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1970-04-17 第63回国会 衆議院 商工委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月十七日(金曜日)    午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 浦野 幸男君 理事 鴨田 宗一君    理事 橋口  隆君 理事 前田 正男君    理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君    理事 岡本 富夫君 理事 塚本 三郎君       石井  一君    稲村 利幸君       宇野 宗佑君    遠藤 三郎君       小川 平二君    大久保武雄君       大橋 武夫君    海部 俊樹君       神田  博君    北澤 直吉君       小峯 柳多君    左藤  恵君       坂本三十次君    進藤 一馬君       林  義郎君    藤尾 正行君       増岡 博之君    山田 久就君       石川 次夫君    中谷 鉄也君       松平 忠久君    横山 利秋君       近江巳記夫君    松尾 信人君       川端 文夫君    米原  昶君  出席政府委員         内閣法制局第四         部長      角田礼次郎君         文部省大学学術         局長      村山 松雄君         通商産業政務次         官      小宮山重四郎君         通商産業省重工         業局長     赤澤 璋一君         中小企業庁長官 吉光  久君         郵政大臣官房電         気通信監理官  柏木 輝彦君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第一課長   安井  誠君         工業技術院標準         部電気規格課長 中川  隆君         労働省労働基準         局安全衛生部長 東村金之助君         労働省職業安定         局審議官    小鴨 光男君         参  考  人         (住友電気工業         株式会社会長) 北川 一栄君         参  考  人         (財団法人国民         経済研究協会会         長         財団法人経営情         報開発協会副理         事長)     稲葉 秀三君         参  考  人         (全国電気通信         労働組合中央執         行委員長)   酒井 喜芳君         商工委員会調査         室長      椎野 幸雄君     ————————————— 委員の異動 四月 十六日  辞任         補欠選任   宇野 宗佑君     竹下  登君 同月 十七日  辞任         補欠選任   田中 六助君     林  義郎君   竹下  登君     宇野 宗佑君 同日  辞任         補欠選任   林  義郎君     田中 六助君     ————————————— 本日の会議に付した案件  情報処理振興事業協会等に関する法律案内閣  提出第七四号)      ————◇—————
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  情報処理振興事業協会等に関する法律案を議題といたします。  本日は、配付いたしました名簿のとおり、参考人方々出席しておられます。  参考人各位には、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。  当委員会におきましては、本法律案につきまして熱心なる審議を続けてまいっておるのでありますが、本日参考人各位の御意見を伺いますことは、今後の審議に多大の参考になるものと存じます。何とぞ忌憚のない御意見の開陳をお願いいたします。  それでは、まず各参考人方々から御意見を述べていただき、そのあとに質疑を行なうことといたします。  最初に、北川参考人にお願いいたします。
  3. 北川一栄

    北川参考人 北川でございますが、産業構造審議会情報産業部会部会長をやりました関係上、少し意見を述べさせていただきます。もっとも、きょうこれから申し上げることは、情報産業部会としてよりも、むしろ個人的の意見が入りますので、御了承いただきたいと思います。  情報産業部会ができますのにつきまして、私に部会長をやれということでございましたが、私は専門家でございませんので、一応辞退したわけでございますけれども、考えてみますと、これは単なる従来の延長考え方ではまずい、技術革新というものを土台に考えなければまずいという考えのもとに、私、しろうとながら引き受けたわけでございます。別の言い方をいたしますと、技術革新というのがこの十数年前からいわれているわけですけれども、技術革新が起きますと当然産業革命が起きる、それがディフュージョンいたしますと続いて社会革命が起きるということは、歴史の教えるところであります。しかしながら、日本はそういう生きた経験をしていないわけであります。明治の初めには、すでに技術革新が起きた成果がヨーロッパアメリカで取り上げられているパターン参考にして、そうして日本はそれを応用したという経験はありますけれども、現実に、技術革新から産業革命社会革命へと移していく過程経験は、一度もやったことがないと思うのであります。そういうときには、あらためて国の役割りあるいは民間役割りということを考え直さなければ、従来の延長だけの考え方ではまずい。あたかも明治の初めに、いろいろな新しい行政官庁をこしらえて国が役割りを果たしたと全く同様な考え方をすべきであると私は考えるわけであります。  そこで、情報産業の問題をやる前に、これは意識革新の問題であるというもとに、この答申の前文には、意識革命のもとでやらなければならぬということをうたっているわけであります。それからまた国の役割りとしては、この答申ではとりあえず、「積極的にガイドポストを策定し、提示すること。」それからまた、「情報化時代に即応した行政体制を確立し、およびナショナルプロジェクトに関する情報システム開発すること。」三番目には「基礎環境整備観点から、現行の各種の制度、体制、慣行について積極的に改善措置を講ずるとともに、民間活動に対して援助を行なうこと。」ということを書きしるしたわけであります。別の言い方をしますと、この情報産業を取り上げるところが現在の行政官庁にはない。そのために、この問題は何らかの形で取り上げなければならないけれども、いまの縦割り行政の中にはないというところから、とりあえず産業構造審議会で取り上げるということになったそうであります。ここにきょう出席稲葉さんは、その辺の事情については御存じかと思います。したがって、産構審で取り上げますと、それは通産省の管轄になる、そういう意味でこの答申も、通産省以外のことも含んでおりますけれども、答申としては当然通産省の立場からの答申である。したがって、「政府は」ということばは使ってございますけれども、技術革新という考え方考えますと、これは、私は個人的には、総理大臣とすべきだと考えております。いずれにしましても、そういうことが一つの基本的な考え方であります。  それから、もう一つ考え方は、時代が変わりますと、非常な大きな特徴は、いままでできなかったことが可能になる、そういうことが一つ特徴であります。いままでは経験的にこれはできないと考えておったことに対する可能性が出てくるということは、大きな常識の転換を要するところであります。たとえば、御承知のように、いままで考えもしなかった月に到達できるというようなことが可能になるわけであります。あるいは御承知のように、必要論から一九四六年にアメリカは、陸軍、海軍、空軍という膨大な経費をやるのにはどうしても一つにして考えなければならないということで、一つの国防省にしてみたところで、現実はそれを具体的な末端まで、正確にみんなを納得させるような手段はできないわけであります。ところが、御承知のように、その後マクナマラ長官が一九六一年に就任したときに、初めて新しい情報時代の道具の一つであるコンピューターを使うことによって、非常に規模は大きくなっても、必要なことについては末端までを具体的にコントロールすることができるということで、一つPPBS式の方式ができたわけであります。つまりコンピューター一つ特徴は、非常にビッグサイエンスビッグビジネスになっても、それが必要な末端までをコントロールし得るというところに一つ特徴があって、これはいままでは、そういうことは不可能であったわけであります。そういう考え方をする必要があります。  ただ問題は、コンピューター機械ですから、人間がいろいろなことをやってやらなければできない。たとえばコンピューター二進法でございます。イエスノーという論理体系であります。ところが、われわれ人間がものを考える場合には、イエスノーで割り切れることばかりではございません。われわれ人間はいろいろな思考方法を持っているわけです。しかしコンピューターは、二進法的な考え方しかできないわけです。したがって、コンピューターを使うときには、われわれの考え方をずっと変えていって、二進法的論理回路にトランスフォームしてやらなければ、コンピューターを使うことができないわけです。そういうことをやらなければならぬ。  もう一つは、コンピューターは、情報化したものしか取り扱えないわけであります。したがって、勘だとか、コツだとか、あるいは感情だとか、においだとか、そういう情報化できないものは、コンピューターは取り扱えないわけであります。したがって、従来、勘だとかコツだとか経験にたよっていたパターン認識的なことをできるだけ情報化する、ディジタル化するという作業を人間がやってやらなければ、コンピューターは使えないわけです。そういうパターン認識をディジタル化することを人間がやる、あるいは二進法的論理にトランスフォームすることをソフトウエアというわけであります。これは皆さん御承知のとおりであります。  ところで、コンピューターが出たために、目に見えるハードウエアというのは、日本もいろいろなかっこうで各社が取り上げて、その上に通産省のほうからそれを援助されるという方法でもって、相当ハードウエアは追いついた。ところが、ソフトウエアというのは、先ほど申し上げましたとおりに、論理のトランスフォーメーション、あるいは思考過程のそれを情報化するという、これは目に見えないだけではなしに、全体の人間に関することであります。したがって、そのことは簡単にまねすることはできない。結局これは日本事情に合うようにやらなければならない。ところが、依然としてコンピューターは単なる一つ機械考えて、あれは技術者のものだとか、あるいは数学のできない者はわからないとかいうようなことで放置してあるために、ソフトウエアには非常なギャップができているわけです。だからどうしても、そういう論理回路にトランスフォームするというようなことを急いでやりませんと、コンピューターあるいは情報時代というものの認識がまずできない、そういうように私は考えるわけです。  御承知のように、ヨーロッパがそれの轍を踏んでいるわけです。ヨーロッパは、技術革新ができても、その技術革新を従来のヨーロッパの伝統のやり方でやればやれると考えておったわけです。ところが、アメリカは国防上の必要性から、それではだめだということで、だんだんコンピューター考え、それに必要ないろいろな各種オペレーションリサーチだとか、あるいはシステムエンジニアリングだとかいうことをみずから開発して、いわゆる経営革新を行なって、そうして新しい時代をつくっていったわけです。そうしてわずか数年の間に、ヨーロッパアメリカとの間に結果において非常な開きができた。そこであわてて、御承知のように一昨年OECDの問で会合を開いた。そうして、こんなにヨーロッパアメリカとの差ができたのは何であろうか、調べてみると、それは経営革新であり、コンピューターギャップであり、ソフトウエアギャップであったということにヨーロッパはがく然として、去年から大いにそれに力を入れ出す。しかも気のついたときには、すでにハードウエアについてはその七五%のマーケットはアメリカに握られておった、こういうことであります。そういう意味で、ソフトウエアの大きなギャップヨーロッパは気がつくと同時に、すでに御承知のようにデータ通信を実施するという形で非常に急いでいるわけです。  ところが日本は、ソフトウエアに対する考え方が非常におくれておって、データ通信もできていないというような関係もございまして、とてもこれではいかぬ、どうしてもソフトウエアというものを急がないとコンピューターが生きない。それだけではなしに新しい時代に乗っていけない。そういう意味から私は、今度通産省から出されたものは非常に——私としてはまだ不足であります。これはむしろ時代の変革でございますから、あらゆる官庁から出すべきものだと思います。もっと極端な言い方をしますと、行政面から出しているこの予算と、司法面あるいは立法面からのバランスもとれない限りはやはり片手落ちになる、だから通産省だけではとても足りない、私はそういうくらいに思っている次第でございます。  これで一応私のお話を終わります。
  4. 八田貞義

    八田委員長 次に稲葉参考人にお願いいたします。
  5. 稲葉秀三

    稲葉参考人 稲葉でございます。御存じの方もあるかもしれませんけれども、私はこれまで、日本経済全体の調査とか、また政策の立案に御協力申し上げてまいりました。そこから言えますことは、わが日本はこれからもでき得る限り経済成長を確保していかねばなりません。また、国民生活の基盤の育成、こういったことにつとめていかねばなりません。ですけれども、一九七〇年代、またその以降というものを考えますと、やはり六〇年代あるいはその従前に起こりました姿とまたいろいろな新しい問題が出てくる、こういったような情勢に際会をしていくのではなかろうかと思っております。  今度の経済社会発展計画の改定にあたりまして、私は産業部会部会長という仕事を与えられたのでございますけれども、そういったようなことを予想いたしまして、たとえば今後労働力の需要と供給の関係がどうなるとか、また農業中小企業がどのような問題をかかえているのか、またエネルギー、技術進歩、こういったようなものについて今後どのような条件が起こっているのか、こういったようなことにつきまして専門家からなる研究委員会をおつくり願いまして、半年ばかりいろいろ問題を洗っていただきました。それと並行いたしまして、きょうの問題とも関係をいたしますけれども、情報化研究委員会というものをつくりまして、先のことはなかなかよくわかりませんけれども、どのような段階、どのような問題を経ましてわが日本はだんだんとより情報化社会に対して接近をしていくのか、こういったようなことにつきまして、報告を取りまとめ、またその報告を交換をしていただいた次第でございます。きょうは、それらのことにつきましてあまり詳しく御報告申し上げる時間がございませんので、省略をさせていただきますけれども、過去十年平均いたしまして日本経済が二%強の実質速度で成長している。また、最近の三年について申し上げれば、一三・五%の速度日本経済全体が伸びている。かりに今後それが、今度おきめを願いました目標としての一〇・六%、こういったようなことで五十年まで進んでいく、このように仮定をいたしましても、昭和五十年になりますと、もう一つ日本経済が生まれてくるということになります。そして昭和四十四年度に対しまして、その場合の鉱工業生産は倍とちょっと増加をする、また輸出貿易は二・五倍見当になる、このようなことになるかもしれません。というふうになるわけでございますけれども、労働力につきましては、農業工業、建設、サービス全部を入れまして昭和四十四年度の五千百万人が五千四百万人と、三百万人しか増大をしないだろう、このように予想される次第でございます。このようなことと並行いたしまして、私たちは、前途にいままでなかったような形で、たとえば公害の問題とか、交通の問題とか、さらに都市開発の問題とか、このようなものをかかえておる次第でございます。そして、そのようなことに対処をいたしまするためには、いま北川先生がおっしゃいましたけれども、私たちは、今後いままでになかったような形でいろいろな経済とか社会の多元的な要素を組み合わせまして、そして問題を摘出する。それに対してどのように対応していくか、このようなことを、国内の将来のことを考えましても、どうしてもやっていかねばならぬ。これができなければ、私たちは一九七〇年代、八〇年代に対して即応していくということができないわけでございます。  もう一つ申し上げておきたいのは、先ほど北川さんが御報告になりましたように、そういったようなシステム開発技術とかソフトウエア開発ということにつきまして、遺憾ながらわが日本は、コンピューター保有台数では世界で二番目まで来たのでございますけれども、それの応用技術とか適用とか、そういうことになりますと非常におくれている。鉄がすでに世界一の産業である。造船業世界の六〇%の船をいま日本でつくっている。それに比べますると、この分野におきましては、量、質ともに非常におくれをとっている、こういう現状にございます。私は専門家ではございませんけれども、これまで、通産省オートメーション部会だとか、また情報産業部会仕事をお手伝いをしてまいりました。また、そのような意識に立ちまして、昨年以来、財団法人日本経営情報開発協会設立に参加をいたしまして、何とか幅広い形でわが日本コンピューター利用推進を早めたい、このような運動をしている次第でございます。  一九七〇年代に入りまして、私たち前途考えまして、よけいに、どうしてもこれだけはしていかねばならない、このように考えますものの一つは、それだけで全部が解決するというわけではございませんけれども、やはり利用技術民間並びに政府ベースで高めていく、こういう仕事を一日も早く発足せしめるということにある、このように思う次等でございます。  ハードウエアももとより大切なことでございます。そしてこれにつきましては、電子工業振興臨時措置法が運用せられまして、ある程度いままで前進体制がとられてまいりました。しかし世界的に見まして、コンピューター仕事の中で、ハードウエアよりもソフトウエアのほうの重点というものがだんだん起こっているということは、皆さま方十分御存じのとおりでございます。いまは日本ハードソフトが八対二でございます。しかしアメリカでは、五対五あるいは四対六になっており、将来はハード二に対してソフトが八くらいになるだろう、このように予想されておる次第でございます。そうなりますと、私たちは、国内の必要と世界的なベースにおいて、どうしてもコンピューター活用というものを推進をしていくためには、ここでソフトウエア技術というものをひとつ政府民間が一緒になって推進をしていただく、こういう必要があるだろうと思います。できるならば、そういったような体制を早くかつ組織的に大きく展開をしていただくということが、将来の日本に備えまして非常に重要なものだ、このように思う次第でございます。  さて、この法案ということに入る次第でございますけれども、この法案はすでに皆さま方の御審議の対象になっておりまして、私自身は、これにつきまして、二つの特色を持っておるものだ、このように考えます。  それは、ソフトウエア開発及び利用推進をするということ、そして情報処理サービス業育成をはかっていく、そのような観点から電子計算機利用高度化計画について規定をする。その二つとしては、情報処理振興事業団を通じまして、そういったような民間仕事というものにつきまして、プログラム開発を委託をしたり、あるいは第三者に活用せしめるということにつきまして仲介体になりましたり、さらに、情報処理サービス業が業務の高度化に必要な資金を借り入れる場合、一般事業者プログラム開発に必要な資金について債務保証を行なっていただく、このようなものだと私は理解をするわけであります。率直に申しまして、私はもっと大きな体制と力で、このソフトウエア開発の意義を国会皆さま方に御了承願いまして、もっと画期的な前進をとっていただきたい、このように思う次第でございますけれども、ともかくこれによりまして一歩前向きの体制がとられる。そして、それに並行いたしまして、他の分野、たとえばハードウエアにつきましても、あるいは標準化につきましても、通信回線をどのようなことにしていくとか、あるいはデータバンクをどのように進めていくとか、こういったようなことにつきまして、それぞれの分野でひとつ皆さま方の御協力、御指導の上に道が開かれまして、でき得る限り早い時期に、そういったようなものを総合化して一つの基本的な方向がきめられる、こういったようなことを私は考え期待をいたしますとともに、一日も早くこういったような体制国会でお認めを願う、また実施するという観点につきまして、この法案考え方、成立に私は非常に高い評価をさせていただいておるのだということを、お話し申し上げたい次第でございます。  さて、若干補足的に申し上げますと、情報処理サービス業ソフトウェア業につきましては、最近になりまして、国内コンピューター利用もだいぶん進んできた、またいろいろ解かねばならぬという問題が出まして、非常に急速な進展というものをしているところでございます。すでに、情報処理サービス業としての計算機センターというものにつきましては、三百をこす事業場、こういったようなものが日本にできまして、そうして、地方自治団体サービスをさせていただいているとか、あるいは地方企業のいろいろな仕事をしていただくとか、あるいは大企業計算事務推進をするとか、こういったようなことがとられております。そして、これを画期的に前進せしめるためには、標準化とか、プログラムパッケージをつくっていくとか、そういうことがどうしても次の段階において必要だと思う次第でございます。私は、今後、中小企業情報化、こういったようなことを考えまして、今回、電子計算センターの全国的な協会とか協議会をひとつつくって、そこでこういう問題を推進されてはどうか、こういうことを提議し、近くそれが設立をされるということになりました。またソフトウエアにつきましても、こういったようなことを前提といたしまして、関係方々にいろいろお集まり願いまして、すでに協議会といったようなものもつくられております。また企業の中で、どうしても自分たちとしては新しいプログラム開発をしたい、しかしまた、これが十分認識されない、金融機関でも十分承知をしてくれない、こういったようなことにつきまして、決して十全とは申しませんけれども、この機関一つのより前進的な役割りを果たしていくのではないかと思います。いま私たちは、コンピューター利用推進、こういうものを前提といたしまして、何とか現実的に日本プログラム開発というものを進めたい、そしてそれと並行いたしまして、幅広くやるための教育活動も、それぞれの分野において大幅に展開をして一日も早く層を厚くする、こういったようなこと。それと、標準化通信回線前進的な活用ということによりまして、事態をプラスにするという方向を促進をしていただきたいと思っております。  やや時間が長くなりましたけれども、私はこの法律に、これでもうすべてが満足いたしますというわけではございませんけれども、より一歩前進方向が七〇年代においてとられるということを期待をいたしまして、皆さま方が、この審議に対しまして御協力また推進されんことを、お願い申し上げたい次第でございます。  どうもありがとうございました。(拍手)
  6. 八田貞義

    八田委員長 次に、酒井参考人にお願いいたします。
  7. 酒井喜芳

    ○酒井参考人 酒井でございます。  いま委員会審議をされておりまする情報処理振興事業協会等に関する法律案につきまして、労働組合の立場から見解を申し上げてみたいと存ずるわけであります。  その前提としまして、私たち、特に全電通の労働組合でありますけれども、わが国の情報化の進展が、国民生活や、それから働いている労働者の労働条件に、たいへん大きな関係があるということを認識をいたしまして、昨年八月以降、全電通の労働組合の中に、九州大学名誉教授であります高橋正雄先生を会長にいたしまして、八名の学識経験者をもって通信政策委員会というものをつくりまして、情報化問題についての研究を重ねてまいりました。その中間答申的なものが去る二月十五日に全電通労働組合に対して提出がありました。この中間答申に対しましては、いままで、主として産業方面ないしは経済界からの情報化問題についてのアプローチというのは非常に多かったわけでありますけれども、労働組合ないしは革新という立場で、この種の問題について体系的に、系統的にアプローチをしたものは少ないということもありまして、たいへんいろいろな反響をいただきましたし、また賛同もいただいているところであります。したがって、これから私が申し上げます点は、単に全電通労働組合という立場だけではなくて、ある程度一定の範囲でありますけれども、社会的に容認されたといいましょうか、そういうものであるということを一つ前提にして御判断をいただきたいと思うわけであります。  この中では、まず第一に、わが国の情報化促進の目的について、その中心となるハードウエアあるいはソフトウエア、これらの開発利用は、何はさておいても、平和的利用ということと国民生活優先のシステムということが優先すべきではないだろうかということであります。ことに今日の段階におきましては、物価の問題でありますとか、あるいは流通の問題、あるいは公害の問題、過疎の問題、あるいは都市開発などの、国民生活に関連する各種の問題が山積をいたしておるわけであります。これらの解決しなければならない国民的課題の解決のために、ソフトウエアやあるいはハードウエアの技術開発の成果が活用されるべきものだと思っているところであります。  第二に、御承知のように、情報の処理、提供のあり方についてでありますけれども、一部の階層に情報が独占をされるということになりますと、情報を握るものが支配をするということもいわれておりますように、それは民主主義の否定につながるおそれがあるわけであります。さらに、それらが権力というものと結びついた場合には、中央集権化というものが一そう強まりまして、たとえば地方自治というものが否定されてしまうのではないだろうかということも考えられるわけであります。したがって、情報処理システムのあり方、あるいは運営というものについては、むしろ民主的な機構というものをつくって、計画、さらには運営ないしは管理に当たることが必須の条件であろうというふうに思います。  第三に、コンピューター化は、そのあり方によりましては、人間のプライバシー侵害を引き起こすおそれもあるわけであります。さらには、通信の秘密保持ということとも関連をいたしまして、基本的人権を保障する対策というものがその中に確立されるべきだと思うのであります。また最近、特に人間性の回復ということがあらゆる方面で強調をされているところでありますけれども、情報化の促進というものが、再び、六十年代のオートメ化と同様に、人間疎外というものをつくり出すということになりますれば、たいへんなことだと思うわけでありまして、この点についても、あらかじめ十分な配慮と対処というものが大切だと思っておるところであります。  以上申し上げました三つの点は、中間答申の中でも特に強調がされておるわけでありますけれども、これは私どもといたしまして、 コンピューター利用による情報化の三原則と言ってもいいものだと思うわけであります。特に本法律案によりますれば、ソフトウエア開発のみならず、わが国の情報化を進めていく場合に、基本として、どうしてもこの三原則というものを何らかの形で生かしていくべきだという立場をとっているところであります。  法律案について具体的な見解を申し上げますと、この法律案によりますと、ソフトウエア開発は、情報処理振興事業協会を通じて、通産大臣が計画をしたプログラムを、民間ソフトウエア開発会社を育成しつつ開発をしようという形をとっているわけであります。このプログラムは何の目的でだれのために何を得ようとするか。すなわちインプットからアウトプットまで、そしてそれをどこへフィードバックするかということが重要なポイントであるわけであります。プログラムのいかんがコンピューター利用を左右するということも言えるわけでありまして、その結果は、国民生活あるいはそれらに関連をする労働者の労働条件にも、たいへん大きな関係を持ってくるわけであります。特に、この法律案での開発促進の対象が汎用プログラムということでありますので、普遍性があればあるほどその影響する範囲も大きくなるわけであります。また同じことが国民生活の中でも言い得ますし、その場合、この法律案では、問題が起きた場合にだれが責任をとるのかということがあいまいになっているのではないだろうか。その責任を協会がとれるんだろうかということが問題になろうかと思います。また、通産大臣に最終的に集約されようといたしましても、範囲が非常に広くなる。たとえば、それらが各省庁に及ぶような問題、あるいは内容が高度のものになるという問題には、そういう通産大臣が責任をとるという形にはなれないのじゃないだろうかというふうに思われるわけであります。したがって本来的には、北川参考人あるいは稲葉参考人もおっしゃられておりましたように、国全体としてコンピューターによるいわゆる情報公害等を引き起こさないような体制というものをつくり上げた上で、国ないしは民間の総力をあげてソフトウエア開発というものに力を注ぐべきだという立場をとるわけであります。こういう体制ができない限り、いわゆるソフトウエアギャップあるいはコンピューターギャップというものはなくならぬのじゃないだろうか。こういう体制をつくり上げることが、いわゆる日本アメリカコンピューターギャップというものを解消する唯一の道ではないだろうか、こういうふうに考えているところであります。  最後に、いままでの審議の中で、政府としては、わが国の情報化の正しい発展のために、全般にわたったいわゆる情報基本法的なものを制定する必要性を認められておるようでありますけれども、ただ、それをつくる場合には対策とか調整というものに時間がかかるということなどもありまして、いま審議されております事業協会法という形で、部分的なものから取り上げていこうという形をとっておられるようであります。しかし、将来非常に大きな影響を及ぼす、また産業的にも大きな発展の要素を秘めているこの情報化ないしは情報産業というものについては、本来、国として基本的な方向が定められて、その中で個々の対策というものがとらるべきではないだろうかと思うわけであります。いまとられている全体的な方向は、どうも企業サイドでのアプローチのみが先行をしているというふうに思いますし、こういう形では将来大きな問題を残すように考えられるわけであります。  さらに、伺いますところによりますれば、次の国会では公衆電気通信法の一部改正案が上程されるというふうにいわれておるわけでありますけれども、この二部改正案は、特に私ども全電通労働組合のように、それに直接従事する労働者の労働条件にもたいへん関連がありまして、そういう立場から重大な関心を持っているわけでありますけれども、これをとりましても、やはりこれらは、基本法の中でしかるべき位置というものを与えられるべきだと思っているわけであります。  こういうふうに、先ほど申し上げましたように、部分的なものが先行する、一つ一つケースに従って解決を見出していくという形でやってまいりますと、それぞれが一人歩きをしてしまいます。そうして、最終的に情報基本法的なものをつくろうという場合に、それらが障害になるという心配が、先ほど申し上げましたようにあるだけに、まず最初に情報基本法的なものをつくりあげることがより大切ではないかと思います。そのためには、ぜひとも国会の中にも情報化対策特別委員会的なものを設けていただくことと、それから情報化の及ぼす範囲が、国の行政の中でも、一つの省庁だけではなくて相当広い範囲に関連をいたしますから、政府の立場においても、情報関係閣僚会議的なもので、一元的な対処を、そして広く国民の立場からも意見を求めるということをぜひやっていただきたいと思うわけであります。  以上、全電通労働組合の立場から見解を申し上げました。いろいろ御審議参考に供していただきたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)     —————————————
  8. 八田貞義

