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1970-04-15 第63回国会 衆議院 商工委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月十五日(水曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 浦野 幸男君 理事 橋口  隆君    理事 前田 正男君 理事 武藤 嘉文君    理事 中村 重光君 理事 岡本 富夫君       石井  一君    稲村 利幸君       宇野 宗佑君    遠藤 三郎君       小川 平二君    小沢 一郎君       大久保武雄君    大橋 武夫君       北澤 直吉君    小峯 柳多君       坂本三十次君    始関 伊平君       進藤 一馬君    野中 英二君       藤尾 正行君    松永  光君       山田 久就君    石川 次夫君       中井徳次郎君    中谷 鉄也君       堀  昌雄君    松浦 利尚君       松平 忠久君    横山 利秋君       近江巳記夫君    多田 時子君       松尾 信人君  出席国務大臣         通商産業大臣  宮澤 喜一君         郵 政 大 臣 井出一太郎君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      荒木萬壽夫君  出席政府委員         内閣法制局第四         部長      角田礼次郎君         行政管理庁行政         管理局長    河合 三良君         文部省大学学術         局長      村山 松雄君         通商産業政務次         官      小宮山重四郎君         通商産業省重工         業局長     赤澤 璋一君         郵政大臣官房電         気通信監理官  柏木 輝彦君  委員外出席者         通商産業省重工         業局電子政策課         長       平松 守彦君         商工委員会調査         室長      椎野 幸雄君     ————————————— 委員の異動 四月十三日  辞任         補欠選任   石井  一君     中川 俊思君   田中 六助君     石田 博英君 同日  辞任         補欠選任   石田 博英君     田中 六助君   中川 俊思君     石井  一君 同月十四日  辞任         補欠選任   中谷 鉄也君     柳田 秀一君 同日  辞任         補欠選任   柳田 秀一君     中谷 鉄也君 同月十五日  辞任         補欠選任   坂本三十次君     松永  光君   田中 六助君     野中 英二君   増岡 博之君     小沢 一郎君   岡田 利春君     松浦 利尚君   中谷 鉄也君     堀  昌雄君   新井 彬之君     近江巳記夫君 同日  辞任         補欠選任   小沢 一郎君     増岡 博之君   野中 英二君     田中 六助君   松永  光君     坂本三十次君   堀  昌雄君     中谷 鉄也君   松浦 利尚君     岡田 利春君     ————————————— 四月十四日  米国の繊維品輸入規制反対に関する請願(伊藤  卯四郎君紹介)(第三二三四号)  同(池田禎治紹介)(第三二三五号)  同(岡沢完治紹介)(第三二三六号)  同(春日一幸紹介)(第三二三七号)  同(川端文夫紹介)(第三二三八号)  同(竹本孫一紹介)(第三二三九号)  同(西田八郎紹介)(第三二四〇号)  同(吉田之久君紹介)(第三二四一号)  同(和田春生紹介)(第三二四二号)  同(小宮武喜紹介)(第三四三六号)  同(曽祢益紹介)(第三四三七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  情報処理振興事業協会等に関する法律案内閣  提出第七四号)      ————◇—————
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  情報処理振興事業協会等に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出があります。順次これを許します。堀昌雄君。
  3. 堀昌雄

    堀委員 本日は、この情報処理振興事業協会等に関する法律案についてお伺いをいたします。最初からの質疑のすべてを見ておりませんので、多少重複するところがあるかもわかりませんが、まず最初に、行政管理庁長官にお伺いをいたします。  現在、政府関係機関電子計算機関係の問題を主として総括的に取り扱っておられるのが行政管理庁だと承知をいたしておりますが、現在の電子計算機関係について行政管理庁として取り組んでおられる実態について、簡単にお答えをいただきたいと思います。
  4. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 昨年、電子計算機政府部内における利用高度化をはかるという題目で閣議決定をいたしまして、調整機能を発揮する意味においてこの問題に取り組んでおりますが、それに関連して七省庁関係者会議を開いたりして、検討を加えておる段階でございます。  なお詳しくは政府委員から申し上げます。
  5. 河合三良

    河合政府委員 お答え申し上げます。  ただいま長管より御答弁申し上げましたように、昭和四十三年八月三十日に閣議決定がございまして、政府における電子計算機利用の今後の方策についてと申す閣議決定をいたしております。この閣議決定によりまして、電子計算機政府部内における新規適用業務の拡大、利用高度化、あるいは利用上の隘路になっております諸問題の解決、あるいは電子計算機要員の養成の推進というようなことにつきまして、行政管理庁が各省庁お世話役をいたしまして、調整をいたしまして、各省庁の技術的な援助をいただきながらその調整をはかるという形で進めております。  なお、これと同じ趣旨によりまして昭和四十四年七月十一日、行政改革第二次計画の一環といたしまして、電子計算機利用高度化を取り上げておりまして、同じような趣旨におきまして、さらに若干具体的に、たとえば諸資料コード標準化でございますとか、そういう具体的な項目も掲げましてこの推進をはかっております。ただいま長官より御答弁申し上げましたように、関係省庁集まりまして、その七省庁集まり中心といたしましてこの推進をはかっている次第でございます。
  6. 堀昌雄

    堀委員 さらに、いまお話を聞いておりますと、四十三年八月三十日の閣議決定で行なわれたということでありますが、具体的に行政管理庁としてこれに取りかかったのはいつからでしょうか。政府委員でけっこうです。
  7. 河合三良

    河合政府委員 お答え申し上げます。  具体的にというお話でございますが、この電子計算機導入推進につきましては、これは数年前から事実上かかっております。特に、電子計算機を各省庁導入いたします際に、大蔵省予算査定をするわけでございますが、その際、事実上私ども技術的にいろいろな意見も申し述べまして、これのできるだけ合理的な導入、また効率的な導入をはかるように努力をいたしております。また数年前から、各省庁電子計算機利用実態につきましても、調査をいたしております。
  8. 堀昌雄

    堀委員 私がいま聞きましたのは、四十三年八月三十日の閣議決定に基づいて電子計算機利用高度化をはかる寸調整機能を発揮するために七省庁関係者会議を開くということになった、それは一体いつからその会議を始めたのかということですね、その閣議決定を受けて。
  9. 河合三良

    河合政府委員 お答え申し上げます。  四十三年の十一月に第一回の会議を開いております。
  10. 堀昌雄

    堀委員 その後今日まで、この会議を開いたことによる成果があったでしょうか。あったとすればその成果、なかったとすればなくてもけっこうですけれども
  11. 河合三良

    河合政府委員 お答え申し上げます。  具体的に申し上げますと、たとえば昭和四十五年度の予算査定に際しまして、大蔵省から、各省庁電子計算機導入に関するシステム化調査研究費、これが各省庁から出ておりましたが、その中で二省庁以上にまたがるシステム化につきましては、これは一括して行政管理庁にこの予算をつける。そういうことに関します事実上のいろいろな打合わせはこの七省庁会議でいたしておりまして、これによりまして、数省庁で同じような調査研究を行なうという重複を避けまして、行管のほうでいろいろ御相談を申し上げて、一つ省庁にやっていただくということも考えております。  また、ちょっと申しましたコード標準化の問題につきましては、これは現実の作業は、通産省工業技術院におきまする電子計算機利用技術研究会、これは各省庁集まりでございますが、そこに事実上いろいろやっていただいておりますが、七省庁会議におきましても、そこといろいろ緊密に連絡をとりまして、その結果をあげていただくという立場をとっておりますし、また、これは主として統計関係から発生いたした問題でございますが、また同時にJIS規格の問題も関係いたします。都道府県市町村分類番号統一の問題もございまして、実は現在まで、各省庁それぞれの都道府県市町村分類番号を別途に持っておりまして、これが十何通りかあるわけでございますが、これはできるだけ行政上の資料に際して統一した番号にしたほうが便利であるということで、そういうことにつきましても研究いたしまして、これは統計審議会において統一コードをおつくりいただいたわけでございますが、七省庁会議にも御相談をいただいておるわけであります。
  12. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、いま承っておる範囲では、各省庁導入しておる電子計算機について、そのプログラム開発については各省庁にまかせられていて、あなたのほうが何らかの統括的な処理をしておるという事実はない、こう理解してよろしいでしょうか。
  13. 河合三良

    河合政府委員 お答え申し上げます。  従来の各省庁プログラムにつきましては、これは各省庁がそれぞれ研究開発されておられまして、先ほど申しました共通的な業務システム化に関するものは、これは私どもがするわけではございませんが、お世話をいたしまして、重複いたしませんように、またほかの省庁で使いやすいように調整をはかって、今後の開発をはかっていくという立場であります。
  14. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、お世話をされるのはあなたのところですが、そういうシステム化についての具体的な作業をするのは、今度のこの予算のつきました場合については、どことどことの省庁に関するシステム化について、それを一体どこの省庁が所管をして具体的にやる、こうなっておるのですか。四十五年度予算についてちょっとお答えいただきたいと思います。
  15. 河合三良

    河合政府委員 お答え申し上げます。  現在、各省庁昭和四十五年度予算要求に出されましたものを、その金額そのまま私どものほうに一括ついておるわけではございませんで、私どもにつきました金額は六千万円でございますが、その六千万円の範囲内で、計画を出されました各省庁計画調整してこれを実施するということになっておりますので、まだいまの段階では、どの省庁にどの仕事をやっていただくかということはきまっておりません。しかしながら、大体におきまして、たとえば会計事務システム化の問題でございますれば、結局これは大蔵省にお願いするということになるかとは思いますが、現在これを調査査定中でございます。
  16. 堀昌雄

    堀委員 いまの政府委員答弁を聞きましても、四十三年八月三十日に閣議決定が行なわれて、四十三年十一月に最初の会合が行なわれた。政府部内におけるこの問題の処理についても、まだとりわけて取り上げるだけの具体的な成果をまだ結んでいない。いま聞きますと、四十五年度予算査定システム化の問題が出たけれども、これはこれからの問題だ、こういうようになっておるところを見ますと、長官にお伺いいたしますが、いまの電子計算機関係の諸問題については、政府部内においても、まだはっきりと具体的な日程といいますか、その日程の上にきちんとのるところまでまだいっていない。いまいろいろなそういう作業をやってこれからのせていこうという程度の段階だと、こういうふうに理解をしたいと思いますが、長官、それでよろしいでしょうか。
  17. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 お答え申します。  大体そのとおりでございます。
  18. 堀昌雄

    堀委員 そこで、今後行政管理庁としては、いまの部内における調整事務といいますか、その処置についての見通しですね。この部内における電子計算機利用というものは相当に重要な問題に今後なると思いますけれども、それについて行政管理庁として何らかの見通しといいますか、考え方を持って今後これを進めていくというような基本的な考え方があるのかないのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  19. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 特別の考えは持っておりません。
  20. 堀昌雄

    堀委員 行政管理庁、けっこうでございます。御苦労さまでした。  次に、郵政省電気通信監理官、入っておりますね。  今回、郵政省電気通信法の一部改正をこの国会提案をするだろうといわれておりましたけれども、いろいろな事情があったんでありましょうが、提案取りやめになりました。そこで、一体なぜ電気通信法の一部改正提案取りやめになったのか、郵政省としてのこれに対する答弁をいただきたいと思うのです。
  21. 柏木輝彦

    柏木政府委員 お答えいたします。  オンライン情報処理システムは、いろいろな形でこれから発展しようとしておりますが、特にそのうちで公社専用線を使いまして、ユーザーのほうでコンピューター端末をそこに結合いたしまして、通信回線コンピューターを直結する、こういう形態で利用する事業がこれからいろいろ出てくるかと思います。これはいまの公衆電気通信法専用線利用制度の問題になってきておるわけでございますが、現在は、一つの企業が自分でこういう専用線公社と契約するということはできるのでございますが、二社以上の間でこれを共同して契約するということにつきましては、かなりきつい制限がございます。非常に緊密業務であり、同一業務を行なうというような条件に限って、その場合だけ公社が承認をするという公衆法になっておりますが、この辺をもう少し今後の利用実態に合うようにしなければいかぬじゃないかという問題が一つございます。  それからもう一つは、情報処理業者あるいは情報検索業者、そういうものも、これからはだんだんオンラインユーザーとの専用線を使用するということも出てくるんじゃないか。その対策も考えなければならぬ。これも応従来の共同専用という形でやりますと、そういう形は、いまの法律からは制限がきつ過ぎてなかなか実情に合わない点がございますので、こういう二つの面につきまして新しい制度を開きたいということで、昨年の十月に郵政審議会のほうで、郵政省当局といたしましての具体案をそろえまして、これにつきましての御意見を諮問したわけでございます。その結果、大体郵政省の原案に賛成であるという答申をいただきまして、この線に沿いました法律改正をしていくということで鋭意政府部内意見調整をはかってきたわけでございますが、不幸にしまして、三月二十日の政府提案を提出する期限までにとうとう間に合わなかったわけでございます。そのために、残念ながら今国会には法案として御審議願うことができなかったということでございます。
  22. 堀昌雄

    堀委員 法制局入っておりますね。  大臣、せっかく御出席をいただいておりますけれども、ちょっと周辺の問題を少し明らかにしてから大臣にお伺いをいたしますので、しばらくお待ちをいただきたいと思います。  この法律案は、情報処理振興事業協会等に関する法律案、こういうふうになっておりますが、大体法律に「等」と書いた場合の「等」というのは、どういう意味でしょうか。
  23. 角田礼次郎

    角田政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおりでございますが、前のほうに書いてありますことが非常に法律的に重要な内容をなしており、そして「等」と書いてあるのが、それと比べますと、若干法律的に申しますと低いと申しますか、そういう感じをあらわしたつもりでございます。
  24. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、確かにいまお話しのように、この名前情報処理振興事業協会等に関する法律案、こうなっておりますところを見ると、この法律主体情報処理振興事業協会を設立するというか、それが主たる目的である、こういうふうに判断してよろしいですね。
  25. 角田礼次郎

    角田政府委員 お答えいたします。  ただいま申し上げましたのは、実は法律的に一般的な御質問に対するお答えとして申し上げたわけでございますが、実際にこの法律名前をきめます場合における私ども考え方を、これから申し上げたいと思います。  この法律は、ごらんになっていただくとおわかりになると思いますが、二つ部分から成り立っております。第一の部分は、いわゆる電子計算機利用高度化計画、その他プログラム調査薄あるいは情報処理技術者試験等に関する部分と、もう一つ情報振興協会部分でございます。これらを政策的な立場という面から申しますと、前の部分あと部分というものが、どちらがより重要であるかということは、これは人によっていろいろ価値判断があると思います。ただ、先ほど申し上げましたように、法律的という点から申しますと、情報処理振興協会のほうが確かに法律的な事項でございます。そこで、この点は、私ども法制局立場としてと、それからまた、政府全体の立場としてのいろいろな問題が実はあるわけでございますが、考え方としては、二つ考え方があるわけであります。  私どもとしましては、法律的な事項というものを内容として法律に書き上げるということを中心にものを考えていく立場をどうしても重点に実は考えるわけでございます。しかしながら、現在の法律というものが、すべてそういういわゆる法律事項というものを中心として、それを内容として法律がつくられているわけでないことは、御承知のとおりでございます。たとえば基本法以下各種の法律の中には、法律事項ではないけれども政府の施策あるいは国家としてのある一定の態度とか、そういうものを示す、いわゆる法律事項でないけれども政策的にきわめて重要な事項というような事柄を、法律内容として取り入れて、そして形の上では国会の御審議を経て、それを国の政策として法律という形で明らかにしていく、宣明していく、こういう考え方二つあるわけであります。現在のところ、私どもとしては法律的な事項中心として考えていきたいというのが法制局立場でございますけれども、しかし国全体の方針といたしましては、それ以外に、いわゆる法律事項でないことについても、十分法律内容として取り上げていくという態度がとられております。そういう両者の二つ要請がいろいろな場合に実際に矛盾することもありますし、またいろいろ調整に苦心する点もございます。  そこで、この法律名前をきめます場合にもいろいろ考えたわけでございます。一つ考え方として、第一の、前段の部分一つ振興法というような形で切り離してしまう、第二の部分情報処理振興協会法という形でやるという考え方もあると思います。ただ、これはまた政府の全体の方針でございますけれども法律の件数というものをできるだけ少なくしたい、こういう要請もございます。そういういままで申し上げましたいろいろな諸事情を総合勘案しまして、たまたま先例もございますが、船員災害防止協会等に関する法律というのがございます。そういう前例もあることも思いあわせまして、いままで申し上げたいろいろな諸事項を考えまして、結局、内容としましては、二つ部分をかね合わせまして、そして題名としては協会等に関する法律、そういうふうな結論に到達したような次第でございます。
  26. 堀昌雄

