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1970-04-03 第63回国会 衆議院 商工委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月三日(金曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 浦野 幸男君 理事 鴨田 宗一君    理事 橋口  隆君 理事 前田 正男君    理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君    理事 塚本 三郎君       石井  一君    稲村 利幸君       宇野 宗佑君    北澤 直吉君       小峯 柳多君    左藤  恵君       坂本三十次君    始関 伊平君       進藤 一馬君    田中 六助君       藤尾 正行君    石川 次夫君       加藤 清二君    堂森 芳夫君       中井徳次郎君    松平 忠久君       横山 利秋君    近江巳記夫君       松尾 信人君    川端 文夫君       米原  昶君  出席政府委員         通商産業政務次         官      小宮山重四郎君         通商産業省企業         局長      両角 良彦君         通商産業省繊維         雑貨局長    三宅 幸夫君  委員外出席者         農林省農林経済         局企業流通部長 森  整治君         参  考  人 大野あきら君         (作    家)(沙羅 双樹)         参  考  人         (全国商品取引         所連合会会長) 鈴木 四郎君         参  考  人         (全国商品取引         所仲買人協会連         合会会長)   山本 博康君         参  考  人         (関門商品取引         所理事長)   佐伯 義明君         参  考  人         (全日本商品取         引不正防止協会         会長)     亀鷹  清君         参  考  人         (日本繊維産業         連盟会長)   谷口豊三郎君         参  考  人         (日本化学繊維         協会会長)   宮崎  輝君         参  考  人         (日本輸出縫製         品工業組合理事         長)      近藤駒太郎君         参  考  人         (日本繊維産業         労働組合連合会         会長)     小口 賢三君         参  考  人         (全国繊維産業         労働組合同盟調         査局長)    久村  晋君         商工委員会調査         室長      椎野 幸雄君     ――――――――――――― 委員の異動 四月三日  辞任         補欠選任   岡田 利春君     加藤 清二君   松平 忠久君     堂森 芳夫君 同日  辞任         補欠選任   加藤 清二君     岡田 利春君   堂森 芳夫君     松平 忠久君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  商業に関する件(商品取引所問題)  通商に関する件(繊維製品の対米輸出問題)      ――――◇―――――
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  商業に関する件について調査を進めます。  本日は、商品取引所の問題について、参考人方々出席しておられます。  参考人各位には、御多用中のところ御出席をいただき、ありがとうございます。本委員会におきましては、商品取引所のあり方、委託者保護等の問題について熱心な討議を行なってまいっておるのでありますが、本日、参考人方々の御意見を伺いますことは、今後の調査に多大の参考になるものと存ずる次第であります。何とぞ忌憚のない御意見の開陳をお願いいたします。  それでは、まず、大野参考人鈴木参考人及び亀鷹参考人からそれぞれ御意見を述べていただき、その後に質疑を行なうことといたします。  最初作家大野兤君にお願いいたします。
  3. 大野あきら

    大野参考人 御説明申し上げます。  ただいま大野兤という御紹介をいただきましたが、私は沙羅双樹というペンネームで相場師小説株式小説を書いている作家でございます。時間の制限がございますので、たとえば投機家被害状況、これは亀鷹参考人から、また業界内部事情につきましては、各理事長がお見えのようですから、その理事長さん方から御説明があることと思いますので、私はもう少し次元の高いところで、御参考までに申し上げたいと思います。  このたびの紛議につきましては、いろいろ内容が複雑になっておりますし、新聞皆さんも御承知のことと思いますが、三つばかりございます。  まず第一に、過当勧誘の問題、これは普通の勧誘ならば許されたことで、一定の資格を持った外務員勧誘して歩くことはよろしいのです。これは適法なんでございますけれども、この適法の中で、ノルマに追われたりした一部の外務員過当勧誘をしたという事実が伝えられております。  その過当勧誘の第一番の問題は、元本を保証すると言ったということ。それからもう一つは、絶対にもうかると言ったということ。これは株式市場でも同じでございますが、元本を保証するとか、絶対にもうかるとかいうことばを使ってはならないという規定がございます。そういうことばを使ったということは新聞やなんかで報道されておりますし、事実、使ったようでございます。昔、昭和三十六、七年ごろ投資信託がたいへん問題になりまして、元本を保証するようなことを言って募集いたしまして、これは大蔵省かりお目玉を食って、それ以後、投資信託は、元本を保証しないということをはっきりうたったのでございます。今度の場合も、元本の保証をするということを真に受けて投機家が――私はあえて投機家と申します。商品市場投資ということばは妥当ではないんで、これは投機でございます。スペキュレーション、思惑ということばがございますが、純粋の投資というのは、たとえば銀行定期預金、それから公社債、それは元本は保証されておりますし、また、それによって生ずるいささかな、少ない額ですけれども利子が保証されている。これが純粋の投資でございます。しかし、商品市場並びに株式市場信用取引の場合においては、これは投資ということばは使わないほうがいいと私は思います。やはり投機でございまして、特に商品市場は、配当もなければ利子もない。つまり、相場の上下の変動を利用して、その値幅をとるということが商品市場原則でございます。また、これは投機原則でございます。それを知らないで、あるいは知ってか、しろうと投機家が参加して、そしてたいへんな損害を受けた。何億とかいう新聞の報道がございますけれども、これは、元本を保証すると言ってはならないという規定を破ったこと、また無知な投機家がそれに乗ったこと、これがトラブルの一つケースでございます。  それから、絶対もうかるということは、これはもうかることもあるが損をすることもあるという勧誘の方法ならよろしいのですが、絶対にもうかる、もうけてやると言った外務員があるそうでございます。これは西洋にも有名な格言がございます。馬に水を飲ませるために岸べまで連れて行くことはできる、しかし水を飲むのは馬自身であるという有名な格言がございます。ですから、外務員がどんなことを言ったかしれませんが、水ぎわまで連れて行って、しかし、水を飲むのは馬自身、つまり投機家自身で、銀行からお金を下げてきて、そしてそれを証拠金に入れて、それで売買を委託したということですから、これは、ただいまの投機家が水を飲む意思がなければ、どんなに水ぎわまで持っていっても、それは飲まないはずです。また、そういうことを言われて飲むようなことでは、投機に手を出す資格はない。少しきびしいようですが、そのように考えます。ただし、だからといって過当勧誘がいいというのではございません。その点、誤解のないようにお願いいたします。  それから第二に、外務員の言いなりになって損をしたという例がたくさんございます。これはアドバイス乱用だと私は考えているのですけれども、しろうと投機家自分意思最初はやったとしても、しまいに相場がわからなくなってしまう、これは私どもよくございます。そのときにたよるのは外務員なので、それで外務員相談をする。そうすると外務員は、売りなさい、買いなさいと指導する。これはアドバイス乱用でございます。投機家自身にやらせなくてはいけないのです。外務員資料だけは提出をする。これは事実ですから、一切の資料、数字、そういうものを提出して、そうして軽々しいアドバイスはしないというのが正しいのでございますけれども、やはり投機家に聞かれると、売りなさい、買いなさいということで、また投機家は、売ったり買ったり、また売ったりということになります。これはやはりどちらがいいとも裁決はしかねる。  それからもう一つは、ころがしというのがございます。これは投機家か玉を建てて――玉と申しますのは委託したこと。玉でございます。この玉を建てっぱなしでおりますと手数料にならないので、それで投機家に対して、売りなさい、買いなさいと言って、つまり手数料をかせぐために玉をころがさせる。前に申し上げたアドバイス乱用と同じで、どんどん売ったり買ったり、また売ったりさせる。そうしますと手数料ばかりどんどんかさんでしまう。結局、これでもうかればよろしいのですけれども、そうしたら手数料なんか問題じゃないのです。もう投機でございますから、もうかるときはたいへんにもうかるのです。ところが一たび損が立ちますと、この手数料というのが非常に負担になる。外務員手数料をかせぐために、どんどんころがさせるという悪循環みたいになりまして、結局、損勘定をしてみたならば、損害の額よりも手数料の額のほうが多かったという例もございます。  それからもう一つは、売買一任勘定というのがございまして、これは禁止されているのですけれども、しろうと投機家外務員に、これでもうけてくださいと言ってお金を渡す。これは、以前には株式市場にもございましたし、現在も多少あると思うのですが、これはやはり紛議のもとになるので禁止されているにもかかわらず、お客から金を預かって、そうして自分相場をしてやる。これは禁止されております。これがうまくもうかればよろしいのですけれども、お客お金でどんどんもうかるのだったならば、何も外務員などはしていないで自分でどんどんもうけます。外務員ノルマを課せられて一生懸命やっているよりも、それほどはっきり絶対もうかるならば、自分でやります。これは投機家もおそらく知っているはずですが、それなら外務員なんかしていないで自分がやるはずです。これも、わかり切ったことを一任したというケース。  時間がございませんので大体大きな面だけ取り上げましたのですが、投機家というのは、私を含めまして、もうかったときはにこにこしている。  一たび損が立ちますと腹が立つ。私も損が立てば腹が立ちます。それは自分意思でやったのだから、腹は立つけれどもしかたがない。ところが今度の紛議は、ずっと申し上げたことで損害が多く立ったので、それで一斉にその紛議が表面に出てきたということでございます。  それで、これが三月二十七日のこの委員会社会党の横山議員がおっしゃっているのですけれども、商品取引業界暴力団資金源になっているという御発言をなさいました。これは三月二十八日の日経新聞でございます。それで、この御発言によりますと、暴力団が介入している、そうしてこの暴力団の名前まであげておられます。これはおそらく、ここまでおっしゃるには、しっかりした調査と、それから根拠をお持ちだと思います。私は、これが事実であるとするとたいへんな問題だと思います。明朗であるべき商品業界がこのような紛議を起こして、今度はそれに乗じて暴力団が介入して、そして今度は仲買い店被害者になるというケースだと思います。そうしますと、投機家被害をこうむる。今度は仲買い店被害をこうむる。ますますこれがエスカレートしていってどろ沼に入ってしまう。私はもうすでに商品業界はどろ沼へ入っていると思います。  このままほうっておいたらどうにもしかたがないんで、私の案といたしまして、これは前向きの案なんでございますが、強力な機関を設ける。たとえば映画映倫というのがございまして、ここは悪い映画をチェックして、それで禁止したり、あるいはマークしたりしておりますが、映倫よりもっと強い機関を設けまして、そうして強力なメンバーで、監督官庁の係官、それから法律家学識経験者その他の人に入ってもらって、そうして強力な裁定機関をつくるということ、これが現在一番必要な問題だと思います。現在も紛議調停委員会というのがございますけれども、これは利用されておりません。ほとんど開店休業みたいなようでございます。それはなぜかと申しますと、投機家不信感を持っているのです。この紛議調停委員会へ持ち込んでも、これは仲買い店御用機関であるから信用ができないという不信感を持っていて、だからたとえば直接役所へ行って訴える。そうしてお上の御手数をかける。それからあるいは不正防止委員会をつくって、そして自衛的に立ち上がるというようなことになったので、その前に強力な機関をつくりまして、そうして、もういつでもそこへ時を移さず、たとえばきょうの前場の売り買いが間違っていたという場合には、すぐにそこへかけ込んでいく。この強力な機関は直ちに機動的に動き出してその実態調査する。あるいは仲買い店暴力団の介入を受けたならば、これもその機関に直接持ち出してくる。そうして法律家も含めて常識で──法律というのは最低常識でございますから、もっと高い常識で解決する。それでだめだったら裁判所なりへ行って、最低常識の判断にまかすというものが必要だと思います。  時間がございませんので、あとはまた一問一答があるようでございますから。以上でございます。(拍手)
  4. 八田貞義

    八田委員長 次に、全国商品取引所連合会会長鈴木四郎君にお願いします。
  5. 鈴木四郎

    鈴木参考人 連合会会長鈴木でございます。意見を申し上げます。  まず、全国商取連合会長といたしまして、商品先物取引をめぐる諸問題が、社会問題として世上を騒がせ、一般の御批判を受けましたことは、まことに遺憾であります。深くおわび申し上げます。かねがね取引所運営商品仲買い人健全経営商品取引委託者保護につきましては、主務省の御指導のもとに鋭意努力を重ねてまいったのでございますが、なお御批判を受けるような事態を防止し得なかったことを、業界一同大いに反省し、今後の信用回復に一段の努力をいたす所存でございます。  今日、新聞等に報道されている各方面の御主張に対しましては、もちろん謙虚にお聞きしなければなりませんが、当業界といたしましては、個々の紛議等につきましては、あくまでも事実を調査し、是は是、非は非として処理すべく努力いたす所存でございます。  今日、商品仲買い人営業姿勢投機弊害上場商品の不適格性、果ては商品取引所の存在の可否さえも論ぜられておるとき、私は、問題の大半は、ごく一部の商品仲買い人営業姿勢にあると考えるのでございます。上場商品が何であろうと、今日の問題を惹起した一部不良仲買い人業界内に存在する限り、常に取引所あるいは上場商品をめぐる物議は解消いたしません。この際、何をおいても社会に害悪を流す者を業界から排除することが、先決問題だと考えております。  今日、世上を騒がせている問題にからんで、商品先物取引弊害が論ぜられることは、まことに憂慮にたえません。御承知のとおり、商品取引所の効用は自由経済社会に欠くべからざるものでありますので、派生的な問題を早急に解消して経済社会への貢献に専心したいと考えておるのでございます。そのためには、謙虚な反省と過去の分析の中から、将来の方向づけを行ない、特に商品仲買い人質的向上努力し、委託者保護に万全を期したいと考えておるのでございます。  去る三月十七日には主務省局長から、商品仲買い人受託業務適正化について通達をちょうだいいたしましたのであります。全商連といたしましては、同日開催の全国理事長会議におきまして、反省自粛並びに通達事項即時具体化を決議いたしました。これを受けまして、大要次のような具体策について決定し、現在実施の段階に至っております。  一、紛議調停改善については、イ、取引所紛議調停委員会委員構成を、委員長商品仲買い人以外の者とし、商品仲買い人委員構成比は三分の一以下とする等改善いたしまして、公正な第三者の意見が十分反映するようにいたしてあります。ロ、また二以上の取引所にかかわる紛議については、関係取引所構成する合同調停を行なう態勢を整備いたしました。ハ、取引所事務局における紛議処理にあたっては、調停委員会に必要な指示を仰ぐとともに結果を報告する等、調停委員会活動強化信頼性を高めました。  二、過当勧誘防止等については、イ、電話勧誘広告宣伝一般家庭への戸別訪問による新規顧客勧誘について強力な自粛措置を指示いたしました。ロ、商品仲買い人内部責任体制確立のため、各営業所において対委託者担当責任者を明確にし、担当員不在等から起こる事故防止措置を講じました。ハ、委託者商品取引について正しい認識と理解を持って取引するよう、従来交付しておりましたパンフレット等内容を充実し、交付時期の励行、契約書等取引注意事項を刷り込ませるとともに、一般への正しいPR活動強化することにいたしました。  三、向かい玉については、従来の規制内容を再検討することとし、とりあえず各商品仲買い人の建て玉について自己玉委託玉内容を公表することにいたしました。  四、商品仲買い人に対する監査強化につきましては、イ、各取引所商品仲買い人に対する監査体制強化するとともに、関係取引所合同監査強化いたしております。ロ、各取引所が、悪質な違反行為商品仲買い人を処分するにあたっては、原則として当該商品仲買い人が加入しているすべての取引所において処分が行なわれるよう、各商品取引所定款改正の準備をしております。  以上のような決定を見ておりますが、このほかにも、外務員教育の拡充、委託者啓蒙機関の設置、商品仲買い人自己売買規制強化等委託者保護並びに商品仲買い人経営健全化を目ざして鋭意検討を重ね、逐次実施していく予定であります。  なお、従来の規制措置は、とかく現象面をとらえての総花的施策が多く、問題の根源である悪質者への制肘となり得なかったりらみもありますので、今後は直接悪質者の制裁、排除を行ない得るよう配慮し、また主務省にもお願いいたしたい考えでございます。  私といたしましては、この際積年の弊を一掃することを期し、また関係各位に御助力をお願いいたしますが、ただ、今後の施策にあたっては、実需家生産者等商品取引所の利用並びに善良な数多くの商品仲買い人に格段の御配慮をいただき、商品取引所経済界への貢献と健全な発展を御支援くださるようお願い申し上げます。
  6. 八田貞義

  7. 亀鷹清

    亀鷹参考人 まず、私たちが、商品取引不正防止協会なる組織を何がゆえに結成したかということの問題から話していきたいと思います。  商品取引業界実態は、実際ほんとうに利益のあった方、あるいはその体験者もしくは担当者でない限り、知ることのきわめて至難なのが現在の状況ではなかろうかと思っております。しかしながら、そのような状況にあるにもかかわらず、大衆参加の増大はますます拡大しており、かかるその悲劇の実態は、黙視することのできない大きな社会問題となっておると思います。  そして、その要因はどこにあるのかということを考えてみた場合に、悪質な仲買い人外務員の、商品取引法を公然と無視した営業姿勢もさることながら、関係処理機関である取引所にしても、行政機関である主務省にしても、その機能が十分発揮されているとば思えなかった。商品取引そのものを根本的に改善を必要とする問題が山積しているにもかかわらず、関係当局が、具体的な問題提起ができない以上、私たちは手段を講じざるを得なかったのであります。なお、今後におきましても、商品取引業界を純粋に見詰める運動体必要性をどうしても痛感したから、私たち商品取引不正防止協会と命名して発足いたしたわけであります。  それでは、商品取引不正防止協会は、どのような運動をして、今後どうしようとしておるのか、この問題について述べておきたいと思います。まずそれを申し上げて、私たち組織そのものにつきましては、あくまでも商品取引業界の刷新とわが国経済の振興に貢献いたしたいという立場でありまして、以下申し上げますことに対しても、なお一そうの御理解と御協力を賜わりたいと存じております。  私たちは、現在、全国各地より実態調査を行なっておるとともに、苦しみ、そして悩んでおられる方々をはじめ、その内容につきましては人生相談とも思われるまで労を惜しんでおりません。私たち組織の拡大と、そして、それが広く強化されることをいやがる方々は、あらゆる角度から、そういった私たちの純粋な組織であるにもかかわらず、妨害を加えてきております。たとえば、おどしやいやがらせ話にいたしましても、午前の一時であろうと二時であろうと、時間をかまわずかかってきております。また、一部の業界紙をはじめ、私どもの組織示談屋でありますだの、金もうけをやっておるだのと中傷、誹謗すらしているようでありまして、私たちは、決してそのような運動をしたり、またするような組織でないということを率直に申し上げておきたいと思います。  なお、結成以来現段階までにおきましての運動につきましても、何ぶんにいたしましても、歴史的な組織結成とその運営でありまして、軌道に乗るまでには少々の日時を必要と考えております。しかしながら、役員各位におきましては、互いに日夜を問わず、いわばそのような情勢の中で生死をかけてがんばっていると私は思っております。また、それだけに、この問題について必要な組織であり運動であるとも考えております。そして、いまは中央に組織を集結し、現在、各地方事務所につきましても、各地において着々と進んでおります。また、弁護士をはじめ知識人方々協力体制も具体化している中で、私たちは、活字をもってでも広く一般大衆皆さん商品取引の表裏を認識していただくことも、日数の問題にまで進行いたしております。でなければ、この商品取引の問題について、具体的に一般大衆に周知することができないのではないかというのが現状ではないかと思っております。そういう運動を行なう過程の中で、私たちは名実ともにこの名にふさわしい運動を展開していきたいと思っております。そして、以下申し上げますことを当面の運動の柱としていきたいと思っております。  その一つは、無知な一般大衆が参加すべきでなく、また参加させるべきでない。二つとして、関係法改善をやらなければならぬ。この問題について、従来本委員会の中においても、あるいは本国会の中でも、先生方より論議はされておるところであると思います。三番目に、今後の問題もさることながら、当面いたしておりおります不正による被害額について賠償をしていただかなければ、やはりそれだけのことができない状態の中で今後の問題を論議することについても、いささか問題があるんじゃなかろうかと思っております。四番目には、今後かかる被害者未然防止のための諸活動の推進を、前段申し上げましたような内容を含めて行なっていきたいと思っております。また、悪質な仲買い人外務員についてはこの商売を御遠慮していただかなければならない、こういう立場をとっております。また、関係処理機関の機能の充実と機構の改革についても、真剣に討議していただかなければならないと考えております。さらには、その機関構成員の中にも私たちの協会の代表者を選任していただきたい、このような立場で考えております。  最後に、では、どのようなことが、いま私たちは、いけない、あるいはおかしい、不信であるという立場でこういう組織をつくったかということについて、若干申し述べておきたいと思います。  一般大衆の無知に乗じて、不当な勧誘あるいは過当勧誘、一任売買という、準則の第五章第十七、十八、十九条に受託についての禁止事項が明確に掲げられておるにもかかわらず、現在の実情は全国各地からの状況を見ましても、公然とそれを無視して家庭訪問を行ない、電話でもって勧誘して、それが一番の問題の発端となっておるようでありますし、また大衆参加という傾向にあるのも、そのような行為が動機の発端となっておると思います。その具体的な内容について時間がございませんので御披露できませんけれども、本委員会をはじめマスコミの皆さん方よりいろいろ具体的な問題が提示されておりますので、なお一そう御参照いただきたいと思います。また、この商品取引に対して約束手形までが強要されて、それも証拠金として流用されておるのが現状であります。さらには、四十三年一月二十七日付をもって法改正されておるにもかかわらず、その後においても、旧の受託契約準則を使用して委託者に交付しているというのが現状であります。これらの問題につきましても十分考えなきゃならないと思っております。あるいは、委託者紛議を考えて取引所紛議の申し立ての手紙を出せば、そのままそっくり仲買い人のほうに回されてしまって、実際、具体的にその調停が行なわれていないというのも現状であると思っております。またそういったもろもろの問題を含め、取引所主務省がなれ合い的であるという疑惑を持たれたり、き然たる態度で問題に対処できない。そのことはどこに問題があるのかということを、私たちは強く今後追及していかなければならないと考えております。その問題について具体的に調査を進めておりますので、私たちはその調査の進行段階で問題を明らかにしていきたいというような立場であります。  さらに、前段でも申し上げましたように、私たち運動体は、ただいたずらに損をしたから騒いでいるという組織では決してございません。そういう体験者が二人目の私を出すまいとして立ち上がることは、貴重な体験をされた方々の、良識ある方の態度であるという立場で考えております。以上であります。     ―――――――――――――
  8. 八田貞義

    八田委員長 続いて質疑を行ないます。申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
  9. 横山利秋

    横山委員 参考人皆さんには、御多忙中御苦労さんでございました。  時間がそれぞれきまっておりますので、まず冒頭に私から、私どもが取り上げております趣旨並びに要望を申し上げておきたいと思います。  ぜひこの際、商品取引改善に、それぞれの立場を超越して積極的な御協力を願いたいということが第一であります。  第二番目に、そのためには思い切って、きょうのみならず今後につきましても、それぞれ恥部をさらけ出してもらいたい。そうしないと根本的な改善ができないと思うのであります。  第三番目には、それぞれ自主的な努力をしてもらいたいということであります。私ども国会は、農林省なり通産省の行政のあり方を通じてやるわけでありますが、これはどうしても上からになります。つまり下からそれぞれの組織を通じて、この改善に自主的に努力をしてもらいたい。それは、いま全商連会長がおっしゃったような機構もございましょうし、人事もございましょう。いろんな意味において自主的な努力をしてもらいたいということであります。  その次には、委託者保護に徹してもらいたいということであります。これは、商品取引の健全発展のためには、長い目で見てそれがオーソドックスな道であると私は思います。  最後に、大野参考人から三月二十八日の引用がございました。あとで大野参考人にはその日の議事録をお送りいたします。新聞をごらんになったようでありますから、ちょっと私を引用なさいました点について間違いがございますので、時間の関係上、あとで議事録をお送りさしていただきます。  さて質問の第一は、こういうことであります。私の手元にわび状の写しが一つ来ております。これをまず読み上げます。このわび状は二月の末に書かれたものであります。「この度の小豆先物手仕舞につきましては、御依頼ないのに協会並に取引所協力するためお手仕舞いたしましたこと、誠に申訳御座いません。充分反省いたしますとともに、今後とも宜しく御協力の程伏してお願い申し上げます」、これはさる仲買い人委託者に出したものであります。私は事情をわかっておりますが、特定な仲買い人を糾弾するのが本日の目的ではございませんので、特に名前は省略をいたします。要するに、私が先般の本商工委員会で、二月十八日の強制解け合い――あれはその人々に言わせますと、強制価格くぎづけであって解け合いではないと言っておるわけでありますが、それはともかくとして、その際に、仲買い人皆さんが強制価格解け合いをさして、しかもこのわび状というものは、委託者の承諾を得ることなく行なわれた結果の事実であります。こんなばかなことが世の中に一体あり得るだろうかということを、私は痛感をするわけであります。  まず山本さんにお伺いをいたしますが、先般、本委員会で農林省及び通産省にお伺いいたしました二月十八日の解け合い、あなたは東穀の方ではございませんから、詳細にこの事実を知るわけにはまいりませんが、少なくともこの強制価格くぎづけというものは取引所の指示があったか、それとも仲買い人の自主的判断で行なわれたか、責任は一体どちらが持つのが至当なのか、ひとつ明白にお答えを願いたいと思います。
  10. 山本博康

    ○山本参考人 横山先生から私に、東穀の解け合いの件についてどう思うかという御質問がございました。そのお答えをいたします前に、先ほど全商連鈴木参考人からもお話が冒頭にありましたが、私も冒頭において、われわれ仲買い人の一部の者は非常に営業姿勢が悪くて社会の指弾を受けて、それが大きな社会問題となり、この国会においても審議されているということになりましたことは、中には、はっきり申しますが、非常に善良に自分仲買い人としての任務を遂行してまいった者もございますが、ただいま申しました一部には、そういう、まことにわれわれ同士ですらひんしゅくといいますか、なってないといいますか、そういう営業姿勢をやった者があります。で、それが社会に非常に御迷惑をおかけしたということを私は全仲連の――全仲違ということは、全国の商品仲買人連合会でございます。全仲連の会長として、連帯感のもとに深く皆さまにおわび申し上げます。相すみませんでした。  それから横山先生へのお答えに入るわけでございますが、いま先生もおっしゃいましたように、実は私は大阪にいるものでございまして、もう一つ東穀の仲買いでもありません。関西に主としている。東穀の解け合い、これは私は私なりに若干の情報といいますか、は聞いてはおりますけれども、それがはたして真実であるかどうか、私の聞きましたことがそのとおりであるかどうかということが、いまの段階では、先生、わかってないのです。ですから、まことに先生に対して失礼かもしれませんが、これをはっきりして、あれが正しい解け合いであるか、あるいは正しくないか、何に根拠したかということ、ちょっとお答えを、先生、できないのでございますが、いかがでしょうか。
  11. 横山利秋

    横山委員 ただ、あなたには、こういうわび状を出した事実があるということ、並びに仲買人協会会長として知っておいてもらいたいという意味にとどめます。  それでは、全商運の会長として、同時に東穀の理事長として、どうお答えになりますか。二月十八日の解け合いは取引所が示唆したのか。仲買い人が自主的判断で行なったのか。責任は一体どちらが持つか。あるいはまた、仲買い人は事前に理事会も開いていないようであるけれども、だれが一体それは責任を負うべきであるか、この点を率直に語っていただきたい。
  12. 鈴木四郎