    八田委員長 続いて各参考人に対して質疑を行ないます。  申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
  9. 横山利秋

    ○横山委員 たいへん割り当ての時間が少のうございますが、簡潔に各参考人にお伺いをいたしたいと存じます。  いずれの参考人も、この情報化時代に対処すべき必要性、必然性というものを強調をしていらっしゃいます。私どももそのように感じておるわけでありますが、ただいろいろとお話の中に、チェックをしろといいますか、多少この点を注意しろというお話を幾つか承りました。  その中で、一つまずお伺いをしたいと思いますのは、いま酒井参考人からおっしゃいました、将来あり得べき基本法とこの法案との関連性において、北川稲葉参考人にお伺いをしたいと思うのであります。たとえばこの法案は、あり得べき基本法に対してどんな障害があり得るかという点であります。私の感じますところは、たとえばいろいろお話がございますが、究極的にこの情報の発展というものが国民生活の向上に寄与しなければならぬ。法案は「国民経済の健全な発展」となっておりますが、究極するところ、人間社会の理想的な構図を描くための一つ方法であろう、こういうふうに考えられます。その意味においてこの法案は十全であろうかどうかという点が一つであります。  それから第二番目には、いまも御指摘がございましたが、各省もうほとんどの省がコンピューターを持っておって、ほとんどの省が、その機種が違ったり、あるいは自由に使っておるわけであります。アメリカの例を待つまでもなく、これは非常に非能率、非効率的なところがあるように思われるわけであります。このようなことを考えますと、たとえばもう一つございますが、高度利用化計画と言いますけれども、この法案電子計算機利用高度化計画でございまして、基本法的にいうならば一総合的な計画があって、その一環としての電子計算機利用高度化計画があるにすぎないのではないか。そういう意味合いにおきましても、あり得べき基本法とこの法案との関連上注意すべきことは何かという点が、両参考人にお伺いしたいところであります。  それから稲葉参考人は、中小企業の問題に言及をされました。申すまでもなくこのコンピューターが、あらゆる意味において、大企業中小企業、あるいは産業人間等々にコンピューター格差をもたらすことは、私どもよくわかるわけでありますが、この法案は、その意味において、中小企業に特にコンピューター格差を解消するための措置は、必ずしも講じてないような気がするわけであります。どういう方法が一体あり得るであろうか、言及されました稲葉参考人にお伺いをいたしたいと思います。  それから酒井参考人は、特に人間疎外、基本的人権にお触れになりました。先ほどお話がございました三原則のことはたいへん重要でございまして、あなたのほうからいただきましたものによりますと、「その運用を一歩あやまれば、さらに人間疎外を強め、労働者階層は少数のテクノクラートと、より多くの単純労働者層に分化して連帯意識を弱めることになる。」そして入権を侵すおそれがあるという指摘であります。このことは一体どうしたらいいのであろうか。確かにその危険を感ずるわけでありますが、それならば、どういう方法によってそれが除去されるであろうかという点を私も考えるところであります。  それから北川参考人にお伺いをいたしたいのでありますが、あなたのお書きになりました文書を拝見いたしますところ、アメリカにおきましてのコンピューターの発展は、主として科学産業、軍事産業、要するに政府主導型といいますか、それによって非常に発展したといわれ、かつ政府は、そのおびただしい予算の放出の中で、一定の調整を行なったというような趣旨がございました。しかるところ、日本におきましては、そういうような主導型というものが、いまありません。ありませんで、一体これはどうしたらいいのであろうか。アメリカに対比をいたします際に、日本の、今後放置すればばらばらの発展というものを、どこで総合調整をしていったらいいか。これは非常に抽象的な御質問で恐縮でございますが、アメリカの指摘がたいへん興味を呼びますだけに、御意見がありましたらお伺いをいたしたい。  時間の関係上列挙をいたしましたが、各参考人の御意見を賜わりたいのであります。
  10. 北川一栄

    北川参考人 北川でございます。  最初のお話がございました、これには基本法といったようなものを先にやるべきかというふうに承ったつもりでございますが、これは端的に私の個人的な感じから申しますと、情報時代というのは、実は、どういうものだか見通しがついていないというのがほんとうではないかという気がするわけです。明治時代のときには、新しい技術革新に対するパターンがすでにヨーロッパアメリカにあったわけでございますから、それを参考として、そうしてその基本法的な考え方を設定することが可能であったと思うのであります。ところが情報時代というのは、ことに日本では、実はまだほとんど入っていないといってもいいのではないか。むしろアメリカが必然性を持って、先ほどおっしゃいましたように、国防と原子力が出た。原子力に対する対策としては、新しい経営手段、すなわちコンピューターをやるよりしかたがないという必然性から国防関係でやった。国防関係から、宇宙開発、そして技術革新の後に来たるべき産業革命として、御承知のように、アメリカでいまやられてきていますのは、原子力産業をはじめとして宇宙開発産業、それからもちろんそれに連関しました情報産業。それからまた、宇宙開発に連関しまして、御承知のように、地球のぐるりを放送衛星で取り囲んでしまって、そうして新しい時代に適応するためには国際的に教育をやる、どうしても新しい教育をやらなければならぬということで、私の聞いている範囲では、NASAとインドとの契約が進んで、宇宙中継を通じてインドに教育をやる。テレビ、ラジオを通じての教育ならば、一度に義務教育はやれるといったような、いわゆる知識産業と、それからまた、そういう宇宙開発あるいは原子力などをやるときには、直接人間が取り扱えませんから、どうしてもロボットだとかいろいろな間接的なものが要る。そういうことの利用を通じて海洋開発というふうに、技術革新に応ずる新しい産業革命アメリカで進んでいるというように思うのであります。だから、それを参考にする程度にしかできないであろう。そうしますと、基本法を制定するについても、それから新しいアメリカの進み方を参考にするにしても、やはりコンピューターというものを、何らかの形でそういう検討ができる程度にまで各方面で上げておきませんと、いたずらに、どうなるかわからないことを空想で議論をする心配があるかもしれない。  そういう意味からいきますと、コンピューターについては、幸い、通産省の御努力によってそれが相当進歩した。しかし問題は、コンピューター機械であって、それをどう活用するかというソフトウエアの技術が進まぬ限り、そういう情報時代の議論もできない。そのためには、せっかくコンピューター関係については非常に日本は進んだわけでございますから、それを生かすためのソフトウエア技術というものを、通産省をもとにしてどうしてもそれを先にやらなければならぬ。それを先にやらなければならないもう一つの原因は、日本は軍備がございませんけれども、民間としては国際競争にさらされているわけであります。これは相手が待ってくれないわけであります。国際競争をするためには、民間自体がコンピューターソフトウエアを進めなければどうにもならぬ。ところが、そのソフトウエアを進めていく上についていろいろなことを考えてみますと、どうしても民間だけではできない事柄もある。政府がやってもらわなければならぬ問題もありますし、あるいは援助を仰がなければならぬものもあります。そういったようなことについては当然通産省にお願いしなければならぬ。そういう意味からこのソフトウエアをある程度開発する。それからまた、できればそれがある程度デフュージョンした上でないことには思想統一ができない。基本法を制定するにしても、各人が従来の延長でものを考えていたのではなかなかむずかしい。かといって、情報時代のことを知っているほんとうの人間もいない。そういったようなことをある程度議論がしやすいようにするためには、まずもう少し勉強してからでないとまずい。そのためには、やはりこの情報部会で答申したような形のものをぜひ先にお進めいただきたい。もちろんそれを進めときには、当然将来のことを考えながら——もちろん、あくまで人間でございますから、根本的には千年前にも五千年前にも変わらない、いつも同じ赤ん坊からスタートする人間そのものと、積み重ねによって限りなく進歩する文明との調和が根本的な問題になります。その根本的な調和を考えながらこれをどう進めていくかというふうなことが情報産業部会では絶えず議論の種になったわけです。その結果は、とりあえずは、どうしてもあの答申に書いたようなことは問題点として取り上げねばまずかろう。したがいまして、そういう情報化社会に関する考え方がある程度浸透してから基本法をやるべきものではないか。  それからまた、当然時代が変わるわけですから、これは総合計画として考えなければならぬことは言うまでもないわけです。別の言い方をしますと、ある一つ時代には、会社でいえば、ある組織のもとにわれわれは仕事をしていくわけであります。管理者層あるいは担当者は、そういう組織を前提として仕事をするわけです。しかしながら、経営者は、世の中が非常に変わったときには、いままでの組織をもってやれなくなる。むしろ経営者は、その時代の進歩と合うようにするためには、組織自身を考えなければならない責任を持っているわけであります。そういう観点からながめますと、国が一つの大きな会社と考えてもいいのではないか、そうしますと、もはや明治時代行政官庁のままでは、新しい時代には必ずしもいけるかどうかわからない。そういうことを考えるのは、各省だけではない。やはり総合的に考えるのは、責任者は、会社でいえば社長、政府でいえば総理大臣であろうかと私は思うのであります。いずれにいたしましても、そういったようなかっこうで、しからば総理大臣はどういうかっこうで総合計画を進めるかということは、これは総理大臣の問題であり、あるいは皆さん方にお教えをいただくよりしかたがないのではないと私は思うのであります。  いずれにいたしましても、先ほどからくどく申し上げますとおり、問題は五千年前から変らない。いつも同じ赤ん坊からスタートする人間そのものと、積み重ねによって絶えず進歩する文明とのその調整を、絶えずわれわれは情報産業部会では考えながらやっている。総合計画も、その形でどうやっていくべきかということを考えなければならぬ。そういう意味で、今度は、情報部会ではなしに情報産業視察団で参りましたあとの提言でも、そのことを相当触れているつもりであります。したがって、どうしてもその総合計画を立てる方法考えなければならぬ。しかし、くどく申し上げますとおりに、将来のことはなかなかわかりにくい。そうなりますと、現時点をそのままにしておきながらできるだけいろいろな阻害を与えないような変革をもたらさなければならない。  そこで、御承知のようにアメリカの例では、先ほど申し上げました、陸海空軍は一つにして考えなければならぬ。しかし、その膨大なそういうことを処理するのは、人間一人で統轄する限界を越えてしまっているわけです。その結果は、御承知のとおりに、初代国防省の長官はノイローゼになって自殺をしたわけであります。どうしても必要だからといって大きくしてみても、なかなか今度は、みんなを納得させられるように末端のことまで判断することができない。人間の情報処理能力は、文字に直して一時間数万字にしかすぎませんから、どうしてもできなかったわけであります。したがって、人間の情報処理能力の十万倍、百万倍の能力を有するコンピューターを適当にある程度使うことによって、対象が非常に大きくなっても、末端業務までもコントロールし得るという形のマクナマラ長官考え方が一歩前進した。実現を見た。ところが、その方法は国防省でうまくいけても、これは全く私の想像でありますが、アメリカであっても、諸官庁がある以上は、国防省が考え出したPPBSを各省でやりなさいという命令はできない。結局そのときには大統領の命令で、コンピューターの使い方をやると非常にぐあいがいいからほかの官庁も使いなさいという形でやっていったように、私は思うのであります。そこで各官庁が争ってコンピューターを入れる。そういう形でやりますと、年間の経費が三十億ドルに達した。三十億ドルにもなりますと、そういう国民の税金を効率的に使う必要がある。しかし、それを総合的に統轄するような行政の仕組にはなっていない。そこで御承知のように、ブルックス議員が議員立法でもって、そして暫定的にそれぞれの窓口——技術については商務省の標準局が考える。あるいは購入については、これは購買局でしたか、そこで政府のものは一元的に考える。臨時にそういうやり方をやることによって、年間二億ドルの節約ができたわけです。だから、行政官庁はそのままにしておいてどう乗り移るかということは、なかなか将来がわからないだけに、非常に考えながらやっていかなければならない。結局、大統領の命令、その次には議員立法という形で暫定的にやる。そうして一昨年は、これをいよいよ広げるためには情報ネットワークを国全体に張らなければならぬということで、パブリック・ブロードキャスティング・コーポレーションという立法措置をやって、そうしてそのネットワーク、情報センターを各所に置く。国としてどういうふうに置いたのが最も効率的であるかということをやるためのそういうアクトを出した。これも皆さん御承知のとおりであります。問題は、国として最も効率的に情報ネットワークをやって、そのとき大統領は、アメリカはいままで、物だとか生産することにやきもきしてきた、しかし、われわれはいまやもっと精神的な面を考えなければならぬ、精神を豊富にするためには、情報ネットワークをうまく効率的にアメリカの内部に張って、そうしてどんなへんぴなところにおる人間も、非常な文化都市におけると同じような恩恵をこうむるようにすることをやろうという声明を大統領が出して始めているわけです。そういうようなかっこうで、アメリカといえども、必然的に進んでいってはいても、やはり暫定手段を考えながらやっていっていると思うのです。  それに見合うような、あるいは日本に最も適したやり方でどう考えるかということについては、これは総理大臣にお考えいただくのが順当であろうと思うのであります。総理大臣が、適当な審議会なり、いろいろなその方法論については、私は私なりの個人的な意見はございますけれども、とにかく総理大臣はほんとうに考えなければならない。企業においては社長が最も考えなければならぬ問題であります。別の言い方をしますと、コンピューターの働きは十万倍、百万倍の働をしますから、したがって、いままでは取り扱えなかったような非常な広い範囲のものを取り扱える。したがって、それは非常に大きなもの、全般的なことを考えるのには非常にぐあいがいい。しかしながら、一方において、逆に十万分の一秒、百万分の一秒のような、そういう正確さまでやれるというのがコンピューター特徴であります。ですから、コンピューター専門家だけにまかしておきますと、必要以上に、十万分の一、百万分の一秒に相当するようなこまかいことまで仕事に入れてしまう。必要以上にやりますから非常な不経済になります。かといって今度は上の者は、こういう情報が必要だという、その情報の価値はわかっても、自分がコンピューターをいじくるわけでございませんから、なかなかコストがわからない。コンピューター専門家は、自分がつくるのですからコストはわかりますけれども、それのつくった情報がどれだけの価値があるのかわからない、そこに一つの盲点があるわけです。したがって、どうしても上から下までお互いが相談し合いながらやらないと、なかなか適正な考え方は出てこない。そういったようなものがある程度進みながら、適当な時期に総合計画あるいは基本法というものを考えるべではなかろうか、こういう気がするわけであります。  それから最後に、アメリカは、国防という関係から必然性をもって政府主導型になった。これはアメリカへ行っても、たとえばアメリカ経済人と話をしてみますと、アメリカ経済界は、民間は非常にやりやすい。それは政府主導型で、少なくとも政府のほうが民間よりも大体五年間アヘッドしている。前進をしている。したがって政府のほうに非常に理解があるので、われわれは仕事をやりやすい、こういう言い方をするわけです。ところが日本では、国防ということが必ずしもアメリカのような形で主導性をとることはできない。これは全く個人的の考え方でございますが、しかしながら、日本経済密度は世界最高であります。日本は山地が非常に多い。したがって、逆に言いますと、われわれが利用し得る平たん地というのは、せいぜい国土の一五、六%しかないわけであります。そのところに経済活動が集中しているわけです。したがって、一ヘクタール当たりの経済生産性は世界最高であります。大体アメリカの五、六倍、ヨーロッパの二倍くらいであります。ところが、従来の工業時代考え方でやっていきますから、それはそのまま公害につながる。だから公害対策というのは、日本がどうしても自分でやらなければ、外国は日本ほどその必然性を考えていないわけであります。だからたとえば公害対策、言いかえますと、国土開発計画といったようなものをナショナルプロジェクトとして、そうしてそれにそれぞれの予算をつけて、適当な形で民間協力の形でそれを進めていただくというようなことが一つ方法ではなかろうか、こんなふうに思うわけであります。
  11. 稲葉秀三

    稲葉参考人 先ほど委員長さんが、参考人はでき得るだけ率直に話をしろということでございますから、やや率直に申し上げてみたいと思います。  私が皆さま方参考人として意見を述べさせていただきました骨子は、ともかく、これから日本が近代化、高度化をしていかねばならないということになりますと、どうしてもコンピューター利用をどのようにうまくしていくのか、使いこなしていくのか、さらにアメリカ的なレベルよりも高くていくのかということが、やはり二十年、三十年先を考えますと、私は日本の至上命令だと思っております。そのような考え方に立ちますと、やはりここででき得る限り全体をにらんで、基本法的な考え方を打ち立て、そして役所と民間と双方一体になってこのコンピューター利用推進をしていく、こういう体制を示していただくことが一番望ましいことだと思っております。その意味におきまして、私は何とかそういったような推進体制をおとり願いたいということを議会にもお願いをいたしたいと思います。  さて今度は、私個人がここ数年こういったような問題について受けました印象から申しますと、コンピューター利用推進をしていかねばならない、広くこれをうまく活用してやっていかねばならないということについて、ほとんどだれもの意見が一致をするわけでございますけれども、さて具体的に、たとえば電話と電信と情報処理の間にどのような類似性と区別をしていくのかといったような問題。さらにはまた、民間データ通信サービス、また情報提供サービス、情報処理サービスをこれからどのように推進をしていくのかといったような問題。またさらに、今後の教育の中にどのように重点を置いて、そしてそういったような方向づけを、ただ大学だけではなくて、大学ももとより進めていかねばなりませんけれども、高校、中等学校といったようなところに、どのような体制整備を、過去の教育と一緒にからめつつしていかねばならないか。また、標準化をどのように推進することによって、現在、地方自治体がみずから、また計算センター等を御利用になっていろいろ仕事をなさっておりますけれども、これは、決して地方自治というものを阻害することなしにコンピューター活用すれば、もっと情報、民間サービスというようなものが早く的確にできるのですけれども、これをどのように一歩進めて共通化の基盤をやっていくといったような問題。そのほか、いろいろな面におきまして、考え方、対処方針というものがなかなか一致をしにくいいろいろな問題がございます。  また、わが日本の将来について、先ほど私が申し上げましたが、今度の経済社会発展計画で、日本のこういう問題の専門家方々にお願いをいたしまして、日本はどのような形でその情報化社会に向かって前進をしていくのか、脱工業社会に進んでいくのか、こういったような問題について、何かまとまった構図、考え方をしていただきたいということにしておまとめを願った次第でございますけれども、やはり個々の具体的な見方、考え方になりますと、一体、世界がどのようになっていくかわからない、日本はまだやっと始まり出した限りにおいてなかなかそこまでいきにくい、こういったようなことも痛感されます。したがいまして、私個人は、何とかひとつこの基本法的な考え方で、民間の創意くふうも尊重しながら、進めていくといったような方向に立って、今後国会皆さま方も御審議、御検討を賜わりたいし、また私たち民間でこの問題をやっております者も、そういったような態度で事に対処をしていかねばならない、このように思っております。一日も早くそういったようなやや具体性を考えました基本法的な考え方が進む、こういうことをお願いをいたしたい次第でございます。  さて、先生の第二の質問の、それではこの事業協会ができることによって、基本法的なものがかりに一年か二年か三年後にできたときに、どのようなプラスの要件とどのようなマイナスの要件が起こってくるだろうか、こういうことについて私の感じを御報告を申し上げますと、まず私は、今度の法律というのは、ソフトウエア開発を指導するものではないと思っております。つまりソフトウエア開発について一石を投じる、こういったようなものだと考えております。現に初め通産省が、私も委員でございます情報産業部会答申をもとにしておつくり願いました構想は、これよりも組織も大きく、また資金ももっと豊富なものでございました。しかし、政府部内あるいは大蔵省との関係で、まだはっきり情勢が見込み得られないといったような形でこういう形に出てきたのだと、私個人は了解いたしております。  さて、現在日本でも、昨昭和四十四年度におきまして、おそらく情報産業の生産高というのは二千五百億円くらいになっているのではないかと思います。これが最小限一年三〇%くらいの比率で高まってまいりますし、おそらく、私個人の計算では、二年後には五千億円くらいになるであろうし、五年後には一兆円くらいの産業になっていくであろう、このように思う次第でございます。そしてその中で、これをこなし得る、利用推進といったような意味ソフトウエアの比率がだんだん高まっていく、このように感じますと、これによりましてソフトウエア開発をお手伝いをする、指導をするという、そういうことにはなりましょうけれども、このことによりまして全部のソフトウエア開発が生まれてくるという程度のものでは私はないと思います。したがいまして、私がこういったようなことについて期待いたしまするのは、たとえば、中小企業プログラムパッケージでありますとか、公害対策の問題であるとか、そういったようなことについて、やや一般的に役に立つようなものに対して、みずからあるいは誘い水的な融資をしていただくということがこれによって生まれてくる。そしてやはりソフトウエア開発の主体は、いまの企業といったようなものでどんどんおやり願う。こういったようなことによりまして、やはり日本コンピューター利用推進が行なわれるということになるのではないかと思います。  私自身は、そういったような結果を十分皆さま方が御判定になりまして、二年目、三年目には、効果があったから思い切って予算もつけてやろう、何もしてやろうといったようなことに実際協会がやっていただくように、また、そういうことをなさる運営の理事会が責任をもってやっていただくようになることを期待いたしますけれども、かりにそれがこの金額の五倍や十倍になったといたしましても、ソフトウエア開発のためには、やはり企業みずから、政府みずからが、より大規模のものをお出し願いまして、そして進めていただくということになっていかざるを得ない。また、そうなっていただきたいと思います。私は、これによりましてできたからといって、基本法が生まれるのに大きな障害になるということにはならないんじゃないか。むしろ、そういうことに対しまして、プラスの役割りを演じていくものではないかと思います。できるならば、二年後におきましては、もっともっと大きなものをしていただきたいと思います。  それから、もう一つ中小企業との関係でございますけれども、いまお話を申し上げましたことのほかに、私は政府中小企業審議会の委員をいたしております。また、それの下請委員長もいたしております。それから、さらにまた、繊維の構造改善政策、特に中小企業の構造改善政策につきまして、体制委員会委員長としてここ四年ばかりお手伝いをさしていただいております。私自身は、中小企業の将来を考えますと、やはり何とかコンピューターをうまく使いこなしていくということをやっていただかねばならないと思っております。そのために、中小企業庁にもお願いをいたしまして、中小企業の地域にコンピューターセンターを府県と一緒に建てていただく。それから、さらにまた、プログラムパッケージをひとつ建てていただく。そういうことによりまして、いろいろなそれぞれの地域に役に立つ。原価計算だとか、あるいは会計処理だとかいったようなことをすることによって、省力化、高度化に役に立つといったようなことをお願いをしてまいりました。一部実行していただきました。しかし私は、今度こういうものができるとするならば、やはりプログラムパッケージ等につきまして、たとえば地方の電子計算機センターが、単独あるいは一緒におやりになるような仕事に対して、優先的なめんどうを見て差し上げるとか、協力をしてあげるとか、あるいは何とか日本の将来に役に立つ産業についてのプログラムパッケージ等について、大企業も含めまして標準なやり方をしていくような形について御指導、御協力を願う、むしろそういったような面にひとつこの資金を御活用願いたい、このように思い、期待をしている次第でございます。  以上でございます。
  12. 酒井喜芳

