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1970-04-23 第63回国会 衆議院 商工委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月二十三日(木曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 浦野 幸男君 理事 鴨田 宗一君    理事 橋口  隆君 理事 前田 正男君    理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君    理事 岡本 富夫君 理事 塚本 三郎君       石井  一君    稲村 利幸君       宇野 宗佑君    小川 平二君       大久保武雄君    大村 襄治君       海部 俊樹君    北澤 直吉君       小峯 柳多君    左藤  恵君       坂本三十次君    始関 伊平君       進藤 一馬君    丹羽 久章君       藤尾 正行君    増岡 博之君       山田 久就君    石川 次夫君       岡田 利春君    中井徳次郎君       中谷 鉄也君    松平 忠久君       横山 利秋君    近江巳記夫君       多田 時子君    松尾 信人君       川端 文夫君    米原  昶君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         文 部 大 臣 坂田 道太君         通商産業大臣  宮澤 喜一君  出席政府委員         行政管理庁行政         管理局長    河合 三良君         通商産業政務次         官      小宮山重四郎君         通商産業省重工         業局長     赤澤 璋一君         工業技術院長  朝永 良夫君         郵政大臣官房電         気通信監理官  柏木 輝彦君  委員外出席者         防衛庁長官官房         総務課長    安田  寛君         防衛庁装備局管         理課長     栗林 隆一君         法務省民事局参         事官      田邊  明君         大蔵省主税局税         制第一課長   安井  誠君         労働省労働基準         局補償課長   松尾 弘一君         労働省労働基準         局安全衛生部長 東村金之助君         労働省職業安定         局審議官    小鴨 光男君         商工委員会調査         室長      椎野 幸雄君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十二日  辞任         補欠選任   大橋 武夫君     谷垣 專一君 同月二十三日  辞任         補欠選任   神田  博君     大村 襄治君   田中 六助君     丹羽 久章君 同日  辞任         補欠選任   大村 襄治君     神田  博君   丹羽 久章君     田中 六助君     ――――――――――――― 四月二十日  米国繊維品輸入規制反対に関する請願(田畑  金光君紹介)(第三五〇八号)  同(塚本三郎紹介)(第三五〇九号)  大阪府泉北一区追加埋立地石油企業等誘致計  画撤回に関する請願東中光雄紹介)(第三六  〇六号) 同月二十二日  グレープフルーツ等貿易自由化計画検討に  関する請願(小金義照紹介)(第三七七一号)  同(保利茂紹介)(第三七七二号)  同(坊秀男紹介)(第三七七三号)  同(増岡博之紹介)(第三七七四号)  同(三池信紹介)(第三七七五号)  同外五件(毛利松平紹介)(第三七七六号)  同外五件(八木徹雄紹介)(第三七七七号)  同(菅太郎紹介)(第三八七三号)  リンゴ等貿易自由化計画検討に関する請願  (笹山茂太郎紹介)(第三八七四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十日  皮革類貿易自由化に関する陳情書  (第一六八号)  船舶輸出振興対策確立に関する陳情書  (第一六九号)  米国繊維製品輸入制限反対に関する陳情書  (第一八九号)  同外一件  (第二三五号)  同外五件  (第二五六号)  繊維製品輸出自主規制反対に関する陳情書  (第二〇七号)  豪雪地帯に対する総合対策確立に関する陳情書  外二件(第二  三四号)  米国繊維製品輸入制限に関する陳情書外一件  (第二三六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  情報処理振興事業協会等に関する法律案内閣  提出第七四号)      ――――◇―――――
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  情報処理振興事業協会等に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出があります。順次これを許します。石川次夫君。
  3. 石川次夫

    石川委員 実は商工委員会はいつも与党の出席が非常に悪いので、このままでは質問をしたくないのでありますけれども、せっかく文部大臣が、多忙の時間をさいて十一時までということになっておるようでありますので、やむを得ず質問を始めたいと思います。  御承知のように、いわゆる情報化社会というのはどういう社会かということは、だれしも的確に予想することは困難であります。しかしながら、いわゆる未来学者などの調べによりますと、大体、将来は産業の中の三〇%あるいは五〇%を情報産業が占めるであろう、こういうことがいわれております。そういうことになれば、ただ単に産業構造が変わるという問題だけではなくて、情報の持つ特殊性からいたしまして、社会心理に与える影響というものはきわめて大きい。そうなりますと、これはすぐれて、学校自体もそれに即応する教育に切りかえていかなければならないという、きわめて大きな教育問題にもなるのではなかろうか、こう思っておるわけであります。私事を申し上げてたいへん恐縮でありますが、私もいなかの小さな幼稚園の名前だけの園長をやっておりまして、その子供たちが大きくなった場合に一体どういう社会に生きるんだということになると、これは明らかに情報社会ということになるわけであります。したがって、そういう子供に対する教育は一体どうだということになると、教えて覚えさせるという教育ではだめだ。これは、自分で何でもやらせる、そして質問を受ける、こういうことでなければ、情報化に即応する子供教育にはならないのではないか。たいへんむずかしい問題でありますけれども、そういう考え方を私個人は持っておるわけであります。  そこで、まず第一にお伺いをいたしますけれども、たいへん時間がないようでありますから、簡単な御答弁でけっこうであります。アメリカ民間文部省といわれておりますNEAというのがあります。アメリカ教育協会。ここでは、学年なし、無学年制学校、こういうことを提案をしておるようであります。このことの事実を御存じであるかどうか。そしてそれはどういう理由に基づくか。これをまずお教えを願いたいと思います。
  4. 坂田道太

    坂田国務大臣 その点はよく調べてまいりませんので、承知をいたしておりません。
  5. 石川次夫

    石川委員 これはひとつ検討に値する問題だと思うのであります。これは要するにティーチングマシンによって個人個人教育を受ける。いままでの教育は、教科書で一括をして平均的な教育をする。非常にすぐれた学生は非常にもの足りない感じを受ける、おくれた生徒はこれに対してどんどん取り残される、こういう教育がいまの教育であったわけでありますけれども、ティーチングマシン学習ラボラトリーというものが発展をいたしますと、コンピューター学生個人個人教育を受けていく。ということになりますと、すぐれた子供はどんどん進んでいく、おくれた連中は一一コンピューターによって解答を求める、解答が間違うと、それをブランチングで教育をし直すというようなことを繰り返しながらずっとテンポがおくれる。ということによって、教室などで教育をするという制度でなくなる。したがって、学年というものの必要性がなくなる。こういうことになってくるのではないか。そういうことからNEAでは無学年制学校ということになってきておると思うのでありますけれども、結局その問に介在するティーチングマシンとしてはCAIというのがあるわけであります。CAI日本でも試作段階でありますけれども、最大五十端末を接続できるような試用実験というものを行なうことになって、四十六年を目標にいまやっておるわけであります。これは、文部省、通産省その他、もろもろの民間のいろんな協会センターなどが一緒になりまして、機械工業振興資金というものに基づいてこの試作をやっておるわけでありますけれども、現在どの程度に進んでおりますか。これは重工業局長御存じでしょうが、簡単にお知らせ願いたいと思います。
  6. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 詳細なことはいま手元に資料を持ってまいっておりませんが、民間の団体でございます電子工業振興協会というのがございまするが、そこを通じまして、いまお話しのようなティーチングマシン研究試作、こういった面に機械工業振興資金を交付いたしておるというふうに聞いております。
  7. 石川次夫

    石川委員 これから、ティーチングマシンを中心とする教育に、いやおうなしに、好むと好まざるとにかかわらず、そういう方向に行くだろうと思うのです。アメリカのほうは、大体ティーチングマシンによる教育というのは三倍ぐらいかかります。したがって、アメリカでもなかなか容易ではないということにはなっておるようでありますけれども、一九七五年をめどにして大体費用がとんとんになるというところまで、ソフトウエア、プログラミングというものが非常に進んでおります。日本はまだ機械ができてきておらぬというような状態で、この面から教育の面でも非常な立ちおくれが出るのではないか。これは四十六年の目標でありますけれども、四十六年というと来年であります。はたしてこれが実際成功するかどうかというような、きわめて心細い状態でありますが、アメリカでは、ほとんどまだ実験段階から幾らも脱しないようではありますけれども、まず初等教育ぐらいは、これでもってだんだんやっていけるという見通しはついておるようであります。日本はまだまだ機械が完成をしないという段階であります。したがって、この立ちおくれを何としても克服をしてもらわなければならない。こういうことをまず申し上げておきたいと思います。一時間の教科について、専門家が集まって大体二百時間くらい費やさないと一時間のプログラムはできないということになっておりますが、たいへん困難な問題でありますけれども、これはぜひそういう方向に行かざるを得ないということで、この点で急ピッチに進めてもらわなければならぬ、こう思うわけであります。  そこで、教室というものがなくなり、学年というものがなくなった場合の初等中等学校先生あり方は一体どうなるのだろうか、こういう問題であります。そうなると先生はほとんど不要になるという見方が出てくる。みんな機械で応答しながら、そこでフィードバックをされながら、いままでの、覚えても覚えなくても、聞いても聞かなくてもいいという教育は、何でもかんでも解答を与えなければならない。解答をしながら進んでいくという教育、全部機械が相手でものを言っていくという教育がされるというかっこうになってくるということになりますと、先生あり方は一体どうなるのだろう。この点が非常にむずかしい点でありますけれども、その点はどうお考えになっておりますか。
  8. 坂田道太

    坂田国務大臣 先生御指摘のとおりに、これから情報社会になりまして、いやがおうでもそういう世の中になっていくということは、私も承知をいたしておるわけでございます。しかし、こういうような無限と思われるような情報というものが、一方的に小さい子供たちに入ってくるということは、小さい子供たち人間性を豊かにする教育というものが求められるという一面の要素を考えましたときに、これがプラスの面とマイナスの面とが働くというふうに私は考えるわけでございます。したがいまして、これをいま無学年というようなことも、それは実験的には考えられると思いますけれども、すべてそうなるというようなふうには考えてはならない。むしろ私は、人間それ自体が個別指導するというこの教育の原理といいますか、それはやはり残さなければならない。そしてやはり、知的な、あるいはある部面においてこういうマシンを使っていくということが従になっていくということが、私は大事だというふうに思います。したがいまして、このCAIによります教育につきましても、現在香川大学の附属高松中学におきまして研究開発が緒についておる段階でございまして、これを学校全体に及ぼすというような考えではまだございません。しかしながら、そういうようないろいろな試みというものは、これから積極的に考えていかなければならないというふうに思うわけでございます。
  9. 石川次夫

    石川委員 文部大臣原則論としてはわかるのですが、私のいまの質問に対する答弁にはなっておらないと思うのです。確かにバラ色幻想というものが——幻想といっていいかどうかわかりませんけれども、この情報化時代に対してはバラ色ばかりではないと思うのです。非常に灰色の面があるという面で、日本精神面を豊かにするという面で、一体どうしてこの情報化社会に対応するかというきわめて大きな問題は、これは私は別の面で提起をしたいと思っておったのですが、現実教育技術という面からいえば、これは当然ティーチングマシンによる個々の指導という方向にいかざるを得ないと思うのです。また知的教育の面からいえば、このほうがはるかに効果がある。全体的にわかったかと言って、わかりましたというふうに見て、わかりもしないのに、どんどん進んでいくということではなくて、いや応なしにフィードバックによってわからせなければ進まないという教育、こういう教育になっていかざるを得ないと思うのです。こういうことから、情報化問題というのは、かつての産業革命に匹敵する新しい革命ではないかというふうな意見もあるようでありますけれども、それはともかくといたしまして、教育制度においては、日本において残された唯一の手工業とりで教育であります。手工業であります。これはほんとうの近代産業には教育はなっておらない。これは、人間教育だから、人間機械ではないというふうなことにこだわり過ぎておると思うのです。現実の面では、この手工業とりでを脱皮していかなければならぬ必要性に迫られてくるというのが、これからの情報化社会における教育あり方ではないか、こう思うわけであります。  したがって、その教師あり方がどうなるかというと、私は先生はたいへんひまになると思います。時間にたいへん余裕が出てくる。先生が不要になるという時代ではないと思います。ただ、プログラムをつくるという任務が一つ残されます。これはたいへんむずかしい問題だろうと思います。プログラムをつくるという問題が一つある。それから残った時間は、いわゆる問題児、いわゆるおくれた子供、こういう子供に面接をして、個個に教育をし指導するという面。残された時間をそれに引き当てるという面での、精神面人間性形成の上での大きな役割りを果たせる時間的な余裕というものが出てくるのではないか、こういう気持ちがするわけなんです。したがって、これからの情報化時代に即応して、教師あり方が一体どうあるべきかというようなことをいまから検討しておかないと、いまの子供が育ったときは情報化時代ですから、いまから、教育あり方についても、そういう点について、よほど慎重な検討をして対応していく。いつまでも教育手工業ではないのだ、もう近代化されなければいけないのだというようなことに認識を切り変えてもらわなければならぬ段階にきているということを、ひとつしっかり腹に入れておいていただきたいと思うわけであります。アメリカでも、最近、このコンピューターによるところのティーチングマシン学習ラボラトリーというものが発展いたしますと、教育制度あるいは学級組織という問題が、非常に大きな問題となっております。教科書というものが要るのか要らないのか。あるいは学級というものが、いま言った無学年という問題とかかわりのある問題でありますが、学級というものが一体必要なのかどうかという問題が真剣に検討されておる段階で、いまの文部大臣お答えのように、いまの教育のままで何となくやっていけるし、またやることに非常に意義があるのだという考え方だけでは、とてもこの変革に対応できないということを、ぜひひとつ御認識をいただきたいと思うのであります。  それから、時間がないようでありますので、その次の問題に移りますけれども、実は産業のほうの関係では、経営変革が行なわれようとしております。いわゆるMISという、経営情報というものによって、中央のセンターのあるところへ各工場、各販売、営業というものの実績が日ごとに入ってくる。その数字に基づいて的確な判断をし、また指令を出すというようなことで、経営関係で非常な変革が行なわれようとしております。まだ軌道に乗っておりませんが、オンライン・リアルタイムというものによってそれができようとしておる。教育だけがそれのらち外というわけにはいかないわけです。そういう点で経営のほうは大きく変わろうとしておるわけでありますけれども、一方入学試験は一体どうかという問題をひとつ申し上げたいと思うのです。  ということは、詳しく申し上げる時間の余裕がないわけでありますけれども、大体家庭にも端末装置が入るのは一体いつかということは、人によっていろいろ意見があります。しかしながら、二十年、三十年ということになれば、家庭にも端末装置が入ってくるようになるでしょう。家庭に対していろんな情報を直ちに渡すというような時代になると思うのであります。どうも文部大臣端末装置というものを初めて聞かれたようでありますけれども、実はそういう時代になるわけです。そうなりますと、いままでの教育は、坂田さんも東大出の秀才でいらっしゃるので、入学試験難関を突破されたわけでありますけれども、入学試験というものは大体記憶にたよればそれで済む、知識があれば間に合う、こういうことで試験制度というものが行なわれてきたと思うのであります。しかしながら、家庭端末装置というものがあって、いつでも必要な知識、必要な情報というものが家庭でも得られるという時代になると、一体知識とは何ぞやということになる。役に立たない。全然役に立たぬということは暴言でありますけれども、知識とか記憶というものはたいした役割りを果たさないという時代になってくることは明らかであります。そうなりますと、現在の入学試験というものは、皆さん非常な難関を突破して入学試験に合格され、そして卒業されるわけでありますけれども、入学試験あり方を変えていかなければいかぬのじゃないか。入学試験もなくなるという時代が一番いいのでありますけれども、そこまではなかなか考えにくいので、入学試験があるという前提で考えると、この入学試験あり方は、いままでのように、記憶をたどって答案を書かせることは、たいして意味がなくなる。したがって端的に言いますと、問題を解決するという人間よりは、問題を掘り起こして提起をするという人間、したがって創造性が豊かであって判断力が豊かであるという——これはいままでも言われておったことでありますけれども、なかなかその実現ができなかった問題でありますが、これからは明らかに創造性判断力というものが要求され、問題を提起するという人でなければあまり役には立たないという時代になってくるのではないかと思うのです。そうなりますと、入学試験もいままでのようなあり方であって一体いいのだろうかという気持ちがするわけでありますが、その点は一体どうお考えになりますか。
  10. 坂田道太

    坂田国務大臣 現在の入学試験制度につきましてはいろいろ問題がございますから、これは抜本的な改善をやらなければいかぬのじゃないかというふうに思います。また、能力テストその他のものも、こういうようなコンピューターや、あるいはこれから発達しますいろいろの機械等を通じましてセレクトをするという方法も、組み合わせて入学試験をやるということが考えられるというふうに思うわけでありますが、先ほども申しますように、こういう機械化時代になりますと、やはりそれによる人間性の喪失ということが非常に大きな問題になるわけでございまして、いまお話しになりました創造性ということを考えた場合におきましては、あまりにも機械的な、一方的な知識の伝達というようなことだけでは、なかなかこれは養いがたいのだ、こういうようなことでございまして、機械の発達に対しまして、それを駆使するところの教師を養成していくということも大切でございます。同時に、子供たち人間的な情操あるいは創造性の豊かなものをつちかうということが強調されなければ、私は、教育というものは成り立たない、あるいはまた、われわれが今日求められておる人間性豊かな教育というものはできがたいというふうに思います。
  11. 石川次夫

    石川委員 どうも私の質問に直接はお答えになっておらないようでありまして、われわれ、どういう入学試験をやるかということについては、現在時点でも非常に問題が多いことはよく承知をしております。それから、情報化時代に即応する人材を養成するための入学試験あり方というものは新しいテーマでありまして、これは非常にむずかしいと思うのです。しかし、いまお答えになったように、情操教育とか人間形成という問題は当然必要であります。これからは、人間性否定時代ではなくて、はんらんする誤った情報によって人間性がゆがめられる時代になるということを、私は非常におそれているわけです。それはそれで大きな問題でありますけれども、教育の場における教育のシステムの問題としては、こういうふうな機械化方向にいかざるを得ない。また事実、記憶というものと知識というものがあまり役に立たなくなる時代になるということも必然であります。そういう時代に即応する新しい教育あり方、新しい入学試験あり方というものをいまから真剣にやってもらわなければ、いまの子供情報化時代に生きていくんですから、いまの子供からもうすでに、そういうふうな、即応した教育をやらなければいかぬということに対する配慮というものが、全然欠けているんではないかという気がしてならないんです。そういう点で、情報化時代に即応する教育という意味で、あと一回教育というものを見直していく。人間性歪曲時代であります。したがって、それに対して一体どうしたらいいのかということも含めて、真剣にこの情報化時代に即応する教育というものを考え直してもらいたい、これをぜひ強くお願いをしておきたいと思うのです。  それで最後に、時間がありません、十一時になってしまいましたから、一つだけお伺いいたします。要員の充足であります。これも、現在でもいろいろな点で、たとえば昭和四十七年の三月には全部を含めてコンピューター関係要員十三万四千二百人、いまの五・一倍ということになっておりますけれども、アメリカの実情は、コンピューターだけを専門にやっておるという学生が一万九千人。おととしの統計であります。それからおととしの統計で、コンピューターを使える学生というのが実に四十三万人おるわけです。これに比べますと、日本はあまりにもひどい立ちおくれであります。したがって、こういう要員計画はありますけれども、学校の面で一体どうなっているか。それから一つ問題は、ぼちぼち理工科系のほうにはコンピューターは入っておりますけれども、ほとんどこれは理工科系だけであります。しかしながら、これからは経済でも法文系でも、新しい面としてコンピューターが使えるということでなければならない。これはこの前も質問がちょっと出たわけでありますけれども、理工科系だけに限られるようなコンピューター考え方は、これは非常に認識不足であります。したがって法文系でもこれが使えるということでなければならない。それから内容も、コンピューターを理解するための基礎教育だけに限られて、研究用だけであります。したがって、これを運用し、そして教育用にこれを用いるということが絶対まだ進んでおらぬわけであります。これは非常に立ちおくれであります。ことに短期大学や高等学校には、ほとんど皆無にひとしいという状態。これからは小学校でもコンピューターで学ばなければならないというときに、コンピューターの普及度というものは実に低い。そういう点で、コンピューターを普及させるという問題と、コンピューター関係要員を充足させるという点について、どういうお考えを持っているか。  それから、まとめて私、質問いたしますけれども、いろいろな答申案で、上級情報処理技術研修センター、研究センターというようなものをつくれという意見が答申をされております。あるいはまた、情報大学というものをどうしてもつくらなければならない。この大学はいわゆる文部省の統轄するような大学とは性格が違ってくる。これは、民間からどんどん入ってきて研修を受けるという形の——いま民間コンピューターのハードウエアの会社はあちこちでやっております。そういうものを統合して、民間からどんどんその大学に行かせる、そして戻っていくという、開かれた、ほんとうに新しい形の大学でなければならぬと思うのでありますけれども、その辺についての要員の充足とコンピューターの普及、それから情報大学、一ぺんにまとめて御質問いたしましたけれども、ひとつ御答弁を願いたいと思うんです。
  12. 坂田道太

    坂田国務大臣 これから、コンピューターとかあるいはティーチングマシンとか、そういうようなものを小さいうちから身につけさせるということは、非常に大事な点であると思います。しかしながら、いろいろお金の面もございまして、一足飛びにそこまでいくというわけにはまいらぬかと思いますし、また小、中の段階におきましては、むしろ教育機器というようなものから入っていくほうがいいのではないかというふうに考えまして、昭和四十四年度、中学校におきまして二十二校指定をいたしまして、一校大体百万円程度の教育機器を備えつけるようにいたしております。  四十五年度には小学校二十二校ということを研究指定校にいたしまして、こういうような研究を積み重ねることにおきまして、漸次、小、中、高におきましてもこのような普及をはかってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。それから大学におきましては、現在北海道、東北、東京、京都、大阪、九州の各大学に大型の計算機センターを設置し、名古屋大学は四十六年度設置予定でございますが、全国の大学の共同利用に供しております。国立大学に中、小型の計算機を二十一台設置いたしております。また公私立大学には七十七台、これは昭和四十三年度現在でございますが、設置されております。四十三年度の利用計画につきましては、調査の結果によりますと、大型計算機につきましては、各センター一日平均八時間から二十一時間稼働しております。その処理件数は年間合計約十八万五千件。中、小型につきましては、一日平均、国立大学は八・八時間、公私立大学は七時間稼働して、年間約五千五百人の研究者が利用しております。なお、半数の計算機が教育実習用にも利用されておりまして、実習を受けた研修生は年間一万五千人程度ということでございます。しかし、こういうようなことではまだまだ足りませんし、先ほどお話がございましたように、単に理工系統だけではなくて、やはり文科系統にもこれを利用する、あるいは備えつけをやるということが望ましいと考えておりますし、そのような考え方で今後進めてまいりたいと考えております。  また、この技術者の養成をどのように計画をしていくかということにつきましては、この需要というものはいよいよ増すばかりだと思いますので、われわれといたしましては、この需要にこたえますために、教員の現職教育の実施や、あるいは関係学科、講座等の増設をはかり、また高等専門学校や高等学校教育課程の改訂を検討し始めるなど、大学をはじめ、各学校段階における情報処理教育の充実強化を奨励しておるわけでございます。昭和四十五年度の予算措置としましては、学科新設が五つの大学、一つの短期大学、二つの高専、研究施設の新設は二大学及び一大学の、これは事業費でございます。講座新設が二大学、こういうようなわけでございますが、情報処理技術者の養成にあたりましては、単に当該技術を習得させただけでは、やはり行き詰まるおそれがございますので、われわれといたしましては、学校におきます情報処理教育の対象を専門学科の学生、生徒に限定せず、いま申し上げましたように、他学科の学生、生徒に対しましても、程度の差はあるといたしましても、情報処理教育を必要に応じて普及すべきであるというふうに考えております。これによりまして、情報処理技術者の養成にも役立つと考えております。このような形での情報処理教育の推進に欠かせない要件といたしましては教育指導者の学校でありますし、当面、その養成とにらみ合わせて適切な人材養成計画を立てる必要があると考えております。その具体的な計画の詳細につきましては、他省庁の関係者等も含みますところの情報処理教育に関する会議を設けまして、目下検討いたしておるわけでございますが、昨年の七月に一応中間的な答申もいただいておりますから、その答申に基づきましていろいろ施策を進めてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  13. 石川次夫

