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1970-04-08 第63回国会 衆議院 商工委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月八日(水曜日)    午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 浦野 幸男君 理事 鴨田 宗一君    理事 橋口  隆君 理事 前田 正男君    理事 中村 重光君 理事 岡本 富夫君    理事 塚本 三郎君       石井  一君    稲村 利幸君       宇野 宗佑君    遠藤 三郎君       小川 平二君    大久保武雄君       神田  博君    北澤 直吉君       小峯 柳多君    左藤  恵君       坂本三十次君    進藤 一馬君       田中 六助君    増岡 博之君       石川 次夫君    岡田 利春君       中井徳次郎君    中谷 鉄也君       松平 忠久君    横山 利秋君       近江巳記夫君    多田 時子君       松尾 信人君    川端 文夫君       吉田 泰造君    米原  昶君  出席国務大臣         通商産業大臣  宮澤 喜一君         郵 政 大 臣 井出一太郎君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      西田 信一君  出席政府委員         総理府統計局長 岡部 秀一君         行政管理庁行政         管理局長    河合 三良君         科学技術庁振興         局長      佐々木 学君         文部省大学学術         局長      村山 松雄君         通商産業省企業         局立地公害部長 柴崎 芳三君         通商産業省重工         業局長     赤澤 璋一君         工業技術院長  朝永 良夫君         中小企業庁長官 吉光  久君         郵政大臣官房電         気通信監理官  柏木 輝彦君         郵政大臣官房電         気通信監理官  牧野 康夫君  委員外出席者         警察庁長官官房         審議官     渡部 正郎君         大蔵大臣官房審         議官      吉田太郎一君         国税庁長官官房         参事官     原田 正俊君         文部省初等中等         教育局職業教育         課長      大崎  仁君         文部省大学学術         局技術教育課長 角井  宏君         文部省管理局振         興課長     三角 哲生君         厚生大臣官房企         画室長     江間 時彦君         通商産業省重工         業局電子政策課         長       平松 守彦君         日本電信電話公         社総務理事   庄司 茂樹君         日本電信電話公         社営業局長   武田 輝雄君         商工委員会調査         室長      椎野 幸雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  情報処理振興事業協会等に関する法律案(内閣  提出第七四号)      ————◇—————
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。情報処理振興事業協会等に関する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の申し出があります。順次これを許します。左藤恵君。
  3. 左藤恵

    左藤委員 今日のように経済社会が伸展してまいりますと、高度にその社会は分化され、また複雑化されて、しかも非常に急速な変化が遂げられてまいるわけでありますが、そういった経済社会に即応するための手段といたしまして、情報の持つ意義は非常に大きいわけでありまして、特に、毎日毎日入ってまいります大量の情報を迅速に処理することによりまして、その処理されました情報を有機的に活用いたしますことによりまして、正確な判断を行なって、それによって経済社会がさらにまた一そう伸展するという、非常に大きな意味を持つわけであります。  その情報の処理にあたりまして、電算機利用開発振興ということがここ数年来叫ばれておるわけでありますが、政府におかれましても、すでに電算機、特にハードウエアそのもの開発につきましては、従来からも施策を講じて、その技術的な水準の向上、これに努力されました結果、国際的な水準に近い成果が現在の段階においてはあがっておるものと考えるわけであります。JECCの実情を伺いましても、十分のレンタル資金確保されておるとは私は考えませんけれども、また一般的に考えまして、そういったハードウエアの問題につきましては、それほどの格差はないと考えるわけでありますけれどもソフトウエアの面につきまして、いろいろ技術的に考えました場合に、これは国際的には非常に大きな格差があるように思うわけであります。  このソフトウエアの面で考えました場合に、わが国で現在、事務処理的な単純な業務ソフトウエアは七五%のものがつくられておって、そして、もっと計画予測的な高度のソフトウエアといたしましては二五%というように伺っておりますが、すでにアメリカにおきましては、これがフィフティー・フィフティー、むしろ計画予測的なものがウエートを占めているというように、さらに今後の七〇年代の経済発展に伴って、このソフトウエアの持つ意義というものはますます高まってまいりまして、コンピューターコストに占めますソフトウエア比率におきましても、アメリカの場合は、現在五〇対五〇からすでに三〇対七〇というような方向に変わりつつありますが、わが国の場合は、遺憾ながら、いまコンピューターコストに占めますハードウエアソフトウエア比率というものは、七〇ないし八〇対三〇ないし二〇という低率にとどまっておるわけでありまして、このソフトウエアの面における格差の問題につきまして、日米間でプログラム開発に大きな格差があると聞いておるわけでありますが、現実プログラム開発がおくれておって、どういった面で困った問題が生じたか、またこの格差を克服するためにどういった対策をお持ちであるかを、通産省の御当局にお伺いいたしたいと思うわけであります。
  4. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 後ほど政府委員から詳しく申し上げますが、御指摘のとおりの現状でございます。わが国ハードウエア電子計算機として最初につくられましたのが十二、三年前でございますが、当時アメリカに非常に大きく水をあけられておりまして、あの当時コンピューターギャップといいますと、何となくそれはハードウエアギャップであるというふうに一般的に考えられておりました。またそのとおりであったわけでございます。その後わが国コンピューター製造はかなり進みまして、現在一応五〇%程度国産化率を持っておりますが、大きなものはまだでございますけれども、小さなものについてはかなりギャップが埋まったというふうに考えております。  したがって、現在コンピューターギャップといわれるものは、ハードウエアの問題であるよりは、実は御指摘のようにソフトウエアの問題であるというふうに考えております。また実際、そのほうにこれから多くの将来があり、また多くの問題があるという現状であろうと考えておりますので、ただいま左藤委員が言われました利用の態様におきましても、またコストの割合におきましても、日米ハードソフト比率というものは非常に違っておるわけでございます。そこで、ソフトウエアをこれからどうやって開発をして、このギャップを埋めていくかというのが当面の問題であり、また今回法律案を御審議願うに至りましたのも、その努力の一環であるというふうに考えておるわけでございます。御指摘のとおりの現状でございますが、ただいま政府委員からもう少し詳しく申し上げたいと思います。
  5. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 ソフトウエア関係現状につきましては、ただいま御指摘のとおりでございまして、まだ日米間に非常に大きな格差があるものと思っております。ソフトウエア専門にいたしております産業、これをソフトウエア産業と申してもよろしいかと思いますが、この面で見ましても、アメリカにおきましては、従業員が三千五百名、年間の売り上げも約二百億円に達しようというコンピューターサイエンスというような会社をはじめといたしまして、約一千社余りの企業がその面で活躍をいたしております。これに対しましてわが国におきましては、まだソフトウエア専門企業といいますのはほぼ三十社程度でございまして、四十三年度の推定をされます売り上げ高も三十億ないし四十億、いわばまだ揺籃期にあるものと考えられるわけであります。  いま御指摘のように、今後のコンピュータリゼーションと申しますか、情報化の進展に伴いまして、ソフトの占める分野というものは非常に大きくなってまいるわけでございますが、何ぶんアメリカとは国情も異なっておりまするし、またアメリカにおきましては、アポロ計画をはじめとするいわゆる大型の、超大型と申してもよろしいかと思いますが、そういったナショナルプロジェクトコンピューターを中心に行なわれております。こういった点も日米間の非常に大きな違いかと思います。私どもはこういった実情を踏まえまして、ただいま大臣からも申し上げましたように、当面民間の持っておりますこういったソフトウエアについての企業力技術力というものを伸ばしていくことが緊喫な急務である、こういうふうに考えまして今回この法案の審議をお願いいたしておる、こういう次第でございます。
  6. 左藤恵

    左藤委員 いま、現在の日米間の格差ということをどうしてお伺いしたかと申しますと、実はわが国におきまして、外資系会社が相当大きなシェアを占めておるという現実がございます。たとえて申しますと、現実には日本IBMわが国におきましても計算業務などを実施いたしておりますし、また外国電子計算機がありまして、それを国際的な専用線、オンラインを使いまして情報を提供するサービスがあるように聞いております。アメリカンエクスプレスは、飛行機の座席予約だとか旅館予約業務を、ニューヨークの本社に機械を置きまして、全世界的にそういったサービスをやっておるというような実態があるわけであります。一つの問題は、そういった外資系会社の育成と申しますか、そういった外資系会社国産会社との間に、ハードウエアソフトウエア両面におきます格差現実日本で問題になっているかどうか。情報産業発展を進めていきますためには、外国技術導入、これを促進すべき面と、場合によっては規制すベき一面があると考えるわけでありますが、通産省のほうの基本的なこれに対処する方針をまずもって伺いたいと思うわけであります。
  7. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御指摘のように、コンピューター製造しております会社外資系で、日本IBM、これはもう主体はIBMでございます。それからスペリー・ランドが入りまして、沖電気との沖ユニバックでございますか、この二つがございます。なお販売をしておる会社がそのほかに外資系でございます。  ソフトウエア開発がおくれたということの主たる原因は、私はやはり、先ほど政府委員が申し上げましたように、アメリカの場合、宇宙産業であるとか軍需産業であるとかいうものが、一方的に国費でソフトウエア産業を育てることができたということに対比して、わが国の場合にはそのような大きな国のプロジェクトはございませんでしたし、御承知のようにソフトウエアというものが金融対象になりにくいものでございます。資産価値があってなきがごときものでございますから、民間でこれを助成するということは非常に困難であって、アメリカの場合には一方的に政府の発注等々でこれが可能になった、これが私は一番大きな原因だったと思いますが、しかし次に、仰せのように、いま申しました外資系会社が早くわが国コンピューターというものの製造をし、導入を始めたということにも関係があると思うのでございます。  そこで、これからこの情報産業通産省として外資との関係でどう考えていくかということでございますが、私はこれはこれからの日本、世界すべてでございますが、一種の社会革新ともいうべき大きな変化をもたらすと考えますので、ハードウエアにいたしましても、ソフトウエアはもちろんでございますけれども日本独自のものを育てていく必要がある、基本的に私はそう考えます。幸いにしてハードウエアでは、わが国だけが五〇%という程度国産化率を保持しておりますが、ヨーロッパの国は御承知のようにそうではございません。アメリカ系がほとんど制圧しつつあるようなことになっております。わが国は幸いにしてハードはその程度になっておりますが、ソフトについても、同じことがこれはきわめて起こりやすい状況でございます。それでございますから、私は自由化ということは、わが国経済産業のためになると一般的には考えておりますけれども電子計算機情報産業関係は、どうもこれは、いわゆる自由化のほうで申しますとハードコアになる。つまり当面自由化してはならない業種であろう。先般、自由化等との関係で、いわゆるケンドール・ミッションというものが御承知のように参りましたが、そのときにも、一般的に私は自由化論者であることは御承知のとおりだが、この関係産業については私は当分自由化するつもりはないということを、あらかじめ実は申しておきましたような次第で、そのように考えております。
  8. 左藤恵

    左藤委員 いま大臣から御答弁がありましたように、電算機、特にソフトウエアの面につきましての自由化の問題につきましては、ひとつ慎重にやっていただきたいと思うわけであります。アメリカは、大臣お話の中にもございましたように、政府の出資、特に大型プロジェクトとしてのアポロ計画というふうなものがいま一段落をした段階におきましては、米国の業者の余力というものがまた出てきたというふうに考えられるわけでありまして、そうしたときに、企業外国機械外国プログラムを輸入して利用しようとする傾向が大きくなってくるという心配もあるわけでありまして、その点につきまして慎重な御配意をお願いいたしておきたいと思うわけであります。  それから次に、法律案の中身に入りたいと思うわけであります。今回提出されました法律案、これはいま大臣お話の中にもありましたように、わが国の特にソフトウエアの面につきましてのたちおくれを、経済的な面におきましても、また技術的な面におきましても、日米間の格差解消ということを念願して提出された法律案だと思うわけであります。個々の条文の問題につきまして少し伺ってみたいと思うわけであります。  まず第一に、第三条に「電子計算機利用高度化計画」というところがございますが、ここに第一項第二号に「情報処理振興を図るため開発を特に促進する必要があり、かつ、広く利用される種類プログラム(主として一つ事業分野における情報処理に用いられることとなるものを除く。)」こうありますが、ここでいうプログラムとはどのようなものがございますか。具体的な例をあげて御説明をいただきたいと思うわけであります。こういったカッコの中の「一の事業分野における情報処理に用いられることとなるものを除く。」といった場合に、どのようなものが現実に残るかということをまず明らかにしていただきたいと思うわけであります。
  9. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 お尋ね法律第三条第一項第二号の問題でございますが、これはここにも書いてございますように、私どもは、今後のわが国情報処理振興をはかる上で特に効果的なプログラムであり、また多数の分野でこれが利用できるといったようなものを対象と考えております。したがいまして、逆に一定の分野に固有なものであって、その分野のみに使われるというものは、これを除くことにしておるわけでございます。  いま具体的な例は何かというようなお尋ねでございますので、二、三私どもが頭に描いております例を申し述べさしていただきますが、たとえばプログラムのロジックを読み取りまして図示できるフローチャートの自動作製用プログラム、こういいったものもその一つかと思います。また、ハードウエア故障個所をすぐ発見をいたしまして、これを追跡診断をするというような障害自動診断プログラム、これもまたその一つかと思います。また、いわゆる各種の統計がございますが、この統計につきまして、総合統計といったようなものをつくります場合の総合統計解析プログラム、こういったものも、やはり私どもとしては特に開発を促進する必要があり、また多数の分野で共通的に利用し得るプログラムではないか、かように考えておりますので、いま申し上げましたような二、三の例を頭に描いておる次第でございます。
  10. 左藤恵

    左藤委員 そういたしますと、たとえば電算機そのものを動かします、いまのお話しのプログラムの中で、いわゆるオペレーション・システムをさすものというふうに考えてよろしゅうございますか。あるいはまた、このほかにコンバージョン・プログラムというふうなもの、機械が違った場合、その二つ機械を、Aの機械からBの機械に移しますときに必要なコンバーション・プログラムというふうなものも、ここにいうプログラムとして考えてよろしいか、その辺をお伺いいたしたいと思います。
  11. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 いわゆる機械を動かします場合のオペレーションプログラム、それからいまお示しのコンバージョン・プログラム、こういったものは、私どもとしてはこの法律の二号の規定に該当するプログラムであるというふうに考えておりまして、その点御指摘のとおりでございます。
  12. 左藤恵

    左藤委員 そういたしますと、もう一度確認いたしたいのでありますが、プログラム開発している一般会社に対しまして、そういったところを、この法律が援助の対象と申しますか、予定しておるかどうか。そして、そういうことをどうして伺うかと申しますと、それぞれの会社がやっております産業を育成する主務官庁というのがございまして、そういった観点から考えまして、この辺を明らかにしていただきたいということは、たとえば旅行あっせん業者開発いたしております座席予約の問題とか、あるいはまた旅館予約の問題とか、そういったことの一つプログラム、こういったものは、ここでいうカッコの中のもので除かれるものでありますか。それとも広く利用される種類プログラムであるか、この辺を明らかにしていただきたいと思うわけであります。
  13. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 ただいま例示としておあげになりましたような、たとえば旅行あっせん業者がその目的のために電算機利用して業務を行なう、このために必要なプログラムということになってまいりますと、やはり主として一の事業分野における情報処理に用いられるプログラムということで、この高度化計画のいわゆる目標といったような内容からは除かれると私ども考えております。ただ、この法律によりますと、事業協会が設立されました場合、法律の二十八条にその業務がいろいろ書いてございますが、この五号におきましては、情報処理サービス業者等以外の者、つまりユーザーのサイドでプログラム開発のためにお金を借りたいといったような場合には、この協会としては、それが必要なものであると認める限りにおきまして、その保証をするというような規定を置いておる次第であります。
  14. 左藤恵

    左藤委員 次に、今度は三条の二項におきまして「計画には、電子計算機設置及びプログラム開発目標となるべき事項について定めるものとする。」とあるわけでございますが、この電子計算機利用高度化計画一つ目標年度と申しますか、どういったところを開発一つの目安にして目標を立てておられるか。それからまた、実際にこの開発目標となるべき内容事項につきまして、どのような内容をここへ盛り込むことを考えておられるかを、御説明いただきたいと思うわけであります。
  15. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 計画についての目標年度でございますが、この二項にもございますように、この計画では、電子計算機設置及びプログラム開発につきまして、その目標となるような一つガイドラインを示すということを頭に描いておるわけでございます。そこで、目標年度につきましては、こういったような、いわば計画と申しますか、ガイドラインをつくりますときに、あまり長期にこれを置きますと、やはり日進月歩と申しますか、非常に進歩の早い分野技術でございますので、非常にそういうことを長期にわたってやるということにはやや問題があろうかと思います。と申しまして、ここ一、二年ということでも、これはあまりガイドラインの役を果たさないというふうにも考えておりますので、こういった点を総合的に考えてみますると、大体五年ぐらいが一つ目標年度になるのではないだろうか、かように考えております。もちろん、この五年で終わるということではございませんので、そういった目標をつくりましたあと、さらに技術進歩あるいは逆に申しますと陳腐化、こういったことも当然考えまして、適当なときに見直しをし、さらに第二次、第三次といったような目標を立てていく、こういうことになるのではないかと考えております。
  16. 左藤恵

    左藤委員 いま御説明のあった、大体目標年度を五年ぐらいのところに置いて立てるというお話、私は、大体その見当でいいんじゃないかと思いますが、ただその場合に、ハードウエアソフトウエア、さらにまた一つ情報提供サービス産業と申しますか、そういった面の、それぞれの持つ経済社会における位置というものを十分考えて見直しもしていただきたい。また、日本経済全体における情報処理産業の持つ意味を十分お考えいただいて対処していただきたいと思うわけであります。  次に、資金確保の問題につきまして四条が規定いたしておりますが、この資金確保は、これは予算的な問題でありますが、四十五年度においてどのくらいの予算を計上されておるか。またそれに応じて政府として十分やっていけるかどうか。特に、このプログラム開発のための融資に対します現実需要、これはどのようにお見通しになっておられるか、お伺いいたしたいと思うわけであります。
  17. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 法第四条では、ここにございますように、第三条の関係電算機あるいはプログラム開発等に関しての資金確保規定でございます。そこで電算機の面につきましては、いま政府関係資金といたしましては、御承知日本電子計算機株式会社レンタル資金に対します開銀融資確保という問題があるわけでございまして、四十五年度におきましては、この会社に対する開銀融資を百五十億円というふうに一応財投計画でいまきめられているところでございます。  それから第二号の関係、つまりプログラム開発関係でございますが、これは今回、この法律によって設立されますところの情報処理振興事業協会に対しまして、三億円の補助金を出すことになっております。これは、この三億円の資金をもちまして、情報処理振興事業協会が、いわゆる——あとであるいは御質問があろうかと思いますが、一般民間ではなかなか開発の困難のようなプログラム委託開発に、主としてこの資金をあてていくという考えでございます。さらに、いわゆる民間情報サービス業者あるいはソフトウエア業者等資金需要でございますが、これにつきましては、相当な金額がやはり需要としてあろうかと思っております。私ども調べましたところでも、これは全体の調査ではございませんが、やはり三十億ないし四十億というようなことが調査の結果出ておりまして、これに対しましては、長期信用銀行三行金融債、これを政府が引き受けまして、一応資金運用部による引き受け額として四十億円というふうに予定をいたしております。こういったことから、いま申し上げましたような四条の資金確保にこたえていきたい、こう考えているわけでございます。
  18. 左藤恵

    左藤委員 コンピューター需要民間企業が約二千社ございますが、その中でおもな百社につきまして、そのソフトウエア開発資金需要を調べてみましたところ、四十五年度の着手分だけで約百十億円の需要がある。これは、もちろん各社が自己資金でやる面もあろうかと思いますが、いまお話資金がはたして十分であるかどうか、その点につきましても心配するものでありまして、四十億円のワクは十分効率的に融資を行なっていただいて、その効果をあげていただくように特にお願いをいたしておきたいと思うわけであります。  それから次には、この情報処理振興事業協会の問題であるわけでございます。基本的なことでございますが、ソフトウエア開発のためにこういった事業団なり事業協会がどうしても必要かどうか。いま大臣お話にもありましたが、やはりそういった格差解消のために、こういった事業協会を設けることがどうしても必要であるかどうか。既存の制度でやれないかどうか。開銀法の中で、開発銀行の融資対象にたとえばソフトウエアをするということが、担保力の問題でむずかしいとかいろいろな問題があると思いますが、その点をまず明らかにしていただきたいと思うわけであります。
  19. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 いま問題になっておりますソフトウエア業者あるいは情報サービス業者の育成に必要な資金の面でございますが、あるいは考え方としては、開銀法を改正いたしまして、開発銀行が、こういったような生産設備でないもの、先ほども大臣の答弁の中にございましたように、ある程度資産価値あるいはその評価といったものが確定をしにくいといったようなものにまで融資をしていくという制度を開くことも、あるいは一つの方法かと存じます。ただ、何ぶんこういった業体がまだきわめて揺籃期にあるわけでございまして、いわば業体自身が、どちらかと申せば中小企業といった部類に属するものが多数ございます。こういった面等を考えますと、こういった初期の段階にある業界というものをほんとうに政府が育成強化をしていくというためには、やはり専門の機関があり、またそこに専門家がおりまして、これらの業態を十分調査もし把握もしながら専心これに努力をしてまいるというほうが、より強力な施策ではなかろうかと思うわけでございます。そういった点等もございまして、関係省ともいろいろと協議をいたしました結果、やはり私どもとしては、こういった専門事業協会をつくって強力に振興育成をはかっていくべきであるという結論になりましたので、今回の法案を提出する運びになった次第でございます。
  20. 左藤恵

    左藤委員 そういたしますと、こういった事業協会をつくるという法律案を提案されました以上、ある程度具体的な構想と申しますか、現在の設立の準備の状況について、その進捗状況をお伺いいたしたいと思います。特に、民間からの出損はどのようなものが予定されておるかということも、あわせてお答えいただきたいと思うわけでございます。
  21. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 当事業協会の設立に関しましては、御承知のように、この法案では第十六条以降にこの設立の規定が書かれております。  もっと具体的に申し上げますと、この協会そのものは、民間の発意によりまして協会ができ、そしてそれをこの法律によりまして通産大臣が認可をするという段階で正式にこの協会の設立ができ上がる、こういう仕組みになっております。そこで、民間の発意によるわけでございますので、まず民間が発起人を集め、同時にこの発起人が出資を募集をいたしまして、ある程度の資本金をここへつくる、それに対しまして政府もこれに資本金に充てるために出資をする、こういう仕組みでございます。  そこで、この法案がまだ成立をいたしておりませんので、民間においては具体的な設立準備、つまり発起人を集めるとか、あるいは出資の募集をするとかいう段階には至っておりませんが、私ども関係の業界団体、財界等ともあらかじめ御相談をいたしておりまして、四十五年度におきましては、少なくとも二億円の出資あるいは出損というものが期待できるものと考えております。そういった面で、現在、関係の財界等におきまして、出資ないし出損の話が内々相談をされておるという状況でございます。
  22. 左藤恵

    左藤委員 それから、この二十八条に協会委託開発をしようとするプログラムというものがあるわけでございますが、一体どのようなものが考えられておるか。  それからまた、現在、これはメーカーも、またあるいは電電公社あたりも出資しているかと思いますが、情報開発センターというのがございます。ここでいろいろと技術開発が行なわれておるわけでございますが、このセンターとの関係、これについてもあわせて御説明いただきたいと思うわけでございます。
  23. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 法案の第二十八条についてのお尋ねでございますが、まずこの委託開発対象となるプログラムの性質につきましては、第一号に書いてございますように、開発を特に促進する必要があり、かつ開発の成果が広く事業活動に用いられる、いわば先進的また汎用的なプログラムというふうなものであって、かつ個々の民間企業ではみずから開発することが困難であるという性格を法律上与えられております。  そこで、具体的にどういうものがあろうかということで検討いたしておりますが、二、三の例を申し上げてみますと、一つは市場調査の予測システム、これは市場調査の総合管理とシミュレーションによる最適予測、こういったものを行ないます。あるいはまた、先ほどもちょっとお話に出ておりましたような、いわゆるデータ・コンバージョン・サービスプログラム、こういったものも先進的かつ汎用的であり、かつ個々の企業ではいささか開発が困難であるというようなものではないかと考えております。  お尋ねの第二点の情報開発センターでございますが、ここでももちろん技術的な調査研究をいたしておりまして、かつ専門家等もおりますので、これはこれ自身としていろいろと研究活動を行なっております。この事業協会との関係から申しますと、協会自身はみずから開発するというわけではございませんので、この新しく委託開発をしようと考えますところのプログラム内容によりましては、いまの情報開発センター等も委託先の候補の一つになり得るもの、こういうふうに考えております。
  24. 左藤恵