    ○酒井参考人 お尋ねのことは二点あるかと思います。  第一点の人間疎外の問題でありますけれども、一九六〇年代のオートメ化の進展によって生まれた人間疎外というのは、労働技能といいますか、技術といいますか、高度な技術を持つ者と、きわめて単純看視的な役割りを果たせればいいという者と、二つに分けられていく。そこで、その生まれた人間疎外というのは、単純看視的な労働にのみ従事をさせられる労働者の中に、一番大きく生まれているわけであります。したがって、コンピューター化が進みますと、六〇年代に生まれたこの単純ないしは高度という二つのランクというものが、もっとはっきりしてしまって、六〇年代ではまだ両方に分化をされない労働者というものが存在いたしておりますけれども、そういうものが、ほとんどといってもいいくらい存在しないような状態になってしまうのじゃないだろうか。明確に二つに分化をしていってしまうというおそれがあるだけに、このコンピューター化というものについては、十分慎重な配慮ということが必要ではないかと思っているわけであります。  さらに、人間疎外というのは、決して労働をしている場合だけ生ずるわけではなくて、たとえば市民として生活をしている場合に、公害でありますとか、あるいは交通戦争というふうなものから生ずる生活間の疎外ということもあるわけであります。公害の問題などは、いまたいへん大きな問題として取り上げられているわけでありますけれども、こういう問題にこそ、コンピューター化というものに大きな役割りを果たさせなければいけないのではないだろうか。特にコンピューター化の場合には、伝送路を使ったオンラインによるデータ通信というものが考えられるわけでありますけれども、こういうことになりますれば、従来の人と人との対話、あるいは人と人との通信というものから、人と機械との対話ないしは人と機械との通信という形が、コンピューター化を考えますと出てくるわけであります。そういうことになりますれば、よけいに先ほど申し上げました人間疎外、労働の面から生まれる人間疎外というものについては、いまのうちから十分な配慮と施策、対策というものを立てておかなければ、いわゆる作業モラルの低下ということを防ぎ得ないのではないかというふうに感じているわけであります。  次に、基本的人権ないしはプライバシーの問題でありますけれども、これはアメリカあたりでも、コンピューター化の進展ととにたいへん重要視をされております。特に、一つのデータについては、これを利用する場合には、二重、三重のロックをかけまして、不当な利用、悪用というものをさせないようにしているように承っているわけであります。また、たとえば一部で報道されておりましたように、国民総番号化、ナンバリゼーションというようなことなども、いま戸籍法等で地方自治体に登録されているものをコンピューターにデータとして入れるという段階では、それほど問題がないかもしれませんけれども、これにさらに、たとえば身長とか体重とか、その人、個人個人の特質までをデータとしてたたき込むということになれば、これはたいへんなことになると思うのです。この活用いかんによっては、たとえば犯罪捜査に利用するということも可能でありますし、そのことが、かつて大きな問題を起こした、国民全体の指紋を採取をして犯罪捜査に役立てるということの肩がわりのやり方としてでも考えられることであります。そういうふうに、コンピューターにいかなるデータをたたき込むか、投入するか、インプットするかということが、人権の保障ないしはプライバシーの保障ということのためにたいへん大切なことになるわけであります。  そうしてまいりますと、これらの場合には、何らかの行政委員会的なもので、この課題に対してはこれこれこれだけのデータをインプットするというふうに定める必要があるのではないだろうか。一つの省ないしは行政当局だけが考えるということになりますと、いま申し上げましたような心配も出てくるわけであります。これらをもっと広い範囲の行政委員会的なもので、どういうものをデータとして入れるか、そしてどういうものを利用する対象にするかということをきめていくことが、基本的人権の保障やプライバシーの保障にもつながる大切なことだと思っているわけであります。私ども、先ほど申し上げました通信政策委員会の中でも、この点は特に重大なことだというふうに考えまして現在検討を進めているところでありまして、七月ごろには一つ答申を得たいというふうに考えているところであります。  終わります。
  13. 横山利秋

    ○横山委員 ありがとうございました。時間がございませんので、私の質問を終わります。
  14. 八田貞義

    八田委員長 委員長から申し上げます。  重要法案でございますので、多数の質疑者がございます。十分に意を尽くした審議をやりたいと思うのでありますが、時間の関係上、簡潔にお進め願うことをお願いいたします。  それでは石川次夫君。
  15. 石川次夫

    ○石川委員 きょうは参考人の方、たいへんお忙しいところを貴重な御意見ありがとうございました。  たいへん時間がないものですから、お伺いしたいことはたくさんあるのでありますけれども、結論的にお伺いいたしたいのであります。  北川さん、それから稲葉さんは、経済活動、生産を高めるという観点から、企業に密着をしているわけじゃございませんけれども、そういう面での御意見を伺ったわけであります。実を言うと、コンピューター情報化時代になれば、手近に豊富な情報が得られて、生産性が高まって人間生活が豊かになるのだ、こういうバラ色の夢が描かれるわけでありますけれども、一方酒井さんがおっしゃったような基本的人権の問題もあるし、労働問題では、生産、経営、販売というような特殊の技術を持ったテクノクラートとそのほかに分化する。産業革命によって生産手段を持った資本家と労働者に分化をしたのと同じような、新しい意味での分化というものが現象的には出てくるんではないか、こういう問題もあるし、それから基本的人権、プライバシーの問題もありますけれども、失業がふえるんじゃないかというふうな問題もある。  こういうふうな灰色の見方があるのですが、私が一番心配しているのは、テレビが出ただけでも相当人の心理に大きな影響を与えておるわけであります。ところが、いまは、そう言ってはなんでありますけれども、利潤追求にきゅうきゅうたる、それを基本として生産活動が盛んになっておる現代の時代においては、売らんかなの誤った情報というものがはんらんをするんではないか。そういうことによって、人間性が否定をされるのではなくて、極端な見方をすると、人間性が歪曲をするんではないか。こういうふうな暗い面といいますか、灰色の面も、情報化時代という場合には、見のがしてはならない重要な点ではないか、こう私は考えておるわけであります。教育の関係でもいろいろ申し上げたいことがあるのでありますが、時間がございませんので、そういうふうなこと。これはたいへんむずかしい質問で恐縮なのでありますが、プライバシーの問題、人間性疎外の問題がいま出たわけです。人間性歪曲のところまでいく可能性のあるというものに対応して、一体、政治としてどういう手を打つべきなのか、こういう点を私、非常に深刻に考えておるわけであります。これはなかなか妙案がないと思うのでありますけれども、もしその点について御意見があれば、ぜひこの機会に承っておきたい。  それから、あと一つは教育の問題でありますけれども、教育のあり方も、たとえばティーチングマシンという問題、あるいは学習ラボラトリーというふうな問題が出てくる。そうすると、教室本位でもって教育をしない、個人とコンピューターの間でもって教育をするという問題がある。それから今度は、豊富な情報が提供されるという時代だということを前提とすると、記憶あるいは知識というものがあまり役に立たなくなるということも考えられる。そうなれば、現在の入学試験制度というものが大きく変革をしなければならぬのじゃないか。いま育っている子供は、おそらく情報化時化に活躍をしなければならぬ人間であるので、そういうふうな教育制度というもの、入学試験のあり方というもの、これをいまから大きく変革をしなければいけないんではなかろうか、こういう感じがしてならないわけなのであります。その点についての御意見を伺いたいのと、それから、知識とかいろんな記憶というものがあまり役に立たない時代だということを前提として考えた場合、一体どういう新しい教育をしなければならないのか。それは、先ほど私が灰色の見通しだと言った、人間性歪曲とにらみ合わせて、経済本位の生活——あまり経済成長が激しいために、人間の精神の荒廃をもたらしたというふうなことを、私は常々考えておるのであります。なおさら激しくなる精神の荒廃というものに対応する考え方というものを、よほど積極的に考えながらこの情報化対策というものをやっていかないと、ただ単に、ソフトウエアが非常におくれておる——私もそれは率直に認めます。比較にならないくらいおくれておるので、これがもう外資法の規制などを踏み破って上陸をした場合に、日本ソフトウエア産業は一体どうなるんだという心配があるので、これは何とか促進しなければならぬという側面はありながら、片方で激しく情報化時代が進めば進むほど、精神の荒廃というものをどう食いとめるか、教育というものはどうこれに対応していくのか、こういう問題について、これはたいへんむずかしい問題だと思うのですけれども、何かお考えがあればひとつ端的に伺いたいと思うのです。
  16. 北川一栄

    北川参考人 石川先生のおっしゃったとおりでございまして、もちろん私自身には名案がございませんけれども、これは先ほど来申し上げますように、文明は積み重ねによって進歩する。ところが、文明はいつでも両刃の剣でございまして、必ず悪い面といい面とがある。結局、そのいい面だけをいかに引き伸ばしていくかということが、人間仕事であろうかと思うのであります。したがって、そのいい面をいかにして考えていくかということのほうに重点を置くべきであって、なるべく悪いことのほうを強調しないような態度がどうしても必要ではないか。私はいつも言うのですけれども、コンピューター時代になる。オートメーション時代になる。そうしますとボタン一つで非常に大きなことができる。大きなことができるということは、非常にいいこともできるかわりに非常に悪いこともできるということだと思うのです。したがって、どうしても文明が進んでいくことに見合う人間自身の精神的な面も上げていかなければならない。別な言い方をしますと、非常に陳腐な言い方でございますけれども、やはり民主的に、他人に迷惑をかけないというような、そういうやり方、それをぜひ基本的に考える必要があるかと思うのであります。  これは例にならないかもしれませんが、一例として、私がソ連へ行きましたときに、学校へ行くまでの子供は全部託児所に預ける。託児所で何を教えるのだと聞いたときに、託児所で教えるのは、人に迷惑をかけないことを教えるのだ。それを各家庭にまかしておきますと、どうしても親ばかということで、親のほうが負けてしまう。だからなかなかそれに見合うような教育はむずかしい。そこで、学校へ行くまでの子供自身を一緒に集めますと、同じ年ごろの子供ばかり集まりますと、今度は自分がはたに迷惑をかけないでがまんをするということを身につけて覚える。それからまた、人に迷惑をかけない、あるいは長幼の序を保つという秩序づけなどのことについては、他人が教えたほうがよく覚える。しかも、しつけというものは子供のときにやらなければ、年をとって理屈詰めでやっては何にもならぬ。どうしてもしつけというものは子供の間にやらなければならぬ。そのためにやっているのだというお話がございました。そういったようなこともあわせ考えないと悪い方面に使われるのではないか。  それからまた、教育につきましては、教育はいわゆる人間に対する先行投資であります。だから十年、二十年先にその効果があらわれるものですから、情報時代に連関しては、何よりも先に教育に手をつけるべきだと私は考えております。そういう意味で、私は私なりにそれに対するいろいろな考え方をいろいろな形で発表していますけれども、私はただ時間の関係上、石川先生の御意見に私は賛成だということだけ申し上げておきたいと思います。ありがとうございました。
  17. 稲葉秀三

    稲葉参考人 実はいま御提示くださいました二つの問題は、私よくお答えができないわけでございます。ただ、参考になるかどうかわかりませんけれども、次のことだけ申し上げてみたいと思います。  確かに、現代の社会は非人間的な方向に進んでいる、こういう事実は否定することができませんし、またコンピューターがだんだん活用されまして情報社会ということになりますと、それがより強くなっていくと思います。しかし、と同時に、コンピューター活用は、それを是正するということにつきましても、私は有効な手段だと思っております。  実は、これからの日本経済でございますけれども、一九六〇年代までの経済は、私はわりあい手っとり早いところで経済が大きくなったものだと思っております。つまり、大都市を中心にいたしまして、そこに大生産工場ができる、流通市場もできる、港もできる、そういったような形で大きくなってきたわけであります。その結果、日本の多くの地域からは人口が減って、そこへ集まってきた。そしていわゆる大都市化と過疎、過密の問題が起こったわけであります。しかし私は、どうもこういったような傾向がずっと続いていくようには思われません。たとえば、工業生産がいまの二倍か三倍になるという形になりますと、実は技術的な面、いろいろな面におきまして、もはや東京湾や大阪湾や瀬戸内海で私たちが切望するような大工場というのはできないだろうと思います。また、やるべきではないと思います。そうすると、そういうものを通じて、私たちは、日本の新たな地域をひとつ総合的に開発することによってある程度非人間的なものをやっていくという条件というものが、他方においてどうも次第に起こりつつあるのではないかと思っております。きょうはその問題をこまかく御報告する時間がございませんけれども、実はそういうことについて、私たちは、公害対策とか、社会開発とか、産業立地の基本的な動向について検討をするめに、ひとつコンピューターをうまく使いこなしていかねばならぬ、こういったような問題が出ているわけでございます。すでに、そういったような仕事が一部の人たちによりまして進められており、また、そういうことにつきまして協力や援助というものが望ましいと思っております。  次に、秘密保持の問題でざいますけれども、実は、コンピューター以前の秘密保持と、コンピューターができることによって起こる秘密保持と、私、二種類あると思います。つまり、いま私たちはその秘密保持の問題を検討しておりますけれども、むしろコンピューター以前の問題、たとえば他人の特許とか、そういったようなものをかってに盗まないとか、そういうふうなものを何らかの形において登録をしていくといったようなことについて道を開いていただくとか、あるいは、これからますます複雑になるのですから、そういったようなことをやらないという原則の上に、今度はコンピューター活用いたしました場合において、何らかの形で機械その他におきまして装置をすることによってこれを防除をする、こういったようなことが可能なように私は思います。  次に教育の問題でございますが、これもよくわかりませんけれども、まあアメリカではだんだんとコンピューター教育というのが進んでまいりまして、小学校あたりで、モデルの教室で、むしろコンピューターが生徒さんと対話をするといったような方式が進んでいる。それに対しまして、教育界とかあるいは父兄の間から、そういうことであってよいのかどうか、こういったような真剣な討議とか、そういったようなものが起こりつつあると思います。日本はまだそこまで進んでおりません。おそらくこういったような問題がこれからより深刻になってくる、このように思いますが、まあそれがどのような効果、非効果を及ぼしていくのかということにつきましては、遺憾ながら私たちは、まだはっきりした見きわめができない。ただ考えられますることは、やはり非常に大きな形におきまして教育の場面に大きな変化が起こりそうだ、こういうことでございます。その点につきましても、もっともっと検討していかねばならぬと思います。  最後に、非人間的な関係ということについて申し上げますと、私たちも実は今度いろいろ討論したわけでございますけれども、非人間性的なものを排除をするという条件は何か、こういうことになる次第でございます。たとえば、機械が進む、経済が拡大すると、ますますそれと反比例して非人間的な要素が強くなっていくと考えてよいのか。それとも逆の問題とか、あるいは無関係な形になって、ある程度はそういうものを総合しつつ、人間的な環境整備とかそういうことができるのか、こういう問題がいろいろ討議をされましたが、私はむしろ北川さんと同じように、こういうコンピューター化というものをやりながらその中において非人間的なやり方をどのように少なくしていくか、排除をしていくか、そういったような方向で進んでいくのが一番よいのじゃなかろうか、このように思っております。
  18. 石川次夫

    ○石川委員 時間がありませんから最後に一つ。  実はこの法案通産省が率先して出された。その積極的な意欲は買うのですけれども、先ほどから話が出ておりますように、これは単に通産省だけの問題ではない。通産省企業の側でこういう必要性を痛感されたと思いますけれども、先ほど言ったような人間性全体の問題ということは、教育の問題がある。労働の問題がある。それから逓信の問題も、通産の問題も、いろんなところに関連をするし、また情報化が正しい意味で発展をすれば、いまの縦割りのこの行政、このセクトというものを打ち破っていくという可能性も包蔵しているわけです。そういう問題でありますので、この基本法というものは当然つくらなければならぬ。これは先ほど来の御意見でありますけれども、これを行政の場で一体どういうふうに考えたらいいのかということは、行政委員会というものを別につくってそこで考えるというやり方もあるし、あるいは行政総合官庁としては、経済企画庁とかあるいは科学技術庁というものがありますけれども、ここだけでもちょっと考えにくい面がたくさんあるのじゃないかということになれば、内閣自体が、将来の行政のあり方を変革する可能性まで秘めているということを前提として、相当強力なこういう情報化対策という問題の審議会といいますか、そういうものをつくったほうがいいのか、こういう問題があろうと思うのです。その点、簡単に御答弁を願いたい。  あと一つ、非常にソフトウエアがおくれております。ハードウエアは、どうやらこうやら、欧州以上に日本はよく抵抗していると思って、まあわれながらと言ってはおかしいのでありますが、感心しているわけでありますけれども、まだ問題はあるにいたしましても、何とか持ちこたえておるでしょう。ソフトウエア、これはもうまともに勝負したら全滅だと思うのです。たいへんなことになると思うのです。急いでハードウエア、特にソフトウエアを含めての人材の養成をしなければならぬということになりますと、まあいろいろ考えられておりますけれども、上級情報処理技術者研修センターというものがいいんじゃないかという答申一つあります。それから情報大学というものをつくったほうがいいんじゃないかという考え方一つあります。もちろんこの大学は、いわゆる中学校、高等学校を卒業して入学試験を受けて入ってくるという形の大学とは質が違うと思うのです。これは開かれた大学として、産業界からいつでもそれを利用する。いまのところは、ハードウエアをつくっている連中が、ハードウエアサービスあるいは販売を広げるために、いろいろな研修会をばらばらにあちらこちらで盛んにやっております。おそらく、大企業では部長以上は、全面的に必修科目としてかん詰めでもって一カ月なり一週間なりの幹部教育をやっていると思うのですが、そういうものも含めて、総合的にお互いの知識をそこで公開し合うというような可能性も持った形の情報大学あるいは研修センター、そういうものがぜひ必要ではないか、こう思うのですが、これをつくるとなると、これは文部省の所管ということにはならないのじゃないか。新しい大学、新しいセンターになると思うのです。そういうもののいわゆる運営というものは、一体どこで管理をするほうが妥当だと思われるか。この二つについてお伺いいたします。
  19. 北川一栄

    北川参考人 総合的にどういう機関を置いたらいいかということに対しては、先ほど申し上げましたとおり、基本的には私は総理大臣の問題だという気がするわけでございますけれども、ただ個人的な意見としては、情報時代というものが確実にわかっているわけではございませんから、漸進的にやらざるを得ない。したがって、これは差し出がましい言い方でございますが、単なる思いつきだけでございますが、たとえば閣僚懇談会といったようなものを置いて、それに適当な審議するブレーンをつける。そういう形で審議していくのも一つ方法ではなかろうかという気がするわけであります。実は企業内についても全く同じでございまして、企業それぞれが現在の組織のままではいけないというところで、小さいながらも企業それぞれに同じ悩みを持っているわけであります。したがって企業内では、それに対する委員会をこしらえたり、あるいはある特定のものについてはプロジェクト方式という形で進めていっているわけでございます。したがって、それが参考になるかどうか知りませんが、そういったことが一つ考え方であろうかと思います。  それから、コンピューター大学についてでございますが、私はこれも同じように、暫定的にいろいろなことをやってみるのと並行して、やはり基本的なことに対する審議機関というものがどうしても必要になるのではないか。具体的に言えば、たとえば労働一つとってみますと、農業時代の労働の対象は肉体労働だけであります。ところが工業時代の労働の対象は肉体労働。プラス読み書き算数であります。別な言い方をしますと、工業時代には、伝票を回して読めないような人間は、なかなか同じ社会に入っていけない。したがって、どうしても全員に読み書き、算数を普及させなければならぬ。これは国の仕事になります。したがって、これは学校教育で義務教育といたしておりますために、結果論から見ると、日本はすべて読み書き、算数を知っているという前提のもとで工業時代が進んだわけで、低開発国を幾ら援助してみても進まない根本理由は教育が普及していないからであって、逆に言えば、韓国あるいは台湾が、農業国が簡単に工業化にテークオフできたのは、これはあらかじめ教育が普及していたからであります。  それと全く同様に、情報化時代に少なくとも必要なことは、インダストリアルエンジニアリングあるいはクォリティコントロールに関する、それの基本的なことは義務教育に入れるべきであります。逆に言いますと、日本の生産技術にそれが加わったために、ここ数年非常に生産性が上がったと私は確信するものであります。いずれにしましても義務教育自身も入れなければならぬ。高等教育あるいは大学教育の基本についても並行して考える必要があるのではないか。同時に、文明が非常に進んでも、教育を二十歳なら二十歳までにやってしまわなければなりませんから、どうしてもこれはいままでの中で必要でないものは早く取り去る必要がある。別な言い方をしますと、工業時代特徴は、日本の労働を機械に変えていく。そのためには、労働を分析して、そして機械にかかるものは機械にやらせていく。そういう機械ができるようなことを人間がすることは、人間性の否定であります。そのためにできるだけ機械化をしていく。機械化ができないところは、その間を人間がつないでいくという形で進んだわけであります。ところが、情報時代は、人工頭脳といわれるように、二進法的な論理回路を使い、あるいはディジタル化されたものについては思考を機械化することができる。別な言い方をしますと、人間がものを考える順序を分析して、そしてその中で考えられるものは機械に入れる。別な言い方をしますと、いままでは人間仕事考えていたような繰り返し業務と定型的判断、そういったようなものはもはや人間のすべきことではないわけです。単なる繰り返し作業であります。そういったような作業は機械にやらせればいいわけで、人間人間としてのもっと価値ある仕事をする必要がある。そういう観点からながめますと、たとえば、非常に必要なことは、いままでは記憶が重点であった。それは模倣を主とするからであります。しかしながら、新しい情報時代は、われわれがつくっていかなければならぬ。そうしますと、考えることが重点ということになります。だから、考えることに重点を置いた教育に変えなければならぬ。と同時に、単なる作業に類似するものは取り除いていく。たとえば数学は、基本的には考えることを一つの重点としますから、これは普通教育には必要だと思います。しかしながら、高等教育になりますと、式が与えられれば、それを解く作業の大部分はコンピューターにやらせることができるわけでございます。そういったようなものはもはや人間がやる必要はない。としますと、高等教育の中で全部に数学をやる必要はない。一部分に数学だけをやらせて、そしてあとはコンピューターにやらせればいい、こういうふうに私は考えるわけでございます。  別に簡単に結論を申し上げますと、人間は元来はなまくらものでございます。したがって、できるだけ同じような作業はしたくないということで、労働の中を機械に置きかえていった。同じようなことの繰り返しの考え方をするのはめんどうくさいということで、そういうものは機械化していった。だから残るものは、人間でなければやれないようなものが残っていくわけであります。ただ問題は、文明はもろ刃のやいばであって、悪いほうに使えば幾らでも悪いように使える。しかし、いいように使えば幾らでもいいように使える。それをいいように使おうとつとめるのが人間のつとめであって、したがって、その前提のもとに教育体系は、やはり早く義務教育から全般にわたって考え直す。それまでは、先ほどの基本法と同じで、そういうことを頭に入れながら暫定的にいろいろな試みをやっていくことが現実案ではなかろうか、こういう気がいたします。
  20. 稲葉秀三