    堀委員 あなたが最初一般論で述べられて——私は、一般論で述べたことが、もし特定案件についてそれと異なるということを言われる場合には、それが異なるというだけの積極的な理由がなければいかぬと思うのです。「等」ということに関しての一般論というのは、そんなに実はないと私は思うのです。法律をずっとひっくり返してみましたけれども、等のついているのは法律の中にはごくわずかしかありません。ですから、そういう意味では、いまのお話を聞いておると、確かに政策問題ですから、法制局の問題でない時点もありますけれども、しかし私はやはり、このいまの一般論における「等」という取り扱い、特にこれが法律題名になっているわけですから、情報処理振興事業協会のほうが当然この場合には主であって、あと「等」のほうが従であるということでないのなら、あなたのいま言われたように、情報処理振興事業協会及び情報処理振興に関する法律案と、こう書かれておるのなら、同じように並列して書かれておるのなら、話はまた別です。「等」と書かれた以上は、これは主たるもの従たるものという関係は、いかにあなたがここで説明をしようと、ここに書かれた表題から見たところでは、これは私もう当然だと思うのですが、法制局としても法律的には——政策的なことをあなたに聞く意思はありませんから、法律的には、これはやはり情報処理振興事業協会主体で、「等」が従であるということを、私は確認をしておきたいと思います。
  27. 角田礼次郎

    角田政府委員 法律的には御指摘のとおりでございます。最初の御質問に対して申し上げた一般原則に従って申し上げれば、まさにそのとおりでございます。
  28. 堀昌雄

    堀委員 それから、いま御答弁の中に、政策的にきわめて重要な事項法律という形で明らかにしていく場合というものがもう一つあるのだ、法律的な事項内容とする場合以外にあるのだ、それは基本法以下いろいろな問題があります、こういうふうにお答えになったわけですね。これも政策的にきわめて重要な事項確認をしてよろしいですね。
  29. 角田礼次郎

    角田政府委員 政策自体判断はむろん各省がいたしますが、私どもはこの場合には、通産省説明を聞いた上で、これは政策的に重要なものであるという判断、つまり法律を通じて国会の御判断を仰ぐべき事柄であるというふうな結論に達したわけでございます。
  30. 堀昌雄

    堀委員 法制局関係の問題を先に少しやっておきたいと思うのですが、この法律の第二章のところに「電子計算機利用高度化計画等」というものが書かれています。行政管理庁は、昭和四十三年八月三十日の閣議決定で、やはり電子計算機利用高度化をはかるということを目的とし、さらに行政管理庁としては、その第二次計画で、電子計算機利用高度化をはかるということをここで明らかにしておるわけです。電子計算機利用高度化をはかるということは、これはここで法律用語として書いているけれども、これは一般的な用語であって、何ら特定のものをあらわす特定用語だとは考えられないわけです。閣議ですでにそれを一般的に使い、行政管理庁が一般的に使っておる限りは、「電子計算機利用高度化計画」ということは、一般的表現手段であって特定の概念ではないと私は法律的に解釈をしますが、法制局はどうでしょうか。
  31. 角田礼次郎

    角田政府委員 お答えいたします。  確かに電子計算機利用する高度化計画といえば一般的な用語だと思います。そこで、それを少しでも法律的に明らかにするために、第三条に書いてございますように、次に掲げる電子計算機及びプログラムについての計画ということで、三条の一項の一号、二号あるいは三条の二項、そういうものを通じて逆に「電子計算機利用高度化計画」の内容を浮き彫りにした、こういうふうな法律上の仕組みをとったつもりでございます。
  32. 堀昌雄

    堀委員 私が言っているのは、書いてあることはそうなんですが、電子計算機利用高度化計画というものがもしこれだけに限られるということになったら、これは重大でしょう。閣議が先に出しておるのでしょう。行政管理庁もすでに利用高度化計画というものを出しておるのでしょう。それを出しておるものを、通産省がこの法律に書くことによって、これは通産省がここに書いた特定のものですよということになっていいのかどうかという問題が私はあると思うのですよ。だから、その点について、これは特定用語ではないのではないか。もしそういう特定用語を書くならば、表現を変えなかったら、これはきわめて誤解を招くことになるのではないか。政府の文章の中に「電子計算機利用高度化計画」という字が出たら、それは全部これだけの内容になるかどうかという点については、私は問題があると思うのです。どうですか、法制局
  33. 角田礼次郎

    角田政府委員 お答えいたします。  確かに、主語とあとからの説明とが、若干順番が違うのではないかという御趣旨の御質問のように思います。おっしゃるような意味で実は書いておるつもりでございますけれども、「電子計算機利用高度化計画」ということを先に出し過ぎたために、結局そういう御質問が出たのだと思います。  私どもの気持ちとしましては、実は第三条でいう「電子計算機利用高度化計画」というのは、広く一般に、御指摘のようなおよそ電子計算機に関する利用高度化計画というものをさすつもりではございませんで、一項のあとのほうの部分なり、あるいは二項の部分、そういうものを実はあとから書いたというところに、確かに御指摘のように、表現上若干誤解を招く点があったように思います。しかし、気持ちとしては、書き方としては、まず名前を先に書いてしまったという点が、確かに御指摘のような点があったと思います。
  34. 堀昌雄

    堀委員 誤解を招くおそれのある法律政府が出してくるというのは、問題があるんじゃないですか。少なくとも、電子計算機利用高度化計画は次に掲げるこれこれで、通産大臣が定めるものとするとあれば、今後政府が使う用語は、ここの法律で規定した以上は、これ以外のものを使って電子計算機利用高度化計画をもし出したら法律に違反するということに、結果としてなると私は思うのです。大臣、いかがでございましょうか。
  35. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 おっしゃっていらっしゃることは、私もわかって伺っておりましたが、結局ここで言いたいことは、通商産業大臣はこれこれのことを定めてこういうことをするのだ、この法律目的では電子計算機利用高度化計画と呼びます、こういうことを言いたいのだと思います。そういうふうにまた解釈していただきたいと思います。
  36. 堀昌雄

    堀委員 法制局もいま言っておりますし、大臣もおっしゃるように、私、気持ちはわかるのですよ。気持ちはわかるが、法律の文体は、法律が成立をすれば自動的に動いてくることですから、これは私、重要な問題点だと思うのです。まずこの問題については、正確な法律用語法律の体系になっていないというふうに私は認識をいたします。あとでまたゆっくりやりますけれども……。  それから、もう一つ法制局伺いたいのは、これは通産省法律に限って伺ってもけっこうですけれども、第六条に、「通商産業大臣は、情報処理に関する業務を行なう者の技術の向上に資するため、情報処理に関して必要な知識及び技能について情報処理技術者試験を行なう。」こうありますね。これはやはり通産大臣が試験を行なうのでありますから、一種の国家試験でありますね。いまの通商産業省の法律の中で規定されておる国家試験については、いろいろ、何らか特定業務範囲についての権限というか、範囲を認めるとか、あるいはそれについての能力を規定するとか、試験というものを行なう以上、何らかのものがそこで相対的にきめられる。ところがこれは、私は国家試験というような考え方としましておかしいと思うのですが、通商産業省の所管法律の中に、表現はよろしくないけれども、そういう何らかの対価ですね、試験をしたということによって何らかのものが——ただ試験をしてそれでおしまいということなら試験なんて要らないのですから、試験を通った、通らないということの判定の結果、何らかのものが生ずるという規定のない法律があるかどうか。ちょっと法制局からお答えをいただきたい。
  37. 角田礼次郎

    角田政府委員 たいへん申しわけありませんが、ほかに実例があるかどうか、後ほど調べましてからお答えいたしたいと思います。
  38. 堀昌雄

    堀委員 私の質問の時間にも限りがありますから、できるだけ早く調べていただきたいと思います。私の調べた範囲ではないと思いますが、まあお調べください。早急に確認をしておきたいと思います。  そこで、法制局伺いたいのですが、一般論として、国が試験をするというのは、一体何を目的としてそういう国家的に試験をするんですか。
  39. 角田礼次郎

    角田政府委員 第六条で情報処理技術者試験という制度を設けておりますが、この試験の直接の目的としては、結局、ある一定の知識なり技能をこの試験に合格した者が持っておるということをいわば国家がオーソライズするという、そういう目的を持っておると思います。
  40. 堀昌雄

    堀委員 いま、あなたはことばの上で、この試験によって合格した者はそういう能力を持っているということを国家がオーソライズすると言ったが、オーソライズするなら、オーソライズするために何かを与えなければいけないのではないかと思うのです。いま医師が国家試験を受けて免許証を受け取っていますね。なぜ免許証というものが与えられているんですか。
  41. 角田礼次郎

    角田政府委員 一般に国家が試験制度を行なうという場合は、確かにそれに一定の法律的効果を与える。御指摘のように、医者は免許証を与えられている医者でなければ医療を行なえないというのが普通の形でございます。しかし、この六条をめぐりまして、実はいま先生が御指摘になっているような問題点の意識というのは、私どもも審査の際に十分持っておりました。そういう、あとで一定の法律的な効果を持った試験だけを国としてやるというのは、いわば公権力といいますか、そういう公的な効果を付与した試験だけをやるというのが国家の仕事であるというふうにだけ考えなくてもいいのではないか。国家はもう少し、情報処理技術者というものが日本の社会において不足している現状において、これだけ情報処理技術に関して一定の技能なり資格を持っておる者がおりますよということ、一般の社会の需要に応じておりますよということを証明してやるだけでも、一つの国家のサービスといいますか、行政事務としてやっても悪くはないのではないか、こういう考え方でございます。そこで、私が先ほどオーソライズという非常にばく然としたことばを使いましたのは、一定の公的な効果というものを持たなくても、国家が社会的需要に対して、それにこたえるために、これだけの処理の知識なり技能を持っている人間がおりますよということをたまたま証明してやる、こういうサービスをやってもいいのではないか、こういう気持ちでございます。
  42. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、あなたが言われることは、この際は一定の公的な効果を持っていないのだと確認していいのですね。
  43. 角田礼次郎

    角田政府委員 そのとおりでございます。
  44. 堀昌雄

    堀委員 国が試験をしてまで、情報処理の技能者がこれだけいますよということを知らせるサービス機関の必要はないと私は思います。やはり現在、国が試験をする以上は、一定の公的な効果を持つことをもって現在の国の試験制度というものは成り立っておると考えるわけです。だから私は、そういう公的な効果を持たないような試験を国がしておることは、おそらく各省庁を通じて例がないと思いますが、特に、広いのを全部調べるのはたいへんだから、通産省だけについてだけ調べてもらいたいと言っておるわけです。ですから、この問題についても、私は非常に不確定な問題になっておるのではないかと思います。  それからもう一つ法制局に聞きますが、第五条に「通商産業大臣は、円滑な流通を図る必要があると認められるプログラム」と書いてありますね。ですから、円滑な流通をはかる必要があると認めるのは通産大臣が認めるわけです。しかし、そういうプログラムについて「その概要を記載したプログラム調査簿を作成し、これを利用しようとする者の閲覧に供しなければならない。」とありますが、一体、円滑な流通をはかる必要があると認められるプログラムというものはどこにどういう形であるかということを、全部通産大臣というのは知る権利があるのですか。これは民間の一種の著作権みたいなものですから、たとえばソフトウエアの開発をしようと、確かにそれは流通をはかる必要があるものもあるでしょうけれども、あるかないかを判断する——そういうソフトウェアが出てきたものは、全部通産大臣がその内容について承知しなければならぬという規定なしにこの問題が置かれたのでは、通産大臣が知っている範囲だけで、ごくわずかな範囲についてだけ、自分が恣意的に円滑な流通をはかる必要があると認めて、それをまた小さな部分調査簿をつくってそれを閲覧してみたところで、私は問題があると思います。  そこで、これは法律的な問題として聞くのですが、この法律の中には、その円滑な流通をはかる必要があるかないかは別として、そういうプログラム、「主として一の事業の分野における情報処理に用いられるものを除く。」とありますが、それを除いたとしても、一体、そういうものを通産大臣は全部知ることができるという何らかの保証が、この法律の中にありますか。
  45. 角田礼次郎

    角田政府委員 そういう意味においては法律的な保証はございません。
  46. 堀昌雄

    堀委員 要するにここに書かれておるのは、あと情報処理振興事業協会が関与をしてできたそういうプログラムは、おそらく情報処理振興事業協会を監督しておる通産省承知をするでしょう。これに関するもの以外のところにあるものについては、一体どうやってそういうプログラムがあるということを、法律的な権限も何もない者が知ることができるのか。これはひとつ通産省のほうで答えてください。
  47. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 第五条の「プログラム調査簿」、こういう規定を置きました趣旨は、現在プログラムと申しますものは、大部分がハードウエアと一体的と申しますか、込みになって売買されているといいますか、そういう形になっておりますものと、それからソフトウエアの専業者がつくっておりますソフトウエア、こういったものがあるわけでございます。そこで、各企業なり事業所なり、そういったものが、みずからの必要でプログラムをつくってもらったり、あるいはみずから委託をしてつくったり、こういったものが相当程度あるはずでございます。もちろんこういったものは、どういったプログラムがどの程度存在をしておるかということは、私ども存じておりません。それぞれの使用目的において、特殊なプログラムもあれば、ある程度当該企業の目的のためにつくったものではあるけれども、あるいは場合によっては汎用的なものもあるのではあるまいか。またそういうものがあると思っております。そういったことからいたしますと、このプログラムというものが、ある場面においては、自己の企業だけで使われなくて、つまり自分の企業の営業の秘密に属する等々に関係のないプログラムも相当あって、それに対する投資の回収という意味合いからも、ある程度これを流通させるという必要性を感じておるものが世間には相当あるであろう。またあるはずでございます。そういう声も聞いておりますので、そこで私どもとしては、こういう調査簿を置きまして、各企業なりプログラムを持っておる方々からの申し出によって、一定の書式に基づいた調査簿に記載をしてもらう。それをもし必要があれば、閲覧をしたいという方があれば、それに随時閲覧をさせて流通の円滑化をはかっていきたい、こういう趣旨でございます。したがって、まず初めに全部知っておって、必要があるかどうかを判断し、そうしてそれによって悉皆的に全部知っておるうちの一部を調査簿に載せる、こういうような趣旨ではいま考えておるわけではございません。
  48. 堀昌雄

    堀委員 法制局伺いますけれども、いま政府委員答弁があった範囲のことを法律で規定をしなければならない積極的な理由を伺いたいのです。
  49. 角田礼次郎

    角田政府委員 これは、先ほどの御質問に対してお答えいたしましたことにまた帰着するんじゃないかと思いますが、結局、法律的にはそういうことは書かなければならぬということはないと思います。ただ、現在の行政の需要に応じて、いま御説明申し上げましたような事実を前提といたしまして、そういうプログラム調査簿という制度がここで設けられているということを国家の方針として宣明をする、そこに法律的な意味があるとしか言えないと思います。
  50. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、実は私は、これは法律範囲ではなくて行政範囲だと思うのです。そういう調査簿を通産当局が設けることは、行政上あたりまえのことなんですよ。法律に書いて宣伝をしなければわからないような、いま、そういう情報の時代じゃないでしょう。通産省は、そういう調査簿があれば、情報処理に関してはこういう調査簿がありますといってそれを周知徹底する方法は、何も法律による必要はない。さっきあなたが言った、政策的にきわめて重要な事項にこんなことが該当しますか。法制局
  51. 角田礼次郎

    角田政府委員 私どもといたしましては、一応政策判断については通産省がいたしまして、その説明を聞いた上で、これはやはり現在の情報化社会の要請にこたえるために、プログラム調査簿という制度通産省において設けておるということを、国家の態度として宣明することが政策的に重要なことであるという判断に達したわけでございます。
  52. 堀昌雄