    鈴木参考人 ただいま先生の御質問に対して答えます。  今回の東穀に起こった解け合いの問題は、去る二月の十六日に定例の東穀の理事会を開催したのでございます。その際に、今日の現状から推してこれを継続するのはなかなか困難だという判断で、私は理事会で皆さんの御意向を切に伺ったのです。どうしてもこの際強硬な処置をとるか、それでなければ建て玉を解消していくか、いずれにしても今後これを継承するということは困難だという問題を提案したのでございます。たまたまそのときに、仲買人協会の委員長もわれわれのほうの理事でございますので、その理事会の内容を察知しまして、十七日に仲買人協会の全員総会、懇談会を開きまして、そうして今回の任意解け合いに入ったようでございます。任意解け合いに入ったのでございますけれども、これはなかなか簡単なものでございませんので、仲買人協会といたしましても、一応アズキのないこともわかっているし、このままにしておくということもはなはだ困難だというので、会員懇談会を開き、総会を開き、重ねて十八日に総会を開きまして、この際どうしても商習慣にのっとって任意解け合いに運ぶほうがいいという考えのもとにやったことでございます。
  13. 横山利秋

    横山委員 時間の関係上、私の質問のしかたが少し手短でありますために、御答弁も何か率直でないような気がするんですが、私の承知しておりますのは、二月十七日に仲買い人皆さんは総会を開かれた。しかしそこで、二月十八日の早朝から解け合いをする、そして価格はこれくらいにするという決定はしておらないはずであります。ですから、私が商工委員会でも先般申しましたのは、これは一部の仲買い人皆さんが、一部の方が、理事会も開かずしておやりになったという事実を私は指摘しておるわけであります。  で、あなたに率直に聞きたいんですけれども、これは東穀ばかりでなくて全国的な問題でありますが、今回のいわゆる強制価格くぎづけなるものが、一体十分にして適当な手段、方法であったかどうか、それだけひとつ伺っておきます。
  14. 鈴木四郎

    鈴木参考人 ただいまの質問に対しまして答えます。  いま、適当か適当じゃないかと申されましたけれども、従来われわれのとってきた道は、今日、強制解け合いということは非常に仲買いさんがこわがっておるので、どうしてもこの際は任意解け合いに持っていかざるを得ないという商習慣になっておって、やったものと思います。
  15. 横山利秋

    横山委員 御存じのように商取法は、解け合いは政府及び取引所の行なう方法しか認めておらないのであります。八十八条の第三項、第四項は、何人といえどもそのようなことをしてはならぬということを定めておるわけであります。御存じでございますね。このような情勢になったことは、私も認めておるわけでありますが、本来それは取引所が行なうべきものでなかったか、法律上。本来農林省が行なうべきものでなかったか。取引所が行なうべき責任を仲買い人に転嫁したおそれはなかったか。また、取引所がそういうふうに示唆したところで、仲買い人が、理事会も開かず、最終決定も明白でないうちに、一部の人がこのような手段に出るのは、かりに百歩も万歩も譲って適法であったとしても、適切ではなかったではないか、こういう問題を提起しておるわけであります。すでに政府は、先般の商工委員会で――私は適法ではないと言っておるわけでありますが、政府は、適法ではあるけれども欠くるところがあったということを言っておられるわけであります。全商連として、政府がそういうふうに指摘しておることを、適法でありかつ適当であったと断言をせられるわけでありますか。
  16. 鈴木四郎

    鈴木参考人 今日の現時点におけるところの業界の立場といたしましては、この方法をとることが一番いいと思いましたが、八十八条にはそむいております。適していません。しかし、あれには全然関係がございません。  それからいま、これが適当か適当じゃないかという質問でございますけれども、この問題はその時点におきましては、なかなか適当か適当じゃないかということを考える余地がなく、仲買人協会といたしましては、十六日の理事会の私の発言が少し乱暴だったかもしれませんが、それに驚くというとはなはだ語弊がございますけれども、きつい問題に触れたので、やむを得ず任意解け合いに持っていくほうが最善の方法じゃないかというのでやったと思います。
  17. 横山利秋

    横山委員 きょう最後まで詰めるよりも、この質疑応答を政府並びに一般の同僚諸君に聞いていただくという意味がございますから、その問題はそこまでにとどめます。  次に、関門の佐伯さんに、現場の理事長としてひとつお伺いしたいことがございます。  私どもの手元に、農林省、通産省から商品取引事故にかかわる調査総括表が出ています。これらの紛争を処理いたしますために、それぞれ仲買い人からは積み立て金が取引所に委託され、しかも積み立て金の金利が大体は取引所の収入になっています。御存じでございますね。そこで、紛議が起こりました際に、取引所が、この紛議でこれだけ委託者に払わなければならないけれども、この積み立て金を取りくずすと取引所の収入が減るから、悪いけれども仲買い人、おまえさんのところの裏金を使って金を出してくれ、そうすればお役所に対する届けばしないから、こういう傾向が随所に見えます。これはたいへん驚くべきことだと私は思うのであります。したがいまして、国会へ提出されます商品取引事故にかかわる調査総括表の中には、非良心的に届け出ないものももちろん多いけれども、取引所がある意味ではぐるになって、取引所の収入が減るからおまえのところの裏金を使ってくれ、おれのところの積み立て金は取りくずさないと言ったために、事故の総括表にあがっていない件数が相当あると私は見ておるわけであります。私はたいへん遺憾千万なことだと思っていますが、どうお考えでございましょうか。
  18. 佐伯義明

    ○佐伯参考人 私は、くさいものにふたをするとか、あるいは弁解がましいことを言うとかいうことはきらいなんです。ですから、真実を申し上げて皆さんの御批判を受けたいと思いますが、きょうお会いする方は初めての方で、私がどんな男か御存じないと思いますので、私の言うことをすなおに聞いていただけるかどうか非常に不安を持っております。  いまお尋ねの責任準備金でございますが、これは、お客との紛議が起きてどうしても支払いをしなくちゃならない場合に、会社の本体から出せば経理に影響して、大衆の資金を預かる仕事に支障を来たすだろうということから、大蔵省の認可を得まして、無税でもって社外へ積み立てしておくという性質のものでございます。これが全国の仲買い人の額としまして、概算でございますが六十億ございます。それで、紛議が起きた、さて支払いをしなくちゃならない。われわれ業者の側でいいますと、黒字の経営であれば、せかっく無税で預かったものをくずさぬで、経費で落ちるものなら、なるべくその利益のうちから払いたいというのが業者の考えでございます。それで、いま御指摘になりました、取引所が、それを取り下げることをこばむか、 いやがるというようなことは、ちょっと話では聞きましたが、私は 具体的にどこの取引所がどういうことをやったか実際知りません。話には聞きました。  それともう一つは、いま紛議というのが業者の営業姿勢につながりますので、それを取り下げますとはっきり黒星になるわけでございます。業者としましては、いま許可制の前でございますので、なるべくそういうようなものを表面に出したくない。あるいは紛議にしましてもいろいろございますので、まあ会社において管理は十分しているのだが、それに対してお客さんのほうの御都合もあるだろうからというような紛議の解決のしかたもございます。ですから、その二つの理由でそれをなるべく使わないようにしておるのは事実でございます。そういうことでございます。
  19. 横山利秋

    横山委員 率直にありがとうございました。私ども意見意見として申し上げますが、参考人のおっしゃることは率直にお伺いしますから、どうぞひとつ遠慮なく言っていただきたいと思うのであります。  本件について鈴木さんはどういうふうにお考えでございますか。いま佐伯さんは、そういううわさを聞いたと言っていらっしゃるわけでありますが、遺憾ながらこれは私は幾つかの事実の証拠を持っております。こういうことは、いま業界の実情として佐伯さんのおっしゃること、わかるわけでありますが、決して適当なやり方とは私は思いません。遺憾ながら、これは取引所が事故の報告をぐるになってもみ消しておるといわれても、しかたがないと思います。今後どういうふうになさるおつもりでありますか、お伺いをいたします。
  20. 鈴木四郎

    鈴木参考人 ただいまの質問につきまして、この問題は必ずしも払わないとかなんとかという問題はないと思うのですけれども、二十の取引所のうちでいろいろな家庭の事情がございますので、先生の耳にそういうことも入るかもしれませんけれども、私は東京の理事長といたしまして申し上げますれば、東京はそのクレームにつきまして、これは当然委託者に払わなければならぬという問題が委員会できまれば、即時払っております。
  21. 横山利秋

    横山委員 積み立て金からですか。
  22. 鈴木四郎

    鈴木参考人 積み立て金から払っております。  この問題は、できた当時に利息の問題もいろいろあったのです。私もその時代の一人で、この問題が五万、十万のうちはいいけれども、重なってくると、いずれにしてもこういう問題は、多少そういう空気が起きてくるのじゃないかという懸念をしておりました。ところが、たまたま今度そういう問題が起きてきたのですけれども、私はまことに遺憾と思うのです。当然その取引所は、そういう利息を取るということは搾取のうちでございますので、この点につきましては私はあまり賛成のできないほうでございます。
  23. 横山利秋

    横山委員 この利息収入が取引所の収入になっておるということ自身が適当でない。そしてさらに適当でないことは、取引所の利息収入が減るから積み立て金を取りくずさず、仲買い人に裏金か表金でこれを弁償してくれ、そうしてくれたならばお役所への報告を出さないということは、私はますます遺憾千万だと思います。この改善をどうしてもやっていただきたいと思います。  佐伯さん、先ほどああいうことをおっしゃいましたので、私の胸裏をかすめましたのは、おそらく佐伯さんが、いらっしゃったら言いたいだろう、お話をされたいだろうと思っておることに言及をいたします。  うわさによれば、先般週刊雑誌に載りました本田という人、あなたの会社の従業員であったといううわさがございます。もしそうでないならば、あなたの名誉のためにそうでないと、もしそうであるならば、あなたとしておそらくあの問題について発言をしたいだろうと思います。私もあの文章を引用いたしました責任がございます。感想を承りたいのであります。
  24. 佐伯義明

    ○佐伯参考人 私はきょうは関門商品取引所の理事長として出てまいりましたのですが、この問題は山佐商事の社長としての問題でございます。よろしゅうございますか。この問題について、私のほうはすでに、週刊誌、本人に対して名誉棄損の訴えをしております。いかにも興味的なおもしろい作文ではありましたが、私のほうはああいう事実は全然、ございません。ということは、現在の仲買い人外務員で、初めからお客さんに損をさすつもりでセールスするなんという者は、現在はおらないと思います。これは断言していいと思います。ということは、現在の外務員の平均年齢は大体二十五歳くらいでございましょう。しかも大学を出まして、正義感の旺盛な青年でございます。それが初めからお客さんに損になることを承知の上でセールスするというようなことは、できるわけでもございませんし、しもしません。それでまた、会社のシステムかそんなことは全然――一々お調べ願ったらわかりますが、給与の体系にしましても、ボーナスの体系にしましても、すべて手数料ばかりでございますので、逆にお客さんにもうけていただいて、手数料がよけいあがったほうが、本人の会社における地位も上がるようになっておりますということを御理解願いたいのです。  なお、客を殺すということは、これは大正時代の期米取引に関し当時たしかございました。それはもう初めから作為を持ってやることでございます。現在は過当勧誘等いろいろ問題がございますが、根本的な外務員の心理状態は、もうければお客さんは喜ぶものだ、また、実際もうかりますと、とても喜んでいただけるものです。中には、ネクタイを買うてやるとか、晩めしをごちそうするなんというふうに、非常に喜ばれるのです。そういう体験を持っておるものですから、結局はもうけに終わればいいじゃないかということで、過当勧誘とすれすれのこともございましょう。しかし、それはどこまでもお客さんにもうけていただいて、自分手数料のあげ高をあげたいということに尽きるわけでございます。ということで、客殺し、客を殺したなんて、そんなものは、おもしろおかしく書いたことで、全然事実とは反しております。何なら私のほうの会社へお越しになって、会社のシステムを検討していただいたらわかることでございます。
  25. 横山利秋

    横山委員 週刊雑誌に書いた本田さんの手記が正しいか、あなたの百八十度それと違う意見が正しいか、これはここで議論を具体的に詰めますには、あまりにも時間が短うございます。ただ、私がいまお話を伺って感じましたことだけを申し上げますと、あなたはそのような事実は全然ないと断言をなさる。率直に言って、いささか意外な感じがいたしました。われわれはなぜここにお忙しいところをお集まりを願って質疑応答をするのか、何もあなたの会社だけの問題ではなく、全般的にセールスの過当勧誘なり違法行為があるから、お互いに議論をし、改善をしようとしておる。たまたまあなたの会社の話題が出るけれども、しかし、あそこに書いてあることがうそだ、みじんもその事実はないと断言をせられると、私はいささか再質問をしたくなるものであります。私の言わんとすることはおわかりになりますね。――わかりましょう。何といいますか、最大限譲ってももう少し、多少御反省があってもいいんじゃないか。私はそういう感じがいたすわけであります。あなたが名誉棄損として訴えられる、裁判で黒白が明らかになる、それを待つよりしかたがありませんが、気持ちの上からいっても、あれが全然うそで、山佐商事としては全く瑕瑾もない。そうしますと、全国の三百の仲買人の中で、山佐だけは一つも間違いがないということになってしまいますよ。
  26. 佐伯義明

    ○佐伯参考人 いまのお答えは山佐商事としていたしましたので、業界理事長としていたしたのではございません。山佐商事に関しては、いま申し上げたとおり、あの事実は全然ございませんということを断言しておきます。
  27. 横山利秋

    横山委員 この問題については、質疑応答はこの辺にとどめます。判断はそれぞれまた別の角度でいたしたいと思います。それから、山本さんに一つ別な角度でお伺いしたいのでありますが、これだけは事実で表に出ておりますから名前をあげます。  カネツ商事が、昨年でありましたか、従業員が労働組合の結成をしようといたしました。たちまらその発起をいたしました人間が首を切られたという事実がございます。私が、いま自主的な立場で商品取引改善をしてもらいたいと言うておるわけでありますが、セールスマンの心境というもりを想像いたしますに、何かすべてセールスマンか悪い、今回の問題の一番発端はセールスマンであるというような印象を与えがちなことは、私もたいへん気の毒だと思っているわけであります。セールスマンが、かりにいま悪い人も中にはおるわけでありますが、まじめにやっておるセールスマンのためにも、いまの賃金制度を改善をし、物価の値上げに対する給料の値上げを要求する、そして過当なノルマを課されないようにするというふうな考えを持ちますことは、人間的に私は当然なことだと思うのであります。このカネツの首切りがどういう条件下に行なわれたかについては、いま議論をする時間はございませんけれども、仲買人協会として傘下の従業員が、憲法に基づき、労働組合法に基づいて労働組合を結成しようとすることについて、一体どうお考えになりますか。今後もあり得ることでございますから、御意見を伺っておきたいと思います。
  28. 山本博康

    ○山本参考人 ではお答え申し上げます。  先生のおっしゃるとおり、いま人権の自由といいますか、各業界、かりに仲買人であれ、商社であれ、労働組合を結成するということは法で認められていることでございまして、仲買でもあってやむを得ない、かように存じます。
  29. 横山利秋

    横山委員 私がきょう質問いたしました趣旨を、しかるべき仲買人協会の理事会あるいは集会で、あなたの気持ちをも含めてぜひ徹底をしていただきたいと思います。よろしゅうございますか。
  30. 山本博康

    ○山本参考人 私は、横山先生、仲買い人に労働組合をつくることがあってもやむを得ない、不当労働行為にならないように、経営者はやるべきである、こう申し上げたのでございまして、私がいや、この全仲違の会長資格において、全仲買い人諸氏に、あなたのところは労働組合をおつくりなさいとはおすすめできませんから、よろしゅうございますね。
  31. 横山利秋

    横山委員 あたりまえのことでございます。  沙羅さんに、一つの問題を引用いたしまして、少し御意見を伺いたいと思います。  まだ二、三日前のことでございます。きょうここには出席をしてお見えになりませんが、通産省の相当の高官の方であります。その高官の人が私にこういう話をしました。いま商工委員会商品取引を問題にしておりますが、横山さん、きのう私のうちにセールスが来ました。そして家内に、まあ小豆でしたか乾繭でしたか忘れましたけれども、盛んにすすめました。それで家内が笑って、いま国会でこういう問題がやかましくなっているのに、あなたそういう言い方をしてはいけませんよと言ったら、ちっともそのことを知らない。国会の状況を知らない。政治的になっておる状況も知らない。そんなことはたいしたことじゃありませんよ、奥さんぜひ買ってください、こう言った。奥さんは、わりあいしっかりしておる人だものだから、いや私のところはそういうことはやりませんの、こう言った。しかし、雑談でちょっとまあやわらかい雰囲気ができたら、あくる日すぐに課長だとか係長がやってきて、いわゆる元本保証しますから、奥さんだいじょうぶですよ、こういうことを言うたと、こういう話を私が某高官から聞いたわけであります。そのこと一事をもっていたしましても、これだけ私どもが努力をしておりましても、これだけ参考人来て、いろいろ議論をいたしておりましても、この雰囲気というものが、なかなかセールスの末端にまで届いておらないと痛感をしたものであります。  いま、各連合会長や不正防止協会長からこもごもお話しになって、そのお話の分であるならば、相当改善ができると思う。この限りにおいては思われるけれども、そんななまやさしいようなことではないと私は思うのであります。で、この問題については、非常に長期にわたって息の長い努力をお互いにしなければならぬ。単にセールスのあり方を改善したくらいでは、私は根本的な解決がいたし得ないと思うのであります。で、あなたがごらんになっておって、この商品取引改善方について、あなたは先ほど一つの提起をなさいましたが、今後さらに関係者その他どういうふうなことをすればいいのであろうか、お考えがあったら伺いたいのであります。
  32. 大野あきら

    大野参考人 お答え申し上げます。  ただいまの御質問は、まことにそのとおりでございます。実は、昨日も私のうちの隣家の、これは長女のうちでございますが、長女のうちへある仲買い店外務員勧誘に参りました。しかも、その社は、いま飛行機で北鮮へ持っていかれてしまった人を社長にいただく会社でございます。そのセールスマンの方が熱心にすすめている。私は隣家でございますので、知らなかったのですが、偶然二階の窓をあけましたらば、その社の名前が聞こえたので、それで二階から、窓をあけまして、それで、社長がああいうことになっているのに皆さんよくやっておられますね、うちは御承知のとおり商品取引はしていないからと言いましたら、けげんな顔をしておりまして、それで、どなたかと言うので、いやぼくはこっちのうちだと言いましたら、回ってきて表札を見てびっくりしまして、先生でございますかと言って、そのまま帰りました。そのように、問題が現在国会で取り上げられているというこの時点で、まだそういうことをやっているのは、もちろん、適格の、資格を持った外務員がやることは、これは適法でございますから、とめることはできないと思いますけれども、やはり私は第三者として、この際しばらくそのような勧誘はしないほうが誤解を招かないのじゃないか。現在なお、あのような、じゅうたん爆撃とか俗に申しますけれども、そのようなことをこの際熱心にやる。もちろんノルマに追われて外務員の方はやっているので、私もそれは働く者の味方でございますから、同情いたしますが、これはもう少し店としても――聞きましたら、現在副社長が責任者となってやっているということなんで、それとはまた別でございますけれども、なおまだやっておるということは、先生のおっしゃるとおりでございます。  で、これをどうしたらいいかということになりますと、やはり業界自身で自粛してもらうよりほかにないと思います。法律でそれを許可しておりますし、また、適法な勧誘ならば、これをとめることはできませんし、また当然でございますから、これはたいへん複雑な問題で、われわれごときが言ってもとうてい通ることではないので、やはりこういう公の機関でそういうことを多少はたしなめていただく。同時に、業界自身でももう少しお行儀をよくして、姿勢を正して、かつて証券業界銀行よさよならと言って大蔵大臣からしかられたり、たいへんお行儀の悪い時代がございましたが、ちょうど商品業界は、あれより五、六年、十年ぐらいおくれているように思います。前近代的なものであって、証券業界はまだトラブルがございますけれども、たいへんお行儀がよくなって、御承知のとおり、まあ円満な、円滑な運営をしております。商品業界ももう少し全部が自粛をして、そうして近代的な経営に脱皮する。同時に、先ほどおっしゃったように、労働組合もつくる。そうして正しい――これは、過当勧誘しろって経営者が言えば、労働組合なら反発します、これは過当勧誘ではないかと。ところが、いまそれをチェックするそういう組合もないし、また、組合があってもあるいは過当勧誘が行なわれるかもわかりませんが、そういうわけで、これは業界全体がもう少し自粛して、えりを正して、十年前の証券会社が今日のようになったように、商品業界も早く近代化してほしいというのが、私の願いと申しますか、希望でございます。  以上でございます。
  33. 横山利秋

    横山委員 まことに適切な御意見だと私も思います。  そこで山本さんにお伺いをいたすわけであります。  こういうふうな状況になっていますのは、沙羅参考人のおっしゃるように、私は業界がきわめて非近代的だと思うのであります。ほんとうにそう思います。この非近代的な状況が、きょうは言及しませんけれども、いろいろなバックグラウンドがある。またそのバックグラウンド及び歴史的なものがある。それが一ぺん脱皮をしなければならぬと思うのでありますが、重ねてあなたにお伺いしたいことは、先ほど通産省や、あるいは沙羅参考人のうちまで行って、まだこの過当勧誘に類したことが、これほど議論がされておるにかかわらず行なわれているというのは、一体どういうことなんだろうか、つまり社長だけが仲買人協会に集まって、あるいは取引所に集まって、えらいことになったなと言っておるだけであって、一ぺん店のセールスマンを全部集めて、とっくりと、こういうことはどうしてもいかぬのだ、これまでやれと言ったけれども、いかぬのだというような教育を、あらためて全然なされていないのではないか。頭のほうだけがわあわあ言っているだけで、足のほうまで社として訓育がいっていないのではないか。また頭のほうは、暴風が過ぎ去るまでざんごうの中に閉じこもっておって、もうじき国会もそのうちにやめるわい、しばらくじっとしておろうやというような雰囲気ではないかと私は痛感されるのであります。こういうような天下の世論となっておる問題について、それぞれの仲買い人の社長さんなり経営者は、一体具体的に社の方針をどういうふうに改善をしておられるのか、私ははなはだ疑問だと思うのです。いかがでございましょうか。
  34. 山本博康

    ○山本参考人 お答え申し上げます。  先生御承知のように、全国に仲買いが二百九十五社ございますが、いまおっしゃったようなケース――国会でかほどまでに責められているわれわれの仲間のうちから、同じような、過当勧誘に近いようなセールスがまだあるということは、私、承りましてまことに遺憾に存じます。  率直に申し上げますと、いま先生のおっしゃったとおり私は感じます。ということは、われわれ全仲連が、いろいろ申し上げてもいいのですが、決議をしたり自粛のなにをやっておりますが、なおかつ全部の仲買い人に浸透しないということは、私自身まことに遺憾に思います。これは少し、先生、かすに日をもってしていただかないと、いま国会で、きょう――きょうといっても二月の初めからですか、審議されておりますが、それが直ちに末端まで浸透するということは、もう少し日をかしていただきたいのでございまして、何も全仲連が無対策で、せずにいるのではございません。もし先生が御希望でございましたら、全仲連は、今度のことに対して、もしくは非難に対して、仲買いはどういう姿であるべきかということを決議いたしまして、各十九の協会に通知いたしましたが、長くなってもよろしかったら全部御説明申し上げますが、しかしはっきり申しますと、私は、先ほど申しましたように関西にいるのでございますが、東京に参りまして仲買いに対する非難攻撃と、地方にいて聞いていましたこととは若干差がございますね。割合で申すとたいへん何でございますが、地方にいても全部の仲買いがそうだとは申しませんが、一部の仲買いは、東京で感じているほど重大というか、表現が悪うございますけれども、それほど受け取っていないところがあるのでございます。が、少なくとも私の会社、若干自画自賛ですが、これは全外務員を、私どもは人数も少のうございますけれども、集めまして、支店、出張所も集めて、さっそく、こういうふうになっているんだということは説明いたしました。が、全部の仲買いが同じような説明をしているとはここで申し上げかねますが、これが全仲連の今後の仕事でございまして、全部に浸透し、全部の社員にも浸透していくようにいたしたいと存じますが、少し時日をおかし願いたい、こういうわけでございます。
  35. 横山利秋

    横山委員 たいへん時間をとりましたので、私の質問は残っておりますが、ここら辺で終わらせていただきます。
  36. 八田貞義

    八田委員長 中村重光君。
  37. 中村重光

    ○中村(重)委員 きょうは、質疑応答でもって三十分ということになっていますから、いろいろ意見を申し上げたいのでございますけれども、時間の関係から意見を申し上げることを差し控えて、端的にお尋ねをすることにいたします。御答弁もひとつ簡潔にお願いをしたいと思います。  先ほど、全商連会長をしておられる鈴木参考人から、全商運の会長という立場に立って、大きな社会問題になっている取引所実態について遺憾の意を表明されたわけです。私どもが通産、農林両省から出してもらいました取引所実態紛議の件数、金額等を見ると、金額におきましても、あるいは件数におきましても、非常に大きいわけです。さらに私どもが注目をいたしておりますのは、未解決の件数が非常に多い。しかも未解決の件数の一件当たりの金額が大きい。それはどうしてそういうことになっておるのであろうか。また、この点に対して、取引所としてはどのようにお考えになっておるのであろうか。先ほど来それぞれ御意見の陳述あるいは答弁がございましたが、いずれにしても、現状において何とかこれを打開をしていくのでなければならないという自粛の御意見、御答弁があったわけであります。そうした紛議実態に対して、また未解決の問題に対して、どのようにお考えになっていらっしゃるのか、鈴木さん並びに佐伯さんのほうから簡潔にお答えをお願いしたいと思います。
  38. 鈴木四郎

    鈴木参考人 ただいまの御質問に対してお答えいたします。  未解決の問題は決して等閑に付しているわけではございません。その問題につきましては、訴訟の問題もあるし、いろいろあって、ただ、たまたま報告したうちで、これが必ずしも未解決――数字では未解決とあらわれていますけれども、最近のうちに片がつけば、未解決という数字は、あっというふうに驚くほどの数字になると思うのです。未解決という問題は、大体訴訟に入っているものですから簡単に片がついてないのですけれども、近日中にどこでもみなその方向に向かって片をつけるべく努力をしております。
  39. 佐伯義明

    ○佐伯参考人 私の関門の事情は、私、先月二十五日に就任いたしましたので、あちらの業者の紛議内容をまだ調べておりませんので、したがってお答えはできませんが、私の考えを言わしていただきます。  この紛議の未解決と申しますものの中には、会社には管理上のミスがない、何ら譲歩すべき余地がないというので、会社としてはこれは支払いできないともう決定して、その意味の解決をしているんだが、お客さんのほうでは、いろいろな理由をつけてまだ紛議に持ち込みたいというようなものもございますので、これは最後は裁判でも受けなければならないというようなものが、私の会社では紛議で幾らか残っております。これは会社としては、その意味で支払いができないという解決をしたという分もあるということでございます。
  40. 中村重光

    ○中村(重)委員 ともかくこの商品取引業界は、不明朗なことが非常に多いと私は思います。先般の三月五日にアズキ相場で失敗して自殺した衣類問屋の会長の記事も報道されておるわけであります。このことが不正であったのかどうか、これはわかりません。しかし、いずれにいたしましても、委託者が経験が非常に薄いということ、それに乗じた悪質な仲買い人あるいは外務員があるということは、参考人もお認めになったわけでありますが、そうした状態の中で、この大衆委託者方々は不正防止協会というものをつくって自衛手段に出なければならない。このような実態に対しましては、私は厳正に反省をしていただかなければならぬと思うわけですが、先ほど大野参考人の御意見の中で、紛議調停委員会開店休業であるというお話が実はあったわけであります。これは事実であるとするならばたいへんな問題である。それでは、この調停委員会開店休業であるとすれば、紛議の調停というようなものはどこでやっているのか。先ほど鈴木参考人は、調停委員会というものがあって、そこで調停をやっているのだというお話があったのでありますが、これは、大野参考人開店休業であるということとは食い違ってくるわけです。どのような運営紛議調停委員はやっているのか、また構成はどうなのか、お答えを願いたいと思います。
  41. 鈴木四郎

