をしてもらいたいと、声を大にして叫んできた。しかしながら、最近においてもどれだけ大きな事件が出てきておるか。御承知のように北海道における事件です。農協の課長が逮捕された。金額にしても一億八千三百万。あるいは北洋相互銀行の事件。これだって千五百五十万。日米礦油、これも課長が逮捕されておる。一億二千万。御承知だと思いますが、大阪の殺人事件です。これは金額は百万ですが、ついに刺し殺されてしまった。あるいは元外務員が仲買い人を恐喝した事件とか、続々ですよ、これ。商取法違反の事実、未登録外務員の問題、証拠金未徴収について——それはなるほど理想と現実は違うことはわかります。しかしながら、あれだけきびしくいわれながら、こういうような事件が続々と出ておる。いよいよ許可制移行を前にしての重大なときでもあるわけです。  そこで私は、この国会委員会におきまして前に一括提示されたあの表を私もいま持っておりますが、あのときに、業者から自主的にあがってきたものがどれだけ信頼できるのだ、私はこう申し上げた。あくまでも行政当局責任をもって調査すべきじゃないか。まあ業者も、そういうこともわれわれとしては信頼しておるというような意味に近い答弁があったと思うのです。その後真剣に行政当局としても調査してもらいたい。この許可までのスケジュールを見ますと、これは当然調査をなさっておることは間違いないわけです。そこでなるほど個々的には確認とかいろいろな問題があるかもしれないけれども、この共管五十五社のいままで両省がおつかみになったそういう事故の総件数なり解決分、未解決分、あるいは値合い金の処理分、そうした点について総計としての数字があればお知らせ願いたいと思うのです。両省どちらからでもけっこうです。
  339. 両角良彦

    ○両角説明員 仲買い人の段階から申告がございました商品取引の事故につきましては、当初千四百六十件の事故が申告をされておりました。その後これにつきまして、通産、農林両省はそれぞれの仲買い人につきまして詳細な検査を行ないました。その結果、事故の件数は、五十三社の場合、三千三百二十六件という一応の数字を得ております。この中で大部分はすでに解決を見ておりまして、未解決は百十六件という数字になっております。また金額につきましては、当初申告がございました十四億三千八百万という数字は、検査の結果十五億四千二百万、やや増加をいたしております。この中で未解決は別途四億八千七百六十三万という数字が残されておるわけでございます。したがいまして、当初の仲買い人段階からの申告がございました事故の内容は、われわれの検査の結果さらにその範囲を拡大をしたということは申せるわけでありますが、しかしながら、その実態の大部分はすでに解決を見ておるということになっております。
  340. 近江巳記夫

    ○近江委員 業者が自主的に出した数字と比べますと約二・四倍です。だから私たちが国会で、自主的に出してきたものがどれだけ信頼性があるかと申し上げ、それについて調査をされたから、これについてはいいと思いますけれども、しかし私はここでもう一回その調査をされた目的に、本来に戻ってもらわなければならないのじゃないかと思うのです。農林、通産両省がこれを追跡調査をされた、この追跡調査をされたその意図というものは、これは許可制のそれに大きな関連があると思うのです、許可の段階で。だから、これを追跡調査をされた意図は何であったかということを、私たちとしては知ることが一番大事じゃないかと思うのです。その点についてお聞きしたいと思います。両省どちらでもけっこうです。
  341. 両角良彦

    ○両角説明員 御承知のように、商品取引に対しましては、特に大衆の参加という新しい傾向が非常に顕著に出てまいりました。また、その大衆の参加と仲買い人側の営業行為がしばしば適正を欠いたということとが複合をいたしましていろいろな事故が発生をいたし、それが社会的にも問題として取り上げられるに至ったわけでございます。私たちが調査をいたしましたのは、まさにそのような商品取引をめぐる新しい時代の動きの中で、なぜこのような事故が続発をするのかということの実態、原因を究明をいたしたいということが第一の目的でございました。もちろん、ただいま御指摘をいただきましたように、そのことは、将来の許可制移行にあたって有力な一つの参考の資料として活用をしてまいるということも目的に加えておるわけでございますが、基本的には、このような新しい時代における商品取引のあり方というものについて根本的なわれわれの検討資料を追及をしたいということが目的でございました。
  342. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、この共管五十五社のはっきりした発表段階ということも、できるだけ処理を進めていただいて、国会に報告をしていただきたい。これはまあ重ねてこの辺については御要望申し上げておきます。  時間の関係もございますので、最後に一点だけお聞きしますが、両省からこの通達を出されたわけです。私たちはいつも言っているのですが、その通達を出されて、それがはたしてどれだけ実行できているか。これを総点検しただけでも、たいへんなそういう問題がたくさん出てくるのじゃないか。私はきょうは時間がないので割愛しますけれども、その後この通達に基づいてどういう処置をとられておるか。これをひとつ明確に、簡潔に、どちらからでもけっこうですからお答え願いたいと思うのです。
  343. 両角良彦

    ○両角説明員 通達によりまする取引所の運営の改善ということにつきましては、そのすべてを現在実施をいたしております。たとえば紛議調停委員会の構成を改善をしまして、第三者委員を入れるとか、仲買い人の数を減らすとか、委員長は仲買い人以外で選ぶとか、そういった調停委員会の構成改善は、たとえば阪神地区においてはすでに現実に動いております。そのほかの取引所におきましてもこの構成改善は行なわれております。  また紛議処理体制の強化といたしまして、相談所等の看板を掲示せよということも実行済みであります。さらに向かい玉の規制につきましては、その規制の基準というものを市場に掲示せよ、あるいは主務庁に報告せよということを指示いたしましたが、これも実行済みであります。  その他、一取引所における違反は他の取引所における違反と同じように扱えというような制裁の強化というような点、あるいは広告宣伝等の自主規制の強化、あるいは委託者に対する統一パンフレットの交付等々のすべての指示事項を、現在取引所段階において実施済みであります。
  344. 近江巳記夫