    堀委員 ちょっと法制局にお伺いをしたいのですけれども、要するに法制局としては、法律との関係で問題を考えてもらわないと困るのであって、通産省が重要だといったら、それは法律的に——あなたはさっき、政策的にきわめて重要な事項法律という形で明らかにしていく。私も、きわめて重要事項なら、実はこんなことを言わないのですよ。しかし私が判断して、こんなことはきわめて重要な事項だと考えられない。さっき私が前段で言ったのは、全部のプログラム通産省として承知をしておるというだけの権限があって、その全部のプログラム承知しておる中から、流通に必要なものはこれだけありますということを公権力をもって国民の前に明らかにするというなら、これはきわめて重要ですから、私、このことについて反対しないのです。そうじゃないのです。プログラムがどういうものがあるかについては、何ら通産大臣は知らないわけですよ。たまたまわかったものだけを調査簿に載せるくらいのことを、それがきわめて重要な政策事項法律に書かなければならぬとは私は考えられない。法制局、一体どうですか。私が前段で聞いたのは、必要のないことを聞いておるわけじゃないのですよ。やはり法律には法律の体系として、ある程度何らかの担保されるものがあるのでなければ、法律の体系にならぬ。どうですか、法制局
  53. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それはむしろ私のほうからお答えをさしていただきたいと思います。  この法律案の、つまり堀委員が厳密な意味での立法事項でないではないかと言われる部分——いろんな部分からなっておりますけれども、いま問題になっております条文は、私どもが、プログラムというものをこれから価値ある財産——その内容はまたいろいろ御議論があると思いますけれども、そういう財産として認め、それを流通させることが望ましいということの政策判断を含んでおるわけでございます。つまり、先ほど政府委員から申し上げましたように、あるところであるプログラムを金をかけてつくった、自分のところでそれを使った、しかもそれは別に営業の秘密に関係あるものではない。ですから、これをほかに使いたい人があれば、同じ手数をかけ、同じ金をかけなくても、これを流通市場に出すことが、国民経済の上からいっても、プログラムというものの普及から考えても望ましいという政策判断が私どもにございます。したがって、そういうプログラムについては、申し出があれば、通産省がこれを帳簿に載せて、そして公の閲覧に供する、それによってプログラムが財産として流通の過程に入るということは政策的に望ましい、こう考えましたので、この一章を設けました。それだけに関する限り、通産省が何も法律を用いなくてもできるではないかと言われれば、私はそのとおりだと思います。しかしながら、こういう規定を置くことによって、プログラムというものの財産価値を認め、そしてそれを流通させるということが政策判断として望ましい、こう考えましたので、ここにそういう一条を設けたわけでございます。その他の条文についても、私はおのおのそれなりの意味がある、厳密な意味での権利義務を設定いたしませんでも、意味があると思いましたので、全体としてこの章を設けたわけでございます。
  54. 堀昌雄

    堀委員 いま大臣おっしゃいますように、プログラムの財産的価値を認めるのなら、それはこういう法律の書き方ではないのじゃないかと思うのです。おそらく、プログラムにおける財産的価値というのは、今後の情報問題の中で非常に重要な問題になってくると思います。それ一つをもって法律の体系が必要なことになるのじゃないでしょうか。あるいは著作権に類するだけの各種の規定と、それについてのプライバシーの問題等に関する保護とかいろいろなものが、このプログラムの財産価値ということを規定するためには必要なのであるが、ここに規定されたのは、そうではなくて、「円滑な流通を図る」ということが、必要なプログラムをそこに載せて流通をはかるということが主体であるならば、その流通をはかるという問題だけについてならば、行政的な処理範囲で十分ではないか、こういう判断をいましておるわけであります。  その次に、もう一つ、第四条。ちょっと逆になってきましたけれども。「政府は、前条第一項第一号に掲げる電子計算機の設置及び同項第二号に掲げるプログラム開発の促進に必要な資金の確保又はその融通のあっせんに努めるものとする。」とあるのでありますが、これも訓示規定ですから、これがなくても電算機のいろいろな問題について政府が当然やらなければならない問題なのではないのか。これをここに書かなかったら一体そういうことはできないのかというと、ちょっと疑問があるわけですね。  そこで、ちょっとお伺いしたいのですが、四十三年八月三十日の電子計算機利用高度化をはかるという閣議決定をひとつどこかで読み上げてください。これはここで記録に残しておきたいので。
  55. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 行政管理庁関係者がおりませんので、私がかわりまして読み上げさせていただきます。以上でございます。
  56. 堀昌雄

    堀委員 政府が、政府の内部に対してすらも、これだけのことをやろうときめておるわけでありますから、このことは、政府だけがやったらいいのだということになっていないと私は思うのです。隘路を打開していくということは、当面、電子計算機の情報の関係の重要な課題でありますから、そのためには、その隘路の一つが「プログラム開発の促進に必要な資金の確保」であるし、あるいは「又その融通のあっせん」ということがこの問題の隘路の重要な部分だと理解しておりますから、隘路を打開しようということを閣議できめたということは、私は書いてはいかぬとは言いません。書いてあることはちっともかまいませんけれども、書かなくたって当然やるべきことではないかと思いますが、大臣、どうでしょうか。
  57. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これも先ほどと同じような議論になると思います。つまり、こういうことを書くことによって、政府がそのような政策を行なう用意があるということをあえて示したわけであります。書かなければこういうことができないかということになれば、むろん書きませんでも、これは国会の御決議を経てできる事柄であります。  余談になって恐縮でございますけれども、同じようなことは、先ほどの試験の問題についても、私は言えるであろうと思うのでございます。つまり、これは資格を付与するものではございませんけれども、こういう試験を行なうことによって技術の進歩をはかることができる。おそらく、想像でありますけれども、この試験に合格をした者は国に認定された技術者ということになるでございましょうから、社会において活躍するのに、それが合格者に有利に働くであろうと考えられます。もちろん、合格しない人がそういうことをしてはならぬということはないわけでございますから、それを排除するわけではありませんが、合格をした人がおそらく社会でより広い活動の範囲を得る、そのこと自身は電子計算機なりプログラムなりが今後進歩する上に有益なことである、こう考えるわけでございます。それも法律を用いずしてもできるではないかと仰せられれば、私はそのとおりだと思いますけれども、このような制度を設けることによって、そういう技術の進歩を促すことができるという政策判断だと思います。
  58. 堀昌雄

    堀委員 第四条は、特に私少しひっかかるのは、「政府は、前条第一項第一号に掲げる電子計算機の設置及び同項第二号に掲げるプログラム開発の促進に必要な資金の確保又はその融通のあっせんに努める」となっていまして、きわめて特定なもののためには資金の確保について政府は考えるけれども、この幅の狭い特定なもの以外は、逆にいえば、政府は知りませんよということにもなりかねない法文になると思うのです。少しひがみ根性が強過ぎるかもしれないけれども、書いてあることから見れば、これだけを何か——ちょっと逆になってしまいましたからなんですが、「電子計算機利用高度化計画」という面から考えて、高度化計画そのものはいまの文章の中にもちゃんとある。ですから、そういうような非常に普遍的、一般的なものの中に、きわめて幅の狭い特定のことをば書いておるわけですね。その特定のことについて一般的、普遍的な名前がかぶさっておることに、私は一つ問題があると思います。その特定のことだけが重要なのかというと、「電子計算機利用高度化計画」というのは、単にここに書かれたことだけではなくて、より広範なものがあるんじゃないのか、そういうふうに私は判断をしておるものだから、こういう特定のことだけをここに書いて、通産省としての判断は、いまのところは特定のこれだけでしょうが、先にいったら、これだけじゃなくて、高度化計画というもののワクはもっとどんどん広がり得る条件はあるんじゃないかと思うのです。ですから、次に掲げる電子計算機及びプログラムについて定めると書いちゃったのですから、書いた以上、特定のところにあなた方は自分でワクをかけた。そのワクは何かといえば、次に「一 情報処理の振興を図るため利用を特に促進する必要がある電子計算機」、こうきたわけです。だから、それ以外の電子計算機は、ここで規定した利用高度化計画のワクの外ですよ。それから「情報処理の振興を図るため開発を特に促進する必要があり、」これが一つですね。「かつ、広く利用される種類のプログラム(主として一の事業の分野における情報処理に用いられることとなるものを除く。)」と書いてあるから、一の事業のためのものはともかく電子計算機利用高度化計画のワク外ですよ。ここに追い出している。しかし、今後のいろいろな問題の中では、汎用のものだけでは足りぬのではないかと思う。大きなナショナルプロジェクトを設定して、この開発のために必要な特定の一の事業というか、一つの分野に主として用いられるものがきわめて重要な要素を持ってくるのは当然なんであって、そういうものを全部疎外しておいて、このワクの中だけは政府は金をつけますよ、あっせんしますよ、こういうようになっておる。この発想の中に非常に大きな問題点があるのではないか。「電子計算機利用高度化計画」という名前との関連から見ればここに非常に問題がある、こう私は考えております。  そこで、大臣どうでしょうか。私はずっとここをこういうふうにやってきて感じるわけですが——ちょっと先にこれだけやっておきましょうか。「情報処理の振興を図るため利用を特に促進する必要がある電子計算機」とは何か、ちょっとそれをひとつ政府委員から答えてください。
  59. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 いまの字句の御説明の前に、ちょっと一般的なことでお答えをいたしておきたいと思います。  私ども、この政策判断といたしまして、この高度化計画内容を一号、二号ということで書いております。こういうふうにいたしましたのは、電子計算機利用というものが大いに普及をし、企業の面でも、大企業はもちろん、中小企業にまで全般的にこういった電算機が利用されてきて、そしていわゆる情報化というものが進んでくる、そういったことは、もちろん私どもとしては非常に望ましいことだと考えております。それはそれなりにやはり促進する必要があろうかと考えております。  ただ、私ども政策意識の中で判断いたしますと、現状において、やはりハードウエアの面におきましても、アメリカ等とは非常なギャップがある。特にソフトの面ではたいへんなギャップでございまして、今後、このソフト、ハード両面がそれぞれ関連をしながら、情報化と申しますか、そういうものが進められてまいるということになってまいりますと、とりあえずやはり一番重点的に考えなければなりませんのは、ソフトのギャップを埋めていく、これをできるだけ早い機会に高度化をしていく、こういうことであろうと思います。  そういった観点から考えてみますると、やはりコンピューターの面におきましても、今後、より大量の情報をより早くかつ正確に処理し得る、こういったコンピューターがどんどん開発されかつ利用されてくる、こういうことがどうしても必要であろうかと思います。したがって一般的な問題、つまりいま先生が御指摘のように、一般的にコンピューターなりあるいはそれを使う利用技術なりというものが普及され、広まっていき、また進度を加えていく、これはもちろん必要でございますが、私ども政策的に進めていこうという場合には、やはりその中でも特に重点的に必要なものを取り出してきて、そしてそういったものを思い切って中核として進めていく。それがまたすそ野となって、いろいろな利用技術の面にいたしましても、コンピューターにいたしましても、全般的に広く利用されるようになってくる、こういったようなことになっておるわけでございます。  そこで、私どもここで考えております計画内容は、いずれ審議会等にはかりましてきまってくるわけでございますが、特に私どもがいま考えておりまするのは、たとえば記憶容量等で申しますと十二万ビット以上のもの、あるいは処理速度にいたしましてもサイクル時間が十マイクロ秒以下のもの、こういったものが考えられます。つまり簡単に申せば、普通中型といっておりますが、中型のさらに高度の電算機、こういったものが今後多数国内に設置をされ、そして情報化に役立つということ、やはり重点的にそこを育てていくということが非常に望ましいのだ、こういう意識でここに書いておる、こういうわけでございます。
  60. 堀昌雄

    堀委員 いや、それは私は何もわからぬではないのです。わからぬではないのですが、中型だけが広まればいいのだということにならないと思うのです。やはり企業能力いろいろありますし、あるいは今後の問題としては、中型のコンピューターを企業がずっと入れるよりか、超大型のものをセンターに入れておいて、これをタイムシェアリングで多数の企業が合理的に使うほうが——これはオンラインとの関係でいろいろ今後問題が出てくるでありましょうし、経済効率の面から見てはたしていかがであろうか。だからそこらは——私はここに書かれたことが悪いとは言っていないのです。悪いとは言っていないのですけれども、みずから広い問題の中に特定のワクをかけて、そのことが、いまあなた方はギャップを埋める一番近道だという判断かもしれませんけれども、しかし私はそこがもうちょっと広い視野が必要な点があるのじゃないだろうか。だからそのことは、この面だけから見ますと、実は産業対策用の問題だけになっているのですよ、あなたのいまおっしゃるような考え方は。言うならば、その他の情報処理をするものはどういう形で出てくるかということについては、今日まだ予測できないじゃないですか。いまはごく小さなものでしょう。だんだん大きくなるわけでしょうからね。だから私はそういう意味で、この非常に特定なものの範囲に限らなければならぬという積極的な理由がどうもわからないし、特にそういう電子計算機の設置についてだけは資金の確保や融通のあっせんをする、ところがその下のものや何かについてはやらない、こういうことになるわけですね。やらないのではないけれども、それだけにやるのだということになるのかもしれないけれども、私はそういうふうに受け取れない。ここにこういう書き方がしてある以上は受け取れないから、この点についても一つ問題があるし、またいまの計画の問題についても、「計画を定めるにあたっては、あらかじめ、関係行政機関の長に協議する」、こう書いてあるわけですが、これはあらかじめそういうものを予想しておられるようですが、一体これはどういう関係行政機関と協議をするのか。だから計画そのものが、われわれにはこれでは一つもわからないわけです。きわめて抽象的であって中身のことが一つもわからないので、少し具体的に例示をして、この計画というのは一つなのか、幾つかの計画が次々出されるのか、どういう形の計画をあなたのほうは考えているのか、少し具体的な説明を求めたいと思います。
  61. 八田貞義

    八田委員長 速記をとめて。
  62. 八田貞義

    八田委員長 速記を始めて。
  63. 堀昌雄

    堀委員 さっきの答弁の残っておるのがありますから、ひとつ法制局から、先ほどの国家試験に関する問題についてだけ答弁しておいてください。
  64. 角田礼次郎

    角田政府委員 先ほど御質問ございました点についてお答え申し上げます。  御指摘のように、法律の上で試験を行なうということが明記されておりまして、それに対する法律的効果が何もないという制度に、ぴたりと当てはまるものはございません。ただ多少似たような制度ということで申し上げさせていただきたいと思いますが、中小企業指導法による中小企業診断指導員という制度がございます。これは試験以下の問題は省令にゆだねられておりますので、そういう意味でぴたりとするものではございませんが、法律的効果は実は何もございません。それからもう一つ、技術士法に基づく技術士、それから職業訓練法に基づく技能士、これはやはり試験を法律上明記しておりまして、別に医者のようないわゆる業務制限はございません。ただ、非常に法律的効果としては弱いのでございますが、名称の使用制限というのがございます。そういう意味で、今回の情報処理技術者試験のように、全然法律的効果がないというわけではございません。  以上でございます。
  65. 堀昌雄

    堀委員 いま国家試験についての答弁がありましたけれども一つ法律事項ではなくて省令によるものであり、一つは士に関係があるわけですね。士に関係のあるものは、私が申し上げるまでもなく、これは一つ制度として士の制度というのがあるわけでありますから、これは一つの資格要件が国が付与しておる状態に実はなっておるわけでありまして、私が調べてみましたけれども、このような先例は、少なくとも通産省に限らず政府が行なうものについては今回をもって嚆矢となると思いますが、きわめて重要な問題だと思うのです。国家試験という試験のあり方について、それをこのような簡単な処理だけで行なうということについては、私はこれはきわめて重要な問題だと考えますので、この点については、単に通産大臣というのではなくて、次回に官房長官出席を求めて、今後このようなものがどんどんできるのかどうか、それらについて政府側の見解をただすことにさせていただきたいと思います。
  66. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 答弁してよろしゅうございましょうか。
  67. 堀昌雄

    堀委員 答弁要りません。きわめて重要なんで、官房長官から答弁をひとつ聞きたいということであります。
  68. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 三条について……。
  69. 堀昌雄