    鈴木参考人 全商連の立場でなくして、東京の穀取の理事長として申し上げます。  どこでも同じだと思いますけれども、先般来の通達に基づきまして、その前は第三者を入れることはせなかったのでございますけれども、最近あの通達に基づきまして、東京の場合は第三者を二人。それから委員長というものは、従来どおり仲買い人はやっておりません。会員ではございますけれども。決して、先ほど申し上げたのは、私はうそではなくして、現実に実行しておるのでございます。東京の場合、いつでも申し上げられるのですけれども。全国的な問題についても、むろん通達に基づいて各取引所ともやっておると思いますけれども、これはここでいま保証の限りではございませんけれども、それに向かって逐次やっておるということだけは申し上げられます。
  42. 中村重光

    ○中村(重)委員 横山委員の指摘いたしました中で、法の五十三条の三にあります「第一項の規定による商品取引責任準備金の積立てに関し必要な事項は、主務省令で定める。」こういうことで責任準備金の積み立てをしておられる。これが無利子である。六十億という金額のように佐伯参考人からお話があったのでありますが、これが無利子であるということになってくると、取引所の果実は非常に大きいということになると私は思うのです。そこで、横山委員の指摘いたしましたように、紛議の解決にあたって、これの取りくずしを拒むというようなことがあるとするならば、これはたいへんな問題であろうと思いますし、しかもまた、これも御答弁の中に出たのでありますが、これの取りくずしをするということになってくると、紛議が明るみに出るのだということ。許可制を前にして、何とかそうした問題が明るみに出るということを避けたいというような、この二点からこの取りくずしをやっていないということであるようでありますが、紛議をなくしていく、不正を防止していくという観点の上に立って、むしろ紛議の解決にあたっては不明朗な裏金を使うということではなくて、これの取りくずしをやって解決していくということが当然でなければならぬと私は思うわけであります。この点に対して、この後どのように運営をしていこうとされるのか。これは鈴木、佐伯両参考人からお答えを願います。
  43. 鈴木四郎

    鈴木参考人 お答えいたします。  先ほど横山先生からも一部を質問されましたけれども、今日、責任準備金につきましては、全国に対しましては全部、ただいま中村先生のおっしゃったような指令を皆さんに申し伝えてありますけれども、中には、たまたまいろいろな事情があって、中村先生のもとに、そういう誤解を生ずるような支払いのしかたが届いていると思います。しかし、私が現職におる東京穀物取引所におきましては、そういうものに対しては、決して拒んだ覚えもなければ、何にもございません。いずれにしましても、今後はそういう問題に対して一日も早く皆さんが――そういう考えの間違ったのが各取引所にあるとすれば、大いな間違いでございますから、先生から申されたことを重ねて通知をいたしまして、万全を期すようにいたします。
  44. 佐伯義明

    ○佐伯参考人 お答えいたします。  責任準備金の果実の問題でございますが、これは、現在はその果実を取引所の経営の中へ繰り込んでおります。したがって、われわれの負担する定率会費、定額会費がそれだけ減るわけでございます。取引所は御存じのとおり、営利会社ではございませんので、要る金額を業者が分担するということでございます。その点は、せっかく無税に扱っていただいたものだから、それは各個の上積みにするか、その果実を上積みにするか、あるいは業界の有効なことに使うかということで、現在の定率会費、定額会費でもって取引所運営できるものでございますので、それは当然各仲買い人から経費として落ちますので、私の個人の考えは、これを取引所の経営の当てにしないという考え方が正しいのじゃないかと私は考えます。  それから、現在、紛議の問題でございますが、これがいろいろございまして、許可前のことでございますので、最後まで争えば仲買い人が有利な場合もございます。それで中には、何にも仲買い人の落ち度はないんだが、自分相場の魅力にとつつかれて家庭を破壊するような段階になっているから何とか考えてくれ、というふうな話の持ちかけ方をされる場合もございます。そうなれば、そういう場合は、手数料をなかったものとあきらめるかというようなことで解決するものもございますので、これを会社の営業姿勢の黒星と数えられる場合は、これは業者としては困るわけでございます。ですから、今後は、その勘定科目を別にしていただいたらどうかという私個人の考えもございます。ほんとうの黒星であるか、あるいは先方さんの御都合へ同情して解決したというものの勘定科目をはっきりする、そういう処置もあるんじゃないかというようなことも考えております。そういうことでございます。
  45. 中村重光

    ○中村(重)委員 この準備積み立て金は無税である。それから、この積み立て金に対しては、取引所利子を払わない。したがって、これは取引所の果実になるということになるわけであります。しかし、いまお答えのような形においてこれが運営をされないとするならば、これはある意味においては、悪意にこれを利用しておるということになってくるわけでありますから、その点はひとつきびしくいまお答えのような線で運営をしていただきたいということをお願いをいたしますが、通産、農林両省に対して、この各取引所の積み立て金の金額が幾らになっておるのか、それから、取りくずし等の場合に、紛議の解決にこれが取りくずされておる実態がどうなっておるのか、資料として御提出をお願いをいたしておきます。  それから、先ほど来各参考人から、一部に不良な仲買い人あるいは外務員があるというお話があったのであります。しかも鈴木参考人は、商品取引業界の粛正というものは、この一部不良業者をなくしない限りこれはできないのだという発言が実はあったのであります。それならば、一部の不良業者というのは具体的にどういうことをやっているのか、そうした不良業者をなくするためにいままでどのような措置取引所はおとりになったのか、お答えを願います。
  46. 鈴木四郎

    鈴木参考人 中村先生にお答えします。  先ほどの私の言うことが荒かったかもしれませんけれども、要するに、紛議の多い人を言ったわけでございます。別にいまあらためてどうこうということではありませんけれども、先ほど来からわれわれは、かつて三十九年ですか、東京取引所理事長として一ぺん粛正をしたことがございますけれども、いろいろその後にやってくることが変わってきてございまして、だからわれわれといたしましても、なかなか、ではここはこうだということを見つける一わかりませんけれども、いずれにしても、現時点におきましても、紛議多発ですか、多い人をやっぱり悪いと見るよりほかに方法がない、そう思います。
  47. 中村重光

    ○中村(重)委員 時間がもうわずかしかありませんから、いまの点は私はもっと突っ込んでお尋ねをしたいのです。  少なくとも業界の幹部の人たち、それから取引所の責任者が明らかに、これは不良仲買い人がいるのだ、これをなくしない限り粛正ができないのだ、すっきりしないのだと言うならば、具体的に、その不良仲買い人というものはどういうことをやっている、そのことを私は明るみに出してもらわなければならないと思うのであります。そうすることが、ただことばの上で不良である、悪質であるというようなことだけであっては、私はならないと思う。少なくとも具体的なあり方ということを、しかもあなたが、これをなくしない限り商品取引業界というものはきれいにならないのだとおっしゃったのだから、それをひとつはっきりしてもらいたいと私は思ったのであります。  次に、通産、農林両省から自粛措置として、家庭勧誘の防止、それから向かい玉をなくするということ、その他あるわけでありますけれども、この二点については実行が可能なのかどうか、お答えを願います。
  48. 鈴木四郎

    鈴木参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。  二点につきまして、向かい玉は全然なくすということにはできませんでございます。これはやっぱり各会社の自衛上の問題もございますので。しかし、自己玉に対する三〇%というものは、今日どこでも確実に守っておりますから、これだけは全国的に皆さんが厳守していると思います。
  49. 中村重光

    ○中村(重)委員 この家庭勧誘の問題に対して九十一条の解釈でありますが、九十一条は「受託場所の制限」ということになっているわけです。これをどのように解釈をしていらっしゃいますか。これは鈴木さん、それから佐伯さんもひとつ。
  50. 鈴木四郎

    鈴木参考人 お答えいたします。  ただいまの勧誘の場所でございます。場所は、出張所ないし――要するに看板の下がっているところでなければ、やっちゃいかぬということでございます。
  51. 佐伯義明

    ○佐伯参考人 それぞれの所管のお役所から認可をいただいた場所、こういうふうに考えております。
  52. 中村重光

    ○中村(重)委員 そういうことになってまいりますと、この家庭勧誘ということは九十一条の「受託場所の制限」にひっかかってくるのではないか、こう思いますが、その点そのとおりでしょうか。どなたでもけっこうです。
  53. 鈴木四郎

    鈴木参考人 重ねてお答えいたします。  勧誘の問題は、勧誘だけは差しつかえないと思います。受託を受けてはいかぬと思いますけれども、家庭訪問をいたしましても、かりに勧誘することにおいては差しつかえないと思いますが、受託をその場所で受けるということは違法でございます。
  54. 佐伯義明

    ○佐伯参考人 私も鈴木さんと同じ考えでございます。
  55. 中村重光

    ○中村(重)委員 亀鷹参考人にお伺いいたしますが、九十一条の「受託場所の制限」は、いまあなたがお聞きのとおりでございます。現実にどうでしょうか。勧誘だけでしょうか。受託までやっているというような違法行為が行なわれているのではないでしょうか。
  56. 亀鷹清

    亀鷹参考人 全国各地から私どものほうに参っております投書の内容を見ましたところ、家庭の中で受託契約並びに契約書に署名捺印しておるようであります。
  57. 中村重光

    ○中村(重)委員 鈴木参考人にお尋ねいたしますが、いま亀鷹参考人がお答えになりましたこと、あなたもお聞きになりました。私どももそういう事実を半ば公然と行なわれておるというように承知をいたしております。あなたはそういう事実は御存じはございませんか。
  58. 鈴木四郎

    鈴木参考人 お答えいたします。  全然ないということは申し上げられませんけれども、たまたまいろいろな問題から、亀鷹さんのいま御答弁なさった中にもあるとおり、不心得な外務員が行なっているかと思います。それがために今日この社会問題まで惹起しているのでございますから、今後そういう不良な勧誘に対しましては、全国連合会を通じまして各取引所に厳重に警告をいたしますから、どうぞよろしくお願いをいたします。
  59. 中村重光

    ○中村(重)委員 紛議調停委員会構成については、第三者からこれを入れるようにしておるというお答えがございました。この後私は、この紛議調停委員会というものを活用していくということが、一番大切な問題点であろうと思うのであります。したがって少なくとも、取引所の事務段階において調停をやるというようなことであってはならぬと思う。これはきわめて軽微な金額ということで例外的な扱いをすることもありましょうけれども、ともかく紛議の調停は調停委員会でやるのだ。しかも公明正大にこれを行なっていく。仲買い人取引所がぐるになったというように大衆委託者から誤解を受けるというようなことがあってはならない、私はこのように考えますから、この後この紛議調停委員会構成改善をしていくという決意があるのかどうか、並びに通産、農林両省の御意見を伺っておきますが、この紛議調停委員会構成改善をしていく。第三者の委員、いわゆる学識経験者と申しましょうか、そういうものを入れていくというように、これを改めさせる御意思があるのかどうか。  それから、取引所の役員の構成、これも業者あるいは会員によって構成されておるのではないかと思うのでありますが、この役員の選任が民主的に行なわれていないという批判もあるわけであります。ですから、この点に対しても、私は、役員の構成は少なくとも、取引所は公的な機関であるわけでありますから、いわゆる学識経験者をこの中においても入れて、公明正大に、しかも民主的にこれを運営していくということが適当ではないかと思うのでありますが、この点に対してどのようにお考えになるか、お答えを願います。
  60. 鈴木四郎

    鈴木参考人 ただいま中村先生から御指摘のあったとおり、御趣旨は先般来、農林、通産両局長からも通達がございました。全商連といたしましては、さっそく紛議調停委員会構成改善につきまして実施しております。「イ、委員長は商品仲買人以外の者とすること。ロ、商品仲買人の委員構成比は三分の一以下とする。(ただし、現在商品仲買人の登録をうけていても社会通念上商品仲買人と考えられていない者は除外することができる)2、紛議調停委員会活動の活発化イ、委員会は定期的に開催すること。ロ、事務局段階紛議の斡旋をする場合にも、委員会に必要な指示を仰ぐと共に、結果を報告すること。」それから、「3、紛議処理体制の強化イ、地区ごとに各取引所が共同して、紛議の公正な処理に当ること。ロ、商品取引所の見易い場所に、(例)「商品取引苦情相談所」の掲示を行なう、および担当部課名、担当者名を明示すること。また、委託者相談に応じ易いように再点検すること。」かように先生の御趣旨に沿いまして、即時、先般来理事長会議を開きまして全国に通達してありますから、なおさらただいまの御趣旨に沿いまして、重ねて私から本日の会議状況を各取引所通達いたします。
  61. 両角良彦

    ○両角政府委員 紛議調停委員会構成並びに運営改善につきましては、すでに三月十七日、農林省と共同の通牒を発しておりますが、その内容といたしましては、紛議調停委員会の第三者委員学識経験者等公正な意見を期待できる方の人数をふやすこと、それから専業仲買い人方々は全委員の数の三分の一以下とすること、さらに委員長は専業仲買い人の方以外からこれを選任すること、というような趣旨で今後の改善をはかってまいるよう強く通達をいたした次第でございます。
  62. 中村重光

    ○中村(重)委員 それから、この農林、通産の二元行政ということに対して、これは、山本参考人からまだ一回も御答弁、伺っていませんから、あなたから伺いますが、農林、通産両省の二元行政になっているわけですね。これが非常に何というのか、合理的に行なわれないというような声も相当あるわけでありますが、当事者としてはどのようにお考えになりますか。
  63. 山本博康

    ○山本参考人 ではお答えいたしますが、この先生の御質問は、お役所がおられる前ではっきり私は申し上げるのは、まことにどうもぐあいが悪いのでございますが……。(「いいですよ」「悪くないよ、だいじょうぶ」と呼ぶ者あり)ならばお答えします。  これは先生のおっしゃるとおり、一元化していただきたいというのが、われわれ仲買い多数の希望でございます。ただし、一元化なさるについて、現実にどこの管轄に持っていくか。かつては商品取引所は大蔵省の管轄下にあったこともある。これは戦前でございますが…。で、今後、通産、農林どちらに持っていらっしゃるかというような、実際問題として隘路が相当あると思いますけれども、私は、理想としてはさようにいたしていただきたいと、かように存じます。
  64. 中村重光

    ○中村(重)委員 この点については、大野参考人の御意見も伺ったほうがよろしいと思います。あなたはどうお考えになりますか。
  65. 大野あきら

    大野参考人 お尋ねいたします。ただいまのは、私ほかの規則を読んでおりまして、ちょっと耳に入らなかったのでございますけれども、農林、通産両方の省の監督を受けることがいいか悪いかというお話でございますか。――私は、やはり両方の監督――おのおの商品が異なりますから、たとえば、穀物は農林省とか、それから輸入に関するいろいろのものは通産省とか、両方ございます。で、この問題と別に、やはり穀物取引の件について、数年前でございますけれども、私と千葉大の藤原博士と呼ばれまして、いろいろ諮問を受けたのでございます。そのときも、通産省の課長と、それから農林省の課長さんがお見えになりました。で、やはりおのおの専門の部署でございますから、この農政と、それから通産に関することを一緒にするということは、技術的にも、また専門的にも、私は不可能じゃないか。やはり両方の監督が必要だ。これはしろうとの考えでございます。業界の考えとはまた別でございます。  以上でございます。
  66. 中村重光

    ○中村(重)委員 では、時間がまいりましたから、最後に私は大野参考人に申し上げておきたいと思いますが、もしあなたが事実を御承知であればお答えを願えればなおけっこうですが、先ほど日経紙に報道された問題について横山議員からというお話があったのでありますが、それは私であります。それというのは、この新聞等にも報道されておるわけでありますが、来年の許可を前にいたしまして、どうしても業界というものは弱い。そこから生じてくるのでございましょうか、あるいはまた役所が事なかれ主義で、問題が持ち込まれると、その真相を確かめるのではなくて、ともかくまあ金は払って解決をしようというようなことですね。取引所もそういった傾向なきにしもあらずと私は思うのでありますけれども、ともかく事を簡単に片づけておこう、業者は相当もうかっているんだから何とかこれを処理もできるじゃないかというような安易な考え方が、私は全くないとは言えないと思うのであります。そういうことからいわゆるごね得というような形がどうしても出てくる。そうなってまいりますと、どこどこに行けば金になるということになってくると、勢いそれに事件屋が介在をすることになる。介在をするその事件屋の中には、暴力団等の介入というものがどうしても出てくる。私は事実を確かめたのであります。実は名前等もここでは申し上げていないのでありますけれども、だれだれ某ということで、ただ名前を簡単に言った。実は相当な信憑性を私は持っておるわけでありますから、はっきり言ってもよかったのです。しかし、いろいろな点を配慮いたしまして実は申し上げなかったのであります。  私があえて指摘をいたしましたのは、仲買い人といえどもこれは国民の一人であるということです。悪い点は、私どもは徹底的にこれを改めさせようと思います。しかし、立場が弱いからといってごね得的に無理じいをされる。来年許可を前にしているということで、金で済むことならばという形でこれを処理していくということになってまいりますと、結局それは、善意の第三者、委託者に影響を及ぼしてくるという結果になることを、私は非常に憂慮をいたしたのであります。  そういうことで問題を指摘してまいったのでありますが、これは亀鷹参考人からむしろ伺ったほうがよろしいのではないかと思いますから申し上げますが、不正防止協会というものは、いわゆる防衛をするという立場の上に立ってだけ――そういった、違法であるとかなんとかいうことで非常に被害者が出てきている、それに対して問題の解決をはかっていきたいというようなこと、それだけになるのか。あるいはそうではなくて、だまされないようにお互いに勉強していこうというようなことも含まっているのか。それからいわゆるごね得的なそうした委託者があるとすれば、そういったようなことも自粛をさせるというような努力もともにやっていこう、そのようなお考え方であるのかどうか、その点ひとつあなたのお答えを伺ってみたいと思います。
  67. 大野あきら

    大野参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生がおっしゃったとおりでございます。私は、三月二十八日付の日経新聞に載っておりました、タイトルは「商品取り引き業界暴力団が巣食う」というタイトルで、中村先生が御質問になったその記事を信用しまして、これは一流の新聞でございますから、しかも公器でございますし、公に発表されたものですから、これは取り消しのない限りは信用いたします。それは新聞社の責任であり、権威でございますから。  それで先ほど申し上げたのでございますが、先生のおっしゃったとおり、私は、このたび参考人になったにつきまして、業界のジャーナリストからも取材いたしましたし、それから取引所へも行って、もちろん理事長にお会いして取材いたしました。それから仲買い店の店頭でも取材いたしました。取材しました結果、総合してみますと、たとえば不正防止協会ができたについて、これが社会問題になり、国会の問題になった。これに便乗して古い事件を持ち出してきて騒いでいる人もあるそうでございます。それからごてれば得だというごて得、ですから、いままでは何でもなかった投機家の中に、これはくろうともいるようでございますが、それがやってきて、逆に仲買い人が、何と申しますか、脅迫まではいかないんでしょうけれども、仲買い人が非常に迷惑をこうむっている。中には、これは名前は私わかっておりますが、出しませんが、ある仲買い店の社長は、このやってきたごて組ですね、このごて組に対して、社運を賭しても戦うとはっきり言ったそうでございます。これは私、間接の取材で、その社長から私自身が聞いたんじゃございませんが、業界業界紙や、それからあるいは業界の雑誌の記者、そういうところから取材したんですが、やはり全部が悪い仲買い人ときめつけるわけには確かにまいりません。それは一部の者であり、中にはいい仲買い人もおりまして、逆にこれに便乗して、そしてごてれば得だという、いわゆるごて組という、そういう人も確かにいるようでございます。だれだということはわかりませんけれども、大体ジャーナリストの人たちに聞けば――名前まで私はキャッチしております。ですから……(横山委員「簡単に」と呼ぶ)ええ、もう終わりでございますが、先ほどおっしゃったように、一方的にきめつけるわけにはいかないという御説もごもっともです。このように思います。
  68. 亀鷹清

    亀鷹参考人 私どもの運動のあるいは指導の趣旨につきましては、前段でも申し上げましたように、その本題としては、不正を防止するという立場のもとで、当面している不正行為によって受けておる被害者方々については、十分その内容調査し、あるいは検討した上で被害額の問題についての方法を考えていきたい。その中で、ごて得かいなかの問題については、私どもについても、その方が私たち組織の中にいらっしゃるかどうかにつきましては、現在私には掌握できません。ただし、そういうお方がいらっしゃるにいたしましても、その問題を十二分に双方とも調査しあるいは検討した上において、その問題を問題提起する必要があるんじゃなかろうかと思っております。したがいまして、先ほどから論議されております事件屋といいますか、暴力団といいますか、そういう方々の問題については、私ども組織については一切関知するところでありませんから、この点については御了解いただきたいと思います。
  69. 八田貞義

  70. 近江巳記夫

    ○近江委員 非常に、商品取引のことで紛議が多発をしております。非常に社会的な問題にもなってきておりますし、私たちも非常にその点を心配しまして、何とかそうした問題を解決をしていきたい。きょうは幸いに参考人の方にも来ていただいたわけでありますし、私も簡潔にいろいろな点についてお聞きをしたいと思っております。  これは、きのう私のところへ来た手紙でございますが、これだけの枚数で来ているわけです。とても時間の関係で読めませんが、要するに、絶対にもうかるから、元本を保証するからということで、奥さんが数百万円預けた。全然証拠金が足らないということで、奥さんとしてもお金がない。そこで結局、主人にもないしょで、それじゃあなたの不動産を担保に入れなさい、だれか紹介してあげましょう、こういうことで、その会社が何も直接金を貸したわけではありませんが、紹介をした。それで一千万借ったわけです。そして結局それもだめになってしまった。ところが、それを担保に取った不動産のその経営主というものは──評価約一億くらいあるんです。土地から家からで。ところが一千万のカタで全然返さない。そこで、最後のほうの段階ですが、そのように一千万がだめになった。じゃ、あと二千万何とか都合して勝負をしないかということを、また再々すすめにきた。ところがもうこの人は、「私はこんなに追い詰められて、もう何もかもわからなくなってきた。考えに考えた末、身のまわりを整理し始めた。同じだめなものであれば、〇月〇日から先の金利を払う前に命を断ってしまうことに決心した。私の愚かなできごとをわび、主人、むすこと、とついでいる妹に遺書を書いた。それから地獄のような数日、私はただ確実に命を断つことを用意した。〇月〇日、あすは母の命日である。きょう私がこのようなことで命を断つことを仏前でわび、薬を飲み、ガスのせんを開いた。」この人は、何日か生死をさまよって助かったわけです。こういう形をして初めて主人に、こういうことであったということを言ったわけですよ。こういうようなことを私も方々から聞くわけです。そういうようなことで、何としてもこういう紛議を発生させてはならない。もちろん私も前の委員会で、紛議の解決をしていくため、また調停委員会のあり方等についても、具体的な答弁も私は引き出したわけでありますけれども、要するに、こういう紛議を何としても発生させちゃならない、ここに全力を置かなきゃならぬと思うのです。起きてからでは、これはなかなかそういう解決ということはむずかしいわけです。  そこで、紛議の原因として、非常に一部の悪い仲買い人がいてるとか、あるいは外務員がいてるとか、非常にごく一部と――私も何も、まじめな人もいらっしゃる、よくわかっておりますが、そういう人が非常に一部であるといったようなとらえ方がされておるわけです。この点、私、亀鷹さんにお聞きをしたいと思うのですが、それから沙羅さんですか、大野さん、そういう一部というとらえ方についての感想をお聞きしたいと思うのです。
  71. 大野あきら

    大野参考人 お答え申し上げます。  ただいまの御質問でございますけれども、私は業界の内部のことは全然知りませんので、その一部がどの程度のものであるか、何十%のものであるかということは、私より業界内部の事情に詳しい理事長方のお答えのほうが正しいと思います。私の感じでは、大体半数まではいかない、半数ぐらいか、そこのところは責任をもってお答えができないのが残念でございます。  それから、ただいまの何千万円損をしたというお手紙を読んでいるのを聞きまして、私非常に心配したのでございますけれども、元来、投機というものは、昔は一夜大名、一夜こじきと申しまして、ほんとうに全財産をなげうって戦う商戦の場であったんです。明治時代ですね。私は「近世成金伝」という小説をサンケイ新聞に連載して、すっかりその内幕を調べて書いたのでございますが、ほんとうに投機に全力をあげるという場合には、命を捨ててまでやるという人がございました。現在はそれが、いわゆる相場師でない、しろうと投資家がそこまで入ってしまったということ。それはやはり勧誘もあったでしょうけれども、御本人自身がずるずる入ってしまった。もういいところで見切る。いわゆる見切り千両ということば相場道でいわれておりますが、もうだめだと見たら見切ってしまう。一千万までいかないうちに、もう三百万円でも四百万金でもいいから、自分の見込みがはずれたんですから、これは自分の責任で早く手じまいをすること、これが相場道の極意の一つになっております。ずるずる引かれていけば、私もそういう場合にたびたび遭遇したんですが、ほうっておけば、もう五百万円の損が一千万円になり、あるいは二千万円になる。そのときにはすばやく玉を切って、そして身軽になって、冷静になって、それでやらなくちゃならない。これが、きょう傍聴の方々も大勢のようですが、皆さんに対しての私の忠告でございます。  ほんとうに相場というものは、もうかればこんないいものはないんで、損をしたらば、ほんとうに地獄。天国か地獄か、つまりイチカバチコということばがございますが、イチカバチコというのはベトナムのほうのことばで、天国か地獄かということばだそうでございますが、そこまでいくのが相場師であって、しろうと投資家は厳重に御注意になっていただきたいと思います。  以上でございます。
  72. 亀鷹清

    亀鷹参考人 一部かいなかの問題でありますが、私はこういう席上、あるいは公の席上の過程の中では、一部という表現を使うのは、ごろ的によろしいから皆さんそういうふうにお使われになっているんではなかろうかと思われますが、確かに、一部の仲買い人という現在までの表現のしかたになってきておりますけれども、しかしながら、現在の商品取引業界実態から見れば、必ずしも、その一部となされている仲買い人と同じような行為を、やってやれないことはないというのが現状ではなかろうかと思います。  そこで、表面に出ております紛議件数の多い人が、必ずしもそれが悪いということだけを断定することについては、私は疑問に思っております。なぜならば、紛議の件数が表面に出ていないにしても、それ以前の段階として、場合によっては問題をもっとあくどく処理しているのではなかろうか。この点については、私は十分検討し討論する余地があるんではなかろうかと思っております。  以上です。
  73. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま率直なお考えをおっしゃっていただいたわけです。非常に大衆が巻き込まれておる。また、感覚としてのとらえ方でいま皆さんお話しがあったわけでありますが、一部ということが違うんじゃないか、そういう御発言でございました。  そこで、先ほど鈴木さんは、要するに紛議の多い人がそういう一部の仲買い人ということになるんだ、こう言われた。ところが業界のほうから出していただいた事故件数の表、一応出していただいた以上、私たち信用はしておりますけれども、しかし、いま亀鷹さんからのお話もありました。非常にそれが多くまたがっておる。そうしますと、ああいう件数ではたしておさまっておるのかということなんです。  ちょっとここで亀鷹さんにお伺いしますが、協会を設立されて、あなたのほうの会員は現在どのくらいで、どういうような反応が出てきておるか、その辺の現況をひとつお聞きしたいと思うのです。
  74. 亀鷹清