    左藤委員 次に、この協会で行ないます業務の中で、二十八条の四号、五号だと思いますが、ソフトウエアそのものは、先ほどもお話が出ましたように担保力はないわけであります。そこで、ここで債務保証という方法をとっておるわけでありますけれども、これは一体、法的な性格と申しますか、やはり一つの、助成金ではないのですけれども、そういった性格を持っておるのじゃないか。その債務保証に関連いたしまして、ソフトウエアそのものの財産的価値をどのような基準で判断するか。これは、事業協会を今後運営していただく上において一つの重要な問題でありますので、御説明をいただいておいたほうがいいのじゃないか、このように考えるわけであります。
  25. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 いまのお尋ねの点は非常にむずかしい問題でございまして、先ほど大臣も答弁の中でお答え申し上げましたように、いまの段階でこのソフトウエアの評価ということはなかなか困難であろうかと思っております。  この協会が当該業者等が借りました資金の保証をいたすわけでございますが、もちろんその際に、協会といたしましては、その借り入れ金の返済が可能であるかどうか、あるいは借り入れ金の使途であるプログラム開発が成功するかどうか。また、かりに成功いたしましても、それが採算性を持っておるかどうか、こういった点について、内容等を十分審査もいたしました上で借り入れの保証をするということになろうかと思います。もちろんその前段階といたしまして、先ほども申し上げましたように、長期信用三行の金融債を運用部資金で引き受けたお金がございまして、それを中心に関係業界から融資の申し入れが銀行に対してあるわけでございます。銀行当局といたしましても、まずはそういった点を十分審査もし、内容審査を十分した上で融資をしよう、ただしそれには保証協会の保証が必要である、こういったような仕組みになってまいりますので、銀行及び当協会におきまして、いま申し上げたような各般の観点——もちろん技術的な観点から、これが十分有用であり、かつ情報処理振興に役立つものだということはもう大前提でございますが、そういった各般の状況から十分判断をいたしまして、これを保証していくということになると思います。  その場合、一体その当該融資あるいは保証の対象になりますソフトウエアがどの程度資産価値があるものかということについては、ほんとうは、そういったものがきちっときまりますと、融資なり保証なりもしやすいわけでございますが、なかなかそういった評価の基準をつくるということは現状では困難な情勢にあると、これは率直に言わざるを得ないと思います。そこで私どもとしては、この協会業務、第二十八条の中に第六号、「情報処理に関する調査」という規定がございますが、こういった業務を十分活用いたしまして、この協会自身におきましても、調査業務の一環として、プログラムの評価基準あるいは評価方法といったようなものの研究をしてみたらどうか、かようにも考えておる次第でございます。
  26. 左藤恵

    左藤委員 いまお話しがありましたように、ひとつ十分、この債務を保証する場合の事業協会としての取り扱いを慎重に配意していただきたいと思うわけでございます。  それから、時間もございませんので、あと二つの点につきましてお伺いいたしたいと思うわけでありますが、先ほどのちょっと私が触れました三条の一項の二号の「広く利用される種類プログラム(主として一の事業分野における情報処理に用いられることとなるものを除く。)」この除かれるものの中に、いわゆる官庁におきます行政事務、これに対しましてのコンピューター導入、これが入るのじゃなかろうかと思われるわけでございます。  そこで、現在、各省庁で共通の電算機利用技術研究開発、こういうことも進められておるわけでありますし、また四十三年には一つの閣議決定をして、導入の基本方針を立てておられるわけでありますが、行政に対します需要がますます複雑になり、そしてまた多岐になってまいってきております現在におきまして、あるいはまた、国の予算の合理的な効率的な編成、使用、あるいは許認可事務の迅速化等、いろいろな面でコンピューター導入というものがいまはかられておるわけでありますけれども現実にいま利用されておりますコンピューターの実態でございますが、これは行政管理庁として現在の段階ではいろいろ研究開発段階だろうと思いますけれども、今後これをどういうふうに活用していくかということも含めましての見通しを、まず行政管理庁にお伺いいたしたいと思うわけであります。
  27. 河合三良

    ○河合政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のとおり、行政におきましては、昨年度で申しますと、大体百五十セットほどの電子計算機導入されておりますし、また現在御審議いただいております四十五年度予算によりますと、百七十台をこえる電子計算機導入されるというような状態になっております。  こういう状態に対しまして、政府といたしましては、先ほど御指摘もございましたように、民間電子計算機情報処理業務の異常なたいへんな発達ということに対しまして、政府におきましても、これにおくれてはいけないということで、昭和四十三年八月三十日に「政府における電子計算機利用の今後の方策について」という閣議決定をいたしております。この閣議決定に基づきまして、政府におきます電子計算機利用の高度化、あるいは新規適用業務の拡大、利用技術開発、各種標準化の問題等につきまして調査研究いたしまけとともに、電子計算機利用上の隘路となっておりますいろいろ問題がございますが、そういう問題につきましても、その解決のための措置を積極的に講ずることになっております。また、各省庁におきまして電子計算機の要員の確保が非常に大切でございまして、そういう点につきましても、閣議決定で、この点について十分に検討していく、また要員の研修を行なうということをきめております。  なお、この閣議決定の励行、施行にあたりましては、行政管理庁が関係省庁の技術的援助を得ましてこの調整に当たるという形をとっております。  なお、この閣議決定に基づきまして、自来、関係省庁間の会議を随時開催いたしまして、この趣旨の徹底につとめておりますが、また、これとあわせまして、政府におきまして決定いたしました行政改革三年計画の第一次及び第二次計画におきまして、この電子計算機利用の高度化の問題を取り上げております。特に、昨年の七月に決定されました行政改革第二次計画におきまして、電子計算機に関します当面の重点的検討項目といたしまして、各省庁間におけるデータの有機的、多角的利用、また各省庁共通業務のシステム開発の問題、あるいは各省庁間のネットワーク・システムに関する開発の問題、あるいは各省庁の現在使用しておりますデータコード、これの統一の問題、また特に要員の確保と養成の問題、そういう問題につきまして具体的に検討項目を掲げまして、同じく先ほど申しました各省庁関係者の会議におきまして、この推進をはかっております。特に来年度におきましては、私ども中心となりまして、各省庁と十分御相談の上、各省庁の共通に使いますようなシステム開発の問題と、それからさらに基礎的な研究ではございますが、各省庁間の情報処理業務のネットワークをどういうふうにつくっていくべきであるかという問題について力を入れてやっていきますとともに、基幹要員の養成につきましても、各省庁と連絡をとりながらこれを進めていきたいと思っております。
  28. 左藤恵

    左藤委員 そのほかに、私まだ、中小企業に対します情報処理振興の問題、あるいはまた技術者の育成の問題、いろいろお伺いしたいことがあるわけでございますが、科学技術庁長官のお時間もございますので、もう一問だけ伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。  情報ネットワークの形成と高度化のためには、通信回線を用いた情報処理発展が今後どうしても必要不可欠のものとなってくるわけでございまして、特にアメリカにおきましては、五〇%がこれからその遠隔処理が見込まれているわけでございます。そういった点から考えましても、このオンラインの利用開発に関しまして郵政審議会の答申が出ておりまして、これに基づきまして公衆電気通信法の改正ということが考えられるわけでありますが、今回のこの国会におきましては提出されるまでに至らなかったわけでございますが、今後この問題につきましてどのような方針をお持ちであるか、これは郵政省の電気通信監理官からお伺いいたしたいと思うわけでございます。
  29. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 お答えいたします。  ただいまお話しのように、郵政省といたしましても、今後のオンライン情報処理の健全な発達をはかるという見地から、公衆電気通信法を改正いたしまして、いわゆる企業間のデータ・ネットワークの利用でありますとか、あるいは情報処理サービス業務、あるいは検索業務に適するような通信回線の利用条件を定めまして、これを郵政審議会の答申の線に沿いました改正を実現しようといたしまして努力いたしましたのですが、これは時間切れになりまして、提案できなかったわけでございます。しかし、これらの問題につきましては、今後さらに検討を加えまして、また、宿題となっております公衆通信網のデータ通信への利用問題というものもほかにございますが、こういう問題もあわせましていろいろ検討をいたしまして、なるべく近い機会にぜひ御審議いただくように努力を続けてまいりたいと存じております。
  30. 八田貞義

    八田委員長 石川次夫君。
  31. 石川次夫

    ○石川委員 情報通信、情報化社会という問題になりますと、ただ単に通産省関係だけではなくて、各省ほとんどにまたがるような、きわめて重要な法案ではなかったかと思うのです。したがって、これをただ単に委員会付託というかっこうでなくて、本会議提案というかっこうで、各省全体がこれに対して関心を持つという形でないと、ほんとうの情報化対策というものは不可能ではないか。それに情報化といいますと、どうしてもアメリカに対してテクニカルギャップというのが非常に大きいので、何としてもそれに追いついていかなければならないというのが一応の至上命令になっておりますけれども、しかし、必ずしもこの情報化社会というものはバラ色ではないと思うのです。非常に暗い面がかなりある。したがって、そういう面に対処してどうするかということも考えながら、一面では促進をはからなければならぬという、きわめて複雑な要素をはらんでおるのではないかと私は思っております。  そこで一つは、各大臣そろっておらないので、実は文部大臣でもいないとほんとうの質問にならないわけなんですけれども、この弊害対策の問題としては、いわゆる資本主義とか社会主義とかいうことを言うつもりはないのですけれども、売らんかなの情報がはんらんをする時代になってくる。情報情報といって、売らんかなの誤った情報というものに、人間性が否定をされるということではなくて、人間性が完全に歪曲をされるのじゃないか。こういう問題にどう対応していくかというような、きわめて重大な側面というものを見のがしてはいけないのではないかと思うのです。それから、あと一つ暗い面としては、いままでは、生産手段を持っておるところの資本家と、それから生産手段を持たない労働者の対比というようなことがいわれた時代があったわけでありますけれども、これから情報化時代ということになりますと、そういうふうな単純なとらえ方でなくて、少なくとも現象的に見れば、経営、生産、販売というものの技術を持っておるテクノクラート、そういうものとその他の人、こういうふうな対立というものが相当はっきり出てまいりまして、その間には、特に中高年齢層の、急激な情報化に応じてでき上がった失業者をどうするか、こういう問題も出てくると思うのです。  それから、アメリカで非常に問題になっておりますのは、いわゆるプライバシーという問題が、急に大きな問題になって浮かび上がってきている。こういう問題に対応して、人間性歪曲の問題と、新しい形態の失業問題と、新しい個人プライバシー侵害の問題、こういう問題にどう対応するかということを考えることなくして、促進する面だけをとらえたのでは、ほんとうの政治ではないだろう、こういう非常に大きな問題があると思うのです。しかしきょうは、それをだれに質問していいのか。その問題についての答弁を要求するといっても、担当大臣がいない。そういうことで私は、こういう問題については、あとでまた機会をいただいて質問をしたいと思うのでありますけれども、いま科学技術庁長官がこちらに見えられまして、時間もあまりないようでありますので、順序が逆になるようでありますけれども科学技術庁長官の関係についてまず二、三お伺いをしたいと思うのであります。  それはこの問題は、先ほど申し上げたように通産だけの問題ではない。これは郵政省もあるし、文部省もある、あるいは建設省の関係もある。あらゆる面に広範にまたがる問題であろうと思うのでありますけれども、科学技術の総合的な調整促進をはかる立場にある科学技術庁は、相当中心的な役割りを果たさなければちょっとおかしいのではないか、こう私は常々思っておるわけでありますけれども、一体科学技術庁としては、情報化問題に対処して、どういうことをやってこられて、これからどういう役割りを果たそうとする御意思を持っておられるか、この点をまずお伺いしたいと思うのです。
  32. 西田信一

    ○西田国務大臣 お答え申し上げます。  石川先生御指摘のとおり、科学技術庁といたしまして、情報関係の施策につきましては重大な関心を持っておりまするし、また、われわれの責任も重いということを自覚いたしております。そこで、科学技術庁が情報処理に関しましてどういうことをやっておるかというお尋ねでありますが、私は大きく分けまして、科学技術情報の流通の円滑化をどうしてはかっていくかという施策の問題、それから情報処理技術につきましてその研究開発をいかように推進していくか、こういうことが二つの大きなわれわれの使命である、かように考えております。  そこで、科学技術情報の流通の円滑化の問題につきましては、かねてから積極的にその推進をはかってまいったのでございますが、四十五年度におきましては、昨年、科学技術会議の答申に示されましたところの科学技術情報の全国的な流通システムにつきまして、その具体化をはかるためひとつ調査検討を進めてまいりたい、かように考えておりまして、若干の予算も計上されたわけでございます。当庁といたしましては、現在各方面で行なわれておりますところの情報活動をベースといたしまして、この答申の趣旨の具体化に向かって努力をしてまいりたい考え方でございます。  次に、前年度に引き続きまして情報検索の効率化の一環といたしまして、情報検索用語関連辞書、シソーラスでありますが、この作成を進めますほか、情報処理機械化促進策の一環といたしまして、米国の国立医学図書館の開発いたしました医学文献分析検索システム・これを事例といたしますところの機械検索システムの実験的検討、これを科学技術情報センターが実施いたしますが、これを行なってまいることにいたしております。また、わが国の科学技術情報に関します、中枢機関でございますところの日本科学技術情報センターにつきましては、できる限り業務の総合的な機械化に重点を置きまして、その機能の整備強化をはかってまいりたいと考えておりますが、これはかなりサービスの面におきましても、従来も相当民間その他からの委託も受けておりまするが、年間調査件数は約四十万ぐらいに達するかと存じますが、一そうその機能を発揮するようにいたしてまいりたいと考えております。  もう一つの課題でありますところの情報処理技術につきましては、社会活動がきわめて複雑化をいたし、かつまた多様化をいたしておる現況でありまして、広範囲にわたって相互関連化しつつあるところの現代社会におきまして、政策の立案でございますとか、あるいは企業経営の研究開発、こういうような面につきまして有効適切にこれが遂行できまするように、膨大な情報の合目的的な選択分析に基づきましてその意思決定を行なうことが必要でございまするので、このための情報を処理し、これを利用する方法、言いかえますならば、ソフトサイエンスにつきましての研究開発がきわめて重要でございます。実はこういう考え方に基づきまして、ことしソフトウエア研究所というものを設けたいという考え方でございました。本年度はそこまでまいりませんでしたが、ソフトサイエンスの水準の飛躍的な向上をはかりますために、今年度はソフトサイエンスの発展の方向あるいは課題等につきまして、基礎的な調査検討を行なう、こういうことでございまして、われわれが庶幾しております方向に向かって努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。  その他、特別促進調整費の問題等もございますが、これは御承知のことでございますので省かしていただきまして、このような考え方に基づきまして対処してまいりたいと存じておる次第でございます。
  33. 石川次夫

    ○石川委員 そういう説明であれば、事あらためて私も聞くまでもないと思うのです。  実は、今度通産省が出された法案に基づきますと、大体ハードに付着した形のソフトだけを手がける、こういうことになっておるわけです。ところが、ソフトというのはそれだけではないわけですね。ソフトの基本的なサイエンスというのは一体どこにあるのかというようなことはどこでやるんだということになりますと、これはやはり科学技術庁の分野じゃないかと思うのです。それとあと一つは、あらゆる行政の問題でいま問題になりますのは、縦割りではだめで、どうしても横割りでやっていかなければならぬという分野が最近相当ふえている。ところが、行政区画というもののセクショナリズムがあってこれの障害になっているという問題は、だれでも感じ取っておる点だろうと思うのでありますけれども、この情報処理の場合でも、情報化社会に対応するという問題は、これは実に多岐にまたがる問題です。したがって通産省だけでとうていやれる問題ではない。おそらく将来の学校教育も大きく一変するであろうし、また行政問題なんかもほとんどこれで処理される。あらゆる問題がこの情報処理という問題に関連してくるということになってくると、大きな視野に立って一体どこが中心になってこのソフトのコンバージョンというものをやるか。あるいは基本的なサイエンスというものを確立するか。そういう問題は、科学技術庁あたりが積極的に中核的な役割りを果たして——科学技術庁が中心になるのがいいかどうか、これはまた問題がありますけれども、少なくとも指導的な役割りを果たす立場にあるのではないか。しかしながら科学技術庁だけでは、先ほど私が申し上げましたように、いろいろな灰色の面に対応できる体質を持っておるわけではないので、そういうものも含めて内閣全体としてこれに取り組む必要があるのではないかという感じがするわけです。  それで、科学技術庁もその中で非常に大きな役割りを果たしてもらわなければならぬ総合官庁としての立場があるわけなんで、これは科学技術庁長官と通産大臣にも意見を聞きたいのでありますけれども、これはとうてい通産省だけでできることじゃない。やはり内閣全体がこの情報問題に対してどう対処するのかという大きなものが必要だ。それから民間においても、産業会議なんというものが原子力なんかではできておりますけれども、それと同じような形で——最近はMISの関係でも、あちこちで二重投資が行なわれている。二重投資どころではありません。同じ問題をどこでもやっておるというようなことで、日本全体からいえば、非常に知的水準の高い人が参加しているだけに大きなロスをやっている。それを産業会議なり何なりでお互いに出し合って、二重投資を避けるというような指導的な役割りも果たしてもらわなければならぬ。しかし、民間が指導的な役割りを果たすといっても、民間だけでできるものではないということで、民間において産業会議をつくっても、お互いに連絡調整をはかる、その指導はやはり政府がやらなければならぬ。政府政府として、政府の中で行政面を含め、教育面を含めて、それとあわせてソフトウエアのサイエンス対策というふうなものも含めての大きな総合的な場所が、どうしても必要なのじゃないか。その両方がお互いに連絡し合うという形で、初めて比較的むだの少ない研究の促進というものをはかることができると思うのでありますけれども、その点で通産大臣科学技術庁長官の御意見を伺いたいと思うのです。
  34. 西田信一

    ○西田国務大臣 先生御指摘のとおり、現在、情報関係につきましては、たとえば通産省、運輸省あるいは郵政省、行政管理庁、あるいは私どもの科学技術庁など、非常に関係する省庁が多うございます。そしてまた、それぞれの立場において情報関係の施策を推進していることも、御指摘のとおりでございます。今後情報の価値がますます重要視される、こういう社会を進めてまいります上に、最良の情報、必要な情報を迅速に利用者が手に入れられることがますます大切でありますが、これまた困難になってくるということも考えなくてはならぬと思います。したがいまして、政府といたしましては、これらの体制の整備、技術開発の推進ということがますます必要であることは、ただいま御指摘のとおりでございます。ただ情報時代といっても、情報への欲求が多種多様でございますし、今後ますますその傾向は強くなるものと考えられますが、このために情報サービスは、一そうきめのこまがいものが要求されるようになると存ずるのであります。  したがいまして、各省庁が従来から行なってまいりました業務と関連しまして、情報関係の施策か進められておりますが、現在のところは——これは先生も一本化せいという御趣旨ではないようでございまして、どこか中心が必要である、こういう御指摘はごもっともでございますが、これを一本化するということは必ずしも適当かどうかということは、検討の余地があると思うのでございます。しかしながら、これをささえる共通基盤の整備につきましては、統一的に、また総合的に行なう必要があると考えます。特に情報処理技術ソフトサイエンスを中心としまして、科学技術に関しますことの総合調整官庁という立場にございますてまえどもの科学技術庁におきましては、その推進を強力にはかってまいりたいと考えておるところでございます。先ほどもお答え申し上げましたが、そういう立場に立って今年度これらの調査検討を行なうつもりでございます。  そこで、将来考えられます形といたしまして、どういう形が適当であるか。公立の研究所という形も考えられます。民間を加えました特殊法人というものも考えられる。あるいは公益法人という形、いろいろな形が考えられると思いますが、私どもも総合調整の立場から、できる限り先生の御指摘になったような方向で検討を進めてまいりたい、かような気持ちでおる次第でございます。
  35. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御指摘のように、通産省が現在やっております、また御提案をいたしました法律案、これはほんとうに、情報化政策というきわめて多岐だと考えられるもののほんの一部でありまして、当面、とにかく緊急になってきた事態に対処しようというだけのことでございます。したがって、将来の情報政策の全般の展開を考えてまいりますと、何らかの連絡調整あるいはコーディネーションの機関が要りますことは必然だろうと私は考えております。これはいまお尋ねを伺っておりますと、当然後にそういうことの御指摘があるのではないかと思いますが、たとえば、情報に関する基本法といったようなものの政府部内における検討の段階で、そのようなコーディネーションの機関が必然的に生まれてくるか、あるいはそういう法律の基礎に生まれてくるか、そのいずれかであろうかと思うのでありますが、そういう趨勢にあることは明らかであります。私どもがいま取りかかりましたことがほんのごく一部にすぎない、通産省だけというようなことはとうてい考えられない、その事の本質からしてそういうことはあり得ないものだというふうに考えております。  それから、民間のほうの協調体制でございますけれども、これは御承知のように、経団連が何年か前にミッションを出しましたのが契機になりまして、とにかく一緒にやらなければいかぬではないかというようなことから、いま日本経営情報開発協会というようなものがとにかくミッションが契機になって生まれております。これが一応の正統的な中心になって動こうとしておるのが現状でございます。
  36. 石川次夫

    ○石川委員 経営者のほうの関係、もちろんこれは情報の中核になりますから必要なんですが、それだけではなくて、教育とか行政とか地方行政とか、全部を含めたような形のものまで考えていかないと、非常に視野の狭いものになってくるのじゃないかという感じがしてならないのですが、それはまたあとから御質問申し上げるとして、情報産業政策として、いま話が出ました情報化基本法、それから情報産業振興促進法というものをどうしてもつくらなければいかぬであろう。それから情報産業振興基金というふうなものも必要であろう。あるいはシステム技術開発センターというものを設立する必要があろうというようなことは、ずいぶん前から提言がされておるわけですね。ぼちぼち形になっておるようでありますけれども、まだまだ本格化しておるとは言えない。二重三重どころじゃない、めちゃくちゃな重複研究が行なわれておるので、こういうものを、何とか政府の側でも少しでも調整をはかるという意味での指導性を積極的に、強力にひとつやっていただきたいということをお願いしておきたいのであります。  そこで、いまちょっと話が出ました情報化基本法、これは今度出ないでしまったわけなんですが、順序としては今度の法律の前に実は基本法が必要なんです。基本法に準拠してこういう法律が枝葉のように出てくるというかっこうでなければいかぬだろうと思うのです。この情報化基本法というものは、出すべき機運にありながら出なかったということの理由、それから情報化基本法というものを出すとすれば、一体どこが中心になって出すことになるのか、この点をひとつ両大臣に伺いたいと思うのです。
  37. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほど左藤委員の御指摘があり、また私も申し上げておりましたことですが、初めにハードウエアについてのコンピューターギャップというものが十年前にあり、それを一生懸命にやっておりますうちに、実はソフトウエアにもっと大きなギャップがあり問題があるということがわかってきたわけでございます。しかしこれは比較的最近のことでございます。実はソフトウエアというのに適当な日本語がないような程度に、これはごく最近のことであるわけでございますが、そのように、緊急な事態がちょっと先に進んでしまいまして、仰せられますように、ほんとうは、これは将来の社会の大きな革新化でございますから、何か基本的なものがそのベースになければならないということは、私はそのとおりだと思いますが、事態は、いま申し上げたように、事実のほうが先に進んでまいりました。  そこで、一般に、いま幾つか例示をなさいましたけれども、これからの情報化の政策というものを考えてみますと、幾つかの要素があると思うのでございます。  第一は、ただいま言われましたように、情報処理についての教育であるとか、あるいはその他のトレーニングであるとかいうようなもの。それから技術者の確保。システム・エンジニアにいたしましても、プログラマーにいたしましてもそうでございます。トップマネージメントについても、やはりそういう再教育のようなものが必要であろうかと思います。それから次に、いわゆるソフトウエア技術開発というようなものが大きな問題であろうと思います。これはただいまの議題に直接関係をいたしております。第三に、いろんなものの標準化、スタンダーダイゼーションの促進というものがあると思うのでございます。それから第四に、遠隔情報処理のための施策がどうあるべきか。これは、通信回線でありますとか、ネットワークでありますとかいうものに、当然関係をいたします。第五に、情報産業そのものの育成振興、これはただいまの議題にやはりかなり関係がございます。それから第六に、これも先ほど御指摘がございましたが、政府、官庁間における情報処理の拡充なり、高度化なり、あるいは重複、あるいは矛盾しないような政策がいかにあるべきかというようなこと。第七に、これはいろいろな問題があると思いますけれどもソフトウエアの流通でありますとか、あるいはコンピューターの抵当権をどうするかという問題。あるいはまた全然別に、中小企業に対しては情報をどういうふうにやるのかといったような問題。それから、それらの関連で法制をどういうふうに整備するか。まだ幾らもあろうと思いますが、ちょっと考えましても、これだけくらいのことはございます。  それらのものを全体的に観察しながら、問題点を踏んまえて、情報化あるいは情報基本法というようなものができなければならない段階にきておると思いますけれども、あまりに問題が多岐でありますために、ただいままでそういう法律ができずにおるわけでございます。しかし私ども、やはりそれをそろそろつくりませんと、これから先の政策の展開なり関係各省の協調体制も困難になってまいりますから、その時期がきたという判断をいたしております。  どこがその法律案を起草するかということになりますと、やはり実態上は、各省協調体制をとらなければとうていできないのではないだろうか。その主管をどこにするかということは、それはそういう相談の中から生まれてくるだろうというふうに私は考えております。
  38. 石川次夫