    石川委員 どうも、いま聞いただけではよくわかりませんけれども、各学校の現状などについては、私どもも資料をいただいておりますので、別にいま御説明いただかなくてもその点についてはわかっておるのです。問題は、いまのようなコンピューターの普及程度では非常に立ちおくれを来たすというところの認識をしていただいて、徹底的な普及、これは予算の関係もありましょうけれども、ぜひやっていただかなければ非常な立ちおくれだ。ヨーロッパあたりでも、ハードウエアがアメリカに席巻されてしまったということで、立ち上がってソフトウエアには非常な力を入れていまやっておるわけでございまして、日本なんかも、ハードウエアはどうやらこうやら上陸を食いとめておるという状態でありますが、非常に累卵の危うきにあります。それ以上に、ソフトウエアなんというものは、全く比較にならないほど立ちおくれておるという面のことも、教育の場もよく責任をわかっていただいて、何とか拡充強化してもらいたい。これは理工科系だけではだめです。研究用だけではだめなんです。したがってこれは、実習に使う、教育の場に使う、あるいは法文系にも拡充をするというようなところまで徹底的に急いで考えていかないと、とんでもない立ちおくれになるというようなことをぜひ考えていただきたいのと、養成の問題については、大学がいいのかセンターがいいのか、いろいろ問題もあります。したがって、いままでのような大学とあり方が違うから、あるいはこれは科学技術庁でやったほうがいいのか、あるいはまた経済企画庁でやったほうがいいのか、いろいろな考え方もあるわけでありまして、いままでの大学とは違った意味での、情報関係を処理する大学的なもの、上級情報処理研修センターのようなものはどうしても必要だ。これは早急に、来年あたり予算化して出発するような考え方でないとたいへんな立ちおくれを来たすという意味では、文部大臣もぜひ積極的にこの責任を分かち合うという立場で考えてもらわなければならないということを申し上げておきます。  時間がないようでありますから、残った問題、現在の教育問題とあわせての問題を文教委員会のほうへ行ってお伺いしたいと思います。きょうは時間がないようでありますから、これでけっこうでございます。  それからあと、通産大臣がおらないようでありますし、それから、実は労働大臣に前から出席を求めておったのでありますけれども、労働大臣は委員会関係でお出になられないというので、私としても非常に残念でありますが、いろいろな方がおいでになっておるようでありますから、私の言うことをひとつ労働大臣によく伝えてもらいたいという意味質問をしたいと思うのであります。  それは、情報化時代になったら一体どういうふうな労働情勢の変化が生まれるかということは、非常にむずかしい問題でございます。先ほど申し上げましたが、産業革命によって、設備というものを持っている資本とそれを持たない労働者というものの分化、対立というものが生まれて今日に至っておるわけでありますけれども、情報化時代になってこの労働情勢が一体どうなるかということになると、資本と労働の対立といいますか、そういう問題は依然として本質的には変わらないと思うのでありますけれども、このコンピューターを中心とするところのいわゆる経営、それから生産、販売、こういったものの判定を下すいわゆるテクノクラートの関係と、それからテクノクラートを除いた関係、こういうものに今度は現象的には労働関係というものは変わってくるのではないか。そういう場合のいわゆる労働問題、労使関係といったようなものは一体どうなるんだ、これはきわめてむずかしい問題で、だれでも的確に予想できることではありませんが、現在でも、日本でもそうでありますし、アメリカでもそうでありますけれども、ブルーカラーよりホワイトカラーがどんどんふえておる。このピッチが非常に早い。コンピューターが使われるということになれば、将来、無人化工場というものがどんどんできてくるでありましょう。そういうふうな問題もあとから申し上げますけれども。そこで、新しい労働問題、新しい労働災害というものも出てくるわけであります。そういうものに対応して、いまのうちに新しい時代に即応する。いわゆる情報化革命といえるかどうかわかりませんけれども、非常な変革がもたらされる労働情勢に対応する国としての総合機関というものを、いまから設けていかなければいかぬのではないか、立ちおくれになるのではないかということを私は懸念いたしておるわけでありますけれども、そういう点について何か構想がおありなのか、ひとつ伺いたいのです。
  14. 東村金之助

    ○東村説明員 ただいま先生御指摘ございましたように、情報化社会における労働問題にはいろいろ問題がございますが、一つ労働条件の問題に限ってみましても、御指摘のように、従来の機械その他にかわりまして非常に高度の機械が導入される、ないしは新しい原材料が導入される、そういうことによりまして、重労働からいわゆる精神労働、さらには新しい形の労働態様というのができてくると思うのであります。そういたしますと、従来なかったような労働者の仕事に対する意識ないしは疎外感、孤独感というものがかなり問題になってくるのではないかと思います。こういう問題に対処いたしまして、私どもは労働衛生の観点から問題をとらえようとしているわけでございますが、従来は、労働省に労働衛生研究所という付属機関がございまして、ここでそういう問題を取り上げておったわけでございますが、ただいま御指摘のように、それだけではとても間に合わない、そういう観点から、労働医学に関する総合的な研究をここでしっかり組み直さなければならぬのではないかという構想のもとに、現在労働医学に関する総合研究所を構想中でございます。
  15. 石川次夫

    石川委員 いまのは答弁にならないのですね。安全衛生の問題で私は言っているわけではないのです。それはまたあとから質問の一環として申し上げようと思ったのですけれども、労働関係、労使関係も非常に大きく変わっていくのではないか。新しい労働災害というものはもちろんあります。そういうことで、いまからそういうものに対応するところの国としての総合機関というものをつくって考えていかなければ、とんでもない立ちおくれを来たすのではないかということを私は心配しているわけです。そういうことについて、いままでどおり惰性でもっていけば何とかなるのだという考え方では、私は非常な認識不足だと思うのです。これは、部長さんや課長さんあたりが参っておりますが、労働大臣の問題でして、そういう点について私が強く要望しているということをひとつ大臣に伝えてもらいたいと思うのです。  そこであと一つ、現在は非常に人手不足であります。したがって、省力化という問題が非常に大きな問題になっておりますけれども、富士通あたりが中心になりまして、NC工作機械というものができておりますね。これが進みますと非常に人手がなくて済む。コンピューターが代行する。それからあと一つ、いま新聞などにもちょっと出ておりまして、どの程度か実態がよくわかりませんけれども、富士電機、富士通、それから千代田化工建設ですか、この三社が共同で無人プラントというものを来年三月の目標でいまやっております。これはDDCシステム、高度の直接計数制御というものによって人がいないでできる。装置産業の場合はこういうことは可能だと思いますが、そういうことでやっておる。一方では、NC工作機械という人間にかわって労働力を代替するというようしなものがどんどんできていきますと、無人化が進んでいくということになります。いまのところは人手不足でありますから、そういうことになっても失業問題には発展をしないであろう、こういうふうにいわれておりますけれども、私は必ずしもそうではないと思うのです。この進み方がどの程度急激に進むかどうかということに関連をしてくるわけでありますけれども、経営部門だけじゃなくて、もう人的資源の再配分というものがどんどん行なわれてくるし、省力化、無人化というものがどんどん進んでいけば、特に高年齢層の職場転換あるいは離職というようなものが当然出てくることは予想しなければならぬ問題であります。そうなりますと、現在ではアメリカでは一%ぐらいしか数値制御機械というものは入っておりませんが、全体の中で一〇%ぐらいは現在時点でも計画されておる。将来はこれを相当なパーセントまで持っていこうという考え方でございまして、大体工作機械の数は減るわけじゃありませんけれども、機械工の数はものすごく減ってくるのではないか、こういう予想がすでにアメリカでは立っておるわけであります。こういう新しい失業問題をどういうふうにお考えになっており、どういうふうに見通しをされ、どういうふうに対策を立てておられるか、この点を伺いたいと思うのです。
  16. 小鴨光男

    ○小鴨説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のように、情報化社会が進展してまいりますと、機械工その他の職種につきましても、非常に大きな変化が出てくるであろうというふうに私ども予測しておるわけでございますけれども、まだ情報化が地についたばかりという現在では、これによりまして、大きな失業あるいは配置転換というようなことが生じた例は聞いておりません。しかし、いま先生御指摘になりましたように、今後の情報化の速度というものが急速に進展いたしますならば、特に中高年齢者を中心として、これに円滑に適応できないというような事態も見通されるわけでございますので、今後、これらの労働内容の変化の方向という点について、積極的にこちらから情報を提供する、あるいは労働者の能力の再開発をはかることとしたいと存じます。また、万一これらの中高年齢者について失業が発生するというような事態が生じましたならば、現在でも行なっておりますように、特に管理技術面あるいは専門職を中心といたしました登録あっせんということを特別に行なっております人材銀行、あるいは再就職を円滑にいたしますための職業転換給付金制度の活用というようなことで、再就職を円滑に行ないたいというふうに考えておる次第でございます。
  17. 石川次夫

    石川委員 どうも的確な答弁ではないようなんですけれども、アメリカで一九六四年から一九七五年の十年間にどういうふうに労働構成が変わるかという見通しの数字を見て、私も考えさせられたのでありますけれども、全体として二六%ふえる。その中で農業人口は非常に減ります。アメリカでさえ農業人口というものは減っていく。ブルーカラーはほとんど伸びません。一〇%ちょっとであります。ホワイトカラーのほうが三八%もふえるというかっこうになっておるわけであります。したがって、ブルーカラーというものはほとんどふやす必要もないんだというのがアメリカ現実統計で出ておるわけであります。これは結局、そこへ情報化社会というものがどんどん割り込んできますと、なおさらその傾向が強くなる。したがってアメリカの学者では、情報化社会の経済社会に対する影響の最も大きい衝撃というものは失業問題であると言い切っておるわけであります。いまのこの人手不足の状態を見ますと、とてもわれわれは考えにくいという気がしないでもないのでありますが、完全雇用のアメリカでこういう警告、警鐘が乱打されておるという事態をよく認識をして、新しいこの問題に対応する。先ほど私が申し上げたような、総合労働問題の機関、情報化社会に対応するそういう問題というものと真剣に取り組んでもらわなければならぬということ、そのために私は申し上げておるわけであります。どうもその点の認識があまり十分でないようでありまして、非常に残念でありますけれども、新しい失業問題というものは、現在人手不足なんだからそんなことはあり得ないだろうということだけでは考えられない。これから後の情報化社会の急激な変化というものを十分にお考えをいただきたいということを申し上げたいと思うのであります。  それから、キーパンチャーが一時いろいろな労働災害を起こして、通達によって時間の制限やその他対応されたということは知っておりますが、その点の経過を簡単にひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  18. 東村金之助

    ○東村説明員 情報化社会における一つの問題といたしまして、事務機械の高度化、機械化ということがございまして、ただいま御指摘のように、キーパンチャー問題がございます。このキーパンチャー問題につきましては、かなり前からわれわれもいろいろ検討しておりまして、昭和三十九年の九月に「キーパンチャーの作業管理について」という通達を出しまして、キーパンチャーの作業管理、作業環境管理、さらには健康管理等について指導しているところでございます。
  19. 石川次夫

    石川委員 非常に簡単でどうもよくわかりませんけれども、私も私事ばかり申し上げて恐縮なんですけれども、十五、六年前にIBMを責任者として入れたことがあるのです。そういう点で、キーパンチャーというものは、そのころはいなかでありますから環境がいいですから、そういう労働災害ができるとは思わなかったのでありますけれども、都会では相当このキーパンチャーの労働災害が出てまいったわけですね。いろいろ対応策を考えられたことは、その経過はよく知っております。知っておりますけれども、最近私が非常に心配をしておるのは、プログラマーの関係、それからシステムエンジニアの関係です。これはいわゆる大学を出た高級職員ですか、そういういわゆる職員であります。労働者ではございません。この問に非常な労働災害が出てくる危険性が生まれつつあるということを私は心配をしております。というのは、アメリカあたりは残業はいたしませんし、それから日曜出勤は全然しないわけです。したがって、過重労働といっても限界がありますけれども、日本の場合は、よくエコノミックアニマルといわれておるのですが、高い機械を使うから二十四時間フル稼動しようということであります。したがって、ソフトウエアに関連する──日本のソフトウエアが確立をされておらないという問題もあって、非常な過重労働であります。二十四時間稼動であります。この高い機械をむだに遊ばしちゃいかぬというようなことから、残業や日曜出勤むちゃくちゃであります。しかし、たとえばハードウエアについて、あるところに機械を売る、そこにソフトウエアの作業をする人がついていく。これはタイムマシンを使って出勤退勤の判こを押すわけじゃありません。何月何日までにやるということになりますと、ほとんど連日徹夜であります。たいへんな過重労働であります。私は、プログラマーの関係で大学を出た連中がもうほとんどノイローゼぎみでもって休んでおるのを、たまたま見受けるわけであります。新しい労働災害であります。アメリカでは労働時間がぴしっとしておりますから、残業はいたしませんし、日曜出勤もいたしませんから、そういう障害は出てまいりませんけれども、日本の場合には、この対策をよほど真剣に考えないと、新しい労働災害が生まれてくるのではないかという心配をするわけです。しかし、これは統計にはおそらく出ないでしょう。一般の労働者じゃございません。したがって統計にはほとんどあらわれないと思います。あらわれないけれども、これはたいへんなことではないか。たとえば万博で今度コンピューターを使うということをやっている連中は、ほとんど毎日二時間、三時間しか寝られませんと言っております。新しい機械を据えつける、そこに行くソフトウエアのシステムエンジニアの連中は、ほとんど寝られないと言っております。こういう状態でふらふらの状態であります。しかし、日本では労働基準局は時間はちゃんときめてあると思いますけれども、そういった出張者なんかについては別にこれはわからぬわけですね。タイムカードを押しているわけではありません。そういう点で、非常な過重労働というものをいまから考えていかないと、あの連中全部とは言いませんけれども、相当程度過重労働でノイローゼになるのではないかという心配をしております。とにかく、高い機械を有効に使うのだというような激しい経営者の指示によって、フル回転させられてしまうわけです。ちょっと行き過ぎではないか、これでは健康がもたないのではないかということについて、何か労働省でお考えになっていることがありますか。
  20. 東村金之助

    ○東村説明員 ただいま先生御指摘のプログラマーそれからそういう高度の事務処理技術の計画といいますか、管理、そういうことをやっている方々の健康管理の問題、非常にむずかしい問題だと思います。実態もなかなかつかみにくい問題でございます。しかしこれからは、先ほどもちょっと触れましたように、そういう意味のいわゆる職業病といいますか、健康障害ということが問題になることは、御指摘のとおりでございます。そこで、われわれの研究体制におきましても、なかなかその問題がつかみにくいという事情がございます。しかしながら、何とかこれに対処していかなければいけないということで、いま研究体制の整備というところから始めようということで、先ほどちょっと触れました産業医学に関する総合的な研究体制を確定していこう、こういう構想で当たっておる次第でございます。
  21. 石川次夫

    石川委員 この新しい時代の新しい労働災害、これに対応する対策を至急立てないと人道問題になってくるのではないかという心配を私はしておるわけなんで、これはぜひお願いしたいのでありますけれども、実は私ドイツに行きましたときに非常に感心しましたのは、あそこは炭鉱が非常に多いわけですが、いわゆるけい肺問題に対して、社会学者から法律学者から、あるいはもちろん医学者を含めての総合的なセンターがあるのですね。けい肺問題はここに来たら全部わかる。その給付、補償の問題から、そういうものまで全部ひっくるめて、そこで全部対策を立てる、こういうものを、国家でもって中央機関が堂々たるビルをかまえて持っているわけです。日本では最近では公害問題がやかましくなってきていますけれども、この職業病に対して、国が中央にでんとかまえて全部職業病——職業病といってもたくさんありますけれども、何かそういうかまえが、ああいう国に行ってみるとつくづく不十分だということを痛感するわけです。この新しい職業病というものは、新しい時代でまた生まれてくるわけでありますけれども、そこで聞きたいのはILO百二十一号であります。  この問題は、非常に多くの労働災害、また新しい労働災害が生まれようとしておるのにかかわらずこれはまだ批准になっておらない、これはどうして批准にならないのか、また早急に批准をするという意図があるのかどうか。ILO百二十一号についてひとつ御説明願いたいと思います。
  22. 松尾弘一

    松尾説明員 ただいま先生から御指摘いただきましたILO百二十一号の職業病の問題は、条約の別表に列挙いたしておるのでございますが、この点につきましては、現在の労働基準法の施行規則の三十五条に列挙いたします職業病におおむね該当いたしますし、さらに新しく発生いたします問題は、「その他業務に起因することの明かな疾病」ということで拾っていくという制度に相なっておるわけでございます。そこで、現在、労災保険の一部改正を今国会に提出いたしておりますが、それらによります給付水準を見てまいりますと、これはおおむね百二十一号の条約の水準に従っておるわけでございますので、そういう段階を経てこの条約の批准の段階が来るのではないか、こういうふうに考えております。
  23. 石川次夫

    石川委員 日本は非常に急激に経済が進んで、それだけまた新しい形の労働災害が生まれようとしておるときに、これは日本理事国になっておると思うのですが、この百二十一号をなぜ批准をされないのか。どう考えても納得がいかない。この間、本会議場でもって、通勤途上の労働災害をどうするかというようなことを一つのきっかけにして、百二十一号の問題については総理大臣とも質疑応答があったわけでありますけれども、日本は、いわゆる人間性否定だとか人間不在だとかということをいわれておる。特に激しい経済成長が進んでおるだけに、そういう弊害が相当急速に顕在化しておるわけです。したがってILO百二十一号を早急に批准すべきである。どう考えても批准されないことは納得がいきません。これは労働大臣がいらっしゃいませんから、私はこれ以上申し上げませんけれども、きつくこの点を大臣に伝えておいてもらいたいと思うのです。日本のように高度化された国で、五十二も批准されていないものがある。その中の一環として、ILO百二十一号は是が非でも早急に批准されなければ、どう考えてもつじつまが合わない。こういう点をひとつ強く御要請申し上げて、ほかに私申し上げたいことがあるのですけれども、労働関係はきょうはこの程度にしておきたいと思います。  通産大臣がお見えになりましたから、時間がだいぶたちましたので、ほんとうは質問したい点が五、六点あったのでありますが、二点か三点にしぼります。  一つは、中小企業に対する情報化対策、これは現在どういうふうになっておりますか。
  24. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いろいろ施策が配慮されておるのでございますが、政府委員から申し上げます。
  25. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 中小企業の情報化の促進につきましては、もちろんまずコンピューターの普及から始めなければなりませんので、そういった面につきまして、関係中小企業金融機関が貸し出しの促進をはかることにいたしております。同時に、中小企業が共同で電算機を設置するといった場合につきましては、中小企業者が一定の要件を備えました共同計算センターをつくる、こういった場合におきましては、電算機の購入費、建物の建設費、用地の取得費等につきまして、中小企業振興事業団から長期低利資金の融資を行なうことにいたしております。これは、四十二年度にこの制度ができたわけでございまするが、今日までの実績を申し上げますと、四十二年度に三センター、四十三年度が一センター、四十四年度が四センターでございまして、計八センター、金額にいたしまして実績が一億六千三百万円と相なっております。
  26. 石川次夫

    石川委員 これは通産大臣、言うまでもなくキャッシュレスの時代になりそうですね。これはそう遠い将来ではないと思うのです。店へ買いに行く。カードを出す。そのカードによって取引先の銀行に問い合わせ、残高を調べる。その残高がまだあるから、その残高を商店の取引先の銀行に振りかえるということは、瞬時にしてできるわけです。金がなくても買いものは幾らでもできるという時代になるのは、そう遠い将来ではないと思うのです。そうなりますと、そういうコンピューターを駆使できる商店、これはいいですよ。中小企業でそれができるか。できないと思うのです。そうなれば、そういう意味で中小企業がどんどん脱落をするという現象が、この面からも促進されていくのではないかという点を私は心配をしておるわけなんです。そういう点で中小企業の対策に相当真剣に取り組んでもらわなければならぬのですけれども、私が予算を見た関係では、販売、在庫管理の中小企業の指導の費用は大体一千万円出ております。これではお話にならない。いま融資面でいろいろ伺いましたけれども、その程度の融資では、大商店、大企業の情報化というものに対しては、とてもとてもついていけない。そういう面から、今後中小企業はさらに脱落をしていくという面が相当多くなっていくんではないかという点が非常に懸念をされますので、中小企業の関係については、情報化というのは非常に高い費用がかかりますだけに、私はたいへん心配です。そういう点で、今度も法案の修正をお願いしておるわけでありますけれども、中小企業対策というものを、情報化の中で相当大きな比重を占めさして、対処してもらわなければ困る。中小企業の問題は、それだけでもたいへん大きな問題でありますが、情報化という問題になりますと、また特殊な悪条件が生まれてくるという点をよくお考えを願いたいと思うのです。  それから最後に一つJECCの問題であります。日電、富士通、日立、東芝、沖、三菱が六社でもってJECCを形成して、レンタル代金を代位弁済するといいますか、かわりに払うということになっている。赤字が昭和四十四年で大体四百億円、昭和四十五年ではおそらく五百億円をこすであろうというので、大体半額増資ということに今度はなりましたね。二百八十三億五千万円のところに半額増資。そのほかに、抱き合わせで社債で半額増資分と同じ額だけを持ってくれということについては、なかなかこれらの企業はうんと言わないという現状だろうと思うのです。たいへんこの対策が難航をしているように聞いております。大企業でありますから、大体自分でやればそれでいいのじゃないかということになりますが、こう大きな赤字になりますと、なかなか容易ならざる問題ではないかと思います。これに対応してどういうことをお考えになっておりますか、その点を伺いたいと思います。
  27. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 いま御指摘のように、損益計算の面ではやや若干の黒字というかっこうでございますが、実際の資金繰りにおきましては、四十四年度末におきましても約四百四十億円余りの未払い額が出ております。四十五年度におきましては、もちろんその面が相当ふえてまいると思います。こういったような点からいたしまして、いま申し上げたように、増資あるいは債券の発行、あるいは開銀資金の増強等を行なうわけでございますが、この面はおのずから限度もございまするので、なかなかな容易ではございません。こういった点にもかんがみまして、四十五年度におきましては、JECCが買い取ります電子計算機のうちで、ある種の機種につきましてはこれを買い取りの対象外としたいということで、ことしの初め以来、各社とJECCの間で検討を続けてまいりました。ほぼその成案ができ上がりまして、大体四月からこれを始めまして、途中の暫定期間も含めまして、大体六月ごろまでにはその整理ができ上がると考えております。  いま、整理をしたい、つまりJECCの買い取り対象外にしたいと考えておりますのは、主として、大型とか小型とかいうことばはどうかと思いますが、通例いわれておりますことばで申しますと、小型の電子計算機、あるいは中型のものでもその一部、こういったものにつきましてはJECCの買い取り対象外といたしまして、JECCの資金負担を軽減をしていこう、こういうことでございます。もちろん、買い取り対象外になりましたものは、各社がそれぞれの資金によりまして自己でレンタルを始めていく、こういうことになるわけでございます。こういったことも考えあわせまして、四十五年度の買い取り額を一応一千億というふうに考えたわけであります。いままでどおりでありますと、約千二百億強ということになると思うのでありまするが、私どもとしては、約二百億見当のものについていまのような整理をしていきたい。  なお、四十五年度の開銀でございますが、予算上百五十億円ということに相なっておりまするが、四十四年度からの繰り越しを含めまして百六十五億円、これが投入されるという予定でございます。なお、年度の進行に応じまして、私ども、JECCの買い取り資金が極端な窮屈状態にならないように状態をよく注視をし、また必要に応じてはそれ相応の対策を講じてまいりたいと考えております。
  28. 石川次夫