    稲葉参考人 十分なお答えにならないと思いますが、結論的に申し上げたいと思います。  まず私は、行政の問題について申し上げますと、現在各省庁で相当の人員を擁しプログラム開発されております。中には非常に役に立つものもございます。したがいまして、各省ベースでいま連絡会はございますけれども、それをもっと権威のあるものにして、これから一体データバンクをどういうふうにつくっていくんだとか、あるいは各標準の機種をどういうふうにしていくのか、さらに教育のあり方、そういったようなことにつきまして、特に通産省、郵政省、経済企画庁、それから行政管理庁、自治省、運輸省、こういったようなところを入れまして、そういったようなことについて、今後役所としてどのようなことをすべきか、また、役所のコンピューター利用をどのように有効ならしめてモデルをつくるのかといったようなことを、でき得る限り早期に進めていただきたいと思います。  それから第二に、国の意思決定、こういうことになりますと、やはり総理のところでそういったようなことをきめていくための、つまり基本法を前提としてのそれをするための委員会とか懇談会だとか閣僚会議といったようなものをおつくり願いたい、このように思っております。  それから、第三に教育の問題でございますけれども、今般、通産省が上級技術者のための研修をするための大きな組織をおつくり願いましたということに対しまして、私は敬意を表します。しかし、日本の現状から申しますと、まだまだ十分ではございませんので、やはりでき得る限りそういったような機関をたくさんつくっていただくと同時に、少なくとも中級以上の技術者をでき得る限りたくさん養成をするということのために、やはりコンピューターを専門にやるところの大学を国の負担でおつくり願いたい、このように私は思っております。と申しまするのは、コンピューターを使ってそういうことをやるといたしますと、非常にお金がかかります。つまり、そういったことを考えますと、だんだん私立大学に対する助成も多くなっており、中には、一級千人くらいのコンピューターを専門にやることを養成するといったような大学が、二つばかりこれからやっていこう、こういう御計画はお持ちになっているようでございますけれども、やはり国がやっていただく、こういったようなことがどうしても必要ではないかと思います。現在の国立大学の若干部門をそういったような形で再編成していただく、こういったようなことがとりあえずの出発としては望ましい次第であると思いますけれども、やはり国が率先してそういったようなことをおやり願いますように、皆さま方が強力にプッシュをしていただきたい、このように思う次第でございます。
  21. 酒井喜芳

    ○酒井参考人 北川さんも言われておりましたけれども、その意味で私も、いま石川先生が言われた、内閣自体に、この種のものを審議ないしは検討する機関、ないしはそれに準ずるものを設けるべきだという立場で賛成をするわけであります。特にそういうものを早急につくる必要があるのではないだろうか。なぜならば、いま審議されておる法律案も、たとえば情報基本法に対していかなる役割りを果たすのか。これがたとえば現実法律として施行されて動き出した場合、将来、基本法に対してどのような障害が出るのか出ないのかということなども、本来事前に審議をされて、そしてつくられるということならばいいわけでありますけれども、それらについて十分な論議、審議もないままにつくられるということでは、当初申し上げましたような心配が、やはり将来に禍根として残るのではないだろうか、こういうふうに思っておるところであります。確かにいま明治維新のときと違いまして、情報化という問題については、定説ないしは厳密な意味でのことばの定義についても、いろいろいわれておる人によって違うわけであります。したがいまして、将来どういうものがどのような形で生まれるか、存在をしてくるかということなどについても、はっきりした見解ということも一致しておるわけではございません。しかし反面では、情報化が一部分にせよ、企業間あるいは行政間でやられておることもまた事実であります。したがって、そういうことから考えて、たとえば試行錯誤的に一つ法律をケース・バイ・ケースでつくっていくということも、それはあり得ることでありましょうけれども、それらについては、やはり情報基本法的なものに対して将来足かせ手かせにならないような配慮というものが、十分事前に審議をされる必要がありますし、そのためにも、石川先生の言われたような、内閣自体で何らかの審議する機関というものが必要だと考えるわけであります。  それから、いま一般的に、たとえばソフトウエアにおきましても、あるいはハードウエアにつきましても、大体、企業の場合ですと閉鎖的でありまして、技術の公開ないしはそれに類するものが行なわれているというふうに考えておりません。しかし、そういうことでコンピューターギャップというものを解消していくことができるかどうかということになりますと、膨大な資本力でもって技術開発を行なっているアメリカと違いまして、日本の場合には非常に困難ではないだろうか。そうしますと、利用方法、あるいはその技術を公開する、あるいはお互いに知り得る機会を持つ情報大学的なものの設置というものはたいへん大切なように考えます。  さらに、いま一般的には、職業技術については職業技術訓練法という法律によって行なわれておるわけでありますけれども、これの改正ということでも、一つは実施するやり方はあるわけであります。しかし、そういう狭い範囲ないしは程度のものでいいのかどうかということになりますと、稲葉さんも言われましたように、もっと高いものが必要だろうということになれば、この点についても、やはり先ほどの、内閣に設けてほしいという審議会あたりでも検討をする対象になるんではないだろうかと思います。  そういうことを考えますと、情報全体を通じて将来を見通す場合に、現在きわめて不十分な知識であっても、知り得る範囲の知識を十分活用した立場で国としての政策というものを立てていかないと、大きな後悔のほぞをかむ心配があるように考えます。  終わります。
  22. 石川次夫

    ○石川委員 ありがとうございました。
  23. 八田貞義

    八田委員長 松平忠久君。
  24. 松平忠久

    ○松平委員 お一人お一人に違った問題でお聞きしたいのですが、まず酒井さんにお伺いします。  情報産業というか、こういうものは、この間の答申を見ましても、いわゆる回線の開放、自由使用と申しますか、そういうことが一方においては要求されておるわけであります。それらの問題について、国際間の立場、あるいは国際的な要求というものと国内の要求というものがあるわけなんですが、ここに非常に矛盾があるような気がするわけであります。ある程度国内的には回線の開放ということもやむを得ぬだろう、そういうことになるのではないか。ところが、一方におきましては、RCAにいたしましても、いわゆる国際通信というか、データの国際通信、それにも加入しておる日本の大企業というものもあるわけなんです。それから国際連合等において、いわゆる宇宙の通信衛星と申しますか、その利用ですね。いわゆるインテルサット、こういうものの利用ということが大きくクローズアップされてこなければならぬわけなんです。そうすると、かなり外国のほうから日本に対する自由化の要求が強くなってくる。これはただ単にハードウエアソフトウエアというようなものだけではなくて、日本のいわゆる回線の開放、自由化、この要求が激しくなってくるのではないか。国内のほうでも若干そういうことがある。しかし、それを開放してしまうと、これはまたとんでもないことになるんじゃないか。いわゆる外資というか、外国のそういうコンピューターシステムの中に日本がまるめ込まれちゃって、すべての情報というものが、経済の裏まで向こうの手に握られちゃう、そういうことが起こり得るのではないか。それはまた困るわけであります。したがって、一体、回線の自由化ということはどの程度まで考えるのがいいのか、どの程度にしておくのがいいのかということについて、何らか目安のようなものがありましたらお聞かせ願いたいと思う。  稲葉参考人にお伺いしますが、二、三年後に基本法というものができるのではないかというふうに言われております。基本法ができて、その基本法に基づいて今度の法律案ができてくれば理想的であると私ども思っているんだけれども、それがまだできないという原因、それは先ほど北川参考人もおっしゃいましたが、将来のいろいろな見通しというものがまだはっきり立っておらないんだ、そういうことから基本法というものはできないのではないか。しかも、基本法というものをつくるのは政府であり、総理大臣なのだ、こういうようなニュアンスの話もあったわけでありますが、稲葉さん個人のお考えでもいいのですが、どうしてこの基本法というものが今日までできないのか、そのことを稲葉さんにお伺いしたい。  それから、北川さんにも同様に、一体どうして早くこの基本法というものができないのか。できるような雰囲気というか、そういうふうにならないのか、そういうことをお伺いしたいと思う。  それからもう一つ、これははなはだ幼稚な質問で、まことに申しわけないのですが——幼稚な質問というか、見解を述べて、御意見を伺いたいのですが、私はこの法律を見ておっても、あるいはいろいろな、情報産業とか、そういったものの答申にしても、あるいは世間一般の論文のようなものを見ておりましても、どうも英語の訳文というものが適当じゃないんじゃないか。そうして、なおさら情報化産業というものは何であるのかわからなくさせておるし、また誤解も海外には非常に与えておるんじゃないか、こういうふうに思います。  それはなぜかと申しますと、実は北京で、御承知かもしれませんが、日本の新聞記者がつかまって、いまだにあそこに抑留されております。この新聞記者はなぜ抑留されたかと申しますと、新聞には出さない報道を本社へ送ってまいりまして、その本社へ送ってきた報道について、本社からその特派員に対して、非常にけっこうな情報を送ってもらって喜んでおる、ありがとう、こういう手紙を出したわけです。それが検閲にひっかかりまして、ははあ、これはスパイをやっておるのか——それは、情報ということはそういうふうに使われておるし、そういうふうな理解を中国ではしておるわけです。なぜかなれば、この情報というのは漢字であります。中国のことばなんです。そういった意味から非常に誤解を与えておるように思うのです。  そのほかにも、いろいろな論文を見てみますと、どうもわれわれにはわかりにくい。タイム・シェアリング・システムといっても、どうもどういうことかよくわからない。それからプログラムといってもよくわからない。ネットワークといってもよくわからない。それから私は、コンピューターの原語であるコンプトというものは何だろうと思って、一番新しいエンサイクロペディアを調べてみた。そうしたら、コンプトということばについて、エンサイクロペディアは小さい印刷で二ページ書いてある。だからこれは、外国でもなかなかわからないんだろうと思う。いわんや日本では、新しい産業だからわからぬのがあたりまえかもしれない。しかし、先ほど来お答えがあったように、これは日本の教育から直していかなくちゃならないという非常に大きな問題を提起しておるわけなんですから、もっとなじみやすいようなことばをすべて使うということにしてもらったらどうか。  いま標準語化ということをおっしゃっておりました。もし標準語化ということがこのコンピューターに必要だというならば、まずもってこの法律やそういうものから標準語化して直していったらどうか。これでは標準語じゃありませんよ、この法律は。スパイのための法律になってしまう。これは余談になりましたけれども、しかし将来にわたって考えると、もっと科学的に考えて、みんなにわかりやすい一つ産業のあり方というふうに持っていかれたらどうか、私どもはそういうふうに見ているわけです。それについての御意見北川さんからもお聞せ願いたい。
  25. 北川一栄

    北川参考人 私はいまのに全くお答えができないわけでございます。  最初の、基本法を早くやるのにはどうしたらいいのかということでございますが、これは、基本法もさることながら、正直なところ、私のほうの会社で、会社内部を、どう早く情報を社会あるいはコンピューターということになじませるかということ、それすら実は名案がないわけでございまして、いわんや国全体にどういうふうにやればいいかということに対して、私は全く名案がないわけでございます。結局、これはもう会社内部のことで恐縮でございますけれども、とにかくハードウエアから入ると非常にむずかしい、だからやはりコンピューターの働きから入ったほうがいいのではないかという形で、私は私なりに、コンピューターの働き、情報時代というものはどんなものであろうかということのほうのPRといいますか、それが広がるということに努力していますし、若い人は若い人で、これは体力あるいは記憶力がございますから、これはコンピューターのほうから入ってもらう。いわば全体が早くそれを広げるのにはどうしたらいいのかということについては、私自身そんなふうに名案がございませんし、それが間違った考え方が出た上で基本法をやるというようなことになりますと、非常に混乱を招きますので、やはり原則的には、コンピューターが働き、または情報時代に対する見方というものを早く意見をそろえて、その概念を早く広げることが何にも増して大切なことではないかというような気がします。  それから、適当な訳文がないかということでございます。これは全く私に答える能力がございませんが、ただ言えることは、農業時代には、ことばと動作しか表現する方法がございませんから、勢い農業時代の文明あるいは社会というのは部落単位になります。ところが工業時代には、文字、数学、図型といったようなものを使いますから、したがってどうしても工業時代経済社会のユニットは国単位になります。国単位になりますと、青森弁と鹿児島弁とでは必ずしも意思疎通がむずかしいというところから、少なくとも表現を一つにしなければならぬ。そのためは義務教育をやるということは先生方御承知のとおりでありまして、どうしてもその表現を統一しなければならぬ。そのために義務教育にするということだと思うのであります。そうしますと、情報時代の単位というのは、これは少なくとも先進国群が単位になります。したがって、先進国群が単位になるという前提のもとで、やはりそういうことに対するいろいろな考え方をやらないとまずいのではないか。考え方によっては、日本特有の訳文をしたほうが便利なときには日本語を使う。しかし、訳文が一致しないために、日本でばらばらの訳語になったときにはかえってまずい。そのときにはやむを得ず外国語で妥協するのも一つ方法かもしれませんが、いずれにいたしましても、私自身には名案がございません。ただ必要であると考えるわけであります。
  26. 稲葉秀三

    稲葉参考人 それでは通信回線のことについて申し上げたいと思います。  御存じのように、私たちが聞いておりまする限りにおきましては、新しい通信回線前提として法律が出るべくして出なかった、こういうふうに聞いております。この問題は非常に重要なことだと思っております。それで私が申し上げましたのは、二、三年後に基本法ができるということではなくて、できるようにひとつがんばっていただきたいということでございますから、その点ひとつ誤解のないように申し上げてみたいと思います。  先ほども申し上げましたように、基本法をつくるにつきましては、いろいろ基本的な考え方に一致が必要だと思います。そこで、通信回線の問題について申し上げれば、三つばかり大きな問題があると思います。  その一つは、たとえばアメリカでは電話会社というのは民営でございますけれども、それは直接データ通信には進出しない、こういったようなたてまえになっております。それからヨーロッパでも、イギリスは、国もやるかわりに民間企業も認める、こういったような形になっております。フランスも大体同様だ、このように考えて差しつかえはございません。それから考えまして、今後このデータを処理をしていくという形が無限になると思いますので、むしろその場合において、基本的に電信電話、コンピューターによる情報処理というものを同じにして考えて、そしてそのような考え方に立って、民間にも開放するかどうかということにつきましてはやはり問題があるだろうと思います。その点はさらに検討を要すると私たちは思っております。  第二に申し上げたいことは、だんだんこれ無限にデータバンクができたりいろいろしていくとなりますと、どうしてもこれはシステムその他が開発をされねばなりません。基本的に私は、電電公社さんもおやりになっていいのですけれども、むしろやはり民間でそういうことをやるところの道をつけてあげる、そのかわり回線は国でおやりになる、こういったような形が日本としては一番望ましいのではないかと思っております。  その三は、非常にデリケートな問題は、先生が御指摘になりました、ハードウエアソフトウエアの自由化ということに伴いまして、一体プラスの面とマイナスの面が起こるか、この点でございます。これは非常にデリケートだと思います。一応私が申し上げたいことは、もしもソフトウエア開発といったようなことを国内だけでやって、ある程度外からのものを締め出しにするとなりますと、実はいま非常に格差がございます。そういたしますと、日本はむしろだんだんだんだん格差を大きくしていって、ほかの産業では進みながらおくれてしまうという問題がございます。しかし、他の点におきまして、日本はだんだんこれを進めていって、追いつき、追い越す、こういうことになりまするには、時間がかかりましょうけれども、ずっと先になれば追い越すということも可能だと思っております。私は、日本人というのは非常に数字に強い国民で、原理、原則とかそういうものについては、おそらく世界でまれなる才能を持っておる国民だと思っております。したがいまして、将来は日本は、ソフトウエア開発については世界をリードすることもでき得るものだと、私は思っております。ただ問題は、日本の実情から申しますと、でき得る限りそれを早くやっていく、こういったようなことをしていかねばなりません。したがいまして、私は、個人といたしまして、やはりソフトウエアについてももう少し道を自由にして、取り入れるべきものは取り入れて、それを現実にアプライして、その次においてより高次にこれを乗り越えていくといったような形を、電電公社さんや民間企業でもやっていくという形が一番望ましいのではないか。まあ一部にいわれておるように、ソフトウエアを締め出すということになりましても、元来が、これは普通の自動車とかほかと違いまして、目に見えない技術でございますから、なかなか締め出しようもないと私は思います。また、それによってマイナスの要件が起こっていくというふうに考えますので、あまりかたくなに、ソフトウエアについて道を開いていく、また、あまりに外資の進出を心配されて、むしろアウタルキー的な政策をとるということは、日本のこれからの面におきましてむずかしいと思います。したがいまして、その意味におきましては、現在、外資法をどのようにしていくのかという基本的な国の政策がございますから、その政策の中でやはりお考えくださって、特例的に、これについては特別の配慮をしてコントロールするというやり方は、あまり好ましくないのではなかろうか。究極においては、私は日本の発展にマイナスになるのではなかろうか、このように思っておる次第でございます。
  27. 酒井喜芳

    ○酒井参考人 私どもは電電公社の職員で組織しております全電通労働組合員でありますけれども、通信事業に直接携わっているという立場からは、非常に広い意味でいろいろものを検討しているわけであります。いま松平先生からお話のありました回線開放について、そういう立場から申し上げますと、たとえば専用データ通信と私ども呼んでおりますけれども、一企業間内部で本店−支店、本店−営業所等で行なう場合のデータ通信について回線を使うということについては、その限度でこれは必要なことだろう、こういう立場をとっているわけであります。しかし、私どもが通常加入データ通信というふうに呼んでおりますデータバンクを、交換網をつないで不特定多数の人がデータの利用をするという形のものに回線開放する、いわゆる民間のデータバンクというものにも利用させるということについては、三つの点から賛成できないという立場をとっているわけであります。  その一つは、いわゆる回線を利用するわけでありますから、一番回線の利用の主体は公衆の電話であります。これの利用に十分万全な容量が必要であるということがまず問題になります。また現に加入電話なども、二百四十万申し込んでもつけられないものがあるということになりますと、回線を必要にして十分なものだけ充足するよりも、まず、申し込んでもつかない電話をつけることのほうに資金を投入すべきではないだろうかということが、問題の第一点であります。  それから第二点は、先ほどから触れておりますように、民間に回線を開放して自由にデータ産業情報産業というものに利用させる場合に、一体プライバシーの問題人権の問題、企業の秘密確保の問題について保障が現にあるかといったら、現在ありません。これから情報基本法的なものを早急につくって、それらの問題についても対処をしようということであります。そうしますと、その間におきまして相当問題が起こり得るわけであります。こういう点がまず問題の第二点であります。  第三点は、一般に開放いたしますと、外資の導入という問題があります。稲葉さんもいま触れられておりますけれども、外資法によって規制をすればいいんだろうという意見がありますけれども、そういうことだけでは、たとえば自由化の国際的圧力という問題もありまして、必ずしも十分でないだろう。現にRCAなんかと国際回線を使って国際データ通信に加入している企業があるわけであります。そういう点からいって、やはり日本情報産業というものに外資が入ってくる端緒を与えてしまうんではないだろうか。そのことは、いま、最初に北川さんも言われましたように、欧州のような失敗の轍をまた日本も踏むことになりかねないということもありまして、以上三点から、私ども全電通労働組合の立場としては加入データ通信、すなわちデータバンクが対象になる回線の開放については賛成できかねる、こういう立場をとっているわけであります。
  28. 八田貞義

    八田委員長 中谷鉄也君。
  29. 中谷鉄也

    ○中谷委員 時間がないようですから二点だけお尋ねをいたしたいと思います。  稲葉先生は、先ほど新経済社会発展計画についてお話をされたわけですけれども、質問の一つは、発展計画の中で記載をされております「情報化に関連する制度の整備」という点の「ソフトウエアの権利保護のための制度の確立に努める。」ことが必要だという点についてであります。石川委員の質問について関連をしてお答えがあったようにも思うのですけれども、ソフトウエアの権利保護のための制度、いわゆる法律的にどういうふうに制度を確立するのか、ソフトウエアというようなものをどのように法律的に位置づけをするのか、権利の性格をどのように付与をするのか、また権利保護としての民事的な、刑事的な保護としてどのようなものを与えるべきか、この点についてひとつお答えをいただきたいと思います。  それからなお、基本法との関係におきまして、そういうふうな権利保護というのは早急に望まれているのかどうか、この点についてでもあります。これが一点です。  二点目の質問は、一点目の質問に比べますと非常にあいまいであります。私自身整理しきれておらないわけであります。と申しますのは、プライバシーの問題についてであります。酒井参考人はこの問題について何べんも何べんも非常に強調されました。同僚委員からもこの点についての質問が出たわけであります。そこで、私自身、整理されていないのですけれども、お尋ねをいたしたいと思います。  発展計画によりますと、「プライバシーの侵害や企業機密のろうえいと結びつくことのないよう、モラルの形成等をはかる」というふうにあると思います。ところが私、この点については見通しとして、たとえば北川さんから、情報化社会というふうなものはどんな社会かなかなか予測がつかないのだ、こういうふうなお話がありましたが、こんなふうなことは考えられないでしょうか。たとえばプライバシーを侵されない権利とかあるいはプライバシーというのは一体——基本的人権としてのプライバシーを守る権利があると私は思いますけれども、まあまあプライバシーの権利ということば自体もかなりあいまいといいますか、必ずしも確立していないと思うのです。そういうふうな中で、ちょっとこれは私の独断になるかもしれませんけれども、プライバシーの権利侵害についてだれでも記憶にある二つのできごとと、そして二つの判断があったと思うのです。一つは三島さんがお書きになった「宴のあと」という作品、いま一つは最近特に問題になりました「エロス+虐殺」という映画。この映画について稲葉さんや酒井さんにお聞きしようというわけではないのですけれども、要するに私の独断的な感じから申しますと、プライバシーの権利ということが非常に問題になった初期的ないわゆる判断としての「宴のあと」のほうが、むしろ。プライバシーの権利が認められているような感じがする。いろいろな判断の操作はあるのですけれども、やはり「エロス+虐殺」の場合には、論理操作をされた方の判断の中には、かなり情報化社会の影響を受けているのではないかという感じがするわけなんです。  そういうことで、私は発展計画のこの記載のところについてお尋ねをするのですけれども、「モラルの形成等をはかる」ということを書いておられるのですけれども、要するにいま、この七〇年の四月十七日にこういうことはとにかく。プライバシーの侵害になると思われるというふうにわれわれが考えていることが、五年たったとき、その際の情報化社会から影響を受けたわれわれのモラル、われわれの判断というものは、たとえば百項目くらいプライバシーについての個人項目というのはあげることができるそうでありますけれども、むしろそういうものをかなり消去していくことになりかねないのではないか。私は見通しとしては、そういうふうな傾向が来るのではないか。「モラルの形成」とおっしゃいますけれども、とにかく、われわれの感覚、意識、モラル、判断の基準というものは、情報化社会の影響を受けて、現在の時点においてはプライバシー侵害だと考えているようなものを、むしろプライバシーの侵害ではなくて、許容さるべきもの、認容さるべきもの、そういうことは受忍すべきものだというふうなことになりかねないのではないか。そうだとすると、それは、モラルの変化があったのだからそれはそれでいいのだということになるのか。それとも、そういうふうなことに変化をしていくこと自体が、情報化社会というものの持っている一つの悪い面ということになるのかどうか。こういう点についての見通しについては、稲葉先生のお話では、むしろプライバシーの権利というものを認める方向に発展する可能性だってあるのですよというお話がありましたが、どうも私は、感じとしての見通しでありますけれども、むしろそういうふうなものが消去されていく。プライバシーの権利の侵害でないのだというふうに、われわれのモラルがそういうものを容認していく方向になっていく可能性がかなり強いのではないかと思う。しかし、そういうようなことは好ましくないとするならば、それについての排除の方法、そうしてプライバシーの権利というものについての基本的な確立というようなことが望まれなければならないだろうというふうなことを私は感ずるわけなんです。第一点の質問に比べまして第二点の質問は、私自身も、若干プライバシーの問題については、ここ二、三カ月、「エロス+虐殺」の問題で半当事者的にかかわり合いを持ちましたので、少し興味がありますし、そういう点についての見通しなどについてお答えをいただきたいと思います。これは酒井さん、非常にこの問題については何べんも何べんも強調しておられましたので、ひとつ酒井さんのほうからもお答えいただければ非常に幸いであります。それだけです。
  30. 稲葉秀三