    堀委員 どうぞ。
  70. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 法律の三条、計画に関する点について御説明いたしたいと思います。  三条の計画、私どもはガイドラインといったような感じでこの「計画」ということばを見ておりますが、一号、二号、特に二号の関係でいろいろと御説明をしたいと思います。  二号に書いておりますことは、いわば情報処理の振興をはかるために、やはりハードの面と密着をいたしまして、こういうことばが普通使われておりますのでそのまま申し上げますが、オペレーションプログラム、こういうものがまずございます。このオペレーションプログラムの面も、実はまだまだこれから開発しなければならぬものが相当多数ございます。そのほかに、オペレーションプログラムから一歩出まして、いわば汎用的な応用プログラム、こういった面が非常に欠けておると私どもは考えております。  たとえばどういったような具体例があるかというお話でございますが、先ほどから御説明しておりますように、一、二の例を申し上げてみますると、プログラムのロジックを読み取りまして図示できるようなフローチャートの自動作成のプログラム、あるいはハードウエアの故障個所を追跡をいたしまして診断をいたします障害自動診断プログラム、あるいはいろんな各種の統計がございますが、こういった統計を総合的に解析をするいわば総合統計解析プログラム、こういったものがきわめて汎用的であると同時に、今後開発を必要とされるプログラムの一例であろうかと思います。  そこで、私どもはこういったようなプログラムを念頭に置いておりますが、これはもちろん審議会等で十分御審議を願って、多数のプログラムについてきめていかなければならないと思います。先般も質疑の過程でお答え申し上げましたように、私どもはまず五年程度の期間を一応頭に置いておりますが、そのくらいの期間において、先ほど申し上げましたような、いわば型で申しますと中型以上と申しますか、ちょっと型でいうと非常に不正確でございますけれども、そういったような高性能の電子計算機、それを動かしますためのオペレーションプログラム、さらには汎用的な応用プログラム、こういったものの一つの目標を掲げて、これを学界といわず民間といわず、また私どもの研究所もございますが、日本全体のこういった関係者が、鋭意そういった計画を頭に置きながら努力をしていただく、こういったことを考えておるわけでございます。  そこで、この三号に、「関係行政機関の長に協議する」と書いてある点の御質問がございましたが、この点につきましては、いま申し上げましたようないわば応用プログラムの中でも、基礎的と申しますか、汎用的と申しますか、一般的と申しますか、そういったようなプログラム開発されてまいりますと、それを使いまして、さらに個別の分野あるいは特定目的、こういったものに応用する、個別目的による応用プログラムができてまいるわけでございます。こういったようなこともございますので、一応そういった個別のプログラムというものを使います分野は、それぞれの関係省がこれを所管をいたしております。たとえば運輸省におきましては、やはり貨物全体の流れを円滑にするために必要な全体の貨物流通のための電算機処理ということになれば、やはりそういうプログラムが必要であろうと思います。こういったような個別のプログラムを必要とするわけでございまするので、そういった分野に関係がある基礎的な、あるいは汎用的、一般的なものでございますから、こういったものを目標として掲げるにあたりましては、各省庁からも、自分のほうの特定応用プログラムをつくるに際して、あるいはそういったものを今後普及しあるいは利用していくというためには、こういったような基礎プログラムを目標に掲げてもらって、それをいま言ったような広く全国の関係分野において目標として掲げた上で開発に努力をしてもらいたい、こういう要望があろうかと思います。そういった意味から三号では、関係行政機関の長に協議をいたしまして、関係行政機関意見も十分聞いた上で計画を練り上げていく、こういったことが適当ではないかという趣旨でこの三号の規定が置いてあるわけでございます。
  71. 堀昌雄

    堀委員 いまのところだけに関係してちょっと伺っておきますが、そうすると関係行政機関の長に協議をするのはわかりますが、貨物の問題について運輸大臣に協議をする。しかしあと、「政令で定めるところにより、電子情報処理振興審議会及び郵政審議会意見をきく」と、こうあるのです。そうすると、貨物その他の問題については運輸大臣の所管でありましょうが、やはり同様な何らかの審議会というようなものは、各省庁設けているのじゃないかと思うのですよ。そうすると、この二つだけに聞けばいいのですか。そのあとの、各省庁協議をするけれども審議会に聞くのはこの二つだけですべては終わるのだ、こういうふうにこの法律は書かれておるわけですが、なぜ、関係行政機関の長に協議するのなら、あわせてそういう関係審議会に聞いたっていいんじゃないですか。聞いちゃまずいですか。
  72. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 ただいま申し上げましたように、この計画で定めようと思っておりますプログラムは、汎用的と申しますか、二号のところでカッコして、「(主として一の事業の分野における情報処理に用いられることとなるものを除く。)」と書いてございますように、特殊目的のためのプログラム、ただいま私がちょっと申しましたような、たとえば全国貨物流通円滑化のために電算機処理をするために必要なプログラムがあるといたしますと、それはやはり一つ特定の分野に属するプログラムであろうと思います。そういったものはこの「電子計算機利用高度化計画」の中に書くわけではございません。ただ、ここに書こうといたしております汎用的な——基礎的ということばがあるいは当たるかもしれませんが、そういったようなプログラムを、計画に書くに際しては——各省それぞれ自分の省の分野に属する特殊なプログラムを念頭に置いておると思います。将来そういったものを開発したい、そのためにはこういった汎用プログラムが必要である、こういう意見があるのではないか、こういうことでございます。したがって、この計画に書かれるのは、あくまで広く利用される種類のプログラムでございますが、広く利用される種類のプログラムと申しますのは、やはりそれを念頭に置いてと申しますか、それからさらに応用いたしまして、特殊の目的のためのプログラムをつくっていく。その基礎になるものでございますから、その基礎のものを計画に書くとすれば、やはり各省としては、将来、自分の省の所管にかかわるもので特にこういった開発が必要であるということを御研究になっておられると思いまするので、そのためには、基礎的なものの分野でも特にこういったものを計画に書いてもらいたい、こういう御意見が出てくるのではないか、こういうことで「関係行政機関の長に協議する」と書いてあるわけでございます。  いまお話しのように、しからば関係行政機関の長が、そういった意見を通産大臣——オンラインのものにつきましては郵政大臣でございますが、この両大臣にそれぞれ申し出てまいりますに際しまして、必要があれば、適当な審議会等があれば、それはその審議会等におはかりになる場合もあるいはあろうかと思います。しかし、それは各省庁の内部事情と申しますか、内部規程でそれぞれお考えいただくことでありまして、この計画、いま申し上げましたような意味での計画をつくるにあたりましては、電子情報処理振興審議会、それから、ここにございますようないわゆるオンライン関係のものにつきましては、それぞれこういった審議会がございまするので、最終的にはその審議会で御審議をいただくということでよろしいのではないかと考えております。
  73. 堀昌雄

    堀委員 どうもいまの答弁を聞いておって、関係行政機関の長に協議をしなければならないのは汎用プログラムであって、そういうものの必要性が各省庁であるのであれば、それを聞いて一緒につくりたいというのならば、その省庁だけでなく、各省庁の中でやっておる特定のものも——特定なものだけではなくて、そういうものについての汎用なものがあったっていいと思うのです。何も貨物集中だけではなくて、貨物に関する問題については、日通なり各社自動車会社なり、いろいろなものが共通な処理をするためのプログラムだってあっていいわけでありまして、だからその間の限度が、汎用といえども、もう完全普遍的汎用のものもあるけれども、ある業態別の汎用のものも、電子計算機の問題については私はあると思うのです。だからそこらは完全にあいまいなんですね、この表現一つから見たならば。要するに「主として一の事業の分野における情報処理」なんということになったら、その一の事業の分野の広さというものは、一体ここでは何を想定しておるのか、私どもはよくわからない。いまの貨物の例を一つとっても、貨物全体の動きというものについては、それを一の分野というならば、その中に私はたくさんの汎用プログラムがあるはずだし、それは全部疎外されるのだということになれば、一体ここでやるのは何かということになるのですね。ほんとうにごく小さなもので、範囲の非常に広いというコンバージョンプログラムのようなものは、あるいはそれに該当するでしょう。そんなものだけで私はいまのギャップが埋まるとは思わないのですね。ある程度汎用の広いもので、しかし、もう少しやってやらなければ——「一の事業の分野」という範囲のとり方いかんによっては、汎用との関係は私は非常に問題が起こってくるのじゃないか、こういう抽象的な書き方でしたら。そういうふうに思うのです。それで大臣、この点は一体大臣はどういうふうにこれを理解していらっしゃるでしょうか。私は、こういう抽象的な書き方は、今後の電算機のソフトウエアの開発のあり方については、非常に何かそれこそ誤解を招くおそれのある部分がかなり広くある、こういうふうに理解をしておるのですけれども、いかがでしょうか。
  74. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この書き方は確かに非常にむずかしい表現になっておりますけれども、たとえば、先ほども堀委員が言われましたように、汎用プログラムだとかゼネラルユースだということが法律用語としてできましたらすらっと読めるのではないかと、私しろうとですが、そういうふうに実は考えてここを読んでおるわけでございます。で、ある「一の事業の分野」というのは、実際それは分けてみればどうだというお話もございますけれども、観念としてはわかるのじゃないか。たとえば全国犯罪捜査のためのプログラムというのは、これは主として「一の事業の分野」でありましょうし、それからその中にも汎用プログラムが入ってくるだろうとおっしゃれば、それが主としての意味である、こういうふうに読むべきではないんでございますか。  それから、先ほどの三号のところは、これはもう、なぜ電子情報処理振興審議会と郵政審議会意見を聞くんだということをお答えすればいいのであって、それは先ほど政府委員お答えいたしましたが、関係行政機関の長が返事をする場合に、おのおの自分の関係する審議会に聞かれることは、それはその長の判断でございまして、この二つ審議会だけを抜き出した意味は、この二つ審議会が、この問題についてはおのおの別個の理由から非常に関係が深いのでございますから、長のほかに最終的にこの意見を聞くと、こう書いたのであります。
  75. 堀昌雄

    堀委員 そこで、さっきから伺っている中でもう一つわからないのは、「計画」と、こう書いてあるのですね。「前二項の規定は、計画の変更について準用する。」、こういうふうな書き方がされておるわけですけれども、どうも私、その計画というのがよくわからないのですよ。ここには「計画を定めるにあたっては」どうとか、それから2に、「計画には、電子計算機の設置及びプログラム開発の目標となるべき事項について定める」とか書いてあるのですが、計画そのものというのはどういう計画になるのか。それから、一回きめたらしばらくは、計画というのはそのままいくのか。計画はここで変更をするということだから、変更をする以上は、計画というのは一つなんですね。二つはないんだということだろうと思うのですが、どうもそこらが、「電子計算機利用高度化計画」ということでここに書かれておるだけでは、一体何が計画なのかよくわからないのですが、その計画というのはどういうような具体的なことなのか、ちょっとわれわれが理解できるように、具体的にひとつ話をしてもらいたい。
  76. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 計画ということばもいろんな形で使われておるわけでございますが、この私どもがこの際考えております計画は、まあ一つのガイドラインというようなつもりでお読み取りをいただきたいと存じます。  で、先ほど申し上げましたように、計画内容は一号と二号に分かれるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、これは審議会等の意見を十分聞いてきめることでございますが、ただいまのところ、私どもが頭に描いております計画内容といたしましては、一つは、先ほど申し上げましたように、高性能の電子計算機というものが、今後、たとえば五年とかりにいたしまして、五年後にどういうふうな設置が行なわれるであろうか、あるいは主としてどういう分野でこれが使われるようになるかといったような、一つのガイドラインを示していく。プログラムについても同様でございまして、先ほど申し上げましたように、汎用的なと申しますか、あるいは一般的なプログラム、こういったものを目標としてきめていく。そういったものを中心として、ひとつぜひ開発努力を全国の関係分野あげてやっていただきたい、こういう目標を示していきたい、こういう考えであるわけでございます。  そこで、ここに「計画の変更」ということがございますのは、何ぶんこういった技術の問題は日進月歩でもございますし、また特に私どもいま、あとで申し上げましたような意味での電算機なり、あるいはソフトウェアなりというものを、とりあえず早く開発していくことが、日米の特に大きなギャップを持っております今日の現状におきまして、どうしてもそこが一番の問題点だという、いわば重点施策と申しますか、重点事項だという政策判断をいたしております。しかし、いずれにしてもこういった面は、非常に技術が進んでまいりますので、五年というような長期の計画を立ててみましても、途中においてやはり見通しが必要ではないか。あまり五年間も固定をしておいても陳腐化してまいるおそれもございます。そういったことも考えておりますので、私どもは、計画期間中においても必要に応じては随時見直しをしていく、こういう必要性を痛感をいたしております。そういったことから、計画の変更をすることが起こり得る、これはもう起こる可能性が非常に強い、こう考えておりますので、第五項でもって計画の変更に関する規定を置いた、こういうことでございます。
  77. 堀昌雄

    堀委員 いまの一項のほうは、さっき十二万ビットと十マイクロ秒以下ということですから、これは非常にはっきりしますね。そういう電算機をひとつ大いに何年度までに何台くらい普及するようにしたいという、これは一つ計画になりますね。次のほうは一体、計画にどうやって書くのですか。ひとつ、ちょっとサンプルを言ってみてもらいたいのです。計画に書くといっても、私ちょっと計画に書けるようなものではないと思うんで、そこを一ぺんちょっと言ってみてください。
  78. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 担当の課長からお答えいたします。
  79. 平松守彦

    ○平松説明員 技術的な点でございますので、御説明申し上げます。  まだ案としてこれからつくるわけでございますが、いま私どもで考えておりますことは、プログラムの中に、制御プログラムとか、言語プロセス法とか、チェックプログラムとか、いろいろございます。まずそのプログラムを書く。概念を書きまして、その中に、たとえば二台のコンピューターを同時に動かすためのプログラムとか、それから計算機の中に、オンラインの場合とオンラインでない場合、いわゆるバッチ処理オンライン処理というのがありますが、そういうものが同時にできるようなプログラムとか、そういうふうにプログラムをそれぞれの用途別の分類に分けて、その中のプログラムをまたこまかく種類別に書いていこう、こういう考え方でございます。
  80. 堀昌雄

    堀委員 いや、こういうものをやりますということはわかるのですよ。片方のハードのほうは、こういう機械を五年先に何台にしたいというのはわかるのですよ。しかし、ソフトウエアは、いまのこういうものと、こういうものと、こういうものでやりますというのはわかっても、それがいつまでに幾つあったらいいなんという問題じゃないですよ、これは。需要と供給のバランスで、片方が使いもしないのにソフトを幾ら開発してみたって、こんなもの役に立たないわけでありまして、必要のあるソフトウエアを開発するのでなければ問題にならないわけで、私は、それが計画のようなものに乗るのかどうか、非常に疑問があるのです。幾つあったらこれで用足りるというものではないと思いますから。数が規定されるべき性格のものになっていないと私は思うのですよ。その種類は規定できますよ。こういうものと、こういうものをやりますということは書けますね。しかし、一体どういう今後の情勢に応じて——機械というのは同じものですからいいのですが、需要の側としては、これは非常にパターンがいろいろあるので、汎用といったって、その目的によって汎用性が違うわけですから、だからどの機械でもいけるということの一つの問題もあるでしょうし、そうではなくて、特定の機械でもきわめて汎用的なものもあるし、いろいろあると思うのですね。  そこで、私、非常に疑問があるのですが、あと質問者と大臣との関係がありますからちょっと締めくくりをしておきたいのでありますが、大臣、私はずっとこの問題をいまやってまいりまして、特にきょうは第二章だけを特定して実は論議をしてまいりました。どうも私は、この第二章でこういうふうに特定をされておる中で、まあ少なくとも第三条は、さっきの法制局の見解にもありましたように、この法文の書き方は、いささか誤解を招くと思うのです。要するに「電子計算機利用高度化計画は」と、こう言った以上は、すべての電子計算機利用高度化計画というものが包括されるにもかかわらず、その下に特定をした。だから、要するにこの法律にいう電子計算機利用高度化計画というのはこれだというふうにでも特定しなければ、こんな法律の書き方は、大臣、私は大体あり得ないと思うのですね。そういうふうなこと。  それから、さっきの技術者試験の問題も、これは官房長官の御出席をいただいて確認をしたいんですが、どうも私はこれは、そんな制度がないものを、これだけにあらためて制度をこういう形で設けるのなら、もう少し慎重に検討して、やはりプログラマーにも、システムエンジニアにも、今後能力の差によっていろいろな段階があって私はいいと思いますよ。そうするならば、そういうプログラマーの段階における一級の資格とか何らかのものを付与したって、私はちっともかまわないと思いますから、やはりさっきの答弁の中に法制局が答えておりますように、何かを持っているということを国家がオーソライズをするんだという意味は、何もただ試験を受けたということだけで処理をしなくてもいいのではないか。そういう問題は、どうも私は今後の問題としては、いまさっき行政管理庁長官お話がありましたけれども昭和四十三年十一月からかかっていて、政府の中においても、政府内におけるいろいろな処理についても、まだはっきりしたこれからのめどが立っていないというお答えもあったくらいのことでありますから、私はこの第二章の中に書かれておる問題については、もう少し検討を深めて、全体との総合的な一環の中で処理をすることをしたほうがいいんではないか。拙速によって中途はんぱなものを制度の上に書くことは、私はやや問題があろうかという感じがいたしますので、きょうは特に第二章だけをやらしていただいたわけでありますけれども、通産大臣のそれに対するお考えを少し伺いたい。特にいまの試験の問題、調査簿の問題等は、もしどうしても必要があるのならば、いまの第三条がもう少しわかりやすく書かれるということで、その中の修正が処理をされれば、あとの第五条、第六条についてはこの際特に必要がないのではないかというような感じもいたしますので、大臣のちょっと御見解を伺っておきたいと思います。
  81. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 概括して申し上げられますことは、この第二章は、概して、先ほどから堀委員がおそらく御質問中心として持っておられるところの、いわゆる権利義務を設定した立法事項、本来の立法事項というものに非常に関係が薄いではないかという、そのことについてでございますけれども、先ほど法制局からも述べられました、在来のわが国の、ことに最近の法律には、権利義務に直接関係ない場合でも、宣言規定であるとか、訓示規定であるとか、あるいはその他必ずしも権利義務でないものが相当多くなっておるということは、私は事実だと思うのであります。  ところで、電子計算機あるいはソフトウエアに関する部分は、この分野はむしろこれからの分野でありまして、ことに、この問題についての公権力の主体としての政府と国民との関係、あるいは民間同士における権利義務の関係、またソフトウエア、ハードウエア等をめぐる、先ほども指摘がありましたが、財産権等の問題等々が、すべてきわめて流動的な状態にあるというふうに私ども考えます。しかし事実は、ハードウエアにしても、ソフトウエアにしても毎日進んでいきまして、先行をいたします。そこで私どもが、そういう流動的な状態の中でなまはんかな権利義務の関係を設定することがいいのか。あるいは流動的な状態であるがゆえに、その流動的な状態の中で、政府はどのような施策を進めたいということを全く法律に述べずして行政だけでやっていく。そういう立場もあり得ると思いますが、その二つの中間の立場を私どもはここでとろう。つまり、これはまさに大きな社会の革新でありますから、それに処して、ハードウエアあるいはソフトウエア等について政府はどのような施策をとろうとするのであるかということを、法律の形で宣明することは決して無意味ではないであろう。さりとてそれを、事態が流動しておりますがゆえに、無理に権利義務の形で固定させることは問題がある、そういう中間の立場をとりましたものがこの第二章であるというふうに考えておるわけでございます。
  82. 堀昌雄