    ○石川委員 科学技術庁長官、時間がないようでありますので、非常に部分的な質問で恐縮なんですけれども、前から気になっておりました、いまの答弁、先ほどの答弁の中にちょっと出ておったようなんですが、いわゆるアメリカ政府でやっておりますアメリカ国立医学図書館、これは十八万五千件くらい毎年情報があって、累積が七十一万件くらいある。イギリス、スウェーデン、オーストリア、ブラジルが加入しておりまして、OECDでも評価をしておるわけでありますが、それに日本が加入するかどうかという問題があったわけであります。あと一つは、ケミカルアブストラクト、これは民間企業であります。これはかなり情報センターのほうに加入を申し込んできておる。科学技術情報は、やはりいまの情報の中で一番中核をなす問題ではないか。非常に重要な問題でありますけれども、それにしては、日本の科学技術情報センターというものは非常に弱体であるという懸念はありますが、それは別な問題にいたしまして、この問題が向こうから提起をされて、向こうから有力者が何回も来ておるわけでありますけれども、どういうふうに具体的に進んでおるか。  と申しますのは、私は、加入することはけっこうなのでありますけれども日本に対して政府ベースで来ているのがこの二つじゃないかと思うのです。それが医学とケミカルの問題だけが来ているということ、これは私は非常に意味深長だと思うのです。ということは、日本における医学と日本における化学、これは非常に高い水準にあるということで、向こうから積極的に提携を申し込んできておる。ほかのものにはいま政府ベースでは何も来ていないということは、やはり日本からの情報がほしいという意図も多分にそこには含まれておる。ということは、逆に言うと、アメリカ情報網の中に日本が包み込まれてしまうという懸念が出てくるのではないか。向こうからの情報もほしいけれども、逆に日本で一番取っておきの高い技術というものだけが向こうの網の目の中に入ってしまうということも考えられるという点で、これは私自身としてもちょっと決断のできにくい問題であるわけでありますが、現在どういうふうに進捗しておりますか、その点、念のために伺いたいと思います。
  39. 西田信一

    ○西田国務大臣 詳しくは政府委員からお答えさせていただきたいと思います。
  40. 佐々木学

    ○佐々木(学)政府委員 現在アメリカから強力な積極的なオファーのありますのは、先生御指摘アメリカ国立医学図書館でつくっておりますメドラースだけでございます。ケミカルアブストラクトにつきましてはちょっとした接触がございましたけれども、その後話が進んでいない状況でございます。メドラースにつきましては、これは収録雑誌二千四百誌のうち、日本の雑誌から、すでに百二十四の雑誌につきまして論文が入っておるわけでございまして、科学技術庁といたしましてはこのメドラースの組織に参加するかどうかということは、現在きめていないわけでございます。ただ、情報検索の技術の習得と、その情報検索に伴いますいろいろな問題点を検討する、そういう意味で、四十四年度からこのメドラースの磁気テープを借りまして、現在四十五年度からこの実験に着手しようと考えております。この実験が四十五年度に終わりまして、その後メドラースの組織に参加するかどうかということは、医学界、あるいは医師会、あるいは厚生省その他関係の向きといろいろ検討してきめていきたい、そういうふうに考えております。現在の段階は、ただ情報検索の実験にこのメドラースを使っておる、そういう段階でございます。
  41. 八田貞義

    八田委員長 前田正男君。
  42. 前田正男

    ○前田委員 この際、先ほどの左藤委員の質問に関連いたしまして、一点について通産大臣に御質問さしていただきたいと思います。  先ほどから、石川委員の質問にもそのような趣旨のものがございましたが、私はもう少し掘り下げて具体的に大臣の所見を伺っていきたいと思うのです。  今度の法案で、たいへんソフトウエアギャップを埋めることには役に立つと思いますけれども、先ほどお話もございましたとおり、外国進歩は、おもに軍事を含めました政府関係の予算で進んでおりまして、現在もなおランドの例等を見ましても、これはほとんど政府予算というものがその大半を占めておるわけでございます。そこで、私たちといたしましては、ここでしっかり、ひとつソフトウエア問題について考えませんと、アメリカから入ってきましたシステムの考え方というものを学んでばかりおっても、これはいつまでたっても、向こうは政府ベースの金を相当多額に投じておりますから、ソフトウエアに関しては、ギャップは埋まらないわけなんです。そこで、やはり日本的な考えというものを持ったシステムというものを基本的に研究をする必要があると思うのです。しかし、そういうものを民間にやれといっても無理な話であります。また、外国の例においても民間でやっておりません。したがいまして、これは政府の金でもってやらなければならないと思うわけであります。また、基礎的な研究をしましたいろいろなもの——もちろんものによりましては、それは外国技術も大いに参考にしてこれを利用しなければならぬと思いますけれども日本的に考えて基礎的なもの、あるいは外国技術を学びましたようなものも、そういう基礎的なものの力をつけました場合において、これを総合的に応用するということも、これまた政府関係の行政のものが相当あるわけでございます。まあ簡単に言いましても、公害だとか防災というような問題のシステムの問題もあるわけです。あるいはまた、最近物価の問題でやかましくなっておりまするが、生鮮食料品の流通システムというような問題もある。あるいはまた、経済企画庁が立てております経済発展計画に対しますシステム、場合によっては、それに対するシミュレートというような問題も出てくると思います。あるいは、先ほど来の御指摘のありました教育の場合も、プログラムをつくりました教育システムといったようなものを考えなければならぬ。プログラム教育というものを中心とした教育システムを考えなければならぬ。これらおのおのみな政府の金でやらなければできないわけでございます。民間のほうにおいては、いわゆるシンクタンク的なものをつくろう、こういうような構想があるというように聞いておるのでありますけれども、いま申し上げましたように、基礎的なものは外国でも政府の金を使ってやっておる。また、その応用部門におきましても、行政的なものにつきましては政府の金を投じなければならぬ。そうしますと、やはりこれは基礎的なものと総合的なものを推進する計画、そういうものを推進できるような基礎をつくるところの研究機関というものは必要になってくるんではないかと思うわけでございます。  この点については、先ほど西田科学技術庁長官も、本年度、四十五年度そういうものはつくりたいという希望を持たれて大蔵省に折衝したけれども、それは認められなかった。通産省のほうも、実はシステム技術開発調査室というものに五百万ついておりまして、四十五年度に何かそういうシステム関係のものを掘り下げて研究しようというような考えを持っておられると聞くのであります。そのほかに経済企画庁も経済研究所のほうでやっておられる。あるいは先ほど答弁がありました行政管理庁、あるいは大蔵省の予算関係、おのおのみなそういうふうなことを少しずつやろうとしておられるけれども、問題は、そういうようにおのおのやっておったのでは、政府関係の金というものが効率的に生きてこないし、また、そのおのおのの部門が総合的に各省の分野にわたるものであります。したがって、各省の分野にわたるものを基礎的に研究し、そうしてまた、行政の基本的なものにこれをつくって、そうしてそういうシステムを考えて、それをひとつシミュレートして、行政の予測を立てて、それをひとついろいろと修正し、政策をきめていく、こういうふうなことでやらなければならぬ段階に来ておるのじゃないかと思うわけです。しかもそれは四十五年度に、一応科学技術庁のほうも通産省のほらも予算要求したというようにわれわれは聞いておるわけでございますけれども、今年度それが実現できなかった。いま私たち情報産業議員連盟の者を中心にいたしまして、四十六年にはこれをぜひひとつ実現しなければならぬ、基礎的な、総合的なものをひとつ実現しなければならぬ、こういうふうに考えるわけでございます。これは、どうしても基本的に政府の金を投じられるような——政府機関でなくてもいいかもわかりませんけれども、公共的な性格を持ったものをやらなければ、外国との間のギャップというものが埋まることはむずかしいと考えられるわけでございます。  そういう点について、通産大臣という立場よりか、国務大臣という立場において、こういうものをひとつここで法案を提案されたわけでございますが、この法案は確かに一歩前進でありますけれどもわが国現状から見て、基本的なものを、あるいは総合的なものをこの際政府の金でもって急いでやらなければ、たいへんおくれておると思うのです。いまお話のありました基本法の制定についても、われわれも検討いたしておりますけれども、しかし基本法という問題になると、やっぱりここでまた多少の時間的な検討を必要とすると思うわけでございますけれども、しかし基本法の検討している間に、この基礎的な、総合的な研究機関というものが一刻を争うような状態になってきておる。現に民間の中ではスタートしたいと言っていろいろな案が出ておるわけであります。しかし、それらのものでは所期の目的を達成することは困難でありまして、これはみなおのおの政府から仕事の委託を受けようと考えているようでございますけれども、そういうようなものでは、性格的にいっても基礎的な研究というものはできてこない。また、基礎的な研究と総合的な研究というものは相まってこないと思うわけで、やはり政府が応援するところの公共的な性格を持ったものを急いでつくる必要があると思っておるわけでございます。この法案の成立とともに、日本がいよいよひとつソフトウエアの方面に大きな一歩を印するわけでありますから、この機会に、ひとつ政府も大きく基本的な問題、総合的な問題に乗り出してもらいたいと思うわけでございます。そういう点について、ひとつ大臣としてのお答えをお聞きしたいと思うわけでございます。
  43. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御質問の含意には私も大体賛成で、同じような筋で考えるべきだと思っております。そこで政府という場合に、私はこう二つの面があると思うのでございます。一つは行政体としての政府でありまして、ただいま御指摘になりましたようないろいろな政策課題を有効に進めていくために、政府自身がそれをいかにシステムに持ち込んで処理するかという問題があると思うのでございます。そういう意味では、それは各省各省にいろいろな問題がございますので、それは各省の立場において、たとえば通産省で申しますと、高度経済社会における大型プロジェクトというようなものをどのようにシステムエンジニアリングで考えていくかということであると思いますし、公害につきましては、あるいは厚生省がそういうことを考えなければいかぬ。交通についてはまたその所管省が考えられる。おのおのシステムがみなあると思うのでございます。そういう意味での政府が、関係各省が、自分なりのシステムを考えてシミュレーションをやっていくということが入り用ではないか。  他方、もう一つ意味での政府がと言われますときには、これは国全体の各分野における、これは民間企業を含めましてどのようなシステマタイゼーションが可能であるかということを政府機関においても研究しないと、これがアメリカのNASAであるとかいうものにかわる、そういう研究体になるのであろうと思いますが、そういう意味でのものが必要ではないか、こう御指摘になっていらっしゃるんだと思います。それは私もそのとおりだと思いますので、科学技術庁においてどういう構想を考えられましたのか、私つまびらかにいたしませんでしたが、おそらくその後者におけるようなものをお考えなのではないか。それは私はきわめて適当なことではないか、必要なことではないかと思っております。
  44. 前田正男

    ○前田委員 いまのはちょっと誤解があるようですけれども、私たちも、各省がシステム的に研究されることは非常に賛成であります。これはまた、おのおのの各省としてやらなければならぬことがあると思います。しかし、公害の問題をとらえますと、これは厚生省だけの問題ではないと私は思うのです。公害については、もちろん大臣の所管の通産省に非常に関係のあることであります。したがってまた、先ほど申しました流通システムになりますと、農林省、運輸省、通産省経済企画庁、おのおのみな関係があるわけでございます。そういうふうに、各省に関係のある、二省間にわたるシステムというものが実は非常に多い。いま経済企画庁が立てておる経済発展計画というものは、ほとんどが各省にわたるものであります。そういうようなことで、また各省が自分だけでやりますと、たとえば道路計画というもので五カ年計画を立てますけれども、それに対して評価をする場合に、経済発展とか、あるいは大蔵省の立場もありますけれども、道路はこういうように五カ年で発展した、社会はこういうふうな構造変化をするというようなことも、これは経済企画庁の立場、総合開発の立場で、単に道路計画というだけではなしに、それの評価、その及ぼす影響というものをシステム的に研究しなければならぬのではないか、こういうふうに総合的に行政をやはり研究しなければならぬものがあるわけであります。もちろん各省の所管のシステム的に研究しなければならぬものもございますけれども。だから、そういうふうな総合的なものを——これは何も科学技術庁だけでやれと言っているのではありません。科学技術庁だけでやるべき仕事ではもちろんないと思います。科学技術庁、経済企画庁、あるいはまた、それぞれいろいろな各省と関係した、しかしそれは政府機関としてやれるかどうかということになると、実は私どもの検討の範囲ではどうもむずかしいのじゃないか。民間のある程度協力を得なければならぬのじゃないか。だから、ある程度民間の協力を得られるようなものを、各省共管といいますか、政府全体としてこれを監督していけるようなものであり、しかも政府が出資し、政府の仕事を委託できるというようなものでなければならぬ。  いま考えておる最中でございますけれども、われわれのほうもなるべく構想をまとめて早く出したいと思っておりますけれども、きょうお願いしたいことは、いずれにしましてもこういう法案をつくることは、私どもまことに時宜を得ていいことだと思いますが、同時に外国との技術のおくれを取り戻す基礎的な研究というものと、そういう総合にわたる研究というものの機関を、とにかく四十六年度には、半官半民の形でスタートするか、あるいは国の付属機関としてスタートするか、それは別といたしまして、スタートさせなければならぬ。これはもうどうしても急がなければならぬと実は考えておるわけでございますので、大臣にもぜひその点よく御理解を願いたい、こう思いまして質問したわけでございます。
  45. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 よくわかりました。それで、ほんとうにシステムアナリシスが進んで、その上でプログラムが書けましたら、あるいはその結果各省の縦割りの壁というものが自然に破れるような、そういうプログラムが書けましたら、それが一番理想だと思うのでございます。そういうことが科学技術庁、あるいはまた行政管理庁も関係があるのかもしれません。そういうものができるようでありましたら、それは非常に心強いことだと思います。御趣旨はよくわかりましたので、私どもも御一緒にそういう考えで進んでいきたいと思います。
  46. 石川次夫

    ○石川委員 どうも情報問題は、あまりにもたくさんな問題をかかえておりますので、私が質問しようと思った一割もいかないうちにもう時間が来てしまったような状態です。いずれ機会を改めて御質問をしなければならぬと思うのですが、簡単に御答弁を願いたいと思うのです。  通産大臣に伺いますけれどもアメリカ日本とのテクノロジーギャップ、これは非常に問題になっている。特にハードウエアよりもソフトのほうがギャップが大きい、こう一般にいわれておりますけれども、OECDの調査で、アメリカとヨーロッパ、アメリカ日本のテクノロジーギャップは、大ざっぱな見当でけっこうですが、大体どのくらいになっているか、ちょっと念のために伺っておきたいと思います。
  47. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 おそれ入りますが、政府委員からお答えいたします。
  48. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 OECDの調査でいろいろな報告が出ておりますが、必ずしも全体を網羅した資料がいまございませんので、とりあえず手元にある資料でお答えいたしておきますが、やはりコンピューターコストに占めるソフトウエア比率一つの目立った指標ではないかと思います。そういった点で申しますと、全体のコンピューターコストに占めるソフトウエア比率というものが、アメリカにおきましても、一九五〇年代は大体一割程度であったものが、すでに五割となり、かつ七〇年代初期には七割になる、こういうような計画がOECDを通じて出ております。これに比べますと、日本の場合にはまだこれが二、三割でざいますので、いわばアメリカ現状から見ますと、まだ五〇年代と現代との間ぐらい、こういった程度ギャップがあるのではないか、こう思っているわけでございます。
  49. 石川次夫

    ○石川委員 私はヨーロッパのほうも聞きたかったのですよ。いまの数字は私も知っているのです。  アメリカの場合ですが、一九七〇年でハードのほうは五十億ドル、それからソフトのほうが七十億ドル。一九七五年になりますと、大体ハードのほうが百億ドル、ソフトは倍の二百億ドルになる。こういうふうなことで、非常な勢いでアメリカソフトというものは伸びてくるということが予想されまして、ハードのほうは、どうやらこうやらわれわれのほうでも、食いとめるまではいかぬけれども、まず対等のかっこうでやれる。これは、いろいろな外資の規制やなんかがあるのでしょうけれどもソフトのほうは一体どうなのだということになりますと、これはいまのままだったら、とんでもない事態になるのではないかということで、一つの例として申し上げたいのでありますけれども、これはどうなっておりましょうか。  だいぶ前の話で、私、最近の情報を知らないのですが、LEASCO−SRCというのがあります。これはシステム・アンド・リサーチの会社でありますけれども、これはコングロマリットのLEASCO−DPE、データ・プロセッシング・イクイップメントの子会社ですが、これが日本リサーチセンターに提携を申し込んできておるわけです。これがコングロマリットの一環として入ってきたら、これは一体どうなるんだろうか。ソフト関係でありますから、これは簡単にはなかなか外資の規制もむずかしいのではないかと思いますけれども、その問題が一つと、それからCSCというのがアメリカにございます。これはアメリカでも有名な最大のソフトウエア会社であります。これが日本のビジネスコンサルタントのほうに提携を申し込んできておる、こういう問題。それからブリタニカという御承知の百科事典、有名なエンサイクロペディアの会社でありますけれども、これが東京放送と凸版印刷のほうに提携を申し込んで、TBS・ブリタニカ社というものをつくるという話もきていたわけです。これは外資規制の面では一体どういうふうに処置されておるのか。ハードのほうはとにかくはっきりしておりますから、先ほどの御答弁にもありましたように、おいそれと上陸を許したんでは容易でなかろうということもあって、いまのところはこれはある程度規制しなければならぬ。ソフトのほうは一体どうなるんだというと、なかなか大勢として規制するというのはむずかしいところもあるんじゃなかろうか、こう思うので、これらの具体的な提携を申し込んでいる、この現状は一体どうなっておるか、これをひとつ参考までにお知らせ願いたいと思うのです。
  50. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 いま御指摘の二、三件の外資提携の問題でございますが、この点につきましては、私どもも当該会社からいろいろ事情を聞いております。ただ私どもが聞いておりますところでは、まだそういう話があるといいますか、向こうとの若干の往来があるという程度で、具体的に、どういう条件で、今後どういういうふうに提携をしていくといったようなところまでは、まだ話がいっておりません。そういう意味合いから、いわば両方の関係者の間で話題にあがっておるというふうに、私どもは了解をいたしております。  それから、外資の問題につきましては、先ほど大臣からお答えをいたしましたとおりでございまして、現在のようなギャップのある情勢、しかもソフトウエアというものは、今後の日本経済社会全般に非常に大きな影響を持つという面からいたしまして、これは私ども、先ほど大臣ハードコアということばも言われましたが、そういったような感じで慎重に対処していくべきだ、かように考えております。
  51. 石川次夫

    ○石川委員 この外資の規制の問題で、その方針で当面これはやっていただかなきゃならぬ、将来たいへんな禍根を残すんじゃないかと思うので、慎重に対処してもらいたいと思うのであります。  それで実は、いわゆる公衆電気通信法という法律、これは電波監理官も来ておられると思うのですが、これはある程度、電電公社が通信網というものを独占をしておるというかっこうで規制をしておるわけです。私は冒頭申し上げたように、情報は非常にはんらんをするという懸念がある。したがって、どこかで情報というものを調整していかなければならぬのではないか。そうでないと、誤った、はんらんした情報、売らんかなの情報というものに惑わされて、人間否定じゃなくて人間歪曲の時代を迎えるという懸念を私は持っておるので、そういう規制は何らかの形で必要であろう、こう思うので、この公衆電気通信法によって独占された現在の電電公社の独占権というものを、あまり開放しないほうがそういう意味ではベターか、こういう考え方も一面ではするわけです。ところが反面、アメリカあたりのデータによりますと、ソフト開発の寄与率は、ユーザーが五〇%、それからメーカーが二〇%、大学の研究機関が一〇%、それからソフトウエア業者、あるいは計算サービス会社、コンサルタントというのが一〇%、それから残りの一〇%は宇宙産業、大銀行、通信会社というような寄与率になっておるようであります。これは正確なものじゃないと思うのですが、大体の見当はこうだろう。したがって、ユーザー関係開発の寄与率は相当に大きい。そうしますと、民間が相当貢献をしている、こういうことにならざるを得ないのです。したがって、独占的なもので調整をしていく必要を反面認めながらも、電電公社でこれを独占的な形でもって規制をしていくということに対しては、その開発に対して相当抑制的な役割りを果たすんじゃないか、こういう懸念も反面ではあるわけです。私自身も、この二つの問題が二律背反なものですから、どうしたらいいかということで非常に判断に迷っておるわけです。判断に迷っておりますけれども、何らかの形で規制をしていかなければならぬということが一面ありながら、規制をし過ぎたことによってソフト開発というものを押えつけていくというかっこうになっても困る。この点で通産大臣と、それから電波監理官も来ておるようでありますから、決定的なことはなかなかお答えしにくいのじゃないかと思いますが、現状でお考えいただいているところをお答えを願いたいと思います。
  52. 中村重光

    ○中村(重)委員 議事進行。先ほどからもう少し与党を集めるように言っているのですが、いま三名。与党がこんな定足数を無視するようなことでは、委員会の審議は進めない。あと十五分程度で相当数集まらなければ、委員会の審議はストップしたい。
  53. 橋口隆

    ○橋口委員長代理 それでは議事を進めます。
  54. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまの御指摘の問題は、実は政府部内でもいろいろ議論がございまして、今回も法律案を提案申し上げることを考えておりましたが、ついに統一した見解に至らなかったわけでございます。  問題になりました要素は、ただいま御指摘になりましたような幾つかの問題でございまして、電電公社が独占をするという場合も考えられますけれども、いまのわが国におけるソフトウエア開発状況から申しますと、すでにかなり先を走っておる外資系のものが、ある意味でまたかなり大きな力を持つということも考えられます。その場合にまた、機密がどうなるかというようなことも問題になるだろうと思うのでございます。それと全然別の観点から考えられますことは、いろいろな情報がはんらんすることは、好ましくないのは一理がございますけれども一つ情報で統一されるということになりますと、かりにそれが外資でなくわが国のものでありましても、情報が統制されるという、そういう危険というものはあり得るわけでございます、過去においてございましたから。そんな観点がございます。しかし他方で、回線というものは道路のようなものであるから、これはだれが歩いてもいいものではないかというような議論がまたございまして、結局、政府部内で、もう少し時期を見て、時間をかけて思想統一をしてみようではないかということで、ただいまそういう現状におります。
  55. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 郵政省としてお答えいたしますが、オンライン情報処理データ通信と私たち申しておりますが、これはいわゆる第三の通信とかいうふうにいわれておるのでございますが、電信電話という面と比べますと、かなり違う要素が出てきております。電信電話は、御承知のように公衆電気通信法等によって明治以来独占という形で進んでおるのでございますが、一口に第三の通信と申しましても、これは電信とか電話とかいう一つサービスではございませんで、実に計算機が今後発揮し得るいろいろな利用効果をいろいろなサービスとしてできるわけでございます。したがいまして、これを将来電信電話公社の独占として行なうということは、これは実際的にはあり得ないものでないかと思います。  ただ現在のところ、この情報産業の問題が国際的にも非常にきびしい競争の場になっておるのでございまして、私どものいまの考えといたしましては、日本電信電話公社の持っております技術力というものも、一つ日本情報産業の推進の力となる意味におきまして、これを先導力と申しますか、ということで、ここに相当の力を入れて今後の開発に向かうのが適当なことではないか、これがまた外資問題に対する結局一つの解決のかぎにもなるのではないかというふうな考え方をしておるわけでございます。ただいま通産大臣からも御答弁がありましたように、なかなかいろいろむずかしい問題がございまして、今後、郵政省といたしましても、郵政審議会におきまして、こういう問題につきましても、一そう御検討をお願いいたしたいと思っております。また政府部内として、郵政省としてできることをいろいろ検討してまいりたいと存じております。
  56. 石川次夫

    ○石川委員 これは検討中ですから、はっきりした答弁ができないでしょうけれども、ただ、上陸をしてしまってから、独占的なもので外国からの情報網がはんらんすることを防ぐということだけでは、ちょっとおかしいんではないか。これはやはり外資規制のほうで水ぎわでもって押えて、中に入ってしまってから通信の独占でもって何とかこれを排除するということは当を得てない。その点だけは私ははっきりさせたほうがいいんじゃないかと思います。しかしながら、先ほど申し上げましたように、ユーザーの寄与率というものは非常に大きいという現実から見て、これはやはり独占で規制をしていくということは賢明ではなかろう、こういう判断をしております。  そのほか郵政省の関係は、異企業間の回線利用は禁止されているし、それから実は教育体制が情報化時代ではまるきり変わるのです。この場合、先生というものはどういう立場になるか、あるいは入学試験というものはどうするかという問題が出てくるのです。それから壁頭に申し上げましたように、新しい形の失業というものが生まれてくる危険性が出てきていることが指摘されております。そういう問題に対してどうするか。あるいは、ハードウエアが相当高価なものでありますだけに、キーパンチャーの職業病というものが非常に大きな問題になりますけれども、大学を出た連中でソフトウエアあるいはハードウエア関係している者は、ノイローゼぎみの人がたくさん出ております。将来これは社会問題になる可能性がある。したがって、労働対策としてこれをどうするかという問題も、非常に大きな問題ではなかろうかと思っているのです。そういう問題については、これは全然質問の時間が足りませんので、あとまた二、三回やらしてもらいます。  きょうはこれで終わります。
  57. 橋口隆

    ○橋口委員長代理 それでは、午後一時四十分から再開することとし、この際休憩いたします。    午後零時四十一分休憩      ————◇—————    午後一時五十六分開議
  58. 八田貞義