    ○近江委員 じゃ、もう時間がありませんのでこれで終わりますが、最後に通産次官に、農林、通産を代表して答えていただきたいと思います。  これだけ今日国民の非難を浴びておる商取業界です。したがって今後許可もいよいよ実施段階になるわけでありますが、私が数点の問題を出したわけでありますが、ひとつ厳格にこうした点のチェックをしていただいて、そうして、いままで大衆保護という立場が忘れられておった、こうした点に今後さらに力を入れていただきたい。政務次官の御決意を聞いて私の質問を終わりたいと思います。
  345. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 近江先生のおっしゃるとおり、今度の許可制の問題については、いままでの業績あるいは資料に基づいて厳正に処理していきたいと思っております。
  346. 近江巳記夫

    ○近江委員 以上で終わります。
  347. 八田貞義

    八田委員長 川端文夫君。
  348. 川端文夫

    ○川端委員 先般行なわれました日米繊維交渉に対してたいへん御苦労をいただいたわけですが、私はこの問題を通じて、今後予想される新しい日米関係というものに対してどのような準備をなすべきかという立場から、二、三問題をお尋ねしてみたいと思うのです。  午前中からたくさんな同様な質問が行なわれておりましたけれども、私の民社党という立場お尋ね申し上げることを御理解いただきたいと存じます。  特に目下米国下院におきましてミルズ法案審議中でございます。先般伝えられるところによれば、委員会を通過いたし、下院にいま持ち込まれているようでありますが、このことは後ほどお尋ね申し上げるとして、日本のほうでも、これに対応してか、自由化品目を発表されたり、あるいは特恵関税を本年の九月からいよいよ実施するということを伝えておるわけでありまして、このような変化というものに対して、政府がやはり国民の前に明らかにして——政府がやむを得ないからやっているという立場でなく、国民の前にこの問題を明らかにしていくのが民主政治ではないかと思うのであります。この点に対して質問を申し上げたいと存じます。  先ほど申しましたように、ミルズ法案下院を通過いたすと予想できておるわけでありますが、しかしながら、まだ上院の通過までの間にかなりの紆余曲折があるものと予想もされております。しかし、このいかなる変化があるにいたしましても、日本日本として、繊維交渉に臨んだ態度から見ても、日本立場を明らかにこの機会に、ミルズ法案下院歳入委員会を通過した時点において、これをもしアメリカが実施するならば日本はこのような対応策をとるのだ——まあ政府という立場からは、報復はとれるという報復的なことは出せないにしても、当然国民の前に、この問題に政府がどのような態度でこれから臨んでいくかということが明確にされなければならぬと思うのですが、この点に対しては、通産大臣がごそごそ言ったり、いろいろな意味であまり明確でないので、もう一ぺん明らかにしていただきたい。ここで基本的な日本の姿勢というものを明らかにしていただきたいと存ずるわけです。どうぞ、どなたからでもけっこうです。
  349. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 ミルズ法案の問題についてわが国でまず第一に考えなければいけないことは、米国における保護貿易主義とか、あるいはこのミルズ法案阻止ということが一番重要なことであります。これがまず第一の問題点だろうと思います。これに対して政府は全力をあげてまず阻止しなければいかぬ。そういうことをしないと、いわゆる貿易の戦争とかいうような事態におちいる可能性でございます。そういうことがまず第一にやらなければいけないことかと私は思います。また、イギリス、EECに協力を求めて、この問題を阻止する運動もやらなければいけない。しかし、不幸にして輸入制限が行なわれた場合については、対応策をも考えざるを得ないのではないかと思っております。
  350. 川端文夫

    ○川端委員 ミルズ法案内容そのものについて、まだアメリカ国会でも審議中でございまして、成立をいたすにいたしましても、多少の流動的な部面があることは当然だと思うのですが、アメリカガット第十一条加盟国でありまして、このことは米国が、自分の国が不利益だという国際収支上の理由で輸入制限を行えないという約束をしておるわけでありましょう。そういう意味に従って、ミルズ法案内容がいささかでもガット十一条に違反すれば、国際経済上ゆゆしい問題になると思うのであります。その際米国ガットの了承をとるというようなことはできないはずです。不可能でありましょう。そこで他の加盟国は、ガット二十三条第二項の規定に基づき、ガットの承認のもとに米国に対し報復手段がとれることになると思うんですね。政府は、ミルズ法案成立次第によっては当然にこのような報復措置をとるといまお答えになったのでありますが、基本方針として具体的にどういう対応措置をとるかということを、もう一つ詳しくお答え願いたいと思うわけです。
  351. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 対応措置についてでございますけれども、ただいま検討中でございます。またこれは内外に非常に大きな影響を及ぼす問題でございますので、発表は差し控えさしていただきたい。
  352. 川端文夫