    石川委員 大体レンタル月百五十万円以下というのがこの対象からはずされるというふうに聞いておりますが、それは大体原案としてはそうなりますか。
  29. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 ただいま検討されております線は、いまお示しのような線でございます。
  30. 石川次夫

    石川委員 去年は実に百八十億円、ことしは開銀の融資が百五十億円、相当大きな額でありますが、いまの一千億円というものにするためには、社債のほうもこれを引き受けてもらわなければちょっと一千億にならないのじゃないかという懸念がありますね。増資の分だけではちょっと間に合わないのじゃないですか。計算上はどうしても社債の分を引き受けるということにならざるを得ないのであろうが、なかなかこれが困難だというふうに私は聞いております。そのことについてはこれ以上申し上げませんが、JECCの育成という、これも軌道に乗るような考え方も、ひとつ通産省においては——いまの考え方は、私は大体大筋において間違いはないと思うので、何とか軌道に乗るようにしてやらないと、この産業の発展がむずかしいのではないかということをつけ加えまして、そのほか通産省の関係はたくさんあるのですけれども、与えられた時間が来ましたので、これできようは終わります。
  31. 八田貞義

    八田委員長 中谷鉄也君。
  32. 中谷鉄也

    ○中谷委員 前回、若干の時間をいただきまして、プログラムの権利保護、権利の性格、将来の権利保護のための措置等についてお尋ねをいたしました。大臣、御出席になっておられますので、次のようなことを大臣に御答弁をいただきたいと思います。前回、参考人がおいでになりましたときにも若干お尋ねをしたのでありますけれども、必ずしも参考人の方の明確な御答弁を、質問が整理できておりませんでして、いただけませんでしたが、質問は次の点であります。  新経済社会発展計画の「情報化の促進」の第四項の中には、「情報化に関連する制度の整備」という項が特に新しく記載をされております。その中で、「情報流通の活発化が、プライバシーの侵害や企業機密のろうえいと結びつくことのないよう、モラルの形成等をはかるとともに、ソフトウエアの権利保護のための制度の確立に努める。」こういうふうにあるわけでございます。そこで、実はいわゆる通例いわれております産業スパイ罪という問題については、ここ数年来その制定をめぐりまして、政府のほうからいろいろな答弁があるわけですけれども、大臣、どのようにお考えになるでしょうか。産業スパイ罪といわれているものの制定です。産業スパイ罪というのは一体何かということについても若干問題はあると思うのですが、そういう産業スパイ罪というふうなものを制定することの必要性と、そういうふうなものを制定したことによって生ずる障害というふうなものも、これはあるだろうと思うのです。本来法務省の所管ではあろうかと思いますけれども、特にその産業スパイ罪を制定してくれという要求は、財界方面から非常に出てきております。そこで、少し説明を加えておきますと、刑法の審議会の中で延々と審議を続けているわけですけれども、航空機乗っ取り法案というのは、えらいスピード審議で今度国会に提案をされてまいりました。公害罪の新設ということについては、これはもう強く各界から要望されておりますけれども、現在審議中ということであります。そこで、産業スパイ罪というふうなものの制定の必要性、それと、そういうものの必要性があるとするならば、そういうものを制定した場合に生じてくる弊害というものはあるのかどうか。そうすると、それに対する防止方法はどうなるのか、そういうような点について、ひとつ通産大臣としての御答弁をいただきたい、これが質問の第一点であります。
  33. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 たいへんむずかしい問題でございますから、何とお答えをしてよいのか、私にもよくわかりません。しかし、いろいろなことが考えられると思います。他の企業の持っておる企業の秘密、これは財産であることに間違いありませんから、それをスパイというのは侵害する行為になる。そういうことはやはり一つの盗みをする行為に違いありませんので、それは非道徳的な行為である、あるいは法によって罰すべき行為であるという考え方産業スパイ罪であると思いますので、それはそれとしてわからないではございませんけれども、しかし、たとえば昨年アメリカでございましたように、御承知のように、ゼネラルモーターズとフォードとの間で、最高首脳部がこっちから向こうに移った。これは史上最大の産業スパイともいわれておるケースでございます。そういうようなときに、それがつまりマネージャーとして、あるいはタレントとしてのスカウトというのでございましょうか、そういうことは、おそらくこれから経済が進んでまいりますと、もっともっとあり得ることでありますし、また、人間の能力が流動的に使われるという意味で、それ自身悪いことは申せないと思います。そういたしますと、そういう意味では、はっきりしたケースについて何もすることができないはずでございますから、話を詰めていくと、はたしてどういうものを産業スパイというのか、実際わからぬことになってくるのではないかとも思ったりもします。しかし、私は全くしろうとでございますので、これは、法務省などが研究をしておられるところを一度勉強はいたしたいと思っておりますけれども、御専門の中谷委員に申し上げるほど、私は実は知識を持っておりません。
  34. 中谷鉄也

    ○中谷委員 局長にお尋ねをいたしますが、現在も、権利保護の問題について御答弁をいただいたのですけれども、産業スパイ罪というふうなことば自体も非常にあいまいですし、どの面を規制をするのか、規制をし切れない部分がある。大臣の御答弁にもありましたが、そういうようなふうに私自身も考えます。また、質問の後段に申しました、企業秘密の漏洩防止ということを刑法的に規制するということが、別個の弊害を生む可能性だってあると思いますけれども、いずれにいたしましても、新経済社会発展計画の中には、制度の整備ということについて特に一項を起こしてお書きになっている。だとすると、企業秘密の漏洩防止というのは、モラルの形成をはかるということによってその防止をはかるということにとどまるのか。それとも、制度の整備なのだから、企業秘密の漏洩防止について巷間伝えられている——巷間伝えられているだけではなしに、何回かにわたって国会の中で質疑応答が繰り返された、いわゆる産業スパイ罪というものについて、どのような規制要件、どのような法律要件、構成要件を持ったものが望ましいと局長はお考えになるのか。同趣旨の質問でありますが、お答えを願いたい。
  35. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 非常にむずかしい御質問でございますので、的確な御答弁ができるかどうかわかりませんが、いずれにいたしましても、罪の構成ということになりますと、ある種の権利が侵害をされたということでなければならないと思います。その場合に、一体その罪の対象になる、つまり侵害をします権利とは何か、こういうことになってくるのだろうと思います。いまお話しのように、今度の新計画におきましても、制度の問題とからめていまの問題が提起をされておりまするが、ここにも書いてございますように、一つは、やはりこういった法制以前の問題、つまりモラルという問題が大きく存在することは当然であろうかと思います。したがって、このモラルの面でどういうふうな向上対策と申しますか、そういったことを一般の国民が考えるようにするか、こういった点の施策が、やはり教育とかその他全般の問題としてあろうかと思います。  それから第二の問題は、直接の問題でございますけれども、いまお話しのような産業スパイ、つまり機密、ノーハウ、あるいは今度の法案でも一部関係ございますが、プログラム、ソフトウエア、こういったものを法的な権利として確定をするためには、一体どういうふうな議論を詰めていけばいいか、こういうことがやはり問題であろうと思います。現状におきましては、先般の御質問に私が不十分ながらお答えをいたしましたように、現在、たとえばソフトウエア、プログラムといったようなものは、特別の法律によって権利として保護されているものではございません。こういったものを将来どういうふうに権利化していくか、こういった点について、もちろん法律学者その他多数の方々の御検討が必要であると思いまするし、また、こういった御検討にあたりましても、事態の進展と申しますか、実態が一体どういうふうに進んでいくかということとのかね合いの問題であろうかとも考えております。いずれにしても、制度問題ということになってまいりますと、それ以前にいま言ったような各種の検討が、慎重かつ広範な面にわたって行なわれることが必要であろうと考えております。
  36. 中谷鉄也

    ○中谷委員 前回、御整理をいただきたいというふうにお願いをしたんですけれども、まだ若干御整理が足らないようでございます。と申しますのは、プログラムの権利の性格について不明確だ、今後明確にしていきたいということと、何人もプログラムが財産的な価値を持っているということとは別個の問題でございますね。ですから、ある種の権利侵害がなければいわゆる産業スパイ罪の対象にならないというものではないわけでございましょう。たとえば、講釈をするわけではございませんけれども、プログラムを盗めば、これはもう完全に現行の法体系の中で処罰の対象になりますね。これは権利として不明確であっても財産的な価値があるわけですから。そこでそういうふうなものでまかない切れないものとしての産業スパイ罪というものは、通産省としてはどんな場合を想定しているのか。そうして、たとえば背任だとか、窃盗だとか、住居侵入だとか以外のものとして、どんなものを想定をしているのか。これは、たしか昨年の予算分科会でも私お尋ねしたんですが、そのときの御答弁はかなり明確だったと思うのです。もう少し整理をしていただけませんか、局長ひとつ。
  37. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 ただいまの御指摘で明確でございますように、もちろんプログラムあるいはソフトウエアが財産的価値があることは当然でございますので、この財産的価値のあるものに対する盗用、侵害等は罪になるであろうと思います。ただ、そういった面と権利の設定という面とは、おのずから概念的には別の問題でございますが、同時に、そういった面も重大な関係があると私は考えております。それから、産業スパイ、機密に対するスパイ、こういったものについて、いま、予算分科会で御質問があり答弁があったということでございますが、その点、私よくまだその辺の事情、勉強してきておりませんので、別途調べまして、またお答えをいたしたいと思います。
  38. 中谷鉄也

    ○中谷委員 きょうは、何か、法案が上がるそうでございますので……。  そこで、もう一度お尋ねしておきますが、念のために申し上げておきますが、プログラムの盗用は何も法には触れない場合があり得るわけなんです。そうでございますね。プログラムの盗用が法に触れない場合に一体どうするのかということで、前回、導入的な、序論的な質問をさしていただいたので、いまの答弁は不正確だと思います。プログラムの盗用というのは、触れないから問題が出てくる。盗用イコール法に触れない問題があるからということでスパイ罪の問題を出したわけですから、ちょっとその点もいま不正確だと思うのですが、質問を変えます。  そこで、次のような点を大臣にお答えをいただきたいと思うのであります。本法案の目的にも関することでありますけれども、同僚委員のほうから、本法案が国民経済の健全な発展に寄与するとともに、同時に、それ以上に国民生活の向上ということを目的としなければならないということについては、繰り返し繰り返し質問をされたと思うわけです。そこでお尋ねをいたしたいと思うのでありますけれども、たとえば、現在われわれが常に認識をしなければならないこと、また当然認識の必要を感じていることは、国民の意識変化の将来予測に関する、そういうプログラム必要性というようなことを私は感じます。たとえば先ほど発展計画の一節を引かしていただきましたけれども、要するに「プライバシーの侵害や企業機密のろうえいと結びつくことのないよう、モラルの形成等をはかる」とあります。しかし問題は、モラルそのものが、何年か後には情報化社会——参考人の北川さんのお話によりますと、予測し得ない社会、そんな中では、モラルそれ自体も相当な、あるいは急速な変化——変わらない面と変わる面とがありましょうけれども、変わってくることが予想されるということなってまいりますと、国民個人個人の意識とか、関心とか欲求とか、人生観とか価値観、こういうようなものについて、五年先、十年先、二十年先にどのように変わるんだろうか、どういうふうにそういうことが予測可能だろうかどうか、こんなことについてのプログラムというふうなものをつくる、そういうようなことを開発をするということが、私は必要なことだろうと思うわけでございます。そういうようなことが、政治、外交、経済、教育、文化、科学、治安、防衛、そういうようなものに、私は非常に有効であろうかと思うわけであります。そこで、本法案が制定された場合に、そのようなプログラムの開発ということはお考えになるのかどうか。そういうふうなプログラムというふうなものをつくることは、協会の目的に沿うことなのかどうか。たとえば条文に沿ってお尋ねをいたしますならば、第三条の第一項の第一号、あるいは二十八条の一項の一号などの条文を検討して、いま私が申し上げたようなプログラムを開発をする、あるいは委託をして開発をするなどというふうなことは、本法案の趣旨に沿うことなのかどうか。このことについてお尋ねをいたしたいと思います。
  39. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 その点は、結論としましてはそうでございますと申し上げるのが、私は正しいと思います。ただ、その辺のことをもう少し詰めてまいりますと、実は前々からいろいろお話しになっております基本法というものを施行することにどうしてもなってまいります。しかもその基本法を、先般申しましたような事情で私どもにわかに起案し得ないという、いろいろ不確実な要素がございますために、この法案自身は、なるべく将来の基本法を間違って先取りしないようにということで、比較的間口を狭く書いてございますけれども、いま言われましたようなことが、私は結論としては出てきていいし、おそらく出てくるのが当然であろうというふうに考えております。
  40. 中谷鉄也

    ○中谷委員 基本法がどのような形で、また、当面しているどのような問題について態度を明確にして将来の情報社会に対応していくかという問題と、いま私が申し上げた点について、もう少し詰めて局長にお尋ねをいたしておきたいと思いますが、二十八条の一項の一号は「その開発の成果が事業活動に広く用いられると認められるプログラムであって、企業等が自ら開発することが困難なもの」云々とございますね。このことと、いま私がお尋ねをしたそのようなプログラムとは、別に矛盾をしないとお答えいただけるわけですか。
  41. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 いま御質問の、たとえば国民の意識あるいは動向といったようなものを調査分析するプログラム、こういうような御指摘でございますが、具体的な問題から申しますと、たとえば国民の意識と申しましても、ではどういう意識を取り上げるのか。あるいは国民の動向と申しましても、何についてどういう動向を知ろうとするのか。こういったような、きわめて具体的な、ある分野に限られた問題もあろうかと思います。同時に、この意識、動向等について把握をするとすれば、まずその基礎になるつかまえ方といいますか、そういったものが必要になってくるわけであろうと思います。したがいまして、たとえばこの三条の一項一号、あるいは二十八条の協会の業務の一号、こういった点から申しますと、私が後段に申し上げましたような、具体的なある種の意識、あるいはきわめて具体的な分野に限られた動向等の調査に関するプログラムではなくて、きわめて多数の分野にこれが使い得るような、そういったものの具体的プログラム、応用プログラムをつくるのに必要なと申しますか、その前提となる汎用的、基礎的プログラムといったものがやはり必要であろうと思いまするし、おそらく個々のソフトウエア企業等では開発ができないものだと思います。使うところでもそういったものがなかなか開発できないと思いますので、いま申し上げましたような意味における御指摘でございますれば、私はやはり二十八条の業務の一環となり得るものと考えております。
  42. 中谷鉄也

    ○中谷委員 大臣に対するお尋ねは、御退席になるまでに同僚委員から質問があるようでございますので、あと一問だけで終わっておきたいと思いますが、そのあと防衛庁の関係をお尋ねいたします。  通産省の情報処理振興関係予算というのは、四十五年はたしか四十億円でございましたね。そうしますと、防衛庁の研究開発計画というのですか、その予算はたしか四十五年度九十億円でございますか。その九十億円の中で、情報処理あるいはコンピューター関係の予算というのはどの程度含まれておりますか。
  43. 安田寛

    ○安田説明員 お答えいたします。  防衛庁で電子計算機関係の経費といたしましては、ただいま研究開発関係だけに限って仰せられましたけれども、私ども防衛庁、自衛隊の経費全体としてとらえますと、四十四年度二十一億円、四十五年度で二十五億円でございます。
  44. 中谷鉄也

    ○中谷委員 いまおっしゃったのは、研究開発のほかにコンピューターの運用費を含んでということでしょうか。いまの御答弁、正確でしょうかね。
  45. 安田寛

    ○安田説明員 もう一回詳しく申し上げますと、ただいまの経費は、レンタル費、人件費、運営費その他全部を含めた金額でございます。しかもこれは、科学技術計算のみならず、自衛隊におきましては、補給管理、情報検索、解析、人事管理その他各方面に使っておりますので、それらの経費を合計したものでございます。したがいまして、技術研究本部において研究開発をやっている、それだけのためのコンピューターの費用というものは、いまちょっと手元に資料がございません。
  46. 中谷鉄也

    ○中谷委員 大体どの程度でしょうか。腰だめでけっこうです。
  47. 安田寛

    ○安田説明員 お答え申し上げます。  陸海空自衛隊以外で使っている費用が、レンタル費でございますと七千二百万円程度になっておりますし、それから科学技術計算につきましては、全体の使用時間を一〇〇といたしますと、科学技術計算関係では五・七%に当たっておりますので、大体それで概数がつかめるのではないかと思いますが、ただいま手元に科学技術計算だけのための費用というものは資料がございません。
  48. 中谷鉄也

    ○中谷委員 防衛庁の質問が途中になりましたけれども、あとで、同僚委員質問したあと続けさしていただきますが、大臣のほうから一般的に、そうして基本的に、お答えをいただきたいと思います。  前回、私がお尋ねをいたしましたのは、プログラムの権利というのはどのように保護さるべきか。プログラムというのは、二十八条一項二号等には「利用に関する権利を取得」というふうなことばもありますし、あるいはまた「流通」「普及」などということばもあらわれてきますが、プログラムの権利というものをどのように理解したらいいのかという点についての御答弁をいただいておきたいと思います。
  49. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 利用権、いわゆる使用権というものもあるはずでございますが、プログラム本体の財産としての価値があるということはもう当然のことだと思います。ただ、それが特許権のような権利であるのか、あるいは著作権といったようなものであるのか、本法ではどうもそのいずれにもすっぽり当てはまりにくいというふうに考えております。したがいまして、情報についての基本法というようなものができますときには、そのような新しいものとしての権利の内容を、おそらくその法律によって定義せざるを得ないのではないだろうか。となりますと、今度その権利の侵害が起こりましたときに、一般法でいいのか、あるいは特別の罰則等が必要なのか、そのあたりまだよくわかりませんけれども、著作権でもない、特許権でもないというような新しい権利と考えるのが適当なのではないかと思っております。
  50. 中谷鉄也

    ○中谷委員 同僚委員の大臣に対する質問があるようでございますので、私、一応この程度で質問を保留させていただいて、同僚委員と交代させていただきます。
  51. 八田貞義

  52. 塚本三郎

    塚本委員 私は、この情報産業に対しては技術的なことはよくわかりませんので、ほんとうに初歩的な立場で大臣にお尋ねしてみたいと思っております。  この法律の第一条に目的として、「国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」こういうふうに定義づけられております。国民経済の健全な発展にこの処理がプラスになることはすべてが認めておりますけれども、しかし、国民生活の立場から考えてみますと、人間の思考労働というものが機械に転嫁されていくことはきわめて便利なことですけれども、人間の思考というものは、使えば使うだけそれだけ発展をし、また熟練をしていくという一面を持っておると思うのです。それを機械に転嫁させることによって、かえって人間の思考能力というものが減退しはしないか。これは別のことで利用すればいいのだというのですけれども、実は人間は必要に応じてしか使わない。それが機械に代替させられることによって必要がなくなれば、なかなか使わなくなってくるということにより、一面において思考能力というものが減退しはしないか。しろうとの質問ですからお許しをいただきたいと思いますが、私はそういうふうに判断する一面があるのですけれども、いかがでしょうか。
  53. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それはごもっともなお尋ねだと思います。現実に、たとえば、キャッシュレジスターができたために、足し算をする能力が落ちたというようなことはよくいわれるところでございますから、おっしゃるようなことは、私はそのとおりだと思います。  ただ、もう少し言わせていただきますならば、先ほどもどなたか創造ということをおっしゃっていましたけれども、機械のなし得るような分野からは人間の能力を省いて、そしていわゆる創造——芸術でありますとか、文芸でありますとか、いろいろございますと思いますが、そういうことに人間の能力を向けていく。そこらあたりが、情報化社会といわれるものの前向きの価値ではないかと思うわけでございます。ただいま御指摘のようなことは、もちろんあり得ることだし、おそらくあることだとは私は考えております。
  54. 塚本三郎

    塚本委員 読み書きそろばんということは、生活に欠くべからざるものだから、好むと好まざるとにかかわらずこれは利用していかなければいけない。しかし、芸術的なことについては必要性があるかどうかと言いますと、いや、そういうことは必要性のほうに食われてしまって余地と能力がないだけだから、それを機械化させることによって、みんな芸術的なことや文芸的な方向に、余地を与えられるならば伸びていくのだということ。それが未来への想像でありますから、私はそうかなという感じはいたしますけれども、これは、通産大臣にお尋ねするよりは、ほんとうは文部大臣にお尋ねしなければならないことだと思いますけれども、こういうことを普及させることによって、単純なる思考労働というものは機械にやらせるほうがいいのだというのだが、一面において、同じ労働を繰り返すことによって、人間の頭脳というものが精密になっていく、さえてくるのじゃないかと思うのです。それがだんだんとなくなっていくということは、早い話がアメリカ人と日本人と比べてみると、最近、日本人のほうが頭がいいぞということを日本人がうぬぼれて言うのですが、先ほどの計算機のボタンで計算するという、こういうことから、国民全体のレベルからいきますと、思考能力が減退していっておりはしないかという感じがするわけでございます。  昨年の秋、私は国会から南米に派遣せられたときアメリカに行きましたが、アメリカのあるところで、日本円をドルに交換してもらった議員さんがおるのです。そのときに出てきた金がえらく違っておるのです。よけいにお金をくれたわけです。これは違っておるとその議員さんが向こうに説明しても、このとおりですといって、機械を見てがんばって聞かないのです。私どもはこんなことはすっと暗算でわかる。だからどうしてもおかしい。隣か上のボタンを押し間違えたんだということはわかっておりましても、もうかっているんだから、向こうががんばって、こちらは黙っていたのではないからいいじゃないかといって、六、七人の議員さんは一緒に行ってしまったのです。最初は、違っておるといって私たちが三人ばかりで指摘したのですが、彼女は、このとおりですといって、がんばって聞かない。単純な計算能力さえも、そういう中では失われてしまっていくということですね。とにかくドルと日本円との交換ぐらいのことは、三けたか四けたぐらいのことは私たちはすぐわかる。ところが彼女にはもうわからないのです。こういうあやまちというものから、人間の思考能力がここで失われてしまっていくのじゃないかということを、私はつくづく困ったものだと思った。あとから足らぬといっても、名前がわかっているからいいだろうといって笑って帰ってきたのは昨年のことでございますけれども、同僚委員質問など聞いておりますと、いまから小学校教育の中にまでそういうものが進んでいくべきだし、そのことによって人間の能力を最高度に発揮させるという、私はこの必要性は十分認めておりますし、そうであろうと私も感心して同僚委員質問を聞いておりましたが、一面におきまして、そういう形に日本もやがておちいっていきはしないか、こういう心配はいかがでしょうか。
  55. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これもたいへんむずかしいお尋ねと思います。結局私は、そういう比較的単純な頭脳労働から機械によって頭脳が解放されて、その解放されましたエネルギーを有用に使えるか使えないかというのが、いわゆる情報化社会におけるこれからの人間がより進歩するかしないかの分かれ目だと考えるわけでございます。  ただいま、足し算、引き算の話、あるいは掛け算の話をなさったわけでありますけれども、たとえば数学などでも、もっと非常にむずかしい数学がございますと思います。たとえば群論というようなものがございますと思いますが、そういう学者が足し算、引き算が非常にじょうずかといえば、必ずしもそうでございませんといったようなことがありますように、機械でやらせられることから解放された頭脳をもっと高次なものに向けられるかどうかということが、情報化社会における人間の進み方の分かれ目だ。これを怠るならば、おそらくただいま御指摘のような頭脳の退化を招くでありましょうし、そのエネルギーが積極的に使われれば、人間の頭脳でなければ考えられないようなことを創造することができるようになると思います。したがって、情報化社会そのものは、それ自身歓迎すべきことであるかどうかという価値判断はおそらくできないのでありまして、ただいま申しましたような、エネルギーなり頭脳を人間がより高度なものに使い得るかどうかということによって、私はその判断はきまってくるのであろうというふうに考えます。
  56. 塚本三郎