    八田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中井徳次郎君。
  59. 中井徳次郎

    ○中井委員 今度のこの法案について、私は全くしろうとでありますが、原則的なことを少しお尋ねをいたしまして、それから現在使っております現状はどうであるかというふうなことをお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、その前に、ちょうどいま友だちに頼んでおきました資料ができてきましたので、ひとつ昔話を御披露して参考に供したいと思います。  私の昔の高等学校の先生の椎尾甫という一先生が、大学一年のときに特許をとりまして——東大であります。DC、ACのコンバーターを発明をしまして、日米間の特許をとりました。大正六、七年ころであります。その先生は数学の先生でありまして、非常にむずかしい、有名な先生でございました。それで、中井、おまえ、これ二十万円で買いにきているんだが、どうしようかいと言うから、二十万円ばかりで、先生、そんなもの売ったらあかんでという話をいたしまして、それは私の高等学校の二年のときであったと思います。そのまま忘れてしまっておりまして、先生もなくなられまして——椎尾甫という先生であります。椎尾弁匡という、増上寺の管長のおいであります。その先生もなくなられて十数年になります。もう二十年以上になるかもしれません。戦争前後になくなられたわけでありますが、ふと、今度の情報処理振興事業協会等に関する法律案の提案理由という、これを読んでおる間に思い出しまして、あの先生ほんとに特許売らはったんかどうかと——もしそれによっていまの電子計算機、これをやっておるならば、ちょうど例のレーダーにおける発明のようなものでありまして、原則は日本人が発明しておって、みんな取られてしまったなんというようなことに、よく似ております事件でありまするので、ちょっと調べてもらいましたが、コンバーターではないそうです。大学一年のときにコンバーターの発明、こうあります。あとで皆さんにごらんに入れますが、そういうことがありまするのをひとつ御披露申し上げまして、日本人の頭も決しておくれておるものではなかった、ただこれを利用する能力が日本には欠けておったのであります。第二次世界大戦の敗戦もその最も顕著な一つの例だと思いますので、参考までに申し上げまして、昔話を御披露いたしておきます。  さて、今度の法案ですが、私、読みまして、宮澤君が通産大臣でありまするから情報処理振興事業協会等に関する法律案というものをお出しになったんで、これは出さぬよりは出したほうが、早いほうがいいわけでありますが、たとえば提案理由の説明を読みますると「今日のように高度に多様化し、また急速なテンポで発展している経済社会におきましては、」とこういう形があるのですけれども情報というのは経済だけじゃなかろうと私は思います。なぜここを人間社会というふうに御説明がなかったのか。経済社会とおっしゃったところに私はまずひっかかるわけでございますが、どういうことでございましたでしょうか。その辺のところをちょっと御説明願いたい。
  60. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 二進法につきましてのお話はまことに啓発を受けました。二進法とか、あるいは織物を織りますときの縦糸、横糸の穴を通しますが、そういうものの考え方であるとかというものが、電子計算機の一番もとになっておるというふうに私も承っておるわけでございます。  それで、経済社会ということを確かに申しておりますが、おそらく——おそらくと言ってはいけません、これは私の申し上げたことですから。この情報処理振興事業協会というものが扱います情報関係の仕事が、一応私どもの頭で、ソフトウエアにいたしましても、企業というものを頭に置いておりましたから、こういうところへ経済社会ということばが出たと思いますが、確かに電子計算機あるいは情報化ということは、経済だけの問題ではもちろんございません。社会全体、人間生活とでも申しますか、そのこと自身が情報化によって大きな変化をするであろうということは、予測にかたくないところでございます。ただ、提出いたしました法案自身のカバーしております範囲というものが経済社会が中心であるということから、かように申し上げたわけでございます。
  61. 中井徳次郎

    ○中井委員 そういたしますると、今回お出しになったのは非常に小さい範囲、もうちょっと小さな範囲の法案をお出しになったのである。午前中石川君から質問もありましたし、また前田さんからも御質問がありましたが、こういうものは、すべからく内閣直属の機関でもつくって、総理府がやるのかどこがやるのか知りませんが、やるべきであるというふうに、私はその点では、石川君あるいは前田君の意見、それに対する大臣の御答弁、十分とは申しませんけれども、けっこうだと思うのでございます。とにかく全然とうしろうが質問するのですから、とんちんかんなことをお聞きするかもしれませんけれども、インフォメーション・インダストリーというのですか、情報産業というのは。どういうんでございますか、英語では。
  62. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 どうも私もしっかりしたことを申し上げられませんけれども外国の書きものを読みますと、ナレッジ・インダストリーと書いてある場合と、インフォーメーション・インダストリーと書いてある場合と、両方あるように考えます。
  63. 中井徳次郎

    ○中井委員 ナレッジであろうとインフォーメーションであろうと、情報と訳する。だれが訳したんですか、一体。日本人は近ごろ非常に軽率でありまして、この間、平壌へ飛んでいった飛行機でも、途中で金浦へおりてみたり、何かすべてが軽率です。このナレッジであり、特にインフォーメーションを情報と訳するとは何ごとですか。いまの私ども日本語で情報といえば、佐藤さんは四選するだろうかどうだろうかとか、宮澤君は企画庁長官、これが一番適任だろうとかいうのが情報であって、いまわれわれが扱っておるやつはそうでなく事実でしょう。日本に人間が何人おるかはきちっときまったことであって、情報じゃないと思うんだな。報道というならまだましですけれども。これは知らせるということ。私はこの情報ということばは改めてもらいたい。いまのこんな小さなやつはいいかもしれません。あなたがお出しになるような、やったやつはいいかもしれませんが、将来にわたってはおかしい。いまやっているのは、要するに銀行においては事務処理、電子事務処理機関じゃありませんですかね。これは、翻訳が情報産業というと、まことにすばらしく、しかもインチキでごまかされやすいというふうな、実際何か印象を受けるのでありますが、これはどうですか。あなたはほんとうにもう語学の天才でいらっしゃるんだから、その辺のところ、率直にひとつ閣議あたりで問題を提起していただいて——情報処理ということばは、これはマクナマラ氏が国防長官のときに、北ベトナムと南ベトナムの戦争だとか、そういったものと何かごちゃごちゃになっているんじゃないか。皆さんじゃありませんよ。日本に報道する機関だとか、マスコミだとか。この間のあの騒ぎ方を見てごらんなさい。たった百人ばかりの人が——それは乗っ取り事件です。重大な事件でありますけれども、全国民が四日間、そのほかのことを忘れてしもうて大騒ぎをしておる。それは戦後の事件でありますけれども、もっともっとつついた深いところからものごとを始めて、基本的なところからものごとを始めてもらう必要があるんじゃないか。何でもいいから急いでやってしまえというんじゃなくて、翻訳一つでも私は憲法と訳した人はたいへんえらいと思っておる。それから共産党という翻訳があります。いま中国でも使っております。中国共産党、あれは日本人が訳して中国へ渡っていったことばです。だから、そういうふうな、 せめてちょっと品のいいことばに翻訳してもらいたい。情報産業というのは、どうも実に人をばかにしたようなことばでなかろうか。商売人にはいいかもしれません。景気がいいような話ですから。  しかし、これからお尋ねいたしますが、私はきょう各省のお役人に来てもらっております。どんな仕事をなすっておるかお尋ねしたいのですけれども、その前提条件としてとぼけたことを申します。まことにとぼけたようなことを申しますが、いまのような翻訳。これはどうでしょうか。この法案はとにかくとして、将来、けさのお話では、基本法というふうなものを出そう、こういうことで皆さんも賛成をなすっておるような、自民党の方もそういうお顔色だと私は拝見しておるわけです。私どもも基本法は賛成でございます。もっときちんとしたものを出す。それに際して、情報ということばはどんなものでございましょうか。ひとつ、そちらのほうのベテランでいらっしゃるあなたのほうの御意見を伺っておきたい。
  64. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 浅学でございまして、もちろん十分にお答えができませんけれども、人間の営む経済というものが三つの要素からなっておるというふうに一般に考えられておると思います。それは、物質とエネルギーと、その次の、それをかりに情報と呼ばせていただきますが、原始農業の段階においては、物質、これは土地であると思いますが、エネルギーというのは人間の労働力であったと思います。この場合には、情報というものはほとんど入る余地がないと思います。せいぜい天候に関することであるとか、気温に関することであるとかいうことは、農民としては知っておったと思いますが、それは売り買いするような種類情報ではなかったと思います。工業社会になりまして、物質、エネルギー、両方ともあるわけでございますけれども、たとえばデザインといったようなものがございます。このデザインといったようなものは、物質でもエネルギーでもございませんで、人間の頭脳から生まれた一つの何かであると考えることができるのではないかと思います。テザイン——色もそうであると思います。ところで、高度工業化社会になりまして、物質が合成されるようになりました。したがいまして、物質の相対的な価値というものはだいぶ低下してきた。それから、原子力等によりまして、エネルギーがこれからますます安くなっていくと考えられますので、エネルギーの相対的な価値も下がってきて、残ったものの相対的な価値がしたがって上がるはずである、また上がりつつあると思うのでありますが、それをまあアイデアと呼びますか、情報と呼びますか、知識と呼びますか、そういったようなものが大きなウエートを占める社会を何と呼ぶかというようなことから、まあいわば情報というようなことばがあらわれたと思いますが、わが国の場合、このことばが初めて使われたのをいま聞いてみますと、情報処理学会というものか——これは昭和三十五年ごろだそうでございますが、そのときのもとのことばはデータ・プロセッシング・システム。しかし、このプロセッシングといいますと、これは電子計算機の世界では非常に狭いことになってしまいますから、やはりいまかりに情報と呼んでおりますものは、ただいまも申し上げましたように、人間の頭脳から生まれる、物質でもエネルギーでもない何か、アイデアでありますか、ナレッジでありますか、あるいはインフォーメーションでありますか、そういうものの部分を——情報化社会とは、そういうものが社会の中で従来よりもかなり大きなウエートを占めるような、そういう社会をいうのではないかと考えておるのでございます。  確かに、わが国のことばで情報というのは、どうも従来のことばそのものの持っておる意味合いがございますので、何か必ずしも十分でない、私もそういう感じは持っております。今回の法律案も、やむを得ず、そういう最近使われ出しましたことばを使わせていただいたわけでございますけれども、もっといい、しっくりいくことばがございましたら、それはまた御教示を仰ぎたいと思いますし、確かに、その辺何か一つなじまないものがあることは事実だと思います。
  65. 中井徳次郎

    ○中井委員 いろいろと詳しい、各種の面にわたるお話等ございましてなにでございますが、結局、情報というのは何のことやらよくわからぬ、まあしかし世間が使っておるからそうなる。そうすると将来とも、もっといいことばがありましたらと——私も何もこだわっているわけじゃないのです。どうもしかし情報というと、私があなたよりも年上だから、何か戦時中のことなども頭にありまして、確度AだとかBだとか、スパイみたいな、情報といったらスパイと、こうなるのだな。そういうふうなことを連想する。あるいは連想する私が古いのかもしれません。古いのかもしれませんが、どうも情といえば情けという字ですし、報というのは報じるということで、しかしこれは確実なことですからね。調査をした結果は、客観的に非常に確実性のある——哲学的な表現を使いますけれども、確実なデータなんだから、絶対に間違いのないことなんで、いわゆる情報という怪しげなものではないのだからね。そういう日本語の表現とどうも食い違いがある。ひとつ政府におかれても、その辺のところ、基本法を出されるまでによく研究をしてもらいたい。知的事務という表現もできないわけではない。あるいは電子事務処理ということばも悪いわけではない。とにかく情報というのは、確実性という意味におきましてどうも私にはいただけない。それで簡単にわあっとやってしまって、それで読んでみますと、おたくは今度の予算に二億円ばかり出してしまって何かのお世話をするそうですが、どうですか、こんなもの。——いま大蔵省の方いますか。大蔵省の原田君か、吉田君か。銀行局は大蔵省の所管だと思いますが、一番先にいまの処理機関を入れた銀行はどこですか。そして、それはどういうルートで、どうして運営をされておるか、ちょっと簡単に説明を願いたいと思います。
  66. 吉田太郎一

    吉田説明員 お答えさせていただきます。  一番最初に入れた銀行につきましては、私ちょっと正確なところを存じておりませんが…。
  67. 中井徳次郎

    ○中井委員 そんなことがわからないのか。何しているのだ。
  68. 吉田太郎一

    吉田説明員 いずれ調べまして、すぐお答えいたします。
  69. 中井徳次郎

    ○中井委員 そういうのんきなことではいけませんよ。たとえばニューヨークの支店とかワシントンの支店とか、そういうものともちゃんとやっているのだろうと思うのだが、そのルートはどういうルートでやっておりますか。これは御存じだろうと思いますが、大蔵省の吉田さんですか、お尋ねいたします。
  70. 吉田太郎一

    吉田説明員 一番最初入れた銀行が、どういうふうにして手に入れたかということについては、できるだけ早く調べましてお答えさせていただきたいと思います。
  71. 中井徳次郎

    ○中井委員 いま聞いたのは、どういうルートでやっておるのか。たとえば国際電電のルートを使っておるのか、アメリカにおいてはどういうルートであるのか、それを聞かせてもらいたい。
  72. 吉田太郎一

    吉田説明員 どういうルートでやっておるかと申しますか、現在銀行にかなりたくさん入っておるわけでございます。銀行で六十八行、相互銀行で三十三行、信用金庫で九十九金庫というような状況で、一般化されつつあるわけでございます。したがいまして——ちょっと御質問の御趣旨がどういうことか、もう一回伺わせていただければしあわせだと思います。
  73. 中井徳次郎

    ○中井委員 では、もう一ぺん申しましょう。外国の支店とやっております銀行ですね。第一銀行だとか、住友銀行だとか、三井、三菱だとか、そういう銀行はどういうルートでやっておるのか。これをお尋ねいたすのです。念のために言いますが、国内の銀行ではありません。国内同士ではありません。それをお尋ねします。外国支店との間はどうやっておるか。
  74. 吉田太郎一

    吉田説明員 外国日本の支店との間の電子計算機関係はないように承知しております。
  75. 中井徳次郎

    ○中井委員 そうしますと、毎日みな電報でやっているのですか。
  76. 吉田太郎一

    吉田説明員 電信あるいは国際電話を使っておるわけでございます。
  77. 中井徳次郎

    ○中井委員 国際電話は、両方とつなぎ合わせて、とんとんとんとやっておるのと違うのですか。
  78. 吉田太郎一

    吉田説明員 おそらく送金とか為替の情報という御質問の御趣旨かと存じますが、そういうことでございますと、通常の国際電信を使っておる、こういうふうに承知しております。
  79. 中井徳次郎

    ○中井委員 どうもはっきりしませんから、吉田さんですか、あとでけっこうですから、これはひとつ現状はどうなっておるかという資料を出してください。一番先にやったのはどこだということであります。私はきょうはごく大ざっぱに現状を知りたかったのでお尋ねをしているわけですが、その現状もどうも十分じゃないので、ちょっと質問する私が弱っちゃっているのですが、そこで大臣もおられますから、大臣のものだけ先に進みましょう。  ソフトウエアというのはどういうことですか。私もどうもよくわからない。ハードウエアソフトウエアハードウエアというのが機械だろうと思うのですが、ソフトウエアというのは、それをどういうふうに操作するのがソフトウエアであるのか。キーパンチャーをたたいたりするのがソフトウエア——どういうことでありますか、ちょっと説明願いたい。
  80. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この法律をちょっと離れて申し上げるべきだと思うのでございます、ことばの範囲が一般的にはもう少し広いと思いますので。  電子計算機の本体部分が開発されまして、最初、比較的単純な仕事に使っておった、いわば事後処理のことに使っておったと思いますけれども、その電子計算機も、一代、二代、三代と幾つかゼネレーションがございまして、だんだんインテグレーテッドサーキットなどができてまいりますと、新しいゼネレーションの電子計算機になってまいります。そういたしますと、容力も大きくなりますし、処理速度も早くなってまいりました。それと同時に、時を同じくして、この電子計算機をもっと複雑なことに使うことができるということに多くの人は気がつき始めたわけでございます。そこで、御承知のようにいろいろなシステムができてきまして、フォートランというのがやはりその一つと思いますけれども、だんだんシステムのほうも複雑になってまいりました。一般電子計算機を使うためのプログラムソフトウエアというふうに普通申しますが、この法律案などでもそう考えておるわけですが、広い意味で申しますと、本体以外の、ハードウエア以外のものはすべてソフトウエアであるというふうに解釈されておると思いますので、そういう意味では、人をウエアというのはいけないかもしれませんけれども、プログラマーにしても、システムアナリストにしても、あるいはキーパンチャーにしても、ハードウエアを動かすためのものという意味で、広い意味ソフトウエアというふうに使われておると思います。この法律案では、しかしプログラムの部分をソフトウエアというふうに定義しておるわけでございます。
  81. 中井徳次郎

    ○中井委員 大体私も大臣がわかっておる程度しかわかりませんので、いいです。  そこで、米国との格差がますます拡大しているのが現状であります。現状はそうでしょうが、将来の見通しはいかがですか。私は、こんなのは一ぺんに追いつく、こう思っておるのですけれども、どうでしょうか。
  82. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私はハードウエアが追いつくとは——まだ追いついておりませんか、大型のものを除きましては、いいところまで来るのにほぼ十年、十二、三年かかる。しかし大型のものは、需要との関係もございますけれども、まだでございますが、一般ソフトウエアにつきましても、やはり十年ぐらいのおくれがあるというふうにいわれておるように思います。それは、先ほども申し上げましたが、ことにアメリカの場合、宇宙開発あるいは軍事的な理由等の現実の必要がございまして、巨大な資本を投下して民間ソフトウエア企業を育てました。そういうことがございましたので非常に進んだし、また、巨大企業がそうやって開発しましたソフトウエアを、シミュレーションばかりじゃなしに、実地にアポロとかなんとかいうもので、あるいは軍の演習等で使うことができましたから、改善もまたされやすかったというふうに思うわけでございます。それに比べますと、わが国ソフトウエアというのは、まだほとんどソフトウエア産業らしいものはございませんわけでして、それは一つには、先ほども申し上げましたが、ソフトウエアというものが値打ちがあってないようなものでございますから、企業として育たない。アメリカの場合のように、一方的な補助金がございましたら育ちますが、日本ではそうでございませんから、企業として育たないということと、したがって、そういう企業がございませんから、その企業に行って働こうという人間が育たない、そのための教育も行なわれなかった、こういうことであると思うのでございます。  そこで、ただいま日米を比較いたしまして一番劣っておるところは、おそらくソフトウエアの部分については人間だと思います。キーパンチャー程度でございましたら、これはそうむずかしいとは思いませんが、プログラマーにいたしましても、システムエンジニアにいたしましても、これは日米の人口割りにいたしましても、圧倒的にわが国が少のうございます。それはもとよりそのための学校教育がおくれたからでございます。学校教育がおくれましたのは、最終的にそのような人材が活用される場がなかったからであると思います。そういうことを考えていきますと、過去十年のおくれはこれから十年かからなければ取り返せないとは思いませんけれども、教育の部分というのはやはり一定の年限が要るということが明らかでございますから、企業の側も育ちますのに時間がかかりますが、そこで働きます人、そういう教育を実は今度教える人等々から育てていくということになりますと、やはり相当の日時がかかるというふうに私は考えております。
  83. 中井徳次郎

    ○中井委員 だから、基本的ないまの産業に対する政府のかまえが早急に発揮されねばならぬ、そのためにはもっと近い機会に基本法が出されねばならぬと私は思うのであります。  次に移ります。  大蔵省の方は何か御用事があるそうですから、吉田さんと原田さん。原田さんは国税庁ですか、私は、国税庁の現在の税の収入状況その他——将来は翌日にはみんな前の日のものはわかるというふうになると思っています。そういうことを聞きたかったのだけれども、ほかにもたくさん出ておられますし、あなたはきょう昼からどこかで説明をするというお話でございますから、けっこうでございます。どうぞお帰りください。ただ吉田さんには、先ほどのようなことではどうもなりませんぞ、銀行局。ですから、これは後日私がもう一度質問するときか、後日ひとつ詳細に御説明を願いたい。現状どうなっておるか、これもお願いをいたしまして、どうぞお引き取りいただいてけっこうでございます。
  84. 吉田太郎一

    吉田説明員 御説明が不十分で申しわけございません。ただ先生の御質問が、現在、銀行、信用金庫あるいは相互銀行にどういうふうにコンピューターが使われておるかという御趣旨でございますれば、ただいま計数なども持っておりますので、ここでお答えさせていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  85. 中井徳次郎

    ○中井委員 地方銀行やら信用金庫のことは私はよく知っております。問題は、外国支店を持っている十大銀行というふうな、大銀行の内情を知りたかったわけです。どんな線でどういっているかということを聞きたかったわけですから、あとでひとつ詳細御返事ください。お願いをいたします。  それから次に、文部省の村山大学学術局長がお急ぎのようですから、お尋ねいたします。  いまも私は通産大臣お尋ねしましたように、十年もかからぬ、五年くらいでできるじゃないか、こう言うて、きょうは実は文部省からもその辺のよくわかる人に来てもらってくれと言うたら、職業教育課長技術教育課長とかいうキーパンチャーぐらいの人が来ました。それでまあ村山さんに、特に恐縮ですがお越しいただいたのだが、こういうものについて文部省は一体何をしているんだというんだ。これは技術じゃありませんよ。事務ですよ。いわゆる技術屋にまかしておいたらいいということじゃありません。法科、経済の諸君が一生懸命やらなければいかぬ、将来は。ですから、そんなものをほっておいて、ぼやぼやしていてもらってはどうもならぬ。大学騒動もあったから、それは少々おくれておるのもやむを得ないかもしれませんが、これは将来そういう意味において、いま企業の話が出ておりますが、企業の指導者たる者、社長以下首脳部、管理部門、こういう人がみんなこの原則をちゃんと踏んまえて、そして大学を出るということでないと私はいけないと思うのですが、いかがですか。あなた方の御見解を伺っておきたい。
  86. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 御説明申し上げます。  文部省は教育、学術、文化を所掌いたしておりますので、この情報処理の問題も、教育及び学術の振興という観点から従来関心を持って施策を講じてまいりました。昨年あたりからこの問題が急がれてまいりましたので、文部省としては施策を立てる前に、関係の学識経験者の協力を求めて指針を御検討願いました。  一つは高等教育関係でございまして、これは情報処理教育に関する会議ということで、関係の大学の方あるいは団体、学界の方に御協力を求めまして、青山学院大学の山内教授を座長といたしまして御討議願い、昨年の七月に中間報告をちょうだいいたしました。  もう一つは、高等学校以下の教育の面につきましては、理科教育及び産業教育審議会という諮問機関がございます。ここで御審議を願いまして、これも昨年の暮れに建議をちょうだいいたしました。この線に沿いましてできるだけの施策を講じてまいっております。  概略いたしまして四つの点がございます。  一つ情報科学の振興という観点でございます。これは主として大学あるいは大学院、研究所のレベルでございます。ここで、たとえば科学研究費でこういう特定の分野に特定の経費をつぎ込む、それから関係の研究施設などを拡充するというような施策を講じてまいっております。  それから第二は、このための教育、人材養成という観点でございます。この点につきましては、直接的には、こういう関係の大学、あるいは短期大学、高等専門学校の学科をつくる。あるいは関連の学科においてこれらのことに関する教育をするということでございまして、これにつきましても、従来もたとえば、計数工学科でございますとか、電子工学科でございますとか、こういうところでやっておりますが、これからはもう少しそれを目的を立てて進行したいということで、たとえば昭和四十五年度の予算におきましては、大学の学科を五つ、短期大学の学科を一つ、高等専門学校の学科を二つ増設を予定いたしております。また高等学校以下につきましては、審議会の建議に基づきまして、これは文部省で教育課程につきまして学習指導要領などをつくる責任と権限がございますので、こういう面から必要な教育課程、設備の充実をはかってまいっております。  それから、これらの教育に従事する教員の知識を増さなければなりませんので、高等専門学校あるいは高等学校の教員を対象としまして、講習会あるいは内地研修による再教育などを計画しておりますし、高等学校関係につきましては、都道府県に情報処理教育のセンターをつくるというような試みに入っております。また、これらの教育をやりますためには、設備の充実が非常に必要でございます。この点につきましては、すでに従来大学については、大型電子計算機をブロック別にセンターとしてつくるという計画を進めておりまして、すでに東北大学、東京大学、それから京都大学、大阪大学並びに九州大学では、大型計算機のセンターをつくっております。さらに現在、北海道大学及び名古屋大学に同種のものをつくる計画が進行中であります。それから中型、小型の電子計算機は、でき得れば理工系の学科には全部持ちたい。それから、近代経済学をやっております経済学部などにも設置したいということで、現在、国立大学ではすでに百台以上。それから公私立大学につきましても、七十台程度電子計算機が入っております。それから高等専門学校につきましても、四十五年度から設置計画に入っておりますし、高等学校以下につきましても、必要に応じて充実することを考えております。  このように、大学から高等学校に至るまで、教育課程、学科あるいは設備の充実、教員の再教育といったような施策を進めておるわけであります。  それから第三の観点は、こういう情報処理教育というようなやり方を教育方法に導入いたしまして、これは大学から下は初等中等教育に至るまで、いわゆる教育工学的な方法を開発導入して、教育効果の一そうの向上をはかるということで、これまた研修会、講習会等を、これは学校関係のみならず、たとえばOECDでありますとか、東南アジア諸国とか、そういう国際的な協力体制も含めて努力をいたしております。  それから第四は、まあつけたりでありますけれども、教育行政も、こういう情報処理方法を導入することによって能率化をはかるために、文部省でも、これは各省共通でありますけれども統計事務等には電子計算機導入して、適時的確な情報を提供するようにつとめておりますし、また、文部省の所轄研究所として統計数理研究所というのがありますが、ここではすでに中型の電子計算機を入れまして情報処理の科学的研究をやっており、また若干行政にもサービスしておるわけでありますけれども、来年度からは、これを大型の性能のいいものに交換いたしまして、一そう能率を高めるように努力をいたしております。  以上が、大体大ざっぱに申しまして、文部省関係情報処理科学あるいは教育振興の現況でございます。
  87. 中井徳次郎