    亀鷹参考人 私どもが全国大会でもって組織結成したのが二月十一日でありまして、それ以降私どものところへ参っております件数については三千人になんなんとしております。ただ、それをいま私どもは調査を行なっておりますけれども、いかんせん事務局の能力の弱さでもって、それが具体的に進んでいないということについては、まことに申しわけないと思っておりますけれども、件数についてはそういう状況になって、先月の二十七日でしたかの時点で、そういうふうな報告が事務局の担当者のほうから参っております。  それから会員の問題につきましては、そういう私たちは問題を提起し、あるいはおいでになった方々を会員とするということについては、一応現在では、先ほどから問題になっております、ごね得とか、あるいは事件屋的な問題も世論の的となっておりますし、理事会の中で組織人とするかいなかの問題についても論議いたしておりまして、現在の段階では、なかなか具体的に人数の掌握ができ得てないのが状態でありますので、御了解いただきたいと思います。  以上です。
  75. 近江巳記夫

    ○近江委員 実際そのように協会のほうでとらえていらっしゃるそういう紛議の数と、協会のほうからお出しになっているこれは、相当な食い違いがありますね。これは鈴木さん、どうお考えになりますか。
  76. 鈴木四郎

    鈴木参考人 お答えいたします。  先ほど私は、件数の多いのが悪いというように言いましたけれども、それはただいまのここでいうことばでございまして、その内容につきましては、またこれは、いろいろ件数が多くても、その内容がはたして悪いほうに触れるか触れないかという問題もありますし、この件数の問題というのは、なかなかいま私がここではっきりと申し上げることは困難でございます。
  77. 近江巳記夫

    ○近江委員 そこで、一応その内容ということもいま加味されたわけでありますけれども、一応とらえ方としては、紛議の多い仲買い人、これは一応問題だということをおっしゃっておるわけですが、要するに許可制以降に――来年の一月ですか、なりますけれども、要するに条件がつけられておる。それは、紛議が少ないとか営業態度というもの、これはこの間の質問でも、そういう営業態度ということを重視していきたい、これは主務官庁の両省からお答えがあったわけです。  ところが、そうなってきますと、紛議を表面化さしてばならない。営業を拡大しつつ、紛議の表面化を避ける方法はどういう方法があるかというと、委託者の苦情を社内で処理することになってきている。大手仲買い人を中心に、この種の機関の充実強化がはかられ、紛議の大半は地下にもぐってしまった。そうしますと、これは許可制のもたらした皮肉な副産物であるということになるんです。これは審査を前にした仲買い人の見せかけの態度ではないか、こういうような批判も一部には出てきているんです。そうすると、大半が地下に隠れてしまったということになってきますと、正直に紛議かありましたと届けた――はたして、その人がほんとうに悪くて、巧妙に全然表面に出さないでそれをやっておる。表面に出なかったから、それじゃその仲買い人はいいんだ、あなたの説でいけばそうなるんですね。内容とおっしゃったけれども、それはあくまで表面に出た件数の上で、しかもその内容なんです。そうでしょう。ですから、そういう実態ということを考えていきますと、要するに来年の一月に許可制になるわけでありますけれども、その点、監督官庁のほうもいろいろ力を入れてやっておられると思います。また、皆さん方もそれだけのことをやっておられると思いますけれども、この許可制に移行するまで──まあどっちみち、うちのはもう許可にならないだろう、その間にできるだけのことをやっておこうじゃないかというようなこともあるのじゃないかと、これはうわさですが、そういうようなことを聞いているわけです。ここで、要するに紛議を発生させないためにはどうすればいいのかということですね。先ほど、たとえば外務員に――商版行為について通達徹底はしていますけれども、しかし先端の外務員はそんなことを全然知らないというような話もあったわけです。そういうなまぬるい皆さん方の態度でいいかということなんです。それは皆さん、大きい会社かしれませんけれども、少なくとも社長さんが真剣に社員にびゅうっと徹底なさって、そんな何カ月もかかるのですか。私はその辺がふしぎですよ。  そこで、紛議を解決するためにはどうしていくかということなんです。それで、今度はその紛議解決の方法についてお聞きしたいと思いますが、まずこの紛議をなくするためにどうするのですか。これは参考人の方に、どうすればいいか、どなたでも意見がある方からおっしゃってください。
  78. 山本博康

    ○山本参考人 では、私から私なりの考えをお答え申し上げます。  紛議はどうすれば防げるか、こういうことにつきましては、先生、紛議は、いままでの商取法、それから主務省通達、省令並びに取引所の示達事項、これを完全に守れるようにやったら、これはきわめて抽象的な申し上げ方でありますが、完全に守ってもらったら、紛議というものはございません。でございましょう。しからば、紛議はどういうふうにしてなくするのか。全仲連サイドにおきましては、だから、いま申しました省令にきめております事項、法律にきめられております事項、あるいは主務省からの通達取引所からの指示、この禁止事項は絶対にやらないようにということを、われわれはいま全国の仲買人協会で会議いたしまして、この聞こういうふうな申し合わせをいたしました。ちょっと読ませていただきます。「委託者紛議の発生防止並びに正しい商品取引の普及を目的とする商品取引の公正健全化のために行なう啓蒙広報活動について」という長い文句でございますが、要約いたしますと、商品取引所というものに知識のない方が無制限に入ってこられないように、われわれは広報活動をしようということで、五千万円というものを全国の仲買人協会に分担させまして、近く、今月の終わりぐらいから、その広報活動を、日刊紙、業界紙を通じて知らしめるということも、紛議防止の一端になろうかと存じます。  それで、それくらいな金では、先生、できません。非常な大きな金が要りますので、全商連にも呼びかけて、全商運のほうにも負担していただきたい。については、先ほどたびたび問題になりました商品取引責任準備金、いま六十億ございますが、あれの金利が五分としても、私どもは三億円というものができるのだと思うのです。それを、いま取引所が経常経費にその果実を取っていらっしゃるが、これは、商品取引所、全商連と立場が違いますけれども、仲買いのわれわれにちょうだいしたい、そうしてそれを広報活動の一端にしたいというふうに考えているのでございますが、これは大蔵省との関係もございまして、その三億円というのは直ちにいかないのですね。だから五千万円は直ちにわれわれが出すように、この間協議いたしました。それで広報活動をするというわけでございます。  さらに、この紛議そのものを未然に防ぐというのが理想的でございますけれども、不幸にして紛議ができた場合に、しからば全仲連はどういうやり方をするかと申しますと、これもこの間申し合わせできめまして、過当な勧誘行為はしないこと。それから商品取引の参加に適しないと判断される者を勧誘しないこと。三は、適格者と認められた方に対しても、相手方の都合を無視して早朝、深夜の訪問はしないこと。四は、相手方の迷惑となって明らかに商品仲買い人の品位を傷つけるというような営業行為はしないこと。それから五、六、七は、もうすでに法律できめられている利益を保証して勧誘しないこと、それから無断売買をしないこと、一任売買はしないこと、無登録外務員を使わないこと、こういうことを申しきめまして、そうして一と申しますことは、われわれ全仲連の性格が任意な一つの団体でございまして、こうしろという命令権がないのですね。だから、みなの申し合わせによるしかいたし方ございませんが、この間集まりまして、こういうことをしよう。しかし、それにいままでなかったことがあるのですが、今度は罰則規定を設けたわけです。その罰則規定はこういうふうになっております。  各協会が全国で十九ございますが、各協会においてこれに違反した人には過怠金を課す、それから違反の事実を全仲連に、われわれのほうに報告させてもらう。で、全仲連はこれを公表する。何々の仲買いがこういうことでどこの協会において過怠金を取られたということを公表しよう。それから二が、関係取引所にわれわれのほうから要請いたしまして、そういう不良な外務員は営業を停止していただきたいという要請を取引所へ持っていく。それともう一つ、その仲買いの外務員の数を規制してもらうようにしよう。それから三は、期間を定めて協会会員たる身分の停止または除名を行なう。この三つを、これはこの間の総会できめまして、今後これによって、私が前に、横山先生のときにも御答弁申し上げましたように、きょうこの事件をここで御審議なすって直ちにその効果がすぐあらわれるということは、遺憾ながら、私は正直に申しますが、責任を持てません。が、少し時日をかしていただいて、徐々に浸透していくようにやっていきたいというのが私の考え方でございます。  先生へのお答えに当たりましたかどうか知りませんが、紛議防止、これをしからばおまえたちどうしようというのかと申しましたら、いま申し上げるようなことをやっていきたい、かように存じております。
  79. 佐伯義明

    ○佐伯参考人 お答え申し上げます。  いま先生から御指摘になった問題は、われわれいま全力をあげて検討中でございますが、なおお知恵がございましたら拝借いたしたい、かように考えておりますが、私の現在考えておりますことは、私は三十年まで証券会社を経営しておりました。証券においてもやはり、戦後産業資金の導入というようなことで、無差別に百株の株を売り歩いた。その後、産業の復興で、株は買えばもうかるのだというような時代がございました。銀行よさようなら、証券よこんにちは。それで、株は買えばもうかる、投資信託元本が保証されておるような印象を与えながらやってきたということで、各地投資家団体がたくさんできました。ところが三十七年の大暴落でもっていろいろな騒動が起きました。山一証券の倒産とかいろいろ問題が起きまして、そのときにはやはり委託者皆さんが証券会社へ詰めかけて、ひどいのは窓ガラスを割ったような事件もございます。ということはなぜかといいますと、株の本質を知らない方が売買に参加されておったということでございます。ですから、今後は先物取引というのは投機の対象以外の何ものでもないのです。そのことを大衆にPRして、承知の上で参加していただくということ。それと同時に、もちろん各外務員の訓練をもう少し激しくやるということ。それから、各仲買い人お客さんに対してあらゆる面でいろいろ手を打っておりますが、それに大事な財産を出して売買をされるのですから、各仲買い人のやることに対して協力していただくということ。それが悪い結果が出るまではまことにのん気なんです。会社のほうで一生懸命やっていましても、何にもこたえてくれないで、悪い結果が出て初めてあわてて、いろいろなことを言われるということでございますので、その点をよくPRして、会社の管理に対して、委託者の方も、自分の財産を守る意味で協力していただくということ。大体そういうふうに私は考えております。
  80. 亀鷹清

    亀鷹参考人 先生のほうの質問の趣旨からいって、紛議をなくするためにはどうしたらいいかということでございまして、長々と申し上げるまでもないと思うのです。要するに、先般も新聞に出ておりましたように、全商連鈴木理事長は、たばこ屋方式に改めるべきであるということを具体的に申しておるわけです。したがって、商品取引というものの発足のときのことを考えていただいて、やはりたばこ屋方式に帰らすべきである。そうでなければ、幾ら不当勧誘でありますだの、過当勧誘でありますだのといったところで、やはり人間がその中に入っていけばそういう行為が行なわれるということについては間違いないと思うのです。したがいまして、そういう過程の中で、現在無知な人が入っているというわけでなしに、これは無知な人が無理やりに引きずりこまれているという表現を使っても過言でないと思っておるのです。したがいまして、五千万何がしかの費用を使いまして、広告あるいはPRいたしますということについてもけっこうと思いますけれども、そういうものの上になお一そう、そういう公式の方々が御発言されておりますような措置をとっていただきたい、このように思っております。
  81. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間がありませんので簡潔にいたしますが、商取法とかあるいは通達とか、そういう点をきちっと守っていけば紛議はとまる、こういう御発言が先ほどあったわけです。要するに、いままで主務省の指導どおりやってきたことを鈴木さんも先ほど冒頭でおっしゃたわけです。ところがこれだけの紛議というものが発生してきておる。したがって、あなた方がこれから通達を守り、法律を守りますといったって、過去の実績からして、この辺はちょっと心配なわけなんです。その点、今後いまおっしゃった、そうした法律なり通達なりを厳重に守っていくかどうか。鈴木さんにお聞きしたいと思うのです。
  82. 鈴木四郎

    鈴木参考人 ただいま御指摘の、守っていくか、守っていかないか、この問題に対しましては、今回全国をあげて反省をしておるのでございますから、絶対的に皆さんがやっていけると思います。それをもし無視するような仲買い人がございましたら、これはもう何といっても落後者ということになると思いますから、この際は全力をあげて反省をいたし、先生の御趣旨に沿ったように、私のほうからも通達を出したい、さように考えております。
  83. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう時間がありませんのでなんですが、紛議等の問題についても、調停委員会のそういう不信感が端的に述べられたわけであります。そうした点、今後調停委員会等のそうした定員の問題、メンバーの問題等も改正されるそうでありますし、どうかひとつその辺は納得のいく解決ができる機関を、ひとつ主務省皆さんと連携をもってやっていただきたいと思います。  それから最後に、主務省に要望申し上げておきますが、その監督の問題につきまして、たとえば大蔵省の検査というものは非常にきびしい、厳格である、ところが農林省と通産省の検査というものは非常に甘い、そういう根本的な態度自体が、やはりいままでのこういうことを発生さしてきた、そういうことにも大きな問題があると私は思う。それはそうではないと、おそらくおっしゃるでしょう。だけれども、そういう声があることは確かなんです。ですから、こういう機会でありますし、これからもさらに厳重にひとつ協調を保ちつつ、また、その半面なれ合いというようなことは許されない、これからはそうした監督等もきびしくやっていただきたい、この点を強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  84. 八田貞義

    八田委員長 塚本三郎君。
  85. 塚本三郎

    ○塚本委員 取引所鈴木会長さんにお尋ねいたしますが、市場管理委員会というものがありますが、この権限と構成はどんな形になっておるか御説明いただきたいと思います。
  86. 鈴木四郎

    鈴木参考人 お答えいたします。市場管理委員会構成仲買い人、会員、それで構成になっております。委員長仲買い人のうちから出ております。これはほかの常設委員会と違いまして、市場操作にいろいろな関係もございますので、明るい人でないとわかりませんので、会員でなくして仲買い人から出ておるわけであります。
  87. 塚本三郎

    ○塚本委員 会員というのは、どういう会員のことですか。
  88. 鈴木四郎

    鈴木参考人 会員というのは受託を受けない。自分だけです。要するに自己玉ですね。自分だけしかやれない。他人の玉はとれない。
  89. 塚本三郎

    ○塚本委員 構成の全員は何人ぐらいになっているのですか。
  90. 鈴木四郎

    鈴木参考人 構成は全員で七名ぐらい。そこへ取引所側から、その会員のときには理事長並びに常務、それから担当の部長、こういうのが参加しまして協議しますから……。
  91. 塚本三郎

    ○塚本委員 それじゃ取引所のいわゆる責任者は、この会員にはなっていないのですか。
  92. 鈴木四郎

    鈴木参考人 委員ですか。――依嘱するのですから、委員にはなっておりません。
  93. 塚本三郎

    ○塚本委員 それでは、その管理委員会の権限というのはどんな程度の権限ですか。
  94. 鈴木四郎

    鈴木参考人 権限というのは、大体毎月の新甫の発会の建て玉とか、それから証拠金の問題とか、そういう問題を大体管理委員会できめて、われわれのところへ話になって、それから農林省へ通達するわけです。
  95. 塚本三郎

    ○塚本委員 私はあまりよくその構成はわかりませんけれども、それでは取引所全体の運営はどこかやっているわけですか。
  96. 鈴木四郎

    鈴木参考人 取引所全体の運営はわれわれがやっているわけです。理事長以下各担当の部長ないし常務、こういうことです。
  97. 塚本三郎

    ○塚本委員 そういたしますと、その運営に対して管理委員会というのの権限というものは、もう一度はっきりと、どういう権限があるのかということをもっと詳しく説明してください。
  98. 鈴木四郎

    鈴木参考人 要するに委員会がやっておりますが、これは大体理事長の諮問機関です。委員会が七つあるのです。総務委員会、市場管理委員会資格審査委員会、財務管理委員会、格付審査委員会、受渡処理委員会紛議調停委員会、これだけなんです。
  99. 塚本三郎

    ○塚本委員 私どもこれは客観的に聞いておりますと、そういう紛争の問題やいわゆる監督的な問題は、この市場管理委員会が担当しておるのだというふうに聞いておりまするけれども、そうじゃないのですか。
  100. 鈴木四郎

    鈴木参考人 そんなことは全然ございません。
  101. 塚本三郎

    ○塚本委員 農林省にお聞きいたしますが、それでは問題の紛争は紛争で別にありますけれども、いわゆる取引関係に対する幾多の管理、監督的なものは管理委員会だと思ったら、違うのでございますか。それではそれはどこが担当しておるのか。
  102. 森整治

    ○森説明員 お答えいたします。  委員会というのは、結局理事長の諮問機関でございます。公式の諮問機関でございまして、その責任は理事会、それを代表する理事長にあると思います。
  103. 塚本三郎

    ○塚本委員 それでは、その取引所の中に所属する各仲買い人等の中で行なっておる外務員等の不正な問題、あるいは不当な問題等を管理、監督をするといったとき、当面どこが管理、監督をなさるのですか。もちろん所属の仲買い人であることは、雇用主としてわかりますけれども、しかし自分たちのところを自分で  これは自粛的な問題であって、管理、監督という立場に立ちますと、一体それはどこがおやりになっておるのですか。農林省、どうでしょうか。
  104. 森整治

    ○森説明員 結局、外務員取引所に登録をされております。そこで、その登録をするにつきまして、資格審査等の事務を、定款で外務員資格審査委員会というのを設けて処理をしておるわけでございます。ですから、もう一度申しますと、先ほど理事長が総務委員会、市場管理委員会資格審査委員会、財務管理委員会云々と、こういうふうに申し上げましたけれども、その中の一つとして資格審査委員会がございまして、外務員の登録審査に関する事務を担当をしてやっておる、こういうことでございます。
  105. 塚本三郎

    ○塚本委員 それでは、実際にそういうことを調べるのは、その資格があるかないかだけのことでしょう。だから、実際そういうようなことに対する監督的な役目は、一体どこがなさっておいでなのか、これは鈴木理事長さんどうでしょうか。
  106. 鈴木四郎

    鈴木参考人 大体、外務員が入社すると同時に、全商連で三カ月教育するのです。それから三カ月また会社で教育して、大体六カ月後に外へ出るようになっています。
  107. 塚本三郎

    ○塚本委員 それはわかるのですよ。その資格はあれですけれども、問題は、管理、監督をすることに対して、実はいままでの大きな紛議の問題があったと思うのです。そのとき自分のところの仲買い人外務員が、いわゆる不当な元本保証であるとか、あるいはときには、私どもの耳に入っているところですと、無資格者も以前にはずいぶん使って見えたということを私どもは承知いたしております。最近は、相当そのことは自粛されておるようでありまするけれども、そういうものを仲買い人さんが、自分のところから出た不始末を自主的に押えられるということもなさるでしょうけれども、しかし、それは客観的に見たならば、この段階ではいままでは十分ではなかったと見るべきでございましょう。このとき何か、たとえば理事長が全部に対する管理、監督をしておらなければならぬというふうに私ども思うのです。そのとき、全体の管理、監督というのは、私どもの聞き及ぶところによりますと、市場管理委員会だというふうに私どもは受け取っておったのですけれども、それは違うのでしょうか。
  108. 鈴木四郎

    鈴木参考人 それは全然違います。
  109. 塚本三郎

    ○塚本委員 それではお尋ねいたしますが、私どもも個々の紛議相談にあずかったとき、実はきわめて歯がゆく思うことは、取引所自身が仲買い人さんに対してきわめて弱腰だということですね。実際には、そういうところからやってきますると、管理、監督は理事長に責任がある、そうでなければならぬと思うのですね。にもかかわらず何かしら、言ってみるならば、取引所仲買い人さんにいわゆる食べさせていただくのだから強く言えないというふうに、御無礼な表現でありますけれども、実は私たち紛議の中で相談にあずかりますと、そういうように受け取れるわけであります。これではたして正しい管理、監督ができるのかということについて、たいへんなもどかしさというものを私たちは実は受け取れるわけでございます。そういう点で、大野先生どうでしょうか、専門家の立場で御判断いただきたいと思います。
  110. 大野あきら

    大野参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生のおっしゃったとおり、私も実は取引所の中で行なわれている取引に対して、あるいはそれに付属する仲買い店に対して、一体きびしい監督をする機関はどこであるかと考えたことがございますけれども、私は取引所だ、そのように考えておりました。取引所一つの独立した公の機関として、あるいは理事長は公的、公職者に準ずるものと認めて、理事長の権限はかなり強いものと思っていたのですが、ただいまのお話によりますと、先ほど先生がおっしゃったとおり、仲買い人の拠金によって運営しているので、仲買い人さんに食べさせてもらっているのだという表現がございましたけれども、どうも私はしろうとでわかりませんが、確かにそのような感じがいたします。私は、監督官庁の農林、通産両省がこれをきびしく監督しているのだ。そして規制を出す場合も理事長に対して指示を与える。また理事長は、監督官庁の指示がなくとも独自の判断で、たとえば過当投機が行なわれたという場合には規制を出す。その規制は、証拠金を上げるとか、建て玉の制限するとかいう権限を理事長はある程度持っているようですが、ただいま承りますと、何かそういう権限はあまりないようですし、それから監督官庁が、それをまたきびしく監督する権限はございますけれども、それに対してあまり深入りする権限もないのかあるのか、そこのところがはっきりわからないのです。これは雑談みたいになりますが、ずっと前は、取引所は農林省蠣殻町出張所だというような悪口がささやかれたこともある。それほどきびしく監督官庁がチェックしたこともありますが、今日の事態では、監督官庁はしばらく静観をするというな形になっているように感じられます。これは私の印象でございます。  以上でございます。
  111. 塚本三郎

    ○塚本委員 私、今度は山本さんにお聞きいたしますけれども、これでおわかりいただけると思いますが、実際、責任の所在が明確になっておらない。御無礼でありますけれども、ほんとうならば農林当局がしゃんとしておらなければなりませんけれども、農林省当局にお聞きしましても、監督でき得る法の根拠がどこにあってどうしておるのだということで、あわてて六法を開いて見なければわからぬことであって、頭の中でぴっぴっと、これがこういうふうになっておってここなんだということが、実は担当課長でさえもお答えになれないほどに、実はおろそかにされておるというふうに私は受け取る。御無礼ですけれども。  それからまた、大蔵省にいたしましても、農林省にいたしましてもそうですけれども、取引所取引所といいますけれども、実際に取引所仲買い人さんの金でもって実は運営されておるというような先ほどからの状態でございます。だから一にも二にも、仲買い人さんのところへ一切が集中されてきておる。だから仲買い人さんは、いわゆる金の面からすべてのものをしょわなければならない。だから、いいことも悪いことも一いまいいこと出てきてもおりませんが、悪いものはみんな仲買い人のところに集中されてしまっておるのだ。そしてまた、もし万が一不当な、あるいは不正なことが行ない得られるとするならば仲買い人なんだ、こういうふうな形になってきておる。いいときには最もそれがうまく運営されるでしょうけれども、今日悪いところが集中的に、山本さん、あなたのほうへ集められてしまっているような感じに私はなるわけでございます。もっといわゆる責任の所在を明確にして、おのおのの分野と立場というものによって三者が三角の関係でやっておったならば、これほどまでに不正が起きなくても、あるいはまた、これほどまでに、中身はたいしたことないけれども世論が出てくるとか、あるいは実際にそうであってこんなに吹き出したのか、事実はわかりませんけれども、いま世論がこう大きくなっておることは事実ですね。そういうことの焦点が、すべて仲買い人の中に入っていってしまうということの根本には、いわゆる監督官庁取引所仲買い人との責任が明確になっておらないというところであなたのところにすべての焦点がいっておると、いま私はこの審議を通じて感じさせられるわけですけれども、いかがでしょう。
  112. 山本博康

    ○山本参考人 お答えさせていただきます。  その前に、先ほどから取引所運営は一体だれがやるのかという御質問がございましたね。あれについて若干補足させていただきたい。  私は私なりに考えますことは、取引所運営というものは理事会がするのだ。各取引所に十九名から二十名内外の理事がおりまして、その上に理事長あるいは専務理事、常務理事等がいるのでございますね。その理事会によって定款的には取引所運営ができているのだ。だから、取引所の責任はだれだといいますと、最高責任者は理事長でございますが、考えようによっては、理事者全部が共同責任かもしれません。  私が調べてまいりました例を若干申し上げますと、いま先生のおっしゃったように、仲買いが非常に取引所にはびこっているという事実はございません。数字から申し上げます。大阪三品取引所では理事が二十一名ございます。二十一名の理事のうちで専業仲買いは五名、あとは仲買い以外の人がいるわけでございますね。それから化繊取引所、みな大阪ですが、申し上げますと、六十名の理事のうちで専業仲買い六名でございます。それから砂糖取引所、大阪の砂糖でございますが、十九名のうちに専業仲買いは四人ございます。生糸取引所、神戸の生糸ですが、やはり十九名のうちに専業仲買いが四名いる。ですから取引所理事会の構成メンバーは、専業仲買いはおりますけれども、三分の一どころかそれ以下でございます。そういう機構で取引所はまず運営いたしております。  それから取引所の費用につきまして、これは仰せのとおり、われわれが定率会費というものを、商いをいたしますごとに幾らか納めている。率はきまっていますが、納めているわけでございますね。取引所の経常経費の主たる収入はその点にあろうかと思いますが、そのほかに、先ほど申しました取引責任準備金というものを、われわれは預けているわけであります。その果実、利子から取引所の経常経費が出ているということで、表面的に考えますと、なるほど費用は仲買いから出ているのだ。だから仲買いが専横をきわめるのじゃないかとおぼしめすのも無理もないと思いますが、現実の姿は、そんなやさしい取引所理事と違いますよ。それはわれわれが、こてんこてんにこのごろやられているのです。ということは取引所が監督権を持っておる。監査権を持っておる。立ち入り検査と称して税務署が調べるよりも、もっときつい調べ方をなすっていらっしゃる。だから仲買いが、そこで取引所運営の上に相当の影響力、力を持っておるということは決してございませんということを申し上げておきます。
  113. 塚本三郎

    ○塚本委員 そうならばけっこうですけれども、大阪はそのようにおやりになっておるということのようですからけっこうですが、私が一、二会いましたところではそうじやなかったものだから、いまだにそういうことが続いておるじゃないかということを心配いたすわけです。  それから、紛議調停機関がございますね。この紛議調停構成と、それからその調停にかかった件数はどれくらい、いままでありますか。これは鈴木さんのほうでご説明いただきたいと思います。
  114. 鈴木四郎

    鈴木参考人 この数はわかりませんです、いまのところでは。
  115. 塚本三郎

    ○塚本委員 それじゃ東京だけでけっこうですから、紛議調停にかかった件数がどれくらいかということをちょっと説明していただきたいと思います。
  116. 鈴木四郎

    鈴木参考人 東京の穀物取引所としては二件でございます、いままで調停委員会にかかったのは。
  117. 塚本三郎

    ○塚本委員 農林省、これはたくさんの報告に対して調停にかかったのはたった二件ということでございましたから、東京に限ってなぜこんなに少ないのですか、ちょっとおたくのほうから。
  118. 森整治

    ○森説明員 お答えいたします。  実際にはわれわれのところにもいろいろ紛議が持ち込まれますし、いろいろな場所でいろいろ持ち込まれますが、大体の処理のしかたを申し上げますと、取引所にその担当の課がございまして、そこで、要するにいわゆる取引所の事務局になるのですが、その事務局で紛議を一応処理しております。そこで、いろいろ被害者、直接来ていただきまして、仲買い人の話、それから被害者の話を承って、ここはこのくらいではなかろうかというようなことで、いろいろ処理をされるわけでございます。そこで大体事前に、調停委員会にあくまでもかけてもらいたいという場合にはそういう処理をいたしておりますが、そこで事務的に処理をされるケースが多いのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  119. 塚本三郎

    ○塚本委員 事前的にある程度の調整をしてしまって、それまでに解決しておるから調停にかけるということは少ない、こういうふうに解釈していいわけですか。
  120. 森整治

    ○森説明員 さように承知しております。
  121. 塚本三郎

    ○塚本委員 亀鷹さんにお尋ねしますが、おたくのほうの今度組織でございますけれども、不正防止協会の会員数、先ほどあまり定かでないということでございましたが、運営はどういうふうに、たとえば会費制とか、その運営はどういうふうな形でやっておりますか。
  122. 亀鷹清