    塚本委員 おっしゃるとおりだろうと思うのです。私も、日本の国家構造がこの十年間、ほとんど経済優先主義で走ってきておるように判断されるわけですね。これはいま大臣おっしゃったとおり、そういう頭脳をさらに高次のいわゆる人間性豊かな方向に利用する余地をここでつくるためにも、情報化社会というものがたどる宿命でもあり利点でもあろうと思っております。しかしその場合に、いわゆる教育制度、あるいは文部大臣の範囲でそれをやれといっても、これは無理なこと。というのは、日本の国家構造が経済優先で、言ってみれば経済が日本国家発展の牽引車としてこの十年間に進んできたということを振り返ってみますと、やはり経済人の立場あるいは産業経済の立場、もう一度人間性というものを指摘しつつ進んでいただかないと、あとから欠陥が出たということだけでいわゆる教育関係が追っかけてくる形になってしまいはしないだろうか。  ここで、実は参考人のお話の中で、私は一言実に貴重な御意見を拝聴いたしました。それは、一番大事なことは悪用しないことなんです、こういう話を私は承っておって、あれほどたいへんな科学技術の先端を行く責任者の人が、小学校子供の第一ページに教えられる、この機械を悪用しないことです、このことがすべてに優先して大切なことですということを、参考人としてお聞きしたことを私はいままでも胸に刻んでおりまするが、まさにそのことは教育の世界なんだ。しかし、この問題は教育ではだめなんで、産業人自身が悪用しないというようなことを常に配慮していかないと、いわゆるたいへんな問題になってしまいはしないか。先ほど同僚委員からの盗用の問題も出ておりました。私はもっと進んで、いろんなことをしろうとなりに判断してみたわけでございます。たとえて言いますると、人間の寿命というもの、命というものを、塚本三郎はいままでの健康状態からいきますると、この状態でいくと、コンピュータープログラム——どういうふうにするかわかりませんよ。事故があると別です。だけれども、天然の肉体的な今日の健康状態からいくとあと十五年の命でございますということが出されてしまったら、どうなんでございましょうか。私はそのことを先ほどからいろいろ考えておりまして、いまだ不治の病といわれるガンの患者に対して、親族に知らせても本人にだけは絶対知らせないということが、お医者さまの倫理であり道徳だといわれております。事故災害は別ですよ。だがしかし過去の健康状態からするならば、簡単にこんなものははじき出されてしまうんではないか。そうすると、あと十年でございますといわれた人間の心理状態はどうなるでございましょうか。  こういうふうなことを考えてみると、まさに悪用しない——これは悪用というわけじゃないけれども、こういうことが全部予測されてしまったときに、人間の精神、思考能力さえも、それによって規制されてしまうんではないかということです。私はしろうとなりにそんなことを考えてみますると、文部大臣教育の分野というよりも、国民経済の発展のためにと第一章に書いてあるけれども、なるほど国民経済ではあるけれども、国民生活のためには、このコンピューターシステムによるところの情報化社会というものには、もはや経済人の義務として、私は何らか悪用しないということの方策をとっていかなければならぬというふうな感じがいたすわけでございます。こんなことを通産大臣にお聞きすることはいかがかと思いまするけれども、私はしろうとでございまするからこんなことしか聞いてみようとする気が起こらぬのでございますが、いかがでございましょうか。
  57. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 その辺は確かにいろいろな問題を含んでおると思います。コンピューターというものによって一種の社会の大きな革新が来るだろうと私も考えております。しかし、先ほど寿命のことをたとえにお引きになりましたが、コンピューターが盛んになればギャンブルというものはなくなるかというような問題については、やはりなくならないと答えている人が多いようであります。お互い、総選挙というものがコンピューターの結果なくなりましたら、初めから勝負がわかれば、それでわれわれしあわせになるかどうかわかりませんが、どうもそういうこともありそうもない。やはり人間の持っておりますいろいろな複雑な要素あるいは人間関係——それが関係ということに多角的に発展いたしますと、とてもコンピューター考え得る範囲ではないだろうと私は思います。  経済について云々ということをおっしゃいましたが、たとえば一番考えられそうなことは、コンピューターはいろいろなことをそのまま記憶しておりますので、その番地さえ突きとめれば、そこにある記憶を取り出すことができる。そういう場合に、一番プライバシーとか産業の機密が漏洩されやすい。タイムシェアリングになりましたらそうではないかと思われるわけでございますから、そういうことにどう対処するか——経済だけの面で申します。しかし同じことは、もう経済にかかわりません。個人のプライバシーというものは、番地され見つければだれでも全部さがし出すことができるということでは困るわけでございますから、その辺のことが情報基本法というものを考えますときに非常にむずかしい要素であると思います。悪用してはならないという教えもそういうことであると思いますので、それはある意味では原子エネルギーなんかと同じようなことが言えるわけかと思います。そういったようなことをまだどこの国も十分に解決しているとは思いませんけれども、新しい社会における新しいそういうモラルというものは必要でございますし、ことにコンピューターが経済の分野で一番先に使われそうでございますので、やはり最も考えなければならない重要な問題だというふうに思っております。しかし、私それに対する答えは、ただいま存じません。
  58. 塚本三郎

    塚本委員 もう一つだけお聞きしておきたいと思いますが、ここでぜひひとつ、教育の舞台だけでなく、産業人自身が、あるいは産業界自身が、まずそのことを先に考えて進めていただくことが必要じゃないかというふうに思いますので、これをおそらく私だけじゃなくて、素朴な国民指導的位置の人たちは、すべてすぐそのことに思い当たるのではないかというふうに感じますので、強く御検討いただくように要望しておきます。  一つだけお尋ねしますが、この法律が通ることによって実はアメリカとの差がどういう形になるという見通しなのか。あまりにも大きな差があり過ぎると説明されております。十対一くらいの違いになっているという説明でありますが、予算的に見ると、この法律の裏づけとしても、そんなに大きな金額になっておらないようです。これを縮めることができるか、あるいは差を開かせるのを食いとめるといういまの段階なのか。この法律が施行されることによって日本アメリカの差をどういうことを想定して上程なさったのか、そのことだけをお聞きして交代したいと思います。
  59. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私は、元来、われわれ日本人はこういうソフトウエアというものをつくりますのに非常に適した国民に違いないというふうに考えておりますけれども、従来わが国にはそういう需要が比較的少のうございました。と申しますのは、御存じのようにアメリカの場合には、軍でありますとか、あるいはNASAでありますとかというものが、非常にふんだんに金を使いまして注文を出しましたので、ソフトウエアの産業がきょうまで育ったのでございます。わが国にはそういうことがなかった。しかし、これを育てていかなければならないわけでございますから、そういう意味で、ソフトウエアをつくる企業というものを育ててまいらなければならないということが、この法律がねらいとしておる一つの大きな目的でございます。  そこで、この法律が成立いたしまして、ソフトウエア業に対して金を貸しましたりいたしまして、あるいは注文をこの協会が出したりして、振興をはからせるという足がかりを持ちたいと思っておるわけであります。ですが、それと同時に、いつぞやも申し上げましたが、これは人の頭脳の産物でございますので、そういう頭脳を持った人間教育しなければなりませんし、また、教育をする人をつくりあげなければなりません。といたしますと、そのためには相当の年月がかからざるを得ないわけでございます。したがって、この法律ができましたからといって、アメリカとのギャップがすぐに縮まるとはなかなか考えにくうございます。むしろ先方が、いままでの惰性もあり、これからの政府関係等々の支出もあって、まだまだ伸びていくでありましょうから、われわれがようやくここでとにかくスタートを切る、すぐにギャップが埋まるというようなことは、教育関係もあって簡単ではないと思いますけれども、そのためのスタートを切る、こういうふうに御了解をお願いいたしたいと思います。
  60. 八田貞義

    八田委員長 中谷鉄也君。
  61. 中谷鉄也

    ○中谷委員 局長にお尋ねをいたします。まとめてお尋ねをしておきます。  要するに権利の性格についてということで、法文から申しますと、特定のプログラムの利用に関する権利などということばがありましたので、プログラムというものは、はたしてどのような法的な性格を持つのかという点についてお尋ねをしてまいりました。たとえば条文の中には、「対価を得て、普及する」とか、あるいは第五条には「流通」だとか、いろいろなことばがございます。そこで、今後の研究課題であるということも、何べんか御答弁をいただきました。いわゆるプログラムの権利の性格という問題について、将来研究される問題はどの程度あるのか。たとえば、こういう点については問題を詰めてみたいというような点が、私は七、八点ぐらいはあるだろうと思うのです。そういう点をひとつ局長のほうから、一々お尋ねをいたしませんから、まとめて御答弁をいただきたい。これが質問であります。
  62. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 この法律の中でも、たとえば、特定のプログラムにつきまして利用に関する権利というようなことばも使っております。また御指摘のように、流通の促進といったことばも使っておるわけでございます。そこで、お尋ねの点でございまするが、やはりこういった面は、法制的な問題と実態的な問題と両面から検討して詰めてまいる必要があろうかと思っております。  実態的な面から申し上げますと、たとえば、このプログラムというものが利用に供せられる、ある種の対価を支払われるということになってまいりますので、そのプログラムの対価の計算、算定の方法は一体いかなるものがいいのか、できれば標準的な方式というものを検討してみる必要があろうか、こう考えております。こういった点も今後の大きな課題でありまして、こういったものが確定することによって、ここに法律にもございますような、流通の円滑化、あるいはプログラム自身の売買の際における公正な取引といったようなことが可能になってまいるものと考えております。こういった点がやはり実態的な面におけるプログラムに関する今後の問題であろうと思います。  また、法制的な面におきましては、先ほど来御指摘がございましたように、こういったものが、現在の状態でございますると、要するにプログラムの保有者と保有者以外の者との私的な契約によりましていわば保護されていると申しますか、契約上のものとして一つの権利がある。これを使わせる。あるいは譲り受ける、こういったような権利があるわけでございますが、こういった民事上の権利からさらに進みまして、あるいは著作権、特許権といったような関係の法律ないしは全然別個の法体系でやるのがいいのか、こういった面についての検討がやはり必要であると考えております。
  63. 中谷鉄也

    ○中谷委員 対価の点について特に力点を置いて問題を整理をしていただきましたので、ではその点にしぼってお尋ねをいたします。  結局二十八条の問題だろうと思います。二十八条の一項一号の「委託して開発すること。」同じく二号の「対価を支払い」、同じく第三号の「対価を得て、普及すること。」こういうふうにあると思います。そこで、二号と三号との「対価」については、協会運営上何らかの配慮が当然出てくるだろうと私は思うのですが、三号の「対価を得て、普及」というのは、普及という目的とその対価とが密接な関係を生じてくるだろうと思うのです。したがいまして、二号の「対価」と三号の「対価」とは基本においては、先ほど局長が、答弁になったような、標準的な対価を確定をするための一つのプロセス、そういうようなものについて早急に整備をいたしたい、そういうようなお話でありました。よくわかりました。ただ、念のために、条文を読めばそのままもう出てくるわけですけれども、二号と三号の「対価」の評価については、三号の場合には特に「普及すること」という目的があるのだから、この点についての配慮は当然対価の中にあらわれてくるということ。これは中小企業の問題等にも私は関係してくると思いますが、この点については確認的に御答弁をいただきたいと思います。なお、御答弁がありましたけれども、対価について、結局、対価といえば対価なんだといえばそれまでですけれども、どういう点が対価算定の基準、基礎になるのか、このあたりについて一応御答弁をさらに詳しくいただきたい。
  64. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 法律の二十八条にございます二号、三号の「対価」、同じように対価でございまするが、この点についての御指摘は御意見のとおりだと思います。特に三号につきましては、やはり普及をするということとの関連におきまして協会が開発に要した費用。あるいは二号でございますれば、企業が開発したものを買い上げるといいますか、対価を支払って権利を取得するわけでございますから、権利を取得するに必要な対価を支払った、それといわば予想される需要の量、こういったものとの関係でこの三号の「対価」がきまってくると考えております。したがって、この協会におきましては、営利を目的としない協会の性質から申しまして、また、協会の今後の健全な運営の確保といった点から考えましても、当然ここで利益を得る性格のものではございませんから、したがって、支払いました費用を予想される需要で割った価格、こういったことではないかと思います。簡単に申せば、ある種のプログラム協会として権利を取得し一般に普及をするといった場合に、普及を希望するものが十あるとすれば、その利用に関する権利を取得するために支払いました経費を十で割ったもので普及をはかっていっていい、こういうことになるのだろうと思います。  それから、一号あるいは二号の関係でございまするが、現在のところ、先ほど申し上げましたように、こういったプログラムの対価と申しますか、価格につきましては何らかの標準的な方式がございません。私どもが聞いておりますところでは、コストの積み上げ方式──主として人件費が中心でございましょうが、こういったコストの積み上げ方式というものが、大体対価の算定を行ないます基準になっておるようであります。したがって、一号の委託開発ということになってまいりますと、そのプログラムを示しまして、そしてその内容によって、その当該関係者が算定しました金額というものを比較検討してきめてまいることになろうと思いますが、二号になってまいりますと、すでに開発されましたいわば使用済みのプログラムでございまするので、当然、そういったものからいわば減価償却的な費用が差し引かれた残高といったものが、そのプログラムの利用に関する権利を取得するために必要な対価、こういうことになってくるのではないかと思います。
  65. 中谷鉄也

    ○中谷委員 二十八条の三号ですけれども、局長のおっしゃるような場合、私、確かにそれでいいと思うのです。標準的な一般的な場合、需要が十ある、だから計算をしていって十で割る。ただしかし、その需要の見通しというのは、ある時期に十あるというわけでない場合だってあるわけでございましょう。そうすると対価は変動するわけですか。変動する場合もあり得るわけですか。それと、二十八条三号の「対価を得て、普及すること。」というのは、協会の業務として対価を得なければならないわけですか。無償で普及してはならないということをこれは義務づけているわけでしょうか。
  66. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 これは協会の運営のしかたでございまするので、協会ができまして、当該理事者がこれを判断することになると思いますが、おそらく私どもの考えでは、いまお示しの第一点、対価は変動するかということでございまするが、これは変動すると思います。当初十ぐらいということで見込みを立てておりましたものがたとえば二十になったということであれば、やはりこれは値下げといいますか、対価の価格を下げていいと私は思います。そういうことで、できるだけこの協会としては、いわば何と申しますか、営利法人ではございませんから、したがって、需要者の利便のためにできる限り対価を下げるという方向で変動を考えていっていいものと私は考えております。  それから、第二点の無償ではいけないのかということでございまするが、これは法律の条文上、私は無償ということはないと考えていいと思います。「対価を得て、普及する」ということでありまするから、無償でこれを貸し与える、あるいは権利を譲り渡すということは考えられないと思います。
  67. 中谷鉄也

    ○中谷委員 対価というのと普及というのは、相互比較の関係にあるわけで、はかりの関係でございますね。普及をしなければならないことが極端な要求を持っているというふうな場合には、そうすると、要するに対価であればいいのであって、無償でなければいいということなのかどうか。その場合にも正当な対価を必要とするのか。たとえば、先ほど私が大臣にお尋ねをいたしました、国民の意識に関するプログラムをつくろうじゃないか。現在のいろいろな外交、防衛、治安、その他の中において、特に政党などにおいても、そういうものに対する要望というものは私は非常に強いと思うのですが、そういうようなものについて、「事業活動」ということばがあるのでその点特にお尋ねをしたわけです。そういうような場合について、これはもう一度お尋ねしますけれども、無償であってはこの二十八条三号の違反になるわけなんでしょうか。「対価を得て」とあるのだけれども、それは普及との関係において比較の問題であって、普及すること、そういうものを流通させること——この普及と流通、若干違うようですけれども、私はその点あまりこだわりません。そういうものを利用することが非常に社会的な意味を持っている場合には、「対価を得て」ということが協会の業務運営をあくまで拘束するのかどうか。拘束しない場合だってあっていいのではないか。この点いかがでしょうか。
  68. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 法律解釈の面で、「対価を得て、普及する」と書いあります点を、対価を得てでなければ普及してはいけないというふうに読むかどうか。この点、私ちょっと、法律解釈上の問題でありますので、ここでどちらという回答をいたしかねるわけでありますが、協会の目的はあくまで、こういったプログラムを普及するということがやはり重点でございます。したがって、そのプログラムを普及するためにプログラムを取得するわけでございますが、その取得にかかりますコストと申しますか、費用と申しますか、これを得ることが協会としては協会の業務の健全な発展に資するというたてまえからいえば、やはりそれにかかった最小限の費用というものは回収することが、協会の業務としては必要になってまいると思います。これは経理的な面ではそういうことだろうと思います。ただ、いまお話のように、そういったことよりも、プログラムの内容いかんによっては無償で普及することのほうがより協会の目的に沿うのではないかといったようなケースも、あるいは出てくるかもしれません。そういった場合に一体どうするかということは、法律解釈上との関連もありますけれども、協会理事者が、そのケースに当たった場合に判断をして行なうことではないか、こう思います。
  69. 中谷鉄也

    ○中谷委員 たいへんその点にこだわって恐縮ですが、二十八条の第一項六号あるいは八号等との関連においても、ひとつ御検討いただきたいと思います。  そこで、法案についてもう一点だけお尋ねをしておきますが、「流通」ということばと「普及」ということばが法案に出てまいります。この点については、別にこだわらないわけだし、大体その目的、趣旨が違うわけで理解はできますが、答弁を求めておいたほうが適当だと思いますので、「流通」と「普及」、このことばについて、それぞれの差異ということではなしに、ひとつそれの関係をも含めてお答えをしておいていただきたい。
  70. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 「流通」と「普及」という両方のことばがこの法律の中に出てまいりますが、この二つの表現に関しては異なりますけれども、その意味しております内容はほぼひとしいのではないかと思います。ただ、「対価を得て、普及する」という面では、これは取引の当事者に着目した一つの概念。他方「流通」ということになりますと、これはプログラム自体に着目をいたしまして、そのプログラム自体が取引される、そういったことを意味しておる概念、こういうふうに考えてよろしいのではないかと思いますが、いずれにしましてもこの二つの表現は、当事者あるいはプログラムそれぞれに着目した表現であると思われまするので、意味するところの内容はほぼ同じようなものというふうに考えてよろしいのではないかと思います。
  71. 中谷鉄也

    ○中谷委員 最後の質問です。防衛庁お待たせをいたしまして、失礼いたしました。  本法案の審理について資料をいただきますと、防衛庁のコンピューター利用というのは、たいへん他の省に比べて抜群のようであります。そこで、現在のコンピューターの台数、それからそれの導入年度、使用目的。先ほどお答えをいただきましたが、あらためて整理をしていただいて、それの予算額。この程度についてまずお答えをいただきたいと思います。
  72. 安田寛

    ○安田説明員 お答え申し上げます。  現在、防衛庁で使っております事務用の電子計算機の台数は、四十四年度末におきまして三十四台でございます。四十五年度計画しております姿では、年度末に三十九台ということになっております。  それから導入年度でございますが、三十四年度から使用いたし始めまして、三十四年度に一台、三十五年度に一台、三十六年度に二台、三十七年度二台、三十八年度八台、三十九年度十四台、四十年度十七台、四十一年度二十一台、四十二年度二十六台、四十二年度三十一台、四十四年度三十四台ということになっております。  それから使用目的でございますが、一番多く使われておりますのが補給管理でございます。これは自衛隊で使用しております航空機その他の武器類の部品の管理に使われているわけでございます。それから情報検索に使われております。これは一般の民間で使われている姿と同様な目的でございます。さらにまた給与の計算その他を含む人事管理にも使われております。それから科学技術計算にも使われております。それから経理、通信交換その他でございます。
  73. 中谷鉄也

    ○中谷委員 いま防衛庁の御答弁の中で、事務用コンピューターというお話がありましたが、事務用コンピューターということは、何か事務用でないコンピューターというものもあるという前提での御答弁でしょうか。
  74. 安田寛

    ○安田説明員 ただいま申し上げましたのは事務用コンピューターでございまして、一般に産業社会で使われておりますコンピューターでございます。これ以外にバッジのような戦術情報システム、それからさらにまた、ファイア・コントロールシステムと申します射撃用の器材でございますが、こういうようにウエポンシステムに組み入れられたコンピューターがございます。しかし、これらは性質が非常に違っておりますので、一応われわれの内部の取り扱いも別に取り扱っております。
  75. 中谷鉄也

    ○中谷委員 じゃ、防衛庁がお持ちになっているコンピューターというのは、一体何基、何台あるわけでしょうか。取り扱いが違う、所管が違うということでございますが、たとえば艦船、航空機、そういうふうなものにも、当然コンピューターが兵器体系の中で搭載されているわけでありますね。ですから、かなりこの問題は内閣委員会等で問題になっているのだろうと思いますけれども、バッジシステムの中におけるコンピューター、これが三十四台以外にあるということになれば、それは何基、何台お持ちなのか。このあたりはどうなりますか。
  76. 栗林隆一

    ○栗林説明員 ウエポンシステムに組み入れられておりますコンピューター、これをどの範囲のものをいわゆるコンピューター考えるかによって数が違うわけでございまして、私どものほうでは、ウエポンシステムの中にコンピューターシステムを組み入れておるというふうに考えております。その中で、たとえば例で申し上げたいと思いますが、ナイキ、ホークがございますが、これに組み込まれておりますいわゆるコンピューター考えられますのは、現在戦闘指揮装置、この中にTSQ51というのがございます。これが一台ございます。ただ、それらから今度は各中隊のほうにいくわけでございまして、それを受けてその中隊が、いわゆる統制用としまして、計算機を使ってミサイルの発射をするというかっこうになっておりまして、そのいわゆるナイキ中隊統制用の計算機、これは現在十台ございます。あるいはホーク関係で捕捉用の計算機、これが現在十九台というふうに考えております。それぞれウエポンシステムの中に組み入れられております。いわゆる計算機というのをどこまでの範囲を考えるか。たとえば航空機等につきましても上から参りますものを受けて、それをいろいろ計算をする、その範囲までをいうのか。いわゆる計算機という範囲、これによって非常に台数等についても違ってくるというふうに考えております。
  77. 中谷鉄也

    ○中谷委員 そうすると、防衛庁のほうでは、どの範囲をコンピューターというのか、その点についてかなり疑義がある。そこで、その点についての範囲が確定をしないと、コンピューターの定義が確定をしないと、台数等についても答えにくいというふうなお話でございますね。そういうことだとすると、現在審理している法案の立場、法案での定義から何台か答えてください。
  78. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 電子計算機と通常いわれておりますものの範囲がどの範囲かということは、必ずしも明確な定義のもとに使われていないというのが現状でございます。ただ、いまお尋ねがございましたような、特殊な用途を目的といたしまして特別につくられましたもの、あるいは装置の一部として組み込まれたもの、こういったものがあることは確かでございまして、これも見方によっては確かに電子計算機に属するものであると私も考えます。ただ、私どもの立場から申しますと、通産省の生産動態統計におきましては、こういう特殊な組み込み用のものは、実は台数計算に入っておりません。また、今回の法律で考えておりますような、たとえば電子計算機の利用高度化計画、これの対象としての電子計算機のたとえば設置目標ということになってまいりますと、いま御指摘のような、特殊専用のもので機械装置の一部に組み込まれておるものといったようなものは、私どもとしては、この法律の対象となるものではない、こういうふうに考えております。ちょっと事前にそれだけ御答弁申し上げます。
  79. 中谷鉄也

    ○中谷委員 情報検索に使われているコンピューターの数についてはお答えをいただきましたか。もう一度お答えいただけませんか。その点についてまずお答えをいただきたいと思います。
  80. 安田寛

    ○安田説明員 現在、情報検索に使用されておりますコンピューターは一台でございます。
  81. 中谷鉄也

    ○中谷委員 コンピューターの種類、機種等はどういうことになりますか。
  82. 安田寛

    ○安田説明員 HITAC八四〇〇でございます。
  83. 中谷鉄也

    ○中谷委員 防衛庁のほうでは、ソフトウエアの開発状況等についてはお答えいただけますか。要するに、情報検索等のコンピューターをお持ちになっている。そうすると、防衛庁でどんなプログラムをお使いになっているのかというようなことについてはお答えいただけますか。
  84. 安田寛

    ○安田説明員 お答え申し上げます。  防衛庁でとりわけてソフトウエアの開発を行なっているということはいたしておりませんので、一般産業社会で開発されているものを随時利用していく、こういう形でございます。
  85. 中谷鉄也