    ○中井委員 村山さんから大体のことは伺ってよくわかりましたが、ちょっと伺った程度によりますと、まずこれまでのところはハードウエアが中心の教育、これはそうむずかしいものではないように伺います。  そこで一つ伺いたいのだが、東大や京大に電子計算機を購入したといいますが、東大の電子計算機は幾らくらいで、どこから買ったのか、ちょっと伺ってみたいのであります。
  88. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 東京大学の大型電子計算機は、初期の段階では実は自力で開発計画いたしまして——これはもちろん自力と申しましても、業者ももちろん協力するわけでありますが、自力開発によってまずもって最初の大型電子計算機設置いたしました。それからその次の段階は、やはり業者に発注いたしまして、東京大学の計画のもとに整備をしたわけでありますが、実は業者の名前をいま記憶しておりませんので、直ちに調べまして御報告申し上げます。
  89. 中井徳次郎

    ○中井委員 ちょっと金額を聞かしてもらいたい。
  90. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 大学の場合は、一ぺんに仕様をきめて発注して直ちに納入するということではなしに、まず本体を入れる、それから関連のいろいろな仕組みを大学自体もくふうしながらだんだん増強してまいりますので、一体当たりの金額が幾らということを正確に申し上げかねるわけでありますけれども、大体これはレンタルにいたしまして、年間のレンタル料が少なくとも一億五千万以上だと記憶しております。
  91. 松平忠久

    ○松平委員 ちょっと関連質問させてもらいたいのですが、いまの東大のことですが、ここにユーザー調査年鑑というのがございますけれども、これによりますと、東大でいま使っておるところの電子計算機その他のいわゆるハードウエアでありますけれども、それは十三ございます。そして私が質問しようというのは、この十三の種類がほとんど全部メーカーが違っておる。これは研究用であるのかどうか。その辺、私、わからないのですが、OKITAC、HITAC、TOSBAC、FACOM、IBM、HIPAC、NEACというようなぐあいに全部メーカーが違っておるのですけれども、これはどうしてわざとメーカーを違えたのか。付属のいろいろな研究所、たとえば地震研究所でも使っておりますが、これはIBMも使っております。宇宙航空研究所においてはHITACを使っております。それから鹿児島の宇宙空間観測所においてはNEACを使っておるというぐあいに、みんな別々のメーカーのものを使っておるのだけれども、これはどういうわけですか。
  92. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 大学の大型電子計算機は、単に機械を使う以外に、大学としても、機械の性能その他につきましても、研究的に取り扱ってまいります関係もありまして、一定の規格のものを一斉に導入するということではなしに、やはり当該大学がどういう目的に使うかという使用目的や、研究者の研究の方向と合わせて業者を選定するようであります。そこで、御指摘のように大学により、あるいは大学の中でも施設ごとに業者が一定しないという結果になるのではないかと思います。
  93. 松平忠久

    ○松平委員 大学における適用業務ですけれども、研究用として使うのは、私はそれもいいと思う。だけれども、その中には人事管理とか学内事務処理とか、そういうものもあるわけなんです。あるいはいわゆる研究の実習用のものもございます。あるいは技術計算というようなものもあるわけなのだけれども、お伺いしたいのは、こういういろいろなものを使っているというのは、わざとこういうふうに——いま、研究の部分部分によって適当な機械を使うのだ、こういうことをおっしゃったのだけれども、このソフトウエアというようなことから考えると、何かこれではちょっとおかしいように思うし、また、もしハードウエアソフトウエアの面からある程度コントロールできるというようなことであるとするならば、これはコンバージョン・システムというものは、東大では研究なさっておられるわけですか。もしそうだとすれば、私はこれは意味があると思うのです。
  94. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 大学の電算機の使用の状況は、大型、中型などはもっぱら研究用並びに研究用数値計算でありまして、事務用などには使っていないのではないかと思います。事務用等につきましては、むしろきわめて小型の実用的なものを使っているのではないかと思います。  それから、大学におけるいろいろな機器の間の連関でありますけれども、現在ではいろいろな角度からやっておりまして、その間の連関は十分とれてないように聞いています。
  95. 中井徳次郎

    ○中井委員 私の記憶では、東大に電子計算機を初めて入れたのは日立製作所だ、IBMからロイアリティをもらっていて入れた、相当な金額で入れた、それはレンタルになっておるというふうにちょっと聞き及んでいるのですが、どうですか。その辺のところもう一度返事してください。
  96. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 東京大学の大型電子計算機センターに現在入っている機械は、HITACだそうであります。それがどういういきさつで選定されたかというつまびらかな事情は、承知いたしておりません。
  97. 中井徳次郎

    ○中井委員 それでは、日立ではないのですね。
  98. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 日立製のブランドがHITACでございます。
  99. 中井徳次郎

    ○中井委員 そこで、しろうとですからお尋ねするのですが、日本でそういうものを関連してつくっておるのは富士通だとか東芝とか、そういうものだろうと思うのですが、何社ほどあるのですか。これは赤澤重工業局長お尋ねいたします。
  100. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 ただいま日本における電算機メーカーは、いまお話しのような会社を含めまして六社でございます。
  101. 中井徳次郎

    ○中井委員 そうして、そのロイアルティーといいますか、そういうものはどれくらいですか、伺いたい。
  102. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 日本における電子計算機の製作と申しますか、製造は昭和三十二年から始めておるわけでありまするが、いずれもIBMの基本特許制にやはりひっかかっておるものでございます。そういう意味で、コンピューター六社がそれぞれIBMにロイアルティーを支払っておるわけでございますが、その金額が幾らかということは、実はあまり詳細にわかっておりません。ただ何十億というような相当な金額であることは間違いないと思っております。
  103. 中井徳次郎

    ○中井委員 これをそう今後とも何年間も払うていくというようなばかなことはないと思うし、日本におきましても、先ほどからソフトウエアの話がありましたが、ハードのほうは相当私は進んでおると思うのです。そういう意味で、きょう電電公社からどなたか見えておりますから、電電公社の研究しておる関係の方に現状をひとつ詳細に話してもらいたい。どれくらいの自信があるのか。私は先ほど通産大臣にお伺いしましたが、通産大臣は非常に謙虚に十年はかかると思うけれども、できるだけそれを短縮したいというお気持ちを率直に述べられました。私、非常にまじめな御答弁だと思うのでありますが、ハードウエアのほうはもっと早く何とかやれそうなものだと思いますので、あわせて電電公社の関係の皆さんの意見をここで伺っておきたいと思います。
  104. 庄司茂樹

    ○庄司説明員 お答えいたします。  電電公社でただいま研究しておりますのはDIPSといいまして、これも和洋折衷の名前が何かありますが、電電公社のインフォーメーション・プロセッシング・システムということで、DIPSという名前のコンピューターをメーカーさんと一緒に研究しておりまして、大体基本的な考え方のDIPS−0という形はこの見当できまりましたので、その次の段階のDIPS−1という形のものをただいまいろいろと詰めておるときでありますが、やはりそれを目標といたします。ところが、現在国産で汎用にされておるコンピューターの一番大きいものの大体三倍見当という考え方で、これはまた、通産省大型プロジェクトのスピードとか容量に比べますと半分くらいでございますが、汎用のできるだけ標準化をはかったオンラインのタイムシェアリング用のコンピューターとして早くつくりたいということで、一応の目標といたしましては、四十七年から四十八年くらいに現場試験をしたいというふうに考えております。
  105. 中井徳次郎

    ○中井委員 四十七年から四十八年というとあと二年ないし三年ですが、これはオンラインの施設ですね。いまのやつはオフラインというか、それが多いようで、そんな小さなものでは役に立たぬので、将来はほとんどオンラインにならないといかぬと私は思うのですが、その辺の意見も含めてお尋ねいたします。
  106. 庄司茂樹

    ○庄司説明員 オンラインでございます。公社でやりますデータ通信の場合すべてオンラインであります。
  107. 中井徳次郎

    ○中井委員 文部省の方もお急ぎのようですからお帰りになってけっこうですけれども、ちょっと申し上げておきます。  先ほどからの御答弁は、なかなか詳細にわたりましたけれども、残念なことには、たとえば専門学校だとか、最近町にはんらんしている私立の電子計算機何とか学校だとか、そういうものが一ぱいあって、昔の電気通信でいえばオペレーター養成くらいなところではないかと思うのですが、もっと基本的な最高のレベルにおける学問の中においても正式科目の中に入れるべきであるというふうな意見を私は持っておるのですが、その点について最後に一点だけお尋ねいたしておきたいと思います。
  108. 村山松雄

    ○村山(松)政府委員 先ほど御説明申し上げましたのは、学校教育法の一条学校の範囲内で申し上げたわけでありまして、それ以外に御指摘の各種学校がございます。各種学校の中で、もっぱらこの情報処理ということで教育目的を掲げておりますのが約二十校程度あるようでありますが、そのほかに、各種学校にも至らない施設が五十校くらいあるようであります。これらにつきましては、確かに御指摘のようなことでありますが、しかしこれも必要なものと考えております。  なお、大学等において本格的な教育研究をすべきであるという御指摘はまさにそのとおりでありまして、その方向で文部省も関係大学も努力しているようなわけであります。大ざっぱに申し上げまして、大学は七割程度が大体情報処理に関する何らかの講座、科目を設けております。そういうことで、この問題を特に目的として掲げておるものは、大ざっぱに申し上げまして百五十学科程度であります。  それから根本的には、こういう情報処理科学そのものがどういうものであるかという根本的な研究が必要なわけでありまして、そういう点につきましては、四十五年度に、先ほど御説明申し上げました新設を計画しております研究施設の中で、東京大学理学部に情報科学研究施設というのを設けます。これは情報基礎理論ということで、高橋教授が中心になって根本的な理論上の検討をいたします。それからまた、ソフトウエアにつきましては、東北大学工学部に応用情報学研究施設というのを設けます。これは大泉教授を中心といたしましてプログラミング体系の研究をやるというものであります。それから東京大学工学部にオンライン実験センターという施設を設けます。これは森口教授が中心になりまして、オンラインの実験ということをもっと根本的にやろうということで、関係大学では、そういう根本的な理論上の検討から実際的な人材の養成まで、できるものはできるだけやろうという気がまえであることだけを御説明申し上げます。
  109. 中井徳次郎

    ○中井委員 冒頭に私が申し上げましたように、この情報ということばが気に食わぬのだ。大学がやっておるのに情報情報といっているが、おかしなことで、知的何だとか、あるいは電子事務処理だとか、そういうことばにすべきであって、スパイ養成所ではあるまいし、ほんとうに情報の情という字に特に私はひっかかります。そういうことはほんとうに情けない。どうしてノリッジとかインフォーメーションと英語で表現されておるのにあえて情報というのか。これは一大臣の責任ではない。大学のあわて者教授たちのつけた名前か何か知らぬが、けしからぬと私は思いますので、機会があったらひとつ文部省あたりからいい名前の案を考えてもらいたい。これは冒頭申し上げておる。あとはここにお入りになる前の話であったかもしれませんが、これを要望いたしておきます。  それから、いま郵政大臣が来ましたので、だれか関連質問をしたい人が一人待っておるそうですから、ひとつどうぞ。
  110. 松平忠久

    ○松平委員 これは、郵政大臣、二、三十分の時間があるというから、ちょっと……。  私もしろうとでちっともわからぬし、郵政大臣もしろうとでわからぬと思います。お互いに、しろうとはしろうと同士で、また違った感覚からこれを判断するのもいいと思う。そういう意味でひとつお答え願いたいと思うのです。  ソフトウエア開発ということで、今度法案が出されておるわけでありますけれども、このソフトウエア開発ということには、いわゆる環境の整備、これが伴わなければ画龍点睛を欠くことはもちろんでありまして、同時並行的にいわゆる環境的ないろんな整備をしなくちゃならぬということは、これは産業構造審議会の情報部会の答申の中に詳しく書かれておるわけであります。答申されておるわけであります。  さて、その答申の中で、政府のとるべき施策の一つとしてありますことを主として指摘しておきたいことは、いわゆる遠隔情報処理発展のための基盤の整備をはかれ、こういうことを言っておるわけなんです。ところが、今日わが国には遺憾ながら、遠隔情報処理という、こういうシステムはほとんどないと言ってもいいわけなんです。特殊の例を除いてはほとんどございません。アメリカでは、大体今後五年間ぐらいに、アメリカ全体に設置されるコンピューターの五〇%くらいが遠隔情報処理を行なうということが予想されておる。ところが日本では、今日ほとんど遠隔情報処理の機能は果たしておらない。そこで、一体どういうわけかというと、これは電電公社の通信回線を用いてのサービスなんだが、これがどうも、いまの制度のもとにおいては独占事業になっておりますから、遠隔情報処理のこの基盤整備のためにぐあいが悪いのじゃないか、まあこういうことが言われておるわけなんです。これが一つ原因だと言われておる。  そこで、先般、郵政審議会ですか、昨年の十一月に郵政審議会で答申が出されておるが、この答申の中にもこの問題について触れておって、そして将来前向きに検討しなきゃならぬということを言っておるわけなんです。そこで、一体、郵政当局はこの問題について現在どういう態度をとっておるのか、あるいは将来どういう態度をとろうとしておるのか、そのことをまず伺っておきたい。
  111. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 お答えいたします。  松平さんただいま御指摘のように、昨年の十一月、郵政審議会の答申をいただいておるのでございます。そこで、鋭意この線に沿うて、答申の趣旨に基づいての対策を講ずべく、それの一つの方法としまして公衆電気通信法の政正の問題に取りかかったわけであります。実は、現在のところは一応公社の独占、これは電話とか通信とかいうものの本質上そういうことに相なっておるのでありますが、ただ公社の行なう試行サービスとしては、現在地方銀行協会であるとかいろいろな例がございまして、それには事欠かないようには対処しておるはずでございます。そこで、この法律の改正によりまして、より開放という方向に踏み切ろう、こういう姿勢でおるのでございますが、ただ、今回三月二十日をめどにして法律を完備せしめるのには少し時間が足りなかった、どういうことで残念ながら今回は提出を見合わせたわけでございますが、引き続いて準備は進んでおるわけでありますから、次の国会等にはこの公衆電気通信法の改正案を世に問うてお目にかけると、こういうつもりでおるわけでございます。
  112. 松平忠久

    ○松平委員 そういたしますと、昨年十一月の郵政審議会におけるデータ通信回線サービス、これの拡大というか、拡張というか、それが適当であろう。第二項として、加入電話網をデータ通信に利用することは、早期にその実現をはかることが必要だ。その他二項目にわたって言及しておるわけなのであります。これは、先ほども同僚の石川委員からも質問があったのでありますけれども、この自由化ということは必要であるかもしれぬけれども、また一面においてこわいこともある。そこで、野方図な自由化ということは、これは必ずしも賛成できないのじゃないかという意見が一方にある。さりとてこれをクローズしてしまうことも、これの発展をとめてしまうようなことになるかもしれぬ。そこで、いま検討しておって来年出されるという考え方は、どの程度の開放であって、それはまた、一面からいうと何かそこにブレーキのようなものもあるのかどうか、そういう点について伺っておきたいと思います。
  113. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 おっしゃるような点が一つの大きな問題でございまして、御案内のように、わが国におけるソフトウエアと申しましょうか、こういった面が外国に比べましてたいへん立ちおくれておる現状、これはもう御承知のとおりであります。したがいまして、いまにわかに全面的にこれを開放するというふうなことがいいのか。もう少し日本技術水準を高めまして、そういう時期にタイミングを合わせるべきであるかというあたりが一つの大きな問題点でございまして、したがいまして、当面は、まあ公社がすでに試行サービスとしてはやっておるわけでありますから、データ通信回線サービス、それから企業間でそれぞれ利用をいたしまするデータ通信回線網サービス、こういう点について法律の改正をいたそう。そして、データ通信という一つの新たな章を設けまして、そして時代の要請にこたえようという趣旨で立案をしておるのが現状でございます。  なおまた、非常に技術的な問題でございますから、詳しいことば、電気通信監理官もおりますから、そちらからお答えしてもよろしゅうございます。
  114. 松平忠久

    ○松平委員 そうすると、現在、公衆電気通信法はいわゆる別会社の間のオンライン・システムを禁止しているわけです。そうすると、来年の改正案というものは、この別会社のオンライン・システムの禁止を解く、こういう考え方は持っておられましょうか。
  115. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 お答えいたします。  オンライン通信を企業等が行なう場合に、特に現在の公衆電気通信法で問題になりますのは、一つコンピューターを共同で利用するためにその間に通信回線を共用したいということでございます。これは現在の公衆電気通信法では、専用線利用ということで、電信電話公社のほうがこれを承認するということになっておりますが、この承認の条件がだいぶきつくできております。二つ企業、三つの企業、異種の企業問でのこの共同専用ということにつきましては、これは国際的にもそういう規律があるのでございますが、かなりきつくて、現在のところ、非常に密接な業務を行なう、あるいは緊密な関係にあるとかいうようなことで狭くしておりますので、これを広げていきたいということがその趣旨でございます。
  116. 松平忠久

    ○松平委員 それからもう一つ、これもついでに伺っておきたいのですけれども、このユーザーの載っております表によりますと、郵政省の事務用としては日本機械を使っておられます。ところが郵政省の貯金局、たとえば名古屋とか長野とか甲府というような貯金局、これはIBMの機械を使っておる。これは郵政省としては少し不見識じゃないか。大体郵政省としては日本機械を使うというのはあたりまえだけれども、貯金局関係についてはIBMを使っておる、これは一体どういうわけなんだ。
  117. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 貯金、保険関係は別の局で所管しておりますので、少し常識的に御返答いたしますと、この計算機の開発はかなり前から手がけておりますが、その当時につきましては、IBMが最も適当なもの、日本の計算機としてはまだそれまでのレベルに達していなかったというのが実情であったのではないかと思います。
  118. 松平忠久

    ○松平委員 何年ごろ買いましたかね。おたくのほうの電波研究所の計算機、これは科学用、事務用でありますけれども、昭和三十六年に買っておる。しかし、これはNEACを買っております。日電のを買っております。ところが、どうもほかの局だからしょうがない、こう言われておるわけだけれども、貯金局、簡易保険局はやはり日電のを使っておる。普通の貯金局、地方の貯金局だけIBMを使っておるというのは、どうもやっぱり郵政大臣の統制がとれてないのじゃないか。それは現在の郵政大臣のやったことじゃないのだ。だれだか知らぬけれども過去における郵政大臣。こういうことは、やはり将来郵政省として使う場合には、日本機械を使ったらどうかと思うのだがね。これはどうですか。将来やはりどんどんIBMを使いますか。
  119. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 松平先生たいへんこまかいことをお調べになったようですが、これはまだ若い産業と言うてはなんですが、揺籃期にあっては、おそらくIBMが確かにすぐれておったのでしょう。そういうものを導入をし、一ぺんそういった機械が入ると、何か関連的にそういう系統が今日まで続いたのかもしれません。私まだ正確にその辺をただしていないわけでありますが。そういうことで、それほどにこの業界といいますか、コンピューターの世界というものが、日進月歩、激動の時代であるということであろうかと思います。したがいまして、おっしゃるように、方向としてはやはり国産に中心を置くべきであろう。そして日本技術なり機械水準を高めなければいかぬという考え方のもとに、その辺を善処しなければならぬ問題か、かように考えるわけでございます。
  120. 松平忠久

    ○松平委員 その次に伺いたいのは、答申の中に、通信回線の量と質、これを整備しなければならぬ。言いかえるならば、情報処理のための通信回線需要に十分対応できるようにその量を拡充しろ、これが勧告されておるというのが一点であります。第二点は、高速の回線をはじめ必要に応じた通信速度の回線の多様化、これをはかれということをいっておりますけれども、それは現在、この答申にのっとってその方向で進められておるかどうか。
  121. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。  このデーター通信をやります場合の電気通信回線といたしまして、量と質を要求するということは当然のことでございます。従来の電気通信の回線と申しますものは、御存じのとおり、電報と電話を主体として、これを伝送するためにでき上がっている通信回線でございますが、このデータ通信になりますと内容の質が変わってまいります。しかもそれが高級になってまいります。伝送を誤ると計算を誤るということになってまいります。そういうことでこれの整備をしてまいらなければならない。現在そういう方向で、電電公社をしてこれの整備を計画的に実施するようにさせております。総合的に電話も電報も、その他、これから出てきます多様なる——画像通信をも含めて、それが実行できるように進めさせておる次第であります。
  122. 松平忠久

    ○松平委員 一番問題は料金だと思うのですよ。地銀等の関係を聞いてみると、五円ということにきまったということを聞いております。しかし、将来オンライン・システムというものが遠隔距離にもできるという、オンライン・システムの拡充強化ということに関連して、ことに中小企業の人たちが共同してやるというような場合が最近はふえる傾向にあると思う。そうしますと、一番問題は回線の使用料というか、これが、現在のおたくのほうの使用料というものは、距離によって料金がきまっているのではない。何か行政単位によってきまっているようなことであって、いわゆる国鉄みたいに切符がキロによってきまるというようなことではない。そこらに料金体系が封建的なものがあるのではないか。やはり情報化産業というものを育成強化していく上において、これが非常にまずい料金体制になっているのではないか。これはおたくで考えるということを言って、それで別個に考えておるらしいけれども、別個に考えてみたところで、向こうはまけておるけれども電話のほうは同じだということになると、これはおかしなシステムがそこにでき上がっていくのではないか。そうだとすると電話のほうも考えて、いまのような電話料金のきめ方というものは、明治時代のきめ方なんで、もっと近代的なきめ方にしなければいかぬというふうに私は考えておるのだけれども、その点を聞きまして私の質問を終わります。
  123. 武田輝雄

    ○武田説明員 料金についての御意見でございますが、いまおっしゃいましたように、私どもの現在の料金が、加入区域の中は市内通話、それ以外は市外通話ということでございまして、市内通話と市外通話との間に大きな格差がございます。一般に生活圏、社会圏の広域化あるいは都市の連檐化等に伴いまして、現在の料金体系が古くなっておることは確かでございます。したがいまして、市内通話、市外通話の格差を是正して、そして広域化あるいは情報化社会に対応するような料金体系に改めていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  124. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 先ほどの御質問の点を、本省のほうへいま問い合わして調べさせました。現在では貯金局でも保険局でも、EDPシステムの中心部分は日本コンピューターを使用いたしております。保険局は日本電気、貯金局は東芝でございます。ただ、せん孔機、この機械がやはり一部IBMのものが使われておる、こういう回答がございました。
  125. 中井徳次郎

    ○中井委員 井出さんは三時半に退席されるというので、もう時間がないのでまことに残念だけれども、あなたはさっきの答弁で、将来データ通信省みたいなことを考えておるということをちょっと言われたが、考えていらっしゃるのですか、どういうのですか。データ通信の何をしようというのですか。
  126. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 いいえ、そういうことを申し上げた覚えはございません。今後データ通信というものが非常に重要かつ大きな分量になってまいりますから、法律の中に一章——チャプターです。これを設ける、こういうことでございます。
  127. 中井徳次郎