    ○川端委員 もとより、いまアメリカ国会法案内容がどういうふうに変わっていくかわからないという仮定の問題もありますけれども、私は、アメリカがこうしたらこうするというような態度を日本として十分準備しておくべきだ、とれができてから考えるのでは、いろんな意味で国内に問題を、政治に対する大きな業界からの不信感を巻き起こすおそれがあるのではないかということを心配いたしておるのでありまして、この点に対して私は、こういう場合にはこうせざるを得ないであろうという、仮定の問題は仮定として、やはりその程度のことは、国民の前に安心感を与える意味においても明らかにする必要があるのではないかと思うのですが、いかがでしょう。
  353. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 どうなったらこうすべきだということを、いまから手の内を見せるのもどうかと思います。その問題も非常に重大問題でございます。しかし、ミルズ法案がどうなろうか、最悪の場合、法案成立しするような場合には、日本政府としてもこれに対して万全の措置をとっていくことは必要でございますので、いまその検討をやっております。
  354. 川端文夫

    ○川端委員 通産省としての政務次官の御意見、朝から聞いておるわけですが、午前中から聞いている外務省政務次官の御意見が、どうもその点になると、強い態度は何かことばを濁されておるように聞えておったわけですが、この点に対しては通産省と意見が一致できるのかどうか。なお、通産省よりはこういう手があるという手をお考えであるかどうか、お聞かせ願いたいと思うのです。
  355. 竹内黎一

    竹内説明員 私の答弁が何か通産省と違うような印象を与えたとしたら、私の説明不足でございまして、まことに恐縮に存じます。私どもも基本の考えにおいては、ただいま小宮山政務次官が述べたと同じでございます。ただ、まずわれわれの今日の第一の目標は、何とかしてこのミルズ法案そのものを未然に終わらせたい、そのために私どもはあらゆる可能な手だてを通じまして、特に主要貿易国とはいろいろと連携の動きを進めてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  356. 川端文夫

    ○川端委員 私は、いま政府としては公式の場所においてなかなか言いにくい点もあろうことも、理解できないわけではないのですが、御存じのように、ミルズ法案というものは実質的に、アメリカが従来自由貿易を世界各国に強要しておきながら急に態度を変えてこのような暴案を出してきたということ、しかも議員立法で出してきていることを、私は同僚の皆さんにひとつ御理解願いたいと存じます。  そういう意味において、私ども民社党として、ただいまプリントを御配付さしていただいたわけでありますが、この機会に、もしアメリカミルズ法案に見るがごとき法律を通過せしめるというならば、日本国会としても国民の代表として、政府のいろいろな過去におけるいきさつはあろうけれども、いま議員立法をつくってこれに対処していくだけの用意をなすべきかという意味においての一応法律をつくるためのわれわれの考え方の要項をまとめてお渡ししたわけであります。きょうは休会中の委員会でありますから、この法律をこのまま提案するわけにはまいりませんけれども、できれば委員各位の御理解をいただいて商工委員会としての議員立法をつくる用意をしたいというのが、きょう質問に立っておる要素の一つでもあるわけであります。  私ども考えましたこの法律は、単にアメリカのみを対象にするけちな法律であってはならぬのではないか。これから世界各国からいろいろ起きてくる問題を考え日本はあくまで自由化を促進しながら他方では自由貿易の擁護をいたすという強い積極的な姿勢を法律として国会できめるべきではないか。余談になりますけれども、先日の繊維交渉においても、国会の決議が皆さんの交渉の一つの大きな勇気づけになったようでありますすし、私どもは、その意味においても議員立法というものが必要ではないか、こういう意味において、この案は一つは、いま申し上げたような自由貿易を擁護するという立場に立っての目的を明らかにし、外国の不当な貿易制限に対する処置を十分用意をする、輸入制限を行なう場合の国内への配慮も準備をいたさなければならない、輸入制限処置の廃止の四部門の構成でこの準備をいたしたのでありますが、かりに米国ミルズ法案ガット十一条に違反するものとして成立いたした場合、わが国では直ちにガット二十三条二項に基づき、米国に対して報復のために、原綿なり小麦、たばこなりトウモロコシ等の飼料等について輸入転換を行なうべきではないかと思うわけです。私はこのことは、政府がやるよりは議員がやったほうがいいのではないかとも考えるわけであります。このことは、まだ同僚議員各位と相談したわけでもありませんけれども、こういうアメリカの理不尽な態度に対して、従来の政府の態度ではやりにくい点を議会側が法律を用意した場合に、政府としてはどのような影響があるか、どのようなお考えがあるか、お聞かせおきを願いたいと思うのであります。
  357. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 議員立法で立法府で審議され、法律をおつくりになることは、行政府のほうとしては何とも申し上げられない。しかし対応措置をやる場合においては現行法内で十分可能ではないかと考えております。
  358. 川端文夫

    ○川端委員 われわれも現在の法律でできないはずはないと思ってはいるのだが、しかしいま言う、こういう場合にはこうする——アメリカではミルズ法案を出して堂々と世界に挑戦をしているわけです。これが通るまで黙って見ておるという手はないのではないか。こういう場合には私のところはこうやりますよということを、どうして言えないのでしょうか。この点、どうも向こうが出てくるその手の内を見てからものを言いたい、どこかアメリカに遠慮されているのではないかと思える節があるのだが、その点、いかがでしょう。
  359. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 まだ四カ国会議を開く直前でもありますが、その会議を経てまたいろいろな対応処置をとらなければいけないかと思います。またミルズ法案についても今後の成り行き等もございます。いまここでこうこうするということが必ずしも得策であるということは言い切れないのではないか。しかし準備だけはしておくことは必要であろうということでございます。
  360. 川端文夫