    ○中谷委員 そうすると、防衛庁でお使いになっているコンピューターで使っておられるプログラム、電子計算機に対する指令——定義をいうと、「「プログラム」とは電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。」この問題については、そうすると、こんなプログラムを使ってます、プログラムはこういうことですということは、防衛庁のほうでは明確にできるわけですか。
  86. 安田寛

    ○安田説明員 お答え申し上げます。  事務用の電子計算機については、ただいまおっしゃったように、私どもから御説明申し上げることができます。
  87. 中谷鉄也

    ○中谷委員 それは、補給、管理、情報検索、全部含めてですね。
  88. 安田寛

    ○安田説明員 一般的にはできます。いずれにいたしましても、防衛庁で特別に開発しているわけではございませんので、一般産業社会で開発されているものを、私どもが対価を支払って取得したソフトウエアでございます。
  89. 中谷鉄也

    ○中谷委員 もちろん、そうすると、その結果についても報告は受けられるわけですね。プログラムについては明らかにしますと言うんですから、その結果についても明らかにされるわけですね。七十一万点機密書類があるということで、この前、予算委員会でたいへんそういうお話をいたしましたが、いかがですか。
  90. 安田寛

    ○安田説明員 結果というのは、あるいは情報を処理したその最後の数値ということでございますか。
  91. 中谷鉄也

    ○中谷委員 そうです。
  92. 安田寛

    ○安田説明員 それでございますれば、先般御説明申し上げましたように、秘密にわたる事項も当然情報の中にはございます。それは当然でございますが、秘密にわたる事項については別途でございますが、そうでないものについては、御所望によりまして御説明いたしたいと存じます。
  93. 中谷鉄也

    ○中谷委員 なるほど。プログラムについては明確にできる、しかしプログラムによって得たところの結果については、秘密の部分と秘密でない部分がある、それでよろしいんですね。きょうは課長さんお二人御出席いただいておりますので、時間も来ているようですからその程度で。いまの御答弁は変更はありませんね。
  94. 安田寛

    ○安田説明員 ただいまのとおりでございますが、プログラムの組み方と申しますか、方式、そういうものについて御説明申し上げることができるわけでございまして、またプログラムはきわめて専門的でございますし、また技術的なものでございまして、これについてとりわけてどういうような説明をすることが適当なのかどうか、ちょっと、ただいま即答いたしかねますが、いずれにいたしましても、その概要について御説明することについてはやぶさかでございません。
  95. 中谷鉄也

    ○中谷委員 最後の質問です。要するに先ほどの御答弁は、プログラムは全体として国民の広場の前に出してもいい、したがって国会の広場に出してもいい——専門的であっても、それは国会で調査する人がいるわけですから。そういうことについての御確認をいただいたわけですね。終わります。
  96. 八田貞義

    八田委員長 去る十七日、横山委員の質疑に対し保留されておりました答弁を求めます。赤澤重工業局長
  97. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 先般横山委員の御質問にございました、協会の業務と税法上の収益事業との関係につきましてお答えを申し上げます。  当協会の経理につきましては、収益事業を区分して経理をすることが必要とされるわけでございますが、当協会の業務のうち、プログラムの貸し付けなどは収益事業となるわけでございます。もう少し具体的に申し上げますと、法律上は、プログラム貸し付け料等の収入とプログラムの開発委託費などの経費との差が課税所得となるわけでございますが、プログラムの委託開発、貸し付けは協会の主要な業務でございますから、収益事業部門の経費のうちには、役員の人件費あるいは協会の総務部門の経費といったものの過半が含まれるものと考えられます。また、協会は営利を目的としておりませんので、収益事業部門で利益が出るような場合が考えられますと、プログラムの貸し付け料を引き下げるといったような方法で、公益を中心にした運営をはかってまいるわけでございますから、実際上利益が生じるようなことはないと考えられるわけでございます。以上のような諸点からいたしまして、私どもといたしましては、協会が納税するということはまず考えられないのではないかと思いますが、なお、こういった点が問題になるような事態が生じますれば、協会の事業運営の全般の面から十分善処をしてまいりたいと考えております。
  98. 八田貞義

    八田委員長 米原和君。
  99. 米原昶

    ○米原委員 時間もありませんし、時間を簡単にするためにも、ほとんど質問は出尽くしておりますから、私たちのこの問題に対する根本的な考え方を簡単に述べまして、そしていままで出てないような点について若干質問したいと思います。  通信回線等を利用したコンピューターによる情報処理技術の量、質ともの拡大は、わが国経済及び科学技術等、国民生活の各分野に広範かつ多岐にわたって重大な影響を与えることになります。情報処理技術は、きわめて大きな将来の可能性を持ち、人類による自然を支配する力量を増大させるものであります。しかし、現状においては、その開発及び利用は大企業の利益にもっぱら奉仕させられ、国民のための利用はまだ大きく妨げられております。わが党としましては、情報処理技術の進歩、発展を支持し、それが国民の利益に全面的に奉仕する方向で研究、開発、利用されるために積極的に努力したいと思っております。たとえば、現在では情報処理技術が真に国民のために開発され、利用されるならば、公害問題はじめ予防衛生、防災、交通、都市計画などの諸問題の解決や国民の日常生活を、より安全に、便利にし、生産流通面の合理的、計画的発展、科学技術の飛躍的進歩等にも大きく貢献するものであります。  しかしながら、現状では、情報処理技術は、国民に対するいわば国家権力の支配の道具としても利用されるし、また、アメリカ日本の大企業による搾取と収奪の有効な手段としても利用される。また、場合によっては軍事目的に利用されるおそれも十分にあります。そして、たとえば情報処理技術の高度化とその積極的な導入は、労働者にとっては、先ほども同僚議員から指摘されましたが、失業、配置転換などの急速な増大、さらに、コンピューター端末機器の操作やテープ処理などの単純労働部門、あるいはサービス部門などへの大幅な職種がえとなったり、コンピューターを取り扱う関係部門の職場では、機械の保守、設備の効率をあげるための深夜労働や交代制勤務の増大、さらに、定時後においてはデータの一括処理、プログラム修正などの作業が加わるため、労働強化が現実に強まっております。さらに、コンピューターの積極的な導入によって労働密度が増大し、いわゆる機械に使われることが多くなるために、受動的な人間や、利己心が強く社会的な連帯心を失った人間を、多数生み出すなどの危険もあります。したがって、ハードウエア、ソフトウエアなど情報処理技術の研究、開発、利用に対する国の施策は、以上の危険な事態を絶対に起こさぬよう十分配慮され、関連する分野にまたがった総合的な計画をつくる必要があります。かつ、その計画の立案にあたっては、導入によって起こり得るあらゆる問題について、日本の科学者を内外に代表する日本学術会議にはかるなど、総合的に検討して十分な対策を必要とします。  以上のことから、当面、私たちは次の基本的立場を守ることが重要であると考えております。  第一に、高度な情報処理技術が、国民生活の向上と安全、科学技術の自主的、民主的、総合的発展のために役立ち、利用されるプログラムを重点的に開発すること。いま国民は物価高、公害、交通事故、各種の病気、その予防問題など多くの犠牲に苦しめられておりますが、これらの否定的側面を克服して国民の利益に役立つプログラム関係技術者、科学者を結集して重点的に開発すること。  第二に、開発されたソフトウエアなどは、国民のだれもが自由に安価に利用できるようにし、かつ、この管理、運営は民主的に行なうこと。  第三に、あらゆる情報及び情報処理技術の運用、利用にあたっては、基本的人権がいささかでも侵されてはならないこと。  第四に、現在の日本の研究、開発と利用はアメリカの強い支配のもとにあって、ハードウエア、ソフトウエアともにひどい立ちおくれ状態にあります。このことが、日本の科学技術のアメリカに対する従属を一そう抜きがたいものにしておりますし、さらに今後も、それがいまのところでは強まる情勢にあります。  このため、これら研究、開発、利用にあたっては、日本学術会議の協力のもとに、大学あるいは国立、公立の研究所を含む自主的、民主的、総合的な情報処理技術の研究、開発、利用計画を立て、かつ、これらの計画実行のための体制の確立と、このために必要な人材の養成を行なうことが不可欠であると考えます。さらに、研究の一そうの発展のために、自主平等、互恵の国際交流も積極的に進める必要があると考えます。  こういうような立場に立ちまして、以下簡単に質問したいと思います。  第一に、この法案の第三条第一項から第三項までは、電子計算機利用高度化計画を定めまして、その目標と方法は通産大臣が定めることにしておりますが、国民生活に重大な影響を与えるこのような計画を、通産大臣のみによって定めることは不当ではないかと考えます。民主的に選出された機関で自主的に立案され、国会の審議を経て定められるようにすべきだと思いますが、この点どう考えられるか、聞きたいと思います。
  100. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 第三条で電子計算機利用高度化計画を定めることになっておりまするが、この計画の内容といたしまして私どもが考えておりますことは、プログラムの面におきましては、たとえば総合統計解析プログラムでございます。そういったような、きわめて先進的であり、かつ広く関係方面の分野で用いられるというような種類のものでございまして、法律にございますように、主として一つの事業分野における情報処理のために、そういう目的で用いられるものというのは除いておるわけでございます。いわばプログラムの中でもきわめて汎用的あるいは基礎的なもので、その一部には、もちろんいわゆるオペレーションプログラムといったものも含まれてよろしいかと思いますが、そういったことをこの計画の対象としたいと考えておるわけでございます。  そこで、こういったようなプログラムでございますので、当然、それをまた応用いたしまして、いわゆる応用プログラムとして、特定の分野に使う基本的、基礎的なプログラムをベースにして出てまいるということはあるわけでございますので、したがって、この法律の第三項に規定しておりますように、あらかじめ関係の行政機関の意見も聴取したいと考えておりますし、また、学識経験者がお集まりでございます関係の審議会にもはかりまして、いま申し上げましたような趣旨で、必要なプログラムにつきまして計画を作成するというふうに考えておるわけでございます。この点でもって私どもとしては、広く関係省全体がこのプログラム計画の作成に関与していただき、いいプログラム計画ができ上がることを期待をいたしておるわけでございます。
  101. 米原昶

    ○米原委員 最初に私が申しましたように、これは今後国民の全般にとって重大な影響を与える問題であります。ですから、いま、各省の連絡とかいろいろおっしゃいましたけれども、やはり通産大臣のみによって定めるということではなくて、もっと民主的にそういうものを立案する機関をつくるべきではないか、この点どうでしょうか。
  102. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 御質問の前に先生からるる御指摘をいただいた点でございますが、もちろん情報化の促進と申しますことが、今後の国民生活の向上あるいは社会経済の発展というものに大きく寄与してまいることは言うまでもないと思っております。また同時に、こういったものが非常に広範多岐な面で今後促進をされてまいりまするので、それぞれに応ずる政策というものも、きわめて範囲の広い、また内容的にもきわめて深みのある政策でなければいけない、こう考えておるわけでございまして、そういった点からいたしますると、先般来の御質問に対してお答え申し上げておりますように、政府といたしましては、全般的なそういった問題を十分検討いたしまして、まあ言ってみれば情報化に関する基本法的なものを早急に固めてまいりたい、こういう考えでおるわけでございます。  この法律にございます高度化計画の内容となるようなプログラムといいますものは、先ほど私が御説明いたしましたとおりでございまして、いわばプログラムの中でも電子計算機に密着をしていると申しますか、電子計算機を利用いたします上できわめて汎用的であり、また基礎的であると思われるものの中から、特に開発を促進する必要があると思われるプログラムをきめたいということでございますので、この法律に定められておりますような手続でそれを定めてまいることが、私どもとしては適当であると考えております。
  103. 米原昶

    ○米原委員 それでは次の質問に移りまして、この法律では、この事業協会は、現在の電子計算機の設置状況からしますと、国民のために使われるべき国家資金が、主として大企業の利益追求のために使われる結果となる要素を多分に含んでいるように思いますが、その点どう考えますか。
  104. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 おことばではございますが、私ども、この協会の業務が特に大企業に片寄って恩恵を与えるというふうには考えておりません。事業協会といたしましては、大企業ともあるいは関係があると思いまするが、大企業、中小企業、あるいはこういった企業だけではなくて公益法人、こういったものも対象に、広く社会全体の情報処理の方向に寄与してまいることになると思います。  また、協会の業務を法律でもって規定をいたしておりますが、これらの業務の内容を考えていただきますと、たとえば情報処理サービス業の育成ということになってまいりますと、現在の情報処理サービス業と申しますものは、主として中小企業の計算をここで集中的に肩がわりをしておる、サービスをしておるというような面もございまするし、また、今後こういった情報処理サービス業が進んでまいりますと、アメリカでは一部行なわれておるようでありまするが、たとえば買いものに関する情報サービスでございますとか、そういう面からも、国民の全般、家庭にもサービスが行き届くようになるというようなことも考えられるわけでございます。  こういった面から考えていただきましても、私ども、この事業協会が一部の大企業にのみ恩恵を与えるというふうには決してならないし、また目的そのものから申しましても、そういうふうに運用する考えはないわけでございまするので、御疑念の点は、いま申し上げましたようなことで御了解をいただきたいと思うわけでございます。
  105. 米原昶

    ○米原委員 この法律にそういうことが書いてあるというのじゃないのです。言われたような面も、可能性がたくさんあることはわかります。しかし実際には、現在の状況からすると、主としてそういうことに使われていくんじゃないかということに多くの人は疑念を持っておるので、それで聞いたわけなんです。  それから第三に、事業協会の事業のうちで、いま言われた情報処理サービス業者に対する債務保証についてはどういうふうになるかということですが、企業規模等による制限はないのか。もし大企業のみに債務保証がされるのならば、それはきわめて不公正なものということになるので、その点は企業規模等によって債務保証の制限があるのかないのか。  それから、情報処理サービス業者といわれているものの中には、アメリカなど外国の会社または個人も含むことになるのかどうか、こういう点を聞きたいと思います。
  106. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 情報処理サービス業者でございますが、現在、私どもの承知しておりますところでは、全国で約三百社余りあると思います。いずれもこの業者自身が中小企業に類するものであろうかと思います。また、こういった業者が、自己の業務を行ないますために必要な電子計算機を導入する、あるいはプログラムの開発をする、こういったような、業務または技術の改善に必要な金を金融機関から借り入れる必要がある場合、この協会に債務の保証を依頼してまいるわけでございます。協会といたしましては、この債務保証の依頼と申しますか、申請の内容が、第七条にこの協会の目的が書いてございまするが、この協会の目的に沿ったものである限り、もちろんそういったことについては十分な審査を行なうわけでございまするが、その審査の結果そういうものであるということであれば、特に必要な限度を設けるとか、あるいは相手方によりましてたとえば大中小の区別をするとか、そういうふうな運営は行なうべきではないと私は考えております。したがいまして、いま申し上げましたような、情報処理サービス業者の実態に応じ、内容を十分審査し、そしてこの協会の目的に沿う限りにおいては、協会としては、いわばこの協会の事業予算の範囲内において有効にその金が使われるように運営をしてまいるべきである、こう考えております。
  107. 米原昶

    ○米原委員 アメリカその他外国資本は……。
  108. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 現在のところ、まだ、そういった外国資本が入ったような情報処理サービス業があるとは考えておりません。今後こういった面での外資の導入、いわばジョイントベンチャー等の点でございますが、こういった点につきましては、ケース・バイ・ケースで慎重に外資導入の許可の場合に処理をしてまいることになると思います。ただ、現在の日本における情報処理サービス業者の実態がきわめて弱体でございますので、私どもとしては、こういった外資企業の進出ということに対しましては、先般来通産大臣も申し上げましたように、きわめて慎重な態度で、国内のサービス業者等が相当程度育成をされ、こういった外資にも対抗できるという状態になるまでは、私どもは消極的な態度でこれに臨んでいきたい、こう考えておるわけでございます。
  109. 米原昶

    ○米原委員 その次に、開発されるプログラムが国民の全生活に重大な影響を与えるので、この協会は民主的に運営する必要があると思います。そのために、役員の人選にあたっては、あるいは日本学術会議にはかるとか国会の承認を受けるなどの措置をとる必要があるのではないかと思いますが、この点はどう考えますか。
  110. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 この協会は、法律にもございますように、民間側が発起をいたしまして、協会の設立手続をするわけでございまして、いわばその中心となるのは民間の発意でございます。そういった点から、協会の役員につきましても、まず民間のこの協会を設立いたします発起人が選んでまいりまして、通産大臣の認可を求めてまいるわけでございます。そういった意味からいたしまして、役員につきましては、ここにもございますように、それ相応の知識、経験等を持っておる方々を中心に選んでいくことになろうかと思います。本来この協会の性格は、いま申し上げたような民間発意と申しますか、民間がまず発意して協会をつくるという性格のものでございますので、私といたしましては、この協会の役員の選任等につきましては、この法律の条文にあることで適当ではないかと考えております。
  111. 米原昶

    ○米原委員 それでは、大体、役員というのはどういう人がなるような予定でおられるか、その点がわかっておりましたら聞かしてもらいたい。
  112. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 この協会の設立につきましては、あらかじめ関係の団体等にもいろいろと説明もし、また御協力も得ております。御意見等も聞いておるところでございます。そういったところで、この法律によりますと、発起人十五名以上ということに相なっておりますが、この協会の発起人自体もまだ確定をいたしておりません。こういったことでございますので、この発起人が設立をいたします協会の役員につきましては、いまの段階ではまだ、特にどういった方を理事長に、あるいは理事にというふうなことは、民間側においても、また私どもこれを認可をいたします政府サイドにおいても、全くきまっていないというのが実情でございます。
  113. 米原昶

    ○米原委員 これは先ほど同僚議員の質問にもあった点なんですが、開発されたプログラムが非常に広範囲に、いろんな会社あるいは中小企業、法人、個人にも自由に利用できるような体制をつくっていく必要があるのではないか。ことに大型電子計算機を持ち得ないようなところにも利用できるような体制をつくる必要があるのではないか。先ほどの御答弁では、たとえば中小企業が共同で利用できるようにするために、中小企業振興事業団の保証で融資するというような話がありましたが、しかしこれは、単なる融資だけでは非常に弱いのじゃないかと思うのです。融資だけでは、とてもそういうものを設置するには力が足りない。政府が相当思い切った援助をして、そうして大型電子計算機がそういうところに設置できるようなところまでみずから援助するくらいの体制を考えないと、実際は主として大企業に利用されるような結果になるというふうに考えるのですが、そのあたりをどう考えておられるか聞きたい。
  114. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 中小企業の面におきます情報化の促進と申しますか、コンピュータリゼーションは、もとよりこれから先、私どもとしても重要な施策の一つとして今後ますます拡充してまいる必要があると考えております。先ほども御答弁申し上げましたように、中小企業の個々の業者が電算機を事務の合理化、経営の合理化のために使うということが望ましいわけでございますが、なかなかそういった事情にもございませんので、共同で電算機を設置するということをまず促進しようというのが、現在私どもの中小企業庁がとっておる措置でございます。  いまお話しのように、そういった面だけではまだ不足であって、むしろ何か特段に政府がこの面について施策を進めるべきではないか、こういう御意見でございますが、現在の中小企業振興事業団によります資金も、きわめて長期、低利のものでございまして、一般の金融機関ではとうてい考えられないような措置をとっておるわけでございます。現状におきましても、やはりなかなかこういったことの推進をするといってもおのずから限度がございますので、私どもとしては、当面こういった制度をさらに拡充強化をしていくという方策で臨みたいと考えておりまして、四十五年度におきましても所要の予算を計上し、今後その成果を見ながら一そうこれが拡充強化につとめてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  115. 米原昶

    ○米原委員 終わります。
  116. 八田貞義

    八田委員長 本会議散会後委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時三十六分休憩      ————◇—————     午後三時四十一分開議
  117. 八田貞義

    八田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村重光君。
  118. 中村重光

    ○中村(重)委員 総理の時間が少ないようでございますから、簡潔にお尋ねをいたします。  御承知のとおりに、情報化時代といわれておりますように、わが国の産業、経済、文化の発展に情報の果たす役割りは非常に大きいと思うわけです。特に情報コンピューターによるものが絶対でございます。ところが、これを指導する政府の取り組みというものは、私は非常におくれておると思います。したがいまして、情報化政策を強力に推進をしていくということになってまいりますと、政府全体の統一政策を確立をする、そこで総合的な計画を策定をしなければならないと思うわけであります。そのためには、行政措置といたしましては、やはり閣僚会議の設置が必要ではないかと思います。立法措置といたしましては、情報化基本法の制定が急がれなければならないと思うのでありますが、この提案に対して、総理はどのようにお考えになっていらっしゃるのか、まずその点についてお答えを伺ってみたいと思います。
  119. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 閣僚会議はけっこうだと思いますが、いまの状態ですぐ基本法と、これは私ちょっとまだ早く、政府自身もちょっとまだ検討、研究が十分積んでないように思います。
  120. 中村重光

    ○中村(重)委員 情報化基本法……。
  121. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 いま申し上げたとおり、基本法はちょっと早いように思っております。
  122. 中村重光

    ○中村(重)委員 どうも総理のお答えは、お役人の書かれたメモによっての御答弁ではないかと思うのです。私はそのような取り組みではだめだと思うのですよ。いま、閣僚会議の設置が早いとか、基本法の制定が早いということは、問題があると思う。そうではなくて、やはりすみやかにこれを提案するということでなければならないと私は思う。簡単に早いと言うことについては納得いたしかねます。しかし、きょうは議論しておりますと時間がありませんから……。  次に、通信回線の開放についてお尋ねをいたします。  御承知のとおり、郵政審議会の答申によって、公衆電気通信法の改正案が今次国会に提案をされるというようにいわれておった。ところが、自民党の党内事情であるとか、いろんなことでこれが見送りになったようでありますが、これをいつごろ御提案されようとするお考え方であるのか。それから、巨大企業は、いま公社が独占しておりますところの通信回線の開放、自由化、これを非常に強く要求をいたしておるようでございますが、これには反対もある。そのことが、今回の公衆電気通信法の改正を見送りになった点であろうと思うのですが、このいわゆる開放、自由化についてはどのようにお考えになっていらっしゃるのか。  それから、時間の関係がありますから、続いてお尋ねをいたしますが、コンピューターによるところの公害防止対策ということをこの際考えるべきではないか。先日、当委員会に参考人をお呼びいたしましたが、稲葉参考人もこの点は非常に強調いたしておるようであります。工業地域による公害というものは、御承知のとおり、大きな政治問題であり社会問題であるわけですね。ところが、この公害対策というのを、現在のように、一工場であるとか、あるいは一地域に限ってやるということではなくて、国全体の対策といたしまして、ナショナルプログラムによるところの公害対策をやったらどうだ。御承知のとおり、アメリカのアポロ計画は大きな役割りを果たしているわけですが、この点に対して総理はどのようにお考えになるのか。まずこの二点について考え方を伺ってみたいと思います。
  123. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 基本法につきましては、先ほど総理も言われましたように、御承知のように、いろいろ問題がございますから、できるだけ各省間で協調していたしますが、なかなかすぐに御提出を申し上げるという結論に至らないことは、御承知のとおりでございます。  電気通信法の改正は、今回提出いたそうと思いましていろいろいたしましたが、これも、電電公社としては初めての、いわゆるトライアルでない最初の問題でありますだけに、とうとう問題を整理し切らずに、これは次国会には、私ども関係者みんな提出をいたしたいと政府部内で考えております。その際、やはり公開ということが一つの原則になるというふうに思っております。  公害につきましては、公害予測のためのプログラムというものを、私どもの役所なんかでも実は考えかかっておりますし、また大気汚染などにつきましては、翌日の天気の風向きだとか温度だとかということを考えまして、ある程度燃料等の排出についても注意を促すというような制度が、ぼつぼつ生まれつつあるところでございますが、今後コンピューターが非常にこの分野では活躍をすることになろうと思います。
  124. 中村重光