    ○中井委員 わかりました。先ほどから私が、情報通信ということばは正しくないという議論を通産大臣にも盛んにしておるのです。ですからあなたも、ひとつよく覚えておいてください。英語でインフォーメーション、ナレッジ。情報と違うんだ。データ通信は、これはまだましや。  それで、松平君がいま料金のことを聞きましたが、これはまことに変則的な料金がいまやられておる。たとえば東京から横浜に電話をかける場合に、途中に都市がなければ、東京と横浜間は四十キロですから非常に安いのです。ところが途中に川崎という局があると、急に高くなるのです。直通でしたら六十キロまでは安いのです。大阪と神戸ですと非常に安いのです。途中に尼崎、西宮があると急に高うなるのです。東京と八王子の間は立川があるから高い。そういう局が六百二十五ばかりあるのです。この前料金アップのときにずいぶん議論をいたしました。私はやかましゅう言いましたので、多少修正したんです。多少修正したが、根本な修正をしておらぬ。ここに私は官僚的なものを見るのでございまして、これは皆さんに——皆さんの部下たちのことです。下から積み上げていく連中のものの考え方の問題ですが、たとえば、自分でかってに日本全国を場所をきめて、北海道は〇一、東北は〇二、こういうふうにいまダイヤルでもってやっておりましょう。あれなんかでも、必ずしも合理的ではないのです。名古屋は〇五二、大阪は〇六ですか。というふうに分けて、全国電話通信をやっているわけですが、もっともっと基本的に考えていって、そしてデータその他がうんとふえてくるのですから、時間的制約も見て——いま私などはじょうずに電話を使っています、専門屋ですから。郷里から東京へ出てきたら、うちに電話をかけて、いま着いたよといってがちゃんとおろしたら、これは七円でいっています。ぐずぐず話をしているともう二千円ぐらい取られる。ですからこのデータ通信でも、これは使いようによっては非常に安くいける。一秒間の何千分の一で数字が動くのですから非常に安くいける。  あなたは退席なさるから申し上げるのですが、そういう章を設けられますときには、これをよく考えてもらいたい。各県の所在地とかいうふうなものから、たとえば毎日定期的に連絡をする。非常に経費が安くて出張せぬでもよろしいし、簡単にいく。これは中央に集めておく。  ただ一つ心配は、一カ所に集中するということは、天災などの場合にどういうものであろうか。たとえば銀行の預金通帳とかいったもの、そういったものが、そこに一つ何かの事件で爆破されたらお手あげであるという形においては非常に危険でありますから、その対策も講じておられると思います。思いますが、その辺のところをなお十分であるか不十分であるか、もう一度念を押しておきまして、あなたに対する質問をこれで終わります。
  128. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 電話料金について先ほど松平さんは封建的というおことばを使われた。いままた中井さんは官僚的とおっしゃる。これは電電公社もよく聞いておいてもらいたいのですが、これはいずれデータ通信を合わせて料金体系というものを再吟味してみる機会がくるであろうと思います。そういう際に十分検討をいたす所存でございます。  なお、後段に言われました、万が一天災でも来たときに、あまり集中化しておくことはいかがなものかという御所論、これは私、中井さんから前にも伺ったことがあるのです。その辺もひとつ十分研究の対象にいたしたい、かようにお答えいたしまして、これでひとつお許しを願いたいと思います。
  129. 中井徳次郎

    ○中井委員 それでは、だいぶ皆さん来ていただきましたので、まず警察庁の方にお尋ねをいたします。  警察庁も電子計算機のようなものをお使いになっておると思うのですが、現状はどの程度の運用をなすっておるのでありますか、それをまず伺ってみたいと思います。
  130. 渡部正郎

    ○渡部説明員 お答え申し上げます。  警察庁で電子計算機を使っております業務内容を申し上げたらいいかと存じますが、現在、照会事務と統計事務と二通りの仕事をしておりまして、照会事務につきましては、犯罪で盗まれたりした品物でございますが、贓品の照会が一つございます。二番目に猟銃の登録の関係の照会事務を行なっております。三番目に運転者管理センター、運転者に関する違反の記録を保管しておきまして照会に応ずる業務でございます。照会事務の最後に四番目といたしまして、犯罪の手口の資料を電算機に入れて各県警察の照会に応ずる仕事をやっております。  以上が照会の事務でございます。  統計の事務といたしまして警察庁がやっております仕事は二つございまして、一つは犯罪に関する各種の統計事務でございます。二番目は交通事故に対する統計の事務でございます。  以上業務の概要だけをひとまず申し上げておきます。
  131. 中井徳次郎

    ○中井委員 たくさんお尋ねしたい問題はあるのですが、時間の関係もありますから飛ばしますけれども、たとえばいまの交通事故の話がありましたが、京都府なら京都府で交通事故が発生したということは、どういうルートを通じて警察庁長官、警察庁に届くのですか。具体的な説明を願いたいのです。電話でやるのですか。どういう形でやるのですか。警察電話を利用するのですか。したがってデータ通信も、その警察電話でやっておるのか。電電公社でやっておるのか。あるいは独自の無線を使ってやっておるのか。そういうことを聞きたいのであります。     〔委員長退席、橋口委員長代理着席〕
  132. 渡部正郎

    ○渡部説明員 ただいまの御設例の場合でございますが、かりに京都府で交通事故が起きたと仮定いたしますと、それに関するきめられた情報につきましては、その現場からまず電話その他を使いまして、県本部に資料が送られてまいります。県本部にパンチャーがおりますので、これがせん孔いたしまして、そのカードをデータ通信に乗せまして、リアルタイムではございませんが、オンラインで警察庁まで送ってまいります。送られてきたものを、あと機械的に警察庁にございます電子計算機に入れる。簡単に申しますと、そういう経路でございます。
  133. 中井徳次郎

    ○中井委員 オンラインにするのは警察電話ですか、どうですか。
  134. 渡部正郎

    ○渡部説明員 お答えいたします。  警察の場合は、通信につきましてある程度独自の事業をやっておりますので、ケースによっていろいろ複雑でございますけれども。たとえばマイクロウェーブを使いまして、送ってまいりますのは自営でやっておりますので、警察庁がマイクロの設備をつくりまして、そのマイクロの線を使って送っております。
  135. 中井徳次郎

    ○中井委員 たとえば指紋の関係はどうですか。現在、全国に一億数百万の日本人がおるわけでありますが、こういう人のうちで何人ほどいま指紋をとって、その指紋の照査の場合に、ボタン一つ押したらすぐさっと何番というふうに出てくる、そういうふうな制度になっておるのか。これからやるのか、その辺のことを聞きたいのであります。
  136. 渡部正郎

    ○渡部説明員 指紋につきましては、指紋自体はもう犯罪の捜査に利用するということは、日本もそうでございますが、各国とも非常に昔からやっているわけでございますが、これを何とか電子計算機で処理する方法はないかということを、世界じゅうが考えているのでございますけれども、理想的な結論はまだ出ておりません。  非常にむずかしゅうございますのは、指紋というのは非常に複雑な形象でございますので、私も専門家じゃないのでございますが、機械的にパターン認識をやるというところに非常にむずかしさがございまして、自動的な照合というのは非常にむずかしゅうございますので、日本におきましても、警察は全面的に電計処理は行なっておりません。ただ例をあげますと、大阪の府警でございますけれども、これはその指紋を取り出す作業だけ、指紋の原紙を取り出す作業だけを電計に入れているというやり方をやっております。指紋をマイクロフィルムにとりまして、それに照合の番号を打っておきまして、その番号を電子計算機に入れておいて、それでその照会がありましたときに、関連する番号をはじき出しまして、最後の処理は、マイクロフィルムを出して採取いたしました指紋と照合するということでございますので、言うならば、処理の中で半分利用しているという形でございます。  これはわりあいに成果をあげているのでございますけれども、それじゃどうして全国的にやらないかという御質問があるいは出るかとも思いますが、これはあまり数が多うございますとちょっとむずかしい点がございまして、いま全国的にやれるものかどうかという研究はやっておりますが、まだ結論は出ておりません。大阪以外でも二、三の県で同じようなことをやっている現況でございます。
  137. 中井徳次郎

    ○中井委員 あなたは渡部審議官ですか。指紋の摘出はちっともむずかしいことばない。それこそ東京に集めてしまいなさい。はっきりしない類似のものが百とか二百とかあるかもしれません。しかし、そんなものは、似たようなものに番号をつけておいてやれば、一ぺんにわかるのですよ。何しておるのですか。どうしてこれまでやらないの。しかも通信は警察通信を使っているらしい。いまオンラインでしょう。ここにも問題がある。ずさんな警察通信だから悪いのかもしれない。しかし通信局長に言わせると、いや正確ですと言うに違いない。私の友人がやっていましたから……。これくらいはできなくちゃだめだよ。社会党というところは、こういうことはきらいなところで、そんなことを言ったら反対と言うのにきまっている。きまっているけれども、長い将来を考えると、好むと好まざるとにかかわらず、人間が生まれたら足の紋をとるとか——赤ん坊を間違えたり何かする混乱を防ぐためにも、足の紋をとるとかなんとかいうことは必ず行なわれると思う。それから遠い将来、データ通信とか、こういうもので全国民のナンバーもきまってしまうと思う。そのもっと先がけですが、指紋くらい、ボタンを押したらすぐさっと似たやつが百ぐらい出てくる。見ると、いまどこに住んでいるかパッとわかる。それをやらなくちゃ、私は迅速な警察の体系じゃないと思うのですが、いかがですか。研究しています。——研究していやせぬ。あなたはうまいことごまかしておるのです。そんなものくらいは、私のようなしろうとが考えてもできるはずです。いかがですか。
  138. 渡部正郎

    ○渡部説明員 指紋の採取につきましては、たいへんありがたいお励ましのことばをいただきまして感謝しております。先ほど申し上げましたように、大阪では、正確に年は覚えておりませんが、ここ数年来やってきておりまして、相当成果をあげてきております。先ほど申し上げましたが、鑑識課というのがございますが、それが中心になりまして、あと電子計算機関係をやっております能率管理官というのがございますので、そこを中心にいたしまして委員会のようなものをつくりまして、これまでも週一回くらいいろいろ検討を重ねてきておりますので、できだけ努力いたしまして、早い機会に御期待に沿うように努力したいと思います。
  139. 中井徳次郎

    ○中井委員 大阪だけやったって、大阪で悪いことをして尼崎まで十分かかりやせぬ。大阪だけそういった間の抜けたようなことをしておるから——この間の飛行機の事件でも何でも関連がありますよ。迅速なさっさっとした方法をとれないからそういうことになるので、一週間に一回集まって何ぼ知恵をしぼったってあきませんわ、もっと能率よくやらなければ。大阪があるなら奈良もあるでしょうし、兵庫もあるでしょうし、全部東京に集めておけば非常に楽だと思う。  まあ、けっこうです。あまり警察のことを言って反対されると困るからやめますが、もっと積極的にやってください。警察はわりあいに通信は連絡がじょうずにできております。その点はわかりますが、こういう時代になりまして、いま通産省から出ておりますような時代になりまして、これは何も企業だけじゃない、一番重要な人命を救助したり保護するためにこれは必要なんですよ。ですから私はさっきから質問を申し上げておるのでありまして、情報産業だとか企業だとか——郵政省の答申も足立正さんが会長です。だから商売のことばかり考えて、企業企業と書いているが、そうじゃないですよ。人命ですよ。どうぞそのつもりでお聞き及びをいただきたいと思います。  次に厚生省にお尋ねをいたします。厚生省の人口動態はどうしてわかるのですか。たとえば、ことしの三月三十一日の日本人の人口は幾らで、出生した人は幾らで、死亡した人は幾らというのはどうしてわかるのですか。厚生省の江間企画室長さんにお尋ねをいたします。  警察庁の方どうぞお引き取りください。けっこうでございます。お忙しゅうございましょうから。
  140. 江間時彦

    ○江間説明員 お答えいたします。  人口動態、すなわち人が生まれた、あるいは結婚した、なくなったというようなことは、法律に基づきまして、それぞれの方が地方自治体の窓口に申告をなさるわけでございます。その資料が最終的に厚生省の統計調査部に集まってまいりまして、それを集計したものが人口動態でございます。総人口などの推計などに使います場合には、五年ごとに行なわれますセンサスを基礎といたしまして、その後の人口動態を補正して総人口を推計するという形になります。
  141. 中井徳次郎

    ○中井委員 これまではそういう方式でおやりになっておったと思うが、将来は、きょうは何村でだれが死んだというふうな報告を電話一本したら直ちに県へ集まる、県から毎日四時四十五分から東京へぼんぼんと入れると、一ぺんにあなたのところで、きょうの午前十二時現在で何人生まれたかということが自然にちゃんと統計で出てくる、何人死んだかということがちゃんと出てくる、病気で寝ているやつは何人とすぐ出てくると私は思うんだが、そういうことは今後どうするのですか。
  142. 江間時彦

    ○江間説明員 御指摘のように、将来の方向としては、できるだけ早い時期に、即時的にそのような処理がなされるということが理想的だと思います。現在われわれがやっておりますことは、それぞれの窓口におきまして、マークセンサスによりましてある種のマークをつけさせる。それを中央に集めまして機械で集計する。幾らかでもその集計する時間を短縮するということをやっております。
  143. 中井徳次郎

    ○中井委員 過去の実績を調べてみますと、三月に奈良県は何人死んで何人生まれた。しかし十日ほどたつと、実はあれは数字が間違うておったんやという話があって、差し入れたいへんだろうと思うのです。現にのんきな市や町では、県に報告するのを忘れておったというようなことがたくさんあるわけだ。ですから私が言うのは、ただ単に迅速というだけじゃなくて、それこそ正確を期するためにもそういう問題を——しかも私は金はかからぬと思っています。かえって非常に冗費の節約になると考えております。そうしてしかも全国の府県、市町村の厚生関係の職員は大いに一体感を毎日感ずる。おれのところで何人死んだ、ぱたぱたっと全部東京で調べてすぐわかるというふうな形をぜひやるべきでないかと思う。そのためには電電公社のやはりオンラインでないといかぬと思うのですが、電電公社どうですか。そういうことについて大いに受け入れて積極的にやる何かありますか。それから値段も安くしてもらわぬとどうもならぬですぞ。ひとつお尋ねをいたします。
  144. 庄司茂樹

    ○庄司説明員 電電公社もだんだんそういうむずかしいやつもやっていかなければならないと思いますので、いまお話のようなことは今後十分考えていきたいと思います。
  145. 中井徳次郎

    ○中井委員 今後十分考えるという、そんななまぬるいことを言っておってはだめですぞ。この間から話を聞いておりますると、どうですか、別にひとつ会社でもつくったらどうだ。電電公社みたいなもの、たよりにならぬで。大銀行や何か自分で回線持って、ひとつ別会社つくろうじゃないかというような話が非常にあります。あるから、私はそんなことを隠していまお尋ねしておるんだが、これから研究しますなんてそれで間に合うのかね。  それから、私は最後に言いたいのは、そういうことは単に経済だけでなくて、いまお尋ねしましたように、警察のほうにも厚生省のほうにも、それから郵政省——郵政省は特にひどい。おくれておりまするから、いまもストライキをやっております。大臣はわざわざ三時半に、労組の委員長に会うために退席されたんです。こういうことの基本にこういう大きな問題が眠っておる、これはわれわれも責任なしとしないが、最大の責任はやはり日本国民全体にあるのか、政府にあるのか知りませんが、こういう問題を片づけていかねばならぬというふうに思いますので、お尋ねをしておるわけであります。  重ねて御質問申し上げますが、何も電電公社赤字でもかまわぬと言うておるのじゃありません。こういったデータ通信が、オンラインなる回線が少々ふえましても、別に私はそのことによって特に経費がよけいかかるとは思えない。施設をするときにはかかりますよ。あとの運営その他の面になりますと、そうは思えないというような理由をもちまして、どうですか、お尋ねしておるのですが、データ通信をやると特に高くしなければならぬのですか。その辺のところを伺っておきたい。
  146. 武田輝雄

    ○武田説明員 データ通信の料金でございますが、公社がコンピュータも回線も端末機器も設置いたしましてユーザーの方に使っていただくデータ通信の料金につきましては、公社としては完全に独立採算でまかなうようにいたしたいと思います。しかしながら、公社が行ないます場合には、コンピュータも共通設置ができますし、また局舎、電源、その他も共通使用ができる、予備機も共通使用ができるということで、共同使用のメリットがずいぶん出てまいりますので、その面でおのずから経済的に提供できるという自信を持っております。
  147. 中井徳次郎

    ○中井委員 わかりました。  最後に、総理府から見えております統計局長さんに尋ねいたしますが、総理府の統計局も、さっき私が厚生省の江間企画室長お尋ねいたしましたと同じような方法で各種の統計をやっていらっしゃるのですか。それから現状と将来に対する考え方、抱負をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  148. 岡部秀一

    ○岡部(秀)政府委員 統計局のコンピューター関係を申し上げますと、統計局では三十五年の国勢調査のときに、IBM七〇五を入れて集計をいたしました。四十年の国勢調査——五年ごとに一回ありますから、四十年の国勢調査では、IBMの新型の三六〇に切りかえましたと同時に、光学式読み取り装置OCRというので、パンチカードシステムでなくて、マークカードにとりましてテープにとるという新型の機械開発されてまいりましたので、これを導入いたしまして、さらにNEACの二二〇〇というのを導入いたしまして、四十年の国勢調査の集計をいたしましたような次第です。今度の四十五年の秋に国勢調査が行なわれますが、それにつきましては、IBM三六〇のモデル四〇とそれからNEAC二二〇〇のモデル五〇〇という最新式なものを入れます。それからさらに、OMR二セット入れまして、早期集計をやっていくという予定をいたしておりますような状況です。  私のところでは、自分のところのいろいろな統計調査をやっておりまして、それの集計はもちろんやっておりますが、集計関係では、私のところは一種の統計集計センターの役目をいたしておりまして、国のそのほかの行政機関及び地方公共団体の統計、それらを全部、希望によりまして委託を受けまして、各種統計調査の集計をいたしております。現状は委託省庁の数が十省庁でございます。年間の作成プログラム数は八百本、年間の調査数は六十二調査、年間の稼働時間、一台当たり三千時間、入力カード枚数は三千六百万枚、作成結果表枚数は九十五万枚、作成結果表数九百表、こういうような大量の統計調査の集計をいたしております。  統計局でのコンピューター利用で特殊な点は、他のコンピューター・システムに見られない非常に多量のデータの処理を行ないますために、コンピューターの能力をフルに活用をしていかなくてはならないという状況ですし、それから、ただいま申し上げましたとおりに、処理する調査種類も非常に多岐にわたっておる、しかも各調査の集計時間も非常に長時間に及ぶものがあるという点で、いろいろと努力、研究をやっていきまして、集計を最も早くやる、いままでのところはコンピューターの計算の面に最大の力を注いでおる、こういう状況でございますが、最近に至りまして、これらの集計のほかに、統計局職員の給与計算、人事管理等の業務にも使っておりまして、さらにこれらを基礎に、情報検索システムの確立を期しておるという状況でございます。  将来、私たちといたしましては、いままで計算関係に主力を注いでおりましたし、またハードウエアの機能もそこまでいっておらなかったのですが、ハードウエアソフトウエアのこのような発達に伴いまして、統計の面で、統計の早期利用と細部統計、たとえば地域統計とか詳細な分類統計というふうな要望が非常に強まってくると思います。それから、従来の統計をさらに加工をいたしまして、新しい統計をつくってくれ、あるいは統計を入手しやすいようなやり方でやっていく、こういう点が現在各方面から非常に要望されてきておりますし、これはますます多くなってくるだろうと思いますので、その点で、統計局といたしましては、加工、流通、蓄積あるいは体系的に一貫した統計、いろいろな多種のサービスに役立てていきたい。とりあえず統計データバンクというのを設立するために、局内に準備室を設けて、それの研究準備をいたしておりますが、その統計データとして、私たちは最初に小地域統計情報システムの開発というのに力を注いでいこうということをいたしております。それは従来、統計が市町村段階までしかできておりませんけれども、これをさらに掘り下げまして、市町村よりもっと下の段階統計区、あるいは統計調査区、あるいはまた一平方キロに切ったところの地域のメッシュ、こういうようなものに、人口の状況はどうなっておるのか、男女の区別は、構成はどうなっているのか、あるいは階層別にはどうなっておるのかというふうな点や、どのような事業所がどのようにその中に入っておるとか、あるいは住宅の状況はどうなっておるか、そういうふうな面にまで将来進めていきたいという抱負をわれわれは持っております。
  149. 中井徳次郎

    ○中井委員 たいへん詳しい御説明がありまして、恐縮でありましたが、最後にもう一度お尋ねをいたしたいと思います。  十月に入れる機械は何という機械で、どこから入れるのか。それからデータバンクというふうなことでありまするから、各省に要求によって統計をまくのですけれども、各省だけではなくて、企業その他事業団体その他にもまくのであるか。その場合には料金をとっておるのか、ただでやっておるのか、その辺のところを承っておきたい。
  150. 岡部秀一

    ○岡部(秀)政府委員 今度四十五年の調査で入れますものはNEACの二二〇〇のモデル五〇〇という最新式のものでございます。それを入れる予定にいたしておりますのと、それから国勢調査を、これはこの前のときからやっておりまして、しかしこの前では十分とはいかない面がありましたので、日電と一緒の共同研究開発をいたしまして、OMRという読み取り装置機でございまするが、これを四年間かかりまして開発をいたしました。これは、濃淡に関係なく従来よりももっとよく読み取るという点で、現在試験をやっておりますが、その点、従来よりは相当いい成績をおさめておりますので、それを二セット入れるという予定をいたしております。  それから統計データバンクの問題ですが、データバンクのうちでわれわれの手がけますのは、統計データバンクでございます。私のところで国政の基本となるいろいろな統計をたくさんやっておりますので、あるいはまた、先ほど申し上げましたとおりに、各省のいろいろな統計の委託を受けまして集計をやっておりますので、相当の統計とデータを持っておるわけです。それらを組み合わせたものをつくっていくということです。ところが、この各省の統計データを総理府がかってに使うというわけには、いまのところまだできておりません。その点も、今後統計法その他の面でもいろいろ改善をすべきところがあると思いますが、とりあえずは、私のところで持っておりますデータによるところの統計データバンクを設立していこう。さらに、そういう法律関係の面、それから統計では例の秘密の保持の問題がございますので、これらの面をどのように解決していくかという問題もありますが、それらの問題が解決できますれば、できるだけ範囲の広い、できるだけたくさんのデータバンクをやりたいと思っております。
  151. 中井徳次郎

    ○中井委員 いろいろまだお尋ねしたいが、時間でございますからひとまずこの程度にしておきますが、いまの統計局のお話では、会社企業にはまだ出しておらぬのか、それが一つ。  それから、大体五年に一回人口統計をやっておりますが、将来はそんな必要はなくなるんじゃないか。ほんとうは毎日毎日きちっときまる。そんな五年に一回やる必要は何にもないようになるように私は思うのですが、それに対する見解を最後に簡単に伺いたい。
  152. 岡部秀一

    ○岡部(秀)政府委員 国勢調査ですが、これを毎日、毎月、毎年というわけにはいかぬと思います。とにかく今度の対象が約一億四百万の人全部を相手にして、そして約六十万の調査員を使うというのですから、そのときそのときというわけにはいかぬと思いますので、それはすぐにはなかなかむずかしい問題と思います。
  153. 中井徳次郎

    ○中井委員 私が申しますのは、人口の総計とかなんとかというふうなことです。それから選挙には、これは非常に有効に利用できる、さように思いますので、それも申し上げておきたいと思うのです。あっちで投票して、また帰りにこっちで投票するというふうなばかげたことは、いまだにあるように聞いておりますよ。私は具体的にどうこうという事実を握っていますけれども、言いません。そういうばかげたことは、データ通信というふうなものが発達するとなくなるようにも思いますし、またプライバシーの侵害でも、それを防ぐことについて、それこそソフトウエアの重要な項目になってこようと私は思うのです。そういうことについては、通産大臣とされましては十分お考えになっておるであろうと思いますが。  まあ、ざっと私は皆さんの御意見を伺っておきました。まだまだお尋ねしたいことはありますが、とにかく二億円ばかりの融資金か何かでは、これはちょっと花火を上げたところで、あなたの努力は大いに多といたしますけれども、われわれとしましては、これを法案として参議院に回すということになりますと、やはりできたら多少修正もしてもらいたい、積極的な意味における修正もお願いしたらどうだ。これはまだ相談いたしておりませんし、私は一委員でありますから、中村君その他の諸君とよく相談をいたしますが、どうでございましょうか、二億円ばかりのわずかな金だけれども、これを一〇〇%活用して、特に中小企業——特にあなたのおっしゃるのは、大体企業関係のことです。しかし、私どもから言いますと、企業だけではなくて、国全体の事業がこれを基本にして大きな転換期を迎えておる。その辺のところをやはり多少どこかでうたっておく必要があるのではないかというふうなことを思いますので、最後に宮澤大臣の意見を伺って、私の質問を終わる次第であります。
  154. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いわゆる情報化社会になりますと、われわれがいま想像できないようないろいろな問題が起こると思います。人間性に及ぼす影響、あるいは人間関係に及ぼす影響、人のプライバシー、いろいろな問題が起こってまいることは必然のように思います。人間疎外というような問題も一般には起こるであろうということがいわれておりますが、これらの問題は、いわば未知の問題でございます。したがって、いま簡単にお答えをするほど軽い問題ではないと思いますけれども、しかし、情報基本法でも考えますときには、用心をしてかからなければならない問題であると思っております。  それから二億円のことでございますけれども、これは御承知のように、この二億円と、民間から出捐があるでございましょう二億円と、合わせまして四億円、それで四十億円の保証をしよう、こういう考えでおるわけでございます。初年度でございますので、まあこの辺でひとつスタートをしようかということでいたしました。ソフトウエア産業が育つようでございますと、この需要は当然大きくなるわけでございますから、その場合には、また昭和四十六年度においても、それに対応する方策を講じて御審議をお願いいたしたいと思っております。  なお、確かに私ども企業ということを中心に考えておりますけれども、この協会委託開発するであろうソフトウエア、あるいはソフトウエア業界がつくるであろうところのソフトウエアというものは、企業の面から見れば、それは企業ということになりますけれども、いろいろな意味でのソフトウエアができてくるということが考えられます。それは必ずしも企業関係あるソフトウエアばかりではないと思いますので。その辺のことも考えながら、協会のあり方、保証基金というようなことも検討してまいりたいと思っております。
  155. 中井徳次郎