    亀鷹参考人 後ほど私どもの運動の方針、いわゆる議案書がでございますので、お手元にお渡ししたいと思いますけれども、会計面における運営につきましては、まず最初にいろいろこういう出版物の費用がかさみますので入会金が千円、それから月額の会費を五百円という形でもって、ほとんど全国、北海道から九州までの方々いらっしゃいますので、一回北海道まで電話を入れたり、九州まで電話を入れれば、それぐらい飛んでしまいますけれども、中央に大体人数が集約しております関係上、それはプールとしていまやっておるということであります。  それから、役員の行動費とか、日当とか食事代、そういうものについては、現在のところ県外並びに特にこういう席上へ代表者として出席する場合には、その中から交通費という形でもってのみ出しております。  それから運営につきましても、前段に申し上げましたように、まず最高決議機関は大会に置き、日常の業務におきましては、役員会、いわゆる理事会というものをもうけて、そこで具体的に審議を行ないまして問題の行動に入っておるという運営のシステムになっております。
  123. 塚本三郎

    ○塚本委員 もう一度山本さんにお尋ねいたしますけれども、これはある週刊誌に載ったことですけれども、たいへんなもうけをしておるところの仲買いの会社のことが週刊誌に載っておりました。そのとき、その社長さんのことばの中に、うちの外務員も一年間に九〇%やめていくということを答えて見える。これは深く考えてみますと、いわゆる幾つかの意味を含めておると私はとるわけでございます。といいますのは、待遇がよくないということもあるでしょう。あるいはまた、もっと言うならば、その短期間のうちに一発勝負をしてしまうような傾向も含んでおるのではなかろうか。定着率がよくないということは、すべての面に悪い方向に連なっておる場合が非常に多いと思うのです。おそらく、こんなことはほかの仲買いではあり得ないことだとは思いますけれども、最も有数ないわゆる仲買いの店に、そういうことが過去において述べられておるわけです。この外務員に対するいわゆる採用の方法と定着の方法について、一体どんな教育と対策を練って見えるか、この点ちょっと御見解を承りたいと思います。
  124. 山本博康

    ○山本参考人 いま御指摘になりました、外務員の定着率が少ない、しょっちゅう変わるということですが、これが仲買いの経営者の一番の悩みの種でございます。おっしゃるとおりでございます。  では、なぜ変わるのかということになりますと、いま御指摘になりましたような待遇問題もございましょうし、それから外務員というものにはコンプレックス、劣等感がございまして、そういうことで、最初入ってみたけれども、外務員の外務活動というものは、言うべくしてなかなかそう簡単に行なわれないんですね。毎日お客を訪問しても、必ずしも注文はもらえないというような、非常に仕事が過激なんですね。そういうようなことで、最初は夢を持って入ってきた外務員もそこで変わっていく、あるいは待遇が悪ければ、さらによい仲買いのところに変わっていくという風潮がありまして、全仲連では、この前、外務員の引き抜きを防止しようという協定をいたしました。で、外務員が他に行くときには、前の雇用者の円満退職したという証明が要ることが一つでございますし、それから、新しく参りました先で、三カ月間あるいは六カ月間の社内研修、これは階級によって違いますが、これをやって新しいところに行く。なるべく引き抜き防止をしようというふうにやってまいりますが、しかし、これが全部の仲買いがさようであるとは申し上げかねます。非常に率の多いところもございますよ。しかし、そのわりにそうしょっちゅう変わらないという仲買いも統計上はございます。ということで、御満足ななには……。
  125. 塚本三郎

    ○塚本委員 時間が参りましたので、十分お聞きすることができなかったこと、たいへん残念でございます。しかし、いまここで申されたような各員のそのことが事実ならば、今日までそんなに大きな問題にはなってこなかったんではないかということが私の実感でございます。しかし、よく掘り下げてみますと、きわめてまじめな運営のしかたをなさっておられるところと、きわめて不届きな運営をしてみえるところとが、あまりにも大きな差があるから、だから一がいに言えないから、こういうふうな感じになってきたのではないかというふうな感じを私自身は持つわけでございます。  すべからく、本日おいでになった皆様方は指導的な立場でございますから、ここで述べられたことを、ぜひとも約束を果たしていただきたいということを痛切に感じております。過日、二年ほど前ですか、法改正になったときも多くのことが論ぜられました。しかし、その法改正になった当時の杞憂をまた今日ここで私ども委員が述べなければならぬことは、きわめて残念でございます。だからそういう意味で、再び当委員会においてこういう問題を持ち出されることのないように、指導者の皆様方にかたい決意をお持ちいただくことを希望いたしまして、私の質問を終わらさせていただきます。
  126. 八田貞義

    八田委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、御多用中のところ、長時間にわたり御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して、厚く御礼申し上げます。  本会議散会後に委員会を再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時四十六分休憩      ――――◇―――――     午後三時五十六前開議
  127. 八田貞義

    八田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  通商に関する件について調査を進めます。  繊維製品の対米輸出問題について参考人方々から御意見を聴取することといたします。  参考人各位には、御多用中のところ御出席をいただきありがとうございます。当委員会におきましては、去る三月十九日、本問題につきまして参考人方々の御出席を求め、御意見を聴取いたしたのでありまするが、その後の事態の推移にかんがみ、本日重ねて関係各界の方々に御出席をわずらわした次第であります。何とぞ参考人各位の忌憚のない御意見の開陳をお願いいたします。  それでは、まず御出席の各参考人方々から御意見をお述べいただき、その後に質疑を行なうことといたします。  まず、日本繊維産業連盟会長谷口豊三郎君にお願いいたします。
  128. 谷口豊三郎

    ○谷口参考人 ただいま御指名にあずかりました谷口でございます。  先般、十九日かと思いますが、ここへお呼び出しにあずかりまして、私たちの考えておりますることをお聞き取り願いましたことをたいへんありがたく存じております。その後、新聞等によりますと、非常にいろいろ騒がしい情勢がございましたのでございますが、私は、そんなに大きな情勢の変化というふうにも考えておりませんのでございまして、まあケンドール案といわれるものが出てまいりまして、だいぶん新聞紙上をにぎわしたことでございますが、この件に関して、私の接触いたしました範囲を御参考までにちょっと申し上げておいたほうがと思いますが、ケンドールさんとはずっと前にニューヨークで一ぺんお目にかかったことがございますのですが、その後接触がございません。それから、この間見たましたときは、万博のペプシコーラ館の開場式においでになりまして、大阪でパーティーがございまして、それへお呼ばれしたものですからお伺いして、そこでちょっと立ち話でお話を申し上げました。そのときはたいした話をする機会もございませんでしたが、そのあとでアメリカ大使館のディナーに招かれまして、そこでまたケンドールさんにお目にかかって、そのあとでケンドールさんからいろいろお話がありました。これはまあ、ケンドール案ということよりも個人としていろいろ意見を述べられたということに受け取っておるわけなんですが、要旨は、どうも日米間でそう理屈を言っていてもしかたがないから、この際何とか一ぺん休戦のようなことにしたらどうだ、そのためには、輸出モラトリアムということばを使われましたが、一年間輸出を六九年ぐらいで凍結をして、それで一年たったらフリーに戻す、その間にインジュリーのあるものを調査して、それのあるものは自主規制のなにをやってもらう、いかぬものははずしていくというようなことでどうだというようなお話がありましたが、そのとき私は、そう簡単におっしゃってもそうはいきません。昔綿製品協定、LTAを御承知かどうか存じませんが、それで非常に苦い経験を持っております。現にLTAの条文では、これは綿以外に及ぼさない、これはガットの例外規定である、なるべく早い期間にやめるんだというような話になっておるのですが、どうもそれがそのとおりに実行されないということを私たちは非常に不満に思っておるのです。それとまた同じような御提案になりますから、一年たって元へ戻るという確実な保証がない限り、そうそんな話に応じるわけにいかぬじゃございませんかという話をいたしました。じゃあ、おれが保証するがどうだということなんですが、それはけっこうですけれども、私のほうはたくさんの方がいらっしゃるのですから、それでどうだというお話はちょっとしにくいんで困るじゃないですかという話をしておきました。それから、一年間凍結とおっしゃいますけれども、ペプシコーラを来年このくらい出荷しようということなら、それは簡単にできますけれども、何しろ私のほうの仕事は、たくさんの人がみんなそれぞれやっていらっしゃるのですから、みな納得して、そしてこういうふうにしようということになるには、よほどのちゃんとした理屈があって皆さんが納得なさらぬと、それはどうも話がむずかしい。いまアメリカのほうでおっしゃっておる事柄は、どうもわれわれには納得しにくいので、それはなかなかむずかしいように思いますというような話で大体別れております。詳しいなには、多少ほかから教えてもらいまして、見てはおりますけれども、それは正式のルートに乗ったわけではございませんし、そういうものに直接利害関係のあるわれわれが、あまりよく立場のはっきりなさらぬままに、いろいろ受け答えしますことはいかがかと思いまして、大体その程度で別れております。大体そういうことでございますので、御参考のためにお聞き取り願いますればしあわせだと思います。  そのほか、いろいろ新聞等ではたいへん騒いでおりますが、どうも私は、これはアメリカの謀略戦にかかっているような気がしますので、あまり神経を使わないで、ひとつゆっくり冷静にかまえてやったほうがよかろうというつもりでおりますので、何べんも申しますように、国会の先生方が非常に御後援願いまして、国会の決議がある事柄でございますし、総理、各大臣が国会の場で御答弁なすっていらっしゃることでございますから、日本国民としてそれを信用しないということはおかしいのじゃないかというつもりでおりますので、まあ落ちついてやったらどうかというのが私のただいまの心境でございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)
  129. 八田貞義

    八田委員長 次に、日本化学繊維協会会長宮崎輝君にお願いいたします。
  130. 宮崎輝

    ○宮崎参考人 諸先生方には、この間も私、出ましてお話を聞いていただきまして、きょうは再びまたこのチャンスを与えていただいたことを感謝いたします。  ただいま谷口さんからお話がございましたので、いろんな情勢につきましての話は省略さしていただきますが、私、この繊維問題について非常に感じます点が二つございます。  一つは、ただいまもちょっと谷口さんがお触れになりましたが、どうしてこんなにこの問題がいろいろとむずかしくなるかといいますと、やはり日本の業界が繊維に対して綿製品による苦い経験を持っておりますので、ぬぐうべからざる不信感が非常に根強くあるという点が第一点だと思います。はっきり国際場裏の場で約束したものでも、守ってもらえない。とにかく短期である、それから毛、化合繊には及ぼさないのだ、綿の特殊性を考えてのことなんだということを書いておりながら、長期化してしまって、さらにこれを延長しようとしておる。それから、もうその協定ができた翌年には、毛に適用してくれということを申し出てきておられる。最近、特に承るところによりますと、ポルトガルでそういうアメリカと日本の人たちの会合があったようでございますが、そのときにこの問題に触れますと、もう情勢が変わったのだと一言で終わりだそうであります。そういうことでございますので、いろんな提案がなされましても、常に疑惑の目で見られるということがやはり問題でありまして、アメリカはぜひひとつ約束したことは守るということでないと、私はこれからの日米の問題は解決しないのじゃないかということを強く感じております。  それから第二は、どうして急ぐのだろうという問題でございます。と申しますのは、綿製品について自主規制を始めてからもうすでに十五年近くなります。それから、毛についての問題が起こりましてから六年か七年になりますし、化合繊にLTAを適用してくれという話が出ましてもうすでに三年になるのです。そういう、ことばは悪いのですが、十五年戦争というような問題を、さて、何か万博までとか、あるいは何か今度はイースター祭までとかいうような、そんなタイムリミットを切ろうとするところに無理があるのじゃないかという点について、どうしても理解しにくい点があります。  そうしますと、やはり勘ぐりたくなりまして、何かそういう政治問題とのからみがあるのじゃなかろうかということを感ずるのでありますが、これは諸先生方も十分御存じのとおり、ニクソン大統領が選挙のときに公約をされた。その公約を果たすために、沖繩の問題の処理のときに、トップ会談でどうもこの話が出たようであるということでありますが、しかし私どもは、ただいま話がありましたように、一国の総理が国会で答弁されたものを信用する以外には実は手がありませんので、議事録等をはっきりとってみますと、やはり早期かつ合理的な解決をはかることには意見が一致を見た、二人とも繊維問題のような複雑な問題についてはしろうとなので、具体的な解決方法について何らの約束はしていない、こういうふうにたしか言っておられるように思っております。そういたしますと、私は、りっぱな両政治家が早期かつ合理的に解決したいとおっしゃるのは、これはもうよくわかります。しかし早期のほうは、解決するのには合理的ということがベースになりませんと問題になりません。その合理的という点について、アメリカはあくまで包括的な規制という主張を捨てておりませんし、そうでなければ法律でやるぞということでございますので、それで私どもは、合理的な点は何かという点でいままで種々な案を日本政府も出しておられますし、私どもも、日本の政府のいままでやられたことに対しては、やむを得ない、非常によく譲歩された案ではないかというふうに思っておるのでありますが、この辺のところが非常に疑問でございまして、私どもは、一ぺん問題をへたに解決いたしますと、そのとき一、二年は平穏が続きますが、私どもの次の世代の人に非常な迷惑をかける。綿製品協定の場合におきましても、当時のわれわれの先輩は非常に深く配慮しまして、先ほど申しましたように、これらの綿製品でやむを得ずやるのだから、これ以外には及ばさせないんだということをわざわざ書き込んでおられるという配慮があるにかかわらず、一つの例ができますと、やっぱりこれを、期限が来てもさらに延長してくれということで、力ずくで押していかれる。また、その間に、いろいろ各国間の利害の対立ができてまいりまして、ワクなんかきまりますと、そのワクを守ったほうが得だというようなこともできまして、そうしてだんだん延長をしていってしまって、何のことはない、統制経済になってしまうということでございます。  私は化合繊を担当、生産をしておる協会の世話をさせていただいておりますが、化合繊、特に合繊はこれからでございまして、よく世間の人は、もう繊維産業は斜陽じゃないか――この間もある古い財界の巨頭の話が新聞に載っておりましたけれども、斜陽じゃないかというようなことを言っておられますけれども、実際、非常にその点は認識不足でありまして、合繊化というのは非常に進んでおるわけです。この間も申し上げたかもしれませんが、もう五三%は合繊でありまして、やがては三分の二、やがては四分の三になろうとしておりまして、その合繊の原料は石油化学でございます。石油化学の売り上げの二、三割はいま化合繊の原料になっておるのでありまして、これは非常に値段が高いためにどうしても売り上げとしては大きなウエートを占めることになっておりまして、このままいきますと、やがては石油化学製品の五割ぐらいは化合繊原料になる。しかもできた化合繊は、プラスチックあたりの製品と比較いたしますと、五倍あるいはものによっては十倍くらいに高く売れておるわけでございまして、それに加うるに紡績、それからいろんな加工、縫製、それにディーラーというたくさんの人々が関係してまいりますので、九百万といわれておるほどの人々がこの仕事によって生活をしていっておるということでございまして、われわれはそういう意味においていわゆる重化学工業であるというふうに考えております。それを昔と同じ観念で見られるところに非常に古い人たちの――特に古い人たちの誤りがあるのか、あるいは私どものPRが足りないのか、非常にその点を痛感しておりますが、その意味におきまして、ぜひひとつ諸先生方の御理解をいただきまして、とにかく毛、化合繊、綿というものの分野がどんどん変わっていっておる。そして、これから伸びるべき合繊が規制されて、しかも一、二国間のアメリカと日本だけの問題で済まない。現にけさの新聞で報道してありますとおり、カナダがさらに規制品目の追加を要求してまいっております。これは私どもがかねがね主張しておりますとおり、日米だけの問題ではない。カナダ、豪州、EEC、それから英国に波及してきます、こういうことを申し上げておるわけですが、まさにカナダが要求を出してきておるのは御承知のとおりでございまして、そういう意味で、そういう波及がないような、しかも日米関係が非常に重要なことはよくわかりますが、その日米の友好関係を傷つけないようにするにはどうしたらいいかということで苦慮しているわけでございますが、私考えますのに、蛇足でございますが、日米関係の友好関係というのは、実はきょうの繊維連盟の決議にもございますように、大衆と大衆の実は関係だと思います。特定の政治家同士が仲よく話をしてあとでパーティーを開くとか、特定の財界代表が特定の財界代表同士で話し合いをして、あとは仲よくパーティーをやるというのが親善ではないのでありまして、国民感情として、やはりアメリカはさすがに大国である、合理的な線でやってくれるのだというところに、真の意味の日米親善が生まれますし、またそれと同時に、そういうようにものを解決することこそ、他の日米以外の国々からも日米に対する信頼の念を呼ぶことができるのじゃないか。そういう、むしろ日米だけの問題を離れた、さらに広い社会的なレベルから、この問題をぜひながめていただくようにお願いしたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)
  131. 八田貞義

  132. 近藤駒太郎

    ○近藤参考人 御紹介いただきました縫製品工業組合の近藤でございます。  このたびの日米繊維規制問題で、先生方には何かと御支援をいただきまして、この席上をかりまして、つつしんで御礼申し上げます。  私どもの業界は、アメリカに対しまして出しておりますパーセンテージは、総生産量の約七〇・五%をアメリカ市場に依存いたしておるのでございます。ゆえに、アメリカの市場は非常に重大な市場でございまして、大切なるお得意さんでございます。かかる観点から見ましても、私ども中小企業の業者といたしまして、アメリカの言っておることに対しまして、頭ごなしに何もかも反対だ、聞く耳持たぬのだということは、初めから言っておらないのでございます。もしかりに化合繊、ウールの問題に対しまして、ほんとうにインジュリーがあるのであれば、どうかその資料を出していただきたい、私どもは謙虚な気持ちでもって、お聞きもいたしましょうと、かように申し上げておるのでございます。  そこで、昨年九月に高橋ミッションがお行きになり、かつまた、私どもといたしましても、業界みずから現地に飛びまして、はたしてアメリカ市場にわれわれが出しておる品物がインジュリーを与えておるやいなやということを、私自身も調査をいたしてまいったのでございますが、その結果におきましては、何らインジュリーを与えておる形跡は見当たらないという結論に達しておるのでございます。  私どもといたしましては、そのような観点から、アメリカが現在申し出てきております包括規制、すなわち十二月十九日に第一次提案がありまして、その後二月にトリガー方式提案がございましたが、どの項目を調べてみても、何ら理由なき、すべて一木一草規制しようというのがアメリカの意図ではないかと考えておる次第でございます。  思い起こしましたならば、一九六二年八月二十四日に綿製品の自主規制をやっておりましたときに、突如としてズボン、ブラウス、セット物に関しまして輸入停止を申し渡されまして、当時のわれわれの持っておりました在庫品が三十七万三千  ダースございました。そこでアメリカにいろいろ交渉いたしたのでございますけれども、なかなか  言うことを聞いていただけなくして、急拠九月十四日に渡米いたしまして、現地でいろいろお話し合いを申し上げましたけれども、結果、二カ月になんなんとしてきまったのが十万三千ダースでございます。ここですでにもう二十七万ダース、上下分けてみたならば五十四万ダースというようなものの、膨大な数量の品物を日本にストックをされて、金には困りますし、流行の変遷はあるということで、やむを得ず涙をのんで、われわれはこの十万三千ダースをのんで帰りまして、その残りを翌年回しにいたしたのでございます。しかし、そのしわはすべてわれわれの中小企業に来た。ゆえに当時二割操短をし、工賃は下がる、あるいは多数の従業員を遊ばすというような、たいへんな苦しい目にあってきました。  その後LTAができまして、私どもといたしましては、秩序ある輸出をするということに常に心がけてまいったのであります。最近問題になっております化合繊、ウールに対しましても、常に秩序ある輸出を第一の目標といたしまして、決してアメリカにインジュリーを与えるような出し方はいたしておらないのでございます。  綿製品に関しまして、この席上を借りまして御説明申し上げたいと思いますけれども、現在綿製品でブラウスが二百四十一万八千ダースというクォータがありながら、昨年度の実績では九十四万四千ダースしか出ておらないのでございます。ドレスシャツ五十二万一千ダースのものが十四万三千ダース、このように非常に大幅な未達の状況でございます。何ゆえに出ないかといえば、発展途上国の追い上げの問題もございましょうけれども、先ほど谷口会長はじめ宮崎会長からもお話がありましたとおりに、流行の変遷に基づいて、ここ三年ほど前から化合繊、ウールのものが出かけつつあるのでございます。そこでわれわれが苦心をいたしまして、高級品化に切りかえて流行の変遷に伴ういろいろな品物を研究して現在輸出をしつつあるのでございます。  また、国内の状況を申し上げますと、われわれの縫製業界は、日本十九府県にわたりまして、過疎地帯あるいは九州の産炭地域等に分散いたしております日本唯一の輸出産業の中小企業の団体でございます。かりにもしアメリカがいっておるようなこの包括規制をのむとすれば、及ぼすところの影響は、輸出縫製業界のみならず、これに関連いたしております内地の縫製業界にも重大なる影響を来たすことをおそれるのでございます。と申し上げますのは、輸出縫製業界は比較的に規模が大きうございますので、国内業者は三万数千軒ございますけれども、このしわがかりに内地にいった場合には、一社の転換のためには内地の何十、何百軒という工場に大きな影響を来たします。  そのような観点からいたしましても、アメリカの言っておる要求に対してはわれわれは断じてのむことができない。壁頭に申し上げましたとおりに、何もけんか腰で反対を言っておるのでも、あるいは反対のための反対を唱えておるのでもございません。筋を通して、ほんとうにインジュリーがあるのであれば、その資料をわれわれにいただいて、われわれも謙虚な気持ちでお聞きいたしましょう。しかも、アメリカがこしらえたガットの場で輸出国と輸入国とが十二分にお話し合いを申し上げましょうと言っておるにもかかわらず、何らその後確たる資料も出てきておらない現状でございます。  また最近、去る十九日にはケンドールという方が来られて、一年暫定処置として包括的な規制をしようじゃないかと、さながら業界同士が話をいたしておるがごとく新聞紙上で伝わっておりますけれども、私どもはこれは何ら関知いたしておりません。もしかりにあのような案をのむとしても、その中身が大事であって、先ほど申し上げましたとおりに、過去の綿製品で最も大きな打撃を受けたのは中小企業の業者であるのだ。中身もわからずして包括的にばく然としたものでやろうじゃないか、いい案じゃないかとおっしゃられても、私どもはそれをお受けすることはできないというのが現状でございます。ゆえに先般来、去る二十四日にも、この問題に対しまして報道機関からもいろいろお尋ねがありましたけれども、以上申し上げましたような観点から、中小企業とはいいながら、みずからが経営して、みずからの力において今日まで辛苦粒々築き上げられたる企業者が、しかも商売人が、米国の一方的輸入規制の法案すなわち法律に訴えられても、なおかつわれわれが反対せざるを得ないという理由は、あまりにも理不尽であり、あまりにも一方的ではないか、このような観点から私どもはあげて反対をいたしておるのであります。どうかこの心情を御理解願いまして、一段の御支援を賜わりますようお願いいたす次第でございます。
  133. 八田貞義

    八田委員長 次に、日本繊維労働組合連合会会長小口賢三君にお願いします。
  134. 小口賢三

    ○小口参考人 御紹介いただきました総評繊維労連の委員長の小口でございます。私は、中小企業並びに中小企業に働く労働者の立場から、この問題について考えておる点を以下申し述べまして、先生方の御批判を受けたいと思います。  この問題の見方と考え方について、特に経済の論理と政治の論理が複雑にからみ合っているというのがこの問題ではないかと思うのです。経済の論理から見て、谷口会長、宮崎参考人等の皆さん方がおっしゃるように、本来この問題はガット一般条項の適用問題として取り扱うべきである、こういうことについては総評として支持できます。特にこの問題がこじれましたのは、一つには沖繩問題の政治交渉の場で、産業全体の利害に関係あるような諸問題について佐藤・ニクソン会談で話し合いがなされた、このことは非常に重要だと私は思います。  それから、先ほど谷口参考人からも御発言がありましたように、綿製品協定の長い歴史がありまして、このことについて業界に深い不信感がある。これはアメリカに対してもあると同時に、日本の政府に対してもあるのです。その被害の実情については近藤参考人からお話があったとおりです。その限りにおいて私たちは、原則的にこの問題はガット一般協定の問題として扱うという態度で国会においても対処していただくことを前提として考えたいと思います。  しかし、ここは国会でございますので、多少問題を広げまして、これを政治の立場、政治の論理から見ますと、それだけでは済まない諸問題が背景にあるように私たちは思うのです。繊維産業は、日本は国際的に見て強い力を持っていますし、アメリカの内部では、繊維産業は国際的に追われている立場にあります。しかも、この問題は一面繊維の問題だけが焦点になっていますけれども、御承知のように、背景には、電気産業の問題あるいは鉄鋼の問題、板ガラスの問題、これらの問題が控えています。また自由化の措置について、私たちは、繊維の問題については自由化の原則を主張し得る立場にありますけれども、逆に、自動車、食料品加工、皮革製品等については、これをちょっと待ってほしいと言わざるを得ない立場にあります。この辺の次元の違った政治の論理が、たまたま外務省と通産省の立場の違いになるのではないだろうか、こう思うのです。  また、経済の論理からしましても、近藤参考人の御意見にありましたように、実はこの問題は、特に中小企業の立場から見ますと幾つかの諸問題があります。大手の場合は原糸を供給するという立場でありますので、フィラメントやステープルを工場から出しますと、あとの加工の問題につきましては、それぞれ中小の加工のメーカーが取り上げて自分たちの責任においてこれを製品化し、販売しています。したがって、規制の直接的な影響は直ちに中小企業の経営と労働者の雇用の問題にくるという一面があります。  それから、お手元に資料をお届けしましたが、大企業では現在東南アジアの各国に対する海外の資本投資をしています。これらの工場について、一部原料の輸出をすることも可能でありますけれども、中小企業の場合ですと、実は開発途上国からの二次製品加工の国内への輸入の問題について、たいへんに深刻な立場にあります。産地によっては、アメリカの繊維製品の輸出と並んで、開発途上国の輸入規制問題を死活の問題として考えています。この部分について見れば、日本の繊維業界は、一面でアメリカに対して自由原則を主張し、一面において開発途上国に対しては、輸入規制の問題で国会の皆さん方の御協力を得なければならないという立場にあります。もともと私たちは、貿易というのは、それ自身一つの教義、ことばの上の原則だけで長い歴史の上で推移してきてないと思っております。自由貿易の原則も、重商主義の長い資本主義の歴史の中から、これは一つの大義名分として進んでまいりましたけれども、アメリカがいま繊維産業が追われている立場、また開発途上国から日本の繊維産業の、とりわけ中小加工企業が追われている立場になりますと、本質的には貿易という問題は国の利益を守るという点に立って考える。筋論議だけでいかないそれらの諸問題はあろうかと思います。そういう意味において、繊維産業連盟の谷口さん、宮崎先輩の皆さん方が、業界全体の立場から、佐藤・ニクソン会談の政治的取引の条件や、かつての綿製品協定のにがい経験の上に立って、今日まで強く許せないという立場をおとりになっていることについて敬意を表したいと思います。  また、私たちは、戦後日米友好通商条約の中で、たいへんに不平等の条件に甘んじさせられてきています。したがって、いま繊維産業がこの問題についてき然たる態度をとることは、ある部分で、政府が今後の貿易、資本の自由化対策についてもう少し筋を通してほしい、そういう側面もあろうかと思います。この態度についても私たちは支持したいと思います。しかし、この問題は、いま三つの例をあげましたように、経済の論理と政治の論理が複雑にからみ合っておりますので、国会の場において対策を講じていただく場合については、双方を十分に含んでごらんいただきまして調整する必要があろうかと思います。特に政府においては、当面の対策と長期的な対策、それから貿易政策に関連した国内政策とのバランスの問題これらの問題について十分な御配慮をお願いしたいと思います。  総評、繊維労連として、それでは当面何を考えてほしいか、こういうことについて申し上げますと、お手元に届けました印刷物の三ページの「当面規制を求める措置」の中に触れております。要点を読み上げますと、いま申し上げましたように、アメリカの国務省から日本政府に対して向けられております合成繊維並びに毛製品の輸入規制問題については、ケネディラウンドを設定して貿易、資本の自由化を各国に迫っておる米国の立場と矛盾する。これは一般協定条項の適用問題として扱ってほしい。ただこの機会に、私たちは労働組合の立場で、単にその条項を求めるばかりでなくて、日本が世界二位の生産力を誇っていながら、労働時間は四十八時間、賃金は六百三十円から八百七十円という状態です、一日それだけの金額。これに対しましてアメリカの労働者は、一時間二ドル四十セント、法定最低賃金でも一ドル八十セントという状態です。これらのことを考えますと、このような低賃金、長労働時間が米国の繊維労働組合の批判を受ける事実は、私たちとしてはやはり無視できないと思います。その立場から労働基準法を日本の生産力に応じて改正することの必要性を強調したいと思います。  二番目は、現在毛及び合成繊維の問題が問題になっていますけれども、生糸輸入の問題も無視できません。これは保税加工の問題と、一つは鉄鋼、船舶、肥料、ブラント輸出の見返り品としての輸入がかなり多いのでございますけれども、すでに国内市場消費量の八%の生糸が輸入されています。これは今後、重化学工業製品の輸出増大に伴って、見返り品輸入の増大が需給均衡に重要な影響を与えることを心配しています。したがって私たちは、国内市場の供給不足量の補充的な輸入量のワク内に数量規制するとともに、国内市場の販売価格の決定も含めて、生糸の輸入取り扱いについては蚕糸事業団の活用の検討をお願いしたい。これが二番目です。  第三点は、中国からの絹ブラウス製品、香港、韓国からのシャツ布帛製品、メリヤスセーター、はだ着類、レース類等の無制限な輸入は、現在進行しておりますメリヤス業、縫製業の構造改善施策の効果を画餅に帰せしめる可能性があります。したがって、国内市場の撹乱作用を持たない範囲で秩序ある輸入数量と品目規制を講ずる措置を御検討願いたい。  第四点は、現在合成繊維と紡績資本の一部及びその関連企業が、台湾、香港、韓国、タイ、インドネシア等に資本輸出が進んでいます。これは将来の東南アジア市場の確保を名目としておりますけれども、現実には、当該進出国の国内消費力をこえた競合投資を生み出して、余剰生産物がかえって日本への輸出圧力となり、また、米国市場での日本製品との競合を生み出し、米国の輸入規制措置を強める結果となっている一面を否定できません。したがって、官庁及び国会の皆さん方にお願いしたいと思いますのは、各企業の資本輸出にあたって、市場協定、輸入規制、企業間の重複遊休投資の除去など、きびしい監督と規制措置をお願いしたい。  以上四点が、私たちとしてのこの問題に関する意見でございます。  以上申し上げて、私の意見等を終わります。(拍手)
  135. 八田貞義