    ○中村(重)委員 通産省の関係の問題ではなくて、政府全体の問題ですから、私は総理から、御出席を願ったのですから、ひとつお答えをお願いいたしておきます。  次に、コンピューター教育についてお尋ねをするのですが、私は、このコンピューター教育というのは、今日的課題になっておると思うわけでございます。そこで政府は、どの程度の規模と速度でこの情報化教育を進めていこうとしておられるのか。端的に私はお尋ねいたしますが、高校であるとか義務教育の小中学校教育課程に、情報化教育を入れていこうというようなお考え方があるのかどうか。検討しておられると思うのですが、この点はいかがでございましょう。
  125. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 事柄が新しいだけに、私で答えられることもありますが、専門的な通産大臣からお答えする、これは別に軽くした意味じゃございませんから、その点は御了承いただきたい。私も関心は持っておりますが、十分説得するだけの知識がまだございませんから、これを正直に告白しておきます。  いまお尋ねのような点も、ただいまちょうど日本国内で養成中じゃないか、かように思っております。だから、先に進んで、そういうものをいつになったらできるか、こういうようなことを聞かれましても、ただいまちょうど養成しかけたというような、その程度でございますから、もうしばらく成り行きを待っていただきたい。しかし、政府自身がもっと馬力をかけて、速度を速めて、そして時代の要請にこたえるようにぜひしたい、かように思っておりますが、いますぐということは無理です。
  126. 中村重光

    ○中村(重)委員 まあ総理が率直にお答えになったのですから、わかるのですよ。しかしもう情報化時代ですよ。アメリカとの大きなギャップをどうして埋めるかという問題ですよ。いま総理が、そういったような、あえて不勉強と言うのですが、そういう取り組みでは私はだめだと思うのですね。これはわれわれが情報化問題をこの委員会でも実は真剣にやっておる。基本法を先に出すべきだ、そして私どもがいま審議しておるような協会法案なんというものは基本法に基づいて出す、これは当然なことです。ところが私は、全く政府が怠慢というのか、無責任というのか、いまのような取り組みではどうにもならぬと思います。  そこで、これは基本的なことになろうと思うのですが、情報化政策の原則というのが実はあるわけですね。この原則についてお尋ねをいたしますが、この情報化政策を進められるにあたっては、三つの基本原則が提唱されている。第一は平和利用と国民生活の優先。二つには、民主的管理それから公開、平等のサービス。三つには基本的人権の保障であるということだと私は思うのです。  第一は平和利用ですから、軍事的にはこれを利用しないということが私は当然なことであろうと思うのです。第二は、これはあえて申し上げるまでもなく、民主的管理、公開、それから平等サービスということですから……。この第三は、プライバシーの保護、基本的人権の保障であると私は考えるわけであります。したがって、伝えられておるような一億国民総背番号、こういったようなことは、よもやまじめに政府がお考えになっておることではないと思うのですが、しかしこれは事実伝えられておる。そうして大きな不安を与えておることは間違いないわけですが、この点についてはどのようにお考えになるか、ひとつ所信を伺ってみたいと思います。
  127. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 いまあげられた三原則、一、二、これはもう問題なしに私も賛成でございます。ただ三の場合、プライバシーの問題というのは、これは実際問題としてなかなかむずかしい問題があるだろうと思います。宮澤君からその点についてお答えします。
  128. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは非常にむずかしい問題でございますけれども、たとえば私が私だけのパスワードを持っておりまして、それを初めに打たなければコンピューターが動かないということにするというのは一つの案だと思います。それは私のパスワードが盗まれない限りは、私の情報は漏れることがない。それから、もっと注意深く考えましたら、私が自分の情報をパンチに埋め込みますときに、なまのままでそれが出たんではわからない。つまり、それをもう一ぺんコード化しておきましたら秘密は守れる、そういうような方法は当然考えられなければならないと思います。
  129. 中村重光

    ○中村(重)委員 総理いかがですか。第一の平和利用、これは軍事目的にはこれを利用しない、この点いかがでしょう。
  130. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 先ほどお答えしたように、簡単に一と二には賛成でございます、問題ない、かように申したのは、賛成だということです。
  131. 八田貞義

    八田委員長 横山利秋君。
  132. 横山利秋

    ○横山委員 私の質問は二つであります。一つは、総理でなければ答弁できないことであります。通産大臣も答弁できないことであります。いま、総理、政府には百五十四台のコンピューターがあります、四十四年度。それで、レンタル料が去年の予算で六十六億、買い取りが六千万、合計六十六億六千万。実に膨大なレンタル料と買い取り機械であります。その機械が、大きな省ですと三十四台持っている省、一つしか持っていない省、各省全くばらばらで、機械の機種もみんなばらばらで、コンピューターの利用率もまたばらばらなんであります。もし理想的にいうならば、一つの機種で総合的、効率的利用ができたならば、非常なすばらしい財源の節約になります。現にアメリカの例を引きますと、PPBSが国防省に開発されると、大統領命令によって各省に導入を指示し、コンピューターの予算が三十億ドルに達すると、予算局、調達局、標準局でそれぞれの部門を担当するように指示し、全体の効率化をはかりました。そして以降にもう一つ重要な立法は、公共放送法を作成した。ことごとくこれ大統領の指示によって行なわれておるわけであります。いまこのまま放置いたしますならば、本年度の予算を見ますと、情報産業経費は、政府部内で百八十六億、政府機関で五百十五億。地方自治体でまたたいへんなコンピューター関係情報産業関係の経費で、私は本委員会で、これは総理に十分検討して答えてもらいたい。明らかにこれは税金のむだづかいが膨大に行なわれている。もしも一つの機種で総合的、効率的利用をしたならば、べらぼうもない財源が生まれてくる。政府は一体何をしておったんだというて聞いたわけであります。いかにして、この今後どんどんと発展をいたすコンピューターの、政府部内、政府と地方自治体等、有機的な効率的使用をどうするか、これが総理大臣に対する質問であります。
  133. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 いま言われるように、コンピューターが始まって、中央各官庁同士もそれぞれ機種が違っておる。さらにまた、地方との関係におきましてもそれぞれ違う。そこでたいへんな問題が起きておるわけであります。そこで、すでに御承知のことと思いますが、政府は四十三年の八月に「政府における電子計算機利用の今後の方策について」、こういう閣議決定をいたしまして、この決定に基づいて行政管理庁に情報関係七省庁連絡会議というものを設けておる。またさらに工業技術院に、二十七省庁からなる電子計算機利用技術研究会、こういうものを設けて、プログラムやその他の面で、これをいろいろできるだけ効率化をはかっていく、融通がはかられるようにしよう、こういうことをいまやっておるわけです。で私は、しばしばコンピューターを使う連中に言っておることは、ただいま横山委員が指摘されるような、同一機種になること、これは、たいへん予算的にも効率化し、むだづかいがなくなり、またその後の使い方でも非常に成績をあげるだろうと思います。ところが、これはなかなかむずかしい問題があり、メーカーのほうから見れば、売り込みなりあるいは貸し付け、そういう運動がたいへんです。そこで、いままでも片一方で、そういうものの中に巻き込まれるととんでもない汚職を起こすんじゃないか。新しい技術、機械を導入することはけっこうだが、そのために官吏の綱紀がゆるんでくる、こういうことになると、コンピューターによっての成績より以上のマイナスの面が非常に大きいんだということに、実はなるのでございますので、そこで、このむだづかいも心配だが、あまり積極的に、いまのような状態でどれがいいとなかなかきめかねる。その状態のもとで非常に早まったやり方は、どうも政府自身慎むべきじゃないか、こういうことで、私どもいま各省庁の連絡会議で、そのいずれがいいか。また、今日のようにはんらんした状況、それならば一体どうしたらオンライン、そういうようなこともできるか、可能なのか、こういう点をいろいろ研究さしているわけです。とにかくいまはんらんしている状態、しかもそれがどこへまとめればいいのか、それがまだきまらない、こういう状態でございます。その、言われることはよくわかりますけれども、私は、もうしばらくよく見ないと、これはむしろメーカーに利用されるというようなことにもなるんじゃないか、そのほうを非常に私おそれて、注意をしておるような次第です。
  134. 横山利秋

    ○横山委員 総理、一つの省でも同じことなんですよ。一つの省で三十四台使っておる省でも機種が統一できない。あなたの言うようなことを言ったならば、課によって、部によって、違う機種を使うことになるのですよ。あなたは、総理大臣としての責任と判断において、このむだづかいをやめさせるべきではありませんか。現にアメリカでやっているじゃありませんか。そうしてあなた、もう少し発展しなければ様子がわからないと言うけれども、既成事実がもうどんどんどんどんでき上がっていくのでありますから、適切な時期に適切な判断をしなければだめだ。これは総理大臣、たいへん御勉強不足で、優柔不断で、いたずらにむだづかいを継続するのみにとどまる、こういうふうに私は考える。御意見ありますか。
  135. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 各省庁、その省の中でいろいろ機種が違う、こういうようなことは厳に戒めなければならぬ。また中央と地方との間でやはり違っている。これは、それぞれの自治体自身が自主的にきめている問題なら、別にとやかく言うべき問題じゃないと思いますが、しかし、出先の機関がまた別のような状態だということではいけません。これは、私どももやはり注意をして、そういうものの乱れがないように、そうしたいと思っております。しかしアメリカで各省庁それじゃ全部同一か、私はまだそこまではアメリカでもいってないと思う。それはちょっと無理ですよ。あれだけのメーカーというものがあって、それぞれがどこか違っている。そうしてやっている状態で、これをこちらのほうで統一しろと言ったって、それはちょっと無理じゃないかと思います。しかし、それよりもやはり、機種は違っていても同じように利用できる、そういう方向考えるほうが、いまのような問題に巻き込まれなくて済むんじゃないか、私はそのほうを、後者のほうをとります。だから、機械は違っておりましても相互に融通ができるような、そういう知恵をひとつ出すべきじゃないだろうか、かように思っております。
  136. 横山利秋

    ○横山委員 先ほど中村委員質問に対して——私も基本法を早く制定すべきだと言うんですけれども、一体、基本法は何省が責任を持って検討し、国会へ提案をすることになりますか。
  137. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 基本法の姿を考えてみますと、せんだっても申し上げましたが、教育の問題がありますし、情報処理技術の開発などのこともございます。いまお話しの標準化の問題もございますし、電気通信回線利用の問題もございます。それから、官庁における処理というような問題、それから財産権としてのプログラム、そういうようないろいろ問題がございますから、まあ政府部内一緒になりまして……(横山委員「一緒では無責任です。」と呼ぶ)その上で一番、どう申しますか、これはしかし、一緒に研究しなければこの法律はとうていできませんので、その上で内閣の責任において提出をするというふうに考えます。
  138. 横山利秋

    ○横山委員 総理大臣以下、通産大臣の御答弁はたいへん不満でございますが、時間がございませんので……。
  139. 八田貞義

    八田委員長 松平忠久君。
  140. 松平忠久

    松平委員 端的に伺いますけれども、総理、総理府ではどこの機械を使っておられますか。
  141. 河合三良

    ○河合政府委員 お答え申し上げます。  日本電気の機械を使っております。
  142. 松平忠久

    松平委員 この年鑑によりますと、総理府では日本電気の機械とIBMの機械を使っておりまして、日本電気の機械は一台しかありません。IBMの機械は二機種あります。河合君、それは総理に報告したことがあるのかどうか。
  143. 河合三良

    ○河合政府委員 お答え申し上げます。  まだ御報告申し上げてございません。
  144. 松平忠久

    松平委員 私がいま言ったことについて、IBMの機械を二機種使っておるということと、日本電気の機械を一種使っておるということは、あなた認めますか。
  145. 河合三良

    ○河合政府委員 お答え申し上げます。  お示しのとおりでございます。
  146. 松平忠久

    松平委員 それじゃ、初め言ったことは間違っておったことになる。総理府自体が外国のIBMの機械を使っておるわけだ。総理、こういうぐあいに、総理にまだ報告していない分が、私はずいぶんあると思うのです。そこで、総理がいま、よく様子を見てと言われるのはよくわかります。この間参考人も、一体日本の基本法のようなものはどうするんだ、君の考えはどうだと、ここで皆さんから聞いたところが、それは大体二年か三年の間にやらなくちゃならぬと思う、そういうことを北川参考人も稲葉参考人も言っておったわけです。しかし、それはだれがやるんだと言ったところが、これはどうしても総理大臣にやってもらわなければしょうがない。いろいろ意見はありますけれども、総理がやるべきだ、こういうことを参考人は申しておったわけです。いま総理がここでもっておっしゃったことは、要するに、もう少し様子を見ているんだ、そういうことでありましたが、私はここで伺いたいのは、だれがどの機関を通じて見ているのかということなんです。見ているといっても、だれが一体研究し、どういう機関がこの状態を見て、そして総理に報告をするのか。総理が一々全部聞いて歩くということじゃないと思うんです。政府部内におけるそれぞれの機関が責任を持って研究を遂げて、そしてそれを集約して閣議で報告してやるのでありますけれども、そういうことをやる機関は一体だれなのか、それが私にはよくわからない。したがって総理も、ただ見ているということだけれども、これでは私は責任体制はとれないと思うのです。いま横山君が言いましたように、ここに出ていますけれども、いまのようなぐあいに、総理府自体が全然違った二つの機種を使っているということ。それはもう至るところそうなんです。そういうぐあいにまるっきり統一がない。じゃ、いまは実験時代かといったら、実験時代というにはあまりに金をよけいに使い過ぎているんです。ですから私は申し上げたいのですけれども、総理は、二、三年のうちにおそらく決心をされて基本法を出すということになるだろうと思うけれども、そういう基本法を出すなり、あるいはそういう事情の変化というか、あるいは体制の変化というものを見きわめていくという機関は、現在一体だれなのか。現在から始めなくちゃならぬ、こう思います。その点について総理のお考えを伺いたい。
  147. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私は、そういうことは行政管理庁がやるべきだろうと思います。しかし、いまの機種の統一というか、この点は、そうやかましく言われてもいかないんじゃないか。先ほど申しましたように、データがどの機種にも乗れる、データのつくり方で乗れさえすれば事は足りる、かように思いますので、それらの点もやはりくふうすべきではないだろうかと思います。むしろ、いまの通信回線、これをどういうように開放するかという、機種の選定といまの施設の開放の問題と両方の問題があるだろう、かように私は思っております。  そこで、先ほど言われる参考人の意見も、相当皆さん方お聞きだったようで、私は聞いておらないが、いま松平君から御紹介になりましたが、私も、こういう点はいつまでもほっておくつもりじゃございません。だから、そういうことができるだけ早くと、こういうようなお気持ちだろうと思いますので、できるだけそういう方向でいまの基本法と取り組む、そういう姿勢が望ましい、かように皆さん方もおっしゃるんだろうと思います。私もそういう方向でありたいと思います。だが、これはその点では、いついつ基本法をつくる、かようには申し上げませんが、これは、できるだけ早くそういう状態の材料をそろえるとか、あるいは人員の養成をもっと積極的にやれとか、いろいろな問題があるだろうと思いますから、そういうものをそろえた上でただいまの基本法、これはさっき中村君から三原則みたいなものが出されておりますから、そういうようなものがやはり中心になってでき上がること、これが望ましいんではないだろうか、かように私は思います。
  148. 松平忠久

    松平委員 率直なお答えなんですけれども、私も機種について、いろいろな機種があるということについては、これは何でもかまわぬと思うんです。機種については、それぞれ特徴がありますから。しかしそれは、コンバージョンシステムを開発してやれば解決できる問題だと思うんです。だがしかし、私が申し上げたいことは、アメリカにおいては御承知かもしれませんけれども、いま言われておることは、ほとんど五〇%ぐらい、政府関係におきましてはオンラインのシステムによってやっていくようになる、こういうことを言われておるわけなんですけれども、日本におきましては、各官庁においては、オンラインのシステムというものは行なわれておらない。そこで、いまこの法案は、オンラインのシステム、ソフトウエアというものを開発をしていくということなんだ。そこで私は、国自体が予算をどんどんつぎ込んでやるということであるならば、これは早く成功すると思うのですけれども——アメリカの例をもってするならば、宇宙開発ということをやっておったからアメリカはこれだけ発達したと思うのです。したがって私は、政府自体がもっともっと能率的に仕事をしてくれるとか、あるいはもっと国民の福祉関係のことについて積極的にやっていくとか、そのためにオンラインシステムを使っていくというようなことになるならば、自然にそこへ国は金を出していくわけです。国が金を出していくということによってこれの非常な発展を促していける、こういうように思うのです。したがって私は、その点をひとつ認識を改めていただきまして、そしていまのうちに、行政管理庁でもいいのですけれども、どこかでそれをにらんでおる、こういうものが必要じゃなかろうか、こういうように思います。いまは、各大学だろうが官庁だろうが、ばらばらでやっておるということなんで、その点が私は非常に遺憾だと思います。  そして、そのことについて、いま総理もちょっと触れられましたけれども、この情報化時代というものが進展してくるということになりますと、あらゆる点について旧制度というものを新しく考え直さなければならない、こういうことになると思うのです。たとえば教育にいたしましてもそうでありますし、それから、ひとつあとで質問をしたいと思って呼んでおりますけれども、たとえば商法というようなもの、これもやっぱり会計法規というものがいまの制度でいいのかどうか。つまり、簿記のつけ方とか、あるいはどんぶり勘定はいけないとか、そういうものを全部スタンダードにしていかなければならない。それだから、いままでの旧社会制度というものに再検討を加えていくということになるわけです。したがって私は、そういうものを総合的に判断をしていくという専門的な機関というものが必要じゃないか。各ばらばらにやっておるということは、いたずらに金をよけいに使うし、そうして効果もあがらない、こういうように思うのです。今後、おそらく三年以内には、参考人も言っておるようなぐあいに基本法というものもできると思うのです。したがって、そういう場合に間に合わせるというためには、私はやはり、行政管理庁でもいいし、総理府でも、どこか適当なところでいいのですが、それをにらんでおる機関があって、それを手足のように総理が使っていって、そうして正確なる判断のもとに日本の行くべき方向というものを見定めていかなければならない、こういうふうに思いますけれども、そういうことについてどうですか、総理のお考え方は。私の意見に賛成であるかどうか。
  149. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 これはもう新しいものでございますし、またいま言われるように、利用がどこまで発展していくか、この考え方いかんによってはたいへんな効用もあげ得る、かように実は思います。そこで、さっきのようなプライバシーの問題、それをひとつ気をつけろ、こういうような問題があるわけですね。平和利用、公開、たいへんけっこうだが、プライバシーまでそれではじき出されても困る、こういうこともございますが、どういうように使って、またどういうような効用を発揮さすべきか、ここに一つの問題があるように思いますし、また機械のあるところだけで、その効用を自分のところだけで壟断しないで、これはやっぱり他からも要望があればその結果を使えるような、そういうシステムも必要だろう。いろいろくふうが、この問題をめぐって新しい社会ができてくるのじゃないか、新しい世の中ができるのじゃないか、かようにも私思います。そういうようなことが、ただ、いまのところでは、こういう場合にどうなるとか、ああいう場合にどうなるとか、あるいは簿記をつけるようなものはもう一切なくなって、機械でみんなそういうものは記帳されるとか、あるいはまた、預金やなんかにしてもすっかり変わるというような、いろんな応用、利用の面が拡大していくだろう、そこにまだ十分の見きわめがついていない、ここらに問題があるわけでございます。いま言われるような諸点が合わされて、そうして一つの新しい産業形態、同時にまた利用形態、そういうものが生まれてこなければならないのだ。とにかく、それにおくれないように、いま皆さんから政府を鞭撻されているのだ、かように私思っておりますので、そういう意味でお知恵も拝借しながら、さらにかけ足で諸準備を進めるようにしたいものだ、かように思っております。
  150. 松平忠久

    松平委員 最後に、御答弁は必要ではありませんけれども、ひとつ御考慮を願っておきたいと思います。  それは、ここでしばしば問題になりましたけれども、情報産業という名前なのです。いまもうほとんどが情報産業情報産業ということになっておりますから、これを直すことはなかなか困難ではなかろうかと思いますけれども、しかしながら、どうもあまりいい感じを与えません。情報という名前は何かシークレットなイメージのようなものがありましてぐあいが悪い。それから、この情報という文字は中国の文字である。それで、中国での観念はどうかといえば、情報というものはシークレット・インフォーメーションです。したがって私は、つまらぬところに誤解を生ずるというようなことは、まずいのじゃないかと思う。いま、日経だと思いましたけれども、あそこの記者が北京で抑留されております。その原因は何かといえば、この情報ということなのです。情報ということばを本社が使ったということが一つの大きな問題なんです。そういう通報をよこしたときに、いい情報をくれた、こういうことを言ったのが検閲に引っかかったのです。そしていま抑留されている、こういうことがあるのです。ですから、このことばは日本だけのことばではなくて、情報というのは中国のことばなのです。したがって私は、このことばをやはり何かほかのことばになさったほうがいいのじゃないか。これを国民的にするにはどうもまずいのですよ。そのことを、総理も、それから通産大臣も考えられてみたらどうか、こういうふうに思います。それは希望です。  以上で終わります。
  151. 八田貞義

  152. 石川次夫

    石川委員 たいへん時間がありませんので、答弁をあえて求めません。要望を申し上げておきます。  それは、情報産業などということは必然の宿命みたいなものでありましょうし、将来おそらく日本産業の構造を三割から五割変えるだろう、こういわれておるわけです。この情報産業時代になれば、はたしてこれは非常にバラ色の世界が来るのか、あるいはまたそうじゃなく、それは単なる幻想で灰色になるのか、その二通りの見方があるわけでありますけれども、まあバラ色だという見方からすれば、手近に豊富な情報がすぐ得られるということもあるし、また、コンピューターがいろいろNC工作機械や何かを駆使することによって、人間の作業を代替するということで生産性が高まるし、それによって労働時間が短縮をされるという面が出てくるし、したがって生活内容というものも向上がはかられるという見通しができるわけであります。そしてまた、レジャーというものが生まれて、レジャーを謳歌できるのだというような、非常なバラ色の面があるわけですけれども、反面、先ほど来質問がありましたように、プライバシーの侵害というものがアメリカで非常に大きな問題になっておるわけであります。それから、これからは、労働と資本の対立という本質的なものは変わらぬでありましょうけれども、しかし、今後の現象としてあらわれるものは、コンピューターを中心とするいわゆるテクノクラート、そういうものとその他のものというふうな形で、労働問題の条件というものがだいぶ大きく変わってくるのじゃなかろうか。それからまた、これはいま人手不足でありますから、そんなことはあり得ないとおっしゃるかもしれませんけれども、アメリカあたりで非常におそれているのは、徹底した情報化というものが進めば、たいへんな新しい意味での失業というものが生まれるであろう、こういう問題が提起をされておるわけであります。それから、私が一番心配をしますのは、資本主義時代だからというわけではございませんけれども、現在でも人間疎外、人間性否定ということがいわれております。しかしながら、これから売らんかなの情報がふんだんにはんらんをするということを通じて、あるべき人間性というものがゆがめられてくるのではなかろうか、こういう心配がされてならないわけであります。こういう、バラ色にするか、灰色にするかという面では、ひとしく政治の大所高所に立って、情報の面を片方で推進をしなければならぬけれども、それによって生ずるところの弊害というものにどうやって対処し、これを解決していくかということを考えながら情報産業というものを進めなければならぬという点を、ひとつぜひ総理においても十分これからお考えをいただきたいということが第一点であります。  それから、情報化社会ということになれば、産業の問題だけでなくて、教育の問題から通信の問題労働の問題あるいは行政の問題、いろいろな点に非常に大きな影響を与えるわけでありますけれども、特にいま行政の問題では、行政管理庁というふうなものが中心になるというお考えもあったようでありますけれども、これはとうてい行政管理庁では処理できる問題ではないと思うのです。やはり内閣総理大臣が指揮をして、閣僚会議とか、あるいは膨大な審議室とか、中核をつくってそこで対処していかなければならぬきわめて重要な課題ではないかと私は思うのです。いままでの縦割りのセクショナリズムというものは、この審議室  情報化というものが行政の面で合理化されていきますと、いわゆる横割りの行政で対処するような組織がこれからも生まれてくるという道が開けるのではないかという面が一つ。それから地方行政と中央との関係をオンラインでやりたい。遠距離即時通信というのでありますけれども、これによって全部つないでいくというような必要性が当然出てくるのではないかということで、ぜひひとつ、この情報問題というものは、単に一つの部門にまかせるということではなくて、内閣全体で真剣に取り組んでいかなければならぬたいへん重要な問題であるということで、基本法の問題なんかなかなか出ないというお話がございますけれども、これはぜひそれを出すのだという気がまえでひとつ対処してもらわなければならぬ問題ではないかと思うのです。これが第二点であります。  それから第三点の問題は、現在の公衆電気通信法によりますと、異企業間の通信は認められておりません。ということは、たとえばトヨタ自動車に生産工場と販売会社があります。これは両方一緒にならなければ一つの企業にならない。しかし便宜上これは分けてある。しかしこれは異企業間であるからといって、この通信というのは禁止されているという面がある。こういうものを、これはこの問題と直接関係ありませんが、開放していかなければならぬ問題であろうと思うわけでありますけれども、そういう開放にあたっての問題点といたしましては、一方では、先ほど私が申し上げましたように、売らんかなの情報というものはどんどんはんらんをする。これを何らかの点で調整——統制ということになりますと問題がありますから、何らかの点で調整をはかっていかなければならぬという点では、ある程度独占的な形態が必要だという面が一つ出てくるわけでありますけれども、しかしながら、ソフトウエアの開発——日本ではハードよりもソフトが圧倒的にアメリカに押されっぱなしであります。これがもし上陸すれば完全に日本は席巻をされるであろう、こういうような情勢になっておるのでありますけれども、しかしながら、これは、上陸してしまってからそれを押える方法として、電電公社のほうでこれを独占的に抑制をするというようなかっこうではどうしてもまずい。やはり外資の規制をして、上陸する前に水ぎわでこれを規制していくという方法を考えなければなりません。しかしソフトウエアの開発の寄与率はユーザーが大半なんです。ユーザーの力が大半であって、政府の力、政治の力、電電公社の力なんかでソフトウエアというものを開発する力というのは、そう大きなものではありません。でありますので、民間に相当依存をしなければならぬ面が多い。したがって、そういう面ではどんどん開放していかなければならぬ、しかしながらまた片方では規制をしていかなければならぬという、二律背反的な要素がこの通信の場合には出てくるわけであります。私はここに妙案があるわけではありませんが、そういう点を十分に配慮しながら、ひとつこの通信の開放、オンラインの開放というものについては対処してもらいたいと思う。そういう問題も含めて、ぜひ強力な審議機関というものを、総理府がいいか内閣全体がいいかわかりませんけれども、つくっていただきたいということを御要望申し上げておきます。
  153. 八田貞義