    ○中井委員 最後に、いまもお話がありましたが、いわゆるデータ通信に関する基本法というものを、一刻も早くこの次の通常国会あたりにでもぜひ出してもらいたいというふうなことを強く要望しますが、その御意見も伺ってみたいと思うのです。
  156. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 公衆電気通信法の関係法律改正は、先ほど郵政大臣が言われましたとおり、もう一度政府部内で検討をいたしまして、次には御審議を仰ぎたいと思っております。  それから、情報化基本法ということもその時期であると思っておりますけれども、これは非常にむずかしい、また予測の困難なたくさんの問題を含んでおります。公衆電気通信法の改正ほど話が煮詰まっておりません。しかし、極力政府部内で意見の統一をはかりまして、できるだけ早く提出をいたしたいと考えます。
  157. 橋口隆

    ○橋口委員長代理 次に、松尾信人君。
  158. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 いままでいろいろ話も進展しておるわけでございますけれども、この情報産業等全般をながめまして、わが国現状は非常におくれておる、それはもう指摘されたとおりであります。それで、この情報産業振興につきまして、わが国としましても、やはり政府の先導的役割りがあるんじゃないか。先ほど大臣も、アメリカが宇宙計画とか兵器産業への投資などで、コンピューターハードのほうもソフトのほうも非常に進んできておる、日本ギャップもそこにある、十年間日本がおくれておる、このようなお話であります。でありまから、何か日本独得のものがなくちゃいけないということも先ほど御説明がありました。このような情報産業全体をひっくるめまして、日本をどんどん前進させていく意味におきましては、やはりわが国独特のものがそこにはなくてはいけない。いまからとおっしゃるのでございましょうか。何か大臣のお心の中に、こういう面について日本独特のものとしてやっていこう、このようなものがありますかどうか、まず承りたいと思います。
  159. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、政府としていたさなければならないことはたくさんございますと思います。  一つは、先ほどから御指摘のございます基本法の問題、これはものの考え方と将来の展望を含みますから、教育などというところまで含みますから、可及的すみやかにしなければならない仕事でございますが、これがやはり日本には日本としての、日本社会独特の一つのものでございますから、その社会の変わり方も日本的な変わり方をするに違いないのでございます。そういうことを考えなければならないと思いますす。  それから、わが国の電電公社がどういう役割りをこれについてになうかというようなことも、先ほどからお話しのように、ひとつ解決しなければならない問題と思います。  そのほかにアメリカとの比較で申しますと、ソフトウエア産業というものは、計算センターというようなものはございますけれどもわが国にはほとんどないに近い。そういうものを育ててまいりませんと最も重要な部分が育たないことになりますから、これなどは、わが国のこの際最も緊要な問題でありまして、それがこの法案を御審議願っておりますゆえんでございます。
  160. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 そういうことで、たとえば公害につきましても脱硫技術等の開発、そういうものを政府がやっていらっしゃるわけであります。また、産業公害の事前の調査等もされておるわけでありますけれども、どうもそういう点につきまして、私きょうは産業公害全般につきましてお尋ねしたいと思うのでありますが、たとえばその汚染源と申しますか、大気汚染であるとか、水、悪臭、騒音といろいろございます。その汚染源というものにつきまして、どのような業種がどういうところでどのような汚染をしておるか。これは、情報というものを乗せるというその前段階で、そのような情報自体がどのくらい政府に整備されておるであろうか。その点は少ないんじゃないかと思って聞いているわけであります。  たとえば、これは昨日の朝日新聞でありますけれども、宮古湾のミドリガキからカドミウムが検出されました。それで含有量が非常に多かったというようなことでありまして、五、六倍も上回る銅とか亜鉛が検出されておる。そのようなことで各地に産業公害が起こる。それで問題になる。そしていろいろ対策が講じられる。しかし、それが十年も幾らも解決がおくれておるということになりますと、被害者は続出しておるということで、この産業公害につきましてどのような情報を集められておるのか。どのように収集しておられるか。そのような、情報を乗せる乗せぬというその前の情報自体について、非常におくれておるんじゃないかという気がいたしまして聞いているわけでございますが、いかがでございましょうか。
  161. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 公害と情報処理との関係は非常に広範にいろいろあると思いますが、せんだっても申し上げました、たとえば脱硫技術について工業技術院が大型プロジェクト開発するというような場合にも、おそらく情報処理の手法をいろんな段階で使っておるに違いないと思いますし、また廃棄物の処理をどう考えるかというようなことはこれからの問題ですが、これについても、やはりそういう新しい情報処理が研究の過程で一つの手段として使われておると考えます。また大気汚染等については、風向きとか天候とかによりまして、コンピューターで排出基準を、その日の排出量といったようなものを指令するというようなことも、方法としては考えられておるわけでございます。それからまた、一つの水系における水質の汚濁について、おのおのの汚濁源についてどのような処置をしたらいいかというようなことも、これもシステムとしてとらえることは、おそらく理論の上では可能であろうと私は思います。現在まだそういうことをやって、おるとは聞いておりませんけれども、可能であろうと思います。したがって公害という、これから起こる、ますますひどくなるであろう問題に対して、それをシステムエンジニアリングで処理をするということは十分可能であるし、むしろそこらがシステムエンジニアリングの一つの大きな活躍の場所になり得るのだというふうに思っております。  なお、たいへん具体的な、現実に公害についての情報処理がどうなっている、情報収集がどうなっているかというお尋ねがございましたので、それは政府委員からお答え申し上げます。
  162. 柴崎芳三

    ○柴崎政府委員 現実の公害関係情報収集につきましては、その必要性は非常にあるわけでございますが、現実の体制としては、まだやっと緒についた程度だというのが現在の状況でございます。  具体的に御説明申し上げますと、先生、先ほど指摘されました産業公害総合事前調査という制度が通産省にございまして、この制度は、現地におきます気象条件、地形、公害の発生源につきまして、特にSO2でございますが、それらに関する発生源を完全につかまえまして、それを風洞実験にかけまして、風洞において重合汚染図というものをつくり上げまして、その汚染の状況に従いまして、各企業の立地指導、あるいは地方公共団体の立地計画指導というものをやっておるわけでございますが、いままでの方法ですと、情報を集め、かつそれを風洞実験にかけるのに、大体半年ないし十カ月くらいかかりまして、そのあとで、たとえば会社計画を変えた場合には、その変えたファクターを一々また取りかえまして風洞実験するということで、それだけで三カ月くらいかかるのが実態でございました。そこで、この行政を能率化しょうということで、いままで集めましたデータを全部大型電子計算機に入れまして、一方風洞実験でわれわれがキャッチいたしました拡散の状況を理論式で展開いたしまして、その理論式そのものも電子計算機の中に入れまして、したがいまして、現在では、一部の計画の変更があった場合に、その一部の変更があったものだけを取りかえれば、あと電子計算機が自動的に計算してくれるということで、三カ月程度かかったいままでの作業が約一週間くらいで済むという体制にまで、四十四年度においてシステムを完成いたしまして、四十五年度につきましては、これを具体的に千葉、鹿島等五地域について適用しようという段階になっております。これが一つの事例でございます。  さらに、工業技術院で開発したシステムといたしまして、産業排水の自動管理システムというものがありまして、これは、産業排水の排出状況、それによる水質の汚濁状況、そういったものをシステム分析し、かつそれを取りまとめまして自動的に管理するということで、現に木曽川においてこのシステムを実際にやっておる実例がございます。  それからさらに、これは通産省ではないわけでございますが、厚生省関係で設備の補助金を出しまして、約十の都道府県あるいは市を対象にいたしまして、テレメーターによる監視システムというものをつくっております。これはどういうことかと申しますと、特にSO2につきまして、現実のデータを刻々無線あるいは有線によりまして中央管理室に集めまして、その中央管理室で解析した結果によりまして注意警報なりあるいは警報なりを出すというシステムでございまして、特に千葉、大阪につきましては電子計算機利用して総合的にやっておる。大体現状を申し上げますと、そういうような体制で利用しております。
  163. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 特に私がお尋ねしたいのは、日本全国に汚染源があるわけであります。それぞれの工場がありまするし、いろいろのことで国民が被害を受けておりますので、その全国の汚染源ですね、もうおわかりと思います。いかなる工場があって、どのようなことで汚染というものが行なわれておるか、そのような情報をまず集めていらっしゃるかどうか。これはいま大臣のお答えでは、そういう点はまだまだということで理解するわけでありますけれども、まずそのような全国の汚染源というものをしっかり握って、そして十年も、二十年も、三十年もたって——現在産業公害が各地で発生しておりまして、その処置に追われておるというようなことでありますが、そのような汚染源というものを全国的に調査ができますれば、今後の対策というものも自然とできていくのじゃないか。でありますから、公害を防止するんだという立場からも、そういう情報を一日も早く集めて、それに基づいて指示を与えていく、公害を事前に押えていくということが一番大切であろうと思って聞いておるわけであります。  なお、現在公害の起こっておるそのような会社等につきまして、現実にその公害を抑止するための措置というものがなされたかどうか。いろいろなされておると思いますけれども、どのようなことをなされたかということについて、次にお尋ねいたします。
  164. 柴崎芳三

    ○柴崎政府委員 公害の汚染源と申しましても、これは実はばく大なものでございまして、大気から、水から、騒音から、悪臭から、いろいろあるわけでございます。したがいまして、現在やっております対策は、その中で最も緊急なものを取り上げまして、先ほど御説明いたしましたような方法で、その未然防止なりあるいは市後の対策を考えておるということでございまして、あり方といたしましては、大体、汚染度の占い地域を中心にいたしまして、その地域の公害に対して何らかの対策を講ずるという体制になっておりますので、先生の御指摘の、全国くまなく存在する汚染源をとらえておるかという点につきましては、まだそこまで対策としては実現していないというのが実情でございます。
  165. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 では、その非常に重大な部門については、もう政府としてはそういう汚染源というものをちゃんと明らかにしておる、それで対策は次々と立っていくんだ、このように理解していいでしょうか。
  166. 柴崎芳三

    ○柴崎政府委員 そのとおりでございます。
  167. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 でありますれば、現在いろいろ公害で現実に問題が起こっておりまして、被害者が出ております。その救済の問題でございますけれども会社に対してどのようにやっていけというような、公害を出さないための投資ですね、そういう勧告措置。また、現在いろいろ争われております被害者に対する補償の問題、そういう問題を速急に解決してもらいませんと、水俣のほうでも、阿賀野川のほうでも、いろいろ全国で問題が次々と出ておりまして、非常にみんなが困っておりますが、そのような点の促進方はどうでございましょうか。
  168. 柴崎芳三

    ○柴崎政府委員 まず第一点の公害関係の投資でございますが、これはSO2の環境基準がきまり、あるいは一酸化炭素の境境基準がきまり、水質の関係の環境基準もやがてきまるというような客観情勢を反映いたしまして、各企業の投資意欲といいますか、公害防止のための努力というものも最近非常に盛んになりまして、昭和四十年当時は総投資額の約一%程度であった公害防除投資が、四十五年度現在では五%を若干上回っておるということでありまして、具体的な例といたしましては、電力会社におきます排煙脱硫の投資、あるいは石油精製工場におきます重油脱硫装置、あるいはいろいろ排水型の産業におきます排水関係の投資というようなものが、最近非常に活発に行なわれております。われわれはこの傾向をさらに促進すべくいろいろ指導しておるところでございます。  救済関係につきましては、この前の国会で健康被害に関する被害者救済法というものが成立いたしまして、ただいま御指摘のような、水俣病あるいはイタイイタイ病、あるいは四日市ぜんそくというようなことで、健康被害をこうむっております皆さまに対しましては、厚生省の認定に従いまして医療費を給付する。これはさしあたりの過渡的な措置でございまして、やがて訴訟によりまして原因者がはっきりし、その補償額がきまれば、そこから返済するという形になっておりますが、さしあたりの健康保持あるいは病院への通院というようなことに対する救済制度をつくり上げたということが第一点と、それから第二点は、現在、本国会で御審議をお願いしておりますが、紛争の仲裁法。現在、訴訟、裁判によりましては、非常に時間的にもかかりますし、それから被害者のほうで費用も非常に多額を負担しなければならない。なかなか現実の訴訟というものが提起もされないし、また、提起されたとしても非常に時間がかかる。その問題を解決するために、行政的な救済方法としまして、仲裁制度を設けようということで御審議を願っておるわけでございますが、これが成立するといたしますれば、個々の公害の紛争の処理につきまして、相当目に見えた前進が行なわれるであろうというような状況でございます。
  169. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 でありますが、いろいろ公害に対する情報を的確に掌握する、その掌握した情報で公害が起こらないようにしていく、これが大切でありまして、現在公害を起こしておる企業等についても是正をしていきませんといけない。総理も、今度公害罪というものを認めなくちゃいけない、公害罪も成立するというような御発言もあります。そうしますと、政府といたしましても、早くこの公害の面については情報を集め、その集まった情報でこれを除去していく手段、方法というものを企業にとっていきませんと、公害罪が成立した場合、いまの企業が次々とそれに触れていくというようなことになると、これはたいへんだと思って聞いておるわけでありますが、その面についてのお考えですね。それを簡単でいいですが、はっきりさせていただきたいと思います。
  170. 柴崎芳三

    ○柴崎政府委員 通産省の公害対策の基本的なねらいは二つございまして、一つは未然防止、一つ技術開発でございます。未然防止の対策を進めることは、ただいま先生御指摘の点に正面から解決の手段を与えるというぐあいに、われわれ考える次第でございます。
  171. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 では、公害の問題はこのくらいでとどめておきますが、非常に人命を大事にするというのが基本であります。政府としても、この公害につきましては、そのような見地から真剣に取り組んでおられると思います。今後ともに、その意味におきまして、あらゆる情報を集め、集めた情報企業を指導し、被害の続出している現状を是正していく、この姿勢だけは、国家の先導的な役割りの一つとしてしっかりとっていただきたい、これを強く要望いたしておきます。  次は電算機利用実情でございますが、わが国ではこのコンピューター利用が、四分の三ほどは事後処理の事務に使われておる、残り二五%程度が高度の部門に使われておる、このようにいわれておりますけれども、高度の部門というものは、現在どのようなものであって、今後どのような方向でこれが伸びていくか、その点をお尋ねいたします。
  172. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 電算機現状における利用状況は、いまお話のとおりでございまして、まだ日本では、事後処理的と申しますか、やや単純な作業に使われている面が多いことは、いまの御指摘のとおりでございます。そこで、高度な面に使われているのはどんな面が多いかということでございまするが、いま主として行なっておりますのは、たとえば技術設計といった面、それから企業長期予測あるいは市場調査、こういった面の分析ないしは判断を行なうのに、いろんなデータを電子計算機にかけまして、一定のプログラムのもとに判断をし結果を得ている、こういうことだろうと思います。
  173. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 それはちゃんと理論的に書いてございますので、こういう企業がこのように利用しておるとか、実際に使っている部門を一、二例をあげて聞きたいのです。
  174. 平松守彦

    ○平松説明員 具体的な例として、通産省で計算機を使っている例を御参考に申し上げますと、たとえば特許の案件が非常にたまっておりますが、その特許の申請があった場合に、これが従来公知の事実があったかどうかということは情報検索を計算機を用いて行なう。それから、たとえば輸出保険業務というのがございますが、輸出保険の際に、手形保険という保険がございますが、そういった場合に、その手形について、相手のバイヤーが過去に不渡りの事実があったかどうか、こういったことを全部コンピューターの中にデータを入れておきまして、向こうから振り出した手形がブラックバイヤーであるかどうかという検索を行なうとか、いろいろな経済情報というものを入れるとか、こういうのがおもにやっている例でございます。
  175. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 では今後も、この高度化の利用でございますけれども、やはり同じような方向で、この二五%というのが、だんだん三〇%になり、四〇%になり、五〇%になっていくというようなことで理解していいでしょうか。
  176. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 いま御質問の点は、今後のソフトウエア開発利用いかんにかかると思いますが、私どもとしては、そういう方向でだんだんとそういった利用面がふえていくということを期待をいたしておるわけでございます。
  177. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 次は電子計算機利用高度化の計画でございますけれども、先ほどのお答えでは、なかなか長期にわたれない、しかし一、二年は短い、大体五年ぐらい、さらに第二次、三次の目標を立てていこうというようなお答えがありましたが、期間だけがこの計画内容ではないと思うのでありますけれども電算機の質に対する考え方、またはプログラムの高度化等についても、一つ目標というものが設定されていかなくちゃいかぬのじゃないか。でありますから、計画内容をもう一回はっきりとおっしゃっていただきたいと思うのです。
  178. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 法律に定めております計画の具体的内容でございますが、御承知のように、百万と二号の二つ目標を立てることになっております。  そこで、まず最初の電子計算機設置目標の点でございますが、この点につきましては、法文にもございますように、まず利用を特に促進する必要のある電子計算機設置目標を定めたい、こういうことでございます。そこで、利用を特に促進する必要がある電子計算機というものの範囲をどう考えておるかということでございますが、たとえば内部記憶容量あるいは処理の速度、こういった面から、将来利用を特に促進する必要がある電子計算機をまず定め、それが目標年度までにどのくらい設置することがわが国にとって望ましいか、こういった目標をひとつ考えてみたい、こう思っております。  それから第二点の、情報処理振興をはかるための効果的なプログラム、さらにこれが多くの事業分野利用し得るようないわば汎用的なもの、こういうことを第二項のほうのプログラムの面で考えておるわけでございますが、この点につきましては、しからばどんなものがあるだろうかということで、私どもといたしまして一、二考えております例を申し上げますと、たとえば複数の中央処理装置を並行的に作動させまして計算能力を大幅に高めるために必要なプログラムでございますとか、あるいはまた総合統計の解析プログラムであるとか、あるいはハードウエア故障個所を発見、追跡、診断をいたしまして、これを取り除くための障害自動診断プログラムといったようなものが、私どもとしては、今後非常に効果的であり、かつ広い分野で使い得る種類プログラムではないか、こういうふうに考えております。
  179. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 次に、計画を定めるにあたりましては、政令で定めるところにより電子情報処理振興審議会の意見を聞く、このようになっております。この電子情報処理振興審議会は、計画を定める実施機関とも思われますので、その意見は非常に重大である。その審議会の内容、構成、役割り等はどういうものかということについてお伺いいたします。
  180. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 電子情報処理振興審議会でございますが、これは電子工業及び情報処理振興に関する重要な事項調査審議する機関でございます。従来、電子工業審議会といたしまして電子工業振興臨時措置法に基づいて設置をされておりましたものに、今回の法改正によりまして、今後さらに、電子工業の面のみならず、情報処理の面の重要な事項に関しても調査審議をしてもらおうということで、新しく情報処理関係事項を追加をいたしたのでございます。したがいまして、おもな機能といたしましては、従前電子工業審議会でやっておりましたような、電子工業振興臨時措置法に基づきますところの電子工業振興計画、これを審議すること。また、この法案にございますように、電子計算機利用高度化計画審議すること。また同時に、一般的な問題でございますが、電子工業あるいは情報処理に関する重要な事項につきまして、通産大臣の諮問に応じまして調査審議する、こういうことになるわけでございます。  審議会の構成でございますが、いま言ったような任務を持っております審議会でございますから、当然電子工業及び情報処理に関連をいたしまして、十分なる学識経験を有する者及び関係行政機関の職員をもって構成をしたいと考えておりまして、現在のこの法改正以前の電子工業審議会の定員は四十人以内ということに相なっておりますが、もしこの法案が成立をいたしますれば、今回の情報関係のこともございますので、さらに若干名の増員を考慮いたしたい、かように考えております。
  181. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 次は、この情報処理振興事業協会所、ございますけれども、この協会民間が発起する。それで、発起人等の関係はどういうふうにして構成ができるものか。その点についてお尋ねいたします。
  182. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 法律の第十六条以降、設立に関する規定がございますが、発起人につきましては、「情報処理について専門的な知識を有する者十五人以上が発起人となることを必要とする。」ということになっておりますので、民間におきますところの情報処理専門家、ないし情報処理に関する十分な知識、経験を持っておる方々、この方々が十五人以上発起人となりまして、定款及び事業計画を作成し、同時に、民間一般に対しまして、この協会に対する出資の募集をするということになるわけでございます。現在のところ、まだこの法案が審議中でございますので、具体的にどなたが発起人になるかということについては確定をいたしておらないようでございますが、この法案の成立を待ちまして、具体的にその発起人が定められるものと私どもは期待をいたしております。
  183. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 その点のめどはすでに立っておるわけでございますね。
  184. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 事業協会は、ただいま御説明いたしましたように、民間の発起によって設立をされ、この法律成立の暁におきましては、この法律によって通産大臣が認可をするという性質のものでございますので、法案提出に先立ちまして、民間のこういった関係の方々にもお集まりを願い、事業協会の趣旨等も十分御説明をいたしております。その際、いろいろな御意見をちょうだいいたしておりますが、現在のところ、発起をするということ自身につきましても、また、当初この事業協会資金を出す——現在のところ二億円余りと私ども期待いたしておりますが、そういった金額を拠出をするということにつきましても、関係者の間ではほぼ了解をいただいておる状態でございます。
  185. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 この振興事業でありますけれども、これはプログラム委託開発がおもになると先ほど御説明がございました。そのような、委託開発がおもになっていく何か計画というものがすでにあるのか、いまから出てくるのかという面でございますが、いかがでしょう。
  186. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 協会が行ないます委託開発プログラムでございますが、これは、先ほど御質問もございました第三条のいわゆる高度化計画、この中のプログラムについていろいろと目標を定めます。そういったような目標に基づきまして、一般企業自身はなかなか手が出せない、こういったものをこの協会が積極的に資金を投入して、民間のしかるべき機関に委託をして開発していこう、こういうことでございます。そこで、先ほど申し上げましたような、具体的に二、三例を申し上げましたが、そういったことが計画上まず審議をされ、計画ができあがった暁におきまして、そういった点を念頭におきましてと申しますか、中心といたしまして委託開発事業をやっていく、こういう段取りになるかと思います。
  187. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 これはすっきり計画を立てていきませんといかぬと思うのでありますけれども、せっかくプログラム開発ができましても、資金的にこれが行き詰まるということになってはまた心配でございます。ソフトウエア部門の振興事業に三億円というふうな当初の御計画でありますけれども、このような見込みではたして十分であるかどうか。せっかくプログラム計画がどんどんできる、しかし金の面でそれが伸ばせないということになりますと、伸ばしていこうという法案がそこで行き詰まるのではないか。初年度でございますからまあ三億円だ、やがて実績を見ましてこれはふやしていくんだというようなお考えもあろうかと思いますけれども、はたして三億円でいいかどうか。また今後出た実績によって随時、来年度からでもふやしていこうというような考えかどうか承りたいと思います。
  188. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いわゆる一般用のそういうプログラムについては、ずいぶんやりたいこともございます。委託したり開発したいものもございますので、初年度これでよろしいかと思いますが、来年度また要すれば追加をいたしまして、御審議をお願いいたしたいと考えております。
  189. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 やはり同じようなことになるわけでございますけれども、次に信用保証基金の四億円、これをもとといたしまして四十億円の金融債発行となっていくわけでありますけれども、いまプログラムの問題で申し上げましたとおりに、これで一兆円の投資にもなっていくのだというような実態を控えております現状から、はたしてこの需要をこれで満たすことができるかどうか。これも、いまお話ししましたとおりに、出発当初であります、また現実に動き出すのはおくれていくでありましょうから、予算的には当初は四十億円というところで実績を見て勘案していこう、このようなお考えと思いますけれども、この点もやはり実績をよく勘案されまして、せっかくのことでございますから、これは来年度のプログラムに対する考え方と同じく、この金融債の引き受けについても、実情を見てさらに伸ばしていこうというお考えがあるかどうか、あわせて承りたいと思います。
  190. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この点につきましても、同様に考えております。
  191. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 そうなりますと、結局、今回の民間の出資金二億、また政府の出資二億ということになっておるのでありますけれども、この出資の分も、それぞれ見合って増資していかぬといかぬのではないか、この点どうですか。
  192. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 御指摘のとおりでございまして、いま申し上げましたような、資金需要がふえるに伴って保証基金もふやしていきたい。その場合には政府のほうの出資も、いま大臣が申し上げましたように、必要に応じて増額してまいりますが、あわせて民間からの出資もしくは出損金の増加も、私どもはぜひお願いをしていきたいと考えております。
  193. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 ソフトウエア産業の弱点と申しましょうか、どうも現物がないので担保力がないということになるわけでございますが、それで現実にはなかなか金が借りられない。プログラム開発に投資しても三年も幾らも回収に時期がかかる。で、国の特別のこのような措置が起こってくるわけでありますけれども、この金融債の発行の条件ですね。そういう点におきまして、それは特別の配慮がそこに払われておるのかどうか、またこのソフトウエア自体の担保力というものをどのように見ていくかということでありますが、いかがでしょう。
  194. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 長期信用銀行三行の金融債引き受け条件につきましては、まだ具体的な詰めを行なっておりません。この法案が成立をいたしました後、財政当局ともその点についての相談をしたい、また銀行との間でも相談をしたい、こう思っております。  それから、いまの融資を行ないます場合の対象となるソフトウエア、これにつきましては、いま御指摘のとおり、これ自身が担保価値があるというふうなかっこうには、いまなっていないと思います。したがって実際問題としては、融資をいたします場合、こういった保証基金による保証等がなければ、対象になるソフトウエア自身がそういうものであり、かつ融資先である企業自身も、先ほど来御答弁申し上げておりますように、まだきわめて弱小な段階にございますので、私どもとしては、ぜひこの保証基金をもって保証をするということにいたしませんと、なかなか実際問題としての融資はむずかしい、かような考え方で今回この法律でもって保証基金をつくるということにした次第でございます。
  195. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 いまから先にこの金融債の条件等は煮詰めていくということでございます。そこに特別の配慮がなされるように煮詰めていただきたい。これは要望しておきます。  それから、先ほども通信回線利用の問題が出ました。公衆電気通信法の改正が今回出されなかった。片方はどんどん進んでいく。オンラインで非常にここがポイントになっていく。それが一年間歩調が合わなかったということにつきましては、こればまことに残念だと思います。そういう意味におきまして、どうとかしてこの国会にそれを出す手はなかったのか。もういまから先は手おくれでありますので、かりに来年ということになりましょうけれども、それが来年からまたスタートするのでなくて、いまのうちからその気になっておいて、ちゃんともう、ソフトウエア、そういう部門がどんどん前進しているのに合わせた通信回線のあり方というものがなされていかなくては、おくれていくのではないか。発展していく部門が、このような中途はんぱで、ずれておるということは非常に残念だと思うのでありますが、ひとつ腹がまえといたしまして、このオンラインにつきましては前向きに、法の改正自体を待つのじゃなくて、現実にそのような面を強く推進していかれるようにお願いしたい、こう思うのですが、いかがでしょう。
  196. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これはわが国情報化にとっても非常に大切な点でございますが、同時に電電公社にとりましては、全く新しい業務が正式に加わるということになりますので、公社にとりましてもこれは大きな問題でございます。先ほど郵政大臣が基本的なお心がまえをお述べになりましたので、郵政大臣のお考えを中心に、今回もほとんど煮詰まるところまでまいりましたから、ぜひ次の国会には御審議を仰ぐべく政府部内の意思の統一をはかりたいと思っております。
  197. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 法律のほうはよくわかりました。また、それぞれ政府のお気持ちもよくわかります。ひとつ現実におくれないように、やはりいまからそのような施策をおのおのが進めていただきたい、これは要望であります。よろしくお願い申し上げます。  次は、情報化時代における中小企業のあり方でございますが、いろいろ中小企業の高度化だとか、近代化だとか構造改善、これに取り組みませんと、やがてつぶれていくわけであります。たとえば共同計算センターというのが約二百くらいあっておるということでありますが、この共同計算センターの中で中小企業がどのくらい利用しておるのか、その実態はおわかりでありましょうか。
  198. 吉光久