    ○川端委員 それならばどのような準備をされているか、国民の前にお聞かせ願うわけにいきませんか。
  361. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 先ほど申し上げましたように、この対応策については内外にたいへん重大な影響を与えるかと思います。この点については、公表その他、申し上げることを御遠慮させていただきたいと思います。
  362. 川端文夫

    ○川端委員 しかし、先ほどもどなたかおっしゃっておったわけですが、目には目、歯には歯ということばもあるように、日米繊維交渉の前からアメリカでは、ミルズ法案を出すぞ、用意しているぞということを、かけ引きかほんとうか、いまのところ出したからほんとうになりましたけれども、絶えずそういうものを出している。日本はあくまで紳士的にいくんだという意味において、この間の交渉は、どうやら国会の決議を尊重されて成功した一面もあるように思うのだけれども、私は、今後の交渉の過程の中に、話し合いというものは全然しないわけにいくまいと思うので、交渉の過程において、やはりこの機会に、日本国会承知していないんだ、こうやれという意見があるんだということを背景に話し合いされたほうがいいように思うのだが、その点、その必要はございませんか。
  363. 原田明

    ○原田説明員 ただいま御配付をいただきました法律案要綱の案を拝見いたしますと、もし外国が不当な貿易制限をいたしました場合に、わが国が自由な貿易を擁護し、特に日本の貿易の利益、産業の利益を守り、かたがた日本に非常に関係のあります極東諸国、あるいはその他広く世界の貿易の中で自由貿易主義という推進力が維持される必要性というようなことからかんがみまして、そういう不当な貿易制限を排除するために適切な措置をとらなければならないということは当然のことであろうかと存じます。ただ現在は、アメリカにおきましてはミルズという法案下院審議中でございますが、まだ下院自体を通ったわけでもございませんし、また現在のごとく、非常に多くの修正条項がつきまして、保護主義的な色彩が非常に強いという形で進んでまいりました場合には、大統領がこれを拒否をするつもりであるということを発表されたというような報道もございます。したがいまして、私どもは現段階におきましては、たとえアメリカ議会でこのような法案が出されておりましても、アメリカの国ないし政府がこれを実施するということは絶対にやめてもらいたいということで、とりあえずは、すぐ迫っております四カ国会談といったような国際的な場所を通じまして、国際世論を背景にこれを防止するために努力するという覚悟でございます。しかし、もし万一かような不当な貿易制限が行なわれました場合には、お互いにガットのメンバー諸国でもございますから、ガット上認められております権利というものは、当然これを留保するつもりでございます。そのために必要な措置はもちろんとらなければならないと考えております。  ただ、私どものねらいは、目には目をということで貿易の障害をエスカレートいたしまして、お互いに貿易戦争激化によってどちらの国も困るという状態を来たすということは目的ではございませんので、障害の排除ということに主眼を置き、その目的のためにたとえばアメリカの反省を求めるというようなことに、必要な限りにおいてはやるべきことはやりますよという姿勢を十分とってまいるつもりでございます。それにはことばだけではだめでございますので、現在いかなる措置が講じられるか、その内容は、手のうちを見せるようなことでございますから、本日は発表は差し控えさせていただきたいわけでありますが、十分現在検討いたしておる最中であるということだけを御報告申し上げます。御配付をいただきました法律案要綱の案も、そういう意味で、私どもの趣旨といいますか、精神というものにはたいへんに激励をいただいたような気がいたしますので、そういう御趣旨を体しまして、今後こういう方向努力をしてまいりたいと考えております。
  364. 川端文夫

    ○川端委員 先日ある外国の学者の書いた本を読んでおりますと、日本経済発展のかぎとなっておるいわゆる設備投資の力というものはアメリカをはるかに凌駕しつつあるということ、アメリカが脅威を感じているということが書かれておったことを私は見たわけでありますが、そういう意味から言うならば、アメリカ経済成長というものが今後日本にかなり追い越されていくというあせりがアメリカに出ておる一面を、われわれはやはり知っておくべきではなかろうか。そういうことを考えた場合に、今後このような問題が、単に繊維だけではとどまらない時期が当然くるのではないか。したがって、設備投資をして経済成長を順調にのし上げておる日本としては、当然なすべき自由化の問題に対しては手を打つ。特恵関税国に対しても十分配慮していくことは必要であろうと思いますけれども、それに伴ういわゆるアメリカミルズ法案のような報復的な問題が出てきたときには、日本としても断じて許さぬという強い姿勢というものが、災い転じて福となすというか、この機会に明らかにしておくことが必要ではないかと私は考えるのでありますが、次官としてはそういう必要——われわれにまかしておけ、これだけでよろしいかどうか、ひとつもう一ぺんお尋ねしておきたいと思います。
  365. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 ミルズ法案が通るようなことになれば、われわれとしても断固ガット上の援助を留保する、対抗処置を打ち出すということでございます。
  366. 川端文夫

    ○川端委員 日本としてもなさなければならぬ、人に言うだけではなく。たいへん問題点も多かろうと思うわけです。言うならば、付加価値の低いものを後進国に渡すとか、いろいろな問題点がこれから起きてくるであろうと存じますが、それで繊維の問題に対しては、単にわれわれは党利党略でものを考えるべきではない。国益に従って、国民の代表として国会の名において、同僚の同意を得てこの問題を解決したいと考えておるのであって、民社党が単なるスタンドプレーをやろうという考え方でものを考えていないということだけは、理解おきを願いたいと思うわけです。  そこで話をかえて、目下通産省において特恵関税の問題に対して九月中にかなり明らかにされるという話も、あるいは重点施策として今日準備されているというふうにも承っておるわけですが、どのような準備をされているか、この点をお聞かせ願いたいと思うわけです。
  367. 原田明