    八田委員長 岡本富夫君。
  154. 岡本富夫

    ○岡本委員 私は、時間がありませんから、三点ぐらいにしぼって伺います。  最初に、情報化社会の定義づけ、これはいろいろあると思いますけれども、知識のような形のないものをお金に変えるというのが情報化社会、こういうように一つはいわれております。また、コンピューター知識を加工する機械のようなものだ、こういうようにもいわれております。また、情報を明確化し計量化していくのがコンピューターの役目だ、こういうようにいわれております。したがって、人間本来の持つ能力を活用するのがこれが情報化社会だ、こういうことになります。したがいまして、一番大事なのは人間教育ではないか。そこで、きょう総理来てくださったから——東京の日暮里に電子計算機専門学校がある。私、ここの状況を調べてまいりますと、そこにいま五百人ほどの学生がおるわけですが、昼夜にわたって技術の習得、研さんに励んでおる。この一番の特徴は、学生層がバラエティーに富んでおる。すなわち情報化社会の初期のあわただしさがそこにあらわれておる。非常に時代がこの情報化というものを必要としておる。そこで、高校を出てすぐ入学する人が約八割、残りの二割は一度実社会に出た者、大学生などで占められている。そして夜間生は、ほとんど昼間働いておって、情報化の波に抗し切れず学校へ行っている、そういう人が非常に多い。また年齢的にも二十歳から二十五歳が大半です。中には五十歳以上のしらがのはえた年配の方も行っております。こういう面から見ますと、情報化の勉強というものが非常に大事なんだ、いかに機械が進みましてもやはり人間知識、これが大事である。したがいまして、米国のピアソン委員会では、高等学校教育課程にこれを設置することになった。わが国においても教育面にこうした情報化の勉強を設置してはどうか。これをひとつ総理に前向きに検討していただきたい、こう思うのですが、いかがでございましょうか。
  155. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 いま岡本君の言われること、教育の問題、最も大事だと思います。ことに新しい若い者、これから学校へ入る者というようなものは、これは黙っていてもできるでしょうが、再教育というか、ぼくらを含めて再教育しないと——これが必要なんだ、そのことが一番大事なんじゃないかと実は思っております。どうも議論のほうが先に進んでおりますが、ほんとうに情報化時代に突入した、こういいながら、本人自身も、機械自身も何をするのかわからない、オンラインとは何だというようなことになっては、これは申しわけないのですから、機械自身をよく扱うことも研究ですが、同時に、その機械を何に使うか、どういうようにこれを使っていくか、そういうような再教育、これが大事なことじゃないだろうか、いま言われましたような、すでにその学校はできている、こういうことですが、もっと広範にこういうことに力を入れないとこれはたいへんなことだろう。先ほど来、ずいぶん金のかかる問題だ、そうして非常に効率をあげればすばらしいものになる、しかしながらそれはどうもまちまちでうまくできてない、こういう御指摘がありましたが、それをするためにも、いま岡本君の言われるように、再教育、また新しい教育、それを授けることは必要だろうと思います。これは特殊学校でやるようなことでしょうが、一般にどういうような教育方法が望ましいか、十分検討してみる必要があるだろうと思います。ただまかしておくだけでもいかぬので、やはり指導方針、一つの指標を示すことが必要だろう、かように考えます。
  156. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、最初、自動車は、こういうようなマニアか、あるいは運転手とか運送屋という商売をする人しか使わなかったわけでありますけれども、現在では車に乗るのが常識な状態です。したがってこの情報化時代も常識な時代になってくる、こういうことでありますので、いま一歩、ひとつわが国の高等学校教育にも入れていただいたら、こういうように要望申し上げたわけでありますが、その点前向きに御検討いただけるでしょうか、いかがでしょうか。
  157. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 文部省いろいろ研究しておるそうですから私からもまた、この席でそういう議論の出たことを文部大臣にも伝えておきます。
  158. 岡本富夫

    ○岡本委員 これはちょっと次元の低い質問でございますが、今度のこの法案には——往々にして協会の設立、公社、公団、こういうことになりますと、必ず天下りということになりまして、いろいろな問題が起こるわけです。したがって、この天下りラッシュの防止、こういうことを総理からひとつ明確にお答えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  159. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 御意見は伺っておきます。
  160. 岡本富夫

    ○岡本委員 最後に、コンピューターは第二次世界大戦の遺産ともいうべきものでございまして、それで非常に発達したということでありますが、将来、防衛庁あるいはまた自衛隊で、戦略の第三の武器に開発されるのじゃないか、こういうような心配もされるわけでございますが、憲法に抵触しないようなところに押えることができるかどうか、これも総理にひとつお答え願いたいと思います。
  161. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 どうでしょう、いまの自衛隊の性格。一切コンピューターを使っちゃいかぬということになると、それこそおくれて自衛隊の任務も果たし得ないことになるのじゃないだろうか。自衛隊が他国に脅威を与えないもの、自国の防衛の用に役立つもの、そしてそれが効率的な方法で自国の防衛に役立つ、その意味コンピューターを使う、これはけっこうなことじゃないか。むしろ奨励すべきじゃないだろうか、かように思いますが、いかがでしょう 攻撃的だとか、あるいは他国に脅威を与えるような、そういうことには使わない。しかしながら、もっと効率的な方法に役立つような場合には、その計算の基礎にはこういうものは十分使っていいんじゃないか、かように思います。
  162. 岡本富夫

    ○岡本委員 なぜそのことを提案申し上げたかと申しますと、たとえば、いま電算機あるいはまた情報産業に対して約二百億くらいの予算になっておりますが、これはこまかい問題は別といたしまして、国民総生産の一〇%まで上げるんだ、そうなりますと相当な予算が必要になってきます。それがどの辺まで伸びたらいいのか。業界の皆さんの意見を聞きますと、いま一千億ないと困る。アメリカのIBMですか、それに太刀打ちするためにはそのくらいの予算が必要なんだ、こういうことになりますと、国民の税金がどれだけそちらの予算へいってしまうか。最後は食管会計のような、にっちもさっちもいかなくなってくるというような面も、やはり考えながらやらないといけない。だから私は、ここらでビジョンというものをきめていかなければならぬ、こう思うのですが、いかがでございましょうか。
  163. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 もちろんビジョンを持って取り組まなければならないと思いますが、一番予算編成の大蔵省自身、PPBSにしても、ただいままだ要員の養成中だという。そういうものはまだ本格的に採用できるのかできないのかわからないと言っている。みずから日本一の渋ちんだ、かように言っている大蔵大臣のもとですから、あまり御心配になるような、非常な無限な拡大があるとは私思いません。いまの状況のもとではそう御心配要らぬだろうと思います。しかし、コンピューター、電算機、こういうものがほんとうに私どもの身についたものになってきたとき、そのときには遠慮なしにそれを使う、そのことが必要なんじゃないかと思います。先ほど言われたような心配ですね。人間が逆にコンピューターに使われるのではないのか、さような事態になれば、これはこのくらい人間疎外のはなはだしいものはございませんから、どこまでも使う主体は人間だ、人間そのものだ、こういうことでコンピューターと取り組む、これでなければならぬですね。私はその限りにおいては、そう本末転倒するようなことはない。私は心配しない。絶えず人間優位だ、その考え方でこういう問題と取り組めば間違いないのだ、かように私は思っております。
  164. 八田貞義

    八田委員長 岡本君、一問だけ許します。
  165. 岡本富夫

    ○岡本委員 あとは答えはけっこうですが、いまお話がありましたように、人間尊重、これを根本としてあらゆる施策を講じていただきたい、これを要望いたしまして、終わります。
  166. 八田貞義

    八田委員長 川端文夫君。
  167. 川端文夫

    ○川端委員 せっかくお忙しい総理が見えたのですから、重複を避けまして、一、二点お尋ねしまして、お答えいただきたいと存じます。  特にことしは、七〇年代といわれる情報化時代に踏み出したわけですか、この法案の審議を通じて見出した道の中に、二つの面で必ずしも明確になっていない論理が行なわれているように考えるわけです。その一つは、新しいこの情報化時代への踏み出しにあたって、いわゆるソフトウエアの活用が人間性にどう影響を与えるかということを十分配慮すべきだという、この一面であったと思うし、これを生かしていかなければならぬという立場に立っても、委員会は一致している意見であったように思うのです。ただ、取り残された、私が特に総理にお尋ねしたいという一点は、今日、民間で電子計算機を使っているところは、単にそういう意味では使っておりません。言うならば、近代化なり高度化なり合理化という線で、この問題を活用して労働力不足に対処をするためにかなり生かして使っているこの問題。政府は、この情報化時代に備えるという意味で、民間産業を助成するという立場に立つならわかるのであるけれども、政府みずから年間百億ものいろいろなコンピューターなり電子計算機を利用されているわけですが、民間と比較して考えていただきたいのは、役人があまり多過ぎて税金のむだ使いでないのかという声があることに対して、コンピューターが入ったことによって、合理化に対して、どれだけいわゆる行政が能率化してこのような生かされた道ができるかということをはっきりされた上でお入れになっているのかどうかという点をやはり承っておくべきでなかろうかと思うのですが、総理のお答えをいただきたいと思うのです。
  168. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 先ほど来、能率が上がるだろう、こういう話をし、また場合によると人がコンピューターに使われるというような危険もある、そういうことであってはならない、だから人間優位、コンピューターはどこまでも人間に使われる機械だ、こういう考え方で取り組んでほしいということを申しました。そこで、いま言われるように、コンピューターが能率を上げたら積極的に出血整理でも行なわれるのか、そこまでの御心配でもあるように思いますが、ただいま私ども総定員法をつくったばかりで、まだ積極的に、どれが適当なる定員なのか、こういうことをはじいておりません。しかし、コンピューターがだんだん進んでいけば、利用されるようになれば、身についてくれば、必ずそれは変わるだろうと思います。私は、いままでのような統計官あたり一番先に問題にもなるだろうと思いますが、こういうことは、機械が導入されることによってやはり人が余る。その人はまた別のほうで使えるのですから、そういう点を頭に置きながら、能率化、そういう方向へ進んでいく。これはひとり政府ばかりじゃない。産業自体も一緒だろうと思います。そういう方向でなければ意味をなさない、かように私は思っております。むだづかいはしない、こういうことだし、また同時に、いまいる人たちを出血して整理するというようなことは最も愚かな方法だ、かように考えますから、そういうことのないように、また十分人が働く分野は——コンピューターコンピューターとしての機能を発揮いたしましても、全部がコンピューターで済むわけのものでもございませんから、その辺は御心配なく、十分効率をあげていただくように、ひとつ積極的に御協力、御指導願いたいと思います。
  169. 川端文夫

    ○川端委員 誤解のないように。私の言い方が足りなかったかしりませんけれども、コンピューターが入ったことによって合理化されて、どれだけの能率が向上しているかという基本的な方向を示しながら機械を導入することなくしては、いたずらにかえって人がふえるおそれがある、こういう点も心配している一面があることを、後ほどまた通産大臣にお話しして総理にお伝えいただくことにしたいと思います。ただ首切りをやるためにコンピューターを早く入れろという言い方ではございません。絶対量が労働力不足の中だから、政府はできるだけ最小の人員で最高の能率をあげて民間に労働力を回すという立場に立ってほしいという考え方の基礎の上に立ってものを申し上げていることを、誤解のないようにしていただきたいと存じます。  もう一つは、これはどうしてもお考えおきを願いたいのですが、この間からの話の中に、基本法という議論、意見の中に、いま通産省がやっている中における試験制度にいたしましても、技術者の試験をするだけで、人間性の問題は容易ならざる重大問題でもあるのであるからというこの前提を考えながら、議論が出ておったと思うのです。先ほども委員がおっしゃっておったように、私の地域にも、現在八千人にもふくれあがった電子工学院があり、行って見てまいりました。しかし全国には、まだそろばん塾みたいなものから、そういう大きなものから、各種学校としてばらばらでやっているようです。私はやはり情報化時代というかけ声の時代に足を踏み出した以上は、これらの問題を単なる各種学校に置くのではなく、これらのソフトウエアの技術者に対しては、人格的な問題はかなり重要なウエートであるから、権威ある試験制度というものを持たなければならないのではないかという前提に立って、総理にその点をお考え願いたいと思うわけです。お答えがあればお答えいただきたいと存じます。
  170. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 これはよくひとつ皆さんで相談していただいて、認定試験がいいのか、あるいは資格付与の試験がいいのか、そこらに問題があるようでございます。これはひとつ皆さん方の御意見もよく聞いていただいて——政府はいまのところでは、いわゆる資格でなくてと、かように考えておりますが、いかがなものでしょうか。皆さん方の御意見ももう少し伺いたい、かように思っております。
  171. 川端文夫

    ○川端委員 では、お忙しいようですから質問を終わります。後ほどまた。
  172. 八田貞義

    八田委員長 松平忠久君。
  173. 松平忠久

    松平委員 この前、質問したときに、ちょっとしり切れトンボみたいになっておる事項がありますので、それらの点について、あるいは同僚の議員が質問したかとも思うのですけれども、若干ダブるところもあるかもしれませんけれども、これから次の点について質問したいと思っております。  第一の点はこういうことであります。さっき横山君も触れたかと思うのですけれども、現在日本で使っておるところのコンピューターの中で、外国製の製品と日本のメーカーがつくったコンピューターの比率が大体半分半分くらいではないか、こういうふうにいわれておるわけなんですが、現状ははたしてどの程度のものかということ。それから、どういう企業が外国のものをよけい使っており、どういうところが日本のものを比較的多く使っているかというような全般的な傾向について、調査をされておるものがあったならば、その調査に基づいてお答えを願いたいと思います。
  174. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 大体金額にいたしまして国産化率半分ということであります。企業別にどういうところがどういうものを使っているかという調べは、おそらくちょっとないのではないかと思いますが、御承知のように、比較的早く使いましたところはやはりIBMの系統が早かった。そしてあと、ゼネレーションがかわりますとその機械が続いて入っていくという傾向があるようでございますけれども、ちょっと企業別には調べがないと思います。
  175. 松平忠久

    松平委員 私が手元で持っている材料を見てみますと、それは確かに、比較的早く使ったところ、したがって大企業です。大企業は多く外国のものを使っておるし、その中で都市銀行が一番外国のものを使っておるのじゃないか、こういうふうに私は見ておるわけであります。日銀からいたしましても、長興銀、いずれも外国のものであります。地方銀行もそれに引きずられて、かなり外国のものが多くなっておった傾向があるけれども、しかし地銀はオンラインシステムに一部なっておる。ですから、この問題の解決はやがて実現し得ると思うのですけれども、問題は、日本のそういった大金融機関を中心として大企業が、外国依存のハードウエアであるということですね。これが少し問題ではないか、こういうふうに思っているのです。その場合に政府の考え方は、ソフトウエアを開発して、それらの外国の機種を相当多く使っているところの大企業というものにも、開発されたところの日本側のソフトウエア、そういうものを使わせていくのだ、こういう考えに立っておられるかどうか。そして、それらのものをまたオンラインシステムにだんだん移行させていくような方向に、皆さんのほうでは考えておられるのかどうか。それはただ成り行きにまかせるのだ、こういうことであるかどうか。そういうことを伺っておきたいと思う。
  176. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 大企業が多く外国のものを使っておるのじゃないかと言われますことは、そういう事実が大体あると思います。しかし、それはどっちかと申しますと、大型のもののウエートがわが国では小そうございます。そこで、IBM三六〇というような、わが国にあまりないようなものを使うとなりますと、大企業は概して大型を必要といたしますから、そのような傾向になっておると思います。  それから、後段に言われましたことは、結局ハードウエアとソフトウエアを分けることについての問題であるわけでございます。従来は、御承知のように、両方の料金は一緒、込みであったわけでございますけれども、IBMが両方を分け始めました。そういたしますと、将来われわれが優秀なソフトウエアを開発できるといたしますと、このことに伴ってコンバージョンプログラムを使いますれば、われわれのソフトウエアも使えることになりますので、将来そういう意味でソフトウエアの国産化率をやはり高めていきたいと考えております。
  177. 松平忠久

    松平委員 産業構造審議会の情報産業部会の答申によりますと、いろんな点について今後開発されるべき問題点を指摘しておりますが、その中で第一の点が、いわゆる経営教育というか、いわゆるトップマネージャークラスの教育というものがきわめて必要であるのだけれども、このトップマネージャークラスの経営陣の再教育——先ほど総理も言われました再教育ということ、この教育はだれが担当してどういうところでやっているのか。自発的にやっているようなところもあるように思いますけれども、政府として、何らかそれに対する便宜を与えるとか、あるいは指示を与えるとか、そういうことをやっておられるのかどうか。ただ一方的にトップマネージャークラスが集まって、研修会なりを開いているというようなことであるのかどうか。いわゆる新しい未来への挑戦ということでありますから、一番の責任者の教育というものがきわめて必要なんです。それらの連中の頭の使い方いかんによって、産業革命後におけるところのイギリスのような状態になる。そういうところからいわゆるマルクシズムも生まれてくるでしょう。したがって、まずトップマネージャークラスの連中の頭の切りかえというものがなければ、先ほどから石川君その他が言っておりましたとおりに、これは労働問題にしろ、あるいは脱人間社会というか、そういった社会の形成というような懸念もあるのではないか。したがって一番必要なことは、このコンピューターを使って最後の判断をするところのトップマネージャークラス、これの教育が絶対に必要なんですが、それは一体どういうふうに現在進められておるか、そのことを伺っておきたいと思う。
  178. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 経営のトップクラスの再教育必要性は、御指摘のとおりでございます。この点は、各種の団体あるいは企業におきまして、その必要性が非常に痛感をされております。現在私が承知いたしておりますところでは、昭和四十三年に設立されました日本経営情報開発協会、ここでは毎年定期的に、いまお話しのような、各企業のトップクラスの方々の再教育と申しますか、研修と申しますか、そういったことをやっておるように伺っております。なお、このほかにも関西その他の団体で、これは定期的ではないと思いますが、こういったような講座ないしはゼミナールが行なわれているように聞いております。
  179. 松平忠久

    松平委員 そのトップクラスの再教育、訓練あるいはゼミナールというものは、どういう内容の教育をしているのですか。
  180. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 私が承知いたしておりますところでは、非常に基礎的な面から、さらに現実の実用面まで含めた教育のようでございます。非常に基礎的な面と申しますと、たとえばコンピューターを利用することによって何ができるのか、つまり企業の中でどういう活用のしかたがあるのかといったような基礎的な面から、現実コンピューターを材料にいたしまして、そしてこういうふうにコンピューターを使っておる、こういうコンピューターの使い方の実例、さらには企業内におけるコンピューター要員教育のしかた、また海外におけるそういった、MISといわれておりますが、このMISの情報についての視察をいたしました人たちの調査報告、こういったようなことを総合的に研修のテーマにしておるように聞いております。
  181. 松平忠久

    松平委員 それでは、そのトップクラスのゼミナールなり、そういった研修というものについて、政府側とのコネクションというものは全然ないのか。つまりただ自発的にやっておるということなのか。政府側との考え方の意思疎通というふうなことがありながらそれをやっているのかどうか。その点はどうですか。
  182. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 特に、研修あるいはゼミナールの内容について、一々政府と相談してということはありません。その意味では協会等が自主的にやっておるものと考えます。ただ、こういった講座の一部の中で、政府のこういったものについての施策等が議題になる場合がございますので、そういった場合には必要な講師の派遣等をいたしておるという程度でございます。
  183. 松平忠久

    松平委員 私は、これが将来のわが国における経済のあり方というようなものについて、非常に重要なポイントとなるのではないかと思うのです。もろもろのいわゆる社会生活におけるギャップの問題その他のことをどういうふうに埋めていくかというようなこと、それは政府自体考えなければなりませんけれども、しかしながら、各企業の企業主というか、経営陣というものが、一種の社会性というものを持って、そういう頭でやっているのかどうか、それに非常に重要なポイントがかかってきておると私は思うのです。ですから、この点は希望条件として、やはりそれを政府自体がフォローしなければならぬ、こういうふうに私は思っておるわけです。  その次にお尋ねしたいのはデータバンクなんだけれども、このデータバンクというのは、政府の考え方では、一体どこにこれを設置しようとするのか。そしてどの程度の規模のものにしようとするのか。そういう考えがあるかどうかということなんです。
  184. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 データバンクと称するものは、非常にいろんな意味で使われておりますが、まず政府部内でこういったようなデータバンク式なものと申しますか、政府のデータを収集整理し、高度化し、そして必要な情報というものを統一的に処理をする、こういったようなことがいわれております。こういったものでは、官庁でも、まあごく小型ではございますが、幾つかのデータバンク式のものが少しずつ動いております。たとえば運輸省の車両登録システムでございますとか、あるいは労働省の職業紹介に関する一つのシステムでございますとか、あるいは通産省の産業経済情報の検索システム、こういったものも、まあ小型ではございますが、一種のデータバンク的なものであろうと思っております。今後さらにこういったものを広く進めていきたいと考えておるわけでございまして、私の承知いたしておりますところでは、たとえば特許庁が特許情報システムを現在検討中でございますし、また厚生省の社会保険庁、これが総合保険管理システムというものも検討中でございます。こういったようなことも検討されておりまするので、将来、各省がその所管業務につきましてそれぞれ所要データバンクを整備いたしますとともに、各省共通に、必要に応じてこれらを総合的に処理し得るような統一的なデータバンクと申しますか、中央データバンクと申しますか、そういったものの設置についても必要があると考えておりまして、そういった面についても、行政管理庁を中心といたしまして現在検討が行なわれております。なお、民間のデータバンクと称せられるものは、まだその構想がちらほら新聞等で出ておる程度でございまして、私どもまだその内容の詳細については承知をいたしておりません。
  185. 松平忠久