    堀委員 ですから私も流動的だと思います。流動的でありますから、ここでやはり基本法的な、本来のそういう要素のものがある一つの概念として設けられて、その中における権利義務の通算に関するものが法律化されてくるということがいいのではないか。ここで通産省だけが先に出て、一応それの概念的なものをいまここに書かなくても——第三条のようなものはどうしてもお書きになりたいでしょうから、それはまた書き方はいろいろありましょうけれども、その他については、私は、いま書かなければならぬ積極的な問題はないのではないか。ですからそれらの問題は、さっき申し上げましたように、一応基本法のようなものができて、その概念規定がはっきりした上で、その時期には今度はかなり突っ込んで、権利義務に関係のあるものを法律として通産省から出していただけば、そのことのほうがこの問題処理には、流動的であるだけに必要ではないのだろうか、こういうふうに私は考えますので、その点は、大臣と私と多少の意見の相違がありますけれども、私はやはり、あるべき姿というものがある程度きちんとして、その中における通産省の分野というところについて条文が書かれるのは、やはりもう少し明確な権利義務的なものが主体になるということであるべきではないだろうかと、そう考えておるものですから、そういう発想の上に立って、きょうは実は第二章だけを特に質問さしていただいたわけでございます。これらについては、あとまた同僚委員審議もございましょうから、ひとつ、いろいろな角度からの審議を経て結論を得たいと思いますけれども、そのように考えておりますので、大臣、何か御発言があればお答えを伺って、終わります。
  83. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 基本法との関連におきましては、実は御指摘のようなことを私どももいろいろに考えておるわけでございます。先般も当委員会で申し上げましたように、基本法の問題になりますと、教育、訓練の問題から始まりまして、先ほどの公衆電気通信法の問題でありますとか、もう非常にいろいろな要素を含みますし、しかも大きな社会の革新が行なわれようとしておりますので、基本法的なものは、ぜひなければならないと、実は考えております。それがしかし、事態がなかなか流動しておりますだけに、正直に申しまして、私どもがしっかり方向を見定められないというのが事実でございます。それならば、このような法案を出さずに、できるだけ行政の手当てをしていって、基本法の成立を待って施策をすべきかということになりますと、そこに私どもに、どうもそうもしていられないという感じがございまして、基本法で考えらるべきようなことを、あらかじめ間違った方向に先取りすることは問題でございますから、そうならない範囲において施策の姿勢を明らかにしたい、こう考えましたのが、本法案を提出いたしましたゆえんでございます。しかし、堀委員の言われますことは、私ども早晩しなければならない、やはり基本的な問題であろうと考えております。
  84. 堀昌雄

    堀委員 終わります。
  85. 八田貞義

    八田委員長 午後二時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十九分休憩      ————◇—————     午後二時二十八分開議
  86. 八田貞義

    八田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松浦利尚君。
  87. 松浦利尚

    松浦(利)委員 政務次官にまず冒頭お尋ねをいたしますが、昭和四十四年五月三十日に産業構造審議会、俗に産構審というところから「情報処理および情報産業の発展のための施策に関する答申」、これが通産大臣に提出をされておるわけでありますが、今回上程されておるこの法律案は、おそらくこの産構審の内容の中から具体的な措置としてこの法律案が提出されたものと理解をするわけでありますが、この産構審の中のどの部分を今回のこの法律で満たそうとしておるのか、解決しようとしておるのか、その点をまずお尋ねをいたします。
  88. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 いま御指摘のように、産業構造審議会の答申については、たいへんいろいろな面について施策を提言しております。これらの施策の中の多くは、法律的な措置を必要としないものも多数ございます。通産省またはほかの省が従来行ない、また今後行なおうとしている措置によりその効果が可能となるものについてぜひ行ないたい。したがって本法案においては、とりわけおくれている部分を、法律にその根拠を求めることによってその振興ができるということに置いております。すなわち、電子計算機の設置の促進とか、あるいはプログラム開発の促進とか、技術者の質の向上あるいは養成、それから情報処理サービス業とかソフトウェア業の育成に関する規定を盛っているわけでございます。
  89. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま言われた中で、具体的にどこを重点にこの法律は満たそうとしておるのですか。いま政務次官が言われた全部を満たそうとするのがこの法律案ですか。
  90. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 特にプログラム開発、それから技術者の技術の向上、それから情報処理サービス業、ソフトウエア業の育成、こういう点でございます。
  91. 松浦利尚

    松浦(利)委員 産構審の答申内容は、その部分が最もおくれておるからその部分を急げと書いてあるわけですか。
  92. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 必ずしもそういうふうに書いておりません。
  93. 松浦利尚

    松浦(利)委員 この産構審の答申を見ますと、いまこの法律案を提出することによって、この法案のねらいである日米間のハードウエアあるいはソフトウェアのギャップを埋めることが可能だというふうに政務次官お考えになりますか。
  94. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 その点は御指摘のとおり、アメリカと日本との間の、ハードウエアの部分については相当技術が向上しておりますので、特にソフトウエアが非常に格差がついております。そういう面については緊急に育成、向上させなければならないということでございます。
  95. 松浦利尚

    松浦(利)委員 この情報処理振興事業協会等に関する法律で、四十億の政府資金によってソフトウエアというものが急速に発展をする、あるいは日米間のギャップを埋めることができる、こういうふうにお考えになりますか。
  96. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 それによってすぐギャップが埋まるということではございません。しかし、それを埋める第一歩にはなるということでございまして、今後向上を大いに促進させるであろうということは間違いない事実だと思います。
  97. 松浦利尚

    松浦(利)委員 アメリカの場合は、御承知のようにNASA、航空宇宙局を中心にして、国策を中心にしてソフトウエアというものが発展をしていったわけですけれども、日本の場合はそれの逆で、いま言ったような形でソフトウエアというものが発展するというふうに政務次官はお考えですか。
  98. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 確かにアポロ計画、いわゆるNASAというものが中心になる、あるいは軍が中心になってハードウエア、ソフトウエアというものがアメリカでは開発されたことは事実でございます。しかし、今日日本では、先生のおっしゃるとおりそういうものがございませんので、ここで政府資金を貸し付けてソフトウエアというものを開発し、将来これが日本の大きな産業の基幹となるような形に持っていかなければならない、まずその第一歩であろうと私は考えております。
  99. 松浦利尚

    松浦(利)委員 政務次官、この法律は資金を民間に貸し付けるのですか。この法律はそういうことですか。
  100. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 さようでございます。
  101. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま民間に貸し付けるというふうに言われたのですけれども、貸し付ける先は一体どこですか。
  102. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 政務次官の御答弁、ちょっと意を尽くしていないと思いますので、私がかわりまして申し上げます。  産業協会は、この法律によりまして、この二十八条にその業務が規定をされておりまするが、これによりますると、四号、五号の業務、すなわち情報処理サービス業者等、あるいは民間のこういった情報処理ユーザー、こういったものがその業務高度化のため、あるいはプログラム開発のため必要な資金を外部から借り入れます場合、その借り入れにかかわる債務を保証する、こういうことになっております。  現在、御承知のように、こういったような情報処理サービス業にいたしましても、あるいはソフトウエア業にいたしましても、まだ揺籃期と申しますか、ごく初歩の段階でございまして、いわば業態から申せば中小企業といったようなところでございます。しかもこれ自身は特段の設備資金というようなものではございません。頭脳労働の所産でございまするので、それ自身有効な担保力にもまだなるかならないかという点が問題になっておるというような面もございまするので、実際問題としては、なかなかそういったものの開発に必要な資金の借り入れに困難を来たしております。そういう意味から、先ほど政務次官がちょっと申し上げましたように、私どもといたしましては、別途四十億円の銀行の債券を預金部資金で引き受けまして、その金を主としてこういったところに貸し付けてもらう。ただ、それだけではやはり担保の問題その他ございまするので、当該協会がそういった資金を利用いたしまして借り受ける、その債務につきまして保証をする、こういう仕組みでございます。
  103. 松浦利尚

    松浦(利)委員 局長でけっこうですが、いま言われたような形で、四十億円の政府の資金によって、民間の資金もそれによって導入して、IBMは一年間に十二兆という収入をあげておりますね、これに対抗し得るだけのソフトウエアの開発ができるというふうに局長はお考えになっているわけですか。
  104. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 御指摘のように、ただいまIBMというおことばがございましたが、日米間におけるソフトウエアギャップというものが非常なものでございます。したがって、その程度のことで一体ソフトウエアという面でのギャップが埋まるか。端的に申し上げれば、なかなかそういうものは簡単には埋まらないとお答えするのが至当かと存じます。私どもといたしましては、先ほど来御質問がございますように、NASAとかそういったような、非常に大規模なナショナルプロジェクトがあって、それに基づいていろいろな各種のソフトウエアというものが発注をされる——アメリカでは、御承知のように、こういったソフトウエア業の発注は、六八年あたりですでに一兆円に達しております。こういうことがございまするので、簡単に四十億や五十億の金でソフトウエアギャップが埋まるとは思いません。思いませんが、ただ、いまの場合には、いま申し上げたような大規模なナショナルプロジェクトをもって、政府みずからが予算をもって発注していく、ソフトウエア業というものを育てていくというふうには現在なっておりませんので、こういった微々たるものではございましょうけれども、民間の頭脳というものを極力活用し、開発し、育成をしていくということが、何と申しましても日本の現状に合ったソフトウエアというものの振興策ではなかろうか。その第一歩として、とりあえず四十五年度予算におきまして、先ほど申しましたような処置をとったわけでございます。私どもといたしましては、そういった実情も考えながら、四十六年度以降、来年度以降の予算措置その他、十分実態に合いますように、今後それが拡大されるような努力を続けてまいりたいと考えておるわけであります。
  105. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまの局長答弁は、ナショナルプロジェクトですね、これの開発はむずかしいのだということを言っておられるけれども、この産構審の答申を見ますと、やはり日本におけるソフトウエアの技術開発というものは、ナショナルプロジェクトというものを取り入れて、その中から促進をすべきである。やはりアメリカのように、国自体が主導をして民間の企業に促進をはかっていく、あくまでも国が主導するという形の産構審の答申が出ておるわけでありますけれども、いまの局長答弁は、産構審の答申を否定することになるのですが、その点どうでしょう。
  106. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 御指摘のように、産構審答申におきましては、「ナショナル・プロジェクト等によるソフトウエアの開発促進」という項がございまして、この点を指摘をいたしております。私どもといたしましても、もちろん、高度なシステム、開発技術、あるいはそういったようなことに基づきます大規模な公共的なソフトウエアの開発ということが、今後ともわが国においても必要になってまいりますし、また、その方向に向かってこういったものの発掘と申しますか、開発と申しますか、そういった計画も進めていきたいと考えております。ただ、当面わが国といたしまして、ではどういうようなナショナルプロジェクトというものを設定し、それに必要な予算措置でありますとかその他をやっていこうかということになってまいりますと、これはやほり関係省庁政府全体としていろいろな議論が出てまいろうかと思います。こういったものを設定いたしましてこの開発促進をはかっていくには、なお意見調整をし統一をしてやっていく必要があると思うわけでございます。これにはやはり相当時間がかかるとも思いますので、とにかく当面の施策としては、こういったことも片方で考えながら、まず民間の頭脳というものを開発し助成していくという施策がやはり必要であろうと思います。私は決してナショナルプロジェクト等によるソフトウエアの開発促進ということを否定しているわけではありませんで、むしろ将来としては、こういった方向にわれわれとしても進んでいきたいという考えを持っておるわけでございます。
  107. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまの局長答弁は、政府考え方としては当然の考え方だと思うのです。やはりナショナルプロジェクトを中心にして民間を主導していくという姿が、日米間のギャップを埋めていく手っとり早い道だと思うのです。それでは具体的にこの産構審の答申によるナショナルプロジェクトを開発するための手段、そういったものはすでに通産省としてお考えになったことがあるのですか。この答申があってもうすでに一年を経過しようとするのですが、その点どうでしょうか。
  108. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 たとえばアメリカにおきますアポロ計画でございますとか、そういったようなことに類するようなわが国におけるナショナルプロジェクトとしてはどういうものがあるか。先般の当委員会における御質疑の中にも、たとえば公害の防止といったことも二つのナショナルプロジェクトではないか。こういったことについて、これを防止するために何らかのまとまった一つの技術、その技術を開発するためのソフトウエアというようなものを考えてみてはどうかというような御提言もございました。ナショナルプロジェクトというものにつきましては、通産省だけの問題ではございませんで、もちろん非常に広く関係省——政府全体と申したほうがよろしいかと思いまするが、議論をしてまいりまして、そういったものに必要なソフトウエアというものは、民間のお力を借りながら開発していくということになると思いますが、そういったものを一体どういう点に視点を置いて開発していくか、これにはやはり相当期間、こういったものについて関係方面と協議をいたし、調整をとっていく必要があろうかと思います。こういった点につきましても、私どもといたしましては、関係省との間でいろいろと会議を持っておりまするので、そういった面の会議等を通じまして、今後とも研究を進めてまいる所存でございます。
  109. 松浦利尚