    ○原田説明員 特恵の問題につきましては、国連貿易開発会議で話が出ましてから、その後、先進諸国の間では、OECDの場所でそれぞれの国が自国の案を出しまして、いかなる形による特恵というものを実現すべきかという議論を重ねてまいったわけでありますが、先般先進国側といたしましては、各国の同じ方式による案というものは得られないまま、国連貿易開発会議のほうへそれぞれの国の案を出したわけでございます。その後さらに、OECDの閣僚理事会その他いろいろの場所で討議を重ねてまいりましたが、現在の段階では、来たる九月の初めごろに予定されておりますOECDの特恵作業グループまたは貿易委員会というようなところで、ほぼ最終的な議論をいたしました上で、できるだけ早い機会に実施に移すほうがいいのではないかという気配にございます。したがいまして、私ども日本といたしましても、大体こういう空気を受けまして、かつまた、現在日本が出しております案は、わが国の貿易・産業の特殊事情を十分に勘案いたしまして、国内産業の利益を守るという立場と、それから同時に発展途上国の利益に奉仕するという両方を持って考えられた案でございます。そういう案を実現をするという運びに移すことになろうかと思います。具体的な手続といたしましては、もしそういう国際的なコンセンサスが得られますならば、それを受けまして、関税でございますので、国会の御承認を得なければなりません。したがって案を国会に御提案申し上げて、御承認を得た上で、おそらく早くても来年以降でないと実施にならないというくらいのスケジュールで実施になろうかというふうに考えております。
  368. 川端文夫

    ○川端委員 手続としてはそのとおりだろうと思いますけれども、問題は手続以前の問題を当然考えておくべきではなかろうか。先ほどから意見がありましたように、日本の特恵関税なり自由化の問題は、やはり日本自由貿易主義でこれから世界に立ち向かって生き抜いていくのだということになれば、その日本の国策の影響を一番先に受けるものはだれかといえば中小企業ではないのか。それに対しては二つの問題が当然考えられるべきではないか。一つは積極的な面と助成措置の問題が考えられてしかるべきじゃないか。この点が何か相手の立場に立ってやっているような印象をわれわれは受けざるを得ない一面があるのですが、それらに対しての準備がどのようになされているか。いわゆる積極的な面における対応策というものと——国内における対応策ですよ。国内の産業界なり中小企業に与える影響というもの、もう一つは助成というものをどのように考え準備されているか、お聞かせ願いたいと思うのです。
  369. 吉光久

    ○吉光説明員 先ほども通商局長からお答えがございましたように、特恵を供与いたしました場合に、国内産業への影響をできるだけ少なくする、そういう方式での特恵供与のしかたが現在考えられ、進められておるわけでございますけれども、ただ、繊維品でございますとか、あるいは雑貨の一部商品でございますとか、そういう商品によりましては、特恵が供与されました場合に影響が全然ないというふうに言い切るわけにはいかない面玉残っておろうかと思うわけでございます。  そういう意味からいたしまして、従来続けておりました積極的な施策でございますところの構造改善、あるいはまた高度化事業というふうなものにつきまして、さらに積極的に進め、中小企業の体質を強化してまいるということが、まず第一に必要な手段であろうかと思うわけでございます。と同時にまた、逆に低開発国の追い上げが激しくて転換を余儀なくされるというふうな業種も、ものによっては全然出てこないとは言い切れない、そういう業種もあり得ようかと思うわけでございます。したがいまして、そういうふうな業種につきましては、むしろ転換対策につきまして積極的な準備を進める必要があろうかと思います。あるいはまた、そういう転換事業に雇用されておりました労働者についての労働対策と申しましょうか、雇用対策と申しましょうか、そういうような問題についても配慮してまいらなければならない事態も考えておかなければならないのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。  要するに積極的に構造改善を進めてまいって、そうして競争力をつけてまいると同時に、また積極的に構造改善その他ができない、むしろ単純な労働依存型産業と申しましょうか、やはり国際分業体制の一部として、状況によっては成長性のある産業のほうに積極的に転換してもらうというふうなことが、長い目で見て有利であるというふうに考えられるような業種につきましては、さっき申し上げましたような形での転換対策をも、あわせ検討する必要があるのではないであろうかというふうなことで、現在実は、そういう金融、税制、雇用その他の面でどれだけの施策のカバーができるかという点について、検討を続けておる段階でございます。
  370. 川端文夫

    ○川端委員 当然そこに考えを及ぼさなければならぬはずですが、私が聞きたいのは、考えているという考えのタイミングの問題です。目下予算編成期にあって来年度の予算を準備されておるわけですが、その中においてそれを入れるのか入れぬのか。その用意をしておるのかいないのか。するとすれば、それらのことがどの辺まで通産省として腹がまえができておるのかということをこの機会にお聞かせ願いたい、こういうことです。
  371. 吉光久

    ○吉光説明員 ぜひ来年度の施策の中に盛り込みまして実行できるように、予算、財投その他の措置についてそういう段取りで検討いたしておるところでございます。
  372. 川端文夫