    稲葉参考人 第一点のソフトウエアの権利の問題でございます。が、先ほども申し上げましたように、私、計算センターの仕事をなさっておる方とかソフトウエア方々と、しばしば会うわけでございますが、やはり最近になりまして、せっかく自分たち開発したけれどもそれが無断で使用されているとか、やや変形された形で使用されている、こういったような問題が現実に起こりかけております。したがいまして、今度の協会の中にも登録の問題といったようなものができておりますけれども、それをやや幅広く解釈されて、そして私自身は、特許とか著作権とはやや違うと思うけれども、やはり著作権に類するような扱い方をおきめ願う、そういったような形が望ましいのではないかと思っております。そして、それをどのように使用するとか、そうした場合においてはある程度有効な対価を払われる、こういう形が望ましいと思っております。  次に、先生の出されましたモラルとプライバシーの問題でございますけれども、これは私なかなかよくお答えができません。ただ、私がここで申し上げましたのは、つまりコンピューター以前のモラルの問題がコンピューターとくっついておって、それがますますマイナスになるのじゃないか、こういったような点の批判や非難がたくさんあるような感じがいたします。たとえば、人間は他人の権利を侵してはならないとか、どろぼうをしてはいけないとか、これはほんの例でございますけれども、こういったことは別にコンピューター関係ないモラルだと私は思っております。また、コンピューターによってそういうモラルの問題がどうこうなるとは申しません。しかし御存じのように、コンピューターが悪用されますと、先ほどおっしゃいましたように、企業の秘密がそのままよそのコンピューターに入ってくるとか、そういったようなことも私は起こりかねないと思います。これにつきましては、制度上あるいは技術上プライバシーを防ぐということは案外可能ではなかろうか、このような見方、考え方に立っております。  あわせて申し上げますと、それがだめだからコンピューター前進をチェックしなければならぬという理屈は、どうしても出てきそうもない。これが私のお答えでございます。
  31. 酒井喜芳

    ○酒井参考人 たいへんむずかしい問題でございますけれども、第二点のほうでございますが、人間の場合には、知る権利と知られたくない権利というのと二つあると思うのです。知られたくない権利を侵されたときに、通常プライバシーの侵害ということが起こり得ると思うのです。大体コンピューターを使う情報化社会というのは、情報が非常におびただしく撒布をされる状態の社会をいうのだろうと思うのです。その場合に、それを知る必要のある人ばかりではなくて、知る必要のない人にまで知らせるという立場の社会というものが、情報化社会の中では一つの問題として考えられるわけであります。そうしますと、たとえばコンピューターなどを使ってそういうものを意識的にやった場合に、いわゆる知らさない権利といいましょうか、そういうものを意識的に狭めていくということが全くないとは言えないのじゃないだろうか。一般的に、たとえば情報化社会、情報が広く深く高度化してくれば、知る範囲が広くなってくるわけでありますけれども、それらが意識的にされた場合にたいへん問題が起きると思うのです。したがって、たとえば現在プライバシーの侵害だと思われる事象が、何年後か情報化が進展をして、それが一般的になったというふうに判断をする場合であっても、それを変更する場合には、端的に言うときわめて臆病であっていいと思うのです。それがないと、プライバシーの保護というものは、情報化社会の中で、いつの間にかきわめて限定をされてしまって、大きな個人の人権侵害を許すということになるのではないだろうか、こう思うわけであります。
  32. 八田貞義

    八田委員長 松尾信人君。
  33. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 通産省の立案は不備である、また、より以上革新的な、前進的な態度をとってもらいたい、このようなお説でありまして、まことにわが意を得たと言うとおかしゅうございますけれども、この委員会審議を通じて、われわれも、また私も叫んでまいりました。その点につきましては、基本法の問題、また一つナショナルプロジェクトの問題がいま取り上げられておるのでありますけれども、特に私が感じますのは、政府が先導的な役割りを大いに果たしていかなければいけないじゃないか。それが日本の情報という問題につきましては、企業政府の間に大きなギャップがある。日米のギャップというのがいわれますけれども、日本国内では、そのような政府のおくれが非常に大きいのじゃないか。企業が先に行き、政府があとから追随していっている。この法案自体も、提出されるのがおくれているという感じを強く持つものでございますが、特に政府の先導的な役割りにつきまして、先ほど公害対策についてのそういうプロジェクトというものはとられていくのじゃないか、いくべきものと思うというような御指摘もございました。全くそのとおりだと思います。特にナショナルプロジェクトの問題につきまして、今後、北川さん並びに稲葉さんにつきまして、どうかしっかり考えて、そうして督励していただきたい。何かそういう点に対する具体的なというと、そこまでいっていないかもしれませんけれども、お考えをお述べいただきたい。  特に私、公害で感ずるのでございますけれども、いま日本全国で公害が起こっております。その公害の情報が政府自体にいまないのじゃないか。部分的にはありましても、通産省、またその出先機関、また企業というものをずっとひっくるめまして、そうして公害問題の情報といいますか、そういうものをどのようにネットワークを張って取り上げて、その取り上げた情報を生かしまして公害をなくしていく、そういう面における一つナショナルプロジェクトというものがなさるべきではなかろうか。そして、これは速急にやっていかなくちゃできない問題である。日本企業の発展というものが、そのような面で大きく阻害されまして、そしてその対策に追われておる段階でありますけれども、その対策に追われる段階を早く抜けまして、公害というものをなくして、りっぱな企業の発展というものがなされませんと、今後の日本の対外競争力というものも大いに阻害されていくんじゃないかと思う次第でございます。  なお、公害はそうでございますけれども、いろいろその他の面につきましても、まず政府が先導的な役割りを果たして、そして大きくこの情報産業に寄与していく、民間企業を引っぱっていくというような基本的な問題について、もう少し御批判なりお考えなりというものをお示し願いたいというのが第一点でございます。  それから第二点は、残念ながら今回公衆電気通信法の改正が問に合わなかったわけでございますけれども、どうしてもこの回線の問題がすっきりしませんと、非常にこの点の制約を受けまして、伸ぶべきものが伸んでいかぬのじゃないか。そういう点につきましても、政府のやり方というものは少し手ぬるい。むしろ、この回線の問題を先に片づけておいて、そしてこの法案をのせるべきじゃないかと思うのであります。一年のこの回線のおくれが、どのくらい日本の情報というものの伸展に悪影響があるか考えてみますと、これは相当大きなおくれをまたつくっていく一つの大きな原因であろう。ならば、改正はおくれましたけれども、現時点においていろいろ対処すべき問題があるんじゃないか。来年になりまして改正になった、それからいろいろな手を打つということではなくて、そういうものは当然予測されるものであり、なされなければいけませんものですから、いまのうちから十分手を打っておいて、そしておくれを取り戻して、早くこの情報化社会というものをりっぱに築いていくような余地はないのか、いまからそういうことを大いにやっていかなければできぬのじゃないか、こういう点が二点でございます。  第三点といたしましては、先ほど稲葉先生がおっしゃいましたけれども、中小企業の問題であります。それでコンピューターセンターだとかプログラムパッケージの問題をお取り上げになっていましたけれども、まだまだいろいろ検討されていかなければできませんし、そこには指導というものがなされていくんでありましょうけれども、いまのままでは、情報を利用する力というものが中小企業は非常に弱い。大企業との間にますます大きな差がつきまして、取り残されていくおそれが十分ございますので、この中小企業の事後処理の問題じゃなくて、構造改善、近代化、高度化という部面につきましての具体化をきちっと進めていかなくてはますますおくれていくんじゃないか。その具体化等につきましても、早く御検討いただきまして、具体的な問題をつくっていただきまして、そして適切なる指導に基づく育成というものをしていかないといかぬのじゃないか。  以上の三点でございますけれども、どうぞりっぱになっていきますようにと思ってお伺いしているわけでございます。よろしくお願い申し上げます。
  34. 北川一栄

    北川参考人 最初の二つのことだけの考え方を申し上げてみたいと思います。  ナショナルプロジェクトとして、日本では、公害ということに先ほども申し上げましたけれども、これは先生のおっしゃるように、具体的にはそれを水の問題、あるいは交通の問題 エネルギーの問題、食糧の問題、住宅の問題というふうに分けてやらなければならない。しかもこれは地域に密着している。この問題は、国土開発計画あるいは長期ピジョンと、いろいろな形で各方面で取り上げられていますけれども、問題は、いろいろな面で縦割り的な事柄が一つの障害をなしている面もあるのではなかろうかと思うのであります。したがいまして、たとえばその全体のシステム化をするときには、先ほどのことに連関して、どうしても標準をそのときに考えておかなければなりませんから、一つの国、もしくは国と民間と協力しているソフトウエアのセンターなり会社にそれぞれの縦割りの行政面からそこへ注文を出す。そしてそこでソフトウエアを組めば、標準化もできるし、それから各省問の調整もある程度できるのではないか。これを、先ほど申し上げましたように、地方によりましては、それぞれ水なら水の及ぼします府県がそれぞれ予算を分担して、そうしてそれの共通的なソフトウエアを組ませるというのも、一つの具体的な案ではなかろうかという気がいたします。  それから二点の、通信回線のことを考えると、これは先生のおっしゃるとおりでございまして、私は専門家ではございませんけれども、少なくともアメリカヨーロッパでは通信回路がオープンになっている。その場合に各国とも、日本考えられるような需要が当然あるはずだと思うのであります。その件を早く検討するのも一つ方法かと存じますし、それからまた日本の場合には、初めから通信をやるときにはどうしてもこれを国家でやらなければならなかった事情があった。これがアメリカのように民間で自由にやれば、いまのような事態が起こらなかったかもしれないということも前提にして、少なくともヨーロッパアメリカがオープンをしながら、われわれが考えている点をどういうふうに解決しているかといったような面は、すでに専門家によって解明せられているかもしれませんけれども、なお現実的に日本に引き比べて調査するのも一つ方法かと存じます。
  35. 稲葉秀三

    稲葉参考人 いま先生がおっしゃいましたことは、私、全面的に賛成でございます。ただ若干、簡単でございますけれども、私の感じておりますことを御報告申し上げたいと思います。  公害対策につきましては、全然やられていないのではなくて、わりあい情報システムがこれから動き出そうとしております。ただでき得べくんば、私、政府の亜硫酸ガスの公害対策の専門委員長をしておりますけれども、これ一つとりましても、東京地域をやや広く考えて、横浜とか千葉とか、そういったようなものをどのように自動化するか、そういったようなこと。それに対する対処をどうするかというようなこと。さらに水の問題、汚水の問題等もございますから、そういったようなものの提供についてどう進めていくかということを促進をするようなシステムとか、また、それをつくっていく予算的な裏づけ、こういったようなものをやっていただきたいと思います。  なお、そのほかに、ナショナルプロジェクトといたしましては、どうしても日本が発展をしていくためには新しい産業立地が必要でございます。ただそれも、どこがいいとか、ここがいいとかいうことではなくて、そういったようなことをわりあい的確に総合的に判定をする意味のシステム、こういうものをつくっていただきたい。また、それらに先立ちまして、政府がいろいろおやりになっております統計、そういったようなものを、でき得る限り将来民間コンピューターにものせるような形で、どのようにそれぞれについてデータバンクをつくっていくか、こういったようなことをひとつこれから本格的に進めていただきたいと思っております。  次に、回線の問題でございますけれども、私はやはりこの問題をでき得る限り早く基本的に進めていただく必要があるだろうと思います。漏れ聞くところによりますと、——日本御存じのようにまだ専用線の利用しか認められていない。しかも一つの会社に専用線だけ許す、そしてそのほかのものについては付加料金をつけるといったような形になっております。それを今度はやや幅を広くして、企業グループの範囲を大きくしていこう。将来できるであろうというデータバンクとか現在の計算センター、そのほかの情報提供サービス、そういったような情報処理サービスといったようなものも含めて、オンラインでつながるといったような仕組みを今度は許容されるという方向になったことは、非常に私たちはありがたいことだと思っておりましたが、これが一年延びたわけでございます。したがって、そういったような方向前進措置をとっていただきたいと思いますが、ただコンピューター利用というものは、究極的にはやはり電話線と結びついていかなければなりません。それを利用しなければ、ほんとうにコンピューターがうまく処理をされるということはないわけであります。ところが日本の場合は、これだけ経済大国であり、世界で二番目の国でありながら、どうも電話線とくっつくと混線をしてしまうとか、情報がだめになるとか、こういったような考え方がどうもお役所の中に支配的だと思います。しかし、どうも漏れ聞くところによれば、そういったようなことが技術的に起こる障害というものは、全然日本では克服されているわけであります。したがいまして、むしろ私から言わせるならば、それはソフトウエア開発に電電公社がお金をお投じになるということも必要ですけれども、将来は、電話やコンピューター利用というものを推進するということであれば、国民にサービスをするためにどういう形で回線網を大きくするかということが、やはり今後の政府施策の中心でなければならない。また、そうすることによりまして——あまりおやりにならなければ、民間で直接コンピューターコンピューターをつなぐ専用回線をつくらせてくれといったようなことを排除することにもなります。またそうすることによって、将来は、ほんとうに情報化社会が来れば、電話と同じ以上、それ以上に収入というものもそれからあがってくるものでございますから、その点、やや日本のそういう御担当の態度が憶病であり過ぎる。前向きではなさ過ぎる。そして結局、そういったようなことの上で進歩ということを口になさっておりますけれども、あまりにも現状維持的な形をおやりになっている、セクショナリズムをおやりになり過ぎている、国民のためにならないようなことをおやりになっているという感じを禁じ得ない。しかし一ぺんにやれというわけではございません。やはり利用者とか発達ということを考えて、どのように漸進的に進めていったらよいのか、こういうことにつきまして、もう少し幅の広い前向きのあり方を、これから一年ぐらいの間に基本的にお考え願いたい、推進をしていただきたい、このように思います。  中小企業につきましては、もう先生のおっしゃるとおりで、私たちはそれをもっともっと推進をするようにがんばってまいりたいと思います。
  36. 北川一栄

    北川参考人 ちょっと追加させていただきます。  先ほどの公害問題に連関いたしまして、それの対策を考えるときに、工業時代の常識で考えただけでは、場合によってはまたやり直さなければならない。したがって、技術革新が進んでいった状態、情報化社会を頭に描きながらの対策のほうがより進んだ対策になるであろう。別の言い方をいたしますと、たとえば原子力発電というものが、日本の場合には特殊事情で非常にこわがられていますけれども、これを別の面から見ますと、初めから公害対策を考えてある発電が原子力発電でございます。したがって、それの熱としての利用、電気としての利用。さらに、最近の農業日本は非常に生産性がおくれております。ところが、農業の生産性を上げるのに、農業マインドで幾ら考えても、これは、数十%上がっても数倍、十数倍とは上がりません。したがって、工業マインドで考えなければ、二十倍、数十倍の生産性は得られない。さらに常識を越えなければほんとうの答案は出ない。そういうものをひっくるめて複合した形でソフトウエアを組んでいくという考え方が、すでにアメリカでは行なわれているわけであります。そういったようなことは、日本にとっては一つナショナルプロジェクトにもなろうかと存じております。
  37. 酒井喜芳

    ○酒井参考人 回線開放の関係で見解を申し上げてみたいと思うのですけれども、先ほど三点の立場で賛成いたしかねる、こういう立場を申し上げました。さらに追加して申し上げますと、一つ御存じのように、何といっても通信回線というのは、通信というものが公共の福祉のために使われるべきだという立場が原則でありまして、公共の福祉は何かと言ったらば、これは公衆の電話と電報、これがいまのところ最も大切なものではないだろうかと思うわけであります。そういう点から、たとえば回線容量その他の問題もあって、さらには先ほど申し上げましたような電話の積滞という問題があって、これらも一刻も早く完全にその積滞をなくす、申し込んでもつかないような電話をなくすということにまず資金的なものを投じられるべきではないだろうか、こういう立場であります。  さらに、将来の伸展を考えた場合に、未来永劫に回線開放がいけないという立場をとっているわけではありません。たとえば、回線開放をしてデータバンクないしはデータの処理を、回線オンラインを使って処理させるということに利用する場合は、たいてい中小企業の経営者の方々もしくは一般の国民の方が、たとえば、科学計算でありますとか、あるいは案内等を必要とする場合に利用することだろうと思います。そういうことがどのくらい——たとえば中小企業等、単独ではコンピューターの設置ができないような企業として、どういうデータがどの程度必要とするかということが、現在のところ明らかでありません。さらに、たとえば科学技術計算などについても、電話線を使ってデータセンターから必要な情報をとるということも、どのくらいの必要性があるかということについても明らかでありません。そういうことがまだ不十分な段階で回線の開放をまずやるということについては問題がありはせぬだろうか、こう思うわけであります。  さらに、必要にして十分なものが国としてできる場合には、競争原理だけを導入をして、非常にたくさんのそういう情報産業というものが生まれるということは、資源の浪費にもなるのではないだろうか、こういうふうな考え方に立ちまして、いまのところは、やはりこの点については賛成いたしかねる立場を全電通労働組合としてはとっていく、こういうことでございます。
  38. 八田貞義

    八田委員長 川端文夫君。
  39. 川端文夫

    ○川端委員 たいへんどうも、参考人方々には、食事もとらないで長い時間御迷惑かけておるわけですから、先ほどからの質疑の内容と重複しないように、できるだけ私のお尋ねしたい一、二点を申し上げて、簡単にお答えいただければけっこうだろうと思います。  午前中からの質疑をいろいろ承っておりますると、まだ完全なベストのものではない、情報産業の将来に対してはまだまだ変化を遂げつつ進歩するであろう、したがって、基本法の問題に対しても定義を下す段階ではないような気がするとおっしゃったように承ったわけですが、にもかかわらずいま情報化時代という時代を迎えて、一歩前進をさせなければならぬ時期だ、こういうところにやはり人間的な矛盾をわれわれは感ずるわけです。長い人間の歴史の中で、私どもは過去においていろいろな矛盾を克服して調和しながら今日に至っておるわけですから、いまこの矛盾をどのようにわれわれが割り切って理解して、この法律を通しながら将来の日本のために役立たせるか、ここが問題点だろうと思うのです。いろいろ法律のつくり方にも問題があると思いますけれども、まだまだ試行錯誤時代を経なければならぬというこの重大なる面を、どういうチェックのしかたがあるであろうか。われわれ国会という場においては、国民的な規模において、一部の産業を助成するのではなく、将来を展望して、五年なり七年先には国民的な規模のものになるかもしれぬけれども、当面の問題は、まだまだ一部の業界に利用される一面があることを、どのように矛盾を克服して調和した姿のものにチェックできるのか、こういう点に対し何かお気づきの点があれば、どなたからでもけっこうですが、お聞かせいただきたいと思うわけです。  もう一点は、このプログラムの入手を協会がいろいろいたしまして、先日も役所に聞いたわけですが、対価を得て、これを他人に使用させるということに規定しておるわけです。この対価というものは、いままで、二百といい三百というセンター等があって、コンサルト的な業務を含めて、かなり原価主義の上に立って価格がきめられてきておったのではないか。しかし、これから政府が乗り出して協会をつくって、一つの先鞭をつける形が出てまいります場合においての対価等は、将来に対する一つの基準を設けることになるのではないか。これらに対して、諸外国の事情御存じ参考人の先生方の中から、アメリカはこうしている。まだまだ情報化に対しては試行錯誤の時代を持っているわけだから、原価主義でやっているのか。あるいは、政府一つの基準を将来に求めて、思い切った資金を出して、先ほどから言われている中小企業等にも利用できるような条件をつくり上げているのかどうかという点に対して、何か参考意見がありましたらお聞かせいただきたいと思うわけです。
  40. 稲葉秀三

    稲葉参考人 では簡単にお答え申し上げます。  いま先生のおっしゃった、どういったようなことを心がければよいかということになりますと、私自身は、何らかの形におきまして、中小企業の振興に寄与するような形のプログラミングとかプログラミングパッケージを援助するような形のものを、この協会からひとつ媒介してやっていただきたい、このように思う次第でございます。しかし、局部的ないろいろな重要な日本の問題もございますから、その点は、先ほども申し上げましたように、この協会を預かられる理事会、またそれを御監督になる通産省において、十分御勘案をしていただきたい。できるなれば、この基金はもう二倍か三倍であってよいと思うのでございますけれども、ともかくその成果自体によって、すべり出すことによりまして、私は、ソフトウエア開発の全部ではございませんけれども、進んでいく一助になると思います。現に私たちがお手伝いをしております電子計算機関係とかソフトウエア関係というのは、アメリカの場合と違いまして、その基礎が非常に薄弱でございます。したがって、新しいものを開発していこうという資金がございません。したがいまして、そういったようなことに対しまして、私は効果的な役割りを果たされると思います。  その次に原価主義という問題でございますけれども、私がアメリカで学んできたところは、たとえば、いま申し上げましたプログラムパッケージなんかにつきましては、相当開発費もたくさんかかるし、それを会社に提供するとか、そうした場合においては非常に高価なものでございます。おそらく日本の場合におきましては、いままではややソフトウエアの価値というものに対する認識が十分でなかった、このような点もございます。したがいまして、できるなれば原価主義、こういったような形をおとり願えれば、相当進展に役に立つのではなかろうか、このように思いますので、そういう形でだんだん進んでいって、そうして全体のプログラミングということに対するある程度前向きの体制、というものができまして、だんだん日本ソフトウエア開発が進んでいく、こういうことを期待いたします。
  41. 川端文夫