    松浦(利)委員 今回のこの法案によりますと、ナショナルプロジェクトとほど遠いプロジェクトの開発という問題が民間によってでき上がってくる場合に、この「目的」では「国民経済の健全な発展に寄与する」というふうな目的になっておるわけでありますから、そういうチェックする機能というものが政府にあるわけでありますか。この法律でいけば、この目的と無縁の一企業の繁栄のために、プロジェクトというものが開発される可能性があるのです。歯どめがないのです。これはどのようにして歯どめをなさるのですか。一企業のためのプロジェクト開発というものに重点を置かれた場合にはどうするんですか。
  110. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 この法律によりますと、まず第三条でもって、「情報処理の振興を図るため開発を特に促進する必要があり、かつ、広く利用される種類のプログラム」というものを計画内容にいたしたいと考えておるわけでございます。この点につきましては、午前中の堀委員からの御質問に対しましても、具体例をあげて御説明申し上げましたように、私どもは、非常に狭い意味特定目的にのみ利用されるというようなプログラムを、計画の上に乗せる考えはありません。むしろ一号のほうの、いわば性能のいい電算機の設置の目標に合わせまして、オペレーションプログラムでありますとか、そのオペレーションプログラムからさらに一歩出ますいわば汎用的な応用プログラム、こういったものの目標等を掲げたいと考えておるわけであります。かつまた、これを受けて事業協会におきまして委託開発をするわけでございますが、委託開発をいたします条文が二十八条にございますように、「開発を特に促進する必要があり、かつ、その開発成果事業活動に広く用いられると認められるプログラム」、こういうことでございまして、いまお話しのように、特定の企業あるいは企業集団と申してもいいかもしれませんが、そういったものの目的にのみ使われるようなプログラム、こういったものを開発していくという考えは、この事業協会の業務としては持っておらない次第でございます。
  111. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまの局長答弁でいきますと、開発されたプログラムは全部公開をする、その原則が貫かれているというふうに理解していいわけですか。
  112. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 いまお話しの開発されたプログラムとおっしゃるのは、二十八条の一号によりましてこの協会が委託開発をしてでき上がったプログラムというふうに了解をいたしましてお答えをいたしたいと思いますが、もちろんこの協会が委託開発をするわけでございますけれども、公開と申しますか、委託開発をいたしましたものは、それぞれ所要の向きにこれを利用してもらうことが先決でございます。利用されないプログラムは幾ら開発しても意味がございません。そういう意味から、委託開発といたしましては、プログラムにつきましてはできるだけ利用してもらうという観点から、必要な向きに、その利用を希望するものにはこれを使っていただくことが趣旨だろうと思います。公開というおことばをお使いになりましたが、委託開発したプログラムは公開と申しますか、広く利用される必要があるというふうに考えております。
  113. 松浦利尚

    松浦(利)委員 この協会で開発されたプログラムの特許という問題についてはどのように考えておられるのですか。開発した業界から特許の申請が出された場合にはどのように扱われますか。
  114. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 このプログラムあるいはソフトウエアというものが一体特許権の対象になるかどうか、これは非常にむずかしい問題でございまして、私どもあほうの特許庁でもそういった面について検討を加えております。ただ、現行の特許法のたてまえから申しますと、必ずしもこのプログラムあるいはソフトウエアといったものが特許権の対象にはならない、こういう意見が大部分でございます。したがいまして、このプログラム開発された場合にもこれが直ちに特許権の対象になるとは考えておりません。
  115. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまの問題ですが、特許の対象にならないというふうに理解していいわけですね。
  116. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 現行特許法の場合には、いまの御意見のとおりだと思います。
  117. 松浦利尚

    松浦(利)委員 将来にわたって特許法を改正して特許の対象になるようなことはない、こういうふうに理解していいんですね。大切な問題ですからね。
  118. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 現行の特許法では特許の対象にならないということを申し上げたわけでありまして、将来、こういったプログラムないしはソフトウエアというものを、特許権あるいは著作権、こういったいろいろな形でどういうふうな保護をしていったらいいか。これはこういった問題に関する基本問題だと思います。したがって、将来につきましては、もちろん、こういった権利保護についてどういう形がいいかということにつきまして、十分調査研究をいたしまして、その上で決定さるべきものと考えております。私が申し上げたのは、現行の特許法においては特許権の対象にならない、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  119. 松浦利尚

    松浦(利)委員 政務次官にお尋ねをいたします。いまの問題とは別ですから御安心ください。  ソフトウエアの問題ですが、ソフトウエアの開発をする業者がもうからないソフトウエアを開発するというふうにお考えになりますか。
  120. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 たいへんむずかしい質問でございますけれども、もうからないか、もうかるか、その点はわかりませんけれども、それは将来にわたって、第一条に掲げてあります国民経済に寄与するということならば、開発するだろうと考えております。
  121. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 補足して御答弁申し上げます。  現在のソフトウエア業者と申しますのは、いわば発注を受けまして、その発注に基づいて所要のプログラムを組み立てるということをやっております。したがって、発注に伴いまして、当然それについての対価を契約上取りきめてやっておるわけであります。ただ、将来はこういったものだけではないと考えておりまして、アメリカでいわれておるような、いわゆるプログラムパッケージというようなものがやはり今後とも必要であると思います。プログラムパッケージということになってまいりますと、物の生産の面で申しますと、いわば見込み生産ということになってまいるわけでございますが、現状のソフトウェア業者は、まだそこまで手を出すだけの規模にも達しておりません。ただ、将来の問題としてはそういうことは考えられますので、その際はもちろん当該業者としては、もうかるというと語弊があるかもしれませんが、社会的にそれが流通し、販売され、したがってそれによって営業収益を得る、こういうことを目標に、いま申し上げましたようなプログラムパッケージといったようなものの開発を手がけてまいる時期が早晩参るものと考えております。
  122. 松浦利尚

    松浦(利)委員 この法律は金を貸すということだけであって、確かに第一条には、国民の福祉という問題がこの「目的」の中で触れられておりますけれども、その他の条項を見てまいりますと、そういったものに対する歯どめというのが出てこないのですよ。極端にいうと、もうかるソフトウェアは開発されていくけれども、ほんとうに国民のためにはなるけれどももうからないソフトウエアというのは開発されていかない。もうかる分は自分で独占をする、もうからなくなったら公開をする、こういったものに対する歯どめというのが、この法律ではなかなか出てこないのですね。そういう問題について歯どめをするには、やはりナショナルプロジェクトの開発を国が主導してやるという姿勢が出てこなければならないと私は思うのです。その点どうです。
  123. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 この法律全体と申しますか、この法律趣旨は、やはりプログラムと申しますか、ソフトウェアというものの開発を今後育成をしていこう、助成をしていこう、また情報処理サービス業なりソフトウエア業の育成をはかっていこう、こういう趣旨でございます。いまお話しのように、もうかる、もうからないというような議論もあると思いますが、ただ何ぶんにも現状において非常に幼稚な段階にあり、しかもこれに関する技術者の大部分が民間に存在をいたしております。政府にも技術者はおりますが、やはりこういったプログラムの専門的なことのできる技術者の数は、何と申しましても民間に大多数おるわけでございます。こういった人たちの頭脳所産であるプログラムというものについて、私どもとしては、この法律自身は、先ほど来申し上げておりますように、高度の電算機に必要とされるようなオペレーションプログラム、あるいはそれを応用いたしました基礎的あるいは汎用的と思われるプログラムというものの開発に努力をしたい、こう考えておるわけでございまして、それ自身がもうかるとかもうからないとかいいますよりも、むしろ今後のソフトウエアというものの振興をはかるためには、まずその基礎のところから手がけなければならない、そこを重点に考えていかなければならないという趣旨で、この事業協会の業務につきましても規定をいたしておるわけでございます。もちろん先生のおっしゃるように、私どもとしては、将来におきましてできるだけ早い機会に、ナショナルプロジェクトのようなものが政府全体として設定をされ、それに基づきましていろんなそれに必要なソフトウエアというものが大量に必要とされると思いまするので、そういったものが民間に委託をされ、それによって民間のソフトウエア技術力と申しますか、エンジニアリングと申しますか、そういったものが育成強化されてくるということはもとより望ましいことでありまして、そういった点についても、先ほど来御答弁申し上げておるように、私どもとして引き続き鋭意検討努力をしてまいりたい、こう思う次第でございます。
  124. 松浦利尚

    松浦(利)委員 政務次官にお尋ねをしますが、アメリカにおいてもジョンソン大統領が一九六五年PPBS計画というものを出されて、これは前国防長官のマクナマラ計画ともいわれておるのですけれども、国防費のむだな予算を省くために、国家自体が一つの大きなユーザーになってソフトウエアの開発を促したという経験があるわけなんですね。そういうものについて政府自体はどのようにお考えになっておられるのか、これが一つです。  それからもう一つは、産構審の答申の中に、「中央官庁におけるコンピューター導入状況と適用業務一覧」というのがあるのです。これは行政管理庁のほうからも、政府に対してきびしくむだの問題について指摘がされておるのですけれども、たとえば同じ統計を扱うにしても、これ自体がコンバージョンシステムをつくらなければ流用がきかない。このように情報化の時代を迎え、民間を強化をしてソフトウエアを開発するという政府自体が、政府の内部において導入しておるコンピューターの扱い一つとってみてもまとまっておらない、こういう状況なんです。こういう点については政務次官はどう思われますか。
  125. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 先生のおっしゃるとおりで、PPBSについては現在大蔵省で鋭意研究中でございます。また各省間にございますコンピューターが、実際的に運用が十分にいっていないことも事実でございます。これは私の意見になりますけれども、これはぜひ統合して一つコンピューターのセンターのようなものをつくって、官庁内でそれを整理し、またそれが各省間で使えるような形でなければ非常に効果的な使い方はできないであろう。まあ、ある省においてはコンピューターを購入したけれどもほとんど使ってない、ほこりにまみれているというようなうわささえ出ているくらいでございます。これはたいへん残念なことで、今後そういうPPBSあるいは各省間のコンピューターの使用についてはもっともっと研究して、これによって国民の生活が潤うような、将来そういう行政の簡素化という問題とつながって大いに利用されなければいけないと私、考えております。
  126. 松浦利尚

    松浦(利)委員 政務次官、いま言われたことは、将来の展望として理解をいたします。しかし問題は、ソフトウエアの標準化もできておらない。コンバージョンシステムというものもまだ開発されておらない。このように、民間に主導させたら、コンピューター開発がばらばらの形で進むのです。ですから、私がいまここで強調したいのは、いま必要なのはナショナルプロジェクトの開発中心にして、乱立するソフトウエアの企業をただ育成助長するということだけではなくて、ほんとうに必要なのは、一元的に国の機能をあげてこういう情報化時代を迎えて対処する、国が主導する、こういう姿がなぜ出てこないのか。しかも産構審の答申というのはそのことを具体的に提起しておるのです。そういう問題をこちらに置いて、ただソフトウエアの業者を——アメリカでもソフトウエアの業界というのは非常に零細企業が多いのです。アメリカですら、ソフトウエアは専門化して零細企業なんですね。そういうところだけに資金を入れて援助をしていくということだけでは問題は解決しないのじゃないか。そういう大きな国家計画というものが浮かび上がってきて、その中で民間の業界を指導する、あるいは援助をするという形が出てくるのがほんとうなんです。ところがそういう国家的なものがなくて、ぽっとこういうものが出てくる。それがやはり情報化時代を迎えて、むしろ産構審の答申とほど遠い内容のものを一時しのぎに出したにすぎない法案だという気がしてならないのです。そういう問題について、国自体が主導してやる方法、そういったものを具体的に今日議論しておるのですか。その点どうです。
  127. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 産構審の答申の中に、ナショナルプロジェクトとしてやれということがございます。確かにナショナルプロジェクトでやる部門が非常に多いと思いますし、現在の日本の経済を見ておりましても、ソフトウエアの開発という問題は非常に重要なことでございます。政府もぜひ早く各省間との話し合いによって基本法を策定して、ナショナルプロジェクトを大いに推進するように今後ともつとめなければいけないことも事実でございます。そういう手だてを今後とも努力してやっていこうという考え方でございます。
  128. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま政務次官が基本法ということを言われたのですが、おそらく情報化基本法というものだと思うのです。いま次官が言われたとおり、今日、国にとって一番の問題は基本法がないということなんですよ。自分たちがかってにばらばらにやっておる。しかも各省庁もばらばらだ。横断的な連絡機能というものも法制化されておらない、こういう状態なんです。しかもアメリカのコンピューターあるいはソフトとのギャップというものがどんどん開くばかりということになれば、いま言われた基本法というものを早急に制定をしなければならぬと思うのです。いつごろその基本法はでき上がると思っておられるのですか。いつごろ提案されるのですか。
  129. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 いつごろと言われますと困りますけれども、これは各省間にまたがる仕事もございますし、また各業界あるいは国民生活にも非常に関係ある問題でございますから、早急にこれをまとめたいと考えております。
  130. 松浦利尚

    松浦(利)委員 文部省の学術局長にお尋ねをしておきたいのですが、実は教育学術新聞の四月八日に出ておったのですけれども、この産構審の答申を受けて、一般教育あるいは産業教育、こういった面で情報化処理教育に関する会議というものが今日文部省に設置をされておる。しかも、早急に中間答申あるいは最終答申をする段階にきておるというふうに、この新聞に書いてあるわけですけれども、これは事実でございますか。
  131. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 文部省といたしましては、この情報処理の問題がこれからの大きな教育、研究上の課題になると考えまして、実は産業構造審議会の答申がございますより以前からも、学識経験者の協力を求めましてこの問題を御検討願っておったわけでありますが、審議会の答申などもございましたので、大学レベルの問題といたしましては、主として大学の学識経験者の協力を求めて、情報処理教育のための会議を持ちまして、そこから中間的な御報告は昨年の七月三十日にいただいております。それから高等学校以下、と申しましても主として高等学校でありますが、これにつきましては、理科教育及び産業教育審議会という法律に基づく審議会がございますので、ここで御検討願いまして、そこからも中間的な建議を昨年の暮れにいただいております。  そういう中間報告なり建議を基礎といたしまして、情報処理に関する大学及び高等学校などにおける教育、研究面の充実、拡大をはかっておるのが現状でございます。
  132. 松浦利尚

    松浦(利)委員 村山局長にさらにお尋ねをしておきたいのですけれども、いまちまたには電算機学校というのがたくさんあるわけなんです。学校法人の学校もあれば、そうでない学校もあるわけなんですね。現実問題として、こうした電算機学校の教育内容を見てまいりますと、教育のパターンと方法にたいへんな欠陥があるわけですね。たとえばカリキュラムの充実といった問題についても、何ら検討されずに電算機学校でかって気ままに教育が行なわれておるという事実があるわけですが、こうした問題については文部省としてはどのようにお考えになっていますか。
  133. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 文部省では、学校教育法一条による学校のほかに、各種学校のことも所管ということには相なっておりますが、各種学校につきましては、学校教育法一条の学校だけではまかない切れない自然的な社会的需要に対して、学校教育に類する形で実際的な教育を行なうというのがたてまえになっておりまして、所管も都道府県認可という形で教育が行なわれております。基準といたしましてもきわめて簡単な、一年以上、たとえば六百八十時間以上、一クラス四十人以下の修業者を集めて行なう教育が各種学校だという程度の規制しかございませんので、その教育内容まで文部省が立ち入って指導するというようなことは実際問題としていたしておりません。こういう各種学校に対する対処のしかたについては御批判もございます。各種学校の中でも、社会的に有用な教育を行なうものにつきましては、もっと基準を高めて助成もし指導もすべきではないかという御意見がございます。     〔委員長退席、武藤委員長代理着席〕 そういう御意見に基づきまして、過去に赴いて何度か学校教育法改正の試みをいたしましたけれども、諸般の状況から、国会提案いたしましてもまだ成立するに至っておりませんので、各種学校に対する態度といたしましては、いまのようなことで、所管ではございますけれども、特段の規制、助成などを行なっておらないというのが実情でございます。
  134. 松浦利尚

    松浦(利)委員 この産構審の答申の二十九ページ、この中には「専門技術者の育成、確保」という答申が出されておるのです。その中には、四十七年三月までに、システムエンジニアが四万五千名、プログラマーは五万四千二百名、合わせて約十万近くの要員が必要であるという答申がなされておるわけです。ところが、いま学術局長お話しになったように、この要員を確保していくための文部省の指導体制というものも、いま言われたような形でまだ不十分なところが出てきておる。こういう状況なんです。ソフトウエア部門だけが育成強化されていっても、利用する要員が確保されていなければ、幾ら開発されたってだめなんですから、そういう面が非常にアンバランスに進行してきておる。  郵政大臣が三時半にここを退席されるそうですから、この際、郵政大臣にお尋ねしておきたいのでありますが、大臣所管であります電電公社自体も今日ソフトウエアの開発をしておるというふうにお聞きしておるわけでありますが、そのとおりでございますか。
  135. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 電電公社は、御承知のようにオンラインサービスとでも申しますか、電話回線とコンピューターをつなぐという役割りを演じておるわけでございますが、現在、試行的にそういうサービスを始めておるのはたぶん御案内と思いますけれども、いまおっしゃるソフトウエアの関係も、これまた無関係と言えませんから、そういう意味では十分研究しつつあるもの、こう考えております。
  136. 松浦利尚