    ○吉光政府委員 ただいま御質問の中にございました共同センターでございますけれども、私ども、昨年の四月現在、日本電子計算機会社のほうの帳簿をもとにいたしまして、共同計算センターの数を計算してみたわけでございますが、その時点で受託計算センターが二百四十五ヵ所ございます。この二百四十五カ所を対象にいたしまして、昨年の八月にそれぞれの企業のほうにアンケート調査をいたしたわけでございます。そのときに返事をいただきましたのが百六十七社あったのでございますけれども、そのうちから、カードパンチだけを専業にしておるものでございますとか、あるいはメーカー直属のものでございますとか、不明のもの等を除きまして、はっきりと経営形態でやっておりますもの百二十四社について調査いたしましたところ、この百二十四社につきまして、これはすべて他の企業から計算その他のことを委託されまして仕事をやっておるわけでございますが、この計算センターの実情を申し上げますと、これは、サービス業というふうなことで考えました場合に、センターの従業員の数五十人以下というのがこのうち全部合わせまして八十二ございました。したがいまして、この受託センターのうち七〇%弱が中小企業であるということになっておりまして、この受託センターに依頼いたしております中小企業の数はわかっておりませんけれども、大体、こういう小さな受託センターでございますので、この使用者のほとんどすべてが中小企業であるというふうに考えていいのではないかと思っております。
  199. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 先ほど公害でもお尋ねいたしたとおりに、中小企業につきましては、いろいろデータを、情報というものをまずそろえていただきたいという希望であります。  なぜこのようなことを申すかと言いますれば、いま問題になっております日米の繊維交渉、これで、そういう部門において中小企業がどのくらいあって、そしてどのような生産をあげ、どのような国別の輸出がある、そしてその嗜好はどうだ、流行はどうだ、そのような情報をとりまとめて、そして中小企業の指導を誤まりなくしていく。繊維産業についてもこのようにやっていく。あらゆる——あらゆるということばは語弊があり、むずかしいと思いますけれども、重点的なものについては答えが出せる。そして中小企業の指導が抜かりなくいく。いまのように、この繊維の交渉だけでも大産地は非常に苦況に立っておりますが、そういうものを早く取り上げて、早く救っていくような情報をそろえてあるかどうか。今後とも、そのようなものをそろえていただかなければ、いろいろ問題が出ても後手後手になっていくんじゃないか、このように思われるのですが、いかがでしょうか。
  200. 吉光久

    ○吉光政府委員 お尋ね内容二つに要約できるかと思うわけでございます。一つは、中小企業コンピューターを自分で持って、いろいろな情報を集めたものを処理し加工してまいるという、そういう体制の整備の問題と、それから同時に、もう一つは、中小企業に、自分でコンピューターを持たないとしても、いろいろの情報について、いろいろな立場からの情報をすみやかに伝達するという問題、二つの問題になろうかと思うわけでございます。  前者の問題につきましては、御承知のとおり、中小企業資金力なりあるいは人材難なりというふうなことから、自分で独立してコンピューターを持つということは非常に困難な企業が多いわけでございます。したがいまして、いまの政府の指導の立場といたしましては、独立してコンピューターを持たない中小企業者に対しましては、これが協同組合その他の組織をつくりまして、そういう組織でコンピューターを共同利用してまいるというふうなことについての積極的な助成措置を講じておるわけでございます。御存じのとおり、中小企業振興事業団におきまして、こういう共同してある一定の要件に合致しておるセンターに対しましては、一般案件と申しまして、六五%の融資限度で二・七%の金利の金を貸しておるわけでございます。そういうふうなことで、共同して計算センターを設けるというふうな方向での指導をやっておるわけでございます。と同時に、他方におきまして、そういうコンピューターを使いまして自分で情報を処理、加工というところまでまだまいっておりませんので、現状におきましては、むしろ、ただいまお答え申し上げました中小企業振興事業団におきまして、たとえばジェトロから海外情報、あるいはまた科学技術情報センターから科学技術情報を、あるいはまた自分の独自の調査部で集めました内外の資料というふうなものを集大成いたしまして、そういう情報を都道府県の総合指導所あるいは六大都市の総合指導所というふうなところに情報として流しておりまして、それらの指導所を通じて中小企業者のほうに情報を伝達する、こういうふうな制度、仕組みをとっておるわけでございます。
  201. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 でありますが、中小企業者が自分で電算機を入れたい、このようなときの助成措置です。近代化資金等あると思いますが、いままでどのくらい中小企業自体が電算機導入して、助成がなされたかというのが一点であります。  なおなお、中小企業に対します情報の提供サービスの体制の問題でございますけれども、今後は、中小企業に対して、どこが中心となって情報提供のサービスをしていくのか。また、政府でもいろいろの情報を持っておりませんと、繊維問題でも指導力が弱いのではないか。民間がそれぞれ持つのはあたりまえでありますけれども政府としても、そのようないろいろの重大な部門における情報はみずから備えて、そしていまいろいろ企業が困っておるそれを、どのようにして困らないようにしていくか、少しでも困り方を減らしていこうというような、政府自体の中小企業に対する情報のあり方、それから今後中小企業に対する情報提供というものは、どこが中心となってめんどう見ていくのかという点についてお尋ねいたします。
  202. 吉光久

    ○吉光政府委員 最初に、中小企業電子計算機を購入いたします場合の助成措置でございます。先ほどお答え申し上げましたように、現在やっております一番大きな制度は、中小企業者が共同いたしまして電算機設置いたします場合に助成を一番強くいたしておるわけでございますが、現在までの実績で申し上げまして、この制度は四十二年度から発足いたしたわけでございますけれども、四十二年度に三センター、四十三年度一センター、四十四年度四センター、合計いたしまして八センターに対しまして一億六千三百万円の、先ほど申し上げました条件での融資をいたしておるわけでございます。最近になりまして、だんだんこういう共同計算センターに対する要望も強くなってまいりつつございます。御要望に沿えるだけの予算の準備もいたしておりますので、できるだけ積極的に取り上げたいと考えております。  それから、情報の収集、伝達の問題でございます。これも、先ほどお答えの中の一部にあったわけでございますけれども、現在、中小企業に対します情報サービスは、中小企業振興事業団がその中核となってやっておるわけでございます。中小企業振興事業団におきまして、たとえばジェトロからの海外情報、あるいはまた科学技術情報センターからの技術情報、あるいは独自で持っております調査部の機能を動員いたしまして、そこで集めました内外の経済事情というふうなものを編集いたしまして、月三回、中小企業情報といたしまして、それぞれの都道府県及び六大市の中小企業総合指導所のほうにこれを流しております。同時に、さらに都道府県なりそういう総合指導センターが、それぞれの中小企業団体あるいは中小企業者のほうに情報を出します。その経費につきまして一部国が補助金を支出しておるわけでございます。  先ほどお話しございましたように、政府関係のデータにつきましても、やはりこれを整備して流してやる必要があるわけでございますけれども、いわゆる情報という形のものが、中小企業関係あちらこちらから出るということも、あまり好ましくないのではないであろうかというふうなことから、政府関係におきまして、たとえば通産省では、先ほどお話がございましたようなデータセンターですべてのデータが収集されておるわけでございますが、そういうデータセンターのデータが振興事業団のほうのいろいろの情報源にもなる。情報の源は非常に広くなっておるわけでございまして、それらの情報を下部にすみやかに流してやるということが最も必要かと思うわけでございます。
  203. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 よろしくお願いします。  次は外資対策の問題でございます。これは一面、外資が入ってくるということで日本水準が高まっていく。また、有効な刺激となるという面がありますけれども、非常におくれておる現状からいえば、これは先ほど大臣の御答弁のとおりだと思います。でありますから、今後ともに非常に慎重な態度で臨まれると思うのでありますけれども、これはきょうの日経でありますけれども、「日本に百%出資の子会社 インコ社が設立」されるということであります。カナダのニッケルメーカー、インコ社がこのほど日本に進出してきたわけでありますが、これはいろいろ情報を提供する、こういうことで、必要なものはやはりどんどん入ってまいりますし、また、どうしてこれが入ってきたのか、やむを得ないものとして認められてできたのか、これはどうでございましょうか。一〇〇%とけさの新聞に載っているけれども、「三井物産内の日本ニッケル情報センターが行なってきた仕事をそのまま引き継ぎ、インコ社発行のニッケル、ニッケル含有材料の性質、用途に関する情報を、日本の関連産業界や研究機関に提供するのがおもな業務。」「インコ社はすでに米国、英国、フランス、西独など十二カ国で同じように技術情報を提供している。」これが設立されたということが載っておったわけでありますけれども、この点は、おくれているから外資を押えていこうということと——必要なものとして例外的に認められたものかどうか。
  204. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その話は、どうも私ども全然聞いておりませんので、どういう話でありますか、詳細がよくわかりません。正式に認可したとかというようなことはございません。おそらく、ニッケルというのは、御承知のようにかなり国際的に寡占化した商品でございますから、そういうことについての情報ということであるかと思いますが、そうでございますと、非常に狭い範囲の一つの特殊のものについての情報でございましょうから、情報産業というにも当たらぬかと思います。しかし、実はその話は私どもまだ聞いておらないわけでございます。
  205. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 次は、日本電子計算機株式会社、JECCのことでございますけれども、これは国産コンピューターの育成の面で非常に大きな力を発揮してまいりました。大まかでいいのでありますけれども、どれほどいままでに買い上げてきたのか、それから一般ユーザーにどのように利用されておるのかということをお答え願いたいと思います。  それから、このJECCの今後の活動でありますけれども、IBM等はいろいろ新しいアイデアでやっている。何か積極的な面でやっていきませんと負けるんじゃないかということが第二点であります。  それから今年度の予算でございますけれども、これは百五十億円になっておりますが、四十四年度の補正の九十億円はどうなるのかということですね。これは今年度に積み重ねて使われていくのかということであります。  それから、このJECCの年間の資金手当ての問題でありますけれども、ちょっと見たところによりますれば、四十三年度で六百六十六億、四十四年度で八百二十六億というような大きな資金の手当てがなされておりますが、このような総体的な資金手当てと政府の百五十億という予算ですね、そういう関係。ことに、民間のほうでうんと調達してやっているのだ、政府の百五十億円等はその一部分の助成である、このようになっておるものであるかどうか、あわせて御説明願います。
  206. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 JECCの活動状況を簡単に申し上げますと、御存じのように、これはメーカー六社の共同出資で設立されたものでございまして、昭和三十六年以来非常に急増いたしておりますレンタル資金需要に応じておるわけでございます。  四十三、四年度と五年度の見通しを簡単に申し上げますが、四十三年度におきますJECCの購入額は六百六十六億、四十四年度が八百三十億、四十五年度の見込みにつきましては、私ども一応千億というふうに考えておるわけであります。この千億の機械購入を予定いたしておるわけでございますが、それにつきまして、どういう資金でこれをやっておるかということでございますが、まず第一に、レンタル収入がございます。レンタル収入の面で申しますと、四十四年度は、これはまだ最終的に締め切った数字ではございませんが、見込みといたしましては約四百十億円余り、それから四十五年度の見込みとしましては約五百八十億円余り、このくらいのレンタル収入を見込んでおります。それから、大きいのはやはり借り入れ金でございまして、先ほどお話のございました開銀の金は、御存じのように、当初が九十億の予算、あと追加九十億円ということで、四十四年度分として百八十億の資金がワクとして用意されておったわけでございますが、先月末で一応これを十五億円ばかり四十五年度に繰り越しております。そういうことから、実際問題といたしましては、四十四年度の開銀資金が百六十五億、それから四十五年度も百六十五億、こういう形で開銀資金が流れてまいるということになると思います。これに対応いたしまして、市中銀行からの協調融資がございまして、この面からの借り入れ金は、四十四年度で、これもまだ概算でございますが、ほぼ二百六十億余りでございます。それから四十五年度の見込みといたしましては、大体三百三十億ないし四十億の予定をいたしております。なお、四十四年度におきましては九十四億の増資をする計画でございまして、四十五年度も引き続き増資をしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  207. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 資金の手当てにつきましては、今後ともよろしく御配慮願います。  次は大型プロジェクト開発の点でございますが、四十六年度で完成する、工業技術院で開発中となっておるわけでありますが、この大型プロジェクト開発がいまどのように進展しておるのか、そしてどのような見込みになっておるかということを一言お願いします。
  208. 朝永良夫

    ○朝永政府委員 工業技術院では、大型プロジェクトの中の一つのテーマといたしまして、超高性能電子計算機開発、これを取り上げまして、昭和四十一年度から六カ年計画で、昭和四十七年三月未完成の見通しをもって現在開発を進めております。  開発対象となっておりますこの電子計算機は、七〇年代の前半におきまして世界のトップレベルに位するような超高速、大容量、多重利用可能な電子計算機でございます。本プロジェクトでは、単にこのような高性能な電子計算機の原型機及びソフトウエア開発するだけではございませんで、ソフトウエアを含めますシステムの標準化、漢字の表示装置、文字の光学読み取り装置等の、高性能の入出力機器の開発も行なっております。開発に要する資金は約百億円でございます。現在、六カ年計画の五年目に入っておりまして、本体の製作並びにソフトウエア開発の研究を進めておるわけでございますが、四十六年度には所期の目標を達成される見込みで、一応私どもとしては順調に研究が進められているというふうに考えております。
  209. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 次は教育訓練の点で、学校教育の面については先ほどよくわかりました。それで、社会教育の面といたしまして、四十四年度に初めてプログラマーの認定試験が行なわれたわけでありますが、この実施状況、参加人員、また参加者の範囲とか試験の結果等について承りたいと思います。  なお、今年はより以上の計画がある——当然そのようになるわけでありましょうが、今年の計画でどのようになっておるか、そしてそのような部門の不足に対してどのような充足ができていくかという点についてお尋ねいたします。
  210. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 昨年行ないました情報処理技術者試験の概況について御報告申し上げます。  十一月に東京、大阪の二カ所で、第一種と申しますのが上級のプログラマー、第二種が一般のプログラマーに分けまして、行なったわけであります。応募人員は当初の予想に反しまして非常に多うございまして、約四万二千名でございましたが、受験者の総数は三万二千五百八十四名でございました。試験に合格いたしました者は、第一種、第二種合わせまして二千六百四十三名ということに相なっております。この試験は、先生も御承知かと思いますが、特にある種の資格を付与するというような性格のものではございませんで、この試験を受けることによって、各自の持っております技術、能力というものの一種の認定をしてあげるといった性格のものでございます。いわばこれによって、こういった関心のある方々、あるいはこういったことに従事しておる方々の今後の勉強の刺激にもなり、また、これを通じて一般にこういったプログラマーというものの認識を広く徹底させたい、こういう趣旨でやったのでございます。  今年の試験でございますが、こういったように、当初予想に反しまして非常に多数の応募者もございましたので、私どもとしては、おおむね昨年の試験と同じようなものを考え、かつ受験者の便宜もはかる意味で、昨年は、いま申し上げたように東京都と大阪の二カ所でございましたが、本年は、八通産局、八個所で同時にやってみたらどうかというふうに考えております。応募人員も、おそらく昨年同様あるいは若干昨年を上回る程度の受験者があるのではないか、かような予想をいたしております。
  211. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 試験がありまして、その結果合格した人は、社会的にやはり一つ情報プログラムの指導者になっていくわけですから、会社もそういう人を優先的に採用したり、またはいろいろ待遇も変わってこなければいけない。資格ということでありますから、やはり試験は試験で卒業証書なんかあるんですか。それから、そういうものを付与しまして、それが本人の一つの待遇の条件になっていくとか、そういう面に持っていきませんと、試験のしっぽなしのような感じをいま受けたわけでありますが、どうでしょうか。
  212. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 こればちょっと説明不足だったかと思いますが、試験に合格いたした者につきましては、通産大臣の認定書を交付いたしております。そういったことから、おそらく先生言われましたように、通産大臣から認定書が出ますので、会社内における今後の待遇あるいはその配置、仕事の内容等も十分考慮してやっていただけるようになるものと考えております。
  213. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 合格率が非常に悪かったわけでありますけれども、これはうんとレベルアップをお互いにしまして、早くこういう人員をととのえていただきたい、よろしくお願いしておきます。  最後に、プログラム調査簿の問題であります。調査簿というのは一体どのようなものでありましょうか。それから、それを作成していく方針。何かみんなが持っていきさえすればいいのかどうか。それから、調査簿のプログラム民間所有のものがおもであろうと思われるのでありますが、そういうものが自然と集まるかどうか。何かそこに企業の秘密にも属しておりますし、なかなかこれは言いたがらぬのじゃないか。現在お互いに秘密にしておりまするし、そういうものを調査簿のほうで出してこいというわけでありますが、この調査簿の目的というものは、全部拾い上げて二重投資を防ぐとかいろいろありましょうけれども現実にできるかどうかという心配であります。そこで、一たん調査簿に記載されたプログラムというのがどのように保護されていくのか。やはりおのおののプログラムというものは、いまからそういうものが情報に乗りまして、そして全体的に価値を高めていくわけでありますから、プログラムの価値というものははかり知れないものがありまして、これが伸びていくことは、日本情報産業のほんとうの発展だと思うのでありますけれども、そういうものの保護ですね。調査簿に記載したがあとの保護はどうなるのか。政府が買い上げるのかどうか。即時買い上げていけば大きな予算が要りますから、これはきっと行き詰まるであろうというようなことを心配するわけであります。  なお、調査簿に記載したプログラムは、利用促進のために閲覧させるということになっておりますが、閲覧と企業秘密との関係というものはどうなっていくのであろうか。いろいろ考えれば、むずかしいたくさんの問題がこの中にはあるのではなかろうか、このように心配されるわけであります。その点につきまして、いま三つも四つも重ねて聞きましたけれども、どのようにお考えになっているか。この点はしっかりしていかないと、なかなか現実にはうまくいかぬのではないかと思うわけであります。
  214. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 法律の第五条でプログラム調査簿の作成ということが規定をされております。このプログラム調査簿というものをなぜ置くかという、その必要性と申しますか、目的を申し上げれば、御質問の全般のお答えができるかと思うわけでございますが、私どもは、現在プログラムというものが流通をしておりませんので、これはプログラムが、個々のユーザーの業務のためにユーザーの内部で開発されるケースが多いわけでございますが、そういったことから、どういうプログラムがお互い企業内なりその他の面であるのかということが明らかでないわけでございます。ここにございますように、「主として一の事業分野における情報処理に用いられるものを除く。」と書いてあるわけでございまして、いわば各人が持っておりますプログラムの中にも、やや一般的に使われる、あるいは使ってもらってもいい、そういう汎用的な性格を持ったプログラムもあるわけでございます。あるいはそのほかにも対照的に考えられますのは、企業会社で機密として、自分の業務の向上のためにいわば秘密兵器として持っている、こういうプログラムもあろうかと思います。  そこで、私どもがこの際流通の円滑化ということをねらっておりますのは、いま申し上げました前段のほうの、各企業が持っている、あるいは、自分で開発したプログラムではありますけれども、比較的汎用性がありまして、自分の企業のみならず、他の企業にこれを適用しても十分使えるのではないか。また、そのプログラムを流通させる、他の人に売ることが秘密でも何でもないというようなものも、相当数これはあるに違いない、こういうふうな考え方を持っております。そういったようなプログラムにつきまして、通産省調査簿を設けておきまして、そういったことについて希望する者、つまり自己の持っておりますプログラムを他の人に貸すとか売るとかすることがいい、こういう考えを持っている人に申し出を行なってもらってこれを記載する、こういうことでございます。したがって、ある意味ではあまり強権的ではございませんので、いわば全部を網羅するわけにはまいりませんが、逆の面からいえば、いま先生が御心配になっておられますような、機密の保持とか安全とかいうことはそれほど心配はない。これはもともと売るつもりでと申しますか、流通すれば、その企業にとっても、保有者にとっても適当だという考えでまず申し出てくるわけでございますので、その点はあまり問題がなかろうと思っております。  それからその調査簿には、プログラムの概要、あるいは保有者がもしこれを提供するとすれば、提供する条件等を記載することになるかと思います。そういった面から考えてみましても、プログラム自身は、私どもも全くしろうとでございますが、たいへんむずかしいものでございますので、ただ、そういった目的でこういったプログラムといった程度の概要があるというだけで、これを直ちに調査簿を見ただけでわかってしまって、すぐ何かに使われてしまうといったような心配は、事柄の性質上ないように考えております。そういう意味で、あくまでこの調査簿を置くということの目的が、任意的に、そういうことを希望する方々の便利のために、またプログラムの流通というものを広く行き渡らせるためにやりたい、こう考えておるわけでございまして、そういった性質からも、本省のみならず八通産局にそれぞれこういったものを置きまして、当該地域の方々の利便に供したいと考えておるわけでございます。
  215. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 わかりましたが、やはり閲覧をさせるというわけでありますので、そこにいろいろ問題が出てくるんじゃないか。うまくこれを買ってくれたり、またレンタルでそれを使ってくれたりすればよろしゅうございますけれども、単にそのようなプログラムを閲覧しまして、そして自分が盗用してみたり、いろいろ特許とか実用新案でも心配されておることがありますけれども、そういう悪用されていく面で閲覧されては困る、こう思うわけでありますが、そういう面における、せっかくプログラムを提供して調査簿に載せた人の十分な保護といいますか、またほんとうにそれが伸びていくような方法のあり方、それが慎重になされませんと、期待した分が案外これでトラブルのもとになって通産省が恨まれていく。あそこにはもう持っていけない、すぐしりが割れてばれちゃう、買い手はない、使い手はないというようなことになりますと、これはたいへんなことになるのでありますが、そういう行政的な配慮をよくよく帳簿についてはなされませんと、今後問題をかもすもとじゃないか。ひとつこれは大臣も慎重に考えられまして、そして企業を保護するものは保護する、それから伸ばしていくものは伸ばす。それで総合的に日本情報産業を全体的にレベルアップをしていく、この点を強く要望いたしまして、私のきょうの質問を終わります。
  216. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この点は、法案をつくります過程でも問題になったことでございまして、ただいま政府委員が申し上げましたように、これは流通に出すという希望の人だけがプログラムを持ってくるということが第一点。それから、プログラムの題目だけ見ましても、どういうプログラムであるかということは、事の性質上、いわば買い手のほうからもわからぬことでございますから、その両点から、ただいまの点は御指摘のようなことがないように注意してまいります。
  217. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 以上で終わります。
  218. 八田貞義

    八田委員長 次回は、明九日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時三十三分散会