    松平委員 四月九日に出ておる新経済社会発展計画ですね。これによりますと、四つばかりどうしてもやらなくちゃならぬということを言っておるわけなんですが、その中の一つにいまのデータバンク設立ということがあるわけであります。すなわち、この政府の持っておる手持ちのデータを提供するその体制の整備というものをはからなければならない、そして政府のどこかにデータバンクというものを設置しなければならぬということなんですが、いまお聞きすると、行政管理庁でそういうことを検討しておるというわけなんだけれども、行政管理庁はおりませんかね。──どなたか、わかっていますか。どの程度データバンクについて現在検討を進めながらやっているのかどうか。これはきわめて重要なポイントじゃないかと思うのです。しかもこれは、四月九日に出ておるところの新経済社会発展計画の中で政府自体が言っておるのだ。宮澤大臣、知らぬですか、これは。
  186. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それは、実はこういう問題であるわけでございます。いま政府委員が申し上げましたように、各省が自分のところの行政に使うために、自分のところのデータバンクとも申せませんけれども、そういうものを整備しつつある。そこで、それを一つに集めたほうがいいのかどうかという問題ですが、実は一つに集めますと、各省のおのおのの新しいデータというものがどうしてもそこへ入りにくうございます。ですから、各省が持っておるものをネットワークしたほうがいいのではないかという考え方が一つあります。それから、いまの経済社会発展計画のように、民間のどなたでも利用できるような、いわば大きなライブラリーのような感じになるわけですが、そういうものを行く行くは考えろ、それが新経済社会発展計画に言っておることと思います。ただいまのところ、そこへいってはおりませんで、各省が自分のものを整備して、お互いにネットワークしようという段階にあるわけでございます。
  187. 松平忠久

    松平委員 それに関連しまして、今後、世界的ネットワークというようなことも考えなければならぬ。いまの段階ではそこまでいかぬと思うのですけれども。各省のものをやがてはセントラル・データバンクというものをつくるのである、こういうことでありますから、世界まではなかなかいかぬと思いますけれども、しかし一方において、すでに国連その他におきまして、いわゆる通信衛星というか、そういうこともあるし、したがって国連における平等、対等というような原理、原則もあるわけだ。それでお聞きしたいのですが、この中に出ておりますことは、海底同軸ケーブルというものを利用したらどうかということを言っているのだけれども、この海底同軸ケーブルの利用程度というものは、一体いま現在行なわれているかどうか。これは世界的にどういう発展段階にあるか。日本はこれに対してどういう態度をとろうとしているのか。その点を、関係のどなたかおりましたら、ひとつ大臣なりあるいは郵政省なりお答え願いたいと思う。
  188. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 ただいま御指摘のように、通信衛星が実用化されまして世界的なネットワークがもうできようとしておりますが、その前から技術的には、海底同軸ケーブルによります広帯域の伝送ネットワークというものが、大西洋また太平洋等に設置されております。日本といたしましては、ちょうどオリンピックの年でございますが、日米太平洋海底ケーブルというものを開通し、国際電信電話会社がこの当事者となって現在運用しておりますが、この海底ケーブルは、太平洋を横断いたしましてアメリカ日本をつなぐわけでございます。このほかにも日本では、さらに昨年、ヨーロッパ方面との幹線通信網を建設するということで、デンマークと共同で日本海ケーブルをつくりまして、ウラジオストックと新潟県の問にこれを敷設いたしまして、現在運用しております。これは、ソ連領を通りまして、さらに西欧、東欧の各国と回線を分け合いましてこれを運用しておりまして、これは電信電話、テレックスはもちろん、オンラインのデータ通信にも今後利用できる高品位のものでございます。
  189. 松平忠久

    松平委員 これに対する国際協定のようなものはございますか。いまの御答弁によると、ソ連との間にもこのケーブルを使うことについて実施されておるという話である。私は、世界的になっていくためには、これは共産圏だろうが何だろうが、当然やっていかなければならないと思う。そうすると、それについて国際的な協定というものがなければならぬわけだが、その協定はいまどういうものがございますか。それから同時にもう一つ、通信衛星ですね、インテルサットの協定もあわせて、あるならばお答え願いたい。
  190. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 この海底ケーブルの設置、保守、運用につきましては、それぞれの事業者問の国際協定があるわけでございます。日本の場合では、国際電信電話会社がこの当事者となりまして、その内容につきましては、郵政省が認可を与えているわけでございます。  なお、これらのケーブルを通りまして世界的に運用される料金でございますとか、運用の条件というようなものにつきましては、国際電気通信連合のほうでいろいろの勧告をし、あるいは国際規則等を詳細定めておりまして、それによる運用をいたしておるわけでございます。  なお、インテルサットでございますが、これは一九六四年に、暫定的な政府間の協定といたしまして、日本をはじめ欧米十数カ国の、これに参加したものによりまして現在実施しておりまして、さらにこれを恒久化する政府間協定を、現在、締結するための会議を、昨年から目下数回続行中でございます。これには、政府が当事者となり、また一方、事業者である国際電信電話株式会社も、運用協定として付属的なその協定の当事者となるはずでございます。
  191. 松平忠久

    松平委員 それから、もう一つの点として、この情報産業部会の答申案で指摘していることは、この各データを集めるという場合のデータの基礎になるところの標準化の問題ということだと思うのですが、その標準化の問題の中で一つお伺いしたいのは、会計法規の標準化というか、そういうことが非常に必要になってくる。つまり、収支決算あるいは給与等にいたしましても、どんぶり勘定でやっているのでは困るのであって、一体現在の会計法規というものは、答申案によると、過去のものであって、必ずしもスタンダードのものではない。したがって会計法規そのものも、情報化社会に備えるためには改正をしなければならない、こういうことがいわれておるわけなんです。私も確かにそれは、データを作成する上からいって、そういうものが前提とならなければほんとうの意味のデータはできないんじゃないかと、こう思うのです。これらの点について、大蔵省なり法務省なりというものは、商法その他において、一体、会計法規についてどういう考えを持って、どういう作業をいま進めているのかということを、どこが担当か知りませんけれども、聞かしてもらいたい。
  192. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 法務省、大蔵省それぞれ御関係がございますが、私どもでいま考えておりますことだけ簡単に最初にお答えいたしておきたいと思います。  いま御指摘のように、将来情報化の進展に伴いまして、会計法規の改正とか会計用のいろいろな様式の統一化などがやはり必要になってくるものと私どもは考えております。こういったことから、特に請求書でございますとかあるいは領収書といった、いわゆる帳簿にかかわります帳票類、こういったものの標準化を進めるということが、将来こういった会計事務を電算機処理いたします前提になってまいると考えております。そういった意味から、通産省では昭和四十四年度から取引伝票の統一化ということに取り組んでおりまして、近い将来、いま申し上げましたような取引伝票につきましてJISの制定をしたい、こういうことでいま鋭意検討を進めておるところでございます。こういったことがまず前提となりまして進んでまいりますと、将来は、この情報化の進展に伴いました会計法規類その他の改正についても、漸次検討が熟してくるのではないか、かように私どもとしては考えております。
  193. 松平忠久

    松平委員 単に会計法規だけじゃなくて、税法自体におきましても、やはり私はJIS規格というものがなければならぬと思うのです。そこで、いろいろな例外、特例法みたいものをやたらにつくっておったのでは、コンピューター化には非常にじゃまになるのじゃないか、こういうふうに思うわけなんです。租税特別措置法みたいなものがいつまでも残っておってコンピューター化を進めるなんということができるかどうか、私は非常に疑問に思う。そういうことからいうと、いま赤澤局長が答えられたけれども、関係省の大蔵省なり法務省ではどういうふうに考えているのか、どの程度進めているのか、そのことを伺いたい。
  194. 田邊明

    ○田邊説明員 法務省のほうでは、現在、商法改正の検討をいたしております。御質問のございましたコンピューター会計につきましても、かねてより商法で、コンピューターを使って、いわゆる決算書類、会計帳簿、こういうものを作成できるような改正をいたしてほしいという要望がございます。現在法制審議会ではこれらの問題の検討を進めております。最初に御指摘になりました会計法規関係の不統一というふうな問題につきましては、すでに商法上の監査の問題として取り上げまして、証券取引法のほうの監査基準と商法のほうの監査基準の調整をはかる問題として、調整作業は進んでおります。  コンピューターに関して申し上げますと、問題点は、商法上の会計帳簿とか決算書類というものは、監査役、あるいは外部の株主さん、あるいは債権者がごらんになる書類、つまり目で見る書類ということを前提に法律ができております。そういう前提ではたして、コンピューターの中にしまい込まれる一つの記憶というふうなものを、法律上の帳簿あるいは書類として認めることができるかどうかの問題でございます。この問題は、商法上から申し上げますと、先ほどの閲覧とか監査の問題に関係してくる事柄でございます。法制審議会では、現在のところは、コンピューターのもう一つ前のマイクロフィルムというふうな一種の写真式の作業が商法上認め得るかどうか、そういう観点の検討を進めておりまして、コンピューター会計についての検討はまだ進めておりませんけれども、近い将来当然問題として議論される事柄と思っております。ただ、現行の商法上の扱いとして考えますと、いろいろな会計関係の資料、帳簿をコンピューターで作成することは可能でございます。可能でございますが、そういうふうにしてつくられたものが正しいかどうかということを調べるについては、やはり人間の目に見えるような原始的な資料とか帳簿というものが備わっておるという前提が必要だろう、こういうふうに考えております。
  195. 松平忠久

    松平委員 大蔵省の税法に関してはどういうことを考えておられますか。
  196. 安井誠

    ○安井説明員 先生ただいま御指摘のように、税法の簡素、合理化の問題は、コンピューター化の問題を離れましても、私ども常に心がけるべき事柄だと考えております。特にコンピューター化が進んでまいりました場合に、あまりに例外を置きますと非常に複雑になるということも御指摘のとおりでございますので、検討してまいりたいと考えております。現に国税庁の内部におきましても、申告所得及び法人税につきましては、その事務処理をコンピューターに乗せておりますので、そちらの面からも、問題点というものの指摘がございました場合に、これをどう処理するかという検討をいたしておりますし、また個々の納税者、特に源泉徴収義務者のほうで源泉徴収税額をコンピューターで計算される場合があるわけでございます。この場合につきましては、手作業でやるのと違いまして、機械計算が容易にできますようにすでに所得税法上も規定を設けておりまして、コンピューター化の時代に沿えるように設置をいたしておりますし、また今後ともそのように努力してまいりたいと考えている次第でございます。
  197. 松平忠久

    松平委員 国税庁は非常な膨大な数字を取り扱っておるわけです。したがって、国税庁におけるオンラインというようなものは非常に必要じゃないかと思うけれども、これは計画があるのかどうか。全国にずっと税務署があって、そこで税金を取っているわけです。そこでその税金は年末にならなければ、あるいは年末でなくても半年くらいたたなければ、ことしはどうもだめだとかなんとかいうことがなかなかわからない。そこで、予算のことについても非常に問題点があるし、予備金というものをどうしてもたくさんつくっておかなければならぬとか、そういうことがいろいろあるわけです。そこで、国税庁あたりは率先してオンラインシステムをやらなければいかぬ官庁じゃないかと思うが、いまのところはどういうふうになっていますか。
  198. 安井誠

    ○安井説明員 国税庁におきましても、いま御指摘のように、非常に膨大な情報の処理があるわけでございまして、昭和三十六年に長官官房に企画室を設けまして作業を始めております。まだ予算の関係もございまして、特に徴税費をあまり高くすることもいかがかというような関係から、四十四年度におきましても関係経費は約五億程度でありますが、逐次、先ほど申し上げました申告所得税あるいは法人税等につきまして、この事務処理を進めていくように処理いたしてまいりたいと考えております。御承知のように、アメリカにおきましては、特に情報検索のほうにこのコンピューターが非常に使用されているわけでございまして、いろいろな課税資料を一カ所に統合いたしまして、税務署内部の処理にチェックをさせているということもいたしているようでございますし、私どもも、それに対応できるような事務処理体制に持っていきたい、かように考えているわけでございます。
  199. 松平忠久

    松平委員 あとはほとんど同僚の委員質問したことであろうと思いますので、あえて私から申し上げませんが、ただ一言お聞かせ願いたいのは、そういったJIS規格、あらゆる面のJIS規格について、政府の予算は非常に少ないのではないかというふうにわれわれは見ているけれども、そのJIS規格というものが前提となっていかなければソフトウエアの開発はむずかしいのではないか。また開発したって、実際にはこれはネットワークの中に入れていくことができない。ミスリードされてしまう。つまり変なデータが出てきてしまう、こういうことになるわけです。そこで、科学技術庁ですか、あるいは工業技術院か何かで、その標準化のことをやってますね。あれはどの程度今日まで進んでおるのか、あるいはどの程度まで今後進めていくのかということ。いま、たしかことしの予算は九百万円かそこらじゃなかったかと思うのだけれども、これではたいしたことはできないのじゃないか、こういうふうに思います。しかもその中には、文部省関係の、ことばの標準化なんという非常に急を要する問題も出てきておるわけだし、それからいまの税法にいたしましても、あるいは会計法規にいたしましても、それぞれやはり金が要ることだ。そこで、政府自体考え方は、いまのJIS規格化については、どういうテンポで、どういう見込みでやっていこうとするのか。それは工業技術院に聞いたほうがいいけれども、ひとつおりましたら聞かしてもらいたい。
  200. 朝永良夫

    ○朝永政府委員 情報処理関係の標準化につきましては、特に積極的にこれを進めますために、四十四年度から情報処理部会というものを設けまして、規格の制定を審議してまいりましたが、これによりまして、本年の四月一日に、これまでに制定されましたプログラミング用言語フォートランなど十八規格に加えまして、新たに都道府県コード、市区町村コード、それから情報交換用磁気テープなど八規格を制定いたしまして、現在二十六規格が制定されております。さらに今後も情報処理につきましては、ソフトウエア関係、ハードウェア関係、データコード関係など、各面において引き続き標準化を進めることといたしておりますが、これらの計画を進めるにあたりましては、国際標準化の動きもございますので、それにも即応するように配慮いたしますほか、標準化のために必要な調査、研究をいたさねばなりませんので、これもあわせて行なうことといたしております。
  201. 松平忠久

    松平委員 あまり長くなって皆さんたちもたいへんだろうと思うから適当にやめますけれども、ちょっと協力してください。  工業技術院の院長に聞きたい。インダストリアルエンジニアリング、オペレーションリサーチ、このリサーチは、あらゆる点において進めていかなければならないと思うけれども、現在おくれておる。このおくれを取り戻すために、科学技術庁なりあるいはそういう技術関係においてどういうふうに進めておるのか、簡単にひとつ答弁してください。
  202. 朝永良夫

    ○朝永政府委員 電子計算機関係におきましては、われわれのほうの大型プロジェクト研究におきまして、四十一年度から四十六年度までの計画で現在研究開発中の超高性能大型電子計算機がございます。この研究開発は現在順調に進められております それから、電気試験所を中心といたします情報処理関係、特にそれに関連いたしました電子技術の研究、それからさらにソフトウエアの研究を含めまして、特に四十五年度からは力を入れまして、機構も拡充をいたしまして研究を現在進めている段階になっております。
  203. 松平忠久

    松平委員 次は、最後に宮澤大臣に、さっき総理がちょっと答えをあいまいにしておられたので伺いたいのですけれども、政府が非常に、さっきもだれかの質問に出ましたけれども、たくさんのハードウエアを使っておられるわけだ。したがって、民間だけじゃなくて、政府自体もっと関係各省が歩調をそろえながらやっていくということが非常に必要じゃないかと思う。それをだれかが引っぱっていく役割りがいまのところないんじゃないか。てんでんばらばらのようなことになっている。どうしても私は、引っぱっていく役割りをどなたかが演じてもらわなくちゃならないと思う。さっきの総理の答弁を聞いておっても、まだよくのみ込んでおらない。自分の総理府にどういう機械が入っておるのかも知らない。こういうふうな実情なんです。したがってこれは、総理府の中で直属で、何かそういうものを中心になって引っぱっていくような機関というものが必要じゃないか、私はそういうふうに見ておるわけなんです。この法律ができたからといって、私はどんどんそのことが特に進んでいくとも思われない。しかし、この法律ができると同時にそういうことも考えられて、政府全体として相当の予算というものを効率的に使っていく。効率的に使っていくならばどんどん予算をふやしていく、そして追いついていく、こういう姿勢でなければならぬと思うのですが、その考え方について最後に大臣の見解を承りまして、私の質問を終わります。
  204. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほど総理大臣も言われましたように、わが国だけでもメーカーが六つあるわけでございます。
  205. 松平忠久

    松平委員 ちょっと、七つじゃないですか。
  206. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 六つかと思います。その中で政府として特に一つだけを選ぶというようなことがいいのか悪いのかという問題がやはりあろうかと思います。たとえて申しますと、何々会社の自動車に統一することにやや話が近くなりますので、いまのところ、それをすることがいいかどうかという問題がございます。が、しかし、確かにあまりばらばらだということも、いろいろソフトウエアの関係で能率的ではない。それもそうでございましょうと思いますから、当面はコンバージョンプログラム考えたりいたしながら、各産業が育つのを見つつ、やはりある程度その方向に時間をかけていくということであろうかと思うのでございます。これが一つでありましたら簡単だということは、おっしゃるとおりだと思いますけれども、現実に六つのメーカーがおのおの大いに技術革新に励んでおるところでございますから、その中から一つを政府として選んでしまうということには、またそれなりの問題もあろうか、こういうような問題として考えておるわけでございます。
  207. 松平忠久

    松平委員 私の言うのは、六つを一つにしろというのではなくて、政府の中でいろいろなこういう問題点をひとつリードをしていくというか、推進していくという役割りをどこかで責任を持ってやっていくということが必要じゃないか、そういうことなんです。  それからもう一つは、いま六つと言われましたけれども、JACはどういう立場にあるのですか。JAC、日本無線の機械もかなり入っていると思うのですがね。
  208. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 JECCは、御承知のとおり会社から機械を引き取りまして、レンタルで貸しますための、いわば、そういう意味では金融機関的な役割りを果たしておるわけでございます。それから、推進母体のようなものが、もっと強力なものが必要ではないかと言われますことは、私どももやはり、そのとおりだと思います。
  209. 八田貞義

    八田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  210. 八田貞義

    八田委員長 本案に対し、中村重光君外三名より、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党、四党共同提案にかかる修正案が提出されております。
  211. 八田貞義

    八田委員長 この際、修正案について、提出者より趣旨説明を求めます。中村重光君。
  212. 中村重光

    ○中村(重)委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、四党を代表し、私から提案の趣旨を御説明申し上げます。  修正案の案文は、お手元に配付しておるとおりであります。  修正の第一点は、本法の究極目的が「国民経済の健全な発展に寄与する」ことにあるという原案に対しまして、「国民生活の向上」を目的に加えることでありまして、本法に、より広範な使命を与えようとするものであります。  第二点は、電子計算機利用高度化計画につきまして、計画の対象範囲等を明確にするとともに、計画の策定にあたって協議を受けた関係行政機関の長に、関係審議会等の意見を求めることを義務づけることであります。  第三点は、電子計算機の普及及びプログラム開発の促進のために資金の確保措置を講ずるにあたっては、中小企業者に対する特別の配慮がなされなければならない旨の規定を新たに置くことであります。  第四点は、情報処理振興事業協会の設立発起人となる条件を緩和することであります。  以上が修正点の要旨でございますが、その理由につきましては、審議の過程においていずれも明らかにされたところであると存じますので、何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  213. 八田貞義

    八田委員長 これにて修正案の趣旨説明は終わりました。     —————————————
  214. 八田貞義

    八田委員長 これより討論に入るのでありますが、本案並びに修正案につきましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、中村重光君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
  215. 八田貞義

    八田委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま議決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これを可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  216. 八田貞義

    八田委員長 起立総員。よって、本案は修正議決いたしました。     —————————————
  217. 八田貞義

    八田委員長 次に、本法律案に対し、石井一君外三名より、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。石井一君。
  218. 石井一

    ○石井(一)委員 ただいまの附帯決議案につきまして、四党を代表し私から提案の趣旨を御説明申し上げます。  決議の案文は、お手元に配付したとおりでございます。  第一点は、情報化に関する基本法についてであります。新時代に即応して、情報化に関するあらゆる分野の総合的、基本的計画を樹立することが今日の急務であります。先ほど議決いたしました本法律案は、この総合基本政策の一環であり、当面緊急を要する施策として、是認したのでありますが、政府は、これで一段落ということでなく、情報化に関する基本法案の立案を今後さらに精力的に進め、できるだけ早い機会に国会に提案されるよう強く要請するものであります。  第二点は、情報化政策に関する基本原則であります。電子計算機の性能が幾ら高くても、それはあくまで機械であり、これを中心とする情報処理、情報提供は、ともすれば機械的となり、そこには人間性不在、人間疎外、さらには反社会的な要素が生ずるおそれなしとしないのであります。この点を十分考慮して情報化に関する基本的施策が立案されるよう、本決議案に示したような事項につき特に留意すべきことを要望したいのであります。  第三点は、情報処理に関する標準化及び情報処理技術者の養成でありまして、これらは、産業構造審議会情報産業部会の答申においても、当委員会の審議においても重点項目でありましたので、政府は、これらの促進のために鋭意努力すべきであると存じます。  第四点は、行政機関における電子計算機の利用が必ずしも満足すべき状態にないことにかんがみまして、早急に電子計算機利用の高度化、効率化をはかるため総合利用、共同利用を進めるべきことを要請したいと存じます。  第五点は、中小企業における電子計算機の普及及びプログラムの開発の推進であります。今後における情報化の進展は必然的であり、それに伴って企業が導入する電子計算機はますます高性能となり、プログラムの開発も進んでまいりますが、資力の乏しい中小企業は、この趨勢についていくことができず、大企業とのコンピューターギャップが拡大する一方となるおそれがあります。これに対処していくために、情報処理振興事業協会及び中小企業近代化関係制度の果たすべき役割りは、きわめて大きいものがあります。政府は、この点に十分留意して、一つ一つすみやかに改善をはかる必要があると存ずるのであります。  以上が附帯決議案提出の趣旨であります。何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。       —————————————   〔参照〕    情報処理振興事業協会等に関する法律案に対する付帯決議(案)  政府は、本法施行にあたり、左の諸点につき特に配慮すべきである。 一、情報化の促進は、国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与する重要な問題があるのみならず、それに関する政策は、極めて広範、多岐にわたるものであることにかんがみ、これらの諸点を総合調整のうえ、可及的すみやかに情報化に関する基本法を提案するよう努力すること。 二、情報化に関する基本的施策の立案に際しては、情報の民主的かつ平和的利用、 国民に対する公開及び基本的人権の保障の諸点に留意すること。 三、情報処理技術の進歩と見合いのもとに情報処理に関する標準化の促進を図るとともに、情報処理技術者の養成に努めること。 四、行政機関における電子計算機の総合利用、共同利用を極力推進すること。 五、本法第四条及び第二十八条に基づいて中小企業における電子計算きの普及及びプログラムの開発を推進するにあたつては、情報処理振興事業協会の機能をすみやかに充実するとともに、中小企業振興事業団の助成制度、中小企業信用保証制度機械類信用保険制度、政府関係中小企業金融三機関の金融措置等の整備充実に努めること。       —————————————
  219. 八田貞義

    八田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
  220. 八田貞義

    八田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について政府から発言を求められております。これを許します。宮澤通商産業大臣
  221. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして行政を進めてまいりたいと存じます。     —————————————
  222. 八田貞義

    八田委員長 おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  223. 八田貞義

    八田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  224. 八田貞義

    八田委員長 次回は、明二十四日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時三十七分散会