    ○川端委員 その場合に、政策をつくったからあしたから間に合うというものばかりではないと思うのです。  そこで、話はちょっとこまかくなりますけれども、たとえば特繊法なり構造改善をやっているところの仕事ですね、これがまだ準備過程にあって、準備が十分整っていないという場合があるわけですね。その場合に、国の方針として自由化というものと特恵関税供与はやるという方針のために、準備がまだ十分でないのに実行に移していかなければならぬ場合に、中小企業の犠牲が大きく出てまいることをおそれるものであるが、それらに対しての対策は何かあるか。あるいはその準備ができるまで何だかんだいって延ばすのだという用意をされておるか。その辺を明確にお答え願いたいと思います。
  373. 吉光久

    ○吉光説明員 特恵関税問題につきましては、先ほども通商局長からお答えございましたように、全体といたしまして特恵供与の影響ができるだけ少なくなるような配慮を加えながら、特恵制度の採用に踏み切るというふうな前提があるわけでございます。もちろん、これはいまなお続きます外交交渉の問題も残っておろうと思いますけれども、そういう配慮は当然加えていただくという前提で私はその続きを申し上げたわけでございます。  と同時に、自由化対策のほうの問題につきましては、実は特恵供与のような全体としてつかまえるという考え方と違いまして、それぞれの業種の実態に応じまして——自由化を積極的に進める前提ではございますけれども、現実のいろいろの障害等を頭に描きまして個別業種の選定が行なわれておるわけでございます。したがいまして、そういう面で実は、自由化の進め方と特恵制度の進め方と制度の進め方に現在差がございます。したがいまして、構造改善業種についてはどうこうするというふうな関係のものにつきまして、自由化業種につきましては一部そういう配慮が加えられておりますけれども、特恵制度につきましては、むしろ全体の影響を少なくするというふうなことで手続が進められておるのは御承知のとおりでございます。したがいまして、それぞれの手法が違っておりますけれども、結果的に国内産業に影響を及ぼすという点については同様でございます。そういう観点から、国内の企業の体質改善その他につきましては、従来以上のテンポで進めてまいる必要がある、こう考えておるわけでございます。
  374. 川端文夫

    ○川端委員 私は従来から日本の行政のやり方を見ておりますと、どうしてもおいしいことづくめの話になりがちなんです。いいことづくめの話をして、結局中小企業の今日の不満というものはどこからくるかといえば、言うならば、絶えずおいしい話をしてくれるけれども実質的にはちっとも実になっていないじゃないか、こういう一面もあることを見のがしてはならぬと思うのです。自由主義経済の中において、中小企業のいろんな議論もありますけれども、心の底にたよりにできる政治はないという不満も大きいということを見のがしてはならぬのであって、当然これからの日本の中小企業対策の中には、特恵関税の問題なり自由化の進行に伴って転換も余儀なくされる企業もあるということを明確に知らしめることが必要であろうと思うわけです。この意味において、そうであるならば、転換をするにあたっての対策なり、従来の構造改善のあり方というものに対しても、一つの転機にきているのではないか。従来、いままでやってきている——私はこの前の委員会で申し上げたと思うのですが、構造改善のやり方は、あまりにもオーソドックスな理想的なものを考え過ぎて、実際にみんなの利用できないような一面もあるのではないか、こういうことも御意見として申し上げながら質問をしておったと思うのですが、この点に対して、これからの日本経済のあり方の中に、従来と違ったやはりきめこまかいこういう問題点をこまかく細分化して対策を立てていかざるを得ない時期にきているということを納得せしめるだけの政策というものが必要ではないか。この点に御用意をしていただいているかどうか、お聞かせ願いたいと思うわけです。
  375. 吉光久

    ○吉光説明員 お話しのとおり、非常に重大な局面に際会いたしておると思うわけでございます。したがいまして、構造改善の進め方等につきましても、かねていろいろの方面からいろいろの御意見をいただいております。できるだけそれを吸収しながら構造改善対策は積極的に進めてまいりたいと思うわけでございますけれども、同時にまた、先ほどもお答え申し上げましたように、転廃業を余儀なくされるそういう業種も中には出てまいるということも、やはり頭に置いておく必要があるわけでございます。そういう観点から、転廃業施策等について、要するに転廃業の円滑な促進ができるよう配慮してまいる必要もまたあるわけでございます。したがいまして、これは従来の施策をそのまま延長しただけではできない問題でございますので、やはりそういう事態に対応いたしましたきめこまかな施策を準備してまいる必要があろうということで、現在具体案につきまして検討を進めておる段階でございます。
  376. 川端文夫

    ○川端委員 時間がきたからこれ以上深追いいたしませんけれども一つ言いたいことは、特に政務次官に御理解おきを願い、御答弁いただきたいんですが、どうしても日本の行政は、困った姿が、現象が出てこなければなかなかやってくれないというのが、いままでの実態ではなかったか。しかし、国策上どうしてもこれから日本経済政策というものを転換せざるを得ないという境目にいまきていることが明らかになってきている以上は、困ったものを見て救うという意味でなく、困らぬ先に準備をしてやるということがほんとうの政治ではないかと思うので、この点に対して、いままで多くの人の御意見もありましたし、長官がおっしゃっている話もありますが、これをタイミングをはずしては、実際問題として効果は半減する問題がかなり多いように思うのです。この点のタイミングの問題は、いま変化の激しい七〇年代といわれているときに、タイミングをはずした政治をやられたのではみんなから恨みを買う危険すら考えられるので、ぜひとも十分御配慮願いたい。それに御決意を持っていただきたいことをお訴えしたいわけですが、お答えを願って私の質問を終わりたいと思います。
  377. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 特恵問題で、中小企業の転廃業、あるいはきびしい経済環境の中での中小企業の集約というような問題も、これあります。来年度の通産施策の中で、特に中小企業の合理化、振興事業団の大幅な増額というようなことも考えなければいけないし、転廃業の問題についてももう手を打たなければおそくなる、先生のおっしゃるとおりでございます。その点もわれわれ大いに認識いたしておりますので、このきびしい経済環境の中に中小企業が対応できるような施策を今後とも続けていきたいと考えております。
  378. 八田貞義