    松浦(利)委員 郵政大臣にお尋ねをいたしますが、この法律による民間によって開発されるソフトウエア、今日電電公社が行なおうとするソフトウエア、これが同じ開発でありながら競合するということがあり得ると思うのでありますが、その点どうでしょう。
  137. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 こういう過渡期でございますから、あるいはそういう懸念なしとしないと思いますけれども、エネルギーをロスしてもつまらぬことでございますから、できるだけはそういう競合を避けるようにすべきが至当である、こう考えております。
  138. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣がいま、競合を避けるようにすべきである、こういうふうに言われたことはたいへん賛成でありますが、そのための方法としては、この産構審の答申を受けて、文部省は文部省、通産省通産省郵政省郵政省、各省がかってにばらばらで、ソフトウエアの開発なり、あるいはこれに対応する行政というものを進めていったのでは、あとで国自体が非常に混乱をして、これを統合しコンバージョンシステムをつくるにしても、たいへんな混乱を生じてくるわけてありますから、先ほど通産政務次官がお答えになりましたけれども、今日一番必要なのは、こうした混乱を国の主導的な方向に行政統一する、そういう意味基本法というものはどうしてもつくらなければならぬと思うのです。しかも急がなければならぬと思うのです。それで、通産大臣がおいでになっておりませんから、郵政大臣も、当然電電公社主管の大臣として、この基本法を早急に制定しなければならぬということについては、どのようにお考えになりますか。
  139. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 私、途中の論議を、かけつけるのがおそくて伺い漏らしましたけれども、情報処理に関する行政が各省にまたがっておっててんでんばらばらであるというのは、現状、御指摘のとおりでございましょう。したがいまして、当面各省間の連絡を密にいたしまして施策を推進しなければならぬと思いますが、そのための連絡調整機関政府の中に置く、こういうことは、私どものほうも賛成申し上げておるわけでございます。したがいまして、基本法という問題は、早急にとおっしゃるわけでありますが、私どももその必要は感じておりまして、それを推進するには決してやぶさかではございません。
  140. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣、その基本法は、ほうっておきますと、先ほど言ったように、各省がばらばらで独走的に走る。しかも、こういう法律によって、民間も政府資金を入れることによってどんどんとソフトウエアの開発が進む、こういう状態では、いざ今度は基本法をつくって国が主導しようとするときには、なかなか困難なんですよ。その急がなければならぬ基本法を、それではいつごろ国会に提出されるようになりますか。その点をお尋ねいたします。
  141. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 まだそういう問題について結論を得ておるというわけではございませんが、いつという時点を示せとおっしゃいますと、私が独断でお答えをするというわけにもいきかねますけれども、まさにそういう機運が生じており、今回のこの情報処理事業協会でございますか、こういうものが生まれるというのも必然性があるわけでございまして、そういう諸般の情勢にかんがみまして、とりあえず、政府間においていまおっしゃるような問題を協議をいたしてまいりたい、かように思います。
  142. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大切な問題ですから、たいへんくどいようになって質問が失礼になるかもしれませんが、こういう民間を助成するための法律、学校教育を促進するための教育法の改正、あるいは電電公社オンラインシステムに対する問題あるいは大型プロジェクト開発のための国として行なう事業——いま百億の金をかけて大型プロジェクトの開発をしておられるようですけれども、そういったものが一つ基本法という大きな国の主導的な中から出てくる、これがそうであれば私たちは十分理解ができるんです。ところがそうじゃなくて、下のほうからこういうようなのがどんどん出てきて、あとから基本法ができる、こういう考え方がどうも理解できないのです。しかも、非常にアメリカと日本とのギャップが大きいから、早くしなければならぬ、早くしなければならぬということだけで乱雑にすべてが処理されるということでは、私はやはり非常に問題があると思うのです。ですから、努力目標になりますけれども、来国会基本法というものが提出できるくらいに、今日政府各省間の話し合いというものは煮詰まっておるのですか。それとも、できないほど、まだまだ先に延びるほど各省間の考え方というものは、この産構審の答申を受けて煮詰まっておらないのでしょうか、その点はどうでしょう。
  143. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 こういう新しい分野の仕事でございますから、事実が先行するということは私はあり得ると思うのでございます。それが既成事実ができてしまうと、あとこれを総合調整する上に非常に困難があるだろう、こういう点を松浦さんはたぶん御指摘に相なっておるかと思いますが、いずれにもせよ、ここで、それじゃ来国会これを取りまとめて提出をいたしますというのには、私の受け持つ分野が限定されておるのですから、もう少しこの問題は煮詰めた上で御回答を申し上げるべきであろう、こう思います。
  144. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これは、この法案を審議するには、たいへん重要な根本的な問題だと私は思うのです。それで、およそいつごろでき上がるのか。本委員会に、各省の意見をまとめていつごろと、およそのめどを出していただきたいと思うのです。いつごろになるのか、その点どうでしょう。
  145. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 通産大臣がここにいらっしゃれば私も都合がいいのですけれども、きょうは——いま政務次官とも耳打ちをいたしたのでありますが、なるべく早くということで、きょうのところは、私からそれを明示するというのはひとつ御猶予願いたいと思います。
  146. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それじゃ大臣、希望として申し上げておきますが、本国会が終了するまでに——私は出張質問者ですから私はおらないかもしれませんが、いつごろを目安として基本法を出せるかということについては、ひとつ今国会中に各省大臣意見をまとめて発表していただきたいと思うのですが、その点どうでしょう。
  147. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 それでは、ひとつ政府部内意見の取りまとめをいたしまして、御希望のようにいたしたいと思います。
  148. 松浦利尚

    松浦(利)委員 政務次官にお尋ねをいたしますが、新経済社会発展計画、これは昭和四十五年四月九日、経済審議会から出された内容のものであります。これの「情報化の促進」という中に、「情報行政の横断的調整をはかりつつ情報化へ向かって民間を誘導するとともに、さらにすべての行政運営の面において自らのシステム化推進しなければならない。」こういうふうに書いてあるのです。そういう点からいくならば、いま郵政大臣お答えになりましたように、通産省がこういう法律を出すとかなんとかということではなくて、少なくともこの発展計画内容を見るならば、いま大臣答弁なさったように、横断的というのですから、国の一つ機関としてそういうものをおつくりになって、基本法を制定する、あるいは情報化社会に対処するというようなお考えについてはどうでしょう。
  149. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 先生のおっしゃるとおりで、今度の協会等に関する法律は、ソフトウエア開発に対して非常に緊急かつ必要な問題でございます。そういうことで法律をいま提案しているわけでございますけれども、これは基本法ができました暁には、やはりその中で再検討するの必要があると思います。
  150. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私はここに予算委員会第五分科会の会議録を持ってきております。これは堀分科員が郵政大臣に対して質問をいたしました情報化に対しての三原則、こういう問題があるわけですが、これは全部読み上げる必要もないと思うのですけれども、平和的利用に向かって、しかも国民生活に役立てる、これが一つ。それからもう一つは民主的な運営をはかる。もう一つは基本的な人権を守る。この三つの問題について大臣は明確に、三原則については私も——ことばは違いますけれども、そのとおりだ、正しいことだ、こういうふうに言っておられるわけでありますが、そういうふうに、政府考え方が、大臣答弁なさった三原則というものについて、間違いない、そのとおりだというふうに本委員会でもお答えできますか。
  151. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 これは、三原則といいますと何か非常に金科玉条みたいに聞えますが、原子力なんかに関してもそういったプリンシプルができておるようでございまして、たまたま堀委員がそういう御提案をなさったわけでございます。したがいまして、私は異論はありませんと、こういうお答えをしたように記憶をするのでございますが、おあげになった三つの項目は、これは常識的に見ましても妥当な線ではなかろうか、かように考えておるわけでございまして、通産大臣いらっしゃれば非常にいいのですが、まあこれに対してはさほど御異論はあるまい、こう思います。
  152. 松浦利尚

    松浦(利)委員 さらに、基本法ができるまでに——実は産構審の答申を見まして、各国の情報化システムに対するそれぞれの委員会等の設置の図面があるわけですね。この中に、西ドイツ等では情報処理諮問委員会、こういったものが現実に国の機関として存在をしておるわけでありますが、そういう情報対策処理委員会、こういったものを政府の直轄としておつくりになる、こういうふうなお考えはございますか。大臣どうでしょう。
  153. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 ドイツの場合と違いまして、日本では、原子力委員会あるいは宇宙開発委員会のような形の情報処理委員会というようなものが必要かという御質問でございますけれども、私はそういうものを必要とするかということになりますと、いま直ちに必要としないというふうに感じております。
  154. 松浦利尚

    松浦(利)委員 必要ないと、こう言われたわけですか。末尾がはっきりしなかったのですが、必要ないと、こう言われたのですか。
  155. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 そうです。当面は必要がないだろう。将来もっと検討しまして必要性を認めるならば、それは必要となるかもしれませんけれども、現時点では考えておりません。
  156. 松浦利尚

    松浦(利)委員 先ほど、現在各省間に連絡をもってやっておられる、こういうふうに答弁があったわけですけれども、それはどういう関係のものですか。
  157. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 とりあえずいま、行政管理庁中心としまして七省庁連絡会議を開いております。こういったことから、情報処理行政ベースにおけるいろいろな問題、さらには情報化に即しますいろいろな施策についての連絡等、これで行なっております。そのほかソフトウエアの技術につきましては、私ども工業技術院中心になりまして、これは関係の二十七の省庁あるいは研究機関等が集まりまして、電子計算機利用技術の研究委員会というものを持っておりまして、ここでもって関係省庁あるいは研究機関等の意見を連絡をとりながら進めておる次第でございます。
  158. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣にお尋ねをいたしますが、いま言ったようなことが必要だから現在行なわれておると思うのですが、それを、先ほど申し上げたように、法制化して、基本法ができるまでの間対処をする、あるいはもっと強力なものにする、こういうふうなお考え方はありませんか。
  159. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 この国会は、御案内のようにもうあと会期も余すところわずかになりまして、新しい法的な基礎を与えるというふうなところまではなかなかいきかねるだろうと思います。しかし、当面急を要する問題であります以上は、これは私の私見ですけれども、たとえば物価問題に対して閣僚懇談会もございますように、これは、情報産業に関係の閣僚協議会みたいな、こういうものでも設置をいたしまして御要望にこたえたならばいかがか、こう思っております。
  160. 松浦利尚

    松浦(利)委員 約束の三時半がまいりましたので、これ以上いろいろと質問ができませんが、あと発言者がありますから交代をするつもりですけれども、今回の出されたこの情報処理振興事業協会というのは、私は皮肉にとるなら、この産業構造審議会の答申の中の通産省に都合のいいところだけ出した、あとの各省のことについてはあまり関係がない、こういうふうにどうも各省間のなわ張り争いみたいな感じがしてならないのです。未来の先取りを各省でやって、通産省がこれをおれのところだと取った。御承知のようにソフトウエアというのは、必ずしも通産省の所管事項ということもはっきりしないと思うのです。御承知のように、文部省の機関であります情報処理教育に関する会議の答申の内容を見ましても、情報化に対する学科というものについては、何学科、何学科というワクを取っ払って、一般的な学問として幅広く行なうべきだというふうにいっておるのです。いままでの学問体系の中に入らないといっておるのです。それと同じようなソフトウエアというものについては、必ずしも私は通産省の所轄事項ではないと思うのです。ハードということになればこれは別です。そういう点についても、きわめてまだ私は政府内部が固まっておらないのじゃないかと思うのです。通産省は、おれのところだ、こう思っておられるけれども。だからそういう点では、先ほど郵政大臣あるいは政務次官が前向きに御答弁になりましたように、早急に基本法をつくって提出していただく。そして、各省間でばらばらになっておる今日の行政を一本化するために、閣僚懇談会というものを早急につくってそういうふうな対処をしていただく。そしてそういう中から、民間主導型というのじゃなくして、やはり産構審なりあるいは新経済社会発展計画の中に指摘しておりますように、ナショナルプロジェクトの開発によって国が主導して、経済発展と国民生活福祉のために主導的な役割りを果たす、こういう形態がとられない限り、いかにこういう形でソフトウエアの開発をしてみても、アメリカとのギャップというのはなかなか埋まらないのじゃないかと思います。そういう点ではぜひ前向きに、各省間のなわ張り争いじゃなくて、政府が一体となって、情報化という重要な、極端にいうと国民の生活が変わるような、そういった事態に即応する対策を早急に講じていただきたいと思います。  最後にただ一つ通産大臣にお伺いをいたしますが、コンピュータの自由化ですね、これはいつごろなさるつもりですか。
  161. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 コンピュータの自由化については、国内産業その他の関係がありますので、いまのところ考えておりません。
  162. 松浦利尚

    松浦(利)委員 日米間のギャップが相当開いておりますね。これが埋まらない限り自由化をしない。西ドイツあるいはフランスのように、IBMが上陸して国内の情報産業が乱されるということのないように、ギャップが埋まるまではコンピュータの自由化はしない、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  163. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 私、そのように解釈いたしておりますけれども、これはあと部分は私の意見でございますけれども、日本にハードウエアの会社六社ございますね。これはやはり統合してもろと強力なものにしていかざるを得ないであろう、そういうふうな形をとったほうが日本の電子計算機メーカーがもっと育成できるのではないかというふうな感じも持っておりますけれども、先生のおっしゃるとおりに、日米間のギャップが埋まるまでは自由化すべきでないと考えております。
  164. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、いまの政務次官の最後の御答弁をいただいたので、私の質問を終わらせていただきます。建設委員会から出張してたいへん失礼なことを申し上げましたが、お許しをいただきたいと思います。ありがとうございました。
  165. 武藤嘉文

    ○武藤委員長代理 中谷君。
  166. 中谷鉄也

    中谷委員 コンピューター利用についての三原則、その中に平和的な利用ということが強く主張されているわけですが、そういうことだとすると、防衛庁におけるコンピューター利用ということとどういう関係になってくるんだろうか。いわゆる軍事目的利用しないというようなこととの関係については、防衛庁の関係者の方においでをいただいて質問をするつもりでおります。ただ、きょうは何か都合が悪くておいでにならないようで、政府次官にお尋ねするつもりはないのです。これは日をあらためて——私の質問の重点はそこでございますので、きょうは資料要求をさしていただきたいと思いますが、問題の私の関心点を若干明確にしておきますために、資料要求をさしていただく前に一点だけ質問をさせていただきたいと思います。  法案の第二条の二項には、プログラムについての定義がございますね。そこで、そういう定義は詳細に記載されているわけですけれども、先ほど重工業局長から、プログラムは現行特許法の特許権の対象とはならないという御答弁がございました。ならないというのはどういう理由からならないのでしょうか。まずその点からお答えをいただきたいと思います。なるという説はどういう説ですか。
  167. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 プログラムが特許権の対象となるかどうかという点でございますが、いわゆる特許法上の問題点から申しますと、これが「自然法則を利用した技術的思想」であるかどうか、こういった点に非常に疑問があるわけでございます。  さらに特許の問題で申しますと、特許の場合には、特許権が成立いたしますると公開が原則ということになるわけでございますが、プログラムと申しますのは、これを使いました結果というものがいわば目に見えるといいますか、そういった製品ということになってまいりません。そういったことから、いわば盗用されてもそれをなかなか探知することができない、こういったようなこともあろうかと思います。  また実際問題として、プログラムの審査をするといったような場合、どういったような資料を整備する必要があるか、こういったことにつきましても、現在では全く資料的なものの蓄積というものがまだございません。こういったことで、特許法上これを一体特許権の対象と考えていいかどうか、こういった点につきましては法制上の問題また実際の取り扱い上の問題等があるのではないか。こういうことで、私どもとしては、まだこの点は十分詰めて議論をしていかなければならない問題ではないか、かように考えておるわけでございます。
  168. 中谷鉄也