    八田委員長 次に、全国繊維産業労働組合同盟調局長久村晋君にお願いいたします。
  136. 久村晋

    ○久村参考人 全繊同盟の久村と申します。  陳述の要旨につきましては、お手元にお配りさしていただきましたので、御参考にしていただきたいと思います。  ただいままで各参考人からいろいろ述べられておりますので、重複するところは避けながら、全繊同盟としての考え方を申し述べさしていただきたいと思います。  まず、お手元の要旨の第一点につきましては、すでに御高承のことでございますので、省略さしていただきます。  私ども全繊同盟の基本的な態度といたしましては、高質金高生産性という立場に立ちまして運動を展開いたしておりますが、今回米国から提案されております内容を見てまいりますと、いろいろな角度から判断いたしましても、インジュリーはないというふうに考えております。  その主要な点につきましてまず申し述べさしていただきますならば、まず第一に、一九六八年の米国におきますところの繊維品の消費に占めます輸入の比率は七・七%程度でございます。さらにまた化合繊の分野におきましては、その輸入比率は三・二%になっておりまして、日本からの輸入の比率としては一%程度にしか過ぎない数字になっております。  第二の点といたしましては、米国の化合繊は、一九六八年におきましては、世界生産の大体三〇%になっております。合繊だけについて見ますと、四〇%というシェアになっておりまして、さらにこれらの企業が海外に資本進出いたしまして、その力は輸入規制を行なわなければならないというような状態ではないと考えます。  第三の点といたしましては、最近の繊維産業の売り上げ高、利益はともに伸びております。さらに雇用者の数にいたしましては、一九六二年に二百十七万人であったものが、一九六九年の六月におきましては二百四十五万人というふうに増大をいたしております。さらに賃金の上昇率をながめてまいりましても、六二年から六八年まで、製造業が四・四%程度であるにもかかわらず、繊維産業におきましては五・四%というふうにふえております。その他、失業にいたしましても減少しております。レイオフも他の製造業に比べまして少なくなっております。さらに倒産も減っておる。このような状態におきまして被害があるというふうには、私たちはどうしても考えられません。そのような点から、インジュリーのないところには規制がないという考え方はやはり貫いていただきたい、このように考えます。国会におかれましても、決議をなさっていただいておりますので、ぜひともこのような考え方をとっていただきたいと思います。  なお、私たちは、後ほど述べさしていただきますが、この問題が非常に大きな影響が与えられるというふうに判断いたしまして、数次にわたりました大衆行動、あるいは佐藤総理、愛知外務大臣、宮澤通産大臣、野原労働大臣等にも、お目にかかりまして、米国の不条理な要求には絶対に屈しないように、今日まで訴え続けてまいりました。また本日も、各地におきまして、私ども五十五万の組合員とその関係者等集まりまして、百万人集会を行ないまして、その決議を持ち寄りました。それはすなわち、日米の繊維交渉を即時中止してもらいたいという要求でございまして、本日、各地からそれぞれの代表者が数千人集まりまして、大集会を行ないまして、ただいま請願運動を行なっておるような状態でございます。  次に、米国の自主規制をもし受け入れた場合にどのような影響があるかという点につきまして、申し述べさしていただきたいと思います。  まず第一に、私たち繊維産業に従事する労働者に非常に大きな影響があると思います。それは、繊維産業の雇用労働者は約百七十万人でございます。これに繊維関係に従事される家内労働者、統計上把握されておる数字だけでも七十四万人を加えますと、生産関係労働者のみだけで二百五十万人の労働者がおります。一九六九年、昨年のわが国の繊維生産量は、内需ほぼ四十三億ドル、輸出二十億ドル、合計六十三億ドル程度となっておるというふうに聞いております。さらにアメリカへの毛、化合繊の直接輸出は三億五千万ドルである。最近の伸び率が大体年平均一五%程度であるのではなかろうか。そのような前提に立って、今回の米国の提案、すなわち六九年実績の約五%減を受け入れました場合には、間接輸出等含めまして大体一億ドルぐらいになるのではなかろうかというふうにいわれております。これらの数字から、直接雇用労働者への失業の問題、あるいは家内労働者の失職というような点を試算してみますならば、約四万人程度が影響があるというふうに考えられます。  このような状態におきまして、米国の不条理な要求、ニクソン大統領の選挙公約を果たすというような、こそくな理由から出たものを受けました場合には、家族を含めますと十数万人の生活不安が惹起されるのではないだろうかと懸念をいたします。特にわが国の繊維産業の場合には、大企業と多数の中小企業、しかも零細資本による企業群並びに家内労働者がそのすそ野に広がっておるという点、及び産地を形成しておるという構造を持っております。したがいまして、このような点を考えますならば、中小零細企業にしわ寄せがされ、さらにまたこの地域社会の混乱というような点も懸念されるのではないだろうかと考えます。そうしまして、一方また、そのような混乱が生まれますならば、国内の市場におきましても過当競争が招来され、その結果、企業業績の低下あるいは倒産というようなことになりますと、労働条件の安定的な向上を考えております私ども全繊同盟といたしましては、きわめて重大な阻害要因になるのではないだろうか、このように考えます。  それから第二の点といたしましては、発展途上諸国の追い上げその他によりまして、体質強化のために、現在それぞれの業界におきまして構造改善政策が実施をされております。はたしてこの構造改善政策の計画とこの輸入規制問題というのはどのようになるのか。この推移いかんによりましては、今後の構造改善政策自体が非常に問題になりまして、多額の資金が投入されておるような点におきまして、非常に問題点が残るのではないだろうかと思います。さらに、すでにもうこのような影響を受けまして、数多くの産地におきましては、発注量の減少であるとか、あるいは加工賃のダウンというような点から、急速に不況が浸透しつつある、このように見られております。  第三には、この問題の処理につきまして、先ほどからいろいろ述べられておりますが、開発途上国に対しまして、開発途上国は、繊維産業が、テークオフをする場合の大きな産業としてそれぞれが持っております。で、これらに対しますところの影響というものは、非常に重大な問題になるのではないだろうかと思います。さらに、これも述べられておりますので簡単にさせていただきますが、世界経済の拡大発展のためには、このようなことが行なわれるならば、他の業種等におきましても、いろいろと問題が出るのではなかろうかと思います。  さらに、非常に重要な問題といたしましては、私どもは米国に対しまして、この日米関係というものをどのように見るべきかという問題があろうと思います。私どもは、昨年の七月末にこのような問題が出ましたときに、繊維の労働組合四団体に対しまして、問題点を討議しようではないかという呼びかけを行ないました。しかしながら、繊維の四組合からは連名で、いまそのようなことを話し合うべき時期ではないという回答が出てまいりました。それは国際的な労働組合の執行委員会の場で論議をしようではないか。したがいまして、たまたま昨年の九月の十五日から十六日にかけまして、国際繊維の執行委員会が開催されましたので、アメリカの繊維の労働組合の代表者三名が執行委員になっておりますので、当然出てくるというふうに見ておりましたところが、欠席をいたしまして、結局その国際繊維の執行委員会の場でも話し合うことができなかった。しかしながら、われわれは今後とも労働組合は労働組合のベースとしても話し合いを続けまして、反省を求めてまいりたい、このように考えております。  以上、幾多の点申し上げましたが、私どもは、政府は国会の決議を守っていただくとともに、いろいろ数多く先ほどの参考人等からも申しておられましたように、いろいろな問題のあるこの二国間の交渉を即刻中止をしていただきまして、ガットの場で協議をいただきますように強くお願いをいたしたいと思います。ありがとうございました。(拍手)     ―――――――――――――
  137. 八田貞義

    八田委員長 続いて質疑を行ないます。  申し出がありまするので、順次これを許します。武藤嘉文君。
  138. 武藤嘉文

    ○武藤委員 私は、この間、谷口、宮崎両参考人にお越しいただきましたときにもお話を承りましたので、きょうはそれ以降に起きたいろいろの事象を、この際にお尋ねをいたしたいことと、二、三いまお話しございました御意見に対しても、少しお話を承りたいと思います。  それで第一点は、いわゆるケンドール試案というものがいろいろと新聞紙上をにぎわしたわけでございますけれども、私ども実際、どこでどういう人たちによってあの案がつくられたのか、実は真相がわからないわけでございます。新聞によれば、ダニエルスさんも多少参画をしたんじゃなかろうか。あるいはダニエルスさんは参画をしていないかもしれない。マクニールが、いろいろと国務省の人たち意見、商務省というよりはどちらかという国務省の人の意見を聞いて、しかもアメリカにある日本の大使館とも気脈を通じてでき上がったんだろう。こういうのがよく新聞にいわれているところでございますが、私、その辺がよくわからないので、特にダニエルスさんが参画をしておったのかどうか。あるいはダニエルスさんが実際全然知らなかったのか。その辺のところは、一応ダニエルスさんが業界の顧問弁護士であるだけに、業界の方にお聞きをしたならばわかるのではなかろうか、私はこう思っておりましたので、その辺、少しおわかりになっておりましたら、ひとつお答えを願いたいと思います。谷口さんか宮崎さんどちらでもけっこうであります。
  139. 宮崎輝

    ○宮崎参考人 新聞紙等でもいろいろいわれておりますのですが、弁護士さんというものは非常に口がかとうございます。実はダニエルスさんを雇っておるのは毛・麻の組合が初めてでありまして、その次、私どもがいまから二年ばかり前にリテインしたのでありますが、私も感心しますのは、相手方から聞いた話でもコンフィデンシャルだと言われたならば、彼らは絶対言いませんね。ですから私どもが言ったことも、おそらく同様に言わないのでしょう。ですから実は私も、先生と同じように非常に疑問を持っているのです。  あの案はどこでできたのだろう、そしてどの程度の人がタッチしたのだろうかということでありますけれども、これは、新聞者の記者なりあるいは週刊誌あたりの人は非常に興味を持れたるでしょうけれども、私どもはそういうことを聞く立場にございません。私どもとしては問題は、あれは政府の提案なのかどうか。つまりほんとうに試案なのかどうかという点が非常に大事でありまして、やはりこれは試案だということでありますが、そういう意味におきまして、大体いまお聞きになったようなことを、私どもとしては聞く筋ではございませんし、そしてまた聞いても言いませんので、想像したことを申し上げのは、非常にあとで問題を起こしますし、非礼になりますから、その点ひとつごかんべんをいただきたいと思います。
  140. 武藤嘉文

    ○武藤委員 そういたしますと、少なくとも日本の業界は、これに対しては全く関知をしておられなかったのか、その点はどうですか。
  141. 宮崎輝

    ○宮崎参考人 これははっきり申し上げます。全く関知しておりません。
  142. 武藤嘉文

    ○武藤委員 この間たしかダニエルスさんは日本へ来られたと聞いておりますけれども、その日本へダニエルスさんが来られたのが事実とすれば、当然業界の方にもお目にかかっておられると思います。それが事実であったとした場合、ダニエルスさんが日本に来られたときに、何か業界に対して、アメリカの国内の状況から判断をされて、サゼスチョンみたいなものがあったのかどうか。もし何かあったならばお聞かせをいただければ幸いだと思います。
  143. 谷口豊三郎

    ○谷口参考人 私の承知しております範囲内では、これは先ほど宮崎さんからおっしゃったように、日本の化繊協会、それから毛・麻組合のロビーストでおられますので、どういうふうに考えているのか、最近の日本の状況を身をもって知りたいということでいらっしゃったと聞いております。その関係から、連盟の会長の谷口にも一ぺん会って感触を聞きたいということで、お話をいたしました。弁護士さんですから、アメリカの状況をお話になって、議会が非常にむずかしいというような話もおっしゃっておりましたが、私は、まあLTAの状態から常々申しておることをお話ししまして、一体アメリカが自由貿易でいくのかどうか、それをまずはっきりしてもらいたい。アメリカの自由貿易というのは一体こういうものだという形を示すならば、それも一つの行き方かもしれません。しかし、手放しで片一方で自由化をやかましく言いながら、これは別だとおっしゃるのではどうもぐあいが悪い。その点を私らは非常に問題にしているわけなんだ。ですから、LTAの状態、国内の状態で、世界の自由貿易というものはこういう形でやりたいのだ、だから自分も、こういうことを日本に希望するかわりに、あなた方のそういう面についてもわれわれは受け入れる用意があるのだ。世界の自由貿易はこういう形でやりましょうということなら、また話は別だけれども、アメリカはもうあくまで自由貿易の線でやるんだ、これだけは別だというのでは、何としてもそれは困るという話を強く私は申しておきました、おそらくダニエルスさんは、アメリカで考えておられたよりも以上に、われわれの考えが非常に強いのだという印象を受けて帰られたんじゃないかと想像しておりますのですが、向こうはそういう職掌柄ですから、こういうふうにしたらどうだとか、ああいうふうにしたらどうだとかいうことを、別におっしゃいません。これは、私のほうから聞けば言われるかもしれませんが、あまりそういうことは、私の立場として聞くべきじゃないと思って、そう深入りはしておりません。そういうことでございます。
  144. 武藤嘉文

    ○武藤委員 次に、先ほどのお話のとおり、非常にどこからどう出てきたのかわからないそのケンドール案というもの、確かに私どもはあれを新聞紙上で読ませていただいておりましたが、多国間協定に持っていかなければ発効しないだとか、あるいは、たしか十二カ月、それから二カ月ということで、最終的には十四カ月で期限を切るんだとか、多少なりとも妥協をしたらどうだろうか、妥協の余地がありますよという、片方には非常に甘い汁を吸わせるような案であり、また一方においては非常にいろいろの落とし穴を考え、しかも全体の包括規制ということで、先ほどからお話がございましたとおり、このLTAのことから考えると、非常に警戒をすべき案であると私、新聞で読んだわけでございますけれども、とにかく包括規制であることには間違いがない。そういう面から、あの案は業界でも御納得がいただかなかった。どういう方向で業界にお話が行ったのか私わかりませんが、新聞では、それに対しては拒否をされた、逆にまたアメリカの業界もこれは拒否をした、こういう新聞報道が伝えられております。これも先ほどの谷口参考人のお話のように、どういうふうに新聞が書かれておるのか、何かアメリカ側から撹乱をするために書かれておるのか、私よくわかりませんが、とにかくそういうことでございます。  そこで、それはそれといたしまして、これも新聞で私の承知しております限りでございますが、今後新しい提案がアメリカからなされないままに、きょう繊維局長もいらっしゃっておられますから、場合によれば繊維局長からも承りたいのですが、日本の政府が、ひとつ何とかこの際おさめるために、多少ケンドール試案を参考にして一つの案をつくるんじゃなかろうか、こういうことも──これも新聞で私は承知をしておる限りでございますが、、もしそういう案を政府が考え出した場合、非公式にいたしましても、皆さんのほうへ、そういうことでどうだろうかという接触がありました場合には、少なくともそれが包括規制である限りにおいては、いわゆるガットの精神であるところの、先ほどお話のあったように、インジュリーのあるもの、あるいはインジュリーのおそれのあるもの、こういうものは別といたしまして、それ以外のものまですべてを含めたような規制である点においては、業界としては、当然受け入れられないとはっきりとそれはお断わりになると思いますけれども、その点についていま一度、くどいようでございますが、お気持ちを承りたいと思います。
  145. 谷口豊三郎

    ○谷口参考人 仮定のお話にお答えしますのはなかなかずかしいと思いますが、これはこの前にも申し上げましたように、私たちこういう問題をいつまでも意地っぱりでやるべきじゃないと思います。また、ちゃんとなるべくこういう──まあいわば前向きの姿勢じゃなしに、考えてみれば非常にばかばかしいような気もいたしますのですが、しかし、そういう問題はなるべく早く片づけて、両国が親善関係になって、もっと前向きの姿勢でものを考えていくということが非常に好ましいことだということは、十分に承知しております。しかし、あとあとまでに非常に尾を引くような問題、あるいはそれがために全般に非常に阻害するような問題の解決は、あってはならないと思います。そういうことですから、政府のほうでも、もちろん議会の決議があることでございますし、そういうものはもちろんお考えになるはずはないと思いますので、私もそういう点で、そういうものは出ましても、ちょっと、さようでございますかというわけにはまいらないと思います。そういうつもりでおりますのでございます。
  146. 武藤嘉文

    ○武藤委員 この点ひとつ繊維局長から、何かもし政府でそういう考え方がいまあるのならばお聞かせいただきたいと思うし、もしなければないでけっこうでございます。ちょっとお答えいただきたいと思います。
  147. 三宅幸夫

    ○三宅政府委員 日米間の折衝は、三月の九日に手交いたしましたエードメモワール並びに三月十七日に訓令を出しました追加説明をもって、日本政府の態度はその後動いておりません。その後向こうから正式の回答もございませんが、情報によれば、日本側の提案についてははなはだ不満足である、きつい反対があるということは情報として入っておりますが、その後、全然向こう側からの正式回答も提案もございません。昨今一部の新聞で、政府筋からの情報が出たという記事を見ましたけれども、私ども通産省といたしましては、何ら関知した事実もございませんし、新聞の誤報かどうかは、これは新聞の問題でございますから私から申し上げませんが、繊維雑貨局長といたしましては、三月九日並びに十七日に出したのが日本政府の現在における基本的な態度である、かように考えております。
  148. 武藤嘉文

    ○武藤委員 その辺、たいへん恐縮でございますが、そうなると通産省としては、そういう問題、新しい案を政府でつくろうというような動きは、少なくともきょうまでのところは全然ない、こう判断していいわけでございますか。
  149. 三宅幸夫

    ○三宅政府委員 ケンドール試案の提示といいますか、アウトラインが通産大臣に示されたときにも、通産大臣は、日本側の考え方の本体論はケンドールは理解してくれたけれども、一年とにかくつなぎであるとはいえ包括規制を含んでおる点において、政府としては反対である、受け入れがたいということを、はっきり申し述べられたと聞いております。
  150. 武藤嘉文

    ○武藤委員 時間がないから、あんまりこの問題で押し問答しておりますと、かえって御迷惑をかけますし、またほかの委員からもお話があろうかと思いますから。  次に、先ほども小口さんのお話にもございましたが、いろいろと沖繩問題との密約説、これがあったのだ、こういうお話でございます。この点については、私もいろいろこれも新聞で聞いておる範囲でございまして、それがあったのかないのかよく存じません。総理の答弁も、あったようなないようなはっきりしない答弁でございますから、それはそれといたしまして、私一つ業界の心がまえとしてぜひ聞いておきたいと思いますことは、このいろいろの問題がもめるのがいつまで続くのかわかりませんが、現在の事態においては、とにかく日本の繊維産業界は、先ほど承りますように、筋の通らないものに対しては妥協をしない、また、政府もそういう筋の通らないものはお出しにならないだろう、こういうお考え方であるわけでございます。しかしながら、外交というのはどういう形に進むか私はよくわからない。場合によれば、どういう方向へ行くかもしれないと思います。そこで、たとえば佐藤総理御自身が正式にでも日本の繊維産業界に対して、実は沖繩の返還の問題でおれは一生懸命努力をしたけれども、そのときにはニクソンにたいへんお世話になったから、ひとつこの際繊維業界、おれの言うことを聞いて今度はひとつ話に乗ってくれないか、こう言って、万が一にも佐藤総理からいつかの機会にそういうお話が出たとした場合、一体業界はそういう場合でも、やはり筋の通らないものであるから、それは総理、いかに総理のお話でも、これは筋の通らないものを妥協いたしますと、先ほどのお話のようにいろいろな面に影響してまいりますと、アメリカとのフレンドシップという意味においても、必ずしもそれは正しいものではないし、あるいは開発途上国なりEECなりイギリスとの間の関係も悪くなるし、国内は国内でこれはたいへんな問題でございますから、それは困りますと、こういう形ではっきりお断わりをやはりされるものかどうか。その辺ももし聞かしていただければ、私は聞かしておいていただきますと、非常にありがたいと思うのでございます。
  151. 谷口豊三郎

    ○谷口参考人 たいへんきわどい御質問でございますのですが、一体そういうことは起こり得るのでございましょうか。(武藤委員「万が一ということで」と呼ぶ)万が一という問題でございましたら、ちょっとお答えすること自身、非常に失礼にもあたるのじゃないかと思いますので、私たちは、まあ日本の総理であり、議会の決議もございますし、再三にわたってお話しになっており、世界の注目の中でのことでございますから、そんなそつのあるようなことは、万一といえどもおやりになるはずはないと、またそういうことをさせたんじゃまずいんじゃないかと思いますが、そういうはずはないと私は信じておりますので、賢明な皆さん方のなにでございますので、一体国会はそういう場合、もしもおっしゃったら、国会の決議は一体どうなさいますのでございましょう。
  152. 武藤嘉文

    ○武藤委員 たいへんありがたいおことばを承りまして、私どもは国会で決議をいたしておりますので、当然この国会の決議が尊重されるべきものであると、こういうふうに考えております。それですから、私がちょっといま申し上げましたのは、国会開会中にはそういう問題は起きないと思うのです。ですから、この問題がこじれるというか、この問題がいつまでも長引きまして、アメリカも手を引かない、日本もなかなかおいそれと妥協はできない、そして国会が終わった。そして国会が終わってしばらくしてからこういう問題が起きてきた場合に、私ともたいへん――私自身は、非常に心配をいたしましてその問題を承ったわけでございますが、いまのおことばを聞いておりまして、とにかくそういうことは起こり得ない、万が一にも起こるということはあり得ないだろう、こういうお考え方かと思いますので、私どもも、そういうことを体しまして、今後ともやっていきたいと思います。  それから次に、私、小口さんのお話を聞いておりまして、これは総評という立場と私どもの立場とは多少考え方が違うかと思います。しかしながら、ぜひ御理解を私いただいておきたいと思いますのは、先ほどのお話を聞いておりまして、総評の立場からはこの繊維の問題は筋論でいく。あくまでもそういう被害のないものの規制ということはけしからぬ、こういうことでがんばっていきたいけれども、一方において、たとえば開発途上国からの輸入規制というものは何とかしてもらいたいというお話、あるいはほかの産業の自由化というものについてはできるだけおくらせていくべきではなかろうか、こういうお話がございました。私はこの点は、確かに貿易は国益の立場ということもよくわかりますけれども、しかし、そういう意見をあまり強く出しますと、いまアメリカも、それではおれのほうも国益だから、結局ほかのものは自由化するけれども、繊維だけはこれは国益上困るのだ、こういう意見を、私は逆の立場からいくと認めざるを得ないことになりはしないか。ですから総評のお立場はよくわかりますけれども、あまりそれを強くお出しをいただくと、これは、アメリカに対して強く私どもが言う立場においての強さが弱まるような感じを私、起こしましたので、その点、何か御意見ございましたら。私は立場が、あくまでも日本の国益というものは、開放経済体制の中におって、そして日本の貿易を自由化し、どんどん貿易量をふやすことによって日本は栄えていくのだ、こういう立場を私はとっておるのですから、よけいこういうことを申し上げるのかもしれませんけれども、もし何かそういう点、私の言ったことに対して御意見があれば承っておきたいと思います。
  153. 小口賢三

    ○小口参考人 お答えいたします。  時間が足りませんでしたので、少し寸足らずのところがあったかと思いますが、私たちも、の体制下で貿易の自由化全体をまっこうから反対しておるわけではありません。そういう意味ではこの種問題についても、原則的に、自由化というものについて経済の合理性に立ってものを進めるべきであるということについては、そういう立場をとっておりますが、先ほど強調しましたのは、実は繊維の問題だけはたいへんに筋論議で事が進みやすいのですけれども、国内全体の諸産業を取り巻くそうでない問題がたくさんある。そういう問題について政府は、長期的に貿易、資本の自由化対策がきまっていないために、たまたまニクソン会談などにおいて、特定産業の利益にちょろりとやられるようなことになる。私たちはそういうことは困る。  それから、もう一点言いたかったのは、もちろん、現在の繊維製品の輸出について一番大きな市場はアメリカでござまいすけれども、同時に中小企業の製品との関係では、開発途上国との製品の輸入の問題は、最も長期的な意味において無視できない。したがってこの問題は、対ワシントンの問題以外に、それら開発途上国との輸入規制品問題も、この問題に長期的に含めてお考えいただく視野というものを十分にとっていただきたい。この点を言いたかったわけです。以上です。
  154. 武藤嘉文