    八田委員長 西田八郎君から関連質疑の申し出があります。この際これを許します。西田八郎君。
  379. 西田八郎

    西田委員 ただいまの川端員委の質問に関連をいたしましてお聞きをしたいわけですが、現在日米繊維交渉が決裂をいたしまして、そのあと米国ではミルズ法案というのが審議中であります。これに対していま次官から、ミルズ法案阻止するために全力をあげる、こういう御答弁があったわけですが、一体どういう手法あるいは手段をもってこれの阻止をはかられるのか、ひとつそれをお伺いしたいと思います。
  380. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 ミルズ法案阻止については、米国内においても自由貿易を唱える国会議員の方も大ぜいいらっしゃいます。また財界にもいらっしゃいます。そういう方々にも大いに、今後の国際貿易が破綻を来たさないように、貿易戦争にいかないようなことも、やはり訴えなければいけない。またかつ、この三十一日から行なわれるであろうといわれる四カ国会談の中でも、イギリスあるいはEEC諸国と話し合って、このガットの場においてミルズ法案阻止、保護貿易をやめさせるということを、アメリカ良識に訴えていかなければいけないと考えております。
  381. 西田八郎

    西田委員 それではその四カ国会議は、ミルズ法案阻止も含めて、いわゆる従来いわれてきた多国間方式によるところの繊維の相互貿易の正常化をはかろう、こういうようなことが議題になるというふうに予想をされて、そういうことについて政府としては用意をしておられるのかどうか。
  382. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 四カ国会談は、必ずしもその繊維ということだけではございません。ロング事務局長が招集いたしますのは世界貿易という問題についてであります。これは公式な会談でもございませんし、非公式でございますけれども、そういう中でわが国の主張を主張しようという考えです。
  383. 西田八郎

    西田委員 それでは、わが国の主張というものは、今日までとってきた、やはり自由貿易であるけれども、しかしその国の経済の正常化を著しく阻害するという事態にきたときにはこれはあくまでも守っていく、こういうような立場で臨まれるのか。いわゆるその四カ国会議に臨む政府の姿勢として何か協議されたことがあるのか。もしあったとするならば、どういう態度で臨んでいくかというようなことについて、許される範囲で聞かしていただきたいと思います。
  384. 原田明

    ○原田説明員 四カ国会談は、当初の予定が少し変わりまして、数日おくれる予定でもございます。そういう関係もございますので、主眼は先ほどお話しがございましたとおりでございます。大体基本的な考え方といたしましては、現在アメリカミルズ法案に代表されておりますような保護主義的な動きというものが今後強くなりまして、世界貿易の中の自由主義的な動きが阻害されるということに対する大きな憂慮と関心というものを各国が表明をいたします。それを防止し、かたがた、それぞれの国あるいは地域にある自由貿易推進のためのメカニズムというものを今後どのように進めたらよろしいかというようなことが主眼になろうかと思います。したがいまして、その点は、日本がかねて推進しておりますガット精神といいますか、筋を通すと申しますか、自由貿易主義を守るという精神に沿っているものと思われますので、第一には、やはりそういう精神に沿いまして、いままで主張してまいりましたガット精神の貫徹ということに主眼を置いて進めてまいりたいと思います。しかし、その関連の過程で、それぞれの国や地域が持っている貿易に関する障害をいかに除去すべきかというような話も起こってまいろうかと思います。  アメリカに関しましては、やはりミルズ法案その他の保護主義的な動きをいかに排除すべきかということが中心になろうかと思いますが、その他の国につきましても、残っております残存輸入制限みたいなものを、なるべく早く自由化の方向に進めるべきではないか。あるいはヨーロッパ諸国にございます特恵の地域化といいますか、今後そういう動きが拡大することをいかにして防止するかといったような、広い範囲の問題も議題になる可能性があるのではないかと思います。したがいまして、私どもは、そういう広い範囲を踏まえまして、しかも、特に現在問題になっております繊維中心とするアメリカの保護主義的な動きの排除ということに中心を置いてまいりたいと考えております。
  385. 西田八郎

    西田委員 それは、そうでなければならぬと思いますから、ぜひともガット精神というものはくずさない、しかも自由貿易を拡大する中で世界経済の繁栄ということを守っていくという線は貫いていただきたいと思うわけですが、ただ、先ほどの答弁を聞いておりまして、次官と局長との食い違いが若干出ております。ということは、アメリカが、もしミルズ法案通過——もしでありますから、これは仮定の説であると言われるかもしれませんが、ミルズ法案が通過をする、あるいはそういう見込みになってきた場合、報復手段といいますか、対抗措置として、次官の御答弁を聞いておると、現行法で十分できる、こういう御答弁でありました。局長答弁を聞いておりますと、まだ内容については発表することはできないけれども、やはりそうしたことについて考えなければならない。これは非常に激励していただきましてといって、川端議員発表いたしました自由貿易保護の法案に関する要綱についておことばがあったわけです。そうしますと、これは次官と局長との考え方というものが若干食い違うように思うのですが、いかがでしょうか。ほんとうに現行法で十分それに対する対抗処置がとれるのかどうか。私はやはり行政上の措置しかとれないと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  386. 原田明