    中谷委員 問題点を三点おあげになりましたね。「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」を「発明」ということは、特許法第二条の第一項に規定されておるとおりでございますね。ただ、保護ができないんだということは、保護の困難性ということであって、特許権の対象にならないという理由ではないわけですね。そうでございますね。  いま一点の、公示・公開の原則との関係における問題点というのは、これも必ずしも特許法上の特許権を取得できない理由にはならないと思う。だとすると、問題になるのは、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」という、プログラムがそのようなものではないのだということなのかどうかという点についての御答弁が、さらに詳しくされなければならないのです。  ただ、先ほどの局長の御答弁の中には、現行特許法上の特許の対象になり得ないというのが多数説であるというおことばがございましたね。だから、少数説があるわけですね。少数説はどういう論理展開をいたしておりますか。
  169. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 少数説と申しますか、そういう表現を使ったのは若干あいまいでございましたが、確かに特許法上の問題点の最大のポイントは「自然法則を利用した技術的思想の創作」、そういったものであると言えるかどうかという点が最大の問題でございます。この点につきましてはいろいろ議論がございます。  それからもう一つ、これは正確なお答えになるかどうかわかりませんが、私が多数、少数というようなことばを申しましたのは、ハードウエアに密着したと申しますか、要するにハードそのものを動かしますために必要なプログラムもあるわけでございます。そういったものはハードと一体的なものでございますので、いま申し上げたような「技術的思想の創作」という中に入れ込めるのではないかというような議論も一部にあるわけであります。こういったことで、全部のプログラムというものがどうかという議論のほかに、ハードと密着した一部のものは、あるいはこういったもので読み込めないかというような意見も、実は省内でいろいろ議論しております際に出てきておるということを申し上げたわけでございます。
  170. 中谷鉄也

    中谷委員 少数説じゃ多数説じゃないわけですよね。プログラムの中には、特許権を取得し得るプログラムもあり得る。例は少ないだろうけれどもそういうものもあり得る。そうすると、どうも重工業局長、歯切れがあまりよくないと思うのですが、何だったら私のほうも質問を少し整理しまして次回にしてもいいのですけれども、もう少し説明をしていただきましょう。  発明の定義は、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」をいうわけです。プログラムがこの規定のどこに合致しないわけですか。一般的にどこが欠落をするわけですか。
  171. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 法律上のたいへん詳細な議論でございますので、しろうとの私が専門家の中谷先生に御答弁する、なかなか御満足がいただけないかと思いますが、私ども省内でいろいろこういった問題を議論しておりますときに、私が承知いたしております限りでは、「自然法則を利用した」というところが、このプログラムということになりますと、そういうことになるかどうか、こういった点が議論の焦点であったように思います。
  172. 中谷鉄也

    中谷委員 自然法則を利用してないとすると、プログラムは何を利用したものになるのでしょうか。実はこちらには種本があるのです。ですからこの点はもうけっこうです。問題点は私はわかっておりますから。ただ、少数説、多数説と言われたのでお聞きしたわけです。  そうすると、もう一度お尋ねをいたしますけれども、先ほど局長が御答弁になったのはこういうことですね。たとえば「特許管理」という雑誌のレポートにはこう書いてあります。「一般論として、新しい課題を発見し、それを自然法則利用の月並な手段で解いた場合でも発明の成立はありうる。このような観点に立つと或る種のプログラム一般論として発明の対象となり得ると言える。」これは理屈といいますか、そういうプログラムも発明の対象となり得るし、自然法則を利用した場合があり得るということですが、「計算機の応用について、新しい課題(技術的であれ、商業的であれ)を見出し、公知の汎用計算機をプログラムすることによりその課題を解くことができた場合」云々とありますね。そういうような場合は、要するにハードと密着をした場合というふうな場合は、局長のほうから、そういう場合にはプログラムは特許権の対象になり得るかもしれない。ということは、なり得るとおっしゃるのですか、なり得るかもしれないとおっしゃるのでしょうか。
  173. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 多数説、少数説と申し上げたのは、ちょっと私のことばの誤りであったと思います。要するに、ソフトウエアの中でもプログラムの中でも、先ほど申し上げましたような、ハードに密着をして、何と申しますか、ハードと一体的なものというようなプログラムは特許権の対象になるのではないかという議論が私どもの内部にある、こういうことを申し上げたわけでございます。
  174. 中谷鉄也

    中谷委員 そうすると、プログラムとは何か、プログラムの法的性格は何かというものを論議をする前提としては、特許権を取得し得るプログラムと、特許権の対象にならない、すなわち特許権を取得し得ないプログラムと分けて考えるということになる。そうすると、特許権を取得し得るプログラムというものがかりにあるとすれば、特許権を取得し得るプログラムの法的性格は、特許権取得の以前においてはどういうものなんでしょうか。特許権を取得し得るプログラムの、特許権を取得しない状態におけるプログラムは、法的な性格としてはどんな内容を持つのでしょうかという質問です。特許庁を呼んだらよかったですね。
  175. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 非常に専門的な御質問でございますので、ちょっとお答えがしにくいわけでございますが、私が申し上げておるのは、いま、特許権の対象になり得るかもしれない、なり得るのではないかという説があるということであって、なり得るというふうに省内で確定しておるわけではございません。
  176. 中谷鉄也

    中谷委員 ここで局長と押し合いをするつもりはさらさらないのです。なり得るかもしれないのだから、なるものとならないものとを分けて論議をしていくのが論理的だと思うのです。ですから、特許を取得し得るプログラムありとするならば、特許権を取得し得るけれども取得していないプログラムというのは、一般的に、特許法上の特許取得前のもの、そういうものとして理解すればいいわけですね。私のほうから答弁をしておきます。そうなるのですね。そうしますと、特許権の対象にならない、特許を取得し得ないプログラムというものがある。これは法的なものとしては一体どの法によって保護されているのでしょうか。たとえば著作権法だという説もあるし、不正競争防止法だという説もあるし、それとも一体何なのか。いろいろな説があるようです。プログラムとは一体法的には何か、この点はいかがでございましょうか。
  177. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 ただいま著作権という問題が出ましたが、どうも著作権の対象、著作権法上の著作権の対象にもならないというふうに考えられております。一般的に技術の問題ではよくノーハウということがいわれておりまするが、プログラムと申しますのは、私ども一種のノーハウと申しますか、ノーハウの一種と申しますか、そういったものであろうと思います。したがって、このものずばりを保護すると申しますか、そのものを何らかの法的な意味で保護するというような法体系はいまのところないと考えてよいのではないかと思います。
  178. 中谷鉄也

    中谷委員 プログラムとノーハウとを世間ではよく比較をして論じているわけですけれども、ノーハウというのは、御承知のとおり、技術上の秘訣というふうな一般的な理解のしかたをわれわれはするわけですね。そしてむしろノーハウというものの中には、特許の対象となり得るノーハウが非常に多い。そうすると、プログラムはイコール技術上の秘訣としてノーハウと重なってくる。技術上の秘訣という点ではノーハウと合致をする部分がある。ただしかし、法的な性格としてはノーハウとプログラムとは同じものとして理解していいのかどうか。どうもそのあたりになってくると、省内でよく御論議になったのかどうか。私も、この法案に取り組んだ最初は、ノーハウというものとプログラムというものとを何か同列に置いて理解をしようとしたのですが、そういうふうな理解のしかたがはたして正しいのかどうか。プログラムはノーハウである場合はあるだろうけれどもプログラムというものの法的な性格を理解するときに、ノーハウというものを持ち出してきていいのかどうか、どうもそのあたりがはっきりしないのです。要するにどうなんでしょうか。私の質問もはなはだ不整理ですが、局長の御答弁をお願いをいたしたい。
  179. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 ノーハウという概念も、いまお話しのように、技術上の秘訣と申しますか、非常に広い概念だと思います。それは、紙に書かれたもの、あるいは口伝えにあるもの、あるいは現場でそれを習得しなければ習得できないようなもの、いろいろなものがありまして、非常に広い概念だと思います。ただ、ノーハウとプログラムが比較的似ている点と申しますか、類似点と申せば、いずれも財産的価値を持っている無形のものというような感じで申しますと、非常に似た点もあるように思います。ただ、私どもプログラムということばを使いますときには、電子計算機というものがまずあって、その電子計算機利用する、その利用の方法について考えられるある種のノーハウ、これをいろいろな種類の方式、記号でもって組み合わせたものというような感じでプログラムというものを考えておるわけでございまして、その点、ノーハウそのものではない。そのものといいますか、いわゆるノーハウといわれているものと全く同一だとは思いませんが、先ほど申し上げたように、ある一種のノーハウという考え方、まあそういうようなものだろうというふうに私は考えております。
  180. 中谷鉄也

    中谷委員 違うのですね。違います。ノーハウ的な側面をプログラムは持っているわけですよ。そうでしょう。プログラムが技術上の秘訣である場合は、プログラムはイコール、ノーハウであり得るわけなんです。だから、そのプログラムのノーハウ的なものという側面を推し進めていけば、プログラムにおけるノーハウの問題点というのが出てくるわけですね。だから、プログラムとノーハウというのは、私は別個の系列に置かれるべき観念とか概念だと思うのですよ。どうも私もはっきりしませんがね。  そこで、どうでしょうか、先ほど局長は、プログラムというのは財産的な価値がある無形の物なんだとおっしゃいましたね。そうすると、これは一体権利なのですか、何なんでしょうか。無体財産権なんですか、それともプログラムというのは法律的には財産的な価値がある何なんですか。無形の物というのは法律的には一体何なんでしょうか。
  181. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 いまお話しのように、プログラムというのは、ノーハウ的な側面というか、性格を持ったものということでございますから、要するに物でないということは確かであります。そこで物でなければ何だということになるわけであります。ただ現在のところ、このプログラムにつきまして、特別の法律をもってこれに関する権利が確立されていないということでございますので、実体的には財産的価値を持っておるというものではございますが、いわゆる無体財産権というところまでは高められていないということばがいいかどうかわかりませんが、そういう形では確立していない、そういったものだというふうに私は思っております。
  182. 中谷鉄也

    中谷委員 思っておられるのはいいんですけれどもプログラムというものはノーハウについての有名な判例が最近出ましたね。東京高裁の昭和四十一年(ラ)三八一号、毛利野さんがお書きになった判例ですね。そこでこの判例によりますと、「判例時報」四六四号の引用ですが、「ノー・ハウが法律上如何に理解さるべきかは兎もあれ、財産的価値の存することは明であり、しかも未だ法律的には権利とは認められないものであると云わざるを得ない。」とありますね。この判例が必ずしも定説なのかどうか。四十一年の高裁判例ですから、こういうことがいいのかどうか問題はあると思うのです。  そこで、そういうふうなことでもう少しこの話を詰めてみます。第五条にプログラム調査簿の規定がございますけれども、「円滑な流通を図る必要があると認められるプログラム」という記載があります。財産的価値のある無形の物の流通というのは、結局、財産的価値のある無形のもので、流通というのは無形のものが流通をする。要するに、あらためて、プログラムというのは無形のものなのか。それとも流通するという場合には、それは磁気テープ等におさめられたものとして理解すべきものなのかというふうな点で若干疑問があります。この点いかがでしょうか。
  183. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 第五条で「円滑な流通」ということばを使っておりますが、私どもは、このプログラムについては、先ほど申し上げましたように、理解をいたしておりまして、先ほどお示しの四十一年の裁判所の判決も実は参考にいたしております。こういったような観点からいたしますと、いわゆる特別法によって確定された権利ではないけれども、何ということばがいいかわかりませんが、財産的価値のある一種の権利、いわゆる法律上確定した権利ではないけれども一種の権利、こういったような感じでそういったものが流通をする。流通ということばは、平易に申せば、おそらく売買というべきでありましょうが、他に使用される、あるいは対価を払って他に使用される、こういったように理解をしておるわけでございます。
  184. 中谷鉄也

    中谷委員 一種の権利ということでけっこうだといたしますと、その一種の権利というのは、排他性のある権利なんですか。
  185. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 私が一種の権利と申し上げたのは、やはりこれを持っている保有者と、それを使用する権限を譲り受けられる保有者以外の者との間の契約があるわけでありますが、その契約上の権利でございますから、したがって排他的な場合もありますし、またそうでない場合もあり得ると思います。それは契約内容によってきまることだと思います。
  186. 中谷鉄也

    中谷委員 違うんですよ。局長、それは間違っていますよ。契約によって生ずるのは債権債務関係でございましょう。私がいま詰めているのは、債権債務の対象となるプログラムが一種の権利——毛利野判決を否定し、さらに飛躍された赤澤判決みたいな赤澤見解をおっしゃるから私は言ったんです。ですから、契約によって生ずる利用権があとの二十八条で出てまいりますね。利用する権利、これは契約による債権債務関係ですよ。その基本になりましたプログラムというのは一種の権利だとおっしゃっていましたね。だとすると、一種の権利とは何権なのか。どんな権利に近い一種の権利か。毛利野判決を克服されて弁証法的に発展をされた御答弁がありましたので、そういうふうに私はお聞きしたのです。
  187. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 東京高裁の判例には、明らかに「未だ法律的には権利とは認められないものであると云わざるを得ない。」と書いてある。これを否定したわけではありません。きわめて俗っぽくいわゆる法律的には権利と認められていないものだが、ほかにいいことばがあれば何か使いたいと思ったが、いいことばがなかったので一種の権利のようなものではないかと申し上げたわけでありますが、厳密にいまのような御質問があれば、私の先ほどの答弁は取り消します。
  188. 中谷鉄也

    中谷委員 ですから、プログラムの問題としては、やはり利用に関する権利とか利用権の取得という問題は必ず法律問題として将来尾を引きます。そうして必ずこういう問題についての法律的な論争が出てきます。俗っぽく言ってもらっては困りますよ。ですから、そのあたりにつきまして、委員長にお許しをいただきまして、私ももう少し、これは将来必ず問題になる点ですから、整理をいたします。質問は全部で五つくらいありましたが、第一の質問が、このプログラムの権利についてというテーマで関心を持ちましたので、もう少し整理をしておいてください。将来やはり会議録を見て、プログラムというものについての論争の一つの基礎になる場合だってあり得ると思いますし、私のほうの質問も、次回には少し法律的に整理をした質問をするようにいたします。  あとはとりあえず次回に質問をやることにしまして、きょうは本法律案審議を促進し深めるための資料を要求しますが、その一つは、情報産業政策に関してということで、各種の経済団体が情報産業に関して政府に対して行なった各種の要望というのをお取り集めいただきたいと思うのです。  それから、このあと申し上げる資料要求、これは非常に困難であるということであれば、保留をしていただいてやむを得ないと思いますが、第二のテーマとしましては、わが国における大企業及び中小企業の業種別の電算機利用状況と問題点というのを一応資料要求いたします。この点については、資料要求に応ぜられるものと応ぜられないものと仕分けをしてください。それから、わが国における大型電子計算機開発状況。それから、わが国におけるこれまでの電算機メーカー、ソフトウエア開発会社への補助金の交付及び融資の状況。資料要求の理由は一々申し上げません。それから、国産電算機とIBMの電算機のわが国における市場占有率の推移。それからあと、財団法人日本情報処理開発センター、日本経営情報開発協会、日本情報処理技術者協会の事業内容。それから、日本及びアメリカにおけるソフトウエア開発企業の現状。これはソフトウエアの進歩と市場の関係、そういうようなものをひとつこの審議に必要だということでお願いをするわけです。それから、わが国及び諸外国のコンピューターセンターにおける秘密保持対策の概要。これは法制的なものを含んでひとつお願いをいたしたい。  通信回線利用の問題については、データ通信回線利用に関する法令と利用料金体系の主要国における実態。それと、公衆電気通信法に基づく回線利用に関する各界の意見と、それに対する通産省見解の事実経過。そういうような点についての資料をひとつお願いいたしたいと思います。あと質問に必要な資料等については、そのつど要求いたします。  少し私のほうの質問の整理もできていませんが、あと権利関係と、それからプライバシーの問題、それらを中心通産省にお尋ねをいたしますから、御準備をいただきたいと思います。
  189. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 ただいま御要求のありました資料は鋭意取りそろえますが、いろんな関係団体等にも問い合わせたりいたしますが、必ずしも完全な資料のない面もきざいますので、その点は御了承いただきたいと思います。私どもとしては、できる限りのデータをそろえて、資料としてお手元に差し上げたいと思います。
  190. 中谷鉄也

    中谷委員 きょうは資料要求いたしまして、この程度で質問を留保いたしたいと思います。      ————◇—————
  191. 八田貞義

    八田委員長 参考人出席要求の件についておはかりいたします。  情報処理振興事業協会等に関する法律案について、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、参考人の人選及び出席の日時につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  192. 八田貞義

    八田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、明後十七日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時四分散会