    ○川端委員 いま原価主義でいけばというお話でありますが、私はいま一番憂えていることは、情報化時代に入りまして、私どもが直面している日本経済の中において、特に稲葉先生が御検討いただいている中小企業の場合は、二重構造の下積みであるというこの事実の上に立った場合に、これに大きなてこ入れが必要であろう。この意味においていろいろ各方面で論議が行なわれているわけであるが、この情報化時代に、やはりまだまだ試行錯誤というか、開発時代を経なければならぬということになれば、開発費を出し得る力のある者が先取りするかっこうになっていく。政府の恩恵も大企業なりそういう力のある者に先取りされる危険がある。それをどのように防止し、これをどう生かしていくかということがやはり問題点でなかろうか、こう思って見ておるわけです。  そこで、そういう問題等に対して、きょうは時間もおそいですから、あまり多くを御答弁要りませんけれども、後日また、これから審議過程の中に私どもがお聞きしたいことがあれば、あるいは電話なり何かでお聞かせいただけるかどうかということをお尋ねして、あまり時間を引っぱるよりは私の質問を終わりたいと思うのですが、後ほど、出し惜しみではないけれども、まだお持ちの分はお聞かせいただける機会をひとついただけるかどうかということをお尋ねして終わりたいと思うのです。
  42. 稲葉秀三

    稲葉参考人 確かに私の説明が十分でございませんでしたので、その点申しわけないと思いますが、私の申し上げました意味は、この協会ができ得る限り広く、次の発展的な展望をするとなりますと、開発した効果が積み重なって、やはりある程度この保証の道だとかそういうものもございますけれども、でき得る限りこれが効果的に進展をしてほしいといったようなところから原価主義というのを申し上げたわけであります。しかし、先生のおっしゃるように、中小企業ができるだけ早く構造改善しなくちゃならぬ、こうした場合におきましては、おそらく、そういったようにソフトウエア開発を無料で提供する、こういったようなことも必要ではなかろうかと思います。そういったようなことに対します別途の措置は、ひとつ政府中小企業対策の中で十分裏打ちもしていただきたい、このように感じてのことでございます。  また、そのほかいろいろなお問い合わせ等におきましては、個人としてできるだけ協力さしていただきます。
  43. 川端文夫

    ○川端委員 どうもありがとうございました。
  44. 八田貞義

    八田委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、御多用中のところ長時間にわたり御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。(拍手)  本会議散会後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時三十九分休憩      ————◇—————     午後三時四十三分開議
  45. 八田貞義

    八田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  情報処理振興事業協会等に関する法律案について質疑を続行いたします。近江巳記夫君。
  46. 近江巳記夫

    ○近江委員 まず初めにお聞きしたいと思いますのは、この情報関係のそうした定義というものが非常に明確でないということであります。たとえば、情報あるいは情報処理、あるいはソフトウエア、あるいはソフトサイエンス、こうした定義というものが非常に明確でない。人によって非常に認識が異なるということです。政府はこれらの点についてどのようにお考えですか。この点をまず初めにお聞きしたいと思っております。
  47. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 情報処理でございますとか、あるいは情報産業というようなことばは、こういったものが、技術の進歩に応じまして、きわめて最近の時点でいろいろと問題になってまいりました関係上、使う人によりいろいろと違っております。  たとえば、情報産業ということばを一例としてとってみましても、大きく分けて、この情報産業ということばは、三つくらい使い方があるように思います。その一つは、一番広い使い方でございまして、情報を生み出し、あるいは処理し流通させるといった問題に関連をする産業というような意味で、こういうことになりますと、新聞、放送、出版、こういったような、いわば知識産業とでもいいますようなものが、非常に広く包含される場合がございます。それから第二に、情報産業と申しますときには、電子計算機の出現によりますところの情報の大量迅速な処理、こういうことでございまして、いわば電子計算機に関連をいたしましておる電子計算機メーカー、あるいはソフトウエア業、情報処理サービス業、こういったものをひっくるめまして情報産業という場合がございます。さらに、一番狭義の場合でございますと、たとえば計算センターでございますとか、そういったような、いわば電子計算機によります情報処理サービス業、こういったようなものをごく狭義にとらえまして、これを情報産業というふうにいっておる場合もございます。  こういったように、情報に関係いたしますいろんな事柄は、まだ初期の段階であり、これから先いろんな形で発展をいたします関係上、現状では、いま先生御指摘のように、いろんな人により、いろんな使い方によって必ずしも定義が一定していない、こういったような状況であるように考えております。
  48. 近江巳記夫

    ○近江委員 確かにそれは、現時点としてはわれわれも理解できるわけでありますが、少なくとも根幹的なそういう考え方というものは、明確に政府としても早急にやはりまとめるべきではないかと思うのです。政府内においても、いろいろお聞きしてもばらばらなことをおっしゃるわけです。そうであってはならないと思うのです。ですから、これは今後の課題として、非常にむずかしい問題はありますけれども、ほぼ包含したそうした定義といいますか、そうしたものをきちっとまとめる努力をやっていただきたいと思うのです。どうですか、この点は。
  49. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 先生のおっしゃるとおりに、情報産業というのが的確なことばでないかもしれません。今後、未来産業の中でいろいろなことを展開していく部面において、また新しい部面も出てくるかと思います。しかし、現実にやっていこうという問題については、そういう定義あるいは範疇というものをきめていく必要があろうかと思っております。
  50. 近江巳記夫

    ○近江委員 確かに情報の伸びというものが著しいわけです。そういうことで、この定義とともに、国全体の方向というものがとる人ごとによってやはり非常にまちまちである。したがって、将来のイメージというものが一体どうなるのか、人によって全然また変わってくるわけです。ですから、こうした将来のイメージ、方向というものを、これなども非常にばく然としておるわけですが、その点いまお考えになっていらっしゃること、大体のそうした方向といいますか、イメージといいますか、簡単にひとつ局長から聞きたいと思うのです。
  51. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 けさほども三人の参考人の方からいろいろ意見の開陳がございましたように、情報処理の問題自身が、ごく最近の時点におきまして、主としてアメリカ各種必要性から生まれ出てまいりました。特にコンピューターの技術の発達とあわせてできたものでございます。そういったことからいま日本におきましても、あるいは世界におきましてもそうでございましょうが、いわば前例となると申しますか、こういったものでなければならない、あるいはこういうふうになるであろうというようなイメージを作成すると申しますか、ビジョンをつくるということには私どもも非常に困難を感じております。やはりこういったものは、技術の進歩また情報処理に関する需要の実態というものがきちっとした形で出てまいりますにつれて、漸次、そういったものに関する概念規定あるいはそれに伴う各種の法体系、こういったものが出てくるわけでございまして、いまから予見的に、こういうふうにあるべきであろう、あるいはこうなるであろうということを簡単にきめることは、それ自体やはり問題があると思っております。しかし、いずれにいたしましても、一九七〇年代あるいは八〇年代を想定いたしますと、需要の面におきましても、また、その需要に応ずる技術をささえるコンピューターソフトウエア、こういった面の進歩という点からいたしましても、急速に伸びていくことは間違いのない事実でございまするので、私ども世界の情勢にも広く目を向け、また日本の特殊の実態にも十分根をおろして、こういったものについての不断の調査研究を行なっていく必要がある、かような心がまえでおるわけでございます。
  52. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうの質疑を通じまして、基本的な方向ということは、各委員からもそうしたお話が出たわけであります。そういうことで、今後、鋭意研究、努力されるということはわかるわけでありますが、そのように、ビジョンづくりといいますか、そういうものは、政府としては指導的な立場におられるわけでありますから、ただ現状がこうであるからという、流されるような雰囲気であってはならぬと思います。ですから、そうしたことをよく把握しながら、そうした将来への明確なビジョンづくりということに全力をあげてもらわなければならないと思います。特にその点は要請しておきます。  それから、日米間のソフトウエアギャップ、これが非常に大きいということについてはこの前にも申し上げたわけであります。またお話があったわけですが、今回のこの施策によって、そのギャップというものがどのくらい解消できるのかということなんです。その点についてはどうですか。
  53. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 私ども、今回の法案でもって、電算機の利用及びプログラム開発を促進し、また、プログラムというものの流通をできるだけ円滑にし、さらには、プログラムをつくっておりますソフトウエア業、あるいはこれを広く国民生活一般にも活用いたしますところの情報処理サービス業、こういったものの育成をはかってまいりたいと考えているわけでございます。  いまお尋ねの件でございますが、何と申しましても、まだ日本ソフトウエア産業と申しますものは、いま先生からも御指摘がございましたように、きわめて初歩的な、幼稚な段階である、こう考えております。企業数にいたしましてもわずか二、三十社でございまするし、またその売り上げ高にいたしましても、きわめてたかの知れた金額でございます。こういった状況でございまするので、にわかにこれを育てると申しましても、ただこの法律だけでそれをやるといってもそれには限度がございます。先般来の質疑を通してお答え申し上げておりますように、やはり学校教育の面、あるいは現在の民間にすでにおりますところの技術者の研修の問題、こういった各般の問題をあわせ行ないながら、情報処理技術者の大量生産と申しますと語弊がございますが、これの人数をふやしていく、またその内容を高度化していくといったような施策と相並行しながら、今回この法案によって設立されますであろう情報処理振興事業協会が、民面のソフトウエア業あるいはプログラム開発というものに、まず第一歩として、申しますか、そういったものを振興する手がかりと申しますか、そういった役目をまず果たすことになると思います。そういった意味で、それができたから、しからば一体どのくらい、内容的にあるいはまた量的にソフトウエアの振興ができるかということについては、にわかに断ずることはできないと思いますが、いずれにしても、こういったことを手がかりにして、あるいは第一歩として、今後ますますこういった線に沿って施策が拡充されていくことを私ども強く期待をいたしておる次第であります。
  54. 近江巳記夫

    ○近江委員 非常に大きな問題として教育、人材の養成の問題でありますが、今回の施策だけにおいては非常に期待というものが薄い。確かに教育、そして人材養成の問題ということが非常に大きな問題だと思うのです。この点について特に二、三お聞きしたいと思うのです。  私がここに持っております資料によりますと、たとえばシステムエンジニアが、昭和四十三年三月には七千五百人、昭和四十七年の三月には約四万五千人要るであろう。これに対して増加数が三万七千五百。増加率はわずか五年間で六倍。プログラマーにおいては五・三倍。オペレーターが四倍。平均しますと五・一倍。急速にこれだけのエンジニアというものが要るわけです。システムエンジニア、こういう立場の人たちのおくれというものが特にひどいわけです。たとえば会社においても、それぞれの部門でどのくらい不足を感じておるか。システムエンジニアでは八六%が足らないといっておる。プログラマーでは七八、オペレーターが七五、キーパンチャーで四五、こういう著しいおくれの状態なんです。きょうは文部省の方も来られておると思いますが、この問の答弁では、大学でもそうした教育もやっていきたい、このようにおっしゃっておりますが、たとえばシステムエンジニアの場合、ここにデータがありますが、どういうところで実際それを身につけたかといいますと、大学聴講生や国内留学というものがゼロなんです。講義実習による社内教育、これが二十。オン・ザ・ジョブ・トレーニング、要するに実務を通じての勉強が十九。メーカーの講習会二十一。メーカーからの出張指導十。大学聴講生、国内留学はゼロとなっています。セミナーで十三。各種学校は、この時点ではゼロになっております。大学からの出張六。通信教育三。その他三。こういうようなことを見ていきますと、実際大学で今後そうした教育をなさると聞くわけですが、はたしてどれだけの効果があるかという点になると、非常に不安を覚えるわけです。きょうは文部省からも来られておるわけでありますし、その点、通産省とどういう話し合いをされて、どういう見通しに立っておるのか、こうした点についてまずお聞きしたいと思います。文部省来られてないのですか。——それでは通産省……。
  55. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 先般当委員会におきましても、文部省当局から御説明申し上げましたように、先ほど先生の御指摘のような、まことにそのとおりの実情でございますので、文部当局に対しまして、大学教育以下、関係の学科の新設等を絶えず要望してまいっております。そういったことから、四十五年度におきましては、私の記憶でございますが、たしか大学において短期を含めまして四つ、その他高等専門学校等にこういった関係の学科を設けることになったと承知をいたしております。また特に、いまお話の高級な技術者の養成でございますが、これはやはり、大学を出まして実務経験二、三年といったようなところの人材が非常に不足をいたしております。こういったことから私ども、情報処理研修センターというものが必要ではないかということで、先般こういったことにつきましての財団法人を設立する運びになりました。これにつきましては、通産省としても特段の援助をしたいと考えております。このセンターにおきましては、いま申し上げましたような、システムエンジニアあるいはシニアプログラマー、こういったものを中心といたしまして、大学を卒業して二、三年程度実務経験のある者の中から、この研修センターで年間相当数の人員を再教育する、そうして技術の程度を高めていくということにしたいと考えておるわけでございます。  大学あるいは文部省関係のことにつきましては、ただいま文部省の局長がお見えになりましたので、そちらから、なお詳細にお答えをさしていただきたいと思います。
  56. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 大学におきます情報科学関係の教育、研究の概要につきましては、前回、中井委員の御質問に対しまして御説明申し上げたわけでありますが、若干重複いたしますが、御説明申し上げます。  大学関係では、この情報処理というようなことがこれからの社会に必要になってくるという認識のもとに、ここ両三年来、この関係をどうすればいいかということを、関係会議を持ちまして、文部省も加わりまして検討を進めまして、昨年の七月にある程度の指針をちょうだいいたしました。それに基づきまして、実はそれ以前からも、関係の学科なりあるいは研究施設をつくってまいってきたところでありますけれども、四十五年度におきましては、特に国立学校関係の重点施策に取り上げまして、研究施設を三つ、それから大学の学科を五つ、それから短期大学の学科を一つ、それから高等専門学校の学科を二つつくりまして、研究の推進並びに必要な人材の育成ということにつとめてまいっております。それからまた、この関係の教育、研究には設備が必要になりますので、これまた従来から、国立大学に七カ所大型計算機のセンターをつくるということで、すでに五カ所設置済みでありますし、一カ所進行中であります。それからさらに四十五年度の予算でもう一カ所、大体従来の旧帝国大学に大型計算機のセンターをつくりました。それから、中型、小型の計算機につきましては、これは、おおよそ理工系ないし経済学、経営学をやっておる学部にはすべて必要であるという考え方で、逐年整備してまいっております。そういう学科、研究施設の設置あるいは設備の充実などと相まちまして、必要な研究あるいは要員の養成につとめてまいっております。これらの問題につきましては、関係者の協力も仰いでおりますし、また、通産省関係審議会の答申などもちょうだいいたしまして、それらも参考としつつ進めておるのが実情でございます。
  57. 近江巳記夫

    ○近江委員 まあ、どうにか一歩を踏み出そうという姿勢はわかるわけです。しかし、いままでのこうした内容を見てみますと、工学部がほとんどで、文科系はほとんど行なわれていない。要するに、このシステムエンジニアというような立場になっていきますと、これはもう利用するのは工学部関係だけではないわけです。あらゆる部門の総合的なそうしたことが必要になってくるわけです。したがって、その辺の考え方——あるいは基礎的な知識の教育だけに重点が置かれて、実際の演習というものがほとんど行なわれていないということです。しかも、先ほどコンピューター導入の話がありましたけれども、研究用のコンピューターはあるけれども、それでは実際に教育用コンピューターの導入というものがどれくらい行なわれておるかということなんです。以上の点どうですか、現状といま申された点とあわせて。
  58. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 大学におきます教育研究は、やはり大学の性格上、どちらかといえば基礎的なものに重点を置くことは、これはもうやむを得ないことかと思います。また理工系以外の分野につきましても、先ほども申し上げましたように、経済学あるいは経営学関係、たとえば一橋大学や神戸大学などにつきましては、社会科学的な見地からの統計数理などにつきましても研究を進め、あるいは必要な設備もいたしております。また大学の計算機は、どちらかといえば研究目的で設置されることが多いわけでありますが、先ほど申し上げました情報処理教育の関係会議におきましても、研究用のコンピューターも、たとえば周辺の他機器などのくふうによって教育用にも活用できるし、またそうすべきである。それからまた、研究用として一応使用目的を果たしたコンピューターを教育用に転用することも可能であるし、また促進すべきである。また、さらに進んで直接教育用のコンピューターということも考えるべきであるという御指示を得ております。  従来、どちらかといいますと、大学では直接教育用ということでコンピューターは導入しておらなかったわけでありますが、そういう点も考慮してまいりたいと思いますし、また高等学校につきましては、研究用よりはむしろ教育用ということで、これからコンピューターの導入をはかってまいりたいと思っております。
  59. 近江巳記夫

    ○近江委員 私は、高校の部門についてはいま言わなかったのですが、この高校の部門を見ても、大部分を占める普通高校では、コンピューター関係の教育はほとんど行なわれていない。情報化社会というものがこれからどこまで前進していくかわからないという、そういう現状において、いまのような状態でいいかということは、私は、一つの大きな問題じゃないかと思うのです。しかも商業高校では、実用性の観点からプログラム教育は一部行なわれているように聞いておりますが、実際にコンピューターを設置している高校はどれだけあるか。私のこのデータというのは、だいぶたっておりますからなにですけれども、わずか数校と聞いているわけです。したがって一高校教育におけるこうしたものはそれでいいかということなんです。この両校教育については、もう少し詳しくお聞きしたいと思います。
  60. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 高等学校につきましては、従来、大学、高専よりも、率直に申しまして、情報関係の対応がおくれておったわけでありますが、これからの問題といたしましては、現在、学習指導要領の改定期にも当たっておりますので、普通高校につきましては、数学科などを中心にいたしまして、計算機の理論あるいは使い方の基礎程度の素養は与えるように、学習指導要領上の配慮をいたしたいと思っておりますし、また、工業課程あるいは商業課程につきましては、情報処理を目的とする学科なども作り得るように指導要領上の配慮をいたしたいと思っております。  そこで、計算機の導入の問題は、これは個々の高等学校に導入するということもなかなか困難でございますので、各都道府県ごとにセンターをつくりまして、そこに必要な機械の設置を補助いたしまして、ここを中心に漸次及ぼしていく。それからさらに、高等学校関係につきましても、情報処理に必要な学科をこれから漸次つくってまいりたい。これは、現在どちらかといえば、設置者側のそういう計画を集計した程度でございますが、四十五年度におきまして、公立学校で二学級、それから四十六年度になりますと、情報処理科が二十一学級、情報技術科が十四学級という設置計画があるようであります。それから以後、漸次設置計画があるようでありますし、それから私立高等学校におきましても、四十五年度におきまして、情報処理科というようなものが十二学級、情報技術科というものが四学級。四十六年度につきましては、情報処理科が二十八学級、情報技術科が十三学級、さらに将来に向かって設置計画があるようでございます。  そういうことで、高等学校につきましては、率直に申しまして対応がおくれておる面がありますが、学習指導要領の改定あるいは設備の充実、学科の設置といったような事柄を漸次進めてまいりたいと思っております。
  61. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから通産省にお聞きしますが、このコンピューターメーカーを見ますと、プログラマー教育が中心になっていて、システムエンジニアの教育というものはほとんど行なわれていない。しかもワンコースの平均の教育期間は非常に短い、平均七日程度だ、このようにも聞いておるわけですが、このコンピューターメーカーにおける特にシステムエンジニアの教育、これの現状についてお聞きしたいと思います。
  62. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 システムエンジニアにつきましてのいわゆる既存の技術者の教育は、いま先生がおっしゃるような形で行なわれておるようであります。ただ、こういったことではきわめて不十分でございまするので、先ほど答弁の中にも触れましたように、先般、財団法人でございますが、情報処理技術者のための研修センターが設立されることになりました。ここでもって、年間三百名程度の人間を目標にいたしまして、三カ月コースあるいは半年コースということで再教育をしたい、こういうことでございます。こういったものと相まって、これからシステムエンジニアのいわば技術の内容をさらに高度化する、あるいはシステムエンジニア自身を育てていくということに相なっていくのではないかと考えております。
  63. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま研修センターとおっしゃったのですが、財団法人の日本情報処理開発センター、これは四十三年から上級情報処理技術者の研修制度というのが発足しているのですが、それとはまた別なんですか。
  64. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 ただいま御指摘の日本情報処理開発センターは四十二年の十二月に設立をされまして、いまお話のように四十三年から活躍をいたしております。ここは実際問題としては、コンピューターを持っておりまして、そして仕事の内容といたしましては、ここ自身がいわばプログラム開発をする、こういった機関でございます。と同時に、情報処理に関しますいろいろな調査研究あるいは情報処理の普及の促進こういったことをここでやっております。私が申し上げました情報処理研修センターのほうは、三月に発起人会が開かれまして、いま申し上げましたように、平年度——まだ、ことしは設立準備中の面もございまするので、そこまでまいらないかとも思いますが、半年コース、三カ月コース、こういったことで、システムエンジニアあるいはシニアプログラマー、こういったものを大体年間三百人程度研修をしたい、こういう研修の目的でつくられたセンターでございます。
  65. 近江巳記夫

    ○近江委員 この日本情報処理開発センターは競輪の資金で援助をしておるわけですが、通産省なんか出していないのですか。しかもこれは通産、郵政両省が主務官庁になっておる。そうすると、今回のこの事業協会設立されたのは、当然現状からこれからの発展を考え設立したということであるけれども、何かそこに郵政省と通産省の両省がこれを管理しておる。この辺のところから、そういうセクト的な面から、事業協会一つは発足した背景があるのじゃないか、このように私はちょっと聞いたことがあるのです。この日本情報処理開発センターは競輪資金だけで援助をしておるということはどういうわけだと言っておるのですが、少なくともこれは通産省の大きな施策としてやっていかなければならない。それをはたして競輪資金だけのそういう援助のあり方でいいかということです。事実と違えばまたおっしゃってください。
  66. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 日本情報処理開発センター、これは財団法人でございますが、いま御指摘のように、競輪の収益の中からの機械振興資金を使ってこれに補助をいたしております。この機関は、いま申し上げましたように、情報処理の調査研究あるいは普及の促進、さらにはみずから情報処理システムの開発をするということででき上がっておるものでございまして、今後の情報処理というものが、先般来当委員会の質疑にも出ておりますように、オンラインのものが相当普及してくるであろう、またオンラインでもってこういったものの情報処理が行なわれるということからいたしまして、私どもとしては、今後の情報処理技術というものが、プログラム開発と同時に、いまのオンラインといった技術についても十分ここでもって調査研究をし、開発をしていく必要がある。こういったことから、郵政当局にも積極的にお話をいたしまして、両省協議の上、先ほど御指摘のように、共管というスタイルで財団法人が出発をしたわけであります。もとより、こういったものにつきまして一般会計で補助等を与えることがいいかどうか、こういった問題等もございまするが、やはり民間機関でございまするし、また、けさほども見えておられましたような、ちょっと目的が違いますが、稲葉先生等が副理事長をしておる経営情報開発協会といったようなものもございますので、この際は、いま申し上げたような機械振興資金による補助ということがよろしいのではないか、こういうことから、四十三年度以降これにつきまして機械振興資金の補助をしておる、こういう次第でございます。
  67. 近江巳記夫