    ○武藤委員 時間がないからやめます。
  155. 八田貞義

  156. 加藤清二

    加藤(清)委員 お許しを得まして、要点をかいつまんで四点ばかりお尋ねしたいと存じます。まだ中村委員はじめ同志の皆さんからたくさん質問があるようでございますので、簡潔に質問いたします。  第一番、大統領が選挙に公約をした、それをアメリカ国内で実行に移したいという話ならばよくわかりますが、外国にこれをやらせるということはいかがなものでございましょうか。私どもの感覚からいきますと、明らかにこれは内政干渉である。もしそれが許されるならば、私どもがつい最近において行ないました総選挙に公約したことを、アメリカに向けて実行を迫るということができるはずでございます。一歩を譲りまして、ほんとうにアメリカの大統領が、しかもこれは国全体ではない、一部業界に向かって公約したことなんです。それを日本の総理大臣が実行に移さなければならないともしするならば、日本の総理大臣は、自分の国に向かって公約したことをまず実行に移すべきだと思う。たとえば第一番に、総理は、さきの国会でも何回も、選挙資金規正法は出します、こういっておる。ところが、それはしていない。児童手当はつけます、こう言っておる。ところが今度の予算にはついていない。物価は抑制いたします、こう言っておる。ところが、物価はインフレぎみでどんどん上げられているし、公共料金みずからが上げられている。アメリカの大統領の公約が先であるか、日本の総理大臣が日本で公約したことを実行に移すことが先であるか。これはいずれ後ほど関係大臣や総理にも聞きたいと思いますが、国民の皆さまはどっちが先だとお考えでございましょうか。国民の代表、業界の代表の皆さんにまず承りたい。
  157. 宮崎輝

    ○宮崎参考人 これはもちろん私ども同感でございまして、公約というのは実行し得ることを公約するのだということでございまして、ただもう国内でやられることは実行できることでありますから、これは先にやられるのは当然だと思います。私どもも、ニクソン大統領の公約でいつも言うのでありますが、ともかく、君は、自分の友人がどうもたばこをのみ過ぎて困る、あいつ肺ガンになるかもしれぬ、だから医者に向かって、あの友だちが禁煙することを約束しますよというようなものですね、これは。ですから、おっしゃるとおり、日本を拘束する、あるいは日本以外の国を拘束することを公約せられたからといって、日本のわれわれ業界がこれに縛られるということは、これは全く論外でございまして、日本は独立国でありますから、あくまで独立国として処理していくべきだ。むしろ公約は、たとえばアメリカでできる援助条項というようなものを適用して、アメリカの困った産業は救済する。あるいは構造改善をやって競争力をつける。これは、セブンポイントにも第一項に、やると書いてあるのですから。というようなことでありまして、それ以外の公約に日本が縛られることは、これは常識上もあり得ないことだというふうに考えるのは、先生方と同様でございます。
  158. 加藤清二

    加藤(清)委員 労働界の皆さん、どうお考えでしょうか、同じ問題で。どなたでもいいですか
  159. 久村晋

    ○久村参考人 ただいま先生が申されましたのと同様な見解に私どもは立っております。やはり国内の問題は国内で先に解決すべきのが筋である、このように思います。
  160. 加藤清二

    加藤(清)委員 ケネディさんもセブンポイントのお約束を大統領立候補にあたってなさったようでございます。しかし、あの場合は、国内で行なえることをまず先にやられたのでございます。たとえばコットンファーマーに対する施策として、加工業者に二割のさやを補助金として与える。みずからやれることをやって、自分の国でやれることをやって、次に外国にもお願いするという態度をとられたのですが、私は、当然そうあってしかるべきであり、大国、世界の指導者、世界の経済の先頭を行くアメリカの大統領としては当然そうあらねばならぬ。だからこそ、大統領のことばだからといったって、約束だからといったって、われわれと約束したのではないのですから、そんなことに左右される必要はつゆさらない、かような考えでございます。  次にお尋ねしたいことは、いわゆる世にいうところのケンドール案でございます。これも私はまことにふかしぎ千万きわまることであると存じております。一体日本政府は何をやっておるかと、外務大臣に必ずこれはあとで尋ねます。通産大臣にも尋ねます。なぜかならば、この交渉が始まって、先ほど三宅繊維局長も発表されましたように、第一次案、第二次案と交渉が進んで、第二次案に対して日本は拒否している。その答えはまだ向こうから何にも答えられていない。そのやさきに、あるいは向こうの商務長官であるとか、あるいは国務長官が来て、いや、それは抜きにしておいてこの問題を相談してくれとおっしゃるなら、これは話がわかる。まあ、ケンドールさんという人もりっぱな人に違いない。貿易のベテランには違いない。しかし、繊維のことについては、失礼ながら専門家とは言いがたい。非常に矛盾しておる。そういう人の案をなぜそんなに喧伝し、そんなに引きずり回されなければならぬか。まるでケンドール旋風なんですね。特に外務省は、一体自分の国が――通産省と外務省とでよく協議して、そして出した案を、それを答えもないうちから、なぜ別なものに取りつかなければならぬか。だから世の中では、ケンドール案とは外務省案である、ケンドールの口をかりて、わざわざ外務省が日本に招聘して、そしてケンドールに言わせておるんだといううわさまでが立ってくるわけです。そうまでしてなぜ下田を助けなければならないのか。下田さんは、それは人質になっているから、これはやむを得ぬでございましょう、向こうの言い分を聞くのは。しかし、とりでに行って人質になっている人のことを、本丸にいる一番大将までがなぜ聞かなければならぬのでございましょう。業界方々としては、こういうことをどう考えてみえるのか。  次にもう一点は、もしほんとうに百歩譲ってケンドール案がよいとしても、ケンドールさんがそれをおっしゃるということはちといただきかねることがございます。なぜかならば、特に通産省、聞いてもらいたい。あそこはペプシコーラと聞いておる。ペプシコーラやコカコーラは日本へ上陸してきて一体何をおやりになったのです。おかげで日本のラムネとかミカン水とかサイダーというものはどうなったのです。全部つぶれちゃったのでしょう。日本の清涼飲料水を全部つぶしてしまったその男が、アメリカの全消費に占めるわずか三日分や四日分の日本の輸出でもって、それでけしからぬから一年間しんぼうしてくれ。冗談言っちゃ困りますよ。それだったら、日本の清涼飲料水組合は何と言ったらいいのです。ラムネ屋はぶっ倒れました。ミカン水屋もぶっ倒れました。サイダー屋もほとんどだめになっちゃったのです。いまや清涼飲料水はみんなコーラ、コーラでございましょう。それだったら、名のいうとおり、すかっとさわやかにやってもらいたいものです。こっちはすかっと切ればいいのですよ、そんなものは。なぜそんなことを聞かなければならぬか。こういう問題について、業界の代表に特にお尋ねしたいのは、第二次布帛加工の輸出、これは中小企業が多いからでございます。日本の清涼飲料水がやられたと同じような運命になってはたいへんでございますから、ひとつぜひそこをお尋ねしたいのでございます。
  161. 近藤駒太郎

    ○近藤参考人 ただいまの先生の御質問、もっともと思います。私どもは、先ほども申し上げましたとおりに、ケンドールさんが来られて、あの案を提示されて、一部に業界同士が話をしておるというようなことが新聞紙上に伝えられまして、実は業界内部におきましても非常な不信感を買ったということがあった。私、二十三日の夜急遽上京いたしまして、その実態調査いたしましたのですが、実質的には、われわれの業界の、本日御出席の谷口参考人はじめ宮崎さんも何ら御承知がなかったということ。しかし、不明朗なあのような案を日本に出されてきて、どなたかが聞かれたということ自体が私は間違っておるんだと思う。しかもアメリカの政府、あるいはアメリカの業界からあの提案が出てきたならばまだしものこと、先ほど局長もおっしゃられたように、九日あるいは十七日に追加資料も出されておる。私どもの新聞で拝見いたしておりますのは、公文書でもってアメリカ政府に伝達いたしておるということをお聞きしておるのでございますけれども、しかるに、アメリカ政府からそれに対する返事は、 口頭でもって拒否する、このようなことであって、たとえわれわれ中小企業とはいいながら、公文書でいただいた書類に対しては必ずや公文書でもってお返事するというのが商習慣でございます。まして国の外交たるべきものは、公文書で出されたものを口頭でもって一方的に拒否され、しかも、わけのわからないようなケンドール案というようなものを持ってこられて、その上にわれわれ業界が何らか裏取引をしておるんじゃないかというような誤解を招くおそれが当時あったのでございますけれども、実態は絶対にそういうことはございません。もしかりにそういうことがありとすれば、私劈頭に申し上げましたとおりに、虚心たんかい、この不明朗さをなくして、実はかようかくかくしかじかであるのだから何か御協力願えませんかということを、正々堂々とわが国の業界に申し入れがなかったということに対しましてまことに私は残念だ、かように思っておる次第でございます。
  162. 加藤清二

    加藤(清)委員 わかりました。私も同感でございます。被害のないところに規制があるはずはありません。もし規制をしようとすれば、それはガットの場で行なうということが、これはもう世界の常識でございます。その常識をこちらは譲って、被害があたっら御相談に応じましょうと、こう二歩も三歩も譲った話なんだ。それをまた譲るなんということは、もはや自分を卑下し、日本の経済を転落させるそれ以外の何ものでもない。したがって、布帛加工関係の業界も、あげて一致してこの基本線には変わりない、こう受け取ってよろしゅうございますね。――わかりました。じゃ次にお尋ねいたします。  日本は繊維産業を大事にする、尊重するがゆえに、通産省の中におきましても、銘柄別に局のあるのは繊維と石炭でございます。特別に尊重するからだ。なぜ尊重するかといえば、その繊維と石炭が日本経済の生みの親だからなんです。斜陽だの何だのと申しますけれども、今日の日本経済の中において、糸へんを除外してひとり立ちで大きゅうなってきたなんていう業界は、どこにもありません。今日といえども、大なり小なり糸へんの恩恵をこうむって日本経済が育ってきたものだと思います。そのゆえにこそ、今度は千六百億も使って特別措置をして、繊維構造改善をやろうとしているわけでございます。  しかしこの構造改善が、先ほどの労組代表からもお話がございましたように、遅々として進んでいない。それは必要ないからではない。必要があるけれども、業界に金がない。特に機屋さん関係に金がない。安い金利の金を与えてやってもそれを食う余力がない。それにマッチする機械がまだ開発されていない。いろいろございますけれども、もし一、ここでこの規制が行なわれた、理不尽に政府が後退して、やむなく政府が目をつぶってこれをのんだということに相なりますると、私はこの構造改善にたいへんな影響があると思います。この意味において業界皆さんに、一体構造改善はこのままでうまくいけるでしょうか。プラス、アメリカ規制ということになったら、ほんとうにこの構造改善が行なえるでしょうか。三宅局長にも承りたい。
  163. 谷口豊三郎

    ○谷口参考人 構造改善問題というのは、ちょうど私が紡績協会の委員長の時分に、お願いして通していただきました法案でございます。あれはどうしてもうまくやっていただきたいという強い念願でございます。しかし、いろいろむずかしい問題──これはもう業界自体が、そういうむずかしい問題をかかえておりますので、すぐにあすの日からてきぱきやれるということは、ずいぶん大ぜいの方がそれぞれの立場で、いろいろ利害関係がございましておやりになっていることでございますから、なかなかそうはまいらないと思いますが、しかし、これはやはり根気強く、そういう御指導と皆さんの自覚というものによってそうやらなければ、あとあと非常にむずかしい問題になるということだと思いますので、ただいままでのところ、一部成功しておるものもたくさんあると思います。しかし、また思ったようにもいかないという点もたくさんあるように思いますが、これはあんまり短気にお考えくださいませんで、ひとつ根気よく御支援を願いたいと思います。ことに先生がおっしゃった低利の金、そういうものはできるだけひとつ、もう少しはずんでいただきますと、さらにそれがやりやすい。  それからまた業界皆さん方も、あまり甘い考えでこれをお考えになることは間違いじゃないか。やはり時勢の進運に応じて自分らは共同してものをやっていこう、自分だけうまいことをするのじゃなしに、共同してやっていこうというような考え方が先に立ちませんと、やはりむずかしいんじゃないかというふうに思います。これは何しろ、日本の業界の非常に多岐にわたった部面、それ全部をカバーして、それをうまく近代化しようということですから、いわば中小企業問題のほとんど見本といいますか、全部をカバーしているような問題でございますし、これができ上がれば、それは非常にぐあいのいいことになりますので、ひとつ根気よくやっていただきたいということを切にお願いいたしたいと思います。
  164. 三宅幸夫

    ○三宅政府委員 構造改善が遅々として進まないというお小言をいただきましたが、確かに関連機械の開発面で若干手おくれがありましたり、あるいは全国的に中小企業の各階層に構造改善の意識が浸透するのがおくれまして、当初計画から見ますとおくれておりますが、本年度御審議いただいております予算でも相当の増額を予定しておりますし、私といたしましては、全力を尽くして、従来から特繊法によります構造改善、並びに四十五年度におきましては、輸出縫製、あるいは綿糸、あるいはタオルといったような新しい業種についても、構造改善を近代化促進法によりまして大いに加速化していきたい、かように念願しておった次第でございますし、またその決心はいまだに変わっておりません。  ただ、この構造改善というのは、一部でアメリカでいわれておりますような、いわゆるアジャストメントアシスタントというのではなくて、内外の経済条件を予見的に展望いたしましてどんどん先手を打って、日本の繊維産業の高級化、多様化をはかろう、こういう趣旨でありまして、私どもは、世界的に新しい手法の行政手段ではないか、こういう意味において非常な決心を持って臨んでおる次第でございます。  そういう矢先に、日本の繊維産業についてのマーケットが、とにかく頭打ちになるというおそれが迫ってまいりましたことにつきましては、私は非常にうっとうしい気持ちで一ぱいでございまして、先ほども申し上げましたとおり、繊維雑貨局長といたしましては、筋を通してがんばりたい、かように考えております。
  165. 加藤清二

    加藤(清)委員 質問者も多いようでございますから、あと二問簡潔にお尋ねします。  LTA、おかげで転業、倒産、減産、格納、封緘、もうあらゆる日本的インジュリーがこれによって発生したわけでございます。まことに遺恨なり十五年でございます。次から次へとごまかされて、また延ばしまた延ばしでございます。この  ことが幸いなるかな、この秋、期限切れとなります。さきの委員会において、私は業界代表の御両所にお尋ねしました。なきにしかずだ、やめたほうがいいとおっしゃられました。  そこで、きょう新しく見えました御三方に、この秋、期限切れのLTAは、一体継続すべきか、やめたほうがいいか。もしそれケンドールさんのおっしゃるように、包括規制一年だからしんぼうしてくれとおっしゃる。それが事実であるとするならば、十五年もしんぼうしたこのLTAは、もうとっくにやめなければならぬはずなんだ。だからあの案は返上しても、あの趣旨に従って、一年でわしが引き受けるとおっしゃったそうだから、それならこれも一緒に引き受けてもらいたいというのが私の意見でございます。残りの御三方の御意見を……。
  166. 近藤駒太郎

    ○近藤参考人 ただいまの先生のLTAの九月改定の問題で御質問を受けましたのに、私から答弁いたしたいと思います。  まことに私どもの中小企業は、現時点における状況下は微妙でございます。と申し上げますのは、発展途上国からの追い上げでございまして、当時のLTAの締結の時代と違いまして、現状から申し上げますと、中小企業は、先ほど申し上げましたとおりに、発展途上国からの逆上陸あるいは輸出の競合の問題等で、非常に苦しんでおるのでございますけれども、先ほどの御質問のとおりに、私どもも業界あげて構造改善に取り組んでおります。みずからも体質を改善をいたしまして、国際競争力にうちかてるだけの体質に持っていきたい、かような考えのもとに、本年から御指定を受けて真剣に構造改善に取り組んでいきたいという考えでおるのでございますが、そのような観点から考えましても、このLTAの問題に対しましては、当然もう無条件撤廃をしていただきたいというのが、私どもの中小企業のほうにおいても同じ考えでございます。どうぞよろしく。
  167. 加藤清二

    加藤(清)委員 労働界の代表……。
  168. 小口賢三

    ○小口参考人 お答えをします。  これは撤廃すべきものだと考えています。
  169. 加藤清二

    加藤(清)委員 わかりました。  最後に、それほど業界も労働界もかたい決意をしていらっしゃる。その労働界は、繊維加工労働界だけではございません。繊維機械をつくっている労働界もまた同じ意見でございまして、先般も、二日もそれこそかん詰めになって、この問題に取り組んで反対を決議いたしておるような次第でございます。にもかかわりませず、外務省の一部には、なお業界を説得しようという向きがあるようでございます。そのまた説得された業界が、今度は当該繊維業界を説得しよう、こういう妙な努力が行なわれているようでございますが、繊維局長、あなたにお尋ねしますが、通産大臣は一体何を守る役目でございましょうか。アメリカの業界を守るのが役目なのか、日本の業界を守るのが役目なのか、一体どっちでございましょう。  そこで、そういう日本の業界を守る反作用が人質のほうから言われた場合には、逆に通産省が他の業界も一致結束するよう説得すべきであって、いまの説得は逆なことが行なわれておるというふうでございますが、これはどんなものでございましょう。あなた逆に、繊維業界の言うことが正しいのだから、国会の決議が正しいのだから、このとおりやってもらいたいと言うて説得すべきだと思うのです。あなたの本件に対する今後の態度、並びに通産大臣の態度を承っておきたい。最後に、もし一、それでも決議違反を行なわれるようなことがあれば、先ほど武藤さんからも質問がございましたが、そのおりはこれは総辞職ものでございます。かりに国会の会期中が終わって閉会になってからといえども、決議は生きているのでございまするから、決議違反をやれば、これは総辞職ものでございます。したがって、もうそりなれば佐藤さんにやめていただけばいいのです。長いことおやりになったのだから、そんなに長くやらぬでも、もう食うに困る方じゃございません。かわったらあなた、何も社会党が天下を取るというのじゃございませんから、心配ないです。部内に喜ぶ人もずいぶんあるのですから。したがって、ひとつやりたければ総辞職を覚悟でやっていただかなければならぬし、もし一、この国会決議に反するようなことが通産省で行なわれれば、繊維局長も、これまた首を覚悟でやってもらわなければならぬのですから、そのおつもりでどうぞ。私どもは、そういうことのないように国会で歯どめをしたのですから、その歯どめがあくまで守られるようにしていただきたいと存じます。  そこで最後に、もし一、当該業界に向かって、今後、国内の金融界や商社筋や、そういうところがら圧力があなたたちにがかったら一体どうなさいますか。それでも絶対不動、確固たる信念でお通しになることを私は期待しておる。いかがでございましょうか。最後にお尋ねいたします。
  170. 宮崎輝

    ○宮崎参考人 最近、金融界から圧力がかからないかとか、あるいは暴力団に対してガードをつけぬでもいいかとかという冗談をよく言われるのですよ。しかし、金融界というのは良識がありまして、実は金融界の各代表的な市銀の調査部長の方に集まっていただきまして、率直に業界としては意見を聞いたのです。われわれのやっていることは間違っているでしょうか、あるいは他産業に悪影響があるでしょうかというようなことを率直に、謙虚に意見を聞きましたが、全くあなた方と同感ですという回答がございまして、これは頭取さんをお集めするわけにまいりませんので、よく事情に詳しい調査部長会議を開催いたしました。私は、金融界というものは非常に良識の高いところでございまして、そういうような動きはいま全くございませんし、今後もないしと確信いたします。  それから暴力団の話もございますが、これはわれわれは正しいことをしているのですから、むしろ私は右翼の人なんか激励をするのじゃないかと思っているです。実は私の家庭なんかに非常な大きな激励の投書をいただきます。これは初めてでございます。そういう事情でございますから、どうぞ御安心をいただきたいと思います。
  171. 八田貞義

    八田委員長 関連質問を許します。中村重光君。
  172. 中村重光

    ○中村(重)委員 実はきょうは静かに皆さん方の御意見を伺っておこうと、こう思っておったのですが、関連質問で簡単にお尋ねをしてみたいことがあるのです。  先ほど来、国会の決議のとおりひとつやってもらいたいとか、政府は国会決議を無視しないであろうとか、実はいろいろ御意見があったわけですが、私どもといたしましては、委員会で決議をし、さらに委員長提案という形で本会議決議を求めたということでもおわかりのように、自主規制に応ずべきではない。二国間の話し合いではなくて、いわゆるガットの場で話し合いをすべきであるという考え方は、一貫して変わらない。ところが、政府の最近の動きを見てみると、被害のないところに規制なしという日本の基本的な態度というものがぐらついてきている。そして日米関係にひびが入るのだというので、受け身の立場に立って、かるたでいうところの、無理が通れば道理が引っ込むということばがありますが、どうもそういう方向に行っておるような気がしてならない。そこで業界方々に十九日おいでを願ったのですが、あらためてまたその後の状況をお伺いをしたいということと、それから中小企業の方々並びに労働界の皆さんの御意見を伺っておりませんでしたから、まあ皆さん方の立場に立って御意見を伺いたいということと、いま一つは、私どもは、参議院の商工委員会で再決議をいたしましたが、いま一度決議をすべきかどうかということもいろいろ議論をいたしましたけれども、私どもは、きちっとした決議を実はいたしておるという点からいたしまして、きょうは再度皆さま方にそうしたことでおいでを願って御意見を伺うということの半面、委員会としての政府に対するいわゆる意思表示、国会の決議を尊重すべしという意思表示ということが、きょう皆さま方においでを願って、こうしたいろんな問題について話し合いをしている真意であるということを、この際ひとつ御理解をしていただきたいと思うのであります。  そこで、いまいろいろ皆さん方の御意見委員の質問に対するところのお答えがそれぞれあったんですが、加藤委員の、ケンドール試案というものはむしろ外務省がつくったんではないかというような御発言等々考えてみまして、何か土俵の上に政府が乗ってどんどん具体的に話を詰めてきている。それを、業界方々あるいは国会がまわりをぐるぐる回っているような感じが、実はしてならないのであります。そこで、各委員からお尋ねがなかったのですが、どうもケンドール試案に対して業界を説得する腹を政府が固めた、そういう具体的な記事が実は出たのでありますが、自民党の総務会か商工部会でありますか、どこかに出られて、それは事実に相違するということでそれを否定をされたとか、あるいはその後参議院の予算委員会等々を通じまして、佐藤総理並びに宮澤通産大臣の答弁を聞いておりますと、これまた、ケンドール試案なんというようなことを考えているわけではないということで、それを否定をしておるということでございますが、いずれにいたしましても、政府がこれを早急に妥結をしようという考え方の上に立って、アメリカ側と大使館等を通じて接触をしていることは間違いないんであろうと私は思うのであります。業界といたしまして、日米間にどのような接触がなされておるのか、その点おわかりでしたらひとつお答えを願いたいということと、それから業界に対しまして政府は何らかの解決案を示したのかどうか。いま一点は、財界に対しまして、繊維業界を説得をしてもらいたいというような要請をしたということも伝えられておったのでありますが、財界から繊維業界皆さん方に対して、具体的な案を示して、これでひとつ何とか妥協する腹はないかというようなことの話し合いがなされたのかどうか。それらの点に対して一応聞かしていただきたいと思います。
  173. 谷口豊三郎

    ○谷口参考人 ケンドール案というのは、どうも少しみな世間で騒がれ過ぎているんじゃないかという感じが私はいたしますのですが、それはケンドールさんがああいう立場で、日米間で業界人として何かうまいぐあいにいかぬかということで話しをされた一つの試案――案といいますか、意見じゃないかと思いますのです。ですから、そういうことはいつの場合でもありがちなことで、問題になっておれば、どうだろうかというようなことを話されるのはあるんじゃないかと思いますのですが、そういう意味で、私は先ほど申し上げました大使館のときでも、伺ったわけなんです。ですから、どうも最近の動きを見ておりますと、報道人の方にはちょっと悪いのですが、少し問題があまり騒がれ過ぎているような気がいたしますので、私はできるだけそういうことには無関心でおります。そういうことであまり神経を悩ましておったら、神経戦に引っかかるんじゃないかというような気がしておるものですから、少々のことは少し無関心でいようじゃないかというような態度でおります。これはどうせ十五年からのずっと続きの問題ですから、ゆっくり時間をかけて話して、落ちつくところへ落ちつけるよりしようがない。ですから、途中でいろいろ出てきたってあまり騒がないほうがいいんじゃないかというふうなつもりで、きょうそちらへ、お手元へ回しましたなには、昼から連盟の役員会をやりまして、だいぶん皆さん集まって意思の疎通をはかって、じっくりあせらないで、お互いのなにが出ないようにしようということでやっております。  それから財界、金融界等から話があったかどうか。それは、どこかに呼ばれたついでに、どうだね君、もういいかげんにというような話は、それはわからぬ方から出ることはありますけれども、面と向かって、この相談があるからちょっと来てくれ、これでどうですというようなことは、絶対にございません。また、そういうことを財界のそうそうたる方が、そう不用意におっしゃるはずもございませんし、まあ世間がちょっと騒ぎ過ぎているのじゃないかというような感じもいたしますので、やはりこういうのはアメリカの謀略戦の一種の手じゃないかというような感じもしておりますのですが、私の感じはそういうことでございますので、御承知願いたいと思います。
  174. 宮崎輝

    ○宮崎参考人 実はこの問題につきましては、ずっと前から私どもは精力的に、いわゆる財界の方々理解をしていただくという意味で歴訪いたしております。それは当然でございまして、経団連の首脳部の方、副会長会議等にも出席いたしまして、相当な時間をかけて説明もしましたし、その他の有力な方々にも説明をいたしております。非常によくわかっていただく方と、必ずしもそうでない方とあるのは当然でありまして、繊維なんという問題はむずかしいですから、なかなか急にはわかっていただけない方もございます。しかし最近、問題が起こりましてから、私は一人も財界の方から、どうだと言われたことはございません。連盟の会長谷口さんには、あるいはいまおっしゃったとおり、何かついでのときにおっしゃったことがあるかもしれませんが、私には公式にも非公式にも何もございません。
  175. 中村重光

    ○中村(重)委員 き然たる態度、私はそれでよろしいと思うのです。ところが、政府が弱腰であるということだけは間違いないと私は思う。そうした中に、いまき然たる態度を業界が貫かないということになってまいりますと、いわゆる筋を通さないという結果になり、自由貿易をくずす共犯者という形になることは間違いないわけであります。けさの新聞でございましたか、カナダの商工相が自主規制を求めたという記事が実は出ているわけであります。アメリカとの間には、筋の通らない形においてこれを妥結したということになってまいりますと、カナダその他関係の国々から自主規制を求められた場合に、これに応じないということはできない。自由貿易は完全にくずれてしまうということになってまいります。いまお答えになりましたように、業界としては終始一貫態度をくずしていないということはよくわかったわけでありますから、そうしたき然たる態度を最後まで貫いていただきたいということを要望いたしておきます。
  176. 八田貞義

    八田委員長 横山利秋君。
  177. 横山利秋

    横山委員 お疲れのところでありますから、私は一つだけお伺いをいたします。  いままで同僚諸君との質疑応答を聞いておりまして、こういうことを私は感じました。要するに、今日時点における情勢判断としてはこういうことではないのか。いままではいろいろ紆余曲折があった。たとえば政府とアメリカとの約束があったのではないか、あるいはまた、政府と業界の間に話し合いがあったのではないか、業界同士の間に多少の疑惑があったではないか。そういう紆余曲折があったけれども、きょうお話しのように業界の会合があった。また労働組合も会合を開かれた。それによって一切の疑惑が払拭され、一致結束してこれから基本線で進むのだ。また、したがって第二のケンドール案や、あるいは政府案や、政府が業界を説得するような、今日まであったと伝えられるような余地はもはやこれ以上はない。これはもう白紙に帰り、原則に立ち返って基本線の交渉以外にはない、こういうふうに私は今日的な情勢を判断するのですが、私の判断に間違いがありましょうか。谷口さんにお伺いします。
  178. 谷口豊三郎

    ○谷口参考人 間違いがあるかどうかとお聞き願うと恐縮でございますが、私も大体そういうことよりしかたがないんじゃないかというふうに思っておりますのでございます。
  179. 横山利秋