    ○原田説明員 私と政務次官お答えとの間には全然間隙はないわけでございます。私が申し上げました趣旨は、先ほど配付のありました紙に書いてございますような精神ということは、まことにそのとおりで、現在すでに、ガットのメンバーといたしまして、ガット上の当然の権利として保有しているところでございますということを申し上げたわけでございます。そういう措置をやることが不幸にして必要になったという場合には、その必要な限度、時期その他を考慮いたしまして対応策はやらなければならないわけでございますが、これは私ども、現在ある法律その他の手段を活用するということによって可能であると考えております。したがいまして、その意味では、政務次官のおっしゃいましたことと私の申し上げたことは、全く同じことを申し上げているつもりでございます。
  387. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 川端先生のおっしゃいました、またこのプリントに書いてあります法案内容については、われわれとしては非常に激励を受けております。全く、いま局長が申しましたとおり、われわれはその線に沿うてやっていくべきだと考えております。
  388. 西田八郎

    西田委員 確認しておきますが、線に沿ってということは、そういう行政措置をするということですか。現行法で十分そういうことができるというふうに確信を持っておられるのかどうか。
  389. 原田明

    ○原田説明員 現在、私どもがもし万一不当な貿易制限を受けた場合に、それに対応する措置としてとらなければならないことがあるかもしれないと考えられる場合の対応策としましては、現行法のもとで全部可能であるというふうに考えております。
  390. 西田八郎

    西田委員 それでは特別立法の要はないというふうに判断をしておられるわけですね。  次に、先ほど特恵問題が出ておりまして、同時にそれと対応をして国内措置として構造改善を進める、こういうお話でありましたが、これは三宅繊維雑貨局長が見えておりますのでお伺いするわけですが、現在繊維新法は六月三十日で期限が切れまして、登録の必要がなくなってまいりました。そうしますと、これから設備は無制限にされるということになるわけですが、過当競争が始まるし、その場合には中小企業としては非常に窮地に追い込まれるのではないかと考えられるわけです。したがって、それを行政的に何かチェックする方法をお考えになっておるかどうかということが一点。  時間がないのであわせて質問をしますが、現在特繊法によって繊維の構造改善が進められておりますが、これも時間切れが来ておるわけです。ところが実際に構造改善は遅々として進んでおりません。実際、織物関係につきましては、五〇%に達するか達しないかというような危険な状態にあるわけですけれども、これらの処置について今後どういうふうに考えておられるのか。もちろん、今回予算をぼつぼつ検討される時期に入ってきておるわけでありますから、予算との関係もあるわけですが、この二点についてひとつお聞かせいただきたい。
  391. 三宅幸夫

    ○三宅説明員 新法失効後の紡績機械の設置状況につきましては、確かに自由経済に移りましたけれども、なお設備の新設、増設につきまして、綿密な報告を聴取しております。所要の行政指導が必要であればやりたいと考えておりますけれども、現在のところ、さしたる混乱もなく新法失効時期を迎えた、かように考えております。  なお、中小企業の中小紡の問題につきましては、四十五年度の財政投融資におきまして、開発銀行からの中小紡に対する特利の適用範囲を拡大いたしまして、それによりまして所要の助成措置を強化していきたい、かように考えております。  それから、特繊法の問題につきましては、御指摘のとおり、本年度の予算で計画の約五十数%の達成率でございます。織機の開発等がおくれし関係もございまして、やや当初のすべり出しが悪かった尾を引いておりますので、近く産業構造審議会繊維部会並びに繊維工業審議会にはかりまして、従来の実績にかんがみ、今後の特繊法の運用あるいは所要の改正、修正をどう考えるべきかということについて、広く御意見を承る機会をつくりたい、かように考えています。その審議会結論によりまして、所要の予算措置ないしは行政措置検討に入りたい、かように考えております。
  392. 西田八郎

    西田委員 時間が一ぱいですから、最後に、繊維交渉に関連をしての四カ国会議等が開催をされるわけですけれども、どうか今日までとってこられましたガット精神に基づく貿易を中心の通商の拡大、そうしたことについて、ひとつ政府として強い態度と、そして国益を増進するという意味での一そうの努力期待をいたしたいということと、最後に、繊維雑貨局長に対しましては、いまおっしゃったような状態で、現時点では必要ないかもわかりませんが、しかし、きわめて戦国時代に入って、紡績の過当競争もさることながら、織布あるいは染色その他一切を含めての構造改善は、これはこういう世界貿易との関係から考えましてもきわめて重要な問題であります。特に最近、繊維産業は、各国ともにテキスタイルインダストリーからファッションインダストリーということで、服飾産業へ移行しようとする努力をされております。特に、そうした形になりますと、ファッションということになれば流行を売るわけでありますから、流行ということになれば、これは過当だなんという問題ではなしに、やはりその国の風土、あるいは国情、あるいはその時点におけるそれぞれの社会環境というものに適応した服飾をつくるということになろうかと思います。したがってこれはゼロか百かということになるわけであります。当たれば百以上、当たらなければゼロということもあるわけでありますから、そういう意味から考えましても、これらの貿易関係あるいは国内の産業の整備ということは、きわめて重要な問題だと考えるわけであります。そういう点で一そうの対策樹立に万遺漏なきを期せられるようにお願いをいたしまして、質問を終わります。
  393. 八田貞義

    八田委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十一分散会