    ○近江委員 財源の問題になりますとなかなかむずかしい問題がありますが、しかし、通産省が今後非常に伸ばしていかなければならない方向において、やはり国民感情としても、競輪資金だけでやっておるというようなことは一考を要するのではないか。ですから、今後補助金等の問題においてさらに検討されるかどうか、この問題について政務次官にお聞きしたいと思います。
  68. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 近江先生のおっしゃるとおりだと思います。今後の日本産業の成否がかかっておる情報産業に対して、そういう資金のみにたよっておったのではいけないと思いますので、今後とも、政府資金を大いに出してこういう問題を解決するように努力いたします。
  69. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、この情報処理技術者の試験の目的ですね。それから、この情報処理技術者試験がどのような人を対象とするか。はたしてこの資格を法定する必要性があるかどうかということなんです。これは私も疑問なんです。この辺の考え方局長からお聞きしたいと思います。
  70. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 今回この法案の中に、情報処理技術者の試験の制度を法定をするということで取り入れたわけでございますが、御承知のように、情報処理関係技術者は、ただいまも御質問の中で御指摘なさいましたように、今後将来を見通してまいりますと、非常な不足が予見をされるわけであります。同時に、その技術者そのものの技術の程度と申しますか、こういったものについても、漸次高級な技術者がふえていってもらわなければ困る、こういう実情でもございます。また民間にもそれぞれ、高級技術者の養成ではございませんが、いろいろな技術の専門的な養成機問もございます。こういったようなことを全体的に考えまして、昨年通産省といたしましては、通産省告示でもってこの情報処理技術者関係の試験を実施いたしたわけであります。当初この計画をつくりましたときには、全国でおそらく約三千名程度であろうか、こういう予想のもとに予算もとりまして実施をすることになったわけでありまするが、ふたをあけて方々広告をいたしてみますると、全国で約四万二千名の応募者があるということで、私ども実は当初考えておりましたよりも、こういう試験制度について非常に関係者の関心が驚くべく深い、こういうことを発見をいたしたわけであります。こういったことにもかんがみまして、私どもは今後、情報処理関係技術者方々が、自分の持っておる技能というものをある程度テストをしてもらう。統一的な試験問題でもって、自分はどの程度の技術レベルを持っておるかということをみずからも認識をする。また、それを使っておられる方々も、自分の会社なり団体なりで使っておる技術者というものがどの程度の全国平均のレベルにあるかということを認識するということは、今後の情報処理技術者というものの内容をレベルアップしていく上に非常に重要ではないか、こういうふうに考えておるわけであります。これが試験制度というものの目的であろうかと思います。そこで、いま申し上げましたような実情にもかんがみまして、こういったような国民的関心の非常に深いものでございまするので、この際やはり告示といったようなことで実施をいたしますよりも、国会の御審議を受けた法律の中にこれを明定するというのが、国民に対する一つサービスと申しますか、私どものつとめでもあろうか、こういうふうに考えまして、今回この法案の中に一カ条を設けるに至った次第でございます。
  71. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうしますと、この試験というのは大体プログラマーまでの段階でしょう。システムエンジニアのところまでは来ないわけですね。このシステムエンジニアの問題になってきますと、どのように考えているかということが浮かび上がってくるわけです。これについてお聞きしたい。
  72. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 試験の内容でございますが、試験は第一種と第二種の情報技術者ということに分けて試験をいたしております。第一種の技術者と申しますのは、いわゆるシニアプログラマーでございます。それから、第二種情報処理技術者と称するグループはいわゆる一般のプログラマーということでございまして、このシニアプログラマーを越える、いまお話しのシステムエンジニアと申しますか、そういった面につきましては、実は非常に高級な技術になりますので、試験そのものも実はむずかしいと申しますか、先生なり試験問題についてもいろいろ問題があるということから、私どもとしては、いま申し上げましたような、第一種のシニアプログラマー、第二種一般プログラマー、この二種類に分けた試験を実施をしたわけでございます。
  73. 近江巳記夫

    ○近江委員 確かにそうしたむずかしさがわかるのですが、一貫した資格を法定化するという考え方から行けば、やはりそういうシステムエンジニア等の方に対しても、その辺のところは今後の課題として研究する必要があるんじゃなかろうかと思うのです。私もこの点は、そういう資格を設けていいかどうかということについては、いまのところ疑問です。この辺は一つの課題として申し上げておきます。  それから、メーカーとユーザーの問題ですが、このソフトウエアについて、非常にユーザーの力がメーカーの開発を圧迫しておる、この点どのようにお考えになっておるか。またその辺の対策ですね。  それから、これは先ほどもちょっと申し上げましたが、このシステムエンジニアリング関係について、日本が着手したばかりの段階である。まだ非常に模索の段階にあるんじゃないか。したがってメーカーもほとんどない状態である。これについては、先ほど研修センター等のお話がありましたので、これで了解しますが、この、ユーザーの力が弱いメーカーの開発力を圧迫しておる、これについてどのようにお考えか、また対策を聞きたいと思います。簡潔にお願いします。
  74. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 いまお話しの点は、力と申しますか、いまの現状では、ソフトウエアの専業者というものが日本ではまだ初期の段階で弱い。したがってユーザーが、自分でこれと思うものについてそういった専業者に頼む、あるいはユーザー自身が自分の持っておる技術者でもってプログラムを組み立てる、それをもとにいたしまして、いわゆるコンピューターメーカーにそれを発注をする、こういうことにはなかなかまいっておりません。やはりいまの段階では、コンピューターメ一カーにこういったプログラムを組み立てる技術者が多数おりまして、そこでもってユーザー側の需要に応じたプログラムをつくる、ハードウエアをつくる、こういうのが実情であろうと思います。ただ、ユーザーの側でも、大企業になりますとそれぞれ独自の技術者を持っておりまして、メーカーのほうの技術者と相談をしながら、自分の目的に沿ったコンピューターあるいはプログラムをつくる、こういう実情でございます。  そこで、そういったことでは、なかなか中小企業その他の面にも不便を来たしますので、やはり専門のソフトウエア業者というものが今後育成強化をされ、そこでもっていわゆる一般のユーザーにも利用されるような、いわゆるプログラムパッケージと一般にいわれておりますが、こういった開発を進めてまいりまして、一般のユーザーがそれを頭に描きながら適当な電算機を購入してまいる、こういうふうになっていくのが望ましいかと思います。したがって、この法案がねらっておりますようなソフトウエア業の助成というような点も、いま御指摘のような点も考慮して、私ども法案一つの柱として考えている、こういう次第でございます。
  75. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほどの答弁に関連するのですが、メーカーのレンタル料の関係から非常に資金を圧迫している、また機種も多過ぎる、互換性も少ない、こういうような実情がある。JECCが昭和三十六年に発足しておりますが、非常に急増しているわけです。これは局長さんもそちらの資料で御承知のとおりでありますが、そこで当然、そうしたレンタル資金等に対する開銀の融資ワクの拡大、今後の見通しです。  それから、当然国産ソフトウエア技術振興のための開発資金の拡充、コンピューター導入のための長期低利資金の貸し付け、そうした要するに各種の助成措置、税制、その辺のところの問題についてどういう対策を立てておられるか、ひとつお願いしたいと思います。
  76. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 いまのJECCの問題からまずお答えいたしますが、四十四年度におきましては、当初開銀資金を九十億円JECCが借り入れることになりました。その後非常にこれが不足をいたしましたので、さらに追加の九十億円——当初九十億円、さらに追加の九十億円ということに決定を見ております。四十五年度におきましては、開銀資金百五十億円ということでございまして、これをもって四十五年度は、機械の購入におきましても、四十四年度の八百三十億円に対しまして一千億円という計画を立案をいたしております。なお、開銀につきましては、四十四年度追加の九十億円のうち、約十五億円余りを四十五年度に繰り越して使用するという計画になっていると承知をいたしております。もちろんこの点につきましては、今後ますますJECCの機械の購入、買い取り資金がふえてまいりますので、私どもとしては、今後この資金が不足をしないよう、一そうこの資金の拡充、強化につきましては努力をしてまいりたいと考えております。  税制につきましては、次のような措置を本年度からとることにいたしました。第一点は、電子計算機の特別償却制度の創設でございます。これは、情報処理の高度化に資するために、一定規模以上の買い取り電子計算機につきまして、取得価格の五分の一の特別償却を認めるという制度でございます。それから第二点は、電子計算機の買い戻し損失準備金制度でございますが、これは従来からその繰り入れ限度額は百分の十というふうになっておりましたが、これを本年度から百分の十五に引き上げる、こういうふうにこの制度の拡充をいたすことにいたしました。以上二点が本年度から新たにとられることになりました電子計算機に関する税制の概要でございます。
  77. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、この標準化の問題も、きょうは参考人のほうからお話があったのですが、国際標準化機構の規格に沿った——現在、十八規格、このように聞いておりますが、今後標準化ということが非常に大きな問題になると思うのです。これを放置していきますとばく大なロスが出ると私は思うのです。ですから、その点、標準化としてどういう対策を今後とっていくか、これについて簡潔にお願いしたいと思います。
  78. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 この電子計算機情報処理に関します標準化につきましては、いまお示しのとおりでございますので、今後鋭意これを進めてまいる所存でございます。ただいま、担当の工業技術院の電気規格課長が参っておりますので、そのこまかい点につきまして簡単に同課長から御説明をいたさせます。
  79. 中川隆

    ○中川説明員 それでは御説明いたします。  四十五年度の制定計画といたしましては、四月一日にすでに八規格つくりまして、今年度はそのほか約八規格を制定する予定にしております。四十六年度以降におきましては、約三十規格くらい現在計画しておりますが、とりあえず四十六年度以降制定予定といたしまして、四十五年度に十件くらい原案委託をいたしております。  以上でございます。
  80. 近江巳記夫

    ○近江委員 私も限られた時間でありますので、非常にきょうは総当たりのような感じになるのですが、次に進みたいと思います。  それから、きょうは郵政省の方も来られておりますので、電電公社の方も来られておりますね。要するに、この通信回線の自由化の問題なんです。この問題については、皆さんも非常にいろいろと検討されておると思いますが、柱だけでけっこうですから、通信回線の自由化についてどういうことをお考えになっていらっしゃるか、明確にひとつお聞きしたいと思います。
  81. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 お答えいたします。  昨年あたりから、オンラインの回線は、電信電話公社に対する要求、要望がかなり出てまいりまして、その柱になりますものといたしましては、やはり法律改正というものにつながる問題でございます。御承知のように、公衆電気通信法によりまして、電信電話公社は専用回線を提供するわけでございますが、この提供条件につきまして、特に一つは、異種企業間の二社以上で共同してこれを利用する場合の制限が強過ぎるという点が一つ。それから、今後、情報検索業務あるいは情報処理業務としてオンラインでユーザーにサービスを提供する場合の専用線の制限もないようにしてもらいたいという点と、それからさらに、共同利用の場合におきます料金問題でございますが、これも現在の法律によりまして、二者以上の場合割り増し料金を取るというたてまえになっておりますので、これをなくするという三つの点を主にいたしまして、昨年郵政審議会のほうにも、郵政省といたしましての原案を諮問いたしまして、これに基づく答申をいただきまして、これを法制化して、いわゆる通信回線の開放というものに対しまして、段階的な措置を講じていきたいということでございます。
  82. 近江巳記夫

    ○近江委員 で、その法改正が今回は見送られたわけですが、なぜそういうたな上げになったのか、それの背景についてお聞きしたいと思うのです。そうすれば問題点が浮き彫りになってくるんじゃないかと思うのです。
  83. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 この法改正につきましても、ただいま申し上げました問題に関連いたしまして、そのほかの問題につきましても、郵政審議会からの一つの今後の要望された事項等がございます。これらはお互いに関連することでありまして、それらを十分に法案の中に反映していくという、こういうことにつきまして、いろいろ各方面に意見がございまして、何しろ限られた日数にそれを法案にまとめる作業で、とうとう意見調整ができず、時間切れになったというのが実情でございます。
  84. 近江巳記夫

    ○近江委員 ですから、これは私個人の考えですが、この郵政審議会と並行して、どういう官庁が集まられたらいいかわかりませんが、たとえば通産省、あるいは科学技術庁、郵政省、電電公社とか、そういうような連絡協議会というものは常時開くべき必要があると思うのです。そうしていかないと、審議会から出たやつをなかなかこなせなかったというような事態になるのじゃないかと思うのです。その点、そういう連絡協議会のようなものをいままで設けてこられたのか。あるいは、もし行なわれておったとすれば、年に何回くらい開かれておったか、その辺が私は問題じゃないかと思うのですが、その点についてどうですか。
  85. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 特に連絡協議会という名前を設けました公式の機関というふうなものは設けてございませんが、各省間での協議は随時数多くいままでやっておるわけでございます。  なお、この郵政審議会につきましても、個々のメンバーも、各界、各方面の意見を持っておられる方に非常に広く参加していただいておりまするので、これもまた、実態的に各省問の意見調整の裏づけをするという意味では、非常に有効な場面になるかと存じます。
  86. 近江巳記夫

    ○近江委員 やっぱり私は、この関係各省庁間におけるそういう連絡協議会というものを正式に発足させたほうがいいと思うのです。そうしないと、お互いのそうした責任といいますか、その辺の問題がございます。もう言いたいことばかりやっておったのでは、これはいつまでたったって進まないと思うのです。やはり現状からして、これは未来を含めて、合理的なそういう法改正をやらなければならぬ。早急にやらなければならぬ問題ですよ。それをいつまでもそういうような停滞しておるようなことではいけないと思うのですね。ですから、将来の方向として、きょうそのようにお見えになっているわけでありますから、関係各省にもいろいろ働きかけて、そういうような方向に持っていかれるという、強いそういうお考えは、あるかどうか、もう一回この点を確かめておきたいと思います。
  87. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 今後各省と緊密な連絡をとり、前向きにこの問題について検討したいと思っております。
  88. 近江巳記夫

    ○近江委員 政務次官がおっしゃいましたので、それはこれ以上聞きませんが、それから、情報化促進の基本的な姿勢ということを明らかにしなければならない。当然基本政策の確立と機構の整備が必要だと思うのです。  そこで通産省にお聞きしますが、この研究開発はどこが主体となるべきであるかということです。それから、研究開発はどの分野に重点を置くかということ。それから、将来のコンピューター開発のための体制をどうしていくか。いろいろ先ほどもお聞きしましたから、この点は重複しますから、新たな問題があれば加えてください。それから、シンクタンク的な研究機関必要性と、これを進めるにあたっての体制をどう考えていくべきか。情報、特にソフト関係はどこが主務官庁となるか。まずこうした点について簡潔にお願いしたいと思います。
  89. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 情報処理の研究開発と申しますと、非常に分野が広うございまして、学界、また官庁の内部の研究機関、さらには民間ということで、それぞれその持ち分に応じまして、今後研究開発が進められていくものと考えております。役所の内部におきましても、基礎的な、また非常に共通の面を持っております分野につきましては、やはりこれは、科学技術庁が各省の研究体制を総合調整をする立場にございますので、そういった面からは、科学技術庁が総合調整をしてこれを行なっていくものと考えております。そういったもとにおきまして、やはり私どもの電気試験所——今度、電子技術総合研究所ということになりますが、そういったもの。あるいは郵政省関係におきましては、それぞれ電電公社その他りっぱな研究機関を持っております。こういったものが、それぞれの分野、職制に応じまして研究を進めていくべきものでございまして、これらがもし重複したり、あるいは各省にまたがる大きなものということになれば、これは科学技術庁が総合調整をするという立場であろうかと思います。  コンピューターにつきましては、先般もお答え申し上げましたように、私どもの工業技術院が中心になりまして、大型超高性能のコンピューター開発六カ年計画を現在実施中でございます。これは四十六年度におきましてほぼ完成をするという予定に相なっております。  それから、シンクタンク的なものはどうか、こういうことでございますが、これはやはり、官民いろいろな立場でこういったものが必要であるとされ、かつその設立についての研究がなされておる段階でございます。これもまた、それぞれの内容に応じまして考えていかなければならぬと思いますが、役所の場合には、シンクタンクと申してはいかがかと思いますが、とりあえずデータバンクと申しますか、そういったものにつきまして、行政管理庁が中心になりまして今後の施策を取りまとめつつあるというのが現状でございます。
  90. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、国際的な動きですね。たとえばOECD等のそうした問題について、どのように調和をさせていくかということです。この点についてはどうですか。
  91. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 OECDにおきましては、コンピューター利用に関する委員会という委員会がございまして、関係国がこれに出席して討議をいたしております。私どものほうも、通産省ももちろんでございますが、関係官庁から、この委員会が開かれますと随時出席をいたしまして、関係各国との間で所要の議論を取りかわしておるという実情でございます。
  92. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、データバンクのことについてもいま話があったのですが、官庁コードの統一の問題ということも、非常に大きな問題じゃないかと思うのです。それから、たとえばソフト研究所とシステムセンターのような、要するに各省の政策の重複した場合、どういうように今後調整していくかという問題もあるのじゃないかと思うのです。この二点についてお聞きします。
  93. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 先ほど申し上げましたようなことで、データバンクと申しますか、関係各省の持っておりますデータを統一的にコンピューター処理をしようということが議題になっておりまして、こういったことの関連におきまして、いわゆるコードの問題等も、現在行政管理庁を中心に検討中でございます。  それから、もう一つの問題は、システム技術研究開発の問題でございますが、この点につきましては、四十五年度におきまして、科学技術庁並びに通産省、それぞれから予算要求が出ております。これにつきましては、科学技術庁、通産省とも、本年度は調査費がこれについておりまして、もちろん重複しないように、おのおのの違った機能を活用して、いかにうまくシステム技術というものの開発をやっていくかということで、本年度つきました予算上の調査費を十分活用し、また両省庁間で十分協議もいたしまして、四十六年度以降これが具体化をはかってまいりたいと考えております。
  94. 近江巳記夫

    ○近江委員 労働省の方も来られておりますので一点お聞きしますが、こうした情報化現象というものが今後ますます発展してくるわけでありますが、それに伴って、まず一点は、労働省は情報化と失業問題をどのようにとらえておるか。これは言わなくても、いろいろなところのそうした合理化というようなこと等で、特に中高年労働者の場合なんか、完全にスクラップ化されるんじゃないか、こういうおそれがある。そういうことで、情報化と失業問題をどうとらえておるか。  それから、極度の精神的疲労を伴いやすい、そういうような雰囲気に置かれてくる。そうした場合、労働者の安全衛生面をどういうように今後とらえていくか。  それから、特殊の職業病、これは安全衛生面と関係するわけですが、いままであれば実例と、今後の対策、この三点について簡潔にお聞きしたいと思います。
  95. 小鴨光男

    ○小鴨説明員 ただいま御指摘の失業の問題でございますけれども、コンピューターの導入によります影響につきましては、まだ、これによりまして、大量の失業あるいは配置転換というような事例はございません。ただ、今後こういう新しい職種が出てくるというようなことになりますと、中高年等にしわ寄せされた形の中で失業ということも考えられますので、現在そういう点について十分見通しを立てまして、再就職等について配慮してまいりたいというふうに考えております。
  96. 東村金之助

    ○東村説明員 第二点、第三点の問題について申し上げます。  先ほどから御指摘のように、情報化社会といいますか、事務処理体制のコード化という問題に関連いたしまして、精神的な緊張その他いろいろな問題が出てまいります。これは言いますと単調労働の問題になると思いますが、こういう問題につきましては、労働省におきまして、特別の委員会をつくってこれに対処しております。  もう一つ、キーパンチャーの中でいわゆる頸腕症候群という一種の職業病がございます。これにつきましても、一定の基準を設けて予防に対処しておる次第でございます。
  97. 近江巳記夫

    ○近江委員 最後にお聞きしますが、先ほども参考人等を通じていろいろありましたが、情報化社会の進展によって人間疎外ということが大きな問題になってくるわけです。この辺について局長はどのように考えておるか、どう対処なさるかということです。それから、国民に情報化に関するマインドというものをどのように植えつけていくか。この二点について最後にお聞きしたいと思います。
  98. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 これからの時代の中で、人間疎外といいますか、そういう問題は非常に大きくなってくるのではないかと考えられます。特に脱工業社会というような、いわゆるもう一歩前進した社会の中では、人間機械の中にはさまれて、機械に酷使されるような状況になれば、これはたいへんなゆゆしき問題であろうと思います。そういうことで、人間性の回復というような問題、これはやはり一九七〇年代の大きな課題であろう。また一面、コンピューターその他の開発もしなければいけない。そういうところに、この一九七〇年代の大きな課題があろうと思いますので、この点は通産省、各省も鋭意努力して、そういうことのないようにいたしたいと考えております。
  99. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは、時間がもう夕方ですので、これでやめておきます。
  100. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長代理 横山利秋君。
  101. 横山利秋

    ○横山委員 先般来質問してきた問題をひとつ詰めていきます。  まず最初に、総理大臣か官房長官がおいでにならなければならぬのですけれども、いませんから、政務次官に副大臣としてお伺いをします。  先般いただいた資料を見ますと、各省庁のコンピューター保有台数は驚くなかれ百五十四台。そうして、レンタル料並びに買い取り費を含めますと、四十四年度の予算は六十六億六千七十六万三千円、実に膨大なものであります。しかも、政府の説明を聞きますと、省によってきわめて利用のアンバランスがある。機種は全然ばらばらである。利用率も各省によって非常に違う。稼働時間についてもアンバランスがある。省によってみますと、たとえば一番多く使っているのが防衛庁で三十四台、運輸省が二十三台、通産省が十七台、大蔵省はわずか七台。これを見まして感じますことは、これはもうコンピューターづいておるところがどんどんどんどん使って、勉強不足なところが、全然意欲がないか、あるいは及び腰になってやっているという感じがするわけであります。レンタル料だけでも四十四年度予算では六十六億ですね。驚いた数字だと思うのであります。  そこで、私は政務次官にお伺いして、——そういっては失礼ですけれども、政務次官の御返事ではおそらく不満足ですから、これは官房長官か総理大臣にひとつ聞くためにあなたに聞いておいてほしいのでありますが、一体こんなことでいいんだろうかと私は思うのであります。こんな機械もばらばら、省によってもばらばら、稼働時間もばらばらで、先ほど近江君が聞いておったんですけれども、レンタル制度のためにメーカーの仕事に圧迫を加えておる。政府自体がレンタル料で六十六億も年度予算を支出しなければならぬというが、開銀融資するよりも政府が買い取りをしたらどうだと、私はむしろ逆に言いたいのであります。  そこで、私が提起いたしたいことは、今後政府は、このコンピューターの総合利用について、どういう計画を立て、どういうふうに各省庁問の運営を行ない、このアンバランスをただしていくのか。ただ政府ばかりではありません。地方自治体とか、あるいは公団、公庫、そういったものを含めてみますと、これだけは政府の予算、政府の台数ですけれども、日本政府地方自治体、公、団、公庫を通じて、いまや年間支出されるコンピューター予算というものはばく大なものになっている。しかも、それは機種がばらばらでありますから、つなぐわけにはいかない。こういうような非常に矛盾のある将来性を持っておるわけであります。このままに推移せんか、さらにはどんどん毎年毎年買い入れるでありましょう。毎年毎年ばらばらな機種を買うでありましょう。それをつなぐことができなくなるでありましょう。そして、せっかく買ったものはいまさらこわすわけにはいかぬ、ということになるでありましょう。したがって、どこかで勇断をふるっていかなければならぬでしょう。私は大蔵省に聞いたわけでありますが、何で予算を編成するときにあなた方はもっとしっかりせぬかと言うたわけでありますが、これは根本的にはひとつには通産省のお仕事であります。なぜかと言えば、六社があってそれぞれ競っておるんですから、六社が来ている以上は、一社だけ使えと大蔵省に言うわけにはまいりません。本質的にいうならば、通産省が六社を統合させるか、あるいは一つ機械を指定してその方向に行かせるか、そうでもしなければこれは解決しない。こういうわけですから、それは根本的な問題です。  しかし、当面何かうまい方法があるはずだと思います。あまり通産省の重工業局長が前に出ると、よその省から、あれは何か考えていやせぬか、通産省はまたどうかせぬかと言いそうでありますから、もっぱらこれは、アメリカでも行なわれたように、政府が、まずおひざ元の政府地方自治体、公団、公庫を通ずるコンピューターの総合利用、共同利用ということに大きな足を踏みしめることは、これはもう政治の問題からいっても、法律の問題からいっても、あらゆる意味においても大事なことだが、それを一体やる気があるのかないのか。大臣答弁で、今後前向きで善処しますでは納得しませんから、あなたから、総理か、行政管理庁長官か、あるいは責任者にきちんと計画を具申してもらって、次回の二十三日にこれについてお答え願うように手配を願いたいということであります。
  102. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 横山先生のおっしゃることは、私個人的には大賛成でございます。確かに六社は多いし、また各省間における電子計算機の設置状況、その費用についてもばく大であるし、また機種がてんでんばらばらであるという点は、非常に合理性を欠くし、また、国民の血税をこのようにお使いになっているということも、たいへんな問題であろうと思いますので、この点については、後ほど通産大臣にもお伝えいたしまして、こういう趣旨であったということを、また通産大臣からも答弁するようにお願いいたします。  それから、先ほど、地方自治体の中でも多数使われているという問題がございますが、これは確かに地方自治体の問題かもしれませんけれども、その点もやはり考えざるを得ないことだと思います。現在、政府でかように六十六億のレンタル料、あるいは六億以上の買い取り費も相当数出ておりますが、そういうことでは非常にぐあいが悪い。私自身の考えでは、これは英断をもって統合的なコンピューターセンターをつくり、情報交換その他ができるような形にしなければいけないということで考えておりますけれども、現在、政府といたしましては、行管で調査費を計上いたしまして、総合的な、また共同利用という面についての研究調査をいたしておりますけれども、この点については、一日も早くそういう調査計画がやらなければならないと存じます。  もう一つ最後に、通産省関係コンピューターの会社が六社ある、これは多過ぎるのではないかというお話でございます。これは前にもお答えしたのでございますけれども、日本に六社は確かに多いと私は考えます。これは自分自身の意見でございますけれども、六社ではなくて二社あるいは三社くらいにして、統合的に、またエンジニアを有効に使って、日本電子計算機の発展に寄与するような行政指導をすべきであろうと考えております。
  103. 横山利秋