    横山委員 それでは一体、この基本線に業界がほんとうに打って一丸になって、いろいろなことはあったけれども、一部、二部の話し合いはあったかもしれぬけれども、さらっとお互いに業界が一致結束した。これから一体どういうふうなことがこの基本線に立って想像されるのか。谷口さんのおっしゃるのは、まあいろいろな雑音は抜きにして、ゆっくり一ぺん腰をかまえようというお話のようでありますが、これからどんなことが想像されるのか、今後の観測についてひとつ御意見がありましたら伺っておきたいと思うのです。
  180. 谷口豊三郎

    ○谷口参考人 先の観測というのは、なかなかこれはむずかしゅうございまして、私の自分のやることじゃございませんので、なかなかむずかしいのでございますし、まあ御承知のようないろいろむずかしい背景もあることでございますから、何が起ってくるか、それはちょっと想像もつきかねますけれども、しかし、少なくともわれわれのほうは、何べんも申しますように、ああいうふうに議会でおっしゃっておりますし、業界の納得なしにはやらないんだというお話でございますから、私らがほんとうに納得して、まあ皆さんがやろうというお気持ちになれば格別でございますが、そうでない限り、それはできるはずはないというふうに考えまして、いろいろお考えになった――いずれは御相談があるときに御返事申し上げればいいので、そうばたばたすることはないんじゃないかということで、できるだけ落ちついてやろうじゃないかというのが考え方でございます。  ただ、業界といいましても、それは大ぜいの方がいらっしゃるのですから、いろいろな考えがおありになることは、これは当然でございまして、その中に一人、二人の方がいろいろ違った意見あるいは反対の意見をおっしゃる方があっても、それは業界意見であるかどうか、業界をリードする意見であるかどうかというのはおのずから別問題でございまして、業界というのは一応そういう形でいこうということで、強い意見でめずらしく固まっておるわけでございますから、私は、まあそれでいいんじゃないか、そうこまかい、一人一人まで何か言ったからといって、それを神経質に追いかけていって、おまえどうじゃ、こうじゃという、そんなことをやっていったのではとても神経がもちませんから、そんなことはどうでもよろしい――どうでもいいというわけじゃございませんが、そうやかましく気にかけることもなかろう、この程度で、大体の皆さん方がちゃんと理解していただいて、ほんとうにこれで筋を正しくやっていこうといういまの空気があり、皆さん方の御支援があり、報道機関そのほかについても、みんな御支援していただいておるのですから、それを信じておれば、そうばたばたすることはないということでございますので、先にいろいろ何が起こるかといって心配すれば切りがないのですから、あまり心配しておると、とても神経がもちませんから、あまり心配しないことにしておりますので、ひとつ、悪うございますが……。
  181. 八田貞義

  182. 堂森芳夫

    堂森委員 時間がございませんので、ただ一点だげ伺っておきたい、こう思うのであります。御答弁は谷口さんと宮崎さんにお願いしたい、こう思うのであります。  ちょうど吉野公使が帰国しまして、新しい政府の訓令を持ってワシントンに帰った日でありました。私が外務委員会で愛知外務大臣に質問をいたしまして、政府が新しい訓令を与えて吉野公使を帰したいきさつ等について詳細な答弁をしております。そのときに私はこういう提言をしたのであります。政府が出先の下田大使を通じ、あるいは吉野公使を通じて、アメリカ政府といろいろ交渉してきたのであるが、また、わが国内においては、もちろん外務省当局がアメリカの駐日大使館との接触でいろいろ交渉はしてきたであろうが、もう一つ欠けておることがあると思う。それは、政府の強いあっせんによって日米両国の業者のいろいろな接触が必要である、こういうふうに思うが、どうして政府はやらぬのだ、こういう質問もいたしたのであります。そうすると外務大臣は、確かにそうでございます――これはもう一月前でありますが、いままでもしてきたつもりでありますが、これから大いにそういうことに力を尽くしたいと思いますと、こう――まあ、あの人は、ああいう役人上がりでほどのよい人でありますから、そういう答弁をする人でありますが、何か業界に対して、そういうようなあっせんなり、あるいはおすすめなり、いろいろ努力をしてきたでありましょうか。この点について私は伺っておきたい、こう思います。  実は私のほうでは、私が国会対策委員会へいきまして、昨年の五月九日の院の決議があって、政府は院の決議を尊重して、その線をもってアメリカ政府に、自主規制をとることはけしからぬという態度で善処いたしますという答弁を本会議場でしたのでありますから、それにもとるような行動を政府はとろうとしておる。それでわれわれは緊急質問を要求して、本会議で政府の院議無視の態度を糾弾すべきである、そして政府の軟弱な態度に対して、われわれはこれをもう一ぺんたたき直すような、糾弾をかねた質問をすべきである、こういう主張をしました。私はたまたま福井県の出身でありまして、御承知のようにあなた方は非常に関係の深い県であります。おまえが言い出したのだから、それでおまえは福井県の出身だから、おまえが質問をやれ、こういうことになって申し込みましたけれども、一向与党が許さないのです。それは、佐藤あるいは愛知というような男はみんな官僚ですから、都合が悪いことは許さぬというか、それに与党も乗っておるわけです。大体これはおかしいのでありまして、けしからぬと思うのでありますが、緊急質問を許したらいい。  それはそれとして、私はお二人に、こういうことはどうかと思うのでありますが、こんなにこの問題が非常な複雑な、ジグザグな経路を通ってきて、しかもアメリカ側のベースに引っぱり込まれて、何といいますか、何かの猛獣にくわえられて振り回されているような状態が今日のこの繊維交渉の姿である、こう思うのであります。一体、なぜこんなふうになってきたか、一番大きな原因――きょうの決議に書いてありますからもう聞かぬでもいいかもしれませんが、その原因はどこにあるか、ひとつさっきのと御答弁願えるならばありがたい、こう思います。
  183. 谷口豊三郎

    ○谷口参考人 業界の接触でございますが、これは形がいろいろあると思います。接触はわれわれしょっちゅうというわけではございませんが、毎年、国際綿連という場で、向こうの方々といろいろ話をいたす機会がたくさんありますので、昨年もオポルトで十一月に話しましたのですが、そのときは、そんなことを言ったってだめだということで話し別れております。  その前もしょっちゅうそういうことはありますのですが、向こうは困ったと言うし、それはおかしいじゃないか、アメリカともあろうものが賃金が高いなんというへたなことを言わないで、もっと合理化すればそれはいけるじゃないかというような話で、もっとお互いにマーケットを広げるようなことで努力しようじゃないかという話で、それもそうだなということで別れることも多いのでございます。それからずっと前に、綿業の問題で個々の業界のトップと箱根で一ほんとうは向こうでやると、向こうの独禁法にひっかかりますので、向こうの人は非常にそれを気にしまして、やりたがらないのですけれども、それをやりましたのですが、そのときなんかよく話が通じるのでございます。ところが、業界の話といいましても、私の感覚では、業界の首脳者は――、私らの接触しますのは、あまり小さいところじゃない方に接触するのですが、そういうところの方々は、成績もよろしゅうございますし、何もそんなことに血道を上げてぎゃあぎゃあ言うような方じゃありませんし、人柄もそういう方じゃない方が多いのでございます。  そういう点から考えて、どうもあれは十五年間もやっているものですから、そういう仕事になっているような、そういう筋の方が非常に熱心なんで、それが政治問題とからみ合わせて、だんだんああいう形に発展してきたのじゃないか。業界でも、新しい形にどんどん進んでおられる方は、そんなことはおかまいなしにりっぱな成績をあげて、そういうことはあまり関心を――それはおっしゃることはおっしゃるのですが、そんなにいま両国の間の問題になっているような空気でおっしゃる方は、ほとんどございませんです。それですから、この問題は少し日本のほうへ大げさに伝わっている。それを政治的にからみ合わしてうまく追い込んできたという感じが私の感じでございますので、アメリカの良識のある方、また、ことに前のLTAで経験された方は、あのLTAはちょっとまずかったということをおっしゃる方も多いようなんでございまして、そういう良識がずっと上へ出てくるようにしないと、なかなかむずかしいんじゃないか。日本なんかでも、差しさわりはありますが、そういう問題もなきにしもあらずじゃないかと思いますのですが、そういう関係で来ておりますので、接触といいましても、どういう形で接触するかということはなかなかむずかしい問題で、また、多少そういう職業的な方に接触しましても、これは何ぼ言ったって、理屈では引っ込みませんから無理でございまして、いろいろな方面で時間をかけて、意思疎通をはかってやるのがわれわれの役目じゃないか、できるだけそういう空気では考えております。  この六月に国際綿連の会議が大阪でございまして、アメリカからもいま出席通知の方が、御夫人、子供さん入れて三十五名くらいいらっしゃるのでございます。ですから、首脳者の方は二十名近くいらっしゃると思うのですが、そういうときにも、機会があれば話をするし、そんな話のないときは、非常になごやかにみんなつき合いしているのでございますが、こういう空気というのは非常に奇妙なと思うくらいの場面がございますのです。ですから接触の面は、そういうことでなにができればよろしいのですが、あまり数あって、これが新聞のフラッシュを浴びるようなところでやったのでは、ほんとうの話はできっこないと思いますので、何かうまいぐあいにだんだん意思の疎通がはかれるようにしたいとは思っておりますのです。さようなことでございます。
  184. 宮崎輝

    ○宮崎参考人 業界との接触は、私どもは個人的にはしょっちゅうございます。しかし、私のほうは化合繊のメーカーですから、相手はATMIのメンバーじゃございません。たとえばデュポンとかモンサントとかアライド・ケミカルとかUCCとか、こういう会社なんですが、この人たちは品がよくて、何もこういう問題には触れません。しかし、どの程度裏で動いておられるのか、これはいろいろ情報がありますけれども、わかりません。業界同士で私ども会いますときには、こう言いますね。日本の繊維業界がこんなに強いということは初めてわかった。それから第二は、一番初めにアメリカのやり方が悪かったのだ。ことばは悪いでしょうが、いわゆるどうかつ的な態度ですね。スタンズさんとかその他が見えた、あの態度が悪かったのだ。ここまではいいのですよ。もう一つ悪いことは、しかし綿のとき、あまりにもおまえら簡単におり過ぎたじゃないか、あれで今度も簡単にいけると思ったんだ、アメリカの繊維業界の人たちがこう率直に言いますよ。ですからそういう意味で、私ども率直に夜、飯を食ってよく話し合うのですが、向こうの業界の方はどうかといいますと、日本の合繊というものは日本の鉄と同じで、海を渡って太平洋岸に工場をつくれば、日本から買ったほうがいいというのですよ。たとえばある何とかいう島があるのですが、その島では、そこでつくると、つくったものを本土に運びますと輸入税がかからないのだそうです。ですから、そういうところに日本が原料を入れてジョイントベンチャーをつくらぬか、そういう話もあったりいたしまして、最近バーリントンとかJ・P・スチーブンスも出てきますが、これは将来どうなるかわかりませんけれども、いずれ経済交流が行なわれる時期が日米間に来るのではないか。われわれも出ていくが、向こうも出てくる。そしてファッションビジネスの時代に入りますが、デリバリーがよくていいものをつくるところは結局日本以外にないのですよ。日本も労働力が不足いたしますけれども、安いものをつくっておったのでは日本ではとても引き合いませんから、ファッションビジネスで、非常に高く売れるもので、ブランドの通ったもの、そうなりますと、日本でつくってそれをアメリカに持っていくということが存えられる。われわれもアメリカに乗り込んで製品をつくるというようなことにして交流が行なわれますと、こういうものはだいぶムードが変わるのではないかと思ったのです。  現に、蛇足でございますが、ASP制に一番強く反対していたあるスイスの会社が、一〇〇%の会社をアメリカでつくったわけです。そして、アメリカで自分の持っているマーケットに、自分のアメリカの工場で供給するようになったわけです。そしたら、ASP制廃止論の急先鋒だったこの人が、まっ先にASP制存続論者になったのです。こういうふうに非常に変わりまして、私は経済界の問題を見ておりますと、非常にオポチュニストといいますか、ある場合には非常に自由貿易主義者だ──ECATの中にもそういうメンバーの人がおるのですが、しかし自分が融資をしておるような、たとえば石油で融資をしておりますと、これに対しての問題があるときには保護貿易になるというようで、自分が自信があるものは自由貿易を主張するけれでも、自信がなくなったら今度は保護貿易を主張するというようなことがありまして、非常に複雑でありますから、この問題の日本の取り上げ方があまりシリアスにとり過ぎるのではなかろうか。  個人的に会ってみると非常にのんびりした情勢でございますが、ただし、いまの交渉となりますと、先ほど谷口さんもお話がありましたように、アメリカは独禁法の関係がありますから、絶対に出てまいりません。ヨーロッパでございましたら、話し合いをわれわれやっておるわけです。こんなことを公の席で言っちゃ悪いですけれども……。これはもちろん独禁法に触れぬ範囲でやっておるわけですが、しかしこれはアメリカとは絶対にできません。そういう話になると弁護士をそばに置きまして、弁護士のアドバイスによってやりますから、業者問の話し合いを私どもは決して忌避はいたしておりませんけれども、そういうことでセッツルすることは、アメリカの法制上絶対に不可能でございます。ですから私は、この間アメリカのある外交官に会ったときに言うたのですが、クォータ法案を通すほどアメリカの繊維業界が自信があるのならば、なぜアメリカの独禁法を改正して堂々と民間ベースで交渉ができるように法律改正をやらないのですか、こう言ったのですよ。そういうことでございますから、業者間の話し合いでは、アメリカとの間は非常にできないような仕組みだということを申し上げます。
  185. 堂森芳夫

    堂森委員 もう終わりますが、いまも、簡単におりないようにと、アメリカ人としてもそう言っておるのですから、両御大、内閣が弱腰でおりようとしても、最後までおりないようにがんばっていってもらいたい。もう答弁は要りません。
  186. 八田貞義

  187. 近江巳記夫

    ○近江委員 非常におそくなりましてお疲れと思いますが、あと私ともう一人で終わりでございますから、お願いします。  宮崎さんにちょっとお聞きしたいと思うのですが、この二日の日にニクソン・スタンズ会談が開かれたということがちょっと報道されているんですが、これについてお聞きでございますか。
  188. 宮崎輝

    ○宮崎参考人 そういう情報がございましたので、さっそく照会をいたしてみたんですが、けさの電話ではまだわかりませんでした。というのは、アメリカは、日本みたいに新聞がスクープするようにいかないんです。なかなか内容はわかりません。ただし、アメリカである人が記者会見をいたしております。そしてオフレコでいろいろなことを言っております。その情報は入っておりますが、それはニクソン・スタンズ会談と同時にやっております。その内容はわかっております。しかし、これは、ですからしたがって、その人がニクソン・スタンズ会談の前にそういうことを言ってやったのか、あるいは牽制策としてやったのかわかりませんが、これは新聞には載りませんけれども、しかし、いまのところは、その内容のそこはわかっておりません。
  189. 近江巳記夫

    ○近江委員 政府の態度は非常にあせりがものすごく見えてきておりますし、非常に急いでおるんですね。このことについて、先ほど宮崎さんは、どうもわからないというようなお話をちょっとされたわけですが、なぜこれだけ急ぐかということですね、こういう態度についてどのように受けとめていらっしゃいますか。
  190. 宮崎輝

    ○宮崎参考人 全くわからないんですがね。たとえばこれは率直に申し上げますと、私どもの同業者の大屋社長が佐藤総理に会われたときのことが新聞に載っておりましたが、こういう問題は急がないのだ、合理的に解決するのだということを総理が言われたということは、私に電話がありまして、あとで新聞記事も載っておりましたから、そのとおりだと思います。それからこの間、全繊の滝田会長が会われたときも、同じような発言があったということを聞きましたんですが、それで私どもは、やっぱり合理的に時間をかけておやりになるのだなと思っておるんですけれども、しかし一方また、早期解決というようなことが新聞に載ったりなんかするもんですから、一体どこが真意なのか、またなぜ急がなければならないのかということが、実はわからないんですよ。先生方のほうはおわかりですか、その点は。もちろん裏の事情も私わかりませんので、実はどうしてもわからない。
  191. 近江巳記夫

    ○近江委員 わからない中にもいろいろなお考えがあると思うのですが、それはもうそれ以上聞きません。  それから、業界の中には非常にいろいろな考えをお持ちの方もいらっしゃると思うのですが、交渉即時打ち切りをせよというように提唱なさっている人もあるのじゃないかということをちょっと聞いたんですが、そういうような考えはあるかということです。そうしますと、当然、交渉が決裂した場合には米側がどう出るか、規制立法というような形にもなる、そういうようなケースを考えてみますと、あくまでいまの段階では仮定でありますけれども、もしもそういうようなお考えがかなり根強いものであるかどうか。そうした仮定の問題で、そうなった場合どういうように対処なさっていくか、その辺のところを含めてお願いしたいと思うのです、谷口さん。
  192. 谷口豊三郎

    ○谷口参考人 きょう全繊では、即時打ち切れというような決議をなすったようでございますが、私たち産業人としましては、政府同士でいろいろ事情があるんですから、交渉をなすっているのをやめておけということを言うのは、ちょっと私としては言いにくいんじゃないか。それはいろいろ御都合おありになるんですから、正しい交渉をやっていただきさえすればいいんで、やめる、やめられぬは、それは専門家の方のお考えでございますから、そこはしかるべくやっていただければよろしいので、結果は私らの都合のいいようにやっていただけば――また、やっていただけるものと思っておりますので、それでいいんじゃないかというふうに考えております。
  193. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、もしも自主規制を日本が受けた、こうなった場合――皆さんのいまの一致団結した、先ほどからのいろいろな答弁を聞いてよくわかっておりますけれども、しかし、いろいろなことでそうなった。そうなってきますと、非常に韓国、台湾、香港、いろいろな諸外国に影響も及ぼすわけです。そこで、いまこういう交渉経過の中で、韓国なり台湾なり香港なり、そうした諸外国と、業界はどういうような連携をとりつついまの問題に対して当たっていらっしゃるか。その辺のところをひとつ、宮崎さんと谷口さん、町氏からお聞きしたいと思います。
  194. 宮崎輝

    ○宮崎参考人 しょっちゅう日本にあります韓国、台湾の大使館とも連絡をとっております。しかし私どもと違って、わりにゆっくりしておられます。のんびりしているということばがいいのかどうか知りませんが、むしろわれわれは台湾、韓国の業界と接触をしております。台湾の場合には、業界代表が交渉のメンバーに入っております。それで非常によく台湾の情勢はわかりますが、韓国の場合にはそうなっておりませんので、よくわかりませんが、できる限りそういう意味で業界の接触をいたしまして、業界からいろいろな情報を得ておるという方法でございます。
  195. 谷口豊三郎

    ○谷口参考人 私は、特にあまりどこそこと接触しておるわけじゃございませんが、EECなんかの事務局の方なんかの話を聞きましても、あれは少しアメリカのほうが無理だから、おまえ、日本しっかりやらなあかんぞという意見でございますし、この間、私のほうの副社長がサルバドルのほうへ――あそこに工場がございますのでしょっちゅう行きますのですが、行きましたら、あの辺までやはり繊維交渉の話が政府で出たそうでございます。この前、さっきの話じゃございませんが、LTAのとき日本があまり弱腰で、くだらぬことをやってくれるからこっちもひどい目にあったから、今度はひとつ、やっているそうだけれども、しっかりやってくれよ、というような話をしておられましたし、概して各国の皆さん方、日本の国内と同じように、あれは無理だというようなお考えのように思っておりますし、そういうことからいきましても、いろいろ御心配のようでございますが、そうわれわれ弱いつもりじゃございませんで、皆さんの顔をつぶすようなことはいたさないつもりでございますので、どうぞひとつ御安心いただきたいと思います。
  196. 近江巳記夫

    ○近江委員 業界皆さんのそういう態度というものはよくわかるんですが、非常にいまの政府が弱腰といいますか、非常に不安感がいつもあるわけですね。それで、要するにあくまでも筋を通せばいいわけですけれども、もしも後退した形で話がきまった──不幸にしてですね。それはわれわれとしても、国会決議もやっておるわけですから、これは当然その立場で私たちもやりますけれども、いまの政府のそういう姿を見ておりますと、そういう心配があるわけです。そうなった場合、この損害というものはどういうように要求されるかですね。これは非常に考えの暗い話ですけれども、一応お聞きしたいと思うのです、宮崎さん。
  197. 宮崎輝

    ○宮崎参考人 金で済む問題じゃございませんのでね、これは。ですから、そういう事態を考えて、おまえら金がほしいからやっておるのかと言われることは絶対いやですから、いまのところは、そういうことは全く考えておりません。
  198. 近江巳記夫

    ○近江委員 わかりました。それじゃ時間ですから、これで終わります。
  199. 八田貞義

    八田委員長 川端文夫君。
  200. 川端文夫

    ○川端委員 参考人方々には、時間もだいぶんおくれて、たいへん引き延ばしているようでまことに申しわけないわけでして、先ほどから同僚の委員から、いろいろな角度からの御質問もあったわけですから、私は重複を避けて二、三お尋ねしたいことを確かめておきたいと思うんです。  そこで、久村さんにちょっとお尋ねしたいんですが、先ほども話ありましたように、全繊同盟の会長の滝田さんが総理にお会いになって、総理は、自主規制を絶対やらない、こういう強い方針をお答えになったと承っておるんですが、にもかかわらず、昨日から百万人集会とか――きょうも四千人ばかりですか、陳情、請願運動に見えられた。しかもその中に御婦人が大多数で、あの雨の中をびしょぬれになって歩いておいでになる姿を見て、繊維労働者の心配がどのようなものであるか、ひとつお聞かせおきを願いたいと思うわけです。
  201. 久村晋

    ○久村参考人 先ほども陳述いたしましたように、私ども、これによりまして非常に大きな失業問題が起こりはしないだろうかという問題と、さらに、家内労働にずいぶん依存する分野が多うございますから、家内労働者の生活ということについて、一体どういうふうな問題が生まれるであろうか、そのような点にしぼって考えておりますので、先ほども御指摘ございましたが、佐藤総理と会って話をいろいろとしておるわけでございますが、そのような、雇用の不安とか失業、特に家内労働者の問題ということになってまいりますと、非常に深刻になってまいると思いますので、私たちは、そのような状況を解決するためには、ここで不信の念があるような交渉のしかたはやめてもらいたい、そういう考え方に立っております。
  202. 川端文夫

    ○川端委員 いま久村さんから、働いている繊維労働者の気持ちを訴えられておるわけですが、こういう気持ちを持っておる者をかかえておいでになる谷口さんなり宮崎さんの話を先ほどから聞いておりますと、全く楽観であって、国会も決議しているんだし、総理や通産大臣がああ言っているんだから、まあ、あまり騒いでくれるなというような感じを話されたように、私、承っておるわけですが、間違いなら間違いでいいんですが、そういうふうにしかとれないんです。しかしながら、日本人は神経質過ぎるかどうか知りませんけれども、一面において、国会の公式の答弁はそうでありながら、あれは皆さんとお会いになっているときに、総理はそうお話しされているに違いないし、お聞きになっておるはずであるのに、やはりケンドール案とか、あるいは下田大使のことばとか、いろいろな意味でどうしても信用しきれないという感じをわれわれは持っておるんですが、私どもが自民党と違って野党であるという立場で、ことさらわれわれが心配し過ぎているのかどうか、この点の率直な御意見をひとつ承りたいと思うんですね、宮崎さんに。
  203. 宮崎輝

    ○宮崎参考人 決して楽観はいたしておりません。あまり非難がましいことを言いたくないものですから言わないだけでありますが、ほんとうに、私どもなりそなたに言われることと、それから実際の行動とは全然違いますね。ですから、一体どこが真意なんだろうということで、私ども、非常に悪いことばですが、常に警戒と疑いを持ってこの問題を見ております。ですから、このごろは一日も東京を離れられない。とにかく工場に行きたいのですけれども、離れられないということで、ほんとうに、夜にも情報をとりながらやっておるという状態でございまして、これはまことに政治に対する大きな不信である。率直に申し上げて、私どもが政治に対して今度ほど不信の感を抱いたことはございません。
  204. 川端文夫

    ○川端委員 先ほどからの話と違って、率直にお話しいただいて、まことにお尋ねするに値したお答えで、ありがとうございます。  そこで、私どもも、国会で決議をしたというだけで問題を処理できるとも思っていないために、二回にわたって、こうしてお忙しい皆さんにお尋ねをしているわけですが、この点で、先ほど加藤さんでしたかだれかがおっしゃっていたように、そうであるならば総辞職だとおっしゃったけれども、いみじくも武藤委員が、もし国会が終わってから違った態度できめて――それは、けんか過ぎての棒ちぎりというような意味で、そういうことになりはしないかということを懸念して、参考人に再びおいでいただいていると思うのですが、この点に対してどうかひとつ強い姿勢を、しかも業界結束して持ち続けていただきたい。われわれは何としても、外務省と通産省の間における食い違いはまだ十分一致点を見ていないという考え方に立って、監視をゆるめない、こういう強い態度をとっておるわけですし、さらに、先ほどからも話がありましたけれども、特恵関税国になる後進性の強い国々はひとしくこの問題に関心が深いと思うので、アジアにおける先進国である日本がこのあやまちを今度犯せば、アジアにおける信頼がなくなるのではないか、この点をわれわれが深く憂いを持って見ているわけです。この点に対してはたびたび聞いたのですが、谷口さんからもう一度自信のあるお答えをいただけるかどうか。お答えができれば、していただきたいと思うのです。
  205. 谷口豊三郎

    ○谷口参考人 たいへん恐縮でございますが、先ほど私の言い方が悪かったのかどうか存じませんが、何かえらい安心をしているように、それからまた楽観しているようにおとりのようでございますが、別に楽観というわけではございませんが、あまりいろいろのニュースといいますか、事件が次々と起こって、それを一々神経質に追い回していると、こっちの神経が疲れますから、そういうことをやらないで、冷静にやったらどうかというのが私の考えでございます。  それから、これはどうしても長く持久戦にならなければならぬ。そう簡単に解決する問題じゃありませんので、とかく日本人のなには、ぱっと熱しやすくさめやすいというような点もあるものですから、どんどん気勢をあげていただくのはけっこうなんですが、あまりあがり過ぎますと、今度下がったときにちょっとさびしい感じが出てきて、あたかも結束がゆるんだとか、それでなくても、何かありますと、そういうふうにいわれますものですから、じりじりと、じっとしり上がりにやっていったほうがいいのではないか、そういう意味で申し上げておりますので、何回も申し上げますように、われわれの結束は、そういうほうがほんとうにかたいのではないか。わっと騒いで大騒ぎすることは、一見非常に景気はよろしくても、それが実際に気持ちの上でじっくりいって、じっといくほうがかたいのではないか、それのほうがほんとうの結束じゃないかというのが私の考えでございますので、何かそれをお聞き違いのようでございましたら、ひとつそういうふうにおとり願ったらけっこうだと思います。私らの決心は決して変わっておりませんですから、どうぞひとつ……。
  206. 川端文夫

    ○川端委員 いろいろお尋ねしたいこと、用意してきたわけですけれども、大体他の委員から、角度を変えてではあったけれども、お尋ねがあったし、時間もおそくなりましたから、私、持ち時間ありますけれども、この点で繰り返しての質問で時間を浪費するのもどうかと思うわけです。しかしながら、きょう幸いなことには、業界方々も、中小企業の方も、労働組合側も一致された姿において、これから長期戦にも敗けないでがんばり抜くと、こういう決意をお示しになったので、われわれはまた皆さんの意を体して、国会も昨年の決議を生かす意味において、十分強い監視をすることをお約束申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  207. 八田貞義

    八田委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、御多用中のところ、長時間にわたり御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。  次回は、来たる七日午前十時理事会、十時半委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後六時四十一分散会