    ○横山委員 あなたの御意見はそれでいいと思いますが、率直にいって、北川参考人が朝おっしゃっておったように、容易ならざることだと思うのです。あなたと私の意見の一致を実現するには、容易ならざることです。六社が一生懸命に飛び出したところなのですから、いまそう簡単に、おまえとおまえと一緒になれとか、新しい会社をつくれということは、容易ならざることです。それから政府にいま百五十四台ある。そのほか、これから買おうとするものが総合的利用ができるようにするためには、容易ならざることです。ですから、あなたのおっしゃった御意見はそれでけっこうでございますが、このことをやるのは通産大臣の所管でもないのです。ですから私は、総理大臣か行政管理庁長官か官房長官に来てもらって、はっきりその意思を明白にしてもらいたい。このお取り次ぎをお願いしたいと言っておるわけであります。よろしゅうございますね。いいですね。
  104. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 行管庁長官あるいは官房長官の出席をお求めのようでございますけれども、日程の都合上、その点はいまお答えできませんけれども、総理は二十三日に出席の予定でございますので、その旨を伝えておきます。
  105. 横山利秋

    ○横山委員 次は、十六条については、私が「専門的な」ということについて異議を呈し、話を承れば、与野党の間に円満な理解がととのったようであります。しかしながら私は、この「専門的な」ということばは単に作文で、重工業局長も、これは書いてあっても書いてなくても同じ意味ですからこれでかんべんしてくださいという答弁が、議事録から削除されなければ、十五人の人があなたの意図の中にある十五人になってしまいますから、「専門的な」ということばが削除されるならば、私も言っておりますように、非嵐普遍的な各界の人が入る、こう考えてよろしいでしょうね。
  106. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 先般の委員会で私がお答えいたしましたとおりでございまするので、私どもとしてはこの「専門的な」ということばは、私の答弁から申しますと、少しきついというか、制限的であるという御印象のようでございます。私としては、やはり学識経験者といったような感じでこれを読んでおりましたので、その点は御指摘のとおりだと思っております。
  107. 横山利秋

    ○横山委員 三十四条。協会は、三十二条の予算等の認可、承認を受けたときは、それらを政府以外の出資者に送付しなければならないとなっていますが、なぜ、予算や事業計画だけ出して、貸借対照表や財産目録や、あるいは決算報告を義務づけていないのでありますか。
  108. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 出資者に送付される書類は、いまお示しのように三十四条で規定をされております。政府のほうには、さらに第三十三条の一項、二項でもって政府に送られてくる書類を書いておりまして、承認を受けなければならないことになっております。ここで書いております趣旨は、出資者につきましては、当該年度の事業の概要を知るに必要な資料であればよろしいのであって、そのために必要な財務諸表であれば十分協会の内容を知ることができるのではないか。また政府におきましても、こういった事業が補助金等によって遂行されております関係上、国庫金の管理といった面から特にチェックする必要があるということで、いわゆる協会監督上の便宜ということから三十三条の二項がつけ加わっておる、こういうことであろうと考えております。
  109. 横山利秋

    ○横山委員 私の言っておるのは、三十四条の政府以外の出資者に対して、つまり政府以外の出資者に金を借りておきながら、これからの予算についてだけは報告をするけれども、決算については報告する必要がないと書いてある意味はどういう意味か、こういう意味です。
  110. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 三十四条では「予算、事業計画及び資金計画に関する書類又は財務諸表」と書いてございます。決算ということばは使っておりませんが、財務諸表と申しますのは、貸借対照表、損益計算書、財産目録、こういったものでございまするので、いまお話しのような財務諸表が送られるということであれば、出資者は協会の事業内容について十分なる知識を得ることができる、かように考えております。
  111. 横山利秋

    ○横山委員 わかりました。財務諸表ということばがそういうふうに理解をされればけっこうであります。  次は、この間お預けいたしました件でありますが、二十八条。情報処理サービス業者等の債務の保証等で金融機関から借りる金利、そしてその返済期限、保証料、それをこの法律が通過するまでに大蔵省と詰めてもらいたい、こう言っておきましたが、その報告を求めます。
  112. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 先般御指摘がございましたので、大蔵当局とこの点についての話し合いをいたしました。そこで、まず最初の金融措置の問題でございますが、これにつきましては、政府資金運用部が長期信用三行の金融債を引き受けるということで行なわれまするので、他の同種の金融措置に準じてこれをやろうということで了解を取りつけております。現在この同種のもので、たとえば特定機械の共同事業でありますとかその他等等、現行同じような金融措置がございますが、これは金利年利七・八%、貸し付け比率八〇%、貸し付け期間原則三年ということになっております。今度の場合もこれに準じて行ないたいということを考えております。  保証料の件につきましては、基本的には協会がきめることでございまするので、この段階で断定的に申し上げることはいかがか、こう考えますが、考え方としましては、もちろん利用者の負担にならないようにできるだけ低率できめたい、こう考えております。この面につきましても、たとえば中小企業信用保証協会の保証料でありますとか、あるいは石炭鉱業、石油開発、金属鉱物、こういったような例がございます。たとえば石炭、石油等の例は日歩二厘、中小企業信用保証協会の場合は日歩四厘ないし五厘というのが通例になっております。大体この辺のところを参考にいたしまして、もちろん保証協会は四、五厘のところよりも低いところできめるのがいいのではないかと私は考えております。しかし、いずれにしても、これは協会ができました暁におきまして決定されることでございますので、この際断定的に何厘あるいは何%ということはちょっと申し上げかねる次第でございます。
  113. 横山利秋

    ○横山委員 次に三十条の、「政府以外の者から出えんされた金額」とあります。出資者と出損者のそれぞれの権利、それぞれの義務は一体どういうことになりますか、お伺いします。
  114. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 事業協会が、第二十八条の四号、五号に規定する資金の借り入れにかかる債務の保証をいたしますが、これの保証をするということについて、いわゆる信用基金というものを設けまして、保証の限度あるいは保証にかかわる責任と申しますか、内容を明らかにするわけでございます。この場合には、いわゆる出資金と出損金とがこの信用基金になるわけでございまして、出資者は、もちろん資本金を出すのでございまするから、その出資者の義務につきましては、払い込みをいたした後は、協会に対して何ら義務を持っておりません。出資者の権利ということになりますと、三十四条に基づきまして、協会から先ほどお話しのような財務諸表等の書類の送付がございまして、協会の内容を知悉するという権利も持っておりまするし、また四十条の二項に、別に法律で定めるところによりまして協会が解散をいたしました場合、協会の残余財産は、各出資者に対しまして、出資額の限度においてその出資額に応じて分配をする、こういうことになっております。こういった権利を出資者は持っております。出損者と申しますのは、これはいわば寄付を行なうわけでございますので、出資者と同様の権利を持っていない、こういうふうに解釈いたしております。
  115. 横山利秋

    ○横山委員 要するに、出損者は寄付、寄付だからあとで一切文句を言うな、出資者はまああとで金は返してもらう、報告はしてもらえる、その二点だけですね。この協会の内容に対して法律上タッチをするということはありませんね。
  116. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 御指摘のとおりでございます。
  117. 横山利秋

    ○横山委員 大蔵省から来てもらっておるのですが、附則の七条、八条、九条、十条の所得税法、法人税法、印紙税法並びに地方税法、つまりこの税法の改正は、収益事業でなければ税金はかけない、こういう趣旨と解釈をいたします。しからば本協会の収益事業は一体何であるか、どう考えているのか伺います。
  118. 安井誠

    ○安井説明員 この法律を拝見いたしますと、第二十八条に業務が規定されているようでございます。この業務の中で、たとえば第三号の「前二号に掲げる業務に係るプログラムについて、対価を得て、普及すること。」というのが一つございます。それから第四号と第五号関係に「債務を保証」ということをいっているわけでございまして、この場合にも保証料の収入ということはあり得るかと存じます。それから第三番目には、第六号におきまして、「情報処理に関する調査を行ない、及びその成果を普及すること。」さらに第七号も多少関連するかと思いますが、「前各号の業務に附帯する業務」の中で、たとえば普及に際しまして出版業を営むという場合もあり得ようか、かように考えるわけでございます。  そのうち、第一番目のプログラム関係につきまして、「対価を得て、普及する」という場合に、もちろん所得がなければ問題はないわけでありますけれども、法人税法の上から申し上げますと、「販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて営まれるもの」というのが収益事業の概念に入るわけでございます。政令によりますれば、これは横山先生非常によく御存じのところで恐縮でありますけれども、第一号から三十一種類の業務が、たとえば物品販売業、それから不動産販売業云々と業種が指定してございまして、これに該当すれば課税が行なわれることになるわけでございますが、このプログラムにつきましての対価を得て普及することが、物品販売業あるいは物品貸し付け業というものに該当するのではないかと考えております。この政令の中にも、物品販売業あるいは貸し付け業という概念は、動植物その他通常物品といわないものの販売業あるいは貸し付け業を含むという規定になっておりますので、これに該当するかと思います。それが第一であります。  それから、第二番目に申し上げました保証料の問題でありますが、これは、政令によりますところの収益事業の概念に入らないと、私ども考えているわけでございます。多少議論がございまして、請負業という概念に入るのではないかという議論もございますけれども、現在まで、たとえば信用保証協会の保証料の収入というものを、収益事業としては課税をいたしておりません。  第三番目の、六号ないし七号に関連いたしまして考えられますものとして、出版業というものがあり得るということを申し上げたわけでありますが、この出版業につきましては、政令で収益事業の概念に取り入れてございますので、もし出版業について所得が発生いたしますれば課税が行なわれるようになるかと存じます。
  119. 横山利秋

    ○横山委員 大蔵省にかってなことを言わせておいて、通産省は一体この法律案を策定をいたします際に、この附則を大蔵省と取りきめるときに、いまのような、たとえば二十八条の三号、プログラムを対価を得て普及するというこの協会の一番大きな柱といいますか、しかもいろいろの議論を通じて、中小企業のためにある意味では政策的な立場において行なわれるこのプログラムの普及というものが収益事業だというふうに大蔵省に認定さしておるということは、あなた方努力が少し足らぬじゃないですか。納得しておるのですか。
  120. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 努力が足らないというおしかりをいただいたわけでありますが、もちろんこの法案をつくりますとき、大蔵当局とも十分協議をしたわけでございます。実際問題としまして、私ども考えてみますると、収益事業と申しますか、協会の行なうものの中で収益を生むと思われますのは、プログラムの貸し付けが中心であろうかと思いますが、少なくとも当面は、委託開発費でございますとか、あるいは買い上げ等の金が貸し付けに伴う収入よりもはるかに多額であろう、こういうふうに考えておりますので、収益が生じてはこないと考えておるわけでございます。  なお、いま大蔵当局からも御説明がありましたように、債務保証業務に伴う保証料は収益事業とはならない、こういうふうに解釈されておるわけでございまして、解釈上収益事業であるかどうかは別にいたしまして、実際問題として、私どもはこれが収益を得て税の対象になるということにはならないものと考えております。また事実、そういう収益を生むための事業協会ではございませんので、そういった運営をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  121. 横山利秋

    ○横山委員 もうからなければいいという問題じゃありませんよ。もうからなければ税金はかからないだろう、三号でもうかっても二号でぜにを出せば、プラスマイナスいつもマイナスのつもりだから、そんなことを気にする必要はないというような言い方のように聞こえるのですけれども、それでは一体何のためにわれわれは、公共的性格といいますか、中小企業対策という立場も含めてこの協会というものについて朝からずっと議論をしてきたのか。非常に先進的な役割りを負って、政府としては全力をあげてこのプログラムの普及をはかるというときに、それは商売だ、それは理論的にもうける仕事だ、だから税金がかかるのはあたりまえだ、そんな理屈では、ぼくは朝から議論してきているのは一体何だったのかという気がしますよ。  これは同僚諸君も少し考えてもらいたいのだが、もしいまの大蔵省の三十項目でしたか、あの中に該当するものがあったら、この附則をまた修正をして、二十八条の第三号は収益事業とみなさないという一項を起こしてもらうべきだと思うのです。与党の諸君もたいへんにこにこ笑って、それはいいことだという顔をしているのですが、どうですか。
  122. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 ただいま御指摘の点は、私もいま御指摘を受けてそういう気もいたしますが、ただこの協会は、前からも御質問に対してるる御説明をいたしておりますように、民間が発起をいたしまして、また当初の資金につきましても、民間が出資の募集をして資本金をつくるわけでございます。そういったものを法律でもって認可をしていこう。もちろんそれには、いま御指摘のような公共的な性格が非常に強いからでございます。こういったことから、全額政府出資、また政府理事長その他を任命をするというような、いわゆる事業団、公団等とはやや性格が異なろうかと思うわけでございます。そういった点も考えあわせまして、こういったような結果になるわけでございまして、性格論から申しますと、いま先生の御指摘の点も、私も十分御意見のあるところかと思いますが、私どもといたしましては、これがいわゆる一般の民法上の公益法人でもない、それよりはもっと公益性が強い、こう考えております反面、いわゆる政府直属の公団公社といったものとはやはり性格が違っておる、こういった点もございますので、そういった点も十分御了解をいただきたいと思う次第でございます。
  123. 横山利秋

    ○横山委員 大蔵省に少しだめを押しておきますが、たとえばこの種の協会、それから人格なき社団と一般にいわれる、本質的に収益事業でないけれども収益事業をしておるものがたくさんあるわけですが、その場合に、その収益をあげた事業だけに限定して、それに税金をかけるようなことはしないで、すべてその事業の全部のプラスとマイナスをはかって、そして結果としてプラスが出たから税金をかける、こういうふうに解釈してよろしいのですね。
  124. 安井誠

    ○安井説明員 収益事業の問題につきましては、収益事業から生じました所得につきまして、収益事業以外の経理と区分をいたしてもらうようにしているわけでございます。したがいまして、収益事業から生じました所得、たとえば出版業というものを考えてみました場合に、人格なき社団法人と、この別表の中にもう一ついわゆる公益法人と、二つの系列があろうかと思いますが、この人格なき社団法人等の場合には税率が普通法人並み、それから公益法人のときには二三%という、普通法人と違いまして協同組合並みの課税が行なわれるわけでございますが、公益法人として収益事業を営む限りは——これは利益をあげることを目していないというのは、いま先生御指摘のとおりだと思いますけれども、結果的に利益が生じたときには、一般の民間の事業が同じような業種を営みまして所得が発生した場合と同じに考えないと、やはり、所得があれば課税をするのだという原則にもとるのではないかと思うわけでございます。したがいまして、いま先生御指摘の、収益事業と非収益事業とございまして、収益事業から非収益事業に移りましたときに、その間の経理につきましては、いわゆる寄付金の問題といたしまして、たとえば三割まではよろしいというようなことによって処理をいたしておるわけでございます。
  125. 横山利秋

    ○横山委員 通産省、よく聞いておいてくださいよ、もう一ぺん聞きますからね。  そうすると、安井課長にお伺いするのですけれども、たとえば三号に例を引きましょう。三号の「対価を得て、普及をする」、たとえばこのプログラムを、百万円かかったそれを、まあ百二十万で普及するとしましょう。そうすると、二十万円収益があったということだね。ところがこの協会は、ほかに人件費もかかっておる、ほかにいろんなものを別に委託をしておる、そういうような経費があるわけですね。それは、三号の二十万円を全部のどんぶりの中で議論をするのか。それとも三号のプログラムで、対価を得て普及したそのプログラムのコストだけで議論をするのか、どちらであるかと言っておるのです。
  126. 安井誠

    ○安井説明員 三号のプログラムに関しますところの普及につきまして収益が出てまいりました場合、いま先生御指摘のように、かりに百二十万円で対価を得て普及をした、その原価が百万円であるという場合に、その三号に関します、たとえばその前の一号、二号に関連いたしましてかかりました人件費、たとえば開発費その他、これは当然経費として落ちるわけでございます。
  127. 横山利秋

    ○横山委員 それだからよけいいかぬのです。通産省、わかるでしょう。だから協会は、それ以外に、それをやるために、理事長の給料からあるいは机、什器、いろいろなものがあるわけだ。協会としては全部のどんぶり勘定なんです。そうでしょう。それをいま安井課長の言うのは、三号のプログラムだけは独算制にしろ、独立会計にしろ、こう言うわけです。だから私は、これはよけいいかぬと言うのです。そんなところは通産省と大蔵省の中で詰めが行なわれていないでしょう。
  128. 安井誠

    ○安井説明員 ただいま御指摘の問題でございますが、この一号ないし二号に関します開発につきまして、たとえば理事等が指揮をする場合もございましょう。いろいろなケースがあるわけでございまして、これに関連する経費はもちろん差っ引けるわけでございまして、それでなおかつ収益といいますか、所得が出た場合にのみ課税対象になるということでございます。
  129. 横山利秋

    ○横山委員 まだ納得いたしませんよ。四号だって五号だって損になるのです。四号、五号が赤字になる場合がある。ぼくが言うのは、一号から八号まで全部をどんぶりの中で経理をしろ、こう言っている。あなたの言うのは、少し幅が広くなったけれども、三号のコスト、直接コスト及び間接コスト、それをバランスをとって、利益があったら課税すると、こう言うわけです。違うのですよ、ぼくの意見と。あなた、自分の言うことを最後まで固執しようとしたって何にもならぬです。この点については、明らかに通産省と大蔵省の問に意見の食い違いがある。これはひとつ、ここでは双方とも自説を固執するのがお役人の常であるから、一回休憩をして、これは二十三日にその協議の結果を御報告願いたい。  最後に、中小企業庁に伺います。もうすでに、私どもの希望になっております修正の気持ち、それから附帯決議の内容については、あるいはごらんを願っておると思うのでありますが、中小企業庁はこの法案に対して、どういうふうに具体的に善処をされるかという意味であります。この質疑応答を通じて、この法案が特に中小企業のために特別なことをするとはどこにも書いてないので、私どもはたいへん不満を呈したわけでありますが、まあ私どもの希望がいれられれば、中小企業についてのあなたのほうの仕事が、ここで新しく発生をしてくるわけであります。具体的に申しますと、中小企業振興事業団の助成、中小企業金融公庫の近代化促進貸し付け制度、中小企業信用保険制度、中小企業近代化資金助成制度。それから、電子計算機の特別減価償却制度は本日の本会議を通過いたしましたから、不満足ながらこれは別としまして、そのほか、中小企業における電子計算機の導入、プログラム開発促進等は、中小企業庁の努力にまたなければならないところが非常に多くなると思うのでありますが、その辺を具体的にお考えを伺いたいのです。
  130. 吉光久

    ○吉光政府委員 御指摘いただきましたように、これからの情報化時代に対処いたしまして、中小企業と大企業との問に情報格差というものが出てくることが私ども一番心配でございます。したがいまして、そのための情報格差を生じないための努力を十分にしなければならないと思っておるわけでございまして、従来も、そういう点に着目いたしまして施策を進めてまいっておるわけでございますけれども、特に中小企業の場合におきましては、御承知のとおり、人材あるいは資金、そういう面で相当の不足がございます。そういう点からまいりますと、やはり中小企業が個別的にそれぞれのコンピューターを持ってまいるということは非常に困難な問題でございますし、またあまり合理的でもないであろうというふうに考えておるわけでございまして、そういう意味から、コンピューター利用の形といたしましては、できるだけ共同的な利用のしかたをしてまいるというふうな、そういう方向で進めるのが正しいのではないかというふうに考えておるわけでございまして、中小企業の振興事業団におきましても、そういう角度で共同計算センターの計画に対する助成をいたしておるわけでございます。この制度が四十二年に始まりましてから昨年度、四十四年度までの実績はわずか八センターでございますが、振興事業団で融資いたしました融資額は約一億六千万円でございます。だんだんと中小企業関係でも、そういう共同してコンピューターを持とうという意欲は高まりつつございます。したがいまして、これは適当な計画であれば、私ども抑制するつもはないわけでございますので、ますます振興事業団の措置によりまして、そういう共同してコンピューターを持つということを促進してまいりたいと考えております。  それからなお、いまお話がございました金融公庫あるいは保証協会におきますところの保証制度の活用というふうなことで、さらに整備拡充をはかってまいったらどうだという御指摘でございます。お話しのとおりでございますけれども、ただ、中小企業金融公庫の近代化促進貸し付け、あるいはまた信用保証協会におきます近代化保証制度というものは、実はすでに御承知のとおり、たとえば近促法におきますところの指定業種あるいは特定業種でございますとか、あるいはまた機振法、電振法と、それぞれ業種別に、縦割り別に促進の制度を設けておるわけでございますので、したがいまして、ユーザーサイドに立つ制度としてどの程度活用できるか。現行の制度からいきますと、いささか困難な点が多いのではないかと思います。ただ、こういう金融公庫なりあるいは保証制度を大いに拡充いたしまして、そういう中小企業者の情報化に対処してまいるという方向につきましては、私どもも賛成でございまして、積極的にそういう方向に推し進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  131. 横山利秋

    ○横山委員 時間の関係で、これで私の質問を終わりまして、先ほど申しました政府の総合的利用計画の問題、それからいま申しました税金の問題、この二つをひとつ保留さしていただきます。  中小企業庁長官には、現状の御説明はよくわかりましたが、この機会に政府関係機関に十分ひとつ御努力を願って、私どもの希望に合うような法律の改正が必要なら進んで改正を、政令の改正が必要ならば進んで政令の改正を、それぞれの保証協会のワク内でできるものであるならば、それぞれひとつ大いに努力を願いたい、こういうふうにお願いして質問を終わりたいと思います。
  132. 八田貞義

    八田委員長 次回は、来たる二十三日午前十時理事会、午前十時半委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時三十三分散会